プログラム
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一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
C-1. 電磁界理論
3月20日 9:15〜11:45 54号館 103教室 座長 平山浩一(北見工大)
C-1-1 |
点整合法を用いた正多角形コアファイバの基本モードの導出
○狐崎直文(あましろ科学) |
C-1-2 |
単導体線路モデルにおける放射の反作用の時間領域評価
◎鮫島佳奈・久門尚史・和田修己(京大) |
C-1-3 |
Scattering and Absorption of Terahertz Waves by Two-Dimensionally Corrugated Graphene Sheet
○Akira Matsushima・Shunsuke Imamura・Manash Chakraborty(Kumamoto Univ.) |
C-1-4 |
内部にストリップ導体を有する角柱物体による電磁波の散乱
○柴山俊輝・山﨑恒樹・尾崎亮介(日大) |
正N角形コア・ファイバの基本モードを点整合法を用いて計算した. N=6の場合, 数値計算結果と矛盾しない基本モードの分布と, 実効屈折率が得られた.
高周波回路設計やメタマテリアルの解析などで,電磁結合の影響が大きい場合や帰路線を持たない場合には電圧を定義することが難しくなる.その場合に有効な手法として,電圧の代わりに電流と線電荷密度を用いた単導体線路モデルが提案されている.これまで,周波数領域において,有限長単導体線路の端点で電界が放射されることによる反作用の影響を遅延ポテンシャルにより定式化されている.本報告では,その影響をフーリエ変換を用いて時間領域で評価する.
The problem of scattering and absorption of terahertz waves from a periodic grating is numerically solved by the mode matching method based on minimizing the boundary error in the least squares sense. The grating is a two dimensionally corrugated graphene sheet, which is regarded as an impedance surface, and the generalized boundary conditions are applied over it. We focus on the plasmon resonance absorption phenomenon which occurs when the period and incident wavelength are comparable, and confirm that the near field intensity enhanced by the evanescent waves near the boundary. The analysis is done in a similar manner as the author's previous work which treated the corrugated noble metal film for light incidence.
近年,導体と誘電体が混合した任意形状物体の散乱問題が注目され,色々な解法(積分方程式法, モーメント法,有限要素法, FDTD法)で解析されている.なかでもアトム法[1]は散乱体の分極に着目し,導体と誘電体を同時に扱える利点ががあるため,導体と誘電体の混合物体の解析には有力な解法の一つである。
本文では内部にストリップ導体を有する角柱物体による電磁波の散乱問題をアトム法で解析し、誘電体部分においては、アトムの物質量と誘電体1セル中の物質量を等しくした。数値解析では、内部のストリップ導体と誘電体が散乱特性に及ぼす影響をTE波について検討した。
休 憩(10:30 再開) 座長 尾崎亮介(日大)
C-1-5 |
テラヘルツ帯におけるInSbコート誘電体円柱に対する傾斜入射特性
柴山 純・◎高橋澄玲・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-1-6 |
磁化プラズマに対するPML吸収境界条件
◎岩崎紘治・宇野 亨・有馬卓司(東京農工大) |
C-1-7 |
導波方向の構造周期性を考慮したギャップ導波路のモード解析と散乱行列のモード表現
◎江尻敬祐・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
C-1-8 |
点整合法によるコアとピットを任意に配置した導波路の解析
◎荒川大樹・古川慎一(日大)・亀田和則(佐野短大) |
C-1-9 |
円形コアと円形中空ピットで構成した偏波スプリッタの特性解析
◎田中啓介・荒川大樹(日大)・亀田和則(佐野短大)・古川慎一(日大) |
InSbでコートされた誘電体円柱の傾斜入射時における透過特性及び界の振る舞いを,周期境界条件を適用したFDTD法を用いて解析する.ディップ周波数において,導波モード共鳴及び表面プラズモン共鳴が生じ,ディップ周波数によって,基板内の界の伝搬方向が異なることを示す.
磁化プラズマは地球大気上層部に存在し,その密度変化や移動は電磁波の伝搬に影響を与える.そのため,磁化プラズマ中の電磁界の振る舞いは注目を集めている.FDTD法は定式化が比較的容易なため電磁波のシミュレーションによく用いられる.しかし,シミュレーションを開放問題として扱うために用いられるPML吸収境界条件を,磁化プラズマのような異方性媒質に用いる場合,通常とは異なる定式化を行う必要がある.誘電率が異方性を用いる媒質に対するPMLとGMIPMLを磁化プラズマのシミュレーションに用い,精度の比較を行った結果,PMLの層数が増加するにつれて誘電率が異方性を持つ媒質に対するPMLは誤差が小さくなった.また,GMIPMLは誤差が大きくなる場合があることが確認できた.
ギャップ導波路は側壁にワッフルアイアン構造による閉じ込め機能を有しており,上下の平行平板間に電気的な接触が必要のない構造である.しかしながら,側壁には周期的に配置された金属ピンが存在し,金属ピンを含むポートの断面固有モードは複数の減衰モードだけでなく,複数の伝搬モードが発生する.このため,単一の伝搬モードのみでは,入出力電力を定量的に正しく表せない.本稿では,導波方向の構造周期性を考慮してギャップ導波路のモードを求める.さらに,そのモードを用いた散乱行列を表現して,入出力ポートがギャップ導波路で構成される回路網の解析を行う.
本研究では,構造の対称性を用いない点整合法を,複数の円形コアと円形ピットを任意に配置した導波路の一例として,2個の円形コアと2個の円形ピットを組み合せた偏波スプリッタに適用し,精度の検討を行った.その結果,モード数を14以上とすれば,スプリッタの動作に必要な4つの伝搬モード全てを4桁以上の精度で求めることを明らかにした.
本研究では,偏波スプリッタを構成するファイバ1とファイバ2のコアを同径とし,ファイバに接するピット径がコア径と異なる構造について,素子長と帯域特性を検討した.その結果,x偏波形とy偏波形のいずれの場合も,コア半径とピット半径の比を大きくすると素子長を短くできるが,帯域幅は一定となることが分かった.
3月20日 13:00〜15:45 54号館 103教室 座長 杉坂純一郎(北見工大)
C-1-10 |
高周波導体平板線路の曲り部における反射・放射電磁界の等角写像による考察
○宮崎保光(愛知数理工科研) |
C-1-11 |
有限長マイクロストリップ線路の端面部における放射・反射の過渡電磁界特性のFDTD解析
○ラカパン バラスブラマニアン(シンクレイヤ)・宮崎保光(愛知数理工科研) |
C-1-12 |
DCP-TRC-FDTD法を用いた金属ナノ円柱の解析
柴山 純・◎鈴木和人・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-1-13 |
表面等価定理に基づくFDTD法吸収境界条件の高速化に関する検討
○川口秀樹(室工大) |
C-1-14 |
時間領域電磁界解析における完全並列計算法
◎大西崚平・呉 迪(日大)・山口隆志(都産技研)・大貫進一郎(日大) |
導体線路の伝送波は電磁表面波であり、曲り部における反射と放射特性は基本課題である。これまで、理論的検討は十分されていない。複雑な電磁界問題に対して、等角写像とGreen関数を用いた積分方程式の手法が有効であることを示してきた。
ここでは、導体線路の曲がり部における反射と放射の基本問題を、2次元構造の導体平板線路について検討する。物理空間における曲り導体平板を、複素関数の等角写像により、新空間の真直の導体平板に写し、新空間において真直な導体平板に関するGreen関数を用いて、Greenの公式を適用し、積分方程式を導き、Born近似により反射と放射界を得る。
有限長マイクロストリップ線路の電磁界問題については、これまでLaplace 方程式とMaxwell 方程式のFDTD 数値解析法を用いて線路の伝搬特性を明らかにしてきた。また、アンテナ素子に関係する有限長のマイクロストリップ線路の端部における放射の過渡特性、電磁界成分を検討し、端部における伝送波から放射波への変換特性を検討した。本論文では、線路の端面の形状を変更した時の電界成分について反射・放射特性の比較検討を行いその詳細を論じる。
Dispersive Contour-Pathアルゴリズムを導入したTRC-FDTD法により金属ナノ円柱を解析した。階段近似を用いたFDTD法の結果と比較し、空間の刻み幅に対して収束が速く、安定した界振幅が得られることを示した。
時間領域差分法は,スキームがシンプルであり,また計算コストも少ないことから時間応答解析のみならず(定常状態まで計算することにより等価的に)周波数領域の計算も含め幅広く用いられる.しかしながら,定常状態のような莫大なタイムステップを要する計算では,グリッド離散化に伴う誤差が蓄積し,計算精度の劣化に注意する必要がある.そのような長いタイムステップ計算の課題の一つに吸収境界条件がある.本稿では,PML吸収境界条件等の適用が困難な波源や散乱体に近い距離にも適用が可能でメモリの削減が期待できる表面等価定理に基づく吸収境界条件について,とりわけその計算の高速化に関して検討したので報告する.
近年,FDTD法の高速化として,空間分割に対する並列計算法や陰解法の研究が盛んに行われている.しかし過去の電磁界から逐次的に計算するため時間分割に対する並列計算手法は考案されていない.そこで著者らは,複素周波数領域解法のFDCFD-FILT法で得られた任意時間の解がFDTD法の初期値として利用できることに着目した.本報告では,従来不可能であったFDTD法の時間並列計算法を提案する.計算速度と計算精度を従来のFDTD法と比較し,本手法の有効性を検証する.
休 憩(14:30 再開) 座長 川口秀樹(室工大)
C-1-15 |
空洞共振器法による薄い平板試料の複素誘電率推定
○平山浩一(北見工大)・柳本吉之(関東電子応用開発) |
C-1-16 |
有限要素法を用いた電磁界逆推定
◎山下耀平・宇野 亨・有馬卓司・大見峻太郎(東京農工大) |
C-1-17 |
多偏波干渉合成開口レーダにおける散乱時の偏波変化の解析
◎大塚優太・夏秋 嶺・廣瀬 明(東大) |
C-1-18 |
簡易水稲モデルに対する偏波散乱測定
齊藤真衣・○佐藤亮一・山口芳雄・山田寛喜(新潟大) |
C-1-19 |
オンライン複素周波数領域独立成分分析による人命探査レーダシステムの提案
廣瀬 明・○中西貴大(東大) |
最近、第5世代移動通信(5G)や自動車自動運転に関わるミリ波レーダなどに関連して、ミリ波帯におけるごく薄い材料の誘電率測定が必要になっている。著者らはこれまで、円筒空洞共振器の中央に平板試料を挟む測定法に対して、有限要素法を用いて、試料の複素誘電率推定法を提案している。ここでは、厚さ0.1mm以下のごく薄い試料に対して、本手法の有効性を検討し、測定精度による下限に近い推定精度が得られることを示す。
電磁波の人体への安全性を評価するため,誘電体内部の電界を非侵襲な方法で測定する方法が求められている.その方法として,誘電体周囲の散乱電界を測定し,誘電体内の電界を推定する手法が研究されている.これまで,境界積分方程式を用いた手法が提案されているが,不均質な媒質を解析する場合,媒質が変化する境界面上の電磁流も求める必要があり,計算コストが大きくなるという問題点がある.そこで,本研究では境界積分方程式と有限要素法を組み合わせた手法を検討する.本稿では,シミュレーションを用いて,微小ダイポールと誘電体をおいたモデルの逆推定を行った.提案手法により電界を再構成することができた.
我々は多偏波干渉合成開口レーダにおける散乱の物理機構を明らかにするために、適応的なフィルタであるPPO-BD(Pixel-by-Pixel Optimization considering baseline difference)によってどのように偏波状態が変化するかについて調べた。散乱球という概念と表現を提案して解析した結果、PPO-BDによる最適化をした後の偏波状態は最適化前に比べてピクセルごとの散乱機構の特徴がより強調されたものになることが分かった。すなわち、PPO-BDはピクセルごとの散乱機構の違いを考慮した最適化を行っている。PPO-BDによる最適化は位相特異点の減少を偏波情報も用いながらねらったものであったが、それが偏波情報を強調するものでもあることが確認された。
本稿では,多偏波 SAR 画像データを用いた高精度かつ広域での水稲生育状態観測を実現するための基礎研究として,簡易水稲モデルに対する偏波散乱測定を行う. ここでは,異なる生育状態の水稲モデルに対して多偏波散乱測定を行い,取得されるデータを詳細に解析す ることで,水稲の生育状態と各種偏波指標の変化量と 対応について検討する.
災害時において瓦礫等に阻まれ生存者の存在が視覚的に確認できない状況下で、生存者をレーダで見出すことは重要である。その際に生存者の人数も知りたい。我々はオンライン複素周波数領域独立成分分析(CF-ICA)により複数の呼吸を分離可能なレーダシステムを提案する。
C-2. マイクロ波A(マイクロ波・ミリ波能動デバイス)
3月20日 9:15〜11:30 53号館 401教室 座長 加保貴奈(NTT)
C-2-1 |
80-nm InP-HEMTを用いた基本波ミキサ構成トランシーバによる300 GHz帯100 Gb/s無線伝送
○濱田裕史(NTT)・藤村拓弥・アブド イブラヒム・岡田健一(東工大)・野坂秀之(NTT) |
C-2-2 |
V帯2周波混合ベクトル合成型移相器ICの試作結果
◎横溝真也・平井暁人・藤原孝信・津留正臣(三菱電機) |
C-2-3 |
準ミリ波帯アンテナ一体型送受信モジュールの検討
○桂 勇男・岸 正樹(住友電工) |
C-2-4 |
単一磁束量子回路を用いた振幅可変マイクロ波チョッパの設計
◎道林詩織・竹内尚輝・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
InP-HEMTによる高変換利得基本波ミキサ,高出力パワーアンプにより,基本波ミキサ構成300 GHz帯トランシーバを構築し,300 GHz帯において世界一である100 Gb/sの無線伝送に成功した.
近年,5Gや衛星通信において,電子的に信号の位相を制御することで指向性を持ったビームを形成するAPAA(Active Phased Array Antenna)が注目されている.通信の大容量化のためには,アンテナ素子毎に装荷される移相器を低損失で広帯域に実現する必要がある.しかし,ベクトル合成型移相器の広帯域性はPPF(Poly Phase Filter)の段数に依存するため,信号帯域の拡大はPPFの段数増加,つまり損失の増大につながる.我々は,PPFをLO経路に配置し,直交ミクサで信号とLOを混合する2周波混合ベクトル合成型移相器を提案し,ディスクリート部品を用いて移相機能を確認した.本稿では,提案構成により低損失で広帯域化を実現した送信用のV帯2周波混合ベクトル合成型移相器ICの試作結果を示す.
コネクテッドカーなど5Gの活用先として車載通信分野が注目されている。車載通信を考慮して、高速で、広域に移動する使用条件でも安定した無線性能を提供できる28GHz帯アンテナ一体型送受信モジュールの検討をこれまでに進めてきた。本稿は、同モジュール試作での28GHz帯高周波回路とアンテナの性能確認を行ったことについて述べたものである。
超並列計算を可能とする量子コンピュータに用いられる量子ビットの候補中でも超伝導ジョセフソン接合を用いた量子ビットは巨視的コヒーレンスを有しているため、集積性と制御性において優れており、実現可能性が高い。超伝導量子ビットの状態の操作は、立ち上がりが急峻で特定の波長と時間幅を持つマイクロ波を任意の量子ビットに照射することで行われる。
今回は数GHz 程度の超高速動作が実証されている単一磁束量子 (Single Flux Quantum: SFQ) 回路を用いて連続マイクロ波から振幅可変のマイクロ波パルスを得るマイクロ波チョッパを設計し、シミュレーションを行った。振幅を0-8.3μAまで連続的に変化できることを確認した。
休 憩(10:30 再開) 座長 中村宝弘(日立)
C-2-5 |
Prototype Evaluation of a Low Phase Noise Push-Push Oscillator Using Dual-Feedback Sub-Oscillators and a Microstrip Ring Resonator
○Elton N. Lima・Takayuki TANAKA・Ichihiko TOYODA(Saga Univ.) |
C-2-6 |
バイポーラトランジスタを用いたF級発振器によるマイクロ波-直流相互変換
◎若山瑠佑・佐薙 稔(岡山大) |
C-2-7 |
ナノ機械振動子の共振を用いたマイクロ波移相器
○田中宏哉・尾崎貴志(豊田中研)・大野雄高(名大)・田所幸浩(豊田中研) |
C-2-8 |
アクティブサーキュレータのばらつき低減の検討
○萩原達也・藤原孝信・津留正臣(三菱電機) |
In this paper, a low phase noise push-push oscillator using dual feedback sub-oscillators is presented. The circuit consists of two sub-oscillators, a microstrip ring resonator, and an output circuit. The microstrip ring resonator acts as both a resonator and a power combiner. With this circuit configuration an output power of 5 dBm was measured at 15.17 GHz. Also, the suppression of fundamental and 3rd harmonic signals were 10.6 dB and 25 dB, respectively. Good phase noise performance of –99.58 dBc/Hz and –118.1 dBc/Hz were measured at 100-kHz and 1-MHz offset frequency, respectively.
バイポーラトランジスタを持つF級発振器を用いて、2.45GHzのマイクロ波と直流との相互変換を行った。直流-マイクロ波変換では46%の効率を、マイクロ波-直流変換では48%の効率を得た。
本発表では,機械振動子として片持ち梁を用いたマイクロ波移相器のバイアス電圧と移相量との関係を報告する.
無線通信やレーダにおいて送受信信号の分離に用いられるサーキュレータには,広帯域に高いアイソレーション特性が要求される.一般に磁性体を用いたサーキュレータを用いることで高いアイソレーション特性が得られるが,サイズが大きく集積化が困難なため,CMOSプロセスを用いた小型なアクティブサーキュレータ[1]の検討が行われている.ここではカスコードカレントミラーを構成するバイアス回路を用いることで個体ばらつきに対して安定したアイソレーション特性が得られるアクティブサーキュレータの構成を提案し,設計を行った結果を報告する.
3月22日 9:15〜11:45 53号館 401教室 座長 丹沢 徹(静岡大)
C-2-9 |
1ポートCRLH線路から成るゲート制御回路を用いたFET整流器
◎野口敬則・田中愼一(芝浦工大) |
C-2-10 |
直列インダクタを装荷したUHF帯高感度ダイオード整流器(Ⅱ)
◎大野 桂・田中愼一(芝浦工大) |
C-2-11 |
An Optimum Design of Micro-watt RF Energy Harvesters with RF-DC and DC-DC Conversions
◎Yuki Tabuchi・Toru Tanzawa(Shizuoka Univ.) |
C-2-12 |
A Sensitivity Analysis of Power Conversion Efficiency of Rectifying Diodes on Their Device Parameters for Micro-watt RF Energy Harvesting
◎Yutaro Yamazaki・Toru Tanzawa(Shizuoka Univ.) |
近年注目を集めているFET整流器は、基本波と高調波のゲートインピーダンスを精密に制御する必要がある。今回、右手左手系複合(CRLH)線路で構成したゲート位相制御回路を検討し、2.45 GHz整流器において良好な整流特性を確認したので報告する。
RFエネルギーハーベスティングに向けて高RF入力感度整流器の実現が望まれる中、我々はシングルシャントダイオード整流器に共振コイルを適用する方法を提案してきた。しかし、UHF帯 (0.3-1.0 GHz)でこの手法の効果を得るには共振のQ値の調整が不可欠である。今回、700MHz帯整流器にて外部容量を用いてQ値を最適に制御した結果、-20dBmで38%という良好な整流効率を得たので報告する。
受信電波から電力を取り出し,IC回路の電源として利用するRF(Radio Frequency)-エネルギーハーベスティングという技術が注目されている.この技術にはRF-DC変換回路(レクテナ)とDC-DC昇圧回路(DC-DCチャージポンプ(以下CP))を用いることができる.本研究では,出力電流・電圧条件の要求に対するレクテナとDC-DC CPを組み合わせた回路の入力電力を最小化するような最適化設計方法を提案する.この設計法を用いて,計算とADSシミュレーションからレクテナとDC-DC CPを組み合わせた回路の動作点を求めた.出力電圧1V,出力電流10μAの条件では,DC-DC CPを組み合わせた回路はレクテナのみの回路より入力電力を1/4に下げることができることを示した.
近年、IoTデバイスの起電力を得る手段の一つとして、無線エネルギーを使うことが注目されている。先行研究では、入力1~100mW、5.8GHz帯ショットキーバリアダイオードの整流効率ηは、直列寄生抵抗Rsより寄生容量Cjの影響を大きく受けること、またトンネルダイオードを用いることでηが向上することが示されている。本研究では整流素子の前述寄生素子に加えて、電圧障壁をパラメータとして統一的に扱い、µWの電力レベルにおいてそれらのηへの感度解析を行った。2.4GHz帯で出力条件を10µA、0.5Vとしたとき、ηは電圧障壁や寄生抵抗に比べて、寄生容量Cjに最も影響を受けることが回路シミュレーションで分かった。
休 憩(10:30 再開) 座長 石川 亮(電通大)
C-2-13 |
エンハンスメント型GaAs HEMT微小電力整流器
◎吉田 剛・石川 亮・本城和彦(電通大) |
C-2-14 |
10MHz帯零しきい値トランジスタ増幅・整流器
○久米鳳春・石川 亮・本城和彦(電通大) |
C-2-15 |
2.4GHz 帯平面配置形SOI-CMOS ブリッジ整流器IC
◎土本隼也・伊東健治(金沢工大)・杣田一郎(三菱電機) |
C-2-16 |
直接整合による2.4GHz 帯大電力レクテナ
◎廣野敦哉・土本隼也・伊東健治(金沢工大) |
C-2-17 |
5.8GHzにおけるブリッジ整流器の整流効率の限界値
○岸本大輝・伊東健治(金沢工大) |
インターネットであらゆるものが繋がるIoT時代に向け,それを支えるワイヤレスセンサーネットワーク用端末には低消費電力であることが求められている.そして,その駆動源として環境電磁波を有効活用するエナジーハーベスティング技術に注目が集まっており,微小電力で高効率動作する整流器が必要となる.我々はトランジスタ整流器[1]の研究開発を進めており,今回,低しきい値のエンハンスメント型GaAs HEMT整流器の設計・試作・評価を行ったので報告する
近年,電磁波を用いた無線電力伝送技術および環境電磁波を集めて利用するエナジーハーベスティングなど電磁波の電力応用が進められている.
これらを実現するための重要なコンポーネントとしてDC-RF 変換を行う増幅器およびRF-DC 変換を行う整流器がある.
我々は,時間反転双対性に基づく動作類似性を利用したトランジスタ増幅器・整流器の研究開発を進めているが,一般にゲートバイアスが必要であり,コールドスタートが困難という欠点がある.
そこで,ゲートバイアスが不要である零しきい値トランジスタを用いて高調波処理増幅・整流器の試作・評価を行った.
無線電力伝送において,高周波整流器の高効率化や集積化が課題となっている.ブリッジ整流器は平滑キャパシタにより偶数次高調波を短絡でき,高効率化,集積化に適する.平衡形回路であるブリッジ整流器ではマイクロストリップ線路等の不平衡回路への接続性の改善が課題である. 筆者らはこれを解決するために平面配置形ブリッジ整流器を提案している[1].本報告では40nmSOI-CMOS プロセス (Global Foundries 社45RFSOI)を用いる2.4GHz 帯平面配置形SOI-CMOS ブリッジ整流器IC の設計,試作結果を報告する.
無線電力伝送において,レクテナの高効率化が課題で
ある.ブリッジ整流器を用いるレクテナは,平滑用キャ
パシタにより偶数次高調波を低損失に短絡できるため高
効率化に適する.筆者らのグループでは市販のSi-SBD
を用い80%@26.2dBm を得ている[1].ここでは更なる高
効率化をねらい,損失を有する整合回路を不要とする直
接整合による大電力レクテナを報告する.
無線電力伝送において,整流器の高効率化や大電力化が課題である.過去,Si,GaAs,GaN等の半導体を用いるSBDやFETによる整流器の研究開発が行われている.これらの整流効率は半導体素子での損失と回路での損失によるものであるが,必ずしも明確に分けられていない.ここでは半導体素子の指標(ブレークダウン電圧Vbr, Cj0・Rs)に対し,回路と素子寸法を最適化した時の5.8GHzにおけるブリッジ整流器の整流効率の限界値を報告する.
3月22日 13:00〜16:45 53号館 401教室 座長 新庄真太郎(三菱電機)
C-2-18 |
四分の一波長インピーダンス変換器を用いない高調波処理 GaN HEMT 高効率ドハティ増幅器
○瀬下拓也・高山洋一郎・石川 亮・本城和彦(電通大) |
C-2-19 |
バックオフ/飽和 両領域最適化設計GaN HEMT MMIC 非対称ドハティー増幅器
○石川 亮・高山洋一郎・本城和彦(電通大) |
C-2-20 |
異なる飽和出力電力のGaN HEMTを用いた非対称高効率ドハティ増幅器
◎髙木裕貴・長谷川直輝・太田喜元(ソフトバンク)・石川 亮・本城和彦(電通大) |
C-2-21 |
Chireix増幅器の高効率動作範囲を拡大する手法の提案
○安井 吏・石川 亮・本城和彦(電通大) |
C-2-22 |
高出力HySICアンプの設計
古瀬結貴(上智大)・宮城祥吾(沖縄高専)・依田憲佑・藤田智也(東京工科大)・岸川諒子(産総研)・林 大介(総研大)・中岡俊裕(上智大)・正光義則(JAXA)・谷藤正一(沖縄高専)・○川﨑繁男(JAXA) |
高調波処理を用いた二つの高効率増幅器によってλ/4インピーダンス変換回路を用いないドハティ増幅器を試作した. PA がオフとなるバックオフ低入力時及びCAとPAが両方動作する高入力時の二入力に適した出力整合回路を実現することにより, λ/4変換回路のかわりに負荷変調を実現している.二入力負荷最適化に加えスタブ線路による高調波処理によって各々が高効率で動作する. 試作した高調波処理GaN HEMT高効率ドハティ増幅器を評価した結果, 4.7 GHz付近において広い入力レベルで高効率な特性が得られた.
大容量無線通信に用いられるデジタル変調信号はPAPR(Peak-to-Average Power Ratio) が大きく,電力増幅器には広ダイナミックレンジ特性が要求される.それに対し,バッ
クオフレベルで効率改善が可能なドハティー増幅器が良く用いられる.我々は,λ/4 インピーダンス変換器を用いない構成を提案しており,今回,小形化を目的としたMMIC 化に関し,トランジスタ寸法自由度を利用した非対称構成による設計手順および実証結果について報告する.
通信システムの進化に伴い変調信号のピーク電力対平均電力比(PAPR)が大きくなり,電力増幅器の広ダイナミックレンジでの線形性,高効率化が益々要求されている.電力増幅器の広ダイナミックレンジでの高効率化の手法として古くからドハティ増幅器が研究をされており,最近では出力バックオフ6dB 以上の非対称ドハティが考案されている.本稿では,異なる飽和出力電力(異なるゲート幅)のGaN HEMTを用いて,キャリアアンプ(CA) ピーキングアンプ(PA) に対して,それぞれ基本波整合かつ3次高調波まで処理した回路構成による高効率非対称ドハティ増幅器を試作・評価結果について報告する.
無線通信システム用電力増幅器の効率改善手法の一つとしてChireix増幅器が知られているが,本稿ではより広い動作領域で高効率を実現する手法を提案する.
宇宙機内でマイクロ波を用いたワイヤレスセンサを実現させる場合,小型・軽量なデバイスが求められる.これを実現させる新しい技術として我々は、HySICを用いた. 本研究では,第一段階としてマイクロ波電力伝送の受信側となるレクテナの整流回路部を,HySICを用い小型化した.次に送信側となるアンプの小型化に着手した.ここでは従来PCB上に作製していたGaNアンプの受動回路の入出力整合回路部をSiに置き換え,混成半導体集積増幅回路「HySICアンプ」の設計・検討を行った.
休 憩(14:30 再開) 座長 鈴木恭宜(NTTドコモ)
C-2-23 |
3.5GHz帯Massive MIMO基地局向けドハティ増幅器
○中村美琴・須田規仁・八幡雄介・志村竜宏(住友電工) |
C-2-24 |
3.5GHz帯Massive MIMO基地局向け増幅器の線形性の検証
○八幡雄介・中村美琴・須田規仁・志村竜宏(住友電工) |
C-2-25 |
CRLH線路スタブを用いた2GHz帯GaN HEMT E級高出力増幅器
◎浅見紘考・田中愼一(芝浦工大) |
C-2-26 |
整合回路レスパワーアンプ設計の提案
○原 信二(名大) |
C-2-27 |
S-X帯分布型-リアクティブ整合型2段GaN MMIC HPA
◎神岡 純・半谷政毅・幸丸竜太・森本卓男・加茂宣卓・新庄真太郎(三菱電機) |
送受信回路全体に占める面積や消費電力の割合の大きいドハティ増幅器において、小型化・高効率化は重要な課題である。本稿では、MassiveMIMO基地局向けの小型・高効率なドハティ増幅器について報告する。
3.5GHz帯MassiveMIMO基地局向け増幅器の線形性の評価結果を報告する。
GaN HEMTドハティ増幅器を採用し、整合回路による広帯域化を図った結果、
出力電力36.3dBm条件下で、電力効率>38.4%, Gain>36.2dBが得られ、
信号帯域幅160MHz条件下でACLR(DPD適用後)<-50dBcを満足した。
小型化の要求が厳しいドハティ増幅器等において個々のユニット増幅器に高調波処理回路を適用する際、回路サイズが課題となる。今回、以前に提案したCRLH線路スタブを用いた小型E級高調波フィルターを用いて2GHz帯GaN HEMT E級高出力増幅器を試作したので報告する。
マイクロ波パワーアンプの設計において、与えられた電源電圧下での最適負荷を設計するのではなくて、与えられた外部インピーダンス条件下での最適動作電圧を設計する手法を提案する。
レーダや通信システムには,探知・通信距離の延伸や高汎用化,低消費電力が求められている.そのため,広帯域にわたり高出力・高効率な増幅器の研究が盛んに行われ,これまでに10W級の不均一分布型増幅器が実現されてきた.今回はS-X 帯比帯域100 %以上において20 W 超級の出力電力の実現を目的とした分布型-リアクティブ型2 段GaN MMIC HPA の試作・測定結果を行った.その結果,2.5-10.5 GHzにおいて出力電力18-36 W,電力付加効率 19-40 %と世界トップレベルの性能を実現し,本回路構成の広帯域・高出力性を確認した.
休 憩(16:00 再開) 座長 川崎繁男(JAXA)
C-2-28 |
スミスチャート上に渦巻軌跡を描く周波数掃引式インピーダンス整合回路
○鈴木麻子(アダマンド並木精密宝石)・宮崎基照・坂井尚貴・塚本悟司・大平 孝(豊橋技科大) |
C-2-29 |
IM3のアンバランスに関するトラップの影響を考慮したGaN大信号モデルの精度向上
○山口裕太郎・大塚友絢・半谷政毅・新庄真太郎(三菱電機)・大石敏之(佐賀大) |
C-2-30 |
電力増幅器で発生する相互変調ひずみ成分の確率密度関数の導出
○鈴木恭宜・岡崎浩司(NTTドコモ) |
マイクロ波は化学合成や手術機器及びがん治療など加熱応用に使われている。加熱により温度や状態変化し、被加熱物のインピーダンスが変化する。マイクロ波電力を効率よく利用するには整合が重要となる。周波数掃引し整合点を探索する渦巻き軌跡インピーダンス回路を提案する。
衛星通信システム(Satcom)や第 5 世代移動通信システム(5G)等に向けた通信用増幅器は高出力化及び高効率化だけでなく低歪化も求められている.通信用 GaN増幅器のモデルには出力や効率だけでなく歪特性に関しても高精度な大信号モデルが必要になる.これまでトラップの影響を考慮することで出力,効率,利得等に関するモデル精度が改善した報告はある.ここではトラップを考慮することでIM3アンバランスの離調周波数依存性に関する精度が改善した結果について報告する.
電力増幅器で発生する相互変調ひずみ成分は、自帯域及び隣接帯域において、伝送品質の劣化につながる。これらの劣化量を推定するには相互変調ひずみ成分の確率密度関数の導出が必要である。これまで著者らは基礎的な検討を行い、一次元確率密度関数の導出と評価を行った。本稿では、二次元に拡張した確率密度関数について述べる
C-2. マイクロ波B(マイクロ波・ミリ波受動デバイス)
3月19日 9:00〜11:30 53号館 401教室 座長 清水隆志(宇都宮大)
C-2-31 |
抵抗皮膜配列電波吸収体の等価回路パラメータと構造の関係
○松本壮太・須賀良介(青学大)・宮脇 崇・村上千景・丸山太一・安部雅勝・吉村健佑(SUBARU)・橋本 修(青学大) |
C-2-32 |
円形パッチ配列電波吸収体の入力インピーダンスの摂動素子装荷位置に対する依存性
◎坂本勇人・須賀良介(青学大)・荒木純道(東工大)・橋本 修(青学大) |
C-2-33 |
人体検出用簡易ファントム開発のための人体RCSの調査
◎鈴木雅大・齊藤一幸(千葉大) |
C-2-34 |
電磁波曝露されたDCファンにおけるIM源特定に関する検討
◎安藤佑悟・久我宣裕(横浜国大) |
C-2-35 |
ミリ波電力計校正のための等価信号源反射係数の測定
◎東島侑矢・木下 基・飯田仁志(産総研)・藤井勝巳(NICT) |
金属板の前面に抵抗皮膜を配列した電波吸収体が提案されている.同報告ではその薄型化と減衰帯域の広帯域化が示されているが,その具体的な等価回路と構造の関係は確立されていない.そこで本稿では,抵抗皮膜配列電波吸収体の等価回路パラメータと構造の関係について検討する.
誘電体基板上に金属エレメントを周期配列したパッチ電波吸収体の広帯域化手法として摂動素子を装荷する手法が報告されている.5GHz帯において,これを用いた吸収体の反射係数-15dBにおける比帯域幅は2.6%と無装荷時と比較して3.7倍改善されているのに対し,基板厚は1mmと2.3倍程度厚くなることがわかっている.そこで本研究では,摂動素子としてメタルビアを用い,その配置位置による帯域幅改善と薄型化について検討した.
空間伝送型WPT(Wireless Power Transmission:無線電力伝送)には,ワイヤレスで比較的遠方まで電力伝送できるという特長がある.しかしながら,他の方式と比較して送電電力が小さく,効率が低いといったデメリットもあるため,送電経路上の人体を検出し,送電方向を変更するといった技術が必須である.この人体検出技術の開発には,ファントムの使用が不可欠である.ここで使用するファントムは,人体の形状や物性定数を精緻に模擬する必要はなく,単に,人体と同等のRCS(Radar Cross Section:レーダー反射断面積)をもつ物体であればよい.RCSは,物体が電波をどの程度反射するかを表した指標で,物体を完全導体球に置き換えその断面積に換算した値である.
本研究では,人体と同等のRCSをもつ“簡易ファントム”を開発するに先立ち,数値計算で人体のRCSを算出した.
電磁波曝露により電子装置から発生する不要IMノイズが問題となっており,その定量的評価や発生源特定が必要となっている.本稿では電子装置の一例としてDCファンを用い,そのバイアス条件によってIM特性が変化することを確認した.また,その原因がバイアス条件によって内部回路の非線形特性が変化するためであると考えられたため,内部の各種ダイオードおよびホール素子のIM特性を同一消費電力下において有線回路を用いて評価した結果について報告している.
近年、100 GHz以上の周波数を用いた無線通信や分光、非破壊検査などの応用研究が盛んに行われている。一方で、各国の計量標準機関では100 GHz以上の絶対電力計測技術がまだ確立されておらず、計測機器の信頼性を向上する上でこれらのニーズは日々高まっている。本報告では、開発した絶対電力を測定可能な200 GHz帯導波管カロリメータを用いて市販されるパワーメータを比較校正するため、重要な補正パラメータである等価信号源反射係数の測定法について報告する。提案する測定法により等価信号源反射係数を正しく評価した結果、近似手法と比較して校正の不確かさの改善につながった。
休 憩(10:30 再開) 座長 須賀良介(青学大)
C-2-36 |
板状ループアンテナを用いた板状磁性体の材料定数測定
◎石井佑典・久我宣裕(横浜国大) |
C-2-37 |
電磁界シミュレーションを用いた積層複合誘電材料の複素誘電率推定
○花澤理宏・鈴木仁哉(UL Japan) |
C-2-38 |
36GHz帯円筒空洞共振器を用いた誘電体薄膜の複素誘電率測定
○髙萩耕平(宇都宮大)・海老澤和明(東京応化工業)・古神義則・清水隆志(宇都宮大) |
C-2-39 |
大口径試料挿入孔をもつ50GHz帯TM010モード空洞共振器を用いた丸棒誘電体の高精度複素誘電率測定
◎佐々木隆文・古神義則・清水隆志(宇都宮大) |
板状ループアンテナを利用した板状磁性体の材料定数測定法を提案している.アンテナ内部に試料を装荷し,試料の装荷位置によって誘電率と透磁率の影響を分離して観測可能としている.最大辺が0.13λ0の板状試料について,材料定数の違いが磁性と誘電性で独立してアンテナの入力特性の変化に現れることを,電磁界シミュレーションを用いて確認した.
電磁界シミュレーションを用いた複合誘電材料の等価複素比誘電率推定の検討を行っている。
本検討では電磁波の進行方向に複数の微小金属体を配置した複合誘電材料のモデルを用いて検討を行ったので報告する。
高周波回路の小型・薄型化の需要が高まり、薄型材料の複素誘電率評価が重要となっている。我々は厚さ10μm以上のフィルム材料に対し、円筒空洞共振器法の有効性を報告してきた。本研究では、厚さ10μm未満の誘電体薄膜を測定し、36GHz帯における同測定法の有効性を検討する。
我々は、モード整合法に基づく厳密な電磁界解析結果を用いた棒状誘電体の複素誘電率測定を、小口径試料評価用50GHz帯TM010モード空洞共振器にて行い、その有効性を示してきた。本報告では、容易な試料交換や太い試料の測定を実現すべく、大口径試料挿入孔をもつ50GHz帯TM010モード空洞共振器についても、その適用を検討した。本共振器を用いて、直径約3mmの石英棒の複素誘電率測定を行った。さらに、3種類の測定法との比較を行い、その有効性を示した。
3月19日 13:00〜17:00 53号館 401教室 座長 河合 正(兵庫県立大)
C-2-40 |
分布イミッタンス型円筒マントルクローク
○西澤崇哉・真田篤志(阪大) |
C-2-41 |
平行積層型透明マント媒質のための座標変換
◎高野佑磨・真田篤志(阪大) |
C-2-42 |
擬似表面プラズモンによるメタマテリアル線路の非相反性増大
◎岡本浩司・上田哲也(京都工繊大)・伊藤龍男(カリフォルニア大) |
C-2-43 |
非相反メタマテリアルを用いた非対称方向性結合器の広帯域化
○△山上航平・上田哲也(京都工繊大)・伊藤龍男(カリフォルニア大) |
本研究では,周方向に分布を持たせた分布イミッタンス型円筒マントルクロークを提案する.このマントルクロークは周方向に分布を持たせることで原理的に完全な散乱抑制が可能で,かつ従来最大λ/4程度であった隠蔽領域を2λ程度まで拡大した.実際にインダクティブなワイヤーメッシュ構造により提案する円筒マントルクロークを作製し,その動作を実験的に確認した.
本研究では,平行積層構造によって透明マント媒質が構成可能となる,座標変換の基底ベクトルと結晶軸を直交にする座標変換を提案する.この座標変換は,比透磁率が 1 で, かつ均質な 1 軸性結晶により実現が可能な等積座標変換に基づいており,誘電率の異方性を持つシートを隠蔽領域の斜面に対して平行に積層することで透明マント媒質が実現できる.実際に透明マント媒質を作製し,理論の妥当性を実験により確認した.
本研究では,垂直磁化フェライト基板マイクロストリップ線路の金属ストリップ片側にコルゲーション構造および容量性素子を装荷することにより,非相反メタマテリアル線路の非相反性増強を試みている.垂直磁化フェライト基板マイクロストリップ線路に沿って伝搬するエッジガイドモードと擬似表面プラズモンによる混成モードが金属ストリップ端のコルゲーション構造に沿って伝搬し,一方向伝搬の経路長を伸長させることにより,非相反性増強が可能となる.コルゲーションの各溝に挿入された容量素子を調整することで,任意の動作周波数帯で非相反性が増強することを数値計算により確認した.
電磁波の群速度と位相速度が同方向で伝搬する右手系(RH)モードと,逆方向で伝搬する左手系(LH)モードを利用した方向性結合器として,CRLH伝送線路と通常のマイクロストリップ線路を用いた非対称フェーズカプラが提案されている.このカプラのカップリング帯域は2線路の伝搬定数により決定する.一方,メタマテリアルの分散制御を可能とする構造として,磁性体材料を用いた非相反メタマテリアルが提案されている.本稿では,非相反メタマテリアルにおいて分散曲線の傾きが制御可能である点に注目し,広帯域化を目的として,マイクロストリップ線路と非相反CRLH線路からなる非対称フェーズカプラを提案する.また,数値計算により,提案構造が従来構造に比べて透過係数-3dB 以上の比帯域が増大することを確認している.
休 憩(14:15 再開) 座長 上田哲也(京都工繊大)
C-2-44 |
結合導体に突起部を備えた低結合偏差ループ方向性結合器の小形化検討
○西村拓真・大島 毅・石橋秀則・高橋 徹・野々村博之・河村由文(三菱電機) |
C-2-45 |
LCはしご形回路を用いた広帯域分配器の一構成法
◎長野健介・河合 正・榎原 晃(兵庫県立大) |
C-2-46 |
2段結合線路を用いたX帯広帯域3dBブランチラインカプラの検討
◎羽岡侑哉・河合 正・榎原 晃(兵庫県立大) |
C-2-47 |
2種のアイリス装荷導波管を適用した180度ブランチラインカプラの試作評価
○湯川秀憲・牛嶋 優・高橋 徹・米田尚史・宮崎守泰(三菱電機) |
C-2-48 |
石英パッケージ基板に内蔵したD帯分波器
○伊東正治・丸本恒久(NEC) |
ループ方向性結合器は,導波管と同軸線路とを1/4波長以下の結合孔を介して結合させる構成である.これまでに筆者らは,結合導体中央部に突起部(スタブ)を装荷し,周波数帯域内における結合偏差の低減手法を提案した.本稿では,該ループ方向性結合器の小形化手法を報告する.
マイクロ波を用いて通信を行う機器では,アンテナ,ミキサ,変復調器,方向性結合器,電力分配/合成器といった各種のマイクロ波回路素子が用いられる.本研究ではマイクロ波信号の合成/分配によく用いられる3ポート回路のウィルキンソン電力分配器を取り上げ,集中定数素子を用いた小型・広帯域化について検討している.これまでにLCはしご形回路を用いた分配器が先行研究により報告されている.ここでは更なる小型/広帯域化を目的とした構成法を提案し,VHF帯で回路設計が実現可能となることを数値解析と電磁界シミュレーションにより明らかにしている.
次世代移動体通信システム(5G)など通信の高速,大容量化が進むなか,通信システムを構成する各種デバイスにも高性能化が求められている.本報告ではマイクロ波信号の分配/合成のみならず,バランス型増幅器,移相器などに用いられるブランチラインカプラ(以後,BLCとする.)を取り上げている.筆者らは既にXバンドで終端開放結合線路を外部整合回路に用いた広帯域3dB BLCを既に報告しているが,ここでは,更なる広帯域化を目的としてインピーダンスステップを挟んだ2段の結合線路を用いた回路設計を行い電磁界解析でその有効性を確認している.
衛星通信用導波管給電回路において180度分配位相差のカプラ(180度カプラ)は主要コンポーネントのひとつである。筆者らは、2種のアイリス装荷導波管を適用したブランチライン形の180度カプラを提案している。ここでは、本カプラの試作評価結果について報告する。
100GHz超のサブテラヘルツ波帯では、トランジスタ性能の制限により、増幅器等において十分な高周波性能を得ることが難しい。パッケージには、効率的な信号伝送のため、より低損失であることが求められる。加工技術の進展により、近年、基板材料として、低損失かつ低誘電率である石英が利用されるようになってきた。今回、周波数分割多重に対応したモジュールを実現するために、石英基板パッケージ内に形成したSIW(Substrate Integrated Waveguide)を使用して分波器を試作した。D帯において良好な伝送特性を確認したので報告する。
休 憩(15:45 再開) 座長 真田篤志(阪大)
C-2-49 |
栓抜形スタブ装荷スルーホールレス導波管-マイクロストリップ線路変換器の検討
○上田 凌・牛嶋 優・石橋秀則・高橋 徹・丸山貴史・宇田川重雄(三菱電機) |
C-2-50 |
マイクロストリップ線路のグラウンドにスリットを設けたバランの広帯域化に関する解析的検討
岡本侑磨・◎大島一斗・須賀良介(青学大)・上野伴希(オフィスウワノ)・橋本 修(青学大) |
C-2-51 |
NRDガイドと一体化された光誘起テラヘルツ可変減衰器
○笹生啓介・門内靖明(慶大) |
C-2-52 |
シャント抵抗に並列スイッチを設けた広帯域低移相変動π型CMOS可変減衰器
○川崎健吾・津留正臣・下沢充弘(三菱電機) |
C-2-53 |
損失性材料内に先端円盤状スタブを装荷した表面実装型終端器の試作評価
○石橋秀則・垂井幸宣・小野寺祐子・高橋 徹・米田尚史・宮崎守泰(三菱電機) |
導波管(WG)-マイクロストリップ線路(MSL)変換器において,低コスト化のためスルーホールレスが求められている.これまでに,変換器からの不要放射を低減した構造が提案されている.しかし,MSL 側が2 出力となる制約があった.本稿では,上記の課題解決のため新たな栓抜形スタブを提案し,そのスタブを装荷した1出力のスルーホールレスWG-MSL 変換器の特性を電磁界解析により示す.
近年,無線通信機器の急速な発展に伴い,小型かつ単純な構造で広帯域に動作するバランが要求されている.我々は今までに,マイクロストリップ線路のグラウンドに2本のスリットを設けた小型かつ単純な構造のバランを提案しており,実測によりその有効性を確認している.しかし,バランの平衡度の指標であるコモンモード除去比(CMRR)が希望帯域内で急激に低下する周波数が存在し,狭帯域であるという問題がある.そこで本稿ではCMRRの急激な減少を抑制し,バランの広帯域化について検討した.
本研究では300 GHz帯用の可変減衰器を実現する新たな方法について述べる。カットオフ状態となる金属板間中に300GHz帯で低損失な高抵抗シリコンを挿入することでNRDガイドを構成し、側面から近赤外ランプ光を照射して光誘起キャリア密度を増大させることで,導波構造と一体化された可変減衰器を実現することができる。発表では、WR3.4帯において設計・試作した減衰器の実測結果について述べる。
提案構造は低コストで容易に作製でき、アレイ化や他コンポーネントとの集積化にも資するものである。
高周波モジュールの汎用性向上のために,RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)の広帯域化を検討している.RFICの利得調整に用いられる可変減衰器はスイッチのON/OFFにより所望の減衰量の変化とともに寄生リアクタンスが変化するため,不要な移相変動が生じてしまう.従来は,低移相変動特性を得るために,所望周波数で寄生リアクタンスをキャンセルする手法を取っていたが狭帯域だった.本報告では,π型可変減衰器にシャント抵抗に並列スイッチを設けた構成を提案し,シミュレーションにより広帯域に低移相変動特性が得られることを報告する.
終端器は,高周波回路において,搭載されるデバイスなどを保護する目的で使用され,高耐電力が要求される.終端器を表面実装化する場合,動作中にはんだが溶融しないように発熱温度を抑える必要がある.そこで,損失性材料内に配置するスタブの先端を円盤状にした終端構造を提案し,試作評価した.その結果,23Wの電力を印加してもはんだボールが溶融しない耐電力を有することを確認した.
3月20日 13:00〜17:00 53号館 401教室 座長 日高青路(村田製作所)
C-2-54 |
28 GHz帯インターリーブ型円形アレイアンテナによる等利得マルチOAMモード生成
◎繁田雄大・真田篤志(阪大)・福田敦史・岡崎浩司・河合邦浩(NTTドコモ) |
C-2-55 |
60GHz帯単素子パッチアンテナを用いた銅ボール接続実装技術および3次元指向性測定技術の検証実験
○吉田賢史・鬼丸隆太郎・西川健二郎(鹿児島大) |
C-2-56 |
導波管2面結合ハイブリッド給電開口アレーの放射方向制御
◎砂口裕希・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
C-2-57 |
FOWLPを用いた300GHz帯オフセットパラボラアンテナにおける1次放射器の広帯域化検討
○寺岡俊浩・佐藤潤二(パナソニック)・樫野祐一(パナソニックシステムネットワークス開発研) |
C-2-58 |
屈曲させたコプレーナ線路の伝送特性の比較
◎ナンチン ナンディントウグス・河野 徹(防衛大)・宮田尚起(都立産技高専)・島 宏美・亀井利久(防衛大) |
5GバックホールやLOS-MIMO通信において, 無限の空間直交モードを持つ軌道角運動量(OAM)空間多重化が期待されている. アナログマルチOAMモード多重化時にモード間放射利得差が問題となるが, これが原理的に無い, l=±1の等利得インターリーブ型マルチOAMモードアンテナを試作し, 近傍界測定および伝送実験を行った. 近傍界測定結果より, 位相の回転からOAMモードの生成を確認し, シミュレーションにより各モードのメインビームの放射利得が等しいことを確認した. 伝送実験により, 2.2 GHzの帯域で10 dB以上のOAM直交性を示した.
ミリ波帯の中でも60GHz帯は,IEEE802.11adなどの規格が策定され,製品も市場に出回りつつある.このような背景の中,我々は60GHz帯小型無線通信端末用
のフロントエンドモジュールアンテナとして,ダイポールアレイアンテナや単素子パッチアンテナの検討を行ってきた.本稿では,単素子パッチアンテナを大規模アレイアンテナに発展させるために必要となる銅ボール接続実装技術およびミキサを用いた3次元指向性測定技術の検証を行った結果について報告する.
導波管2面結合ハイブリッドは2x2の入出力開口を有する.理想動作は,ポート1からの入力の場合,出力ポート5-8へは等振幅分配され,ポート5に対して,ポート6,7は90 deg,ポート8は180 deg位相が遅れる.よって出力ポート5-8からの放射は2次元的に傾く.入力ポートを切り替ると,放射方向が変化する.導波管2面結合ハイブリッドの放射方向を制御するには出力開口の間隔を変化させる必要がある.ハイブリッドの出力ポートと結合領域の位置はハイブリッドの結合特性に大きく影響を与えるため自由に変化させることができない.そこで出力部にテーパ導波管を用いた出力開口を持つ制御板を取り付け,放射方向を制御した.
300GHz帯では自由空間損失および実装損失が大きく、アンテナの高利得化と共に、アンテナと回路を低損失に接続する必要があり、FOWLP上にアンテナを配置する構成が有効である。高利得アンテナ構成として、FOWLP上に配置した1次放射器と反射鏡によるオフセットパラボラアンテナ構成を提案し、1次放射器にエンドファイアアンテナを用いることで広帯域化を図った。275~325GHzの帯域において、広帯域かつ33dBi以上の高利得化設計を行ったのでその結果を報告する。
筆者らは,液晶装荷移相器によるビーム走査を可能とするアダプティブアレーアンテナの開発を目標とし,コプレーナ線路(CPW)給電パッチアレーアンテナを研究している.利得向上のため, 4素子パッチリニアアレーアンテナを平面アレーアンテナへ拡張する場合,コプレーナ線路を屈曲させる必要がある.これまで,コプレーナ線路の屈曲角を適切に選び,屈曲部にエアブリッジを装荷することにより,伝送特性が改善することを明らかにしている.しかしながら,薄い金属製のエアブリッジの形状維持は困難という問題がある.本稿ではこの問題を解決するために,ビアホールを屈曲部に装荷した構造を電磁界シミュレータを用いて検討する.
本稿では,屈曲させたコプレーナ線路(B-CPW)にビアホールを装荷した場合の伝送特性(通過特性と反射特性について,電磁界シミュレータを用いて解析した.ビアホールを装荷した B-CPWの伝送特性はS_21=-1.6 dB,S_11=-19.8 dBであり,エアブリッジを装荷した B-CPWのものとほぼ同等であることが分かった.
休 憩(14:30 再開) 座長 河口民雄(東芝)
C-2-59 |
パッチアンテナとλ/2 共振器を用いた積層サスペンデッドマイクロストリップ線路アンテナフィルタの設計
◎横山達也・小野 哲・和田光司(電通大) |
C-2-60 |
絶対帯域幅一定のマイクロストリップチューナブルフィルタリングアンテナ
◎相馬朝康・大平昌敬・馬 哲旺(埼玉大) |
C-2-61 |
メアンダライン2分の1波長SIRを用いた小型有極BPF
◎△坪内啓浩・石崎俊雄(龍谷大) |
C-2-62 |
準ミリ波帯Box結合有極形SIW帯域通過フィルタ
◎清水由太・大平昌敬・馬 哲旺(埼玉大) |
C-2-63 |
共振器並列形マイクロストリップリコンフィギャラブルフィルタ
◎橋本周磨・大平昌敬・馬 哲旺(埼玉大) |
近年,RFフロントエンドの小型化のために無線通信機器のフィルタ設計技術を応用したアンテナとフィルタの一体化設計技術が盛んに研究されている.今回提案する回路構造は,背面切削を用いず,積層サスペンデッド構造としアンテナ及びフィルタの一体化を行う.また,設計する際には飛越結合も考慮可能な等価回路モデルを提案し,その回路を用いた設計結果について報告する.
シミュレーション結果として,中心周波数 5.05 GHz,帯域幅 277.7 MHz,利得 7.81 dBi の特性を持つアンテナフィルタの設計を行った.また,遠方界放射パターンはパッチアンテナと同等であることを確認した.
近年,絶対帯域幅一定のチューナブルアンテナを実現するために,チューナブルバンドパスフィルタの最終段の共振器をアンテナに置き換えたチューナブルフィルタリングアンテナ(フィルテナ)が提案されている.しかし,絶対帯域幅一定に要求される回路パラメータ(結合係数・外部Q値・放射Q値)の理想特性を満足できていないために,絶対帯域幅一定を実現できていない.そこで本報告では,いずれの回路パラメータも理想の周波数特性を満足する絶対帯域幅一定のチューナブルフィルテナを提案し,設計及び測定によってその有効性を検証する.
無線通信の発達に伴い、小型かつ良好な減衰特性を有するフィルタの研究が盛んに行われている。中でもスプリアス抑制の観点からステップインピーダンス共振器(SIR)が用いられている。更なる減衰特性を確保するために有極化があるが、飛越結合を設けるため回路構成や設計が複雑になり、SIRのようなパターンが限定される場合ではより困難である。よって本研究では、SIRの隣接結合のみにより減衰極を両側の阻止域に生成可能なフィルタの簡易的設計と試作を行い、その有効性を示す。
近年,準ミリ波帯(28GHz帯)で比帯域幅10%以上の帯域通過フィルタ(BPF)の需要が高まり,無負荷Q値が比較的高い共振器を実現できる誘電体基板集積導波路(SIW)BPFが着目されている.しかし,従来のSIW BPFでは有極化のためにスロット構造を用いて負結合を実現しており,放射損失が発生する問題があった.そこで,本報告ではスロット構造を用いることなく負結合を得るため,Box結合を用いた有極形SIW BPF構造を提案し,その設計・試作測定によって提案構造の有効性を実証する.
近年,フィルタの周波数特性を再構成可能なリコンフィギャラブルバンドパスフィルタ(BPF)の研究が盛んである.しかし従来のフィルタ構造では,通過域特性の可変制御に加え,通過域に対して伝送零点を対称や非対称に再配置するためには追加の共振器が必要であった.そこで本報告では,共振器の並列接続で構成される簡易な構造でありながら,通過域特性の制御及び伝送零点の対称・非対称再配置のみならず,オールストップ特性をも実現可能なマイクロストリップリコンフィギャラブルフィルタを提案し,その有効性を実験的に実証する.
休 憩(16:00 再開) 座長 石川頌平(富士通研)
C-2-64 |
リコンフィギャラブルBRFの段間スタガリングによる阻止帯域幅均一性および減衰特性の改善
◎今井祐介・山尾 泰(電通大) |
C-2-65 |
単独矩形スタブによるMSL広帯域阻止フィルタに関する検討
◎磯崎稜太・草間裕介(香川高専) |
C-2-66 |
結合マトリクス法とHouseholder変換
○武田重喜・久保田倫代(アンテナ技研)・穴田哲夫・陳 春平(神奈川大) |
C-2-67 |
SP-PS構成磁界共鳴回路による無線電力伝送の効率最適化
◎居城貴良・保谷駿介・柴田随道(東京都市大) |
阻止帯域を動的に変更できるリコンフィギャラブル帯域阻止フィルタ(BRF)はマルチバンドアクセスシステムで有効である.既に提案した2段リコンフィギャラブルBRFでは,低SHF帯で8つの阻止帯域を切替できるが,帯域を切替えた場合の阻止帯域幅の変化が大きく,減衰特性もさらに急峻であることが望まれる.本稿ではBRFの前段と後段のノッチ周波数を変えるスタガリング設計を提案し,減衰特性の急峻化および阻止帯域幅の均一化を図った.
マイクロストリップライン(MSL)を用いたフィルタ回路のトレンドとして広帯域化・小型化が挙げられる.本検討では,主伝送線路とスタブ線路の特性インピーダンス比に着目して,矩形スタブの広帯域化について検討を行った.さらに,広帯域化された矩形スタブ入力点にリアクタンスを挿入して周波数調整と小型化の検討を行った.広帯域化と小型化を両立する方法として知られている既存のラジアルスタブと面積比,帯域幅の比較を行い,本提案構造の有効性を確認したので報告する.
結合マトリクス法は、全回路素子に関わる接点方程式あるいはループ方程定式を表す行列を演算処理する設計法といえる。 解析的(最適化など)に使い易く、古典的な回路網理論にとらわれないフレキシブルな回路構成、設計法に発展している。 一方、結合マトリクス法は、古典的な厳密な回路網合成法(正実有理関数)にも対応でき、この範囲では厳密な線形代数処理で合成的な設計も可能である。 この厳密さとフレキシビリティはトレードオフとなりやすく、両者の特徴をより生かした設計法が期待される。 ここでは、結合マトリクス法と古典的回路網合成法とを、Householder 変換とはしご型展開法と関連、対比させて、回路の“合成”という観点で幾つかの項目を検証する。
磁界共鳴型の無線伝送は,室内空間程度の距離を隔てた端末や装置への電力供給手段として有望である.普及が進むセンサネットワーク端末の設置・保守運用コスト低減策として無線給電の採用が考えられている.この場合,設置場所に応じて給電と受電コイルの位置関係は様々である.これらの位置関係,即ちコイル間の結合係数の変化に対して,電力伝送効率を最適化する回路構成法の検討を行った.SP-PS回路構成を提案し,結合係数に応じて回路の容量比を制御することで,電力伝送効率を最適化できることを示す.
C-2. マイクロ波C(マイクロ波・ミリ波応用装置)
3月20日 13:00〜16:45 54号館 301教室 座長 田島賢一(三菱電機)
C-2-68 |
土砂災害予知を目的としたVHF帯含水真砂土の複素誘電率測定
熊原宏征・北野龍雅・○黒木太司・江口正徳(呉高専) |
C-2-69 |
AM・FMラジオ放送波を利用した土砂災害予知に関する実験
◎熊原宏征・内田悠斗・黒木太司・江口正徳(呉高専) |
C-2-70 |
農業土壌pHに対する土壌誘電特性及びAMラジオ波受信特性の関係
◎内田悠斗・迫川智貴・熊原宏征・江口正徳・黒木太司(呉高専) |
C-2-71 |
ピンセット形電極の共振現象を利用した肺癌部位推定に関する一考察
◎坂本雅弥・熊原宏征・黒木太司・江口正徳(呉高専)・山川 烈(FLSI)・田中文啓(産業医大) |
C-2-72 |
高周波を用いた止血鉗子の刃先角度に対する大腸組織比吸収率の計算
◎千田純一・黒木太司・江口正徳(呉高専) |
C-2-73 |
負性抵抗素子を用いた循環腫瘍細胞検出リング共振器型電極のQ値改善に関する検討
◎空 翔太・熊原宏征・黒木太司・江口正徳(呉高専)・山川 烈(FLSI)・田中文啓(産業医大) |
C-2-74 |
前方照射源を利用したパッシブイメージング
◎前田淳朗・佐藤弘康・陳 強(東北大) |
C-2-75 |
導電性高分子含有布のマイクロ波帯における遮蔽特性
◎△枝松航輝・本良瑞樹・末松憲治・三浦 健・鳥光慶一(東北大) |
AMラジオ放送局から送信される直接波と、その山からの反射波を同時に受信し、両受信レベル差から土砂崩れを予知するシステムを提案してきたが、放送波をFMラジオ波に変更することが出来れば八木宇田アンテナに代表される手頃な大きさの指向性アンテナが利用でき、かつ電力半値幅も絞れることから、山に含まれる水分量非接触計測の分解能が向上し、予知精度がさらに高くなることが期待される。そこで本論では広島県に広く分布し、表層崩壊の原因になる真砂土の複素誘電率を周波数80MHzのVHF帯において測定し、この周波数帯を用いた土砂災害予知の可能性に関して検討したので報告する。
近年の異常気象と共に問題となってきている土砂災害に着目し、その早期予知システムを検討してきた。現在、広範囲かつ地中深くの土中水分量を観測できる中波帯と、地表付近を局所的に観測できるVHF帯を用いて、実験検討を行っている。その実験結果を報告する。
土壌のpHは農業において重要な項目の一つであり、現在、AMラジオ波を用いた農地のpH評価を検討している。本論ではpHの異なる農業用土の誘電特性を測定し、2つのモデルを用いてpHに対する受信強度と位相の変化、地表波が農地上を伝搬する際に生じる位相差を計算した。また、受信強度の計算結果とループアンテナを用いた測定受信強度を比較した。
我国の死亡原因第一位は悪性新生物(癌)によるものであり、近年では総死亡数の約三割を占めている。中でも肺癌は早期発見が困難なことから癌による死亡原因のトップであり、いまだ増加傾向にある。本研究では胸腔鏡下手術時に正常肺部位に混在する癌化部位の検出を目的として、手術時に利用するピンセットやナイフ、あるいは止血鉗子の先端に電極を設け、その共振現象を利用した肺癌部位検出デバイスを念頭に、その簡易モデルにより癌部位検出の可能性を検討した。
近年ガン摘出手術に高周波を用いたエネルギーデバイスが用いられている。このような器具は切開する際に周囲の組織に大きなダメージを与えることなく、出血も極端に少ないことから医療現場で使用されている。本論ではエネルギーデバイスの中でも止血鉗子に着目し、止血鉗子の刃先角度に対して比吸収率(SAR)を計算し、その効率化を検討した。
循環腫瘍細胞(CTC)は末梢血液中を流れる癌細胞で、血中含有量が極めて微量であるためCTC検出には高感度なデバイスが要求される。これまで我々のグループではリング共振器型電極を用いて、細胞の誘電定数の違いに着目した共振周波数の違いによる細胞同定手法を検討してきた。今回は更なる検出感度の向上を目指し、本電極に負性抵抗素子を装荷しQ値の改善を検討した。
人体が常時放出しているミリ波を画像化することで人がまとった衣服等の背後の危険物を完全無侵襲非接触で検知透視するミリ波パッシブイメージングはセキュリティ用途を始めとして期待されている.しかしながらパッシブイメージングは周囲の温度に依存して画質が劣化する場合がある.この欠点を補うために照射源を用いる方法を検討した.導体版とセラミック板について,照射源の有無によらずイメージングが可能であること,照射がある場合,人体温度と物体領域温度の大きな差が得られることが分かった.
侵襲の少ない生体内電極として,導電性高分子を含ませた繊維を用いた布が検討されている.本稿では,この導電性高分子含有布のシート抵抗が比較的高いことに注目し,布地を電波遮蔽体として活用することを提案し,その遮蔽特性をマイクロ波帯において測定した.
導電性高分子を含有した繊維で作成した布地のマイクロ波帯における遮蔽特性を測定した結果,和紙繊維の編物はシルク織物に比べて遮蔽効果が大きく,8GHz において8 dB 程度の遮蔽効果が得られることが明らかになった.
休 憩(15:15 再開) 座長 黒木太司(呉高専)
C-2-76 |
マイクロ波CTマンモグラフィ用アンテナの開発
◎花島朋弥・長山好夫・浅井朋彦(日大)・森山敏文・田中俊幸(長崎大)・山口聡一朗(関西大)・土屋隼人(核融合研) |
C-2-77 |
マイクロ波マンモグラフィのための境界抽出法と逆散乱解析法の融合の3次元拡張
◎則武和輝・木寺正平(電通大) |
C-2-78 |
マイクロ波乳癌アブレーションのための3次元高精度リアルタイム画像化法
◎金澤和輝・木寺正平(電通大) |
C-2-79 |
マイクロ波反射計による運転者の心拍および心拍変動率測定
○間瀬 淳(九大)・近木祐一郎(福岡工大)・丸山 徹(九大) |
C-2-80 |
誘電分光を用いた非侵襲グルコースセンシングのin vivo 検証-フラッシュグルコースモニタリングシステムとのトレンド比較-
◎中村昌人・田島卓郎・瀬山倫子(NTT)・脇 嘉代(東大) |
C-2-81 |
電気定数測定による⾷⾁の鮮度評価に関する基礎検討
◎高坂千明・齊藤一幸(千葉大) |
特に若年女性の乳がん診断を対象として、マイクロ波CTマンモグラフィの開発が進められており,この一環として広帯域特性を持つ平面ダイポールアンテナの開発を行った。本研究では、FBTS法により適切なアンテナ及び装置の設計を行った。このアンテナはFRPプリント基板上に成形した面放射型のアンテナである。給電端子は三角形電極のほぼ中心に置かれ、同軸ケーブルは放射面と垂直に接続される。同軸ケーブルの芯線は矩形電極に接続され、ダイポールアンテナとして動作する。これまで試作したヴィヴァルディアンテナと異なり面型のアンテナのため、画像再構成時の計算領域を1/4にまで削減することができた。
マイクロ波マンモグラフィは,既存のX線マンモグラフィと比較して,低コストかつ被曝や痛みを伴わないため,より検査頻度の高い簡易乳房スクリーニング技術として有望である.癌組織と乳腺組織は,誘電率のコントラスが低いことが報告されており,高い癌識別率を実現するためには,主として複素誘電率分布を再構成する逆散乱解析方式が有望である.逆散乱解析法では,関心領域(ROI:Region of Interest)を事前に設定する必要がある.レーダ方式により,ROI を正確に推定する手法としてEnvelope法が提案され,先行研究では,アンテナと乳房表面の相互結合による精度劣化をFDTD法で補正した手法が提案されている.本稿では,先行研究の手法を3次元モデルへ拡張する.3次元モデルにおいては素子配置が疎になるため,従来のMono-staticモデルのEnvelope法をMulti-staticモデルに拡張する.MRI 画像より抽出される精緻な乳房モデル及び3次元FDTD法による数値計算によって,本手法の有効性を示す.
Microwave Ablation(MWA) はマイクロ波焼灼に基づく外科的な癌治療法であり,最小限の侵襲で癌を治療できるため,特に乳癌治療等に有望である.一方,同技術での安全性を確保するためには,焼灼領域の高精度かつリアルタイムでの画像化が必要である.同画像化法として焼灼のためのマイクロ波信号を活用するマイクロ波モニタリング法が有用である.同技術を想定し,既に到来時間差(TDOA:Time Difference of Arrival) に基づく画像化法[1] 及び,波形再構成に基づく画像化法[2] を提案している.これらの手法は焼灼前後の前方散乱信号の信号差分を効率的な信号処理により画像化するもので,リアルタイム性を実現する.また,焼灼領域付近の前後の複素誘電率値のみが先験情報として必要であり,S11パラメータを用いた誘電率推定法と併用することで高精度な画像化が可能であることが示されている[3].本稿では,焼灼プローブとして同軸スロットアンテナを導入し,3 次元の精緻な乳房モデルを用いたFDTD(Finite-Difference Time-Domain) 法により,同手法を評価する.
著者らは、ドップラー反射計による揺動計測の一環として、非接触バイタル信号測定への適用を図ってきており、体動や周辺雑音が含まれている中での心拍測定のためのシステムおよび解析ソフトの改良、瞬時心拍数と心拍変動率導出のためのアルゴリズムの開発等を進めてきた.本講演では、車輛運転者モニタとしての適用を目的とした心拍および心拍変動率の実時間測定と状態評価の試みについてー初期実験としてドライビングシミュレータを使用した試験を行った結果について報告する。
マイクロ波を用いた誘電分光は非侵襲で生体分子の測定が可能であり,またMMICによる小型化が可能であることから小型の生体センサ応用などが期待されている.中でもグルコースは運動や食事などにより濃度が変化する物質であり,時系列データを測定することで日々の生活改善を図る技術の実現が期待できる.我々はこれまでに非侵襲で生体内のグルコースを連続測定技術について検討を進めてきた.本稿では,一般公募者に対して糖負荷試験を実施しながら誘電分光測定を行い,穿刺型の簡易グルコースセンサであるフラッシュグルコースモニタリングシステムを用いた結果と比較し,平均で0.65の相関を得たので報告する.
本研究では,食肉の新鮮度をその電気定数に基づいて,簡便に測定可能な装置を開発するための基礎検討を行う.筆者らのこれまでの経験によれば,食肉は鮮度が落ちる,すなわち,生産から日数が経つにつれて,数MHz〜数十MHz のHigh Frequency (HF)帯程度もしくはそれ以下の周波数帯で,電気定数(誘電率・導電率)が大きく変化することがわかった.これは,食肉の品質劣化によってそれを構成する細胞膜が破れ,その結果として細胞での静電容量が低下するためであると考えられる.そこで,本研究では,100 kHzにおけるブタ肝臓の電気定数の経時変化を測定した.
3月22日 9:00〜11:45 53号館 403教室 座長 吉田賢史(鹿児島大)
C-2-82 |
課電電線の非接触検出・可視化システムの設計
◎能城冬馬・桑原義彦(静岡大)・牛本卓二(中部電力) |
C-2-83 |
非等間隔マルチトーンを用いた高速・高精度なTHz誘電率測定方式
◎徐 照男・濱田裕史・松崎秀昭・野坂秀之(NTT) |
C-2-84 |
Study on SAR imaging of mmWave radar using under-sampling measurements
◎Xu Zhu・Hiroki Mori(Toshiba) |
C-2-85 |
圧縮センシングを用いたミリ波レーダー合成開口イメージングに関する検討
小畑晴香・朱 旭・森 浩樹(東芝)・◎関谷亮太(東芝メモリ) |
C-2-86 |
簡易車体モデルを用いたUHF 帯車載アンテナの設置位置に関する検討
◎迫川智貴・黒木太司(呉高専)・沼元正樹・浜田 康(マツダ) |
C-2-87 |
26 GHz帯ダイレクトディジタルRF変調器用イメージエンハンスメント型1ビットDAC
◎張 俊皓・数野将史・本良瑞樹・亀田 卓・末松憲治(東北大) |
C-2-88 |
920 MHz帯/2.4 GHz帯/5 GHz帯マルチバンドリアルタイムスペクトラムモニタの基本特性
○古市朋之・秋元浩平・本良瑞樹・亀田 卓・末松憲治(東北大) |
C-2-89 |
ワイヤレスセンサのシステムオンチップ化に向けた検討
川崎繁男(JAXA)・◎小渕大輔・松浦賢太郎・成末義哲(東大)・西川健二郎・吉田賢史(鹿児島大) |
C-2-90 |
直交変復調方式を用いた送受信機におけるIQ周波数特性差の補正方式
○中溝英之・田島賢一(三菱電機) |
C-2-91 |
遅延回路を用いた信号源の周波数跳び検出回路
○和田 平・水谷浩之・田島賢一(三菱電機) |
C-2-92 |
4周波数帯同時受信方式における不平衡補正によるEVM改善
○榊 裕翔・安藤暢彦・田島賢一(三菱電機) |
変電所など高電圧(数kV)を取り扱う作業所では,感電事故を避けるため,導体が停電状態であることを確認した上で作業を進める.しかし災害時で緊急のときは,作業者が思い込みで停電区間を誤認し感電することが懸念されるため,課電状態を遠方から検出できる技術が望まれている.本研究では,帯電によって生じるクーロン力に起因する電線の僅かな振動をレーダで検出することで,その課電状態を非接触で判別し,二眼カメラによる測距技術と組み合わせてタブレット端末等で課電電線を可視化するシステムの実現を目指している.本稿ではその概要を紹介する.
食品内の微小誘電体異物を検出するための有効手段の一つとして、テラヘルツ(THz)波の位相情報を用いた誘電率イメージングが挙げられる。しかしながら従来のTHzを用いた誘電率測定は精度と速度の両立が困難であるという課題があった。本研究では非等間隔マルチトーンを用いた高速・高精度なTHz誘電率測定方式を提案し、高い測定精度を維持しながら測定時間を従来の1/200に短縮可能なことを実証したので報告する。
In this paper, we adopted a millimeter wave module developed for autonomous driving to image small items. Combined with synthetic aperture technology, we achieved a resolution where the details of small item can be imaging clearly. In addition, measurement spacing that is more than half of wavelength is adopted, which simplified system requirement extremely.
ミリ波を用いた高精細イメージング手法として合成開口 レーダー(Synthetic Aperture Radar: SAR) がある.SARは開口面の小さなアンテナが移動しながら複数の観測点でレーダー送受信を行い,観測結果を合成することで仮想的に開口面の大きなアンテナで観測したようなイメージングを実現する手法である.反面,複数回の観測に伴う観測時間の削減が課題となる.
そこで本研究は,本来より少ない観測点数からのSARによる高精細イメージングを目的とし,圧縮センシング(Compressed Sensing: CS)という枠組みに着目した.
本稿では,TI社ミリ波センサを用い,観測点数を本来のSARの1/2とした場合にCSを適用することで本来に近い高精細なイメージングが可能なことを実験結果より示す.
近年自動車における電磁波利用は拡大し、イモビライザやBluetooth、ミリ波レーダなど、数10kHz~数10GHzの広帯域で用いられており、 5G を利用した自動運転技術も注目されている。特に車内外間通信を行う際、アンテナを車体のどの部分に設置するかは、周波数利用の効率化の点で重要になる。そこで本論では、これまで検討してきたキーレスエント
リに着目し、315MHz における自動車内外の電波伝搬を数値的に検討した。
我々は,直接ディジタル信号からナイキスト周波数を超えるRF信号を生成することができるダイレクトディジタルRF変調器として,1ビットバンドパス(BP)ΔΣ変調器の高次イメージ成分を取り出す構成を提案してきた。1ビット信号列を生成するディジタル信号処理回路 (DSP) から1ビット DAC までの信号を光ファイバー等の伝送線路で給電する場合,その伝送線路のローパス (LP) フィルタ特性によって,高次のイメージ信号が大きく減衰してしまう。本稿では,LPフィルタによって帯域制限された場合のDSP信号出力を入力とした場合にも,高次イメージ信号を効率よく生成することができるイメージエンハンスメント型の1ビットDAC を提案し,65 nm CMOSプロセスを用いてIC試作を行った。
無線IoTの普及に伴うシステム間干渉を回避するために920 MHz帯,2.4 GHz帯,5 GHz帯 を対象としたリアルタイムスペクトラムモニタが求められている.我々は上記帯域を一括してミリ秒級のリアルタイムでモニタリングでき,かつ数百MHz程度のクロックで実現可能なダイレクトRFアンダーサンプリング受信機を提案してきた.本稿では原信号のスペクトル復元方法を提案するとともに,スペクトラムモニタの基本特性であるマルチバンド特性とリアルタイム特性を確認したので報告する.
宇宙機内にはヘルスモニタリングを目的としたセンサが多数設置されている. これらのセンサに信号や電力を伝達するワイヤ ハーネスを無線化することで,機体の軽量化やセンサ設置場所の 制約解消, メンテナンス性の向上が期待できる. 現在我々は, 基地局やセンサ局におけるデジタル信号処理回路, 及び Full Si や HySIC(Hybrid Semiconductor Integrated Circuit) で作成されたアナログ回路を一つのチップ上に構築し,ワイヤレスセンサ システムをシステムオンチップ化することを目指した研究開発を行っている. 本稿では,Full Si 回路や HySIC 回路を含めたシステムオンチッ プ化の初期検討として, センサ局に Full Si 整流回路及び HySIC 整流回路, 基地局に AIA(Active Integrated Antenna) を用いたワイヤレスセンサシステムにおける無線通信とマイクロ波電力伝送(MPT) の両立試験結果について報告する.また, 無線通信とMPTの両立時に基地局が多数のセンサ局と接続するために検討中の両立方式についても報告する.
直交変復調方式を採用する送受信機において,送信系の直交変調器におけるIQ信号経路間の通過利得と通過位相の周波数特性差に起因するイメージ成分は,受信系を介して計測し補正することで抑圧できる.しかし,受信系の直交復調器のIQ信号経路間に通過利得と通過位相の周波数特性差がある場合,直交変調器と直交復調器の周波数特性差の寄与を分離できず,直交変調器の適切な補正が困難となり,送信系出力のイメージ成分を充分抑圧できない.ここでは送信系のIQ信号経路を時分割で切換えることで,直交変調器のIQ周波数特性差を補正できる補正方式を提案し,実測で有効性を確認した結果を述べる.
衛星搭載用の信号源には, 高い周波数安定度をもつRubidium Atomic Frequency Standard (RAFS) と,RAFSに同期して10.23MHzのマスタークロックを生成する基準信号源の2つがある[1].これらの信号源では,出力信号に周波数跳びが発生していないか,検出回路を用いて常に測定し,周波数跳びが発生した場合には,どの信号源で発生したかを特定する必要がある. RAFSの出力周波数は複数の候補があるが,同じ回路構成で全てのRAFSの出力周波数に対応することが求められる.本稿では,信号源の出力信号に遅延を与えることで,用いるRAFSの周波数に関わらず周波数跳びが発生した信号源を特定する検出回路を提案し,シミュレーションにより原理検証を行ったので報告する.
GNSS(Global Navigation Satellite System)向け受信機の小型化が求められている.著者らは,受信機のRF フロントエンドを小型にする4 周波数同時受信方式を提案している.提案の受信方式は,周波数が異なる4 つの受信信号を2 つのLO 信号により,2 つのIF 周波数帯へ周波数変換する.各IF 周波数帯にはそれぞれ異なる不平衡(利得及び直交誤差)が付加され,受信機の性能が劣化するため,改善が必要である.しかし,各IF 周波数帯にそれぞれ異なる不平衡が付加された場合の不平衡を改善する方法は検討されていない.そこで本報告では,各IF 周波数帯にそれぞれ異なる不平衡が付加された信号に対する不平衡補正方法を適用した4 周波数帯同時受信方式について述べる.
C-3. 光エレクトロニクス
3月19日 9:00〜11:45 52号館 103教室 座長 大道浩児(フジクラ)
[光導波路・光回路(1)]
C-3-1 |
屈曲Si細線導波路の断面形状が偏波クロストークに及ぼす影響
朝生龍也・◎土屋俊貴・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-3-2 |
埋め込み導波路における偏波変換器の挿入損低減
◎佐々木陽太・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-3-3 |
誘電体スロット導波路配列を利用した円偏光ミラー
山内潤治・◎大川内 巧・中野久松(法政大) |
C-3-4 |
集積型可変光OFDM信号分離デバイスの特性評価
◎田口大暉・正木秀明・瀧口浩一(立命館大) |
C-3-5 |
空間1次元モード型N×N光モードスイッチ構造の提案
◎△小川 慧・姜 海松・浜本貴一(九大) |
基板に装荷された屈曲Si細線導波路において, コアの縦横比とクラッドの屈折率が偏波クロストーク(PCT)に与える影響を検討する. 直線導波路のTE固有モードを入射波とし, 円筒座標系FDTD法を用いて解析する. PCTが最も低減する最適なコアの縦横比が存在し, 約26dBになることを見出す. また, クラッドの屈折率が大きくなるにつれて, PCTが小さくなることを示す.
筆者らは, 長方形断面の埋め込み導波路において, 金属ストリップを空気界面に配置した簡易な偏波変換器を提案した. しかしながら, 3 dB以上の挿入損が生じる問題があった. 本稿では, 固有モード解析により, 挿入損の低減を検討する. コアの高さが大きくなるにつれて, TMモードの遷移損が減少し, 挿入損が低減されることを見出す.
直線偏光を円偏光に変換するミラーが開発されている.本稿では,位相制御を誘電体スロット導波路配列で行う円偏光ミラーを提案する.広帯域特性を維持しながら入射角を広く選択できる利点が生じることを明らかにする.
光OFDM(Orthogonal frequency division multiplexing)は、直交サブキャリアチャネル信号の使用によって高い周波数利用効率を実現できる。次世代の適応型光ネットワークの実現のため、様々なシンボルレート、チャネル数のサブキャリアチャネルからなる光OFDM信号を、光領域で直接、高速に分離する技術は重要である。
今回、スラブスターカプラ型光DFT(Discrete Fourier transform)回路、結合率可変光カプラアレイ構成の集積型可変光OFDM信号分離デバイスを用いて、可変チャネル光OFDM信号(20~100 Gbit/s)の分離機能を実現し、信号分離特性の評価を行ったので、結果を報告する。全ての分離チャネル信号について、符号誤り率10^-10が得られた。
増大するデータトラフィックに対応するために、空間1次元モードを基底とした光モード多重通信ネットワーク構築を提案し、そのキーデバイスとしてこれまでに光モードスイッチを提案している。さらなる高次モード展開に向けて、N×N光モードスイッチの構造検討を行った。その結果、BPMシミュレーションにて基本スイッチング動作することを確認したので報告する。
休 憩(10:30 再開) 座長 三浦健太(群馬大)
[光導波路・光回路(2)]
C-3-6 |
(依頼講演30分)高速逆ラプラス変換法による光デバイス解析
○大貫進一郎・呉 迪・大西崚平・増田宗一郎(日大)・山口隆志(都産技研) |
C-3-7 |
長方形コアを用いたスポットサイズ変換器の設計(Ⅱ)
山内潤治・◎嶋田圭吾・中野久松(法政大) |
C-3-8 |
終端に直線導波路を用いたコヒーレント結合型スポットサイズ変換器
山内潤治・◎小島功義・嶋田圭吾・中野久松(法政大) |
C-3-9 |
屈曲した埋め込み型Si細線導波路におけるコア縦横比の影響
朝生龍也・◎石黒雄大・山内潤治・中野久松(法政大) |
FDTD法に代表される時間応答解析は,電磁界の過渡から定常状態までを容易に計算できる。近年では各種商用シミュレータに電磁界ソルバとして搭載され,光導波路や光アンテナなどのデバイス設計・開発に広く利用される。
本報告では,著者らが開発を行っている,高速逆ラプラス変換法を用いた電磁界時間‐周波数応答解析法の進展と,光デバイス解析への応用例を紹介する。
長方形コアを用いたスポットサイズ変換器を,BPMを用いて解析する.デバイス長を従来構造の2/3の長さである200 μmにすることで,水平方向のテーパのみで,TE,TM両モードともに広帯域で高効率な変換特性が得られることを見出す.
終端に直線導波路を用いたコヒーレント結合型スポットサイズ変換器を, BPMを用いて解析する. 導波モードと放射モードの位相定数から算出されるテーパ角のガイドラインの観点から, TMモードの変換特性を評価する. 終端において, ガイドラインを超えるテーパ角と直線導波路を設けることで, 水平方向のテーパのみで, TMモードの特性が改善できることを見出す.
我々は屈曲損の低減手法として, コアを空気界面から僅かに埋め込む構造を提案してきた. しかしながら, コア形状は正方形しか取り扱っておらず, コアの縦横比の影響については未検討だった. 本稿では, コア形状を変化させた際の純粋屈曲損および偏波クロストークを評価する.
3月20日 9:15〜11:30 52号館 103教室 座長 中川剛二(富士通研)
[光ファイバ・光学応用]
C-3-10 |
(依頼講演30分)ブリルアン散乱を用いた高速分布型光ファイバセンサ
○水野洋輔・野田康平・李 熙永・中村健太郎(東工大) |
C-3-11 |
マルチモード干渉効果に基づくファイバ型チューナブルフィルタ
○岡田健吾・清水勇紀・坂田 肇(静岡大) |
C-3-12 |
Multichannel helical long-period fiber grating realized by using the DC-sampling approach
○△Chengliang Zhu・Ryo Mizushima・Shoma Ishikami(Shizuoka Univ.)・Hua Zhao(Nanjing Normal Univ.)・Hongpu Li(Shizuoka Univ.) |
光ファイバに沿った任意の位置で歪や温度を測定できる「分布型光ファイバセンサ」は、安心・安全のため、世界中で精力的に研究がなされている。これまでに我々は連続光の相関を制御することで位置分解を行う相関領域法「ブリルアン光相関領域反射計」(BOCDR)を提案した。この手法は、(1) 片端光入射での動作、(2) 世界最高の6 mmの空間分解能、(3) 低コスト、などの利点を併せ持つ。当初、サンプリングレートの最高値は19 Hzであり、分布測定に比較的長時間(数10秒~数分)を要するという問題があった。そこで、我々はブリルアン散乱スペクトルの形状解析に基づく高速BOCDRを提案した。本講演では、その原理や実験系、特異な「超理論分解能効果」、さらには最近の進捗について紹介し、今後の展望を述べる。
光ファイバの多機能化手段の一つとしてマルチモード干渉(MMI)の利用が挙げられる。MMI構造のパラメータを変化させることで透過光スペクトルが制御できる。本実験ではマルチモード領域長を変化させるためマルチモードファイバ(MMF)の中間部を屈折液で満たしてその長さを変化させる。任意の透過波長を選択するチューナブルフィルタを作製し、屈折液の領域長と透過ピーク波長との関係について検討する。
In this study, a simple and efficient sampling approach that enables to produce multichannel in a helical long-period fiber grating(HLPG) was proposed and experimentally demonstrated. As a typical example, a rectangular DC-sampled 3-channel HLPG was fabricated by using the CO2 laser platform. The proposed devices may find applications to multichannel orbit-angular-momentum (OAM) mode converters, as well as wavelength division multiplexing (WDM) sensors.
休 憩(10:30 再開) 座長 齊藤晋聖(北大)
[光ファイバ・光学応用]
C-3-13 |
(依頼講演30分)液晶偏光回折格子を用いた光渦・ベクトルビームの生成と検出
◎坂本盛嗣・中元勇貴・金子裕亮・野田浩平・佐々木友之(長岡技科大)・川月喜弘(兵庫県立大)・小野浩司(長岡技科大) |
C-3-14 |
非等分配型多モード干渉器による小型光ユニタリ変換器の検証
◎田之村亮汰・唐 睿・種村拓夫・中野義昭(東大) |
C-3-15 |
マルチQPM素子を用いた1.4-1.6µm帯波長変換
◎加藤将人・Punhavan Saroeun・杉山慶祐・遊部雅生(東海大)・梅木毅伺・圓佛晃次・笠原亮一(NTT) |
情報通信において大容量伝送技術が要求される近年、光渦やベクトルビームなどのトポロジカルな光波を利用する空間光多重通信に関する研究が勢力的に行われている。トポロジカル光波を用いる光多重通信では、光の空間モードの直交性を利用して情報の多重化を行うが、これらの光波のモード指数は無限通り取りうる為、理論的には多重化の容量に上限が無い。この事から、トポロジカル光波を用いた光多重通信は次世代の光通信技術として高い注目を集めている。トポロジカル光波を用いた光多重通信を実現するには、トポロジカル光波の「発生」・「伝送」・「検出」の3つの工程が各々必要となる。本発表では、液晶偏光回折格子を利用してトポロジカル光波を「発生」・「検出」する手法について報告する。
多数の直交した入力光信号を互いに直交した異なる基底に変換して出力する素子を光ユニタリ変換器と呼ぶ.変換行列を任意に再構成できる「任意光ユニタリ変換器」がコンパクトな光集積回路上で実現できればモード多重通信,光ニューラルネットワーク、量子計算など広範な領域での応用が期待される.著者らは等分配多モード干渉計と位相シフタアレイを直列に接続した光ユニタリ変換器を提案し検証を進めてきた.本発表では, 等分配多モード干渉計の代わりに非等分配多モード干渉計を用いた光ユニタリ変換器を新たに提案し,数値検証結果を報告する.これにより特性を劣化させることなく,光ユニタリ変換器の長さをおよそ半減できることを示す.
現在の光通信波長帯は、中継器であるエルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA)の増幅可能帯域によって決定されている。本研究では、マルチQPM素子を用いた波長変換技術により、C,Lバンド以外での波長帯における伝送を目指している。今回、マルチQPM素子中における第二高調波発生と差周波発生/光パラメトリック増幅過程を利用した波長変換・光増幅を検討した。その結果、1.45μm 帯から1.63μm 帯への変換を確認し、最大で-3dB の変換効率が得られた。さらに、アイドラ光(変換光)を用いた伝送実験により、アイドラ光が十分な信号品質が得られることを確認した。
3月21日 14:15〜17:00 52号館 102教室 座長 荒川太郎(横浜国大)
[光フィールド・偏波制御(1)]
C-3-16 |
(依頼講演30分)体積ホログラムを用いた空間モード分離器の検討
○品田 聡(NICT)・柴 泰純(北大)・高畠武敏(オプトクエスト)・岡本 淳(北大)・和田尚也(NICT) |
C-3-17 |
1/4波長金属板における偏波変換特性の可視化
山内潤治・◎石原裕也・吉野隼輔・中野久松(法政大) |
C-3-18 |
異常透過を応用したクロススリット型偏波変換金属板
山内潤治・◎中田涼太・中野久松(法政大) |
C-3-19 |
通信波長帯域において超高消光比を有するメタ表面偏光子
○黒澤裕之・井上振一郎(NICT) |
モード多重伝送では,基本モードと高次モードを相互に変換するモード多重器およびその逆過程となるモード分離器が必要となる.様々な手法のモード分離器が開発されているが,伝送容量を決めるモード数に対する拡張性は,空間光学系を用いる手法が優位であり,最近では,数100におよぶモード変換のポテンシャルが示されている.我々は,より簡素な構成によりモード変換を実現するため,体積ホログラムを用いたモード分離器を提案しており,本発表では,その動作原理および初期評価結果について紹介する.
1/4波長金属板における偏波変換特性を,FDTD法を用いて解析する.金属板の出力面近傍で右旋円偏波が発生していることを視覚的に示す.
クロススロット周期構造を設けた1/4波長金属板が提案されている.筆者らは,開口部を大きくすることで,透過率の向上を明示してきたが,70%程度に留まっていた.他方,金属板に空けられたサブ波長開口を光が異常に透過する現象(EOT)の研究が注目されている.EOTには,複数の共鳴が関係しており,それらは相互に作用し合うことが示されている.
本稿では,2種類の共鳴からなるEOTをクロススリット型偏波変換版に応用する.円偏波を得ながら,90%以上の透過率になる構造を見出す.
メタ表面とは自然には存在しない電磁応答を示し、サブ波長以下の薄さを持つ人工構造である。このメタ表面を使うことで極薄な高機能光デバイスを実現することができる。
相補的に積層した金属ナノ構造から成るメタ表面偏光子は、系の損失と構造の最適化によって更なる高消光比が実現可能である。本研究では、そのような観点からメタ表面偏光子の構造を見直し、再検討を行った。その結果、先行研究を2桁以上上回る超高消光比が実現可能であることが分かった。
本公演では、具体的なメタ表面の光ナノ構造を明示しながら、超高消光比が発現するメカニズム及びその特性に関して詳細に議論する。
休 憩(15:45 再開) 座長 小林弘和(高知工科大)
[光フィールド・偏波制御(2)]
C-3-20 |
(依頼講演30分)空間光変調器を用いた光波制御と光情報処理
○岡本 淳・前田智弘(北大)・舟越久敏(岐阜大) |
C-3-21 |
サブ波長周期スリットを設けた金属板及び完全導体板の異常透過特性比較
山内潤治・◎大石雅人・中田涼太・中野久松(法政大) |
C-3-22 |
金属板に周期的に設けられたスリットの幅が異常透過に及ぼす影響
山内潤治・◎吉野隼輔・中野久松(法政大) |
C-3-23 |
金属及び完全導体から成る1/4波長板の異常透過特性比較
山内潤治・○田中勇輝・中野久松(法政大) |
本講演では、空間光変調器を用いた新規光情報処理システム構築という観点から、我々がこれまで進めてきた光複素振幅生成技術ならびに位相共役光を用いた光計測システムについて説明する。
サブ波長周期スリットを設けた金属板及び完全導体板の異常透過特性の比較を,FDTD法を用いて解析する.完全導体板の開口部を金属板の表皮深さを考慮して拡大することで,両者はほぼ同じ波長で透過が生じることを見出す.
周期的にスリットを設けた金属板を2次元構造で解析する. 特にスリット幅を変化させた際の透過波と反射波を評価し, 異常透過特性への影響を明らかにする.
金属から成る波長板の厚みを変えることで,透過ピークが得られる波長が推移し,ある厚みでEOTによる高い透過ピークが得られることを示す.次に,金属の表皮深さを考慮して,金属板の開口を縮小することでPECと類似の波長特性が得られることを示す.
3月21日 14:15〜16:45 52号館 103教室 座長 西山伸彦(東工大)
[C-3/C-4合同セッション テラヘルツ]
C-3-24 |
(依頼講演30分)共鳴トンネルダイオードとフォトニック結晶のテラヘルツ通信応用
○冨士田誠之(阪大) |
C-3-25 |
テラヘルツパルス無線通信に向けた光パルス列繰り返し周波数増大
◎一山昂平・光枝 健・加藤和利(九大) |
C-3-26 |
テラヘルツ帯ナイキストWDM通信の検討
◎西尾 望・瀧口浩一(立命館大) |
C-3-27 |
テラヘルツ帯信号から変換した高周波数利用効率・高速光信号の波長分散耐性
○瀧口浩一(立命館大) |
C-3-28 |
TM透過型THz導波路偏光子の解析
柴山 純・◎五味頌子・山内潤治・中野久松(法政大) |
本発表では,共鳴トンネルダイオードおよびフォトニック結晶のテラヘルツ通信応用に関する最近の進展に関して述べる.
近年テラヘルツ波を用いた無線通信が注目されており、我々はフォトミキサに二光波を入射し、これらの差周波としてテラヘルツ波を生成する研究に取り組んでいる。また、従来のフォトミキシング技術を応用し、高繰り返し光パルス列から光電変換により、テラヘルツ波パルスを生成する研究に取り組んでいる。我々は300GHzの光パルス列の生成を報告している。光パルス列の繰り返し周波数をさらに増大させる方法として複数の光パルスに適当な遅延を与えて合成するという手法を考案した。今回、この手法を用いて100GHzの光パルス列を二光路に分け、適当な遅延を与えて合成することで200GHzの光パルス列を生成し、測定したので報告する。
光ファイバの敷設が困難な場所などでの短距離・大容量無線通信を実現するため、テラヘルツ(THz)帯通信の検討が行われている。主にシングルキャリア通信の検討が行われているが、将来の通信容量の増大に対応するため、高周波数利用効率のマルチキャリア通信の検討を行うことも重要である。
今回、THz帯での高周波利用効率の分割多重化手法として、OFDM、ナイキストTDMに引き続き、ナイキストWDM(2 x 40 Gbit/s)の検討を行ったので、その結果について報告する。分離2チャネルとも誤り訂正限界(4.5 x 10^-3)以下の符号誤り率(1.2 x 10^-5、4.8 x 10^-7)を得た。
ナイキストフィルタによって周波数帯域をシンボルレートに等しく整形した高周波数利用効率40 Gbit/s OOK信号を用いて、THz帯信号から光信号への変換実験を行い、変換光信号の波長分散耐性を符号誤り率特性によって評価した。波長分散補償なしに、単一モード光ファイバ9 km(分散値150 ps/nm)までの伝送が可能であることを実験的に明らかにした。
半導体InAsを用いたTM透過型THz導波路偏光子を検討する.TE0,TE1 両モードを同程度励振することにより,高い消光比が得られることを示す.また,TEモードが基板に放射し,TMモードが導波路を伝搬する様子を明らかにする.
休 憩(16:00 再開) 座長 北 智洋(早大)
[C-3/C-4合同セッション モード同期レーザ]
C-3-29 |
狭線幅かつ高抑圧比な単一共振器モードで連続動作する半導体モード同期レーザのリング共振器周波数離調許容範囲とその動作原理
○岡野謙悟・石田耕大・長坂恭輔・上野芳康(電通大) |
C-3-30 |
全光半導体ゲート型モード同期レーザの出力量子効率向上を裏付ける動作原理モデルの提案
○石田耕大・岡野謙悟・長坂恭輔・上野芳康(電通大) |
C-3-31 |
従来の1.55 µm波長帯に加えて1.3 µm帯で動作する全光半導体ゲート型モード同期レーザ構造の設計およびその予備的実験結果
◎長坂恭輔・石田耕大・岡野謙悟・鈴木悠司・上野芳康(電通大) |
当研究室が開発している全光半導体ゲート型モード同期レーザは,4種の固有周波数をハーモニックに共鳴させることで,多数のリング共振器モードの内から繰返し周波数間隔毎に単一のモードを残して他のモードを抑圧し(以下,単一共振器モード発振),種光となるDFB-LDと同程度の線幅(±1 MHz以内)をもつ光コムを発生する.これまで,単一共振器モード発振を達成するエタロンFSRに対する外部変調周波数の離調許容範囲はエタロンのフィネスの逆数に依存することを明らかにした.本稿ではリング共振器の出力分岐比によってリング共振器のフィネスを制御し,外部変調周波数に対するリング共振器周波数高調波の離調許容範囲を調査したので報告する.
モード同期レーザは光時分割多重 (OTDM) 伝送等の光通信や分子分光への応用が期待される.これらの応用へ向けて,当グループは遅延干渉型全光ゲート (DISC-gate) をモードロッカーとした全光半導体ゲート型モード同期レーザを開発している.本研究では外部微分量子効率のモデルを考案し,そのモデルの提案を目的とした.考案したモデルは増幅器の微分効率・増幅器から出力部までの透過率・出力比率から構成され,本モデルは本研究及び先行研究結果に対して概ね整合した.従って,本モード同期レーザの外部微分量子効率は3種類のパラメータによって決定される事を実験結果及び理論モデルから明らかにした.
モード同期レーザは光信用クロック光源や分子センサ光源として応用が期待されている.我々はDISC型モード同期レーザ(DISC-MLレーザ)の動作原理およびそのパルス出力特性や連続可変制御可能な光コムスペクトル特性を実現し解明してきた.原理的に,これらの特性を維持しながら光集積化および他波長域での発振が可能であると考えている.ただし従来構造のレーザ共振器にはEr光増幅部が含まれており,このままでは実現不可能である.そこで本研究では,Er光増幅部を取り外してもパルス発振動作するDISC-MLレーザ構造への移行要件を体系的に研究した.共振器内に損失補償用半導体光増幅器を含む共振器構造を提案・動作検証した結果,Er光増幅部の利得を29.8dBから11.1dBまで低下させた.また,出力パルス品質を評価し,極端なパルス品質の劣化はないと結論した.
3月22日 10:15〜11:30 52号館 103教室 座長 藤方潤一(PETRA)
[C-3/C-4合同セッション 光センシング(2)]
本セッションは,C-4に記載の[光センシング(1)(C-3, C-4合同セッション)]に続いて開催されます.先行講演からご覧ください. |
C-3-32 |
Amplifier Integrated VCSEL with Resonant Wavelength Detuning
○Shanting Hu・Masashi Takanohashi・Xiaodong Gu・Fumio Koyama(Tokyo Tech) |
C-3-33 |
ADCチャネル間skew揺れのキャンセルによるTOF LiDARの高精度化
○上野雅浩・赤毛勇一・岡 宗一(NTT) |
C-3-34 |
Ranging Image acquired by FMCW-LiDAR using Slow-light Photonic Crystal Modulator
○Napat J.JITCHAROENCHAI・Nobuhiko Nishiyama(Tokyo Tech)・Hiroshi Abe・Yosuke Hinakura・Toshihiko Baba(Yokohama National Univ.)・Shigehisa Arai(Tokyo Tech) |
C-3-35 |
石英系PLCを用いた超小型三次元形状計測器の作製と動作実証
○片寄里美・倉田優生・渡邉 啓・笠原亮一・井藤幹隆(NTT) |
C-3-36 |
Proposal of Thin Silicon Core High-Mesa Waveguide for Breath Sensors
○Yu Han・Wenying Li・Haisong Jiang・Kiichi Hamamoto(Kyushu Univ.) |
In this paper, we present a structure of lateral integration of a VCSEL and amplifier with in-plane resonant wavelength detuning design showing a record quasi-single-mode power over 25mW.
TOF LiDARでは、測定対象への光の往復時間を測定するために、基準となる信号(参照信号)と測定対象から反射してきた光を光電変換した信号(サンプル信号)との時間差Δtを測定し距離Lを算出する。ディジタル信号処理によるΔt測定では、参照信号とサンプル信号の2つをADCの各チャネルに入力するが、ADCのチャネル間skewによる時間差 ΔtSkの時間変動に応じて、2信号の時間差の測定値ΔtMはΔt+ΔtSkとなるため時間変動する。本報告では、測定対象とともに固定ミラー(補正用ミラー)を設置し、測定対象の測距結果から補正用ミラーの測距結果を引く方法を述べ、その結果、測距が高精度化することについて述べる。
Light Detection and Ranging (LiDAR) is one kind of range finding and environmental scanning technique that are currently in used and developed for various kind of vehicles and mobilities for object scanning module. With the used of Si-photonics technology, the minimization of LiDAR module size is expected to help improve the operation stability and cost-performance of the LiDAR system [1]. In the previous work, the concept of Frequency Modulated Continuous Wave (FMCW) LiDAR by external Lithium Niobate (LN) modulator was reported [2]. To proceed the minimization, the LN modulator is replaced by the compact chip size photonic crystal modulator using Si photonics and slow-light technology for the first time.
近年、各産業界において三次元形状計測技術の活用が進んでいる。既に多くの計測手法が開発されており、なかでも位相シフト法は、精度・空間分解能に優れた手法として広く用いられている。しかし、従来の計測器は空間光学系により構成されたものがほとんどで、小型なものでもcm オーダであり、対象物のサイズが制限されるという問題があった。また、位相変調した光をファイバで導波し、小型化を図る手法も報告されているが、振動によりファイバ伝搬中の光の位相がずれ、安定な計測が困難という問題があった。そこで我々は、小型・集積性・信頼性に優れた石英系PLCを用いた超小型三次元形状計測器を提案する。本稿では計測器を作製し、動作実証を行った結果を報告する。
Breath sensing system based on cavity ring-down spectroscopy (CRDS) technique is attractive due to its real time sensing in addition to the capability of high sensitivity. Utilizing waveguide for CRDS may realize ppm-order components into a compact area. In order to improve the figure of merit and thus the sensitivity, we designed a 100 nm-thick Si core high-mesa waveguide and confirmed a much higher FOM for breath sensing theoretically.
3月22日 13:00〜16:30 52号館 103教室 座長 小野英輝(OKI)
[シリコンフォトニクス(1)]
C-3-37 |
(依頼講演30分)シリコンフォトニクス技術による周波数および時間領域計測
○高 磊・Guangwei Cong・前神有里子・岡野 誠・山本宗継・大野守史・山田浩治(産総研) |
C-3-38 |
III-V/Siハイブリッド集積プラットホーム実現に向けたハイブリッド/シリコン領域2段テーパ導波路のテーパ構造依存性
○宮嵜隆之・立花文人(東工大)・菊地健彦・平谷拓生・八木英樹(住友電工)・Moataz Eissa・御手洗拓矢・雨宮智宏・西山伸彦・荒井滋久(東工大) |
C-3-39 |
Si基板上薄膜InGaAsPマッハツェンダ変調器の40 Gbit/sエラーフリー動作
◎相原卓磨・開 達郎・藤井拓郎・武田浩司・土澤 泰・硴塚孝明・松尾慎治(NTT) |
C-3-40 |
高ネットワーク利用効率全光デフラグメンテーションに向けた2段コム・ポンプ光を用いた波長変換の実験的検討
山崎将志(東工大)・妹尾和則・橋本俊和(NTT)・○植之原裕行(東工大) |
C-3-41 |
Si細線導波路を用いたQPSK信号に対する比較演算デバイス
○相川洋平(沖縄高専) |
C-3-42 |
光スイッチ集積光OFDMチャネル分離回路の動作特性検討
○下澤航平・植之原裕行(東工大) |
周波数および時間領域の光計測機器は自然科学から産業応用に至るまで幅広く利用されているが,機械式の可動部品や空間光学系を多用することで小型集積化が困難な分野であった.産総研ではシリコンフォトニクス技術の特徴を生かした光計測素子/システムを提案しており,本講演では①フーリエ変換型スペクトラムアナライザ,②受光器集積型オートコリレータの2例を取り上げた上で,素子の動作原理および実証実験の結果をそれぞれ紹介する.
光ルータやWDM送受信機などの大規模光集積回路実現に向けては、Siプラットフォーム上へのIII-V族半導体素子の集積が有効と考えられている。我々は、III-V/SOIハイブリッド光デバイスにおいて、III-V/SOIハイブリッド領域とSi導波路間の高い光結合効率を得るために2段テーパ構造を用いており、2段テーパの先端幅、及び長さは光結合効率に大きく影響を与える。前回までに、i線ステッパによる高精度露光を適用することで、III-Vテーパ構造とSi導波路間の中心ずれの抑制、及びテーパ先端部の先鋭化により高光結合効率を実証している。今回、更なる光結合効率の向上のために、1stアイランドのテーパ長、2ndアイランドのテーパ長を範囲を広げて評価したのでご報告する。
通信トラフィックの増大に伴い、光通信デバイスの更なる高速・大容量化、低消費電力化、および小型・低コスト化が求められている。この要求に対し、大口径Si基板上に、大規模な光集積回路を実現できるSiフォトニクス技術が期待されている。主要な光通信デバイスの一つとして、マッハツェンダ変調器(MZM)が挙げられるが、Siを用いたキャリア空乏MZMは、位相変調効率が低く、位相シフト領域が長くなるため、光集積回路の高集積化のボトルネックとされる。
本研究では、低光損失・高変調効率を両立した薄膜InGaAsP-MZMを実現し、40 Gbit/sエラーフリー動作を示したので報告する。
現在、光パスネットワークにおいて、光波長の経路が頻繁に変更されることにより周波数帯域の中に未使用領域が発生しネットワークの利用効率が低下するフラグメンテーションが問題となっている。この問題解決のためのデフラグメンテーション技術が報告されているが、更なる制御方法や最適条件の検証が必要だと考えられる。
そこで我々は、2段光コムを用いた四光波混合による精密な周波数制御を実現する全光波長変換型デフラグメンテーション技術の実現を目指している。今回2段ポンプ光による波長変換の実験検討を行った。提案した回路構成により波長変換動作の確認ができ、アイ開口を確認することができた。
光ネットワークは,その伝送容量向上に対して一定の消費電力が求められる.低電力化の中心技術に光処理での比較演算が存在し,2018年に初めて多値変調信号に対する比較演算が実証された.しかしながら,既存検討はいずれも空間光学系に基づくことから素子長に課題があった.これに対して,集積デバイスを作製し比較演算の実証に取り組んだ.
作製した集積デバイスはSi細線導波路から構成され,シリアルな光信号をパラレルに変換した後に合波するものである.デバイスの条件を比較対象の符号語に設定し,4bit-QPSK信号を入力して出力波形を観測した.その結果,各信号における強度が比較対象符号とのハミング距離に一致することを確認した.これにより,4bit-QPSK信号に対する比較演算を実証することができた.
現在メトロ・コアネットワークへの光OFDMの導入のため、広帯域なサブチャネルを分離する光集積チャネル分離回路の実現が求められている。ここでチャネル分離、スイッチング機能は個別素子での報告例はあるものの、小型集積化の課題があった。そこで今回、シリコン導波路構造で集積素子を作製し、基本動作を測定・評価したので報告する。トレンチを作成することで小型集積化した回路でのMZIを用いたスイッチを実現した。また、OFDMチャネル分離が上手くできているサブチャネルでのスイッチの特性も評価を行った。その結果としてOFDMチャネル分離の性能改善によるこの回路の実現可能性を示した。
休 憩(15:00 再開) 座長 中津原克己(神奈川工科大)
[C-3/C-4合同セッション シリコンフォトニクス(2)]
C-3-43 |
(依頼講演30分)Siフォトニクスによる光渦MUX/DEMUXモジュール
○雨宮智宏(東工大)・吉田知也・渥美裕樹(産総研)・西山伸彦・宮本恭幸(東工大)・榊原陽一(産総研)・荒井滋久(東工大) |
C-3-44 |
Polarization Dependency Characterictics of the Optical Si Slab Waveguide
○Wildan Panji Tresna・Takeo Maruyama(Kanazawa Univ.) |
C-3-45 |
広帯域に動作するSi細線導波路からなる偏波変換器のコア幅に関する一考察
山内潤治・◎中川雄斗・中野久松(法政大) |
C-3-46 |
波面整合法設計による高トレランス,2 μm帯Siモード合分波器の提案
◎藤原広紫・澤田祐甫・藤澤 剛・齊藤晋聖(北大) |
C-3-47 |
シングルモードファイバとの結合に向けたエレファントカプラの設計
○渥美裕樹・吉田知也・榊原陽一(産総研) |
光渦を利用した多重化伝送は、波面のらせん周期に情報を乗せることから、理論上無限チャネル多重化が可能であり、大容量伝送のキーコンポーネントであるマルチコアファイバとの整合性にも優れていることを併せて、近年研究が盛んに行われている。そのような中、本研究ではSiフォトニクスによる光渦合分波器の開発を行ったので、ご報告する。
This paper describes of the polarization characterictics of the Si slab waveguide. all of the data was obtained by experiment. the polarization characterictics consists of the TE and TM mode. the recent experimental result shows the waveguide loss is 0.3 dB/mm and 0.27 dB/mm in the TE and TM respectively. and also the mirror loss is 0.025 dB and 0.028 dB in the TE and TM mode respectively.
筆者らは偏波変換長を最適値からずらすことで広帯域に動作する偏波変換器の設計が可能であることを示した.本稿では,Si細線導波路型偏波変換器において,広帯域特性が得られるコア幅を正規化周波数の概念を導入することで明らかにする.
新規波長帯における光通信の実現に向け,Siを用いた中赤外光デバイスに関する研究が盛んに行われている.MDMは,単一波長の光を用いて伝送容量を拡大することが可能であり,波長可変光源が手に入りにくい新規波長帯においては,有望な多重化技術と考えられる.2 μm帯の波長を用いた,チップ上のMDM伝送実験が報告されており,モード合分波器として,ADC型が用いられている.しかし,ADC型では,製造誤差により導波路幅が設計値から外れたときにクロストークが増大するという問題点があった.そこで本報告では,フルベクトル有限要素ビーム伝搬法に基づく波面整合法を用いてADC型モード合分波器を設計し,製造トレランスに優れたSiモード合分波器を提案する.
シリコン光集積回路の本格的な商用展開に向けては、光ファイバとの光結合技術が特性面・コスト面で課題となっている。我々はシリコン導波路をチップ表面方向に垂直湾曲させた広帯域・高効率結合な表面光結合器(エレファントカプラ)の開発に取り組んでいる。実装コストの点ではモードフィールド径が大きく、より安価な標準SMFとの光結合が望ましい。そこで今回、標準SMFとの結合に向けた10µmスポット径を有するエレファントカプラの設計を行った。その結果、クラッド半径6.5 µm、テーパ長25 µmの時に高効率(結合損失0.5dB)かつ広帯域(0.5dB損失帯域220nm以上)結合を得た。
C-4. レーザ・量子エレクトロニクス
3月19日 9:00〜11:45 52号館 201教室 座長 名田允洋(NTT)
C-4-1 |
(依頼講演30分)波長 1.3 µm 帯量子ドットレーザの低雑音特性
○松田 学・安岡奈美(富士通研)・西 研一・武政敬三(QDレーザ)・山本剛之(富士通研)・菅原 充(QDレーザ)・荒川泰彦(東大) |
C-4-2 |
(依頼講演30分)53-Gbaud PAM4用EA/DFBレーザの低振幅20-85℃アンクールド動作
○浅倉秀明・高群哲義・中井義博・中西 慧・山口頼儀・山内俊也・中村 厚・滝田隼人・早川茂則・三瀧雅俊・佐久間 康・直江和彦(Lumentum) |
C-4-3 |
100G/λ EML TOSAの低消費電力化および広帯域化に関する検討
◎川本洋輔・大畠伸夫・村尾覚志・佐野勇人・白尾瑞基・備海正嗣・板本裕光・今井雄大・八田竜夫・長谷川清智(三菱電機) |
量子ドットレーザは、シリコンフォトニクスを用いたコンパクトでかつ大容量伝送可能な集積光送受信器向けの光源としての研究開発が進められている。また、量子ドットの特長を活かした小型集積化の別のアプローチとして、シリコンフォトニクスで構成した波長フィルタと組み合わせた多波長光源の検討も行われており、このようなデータ伝送応用では光源の雑音は重要な特性である。本報告では、戻り光がある状態での量子ドット FP レーザ、DFB レーザの評価、及び量子ドット多波長レーザでの評価で得られた量子ドットレーザの低雑音特性について述べ、量子ドットレーザがシリコンフォトニクス集積トランシーバ向けの光源として非常に有望であることを示す。
低電圧振幅アンクールド動作可能な53-Gbaud PAM4(4-level pulse amplitude modulation)用1.3-um帯EA/DFB(electro-absorption modulator-integrated distributed-feedback)レーザを開発し,電圧振幅0.9 Vpp,温度範囲20-85℃において,TDECQ(transmission dispersion eye closure quaternary) 2.3 dB以下,消光比4.9 dB以上を得た。
100G/λ EML TOSAの低消費電力化を図るべく、終端部の抵抗に直列にコンデンサを配置するとともに、広帯域化も図るべく、内部実装を最適化した。通過特性の3dB帯域は36 GHzを得た。53.125 Gbaud PAM4信号を評価し、TDECQは2.20dBであり、現在MSAで議論されている規格値3.4dBを下回る結果を得た。
休 憩(10:30 再開) 座長 梅沢俊匡(NICT)
C-4-4 |
InP系多値変調素子の光損傷メカニズムの検討
◎田中 肇・石川 務・江川 満(住友電工) |
C-4-5 |
相互注入同期半導体レーザを用いたIQ信号生成法の検討
○横田信英・小向知也・吉田真人・八坂 洋(東北大) |
C-4-6 |
BiDi対応855/908 nm VCSELの開発
○久保田良輔・青木健志・石塚貴司・柳沢昌輝・小路 元(住友電工) |
C-4-7 |
空間光学系を用いた小型光送信モジュールにおける効率的調芯手法の開発
○村尾覚志・望月敬太・池田一貴・白尾瑞基・長谷川清智・有賀 博(三菱電機) |
C-4-8 |
非線形モデルによるTDA-DFBレーザの高速波長切替幅拡大
◎新谷友里・福田浩規・河野隼太・加藤和利・久保木 猛(九大) |
InP多値変調素子を構成するマッハツェンダーでは高い光強度と高い電圧印加の組み合わせで、電極入口部の導波路コアにおいて光損傷が起きることが報告されている。ステップストレス耐圧試験を用いて、破壊電圧の入射光強度・光波長・素子温度・ステップ時間の依存性を調査したところ、電極端の光吸収電流がしきい値を超えると破壊されることが明らかになった。そのしきい値は入射光強度・光波長・素子温度には依存せず一定の値をとっており、素子の吸収特性を評価することで破壊電圧の予測が可能となった。また、破壊電圧にステップ時間の依存性がないことから、破壊電圧以下で素子を動作させた場合、劣化が進行しないことも明らかとなった。
データセンター間の大容量通信を省電力かつ低コストで実現するため、周波数利用効率の高いIn-phase quadrature (IQ)形式の信号光を半導体レーザから直接生成する手法が期待されている。本研究では、2台の直接変調型半導体レーザを導波路型リング共振器によって相互に結合した新奇光源構成を提案し、本構成による簡便なIQ信号光生成をレート方程式解析によって検証した。Si系のリング共振器によって実現可能な透過帯域半値全幅(160 MHz)を考慮することで2台の直接変調型半導体レーザ間の安定した相互注入同期が得られ、50 GBaudの擬似ランダム信号パターンによってそれぞれ電流変調することで、4位相シフトキーイング形式の信号光が生成できることを確認した。
近年,データセンタの導入が進んでおり,データセンタ内での短距離通信の通信速度は,100 Gbit/sに移行しつつある.100 Gbit/s対応のトランシーバは複数種類あるが,2波長を用いて一芯双方向通信(BiDi)を可能とするQSFP28 BiDiは,ファイバの本数を低減できるため,需要の拡大が見込まれる.我々は,100 Gbit/s BiDiに向け,25 Gbaud PAM4での伝送が可能な 855/908 nm VCSELを開発した.855/908 nmどちらの波長も,25,90℃において,RINは-140 dB/Hz以下であり,PAM4に向けたRINの要求値を満たすレベルである.また,-3dB帯域は,バイアス電流8 mA において16 GHz以上であることを確認した.トランシーバでの評価を行った結果,各波長とも25 Gbaud PAM4 での伝送を確認できた.400 Gbit/sに向け,アレイでの評価も行っていく.
近年の伝送速度増加に伴ってTOSA内での多レーン化が進み,例えば100GbE TOSAでは,25Gbpsで変調させた4レーンの光信号を合波し,SMFに出力させる構成となる.光合波器としてFSOを用いた場合には,平面光回路を用いた場合とは異なり,入力側の光軸が出力側に影響を与えるため,各レーンで光軸が必ずばらついてしまう.長期信頼性の観点でも全レーンに対して結合効率が最大となるよう出力側の結合レンズとSMFを調芯することが重要となるが,全レーンを同時にモニタしながら調芯することは,特にレーン数の増加も予期される多レーン光学系では容易ではない.ここでは,多レーンFSOの定式化に基づいて効率的調芯手法を開発し,小型100GbE TOSAの試作により妥当性を実証することに成功したので報告する.
将来的な光ネットワークの基盤となる光パケットスイッチングの実現に向けて高速かつ広帯域波長可変が可能な光源が必要となる。その光源として我々は電流注入により高速かつモードホップフリーな波長切替が可能である分布活性 (TDA:Tunable Distributed Amplification) DFBレーザを検討しており、これまでフィードフォワード制御により切替幅400GHzまでで100ns以下の高速波長切替を達成している。今回我々はTDA-DFBレーザの高速波長切替可能な帯域の増大に向けて、切替幅600 GHzにおいて非線形モデルに基づくフィードフォワード制御による高速波長切替を行った。本制御手法では従来手法の問題点を改善し、36nsの波長切替時間を達成した。
3月20日 9:00〜12:00 52号館 201教室 座長 望月敬太(三菱電機)
C-4-9 |
(依頼講演30分)光メタサーフェスによる完全吸収体・熱輻射光源・構造色
○高原淳一(阪大) |
C-4-10 |
正方形金属パッチを装荷したブラックシートの傾斜入射特性
○伊東浩志・山内潤治・高橋直希・中野久松(法政大) |
C-4-11 |
太陽電池パネルのフォトニッククーラーに関する基礎検討
山内潤治・◎髙橋直希・伊東浩志・中野久松(法政大) |
C-4-12 |
(依頼講演30分)高出力・高ビーム品質二重格子フォトニック結晶レーザー
○Menaka De Zoysa・吉田昌宏・石﨑賢司・田中良典・初田蘭子・野田 進(京大) |
C-4-13 |
波長多重通信に向けた新たなフォトニック結晶導波路の分散特性
◎山口拓也・堀場峻宏・森藤正人・近藤正彦(阪大) |
本講演では我々がすすめているメタサーフェスに関する研究を紹介する.はじめに,プラズモニックメタサーフェスを用いた完全吸収体,構造色,熱光変換などへの応用について述べる.また,誘電体メタサーフェスの構造色に関する最新の研究成果と展望を述べる.
傾斜入射時における正方形金属パッチを装荷したブラックシートを, 周期境界条件を適用したFDTD法を用いて解析する. TE, TM両偏波ともに, 入射角θ = 30°でも125%以上の比帯域を維持することを示す.
多層誘電体スタックからなるフォトニッククーラーを,TMMにより解析する.0.5-1.1μm帯で概ね反射を抑制し,赤外波長帯では高い反射率が得られることを示す.加えて,入射角を大きくしても特性を維持することを示す.
我々は、1999年に、高ビーム品質を維持したまま高出力動作が可能な新概念の半導体レーザーとして、2次元フォトニック結晶のバンド端共振効果に基づくフォトニック結晶レーザーを提案した。その後、デバイス物理の詳細な理解、出力ビームの偏光や形状制御、青紫色への展開、ビーム出射方向の制御、ワット級の高ビーム品質・高出力動作の実証など、フォトニック結晶レーザーの様々な可能性・有効性を示してきた.さらに、最近、新たに、二重格子フォトニック結晶共振器という概念を導入することにより、500µmΦという大面積デバイスにおいて、M2~2の高ビーム品質で、10W級の高出力動作を実現することに成功した.本発表では、極最近の成果である二重格子フォトニック結晶レーザーにおける、高ビーム品質・高出力動作を中心に報告する.
複数のレーザ共振器と一本の導波路を、フォトニック結晶を利用して統合的に作製することにより、大容量・超小型の波長多重通信デバイスの実現を目指している。ここで、レーザ共振周波数幅を活かすためには導波路がそれ以上の帯域幅を持たなければならない。従来使用されてきた線欠陥導波路は帯域幅が狭く、一本の導波路では目指すデバイスの実現は不可能である。そこで、本報告ではこの導波路に変わる新たな導波路(orthogonal crystal waveguide(OCW))を提案する。OCWの分散特性についてシミュレーションし、レーザ共振周波数範囲との比較を行った。
休 憩(11:00 再開) 座長 宮本智之(東工大)
C-4-14 |
(依頼講演30分)量子ネットワーク用高輝度通信波長量子光源の開発
○堀切智之・新関和哉・吉田大輔(横浜国大)・岡村幸太郎(神奈川大)・武井宣幸(京大) |
C-4-15 |
(依頼講演30分)複合量子干渉による無条件もつれ光子の発生
○佐中 薫(東京理科大) |
量子通信ネットワークによる無条件安全な暗号技術などの量子技術をグローバルネットワークにおいて実装するには、量子中継技術が必要である。その要素には、通信波長量子もつれ光源、量子メモリーなどがある。本講演では、量子メモリーとの高効率結合を可能にする通信波長狭線幅量子もつれ光源の開発に関してお話する。
波長選択や遅延選択などの検出方法に依存しない‘無条件にもつれた光子’は精密計測技術や量子通信、光量子コンピュータの開発などにおいて重要な要素技術になることが知られています。このような光子源は、これまでは発生効率の低い非線形光学過程を使うしかありませんでした。本講演では非線形光学過程で発生した光子を量子干渉させる方法で、従来のより2ケタ以上高い発生効率で、この‘無条件にもつれた光子’を発生させる実験を紹介します。
3月22日 9:00〜10:00 52号館 103教室 座長 丸山武男(金沢大)
[C-3/C-4合同セッション 光センシング(1)]
C-4-16 |
(依頼講演30分)シリコンフォトニクスハイブリッドレーザの高速波長可変動作
○北 智洋・Mendez Manuel(早大) |
C-4-17 |
光空間通信に向けたガウスビームの地表面伝搬時の受信強度変動の評価
◎細川麻菜・原口英介・安藤俊行(三菱電機) |
C-4-18 |
Fox-Li法による利得導波型VCSELのモード計算
◎鈴木雄太・手塚信一郎(横河電機) |
本セッション後,C-3に記載の[光センシング(2)(C-3, C-4合同セッション)]が開催されます.引き続きご覧ください. |
シリコンフォトニクス外部共振器と化合物半導体光増幅器とを結合させたハイブリッドレーザにおいて高速な波長切り替え動作を試みた。マルチモード干渉を利用した低損失ヒータによって約10usecでの高速な波長切り替えを実証した。
複数の素子を空間配列し、各素子の相対位相を制御する光フェーズドアレイは出力光の指向角度を機械駆動なく制御可能、任意のビームパターンを生成可能といった利点があり、光空間通信やリモートセンシングなどへの応用が期待されている。光空間通信では、大気揺らぎによる受光強度変動量の低減が課題であり、光フェーズドアレイを用いて高次モードビームパターンを生成することで、伝搬過程における大気揺らぎによる受光強度変動量を低減可能な見通しがある。
本報告では、大気伝搬過程において波面の位相変動が招く受光強度変動を、位相マスクの枚数が異なる二つのシミュレーション構成を用いて模擬した。ガウスビーム伝搬時の試験結果とシミュレーション結果の比較検討について報告する。
我々はこれまでにVCSEL とMEMSを組み合わせた広帯域波長可変レーザーであるMEMS-VCSELを開発してきた.また,Fox-Li法を用いたFabry-Perot光共振器の数値計算シミュレーションを行い,直接対角化法による高精度な高次モードの導出や,微小光共振器へのFox-Li法の適用について検討してきた.従来のFox-Li法では光共振器の鏡の形状でモード形状や回折損失が決まる.しかし,通常VCSELは利得導波型光共振器なのでモード形状は利得領域の大きさで決まる.本研究では,Fox-Li法に利得導波機構を組み入れたモデルを提案し,モード形状の計算を行った.その結果,利得導波機構によりVCSELのビーム径が絞られることが本手法で確認できた.
C-5. 機構デバイス
3月19日 10:45〜11:45 53号館 104教室 座長 阿部宜輝(NTT)
C-5-1 |
平板状16ターンコイルによるAl/Cu薄板の電磁圧接シミュレーション
○相沢友勝(都立高専) |
C-5-2 |
磁気吹き消し効果のある開離時接点のアーク継続時間に対する閉成時電流と磁束密度の影響
眞野健太・○吉田 清・澤 孝一郎(日本工大)・鈴木健司(富士電機機器制御) |
C-5-3 |
48VDC/200A抵抗性回路において磁気吹き消しされる開離時アークの消弧直前の形態観測方法の改善
◎濵本健史・関川純哉(静岡大) |
C-5-4 |
接触荷重を増加後に減少させる場合の接触抵抗-荷重特性に対する銀接点対の表面粗さの影響
◎浅井 聡・関川純哉(静岡大) |
電磁圧接は,Al薄板とCu薄板を溶接接続するのに適している.コンデンサ電源から数ターンの平板状コイルへ放電電流を急激に流し,コイル上に置かれたAl/Cu薄板へ高密度磁束を加えて行われる.16ターンコイルによる実験は容易でないが,シミュレーションすることはできる.実験が比較的に容易な4または8ターンコイルによる実験結果が分かれば,放電時の電源容量とコイルターン数の等価な組合せを利用して16ターンコイルでの結果を容易にシミュレーションできる.この電磁気的な根拠について述べる.
電磁コンタクト等を用いた回路では一般に直流回路の方が電圧と電流が一定であるため、アーク放電が消弧しにくい。アークを消弧させるために磁気吹き消しと呼ばれる手法が用いられている。しかし、電気接点閉成時の電流が小さい時の開離時アークと磁束密度との関連性の報告は少ない。本研究では磁束密度を印加した開離時電気接点に発生するアーク放電の継続時間と閉成時電流および磁束の関係について実験した。
発表者らは以前に48VDC/50-200A抵抗性負荷回路において,横磁界によって磁気吹き消しされる開離時アークの消弧直前のアーク長さについて報告した,しかし,その報告では高速度カメラの撮影間隔(139μs)が開離時アークの引き伸ばし時間(約100μs)よりも長かったため,消弧直前の画像はほとんど撮影できなった.消弧直前の開離時アークの形態をより明確に撮影できる撮影方法を調査し,過去の撮影画像と比較して改善効果を検討した.撮影方法の改善の結果,アーク引き伸ばし時間内に数枚の画像の撮影ができた.過去の撮影画像と比較すると,撮影条件を改善した結果,消弧直前ではより開離時アークが引き伸ばされていることを確認した.
過去の報告では荷重を増加させた場合のみを測定したため,荷重を減少させた場合の測定は行われなかった.そこで,本報告では,0.03Nから1Nまで荷重を増加させた後,1Nから0.01Nまで荷重を減少させたときの接触抵抗-荷重特性の測定し,その結果に対して表面粗さが与える影響を調べた.その結果,同一の表面粗さにおいて,荷重増加方向よりも荷重減少方向の方が接触抵抗の値は低くなった.表面粗さが非常に小さい(バフ)場合とそれより表面粗さが大きい(#2000,#1000,#240)場合の荷重増加時と減少時を比較すると,表面粗さが大きい場合の方が接触抵抗の値の差が大きくなった.
C-6. 電子部品・材料
3月19日 10:00〜11:45 53号館 304教室 座長 武山真弓(北見工大)
C-6-1 |
2枚のプリンテッド・スパイラル・インダクタを用いた回転角度測定デバイスの周波数特性
○△萬谷海月・谷廣憲利・山内将行(広島工大)・田中 衞(上智大) |
C-6-2 |
ソフトブランケットグラビア印刷技術により作成した三次元曲面上の電気配線の特性評価
○高岡貴行・吉田泰則・泉 小波・時任静士(山形大) |
C-6-3 |
銀を用いた多層型透明導電膜の成膜条件による特性改善
◎△萬膳一成・日高 輝(鹿児島高専)・吉村幸雄(鹿児島県工技セ)・山之口周平・新田敦司(鹿児島高専) |
我々はプリント基板上にスパイラルインダクタを構築しPrinted Spiral Inductor(PSI)と名づけ,センシングを主とした様々なデバイスを開発してきた。このデバイスはは発振器の発振周波数によりその状態の距離や角度のセンシングを行うものである。我々はよりデバイスに最適化した形状を容易に決定する為,結合係数を計算するシミュレータを開発してきた。このシミュレータで計算した結合係数がどの程度の周波数帯で使用できるか確認する必要がある。開発したシミュレータの値と実際の2枚間の結合係数の周波数特性との値との比較を行う。
従来の印刷技術を応用し電子回路やセンサーなどの電子デバイスを作製するプリンテッドエレクトロニクス (PE)技術の研究開発が盛んにおこなわれているが、我々の研究室ではその中でも新たな技術として「3次元プリンテッドエレクトロニクス(3D-PE)技術」を提案し、研究開発を行ってきた。3D-PE技術の一つである「ソフトブランケットグラビア(SBG)印刷技術」では、従来のグラビアオフセット印刷に比べ厚く柔らかいソフトブランケットを用いることにより、立体面への印刷を可能としている。本研究ではSBG印刷技術を用いて、樹脂製の三次元曲面基板に電気配線を作製する事に成功し、その特性について測定を行った。
現在,酸化インジウムスズ(ITO)の代替材料としてZnOを用いたフレキシブルな透明導電膜関する研究が行われている.著者らは, Al doped ZnO(AZO)透明導電膜に着目し成膜を行った.しかし,熱に弱いプラスチック基板を用いるため低温成膜での特性改善には限界がある.そこで,Agを用いた多層型の透明導電膜に注目した.本研究では,特性改善を目的に,AZO/Ag/AZO構造の透明導電膜をPEN基板上に成膜した.Ag及びAZO成膜時の成膜条件を変化させ,電気的・光学的特性を評価し検討を行った.その結果,上部AZOをRT/50℃に分けて成膜することで,抵抗率及び透過率が改善した.現在,さらなる特性改善に向け,検討中である.
休 憩(11:00 再開) 座長 廣瀬文彦(山形大)
C-6-4 |
錫はんだの結晶粒径と濡れの一事例
武田拓也・武原悠二・○齋藤博之(東京電機大) |
C-6-5 |
エゾシカ肉の電気特性とそのシミュレーション解析
○武山真弓・佐藤 勝・安井 崇(北見工大) |
C-6-6 |
HfN膜を用いたCu膜の配向制御
○佐藤 勝・武山真弓(北見工大) |
錫はんだの結晶粒の大きさを変化させて結晶粒径と濡れについて調査検討を行った.
粒径によらず面積率が大きく濡れが良い場合と,粒径が大きくなると面積率が小さくなり濡れが悪くなる場合との2種類のケースがある
エゾシカ肉の鮮度を電気的に測定する方法とその有効性を継続的に検討している。今回は、得られたデータをさまざまなシミュレーション解析を行うことで、等価回路を特定するとともに、簡便な手法でのシミュレーション
。を検討し、有効な方策を見出したので、以下に報告する
本研究では、拡散バリヤとして適用する薄いHfN膜がCu(111)面を優先配向させる下地材料としての適用が可能かどうかを検討し、薄い拡散バリヤがCu(111)面を配向させる下地材料となり得ることを新たに見出したので、当日報告する。
C-7. 磁気記録・情報ストレージ
3月22日 10:00〜11:30 54号館 102教室 座長 永澤鶴美(東芝)
C-7-1 |
SMRにおける隣接トラックの影響を考慮したニューラルネットワークを用いたLLR調整の一検討
○西川まどか・仲村泰明(愛媛大)・金井 靖(新潟工科大)・大沢 寿・岡本好弘(愛媛大) |
C-7-2 |
MAMRにおいて記録媒体からSTOへの静磁界が記録に与える影響
○栗田佳典・赤城文子・吉田和悦(工学院大) |
C-7-3 |
STO再生による三次元磁気記録のためのFM検波に関する一検討
◎増田圭太・仲村泰明・西川まどか・岡本好弘(愛媛大) |
C-7-4 |
熱アシスト磁気記録において高記録密度化達成のための媒体のドット間空隙とドット径のばらつきの検討
◎松島直史・赤城文子(工学院大) |
C-7-5 |
ホログラフィックメモリのための交互配置法によるSQAM信号生成
○本間 聡・舩越悠希(山梨大) |
C-7-6 |
磁性材配合樹脂による3Dプリンタ造形物内への情報記録
Piyarat Silapasuphakornwong・鳥井秀幸(神奈川工科大)・鈴木雅洋(常磐大)・○上平員丈(神奈川工科大) |
先に我々は,SMR(shingled magnetic recording)のためのLDPC(low-density parity-check)符号化・繰返し復号化方式において,復号対象トラックのAPP(a posteriori probability)復号器出力の復号信頼度である対数尤度比LLR(log-likelihood ratio)の調整器にニューラルネットワークによる判定を加味することで正しいLLRの選択確度が増し,効果的な繰返し復号を実現できることを示した.本稿では,隣接トラックの影響を考慮したニューラルネットワーク判定を用いたLLR調整器について検討する
本研究では,記録媒体からSTOへ印加される静磁界によってSTOからの発振磁界が悪くなるという先行研究の結果から,媒体からSTOへの静磁界が記録へ及ぼす影響を検討した.その結果,媒体からSTOへの静磁界がない場合においてのみMAMR方式のアシスト効果が得られることが分かった.
ハードディスク装置の記録密度を向上させるために,反強磁性結合(AFC)された記録層を積層した三次元磁気記録が注目されている.この方式の再生方法として,スピントルク発振素子(STO)と記録層の磁気共鳴を利用したSTO再生が提案されている.先に我々は,STO信号の包絡線の変化をモデル化し,各種信号処理の検討を行ってきた.更に復号利得を上げるためにはSTO信号の周波数の変化,つまりFM検波を考慮した信号処理が必要となると考えられる.
そこで本研究では,STO信号の周波数変化を信号処理に取り入れるためにその周波数変化をモデル化した.
磁気ディスク装置において,テラビット級の高記録密度化を阻む問題が媒体雑音,熱安定性,ヘッド磁界強度不足のトリレンマ問題である.これを解決する方法として,熱アシスト磁気記録方式が提案されている.また,高記録密度化のための媒体として,磁性ドット1つに1ビット記録を行うビットパターン媒体が提案されている.BPMは,ドット径及びドット間空隙を狭小化することで記録密度を向上することができる.しかし,そのためにはドットの大きさのばらつきを抑えなければいけないという問題がある.本研究では,ドット径のばらつきを考慮した上で,クロストラック方向のドット間空隙と面記録密度との関係を検討した.
次世代の光メモリとして,ホログラフィックメモリの開発が期待されている.従来の2値強度信号にかわり,振幅,位相を独立に多値に変調したSQAM信号を用いることで記録容量が大きく改善される.これまでに,簡易な光学系でSQAM信号を生成する手法として,二重露光法が提案されている.ただし,ホログラム多重記録に伴うモノマの消費が大きいという問題を有していた.本報告では,二重露光法で使用されていた2枚の位相ページデータを交互に配置した新たな位相ページを生成することで,モノマ消費量を大幅に削減できることを示す.
熱溶解積層方式の3Dプリンタで樹脂を用いて物体を造形する工程において、物体内部に磁性材を配合した樹脂で微細領域を形成し、造形後にこの領域への情報書き込みと読み出しが可能か検討した。PLA樹脂で作成した試料による実験結果から、造形物表面から磁界を印加することで、磁性材配合領域が磁化し情報の書き込みが可能であり、またこの磁化を表面で検知できることがわかった。この結果から、3Dプリンタ造形物の内部に書き換え可能に情報を埋め込むことができることが確認できた。
C-8. 超伝導エレクトロニクス
3月19日 9:30〜11:45 54号館 301教室 座長 田中雅光(名大)
C-8-1 |
自動配置ツールにて設計された断熱型量子磁束パラメトロン4-bitシフト・ローテーション回路の測定
◎△田中智之・Christopher L. Ayala・徐 秋韵・斉藤 蕗・吉川信行(横浜国大) |
C-8-2 |
Development of Parallel-to-Serial and Serial-to-Parallel Converters for Debugging Large-Scale AQFP Logic Circuits
◎Christopher L. Ayala・Naoki Takeuchi・Nobuyuki Yoshikawa(Yokohama National Univ.) |
C-8-3 |
単一磁束量子回路を用いた13-bit 50-sample/cycle 正弦波コード発生器の動作実証及び評価
◎柯 飛・山梨裕希(横浜国大)・Thomas Ortlepp(The CiS)・吉川信行(横浜国大) |
C-8-4 |
正規表現対応 SFQ 8-symbol Complex Event Detectorの設計と評価
◎秋月一真・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
C-8-5 |
単一磁束量子回路のタイミング故障モデルとテストパタン生成
高木一義・高木直史・◎小野幹紘(京大) |
C-8-6 |
単一磁束量子回路を用いたビットパラレルFFTプロセッサの性能見積もり
◎白川琳沙・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
C-8-7 |
ビット並列演算ゲートレベルパイプラインを用いた単一磁束量子乗算器における高周波動作の評価
◎長岡一起・田中雅光・佐野京佑・山下太郎(名大)・井上弘士(九大)・藤巻 朗(名大) |
C-8-8 |
SFQ/CMOSハイブリッドシステムの高速動作実証に向けた単一命令セットSFQマイクロプロセッサの設計
○弘中祐樹・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
C-8-9 |
サブ磁束量子フィードバックデジタルSQUID磁束計用デジタル信号処理回路
明連広昭・田井野 徹・成瀬雅人・岡部公亮・◎松縄 諒(埼玉大) |
断熱型量子磁束パラメトロン (AQFP) 回路は消費電力の面でCMOS回路に非常に優れている。大規模な回路を効率よく設計するためには、自動設計ツールの開発が必要である。自動設計ツールの一部分である、回路中の論理セルの位置を自動で決定するプログラムを作成した。また、ツールによって設計された4bit shifter rotator回路を実際に作成し、測定を行ったため、それを報告する。
Adiabatic quantum-flux-parametron (AQFP) logic is an emerging technology in superconducting electronics that shows promise towards building extremely energy efficient computing systems. In the effort of building an AQFP-based microprocessor, we have developed a prototype reduced instruction set computer (RISC)-based architecture called MANA (Monolithic Adiabatic iNtegration Architecture). As with any circuit design of substantial complexity, additional circuitry is needed to facilitate testing and debugging of large prototype circuits. Towards this end, we developed parallel-to-serial and serial-to-parallel data converters to create a mechanism to easily force inputs and read-out intermediate outputs between key processor units.
ジョセフソン効果を用いて交流電圧標準を実現するには、正弦波の離散化サンプルコードが必要とされている。我々が研究している単一磁束量子(SFQ)回路は数十GHzの高速動作が可能、かつ高速の信号伝搬速度という特徴を持つ。フィードバック構造を用いる正弦波コード発生器をSFQ回路で構成すると、小さいハードウェアコストで正弦波の離散化サンプル値を高速に出力することができる。
以前の報告ではAIST-ADP2プロセスを用いて8-bit 18-sample/cycle正弦波コード発生器の低速動作実証を行った。本研究では、13-bit 50-sample/cycle正弦波コード発生器を設計し、オンチップ高速測定において56GHzの正常動作を確認された。シフトレジスタを用いてサンプル値を保存する超伝導メモリに比べてより小さいハードウェアコストを確認した。
CEP (Complex Event Detector) はストリームデータに対するリアルタイムな情報処理の手法であり、NIDS (Network Intrusion Detection System) などに応用される。我々は、消費電力が半導体回路に比べ2~3桁低く、高速性においても数十GHzでの高速動作が可能である単一磁束量子 (Single Flux Quantum : SFQ) 回路でCEPを実現することを目指している。
我々は、CEPシステムの構成回路であるCED (Complex Event Detector) の中で、パターンマッチングを行う回路である1-symbol matching回路において、8 bit, 1 symbolでの動作実証を達成している。次の段階として、8 symbolのComplex Event Detectorの設計を行った。
本稿では、製造後のSFQ回路が設計通りの動作をするか確認するためのテスト生成の手法について議論する。SFQ回路は高速に動作し、パルス論理を用いるなど、半導体回路とは異なる性質を持つため、新しい手法が必要となる。特に、製造ばらつきや動作条件により回路遅延に誤差が生じ、設計と異なる論理動作をする場合に注目する。本稿では、このような故障をタイミング故障としてモデル化し、仮定するタイミング故障を全て検出する手法を提案する。
高速フーリエ変換 (FFT : Fast Fourier Transform) はフーリエ変換を高速化したアルゴリズムであり、医療用画像処理や無線通信、電波天文学など、ディジタル信号処理のさまざまな場面で使用されている。
我々が研究している単一磁束量子 (Single Flux Quantum: SFQ) 回路は数十 GHz の高速動作が可能であることが特徴である。我々はSFQ回路を用いることで、高速動作が可能なFFTプロセッサの実現を目指している。これまでの研究では、データをシリアルに処理するビットシリアルアーキテクチャに基づいてSFQ FFTプロセッサを設計し、それらの動作実証などを行ってきた。ビットシリアルアーキテクチャは素子数の低減のためには有効であるが、更なるパフォーマンスの向上のためには、ビットパラレル処理を行うことが望ましい。
本研究では、4ビットパラレル加算器の設計を行い、そのデータをもとにパラレルFFTプロセッサの性能を見積もり、既に研究が進められているFFTプロセッサとの性能について比較した。
ビットパラレル処理、ゲートレベルパイプラインを採用した高スループット単一磁束量子乗算器の設計と高速試験を行った。オンチップテストにより高周波での乗算器の正常動作を確認し、48GHzまでの動作を得た。
単一磁束量子回路(Single Flux Quantum:SFQ)回路における大規模メモリシステムの実現に向けて、我々は大容量を実装可能なCMOSメモリをSFQ回路と組み合わせるSFQ/CMOSハイブリッドシステムの研究を行っている。
本研究ではハイブリッドメモリとSFQプロセッサを組み合わせての高速動作の検証に向け、簡単な単一命令セットのSFQマイクロプロセッサを設計した。講演では設計回路の詳細や測定結果を述べ、将来のハイブリッドシステムの性能見積もりについて報告する。
単一磁束量子(SFQ)フィードバックによるデジタルSQUIDは、GHzオーダーの高速フィードバックによる高いスルーレイトと広いダイナミックレンジを持つため注目を集めている。
磁束分解能を向上させる方法の一つとしてサブSFQフィードバックによるデジタルSQUIDを検討した。
フィードバックループへのサブSFQフィードバックとup/downカウンタ回路の桁上げ信号から生成したトリガSFQパルスにより帯域1.22 MHzで最大磁場振幅1 $\mu$T以上, 磁場雑音100 pT/$\sqrt{\mathrm{Hz}}$以下のデジタルSQUID磁束計が可能となった。
さらに、実用化のために極低温から室温機器にバイナリーデータを転送するために必要なデジタル信号処理回路の検討を行った。
C-9. 電子ディスプレイ
3月19日 14:00〜16:15 53号館 104教室 座長 小南裕子(静岡大)
C-9-1 |
(依頼講演30分)快適化知能と人をつなぐディスプレイ
○神原誠之(奈良先端大) |
C-9-2 |
(依頼講演30分)液晶セル中の不純物イオンに起因する過渡電流波形のガウス解析
○三宅朋美・井上大輔・杉本光弘(Tianma Japan) |
C-9-3 |
(依頼講演30分)重合性モノマーを用いた新規自己水平配向技術
○水﨑真伸・島田伸二・箕浦 潔(シャープ) |
人工知能化・ロボット化・IoT化技術が高度化する社会において、それら技術と人が調和・共存し、より快適な生活空間を構築する快適化知能を紹介する。また、快適化知能と人を結ぶ新たなディスプレイの形態に関して議論を行う。
LCDにおいて,透過率改善のためネガ型液晶を用いるケースが増えている.しかしネガ型液晶はポジ型液晶に対して信頼性が劣ることが知られている.今回,我々はバックライト(BL)ストレス後のセルの過渡電流波形解析を実施し,ネガ型液晶を用いたセルの電流波形が,移動度の異なる複数の波形に分離できることを見出した.その分離した波形からイオン密度,移動度およびイオン半径を計算した.
液晶材料中に重合性モノマーを溶解させた液晶混合物を基板間に注入し、液晶混合物のネマティック-等方相転移点以上の温度で偏光UVを照射することで、水平配向セルを作製する手法を提案した。偏光UV照射により液晶分子を水平に配向させるため、重合性モノマー中に、偏光UV照射により一軸方位に配向する官能基、および重合する官能基を導入した。本提案の手法を用いて作製したFFSモード液晶セルは、ポリイミド配向膜にラビング処理を施して作製した液晶セルと同等のV-T特性、および応答特性を示した。
休 憩(15:45 再開) 座長 新田博幸(ジャパンディスプレイ)
C-9-4 |
ツイステッドネマチックチック液晶素子における弱極角アンカリング効果
○山口留美子・坂本善紀(秋田大) |
C-9-5 |
高輝度/高透明度PMOLEDディスプレイの作製
◎△宮原奨平・沈 昌勲(九大)・石代 宏(コニカミノルタ)・服部励治(九大) |
通常の液晶ディスプレイにおける液晶分子は,強アンカリング配向界面を用いて基板上に強く束縛されている。一方,弱方位角アンカリング界面を用いた低電圧駆動素子が提案されている。また,ホモジニアス素子では,極角アンカリングが減少すると,低い印加電圧で液晶再配向が一次転移を示すことも知られている。本報告では,通常のTN素子と,弱方位角アンカリングTN素子において,極角アンカリングが低下した時の電気光学特性への影響を,数値解析により明らかにした。その結果,TN素子の駆動電圧を大幅に低減できることを明らかした。
近年、透明ディスプレイと呼ばれる表示装置が注目され、既に有機ELダイオード(OLED)を用いた高精細なものが発表されている。しかし、この透明ディスプレイは原理的に黒を表示できず、どうしても低コントラストの映像表示になってしまう。我々は、高精細ではないが、その代わりに、高い透過率と輝度をもつ透明ディスプレイの開発を行っている。これにより、非表示時は通常の窓として使え、表示時は視認性が高く照明として使えるぐらい明るく光る今までにないコンセプトのディスプレイが得られる。本研究においては、走査線数を多く求めないため、開口率やプロセス時間で優位なパッシブマトリックス(PM)駆動を採用し、3辺シームレスPMOLEDの製作を行った。
C-10. 電子デバイス
3月20日 9:30〜11:30 54号館 104教室 座長 須原理彦(首都大東京)
C-10-1 |
パワーダイスターを用いたEV制御
○岡本研正(香川大)・松下文夫・細川正美(光半導体デバイス応用技研)・中野逸夫(岡山大) |
C-10-2 |
TCADを用いたGaN HEMTの低周波Sパラメータバイアス依存性に対する自己発熱の影響に関する検討
○大塚友絢・山口裕太郎・新庄真太郎(三菱電機)・大石敏之(佐賀大) |
C-10-3 |
太陽電池等価回路パラメータ光強度依存性評価
○小田嶋啓介・楳田洋太郎・小澤佑介・村松大陸(東京理科大) |
高出力の発光ダイオード72個(3個直列×24並列)からなるLED光源と16cm角の多結晶シリコン太陽電池を直列につなぎ両者を近接対向させただけのパワーダイスター(新型パワートランジスタ)を用いて、最大出力が約150Wの電動カートを走行制御する実験に成功した。これはダイスターによるEV(電気自動車)の制御が可能であることを実証するものである。実験結果ならびにパワーダイスターの基礎特性について述べる。
低周波Sパラメータバイアス依存性についてTCADを用いて解析した。解析の結果、トラップによるピーク周波数がバイアス依存性を持つのは、自己発熱の影響であることを明らかにした。
可視光ワイヤレス給電通信システムに用いる最適なフィルタの設計のため, 太陽電池の測定を行い交流インピーダンスのパラメータ, 等価回路について放射照度特性と共に検討を行う.
太陽電池のインピーダンス周波数と放射照度を変化させながら交流インピーダンスを測定し, その値から最小二乗フィッティングによりパラメータを解析する. そして, 各パラメータの光強度依存性について評価を行う.
結果として照度が高くなるにつれ太陽電池のキャリアが増えるので, 抵抗成分の値は低下しており, 容量成分は空乏層が狭まったようになり, 増加していくことが考えられる.
休 憩(10:30 再開) 座長 東脇正高(NICT)
C-10-4 |
幅広ゲートヘッド・空洞構造を有するInP-HEMT
○堤 卓也・杉山弘樹・松崎秀昭(NTT)・Hyeon-Bhin Jo・Do-Young Yun・Ji-Min Park(Kyungpook National Univ.)・Tae-Woo Kim(Ulsan Univ.)・Dae-Hyun Kim(Kyungpook National Univ.) |
C-10-5 |
GaAsSb系バックワードダイオードレクテナのマイクロ波帯ゼロバイアス検波特性の理論解析
◎黒澤 将・劉 欣宇・山下晋平・須原理彦(首都大東京)・浅川澄人(都立産技高専)・河口研一・高橋 剛・佐藤 優・岡本直哉(富士通) |
C-10-6 |
バックワードダイオードとログスパイラルアンテナを用いたレクテナのマイクロ波帯高感度ゼロバイアス検波設計
◎劉 欣宇・黒澤 将・山下晋平・須原理彦(首都大東京)・浅川澄人(都立産技高専)・河口研一・高橋 剛・佐藤 優・岡本直哉(富士通) |
C-10-7 |
振動型人工感覚フィードバック高精度化のための基礎的検討
◎田嶋孝一・稲田一稀・葛西誠也(北大) |
本発表では,ゲート電極の上部(ゲートヘッド)を幅広としてRgを低減,かつオーミック電極及びアクセス領域との間に空洞を形成して寄生容量を低減可能なデバイスプロセスについて報告する.
バックワードダイオード (BWD)の基本構造は縮退半導体p/n接合であり,逆バイアス側で電流が助長されて生じ順バイアス側では微分負性コンダクタンスを抑制し且つ順方向電流をできるだけ生じない設計がなされる。ここではp-GaAsSb/n-InGaAsへテロ接合バックワードのゼロバイアスでのI-V特性の非線形性に依拠した高感度検波デバイス設計と,集積するアンテナ設計によるマイクロ波帯環境電波のエネルギーハーベスティング用レクテナを対象として,我々の提案デバイスの実測結果に基づくモデリングと理論解析より検波/整流特性の理論解析および作製したレクテナの検波/整流特性評価することを目的として研究を行った。
レクテナとはrectifying antennaの略称であり,検波・整流用のデバイスとアンテナを集積した構造のデバイスである。我々は GaAsSb 系バックワードダイオード (BWD)と自己補対型ログスパイラルアンテナ (LSA) を用いたレクテナの検討を行ってきている。ここではマイクロ波帯のエネルギーハーベスティング用レクテナの高感度・高出力化のためのLSAの設計指針確立を目的として研究を行ったので報告する。電波回収効率とインピーダンス整合の両方を考慮した実効開口面積を定義した解析と設計指針確立の検討を行った。
筋肉の活動電位(筋電位)を検出し制御する筋電義手は、現状思い通りの操作ができない。原因の1つは、義手状態の認識手段が視覚のみで、触覚などの感覚が無いためである。視覚以外の感覚を人工的に生成し、使用者に装置の状態を伝達できれば制御性が高まる。他方、日常生活で使うためには小型、軽量、低消費電力が不可欠である。そこで我々は小型偏心モータ振動子による振動型人工感覚フィードバックに着目し、表現力や再現性の向上によって使い易い筋電義手を目指す。表現力向上には、振動子の集積化と振動の時空間制御を行う。感覚の再現性向上には、センサによる振動状態監視と精密制御を行う。本報告では、初期検討として2つの振動子集積デバイスと振動監視用センサに関し検討した結果について報告する。
C-12. 集積回路
3月19日 13:00〜15:45 53号館 304教室 座長 山岡雅直(日立)
C-12-1 |
ギルバートセルミキサのプリディストーション歪補正特性
○澤田 晟・楳田洋太郎・高野恭弥(東京理科大) |
C-12-2 |
MTJ素子を用いた不揮発Logic-In-MemoryベースFracturable LUT回路の構成
○鈴木大輔・羽生貴弘(東北大) |
C-12-3 |
A Design of AC-DC Converters Fully Integrated in Standard CMOS for Electrostatic Vibration Energy Harvesting
◎Yosuke Ishida・Toru Tanzawa(Shizuoka Univ.) |
C-12-4 |
An Optimum Design of Thermal Energy Transducers and Power Converters for Small Form-Factor Thermoelectric Energy Harvester
◎Kazuma Koketsu・Toru Tanzawa(Shizuoka Univ.) |
C-12-5 |
リチウムイオンキャパシタを定電流充電した場合における充電効率
○中田俊司・藤岡慶一郎・中田将希(近畿大) |
ギルバートセル回路は高い線型性を持つミキサとして用いられるが, 大振幅を出力しようとすると歪みが大きくなる問題がある. 本稿では, ギルバートセルミキサを用いた送信機に簡易的なプリディストーションを適用した場合の歪による出力振幅改善効果を定量的に評価している.
Field-Programmable Gate Array (FPGA) は,近年様々な産業・研究の分野での応用展開が進められているが,リーク電流の増大が深刻化している.このような問題を解決する一手法として不揮発FPGA の開発が進められている.著者らは記憶の不揮発化のみならずLogic-in-memory (LIM)構造の活用により記憶と演算を一体化したコンパクトな不揮発FPGAを提案してきた.一方,単一の多入力LUT回路を複数の少入力LUT回路に分割することでFPGAの実装効率を高めるFracturable LUT回路をLIMベースLUT回路で実現しようとする場合,演算機能の実現に必要なNMOSツリーのオン抵抗により十分な読出しマージンの確保が難しくなる.そこで本稿では,十分な読出しマージンを確保可能なLIMベースFracturable LUT回路の実現方法について述べる.
小型IoTの給電手段として、環境エネルギーから電力を取り出すエネルギーハーベスティングという技術に近年注目が集まっている。本研究では振動発電の1つである静電誘導型発電器からの電力変換回路システムに注目する。静電誘導発電は開放電圧の高い交流であり、標準CMOSによる集積化の報告はまだない。そこで全波整流器とシャントレギュレータを組み合わせた標準3V CMOSによる降圧型AC-DC変換回路を提案し、その設計を行った。60V、1.25MΩの発電素子から、IoT用LSIに2.5V時に60µWの電力供給ができることをSPICEシミュレーションで検証した。
周囲の環境にあるエネルギーを電力に変換するエネルギーハーベスティングという技術が注目されている。本研究では熱電発電に注目する。昇圧回路(CP)は、熱電素子(TEG)で得られた電圧を昇圧しICに供給する。発電器の小型化にはTEGとCPを小型化する必要がある。これまでCPの面積最適化は行われているが、TEGとCPのシステムにおける面積最適化は行われていない。本研究ではICの要求する電圧VPP、電流IPPの条件が与えられた時どのようにTEGの面積を最小化できるか、その方法を提案する。TEGの開放電圧最大値が1.5V,VPP,IPPがそれぞれ3V, 30uAの条件では、TEGの出力電圧が1Vとなるようにシステムを設計するとシステムのサイズを最小にすることができることが分かった。
近年電気エネルギーを、バッテリーを用いずキャパシタに蓄電する方法が注目されている。今回、リチウムイオンキャパシタを蓄電デバイスとし、その充電特性を検討したので報告する。
休 憩(14:30 再開) 座長 藤本竜一(東芝メモリ)
C-12-6 |
自動配置配線を用いた高速起動パルス幅制御PLL回路の設計と性能比較
○王 璟・飯塚哲也(東大)・名倉 徹(福岡大) |
C-12-7 |
微小遅延故障検査へのPLL回路の適用についての一考察
○大塚諒哉・四柳浩之・橋爪正樹(徳島大)・Yao Chia-Yu(国立台湾科技大) |
C-12-8 |
CMOS論理回路におけるTIDの影響評価
◎安藤 幹・大島佑太・平川顕二・岩瀬正幸・小笠原宗博・依田 孝・石原 昇・伊藤浩之(東工大) |
C-12-9 |
光パルス検出用IC“LIDARX”の放射線による特性劣化評価実験
◎小川誠仁(東海大)・水野貴秀(JAXA)・梅谷和弘(岡山大)・千秋博紀(千葉工大)・池田博一・川原康介(JAXA)・田中 真(東海大) |
C-12-10 |
ばらつきを加速させたモンテカルロシミュレーションによるSRAMの書き込み限界推定
○武村健太・上村貴史・牧野博之(阪工大) |
パルス幅制御位相同期回路PWPLLはパルス幅を利用して出力周波数の制御を行い、時間領域で動作するPLLである。PWPLL回路の大部分はデジタル回路で、自動配置配線との相性が良い。
IoT等の応用ではPLLを間欠的に動作させるため、PLLの高速起動が課題となっている。本研究はPWPLLの起動時間を短縮した高速起動PWPLLを自動配置配線で実現し、先行研究による人手設計のPWPLLと性能を比較した。
集積回路の高集積化に伴い,複数のダイを縦方向に積層する3次元積層ICの研究が行われている.積層したダイ間の配線に用いられるTSVの故障により,微小遅延故障が発生する可能性がある.本研究では,PLL回路を用いる微小遅延故障検査への適用を想定した,PLL回路に含まれる発振器の動作検証の結果を報告する.今回は全dco_codeの210通りの内,dco_codeが1ステップ変化するときの分解能を50箇所について調べた.その結果,分解能の最小値は4.2ps,最大値は22.9psであった.このPLL回路を微小遅延故障検査に用いる場合,最大値である22.9psよりも大きな故障をdco code の変化として検出可能であると考えられる.
放射線照射環境では半導体の特性劣化や故障が問題となる.我々は多量の放射線が長期間照射される環境で,MOSFETに閾値電圧変動とドレイン・ソース間リーク電流の増加を引き起こすTID効果の対策技術を検討している.
本研究では,TID影響下におけるMOSFETの特性劣化モデルを適用したD型フリップフロップ(FF)の特性をシミュレーションにて評価した.FFには,トランスファーゲートを用いた構成,クロックドインバータを用いた構成,差動構成,メモリ構成の合計4種類を用いた.その結果,閾値電圧変動は差動構成の動作周波数を低下させ,他のFF構成では論理回路の動作マージン内で,リーク電流の増大による消費電力の増加が問題となることが分かった.
JAXA 宇宙科学研究所は,誘導航法や科学観測を目的としたレーザ高度計LIDAR(LIght Detection And Ranging)の開発期間短縮や小型化を目指し,長距離LIDAR 用光パルス検出IC“LIDARX”を開発した.LIDARX は現在,MMX(Martian Moons eXploration)ミッション搭載LIDAR への適用に向けた準備が進められている.ICの宇宙機への適用に際しては,宇宙放射線による特性劣化 (トータルドーズ効果 : TID)の影響を把握する必要がある.本報告では,これを確認する為に実施している,LIDARX のTID耐性評価実験について報告する.
MOSトランジスタの微細化に伴い,しきい値電圧のランダムなばらつきが増大し,多ビットのSRAMの安定動作が困難になっている.本研究では,SRAMの書き込み動作について,ばらつきを加速したモンテカルロシミュレーションにより,従来よりも簡単に動作限界を推定する方法を提案した.本手法により,nMOSとpMOSのしきい値電圧(Vtp,Vtn)の種々の仕上がり値に対する不良率を推定し,Vtp-Vtn平面における不良率の分布を明らかにした.さらに最大1000万回のモンテカルロシミュレーション結果と比較することによって,不良率が1ppm以上の領域において一桁以内の精度で不良率を推定できていることを確認した.
3月20日 9:00〜11:15 53号館 304教室 座長 小林伸彰(日大)
C-12-11 |
ミリ波帯オンチップグランド付コプレーナ伝送線路の伝送モードの違いを考慮したスケーラブルモデリング
◎田中駿太郎・高野恭弥・楳田洋太郎(東京理科大) |
C-12-12 |
300 GHz CMOS MIMキャパシタのスケーラブルモデリング
◎平野克彦・高野恭弥・楳田洋太郎(東京理科大) |
C-12-13 |
ミリ波帯オンチップスパイラルインダクタのグランド壁を考慮したモデリング
◎萩原豊之・高野恭弥・楳田洋太郎(東京理科大) |
C-12-14 |
多チャンネル実装トランスインピーダンスアンプにおける電源ノイズ削減フィルタの設計手法
◎谷村信哉・土谷 亮・野口凌輔・井上敏之・岸根桂路(滋賀県立大) |
C-12-15 |
0.18μm CMOS 2 GHz 5相Delay Locked Loopの設計
◎佐々木俊介・石井雅樹・佐々木昌浩(芝浦工大) |
グランド(GND)付コプレーナ伝送線路(GCPW)は高い周波数でも低損失であることから,ミリ波集積回路での使用に適している。GCPWには信号線とGNDとの距離によって3つの基本伝送モードが存在することから,伝送モードの違いを考慮したスケーラブルモデルが必要となる.本研究ではミリ波帯においてGCPWの伝送モードが切り替わる構造を電磁界解析を用いて明らかにし,3つのモードに対応したスケーラブルモデルの作成を行った.電磁界解析で得られたSパラメータから、伝送線路の各モードにおける微小区間モデルの等価回路を有理多項式最小二乗近似を用いて決定し、各素子値の関数を多項式近似することで110GHzまでのGCPWのスケーラブルモデルを実現した。
MIM (metal-insulator-metal)キャパシタを回路設計に用いるためには設計用のモデルが必要であり,自由に容量を設定するためにはスケーラブルモデルが必要となる.これまで,約100GHzまで対応したモデルが報告されているが,それ以上の周波数では自己共振周波数(SRF)以上になるためモデリングがなされてこなかった.しかし,例えSRF以下の周波数で動作する回路でも,高調波はSRF以上となる場合があるため,より高い周波数まで対応したモデルが必要である.そこで本研究では, 310GHzまで対応したスケーラブルモデルを提案した.等価回路モデルの各素子値は,構造パラメータを独立変数とした多項式で表わした.MIMキャパシタの設計には0.18μm CMOSプロセスを用いた.
ミリ波集積回路で使用されるオンチップスパイラルインダクタではグランド(GND)の抵抗を下げ,また,金属の密度ルールを満たすために多層配線層を壁状にしたGND壁を用いることが提案されている.本研究では,GND壁の線幅wやインダクタとの間隔sを変数としたデバイスモデルを作成し,GND壁の特性への影響を明らかにした.等価回路モデルの素子値はwとsの多項式として表した.その結果,wやsを変えてもモデルの特性が電磁界解析結果とよく一致することが示された.またGND壁の特性への影響として、sが小さいほど磁束が小さくなるためインダクタンスが減少し,wが大きいほどGND壁の抵抗値が下がりQ値が増加することが示された.
近年の通信量増大に伴って、光通信システムは大容量化が求められている。そこで光通信システムの大容量化を実現する多チャンネル実装トランスインピーダンスでは、複数チャンネルを同一チップに集積し、電源・グラウンドを共有する。それによってボンディングワイヤの寄生インダクタに起因する電源ノイズが問題となる。さらに、近年のチップ小型化に伴い、電源ノイズを削減するデカップリング容量に使用できる面積が小さくなってきている。このことより先行研究では、電源ノイズの削減に関して、省面積化を実現する回路構成が提案されている。今回はこの回路構成において、容量(面積)の高効率化を実現する設計手法を確立した。
近年のシリアルインターフェイスやCPUではより高周波のクロックが必要とされている.今回は,PLLに比べて高速動作が報告されている論文が少ないDLLの設計を行い,ROHM社 0.18 μmプロセスにおいて2.0 [GHz]のクロックを用いてポストレイアウトシミュレーションを行った.提案回路では,分周によって参照CLK信号の立ち上がりエッジとPhaseの組み合わせが異ならないようにPFDに直接高速なCLK信号を入力している.また,PFDの入力に遅延素子の出力であるPhase1および出力にダミー遅延素子が付いているPhase6を用いている.さらに,各端子にダミーのバッファーを追加している.シミュレーション結果は5相のクロックの誤差を10%未満に収める事ができた.
休 憩(10:30 再開) 座長 日高秀人(ルネサスエレクトロニクス)
C-12-16 |
(依頼講演45分)CMOSイメージセンサのバイオ医療応用
○太田 淳(奈良先端大) |
CMOSイメージセンサは,デジタルカメラやスマートホンだけでなく,車,バイオメトリクス,ヒューマンインターフェイスなど様々な分野での応用が進んでいる.本講演では,CMOSイメージセンサのバイオや医療応用について述べる.まず医療応用として人工視覚を取り上げる.次にマウス脳内の神経活動計測を可能とする埋植型CMOSイメージングデバイスについて述べる.最後にまとめと今後の展望について述べる.
C-13. 有機エレクトロニクス
3月22日 9:30〜11:30 54号館 302教室 座長 田口 大(東工大)
C-13-1 |
電界誘起第2次光高調波発生測定による外部電圧印加で負帯電させた摩擦発電層(PMDA-ODAポリイミド)の顕微観察
○田口 大・間中孝彰・岩本光正(東工大) |
C-13-2 |
高分子配向制御技術を用いた発電機能性偏光板の作製に関する研究
◎小林礼奈・並木美太郎・飯村靖文(東京農工大) |
C-13-3 |
印刷型PVDF圧力センサアレイの新規パッシブ駆動方式の開発
○奥山義浩・関根智仁・芝 健夫・時任静士(山形大) |
環境にやさしいトライボ発電の研究開発が加速しているが、摩擦電気の発生と高分子のミクロ起源(電荷移動と双極子)の関係は十分に明確化されているとはいえない。我々は、電界誘起光第2次高調波発生(EFISHG)測定の波長選択性により、トライボ発電層のミクロ起源を特定できることを利用して、摩擦電気の発生、分離、放電の素過程を実験で可視化する新しい実験手法の研究を進めている。本発表では、外部電圧印加により負に帯電(-1 kV)したポリイミド表面の電界分布を顕微観察し、1 mの大きさの帯電模様を可視化した結果を報告する。
現在液晶ディスプレイ(LCD)に用いられている偏光板は、入射光のある方向成分を熱の形で吸収し偏向光を発生するため、非常に光利用効率が低い。本研究では、偏光板の光利用効率向上にむけ、発電機能を有する偏光板作製を目指している。本発表では、光電変換材料として有用なp型有機半導体であるPoly(3-hexylthiophene)(P3HT)の分子配向制御技術(ラビング法、光配向法等)を検討した。さらに、P3HT配向制御膜とn型有機半導体フラーレン(C₆₀)の積層構造を有する太陽電池において光電変換異方性を確認し、発電機能を有する偏光板の作製の可能性を示すことができたので報告する。
印刷型PVDF圧力センサをパッシブマトリクス状に接続したセンサアレイシートにおいて、信号のクロストークに影響されずに押圧位置を特定する事が可能な駆動方式について述べている。パッシブマトリクス型センサの従来の駆動方式(点順次/線順次スキャン方式)とは異なるスキャン回路構成を用いて、得られたスキャンデータをソフトウェアで演算する事で押圧位置の特定を行う方式である。動作確認結果では、信号のクロストークに影響されずに押圧位置の特定が可能になった状況も示している。
休 憩(10:30 再開)
C-13-4 |
無機銅系CuSCNを用いた無機・有機ハイブリッド多層光学素子の作製
○梶井博武・奥井陽有人・吉永真啓・唐木達矢・近藤正彦(阪大) |
C-13-5 |
長距離伝搬表面プラズモン共鳴を用いたアゾ色素の光異性化と透過光特性
○加藤景三・中條博史・Chutiparn Lertvachirapaiboon・大平泰生・馬場 曉・新保一成(新潟大) |
C-13-6 |
CONTROLLING THE LUMINESCENCE OF GOLD QUANTUM DOTS BY THE PLASMONIC EFFECT OF SILVER NANOPRISMS
○Chutiparn Lertvachirapaiboon・Itaru Kiyokawa・Akira Baba・Kazunari Shinbo・Keizo Kato(Niigata Univ.) |
C-13-7 |
酸化タングステン非晶質膜を利用した有機ペロブスカイト太陽電池の特性改善
○森 竜雄・エゼ ビンセント オビオゾ・清家善之(愛知工業大) |
スピンコート法等の溶液プロセスにより簡便な作製工程により多重積層膜の層間の屈折率差を大きくする1つの方法として,比較的屈折率の大きな無機材料と屈折率の低い有機材料を用いた無機・有機ハイブリッド誘電体ミラーの作製が考えられる.本研究では,CuSCNは可視域で吸収がなく比較的高い屈折率を有することに着目し,無機銅系CuSCNを用いた多層光学素子の作製を行い,その特性を調べた.
誘電率が近い媒体で挟まれた金属薄膜において励起される長距離伝搬表面プラズモン共鳴(LRSPR)は、伝搬距離が長く、鋭い共鳴を示すことが知られている。また、特に強い電界を伴うことから分子励起にも有用と期待される。著者らは、これまでにグレーティングカップリングを用いたLRSPRの励起に伴い、強い透過光が観測できることを報告した。本論文では、LRSPRを用いたアゾ色素の光異性化について、透過光を通じて検討したので、その結果について報告する。
The in-situ controlled luminescence intensity of AuQDs by shifting the LSPR band using the oxidative etching of AgNPrs by H2O2 was demonstrated. The luminescence intensity of AuQDs decreased when the LSPR band and its luminescence band overlapped. The luminescence intensity of AuQDs was tuned to increase when the LSPR band moved far away from the luminescence band. These changes indicated that the plasmonic effect of metal nanoparticles could be employed to tune the photoluminescence effect of AuQDs. Since AgNPrs were oxidatively etched by H2O2 and affected the luminescence quenching of the AuQDs, we employed this reaction in the trace analysis of H2O2.
低温成膜可能な酸化タングステンを、500℃の焼成が必要な酸化チタン緻密層の代わりに利用した有機ペロブスカイト太陽電池を作製した。それはヒステリシスなどが大きかったので、フラーレン層を挿入することにより、特性改善を実現した。
C-14. マイクロ波・ミリ波フォトニクス
3月22日 9:30〜11:45 53号館 303教室 座長 戸田裕之(同志社大)
C-14-1 |
カスケード接続されたIF-over-Fiberリンクを用いたモバイルフロントホールの伝送実験
○田中和樹・Abdelmoula Bekkali(KDDI総合研究所)・Hsuan-Yun Kao(National Taiwan Univ.)・石村昇太・西村公佐・鈴木正敏(KDDI総合研究所) |
C-14-2 |
デジタル通信用光トランシーバを用いた高安定RF信号伝送に向けた位相同期実証
○藤江彰裕・西岡隼也・原口英介・安藤俊行(三菱電機) |
C-14-3 |
高SHF帯A-RoF伝送に向けた曲げ不感マルチモードファイバの設計
○相葉孝充・石田 宏・安田裕紀・若林知敬(矢崎総業) |
C-14-4 |
28GHz帯300MHz帯域幅無線信号のマルチモードRoF伝送特性評価
○安田裕紀・相葉孝充・田中 聡・鈴木敏訓・若林知敬(矢崎総業) |
C-14-5 |
ミリ波帯Radio over Fiberのための平面アンテナを集積したInP系マッハ・ツェンダー光変調器の提案
◎△宮関勇輔・荒川太郎(横浜国大) |
C-14-6 |
複屈折光ファイバを用いた光ビート信号の位相制御と位相の安定化
◎伊藤翔太・上原知幸・辻 健一郎(防衛大) |
C-14-7 |
デュアルパラレル型電気光学変調器を用いた3次相互変調歪補償のための信号入力方法の検討
◎古林大地・柏木悠汰・河合 正・榎原 晃(兵庫県立大)・瀧澤由佳子(兵庫県立工技セ)・山本直克(NICT)・川西哲也(早大) |
C-14-8 |
分散マネージメントファイバによる光パルス圧縮を用いたビート出力増大におけるRF利得の周波数特性-スケール則に基づいた光パワーの設定-
◎小田圭佑・カレンベラ レインハード・戸田裕之(同志社大) |
C-14-9 |
光Two-tone測定法と光Three-tone測定法におけるMZ変調器のバイアスを変化させた際の影響
◎島村悠貴・宇野彰紘(早大)・稲垣恵三(NICT)・川西哲也(早大/NICT) |
現在のC-RAN構成のモバイルフロントホールでは,無線波形をデジタル化して伝送するD-RoF技術を用いている.代表的なCPRIではユーザレートの約16倍の回線容量が必要となり,最大ユーザレート20Gbpsの第5世代移動通信システムへの適用は,アクセス回線の大幅なコスト増加を招く.高い周波数利用効率とアンテナサイト簡素化が期待される,RoFやIFoFは有望な技術の1つであり,これまでに,商用の基地局やファイバを用いたIFoF伝送技術の適用性検討, IFoF伝送の大容量化等の研究が進められてきた.本稿では,アクセスファイバの有効利用も可能な,カスケード接続されたIFoFリンクで構成される伝送システムの下り伝送の有効性を,模擬無線信号を用いた光伝送実験で示す.
アナログRoF伝送システムにおいては,アナログ伝送向け部品の継続的な入手性が課題である.この課題に対して我々は,市販で入手可能なデジタル光通信用光トランシーバに対して,送信信号とは異なる周波数,レベルの高いダミー信号をマルチトーン入力する事でアナログRoF伝送を実証した.マルチトーン駆動方式によるアナログRoF伝送では,受信端で送信信号とダミー信号の和周波数及び差周波数のビート信号が発生する.これらビート信号を利用する事により,周波数変換とアナログRoF伝送の同時実現が可能となる.一方で,アナログRoF伝送においては,ファイバ伝送路周囲の環境変動に伴いファイバ長が変動し,伝送信号及びダミー信号の位相が変動する為,補正する必要がある.本検討ではデジタル光通信向け光トランシーバを用いた高安定RF信号伝送の実現に向けて,マルチトーン駆動方式における位相補償系の構成検討及び原理実証を行ったので,報告する.
無線アクセスネットワークの大容量化に向け、高SHF帯無線信号をマルチモードファイバを用いたアナログRoFによる短距離伝送を検討している.マルチモードファイバの配策性とRoF伝送特性の向上を目指し、数値解析により曲げ損失を抑制した広帯域なマルチモードファイバの行った.
近年、無線アクセスシステムの伝送容量が固定アクセスシステムの容量を超える勢いとなっている.IoTの普及により、今後、無線通信のさらなる伝送容量の増加が予想され、広帯域信号に対応すべくSHF帯の適用が検討されている.建物等による遮蔽の影響の大きいSHF帯の信号を確実かつ低コストにリレーする技術として、マルチモード光ファイバ(MMF)を用いたAnalog-radio over multi-mode fiber(A-RoMMF)が検討されている.本研究では、広帯域化に向け300MHzの帯域幅を有する28GHz無線信号を、100mのMMFを用いたA-RoMMFで伝送する検討を行い、64QAM変調で要求されるEVM8%以下の5.7%で伝送が可能であることを確認した.
ミリ波帯Radio over fiberのための,平面アンテナを集積したInP系マッハ・ツェンダー光変調器を提案する.平面アンテナにはパッチアンテナの中心にマイクロギャップを形成した構造を採用する.InPを用いることで半導体発光素子との高き集積性を実現できる.コア層には特殊な量子井戸構造を採用し,提案デバイスの小型化と低消費電力化の両立が期待できる.本稿では,有限要素法シミュレータを用いたミリ波特性の解析と変調特性の導出を行ったので報告する.
波長の異なる2つの光波を干渉させ、その差分周波数に相当する電気信号を生成する光ビート法は、光ファイバ無線におけるマイクロ波・ミリ波帯信号を効果的に生成・制御できる手法として注目されている。アレイアンテナを用いた無線区間の指向制御には生成信号の精密な位相制御が必要であり、周波数安定性に優れた搬送波抑圧変調を利用する光ビート法が有効であるが、温度変化などによる位相ドリフトの低減が課題である。我々は、位相ドリフトの低減が期待できる複屈折光ファイバを利用した単一光路での光ビート信号生成系に着目し、その有効性を評価してきた。本報告では、提案手法によって複屈折部の負帰還制御を導入することでビート信号の位相が安定して制御できることを確認したので報告する。
マッハツェンダー型電気光学変調器(MZM)においては非線形歪の発生が問題となる可能性がある.我々は,波長チャープ変調を行う2つのMZMを組み合わせたデュアルパラレル型電気光学変調器(DPMZM)を用いて3次相互変調歪(IMD3)を光学的に補償する方法を提案した.本報告では,DPMZMへの変調信号の入力方法を検討し,分配回路を用いることなく歪み補償動作が可能となる構成を示し,実験的に動作を確認したので報告する.
多値変調やファイバ通信を用いたシステムにおいて光信号を電気信号に変換する精度が重要となり、フォトディテクタの非線形性評価が必要とされている。
本発表では光変調器のバイアス変動に対する測定結果の影響について実験的に検討した。
光Two-tone測定法と光Three-tone測定法のそれぞれについてバイアスを変動させ、非線形性測定の精度を確認した。
光Two-tone測定法ではバイアス条件を変化させたときに基本波と歪みの関係は大きく変化しない。光Three-tone測定法では測定結果の関係が大きく変化した。
今回の実験から光Three-tone測定法は光Two-tone測定法に比べバイアスが変化した際に非線形性測定に影響を与えることが確認できた。
3月22日 13:00〜16:30 53号館 303教室 座長 野田華子(アンリツ)
C-14-10 |
高速移動被写体の600 GHz帯イメージング
◎久次米祐助・匂坂知貴(阪大)・菊地真人・久々津直哉(アイレック技建)・易 利・冨士田誠之・永妻忠夫(阪大) |
C-14-11 |
300 GHz帯共鳴トンネルダイオードミキサの評価と通信実験
◎大平 司・兪 熊斌・西上直毅(阪大)・金 在瑛(ローム)・冨士田誠之・永妻忠夫(阪大) |
C-14-12 |
共鳴トンネルダイオード受信器を用いた直交振幅変調に基づく300 GHz帯無線通信
◎山本拓実・岩本健汰・西上直毅(阪大)・金 在瑛(ローム)・冨士田誠之・永妻忠夫(阪大) |
C-14-13 |
アレーフォトミキサで生成したテラヘルツ波のビームステアリング角の検討
◎山内健太・西山七海・周 洋(九大)・伊藤 弘(北里大)・石橋忠夫(NTTエレクトロニクステクノ)・加藤和利(九大) |
C-14-14 |
PIN-PD周波数特性の広い波長域での測定
◎前田勇太・宇野彰紘・稲垣恵三・川西哲也(早大) |
C-14-15 |
クロストーク低減に向けた高速2次元PDアレイの試作
◎日下田 健・西村政輝・高見沢翔一(早大)・梅沢俊匡・山本直克(NICT)・川西哲也(早大) |
C-14-16 |
Si導波路とSiN導波路による光フェーズドアレーアンテナの特性比較
◎西村政輝(早大)・梅沢俊匡・山本直克(NICT)・川西哲也(早大) |
0.1~10 THzのテラヘルツ(THz)波は,紙やプラスチックなどの物質に対して高い透過性があり,サブミリメートルの空間分解能が得られることからイメージング応用が期待されている.特に,生産ラインでの検査応用においては,高速に移動する被写体に対して,高空間分解能なイメージングが求められる.我々はガルバノスキャナや回転ステージを用いて高速イメージングの検討を行ってきた.本研究では,ガルバノスキャナと高速直動ステージを組み合わせ,より実際的な生産ラインを模擬した.そして,被写体速度80 mm/sにおいて,ステージ方向の空間分解能2 mmの高速THzイメージングを達成したのでここに報告する.
近年,テラヘルツ帯の電磁波を利用した高速無線通信の研究が進展している.我々はテラヘルツデバイスシステムの小型化を目的として,共鳴トンネルダイオード(Resonant Tunneling Diode : RTD)に着目している.これまでに300 GHz帯RTD受信器において,振幅変調方式による27 Gbit/sのエラーフリー伝送(ビット誤り率<10^(-11))を報告してきた.今後,RTDをテラヘルツ帯のミキサとして動作させることができれば,位相情報も利用した多値変調による伝送速度のさらなる向上が期待できる.以前,我々は300-GHz帯のRTDミキサとRTD局部発振器(Local Oscillator : LO)のワンチップ集積化を試みたが,高速通信への適用に十分な性能が得られなかった.そこで今回,LOをRTDミキサから分離したシステムを構築することで300 GHz帯RTDミキサ単体の評価を行い,ダウンコンバージョン動作による基本的な通信実験を行ったので報告する.
近年,テラヘルツ無線通信が注目を集めている.我々は,送受信デバイスの小型集積化に向けて,共鳴トンネルダイオード(Resonant tunneling diode: RTD)に着目している.これまでにRTD受信器によって,振幅変調方式で27 Gbit/sのエラーフリー通信(ビット誤り率<〖10〗^(-11))を達成してきた[1].しかし,アンテナを含むRTD素子ならびに実装回路の周波数帯域の制限により,単純な振幅変調方式での高速化には限界がある。したがって,今後一層の高速化を実現するには多値変調の導入が不可欠であり,今回,RTD受信器を用いた16QAM無線通信実験を初めて試みたので報告する.
近年、世界的なデータトラフィックの増大により、大容量無線通信の技術が急速に発達してきている。無線通信の伝送容量はキャリア周波数に比例するため、テラヘルツ波をキャリアとして用いる無線通信が注目を集めている。我々はテラヘルツ波生成にフォトミキシングを用いている。フォトミキシングで生成できる電磁波強度の上限値は、逓倍器を用いた電気的手法に比べ約一桁低いという欠点がある。一方で、光技術を用いたアレー化やビームステアリングが容易であるという利点があり、無線通信への応用が期待できる。今回、我々はテラヘルツ波位相変化量とビームステアリング角の関係を検討し、周波数300GHzにおいて、50°のビームステアリングを実現したので報告する。
光通信においてはシングルモードファイバで損失が小さい1550nm,1310nmの光がよく利用されている。最近ではマルチモードファイバを用いたファイバ無線に関する研究も精力的に進められており、様々な波長帯域においてフォトディテクタ(PD)や光変調器などの主要構成部品の特性評価の精密化が望まれる。しかし、1550nm帯以外の帯域での精密測定は報告例が少ない。本稿では簡便な構成で精度の高いPD特性測定を実現する光Two-tone法で様々な波長における周波数特性を評価した。1550nm, 1300nm, 1000nmにおいては系統的な差は見いだせなかったが、850nmの周波数特性が他の波長帯と比べて高周波で劣化した。
高速2次元PDアレイ(2D-PDA)を例とするPDピクセルの集積化はピクセル間や近傍配線により発生するクロストークのノイズの増加が課題となる. 本稿では上記クロストーク改善のため、ピクセルの電極面積の削減、配線間隔の増加等シミュレーションを行い、クロストークの解析を行った。また、実際に2D-PDAを作製・測定を行い、クロストーク改善のための指針を得たので報告する.
現在のインターネット社会において無線通信技術が発達してきたが、さらなるインターネットの高速化、通信技術の大容量化のために近年、Li-WiやFSO(Free Space Optics)などの空間光無線技術が注目されている。それらの送信側に求められている点として、コンパクトでかつ機械的可動部の少ないビーム制御性とガウスビームに近いフィールドパターン形成がある。そこで今回は、ビーム偏向角と放射角についてSiフォトニクス材料をベースに検討を行ったので報告する。
休 憩(15:15 再開) 座長 菅野敦史(NICT)
C-14-17 |
パルスセロダイン変調を用いた可変距離分解能の風計測ライダ光送受信部
◎鈴木貴敬・原口英介・藤江彰裕・安藤俊行(三菱電機) |
C-14-18 |
ソフトウェア無線機による光逓倍に適した信号生成
○金田直樹・米本成人・森岡和行(電子航法研)・川西哲也(早大) |
C-14-19 |
FM-CWリニアセルレーダにおける偽像検出シミュレーション
○赤間 慶(早大)・稲垣惠三・菅野敦史(NICT)・川西哲也(早大) |
C-14-20 |
滑走路異物探知用FM-CWレーダの干渉確率低減の検討
◎三浦哲哉・川西哲也(早大)・稲垣惠三・菅野敦史(NICT) |
C-14-21 |
FMCW法における高速周波数掃引時のビート周波数推定
○望月 純(早大)・稲垣惠三(NICT)・川西哲也(早大) |
近年,航空安全や環境計測の観点から,風速や風向の変化を遠隔計測するニーズが高まっている.我々はこれまで,光位相変調器や半導体光増幅器(SOA)等のデジタルコヒーレント通信用光学部品を風計測ライダの光送受信部として適用可能にするパルスセロダイン変調方式を考案し,検討を行ってきた.本稿では,同方式を用いたパルス幅可変風計測ライダ光送受信部に関する検討を行い,パルスセロダイン変調方式のセロダイン変調パルス幅を可変とすることで,風計測ライダの実効的なパルス幅(距離分解能)を可変にできることを実証した.
いつでもどこでも利用できる通信の必要性が増大しているが,現在の移動体通信では高速鉄道の乗客全員に十分な通信速度を提供するのは難しい.このため光ファイバ無線技術を用いたミリ波帯による高速鉄道用の大容量通信技術の研究開発が行われている.光ファイバ無線技術の問題として,ミリ波帯の信号を長距離伝送すると周波数選択的な損失が発生することが知られており,光ファイバ無線による光逓倍技術による通信信号の生成がこの問題に有効であることを我々はこれまで実験的に示した.本稿では,光逓倍による伝送に適した信号をソフトウェア無線機(SDR)により生成し,実際に光逓倍により生成した信号による通信試験結果を報告する.
滑走路上の異物自動検出は重要な課題となっており,その解決方法としてFM-CWリニアセルレーダが開発されている[1].
リニアセルレーダは,RoF(Radio-over-fiber)を用いて複数のRAU(Radio Access Unit)にレーダ信号を送信することによって,検出能力の向上,高分解能化,消費電力の低減が可能となる.
各RAUを協調制御することにより,送信波が直接干渉することは回避出来る.一方で航空機等による反射により,所望信号より強い信号が干渉する可能性がある.
このような干渉波は,狭帯域干渉となり偽像が発生する原因となる.
ここでは,RAU間の干渉による偽像の発生を検出するシステムを検討し,シミュレーションにより効果を確認した結果を報告する.
本論分は滑走路異物探知用FM-CWリニアセルレーダのレーダヘッド間干渉の回避・低減を目的としている。レーダヘッドからの送信波が飛行機などによって反射された場合、実際の所望波よりも強い干渉波として他のレーダヘッドに受信され自動探知の妨げとなる。各レーダヘッドにはRoF(Radio-over-Fiber)によってFM信号を伝送するのだが、今回はRoFでの光路差をつけることにより干渉の回避、低減を検討した。その結果、周囲5つのレーダヘッドからの干渉を抑える配置パターンを作成した。
FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)法による距離測定では、ビート信号周波数が周波数掃引繰り返し周波数よりも大きくなければならないとされてきた。そうでなければ、受信信号に現れるビート信号周波数と周波数掃引繰り返し周波数を分離できないためである。しかしそのような場合であっても、得られる受信信号にはビート信号周波数が含まれている。そのため適切な信号処理により距離測定が可能であることを提案した。また実際に距離測定を行い、距離分解能が向上していることを確認したので報告する。
C-15. エレクトロニクスシミュレーション
3月21日 13:00〜15:45 52号館 204教室 座長 安井 崇(北見工大)
C-15-1 |
T字型フォトニック結晶導波路に基づくテラヘルツセンサ
◎都梅智也・柴山 純・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-15-2 |
THzハイブリッドプラズモニック導波路を用いた偏波分割器
柴山 純・◎山本新大・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-15-3 |
THz帯におけるOtto型SPR導波路センサ
柴山 純・◎光武功太・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-15-4 |
コアの両側にInSb層を付加したTHz SPR導波路型センサ
◎吉原 啓・柴山 純・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-15-5 |
InSbクロスダイポールを用いたTHzセンサのセンシング特性
柴山 純・◎中野 純・山内潤治・中野久松(法政大) |
光波帯において,フォトニック結晶を用いたセンサが検討されている.他方,THz帯では物質固有の吸収スペクトルが多く存在するため,THz帯を利用したセンサ素子も検討されている.本稿では,T字型フォトニック結晶導波路に基づく屈折率センサをTHz帯に応用する.結果として,センサとして機能することを明示する.
テラヘルツ帯におけるハイブリッドプラズモニック導波路と誘電体導波路からなる偏波分割器の結合長を議論した.また,FDTD法用いて伝搬解析を行い,界分布より偏波分割器として機能することを確認した.
THz帯におけるOtto型SPR導波路センサを提案する. Fresnelの式より反射率を算出し, さらにFDTD法を用いてOtto型SPR導波路センサを解析することで出力特性を評価する. 以上の議論よりThz帯におけるOtto配置の有効性を示す.
筆者らはコアの片側にInSb層を付加したTHz帯における表面プラズモン共鳴(SPR)導波路型センサを提案してきた. 本稿では, コアの両側にInSb層を付加したSPRセンサの2次元モデルを解析し, これまでの片側にInSb層を付加したセンサと比較する. 結果として, 片側にのみInSb層を持つセンサと比較して, センシング長を半分に短縮しながらセンシング感度が向上することを明示する.
THz帯におけるInSbクロスダイポールを用いたセンサを周期境界条件を適用したFDTD法を用いて解析する.評価法として性能指数(FoM)を用い,センシング特性を議論する.試料の厚さが同じにも拘らず,アルミニウムクロスダイポールを用いたセンサより,高いFoMが得られることを示す.
休 憩(14:30 再開) 座長 伊藤孝弘(名工大)
C-15-6 |
FDTD法を用いた光導波路の広帯域解析のための一方法
柴山 純・◎鈴木崇浩・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-15-7 |
円筒座標系陰的・半陰的FDTD法の比較
◎原 竜之・柴山 純・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-15-8 |
異なる格子間の界接続における影響―CIP法とFDCFD法の場合―
◎谷口宣明・大西崚平・呉 迪(日大)・山口隆志(都産技研)・大貫進一郎(日大) |
C-15-9 |
FDCFD法による三次元プラズモニック導波路の解析
◎呉 迪(日大)・山口隆志(都産技研)・大貫進一郎・井上修一郎(日大) |
C-15-10 |
人工知能を用いたフラットレンズの設計
◎有馬秀三朗・田口健治・柏 達也(北見工大) |
本稿では,重ね合わせパルスを用いない簡素な広帯域計算の方法を検討する.
パルスの時間応答の算出に中心波長とは異なる波長の固有モード界を用い,その波長成分の含有量を調べる.
一例として誘電体-金属-誘電体(IMI)導波路を解析し,広帯域に渡る波長特性を示した.
陰解法である円筒座標系LOD-FDTD法及び半陰的FDTD法を用いて金属円盤型表面波分割器を解析する.各手法の計算時間及びメモリ使用量を調査する.半陰的FDTD法を用いることで効率の良い計算ができることを示す.
CIP法とFDTD法などで混合解析を行う場合,電磁界の存在する格子位置が異なるため,格子間の界接続を考慮する必要がある.本報告ではレギュラー格子を用いるCIP(Constrained Interpolation Plofile)法とスタッガード格子を用いるFDCFD(Finite-Difference Complex-Frequency-Domain)法でそれぞれ求めた電磁界を同一格子上で評価した際の数値誤差について検討する.
プラズモニックデバイスの設計を効率的に行うために,著者らは電磁界の任意時刻における応答を独立に計算できる複素周波数領域有限差分法(FDCFD: Finite-Difference Complex-Frequency-Domain)[1]を開発した.
本報告では,微小金属ストライプにおける表面プラズモンの解析に適用し, FDCFD法のプラズモニック導波路設計における有用性を検証する.
近年,人工知能技術を用いた電磁素子の最適設定が行われるようになってきた.ミリ波の領域においても誘電体を用いたフラットレンズの実用化に向けて研究が盛んに行われている.特に,3Dプリンターの出現はフラットレンズの誘電率の適切な分布構造の作成を容易にしている.
最適設計においては最急降下法が用いられるが最近では人工知能を用いた設計も行われるようになってきた.人工知能には,遺伝的アルゴリズム(GA),粒子群最適化(PSO),及びニューラルネットワーク(NN)を用いたものなどがある.
本研究では,人工知能を用いたフラットレンズの設計について報告する.
3月22日 9:30〜11:45 52号館 204教室 座長 園田 潤(仙台高専)
C-15-11 |
乳房組織のデバイパラメータの抽出と新しい腫瘍マーカの提案
◎中田裕士・桑原義彦(静岡大) |
C-15-12 |
GND電極位置による心電図の変動に関する検討
◎中根辰仁・伊藤孝弘・平田晃正(名工大) |
C-15-13 |
物理解析の機械学習による熱中症搬送人員数予測
◎神谷俊樹・村田幸栄・西村 卓・平田晃正(名工大) |
C-15-14 |
TMSによる末梢神経組織における刺激閾値のコイル角度依存性
○酒井隆志・ゴメスタメス ホセ(名工大)・谷 恵介・田中悟志(浜松医大)・平田晃正(名工大) |
現在,乳がん検診にはX線マンモグラフィが用いられているが,X線被ばくや検査時の痛み,高密度乳腺でのがんの見落とし等の問題が指摘されている.これらの問題点を解決する手段としてマイクロイメージング注目されている.マイクロ波イメージングによる撮像法の一つに断層撮影法(トモグラフィ)がある.この方式では,乳房の周りにおいたアンテナによって受信した信号から逆散乱問題を解き,乳房内の電磁気学的パラメータを表示する.本研究では,手術検体から得られた複素誘電率から単極デバイモデルのパラメータを抽出して分析を行った.
近年, 計算機性能の向上によって,心電現象を数値計算によって再現する研究が行われている.先行研究では,細胞レベルの電気的挙動を心電源として導出し,それらの励起伝搬を胴体モデルにおいて詳細に解析している.しかしながら,現実的な12誘導心電図を再現するためには,全身モデルにわたる励起伝播を分析することが必要である.特に,四肢電極の位置は全ての誘導電位に直接影響を与え,波形の形状と振幅が変化することが指摘されている.本稿では,心臓の刺激伝導を,多数の電気双極子によって離散近似して表現し,全身における電位分布を解析する.そして,四肢の誘導電位の測定位置を変化させた場合の12誘導心電図の変動について検証する.
近年,熱中症による搬送人員数が毎年4~6万人と増加の傾向にある.熱中症は熱バランスの崩れや脱水症状により発症するため,定量的なリスク評価のためには体温上昇量や発汗量の検討が重要である.しかしながら,現在の注意喚起や搬送人員数予測は,外気温や湿度といった気象データのみを用いており,体温上昇や発汗といった生体応答を考慮できていない.そこで,本研究では,東京都の気象データを用いて 2013年~2018年夏場の体温上昇量と発汗量の長期間解析を行った.そして,2013~2017年の解析結果,日平均気温,日平均相対湿度と搬送人員数のデータを使用して機械学習を行い,2018年の解析結果を用いた熱中症の搬送人員数予測の有効性について検討する.
脳を電気的に非侵襲的な刺激する方法の一つとしてTMS(経頭蓋磁気刺激法)が挙げられる.TMSとは,頭部近傍にコイルを配置し,コイルに中間周波帯のパルス電流を流した際に発生する磁界の変化により脳内に電流を誘導し,大脳を刺激する手法である.言語野の脳機能診断をする際,刺激することで発話に支障をきたす.しかし誘導電流が周辺に分布する筋肉にも及び,筋肉が収縮することによって発話が阻害される例が挙がっている.その場合,言語野を刺激できているのか,筋肉が応答しただけであるのかが不明である.異方性を有する人体組織である筋肉を対象に刺激閾値を探索し,刺激コイルの角度依存性について電磁界解析により検討する.
休 憩(10:45 再開) 座長 陳 春平(神奈川大)
C-15-15 |
cerebellar tDCSにおける筋肉異方性の影響
◎浅井暁宏・Jose Gomez-Tames・平田晃正(名工大) |
C-15-16 |
無線電力伝送システムを搭載した電気自動車の車内磁界環境における安全性評価手法の検討
○竹中智弘・平田晃正(名工大) |
C-15-17 |
FDTD法を用いた地中レーダのコンクリート亀裂検出の定量化
○園田 潤(仙台高専)・木本智幸(大分高専)・山本佳士・光谷和剛(名大) |
C-15-18 |
マイクロ波トモグラフィへの折りたたみ擬似自己補対パッチアンテナの適用
○桑原義彦・野崎 亮(静岡大) |
近年,医療分野において脳組織を非侵襲的かつ局所的に刺激することに関心が高まっている.その手法の一つとしてtDCS(経頭蓋直流電気刺激)が挙げられる.tDCSとは頭部に貼付した電極間に微弱な電流を流すことによって脳組織を刺激する方法である.現在,tDCSを小脳に応用したcerebellar tDCSに焦点が当てられており,運動機能障害を持つ人の治療方法として検討されている.また電流は筋線維に沿う方向に流れやすいことが知られているが,後頭部における筋肉の異方性を模擬した例はない.本稿では後頭部における筋肉の異方性を考慮し,その小脳内誘導電界に与える影響を検討した.
近年,低周波あるいは中間周波電磁界の利用拡大に伴い,電磁界の生体影響に関心が高まっている.国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)は電磁界からの生体防護ガイドラインを掲げている.ICNIRPガイドラインにおける参考レベルは,基本制限と呼ばれる許容体内電界に対応する外部電磁界を一様なものと想定した場合に導出したものであり,ゆえに非一様な電磁環境においては過度に安全側の評価を与える可能性がある.そこで,非一様な電磁環境においても適切な安全性評価を行う手法として,体内誘導電界と外部磁界の関係を表す結合係数の導入が提案されている.結合係数とは測定した外部磁界に結合係数を乗じることで,補正したばく露量として導出され,参考レベルとの比較を可能とするものである.
本稿では,非一様な電磁界環境が想定される,無線電力伝送システムを搭載した電気自動車両内の電磁環境において,結合係数を用いた安全性評価手法についてシミュレーション検討を行った.
近年,高度成長期に整備したインフラが急速に老朽化しており,高効率で高精度な点検手法の開発は喫緊の課題である.道路空洞や河川堤防の点検などに数百 MHz帯の電波による地中レーダが用いられている.一方,橋脚などコンクリート構造物では打音検査が主流であるが,画像化や深部の検査に課題があった.地中レーダのように数
GHzの電波を用いてコンクリート亀裂を検出できるが,検出特性は十分検討されていなかった.本稿では,2600 MHz レーダにより,骨材をモデル化したコンクリート中の深さ30 mm と60 mm にある厚さ1 mmの亀裂検出特性をFDTD 計算から定量化する.
高分解能のマイクロ波トモグラフィを実現するためには構像が単純で広帯域,高感度のアンテナが必要となる.本稿では,折りたたみ擬似自己補対構造を持つパッチアンテナをマイクロ波トモグラフィに適用したときの画像再構成能力について,プリント板ダイポールと比較して論じる.
3月22日 13:00〜15:45 52号館 204教室 座長 田中 泰(三菱電機)
C-15-19 |
誘電体装荷FSS の誘電体厚に対する等価回路の適用範囲に関する検討
◎橘田康平・須賀良介・橋本 修(青学大) |
C-15-20 |
伝送線路理論によるレドームの伝送特性計算のアンテナ寸法依存性に関する検討
橘田康平・◎花田英司・須賀良介・橋本 修(青学大) |
C-15-21 |
複共振特性を有する電波吸収体の等価回路を用いた帯域幅設計
◎小泉昂大・須賀良介(青学大)・荒木純道(東工大)・橋本 修(青学大) |
C-15-22 |
寄生素子付きダイポールアンテナの素子間結合を考慮した電流近似式による放射パターンの計算
◎岡本侑磨・須賀良介(青学大)・上野伴希(オフィスウワノ)・橋本 修(青学大) |
C-15-23 |
開口面法とレイトレース法のハイブリッド解析による空港面電波伝搬解析法の提案
◎平井翔太郎・須賀良介(青学大)・毛塚 敦(電子航法研)・橋本 修(青学大) |
ミリ波帯車載用レーダは,高精度な物体検知用モジュールとして期待されており,車体やレドームからの反射によるレーダの性能劣化が懸念されている.周波数選択板(FSS) を用いたレドームの反射抑制手法が報告されており,所望の特性を実現するためには,FSS の等価回路化が有効である.しかし誘電体上にFSS を配置した場合,誘電体厚を薄くすると回路素子値の推定精度が劣化してしまう.そこで本稿では,誘電体厚に対する誘電体装荷FSS の伝送特性を計算できる等価回路の適用範囲を評価した.
レドームがアンテナの特性に影響を与えることが知られており,ミリ波レーダ等の大きなアンテナを用いるシステムでは,電磁界解析によるレドームの影響評価には膨大な時間が必要となる.この影響を概算するにはレドームのみの伝送特性の把握が有効であるが,この伝送特性はアンテナの特性やアンテナとレドーム間の距離に依存すると考えられる.本研究では,アンテナ素子数に対し,伝送線路理論によって十分な計算精度を得るために必要なアンテナとレドーム間の距離を決定することを目的とし,アンテナ素子数およびアンテナとレドーム間の距離に対する解析精度について電磁界解析との比較により議論する.
誘電体基板の表面に金属エレメントを周期配列した構造の円形パッチ配列電波吸収体が提案されており,その-15dB 比帯域幅は1%以下と狭帯域である.金属パッチを積層した複共振により3%程度の比帯域を得られることが報告されているが,その具体的な設計方法については確立されていない.そこで本検討では,所望の帯域幅を得るための2つの共振角周波数の設計手法について検討した.
アレーアンテナ設計において,アレーファクタを用いた指向性合成法が一般に使用されているが,素子間結合を考慮した定量的設計法に関する報告は少ない.
寄生素子を配列した場合でも素子数により相互結合量が異なるため,結合を考慮した電流を求めることは困難である.
そこで本稿ではまず2素子の電流の近似式の導出し,有効性を放射パターンにより評価した.
GPSの位置情報を利用したGBASと呼ばれる次世代航空着陸システムの研究開発が行われている.このGBASに用いる100MHz帯を用いるVHF Data Broadcastアンテナの最適設置位置の決定には,電磁界解析が有効である.しかし,建物の間隔が数波長程度と狭い空港におけるレイトレース解析は困難である.そこで著者らは,開口面法による波長に対して小さな建物間からの放射電磁界解析について検討してきた.本検討では,空港に適したレイトレース法と開口面法のハイブリッド解析を提案する.
休 憩(14:30 再開) 座長 須賀良介(青学大)
C-15-24 |
積層セラミックチップコンデンサのフルウェーブ解析
◎加藤善斗・柴田随道(東京都市大) |
C-15-25 |
金属フォトニック結晶によるミリ波5段バンドパスフィルタの設計
勝野絵梨香・謝 成龍・○陳 春平・張 沢君・穴田哲夫(神奈川大)・武田重喜(アンテナ技研) |
C-15-26 |
誘電体の放射特性解析に対するモーメント法の評価
○田中 泰・瀧川道生・千葉英利・米田尚史・宮下裕章(三菱電機) |
C-15-27 |
フルベクトル有限差分ビーム伝搬法を活用したTM0-TE1モード変換素子のトポロジー最適設計
◎△井口亜希人・辻 寧英(室工大)・安井 崇・平山浩一(北見工大) |
C-15-28 |
大ホールEC-CHFを用いたテーパ型偏波分離素子の設計に関する検討
◎河村真吾・辻 寧英(室工大) |
積層セラミックコンデンサ(MLCC)は,小型大容量化が進み各種用途に広く利用されるようになった.著者等はMLCCを超高速ディジタル信号の結合容量として利用する際の実測と等価回路解析による特性評価を報告してきた.本稿では電磁界解析による評価結果を報告する.マイクロストリップ線路に表面実装したチップコンデンサのフルウェーブ解析より,サイズの小型化に伴ってミリ波帯に渡る広帯域での挿入損失が改善されること,容量チップ内部の電流密度分布が周波数増大に伴い基板寄りの端に集中することが判り,電流分布の偏りが特性の振る舞いに関与していることが推察される結果を得た.
第5世代移動体通信システム(5G)の実現に向けて,国際電気通信連合(ITU)では,ミリ波帯の使用が5Gスペクトルとして考慮されており,5Gの規格を満たすための低損失且つ高性能な電磁波回路の研究・開発が急務である.本研究ではinline形5段バンドパスフィルタを金属フォトニック結晶構造の強い閉じ込め壁の性質を利用し,線欠陥による模擬導波管内にvia-holeの誘導性結合窓の共振器を構成することにより,k帯における直接結合5段BPFの理論特性と3Dシミュレーション結果を比較する.
誘電体をモーメント法によって高精度に解析するため,複数の積分方程式が定式化されている.これらの方程式の散乱解析に対する適用性は評価されているものの,放射特性に対する同様の評価はなされていない.本稿では4種の方程式について放射特性解析に対する収束性と精度を評価した結果を報告する.
これまでに筆者らは,波長に対して素子長が非常に長い場合でも光波伝搬解析が効率的に実行できるビーム伝搬法(BPM)を活用した光導波路素子のトポロジー最適設計手法について検討を行ってきた.
本報告では,交互方向陰解法(ADIM)に基づくフルベクトルFD-BPMを利用した光導波路素子の密度法と感度解析に基づくトポロジー最適化手法を,偏波回転・分離の用途で利用が検討されているTM0-TE1モード変換素子の設計問題へ適用し,本設計アプローチの汎用性を確認している.
EC-CHFの単一偏波特性を利用したクロストークフリーな偏波分離素子が提案されているが,以前の議論では均一な方向性結合器が仮定されており,入出力結合は議論されていなかった.筆者らは,この偏波分離素子をテーパ化することで導波路を分離し,小ホールEC-CHFの場合について具体的な設計例を示した.一方で,大ホールEC-CHFを用いる場合には小ホールEC-CHFに比べて高い複屈折率と強い光閉じ込めが得られやすい.そのため,本研究では座標変換を用いたフルベクトル有限要素ビーム伝搬法を用いて,大ホールEC-CHFを用いたテーパ型偏波分離素子の設計について検討を行っている.
シンポジウムセッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
CS-1. AI/IoT時代の情報ストレージ技術とその将来動向
(磁気記録・情報ストレージ研専)
3月22日 13:00〜16:35 54号館 102教室 座長 田河育也(東北工大)
CS-1-1 |
(依頼講演)データ利活用時代に向けたデータ基盤技術
○赤星直輝(富士通研) |
CS-1-2 |
(依頼講演)スパッタ磁気テープによる面記録密度201Gb/in2の実証
○立花淳一・関口 昇・遠藤哲雄・尾崎知恵・齋 輝夫・平塚亮一・相澤隆嗣(ソニーストレージメディアソリューションズ)・Simeon Furrer・Mark A. Lantz・Peter Reininger・Angeliki Pantazi・Hugo E. Rothuizen・Roy D. Cideciyan・Giovanni Cherubini・Walter Haeberle・Evangelos Eleftheriou(IBM Research-Zurich) |
CS-1-3 |
塗布型六方晶フェライト磁気テープ装置の高記録密度化研究
○武者敦史・小沢栄貴・辻本真志・白田雅史・堂下廣昭(富士フイルム) |
CS-1-4 |
(依頼講演)ホログラフィックデータストレージの開発
○山本 学(東京理科大) |
IoT時代を迎えて、世界中で生成されるデータ量が爆発的に増加している。これにともない、AIなどのデータを利用した新たなサービスの提供が加速しており、我々の生活を変えつつある。データ量の爆発を支える基盤として、ストレージシステムがその重要性を増しつつある。そこで、AI/IoT時代のストレージシステムについて、AI/IoTの側から見たポイントと、その将来展望に関して紹介する。
ロール・トゥ・ロール・インラインスパッタ装置にて,ポリアミド基板上に,垂直配向した CoPtCr-SiO2膜を製膜することにより磁気テープを作製した.その磁気テープについて,磁気テープ用のリング型記録ヘッドとトラック幅48 nm のTMR型再生ヘッドにより,チャンネルSNR測定,BER測定およびトラック追従サーボ特性評価を行った.その結果,線記録密度818 kbpiおよびトラック密度246.2kTPI,即ち,面記録密度201Gb/in2 のポテンシャルを有することを確認した.
筆者らは2015年に報告した面記録密度123 Gb/in2の塗布型デモテープで用いたバリウムフェライト磁性体から,更に粒子体積を約40%低減させた900nm3の微粒子ストロンチウムフェライトの合成に成功した.本報では,これら磁性体の微粒子化とはじめとする,塗布型磁気テープ装置の大容量化に必要不可欠なメディア技術の進展に加え,マイクロ波アシスト記録,二次元磁気記録といったメディア性能を十分に引き出すことが可能な記録再生技術の基礎検討を行った結果について報告する.
コールドストレージに適した低コストメモリとして、テープストレージの他、光ディスクあるいはホログラフィックデータストレージが候補にあがっている。我々は、このような背景の中で大容量・低コストのホログラフィックデータストレージ(HDS)の開発を行っている。HDSではシステム構築にあたっては記録再生方法の選択が重要な判断となる。従来は角度多重方式あるいはコリニア多重方式が開発されてきたが、本開発では、クロスシフト多重記録法を採用している。本稿では、比較的小型のプロトタイプ機を試作し、ユーザデータにおいて1TB/120mm disk相当の高密度化に目途をつけた結果を報告している
休 憩(14:55 再開) 座長 松沼 悟(マクセル)
CS-1-5 |
(依頼講演50分)単分子の伝導特性と機能性
○藤井慎太郎(東工大) |
CS-1-6 |
(依頼講演)Big Data時代を支える3次元フラッシュメモリ「BiCS FLASHTM」
○井上大那・稲葉 聡・松永泰彦・鬼頭 傑・村濱優一郎(東芝メモリ) |
CS-1-7 |
(依頼講演)Approximate Computingでメモリシステムの劇的な省エネ化を目指そう
○広渕崇宏(産総研) |
単分子に素子機能を賦与した単分子素子は、電子デバイス材料として注目を集めている.これまで様々な分子を用いて、単分子素子の基本要素となる単分子接合が作製され、その伝導特性が決定されてきた.最近では、トランジスタ、ダイオード、スイッチ特性などの機能性を持つ単分子接合に関する研究も多数報告されている.しかしながら、実験の再現性が低いため、単分子素子実用化のめどは立っていない.実用化にむけた最大の課題は、単分子接合が「ブラックボックス」の中にあり、特に物性に決定的な役目を担う金属と分子の接合界面の状態が理解できていないことにある.これまで我々は、走査型トンネル顕微鏡法を用いてこの課題に取り組んできた.本研究発表では近年の成果について報告する.
Big Data時代に今後も需要増加が見込まれる大容量ストレージの必要性と、そのストレージの主要な構成要素の一つとして開発および普及が進んでいる3次元フラッシュメモリBiCS FLASHTMについて紹介する。また、今回、開発および量産化に成功したワード線96層の第4世代 BiCS FLASHTMにおけるメモリセルの特徴についても紹介する。
我々は、計算機のメモリシステムに対して求められる信頼性をあえて大幅に落とすことで、従来よりも抜本的に低消費電力なメモリシステムを実現することを目指している。本稿では、その背景となる Approximate Computing の考え方を紹介するとともに、研究の構想について述べる。
CS-2. 人工知能および最適化・自動設計技術の基礎から応用まで
(エレクトロニクスシミュレーション研専)
3月20日 10:30〜11:45 52号館 204教室 座長 園田 潤(仙台高専)
CS-2-1 |
(依頼講演)関数展開法に基づく光デバイスのトポロジー最適設計
○辻 寧英(室工大) |
CS-2-2 |
(依頼講演)トポロジー最適設計を用いた超高ΔPLCデバイスの設計と特性評価
○長谷川淳一・小林 剛・松原礼高・酒井辰浩・佐藤直樹(古河電工)・井口亜希人・辻 寧英(室工大) |
CS-2-3 |
(依頼講演)ランダムフォレストを用いた脳波源推定法におけるノイズ耐性に関する一検討
◎伊藤孝弘・大幸裕季・平田晃正(名工大) |
近年の計算機の高速・大容量化およびシミュレーション技術の進展によって,計算機上で様々な物理現象のシミュレーションが可能となり,こうした技術を駆使して,目的の性能を達成するための最適設計が盛んに研究されている.本研究では,高速光通信のための高性能な光デバイスの開発を目指し,デバイス構造のトポロジーまで含めて新しい光デバイスを設計が可能な最適設計法の研究を行っている.設計領域内の構造表現には任意のトポロジーを表現可能な関数展開法を,光デバイスの数値解析には有限要素法を用い,設計変数の最適化には感度解析に基づく勾配法と感度を必要としない進化的手法の両方について検討を行っている.
トポロジー最適設計を、比屈折率差Δが5%を超える超高ΔPLCデバイスの設計に適用した。さらに、設計したデバイスを実際に作製し、光学特性の確認を行うとともに、設計検証を行った。一例として、作製した1x2MMIカプラは、過剰損失が0.2dB以下の良好な特性を実現しており、トポロジー最適設計の有効性を確認した。
脳波は非侵襲かつ簡易な装置で計測できるため利便性の面で有利である一方,頭蓋骨による減衰等に起因して波源推定精度が低くなるという欠点があり,推定精度を向上させることが重要な課題の一つとなっている.脳内電流分布と頭表観測電位を結びつける係数行列であるリードフィールド行列を用いた脳波源推定法が提案され用いられてきたが,従来の解法では推定領域が非常に大きな広がりを持ち,正しい解が得られないという問題がある.これに対し我々は,順問題を電磁界シミュレーションによって複数回解き,その入出力情報を機械学習させることによって脳波源位置推定器を構築する手法を提案してきた.本研究では,観測電位にノイズが重畳されることを想定し,計算機シミュレーションによって提案手法のノイズ耐性について検討した.
3月20日 13:00〜16:35 52号館 204教室 座長 辻 寧英(室工大)
CS-2-4 |
(依頼講演)CNNによる地中レーダ反射画像からの埋設物識別
○木本智幸(大分高専)・園田 潤(仙台高専) |
CS-2-5 |
(依頼講演)敵対的生成ネットワークを用いた深層学習による地中レーダ画像の物体識別–クラッタ除去・超解像化・逆推定–
○園田 潤(仙台高専)・木本智幸(大分高専) |
CS-2-6 |
(依頼講演)多層畳込みニューラルネットワークを用いたUWBレーダによる着座時のマイクロドップラー測定と個人識別
○阪本卓也・末政菜奈(兵庫県立大) |
CS-2-7 |
(依頼講演)パターン情報表現およびパターン情報処理を物理的に実現するニューラルネットワーク デバイス
○廣瀬 明・田中剛平(東大)・武田征士・山根敏志・沼田秀俊・金澤直輝・ヘロー ジャンベノ・中野大樹(日本IBM)・中根了昌(東大) |
地中レーダは,地中に入射した電波の誘電率差で生じる反射波により地中物体を検出する技術であり,近年老朽化が社会問題となっている社会インフラのセンシングに有効な技術である.しかし地中レーダ画像から,地中物体の材質や大きさを人の目で識別することは容易ではない.本研究では,地中レーダ画像をCNN(Convolutional Neural Network)に学習させて高精度な識別装置の構築を目指す.本発表では,まず,CNNの構造および処理メカニズムをできるだけ平易に時間をかけて説明する.続いて,CNNの処理メカニズムに基づき,地中レーダ画像の識別に適用する場合の留意点や,基本的な識別能力について報告する.
地中レーダでは地中に入射した電波の誘電率差で生じる反射波により地中物体を検出する技術であり,近年劣化が社会問題化している社会インフラのセンシングに有効な技術である.しかしながら,地中レーダ画像から物体の材質や大きさを識別することが課題であった.本稿では,地中レーダ画像からの物体識別の高精度化・高度化を目的に,ディープラーニングによる画像生成手法である敵対的生成ネットワークGANを用いた地中レーダ画像のクラッタ除去,超解像化,地中逆推定について述べる.
近年,家庭や職場など複数人が共有するスペースでの個人識別に注目が集まっている.現在はカメラ画像による識別が主流であるが,プライバシーの懸念が少ない電波による識別技術が複数報告されている.人体のレーダ測定では人体の運動によるマイクロドップラーが観測され,それを利用した呼吸による個人識別,心拍による個人識別,歩行運動を使った個人識別などが報告されている.本研究では,人体の着座運動を超広帯域レーダで測定し,多層畳込みニューラルネットワークによる個人識別を実現する.
われわれは最近、柔軟な省エネルギー情報処理を目指してスピン波リザバーコンピューティング・チップを提案した。これはチップとして極小化が可能であり、適応的な処理を行う「作りこまないチップ」である。また、主要処理部分でハード・ワイヤリングを行わない無配線チップでもあ。そして非常に多数の極小な非線形ニューロンが集積された集積回路ともいえる。本発表では、その基本的な考え方と、具体的な課題に対するその汎化能力を例示し議論する。
休 憩(14:55 再開) 座長 伊藤孝弘(名工大)
CS-2-8 |
スピン波を用いたリザバーコンピューティングデバイスにおける荷重の空間分布
○市村剛大・中根了昌・田中剛平・廣瀬 明(東大) |
CS-2-9 |
地中レーダ画像の物体識別における学習画像の改善とDCNNの特徴解析
◎浜野佑介・木本智幸(大分高専)・園田 潤(仙台高専)・辻 繁樹(大分高専) |
CS-2-10 |
3D-CNNを用いた地中レーダ画像の誘電率分類
◎津野 龍・木本智幸(大分高専)・園田 潤(仙台高専) |
CS-2-11 |
タイムドメインの位相情報と複素自己組織化マップを用いた三次元地中レーダにおけるターゲット分類
◎△下村颯志・廣瀬 明(東大) |
スピン波リザバーコンピューティングチップは、「作りこまない集積回路」である。そしてそれは、ニューラルネットワークの本質であるパターン情報表現・パターン情報処理をそのまま物理的に実現する初めてのチップである。今回、シミュレータ上でこのチップを用いてXORタスクの学習を行い、この際くまなく出力電極を配置することでチップ上の荷重の分布を調査した。このとき荷重の絶対値が大きい場所が有用な情報が得られる場所だといえる。このような方法によって判明したチップ上の有用な情報が得られる場所をもとに、適した場所に適した大きさの出力電極を配置することで、より性能の良いチップが作成できることが期待される。
地中レーダは地中に入射した電波の誘電率差で生じる反射波により地中物体を検出する技術であり,近年老朽化が問題となっている社会インフラのセンシングに有効である.しかし得られた地中レーダ画像から,地中物体の材質や大きさを識別することは容易ではない.そこで本研究では,ディープラーニングによる高度な地中レーダ画像の物体識別を目指す.学習画像にはFDTD法によるシミュレーションにより生成された画像を,Neural Style Transferで変換したものを用いる.さらに,線形SVMによりDCNN中間層の解析を行い,Neural Style Transferによる画像生成が有効であることを示す.
近年,社会インフラの老朽化が急速に進んでおり,維持管理のために地中レーダ装置が用いられている.地中レーダはインフラ内部を可視化できる点で優れているが,レーダ画像から物体を特定することが難しい.そこで,ディープラーニングを用いて地中レーダで得られた画像情報から物体の比誘電率を分類することを試みる. また,路面インフラの調査では,車に複数の地中レーダを取り付け,路面内の空洞を調査することがある.本研究では,この複数の地中レーダ画像を3次元データとして学習できる3D-CNN(3次元畳み込みニューラルネットワーク)で同時に扱うことで,識別精度の向上を狙う.
我々は時間領域での位相情報をCSOMを用いて適応的に処理する新しい三次元レーダを提案する。時間領域の位相情報はレーダセンシングの分野では、あまり重要視されてこなかった。我々は時間領域の振幅情報は散乱体の位置を示唆しており、時間領域の位相情報は散乱体の種類に依存するものだと考えている。このことから、我々は時間領域での位相情報が対象のクラスタリングに非常に有用であり位相情報を適応的に処理できるCSOMを用いてクラスタリングすることで三次元レーダにおける対象分類に成功した。