プログラム
format_list_bulleted基礎・境界ソサイエティ
一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
A-1. 回路とシステム
3月19日 9:00〜11:45 54号館 201教室 座長 山脇大造(日立)
A-1-1 |
インバータベースアンプを用いた低電源電圧CV変換回路
○成岡謙悟・小松 聡(東京電機大) |
A-1-2 |
光電気発振器からの周波数抽出機能を持つCMOS LNAの省面積実装の検討
○田仲顕至・三浦直樹・野坂秀之(NTT) |
A-1-3 |
光通信における波長分散のSPICEモデルについての検討
◎鷲見和紀・林 宏太・田中智孝・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大) |
A-1-4 |
アナログ波形等化回路によるPAM4符号光伝送長延化の一検討
○生田和也・田中智孝・中村 誠・伊藤大輔・鷲見和紀(岐阜大) |
A-1-5 |
MOSFETのためのディジタルアクティブゲートドライバに関する一検討
◎高山 創・奥田貴史・引原隆士(京大) |
A-1-6 |
マルチコイルモータの界磁電流制御の一検討
○梅澤克之・安田 彰(法政大) |
IoT化の時代を迎え、バッテリー問題や環境発電デバイスとの融合などを背景に、より低消費電力なセンサの需要が高まっている。本研究では、加速度などの物理量検知に多く用いられる容量型センサ向けの読み出し回路である、CV変換回路(静電容量-電圧変換回路)の低消費電力化を目指す。そこでCMOSインバータベースのアンプを用いる事に着目した。CMOSインバータはCMOS回路の最小単位の回路で、従来のアンプと比較して低電源電圧での動作に有利である。このCMOSインバータベースのアンプをスイッチトキャパシタ型CV変換回路に組込む事で、電源電圧0.7[V]の低電源電圧動作で変換周波数5kHzにおいて最小で390[nW]の低消費電力動作を達成した。
発振器から発生する周期信号の誤差が回路の誤作動の原因になることが知られている。そのため、高精度な発振器が検討されており、特に、パルスレーザを用いた光電気発振器は、その組み込み容易性から検討が進んでいる。本研究ではこのパルスレーザ型光電気発振器の専有面積を削減するために、大きな面積を占める周波数抽出回路の省面積実装を検討する。省面積実装にあたり、大きな面積を占める共振器を多層インダクタで置換する方法を示す。これを用いて省面積周波数抽出LNAを設計し、CMOSで実装した結果、極めて省面積でストップバンドとパスバンドのゲイン差が60 dB以上ある優れた周波数抽出性能が確認された。
光通信における受信器の回路設計には回路シミュレータSPICEが広く利用されているが、光の現象を扱うことが出来ないため、主要な波形劣化の要因である波長分散のモデルが提供されていない。
本稿では、波長分散による劣化波形に近い出力波形が得られる、光伝送路のSPICEモデルを提案する。
変調とレーザーダイオードの影響をそれぞれ個別にモデル化し、それらをカスケード接続することで、精度の良い波長分散のモデルを構築している。
これにより、波長分散を想定した回路設計が可能となる。
高速Ethernetにおいて、従来用いられてきたNRZ符号に加え、より大容量伝送が可能なPAM4符号が標準化に加えられている。長延化に伴う波長分散を補償するために、PAM4符号でも電気分散補償回路の適用が検討されているが、デジタル信号処理によるものは回路規模が大きいことが課題となっている。本稿では、小型且つ長距離通信可能なPAM4受信器の実現のため、CTLE (Continuous Time Linear Equalizer) 回路によるPAM4符号の波形等化の可能性を検討し、波形劣化量とピーキング量の関係を示した。その結果、伝送距離に対して適切なピーキング量の範囲が存在することが明らかとなった。
パワーMOSFET等の高速スイッチングにおいて, その過渡状態で発生するサージやリンギング等への対処が課題となっている. その解決策として, D/A変換回路の原理を応用したディジタルアクティブゲートドライバ(DAGD)を検討する. DAGDはディジタル信号入力によりゲート電圧波形を決定することができ, 遅延や変化速度等を容易に変更できる. また駆動デバイスや出力回路に対する汎用性も高いため, スナバ回路等にとって代わるものとなりうる. 本報告では回路の動作を確認した後, 10MHzのディジタル信号をDAGDに入力しMOSFETのターンオフ過渡におけるサージが抑制できることをシミュレーションにより示す.
コイルをマルチコイル化し、デジタル直接駆動方式を用いた界磁特性を実験・検証する。
休 憩(10:45 再開) 座長 岡崎秀晃(湘南工科大)
A-1-7 |
周期的強制外力によって駆動された振り子システムにおけるカオス的発振の高域周波数成分に関する一考察
○高田明雄・鈴木湧太・小松亮太(函館高専) |
A-1-8 |
2.4倍高速化可能なピッキングロボット向け階層グラフ型近傍探索を用いた物体姿勢推定
◎小菅敦丈・山本敬亮・赤峰幸徳・山脇大造・大島 俊(日立) |
A-1-9 |
Neural NetworkのFPGA実装における層の融合による低レンテンシ化
◎岡田尚也・山本 亮・小川吉大(三菱電機) |
A-1-10 |
マイクロ波センサ直交信号を用いたFPGAによるデータ取得時間短縮手法の検討
◎吉村侑恭・西口健太・井上敏之・土谷 亮・岸根桂路(滋賀県立大) |
周期的強制外力によって駆動された振り子システムにおけるカオス的振動のノイズ成分について考察した.この系は,パラメータの組み合わせによってカオス状態になり,得られるカオス的振動がホワイトノイズとなることが知られている.本研究では,これまで明らかにされていなかった高域周波数帯におけるノイズスペクトルの特徴について,力学系の等価回路に基づいて考察した.その結果,周波数の増加と共に著しくノイズ電圧のパワーが減少する原因として,RCの合成インピーダンスの低下が支配的であることがわかった.また,外力の周波数に等しい周波数に生じるスペクトルのピークはLC並列共振に由来すると説明できた.
労働力不足を背景に、ロボットによる人手作業自動化市場が急速に成長している。課題は3次元認識であり、認識演算時間が長いため人手よりも作業効率が低い。そこで本研究では特に自動ピッキング作業効率の向上に向け、リアルタイムな3次元高精度認識技術を開発した。演算時間の大部分を占めていた反復近傍点探索(ICP)演算を高速化するため、解像度の適応的設定技術、階層グラフ再利用型近傍点探索、及びそれを高速化するFPGAによるデータフロー型回路を開発した。本開発技術により、最新の研究成果と比較しICP演算を10倍高速化でき、ピッキング作業全体では2.4倍高速化される見込みを得た。
近年,Neural Networkを活用したAI機能をFPGAに実装し,組込み機器上でのAI処理のリアルタイム化の実現が進んでいる.FPGAにNeural Network処理を低レイテンシで実装するためのアーキテクチャとして,各層個別に回路を配置し,各層をパイプラインで並列に処理するアーキテクチャがある.ただし,各層回路には,積和演算機能の他,層間のデータ受け渡しを行うための制御機能が必要となる.この制御機能を積和演算機能と並列に実行して処理を隠蔽することが,低レイテンシ化におけるポイントとなる.本稿では,低レイテンシ化を実現するための各層回路のアーキテクチャを検討し,実装試行した結果について述べる.
近年, マイクロ波センサを用いた呼吸および心拍測定が注目されている.
呼吸・心拍測定にはセンサ信号を周波数解析する必要があるが,呼吸・心拍成分は低周波数信号であるため,周波数解析に必要なデータ取得時間が大きくなる.また,センサと測定対象との距離が一定の距離変化するごとに信号が0となる問題が発生する.
そこで本研究では直交検波機能を有するマイクロ波センサとFPGAを用い, 同時取得した直交出力信号を時間軸上でスライドさせて結合し,前述した問題の解決するシステムを開発した.
本システムを使用し,センサ信号を解析した結果,従来に比べ,同じ周波数分解能を半分のデータ取得時間で達成可能であることが確認された.
3月20日 9:00〜11:45 54号館 201教室 座長 中村洋平(日立)
A-1-11 |
シングルチャネルシステム実現に向けた周波数識別回路の検討
◎今城篤人・野口凌輔・井上敏之・土谷 亮・岸根桂路(滋賀県立大) |
A-1-12 |
FPGAを用いたPONシステムにおける下り信号対応プリエンファシス回路の提案
◎前川竜也・宇野暁仁・田中智孝・中村 誠・伊藤大輔・三輪祐三久(岐阜大) |
A-1-13 |
バースト信号対応電気分散補償回路における高速波形等化制御の検討
◎宇野暁仁・前川竜也・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大) |
A-1-14 |
伝送零点を任意に有するRiCRフィルタの一構成法とその能動実現
◎荒木恒星・藤井達哉・庄野和宏(筑波大) |
A-1-15 |
利得誤差を持つCCIIで実現された複素係数フィルタの解析と補償
◎藤井達哉・庄野和宏(筑波大) |
光通信システムの中継・終端装置では、伝送信号の特性変化があり、それに応じた回路の制御が求められる。従来、中継・終端装置では、制御回路分のケーブル数が必要であり、これによる回路規模の増大が問題であった。そこで、我々は無線を用いることで中継・終端装置の小型化を目指している。本システムは無線おけるキャリア信号の周波数を制御値としてポート制御を実現するため、キャリア信号の周波数を識別する回路が必要である。そこで、本研究では、システム要件を考慮した周波数波識別回路の検討を行った。周波数識別時間の観点に着目し、従来の回路と比べ優れた応答性をもつ回路を考案した。FPGAを用いて動作検証を行った結果、周波数識別の応答性に優れた周波数識別動作が確認できた。
光アクセスネットワークでは1対多通信を実現するPONシステムが普及しており,更なる利用範囲拡大のため長距離化が求められている.ユーザーと収容局間の伝送距離の長延化に伴い,光ファイバ内で波長分散が生じ,隣接した符号間の干渉により受信特性が劣化する.受信特性の劣化を低減するには送信側で劣化分を補償するプリエンファシス回路が有効である.しかしユーザー毎に異なる波長分散に対応するため,エンファシス量(波形の強調度合い)を適応的に高速制御することが困難であった.本稿では,FPGAを用いたPONシステムにおける下り信号対応プリエンファシス回路の提案を行ったので報告する.
PONシステムの高速・長延化に伴う波形劣化を補償するため、高速応答可能なフィードフォワード制御型EDCが提案されているが、複雑な特性を有する重み付けの最適出力値を表現することができなかった。上述の課題を解決した高速な重み付け値制御回路を実現するため、メモリを用いた回路を考案した。この回路はメモリと照合させるだけで波形モニタ回路の検出値に対して最適な重み付け値を決定できるため、高速性を損なうことなく、複雑な特性を有する重み付けを行うことができる。提案回路をFPGAで実装し、入出力応答を確認したところ、理想値と実測値と誤差2%以下であり、GE-PONの規格内で高速動作することが確認できた。
これまでに、ELHT法及び等価変換を用いた複素RiCRフィルタの構成法が提案されている。しかしながら、既存の手法で得られた回路は素子数の削減のため、伝送零点を直流に固定していた。本稿では、任意の周波数に伝送零点を有する複素RiCRフィルタの一構成法及び少数の能動素子によるその実現法を提案している。
提案手法に基づき設計された回路は、従来回路よりも設計自由度が高いにもかかわらず、構成に必要となる能動素子の数は従来回路と等しくなる。
設計例として、2次の複素チェビシェフフィルタを構成し、提案手法の有効性を計算機シミュレーションで確認している。
近年,直流に対し非対称な周波数特性を有する複素係数フィルタ(以下 , 複素フィルタ)の研究が行われている.複素フィルタは,無線送受信機器の小型化や省電力化に貢献できる回路技術である.複素フィルタの中でも,広いダイナミックレンジや帯域幅を実現可能な能動素子であるCCIIを用いた複素フィルタが提案されている.
本稿では CCII の電圧利得の誤差が,これを用いて実現されたインピーダンス変換器の伝達特性に及ぼす影響を解析し,その補償法を提案する.提案手法の有効性は計算機シミュレーションにより確認している.
休 憩(10:30 再開) 座長 山口 基(ルネサスエレクトロニクス)
A-1-16 |
制御ゲインに摂動を受けるマルチエージェントシステムに対するフォーメーション制御系の構成法
◎宮越一輝・大屋英稔・星 義克(東京都市大) |
A-1-17 |
リーダー・フォロワー構造を用いたマルチエージェントシステムにおけるフォーメーション制御系構成
◎伊藤 駿・大屋英稔・星 義克(東京都市大) |
A-1-18 |
ロボットアームを用いたCFRP形成用3Dプリンタの検討
○佐々木菜緒・山脇正雄(呉高専) |
A-1-19 |
形状記憶合金アクチュエータの高出力化と駆動エネルギーの低減を両立する駆動方法の提案と実証
◎福留 環・新山龍馬・桜井貴康・高宮 真(東大) |
A-1-20 |
センサフィードバックの統合が可能な周波数選択性電力バスによる多数アクチュエータの独立駆動システム
◎西澤勇輝・笹谷拓也・成末義哲・川原圭博(東大) |
複数の自律した移動体(エージェント)がフォーメーションを組むことによって,単独では困難なタスクを効率的に達成できるため,エージェント群が互いの相対位置を制御するフォーメーション制御に関する研究が盛んに行われている。
本稿では,リーダ・フォロワ設定下の均一ダイナミクスのマルチエージェントシステムに対して合意問題を考え,制御ゲインに不確かさが存在する状況においてもフォーメーション形成を達成するロバスト制御系の構成法を考える.更に,ロバスト性の確保に加え適当なレベルのパフォーマンスを確保するために,線形行列不等式(LMI)に基づいた最適二次コスト保証制御系の構成法を提案する。
大規模化が進むシステムに対して効率化をはかる手法の一つに,複数の自律システム(エージェント)を協調動作させるマルチエージェントシステムがある.特に,各エージェントの状態量を一致するように制御を行う合意問題に関する研究が盛んである.
本研究では,リーダーフォロワー構造を有するマルチエージェントシステムに対して,リーダーと各フォロワー間の目標相対位置を考慮したフォーメーション制御系(合意形成)の構成法を提案する.また,各フォロワーが他フォロワーの相対位置に関する情報を正確に得られない場合を考える.
提案した制御系の存在条件は線形行列不等式(LMI)の可解性に帰着されるため,設計が容易である特長がある.
CFRPの強度の高い成型を実現するためには,繊維配向を組み合わせるような複雑な動作が可能な3Dプリンタが必要である.本研究は6軸ロボットアームと回転テーブルを組み合わせた7軸3Dプリンタを開発し,繊維配向を自由に組み合わせた立体造形を実現することを目的とする.FDM方式の7軸3Dプリンタを開発し単純な立体造形の動作を検証した.検証の結果,座標データに従って造形されていることを確認した.また,射出された材料の定着が悪く,引きずられる問題が発生した.今後,距離センサの導入と,CFRPの特性を反映した造形を行うための動作条件を追加することを検討する.
超小型・軽量のジャンプロボットにおいて収縮したバネを解放させるトリガ機構に用いられる形状記憶合金(Shape Memory Alloy (SMA))アクチュエータに着目した。SMAアクチュエータは小型・軽量で重量比出力が高いという特徴を持つ。ロボットの軽量化と高いジャンプ力を両立させるためには、駆動エネルギーの低減とアクチュエータの高出力化を同時に実現する必要がある。本稿ではこれを実現する高電圧短パルス駆動方法を提案する。従来に比べてパルス振幅を約7倍、パルス幅を0.7%にすることで、変位一定条件下での最大発生力が72倍に、入力電気エネルギーが33%になることを実測により確認した。
小型ロボットにおいて、ケーブルの本数は自由なロボットの設計製作において妨げとなる。小さな面積に多くのアクチュエータを搭載したロボットにおいて、ケーブルの数は大きな問題となっていた。我々は、周波数多重化を用いた電力バスによる駆動方式を提唱している。この方式では、各アクチュエータ側で特定の周波数信号のみを取り出すことで多数のアクチュエータを1つの電力バスによって独立に制御可能である。本稿では、さらに受電側で負荷変調を用いることで、1つの電力バスによって電力供給と制御に加えてセンシングを実現する方式を提案する。実際に回路を作成し、一つの電力バスによって複数のセンサ情報を同時にセンシング可能であることを確認した。
A-2. 情報理論
3月22日 10:30〜11:45 53号館 201教室 座長 野村 亮(専修大)
A-2-1 |
RSA暗号の小学4年生から大人までへの実演例 −都城高専おもしろ科学フェスティバルにおいて−
○中村博文(都城高専) |
A-2-2 |
送信機がエナジーハーベストを行う場合の多重アクセス通信路の通信路容量域
◎田中佑佳・松田哲直・植松友彦(東工大) |
A-2-3 |
2元入力出力対称通信路におけるキャパシティーエナジー関数の導出
○李 白・植松友彦・松田哲直(東工大) |
A-2-4 |
ゆらぎの定理による確率過程のパラメータ推定手法
◎土井彬史・長谷川禎彦(東大) |
A-2-5 |
2次元消失モデルにおけるProgressive Edge-Growthアルゴリズムを用いた非正則LDPC符号の構成法
◎鈴木優太朗・柴田 凌・細谷 剛・八嶋弘幸(東京理科大) |
本報告は,新しい技術的知見の報告ではなく,科学イベントで児童生徒の理数系への興味の一助となるようにと考えた一取り組み例の報告である.
小中学生が主対象の標記イベントの平成30年度に,家族や高大生も対象として,RSA暗号を題材に実施した:(1)余りが分かる小学4年以上が対象.(2)証明と鍵作成は省くが,例示で,RSA暗号の復号までの流れと,暗号として使える理由は,きちんと触れる.(3)用語は,暗号,解読,かけ算,わり算,余り,RSA暗号まで.素数,素因数分解,何乗は不使用.(4)出展タイトルを「余り計算で分かる映画『サマーウォーズ』の暗号」とし,参照は引用で済む範囲にするが,参加者の期待を裏切らないよう作品との関連にも触れる.
容量が有限のバッテリーを持つ複数個の送信機が、一般のエネルギー到来過程から電力を収穫しながら情報を送信し、1個の受信機がそれを受信して送信メッセージに復号する多重アクセス通信路について考える。ここで、各送信機が送信時に消費するエネルギー量は、各時刻におけるバッテリー内のエネルギー量以下である必要がある。この多重アクセス通信路において、通信路容量域と呼ばれる、任意に小さい誤り確率で送受信できるメッセージの1送信記号あたりのビット数の領域を求めている。この容量域を求めるために、エネルギー到来過程と通信路をまとめて簡略化した等価な通信路を考え、等価な通信路での容量域を求めることで、元の通信路での容量域を求めている。
情報とエネルギーを電波で同時に伝送することはバッテリー交換の難しいモバイルデバイスの再充電に有用である.Varshneyは単位時間あたりに伝送できる最大エネルギーと送信メッセージの最大ビット数のトレードオフを表すキャパシティーエナジー関数を定義し、2元対称通信路、Z-通信路ならびにAWGN通信路におけるキャパシティーエナジー関数を求めた.小文では、これまでにキャパシティーエナジー関数が求められていなかった2元入力出力対称通信路について閉じたキャパシティーエナジー関数を求めている.
近年,微小系を対象とした確率熱力学は研究の幅を広げており, 熱力学特徴量の確率分布への制約条件であるゆらぎの定理の発見も一つの重要な成果である.本稿では,マルコフ連鎖モデルに対して,このゆらぎの定理を用いたパラメータ推定手法を提案し,実際にトイモデルでこの手法が利用可能であることを示す.
2次元消失モデルに適したTwo-Dimensional Low-Density Parity Check (2D-LDPC) 符号を用いる手法が研究されている.しかし,ランダムに符号を構成することにより,短いループが発生し,復号性能が劣化する要因となる.また,短いループを考慮したLDPC符号の構成法として,Progressive Edge-Growth (PEG) アルゴリズムが研究されている.本研究では,PEGアルゴリズムを2次元消失モデルに適応させた2D-PEGアルゴリズムを提案し,シミュレーションにより評価する.
A-3. 信頼性
3月20日 9:00〜10:00 53号館 104教室 座長 弓削哲史(防衛大)
A-3-1 |
差動伝送線路の潜在故障検知技術に関する基礎検討;(1) 同相信号による簡易検出技術
○波木井勇次・白石直之・寺山 肇・加藤孝弘・田中信吾・村上和宏(矢崎総業) |
A-3-2 |
差動伝送線路の潜在故障検知技術に関する基礎検討―(2)共振特性を利用した簡易診断技術―
○加藤孝弘・波木井勇次・白石直之・寺山 肇・田中信吾・村上和宏(矢崎総業) |
A-3-3 |
適応反復フレーム送信のための伝送路状態推定技術の比較
○伊東俊治・長谷川洋平・小野善将・有川 学(NEC) |
A-3-4 |
IoTシステム長期運用のためのRaspberry Pi稼働時間の調査
○天野真裕(仙台高専)・丸田哲郎(泰興物産)・水戸慎一郎(東京高専)・小林秀幸(仙台高専) |
伝送線路の状態を常時監視・把握し、許容出来ない通信エラーに発展する予兆を捕えられれば、冗長系への切替えや動的ネットワークの再構築を事前に計画可能となる。しかし、常時監視を行うためには通信中での実現が必要であるため、専用の診断信号を用いた計測は行えない。そこで我々は、通信信号波形の変化から伝送線路の状態を検知する方法を検討してきた。波形を直接監視する方法では解析負荷が重くなり使い難かったが、今回検討した同相信号による方法では、信号処理や解析負荷の軽い方式で診断が可能となった。但し当該方式では対応出来ない伝送路の状態も見つかり、今後の課題へと繋がった。
これまで我々は,通信信号の統計的解析あるいは伝送モードの変化を通して伝送線路の状態を検知する方法を検討してきた.しかし,これらの方法は伝送線路の撚り解けの検知が難しい問題があった.今回撚り解け検知を狙い,伝送線路の共振特性に着目した故障検知技術を検討し,撚り解け不具合に関して伝送線路の共振特性を利用することで検知できることをシミュレーションの観点から明らかにした.
大気中伝搬を伴う光空間通信において、良好な伝送路状態における高速通信性と、不良な状態における接続耐性とを連続的に切り替え可能とする手段として適応反復フレーム送信(ADFR)の適用を提案している。伝送路のフェード状態を受信側で検出する手法として、符号誤り訂正回路(FEC)モニタの利用と、フレーム/パケットの到着情報からの算出、の2つを比較検討した。両方式の得失比較の結果と、符号誤り訂正回路(FEC)モニタの機能試作結果を報告する。
製造現場においてセンサを用い,製造装置の消費電流や表面温度等の物理量を測定することで,稼働中の製造装置の状態を把握することが可能である.
そのため,稼働状況を管理することで,製造装置の異常の発見や生産効率の向上に役立てることに繋がる.
その際,物理量の測定が長期間に渡り必要であり,物理量を測定するシステムには高い信頼性が求められる.
しかし,Raspberry PiはSDカードを2次記憶として用いており,寿命が問題となっている.
そこで,本研究では,複数台のRaspberry Piを用い,システムの冗長化を行うことで信頼性の向上を図る.
そのために,SDカードの書き込み回数の上限を確認し,Raspberry Piを1台でシステムを運用した場合の運用可能な期間を考察する.
A-4. 超音波
3月20日 10:00〜11:30 53号館 403教室 座長 土屋健伸(神奈川大)
A-4-1 |
高強度空中超音波による容器内微量液体の非接触撹拌
○大隅 歩・上田 颯・伊藤洋一(日大) |
A-4-2 |
非圧電基板上への高強度弾性表面波の励振
○中村健太郎・Ce Sun(東工大)・長澤 勇・友枝 優・上田朋久(SUBARU) |
A-4-3 |
共振周波数比法を用いた基板付き薄膜共振子の電極付きkeff2の抽出
◎龍見亮汰・戸塚 誠・柳谷隆彦(早大) |
A-4-4 |
Al金属ターゲットへのSc埋め込みの有無によるScAlN薄膜音響共振子の結晶化度の違いと圧電特性
◎木原流唯(早大)・高柳真司(名工大)・柳谷隆彦(早大) |
A-4-5 |
パネル取り付け型インサートナット固定状態の超音波検査方法
○原 六蔵・木村友則・井幡光詞・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機) |
A-4-6 |
超音波照射によるサツマイモ成長促進の要因検討 ~電気特性への影響~
○井幡光詞・原 六蔵・木村友則・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機) |
化学分析において希少なサンプルは高価な場合が多く,コストの面からも微小液量での分析が求められている.一般的に,分析システムには反応容器を振とうさせ撹拌させるプロセスが組み込まれているが,液量が少ないほど,流動が起こりにくくなり,撹拌が難しくなる.これを解決する一方法として,強力空中超音波を利用して容器外から容器内の微小液体を非接触で撹拌する新たな方法を提案し,研究を行っている.
自動車フロントガラス内側に着けたカメラの視界を確保するため、弾性表面波をガラス表面に励振するためのくさび型トランスデューサについて実験的に検討した。超音波周波数をMHz帯に選び、減衰の少ないPPS材料をくさびに用いることで、水滴を動かす強力な弾性表面波の励振に成功した。
圧電薄膜のデバイスの性能は実行的電気機械結合定数によって決定づけられる。性能向上にはSc等をドーピングし、圧電薄膜の電気機械結合定数を増加させる方法や、重い電極を用いて圧電薄膜内に占める音響エネルギーを大きくする方法がある。後者はRuやMoなどの重い電極を用いることで6%から7%までを増加させることができる。
デバイスの実行的電気機械結合定数の測定は基板なし薄膜共振子(FBAR)構造を作製し、IEEE standardの共振反共振法を用いることが一般的である。しかし、基板付き薄膜共振子(HBAR)構造のまま実行的電気機械結合定数の測定ができれば、生産性の観点から効率が良い。
そこで、基板付き薄膜共振子に共振周波数比法を応用し、基板付き薄膜共振子のままデバイスのの予測する方法の検証を行った。
近年、数多くの無線デバイスの普及に伴って、周波数フィルタの需要が高まっている。スマートフォン用の周波数フィルタとしてAlN圧電薄膜を用いたBAW(Bulk Acoustic Wave)フィルタが実用化されている。AlNにScをドープすることで圧電性が大幅に向上することが報告されている。広帯域化が可能となるため、ScAlN薄膜をBAWフィルタに応用する研究が広く行われている。Scは酸化しやすく不純物を含んでいるので、Scから基板に照射される酸素などの負イオンが結晶性の劣化を引き起こすことが報告されている。Sc粒をAl金属円板の上に置いたターゲット(Sc粒置き)では、Scの塊から粒を切り出す時に酸化しやすいことと、Al金属円板の下のスパッタガンに循環している冷却水の効果がSc粒まで届きにくく、成膜中にSc粒が高温になることで高エネルギーO⁻が生じたり、不純物炭素が窒化したCN⁻が基板に照射されて結晶性が劣化する可能性がある。そこで本研究では、Sc粒をAl金属円板ターゲットに埋め込むことでSc粒の冷却を促し、負イオンの照射を抑制しようと試みた。
建材などのパネル材料にネジ止めを行う際,パネルにインサートナットを埋め込むことがある.インサートナットでボルト固定を容易にする一方で,インサートナット自体がパネルに十分な強度で固定されている必要がある.
本発表では,パネル貫通型の金属製インサートナットを対象とし,パネルとインサートの固定状態を超音波で検査する方法を示す.
近年、食の安全・安心への志向の高まりや頻発する天候不順、異常気象等の影響により、安全・安心な植物を安定供給できる植物工場が注目されているが、運用コストが莫大となる課題がある。このため、植物の栽培期間を短くすることができれば、運用コスト削減が実現できると考えられる。これまでに、超音波照射によりサツマイモの成長が促進されることを確認したが、その要因については不明な点が多い。本報告では、成長促進の要因検討のため、サツマイモの電気特性に着目し、超音波照射がサツマイモの反射特性に与える影響を検討した。その結果、超音波照射により、反射損失の変動量が大きくなることがわかった。
3月20日 13:00〜15:45 53号館 403教室 座長 中村健太郎(東工大)
A-4-7 |
Webカメラ映像の矩形領域分割による葉の固有振動数解析と植物の水ストレス推定
○佐野元昭・内川千春・大平武征・白川貴志・中川 裕・杉本恒美(桐蔭横浜大) |
A-4-8 |
水で飽和した海綿骨で発生する圧電信号の観測
○細川 篤(明石高専)・壁下育弥(奈良先端大) |
A-4-9 |
堅牢ハイドロホンのセンサヘッド構造の提案
◎貝瀬不二丸(桐蔭横浜大)・椎葉倫久(日本医療科学大)・森下武志(桐蔭横浜大)・岡田長也(本多電子)・黒澤 実(東工大)・竹内真一(桐蔭横浜大) |
A-4-10 |
共振周波数比動的制御手法を用いた台形波形圧力波照射によるキャビテーション気泡生成の高効率化
◎横澤宏紀・森田 剛(東大) |
A-4-11 |
キャビテーション下でのFOPHによる取得音圧の精度評価
○竹内 聡・佐藤成将・市川将稔・小池義和(芝浦工大) |
植物の水ストレスの感度よい推定法として、我々は、葉の固有振動数の日周変化に着目している。葉の固有振動数の計測にハイスピードカメラ等を使用した場合、葉の振動を追尾するための特徴点を決定し、相関追尾を行う必要があるが、これを自動化することは困難である。そこで、それに代わる方法として、汎用のWebカメラ映像を矩形領域に分割し、その各領域内の平均画素値の時間変化を測定しフーリエ解析することにより、相関追尾を行わずに葉の固有振動数の日周変化を調べ、それにより植物の水ストレス推定を試みた。
骨生成には骨の圧電性が関係すると考えられており,効果的な骨生成を行うためには超音波照射時における骨の圧電特性の解明が重要となり得る.著者らは,海綿骨試料を圧電素子とみなした超音波センサ「圧電セル」によって,超音波照射時に海綿骨で発生する圧電信号の観測を行っている.以前の研究では間隙中を空気で飽和した海綿骨試料における観測を行ったが、本研究では水で飽和した海綿骨における観測を行った.その結果,水で飽和した海綿骨においても圧電信号が発生し,空気で飽和した海綿骨で発生する圧電信号よりも振幅が大きくなることが示された.これは,海綿骨の間隙流体中を伝搬する低速波が関係すると考えられる.
当研究グループは超音波医療の安全性を確保するためや超音波洗浄機の性能の標準化を行うために,チタン製前面板裏面に水熱合成チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)多結晶膜を成膜し,高強度超音波に曝露しても破損せずに測定が可能な堅牢性を有したハイドロホンの開発を行ってきた。しかし、これまでに開発してきた堅牢ハイドロホンを高強度超音波に曝露すると、音響キャビテーションの影響によって15 時間で前面板が貫通し、測定不可能となった。そこで、前面板の構造を検討し、音響キャビテーションの影響を軽減できるようなセンサヘッドを有した堅牢ハイドロホンを開発した。
超音波デバイスには,周波数比1:2の正弦振動の重ね合わせによって励振される,ノコギリ波形や台形波形の振動を駆動原理として用いるものがある.このような振動の重ね合わせを共振駆動により実現するためには振動子の共振周波数比制御が必要であるが,振動子駆動時には圧電振動の非線形効果や境界条件の変化により,設計した共振周波数が変化してしまう.
これを踏まえ本研究では,振動子中に設けた共振周波数制御用の圧電部のスティフネスを電気的境界条件の制御することで,この比を制御し重ね合わせる二つの振動双方を共振振動とすることができた.また本制御手法によりキャビテーション気泡の効率的な発生を実証した.
筆者らは、キャビテーション下で超音波周波数の絶対音圧を測定するために、反射型の光ファイバプローブハイドロホン(FOPH: Fiber Optic Probe Hydrophone)を用いることを試みている[1]。FOPHは高周波数において既存のハイドロホンと比べて同程度の精度で測定が可能である。これに対してFOPHを用いた400kHz以下の低周波数での音圧測定結果の報告例は少ない。FOPHは端面の音圧による屈折率変化を用いるため、キャビテーション気泡の発生が出力音圧に大きな影響を与えることが想定される。
本報告では、可能な限りノイズ低減を行ったFOPHシステムを作製し、これを用いて取得した信号波形に含まれる歪の要因について検討し、キャビテーション環境下での測定精度について検討した。
休 憩(14:30 再開) 座長 竹内真一(桐蔭横浜大)
A-4-12 |
音響放射力によるチキソトロピーゲルの形状制御
増田憲太郎・○小山大介・松川真美(同志社大) |
A-4-13 |
45kHz超音波センサアレイシステムの構築と障害物位置推定手法の実験的評価
◎西尾太斗(名大)・辻井明日香・笠島 崇(日本特殊陶業)・羽多野裕之・山里敬也(名大) |
A-4-14 |
特異値分解を用いた心臓壁の速度伝搬計測に関する基礎検討
◎茂澄倫也・長岡 亮・長谷川英之(富山大) |
A-4-15 |
超音波を用いた電気配線の溶融痕の判別に関する研究
○橘 一行(兵庫県警)・細川 篤(明石高専) |
A-4-16 |
超音波によるリモートエネルギー伝送
◎松田僚太・門前裕樹・小池正記(広島工大) |
本論文では,将来的な可変焦点光学レンズへの応用を目指し,超音波の放射力によってチキソトロピー性流体の形状を変化させ,その後超音波駆動することなく変形を維持する手法を提案した.超音波振動子,ガラス基板,チキソトロピーゲルで構成される超音波デバイスを作製し,ゲルの変形形状を測定した.デバイスを共振周波数で駆動すると,ガラス基板にたわみ振動が励振され,ゲル表面に音響放射力が働くことによりゲルは変形した.超音波駆動を止めた場合,ゲルの変位は時間的に減少するが,最大変位の50%を維持することがわかった.
自動運転技術の発展に伴い,車両周辺における障害物検出の必要性が増している.超音波センサは安価で簡易的であり,障害物検出に有用なセンサである.しかし,超音波センサは検出距離が短いという欠点を持つ.本稿では,超音波センサをアレイ化することで検出距離を伸長し,近距離・広範囲に存在する複数障害物の位置を推定する超音波センサアレイシステムについて述べる.また,試作機を作製し,静止環境における位置推定の実験を行った.実験では検出距離の伸長と複数障害物の位置推定が可能であることを確認した.
近年,高い時間分解能を有する高速超音波イメージングを用いることで,心筋の電気的興奮に伴って生じる機械的な波をイメージングする研究がなされ,心筋の異常な部位を早期検出するための手法として期待される.本報告では心筋の収縮伝搬の可視化のため,高速イメージングにより取得されたヒト心臓からの超音波エコー信号に対し特異値分解フィルタを適用することで,心害組織からの不要エコー信号の低減を試みた.フィルタを適用することにより,中隔壁位置における心筋収縮伝搬に対応した壁速度を捉えられることが確認できた.
電気配線の短絡によって銅が溶融することで生じた「電気的溶融痕」と火災熱によって銅が溶融することで生じた「熱溶融痕」を判別することは,火災原因の調査において非常に重要である.溶融痕の外観上の特徴から判別が困難な場合は,内部の状態から判別するが,溶融痕を削りその断面を観察する必要があり,証拠物である溶融痕の破壊を伴うという問題点がある.本研究ではこれらの溶融痕を非破壊で判別するために,超音波を用いる方法を検討した.溶融痕中を伝搬した超音波の波形を観測し,観測波形から伝搬速度を導出した.その結果,熱溶融痕より電気的溶融痕の方が,超音波の伝搬速度が遅いことが判明した.
近年,ワイヤレス給電の研究開発が加速され,家電製品などに取り入れられてきた.しかし,その給電方式は給電側と受信側の距離がほぼゼロでないと電力伝送が不可能である.そこで,ある程度の距離があってもエネルギー伝送の可能な圧電効果を利用した,超音波を用いたエネルギー伝送について評価検討を行った.測定内容は送信側超音波素子に高電圧パワーアンプを接続し,受信側超音波素子を適当な位置に設置した.それぞれ送信側,受信側超音波素子の出力波形の測定を行った.受信側の抵抗,超音波素子の個数や距離を変化させて,ファンクションジェネレータより波形や周波数を変更し,より高いエネルギー伝送が可能なパラメータの測定を行った.
A-5. 応用音響
3月22日 13:00〜15:30 53号館 404教室 座長 及川靖広(早大)
A-5-1 |
刺激の提示順序が移動音像の印象に与える影響の調査
◎倉林実可・武藤憲司(芝浦工大) |
A-5-2 |
CNNによる船舶航行音検知における接近音の学習法についての検討
武藤憲司・◎山口晴己(芝浦工大) |
A-5-3 |
DSPによる船舶航行模擬音の適応騒音制御の検討
武藤憲司・◎深津遼貴(芝浦工大) |
A-5-4 |
過大電圧時におけるスピーカ振幅の適応的制御に関する検討
○細谷耕佑・平野 仁・木村 勝(三菱電機) |
A-5-5 |
往復駆動可能な搬送設備向け音診断におけるノイズ低減手法
○寺島英明・阿部芳春(三菱電機)・熊谷誠一・志賀 諭(三菱電機ビルテクノサービス)・塚原 整(三菱電機) |
本研究の目的は、仮想現実環境を用いた防災訓練システムにおいて、簡易的な装置で臨場感の高い音場を与えるシステムの構築である。本報告では、跳躍的に移動する音と連続的に移動する映像の整合度を評価する際、刺激の提示順が評価値に与える影響の調査結果を示す。実験は2種類の刺激を比較し、音と映像の動きについて7段階で評価する。すべての組について実験した後、提示順を入れ替えて再度評価を行った。実験結果を一対比較法のうち1人の被験者が全ての刺激対を比較し、かつ順序効果を算出可能な浦の変法で分析したとき順序効果について有意差が得られた。これより刺激の提示順序は整合度の評価値に影響を与えると考えられる。
ある運河では船舶の航行音によって運河沿いの周辺住民へ騒音被害を及ぼしている.本研究の目的は船舶接近通知システムのための音による航行検知である.手法として音情報をスペクトログラム画像化し,CNNによって船の音を学習し検出する方法をとった.学習分析における検出精度向上のために,航行音の特徴をうまくスペクトログラムに提示する必要があり,本報告ではスペクトログラムに提示する航行音の分析時間長について検討した.検討した結果,航行音の分析時間が5秒のとき,演算処理量と分析正解率より,報知システムを構築する上で,最適な提示時間長であったことを報告する.
船舶航行音が運河沿いに立ち並ぶ住宅や会社に騒音の影響を与えている.そこで本研究では船舶航行音を適応騒音制御し室内空間を静音化するシステムの構築を行っている.船舶航行音は,低い周波数が主で卓越周波数が長時間持続することから適応騒音制御の有効性を考え,IIR型適応フィルタを利用した.船舶航行音に適応するフィルタ構築として,本報告では,船舶航行音の模擬音を用いて,DSPシミュレーションによるIIR型適応フィルタを用いた騒音制御をし,低い周波数に対して音圧レベルの低減と卓越周波数に対するIIR型適応フィルタの有用性を示す.
スピーカが本来持つ低音再生能力を最大限に活用することを目的に,入力信号からスピーカ振動板の変位幅をリアルタイムで推定し,音割れが発生する過大振幅時のみ低音抑圧処理を施すスピーカ振動板制御方式を提案する.また,シミュレーションにより,提案方式の有効性を示す.
筆者らはエスカレーターを含む,往復駆動する搬送設備での音診断に適用可能なノイズ低減手法を開発している.搬送設備での音診断では音センサを常設する方法の他,音センサを含む可搬型装置を診断の都度設置する方法がある.後者では搬送設備の保守点検時に他作業と併せて診断を実施することがあるため,データ収録時間が限られる可能性がある.そこでデータ収録時間が短時間となった場合でも,収録データのノイズを低減できる手法を検討した.
休 憩(14:30 再開) 座長 武藤憲司(芝浦工大)
A-5-6 |
一般化相互相関関数と主成分分析を用いた話者の頭部方向推定
○吉田智晴・辻本聖也・浅野 太(工学院大) |
A-5-7 |
空中超音波センシングにおける反射波の光学的可視化計測
◎大久保萌香・石川憲治・及川靖広(早大)・鈴木陽平・石田翔也・松浦充保(SOKEN)・神谷康孝(デンソー) |
A-5-8 |
マハラノビス汎距離を用いたMIDI鍵盤演奏の押鍵時間評価法の研究
○滝口侑弥・臼杵 潤(神奈川工科大) |
A-5-9 |
安全な運転環境のための車両内サイン音
◎神薗善規・尾上孝雄・小林 亙(阪大)・佐々木高秀(スタビリティ)・岡本大介(作曲家)・柴田英隆(パワーハウス) |
本研究では、入力チャネル数や、演算量が少なく、家庭用の応用に向いていると思われる、頭部方向推定の手法と、主成分分析を組み合わせ、複数の発話者の識別と顔向き推定を行う手法を提案する。主成分分析を用いることにより、主に初期反射に含まれる話者の立ち位置や顔向き推定に有効な成分を抽出し、推定の妨げとなる残響成分を部分的にではあるが除去することが可能となることが示されている。また、従来の研究では発音源としてラウドスピーカを用いていたが、本研究では、実際の話者を用い、家庭と同程度の容積の部屋において評価実験を行うことにより、提案法が用いられることが想定される環境に近い状況を再現し、評価を行う。
空中超音波センサは超音波を発信し受信することで物体検知を行うものであり,特に自動車分野では事故防止や駐車支援に用いられている.駐車場において駐車車両や車止めなど複雑な形状のものが多く存在するため,複雑な形状に対する反射波の空間的な様子を理解する必要がある.しかし,マイクロホンによる計測は計測器自体が音場内にあることで超音波の反射音場が乱され,正確な計測を行うことが困難である.そこで本研究では光学的非接触音場計測技術を用いて超音波の反射波の可視化計測を行った.それにより車止めに対する超音波の反射は複数の反射波が干渉していることが視覚的に理解できた.
近年,楽器を趣味で演奏練習する人が増えている.そして楽器演奏の上達には先生から教えを請うことが大切であるが,その間の個人練習とその継続も欠かせない.そこで,この個人練習を支援する研究が進められている.この一環として,本研究ではマハラノビスの汎距離を導入し,演奏のバラツキを考慮したうえで楽譜通りの押鍵時間で演奏できているかどうかを評価する方法について検討した.ここでは音符の種類別に群に分け,正しい群分けができる演奏になっているかどうかを評価する.これについて実験したところ,音符群の正しさ,各群のバラツキの程度,他の音符群との違いなどを評価できたことから,本研究の提案手法は有効であると考える.
自動車運転の安全性の確保のために,運転中の環境を聴覚情報として伝えるのがサイン音である。しかし現行車両のサイン音の音色は単調に感じられ,様々な環境情報を伝えるためには改善の余地があるように思われる。特に自動車の機能の発展とともに運転者に対して伝えたい情報が増えてきている現状にある。そこで新しいサイン音を制作のもと,現行車両のサイン音と共にアンケートを用いてサイン音の改善可能性を探る主観評価比較実験を行った結果について報告する。
A-6. VLSI設計技術
3月19日 9:30〜11:30 54号館 202教室 座長 尾崎 靖(ルネサスエレクトロニクス)
A-6-1 |
ミュータント生成に基づく LLVM バックエンドの最適化性能テストにおけるエラー判定の強化
◎神田諭志・石浦菜岐佐(関西学院大)・西村啓成・福井昭也(ルネサスエレクトロニクス) |
A-6-2 |
Cプログラムにおけるハードウエア化対象関数の判断手法
○輕部文利・立見駿介・岡田尚也・山本 亮・小川吉大(三菱電機)・Abraham Goldsmith・Rien Quirynen(Mitsubishi Electric Research Labs.) |
A-6-3 |
関数を節に持つデータフローグラフの生成検討
◎立見駿介・輕部文利・小川吉大(三菱電機) |
コンパイラ基盤 LLVM では, 機械依存のバックエンド (LLC) を開発すれば新しいプロセッサ用のコンパイラを作成できるが, その際にはバックエンドのテストが重要となる. 田中らは LLC に対するテストプログラムからミュータントを生成することによってテストを強化する手法を提案している. この手法では, 生成されるアセンブリのコスト比較によりエラー判定を行っているが, 生成される命令の型等の微妙な相違は検出できなかった. 本稿では, LLVM のテストスイートで用いられている命令パターンの検査を併用することによってエラー判定を強化する手法を提案する.
デジタル機器や通信機器など、特定の用途に特化した組み込み機器の開発が盛んになっている。組み込み機器はソフトウエアとハードウエアから構成されることがほとんどで、目標性能、コストなどを満たすために、それらへの機能の割り当て方が重要な要素となる。参考文献では、HWソースコード(VHDL)をもとに、ソースコードの階層構造を平坦化して、各演算についてSWまたはHWへの割当て方を、混合整数線形計画法を用いて行っている。一方、我々はHW化対象として機能に着目し、機能を記述したCプログラムをもとに、HW化する処理を関数単位に判断する手法を検討した。
組込みシステムの設計において、ソフトウェア(S/W)とハードウェア(H/W)の間で処理を適切に分割することは重要な問題の一つである。高性能化のためには、処理間の並列性やデータ受け渡し関係に基づいた適切な分割が不可欠である。処理間の関係は、処理を節に持つデータフローグラフ(DFG)として表現できる。本問題を解決する手法に、処理をDFGに変換し、節ごとにS/W-H/W割り当てを決める手法がある。本稿では、Cプログラムに対し、関数ごとに適切なS/W-H/W割り当てを決めるために、関数呼び出しを節に持つDFGの生成方法を検討する。DFG生成のために、データフロー解析手法の一つである到達定義を関数呼び出しを式として解析できるように拡張する。
休 憩(10:30 再開) 座長 岩垣 剛(広島市立大)
A-6-4 |
フロアプランベース物理合成によるレイアウト問題の早期解決
○船附誠弘・平野 進・小川吉大(三菱電機) |
A-6-5 |
A Fast Symmetrical Routing Algorithm based on Pattern Routing
◎Zhenhao Wang・Tingyu Zhou(Waseda Univ.)・Zhiguo Bao(Henan Univ. of Economics and Law)・Takahiro Watanabe(Waseda Univ.) |
A-6-6 |
FPGAを用いた動的電源ノイズ下でのエラー予告FFの動作検証
○西 孝将・増田 豊・橋本昌宜(阪大) |
A-6-7 |
平均書き込みビット数削減を目的とした書き込み削減符号のエネルギー評価
◎樋元健志郎・尾形伊吹・藤吉邦洋(東京農工大) |
ASIC開発では,製造プロセスの微細化に伴い,配線の遅延時間が支配的になっている.RTL設計段階で行うワイヤロードモデルの論理合成ではレイアウト結果と配線遅延がかけ離れてしまうため,物理情報ベースの論理合成が主流となっているが,先記合成手法でも検出できないタイミング違反がレイアウト工程で表れるようになり大きな設計手戻りを引き起こす要因となっている.
手戻りを抑制する為にはRTL設計段階でレイアウト起因の問題を解決することが有効であり,その為にはフロアプラン情報を用いた物理合成(以下フロアプランベース物理合成)が必要である.本稿では,機能ブロック単位をターゲットとした,フロアプラン物理合成の検討について述べる.
In VLSI design, we often consider the routing for some special nets under the constraints such as length-matching and symmetry to meet the specifications. As symmetrical matching constraint is stricter than length matching, it can bring better electronic properties and more accurate timing budget for nets. In this paper, we propose a novel symmetrical routing algorithm for several two-port nets in multilayer with obstacles. Compared to the previous work, we propose a routing framework using both maze routing and pattern routing, which can reduce the time to find routes and bring a better symmetrical rate (called SR). While ensuring connectivity, our proposed method also tries to ensure the minimum usage of layers, costs (i.e. bends, via counts, congestion) and length difference of all nets.
近年、コストパフォーマンスの高さの観点から、FPGA に対する需要が高まっている。一方で、半導体製造プロセスの微細化と低消費電力化に伴い、製造ばらつき、電源電圧変動や経年劣化などの性能ばらつきが顕在化している。従来のワーストケース設計では性能の最も悪いケースを想定し、そのケースでも回路が正常に動作するために、設計・動作マージンを与える。しかし、ワーストケース設計では、マージンによる性能低下量が大きいという課題が存在する。以上より、遅延故障を回避しつつ設計・動作マージン量を削減しうる手法が必要とされている。本研究ではTEP-FF機構に着目し、その電源ノイズへの耐性を FPGA 上で実験的に検証した。
次世代不揮発性メモリは書き込み電力が非常に大きいので、最大書き込みビット数を削減する書き込み削減符号が研究されている。これに対して我々は平均書き込みビット数を削減する書き込み削減符号の作成方法を提案した。本稿ではこの符号を使用する際にメモリの周辺に必要となる外部回路の構成法を提案し、消費エネルギー評価を行い、有効性を確認した。
A-7. 情報セキュリティ
3月22日 9:00〜11:30 54号館 103教室 座長 大東俊博(東海大)
A-7-1 |
ソーシャルエンジニアリング対策としてのマインドフルネス
◎浦澤 萌・藤川真樹(工学院大) |
A-7-2 |
マルチモーダル人工物メトリクスを実現する機能性材料の開発
◎原 万里子・藤川真樹(工学院大)・渕 真悟(青学大) |
A-7-3 |
機械学習の適用によるマルウェアの挙動分析
◎久保宏樹(東京電機大)・笠間貴弘(NICT)・宮保憲治(東京電機大) |
A-7-4 |
ソフトウェアロードバランサの DoS 攻撃緩和効果分析
◎李 珠熙・中村康弘(防衛大) |
A-7-5 |
HTTPログを用いたBotnetからのWebスキャン検出手法の初期的検討
◎守屋広汰・岡田隆三・西垣正勝・野口靖浩(静岡大)・黒木琴海・鐘本 楊(NTT)・猿渡俊介(阪大) |
ソーシャルエンジニアリングとは,システムを運用する人間の心理的な脆弱性を狙った攻撃である.本研究の目的は信仰的な面を取り払った仏教の応用であるマインドフルネスをベースとしたソーシャルエンジニアリング対策プログラムの構築可能性を検討することである.マインドフルネスは瞑想プログラムであるが,その効果は科学的に証明されており,うつ病の治療や業務効率の向上,ダイエットなどに応用されている.マインドフルネスの実施により,セキュリティ対策を後回しにする傾向性の改善,情報共有をしようとする意識が向上する可能性があると考えた.これらは,不正や違反を放置する組織風土の改善につながるものと期待される.
人工物に複数の特徴情報を持たせることで真正性の確度と偽造困難性を高めるマルチモーダル人工物メトリクスは,マルチモーダルバイオメトリクスからヒントを得た偽造防止技術である.著者らは,セラミックス製品に2つの光学的な特徴情報を持たせるための透明な機能性材料(ガラス蛍光体)の開発を目的としている.当該蛍光体は赤外線励起により可視光と別の波長の赤外線を発光し,観測点ごとに異なる発光スペクトル分布と発光強度分布を示す.当該蛍光体粉末をセラミックス製品の表面に溶着させることで,意匠を損なうことなく,真正性の確度と偽造困難性を高めることができる.本稿では,母体ガラスの組成を見直した結果,透明度と発光強度が高いものが作製できたことを報告する.
マルウェアの解析方法の一つである動的解析は,解析用の環境でマルウェアを実際に実行し,挙動を記録する.そのためリバースエンジニアリングの技術を使う静的解析よりも少ないコストで解析を行うことができる.Cuckoo Sandboxは自動で動的解析を行うツールだが,解析者の知識や経験によっては解析ログを理解できない場合や,挙動の把握に多くの時間を要する可能性がある.本稿では挙動解析効率化のために, Cuckoo Sandboxの動的解析ログから機械学習を用いてマルウェアの挙動を判定する方法を提案し,その有効性を実験により評価した.
ウェブサーバ運営上の単一障害点はサイバー攻撃の標的になりやすい.また,CPUの負荷を誘発させる攻撃や,ネットワークリソースを消耗する攻撃などからの防御対策はまだ十分ではない.単一障害点を無くすため,複数のサーバを冗長化し,クライアントからの負荷を分散させるロードバランサが用いられる.本研究では,ロードバランサの機能を利用して,DoS攻撃の緩和を試みる.
ありとあらゆるサービスがWebアプリケーションとして提供されている現在において,公開されているWebサーバへの攻撃は我々の生活基盤を揺るがしかねない脅威となっている.筆者らは,多数のWebサーバのHTTPアクセスログからWebスキャンを検出する手法の検討を進めている.これまで,Webスキャンを検出する手法やBotnetを検出する手法がそれぞれ独立して研究されてきた.本稿ではHTTPログを用いたBotnetからのWebスキャン検出手法の評価を行う.本手法ではアクセスパターンの変化点の抽出と,Botnetのアクセスパターン特有の特徴を利用してBotnetからのWebスキャンを検出する.実際のアクセスログから生成したテストデータを用いた評価の結果,既存の手法よりも高い確率でBotnetからのWebスキャンを検出できることが分かった.
休 憩(10:30 再開) 座長 面 和成(筑波大)
A-7-6 |
Strong Robustnessを有するIDベース暗号の具体的構成と実装評価
◎岡野 寛(東海大)・江村恵太(NICT)・鈴木達也・大東俊博(東海大) |
A-7-7 |
暗号化グラフの最短経路検索におけうサーバ側の不正防止
◎王 宏偉・真鍋義文(工学院大) |
A-7-8 |
SNS上の情報漏洩攻撃に対するディレイを用いた防御法について
◎松下耕大・真鍋義文(工学院大) |
A-7-9 |
Investigation of Information Leakage from A Laser Fault Injection Sensor
○Yang Li・Natsu Shoji・Takeshi Sugawara・Kazuo Sakiyama(The Univ. of Electro-Communications) |
送信者が匿名性を満たす公開鍵暗号 (PKE) で平文を暗号化して暗号文を送った場合,受信者は自分宛の暗号文であるのかがわからない.そのため,Abdallaらによって提案されているRobustnessという安全性が必要である.Robustnessは正しくない秘密鍵を用いた際には暗号文を復号できないことを保証している.PKE及びID ベース暗号 (Identity-Based Encryption, IBE) を含んだ概念であるGeneral PKEに対し, Strong Robustnessを付与する一般的構成がAbdallaらにより与えられているものの, その具体的な方式の書き下しは非専門家にとって容易ではない. そこで本研究では,Gentry が提案したIBEに対し, Abdallaらの変換を適用し,その実装評価を行う.
Wangらが提案した最短経路検索が可能なグラフ暗号化法SecGDBのセキュリティ上の問題点の指摘と解決法の提案を行う。SecGDBでは、グラフの各リンクに、隣接ノードの情報を復号する鍵を格納することで、サーバによる探索を可能としている。経路長の情報を復号する鍵をプロキシが持つことで、経路長を知ることなく、最短経路をサーバが求めることを可能としている。しかし、与えられた始点から先のすべての点をサーバが探索してトポロジー情報を不正に得る問題点があることを本稿で示す。ノードの情報を復号する鍵をプロキシが保管し、新しいノードを検索する毎にプロキシが鍵を与えることで、最短経路検索に必要なノードのみをサーバが探索できるようにする。
SNSにおけるシルエット攻撃に対してディレイを用いた防御法の有効性を
考察する。
シルエット攻撃とはSNS上で多く採用されているブロック機能を悪用した攻撃方
法である。ブロック状態のアカウントページと非ブロック状態のアカウントペー
ジのページサイズの違いによって生じる通信の応答速度の違いを観測することで
ターゲットのアカウントを特定する。
この攻撃の効用を低減するために、ページにアクセスする通信に対してディレイ
をランダムにかけることによって攻撃側の観測を難しくする方法を考案し、その
有効性をゲーム理論的に分析する。
This work focuses on the possible information leakage of the laser sensor. The sensitivity of the laser sensor could be affected by the power consumption of other calculation of the chip, therefore could leak the information of the performed calculation. Based on several experiments, the correlation between sensor sensitivity and AES calculation has been observed. The investigation of possible leakage of the processed data has been planned in the future.
A-8. 信号処理
3月19日 13:00〜13:45 54号館 201教室 座長 小西克巳(法政大)
A-8-1 |
被写体の勾配・法線および深度を利用したパストレーシング画像のノイズ低減手法
◎加藤慶悟・市毛弘一(横浜国大) |
A-8-2 |
最適内挿近似理論に基づくParallel MRIの画像再構成法
○木田雄一(奥羽大)・木田拓郎(東工大) |
A-8-3 |
動的設定を用いた周期性を持つ時系列データの平滑化手法の検討
○廣沢拓也・山崎達也(新潟大) |
本稿では,フィルタによるノイズ低減手法において,次世代の3次元モデルレンダリング手法であるパストレーシング法の計算精度向上のため,被写体の勾配,法線,深度を用いたノイズ低減手法を提案する.
被写体の勾配,法線,深度を用いることで,エッジや構造に着目したフィルタを適用し,効果的にノイズ低減を図る.
シミュレーションによりSSIMとPSNRの評価を行い,提案手法の優位性を確認する.
Parallel MRIにおける断層画像の再構成に関して、圧縮センシングと最適内挿関数を組み合せた新手法を提案し、その精度を各種の圧縮センシング法と比較した数値実験の結果を報告する。
高齢者へ適切な体操指導が行える機能訓練指導員が不足している.そのため,人の代わりに体操の適正さを判断し,改善のアドバイスを与えられるシステムが必要となる.システムで体操を評価するために,模範となる介護職員と高齢者の体操時における関節角度の時系列データを比較するが,測定される関節角度には多くのノイズが乗るため平滑化処理が必要となる.これまでに本研究では,経験的設定による移動平均平滑化を行ってきたが,各体操は動作周期が異なるため動的な設定が必要となる.そこで本研究では,移動平均平滑化における平均を取る要素数を周波数スペクトルにより動的に決定する手法,及び平滑化回数を動的に設定する手法を提案する.
3月20日 9:30〜11:45 54号館 202教室 座長 相川直幸(東京理科大)
A-8-4 |
Skeleton based Hand Motion Recognition using Convolutional Neural Network
○△Shi Chen・Ryo Kubota・Kazuyuki Demachi(The Univ. of Tokyo) |
A-8-5 |
敵対的生成ネットワークと被写界深度を利用した単一画像の反射分離
○三田健太郎・市毛弘一(横浜国大) |
A-8-6 |
複数の無指向性マイクを用いたマルチチャネル録音の方式検討
○粟野智治・木村 勝(三菱電機) |
A-8-7 |
音響信号処理に基づくクレーン振れ角と質点距離の同時推定
◎川本早織・松永美樹・中本昌由(広島大) |
A-8-8 |
バネ振動のシミュレーション
◎佐々木淑恵(無所属) |
Hand motion analysis is a complicated task compared with full body motion due to 26 degrees of freedom (DOF) of the human hand. Deep learning has achieved remarkable success in various artificial intelligence (AI) research areas such as image and voice recognition over the past decade and can be considered as a potential solution for hand motion analysis. In this study, we propose a hand motion recognition framework based on the global spatial and temporal information in skeleton sequence using Convolutional Neural Network (CNN).
本稿では,窓への映り込みなどの反射領域成分を含んだ単一画像の復元手法において,精度向上を目的に敵対的生成ネットワーク(GAN)および被写界深度(DoF)情報を利用する手法を提案する.ネットワークを通して出力された画像に対してDoF情報を利用することで,既存の手法では取り除くことのできなかったより鮮鋭な反射領域を取り除く後処理手法を構築し,PSNR値の向上を図った.
複数の無指向性マイクとマイクアレー処理を組み合わせたマルチチャネル録音方式を検討した.本方式は,マイクアレーを用いて,45°,135°,225°,315°方向に指向性を生成し,音を集音する.本稿では,マイクアレー(マイク数3/マイク数4)と指向性パターン(Cardioid/Supercardioid)で最も音場の再現性の高い組み合わせを主観評価した.評価の結果,4マイクを正方形に配置し,Cardioid 型の指向性を生成した場合が最も音場の再現性が高かった.
クレーンの運搬の際に発生する荷振れを抑圧するためには振れ角の推定が必要である.先行研究では,2つのマイクロホンを使用し,音源から発生させた音波の到来時間差に基づいて振れ角を検出する方法が提案されている.しかし,振れ角を計算するためには非線形方程式をニュートン法で解く必要があり,またトロリと質点の距離(質点距離)が既知という条件が必要であった.本研究では,ニュートン法のような繰り返し計算を必要とすることなく,振れ角だけでなく質点距離も同時に推定可能なアルゴリズムを提案する.
デジタル信号処理は,電子工学分野でアナログ信号処理への利用が主流であるが,回路設計以外の分野にもその考え方を広める必要がある.そこで,バネの物理モデルのシミュレーションをテーマに信号の扱い方を考えた結果を報告する.
(10:45 開始) 座長 中本昌由(広島大)
A-8-9 |
3種類の所要推定誤差と収束判定
○藤井健作(コダウェイ研)・棟安実治(関西大) |
A-8-10 |
突発性騒音における残響成分抑圧に関する一検討
◎赤松英治・笹岡直人・伊藤良生(鳥取大) |
A-8-11 |
グラフ調波構造を用いた非負値行列因子分解に基づくブラインド音源分離
◎高木孝晃・市田智大・京地清介(北九州市大)・井本桂右(立命館大) |
A-8-12 |
低ランク制約に基づく3次元MOCAP信号復元
◎今村竜二・奥田正浩(北九州市大) |
エコーキャンセラでは残留エコー,能動騒音制御システムでは帰還系相殺誤差,連立方程式法では総合系の推定誤差を所要値まで減少させる必要がある.また,後の2つでは,その所要値での収束判定が求められる.これらにおいて所要値の意味は異なり,それらは未知系のパワー利得が1のときだけ一致する.本検討では,これら3種類の所要推定誤差への収束を保証し,同所要値で適応フィルタが収束したことを判定できる方法を示す.
音声強調において,打撃音のような突発的な騒音の抑圧は,室外機の排気音のような持続的な騒音の抑圧に比べて困難であった.先行研究では,突発性騒音について4次キュムラントを利用して抑圧を行っていたが,突発性騒音の打撃部の後に発生する残響部の抑圧は不十分であった.本研究では突発性騒音における残響部の抑圧手法について検討し,残響成分抑圧の性能改善手法を提案する.これは先行研究の強調システムで得られる2つの情報を用いる手法である.シミュレーション実験により,提案法の有効性が確認された.今後の課題として残響周波数以外の周波数成分の保持による,さらなる音質改善が挙げられる.
本論文では,各楽器の調波構造を考慮したグラフ正則化非負値行列因子分解(NMF:Nonnegative Matrix Factorization)に基づくブラインド音源分離を提案する.従来,教師楽器音から学習された基底行列を利用する教師ありNMF(SNMF:Supervised NMF)が提案され,NMFよりも高い分離精度が示されているが,教師楽器音と観測楽器音の信号が異なる場合に分離精度が低下する問題がある.本研究では教師楽器音の調波構造を特徴付けるグラフラプラシアン行列を学習し,グラフ正則化としてNMFに導入することで,調波構造が異なる観測音源に対しても良好な精度を実現する.
3次元MOCAP(Motion Capture)信号復元のための正則化を提案する.MOCAP信号復元手法として,低ランク性やスムーズ性を考慮した手法等が提案されているが,時間方向の滑らかさの復元が不十分である.本研究は,人間の動作の多くが滑らかな加減速を伴うという先験的知見から,MOCAP信号を時間方向に二階微分し各チャネル毎に配置した行列を近似的に低ランクとする正則化を導入した先行研究に基づき,観測データに含まれるノイズに頑健になるようモデルの改善を行なった.
A-9. ワイドバンドシステム
3月19日 13:00〜16:45 54号館 103教室 座長 大内浩司(静岡大)
A-9-1 |
SWIPTのための全二重EHを用いるFFリレーの提案
◎古川純汰・宮嶋照行・杉谷栄規(茨城大) |
A-9-2 |
シンボル間欠送信を行うスペクトル拡散用干渉キャンセラ方式
○富塚浩志・東中雅嗣・佐野裕康・岡村 敦(三菱電機) |
A-9-3 |
チャネル推定を考慮したプリコーデッドOFDM伝送の特性評価に関する一検討
○佐藤正知(広島商船高専) |
A-9-4 |
OFDM-IMにおけるPAPR低減のための付加信号決定法の提案
◎渡邊慎也・宮嶋照行・杉谷栄規(茨城大) |
A-9-5 |
A Study on Quasi-Cyclic LDPC on Meteor Burst Communications
○Akhmad Fauzi・Kaiji Mukumoto・Tadahiro Wada(Shizuoka Univ.) |
本稿では,シングルキャリヤ伝送のためのSWIPTにおけるFilter-and-Forward(FF)リレー設計を提案する.リレー局はバッテリーを持ち,全二重Energy Harvesting(EH)を用いる.システムは送受信機間の直接波が届かない位置関係を想定し,リレー局を介して通信を行う.全通信路を周波数選択性通信路として仮定し,リレーはFIRフィルタにより符号間干渉抑圧を行う.またリレーは送信機からの信号と,自身を含むリレー間での信号を受信しEH処理を行う.全通信路の通信路状態情報が既知であるとし,リレー収集電力を一定以上にする条件下で,受信機受信信号のSINRを最大化するようにリレーのフィルタ係数を設計する.シミュレーションにより提案方式の有用性を示す.
ISM帯などの複数の無線システムが混在する周波数帯では,他の通信機器からの電波干渉が問題となる.対策として干渉耐性に優れた直接スペクトル拡散方式(DS-SS)が有効であるが,干渉を十分に軽減するためには広い周波数帯域が必要となり伝送効率が低下する.これに対し,本稿ではシンボルを間欠送信し,受信側でシンボル間の無信号区間(ヌルシンボル)を利用することで干渉を高精度に再生し,キャンセルする方式を提案する.提案方式の適用により,少ない拡散率でも従来のDS-SS以上の優れた干渉抑圧効果が得られることをシミュレーション評価により明らかにする.
優れた周波数利用効率を実現するOFDM伝送では,ガードインターバルを付加することでシンボル間干渉へ強い耐性があるが,特定の搬送波周波数において受信電力が落ち込む問題が存在する.この問題への対策の一つに,OFDM シンボルを作成する前に周波数領域でデータシンボルの拡散を行うプリコーデッドOFDMが知られており,様々な復調方法について検討がされている.しかしながら,これまではチャネル推定が理想的な場合における評価に留まっている.そこで本稿では,パイロットシンボルの挿入法を検討するため,チャネル推定誤差を考慮した初回復調時の特性評価を行う.
本稿では,OFDM-IMにおけるPAPR低減のための付加信号の決定法を提案する.提案法では,付加信号成分が受信機のDFT出力に現れないため,アクティブサブキャリヤの検出誤りを低減することができるという特長がある.付加信号の大きさに関する拘束条件のもとで送信信号のピーク電力を最小とする最適化問題を解くことで付加信号を決定する.シミュレーションによりその有効性を示す.
Meteor burst communications (MBC) system rely on meteors in the sky which appear intermittently in a very short period for its communications. For this reason, forward error correction code is proposed to maximize the usage of the limited available channel resources. Meteor burst channel has unique character that makes it important to analyze its influence to the error performance of error correction codes. The implementation of girth-8 quasi-cyclic LDPC codes for meteor burst communications and the impact of different coding rate values with different channel and transmission parameters to the error correction performances will be presented in this paper.
休 憩(14:30 再開) 座長 滝沢賢一(NICT)
A-9-6 |
79GHz帯UWBレーダによる動きのある人間の心拍推定
○森松旦陽・松隈聖治・梶原昭博(北九州市大) |
A-9-7 |
79GHz帯レーダを用いた浴室見守りセンサシステムの検討
○松隈聖治・梶原昭博(北九州市大) |
A-9-8 |
79GHz帯レーダによる屋内外の電波干渉に関する実験的検討
○秋吉湧太・本村俊樹・梶原昭博(北九州市大) |
A-9-9 |
79GHz帯レーダによるレーダ方式間干渉に関する検討
○柴尾雅浩・梶原昭博(北九州市大) |
近年,呼吸変動や心拍変動などの生体情報を計測し,治療や健康管理に活用する動きが強まっている.心拍変動は血圧やストレス感受の有無と関連性が強く,人間の健康状態を示す重要な情報である.ヘルスモニタリング技術には人間に接触して計測する接触センサやウェアラブル端末が挙げられるが,装着に伴う不快感により被験者にストレスを与えかねない問題点がある.ストレスを与えずヘルスモニタリングを行う手法として電波センサを用いた計測が主流であり,ドップラーセンサやステップドFM方式センサ,スペクトラム拡散方式センサなどが研究開発されてきた.本稿では電波センサを用いて人間の生体情報を計測し,心拍推定を行う事で治療や健康管理への活用を目標とした研究について説明する.
近年,家庭内における高齢者の死亡事故が多発している.中でも入浴中の死亡事故は問題となっており,浴槽内の溺死者数は年間6000人を超えている.事故原因として急激な寒暖差によるヒートショック現象により心筋梗塞や脳梗塞が誘発されることが挙げられる.そのため無人で入浴者の異常を検知する見守りセンサの開発,実用化が望まれている.近年,従来の24GHz帯レーダと比較して低コスト,小型化を実現した79GHz帯レーダシステムが市場投入され,それを用いた見守りセンサの実現が現実味を帯びている.本稿では79GHzレーダを用いた浴室見守りセンサシステムを提案し,その特性について検討する.
現在,自動車各メーカでは自動車の安全運転支援システムが開発されており,24GHz帯レーダや77GHz帯レーダを利用したシステムが実用化されている.近年では,より高分解能が得られる79GHz帯レーダの開発が進み,自動車の安全支援システムだけでなく,屋内への導入も期待されている.79GHz帯レーダの増加とともに屋内外での干渉を引き起こすことが考えられる.今後,安全にレーダを使用するために干渉の有無について実験的に検証しなければならない.本稿では,24GHz帯と79GHz帯の干渉について実験を行い比較検討することを目的とする.
79GHz帯レーダは距離分解能や小型化,全天候性等に優れており,車載レーダやヘルスケア、セキュリティなど様々な分野への応用が検討されている。また波長が約4mmと短いため路上や滑走路の小さな落下物や異物検知でも注目されている.これまで77GHz帯車載レーダでは簡易的な回路構成からFM-CW方式が採用されていたが,79GHz帯超広帯域レーダではFast-chirp方式やStepped-FM方式なども検討されており,今後レーダの普及とともにレーダ間干渉の課題が顕在化すると考えられる.そこで本論文では,異なる方式のレーダ間干渉について報告する.
休 憩(15:45 再開) 座長 小澤佑介(茨城大)
A-9-10 |
空間輝度分布による16QAMローリングシャッター可視光通信
○中條 渉(名城大) |
A-9-11 |
イメージセンサ通信のためのNetwork in Networkを用いた信号復調に関する一検討
○荒井伸太郎(岡山理科大)・廣末拓己・松下春奈(香川大) |
A-9-12 |
大規模過負荷 MIMO 通信における深層学習を用いた反復検出法
◎今西真之・高邉賢史・和田山 正(名工大)・林 和則(阪市大) |
A-9-13 |
全二重マルチユーザMIMOにおけるフィルタとUplinkユーザ選択の同時決定法の提案
◎△天野匡平・宮嶋照行・杉谷栄規(茨城大) |
本稿はLED照明を送信機,スマートフォンに用いる汎用イメージセンサを受信機とした室内可視光通信を想定する.文献[1]ではデータレートを向上させるため, LEDの空間輝度分布の変化を利用した直交振幅変調(QAM)と直交周波数分割多重(OFDM)を提案・実証している.本稿では更なるデータレートの向上を図り,空間輝度分布による16QAMローリングシャッター(RS)可視光通信を実証する.
送信機にLED,受信機にイメージセンサ (カメラ) を用いたイメージセンサ通信では,送信機上の複数のLEDを個別に変調させることで通信速度を向上できることが知られている.しかしながら,通信距離の増大やカメラのレンズ等の要因により,受信機が個々のLEDの明るさを正しく認識できず,データの復調が困難となる問題がある.先行研究では,重畳符号化等の符号化による解決方法が提案されているが,これらの多くは,撮影画像内における送信機上のLEDの位置と形状を正しく把握しておかなければならない.そこで本研究では,LED送信機の撮影画像からの信号復調手法として,畳み込みニューラルネットワークの一種であるNetwork in Network (NIN) を用いた画像推定を適用し,その有効性を確認する.
多数の送受信アンテナを利用することで大量のデータ通信を行う大規模 MIMO(multiple input multiple output)システムは, 5G 通信システムの重要な技術である.
送信側の基地局と比較して受信側の端末が少数のアンテナしか利用できない大規模過負荷 MIMO システムでは,従来の MMSE 推定器のような信号検出法を適用しても優れた性能が出ないことが知られている.
それに対し,我々は深層学習を用いた反復アルゴリズムである TI-detector を提案したが,行列 H の条件数が増加するにつれて性能が劣化する傾向が見られた.
この問題を解決するため,本稿では行列 W に学習可能パラメータを含んだ線形 MMSE 型の行列を利用する TPG-detectorを提案し,性能が改善することを報告する.
本稿では,全二重マルチユーザMIMOにおいて,BSのフィルタ設計とUplinkユーザ選択によってシステム内で発生する干渉を低減する方法を提案する.通信路は周波数選択性通信路を仮定する.BSは各ユーザに対応した送受信用のFIRフィルタを持ち,BSのフィルタはUplink(UL), Downlink(DL)で発生する符号間干渉とULユーザ間,DLユーザ間で発生する干渉およびBS自身で発生する自己干渉を抑圧する.また,ULユーザ選択によりULユーザ間の干渉とULユーザ-DLユーザ間で発生する干渉を低減させる.提案法では,BSのフィルタ群と稼働させるUMUを合計レートが最大となるように決定することで干渉の低減を行う.提案方式と全てのULユーザを稼働させる方式,提案方式と同じ稼働台数でユーザをランダムに決定する方式とで比較を行い,提案方式が他の方式よりも良い性能を有することを示す.
A-10. システム数理と応用
3月19日 10:00〜11:30 53号館 101教室 座長 劉 健全(NEC)
A-10-1 |
ゲリラ豪雨に関するツイートからのバースト検知および文書解析
◎△稲毛惇人・藤田拓也・大枝真一(木更津高専)・中谷 剛(防災科学技研) |
A-10-2 |
テクニカル指標による金融取引の戦略木構築
◎加藤旺樹・穴田 一(東京都市大) |
A-10-3 |
入力重みの学習による血糖値のモデル予測制御
○飯村由信(富士通研)・藤本悠介(北九州市大) |
A-10-4 |
設置巣箱数を考慮した分蜂現象のマルチエージェント・シミュレーション
◎△西山幸寛・村上和人(愛知県立大) |
A-10-5 |
時間帯購買を考慮した店内人流シミュレーション
○岡田直樹・大野晃誠・柴田慎一(大同大)・田嶋拓也(福岡工大)・阿部武彦(愛知大)・木村春彦(小松大) |
A-10-6 |
強化学習ベース多船航路探索におけるQ学習とProfit Sharingの比較
◎冨原崇寛・節家 将・神尾武司(広島市立大)・田中隆博(海上保安大)・三堀邦彦(拓殖大)・藤坂尚登(広島市立大) |
近年,都市部を中心に局地的で短時間に強い雨が降る被害が増加している.この現象はマスメディアによってゲリラ豪雨と総称され,報道に用いられている.しかしながら,ゲリラ豪雨は気象学的には定量的な定義づけはされておらず,気象庁は“局地的大雨“または“短時間強雨“などの用語を雨量などに応じて使い分けている.そこで,本研究ではTwitterデータを利用しゲリラ豪雨とそうでない大雨や台風などとの違いを確認できるシステムを提案する.まず,雨に関するTweetのタイムスタンプを時系列データと考え,バースト検知を行い,ゲリラ豪雨の時刻を推定する.次に推定した時間帯のTweetを文書として結合し,文書解析を行う.
近年,テクニカル分析を用いた株式売買に関する研究が多く行われている.テクニカル分析を用いた投資では,相場のトレンドや転換点を判断するテクニカル指標を用いることで,過去の値動きのパターンから将来の値動きを予測し売買を行う.しかし,そのためには専門的な知識を必要とする上,利益を上げにくいという問題がある.そこで,本研究では高確率で利益を生み出すテクニカル指標を用いた投資戦略の構築を目的とする.
血糖値制御システムにおける制御則はモデルベースのモデル予測制御がよく用いられる。
インスリンの応答特性は患者間・内変化があり、ここで用いるモデルには適応力が必要となる。
カルマンフィルタなどのパラメータ更新則を用いても適応しきれない場合、大量データによるモデルの再同定が必要となるが、データを集めている最中に低血糖になると取り返しがつかない。
この問題に対して本稿では、モデルによってある程度の予測精度が確保されている状況下で、制御に直接かかわる必要最低限のパラメータのみを学習する方法を提案する。
Thomasらは,一連のミツバチの分蜂行動の観察研究から,偵察蜂らが最適な巣作り場所を“正確”かつ“迅速”に決定するために,定足数反応を用いているという仮説を演繹的に立証したが,一般性に欠けている点が課題であった.
そこで,本研究では,マルチエージェント・アプローチを用いて,Thomasらが行った検証実験で用いた設置巣箱数を考慮し,設置巣箱数の変化における定足数反応による最適巣作り場所の決定作用について,その正確性と迅速性を検証した.その結果,定足数が10から30のときに,偵察蜂らの意思決定の正確性が最大となることが確認された.同時に,設置巣箱数の増減は,意思決定の速度に無関係であることが確認された.
現在、スーパーマーケットでは人口減少や少子高齢化による需要の減少などの要因により激しい競争環境に直面している。一般的に、売上を増加させるには顧客動線を伸ばす必要があるが、店舗レイアウトの設計が何度も必要となり、レイアウト設計には多大なコストがかかる。そこで、にマルチエージェント・シミュレーションを用いた店舗シミュレータの研究が行われている。しかし、従来の研究ではある一定期間の販売データを使用しており、顧客の購買行動が変化についてはあまり考慮されていない。本研究では、実際の小売店の時間帯ごとのPOSデータを解析し、MASを用いて売上が高い時間などの時間帯を考慮した店内の顧客移動経路の可視化を試みる。
我々は航路の適切さや操船行動の相互作用を議論するためのツールとして,多船航路探索用マルチエージェント強化学習システム(Multi-Agent Reinforcement Learning System: MARLS)を開発してきた.従来MARLSではQ学習を使用するが,航法に基づく行動選択制限によって探索範囲が絞り込まれるため,航路獲得が阻害されるほど深刻な同時学習問題は発生しない.しかしながら,本来のQ学習はMDP環境下での使用を想定しているため,従来MARLSは潜在的な問題を抱えているといえる.
本稿では,MDPを前提としないProfit Sharing(PS)をベースとした多船航路探索用MARLSを提案し,従来手法と比較することで提案手法の性能を評価する.
3月20日 10:00〜11:30 53号館 101教室 座長 矢野 亨(東芝)
A-10-7 |
Siamese Networkを用いた手書き文字認識
◎高橋大成・秦 優哉・石井大成・斎藤遼河・大枝真一(木更津高専) |
A-10-8 |
メタ特徴によるPOSデータの需要予測モデルの検討
○守田真矢・柴田慎一(大同大)・田嶋拓也(福岡工大)・阿部武彦(愛知大)・木村春彦(小松大) |
A-10-9 |
NT倍率取引における深層強化学習を用いた投資戦略の構築
◎常井祥太・穴田 一(東京都市大) |
A-10-10 |
昼夜の人口移動を考慮した疫学モデルによる感染症流行の解析と考察
◎坂巻 燎・藤田 悟(法政大) |
A-10-11 |
粒子群最適化を用いた巡回セールスマン問題の解法
◎山田悠希・穴田 一(東京都市大) |
A-10-12 |
学級内における人間関係の生成モデル
◎吉田達矢・穴田 一(東京都市大) |
現在の訪問介護ではヘルパーが要介護者の健康状態や作業記録を紙媒体の記録用紙に記入を行なっている.保管された記録用紙から必要な情報を探し出すのは容易ではない.そこでニューラルネットワークによる文字認識を利用した携帯情報端末を用いた訪問介護システムを構築する.構築のためにCNN(Convolutional Neural Network)を利用するが,CNNをはじめとする従来のニューラルネットワークでは大量のデータを必要とし,あまり学習されていない領域に対してはうまく機能することが出来なかった.また介護士の方から得られる学習データには限りがある.そこでSN(Siamese Network)と呼ばれる手法とCNN
を組み合わせることで問題の解決を試みる.SNは2個以上の同一のネットワークを持っている構造で,少ないサンプル数で学習できることで知られている.
本研究では、メタ特徴を用いた識別器選択システムを用いて商品の販売量を予測する最適な学習モデルを検討した。データセットから抽出したメタ特徴を用いて識別器選択システムの学習モデルは、ニューラルネッワーク、k近傍法、RBFネットワーク、サポートベクターマシンの4種類の学習モデルを選択するシステムを構築した。予測対象のPOSデータは販売量を因子データとしてラベル化を行い、販売データのメタ特徴を抽出し識別器選択システムに入力する。最適な学習モデルが選択については各学習モデルの累積誤差をもとに確認する。実験結果では、学習データが少ない価格のサンプルデータでは累積誤差が20%増加するが結果が得られた。
近年,人工知能を用いた投資戦略に関する研究が行われている.しかし,株価や為替には多くの変動要因があり,人工知能による適切な投資戦略の構築は困難である.そこで本研究では,日経225先物とTOPIX先物のような相関性の強い2つの金融商品に対して,売りと買いの両方を同時に行う取引方法を考える.これらは概ね同じような値動きをし,価格差が拡大しても元に戻りやすい性質があり,この価格差から利益を狙うことができる.また,株価で考えられるような価格変動要因の大部分が相殺されるため,価格差のみに着目した取引が可能になる.このように,この取引によって状況を簡略化した上で,深層強化学習によって投資戦略を獲得するモデルを構築した.そして,本モデルの有用性を確認した.
本論文では昼夜の人口移動を考慮した疫学モデルを構築しこのモデルを用いて2017年から2018年にかけて関東地方で発生したインフルエンザ流行の解析と流行を抑えるための考察を行う.まず,疫学モデルとしてワクチン接種を考慮したSIRモデルを基礎とし,昼夜の人口移動により異なる感染を起こすことを考慮した疫学モデルを提案する.そして,実際のインフルエンザ患者数を用いてモデルの感染率と回復率のパラメーター推定を行う.最後に,推定された値を用いて感染症流行抑制の効果について考察を行う.その結果,ワクチン接種と個人の感染予防対策によってピーク時の感染者数を約30%,総感染者数を約15%に抑えられることを示した.
経済に関する問題には,最も効率が良い組み合わせを求める組み合わせ最適化問題に帰着することができるものが多くある.その組み合わせ最適化問題の中に,与えられた全ての都市を巡る最短経路を求める巡回セールスマン問題(Traveling Salesman Problem,TSP)という問題がある.本研究では,このTSPに粒子群最適化(Partcle Swarm Optimization, PSO)を適用させて解くことを目的とする.PSOは素早く問題の解に到達する多点探索であるという特徴を保持している.しかし,PSOは実数値最適化手法であるため,そのままTSPへ適用させるのは難しい.そこで本研究ではPSOの特徴を維持しつつTSPに適用させるアルゴリズムを構築し,TSPLIBに掲載されているベンチマーク問題を用いて,他の手法との性能を比較した.
昨今の学級において,いじめは暴力や自殺に繋がることもある為,大きな社会問題となっている.教師による適切ないじめ対策行動がいじめを減らすと考えられるが,実際の教育現場では,いじめ対策行動の有効性を確認する際,長期間にわたる観測を行う必要がある.その為コンピュータ上に仮想の学級モデルを構築し,いじめが起こる状況を再現する研究や適切ないじめ対策行動を提案する研究が行われている.ところが,先行研究では考慮されていない重要な要素が数多くあり,現実を表し切れていない.そこで本研究ではそれらの要素を考慮した学級モデルを構築し,その有効性を確認した.
A-11. 思考と言語
3月19日 11:00〜11:30 54号館 101教室 座長 佐野 洋(東京外語大)
A-11-1 |
認知機序と5W表現順序との言語間相違
○佐良木 昌(明大) |
A-11-2 |
NIRS(near-infrared spectroscopy)における脈波成分の比較
○小野哲治(群馬パース大)・伊藤憲治・関本荘太郎・角田晃一(東京医療セ) |
認知機序と情報呈示順とは、言語間で異なる。例えば日英において、5Wsの配列には違いがあり、「いつ・どこで・なに・だれ・なぜ」と、"Who, What, Where When, and why"という相違をみる。原言語の5Ws順序が翻訳において、目的言語側の機序に無自覚に換えられてしまう。この問題を論じる。
NIRS(near-infrared spectroscopy)の計測結果を解析することにより、認知・言語に関係した課題負荷に対する脳領域ごとの活動状況が把握できるため、センサとしてBMI(Brain-Machine Interface)への応用が可能であると他学会で発表を行ってきた。
本研究では、測定プローブ(1ch~22ch)のうち5ch(右側頭葉)、12ch(前頭葉)、17ch(左側頭葉)の左右性指標、緩変化値、脈波成分の解析および比較を行い、開発を開始した本システムにおける応用性評価、BMIへの導入につながる基本情報として脈波成分について比較検討した。
A-12. 技術と社会・倫理
3月20日 10:00〜11:15 54号館 101教室 座長 森住哲也(神奈川大)
A-12-1 |
eヘルスリテラシーと医療・健康情報の判断との関連
○勝谷紀子(青学大)・東 るみ子(日大) |
A-12-2 |
多様性・変化に対応可能な倫理的判断方法
◎丘 維礼(参Q) |
A-12-3 |
情報セキュリティポリシーにおける例外措置の技術的対策との関わり
○村崎康博・松井俊浩・原田要之助(情セ大) |
A-12-4 |
ICTサービスによる費用・時間の観点でのライフスタイル変化
◎篠塚真智子・張 暁曦・高田英俊・林 克也・田中百合子(NTT)・金森有子・増井利彦(国立環境研) |
A-12-5 |
ICTサービスによる持続可能な開発目標(SDGs)への貢献に向けた一考察
○古谷 崇・篠塚真智子・林 克也・田中百合子(NTT) |
本研究では、インターネットでの医療や健康に関する情報を適切に活用する能力であるeヘルスリテラシーとインターネットにおける医療や健康に関する情報を判断する行動がどう関連しているのかを検討した。インターネット調査会社にモニター登録をしている18歳以上の516名を対象としてウェブ調査を行った。eヘルスリテラシーやインターネット上の医療や健康に関する情報の信憑性判断をする問題について回答を求めた。eヘルスリテラシーの高い回答者ほど信憑性に課する複数の項目を重視していた。
自律・知的システムはその設計および運用にしばしば倫理的判断が要求される。ところが、倫理価値観は個人差、国または文化による違い、社会の変化に伴う価値観変化によって異なるために、どのように対応すべきか課題である。IT技術全般の倫理的な問題について最近までIT業界に自己統治を任せてきた国内外の政府は方針を転換し、このような問題について広くステイクホルダーが認識し議論することを求める。本報告では自動運転車について前記課題を克服できる方法および検討した結果を発表する。
情報セキュリティポリシーの策定・実施は,今や,企業や官公庁などすべての組織の必須施策である.しかし,情報セキュリティは不確実性の高い問題なので,その対策においては,原則規定だけでなく,臨機応変な例外措置を策定する必要がある.実際に,例外措置を事前に策定して,例外措置を迅速に対処しリスク回避・対処を実施している組織もある.
情報セキュリティにおける技術的対策の進化は,それによって運用面での負荷の軽減につながり,新たなセキュリティ対策に注力することができるようになったと考えられる.これに伴って原則規定や例外措置を柔軟に見直すことは,日常業務において,利用しやすい環境を整えることが期待できる.
ICTサービスは人々の生活における費用や時間に変化をもたらし人々の行動が変化し,それが地球環境にも影響を及ぼす. ICTサービスの利用を通じた人々の行動変化算定の端緒として,個人の節約金額と支出構造との関係を調査した結果を報告する.
2015年に国連総会で2030年に向けた持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals )を中心とする「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択された.SDGs達成に向けて各企業においても課題解決に向けた検討がなされてきている.特にICT (Information and Communication Technology)サービスは,SDGsに大きく貢献することが期待されている.本研究では,ICTサービスによるSDGsへの貢献に向けた検討の端緒として,SDGsターゲットの意味構造解析を実施した結果とICTサービスの特性を対応付けた結果について紹介する.
A-13. 安全性
3月20日 10:15〜11:45 53号館 104教室 座長 木村昌臣(芝浦工大)
A-13-1 |
頻出する共通の特徴を排除した医薬品外観類似度算出手法の提案(第二報)
◎上條典嗣・木村昌臣(芝浦工大) |
A-13-2 |
音声分析技術に基づく職業運転士のための過労・居眠り防止装置
○塩見格一(福井医療大) |
A-13-3 |
航空管制関連ハザードの前提条件に関する一考察
○住谷美登里・天井 治(電子航法研) |
A-13-4 |
定量的ハザード解析のための前提条件等の定量化
○天井 治・住谷美登里・松岡 猛(電子航法研) |
A-13-5 |
自律移動案内ロボットの挟圧安全性に関する設計と評価手法
○森田裕介・渡辺公一・村上真之・益田俊樹・坂下和広(都産技研) |
A-13-6 |
機能変動へのゲーム理論の適用
◎二神圭司・荒関仁志(日大) |
医薬品の外観が似ていることにより薬剤師が医薬品を取り違える医療事故が問題になっている.医薬品の外観類似を防ぐためには,新しい医薬品を作る時に外観が似ている医薬品がすでに存在するのか検索できる必要がある.そのためには,医薬品同士の外観がどれほど類似しているかを測る類似度指標が必要となる.薬剤師が医薬品同士の外観が似ているかを判断する時に,その医薬品がよくとる形状や色をしていた場合,その特徴では似ていると考えず,それ以外の特徴を比較して類似判断を行うと考えられる.そこで,本研究では各医薬品に共通してよく出てくる人が当たり前と思う特徴を排除した医薬品外観類似度算出手法を提案する.
国土交通省自動車局による通達により,2018年6月1日から,トラックやバス等の運輸事業者においては運転士が業務を開始する始業点呼においてその睡眠状況の確認が義務付けられ,睡眠不足の運転士の乗務が禁じられることとなったが,指標となる何等の数値もない現状において,この通達を有効なものとすることは難しい。そこで筆者は,スマートフォンをプラットフォームとした発話音声分析システムを構築し,またバス運行事業者殿のご協力を得て,予防安全装置としての可能性を検証・評価する実験を開始した。構築したシステムの構成と機能,実験の実施状況,等々について紹介する。
航空交通管制システムに関するハザード解析手法のうちリスク推定手法を検討した。どのような条件(環境)でハザードが発生しうるかという前提条件に、航空管制に必要な各機器の故障率、航空管制官やパイロットによるヒューマンエラー確率等をかけあわせてリスクを推定することとした。その際に前提条件として着目すべき課題を認識したので、報告する。これらの前提条件ひとつひとつに応じた確率を求めることで総合的な前提条件が求まり、各ハザードのリスクを推定することができると考えられる。今後は検討した課題を考慮して各リスクの値を推定して航空分野でのハザード解析に役立つよう評価手法を確立していく予定である。
我々は航空交通管制を対象とした安全性評価に活用することを前提にした定量的ハザード解析手法を提案している。手法自体は一般に活用できるものだが、リスク評価等に当たり航空管制に特化した値を用いている。また、ヒューマンエラー率やパフォーマンス・シェイピング・ファクター(PSF)の値は可能な限り航空管制分野のものを利用するようにしている。
今回、同定されたハザードの発生率を推定するために必要な前提条件について、個々にそれぞれ計算するのではなく、細かい事象に分けて定量化し、それらを組み合わせて他のハザードの定量化の際にも活用することを提案する。まだ開発段階だが、その一例を示す。
都産技研では本質安全を目指した自律移動案内ロボットを開発している。自律移動案内ロボットは屋内で人を先導、会話する機能を有したロボットである。ロボットの運用にあたって安全確保が重要であり、ロボットとの衝突、衝突後の押しつぶしといった危険事象がある。本報告では、衝突後の押しつぶしに着目し、人体へ大きな危害とならない基準値を元に設計を行い、その効果検証について述べる。
最近の安全に関する考え方には、従来の安全管理(これをSafety-Iと呼ぶ)とは異なるアプローチがHollnagel等により提案されている。Hollnagelが提唱する機能共鳴解析手法(The Functional Resonance Analysis Method: FRAM)では、事故の原因は、組織における機能の予測できない変動(機能変動)が複雑に組み合わさった結果としての創発現象によって事故が誘発されると考える。この創発現象を機能共鳴と定義する。
本研究では、より現実的な機能変動のメカニズムを、ゲーム理論を使って解析したので報告する。ここでは、不安全行動を意思決定過程におけるジレンマが引き起こすもとのと定義する。
A-14. ITS
3月19日 13:15〜16:45 54号館 203教室 座長 高取祐介(神奈川工科大)
A-14-1 |
高密度利用を可能とする自動車用スケーラブルFMCWレーダの提案
○梅比良正弘・牧野祐也・王 瀟岩・武田茂樹(茨城大)・黒田浩司(日立オートモティブシステムズ) |
A-14-2 |
二重キャリアセンス方式を用いたマルチプルアクセスFMCWレーダの特性
◎△石川慎太郎・黒澤幹寛・梅比良正弘・王 瀟岩・武田茂樹(茨城大)・黒田浩司(日立オートモティブシステムズ) |
A-14-3 |
ミリ波レーダによる走行時における路側構造物反射特性
○西田健人・梶原昭博(北九州市大) |
A-14-4 |
安全運転支援システム向けミリ波レーダにおける歩行者検知手法
○東 篤司・白永英晃(住友電工)・木戸 智(住友電工システムソリューション) |
A-14-5 |
高速道路合流支援を想定したインフラレーダによる車長計測の検討
東 篤司・○小河昇平・持田英史・白永英晃(住友電工) |
A-14-6 |
セルラーネットワークを用いた遠隔型自動運転実証
○樫原俊太郎・杉本 修・大岸智彦(KDDI総合研究所) |
A-14-7 |
LTE網を用いたITSのEnd to end遅延に関する基本検討
○丸小倫己・松元淳志・安川真平・阿部順一・岩村幹生(NTTドコモ) |
自動車用FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)レーダが高密度利用されるとレーダ間干渉が問題になる。広帯域干渉を低減するため、時間領域での干渉検出・抑圧法が提案されているが、干渉信号を0に抑圧すると希望レーダ信号電力も低減し、高密度利用時の特性劣化が懸念される。一方、用途に応じて様々な掃引帯域幅やチャープ周期のレーダが利用されるため、スケーラビリティが求められる。本文では、FMCWレーダ間干渉に対して干渉検出・抑圧法を用いた場合の希望信号電力の低下が小さいスケーラブルFMCWレーダを提案し、有効性について述べる。
将来、自動運転などでミリ波FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)レーダが高密度に利用されるとレーダ間干渉が問題になり、近年、車載用レーダとして注目されているFast Chirpレーダは掃引周期が短く狭帯域干渉発生確率が増加する。この問題を解決するため、筆者らは狭帯域干渉を回避するマルチプルアクセスFMCWレーダを提案しているが、レーダ信号発生率が大きくなると、狭帯域干渉発生確率が増大する。本文では、この狭帯域干渉を低減するため二重キャリアセンス方式を提案し、計算機シミュレーションにより狭帯域干渉発生確率を評価した。
近年, 交通事故は大きな問題となっており, 事故を減らすための安全運転支援システムの研究が盛んに行われている.現在,ADAS(Advanced driver-assistance systems)のデバイスとしてカメラの採用が進んでいる. しかし,夜間や悪天候の場合は検出能力が低下することが課題の一つとされている. そこで全天候性であるミリ波レーダを用いたシステムの開発が注目されている. ミリ波レーダを用いた検知システムとして,路側構造物の周期を用いた自己位置推定技術の研究が挙げられる[1]. しかしこの手法では, 静止した状態での実験であり, 周期性が異なる構造物やカーブでの性能が劣化する恐れがある. 本稿では,実走行時におけるミリ波レーダの反射特性について検討する.
国内の交通事故死者数は年々減少傾向にある。しかし、その半数以上を占める65歳以上の高齢者については減少率が低い傾向にあり、早急な対策が求められている。そこで我々は、事故の未然防止に向け、路車協調による安全運転支援システムを開発してきた。本システムの一例として、交差点に進入して右折する車両に対し、路側の感知器で検知した見落としの恐れのある横断歩道上の歩行者の存在情報を無線装置から提供することにより、ドライバに画面表示や警告音で注意喚起を行うといったサービスがある。我々は歩行者用感知器としてミリ波レーダを開発した。本稿では、インフラ用途のミリ波レーダにおける歩行者検知の課題、およびその対策手法を説明し、実交差点での評価結果を示す。
高速道路合流部での自動走行支援を目的とした路車協調システムの実現が期待されている.本システムでは, インフラに設置したセンサが本線を走行する車両の位置・速度や車間距離等を検出し, 検出情報を無線通信にて自動走行車両に伝達し, 自動走行車両が事前に速度調整等を行うことで, 安全で円滑な合流を支援する. 車間距離を算出するためには車長を検出することが必要なため, 本稿では, 76GHz帯ミリ波レーダを用いた車長計測の実現性について検討した.
運転席に人が乗らない状態で,公道で自動運転車の走行を行う際,警察庁のガイドラインにおける安全上の条件として,遠隔型自動運転に対応することが定められている.
このような遠隔型自動運転では,車載カメラの映像を遠隔地から常時監視するとともに,必要に応じて遠隔制御するための,通信環境の確保が必要不可欠である.
本稿では第16回アジア太平洋地域ITSフォーラム(2018年5月福岡)で実施した遠隔型自動運転デモについて述べる.
高度道路交通システム(ITS: Intelligent Transport Systems)の発展のため,車とあらゆるものを接続するV2X (Vehicle to Everything) 通信を利用したコネクテッドカーサービスが期待されている.これまでに著者らは,V2Xの一形態としてLTE (Long-Term-Evolution) 基地局を用いるセルラー通信のITSへの適用可能性について,所要帯域の観点から明らかにしてきた.
本稿では更なる検討として,ITSと携帯電話向け通信等の非ITS通信が混在するセルラー通信環境下においてITSとしてハザード警告サービスを想定した計算機シミュレーションによりE2E (End-to-End) の通信遅延を評価した結果を報告する.
休 憩(15:15 再開) 座長 松島宏典(久留米高専)
A-14-8 |
車両間情報共有による歩行者検知に関する一検討
◎浅野 豪・太田 能・高木由美(神戸大)・榎並直子(武庫川女子大)・鎌田十三郎(神戸大) |
A-14-9 |
ペトリネットによる自動バレーパーキングのモデル化
◎川口拓海・平田駿稀・マッキン ケネス・永井保夫(東京情報大) |
A-14-10 |
車両プローブ情報を用いた省感知器型信号制御
◎山本拓実・長島 靖・吉岡利也・松本 洋(住友電工) |
A-14-11 |
周辺リンクの情報を利用した旅行時間予測手法の検討
○増田健一・西村茂樹(住友電工) |
A-14-12 |
自動走行システム向けダイナミックマップの試作・評価
○津田喜秋・高橋由華子(三菱電機)・宮下浩一(三菱総研)・長田侑子(MRIリサーチアソシエイツ) |
A-14-13 |
自動走行システム向けダイナミックマップ実証実験の評価結果
○高橋由華子・津田喜秋・斉藤幸城(三菱電機)・林 典之(三菱総研)・村木由利香(MRIリサーチアソシエイツ) |
近年,自動車の運転を支援するために自動ブレーキなどの技術が開発されている.自動ブレーキを実現するためには,車両周辺の障害物を検出する物体検出技術が注目されている.特に障害物が歩行者であるかの識別は重要であり,様々な歩行者検出に関する研究が行われている.しかし,歩行者検出技術がどれだけ高精度・高速化しても,単一車両では死角に存在する歩行者を検知することはできず,飛び出し事故に必ずしも対応できない.そこで我々は,複数車両で歩行者検出情報を共有することで,自動者の周囲に未検出歩行者が存在することを検知するシステムについて検討を進めている.本稿ではその一部について報告する
自動車の自動運転研究の一つである自動バレーパーキングは,駐車場入口から駐車スペースまで車両を自動運転するサービスを指す.本研究では自動バレーパーキングの管制センタ制御の内部モデルとして,ペトリネットを用いた駐車場のモデル化を用いることを提案する.ペトリネットシミュレーションを作成し,ペトリネットを用いて管制センタを車両移動制御と独立した並列システムとして表現できることが確認できた.
現在の信号制御は、道路に設置した車両感知器情報から渋滞の長さを算出し、それを元に青時間を決定している。しかしながら、多くのインフラ設備が必要となり、導入および維持コストが問題となっている。一方、近年のコネクテッドカーやスマートフォンなどの普及により、車両の情報をインフラを介さずに収集することが可能となってきており、その情報活用が注目されている。
本稿では、プローブ情報と呼ばれるこれらの情報を活用した新しい信号制御手法を紹介する。本手法は、車両情報を元に機械学習を用いて渋滞の長さを推定することで、最低限のインフラ設備で既存と同様の信号制御を可能とする。
本稿では,プローブカーデータを用いた将来におけるリンク旅行時間の予測手法とその予
測精度を報告する.予測手法として,予測対象リンクとその周辺リンクのリアルタイムデ
ータと類似するパターンを履歴データから抽出し,それらのデータをもとに予測値を算出
する手法を用いた.評価分析では,国内の主要な高速道路4路線の2か月間のデータを対象
とし,5分先,30分先,60分先の将来に対する予測値の精度を全時間と渋滞発生時間のぞ
れぞれについて求めた.その結果,単純な予測方式と比較して,いずれも平均絶対誤差率
が改善した.予測対象リンクとその周辺リンクの情報を利用した予測方式の有効性が示さ
れた.
自動走行システムは、車載センサ(カメラ等)が「クルマの目」となり、安全・快適な車両制御を
実現する。車載センサ技術は、近年、検知性能が向上しているが、検知できる範囲には限りがある。この車載センサの補完技術としてダイナミックマップがあり、ダイナミックマップを活用すること
で、自車位置推定やパスプランニングなど、自動運転を構成する重要な各機能を補完が可能となる。
著者らは、内閣府主導のSIP自動走行システムで実施した大規模実証実験(ダイナミックマップ)
に参加した実験参加者と協力して、試作したダイナミックマップの静的情報部分を評価したので
報告する。
著者らは、内閣府主導のSIP自動走行システムで2017年10月から2018年12月に
かけて実施した大規模実証実験(ダイナミックマップ)を通じて、自動走行システムに必要と
されるダイナミックマップの静的情報(高精度3次元地図)に動的情報と準動的情報を紐付け
して、ダイナミックマップが自動走行車両の検知センサの補完情報として利用可能か否かに
ついて国内外自動車メーカ他全20社と連携して実施したので報告する。
3月20日 9:15〜11:15 54号館 203教室 座長 間邊哲也(埼玉大)
A-14-14 |
木の下を通過時のGNSS受信信号の品質について
○張 皓琰・久保信明(東京海洋大) |
A-14-15 |
GNSSコンパスに関する基礎研究
◎青木京平・久保信明(東京海洋大) |
A-14-16 |
加速度・ジャイロ・回転角センサを用いた形状計測システムの試み
○星野晋一郎・伊藤直史(群馬大) |
A-14-17 |
PPPとIMU/SPEEDセンサを利用した統合測位について
○八田大典・久保信明・Yize Zhang(東京海洋大) |
現在、各種 GNSS 信号の評価や複数の GNSS を統合した測位など、従来の GPS 信号だけでなく様々な GNSS 信号を研究で扱うことが増えており、一般的な受信機のように全ての処理をハードウェアで扱うことは、大学の研究室レベルでは困難な点が多い。また、 一般的な受信機ではどのようなプロセスで処理がなされているのか明らかにされていないため、受信機から出力される位置、ないしは擬似距離や搬送波位相、信号強度などの観 測値からでしか評価をすることができないという問題がある。ソフトウェア受信機(SDR: Software Defined Receiver)を GNSS の研究において利用する研究者が増えている。SDRとは、アンテナで信号を受信 し、AD 変換までのプロセスはフロントエンドと呼ばれるハードウェアによる処理であるが、 それ以降、つまり GNSS の場合は信号捕捉・追尾、航法メッセージのデコード、観測データ算出、位置・速 度・時刻を得るプロセスを PC 上のソフトウェアで実装するものである。
本稿では、木の下を通過時に、SDRで取得したデータを研究室のプログラムで解析した。また、u-blox M8Pのデータとの比較結果を紹介する。
ジャイロコンパスの搭載義務がない小型船に、人工衛星を用いた方位検出装置であるGNSSコンパスの搭載を促進することでより安全な航海に貢献できる可能性がある。
本研究では、安価な自作のGNSSコンパスを用いて、船舶の姿勢角と船首方位の検出について実験を実施し精度の検証を行った。具体的には、慣性計測装置(IMU)とGNSSのドップラー効果による方位算出値の2つとGNSSコンパスの出力値を統合するソフトの開発を目標としたものである。また、各センサの特徴を捉えることやカップリングの基礎を学ぶことを背景とした研究である。
地下トンネル内など,GPSが利用できず,見通しも制限される環境下における移動物体の自己位置の計測手法には 加速度センサとジャイロ(角速度)センサを用いる慣性航法や,画像を用いるものなどがある.各時刻における位置の計測から,軌跡の形状が得られる.このうち,慣性航法は近年,MEMSにより安価なセンサが入手可能となり,低コストで実装できる.しかし,慣性航法では加速度を2回積分して位置を得るため,加速度の誤差が累積され,位置推定誤差が大きくなる問題がある. この問題に対して,様々な改善手法が提案されている.本稿では車輪をもつ移動物体を想定し,車輪に取り付けた回転角センサから得られる移動距離を慣性航法と融合し形状計測の精度の向上を図ったので報告する.
近年、我が国の準天頂衛星から配信されているCLASやMADOCAといった補強信号によって高精度測位が手軽に利用可能となったことで自動運転や建築分野等での高精度測位の活用が見込まれている。しかし、GNSSのみでの測位には電波遮断環境での測位が不可能であるという根本的な問題も存在する。本研究ではGNSSとIMU/SPEEDセンサを利用した統合測位によって高架下や都市部といった場所での電波遮断時の測位性能向上を目指してきた。MADOCA-PPPの性能評価等も行ったが、本紙上では紙面の都合上DGNSSと安価なIMUを利用して大きな効果を確認できたカップリングアルゴリズムをPPPに適用した結果について報告する。
休 憩(10:30 再開) 座長 藤井雅弘(宇都宮大)
A-14-18 |
レーダビーム走査による自己位置推定のためのランドマーク識別
○本村俊樹・秋吉湧太・梶原昭博(北九州市大) |
A-14-19 |
人工構造物を用いたミリ波レーダによる自己位置推定
○宮本直哉・梶原昭博(北九州市大) |
A-14-20 |
車々間通信を用いた交差点における緊急車両の優先走行
◎石田 亮・大屋英稔・星 義克(東京都市大) |
近年, 交通事故削減や渋滞緩和を目的として安全運転支援システムや自動運転に向けた車載用センサ技術の研究が進められている. 自動運転に必要な技術の一つに自己位置推定がある. 一例として, 道路標識などの情報が格納された高度化地図を用いたLiDARデータ処理による自己位置推定技術が挙げられる. しかし, LiDARは天候や障害物の遮蔽により性能が劣化する. そこで, 本稿ではミリ波UWBレーダを用いたビーム走査によるランドマーク識別を提案する. 今後, 自動車レーダは, より多くの情報を取得できるアレイアンテナを用いたアンテナ方式の実用化が進む. 本研究ではゴーストの発生しない物理ビーム走査を用いた実験を行ったため, その実験結果を報告する.
近年, 安全運転支援システムの研究が盛んに行われている. 自動運転における自己位置推定の1つとしてレーン・キープ・アシストシステム(LKA)がある. LKAに用いるセンサとして, 主にカメラにより白線検知が挙げられる. しかし, カメラは白線の劣化や雨や霧, ホワイトアウトなどの悪天候時の環境においては著しく性能が劣化する. また, 白線が敷設されていないような環境(一般道路等)では適用できない. そこで本稿では, 白線に変わる指標としてガードレールなどの路上に存在する人工構造物を用いた自己位置推定を提案し, ミリ波レーダによる計測結果によりその可能性について検討する.
自動車が普及し,毎年増加していく中で緊急車両の増加しているその影響を受けて,緊急車両は毎年出動してから現場に到着するまでの時間が増加している.
本稿では,緊急車両が出動してから現場に到着するまでの時間を削減するため,車々間通信を用いて一般車両に緊急車両に関する情報を伝達することで,緊急車両の走行の妨げとなる一般車両に対して,接近する前に事前に車線変更や停止行動などの退避行動をすることで緊急車両を優先的に走行させ到着時間を削減をする.
そのため,退避行動を距離や時間についてシミュレーションを行い最適な距離感覚や時間を見つける.
A-15. スマートインフォメディアシステム
3月21日 13:00〜16:45 53号館 303教室 座長 末竹規哲(山口大)
A-15-1 |
NIRS時系列データから推定したダイナミックベイジアンネットワーク構造を用いたSTAIスコア推定
○高畑花菜子・鏑木崇史・栗原陽介(青学大) |
A-15-2 |
雑音にロバストな音声認識システムのためのランニングスペクトル分析を用いた自動音声区間検出
◎中越達也(北大)・早坂 昇(阪電通大)・筒井 弘・宮永喜一(北大) |
A-15-3 |
BLEビーコンを用いたARベース図書館ナビゲーションシステムの精度向上
○松原重喜・高山瑞生・中島 誠(大分大) |
A-15-4 |
GNSS天頂全遅延による降雨予測における可視衛星数との関係
◎今岡一章・東野武史・岡田 実(奈良先端大) |
近年,脳活動からストレス評価指標であるSTAIスコアを推定する研究が成されてきたが,脳のネットワーク構造を配慮した研究はまだまだ少ない.本研究では,前頭前野複数箇所で得られる脳血流からダイナミックベイジアンネットワークの構造を推定し、その確率的依存性からSTAIスコアを推定する.また,スコアを推定する際に性別に注目して,学習に適切なデータの種類について検討を行う.男女別でSTAIスコアの推定を行ってみたところ,特性不安においては,男性はRMSE5.38,相関係数 0.74と男性のみのデータを用いて推定した方がいいことが分かった.女性においては特性不安も状態不安も女性のみのデータで推定の行うのではなく,男性のみのデータを用いて推定を行う方が良いといえる.
本稿ではランニングスペクトル分析(RSA)を用いた自動音声区間検出(VAD)を提案する.音声認識システムにおいて周囲の雑音によりVADの性能が低下すると,認識の性能も大きく低下する.提案手法では,本来認識のための雑音除去法であるRSAを認識ではなく区間検出のために使用することで雑音にロバストなVADを実現する.認識時では雑音を除去しすぎると重要な音声部分も失われてしまう.しかし,区間検出のみであれば音声部分と共に雑音を大幅に除去することで従来よりも雑音にロバストな区間検出が可能である.その結果,多雑音環境において約10%以上の検出率の向上を示すことができた.
図書館では,蔵書検索システムを用いることで目的の書籍の分類番号および配架場所の情報を入手できる.しかしながら,図書館での情報探索経験の少ない利用者が蔵書検索の結果から目的の書籍までたどり着くには,フロアマップや書架の確認といった労力が必要で,不慣れな図書館ほど困難を伴う.本稿では,モバイル端末上でAR(拡張現実)によるナビゲーションを行う実現中のシステムの精度向上に向けたBLEビーコンの電波特性調査について述べる.また,電波特性調査を活用した図書館内でのBLEビーコンの向きや設置位置の調整について述べる.
GPSに代表される全地球衛星航法システム(GNSS)の応用として, GNSS信号の伝搬遅延を利用した気象観測が知られており, 局地的大雨への検出にも適用されている. 先行研究では, 天頂全遅延(ZTD:Zenith Total Delay)の時間当たりの変化量と降雨との関係に着目した降雨予測が提案されている. しかし, 可視衛星数とZTDの推定精度及び降雨予測に関する検証はなされていない. 本稿ではZTDの変化量を用いた降雨予測において, 可視衛星数の差が及ぼす影響を本学周辺の観測データを用いて比較する.
休 憩(14:15 再開) 座長 筒井 弘(北大)
A-15-5 |
過負荷マルチユーザMIMOシステムにおける動画像伝送の高画質化のための一検討
◎吉川祐太・田代晃司・黒崎正行・尾知 博(九工大) |
A-15-6 |
重畳符号化を用いたMIMOシステムによる無線動画像伝送
◎田代晃司・黒崎正行・尾知 博(九工大) |
A-15-7 |
境界判別型雑音検出に基づくインパルス性雑音除去手法の改良
徐 珊(名古屋市大)・石 宝(内蒙古工大)・○田中 豪(名古屋市大) |
A-15-8 |
Retinex処理を利用した画像強調法
○坂上晃一・田口 亮(東京都市大) |
A-15-9 |
色相と彩度を保存した明度変換に基づく多重露光画像融合法の一提案
◎森山大樹・植田祥明・末竹規哲・内野英治(山口大) |
近年,情報端末の普及によりFull HDや4K/8Kに代表される高解像度な動画像コンテンツの無線伝送に対する需要が高まっている.そこで,受信アンテナ数が送信アンテナ数よりも少ない過負荷MIMOをマルチユーザで利用するシステムが検討されている.本稿では過負荷マルチユーザMIMOシステムを用いた動画像伝送における高画質化について検討する.チャネル行列に応じた送信信号の並び替え,及び画質に対する寄与度が異なるレイヤごとの電力調整を用いることで高画質化を実現した.高画質であるPSNR40dBを達成するSNRは従来手法に比べ2dB向上することが確認できた.
Full HDや4K/8Kなどの高解像度な動画像を対象とした無線伝送は,無線通信システムの重要な応用のひとつである.本稿では,重畳符号化における電力割り当てを制御することで,通信状況に応じて受信画質を最大化するMIMOシステムについて検討する.スケーラブル符号化により,動画像を画質に対する寄与度の異なる複数のレイヤに分割し,受信SNRに応じて各レイヤに対する電力割り当てを制御する.低SNR時には,重要度の低い上位レイヤを送信せずに,画質に大きく寄与する下位レイヤのみを送信する.高SNR時には,重畳符号化により全レイヤを送信することで,受信レベルの変動が画質劣化に与える影響を抑えて,幅広い通信環境で高画質な動画像伝送を可能とする.
ディジタル画像に重畳したインパルス性雑音の除去には,雑音位置を検出し,検出された画素のみに補間処理を施すという2段階の処理が有効である.このようにすることで,補間処理による原信号の劣化を防ぐことができる.本報告では,ディジタル画像に重畳した「幅のあるごま塩型インパルス性雑音」の除去を扱う.著者らは以前,幅のあるごま塩型インパルス性雑音の検出処理について,境界判別型の従来手法を改良した手法を提案した.また,インパルス性雑音の補間処理についても,従来手法を改良した手法を提案した.本報告では,補間処理について更なる改良を加えた手法を提案する.実験により,提案手法の有効性を示す.
晴天の屋外での撮影や照明光が不十分な屋内での撮影によって得られた画像には、黒潰れ・白飛び領域を含むことが多い。それら領域の有効なコントラスト強調手法として、ヒトの眼の恒常性を利用したRetinex理論に基づく処理がある。Retinex処理では照明光を推定し、その推定照明光で入力画像を割ることで、照明光の影響を排除し被写体の反射率成分の抽出が行われ、その処理方法としてcenter/surround algorithm(c/s)法が良く知られている。
本研究では単一の周辺領域によるガウシアンフィルタによるRetinex処理結果を用い、低計算量でありながら複数の周辺領域によるガウシアンフィルタによる推定を組み合わせるMulti Scale Retinex処理と同様のコントラスト強調効果を持つ新しい強調法を明らかにする。
ある一つのシーンにおいて,露光を変えて複数回撮影し,得られた画像を1枚に融合する手法が研究されている.本報告では,多重露光画像に対して,色相と彩度を保存した明度変換を行い,1枚の画像に融合する手法を提案する.提案手法では,多重露光画像列に対して,LCC(Local Color Correction)を用いた明度変換を行い,色相と彩度を保存する処理を行う.その後,変換後画像の彩度に基づく重み付き平均を用いて融合画像を生成する.種々の画像に対して実験を行い,提案手法の有効性を検証する.
休 憩(15:45 再開) 座長 黒崎正行(九工大)
A-15-10 |
製造ラインにおける状態報告ランプのWebカメラを用いた色判定システムの実験的評価
◎山田健太郎・筒井 弘(北大)・須藤彰紘(デンソー北海道)・宮永喜一(北大) |
A-15-11 |
顕著性マップに基づくヒトの視覚的注意を考慮した色量子化法
植田祥明・◎小島清一・末竹規哲・内野英治(山口大) |
A-15-12 |
2色覚のためのコントラスト改善の定量評価手法の一提案
◎Yanbing Lu・安井明代(名古屋市大)・石 宝(内蒙古工大)・田中 豪(名古屋市大) |
A-15-13 |
理想的なHSI色空間での水中画像処理
◎△吉田伊吹・田口 亮(東京都市大) |
製造ラインでは複数の機器をパイプライン的に動作させ,目的とする製品を生産する.個々の機器において異常が発生するとパイプラインが停止する.生産効率低下を防ぐため,より早く異常発生を検知する必要がある.そこで本研究では,各機器に設置されている異常を知らせる状態報告ランプの色を,Webカメラを用いて判定することにより,異常発生の早期検出ならびに記録することを目的とする.Webカメラと計算機を用いてランプ領域の設定,ランプ色の判定を行うシステムを構築し,現地実験を行ったので,その結果を本稿にて報告する.
本報告では,顕著性マップを用いた色量子化法を提案する.色量子化法はGIFファイル等の限定色画像の作成に用いられる.ファイルサイズの小さいGIF画像を作るためにはカラーパレット内の色数を減らす必要があるが,色量子化によって目立つ色が異なる色に置き換えられてしまうことがある.提案手法では,顕著性マップを用いた重みに基づく色量子化を行うことで,面積が小さくても視覚的注意をひきやすい重要な色を残すことが出来ることを示す.
2色覚者は特定の色の弁別が困難である.近年,2色覚におけるコントラストを改善する色変換手法が提案されているが,色変換結果の定量評価についてはあまり研究されていない.本報告では,既存の定量評価指標を組み合わせることで,新たな評価指標を提案する.実験では,色変換画像を2色覚の見えに変換したもの(評価対象画像)を多数用意した.まず,正常色覚者が一対比較法により好ましい画像を評価した.具体的には,原画像を参照しつつ,提示される2枚の評価対象画像ごとに好ましいものを選択した.一対比較法で最良とされた画像と,提案評価指標により最良と判定される画像は似ており,提案手法の有効性が示されたといえる.
水中において光は波長の長さに依存して減衰する。波長の長い赤い光は吸収される。水質に応じて緑と青の減衰率が変化するため、水中画像は緑または青のホワイトバランスの崩れた画像となる。光の減衰は彩度とコントラストの低下およびボケを引き起こす。また、水中画像の撮影には照明が必要であるが、その照明により撮像された画像には明るさムラが生じる。本稿では筆者らが明らかにした理想的なHSI色空間で彩度(S)と明度(I)に独立に処理を施すことで,水中画像の画質改善を実現する。
A-17. 高信頼制御通信
3月21日 13:00〜14:30 54号館 202教室 座長 宮下充史(電中研)
A-17-1 |
無線フィードバック制御におけるパケット情報の重要度と生起確率に基づく符号化
◎根岸祐樹・後藤高宏・河野隆二(横浜国大) |
A-17-2 |
パケット化予測制御における状態クラスタリングを用いた制御信号選択手法
◎仲島圭将(阪大)・松田崇弘(首都大東京)・永原正章(北九州市大)・滝根哲哉(阪大) |
A-17-3 |
離散性とグループスパース性を利用したIoT環境のための上りリンク過負荷MU-MIMO OFDM/SC-CP信号検出法
◎中井彩乃・早川 諒(京大)・林 和則(阪市大) |
A-17-4 |
無線LANにおける送信タイミング制御手法の実機評価
○吉岡達哉・山口真司・長谷川晃朗(ATR) |
A-17-5 |
移動端末を用いた観測に基づく無線トモグラフィ
◎福田健人・松田崇弘(首都大東京)・小野文枝(NICT)・原 晋介(阪市大)・児島史秀・三浦 龍(NICT) |
A-17-6 |
見通し外ドローン制御を可能とする169MHz帯の伝搬特性評価
◎加川敏規・小野文枝・単 麟・児島史秀・三浦 龍(NICT) |
無線制御を用いることは有線制御では困難な回転体制御の容易化,配線除去によるスペースや配線コストの削 減などの利点がある.しかし,有線制御に比べて無線制御では,利用可能な帯域の制約から伝送できる情報量に制限があるため制御入力や状態量の通信路誤りが問題となる.本研究では,無線フィードバック制御における通信路誤りの影響が制御対象の制御に与える影響に応じて状態量の重要度を定義し情報圧縮率を調整した符号化の性能解析により有効性を検証した.
ネットワーク化制御システムにおいて,予測制御に基づき得られた複数の制御信号を一つのパケットに格納して転送するパケット化予測制御(Packetized Predictive Control; PPC)手法について検討する.本稿では,格納する制御信号の数が多くなるという PPC 手法の問題点を改善するため,制御対象状態クラスタリング(State Clustering; SC)を用いた制御信号選択手法を提案する.提案手法では,近い推定状態に基づいて生成された制御信号を効率的に削減しつつ,バーストロスや不規則な遅延に対する高いロバスト性を実現させることを目指す.
IoT (Internet of Things) 環境の上りリンクにおいて基地局アンテナ数よりも多数の端末からの信号を低遅延で検出するための手法として,離散性とグループスパース性を利用した過負荷MU-MIMO (Multi-User Multi-Input Multi-Output) OFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing) 信号とSC-CP (Single Carrier block transmission with Cyclic Prex) 信号の再構成法を提案し,その特性を計算機実験により評価する.
近年,工場において,ロボットや機械などの製造システムにIoT 機器を取り付け,無線LAN(local area network)経由で機器・機械の稼働状況把握や制御,品質管理が行われる.しかし,多くの製造システムが密に配置される工場においては,複数の無線機器が同時に通信を試みるため,パケット衝突が頻発し,パケットロスや遅延が発生するといった問題がある.この問題に対して,我々は複数の無線LAN システムの送信タイミングを制御する手法の研究を進めている.本稿では,開発した試作機を用いて,各機器の送信タイミングを制御できたことを報告する.
無線トモグラフィは,領域外に設置された無線端末間の信号の受信電力より,領域内部の各地点における信号電力の減衰量を推定する手法である.本稿では,移動端末を用いた無線トモグラフィを提案し,その基本的な性能評価結果を示す.提案手法では,無線端末が移動をしながら様々な方向より信号を送受信することにより,少数の無線端末による無線トモグラフィを実現する.
現在我が国では,災害対応やインフラ点検への応用を目指したドローンの研究開発が盛んに行われている.これらドローンは操縦者から直接見通しが無い環境(見通し外環境:視覚的,電波的に見通しがない環境)で運用される場合があり,見通し外環境においてもドローンとの通信を確保する手段が検討されている.本研究では,見通し外ドローンとの通信を確保する一つの手段として,2016年に総務省が制度化した「無人移動体画像伝送システム」の一つである169MHz帯を用いたドローン制御を提案する.本稿では,169MHz帯通信システムのプロトタイプを用いて伝搬距離特性を評価した結果について述べる.
A-18. バイオメトリクス
3月20日 13:00〜14:00 53号館 204教室 座長 市野将嗣(電通大)
A-18-1 |
歩容による疲労判定手法に関する検討
◎西川博文(三菱電機)・青木工太・村松大吾・槇原 靖・八木康史(阪大) |
A-18-2 |
XGBoostを用いた虹彩と目の周辺のマルチモーダル認証方式の有効性に関する一検討
◎上野山大介・吉浦 裕・市野将嗣(電通大) |
A-18-3 |
NHAとドップラーセンサを用いた非接触な脈拍検出
◎小西巧朗・柳澤健太・澤木宏彰・廣林茂樹(富山大)・吉田一雄(カレアコーポレーション) |
A-18-4 |
スワイプジェスチャ時に腕時計型端末から得られる特徴を利用した透過的受験者認証
○渡邉大輔・井澤悠平・小方博之・安田晶子(成蹊大) |
日常生活における過度の疲労蓄積は,肉体的・精神的な健康状態を悪化させ,作業効率低下や事故要因にも直結し,大きな社会課題となりつつある.
疲労判定対象者の協力が不要,かつ継続的な疲労判定の手法として,歩容を用いた疲労判定に関する検討結果を報告する.歩容から得られる多様な特徴のうち,手足の動きの見えの差異に基づく特徴情報が疲労判定に与える影響について考察を行った.
近年,銀行や空港など多くのところでバイオメトリック認証が本人認証に活用されている.その中で精度が高いことで注目されている虹彩認証は被認証者がカメラに近づく必要があり,抵抗感を持ちやすいという欠点がある.この問題に対し,一度の撮影で取得可能な目の周辺画像も同時に用いて遠距離で認証を行うことで,心理的抵抗を減らすことが可能である.本研究の目的は,被認証者が抵抗感なく虹彩認証システムを使用可能とするため,遠距離でのマルチモーダル認証方式の精度を向上させることである.そこで,近年様々なところで有効性を示しているXGBoostを用いて虹彩認証と目の周辺認証を組み合わせることを提案する.
ドップラーセンサを用いて呼吸や脈拍などの生体情報を非接触に検出する研究が長年行われている。周波数領域で見た場合呼吸の高調波成分が脈拍成分に被ってしまうことや周波数分解能の不足で脈拍成分の検出が難しくなっている。特に一般に用いられているSTFT(短時間フーリエ変換)では時間分解能と周波数分解能の両立が難しく、本報告ではこれらを両立するNHAを用いて時間周波数解析を行った。その結果、時間周波数解析で呼吸と体動に起因する歪みの影響が一部残るもののNHAの脈拍検出に対する有効性を明らかにした。
会場外オンライン受験には、試験会場の設営や受験者の移動の手間を省く事ができ、居住地に関係なく試験を受けられるメリットがある。しかし、会場外試験では試験監督がおらず不正行為への対処が困難と言う課題がある為、ハイステイクな試験では実施できない。この為、会場外オンライン受験での不正行為への対策が必要となってくる。我々はタブレット端末を用いた場合の会場外オンライン受験を想定し、そこで行われる替え玉受験を生体認証を用いて防止する方法について研究している。本発表では、腕時計型端末を装着した状態で右方向・左方向のスワイプ動作を行わせ、そこから得た特徴を用いて本人認証を行い、認証精度を評価する。
A-19. 安全・安心な生活とICT
3月21日 13:00〜17:00 54号館 401教室 座長 行田弘一(芝浦工大)
A-19-1 |
緊急救命避難支援システムのための機械学習を用いた端末の保持状態および異常行動判定法
○和田友孝・中嶋真悟(関西大)・大月一弘(神戸大) |
A-19-2 |
TVモニタを用いた土砂災害関連情報通知システムの開発
◎△児玉大空・小里春来・新 浩一・西 正博(広島市立大) |
A-19-3 |
釧路地域における準天頂衛星システムによる測位精度
○山形文啓(釧路高専)・小熊 博(富山高専)・亀田 卓・末松憲治(東北大) |
A-19-4 |
エリアIPフォンを用いた小型船舶の衝突予測と接近警告
◎大月 航・杉浦彰彦(静岡大) |
A-19-5 |
LPWA通信を用いた作動通知システムの開発と実装
○森部絢嗣(岐阜大)・藤本晶史・時田義明(フォレストシー) |
世界各地で火災やテロなどの突発的災害により多くの死傷者が発生している.原因として,災害の情報を早期に入手することが困難な点が挙げられる.そのため,被災者に対して迅速に災害情報を提供するシステムが必要である.そこで,我々は,緊急救命避難支援システム(ERESS:Emergency Rescue Evacuation Support System)の開発を行っている.ERESSは,人の所持する端末のセンサ情報から行動を分析し,それらの情報を収集することにより,災害を自動で検知するシステムである.本発表では,機械学習を用いて端末の保持状態と異常行動を判定する方法を提案する.
広島市は,過去に集中豪雨による土砂災害で甚大な被害を受けている.平成30年7月豪雨では,西日本各地で甚大な被害を受けている.被害を未然に防ぐためには住民の早期避難が必須である.我々は土砂災害発生危険箇所の撮影画像を24時間監視し,さらに監視情報をWeb上に公開することで地域住民が情報収集できるよう土砂災害モニタリングシステムを構築している.
本研究では,高齢者など情報機器の取り扱いに不慣れな人でも容易に監視情報を取得可能にすることを目的として,各家庭のTVモニタに監視情報を出力する土砂災害関連情報通知システムを開発した.
我々は, GPS (Global Positioning System) に代表される NSS (Navigation Satellite System) を用いた防災情報報知システムを提案している.このとき,複数の測位システムを複合して利用することで,測位機会の増大と測位精度の向上が可能となる.また,避難誘導アプリケーションへの応用では,なるべく標高の高い避難ルートを検索するなど,高精度の標高測定が必要となる.2017 年 10 月に準天頂衛星システム (QZSS:Quazi-Zenith Satellite System) の衛星 4 号機が打ち上げられ, 2018 年 11 月にサービスが開始された.本稿では, GPS/QZSS の複合測位を行った標高測定結果を報告する.
近年,小型船舶の海上事故の増加が社会問題となっている.近年のデータでは全船舶事故のうち約7割を小型船舶が占めており,対策として携帯端末向けのアプリケーションの適用が検討されている.本研究では,音声通信技術である「エリアIPフォン」を応用し,海難事故が多発しているエリアを対象に,衝突予測による通話と接近警告を行うことで,船舶事故の防止を実現する.
各船舶の周囲に危険範囲を設定し,端末9台を用いて通話検証実験を行ったところ,危険範囲内に位置する他船と自動通話が開始されることが確認できた.本結果から,正常な位置情報の取得及び距離に応じた通話が可能であるといえ,提案システムの有効性が示唆された.
IoT技術が発展する中で,携帯電波の圏外が多い中山間地においても広域で通信できる技術が求められている.そこで本稿ではLPWAに注目し,独自の無線規格「LP-WAVE(エルピーウェイブ)」(250mW:LoRa)を用いて,野生動物が捕獲された際にGPS情報と共にアプリへ通知するシステムを開発し,野外での実証試験を行った.その結果,機器間最大通信距離は約160 kmを確認した.また見通しが悪いエリアにおいても数キロの近距離であれば電波の回折により通信に成功し,直接は通信が出来ない不感地帯においては中継機を増設することで通信可能であり,山間地域での運用に十分対応できたので報告する.
休 憩(14:30 再開) 座長 大塚 晃(事業創造大)
A-19-6 |
感電による労働災害の現状とアーク溶接機用安全装置の国際比較
○冨田 一・崔 光石(安衛研) |
A-19-7 |
警備システムの構築と顧客の合意形成を支援するシステムの研究
◎髙見澤里咲・藤川真樹(工学院大) |
A-19-8 |
利便性とセキュリティを考慮したメニュー注文システムの開発
◎齋藤優作・藤川真樹(工学院大) |
A-19-9 |
スマートグラスとビーコンを用いた配膳サポートシステムの設計
◎秋山克貴・藤川真樹(工学院大) |
A-19-10 |
重さセンサと機械学習を用いたゴミ分別システムの試作
◎南 雄也・宇都宮栄二(KDDI総合研究所) |
休業4日以上の感電に起因する労働災害を厚生労働省の労働災害(死亡・休業4日以上)データベースを用いて平成18~27年の10年間を分析した結果、定性的な状況は平成10年以前と感電災害の多く発生している業種、発生月、感電災害を誘引した起因物などに変化の無いことが確認された。
感電災害の起因物として上位を占めるアーク溶接機について、感電災害防止対策用の安全装置である交流アーク溶接機用自動電撃防止装置と同様の機能を有する安全装置を韓国と比較した。その結果、始動感度、遅動時間、安全電圧の仕様には大きな差の無いことが確認された。
機械警備システムの構築は,専門的な知識と技能をもつ警備職員によって行われる.当該職員は,顧客の要望(予算,守りたい資産の価値,操作性など)を考慮しつつ,顧客との合意を形成しながら最適なシステムを構築する.今日,深刻になりつつある人手不足は,上記のような能力をもつ職員の育成や確保を難しくするだけでなく,彼ら1人当たりの負荷が増大することを意味する.本研究の目的は上記の課題を解決するために,職員の業務のうちの一部を肩代わりできるシステムを提案することである.検討の結果,人手が必要であったプロセスの一部を削減できること、および建物の外周に関するデータを活用することで開口部ごとのセキュリティレベルを診断できることがわかった.
飲食店では,顧客のオーダーを誤って受理してしまうケースがあり,損失や事故につながりかねない.これらは顧客と厨房との間に人(ホールスタッフ)が介在していることが原因であると考えられる.これらの問題に対し,NFCタグと顧客スマートフォンを使った注文システムが提案されているが利便性に難がある.本稿では,NFCタグの代替としてBLEビーコンを使うことでセキュリティレベルを低下させずに利便性を向上させたセルフオーダーシステムを提案する.サーバ・顧客スマートフォン・ビーコン間の通信プロトコルを設計し,顧客用注文アプリを開発した.これらを実装することでセキュアな状態を確保しつつ利便性や安全性を向上させることが見込める.
本論文では,飲食業界における誤った配膳を防止するシステムを設計する.このシステムでは,ホールスタッフにスマートグラスを装着させ,配膳のサポートをしてもらう.ホールスタッフが持っているトレイには電子ペーパータグが取り付けられており,料理の情報や文字情報などの文字情報と当該情報が格納された2次元コードが表示されており,その2次元コードをスマートグラスで読み取ることでどのテーブルに配膳すればいいのかが分かる.ホールスタッフの位置や各テーブルの位置はBLEビーコンのRSSIを用いて推定する.
複数の重さセンサを底部に搭載したゴミ箱を試作し,ゴミが投棄されてから一定経過時間後までの重さの変化を測定することで,投棄されたゴミ種別を機械学習により予測する分別システムを提案する.
休 憩(16:00 再開) 座長 佐藤大輔(NTT)
A-19-11 |
信号機が情報フローティングに与える影響に関する考察
○宮北和之・柄沢直之(新潟大)・田村 裕(中大)・中野敬介(新潟大) |
A-19-12 |
情報フローティングを用いた災害時の通行可能マップ生成におけるマップの大きさに関する考察
○柄沢直之・小林航大・稲川優斗・宮北和之(新潟大)・田村 裕(中大)・中野敬介(新潟大) |
A-19-13 |
ドローンアドホックネットワーク用プロトコルiFORP-3DDの性能評価
◎渡部訓久・行田弘一(芝浦工大) |
A-19-14 |
災害時における避難者健康管理のための睡眠モニタリングシステムを用いた睡眠の質推定
◎阿部将斗・行田弘一(芝浦工大) |
情報フローティング(IF)とは,エピデミック通信において移動端末同士の直接通信を限られた領域(送信可能領域:TA)だけで行わせることにより,無駄な情報拡散を防ぎつつ特定の地域に情報を留まらせておくための技術であり,近年研究が行われている.過去のIFの研究では,直線状道路,十字路,格子状道路など様々な道路モデルにおいてその性質の解析がなされてきた.本報告では,解析の簡単化のため,従来考慮されていなかった交差点における信号機の影響を考慮に入れ,IFの平均継続時間の理論解析を行い,信号機がIFに与える影響について考察する.
情報フローティングとは,情報の無秩序な拡散を防ぐために,直接無線通信による情報の送信を送信可能エリアだけに限定したエピデミック通信である.幾つかの情報フローティングを連携させた技術として,ネットワーク化された情報フローティングが提案されており,このネットワーク化された情報フローティングを用いて,通信インフラを使用することができない災害時において通行可能な道路に関する情報を計測,共有し,通行可能マップを生成することが検討されている.本報告では,通行可能マップの大きさが誘導成功率や平均送信データ量にどのように影響するのかシミュレーションにより評価し,考察する.
近年,ドローンに代表される無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle,UAV)は様々な用途に利用され始めている.しかし,UAVと操作端末間の通信はほとんどの場合,一対一の直接通信によって行われており,UAVが映像などのデータを配信できる範囲は電波の届く範囲に限られる.この問題を解決する手段として空中を移動する端末でアドホックネットワークを構成するFANET(Flying Ad-hoc NETwork)があり,FANETの端末をドローンとしたDANET(Drone Ad-hoc NETwork)がある.本研究では信頼性の高いDANETを構築するために,リンク維持時間を用いて経路を構築する既存プロトコルFORPの改良版である iFORP(improved Flow Oriented Routing Protocol)に,経路を構成する中継端末の移動を制御する機能を導入したiFORP-3DD(3-Dimensional Deceleration)を提案し,シミュレーションにより評価を行い,結果を示す.
災害時に自宅が倒壊するなどの理由により車中泊避難を余儀なくされた被災者の自己健康管理を目的として,我々は車中泊時においても正確に睡眠をモニタリングできる加速度センサと圧力センサを用いたシステムを提案し,その改善と評価を行ってきた.これまでの結果より,ユーザへ睡眠のモニタリング結果をフィードバックするため,各センサによる測定結果と睡眠の質の相関関係を解明することが課題となっていた.本稿では, 測定結果から睡眠の質を推定する手法を提案し,その有効性の評価を行った結果について述べる.
3月22日 9:00〜11:45 54号館 401教室 座長 内田 理(東海大)
A-19-15 |
危機管理システムにおけるミッションパック導入等による対応力向上について
◎高田慎也・橋本順子・小山 晃・小阪尚子・倉 恒子・岸 晃司(NTT) |
A-19-16 |
避難者リスト作成・照会システムのレジリエンス確保に関する一検討
○西浦升人・相川進一・宮本進生(構造計画研)・田上敦士・植田一暁(KDDI総合研究所) |
A-19-17 |
避難時の譲り合い状態を疑似体験するためのVRシミュレーターの開発
○谷 賢太朗(新潟医療福祉大) |
A-19-18 |
災害時の情報伝達手段に関する基礎検討
◎小林直輝・山崎達也(新潟大) |
A-19-19 |
指定エリア内接続型ラインによる被災者安否確認と被災者間コミュニケーション
◎牧野 蓮・杉浦彰彦(静岡大) |
近年、台風、豪雨などの気象災害が激甚化し、大きな被害をもたらしている。統合リスクマネジメント支援システムKADANの研究開発を行ってきた。しかしながらこれまでのKADANは、例えば沖縄での台風への対応といったように1拠点の1つの時間軸での危機管理を行うものであった。本稿では、ミッションパックを導入し、さらにはシステムを同時進行で複数拠点の時間軸に対応可能なものへと拡張し、連携することによって解決される課題を考察する。
災害発生時における避難者リストの作成・照会にかかる労力をICT活用により軽減する取組みが各種行われているが,災害時に機能することを前提とする情報システムにはレジリエンスを確保した設計が求められる.本稿では,ICNアーキテクチャとスマートフォン間Proximity通信を活用したレジリエントな避難者リスト作成・照会システムの可能性を示す.
近年,VR技術の進歩により,災害現場からの避難行動を疑似的に再現できるシミュレーターが多く作られている.そのようなシミュレーターの多くは現実の災害状況を忠実に再現して,災害という特殊な環境を疑似体験することを目的としている.しかしこのようなシミュレーターは,一つ一つの細かな状況ごとに再現するものではない.実際に避難する際には,災害現場から離れる,という目標の中に,どの道を選択するか,他者との譲り合いをどのように解決するか,といった細かな判断が存在している.本研究ではそのような避難行動時の細かな部分の判断を疑似的に再現するVRシミュレーターを開発する.特に本稿では他者との譲り合い状況の再現を試みる.
近年日本では,東日本大震災をはじめ各地で大規模な災害が発生している.災害時において迅速な避難を実現するためには,災害情報の早期かつ確実な伝達が必要である.また,複数の情報伝達手段で行うことで,より確実に避難者への情報伝達が可能になる.現在用いられている主な情報伝達手段として,防災行政無線と緊急速報メールが挙げられる.防災行政無線は環境条件の影響を受けやすく,緊急速報メールは配信範囲が市区町村単位であり,配信される情報が住民にとって広域的であることが課題である.本研究では,基地局を必要としない近距離無線通信を用いた,局所的な情報配信手法を提案する.
近年南海トラフ巨大地震の発生が危惧され,災害対策の重要性が注目されている.そこで本研究ではLINEの機能を利用し,自動返信機能を備えたLINEアカウントに被災者安否確認機能と被災者間コミュニケーション機能を備えることで,被災者間の共助活動を支援する情報共有支援システム”エリアLINE”を提案する.ユーザーは本アカウントとのトーク画面にてユーザー情報を登録する.本アカウントは登録情報を活用することでユーザーに対し,エリア内メッセージ送信,最近傍ユーザーメッセージ取得,電話番号照会による安否確認の3つの機能を提供する.本システムはこれらの機能によって災害発生時,指定エリア内における被災者間情報共有を支援する.
休 憩(10:30 再開) 座長 水野 修(工学院大)
A-19-20 |
Mastodonによる地域性の高い情報共有を目的としたミニブログシステム
◎下代達也・内田 理(東海大) |
A-19-21 |
迅速な避難を促す災害情報のパーソナライズ
◎杢谷大成・宇津圭祐・内田 理(東海大) |
A-19-22 |
LINEを用いた避難所情報共有システム
○小川将輝・内田 理(東海大) |
A-19-23 |
平成30年北海道胆振東部地震時のツイート分析
○塚田将人・山田実俊・内田 理(東海大) |
A-19-24 |
足踏みによる VR 空間の移動を用いた災害シミュレーションシステム
○芹澤郁哉・内田 理(東海大) |
災害発災時に被害を最小限に食い止めるには迅速,かつ的確な情報の収集と伝達が重要であり,即時性が高く利用者が多いという特徴を有するTwitterの利活用に大きな注目が集まっている.災害時のツイートにはジオタグ(経緯度の情報)などが付与されていることが望ましいが極めて少ない.一方で,地域SNSは情報の地域性や信頼性が高く,災害時に活用された事例も存在する.先行研究では,オープンソースとして公開されているMastodonをベースに災害情報共有を目的としたミニブログシステムを提案し,そのプロトタイプを構築した.本研究では,先行研究で実装した位置情報自動付与機能の改良と,近傍投稿表示機能の追加により,災害時の利用にも適した地域性の高いミニブログシステムを構築する.
水害が発生した際,人的な被害を軽減させるために有効な手段として住民の早期避難が挙げられる.しかし,水害発生時,避難行動に至らない住民は多い.この要因の一つに,災害の状況を適切に認識させることができない情報提供が挙げられる.したがって,避難の対象となる住民個々に,属性や状況を考慮した情報を理解しやすい形でリアルタイムに提供することは,住民の早期避難行動の誘発につながると考えられる.我々は先行研究で,災害の内容や危険性を正しく住民へ伝え,迅速な避難を促すシステムを提案し,そのプロトタイプの実装を行った.本研究では,先行研究で実装したシステムの改良し,ユーザの属性に応じてパーソナライズされた情報を提供するシステムの構築を行う.
災害時,自宅での生活が困難となった被災者のために避難所が開設される.しかし,避難所の運営に関しては,多くの課題が指摘されている.熊本地震以降,支援物資の調達支援を行うシステムの整備が進められているが,支援物資の入力を行うことができるのは避難所管理者のみであるため,避難者のニーズを正確に把握することや,避難所運営に活用することは困難である.本研究では,避難者が簡単な操作で避難所管理者に情報を提供するためのチャットボットを提案し,利用者が多いLINEのアプリケーションとして実装する.避難者は避難所入所時に,氏名・性別・年齢等の属性情報をLINE上で入力できる.また,避難者は必要な物資や避難所管理者への要望等を,LINEを通していつでも伝達可能である.
平成30年9月6日に北海道胆振地方中東部でマグニチュード6.7の地震が発生し,北海道全域で停電が発生するなど,大きな被害が生じた.このような大規模災害が発生した際,被害を最小限に食い止めるためには,迅速かつ的確な情報収集・伝達が重要である.総務省が行った東日本大震災時のICTの利用状況に関する調査によると,即時性と地域性の高い情報収集手段としてTwitterが活用されていたことが知られている.一方,災害時にTwitterに投稿される情報は膨大であり,有益な災害関連情報を抽出するのは容易ではない.そのため,災害時のTwitterの有用活用に向けて,ツイートの特徴を分析することは重要である.本研究では,平成30年北海道胆振東部地震時に収集したツイートを分析する.
日本は,地震や津波など災害が多く,防災教育や災害対策が必要不可欠である.そこで,災害を疑似体験できるシステムが提案・開発されている.しかし,既存のシステムは機材が特殊であるため高価となり,手軽に導入したり利用したりすることができない.一方,一般的な防災訓練では参加者は指示された通りに行動するのみの場合も多く,自主的に考える力を身に付けることが困難である.さらに,防災訓練は面倒なものと認識している人も少なくない. そこで本研究では,市販の安価な VR 機器によるリアルタイムモーションキャプチャを活用した移動システムを組み込んだ災害シミュレーションシステムを開発する.本システムにより,より現実に近い状況を再現しつつ自発的な防災行動を低コストで学習することが可能となる.
3月22日 13:00〜14:15 54号館 401教室 座長 柄沢直之(新潟大)
A-19-25 |
ドローンを用いた災害情報運搬および空撮画像解析に関する検討
◎青木 渓・福見淳二(阿南高専)・梶田宗吾(スペースタイムエンジニアリング) |
A-19-26 |
自立移動式災害対策支援ユニットにおける災害情報提供システム
◎鈴木浩平・田島氷河・水野 修(工学院大) |
A-19-27 |
CCTVを用いた道路トンネルの新たな安全対策について
○和田一輝・濱道勝則・臼井智徳(NEXCO東日本) |
A-19-28 |
海上におけるRFIDシステムの電波強度の減衰量測定実験
○佐藤寧洋(阪電通大)・神部 元・山中仁昭・松浦義則・島田康平・磯崎裕臣(海上保安大) |
A-19-29 |
Convolutional LSTMを用いたXRAINデータにおける異常検知
◎高野大悟・藤田拓也・稲毛惇人・篠田拓樹・大枝真一(木更津高専)・中谷 剛(防災科学技研) |
近年各地で大規模災害が多発しており、土砂崩れ等の災害により道路や通信インフラが寸断され、山間部に点在する小規模集落の孤立が問題となっている。さらに携帯電話基地局の被災や、電波伝搬状況が厳しい山間部地域も数多くある。
そこで、本研究では山間部の被災地情報ステーションと災対本部間での災害情報等の共有手段としてドローンの活用を検討している。ドローンは土砂災害による道路寸断等の影響を直接受けることがなく、撮影した空撮画像を解析することで被災状況を確認することができ、災害時の救助活動をより迅速に行うことが可能となる。本稿では、ドローンを用いた情報取得・運搬システムを設計・試作し、実証実験を行った結果を報告する。
大規模災害発生時,基地局の破損等で既存の通信インフラの使用ができなくなる恐れがある.それによって災害情報の取得が困難になり,大混乱に陥る恐れがある.そこで,工学院大学では,災害情報の収集および提供を行う自立移動式災害対策支援ユニット(D-ZEV)の研究開発が実施されている.本研究では,D-ZEVのネットワークを活用した災害情報提供システムの提案および構築し,被災者に対し,災害時の行動判断に必要な災害情報の提供を行う.11月に新宿区で行われた防災ウィーク内で84人にアンケート調査を依頼し,構築した災害情報提供システムの有効性を確認した.
本稿では、NEXCO東日本・十和田管理事務所が管理する東北自動車道 坂梨トンネルにおけるCCTVを用いた道路トンネルの新たな安全対策について報告する。
本稿では,Radio Frequence Identificaion (RFID) を利用した船舶衝突警報システムの実現を目指し,RFID タグの海上での利用可能性を明らかにすることを目的とする. 汎用的な RFID システムを利用した海上測定実験により,距離や海上での動揺などの影響によって電波の受信電力レベルがどのように減衰するのか,またどの程度ばらつくのかについて調査する. その結果より,RFID シ ステムの受信信号の減衰量をしきい値とする船舶衝突警報システムへの応用方法を検討する.
近年,自然災害における被害が増加しており,中でも局地的に激しい雨が降るゲリラ豪雨は甚大な影響を及ぼしている.しかしゲリラ豪雨には明確な認定基準が存在せず突発的に発生するため予測が困難であることが知られており対処することが難しい.本研究では XRAIN データという降水量が記録され た時系列データからゲリラ豪雨を検知することを目的 とする.検知の方法として深層学習の手法の一つである Convolutional LSTM を用いて時系列データの学習と予測を行う.その後,予測値と実際の値を用いてゲリラ豪雨を異常とみなし異常検知を行い,ゲリラ豪雨の判定を行う.
A-20. ハードウェアセキュリティ
3月20日 13:30〜14:30 54号館 403教室 座長 国井裕樹(セコム)
A-20-1 |
センサーMCUのAD変換器を悪用したアナログ情報漏洩・改竄攻撃
◎水田健人・三木拓司・三浦典之・永田 真(神戸大) |
A-20-2 |
オンチップ電源回路によるサイドチャネル漏洩抑制効果の解析
○三木拓司・三浦典之・永田 真(神戸大) |
A-20-3 |
コンパイラの最適化が引き起こす脆弱性ガード消失のバイナリ比較による検出
○東 優花・石浦菜岐佐(関西学院大) |
A-20-4 |
TVCに対するレーザー照射を用いた命令置換攻撃
◎鈴木朋郎・坂本純一・松本 勉(横浜国大) |
IoTの本格普及に伴い、医療・ヘルスケアセンサーが取得する秘匿性・重要性の高い生体信号のセキュリティ確保が課題となっている。生体信号は低周波信号であるため、一般的に、センサーシステム内のマイコン(MCU)に搭載された逐次比較型AD変換器を用いてデジタル化される。しかし、逐次比較型 AD変換器は二分探索アルゴリズムを実現するための電荷再配分動作において、参照電圧端子から供給される電荷と入力信号が相関を持つというセキュリティ上の脆弱性を有する。我々は、これまでに、参照電圧端子を悪用することで、入力信号の漏洩・および、改ざんが可能であることをディスクリートAD変換器ICを用いて実証してきた。本稿では、実際の医療・ヘルスケアセンサーに用いられる汎用マイコンICに対して、AD変換器の参照電圧端子を介してデータの漏洩・改竄実験を行ったので報告する。
サイドチャネル攻撃の最も直接的な経路は、ICチップのピンに露出した暗号回路の電源端子を直接プローブすることである。しかし、近年、オンチップ電源回路でチップ内部から暗号回路の電源を生成・駆動できるようになり、内部電源を外部端子に出力する必要がなくなった。そのため、チップ外から観測できる電源ノイズは、オンチップ電源回路の周波数特性によりフィルタリングされる。しかし、電源回路のフィルタ特性を正確に把握できないと、十分な漏洩抑制効果は得られない。本稿では、電源回路における代表的な構成であるリニアレギュレータ回路とスイッチングレギュレータ回路の漏洩モデルの構築とシミュレーションを実施し、それぞれのサイドチャネル漏洩特性の解析を行ったので報告する。
プログラムの脆弱性は社会的にも深刻な問題を引き起こしており, これを防ぐために徹底的なコード監査や形式的手法による検証等が行われる. しかし, ソースコードレベルで対策を行ったとしても, コンパイラの最適化が意図しない脆弱性を引き起こすことが指摘されている. 本稿ではこのような脆弱性のうちガードの消失に着目し, これをバイナリコードの比較により検出する手法を提案する.
IPAより提供されている攻撃評価用ICカードであるTVCに対し,レーザー照射を用いた命令置換攻撃実験を行う.先行研究において命令置換による公開鍵暗号アルゴルズムの攻撃が行われているが,同文献で攻撃対象とされた実装はフォールト攻撃対策が施されておらず,命令置換によってフォールト攻撃対策実装が攻撃できるかは課題であった.本研究では,TVC上に実装された(検算を用いた)フォールト攻撃対策済みAES暗号化アルゴリズムを攻撃対象とし,命令置換攻撃の効果を調査することを目指す.実験の結果,TVCのフラッシュメモリ上にレーザーを照射することで,読み出される命令の1ビットを書き換える命令置換攻撃により,検算対策をバイパスし誤り暗号文を出力させられたことを示す.
H-1. ヒューマンコミュニケーション基礎
3月19日 10:30〜11:45 54号館 103教室 座長 松田昌史(NTT)
H-1-1 |
音楽演奏のためのUIと楽譜に関する評価実験
○出口幸子(近畿大) |
H-1-2 |
ユーザープロファイルに基づいた高齢者向け音声対話システム
○太田壱成・森下健太・綱川隆司(静岡大)・遠藤幹也・都築俊宏(マルタカテクノ)・西村雅史(静岡大) |
H-1-3 |
眼球動作情報の有無における母語と第二言語会話での注視行動の比較
◎大野善彦・伊集院幸輝・加藤恒夫・山本誠一(同志社大) |
H-1-4 |
コミュニケーションロボットの指示による集団行動に関する検討
○黒岩 孝・矢澤翔大・新妻清純(日大) |
H-1-5 |
独立成分分析による脳活動データを用いたSTAIスコア推定法
○田中 奨・鏑木崇史・栗原陽介(青学大) |
本研究では,高齢者とその介護者・家族が音楽でコミュニケーションを取るために,誰でも容易に演奏できるUIとそれに対応した楽譜を開発している.4種類のUIとそれに対応した楽譜(五線譜,音名譜,数字譜,色楽譜)を使用し,若者32名(鍵盤楽器の経験なし24名),高齢者27名(鍵盤楽器の経験なし21名)を対象に,評価実験を行った.本評価実験により,弾きながら歌う場合,数字譜が有用であることが確認できた.また,音名譜や色楽譜も人によっては有用であることがわかった.一方,鍵盤楽器の演奏経験のある人は,五線譜が有用であることも確認できた.本結果より,多くの人に対応するためには4種類の楽譜を用意する必要があることがわかった.
社会の高齢化に伴い,認知症者の増加が社会問題となっている.認知症の予防に期待できる方法の一つに高齢者自身が“話す”ことが挙げられ,その中で対話システムは高齢者が孤独な状態にあっても高齢者の話し相手となり得るとして注目されている.本研究では,高齢者が自身の過去を想起しながら語り,聞き手がそれを傾聴することで情動機能の回復や意欲向上などが期待できるとされている“回想法”に着目し,回想法を模擬する対話システムの構築を行なった.本システムでは,あらかじめ対象とするユーザーから収集した情報に加え,Web経由で自動収集した関連情報も併用して,システム主導の形式で質問,適切な相槌による傾聴,情報提示を行う.
グローバル化に伴い,第二言語を用いてコミュニケーションを行う機会が増えている.第二言語での会話の際には,非言語情報が内容理解を補助する役割を果たしていることが示唆されている.本研究において,「視線」は顔の動きなども含めているが,その中でも眼球動作の表出の有無が会話に与える影響に注目した.ピンホールサングラスを用いて眼球動作情報の表出を操作し,発話中の発話者や聞き手への注視量を測ることにより注視行動を定量的に表した.分散分析を行った結果,使用言語と眼球動作表出の有無の交互作用が見られ,眼球動作の表出がなくなることで話者交替や視線による言語能力の補完が困難になった可能性が示唆された.
最近、人間と会話ができるコミュニケーションロボットが急速に普及しつつあり、主に介護や看護といった業界から大きな期待を寄せられている。ところが、コミュニケーションロボットを教育に活用する事例についてはあまり報告がされておらず、特に実習科目に関する検討については十分とは言えない。本研究では、コミュニケーションロボットの指示に従い集団行動を行う場合について検討を行った。
近年,健康管理のため身体面だけでなく精神面の検査を行う必要があると考えが主流である. しかしながら精神面のチェック法は自己報告法であるため自身の立場や都合などから,回答を操作する恐れがあり,正確に評価することができない可能性が指摘されている.筆者らはこれまでに前頭前野の脳活動を用いた不安の評価手法を提案してきた.そのなかで安静時よりも計算課題を実施したときはより高精度に不安指標を推定できることが示唆された.先行研究ではタスクを計算課題に限定していたため,刺激として最適なタスクの検討と,それに対応する適切な信号処理手法の検証を行う.
H-2. ヒューマン情報処理
3月21日 13:00〜16:45 54号館 203教室 座長 蒲池みゆき(工学院大)
H-2-1 |
変化の見落とし現象を利用した周辺情報通知に関する基礎実験
○田邊喜一(松江高専) |
H-2-2 |
移動視覚刺激に対するSSVEPの検出
◎藤江優真・齋藤慶良・大橋智志(苫小牧高専)・北崎充晃(豊橋技科大) |
H-2-3 |
視覚刺激を利用した視線方向の推定
◎齋藤慶良・藤江優真・大橋智志(苫小牧高専)・北崎充晃(豊橋技科大) |
H-2-4 |
Joining-in-type RALLシステムにおける視線動作と会話の理解度との関係についての分析
◎藤尾昇平・伊集院幸輝・加藤恒夫・山本誠一(同志社大) |
人の認知特性である“変化の見落とし現象”を導入することにより,ユーザが注意を向けている空間領域に情報が提示されたときにのみ,その情報の提示に気付くような情報提示手法について検討している.本手法では,情報の更新時に空白画像を短時間挟むフリッカー法を用いて当該現象を誘発する.本稿では,中心作業(標的アルファベットの検出)と周辺作業(4個配置した無意味図形の変化検出)を同時に課し,中心作業が周辺情報の検出特性に及ぼす影響について調査した.周辺刺激は画面右下の領域に提示した.分析の結果,中心作業の負荷の多少に依らず,周辺刺激に対する検出率は50%弱となり,変化の見落とし現象が頑健であることが認められた.
意思疎通が不自由な人々のために,脳波を利用して機器を制御するブレイン・コンピュータ・インタフェース(BCI)が提案されている.その脳波のひとつに視覚刺激を注視した際に誘発される定常状態視覚誘発電位(SSVEP)がある.また,視線計測も意思疎通のためのインタフェースとして利用されている.先行研究では静止状態の視覚刺激を注視した際の視線方向を評価し,96.6[%]の精度で視覚刺激を注視できていることを確認した.また,静止した視覚刺激提示における脳波の計測とSSVEPの検出にも取り組んできた.本稿では,移動する視覚刺激を用いた視線入力インタフェースの実現を目的とし,移動する視覚刺激を注視した際の脳波スペクトルを評価した.
EEGは病気の検査や電動車椅子の操作,意思疎通のツールとして用いられる.視覚刺激によって誘発される脳波成分であるSSVEPは注意状態の抽出に,アイトラッキングは視線方向の検出に利用される.SSVEPを利用した視線方向の推定が可能であれば,視線方向とその注意状態を同時に明らかにできる可能性があり,安全管理や認知症のリハビリテーション等への応用も考えることができる.本研究では,視覚刺激を固定して視線を動かす実験を通して視線方向推定のためのモデルを構築し,その精度を調査した.その結果は2方向分類で100%,3方向分類で90%の精度で分類することができた.これはSSVEPによって視線方向の推定が可能であることを示唆している.
本研究グループでは,第二言語の学習手段として,実環境に近い対話状況での学習を実現する為、ロボットと学習者が対話、もう一台が生徒役を演じ、学習者を会話に誘う対話形式の言語学習支援システムであるJoining-in-type Robot Assisted Language Learning (JI-RALL)の研究を進めている.このような対話において視線は様々な役割を持ち,第二言語の場合では,視線情報がより,重要な役割を果たしていると先行研究では示唆されている.そこで本研究では,JI-RALLシステムにおける学習者の視線動作から会話の理解度を検出することを目的として,本システムでの会話時の学習者の視線動作の分析を行う.
休 憩(14:15 再開)
H-2-5 |
仮想空間が愛着に及ぼす影響に関する調査のための環境構築
◎權名津卓未・河村泰之(愛媛大) |
H-2-6 |
拡張現実を利用したひろがるAR絵本のための教示による演出作成支援機構の開発
◎片岡 瞳・大囿忠親・新谷虎松(名工大) |
H-2-7 |
MRHMDを用いたひび割れ検査支援システムの試作
◎還田 匡・山口友之(筑波大) |
H-2-8 |
打音検査の直感的な作業支援システム
○萩原恒樹・山口友之(筑波大) |
H-2-9 |
VR空間におけるテニスサーブ練習の効果
◎重田皓平・田辺弘子・小宮山 摂(青学大) |
H-2-10 |
視野角の異なるVR映像の没入感とリラクゼーション効果の関係
◎鯉沼佳希・大倉典子(芝浦工大) |
これまでに,モノへの愛着に関して多く議論され,心理的な影響や経済効果が確認されてきた.近年,VRやARの発展により,人間はこれまでになかった世界の概念を獲得しつつある.そのような仮想的な空間や拡張現実の中で,愛着はどのように形成されるかはこれからの課題である.
本稿では,仮想空間内の体験が愛着に及ぼす影響を調べることを目的とし,その予備実験として,仮想空間内でキャラクターを動かす体験環境を構築し,一般に公開して感想やコメントを得るための試験運用について報告する.
AR絵本の作成における登場人物の生き生きとした行動を演出することは,重要であるが手間がかかる.例えば,登場人物の6軸の移動/回転に加え,首や手の動きなどのポーズを変化させる必要がある.さらに,複数の登場人物間のやりとりを表現するには,登場人物間で行動を同期させる必要があり,難易度が高い.本研究では,登場人物の行動を人形を用いて実演することで,登場人物の演出を作成するというアプローチにより,これらの問題の解決を試みた.本手法により,座標や向きの情報を入力する必要がないため演出を簡便に作成可能になる.本システムは登録済みの経路を確認しながら教示を実行することで,複数の登場人物間のやりとりを表現するための演出作成が可能である.
近年,高齢化したコンクリート構造物が増大しており,それらの検査に要する時間も増加している.ひび割れは欠損の原因となり,その性状を検査・解析することは重要である.画像処理によってひび割れを自動検出する研究があるが,これらは評価段階の支援を行えない.また,MRを利用した実現場での3Dデータ可視化システムなどがあるが,実現場でリアルタイムで支援する枠組みまでには至っていない.本研究では3Dデータのリアルタイム作成と同時にひび割れの自動検出,及びその画像を3Dデータ上へ投影する支援システムを提案する.これらはMRHMDと高解像度カメラを用いて行う.試作システムによって空間認識と画像描画システムのシステムを確認した.
ひび割れや剥離のようなコンクリート構造物の欠陥は打音検査のような非破壊検査によって早期に欠陥を発見し修繕することが求められているが,検査者の不足が問題となっている.そのため打音検査の検査結果の記録の自動化に関する研究が幅広く行われているが,記録した結果をリアルタイムで検査者に提示する研究はあまり行われていない.そこでこれまでに打音検査の欠陥解析,打撃位置の記録を自動化し,打撃位置に解析結果を直接プロジェクタから提示するシステムを開発したが,設置の手間が多いため実用的ではなかった.そこでARヘッドマウントディスプレイを利用した検査支援システムを製作し,評価実験を行った.実験の結果,プロジェクタの支援システムと同等に動作し,設置時間が短くなった.
近年、スポーツの練習にバーチャルリアリティを用いる例が増えている。本研究では硬式テニスのサーブ練習にVRを用いる練習方法について検討する。VR空間での練習のメリットとして現実と違いコートの確保やボール拾いが不要になるなどの点が挙げられる。
VR空間での練習の際にはHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を被り、コントローラーを持つことによって仮想空間でのラケットとボールをトスするための手を実装した。
実験の結果、VR空間での練習効果が現実世界での練習効果と同様にサーブの成功数が増加し、練習前と練習後の結果に有意差が見られた。
現代社会ではストレスが大きな問題となっており、過去にもストレス解消に関する研究は多く行われてきた。その中でも、自然映像の視聴は手軽なストレス解消法の一つとされている。一方で、近年はVR市場が大きく発展し、リラクゼーション効果を提供することを目的としたVRコンテンツが増加している。また、没入感という要素はVRコンテンツにとって重要な要素とされていて、これまでにも没入感に関する研究は多く行われてきた。しかし、没入感がリラクゼーション効果に与える影響については明確にされていなかった。そこで本研究では、視野角の異なるVR映像を用いて、没入感がリラクゼーション効果に与える影響を明らかにすることにした。
休 憩(16:00 再開) 座長 新井田 統(KDDI総合研究所)
H-2-11 |
ピアノ演奏時のモーションキャプチャデータの自動修正
◎萱原健太郎・加藤恒夫・山本誠一(同志社大) |
H-2-12 |
後退駐車における後退開始姿勢の教示効果の検討
◎田中 翔・福村直博(豊橋技科大)・大濱吉紘(豊田中研) |
H-2-13 |
製袋加工時における熟練者と初心者の比較評価
◎森 雄基・白岩 史(鳥取大)・中村敬三(明和産商)・白浜千里・米澤隆嗣(メイワパックス) |
ピアノの演奏技術の定量的分析には,指の動きのデータの正確な取得が必須である.モーションキャプチャによる計測方法は,マーカが識別情報を持たないため計測途中でマーカを誤認識したり,他の指や鍵盤に隠れて欠落したりする.手作業によるこれらのエラーの修正は長時間を要する.本研究では手作業による修正の自動化を目的に,手指の構造に基づく決定木とピアノに備えつけられた打鍵記録機能のデータと運指表を用いたモーションキャプチャデータの自動修正を提案する.和音演奏データで提案手法の精度を評価した結果,第1,2関節のマーカの平均精度は約99.6%まで,修正前の精度が最も低かった右手小指第1関節のマーカの精度は約96%まで向上した.
自動車の後退駐車を苦手とする運転者が多く存在する.本研究では,自動車の適切な後退開始姿勢を路面に描画して運転者に教示する手法の有効性を,ドライビングシミュレータを用いて調査した.被験者を先行研究で得た適切な後退開始姿勢を教示して練習する実験群と,この教示を与えずに練習する対照群に分け,自動車の移動軌跡を計測した.後退開始姿勢の解析の結果,実験群は教示に近づく一方で対照群は多様な姿勢に習熟した.また実験群の方が,目標駐車枠内に自動車が収まる成功率の向上幅が大きかった.したがって,路面描画による後退開始姿勢の教示に運転者は習熟でき,単純な繰り返しよりも駐車の正確性が向上しやすいことがわかった.
日常的に利用している食品等が入っているプラスチック製の袋の製造時に、新人とベテランで不良品検出率に差が出る。その差は普段の行動やトラブル発生時の対応の違いによって変わる。製造業において新人とベテランを比較する研究では、主にアンケート調査とヒアリング調査が行われていた。本研究ではこれらに加え、視線計測により新人とベテランの注目部位を比較する。本研究は、製袋加工時に不良品を出さないために、初心者と熟練者との技術の違いを調査することが目的である。
前段階として、視線計測を行う場所や状況を検討するために、実際に工場で働いている従業員にアンケート調査とヒアリング調査、視線計測を行った。
3月22日 10:30〜12:00 54号館 203教室 座長 新井田 統(KDDI総合研究所)
H-2-14 |
画面スペースの削減を目的としたタブレット用両手フリック日本語入力キーボード
◎中村優哉・細部博史(法政大) |
H-2-15 |
Autoencoder法を用いた転倒検知システムの提案
○高尾郁也・鏑木崇史・栗原陽介(青学大) |
H-2-16 |
文字入力型BCIを用いた認知機能低下レベルの分類法
◎福島暁洋・森 知佳子・諸岡 遼・田中久弥(工学院大)・馬原孝彦・平尾健太郎・都河明人・羽生春夫(東京医大) |
H-2-17 |
周波数強度の分布を活用した睡眠時の無呼吸状態検出アルゴリズム
◎西尾啓汰・高尾郁也・鏑木崇史・栗原陽介(青学大) |
H-2-18 |
睡眠中の血圧変動を考慮した無拘束血圧推定システム
○小川和馬・鏑木崇史・栗原陽介(青学大) |
H-2-19 |
シート型圧電センサを用いた心拍計測に関する一考察
○舘泉雄治(東京高専) |
今日,タブレット端末はスマートフォン,PCと並んで一般的なインターネット端末として普及している.現在,外部の物理キーボードを除いたタブレット端末での入力は,QWERTYキーボードをタブレット用に適合させたソフトウェアキーボードが多く用いられている.このような入力方法の場合,画面スペースを多く利用し,指の移動距離も長くなり疲労が溜まるという問題がある.また,前述の手法の場合,日本語入力しか行えない利用者にとっては不便であると考える.そこで,本研究ではスプリットキーボードのようにフリックキーボードを左右に分割することによって画面スペースを削減し,指の移動距離を短くした日本語入力キーボードを提案する.
近年、我が国では急速に高齢化が進み、生産年齢人口の減少に伴って独居高齢者の数が増加傾向にある.そして、転倒事故の頻度も増加しており、早期発見が求められている.
筆者らはこれまでにマイクロ波ドップラセンサによって動作を計測し、プライバシー、無拘束性を保ちつつ,自動での転倒検知するシステムを提案してきた.しかしながら,事前準備として転倒していないデータとともに,転倒したデータが必要となっていた.この問題を解消する目的で異常検知の分野で活用されてきたAutoencoderを導入する.さらに,センサの設置場所についても検討し,適切な特徴量について考察する.
我々は文字入力型BCI(Brain-Computer Interface)を活用した認知症のスクリーニングツール開発をおこなっている。このツールでは認知障害の神経心理学検査であるMMSE(Mini Mental State Examination)のスコアと本研究のツールで得られたSEDV:誤入力文字距離(単位文字)、事象関連電位P300潜時(単位ms)、P300線形判別率(単位%)の関係について、相関がみられている。本報告ではそれらの特徴量を用いることで、認知機能低下レベルの分類をおこなえないか検討した。分類学習器LDA、SVM、knn(k=1)の三つの手法を試みたところ、すべての手法で健常・軽度認知障害群と認知症の疑いのある群の2群分類で70%以上の分類率が得られ、スクリーニングツールの妥当性が示唆されたので報告する。
睡眠時無呼吸症候群は虚血性心疾患による死亡リスクを高める為,在宅環境において日常的に呼吸状態をモニタリングすることが重要である.したがって,本稿では睡眠時の呼吸信号を無拘束で計測し,無呼吸状態を自動的に検出するアルゴリズムを提案する.空気圧方式の無拘束生体計測システムによる出力信号に対してバンドパスフィルタを適用し,呼吸信号を取り出す.得られた呼吸信号に対してウェーブレット変換を適用し,スペクトルを求める.求めたスペクトルの強度上位10%を抽出することで,周波数強度分布の軌跡を取得する.これを特徴量とし,閾値法により無呼吸状態を検出する.被験者を5名とした検証実験の結果,正答率0.75という結果が得られた.
高血圧は循環器系の疾患の中でも多くの日本人が診断される疾患である.その中でも特に発見のしにくい夜間高血圧に着目して研究を行う.現状では夜間における血圧測定にはカフ圧迫による腕のしびれなどから適していないと考えられる.そこで筆者らは夜間に無拘束で血圧を測定出来るベッド型システムを提案してきた.しかしながら,睡眠時の血圧変動傾向を考慮に入れていなかった.本研究ではベッドに圧力センサを設置し、得られた波形から1回拍出量、心拍数、血管の径、血管の硬さを示す特徴量を算出する.さらに,睡眠時の血圧変動を伝達関数モデルによるシステム同定を行うことで血圧推定を行う.提案システムと上腕式血圧計の相関について報告する.
心拍信号は豊富な情報を含んでおり,感情や興奮状態の取得,病院や介護施設・保育園等での見守り,運転手の異常や居眠り検知など,様々な分野での応用が試みられている.
無拘束で心拍情報を得る方法として,心弾道や心音により心拍を推測する方法が有望であるが,これまで被験者の体動による振動や環境騒音に弱いという問題点があった.
そこで,両信号を同時に測定し,条件の良い方,または,2つの信号を組み合わせて心拍を推測するという方法を提案し、一般的なオフィス程度の環境騒音下においても,心臓から離れた臀部での非拘束センサ1つによる1度の計測で,心弾道と心音の2つの信号を同時に計測できることを実証した.
3月22日 13:00〜15:30 54号館 203教室 座長 望月理香(NTT)
H-2-20 |
季節感が一致する商品と背景画像呈示に伴う脳活動の検出
◎野寄史弥・島田尊正(東京電機大) |
H-2-21 |
EEGによる楽曲聴取者の嗜好の推定に関する検討
○澁田留奈・田畑有紀子・菅沼 睦・亀山 渉(早大) |
H-2-22 |
Variational Autoencoderによる生体情報を用いた楽曲聴取者の嗜好の識別
○田畑有紀子・澁田留奈・菅沼 睦・亀山 渉(早大) |
H-2-23 |
シャープネス値に基づく自然環境音からの快適覚醒音刺激の探索
○星野博之・石橋 峻(愛知工業大) |
近年、eコマース(Electronic Commerce)の急速な発展に伴って、多くの商品がインターネット経由で売買されるようになってきたが、商品背景のデザインが検索・購買に影響するとの報告がある。先行研究では商品と背景の季節感の一致・不一致が商品の評価に与える影響を脳機能画像測定により検証を試みたが、定量的・客観的に評価するには至っていない。本研究は,画像呈示法の改善(断続的呈示および直後に表情画像呈示)により、商品と背景の季節感の関係性がもたらす情動への影響を評価することを試みた。その結果、季節感の一致、不一致間で、快情動と関連すると考えられる眼窩前頭皮質に有意な賦活差が検出された。
今日では、生体情報のコンテンツ推薦への応用が注目されている。そこで、楽曲聴取中のEEGによる楽曲に対する嗜好推定を目的とし、測定部位の異なる2種類の脳波計を用いて比較実験を行った。被験者が事前に選定した「好き」な楽曲20曲、「嫌い」な楽曲20曲を聴取させ、聴取中のEEGを測定した。SVMを用いて学習と検証を行った結果、被験者2名の平均正解率は4チャンネル脳波計使用時に0.531、14チャンネル脳波計使用時に0.660となった。チャンネルごとの比較では、右側頭部T8によるEEGを用いたときに最も高い正解率を得た。以上より、楽曲に対する嗜好推定にはT8によるEEGの利用が有用であることが示唆された。
今日では、生体情報のコンテンツ推奨への応用が注目されている。そこで、楽曲聴取中の生体情報による楽曲に対する嗜好推定を目的とし、4名の被験者に対して実験を行った。被験者が事前に選定した好きな楽曲20曲と嫌いな楽曲20曲を聴取させ、聴取中の脳波、RRI、瞳孔径を測定した。得られたデータに対しVariational Autoencoderを適用して特徴表現の算出を行い、k-means法によるクラスタリングを行った。その結果、ある被験者については、全プロットのうち68.11%が好きな楽曲の聴取時に現れるクラスタ、70.11%が嫌いな楽曲の聴取時に現れるクラスタがそれぞれ確認された。他の被験者についても同様のクラスタが存在した。以上より、生体情報を用いた楽曲聴取者の嗜好推定が可能であることが示唆された。
運転中のドライバや各種の監視作業者の状態を適切に保つことは非常に重要である。これまでに我々は、聴覚への常時刺激に注目した検討を行い、快適さと覚醒効果を両立できる音刺激として「山間、川のせせらぎ、鳥の鳴き声」といった自然環境音が適している可能性を見いだした。本研究では、人の状態を適切かつ快適に保つための音刺激を実際の自然環境音から探索し、さらにそれらに基づいて新たな音を創成することを目的としている。今回、研究の第1ステップとして、自然環境音のデータベース化、音響特徴分析、主観評価による快適音探索を行った結果、快適さと覚醒効果を両立できる可能性がある音として、鳥の声と虫の声を抽出した。
休 憩(14:15 再開)
H-2-24 |
自動運転状況下を想定した、音楽聴取時のドライバーの精神状態の心拍による推定
○山﨑凌平・大倉典子(芝浦工大) |
H-2-25 |
ぬいぐるみを用いた「かわいい」感のモデル構築と評価
○冨部剛史・大倉典子(芝浦工大) |
H-2-26 |
DNNによる生体信号を使用した映像視聴者の感情推定
○松村美里・持倉有紀・菅沼 睦・亀山 渉(早大) |
H-2-27 |
時系列を考慮した映像視聴者の生体情報による感情分類と推定
◎持倉有紀・松村美里・菅沼 睦・亀山 渉(早大) |
H-2-28 |
感性的印象値からの3Dモデル自動生成手法に関する基礎検討
○都築 潤・田口皓一・橋本 学(中京大)・飛谷謙介・長田典子(関西学院大) |
近年、人のわくわく感に着目した研究が行われてきている。先行研究では、若者の車離れが指摘されていることに対して、若者が車に対して魅力を感じてもらうためには、車の外見だけでなく「運転する楽しさ・喜び・感動」といったわくわく感を体感できることが重要だとされている。以前に著者らは、生体信号を用いて車載機器の提示情報によるドライバーのわくわく感を評価した。また、車の自動運転において、ドライバーの眠気の防止は喫緊の課題であり、そこで音楽の利用の有効性も検討対象である。そこで本研究では、音楽を利用したシステムによって、わくわく感と眠気を区別する心拍情報を特定する実験を行う。
著者らは、人工物の付加価値として「かわいい」という感性価値に注目し、その物理的属性を系統的に解析する研究が行ってきた。さらに、空間やインタラクティブシステムから人が感じるわくわく感に対して、より客観的と考えられる生体信号を利用して把握する試みも行われ、「かわいい」感と生体信号との関係についてもわかっている。さらに、かわいい画像の種類による心拍数の変化についても実験が行われ、「かわいい」感はわくわく系「かわいい」と癒やし系「かわいい」に分類され、前者のみが心拍数の上昇に関係することもわかっている。しかし、以上の「かわいい」感と生体信号に関する実験では、バーチャル環境やコンピュータディスプレイに提示した画像を用いており、実物を対象とした実験は行っていない。そこで今回の実験では、実物のぬいぐるみを用いて実験を行い、実験協力者の癒やされた程度とわくわくした程度を、生理指標の変化から推定するモデルを構築することを目的とした。
本稿では,映像視聴時の生体信号とアンケート回答を用いて,DNNによる映像視聴者の感情推定を行った.基礎律動,瞳孔径,RRI変化率のそれぞれ上下1.25σ-4σの時刻の論理和データを使用し,提示した9本の映像のうち7本のデータを学習データとテストデータ1に分け,該当する時刻に回答された感情を正解としてDNNを適用した.残りの2本の映像をテストデータ2とし,テストデータ1と2を用いて学習モデルの評価を行ったところ,テストデータ1では全被験者において高い推定精度が得られたが,テストデータ2では被験者によるばらつきが大きくなった.DNNを用いることで,生体信号とアンケート回答から,映像視聴者の感情を推定できる可能性が示唆された.
本稿では,映像視聴者の生体情報とアンケート回答を用いた感情分類と推定において,時系列情報の有用性を検証するためにLSTM Autoencoderによる分析を試みた.被験者の映像視聴時の瞳孔径,基礎律動,RRI変化率を結合させたデータに対してAutoencoderによる学習とLSTM Autoencoderによる学習を行った.学習後に特徴表現を算出し,得られた結果に対してk-means法を用いてクラスタリングを行い,2つの学習結果を比較した.その結果,被験者8名のうち6名において,AutoencoderよりもLSTM Autoencoderによる学習結果の方が高い分類・推定精度が得られた.このことから,時系列情報を考慮することでより高い精度で映像視聴者の感情分類と推定ができる可能性が示唆された.
近年,3Dプリンタの普及を背景として一般の個人によるモノの製造が容易になったことから,人間が直感的に形状を設計するシステムの実現が望まれている.これに関し,片平らは感性的印象指標の中で特に「硬い-柔らかい」が重要であることを明らかにし[1],Taguchiらは3次元形状モデルから人間とほぼ同様の感性指標を自動推定しうる手法を提案した[2].
本研究の最終ゴールは,上記の設計システムの実現に向けて,Taguchiらのアプローチとは逆方向,すなわち,感性指標をもとに3次元形状を自動設計するシステムを開発することである.本稿では,対象物を”chair”に限定した上で,大量の感性指標付き形状データベースを利用可能であることを前提とし,”chair”群の感性指標平均値からの偏差を指定することによって,それに応じた形状が自動的に出力される手法を提案する.
H-3. メディアエクスペリエンス・バーチャル環境基礎
3月22日 13:00〜14:30 54号館 303教室 座長 橋本敦史(オムロンサイニックエックス)
H-3-1 |
視覚利用型不正行為防止にヘッド・マウント・ディスプレイを装着した場合の受験者への影響
◎三澤紘平・高山英士・豊田大樹・小方博之・安田晶子(成蹊大) |
H-3-2 |
歩行者追跡に基づいて周辺状況を可視化するインタラクティブイルミネーション
◎小澤稔浩・福田悠人・小林貴訓・久野義徳(埼玉大) |
H-3-3 |
メディエータロボットを用いた非同期遠隔共食支援システム
○板垣立稀・福田悠人・小林貴訓・久野義徳(埼玉大) |
H-3-4 |
アスリートの食事管理を支援するフードコンサルティングシステム
◎唐澤弘明・川原田美雪(東大)・天野宗佑(foo.log)・山肩洋子・相澤清晴(東大) |
H-3-5 |
複数デバイスを用いたハイブリッド型簡易モーションキャプチャシステムの提案
◎大黒康介・渡辺健斗・椿 郁子(東京工科大)・渡部健司(専修大) |
H-3-6 |
力覚デバイスを用いたロボットアームの遠隔操縦システムの構築
○神原利彦・千野謙吾(八戸工大) |
監督者のいない会場外受験では, 不正行為の検出・防止法が問題となる. そこで, Head- Mounted Displayを利用して受験者への視覚情報入力を制限することで, カンニングペーパーなどの視覚利用型不正行為を防止する方法を提案する. 本研究では, 仮想現実感装置と強化現実感装置を利用し, 装置の装着によって試験の結果に何らかの影響が生じるかを確認する.
安全・安心への関心が年々高まっており,現在あらゆるところに監視カメラが設置されている.しかし,これらは夜道を歩く歩行者に対して情報を示すようなものではなく,危険の発生を直接防ぐことができない.そこで,周囲の状況を観測し,歩行者の周囲の状況理解を支援するシステムを提案する.人物の行動を赤外線レーザ距離計で追跡し,観測した人の行動を理解しやすい形で可視化する為にキャラクターをデフォルメし,イルミネーションとして投影する.キャラクターを用いることで,見知らぬ人と相互監視をしているという抵抗感を感じにくくなり,様々な景観に溶け込ませられるので多くの人が触れやすい形にすることができると考える.
食事行為には単なる栄養摂取だけでなく,家族団欒等のコミュニケーションツールとしての側面も存在し,社会的意義も認められている.しかし近年,生活様態や家族構成の変化に起因した孤食の増加が問題視されている.特に子供,高齢者の孤食は精神疾患や発達障害等の元となる生活習慣病とされ,孤食問題の解決は急務となっている.
孤食問題を解決するため,テレビ電話等を用いたシステムが多く提案されているが,これらのシステムでは利用者双方が食事時間を合わせなければならず,現状の孤食状況では利用できない場合が多い.この問題に対して,食事映像とメディエータロボットを用いた三者による非同期遠隔共食支援システムを提案した.
当研究室では深層学習を利用した食事記録のシステムを開発してきた。システムは FoodLog というサービスとして公開されている。 本研究では、FoodLog の食事認識の仕組みを応用し、管理栄養士とアスリートがコミュニケーションを取るためのシステムを開発する。このシステムは管理栄養士・アスリート双方の負担軽減と管理栄養士がアドバイスを作成する際の情報を充実化することを目的としている。また、将来的にアドバイスの自動化を行うべく、アスリートの生体データと対応付けられたアドバイスデータの収集も行う。
モーションキャプチャは、従来、大規模な光学式システムによって行われていたが、近年、慣性センサなどを用いた簡易的なシステムが開発され、活用が進んでいる。しかし、これらのシステムは、長時間使うとずれが生じる等、精度の点で課題があることが知られている。本稿では、キャラクタの位置情報をVR式、各部位のモーション情報を慣性センサ式から入力するハイブリッド型の簡易モーションキャプチャ方式を提案し、それを用いて人物キャラクタを動かすアプリケーションを開発した。時間経過によって誤差が蓄積せず、安定に動くことを確かめた。
ロボットアームを遠隔地からネットワーク経由で操縦し、目的のタスクを遂行する研究は様々な分野で行われて
いる。例えば、医療用の遠隔手術や、原子力発電所内部での遠隔作業などが挙げられる。本研究では、彫刻とい
うタスクを想定して、ロボットアーム先端に取り付けた刃物が材料を彫る際にかかる反力を遠隔地に居る操作者
が感じながら作業するシステムの構築を目指す。彫刻においては、この力加減が非常に重要であり、力を感じな
いで操作することで切り過ぎてしまう現象や、刃物が進まない現象などが発生する。力覚センサで計測した反力
を力覚デバイスで発生させて操作者に感じさせる実験や仮想的にボクセル表現したCG材料を彫る実験を行った。
H-4. 福祉情報工学
3月21日 13:00〜16:45 54号館 102教室 座長 南谷和範(大学入試センター)
H-4-1 |
両耳聴型聴覚支援システムによる音源の接近の検出
◎関 淳・霜山竜一(日大) |
H-4-2 |
自己組織化マップを用いた屋内生活音の確率モデル化に関する検討
◎高田 鳴・田中元志(秋田大) |
H-4-3 |
視覚障害者のための上方向障害物検出システムの開発
◎小西智裕・丹下 裕・片山英昭(舞鶴高専) |
H-4-4 |
AR技術を使用した色覚異常者に対する色弁別支援システムの試作
○近藤祐矢・大囿忠親・新谷虎松(名工大) |
H-4-5 |
行政機関が提供するPDFのウェブアクセシビリティの現状
○林 あゆみ(放送大) |
人は道路を横断する場合に、視覚と聴覚の両方を使い左右の安全を確認して渡ることが多い。聴覚障害者は聴覚による確認が難しいため危険に晒されることがある。著者らは両耳型聴覚支援システムで後方に位置する音源の動きを検出できることを報告した。本研究では、両耳型聴覚支援システムを装着した被験者が走行する自動二輪車を目視で追尾し音源の接近を検出した結果について述べる。
独居者の家庭内で発生する音から事故などの異常検出を目的に,自己組織化マップ(SOM)を用いた生活音の確率モデルを検討し,それを用いて求めた音の発生確率の時間変化を観察することで異常候補を検出する方法を提案した。日常生活音のSOMを求め,日常音とそれ以外の領域に分け,この2状態間を遷移する確率モデルを考えた。異常模擬音として,転倒後活動がない場合10音,悲鳴5音を用意し,それらの発生確率を求めた。転倒時の発生確率が低下し,その後の活動がない時間帯では確率の変化が見られなかった。転倒及び悲鳴時の発生確率が日常音に比べて十分に小さくはならなかったが,異常候補検出の可能性が示唆された。
本研究室では、下方向の静止障害物を検出する超音波白杖にドップラーセンサを導入することで移動障害物の検知を可能とする検出システムを開発し、初めて通路を歩行する視覚障害者がアナウンスをもとに空間情報を把握できるような情報共有システムの構築も併せて開発を進めている。
視覚障害者の聞き取り調査において、歩行時において頭上の危険(看板や低い天井、自動車のサイドミラーなど)を心配する視覚障害者が多数存在することが分かった。本稿では、下方向障害物の検出原理を応用することで上方向障害物検出システムを開発し、上方向障害物検出の可能性を調査したので報告する。
色覚異常者への支援として,色覚補正メガネがある.色覚補正メガネは,光干渉法をもちいて色覚異常者が感じる色の信号の強度を調整することにより,色覚健常者に近い色覚を実現する.欠点として視界内の輝度の低下が挙げられる.本研究では携帯端末を使用して,端末上での適応的な補正を行う.これにより色相や彩度の調整が可能となり視界の輝度低下を防ぐことを目指している.さらに,色名を重畳表示させることで,色覚異常者と健常者との色に関する意思疎通を容易にすることを目指した.本稿では,AR技術を用いた色覚異常者の色弁別支援に関して,視界内の輝度が低下しない手法の実現および,弁別困難な色領域にある2つの物体の色による識別,指定した物体の色名の表示を行うアプリケーションの試作について述べる.
国及び地方自治体等行政機関のウェブサイトでは,PDF形式のファイル(以下,「PDF」という)による情報提供が広くおこなわれている.これまで視覚障害者から,PDFが情報アクセスの妨げになっていると指摘されてきた.スクリーンリーダー使用時の,PDFのアクセシビリティに関する先行研究はあるが,その後調査研究は多くない.
本研究では,災害時のPDFがウェブアクセシビリティの問題事例のひとつにあることを踏まえ,行政機関が提供するPDFを一定条件のもと選定し,機械的評価と手動評価を組み合わせて実態調査をおこなうことを目的とする.
休 憩(14:30 再開) 座長 酒向慎司(名工大)
H-4-6 |
個人間類似度を考慮したガウス過程による膀胱内蓄尿量予測
○山崎智將・綿貫百人・鏑木崇史・栗原陽介(青学大) |
H-4-7 |
飲水を考慮した超音波センサを用いた膀胱内畜尿量予測
◎綿貫百人・山崎智将・鏑木崇史・栗原陽介(青学大) |
H-4-8 |
脳波(ERP)によるAndroidスマートフォンアプリを用いたALS患者のYES/NOの特定
○加納尚之(島根県立大) |
H-4-9 |
脳波を用いた画像の癒し効果と性格に関する研究
○岩崎曉彦・猪口健太郎・柴田慎一(大同大) |
介護施設では、排尿管理が問題となっている。これまで我々は超音波センサで計測したデータに基づいてその先の蓄尿量推移を予測する研究を進めてきた。しかし、データ取得が困難であること、個別化ができないことが課題であった。そこで、蓄尿量推移の一般的共通部分に関しては他者のデータから共通部分を抽出し、それらを本人のデータとして扱い、個人の特異部分に関しては本人のデータから特徴を抽出することで、取得データの少なさおよび個別化の問題を解決した。先行研究との比較実験では、先行研究による予測と実際の排尿量との平均誤差率が35.65%なのに対して、本提案手法による予測の平均誤差率は25.96%と約10%の向上が見られた。
近年、高齢化が社会問題となっており、その中でも尿失禁は特に問題視されている。
筆者らは膀胱内蓄尿量の数理モデルを仮定し、付随するパラメータを超音波センサから得たデータから推定する方法を提案してきた。しかしながら、途中で飲水があった場合は推定精度が低下する。このため、本研究ではパラメータの推定式に飲水量と飲水時点の膀胱内蓄尿量の実測値から得られる補正項を乗算することで予測精度の向上を図る。この補正により予測誤差は33.76%となり、補正を行わない場合の45.99%に比べ12.23%改善し、t検定において1%有意であることが分かった。
意思伝達能力を損なった筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者のための意思伝達補助装置(CA)の開発が切望されている.CAで最も重要な部分は入力センサである.そこで,目標刺激に関連して出現する事象関連電位(ERP)の成分であるP200,N200,P300,そしてN400に着目している.筆者はすでに家電製品を患者の意思でON/OFFする実験を重ね高い正答率を得ている.そこで,これらの実験データの蓄積をもとに,完全閉じ込め症候群(TLS)となった患者のために,Androidスマートフォンを用いて脳波(ERP)を処理し,患者のYES/NOの意思を特定するアプリを開発したことについて報告する.
うつ病や認知症といった精神疾患の患者数が増加しており、その原因の1つにストレスが挙げられる。ストレスを解消する方法はいくつもあり、その1つに癒し画像という見ることで癒し効果を得ることができる画像がある。癒し画像は、インターネットを通じて容易に見ることができ、数多くの種類の画像が存在している。しかし、画像の好みは人それぞれであり、人によって同じ画像を見た場合でも感じ方は異なる。本研究では、国際感情画像システム(IAPS)の画像を見たときの脳波を計測し、性格による個人差と快や不快といった情動との関連性を検証し、脳波を用いて画像を見たときのストレス状態からの回復の個人差について調査を行った。
休 憩(15:45 再開) 座長 細野美奈子(産総研)
H-4-10 |
運動センサを用いた転倒の危険性のある歩行状態の識別
○木元大貴・柴田慎一(大同大)・田嶋拓也(福岡工大)・阿部武彦(愛知大)・木村春彦(小松大) |
H-4-11 |
歩行分析のための注意を誘導するVR実験環境
○△澤口隆磨・田中久弥(工学院大) |
H-4-12 |
健康高齢者を対象とした姿勢年齢モデルの有効性評価
○武藤ゆみ子(東工大)・千葉智也(テレビジネス)・柴 喜崇・上出直人・坂本美喜(北里大)・武藤 剛(文教大) |
H-4-13 |
ビュッフェ型食堂向け摂取カロリー表示アプリの設計と健康管理への意識変化
梶原咲良・○石原真紀夫(福岡工大)・石原由紀夫(島根大) |
日常生活において、とても大切な動作である歩行は加齢より歩行状態が不安定なる。高齢者の救急搬送者数は「転倒・転落」によるものが多く全体の8割を占めている。加齢による歩行状態の変化は転倒発生の原因となっている。一般的に歩行評価は理学療法士の主観的判断によるものが多く、本研究では運動センサを用いて転倒の危険性のある歩行状態を測定し、機械学習による識別を試みる。実験では、被験者に運動センサ(加速度センサ・角速度センサ)を腰、爪先左右、踵左右の計5つ装着し、転倒の危険性のある歩行状態として3種類の歩幅が狭い歩行とすり足の歩行を測定した。各センサの装着位置による各歩行状態の評価について報告する。
本研究は家庭内においての転倒の要因を探るための歩行分析の環境構築を旨に,家庭内環境を没入型VR装置(大型スクリーン前面,床面)で立体視することで疑似体験することが可能な日常生活場面に特異的な環境の構築を目的に研究を行った.OmegaSpaceで実験環境を制作するために,3dsMax で3DCGモデルを作成し,それをOmegaSpaceで3次元形状データとして読み込んだ.作成したモデルはキッチンコンロでのやかんの点火,沸騰である.日常生活で能動的に行動しやすい場面であると考えられる.また,事前計測として通常歩行,早歩き,大股歩きの計測を行った.膝,踵,つま先の高さの変位を見るとつま先の高さの変位が最も差があり,転倒の要因の着目点に設定できると考える.
加齢による姿勢の歪みは,頭痛や内臓疾患,転倒事故の要因になり,特に高齢者の転倒は,骨折や脳疾患等を引き起こし,寝たきり化へつながるリスクが指摘されている.我々の研究グループでは,このような姿勢の変化に高齢者自身が早期に気づくことを支援するためのインタフェース設計を目指し,その第一歩として,脊柱の湾曲の度合いを簡易的に評価する手法を提案してきた.しかし,その手法の有効性や評価については,高齢者20名と若年者20名の比較に基づいており,十分とは言い難いものであった.そこで本研究では,健康な高齢者約160名を対象に行われた体力測定において,本手法を用いて姿勢の計測を行い,筋力や骨密度などの他の体力測定結果値に基づき,有効性の評価を行う.
近年,生活習慣病が問題視されている.その原因は,食習慣や運動習慣の乱れ,喫煙と飲酒などである.厚生労働省の国民健康・栄養調査(平成29年)によると,日本人の肥満者(BMI≧25 kg/m^2)の割合は,男性が30.7%,女性が21.9%で約3人に1人は肥満という結果が出ている.このような生活習慣病の有効な改善策として情報の可視化がある.C.R.Pacanowskiらは,定期的な体重計測は減量に有効である結果を報告している.岡本らは食事の写真1枚から摂取カロリーを推定するモバイルアプリを構築しており,その可視化は摂取カロリーの自主的な自己管理に効果が期待できる.本研究では,1品ずつ選ぶブッフェ型食堂に対応した手軽な摂取カロリー表示Webアプリを設計しその効果を報告する.
シンポジウムセッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
ANS-1. 多様なアプローチによるネットワークシステムの解析と応用
(非線形問題研専、回路とシステム研専 共催)
3月20日 13:00〜16:50 54号館 201教室 座長 高橋規一(岡山大)
ANS-1-1 |
Convergent Cross Mappingによる複雑ネットワーク構造上での因果推定
○澤田和弥(東京理科大)・島田 裕(埼玉大)・池口 徹(東京理科大) |
ANS-1-2 |
動的過程に基づく中心性の提案とソーシャルネットワーク上での情報拡散抑制への応用
○高澤栄一・篠宮紀彦(創価大) |
ANS-1-3 |
グラフ的シュタイナー木問題に対するタブーサーチとカオスサーチの探索の多様性について
◎△藤田実沙(東京理科大)・木村貴幸(日本工大)・池口 徹(東京理科大) |
本稿では,多数のロジスティック写像をWSモデルに従って結合した結合力学系から観測される時系列信号を対象として,CCMによる因果関係の推定精度を調査した.
その際,WSモデルの枝繋ぎ変え確率を変化させて,ネットワーク構造を規則的なネットワークからランダムネットワークへと変化させて実験を行った.
その結果,ネットワーク構造の違いは因果関係の推定精度に影響を与えないことを数値実験により示した.
また,ネットワークがコミュニティ構造を持つ場合とコミュニティ構造を持たない場合(ランダムネットワーク)を比較して因果関係の推定精度が向上する場合があることも示した.
ソーシャルメディアの発展に伴い,ネットワーク上を伝搬するユーザ個々の振る舞いは,社会に大きな影響を与えうるようになった.本研究の目的は,このような伝搬現象の分析であり,特にネットワーク内の情報拡散に重要な役割を果たすリンクを識別することである.これまで,グラフ理論における伝搬モデルを利用した辺の重要度の評価手法を提案してきた.グラフの各頂点へ与えた可変量を均等化する過程を用いて,重要度の指標を定義している.本稿では,シミュレーション実験から,提案手法が情報拡散抑制の指標として有用たり得ることを示す.
我々は既に,カオスサーチがタブーサーチよりもグラフ的シュタイナー木問題に対する優れた解探索性能を示すことを報告した.本報告では,グラフ的シュタイナー木問題に対するタブーサーチとカオスサーチの解探索性能の差について,探索の多様性という観点から調査した結果を報告する.調査の結果,タブーサーチよりもカオスサーチのほうが多様なニューロンが発火しており,解探索に多様性があることが分かった.
休 憩(14:30 再開) 座長 篠宮紀彦(創価大)
ANS-1-4 |
グラフラプラシアンの摂動を用いたメタ原子のトポロジーの設計
◎長谷川 確・久門尚史・和田修己(京大) |
ANS-1-5 |
強化学習を用いたQoSベースのアンチジャミング移動制御
中嶋大志・○久世尚美・潮 俊光(阪大) |
ANS-1-6 |
Grundy Coloringにおける点数や辺数を最小とするグラフについて
○田村 裕・松本 峻(中大)・中野敬介(新潟大) |
グラフのラプラシアンとそこから得られるグラフのスペクトルは,ネットワークの性質を表す特徴量として知られている.導体球と導体線からなるメタマテリアルは導体球と導体線の接続状態(トポロジー)を接続行列として含む,等価回路モデルを用いた解析ができ,また,その接続行列から得られるグラフのラプラシアンの固有値,固有ベクトルを用いて共振周波数と共振モードがそれぞれ概算できる.本検討ではグラフのラプラシアンとその摂動に対する,固有ベクトルの摂動の計算手法と,それらを用いた,モードに対して与えた条件に沿うように,メタマテリアルのトポロジーを設計する手法を検討した.
サイバーフィジカルシステムの発展,浸透に伴い,無線通信デバイスを利用したシステム,サービスが増加している.一方で,通信を妨害する電波を発し,システム,サービスの機能を阻害するジャミング攻撃が増加しており,本研究では,実世界の情報を収集するモバイル通信ロボットを対象とし,強化学習に基づいたアンチジャミング移動制御手法を提案する.本研究では,Quality of Service(QoS)に基づいて報酬関数を設計し,ユーザの要件を満たしつつ,リアルタイムなデータの収集を達成する.シミュレーション評価を行い,ジャミングの影響を最小化するような移動方策を獲得できることを示した.
無線通信におけるチャネル割当とグラフ理論における彩色問題は古くから関連性が示され,様々な研究がなされてきた.その中で多くの理論的な研究は,割当てるチャネル数を最小とするものである.これは,彩色問題における染色数に対応するからであり,グラフ理論における結果も応用可能であることからである.ただし,チャネル数を最小にするためには,すでに割当てられているチャネルすべてを再割当する等,実際に適用するには問題が多い.筆者らは以前の報告において色数が最大となるGrundy Coloringと呼ばれる彩色について考察している.本報告では,色数を定めたときの点数や辺数が最小となるGrundy Coloringについて言及する.
休 憩(16:00 再開) 座長 池口 徹(東京理科大)
ANS-1-7 |
Bloom filter-based name distribution on complete graph
◎Yoshihiro Kaneko(Gifu Univ.)・Hiroaki Yamamoto(Shinshu Univ.) |
ANS-1-8 |
辺削除時の媒介中心性の高速更新法
◎里谷佳紀・高橋規一(岡山大) |
Bloom filter is space and time-efficient data structure because of its many applications. This filter is based on plural hash functions and is characteristic of quick response No to membership query. It might mistakenly answer Yes to negative queries. Such error rate is termed false positive rate FPR, which is controllable by the filter size and hash function number. Besides, the salt selection of hash functions determines such FPR. This report deals with such salt selection on network models where nodes are adjacent to each other and store item name by Bloom filter. In order to aim at lower FPR, we have examined the correlation between FPR and the filled ratio of Bloom filter. Some models turn out to have positive or negative correlation coefficient. We report that, other than random salt selection, odd number salts to provide larger filled numbers or smaller ones yield the lowest FPR for some models.
媒介中心性はグラフの頂点の重要度を示す指標のひとつである.高い媒介中心性をもつ頂点は,多くの最短経路が通っていることを意味する.媒介中心性を求めるアルゴリズムとしてBrandesのアルゴリズムが知られているが,辺の追加や削除といった操作がされると計算を最初から行う必要がある.そこで,本稿ではRamalingamらの最短経路長更新アルゴリズムに基づく媒介中心性更新法を提案する.また,その方法の有効性を実験によって検証する.