プログラム
format_list_bulleted基礎・境界ソサイエティ
一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
A-1. 回路とシステム
3月16日 9:00〜11:30 Meeting 10 座長 下田真二(ソニーLSIデザイン)
A-1-1 |
演算リソースの効率的分散運用に向けたFPGA SoCシステム設計
◎寺村優希・山崎 怜・畑野 響・井上敏之・土谷 亮・岸根桂路(滋賀県立大) |
A-1-2 |
複数人対応見守りシステムに向けたFPGA深層学習推論処理におけるハードウェアリソース使用量削減手法
◎△岡本真尚・井上敏之・土谷 亮・岸根桂路(滋賀県立大) |
A-1-3 |
24-GHz帯マイクロ波センサのビームフォーミングに向けたアナログ移相量制御方式の検討
◎井上正隆・井上敏之・土谷 亮・岸根桂路(滋賀県立大) |
A-1-4 |
局部帰還を有する多段RGC-TIA回路の一設計
○高橋康宏・伊藤大輔・中村 誠(岐阜大)・土谷 亮・井上敏之・岸根桂路(滋賀県立大) |
A-1-5 |
広帯域、低雑音TIAの高利得、低消費電力化の検討
◎泉 蓮・佐田京介・山田拓磨・佐藤優杜・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大) |
5G時代の到来により、サーバー空間とフィジカル空間が有機的に融合した、CPS(サーバーフィジカルシステム)実現のため、クラウドコンピューティングからエッジコンピューティングに至るまで、高速・大容量・低遅延伝送の特性が必須となっている。これに対し、状況・用途に応じた演算リソースの使い分けにより、システムの高速化・低遅延特性が実現可能となる。本研究では、最適な演算リソースの分散運用実現を目指し、基礎検討としてCPUとFPGAそれぞれの演算処理特性を比較・検証した。結果として、分散運用の判断基準となる処理時間が演算処理内容に依存することを確認した。
近年,センサネットワークと深層学習を併用した見守りシステムの研究が盛んに行われている.我々は,FPGAに実装した時系列生体データ(心拍等)用のDeep Neural Network(DNN)による,複数人に対応可能なリアルタイム非接触見守りシステムの実現を目指している.本稿では,FPGAの推論処理演算回路において,時系列データの学習に適したDNN の一種であるLong Short Term Memory (LSTM) を使用し,FPGA 実装時にLSTM の演算パラメータのビット数を削減した場合の推論精度への影響を評価した.FPGA リソース使用量低減に寄与するパラメータを特定し,提案手法の有効性を確認したので報告する.
近年,電波(マイクロ波・ミリ波)センサが車載レーダや生体センシング用途で利用されている.電波センサの送受信範囲拡大の手法の一つに,アレーアンテナを用いたビームフォーミング技術がある.アレーアンテナの各アンテナ素子に給電する信号の振幅と移相量によって指向性を制御するため,移相量誤差は指向性に影響を与える.本稿では,ポリフェーズフィルタ(PPF)と可変利得増幅器(VGA)を用いたアナログ移相量制御回路を65-nm CMOSプロセスで設計し,ポストレイアウトシミュレーションにより制御方式の特性評価を行ったので報告する.
Trans-Impedance Amplifier (TIA)は,光通信システムの受信装置に広く用いられており,信号を電流-電圧変換する主要回路である.光受信装置の前段回路であるTIAは,その帯域利得幅が受信回路の速度に大きく寄与しており,一般に伝送速度の0.7--0.8倍程度のカットオフ周波数が求められる.したがって,TIAの高速化は重要な技術課題である.本稿では,以前提案した多重帰還を有するRGC-TIAの帰還回路の一部を局部帰還構成とすることで,従来回路よりも帯域拡張できることを示す.
近年、データセンターの分散化等により、Ethernet光通信の長距離化が進んでいる。一方、光通信装置の低消費電力化も喫緊の課題である。長距離化のために、特に光受信器のフロントエンドであるTIAには高利得・高感度(低雑音)特性が求められる。そこで、広帯域、低雑音TIAの高利得、低消費電力化について検討した。MSTA-TIA回路を基本構成とし、開ループ利得向上効果を利用し高利得が得られる技術、出力雑音低減のためのノイズキャンセリング回路を適用した構成を提案した。提案回路は従来回路と比べて、同じ帯域で10.7 dB高い利得を得られ、アイダイアグラムにおいて振幅を3倍にすることができた。また、消費電力も58%減少させることができた。
休 憩(10:30 再開) 座長 越田俊介(八戸工大)
A-1-6 |
PAM4 光パケット通信用 CTLE の高速制御回路の検討
◎霜田幸長・林 宏太・安藤亘輝・伊藤大輔・中村 誠(岐阜大) |
A-1-7 |
オンチップバイアス Tを用いた光パケット通信用バーストモードドライバ回路
○伊藤大輔・高橋康宏・中村 誠(岐阜大)・井上敏之・土谷 亮・岸根桂路(滋賀県立大) |
A-1-8 |
25-Gb/s出力インピーダンス可変レーザドライバ回路
○井上敏之・土谷 亮・岸根桂路(滋賀県立大)・伊藤大輔・高橋康宏・中村 誠(岐阜大) |
A-1-9 |
PAM4伝送システムへの周波数変調技術適応の検討
◎中塩屋真也・宮部雅也・井上敏之・土谷 亮・岸根桂路(滋賀県立大) |
高速 Ethernet 通信の大容量化のために利用される PAM4 符号は帯域あたりの伝送効率が良いため PON システムをはじめとする光パケット通信にも利用されることが期待されている.一方,光パケット通信では伝送距離により異なる波形劣化量に合わせて受信器内の補償器 (EDC) では高速で補償量を調整する必要がある.本研究では,PAM4 符号対応 EDC に利用される CTLE 回路の高速制御を可能とするフィードフォワード制御回路の詳細設計を行い,動作検証を行った.回路シミュレーションの結果から,高速な制御応答が可能であることが確認された.また,評価回路測定により設計回路の基本動作は確認できたが,制御信号値が最適値から外れてしまう課題が確認された.
車載ネットワークの大容量・低遅延化が喫緊の課題であり,シリコンフォトニクス技術を活用した車載光パケットネットワークが検討されている.信号送受信を扱うゲートウェイ装置では変調,受信,スルー動作を担う光スイッチが搭載されており,ドライバ回路からの入力電圧に応じて3つの動作を実現している.そのため,ドライバ回路には高速変調動作の他に高速バイアス切替動作が必要となる.そこで,光パケット通信用バーストモードドライバ回路を提案する.提案回路は,小面積に集積可能な高抵抗によるバイアス回路とMOS スイッチによる印加電圧切替え可能なバイアス回路で構成されており,回路シミュレーションより,従来回路に対してバイアス切替時の応答時間を90%削減する見通しを得た.
近年,実空間上の大規模データを高速ネットワークで伝送し,サイバー空間で大規模なデータ処理を行うサイバーフィジカルシステム(CPS)が注目を集めており,データセンタ内光通信システムのさらなる高速・大容量化が課題である.光トランシーバとスイッチASICを同一パッケージにまとめたCo-Packaged Optics(CPO)モジュールでは,レーザ(LD)とレーザドライバ(LDD)間はインターポーザを介して配線されるが,多チャンネル化に伴う配線長の増大と,高速伝送による短波長化の影響が無視できないため,インピーダンスマッチングが重要となる.本稿では,外部制御電圧により出力インピーダンスが可変となるLDDを考案し,ポストレイアウトシミュレーションにより25 Gb/s動作を確認したので報告する.
PAM4伝送システムは光通信システムのさらなる高速・大容量化実現への有力な通信方式である.我々はPAM4伝送システムの高機能化に向けて周波数変調されたフレーム信号をPAM4伝送することにより,付加情報を伝送する方式を検討している.本研究では周波数変調されたPAM4信号の復調特性を評価し,回路シミュレーションにより付加情報の復調動作が確認できたので報告する.
3月16日 13:00〜16:45 Meeting 10 座長 佐藤弘樹(ソニーLSIデザイン)
A-1-10 |
二次側LC共振形コンバータの時比率制御について
◎柳本 崇・佐藤輝被(大分大) |
A-1-11 |
共分散行列適応進化戦略を用いたアナログ回路の単一故障診断
◎林 昂佑・市毛弘一(横浜国大) |
A-1-12 |
8-bit Flash A/D Converter向けTwin Rom Encoderの高速化・低消費電力化に関する研究
◎中村 伶・佐々木昌浩(芝浦工大) |
A-1-13 |
変動するケーブルの寄生容量の影響を低減する差動容量-電圧変換回路の検討
◎太田捷斗・小川覚美・佐藤隆英(山梨大) |
小型・高効率・低ノイズを達成したLC電流共振形DC-DCコンバータは種々の電子機器用電源への応用が期待されている.これは回路中のトランスやMOSFETの寄生成分を利用することで,少ない部品点数でソフトスイッチングを達成しているからである.本稿ではオーディオ用の真空管アンプ用の電源回路への応用として入力電圧12Vから200Vへの昇圧形コンバータの製作をおこなう.
通常,LC共振形コンバータで行われる周波数制御では軽負荷領域に対して出力電圧制御が十分に行えない.そこで本稿では時比率制御を提案する.これにより,軽負荷での制御を可能にした.
本稿では,アナログ回路における,共分散行列適応進化戦略を用いた単一故障の推定手法を提案する.アナログ回路における故障診断は,診断モデルが確立されたデジタル回路と異なり,未だ課題が多く存在している.著者らは以前,共分散行列適応進化戦略を用いた故障診断を提案している.この手法では,ある素子の単一故障における特性が、他の素子の多重故障から同様に得られる回路では,局所解に収束してしまう問題があった.そこで,多次元の解空間を単一故障に紐づけることで,解探索の効率化と局所解の回避を目指した.結果,素子値の推定誤差が,最悪で8%であった従来手法に比べ,1%未満へと改善された.
一般的にEncoderは分解能が高くなるにしたがって配線容量やトランジスタのゲート容量が増加することから応答時間,消費電力が増加する傾向にある.一方で,Flash A/D Converterのような高速動作をする回路においては応答速度の速いEncoderが求められる.本研究では1.75GHz動作8-bit Flash A/D Converterに用いるTwin Rom Encoderの高速化・低消費電力化が目的である.配線長を短くし寄生容量とゲート容量を減らすためTwin Rom Encoderをそれぞれ1, 2, 4, 8分割したレイアウトを用いてシミュレーションを実施し,消費電力や応答速度,回路面積を比較した.
現在, 医療や介護の分野で容量型センサの有効活用が期待されており, その一つに内視鏡の先端に取り付けたセンサでの直接的な臓器の触診という応用例がある. しかし回路本体とセンサを繋ぐケーブルによる変動する寄生容量とセンサ容量を区別することができないため, 高い精度での測定が難しい. そこで, 2つのセンサ容量の和が常にほぼ等しいという特徴を持つ差動容量型センサを用いて, 変動するケーブルの寄生容量の影響を低減する差動容量-電圧(C-V)変換回路を提案した. 提案回路のフルスケールに対する最大誤差が0.12 %となり, 従来のC-V変換回路に比べて17倍程度の精度を有していることを, HSPICEシミュレーションによって確認した.
休 憩(14:15 再開) 座長 伊藤 尚(富山高専)
A-1-14 |
ディジタルアクティブゲートドライバの損失低減に向けた回路構成の検討
◎金本公平・高山 創・引原隆士(京大) |
A-1-15 |
パラレルプリフィックスネットワーク適用によるグレイコードバイナリ変換回路高速化検討
◎鈴木弘成・平野 進・小川吉大・小西良明(三菱電機) |
A-1-16 |
圧縮センシングを用いた低消費電力脳波計測フレームワークにおけるサンプリング系列比較
◎岡部勇樹・兼本大輔・廣瀬哲也(阪大) |
A-1-17 |
GNSS信号を用いた高精度・高安定発振器の製作
◎河村拓実・江間結斗・都竹愛一郎(名城大) |
SiC MOSFETは, 電力変換回路の高効率化や集積化の観点から注目されているが, スイッチング時のサージや発振への対処が課題となっている. その課題の解決策の1つとして, ディジタル化された駆動信号を個別に変えることで特性の差異を調整することができるディジタルアクティブゲートドライバ (DAGD) が検討されている. 既存のDAGDは, 電圧の重み付けに抵抗を用いており, 分圧抵抗に電流が流れ続けることで常に電力の消費が生じる.
本報告では, 重み付けされたキャパシタによって分圧を行うDAGDの回路構成を提案し, 抵抗に替えてキャパシタを用いた結果, 分圧時に常時電流が流れることを避け, DAGDの損失が抑制できることを示す.
非同期FIFOや差動符号化コードの回路設計にて用いられるグレイコード、バイナリの変換を行う回路において、グレイコードをバイナリに変換する論理回路であるグレイコードバイナリ変換回路は、グレイコードのビット数分桁上がり計算処理が必要となり、フリップ・フロップ(以降、FF)間の論理回路数が多くなる。これにより近年のLSIの微細化による配線遅延の増加にも伴い、回路全体の動作周波数が低下する傾向にある。上記に対して、加算器にて用いられるパラレルプリフィックスネットワークを適用し、高速かつ回路規模が小さくなるグレイコードバイナリ変換回路を検討、設計し評価を行った。評価の結果、回路規模を同等程度に抑えたまま、約2倍の高速化を確認した。
近年,被験者に不快感を与えにくい無線脳波計測デバイス開発において回路の低消費電力化に関する研究が進められている.その中でも,サンプリング間隔を広げる事で回路の低消費電力化を実現する手法に注目が集まっている.しかし,サンプリング間隔幅における最適なサンプリング系列は解明されておらず,更なる低消費電力実現のためには低消費電力化に適したサンプリング系列を明らかにする必要がある.本研究では,無線送信情報量を削減可能な新たなサンプリング系列を提案し,復元精度と回路の消費電力と関係する情報量について議論を行った.
正確な時刻は、デジタル機器の動機や電子商取引の時刻決定において重要な役割を果たしている。正確な時刻を保つためには正確な周波数を得ることが必要であり、Rb原子発振器などの発振器が用いられる。しかし、Rb原子発振器は短中期の安定度に優れているが、経年変化により出力周波数がずれてしまうため長期の安定度が悪い。
本研究では、精度と長期の安定度に優れたGNSSの1PPS信号に、Rb原子発振器を同期することにより、高安定の改善を図った。Rb原子発振器をGNSSに最適な特性周波数のPLL回路で同期させることにより、平均時間200秒以上で、二標本標準偏差が10の−12乗以上となる高精度かつ高安定な発振器を製作した。
休 憩(15:30 再開) 座長 髙島康裕(北九州市大)
A-1-18 |
巡回的3次元安定マッチング問題に対する発見的アルゴリズム
◎外山 麗・高橋俊彦(新潟大) |
A-1-19 |
積み込み・積み下ろしのある積み付けのための探索手法
◎鈴木大輝・高橋俊彦(新潟大) |
A-1-20 |
FRETを利用したリザバーコンピューティングの小型デバイス実装の検討
◎田中雅文(阪大)・橋本昌宜(京大) |
A-1-21 |
ラウンドアバウトにおける交通解析と交通容量の検証
○太田成信・大屋英稔・星 義克(東京都市大)・佐藤洋介(無し) |
A-1-22 |
無線マイコン型利用者追跡による施設利用状況管理システム
○白鳥祐那・田邉 造(諏訪東京理科大)・秦野克彦(Kiah)・小原隆弘(コイシ)・阿部憲一(Kiah)・原田須恵宏(国東市役所) |
腎移植においては健康な親族からの生体移植も行われているが, 親族同士であっても, ドナーと患者の適合性から臓器提供ができない場合がある. 親族に臓器提供ができないドナーと患者のペアが2組いた場合, ドナーの交換によって両患者への臓器移植を行うのが, ドナー交換腎移植である. 3組で最適なドナー交換を求める問題は, 安定結婚問題の拡張である巡回的3次元安定マッチング問題(Cyclic Three-Dimensional Stable Matching Problem: Cylic3DSM)として定式化される. Cylic3DSMのNP完全性は部分的にしか証明されておらず,安定マッチングを求めるアルゴリズムの研究も数少ない. 本稿ではCylic3DSMに対する発見的アルゴリズムと計算機実験による結果を報告する.
積み付け問題とは与えられた荷物を所定のコンテナの内部に配置する問題である. 本稿では荷物に積み込み, 積み下ろし時刻が与えられているとき,全時刻に渡る荷物の右面のx座標の最大値が最小となる荷物配置のスケジュールを求める問題を扱う.
筆者らは,この積み込み・積み下ろしのある積み付け問題に対して, 各荷物を一旦箱に割り当て, この箱に対して積み付け問題を解くボックス法と呼ばれる手法を提案した.本稿ではこのボックス法アルゴリズムに対し, コンテナ内の荷物の再配置を許すような改良を行い, 元のアルゴリズムとの比較を行った.
我々は量子ドット間のFRET現象を利用したリザバーコンピューティングデバイスの開発を目指している.
本研究ではレンズや遅延線を利用しない小型デバイス実装を検討した.
ストリーム入力のXORタスクをシミュレーションにより実現し,リザバーコンピューティングに必要となる非線形性と記憶が実現できていることを確認した.
我が国では,ラウンドアバウトは諸外国に比べ,なかなか導入されていないのが実状であるが,2014年に初実装されてから2021年3月には全国に126箇所と増加している傾向にある.
日本でのラウンドアバウトについては,実測での研究や流入交通量の検証など,様々な研究が着々とされてきたが,まだ十分な知見があるとは言い難いという現状である.
本稿の目的は,車線数や外径が異なる複数のラウンドアバウトにおいて様々な条件で交通解析を行い,外径や車線数と交通流の関連性を微視的道路交通シミュレータ MITRAM (MIcroscopic model for analying TRAffic jaMs) を用いて検証することである.これにより,RA を導入する際の指標となることが期待される.
本論文は,無線マイコンを搭載するGPSタグを用いたテニスコートの利用者追跡や利用状況を把握する施設利用状況管理システムを提案する.
提案手法は,(Step 0) 無線マイコンを搭載した小型かつ安価な自作GPSタグを用いて,
(Step 1) 利用者の位置情報をリアルタイムに追跡する.
次に,追跡情報を(Step 2) 地図上へ可視化,
および (Step 3) 感染症対策として施設利用中のフィジカルディスタンシングへの
協力依頼を通知する機能を有したシステムである.
提案手法の特徴は,施設の利用状況を (i) リアルタイムに,(ii) 視覚的かつ直感的に
管理・把握可能となるだけでなく, (iii) 利用者とのトラブル対策,人員不足対策,
さらには施設の新型感染症対策にも対応可能なことである.
A-2. 情報理論
3月16日 10:30〜11:45 Meeting 11 座長 柴田 凌(東京理科大)
A-2-1 |
ある種の準巡回符号の因子分解された自己双対符号が反転不変になるための十分条件
○尾白典文・松井 一(豊田工大) |
A-2-2 |
BP-LEDにおける計算量削減について
○小林 竜・新家稔央(東京都市大) |
A-2-3 |
受信成功までの時間に着目したブロードキャスト通信路のARQ方式について
○グエン ヴィエット フン・新家稔央(東京都市大) |
A-2-4 |
ポリトープ表現される不確定多入出力システムに対するロバストPID制御系の構成法
○栖原海斗・早川哲史・長谷川和雅・星 義克・大屋英稔(東京都市大) |
A-2-5 |
むだ時間を含むSwitched Linear Systemに対する点メモリフィードバックによるロバスト安定化
○長谷川和雅・早川哲史・栖原海斗・星 義克・大屋英稔(東京都市大) |
l>1個の巡回節を持つ巡回符号の一般化は準巡回符号と呼ばれる.任意の準巡回符号Cは被約な生成多項式行列Gにより一意的に表される.符号Cが反転不変になることをGを用いて特徴づける条件式が知られており,Cが反転不変になることと自己双対になることを関係づける結果が示されている.本研究では準巡回符号の因子となる符号Cが自己双対になるためのCの生成多項式行列を用いた条件式を与え,l=2の自己双対なCが反転不変になるための十分条件を表す定理を与える.
Bocharovaらは,AWGN通信路におけるLDPC符号の復号法として,Belief-Propagation-List-Erasure-Decording(BP-LED)を提案した. また, 2元消失通信路における復号法において, ガウス消去法ではなく, Hosoya et al. が提案したアルゴリズムがある. 本研究では, AWGN通信路において, 一時推定語における各ビットの信頼度を反映するアルゴリズムを提案する.
ブロードキャスト通信路のARQ方式では、インデックス符号を利用して、再送の効率を高める方式が提案された。これに対し、本研究では、パケットの受信成功までの時間τを考慮したARQ方式を提案し、その有効性について考察する。
本稿では、不確かさを含む線形多入出力システムに対し、近似微分を用いたロバストPID制御系の線形行列不等式(LMI)に基づいた構成法を提案する。
本稿では,不確かさとむだ時間を有する Switched Linear System に対し,点メモリフィードバックによるロバ スト安定化制御系設計法を提案する.
A-4. 超音波
3月15日 10:30〜11:45 Meeting 43 座長 平田慎之介(千葉大)
A-4-1 |
気流中における空中超音波フェーズドアレイを用いた非破壊検査
◎△清水鏡介・大隅 歩・伊藤洋一(日大) |
A-4-2 |
音波に対する魚類の行動特性
○井幡光詞・平野 仁・粟野智治・湯浅美里(三菱電機)・安樂和彦・藤枝 繁(鹿児島大) |
A-4-3 |
線維性組織における熱および牽引の相乗効果の検討
○小池一輝・八木一平・内田 諭(東京都立大) |
A-4-4 |
超音波によって海綿骨で生じる圧電信号の数値シミュレーション-骨梁構造の影響-
◎細川 篤(明石高専) |
A-4-5 |
スピーカーとマイクとの間にある障壁からの回折波の簡易的計算方法
○木村友則・赤間 慶(三菱電機) |
近年,空中における非線形性を積極的に利用した空中超音波フェーズドアレイ(Airborne Ultrasound Phased Array:AUPA)波源走査法により高速で非接触非破壊検査する手法が研究されている.この方法は,点状に集束させた音波の照射位置を電子的に制御できるAUPAを利用して,対象に振動を非接触で励起させる弾性波源の高速走査を実現している.本研究では,この計測手法を橋梁など高い位置での非破壊検査に適用するために,AUPAをドローンに搭載して,被測定物までの距離を自在に制御することを考えている.一方,ドローンの周囲には気流が発生するため,上記の提案手法を実現するには,この気流中でのAUPAを用いた非破壊検査の有用性について検証する必要がある.
本報告では,その基礎検討として気流中におけるAUPAを用いた金属薄板内減肉欠陥の可視化について,非線形音波の高調波成分を含めて検証を行ったので報告する.
近年、日本の水産業では、近海における水産資源の減少、漁業従事者の高齢化や人口減少による生産
性低下等のため、水産物生産量が減少傾向にある。このため、安定的かつ効率的に漁獲が得られ、省人
化できる漁業方法の確立が求められている。そこで、魚類の光や音に反応する走性を利用した養殖方法で
ある海洋牧場に着目し、海洋牧場実現に向け、超音波や音波を用いた魚類誘導技術を検討している。
本報告では、タイ、ブリを対象とした音波に対する行動特性を検討した結果、
スイープ音に対して、タイ、ブリは特徴的な行動を示すことがわかった。
線維化とは, 慢性的な炎症・組織障害・老化などのストレスにより, 軟部組織がⅠ型コラーゲン等の膠原繊維に置き換わって修復不可能になる疾患であり, 先進国における死因の約40%と関連があると言われる[1]. これに対して, 分子標的薬により硬化因子であるコラーゲンの合成を抑える研究が行われているが, 症状の進行を遅らせるに留まる.進行後は, 臓器移植以外に根本的な治療法はない, 未解決の医療問題である[2].我々は, 線維化組織を任意に拡張する治療法として加熱によりコラーゲン線維を熱分解させながら, 牽引方法を提案した. 本報告では, 本温度手法の原理検証として牛アキレス腱に対して, 温水を用いた持続的な加熱・牽引力により機械強度の変化を調べた.
超音波照射による骨折治癒の促進には,骨で生じる圧電信号が関連していると考えられている.しかし,骨の圧電特性は十分に解明されておらず,特に,複雑な骨梁構造を有する海綿骨においては圧電特性の解明は容易ではない.この様な場合に数値シミュレーションは有用であり,実験では手間を要する測定を容易に行うことができる.筆者は,骨中の超音波特性の解明に利用されている弾性FDTD法(時間領域差分法)に圧電方程式を組み込んだ圧電FDTD法によって,超音波帯域における骨の圧電特性に関する数値シミュレーションを行っている.本稿では,圧電FDTD法を利用して骨梁構造が圧電特性に及ぼす影響について検討した結果について報告する.
2つのスピーカーから音波を送信し、受信時間差からマイク位置を特定する音波センシングでは、直接波を用いて位置推定を行う。マイクの前に壁があると直性波は受信できないが、壁からの回折波を受信できれば位置推定は可能である。この場合には、回折波の振幅、受信時間、および伝搬経路を求めておく必要がある。本発表では、伝搬経路推定が可能な時間領域積分法を適用し、スピーカーとマイクとの間にある障壁からの回折波を簡易的に求める計算方法について示す。
A-5. 応用音響
3月18日 9:15〜11:45 Meeting 29 座長 武藤憲司(芝浦工大)
A-5-1 |
ストラディヴァリの構造と音響に関する連成数値解析の取り組み
○横山真男(明星大)・吉田小百合・堀 酉基(文京楽器) |
A-5-2 |
MIDIを用いた鍵盤演奏におけるペダル操作の特徴解析に関する研究
○髙堀まどか・平出蓮太郎・臼杵 潤(神奈川工科大) |
A-5-3 |
デプスカメラとステレオマイクロホンを用いた配管損傷位置の推定に関する検討
◎福島悠生・佐藤峻矢・浅野 太(工学院大) |
A-5-4 |
振動センサを用いた避難者の属性推定における環境適応の検討
◎小佐野誉大・山下 透・浅野 太(工学院大) |
A-5-5 |
深層学習を用いた空中音分類による冬季路面状況の判別
◎森田望夢・本郷 哲(仙台高専) |
本研究ではストラディヴァリに代表されるようなオールド・ヴァイオリンの振動と周辺音場を数値シミュレーションで解析している.これまでにも楽器本体の表板・裏板の振動モードの解析を行ってきた.本発表では,高精度な3DのCTスキャナを用いて,特に名器として名高いストラディヴァリのヴァイオリンをスキャンし,有限要素法による構造と音響の連成数値シミュレーションの結果を示す.
音楽教室に通って鍵盤楽器の演奏を学ぶ際,教室以外での自主的な練習は不可欠である.そして,近年の教室では生徒の生活様式に合わせてオンライン受講が可能なものもあるが,この場合でも個人練習が不可欠なことに変わりはない.このような中,MIDI楽器を用いて演奏練習を支援する研究が進められている.本研究ではこの中で特にペダルの踏み込み練習に着目し,MIDIデータから得るコントロール量の推移からペダルの踏み込みパターンを生成し,演奏表現を分類・解析する手法について検討する.
福島第一原発の事故では,放射線による甚大な被害を受けた.このような災害現場では,人が作業を行うのが困難であり,ロボットを使った遠隔操作が必要になる.ロボットが行う作業の一つとして,配管からガスや液体などが漏れている箇所を発見し,修復することが考えられる.佐藤らは,ステレオマイクロホンをロボットアームに搭載し,アームのスキャン中に音による配管の損傷箇所の二次元方向を推定する手法を提案した[1].本報告では,上述のシステムにデプスカメラを加え,損傷箇所の三次元位置を推定する手法について検討する.
災害時に避難者が建造物内に取り残された場合,年少者の優先的な救助が求められる.山下の研究では,振動センサを用いて収集した歩行振動データから,体重のクラスを推定することにより,避難者が年少者であるか否かを判別する手法を提案した.しかし,実際の建造物内では様々な材質の床が存在し,歩行振動の周波数も異なると考えられる.本研究では,ニューラルネットワークを用いた,異なる材質の床に対する環境適応の手法について検討する.
本研究では、走行時の空中音に着目し、その変化を認識することで冬季の路面状況を判別する手法を提案する。多数の路面状況の走行音をマイクで収録し、得られた音響データに対して深層学習を行い路面状況の判別を行うものである。サンプリング44.1kHz 512点、25%のオーバーラップによりスペクトラムを算出し、これを画像としてCNNの手法を適用した。深層学習のネットワークモデルにXceptionを用い、最適化アルゴリズムAdamにより実施したところ、乾燥、湿潤、シャーベットの状況判別は76%程度であった。路面の走行音サンプル数を増やし、アイスバーンや圧雪についても検討していく予定である。
休 憩(10:45 再開) 座長 浅野 太(工学院大)
A-5-6 |
多様な音空間をつくるための4x4トランスオーラルシステムの開発
○西山 清(岩手大)・豊住洋之(エー・アール・アイ) |
A-5-7 |
直方体の4辺に配置した音源による音場制御の精度評価
○平野 仁・粟野智治・井幡光詞・田中 泰(三菱電機) |
A-5-8 |
仮想音像技術を用いたオンライン会議システムの開発
○中村彬義・澁谷貴志・大野綾子・楫 貴徳・谷沢昭行・高知尾勝彦(東芝デジタルソリューションズ) |
A-5-9 |
船舶検出のためのCRNNを用いた時系列情報学習の有効性の検討
◎庭山耕平・武藤憲司(芝浦工大)・小林洋介(室工大) |
我々の先行研究では、トランスオーラル再生に用いる逆フィルタを求める方法として、未知2入力2出力系の逆システムを高速H∞フィルタを用いて実時間で直接同定する方法を提案している。
本発表では、未知4入力4出力系の直接逆同定法を用いた4x4トランスオーラルシステムの開発について報告する。
複数音源により、音源に囲われた空間に偏在した音圧分布を生成する方式の検討。
本稿では、音源点8点に対して、音圧制御点を27点設定し、所望の音圧分布を生成する処理を行っている。観測点として343点として、音圧制御点以外の点も含めて、所望の音圧分布の再現の精度を評価している。
東芝デジタルソリューションズ株式会社は、音の新たな活用の場を広げることを目指し、人が音を聞くときの「方向感」を任意に創り出すソフトウェア「SoundimensionTM仮想音像」(以下、仮想音像)を製品化した。「聞こえてくる方向」を自由にデザインすることで、音声案内や遠隔会議に、聞きとりやすさや臨場感の効果を与えることが可能になる。本稿では、コロナ禍においても活用が期待される仮想音像を用いたオンライン会議システムを試作したので、その概要と効果及び仮想音像処理の性能評価について報告する。
運河を航行するうるさい船の印象低減に向け,我々は船舶通知システムを開発している.
このシステム実現に向け,映像と環境音から機械学習を用いて船舶検出を行う手法を検討している.船舶検出を行う上で,これまでは学習データの時系列を考慮していなかったが,環境音認識などにおいて時系列を考慮した学習を行うことで精度が向上した例があることから,船舶検出においても時系列を考慮した学習が有効であるか検討した.
本稿ではCNNモデルとCRNNモデルを用いることで時系列を考慮した学習の船舶検出における有効性を比較した.結果から,船舶検出においても時系列を考慮して学習を行うことで認識精度が向上することが示された.
A-6. VLSI設計技術
3月18日 13:00〜15:30 Meeting 40 座長 兼本大輔(阪大)
A-6-1 |
検出系処理機構向けアナログ/デジタル回路協調設計のためのモデルベースデザイン技術
◎生沼 寛・李 ウェン(日立)・和田正司(日立ハイテク) |
A-6-2 |
スマートグラスの熱対策のための電子部品の配置最適化
◎楠美京佑・黒川 敦(弘前大) |
A-6-3 |
FVFを利用したリップル電圧の基本波・高調波成分除去が可能な低消費電力LDO
◎西川晃弘・兼本大輔・三井健司・廣瀬哲也(阪大) |
A-6-4 |
Stochastic Computingのロバスト性を用いた低消費電力化の検討
○小山泰成・小松 聡(東京電機大) |
A-6-5 |
130 nm bulkプロセスによる面積・遅延・電力のオーバーヘッドを抑えた耐ソフトエラーフリップフロップ
◎中島隆一(京都工繊大)・井置一哉(ローム)・古田 潤・小林和淑(京都工繊大) |
医用装置や半導体装置などで用いられる光検出器の信号検出系システム開発では,検出器の特性ばらつきに伴うアナログ/デジタル回路のパラメータ調整や開発手戻りによる開発長期化が課題である.本報告では,開発早期段階でアナログ/デジタル回路を含む検出系システム全体での事前検証することで,開発効率を向上するモデルベースデザイン技術について示す.検出器出力信号を励起確率モデルとして,増幅率,過渡応答を反映可能にし,出力信号波高値の統計値(平均,分散)が実測データと5%以下の精度となるモデルを構築した.本モデルにより,装置条件に合わせた信号でシステム全体でのアナログ/デジタル回路の協調設計が可能となる.
スマートウォッチに代表されるようにウェアラブルデバイスの需要は増加している。その1つであるスマートグラスはVR/MR/ARの実現などに利用され、多くの電子部品が装備される。現在、スマートグラスの熱回路網モデルが提案されているものの、スマートグラスの熱対策を目的として集積回路のような発熱部品を含む電子部品の配置を最適化する技術は未だ報告されていない。本論文では、最も温度を抑制しなければならない直接長時間肌に触れる部分と、手でよく振れる部分の温度を最小化するために、多目的最適アルゴリズムを用いた配置最適化方法を提案する。
本研究では,ウェアラブル脳波測定装置向けにPSRR特性を改善した低消費電力LDOを提案した.提案したLDOは低消費電力なFVF補助アンプを2つ搭載することでリップル電圧の基本波と高調波の帯域のPSRRを改善し,効果的にリップル電圧を抑制することが可能である.また,提案LDOを180 nm CMOSプロセスを用いて設計し,1 kHzのリップル電圧を想定したシミュレーションを行った.同程度の消費電力の従来型LDOに比べ,基本波の1 kHz付近で約16 dB,第3高調波の3 kHz付近で約5 dB のPSRRの向上を確認した.提案LDOの全静止電流は781 nAであり,2つのFVF補助アンプの全静止電流は329 nAであった.本研究により,提案するLDOはウェアラブルデバイスのバッテリーサイズと動作時間のトレードオフに対する解決策となりうることが確認できた.
Stochastic Computingは近似計算法の1 つで,数値を確率的に表現し演算する手法である.SCは精度とレイテンシのトレードオフが可能であり,通常の2進演算回路と比較して演算回路の面積を削減可能である点や,2進数の代わりに1の存在確率によって数値を表現することでロバスト性が得られるなどの利点が示されている.本研究ではSC のメリットであるロバスト性を用いて,CMOS 回路を低電圧で動作をさせることによる低消費電力化を提案した.SNGに対して低電圧電源を適用しタイミングエラーを許容することで定格動作よりも消費エネルギーを削減できることを示した.
集積回路のソフトエラー対策として高純度材料(低α線樹脂等)の使用が挙げられる.しかし,高純度材料を比較的安価なマイコン等の製品に使用するのは困難であるため,回路に対して性能のオーバーヘッドが小さいソフトエラー対策を施す必要がある.
本稿では,面積,遅延,電力のオーバーヘッドを抑えた耐ソフトエラーフリップフロップを提案し,α線源を用いた加速試験によりソフトエラー耐性を実測評価する.PMOSトランジスタのゲート幅の拡大,配線とトランジスタの追加により,面積,遅延,電力のオーバーヘッドを10%程度に抑えて,ソフトエラー耐性が100倍以上向上した.
休 憩(14:30 再開) 座長 小平行秀(会津大)
A-6-6 |
汎用高位合成系を用いたバイナリ合成におけるレジスタジャンプの効率的な実装
◎岸本 匠・石浦菜岐佐・中道 凌(関西学院大) |
A-6-7 |
2値化ニューラルネットワークにおける並列ポップカウンタの効率的FPGA実装
○谷川貴弘・石浦菜岐佐・迫 真太郎(関西学院大) |
A-6-8 |
RTOS利用システムのフルハードウェア化におけるタスク通知の実装
○三上 啓・石浦菜岐佐(関西学院大) |
A-6-9 |
メモリスタ素子の統計的モデルパラメータ抽出に関する検討
○新谷悠太(奈良高専)・新谷道広(奈良先端大)・山口賢一・岩田大志(奈良高専)・井上美智子(奈良先端大) |
バイナリ合成は機械語プログラムからレジスタ転送レベルのハードウェア設計を自動生成する技術であり, 一部または全部がアセンブリやインラインアセンブリで書かれたプログラムからもハードウェア合成が可能である. 中道らは汎用高位合成系を利用したバイナリ合成の容易な実装手法を提案しているが, レジスタジャンプ命令で回路規模やサイクル数が増大するという課題があった. 本稿では, これを解決するレジスタジャンプ命令の効率的な実装法を提案する.
2値化ニューラルネットワーク (BNN)は, ニューロンの入出力と重みを2値に制限したものであり, コンパクトなハードウェア実装を可能にする. BNNのニューロンにおけるポップカウンタを組合せ回路で実装する方法としては全加算器 (3-2 reducer) によるWallace木の構成が考えられるが, FPGA実装では必ずしもLUTの入力数を活かしきれない. 本稿では, reducerの入力を大きくすることにより並列ポップカウンタのLUT数を削減する手法を提案する.
RTOS を用いたシステムの応答性能を向上させる手法として, RTOS が提供する機能とタスク/ハンドラの全てをハードウェア化する手法が提案されている. 本稿では, 従来手法のハードウェア構成においてタスク間の軽量な同期・通信機能であるタスク通知の実装を行う.
抵抗変化メモリであるメモリスタを用いた積和演算回路は,電力制約の強いAIエッジコンピュータとして期待されているが,メモリスタは製造ばらつきが大きく高集積化が困難である.従来,シリコン集積回路設計の統計的回路シミュレーションでは,素子特性モデルのパラメータ分布を取得する統計的モデルパラメータ抽出が行われている.本稿では,Backward propagation of variance法を用いたメモリスタ向けの統計的パラメータ抽出手法を提案する.既存のメモリスタSPICEモデルを用いたモンテカルロSPICEシミュレーションの評価により,代表的な3個のパラメータの分布を精度良く抽出できた.
A-7. 情報セキュリティ
3月18日 9:00〜10:45 Meeting 10 座長 矢内直人(阪大)
A-7-1 |
Doc2Vecを用いた組織内ネットワークに対するサイバー攻撃の検知
○村井 亨・青木茂樹・宮本貴朗(阪府大) |
A-7-2 |
Pairing-friendly曲線群のペアリングに向けたハードウェア設計手法の最適化
◎池田健人・池田 誠(東大) |
A-7-3 |
モデル抽出攻撃に対して決定木構造漏洩がもたらす危険性評価
◎稲毛康太(阪大)・橋本昌宜(京大) |
A-7-4 |
運用性を考慮したIoT機器の完全性確認手法
○篠原正紀・瀧口浩義・山中友貴・永井智大・中嶋良彰(NTT) |
A-7-5 |
信頼性の高い位置情報獲得のための偽装データの検出
○佐藤俊雄・文 鄭(早大)・竹内 健(ジャパンデータコム)・爲末和彦・勝山 裕・佐古和恵・甲藤二郎・佐藤拓朗(早大) |
A-7-6 |
自動車セキュリティの導入用教育教材の開発
◎松下綾香・遠山 毅・小熊 寿(トヨタ) |
A-7-7 |
カードベース3入力ANDプロトコルの比較
○吉田拓叶・千田栄幸(一関高専)・水木敬明(東北大) |
近年のサイバー攻撃は日々変化しており,異常通信を予め定義する必要があるシグネチャ型IDSでは,ゼロデイ攻撃などを検知できない.そこで,正常通信のみを学習し,ゼロデイ攻撃を検知出来るアノマリ型IDSが注目されている.本研究では,TCP通信の特徴抽出にDoc2Vecを適用するアノマリ型IDSを提案する.まず,TCP通信のパケットをセッションごとに分割し,セッション内のパケットのヘッダから特徴量を単語として抽出して文書を構成する.そして,構成した文書にDoc2Vecを適用してセッションの特徴を表すベクトルを抽出する.抽出したベクトルをOne-Class SVMで学習し,異常通信を検知する.実験では,MWSデータセット2018,2019 を用いて有効性を確認した.
ペアリングのハードウェア設計は、その計算量の多さとアルゴリズムの煩雑さから設計コストが大きく、更なる最適化が求められる。そこで、本研究ではスケジューリングによるデータパス設計の最適化を行い、自作のソフトウェア実装および得られたデータパスを変換して論理合成可能なRTLを作成するような設計手法を考案した。この設計手法をPairing-friendly曲線として広く使われているBLS12曲線やBN曲線上のパラメータ群に対して適用し、その結果得られるハードウェア実装の性能を評価、比較する。
近年,入力やモデルの情報が漏れないよう暗号化したまま機械学習の推論ができる秘匿推論を,決定木に適用する議論が盛んである.一方,秘匿推論に対して機械学習モデルを盗むモデル抽出攻撃も提案されている.攻撃に対して,先行研究では決定木構造の保護を重視しているが,その情報漏洩による安全性への影響を明確に示していない.本研究では,決定木構造が漏洩している場合に有効な攻撃手法を考え,決定木構造情報の有無に対し,攻撃に必要な推論回数がどう変化するか確かめた.必要推論回数が57%から81%減少し,決定木構造を秘匿する重要性を定量的に示した.
セキュアエレメントなどの物理的な信頼の基点を持たない機器(IoT機器等)を対象として、運用性を考慮した完全性確認手法を提案する。ファームウェアファイルと機器のメモリデータとの比較に基づいて完全性を確認する手法であり、同種の既存手法に対して、ファームウェア配布や機器設定などの負荷を軽減すると共に、内部メモリに可変部分を持つ機器も完全性確認の対象とできるようにしている。
位置情報の取得および利用について,測定精度が注目されている一方,データの信頼性・信用性も問題となっている.例えば,ドローンの運用では全球測位衛星システム(GNSS)では,スプーフィングやミーコニングなど位置情報の偽装による妨害が問題となっている.本研究では,偽装データに対する検出を行うことにより,信頼性を高い位置情報を獲得する手法について検討を行う.
近年、流通している自動車の高機能化に伴い、多くのセキュリティ上の問題が指摘されている。そのため我々は、過去に自動車セキュリティの研究・学習を行う環境として自動車向けのポータブルなセキュリティテストベッドである PASTA (Portable Automotive Security Testbed with Adaptability)を開発し公開した。PASTAは仕様がオープンであり、また、実車両で用いている技術をもとにしているため、研究や教育のプラットフォームとして活用できる。PASTAを活用した学習教材を開発することで、所有者は実戦的なセキュリティ技術を学ぶことができる。本稿では、自動車セキュリティを学ぼうとする学生や技術者、研究者に向けて新たに開発した、PASTAを用いた自動車セキュリティの教育教材について紹介する。
物理的なカード組を用いて秘密計算を実現するカード
ベース暗号プロトコルは数多く開発され, それらは必要な カードの「枚数」や「色数」, ステップの繰り返しの「試 行回数」を評価指標として比較が行われていたが, 最近 Miyahara ら [3] は, より詳細にプロトコルの性能を論じ るため, 「add」「turn」「perm」「shuffle」の各操作を新た な評価指標として導入し, 2 入力コミット型 AND プロト コルを解析した.
本稿では, Miyahara らが提案した 4 つの評価指標に基 づき, 3 入力 AND プロトコルを解析し比較を行う.
A-8. 信号処理
3月15日 10:30〜11:45 Meeting 10 座長 林 和則(京大)
A-8-1 |
能動騒音制御における非最適解対策
○藤井健作(コダウェイ研)・棟安実治(関西大)・苣木禎史(千葉工大) |
A-8-2 |
音をクエリとする類似環境音検索システムの評価方法の検討
◎若色夏実・小坂直敏(東京電機大) |
A-8-3 |
選択型弱識別器による逐次修正AdaBoostを用いたリアルタイム打音検査システム
○渡邊昂樹(諏訪東京理科大)・堀 晃己(東京理科大)・田邉 造(諏訪東京理科大) |
A-8-4 |
IoT共通プラットフォームを用いたライン式工場の生産状態解析とその可視化
○上條康佑・赤羽勇飛・田邉 造(諏訪東京理科大) |
A-8-5 |
啼泣時の生態情報に基づいたアンサンブル型機嫌判定システム
○川口友稀・阪野 光・田邉 造(諏訪東京理科大) |
騒音制御フィルタの係数更新にFiltered-x 法を適用する能動騒音制御システムにおいて2次系推定誤差は,安定動作条件に関わる問題として検討されてきた.本報告では,2次系の推定に誤差が避けられない実システムではFiltered-x法は本質的に不安定であること,従来のステップサイズを小さく設定する対策では発散を遅らせるだけとなる可能性があること,騒音制御フィルタのタップ数の削減が効果を持つことを示す.
放送番組やゲーム作品の効果音,あるいは電子音楽の音素材として,環境音や電子音を用いる.ユーザの所望する音を的確に取得することは困難であり,そのため音検索の技術とその機能を有したシステムが必要である.我々はCNNベースの環境音分類モデルを用いた,環境音検索システムを開発し,その評価を行った.各クエリと検索結果が大分類が一致しているかを調べ,80%以上の大分類一致度を示した検索例は,114件中の82%となった.
本論文は,弱識別器を選択しながら強識別器を逐次修正する AdaBoost を用いたリアルタイム打音検査システムを提案する.提案手法は,(Step 1) 有色駆動源カルマンフィルタやバンドストップフィルタ等を用いて雑音を抑圧して所望信号を抽出した後に,(Step 2) 所望信号から得た特徴量を教師データとして 300 本の弱識別器を生成する.次に,(Step 3)信頼値に基づいて弱識別器の選択し強識別器を生成して,打音を判定しながら強識別器の修正をしている.提案手法の特徴は,(i) リアルタイムに正常異常を判定でき,(ii) 判定の精度が高いことである.
本論文は,IoT 共通プラットフォームを用いたライン式工場の生産状態解析とその可視化の手法を提案する.提案手法は,(Step 1) ライン式工場のそれぞれの工場機械に設置したIoT deviceのセンサデータを Zigbee を用いて工場サーバに送った後に,工場サーバはインターネットを用いてメインサーバにすべてのデータを送信する.(Step 2) メインサーバは受信データにもとづいて解析結果をガントチャートやラインバランス率などに可視化してクライアントに提供する.提案手法の特徴は,各種のグラフから,生産状態の問題点と原因を明らかにすることが可能なことである.
本論文は,幼児の啼泣時の母親の対応について,幼児の腸音・体動の生態情報を特徴量としたアンサンブル学習による育児判定システムを提案する.提案手法は,(Step 1) 幼児の啼泣時の母親の対応 (おむつ替え,ごはん,装置をつける,装置を外す,その他) における生態情報を,有色駆動源カルマンフィルタにより雑音を抑圧して特徴量を抽出する.(Step2) その特徴量からアンサンブル学習による機嫌の正誤判定を行う.提案手法の特徴は,欠損値を考慮したアンサンブル学習判定アルゴリズムによって,(i) 機嫌の判定を高精度判定が可能なこと,(ii) 機嫌判定による母親の対応の正誤確認が可能なこと,および (iii) 良好な育児判定が可能なことである.
3月15日 13:00〜17:00 Meeting 10 座長 吉田太一(電通大)
A-8-6 |
Lightweight Hyperprior Module for Learned Image Compression
◎Ao LUO(Waseda Univ.)・Heming SUN(JST, PRESTO)・Jinming LIU・Jiro KATTO(Waseda Univ.) |
A-8-7 |
機械学習を利用した一般カメラ対全天球カメラ画像における物体認識の比較
◎金田正太・Chinthaka Premachandra(芝浦工大) |
A-8-8 |
Improving Machine Vision Task based on Compressed Domain by Channel Selection
○Jinming Liu(Waseda Univ.)・Heming Sun(JST PRESTO)・Jiro Katto(Waseda Univ.) |
A-8-9 |
iPS細胞の分化度判定のための加速度を用いたNN型とCNN型の機械学習精度評価
○井上 悟・勝山雄太・田邉 造(諏訪東京理科大)・青山純也・宮城泰雄(日本医科大) |
A-8-10 |
スライディングフーリエ変換によるガウス平滑化のGPU実装
○山下幸彦(東工大)・若原 徹(法政大) |
With the hyperprior module, learned image compression models achieved high results. Outputs of the main encoder are rescaled from arbitrary Gaussian distribution to standard Gaussian distribution by this hyperprior module, which efficiently reduces the transmitting bit rate.
However, these hyperprior modules are highly over-parameterized. In our experiments, even cutting off half of the channels in the original hyperprior module, the models can still achieve the same performance.
In this paper, we propose two approaches to reduce the scale of parameters in hyperprior modules while keeping almost the same performance.
本研究では,一般的なカメラと全天球カメラを用いた物体認識の精度比較について紹介する.近年,機械学習技術の向上に伴い,画像や映像内の物体の検出や分類に関連する研究が盛んである.この分野では横長の画像や映像を用いるのが一般的である.一方,最近では一般的なカメラ以外にも全周囲の情報を取得可能な全天球カメラといったものが普及しつつある.これを用いての物体認識といった研究も見られるが,一般的なカメラを用いた物体認識との比較といった検証はほぼ見られない.そこで,本研究では同等の環境で撮影した一般的な画像と全天球画像それぞれでYOLOアルゴリズムを用いた機械学習を行い,対象物体の認識率に関しての比較を行った.
With the development of deep learning, there are more learned end-to-end image compression methods that have better performance than conventional methods on decompressed images. But these methods are usually only suitable to human vision, and we are now faced with more and more machine vision tasks. Here we try to use a channel selection module in the compressed domain to choose useful channels for machine vision tasks and remove some redundant channels. Through experiments on the semantic segmentation task, we find that the gate module can effectively reduce the bit rate while maintaining the same performance.
本論文は,iPS細胞の加速度を特徴量とするNN型とCNN型の機械学習を用いて両者の性能評価をしている.提案手法は,(Step 1)フレーム間の細胞拍動から加速度を求める.次いで,(Step 2-1)NN型とCNN型の評価のために正解ラベルの数値データを作成した後に,数値データを(Step 2-2)直接用いたNN型機械学習の性能評価と(Step 2-3)FFTした周波数スペクトル画像からCNN型機械学習の性能評価をしている.また,両者の結果を比較考察している.本論文の特徴は,iPS細胞におけるNN型とCNN型機械学習の長所と短所を観察していることである.
画像やその微分,ラプラシアンのガウス平滑化は,パターン認識のために非常に重要である。しかしながら,単純な計算では,平滑化範囲が広い場合に計算量が大きくなるため,カーネル積分,スライディングコサイン変換,スライディングフーリエ変換(SFT) による近似計算法が提案されている。本稿ではアルゴリズムが単純なSFT によるガウス平滑化をGPU (Graphic Processing Unit) に実装し,その計算時間を評価する。
休 憩(14:30 再開) 座長 渡邊 修(拓殖大)
A-8-11 |
標高差を考慮したグラフ動的モード分解による河川水位分布予測
◎北村帆高・新井裕介・村松正吾・安田浩保・早坂圭司(新潟大)・大竹 雄(東北大) |
A-8-12 |
固定のMomentum係数を用いるFISTAの特性評価
◎亀田快宙・早川 諒(阪大)・林 和則(京大)・飯國洋二(阪大) |
A-8-13 |
通過域平たんかつ指定減衰量を有する阻止域可変FIRフィルタの設計法
○宮田統馬(サレジオ高専)・相川直幸(東京理科大) |
A-8-14 |
UAVを使用した被災者早期発見のためのGANベースのノイズ抑制システム
◎國貞有吾・Chinthaka Premachandra(芝浦工大) |
A-8-15 |
河川流路制御CPSのためのフーリエ基底による河川健全性評価法
◎高橋勇希・安田浩保・早坂圭司(新潟大)・大竹 雄(東北大)・村松正吾(新潟大) |
本研究では,河川水位分布の予測手法としてデータ駆動による時間発展式の導出法を提案している.河川数値情報をもとにグラフ構造を標高差をエッジに対する重みとして与えた無向グラフとして定義する.そのグラフ上で水位データを分析・合成するためのグラフフィルタバンク(GFB)を構築する.GFBを水位分布の特徴を抽出するためのスパース近似に利用し,拡張動的モード分解(EDMD)のフレームワークに適用し水位分布の時間発展式を導出する.これを水位分布予測に利用し,実際の観測水位と提案手法によって算出した予測結果の誤差を算出し性能評価を行う.
本稿では,圧縮センシングにおける再構成の高速化・省電力化のため,光演算回路の利用を見据えたアルゴリズムの検討を行う.光演算回路はベクトル-行列積を高速に実行できる技術として注目を集めているが,基本的な圧縮センシングアルゴリズムの一つであるFISTAではMomentum係数の更新の際に変数による除算が必要となるため,光演算回路を用いた実装は困難であると考えられる.そこで,FISTAのMomentum係数を固定したアルゴリズムを光演算回路に適したアプローチとして検討した結果,固定する値によってはFISTAと同等の性能を発揮することが分かった.
計測分野において効率的にノイズを除去するために,阻止域の一部に高い減衰量を持たせた阻止域の特性が可変なFIRフィルタの設計法が提案されている.近年,設計時の煩わしさを解消するために,高い減衰量を指定可能な可変フィルタの設計法を提案した.本稿では,さらなる計測精度の向上を狙って,通過域の振幅特性が平たんかつ高い減衰量を指定可能な可変FIRフィルタの設計法を提案する.
本稿では,無人航空機(UAV)に搭載するノイズキャンセリングシステムについて紹介する.ロボットによる人探しは,災害時の人命救助に役立つツールとして期待されている.特にUAVは上空からの情報収集が可能なため,カメラを搭載したUAVによる救助支援の研究が盛んに行われている.しかしカメラは影に隠れている人を検出しにくいという欠点があるこの問題を解決するために,本稿ではUAVに聴音器を搭載し,人が発する音を検出することを提案する.UAVノイズのAIモデルを作成し,UAVと人間の音が混ざったUAVが発生する音を除去し,人間の声を抽出する.UAVの音の除去は,機械学習であるGANを用いてUAVの音を生成し,生成されたUAVの音を実際の音と打ち消し合わせて実現した.さまざまな種類の実験を行い,UAVによる災害現場での音声処理に基づく被災者検知の可能性を見出した.
本稿では,河川流路制御CPS(Cyber Physical System)で利用する河川健全性の評価法を提案する.河川氾濫を予防できる流路制御手法の一つに拡縮流路工法がある.河川の流路変動メカニズムは未だ解明されていないため,同工法における水制構造物には適応的な最適配置が求められる.そこで我々は強化学習により水制構造物の配置を制御する河川流路制御CPSを提案している.報酬となる健全性指標として従来法では多項式近似による評価を行っていたが流下方向や横断方向のずれを考慮できていない問題点がある.本稿では,問題点に対応するためフーリエ基底を利用した指標の提案をする.提案法と従来法の比較実験を行い,提案法の有効性を明らかにする.
休 憩(16:00 再開) 座長 村松正吾(新潟大)
A-8-16 |
事象生起時刻を用いないfMRIデータの解析手法の比較
○中村和歌子(島根大) |
A-8-17 |
部位別心臓動態を用いたNN型心筋梗塞の予測
○深澤光希・田邉 造(諏訪東京理科大)・青山純也・宮城泰雄(日本医科大) |
A-8-18 |
異種特徴量を用いたCNN型機械学習による心筋梗塞予測法
○金井 翼・田邉 造(諏訪東京理科大)・青山純也・宮城泰雄(日本医科大) |
A-8-19 |
アンサンブル学習を用いた不良品予測による作業者支援システムの開発
○松尾時男・若林郁弥・田邉 造(諏訪東京理科大) |
fMRI(functional Magnetic Resonance Imaging)データにおいて,近年,被験者が,ただ安静にしているときなど,実験条件と対照条件との比較による解析をあてはめられないデータが多く測定されている.本研究では,神経細胞の活動を引き起こす事象の生起時刻が得られていないfMRIデータのために提案された2つの解析手法の比較を行う. 1つ目は,fMRIデータにたたみ込み型の生成モデルをあてはめたときの,モデルへの適合度を用いるものである.もう1つは,fMRIデータの中の低周波数成分の割合の指標を用いるものである.評価のために,画像を提示して測定し,その提示時刻が得られているデータを解析する.たたみ込み型の生成モデルへの適合度と低周波成分の割合の指標のどちらも,画像提示の有無を比較したt統計量との相関係数は大きいが,前者の方がより大きかった.
本論文は,心臓の短軸断層像から心筋梗塞部位の予測方法を提案する.提案手法は,(Step 1) マスク処理による部位別に画像を作成する.次に(Step 2) オプティカルフローから,心臓動態量と動態方向を検出した後に各部位の動態量と動態方向から心臓動態を分析する.(Step 3) 分析結果から健常時で大きく動態量が出ている動態方向だけを特徴量とした
ニューラルネットワークによる心筋梗塞部位の判定をしている.提案手法の特徴は,梗塞部位とそれ以外の動きを明らかにしたことにより機械学習の精度を向上されたことである.
本論文は,心臓超音波映像から抽出した2種類の特徴量を用いて,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)により心筋梗塞の判定をする手法を提案する.本論文は,(Step 1)超音波映像を1フレームごとにマスク処理してノイズの除去を行う.(Step 2)マスク処理した超音波映像にオプティカルフロ動態解析をした後に短時間フーリエ変換(STFT)とフーリエ変換(FFT)を実行して,異なる2つの特徴量を得る.(Step 3) 2種類の特徴量を用いてCNNを実行し,結果をクロスバリデーションに基づいて評価をしている.提案手法の特徴は,2種類の特徴量を用いてCNNにより判定を行うことで,心筋梗塞予測の精度の向上が可能なことである.
本論文は,アンサンブル学習を用いた不良品予測による作
業者支援システムを提案する.提案手法は,(Step 1) 工場機
械に設置した独自 IoT device のセンサデータを Zigbee 通
信によって工場サーバへ送る.(Step 2) 工場サーバは,受信
データに対してパース・集計した後に, インターネットを介し
てメインサーバにデータを送る.(Step 3) メインサーバは,
集計データをデータベースに蓄積し,(Step 4) 蓄積データか
ら不良品推移の予測モデルを構築することで作業者支援シス
テムを実現している.提案手法の特徴は,(i) 不良品数予測
と (ii) 不良品を少なくする推奨機械の提言を可能としている
ことである.
A-9. ワイドバンドシステム
3月16日 9:00〜11:00 Meeting 27 座長 木下雅之(千葉工大)
A-9-1 |
マルチターゲットイメージングのためのAICレーダーの一検討
◎孫 冉・武田茂樹(茨城大)・黒田浩司(日立Astemo) |
A-9-2 |
UCBアルゴリズムを用いたコグニティブ無線におけるチャネル選択手法の検討
◎平野周吾・高林健人・榊原勝己(岡山県立大) |
A-9-3 |
周期的遮断回線におけるMWHCDM信号の簡易な準最尤検出法
◎山田 翼・小島年春(電通大) |
A-9-4 |
ローカル5GシステムのMIMOチャネルの実験的評価
◎脇川 剛・東野武史・岡田 実(奈良先端大) |
最近、ミリ波周波数帯域を使用する周波数変調連続波(FMCW)レーダーシステムが、自動運転システムまたは先進運転支援システム(ADAS)で広く使用されている。本研究はマルチターゲットイメージングに着目し、特に複数ターゲットが同距離に存在する場合の角度分離を目的としている。マルチターゲットイメージングでは、サイドローブやグレーティングローブの存在が角度とサイズの推定精度に影響する。 特に、ターゲットのサイズが異なる場合、サイドローブの影響が大きくなる。実際の自動車レーダーシステムでは、歩行者や車を分別する必要があり、マルチターゲットイメージング機能が不可欠である。我々はこの課題に対し、アンテナエレメントスペース干渉キャンセル(AIC)レーダーを提案している。本発表は、その原理および実験検証の結果について述べる。
携帯電話や様々な通信機器の普及により周波数資源のひっ迫が懸念されている.このような課題を解決する方法として J.Mitola らが提案したコグニティブ無線が注目されている.コグニティブ無線はユーザの望む通信を達成するため無線機が自ら必要な使用されていない周波数を探索し通信を行うものである.周波数をいくつかのチャネルに分けチャネルごとに通信を行うとしたとき, チャネル選択のために強化学習を用いた方法が研究されている.「多腕バンディット問題」からチャネル選択アルゴリズムを検討した. 従来では確率に基づく ϵ-greedyアルゴリズムが用いられていたが,決定型方策UCBアルゴリズムを用いることを提案した. 計算機シミュレーションを行い従来手法と比較し送信成功率と周波数資源を有効利用できているかの観点で評価を行った.
ヘリコプター衛星通信の課題である周期的遮断回線に対しては,ウォルシュ・アダマール (WH) 符号を用いた符号分割多重化 (CDM) の一種である modified WHCDM (MWHCDM) が有効である.本稿では,周期的遮断回線におけるビット誤り率 (BER) 特性の理論下界を低い演算量で達成する信号検出法を提案する.MMSE 検知を併用した MWHCDM が理論下界に近い BER 特性を得ることに注目し,提案方式では MMSE 解を基準に候補シンボルを絞り込んだ後に信号探索を行う.計算機シミュレーションの結果,提案方式は演算量をML法から大幅に低減し,理論下界を達成することが示された.
本研究では、4.6-5.4GHz帯におけるMIMOチャネル容量の実験的な比較を行なった。実験構成は、シールドルーム内に設置した4つのアンテナ間の応答を1組の2×2MIMOチャネルとして仮定し、VNAを用いてSパラメータの評価を行なった。測定したSパラメータは伝搬路の応答行列として定義して、チャネルの相関行列として特異値分解を行なったのち、特異値の比を評価した。4.7GHz帯および5.3GHz帯の各周波数における特異値の比の平均を比較した。その結果、4.7GHz帯の方がMIMOチャネルの振幅利得のばらつきが大きいことが確認でき、無線LANに比べて致命的な劣化が見られなかった。
休 憩(10:15 再開) 座長 荒井伸太郎(岡山理科大)
A-9-5 |
Bit-error rate Performance of Indoor Long-Distance High-Speed Imaging MIMO System
○Chedlia Ben Naila・Hiraku Okada・Masaaki Katayama(Nagoya Univ.) |
A-9-6 |
差動符号化を用いた並列伝送型可視光通信システムの一提案
◎平 佳一郎・和田忠浩・椋本介士(静岡大)・岡田 啓(名大) |
A-9-7 |
空間多重低輝度アップリンクOCCの緑/青と赤/緑2波長多重伝送
◎川出有紗・中條 渉・小林健太郎(名城大) |
Multiple-input-multiple-output optical wireless communication (MIMO-OWC) systems can be considered as a potential candidate to ensure better capacity for indoor industrial applications. To achieve higher data rate communication at longer distances, we propose an imaging MIMO-OWC system that features an improved optical linear transmitting array and a new imaging receiver using a telephoto lens placed in front of the receiving photo-detector array. The performance of our imaging MIMO system is evaluated in terms of the bit-error rate (BER). The results show that error-free transmission can be achieved at a high data rate of 200 Mbps over 65 m distance even without performing any equalization at the receiver.
本発表では, 液晶表示装置(LCD)とイメージセンサ(IS)を用いた並列伝送型可視光通信システムへの差動符号化の適用を提案する. 送信画像に離散コサイン変換(DCT)を施しその特定のDCT係数に伝送信号を重畳することで, 送信画像への情報埋め込みを実現する. 差動符号化を可視光通信システムに適用する際には, 情報判定のために適切なしきい値の設定が必要となる. そのしきい値の設定にパイロットシンボルを用いることとし, それも送信画像に埋め込む. 本システムのプロトタイプを構築し, 提案方式のBER特性を評価する.
スマートフォンのスクリーンを送信機、屋内カメラを受信機とする低輝度アップリンク可視光通信(OCC)において、空間分割多重(SDM)に緑と青または赤の2波長多重(G/B-2WDM, R/G-2WDM)を組み合わせてデータレートを2倍にした場合の通信品質を評価した。通信実験の結果、空間シンボル間干渉(ISI)と2波長間ISIを考慮した適応閾値処理によって輝度差のある緑と赤または青の2波長多重で600k symbol/s SDM/WDM-OCCを実現した。
A-10. システム数理と応用
3月16日 13:00〜16:00 Meeting 28 座長 小林孝一(北大)
A-10-1 |
センサ故障を考慮した離散事象システムの分散型診断
◎福田拡也・高井重昌(阪大) |
A-10-2 |
離散事象システムのスーパバイザ制御を用いた安全な強化学習に関する検討
◎西原大夢・山﨑達志(摂南大) |
A-10-3 |
コレオグラフィ実現問題における事象構造から状態機械の合成
○青山太洋・宮本俊幸(阪大) |
A-10-4 |
食事シナリオを考慮した血糖値のロバストモデル予測制御
◎飯村由信・若生将史(神戸大) |
A-10-5 |
確率最適化を用いた需給調整市場への参加を考慮したCEMSの入札戦略
○周 浩宇・宮本俊幸(阪大) |
A-10-6 |
非凸問題に対する交互方向乗数法の分散エネルギー管理システムへの応用
◎岩田翔吾・宮本俊幸(阪大) |
システムの高機能化・複雑化に伴い,モデルベーストな診断法の開発が重要となっている.本稿では,有限オートマトンでモデル化された離散事象システムを対象とし,事象の生起を検知するセンサの故障を考慮した分散型診断について考察する.まず,そのようなセンサ故障を考慮したシステムの共可診断性の概念を定義する.そして,その共可診断性が,考慮したセンサ故障のもとで,システム内での故障事象の生起をある有限ステップ内で誤りなく検出するような,分散型診断器が存在するための必要十分条件であることを示す.
近年,自動運転やロボットの制御など様々なタスクで強化学習を用いたアプローチが広く注目を集めている。一般にタスクの遂行において安全性を担保することは非常に重要であるが,強化学習はその性質上,エージェントの動作の安全性が必ずしも保証されているとは限らない。本研究では,学習の過程も含めて守らせるべき制御仕様が与えられている状況を考え,強化学習に離散事象システムに対するスーパバイザ制御を階層的に組み合わせる。スーパバイザによる振る舞いの制約により,制御仕様を外れない安全な強化学習を保証する枠組みを提案する。
近年,情報システムのアーキテクチャとして,サービス指向アーキテクチャ(Service-Oriented Architecture : SOA) が注目されている.これまでにSOAにおけるコレオグラフィ実現問題において,コレオグラフィが非循環関係で与えられる場合に状態機械を合成する手法が提案されている.本研究では,コレオグラフィが,各々は非循環関係を用いて表せる複数のシナリオから構成されるが,コレオグラフィは非循環関係だけでは表現できないような場合について考える.抽象的仕様を事象構造を用いて表し,事象構造から統一モデリング言語 (Unified Modeling Language : UML) の状態機械を合成する手法を提案することを目的とする.
複数の食事シナリオを全て考慮した上で制御中にどのシナリオが実現されても対応できる血糖値の制御方式を検討する.
シンプルな方法として,現在時刻のインスリン投与量のみ各シナリオに対して共通であるとし,
現在時刻以降のインスリン投与計画は各シナリオに対して各々異なるものとして数理最適化により求めることが考えられる.
これにより,どの予測シナリオが現在以降の時刻で実現されても対応可能な必要最低限のインスリンのみが現在時刻で投与されることになる.
しかしこの方法では,各シナリオに対して現在時刻以降では別々の最適インスリン投与計画を算出するため,
数理最適化における決定変数が非常に多くなってしまうという課題がある.
そこで本発表では,制約を考慮しない場合の数理最適化の解が解析的に求まることを利用して,計算負荷を軽減するアプローチを提案する.
近年,エネルギーの効率運用を図るシステムとして,地域エネルギー管理システム(Community Energy Management System, CEMS)が注目されている.また,電力小売り自由化など,電力市場の規制緩和が進んでおり,将来的により柔軟なエネルギー売買が可能になることが想定される.そして,日本では需給調整市場の開設に伴い,CEMSにとって電力だけでなく調整力も売買の選択肢となった.そこで,本論文は需給調整市場への参加を考慮したCEMSの入札問題に着目し,確率最適化を用いて,約定の不確定性を考慮した上で,コストを最小化する入札戦略を提案する.数値実験により,卸電力市場への入札曲線を求めることができた.
エネルギー情勢が大きく変化しつつある近年では,効率的なエネルギーの管理を行うためのシステムであるエネルギー管理システム(Energy Management System(EMS))が注目されている.本論文では複数のEMSが協調・連携する分散エネルギー管理システム(DEMS)を考え,分散凸最適化手法である交互方向乗数法(ADMM)を用いた分散最適化を行う.しかし,DEMSにおける起動停止計画により問題が非凸になる.そこで,混合整数計画2次計画問題に対するADMMアルゴリズムを用いる.しかし,そのまま用いると収束しなかったため,DEMS向けに改良したアルゴリズムを提案し,数値実験により提案アルゴリズムの有効性を示す.
休 憩(14:45 再開) 座長 北村聖一(三菱電機)
A-10-7 |
DNN推論高速化プログラムAnsorにおけるタスクスケジューラのためのパラメータの推論時間への影響
○髙畑侑太郎(東京都市大) |
A-10-8 |
大規模市における混雑緩和のための情報提示手法の検討
◎△朝野眞優子・尾崎敦夫(阪工大) |
A-10-9 |
揺らぎによる店の利用率の加速化
○矢島 健・塩谷 勇(法政大) |
A-10-10 |
Wi-Fiセンシングによる人流予測方式の検討
◎藤野雄亮・豊味諒磨・尾崎敦夫(阪工大) |
A-10-11 |
複数回の緊急事態宣言による COVID-19 の抑制効果の分析
◎△田上慶治・竹川高志(工学院大) |
DNNによる推論処理の高速化を目的としたDNNコンパイラとしてAnsorが提案されている。AnsorではDNNモデルに含まれるテンソル演算等に対して、x86やARMといったデバイスのアーキテクチャに合わせた最適化を適用する。テンソル演算に含まれるループ記述を再構成する際には、無数の変更パターンが存在する。Ansorは、DNNのレイヤごとに最適な変更パターンを探索するが、各レイヤに対してどれだけ探索時間をかけるかを決定する際、勾配降下法ベースの手法を用いている。本稿ではその手法におけるパラメータ改良を通してより短時間でのDNN最適化を実現するための手法について検討する。
近年,感染症の拡大に伴い,大規模市を開催する際には,感染症の拡大を抑制するための対策が必須となっている.感染症対策には検温,アルコール消毒等があるが,混雑回避が最重要である.来場者に対して混雑情報を提示することにより,混雑回避を促す方法があるが,環境によっては全員が混雑情報に従うと,かえって混雑が発生する恐れがある.本研究では,適切な割合の来場者に混雑情報を伝え,混雑の緩和を促す手法を提案する.また,マルチエージェントシミュレーションを用いて本提案手法の評価を行った.
この論文では,複数のお客が複数の店の間を移動することを考え,その移動に揺らぎを加えたときの店の利用率の変化について述べる.このモデルはマルチエージェントシステムによるモデルである.自由空間上に定員のある複数の店と,自宅を持つ複数のお客が存在し,お客は自宅と店,店と店の間を自律的に確率で移動する.この論文での揺らぎは,時間tでランダムに選んだ特定の店に入店する確率を高くする一方で,tの時間平均ではすべての店に同じ確率で入店するものである.店の利用率は,店の中の客数を定員で割ったものとする.このとき,お客の移動に適度な揺らぎを加えることによって,店の利用率が最大になることを示す.
近年,新型コロナウイルスの流行により,イベントや商業施設等の運営者には,十分な感染症対策が求められているが,混雑する兆しを予測できなければ,適時適切な対策を講ずることは困難である.本稿では,混雑する兆しを予測するための基礎技術として,Wi-Fiパケットセンサで検知した人数分布を基に,人の流動を把握する手法を提案した.さらに,MACアドレスがランダム化されたWi-Fi端末に対しても,流動を把握できる手法の検討も行った.提案手法の有効性を確認するため,枚方キャンパス内での原理検証を行った結果,約89.5%の正解率で流動を把握することができた.
日本ではCOVID-19状況下において, 流行抑制の対策として緊急事態宣言が3回行われた. 本研究では, 各回の緊急事態宣言の人流抑制効果を, 疫学モデルと新規陽性者数のデータを用いたフィッティングを行うことで推定した. 疫学モデルはSEIRとSEIR+(未発症感染)モデルを用い, フィッティングでは平均二乗誤差と平均相対誤差の二つの誤差指標を用いた. そして, 2つのモデルと2つの誤差の合計4つの組み合わせでそれぞれ得られた効果を宣言ごとに比較した. その結果, 抑制効果は緊急事態宣言の回数が大きくなるにつれて減少傾向にあった. このことから, 緊急事態宣言の抑制効果には, 危機感が徐々に薄れる「慣れ」の影響があると考えられる.
A-12. 技術と社会・倫理
3月17日 13:00〜13:30 Meeting 10 座長 小川 賢(神戸学院大)
A-12-1 |
実践的なシナリオプランニング手法の検討
○張 暁曦・外間正浩・原 美永子(NTT) |
A-12-2 |
情報倫理・セキュリティ啓発を目指したCAPTCHAの設計
◎吉川 諒・矢谷浩司(東大) |
近年,気候変動やサーバ攻撃など数多いリスク要因が潜在している中,近未来社会の姿を想定した上で企業経営戦略を立案することが困難となってる.我々は企業経営戦略立案の一手法であるシナリオプランニング手法に着目し,今後テキスト解析技術を用いたシナリオプランニング手法の自動化・簡易化を目指す.本稿では,その第一歩として,手動での現状分析の情報構造化を行うためのフレームワークや手順を提案した.
近年,情報倫理・セキュリティに関する基礎知識を身に着ける重要性が高まっているが,教育の場が限られており,誰もが定期的に最新の知識を得ているとは言い難い.そこで本研究では,Web フォームへの回答時などに求められるCAPTCHAの判定を活用した,マイクロラーニングによる知識定着システムを提案する.これは従来のCAPTCHAのタスクの代わりに情報倫理・セキュリティのクイズを出題するものである.CAPTCHA はウェブを使う多くの人が定期的に遭遇するため適切な学習機会となることが見込め, CAPTCHAをユーザにとって有意義なものにすることもできる.提案手法の実現に向け,CAPTCHA の形式でクイズを出題した直後に知識の定着を確認する調査を実施した.本稿では調査の詳細を報告し,今後の展望を論ずる.
A-13. ITS
3月16日 13:00〜17:00 Meeting 13 座長 和田友孝(関西大)
A-13-1 |
秋田県由利本荘市の乗り[逢い]交通における相乗り支援システム
◎鈴木朱里・松田来央・橋浦康一郎・草苅良至・飯田一朗(秋田県立大)・伊藤善裕(由利本荘市役所) |
A-13-2 |
コミュニティバス利用者の総合満足度に関連する要因の分析
○高野詩菜・堀田裕弘(富山大) |
A-13-3 |
イジングマシンを用いた複数日にまたがる観光地選出手法
◎鮑 思雅・戸川 望(早大) |
A-13-4 |
自動運転モビリティサービスにおける運行経路情報の伝達手法に関する検討
○杉本 修(名大)・恋塚 葵・大岸智彦(KDDI総合研究所) |
秋田県由利本荘市では公共交通の空白地帯を埋めるために「乗り[逢い]交通」という取り組みを行っている。問題点として、1台の車両に相乗りする人数が少ないと市で負担する運賃が高額となり、この補助事業の継続性が損なわれてしまう。
本研究では、相乗り率を上げるために、高齢者宅のタブレットやスマートフォンに相乗りを喚起させるメッセージを表示し、Webシステムを通して相乗り予約を行うシステムを提案する。
地域公共交通の活性化のため,利用者の満足度の維持・向上は重要な課題の一つである.本稿では,富山県射水市のコミュニティバス利用者に対してアンケート調査を実施し,さまざまな項目の満足度を調査した.調査結果を用いて共分散構造分析を行ったところ,総合満足度には,時刻表,運行便数等が関係する「路線設計要因」と,運転手の対応,乗り心地等が関係する「心理的要因」が大きく影響することが明らかとなった.この結果より,コストを抑えつつ総合満足度を向上させるためには,運転手のより丁寧な接客,運転等によって「心理的要因」の満足度を向上させることが望ましいと考えられる.
複数日にまたがる観光地選出問題とは,旅行者の観光地に対する満足度などを考慮した上で,
一定時間内で複数の目的関数を最大(小)化する観光地を求める組合せ最適化問題である.
本稿では,複数日にまたがる観光地選出問題をイジングモデルと等価な
Quadratic Unconstrained Binary Optimization (QUBO)に変換し,イジングマシンによる解法を提案する.
提案手法を評価するために,札幌周辺を対象に評価実験を行い,制約条件を満たす解が得られたことを確認した.
自動運転車を利用したオンデマンド型のモビリティサービスにおいては、輸送効率の最適化のため、管理システムが予約情報に基づき車両の運行経路を随時決定する運行管理機能を有する点に特徴がある。この際、運行管理を行うサーバシステムから自動運転車に運行経路情報を通知し、自動運転システムがそれを設定する必要があるが、従来の実証実験では車両側の設定操作は乗務員の手動操作に依存する事例が多かった。今後、自動運転レベルの向上に伴い車内保安員の無人化が進むため、運行経路設定の自動化を検討する必要がある。本稿では、セルラー通信回線を用いて運行経路情報を伝送し、自動運転車に自動的に反映させる手法について検討する。
休 憩(14:15 再開) 座長 大岸智彦(KDDI総合研究所)
A-13-5 |
交通・自動運転・電波伝搬の統合ITSエミュレータ
○髙橋 豊・錦織義久・グルサミ ティラガワティ(OTSL) |
A-13-6 |
LiDAR を用いた曲面リフレクタコード認識方式の一検討
◎杉田理朗・御宮知佑磨・和田友孝(関西大) |
A-13-7 |
自動運転車の合流支援を実現するインフラ協調LiDARによる車速推定安定化のための一検討
○岡本駿志・平本美智代(OKI) |
A-13-8 |
干渉信号を用いたDither法を適用したRSSIに基づく位置推定技術の性能評価
◎堀内星哉・羽多野裕之・眞田耕輔・森 香津夫(三重大)・山里敬也(名大)・荒井伸太郎(岡山理科大)・齋藤将人(琉球大)・田所幸浩・田中宏哉(豊田中研) |
A-13-9 |
ドライブレコーダ画像解析におけるピッチ角推定精度の向上
◎上松直弘・清水郁子・毛利 宏(東京農工大) |
ITSシステムは近年より複雑になり、安全で効率的な開発をすすめるための統合的なエミュレーション環境が求められている。正確なエミュレーションを実行するためには、現実世界をより正確に反映するプラットフォームと、正確なセンサシミュレータが必要となる。本件で紹介するエミュレーション環境は、リアルな3D表現で知られている3Dエンジンの一つUE4をプラットフォームとし、実測データを基に作成した正確なマップ上で、統合的に交通、自動運転、ミリ波、カメラ、LiDARのセンサをシミュレーションするとともに、電波伝搬エミュレーションを介してセンサ,車両等と繋がる管制システムのシナリオ検証や、電波伝搬の可視化も目指す。
近年,LiDARにより車両周辺の対象物を認識する方式が注目されている.そこで,車両側面に設置したLiDARを用いて電柱を想定した円柱にリフレクタを配置したリフレクタコードを認識する道路情報取得方式を提案する.各リフレクタの反射強度の判定を用いて,リフレクタコードから1m,2m離れた地点でスキャンを行い,LiDARで得られた反射強度によりコード配列を復元する.リフレクタコードから離れた2つの地点で復元することで,リフレクタコードを継続的に読み取ることが可能であることを確認する.この方式により,リフレクタコードを認識することで,LiDARのみでは取得できな位置情報や交通情報などを取得することができる.
本稿では,LiDARを路側に配列設置した際の問題発生有無を実験により確認し,認識された問題への対策結果を検証した.これにより,長距離区間での合流支援の実現が見込める.
RSSI(Received Signal Strength Indicator)を用いた測位システムが広く用いられている.良好な測位性能を得るため,RSSIの高精度な観測が重要である.RSSIは受信信号電力を量子化して得られる値である.そのため,RSSIはRSSI検出器の分解能に依存し,送受信機間の 距離推定に誤差が生じる.著者らは,干渉信号を用いたDither法を適用した距離推定手法を提案,誤差低減を確認した[1].本稿では提案した距離推定手法を用いて位置推定を行った場合の性能評価を行い,有効性を示す.
自動運転技術の安全性評価のため,ヒヤリハットデータベースを用いたシミュレーションのためのシナリオ抽出を行われている.
シナリオ抽出には自車両と対象物体との相対距離が必要であるが,相対距離を正確に推定するためにはピッチ角を高精度に推定する必要がある.
本稿では従来手法のピッチ角推定手法の右左折時の精度向上を目的として,ピッチ角変化推定のためのStructure from Motion(SfM)の処理の一部である特徴点マッチングに着目し,隣接フレームでは同じ対象が投影される画像の高さが大きく変化しないことを利用し,明らかな外れ値を除外する.
休 憩(15:45 再開) 座長 山里敬也(名大)
A-13-10 |
多変量LSTMを用いた市街地環境下の交通シーンにおけるドライバの脳活動量予測
◎東海林悠斗(秋田県立大)・間所洋和(岩手県立大)・ステファニー ニックス・齋藤 敬・佐藤和人(秋田県立大) |
A-13-11 |
スマートフォンとスマートウォッチを併用したPDRによる進行方向補正
◎若泉朋弥・戸川 望(早大) |
A-13-12 |
多数の歩行者動作に対応した歩行者車両間衝突回避支援システム
◎嶋田 光・川下幸都・和田友孝(関西大) |
A-13-13 |
車線変更時のウィンカ操作行動の安全性の分析
○宮島千代美・南波庸介(大同大) |
A-13-14 |
高速道路走行時の運転引き継ぎ要求に対する準備状態の推定
◎鈴木涼平(秋田県立大)・間所洋和(岩手県立大)・ステファニー ニックス・猿田和樹・齋藤 敬・佐藤和人(秋田県立大) |
生活道路の交通事故件数は,幹線道路の約2倍発生している.また,冬期間の積雪や路面凍結,吹雪による視界不良がドライバに大きな影響を与え,冬期間の交通事故死亡者数が多いことも現状である.以上から冬期間の刻一刻と交通シーンが変化する市街地環境が事故発生のリスクを高めていると仮定した.本研究では,ドライビングシミュレータによる冬期間の市街地環境を想定した再現道路での実験を通じて,交通シーンにおける運転中の脳活動量を計測し,機械学習による時系列解析を目的とする.
被験者を運転特性別に分類し,脳活動量を多変量LSTMによる解析を通じて,各被験者の特徴を2種類のシナリオによる結果から考察した.
近年,スマートフォンをはじめとする携帯端末の普及により,歩行者向けナビゲーションシステムが多く利用されている.
PDR (Pedestrian Dead Reckoning)は屋内位置推定手法の一つであり,歩行者に身に付けられたセンサから得られた加速度や角速度などの歩行データをもとに,現在位置を推定する手法である.
我々は今までにスマートフォンとスマートウォッチを併用したPDR手法(PDR-PW手法)を提案し,同手法が端末モードによらず,既存手法と比較して精度の良い位置推定が可能であることを確認した.
本稿では,PDR-PW手法の進行方向の推定精度向上のために,スマートウォッチの端末角補正手法を複数提案し,それぞれの補正精度を評価する.
利便性の高い移動手段として自動車が普及しているが,その増加に伴い交通事故などの社会問題が発生している.この問題解決のためにカメラを用いた検知などが研究されているが,歩行者の死角からの飛び出しなどに対応が遅れるといった問題点がある.そこで,無線通信を用いた歩行者車両間衝突回避支援システムに着目し,多数の歩行者動作に対応した歩行者車両間衝突回避支援システムを提案する.いくつかの実験を通じて,提案されたシステムが適切な警告を行えることを示した.
本稿では,車線変更時のウィンカ操作行動の安全性について分析する.教習員5名と一般ドライバ5名の計10名の高速道路における左右車線変更時のウィンカ点灯・消灯タイミングについて分析した結果,ウィンカ点灯タイミングは,道交法規定の3秒前よりタイミングが遅い傾向にあり,教習員に比べ一般ドライバの方が点灯タイミングが遅い傾向にあることがわかった.さらに,ウィンカ操作行動の安全性と車線変更の危険性との関係について分析した結果,ウィンカ点灯時間割合と,車線変更の危険性の評価値との間に負の相関があり,ウィンカ点灯時間割合が小さいドライバは車線変更行動の危険性も高いということが示された.
自動運転車の研究開発が活発化し,交通事故の減少や渋滞の解消などが期待されている.自動運転のレベル3までは,緊急時に備えてドライバは常に運転を交代できる状態を維持することが必須である.そこで,本研究では運転引き継ぎ要求時(Take-Over Request: TOR)におけるドライバの準備状態の推定を目的とする.ドライビングシミュレータを使用し,高速道路上においてTORが発生する走行環境を構築した.20名の被験者から運転中の脳の賦活状態を計測し,深層学習を用いてTOR後の脳血中酸素濃度の増減を予測した.未来の予測に寄与する割合が高いと考えられる額の中央部では,運転シーンに応じて脳血中酸素濃度の増減を確認した.
A-14. スマートインフォメディアシステム
3月15日 13:00〜15:15 Meeting 42 座長 田中 豪(名古屋市大)
A-14-1 |
過強調を抑制した夜間デヘイズ法
○秋田孝文・向田眞志保・内野英治・末竹規哲(山口大) |
A-14-2 |
RGB色空間の等色相平面における暗視アルゴリズム
○向田眞志保(山口大)・植田祥明(福岡大)・内野英治・末竹規哲(山口大) |
A-14-3 |
区分線形変換を用いたn値誤差拡散法
◎武田修馬(山口大)・植田祥明(福岡大)・古賀祟了(近畿大)・末竹規哲(山口大) |
A-14-4 |
エッジ強調とコントラスト強調の統合処理に関する一提案
水野 航・田中秀明・○田口 亮(東京都市大) |
屋外で,画像や映像を撮影する際,霧や靄などのヘイズが画像中に写り込み,被写体の視認性を著しく低下させることがある.近年,夜間のヘイズ画像に対して,画像処理によりヘイズを除去する研究が行われている.これらの研究には,ヘイズを除去できるものの光源周辺で過強調が発生する問題がある.本報告では,光源周辺の過強調を抑制したヘイズ除去法を提案する.
近年,暗い画像を対象とした画像強調アルゴリズム(暗視アルゴリズム)が多く提案されている.しかし,これらの手法では計算コストが高い,過強調を引き起こすなどの問題がある.本研究では,RGB色空間の色域を保証しつつ暗い画像の視認性を効果的に改善する暗視アルゴリズムを提案する.
誤差拡散法は,多階調の画像を少数の階調値のみで再現する方法の一つである.Ostromoukhovの手法では,量子化レベル数が3 以上の場合に,一色に塗りつぶされたような領域が発生し,画質が低下する傾向がある.このような領域を等色領域という.文献[2] の手法では,画像に非線形変換を施すことで,等色領域の発生を抑えられることができる.一方,この手法では結果画像において,アーチファクトが発生しやすい傾向にある.Fungらの手法では,アーチファクトの発生を抑制出来るが,コントラストを過度に強調させる傾向がある.本報告では,文献[2] の手法で用いられる変換式を改良することでこれらの問題を解決するn 値化手法を提案する.
画像強調はアンシャープマスキング(UM)法に代表されるエッジ強調とヒストグラム平坦化(HE)法に代表されるコントラスト強調の2つに大別される。それぞれの強調法独自の研究は数多く成されているが、2つの強調法を同時に成し遂げようとする研究は少ない。コントラスト強調は画像の低周波成分に施せば十分であると考えられることから、提案法では画像の低周波数成分にHE法適用し高周波数成分をスカラー倍することで、2つの強調を同時に成し遂げる統合処理手法を提案する。
休 憩(14:15 再開) 座長 植田祥明(福岡大)
A-14-5 |
カラー画像のモノクロ変換の定量評価に関する一検討
◎姜 ゲツ・程 渓・田中 豪(名古屋市大) |
A-14-6 |
変換量を多重化した色相変換による2色覚のためのコントラスト改善手法
◎大槻諭汰・田中 豪(名古屋市大) |
A-14-7 |
衣服の代表色に調和するネイルの配色デザインシステム
◎中須賀絵莉・荒川 薫(明大) |
A-14-8 |
未知ユーザを考慮した合意形成による機器制御手法の提案
○小形晃平・樽谷優弥・横平徳美・福島行信(岡山大) |
近年,カラー画像における色の違いを反映したモノクロ画像を得る手法が研究されている.また,モノクロ変換結果の定量評価指標がいくつか提案されている.更に,実験用の画像データセットも作成されている.本報告では,COLOR250 datasetに含まれる50枚の人工画像を用いて実験を行い,既存の定量評価指標の問題点を見出した.更に,その問題点を解消する定量評価指標を考案した.実験により提案手法の妥当性を確認した.
2色覚者は特定の組合せの色を見分けにくい.近年,2色覚者にとってのコントラストを改善する色変換手法が研究されている.本報告では,色相を変換する従来手法を拡張した手法を提案する.従来手法では,最適化問題を解くことで入力画像ごとに色相の変換量を定める.ただし,一つの画像に対しては,全画素で変換量は一定であった.提案手法では従来手法と同様の最適化問題により色相の変換量を定めるが,画素の明度に応じて変換量を適応的に決定する.複雑な配色の画像に対しては提案手法の方が良好な色変換結果となることが期待できる.実験により提案手法の有効性を確認した.
近年、ネイルアートはファッションの一部として定着しているが、ネイルアートは単独の審美性だけでなく、衣服との高い調和性が要求される。そこで、本稿では特に衣服とネイルアートの色に着目し、衣服の色に調和したネイルの配色を行うデザインシステムを提案する。本システムは、まず衣服の画像から代表色を抽出し、代表色に調和するカラーパレットを複数の配色技法に基づいて生成する。次に、利用者がそこから所望のカラーパレットを選択し、その色を色転写によりネイル画像に反映する。このシステムより、衣服の色合いに調和したネイルデザインが得られることが示された。
機器制御によるユーザへの影響を考慮するために,合意形成制御に基づいた制御が提案されている.しかし従来手法では,環境内の全ユーザが既知ユーザであると仮定しており,未知ユーザがいる場合に対応できない. そこで本稿では,未知ユーザを考慮した合意形成による機器制御手法を提案する.提案手法では既存ユーザモデルを未知ユーザモデルの代替とした複数の学習器を用意する.そして,仮ユーザモデルを含んだ学習器を用いて制御を行い,その際の報酬値によって各学習器を評価し,未知ユーザに近しいユーザモデルを含む学習器を選択する.評価の結果,提案アルゴリズムは報酬値の低い学習器以外を選択することを明らかにした.
A-15. イメージ・メディア・クオリティ
3月18日 9:00〜9:45 Meeting 37 座長 土田 勝(NTT)
A-15-1 |
3D動画の符号量情報に対応したアンカリング効果の適応手法
◎中野咲也加・杉浦彰彦(静岡大) |
A-15-2 |
部位別にノイズを付加した顔表情画像が印象評価に与える影響
○木山敬士郎・杉浦彰彦(静岡大) |
A-15-3 |
傾斜エッジ法によるMTF計測のノイズ解析
◎△完 荃・西 一樹(電通大) |
動画像符号化分野では,視覚特性の適応によりファイルサイズの低減や品質向上を目指した手法が数多く提案されている.しかし,人が品質を評価する際,視覚特性などの物理的要因だけでなく心理的要因も影響を及ぼすため,心理特性の適応により高い画質評価が得られる可能性がある.そこで本研究では,心理特性の1つであるアンカリング効果をサイドバイサイド方式3D動画に付与し,通常動画と比較することで画質評価実験を行う.実験結果から原画像の符号量変化やビットレートなどのコンテンツ依存性に対応したアンカリング効果の付与手法について検討する.
うつ病の自己検査手法として顔表情認知による自己検査手法が提案されたが、軽度のうつ状態を検出することができないという懸念があった。そこで本研究ではそれらを検出するため、微小変化としてノイズを加えた顔画像が印象評価に与える影響を検討した。ノイズを目や口の周辺に付加した場合には表情強度の広い範囲で評価点平均が下がっていることが確認された。鼻の周辺に付加した場合は、ポジティブ表情の強度が低い範囲と、ネガティブ表情の強度が高い範囲で下がっていることが確認された、3部位すべてに付加した場合には、ポジティブ方向の低い表情強度の狭い範囲と、ネガティブ方向の全体で評価点平均が下がっていることが確認された。
カメラレンズの解像度評価の基準として、空間周波数特性を表したMTF(Modulation Transfer Function)がある。その測定には国際標準として傾斜エッジ法が広く用いられている。しかしノイズへの影響が大きいという問題がある。本研究は、傾斜エッジ法に対するノイズの影響を定式化した上でシミュレーションによりその有効性を検証した。
A-16. 高信頼制御通信
3月16日 11:00〜11:45 Meeting 14 座長 浜口 清(NICT)
A-16-1 |
車両内電源ラインを用いた通信方式に関する一検討
○清水 聡・阿野 進・岡本清立・鈴木義規(ATR) |
A-16-2 |
工場内ネットワークの無線化に関する一検討 - 産業用無線LANとローカル5G -
○長尾勇平・尾知 博(レイドリクス) |
A-16-3 |
火山調査におけるUAVのマルチホップ制御通信実験
○三浦 龍・松田隆志・松村 武(NICT) |
電源ラインを用いた通信としては,100VのACラインを用いたPLC(Power Line Communication)が知られ,家庭内や工事現場などで広く使われている.電源ラインを使う点では同じだが,PLCは2本の配線を使える一方,車両内電源ラインは1本(グランドはシャーシ)である.そのため,後者は設置場所によって周波数特性が大きく異なり,新たな方式開発が必要である.本稿では,車両内電源ライン通信方式の基礎的な検討について説明する.
本稿では,産業用ネットワーク,特に工場内ネットワーク,の無線化について,筆者らが開発を進める産業用無線LAN とローカル5Gの比較検討を行う.それぞれの優位性や特徴に触れることで,どのような環境においてローカル5Gが活用できるのか,どのような環境では産業用無線LANが活躍できるのか,それぞれの長所/短所をまとめる.
様々な分野で小型UAVの応用が広がりつつあるが,人の立入りが難しい山間部での活用の期待も大きい.しかし山間部は地形の起伏によりUAVは目視外・電波見通し外で運用せざるを得ない場合や携帯電話ネットワークも圏外であることが多い.このため従来は操縦者からの通信が完全に切れた状態での完全自律飛行をするしか手段はなかった.本実験では,これまでNICTが開発してきた920MHz帯と169MHz帯によるマルチホップ制御通信システム試作機「コマンドホッパー」を火山調査のためのUAVとの見通し外コマンド・テレメトリ通信(制御リンク)に応用する実験を行い,その通信特性を評価したので報告する.
A-17. バイオメトリクス
3月15日 10:30〜11:15 Meeting 39 座長 高田直幸(セコム)
A-17-1 |
視線入力デバイスを用いた画像認証方式に関する研究
◎伊藤憂香・朴 美娘(神奈川工科大) |
A-17-2 |
判別分析を用いた注視点移動長からのサッケード抽出に関して
◎王 禹萱・橋本帆波・加賀谷文紀・山﨑達也・前田義信(新潟大) |
A-17-3 |
BSBLアルゴリズムを用いた脳波圧縮センシングに適した辞書行列の解明
◎永井孝太郎(山梨大)・兼本大輔・廣瀬哲也(阪大)・大木 真(山梨大) |
本人認証として4桁のPIN番号や,指先で点を結んで描くパターン認証,英数字や記号などを用いたパスワード認証など「簡単な認証」を用いる場合がある.これらは,運用性や利便性が高い一方,ブルートフォース攻撃や,覗き見攻撃に弱いなどの課題がある. また,手の不自由な人にとってはPIN認証やパスワード認証,パターン認証などの方式では認証が難しい.
本研究では,手の不自由な人にも簡単な認証方式,また記憶負担の軽減,録画攻撃への耐性を目的として,視線入力デバイスを用いたパスワード画像による認証システムの提案と評価を行う.
視覚探索とは,複数の代替物の中から特定のターゲットを視覚的に見つけ出すことであり,文字や記号を用いて実験で調べられる.本研究では,なぜ視覚探索が効率的なのかを注視点の動きに注目して分析する.具体的には視覚探索実験において得られた16名のデータを分析し,視覚探索時の注視点の動きをモデリングするためのデータ処理を行った.
近年,脳波計測の簡易化や長時間診断時の患者の負担軽減を目的とした小型無線脳波計測デバイスの実現に注目が集まっている.そこで,我々はバッテリの小型化に着目して圧縮センシングを用いた低消費電力脳波計測フレームワークを提案している.本研究では, OMPアルゴリズムよりも高い復元性能を有するBSBLアルゴリズムを用いた脳波圧縮センシングの復元精度を最大化することを目標とし,DCT辞書,K-SVD辞書,K-SVD辞書学習に使用した学習信号(脳波信号を並べた行列)を辞書に使用した場合等について圧縮脳波のBSBLアルゴリズムによる復元精度の検証を実施し,復元に適する辞書の解明を行った.
A-18. 安全・安心な生活とICT
3月16日 9:00〜11:45 Meeting 41 座長 井ノ口宗成(富山大)
A-18-1 |
【E17】関越自動車道 関越トンネルにおけるトンネル非常用設備と安全・安心の取組みについて
○鐵重碧仁・秦 和樹・吉田佑輝・星 和雄・臼井智徳(ネクスコ・エンジニアリング新潟) |
A-18-2 |
高設置性および運転手への低ストレスを重視した道路工事現場用自律型交通誘導用仮設信号機
◎原田 怜・松田将朋・椿 大河・柴田裕一郎・石塚洋一(長崎大)・庄司鉄平(司コーポレーション) |
A-18-3 |
保守効率向上のための機器稼働データ取得に関する一検討
◎三浦明歩・楓 仁志(三菱電機) |
A-18-4 |
IoTによる屋外広告物監視システムの開発
○島本裕已・服部 聡・佐賀国弘・髙岡明弘・江田政則・長澤裕規・平山 翔・原田 誠・樋口知以(朝日エティック) |
A-18-5 |
機械学習を用いた河川監視システムにおけるオーギュメント手法
◎徳梅慎也・森口拓雄(綜合警備保障) |
トンネル非常用設備の役割を整理するとともに,群馬県と新潟県にまたがる【E17】関越自動車道 関越トンネルにおける安全・安心の取組みを報告する.
昨今、交通誘導警備員不足がその過酷な労働条件等により問題となっている。場合によっては、人員が確保できず、工事自体が中止になる現場もある。その対策としてタイマー式仮設信号機が置かれる現場もあるが、長時間にわたり対向車不在にもかかわらず赤信号となっている場合もあり停止車両の運転手に対する不用意なストレスとなっている。本稿では、交通誘導警備員必要数の削減および業務内容の低ストレス化による就労者希望者数向上を目的とした高設置性および運転手への低ストレスを重視した道路工事現場用自律型交通誘導用仮設信号機の開発について述べる。
鉄道事業や発電事業等の連続稼働が極めて重要な社会インフラに関わる事業では,機器の稼働データを取得・蓄積・分析することで,機器の故障予兆を検出する状態基準保全に関する取り組みが盛んに行われている.異常兆候検知にはビッグデータが不可欠である一方で,機器のセンシングデータを送信する際の伝送帯域や,収集したデータを管理するサーバのストレージの制限のため,異常兆候を検知するのに十分なデータを収集できないという課題が存在する.そこで本稿では,故障が発生した機器に類似した故障発生前の機器を特定し,稼働データを取得することで,従来集めることが難しかった機器の不具合前兆データを取得する手法について提案する.
電池駆動の無線センサーボックスで屋外広告物の状態を長期間遠隔監視することで,屋外広告物の様々な劣化や破損を検知し,このデータを無線通信でクラウド上に集約し,その状態を自動判定するシステムを開発した.これにより,屋外広告物の構造劣化等の状態を把握・予知することでタイムリーな予知保全し,災害による破損や故障が生じた場合は速やかに事後保全することで、屋外広告物を ”常に安全・安心で広告効果の高いベストな状態”に保つことを可能とした.
水災害は災害の特性上,被害の範囲が広範囲に及ぶ.そのため,災害発生後すぐに被害の状況を把握することが難しい.近年は機械学習の技術が向上したことによって水面を自動で検出し河川氾濫を予測,検出するシステムが提案されている.河川監視における課題点として,氾濫映像が発生する頻度の低さと氾濫映像と通常の河川映像のドメインが大きく異なる点である.そのため,氾濫時の水面判定は通常に比べて大きく精度が低下する.我々は河川映像のドメインに対応するためのオーギュメント手法の提案と3つのセグメンテーションモデルで実験を行いその結果精度が向上することを確認した。
休 憩(10:30 再開) 座長 和田友孝(関西大)
A-18-6 |
スマートフォンセンサーの利用による高さ計測の一実験
○杉本 等・大塚 晃(事業創造大学院大)・森山聡之(福岡工大)・鈴木康之(静岡大) |
A-18-7 |
加速度センサを用いた投擲型斜面監視システムの構築
◎村上和暉(東京工科大) |
A-18-8 |
被災者の移動エリアを考慮した災害情報配信方式
○小野健志・鈴木洋勇・水野 修(工学院大) |
A-18-9 |
ドローン間エピデミック通信における仮想道路と待ち合わせの効果の比較
○宮北和之(新潟国際情報大)・佐藤風雅・中野敬介(新潟大) |
A-18-10 |
災害救助通信用MANETプロトコルAODV-SOSの性能評価(その2)
◎山田竜宇・行田弘一(芝浦工大) |
筆者らは、位置情報ゲームアプリのコンセプトをもとに、スマートフォンで測位するデータから、津波や河川の氾濫等の水害を防止するためのマップ作りを行っている.本研究においては、津波危険度を測ることのできるアイディア(特許5737683号[3]、以下、本特許)がある.本特許を実現し津波危険度マップを作成するためには、人の横方向への移動だけでなく縦方向への移動である高さを計測する必要がある.本稿では、屋内において4機種のスマートフォンのGNSS、気圧計および加速度計による高さ測定の実験を行ない、屋外での実験結果と検討検討する.
斜面崩壊の危険度を評価するための指標として地表面移動量に着目し、LoRaを通信モジュールとした加速度センサで斜面を監視する投擲型斜面監視システムの構築を検討する。計測した地表面移動量から地表面ひずみが警戒領域に達したらアラートを発報し避難を促すシステムである。センサの形状は球体、まきびし型とし100mの距離でRSSI値を計測した。投擲型でありアンテナ向きは一定とならないため球体を考慮し6軸15パターンのアンテナ向きでRSSI値を計測した。計測の結果、固定した送信機が受信機に対して平行な場合ではYZ平面に起こしたY軸向き、垂直な場合ではXY平面に寝せたY軸向きが関わるとRSSI値が低くなることが分かり、またXZ平面に起こした向きが関わるとRSSI値が高くなることが分かったため、まきびし型では通信が安定することが期待できる。
大規模災害には通信インフラが使用できなくなる場合がある.そこで,自立移動式災害対策支援ユニット(D-ZEV: Disaster-robust Zero Energy Vehicle)とD-ZEV miniを開発している.本稿では,走行中のD-ZEV miniから移動中の被災者端末への災害情報配信を実現するため,D-ZEV miniが必要な情報を選択して被災者端末に伝達する機能を実装した.比較対象として,提案方式とD-ZEV miniが必要な情報を選択しない方式を比較した.実験結果より,提案方式が18.4MB,比較方式が18.9MBとなったが,必要な情報を比較方式より13.5MB多く配信し,有効性を確認した.
本報告では,ドローンによるエピデミック通信を考える.過去の研究では,端末同士が通信しやすいように空中に仮想的な道路を設定することを考え,この道路に沿って端末が移動する際のエピデミック通信の性能評価を行っている.本報告では,仮想的な道路を用いる手法との対比として,サービスエリア内の一点において端末が一定時間静止するような手法を考え,このような待ち合わせの効果によりエピデミック通信の性能がどのようになるかを,理論解析を通して考察する.
災害時の救助通信に用いる無線アドホックネットワークにおける端末のバッテリ寿命延長を目的とし,我々は,各端末のバッテリ残量に応じたパケット中継判断を行い,バッテリ残量の少ない端末のパケット中継数を減少させるPAR-AODV-SOS(Power Aware Routing-AODV-SOS)を提案し,評価を行なった.本稿では,更なるバッテリ寿命延長を目的とし,隣接端末数に応じたパケット再送確率を変化させる手法をPAR-AODV-SOSに導入し,シミュレーションにより評価を行った結果を示す.
3月16日 13:00〜15:30 Meeting 41 座長 新 浩一(広島市立大)
A-18-11 |
スマートフォンを用いたベビーカーのコンテキスト検知に向けた一検討
◎西山勇毅・瀬崎 薫(東大) |
A-18-12 |
LPWA通信を用いたメッセージ転送システムの社会実装研究
○森部絢嗣(岐阜大)・小池達也(よだか総研)・櫻井優一(サクラボテクノロジーズ)・細野光章(岐阜大) |
A-18-13 |
ドローンアドホックネットワーク用経路制御プロトコルにおけるドローン協調制御方法の検討
○藤井悠貴・行田弘一(芝浦工大) |
A-18-14 |
グラフのk-距離点彩色とGrundy Number
○田村 裕・豊田佳奈子(中大)・中野敬介(新潟大) |
ベビーカーは,子供がいる家庭の約70%が所有し,週に一回以上利用する家庭は73.8%であると報告されるなど,保有率・利用率ともに高い.ベビーカーは乳幼児を運搬するため,安全性と快適性が高く求められるが,街中・施設内において安全・快適な走行・滞在可能なルートや場所,時間を手軽に知ることは難しい.これらの情報を検知することで,様々な応用アプリケーションを実現できる.そこで本稿では,スマートフォンを用いたベビーカー移動時の急停止や段差との衝突,路面状態といったベビーカー移動に関するコンテキスト検知の可能性を調査し,その結果を報告する.
本研究では,岐阜県西部山間部の通信圏外を解消する策として,新たな低消費電力・遠距離通信であるGEO-WAVEを用いて,林業現場での通信網を構築し,社会実装に向けた検証を行った.親機を岐阜大学構内に,中継機はシミュレーションを基に林業従事者の行動圏内を可能な限りカバーするように岐阜県揖斐郡揖斐川町内4機,池田町内1機,本巣市内2機,高山市内1機を配置した.親機から中継機を経由し,子機および中継機間の通信の有無及び電波強度を計測した結果,機器間最大到達距離は,子機-中継機間で118 km,中継機間で115 kmまで確認した.通信条件が厳しい山間部においても中継機を適切に配置することで自営通信インフラとしての有効性を実証した.
ドローンに搭載した無線端末により構成されるDANET(Drone Ad-hoc NETwork)の信頼性向上を目的とし, 我々は中継端末の移動を制御する協調動作機能を導入したiFORP-3DD(3-Dimensional Deceleration)を提案した.本稿ではさらなる性能向上を目指し,従来用いていたドローン協調動作時間を決定する関数を改良し, シミュレーションにより性能評価を行った結果を示す.
無線通信におけるチャネル割当とグラフ理論における彩色問題は古くから関連性が示され,様々な研究がなされてきた.その研究の多くは色数の最小値であるが,応用の観点からGrundy Numberと呼ばれる色数の最大値も考慮する必要があり,研究が進められている.本文では,同一色を塗る場合にある程度の距離を想定したk-距離点彩色を取り上げ,色数の上限について考察する.
休 憩(14:15 再開) 座長 遠藤邦夫(Synspective)
A-18-15 |
カーボンニュートラルに向けた製造業の検討
○△周 沛涵(事業創造大学院大)・佐藤修一(新潟人工知能研究所)・杉本 等・大塚 晃(事業創造大学院大) |
A-18-16 |
プラスチックゴミの管理により持続可能な社会の形成
○ヌケネワ アライリム・大塚 晃(事業創造大学院大) |
A-18-17 |
教室換気状態把握のためのCO2センサの水平方向設置位置に関する実測調査
○安部 萌・緒方康孝・田中康一郎(九産大) |
A-18-18 |
教室換気状態把握のためのCO2センサの垂直方向設置位置に関する実測調査
○△緒方康孝・安部 萌・田中康一郎(九産大) |
A-18-19 |
アグリデジタルツインのための3次元LiDARを用いた仮想環境の構築
○佐藤直樹(秋田県立大)・間所洋和(岩手県立大)・Stephanie Nix・山本聡史・西村 洋・齋藤 敬・佐藤和人(秋田県立大) |
持続可能な社会実現に向けた環境への配慮が重要であり、製造業での環境の対応が喫緊の課題となっている。製造業の発展において、イノベーションに加え、人と自然との調和が安心・安全な世の中とするために重要である。炭素の排出量の観点から、カーボンニュートラルに向けた炭素の排出量の削減ついて検討した。今後、環境と製造の最適化のためのツールの検討を進め、生産コントロールは最適化を検討する。この部分で高排出な二酸化炭素を無条件で実施することを減らす。二酸化炭素排出量を削減するサプライチェーン管理としての製造プロセスを制御する。筆者らは、環境を考慮したグリーン製造について検討を行っている。本報告では、製造業におけるカーボンニュートラルについての検討として、生産コントロールを通して二酸化炭素の排出量の最適化について検討した。
2015年に国連に採択されたSDGs(持続可能な開発)の目標は持続可能な社会を実現することである。SDGsに沿って、持続可能な社会というのは廃棄物の発生抑制、再生利用の推進により資源の効率的な利用、環境の保全を目的として活動している社会である[3]。社会の福祉、安価での消費財の頻繁な買い替え、技術の発達、サービスを改良するため過剰包装や使い捨て商品の増加でゴミの発生も増加した。
近年,新型コロナウイルスの感染拡大防止により3つの密を避けるよう喚起されている.密を見える化し換気を促すCO2センサに注目が高まっているが,設置場所によるCO2濃度の違いが予想される.本稿では,教室での適切なCO2センサの設置場所について実測した結果を報告する.本研究を遂行するにあたり,センサとマイクロコントローラを組合せて機器を開発し,教室の前方・後方,窓側・真ん中・廊下側にそれぞれ本機器を設置し授業中のCO2濃度の変化を測定した.今回は換気状況が良く,後方に学生が多い教室での測定である.測定の結果,窓側より廊下側,前方より後方のCO2濃度が高かった.そのため,CO2センサの設置位置は廊下側後方が適切と考えられる.
COVID-19パンデミックにより日常生活が大きく変化した.感染拡大防止へ向けた対策の1つとして換気が挙げられる.換気状態の確認にCO2センサは有効であるが,設置位置によりCO2濃度が異なる.本稿では教室の垂直方向に着目し,CO2センサを用いて垂直方向設置位置に関する実測調査をした.CO2センサは人が呼吸する高さに設置することを推奨されているが,人の動作や障害物の影響を大きく受けてしまう.しかし,天井に設置することで人の動作や障害物の影響を受けにくくなり,室内の換気状態だけでなく,人数の増減も確認が可能である.この結果から,CO2センサは天井付近に設置することが有効であると考えられる.
情報通信技術を複合的に活用したデジタルツインは,安全な作業環境の構築や人件費の削減を目的とし様々な分野で採用されている.
しかし,農業分野でのデジタルツインは研究が始まったばかりであり,その理由として生物は短期間の状態変化に加え,長期的にも成長などにより変化し続けるからである.
本研究では圃場を対象としたデジタルツインのために仮想環境を構築し,圃場内を移動するロボットの最適な移動経路の深層強化学習による生成を目的とする.仮想空間上に再現することで,圃場全域を把握するのに必要な膨大な時間と人手が削減できる.また仮想空間上で最適化し,フィードバックした結果をもとにロボットの自律行動の実現を目指す.
A-19. ハードウェアセキュリティ
3月17日 13:00〜14:30 Meeting 24 座長 籾山陽一(ソシオネクスト)・山本弘毅(ソニーLSIデザイン)
A-19-1 |
Fully-Parallelized FPGA Implementation of the SIDH Key-Exchange Algorithm
◎△Hung Bui・Makoto Ikeda(The Univ. of Tokyo) |
A-19-2 |
圧縮センシングを用いた脳波計測フレームの電子すかし暗号システムにおけるDoS攻撃耐性について
◎津永亮多・兼本大輔(阪大)・永井孝太郎(山梨大)・廣瀬哲也(阪大) |
A-19-3 |
AES暗号回路に対する深層学習サイドチャネル攻撃のためのConditional VAEを用いた波形データ拡張
◎福田悠太・吉田康太・黒田訓宏・藤野 毅(立命館大) |
A-19-4 |
SoC向け電源ノイズシミュレーションを用いた暗号モジュールのサイドチャネル漏洩分布評価
◎門田和樹・永田 真(神戸大)・ラン リン・ハーシュ シュリバスタフ・デッチ ジュ・ノーマン チャン・カルバン チョウ(アンシス) |
A-19-5 |
位相限定相関法を用いた意図的な電磁情報漏えい耐性評価法
◎鍛治秀伍・藤本大介・林 優一(奈良先端大) |
A-19-6 |
漏えい電磁波の伝達特性の差に着目した高解像度ディスプレイに対するTEMPESTの検討
◎北澤太基・北村圭輝・藤本大介・林 優一(奈良先端大) |
Post-quantum cryptography (PQC) algorithms are gaining steady traction as the next-generation algorithms for public-key encryption due to their resistance against quantum attacks. One of these algorithms, supersingular isogeny key encapsulation (SIKE), shows promise as a quantum-resistant extension of elliptic curve cryptography. Compared to other PQC algorithms, it offers the smallest public-keys, and one of the smallest ciphertexts. However, its main drawback lies in speed which is magnitudes slower than the others. To benchmark the full potential of SIKE and provide a useful implementation, this paper will present a fully-parallelized hardware implementation of SIKE’s core element, supersingular isogeny Diffie-Hellman (SIDH).
無線脳波計測器の動作時間を延ばすために,扱うデータ量を削減することで省電力化が実現できる圧縮センシングに注目が集まっている.しかし機器を実装する際には消費電力のほかにセキュリティについても考慮する必要があるが,圧縮センシングは線形変換であるためセキュリティリスクが存在する.本問題を解決するために,圧縮センシングを用いた脳波計測フレームの電子すかし暗号システムを提案する.本研究では電子すかしを挿入した際の脳波信号と電子透かしプールの相関係数と閾値の比較を行うことでDoS 攻撃耐性を調べた.その結果提案した脳波計測フレームワークは閾値を0.2から0.65 に設定することで正規の信号を判別でき,DoS攻撃耐性を持つことが確認できた.
暗号回路の消費電力や漏洩電磁波を解析することで秘密鍵を窃取可能なサイドチャネル攻撃において,深層学習を用いた手法(DL-SCA)は,従来の攻撃手法よりも優れた性能を発揮するため注目が集まっている.従来手法では,ハードウェア実装AES暗号では,主としてハミング重み(HD)リークが用いられてきた.DL-SCAにおいては,HDごとの出現頻度が二項分布に従うため,教師ラベルの頻度偏りにより,深層学習では効率的にモデルを学習できないという問題点があった.本研究では,HDを教師ラベルとして用いるときに少数頻度となる学習データを補うため,Conditional VAEを用いて学習用波形データセットを拡張する手法を提案する.本手法により従来DL-SCAで用いられてきたHD-IDモデルよりも少ない波形数で鍵窃取が可能となった.
半導体ICチップに実装した暗号モジュールにおいて、Side-channel attack (SCA)は現実的な脅威として知られている。SCAでは攻撃者は暗号モジュール動作中に副次的に生じる物理情報を用いて暗号モジュール内の秘密情報を復元する。これまで様々な対策が考案されてきており、これらの対策が有効であるかの評価は一般にチップ製造後に行われるが、漏洩の強さは評価出来ても漏洩が強い箇所の同定は難しい事が課題となる。ICチップ製造前の設計段階でシミュレーションによりSCA耐性を評価出来れば、設計品質の向上、試作コストの回避に大きく貢献する。本研究ではSoC向け電源ノイズシミュレーションを用いてSCA漏洩強度分布の評価手法を構築した。
機器への意図的な電磁波印加により、内部情報を含む信号が電磁波として漏えいする脅威(意図的な電磁情報漏えい)が報告されている。従来の漏えい評価では、評価対象となる信号の抽出のため漏えい源の信号波形と漏えい電磁波の変動タイミングを同期し、波形間が比較されていた。波形間のタイミング同期は漏えい源の信号の侵襲計測が必要とされ、本脅威への耐性を正しく評価できない可能性がある。本稿では、波形間のタイミング同期に侵襲計測を必要としない意図的な電磁的情報漏えい耐性評価法を提案する。評価実験では差動伝送信号を評価対象として用い、漏えい電磁波より漏えい源の信号波形と同等の信号変動が復元できることが確認された。
近年、情報機器に用いられるディスプレイは、その高解像度化により画面を分割し、複数のピクセル情報を同一のクロック信号で同期しながら伝送を行う。そのため、ディスプレイから生ずる漏えい電磁波は複数のピクセル情報を含み、従来のTEMPESTでは情報の復元が困難となる。本稿では、高解像度化したディスプレイから生ずる複数のピクセル情報を含んだ漏えい電磁波を、漏えい源から受信機までの伝達特性の差を利用して分離し、画面情報を再構築する手法について検討する。
H-1. ヒューマンコミュニケーション基礎
3月15日 9:00〜10:00 Meeting 40 座長 石井 亮(NTT)
H-1-1 |
非西洋音楽のための音楽演奏システムの開発
○出口幸子・田丸莉久・五月女政喜・玉井 耀(近畿大) |
H-1-2 |
個人の購入行動と品不足に関するMASモデル
◎前田新太・竹川高志(工学院大) |
H-1-3 |
人型ロボットを用いた発話を促進する会議支援システム
◎須合 優・山形良介・小林貴訓(埼玉大) |
H-1-4 |
歩きスマホをやめようとする行動意図の継続性
◎酒井智弘・多屋優人・栗木優一・南川敦宣・小野智弘(KDDI総合研究所) |
本研究では今までに,誰でも容易に音楽演奏ができるシステム(ユーザインタフェースと音源と楽譜表示システム)を開発してきた.本研究では今回,そのシステムを拡張し,一部の非西洋音楽の演奏に対応できるようにした.UIとして弦タイプの形状を提供する.誰でも演奏できるシステムでは,数字や色を音高の表現に用いたが,ここでは,数字を弦名の表現に用いた.これにより,西洋音楽の音階とは異なる音階を扱えるようになった.そして,非西洋音楽の楽譜情報ファイルの書式を規定し,楽譜を表示できるようにした.また,音源も新たに追加した.
2020年2月末以降コロナ情勢下において,生活必需品の供給が減少するという情報が広く取り上げられた.
その結果,通常より多くの生活必需品を購入する人が現れ,店頭で品物がなくなり,購入したい人が購入出来ない品不足の事態となった.
人々の行動は必要以上の購入をする「買い占め」にあたるのだろうか.必要最低限の量だけを個々人が購入していたのであれば本当に品不足は起きなかったのか.
本研究では,供給が釣り合っている状況と不安定な状況において各個人にとって適切な購入行動をしらべるため,モデルに基づいて店舗在庫の推移と品不足確率の結果の検証を行った.
ブレインストーミングのような会議では,参加者の自由な発言によって,より良い発想が生まれるため,すべての参加者が発言しやすい環境を作ることが重要である.そこで,本稿では,ブレインストーミングのような多くの意見を出すことを目的とした会議を支援するシステムを提案する.加速度センサを取り付けたペンや重心変化を検知するデバイスを用いて会議の状態のセンシングを行い,そこから得られた会議の盛り上がり度に応じて,ロボットが参加者に刺激を与える.例えば,参加者の発言が少なくなったら,ロボットが「静かだね.発言しよう.」などの発話を行う.このようなフィードバックを与えることで,参加者の発話を促すことができるかを検証する.
本研究では、介入コンテンツを用いて、歩きスマホを抑制しようとする行動意図の継続性について縦断調査を行った。縦断調査は、回答者を3群に割り振り、計5回行った。5回の調査のうち、1回目から3回目までは、介入コンテンツを提示し、歩きスマホの行動意図に関する質問項目に回答を求めた。4回目から5回目までは、行動意図の継続性が維持されることを検討するために、介入コンテンツを提示せずに、行動意図に関する質問項目に回答を求めた。二要因混合計画の分散分析を行ったところ、グループの主効果は有意であった。多重比較の結果、グループ2とグループ3の行動意図得点との間には有意差が示されたため、その有意差について議論した。
H-2. ヒューマン情報処理
3月16日 9:00〜11:15 Meeting 40 座長 坂本修一(東北大)
H-2-1 |
ジョイスティックを用いたリアルタイム感情取得と学習データ数増加による映像視聴者の感情推定の推定精度向上に関する検討
○井上菜穂・菅沼 睦・亀山 渉(早大) |
H-2-2 |
NMFによる生体信号を用いた楽曲聴取者の感情推定に関する検討
◎桝谷亜美・谷澤七海・菅沼 睦・亀山 渉(早大) |
H-2-3 |
埋め込みに基づく双方向音楽感情認識
◎高島直生(近畿大)・Frédéric Li・Marcin Grzegorzek(リューベック大)・白浜公章(近畿大) |
H-2-4 |
音楽の印象予測のための特徴量ベース手法とCNNベース手法の比較
○瀬川晶子・林 貴宏(関西大) |
H-2-5 |
畳み込みニューラルネットワークを用いた抽象画像の印象予測の検討
○出口理香子・林 貴宏(関西大) |
H-2-6 |
AIと心理実験を用いたアートと実在物の関係に関する検討
マイ コンフン(阪大)・土佐尚子・楠見 孝・○中津良平(京大) |
H-2-7 |
構造方程式モデリングを用いた質感知覚モデルの構築
◎渡辺修平(リコー)・堀内隆彦(千葉大) |
H-2-8 |
脳波を活用したプレゼンテーション視聴時の内面可視化
○森田孝裕・張 亮・長手厚史(ソフトバンク)・西尾修一(阪大) |
H-2-9 |
単眼立体視におけるポインティングインタフェース表現が奥行き知覚に与える影響
◎矢野義貴・石原真紀夫(福岡工大) |
生体信号から映像視聴者の感情推定を行った先行研究では,学習に用いない未知データに対する推定精度が低かった.そこで本稿では,学習データ数を増やし,ジョイスティックを用いてリアルタイムで感情を取得する手法で感情を推定した.実験では,被験者に7つの感情がそれぞれ生起するであろう動画を視聴してもらい,視聴中の生体信号とジョイスティックによるリアルタイムの感情を取得した.これらのデータにDNNを適用し学習モデルの評価を行ったところ,未学習データに対する推定精度が向上した.よって,学習データ数の増加及びリアルタイムアンケートによって,未知の動画に対する感情推定精度が向上する可能性が示唆された.
生体情報(脳波,心拍間隔,瞳孔径)をNMF(Non-negative Matrix Factorization)で次元圧縮してクラスタリングを行い,聴取楽曲に抱いた感情を4分類(「楽しい」,「悲しい」,「イライラする」,「落ち着く」)した.NMFはscikit-learnを用い,初期値はrandom,損失関数はfrobenius,収束条件はデフォルト設定である閾値10-4で最大回数200回とした.NMFの基底数18,クラスタ数50の場合,クラスタ番号1では「楽しい」が,28では「落ち着く」が多く現れ,他の感情は比較的少なかった.1と28以外にもこのようなクラスタが現れていることが確認できた.よって,特定の感情に対応したクラスタが存在し,感情を分類できる可能性が示唆された.
既存の音楽感情認識 (MER)手法のほとんどは,音楽から感情を推定するという一方向のアプローチであり,感情の多様性や感情間の関係を考慮することが困難である.本研究では,埋め込み空間と呼ばれる共通空間を介して音楽と感情を双方向に分析するMER手法を提案する.埋め込み空間内で,関連した音楽と感情を近くに配置し,かつ類似した音楽もしくは感情同士を近くに配置することで,一般的な感情間の関係を考慮しながら,詳細な音楽と感情の対応づけが可能になる.さらに,感情の曖昧性を考慮して,正準相関分析に基づく相関性と多変量ガウス分布間のKLダイバージェンスという2つの統計量を複合した損失に基づく埋め込み手法を開発する.2種類のベンチマークデータを用いた実験で,提案手法の有効性を示す.
音楽の印象予測には一般に聴覚的特徴量が用いられるが,予測に用いる特徴量は人間の感覚や経験から選択されてきた.CNNは特徴量の設計・抽出のプロセスを自動化できる手法として注目され,多岐にわたる分野で盛んに活用されるようになってきた.そこで本研究では,聴覚的特徴量を用いる印象予測手法と,CNNを用いて音楽スペクトログラムから音楽の印象を予測する手法を比較する実験を行った.実験結果からは両手法に大きな精度の差は確認できず,どちらが優れているという判断には至らなかった.一方で,CNNを用いた手法はスペクトログラムを直接入力データとして予測を行えるため,聴覚的特徴量を用いる手法よりも利便性が高いと考えられる.
画像の印象予測手法として画像の特徴量を用いるものがあり,最適な特徴量の組み合わせは人間の感覚や経験によって選択される.その過程を自動化できる手法として,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いる手法がある.本研究ではCNNを用いた手法(CNNモデル)と従来の特徴量に基づく手法(NNモデル)の精度を比較した.実験の結果,CNNモデルの方が若干精度は良いものの,NNモデルの誤差も十分に小さかった.一方で,CNNモデルは,特徴量の設計,選択の手間を省くことができるので,NNモデルよりも利便性が高いと考えられる.
絵画の歴史は私たちの周囲にある風景などの実在物をできる限り正確に描くことから始まり、現代絵画は抽象絵画の時代に入っている。実物とそれを描いた絵画の関係は明確であるが、抽象絵画は何をどのように抽象化しているのだろうか。この問題はこれまでアートの領域の中ではいろいろと議論されてきているが、まだ明確になっていない。一方で深層学習を基本としたAIが近年急激に進歩しており、写真をアート風の画像にスタイル変換したりする機能が新しい技術として生まれている。本研究では、AIのスタイル変換機能を用いて抽象絵画と実在物の関係を検討する。スタイル変換で得られた画像を評価するには、被験者を用いた心理評価実験を行う。AIのスタイル変換機能と心理評価を組み合わせることによって、抽象絵画は何を抽象化しようとしているのかを検討する。
産業界では,競合との差別化を図るため感性価値に基づいた製品開発が重要となっている.しかし,製品の質感や情動的な項目の設計は定性的になされており,多くの時間とコストを費やしている.この問題に対するアプローチとして,我々は素材に対して知覚する質感や情動を定量化し,それらの関係性を明らかする研究を行っている.質感や情動を定量化できれば,製品開発の高効率化だけでなく,消費者に狙い通りの知覚を与えられる.本稿では,被験者に質感や情動に関する評価語を様々な素材サンプルに対して評価させ,その結果を用いて,SEMによる質感知覚モデルの構築を検討した.その結果,予測精度が高く意味的にも解釈可能なモデルを構築できた.
昨今のコロナウィルスの影響で、オンライン会議を行う機会が増えている.しかしオンライン会議では、対面時と比べて相手の心情を捉えることが難しい.本研究では、遠隔地の相手の理解度を自動推定する仕組みの実現に向けて、プレゼンテーション動画を視聴する際の「トピックの難易度」と「説明の上手さ」を脳波から検出することを試みた.
人が奥行きを知覚する手がかりの一つに単眼立体視があり,陰影や重なり,影,運動視差などに基づいて奥行きを知覚する.仮想世界や拡張現実世界における作業や活動に置いて,利用者への正確な奥行き知覚の提示は重要な要素である.本稿では,手がかりとして有効な影が提示しにくい中空での作業に着目し,中空に存在する仮想オブジェクトを指示するポインティングインターフェースの表現が奥行き知覚に及ぼす影響について調べる.実験の結果,一般的なポインティングインターフェースは,奥行きの知覚は良好であるものの,指示位置の認識に影響を与えている可能性がある.
3月16日 13:00〜15:15 Meeting 40 座長 望月理香(NTT)
H-2-10 |
Ghost in the Machine: 360度カメラとVRを用いた「もの」憑依システムの提案
○江南彪斗・小板隆浩(同志社大) |
H-2-11 |
複合現実による情報提示がロボット動作に対する反応時間に与える影響
◎山田亮介・秋月秀一・橋本 学(中京大) |
H-2-12 |
ロボットの応答性がユーザーの印象に与える影響
◎小林巧人・島田伸敬(立命館大) |
H-2-13 |
ミリ波レーダーによる宅内人物行動推定
◎大野耕祐・安木 慎・野口 浩(パナソニック) |
H-2-14 |
コンピュータ使用時のユーザの前傾姿勢の検知に向けた予備的検討
◎高島 諒・矢谷浩司(東大) |
H-2-15 |
画像・音・光の表現による握力グレーディング可視化システムの開発
○山田貴志(香川大) |
H-2-16 |
クラスタ分析を用いた歩行時の自覚的疲労度の高精度推定
○岡崎佑哉・板垣優也・堀田裕弘(富山大) |
H-2-17 |
食道上部括約筋開放時産生音に基づく嚥下障害スクリーニングに関する検討
◎髙馬大輝(静岡大)・黒岩眞吾(千葉大)・西田昌史・西村雅史(静岡大) |
H-2-18 |
非熟練ユーザーの光電子分光計測・分析支援に向けた質的調査
◎△桝田拓磨・小林正起・矢谷浩司(東大) |
本研究では人間がコミュニケーションから精神的豊かさを得ることを目的とし,遠隔地にいるユーザが現地にある「もの」の視界を得て操作・コミュニケーションを行う「もの」憑依システム「Ghost in the Machine」(GIM)を提案する.「もの」に装着した360度カメラで撮影した映像をVRで表示することで憑依という感覚を表現する.これにより,遠隔地にいるVRユーザは遠隔コミュニケーションに没入感を感じる.現地にいる人は憑依された「もの」とコミュニケーションすることにより共存感を感じ,精神的豊かさを得る.GIMでは2つのモードを想定し,「選択モード」で憑依したい「もの」を選択し,「憑依モード」で「もの」に憑依してコミュニケーションを行う.
本研究では,人とロボットが共同作業する状況において,ロボットの動作情報を複合現実で早期に提示することによって,人のロボット動作に対する反応時間の影響を実験的に検証した.対象とする作業は仕分けを模した作業である.ロボットが動き始めてからアームを伸ばす物体を人が認知するまでの反応時間を計測した.この実験では情報を提示する場合としない場合で対照実験した.この結果,情報を提示する場合の反応時間の方が短く,2群における反応時間の差は1.4±0.3秒であった.
近年人と対話するロボットの開発,研究が活発に行われているが反応の応答性がユーザーの印象に与える影響について未だ明らかになっていない.そこで本論文では,ユーザーがロボットの方を見たときにロボットがユーザーにアイコンタクトをする動作の中で,反応時のdelayと首のモーターの回転速度を変化させることによるユーザーの印象の違いを調べる.実験により,delayはより小さい方が印象が良い傾向にあり,首の回転速度は実験で使用したパラメータで中速の印象が良い傾向にあることがわかった.
独居高齢者宅内見守りを目的とした宅内人物行動推定が求められている.プライバシー保護の観点からカメラ等の機器は設置が困難であり、個人を識別しないミリ波レーダーによる人物検知を利用する.ミリ波レーダーで検知した人物(ターゲット)に対し誤検知除去、及び未検知補完を処理した後、予め推定対象の行動毎に定義したルールに基づいて行動を推定する方式を開発し評価した.入浴や調理といった一般的な宅内行動8種に対し、約95%の精度で推定ができ、本方式の有用性が確認できた.
近年スマートフォンやインターネットの普及及びコロナウイルスによるテレワークの増加に起因して、IT機器に触れる人口や一人当たりのIT機器使用時間は増加している。IT機器の中でも特にコンピューターのディスプレイ等の画像表示端末をVisual Display Terminals (VDT)と呼ぶが、VDT使用時には、それらの画面を注視し続ける、同じ姿勢を取りつづける、猫背など前屈みの姿勢を維持するなどの使用中の行動が人体の健康に及ぼす悪影響が懸念されている。VDTの使用は眼の痛み、ドライアイ、疲労感、手首や腕の疲れ、首や肩の痛みなどに繋がり、以上のような症状はVDT症候群と総称されている。このようなVDT症候群を検知し、予防を支援する研究は広く行われてきた。本論文では深度カメラを用いてユーザの顔の特徴量を抽出し,上半身の前傾姿勢を検知する方法の予備実験を行い、その結果及び分析について述べ,最後に実験結果を踏まえ今後取り組むべき課題、実際のシステム構築に向けた展望についてまとめる。
本研究では,課題の達成に向けて,順序立て,行動する際に必要な能力である実行機能を解析・評価することを目指して,画像・音・光の表現による握力グレーディング可視化システムのプロトタイプを開発している。
近年、生体情報や加速度情報から運動量、ストレス、活動量及び疲労度を精度よく推定することで健康増進効果の検証ができると期待されている。デバイスの小型化・軽量化が進み、ウェアラブルデバイスが利用者の装着時の負担や違和感を軽減することに着目し、本研究ではウェアラブルデバイスを用いた人の歩行時における心拍変動と身体的加速度を使用した自覚的疲労度の推定を重回帰分析により行う。また、ステップワイズ法を用いて回帰モデルの説明変数を選定する。さらに、被験者ごとの自覚的疲労度の傾向をウォード法によりクラスタリングをし、全体とクラスタごとの回帰モデルを構築し比較する。
本研究では嚥下に伴って発生する食道上部括約筋開放時産生音の周波数成分に着目し、健常者と嚥下障害が見込まれる患者の嚥下音を対比することで、嚥下障害者をスクリーニング可能な音響的特徴量を検討した。対象は健常な学生データと診察のために病院を訪れた患者データである。ウェーブレット変換によって得られた周波数成分を用いて主成分分析を行った。その結果, 健常学生には一定のまとまりが見られ、言語聴覚士による嚥下音評価,VF画像を用いた客観的評価と照らし合わせることで293~325Hzのスコアが大きいほど深刻な嚥下障害と判断される傾向にあることが確認できた。
X線などの高エネルギーの光を試料に照射した際に放出された電子を解析して物質の電子状態を調べる光電子分光は,今や物質科学,生命科学,医学,ナノテクノロジーなどの分野で欠かせない実験手法となっている.光電子分光に放射光と呼ばれる光を用いることで,計測精度が飛躍的に向上し,計測時間の短縮も見込める.しかし,限られた施設利用時間内に素早く正確な計測と解析をミスなく遂行する必要があり,特に施設や装置,実験手法に不慣れなユーザーには負担が大きい.この課題を解決するツールを開発するために,筆者らはまず非熟練ユーザーと専門家合計7名にインタビューを行った.本稿ではその結果を報告し,今後の展望について述べる.
H-3. メディアエクスペリエンス・バーチャル環境基礎
3月18日 13:00〜16:00 Meeting 29 座長 杉本麻樹(慶大)
H-3-1 |
3Dコンテンツでの階段の上り動作における酔い軽減手法の一検討
○中山 樹・木全英明(工学院大) |
H-3-2 |
VRにおける身体行動拡張が酔いに与える影響の調査
○岡本陽太・島田伸敬・松尾直志(立命館大) |
H-3-3 |
トンネル入出時の視覚刺激と提示前庭感覚による加速度感の定量化
○伊藤泰輝・上田英明・松村海渡・小方博之(成蹊大)・安田晶子(一橋大) |
H-3-4 |
バーチャル美術館における照明の色温度による印象に関する研究
○宮田昂汰・桑原明栄子・荻野 正(明星大)・林 正樹(ウプサラ大)・Jong-il Park(漢陽大) |
H-3-5 |
感情表現を強調するエモフェイスの提案
○河井拓真・木全英明(工学院大) |
H-3-6 |
マスクを付けた状態での顔画像からの感情推定の一検討
○田中佑樹・木全英明(工学院大) |
3D空間を用いたゲームは増加しており,表現手法が進化している.3Dコンテンツでユーザが疲れない,酔わないようにするべきであり,コンテンツ製作の設計指針を明確にすべきである.我々は,階段の上り動作において,ユーザに違和感をもたらさない設計指針を検討した.
近年,VRが技術的に進化しハード・ソフトともに新しい作品が誕生しており,また総務省によると2016年から2020年にかけてAR/VRのソフトウェアサービスの売上高が上昇し,AR/VRハードウェアの出荷台数も2019年から上昇している.VRユーザー・クリエイターが増加するとVR酔いを体験している人間も増加している可能性がある.VR酔いを引き起こすとユーザーやクリエイターが満足できる体験を享受、提供できなくなる.本研究では実際の身体の動きとVR中の状況変化のどのような「ずれ」がVR酔いを引き起こすのか調査する.
VRで加速度を提示するとき、映像の加速に加えて、モーションプラットフォームのような機器で傾きを増減させて行うが、物理的限界がある。そこで本研究では、人間が自動車でトンネルに入出した際などの加減速時に錯覚を起こす特性を利用して、機器の限界前に傾きを戻すことを考える。本研究では、実験でトンネル入出前の速度感をウォッシュアウト可能な加減速の範囲と、その加減速値をかけつつ映像の加減速度に合わせて傾く機器で加速を感じられる範囲を特定した。その結果、前者の実験ではトンネルから外に出る際には入る際の加速より大きな減速をかけることができ、後者では大きな減速に応じて小さな角度の傾きで感じられることが分かった。
近年では、直接的に美術館に足を運ばなくても作品が観覧できる美術館が普及している。しかし、作品を閲覧することにおいて作品への注目はされているが、観覧環境のクオリティについては注目されていない。そこで本研究では、VR環境上の仮想現実空間のバーチャル美術館で作品照明の色温度に焦点を置き観覧環境のシミュレーション実験を行う。
人は感情の変化に伴って自らの表情が変化し,逆に表情をフィードバックすることによって感情を変化させることが可能であるとする「表情フィードバック仮説」が提唱されている.吉岡らは,目口のパーツからなる笑顔のアイコンを付加することによって,自身の感情も同調的に反応して変化すると考え,実験により感情が変化することを示した[1].我々は,言葉と絵文字を組み合わせた場合に置いても,感情の変化,すなわち感情の強さの増減が起きるのではないかと考える.そこで,言葉と絵文字を組み合わせたエモフェイス(Emoface)を提案し,感情の強さの増減についての印象評価実験を行う.
COVID-19の影響でマスクをつけることが多くなっている.マスクを付けて話すことが日常的になることで,相手の感情が表情から読み取りづらくなる.そこで本研究では,マスクをかけた顔画像からの特徴点の変化から感情の分析をする手法を検討する.
休 憩(14:45 再開) 座長 磯山直也(奈良先端大)
H-3-7 |
機械学習によるCGキャラクターの背景切り抜きシステムの試作
◎長濱奈嗣・小坂洋明(奈良高専) |
H-3-8 |
ARのユーザ別部分情報提示環境におけるコミュニケーション齟齬の解消
○野村朋哉・島田伸敬・松尾直志(立命館大) |
H-3-9 |
平面認識を用いた仮想床のAR重畳
○安田遥人・木全英明(工学院大) |
H-3-10 |
デジタルアートとデジタル捺染を融合したファッションの実現
土佐尚子・◎根本悠樹(京大)・丸山紗恵子・三宅純一・香西晶子(セイコーエプソン)・中津良平(京大) |
H-3-11 |
パラボリックフライトによる微小重力下における流体アート「サウンドオブ生け花」の生成
土佐尚子・Yunian Pang・鳥羽重孝(京大)・○山田晃弘・鈴木高志(凸版印刷)・中津良平(京大) |
近年, CGアバターを用いて動画サイト上で活動するVTuberが増加しており, VTuberの切り抜き動画の投稿も増加している. そこで, 動画のサムネイルの作成に着目した.
サムネイルの作成には素材が必要になるため, 権利元から入手するか投稿された動画から作成する. 素材には画像から切り抜いたキャラクターを使用することが多いが, 背景からキャラクターのみが切り抜かれるシステムは少ない. そこで, キャラクターのみ切り抜くシステムの試作を行なった.
試作したシステムでは, 3Dモデルのキャラクター画像の入力時は切り抜きが行えたが, Live2Dモデルのようなキャラクター画像では精度が著しく低い結果となった.
近年,AR技術は医療や工業などの様々な分野で応用されているが,既存のARコンテンツの多くは同時刻の同じ実空間を共有する全ての人に対して同じ情報が提示される.本稿ではAR環境下にいる複数のユーザが同時に同じ現実のシーンを見ているのにも関わらず,ARに提示された情報が違うことで起こりうるコミュニケーションの齟齬を調査する.また,その時の会話特徴,相手が見ている情報の提示によって齟齬が解消されるのかを調べる.2人1組で棚に配置された仮想的な本をタイトル順に並び替えるタスクを,互いに共有された本が少し異なる状況で行う.その結果,相手が意図していない物体に働きかけるといった齟齬などが起きた.
近年,拡張現実(AR)は多くの人に注目されており,様々なコンテンツが制作されている.建物を建築する前に完成予想をAR で提示することがある.AR をスマートフォンで体験する際,現実に設置するのが難しいものでもコンテンツは重さや嵩を持たないので気軽に設置できるといった利点がある.本研究では,建物の完成予定の床を現地で気軽仮想的に提示することを目指し,実世界に仮想の床を重畳し気軽に床の張替えのできるシステムを開発する.
衣服制作における染色の新しい技術としてデジタル捺染技術がある。これは、布地に柄を直接プリントする技術で、アナログ捺染に比較して大幅に工程が短縮し少量生産に向いている。ただ大量生産志向のファッション業界において、デジタル捺染の特性を十分活用した市場の開拓はこれからである。一方、デジタルアートは、コンピュータを駆使して制作するアートである。従来の手作業に基づく制作によるファインアートに対して、その特徴を十分に生かした適用分野・市場の確立はまだ十分ではない。
このデジタル捺染とデジタルアートを組み合わせることによって、新しいファッションとそれに対応する市場が生まれる可能性がある。本報告では企業と大学の共同研究に基づいたアートファッション制作の試みについて述べる。
民間人による宇宙空間への飛行やISSでの滞在など、最近宇宙に関する話題が多くなり、宇宙旅行が私たちにとって身近なものになりつつある。これは、宇宙時代における生活や社会のあり方を私たちが真剣に考えるべき時期に来ていることを示していている。アートは古代から人間の精神性と深く結びついてきており、宇宙時代におけるアートのあり方を検討しておくことは重要な問題である。
これまで筆者らは、流体を用いたアート(流体アート)の生成にアーティスト土佐尚子とともに取り組んできた。宇宙時代のアートのあり方に関する試みとして、パラボリックフライトを利用して得られる微小重力下で、アーティスト自らアートを生成する実験を行った。
H-4. 福祉情報工学
3月17日 13:00〜16:30 Meeting 40 座長 小森智康(NHK)
H-4-1 |
ロボットアームを用いたバイタル測定と把持検知
○小此木陸杜・大野健介・三枝 亮(神奈川工科大) |
H-4-2 |
ロボットアームによる食物の状態認識と食事支援
○宮川元輝・松田 輝・村田 圭・三枝 亮(神奈川工科大) |
H-4-3 |
口腔インターフェースによる運動計測と図形描画
○佐久間 翼・須藤 陸・三枝 亮(神奈川工科大) |
H-4-4 |
ロボットとの対戦型ゲームにもとづく転倒予防システムに関する研究―四肢の運動を可能とするじゃんけんを用いた新ゲームの提案と評価―
◎片野 結・北越大輔(東京高専)・鈴木健太郎(杏林大)・鈴木雅人(東京高専) |
H-4-5 |
ガウス過程回帰を用いた飲水時誤差補正による排尿時刻予測手法の提案
◎塩田崇真・浜田百合・栗原陽介・広田 卓(青学大) |
H-4-6 |
頤舌骨筋筋力、食道開口モデルおよび嚥下音を用いた摂取水分量推定システムの開発
◎小泉敦暉・浜田百合・栗原陽介・小濱美咲(青学大) |
H-4-7 |
インソール型圧力センサを用いたパーキンソン病重症度推定
◎林 倖生・原 直・阿部匡伸(岡山大)・武本麻美(岡山大病院) |
近年,医療介護現場では業務負担が増加する一方で職員人材を確保することは難しく,ロボットによる業務支援や業務代替への期待が高まっている.入院患者や入居者の体温や血圧などの情報は電子管理されているが,接触を伴う測定については職員が行うことが多く,測定を自動化する方法は確立されていない.本研究では,入院患者や介護施設利用者の自助的な健康管理を目的として,見回りロボットが能動的にアームを駆動制御して身体に接触し,バイタル測定を行うシステムを提案する.患者や入居者が見回りロボットと協調してバイタル測定を行うことで,現場職員の測定業務の負担を軽減するとともに当事者の健康管理の意識を高める.
高齢者や障害者の介助において食事介助は生活の質に関わる重要な支援項目であるが,介助の頻度や介助に要する時間が長く,被介助者の心的負担となっている.食事介助を機械システムで代行するためには食物の自動認識が必要となるが,食物の形態は多様に変化するため認識は容易ではない.本研究では,高齢者や障害者への食事支援を目的として,ロボットアームによる食物の状態認識の方法を提案する.ロボットアームは取り上げた食物の姿勢を変化させ,多方向から食物の状態を観測する.能動的に食物を観測することで,食物の3次元的な形状や容積を推定して食べやすさを評価する.食べやすさの指標は試食による感性評価を行い,実験的に決定する.
脊髄損傷や肢体麻痺の障害を持つ児童や幼児は,身体運動を伴う学習機会が制限されるため,発達に影響を受ける. 例えば,健常な児童は文字や漢字を覚える際にノートに書き写して覚えるが,手指が動かせない児童にはこのような筆記動作は困難である.本研究では,運動障害を持つ児童や幼児の学習支援を目的として,口腔内の運動に基づく図形描画システムを提案する.口腔用のインターフェースを装着して運動を計測し,モニタ上のカーソルを操作して図形を描画する.舌運動でカーソルの移動操作を行い,噛み動作で操作の決定解除を行う.口腔でカーソルの操作を反復練習した際の描画の習熟度や描画パターンの記憶の定着について評価する.
著者の所属する研究グループでは,ロボット・エージェントとの対話的やりとりを通し各利用者に適した難易度・負荷で認知訓練や転倒予防運動に取り組める介護予防システムの開発を進めている.本研究では,ロボットとの対戦型ゲームを基盤とした高齢者向け転倒予防システムに注目し,当該システムに既存の“じゃんけん”型ゲームを改良・拡張し四肢の運動を可能とする新ゲームを導入することで,運動自由度の向上による高齢者の継続利用意欲の促進を目指す.具体的には,新ゲーム導入の準備として実施した主観評価実験,および“じゃんけんグリコ”型ゲームを導入した転倒予防システムを評価する実験を行い,結果について評価する.
高齢者の排泄介助において,次に排尿する時刻を予測できれば,尿失禁前に介助者が排泄を促すことが可能となる.本研究では,排尿後に次の排尿時刻を予測する手法を提案する.本提案手法では,排尿直後に累積水分摂取量,累積排尿量の比および口内水分量にたいし,ガウス過程回帰を適用することで排尿時刻の初期予測を行う.その後の飲水時に,累積接種水分量,口内水分量,初期予測排尿時刻にたいし再びガウス過程回帰を適用し,誤差による補正項を算出することで初期排尿予測時刻を補正する.検証実験の結果,初期予測時の平均絶対誤差が17.78分であったのにたいし,誤差補正により1.32 分となり,提案手法による予測精度向上の効果が確認された.
本研究では熱中症予防のため,水分摂取時の水分量を自動的に推定するシステムを提案する.本提案手法では,頤舌骨筋筋力,食道開口モデルを構築し,頸部に設置した圧力センサの出力信号にたいし,カルマンフィルタを適用することで頤舌骨筋筋力,食道開口面積を推定し,それぞれの総和および最大値を特徴量とする.また,50~150Hz,400~750Hzの嚥下音におけるスペクトルを特徴量とする.求めた7個の特徴量を説明変数とし,ガウス過程回帰を適用することで,接種した水分量を推定する.14名を対象とした検証実験の結果,1~30mlの単独嚥下における飲水量の推定において,平均絶対誤差は4.58mlとなった.
神経系の疾患であるパーキンソン病は,運動障害の一つとして歩行障害を引き起こし,その症状の進行度合いは重症度と呼ばれる指標で表現される.しかし現在,重症度の推定は医師の主観的評価のみで行われている.そのため,歩行データの分析によって、定量的に重症度を推定することが重要である.
本研究では、まずパーキンソン病患者と高齢健常者の歩行データを足裏の力のかかり方を計測可能なインソール型圧力センサで取得した。次に、歩行障害の特徴に基づいて歩行データから特徴量を抽出した。最後に、その特徴量をk-meansを用いてクラスタリングし重症度を推定した。本稿では、これらの手法と推定結果について報告する。
休 憩(15:00 再開) 座長 酒向慎司(名工大)
H-4-8 |
郷土の魅力を発信する高校生向けVRコンテンツの作成
◎石山悠斗・小林貴訓(埼玉大) |
H-4-9 |
Single Shot MultiBox Detectorを用いた幼児の危険領域自動検出
○前原春佳・西山裕之・秦野 亮(東京理科大) |
H-4-10 |
字幕制作の自動化に向けた字幕シミュレータの開発
○藤森真綱・小森智康・河合吉彦・望月貴裕(NHK) |
H-4-11 |
オープンキャプション検出を併用した自動字幕提示手法の評価
○小森智康・藤森真綱・河合吉彦(NHK)・三島 剛(NHK−ES)・佐藤裕明・望月貴裕・佐藤庄衛(NHK) |
H-4-12 |
機械学習による超音波画像装置のプローブの当て方の良否判別のための学習画像枚数と選択方法の検討
◎鳥山晴来・篠原寿広・中迫 昇(近畿大) |
H-4-13 |
電子機器使用が睡眠の質に与える影響調査
○室井鴻一・山﨑達也(新潟大) |
VR体験は没入感の提供や利用者に興味を持たせるなどの心理的効果があると考えられている.本稿では,福島県白河市の人口減少対策の一環として,市内の高校に通う高校生を対象にした,同市の魅力を発信するVRコンテンツの作成に関して報告する.制作したバーチャル白河市は,白河市をモデルとした空間をプレイヤーが自由に動き回り,空間内に配置された動画を視聴していくというVRゲームコンテンツである.多数の高校生が授業内で体験できるようにヘッドマウントディスプレイを使わない実装を行い,QRコードからサーバのURLにアクセスし,スマートフォンでプレイできるようにした.今後,アンケートを実施し,VRゲームコンテンツの効果を検証してゆく予定である.
本研究では幼児の家庭内での事故を予防するため,SSDという機械学習モデルを用いて幼児の危険領域の自動検出を行う.転落事故や火の元,水回りへ移動することで起こる火傷事故や溺水事故を予防するため,窓と部屋の出入り口を危険領域に設定した.LIFULL’HOMESデータセットの画像データに対して領域アノテーションを行い,窓と部屋の出入り口のアノテーションデータを用意した.SSDのベースネットワークであるVGG16の学習済みモデルと画像データ,アノテーションデータを用いて学習を行ったところ,高い精度で窓と部屋の出入り口を検出することができた.今後は本研究で作成したモデルと幼児を検出するモデルと組合わせて幼児の危険領域接近検知を行うシステムを作成したいと考える.
字幕放送は視覚障害者への情報提供や,音を出せない環境や騒がしい環境でのテレビ視聴に役立っている.しかし,生放送番組の字幕制作を,人手を介して行う従来の方法によりあまねく県域局で実施することは,コスト等の問題から難しいため,音声認識を用いた字幕制作の自動化が必要とされている.自動字幕制作の実現には,音声認識の精度向上はもちろん,字幕の表示タイミング等の様々なパラメータや,映像情報を利用した字幕制御の検討が必要である.本稿では,字幕制作の自動化に向け,音声認識と画像認識の結果を統合した字幕制御の検証および,字幕の表示タイミング等のパラメータ選定作業を効率よく進めるためのシミュレータを開発した.
字幕放送サービスは,音声の聞き取りが難しい聴覚障害者や高齢者に加えて,一般視聴者にも騒音環境での番組視聴などに利用されている.NHKでは,より多くの番組に字幕付与することを目指し音声認識により自動生成した文字を,人手による修正を介さずに直接字幕とする研究を進めている.これまで,不明瞭な発話を検出して,認識誤りのある字幕を提示しない方法により字幕の悪印象の軽減を試みてきた.一方,不明瞭な発話ではオープンキャプションが提示されることが多い.上述の不明瞭発話の検出と映像からのオープンキャプション検出を併用して字幕の表示や位置を制御する手法を提案し,字幕の総合品質が向上することを確認したので報告する.
本研究では、機械学習を用いたプローブの当て方の自動判別法を提案している。しかし、学習に必要な画像の枚数と、その選択方法には検討の余地があった。そこで、本稿では、学習画像枚数を1人につき5、10、20、40枚ずつをデータセットとして、すべての画像を使った場合と判別精度を比較した。その結果、学習画像が1人につき10枚ずつの時点で有意差が無くなり、学習画像が1人につき10枚ずつでも十分に学習できることが示唆された。また、学習画像選択の評価値を、各データセットすべての画像ペアにおける画像同士の差分2乗和の合計として判別精度を比較した。その結果、同じ枚数のデータセットでは判別精度に有意差はなかった。
ディジタル機器の普及により,日常的にディジタル情報に触れる機会が増加した結果,就寝前のディジタル情報の利用が睡眠の質を低下させることが懸念されている.これまで,就寝前の電子機器の使用が睡眠の質に与える影響に関する研究として,就寝前のディジタルメディア利用と安静[1]や,印刷書籍と電子書籍[2]が睡眠に与える影響を比較した事例がある.これらの研究では,アンケートによる回答や脳波計測による比較により,対照群間の違いを明らかにしていた.一方で,最近は睡眠状態を簡易に記録できるウェアラブル機器が利用可能である.そこで本稿では,条件にコンピュータゲーム(以下,ゲーム)を加えた上で,ウェアラブル機器により就寝前の電子機器の使用による睡眠の質への影響を調査した結果を報告する.
シンポジウムセッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
ADS-1. チップ組み込み型細粒度再構成ロジック最前線
(VLSI設計技術研専、リコンフィギャラブルシステム研専 共催)
3月18日 10:00〜11:40 Meeting 40座長 久我守弘(熊本大)
ADS-1-1 |
Edge DX における NanoBridge FPGA への期待
○山口佳樹(筑波大) |
ADS-1-2 |
スイッチ、RISC-V、細粒度ロジックを搭載したIoT用デバイスSLMLET
○天野英晴(慶大) |
ADS-1-3 |
スピントロニクス素子ベース不揮発FPGA: 超低消費電力再構成可能ハードウェアプラットフォームへの挑戦
○鈴木大輔(会津大)・夏井雅典・羽生貴弘(東北大) |
ADS-1-4 |
MECデバイス向けFPGA-IP試作チップの動作検証
○久我守弘・中里優弥(熊本大)・趙 謙(九工大)・尼崎太樹・飯田全広(熊本大) |
本講演では,デジタルトランスフォーメーション(DX)を支える情報通信技術と言う観点から,FPGA 利用における得失をまず明らかにする.続いて,それを解決する可能性を持つ Nano-Bridge FPGA について紹介し,そのシステム実装を通してエッジDXにもたらすインパクトについて議論する.
SLMLETは、IoTデバイスの暗号化、匿名化、MQTTブローカのオフローディングを目的とした低コスト、低電力の再構成可能ロジックであり、細粒度デバイス本体として熊本大学のSLM再構成ロジックを持ち、制御と簡単な計算用のRISC-V、外部とのパケットを交換するHypernetのスイッチを持っている。スイッチのDMA機能を利用し、複数のチップ間でストリーム処理を効率よく行うことができる。複数の構成情報をチップ内部に圧縮した形で格納し、高速に入れ替えることが可能である。さらに内部の情報を内部メモリにロードし、交換することで、ハードウェアコンテキストのマイグレーションが可能である。
Internet of things (IoT)技術の発展に伴い、従来のクラウド一極集中型の情報処理から各種端末におけるローカルな情報処理、すなわちEdge computingの重要性が高まってきている。このようなハードウェアプラットフォームとして、内部に記憶された回路情報の書換えにより演算機能を再構成可能なField-programmable gate array (FPGA)の需要が高まってきている。 一方,従来のSRAMセル、すなわち揮発の記憶を前提としたFPGAでは情報の保持のために常時給電が必要であり、そのため待機電力の消費がEdge応用に向けた課題となっている。不揮発FPGAはSRAMセルの代わりに不揮発のメモリ素子に情報を記憶することで電源供給の一時停止(Power-gating)が可能であり、この特徴により無駄な待機電力の消費をゼロにすることが可能である。著者らは不揮発メモリ素子の一つであるスピントロニクス素子に着目し不揮発FPGAの研究を進めている。本稿では、スピントロニクス素子ベース不揮発FPGAの技術動向について概説するとともに、その応用並びに超低消費電力再構成可能ハードウェアプラットフォームへの展望についても述べる。
マルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)はIoT 環境においてエッジ–クラウドの間で連携した処理を
実行する際に,エッジデバイスにおける負荷の低減,リアルタイム性の確保,エッジ–クラウド間通信トラフィッ
クの削減等を実現するために重要となってきている.本稿では,MECデバイスにおいて様々な応用に向けて高性
能で低消費電力のハードウェアアクセラレーションを実現するために開発したFPGA-IP に関し,その試作チッ
プの動作検証について報告する.