ソサイエティ特別企画
AK-1. 異なる言語間における認知的機序の差異――翻訳学と認知諸科学との接点を探る――
(思考と言語研専)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月19日 13:00〜17:00 54号館 101教室 座長 佐良木 昌(明大)
講演時間:各60分
座長挨拶:30分
AK-1-1 |
歌舞伎の物語戦略への序―「歌舞伎の物語生成」の観点から―
小方 孝(岩手県立大) |
本発表では,以下のようなトピックスについて考察・議論する―歌舞伎の物語の特徴,アリストテレス的演劇観・物語観との比較,近代西欧演劇の思想との比較,「文学・芸術としての物語ではなく芸能としての物語」としての歌舞伎.
休 憩(10分)
AK-1-2 |
心象風景の描写における俳句とポエムとの差異
新田義彦(日大) |
俳句とポエムで取り上げられる風景は,根元的に心象風景である.作者の想像力の世界(Mental World)の中で自由自在に変容させられる.変容した風景は直接的にあるいは間接的に,作者の思念を語る.この物語の様式と機序は,俳句とポエムの間で本質的な差異は無いのであるが,俳句はポエムと違って極端な簡略化を強いられた芸術文である.極端な簡略化は,風景描写を極限まで抽象化・汎化する一方で,必然的に,風景の中に実に多大・濃密な思念や情報(メッセージ)を預託することを余儀なくされる.心象風景描写の濃度・密度の差異という観点から,俳句とポエムの差異を考察する.意味的同型性・同相性を持つ俳句とポエムを扱うために,自然翻訳の方法を用いた.つまり所与の俳句を日本語短文と見なして,その自然な英訳文を導出する.この英訳文は俳句の領域を飛び出して詩(ポエム)の領域に踏み込んでいることに着目する.日本語の俳句と対応する英訳ポエムの比較分析から得られた知見の断片を報告する.
休 憩(10分)
AK-1-3 |
言語は思考を左右するか? ― 言語相対性仮説
高野陽太郎(明大) |
総合討論(10分)16時50分から開始です。
「日本人は、日本語の欠陥のせいで、欧米人に比べて、科学的な思考力が劣っている。」こう主張して、それを立証する実験結果を公表したアメリカの心理言語学者がいる。この主張は、言語相対性仮説(あるいは、サピア・ウォーフ仮説)の一例である。本講演では、その実験を検証することによって、この主張の当否を検討し、更に言語相対性仮説の妥当性を考える。
AK-2. 高齢者の活躍ー光輝会の活動に向けて
(光輝会)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月19日 13:30〜16:40 52号館 103教室 座長 五太子政史(中大)
講演時間:各10分
座長挨拶:10分
AK-2-1 |
高齢研究者の社会貢献ー光輝会の活動に向けて
辻井重男(中大) |
AK-2-2 |
人の能力・年齢変化;老人力に迫る
○並木淳治(サイバーレーザー)・五太子政史(中大) |
AK-2-3 |
社会的貢献を目標にシニア研究者が目指す方向について - 光輝会の活動に向けて:私の提案 -
春日正男(作新学院大) |
AK-2-4 |
新産業革命におけるシニア技術者の貢献
佐々木浩二(知的社会システム研究開発機構) |
AK-2-5 |
社会人の博士学位取得の学外支援の方策と実践 ―光輝会の活動に向けてー
小泉寿男(M2M・IoT研究会) |
課題先進国日本の深刻な課題は、高齢化と研究力の衰退であろう。この両者は相互に強く関連している。この課題解決のため、シニア技術者に、研究、教育、起業などの活動の場を提供することが有効であり、本学会の発展、延いては日本の発展の為、学会としてそのような場を設けることを提案する。 社会貢献に情熱を抱く高齢研究者は多く、居場所があれば、彼等の活動の場を広げることが出来、日本の高齢化と研究力衰退の課題を同時に改善することに有効であり、本学会の発展の為にも、高齢研究者に居場所を設けることを提唱する。
政治家や企業経営者等には、老年期を迎えてもその能力の衰えを知らない活躍振りが目立つ。本論文では、①人の処理能力の年齢変化のモデル化。②同モデルを用いた老人力の実証。③結果;壮年~老年期の人間の処理能力に経験力と言う高次システムを導入する事により、恐るべき老人力の実態を示す。
我が国では、人生100年時代、一億総活躍社会、と言われ、幼児からシニアまで、その健全な育成と活躍が期待されている。特に近年は、団塊世代が社会の一線を退き、リタイアした、いわゆるシニア世代の増加が顕著になってきている。しかし、これらの世代の多くは、社会的貢献などに活躍する場やその開示も少なく、シニア活躍の機会喪失として、社会的損失にもなりつつある。この背景から、本文では、シニア研究者に焦点をあて、現状を概観し、この課題を探り、結果として、まずは、社会的貢献を目標にして、シニア研究者が活躍できる環境が提供でき、活発に活躍が継続できる方向性を探ることを目指し、私の提案として述べる。
平成のこの30年間は主戦力のシニアの引退とともに人々の自己過信と目標喪失からバブル崩壊に至った。その結果、先進国の中では際立った経済低迷に陥ってきた。
その結果、先進国の中では際立った経済低迷に陥ってきた。
グローバルな視野に己を置きガラパゴス化から脱出する。
野心を捨てた高齢有識者が惜しみなく参加貢献出来る
企業には、研究部門ではなく現業部門で製品開発設計や技術開発を経験して技術を蓄積するとともに、特許申請や企業の技術誌、業界雑誌に解説論文を載せた実績のある技術者が多くいる。ここでは、熟達技術者と呼ぶ.
熟達技術者と博士学位取得との距離は遠い. しかしながら、技術を深堀したい、将来は海外機関と連携したい、ベンチャ起業したい、大学教員として後輩を育てたい人にとって、博士学位取得にチャレンジすることは有意義であり、課題は多々あるが実現性はありうる。ここでは、大学外の機関としての熟達技術者の博士学位取得支援の方策を提言し、その実践状況について述べる
休 憩(10分)
AK-2-6 |
法令工学の推進:シニア技術者による法令論理式化ー光輝会の今後の活動に向けてー
片山卓也(中大) |
AK-2-7 |
高齢者の情報格差解消対策ー光輝会の活動に向けて
近藤則子(老テク研究会) |
AK-2-8 |
シニアのバーチャルな居場所”メロウ倶楽部“―光輝会の活動に向けて
若宮正子(メロウ倶楽部) |
AK-2-9 |
池原止戈夫先生の人生に学ぶー光輝会の活動に向けて
廣田 修(光量子情報技術研究所) |
AK-2-10 |
シニア技術者にとっての学会
酒井善則(津田塾大) |
AK-2-11 |
はじめに言葉ありー光輝会の楽しみー
池上徹彦(文科省) |
休 憩(10分)
座長 曽根高則義(早大)
討論会(60分)15時40分から開始です。講演者全員による討論となります。
我々の社会は多数の法令によりその構造や活動が定められている.このような法令が社会の要請や立法者の意図に沿った形で正しくつくられ,誤りなどがないことは社会の最も基本的な安心要件である.このような観点から“法令工学”の提案が行われたが、これは法令の作成に情報システム開発技術を適用しようとするものである。この際の最大の問題は,法令の非形式性にある.法令文は文章の構成や用語の選択などに関して,通常の文書に比べると格段に注意深くまた明確に作られているが,計算機を利用してその論理的処理を行えるようにはなっていない.したがって,計算機プログラムに対して行われるような機械的かつ網羅的なテストや検証を行うには、何らかの方法で法令を形式化し,定理証明システムなどにより,その実行や推論を行えるようにすることが必要である.本稿では、このような観点から、現実の法令を論理式により形式化するための方策について述べる。
日本の総人口の約3割、約3500万人の65歳以上の高齢者のインターネット利用率は半数以下で若い世代と比べ大きな格差ある。デジタル情報技術を利用できない高齢者は日常生活や災害時、病気で介護が必要になった場合に便利な情報サービスを利用できない。最近では高齢者のネット詐欺など急速に普及したスマートフォンの利用をめぐる消費トラブルも増え、高齢者はもちろん、行政や企業にとっても深刻な社会問題である。政府や企業、市民団体が協働して高齢者のデジタル技術活用を支援するしくみをつくり、誰もが安心して参加できる高度情報社会を構築したい。
メロウ倶楽部は高齢者による高齢者のためのバーチャルコミュニテイである。設立から20年間、約300名の会員からの会費とネット選挙で選出された役員たちによる無償の奉仕によりウェブサイトの構築や管理、運営がなされている。継続できた理由は地域の老人会ではあきたらない高齢者たちが求めた知的な刺激にあふれる交流にある。インターネットがもたらした地域や性別、障害にとらわれない、バリアフリーな場所で本音のコミュニケーションが楽しめるからだ。
日本における量子情報科学の研究のスタートにおいて、N.Wienerの数学と思想の啓蒙に尽力された池原先生の晩年の活動が重要な役割を果たした事例を示し、今後、量子情報科学が真に社会貢献する方向に進展するための処方箋を、池原先生の活動に学びながら紹介する。
人生百年時代におけるシニア技術者の生き方と、学会の役割について提言している
「光輝会」の会員へのおすすめは1)芸術を楽しむ、2)文化と文明を楽しむ、3)宇宙、空間と時間を楽しむ、4)勉強、勉強 である。
パネルセッション
AP-1. 計測セキュリティと今後の方向性 - 攻撃と評価の螺旋的発展(セッションとしての予稿あり)
(ハードウェアセキュリティ研専)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月20日 9:45〜11:45 54号館 402教室 座長 松本 勉(横浜国大/産総研)
講演時間:各15分
座長挨拶:10分
AP-1-1 |
IoTデバイスに対するアナログ信号入力
森 達哉(早大) |
AP-1-2 |
制御・組み込みエンジニアからみた計測セキュリティ
竹久達也(NICT) |
AP-1-3 |
センサに対する物理攻撃とそれに対する多層的な対策手法
藤野 毅(立命館大) |
AP-1-4 |
センサの安全性評価とその対策について
鈴木大輔(三菱電機) |
パネル討論(50分)10時55分から開始です。講演者全員による討論となります。
IoTデバイスに対するアナログ信号入力がもたらすセキュリティ脅威と対策について論じる。
セキュリティ研究の主たる戦場はこれまでサイバー空間における攻撃とその防御手法であったが, 制御・組込み
系の観点から見れば物理世界にも非常に多くの課題が残されている. 生体認証システムのようなサイバーと物理の 境界面にあるセンサ等への攻撃と防御手段を考慮する上で着目すべき物理現象やシステムの実装形態, アタックサ ーフェイスについて述べる.
センサ等のハードウェア機能に対する脅威への対抗「計測セキュリティ」分野の技術動向と今後の方向性に関するパネルセッションを開催する. フィジカルセンサ等の俯瞰, 攻撃の実例と対策等を多様な観点から紹介し,議論する.
IoTにおいて機器がセンシングした情報を信用できることは, IoTシステムの大前提となる. 今後普及が期待されるIoTによる自動化システムにおいては, 偽のセンシング情報や誤ったセンシング情報による誤動作・停止が人命・身体の危険につながる可能性がある. その一方で, センサを騙す攻撃がシステムにどの程度与えるかは必ずしも自明ではない. 特にシステムの設計者は, もともとセーフティのための機能が悪意ある攻撃に対しても有効に機能することに期待する. このような状況において, センサがどこまでの攻撃を考慮すべきか, そしてセンサのセキュリティ要件をどのように固めていくべきかについて, 当社の取り組みを交えて議論する.
チュートリアルセッション
AT-1. 情報理論と数理計画の接点
(情報理論研専、情報理論とその応用サブソサイエティ 共催)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月22日 13:00〜16:40 53号館 201教室 座長 渡辺一帆(豊橋技科大)
講演時間:指定以外各30分
座長挨拶:5分
AT-1-1 |
最適化技術に基づくLDPC符号の復号法について
和田山 正(名工大) |
AT-1-2 |
凸最適化を用いた過負荷MIMO信号検出
○林 和則(阪市大)・早川 諒(京大) |
数理最適化の考えに基づくLDPC符号の復号法に関していくつかの研究事例を紹介し、研究の流れを概観する。
近接分離に基づく凸最適化アルゴリズムを紹介し,その無線通信への応用例として,IW-SOAV (Iterative Weighted-Sum of Absolute Values) と呼ばれる大規模過負荷MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) のための信号検出法について説明する.
休 憩(10分) 座長 實松 豊(九大)
AT-1-3 |
整数最適化アプローチへの入門(45分)
宮代隆平(東京農工大) |
AT-1-4 |
一般化エントロピー最大化とヘルダーの不等式
田中久陽(電通大) |
整数最適化(整数計画法)では,変数が整数値を取るという条件が付加された数理計画問題,いわゆる整数計画問題を扱う.整数計画問題は,現実世界の様々な最適化問題を表現することができる一方で,一昔前まではかなり小さなサイズの問題しか解けなかった.しかし近年では,ハードウェアおよびアルゴリズムの進歩によって,かなり大規模な問題も解けるようになってきている.また,「線形計画問題プラス整数条件」という線形の整数計画問題だけでなく,より広いクラスの整数計画問題も計算しやすい環境が整いつつある.本講演では,整数最適化で問題解決を行う際の入門として,現時点で整数最適化を使うために必要な知識を簡潔にまとめる.
ヘルダーの不等式は, 1888年数学者のロジャーズと1889年ヘルダーにより独立にその基礎が見出され, 以降, 関数解析等の解析学の基本的不等式として日常的に多用されている. しかし, 意外なことに, この不等式の物理的解釈の例は最近まで知られていなかったようである. 本発表は, この不等式が種々の一般化エントロピーの最大化問題に系統的な解法を与え, さらに最近の非線形問題にエレガントな解答と刺激を与えている様子を報告する.
休 憩(10分) 座長 和田山 正(名工大)
AT-1-5 |
通信路容量と無限次元の最適化問題
池田思朗(統計数理研) |
AT-1-6 |
レート歪み関数と最適再構成分布
渡辺一帆(豊橋技科大) |
Shannon が定義した通信路容量は,通信路への入力の確率分布に関する相互情報量の上限である.すなわち,最適化問題の解として定義されている.入力が有限個のアルファベットならば,この最適化問題はよく知られた有本のアルゴリズムによって解が求まるが,入力が連続分布となる場合には無限次元の最適化となるため解を求めるのが格段に難しくなる.本講演では,連続分布を許容する場合の通信路容量と最適な入力の確率分布に関し,情報理論で得られている幾つかの研究成果を解説する.
レート歪み関数は歪み有りデータ圧縮の限界を示す関数であり,再構成上の確率分布に関する制約付き最小化問題を解くことで与えられる.シャノンによるガウス情報源、二乗損失の場合のレート歪み関数の導出から70年近く経つものの,具体的な情報源と歪み尺度の対に対してレート歪み関数が陽に与えれれている例はごく少数に限られている.本講演では,レート歪み関数の最小化問題およびその最適解である最適再構成分布の性質や例を紹介し,レート歪み関数の評価に関する最近の進展について議論する.
AT-2. エネルギーの通信
(高信頼制御通信研専)
3月22日 13:00〜15:25 54号館 202教室 座長 東 俊一(名大)
講演時間:各30分
座長挨拶:5分
AT-2-1 |
電力パケット伝送システム:コンセプトと可能性
引原隆士(京大) |
AT-2-2 |
電力パケットネットワークプロトコルの設計と実装
長谷川幹雄(東京理科大) |
AT-2-3 |
電力パケットネットワークにおける動的システムの制御
東 俊一(名大) |
AT-2-4 |
電力パケットネットワークモデルにおけるパワーの相互融通
安東弘泰(筑波大) |
総合討論(20分)15時5分から開始です。
電力と情報を統合した電力伝送技術の開発が進められている.本報告はその中から,パルス状の電力波形に情報タグを電圧信号として付加した「電力パケット」により電力伝を実現する技術について,電力ルータ等を含めた開発状況を報告する.特に電力パケットの概念と本方式から見える新しいシステムの可能性について述べる.
電力パケットネットワークに適したプロトコルを検討する.情報ネットワークと同様なルーティング機能だけでなく,電力パケットルータに内蔵するストレージの活用,電力パケットによる制御のため動的ルーティングなど,電力ネットワークにおける特有の機能をもつプロトコルを構築する.本プロジェクトにおいて開発した電力ルータ実機に実装し,電力の自在なルーティングが可能となることを示す.
電力パケットネットワークに接続された動的システムの制御問題について解説する.
電力パケット伝送システムは、電源に接続したミキサからターゲットの負荷へ向けて電力パケットを送信する。これに加えて、負荷の数や大きさにより、システム全体での電力パケットの分配を分散的にサポートする機構が有効である。本研究では、電力パケットネットワーク上の分散したパワーを効率的に負荷へ分配(相互融通)するアルゴリズムをシミュレーションにより検討する。
依頼シンポジウム
AI-1. 回路とシステムの研究を「社会実装」するまで
(回路とシステム研専)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月19日 13:00〜17:00 52号館 302教室 座長 佐藤弘樹(ソニーLSIデザイン)
講演時間:指定以外各30分
座長挨拶:10分
AI-1-1 |
Guerrilla Production Tactics: Unconventional Supply Chains for Unconventional Products(60分)
Andrew 'Bunnie' Huang(Sutajio Ko-Usagi Pte) |
Conventional supply chains are geared for high volume products featuring incremental improvements. Thus conventional supply chains are often a poor match for commercializing research directly out of the lab. However, in the past decade, three fundamental changes in the manufacturing ecosystem have conspired to enable unconventional supply chains for unconventional products: the end of Moore’s Law, the rise of crowdfunding, and the normalization of open innovation practices. The combination of these three factors enable the phenomenon of “guerrilla”production tactics, offering a new path for getting hardware out of the research lab and into the world.
休 憩(10分)
AI-1-2 |
電子工作からエレクトロニクスへ:いま時代の研究開発の役割
秋田純一(金沢大) |
AI-1-3 |
頒布はシェアの一部 Maker Pro
高須正和(スイッチサイエンス) |
AI-1-4 |
デジタル工作機械によるアイディアの具現化とデプロイ
市川友貴(千葉工大) |
休 憩(10分)
座長 上村剛士(CQ出版)
パネル討論(60分)16時から開始です。講演者全員による討論となります。
古くは産業としてのエレクトロニクスとホビーとしての電子工作は不可分であったが、近年の回路技術の高度化に伴い、両者は近くて遠い関係となり、また、いわゆる「ものづくり離れ」が叫ばれるようになった。ところがオープンソースを起点とする様々な技術面、経済面、社会情勢の変化から、再び両者は密接に関係し、新たなイノベーションを生み出しつつある。本稿では、これらの歴史と現状を俯瞰し、議論する。
かつては大手製造業か大学などの専門機関に所属しないと、モノづくりの機会が得られなかったものが、様々な社会状況の変化により、個人や少人数チームを含めた社会の様々な階層で、かなり高レベルなデスクトップでのモノづくりが行われるようになった。2012 年ごろからみられるこうしたモノづくりの民主化をメイカームーブメントと呼ぶ。一方で、モノ(ハードウェア)の量産(大規模な複製)には工場での製造を、広い共有には販売が必要で、それらはまだリソースを備えた組織に所属する専門家の分野であり、民主化したとは言いがたい。
本稿ではそうした専門家とアマチュアの中間にある「Maker Pro」というモノづくりの様式をとりあげ、その現状と可能性について考察する。
AI-2. AIへの攻撃と対策~10年後の脅威に備える
(情報セキュリティ研専、VLSI設計技術研専 共催)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月22日 13:00〜16:05 54号館 103教室 座長 清本晋作(KDDI総合研究所)
講演時間:各20分
座長挨拶:5分
AI-2-1 |
AIシステムに対する攻撃と対策の最新動向
○披田野清良・Vanessa Bracamonte・清本晋作(KDDI総合研究所) |
AI-2-2 |
ハードウェアセキュリティにおけるAI活用と攻撃
○長谷川健人・野澤康平(早大)・披田野清良・清本晋作(KDDI総合研究所)・橋本和夫・戸川 望(早大) |
AI-2-3 |
機械学習に対するバックドアの脅威:マルウェア検知を例として
◎佐々木祥一朗(東北大)・披田野清良(KDDI総合研究所)・内林俊洋・菅沼拓夫・樋地正浩(東北大)・清本晋作(KDDI総合研究所) |
AI-2-4 |
敵対的サンプルの脅威と対策
高橋 翼(LINE) |
AIの利活用については,国内外を問わず,急速な広がりを見せており,今後もさらなる発展が期待される.しかしながら,その一方で,近年,AIを利用したシステム(以下,AIシステム)の安全性や信頼性についての関心が高まりつつある.そこで,本発表では,AIシステムに対する攻撃と対策の最新動向について報告する.
画像や音声の認識を中心に,機械学習の利用範囲は益々広がっている.しかしそれに伴い,機械学習に対する攻撃の影響も増大している.たとえば,攻撃者が学習モデルに対しバックドアを埋め込むことで,特定の入力のみを誤認識させる攻撃がある.この攻撃が,機械学習によるマルウェア検知に対してなされると,特定の種類のマルウェアのみの検知精度を低下させる.本稿では機械学習によるマルウェア検知に対し,ポイズニング攻撃によるバックドア埋め込みのための攻撃フレームワークを提案し,2 つ のデータセットを用いて提案手法の有効性を評価する.
近年の研究を通して,機械学習が潜在的に脆弱性を有しており,これを突く敵対的サンプルによって学習済みの機械学習モデルに意図的な誤判断を誘発できることが明らかになった.敵対的サンプルは機械学習をベースとするAIシステムの安全性に関する大きな懸念の一つであり,解明や解決を目指して研究が進められている.敵対的サンプルによる被害が生じる前に,リスクを理解し可能な対策を講じていく必要がある.本稿では近年の研究事例に基づいて,敵対的サンプルの仕組みと想定すべき脅威,現状講じ得る対策を紹介すると共に,敵対的サンプルの脅威と向き合うために今できることについても述べる.
休 憩(10分)
AI-2-5 |
深層学習セキュリティ・プライバシー(原稿なし)
佐久間 淳(筑波大) |
AI-2-6 |
深層学習を利用したPUFに対する攻撃耐性の評価
○粟野皓光(阪大)・飯塚知希・池田 誠(東大) |
AI-2-7 |
推薦システムに対するModel Inversion攻撃
○村上隆夫(産総研)・披田野清良(KDDI総合研究所) |
パネル討論(30分)15時35分から開始です。講演者全員による討論となります。
集積回路の製造ばらつきを利用した個体識別技術であるPUFは,セキュリティ意識の高まりとともに注目を集めている.一方で,深層学習を始めとした機械学習技術の著しい発展に伴い,機器固有の製造ばらつきを「学習」によって模倣され,成りすまし攻撃を許してしまう可能性が指摘されている.そこで,本発表では,オープンソースライブラリを用いた成りすまし攻撃の一例を示すことで,PUFの脆弱性の一端を示し,安全な個体識別システムの設計指針を議論する.
推薦システムは近年のECサービスにおいて欠かせない存在となっている.その一方で,行動履歴はユーザのプライベートな情報であるため,推薦システムに潜むプライバシーリスクへの関心が高まっている.推薦システムのプライバシーに関する代表的な研究事例としては,ある時刻T以前にユーザが評価したアイテムの情報を不正に利用することで,時刻T以降にユーザが新たに評価したアイテムを推定するものがある.しかし,時刻T$以前のプライベートな情報の安全性については議論されていない.本稿では,推薦システムにおいてユーザの過去の行動履歴を暴露する初めての攻撃として,推薦システムに対するModel Inversion攻撃を提案する.
AI-3. 環境計測と信号処理
(信号処理研専)
3月19日 14:00〜16:50 54号館 201教室 座長 村松正吾(新潟大)
講演時間:各50分
AI-3-1 |
データ駆動による河川物理の未解決問題への挑戦ーその機構解明と能動制御ー
安田浩保(新潟大) |
多数の死者と莫大な経済損失を伴う河川災害が続発している。その背景として、河川物理の機構解明が遅れていることと、洪水時の河川の高次元の測定が困難である ことが挙げられる。著者の研究グループは、従来の模型実験の手法に比べて数万倍の高次元データを取得できる計測法の開発に成功し、この高次元データの取得を端緒として、不明なことが多い河川物理の機構解明、流路変動による道路流失 の発生箇所の予知や予防工法の開発を進めてきている。本文では、データ駆動の導入により得られた研究成果と、今後の河川災害の研究の方向性について述べる。
休 憩(10分)
AI-3-2 |
地理空間情報でのDeep Learningの活用—地図タイルを事例として—
岩崎亘典(農研機構) |
Deep Learningの実行には、膨大な量の学習、教師用データの整備が必要である。これは、地理情報システム(GIS)や、人工衛星やドローンよるリモートセンシング等の地理空間情報におけるDeep Learningの活用にあたっても同様である。一方で、主にWeb上での地図閲覧を目的として、地図タイルとよばれる規格で、様々な地理空間情報が公開されている。本発表では、この地図タイルをDeep Learning用のデータとして活用する事例について報告する。
休 憩(10分)
AI-3-3 |
人流における学習型誘導技術のデータ同化に関する研究
松林達史(NTT) |
大規模なスポーツイベントやライブイベントなどにおいては,観覧者の入退場時などにおける雑踏事故を未然に防ぎ,安全に運営を行うための事前の綿密な警備計画の重要性は非常に高い.警備などにおける事前計画策定において,広く用いられているのがMulti-Agent Simulation(以下MAS)であり,MAS を用いてコンピューター上で群衆行動を模擬し,誘導計画など様々なケースでの警備計画策定に役立てられている.また現実世界でのイベントなどで群衆行動を観測し,MAS 内で再現することにより,警備計画の改善や混雑解消に役立てたりすることが可能である.本研究では,イベントで観測された群衆行動から人々の経路などを推定し,「いつ,どこから,どこへ」というエージェントの動きに必要な情報を推定する,データ同化技術を紹介する.
AI-4. IoT及びビッグデータ時代におけるシステム数理の応用事例
(システム数理と応用研専)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月19日 13:30〜16:45 53号館 101教室 座長 名嘉村盛和(琉球大)
講演時間:各45分
座長挨拶:5分
AI-4-1 |
早稲田情報理工における産学共同研究の事例:検索エンジン・対話システム
酒井哲也(早大) |
AI-4-2 |
機械学習の流儀で非線形最適制御問題を解く
丸田一郎(京大) |
本講演では、早稲田大学情報理工学科酒井研究室における産学共同研究の成功事例を2つほど紹介する。第1は、韓国検索エンジン最大手Naver社との共同研究としてACM CIKM 2017にて発表した、モバイルバーティカル検索の検索有効性向上に関する取り組みである。第2は、中国のマイクロソフト社との共同研究としてACM WSDM 2019にて発表した、人間とシステムが自然言語対話を自然に行うための要素技術に関するものである。これらの事例をもとに、大学と企業のウィン・ウィンの関係について論じる。
機械学習と制御工学が対象とする問題は類似しているが,重用される最適化アルゴリズムの性質が大きく異なり,これが両分野の近年の盛衰を分けた要因の1つとなっていると考えられる.本講演では機械学習と制御工学の類似点と相違点を分析し,機械学習の流儀に則って制御工学の問題を解く試みを紹介する.
休 憩(10分)
AI-4-3 |
ビッグデータを活用した半導体製造分野における歩留解析支援
中田康太(東芝) |
AI-4-4 |
施設におけるIoT x AI活用事例
横山健児(NTTファシリティーズ) |
半導体製造における歩留解析では,製品の品質検査結果と各工程の処理履歴から不良の原因を特定し,対策に繋げることで生産性を向上している。半導体の製造プロセスから得られるデータは大量かつ複雑であるため,人手による歩留解析では作業に時間がかかることが問題となっていた。ここでは,機械学習・データマイニングの技術を用いて不良の発生状況の可視化と不良原因装置の推定を網羅的に行う歩留解析支援システムについて紹介する。このシステムでは、ウェハ上の特徴的な不良傾向を自動で分類し,それぞれの原因装置候補を抽出する。不良傾向と原因装置候補を技術者に提示することで,不良1件当たりの解析時間を平均6時間から2時間に短縮した。
「持続可能な開発目標(SDGs)」や「脱炭素」などの環境問題に加えて、「働き方改革」や「自然災害への対応」等、施設に求められる機能が多種・多様化している。これらの要望に応えるためにIoT x AIが注目され、各種システムの導入が始まっている。本稿では、施設におけるIoT x AIの活用形態の動向を解説すると共に、その導入事例について紹介する。
AI-5. 電力自由化とシステム数理
(システム数理と応用研専、電気学会 電子・情報・システム部門 共催)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月20日 13:30〜16:45 53号館 101教室 座長 豊嶋伊知郎(東芝エネルギーシステムズ)
講演時間:各45分
座長挨拶:5分
AI-5-1 |
電力自由化に関する国際標準と情報モデル
田中立二(産総研) |
AI-5-2 |
電力取引入札策定支援技術の開発
○北村聖一・内藤健人(三菱電機) |
電力自由化とシステム数理
国内における電力自由化では,従来の電力技術分野で研究されてきた技術とは
異なるシステム数理が必要とされている.事業会社・メーカーからいくつかの
事例をご紹介いただくとともに,同分野における数理技術の動向を考察する
本発表では、電力自由化に関する国際標準と情報モデル、について紹介する。
・電力市場、系統運用、配電管理:IEC 62325, 61850, 61968
・デマンドレスポンス、分散電源:IEC 62746, IEC61850
・その他
近年、電力市場を介した電力取引が活発化し、発電事業者・小売電気事業者は、電力市場への入札を考慮しながら運用を行う必要がある。しかし、電力需要や市場価格が不確実な状況下で、適切な入札量・入札価格を決定することは容易ではない。そこで、電力市場への入札策定を支援する二つの技術を開発した。一つ目は、不確実な市場価格を確率分布と遷移確率でモデル化し、発電設備の運用、契約による電力調達、および電力市場への入札の配分計画(電力ポートフォリオ)を確率的最適化手法により策定する技術である。二つ目は、電力需要の代表シナリオに対して電力ポートフォリオを評価し、評価結果から作成した区分重回帰モデルにより、全シナリオに対する収益分布を高速に計算する技術である。二つの技術を組み合わせて、電力取引の入札策定を支援し、電気事業者の収益の向上と安定化に貢献する。
休 憩(10分)
AI-5-3 |
系統ソリューションにおける数理モデル(原稿なし)
磯谷泰知(東芝エネルギーシステムズ) |
AI-5-4 |
インセンティブ型ディマンドリスポンスの設計手法に関する検討
○高野浩貴・中野文哉(岐阜大)・浅野浩志(CRIEPI) |
ディマンドリスポンス(DR: demand response programs)は,電力価格や卸市場価格の高騰時,電力需給の逼迫時に,電力使用を減らすように設計された電力料金設定,あるいは電力消費者側が報酬に反応して電力使用を抑制するように設計された仕組みを指す。電力系統における3E+S(Energy efficiency,Economic efficiency,Environment,Safety)を実現する上での重要概念の一つとして位置付けられるものの,設計時の基礎となる電気料金や報酬額などの設定方法には課題を残しており,知識や経験を元に設計して実証試験に臨んでいるのが実情である。そこで本稿では,社会的余剰最大化の観点からインセンティブ型DRを設計する方法について検討した結果を報告する。
AI-6. 科学技術者コミュニティと軍事研究:軍民両用技術と科学技術の価値
(技術と社会・倫理研専)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月20日 13:00〜16:50 54号館 101教室 座長 森住哲也(神奈川大)
講演時間:指定以外各25分
座長挨拶:15分
AI-6-1 |
軍民両用技術と科学技術の価値:技術決定論と社会構成主義の議論を踏まえて
久木田水生(名大) |
AI-6-2 |
正戦論と軍事研究
眞嶋俊造(広島大) |
AI-6-3 |
「軍事研究」をめぐるアポリア: 2017年学術会議声明等の分析
大庭弘継(京大) |
人工知能・ロボット技術はおそらく現在、期待と危惧、楽観と悲観が最も極端なコントラストをなしているテクノロジーの一つだろう。現在、これらのテクノロジーががこれまでのテクノロジーではなしえなかったことを驚くべきスピードで次々に可能にしており、そしてそれがどのくらいの期間でどこまで到達できるのか、その限界がどこにあるのかが(専門家にさえ)はっきり見えていない。このようなテクノロジーを前にして、私たちはどのように対処すればよいのか。それを考えるためには人工知能というテクノロジーの本質についての理解はもちろん重要であるが、テクノロジー一般について、あるいはテクノロジーと人間・社会の関係について考えるための基本的な枠組みについて、今一度、吟味することも有用であろう。本発表ではそれを試みたい。
近年、日本の学術関係者のあいだにおいて、「軍事研究」に関する議論が盛んである。本報告では、この「軍事研究」に対して、日本学術会議が派出した声明と報告、ならびにその派出に至る検討委員会の議事録を分析することで、この声明と報告が、図らずも浮き彫りにした解きがたい問題、「軍事研究」をめぐるアポリアについて指摘する。
この報告では特に、声明の名宛人の問題、自衛権の問題、サイバーセキュリティなどの境界がない分野の問題について、分析を行う。
休 憩(10分)
AI-6-4 |
軍事研究と科学の公有主義:技術院と理化学研究所の比較を通して考える
本田康二郎(金沢医科大) |
AI-6-5 |
軍民両用技術において自律的知能機械対人間という枠組みは妥当か
村上祐子(立教大) |
本発表では、科学的知識が公共の福祉のために公開され、広く社会で活用されることをよしとする「科学の公有主義」の考え方が、軍事研究への市民参加を考える上でどのような意味をもつのかを検討してみたい。
休 憩(15分)
AI-6-6 |
人工知能/ロボットと安全保障技術に関する世界的な議論の論点整理(10分)
江間有沙(東大) |
AI-6-7 |
科学技術の軍民区別の困難性…どのように区別するのか(10分)
山下愛仁(航空自衛隊航空研究センター) |
パネル討論(45分)16時5分から開始です。講演者全員による討論となります。
人工知能やロボティクスと安全保障/ロボティクスに関する議論は情報系の学会でも取り上げられつつある.例えば2015年の人工知能国際合同会議(IJCAI)でも公開書簡が提出,議論が行われたほか,2018年度人工知能学会倫理委員会年次大会企画でも取り上げられた.2016年に公開された米国電気電子学会(IEEE)の「倫理的に調和されたデザイン 第1版」では,「自律型兵器の再構築」という章が設けられている.また,LAWS(自律型致死兵器)の規制に関して国連で議論も昨年から始まっている.このような世界的な流れを踏まえ,本発表は現在,人工知能やロボティクスと安全保障/軍事技術を巡る世界的な議論を紹介する.
科学技術の軍民区別について、専門的知見があるわけではないが、職務柄、軍事における科学技術の位置づけ等について常日頃考えていることを、デュアル・ユース技術の状況、倫理的視点、さらには法的視点の順で述べてみたい。なお、本発表は、個人的意見であり、防衛省・自衛隊の意見を代表するものでない。
AI-7. サービスとしてのモビリティ「MaaS」の可能性
(ITS研専)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月20日 13:00〜17:00 54号館 203教室 座長 和田友孝(関西大)
講演時間:各35分
AI-7-1 |
ICTとモビリティ ~MaaSの確かな流れと産業
長谷川孝明(埼玉大) |
AI-7-2 |
世界のMaaS動向と日本版MaaSの社会実装に向けて ~研究開発によるモビリティサービスのブレイクスルーの可能性~
日高洋祐(MaaS Tech Japan) |
AI-7-3 |
Mobility as a Service -移動の革新-
穐場 亨(ITS Japan) |
AI-7サービスとしてのモビリティ「MaaS」の可能性
本講演では、交通および移動サービス全般の統合モデルであるMobility as a Serviceにおける海外動向と日本国内への社会実装にむけた考察について説明する。また、その中で、研究開発によってブレークスルーが期待される要素についてもいくつか解説する。
北欧に始まり、最近では国内の報道においても目にする機会が多くなったMobility as a Service(MaaS)であるが、単にスマートフォンを通じたビジネスという枠を超え、移動のあり方に様々な問いを投げかける結果となっている。MaaSは比較的新しい概念であり、その定義自体を含め、欧州を中心に様々な視点から広範な論議が繰り広げられている。ここでは、移動手段の多様化や社会的課題の解決などの背景、公共交通や都市計画などとの連携の必要性など実現に向けた課題等をさまざまな視点から簡潔に紹介することで、この領域にあまり馴染みのない方を含めより本質的な論議に参加できるよう、その下地作りを目指したい。
休 憩(10分) 座長 横田孝義(鳥取大)
AI-7-4 |
公共交通の利用促進とMaaS
坂井康一(東大) |
AI-7-5 |
MaaSの可能性〜100年に一度の自動車産業革命〜
桃田健史(ジャーナリスト) |
休 憩(10分)
パネル討論(45分)16時15分から開始です。講演者全員による討論となります。
Mobility-as-a-service (MaaS) のコンセプトは欧州で生まれ,急速に世界に広がっている.その特徴は,利用者目線であるとともに,交通分野における地球温暖化対策としての,マイカーから公共交通への利用転換促進施策とも相性が良い.そのため,公共交通の利用促進に取り組む関係者からは大きな期待を寄せるコンセプトである.本稿では,欧州でのMaaSのコンセプトや政策レベルでの取り組みについて概説するとともに,我が国において,公共交通の利用促進の観点からMaaSを展開するに当たって必要となる,公共交通の交通関連情報の流通に着目し,その取り組みの現状と課題について述べる.
自動運転、EV、コネクテッドカー、シェアリングエコノミーなどの影響を受け、
世間では「100年に一度の自動車産業革命」というが、果たしてそれは本当か?
MaaSについても「理想と現実」を直視する必要がある。
世界各地での取材や行政での公的任務を介して、MaaSの実態を解き明かす。