プログラム
format_list_bulletedエレクトロニクスソサイエティ
一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
C-1. 電磁界理論
3月18日 9:00〜11:30 Meeting 13 座長 川口秀樹(室工大)
C-1-1 |
平行平板電極間の波動共振特性
○大内和幸(波動デバイス研究所) |
C-1-2 |
周回積分型非線形固有値問題の固有値数算出法
○山下 陸・長谷川弘治(室工大) |
C-1-3 |
電磁ポテンシャルを用いた混合数値解析による光と物質との相互作用の検討
○東 貴範・岸本誠也・佐甲徳栄・大貫進一郎(日大) |
C-1-4 |
DCP-FDTD法の3次元解析への拡張
◎岩本哲弥・柴山 純・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-1-5 |
プラズモニック導波路における電磁界の縦成分と横成分の分解
◎柴垣裕紀・岸本誠也・佐甲徳栄・大貫進一郎(日大) |
平行電極間における弾性波,電磁波などの波動の入力インピーダンスを,Masonの等価回路を修正した等価回路により,導いた.Masonの等価回路では,減衰定数を零にして弾性波を解いているが,この論文では減衰定数を実際の値を入れ,電源の内部抵抗を零にした回路で解き,インピーダンスを求めた.そして,等価回路定数を導いている.例として,空気中の平行平板電極間の電磁波のインピーダンスの周波数特性を求めグラフ化した.振動子などの弾性波デバイスに観られるように,電磁波においても共振特性が得られた.
波動が伝搬する媒質の特性インピーダンス,伝搬定数を変えることにより,電磁波,弾性波などの波動に対し入力インピーダンスが求められることが判った.
固有値の複素平面上の周回積分路内部の固有値を求める手法としてSakurai-Sugiura Method(SSM)が知られている.
SSMは事前に固有値分布を概算することで適切な固有値計算精度を与える計算パラメータを定められる.
本稿では,非線形固有値問題の固有値分布算出の高速化・一般化を目的として,固有値数算出法を検討した結果を報告する.
従来用いていた自動微分を用いたDerivative Method(DM)と微分を回避する行列対数による偏角計算 Log Derivative Free Method(LDFM) との比較を行い,LDFM が微分計算を回避できる分高速に固有値数を算出できる点について報告する.
近年のナノ技術の発展により,プラズモニックデバイスや量子ドット等の量子力学的効果を利用した光学デバイスの研究が盛んに行われている.この光学デバイスの研究では,古典論と量子論を組み合わせたMaxwell-Schrödinger方程式混合数値解析法による報告がされている.しかし,この解法の問題点として,複数の方程式を同時に解く必要があり,計算コストが膨大すること等が挙げられる.そこで本報告では,古典論と量子論による混合数値解析法として,電磁ポテンシャル表記のMaxwell方程式とSchrödinger方程式を使用し,計算コストを削減する.
筆者らは分散性媒質と誘電体の任意境界を精度よく取り扱うDispersive Contour Path (DCP) アルゴリズムをTrapezoidal Recursive Convolution (TRC) 法に基づくFDTD法に導入した.本稿ではDCP-FDTD法を3次元に拡張し,金属球を解析する.散乱断面積と界分布の評価を行い,3次元解析の場合においても散乱断面積が階段近似より速く収束し,金属球近傍のスプリアスな界を除去できることを明らかにする.
伝搬型の表面プラズモンには,損失が少なく長距離伝搬に適したLong range modeと,光閉じ込め効果が強く集積回路等に適したShort range modeが存在する.導波路設計では両者の優位性を考慮し,距離に対する伝搬効率などから励振モードが議論される.本報告では,Long range modeとShort range modeを持つプラズモニック導波路を解析する.電磁界を波数ベクトルに対して平行な縦成分と垂直な横成分に分解し,励振モードに対する縦成分と横成分の関係性を評価する.
休 憩(10:30 再開) 座長 中 良弘(宮崎大)
C-1-6 |
入射偏波角を考慮したInSb球配列のFDTD解析
柴山 純・◎竹谷和真・黒田匠真・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-1-7 |
分散性媒質中に対称な台形型空洞を有するパルス応答解析
○尾崎亮介・山﨑恒樹(日大) |
C-1-8 |
3次元MIM導波路の励振に関する一考察
柴山 純・◎横幕実優・田中宏季・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-1-9 |
GPU並列計算によるDrude-Lorentzモデルを実装した種々の帰納的畳み込み法を含む2次元FDTD法の高速化の検討
◎杉本 陸・鈴木敬久(東京都立大)・柴山 純(法政大)・Jerdvisanop Chakarothai(NICT) |
我々は,テラヘルツ(THz)帯において誘電体基板上のInSb球配列の透過特性を評価してきた.垂直入射時に導波モード共鳴(GMR)及び表面プラズモン共鳴(SPR)が生じること,加えて基板に結合した界の伝搬方向を議論した.しかしながら,入射波の偏波(アジマス)角を考慮した検討は行っていなかった.
本稿では,InSb球配列において入射波の偏波角を考慮した場合の透過特性及び界の振る舞いを周期境界条件を適用したFDTD法を用いて解析した.ディップ周波数においてGMRが生じ,入射界の各成分が基板内の界に結合する様子を示した.その際,偏波角によって,各成分の透過率及び基板に結合する界振幅の大きさが決まることを明らかにした.
著者らは,先行研究で分散性媒質中に傾斜型空洞を有する過渡散乱問題をFILT法とFSEM法を併用した手法にMDM法を組み込んだ方法で高精度に解析し,傾斜型空洞の傾斜幅を変化した場合に対してパルス応答波形に与える影響を検討してきた.
本文では,分散性媒質中に傾斜型空洞で構成される対称な台形型空洞をもつパルス応答を高精度に解析し,台形型空洞の影響を電界と磁界の反射応答波形により検討する.
金属-誘電体-金属(MIM)で構成されるプラズモニック導波路を用いたプラズモニックデバイスが検討されている.ただし,その検討の多くは2次元解析であり,3次元解析の実行例は少ない.本稿では,入力誘電体導波路を設けた3次元MIM導波路を,FDTD法を用いて解析する.導波路の厚さを変化させた際の正規化パワーを評価し,2次元構造との比較を行う.2次元構造と同等の結果を得るためには,3次元構造における導波路を厚く選ぶ必要のあることを指摘する.
金属の分散性を表すDrude-Lorentzモデルを実装した2次元FDTD法に種々の帰納的畳み込み法を組み込み,CUDAを用いてGPU並列計算を施した.
その計算パフォーマンスをopneMPも用いたCPU並列計算と比較を行い有効性を評価した.今回の実装ではどの手法においても最大100倍以上の高速化を達成できた.
3月18日 13:00〜15:15 Meeting 13 座長 新納和樹(京大)
C-1-10 |
歯形付導体板の歯形周期に対する反射散乱特性
○平野 誠・松林一也・髙熊 亨(防衛装備庁) |
C-1-11 |
対称構造を有するΩ型容量性ギャップ構造を用いたCRLH-TLの検討
○高田哲弘・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
C-1-12 |
メタサーフェスを用いたRCS低減方法に関する一検討
○末延 博・山本伸一・瀧川道生・米田尚史(三菱電機) |
C-1-13 |
スロット装荷2層マイクロストリップ共振器を用いた任意形状UWBフィルタ
◎西岡優一・辻野祐一・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
近年,レーダに対するより小さな反射目標物の計測評価が求められており,これらの反射量を精度よく計測するには,目標物以外からの不要反射波抑圧対策が重要となる。屋外計測場における主な反射源としては,回転支持台の他に樹木,ブロック塀,屋外灯,監視カメラ等があり,これらの全てに対し屋外用電波吸収体を用いる方法は,吸収性能が限定的であると共に高価であり,実際上困難である.そこで,これに代わる簡便な対策として,歯形付の周期構造を用いて反射を抑制させる方法を検討し,基礎方程式を導出した.ここでは,歯形周期に対する反射散乱波成分の変化を調べた結果を報告する.
これまでにマイクロストリップ線路をもととする右手/左手系複合伝送線路(CRLH-TL) の広帯域化,低損失化を実現するためにΩ型インターディジタル容量性ギャップ構造を提案してきた.本稿では非対称構造であったΩ型インターディジタル容量性ギャップを対称構造にすることにより,ブロッホインピーダンスの挙動を広帯域で安定させることができ,伝送特性のさらなる改善が見られたので報告する.
周期構造によって反射特性を制御するメタサーフェスを用いてRCS(Radar Cross Section: レーダ断面積)を低減する方法について報告する。RCSを低減する基本的な方法として、対象物と振幅が同等な導体を用いて、対象の散乱波と逆相の散乱波を重ねて打ち消す方法がある(散乱相殺)。打ち消しが生じるのは対象と導体の間隔が1/4波長程度となる周波数付近であり、その動作は狭帯域となる。本稿では,対象物の散乱相殺にメタサーフェスを用いることでRCS低減の帯域拡張を検討し、メタサーフェスの設計とシミュレーションによる効果を検証した結果を報告する。
フィルタ設計法の一つとして遺伝的アルゴリズムによる素子形状の最適化がある.本研究では,グランド面にスロットを装荷した2層のマイクロストリップ共振器を用いた構造により放射損を低減し,スロット及び共振器を任意の形状で遺伝的アルゴリズムにより最適化する.Sパラメータの大きさに加え群遅延の平坦さを評価することで3.1-10.6 GHzの広い周波数を通過域に持つUWBフィルタを実現した.
休 憩(14:15 再開) 座長 山本伸一(三菱電機)
C-1-14 |
低交差偏波特性を有するリング装荷同軸グルーブホーンアンテナ
◎伊藤真一・南野秀幸・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
C-1-15 |
Low Computational Cost Kirchhoff Approximation for Single Diffraction Problem
◎Xin Du・Jun-ichi Takada(Tokyo Tech) |
C-1-16 |
コーティング導体円柱による後方過渡散乱の偏波依存性
○後藤啓次・河野 徹(防衛大) |
C-1-17 |
誘電体装着導体円柱による散乱電界における全反射現象
○河野 徹・後藤啓次(防衛大) |
衛星通信に用いられる12/14GHz帯と20/30GHz帯の共用は小型ホーンでは非常に難しい.本稿では,反射鏡アンテナの多周波数帯共用一次放射器として,円形導波管給電による低交差偏波特性を有するリング装荷同軸グルーブホーンアンテナについて設計,検討している.11.5-12.5GHz,13.5-14.5GHz,19.5-20.5GHzの3帯域において,良好な特性を持つアンテナの設計を行い,さらに29.5-30.5GHzにおいて低交差偏波特性に効果を示すリング構造を複数の同軸グルーブに装荷することを検討し,ホーンの4周波数共用を図った.結果として,設計周波数において良好なVSWR特性と低交差偏波特性を有しており,従来形状からの小型化と高能率化を実現した.
This paper proposes the idea of reducing the size of fast Fourier transform for single diffraction calculated by Kirchhoff approximation. The accuracy of the proposal is validated for a screen, by comparing it with the full-wave method of moment. The improvement of calculation time was compared with the uniform theory of diffraction.
本研究では,コーティングされた導体円柱による後方過渡散乱の偏波依存性が検討されている.時間領域におけるフーリエ変換法と呼ばれる時間領域における近似解(TD-FTM)を用いて,後方過渡散乱の計算を行なっている.後方過渡散乱界の反転現象は,反射幾何光学波(RGO)級数部で生じている.RGO級数を構成する各成分の応答波形のピーク値の符号を調べることで各成分の反転現象を解釈することができる.各成分を重畳することにより,RGO級数部の応答波形の偏波の違いによる反転現象を解析的に解明することができることが示されている.
本研究では,線電流源から放射される円筒波が誘電体装着導体円柱へ入射する場合の散乱電界における全反射現象について,幾何光学波級数解を用いて明らかにしている.周囲媒質の誘電率は,誘電体媒質の誘電率よりも大きいと仮定している.幾何光学波級数解を構成する誘電体表面での反射幾何光学波の散乱界強度変化は入射角が臨界角と一致するところを境として異なることから,全反射現象が生じることを明らかにしている.導体表面での多重回反射波については,全反射現象は生じないことが示されている.
C-2. マイクロ波A(マイクロ波・ミリ波能動デバイス)
3月16日 10:30〜11:45 Meeting 35 座長 田村昌也(豊橋技科大)
C-2-1 |
整流動作用大信号等価回路モデルを用いた広ダイナミックレンジ動作向け高効率GaN HEMT整流器設計
◎山崎 純・本城和彦・石川 亮(電通大) |
C-2-2 |
増幅器の負ゲートバイアス供給用ゼロ閾値GaAs HEMT整流器
○長田多喜・石川 亮・本城和彦(電通大) |
C-2-3 |
28GHz帯ブリッジ整流器の整流効率の検討
◎△角谷直哉・桔川洸一・坂井尚貴・伊東健治(金沢工大) |
C-2-4 |
パッケージ入り整流用ダイオードのパラメータ抽出
◎伊藤 匠・米村 翼・坂井尚貴・伊東健治(金沢工大) |
C-2-5 |
AMC基板上の折り返しモノポールアンテナを用いる920MHz帯微弱電力レクテナ
◎△平井 司・宮下圭介・牧野 滋・坂井尚貴・伊東健治(金沢工大) |
無線による電力伝送が様々な分野で検討されており,それらのシステムで共通して重要なコンポーネントに整流器が挙げられる.整流素子としてはダイオードのほかにトランジスタが用いられ,設計には増幅器等の設計用に用意されたトランジスタモデルを使用するのが一般的である.しかし,整流動作に最適化されてなく,トランジスタ整流器の動作領域である ID -VDS 特性の第三象限や,ゲート電極のショットキー接合の構成などに改善の余地がある.本稿では,整流動作の再現に最適な大信号等価回路を提案し,それを元に広ダイナミックレンジに亘って高効率な整流器を設計,試作,評価した.
化合物FETを用いたマイクロ波電力増幅器では, 一般に負のゲートバイアスを必要とする. 一般にゲートへの必要電力量は微小であるため, 通常の電源では容量過多となる. 一方で, 近年エナジーハーベスティングなどの極低電力システムにおいて, 微小RF電力でのDC電圧の生成が要求されている. そこで, システム内RF信号の極一部を利用して負のゲートバイアスを生成する手法を提案する. 本手法は, 例えば, 膨大な数のDC/RF変換用増幅器を利用することが想定されている宇宙太陽光発送電システム(SSPS)などでの直流配線数の軽減に寄与することが期待される.
整合回路の損失を考慮した整流効率の限界値の検討結果を示す. 解析式により求められた値とハーモニックバランス法により求められたシミュレーション値は概ね一致している.
無線電力伝送用レクテナでは,パッケージ入り整流用ダイオードモデルの高精度化が課題であり,ダイオードインピーダンスの測定値からのモデル化が行われている.寄生成分である抵抗RsとインダクタンスLsの抽出には,十分高い周波数のインピーダンスが必要であるが,基板やパッケージの寄生成分による共振などにより,精度良い抽出は困難である.高精度での測定が可能な3GHzまでの2端子対Sパラメータから,ダイオードのパラメータ抽出を行ったので報告する.
920MHz帯における無線電力伝送への適用を目的に,金属板上に設置可能で高インピーダンス特性を有するAMC基板上の折り返しダイポールアンテナを報告している.本報告ではAMC基板上の折り返しモノポールアンテナ(FMA)を用いるレクテナを試作したので報告する.
3月16日 13:00〜17:00 Meeting 35 座長 坂井尚貴(金沢工大)
C-2-6 |
Gated Anode diodeを用いるGaAs偶高調波リングミクサ
◎△大森裕介・小松郁弥・坂井尚貴・伊東健治(金沢工大) |
C-2-7 |
誘導ゲート駆動 FET を用いるゼロ閾値電圧ダイオード
◎椙江陽人・田中愼一(芝浦工大)・石川 亮・本城和彦(電通大) |
C-2-8 |
トラップの影響を考慮したKa帯GaNコンパクトモデルの変調特性の精度改善
○山口裕太郎・中谷圭吾・大塚友絢・津留正臣(三菱電機)・大石敏之(佐賀大) |
C-2-9 |
1 ポートCRLH線路を用いる1.8-2.2GHz帯連続F級増幅器の設計
◎辻 恵梨・田中愼一(芝浦工大) |
C-2-10 |
入力側高調波処理がFET増幅器の電力効率に影響する条件について
◎鈴木貴大・田中愼一(芝浦工大) |
アンチパラレルダイオードペア(APDP)を用いる偶高調波ミクサは,偶数次の混合積を極端に抑制できる特長があり,低スプリアス送受信機への応用が知られる.この偶高調波ミクサを広帯域に実現する構成として,平衡線路と不平衡線路の突き合わせ部にリング状にAPDPを配置する構成がある.本報告では,この偶高調波リングミクサに 0.5µm E-pHEMT による Gated Anode Diode(GAD)を適用したときのアップコンバージョン特性の計算結果と測定結果を示す.
RF 環境発電に対応する高感度な整流器が求められている。共振コイルを用いて FET のゲートを誘導的に駆動す る検討を行った結果,ゼロ閾値電圧(Vth)の整流特性が得 られた。動的な条件でのみ現れる擬似的なダイオードの 特性であるが,高感度整流器の実現に向けて1つの示唆 を与える結果として,その基本動作について報告する。
衛星通信システム(Satcom)やBeyond 5G移動通信システム(B5G)等に向けた通信用増幅器は高出力化及び高効率化だけでなく低歪化も求められている.そのため通信用 GaN増幅器の設計にはCW特性だけでなく変調特性に関しても高精度な大信号モデルが必要になる.これまでGaN中のトラップの影響を考慮することでCW特性に関するモデル精度が改善した報告はあるが[1],変調特性に関しての報告はほとんどない.ここではトラップの影響を考慮することで変調特性のモデル精度が改善した結果について報告する.
高速大容量通信に向けて, 基地局PAの広帯域化, 高効率化は急務となっている。前回,CRLH線路を用いて連続F級動作を実現する手法を提案し,3次高調波までの高い設計精度と小さな回路面積を両立できることを示した[1]。今回, この手法を用いて1.8-2.2 GHz帯の10W GaN HEMT PAを設計し,予備実験で良好な結果を得たので報告する。
近年,F級増幅器など高調波処理技術を用いる各種の高効率増幅器が検討されている。これらの増幅器では高調波の負荷インピーダンスZLが電力効率の改善に寄与するが,2次高調波のソースインピーダンスZSも大きく関与することが知られている。しかし,その影響の度合いは動作級や周波数によって異なり,設計方法としては不明確な点が多い。今回,入力側高調波処理がどのような条件のときに効率に影響するのか一定の規則性を見出したので報告する。
休 憩(14:30 再開) 座長 濱野皓志(住友電工)
C-2-11 |
1ポートCRLH線路を用いる広帯域・高効率逆E級増幅器の検討
◎川島雪永・辻 恵梨・田中愼一(芝浦工大) |
C-2-12 |
FET寄生成分を考慮した連続J級増幅器の設計方法に関する検討
◎青沼奏志・田中愼一(芝浦工大) |
C-2-13 |
マルチ高調波処理スタブをインピーダンス変換回路に用いた高効率非対称ドハティ増幅器
◎髙木裕貴・太田喜元(ソフトバンク)・石川 亮・本城和彦(電通大) |
C-2-14 |
0.1-μm GaAs pHEMTプロセスを用いたD帯増幅器
◎相馬達也・伊東正治・和田 靖(NEC) |
C-2-15 |
スイッチング型GaNエンベロープ増幅器の出力電圧最適化によるエンベロープ・トラッキング増幅器の高効率化の検証
◎齋木研人・坂田修一・小松崎優治・津留正臣(三菱電機) |
これまで増幅器のFETに一本のCRLH線路を繋ぐだけで任意の高調波処理を実現する方法を提案してきた。この仕組みの要の一つであり増幅器特性の帯域を左右するのが、高調波トラップフィルタ(HTF)である。今回、この手法を広帯域動作に優れる逆E級増幅器に適用するため、HTFを含むCRLH線路の設計を新たに検討したので報告する。
電力増幅器(PA)の連続J級動作は,B級動作の高い効率を広帯域で維持することを可能にする[1].しかし,FET寄生成分が関与すると,回路で実現するのは困難になる[2].今回,そのメカニズムを簡単なモデルで明らかにした上,寄生成分の影響を回避しながら連続J級増幅器を設計する方法を検討したので報告する.
世界目標であるSDGs(Sustainable Development Goals: 持続可能な開発目標) 達成に向けて環境負荷を抑えるために, 多くの電力を消費する無線機の電力増幅器には, 厳しい線形性の要求と併せて高効率化が求められている. 筆者らは2次3次高調波を同時短絡するT型スタブを用いた低スプリアス非対称ドハティ増幅器を考案し, その有用性を確認した. 本研究では, 提案手法に基づくT型スタブを5次高調波まで拡張して非対称ドハティ増幅器のインピーダンス変換回路に適用した設計・試作を行い, 良好な特性が得られたので報告する.
無線通信の大容量化に伴い、通信周波数の高周波化に向けた取り組みが進められている。110 GHzから170 GHzに位置するD帯は候補の一つであり、その利活用に向けた技術開発が注目されている。化合物半導体としては比較的安価で耐圧も高い0.1-μm GaAs pHEMTプロセスを用いてD帯増幅器を試作したので報告する。ソース接地回路を採用した4段増幅器で、155 GHzで15 dBの利得を実現した。我々の知る限り最も高い周波数で動作するGaAs pHEMT増幅器であり、そのD帯適用の実現可能性を示すものである。
高性能な次世代基地局用増幅器に向けて,高速・高効率動作が可能なエンベロープ増幅器が求められる.以前,GaNを用いた高速・高効率動作が可能なエンベロープ増幅器を報告しているが,今回はこれを用いてエンベロープ・トラッキング増幅器を構成して評価を行い,RFPAの高効率化を達成したので報告する.
休 憩(16:00 再開) 座長 長谷川直輝(ソフトバンク)
C-2-16 |
Massive MIMO基地局向け電力増幅器の振幅・位相調整特性
◎△宮本和哉・楢橋祥一(摂南大)・鈴木恭宜・岡崎浩司(NTTドコモ) |
C-2-17 |
無線電力伝送応用に向けたDC/RF 変換用高効率・高利得多段増幅器
○石川 亮・本城和彦(電通大) |
C-2-18 |
ミリ波GaN パワーアンプにおけるfmax/2超での設計課題
○末松英治・原 信二(名大) |
C-2-19 |
整合回路レス設計法の多段アンプへの適用検討
○丹波憲之・原 信二(名大) |
超多素子アンテナでビームフォーミングを行うMassive MIMO技術を実装する基地局装置に向け,利得偏差および位相偏差に優れたフィードフォワード型電力増幅器が提案されている。本稿では,3.5GHz帯フィードフォワード型電力増幅器を用いた,ベクトル調整器による調整特性の周波数依存性について述べる.実験の結果,周波数毎に,また,入力電力毎にベクトル調整器の調整範囲が分かれ,入力電力が大きくなるほど調整範囲は狭くなること,周波数の増大による調整範囲の分布の相対的な位置関係は,入力電力を変えても変わらないことを示す.
再生可能エネルギーへの要求に伴い,宇宙太陽光発電などの新しい電力システムの開発や,有線供給困難箇所への供給を実現する無線電力伝送技術の開発が望まれている.効率的な電力供給のための高効率DC/RF 変換には高効率マイクロ波電力増幅器が用いられるが,前段システムの効率への影響を軽減するために高効率性能のみでなく高利得特性も求められる.今回,高利得化の際の多段化設計において,高効率性能を維持するための注意点について述べ,それに基づき設計・試作された多段増幅器において効率69%,利得32 dB の良好な性能を得たので,その結果について報告する.
GaN パワーアンプ(PA)において、fmax/2以上でのミリ波PAの設計課題をLg=1.5um Wg=40umx4のFETをベースにロードプルシミュレーションにより示した。
筆者らは、パワーアンプ(PA)の高効率化設計手法として、整合回路レスPA設計手法を提案、実証を行ってきた。
今回、多段アンプの高効率化検討の一環として、その設計手法を2段アンプの初段に適用し、10W級5.8Hz帯2段PAを設計した。
その設計手法とシミュレーション結果について報告する。
C-2. マイクロ波B(マイクロ波・ミリ波受動デバイス)
3月15日 9:00〜11:45 Meeting 35 座長 河口民雄(東芝)
C-2-20 |
電磁界シミュレーションを用いた導電シートの特性評価に関する基礎検討
○花澤理宏(UL Japan) |
C-2-21 |
湾曲した矩形空洞共振器を用いた準マイクロ波帯の複素誘電率測定
○平山直樹・中山 明・吉川博道(京セラ)・清水隆志・古神義則(宇都宮大) |
C-2-22 |
フェライト装荷折り返し導波管の可変移相特性の測定
○大久保賢祐・森 隆詞・岸原充佳・坂口浩一郎(岡山県立大) |
C-2-23 |
誘電体共振器と金属細線構造からなる等方的カイラルメタサーフェス
○屋敷憲志・黒澤裕之・上田哲也(京都工繊大) |
C-2-24 |
完全アイソレーションを示すD帯 SIW OAMアンテナの設計
◎△安東壱成・真田篤志(阪大)・福田敦史・岡崎浩司(NTTドコモ) |
差動線路のモード変換量から導電シート等の導電率を推定する方法を提案し基礎検討を行ってきた.本報告では電磁界シミュレーションソフトを用い提案手法の精度向上を目指し検討を行ったので報告する.
移動体通信で用いられる準マイクロ波帯(1~3GHz)での基板材料の複素誘電率測定は重要である。分割円筒空洞共振器法はマイクロ波での基板材料の面内方向複素誘電率の高精度な測定方法であるが、準マイクロ波帯では共振器および試料寸法(約200mm角at 2.5GHz)が大きくなり過ぎるため、分割誘電体円柱共振器法(SPDR)等が用いられる[1]。しかし、試料が薄い場合、試料内の電界エネルギー集中率Pe が小さくなり共振周波数と無負荷Qの変化が不十分となるため、測定精度に課題があった。本研究では、円形に湾曲させた分割矩形空洞共振器(湾曲空洞共振器)による複素誘電率測定を新たに検討した。矩形空洞共振器を湾曲させることにより、準マイクロ波帯の空洞共振器の小型化とPeの増加を図った。
フェライトを装荷した折り返し導波管を用いた非相反右手/左手系複合導波管(F- CELH-WG)が提案されている.F-CRLH-WGの動作帯域はバイアス磁界の大きさによって可変であり,かつ動作周波数を掃引してもLHモードとRHモードの間にバンドギャップが出現しなので,バイアス磁界の大きさを調整することにより,位相をRHモードによる遅れ位相からLHモードによる進み位相まで連続的に変化させることができ可変移相器としての応用が期待される.本稿では試作回路の位相特性のバイアス磁界依存性の測定結果について報告する.
近年,自然には存在しない電磁応答をサブ波長領域で実現するメタサーフェスの研究が精力的に行われている.メタサーフェスにおいては,電磁波の入射角依存性の抑制が課題の一つとして挙げられ,改善が求められている.
本研究では,偏波操作を可能とするカイラルメタサーフェスにおいて、実効誘電率および透磁率を同時に制御する金属細線と誘電体共振器,そしてカイラル構造からなるカイラルメタ分子を提案する.同メタ分子はλ/10程度の大きさを有しており,波長に対して十分小さい.そのメタ分子を2次元的に並べ,単層からなるメタサーフェスを設計し,偏波回転機能の入射角依存性の低減を確認したので,これを報告する.
理論的に周波数に依存しない完全なアイソレーション特性を持つSIW給電D帯OAM多重通信用アンテナを設計し、周波数に依存しない完全なアイソレーション特性を持つことを理論的に確認した。
休 憩(10:30 再開) 座長 陳 春平(神奈川大)
C-2-25 |
サブテラヘルツ帯向けキャビティ付きパッチアンテナの設計結果
◎西村拓真・横溝真也・石橋秀則・高橋 徹・湯川秀憲・深沢 徹(三菱電機) |
C-2-26 |
共通共振器型分波回路の設計手法に関する検討
○青山裕之・廣田明道・高橋 徹・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
C-2-27 |
異種線路構造を用いた周波数離調比の高い小型積層DBPFの設計
○髙橋拓海・小野 哲・和田光司(電通大) |
C-2-28 |
エンコーダを用いた平面BPF高速特性計算用代理モデル
◎柴田 蓮・大平昌敬・馬 哲旺(埼玉大) |
C-2-29 |
帯域幅一定チューナブルフィルタの回路理論に基づく設計法の提案
○秋山滉貴・松室尭之・石崎俊雄(龍谷大) |
近年、テラヘルツ帯やサブテラヘルツ帯のアンテナがさかんに検討されている。これら周波数では、製造公差や損失により、アンテナ特性が劣化しやすいといった課題がある。そこで我々は、厚銅基板、およびICの後工程技術である再配線製造プロセスを用いて中空構造を形成した2重パッチアンテナを設計した。電気設計の結果、反射特性-10dB以下となる比帯域19%、使用帯域270~300GHzにおける正面方向の動作利得3dBi以上と良好な特性が得られることを確認した。今後は、試作評価を実施予定である。
通信機器において複数の周波数信号を合波/分波する合波/分波回路が広く用いられている.中でも,共通共振器を用いた合波/分波回路(以下,共通共振器型分波回路とする)は共振器のみで構成されるため,他の分波回路と比較して小型化が可能である.しかしながら,本回路は複数の周波数帯域に対応した共振器群を同時に設計するため,マニフォールド結合型分波回路などと比較して設計が困難である.本報告では,共通共振器型分波回路の簡便な設計手法について検討したので報告する.
近年,近距離での高速データ伝送及び長距離での無線通信システムを同時に活用できる準ミリ波及びマイクロ波技術の共存が必要であり,同時間で 2 つの周波数帯域をフィルタリング可能なデュアルバンドバンドパスフィルタ(DBPF)が重要な回路となる.5G は利用帯域として準ミリ波帯及びS 帯を使用しており,両帯域の信号をフィルタリングしようとすると周波数離調比の高い DBPF が必要となる.本検討では,マイクロストリップ線路構造を用いたマイクロ波帯BPF 及びストリップ線路構造を用いた準ミリ波帯BPF を接続し小型で周波数離調比が高い積層DBPF の設計について報告する.
近年,電磁界解析の高速化のために,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いた代理モデルが提案されている.その入力は画像であるため任意形状を扱えるが,離散変数の変化をCNNが学習するためには大量のデータセット(電磁界解析結果)を要する.本報告では電磁界解析回数の削減を目的に新たな代理モデルを提案する.一例として帯域通過フィルタ(BPF)の高速特性計算のための代理モデルを構築し,その有効性を示す.
近年、無線通信の需要増加に伴い様々な周波数帯で通信が行われ、異なる周波数帯に対応できるチューナブルフィルタが注目されている。しかし、従来のチューナブルフィルタは、中心周波数を可変すると帯域幅が大きく変化するという課題があった。本研究では、絶対帯域幅一定のチューナブルフィルタの回路理論に基づく設計法を提案する。
3月15日 13:00〜16:00 Meeting 35 座長 河合 正(兵庫県立大)
C-2-30 |
マイクロ流路導波路とトリプレート線路を組み合わせたセンチ波帯血中細胞同定の基礎検討
◎坂本雅弥・新浜優貴・黒木太司(呉高専)・宮本和哉(宮本機器開発) |
C-2-31 |
ミリ波アプリケーション向け低損失FR-4伝送線路の提案
○石井岳人・水谷 浩(サレジオ高専) |
C-2-32 |
樹脂製WRG(Waffle-Iron Ridge Guide)による79GHz用伝送線路の基礎検討
○青木由隆・田中 仁・加茂宏幸(太陽誘電) |
C-2-33 |
WR-3全帯域で動作する楕円チョークの検討
◎武元佑紗・待鳥誠範(アンリツ) |
C-2-34 |
線路の構造不整がテラヘルツ帯NRDガイド及びDTMラインの伝送特性に及ぼす影響
◎新浜優貴・坂本雅弥・黒木太司(呉高専) |
近年マイクロバイオセンサー開発が盛んに行われており、生体分子分析に大きな関心が寄せられている。中でもマイクロ流体は標識なしで液体中の細胞分析が可能であるため、有望なアプローチと注目されている。本論ではマイクロ流路導波路(MFガイド)とトリプレート線路を組み合わせて血中の循環腫瘍細胞(CTC)同定を目的とした回路を提案し、その有効性について検討した。
第5世代(5G)無線通信およびBeyond 5Gのミリ波アプリケーションに向けた、新構造の低コスト・低挿入損失伝送路を提案する。ミリ波帯における伝送損失の原因となる誘電体損失を最小化する構造である。この伝送線路は、従来のFR-4などの安価な基板を利用できるため、ミリ波で動作するデバイスを最小コストで提供できる。提案構造のシミュレーションを行い、28GHzにおいて0.29 dB/cmの挿入損失特性を得た。Microstrip LineとInverted Microstrip Lineの挿入損失のシミュレーション結果は、それぞれ1.4 dB/cmと0.77 dB/cmであった。従来の伝送線路と比較し十分に低損失な値を示したことから提案構造の妥当性が示された。
導波管スイッチの摺動部などの対向する導波管の間に空隙がある場合に使用されるチョークとして,標準導波管WR-3の全帯域(220-330 GHz)で動作する楕円形のチョークを提案した。適切に設計されたチョーク(楕円内周 0.4×0.6 mm,外周 0.76×0.96 mm)では,導波管の間隙が0.1 mm(1/10波長程度)でも,チョークを1重しか設けていないにも関わらず、挿入損失 0.4 dB以下(銅損は含まない)、反射 -15 dB以下,漏洩 -25 dB以下の良好な特性が得られることをシミュレーションによって確認した。
テラヘルツ帯におけるNRDガイドやDTMラインでは、線路を構成する平行平板ハウジングの間隔は90µm程度になるが、実際平行平板は加工上数µmの面粗さを有することから両線路で用いる誘電体ストリップや誘電体チューブと平行平板の間には非対称な空隙ができてしまう。本論ではこの微小な空隙が伝送特性に与える影響について考察したので報告する。
休 憩(14:30 再開) 座長 平野拓一(東京都市大)
C-2-35 |
Design of GCPW-to-Waveguide Transition in Multi-Layer Dielectric Substrate with Single Patch and Corrugated Structures in 275 GHz Band
○Chatchai Chokchai・Makoto Yamazaki・Henry Abu Diawuo・Kunio Sakakibara・Yoshiki Sugimoto・Nobuyoshi Kikuma(Nagoya Inst. of Tech.) |
C-2-36 |
広帯域多層基板内X字型パッチ励振差動線路導波管変換器の設計
◎山崎 誠・Henry Abu Diawuo・Chatchai Chokchai・榊原久二男・杉本義喜・菊間信良(名工大) |
C-2-37 |
扁平リング共振器を用いたスルーホールレス導波管-マイクロストリップ線路変換器の不要放射低減の検討
○上田 凌・青山裕之・大島 毅・牛嶋 優・丸山貴史・宇田川重雄(三菱電機) |
C-2-38 |
放熱性を考慮した同軸線路-導波管2合成器の基礎検討
○廣田明道・大島 毅・西原 淳・野々村博之・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
C-2-39 |
排水機構を有する同軸導波管変換器の開発とビル現場への応用
○石野祥太郎・山本淳弘(古野電気) |
C-2-40 |
金属3DプリンタによるX帯ロータリージョイントの試作評価
○田島隼人・萩原栄治・根本淳一(島田理化) |
The transmission characteristic was improved by the corrugated structure. The bandwidth of S11 of the proposed multi-layer GCPW-to-waveguide transition lower than -10dB was 24 GHz.
高周波数帯においては,低損失なアンテナや給電回路が求められる.導波管とIC(Integrated Circuit)チップを接続するために低損失な導波管変換回路が必要となる.ICチップからの差動出力を導波管へのシングルエンド接続に変換する場合,バランが必要となり,給電回路の大型化,インピーダンス整合による狭帯域化,損失の増加が問題となる.そこでこれらの問題を解決するために,差動線路のまま,導波管に接続する伝送線路変換回路が必要とされる.本研究では,導波管の狭壁から差動線路を入力することで,X字型のパッチを励振する差動線路導波管変換器を設計した.寸法パラメータによる特性変化の電磁界解析結果を示す.
波管-マイクロストリップ線路変換器において、製造コスト削減のためスルーホールレス化と広帯域な伝送特性が求められている。これまでに,変換器のバックショートとして栓抜型スタブを用いることで伝送損失を低減したスルーホールレスの MSL 側1出力の変換器を報告した。しかし、バックショートとして用いた栓抜型スタブにより帯域が制限される課題がある。そこで、モード変換に扁平リング共振器とスロットの結合を介して変換するバックショートレスの変換器について、広帯域な特性が得られることを報告した。本稿ではこの変換器を改良し、更に不要放射を低減した変換器について報告する。
導波管広壁面から同軸線路の中心導体を挿入しつつ、先端をオープンとした同軸線路-導波管変換器(以下、COX-WG変換器)において、中心導体の先端部分を1/4 波長線路を介して壁面に接続することで放熱性を高めた、COX-WG変換器を提案している。本稿では、上記COX-WG 変換器を用いた導波管2 合成器について基礎検討を実施したので報告する。
本稿ではビル建設現場という降雨環境において、導波管内部に入水することを想定し、高い排水機構を有する同軸導波管変換器を開発したので報告する。
近年,マイクロ波コンポーネントの製造において3Dプリンタの活用が多くみられるようになった.本報告では,金属3DプリンタでX帯ロータリージョイントを試作し、その性能を評価した.従来のDIP接合品に対して同軸度が改善し、良好な電気特性が確認できた.
3月16日 9:00〜10:15 Meeting 35 座長 枷場亮祐(パナソニック)
C-2-41 |
多周波共用円筒形アンテナ用偏波分離回路の設計結果
○湯川秀憲・中嶋宏昌・縫村修次・深沢 徹(三菱電機) |
C-2-42 |
中空構造を利用した小型4 合成器 の設計
○杉山勇太・大島 毅・石橋秀則・加賀野未来・湯川秀憲・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
C-2-43 |
ギセル構成を持つ導波管型マイクロ波電力分配/合成器の設計
◎栗政春秀・佐薙 稔(岡山大) |
C-2-44 |
5分配かつ非等分配な1GHz帯Bagley Polygon型分配率可変ディバイダの設計に関する検討
◎神保雄祐・小野 哲・和田光司(電通大) |
C-2-45 |
920MHz帯広帯域集中定数素子型非等電力分配器の一構成法
◎福永祥利・土屋 歩・河合 正・榎原 晃(兵庫県立大) |
円筒形からなる多周波共用ホーンアンテナ用偏波分離回路について検討している。本回路をターンスタイルOMT、マジックT、90度カプラで形成することにより、90度移相回路を用いた従来の構成に比べ、原理的に良好な偏波分離特性が得られることについては報告した。ここでは、提案する偏波分離回路の設計結果について報告する。
高周波回路において高電力化が進んでいる.例えば,高い電力密度を可能にするGaNを採用したHPAが5Gや衛星通信に向けに多く使われ始めている.1つのHPA のみで大きな電力を出力するのは電力密度の観点から限界がある.そこで,複数のHPAの出力電力を低損失で合成し,所望の電力を出力できる合成器が望まれている.近年,電力を合成するための手段として,空洞共振器や導波管や同軸構造などを利用した中空構造の合成器の検討が進んでいる.中空構造を利用するメリットは、平面回路を利用した合成器やトーナメント配置した合成器に比べて合成効率が高いことである.今回,Ka帯向けに導波管を用いた小型で高効率な4合成器の設計を実施したので報告する.
ギセル構成を持つ導波管型マイクロ波電力分配/合成器の設計を行った。電力分配/合成器は方形導波管中にマイクロストリップ線路を誘電体基板と共に対となるように挿入した構成である。分配出力/合成入力ポート間のアイソレーションを高くするためにアイソレーションポートを持つギセル構成を採用した。設計周波数を10.3GHzとして所望の特性を持つ構造を電磁界シミュレーションにより探した。その結果。導波管入力ポートへの反射が-20dB以下となる帯域が2.6GHz,分配出力/合成入力ポート間のアイソレーションが20dB以上となる帯域が1.2GHzとなる分配/合成器を設計した。
無線通信において広く使われる重要な回路の一つとして,入力信号を複数ポートに電力を分配するパワーディバイダ(PD)がある.Bagley Polygon型PDは電力多分配に向く回路構成であり,3分配かつ電力非等分配特性を有する報告例はあるが,5分配以上については一つの回路構造のみでの実現はできていない.さらに,多分配かつ非等分配PDについての明確な設計式が示されている先行研究は現状少ないため回路設計が困難である.そこで,本検討では5分配かつ非等分配な特性を有するBagley Polygon型PDの設計式の導出とその式に基づく設計及び電力分配率が可変なPDの設計について報告する.
ウィルキンソン電力分配器はマイクロ波増幅器やアンテナ給電回路などに用いられる重要な回路構成要素の一つである .IoT に用いられる 920MHz 帯など比較的低い周波数帯においては分布定数線路構成のウィルキンソン電力分配器はその回路サイズが問題となる.著者らは,これまでに集中定数素子構成の電力分配器として,LCはしご形回路を用いて広帯域化,多出力化などの手法を報告している .本報告では,素子数 9 個で構成される集中定数素子型電力分配器を取り扱い,920MHz 帯において分布定数線路構成の回路に比べて広帯域特性を有する非等電力分配器の設計・解析を行い,その有効性を電磁界シミュレーションにより確認している.
C-2. マイクロ波C(マイクロ波・ミリ波応用装置)
3月15日 16:15〜17:00 Meeting 35 座長 片山光亮(徳山高専)
C-2-46 |
測定端面の規格化アドミタンスモデルを用いた同軸プローブの疑似短絡校正
○中村昌人・池田あゆみ・田島卓郎・瀬山倫子(NTT) |
C-2-47 |
電力信号重畳伝送システムにおける信号多値化の検討
◎伊藤拓朗・中津川征士(函館高専)・阿部晋士・大平 孝(豊橋技科大) |
C-2-48 |
整合用抵抗を設けて帯域内平坦性を高めた加算回路
○和田 平・中溝英之(三菱電機) |
同軸プローブ法は材料の加工を必要とせず,広帯域にマイクロ波-ミリ波帯の複素誘電率が測定可能であることから生体試料の非破壊,非侵襲測定に用いられる手法である.本手法で用いられる金属を用いた短絡校正では測定精度が測定者の手技に依存する,測定面の平坦性が担保できていないプローブの校正が困難であるといった課題があった.本稿では,プローブ測定端面のアドミタンスモデルを用いて解析的に短絡校正を算出する疑似短絡校正モデルを新たに提案し,提案し誤差0.3dB以内で短絡校正時のS¬11を算出できることを実験的に示した.また,提案モデルを用いた誘電率測定ではGHz帯において誤差3%以内の測定精度となることを確認した.
多量のセンサの駆動には電源が必要だが,有線での電力供給を考えると配線可能エリアも限られセンサの自由な設置が難しい.この制限の緩和手段として無線電力通信が注目されている.更に,無線電力伝送と同時に信号の送受信ができれば,新たな付加価値を与えられ適用範囲拡大が見込める.無線電力伝送に関しては,大きな送信電力が求められており高効率化が検討されている[2].このような研究背景から,本研究では,無線電力伝送の高効率化技術を踏まえつつ,無線電力に信号を重畳し無線電力伝送と同時に情報伝送を可能とする技術を検討する。
レーダや移動体無線システムでは,アンテナビームの形状を電子的に制御するため,Active Phased Array Antenna (APAA)受信機が用いられている[1].この受信機では,複数のアンテナ素子で受信した信号それぞれを移相し,低周波帯に周波数変換した後に加算する.従来の加算回路としては,オペアンプを用いた負帰還回路が用いられている.この加算回路では,加算する信号の数だけ抵抗が必要になり,加算する信号の数が大きい場合には,全ての抵抗をオペアンプの近くに配置することができず,抵抗からオペアンプの入力端子までの伝送線路が長くなる.これにより伝送線路の寄生容量が大きくなって加算回路の安定性が劣化し,加算回路の通過利得の周波数特性の平坦性が劣化する.本稿では,通過利得の平坦性を確保するため,各信号経路に整合用抵抗を設けて全入力信号を重畳し,その後で変換用抵抗を接続する加算回路を提案し,試作した結果を示す.
3月17日 13:00〜17:00 Meeting 35 座長 中津川征士(函館高専)
C-2-49 |
屈曲誘電体導波路から放射される電波の偏波特性に関する検討
○福田敦史・岡崎浩司・鈴木恭宜(NTTドコモ) |
C-2-50 |
複数の高調波を利用した位相差検出の高精度化についての原理検証
◎森田佳恵・和田 平・萩原達也・水谷浩之・中溝英之(三菱電機) |
C-2-51 |
簡易ファントムモデルを用いた義歯管理用RFIDシステムの評価
◎高寺裕二・長張永哉・党 博文・本良瑞樹・末松憲治(東北大) |
C-2-52 |
EAS システム用 RF ラベルタグの電気的特性
◎高松 陸・岩城昴琉・黒木太司(呉高専) |
C-2-53 |
素子電界ベクトル回転法による300GHz帯フェーズドアレイ無線機のアダプティブキャリブレーション検討
◎阿部敏明・高野恭弥・楳田洋太郎(東京理科大) |
今後の移動通信において予測される急激なトラヒックの増大に対応するためミリ波帯の利用が注目されている。著者らはこれまで誘電体導波路(以下、DWG)が屈曲時に導波路内で伝送されている電磁波が漏洩する特性を用い、ミリ波帯通信エリアを形成する手法を提案し、さらに屈曲部を複数設けた際の動作をCW信号にて確認し、屈曲部からの放射において5G信号伝送品質劣化はないことを確認している。本稿では、屈曲部から放射される電波の偏波特性を実験により確認したので、その結果について報告する
従来,信号の周波数を高精度に検出する方法として,測定対象の信号の高調波の周波数情報を用いる技術について報告されている.ここでは上記技術を拡張し,複数の信号源の位相を高精度に検出する方法として,測定対象の信号の1~m 倍波までの高調波を用いて平均化する方式を提案し,原理検証した結果を述べる.
我々は義歯を誤飲した場合や紛失した場合に体内外を判別し,所在を明らかにするための人体内外両用の義歯管理用 RFID システムの研究を行ってきた.これまでの測定では直方体形状の容器に純水を満たすことで人体特性を模擬してきた.本稿では,より人体頭部形状を模擬した簡易ファントムモデルを作成し,通信距離の評価を行った.測定の結果より簡易ファントムモデル内のタグはほぼ全周方向で通信が可能であることが分かった.また通信距離は簡易ファントムモデル正面方向で直方体形状の容器での測定結果と変わらないことが分かった.
万引防止システムとして、導入が容易かつランニングコストが安価な EAS(Electronic Article Surveillance)システムが利用されている。本検討では、このシステムに利用する8MHz 帯 RF ラベルタグの解析を行い、市販防犯ゲートでの動作特性について実験を行ったので報告する。
300 GHz帯無線機で通信距離を確保するためには複数の無線機をアレイ状に並べたフェーズドアレイ技術を用いる必要がある。フェーズドアレイ技術では各送受信機の励振振幅、位相を高精度に制御する必要がある。しかし、300 GHz帯は製造ばらつきや温度変化等による影響が大きいため、通信しながら随時補正を行うことが望ましい。本研究では、300 GHz帯フェーズドアレイ無線機に素子電界ベクトル回転法を適用し、通信しながらの補正が可能であることを示す。更に、位相誤差を低減するために、各送信位相による受信電力変化を近似するのに最適な関数を提案する。シミュレーションによって、通信を行いながら位相誤差0.05°以下を実現できることを示す。
休 憩(14:30 再開) 座長 關根惟敏(静岡大)
C-2-54 |
712.2 GHz テラヘルツ物性センサに用いる共振器の設計
○佐藤 彩・高野恭弥・楳田洋太郎(東京理科大) |
C-2-55 |
712.2 GHzテラヘルツ物性センサにおける位相雑音除去機構
○沖井 将・高野恭弥・楳田洋太郎(東京理科大) |
C-2-56 |
誘電率計測による揮発有機化合物臭気の検出に関する考察
◎新浜貴翔・岩城昴琉・岩本孝太・黒木太司(呉高専) |
C-2-57 |
ドップラーセンサを用いたコンクリート内の円柱の錆検知に関する検討
◎横田恵一・須賀良介・橋本 修(青学大) |
C-2-58 |
土中たけのこ探知インパルスレーダ用スタック型パッチアンテナの数値的検討
◎岩本孝太・坂本雅弥・岩城昴琉・黒木太司(呉高専) |
非破壊での物質特定が可能となるテラヘルツセンサの小型集積化の実現が期待されている。本研究ではセンサを集積回路を用いて実現することを目指している。集積回路ではテラヘルツ帯で十分な性能を有する送受信機を実現することができないため、測定試料に接した共振器にテラヘルツ信号を入力し、透過特性の変化を測定することにより、少ない信号電力で物質特性を測定する手法を提案する。0.13 μm SiGe BiCMOSプロセスを用いて3次バターワース折り返し結合線路フィルタ設計し、電磁界解析によって測定試料の誘電率を1〜10まで変化させた時に600 GHzでの透過利得が約8 dB、位相が約170度変化する特性が得られた。
テラヘルツ帯(周波数100 GHz – 10 THz)には高分子間の弱い水素結合や分子間相互作用に起因する吸収スペクトルが存在するため、この特性を用いた物質センサの実現が期待されている。物質の特性を測定するには、テラヘルツ波の振幅強度だけでなく、位相変化量も測定する必要がある。しかし、集積回路を用いて生成したテラヘルツ波は位相雑音が大きいため、直接位相変化量を測定することができない。そこで、本研究では位相雑音の大きな信号を用いても、位相雑音の影響を受けずに位相変化量を測定する手法を提案する。0.13 μm SiGe BiCMOSプロセスのバイポーラトランジスタを用いて位相比較器を設計し、回路シミュレーションを用いて提案手法の有効性を示す。
現在,多岐にわたる業種において有害気体の検出は必要とされている.一例として,塗装,印刷等の作業が挙げられ,使用されている有機溶剤は一般的に毒性,揮発性が高いため,適切な対策を講じていない場合,有害気体を作業者が吸いこむことにより,健康被害が生じる危険性がある.厚生労働省はこのような有害気体に対して局所排気装置を設置することや作業環境測定を行うことを義務づけている.しかしながらこれらの作業は高コストで,常時検査も容易でないため異常が発生しても早急に対処できない課題がある.このような状況を踏まえ,エタノールを筐体内部に挿入し,一定時間揮発させた後にその複素誘電率を円形電極で測定することで,低コストかつ容易に揮発した有機溶剤を検出する検討を行った.しかし測定に時間を要するという課題があったため,本論文ではファンを利用して強制的に臭気を電極に集めることでこの点を改善する方法を検討した.
近年の鉄筋コンクリート構造物の老朽化に伴い,その劣化状況を非破壊で検知する需要が高まっている.
コンクリートの比誘電率は含水率等により大きく変化することが知られており,電波による錆検知においてはこの影響を受けない手法が必要となる.
我々は,コンクリートの影響を低減したドップラーセンサを用いた非破壊検査について検討しており,平板試料については同手法の有効性を確認している.本稿では,より鉄筋に近い構造として,円柱試料の錆検知について検討した.
広島県竹原市は、築地市場で取引されたことがある上質な甘みをもつ小吹たけのこの生産地であり、県内生産量の9 割を占めている。このたけのこは、平均年齢70 代後半になる数人の組合によって生産されているが、1 日100kg 以上のたけのこを掘る作業は非常に重労働であり、農家の方からは安価な作業支援デバイスが望まれている。この課題に対して、これまで共振型電極やコの字状モノポールアレイアンテナを用いた地中インパルスレーダの検討が行われてきた。本稿では、単指向性を有するスタック型パッチアンテナを用いた土中たけのこインパルスレーダ式探知の数値的検討について述べる。
休 憩(16:00 再開) 座長 中村宝弘(日立)
C-2-59 |
AMラジオ波を用いた土壌含水率推定 - (1) 含水土壌範囲の影響 -
◎木下拓真・黒木太司(呉高専) |
C-2-60 |
AMラジオ波を用いた土壌含水率推定 ― (2) 含水土壌上の中波伝搬特性 ―
◎大谷元続・木下拓真・黒木太司(呉高専) |
C-2-61 |
AMラジオ波を用いた土壌含水率推定 ―(3) UHF帯電波伝搬における森林の影響考察―
◎宮本大哉・木下拓真・黒木太司(呉高専) |
C-2-62 |
AM ラジオ放送波を用いた土壌含水率推定 ― (4) 土中コイルアンテナのモデル解析 ―
◎岩城昴琉・新浜貴翔・坂本雅弥・黒木太司(呉高専) |
土砂災害の主たる要因は土壌含水率の上昇であり、これまでAMラジオ波を用いた土壌含水率推定方法として土中埋め込み型のアンテナセンサが提案され、その有用性が確認された。本論では、簡易的な都市モデルを用いて、降雨範囲が変化した時の推定への影響を数値的に検討したので報告する。
土砂災害の主な原因である土壌含水率上昇の推定を安価に行うため、AMラジオ波を用いた埋め込み型土中アンテナセンサが提案され、その有用性が確認された。本論では含水土壌上における中波電波の相対受信電力を簡易モデルで計算し、フリスの伝達公式から算出したそれと比較したので報告する。
AMラジオ波を用いた土砂災害予知システムは,AMラジオ波の受信強度を920 MHz帯搬送波に乗せて約1 km離れたゲートウェイに送信するが,その際に利用するセンサノードは樹木が分布する急傾斜地に設置することが多いため,UHF帯電波伝搬特性が森林により受ける影響を考慮する必要がある.本論では森林を模した簡易伝搬モデルにより森林から受ける伝搬減衰について,実際の状況に近づけた計算を行ったので報告する.
近年の地球温暖化によって自然災害の発生件数は増加傾向にあり,日本においては山岳が多く分布していることから,特に土砂災害の被害が深刻である.これまで土砂災害の主たる要因である土壌含水率の推定に関して,AMラジオ波受信用のコイルアンテナを土中に埋設し,受信電力を計測することで土壌の含水率を推定するシステムが考案された.本検討では土中におけるコイルアンテナの適切な巻き数の決定と土中コイルアンテナの指向性を計算したので報告する.
3月18日 9:15〜11:45 Meeting 35 座長 中村昌人(NTT)
C-2-63 |
0.18 μm CMOSプロセスを用いた60GHz帯アップコンバージョンミキサの基板実装特性評価
○佐野春樹・高野恭弥・楳田洋太郎(東京理科大) |
C-2-64 |
0.18 μm CMOSプロセスを用いた60GHz帯ダウンコンバージョンミキサの基板実装特性評価
○藤江 隆・高野恭弥・楳田洋太郎(東京理科大) |
C-2-65 |
Wi-Fiバックスキャッタ通信におけるシングルキャリヤ/マルチキャリヤ変調の比較検討
◎藤谷雄紀・芝 隆司・末松憲治(東北大) |
C-2-66 |
QSFP28光モジュールを用いた光ファイバ給電 ダイレクトディジタルRF送信機のイメージ出力特性
◎張 俊皓・末松憲治(東北大) |
近年、これまで活用が進んでいなかった60 GHz帯が再び注目を集めている。本研究では、より安価に60 GHz帯無線通信機を実現するために、0.18 μm CMOSプロセスを用いて試作したアップコンバージョンミキサをワイヤボンディングを用いて基板実装し、シミュレーションによって通信性能を評価した。ワイヤボンディングの形状による挿入損失の変化を電磁界解析によって調べることにより、挿入損失が最も低い構造を明らかにした。また、基板上に整合回路を挿入することにより、入出力反射特性の改善を行った。実装基板に10Gb/sのベースバンド信号を入力し、受信信号のアイ・パターンを求めた結果、10Gb/sまで明瞭なアイの開口が確認できた。
0.18 μm CMOSプロセスを用いて、安価な60 GHz帯無線通信機の実現を目指している。0.18 μm CMOSプロセスはトランジスタの最大発振周波数がおよそ65 GHzであるため、受信機において低雑音増幅器を使用することができない。そのため、アンテナに直接ダウンコンバージョンミキサ(DMIX)を接続する必要があり、アンテナはCMOSチップではなくプリント基板(PCB)上に形成される。そのため、CMOSチップもPCB上に実装し、アンテナと接続する必要がある。よって、受信性能を正しく見積もるためには、基板実装特性も含めたDMIXの特性評価が必要である。
本研究では、より安価に60 GHz帯無線通信機を実現するために、ワイヤボンディングを用いてCMOS DMIXの基板実装を行うことを検討する。
工場内無線IoT通信の高信頼化のため,アクセスポイント(AP)の送信Wi-Fi信号をセンサノード(SN)にて所定のクロック周波数でOn-Off Keying(OOK)変調し,バックスキャッタしてAPに通知するWi-Fiバックスキャッタ通信を我々は提案してきた.AP受信機において,バックスキャッタ信号をAPの送信Wi-Fi信号でダウンコンバートすることにより,SNのクロック周波数の線スペクトルが得られることをこれまで実験的に示してきた.本稿では,その動作原理を簡易式で示すとともに,MATLABを用いてシミュレーションによる検証を行ったので報告する.
我々は,ディジタル信号から直接ナイキスト周波数を超えるRF信号を生成するダイレクトディジタルRF送信機として1bit band-pass (BP) ΔΣ変調器の高次イメージ成分を取り出す検討をしてきた .1bit BP ΔΣ変調はRF信号を1bitのデータストリームで伝送できることから,10Gb Ethernet (10GbE)向けのSFP+ (Small Form-factor Pluggable)モジュールを用いて2次ナイキストゾーンの7.5 GHz帯イメージ成分を出力可能であることを検証した.本稿では,より高い周波数帯でRF信号を生成するために,100GbE向けQSFP28(Quad Small Form-factor Pluggable) 光モジュールの1チャンネル(25GE相当)を用いた光ファイバ給電送信機を構成し,20GHz帯のイメージ出力特性を測定したので報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 岡崎浩司(NTTドコモ)
C-2-67 |
電磁界結合型マイクロ波加熱装置による複数試料同時加熱の検討
◎豊永雄郎・三谷友彦・篠原真毅(京大) |
C-2-68 |
0次モード共振を用いた均一マイクロ波加熱の基礎研究
◎高原 麦・三谷友彦・篠原真毅(京大) |
C-2-69 |
OAMモード照射パターンを利用した一様マイクロ波加熱の基礎研究
◎鈴木健斗・三谷友彦・篠原真毅(京大) |
C-2-70 |
局所加熱を目的としたマイクロ波エネルギーデバイスの特性解析
○西舘嗣海・齊藤一幸(千葉大) |
C-2-71 |
Non-Invasive Temperature Rise Prediction for Renal Denervation Using Machine Learning Algorithm
○Aditya Rakhmadi・Kazuyuki Saito(Chiba Univ.)・Yuzo Tamaki・Tetsu Owada(Mitsubishi Electric) |
マイクロ波加熱装置として代表的な空洞共振器の問題点を解消する電磁界結合型マイクロ波加熱装置が先行研究によって開発,改良されている.
複数負荷への送電を応用して複数試料の同時加熱が可能であり,また開放型にも関わらず非放射であることが特徴である.
加熱試料数と試料温度を変化させた場合の各消費電力をシミュレーションによって調べた.
加熱試料数が増えても80%以上の効率で加熱可能であることが分かった.
試料の温度上昇に伴って漏洩電力の割合が小さくなることが分かった.
基板と平行方向に試料数を増やすことによっても,わずかに漏洩電力の割合が小さくなることが分かった.
今後は試料の配置を二方向に広げる検討を行う.
マイクロ波加熱は物質を直接加熱するため、伝熱を利用した加熱手法と比較して短時間かつ高効率に加熱できる。しかし、空洞共振器を用いた場合、発生させる定在波の節と腹の間で加熱ムラが生じるため、管内波長の1/4以上を均一に加熱することは困難である。本研究では、加熱ムラを防ぐため、メタマテリアル構造を用いて管内波長を無限大とした0次モード共振器を利用する。本研究の目的は、対向させ電界結合した0次モード共振器間に加熱対象を配置することで、開放系で均一に加熱できる範囲を一次元方向に伸長させることである。本予稿では、シミュレーション結果に基づき加熱に用いる共振器の構造を検討した。
マイクロ波加熱として一般的な空洞共振器を用いた手法は、定在波の部分的な強度差により1/4波長以上の範囲において物体を均一に加熱することが困難であるという欠点がある。本稿では、OAMモード電磁波の円環状の電磁界分布を利用した電力密度分布の均一化についてシミュレーションを用いた検討を行った。
複数OAMモードの電磁波の電力密度分布を重ね合わせるために、2つのOAMモードの電磁波を偏波方向を直交させて照射する方法を考えた。内側をモード0、外側をモード2とした2重の円形アレイアンテナのシミュレーションモデルを作成した。シミュレーション結果より、各モードの励振振幅の比を調整することで伝搬軸付近の電力密度分布が均一に重ね合わせられていることが確認できた。
エネルギーデバイス使用時に発生するサージカルスモークが問題視されている.サージカルスモークの発生は腹腔鏡手術やロボット手術で術野を妨害する可能性があり,改善が望まれる.そこで本研究室では,サージカルスモークの発生なしに生体組織の凝固が可能であるマイクロ波エネルギーデバイスに着目しており,ロボット手術への適用を検討している.ロボットアームに取付けるデバイスは小形かつ局所加熱可能なことが求められる.しかしながら,アンテナの長さは動作周波数の波長で決まるため,形状に工夫が必要である.そこで我々は,2重ループアンテナを提案した.本研究では,アンテナ上電流分布とSARを算出し,最適なアンテナ形状を検討した.
Transcatheter renal denervation (RDN) is a treatment that reduces resistant blood pressure by heating the nerves outside the blood vessel to above 60 °C, thus lowering blood pressure. However, confirming the temperature rise and nerves ablation has proved challenging because it is difficult to grasp the temperature outside the blood vessel directly. This research proposes using machine learning to measure and know the temperature outside the blood vessel, by measuring the temperature inside the blood vessel. Machine learning defines the inside temperature measurement's relationship with the numerical calculation data to deduce the ablation temperature outside the blood vessel.
C-3/4. 光エレクトロニクス/レーザ・量子エレクトロニクス
3月15日 9:00〜11:30 Meeting 36 座長 永井正也(阪大)
[THz/光無線/LiDAR(1)]
C-3/4-1 |
(依頼講演30分)広帯域周波数可変サブテラヘルツ-テラヘルツ帯量子カスケードレーザ光源
○藤田和上・林 昌平・伊藤昭生・道垣内龍男・日髙正洋・中西篤司(浜松ホトニクス) |
C-3/4-2 |
光ファイバの波長分散特性を用いた300GHz帯テラヘルツ波ビームステアリング
◎井田萌々音・齋藤 匠・加藤和利(九大) |
C-3/4-3 |
THz帯マルチキャリア信号のTHz領域直接分離手法に関する基礎検討
○瀧口浩一・西尾 望(立命館大) |
量子カスケードレーザ(Quantum Cascade Laser: QCL)は量子井戸構造内のサブバンド間遷移を用いた中赤外(mid-infrared: MIR)~テラヘルツ(Terahertz: THz)領域の半導体レーザである.MIR-QCLは既に室温高性能動作が実現され,様々な用途へ広く利用されている.一方,THz領域では長らく室温動作が困難だった.現在,THz領域で室温動作可能なQCLとして実現されているのが2波長発振するMIR QCL内部での差周波発生(difference-frequency generation: DFG)を用いたTHz 非線形QCLである.これらのデバイスは近年,急速に特性向上が進められ,周波数0.6~6 THzの範囲で動作が報告されている.本発表では外部共振器モジュールを導入し,QCL光源としては初めて周波数1THzを超えた,サブTHz~THz領域で周波数可変QCLを実現したので報告する.
近年の爆発的なデータトラフィック量の増加に対応するために、テラヘルツ帯電波(0.1〜3THz)を搬送波として用いた大容量無線通信が注目されているが、テラヘルツ波は水分による吸収の影響が大きく大気中での減衰量が大きい。そのため受信方向への強度集中が課題の1つである。これを実現する技術としてアレー状の電波源間の位相差を変化して合成された電波の方向を変化させるビームステアリングがある。波長分散特性の違う2種類の光ファイバを用いて300GHz帯テラヘルツ波ビームステアリングを実現したため報告する。
光ファイバの敷設が困難な場所などでの10 Gbit/sを超える短距離・大容量無線通信の実現のため、テラヘルツ(THz)帯通信の研究開発が実施されている。THz帯通信のさらなる大容量化のため、高速多値・高周波数利用効率のマルチキャリア通信の検討が進められている。
THz帯マルチキャリア通信用受信機の高速化、簡易化、および低消費電力化を実現するため、THz波の波動性(干渉特性)を活用した受信信号処理の検討を進めている。今回、THz波用の非対称マッハツェンダ干渉計(Asymmetric Mach-Zehnder interferometer: AMZI)型周波数フィルタを構成し、それを用いてTHz帯波長分割多重(Wavelength division multiplexing: WDM)信号のTHz領域直接分離手法の検討を行ったので、その基礎検討結果について報告する。
休 憩(10:15 再開) 座長 西山伸彦(東工大)
[THz/光無線/LiDAR(2)]
C-3/4-4 |
Investigation of Shutdown Time of Safety System for Optical Wireless Power Transmission based on Depth Camera
○XiaoJie MA・Tomoyuki Miyamoto(Tokyo Tech) |
C-3/4-5 |
超広帯域伝送における振幅偏差に関する一検討
○山本大斗・福田敦史・青木すみれ・濱田裕史・岡崎浩司・鈴木恭宜(NTTドコモ) |
C-3/4-6 |
(依頼講演30分)SS-OCT方式ディジタル光センサにおける形状測定
○山内隆典・後藤広樹・小竹論季・小西良明(三菱電機) |
C-3/4-7 |
基準干渉信号と対象干渉信号の重畳によるFMCW LiDARの高精度化
○上野雅浩・田中優理奈・赤毛勇一・坂本 尊・川村宗範・津田昌幸(NTT) |
Optical wireless power transmission (OWPT) systems are attractive photonic systems based on light sources and solar cells. However, OWPT has some safety problems, such as unexpected, unnecessary, light irradiation to humans and other objects. The safety system of the OWPT system has been constructed based on unnecessary approaching object detection scheme using a depth camera and the light source can be turned off after detecting the approaching objects. In this report, the investigation of shutdown time of safety system for OWPT based on depth camera is reported.
6Gの要求条件の一つは100Gbpsを超える超高速・大容量化である.この条件を満たすため1GHz以上にわたる超広帯域な信号を用いた無線通信を考えると,それに見合う周波数帯域を確保できる100GHz超の高周波数帯の利用を検討する必要がある.一方で,100GHz超帯において広帯域にわたって理想的な特性を有するRF部を構成することは困難であろうと予測される.RF部では帯域内振幅偏差が存在するが,例えば100Gbps通信に必要な帯域内において,どの程度の振幅偏差まで許容されるのかなどを把握することは,今後のRF部開発への重要な情報となる.ここでは,初期検討として,広帯域シングルキャリア変調信号における振幅偏差が伝送品質に及ぼす影響を実験により評価したので,その結果について報告する.
我々は距離測定の一手法として波長掃引型光干渉断層計(SS-OCT) をベースとしたディジタル光センサを提案している.従来は主に医療分野において用いられてきた測定原理であり,周波数変調方式(FMCW)-Lidarと同様に波長掃引光源を用いて測距を行う.本方式の非接触光センサは,微細な対象物の形状測定を主目的として,多くの領域に応用範囲を拡大するため,以下の点を開発してきた.(1)多層物構造の測定を可能にする高い感度と,(2)急峻なエッジ形状の測定を可能にする同軸照射と,(3)測定精度を向上するための補償と,(4)多様な測定環境での測定を可能にする耐振動性の向上である.特に,(1)の高感度化のためには波長掃引光源の非線形性が大きく影響する.そのため, 本研究では,(4)の干渉計を二つ用いることで非線形性を補償した場合の形状測定の結果を報告する.
通常、非周波数リニアな周波数掃引光源を使ったFMCW LiDAR装置では、リサンプリングタイミングデータを取得するための基準干渉計と、距離情報を持つ対象干渉信号との、2つの干渉計出力を、A/D変換器 (ADC) の別々チャネルに入力する。しかし、ADCのチャネル間skewやクロックjitter 等により、リサンプリングタイミングと対象干渉信号との間に時間ずれが生じる。提案方法は、対象干渉計内の光路中に反射面Aを設け、反射点A起因の干渉信号を測定対象起因の干渉信号に重畳した対象干渉信号を、ADCの1チャネル経由で取得し、当該対象干渉信号から反射点A起因の干渉信号を抽出して基準干渉信号とすることによって、skewやjitter等の影響を減じる方法であり、その効果を確認したので報告する。
3月16日 13:00〜17:00 Meeting 36 座長 柳生栄治(三菱電機)
[光ファイバ]
C-3/4-8 |
(依頼講演30分)安定なPAM4伝送を可能とするエラーフリーPOF
◎村元謙太・小池康博(慶大) |
C-3/4-9 |
螺旋型コア配置による結合型マルチコアファイバのコア密度向上
○坂本夏翠・佐藤孝憲・藤澤 剛(北大)・寒河江悠途・坂本泰志・松井 隆・中島和秀(NTT)・齊藤晋聖(北大) |
C-3/4-10 |
偏心リングコアファイバによる群遅延広がり制御
◎西島 遼・佐藤孝憲・藤澤 剛(北大)・森 崇嘉・坂本泰志・山下陽子・今田諒太・中島和秀(NTT)・齊藤晋聖(北大) |
C-3/4-11 |
複数3D導波路形成に向けたYOLOによる導波路検出
○松原 瞬・善能寺友也・姜 海松・浜本貴一(九大) |
データセンター等の短距離通信で用いられている53 Gb/sの4値パルス振幅変調(PAM4)信号を現状必要とされている前方誤り訂正(FEC)を用いることなくエラーフリーで伝送することができるプラスチック光ファイバ(以下、エラーフリーPOF)を提案する。このエラーフリーPOFは、コア母材中にミクロな不均一構造を有し、顕著なモード結合を介してデータ伝送を著しく安定化させる。本成果は、PAM4伝送におけるFECを不要にするものであり、通信システムの省電力化および低遅延化に貢献できると期待される。
空間分割多重(SDM)伝送用ファイバの一種である結合型マルチコアファイバにおいて,モード間結合が強い状態では,各モードの群遅延時間は平均化され,GDSが伝搬距離の平方根に比例する状態を実現でき,単一コアのマルチモードファイバと比較して,伝送容量および伝送可能距離を拡大可能なSDM伝送用ファイバとして期待されている.しかし,コア間隔を低減するとモード間の実効屈折率差が大きくなり結合が抑制され,三角格子などの従来の規則的なコア配置では,コア密度の向上が制限されていた.本稿では,螺旋型コア配置とすることにより,隣接コア間距離を小さく保ちつつ,他コア間距離を大きくすることで,高いコア密度で強結合状態を実現できることを示す.
近年,大容量通信を可能とする手段としてモード分割多重伝送(Mode Division Multiplexing: MDM)技術が注目されており,MDM 伝送用ファイバの一つとしてコアに複数のモードを伝搬させる数モードファイバ(Few-mode Fiber: FMF)が挙げられる.MDM 伝送では,各モードの群速度が異なることに起因する群遅延広がり(Group Delay Spread: GDS)の増大によるMIMO(Multiple-input Multiple-output)信号処理の複雑化や消費電力の増加が課題である.本報告では,GDSの低減に向けた 2LP モードを導波する偏心 RCF(Ring-Core Fiber)の提案を行う.
マルチコアファイバと光モードスイッチとの直接結合を目指し、複数3D導波路製造の検討をおこなっている。3D導波路形成方法としてモスキート法を検討しているが、液体コアの流動性を考慮すると導波路を高速描画する必要があり(30 ms以下)、機械学習を用いた導波路自動検出を検討した。You Only Look Once(YOLO)を用い、GPUを有するコンピュータで導波路検出をおこなった結果、平均10 msで検出可能であることが分かったので報告する。
休 憩(14:30 再開) 座長 岩井克全(仙台高専)
[光センシング]
C-3/4-12 |
光導波型構造を用いた共振型アコースティック・エミッションセンサのカウントによる周波数特性
◎渡邉風馬・大河正志(新潟大) |
C-3/4-13 |
半密閉空間を有する光導波型微気圧センサにおける周波数特性のチューブ長依存性
◎難波昇太・鳥山大樹・大河正志(新潟大) |
C-3/4-14 |
波長変調した光周波数コムを用いた気体分子センサー方式の開発
◎髙橋直生・小西遥介・石田耕大・上野芳康(電通大) |
C-3/4-15 |
光ファイバアンプ動的制御に向けた励起レーザ変調基礎評価
◎河崎泰成・吉田理矩・姜 海松・浜本貴一(九大) |
社会資本の老朽化による事故を防ぐ検査法としてアコースティック・エミッション法が期待され,電磁気の影響や漏電の懸念から光波を利用したセンサが注目されている.光導波型センサは,ダイヤフラムの共振周波数で高感度となる特性があり,微少な弾性波の検出が期待できる.センサの周波数依存性の評価のため,しきい値をこえた波形の塊を計数するヒットと,しきい値を超えた回数を計数するカウントを求めた.実験では,音波を弾性波の代わりに周波数を変化せて印加した.実験結果からヒットを計数し,10個分取り出してカウントを計数し平均値を求めた.その結果,共振周波数より大きい周波数帯でカウントが増減することが確認された.
東日本大震災において,津波形成に伴う周波数数mHz程度の特徴的な微気圧変動が観測された.本研究では微気圧変動を感知できるセンサの開発を行っている.微気圧変動を感知し避難を促すことで,津波被害の低減が期待できる.本センサは半密閉空間を有する微気圧センサで,半密閉空間がハイパスフィルタ特性をもたらす.これにより,津波に伴う微気圧変動を感知できるセンサとなる.本研究では,遮断周波数を下げるため,半密閉空間にチューブを取り付けた.チューブ長と遮断周波数の関係を考察するため,正弦波状圧力を印加する実験を行い,両者に反比例の関係があると分かった.よって,チューブを長くすることは遮断周波数の低下に有効だと言える.
波長変調した波長可変半導体レーザーによって,近赤外領域に存在する分子の吸収線を高感度に検出する変調分光方式などが実用化されているが,背景分子の吸収線がレーザーの掃引波長内にある場合に誤検出を起こしてしまう.我々は,吸収線の間隔の特異性に着目し,吸収線の間隔を光周波数コムによって高精度に測定するセンサー方式を提案している.今回,我々は波長変換に用いる種光CWを微小波長変調して,光周波数コム全体を波長変調することで変調分光を行った.この光周波数コムを用いることで,177 GHz離れたアセチレンの吸収線2本を、狭帯域なBPFを用いずに,同一のPDで同時に検出したので報告する.
光導波路型小型呼気分析システムを開発しており、システム内の損失を光アンプで補い、ppmオーダーの呼気成分分析を可能とする方法を提案してきている。更なる性能向上を目指し、光アンプの動的制御検討の一環とし、ファイバアンプ励起レーザのパルス変調について基本検討を行ったので報告する。
休 憩(15:45 再開) 座長 大平和哉(東芝)
[光制御(1)]
C-3/4-16 |
波長無依存カプラ型Oバンド2モード合波器
◎中村航大・藤澤 剛・佐藤孝憲・齊藤晋聖(北大) |
C-3/4-17 |
2チップで構成されたWFM法設計6モード交換器によるMDL低減
◎朝間友一・藤澤 剛・佐藤孝憲(北大)・森 崇嘉・坂本泰志・今田諒太・山下陽子・中島和秀(NTT)・齊藤晋聖(北大) |
C-3/4-18 |
Proposal of Space-mode Compressor toward Compact MDM Devices
○Yunjie Wang・Haisong Jiang・Kiichi Hamamoto(Kyushu Univ.) |
C-3/4-19 |
ナノピクセルによる3入力同位相光合波器
◎庄田啓一郎・肖 何・高津渓一郎・姜 海松・浜本貴一(九大) |
C-3/4-20 |
III-V/Siハイブリッド集積光デバイスに向けた非対称方向性結合器の多段接続による高効率結合構造の検討
◎佐藤孝憲・内田啓太・藤澤 剛(北大)・御手洗拓矢・平谷拓生・沖本拓也・石川 務・河野直哉・藤原直樹・八木英樹(住友電工)・齊藤晋聖(北大) |
光イーサネットでは,波長分散の小さなOバンドの波長が利用され,いくつかの通信規格が制定されている.これらの規格ではこれまで,波長分割多重 (Wavelength Division Multiplexing :WDM) 伝送を利用することで通信容量の拡大を図ってきが,波長合波器の製造トレランスなどにより,8波までの利用にとどまっている.モード分割多重 (Mode Division Multiplexing :MDM) 伝送は導波路中の複数の伝搬モードを利用する多重伝送方式であり,WDM伝送と併用することで,利用波長数と利用モード数の掛け算で飛躍的に伝送容量を拡大できる.WDM-MDM併用通信システムの実現には広帯域に動作可能なモード合波器が必要不可欠である.本稿では,OバンドWDM-MDM併用通信システムの実現に必要となる広帯域モード合波器として,波長無依存カプラ (Wavelength INsensitive Coupler :WINC) 型2モード合波器を提案する.
光通信システムの伝送容量拡大のため,FMF を用いたMDM伝送に関する研究が盛んに行われている.MDM伝送では,各モードに個別の信号をのせることで,伝送容量拡大を可能とするが,伝搬損失がモードによって異なるため,MDLが生じてしまう.そこで,MDLの影響を緩和する手段として,最適化手法の一つであるWFM法を用い,導波路の片側に凹凸を設けるグレーティング型のモード交換器を設計した.本稿では,サイドグレーティング型とトップグレーティング型のモード交換器を合わせることで一つの交換器とし,より効率的なシステムMDL低減が可能であることを示す.
In order to achieve highly dense photonic circuit integration for the transmission of higher-order space-mode, a space-mode compressor by using nano-pixel optical waveguide is proposed. The long-term computational time for the design of the nano-pixel optical waveguide structure, is reduced considerably by the machine learning setup. During the process, we discuss the factors affecting the compression efficiency, while the simulation results show that there is more than 50% compression for the 0th and 1st order mode.
MMI(Multi-Mode Interference)導波路による光合波器は均等出力光結合ができ、比較的単純な設計パラメータで実現できることから、広く研究開発されてきた。ただし、N本合波の際にはそれぞれの入射ポートの位相整合条件を満たさないと過剰な損失が生じるという課題があった。一方で矩形導波路領域をナノ領域に多数分割してピクセルを配列したナノピクセル構造は、超小型デバイスが実現できることに加え、設計理論が十分に確立されていない機能も実現できる可能性が報告されている。そこで本報告では、ナノピクセル構造により、同位相3入力による光合波器をFDTDシミュレーションによって確認したので報告する。
機能の異なるIII-V族半導体を同一SOI基板上に集積するハイブリッド集積プラットフォーム技術の研究が近年盛んに進められている.これまで,多段テーパ構造を用いたInP系層/Si導波路間の光接続構造が提案されてきたが,高効率結合のためにはInP系導波路のテーパの先端幅を400nm以下に抑える必要があり,プロセスにおいて,高アスペクト比のドライエッチング加工を要求するため,難易度が高かった.本報告では,アスペクト比の改善を目的として,断熱テーパの代わりに方向性結合器を用いた高効率結合構造の検討を行った.また,方向性結合器を多段に接続した構造において,Si導波路の屈折率制御による,製造誤差補償についても検討を行い,少なくとも数十nm以上の導波路幅や導波路間隔の製造誤差が生じた場合でも,それによる過剰損失をCバンド全域で1~2dB程度に抑制できることを示した.
3月17日 13:00〜16:15 Meeting 36 座長 田中信介(富士通)
[光集積(1)]
C-3/4-21 |
(依頼講演30分)シリコンフォトニクス技術によるコヒーレント光送受信モジュール
○山中祥吾・那須悠介・亀井 新(NTT) |
C-3/4-22 |
垂直入射型コヒーレント光受信器の実証
◎相馬 豪・ヤンワチラークン ワラーコン・田之村亮汰・福井太一郎(東大)・石村昇太(KDDI総合研究所)・加藤豪作・杉山正和・中野義昭・種村拓夫(東大) |
C-3/4-23 |
高速2次元型フォトディテクターアレーにおけるピクセル配置最適化に関する検討
○段 思楊(早大)・梅沢俊匡・菅野敦史(NICT)・川西哲也(早大) |
C-3/4-24 |
100Gbps/λ伝送に対応するバットジョイント導波路型AlInAs/GaInAsアバランシェフォトダイオード
○沖本拓也(住友電工)・芦澤 建・森 大樹・海老原幸司・山崎功一朗・岡本 悟・堀野和彦・大倉佑介(住友電工デバイス・イノベーション)・八木英樹・江川 満(住友電工)・米田昌博(住友電工デバイス・イノベーション) |
ディジタルコヒーレント光伝送方式は直交する2つの偏波の振幅と位相に情報を載せることで,高い周波数利用効率を実現することができる.しかし,そのためにはIMDD方式と比較して,複雑な光デバイスを必要とする.シリコンフォトニクスは,コヒーレント光トランシーバに必要な光デバイスのうち,LD を除く全ての光回路を1つのチップに集積することができる.このシリコンフォトニクスチップを,高周波電子回路とともに同一パッケージへ実装することで,コヒーレント光トランシーバをIMDD方式の光トランシーバと同じフォームファクタで実現することができる.本発表では,シリコンフォトニクス技術に基づいたコヒーレント光送受信モジュールと,その伝送特性を紹介する.
近年の5Gやクラウドサービスの普及に伴い、光アクセスやデータセンター等の中短距離網においても10Tb/sを超える大容量光伝送システムの導入が求められている。そのため、波長と空間の両次元に跨る 1,000 以上の超並列チャネルを利用することが提唱されており、大量の送受信器を高密度に集積できる素子の実現が待たれている。この課題を解決するべく、本稿では、垂直入射型コヒーレント受信器をInP 基板上に作製し、50GBd 16QAM信号、60GBd 8QAM信号、64GBd QPSK信号などの受信実験に初めて成功し、さらに1260nm~1630nmの広帯域な波長に渡って12.5GBd QPSK信号の復調に成功したので報告する。本デバイスは垂直入射で動作するため、高密度に2次元アレイ化が可能であり、将来の超並列チャネル光伝送システムへの利用が期待される。
インターネットのデータ速度を向上させるために、シンプルな受信機構成が実現可能な位相回復型コヒーレントレシーバーの提案がなされている。このコヒーレントレシーバーは、ハイブリッド回路やローカル光を不要とする特徴を持ち、空間多重信号を高速2次元PDアレーデバイスのみで一括受信が可能である。しかしながら、光ファイバーからのモード多重光は基本モードの影響により中心部で光強度が強く、外周部に向かうほど光強度が弱い傾向がある。よって複数PDピクセルにてモード多重信号の受信の一括受信を行った場合、PDアレー内のPDピクセル間で感度分布が生じ、コヒーレントレシーバとしての受信感度向上のためにはPDアレー内各PDの受光率向上と各PD間での感度均一性を向上させることが重要と考えられる。これらの課題点はPDピクセル配置に大きく依存するものと考えられ、PDアレーのピクセル配置の最適化について検討が必要となる。
データセンタ間通信網や5Gモバイルフロントホールなどにおいて, 伝送距離が10kmを超える大容量伝送の需要が高まっている. アバランシェフォトダイオード(APD)は低消費電力で光信号増幅が可能であることから, 強度変調・直接検波(IMDD)方式でも高速かつ長距離な伝送を実現できる受光素子として注目を集めている. 我々は, コヒーレント受信器向けに開発したバットジョイント(BJ)導波路型pin-PDを応用して, 50Gbit/sに対応する高感度・高線型性な導波路型APDを開発し, 2020年に報告した. 今回, さらにAlInAs増倍層を導入することで, 100Gbit/s伝送に対応する高速導波路型APDを実現したので報告する.
休 憩(14:30 再開) 座長 硴塚孝明(早大)
[光集積(2)]
C-3/4-25 |
DFBレーザアレーの注入電流/温度協調制御によるフルCバンド高速高信頼波長切替
○松本 凌・葉 聖鴻・車 明・加藤和利(九大) |
C-3/4-26 |
Active-MMI SOA on Quantum-Dots toward High Saturation Output Power under High Temperature
○Zhiyuan Fan・Yasuhiro Hinokuma・Haisong Jiang・Kiichi Hamamoto(Kyushu Univ.) |
C-3/4-27 |
(依頼講演30分)シリコンハイブリッド型ポリマー変調器を用いた超高速データ伝送
○横山士吉(九大) |
C-3/4-28 |
マッハ・ツェンダ型シリコン光変調器のアーム間不均衡によるチャープへの影響検討
○村尾覚志・牛田 淳・高橋博之・徳島正敏・椎名明美・堀川 剛(PETRA) |
C-3/4-29 |
(依頼講演30分)超小型Si-Photonicsトランシーバ“光I/Oコア”の進展
○岡本大典・鈴木康之(PETRA)・萩原靖彦・栗原 充(アイオーコア)・中村隆宏(PETRA)・蔵田和彦(アイオーコア) |
携帯電話の普及やインターネット上における大容量なデータのやりとりにより、必要とされる情報通信の速度は年々増加している。また、通信の際に消費される電力も増加しており問題視されている。そこで、我々は波長可変光源とアレー導波路格子からなる低消費電力な光スイッチに注目している。その波長可変光源として波長可変DFBレーザアレー(TLA:Tunable Distribute Feedback Laser Array)を用いた高速波長切替を検討している。我々は従来の温度制御または、注入電流操作の波長切替手法を参考に、高速性と高信頼性を両立できる注入電流/温度協調制御を単一のDFBレーザで成功させた。今回、この手法をフルCバンドへ拡張することでTLAを用いた光スイッチの実用化へ近づいた。
High saturation output power improvement of 15 dB compared to regular QD SOA was successfully confirmed under high operation temperature of 75℃, due to the larger active area of active-MMI which enables higher current injection (i.e., higher energy injection) into the device up to the ground-state saturation level in QD.
本稿では、ポリマー変調器に関する近年の研究・開発状況について示し、光インターフェース機器の高性能化への貢献に向けた展望や課題について述べる
シリコン光変調器では,プロセスやSOI厚ばらつきに起因して位相シフタの変調効率(ME)や吸収損失が変化するため,プッシュプル駆動する際に変調器性能がマッハ・ツェンダ(MZ)部のアーム間不均衡による影響を受けることが懸念される.これまで我々は,位相シフタが電圧依存性を有する場合に,提案する大信号MEを2アームに拡張することで位相シフト量のアーム間不均衡を特徴付けることができることを示し,OMAペナルティに対する影響を算出してきた.しかし,アーム間不均衡がチャープにどのような影響を与えるのかについては理論を含めて検討されていなかった.ここでは,大信号MEを用いてチャープパラメータの定式化を行う.さらに,300mm SOIウェーハ上に試作したキャリア空乏MZ型シリコン光変調器に対してプッシュプル駆動時のチャープパラメータを算出した結果を示す.
本招待講演では、シリコンフォトニクス技術を活用して開発した超小型光トランシーバ「光I/Oコア」について解説する。光送信器(Tx)および光受信器(Rx)を1チップ上に高密度集積し、量子ドットレーザおよびCMOS-ICをハイブリッド集積することで実現する光I/Oコアの構造について紹介する。また、熱源となるLSIチップ近傍に実装するため、実用上の観点から高温環境での動作が重要であり、温度特性に優れた量子ドットレーザを集積し、CMOS-ICに温度補償機能を搭載している。これらの機能を用いて、85℃においても25℃と同等の25Gbps信号が得られたことを報告し、講演ではFPGAボード間エラーフリー伝送の結果についても紹介する。
3月18日 9:00〜11:45 Meeting 36 座長 小野英輝(OKI)
[設計/シミュレーション]
C-3/4-30 |
側壁のラフネスの相関長が導波路型偏波変換器に及ぼす影響
○小林侑生・小竹翔太・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-3/4-31 |
半導体層を用いたテラヘルツTE透過/TM除去導波路型偏光子
柴山 純・◎大塚 諒・田中宏季・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-3/4-32 |
(依頼講演30分)伝搬演算子を用いた光導波路の有限要素法解析
◎森本佳太・井口亜希人・辻 寧英(室工大) |
Si細線導波路のコアの一部を欠損したL字型偏波変換器が検討されている。これまでの検討は、側壁が理想的に作製されたことを仮定してきた。しかしながら、実際には作製工程において側壁に無視できないラフネスが生じ得る。そこで、側壁のラフネスが偏波変換特性に及ぼす効果について基礎的検討を行ってきた。ただし、ラフネスの相関長の影響までは検討が踏み込めていなかった。本稿では、完全埋め込み型を例にとり、導波路側壁のラフネスの効果を相関長の影響を加味してより詳細に議論する。
InSbあるいはInAsを用いたTHz帯における3次元TE透過/TM除去導波路型偏光子を解析する.温度に対する消光比の周波数特性を評価する. 結果として,InSbを用いた偏光子では周波数特性の温度依存性が強いことを指摘する.他方,InAsを用いた偏光子では依存性が良好に低減されることを示す.具体的には,温度280~310 Kにわたって周波数1.12~1.7 THzの帯域にて15 dB以上の消光比が得られる.
3 次元導波路解析や最適設計問題などで大規模な数値計算が要求される場合,膨大な計算時間やメモリ使用量がしばしば問題となる.著者らは汎用性の高い有限要素法 (FEM: Finite Element Method) 解析の効率化を目指し,伝搬演算子を活用した新たな解析法の研究を行っている.伝搬演算子は空間全体を直接離散化せず半解析的に導出され,ある導波路構造を伝搬しうる全てのモードの伝搬を評価できる.これを FEM 解析の境界条件に適用することで,任意の導波路構造に対して効率的な領域分割型の数値解析法が実現可能である.本発表ではこれらの研究の進展と今後の展望について述べる.
休 憩(10:15 再開) 座長 那須秀行(古河電工)
[次世代光通信/情報処理]
C-3/4-33 |
50GHz High Photocurrent and High Power PIN-Photodetector for Fiber Wireless Communication
○Yaofeng Yi(Waseda Univ.)・Toshimasa Umezawa・Atsushi Kanno(NICT)・Tetsuya Kawanishi(Waseda Univ.) |
C-3/4-34 |
くし型電極を用いたLN光フェーズドアレービーム偏向高速化に関する研究
○竹村勇人(早大)・梅沢俊匡・山口裕也・菅野敦史(NICT)・川西哲也(早大) |
C-3/4-35 |
(依頼講演30分)4光波混合による角度変調された光アナログ信号のSNR向上
○石村昇太・高橋英憲・釣谷剛宏・鈴木正敏(KDDI総合研究所) |
C-3/4-36 |
光OFDMチャネル分離回路の多重化信号に対する位相許容度
○塚澤直也・植之原裕行(東工大) |
C-3/4-37 |
高密度WDM信号の波長フィルタを用いた復元技術に関する検討
◎林 昶忻・植之原裕行(東工大) |
We fabricated a PIN-PD on a very thin substrate and used flip-chip bonding technology to suppress the thermal effect. This PIN-PD achieved high linear photocurrent and high RF output power at 50GHz and it could be a potential candidate for fiber wireless communcation system.
将来の大容量室内ワイヤレスアクセスを実現する手段として空間光通信(FSO)が期待されている。これまでFSOの送信側の候補であるフェーズドアレーデバイスの開発は主にLiDAR応用が多く、その研究内容は高角度偏向や低損失化が主流で高速化応答に関する報告例は少なく、その動作速度は100kHz前後にとどまっている。今回我々はLN変調器技術をベースにくし型電極を用いた光フェーズドアレーモジュールを試作し、高速ビーム偏向に関する考察を行ったので報告を行う。
近年の光通信システムにおいては、ディジタル変調方式が主流となっている一方で、アナログ変調方式もいくつかのアプリケーションで用いられてる。CATVの光伝送システムはその一例であり、最近ではアナログ伝送をモバイルフロントホールに適用しようとする試みも、数多く報告されている。ディジタル化に係る全ての機器を除去し、帯域・コスト・遅延を抑えることが、あえてアナログ伝送を用いる狙いである。しかしながら、アナログ伝送はディジタル伝送に比べて雑音耐力が低く、一度伝送路にて雑音を被ってしまうと、それを除去する術がない。この問題は、古典的な周波数変調(Frequency modulation: FM)や位相変調(Phase modulation: PM)に代表される、角度変調を用いることで大幅に低減できる。実際、AMラジオよりFMラジオの方が品質が良いことは周知の事実である。一般にFM信号は帯域(あるいは変調度)を拡大することで、被変調信号の品質をより向上することができ、その目的のためダイオードなどの非線形素子を用いることがある。本稿では、最近我々が提案した光領域の非線形性を用いた、角度変調信号の帯域拡大手法について紹介する。
インターネットの急速な普及に伴い、幹線系のコアネットワークだけでなく、メトロ・コアネットワークにも大容量化が求められている。光直交周波数分割多重変調(Optical Orthogonal Frequency Division Multiplexing, 光OFDM)は、副搬送波間の直交性を利用することで周波数利用効率向上を実現する光変調方式で、メトロ・コアネットワークへの導入を目指した研究開発が進められ、広帯域のサブチャネルを分離する光集積チャネル分離回路(光OFDM DEMUX)の実証例も報告されている。その素子の透過スペクトル性能にはサブチャネル間隔やクロストーク特性が重要となる。また、個別素子の報告例はあるが、シリコンフォトニクス集積化には位相誤差の課題があり、実際の素子ではクロストーク特性が理想値より悪化する傾向がみられ、分離信号への影響が懸念される。
そこで本研究では、光OFDMチャネル分離回路の実現とROADMへの適用を目的とし、素子に信号を入力して伝送する際に、どこまでの位相誤差が許容されるかを検討したので報告する。
近年、高周波数利用効率化のため非直交関係のWDM信号の検討がなされているが、信号分離時に広帯域チャネルに対しては電気フィルタの対応が困難になるといった課題があるため、本研究は、大容量・多重化した光信号の分離時に生じるクロストークを光フィルタ用いて、低減可能なクロストーク・キャンセリング技術の実現を目的とした。ナイキスト、スーパーガウシアン、バターワースの3種類のフィルタ形状の中で、隣接信号の成分を抑圧可能な最適な組み合わせを解析し、多重化光信号のチャネル分離の手法を検討した。
3月18日 13:00〜17:00 Meeting 36 座長 八木英樹(住友電工)
[半導体レーザ(1)]
C-3/4-38 |
(依頼講演30分)モノリシック集積されたInP上DBR/Ringレーザ
○寺田陽祐・礒部結希・阿部紘士・吉田匡廣・若葉昌布・八尾健一郎・酒井辰浩・丸山一臣・鈴木理仁・西田昌義・石井啓之・川北泰雅・黒部立郎(古河電工) |
C-3/4-39 |
800GbE用集中定数型EA-DFBレーザのアンクールド224-Gb/sPAM4-2km伝送
◎西村和樹・山内俊也・足立光一郎・浅倉秀明・滝田隼人・中井義博・山口頼儀・三瀧雅俊・中島良介・田中滋久・直江和彦(日本ルメンタム) |
C-3/4-40 |
直接変調型DFBレーザのuncooled動作による106 Gb/s × 4λ PAM4 信号の2 km 伝送
◎大野修平・恩河 大・中島崇之・関野裕司・中西 慧・笹田紀子・早川茂則・中島良介・直江和彦(日本ルメンタム) |
C-3/4-41 |
光負帰還混合変調レーザによる周波数雑音低減帯域拡大
○吸坂直樹・横田信英・八坂 洋(東北大) |
トラフィックの増大に伴いデジタルコヒーレント通信の需要が高まっており、キーデバイスである波長可変レーザアセンブリ (ITLA) には、狭線幅、小型化、低消費電力が要求される。我々は並列して配置されたレーザダイオードを集約することでフルCバンド動作を可能にしたレーザチップ、およびITLAを開発してきたが、さらなる小型化・消費電力削減には、動作原理自体を変える必要がある。そこで分布ブラッグ反射器反射鏡とマイクロリング反射鏡の組み合わせでバーニア効果を利用するレーザを提案、開発している。バーニア効果を用いると効率的に波長選択できるが、その分制御が難しくなる。本発表ではレーザチップの波長選択と基礎特性、本チップを用いたモジュールおよび制御回路を含む特性を紹介する。
近年のクラウドサービス等の普及に伴うデータセンタ内の通信トラヒック増加に対応すべく,800GbE技術の標準化が進められている。800GbEの実装形態の一つとして,1波長当たり200 Gb/sの信号を4波長多重する方法が検討されている。その実現には,100 Gbaud – PAM4方式に追従可能な高速性と,受信機側の感度を満足する高い平均光出力強度(Pave)を持つ光源が必要である。今回,800GbE向け集中定数型EA-DFB(Electro-absorption modulator-integrated distributed-feedback)レーザを開発し,20 ℃-80 ℃のアンクールド動作で224-Gb/s (112 Gbaud) PAM4方式光信号の2km伝送を実証した。伝送後も明瞭なアイ開口が確認され,測定温度範囲でOuter ER が3.5 dBかつ TDECQが2.8 dB以下,Paveは6 dBm以上を実現し,800GbE実現に向けた200 Gb/s/λの光源としての有用性を確認したので報告する。
データセンタの通信容量の増大に伴い400/800 Gb/s光トランシーバの需要が拡大しており、これを実現するための広帯域な光源として、生産コストが低く低消費電力で動作可能な直接変調型レーザに注目が集まっている。本発表ではCWDM (Coarse Wavelength Division Multiplexing) に対応した4種類の発振波長をもつ直接変調型DFB (Distributed Feedback)レーザを開発し、uncooled動作による53 Gbaud (106 Gb/s) PAM4信号の2 km伝送を実現したので報告する。
半導体レーザの周波数雑音低減が実現できる光負帰還の手法に周波数変調帯域の拡大が有効である混合変調レーザを導入することにより、周波数雑音低減帯域の拡大が可能であることを確認した。
休 憩(14:30 再開) 座長 望月敬太(三菱電機)
[半導体レーザ(2)]
C-3/4-42 |
混合変調半導体レーザの100-Gbit/s NRZ動的単一モード動作
○内山 香・横田信英(東北大)・小林 亘(NTT)・八坂 洋(東北大) |
C-3/4-43 |
Affection analysis of frequency response with photon-photon-resonance (PPR) to large signal modulated 40 Gbps signal
○He Xiao・Haisong Jiang・Kiichi Hamamoto・K. Shoda・K. Kodou(Kyushu Univ.) |
C-3/4-44 |
SOA集積1.3-μm 帯CW-DFB レーザの100℃ 高出力特性
○中村 厚・横川翔子・浜田重剛・中島良介・岡本 薫・荒沢正敏・中原宏治・田中滋久(日本ルメンタム) |
C-3/4-45 |
(依頼講演30分)高アスペクト比の空孔を有する1.3μm帯InP系フォトニック結晶レーザ
◎伊藤友樹・河野直哉・藤原直樹・井上大輔・小笠原 誠・藤井康祐・吉永弘幸・八木英樹・柳沢昌輝(住友電工)・吉田昌宏・井上卓也・メーナカデゾイサ・石崎賢司・野田 進(京大) |
直接電流変調半導体レーザを高速化する手法として外部共振器を導入する技術が注目されている.光子共鳴効果により生じる応答特性上の第2の共振ピークを適切に制御することにより変調帯域を拡大することができるが,緩和振動周波数以上の高周波領域における急激な感度劣化のため変調帯域拡大が制限されていた.この問題に対し,我々は,直接電流変調と共振器内部損失変調を同時に行う混合変調半導体レーザを提案してきた.本研究では,数値解析を通してデバイス構造や動作条件を最適化することで,100-Gbps NRZ信号による動的単一モード動作時にも明瞭なアイ開口を得られることが確認できたので報告する.
We verify signal-modulation based on the frequency
response of direct-modulation utilizing photon-photon
resonance on simulation. It was confirmed that extinction
ratio (ER) was improved, not degraded, from 0.8 dB to 3.2
dB when the peak height shifted from 5 dB to 15 dB.
シリコンフォトニクス用の光源としてSOAを集積した1.3μm帯CW-DFBを作製し、20~100℃までの温度範囲で70mW以上の光出力達成、及び40dB以上のSMSRを確認した。また、80°C、300mA-ACC通電試験で1400時間まで安定した光出力を得ることができた。今回の結果はSOAを集積したCW-DFBがシリコンフォトニクス用光源として有望なことを示すものである。
フォトニック結晶レーザ(PCSEL)は活性層近傍に設けた2次元フォトニック結晶(PC)の特異点(Γ点)における共振作用を利用した面発光型の半導体レーザであり, 高出力・高ビーム品質を両立した特性や, 偏波・出射角度の制御等が実現可能である.我々は, 次世代の通信およびセンシング用光源として, 光通信波長帯(1.3μm帯)のInP系PCSELを検討している.これまでに, 室温CW駆動における単一モード発振や二重格子PCの導入による出射ビームの単峰化, 高出力化などを実証してきた. 本講演では, これらの結果について報告する.
休 憩(16:00 再開) 座長 村尾覚志(三菱電機)
[光制御(2)]
C-3/4-46 |
(依頼講演30分)グラフェン装荷プラズモニック導波路による超高速・低消費エネルギー全光スイッチング
○小野真証(NTT)・畑 雅則・常川雅人(東工大)・野崎謙悟・角倉久史(NTT)・千葉 永(東工大)・納富雅也(NTT) |
C-3/4-47 |
新たな相変化材料とシリコンフォトニクスへの装荷
○河島 整・桑原正史(産総研)・森 竣祐(東北大)・須藤祐司(東北大/東北大AIMR)・津田裕之(慶大) |
C-3/4-48 |
面内p-i-n型位相シフタを有するPILOSS型シリコン光スイッチ
○鴻池遼太郎・鈴木恵治郎・池田和浩(産総研) |
将来の超高速光情報処理に向け、光の信号を光で制御する全光スイッチが注目されている。全光スイッチは電気回路による動作速度の制限を受けず、超高速動作が期待される。しかし、これまでに報告された素子では、超高速動作と低消費エネルギーを両立できず、その両者にはトレードオフが存在すると考えられてきた。そこで我々は、超高速かつ低消費エネルギーな光非線形素子の究極の形態を探索し、超高速な可飽和吸収を示すグラフェンとナノスケールの導波路コアを有するプラズモニック導波路の組み合わせが有望であることを見出した。その結果、超高速領域でトレードオフを打破し、超高速かつ低消費エネルギーでの全光スイッチングを実現した。
Ge2Sb2Te5(以下GST)は、書き換え型光ディスクや抵抗変化型不揮発メモリで実用化された相変化材料である。光デバイスの動作を不揮発化する狙いで、GSTをシリコンフォトニクスに集積する研究が行われて久しいが、吸収による材料損失をどう扱うか、課題があった。MnTeは、GSTと同じくTeを含むカルコゲナイド合金で、複数の結晶多形状態を可逆的かつ不揮発的に相変化できることが、最近発見された。我々は、MnTeが、光通信波長帯において吸収損失が少ない結晶相を含むことに注目し、シリコンフォトニクスへの集積を想定した検討を行った。
光スイッチの高速化・低損失化は次世代光ネットワークの実現において重要であると考えられる。面内p-i-n構造を有するシリコン光スイッチはナノ秒程度の高速切替えが可能であるが、自由キャリア吸収による損失が経路によりばらつくことが課題であった。一方で、面内p-i-n構造をPILOSS型の光スイッチトポロジーに対して適用すれば、高速動作が可能でなおかつ損失が経路によらず一定となり、またクロストークの低減も可能となる。本発表では面内p-i-n構造を有する8×8規模のPILOSS型光スイッチを作製し、チップ上の60個の要素スイッチについてその動作速度を測定した結果について報告する。
C-5. 機構デバイス
3月16日 9:15〜11:15 Meeting 42 座長 萓野良樹(電通大)
C-5-1 |
電気接点内部から噴出させる気流が開離時アークに及ぼす影響の実験的検討
◎服部聖也・関川純哉(静岡大) |
C-5-2 |
直流高電圧回路内で発生させる開離時アークを強制分断する分断板の消耗量の測定
◎坂本 匠・関川純哉(静岡大) |
C-5-3 |
48VDC/300A回路内において磁気吹き消しされる開離時アークの動きと消弧時の接点間隙の開離速度依存性
◎矢崎晴子・関川純哉(静岡大) |
C-5-4 |
電磁圧接用Al/Cu薄板の衝突部へ新たに放電電流を流す方法
○相沢友勝(都立工業高専) |
直流回路の遮断時には電気接点対間にアーク放電が発生する.アーク放電の継続は電気接点及びその周囲の構造物の損傷につながる.その損傷を防ぐために,素早く消弧されることが必要となる.磁気吹き消し等の従来の消弧手法とは異なる新たな消弧手法として,発表者らは電気接点内部から気流を噴出させる手法を提案する.
本報告では気流噴出機構を伴う電気接点を用いて開離時アークを発生させた場合の結果について報告する.
狭小な空間内での開離時アークの消弧手法として,発表者らは過去に,POM製の分断板を用いて開離時アークを空間的に分断し強制消弧した結果を報告した.POMはPTFEと比較して耐熱性は低く,アークと接したときに蒸発しやすい.POMの蒸発ガスがアーク内に混入すると開離時アークの早期消弧に繋がると考えられる.過去の報告において,PTFE板と比較してPOM板を用いた消弧では開離時アークの早期消弧の可能性が確認された.本報告では,開離時アークとの接触によるPTFEとPOMの消耗特性の違いを比較するために,実験前後での分断板の質量と体積の変化について報告する.
近年,車載用電源系統として直流48V系の採用が増えており,300A程度の大電流が使用されている.そこで発生する開離時アークを素早く消弧させる方法として磁気吹き消しがある.発表者らはバネ式開離装置を用いて磁気吹き消しされる開離時アークの特性について報告した[1].本報告では48VDC/300Aの抵抗性負荷回路において,等速開離装置を用いて開離速度を0.1-0.5m/sとし,印加する横磁界を5-100mTとした場合の開離時アークについて,その動きと消弧時の接点間隙について報告する.
軽量化などの理由で,部品などを電気接続する分野で,アルミニウム(Al)と銅(Cu)を溶接接合する需要が増加している.電磁圧接(溶接)は,コンデンサ電源から圧接用コイルへ放電電流を急激に流し,コイル上のAl薄板へ高密度磁束を加える.Al薄板には電磁力が働く.Al薄板は加速され,近くのCu薄板へ高速衝突し,両薄板は圧接(溶接)される.ここでは,圧接用Al/Cu薄板の衝突部へ別のコンデンサ電源から放電電流を新たに流す方法を提案する.主な目的は,新たな電流による抵抗加熱を利用して,電磁圧接だけで接合が困難な場合 (Al薄板の形状,材質などの変更で起こる),これを改良することである.
休 憩(10:30 再開)
C-5-5 |
分布並列線路の多段化による負の群遅延特性の発現帯域の広域化
◎山口 徹・萓野良樹・肖 鳳超・上 芳夫(電通大) |
C-5-6 |
折紙展開機構を利用したスピーカーの検討
◎西村一紀・細矢直基・重宗宏毅(芝浦工大) |
C-5-7 |
発光したワイヤレスLEDの電気流体現象による自律位置制御
○△阿部圭太・桑島 悠・松本睦希・重宗宏毅(芝浦工大) |
本稿では,負の群遅延特性の発現帯域の広域化のために,異なる減衰極を持つ分布並列線路の縦続接続構造を提案し,その有効性を検討する.まず,1段の分布並列線路を理論解析し,各線路の遅延時間の組み合わせと群遅延,減衰極の中心周波数との関係を検討した.次に,得られた関係式を用いて設計した異なる減衰極を持つ,分布並列線路の縦続接続構造における発現帯域の広域化を,電磁界解析により検討した.
折紙展開機構は医療用ステントグラフトや指向性可変なアンテナなどに応用されている。本研究では音響分野への応用としてミウラ折りを振動板としたスピーカーを提案する。折畳状態と展開状態の周波数特性を測定した結果、展開状態の方が40 Hz ~ 2000 Hzの範囲で音圧レベルが高く、周波数特性を変化できることがわかった。さらにデバイスがシート状であることを利用して振動板上へ回路実装を行い、折畳んだ状態での動作を確認した。回路実装前と同様に展開状態の方が可聴な範囲で音量が大きくなった。現段階では素子を直接実装しているが、印刷回路を用いて平面化することで折畳んだ際の携帯性向上を目指す。
近年、場を利用し物体を非接触で制御する研究に注目が集まっている。超音波や磁場を利用したものが報告されているが、システムの複雑性や消費電力に課題を抱える。我々は絶縁性流体に電圧を印加することで流体に流れが発生する電気流体現象を利用した。これは従来の方法に比べてシステムがシンプルかつ省電力である。我々の提案するシステムは導電性流体と絶縁性流体を垂直に積層し、その界面に浮かぶ物体を制御することが可能である。本研究では我々のシステムに無線給電可能なLEDを搭載し、そのワイヤレス発光と自律位置制御を試みた。LEDへの給電に必要なコイルからの磁場が位置制御に影響したため、こちらも検討を行った。
C-6. 電子部品・材料
3月15日 10:30〜11:00 Meeting 42 座長 中澤日出樹(弘前大)
C-6-1 |
形状記憶合金ワイヤの振動特性の計測
◎岩名紘基(早大)・重宗宏毅(芝浦工大)・澤田秀之(早大) |
C-6-2 |
磁気ホログラムメモリ用Bi置換希土類鉄ガーネットの鉄サイト置換の影響
是川真吾・○中村雄一(豊橋技科大)・水戸慎一郎(東京高専)・林 攀梅(豊橋技科大) |
拡張現実やメタバース技術の発展に伴い、触覚デバイスの研究が盛んに行われている。触覚デバイスに求められる高周波数応答性を満たす素材として、我々 は糸状の形状記憶合金(Shape memory alloy:SMA)に着目し、それを応用した触覚デバイスの研究を行なっている。パルス電流を流した際に、効率的に空 冷するため、体積に対して表面積の大きい糸状のを用いることで、数百の周波数まで振動させることを見出した。本研究では、この振動特性を実実験に よる測定とシミュレーションによる解析で調べた。実実験とシミュレーションとの結果により、超弾性効果による振幅の増加と、形状記憶効果による振幅の増加を 測定値から読み取ることができた。
我々は,磁性ガーネットを用いた磁気ホログラムメモリの実用化を目指して研究を行ってきた.再生像の高品質化には回折効率向上が重要であり,そのために磁性ガーネットには,大きいファラデー回転角と適度に小さい消衰係数を持つことが求められる.そこで有機金属分解法を用いてBi高置換イットリウム鉄ガーネットの鉄サイトをAl とGaで置換し、その特性への影響を調査した.その結果、置換量の増加と共にファラデー回転角,消衰係数共に減少する傾向が見られAlを置換するよりGaを置換した方が磁気ホログラムメモリとして特性がよくなる傾向が見られた.
C-7. 磁気記録・情報ストレージ
3月15日 10:30〜11:00 Meeting 13 座長 田河育也(東北工大)
C-7-1 |
MAMRを用いた多層記録における上書き記録特性の一検討
◎高松慧介・仲村泰明・西川まどか(愛媛大)・金井 靖(新潟工科大)・岡本好弘(愛媛大) |
C-7-2 |
強度輸送方程式法により検出された再生信号光位相における雲状ノイズのニューラルネットワークによる除去
◎池尻拓人・田代和也・文仙正俊(福岡大) |
HDD(hard disk drive)の更なる記録密度向上のため, 共鳴周波数と保磁力の異なる複数の記録層を積層した媒体にマイクロ波アシスト磁気記録(MAMR : microwave assisted magnetic recording)を適用した多層磁気記録が提案されている. 本検討では, 2層の記録層から構成された媒体に対して, 下層の記録時に同一情報が記録された上層の記録層に対する上書き記録特性について検討する.
ホログラフィックメモリにおいて,さらなる記録容量の増大を目的とし従来の信号光強度分布の二次元的な空間変調に加え位相変調も利用する試みが盛んに研究されており,我々は再生信号光の複素振幅検出に,強度輸送方程式法を用いることを検討している.この強度輸送方程式法により検出される位相分布にはしばしば特徴的な雲状ノイズが重畳することが知られており,本稿ではこのノイズをニューラルネットワークにより除去し,位相検出精度を向上する手法について検討する.
C-8. 超伝導エレクトロニクス
3月16日 9:30〜11:45 Meeting 12 座長 成瀬雅人(埼玉大)
C-8-1 |
純ニオブ材を用いたミリ波帯超伝導導波管の開発
○中島 拓・鈴木和司(名大)・小嶋崇文・鵜澤佳徳(NAOJ)・石野雅之(川島製作所)・渡邊一世(NICT) |
C-8-2 |
電波天文のためのクワッドバンド超伝導帯域通過フィルタの開発
○△良知颯太・作間啓太・關谷尚人(山梨大)・赤堀卓也(国立天文台) |
C-8-3 |
単一磁束量子回路の面積削減へ向けた細線受動伝送線路用ビアホールの設計と評価
加島亮太・長岡一起・○田中雅光・山下太郎・藤巻 朗(名大) |
C-8-4 |
SFQ回路における細線PTLのdoglegを利用した配線手法
◎△北村研人・川口隆広・高木直史(京大) |
ミリ波・サブミリ波帯の伝送には導波管立体回路が用いられるのが一般的であるが、近年の電磁界解析ソフトの高精度化や金属加工技術の進展に伴い、複雑な導波管回路が比較的容易に開発されるようになってきた。電波望遠鏡や大気計測装置では、このような導波管回路が検出器よりも前段に配置されるが、500 GHz以上のサブミリ波帯では伝送損失が大きく、その実用化はまだ限定的である。オーミックロス低減のために超伝導導波管を用いることは有効であると考えられるが、先行研究は少なく、その有効性も分かっていない。本研究では、超伝導金属であるニオブを用いて、まずはミリ波帯で導波管を製作・評価し、超伝導導波管の伝送特性について調べた。
国立天文台の赤堀らはUHF(Ultra High Frequency)帯域でFRB(Fast Radio Burst)の直線偏波を観測することで宇宙大規模構造に付随する銀河間物質の銀河間磁場を検出できる可能性を報告した.しかしUHF帯域での電波観測はRFI(Radio Frequency Interference)が多く存在するため連続した広帯域な電波観測は不可能である.そのため,超伝導マルチバンド帯域通過フィルタを用いて,複数のRFIがない帯域を束ねて広帯域観測を行う.しかし,超伝導マルチバンド帯域通過フィルタの外部Q値の設計は各帯域での個別調整が難しいという問題があった.そこで,我々は受信機を設置する予定の国立天文台水沢局周辺のRFIを除去し,各帯域で外部Q値が個別に調整できる高温超伝導クワッドバンド帯域通過フィルタを開発した.
高速動作性と低消費電力性に優れる単一磁束量子(SFQ)回路では、受動伝送線路(PTL)による光速での信号伝搬が可能である。これまでに、PTLの細線化による面積削減を目指し、産業技術研究所のアドバンストプロセスを用いて線路幅3.7μm(特性インピーダンス8.85Ω)のPTLとSFQ回路とのインターフェース回路の開発を行ってきた。本稿では、細線PTL用ビアホールの設計および実験結果に関して報告する。ビアホールは、30μm角の単位セルあたり4本のPTLを通過させられるよう、グランドコンタクトを一部除去した。リングテスト回路の評価では、設計したビアホールによる深刻な信号減衰や多重反射は見られず、回路動作への悪影響はないと考えられる。
セルベース設計による AIST ADP2 プロセスの単一磁束量子 (SFQ) 回路の設計において、現在 PTL(Passive Transmission Line) の細線化により、30μm 四方の単位セルに対し従来の縦横各2本の配線トラックを各4本にすることが検討されている。以前、高スループットを実現するSFQ回路に対しPTLの細線化の検討をふまえ、配線長マッチングを考慮した自動配線の手法を提案した。本稿ではこの手法に対しdoglegを利用しより配線密度を高めた配線を行う手法を提案する。今回の提案手法により、以前提案した手法と比較し回路の配線領域を三割ほど削減することができた。
休 憩(10:45 再開) 座長 竹内尚輝(横浜国大)
C-8-5 |
SFQ伝搬回路のインタラクティブ可視化
○三浦 昭・松崎恵一・石田貴行(JAXA)・田中雅光(名大)・井上弘士(九大) |
C-8-6 |
半磁束量子回路の回路パラメータ最適化
◎種村匠真・田中雅光・山下太郎・藤巻 朗(名大) |
C-8-7 |
Josephson-CMOSハイブリッドメモリの出力電流検出におけるタイミングマージンの調査
◎弘中祐樹・吉川信行(横浜国大) |
C-8-8 |
正規表現対応SFQパターンマッチング回路のための状態遷移ユニットの設計
○鈴木琢也・吉川信行・秋月一真・山梨祐希(横浜国大) |
単一磁束量子(SFQ)回路を用いた集積回路は,従来主流となっているCMOS由来の集積回路とは動作原理が異なり,一般に向けてその挙動を説明することは必ずしも容易ではない.本稿においては,近年隆盛となっているWebブラウザの3Dレンダリング機能とSFQ回路を表現する機械モデルのひとつである振り子モデルとの組み合わせによるSFQ回路のインタラクティブな可視化手法について述べる.本稿の可視化手法はSFQ伝搬回路を対象としており,事前計算データの可視化の他,リアルタイム計算による可視化も可能である.振り子モデルの可視化には,WebGLに基づいた3D CGライブラリを用いており,パラメータ表示・設定のためのGUIも備えている.
我々は、単一磁束量子(SFQ)回路のジョセフソン接合を、π接合を含むSQUIDで置き換えることにより、より低電力で動作する半磁束量子(HFQ)回路の研究を行っている。本研究では、HFQ回路の特性を考慮した回路パラメータの最適化手法を検討し、プログラムによる実装を行った。開発した最適化プログラムを用いてHFQ回路によるDフリップフロップ(DFF)とその周辺の回路パラメータを最適化した結果、クリティカルマージンは改善し、十分な余裕を確保できるパラメータを探索できた。
Josephson-CMOSハイブリッドメモリの読み出し動作におけるタイミングマージン改善のため、実験ならびにシミュレーションにおいて詳細にタイミングマージンの調査を行った。実験結果からはCMOSメモリ出力電流が、電流センサのしきい値電流をまたぐ程度に大きい振幅変化を伴う、周期1 ns程度の周波数成分での振動を起こしていることが推察された。この振動はCMOSチップとSFQチップ間の相互接続におけるLC成分によると考えられ、特に4.2 K下におけるp基板のフリーズアウトによるCMOSメモリ出力ビットライン配線のインダクタンスの上昇が強く影響している可能性が指摘される。
本研究では、単一磁束量子(SFQ)回路を用いた正規表現対応パターンマッチング回路の設計を行っている。SFQ回路は、現在主流として使われているCMOS回路と比較して三桁程度消費電力が低く、数十GHzで動作することが特長である。この高速性と低消費電力性を用いて、高速なパターンマッチング回路を実現することが目的である。正規表現対応パターンマッチング回路は、データのマッチングを行うSMU (Symbol Matching Unit)と、状態遷移を司るSTU (State Transition Unit)で構成される。今回は、高速でパルスの伝播が可能なPTLを用いて効率的にSTUを設計した結果を動作周波数の観点から考察した。
3月16日 13:30〜16:00 Meeting 12 座長 田中雅光(名大)
C-8-9 |
断熱量子磁束パラメトロン回路における長距離信号伝送の安定化と動作実証
◎水島直哉・竹内尚輝・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
C-8-10 |
駆動力を強化したAQFP Majorityゲートの性能評価
○小宮 航・竹内尚輝・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
C-8-11 |
Delay-line clockingを用いた断熱量子磁束パラメトロン8-bit加算器の動作実証
◎山栄大樹・竹内尚輝・吉川信行(横浜国大) |
C-8-12 |
断熱量子磁束パラメトロン回路における5入力多数決論理ゲートを用いた8-bit Kogge-Stone 加算器の設計と評価
◎齋藤理彩子・田中智之・Christopher Ayala・吉川信行(横浜国大) |
C-8-13 |
断熱量子磁束パラメトロン回路を用いた乗算器の設計
○高木翔平・L.Ayala Christopher・吉川信行(横浜国大) |
断熱量子磁束パラメトロン (AQFP) 回路は低消費電力性に優れた超伝導論理回路である。AQFP 回路の問題点として、ゲート間配線長の制限が挙げられる。AQFP回路は長距離配線に伴って動作が不安定になる性質があり、その要因の一つはゲート間における反射波の影響である。これまでに配線の入力とグランドにまたがる抵抗Rparを挿入することで動作の安定化を図り、シミュレーションにおいて効果を確認した。これにより、f = 5 GHzにおける最大配線長を従来の約0.6 mmから4.0 mmまで拡大した。今回はRparを挿入した回路を作製し、実験による動作確認及びビット誤り率 (BER) の測定を行った。動作周波数5GHz、配線長4 mmのとき、Rparを挿入しない場合は正常動作が得られず出力結果がランダムであったのに対し、5オームのRparを挿入することでBER=7.56×10^-5で正常動作が得られた。
この研究では、断熱量子磁束パラメトロン(AQFP)集積回路において多用される3入力AQFP Majority (Majority)の配線の制限緩和に向けた、新たなMajorityの設計とその性能評価を行っている。Majorityは入力側の3つのbufferから出力された電流が結合部で合流し、多数決の原理によって出力電流の向きを決定するAQFP論理ゲートである。Majorityは、入力論理が(1,0,1)等の全て同じ入力論理でない場合に出力電流量が小さくなり、熱雑音の影響を受け、出力側許容配線長が制限される課題がある。そこで我々は駆動力を強化したMajority を設計し、その性能評価を行った。従来型のMajorityの出力側許容配線長は0.150 mmであったが、駆動力を強化したMajorityの出力側許容配線長は1.745 mmとなり、駆動力が約11.6倍に増加することがわかった。
断熱量子磁束パラメトロン(AQFP)は断熱スイッチにより、低消費エネルギーで動作可能な超伝導回路である。これまでに低レイテンシなDelay-line clockingが提案され、AQFP論理ゲートの動作実証やゲート数の削減方法の提案がされた。今回はより複雑なAQFP回路において、Delay-line clockingを用いることでゲート数を削減し、高周波で動作できることを示すために8-bit加算器の設計と動作実証を行った。設計した8-bit加算器の接合数は1028であり、従来の場合の70%に削減された。測定において、動作周波数4 GHzで正常動作していることを確認した。
我々はCMOS回路に代わる新たな超伝導集積回路として断熱量子磁束パラメトロン (AQFP)回路の研究を行っている。AQFP回路を用いた乗算器の設計には高速な加算器が不可欠であり、桁上げ保存加算器や並列プレフィクス加算器の一つであるKogge-Stone 加算器 (KSA)を用いることによりそれを実現した。また、さらに高速な演算を行うため5入力多数決論理ゲートを導入し、桁上げプレフィックス木 (CPT)での遅延を減少できた。以上で提案したMaj-5ゲートを使用した8-bit KSAを実際に試作したところ、低周波100 KHzでの正常な動作を確認することが出来た。
近年の情報通信社会では、半導体集積回路が必須となっている。そこで提案されているデバイスとして断熱量子磁束パラメトロン(AQFP)回路がある。しかし、AQFP回路は演算回路の研究が十分になされてない。そこで乗算器に着目し、2つのアルゴリズムを用いてAQFP回路を用いた乗算器の設計を行った。一つ目はArray型乗算器、二つ目にWallace tree型乗算器がある。そして8bit乗算器の各乗算アルゴリズムに対する性能の比較を行った結果、Wallace tree 型乗算器ではフェーズ数を38フェーズで設計でき、出力遅延をArray型乗算器よりも5.5周期削減することができた。
休 憩(15:00 再開) 座長 水柿義直(電通大)
C-8-14 |
単一磁束量子回路に基づくゲートレベルパイプライン浮動小数点演算器の動作実証
○長岡一起・加島亮太・田中雅光(名大)・川上哲志・谷本輝夫(九大)・山下太郎(名大)・井上弘士(九大)・藤巻 朗(名大) |
C-8-15 |
外部電流による再構成が可能な単一磁束量子FPGAの設計
◎久保田悠聖・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
C-8-16 |
周波数同期化現象を用いた超伝導乱数生成器の動作点自己調整
◎長谷川大夢・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
C-8-17 |
ジョセフソン発振を利用したSFQ真性乱数生成器におけるバイナリ乱数生成割合のバイアス電源電圧依存性の低減化
○小野美 武(福岡工大) |
ゲートレベルパイプラインを用いてスループットを最大化した単一磁束量子回路に基づく浮動小数点加算器と乗算器の実証を行った。演算器を構成する要素回路間の通信箇所での周波数の低化を防ぐためにパイプラインステージ毎に信号の到着のタイミングを揃えるという設計指針をとった。最高動作周波数は乗算器と加算器でそれぞれ63 GHz、56 GHzであり、スループットは63 GFLOPS、56 GFLOPSに達する。
単一磁束量子(SFQ: single-flux-quantum)回路は超伝導回路の一つであり,CMOS回路と比較して低消費電力であり高速で動作する.我々はSFQ回路の現場でプログラム可能なゲートアレイ(FPGA: field programable gate array)について研究を行っている.SFQ回路のFPGAを構成する回路は必要な信号線が多く,それによる回路面積の増大が問題である.そこで本研究ではFPGAを構成する回路の機能を外部電流によって制御することで,信号線を削減し,回路面積を削減することを検討した.
乱数は諸分野で広く利用されている。理論的に予測が可能である擬似乱数に対し、自然現象を乱数源とし予測することが不可能な乱数を物理乱数という。我々は超伝導回路を用いた物理乱数生成器を開発してきた。超伝導乱数生成器(Superconductive Random Number Generator : SRNG)は単純に並列化した場合、全てのSRNGに個別の外部電流入力が必要であり、多数の並列化が困難である。本研究では、単一の外部制御電流入力でSRNGを並列化することで乱数生成レートを向上させることを目的とし、周波数同期化現象を利用してSRNGの動作点を自己調整する回路の設計及びシミュレーションを行った。乱数列の相関の乱数生成速度依存性を評価し、乱数最大生成速度は約 35 Gbps であることを確認した。
超伝導SFQ回路を利用したジョセフソン発振ベースのハードウェア真性乱数生成器について、バイナリ乱数生成割合のバイアス依存性をほぼ無くすことが可能な構成による、改良した乱数生成器の構成を提案する。従来の乱数生成器のトリガー信号が任意の時間に入力されることに対し、改善された回路ではバッファ回路でタイミング調整を行うことで、乱数生成器のクロック信号間の一定のタイミングで入力される。数値解析結果によると、バイアス電源の変化に対してもほぼ50%近傍の乱数生成割合が得られており、本提案による改善が確認される。
C-9. 電子ディスプレイ
3月15日 13:00〜13:30 Meeting 40 座長 志賀智一(電通大)
C-9-1 |
ネマティック液晶電気対流パターンを利用したスペックルノイズの低減
福田枝里子(九産大)・○穐本光弘(山口東理大) |
C-9-2 |
フッ素エンド水素結合性混合ネマチック液晶の物性値評価
◎簡 丹・嵯峨幹太・菅 幸哉・山口留美子(秋田大) |
可動イオンを有するネマチック液晶からなる薄膜型液晶デバイスにあらわれる液晶電気流体力学的対流パターンを微調整することにより,レーザースペックルノイズの大幅な低減が得られることを実証した結果を報告する.液晶配向欠陥パターンは,制御パラメータとしてデバイスに印加される電圧の振幅と周波数を変更することにより変化させることができる.液晶配向欠陥パターンの画像間相関などの特徴量をレーザースペックルノイズの低減率および平均輝度低下率と比較し,どのような欠陥パターンがレーザースペックルノイズの低減に最も効果的であるかを検証する.
安息香酸及びシクロヘキサンカルボン酸等のカルボキシ基を有する水素結合性液晶は,近年 THz帯,ミリ波帯での応用が提案されている。しかし,電圧印加による応用に必要な,誘電率,弾性定数,屈折率などの基礎物性値はほとんど明らかになっていない。本研究では,フッ素系安息香酸に着目し,室温でネマチック相を有する水素結合性液晶混合物としての基礎物性値を明らかにした。
C-10. 電子デバイス
3月16日 9:30〜11:45 Meeting 19 座長 藤代博記(東京理科大)
C-10-1 |
アバランシェ増倍発生条件下における信号電流対暗電流ショットノイズ比の計算解析
○新井俊希・難波正和(NHK) |
C-10-2 |
GaN HENTの低周波Yパラメータ特性におけるバッファトラップと表面トラップの異なる特性に対するメカニズム解析
◎大塚友絢・山口裕太郎・津留正臣(三菱電機)・大石敏之(佐賀大) |
C-10-3 |
二重共振回路を用いるF級CMOS発振器の設計法
○池田和瞭・吉田 毅・天川修平・藤島 実(広島大) |
C-10-4 |
⊿Σ変調器を組み込んだFM変調器の提案
○濵口浩規・結城直彦(ファイ・マイクロテック) |
8Kカメラの高感度化を目指して、電荷増倍型光電変換膜を積層した固体撮像デバイスの研究を進めている。電荷増倍作用を有する光電変換膜を積層した構造の撮像デバイスでは、撮像デバイスの出力の信号対ノイズ比を改善するためには、アバランシェ増倍発生条件下における膜の信号対ノイズ比を向上させることが効果的である。今回、光電変換・電荷増倍層の不純物濃度を変更した場合に、アバランシェ増倍発生条件下において、信号電流対暗電流ショットノイズ比を指標として計算解析を行った。その結果、不純物濃度を低くした方が、信号電流対暗電流ショットノイズ比が向上することが明らかになった。
GaN HENTの低周波Yパラメータ特性におけるバッファトラップと表面トラップの異なる特性に対するメカニズム解析について報告する。トラップ等価回路を考慮したGaN HEMTの等価回路を用いて、トラップが低周波Yパラメータ特性に与える影響について解析した。解析の結果、低周波Yパラメータ特性におけるトラップにより生成されるピークは、トラップによる電流変化と電圧の関係により表されることを確認した。さらに、等価回路の解析を元に測定結果のピークと比較しバッファトラップと表面トラップと電圧の関係性を確認した。
F級発振器では,発振波形を発振周波数の3次高調波成分によって歪ませ,疑似的な矩形波に整形することで位相雑音特性を改善させる.F級発振器は3次高調波においても発振条件を満たすためにタンク回路の構成が主に二重共振回路型とトランス型が存在する.しかし,いずれのF級発振器もトランジスタを理想電流源と仮定してタンク回路にインピーダンスのピークを基本波と3次高調波で持つようにして設計している.タンク回路が二重共振回路の場合発振条件が二周波数で満たすことになるが,高周波ではトランジスタの端子間にもつ寄生成分などによって,タンク回路の共振周波数と発振周波数の差が生まれる.そこで本研究では,反復パラメータを用いてバルクハウゼンの発振条件を基本波と3次高調波で満たす回路を構成することでF級発振器を設計する方法を提案する.
VCOで変調したFM信号に対して、フィードバックパスにF/V変換器を配置した回路構成にすることにより,VCOの線形性を改善する報告がなされた[1].
本報告は高精度なFM変調器の構成を提示することを目的とし,VCOによるFM変調器にノイズシェーピング特性を持つ⊿Σ変調器を組みあわせた⊿ΣFM変調器の構成について解析を行い,より急峻なノイズシェーピング特性を得ることが可能であることを示す.
休 憩(10:45 再開) 座長 小谷淳二(富士通研)
C-10-5 |
SOI CMOSプロセスを用いた26 GHz - 63 GHz増幅器
○矢吹俊介・スミス 力紀・吉田 毅・天川修平・藤島 実(広島大) |
C-10-6 |
Printed Spiral Inductorを用いた扉の開閉角度測定と遠隔からの開閉検出
○小林 駿・山内将行・田中 武(広島工大) |
C-10-7 |
マルチセンサシステムを用いた果実の熟度測定に関する基礎検討
○干 鐘淇(芝浦工大) |
C-10-8 |
水晶振動子ガスセンサの応答波形の解析と予測
◎滝口文也・齋藤敦史(芝浦工大) |
300GHz帯CMOS受信機では,トランジスタのユニティゲイン周波数が300GHz程度であるため,初段に増幅器を用いないミキサーファーストの構成とする必要がある.また,雑音指数の改善のためヘテロダイン方式を採用し,テラヘルツ帯での受信を可能にする.この方式において必要となる,40GHz程度にわたって高い利得をもつ増幅器を設計し評価する.広帯域・高利得・低消費電力のために,多段増幅器の構成を用いて各段のピークを帯域内に分散させる手法が考えられ,ユニラテラルな増幅段によって各段を独立して設計し,そのデシベルゲインを足し合わせる手法を用いる.また,SOIプロセスを用いて高周波性能の向上や低消費電力を図るとともに,損失の低減やパラメータ調整の簡略化のために素子数を減らして設計を行う.
近年,セキュリティの向上がより一層求められるようになってきているが,既存の建屋においては改善が難しいことも多い。また,介護などでも状態確認の自動化が求められつつあると思われるが,簡便な画像を用いた状態確認では,プライバシーなどの問題もあり難しい場合も多いと考えられる。そこで我々は,単価が安く隙間があれば設置できる,以前から開発を行っていたプリンテッド・スパイラル・インダクタ(PSI)を用いた交角計測システムを利用し,扉の開閉の検出を行う。また、停電時でもネットワークに接続し情報が遠隔でとれることを意識しArduinoで計測を行い,Sigfoxでデータサーバに計測結果を送る遠隔に対応した遠隔検出システムを提案する。
農産物の管理,育成過程のモニタリングは今後不可欠な技術であり、センサシステムの応用が期待されている。その中、人間による管理が困難な果実生産は,就労者の高齢化,後継者不足の影響を受けている。この問題に対して、センサシステムを用いた生産支援技術の開発が必要である。本研究では、果実の成熟と深い関係あるの色、大きさの変化、および果実から放出されるガスの変化に注目し,カラーセンサ、距離センサ、ガスセンサによる生育モニタリングに向けたマルチセンサシステムを構築し、果実の熟度測定に関する基礎検討を行った結果について述べる。
水晶振動子ガスセンサは、センサ表面へのガスの吸着現象を利用したセンサである。こうしたガスセンサを用いたガス測定では、チャンバ内にセンサを収めて測定することがあるが、測定チャンバ内のガス濃度が定常に至るのが遅いため、センサ応答も遅いことが知られている。そこで本研究では測定システムをモデル化し、センサ応答を時定数応答解析することで、早期に応答を予測することを試みた。実際に測定データに対して応答の解析と予測を行い、応答の過渡状態から定常応答値を予測することが可能であった。
C-12. 集積回路
3月15日 13:00〜16:45 Meeting 23 座長 齊藤 健(日大)
C-12-1 |
2つのしきい値電圧の差を用いた高精度基準電圧回路
◎青木泰誠・吉澤浩和(埼玉工大)・宇都宮文靖・須藤 稔(エイブリック) |
C-12-2 |
0.5V 以下で動作する基準電流源回路についての検討
◎△井上直樹・吉澤浩和(埼玉工大) |
C-12-3 |
可変デシメーションとA/D変換器のミスマッチ補正を有する直接RFサンプリング受信機
◎仲松佑花・木原祟雄(阪工大) |
C-12-4 |
回路シミュレーションによるPLL相互干渉モデルの妥当性検証
◎駒林龍二・多羅尾翔太・吉村 勉(阪工大) |
C-12-5 |
電磁カップリングによるインジェクションロックPLLの検討
◎信貴政行・吉村 勉(阪工大) |
C-12-6 |
A Divide-by-18 Injection Locked Frequency Divider based on Harmonic Rejection
○△Zhiyang Gong・Sangyeop Lee・Noboru Ishihara・Hiroyuki Ito(Tokyo Tech) |
C-12-7 |
信号伝送路の通過位相変動を抑圧する基準信号同期回路のVCDLミスマッチ抑制の検討
○池田 翔・堤 恒次(三菱電機) |
基準電圧回路はアナログ回路において重要な役割を果たす回路である。基準電圧回路の温度依存性を低減するにあたっては,バンドギャップ・レファレンス (BGR) 回路が広く知られている。BGR回路ではPTAT回路とCTAT回路の出力の加算によって温度依存性の低減を図る。本研究では2種類のしきい値電圧から作成した2つの基準電圧回路の出力の差を用いた基準電圧回路に曲率補正を加えることを試みた。
基準電流源回路は基準電圧源回路とともにアナログ回路において重要な役割を果たす回路である. 近年は回路の低電圧化が進み,基準電圧源回路では太陽電池1セル分の0.5 V以下で動作する回路が多数報告されている一方,基準電流源回路では 0.5 V以下で動作する回路に関する報告はごくわずかである.本研究ではNormal VTHのNMOSトランジスタとzero VTHのnative NMOSトランジスタを用いた基準電流源回路で低電圧基準電流源回路の検討を行ったので報告する。
直接RFサンプリング受信機の消費電力を低減し、無線端末用のトランシーバーICに適用することで、ICの価格を下げることを目指している。時間インターリーブA/D 変換器は、複数のADCを用いてデジタル信号に変換できるが、ADC間のミスマッチによりエイリアシング信号が発生し、受信された変調波のEVMを劣化させる。さらに、従来の受信機では受信後の出力データレートが一定となり変調波の帯域幅が変動する通信規格に対応していない。
本研究では、可変デシメーション(データの間引き)により受信機の出力データレートを変える。さらに、その出力からエイリアス信号を低減する方法を示す。
2つの位相同期回路(PLL)の相互干渉の振舞いは微分方程式により表すことができる。この微分方程式は2つのPLLの出力周波数が等しいとき、線形モデルを適用することができる。得られた線形モデルより、PLLの動作安定条件を導くと、干渉ノイズの強度、タイミング、PLLの帯域に依存することが分かっている。本研究では、これをSPICE回路シミュレーションにより検証した。シミュレーションの結果から、2.5GHz 4段リングVCOにおいて、印加ノイズの強度やタイミングによって、PLLの安定性が変化することが確認でき、相互干渉モデルの妥当性を示した。また、ノイズを印加する際、対称なノイズ印加よりも非対称なノイズ印加の方が、感度が大きいことを示した。
PLLの広帯域化を行う上でインジェクションロック技術が用いられる。インジェクションロックはPLLの発振器に直接インジェクション電流を注入する方法が主流であるが、その別の手段として発振器のインダクタへ電磁カップリングにより電流を注入する手法を提案する。またそれによって発生するスプリアスについてもMSSFを採用することによって低減を行う。本稿ではPLLの帯域向上として電磁カップリングインジェクションのロックレンジを回路シミュレーションによって確認し、また共振による注入効率向上が可能であることを確認した。さらに今回10GHz動作32逓倍PLLを0.18um CMOSプロセスで設計し、MSSFおよび電磁カップリングインジェクションを導入した時のスプリアスも確認した。
This paper proposes an effective ILFD based on the harmonic rejection mixer to widen the lock range for a higher frequency division ratio. The structure is based on a 9-stage ring VCO and the harmonic rejection mixer can enhance the 9th harmonic while suppressing adjacent harmonics including 7th and 11th. Therefore, the down-converted inject signal would have a greater harmonic power to pull and lock the original 9th harmonic so that divde-by-18 can be realized. The lock range is from 7.92GHz to 8.34GHz, reaches 0.42GHz (5.18%) when the free-running oscillation frequency is about 0.45GHz and the input power is 3dBm.
複数の送受信機を同期させる場合,一つの基準信号源から各送受信機にケーブルなどの伝送路を介して基準信号を分配する[1].しかし,振動等により伝送路の通過位相が変動すると送受信機に入力される基準信号に位相変動が生じ,各送受信機の位相同期が得られなくなる.そこで我々は伝送路の通過位相変動を抑圧する反射位相比較型基準信号同期回路[2]の技術開発を行っている.[2]では双方向移相器を用いているが,IC上に小面積でかつ高移相可変幅を持つ双方向移相器を実現するのは困難である.そこで,単方向の電圧制御遅延線(VCDL)二つを用いた遅延同期ループ(DLL)[3]をベースの構成とした.しかし,移相器(遅延器)が双方向一つから単方向二つへと変化したことで,VCDL間の特性ミスマッチによる伝送路の通過位相変動の抑圧量が劣化するという課題が生じた.本稿では本課題を解決する構成の検討結果を報告する.
[1] K. Kawakami et al., IEEE. Trans. on MTT, vol. 61, no.8,
pp.3052-3059, Aug. 2013.
[2] 森田他,2019年信学ソサイエティ大会,C-2-85
[3] C.Y.Yang, et al., IEEE JSSC vol.36, no.2, p.266-272, Feb. 2001
休 憩(15:00 再開) 座長 田中智之(ルネサスエレクトロニクス)
C-12-8 |
プリエンファシス・パルスによるNANDフラッシュ・ビット線アクセス高速化
◎近藤淳之介・丹沢 徹(静岡大) |
C-12-9 |
伝送線路切替え型差動サーキュレータにおけるジャイレータの設計
◎折笠晃也・工藤千碩・前多 正(芝浦工大) |
C-12-10 |
伝送線路で接続された光通信用トランスインピーダンスアンプの入力インピーダンスが波形に与える影響
○土谷 亮・井上敏之(滋賀県立大)・高橋康宏・伊藤大輔(岐阜大)・岸根桂路(滋賀県立大)・中村 誠(岐阜大) |
C-12-11 |
三結合インダクタによって生じる結合係数の設計範囲拡大を目的とした構造の検討
◎浅岡知哉・土谷 亮・土田知史・岸根桂路・井上敏之(滋賀県立大) |
C-12-12 |
リング発振ICのγ線照射影響の回路モデル化
○木村有佐・黒木海斗・吉田僚一郎・平川顕二・岩瀬正幸・小笠原宗博・依田 孝・石原 昇・伊藤浩之(東工大) |
C-12-13 |
CMOS集積回路におけるリーク電流へのγ線照射の影響
○黒木海斗・木村有佐・吉田僚一郎・平川顕二・岩瀬正幸・小笠原宗博・依田 孝・石原 昇・伊藤浩之(東工大) |
C-12-14 |
65 nm プロセスによる C-element を用いた耐ソフトエラーフリップフロップ
◎伊藤貴史・古田 潤・小林和淑(京都工繊大) |
伝送線路遅延を削減するためパルス印加初期に一時的にターゲット電圧より高い電圧を印加するプリエンファシス(PE)・パルスを用いる技術が知られている。PEパルスをNANDフラッシュのワード線(WL)に適用して電圧遅延が短縮できることが知られている。本研究ではビット線(BL)パスにPEパルスを適用し、これがセンス電流遅延に効果があるか調べた。結果はBLパスにもPEパルスは有効でありPEパルスなしの場合と比べ、電流遅延時間は約43%短縮できることがわかった。一方、最小遅延時間を与えるPEパルス幅(Tpre)は電圧が0.6μsの幅があるのに比べ、電流は0.2μsしかなく許容幅が狭い。電圧遅延はBLのRCを介すためTpreの感度が低いが、電流遅延はRCを介さないためである。
2系統の1/4波長伝送線路とジャイレータを用いたCMOSサーキュレータは、ハンドリングパワーが大きく魅力的である。今回、ジャイレータ内部の伝送線路をLattice-π型の集中定数回路で小型実装する設計方法に関して検討した結果を報告する。
本稿では光受信器に用いられるトランスインピーダンスアンプについて,フォトディテクタとの接続が伝送線路とみなせるようになった際,トランスインピーダンスアンプの入力インピーダンスが波形に与える影響を評価する.反射によってトランスインピーダンスアンプに入力される電圧波形は劣化しアイ開口が小さくなるため,入力インピーダンスを考慮した設計が必要であることを示した.
トランスインピーダンスアンプ(TIA)では, インダクタを搭載して高速化を図るインダクティブピーキングがよく用いられる。しかし, 複数のインダクタを搭載する と高速化と引き換えに面積の増加が問題となる。これを改善するために結合インダクタの適用が提案されている。そこで今回は, インダクタを3つ結合した三結合インダクタの構造を検討した。特に、結合した際に生じる 全ての結合係数の組み合わせ(+++), (++-), (+--), (---)を可能とする構造を実証したので報告する。
宇宙,原子力・核融合施設等の放射線照射環境では半導体の故障や誤動作が問題となる.これは放射線によってMOSFETの特性を劣化させるTID(Total Ionizing Dose)効果が原因となっており,我々はこの影響を受け難いCMOS集積回路の構成法,設計法の検討を進めている.
本研究では,CMOS集積回路の動作に対するγ線照射影響を明確化するため,0.18µmCMOSプロセスで試作したリング発振ICの放射線照射実験の結果をもとに,TID効果による影響の変化を回路シミュレーションモデル化した.
その結果,N型MOSFETの閾値電圧変化とオフ電流変化を回路シミュレーションモデルで表現する事により,TID効果によるリング発振ICの特性への影響を表現可能である事を確認し,耐放射線回路設計への指針を得た.
宇宙,原子力施設等の放射線照射環境下では半導体の故障や誤動作が問題となる.このため我々は耐放射線性に優れる CMOS集積回路の構成法,設計法の研究を進めている.
本研究では,素子間に形成されている酸化膜へのγ線照射の影響とその抑制手法を明確化するため,0.18 μm CMOSプロセスで試作したインバータに対しγ線照射を行った.
その結果,環状ゲート型MOSFET(ELT)ではドレインとソース間に流れるリーク電流は抑圧できるが,素子間の素子分離酸化膜領域にリーク電流が発生することがわかった.しかし,PMOSとNMOS間にガードリングを挿入することで,そのリーク電流を抑制できることを確認し,集積回路の耐放射線化設計への見通しを得た.
近年,トランジスタの微細化に伴い,ソフトエラーによる信頼性の低下が問題となっている.ソフトエラーとはトランジスタ内に放射線が突入することで発生する一次故障であり,宇宙機などの高い信頼性を要するものでは対策が必須となる.我々の提案した BCDMRFF は放射線によって保持値が反転した場合,値が修復されないため,長時間クロック信号を停止させた状態でのソフトエラー耐性が低下する.
本稿では C-element を用いて反転した値を修復する構造を施した Flip-Flop (FF) を提案する.加えて,65 nm プロセスで回路シミュレーションにより性能の評価を行う.
3月16日 9:00〜11:30 Meeting 23 座長 古田 潤(京都工繊大)
C-12-15 |
10MHz動作 24V入力 5-20V出力 2相GaN DC-DC降圧コンバータに向けた制御回路の設計と評価
◎金井素弘・牧 竜矢・松田寛史・谷村恭兵・滝 英俊・宮地幸祐(信州大) |
C-12-16 |
5.7GHz RF非接触給電に向けた内部電力供給モードを備えた12V SIDO昇降圧DC-DCコンバータ
◎樋口智大・鈴木 大・石田 涼・一色保明(信州大)・荒井和輝・鬼塚浩平(東芝)・宮地幸祐(信州大) |
C-12-17 |
RF非接触給電向け受電DC-DCコンバータにおける定電流-定電圧充電回路の設計と評価
◎市川響平・樋口智大・鈴木 大・石田 涼・一色保明・宮地幸祐(信州大) |
C-12-18 |
補助整流回路をバイアス生成に用いた高効率差動整流回路
◎渡辺準樹・小谷光司・小宮山崇夫・長南安紀・山口博之(秋田県立大) |
C-12-19 |
サブスレッショルド動作CMOS Latch型RF-DC昇圧回路のモデリング
◎小坪稜麻・丹沢 徹(静岡大) |
近年、ラップトップやスマートフォンなどの携帯電子機器の性能向上に伴い、USB-Power Delivery (USB-PD)のような数Wから100Wの電力変換需要が高まっている。本稿では、USB-PD規格である5~20Vの広範囲な出力電圧に対応した、10MHz動作、24V入力2相GaN DC-DC降圧コンバータおよび制御回路を提案する。提案制御回路はGaN FETドライバーと統合され、単一ICチップで実装される。設計したコンバータは24Vから5Vへの変換で84.4%、 12Vへの変換で91.3%、20Vへの変換で95.4%の最大効率をそれぞれ達成した。
本研究は5.7GHz RFを用いたファクトリーオートメーションに向けた12V SIDO昇降圧DC-DCコンバータの設計を行った。大きな課題は給電対象との距離によって受電機が受け取る電力が大きく変動する点と、送電機1つに対して受電機複数を時分割によって行うため非給電期間が存在する点である。これらに対応するDC-DCコンバータを設計した結果、DC-DCコンバータ単体での最高効率はVDDL=1.5V, VBAT=4.2V, VOC=9.6Vにおいて84.5%となり、整流回路とDC-DCコンバータを接続した場合の受電機最高効率はPIN=19dBm, VBAT=3.6V において35.9%となった。
近年、センサー類や機器への電源配線が増加し、それに伴うコストや実装面積の増加などが大きな問題となっており、そのため非接触による給電技術が注目されている。本研究はRF(Radio Frequency)による給電を想定した受電側回路の設計である。受電側回路はDC-DCコンバータと整流回路から構成され、そこからLi-ionバッテリーへの給電を行う。充電器は効率と速度を重視する定電流制御による充電方式と、過充電や過電流を防止する定電圧制御によるものを組み合わせる手法が一般的であり、本提案回路はその機能を搭載したDC-DCコンバータである。オシロスコープより得た実測結果から、定電流-定電圧制御が切り替わり、それぞれの制御が正常に動作していることが確認できた。
環境電波発電は,受信した高周波信号を整流回路を用いて直流電力に変換することにより行われる。しかしながら,環境電波発電で受信可能な電力レベルは極めて小さいため,微小入力電力領域で高い電力変換効率(PCE)の整流回路を実現することが重要である。そこで本研究では,MOSFETのしきい値補償のための直流バイアス電圧を補助的な整流回路(サブ整流回路)で生成する,新たな整流回路の概念を提案するとともに,それを適用したサブ整流回路アシスト差動整流回路についてシミュレーションで検討する。シミュレーションの結果,直流ゲートバイアス経路にサブ整流回路を挿入することで,直流バイアス電圧が増加し,低入力電力領域でのPCEが向上した。
近年IoTデバイスへの電力供給手段としてマイクロ波による無線電力伝送技術が注目されている. 低入力電力でも高い直流電圧を発生させるためにRF-DCチャージポンプ(CP)回路が使用される. Ultra low power diodeを用いたCP(ULP-CP)とCMOS latch型CP(CL-CP)において, 動作周波数, 段数, 1段あたりの静電容量を同一にしたマイクロワット出力電力の回路を設計し, それらの出力抵抗を測定したところ, ULP-CPに比べCL-CPが約3倍高いことがわかった. そこで本研究ではCL-CPの回路モデルを提案し, SPICE結果と比較した. 定量的には改善すべき余地はあるものの, 提案モデルはCL-CPの出力抵抗がULP-CPに比べて非常に低くなることを定性的に示すことができた.
休 憩(10:30 再開) 座長 高梨孝一(ローム)
C-12-20 |
熱電発電のバッテリー充電機能を内蔵したDC/DCコンバータのモデリング
◎田辺駿介・酒本陽介・丹沢 徹(静岡大) |
C-12-21 |
スイッチト・キャパシタ・コンバータ特性の電源インピーダンスの影響:静電発電用電力変換回路の最適設計に向けて
◎出村洋介・丹沢 徹(静岡大) |
C-12-22 |
自励発振器を利用した昇圧回路のレギュレータ設計
◎琴屋陽平・野村達也・丹沢 徹(静岡大) |
C-12-23 |
ブースト・コンバータの昇圧高速化限界の追求
◎金山湧司・丹沢 徹(静岡大) |
近年注目されている電力変換システムとしてエネルギーハーベスティング(EH)技術があり、この変換電力でICを駆動する研究が行われている。しかし、EHは環境から微小なエネルギーを得るものであり、環境依存性が高いことから供給電力が不安定という問題点がある。
筆者らはこの問題点を解決するために、EHにバッテリー(BAT)を直列に繋ぎ、DC/DCコンバータを用いて供給電力を安定させる電力変換回路システムを提案している。本研究では、提案回路のコンバータの変換効率η、BATの消費電力抑制による長寿命化(BLE)をモデル計算
し、SPICEシミュレーション結果と比較を行った。ηとBLEはそれぞれ誤差率3~8%、13~18%で一致し、回路の最適設計に適用できることを示した。
環境エネルギーを電力に変換する技術であるエネルギーハーベスティングに振動静電発電がある。この発電素子は出力インピーダンスが100k~10MΩと非常に高い。本研究では静電発電用電力変換回路の最適設計に向けて、直流電源の出力抵抗が高い場合のSCコンバータの最適設計方法を提案した。例えば、開放片側振幅10V, 出力抵抗100kΩ, 出力電圧1Vの条件で出力電流を100uAとする場合、提案最適化フローによって回路面積最小のSC回路はスイッチング周波数1.37[MHz], 2段, 静電容量は31.64[pF]とすれば良いことを導いた。
近年IoTセンサの需要が増加しており、保守コスト削減のためバッテリーフリー化が必要である。我々は先に、エネルギーハーベスタを入力電源とした自励発振器を用いた昇圧回路を提案した。本研究ではシャント(S)型とフィードバック(F)型のレギュレータを設計して入力電圧0.5V、出力電圧1.0Vの条件で比較検討した。帰還を用いて入力を制御するため、入力電流はF型がS型の半分程度であった。面積はデカップリングコンデンサの分、0.8%だけS型の方が小さかった。最大出力電流は入力電流と同様の原因により、S型が1mAで、F型の約3倍となった。以上からハーベスタの消費電力を不問にすれば、最大出力と面積からS型が優れていることがわかった。
近年データセンターではハードディスクに代わり、より高速アクセスで低消費電力のSSD(Solid-State Drive)への置き換えが進んでいる。SSDの書込みや消去にはワード線容量負荷を高電圧まで充電する必要があるが供給される電源は低電圧であるため昇圧回路が用いられる。本研究ではスイッチング・コンバータで書き込みや消去時の容量負荷への高電圧充電を高速化する4つの制御方法(方式Ⅰ:定格電流付近で動作,Ⅱ:出力電流最大となるインダクタ電流で動作,Ⅲ:デューティ比を固定,Ⅳ:インダクタ電流が定格電流と0Aを往復するように動作)のモデル計算を行い比較検討した。モデル計算により負荷容量と定格電流が与えられたときに最速方法の選択が可能になった。
3月17日 13:00〜14:30 Meeting 23 座長 小林大祐(NTT)
C-12-24 |
信号光の識別に向けた画素内復号機能を有するToFイメージセンサの設計
○渡辺 直・池田 誠(東大) |
C-12-25 |
A Canceling Circuit of Temperature Variation and Individual Difference for Photoplethysmography (PPG) based Motion Sensor
○JINMING YE・Zhengyang Qian・Bang Du・Yaogan Liang・Kohei Nakamura・Hisashi Kino・Takafumi Fukushima(Tohoku Univ.)・Koji Kiyoyama(Nagasaki Institute of Applied Science)・Tetsu Tanaka(Tohoku Univ.) |
C-12-26 |
物体検出機能を有する低消費電力人工網膜チップの開発
○中村皓平・銭 正阳・梁 耀淦・杜 邦・叶 津銘・王 勝瑋・有賀優太・井上文太・木野久志・福島誉史(東北大)・清山浩司(長崎総合科学大)・田中 徹(東北大) |
C-12-27 |
光パルス検出用IC"LIDARX"のダイナミックレンジ評価実験
◎青沼祐介(東海大)・水野貴秀(JAXA)・千秋博紀(千葉工大)・梅谷和弘(岡山大)・名倉 徹(福岡大)・小西晃央(岡山大)・田中 真(東海大) |
C-12-28 |
画像認識の精度向上に向けたバイナリ畳み込みニューラルネットワーク用逆方向関数
○茨城亮太朗・高宮 真(東大) |
C-12-29 |
Design of a High-Throughput Accumulator using Single Flux Quantum Circuit
◎Zongyuan Li・Yuki Yamanashi・Nobuyuki Yoshikawa(Yokohama National Univ.) |
Time-of-Flight (ToF)の運用上の課題に多ユーザ干渉や意図的な攻撃がある。
これに対し, 本研究では画素内復号機能を有するToFシステムを提案する。
これは符号変調した信号光から符号を復号する機能であり、信号光の識別を目的とする。
データ通信速度の観点から各機能が画素内で動作することが望ましいため、
本研究ではパルス周波数変調器(PFM)を用いた画素内での測距・復号の手法を考え、回路の設計を行った。
また設計したチップを用いた測定により、ある信号光・背景光の条件下でビットエラーレート(BER)1%未満での復号が可能であることを確認した。
光電脈波モーションセンサの温度変動と個人差の影響をキャンセルする回路を提案した。この回路は4ステップで入力信号の最大値と最小値を検出する機能を備え、最大値と最小値を検出した後、これらの値を使用して光電脈波モーションセンサの温度変動と個人差をキャンセルすることができる。0.35-μmテクノロジで回路を作成し、シミュレーションを行った。シミュレーションの結果から、5Hzのオフセット電流2μAで振幅1μAの入力電流に対して、回路の検出した最大値と最小値がそれぞれ2%と3%の誤差で入力値と一致していることが確認できた。
視覚再建のための人工視覚に関する研究が世界中で行われている.人工網膜チップは生体に直接接触するデバイスであるため,消費電力が高いと網膜細胞が熱によるダメージを受けることが報告されており,さらなる低消費電力化が求められている.
我々は,関心のある物体に対応する網膜細胞だけを電流刺激することで,動作画素数を減らして低消費電力化を実現する「Object detection of interest and stimulation (ODIS)機能」を備えた新しい人工網膜の研究を行っている.ODISでは関心のある物体に関する刺激信号のみを出力し,背景などの関心がない情報に関する刺激信号は出力しない.本論文では,ODISのコンセプトと10×10画素アレイ回路の研究結果を紹介する.
火星衛星探査計画MMXに搭載されるレーザ高度計(LIDAR)にJAXA宇宙科学研究所が誘導航法や科学観測を目標として独自に開発した光パ ルス検出IC“LIDARX”が搭載予定である.本報告では,LIDARXに対して,光入力レベル60[dB]の広いダイナミックレンジで評価を行うためのシステム構築及び実験方法について述べ,その取得データの評価とその結果について報告を行う.
ディープラーニングの重みと活性化関数の出力をバイナリ化するBinary Neural Networks (BNN)が提案されている[1]。省電力のためにBNNの推論を行う180nm CMOSプロセスで実装された回路がある[2]。この回路のアーキテクチャはLenet-5を用いており、学習済みの重みの値が必要となる。[1]で提案されている逆方向関数にStraight-through estimator(STE)を用いて学習済みの重みを計算し、その値を用いると最大正答率は91.03%となる。最大正答率を向上させる手段として、[3]では逆方向関数を、ApproxSign関数の導関数にする手法が提案されている。しかし、今回[2]で提案されているアーキテクチャでMNIST判定をApproxSign関数の導関数を逆方向関数に用いて計算した場合の最大正答率は91.80%となり、最大正答率は0.77%しか向上していない。そこで本論文では、この回路の最大正答率を向上させるため、Sign関数に対する逆方向関数を提案し、最大正答率が向上したことを示す。
we designed a new-type accumulator. It can complete the sum operation of an array at more than 150 GHz and perform the sum operation of multiple arrays at a frequency of more than 50 GHz.
C-13. 有機エレクトロニクス
3月18日 10:45〜11:45 Meeting 14 座長 嘉治寿彦(東京農工大)
C-13-1 |
トライボエレクトロニクスのためのポリイミドLB膜の作製と摩擦発電の電流測定系の構築
○田口 大・間中孝彰・岩本光正(東工大) |
C-13-2 |
電気光学ポリマーのフリースタンディング積層膜を用いたテラヘルツ波検出
○山田俊樹・梶 貴博・山田千由美・大友 明(NICT)・中西智哉・常守秀幸・藤丸滋樹(帝人) |
C-13-3 |
量子ドットと高分子混合層を発光層とした逆構造QD-LEDの作製
○伊東栄次・山根創成(信州大) |
C-13-4 |
ラボコーターを利用したペロブスカイト膜の作製過程
○森 竜雄・長谷川司拓・濱口竜成・河合あり紗・大川大貴・一野祐亮・清家善之(愛知工業大) |
摩擦発電などの物理的刺激をエネルギー源とする新しい発電源の研究が活発化しています。これらの発電源は、電子回路の電源としての新しい応用はもちろん、電気化学反応など多岐にわたります。わたしたちは、誘電物性の立場から、物理的刺激が誘電分極エネルギーをつくり、電気的仕事を外部負荷に行うシステムとして摩擦発電のモデルを提案しました[1]。そして、その誘電分極のミクロ起源が、電荷の変位と永久双極子の回転のどちらにエネルギーとして蓄えられるのかを明確化する実験手法として、光第2次高調波発生法(optical second-harmonic generation: SHG)が有効であることを、実験で明確化しました[2]。SHG法は光学的手法であるため、膜厚方向の分解能は光の波長で制限されます。そこで、膜厚を4 Åで制御できるポリイミドLB膜を用いて、ナノメートルオーダーの膜厚領域で摩擦発電と誘電分極エネルギーの関係を実験で明確化することとし、研究を進めています。本報告では、ポリイミドLB膜成膜と、摩擦発電の電流測定系の構築について報告します。
本研究では、30~40 pm/V程度のEO係数を持つ4~5µmのPC系EOポリマーフリースタンディング膜を積層し、75µmのPC系EOポリマーフリースタンディング積層膜を作製した。1.56µm帯の小型フェムト秒ファイバーレーザーを用いて、DAST結晶からのTHz波発生を行い、1.56µm帯のプローブ光を使用し、EOサンプリング検出系にEOポリマーフリースタンディング積層膜を用いて、THz電場検出を行った。
有機発光ダイオード(OLED) の高効率化と実用化が進む中で耐久性改善に有利な逆構造OLEDが期待されている。発光材料に有機半導体を用いた場合電子注入障壁の課題が依然大きいことから、本研究では電子注入に有利で色純度に優れるが正孔注入や輸送に課題がある半導体量子ドットと正孔輸送性の高分子とQDの混合膜を発光層とした逆構造のQD-LEDの作製と性能向上について検討を行った。量子ドットの割合や厚さを変えて外部量子効率の改善や動作電圧の低減を行った。
ペロブスカイト太陽電池は研究室ではスピンコートで作製されるが、試料サイズが限られる。ここではinfinityPV社のラボコーターを利用して、ペロブスカイト膜の形成を行った。その作製過程について、紹介して議論する。
C-14. マイクロ波・ミリ波フォトニクス
3月17日 13:00〜16:15 Meeting 11 座長 山口祐也(NICT)
C-14-1 |
2キャリア間のアンド演算を用いたテラヘルツ波通信の通信可能信号強度比の検討
◎矢野拓弥・河合優佑・陳 漢偉・加藤和利(九大) |
C-14-2 |
高感度偏光変調イメージングデバイスによる電界分布計測
◎岡田竜馬・笹川清隆・春田牧人・竹原浩成(奈良先端大)・田代洋行(奈良先端大/九大)・太田 淳(奈良先端大) |
C-14-3 |
LiNbO3導波路によるチューナブルMMIカップラとマイクロ波分配器を一体化した光SSB変調器
◎安森昌太朗・平井杏奈・松本祐一(兵庫県立大)・佐藤孝憲(北大)・河合 正・榎原 晃(兵庫県立大)・菅野敦史・中島慎也(NICT) |
C-14-4 |
電気光学ポリマー導波路と上下配置パッチアンテナを用いた150 GHz帯アンテナ結合型光変調器の試作
○梶 貴博・諸橋 功・富成征弘・山田俊樹・大友 明(NICT) |
C-14-5 |
PVC管壁伝搬マイクロ波導波モードを用いたビデオ映像伝送
野間太桜・大田垣祐衣・○村田博司(三重大)・枚田明彦(千葉工大)・水上雅人(室工大) |
C-14-6 |
PVC管壁に沿って伝搬するマイクロ波を使用したMIMO通信の基礎検討
○枚田明彦(千葉工大)・村田博司(三重大)・水上雅人(室工大) |
Beyond 5G(6G)の実用化に向けた課題の一つが高セキュリティ化である。無線信号は自由空間を伝搬するため、第三者から傍受されるという物理層でのリスクが高い。そこで、我々は二つのテラヘルツ波どうしのアンド演算を用いた高セキュリティ無線システムを考案し、研究を行っている。これまでに300 GHz帯において、提案する無線システムの原理動作を確認している。今回、実用に近い伝送信号として、500 Mbit/sのデータを用い、二つの信号の強度比と受信信号のエラーレートとの関係から、通信可能テラヘルツ波強度比の検討を行った。
本研究では高感度に偏光変調検出を行うことができるイメージセンサを開発し,電気光学効果を持つ電気光学結晶と組み合わせることで,電界分布計測を行った.画素上に偏光子を搭載したイメージセンサは,入射偏光を一括してイメージング可能だが,微弱な偏光変化に対する感度は高くない.提案手法では,偏光イメージセンサの画素上偏光子に加えて一様な偏光子を入射偏光角の非透過方向に重畳し,微弱な偏光変化を高感度に検出する.この偏光イメージセンサと電気光学結晶であるZnTe結晶を用いて,近傍電界イメージングを行った.
高速光変調に用いられるマッハツェンダ型変調器(MZM)では,干渉計の光分配比のずれを補償して変調の消光比を向上させれば,不要側波帯成分の抑圧や波長チャープの低減など,変調性能の向上が期待できる.我々は以前に,多モード干渉(MMI)導波路カップラをLiNbO3導波路を用いて作製し,電気光学効果による光分配比の電圧制御が可能であることを示した.本報告ではMMIカップラにより構成されたMZMに,マイクロ波分配回路と一体化した変調電極を一体化することで,単一入力で動作し,高い側波帯抑圧比を有する光SSB変調器を作製し,評価を行った結果について述べる
光ファイバー無線の技術に基づく無線通信システムにおけるモバイルフロントホールの一部無線区間やリモートアンテナでの無線信号の受信において、無線信号から光信号への変換を行うデバイスが必要である。本研究では、無線信号から光信号への直接変換を行うデバイスの実現を目指し、電気光学ポリマー導波路と上下に配置したパッチアンテナを用いた150 GHz帯アンテナ結合型光変調器を試作した。
我々は,これまでにFRPM管壁に沿って伝搬するマイクロ波導波モードを用いた計測・通信技術の開発を進めてきた.FRPMは,マイクロ波に対する誘電率が空気や通常の土砂よりも高く,誘電損失も小さい.それゆえ,埋設FRPMパイプラインはマイクロ波に対して管壁部をコアとする円筒形導波路となる.この導波路の TE0nモードは,ダイポールアンテナ等を用いて高い結合効率で励振することが容易であり,簡単なシステム構成で地中埋設管路の非破壊診断やパイプラインを利用したデータ伝送が可能であることを実証している.
今回,この技術をPVC管パイプラインに適用して,配管検査用自走ロボットのためのビデオ映像伝送実験を行った.
地下埋設管の点検にロボットの利用が検討されているが,地下埋設管を自走するロボットとの通信が課題である [1].我々は,PVC (Polyvinyl Chloride)管壁に沿って伝搬するマイクロ波導波モードを,配管検査用自走ロボットとの通信のための伝送線路に応用することを検討している.既に,2.4 GHz および 5 GHz 帯電波が PVC 管壁に沿って伝搬可能であることを実証している [2]. 本報告では,PVC管路に沿って伝搬するマイクロ波導波モードを使用したマイクロ波通信への MIMO (Multi-Input Multi-Output) 方式の適用によるチャネル容量の増大の可能性について3次元電磁界シミュレーションにより検討を実施した.
休 憩(14:45 再開) 座長 池田研介(電中研)
C-14-7 |
半導体光増幅器を用いたビート法生成RF信号間の遠隔位相差制御
◎林 駿弥・上原知幸・辻 健一郎(防衛大) |
C-14-8 |
光ビート法による300 GHz波発生における光パルス圧縮を用いた出力の増大 – 10 Gbit/s信号の受信感度改善 −
十市敬太・上村悠太(阪大)・小川恵汰・多田 航・鈴木将之・○戸田裕之(同志社大)・冨士田誠之・永妻忠夫(阪大) |
C-14-9 |
SDM/WDM/SCMを用いた大容量無線信号伝送
○二村真司・田中和樹・石村昇太・西村公佐・猪原 涼・釣谷剛宏・鈴木正敏(KDDI総合研究所) |
C-14-10 |
光サブキャリア信号高強度化によるUTC-PD集積HEMTの光ダブルミキシング変換利得向上
◎中嶋 大・西村和樹・岩月勝美・末光哲也・尾辻泰一・吉田真人・佐藤 昭・葛西恵介(東北大) |
C-14-11 |
フライアイレンズ系利用水中光無線給電の特性の評価と改善
◎多井楢葉・宮本智之(東工大) |
C-14-12 |
小型ドローンの飛行中光無線給電構成の詳細設計
○菊地悠登・宮本智之(東工大) |
周波数の異なる2つの光波を干渉させ、差分周波数に相当する電気信号を生成する光ビート法は、高周波信号を容易に生成・制御できる手法として注目されている。搬送波抑圧変調を使用した光ビート法は高精度な位相制御が要求されるアレーアンテナへの適用が期待できるが、位相ドリフトの抑制が必要である。我々は、この位相ドリフトを低減するために、アンテナ側に設置した半導体光増幅器(SOA)を用いた遠隔位相制御を提案している。本研究では、1台のSOAを用いて反対方向へ位相が制御された2チャネルのビート信号を同時に生成する手法を提案し、制御光の光パワーに応じてチャネル間の位相差を効率的に制御できることを実験的に確認した。
光ビート法による高周波(RF)発生において,光検出器(PD)への平均光パワーが等しい条件で光パルス幅が狭くなると,RF出力が最大6 dB増大する.我々はRF周波数を300 GHzとし,高非線形ファイバ(HNLF)を用いて光パルス圧縮を行った時の出力の増大を実験的に検証してきた.今回,300 GHz帯10 Gbit/s信号の受信感度が4.3dB改善したので報告する.
複数の無線信号を周波数多重してアナログ光伝送する副搬送波多重(SCM)に加え,波長分割多重(WDM)および非結合型のマルチコアファイバによる空間分割多重(SDM)を用いることで,3GPPの5G規格に準拠した380.16 MHz幅の64-QAM OFDM信号を576多重し,伝送速度1.31 Tbit/s(SDM 4コア×WDM 8波×SCM 18チャネル×6bit/s/Hz)を達成したため報告する.
Beyond 5Gネットワークにおいては,光通信と無線通信をシームレスに接続したフルコヒーレント伝送が注目されており,我々は,その実現に必須な光無線キャリアダウンコンバージョン技術として,光電子融合トランジスタである,UTC-PD集積HEMTを用いた光ダブルミキシングの研究を行っている.今回,適切なゲートバイアス条件下でUTC-PD集積HEMTを動作させることにより,光サブキャリア信号の高強度化によってダブルミキシング変換利得が大幅に向上できることが明らかになったので報告する.
水中・海中などの環境は『最後のデジタルデバイド領域』と呼ばれる.理由の1つは機器の電力供給がバッテリーや電線を利用し.連続駆動や行動範囲の制限があるためである.このため水中の無線給電の実現により,新たな応用やサービスなどの創出が期待できる.ただし,電波は吸収損失が大きく,既存無線給電方式の適用は困難である.そこで,損失が比較的小さい青-緑色を利用する光無線給電(OWPT)が唯一の水中の遠隔向け無線給電方式と考えている.これまでにフライアイレンズを利用した数m-数Wクラスに向けた基礎構成の検討を報告した.今回,フライアイレンズ系への光の斜め入射の影響と給電効率の改善手法について検討したので報告する.
本研究は光無線給電(OWPT: Optical Wireless Power Transmission)によるドローンの飛行中無線給電を目標としている.OWPT方式は小型で長距離給電可能,電磁ノイズなしという利点から, ドローンへの給電に最適と考えている.本研究ではドローンの応用拡大に向けて小型ドローン(トイドローン)に着目してきた.これまでにOWPT方式による2 cmほどの連続浮遊確認や,ドローンの認識・追跡手法の基礎検討を行ってきた.今回,トイドローンの効率的動作に向けて,太陽電池の構成法やトイドローンの動作条件の詳細検討を行った. その結果, 光出力15.4 Wを太陽電池に照射したところ2 cmほどの浮遊を確認し,さらに光出力19.7 Wでは10 cmほどまでの浮遊を達成した.
C-15. エレクトロニクスシミュレーション
3月15日 10:30〜11:45 Meeting 37 座長 井口亜希人(室工大)
C-15-1 |
電磁界シミュレーションを用いたブラックボックス解析
◎佐貫颯治・西田大輝・吉村奈那子・木村秀明(中部大) |
C-15-2 |
Physics-Informed Neural Networksを用いた電磁界シミュレーションに関する検討
○藤田和広(埼玉工大) |
C-15-3 |
振動センサと数値シミュレーションによるインフラ状況把握技術
◎津野晃大・加古啓晶・木村秀明(中部大) |
C-15-4 |
AIを用いた2次元物体形状把握技術の研究
◎西田大輝・佐貫颯治・音代 柊・吉村奈那子・木村秀明(中部大) |
C-15-5 |
位相変調による複数WGMレーザの指向性変化に関する検討
○三島拓馬・岸本誠也・大貫進一郎(日大) |
現在,日本においては少子高齢化による技術者不足が社会問題となっており,技術者依存しない自動点検・整備システムの必要性が増している.本稿ではリバースエンジニアリング技術による点検・整備システムを提案する.本システムは完全数値計算をベースとした手法であり,想定される構造, 材料を変数として大規模数値シミュレーションを実施,実データと突合することで,構造, 材料を特定する技術である.提案システム実現に向けた第1 段階として,1 次元FDTD 法と全結合型ニューラルネットワークを利用した数値実験を実施したので報告する.
深層学習の概念を取り入れて偏微分方程式(PDE)を解く手法が近年活発に議論されている.代表的な手法として, 深層ニューラルネットワークをPDEの解の代理モデルとして用いるPhysics-Informed Neural Networks (PINN)が知られている.本研究では,PINNの文献[K. Fujita, IEEE Access ,vol.9, pp. 164017-164025, 2021]で示された正規化法を用いて時間領域の電磁界に対するPINNを構築し,データ駆動シミュレーションを実施したので報告する.
近年,災害時における電柱倒壊被害を原因とする道路封鎖により緊急車両の通行止め等2次災害が大きな問題となっている.本研究では災害時だけでなく通常時の利用を考慮し,センサ情報とシミュレーションを複合した道路インフラ状況把握技術を提案する.本稿では,IoTセンサを用いて計測した交通振動による振動シミュレーションから振動解析および振動応答について評価を行い,振動解析における特徴量抽出について検討および考察を行ったため報告する.
近年、少子高齢化による技術者不足が課題となっている。本稿では、数値シミュレーション技術と人工知能技術を連携したリバースエンジニアリング技術を提案するとともに、本技術を2次元物体形状把握に適用、有効性を確認したので報告する。
Whispering Gallery Mode (WGM)を利用したレーザは,微小領域での低閾値なレーザ発振が可能である.そのため光集積回路におけるオンチップ光源やセンシング等に用いられることが期待されているが,WGMに基づく回転対称な放射指向性により,用途が制限される.そこで,本研究ではWGMレーザの回転対称な放射指向性に変化を与え,指向性の制御を行うことを目的とする.本報告では,複数WGMレーザに与えるポンピング強度変化による位相変調を用いた指向性制御に向けて,放射光の位相及び指向性の変化ついて検討する.
3月15日 13:00〜17:00 Meeting 37 座長 藤田和広(埼玉工大)
C-15-6 |
PO-FILT法による大規模電磁波散乱解析―物理光学近似とFILT法の打切り項数―
○荒瀬健太・岸本誠也・大貫進一郎(日大) |
C-15-7 |
半陰的FDTD法を用いたTE透過型THz導波路偏光子の解析
◎田中宏季・柴山 純・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-15-8 |
電磁界解析における時間-周波数並列計算法の開発および計算分割数の最適化
◎中沢 佑・呉 迪・岸本誠也(日大)・柴山 純・山内潤治(法政大)・大貫進一郎(日大) |
C-15-9 |
θ法に基づく反復クランク・ニコルソンFDTD法
柴山 純・○西尾知将・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-15-10 |
InSb球配列における導波モード共鳴時のパワー評価
◎黒田匠真・柴山 純・山内潤治・中野久松(法政大) |
物理光学近似(PO : Physical Optics)と数値逆ラプラス変換(FILT : Fast Inverse Laplace Transform)を併用したPO-FILT法により大規模電磁波散乱解析を行い,その信頼性を検証する.本報告では,POにおける解析モデルの空間離散間隔と,FILT法における打切り項数の関係性を明らかにし,計算誤差の制御法を提案する.
半陰的FDTD 法を用いてTE透過型THz導波路偏光子を解析する.計算時間及び算出した消光比の周波数特性を陽的FDTD 法を用いた場合と比較する.計算時間を陽的FDTD 法の約51%に短縮しつつ,同等の消光比の周波数特性が得られることを明示する.
我々はこれまで,時間方向に解析を並列化する時間分割並列計算法を陰的LOD-FDTD(Locally One-Dimensional Finite-Difference Time-Domain)法に適用した.本報告では,計算ノード数を増加させた場合の計算時間を短縮するため,時間および周波数方向に計算分割を行った並列手法を提案する.さらにこれらの分割数について,1ノードあたりの計算時間が最小となるよう最適化できることを示し,計算時間と精度の観点から提案手法の検証を行う.
筆者らは数値相対論の分野で広く活用されている反復クランク・ニコルソン(ICN)法をFDTD法に適用しその妥当性を示した.しかし時間刻み幅に対して安定性の問題があった.本稿では計算の安定性の向上が期待できるθ-ICN法をFDTD法に導入する.時間刻み幅に対する安定性が向上することを示す.
InSb球配列における導波モード共鳴時のパワー評価を行う.
導波モード共鳴により生じる透過ディップに着目し,パワー密度分布及びポインティングベクトル分布を示すことで,基板にパワーが集中する様子と基板内で界が伝搬する方向を視覚的に明示する.
休 憩(14:30 再開) 座長 毛塚 敦(電子航法研)
C-15-11 |
8都道府県における熱中症搬送人員数予測
◎高田旭登(名工大)・江川隆輔(東京電機大)・滝沢寛之(東北大)・平田晃正(名工大) |
C-15-12 |
電界解析に基づく個人差による心電波形の変動に関する検討
◎三條聖人・平田晃正(名工大) |
C-15-13 |
表皮内電気刺激による末梢神経の選択的刺激に関する一検討
◎新實優輝・Jose Gomez-Tames・和坂俊昭・平田晃正(名工大) |
C-15-14 |
小脳機能局在を考慮した経頭蓋時間干渉刺激における局所性評価
○田代幸花・Jose Gomez-Tames・平田晃正(名工大) |
C-15-15 |
磁気刺激による高精度脳機能マッピングの検討
◎疋田啓悟・Jose Gomez-Tames・平田晃正(名工大) |
日本国内での熱中症による搬送人員数は増加傾向にあり,各地域でリスク低減に向けた対策が求められている.熱中症による搬送人員数を事前に推定できれば,救急隊編成や普及啓発活動に貢献できる.熱中症は,体内の熱バランスの崩れや,脱水症状が要因となり発症する.本研究グループでは,数値人体モデルを用いた体内温度上昇及び発汗量の解析手法を開発,その解析結果を用いた熱中症搬送人員数予測式を提案してきた.本稿では,気象条件の異なる8都道府県へ予測式を展開,その汎用性について示す.
臨床現場において用いられる12誘導心電図は,胸部6個,四肢3個の電極貼付を行うことで多角的な診断を可能とする.一方,ウェアラブルデバイスは,携帯性と患者の快適性の観点から電極数を減らす必要がある.しかしながら,少ない電極数では,得られる情報量が少なくなり,体格等の個人差や動作による電極のずれが診断に大きな影響を及ぼす.そのため,ウェアラブルデバイスでは,異常波形の検出精度向上のため,電極位置の検討が必要不可欠である.本稿では,数値人体モデルを用いて体格の簡易的な個人差表現を行い,電界解析手法を用いて計算機上で心電位を再現した.さらに,非類似度計算手法を心電波形に適用することで,体格個人差の心電位に及ぼす影響について検討する.
近年,神経科学の研究分野において糖尿病の早期発見などへの応用を見据え,末梢神経(Aδ-fiberやC-fiber)を選択的に刺激することに関心が注がれている.刺激する方法の一つとして,表皮内電気刺激(IES)がある.IESでは皮膚に刺した針電極から,局所的な微弱電流を流すことにより,選択的な刺激を実現する.しかしながら,最適な選択的刺激を行うためには,刺激に対する末梢神経の応答特性を明らかにする必要がある.そこで,本稿では,まず,Aδ-fiberとC-fiberを対象とした連続パルスによる刺激実験を行い痛覚閾値のシナプス特性を計測する.次に,電磁界解析,神経モデル,シナプスモデルを組み合わせたマルチスケールモデルによる解析結果と実験結果を比較することで,シナプスモデルのパラメータフィッティングを行う.最後に,シミュレーションを用いた選択的刺激の一検討を行う.
近年,医療分野において脳組織を非侵襲的かつ局所的に刺激することに関心が高まっている.小脳の解剖学的小領域は異なる機能に寄与しており,深部を含む標的部位を選択的に刺激することにより,状態に応じた機能改善が期待されている.そこで,TI法(時間干渉法)が提案されている.こちらは,頭部に貼付した2組の電極を介して,1 kHz以上のわずかに周波数の異なる交流電流の重ね合わせから脳の特定の部位に包絡変調を発生させるものである.しかし,主にシミュレーションと動物実験で使用されており人体への応用には十分な議論がなされてない.本研究では,小脳を対象としたTI刺激とtACSの比較を行い,小脳を各機能局在に分割し検討することで,各領域における影響の評価を行った.
近年,医療分野において脳組織を非侵襲的かつ局所的に刺激する方法が注目されている.その一つの手法として,TMS(経頭蓋磁気刺激法)が挙げられる.TMSとは,コイルを頭部近傍に配置し,コイルにパルス電流を流した際に発生する磁界の変化により脳内に渦電流を誘導し脳組織を刺激する手法である.近年の計算ドシメトリの発展により,TMSの誘導電場は定量化が可能となり,詳細な脳機能部位の特定が可能である.しかし,手の運動野において複数の指の筋肉に関する脳機能マッピングの研究は少ない.本研究では,TMSによる測定実験を行い,測定実験と同条件での電磁界解析により,グループレベルでの脳機能部位の特定を検討する.
休 憩(16:00 再開) 座長 阪本卓也(京大)
C-15-16 |
接触電流によるインピーダンスの接触面積依存性
◎西川雄登・Jose Gomez-Tames(名工大)・上村佳嗣(宇都宮大)・上原信太郎・大高洋平(藤田医大)・平田晃正(名工大) |
C-15-17 |
複数周波数電波による局所ばく露に対する温度上昇評価
◎三浦乃里佳・小寺紗千子(名工大)・井山隆弘・東山潤司・鈴木恭宜(NTTドコモ)・平田晃正(名工大) |
C-15-18 |
リアル人体頭部モデルを用いた体性感覚反応に対する脳波源の分布推定に関する数値的・実験的評価
◎水谷笙吾・Jose Gomez-Tames・和坂俊昭(名工大)・木田哲夫(発達障害研究所)・平田晃正(名工大) |
C-15-19 |
電磁界解析による電化フロアの適合性評価
◎劉 煥宿・平田晃正(名工大) |
電磁界ばく露により異なる電位ポテンシャルを持つ金属に人体が接触するとき,接触電流が流れ生体影響を引き起こす.ICNIRPガイドラインやIEEE/I帯CES規格では,電流の大きさを指標とした参考レベルが設けられている.しかしながら、中間周波数帯に関する科学的データは少ない.近年では数値解析に基づき,参考レベルと基本制限の関係の確認が行われている.しかし,指先で接触した際,参考レベルの数値が基本制限を超えることが報告されている.これは,生体組織のモデル化が不十分であることに起因すると考えられる.本研究では実験データに基づき,組織の導電率パラメータを検討した.また,提案した導電率を用いて,接触面積の違いによる生体インピーダンスの変化について検討を行った.
電磁界ばく露による生体影響として,周波数100 kHz以下では刺激作用,100 kHz以上では熱作用が支配的となる.2019年,2020年に改訂されたIEEE規格,ICNIRPガイドラインでは熱作用に対する評価指標として,6 GHz以下では局所10g平均SAR(Specific Absorption Rate [W/kg])を,それ以上の周波数帯では,吸収電力密度(APD:Absorbed Power Density [W/m2])が用いられている.近年,普及が拡大している第5世代移動通信システム(5G)では,28 GHz帯が利用される.一方,従来の無線通信では6 GHz以下の周波数帯が利用されており,今後実用化される通信端末においては,安全性評価指標の 異なる周波数帯のアンテナを用いることも想定される.本稿では, 複数周波数アンテナを持つ通信端末からの電波ばく露による人体の温度上昇について評価した.
近年,医療・産業分野において,脳活動から生じる生体信号の有効活用が進んでいる.脳が活動した際,灰白質上で神経物質の受け渡しが行われ,その際に微弱な電流が生じる.この現象を非侵襲的に計測する手法として主にEEGとMEGが挙げられる.EEGはMEGに比べて測定装置が簡便であり広く利用されている反面,空間分解能が低いという問題点がある.これを補う手法として,本稿では医用画像から導電率を直接推定したリアル人体頭部モデルに対して,高速電磁界計算手法であるSPFD法を用い,脳波源推定に必要なリードフィールド行列を構築する.そして,複数人の被験者から得られた実験値に基づく脳波源推定を行い,EEGとMEGを比較して有効性を検討する.
近年,無線電力伝送(WPT)システムが高い利便性の観点から関心を集めている.WPTには磁界方式と電界方式があるが,構造の簡単さなどから電界方式が注目されている.電界結合を用いたWPTシステムの一つに電化フロアがあり,また,走行中の車両への充電なども視野にいれて開発が進められている.WPT技術の進展に伴い,漏洩電磁界の安全性にも関心が寄せられている.IEEE及びICNIRPによる国際ガイドラインによれば,100 kHz以上の周波数では熱作用が支配的である.100 kHz以上の周波数では,基本制限として10gの組織で平均化した比吸収率(SAR),参考レベルとして外部電界強度が防護のための物理量として定められている.そのため, WPTシステムの設計では,局所SARと外部電界の評価が必要となる.本研究では,電化フロアからの漏洩電磁界の適合性について,局所SARと外部電界の両指標を用いて評価する.
3月16日 13:00〜15:30 Meeting 37 座長 岡部 寛(村田製作所)
C-15-20 |
時間領域離散化グリーン関数を用いたFDTD離散時間変換
◎小野裕太郎・柴田随道(東京都市大) |
C-15-21 |
媒質定数と厚みを変数とした粒子群最適化による地下空洞推定
◎中村航希・鄭 博俊・柴田随道(東京都市大) |
C-15-22 |
LSEモードを利用したNRDガイド素子のトポロジー最適設計
◎稗田直哉・井口亜希人・辻 寧英(室工大)・柏 達也(北見工大) |
C-15-23 |
FSS を用いた電波吸収体のトポロジー最適化に関する一検討
◎佐藤裕汰・萓野良樹・上 芳夫・肖 鳳超(電通大)・伊藤桂一(秋田高専) |
近年IoT市場は急速に拡大しており,IoTデバイスの開発設計には,電磁界解析技術が欠かせない.有限差分時間領域(Finite-Difference Time-Domain;FDTD)法は電磁界解析における重要な手法だが,解析を行うために膨大な時間とコンピューター資源が必要不可欠である.筆者らはFDTD法へダイアコプティックスを応用した上で,間引きによる計算量の削減により,解析効率の向上を試みた.
近年,道路下に生じた空洞により道路が陥没する事故が多発している.筆者らは,実際の地中から得られる後方散乱応答と計算モデルから計算される後方散乱応答を比較し,等しくなるように計算モデルの各層の比誘電率を最適化することで地下構造を推定する研究を進めてきた.本稿では,計算モデルの各層の比誘電率に加え,厚みも粒子群最適化により最適化することで地下空洞の推定を試みた.
NRDガイドはその非放射性からミリ波小型回路の構成に有望である.筆者らはこれまで入出力ともにLSMモードを想定したトポロジー最適設計の検討を行ってきた.一方で,曲りや分岐部では入射LSMモードはLSEモードに変換されやすく,広帯域動作する小型素子の設計が難しい場合がある.そのため,本報告では,LSEモード出力を最適化するための定式化を新たに行い,出力をLSEモードとすることでNRD素子の大域特性の最適化が容易になるかを検討する.LSEモードとして出力されたミリ波は曲がり導波路等を利用して最終的にLSMモードに戻すことを想定している.
FSSを用いた電波吸収体は,所望の性能を得るために形状の寸法や配列間隔の調整等を行い,試行錯誤するため設計が困難である.しかしトポロジー最適化を利用することにより,形状そのものを最適化するため設計が簡単化できる.本検討では,既存の形状にとらわれない新たな金属パターン形状を生成することで,電波吸収体の設計を行うことを目的として,FDTD法による電磁界解析と,NGnet(Normalized Gaussian Network)を用いたトポロジー最適化を組み合わせて,FSSを用いた電波吸収体の金属パターン形状最適化を行うことにより,吸収性能と設計した電波吸収体の有用性について検討した.
休 憩(14:15 再開) 座長 岸本誠也(日大)
C-15-24 |
Three.jsによる電磁界シミュレーション図形入力 GUIに関する検討
○草間裕介・斎藤壱樹(東洋大) |
C-15-25 |
1/2波長スロット共振器を用いたチップレスRFIDタグの素子間干渉による共振周波数への影響に関する検討
横田恵一・◎渡邉泰成・須賀良介・橋本 修(青学大) |
C-15-26 |
フォノンボルツマン輸送方程式によるSi微細構造中の温度分布解析
◎△藤田悠摩・鈴木悠平・鎌倉良成(阪工大) |
C-15-27 |
三角格子M-PhCを用いたBPFの効率的設計
○蒋 梁超・陳 春平・范 佳興・穴田哲夫・渡邊騎通・武田重喜(神奈川大) |
C-15-28 |
開口面法とレイトレース法のハイブリッド手法における空隙の条件に関する一検討
◎橋本真輝・須賀良介(青学大)・毛塚 敦(電子航法研)・橋本 修(青学大) |
3 次元電磁界シミュレーションでは,計算条件を入力する際に生じるモデル入力ミスや境界条件設定ミスにより,誤った計算結果が出力されるリスクが避けられない.このリスクを低減するには,モデル入力段階で計算条件を確認検証する図形入力 GUI が必須である.本検討ではウェブブラウザ上で 3 次元オブジェクト描画が可能な Three.js について検討した.そして,3 次元 FDTD 法ソースコードの計算モデル表示と図形確認までの過程について検討した.
工場の自動化やIoT化の推進には,より多くの物へのタグ設置が必要であり,UWB - high帯域(7.25 - 10.25GHz)における小型かつ高 bitの安価なチップレスRFIDタグへの要求が高まっている.たとえばこの帯域内に10bitを実現する場合,隣接する共振周波数の比は高域において3%程度となり,この値より素子間干渉による共振周波数の変化を十分小さくする必要がある.このような背景において,本研究ではタグの小型かつ高bit化に向けて1/2波長スロット共振器で構成した2bit RFIDタグについて,その共振周波数に着目し素子間干渉について検討した.
近年,CMOS集積回路技術を応用した極めて微細な熱電発電素子の開発が進められている.マイクロ~ナノスケールのSiワイヤに加わる温度差を利用しゼーベック効果によるエネルギーハーベスティングを意図したもので,設計には正確な温度分布予測が求められる.特に,想定される系サイズがフォノン平均自由行程と同程度となることから,従来から広く用いられてきたフーリエ則に基づく熱伝導シミュレーションの精度にも注意を払う必要があると考えられる.そこで本研究では,熱伝導に対するより基本的な支配方程式であるフォノン-ボルツマン輸送方程式を解くことで,微細Si熱電素子中の温度分布解析を行った.
近年,5Gアプリケーションの本格的な普及・展開に向けて,キーコンポーネントの性能に対して超小型・低損失および高性能化の電気的仕様を満たす新しい基板集積技術の開発が求められている[1].一方,短ミリ波・テラヘルツ波帯において利用可能な実装技術として,金属/高抵抗シリコンによるフォトニック結晶構造(MPhC/DPhC)は電磁波回路に重要な役割を果たすことが期待される.MPhC共振器/導波路は,低損失PCB上にSIWやマイクロストリップ線路(MSL)と共存が可能である.ここでは,K/Kaバンドにおいて,入力はMSL励振,そしてCPWと三角格子MPhCの変換による結合窓共振器の従属接続形帯域通過フィルタをStep-Tune Method [2]を適用し,結合行列に基づく効率的な設計を試みたので報告する.本手法ではこれまでの構造全体を一度にチューニングする代わりに,フィルタを共振器ごとに分割し,1個の共振器の限られた数の物理的寸法(入出力結合窓Wi, Wi+1,共振器長Li)のみを最適化/チューニングすることにより,効率的な設計を可能にし,且つ信頼性の高い構造パラメータの実現を目指す.
次世代着陸誘導システムGBAS では,地上 に設置された 100MHz 帯における VHF Data Broadcast (VDB) アンテナを用いて GPS の位置誤差の補正情報を 航空機に送信する.この VDB アンテナの最適設置位置 の決定にはレイトレース法による電磁界解析が有効であ るが,波長に対して小さな空伱の存在するモデルにおい ては解析精度が低下する.そこで我々はレイトレー ス解析における建物間の小さな空伱部分に開口面法を適 用するハイブリッド電磁界解析手法を提案している. 提案手法では,放射面での電界分布を建物間入口(アン テナ側)に到達する電界分布としており,建物間を伝搬 する経路分だけ位相を変化させている.本報告では,有 限要素法により高精度に求めた放射界との比較により提 案手法の精度と適用条件を明らかにしたので報告する.
シンポジウムセッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
CS-1. パワーエレクトロニクスシミュレーション技術と応用に関する最新動向
(エレクトロニクスシミュレーション研専)
3月16日 9:20〜11:40 Meeting 37 座長 柴山 純(法政大)
CS-1-1 |
(依頼講演)砂漠太陽光発電ポテンシャルと両面受光型太陽電池の利用
○伊藤雅一(福井大) |
CS-1-2 |
(依頼講演)電力用パワーエレクトロニクス機器のモデリングと解析手法の開発
○菊間俊明(電中研) |
CS-1-3 |
(依頼講演)生活空間IoTのためのワイヤレス給電技術
○柴田随道(東京都市大) |
太陽光発電システムは,豊富な日射と広い土地のある砂漠と相性が良いと考えられる。しかし,送電距離や設置場所,太陽電池モジュール表面への砂の堆積が懸念されている。一方で,砂漠といっても様々あり,砂丘に代表される砂の砂漠だけでなく礫でできた平らな砂漠もあり,都市から近い砂漠もある。また,砂の堆積については,太陽電池モジュールを垂直に設置する方法が考えられるが,発電量が低下する。近年,両面受光型太陽電池が急速に普及し始め,これを用いることで発電量を大きく損ねることなく,砂漠での大規模発電が可能になると考えられる。本発表では,これらの可能性について紹介する。
電力用パワーエレクトロニクス機器の大容量化・高性能化の進展,及び再生可能エネルギーの普及により,電力系統に連系されるパワーエレクトロニクス機器の量が急速に増大しており,その解析ニーズも高まっている。パワーエレクトロニクス機器の導入の際には,瞬時値解析・実効値解析などの各種解析が必要となるため,これらの解析を適切に実施するためにモデルや解析技術の改良が盛んにおこなわれている。電力中央研究所では従来より瞬時値・実効値解析ソフトとしてXTAPとCPATを開発しており,両者を例に,電力用パワーエレクトロニクス機器のモデリングと解析手法を解説する。
全世界でネット接続可能なデバイスの数は増加を続け2022年に350億に達するとされる.こうした環境の変化がSociety 5.0に向けたパラダイムシフトを加速すると期待されている.身の回りに数十~数百のセンサーやデータ処理デバイスが設置され,それらを長期に亘り手間を要せずに運用するために電源の簡易な確保手段は重要な開発項目となる.この課題に対する解決策としてワイヤレス給電技術の活用が有望視されている.本シンポジウム講演では,上記の背景設定のもと磁界結合共鳴型給電技術を採り上げる.我々が提案しているSP-PS構成結合回路について解説し,効率的な給電制御のシステム課題と関連するシミュレーション技術について話題提供する.
休 憩(10:50 再開) 座長 辻 寧英(室工大)
CS-1-4 |
(依頼講演)深層学習を用いた回転機磁気構造のトポロジー最適化技術
◎佐々木秀徳(法政大)・五十嵐 一(北大) |
CS-1-5 |
(依頼講演)磁気回路法に基づく電気機器のヒステリシス解析技術
◎羽根吉紀・中村健二(東北大) |
本講演では回転機磁気構造を対象としたトポロジー最適化の高速化および高精度化に関する研究について述べる.従来は有限要素法などの数値解析により得ていた回転機特性を代理モデルにより高速に推定することで,最適化全体の高速化を目指している.本研究では畳込みニューラルネットワークにより,二次元断面材料分布や磁束密度分布から特徴量を抽出することで,高速かつ高精度に回転機特性を推定可能であることを明らかにした.さらに,トポロジー最適化アルゴリズム内へ学習済みネットワークを適用することで,従来手法に比べ,最適化時間が短縮することを示した.
In recent years, it is strongly required to quantitatively analyze the iron loss taking the magnetic hysteresis behavior into account. This paper introduces the latest research achievements on the hysteresis modeling for electric machines based on the magnetic circuit method. First, a novel magnetic circuit model, which can accurately calculate the minor loop under PMW excitation, is described. Next, this model is extended to a reluctance network analysis (RNA), to analyze a permanent magnet synchronous motor considering the influence of carrier harmonics when driven by a PWM converter.