プログラム
format_list_bulleted情報・システムソサイエティ
一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
D-1. コンピュテーション
3月22日 9:00〜11:45 54号館 301教室 座長 金 鎔煥(名工大)
D-1-1 |
ソーシャルネットワーク上の交換に基づく満足度の高い財の割り当てについて
◎菅原由騎・真鍋義文(工学院大) |
D-1-2 |
秘密分散を用いたダブルオークションでの多項式使用数について
◎柳野将人・真鍋義文(工学院大) |
D-1-3 |
Gale-Shapleyアルゴリズムにおける複数マニピュレータの競合について
◎福本 怜・真鍋義文(工学院大) |
D-1-4 |
オンライン座席割り当て問題
◎田中文崇・真鍋義文(工学院大) |
D-1-5 |
非量産系工場向け作業工程最適化システム
○木下勝治・佐川浩彦(日立)・恒川 誠・小村昭義(日立パワーソリューションズ) |
本稿では、ソーシャルネットワーク上での交換に基づく
財の割り当てアルゴリズムについて考察する。
各参加者は初期状態で1つずつ財を持ち、
ネットワークで隣接している参加者間のみで
財の交換が可能とする。
スター型ネットワークにおける従来のアルゴリズムでは、
双方の参加者の効用が向上する交換のみを実行可能と
仮定していたため、得られる割り当ての満足度が
高くない場合も存在する。
本稿では、スター型ネットワークの中心ノードの参加者
は隣接している
全参加者の好みの情報を得ることが可能と仮定し、
中心の参加者の効用が一旦下がる交換も実施することで
最終的に各参加者の効用が高い割り当てを得る
アルゴリズムを示す。
秘密分散を用いたオークションでは, 入札者の入札値をシェアとして複数の競売人に送信し, 入札した本人以外の人から真の入札値を知られることなく取引を成立させる. 勝者を決定するために, 入札値同士の比較を行う. 比較を行う際には本来の入札額を隠しながら正常に比較計算を行うため, 乱数値を用意し複数の競売人に対して秘密分散を用いてシェアを送信し, 競売人は入札値のシェアを乱数値でマスクする. しかし, 複数人の勝者を決めるダブルオークションでは人数と勝者数に依存した比較計算が必要であり, 多数の多項式を生成する必要がある. 本稿では, クリアリングハウス方式のダブルオークションにおける多項式の生成数の削減法を述べる.
Gale-Shapleyアルゴリズムを用いてマッチングを行う際に、複数の参加者が真の嗜好とは異なる嗜好を表明する操作を行う場合の競合問題を考察する。
男性がプロポーズするGale-Shapleyアルゴリズムにおいて、女性が操作を行って、真の嗜好を表明するよりもよりよい結果が得られる場合が存在することが知られている。
二人の女性がそれぞれ単独に自分本位な最適な操作を行った場合に、真の嗜好を表明するよりもより良い結果が得られる場合において、二人の女性が同時に操作を行った場合に競合することなくともに良い結果が得られるための十分条件を示す。
飲食店等での来店客への座席割り当て問題に対するオンラインアルゴリズムを考察する。
目標は各客が持つ座席への満足度と店の集客に対する評価の合計である社会的効用を最大化することである。店について以下の仮定を置く。座席は、テーブル席とカウンター席があり、テーブル席はすべて同じである。客はカウンター席よりテーブル席を好むと仮定する。
店は満席や座席数が足りない場合には来店を拒否する。
社会的効用の競合比が最適になる、客をテーブル席に割り当てるかカウンター席 を割り当てるかの閾値を求める。最適に近い競合比を得る閾値を示す。
大型機器の製造やメンテナンスを行う工場では,作業場所が決まっていないフリースペースでの作業と設備での作業が存在し,複数製品を並行処理する必要がある.このような工場の生産性改善には,フリースペースや設備といったリソースの有効活用が課題となる.また,複数の製品の作業進捗が相互依存する生産計画に対して,その進捗状況を把握する工数が問題となっている.リソース有効活用に対して,我々はスペースと設備を同時に最適化する技術を開発してきた.本稿では,開発技術の制約条件を緩和することで実サイトの生産性を改善し,カメラ映像を解析することで進捗管理の負荷を軽減する作業工程最適化システムについて報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 松浦隆文(日本工大)
D-1-6 |
マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いた学習データの自動生成
○小野寺萌希・三浦孝夫(法政大) |
D-1-7 |
多次元非線形連立方程式の最適化計算
◎高橋 葵・三浦孝夫(法政大) |
D-1-8 |
主要電機メーカー株価の分析におけるDFA解析の有用性
◎村本正智・齋藤 暁(崇城大) |
D-1-9 |
AVX2を用いたMPS法の高速化
◎木田純平・黒田久泰(愛媛大) |
D-1-10 |
天候を考慮した都市交通のマルチエージェントシミュレーションの検討
◎渡辺大貴・中山 悠・戸辺義人(青学大)・榊原一紀(富山県立大) |
所与のデータの確率分布から値を発生させるギブスサンプリングを用いて小説家夏目漱石のような文書を作り出す。このとき、語のつながりを確率都市、階段関数を利用してそれに従う乱数を生成することで文書生成を行う。
大量のデータを処理するために、用いる計算の解算出速度の向上は必須である。
そこで、勾配法とニュートン法をお互いの計算過程に組み込んだ仮想ニュートン法・仮想勾配法を用い、実行時間や正確さが従来のものより良くなるか比較する。
また、データは1次元とは限らず多次元のものが多い。ニュートン法や勾配法は2次元以上の場合複雑になるが、ラグランジュの未定乗数法は多次元にも対応できる。
ラグランジュの未定乗数法を仮想勾配法を用いて比較する。
本稿では,DFAを用いて株価分析を行う.対象として,日本主要電機メーカー8社と比較対象として鉄道会社2社とソーシャルゲーム2社を日足で終値を参照した.結果として安定した株価に対してDFA分析を行うとスケーリング指数が低くなる傾向にあることがわかった.
流体シミュレーションの世界で従来より用いられてきた格子法のデメリットを補間する解析手法として考案されたのが粒子法である.MPS法は粒子法の一種で,非圧縮性流体を解く手法である.その歴史は粒子法の中ではまだ浅いが,津波の被害予測シミュレーションなどの実用問題への応用が進展しつつあり,高速化は必要不可欠である.本研究では,IntelのSIMD拡張命令セットの一つであるAVX2を用いて近傍粒子探索を高速化する.また,粒子番号を振り直す空間ソートやOpenMPによる並列化等の高速化の工夫も行う.
人口が減少していく現代社会の街づくりにおいて、交通手段の設計は重要な課題である。都市交通インフラの整備にはその交通手段が程度利用されることを調査する必要があり、新しい交通インフラを作る場合には、追加した交通手段の利用量、他の都市交通インフラへの影響を考慮する必要がある。交通インフラの整備は莫大な費用が掛かることから整備してから考えるといったことは困難である。よって事前に交通インフラの影響を予測できる手段が必要であり、本研究ではマルチエージェントシステムを用いて、富山県を例にして、天候が都市の交通手段の選択にどのように影響をするのかを検討する。
3月22日 13:00〜14:30 54号館 301教室 座長 中山 悠(青学大)
D-1-11 |
ペアロボットモデルによる物体被覆アルゴリズムについて
○鶴田直也・金 鎔煥・片山喜章(名工大) |
D-1-12 |
ペアロボットモデルにおける正三角形から直線への形状形成アルゴリズムについて
○高橋一生・金 鎔煥・片山喜章(名工大) |
D-1-13 |
仮想グリッドネットワークにおける3点間の通信経路の自己最適化分散アルゴリズムについて
◎澤田裕介・片山喜章・金 鎔煥(名工大) |
D-1-14 |
極小弱連結支配集合を求めるための故障封じ込め自己安定アルゴリズムについて
◎宮口直也・金 鎔煥・片山喜章(名工大) |
D-1-15 |
挿入操作PSO戦略と2-opt法を用いた対称巡回セールスマン問題に対する近似解法の研究
◎安彦久志・松浦隆文(日本工大) |
D-1-16 |
カープーリング最適化問題に対する探索範囲を制限した近似解法
◎高橋昂靖・青木俊親・木村貴幸(日本工大) |
ペアロボットモデル[1] とは, 三角格子の離散平面上で2台1組のペアを成した自律分散ロボット群が, 各ペアが自律的に動作を行うことで、全体として1つの目的を達成するモデルである.
本研究では, ペアロボットの機能と可解性の関係を明らかにする研究として, ペアロボットで物体被覆問題を解くアルゴリズムを提案する.
Programmable matterとは, 複数の小さな自己組織化ロボットが互いに連携し,全体として機能を発揮する機械であり,近年注目を浴び,幅広く研究されている.本稿では,その一つであるペアロ
ボットモデルに着目する.ペアロボットシステムモデルとは,予め決められた2台の自律分散移動ロボットが一つのペアとなって,二次元離散平面上で協調して動作するモデルである.自律分散ロボットシステムモデルで扱われてきた問題としては,分散配置問題や形状形成問題,一点集合問題等が挙げられる.本研究では,形状形成問題の一つとして,三角形を形成しているペアロボット群を用いて, 線を形成する形状形成問題を解くアルゴリズムを紹介する.
本研究では,仮想グリッドネットワークにおける3点間の最適ルーティング経路を自律的に生成する分散アルゴリズムを紹介する.2点間のルーティング経路において各ルータが持つ局所情報だけで自律的に最適化するアルゴリズムが既に提案されているが,3点間のルーティング経路においてはこのアルゴリズムを使用しても経路全体で使用するルータの延べ数において冗長になる場合がある.本稿では,既存研究のアルゴリズムと併用してディストリビュータと呼ぶ分配ルータの位置を変更することにより,3点間のルーティング経路においてこの問題を解決するアルゴリズムを提案する.本研究により,使用するルータの延べ数を減少できることからエネルギー効率を向上させることが期待できる.
本研究では極小弱連結支配集合を求めるための故障封じ込め自己安定アルゴリズムを提案する。自己安定アルゴリズムとは,任意の初期状況から有限時間内に目的とする状況(解状況)へ到達することのできるアルゴリズムである。また、故障封じ込めとは解状況から少数のプロセスが故障した場合に、再び解状況に到達するまでに状態遷移するプロセス数及び時間を限定したものである。これは、一般に起こりやすいと考えられる小規模な故障による故障状況からの実行において、故障の及ぶ範囲を制限しかつ素早く再安定することを目的としている。
巡回セーススマン問題(TSP)の発見的解法の一つとして,粒子群最適化(PSO)を用いた挿入操作PSO戦略(IPSO)が提案されている.この解法は,各粒子がTSPの巡回路を保持しており,粒子が次の移動先を決定する際,現在の巡回路に対して全体最良巡回路,自己最良巡回路の部分経路を挿入して決定する.しかし,挿入過程で経路内の枝が交差するなど,明らかに粗悪な巡回路が生成されることが確認できた.そこで,本研究報告書では,より良い移動先を決定するために,挿入後の巡回路をTSPの単純な局所探索法の一つである2-opt法にて改善する手法を提案する.
カープールにおける乗り合い形態を決定するカープールマッチングサービスでは,乗客間の高速なマッチングが求められる.カープールマッチングサービスにおいて効率的な経路を求める問題をカープーリング最適化問題と呼ぶ.この問題に対する従来研究として,タブー探索法を用いた近似解法が提案されている.この手法は,乗客の入れ替えを行う度に,乗客と運転手を含むノードの全経路探索を行い乗客のグループを決定しているため,計算量が多くなる問題が生じる.本稿では,運転手に対する乗客の距離を評価する指標を導入し,経路の探索回数を削減することで少ない探索時間で近似解を探索する手法を提案する.
D-2. ニューロコンピューティング
3月21日 13:00〜17:00 53号館 201教室 座長 稲垣圭一郎(中部大)
D-2-1 |
視覚と運動感覚の統合モデルを用いたロボットハンドの到達把持運動計画
◎松田 基・福村直博(豊橋技科大) |
D-2-2 |
人工小脳モデルによる前庭動眼反射におけるゴルジ細胞の役割評価
◎松田大河・稲垣圭一郎(中部大) |
D-2-3 |
スパイキングニューラルネットワークの教師あり学習法の検討
○山田詩門・劉 載勲・橋本昌宜(阪大) |
D-2-4 |
相関のある記憶パターンを学習したAmit型連想記憶モデルの想起特性
◎高野修平・木本智幸(大分高専) |
D-2-5 |
顔や舌画像と脈拍を用いたストレス度推測モデルの構築
◎佐藤直也・戴 瑩(岩手県立大) |
D-2-6 |
CNNを用いた手書き文字画像から人の性格を推測するシステム
◎志賀正樹・戴 瑩(岩手県立大) |
D-2-7 |
CNNを用いた路面ひび割れ検出モデルのロバスト性向上に関する研究
◎松岡勇弥・戴 瑩(岩手県立大) |
D-2-8 |
畳み込みニューラルネットワークの階層的判別器構築によるパラメータ数の削減
◎平田大貴(岡山県工技セ)・高橋規一(岡山大) |
ヒトが対象物を把持するときには視覚の情報だけでなく,過去に行った運動に関する情報も感覚情報と統合されて記憶しており,それを基に適切な運動をしていると考えられている.本研究ではハンドを備えたロボットアームの姿勢情報とカメラ画像をモジュール構造の特徴抽出オートエンコーダ(AE)で学習させることによって,運動に必要な情報を抽出し,さらに学習後にカメラ画像入力からロボットアームを制御して物体把持が可能であることを検証する.学習の結果,特徴抽出AEで対象物の物体形状および物体位置の特徴情報を抽出できた.また学習済みの特徴抽出AEを用いて,画像入力からロボットアームの把持姿勢を決定することができた.
前庭動眼反射(VOR)は,頭部運動時にこれと反対方向に眼球を動かして,網膜像のブレを低減させ明瞭な視界を補償する反射である.VORの運動学習には小脳が関与し,さらに小脳内の平行線維-プルキンエ細胞(PK)間の長期抑制や長期増強という可塑性が重要な役割を果たすことが明らかにされている.小脳内では,VOR運動学習が誘発されると暗闇のVORにおけるPK細胞発火パターンが変化することが報告されている.一方で,小脳は,多くの従来研究が存在するPK細胞のみならず,ゴルジ細胞(GO),籠細胞,星状細胞などの抑制性介在ニューロンを含むが,これら抑制性介在ニューロンの役割には不明な点が多い.本研究では,人工小脳を用いたシミュレーションにより,抑制性介在ニューロンのうちGO細胞とVOR運動学習の関係を評価した.
脳のふるまいに近いとされるスパイキングニューラルネットワーク(SNN)は,これまでその性質上クラスタリングをはじめとする教師なし学習に用いられており,学習後のラベリングは人手で行われてきた.教師なし学習で高い精度を達成しているDiehlの研究では,MNIST(28×28画素からなる手書き数字)データセットに対して,1600個の興奮性ニューロンを用いて91.9%の識別精度を達成している.一方,ラベリングも含めた教師あり学習をSNNに対してどのように行うべきか明らかではない.本研究では,連想記憶に着目したSNNの教師あり学習の一手法を提案し,python環境下で評価したところ,1600個の興奮性ニューロンで93.99%の識別精度を達成した.
本研究ではニューラルネットワークの一種であるAmit型連想記憶モデルに,観測方向の情報を備えた記憶パターンを学習させた場合に,どのような想起特性が得られるかを計算機シミュレーションと統計力学を用いて調べる.また,観測情報を備えた記憶パターンとAmit型連想記憶モデルを組み合わせることにより,観測方向に依らない識別と,観測方向そのものの識別が1つのモデルで可能であるかについて考察を行う.
3次元物体を様々な角度から観測した各2次元観測画像は,互いの観測方向が近いほど強い相関を持ち,観測方向が離れるにつれ相関は弱くなる.本研究で用いる記憶パターンにはこのような連続的な相関を取り入れている.
IoTなど技術の発展によって,遠隔医療が拡大する可能性が高く,この診療方法において, 信頼性を高めていくことが求められている.
その一方で, ストレスは, 脈拍,皮膚の血色の変化との関連性があり,ストレスが原因となる様々な疾患や病気がある.従って,機械でストレスを正しく予測できれば, 遠隔医療で信頼性がある診療に貢献できると考えられる.
そこで,本研究では,カメラで撮った顔画像と舌画像,ウェアラブル端末を使用して収集した脈拍データを用いて,CNNなどの技術を利用しストレス推測を行うシステムを構築するのを目指す. そのため,被験者の顔, 舌画像などを収集すると共に,ストレス度合いをラベル付けデータとし,十分な数の学習データセットを構成する.それに基づいて,ストレスやストレス度を推定するモデルを構築する.さらに,5分割交差検証で推定モデルの性能を評価する.実験結果として,顔,舌画像のモデルを融合して構築したストレス推定モデルは,高い推定精度を得て,実用可能であると考える.
人の性格判断は,手書き文字,写真や絵,声などから対人認知により行ってきた.1)しかし,これらの評価や分析による性格判断を,一般の人が行うことは困難である.近年では,SNSに投稿された文章から性格を推測するシステム2)も存在するが,推測された性格と自身の考える性格との間にずれが存在した.
そこで本研究では,CNN(Convolutional Neural Network)3)を用いて,手書き文字から人の性格を推測するシステムを構築する.任意の被験者から得られた手書き文字画像と性格の自己申告データセットから性格を推測するCNNモデルを訓練,構築する.さらに,新規被験者の手書き文字画像から新規被験者の性格を予測する.
結果の精度は50%を下回るものが多く,全体的に精度の低い結果となった.
現在の日本は,道路の老朽化が進んでおり,定期的な点検が必要とされている.実現するためには効率的かつ低コストで点検を行う手法が求められる.上記の問題を解決すべくCNNを用いた路面画像のひび割れ検出モデルの構築と最適化の研究が行われたが、路面の各ノイズに耐える検出モデルの構築が不完全である。この問題を検証し,実用化に向け、CNNを用いた路面ひび割れ検出モデルのロバスト性の向上を行った.各ノイズを含む大量な路面画像の学習データセットで訓練された検出モデルは,ひび割れの検出精度が向上すると伴に,ノイズに対するロバスト性が高まる結果が示された.
本講演では、現在行っている研究である「畳み込みニューラルネットワークの階層的判別器構築によるパラメータ数の削減」に関する研究成果の発表を行う。本研究は、判別対象のクラスに対してクラスタリングを適用してクラスターを生成することで、畳み込みニューラルネットワークの全結合層を単一のクラスター判別器と複数のクラス判別器に分けて階層化する手法を提案するものである。これを適用することにより、ニューラルネットワークのパラメータ数が減少し、データ判別処理が高速化されることを示す。また、上記ネットワークに手書き数字データセット(MNIST)を学習させた場合に十分な判別精度が得られることを示す。最後に、今後取り組むべき課題について説明する。
休 憩(15:15 再開) 座長 長名優子(東京工科大)
D-2-9 |
画像データを観測として用いるロボットの強化学習
○白倉嵩史・長名優子(東京工科大) |
D-2-10 |
多値の値に依存しないパラメータの自動調整が可能なカオス複素連想メモリ
後藤博瑛・橋村憲人・吉田智仁・○岩淵翔太・長名優子(東京工科大) |
D-2-11 |
負の報酬を獲得する状況を重視した畳み込みニューラルネットワークを用いたProfit Sharing
○志村成章・長名優子(東京工科大) |
D-2-12 |
畳み込みニューラルネットワークを用いたProfit Sharingの学習能力の検討
○櫨場一貴・長名優子(東京工科大) |
D-2-13 |
畳み込みニューラルネットワークを用いたタッチを考慮したキャラクターイラストの検索
○松井大樹・長名優子(東京工科大) |
D-2-14 |
畳み込みニューラルネットワークを用いたタッチの類似性を考慮したイラスト検索 ー色の出現頻度に着目した精度の向上-
○水野 大・長名優子(東京工科大) |
D-2-15 |
表情認識における深層畳み込みニューラルネットワークの軽量化
○王 亜楠・呉 剣明・帆足啓一郎(KDDI総合研究所) |
POMDPs (Partially Observable Markov Decision Processes)環境において、過
去の観測の系列を用いることで、同じ観測に対して複数の行動をとる必要があ
る場合にも決定的な行動の選択が行える手法としてPOMDPs環境のための決定的
政策を学習するProfit Sharing\cite{Takamori}が提案されている。また、この
手法を自己組織化マップに基づいた時系列パターンのための確率的連想メモリ
を用いて実装する手法も提案されており、実際のロボットの行動学習に適用す
る研究も行われている。本研究では、自己組織化マップに基づいた時系列パター
ンのための確率的連想メモリによる強化学習を用いたロボットの行動学習にお
いて、画像データを観測として用いてロボットの強化学習を実現する。シミュ
レーションにおいてカメラを用いて撮影された画像データを観測として学習を
行い、その結果を用いて実際のロボットを用いた環境においても行動選択が行
えることを確認した。
パラメータの自動調整が可能なカオス複素連想メモリでは、4値、6値、8値パター
ンを記憶させた場合に、パラメータを手動で調整したカオス複素連想メモリと
同等の動的な想起能力が得られることが示されている。しかし、カオス複素連
想メモリでは、多値(S値)パターンのSの値が異なるとネットワークの性質が大
きく異なることが分かっている。そのため、パラメータの自動調整方法をその
まま利用することはできない。本研究では、多値の値に依存しないパラメータ
の自動調整が可能なカオス複素連想メモリにおいて多値の値に依存しないパラ
メータの自動調整方法をSとの関係などを調査し、検討をする。計算機実験を行
い、提案モデルにおいて多値の値(S)に依存せずにパラメータの自動調整が行え
ることを確認した。
Deep Learningと強化学習とを組み合わせた手法は深層強化学習と呼ばれている。
そのような手法の一つとしてDeep Q-Networkが提案されている。この手法では、
正の報酬に着目して学習していくため「得点する」ことや「~を倒す」ことな
どが重要になってくる。しかしこの学習方法では、負の報酬を獲得しないこと
の方が正の報酬を獲得することより重要な課題に対して効率的に学習できなく
なってしまう。「失点しない」ことや「~を避ける」といった負の報酬を獲得
しないことが重要な課題の場合には,負の報酬に重点を置いた学習方法を用いる
ことで効率的な学習が期待できる。本研究では、負の報酬を獲得する状況を重
視した畳み込みニューラルネットワークを用いたProfit Sharingを提案する。
この手法は畳み込みニューラルネットワークを用いたProfit Sharingに基づい
た手法であり、観測が負の報酬を獲得する可能性がある状況を判断した上で行
動選択を行うようにすることで学習の効率化を図る。
本研究では、隠れマルコフモデルを用いた音楽に連動したダンスと表情の自動
生成を実現する。提案システムでは、まず、ユーザが入力した音楽から0.5小節
分をオーバーラップさせた1.5小節単位の分析区間として音響特徴量を抽出する。
次に隠れマルコフモデルを用いて音響特徴量とダンス語彙の対応関係からダン
ス語彙の系列を決定する。同様に、音響特徴量と表情語彙の対応関係から表情
語彙の系列を決定する。最後に、決定されたダンス語彙と表情語彙に対して対
応する動作をランダムに選択することで決定し、分析区間の間の動作をフェー
ドイン、フェードアウトさせながら補間して結合し、出力する。計算機実験を
行い、提案システムを用いて音楽に連動したダンス動作と表情の生成が行える
ことを確認した。
キャラクターイラストを検索するような場合には、色や構図などが似ているイ
ラストを探したいのではなく、輪郭線の描き方や色の塗り方などのイラストの
タッチが似ているイラストや同じ作者によって描かれたイラストを検索したい
ことが多い。本研究では、畳み込みニューラルネットワークを用いたタッチを
考慮したキャラクターイラストの検索を提案する。提案システムは、従来の畳
み込みニューラルネットワークを用いたタッチを考慮したイラスト検索に基づ
いたシステムである。提案システムでは、画像内の特定のオブジェクトを抽出
する手法であるYou Look Only Onse (YOLO)を用いてキャラクターイラストから
目の領域を抽出し、それも入力として利用する。計算機実験を行い、提案シス
テムにおいてタッチの類似性を考慮したキャラクターイラストの検索が行える
ことを確認した。
本研究では、畳み込みニューラルネットワークを用いたタッチの類似性を考慮
したイラスト検索において色の出現頻度にも着目することで、精度の向上を目
指す。提案システムは、従来の畳み込みニューラルネットワークを用いたタッ
チの類似性を考慮したイラスト検索のシステムに基づいたシステムであり、画
像の彩度・明度、彩度と明度のヒストグラムを入力とする部分は従来のシステ
ムと同様の構造を持つ畳み込みニューラルネットワークを用いる。また、入力
として出現頻度の低い階調の色に着目したヒストグラムを入力する部分を追加
する。この部分は、彩度と明度のヒストグラムを入力とする部分と同様の構造
を持つ。提案システムを用いて従来のシステムと同じ500枚の画像に対して実験
を行い、従来のシステムよりも高い精度で検索が行えることを確認した。
本研究では,小型デバイスで表情認識技術の活用場面を拡大するために,
高い認識精度を実現できる深層畳み込みニューラルネットワーク(以下,CNN)
の軽量化手法を提案する.提案手法では,まず高精度な表情特徴を抽出できる
深層畳み込みネットワークの学習を行う.次に,学習済みのネットワーク階層
の一部を取り除き,Separable畳み込み層という軽量化アーキテクチャを導入
し再学習を行うことで軽量化を図る.本手法は,学習済みCNNと同等以上の
高い認識性能を維持しつつ,大幅に軽量化を実現できている.
D-4. データ工学
3月21日 13:00〜16:30 54号館 103教室 座長 小林亜樹(工学院大)
D-4-1 |
交通系ICカードデータを用いた定期券利用有無による購買行動パターン分析に関する検討
○恩田優実・菅沼 睦・亀山 渉(早大)・西野理恵子・柴田和義(京急電鉄) |
D-4-2 |
深層学習を用いたカメラ画像からの人物再識別システム
○飯塚敦志・金子邦彦(福山大) |
D-4-3 |
Neural Turing Machineにおけるメモリの次元削減による計算高速化手法の提案
◎小澤 遼・木村昌臣(芝浦工大) |
D-4-4 |
Google Firebaseを用いた位置情報共有システム
○半田勝之・金子邦彦(福山大) |
D-4-5 |
画像選択インタフェースを用いた音楽推薦サービス”Diggin”: 画像選択における感情空間と印象値に関する考察
○中野美由紀・石山悟志・君野史明・小久保勇気・斉藤大介・鈴木智尚・宮崎晃一・吉村慎祐(産技大) |
D-4-6 |
気圧センサーを用いた傾斜計測システムのデータベース
○井上 新・金子邦彦(福山大) |
D-4-7 |
顔画像と顔情報のデータベース設計の試み
○金子邦彦(福山大) |
本研究では、PASMOでの物販購買履歴を用いて購買行動予測を行った。交通系ICカードを利用する購買行動は鉄道の利用と強く結びついていると考えられるため、本稿では定期券で定期的に鉄道を利用している利用者と、定期券を持たない利用者との間で購買行動のパターンにどのような差異が生まれるのかに着目し、ランダムフォレストを用いて行動パターン分析を行った。その結果、定期券利用データでは重要度はコンビニ、飲食店の利用件数に続き時間帯が入り、精度は0.938となり、非定期券利用データでは重要度は飲食店、逗子での利用件数が占めており、精度は0.926となった。定期券利用者は時間的に規則的な行動を行っていることから、非定期券利用者より高い精度が得られたと考えられる。
人間の行動や様態を観測,収集し様々なことに利用できる.本稿では,複数カメラから収集した顔画像および関連情報のデータベースにおいての,人工知能を用いた人物再識別の試みについて報告する.人物再識別とは,遠隔地での人物の複数観測値を照合し,同一人物かを識別するもので,どこへどのように移動したかを調べることに役立つ.
チューリングマシンの仕組みを模倣し,行列で表現された外部メモリへの選択的な読み書きを行うことでコピーやソートなどのアルゴリズムにおいて従来のニューラルネットワークよりも学習の精度の向上を実現したNeuralTuring Machineがある. しかし, 外部メモリの全行を対象に計算を行う必要があるため行数のオーダーの計算コストが必要となり,これを削減することが求められる. また, 外部メモリの全行を対象としてキーベクトルと外部メモリの各行のcos 類似度の算出と, その値の正規化は計算コストが高くなる.そこで本研究では学習によりNTMの外部メモリを次元削減し, cos 類似度の算出と, その値の正規化の計算コストを削減し, NTMを高速化するための手法を提案する.
現在,スマートフォンのGPS機能は,地図アプリや,カーナビアプリ,コミュニケーションツールなど様々な用途で活躍して
いる.地図アプリでは,GPSに合わせて地図上に常に自分の位置や向きが表示され,便利である.他人と位置情報を共有
してコミュニケーションを取ることができる地図アプリを開発する際,リアルタイムで位置情報を共有するには,そのためのサ
ーバが必要である.位置情報共有システムをiOSアプリとして試作し,Google 社の提供する「Google Firebase」をデータベ
ースとして利用することで,「Google Firebase」の連携の難易度と,意図したとおりの機能が実現可能か研究した.
本論文では,音楽検索条件として画像選択インタフェースを用い,音楽を聴きたい利用者のそのときの気分に合わせた音楽を推薦するサービス”Diggin”を開発した.当該サービスでは,従来の具体的な検索条件ではなく感情空間を基にした推薦を行うため,従来は気づけなかった新しい音楽との出会い(セセレンデピティ)の場をも提供する.音楽、画像の推薦で感情空間を利用した手法が近年提案されており、”Diggin”においては,画像からの感情空間へのマッピングを利用し,”Diggin”音楽データベースから適切な楽曲を推薦する.本稿では,利用者の入力インタフェースとして開発した画像選択と感情空間の検討について報告する.
スマートフォンに内蔵された気圧センサーを用い,実際に歩いて計測しfirebase上にデータベースを構築した.
歩道などの交通路における階段,坂道,段差の情報は地勢図や測量では簡単に得にくい.
実際に歩いて計測を行うことでGPSの高さ情報では分からない急な高度変化や道として登録されていない場所(大学敷地内や公園内など)の坂の情報を集めた地図が作成でき,危険回避などに役立てることができる.
実験では実際に高度差が気圧の変化として現れるか,別日に同じルートを歩いた時同じような気圧変化を取得できるかを調べた.
顔画像と顔情報は,認証や,各個人の様態の把握などに重要である.従来から,個人の属性情報として,顔写真を事前登録しておき,さまざまに使うことは行われてきた.しかし,さまざまにカメラを置いて,コンピュータが顔を読み取ってさまざまに活用するときは,データベース設計に配慮を要する.本稿では,顔画像と顔情報を管理するデータベースシステムのデータベース設計について,実体,関連,リレーションをを示し,表情認識での例,頭部の位置推定での例で考察,検討を加える.
休 憩(15:00 再開) 座長 金子邦彦(福山大)
D-4-8 |
IoTデータ格納時におけるメモリ削減に向けた二段階圧縮方式
◎福田哲也・大村 圭・大黒 毅・佐藤賢一(NTT) |
D-4-9 |
Twitterにおける投稿内容とユーザ間関係を用いたユーザの居住地推定
○大森雄基・北川博之(筑波大) |
D-4-10 |
周辺単語を考慮した翻訳語の選択手法の提案
◎柴田裕太・木村昌臣(芝浦工大) |
D-4-11 |
尤度関数の計算コスト削減によるword2vecの高速化手法の提案
◎中村開耶・木村昌臣(芝浦工大) |
D-4-12 |
地図表示を活かした経路編集インタフェースの提案
◎近藤優太・小林亜樹(工学院大) |
D-4-13 |
語の共起を用いた同綴異義語を含むtweet の分類手法
◎菊川峻輔・湯沢昭夫・小林亜樹(工学院大) |
IoTの普及とともに,センサデバイスが生成した情報を活用する取り組みが拡大している.その結果,クラウド等の外部に出せない情報を扱う機会が増加し,エッジに閉じたデータ利用の需要が出てきた.エッジではクラウドとは異なり,リソース拡張に制約がある中でデータ利用を行わねばならない.しかし既存の有望なデータストア技術でも,大量のデータを書き込む際に多くのメモリを消費する.そこで本研究では,省リソース下で大規模なデータ収集,蓄積を可能にすることを目的として,有望な既存技術であるInfluxDBをベースに検討を行った.インメモリデータ蓄積の効率化に向けた二段階圧縮方式を提案し,メモリ使用量を58%削減できた.
Twitterを使った居住地推定は,メッシュ単位のものが主流であるが、適切な区画を用いた居住地推定の需要も存在する.本研究では、ツイート内容,フォロー ,フォロワーおよびこれらを結合した情報を用いて分類器を構築し、都道府県単位で推定を行った.この結果,越境移動の少ない道府県の推定精度は比較的高かったものの、越境移動の多い三大都市圏の都府県の精度は低いことが判明した。
長年コンピュータによる機械翻訳は研究され続けている. 現在の翻訳技術は文章を読む際に参考に使うことができる程度には文の意図が伝わるが, その文章が持つ意思を正確に伝えることはできない. その理由として, 文法が適切でないこと, 選択される単語がその文章に対し適切でないことがあるためである. 日本語のある単語の翻訳語を選ぶとき, 適切な翻訳語は必ずしも一つに定まらない. つまり, 単純に辞書上で同じ意味の単語を選ぶのではその文章に合う単語が決まらない. そこで, 翻訳したい語の周辺単語を利用することで, 日本語から英語へ翻訳する際の候補となる複数の単語から, 周辺単語を元にその文章に合う単語を選択する手法を提案した.
近年,単語を周辺単語の分布を基にベクトルを割り当てる手法としてword2vecが注目されている.これにより単語の意味を定量的に表すことができようになった.word2vecを使用した解析では,最初にコーパスを用いて単語を学習させ,モデルを作成する.以降の解析では最初に作成したモデルを使用する.もし始めに作ったモデルが学習していない単語が多く出てくる文書を解析する時は,またモデルの再作成する必要がある.しかしword2vecの学習は計算量が多いため,長い時間が必要になる.先行研究ではword2vecのモデルの1つSkip-gramを高速化する研究がなされている.本研究ではword2vecモデルの1つであるCBOWの学習の高速化を目的とし,尤度関数を計算量が少ない関数へ近似する方法を検討した.
公共交通である鉄道を円滑に利用するために乗換案内サービスが用いられる.その乗換案内で複数経路を比較しやすく,また,部分経路の変更を容易とする経路編集方式について提案してきた.
一方,地図情報を用いて経路識別が行いやすいという利点のため,地図上での経路表示は一般的である.
しかし,地図上で多数経路の同時表示すると重畳され識別が困難となる.
そこで本研究では,経路編集図形表示部と地図表示部とで選択中経路のハイライト表示を同期させるなどして,両者の利点を取り込んだインタフェースを作成し,地図表示を活かした経路編集を試作システムを通じて効果を検証する.
Twitterでは,検索する語が同綴異義語によるtweetの検索だった場合,目的としない意味の語を含んだ検索結果も返ってきてしまうため,目的とする意味の語による検索結果のみを得ることが求められる.文書分類の研究報告は数多くあげられているが,tweetのような短文での分類の事例はあまり見られない.
本研究では同綴異義語が含まれたtweetを共起語を用いて分類する.提案する分類手法は名詞のみを用いたBoWベクトルのコサイン類似度による分類,SVMを用いた分類の手法を提案する.
実際に投稿されたtweetを各分類手法にて分類し,各手法の分類結果を示し,比較をした.
D-5. 言語理解とコミュニケーション
3月21日 13:00〜15:30 54号館 101教室 座長 酒井浩之(成蹊大)
D-5-1 |
パーソナリティと音声コミュニケーション能力との関連について
◎△YU ZHAI・党 建武(北陸先端大) |
D-5-2 |
テキストマイニングを用いたレビューデータに基づく三部作映画の分析
○野村 亮・金子葉月(専修大) |
D-5-3 |
文脈と日時情報を考慮した絵文字の意味推定
◎白井聡一・浅沼爽汰・白石絵里奈・田村亮介・藤田和成・町田 翔・延澤志保(東京都市大) |
D-5-4 |
臨床研究を対象とする各法令の特徴抽出とそれらの関連
○大城絢子・植田真一郎(琉球大) |
D-5-5 |
北陸新幹線の評価に関する研究
○伴 浩美(長岡技科大) |
青少年期の異なる年齢層の若者を対象して、年齢と性別によるパーソナリティ特性への影響を分析して、成長期の青少年の変化に伴うパーソナリティ特性の変化と音声コミュニケーション能力の育成との関連を考察する
テキストマイニング手法を用いて映画レビューサイトのデータに関する分析を行った.得られた結果より同シリーズの映画においても評価される点が異なることが確認できた.
本研究では,絵文字の意味推定の精度向上を目的として,文脈と時間情報を利用する手法を提案した.実験の結果,特に時間帯に敏感な意味グループについて,本手法の有効性が示された.
臨床研究はその結果が診療の方針や患者の予後に影響するため、常に適切な実施が求められる。個人情報保護法・人を対象とする医学系研究に関する倫理指針の改訂・臨床研究法施行により臨床研究は法律化された。しかし現場診療で多忙を極める医療者がこれらの法令を把握したうえで、診療の合間を縫って臨床研究を適正実施するのは容易ではない。本研究ではトピックモデル・word2vecを用いて、各法令の特徴や共通部分・法令間の関連性を抽出し可読性を向上させることを目的とする。
2015年3月14日,北陸新幹線の長野~金沢間が開業した.それまで東京~長野間で運行されていた「長野新幹線」が上信越・北陸地方に延伸され,東京から石川県・金沢までを約2時間30分(新幹線開業前は約3時間45分)で結ぶようになった.また,それまで便宜上「長野新幹線」と呼ばれていたが,これを機に「北陸新幹線」と改称された.立山黒部を始めとした大自然が魅力の「富山県」,加賀百万石の歴史都市・金沢が人気の「石川県」へ,首都圏からのアプローチが大幅に向上した.本研究では,開業3周年を迎えた北陸新幹線が,利用者からどのような評価を得てきているのか,調査,検討を行った.
休 憩(14:30 再開) 座長 坂地泰紀(東大)
D-5-6 |
複数ロボット対話のためのニュースに対する意見生成
○田村 黎・藤江真也(千葉工大) |
D-5-7 |
オートエンコーダによる言語表現から画像表現変換手法の提案
◎福島龍輝・康 鑫・西出 俊・任 福継(徳島大) |
D-5-8 |
機械翻訳におけるドメイン変換に対する検討
○京極健悟・渡辺 裕(早大) |
D-5-9 |
人工知能(AI)の適用が期待される業務記載文の分類に関する一考察
○森谷高明・吉田 敦・立石直規・西尾 学・冨士井裕之(NTT) |
複数のロボットが対話するシステムのための,ニュース文に対する意見生成を行う.人対ロボットの一対一対話では人が話しかけて会話を始める必要があるのに対し,既に行われているロボット同士の対話に参加するという形で会話を開始することができ,敷居が低くなることが期待できる.一方のロボットが発話するニュース文に対して,もう一方のロボットがどのような意見を言えるかを判定する識別器を作成した.ニュース文全体から抽出される特徴量に加え,
意見を決める際に重要だと考えられるニュース文の末尾から抽出される特徴量などを組み合わせることで比較実験を行った.結果からニュース文全体とニュース文の末尾を組み合わせたものの性能が高く,ニュース文の末尾が重要であることが確認された.
・研究の背景と目的
近年、言語と画像を用いたマルチメディア教材の普及に伴い、マルチモーダルなコンテンツが求められている。そこで、本研究では機械学習手法を用いた言語ベクトルから画像の生成を試みる。
・提案手法
単語ベクトル化ツールを用いて単語表現から単語ベクトルを生成する。二種類の学習済みオートンコーダをつなげることで単語ベクトルを画像情報へと結びつけて画像を生成させる。
・結果と考察
画像の生成には成功したがノイズが多く含まれている。また、学習した画像の特徴量にまとまりがなく、単語からの画像変換精度は高いとは言えない。今後は、効率的な特徴量抽出が課題である。
翻訳には、機械翻訳と人による翻訳がある.機械翻訳では文語調訳が適用されている.一方,文書を人が翻訳した場合は口語調で行われるため,読者にとって自然な翻訳となる.また,同じ文章を翻訳した場合でも,翻訳者によって特色が現れる.本論ではその特色の再現について検討する.Sequence to SequenceのEncoder側とDecoder側で,それぞれ同じ意味を持つ文章を学習させる.その際,より良いネットワーク構成が得られるようファインチューニングを用いる.その後,学習したモデルの重みを初期値として,ドメイン変換を得たいデータに適応させ,seq2seqで再学習を行う.以上の手法により、元の文章のドメイン変換を得る.
本稿では,「AIによる効率化が期待される業務」の解決策が真にAIなのかシステム開発なのか,自動分類する.
D-6. コンピュータシステム
3月19日 10:30〜11:45 53号館 404教室 座長 八巻隼人(電通大)
D-6-1 |
アクセス制御機構SELinuxを用いた間接的リソース使用の動的制御手法
◎森田清隆・出口昌弘・水口武尚(三菱電機) |
D-6-2 |
ストリーム処理基盤におけるアプリケーション無停止アップデートの一検討
◎森澤雄太・北原 武(KDDI総合研究所) |
D-6-3 |
組み込み機器向けリソース監視によるログ保存手法検討
◎山本康平・水口武尚・桐村昌行・山田竜也・安竹秀晴(三菱電機) |
D-6-4 |
環境情報取得のためのノーマリオフロギングシステムの構築
○△大井崇広・山川凌平・熊木武志(立命館大) |
D-6-5 |
メモリバルーニングにおけるゲストカーネルとハイパーバイザ間の通信回数の削減
○西村俊希・芝 公仁(龍谷大) |
サードパーティ製プログラムは,ソースコードを入手できないなどの理由から十分な動作検証を行うことが難しい場合がある.このようなプログラムを製品に使用した場合,CPUなどのハードウェアのリソースが想定以上に使用され,他プログラムの処理速度が低下するなどの不具合が起き得る.既存技術ではプロセス(プログラム)が直接使用するリソースを制御できるが,サービスプロセスを介した間接的なリソース使用の制御が困難である.よって,サードパーティ製プログラムが間接的に過度なリソースを使用することに対する制御に課題がある.
本稿ではアクセス制御技術SELinuxを用いて,Linuxにおいて間接的なリソース使用を制御する手法を提案する.
ストリーム処理基盤は,大量のデータをリアルタイムに処理するプラットフォームであり,サーバの異常検知や配車事業の効率化,EC サイトの最適化などに活用されている.これは連続的に入力されるデータに対して,逐次的に処理を行うものである.そのため,アプリケーションのアップデートの際には,サービスを停止しなければならないが.そこで筆者らは,無停止でストリーム処理アプリケーションのアップデートが可能な,新たなストリーム処理基盤の研究開発を行っている.本稿ではその概要と,無停止アップデートを実行する際にアプリケーションが保持する状態の取り扱いについて議論する.
組み込み機器では,デバッガや開発用マシンを接続してログを取得するのが一般的であるが,システムテスト等の開発段階においてはこれら外部機器を接続できない場合がある.この場合,機器内部の主記憶装置にログを書き出すことが考えられるが,ログ用に確保できる領域は限られているため,ログが取得できるタイミングは明示的な障害発生時などに限られていた.そこで,搭載するプログラムのリソース使用量をルールとして定義し,ルール逸脱時にログを退避することで有用なログを取得する手法を検討した.
近年,技術の進展により,センサやカメラ,GPSなどのを載せた記録計(データロガー)は小型化され、様々な場所や用途で計測ができるようになってきた.しかし、メモリ増大や電子部品の小型化の進展と比較し、バッテリーの大容量化や長寿命化の進展は遅く、限られたデータロガーのメモリサイズで長時間計測することは難しい.このことが顕著に表れるのが,野外(川や森など)で,環境と生物の関係を調査する際の定点観測である.野外では電源がないため,データロガーを長時間駆動し続けられるようにする必要がある.本研究では,この問題を,データロガーのノーマリオフ化に着目して,低消費電力を実現することで克服を目指す.
仮想化環境では,静的なメモリ割り当てでは十分にメモリを活用できないことがある.これを解決するためには,仮想計算機(VM)ごとに最適なメモリを算出し,それぞれに割り当てる必要がある.仮想化ソフトウェアであるQEMUには動的にメモリを割り当てることができるメモリバルーニングという機能がある.これはVMのメモリの増加と減少を動的に行うことができる.QEMUは4kbyteずつゲストカーネルと通信し,メモリの減少を行う.しかし,4kbyte以上の場合も4kbyteずつ処理するため効率が悪い。そこで連続ページを一括して処理し,QEMUとゲストカーネルの通信回数を削減する手法を提案する.
3月19日 13:00〜16:15 53号館 404教室 座長 藤枝直輝(豊橋技科大)
D-6-6 |
Data Management Methods for Hierarchical Hybrid SSD
○Hassan S A Arafat・Ryohei Shimizu・Koh Johguchi(Shinshu Univ.) |
D-6-7 |
Congestion-Avoidance Adaptive Routing Algorithm
◎Jiakai Zhou・Zhengqian Han・Michael Meyer(Waseda Univ.)・Xin Jiang(Kitakyushu College)・Takahiro Watanabe(Waseda Univ.) |
D-6-8 |
A Traffic-Robust Routing Algorithm for Network-on-Chip Systems
◎Siying Xu・Yaoying Luo・Michael Meyer(Waseda Univ.)・Xin Jiang(Kitakyushu College)・Takahiro Watanabe(Waseda Univ.) |
D-6-9 |
Evaluation of Westfirst and Northlast Routing Algorithm in Network-on-Chip under different Hotspot Patterns
◎Yaoying Luo・Siying Xu・Michael Meyer(Waseda Univ.)・Xin Jiang(Kitakyushu College)・Takahiro Watanabe(Waseda Univ.) |
D-6-10 |
Routing Algorithm Exchange using a Congestion Detecting Mechanism
◎Zhengqian Han・Jiakai Zhou・Michael Meyer(Waseda Univ.)・Xin Jiang(Kitakyushu College)・Takahiro Watanabe(Waseda Univ.) |
A study on Data Mangement Algorithms in a Hierarchical Hybrid SSD Drive, The performance of the proposed Hierarchical Hybrid SSD is simulated with different Algorithms under various loads.And the results are evaluated to determine the best Data management algorithms to use.
Network on Chip(NoC) has become a new way of communication on chip. However, congestion problems do harm to the performance of NoC. Congestion occurs at the central region usually. Hence, the whole network can be classified into two regions: congested and non-congested regions [1]. If the non-congested regions are used to transmit packets as far as possible, without entering congested region, such a routing algorithm will show higher performance. Based on this idea, we propose a new routing algorithm.
Network-on-chip (NoC) has been proposed as a better interconnection method than a bus architecture. The performance of it has a great impact on the whole chip multiprocessors system. A large number of routing algorithms have been presented to improve the network performance under certain traffic patterns. However, traffic patterns are generally unknown in advance and vary from applications. In this paper a new traffic robust routing algorithm is proposed to detect the current traffic pattern and then adjust the routing algorithm to achieve better performance. With the combination of both deterministic and adaptive routing algorithms, the network performance can be improved.
The Network-on-Chip (NoC) is widely accepted as an advanced design in which the traditional bus structure is replaced by networks. And there are many routing algorithms of NoC, it is significant to figure out which one to be used under different traffic patterns to get the best performance. This paper compares Westfirst and Northlast routing algorithms and gets the favorite traffic pattern for each one. For the next step, a traffic pattern detecting mechanism should be proposed, and based on the traffic pattern detector, two adaptive routing algorithms can be exchange for different patterns. In this way, the advantage of two adaptive routings can be taken to increase the overall performance of NoCs.
In Network-on-Chips (NoCs), routing algorithms determine the path on which a packet traverses from the source to the destination. So far, most of NoC routing algorithms can perform well in a single network condition or several network conditions. In reality, the congestion condition in the network is always changing and is hard to predict. Therefore, it is not the routing algorithms that we urgently need, but the best routing algorithm selection and exchange according to different network conditions. In this paper, we propose a congestion detecting mechanism and select a proper routing algorithm according to congestion situation of the network.
休 憩(14:30 再開) 座長 佐藤真平(東工大)
D-6-11 |
連想メモリベース超並列SIMD型演算コアの動作検証について
◎関野 輝・渡辺健介・熊木武志(立命館大) |
D-6-12 |
DCMを用いたTRNGの試作
◎武田真明・藤枝直輝・市川周一(豊橋技科大) |
D-6-13 |
oLLVMとLegUpを用いた難読化制御論理回路の試験評価
◎山田翔太郎・藤枝直輝・市川周一(豊橋技科大) |
D-6-14 |
ネットワーク機器上における高速なGZIP復号のためのキャッシュ利用効率向上手法の提案
◎黒川雄亮・八巻隼人・三輪 忍・本多弘樹(電通大) |
D-6-15 |
GPUの電力ばらつきモデリング
◎浅田風太・三輪 忍・本多弘樹・八巻隼人(電通大) |
D-6-16 |
SoCを用いた画像処理システムの性能検証
○△末富雅也・中西知嘉子(阪工大) |
D-6-17 |
SoC FPGAアクセラレータ設計における高位合成適用の検討
◎久恒泰地・植田泰輔・早瀬茂規(日立) |
近年、マルチメディアアプリケーション環境が発展したことにより、民生モバイル機器は一つの端末で複数の機能を持つことが求められている。
そこで、マルチメディアアプリケーション処理に含まれる繰り返し処理を効率よく行うことが出来る並列SIMD型演算コアと、テーブルルックアップ処理を効率よく行うことが出来る連想メモリを組み合わせることによって両方を効率よく処理できる機能メモリベース並列SIMD型演算コアを提案する。
今回は機能メモリベース並列SIMD型演算コアをISE上で構成し,様々な命令を実行した時のデータ処理のデータ処理量と処理速度を測定し,性能を評価する.
真性乱数を生成するためにはTRNGが必要となる.本研究ではJohnsonら(2017)の
考案したDCMのジッタを用いたTRNG (以降J-TRNG)をXilinx社のVirtex-5 FPGAに
実装し,Diehard試験により乱数品質の調査を行った.調査はDCMの周波数100組を
対象とした.その結果,2組の周波数の組合せにおいてDiehard試験の全項目に合格
し,生成速度はそれぞれ0.1566 Mbps,0.3004 Mbpsであった.しかし,残り98組で
は1項目以上で不合格であった.この結果から,J-TRNGの有用性を高めるためによ
り多くの周波数の組合せで乱数品質を高める工夫が必要である.
制御プログラムに含まれるアルゴリズム等の知的財産を保護することは重要な課題
である.我々は汎用のツールを組み合わせてソフトウェアから難読化制御論理回路
を生成する方法について研究を行っている.先行研究が提案したCバックエンド・
Vivado HLSを用いる方法と,LLVMベースの高位合成ツールLegUpを用いる方法を比
較評価した.Cバックエンド・Vivado HLSを用いる方法では難読化手法とプログラ
ムの組み合わせの一部で正常に動作しない回路が生成された.LegUpを用いる方法
では性能の低下と回路規模の上昇が確認されたものの,全ての組み合わせにおい
て正常に動作する回路が生成できた.
近年,ネットワーク機器上でパケットをレイヤ7情報まで解析するパケット解析技術が用いられている。
しかし,その主な解析対象であるHTTPでは,データをGZIP圧縮して転送することが一般的となりつつあり,このようなデータを検査するためには一旦データを復号しなければならない.
既存のネットワーク機器上でのGZIP復号手法では、復号するGZIPストリームごとに32KBのキャッシュを用いているが、キャッシュの容量効率が悪く、十分なヒット率を得ることができていない。
本研究では,ストリームサイズに応じて適切なエントリサイズのキャッシュに割り振る手法を提案し、キャッシュの利用効率の向上を図る。
シミュレーションにより、提案手法を用いることでヒット率を58.8ポイント向上できることを示した.
現在、スーパーコンピュータの消費電力が大きな問題となっている。特にGPUを搭載するスーパーコンピュータが増加していることから、GPUの利用方法を工夫しアプリケーションの電力効率を高めることが重要である。特に。半導体の製造ばらつきなどの原因によって、
同じ製品仕様のGPUであっても消費電力にばらつきがあることが知られている。本研究では、メモリアクセス頻度などのアプリケーションの特徴量からそのアプリケーションを実行した際のGPUの電力を予測するモデルを開発する。
近年CPUを内蔵したFPGAが容易に入手できるようになり,ハードウェアとソフトウェアの協調設計に注目が集まっている.そこで本項では1つの画像処理に対しソフトウェアとハードウェアをどのような構成にすればよいかを検証した.検証の結果,すべてOpenCVで実行した時の処理時間49.82ミリ秒を基準として考えると,基準より処理時間が短縮したものは,4byte回路のインターフェース部がOpenCV(BGR2BGRA)の時であった.その処理時間は6.92ミリ秒であった.これは基準の処理時間よりも約7倍の短縮となった.このことより,インターフェース部と画像処理部分の構成を考慮することで更なる処理時間の短縮が見込めることが分かった.
エッジコンピューティングをはじめ,組み込みシステムへのAI活用が加速しており,CPUとFPGAを混載したSoC FPGAへの実装検討が進んでいる.その中でもSoC FPGAの高速化に重要となる論理回路をソフトウェア記述で設計可能な高位合成を適用した実装が注目されるが,CPUとFPGAを連携させる入力記述が課題となっている.本稿では,アクセラレーション処理の過程で生じるCPUからFPGAへのデータ入力量に着目し,SoC FPGA実装に高位合成の適用を試みた結果,CPU比2.92倍の高速化を達成した.
D-7. MEとバイオサイバネティックスA
3月22日 10:45〜11:45 53号館 404教室 座長 堀江亮太(芝浦工大)
D-7-1 |
視線と脳波の同時測定実験系の開発と評価
◎坂内 力・堀江亮太(芝浦工大) |
D-7-2 |
疼痛感覚と心拍変動の関連性に関する研究
◎孟 朋展・党 建武(北陸先端大)・申 岱(天津医科大) |
D-7-3 |
歌唱呼吸評価のための光学式観測手法の検討
○浅沼和志(長野高専)・伊東一典・香山瑞恵・池田京子(信州大)・山下泰樹(長野県工科短大)・召田優子(長野高専) |
D-7-4 |
顔面筋電図を用いた主観的「おいしさ」の定量計測手法の提案
◎樫原 輝・山口友之(筑波大) |
近年,生体信号による感性評価が行われている.物体や写真を見つめながら感性評価を行う際は,一点のみを見つめているわけではないので,生体反応を取得したときに物体のどこを見ていたかという情報が必要となる.そこで本研究では,視線計測器,脳波計および生体信号測定器の同時計測により,より詳細な感性評価の定量化が可能となると考え,実験系を提案,開発した.本研究では視線と脳波の同時測定を可能にする実験系の開発を行い,測定データから時系列の同期が行えているかどうかを確認した.
疼痛は、人体に何らかの組織損傷が起こった時、あるいは組織損傷が起こりそうな時、不快な感覚体験および情動体験である。その体験に関する表現は、個人によって異なり、主観的なものとなる。それゆえ、今まで疼痛の評価は主に患者さん自ら疼痛を伝えるという形である。患者の訴える疼痛を正確、客観的に測定することはかなり困難である。ところが、心拍変動は自律神経の生理機能を表現する指標であり、疼痛は生理学的に自律神経活動の一つ表現であるため、心拍変動に基づいて、定性、定量的に疼痛を客観性から評価する可能性がある.論文では、如何に疼痛を定量的に評価する問題を取り上げ、単純に疼痛有無を検定だけではなく、疼痛の程度を定量的に評価することを試みる。
声楽や合唱などの歌唱評価における重要な指標の一つに呼吸がある.今般,客観的な歌唱評価につなげる呼吸情報取得を目指して呼吸観測具を試作した.試作した観測具は,二つの光軸を直交かつ一体化し,光軸内の中央部に球レンズを配置した小型な構成体で,これを局所の体表面上に貼り付け,呼吸に連動して生じる体表の拡縮を,光軸からの球レンズの位置変位に置き換え,光結合強度の変化量として観測する方式である.歌唱呼吸に連動する腹横筋,腹斜筋に着目し,作製した2つの観測具をそれぞれ前腹部,側腹部の表面に貼り付け,スタカート奏法での歌唱実験を行った結果,歌唱時の呼吸コントロールに伴う体表面の変化を観測することができた.
主観的に人が感じるおいしさは,複数の要因があるとされる.特に生理的な要因として人体の栄養素の欠乏,渇き,空腹,疲労などが強く影響すると言われており,主観的おいしさを計測することで体調管理の支援への応用が期待される.先行研究ではレーザースペックル血流画像化装置を用いた顔面皮膚血流量とおいしさ主観評価との相関についての報告があるが,被験者を計測できる空間が限定されている.本報告では,主観的おいしさを計測する空間を限定しない顔面筋電図を用いた装着デバイスを開発し,被験者が飲料を摂取したときに現れる顔面筋電図を取得した.この筋電図をSTFTで処理した結果のピーク周波数と主観的おいしさとの関係を確認した.
D-7. MEとバイオサイバネティックスB
3月21日 13:00〜16:00 53号館 404教室 座長 京相雅樹(東京都市大)
D-7-5 |
リハビリ患者の活動状態モニタリング結果のフィードバック
○佐藤里江子・小笠原隆行・豊田 新・松永賢一(NTT)・向野雅彦(藤田医大) |
D-7-6 |
リハビリテーション患者のADL評価と入院中の生活活動の関連性
◎豊田 新・小笠原隆行・佐藤里江子・松永賢一(NTT)・向野雅彦(藤田医大) |
D-7-7 |
視空間認知機能低下予防のリハビリテーションに関する基礎研究
○佐藤和彦・林 裕子・清水久恵・木村主幸・山下政司(北科大) |
D-7-8 |
咽喉音とEMGを利用した嚥下機能自動測定
○山下大貴(静岡大)・古川大輔(君津中央病院)・西田昌史(静岡大)・黒岩眞吾(千葉大)・西村雅史(静岡大) |
D-7-9 |
ALS患者を対象とした咳嗽モニタリングシステム
○藤田祥太(静岡大)・古川大輔・村西幸代(君津中央病院)・西田昌史(静岡大)・黒岩眞吾(千葉大)・西村雅史(静岡大) |
リハビリ入院患者の活動状態を定量的にモニタリングする実証実験において、被験者へのモニタリング結果のフィードバックを行った。モニタリング結果は見易いレイアウトにまとめ、一日の起床時間と運動強度の内訳を表示した。このレポートをきっかけに、患者と医師・療法士等の間で、現状回復度合いや日常生活の改善についての対話のきっかけとなり、患者自身の行動変容に繋がるとの反響を療法士から得た。
手術や病気による入院から機能の回復や日常生活活動(ADL: Activities of Daily Living)の改善を図り早期の復帰を促すためには,高品質なリハビリテーションを行うことが重要である.これまで我々は,入院中の生活活動の改善による回復効果の促進を期待して,スマートウェアを使用し患者の一日単位の活動をワイヤレスで記録してきた.今回は, ADL評価と一日の生活活動の関連性について報告する.
視空間認知機能の低下を予防するために,身体的運動の課題に加え,注視と視線移動の眼球運動の課題を加えた多重課題を行うリハビリテーション機器のステップアイを開発しきた.今回このステップアイの眼球運動について検討を行った.その結果,ステップアイの眼球運動は,課題提示時には眼球移動速度についてタッチエム®と同等であり,課題回答時には5m歩行と同等であった.このことからステップアイは注視と視線移動の眼球運動を実現しており,身体運動との多重課題をさせる機能があることが確認でき,視空間認知機能低下予防のリハビリテーションとしての有用性がある可能性が示唆された.
嚥下障害の早期発見を目的として,嚥下機能検査が広く実施されている.検査を効率よく,かつ正確に実施するため,我々は,嚥下機能検査のうち3つの検査について咽喉マイクとスマートフォンからなる自動測定システムを開発し,検診などでこのシステムの有効性を確かめてきた.特に,反復唾液嚥下テストと呼ばれる検査は測定対象となる空嚥下以外の音による誤動作が多く,その対策として機械学習に基づく識別方法を利用するなどして,その精度の改善に努めている.今回,さらなる精度の改善を目的とし,音情報だけでなく,咽喉付近の筋電図(EMG)から得られる情報を併用する方法について検討を行ったのでその結果を報告する.
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は,運動ニューロンが侵される進行性の難病である.症状の一つである嚥下障害は,食べ物を誤嚥することで重篤な肺炎に繋がる.一方で,食事はALS患者の楽しみの一つであるため嚥下機能の状態に応じた適切な食事指導を行うことが必要である.従って,嚥下機能の経時的評価が出来るシステムの構築は重要である.
本研究では,誤嚥によって生じる咳嗽反射を利用し,ALS患者のための咳嗽モニタリングシステムの開発を行った.タブレット端末とマイクからなる簡便な収録装置を用いた音情報による侵襲性の低いモニタリング手段を提供し,咳嗽の有無や頻度等を提示することで医師の遠隔診断を支援することを目指す.
休 憩(14:30 再開) 座長 小林 匠(横浜国大)
D-7-10 |
非侵襲型ミリ波血糖値測定システムのプローブ設計
○長江セコウ・廣瀬 明(東大) |
D-7-11 |
耳の周りでの脳波測定用冶具の開発
藤澤結女・○靏 浩二(大分高専) |
D-7-12 |
シート型圧力分布測定器を用いた軟部組織厚み推定の基礎検討
○村上知里・金田泰昌(都産技研)・高橋 誠(北海学園大) |
D-7-13 |
耳管開放状態の自動判別システム開発
◎上村将一・鏑木崇史・栗原陽介(青学大) |
D-7-14 |
心拍変動性評価におけるスペクトル分解法の比較
○佐藤教昭(産業医大) |
D-7-15 |
ウェーブレット係数集合の選択による黙声発声開始位置推定手法
○永井秀利(九工大) |
糖尿病患者にとって血糖値をコントロールするのは非常に大事なことである。従来の測定方法は血液を採取する必要があり、患者に多大な負担をかけている。その原因で非侵襲型の測定方法が望ましい。今まで様々な非侵襲型測定方法が提案されているが、どれも応用までは至っていない。その理由は実験データが環境や個体差に影響されやすいからである。本稿ではミリ波を利用して血糖値を測るために人体組織に適している新たなプローブを提案する。我々はシミュレーションモデルを構築し、数値解析の結果を処理したところ、従来の研究の問題点である透過スペクトルにあるリップルを緩和することに成功しました。
脳波測定電極を毛髪部に装着するのは,一人では困難で,準備に時間がかかる.そこで,電極を固定する場所として、毛髪がなく,聴覚野に近い耳介背後の頭皮に着目して、新たに電極を固定する脳波測定治具を開発した,そして,実験の結果,耳介周辺でも脳波測定が可能であることを確認した.また,ブレインコンピュータインターフェイスにとって有効な事象関連電位の一つである聴性定常反応(ASSR)は.被験者6名中4名で確認することができた
褥瘡の一つであるDeep Tissue Injuryの治療や予防研究において,筋や脂肪などの軟部組織の厚みに関する情報が重要であると言われている.しかし,従来装置は高額であり座位計測が困難であるため,在宅医療などでの活用に課題が残る.そこで,安価かつ簡易に座位時の軟部組織の厚みを取得可能なシート型圧力分布測定器を用いた軟部組織厚み推定技術を開発している.本研究では,簡易構造のファントムを対象として軟部組織厚み推定法の誤差を評価し,開発技術の実現可能性を検討した.
耳管機能不全は、本来嚥下をすると開放する耳管が機能しなくなる疾患である。患者には主に問診による診断が行われるが、患者本人の主観に影響を受けるため重症化することが指摘されている。本研究では、正常な耳管が嚥下時に開放と閉鎖を連続して発生する仕組みを利用し、簡易的な耳管開放状態判別システムを提案する。提案システムでは、一方の外耳道に音を負荷させ、反対側外耳道にマイクを装着し計測する。マイクで取得したデータに対し、負荷音周辺の通過させる帯域通過フィルタを通し、wavelet変換を用いて周波数領域のデータへと変換させる。さらに非負値行列因子分解を行い、分解された基底行列を特徴量とする。得られた特徴量と事前に取得した耳管開放状態既知の特徴量との類似度をDTW距離で定義し、耳管の開放状態を判別する。
IPFMモデルでシミュレートしたRR間隔時系列信号を用いて,3つのスペクトル分解法(一般化調和解析,Pisarenko調和分解,自己回帰モデル)による構成成分の周波数,パワー値について,測定値と理論値とを比較した.その結果,一般化調和解析で最良の近似値が得られた.最終予測誤差を最小とするパラメータ数を自己回帰モデルの次数,Pisarenko調和分解の抽出正弦波数に適用した.一般化調和解析も抽出正弦波数を事前に決定しておく必要があるが,測定値は抽出正弦波数に依存せず,他の2つの方法よりロバストな手法であることも明らかにした.
口唇から頸部の表面筋電によって声を出さずに発声した内容を認識する黙声認識において,子音の判別は特に難しい.子音認識には発声開始時の短時間での活動推移から特徴を捉える必要があるため,発声開始位置の特定は重要である.しかし,自然な発声では筋活動の立ち上がりは緩やかで,発声の強弱や速度による違いも大きいため,閾値設定のわずかな違いで発声開始位置の推定結果は大きく変動する.そこで本稿では,すべてのサンプル位置で係数を得るような冗長ウェーブレット解析を行った上で,筋活動の特徴を得るためのウェーブレット係数の集合の選択方法を変えることで,発声開始位置推定の時間的な不安定さを低減する手法を提案する.
3月22日 9:00〜10:30 53号館 404教室 座長 京相雅樹(東京都市大)
D-7-16 |
歩行動作で誘起された静電誘導電流を用いた深層学習による歩行動作評価技術
○栗田耕一・森永将太(近畿大) |
D-7-17 |
畳み込みニューラルネットワークを用いた自動睡眠ステージ判定の研究
◎桑野裕也・吉田孝博・半谷精一郎(東京理科大)・西野精治(スタンフォード大) |
D-7-18 |
脳波を用いた感性推定モデルの提案
◎佐藤康平・堀江亮太(芝浦工大) |
D-7-19 |
映像活用の情動誘導と没頭による脳血流セルフトレーニングの検討
○嶌田 聡・木村尚希・我妻直哉・酒谷 薫(日大) |
D-7-20 |
ワーキングメモリを用いる認知負荷課題による触覚刺激へのゲーティング効果
◎大部健太・小塙弘樹・島田尊正(東京電機大) |
D-7-21 |
認知負荷課題の難易度と触覚刺激へのゲーティング強度
◎小塙弘樹・島田尊正(東京電機大) |
歩行動作により人体電位が変動すると電極には微弱な静電誘導電流が過渡的に誘起される.この静電誘導電流を検出することにより歩行動作中の被験者の足が床に接地・離地するタイミングを非接触で精度よく検出可能となる.そこで,本研究では不自由な歩行を模擬するため,健常者の膝を添え木とサポータで固縛し歩行信号を検出した.この歩行運動により誘起される静電誘導電流波形を計測しウェーブレット変換してスカログラムを得た.このスカログラムを用い,畳み込みニューラルネットワークによる深層学習を行うことにより被験者の歩行動作から歩行動作における不自由さの程度を検出することを試みた.
睡眠医療では睡眠ステージの判定が必須だが,目視による判定が主流となっており,人件費や時間が問題となる.さらに睡眠時のデータ採取では頭部に複数のセンサを装着する為患者への負担が大きい.近年,脳波1チャンネルを用いる簡易な自動判定の研究が行われているが,満足な推定精度が得られておらず周波数情報を有効に扱えていないという問題がある.そこで本研究では脳波1チャンネルからスペクトログラムにより時間周波数情報を抽出し、畳み込みニューラルネットワークに学習させることで、1チャンネルの脳波を用いた簡易的な5段階の睡眠ステージ判定システムの構築を行った.その結果84.6%の平均推定精度が得られた.
本研究では,感性の推定モデルを作成するため,感情を喚起する刺激画像を見ているときの脳波を簡易な生体アンプを用いて測定し,脳波信号のスペクトラムに対して,多変量解析の手法の一つである因子分析を用いて特徴量を抽出し,線形回帰を用いて特徴量をラッセルの円環モデルの覚醒価と感情価に回帰した.因子分析の結果,二つの因子が課題中の脳波に特定の周波数帯域が関係していることが分かった.線形回帰の結果では,特徴量の覚醒価と感情価への顕著な線形な依存性は示されず,特徴量と主観評価結果に非線形な関係があると考えられる.
近年,ストレスが原因の精神疾患患者数が増加し,社会的な問題になっている.ストレスを予防する様々な方法の一つに前額部の酸素化ヘモグロビン(Oxy-Hb)の濃度を制御する訓練方法がある.本稿では、映像を用いた情動誘導と没頭作業を繰り返すことで前額部のOxy-Hb濃度の制御をより簡易に行える方法を検討する.大学生11名の被験者に対して1週間ごとに測定し,2カ月間で8回の計測を行った.提案方法により,前額部のOxy-Hb濃度を容易に,再現性高く,増加・抑制できることを確認した.
視床において重要な感覚情報は優先的に処理され,その他の感覚情報は抑制される.このような機構をゲーティングと呼ぶ.先行研究ではワーキングメモリを使用する認知負荷課題(N-back課題)における負荷の大きさの違いと体性感覚に働くゲーティング強度の関係について検証を試みたが,結果がワーキングメモリのどの記憶機構への負荷を反映しているのか不明であった.本研究では言語化が困難な画像をN-back課題に用い,ワーキングメモリの視空間的スケッチパッドへの負荷がゲーティング強度に与える特性を明らかにすることを試みた.その結果,記憶負荷とゲーティング強度の間に正の相関があることが示された.
本研究では,認知負荷課題に伴って生じる体性感覚反応に対するゲーティングを観察することで,難易度の異なる複数の認知負荷課題においてゲーティング強度の変化の関係を検証する.今回の実験では,課題時間に対する記憶作業時間の割合が高い課題ほどDLPFCの賦活が強化される結果となり,1back課題よりも低負荷の課題が実現できていたことが脳活動から確認することができた.一次体性感覚野の賦活については,rest比較においても有意な賦活の差は検出されない結果となった.これは,一定の負荷を与えた場合には,STEP関数あるいはS時カーブ状にゲーティングの強度が変化する可能性を示している.
D-8. 人工知能と知識処理
3月22日 10:00〜11:30 53号館 301教室 座長 清 雄一(電通大)
D-8-1 |
隠れマルコフモデルを用いた音楽に連動したダンスと表情の自動生成
○佐藤大輝・長名優子(東京工科大) |
D-8-2 |
遺伝的アルゴリズムを用いた四部合唱の合唱パートの生成
○坪井涼香・長名優子(東京工科大) |
D-8-3 |
遺伝的アルゴリズムを用いたミステリージャンルのゲームBGMの自動生成
○川口湧大・長名優子(東京工科大) |
D-8-4 |
遺伝的アルゴリズムを用いたループ素材の生成
○濱口瑠奈・長名優子(東京工科大) |
D-8-5 |
遺伝的アルゴリズムを用いたリズムの異なる合唱パートの生成
○山口直輝・長名優子(東京工科大) |
D-8-6 |
性格を踏まえた感情表現のできる対話システム
○渡部哲也・長名優子(東京工科大) |
本研究では、隠れマルコフモデルを用いた音楽に連動したダンスと表情の自動
生成を実現する。提案システムでは、まず、ユーザが入力した音楽から0.5小節
分をオーバーラップさせた1.5小節単位の分析区間として音響特徴量を抽出する。
次に隠れマルコフモデルを用いて音響特徴量とダンス語彙の対応関係からダン
ス語彙の系列を決定する。同様に、音響特徴量と表情語彙の対応関係から表情
語彙の系列を決定する。最後に、決定されたダンス語彙と表情語彙に対して対
応する動作をランダムに選択することで決定し、分析区間の間の動作をフェー
ドイン、フェードアウトさせながら補間して結合し、出力する。計算機実験を
行い、提案システムを用いて音楽に連動したダンス動作と表情の生成が行える
ことを確認した。
本研究では、遺伝的アルゴリズムを用いた四部合唱の合唱パートの生成が行え
るシステムを提案する。提案システムにおける合唱パートの生成は、(1)ソプラ
ノパートのモチーフへの分割、(2)ソプラノパートの各音に対する和音とバスパー
トの音の決定、(3)遺伝的アルゴリズムを用いたアルト・テノールパートの生成
の3つの段階に大きく分けることができる。提案システムでは、遺伝子の形でア
ルト・テノールパートの音の高さを表現し、遺伝的操作を繰り返すことでアル
ト・テノールパートの生成を行う。ただし派生モチーフにおいて基本モチーフ
と高さや長さが同じ部分は基本モチーフと同じ高さとする。基本モチーフのす
べての音と、派生モチーフにおいて基本モチーフと高さや長さが違う部分の音
の高さを遺伝子として表現する。適応度は、連続する2つの音の高さの差分、他
パートとの音の高さの差分、並達1, 5, 8度になる音の数、テノールパートがア
ルトパートよりも音の高さが高くなる数などを考慮して計算する。
本研究ではリズムの異なる合唱パートを生成することのできるシステムを提案
する。リズムの異なる合唱パートとしては、メロディの一部をソプラノパート
以外のパートが担当するようなものと、ラララやルルルなどの歌詞以外のコー
ラスを一部のパートで使用するようなものとが考えられる。メロディの一部を
ソプラノパート以外のパートが担当するようなものは歌詞の意味的な情報を考
慮しないと生成できないため、提案システムではラララやルルルなどのコーラ
スを一部のパートで用いるようなものを生成するものとする。計算機実験を行
い、提案システムにおいてリズムの異なる合唱パートの生成が行えることを確
認した。
本研究ではリズムの異なる合唱パートを生成することのできるシステムを提案
する。リズムの異なる合唱パートとしては、メロディの一部をソプラノパート
以外のパートが担当するようなものと、ラララやルルルなどの歌詞以外のコー
ラスを一部のパートで使用するようなものとが考えられる。メロディの一部を
ソプラノパート以外のパートが担当するようなものは歌詞の意味的な情報を考
慮しないと生成できないため、提案システムではラララやルルルなどのコーラ
スを一部のパートで用いるようなものを生成するものとする。計算機実験を行
い、提案システムにおいてリズムの異なる合唱パートの生成が行えることを確
認した。
本研究ではリズムの異なる合唱パートを生成することのできるシステムを提案
する。リズムの異なる合唱パートとしては、メロディの一部をソプラノパート
以外のパートが担当するようなものと、ラララやルルルなどの歌詞以外のコー
ラスを一部のパートで使用するようなものとが考えられる。メロディの一部を
ソプラノパート以外のパートが担当するようなものは歌詞の意味的な情報を考
慮しないと生成できないため、提案システムではラララやルルルなどのコーラ
スを一部のパートで用いるようなものを生成するものとする。計算機実験を行
い、提案システムにおいてリズムの異なる合唱パートの生成が行えることを確
認した。
本研究では、性格を踏まえた感情表現ができる対話システムを実現する。本研
究で実現した対話システムは東京工科大学の情報案内を行うタスク指向型対話
システムである。この対話システムは従来の対話システムの処理を簡素化し、
感情表現を行う処理を加えたものである。この対話システムにはユーザ主導に
よる対話とシステム主導による対話の2種類の対話がある。ユーザ主導による対
話はユーザの発話により開始される処理であり、ユーザの発話に対する応答を
行う。システム主導による対話はユーザの発話間隔を取得し、一定時間の沈黙
を取得した際にシステムからユーザに対して質問を行う処理である。
提案システムを用いて実験を行い、ユーザとの対話による大学の情報案内が行
えることを確認した。また、性格によりシステムの応答や感情表現に違いが生
じることも確認した。
3月22日 13:00〜15:45 53号館 301教室 座長 福田直樹(静岡大)
D-8-7 |
映画館を対象とした親子での避難を考慮した避難シミュレーション
○白石ケンタロウ・長名優子(東京工科大) |
D-8-8 |
エージェントの得られる情報の違いを考慮した駅における避難シミュレーション
○東海林春希・長名優子(東京工科大) |
D-8-9 |
ファジーロジック環境分散優先順位型GAを用いた在庫調整機能を有する多段階SCM設計法
○井上古樹(宮崎産経大) |
D-8-10 |
DQNを用いたMineCraftにおける構造物の自動構築の検討
◎畠山一輝・三川健太(湘南工科大)・小林 学(早大) |
D-8-11 |
将棋における教師データの違いによる強さへの影響
○△社本勇希・檜垣泰彦(千葉大) |
本研究では、マルチエージェントシステムを用いた映画館を対象とした親子で
の避難を考慮した避難シミュレーションを提案する。提案システムでは、映画
館のレイアウトの情報を読み込み、それに対してマルチエージェントシステム
を用いて避難シミュレーションを行う。エージェントは環境を認識し、得られ
た距離や混雑領域の情報などを考慮して出口へ向かう避難経路をダイクストラ
法を用いて決定する。提案システムを用いて実験を行い、親子が一緒に移動す
るような状況を考慮した避難シミュレーションが行えることを確認した。
本研究では、エージェントの得られる情報の違いを考慮した駅における避難シ
ミュレーションを提案する。提案システムでは、駅のレイアウトの情報を読み
込み、それに対してマルチエージェントシステムを用いて避難シミュレーショ
ンを行う。提案システムでは、避難の際に得られる情報や移動速度の異なる複
数の種類のエージェントを考慮したシミュレーションを行うことができる。駅
員は、身体全体や声で誘導する指差誘導法を用いて向かうべき出口や階段に誘
導する。エージェントは、レイアウトの情報や看板や駅員による誘導から得た
情報に基づいて避難経路を決定し、避難を行う。すべてのエージェントが改札
口を通って駅の出口まで到達したら、シミュレーションを終了する。計算機実
験を行い、提案システムにおいてエージェントの得られる情報の違いを考慮し
た避難シミュレーションが行えることを確認した。
SCMは、経営戦略、事業戦略、商品戦略に合わせて適切な対応をする必要がある。
現在のeビジネス市場では、実需に即時対応できるスピード、需要と供給を一致させられる適格さ、取引流通における物流が、信用されうる状況で、全体的に一体化されていなければならない。
本研究では、効率的かつ効果的な多段階SCMモデルを設計し一定の研究成果を得ることができたので発表する。また今回作成したモデルに対し、従来研究で物流ネットワークの最適化に効果が示されていた優先順位型GA(pri-GA)をベースに、新たにファジーロジック環境分散優先順位型GAを提示する。また種々の手法との比較実験の結果pri-GAを改良したァジーロジック環境分散優先順位型GAが、提案した多段階SCM設計で効果が得られることが示されたので発表する。
深層学習は様々な分野で援用され,数多くの新しい応用を生み出している.本研究で対象とする強化学習においても,DQNを始めとする深層学習を用いた様々な手法が提案され,活用されている.本研究では強化学習の適用先としてロボットによる建築制御を対象に,目的の場所まで自動で移動し,建築を行うようなNNの学習の問題を扱う.この際,適用する問題を単純化するためにシミュレータとしてMinecraftを用い,目的とする建築物を設計通りに作成することを目的とする.具体的には複雑な問題である建築の動作をブロックの設置といった単純化した行動に置き換え,カリキュラム学習を行うことによって,複雑な問題への対応を検討する.
本論文では, 「AlphaZero」の手法を参考にして, レート分けした教師データをそれぞれ学習させることによって, それぞれの AI の強さがどのように変わるかについて考察した. 実験を通して, 教師データに差がある場合, 対局結果に差が生じることがわかった. したがって, 学習する教師データの量が同じであったとしてもレートが違うデータを学習させると AI の挙動が変わり, 強さに影響することが示された. これを応用させることによって, 自分と丁度良い強さの相手と対局することができる.
休 憩(14:30 再開)
D-8-12 |
階層化アテンションを使用したソースコードの自動分類
◎小山拓馬・山崎憲一(芝浦工大) |
D-8-13 |
データ解析に基づく金融市場のエージェントモデルとその解析解
○金澤輝代士・末重拓己・高安秀樹・高安美佐子(東工大) |
D-8-14 |
選択的メタサーチエンジンを用いたARに基づく購買支援システムの試作
◎安藤力哉・大囿忠親・新谷虎松(名工大) |
D-8-15 |
格闘ゲームにおける自然な振る舞いのゲームAIの自動生成
◎鈴木祥太・山崎憲一(芝浦工大) |
D-8-16 |
弓道の個人練習支援のための射法八節を考慮した動画ブラウザ
◎両角貴弘・大囿忠親・新谷虎松(名工大) |
近年,ソフトウェアのオープンソース化により,大量のオープンソースプログラムが管理されている.これらを自動分類することができれば,ソースコードを再利用できる可能性が広がると考えられる.文書の自動分類に関する研究は活発に行われているが,ソースコードの自動分類に関してはまだ研究が多くない.そこで,文書分類で高い精度を達成しているHierarchical Attention Networkを使用してC言語ソースコードの分類を試みたところ,11種類のタスクに対する分類正解率は74%となった.ソースコードの分類に対してアテンションの階層化が与える影響については現在分析・評価中である.
外国為替市場を理解するために,個々のトレーダーの行動をエージェントモデルで定式化し,そのマクロな振る舞いを理解する研究は過去から盛んに行われてきた.更に近年,市場についてのミクロデータが蓄積してきており,データ解析を通じてモデルを精緻に検証する機運が高まっている.そこで本研究では銀行間為替市場のEBS社のプロットフォーム上でのトレーダーログの解析を行った.トレーダー達の意思決定が過去の市場価格変化とどのように相関するかを調べ,その解析結果と整合するエージェントモデルを,市場のミクロモデルとして提案した.更にこの理論モデルの解析解を導出し,市場のマクロな性質を体系的に説明した.
AR(Augmented Reality)を用いた現実世界の物体に関する関連情報の提示には多くのニーズがある.ここで,物体の関連情報を取得する際に,単に対象物体に関する画像や文字を検索するのは不十分であり,状況に応じた適切な情報源の選択が必要となる.情報源の選択に関しては,選択的メタサージエンジンが利用可能であるが,ARにおける検索を考慮すると,現実空間の状況を扱うための新たな技術が必要である.本研究では,ARに基づく購買支援システムの試作を通じて,ARに適した選択的メタサーチエンジンの実現方法を明らかにすることを目標とする.本稿では,ARにおける選択的メタサーチエンジンについて議論する.
対戦格闘ゲームにおいて、ゲームAIは人を楽しませるゲームの要素として重要な役割を担っている。従来のゲームAIは人手によって作成されてきたが、近年では自動生成に注目されている。ただし、自動生成されたゲームAIは対戦相手のレベルに合わせるときに行動が不自然になるという問題や、動きのパターンが変わらないので、飽きを生じやすいという問題もある。本研究では遺伝的アルゴリズムを用いて、飽きが生じないように戦略に多様性をもたせ、またレベル制御の際に人に不自然と感じられないような行動をとるゲームAIを自動生成する手法を提案する。提案手法を2D格闘ゲームに対して実施したところ、自然なレベル制御が可能な、戦略に多様性を持ったAIが生成されたことを確認した。
弓道の練習では基本の型である射法八節を訓練する.射法八節は,八節(足踏み,胴造り,弓構え,打起し,引分け,会,離れ,残心)から構成される,弓道の一連の動作の流れである.弓道の個人練習において,射法八節の動画(射動画)により各節を繰り返し確認したい場合があり,それに適した動画ブラウザが求められている.本研究では,射動画を各節毎に繰り返し再生することを可能にすることで,弓道の個人練習の支援になると考えた.ここでは,射動画における各節をチャプターとして自動的に分割するシステムを開発した.本稿では,本動画ブラウザの機能の一つである,射法八節を各節毎に視聴する機能について述べる.
D-9. ライフインテリジェンスとオフィス情報システム
3月19日 9:00〜10:15 54号館 401教室 座長 西 宏之(崇城大)
D-9-1 |
加速度センサを用いた厨房作業者の腰曲げ運動の検出
○辻 涼介(滋賀県立大)・古田勝己(吉野家)・宮城茂幸(滋賀県立大) |
D-9-2 |
eラーニング集中計測に向けた視線と脳波の関連性調査
◎下田功一・田邊 俊・中山 悠・Martin J. DÜRST・戸辺義人(青学大) |
D-9-3 |
画像によるサッカーのファール判別における水増し手法の影響
○近藤涼月・岸本頼紀(東京情報大) |
D-9-4 |
Deep Transfer Learning of Indoor Human Activity Recognition Across Households
○Hao Niu・Kei Yonekawa・Mori Kurokawa・Shinya Wada・Kiyohito Yoshihara(KDDI Research) |
D-9-5 |
テレビ番組視聴後の番組内容に関する意識調査
◎関根大輔・大亦寿之・竹内真也・藤沢 寛・藤井亜里砂(NHK) |
飲食サービス業の人手不足解消のためには,女性や高齢者などの新たな層の人材を獲得する必要がある.
女性や高齢者が飲食サービス業で働くためには業務の改善が必要であり,業務の改善のためには行われている動作を把握する必要がある.
従来は観測者がストップウォッチを使用し動作時間を計測する,あるいは記録したビデオ画像から時間を推定するといった方法が利用されてきた.
本研究では,厨房作業者に加速度センサを装着し,厨房作業で負担が大きい動作の一つである腰曲げ動作に限定し,それらを自動的に検出する方法を提案する。
結果として,吉野家の実店舗で測定を行い,一定以上の腰曲げ動作を自動的に検出することに成功した.
近年,eラーニングによる映像授業の普及で,学習に対する時間・空間の制約がなくなりつつある.しかし,どこでも受講できるという長所がある反面,監視体制が十分ではなく受講者の集中力を保ちづらいという短所もある.我々は,その解決手段としてEEG (Electro-encephalogram) を用いて受講者の集中度を測る研究をしてきた[1].しかし,電極が多いEEGでは学習の妨げとなりやすく,簡易脳波計を用いることが望ましい.本研究は,視線計測結果を真値として,視線とEEGの関連を調べることにより,簡易脳波計を用いて映像授業時の状態を調べる際に取得すべき電極部位を調べることを目的とする.
スポーツにおいてファールは誤審や演技などにより判定が難しい。これに対して画像判定による自動判定が期待されている。しかし、機械学習などによる画像判定では、学習元となるデータが大量に必要であり収集が困難となる。そこで、ファール画像を機械学習する際にデータの水増しの影響について調査する。水増しとは教師データとなる画像について、画像加工を行うことで教師データを増やす手法である[1]。この手法の効果があれば、少ない画像でもファールの判別ができると考えられる。
本論文では、サッカーの試合中においてプレイが停止された直前のプレイ画像に対してファールか否かを判別する場合の水増しの影響を論ずる。
Human activity recognition (HAR) using sensor data has been studied extensively. Generally, HAR is done individually for each domain (e.g., household). However, in some cases the data of some domains cannot be labelled due to the practical or privacy problems. The solution may be directly reusing the model built for other domains or adopting transfer learning techniques. In this paper, we collect the real sensor data of 3 households and evaluate the performance of applying an existing GAN-based transfer learning approach to the indoor HAR across these households.
テレビ番組視聴の体験はテレビの前だけでなく,身近な生活の場にも役立てられると考えられる.我々は,番組の視聴データとユーザーの行動データなどを連携させることで,テレビの話題や情報を行動や状況に合わせてマッチングして提供する「行動連携技術」の開発に取り組んでいる.今回,行動連携技術に必要な要件の調査として,北海道と東京都在住の被験者を対象に,テレビ番組視聴後に番組内で紹介した情報の再提示が視聴体験や訪問活動に与える影響を調べた.その結果,テレビ番組視聴後に番組内で紹介した情報を再提示することで,視聴体験をより深く浸透させたり,興味を持たせられる可能性が示唆されたので,本発表で報告する.
3月19日 13:00〜14:45 54号館 401教室 座長 岡本 基(情報・システム研究機構)
D-9-6 |
大規模工場における構内倉庫のアクセス性能の例示
◎太田 樹・田中祐生・藤橋卓也・遠藤慶一・黒田久泰・小林真也(愛媛大) |
D-9-7 |
大規模工場における構内物流のモデル化と定量的評価
◎尾崎哲也・田中祐生・藤橋卓也・遠藤慶一・黒田久泰・小林真也(愛媛大) |
D-9-8 |
天候を考慮した滞在人口予測手法の一検討
◎伊藤義浩(KDDI総合研究所)・南川敦宣(KDDI) |
D-9-9 |
位置情報データを用いた前橋市内の人の行動分析
◎△上岡拓矢・川畑泰子(群馬大) |
D-9-10 |
ヘッドマウントディスプレイを利用した災害体験システム
○林 亮子・吉越太輝(金沢工大) |
D-9-11 |
企業間連携に於けるクラウドサービスの有効性について―情報共有ツールに於ける考察から―
○油布憲治(東工大) |
D-9-12 |
弾力的労働時間制度と企業業績の関連性研究
○井利友規・能上慎也(東京理科大) |
増産を計画している工場において,工場間・内で運搬される原材料と生産物の構内物流が懸念となっている.この構内物流におけるリソースの内,構内倉庫は,同時にアクセスができない資源である.本稿では,実際のデータを参考に作成したデータをもとに構内倉庫の物品の搬入搬出のためのアクセス性能を定量的に評価し,増産前後の倉庫アクセスの負荷を明らかにする.
増産を計画している工場において,パレット単位で運搬される原材料と生産物の構内物流が懸念となっている.この構内物流におけるリソースの内,構内の製造現場と構内倉庫の間の運搬を担う運搬機器に対して,定量的な負荷の解析評価を行う.工場は365日24時間操業を行っているが,工場内と工場外との間の物流が昼間に限定されている事から,構内の運搬機器への負荷は,一日の中で変動する.本稿では,構内物流のモデル化を行い,増産の前後で,負荷状況がどのようになっているか,また,増産に備えどのような対策を取るべきかを解析的な評価に基づいて述べる.
近年のGPS搭載のスマートフォンの普及により、高精度かつパーソナルな位置情報を収集・蓄積することが可能となってきており,細かい粒度での滞在人口を分析する研究が盛んにおこなわれてきている.滞在人口を予測することにより,レジャー施設等への来場人数の予測,交通機関の混雑度予測などに役立てることができる.
滞在人口を予測する上で重要な要素として天候が挙げられるが,既存研究では天候とある施設の来場人数など限定された関係の調査しか存在せず,滞在人口の変化の広域にわたる影響は十分に検証されていなかった.
本論文では天候による広域的な滞在人口予測への影響の分析の最初のステップとして,降水の有無による滞在人口の変化をメッシュ単位で定量的に分析した.
群馬県内では,人口減少や人口構成の変化により高齢化が懸念されてきた.日本全国においても,諸問題に関しては様々な議論や地域の特色を用いた地域政策が立案され,実施がされている.本研究では,位置情報データを用いて、群馬県前橋市を対象に地域の人流動向の傾向から,問題に関する定量的な見解を導くことを目的とした.そして、前橋市の位置情報データを統計的に解析した結果、休日と平日では人の動きに違いがあり時間帯によりそれぞれの特徴を位置情報データから読み取れた.このような特徴が区域ごとでも読み取れるため本研究を市単位から県単位まで拡張すれば今後、県内の問題点の発見や解決の糸口となる可能性がある.
日本は地震が多く,2011年に三陸沖を震源に発生した東北地方太平洋沖地震は,最大震度7を観測し,大災害となった.今後も巨大地震が発生する可能性が専門家から指摘されている.近年では,VR空間への没入感が容易に得られるヘッドマウントディスプレイが比較的安価に利用可能であるため,これを利用した災害体験システムが防災に役立つものと考えられる.本発表では,我々が開発したシステムを紹介する.
ICTの経済貢献を組織レベルでみると、「連携の経済性」が大きな意味を持ち、企業連携によりコア技術以外を補完するオープンイノベーションが注目されている。オープンイノベーションは企業間で情報資産を相互活用する為、協業には情報共通ツールが必須となり、時間と場所に捉われない働き方改革に於いて、クラウドサービスが期待されている。本研究では、企業連携に取組む企業に於いて、クラウドサービス型の情報共有ツールがアイデア創造に与える要因を明確にする。
本研究では,労働時間の制度の適用が,会社の業績にどのような変化・影響を与えているのかを分析する.近年に日本では通常の労働時間の制度の他に「みなし労働時間制」「フレックスタイム制」といった,弾力的労働時間制度と呼ばれる制度導入が少しずつ一般化してきているものの,先行研究などでその導入による効果は未だ示されていない.そこで本研究では制度導入企業の業績の変化という観点から弾力的労働時間制度適用の意味を考えていく.
3月21日 13:00〜14:45 54号館 303教室 座長 関 良明(東京都市大)
D-9-13 |
情報種別を活用したテキストデータ構造化手法の検討
○西村康孝・吉原貴仁(KDDI総合研究所) |
D-9-14 |
Twitterトレンドのリツイートによる分析と時系列の可視化
◎小西敦郎・細部博史(法政大) |
D-9-15 |
レビューを対象としたDoc2vecを用いたステルスマーケティング性の高いコメント抽出の試み
○田中利樹・岸本頼紀(東京情報大) |
D-9-16 |
googlemap口コミレビューのクラスター分析手法に対する考察
○南雲晶太・岸本頼紀(東京情報大) |
D-9-17 |
隣接情報を用いた文字列検索
◎小川まな美・佐藤正崇(NTT) |
D-9-18 |
出現単語に基づく既存提案ハッカーの再分類手法
○大森明依・岸本頼紀(東京情報大) |
D-9-19 |
ビジネスメール印象評価のための非暴力コミュニケーション適合度判定システム
◎長谷川浩市・成末義哲(東大)・渡邊淳司・渋沢 潮・瀬戸りか(NTT)・森川博之(東大) |
メールやSNSなどの非構造なテキストデータを,機械処理できる表データやデータベースなどのデータへ構造化することで,データ利活用が容易になる.テキストデータは日々大量に生成されており,人手に依らない自動的な構造化が課題である.従来Twitterのテキストデータからイベントの会期,開催場所などを抽出する手法がある.しかしながら,テキストデータに複数の日時・場所情報が含まれると,その中から会期と開催場所の情報を選択できない場合があった.そこで本稿では,情報種別を活用することで,抽出すべき日時・場所情報をより確かに選択する手法を検討する.
Twitterトレンド(以下トレンドと呼称)とは,Twitter上で話題になっているキーワードやハッシュタグをリアルタイムに抽出するTwitterの機能である.各トレンドには,1トレンド当たり1000件を超える関連ツイートが存在する.Twitterの標準ソート法(話題,最新など)や縦1列に並べる表示法では,大量にある関連ツイート全体の意見の推移を短時間で把握することは難しい.過去の研究ではツイートのテキストをもとに分析しているが,精度に不安がある.本研究ではリツイートによるツイートの分類と時系列に沿った可視化を組み合わせ,トレンドの全体像の理解を容易にする.可視化結果の補助として,特有な単語の抽出や画像やURLを含むツイートの表示を行う.
Web通販などでは意図的に好意的な記事を投稿するマーケティング手法(ステルスマーケティング)が問題となっている。これに対して、単語の出現頻度とその投稿期間に基づく信憑性分析や総合的な評価手段は適用されている。しかし、文章そのもののみを対象とした抽出は提案されていない。そこで、webのレビュー投稿について、平均評価が低いものの中における評価の高いレビューコメントをステルスマーケティング性が高いと考え、Doc2vecを用いたクラスター分析による他の高評価のコメントとの自動分類を試みる、結果得られたステルスマーケティング性の高い文の特徴について分析する。
本論文では、Doc2vecを用いたクラスター分析によるステルスマーケティング性の高い文章と他の文章との分類を行い、実際の例に適用した結果について報告する。
アンケートなどの自由記述において、その分類の自動化ができれば効果的である。しかし、これらの文は短文であることが多く、一致単語を基準とした一般的な分類手法が適用し難い。短文のテキストマイニング は、大きなコーパスのWord2vecの特徴ベクトルの平均値を用いた類似分析が提案されている。しかし、この手法の適用対象や効果については検討されていない。そこで、GoogleMapの口コミを対象として、この手法の適用を試みる。
諸業務で使用されるデータベース(DB)には、格納されているデータの表記が、別のDBにおけるデータ名の表記と異なる、いわゆる表記ゆれ、がしばしば発生する。 表記ゆれが存在するDB同士を突合した場合、表記ゆれを起こしたデータ名は同一の事柄を表現しているにも拘わらず、異なるデータ名として扱われてしまうという問題が発生する。 そこで本稿では、既存の類似度算出に加えて、各データ名の論理的あるいは物理的な隣接情報を使用する手法を提案する。
サイバー犯罪の研究において,特徴に基づくハッカーの分類が提案されているが提案者によって分類が異なっていたり,同じハッカー分類名でも異なる説明がされていたりする.実際にサイバー犯罪の分析に活用しようとしても,どれを適用すればいいか分からない.本論文では、既存提案のハッカー説明文に対してtf-idfに基づく類似関係を得て,この結果を階層クラスター分析することでグループ化し新たなハッカーの分類を試み,ハッカーの種類を再分類する手法として,tf-idfの類似度に基づくクラスター分析を用いた再分類について提案した.いくつかハッカー分類は共通単語を含む為に明確に分類が出来ない点が確認出来た.
ビジネスメールは現代における最も重要かつ基本的なビジネスツールであるが,相手と対面することなく行うコミュニケーションであるため,意図しない不快な印象を与えてしまう場合が少なくない.
ビジネスメールの主な目的は相手への要求であり,読み手の要求内容の受け取り方が印象に大きな影響を与えると考えられる.
そこで筆者らは,話者間の共感を伴って要求を伝えることを可能とする非暴力コミュニケーション(Nonviolent Communication,以下NVC)という対話手法に着目した.
本稿では,NVCの抽象的な規定をNVC適合度として定量化する基準を定義し,極性辞書や感情表現辞書などを用いたNVC適合度判定システムの実装方法を示し,メール文面が与える印象についてのアンケート結果をもとに,本システムの評価を行う.
D-10. ディペンダブルコンピューティング
3月21日 13:00〜13:15 53号館 304教室 座長 新井雅之(日大)
D-10-1 |
暗号文上の整数比較演算に適した形式への変換に関する一考察
○福地祐哉・酒井和哉・福本 聡(首都大東京) |
準同型暗号は暗号文上での計算が可能な暗号方式である.整数を暗号化した場合,加算と乗算は容易におこなうことができるが,比較演算をおこなうには工夫が必要になる.整数を累乗の形式に変換してから暗号化することで効率的に比較演算を行う手法が提案されたが,累乗の形式は加算や乗算に適していない.そこで,本研究では暗号文上で整数を累乗の形式へと変換する方法を提案する.これにより,加算や乗算に適した整数の形式と,比較演算に適した累乗の形式の両方を暗号文上の計算に用いることができる.提案手法を実装し,実験をおこなったが,提案手法では実用的な処理速度を得ることができなかった.処理性能の向上が必要である.
D-11. 画像工学
3月20日 13:00〜16:45 52号館 301教室 座長 金 亨燮(九工大)
D-11-1 |
HFR(High Frame Rate)放送における後方互換性の検討
○三浦菊佳・千田和博・市ヶ谷敦郎・神田菊文・瀧口吉郎・西田幸博(NHK) |
D-11-2 |
事前の画像解析を用いた8K映像のH.265/HEVC符号化におけるGOPサイズおよびintra/interモード切替の推定
◎坂本悠輔・横山怜汰・竹内 健(早大)・松尾康孝(NHK)・甲藤二郎(早大) |
D-11-3 |
HEVCイントラ予測における原画素を用いた高速処理アルゴリズム
○李 敏・宋 天・島本 隆(徳島大) |
D-11-4 |
奥行きマップ付きステレオ映像の輝度勾配不変性を用いた画素毎の動き補償予測の基礎検討
◎山内晶洋・亀田裕介・松田一朗・伊東 晋(東京理科大) |
D-11-5 |
複数参照フレームの直積量子化による復号側の動き検出処理の高速実装
○藤田 挑・亀田裕介・松田一朗・伊東 晋(東京理科大) |
D-11-6 |
超解像を用いた時系列画像の画質改善
○堀 隼也・渡辺 裕(早大) |
D-11-7 |
異なる解像度間の認知的な画質評価指標
◎辰野仁嗣・栗山 繁(豊橋技科大) |
2018年12月に4K8K放送が開始された.当面はフレーム周波数60Hz(59.94Hz)が運用されるが、将来のフレーム周波数120Hz(119.88Hz)のHFR(High Frame Rate)放送では、60Hz受信機は60Hz映像部分(後方互換映像)を取り出して復号・表示する.この映像の時間開口率は60Hz放送時に比べて小さくなるため、ストロボ効果が検知される可能性が生じる一方、動きぼやけが軽減される可能性もある.本稿では、HFR放送における後方互換映像の画質は60Hz放送時に比べて問題ないか、またストロボ効果対策として規定されているATSCフィルタリングは効果的かの2点を検証するために行った主観評価実験の結果を報告する.
2018年12月に8Kテレビ放送の本放送が開始された。加えてH.265/HEVCを超える符号化効率向上を目標とした動画像符号化方式の策定も進んでおり、今後これらを活用して、超高精細映像普及のためのさらなる取り組みが期待される。一方で、符号化効率向上に対する処理コストも増加しており、8Kのような高い解像度・フレームレートを持つ映像においては処理コストの増加は顕著なものになると考えられる。そこで、本稿ではH.265/HEVC符号化において事前の画像解析を用いてGOPサイズを推定し、低負荷・高効率な符号化を行う手法を提案する。また実験を通して、適切なGOPサイズを選択することにより、計算時間の削減、または符号化効率の向上を確認したことを示す。
近年の動画像に対する需要の拡大と映像技術の進歩に伴い,高効率の符号化技術が要求されている。H.265/HEVCに様々な新しい技術が取り入れられ,高い符号化効率を実現しているが,膨大な演算量を要するため,符号化効率を維持しながら演算量を削減する必要がある。本研究は演算量の削減のため,一部の原画素を用いて分割コストにより画像の特徴を分析し,冗長なPU サイズと予測モードの削除手法を提案する。
Along with the recent expansion of demand for moving images and progress of video technology, highly efficient coding techniques are required. Various new technologies are adopted in H.265 / HEVC, and high encoding efficiency is realized, but since huge amount of computation is required, it is necessary to reduce computation amount while maintaining encoding efficiency. In this research, in order to reduce the amount of computation, we analyze features of images by part cost using some original pixels and propose redundant PU size and prediction mode deletion method.
一般的な映像符号化では,フレーム間相関を利用した動き補償(MC)予測を用いて高い圧縮率を実現する.それに加え,多視点映像符号化では異なる視点の画像とその各画素の奥行きを表す奥行きマップの情報も予測に用いる事が出来る.
別視点情報を使う方法の一つとして,奥行きマップを用いた視点変換があり,別視点の画像を符号化対象視点の画像に変換できる.
本研究では,奥行きマップを用いた視点変換画像の遮蔽領域を考慮して符号化対象視点の輝度勾配不変性を用いた画素毎の動き推定を行いMC予測精度の向上を図った.シミュレーションの結果,符号化効率が改善されることを確認した.
現行の動画像符号化方式では,動き補償予測に用いる動ベクトルを符号化側で検出することを前提としており,これを復号側に伝送するのに必要な符号量の増大が問題となっている.これに対し,符号化側と復号側の双方で再生画像を用いた動き検出処理を実行することで,動ベクトルの伝送を不要にする手法が検討されているが,復号側の計算量の増大が課題であった.そこで我々は,探索対象となる参照フレームの直積量子化によって,マッチングコストの計算を高速化する手法を提案した.本稿では,この手法を複数参照フレームを利用した動き補償予測に拡張した際の効果について検証する.
圧縮符号化した時系列画像を対象に、前後フレームからの予測画像を用いて画質改善を施す。再構成型超解像では被写体の移動量を推定し,前後フレームから標本点を付加し解像度を高めているが、我々は,異なる標本点から集めた画素値の平均をとることで符号化劣化の改善を行う手法について検討する。対象フレームと前後フレームとのオプティカルフローを推定し、対象フレームの各画素値を前後フレームの対応する画素の画素値に置き換えた予測フレームを作成する。この予測フレームを前後Nフレームについて作成し、その平均フレームのPSNRを測定した。結果、得られた画面のPSNRは予測フレーム数Nの大きさによっては改善されるシーケンスが存在する一方、改善効果は十分ではなく,オクルージョン部分の処理に関する検討が必要であった
画像表示デバイスの多様化により、デバイスの解像度に合わせて画像をリサイズする機会が増加している。特にイラスト画像は、自然画像に比べて大幅なリサイズが行われることが考えられる。そのため、解像度が大幅に異なる画像間の類似度を正確に評価することが重要である。画像評価指標は、PSNRやVSNR、SSIMなどが提案されている。しかしこれらの手法は、元画像と評価画像の解像度が等しい場合の評価手法であり、解像度が大きく異なる場合には適していない。そこで本研究では、解像度が大幅に異なる画像間での有効な客観的画質評価指標の提案を行う。
休 憩(15:00 再開) 座長 野中敬介(KDDI総合研究所)
D-11-8 |
敵対的生成ネットワークを用いた動画像の欠損領域補間技術の検討
◎折橋翔太・工藤 忍・谷田隆一・清水 淳(NTT) |
D-11-9 |
マルチステップ超解像技術による高画質化処理
◎矢野仁愛・渡辺 裕(早大) |
D-11-10 |
イルミネーションでの表示に適した画像ダウンスケーリング手法の比較調査
◎渡辺光輝・遠藤結城・栗山 繁(豊橋技科大) |
D-11-11 |
3-D MS2T-DFTを用いたポアソン‐ガウシアン動画像の復元
○小松 隆・齊藤隆弘(神奈川大) |
D-11-12 |
平均値分離3-D ST-DFT領域での動画像の階層的クラスタリング
○齊藤隆弘・小松 隆・飯髙 建(神奈川大) |
D-11-13 |
IM2GPSを利用した画像に基づく地理的な位置情報推定の精度評価
◎田原雅彦・金井謙治・甲藤二郎(早大) |
D-11-14 |
漢字用機械刺繍データの自動生成
◎渡部 壮・栗山 繁(豊橋技科大) |
欠損を持つ画像から欠損領域の画像を推定し生成する画像補間技術は、画像の自然な補間による修復を目的とし、静止画向けの手法が多数提案されている。本稿では、これを動画像に適用し、動画像における欠損領域を補間する手法を提案する。提案手法は、深層学習における敵対的生成ネットワークの枠組みを応用し、動画像の補間ネットワークを学習により構築する。本手法は、識別ネットワークを時間方向と空間方向で分割して適用する点を特徴とし、フレーム毎の補間精度を補間の評価に明示的に加えることで、不鮮明な画像の出力を防ぐ。本手法により、補間画像のボケが軽減され主観画質が向上することを、実験的に確認した。
超解像技術は従来の補間技術の能力を上回る高解像度化処理技術である.学習型超解像は,事前に学習した辞書を利用することで,高解像度出力画像を取得する.我々は過去の研究で,学習型超解像であるA+ (Adjusted anchored neighbor regression),SRCNN (Super-Resolution Convolutional Neural Network),ScSR (Sparse-coding Super-Resolution)について,超解像処理部を直列的に連結させることで,視覚的にさらなる高画質化が図れることを示した.また,通常の超解像処理で取得した画像と,回転反転を伴う超解像処理で取得した画像とを重畳することで再構成精度を向上させられることも示した.本稿では,これらの多段超解像と回転反転を伴う超解像処理とを合成することで,通常の多段超解像よりも再構成精度を向上させられることを示す.
高解像度のイラストをグリッド状に並んだ LED イルミネーションに表示するには, 解像度が光源の数に制限されるため, ダウンスケーリングする必要がある.しかし, 既存のダウンスケーリング手法のうち, どの手法がイルミネーションへの投影に適しているかは明らかではない.
本稿は既存のダウンサンプリング手法に加えて, 深層学習によりピクセルアートの特徴を考慮した手法を新たに提案すると共に, 実際にイルミネーション装置を用いた評価実験により表示における品質を調査した.
筆者らは,平均値分離型三次元ST-DFT動画像雑音除去法(3-D MS2T-DFT)の検討を行ってきた.本稿では,ポアソン-ガウシアン動画像の復元に3-D MS2T-DFT法を用いた方式を提案し,シミュレーションによりその性能評価を行った.その結果,3-D MS2T-DFT法を用いてポアソン‐ガウシアン動画像の復元を行う際,一般化Anscombe分散安定化変換を導入することの有効性を確認した.
動画像の平均値分離三次元短時間DFT係数の統計的モデリングを行い,その確率分布空間の幾何学的計量に基づいて定義した“動画像間の非類似度”を用いて動画像の階層的クラスタリングを構成し,ITE標準動画像に適用している.
地理的情報は様々な属性との関連の強い属性であり,オブジェクト認識やシーン理解といった画像認識タスクにも利用することのできる重要な情報である.しかしながら,画像の視覚的な情報のみから地理的情報を推測する問題は非常に難しい問題である. これに対して,CNN (Convolutional Neural Network) により抽出した画像特徴を用いて対象画像と類似の画像を参照データベース内で検索し,その位置情報の分布から対象の位置情報を推定するIM2GPSという手法が提案されている.本稿では,スマートフォンで撮影したカメラ画像またはインターネット上で公開されている画像を利用し,IM2GPSの位置情報推定手法の推定精度を比較評価する.
機械刺繍データは専用のソフトウェアを用いて作成されるが、専門の知識が必要とされ、さらにその編集には多くの時間を要する.また、文字の刺繍はステッチと呼ばれる縫い目の方向や縫い順が重要であり、特に漢字は多くの交差部分やセリフ表現が存在するため、一般的なソフトウェアでは刺繍データの生成が困難である.本研究では、入力された漢字画像を筆画に準じたパーツに分解し、そのパーツごとに筆画の進行方向に対して垂直なステッチを生成することで、欠損ステッチのない漢字の刺繍データを自動生成する手法を提案する.
3月21日 13:00〜16:45 52号館 301教室 座長 早瀬和也(NTT)
D-11-15 |
3次元と整合する光線空間上での雑音抑制の一検討
○石原駿佑(東京理科大)・児玉和也(NII)・浜本隆之(東京理科大) |
D-11-16 |
グラフ信号処理を用いたカラリゼーション符号化の領域分割に基づくグラフカットによる高速化手法
○△安彦魁人(東京理科大)・雨車和憲(工学院大)・浜本隆之・半谷精一郎(東京理科大) |
D-11-17 |
画像による遠距離かつ高精度な橋梁の振動計測に関する基礎研究
○地福佳広・飯田浩平・橋本 岳(静岡大)・阿部雅人・杉崎光一(ビーエムシー)・山本茂広(神戸大) |
D-11-18 |
3次元画像計測による法面連続計測の高機能化に関する実験的研究
◎坂口祐一・大石裕也・鈴木健太・三輪晟也・日野利洋・橋本 岳(静岡大)・黒木孝司(中日本高速道路)・山本茂広(神戸大) |
D-11-19 |
深層学習による画像の高解像度化と対応点探索誤差の軽減
◎橋本智洋(東大)・橋本 岳(静岡大)・山本茂広(神戸大) |
D-11-20 |
フリッカ・ノイズを用いた動画への情報埋め込み手法とその実装
○△嶋田拓也・下村優太郎・熊木武志(立命館大) |
D-11-21 |
屋内環境における全天周画像によるロボットの位置決め
○本村駿希・李 仕剛・小嵜貴弘・小作敏晴(広島市立大) |
レンズアレイ等で取得される4次元の光線情報は露光量不足に起因する雑音など著しい劣化を有す.これに対し,一般にこうした光線情報は多視点画像で構成でき各視点間で対象の3次元分布に応じた強い相関が存在することから,CNNによる学習型の雑音抑制も含め3次元部分空間のみなど限定はあるものの,なんらかの形で4次元光線空間中の視点方向を考慮した様々な劣化復元手法が提案されている.
本稿では,多視点画像から対応点を取り出し構成した小画像にTGVに基づく雑音抑制を施すことを考える.対象の3次元分布に応じた相関を十分に活用し,かつ3Dディスプレイ等での自然な表示に適す3次元的に整合した光線情報の復元が期待できる.
カラリゼーション符号化とは,符号化の際に輝度画像を用いて色差値を圧縮し,復号化の際にはカラリゼーションと呼ばれるカラー画像復元技術によってカラー画像を得る符号化手法である.先行研究では画像の複数の画素を頂点とし,作成したグラフから得られるグラフフーリエ基底を用いて色差情報を保存する.しかしこの基底を得る際に,頂点数に依存する大きさの行列に対する固有ベクトルが必要となる.そのため演算量が頂点数に大きく依存し,計算時間が増大してしまう.本研究では領域分割に基づいたグラフカットにより演算量を減らす手法を提案する.
本研究室では,画像センサを用いた三次元計測について研究を行っている。この画像計測の利点として,非接触で計測可能・計測配置の自由度が高い・記録として保存可能などが挙げられ,公共物のインフラメンテナンスにおいても有効と考えられている。今回,橋梁の支間中央部の鉛直方向の振動を遠距離かつ高精度に計測するための基礎研究として,ステレオカメラを用いて振動する自然マーカを対象に計測実験を行った。対象から20 m程度の距離で,計測精度0.1 mmを目標とした。超解像度化手法としてPSNR評価の良好なSRCNN (Super-Resolution Convolutional Neural Network),対応点探索方法にZNCC(ゼロ平均正規化相互相関)等を用いた高精度計測について報告する。
3次元画像計測による法面連続計測の実用化に向けた高機能化に関する研究を報告する。
我々はこれまで広範囲かつ高精度計測を実現する研究を行っており,人工マーカーを対象として,カメラ側を移動させるキャリブレーションおよびDLT法を用いて3次元座標を算出した結果,最大誤差10 mm以下の計測を実現してきた。本研究では,現実の法面において,自然マーカー(画像的特徴を有する箇所)を対象とした広範囲かつ連続計測を行い,カメラシフトやマッチング方法の改良等の高精度化手法や不動点補正の導入により,計測システムの高機能化を実現できた。今後,さらに長期間の連続計測を行い,土砂災害の予兆検知に有益な情報を得ることを目標としている。
我々はこれまで,ステレオ画像計測の基礎研究として,対応点探索において良好な精度をもたらす人工マーカーに関する研究を行ってきている。本発表では,多様な形状・回転角度・サイズのマーカー画像を対象に,深層学習による高解像度化が重心座標変動の抑制に有効であり,対応点探索誤差の軽減に寄与するという成果を報告する。具体的には,100画素程度のマーカーを深層学習により縦横3倍に高解像度化すると,0.5 pixel以上の外れ値の出現を大幅に抑えられることが分かった。ステレオ画像計測において対応点探索は不可欠なプロセスであり,その誤差の軽減は高精度計測に直結するため,本研究成果は有益なものと考えられる。
近年,スマートフォンを用いた盗撮行為が増加しており,加害者の撮影を制限することができる手法が求められている.そこで我々は,点滅する照明下でカメラ撮影を行った時に生じるフリッカ・ノイズを用いた盗撮防止システムを提案し,盗撮画像を劣化させるだけでなく,動画内に情報を埋め込み,盗撮犯行を抑止することを目的としている.本稿では,情報埋め込み手法と,その実装結果について詳述する.
近年、高齢化社会に伴って、車椅子ロボットの自律性の向上は、介護者や高齢者の負担の軽減につながっていく。車椅子ロボットが自律的に移動できるようにするためには、まず、周囲の環境が必要である。本研究では、老人ホームのような屋内環境の各場所において、様々な条件、例えば、天候状況、周囲状況または異なる時間帯においても場所認識をする車椅子ロボットの開発に着目する。今回、車いすロボットの上に全方位見渡すことのできる全天周カメラを取り付け、これによって各場所における車椅子ロボットの位置を決定する方法をDeep Learningを用いて提案する。
休 憩(15:00 再開)
D-11-22 |
Haarウェーブレット変換による高周波帯域強調画像が視力に与える影響
◎松本直也・杉浦彰彦(静岡大) |
D-11-23 |
深度方向の移動を伴う3D映像のアンカリング効果
◎青木拓磨・杉浦彰彦(静岡大) |
D-11-24 |
JPEG適応量子化を用いた領域分割顔画像の高能率符号化
◎大川雅貴・杉浦彰彦(静岡大) |
D-11-25 |
配色されたイラスト顔が印象評価に与える影響
○鈴木芹奈・杉浦彰彦(静岡大) |
D-11-26 |
物体指紋によるモノの個別認識
○松本 駿・藤田 悟(法政大) |
D-11-27 |
移動ロボットのための2重スリット光を用いた三次元計測
○△苑田龍之輔・薗田光太郎・喜安千弥(長崎大) |
D-11-28 |
電子透かしを利用した端末画面検出法の提案と試作
◎鈴木広人・小林亜樹(工学院大) |
近視によって視力低下した人でも画像の高周波帯域を強調することによって, 視力矯正器具を使用せず対象物を認識できるようなカラー画像の作成を目的とする.本研究では,高解像度画像の高周波帯域を除去した低解像度画像を用いて視力低下を模擬した理想的状況下での効果の検証を行う.モノクロ画像においてHaarウェーブレット変換を用いた高周波帯域強調によって視力向上する結果が得られている.そこで,Haarウェーブレット変換を用いて作成した4K解像度と0.5K解像度の二種類の解像度のRGB三原色ランドルト環を用いた視力測定によって,色情報を持つ高周波帯域が視力に与える影響を検証し,各色の強調の重みを特定する.
心理効果の一つであるアンカリング効果を用い,動画像符号化効率の向上を目指す.近年3D映像が普及し,ファイルサイズが通常映像の約2倍と大容量になっている.本論ではサイドバイサイド方式3D映像に対してアンカリング効果を適用し,画質評価実験を行う.
三次元映像の内容による特性を分析するために,3Dカメラで三次元映像を撮影し,被写体に深度方向と水平方向の動きを持たせた.実験動画像は冒頭部のビットレートを高く設定し,徐々にビットレートを低下させるdecreaseパターンとビットレートが一定である動画像のconstantパターンを用いる(decreaseパターンとconstantパターンのデータ量の差は全て±5%以内である).
近年,監視カメラやスマートフォンの普及が進んだことによって撮影動画像の活用に期待が寄せられており,撮影動画像を利用して特定人物を探し出す技術が注目されている.また,カメラやディスプレイの技術発達に伴い動画像の高解像度化が進み,データ量が増大しているためデータの伝送・保持が困難になっており,データ量の低減が可能なデジタル画像の高能率圧縮符号化方式が必要とされている.本研究では,顔識別システムに適した量子化テーブルの提案を行う.一つの顔画像を顔領域と背景領域に領域分割し,各領域に異なる量子化テーブルを用いてJPEG符号化を行うことで,識別精度とデータ量への影響を検討する.
うつ病の早期発見が重要視され始めたことにより,顔表情認知による自己検査手法が提案された.本手法は,表情の強度を変更した顔画像を被験者に印象評価させ,その結果と実表情の誤差から,うつ病の可能性を判断するものであるが,検査に用いる顔画像が持つ固有の印象が被験者に影響を与えてしまうというデメリットがある.このデメリットの解消案として,人物顔固有の情報を持たないイラスト顔を用いて検査を行う手法が提案されている.本研究では,色による印象評価への影響を検討するためにイラスト顔に配色したものを用いて印象評価実験を行い,その結果と被験者の配色に用いる色の好みとの関係性について検討する.
This paper describes a method to discriminate objects based on scratches and patterns of objects photographed by smartphones. Researches on object fingerprints have been progressed as a technique for enabling identification of objects based on scratches and patterns, but there are two problems to determine object identity. First, if images are checked with strong feature points such as labels, fine feature points on the surface are ignored, causing misrecognition. The second is that it is impossible to extract sufficient feature points for discrimination when the angle of inclination is different between the database image and the captured image. In the experiment using the proposed method, performance evaluation was conducted by using 25 AC adapters and performing 625 collation. As a result of the experiments, we succeeded in classifying 25 AC adapters 100%.
近年では危険な海中での作業を人間に代わって水中ロボットが行うことが増えている.水中の状況を正確に認識しながら作業をするには,とらえている対象物の形状を正確に観測するための三次元計測の技術が必要となる.本研究では,カメラと光プロジェクタを搭載したプラットフォームの空間的な移動を利用して光切断法で三次元計測を行う方法を開発した.
複数台の端末を統合された仮想ディスプレイとする研究などでは,端末の位置関係を把握する必要があり,2次元コードや物体認識技術の応用などが提案されている.端末移動時のオクルージョンによる追従失敗からの再認識では,利用を妨げないコードとしての電子透かしの応用が考えられる.そこで本稿では,別端末カメラによる再撮影動画像から検出可能な単純な透かし方式を提案し,埋め込み強度の適用範囲について基礎的な測定を行った.
3月22日 9:30〜11:30 52号館 301教室 座長 松尾康孝(NHK)
D-11-29 |
積分画像に基づくハーフトーン画像の画質評価
◎彭 然・井上光平・原 健二・浦浜喜一(九大) |
D-11-30 |
バイラテラルフィルタを用いたアンシャープマスキング
○小野直樹・浦浜喜一(九大) |
D-11-31 |
データ拡張を用いた Deep Photo Relighting
○中西 悟・町田貴史(豊田中研) |
D-11-32 |
立体視を用いた新たな画像認証の提案
○古谷進之助・保坂忠明(東京理科大) |
D-11-33 |
Unique Indexing of Penrose Tiles
○Hiroshi Ito・Shun Ogiue(Nihon Univ.) |
D-11-34 |
全方位映像に基づく自由経路合成
○飯沼宥光・小川将範・相澤清晴(東大) |
D-11-35 |
SegNetと移動体の位置サイズ変動による道路風景の深度画像推定
◎中村文香・高松 真(東京電機大)・岩田英三郎(ノルミー)・石原聖司・長谷川 誠(東京電機大) |
D-11-36 |
自己位置推定を用いた実空間麻雀得点計算支援システムの実装
○鈴木涼介・大囿忠親・新谷虎松(名工大) |
画像の画質を客観的に定量化する方法として,ピーク信号対雑音比(peak signal-to-noise ratio: PSNR)がよく知られているが,主観評価と異なる評価結果が得られることがある.本論文では,そのような例をハーフトーン画像を用いた実験で示すとともに,主観評価との整合性が改善された新たな画質評価指標として,積分画像間のSN比を提案し,ハーフトーン画像を用いた画質評価実験の例を示す.
画像の鮮鋭化処理として用いられるアンシャープマスキング処理は,高周波成分を入力画像に加えることで鮮鋭感を向上させる処理である.加算に用いる高周波成分は,入力画像からその画像自身をぼかすことで得られる低周波画像を差し引くことによって得られる.この低周波画像を生成する際に通常用いられているのはガウシアンフィルタである.しかしながら,この通常のアンシャープマスキングフィルタによって得られる鮮鋭化画像には,物体の輪郭などの強いエッジの両側にアンダーシュートオーバーシュートの不自然な歪が生じやすい.
本研究では,バイラテラルフィルタ(BF)を用いたエッジ歪の生じない画像の鮮鋭化処理を提案する.
先進運転支援システムに使われる画像処理アルゴリズムの評価を効率的に行うために,様々な評価用画像を生成する自由視点画像生成手法を開発している.この手法では,計測した全方位画像と3次元点群から任意の走行軌跡の画像を高品質に生成できるため評価の効率化が期待できる.一方,任意の日照条件の画像を生成できることは評価のさらなる効率化に有効であるため,自由視点画像の日照条件を変更する手法Deep Photo Relighting(DPR)も開発している.本研究では,DPRの汎化性能向上を狙いとしたDPR用データ拡張を提案する.実験では日照条件を変更した画像を生成し,提案手法の有効性を示す.
近年、ボットによる不正アクセスを防ぐため画像認証が広く使われている。しかし、画像認識や文字認識の技術が発展しているため、人間にとっても認識が困難な認証画像が生成されることがあり、従来の画像認証は現実的な技術としては大きな欠陥を抱えているといえる。本研究では、両眼視差に基づく立体視に着目し、ステレオ画像を認証画像とする新たな手法を提案する。両眼視差による立体視を可能とする単純なステレオ画像では視差推定により容易に文字認識が可能であるが、提案手法にはそれを困難にする工夫が施されている。それらの工夫を特徴付けるパラメータを被験者実験により調整したところ、認識率が0.8を超え、機械が認識不能と推察できる認証画像を得ることができた。
Penrose tiles are a set of shapes that can tessellate a plane non-periodically. A famous set is composed of a kite and a dart. In this paper, we propose a method of indexing every tile in a tessellation so that a tile and a unique number correspond one to one. In this way, a pattern can convey information once specific tiles are identified. Such patterns could be used as a substitute of QR (Quick Response) codes and AR (Augmented Reality) markers for example.
近年,インターネットを通して提供される位置情報サービスは広く普及している.
一方で,提供されるサービスには映像の連続性や解像度において,改善すべき点が多く残されている.
そこで本研究では,自動運転やドローンの操縦で広く研究されているSLAMやSfMの技術を応用して,ユーザの選択した経路に対して新たな市街映像の合成を行う.
具体的には,全方位映像を入力として,事前処理としてSLAMによる映像の経路推定や,二分探索による交差点の検出などの処理を行う.その後,ユーザの入力した経路に沿って,曲がり角では全方位映像を用いて映像を補間しながら,連続性を保った新たな市街映像の合成を実現する.
SegNetシステムを用いて道路風景画像を建物,道,空,歩行者などの領域に分割する.自動車や歩行者などの被写体が写っている場合,または,それらが移動している場合,移動体の位置およびサイズ変動から道路風景の深度を推定する.領域を左右に移動させた右眼用・左眼用2枚の画像を生成し,疑似立体を実現する.提案法を用いることによって,三次元計測機器を用いず,一般的なディジタルカメラによる道路風景の疑似立体画像生成が可能となる.
麻雀は世界中でプレイされている知的スポーツである.一方初心者にとって麻雀のルールは複雑であり,プレイすることは容易でない.本研究は麻雀初心者の支援を目的とし,得点計算の支援システムを実装している.実空間麻雀得点計算支援は,多様な記号の認識と実環境からの位置に関するコンテキストの認識が必要であり,挑戦的な課題である.得点計算は雀卓上の多数の牌から算出される.ここでは牌の種類の特定に加え,牌の属性(手牌,鳴き牌,王牌など)の認識が課題となる.先行研究では注目する牌の属性の区別がつかず,付与する必要があった.本研究では撮影時の平面における端末の自己位置を推定することで,この課題を解決した.
D-12. パターン認識・メディア理解A(パターンメディアの認識・理解・生成)
3月19日 9:00〜11:45 54号館 204教室 座長 玉木 徹(広島大)
D-12-1 |
AIを用いた国家試験問題解析-問題分類のための層構造の検討-
◎上條史記・秋本和哉・伊東雅之・篠原一彦(東京工科大) |
D-12-2 |
深層学習による太陽画像からの太陽黒点数の推定
◎樋口陽光・會下拓実・柳井啓司(電通大) |
D-12-3 |
都市道路網の幾何学的特徴表現としての道路網画像の評価
○末次浩詩・成末義哲・森川博之(東大) |
D-12-4 |
敵対的物理モデル損失を用いた海水表面温度画像修復
◎平原暢之・薗頭元春・笠原秀一・飯山将晃(京大) |
D-12-5 |
画像認識を用いた料理レシピ検索方法の提案
◎吉田薫史・川村春美(サレジオ高専) |
本学当学科では医療系の国家資格の一つである臨床工学技士資格の養成校として、国家試験に備える教育を行っている。学生個々に対応した効率的で多様な教育環境実現の為、AIを用いたオリジナル問題作成を検討している。前回の報告では、図形・文書を問わずに国家試験問題抽出を行える可能性が確認できた。そこで今回は問題作成に不可欠な問題分類を、3種類の層構造を用いて検討を行った。その結果、国家試験問題は医療画像とは違い複雑ではない為、複雑な層構造を用いた解析は不要である可能性が示唆された。分類する画像の種類や使い方に応じて適切な層構造を選択することで、分類の精度向上や作業時間の短縮が可能であると考えられる。
本研究は、機械学習を用いて太陽黒点数の観測者の主観に依存しないカウントを可能とすることを目的とする。太陽の活動の活発さを示す重要な指標のひとつに、太陽黒点の数(小黒点数)がある。小黒点数のカウント方法は、普通、太陽黒点のスケッチを行い、そのスケッチから小黒点数を人が数える、というものである。この方法は、観測者の主観に依存するものであり、観測者により差が出やすい。そこで、本研究では、観測者による差を減らすために、ある観測者が小黒点数をアノテーションした黒点画像を回帰問題として学習し、学習したモデルによりある観測者を基準とした小黒点数のカウントを行うことを目標とする。
道路網を移動の効率性や災害からの復元力といった交通の観点で分析する際には,道路および交差点の数や密度,交差点をノード,道路をエッジとした次数分布などのネットワーク統計量が頻繁に使われる.一方で,都市の道路網は,直行路型や放射環状路型といった幾何学的特徴を用いて分類するのが一般的であり,その幾何学的特徴は,都市の不動産価格や人の居住・往来パターンに影響を与えることが報告されている.本研究では,これらの影響を分析するため,13,000都市の道路網画像を処理して得た特徴から都市間類似度を導出し,ネットワーク統計量から得られる都市間類似度と比較することで,都市道路網の幾何学的な特徴量算出方法を評価した.
海水温度の情報は漁業などの海に関わる産業にとって有用な情報であり,
従来,人工衛星からのセンシングによる計測が行われきたが,
海上に雲がかかっている場合その箇所の海水温は計測できず,観測データに欠損が生じる.
この欠損を修復する手法として,データ同化や学習型インペインティングを用いる手法がある.
前者は物理モデルに基づいたシミュレーションにより海水温分布を推定しており,
実際の海水温分布に近しい修復結果を得られるが、計算コストが膨大でリアルタイムな修復は行えない.
後者による修復では,リアルタイム性を損なわずに修復できるが,
物理法則を考慮せず,衛星画像のみを学習データとして用いているため,
その修復結果には物理的に妥当な海水温分布の形状特徴が現れない.
これらの問題に対処した,高速かつ物理法則に従った修復を行う技術が求められている.
近年画像認識をする手法として深層学習が注目されている.画像認識は特定物体認識と一般物体認識に分類される.一般的に,特定物体認識は入力画像に対してデータベース内の最も近い画像を探すことであり計算機では比較的得意な分野である.一方,一般物体認識では物体の位置や種類が不明な条件下で物体のカテゴリの分類を行うことであり,認識に必要なカテゴリの定義が曖昧であるため計算機では認識が難しい分野である.しかしながら,現在では計算機の性能向上により,これまで不得意としてきた一般物体認識に深層学習を適用し,問題解決を図る試みが行われてきた.
本研究では食材の画像認識を深層学習で行い,その食材の名前を取得し,得られた情報を基に料理のレシピを検索するシステムの開発を行った.
休 憩(10:30 再開) 座長 柳井啓司(電通大)
D-12-6 |
深層学習による漫画作品の判別
◎上田智之・小池正記(広島工大) |
D-12-7 |
超解像によるビット深度拡張の特性
○梅田聖也・渡辺 裕(早大)・猪飼知宏・橋本知典・中條 健・伊藤典男(シャープ) |
D-12-8 |
A Study on GAN Using Capsule Network
◎Kanako Marusaki・Hiroshi Watanabe(Waseda Univ.) |
D-12-9 |
Content-Independent Speaker Recognition System based on Neural Networks
◎Hangyu Song・Hiroshi Watanabe(Waseda Univ.) |
D-12-10 |
ニューラルネットワークを用いた音響による接近車両検出に関する基礎検討
◎平田秀平・旭 健作・坂野秀樹(名城大) |
1.講演題目
深層学習による漫画作品の判別
2.目的
近年、漫画作品の違法アップロードが社会問題となっている。アップロードされた作品の検索に深層学習による画像認識技術を応用したいと考えた。
3.判別方法
特定の漫画作品に登場するキャラクターを学習したモデルを作成し、静止画内のキャラクターから作品を判別する。
4.結果
1650枚のキャラクターの画像を用意し、学習を行ったところ学習モデルの正解率は82.7%であった。予測結果からモデルの問題点を検討し、改善を行ったところ正解率が89.8%まで向上した。
5.課題
モデル改善により全体の正解率は向上した。しかし、改善後のモデルで一部キャラクターの正解率が低下したため、改善の余地はまだある。
撮像機器や映像出力機器の性能の向上により4Kや8Kといった超高精細映像や10ビット,HDRを用いたようなより再現度の高い映像が我々の生活に身近になっている.また,DNNを用いた超解像処理の提案が多くされている.これらの超解像処理とビット深度の拡張を同時に実現する手法も提案されている.この手法において,処理を行うブロックサイズ単位等の各種パラメータを調整することで精度が向上する可能性も示唆されている.しかしながら,これらのパラメータの調整においてどのように精度が変動するかは明らかにされていない.本稿では,これらを実験に基づいて明らかにしたので報告する.
Recently, image processing using CNN has been intensively studied. There are a lot of GAN using CNN like DCGAN. However, CNN has the defect that the relational information between features of the image may be lost. Capsule Network overcomes the defect of CNN. Therefore, we assume that GAN using Capsule Network generates better quality images. We propose Capsule GAN, which incorporates Capsule Network into the Discriminator and the Generator of GAN. We conducted an experiment using MNIST and calculated Inception Score of Capsule GAN and DCGAN. Capsule GAN shows better performance, 0.05 larger than DCGAN.
In this research, we tried to build the content-independent speaker recognition system with neural networks. We built the speaker recognition system with RNN, CNN and RNN-CNN to distinguish the voice of 2 speakers. The results showed that for all of the 3 networks, the accuracy is obviously higher than random choice. It is proved that neural network is an effective approach to extract the features of voice.
車両相互事故のうち,出会い頭衝突事故は追突事故に次いで全体の約3割を占めている.そこで本研究では,この出会い頭衝突事故を防止するために,車両接近を検出する手段として接近車両が走行時に発する音に着目している.見通しの悪い交差点では,視覚による車両接近の判断はほぼ不可能であるため,音による検出は,自動車の衝突事故防止に繋がる有効な手段の1つになると考えられる.本稿では,従来手法に代わってニューラルネットワークを用いて車両接近を検出するための基礎的な検討を行う.
3月20日 9:00〜11:45 54号館 204教室 座長 菅野裕介(阪大)
D-12-11 |
非言語情報の自動生成に向けたスピーチ動画からのデータセット生成に関する検討
○奈木孝文・伊東聖矢・金子直史・鷲見和彦(青学大) |
D-12-12 |
手形状判別による空書認識のための切替操作法に関する研究
臼杵 潤(神奈川工科大)・藤原優馬(富士通フロンテック)・○榎本瑛良(神奈川工科大) |
D-12-13 |
ミリ波レーダを用いたジェスチャ認識の検討
東 篤司・○持田英史(住友電工) |
D-12-14 |
弱教師付き学習による人物の不自然動作の検知
○有路翔太(東大)・三木大輔(都産技研)・出町和之(東大) |
D-12-15 |
生産現場におけるウェアラブルセンサを用いた作業者の行動検知
◎西納修一・矢崎 徹・植松 裕(日立) |
現代, 世界は急激な技術革新に伴い, 機械が多機能化してきている. それによる, 操作が複雑化し, 従来のインタフェースでは対応しきれなくなってきている.そこで, 人間同士のコミュニケーションを機械に置き換えられないかという試みのもと, 対話エージェントが注目されている. 対話エージェントとは, ユーザと表情豊かに音声で対話するインタフェースである. 対話エージェントの今後の展望として, 割り込み, 相づち, 表情, ジェスチャなどがある. ジェスチャを伴った対話エージェントの作成について, 従来はルールベースによるアプローチが主流であった. しかし, 発話とジェスチャの組み合わせは膨大なので, 多大な労力が必要である. そこで, 機械学習による対話エージェントの作成が提案されている. しかし, 発話とジェスチャのデータセットを作成も, 多大な労力が必要である. そこで, 多様なジェスチャデータを取得するための方法として, スピーチ動画から自動的にジェスチャデータを獲得する手法を提案する.
近年,機械やコンピュータの高機能化が進む中,機器類の操作の複雑化が問題となっている.このような中,機器を直接操作できない状況でも非接触で,かつ直感的に操作できるように,カメラに向かって空中で文字を手書きする“空書”を認識する研究が進められている.しかし,この研究では素手で空書した文字を認識できるが,空書認識の開始・終了などの切替はキーボードで操作している.そこで,本研究では空書前後の切替も指本数の違いを認識して非接触で操作できる方法を提案した.最後にこの提案手法について実験したところ,空書切替を含めた空書認識率が88.18%となり,カメラ以外の入力デバイスが不要な空書入力の実現が可能となった.
近年ミリ波レーダは低コスト化が急速に進み,車載用のミリ波レーダが実用化の段階に入っている.そこで,安価な車載用ミリ波レーダICを使ったジェスチャ認識方法につき検討する.この手法は,ミリ波レーダICから出力される対象物の距離・速度・方位角・受信品質のヒストグラムを算出し,これを特徴量とすることで,ジェスチャを認識する.実際のミリ波レーダを用いて,3つのジェスチャ動作を学習させ,認識率の評価を行ったので報告する.
本研究では,弱教師付き学習による人物の不自然動作の学習手法を提案する.本手法では,まず映像中の各フレームから人物の姿勢を推定した後,各フレームにおける不自然さの程度をLong Short-Term Memory(LSTM)を用いて推定する.LSTMの学習では,不自然動作の有無によりクラス分けされた人物動作データを用い,不自然な動作を含む際に高いスコアを出力するようにネットワークの最適化を行った.評価では,人物の不自然な動作を含む公開データセットを用いて実験を行い,不自然な動作を含むデータから高いスコアが得られることを確認した.
近年工場IoT技術への注目が高まっており,生産現場における装置状態・製品状態を検知するための技術の開発が活発化している.人手作業工程における作業者の作業状態の検知についてもカメラを用いた方法が試行されているが,死角が多い内装工程や移動を多く含む工程など,画像データによる状態検知が困難な場面も多い.これに対し,作業者の動きを常時計測可能なウェアラブルセンサで取得した時系列データによる作業状態検知を検討した.組立作業工程の作業者の腕部に装着したウェアラブルセンサから取得した加速度および角速度のデータを用いて要素作業や作業の遅延・逸脱を検知した結果について報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 石井雅人(NEC)
D-12-16 |
Webテスティングにおける機械学習を用いた筆記認証法の提案
◎△林 大介・川又泰介・赤倉貴子(東京理科大) |
D-12-17 |
CNNによる視野を共有しない4Kカメラ間の人物照合に関する検討
○廣井優姫・渡邊滉大・亀山 渉(早大) |
D-12-18 |
3D ResNetと時間反転データ拡張を用いた歩容認証
◎工藤雄太・櫻井和之・今岡 仁(NEC) |
D-12-19 |
文楽における序破急のメカニズム解析
◎董 然・蔡 東生(筑波大)・中川志信・檜垣智也(大阪芸大) |
D-12-20 |
ヒルベルト-ファン変換を用いた文楽の「ず」の抽出
◎陳 暘・董 然・蔡 東生(筑波大)・中川志信・檜垣智也(大阪芸大) |
Webテスティングにおける個人認証の多くが,試験開始時のIDとパスワードのみであるため,なりすましが容易に行える.そこで,Webテスティング中の解答文字より得られる筆記データから,受験者認証を行った.先行研究の認証精度は75.0%であり,実用的にWebテスティングに適用するのは困難であった.認証精度が低い理由は,オンライン特徴量の距離結合に線形結合を利用しているためであった.そこで,本研究では,距離結合に非線形であるSVMとRandom Forestを利用することを提案した.結果として,先行研究より10.0%認証精度が向上し,距離結合には,非線形が線形より有効だと示した.
本稿では、CNNを用いた視野を共有しない4Kカメラ間での人物照合に関する検討を行う。4Kカメラにより撮影された歩行画像を用いて、データセットを作成した。本提案手法では、画像により全身に対する上半身の比率が異なることを防ぐため、人体比率補正を行なった。また人物画像の特徴量を水平方向に6分割した特徴量を全結合し、重み付けを行なった。そしてHard Positive Miningの適用により同クラスと判断しにくいデータにおいて精度を改善する効果を得た。さらに水平移動のみのData Augmentationの適用により6分割された特徴量での誤認識を防ぐ効果を得た。本提案手法は既存手法の性能を上回る結果が得られたため、提案手法の有効性を確認した。
本論文では3D Residual Networksを用いた新たな歩容認証手法と,時間反転による3次元畳み込みにおける新たなデータ拡張手法を提案する.OU-ISIR Large Population Datasetを用いた実験を通して,それぞれの手法の有効性を確認し,既存手法と比較して高い認証精度が得られることを示した.今後の課題として,更に大規模なデータセットによる精度評価と,ボトルネック構造の追加に関する検討が挙げられる.
アップルの「Siri」等人工知能アシスタントが実用化されているが,この機能を常用する人はまだ少ない.これは,実際の人間との対人会話感が無いのが原因の一つと推測されている.ユネスコ無形文化遺産「人形浄瑠璃文楽」は,3人の人形遣いが一体の人形を操作する世界でも例を見ない操作方法を用い,その人形による感情動作表現は「世界で最も美しい動作」「世界の傑作」(UNESCO)と評価され,見る観客の多くに人形への感情移入が起こると言われている.そのため,文楽人形のメカニズム解析の研究が一部行われてきた.そこで,本研究では,観客に感情移入させる文楽人形の洗煉された感情動作表現における序破急のメカニズムの解明を目的とする.これを実現するため,浄瑠璃人形の感情表現動作をモーキャプによりデータ化して解析を行う.
ユネスコ無形文化遺産「人形浄瑠璃文楽」は,3人の人形遣いが一体の人形を操作する世界でも例を見ない操作方法を用い,その人形による感情動作表現は「世界で最も美しい動作」「世界の傑作」(UNESCO)と評価され,見る観客の多くに人形への感情移入が起こると言われている.3人が一つの人形の動作を同期させる合図といわれる「ず」(「頭」から由来といわれる)に関する研究が数多く行われた.一方,ヒルベルト-ファン変換とビートトラッキングを合わせたモーションデータの解析フレームワークが提案された.本研究は,このフレームワークを用いて,文楽の頭の抽出を試みる.
3月20日 13:00〜16:45 54号館 204教室 座長 渡辺 裕(早大)
D-12-21 |
欠損復元AutoEncoderによる欠損を含む物体の姿勢推定の検討
◎立道大樹・川西康友・出口大輔・井手一郎・村瀬 洋(名大)・安間絢子(トヨタ) |
D-12-22 |
電動車いす運転の習熟に伴う視行動変化の分析
◎前川大和・赤井直紀・Luis Yoichi Morales・平山高嗣・出口大輔・川西康友・井手一郎・村瀬 洋(名大) |
D-12-23 |
畳み込みの多段階分解によるSemantic Segmentationの高速化
◎野田紘司・久徳遙矢・川西康友・出口大輔・井手一郎・村瀬 洋(名大) |
D-12-24 |
時系列平滑化を用いた列車前方映像に対するセマンティックセグメンテーション手法の検討
◎振津勇紀・新村文郷・出口大輔・川西康友・井手一郎・村瀬 洋(名大)・向嶋宏記・長峯 望(鉄道総研) |
D-12-25 |
メディア認識サービスにおけるクローン認識器検知手法の検討
◎森 勇登・中村和晃・新田直子・馬場口 登(阪大) |
近年,日常生活の支援のために家庭環境にロボットが導入されつつある.ロボットが物体を持ち運ぶためには,物体の姿勢を推定する必要があるが,物体が密集して存在する場合,他の物体に遮蔽されることで物体画像に欠損が生じ,姿勢推定が困難である.欠損物体を対象とした手法として,欠損を復元するAutoEncoderを学習し,Encoder部分から得られる特徴ベクトルを姿勢推定に用いる手法があるが,この手法は欠損による物体中心の位置ずれを考慮していないため,欠損が大きいほど精度が低い.そこで本発表では,欠損を復元できるように学習したAutoEncoderを用い,欠損復元と位置ずれの修正をしつつ姿勢推定をする手法を提案する.
熟練・非熟練ドライバの視行動を比較すると,両者に違いが存在することが知られており,適切な視行動と安全運転には強い相関があると考えられている.これまでに視行動をモデル化する試みは多く行われているが,周囲の幾何的な情報を明示的に考慮した視行動の解析とはなっていない.また,熟練度や経験,また環境変化などに応じて視行動がどのようにモデル化されるかについては,いまだに明らかでない部分が多い.本発表では,潜在的な危険が存在する地点での視行動の形式化の初期検討として,自動車運転のモデル化に向けて,電動車いすを死角あり狭路で操作した場合の視行動を分析した.その結果,習熟するにつれて視線が上昇することを確認した.
近年,Semantic Segmentationは自動運転や高度運転支援の要素技術として注目を集めている.しかし,高精度なSemantic Segmentation手法の計算コストは高く,実時間処理は困難である.従って,精度を維持したまま,より高速に計算する手法が求められている.Semantic Segmentationの処理は,畳み込み演算の計算時間が大部分を占める.提案手法では,XceptionモジュールのDepthwise convolutionを垂直・水平方向に分解することで畳み込み演算のさらなる高速化を試みる.実験により,mIoUの低下を抑えつつ,パラメータ数と実行時間を削減可能なことを確認した.
鉄道の営業距離は非常に長く,鉄道沿線設備の維持管理に多くのコストを要している.これに対し,LiDAR等を用いて生成した3Dマップを用いることで,設備管理の省力化に向けた取り組みがなされているが,設備の位置や種類を特定することは難しい.一方,運転中の列車外の状況把握に対する関心の高まりを受け,列車前方映像の蓄積が進められつつある.このような背景から,列車前方映像に画素単位でラベルを付与し,その映像を元に線路空間のラベル付き3Dマップを自動生成する技術開発を進めている.本発表では,その前段階の処理として,移動物体が少ない鉄道環境に特化した時系列平滑化を用いた列車前方映像のセマンティックセグメンテーション手法を提案する.
近年,ユーザから送信された画像等のメディアデータに対し認識処理を実行し,その結果をユーザに返送するクラウドサービスが登場しつつある.このようなサービスに対し,悪意あるユーザが多数のデータを送信しその結果を取得すると,それらの対応関係から当該サービスと同等の機能を持つ「クローン認識器」を構築し得る.クローン認識器は,元となった認識器(オリジナル認識器)によるサービス運営の妨害に悪用される危険性がある.本研究では,クローン認識器の構築が避けられなかった場合を想定し,これを検知する手法を検討した.クローン認識器の性質に基づいて3種類の検知指標を提案し,その妥当性を実験により定性的に確認した.
休 憩(14:30 再開) 座長 数藤恭子(東邦大)
D-12-26 |
画素ブロックの非類似度に基づく不良検出手法における自動パラメータ決定方法の検討
◎西山龍貴・山崎達也(新潟大) |
D-12-27 |
少数の参照画像からの書体を維持した文字の自動デザイン
○日暮拓人・山崎憲一(芝浦工大) |
D-12-28 |
英語フォントに基づく日本語フォントの横断的検索
○松村 駿・崔 セミ・相澤清晴(東大) |
D-12-29 |
深層学習による画像認識を用いた不動産間取り図のグラフへの変換
◎山田万太郎・汪 雪婷・山﨑俊彦・相澤清晴(東大) |
自動車用鍛造部品の製造現場では,部品に生じた不良を目視で確認することで不良品の流出を防いでいる.しかし,目視による検査はヒューマンエラーの発生が懸念されることから,検査の自動化が求められている.これまでに鍛造部品の自動検査手法として,検査員の目視方法を模擬した手法が提案されているが,不良の検出性能に関わるパラメータの設定方法の具体的な検討はされておらず,検査対象ごとに試行錯誤的なパラメータ調整が必要になると考えられる.そこで本研究では,前述した手法におけるパラメータの自動決定方法について検討する.本稿では,その基礎的検討として,パラメータ変更による検出結果への影響について検証したので報告する.
フォントは既に数多く存在するが,和文フォントは文字数が多く,一部を他のフォントで代用しているものがある.文字の自動デザインが可能となれば,オリジナルデザインのフォント作成が容易となるため,文字の自動デザインの研究が進められている.既存研究として,深層学習を用いた文字の自動デザインの手法が提案されている.しかし,この手法では画像の生成時に20枚程度の参照画像が必要となってしまう.本研究では少数の参照画像から文字を自動デザインする手法を提案する.この手法では,生成時に必要な入力画像を1枚にすることができ,ファインチューニングを用いることで必要な学習量を減らせることを確認した.
ある状況やイメージなどのキーワードに適したフォントを使いたい場面は多々ある.英語フォントではフォント共有コミュニティーで,キーワード付きのフォントのデータを得ることができるが,日本語などの世界的にマイナーな言語のフォントでは,そのようなデータを得ることが難しい.そこで本研究では,英語フォントに付いているキーワードを用いて,英語のフォントを検索し,その英語フォントの画像の深層特徴を利用することで,その英語フォントにマッチする日本語フォントの検索を行うフレームワークを提案した.これにより,日本語でも英語と同様にキーワードを使った検索が可能になった.
本研究では,不動産間取り図画像を,部屋の繋がりを反映したグラフ構造に変換する手法を提案する.それには,深層学習によるsemantic segmentationを行うことで画像中の各部屋やドアを認識し,それらの隣接関係をもとにグラフ構造を作成する.この手法により,間取り図をグラフ構造へ自動で変換できることを示す.
間取り図を画像という表記ゆれの大きい形態からグラフ構造という構造化された表現に変換することで,間取りの比較や評価,さらには検索が容易になり,間取りを扱うあらゆるシステムへの応用が期待される.
休 憩(15:45 再開) 座長 川西康友(名大)
D-12-30 |
深層学習による細胞運動の形状解析
◎井元大輔(東大/科警研)・斉藤 稔・澤井 哲(東大) |
D-12-31 |
毛細血管の領域抽出に関する基礎検討
○黒川洋人・柴田慎一(大同大) |
D-12-32 |
植物の萎れによる水分ストレス評価に関する研究
○岡島優輝・柴田慎一(大同大) |
D-12-33 |
BLE電波強度を用いた位置・移動経路推定法とその精度向上検討
◎鈴木和真・近藤和弘・佐藤信一(山形大) |
細胞運動は生物の重要な基本プロセスの一つであり、その際の形状は細胞種や周辺環境に依って驚くべき多様性を示す。これまでの細胞形状の定量解析は特定の細胞種に対応するに留まっており、多様な形状を見分ける機械的な方法は確立されていない。そこで本稿では、近年発展している深層学習を用いた細胞形状の解析手法を新規に提案する。まず速度方向に正規化したマスク画像作成し、次に形状特徴の異なる細胞種を深層学習で分類することで特徴抽出を行う。その結果、得られた特徴量空間は非学習の条件の細胞の特徴も含め、多様な形状を分類できる特徴空間となった。さらに特徴空間での類似性評価により形状比較の応用が可能なことも見出された。
近年、血管周囲にある毛細血管が癌や糖尿病だけでなく様々な病気の予測に役立つのではないかと注目されている。しかし、これまで毛細血管観察は整形外科医などの専門家が目視により行うのが一般的であり、評価方法は専門家それぞれの経験や感覚的な部分が大部分を占めていたため定量的な評価に至っていない。そこで、本研究では指爪床部毛細血管の画像を定量的に評価するためにOpenCVを用いて画像処理を行い、毛細血管の特徴だけを取り出すためにハレーションやノイズを除去すること、また毛細血管がある画素と毛細血管がない画素のRGB値とHSV値からそれぞれの特徴を捉えることを試みた。
近年、日本の農業従事者は減少しており、高度な栽培技術が失われることが懸念されている。その問題を解決するために、栽培技術を形式知値する研究が進められている。例えば、植物の生育画像による栽培管理などが挙げられる。植物の栽培管理には適切な潅水を行う必要があり、適切な潅水制御を行うため植物の生育状態の評価に関するする研究が進められている。本研究では、植物の萎れの状態に対して画像処理によって取得した植物の高さと角度から求め、土壌中の水分量と比較し植物の水分ストレス状態の評価を行う。また、異なる潅水量による植物の生育状態の評価を行なった。
屋内での正確な位置計測が難しいGPSに代わる、新しい測位システムの研究が広く進められている。一例として無線LAN の一種であるBluetooth Low Energy(BLE)が挙げられる。従来と比べて省電量、低コスト、バッテリー駆動が可能といった利点を持っている。しかし、BLEの屋内測位システムには測位精度等の問題が未だ多く存在する。
本研究では、上記の問題点、改善点の克服を目的とし、より高性能で使い勝手の良い屋内測位システムの構築を目指す。統計的な手法により大きく精度が向上した研究が現在多く示されているので、今回自身の測位法にDeep Neural Network (DNN)を採用し、その精度を確認した。
実験の結果、平均誤差距離は0.75mで、経路推定の正答率は85.3%であった。いずれも我々のKNN法を用いた従来手法より0.37m、16.97%改善した。
D-12. パターン認識・メディア理解B(コンピュータビジョンとコンピュータグラフィックス)
3月21日 13:00〜17:00 54号館 204教室 座長 石井雅人(NEC)
D-12-34 |
単眼RGBカメラを用いた手話の動作解析
◎柳澤利紀・石川孝明・渡辺 裕(早大) |
D-12-35 |
LSD-SLAMを用いた全天球カメラ映像からの3次元再構成
◎加藤裕也(早大)・原 潤一(リコー)・渡辺 裕(早大) |
D-12-36 |
全天球画像における対応直線検出
◎青木貴大(早大)・原 潤一(リコー)・渡辺 裕(早大) |
D-12-37 |
見守りロボットのための転倒人物領域を考慮した自己位置推定
白水敦彗・○佐竹純二(福岡工大) |
D-12-38 |
一般物体認識のためのAttributeデータセット自動構築
◎溝口友喜(中部大)・山西良典(立命館大)・岩堀祐之(中部大) |
手話はろう者にとって重要なコミュニケーション手段であるが,健聴者の多くは手話を知らないため意思の疎通が 難しい.この問題を解決するために手話の自動認識システ ムが望まれてきている.
これまで取り組まれてきた方法には,センサグローブを 用いる方法や,Kinect,LeapMotiont といったDepthカメラを用いる方法,さらに単眼 RGB カメラと OpenCV を用いる 方法などがある.しかし,センサグローブや Depth センサを用いる方法では特別な器具が必要であり,単眼 RGB カ メラと OpenCV を用いる方法では肌の色や背景,光量など に左右されやすいといった問題がある.
そこで本研究では,単眼 RGB カメラから高い精度で骨 格抽出ができる OpenPose を用いて手話の動作を解析する 手法を提案する.
カメラ映像から点群を取得する方法としてLSD-SLAMがある.LSD-SLAMはカメラの回転に脆弱なシステムであるため,遮蔽物が多く死角となる領域の多い屋内環境では十分に点群を得ることが難しい.
カメラを回転させずに屋内環境の死角となる領域を減らす手段としてカメラを複数用いることが挙げられる.画角が360°ある全天球カメラで撮影した画像を分割することで疑似的に複数台のカメラを用いて撮影した画像を取得できる.
本稿では屋内環境で点群を取得することを仮定し,全天球画像を分割して点群を取得したのち複数の点群を合成することで精度の高い点群の取得を図る.
全天球カメラを用い3次元再構成が実現できれば,自動運転や地図作成に有効であると考えられる.全天球カメラを用いた3次元再構成を行うためには自己位置推定が必要である.そのためには対応する直線検出が有効である.本稿では全天球カメラから得られた画像から対応する直線を検出する手法を提案する.提案した手法により二つの画像間で対応する直線が検出されていることが確認できた.
本研究では、天井カメラと移動ロボットを連携させた見守りシステムの開発を行っている。
天井カメラで人物の転倒などの異常を検知すると、移動ロボットが人物に近づいて詳しい状態確認を行う。
ここで、ロボットを正しい位置へ移動させるためには自己位置推定が必要であり、
ICPマッチングが広く用いられている。
しかし、事前に学習した壁などの情報に加え、倒れている人物が新たな障害物となるため、
位置推定に誤差が生じてしまう。
そこで、本研究では天井カメラを用いて転倒した人物の領域を求め、
その情報を用いてロボットが正しく自己位置を推定する方法を提案する。
一般物体認識の手法として,物体の特徴を記述したAttributeという文章のデータセットを使用して画像を認識する手法がある.しかし,従来の研究で用いられているAttributeデータセットは研究者が人手で作成したものであり,人手で作成されたデータセットには,人的コストの問題や主観性の混入による偏りが存在する.
そこで,本研究ではweb上にある画像と付与されているタグの中からAttributeを自動的に選定することによるAttributeデータセット自動構築手法を提案する.提案手法で自動的に構築されたAttributeデータセットは,認識実験により人が作成したAttributeデータセットと同等の認識精度を得ることができることを確認した.
休 憩(14:30 再開) 座長 平山高嗣(名大)
D-12-39 |
点群特徴抽出に関する一検討
○赤塚紘輝(早大)・原 潤一(リコー)・渡辺 裕(早大) |
D-12-40 |
GANによる和菓子画像の生成と評価
◎大山優香・渡辺 裕(早大) |
D-12-41 |
画像の感性を反映させたフォント形状の類似度比較の検討
○瀧澤 生・星 泰成・陳 キュウ(工学院大) |
D-12-42 |
料理画像を用いた味の推定手法
◎吉岡明信・綱島秀樹・陳 キュウ(工学院大) |
D-12-43 |
ディープラーニングを用いた害虫判定手法
○齊藤陽二郎・村田昌隆・陳 キュウ(工学院大) |
近年,LiDARの高精度化および低価格化により3次元点群データ処理が広く研究されている.点群処理技術としてノイズ処理や物体認識が挙げられるが,それらの処理技術の精度は点群形状やノイズによって大きく左右される.したがって3次元点群を処理する上で点群形状の特徴抽出は重要な技術であると考えられる.従来研究では複数の近傍範囲による主成分分析を用いた手法が扱われている.本研究では一つの近傍範囲による主成分分析を用いた手法を提案し,従来手法との比較を行う.
和菓子は五感の芸術であるとも言われている.しかし、小さな和菓子において独創的かつ分かり易いデザインを考案することは容易でない.したがって、GANを用いることで、和菓子のデザインを考案することができると考えられる.本研究ではGANの発展形であるCANおよびWGAN-GPを用いて和菓子の画像を生成し、CNNを用いて生成画像の評価を行う.
CNNを用いた評価の結果、CANによる生成画像よりもWGAN-GPによる生成画像のほうが算出した生成画像の正解率は高い結果となった.またCNNの精度向上や、生成画像の多様性に対する評価を反映させることよってより独創的な和菓子画像を生成することが可能になると考えられる.
情報伝達手段の拡大によってWebや動画の広告、テレビのテロップ、ポスターなど情報表現の媒体としてデジタルフォントを使用することが増加している.コンテンツの制作時には伝えたい情報をより強調するなどの目的のため、多数ある表現のフォントから製作者が選択して使用する.しかし、伝えたい情報の文字へのフォント選定がWebフォントサービスや無料で提供されているフォントなど、選択肢の増加により難しくなってきている.本研究ではフォントを一文字ずつ画像化し、類似度を比較することでユーザーが選択した文字群に近い類似度を持つ文字、およびフォントを提案するシステムの構築した.
近年、SNS等には大量の料理画像が投稿されており、料理画像が人々の生活に身近な存在であることが分かる。しかし、料理の画像だけでは料理の味を推測することができないため、自分の好みの味の料理を大量の画像から探すことは難しい。そこで、本研究では料理の画像から料理名を推定する料理画像識別器と、料理名から味を予測する味識別器を組み合わせることで、料理画像から食味を推定する手法を提案した。味識別器はword2vecに料理レシピを学習させることで料理名と味が関連付けることが可能だと確認することができた。
病害虫被害は農業における最も大きな問題の一つであり,害虫駆除を支援するために画像処理技術による昆虫同定のための研究が行われている.しかし,害虫を判別する技術は実用的なものはまだなく,また,高価なシステムであれば小規模な農家にとって負担が大きい.そこで本研究では蒸留を用い,誰でも使用できる軽量な虫識別手法を提案した.10種類の虫の画像を500枚ずつ用意し,Xceptionを教師モデルMobileNetを生徒モデルとして,蒸留したモデルの方が蒸留しないモデルより識別精度が向上した.
休 憩(16:00 再開) 座長 入江 豪(NTT)
D-12-44 |
ニューラルネットワークによるライトフィールドカメラ の深度精度向上に関する一考察
◎高松 真・三崎浩杜・長谷川 誠(東京電機大) |
D-12-45 |
近接光源下で撮影された画像からの散乱除去と深度推定
◎喜島大揮・藤村友貴・薗頭元春・飯山将晃(京大) |
D-12-46 |
文書撮影における影やハイライト除去に関する検討
○福江史明・矢野良和(愛知工業大) |
D-12-47 |
3次元畳み込みRNNを利用した手話認識手法
◎鈴木孝佳・村田真隆・陳 キュウ(工学院大) |
ライトフィールドカメラは遠距離の深度画像を得ることができる数少ない機器の一つである.しかし,深度画像の解像度が低いことが技術的な課題となっている.筆者らは,住宅地における道路風景の RGB 画像と深度画像をライトフィールドカメラで撮影しニューラルネットワークを用いてこの2種類の画像を学習させ,被写体の前後関係が反転する等のノイズを除去し,解像度を向上させる.本稿では,ライトフィールドカメラの深度画像と提案方法の深度画像を定量評価し,提案方法の深度画像の方がRGB 画像との相関が強く,再現性が高く,深度の精度が高いことを示す.
霧や煙などの光の散乱を引き起こす微粒子が拡散した環境(散乱媒体)下では,カメラで観測した画像に散乱によりコントラストが失われるなどの劣化が生じてしまう.その結果、画像中の物体を認識しづらくなる等の問題が生じる.本研究では,近接光源下で撮影された画像を入力として,そこから散乱を除去し,同時に画像中の場面の深度も推定する,学習ベースの手法を提案する.
カメラ付き携帯端末による文書撮影において、撮影者 自身の映り込みによる影や光源の鏡面反射により映り込 むハイライトは、撮影画像の可読性低下の要因となる。 文書がモノクロなら二値化をはじめとした手法で鮮明化 できるが、色情報や写真を含むカラー文書では明暗調整 による補正が困難である。影除去技術においては、影領 域推定された領域の色補正を行うが、色補正による異質 感が残ることが少なくない。 携帯端末による文書撮影においては、撮影方向の制約 が少なく、撮影対象の移動や回転にも制約が少ない。そ こで、複数撮影により得られた対象画像を合成すること で影やハイライトを含まない文書情報の取得を実現する。
近年,バリアフリー化が重視に伴い,耳の聞こえない人が使用する言語である手話を認識するシステムが普及されつつある.しかし,認識の精度や長期間での会話の使用について問題点が多い.動画認識においては,3次元畳み込みRNN(Recurrent Neural Network)は最適なモデルとして提案されており,高い認識精度を実現した.そこで,本研究では手話認識において3次元畳み込みRNNを適用する手法を提案し,認識精度の向上を図ることを目的とする.3次元畳み込みRNNは短期的にも,長期的な動画の学習においても対応していることから手話動画の学習においても比較的高い精度が得られると期待できる.
3月22日 9:00〜11:30 54号館 204教室 座長 井上中順(東工大)
D-12-48 |
ゲームカード認識のための学習データの増強
◎遠藤 怜・中島克人(東京電機大) |
D-12-49 |
サッカー放送映像からの特定選手追跡のための背番号認識
◎中村達也・中島克人(東京電機大) |
D-12-50 |
漫画自動着色のための領域分割
○有馬大智・中島克人(東京電機大) |
D-12-51 |
領域分割と視点変換を用いたデータ拡張
○白神健瑠・宮本 健・塚原 整(三菱電機) |
D-12-52 |
藻場探査用海底カメラの運用
○田中 聡・村上祐紀・伍賀正典・仲嶋 一(福山大) |
本研究はトレーディングカードゲームにおけるカード認識に深層学習を適用することを目的とし,学習データセットの増強手法について提案する.データ増強の際,適当な実写背景にカードの見本画像を射影変換して配置した「CG画像」では,カード表面の特殊加工やスリーブによる光の反射などの再現が困難である.提案手法ではCG画像と実画像のペアをpix2pixHDに学習させることで,CG画像から実画像に近い画像を生成し,その生成した画像で実画像のデータセットを増強する.評価実験により,提案手法による学習データ増強によってカード認識のmAPを0.500から0.789へ向上させること示した.
団体競技においてユニフォームの背番号は選手を特定する重要な識別子である.背番号の認識が常時でないにしろ可能であれば,サッカー放送映像内の小さく写る多数の選手の中から特定選手のみを追跡する際に有効な手掛かりとなる.近年,深層学習技術を用いた背番号認識が提案されているが,学習に十分なデータセットが公開されておらず,その人手作成も労力が非常に大きい.そこで本稿では,印刷文字であるがその字体や見えが多様なハウスナンバーの公開データセットで数字認識モデルを作成し,実際の放送映像内に写る選手に対して背番号認識する手法を提案する.実験により,特定選手追跡の手掛かりとして十分な精度で行える事を示した.
漫画の人手によるカラー化は時間を要する作業であり,また熟練の技術が必要となる.我々は今回,入力された漫画の自動着色システムの構築を目指し,前処理となる漫画画像の領域分割を試みた.入力は漫画1ページ分とし,U-Netを用い領域分割する.その学習データにはManga109内の漫画と自前でアノテーションした教師画像を使用する.クラスは特定キャラクターごとと背景の2つ以上である.評価結果は,学習に使用していない同一の漫画画像に対しIoU=53.0であった.一方、AP@.5では7割以上の検出率であり,1つのキャラクターがコマをまたいでいる等の頻度が少ない表現においても正しく検出が行えることが確認出来た.
深層学習を用いて物体を認識するモデルを作成するためには大量の画像が必要である.認識対象が車,人などの一般的な物体であれば公開データを利用できるが,認識対象が特定物体の場合,画像の大量収集は困難である.本稿では,特定物体の3次元情報から画像を大量に用意するデータ拡張手法を述べる.本手法では,画像のセグメンテーション手法の1つであるGraph Cut (GC)を用いて,RGB-D Simultaneous Localization and Mapping (RGB-D SLAM)によって得られる少数画像から,大量の学習用画像を生成する.本手法を利用することで,対象物体を一度撮影し,数回の領域分割を行うだけで大量の学習用画像を生成することが可能となる.
瀬戸内海における海洋環境の調査に使う目的で、内海の藻場を長時間、画像により観測を行うための海底カメラを開発している。システムの最適化と動作の安定のための実装の改善および運用の状況について報告し、観測結果の一部を報告する。
休 憩(10:30 再開) 座長 入江 豪(NTT)
D-12-53 |
深層学習を用いた虚弱高齢者の判定
◎髙木智弘・吉田 久・小濱 剛・楠 正暢(近畿大)・竹島伸生(朝日大)・藤田英二(鹿屋体育大)・岡田荘市(鵜飼病院) |
D-12-54 |
GANを用いたキャッチーな画風変換手法
○田嶋 裕・村田真隆・陳 キュウ(工学院大) |
D-12-55 |
音声に含まれる感情によるフォントの自動生成手法
◎天野慶彦・瀧澤 生・星 泰成・陳 キュウ(工学院大) |
D-12-56 |
材料と気分を反映したレシピ検索を容易にする料理画像生成
柿本 健・◎大石涼火・数藤恭子(東邦大) |
高齢者の要介護度認定に当たって、評価する人により評価が異なるなど問題がある。そこで機械学習を用いて客観的に評価することで、時系列データへの応用とともにそれらの問題の解決に本研究が役立つと考えられる。今回はDeep Learningを用いて構成した判別器を3種作成し、健常高齢者とリハビリトレーニングを受けている虚弱高齢者の判別を行った。用いたデータは鵜飼病院に入院または通院している高齢のリハビリ患者を対象としてMicrosoftのKinectを用いて椅子からの立ち上がり動作を計測したものである。Neural Network(NN)の構造は全4層の全結合NNと、身体の各部位、頭・腕などを一単位とし各部位専用の2層のNNに入力し、そのそれぞれの出力をまとめて、Full ConnectedされているNNに接続している全6層のNNと時系列データに対応しているLSTM-RNNとなっている。クロスバリデーションの結果から、全4層Full ConnectedのNNに比べ今回6層のNNでは上手く特徴量取り出すことができており、LSTM-RNNではさらに上手く特徴量を取り出すことができた。
デザインを考えアウトプットするには,専門知識や高度な技術が必要とされるため大変であり時間もかかる.そこでGAN(Generative Adversarial Networks)の画像生成を用いて,デザイナーの新たな発想を刺激する補助の役割と時間効率の向上を目指す.また,デザインは人の目に留まることが重要であると考え,生成される画像がキャッチーであることを目指す.本研究では,入力した自然写真をキャッチーな画風に変換する手法を提案し,システムの開発を行った.
文字媒体における感情表現の支援ツールとしてフォントや影,輪郭などの表現が様々に生み出されている.しかし,これらを自由に使いこなして伝えたい感情を定量的に文字へ表現するのは難しい.フォントに注目し画像中の表情の感情に合わせた文字の形状変化で表現支援を行う研究があるが,感情の表現方法として音声の感性情報に対して同様な研究がまだされていない.そこで,本研究では入力された音声の感性情報を反映したフォントの自動生成手法を提案し,システムの構築を試みた.
自分の求めるレシピを膨大なレシピから探すには,キーワード検索や画像閲覧を行う.家庭でメニューを決める際,家にある材料と,気分を条件にすることが多いため,材料で検索すると気分に合うものがないことがある.また,投稿者がつけたキーワードが自分のイメージと同じとは限らないため,気分からの検索も簡単でない.本研究では,材料と気分に合うレシピ検索を容易にする為の画像生成を目的とする.Progressive GANを用いて材料や気分のラベルを学習して料理画像のバリエーションを生成し,条件に合うものを検索に用いる.より高精度な画像を生成するため,材料の切り方の属性やエッジ画像を学習する方法を提案し,評価実験によって効果を確認した.
3月22日 13:00〜16:00 54号館 204教室 座長 陳 キュウ(工学院大)
D-12-57 |
Canonical Time Warpingを用いた複数人ダンサーの映像の解析
○神崎将一・伊神大貴・相澤清晴(東大) |
D-12-58 |
体型推定ネットワークの性能分析
○木村志穂・伊東聖矢・金子直史・鷲見和彦(青学大) |
D-12-59 |
スポーツ映像から取得した骨格座標データに対するアラインメント
◎横井真也・石川孝明・渡辺 裕(早大) |
D-12-60 |
機械学習を用いた複数ダンサーの3次元基準モデル作成
○稲田健太郎・石川孝明・渡辺 裕(早大) |
D-12-61 |
機械学習による日本語話者の自動読唇の基礎検討
○浅見莉絵子・石川孝明・渡辺 裕(早大) |
D-12-62 |
骨格推定と機械学習を利用した日本指文字の分類
◎小林大起・石川孝明・渡辺 裕(早大) |
現在, 複数人が同じ振りを踊るダンス動画がYoutubeなどの動画サイトに頻繁に投稿されている. またそれらは日常的に使用するスマートフォンに搭載されたカメラで撮影されたものがほとんどである. そこで本稿は単眼カメラで撮影された, 複数人が同じ振りを踊っている動画を対象にOpenposeを用いて姿勢推定を行い, 得られた関節情報を元にCanonical Time Warpingを用いてダンスの空間的と時間的な動きのずれの解析を検討したものである. Canonical Time Warping(CTW)は正準相関分析(CCA)と動的時間収縮法(DTW)を組み合わせたアルゴリズムであるが, ここでは通常のDTWを用いずより精度の高いshapeDTWを用いた.
体型推定は, 人体解析における要素技術の一つであり, アパレルやヘルスケアなど, 多様な分野への応用が期待されている. 体型推定には, 全周スキャナや専用のセンサを用いた方法や, 複数の視点から撮影した画像を用いる手法などがある. しかしこれらには, 設置コストが高いことや, 推定にかかる計算量が大きいなどの問題がある. 近年では, 単一画像を入力とした研究が盛んに進められている. 単一画像を用いた体型推定には, 人物のシルエット画像や二次元の関節位置を入力とした手法があるが, 入力するデータが二次元の情報であることから, 細かな三次元形状を表現できないという問題がある. 一方で, 深度画像と三次元関節位置を利用した手法が提案されており, 従来よりも高精度な体型推定を実現している. しかしこの研究では, 入力する関節数が少なく, 関節位置が一つのパターンに限られているため, 関節位置に対する推定精度の検証が十分に行われていない.
そこで本研究では, 深度画像と関節位置を用いた体型推定ネットワークの精度を検証するために, 入力する関節位置を変化させ, その影響を分析する.
スポーツ映像データの活用が積極的に行われている.その中でも映像を比較することは,最も基本的な映像活用の手法である.自身の動作を異なる状況,時間の自身の動作と比較することで,動作の傾向や癖を確認できる.また自身の動作を優秀な選手と比較することで,その選手の動作を参考にする事ができる.
本研究は映像の比較の助けとなるように,映像上の動作のアラインメントを行う.映像から身体座標情報を取得し,それを時系列データとしてアラインメントを行うことで,二選手の動作の同じタイミングを対応させた映像データを作成する.
中学校での体育授業において,2012年度からダンス科目が必修化された.また,YouTubeなどの映像サイトにダンス映像をアップロードする人も増えている.複数人のダンス映像を元に各ダンサーの採点をすることができれば,ダンスの練習時に一つの指標となり得る.2次元画像から複数人の姿勢推定を行うOpenPoseを用いて、2次元での姿勢情報を得る。その姿勢情報を3d-pose-baselineの入力座標とすることで、2次元画像から3次元での姿勢情報を得ることができる。本稿では,複数人がダンスをしている映像を対象に機械学習を用いて3次元での姿勢推定を行い,映像内のダンサーの3次元基準モデルを作成する手法を検討する。
近年,機械学習の応用分野として,自動読唇の研究がなされている.英語の読唇システムであるLipNetの検出精度は93.4%を実現しており,同じ文章をプロの読唇術者が読み取った場合の検出精度である52.3%をはるかに上回っている.LipNetは,プロの読唇術者が長い言葉ほど正確に読み取れるという特徴を応用し,従来の単語レベルの検出ではなく,文章レベルの学習を行うことで読唇精度を向上させている.しかし,そのような読唇精度を実現するためには,話者を正面から撮影し,話すスピードを調節するなど,撮影環境も大きく影響する. また,自動読唇の研究は英語を始めとしてあらゆる言語でなされているが,日本語は母音の数が少ないなどの理由から,自動読唇の研究があまり進んでいない.そこで本研究では,LipNetを用いた日本語話者の自動読唇の手法を検討する.
近年,自然言語と手話との間の自動翻訳が研究されている.また,人体で最も複雑な骨格を持つ手の正確な識別は,手話翻訳に限らずコンピュータビジョンにおいて重視されている.しかし,現状では手話と日本語間のコーパスが不足しており,機械学習に用いるサンプル数が不十分である.手話翻訳の実現には,一般的なカメラ画像から効率的に学習データを構築し,手話の可読性とコーパス量の両面を向上させる必要がある.その際,RGB画像を直接用いる手法では背景等のノイズ除去が必要となる.本稿では,手話翻訳技術の一例として日本語対応手話の指文字を骨格推定し,その値を特徴量として機械学習を用いて対応する文字へ分類する手法を提案する.
休 憩(14:45 再開) 座長 田村雅人(日立)
D-12-63 |
パノラマ映像からの人物動作認識のための3DCGを用いた学習手法
◎三木大輔・阿部真也(都産技研)・有路翔太・陳 実・出町和之(東大) |
D-12-64 |
GANsによる遠赤外線画像の可視画像化とセグメンテーション
○丹羽雄一郎(防衛装備庁) |
D-12-65 |
LiDARを用いた歩容情報計測に基づくユーザ属性の推定
○後藤 陸・福田悠人・小林貴訓・久野義徳(埼玉大) |
D-12-66 |
ロボット車椅子のための電磁場変動センサを用いた同伴者位置計測
○尾形 恵・福田悠人・小林貴訓・久野義徳(埼玉大) |
D-12-67 |
搬送ロボットのための音声入力インタフェースの開発
○吉原拓海・福田悠人・小林貴訓・久野義徳(埼玉大) |
映像から人物の動作を認識するモーションキャプチャ技術は,映像監視,見守り,エンターテインメントなどの幅広い分野で活用が期待されているが,現在市場に普及しているステレオカメラや赤外線カメラ等の機器を利用した方法は,画角が狭く限られることが課題であった.そこで本研究では,パノラマ映像から人物動作の認識を目的とした,人物姿勢および人物位置の学習手法を確立した.まず,多層の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を利用した2次元姿勢の推定を行った後,全結合ニューラルネットワーク(NN)を利用した人物位置の推定と3次元姿勢の推定を3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)で生成した人物モデルを用いた学習により実現した.
近年画像に関する深層学習の進展はめざましく、従来の技術では不可能な問題をも可能としており、その成果は監視カメラの自動認識機能や自動車の自動運転として実用化されつつある。現状ではセンサとして可視カメラが主流なため、暗所や照度変化の著しい環境での使用には限界がある。一方遠赤外線カメラは、それらの環境におけるセンシング性能の影響は皆無であり、継続的で安定的な運用を実現することができる。本稿では、敵対的生成ネットワーク(GANs)による遠赤外線画像の可視画像化、及びセマンティックセグメンテーションの実験結果について報告する。
近年,AI技術の発展や監視カメラの設置台数の増加により,カメラ画像を解析して来店客の年齢や性別等の属性を取得しマーケティングに活用することが出来るようになってきた.
その一方で,監視カメラによる歩行者へのプライバシーの侵害が懸念されている.
そこで,我々はレーザ即域センサLiDARを用いて人物の属性推定を行うことで,プライバシーに配慮した人物の属性取得を行う手法について研究している.
本稿では,レーザーセンサから取得した距離データを画像化し,機械学習を用いて学習させることで,歩行者の属性情報を取得することを目的とし,本稿では身長の分類を行う方法について検討した.
近年,車椅子の需要が高まり開発が進んでいる.しかし,手動車椅子では介護者の負担が大きく,電動車椅子は利用者がある程度の操縦を行う必要があり,搭乗者の負担となることがある.これらの問題を解決するためには,自動で介護者と協調的な動きをするロボット車椅子が効果的である.その実現には,介護者の位置を正確に計測する技術が必要である.本研究では,その位置計測技術として電磁場変動センサを用いる.ユーザ(介護者)が車椅子周囲を歩いたときに電磁場変動センサが取得した値を多層パーセプトロン(MLP)を用いて学習し,ユーザの位置を推定する.そして推定した位置情報に基づいて,それと協調的な動作をするように車椅子を制御する.
近年,看護師,介護士の不足は深刻であり,業務の効率化や負担軽減が求められている.我々は,看護・介護での運搬業務を支援する搬送ロボットを開発している.このロボットは自律走行機能を持っており,あらかじめ作成した地図とセンサ計測データの照合により自律的に目的地まで走行する.これまでのシステムでは,ロボットを操作するインタフェースとしてタッチパネルを採用していたが,自律走行するロボットにおいては,音声入力インタフェースが有効であることが分かってきた.そこで,本稿では,AIスピーカを利用した音声入力インタフェースを開発することで,自律走行ロボットを音声によって操作する手法を提案する.
D-13. 知能ソフトウェア工学
3月22日 11:00〜11:45 53号館 304教室 座長 粂野文洋(日本工大)
D-13-1 |
コンテナ仮想化環境を活用したインフラ構築演習環境の提案
◎津村隆弥・橋浦弘明(日本工大)・櫨山淳雄(東京学芸大)・高瀬浩史(日本工大) |
D-13-2 |
UMLとIDEを利用したモデルとコード間のトレーサビリティ構築支援システムの提案
◎吉田優介・橋浦弘明(日本工大)・田中昂文(東京農工大)・櫨山淳雄(東京学芸大)・高瀬浩史(日本工大) |
D-13-3 |
知識ベースを用いたプライバシーを考慮したソフトウェア開発支援に向けて
○櫨山淳雄(東京学芸大)・鷲崎弘宜(早大)・吉岡信和(NII) |
近年,IT システムのクラウド化が急速に進み,OS やミドルウェアのインストールや設定(以下,インフラ構築)を担当するインフラエンジニア(以下,IE)にもこれらへの対応が求められるようになっている.
ソフトウェア開発や保守において,設計書とソースコード間のトレーサビリティが確保されていないと,ソースコードの理解に時間がかかる等の問題が生じる.
そこで, 設計書通りにコーディングされていないという問題に着目する.
開発者はトレーサビリティが確保されているかどうかを確認する機会に乏しいため,知らず知らずのうちにこのような問題が発生していることがある
設計書とソースコードの整合性を自動的に確認し,その差をフィードバックすることによって,開発者自らがトレーサビリティの確保されたソースコードを作成できるようにする.
個人情報流出等のプライバシーに関する懸念が高まっており,プライバシーに関する課題はソフトウェア開発プロセス全体で扱うことが求められている. しかしながらプライバシーを考慮したソフトウェア開発を行うための知識は, 体系的に整理されている状況にはない. そのような中著者らは体系的な知識を整理可能なまたモデルを開発している.本稿では著者らが開発したメタモデルを参照しながらプライバシーを考慮したソフトウェア開発における要求分析から設計へと知識を活用しながら進められるか検証を試みる.
D-14. 音声
3月21日 13:00〜15:45 54号館 301教室 座長 山田武志(筑波大)
D-14-1 |
フィルタバンクと活性化関数の出力値の話者適応に基づくDNN-HMMによる音声認識
◎中嶋貫太(中部大)・関 博史(豊橋技科大)・山本一公・中川聖一(中部大) |
D-14-2 |
音響モデルの知識蒸留における正解ラベルと温度パラメータの利用
○太刀岡勇気(デンソーアイティーラボラトリ) |
D-14-3 |
ラダー型デノイジングスパースオートエンコーダを用いた重畳音声分離向け聴覚音声特徴量抽出機能の特徴量独立性評価
○関口 浩・成末義哲・森川博之(東大) |
D-14-4 |
フレームレートと解像度がLip Readingの認識率に与える影響
○後藤悠斗・能勢将樹・長野紘之(リコー)・田村哲嗣・速水 悟(岐阜大) |
D-14-5 |
口腔への雑音入力応答によるサイレント音声認識
◎野呂瀬翔大・間野一則(芝浦工大) |
最近の音声認識性能は、ディープニューラルネットワーク技術によって、著しく向上している。しかし、不特定話者や種々の雑音環境に対して、十分な性能に達しているとは言い難く、これらに対する適応技術が必要である。これまでに少ない適応データで大規模ネットワークを適応する技術に着目し、適応パラメータ数が少なくて済む特徴抽出段階のフィルタバンクの適応技術を提案してきた。今回はフィルタバンクの話者適応とLHUCによる話者適応を併用することにより、適応データ数に応じて徐々に適応効果が発揮できる適応手法とその結果を報告する。
小規模(生徒)モデル学習時に,高精度(教師)モデルの教師ラベルとして使う知識蒸留処理により,書き起こしを元としたハードラベルに基づく学習よりも性能が向上する.本稿では,これに加えてハードラベルを利用するため,ハードラベルの損失関数と教師ラベルの損失関数を発話ごとに確率的に選択して使う方法(Sequence-level distillation; SD)と,それらを内挿する方法(Sequence-level interpolation; SI)を比較し,SIの方が性能が一貫してよいことを示した.また温度パラメータとともにアニーリングを行うと,さらに性能が向上した.
霊長類や哺乳類には,同時に発声する外部音源を聴覚脳神経系で聞き分ける能力がある.この能力は,聴覚音声特徴量抽出と時間同期性検知クラスタリングとの2つの機能で構成される.音源同一性判断の成功のために聴覚音声特徴量抽出が満たすべき要件に着目した.この要件とは,前段の出力である聴覚音声特徴量間で発生確率は独立であることと,聴覚音声特徴量抽出の入出力を非線形写像として表現力を上げることである.本稿では,この2つの要件を実現する聴覚音声特徴量抽出の数理モデル,実装,および特性評価について述べる..
会議中の重複発話、周囲の雑音等の問題による音声認識精度の低下を解決しうる手法の一つとして、口唇画像情報を用いたLip Readingを併用して発話内容を認識するマルチモーダル音声認識が挙げられる。
実利用を想定すると、発話者とカメラとの距離やフレームレートの低下がLip Readingの精度に影響を及ぼす恐れがある。
本研究では、会議シーンにおけるLip Readingの適用性検証を目的として、簡単な単語を認識するタスクで、深層学習によるLip Readingをする際に、映像の口唇領域の解像度(距離に相当)とフレームレートの変化による認識率への影響を調査し、精度への影響に対する一定の傾向が見られた。
サイレント音声認識は音声を用いずに発話内容を認識することであり,磁気センサ,画像処理,筋電信号,脳波など様々なアプローチが提案されている.サイレント音声認識は音声認識の補助や発声障害者のコミュニケーション支援などへの応用が期待されている.本稿では,口腔に向けて放射した雑音の反響音から,声道での調音時の音響特徴となる情報を抽出することで,無発声で言語情報を推定する新しいサイレント音声認識の手法を提案する.
休 憩(14:30 再開) 座長 山本一公(中部大)
D-14-6 |
LSP コードの頻度分布を用いたテキスト独立型話者認証システムについて
○△檜山 徹・吉田孝博・半谷精一郎(東京理科大) |
D-14-7 |
MFCCを用いた会話のストレス検出
◎劉 雨凝・李 思侠・党 建武(北陸先端大) |
D-14-8 |
キーワード設定が不要なトラブル状態検知
○早川昭二・原田将治・松尾直司(富士通研) |
D-14-9 |
プレゼンテーションスキルの向上を支援する模範音声の自動生成システム
○太田健吾・市原大和・増田晃平・元木洋志(阿南高専) |
D-14-10 |
日本語スピーキングテストにおける解答発話テキストの分散表現を用いた自動採点の検討
◎臼井桃香・山田武志・牧野昭二(筑波大) |
音声から通話中の相手の個人認証が可能になれば,なりすましなどによる被害を未然に防ぐことが出来る.しかし,そのための特徴量を携帯端末内で新たに抽出するのはハード的にもソフト的にも大きな負担となる.当研究室では,CELPエンコーダから出力されるLSPコードの発生頻度に着目し,個人性の有無を実験的に調査してきた.その結果,発話内容を限定すれば,30人の登録話者に対して60%以上の認証率が得られた.本報告では,発話内容に依存しない話者認証系を目指して,深層学習を利用するネットワークを構築し,性能を評価した.
従来の研究には、主にF0、エネルギー、持続時間などの音響パラメータを利用し、ストレス検出を行った。中国語は声調言語として、声調の変化もF0や持続時間などのパラメータを影響するため、ストレス検出の精度は高くない。そのため、本研究は他の音響特徴を用いて会話音声ストレス音節検出を試みる。その結果、MFCC特徴のみを用いたストレス検出の場合は従来重視された音響パラメータよりよいパフォーマンスができたことが分かった。その原因は1.F0とエネルギーの変化をストレスで表現する時、MFCCは音声の高い周波数領域または特定の周波数領域での振幅の変化を計測できる。2.MFCCの抽出はF0などの抽出に比べるとより安定で正確に抽出することができる。
コンタクトセンターにおいて,顧客満足度向上だけでなく,オペレーター保護のためにも,お客様との通話においてトラブルが発生したら早急に管理者へエスカレーションするシステムが求められている.これまで応対トラブル時に発声されやすいキーワードを検出するためには,コンタクトセンター毎にキーワードの種類や言い回しを網羅的に設定する必要があり,その人手による設定ノウハウや調整工数が,実用化にあたっての問題になっていた.そこで,キーワードを設定せず,音素の並びの偏りを学習し,その結果からトラブル通話を検知する技術を開発した.実通話データを用いた評価により,音素列のみで8割以上の正解率を得ることを確認した.
学生のプレゼンテーション能力の向上に対する社会からの要求が高まっている。プレゼンテーションに関する指導は教員にとって負担が大きいため、学生が自主練習によってスキルを一定の水準まで向上させられることが望ましい。しかし、自身の発表をどのように改善すればよいかを自己判断することは多くの学生にとって困難である。
そこで本研究では、発表者の模範となる理想的な発表音声を自動生成することにより、効果的な自主練習を支援するシステムを構築する。提案システムでは、間投詞をはじめとする冗長表現の除去、聞き取りにくい語彙や言い回しの平易化、複雑な構文構造の平易化、声の大きさや話速といった韻律の最適化を入力音声にそれぞれ適用する。
コンピュータにより採点する自動採点方式の日本語スピーキングテストとして、SJ-CAT(Speaking Japanese Computerized Adaptive Test)がある。SJ-CATの自由発話問題に対して、解答発話音声の音声認識結果から算出したテキスト統計量・単語関連度と評定者採点スコアをペアデータとし、両者の関係をSVR(Support Vector Regression)で学習してモデル化し、それを用いてスコアを推定する手法が提案されている。この手法はある程度高い推定精度を達成しているが、解答発話の文脈・内容を十分に考慮していないという問題がある。そこで本稿では、解答発話テキストの分散表現を用いた自動採点手法を提案し、実験によりその有効性を検証した。
D-15. 教育工学
3月21日 13:00〜16:15 52号館 201教室 座長 大井 翔(立命館大)
D-15-1 |
C言語学習支援のためのeラーニングシステムの改善
◎村端宏介・藪 北斗・村川猛彦(和歌山大) |
D-15-2 |
Hackシステムにおけるコンパイラ教育を目的とした教育支援システムの改良とその実現
○久保田祐貴・和田幸一(法政大) |
D-15-3 |
クイズの表現と更新管理に適したマークアップ言語
◎西澤浄岳・日高宗一郎(法政大) |
D-15-4 |
プログラミング入門を指向したボードゲームプログラム製作特化言語の開発
○飯塚 尚・日高宗一郎(法政大) |
D-15-5 |
決定木を用いたコマンドログやソースコードからのプログラミングスキル構造の可視化
◎△千枝睦実・大枝真一(木更津高専) |
D-15-6 |
項目反応理論によるプログラミング学習を目的としたチェックシートの評価と選定
◎須藤敬仁・大枝真一(木更津高専) |
D-15-7 |
プログラミング系講義を対象とした学習支援システムの構想
○神屋郁子・古井陽之助・下川俊彦(九産大) |
eラーニングは語学や資格試験の勉強で積極的に採用されているが,大学初年度のプログラミング教育では,普及しているとは言いがたい.そこでCプログラミングの入門者が容易に学習でき,高度なプログラミング科目を受講する際の再学習も行える環境の確立を目指して,処理の読解や行単位での並び替えにより,プログラムを学ぶ学習支援システムを開発してきた.その結果,forなど制御文の入れ子構造に対し理解が不十分であることがわかり,支援が必要となった.本研究では,オートインデント機能および解答プログラムの結果表示機能を追加し,学習者の理解改善を図った.システムを運用し,学習者に問題を解答してもらい分析を行った.
コンピュータシステムの学習は初学者には難しい.本稿では,その教育を支援することを目的として開発されたシステムを活用して,それに対してさらなる改良を施すことで教育の質の向上を目的とする.コンピュータシステムのコンパイラに着目をして,その動作の可視化を行う.主に4つの機能を提供する.1つ目は,コンパイラを構成する基礎概念の可視化である.2つ目は,一般的なコンパイラの処理動作に倣った可視化機能である.3つ目は,パーサジェネレータを利用した構造の学習機能である.4つ目は,言語の拡張に対応したコンパイラの拡張機能である.このシステムを開発して運用を行い,システムの有用性を検証する.
問題と解答のペアで構成されるクイズのデータを表現でき,かつそれらを系統的に更新できる処理系は知る限りでは存在しないが,適切に開発すれば有用なものになると思い,そのようなデータの表現および更新管理に適したマークアップ言語の設計を考えるに至った.データの意味を表すための関連研究,関連技術は存在するが,それらは汎用的である.それらに対し,クイズの表現に特化している分,専門的な知識を要さずユーザが扱いやすい言語を設計することが本研究の目的である.また本研究では,筆者のようにクイズに強い関心を持つ者が知識を深めるためだけでなく,教育目的として一般の人々に利用されることを想定する.本発表では,クイズを扱ううえで重要視すべきフレーズや問題構成の分類といった言語設計に重点を置いて報告する.
ゲームプログラミングは初心者プログラマーにとって人気のあるテーマですが、実際はゲームプログラミングが困難であることがわかると、プログラミングに苦手意識を持つかもしれません。そこで本研究では、プログラミングの初心者が簡単にボードゲームの製作ができるボードゲーム特化言語の開発を提案します。第一著者はそれによって彼らがプログラミングを楽しむ方法に気づき、プログラミング学習への導入を円滑にするだろうと考えています。製作可能なボードゲームは多くの人々に知られており、またルールが複雑でないオセロやチェスに焦点を当てています。実装言語としては、言語開発に適した関数型言語であるOCamlを使用しています。
学校や採用試験など,プログラマーの能力を評価する場ではプログラミングによる試験を行ったり,その人のGitHubを参照したりして,書かれたソースコードを参考にすることがある.しかし,それらの評価は現在人によって行われており,評価基準の一貫性が保ちづらい問題がある.
この問題を解決するため,我々はソースコードを自動的に分析して,スキルを抽出することを提案する.特に本研究では,数ヶ月ごとの試験における各学生のソースコードの特徴や、コマンドログから抽出されるプログラマーの振る舞いを,決定木モデルを用いて可視化し,それらが内包するプログラミングスキルの構造を可視化する.
プログラミング教育において, 他人のソースコードを読み, 評価ことは自分の
スキルアップにも繋がる大切な要素である. 今回はソースコードを評価する
だけでなく, コードレビューすることによって学習効果の向上を期待する.
コードレビューには著者が作成したソースコードとチェックシートを用いる.
プログラミング学習の向上の為, ソースコードとチェックシートは学生のレベルに
合わせたものを作成した. 本研究では学生の反応を項目反応理論を用いて分析し,
チェックシートの項目として有用なものを選定した後, もう一度被験者の反応を分析して
チェックシートの効果を保ったまま項目数を削減することを目的とする.
我々は、主にプログラミング学習系の講義で使用することを念頭に置いて、統合的な学習支援システムの実現に取り組んでいる。このシステムは具体的には、学生からの質問の支援、演習問題の解答点検の支援、小テストやレポート課題を活用した学生の理解状況の把握、及びそれらによって得られた情報のリアルタイムな集約と可 視化による講義へのフィードバックを行う。
これまでに、講義中の学生からの質問を促進するために匿名での質問を可能にするシステム (CODS) と、プログラミングなどの演習問題に関する講義時間中の質問や解答の点検・採点の際に教員・ティーチングアシスタ ント (TA) 側と学生側の双方を支援するシステム (サポ ちゃん) を開発してきた。本論文では、まずこれらの開発の現状を報告する。さらに、小テストやレポート課題 のオンライン化と、これらのシステムを統合して得られる情報を集計し、学生一人ひとり及びクラス全体の理解度や進捗状況を把握するシステムについて述べる。
休 憩(15:00 再開) 座長 飯島洋祐(小山高専)
D-15-8 |
e-Testingにおける認識確率の逐次更新による顔認証
◎△川又泰介・赤倉貴子(東京理科大) |
D-15-9 |
監督者不在のオンライン試験における眼球運動特性を用いた聴覚利用型不正行為の検出(長文読解時の場合)
○大出憲吾・平松健太・小方博之・安田晶子(成蹊大) |
D-15-10 |
平滑化画像における講義中の顔の検出に関する考察
○尾関孝史(福山大)・渡邊栄治(甲南大) |
D-15-11 |
観測に偏りのある非同期時系列データに対応したNMFの提案
◎清水大幹・大野泰己・大枝真一(木更津高専) |
D-15-12 |
画像処理技術に基づく教師視点映像の自動解析の試み
◎大井 翔(立命館大) |
e-Testingにおける替玉防止のための顔画像を用いた受験者認証法として,登録者の識別結果を逐次更新する方法を検討した.評価の結果,逐次更新によって本人拒否率が低減し,受験者認証において有効である可能性が示唆された.
近年、就職活動の際に学生の学力を測定するために、オンライン試験の会場外での利用が普及しつつある。しかし、重要度の高い試験では不正行為の確認ができないという問題のため会場外受験はいまだに導入されていない。
そこで、アイトラッカで眼球運動を測定することにより、聴覚利用型不正行為の判別が可能かを検証することを目的とする。
講義室のカメラ映像から、学生の顔を検出し、その顔の動きから、授業中の学生の集中度を計測する研究がある。しかし、講義室のような特定の学生が集まる場所での高解像度の映像の撮影は、個人のプライバシーの侵害につながる。もし、低解像度の映像からでも、集団の行動解析が可能であれば、プライバシーを守りつつ、人の行動解析が可能となる。そこで、本発表では、個人識別がしにくい平滑化映像での、人の顔の検出の可能性を検討する。具体的には、平滑化した顔画像を用いて、Haar-like特徴量を求めることにより、平滑化映像からでも、顔の検出が十分に可能であることを示す。
e-Learningでの学習効果を高めるには,各ユーザのスキル状態を把握し,ユーザのスキルレベルに適した設問を推薦する必要がある.設問とスキルの関係は見識者によってQ-matrixとして定義されるが,逆に試験結果からQ-matrixの自動抽出を行う研究が行われている.しかし,観測データの欠損が偏っている状態を考慮していない.e-Learningは様々なユーザが利用しており,解答数の多い者,少ない者が存在する.解答の偏りがある場合はNMFの精度が悪くなるという結果を予備実験で得ている.本研究では,欠損要素が偏っていた場合でも,精度良くQ-matrixを求める手法の提案を行う.
新任教員は,初日から「先生」として教壇に立ち授業を行う.しかし,現場に立つまでに実際の環境で訓練することは困難である.訓練として,模擬授業を実施するが,生徒が大学生であり実際の環境とは異なる.他にも,塾は学校との指導の目的が違ったり,教育実習は期間が短く,指導教員も同室しており,教壇に立つが新任教員として教壇に立つ環境と異なる.このため,新任教員の授業展開の問題として,作成した指導案をなぞるように授業を行うケースもあり,とっさの判断ができないなど経験不足が目立つケースもある.
つまり,新任教員が実際の現場に近い環境で授業を体験する模擬授業支援システムが重要であると考える.
模擬授業支援システムは,(1)実世界に近い環境を提示,(2)授業中の教員行動を定量的に評価する,(3)体験映像を振り返る機能(“気づき”を与えること),が求められる.
本研究では,(2) と(3) の目的のために,教員の一人称視点映像から何を見ているのかを深層学習モデルを用いて解析を行った.
3月21日 13:00〜16:15 52号館 303教室 座長 糟谷咲子(岐阜聖徳学園大短大)
D-15-13 |
Wi-Fi屋内測位を用いた教育支援システム
◎関口遼一・渡邊勇輝・大山 実(東京電機大) |
D-15-14 |
IoT機器を活用した学習支援システムに関する検討
○林 秀晃・松井謙二(阪工大) |
D-15-15 |
パソコンを使った演習での演習評価システムにおける定量的評価方法の開発と評価
○大木 優・馬場博巳・高橋圭一(近畿大) |
D-15-16 |
タブレットを用いる英語リスニング用パーソナルレスポンスシステムの開発
◎榊原千里子・山守一徳(三重大)・岡本光弘(津田小学校) |
D-15-17 |
機械翻訳を用いた英語学習支援システムの検証
○飯島洋祐・吉村理英・石原 学(小山高専) |
D-15-18 |
代金支払いを通して論理的思考力を育成するアプリケーションの開発
◎古森創人・藤橋卓也・遠藤慶一・小林真也(愛媛大) |
D-15-19 |
特許法の問題解決過程モデルに基づく知識獲得支援システム
○赤倉貴子・川又泰介(東京理科大)・加藤浩一郎(金沢工大) |
位置測位には,屋外ではGPS,屋内ではWi-Fi,BLEビーコン,ICタグ等が使用されている.屋内測位を用いた応用システムが多いが,教育を支援するシステムは少ない.一部,GPSやビーコン等を用いたシステムは見られるが,特別なハードが必要という欠点がある.
本研究では,スマートフォン,タブレット,そしてPCでも使えるWi-Fiを用いて屋内測位を行なうこととした.学校のICT環境の整備が進むなか,Wi-Fi環境も教育現場に整備されてきている.Wi-Fiを用いた屋内測位を利用した講義時間内の持続的な出席管理システムを開発した.
学生のスマートフォンやゲームの長時間利用など,身の回りの電子機器が必ずしも学習に良い影響を与えていない.今後,IoT化が進む電子機器の活用による学習支援を普及させることが上記の社会課題を克服する重要なアプローチと考える.本研究では,IoT機器としてのスマートフォン,コミュニケーションロボットなどを利用し,自宅や通学中などの時間を利用して自主的に学習ができるシステムの開発を検討した.ここでは英語学習題材としている. a)スマートフォンのみによる学習,b)教師ロボットを付加した場合の学習,c)さらに生徒ロボットを加えた学習を比較評価した.結果として,ロボットを付加することで,学習意欲の向上が見られた.
本発表では、パソコンを使った演習での受講者のキー入力やマウスクリックをもとに、演習の取組み具合を定量的に算出する方法の開発について述べる。パソコンを使った演習では、コピペが行われる、あるいは演習に真面目に取組まない、ことが指摘されており、学生の学力低下の要因の一つとなる可能性がある。発表者らは、データベース演習等では本演習はパソコンを使用していることもあり、コピペによるレポートの提出、不真面目な受講態度による演習の可能性があるため、受講者が演習を真面目に取り組んでいるかを評価する演習評価システム及び、コピペができない課題提出エディタを受講者に使用している。本発表では、演習評価システムを機能拡張し、キーとマウスの入力数から、演習を真面目に取り組んだかの評価を定量的に推定するについて述べる。評価方法は、受講者が実際に演習したキー入力などのデータから、受講態度が芳しくない基準を設定し、その基準に従って評価を行うものである。
クリッカーと称せられるパーソナルレスポンスシステムをPHP言語で開発し、2017年には、音楽教育用に機能追加し、音名回答させる授業実践を行ってきている。この中の選択回答機能は、選択肢を選択するクリッカーの基本機能を実現しているが、選択肢にリンクタグを装備できるようにすれば、文字列表示するだけの選択肢でなく、リンク先へのジャンプを伴う選択肢になり得る。そこで、リンクタグ付き選択肢が実現できるように選択回答機能を改善し、英語リスニングに活用してみた。本システムを使う授業実践の対象は、多気町立津田小学校5年生(21名)である。
本研究では、機械翻訳を用いた技術系英文ライティングの学習支援を目的としたシステムを開発した。機械翻訳を用い、英文から母国語(日本語)に変換してチャット形式でコミュニケーション可能にする事で、英文による正確な情報伝達の検証と、会話のログ情報からの英文レビューによる学習支援を実現可能にした。
近年,教育ツールとしてのICTに対する期待が高まっており,教育現場にとどまらず様々な場面でICTが活用されている.その一例として,学校教育では学習しない事項を家庭で学習させるといった活用方法があげられる.本研究は社会に出るにあたって身に着けておきたいスキルの一つである代金支払いを題材とし,論理的思考力を育成することを目的とする.本研究では,与えられた条件を充足する解を模索させることで論理的思考力を育成するアプリケーションを開発する.また,それを小学生に利用してもらい,アプリケーション使用開始直後には解けなかったが,数分間アプリケーションを使用した後に解けるようになった問題の有無を調査することなどによって,アプリケーションの評価を行う.
先行研究では,工学部学生の知的財産法学習の問題解決過程モデルを定義し,学習支援システムを開発したが,問題解決過程モデルの適用のためには,学習者が問題解決のための知識を持っていることが前提であった.本稿では,問題解決過程モデルの「表層構造」「定式化構造」「解法構造」に照らして,それぞれの構造生成のための支援として,法律条文を論理回路を使って組み立てながら学習する支援システムを開発した.その利用状況と知識獲得状況を比較分析したところ,演習重視型スタイルの学生には支援システムが非常に有効であることが明らかになった.
休 憩(15:00 再開) 座長 大沼 亮(福島大)
D-15-20 |
SNSの適切な使用を教育するゲームの開発
◎叶 稜也・藤川真樹(工学院大) |
D-15-21 |
中等教育を対象とした直感的操作可能な幾何学教材の開発
○藤井研一(阪工大) |
D-15-22 |
高専における主体性を重んじた情報伝送工学演習
○袖 美樹子(国際高専) |
D-15-23 |
VR技術による教育用電磁界解析モデルの提案
◎目崎照幸・外谷昭洋(呉高専) |
D-15-24 |
非接触センサを用いたベッドメイキングの姿勢改善支援手法の提案
○林 雅也・澤野弘明(愛知工業大)・相撲佐希子・春田佳代・森下智美・東山新太郎・中村美奈子・村山友加里・諏訪美栄子・鈴村初子(修文大)・石井成郎(一宮研伸大) |
スマートフォンを使って SNS を利用する小学校高学年の割合が増加している.SNS 利用時には情報モラルが必要であることから,文部科学省は学習指導要領を通して情報モラル教育を推進している.一方,教育現場では情報モラル教育にかける時間が十分ではなく,同要領のコンセプト (主体的・対話的で深い学び) が満たされているとは言いにくい.本論文では,教員の負荷軽減を図り,実践的かつ 「主体的・対話的で深い学び」 を実現するために SNS 教育ゲームを開発する.当該ゲームは小学校高学年の特徴,既存教育ゲームの特長と課題を踏まえつつ上記コンセプトを満たすように設計した.
論理的思考力を育む上で中等教育における幾何学は非常に重要と考えられる。この幾何学を学習する際、論理的に考える力を支援する教材をタブレットPC用に開発している。タブレットPCの特徴を生かし、運指による操作で幾何学に関する操作を直感的に行えるようにユーザーインターフェース(UIF)を設計した。既存の教材との比較を行い、実装したUIFの有効性を議論する。
文部科学省は高大接続改革実行プランにおいて主体性をもって多様な人々と協働する態度の育成・評価に取り組むことを掲げている[1]。本稿では、国際高等専門学校生と金沢工業大学生が共に主体性を持って学ぶ授業の取り組みを行ったので手法と成果を述べる。
電波の伝わり方などの電磁界現象は目視できない為,初学者にとって直感的に理解することが難しい.そこで,本研究では仮想現実(VR)技術を用いて電磁界の様子を3次元で可視化する,初学者でも容易に理解するための教育教材を開発することを目的としている.本発表では,教育用のシミュレーターの解析モデルとして,一般的な教育で取り扱われているコンデンサに直流電圧を印加したものを製作し,シミュレーションを行った.その結果,電界が回路上の電圧源から平行平板に伝搬していくこと及び,電気回路を用いたモデルで電磁界の解析・表現をすることを確認した.
腰痛対策のためにボディメカニクスを学習する看護学生に対して,情報処理技術を用いた学習支援が行われている.従来手法ではマーカーや着用型センサにより看護動作時の腰角度測定が行われていたが,器具の着用による不必要な意識の乱れが生じる課題がある.この課題に対し,腰角度測定を非接触状態で実現できれば,看護学生は看護現場に近い状況で演習の実施が行える.そこで本研究では,看護現場に近い演習状況におけるボディメカニクス習得のために,非接触状態で取得した骨格情報を用いた,ベッドメイキングの姿勢改善支援手法を提案する.本稿では提案手法である非接触状態で測定した腰角度の精度評価実験を行い,その結果について考察する.
3月22日 9:15〜11:30 52号館 201教室 座長 岡崎泰久(佐賀大)
D-15-25 |
科目難易度とテスト得点を考慮した新しいGPAについて
◎吉田里奈・能上慎也(東京理科大) |
D-15-26 |
アプリケーション学習時の教材提供手法について
○古性淑子・今中厚志(横浜美大) |
D-15-27 |
情報デザイン教育におけるカスタマージャーニーマップの活用
○今中厚志・古性淑子(横浜美大) |
D-15-28 |
外国語学部のコンピュータ利用状況について -2014年〜2018年までの初年次クラスに実施したアンケート調査より-
○匂坂智子・千葉庄寿(麗澤大) |
GPA(Grade Point Average)とは,大学における成績指標のひとつである.1998年以降急速に広がり,2004年の時点では国立大学を中心に約31%の大学で導入され,2008年の時点では約46%,2015年では約80%の大学で活用されている.GPAはある学生につけられた各科目委のLG(レターグレード)をGP(グレードポイント)に変換し,そのGPに科目の単位数を常時その挿話を履修総単位数で割ることで算出される.学生の学習状況を表すと同時に留学や編入時などの学生を評価する指標としても利用することができる.本稿では,このGPAの新たな算出式の提案をする.
今日美術大学においては、作品制作のためやリテラシー教育として多くのアプリケーションを用いた教育が行なわれている。受講者の学習情報共有化をはかり、教育効果を高めるため、教材の提供を行った。
結果、メニューの位置の把握などができていない場合は、動画コンテンツが有効であり、ある程度メニューの位置などを把握している場合は、静止画のコンテンツでも教育効果があることがわかった。
美術・デザインを専門とする学部生に対し,デジタル分野の基礎的技術としてウェブサイトを制作を課題とする授業を展開している.サービスとしてのウェブサイトを設計するための手法,履修者に学ばせるための教材が必要である.
サービスデザインに関する授業の実践として,本報告では,サービスデザインの分野にて多く活用されている顧客との接点を視覚的に図示したカスタマージャーニーマップ(以下、CJM)を活用したウェブデザイン設計の学修意義について検討する.約6割がCJMの制作により,制作課題とテーマについて興味・関心が高まったと肯定的な反応を示す結果となった.ペルソナ記述など他のサービスデザイン手法を加えた授業設計の検討が今後の課題である.
麗澤大学外国語学部では、学生を取りまくICT環境や利用メディアのニーズを把握し、授業改善に役立てることを目的に、2012年度から継続的に新入生全員に対して、入学時点での「コンピュータ利用歴の調査」を行ってきた。2014年から2018年までに実施した調査結果を分析したところ、年々、学生のPC離れの傾向が強くなる一方で、スマートフォンが学生の生活の一部として浸透していることが示された。またPCの利用を想定した特定のSNSの利用が減少する一方で、スマートフォンで使用できるSNSの利用が拡大していることが示された。これらの結果をふまえて今後のコンピュータリテラシー授業における学習支援の課題が示された。
休 憩(10:30 再開) 座長 小林亜樹(工学院大)
D-15-29 |
授業内容に適応的な授業評価項目出題方法の検討
◎中村修也・赤倉貴子(東京理科大) |
D-15-30 |
板書形式とスライド形式の教材提示比較実験
○岡崎泰久(佐賀大)・吉川 厚(東工大) |
D-15-31 |
タッチ操作拡張ディジタル紙芝居システム用いた紙芝居制作ワークショップの実施と考察
○牛田啓太・村田真隆・陳 キュウ(工学院大) |
D-15-32 |
SQL実習支援システムへの効果的な反復学習を促す得点計算法の導入
◎石川大輔・岡田信一郎(茨城大) |
本稿では,授業評価の適応的な出題のための方法論について検討した.具体的には出題した項目から得られる情報量が大きい中で,授業の話題と類似した授業評価項目を出題するために,シミュレーションによる検討を行った.その結果,相対エントロピーによる項目選択により幅広い項目が得られること,シラバスと授業評価質問文とのトピックの類似度から授業内容に概ね合った項目出題ができることが示唆された.今後の課題は,計算時間が膨大であるため,サブグラフ構築や計算最適化を用いて計算コストを低減することが挙げられる.
ICT利活用が進みスライド等による授業も増える一方で,従来の板書を好む教員も少なからず存在している.これまでの研究で,積み上げて作り上げていく課題において,学習者にとって難易度が高い場合に板書のように書いていく過程をそのまま見せる提示が有効である一方,提示される教材に対するレディネスが高い場合には,スライド型の提示が有効である可能性を実験で示している.本研究では,タイプの異なる二つの教材を板書型・スライドそれぞれの提示手法で教材を作成し,提示手法の違いが学習者の理解のどのような違いを生むのかを,課題の正答率と学習者自身による主観評価から分析を行う.
筆者らは、シンプルな操作で作成と上演ができるディジタル紙芝居システムを開発している。このシステムについて、おもに小学生を対象に紙芝居制作ワークショップを実施した。ほとんどの参加者が適切に操作でき、紙芝居を作成・上演できた。アンケートの回答も肯定的であった。
このワークショップの実績から、これまでに例が少なかった「子どもが作り手となる」ディジタル紙芝居を簡単に実施できる可能性を見いだした。保育・教育での活用も期待できる(この展開を今後の課題としたい)。
筆者らは、データベース操作言語SQLを反復学習するための「SQL実習支援システム」の開発・改良・運用を行ってきた。本システムの特徴は問題の作成・出題、学習者の解答の正誤判定を可能な限り自動で行う点にある。
本システムの学習履歴を調査したところ、学習者が短い期間で集中的に学習を行っていることが確認された。一方、集中学習をしがちな学習者に対し反復学習を促すことを目的として、谷口らは効果的な反復学習を促す得点計算法を考案している。
そこで本稿では、学習者が間隔を空けた反復学習を行うことにより、SQL実習支援システムの学習効果を高めることを目的として、効果的な反復学習を促す得点計算法の導入を提案する。
3月22日 13:00〜16:00 52号館 201教室 座長 中山祐貴(早大)
D-15-33 |
身近な道具を通したプログラミング教育の実践
○宮本和典・福島宙輝(九女大) |
D-15-34 |
命令処理の順序性を学習できる小学生向けプログラミング学習アプリケーションの開発
◎沖田光司・藤橋卓也・遠藤慶一・小林真也(愛媛大) |
D-15-35 |
床模様を描かせるScratchプログラミング演習
◎奥井健太・山守一徳(三重大)・荻田美幸(西が丘小学校) |
D-15-36 |
約数解答ゲームを題材とするScratchプログラミング演習
◎小西 翔・山守一徳(三重大)・中村ひとみ(白塚小学校) |
D-15-37 |
WebカメラとScratchを用いたお絵描き授業実践
◎渡邉篤輝・山守一徳(三重大)・澤端杏奈(一身田小学校) |
D-15-38 |
Scratchを用いたタイピング練習アプリの開発
◎小野千尋・山守一徳(三重大)・内田由美(一身田小学校) |
D-15-39 |
幼児教育におけるプログラミング活動導入の課題の考察
○糟谷咲子(岐阜聖徳短大) |
これから必須化されるプログラミング教育において,暮らしのなかで使われている身近な道具を通して,学習の興味付けとなるようプログラミング教育を実践的に取り組んだ.ビジュアル型プログラミング学習環境としてScrachを使い、身近な道具として掃除機ロボットを使った。プログラミングで生活に役立つロボットを考えられるよう,暮らしの変化から道具の変化を考え,人がやっていた仕事(手順)を,機械(ロボット)がやるようになってきたことを取り上げ,学習課題をたてるための導入として展開した.
2020年から小学校においてプログラミング教育が必須となる.この教育では,コーディングを覚えるのではなく論理的思考力を育成することを目的としている.また,それに伴い,小学生でも無理なく学べるビジュアル型プログラミングが注目を集めている.これは,命令が書かれたブロックなどを組み合わせたりすることによってプログラムを構築するスタイルのプログラミングである.本研究では,マップ上を動く車に対する命令,繰り返し動作,条件付き繰返し動作の書かれたカードを使って,処理の順序性を学習できる小学生向けプログラミング学習アプリケーションを開発する.また,このアプリケーションによって,プログラミングの基礎を小学生に理解させることができたか確認するために,アンケートによる評価を行った.
小学校では、プログラミング教育を導入し、プログラミング的思考を養成していこうとする動きが活発になってきている。その中で、2016年「星を描こう」2017年「ビューティフルな図形をえがこう!」のタイトルの下、Scratch2.0を使って図形を描かせる授業に取り組んできた。一筆書きの星の形を描かせることから始め、2016年は多角形や自由図形を描かせ、2017年は基本図形をずらしながら重ね合わせた図形を描かせた。その経験上、自由に描かせる課題では、偶然できた図形で遊び始め、何故その形に辿り着いたのかを考えないことが起こる。そこで、ターゲットの図形を床模様という良く見掛ける魅力あるものにし、描いたプロセスをよく考えさせることに取り組んだ。その授業実践について報告する。
条件分岐と繰り返し処理を伴うプログラミング教育を小学生に取り組ませている。2017年には、JavaScriptを使ってじゃんけんゲームのプログラミングに取り組ませたが、Scratchを使うと中括弧の開閉記述に悩む必要が無くなる。算数の約数を急いで答えさせるゲーム風の題材を開発し、正解時と不正解時の動きを自由に変更させてみた。その授業実践結果を報告する。
小学1年生にパソコンでお絵描きをさせる授業が、多くの小学校で行われてきているが、絵の完成に辿り付けず終わる場合が多い。我々は、児童の描いた絵を先生機に集めて動かすことで、意欲的に描かせる授業を2015年から続けている。年毎に「水族館を作ろう!」「サバンナをえがこう」「虫ランドを作ろう」のタイトルで、それぞれ魚、動物、虫の絵をScratchのコスチューム画面に描かせてきた。その中で、2018年は「ペットランドを作ろう」のタイトルで小動物を描かせた。今回行った改善点を報告する。
パソコンに慣れさせるには、キーボードという大量のキーが存在する入力装置の扱いに慣れさせることが必要である。授業実践の対象は、一身田小学校2年生(4クラス)である。小学校1年生ではマウス操作が主となるため、2年生相手に、ゲーム感覚でタイピング練習させるアプリを開発した。
これまで2017年度に、盆踊り曲に合わせてz,m,s,jのキーを叩く太鼓リズム練習アプリを開発して小学2年生相手に授業実践を行い、小学3年生相手に、ローマ字を回答させるローマ字学習アプリを開発して授業実践を行った。太鼓リズム練習アプリでは使うキーが限定されていたため、今回はすべての英字キーを打たせるようにした。また、ローマ字学習アプリでは、英語とローマ字を混同しないように、意図的に英語との違いを意識した問題を出題したが、今回は、英字1文字であるため、フォニックスを意識した問題を作成した。
保育者に対するビスケットプログラミング実践の結果,および幼児教育・保育実践におけるICT活用状況の調査から,幼児期のICT機器利用およびプログラミング実践についての要請は低い.同時に大学入学時の学生のプログラミング経験は少なく保育者のICT機器活用能力やプログラミングの知識は高くないことが推測される.一方,学生が行った児童のビスケットプログラミング実践の支援活動により,その効果を実感し活用に対する受容が高まることから,保育者のプログラミング経験および幼児のプログラミング実践情報の共有,実践による効果の評価が,幼児教育におけるプログラミング活動の導入に必要である.
休 憩(15:00 再開) 座長 岡田信一郎(茨城大)
D-15-40 |
次元削減を用いた小中学校英語学習者間の動機付けの比較
◎△富田直輝・大枝真一(木更津高専)・Benjamin Maynard(神田女学園中学校高等学校) |
D-15-41 |
大学シラバス検索における文書の分散表現の有効性の評価
○石井雄大・小林亜樹(工学院大) |
D-15-42 |
既有ページに対する選択行為の分析に基づいた未熟者の認識・意図を反映した探索支援
◎川和耀太(福島大)・中山祐貴(早大)・大沼 亮・神長裕明(福島大)・宮寺庸造(東京学芸大)・中村勝一(福島大) |
D-15-43 |
時間経過に応じたWeb上の人間関係ネットワークの動的視覚化手法
◎藤澤ひかる・大沼 亮(福島大)・中山祐貴(早大)・神長裕明(福島大)・宮寺庸造(東京学芸大)・中村勝一(福島大) |
我々の先行研究において,小学校 5 年 生から中学校 3 年生を対象に4 件法の英語学習のアンケートを行った.その結果,中学校 1 年生,2 年生は英語学習に取り組むモチベーションが一番低くなった .
そこで,結果を可視化し比較する手段としてPCAやt-SNEを用いた.PCAにおいては各項目の主成分負荷量から係数を推測すればよいが,t-SNE などの多様体学習に おいては指標は存在していないため評価を行うことが難しい.そこでデータの評価を行うためにクラスタリング 手法のひとつである k-means の改善手法の x-means を 適用することによって意味づけを行いやすくし,年度 · 各学年ごとの傾向を評価する.
大学学科選びの基準の一つとしてその学科で学べる内容というものがあげられる.そこで,各大学が公開しているシラバスを利用すれば実際に開講されている講義の内容を知ることができる.
しかし大学シラバスは専門用語を知っている学生向けに書かれているため大学進学希望者の未知の専門用語が多く出現することが予想されるため,専門用語を熟知していない場合扱うことが困難である.
そのため,単語や文書の意味ベクトルが求められるとされる分散表現を用いることで,検索単語と同一分野の専門用語が未知の場合でも同一分野の講義を検索結果として得られることが予想される.
そこで,本研究では専門用語が用いられることの多い大学シラバスにおいて講義内容に関する文書の分散表現を用いた検索が未知の専門用語のある分野の講義を検索することに対し有効性を評価を行った.
PBLなどの学習行為をはじめとして,知的活動の中でWeb探索を行う機会が増加し,探索自体が複雑化してきている.探索者自身の既有Webページに対する評価も随時変化する.これらを探索方針の洗練に活かすべきだが容易ではなく,未熟者には特に難しい作業となる.本研究では,探索者が既有ページの中から注目するものを選択する行為に注目し,その分析に基づいて,探索者の認識・意図を体現し,探索意図洗練の「足がかりとなり得るページ」を抽出する手法を開発する.本手法を導入した支援システムをデザインすることで,自覚されていない場合が多い未熟な探索者の意図を現実的な形で反映する新たな探索支援の実現を目指す.
研究活動におけるサーベイをはじめとして,多様な調査分析のために,Web情報から人間関係を上手く抽出することの重要さが増してきている.人間関係は,時間経過に伴って刻々と変化するが,既存手法はこの変化に対応できていない.本研究では,Web上の人間関係を,関係要因や時間経過に応じて動的に抽出し,ネットワークとして視覚化する手法を開発する.これにより,より実際的な人間関係把握支援の可能性を探る.
D-16. 医用画像
3月21日 13:00〜15:00 53号館 403教室 座長 金 亨燮(九工大)
D-16-1 |
アミノレブリン酸(5ALA)と自家蛍光観察システムを併用した肺癌胸膜播種(M1a)に対する光学的診断
○北田正博・大崎能伸・安田俊輔・阿部昌宏・吉田奈七・岡崎 智・石橋 佳(旭川医大) |
D-16-2 |
経時的差分像上の関心領域内の統計的特徴量に基づく結節状陰影の自動検出
○金 亨燮・田中修司・陸 慧敏(九工大)・村上誠一・青木降敏(産業医大)・木戸尚治(山口大) |
D-16-3 |
ハイパースペクトルとサポートベクターマシンによる肺癌の識別可能性
○小倉翔悟・中矢大輝・富山祐介(未来科学研究所)・井上雅文(JCHO東京新宿メディカルセンター) |
D-16-4 |
深層学習による無染色肝病理組織標本画像の細胞膜抽出
◎山見 慧・杉本京太・高橋正信(芝浦工大)・中野雅行(湘南藤沢徳洲会病院) |
D-16-5 |
超音波画像における子宮運動方向の画像解析と妊娠の評価
○森 健太郎(兵庫県立大)・北宅弘太郎・石川智基(リプロダクションクリニック大阪)・畑 豊(兵庫県立大) |
D-16-6 |
画像特徴量を用いた顕微授精における卵子の破膜評価
○鬼西裕也(兵庫県立大)・前川朋広・水田真平・石川智基(リプロダクションクリニック東京、大阪)・畑 豊(兵庫県立大) |
D-16-7 |
オプティカルフローを用いた3 次元画像再構成による腫瘍突発的挙動早期検出手法の開発
○桑原建一郎・出町和之(東大) |
D-16-8 |
多視点手術映像合成による死角補完手法の検討
◎和田紘輝・澤野弘明・北坂孝幸(愛知工業大)・三澤一成(愛知県がんセンター中央病院)・森 健策(名大) |
胸膜播種病変は悪性胸水や画像診断上の小結節で発見されるが、診断は限界があり、低侵襲で確実かつ客観的な診断法の開発が希求されている。405nm前後の励起光に対し520nm前後の正常組織が放つ緑色自家蛍光診断に加え、光増感物質のアミノレブリン酸(5ALA)を併用し、胸膜播種診断の有用性を検討した。5ALAはプロトポルフイリンIX(PpIX)に代謝、悪性細胞内に留まり、630nm程度の赤色蛍光を呈する事象を利用した。術前CT診断で胸膜浸潤因子陽性(PL1以上)の可能性がある肺癌84例に本診断法を使用したところ、7例(8.3%)に胸膜播種病変を認め、蛍光観察カメラで赤色蛍光が診断された例は4例であった。診断困難な微小胸膜播種病変の発見に有用であった。
近年,肺癌による死亡者数は増加傾向にあることから,肺癌の早期発見・治療が重要視され,胸部単純X線画像の代わりに3次元画像が得られる,胸部MDCT画像を用いた精密検査などが進められている.MDCT画像は,微小な癌の検出が容易である反面,読影する画像枚数が多く,医師への負担が懸念されている.そこでコンピュータ支援診断システムの開発による,読影医師への負担軽減,診断精度の向上などが期待されている.このシステムの一つに,同一被験者の現在・過去画像間の経時的変化を強調した画像を生成する,経時的差分像技術がある.生成された差分像を用いた診断は,読影医師の診断の効率化や精度の向上に貢献している.しかし,経時的差分像生成時の3次元処理の複雑さなどの問題から,CADシステムの報告は少なく,この技術を用いた,CADシステムの開発が期待されている.本論文では,経時的差分像から結節状陰影を自動検出するためのCADシステムの開発を行う.
近年、機械学習による医療画像診断の研究が盛んに行われている。そこで、本研究では、ハイパースペクトルイメージングと機械学習を組み合わせることで、肺癌の識別を行った。識別対象には、肺腺癌と肺扁平上皮癌の検体を用いた。検体の細胞核のハイパースペクトルデータを用いて、サポートベクターマシンによる分類、及びward法によるクラスタリングを行った。サポートベクターマシンによる識別精度は74%であり、クラスタリングでは、全体として大きく三種類に別れた。肺扁平上皮癌の中には肺腺癌に類似するものがあるとわかった。肺癌のより正確な識別を行うには新規手法の開発が必要であると考える。
無染色の肝病理組織標本の細胞膜抽出を目的とした.細胞膜抽出はN/C比などの病理診断に有用な定量的指標を算出する上で必要となる.また,病理診断や画像解析に通常用いられるHE染色標本では施設や染色条件による染色度合いの違い,染色ムラや退色の問題があり,厚い標本の解析も難しいが,無染色ではそうした問題が無い利点がある.細胞膜抽出には,深層学習を用いるが,無染色標本はHE染色標本に比べて色の情報が少ない.そこで,光学顕微鏡で利用できる他の撮像法(暗視野,位相差)も利用して解析精度の向上を図った.その結果,位相差と暗視野を合成することで通常用いられる明視野よりも高い精度が得られることが分かった.明視野以外の撮像法の利用は有用であった.
本報告では,画像処理技術による子宮超音波画像の動作解析手法の提案および評価を実施する.調査の結果,提案手法によって上行性の運動が多く検出された子宮超音波画像ほど,治療によって妊娠が成立しやすい傾向を確認した.この結果は,排卵前に子宮は上行性の運動が多く生じるという医学的知見と一致する結果である.従来の不妊治療では,医師が目視によって子宮超音波画像の評価を実施していたが,本提案手法を用いることで医師の負担軽減および不妊治療の成功率向上につながると考えられる.
本研究では,顕微授精時の卵子の画像特徴量を用いて破膜の有無の評価を行うことで,卵子の最適な穿刺位置を決定することを目的とする.その手法として,顕微授精時の動画(破膜なし34,あり14)から穿刺前の画像と実際の穿刺位置を取得し,穿刺位置を中心とした解析領域内での256次元のLBP特徴量を計算する.特徴量を除去し,3次元の特徴量で階層的クラスタリングを行う.その結果,破膜あり16,なし1のクラスタA,破膜あり18,なし13のクラスタBの2つに分類され,Aを破膜なし,Bを破膜ありを表すクラスタと仮定すると,感度は0.93と高い値をとり,卵細胞質膜の形状特徴から破膜の有無の評価が実施できる.これより,同一卵子の質膜上で形状特徴を可視化することで最適な穿刺位置を決定できると考えられる.
肺腫瘍など動く腫瘍の放射線治療では通常,動く範囲全体を照射範囲とするため正常細胞への被曝の問題が小さくない.この解消のため,リアルタイムで肺腫瘍の位置を確認し,腫瘍部のみに照射ビームを限定しての治療法が開発されている.しかしこれは,腫瘍に対する照射ビームサイズの余裕が小さいため,腫瘍挙動に突発的変化が生じた場合,正常組織が被曝をする可能性がある.このため,突発的挙動を早期検出し、ビームを止めるための手法の開発が必要である.本研究室ではX線画像から突発的挙動検知技術の開発に取り組んできたが,X線画像は2次元投影画像のため不鮮明である上,照射方向の回転があるため,検知精度が不十分であった.このような問題は,対象を3次元画像とすることにより解消される.本研究では,治療前の4次元コーンビームCT動画と治療中の2次元X線動画を連成させることにより,治療中に3次元動画を描画し,腫瘍の突発的挙動を検出する手法を開発することを目的とする.
研修医や医学生のために,外科手術の様子が撮影された映像を提示する映像学習が行われている.映像学習に用いる映像は,執刀医の映り込みによる死角が発生し,術部を視認できないという問題がある.従来手法では,術部の周囲に設置した複数台の固定カメラ映像を利用し,執刀医の手による死角を補完できるが,胴体が映り込んだ場合は術部の確認ができない.そこで本研究では,固定カメラに加えて術者頭部に設置したカメラを利用した,死角の補完手法を提案する.提案手法を用いた精度評価の結果,従来手法に対して誤差が3割削減されて,補完精度の向上が確認された.
D-17. ソフトウェアインタプライズモデリング
3月20日 9:30〜10:30 53号館 204教室 座長 小松昭英(APSOM)
D-17-1 |
論考デジタルトランスフォーメーション
○小松昭英(APSOM) |
D-17-2 |
タブレット端末を用いた出荷管理システムの提案
◎曽布川 晶・工藤 司(静岡理工大) |
D-17-3 |
CGによる学習データを活用した在庫把握方式
◎滝本 廉・工藤 司(静岡理工大) |
D-17-4 |
Jaccard係数とローソク足長さをパラメータとするローソク足チャートの合成
○宇田川佳久(東京工芸大) |
情報通信技術の進歩が、新産業革命に引き続いて個々の企業に「デジタルトランスフォーメーション」と呼ばれる企業変革をもたらすと言われている。この新産業革命からデジタルトランスフォーメーションへの移行について、ビジネスエンジニアリングの視点から考察する。
工場では製品出荷の際に出荷検査が行われる。本研究の対象工場では出荷製品に対し、個数や図面との整合性を確認し、結果を記録する。しかし、検査用資料の参照、記録の記載、不具合報告の作成などの作業を製品毎に行うため、検査の中断が発生するという課題があった。本研究ではこの課題に対し、タブレット端末を活用することで、片手を使用して検査しながら、もう一方の手で上記作業を可能とする出荷管理システムを提案する。また、タブレットの片手操作の利き手の問題への対策を示す。さらに、実験を通じてその有効性を評価する。
近年、深層学習を活用した画像認識における認識精度は急速に向上しており、様々な分野に応用されている。例えば、機械製品の製造工場における部品在庫数量判定の自動化を目的に、基本的な形状であるビー玉を使用した実験が行われ、数量が多い場合には目視に比べて高い精度で判定できることが確認された。一方で、深層学習には大量の学習データが必要であるが、部品を手作業で移動した画像収集では、160枚の撮影に5時間を要し、数千に及ぶ部品在庫への適用は困難であることが分かった。さらに、部品は一定の単位で入出庫されるため、在庫数量の変動が少なく、実際の画像の収集にも時間を要する。
株価変動が小さいローソク足は,株価変動の迷いの期間に発生し,ローソク足チャートのパターン抽出ではノイズとして扱われるべきものである.本文では,集合の類似度として用いられているJaccard係数とローソク足の長さをパラメータとするローソク足の合成アルゴリズムによるノイズの除去について論じる.個別企業の株価に適用した結果について考察する.
D-19. 情報通信システムセキュリティ
3月19日 13:00〜14:30 53号館 204教室 座長 笠間貴弘(NICT)
D-19-1 |
真贋判定のためのカラー2次元コードおよび判定システムの開発
○藤田 悠・伊藤祥一・藤澤義範(長野高専) |
D-19-2 |
サービス利用の認可権限の移譲に関する検討
○大森芳彦・山下高生(NTT) |
D-19-3 |
パッケージの依存関係に基づくACL設定の注意喚起方法について
○武藤健一郎・木下和巳・山越公洋(NTT) |
D-19-4 |
マイクロブログにおける投稿の類似性に基づくボットアカウント検出
○鎌田和博・新田直子・中村和晃・馬場口 登(阪大) |
D-19-5 |
ネットワークベースの攻撃に対応可能な高対話型ハニーポット
◎森 瑞穂・本多弘樹・八巻隼人・三輪 忍(電通大) |
D-19-6 |
Bitcoin資金洗浄サービスへの預け入れに対する返金先アドレスの絞り込み
○佐藤千尋・吉浦紀晃(埼玉大) |
模倣品・海賊版の流通が世界的に問題になっている.模倣品の製造技術の向上により,見た目だけで模倣品であるか否かを判断することが難しいため,何らかの方法で商品の真贋を確認する必要がある.我々は,IDを暗号化してQRコードに埋め込み,このQRコードをカラーコード化したGKコードを開発した.通常では読み取ることができない不可視インクにて製品にこのカラーコードを印字する.このGKコードを認識して,データを取得し,IDを元に商品の素性情報をサーバから取得し,真贋を判定するアプリを開発した.
ホテルや民泊で、宿泊者に対して一時的なサービス利用(部屋の利用)の認可を行う場合、ホテルや民泊の管理者がセキュアに利便性よく認可を行える仕組みが必要となる。
本稿では、スマートロックを用いた入退室管理において、宿泊施設の管理者が宿泊者に対して一時的に入室を認可する利用シーンを想定し、宿泊者の追加や削除等の変更を管理者の負担を軽減して行う方法を提案する。
サイバー攻撃の脅威が顕在化している昨今、サーバにおける情報漏洩やファイル改ざんの原因となる不正なファイルの混入に対して、セキュリティ対策が必要とされている。本検討では、不正なファイルアクセスへの対策であるプロセスの生成元ファイルに着目したファイルアクセス制御方式を対象に、アクセス制御リスト(ACL)に誤ったエントリを設定してしまうリスクを挙げ、ソフトウェアパッケージの依存関係を活用した注意喚起方法を提案する。
マイクロブログの代表例であるTwitterには,機械により自動で活動を行うボットアカウントが多数存在する.この中には,ステルスマーケティングなどに悪用されているものもある.このようなボットアカウントの検出手法として,多様な方法で収集したボットアカウントと正当なアカウントを学習データとし,教師あり学習を用いるアプローチをとる手法が多く提案されている.しかし,日々進化するボットアカウントに対応するためには継続的な学習データの更新が必要などの課題もある.ここで,ステルスマーケティングなどは,単一のアカウントよりも複数のアカウントで行う方が効果的であるため,類似した投稿を行うアカウントが複数作成されることが予想される.そこで本研究では,複数のアカウントによる投稿間の類似性に着目したボットアカウント検出手法を提案する.
近年,情報セキュリティの研究開発において,新しい
サイバー攻撃の情報の需要は大きく高まっている. 攻撃者の情報を収集するためのひとつの手法として,
ハニーポットが用いられている.ハニーポットは故意に 脆弱なシステムを構築し,これに与えられる攻撃を観測, 解析するシステムであり,現在,広く研究に用いられて いる.しかし,ハニーポットには攻撃者やマルウェアに ニセモノであると検知される場合や,エミュレーション により得られる情報の限界,攻撃が外部ネットワークへ 拡大してしまう危険性など多くの課題が指摘されている.
そこで,本研究では,仮想化技術のハイパーバイザを 用いて,ハードウェア層からアプリケーションと OS を 仮想化することにより,得られる情報を増やすとともに, カーネルより下のレイヤーで攻撃の拡大を防ぐような 高対話型ハニーポットを構築する.また攻撃者によるハ ニーポット検知を“ out-of-the-box ”VMI の利用により防ぐ.
インターネット上で流通する仮想通貨の一種,Bitcoinには,脅迫や違法物品の売買に際する支払い手段のためBitcoinが使用される事例や,Bitcoinそのものが窃盗の対象となる事件が存在している.
これらBitcoin関連犯罪の犯人は,資金洗浄サービスを用いて犯罪で得たBitcoinの資金洗浄を行っている.資金洗浄サービスとは,複数の利用者から預かったBitcoinを,元の持ち主が誰であったか分からないように返金するサービスである.そこで,Bitcoin関連犯罪の捜査には,犯人が資金洗浄サービスへ預けたBitcoinの返金先を探す必要がある.
本研究では,犯人によってサービスへ預けられたBitcoinの返金先候補を作り,絞り込みを行うことが可能な資金洗浄サービスが存在することを示した.
D-20. 情報論的学習理論と機械学習
3月19日 13:00〜17:00 53号館 403教室 座長 中川慎二(日立)
D-20-1 |
物体認識における画像合成によるデータセットの水増し
◎△石上将太郎・中西知嘉子(阪工大) |
D-20-2 |
能動学習を活用したアノテーション効率化手法の開発
◎三沢博章・古川博基・和久井一則(日立産業制御ソリューションズ) |
D-20-3 |
学習済み重みを利用した畳み込みニューラルネットワークの学習法の初期検討
◎横手宥則・三輪 忍(電通大)・井内悠太・津邑公暁(名工大)・八巻隼人・本多弘樹(電通大) |
D-20-4 |
機械学習を用いた超音波画像装置のプローブの当て方の良否自動判別方法の基礎検討
◎石田康一郎・篠原寿広・中迫 昇(近畿大) |
D-20-5 |
深層学習を用いた楽曲ジャンル分類における分類基準の指標化
◎山川颯人・林 隆史(新潟大) |
D-20-6 |
画面間予測におけるクラウドベース参照画像選択手法
○叶 高駿・宋 天・島本 隆(徳島大) |
D-20-7 |
Self-Attention LSTM を用いた睡眠時無呼吸症候群の検知
◎中野毅郎・笠原竹博(金沢大)・米沢裕司・上田芳弘(石川県工試)・齋藤雅俊・小島好司・藤本由貴・水野史郎(金沢医科大)・南保英孝(金沢大) |
D-20-8 |
統合的な感情推定に向けた人物の動作分類
◎沼田直彌・任 福継・西出 俊・康 鑫(徳島大) |
物体認識を行う深層学習で多くの学習用データが必要となるが、大量の画像を収集するのは困難である。そこで識別する物体を前景画像とし、さまざまな背景画像を合成することで、多くの学習画像を取得することが考案されており、 画像処理を加えてデータセットの水増しを行えば、精度向上が期待できる。本研究では、どのような画像処理を行えば、精度が向上するかを検証する。データセットの水増しを行う前にまず、画像処理を行った後合成した画像のみでどのような精度が見られるか比較した。比較した結果から識別する物体を隠す処理が最も精度を下げることがわかり、この処理を追加して水増しを行うことが実世界での認識率を上げるのに貢献すると考えている。
Deep Learningは,近年,画像認識や映像解析分野を中心に適用が進んでいる.Deep Learningを適用する際の最大の課題は,正解付けされた大量の画像データの準備に大きな工数が掛かることである.特に,画像データに対して人手で正解のラベル付けを行うアノテーションが,工数の大半を占める.本研究では,上記課題に対し,能動学習にデータ拡張処理を加えたアノテーション効率化手法を開発した.6種類の人物姿勢推定を目的に独自で撮影・収集した画像データセット(計66,115枚)で評価した結果,アノテーションの枚数を約1/5以下にまで低減でき,本提案手法の有効性を確認した.
畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)の問題点の一つとして、学習に膨大な時間を要することがあげられる。現在CNN学習の高速化手法が多数開発されているが、その高速化率は十分とは言えない。本稿では、CNNの新しい学習法として、さまざまな学習データセットやネットワークモデルを用いて学習した重みを利用して、新しいデータセットやモデルの学習を高速化する手法を検討する。
近年生活習慣病などの健康問題が増加しており、日常的な健康管理方法として、ヘルスケア用の簡易型超音波画像装置を用いて脂肪や筋肉の厚さやバランスを評価を行う方法がある。しかし専門知識や超音波画像装置の使用の経験に乏しい使用者にはプローブを正しく当てたり、画像の読影を行ったりすることは容易ではない。そこで本研究ではプローブの当て方の良否を自動判別するために、畳み込みニューラルネットワークによりプローブが正しく当てられているかどうかを判別する方法を検討した。20代男女11名の超音波画像2837枚に対して、VGG16ネットワークモデルを用いてプローブの当て方の良否を判別した結果、訓練データ、テストデータに対する判別精度はそれぞれ96%,55%となった。
近年では,インターネットが普及し,ディジタル音楽コンテンツが劇的に増加している.効率の良い楽曲検索システムを実現するためにも,楽曲ジャンルを自動で分類するモデルが必要不可欠である.しかしジャンル間の分類基準は不明瞭なため,モデル設計が困難である.そこで本研究では,深層学習を用いてモデルを設計し,学習したモデルからジャンル間の分類基準を指標化することを目的とする.
本報告では,Convolutional Neural Networkを用いてジャンルを分類し,Generative Adversarial Networkによってジャンル毎の特徴を表すデータを生成するようなモデルを設計したことを報告する.
情報端末・蓄積メディアの発達とともに,扱うデータ量が急激に増大し,高圧縮率に対する要求が高なっている。情報量の増加に対応するために新たな動画像符号化方式H.265/HEVCが標準された。また,近年人工知能の発展とともに,深層学習を用いたビデオ処理技術(D-CNN)の進捗が著しい。また,クラウド上の動画像サーバの普及も進み,クラウドベース上に深層学習関連の処理も可能になっている。本研究では,画面間予測にD-CNNを導入することにより,クラウドベースで最適な参照フレーム選択を行い,特に生成ビットの多い画像の圧縮効率の改善を目的とする。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検知手法として,血中酸素飽和度(SpO2)の低下回数をカウントする手法が利用されている.本研究では一般に普及しているカメラとマイクを使い,動画データと音声データからLSTMを用いてSpO2の推定を行う手法を提案する.LSTMに自己注意の機能を追加することで,SpO2変化時間の個人差を吸収させ,動画データと音声データのどちらを重視するか決定させる.47人のデータに対してSpO2の推定を行った結果,SASまたは非SASかの2クラス分類では正解率は87.2%であった.また,重症度別の4クラス分類を行った結果,正解率は71.3%であった.
人間とロボットの円滑なコミュニケーションに向けた、統合的な感情推定への貢献を目的とし、Multiple Timescales Recurrent Neural Network を用いて、Kinect v2により取得した人体の三次元骨格情報を動作ごとに分類する手法を提案する。 実験には5種類の動作を用い、4種類を学習と認識、1種類を認識のみに使用することで、従来手法では考慮されていなかった未学習データへの有効性の検証を併せて行った。
結果として、学習データの不足や出力が二次元では不足していた問題はあるものの、学習の有無に関わらず動作ごとのクラスタの形成を確認した。
休 憩(15:15 再開) 座長 中西知嘉子(阪工大)
D-20-9 |
組み込みシステム向け異常検知に基づいた制御方式
○中川慎二(日立) |
D-20-10 |
AutoEncoderを用いた工作機械の振動異常検知
○笠羽崚友・笠原竹博(金沢大)・米沢裕司・廣崎憲一・上田芳弘(石川県工試)・鈴木直彦・金子義幸(高松機械工業)・林 哲郎・高杉敬吾・南保英孝(金沢大) |
D-20-11 |
人口動態データからのリアルタイムイベント検知手法の一検討
◎美嶋勇太朗・南川敦宣(KDDI総合研究所) |
D-20-12 |
成績不良の早期予測による留年・退学予防方式
○安部恵介(九産大) |
D-20-13 |
線形回数の所属性質問と1つの正例による正則パターン言語族に対する質問学習アルゴリズム
○松本哲志(東海大)・内田智之(広島市立大)・正代隆義(九州国際大)・鈴木祐介・宮原哲浩(広島市立大) |
D-20-14 |
シミュレーテッド・アニーリングを量子アニーリングでシミュレートすることによるフェアサンプリング
◎山本雅之・大関真之・田中和之(東北大) |
D-20-15 |
PageRankで拡張したAHP
○小林 真・三浦孝夫(法政大) |
機械学習を用いた異常検知が,近年,注目されている.従来の異常検知方式は,比較的規模の大きなシステムに適用されてきたが,今後,IoT(Internet of Things)の普及,自動運転車に代表される端末での処理高度化などを背景に,エッジでの異常検知のニーズが高まる.本発表では,組み込みシステム向け異常検知方式およびそれに基づいた制御方式を提案する.
CNC旋盤の主要ユニットである主軸の状態を振動センサで診断し,故障に至る前に早期交換を促すことで装置の停止時間を削減することが期待されている.本研究では,主軸の加速劣化試験を行うテストベンチを利用して主軸ベアリングが正常状態から異常状態に至るまでの加速度データを取得し,AE(AutoEncoder)を用いた異常検知を行う.特徴量は加速度データから統計的演算と周波数解析にて算出する.2日間の通常動作と9日間の加速劣化動作により加速度データを取得し,通常動作時データを正常データとみなしAEを学習させ,全11日間のデータを評価したところ,加速劣化状態の異常検知が行える可能性が示された.
近年、都市最適化や防災、タクシー配車等の領域において、携帯電話ユーザの位置情報から生成した人口動態情報の活用が進んでいる。災害時の緊急活動では、人口分布の疎密を出力するだけでなく異常変動をリアルタイムに検知しアラートを発することで、対応がより迅速に行われる可能性がある。また、位置連動広告での活用を踏まえると、既存サービスやWeb上では網羅できていないイベントの検知も有効と考えられる。本稿ではこのような社会需要を踏まえ、機械学習によるイベントのリアルタイム検知手法を提案する。
大学においても情報化の進展により、学生の成績や出席状況等の教務データの一元的な収集・管理が可能となってきている。そこでこれらのデータを分析することにより留年や退学を予防する修学支援方式について検討した。まず教務データを用いて、機械学習の適用により学生の成績(単位取得状況)や留年・退学の可能性を予測する。種々の手法や特徴量によりどの程度予測可能か実データにより有効性を検討した。また成績不良に陥る学生を早期に検出することが特に重要であり、そのため出欠パターンから成績不良への変化を早期に検出する方式についても検討する。
計算論的学習理論において,質問学習モデルは質問を用いた学習の数学的モデルであり,データベースから特徴的なパターンを抽出するデータマイニングのモデルとしてみることができる.
この質問学習モデルにおいて,正則パターン言語のクラスは,1つの正例から多項式回数の所属性質問を用いて質問学習可能であることが知られている.
この結果を拡張し,本稿では,1つの正例と線形回数の所属性質問を用いて正則パターン言語のクラスを同定する質問学習アルゴリズムを与える.
量子アニーリング(QA)はコスト関数が2値変数関数で表される組合せ最適化問題を解くアルゴリズムである。最近では、ボルツマンマシンにおけるサンプリングがQAによって行えるという研究がある。しかしながら、ボルツマン分布はコストが等しければ確率も等しくなければならないが、QAによるサンプリングではそうはならないという問題がある(アンフェアサンプリング)。一方、シミュレーテッド・アニーリング(SA)によるサンプリングはフェアである。更に、QAを用いてSAをシミュレートする方法としてSomma-Batista-Ortizの方法がある。本研究では、この方法によってQAでもフェアサンプリングが行えることを示した。
JRAの騎手データをAHPを使いランキングをする。固有値を出す際に固有値法、特異値分解法、対数最小二乗法の3つの手法で固有値を出しそれぞれ評価する。同様にPagerankアルゴリズムを利用した AHPランキングを提案し、評価・比較する。
3月20日 9:00〜11:45 53号館 404教室 座長 安部恵介(九産大)
D-20-16 |
EMアルゴリズムを用いたメール自動分類
○畠田幹太・三浦孝夫(法政大) |
D-20-17 |
生育障害における植物生体電位の解析
○河端 薫・吉見卓朗・柴田慎一(大同大) |
D-20-18 |
動画視聴ログを用いた深層学習による年代推定の実現
永田尚志(NTT西日本)・◎曽根健一(NDS) |
D-20-19 |
Bike Sharing Systemの新たな需要予測モデル提案
◎尾塩琢真(京大)・野中洋一・高橋由泰(日立) |
D-20-20 |
A Universal PVT Characterization: Boosted Decision Tree Regressions for Worldwide Crude Oils Datasets
○Meshal Almashan・Yoshiaki Narusue・Hiroyuki Morikawa(The Univ. of Tokyo) |
本研究では混合指数分布を仮定し、実際のデータを分類し、EMアルゴリズムの初期値依存性、学習データ量、雑音による影響を調べる。最終的に、様々な条件の下で、EMアルゴリズムが最大限働く条件を示す。
一般的に、植物栄養診断は経験に基づいた熟練者の肉眼診断によるものである。そこで、植物を傷つけることなく定量的に栄養診断を行う手法の一つとして植物生体電位による診断が注目されている。本研究では、光合成の評価指標として用いられるクロロフィル蛍光を用いてサポートベクタマシンを行い、植物生体電位による生育評価を試みた。識別する生育状態としてポトスの窒素過剰障害を対象とした。栽培開始から一週間は、栽培条件を揃えるために同じ培養液で水耕栽培を行った。結果としては、RBFカーネルとSMOTEアルゴリズムを用いた学習が、最も識別精度が良い結果となった。今後は、窒素過剰障害時のデータによる細分化した評価実験を行っていく。
パーソナルサービスを提供するため、動画視聴ログに着目して年代推定を行う。動画視聴ログに基づいた年代推定の実現のため、適切な入力データ形式と学習手法の提案をしその正答率について考察する。
公共交通機関や自転車による人々の移動を助けることは、空気汚染、交通渋滞、炭素放出などの公害を減らすための効果的な手段であると考えられており、近年世界中で賃貸の自転車や電気自動車を共有するサービスが実施されている。このようなサービスは、その提供者と利用者にとって、システムが常に機能していることを保証することが重要な課題の一つとなるが、駐輪所の利用パターンは周囲の環境によって大きく変動するため、効率的な運営を目的とした需要の予測は未だ課題が多い。本稿ではイレギュラーなイベントが発生した場合の予測精度に着目し、その精度を向上させるモデルを開発し、従来よりも効率的なBike Sharing System運営の確立を目的とする。
Accurate predictions of the pressure-volume-temperature (PVT) properties of crude oils are important in the exploration and production computations in the oil and gas industry. The main contribution of this study is to evaluate our model, the Boosted Decision Tree Regression (BDTR) model, in characterizing the PVT properties of worldwide crude oils by using the average absolute percent relative error (Ea) measure. In addition, the feature importance of the used worldwide crude oils’ dataset is determined. The built BDTR model outperforms the best empirical correlations and the ANNs in Ea in addition to its interpretable representation capability.
休 憩(10:30 再開) 座長 永田尚志(NTT西日本)
D-20-21 |
内発的動機づけとして「逃避」を取り入れた強化学習
◎西村晋平・長尾智晴(横浜国大) |
D-20-22 |
3Dモデルを用いたデータオギュメンテーションによるカワウ認識
◎吉原蓮人・北風裕教(大島商船高専) |
D-20-23 |
Elastic Netと経済レポートから抽出した極性情報を用いた日経平均株価の予測
○福地 翼・柴田慎一(大同大) |
D-20-24 |
線形モデルを用いたシステムトレードロジックの構築
◎岡 佑依・黒田久泰(愛媛大) |
D-20-25 |
確率的離散一次法による特徴選択
◎工藤晃太・野村 亮(専修大)・高野祐一(筑波大) |
強化学習において,環境からの報酬が疎なタスクでは方策の学習が困難である.そこで,強化学習に内発的動機づけを取り入れる研究が行われているが,本稿では内発的動機づけの要素の1つである「逃避」を取り入れた強化学習の手法を提案する.逃避のモデリングはストレスという概念の導入およびストレスに基づいた学習タスクの切り替えで構成されており,ストレスがしきい値を超えた場合に学習タスクを切り替えることで逃避を表現する.提案手法をシミュレーション環境に適用し,逃避を取り入れなかった場合と比較して学習性能の向上が確認できた.また,内発的動機づけを取り入れる他の手法と比較して同程度の学習性能が確認できた.
我々は,ドローンでカワウを追従するために,深層学習技術を利用し画像認識を試みる.カワウの認識率を向上するためには最良の学習セットが必要となるが,十分なカワウの学習画像を収集することは困難といえる.
そこで本研究では,カワウの2D画像から知識情報を付加して3Dモデルを生成する手法を提案する.羽ばたく様子などの骨格移動を再現したモーションを作成して背景画像と組み合わせ,カメラ位置を変動させることで2D画像を再生成する手法である.この手法で得られた膨大な学習セットに対する深層学習による認識率の向上について検討した結果,非常に効果的な結果が得られたので報告する.
近年、情報技術の発展に伴い機械学習法を用いた分析や予測が盛んになっている。そのため金融市場の予測において機械学習を応用する動きが活発になっている。また、スマートフォンの普及によって株式取引の手数料が低下したことで、個人投資家の数が増加傾向にある。株式予測には大きく分けて株価チャートを用いたテクニカル分析と経済レポートから抽出した極性値を用いたファンダメンタル分析の2つ分析方法が存在している。しかし、テクニカル分析は種類数が豊富なため、適切な手法を選択する必要がある。そこで、本研究ではElastic Netを用いてテクニカル指標の変数の選択と経済レポートによる極性値による株価予測を試みた。
金融取引において,強化学習などに基づいたシステムトレードは判断基準がブラックボックス化し,分析しにくいという問題点がある.そこで線形モデルに基づいた次の足の終値を予測し,システムトレードの問題点に対して,新規のシステムトレードロジックを提案する.さらに,提案したトレードロジックの有用性について示す.本研究では,暗号資産ビットコインでの取引を想定し,入力特徴量を前5〜20本の終値とし,線形回帰,リッジ回帰,Lasso回帰を学習モデルとし,価格予測を行う.線形モデルには制約条件を通常最小二乗法とした線形回帰,L2正則化としたリッジ回帰,L1正則化としたLasso回帰があり,それぞれの汎化性能は異なる.これらの中で最も予測精度がよかったモデルが作成した予測式を新規テクニカル分析と考え,これを売買基準とし,実際のデータを元に完全自動で仮想的に売買を行い,有効性を検証する.
予測モデルを作成する際に,有効な特徴量を選択する問題は特徴選択と呼ばれる.Bertsimas et al. (2016) は,回帰モデルに対する特徴選択のための高速アルゴリズムとして,離散一次法を提案した.しかし離散一次法は,局所的最適解に到達するとそこから抜け出すことができず,それゆえ良質の解を得られない場合が多い.
本研究では,局所的最適解から抜け出して広範囲の解を探索するために,離散一次法の探索点列に対して確率変動を加えた確率的離散一次法を提案する.また,離散一次法の適用対象を最小二乗確率的分類へと拡張し,さらに探索方向への移動幅の最適化やL2罰則項を利用して,アルゴリズムの性能を向上させる.
D-21. マルチメディア情報ハイディング・エンリッチメント
3月22日 9:30〜11:45 54号館 202教室 座長 小嶋徹也(東京高専)
D-21-1 |
平均化攻撃による電子透かし情報耐性の一検討
○藤村 誠・松林龍之介(長崎大)・今村幸祐(金沢大)・黒田英夫(長崎大) |
D-21-2 |
ウェーブレット分解を用いた振幅の増減に基づく音楽電子透かし
◎丸山貴大・村田晴美(中京大)・荻原昭夫(近畿大) |
D-21-3 |
2次元コード読み取りアプリ(セラミックス製品向け)の性能調査
◎上野 唯・藤川真樹(工学院大) |
D-21-4 |
サラウンド音響の可視化手法と仮想音源方向推定の検討
◎山本華帆・荻原昭夫(近畿大)・村田晴美(中京大) |
電子透かし技術を用いて,画像上の異なる位置に埋め込み情報を埋め込むことによって,平均化攻撃による埋め込み情報の破壊軽減が期待できるものと考えられる.本稿では,異なる位置に埋め込んだ透かし情報が平均化攻撃によってどのような影響を受けるかを検証する
デジタルコンテンツの著作権保護の手段として,電子透かしという技術が注目されている.音楽を対象とした電子透かし法として振幅増減に基づく音楽電子透かし(以下,従来法) が考案されているが,主観的な音質が音楽理論に基づく手法と比べると十分とはいえない.そのため,本稿では従来法に対してウェーブレット分解を用い,特定の帯域に分解した波形に埋め込みを行なうことで主観的な音質を改善させる手法を提案する.
高級陶磁器は木製の共箱と一対となって保管され、陶磁器に関する情報がこれに記録される。共箱は有機物であるため経年劣化により文字が読みにくくなり、紛失すると情報が得られなくなる.これを解決するために意匠を損なわないよう、陶磁器本体に視認困難な2次元コードを陶磁器に焼き付ける方法がある。本研究では、消費者が手軽に入手可能なUV光源とスマートデバイスのカメラを用いて視認困難な2次元コードから文字情報を抽出する撮影条件とその範囲を探索した。その結果、最適値とその範囲を再現性をもって抽出することができた。
サラウンド音響は映画館などでは古くから導入され,近年では家庭でも楽しめるようになっている.サラウンドでは信号に振幅差を与えることによって仮想音源を作り出すことができる.本稿では,サラウンド音響の可視化手法として「色」を用いた方法および仮想音源方向の推定について報告する.提案する可視化手法は,音の三要素である高さ・大きさ・音色を,色の三要素である明度・彩度・色相にそれぞれ対応させる方法である.評価実験の結果として,一定の有効性を確認することができた.また,仮想音源方向の推定する手法としてMUSIC法を用いた方法についても報告する.
休 憩(10:45 再開) 座長 荻原昭夫(近畿大)
D-21-5 |
メディア再生自動化アーキテクチャの提案
◎前島綜太朗・持田康弘・山口高弘(NTT) |
D-21-6 |
ハンドサインを用いた一人称視点映像の編集方法
◎伊関信之・嶌田 聡(日大) |
D-21-7 |
放送番組の代替・関連コンテンツを提示するシステムの評価
○田口周平・遠藤大礎・竹内真也・藤澤和也(NHK) |
D-21-8 |
視線情報によるCMの好感度を示す定量的な指標の提示
◎五日市 創・秦野 亮・西山裕之(東京理科大) |
近年,コンサートやスポーツ観戦等の“体験型消費”の市場規模が拡大傾向にあり,その様な体験を高臨場コンテンツ再生で再現する手法も広がりつつある.一方で,そのようなコンテンツは特定の再生環境を前提にして作成されるため,体験の機会が限定される問題がある.本研究ではこの問題を解決するために,コンテンツ作成者が明示的に付与するもしくは何かしらの手法で自動抽出されるメディアの提示サイズや提示位置関係等を「再生効果」と呼び,各環境で利用可能な再生デバイスを活用し,再生効果を最大化する再生を自動化する手法を検討する.提案手法の実現性を評価するため,照明と映像で構成されるコンテンツをマッピングする実験を行った.
技能伝承やスキル獲得等の学習に映像がよく利用されているが,適切な素材映像の撮影および編集の負荷が大きいことが課題である.撮影の負荷については一人称視点映像を用いることで解決できる.著者らは一人称視点映像を有効に活用できる方法として手の平の重ね書きで映像シーンに対してメモを記録する方法を検討している.この方法では,メモの記録に時間がかかるので,映像編集に特化したハンドサインであれば作業や見学中に付与することができる.本稿では,人の頭部に装着したカメラで撮影する一人称視点映像で素材映像を取得し,編集映像に採用する有効区間を示すハンドサインをその場で記録し,映像を効率よく編集する方法を提案する.
放送やネットで配信される放送番組に加えて、ダイジェスト動画、あらすじサイト、関連SNS等の代替・関連コンテンツも提示する試作システムの有効性を検証するため、10代から50代の男女50人に対して評価実験を行った。「番組について知りたいという関心が満たされる程度」、「番組や関連コンテンツを見る意欲」、「家族知人に共有する意欲」の3つの評価項目において、番組のジャンルや性別・年齢を問わず、試作システムに対して肯定的な結果が得られた。被験者の感想を参考にすると、短時間で調べることが困難であった所望の放送回の番組について、本試作システムにより効率よく調べることができたことが肯定的な結果が得られた要因と考えられる。
近年,より精度の高いCMの効果分析のために,従来のアンケートによる主観的な分析に代わる,生体情報による客観的な分析に期待が寄せられている.本研究では,視線情報のみを用いてCMの好感度を示す定量的な指標を提示することを目的とする.目的の実現のために視線分布を混合正規分布によってモデル化し,「好感度の低いCMほど繰り返し視聴すると視線の動きがばらつき,視線分布のエントロピーが大きくなる」という仮説を立てた.この仮説を実証することで,CMの好感度を示す定量的な指標として視線分布のエントロピーを提示する.結果,CMの好感度と視線分布のエントロピーは強い負の相関を示し,今回の実験では仮説を実証することができた.
D-22. クラウドネットワークロボット
3月19日 10:00〜11:30 53号館 203教室 座長 小林優佳(東芝)
D-22-1 |
エンゲージメント推定に基づくビデオ通話支援ロボット
◎傳 思成・福田悠人・小林貴訓・久野義徳(埼玉大) |
D-22-2 |
搬送ロボットのための遠隔操作システムの開発
○中根旺浩・福田悠人・小林貴訓・久野義徳(埼玉大) |
D-22-3 |
マルチコプタ型斜面移動ロボットの滑り解析
◎西村勇輝・山口友之(筑波大) |
D-22-4 |
外乱環境下での三次元平面移動ロボットの姿勢制御
◎坂本 真・山口友之(筑波大) |
D-22-5 |
小型UAVの屋内飛行のための経路生成とQRコード探索法の研究
臼杵 潤・○高橋 陸(神奈川工科大) |
D-22-6 |
小型UAVのための画像処理による屋内飛行位置の補正に関する研究
○星 拓実・臼杵 潤(神奈川工科大) |
対話への参加意欲(エンゲージメント)を計測し,ロボットの対話制御に利用する研究が多く行われている.我々の研究グループでは,独居高齢者のための対話支援システムを開発してきた.これは離れて暮らす家族との遠隔での対話(テレビ電話)を支援するものであり.本稿ではテレビ電話を用いた対話支援システムにおいて,対象のエンゲージメントの度合いに応じて動作するロボットを追加することで,対象の対話への参加を支援する対話システムを提案した.本システムはOpenposeから得られる人の骨格情報を用いて,対象のエンゲージメントを推定する.今後は,ロボットの振舞いの方法を検討し,対象のユーザに不快感を与えることなく自然に対話への参与を促すような方法について検討する.
我々は少子高齢化の進展に起因する労働力の減少という問題に対して,荷物搬送の支援による業務効率や労働環境の改善という観点から運搬作業を支援する搬送ロボットの研究を行い,病院やショッピングセンター等で実際の使用状況を想定した評価実験を行ってきた.
評価実験の際の想定利用者への聞き取り調査から,遠隔地に駐機している移動ロボットを必要な場所に呼び出す機能や遠隔地にいるロボットの現在位置を把握する機能が実環境でロボットを運用するために必要であることが分かった.
そのため,本稿では,遠隔地から搬送ロボットの呼び出しや現在位置表示などを行うことのできるシステムを提案する.
農業,インフラ整備など斜面や壁面での作業は作業者の負担が大きい.移動ロボットによる作業の自動化が注目されている.しかし,斜面や壁面で作業を行う移動ロボットでは,アクチュエータや検査機器等の積載荷重が増加すると,ロボットの姿勢が不安定となり転倒や滑りが発生することが課題である.そこで,ロボットの機体をプロペラの推力により斜面に押し付け,垂直抗力を大きくすることで摩擦力を増加させ,斜面での姿勢維持が可能なマルチコプタ型移動ロボットを提案する.本稿では,斜面上のロボットに加わる力やモーメントがロボットの姿勢に与える影響等の理論的考察および数値的な解析を行い,その特性について評価検討を行う.
近年インフラの老朽化が問題となっている.特に多くの橋梁が検査を必要としている.そのため,マルチコプタや壁面移動ロボットによる自動検査の研究が行われてきている.マルチコプタは風などの外乱に弱く姿勢が不安定になりやすい.そこで,我々はマルチコプタに接触用の外骨格を取り付け検査平面に常に押し付けることで外乱の影響を抑える機構を提案してきた.この手法では,押しつけの自動制御と外乱の計測機構が実装されておらず,常に最大押しつけ力で機体を維持するにとどまっていた.そこで,本研究では押しつけ力の計測機構と外乱の計測機構を開発し,押しつけ及び移動の自動制御方法について述べる.
近年,小型UAVの高性能化とその活躍現場が増えていく中,建物内での飛行を対象とする研究も進められている.このような中,小型UAVが搭載カメラのみを使用して屋内を自律飛行するために,QRコードの埋め込み情報による現在位置の検出と進行方向を判断する方法について研究されているが,飛行精度の向上が課題となっている.そこで本研究では,搭載カメラにて床面のQRコードを撮影し,仮想地図DBを参照しながら目的地まで飛行する方法とQRコードを見失う問題への対処方法について提案した.実験の結果,各QRノードと仮想地図DBとを連携して目的地に向かって自律飛行することができ,本研究の有効性を示すことができたと考える.
需要の変化が激しく商品ライフサイクルが短くなる中,倉庫内管理の効率化のため生産物流拠点では立体自動倉庫が活用されている.しかし,導入費用の高さから消費者に近い倉庫では人手による管理が一般的であり,ミスや作業時間の観点から改善が望まれる.このような中,安価な小型UAVの搭載カメラと床面のQRコードを用いて倉庫内の自律飛行や現品管理を行う研究がある.しかし,屋内ではGPSが使用できないため飛行誤差が生じやすく,長距離移動が困難という問題がある.本研究ではこの問題を解決する為QRコード認識率の向上と画像中の移動ベクトルを用いた飛行誤差の補正による目的地到達精度の向上法の提案と有効性について検討した
D-23. サービスコンピューティング
3月19日 9:00〜11:00 54号館 203教室 座長 木村功作(富士通研)
D-23-1 |
メッセージング・ネットワークを用いた情報基盤による高速道路の次世代情報化
◎勝木啓介・林 隆史(新潟大) |
D-23-2 |
GPS/BeiDouにおけるマルチパスが位置捕捉精度に与える影響
◎篠崎 蓮・辰口 尚・小熊 博(富山高専)・山形文啓(釧路高専)・亀田 卓・末松憲治(東北大) |
D-23-3 |
Wi-Fi電波強度を用いた災害時の被災者発見支援システムの検討
◎島田拓海・河合 怜・小泉 敦・小熊 博(富山高専) |
D-23-4 |
行列計算を用いた秘密計算による位置情報保護
◎石川正人・吉浦紀晃(埼玉大) |
既設の高速道路上にある設備の通信方式は非IP回線が多く残っている。回線を構成する装置は更新時期を迎えつつあり、順次インターネットプロトコルを用いた装置への更新が計画されている.回線をIPネットワークへの移行することでインタフェースの共有化や低コスト化が可能といったメリットがあげられるが,単純にIP化するだけでは費用対効果が薄い.本研究では,IP化のメリットを高めるため,メッセージング・ネットワークを用いた情報基盤の提案と通信方式,メッセージングプロトコルを検討し,構築した情報基盤の性能評価を行った.
我々は,高精度位置情報を無線通信分野や防災分野に応用することを念頭に天空率を指標としたGNSS (Global Navigation Satellite System) の位置捕捉精度の評価を進めている. 本論文では, 打ち上げが進むBeiDouに着目し, GPSとBeiDouのマルチGNSSシステムを対象に低天空率環境下におけるマルチパスが位置捕捉精度に与える影響について測定および評価を行ったので報告する.
大規模な自然災害の際,津波や土砂崩れによる人的被害は常に報告され,災害時の被災者の安否確認および救助活動を迅速に行うシステムの確立が喫緊の課題となっている.我々は津波や土砂崩れ,雪崩等に巻き込まれ土砂や瓦礫の下に生き埋めになった被災者の発見を支援するシステムとして, 被災者の持つスマートフォンやウェアラブルデバイス等のWi-Fiデバイスから発信される電波強度に着目し富山高専近くの砂浜で評価したところ, 約2mの範囲での捜索が可能であることを示した. 本稿では, 土地の種類を変えて土中内のスマートフォンから発信されるWi-Fi電波強度の測定および評価を行ったので報告する.
検索者が位置情報を用いて,POI(Point Of Interest)の位置情報を持つデータサーバに近くの施設を問い合わせるサービスにおいて,検索者のプライバシーを保護するために位置情報を隠して検索を行いたい.そこで検索者の位置情報を暗号化したまま検索のための計算が行える秘密計算が必要となる.位置情報保護とは別の用途で考案された秘密計算の手法にASPEがある.本研究ではASPEを位置情報保護に適用させ,従来方式と比べ秘匿性の向上と計算の高速化を目指す.
休 憩(10:15 再開) 座長 細野 繁(NEC)
D-23-5 |
北国における生活環境改善のための情報共有の基礎検討
○新井義和・齊藤義仰・羽倉 淳・柴田義孝(岩手県立大) |
D-23-6 |
洗浄液交換時期予測に用いるセンサデータ期間選択の検討
○牛山泰伸・黒飛孝治(ナカヨ) |
D-23-7 |
成熟度を考慮した製造ソリューション選定スキームの一検討
○高橋清隆・緒方祐次・野中洋一(日立) |
北国は山間部が多く,高齢/過疎化が進行している地域が多いことから,交通インフラはもとより,IoT 社会を迎えてもなお情報通信インフラの整備が十分に進んでいるとは言い難い.しかしながら,例えば北国に特有の冬季の路面凍結にともなう交通事故は,各自動車の運転者が道路の凍結地点の情報を事前に共有することによって回避できる.本研究では,上記のような交通および情報通信インフラの整備が不十分な状況においてさえも情報共有によって住民を有機的に結び付けるための基盤となる北国 IoT プラットフォームの構築を目指し,同プラットフォームに必要な基本機能を検討する.
現在,製造業においてIoT化が急速に進み,
工場の機器等にセンサを取りつけて温度や振動等の値を計測し,
値の見える化やデータ分析を用いて保全作業を効率化する取り組みが盛んに行われている.
本稿では,保全作業効率化の一環として,工場の製造工程における,
加工板金の脱脂工程で用いる洗浄液の交換について扱う.
洗浄槽にpHセンサを取り付け洗浄液のpH値を計測し,そのpH値推移から
洗浄液交換時期を予測する取り組みにおいて,予測の妨げとなる
pH値急上昇部分を除外したデータ期間を選択する方法について提案する.
本稿では,日本が進めるConnected Industriesの重点取組分野である”ものづくり”や”ロボティクス”,また,ドイツが主導するIndustrie4.0が目指すスマートマニュファクチャリングの実現に向けて,個々の製造現場の成熟度に応じた生産システムを高度化するために適用すべきソリューションの選定スキームを提案する.
シンポジウムセッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
DS-1. COMP 学生シンポジウム
(コンピュテーション研専)
3月19日 10:00〜11:40 54号館 102教室 座長 玉置 卓(京大)
DS-1-1 |
アノテーション自動化を目的とした動画データ環境整備手法の提案
◎△河西達彦・松井加奈絵(東京電機大) |
DS-1-2 |
実写手話映像におけるろう者の緊急情報読み取り方略の分析
○品田紗弥花・米村俊一(芝浦工大) |
DS-1-3 |
スマートホームにおける複合現実による家電操作システムの実装
○鶴山優季子・曽根田悠介・大坪 敦・菅田唯仁・鳥越庸平・Chenyu Dang・水本旭洋・荒川 豊・安本慶一(奈良先端大) |
DS-1-4 |
Multi-Class Sentiment Analysis in Twitter Using Machine Learning and Deep Learning
○Mondher Bouazizi・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.) |
大学教育における講義中の講師や受講者の動画を撮影して解析し,授業内における心身の変化を検知することで,授業活動の改善等に生かしていく取り組みがある.このような取り組みを行うためには,動画データによる機械学習を行い,自動判別を行う必要があるが,機械学習を行うためには動画内の変化に意味,つまりはアノテーションを付随させる必要がある.これらの作業時間の短縮のためには,煩雑化しやすい動画データの管理と,アノテーション付与のための編集環境の構築が重要となる.そのため,本論文では講義形式,ワークショップ形式の講義を対象とし, (1) Google Spread Sheetなどフリーツールを利用したデータ管理方法,(2) 動画編集ソフトを用いたアノテーション付与方法を提案し,実データを用いて整備した結果について述べる.
地震などの大規模災害が発生した場合,手話を母語とするろう者向けに映像通信を用いて情報伝達できるような方法が求められている.我々は,災害時の低速回線でも手話実写映像を用いて緊急情報を伝達できるような手話映像圧縮方式の検討を行っている.映像に含まれる画像フレーム数を削減するため,手話の特徴を強く反映し,それが欠落すると手話内容が解読できなくなる画像を手話キーフレームと位置付け,手話キーフレームのみを伝達する手話キーフレーム映像伝達方式を提案してきた.しかし,手話はインタラクティブ性の高い言語であるため,ろう者にとって手話映像を1度確認しただけでは,伝達内容を全て把握することが困難な場合がある.そこで手話キーフレームによる緊急情報映像をろう者が適切に読み取れるかどうか検証する必要がある.
本稿では,ろう者が手話による緊急情報を読み取れた場合,手話単語や表情などの読み落としがどのように発生し,読み取りにどのように影響するのかについて実験的な検証を行った.実験の結果,ろう者が手話映像を読み取る場合の読み落としが頻発すること,および読み落とし方について傾向があることが判明したので報告する.
技術の発展に伴い,様々な機能を持った家電製品が生産されている.しかし,それらを操作するリモコンは単一の家電のみ操作可能であり,その操作方法も様々である.そのため,リモコンの紛失や複数の操作方法を覚える必要があり,ユーザの満足度を低下させる可能性がある.そこで本研究では,Head Mounted DisplayとMixed Reality を活用した直感的にわかりやすい家電操作システムを開発し,学内に設置されている実際のスマートホームに実装したため報告する.
Multi-Class sentiment analysis is a particular type of sentiment analysis in which a piece of text is attributed one out of many sentiment classes. This is in contrast to the conventional binary or ternary sentiment analysis where the piece of text is attributed a class out of two or three, respectively. In this report, we introduce an approach that uses both deep learning (DL) and machine learning (ML) techniques to perform multi-class sentiment analysis and improve the classification accuracy compared to the approaches, which rely solely on ML or DL. For 7 different sentiment classes, our approach reaches an accuracy equal to 66.2%, outperforming the ones that rely on ML and DL by around 6% and 1% respectively.
3月19日 13:00〜15:45 54号館 102教室 座長 藤戸敏弘(豊橋技科大)
DS-1-5 |
(依頼講演)Reconfiguration of Satisfying Assignments for CSP
◎Tatsuhiko Hatanaka(Tohoku Univ.) |
DS-1-6 |
円周上のmax-min 4-dispersion問題
○四家祐志・佐藤寛斗・宮田洋行・中野眞一(群馬大) |
DS-1-7 |
ステップ関数による点集合の近似問題
○兜森崇平・中野眞一・宮田洋行(群馬大) |
Constraint satisfaction problem (CSP) is a well-studied combinatorial problem, in which we are asked to find an assignment of values to given variables so as to satisfy all of given constraints. We study a reconfiguration variant of CSP, in which we are given an instance of CSP and two satisfying assignments, and asked to determine whether one assignment can be transformed into the other by changing a single variable assignment at a time, while always remaining satisfying assignment. This problem generalizes several well-studied reconfiguration problems such as Boolean satisfiability reconfiguration, vertex coloring reconfiguration, homomorphism reconfiguration. In this report, we study the problem from the viewpoints of polynomial-time solvability and parameterized complexity.
円周上の n 個の点の集合を P = {p1,p2,...,pn} とする.これらを施設の配置候補点の集合とする.P 中の 2 点 u,v の円周に沿った距離を d(u,v) とする.P と 2 つの整 数 k と d が与えられたとき,|S| = k となる集合 S ⊂ P で, cost(S) = min x,y∈S {d(x,y)} が最大となるものを k-dispersion とよび,そのような S を求める問題を max-min k-dispersion 問題とよぶ.
本論文では,max-min 4-dispersion 問題を解く O(n) 時間の簡単なアルゴリズムを設計する.
平面上のn 個の点の集合P と整数k が与えられたとき, P との距離が最小のステップ関数f でステップ数がk であるものを求める問題をk ステップ関数問題とよぶ.この問題を解くO(rn) 時間ア
ルゴリズムを設計した.
休 憩(14:30 再開) 座長 中野眞一(群馬大)
DS-1-8 |
(依頼講演)サイズ関数を一般化した最密部分グラフ問題
河瀬康志(東工大)・◎宮内敦史(理研) |
DS-1-9 |
単位円グラフに対するL(2,1)-ラベリングの8.5-近似アルゴリズム
◎山中寿登・小野廣隆(名大) |
DS-1-10 |
複数の巡査による線分警邏のゲーム理論的分析
○奥村恭平(東大)・河村彰星(九大) |
本研究では,ネットワーク解析における基本的かつ重要な操作である密グラフ抽出を扱った.密グラフ抽出に対しては,様々な最適化モデルが知られているが,そのなかで最も活発に利用されているのが,最密部分グラフ問題である.しかしながら,最密部分グラフ問題では,出力する部分グラフのサイズを指定できず,応用上望まれているサイズの部分グラフが求められない場合がある.本研究では,この問題を解決するため,最密部分グラフ問題を一般化し,新たな最適化問題を導入した.この問題に対して,多項式時間の厳密アルゴリズムや精度保証付き近似アルゴリズムを設計した.
与えられたグラフの任意の頂点u, vに対して, uとvが隣接するとき|L(u)-L(v)|≧2を, uとvの距離が2のときL(u)≠L(v)を満たすような, 頂点の非負整数の割り当てLをL(2, 1)-ラベリングという. L(2, 1)-ラベリング問題は割り当てLのラベルの値の範囲(つまりmax(L(u)) - min(L(u)) + 1)を最小化するものである. これまで単位円グラフに対するFialaらによる分割統治型の12近似アルゴリズムが知られている. 本論文では, これを改善する8.5-近似アルゴリズムを提案する. 近似率12からの改善はグラフの最大次数に着目した前処理の採用と, Fiala らのアルゴリズムで用いられた分割とは異なる分割を利用することにより, 達成している.
守るべき図形内を巡査がくまなく動きまわることで攻撃を防ぐ警邏(patrolling)について考える.本稿では特に国境のように警邏の対象が一本の線分で表される問題を考える.巡査は線分上を速さ1以内で動くことができる.攻撃はこの線分上の一点に対して連続する一定時間に亘って加えられるとし,その間に巡査(の一人)がその点を通る確率がなるべく大きくなるように巡査の動き方を決めたい.攻撃者は賢く,警察の裏をかいて攻撃の位置や時刻を決めようとするかもしれない.
巡査が一人の場合については,Alpernらがこの状況を巡査と攻撃者の間の零和ゲームとして定式化し分析している.特に守るべき図形が線分である場合の最適警邏戦略はPapadakiらにより与えられた.
本稿では巡査が複数人いる際の線分警邏ゲームを考える.巡査が複数人の警邏ゲームを定式化した上で,特に巡査が二人の場合について,最適戦略の候補となる警邏戦略を考案し,その性能を評価する.