プログラム
format_list_bulleted通信ソサイエティ
一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
B-1. アンテナ・伝播A(電波伝搬,非通信利用)
9月12日 9:00〜11:45 B棟 2F B208講義室 座長 中林寛暁(千葉工大)
B-1-1 |
都市内マイクロセル伝搬損失の物理モデル
◎石本克月・市坪信一(九工大)・表 英毅(ソフトバンク)・藤井輝也(東工大) |
B-1-2 |
Walfisch-Ikegamiモデルの高周波数帯への拡張に関する検討
○山田 渉・久野伸晃・中村光貴・佐々木元晴・守山貴庸・鷹取泰司(NTT) |
B-1-3 |
高速道路IoTにおける電波伝搬測定
○宮下真行・芹澤弘一・田島裕輔・岡廻隆生(ソフトバンク) |
B-1-4 |
六面体アンテナと偏波の違いによる伝搬損失評価
○五十嵐悠貴・西森健太郎(新潟大)・島崎安徳(パナソニック)・谷口諒太郎(新潟大)・濱邉太一・竜田明浩・江村鉄兵・浅田拓也(パナソニック) |
B-1-5 |
機械学習を活用した伝搬損失の鉛直方向特性推定の検討
○久野伸晃・山田 渉・佐々木元晴・中村光貴・守山貴庸・鷹取康司(NTT)・猪又 稔・北尾光司郎・今井哲朗(NTTドコモ) |
衛星や航空機による通信と携帯電話システム等の陸上移動通信との共用を図るために、地物による損失(クラッター損失)の検討がITU-R SG3で進められている。クラッター損失の仰角特性を元にマイクロセルの伝搬損失の物理モデルを検討したので報告する。
次世代移動通信ではより大容量の通信を可能となるミリ波帯の活用が想定されている.Walfisch-Ikegamiモデル(WIモデル)は屋根越え伝搬環境で広く使われているモデルであるが,適用可能周波数は800MHzから2GHzまでであり,5GHzまでの周波数拡張検討が報告されているものの,ミリ波帯への拡張検討は行われていない.そこで本稿ではWIモデルについて,ミリ波帯への周波数拡張検討を行ったので報告する.
多数接続IoT通信 (mMTC) をサポートする第5世代移動通信システム (5G) のユースケースとして,道路付帯設備 (橋梁,トンネル,高架橋) の劣化状態や通行する車の監視を行う高速道路IoTへの活用が検討されている [1].
本稿では, 橋梁の劣化監視を想定し,基本特性である電波伝搬損失特性ついて,実環境での測定結果をITU-Rモデルと比較評価したため報告する.
第5世代移動通信システム(5G)に向けた開発が進められている.5G導入後は4Gまでの端末が多数存在するが,管理下の無線ノードの干渉を制御し,ネットワーク全体の通信量を最大化するコンセプトが提案されている.このような多数のIoT端末が存在する環境での基礎検討として,端末側の伝搬特性を把握するための検討を進めている.本稿ではIoT端末を想定して,全方向からの電波を取得可能な六面体アンテナを用いて,2.4GHz帯における伝搬損失特性を評価した結果について述べる.
増大する無線通信トラヒックを収容するため,第5世代移動通信システム(5G)ではセル密度向上や6~100GHzの周波数帯開拓が検討されており,様々な形態での基地局の設置が予想される.しかし,3GPP の都市部マクロセルモデルでは,基地局は周辺建物よりも高く,端末の高さは22.5mまでに限定される.本稿では筆者らが構築したドローン系を用い,地上から約40mまで連続的な測定結果を基に学習した,機械学習を活用した鉛直方向の伝搬損失特性推定モデルについて報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 市坪信一(九工大)
B-1-6 |
周波数平均JADE-MUSIC法を用いた66GHz帯到来波推定
○齋藤健太郎・Mirfananda Ahmad Salaam(東工大)・中村光貴・久野伸晃・山田 渉(NTT)・高田潤一(東工大)・鷹取泰司(NTT) |
B-1-7 |
LOS市街地ストリートセル環境における20GHz帯到来方向特性
◎立神光洋・藤元美俊(福井大)・北尾光司郎・今井哲朗(NTTドコモ) |
B-1-8 |
低基地局における垂直面電波到来角特性
○佐藤彰弘・緒方大悟・木村 翔・表 英毅(ソフトバンク) |
B-1-9 |
道路際低基地局における基地局側電波到来角度モデル その2
○緒方大悟・佐藤彰弘・表 英毅(ソフトバンク) |
B-1-10 |
移動体通信における移動局側垂直面電波到来角度の測定解析
○木村 翔・緒方大悟・佐藤彰弘・表 英毅(ソフトバンク) |
multiple-input and multiple-output (MIMO)伝送は今日の無線通信システムの通信容量増大や信頼性向上のための必須技術となっているが,その性能は伝搬チャネル特性に依存しているため,様々な環境において電波伝搬測定とチャネルモデリングが行われてきた.MIMOチャネルモデリングでは,測定データより到来波の伝搬遅延や到来方位角等の伝搬パラメータを推定する必要がある.MUSIC法は実装が簡易で高速な推定を行う事ができるという利点があり広く用いられてきたが,測定に用いたアレーアンテナ応答特性の考慮や,高相関・近接波の分離・推定が難しい等の問題点もある.本研究では,MUSIC法において信号周波数領域で平均化を行う周波数平均手法を適用する事で,高相関波の推定精度を向上する手法を新規に提案する.66GHz帯チャネルサウンダに本手法を実装し,電波暗室における実験で有効性の検証を行った.
第5世代移動通信システムでは,低基地局アンテナを利用したスモールセル導入が検討されている.スモールセルは,移動体が密集する市街地ストリートセル環境に導入される.高周波数帯におけるチャネルモデルは3GPPやITU-Rにおいて標準化されたが,これらは実際の街構造と伝搬経路の関係について,把握することはできない.
本稿では,20GHzチャネルサウンダにより測定されたデータに対し,SAGEアルゴリズムによる到来方向推定を行い,平均到来角度・角度スプレッドを求める.また,レイトレースの結果とともにLOS環境における到来方向特性について検討を行う.
移動体通信においてMIMO等の空間処理アルゴリズムを精度良く評価するためには、電波到来角プロファイル推定が重要である[1]。また、昨今基地局アンテナ高を平均建物高よりも低く設置する屋外スモールセル構成が注目されているため、低基地局環境における電波到来角プロファイル推定が求められている。著者らは、基地局高15mの低基地局環境における垂直面電波到来角プロファイルを測定した[2]。本稿では、低基地局環境において基地局高を変化させて基地局高と平均建物高の関係について検討する。また、高基地局における測定結果と比較する。
移動体通信においてMIMO等の空間処理アルゴリズムを精度良く評価するためには、電波到来角度プロファイル推定が重要である。著者らは、道路際に設置した低基地局における基地局側電波到来角プロファイルを測定し、その特性は周波数に依存しないことを明らかにした。また、移動局が道路を越えて向かいの建物群の方向にある場合の道路際に設置した低基地局における実験式を提案している。本稿では、測定結果から、移動局が向かいの建物群の角の延長線上の見通し外環境にある場合の道路際に設置した低基地局における実験式を提案する。
移動体通信においてMIMO等の空間処理アルゴリズムを精度良く評価するためには,電波到来角プロファイル推定が重要である[1].移動局側の水平面電波到来角プロファイルは,様々な環境における測定結果を基にした推定法が提案されている[2].一方,移動局側の垂直面到来角プロファイルに関する報告は少ない.本稿では,市街地と郊外地が混在する環境において移動局側の垂直面電波到来角プロファイルを測定し水平方向も考慮した垂直面電波到来角特性を明らかにする.
9月12日 13:00〜17:00 B棟 2F B208講義室 座長 日景 隆(北大)
B-1-11 |
大規模屋内空間におけるFDTD法とレイトレース法の比較
○嶌田斐呂・前山利幸(拓殖大)・山本尚武・菱川哲也(パナソニック) |
B-1-12 |
金属製天井オフィスを想定した簡易モデルにおける920MHz帯のFDTD法とレイトレース法による電波伝搬解析
○山本尚武・菱川哲也(パナソニック)・齋藤健太郎・高田潤一(東工大)・前山利幸(拓殖大) |
B-1-13 |
レイトレース法,PO法,FDTD法による散乱波の影響比較
◎松本昇紘・van Wyk. Pieter・吉敷由起子・淺沼雅行(構造計画研) |
B-1-14 |
2回回折波の影響を考慮したアンテナ間干渉波に関する評価
◎大橋諒太郎・田中 泰・瀧川道生・米田尚史(三菱電機) |
B-1-15 |
タイムシフトFBTS法のノイズ耐性に関する研究
◎藤吉和樹・田中俊幸・森山敏文・廣重明男(長崎大) |
大規模領域の電磁解析において,電磁界数値解析手法であるFDTD法での解析は大きなリソースを必要とするため適用方法に検討が必要である. 本研究では,FDTD法とレイトレース法の併用のための初期検討として累積確率分布について比較評価を行なった.レイトレース法は1回反射と9回反射についてプロットした.レイトレース法の1回反射はFDTD法に近い特性になり,9回反射はレイリーに近い特性になった.9回反射はパスの反射による減衰が十分でない可能性がある.他の領域でも同様の結果を得られた.よってFDTD法とレイトレース法の累積確率分布が異なるため,領域ごとに計算条件を合わせる必要があるとわかった.
近年, IoT(Internet of things)化の波により屋内で利用される照明や空調などの設備機器においても無線システム化され, 伝搬性能の観点から920MHz帯が利用されるケースが増えている. 無線システムを利用する際には適切な置局設計が必要である. 特に設備機器は天井などの建材近傍に固定設置されるため, 建材からの無線機に与える影響を含めた電波伝搬特性(平均的なパスロスやフェージングによる瞬時変動幅)の把握が必要になる. 本稿では建材の中でも特に無線機のアンテナ性能に影響を与える金属製の天井近傍に設置した場合を想定した電波伝搬特性についてFDTD (Finite Difference Time Domain) 法とRay tracing法にて解析的に求めたので報告する.
ミリ波レーダーや5Gといった技術では24 GHz以上の周波数が利用されている.各製品の開発には実測と電磁界解析の両面からの特性評価が必要である.しかしながら,特に電磁界解析(FDTD法や有限要素法等)では波長とメッシュサイズの関係上,24 GHz以上では膨大なメモリ量が必要となり,解析が現実的ではない場合も多い.これに対して,高周波数でも比較的高速に計算ができるレイトレース法による解析もよく用いられているが,こちらは解析精度が電磁界解析に比べて低い.本稿ではレイトレース法に物理光学(Physical Optics:PO)を組み合わせた解析手法とFDTD法を比較しその有効性を検証する.
アンテナ間に配置された導体壁は干渉に影響を与えることが知られている.本稿では,アンテナ設置部の比較的近傍に厚みのある導体壁が存在する場合の回折波について検討し,一様幾何光学的回折理論(UTD: Uniform geometrical Theory of Diffraction)を用いたアンテナ間透過量の計算結果と測定結果を比較することで計算の妥当性を評価する.
電磁波を利用した非破壊あるいは非侵襲診断装置の開発を目指して,電磁波逆散乱問題の解析法の一つであるFBTS法を用いて層状媒質中の比誘電率分布の再構成を検討している.FBTS法とは探査領域に電磁波パルスを照射し,その散乱界を観測することで探査領域の媒質定数を推定して,探査領域内に存在する物体の大きさ,位置,種類を推定するための手法である.しかし,FBTS法には莫大な計算時間を必要とする欠点がある.そこで,入射電流源をタイムシフトして連続的に印加し,計算時間を短縮させるタイムシフトFBTS法を提案した.本研究ではノイズを考慮し,タイムシフトFBTS法の再構成像の精度について議論している.
休 憩(14:30 再開) 座長 猪又 稔(NTTドコモ)
B-1-16 |
隊列走行V2V通信におけるドップラースペクトルの評価
◎芹澤弘一・豊見本和馬・宮下真行・山口 良(ソフトバンク) |
B-1-17 |
隊列走行V2V通信のドップラースペクトル広がりに関する考察
芹澤弘一・山口 良・○豊見本和馬・宮下真行(ソフトバンク) |
B-1-18 |
他の移動体で生じるドップラーシフトを考慮した電波伝搬シミュレーション
◎安藤由純・藤元美俊(福井大)・山口 良・豊見本和馬(ソフトバンク) |
B-1-19 |
可動金属体を用いたビームスキャン繰返し送信による920MHz帯静止状態RFIDの読取り率改善法
◎舟山空良・山尾 泰(電通大) |
B-1-20 |
レーダを用いたボールの角速度ベクトル測定法
◎松島勲旺・幸谷 智・本橋光也(東京電機大) |
我々は5Gの特徴の1つである「高信頼・低遅延」に注目し,ユースケースとしてトラックの隊列走行への適用を検討している.隊列走行時のV2V直接通信では路面を含む静止地物による散乱波に起因するスペクトルの広がりがあり,最大ドップラー周波数(fD)の2倍となるドップラーシフトが観測される.本稿では,路面散乱波に着目し,各種実験によりその原理を明らかにする.
隊列走行V2V直接通信[1]におけるドップラースペクトルに関して,路面反射・散乱波に着目し正規反射波はドップラーシフトしないこと,および正規反射ではない散乱波はドップラーシフトすることを示す.さらに,散乱波の出射角および入射角に着目しスペクトル広がりの要因を明らかにする.
移動通信ではドップラー効果による周波数シフトが生じ, 伝送品質の劣化が生じる. 通常, 最大ドップラー周波数は移動局の移動速度により算出される. しかし, 実際に測定を行うと最大ドップラー周波数を超える周波数シフトが観測される.
本稿では, 受信局への到来波の到来角度・反射回数情報を用いて他の移動体での反射時に生じるドップラーシフトを考慮に入れたシミュレーションを行い, 実測結果との比較を行う.
RFID(radio frequency identification)は流通等での使用が期待されている.しかしながら通信の信頼性が課題である.特にRFIDを使用する周囲環境によって発生する定在波はRFIDの通信に大きな影響を与える.本稿では定在波の影響を軽減する方法としてビーム制御と繰返し送信の併用を提案した.提案法はR/Wアンテナ近傍に可動金属体を設置し,金属体を変位させつつ繰返し送信を行う.複数の変位に渡って繰返し送信を行うことで定在波の分布を変化させ,間接的に定在波の影響を軽減できる.金属棚環境でのRFIDの使用を想定し,FDTD法を用いた電磁界解析によって効果の分析を行った.提案法は金属棚内の電界強度分布がRFタグの動作閾値(-30dBV/m)を下回る確率を約3%まで軽減した.
これまでに,球技の試合におけるボールの運動の解析高度化の為に,レーダやカメラが用いられてきた.一方で,ボールの角速度ベクトルを3次元ベクトルとして測定する方法は現在確立されていない.これを達成することによりボールの回転運動についてより詳細な測定が実現する.ボール表面上の任意の点の円弧接線方向の並進速度は,角速度ベクトルと常に直交している.並進速度についてはドップラレーダによって捉えることが可能であり,並進速度が分かれば外積によって角速度ベクトル測定に繋がる.並進速度は回転運動によって向きが変化する為,得られた結果は周期波形となるが,今回の実験によってこれを確認することができた.
休 憩(16:00 再開) 座長 北 直樹(NTT)
B-1-21 |
海上大気中における低仰角衛星測位信号の伝搬特性に関する一検討
◎清水健矢・中西孝行・瀧川道生・米田尚史(三菱電機) |
B-1-22 |
UAVを活用した海面散乱マルチパス波の電波伝搬特性評価
○中西孝行(三菱電機)・人見健三郎(三菱電機エンジニアリング)・清水健矢・橋本貴博・瀧川道生・米田尚史(三菱電機) |
B-1-23 |
氷結したサロマ湖における海中電磁波伝搬の基礎検討
◎△加藤涼介・高橋応明(千葉大)・吉田 弘(JAMSTEC)・石井 望(新潟大)・陳 強(東北大) |
B-1-24 |
地下構造物の電波伝搬モデリングに関する一検討
○八幡一毅・堀内陵希・島田一槻・冨里 繁・上原一浩(岡山大) |
近年,衛星測位信号を用いた大気や波浪,土壌などのリモートセンシングが広く活用されており.特に低仰角衛星からの信号を利用することにより,ダクト(大気屈折率分布の部分的な逆転)現象を含む海上の大気分布を推定することができる[1].ダクト現象により電波伝搬の様態が大きく変化する一方で,該現象の発生を予測することは困難である.従って,高精度な無線システムの開発には,常時測定可能な測位信号を利用することで周囲の大気分布をリアルタイムに推定し,システムにフィードバックすることが求められる.本稿では,海面インピーダンス,波浪,ダクト現象を含む大気屈折率分布を考慮した 測位(GPS)信号の伝搬解析手法及び伝搬特性について報告する.
海上における無線システムでは海面からの反射波の影響を考慮して設計する必要がある.送受信間距離が十分離れていればグレージング角度が小さくなるため,海面からのフレネル反射係数は-1で近似でき電波伝搬解析は容易であるが,送受信間距離が近く,アンテナの高さが高い場合,波浪の影響によりマルチパス波がばらつき,無線システムに影響を与える.そこで本報告ではUAV(Unmanned Aerial Vehicle)を活用した海面散乱マルチパス波の電波伝搬特性評価結果と波浪の影響を考慮した電波伝搬解析結果について示す.
近年、地球温暖化が与える北極圏への影響の調査や北極海の豊富な海底資源の探索に使用するための無線通信技術が求められ,その技術に使用する無線通信媒体として、電磁波が注目されている。本報告では、海表面が氷結した環境における電波を利用した海中測位システムの基礎検討として、冬のサロマ湖における海中電波の伝搬試験結果とシミュレーション結果を比較し、同環境における電波の伝搬に対する考察を述べる。
近年, IoT技術を活用し,様々な社会課題の解決を目指す取り組みが進められている.その一つに老朽化が進む水道管の維持管理がある.地中に埋設された水道管バルブボックスに設置した音響センサのデータを,地上のアクセスポイントに無線伝送する漏水検出システムについて,その電波伝搬特性を解明するための実験結果が報告されている.本研究では,電磁界シミュレーションによりこの実験結果の検証を行い,伝搬メカニズムを解明し,伝送路のモデル化を目指す.
9月13日 9:00〜11:45 B棟 2F B208講義室 座長 齋藤健太郎(東工大)
B-1-25 |
屋内オフィスLoS環境における0.8GHz帯から66GHz帯における伝搬損失特性
○佐々木元晴・中村宏之(NTT) |
B-1-26 |
屋内エントランスホール環境におけるミリ波伝搬路モデルの構築
◎山川慧士・岸本 悟・金 ミンソク(新潟大) |
B-1-27 |
28 GHz帯における屋内LOS環境のアンテナ指向性による伝搬特性
◎杉村独歩・芳野真弓・萩原弘樹・工藤友章・小林敏幸(日本電業工作) |
B-1-28 |
六面体アンテナを用いた受信電力とスループットの比較検討
○竜田明浩・浅田拓也・江村鉄兵・島崎安徳・濱邉太一(パナソニック) |
B-1-29 |
ミリ波60GHz帯無線装置による屋内1Gbps通信可能範囲の実験
◎中島優一郎・常光康弘(拓殖大) |
第5世代移動通信システムのためのチャネルモデルとして3GPPやITU-R SG5では周波数上限100GHzを適用範囲としたモデルが提案されている.これらのモデルにおいて屋内の見通し(LoS)環境では距離減衰特性を周波数にかかわらず17.3log(d)としている.
一方,屋内環境の距離減衰特性は環境や周波数によって様々なものが報告されており,屋内環境の伝搬推定法をまとめたITU-R 勧告では0.7~70GHzで距離減衰の係数は13~44と幅広い値となっている.
周波数ごとに適切なセル設計・干渉検討を実施するためには適切な伝搬特性を把握する必要がある.そこで本稿では,2つの屋内オフィス環境における0.8~66GHzでの伝搬損失特性について報告する.
近年のスマートフォンの普及・動画等コンテンツの爆発的な増加に伴い移動通信の大容量化及び広帯域化が必修となっているが,既存周波数帯は既に稠密に使われており,ミリ波帯の開拓が注目されている.無線通信システムの設計・開発には電波伝搬特性を表現した伝搬路モデルが必要とされ,ミリ波帯無線LAN のための標準規格であるIEEE 802.11ayでは,準決定論的手法に基づいた伝搬路モデルが提案されている.これは多重波クラスタを決定論的成分と確率論的成分に分けて扱い,ミリ波帯伝搬路の環境依存性を考慮したものである.本稿では,屋内エントランスホール環境での伝搬路測定を行い,準決定論的 モデルに基き確率論的成分を表現するためのパラメータを抽出した.
次世代移動通信システムの実現のために,高周波数帯による伝搬特性の把握が重要とされている.28 GHz帯におけるアンテナ指向性による伝搬特性について考察するために,屋内環境下にて受信レベルの測定を行った.送信アンテナは無指向性アンテナと導波管スロットアレーアンテナを使用した.本稿では,送信アンテナからの距離が異なる見通し内(LOS: Line Of Sight)環境の2地点で,受信アンテナを約 1mm(約 0.1波長)間隔で移動させ,各位置においての受信レベルを測定した内容について報告する.受信レベルおよびKファクタについて,各地点での特性を示し,アンテナ指向性によって受信レベル変動と多重波の影響が異なることを示す.
六面体アンテナで取得した受信電力とエンドユーザの指標であるスループットとの評価結果について述べる.
ミリ波60GHz帯を用いる次世代屋内高速無線LANが一般市場にも販売が開始されてきている。アクセスポイントとして、家庭用無線LANルーターNETGEAR NIGHTHAWK X10 R9000があり、パソコンのUSB3.0端子に接続するミリ波帯無線送受信ドングルMillitronic MG360が2019年04月より国内で販売されている。両者共にIEEE 802.11ad 規格に準拠しており、広帯域を利用したチャンネルで超高速無線伝送が可能である。Wi-Fiのラインナップとして、比較的近距離エリアでの通信エリアとなるため、実伝搬環境で実測データがどれぐらいになるか、通信可能範囲について測定結果が報告されている。
本報告では、更に実際に設置される環境を想定して、大部屋の天井にアクセスポイントとなる無線装置を設置して、下方に向けて放射したさいに、通信相手方となる無線装置を場所及び距離を変化させることで、通信可能範囲を実験した結果を示す。
休 憩(10:30 再開) 座長 緒方大悟(ソフトバンク)
B-1-30 |
ミリ波帯伝搬における見通し波遮蔽損失の実験及び予測手法
◎Xin Du・齋藤健太郎・高田潤一(東工大)・中村光貴・久野伸晃・山田 渉・鷹取泰司(NTT) |
B-1-31 |
混雑環境における26.4GHz帯の到来角度と遮蔽損失特性
○中村光貴・山田 渉・佐々木元晴・久野伸晃・守山貴庸・鷹取泰司(NTT) |
B-1-32 |
周波数領域の平均処理を用いた人体遮蔽特性測定に対する室内反射波の影響の低減
◎久保賢治郎・岩井誠人・笹岡秀一・衣斐信介(同志社大) |
B-1-33 |
D帯双方向伝搬の一考察
○大川 敬・伊東正治・八鍬直樹・丸本恒久(NEC) |
B-1-34 |
多層構造誘電体板における広い入射角での 反射損失を低減するメタサーフェスの設計
○稲生翔太・村井崇紘・榊原久二男・菊間信良(名工大) |
第5世代移動通信システム(5G)では高周波数を使用するため,回折波が弱くなり,散乱物体による電波遮蔽が伝搬チャネルに大きな影響を与え,通信が不安定になることが予想される.散乱体の形状により伝搬チャネルにどの程度影響が出るかを定量化するために,遮蔽損失の予測手法が必要である.本研究では,遮蔽損失の予測手法の構築を研究目的とする.暗室環境における66.5 GHz 帯において形状の異なる複数の障害物を見通しパス上に複数の場所に置いて電波遮蔽を実測し,ナイフエッジ回折モデル(KEDM)と物理光学(PO)の予測手法について検討した.
混雑環境で低アンテナ高の指向性アンテナを使うためには,指向性アンテナの利得が高い角度の範囲に,どれだけの強さの電波が到来するかという情報が重要である.しかし,混雑環境において,到来波の方向と強さに関する検討は十分に進められていない.そこで本稿では,混雑環境における到来波の方向と強さをシミュレーションにより検討した結果について報告する.
周囲を壁面などで囲まれた室内環境において人体遮蔽特性を測定する場合,室内反射波の影響が避けられない.なお,人体が送受信アンテナ間を横切った際の送受信アンテナ間のチャネル特性の変化を人体遮蔽特性と呼ぶ.本報告では空間領域と周波数領域における平均処理による室内反射波の影響低減を目的とした.今回は実験による測定結果を対象とした.空間領域,周波数領域での平均処理によって室内反射波の影響を低減することができた。
大容量無線伝送を実現するために100GHz帯超のテラヘルツ波帯の利用が注目されている。そこで我々は、D帯屋外伝搬実験のための予備実験として、電波暗室内にて10Gbps双方向伝搬実験を行い、D帯における減衰特性ならびに伝搬特性の指標であるMSE(Mean Squared Error)特性を実測し、計算値と実測値との比較を行ったので報告する。
ミリ波帯ではレドームなどの誘電体厚が波長と匹敵する ため,反射損失が大きくなる.そこで,メタサーフェスを 誘電体に装荷することで反射損失を低減でする.多層構造 の誘電体板として合わせガラスを想定した 3 層構造の誘電 体を対象として広い入射角で反射を低減できる周期構造か らなるメタサーフェスを設計した.
B-1. アンテナ・伝播B(アンテナ一般)
9月10日 9:00〜11:45 B棟 2F B218講義室 座長 広川二郎(東工大)
B-1-35 |
MR-FDTD法を用いた海面ドップラースペクトルの解析
◎小林寛希・宇野 亨・有馬卓司(東京農工大)・藤井智史(琉球大) |
B-1-36 |
FDTD法と機械学習によるアレイアンテナのパラメータ予測
◎ファンヴェイク ピーター・松本昇紘・岩﨑 慧・吉敷由起子・淺沼雅行(構造計画研) |
B-1-37 |
CM法を用いたプラットフォーム搭載用HFアンテナのスケールモデル設計
◎紅 貴朗・Tran Thi Lan・新井宏之(横浜国大) |
B-1-38 |
Characteristic Mode 法による開口を有する筐体の励振法
◎神山一貴・新井宏之(横浜国大) |
B-1-39 |
特性モード解析を用いた金属近接ロバストアンテナの一検討
○中川雄太・道下尚文・森下 久(防衛大) |
陸上から海面に電波を照射し,その散乱波を測定する.散乱波は海面の動きによってドップラー効果が生じる.よって散乱波を周波数解析することによって海流の速度を求めることが出来る.これが海洋レーダの原理である.海流の速度を利用し,漂流体の追尾,潮目の検出,流氷監視,津波の警報などの応用等が考えられ,研究が進められているが,実測による実験検証は環境の変化,条件の設定にかかる費用等,問題点がある.そこで,本研究では シミュレーションを用いて海洋レーダの解析を行い,これらの問題を解決することを目的とする.
機械学習の手法の一つである人工ニューラルネットワーク(Artificial Neural Network : ANN)は,大量のラベル付きデータを与えることで時には人間よりも上手くその特徴量を見つけ出し,データを分類することが可能になっている.一方,マックスウェル方程式を離散化して時間領域で解くFDTD法は,ハードウェアの進歩により高速な計算が可能となっている.このため,FDTD法によって機械学習に必要な大量のデータを準備する環境は整っているといえる.そこで本稿では,任意の放射パターンを持つアンテナを機械学習によって設計するという目標への第一歩として,ANN を使用して8 素子のパッチアンテナアレイの放射パターンから,各素子の位相を予測することを試みた.
高周波 (HF) 帯域 (3 ~ 30 MHz) は様々な用途に使用されている. HF帯域は波長が長いために, 電気的に小さいアンテナは狭帯域特性を有する. そこでCharacteristic Mode (CM) 法を用いてアンテナ設計を行い, プラットフォームに流れる電流を利用することで, 帯域が増加する. 先行研究では, プラットフォーム搭載用として逆Fアンテナ (IFA) を使用し11.9 MHzで設計を行っている. IFAは整合回路を使用せずに, 筐体モードと同様な特性アンテナを持つアンテナ特性を実現することができる. しかし, サイズが大きいために, HF帯で製作して実験結果を得ることは困難である. 本稿では実験結果が容易に得られるように, 860 MHzでのスケールモデルを提案する.
筐体モードを励振するために非共振素子を用いる場合が一般的で,整合回路を付加して共振を取る必要がある。そこで本報告では,モード解析の一種であるCM(Characteristic Mode) 法を用いて,整合回路不要な逆Fアンテナ(IFA) による筐体の励振について述べる。
アンテナのインピーダンス特性は近接物体の影響を強く受けることが知られている.この問題に対し,アンテナの入力インピーダンスを適切に選択し,アンテナに近接する金属体の影響を低減できることが報告されている.本研究では,特性モード解析を用いて,アンテナに対して金属が近接した際のアンテナ特性の変化について,モードの観点から考察を行う.
休 憩(10:30 再開) 座長 道下尚文(防衛大)
B-1-40 |
凹型BORアンテナ
◎蔡 政霖・阿部智希・山内潤治・中野久松(法政大) |
B-1-41 |
双円錐の素子を用いたアンテナの最適化
○倉本晶夫(NECプラットフォームズ) |
B-1-42 |
Lプローブ給電されたバラクタ装荷2周波片側短絡マイクロストリップアンテナの周波数制御特性改善に関する一検討
◎△本多祥平・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-43 |
人体近傍におけるMSAの利得向上効果
◎坪井聡汰・野口啓介(金沢工大) |
B-1-44 |
車載用オンガラスアンテナの指向性に対する地面の影響
◎石原怜弥・宇野 亨・有馬卓司・櫛山裕次郎(東京農工大)・加賀谷 修(AGC) |
充填型BORアンテナは無指向性放射特性を有する. このアンテナは164%にわたって動作する. 本稿では新たに, 充填型BORの内部を中空とした構造を検討する. 凹型BORアンテナは充填型BORアンテナの特性を維持することを明らかにしている.
先に,電波監視等で用いられる広帯域・無指向性のアンテナの垂直面の放射パタ-ンの周波数特性について課題があリ,これを改善するアンテナを提案した.提案の双円錐の素子を用いたアンテナは,広い周波数帯域で垂直面放射パタ-ンの主ビ-ムが水平方向に維持され,かつ,主ビ-ムにヌルが発生しない良好な特性を示す.今回,上記の観点で,このアンテナの寸法の最適化を検討したので報告する.
バラクタダイオードを装荷した周波数制御多リング形マイクロストリップアンテナ(MSA)の小型化については、種々の研究が成されている。この小型化された周波数制御MSAを2周波動作とした場合、2つの素子を接近して配置すると高周波側の周波数制御特性に若干の影響が生じる。そこで、本稿ではマルチバンド平面アンテナの共振周波数を独立に制御することを目的として、素子面積を半分としたバラクタ装荷2周波片側短絡一層構造多リング形MSAの周波数制御特性の改善につき実験により検討を加えたので、ここに報告する。
近年,人体近傍における小型で薄型のアンテナが,研究されている.また,IoT に向けたヘルスケアへの活用を目的とするRFID のシステムも研究されている.ここでは,ヘルスケアを目的に人体密着アンテナの基礎検討を行っている.人体近傍におけるマイクロスト
リップアンテナ(MSA) の利得向上効果について示す.
自動車には快適かつ安全な運転を行うために様々なアンテナが取り付けられている.近年、自動車に設置されているアンテナは,デザインの観点よりガラスに直接取りついているオングラスアンテナが用いられている.それら車載用アンテナ設計においては,アンテナ単体の特性と自動車搭載時の特性が大きく異なってきて,さらにここに地面の影響なども考慮しなければならない.
そのためアンテナ設計のためには車体全体と地面を考慮したシミュレーションが必要になる.本研究ではグリーン関数を用いて遠方界の計算を行い,車載用アンテナの車体と地面における影響を検討する.
9月10日 13:00〜17:00 B棟 2F B218講義室 座長 中本成洋(三菱電機)
B-1-45 |
直交二偏波導波管スロットアレーアンテナ向け導波管-サスペンデッド線路変換器の検討
◎宇野 孝・上坂昂司・中本成洋・深沢 徹・米田尚史・山本剛司・柿元生也(三菱電機)・小西善彦(広島工大) |
B-1-46 |
管軸に垂直な偏波を放射する導波管狭壁面上の平面アレーアンテナの放射素子形状に関する一検討
○△保前俊稀・斎藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-47 |
キャビティ装荷2スロットサブアレーからなる広帯域中央給電進行波励振導波管リニアアレーアンテナ
◎横井はるな・榊原久二男・菊間信良(名工大) |
B-1-48 |
導電率測定によるミリ波帯積層薄板導波管スロットアレーの利得評価
○戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-49 |
階段状段差構造ラジアルラインスロットアレーアンテナの特性
◎菅原瑞己・常光康弘(拓殖大) |
レーダ観測精度向上に向け,著者らは,直交二偏波樹脂導波管スロットアレーアンテナを開発している.低損失化のため,導波管スロットアレーアンテナの分配回路として導波管を使用した場合,大型となり重量が課題となる.そこで,本開発では,分配回路に低損失化と小形化を両立するサスペンデッド線路を用いた構造を採用する.
本稿では,直交二偏波導波管スロットアレーアンテナの給電に適した導波管-サスペンデッド線路変換器の設計結果について述べる.
導波管スロットアレーアンテナにおいて、スロットを1管内波長間隔で配列するとグレーティングローブが発生する。そこで、導波管の管内波長を短縮するために導波管内部に誘電体や遅波構造を装荷する方法やリッジ導波管にT形のスロットを配列する方法が提案されている。これらに対して、1管内波長(λg)間隔で配列された方形導波管の広壁面または狭壁面のスロット上にマイクロストリップアンテナ(MSA)を配置してグレーティングローブを抑制する平面アレーアンテナが提案されている。方形導波管狭壁面のスロットアレー上に周長を3波長とするリング形MSAを配列すると、対角面内の交差偏波が増大する問題がある。そこで本稿では周長を5波長とするリング形MSAを用いた管軸に垂直な偏波を放射する平面アレーアンテナの構成法について検討を加えたので報告する。
広角一次元ビーム走査用サブアレーに,一列進行波励振導波管アレーが必要とされている.広壁中央で張り合わすことで低損失に製作できる狭壁スロット導波管アンテナが望ましいが,管軸方向に向いたスロットの間隔が1管内波長となり,グレーティングローブが発生する.そこで,スロットを半波長間隔で同相励振させるため,キャビティ装荷2スロットサブアレーからなるリニアアレーアンテナを設計した.設計周波数を79GHzとし測定結果を示す.
積層薄板導波管スロットアレーはミリ波帯でも高効率な特性が実現できる.積層薄板導波管は厚さ0.1~0.3mm程度の金属薄板をエッチングしパターンを構成し,拡散接合して作られる.そのため導波管の側壁が荒く,等価的な導電率が低下しアンテナ利得低下の原因となり得る.本稿では測定した導電率を用い16×16素子スロットアレーの利得を評価する.
同心円状配列ラジアルラインスロットアレーアンテナは、スロット配列を簡便にするためにラジアルラインへの給電は回転モードとしている。本報告での場合、給電導波管とラジアルラインの結合部分に非共振クロススロットを用いている。また、高利得から低利得まで要求に応じて周の数を増やすことで対応可能になるように、少ない周でもアンテナとして動作するよう、ハの字またはTの字型スロットペアを内周とし、最後の外周には、非共振クロススロットを終端整合放射素子としている。
本報告では、上述の構造をもとに少ない周から多くの複数周において励振振幅を制御する目的として、ラジアルライン内部に階段状段差構造を用いてラジアルラインの高さを変化させることで放射素子ペアからの放射量を制御する基礎的な解析結果を示す。
休 憩(14:30 再開) 座長 本田和博(富山大)
B-1-50 |
新幹線向け架線電圧検知/無線通信共用アンテナの試験結果
○松村善洋・笹木栄志・西山武志(JR東海)・西本研悟・圷 浩行(三菱電機) |
B-1-51 |
新幹線向け架線電圧検知/無線通信共用アンテナの小形化検討
○西本研悟・圷 浩行・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機)・松村善洋・笹木栄志・西山武志(JR東海) |
B-1-52 |
28GHz帯車載アンテナの設置位置に関する実験的評価
○國澤良雄・天野良晃(KDDI総合研究所)・中山典明・河野 進(KDDI)・櫻澤成彰・佐々木 亮・小柳芳雄(パナソニック) |
B-1-53 |
5G用28GHz帯アンテナにおける群遅延の検討
◎和泉峻介・八巻直生・前山利幸(拓殖大)・田中稔泰(マイクロウェーブファクトリー) |
B-1-54 |
3.7GHz帯車載アンテナの設置位置による放射特性への影響評価
○河野 進・中山典明(KDDI)・國澤良雄・天野良晃(KDDI総合研究所)・櫻澤成彰・佐々木 亮・小柳芳雄(パナソニック) |
東海道新幹線の先頭車屋根上に設置されているアンテナは架線電圧の有無を検知する機能と、無線通信を行う機能の双方を具備している。このアンテナ形状が騒音減の一つであり、低騒音化の為、形状円滑化、小型化する必要がある。今回、電気的特性を満足するアンテナ(新型静電アンテナ)を開発したので、その試験結果について報告する。
新幹線用の架線電圧検知/無線通信共用アンテナは,交流60Hzの架線電圧の検知機能とVHF帯の業務無線通信機能を有したアンテナである.本アンテナは,車両の屋根から突起しているため騒音源となっており,新幹線の高速化に伴い低騒音化が要求されている.低騒音化のためには,特に,検知棒と呼ばれる円筒導体の短縮が必要である.ここでは,折り返しモノポール構造の採用と並列共振回路の付加により,検知棒の長さを現行アンテナの0.6倍に短縮し小形化した共用アンテナ構成を提案し,計算により良好なVHF帯特性が得られることを確認する.
第5世代移動通信システム(5G)へ周波数割り当てが4月に総務省から発表され,超高速,超低遅延等の特徴を持つ移動通信実現への期待が高まっている.車で5Gを利用するためには,車載の通信端末やアンテナには5Gの標準規格を満足することが求められる.4G用車載アンテナは使用する周波数に適した設計や設置がされているが,5Gでも従来のアンテナ設置位置が適しているか明らかでなく,5G用車載アンテナの課題となる.本稿では,5G用周波数として割り当てられた28GHz帯を対象として,車載アンテナを車に設置して測定実験を行い,車載アンテナの設置位置を評価したので報告する.
2020年の実装に向けて研究が進められている第五世代移動通信では,28GHz帯という既存システムよりも高い周波数帯域での活用が予定されている.28GHz帯については4キャリア各社に400MHz幅で割り当てられており,周波数帯域の合計は2.5GHzで,27GHz~29.5GHzとなり,比帯域は11.2%になる.端末や共用型基地局を想定すると,上記条件を満たす広帯域なアンテナが必要である.また広帯域アンテナでは群遅延特性が重要となる.帯域内遅延に差があると変調信号に歪みが生じる.
本稿では3つのアンテナを用いて,群遅延を評価し,広帯域に適したアンテナを検討する.本稿では,5Gに向けた28GHz帯アンテナとして,三つのアンテナの群遅延特性を測定し比較した.群遅延特性の最大値と最小値の差を比較した結果,円形導波管アンテナが最も小さいことを確認した.
第5世代移動通信システム(5G)で使用される3.7GHz帯の周波数では,車載アンテナの設置方法が明らかとなっていない.このため,車両のルーフ上や車室内にモノポールアンテナを設置し,電波暗室内で半球面でのアンテナ指向性を測定して,3.7GHz帯車載アンテナの設置による放射特性への影響を評価した.その結果,Null点の発生や偏波面の変化といった,車体による放射への影響の発生が確認できた.
休 憩(16:00 再開) 座長 松沢晋一郎(豊田中研)
B-1-55 |
環内部に導体突起物をもつ環状パッチ円偏波アンテナ
◎袖長翔太・島崎仁司(京都工繊大) |
B-1-56 |
ミリ波帯円偏波広角ビーム走査向けキャビティ付きパッチアンテナの一検討
◎横川 佳・中本成洋・高橋智宏・深沢 徹・大塚昌孝・米田尚史(三菱電機) |
B-1-57 |
摂動給電による円偏波アンテナの特性改善に関する検討
○荒木義紀・松井章典(埼玉工大) |
B-1-58 |
二線アルキメデススパイラルアンテナを使用した円偏波ビーム走査
◎阿部智希・山内潤冶・中野久松(法政大) |
環状パッチを放射導体とするマイクロストリップパッチアンテナを作製し、その軸部に導体突起物がある場合の特性を調べた。動作周波数は2.4GHz帯付近とし、環状パッチに2つのスリットを設け、給電位置との関係により円偏波を放射する。シミュレーションによりパッチ導体の外径、くり抜く円環部の径、スリット大きさ、給電線などの設計を行い、FR-4を基板として試作した。反射特性、軸比、放射パターン等を測定し、40MHz程度の帯域で軸比が3dB以下の円偏波を放射できることを確かめた。次に、環状パッチの内側に接地導体が突き出す形の突起部がある場合の特性の変化を調べた。このアンテナは例えば歯車のような機械部品に取り付ける無線モジュールのアンテナに応用できる。
近年, 円偏波パッチアンテナを用いて広角方向にビーム走査するフェーズドアレーが検討されている. しかし, 広角ビーム走査時において, 利得低下が大きく軸比特性が劣化する課題がある. 一方で, パッチアンテナを形成する基板の等価比誘電率を1.2~1.7とすることで広角方向の軸比特性が改善することがしられている. 本稿では, ミリ波帯に適した円偏波広角ビーム走査特性を有する中空構造を内部に形成したキャビティ付きパッチアンテナの構成を示す.
摂動給電法による平面アンテナの提案を以前に行った.その報告では,円偏波特性が得られる周波数が狭帯域だったため,本検討では軸比の周波数特性を改善するための検討を行った.
円偏波ビームの走査を検討してきた. このとき, 給電点の個数を4つとしていた. 本稿では, 給電点を2つにする. このために, 二線アルキメデススパイラルアンテナに注目し, 円偏波ビーム走査特性を検討する. 円偏波ビームは給電電圧Vの変化に伴い, アンテナ軸の周りを回転することを明らかにした.
9月11日 9:00〜11:45 B棟 2F B218講義室 座長 竹村暢康(日本工大)
B-1-59 |
有限寸法を持つ近接導体にロバストな小形アンテナの構成法
◎滝波 真・高山侑紀・久我宣裕(横浜国大) |
B-1-60 |
登山者携帯端末用150MHz帯小型アンテナ
○石坂圭吾(富山県立大)・西村慎也(北陸電気工業)・馬野祐輔(富山県立大) |
B-1-61 |
地中探査レーダ用ボウタイアンテナのインピーダンス整合及び小型化に関する検討
○瀧澤 洸・松林一也・道下尚文・森下 久(防衛大)・川端健二(富士通) |
B-1-62 |
アンテナに用いる平面バランの考察
○片山光亮・馬場孝明・大澤 隆(早大) |
B-1-63 |
多層基板内の複数層に構成された基板内導波路金属導波管変換器の設計
◎鞠山匠汰・榊原久二男・菊間信良(名工大) |
アンテナ内部に設置される導体に対してロバストな構成を提案する. 有限寸法を持つ帯状導体の形状変化に対する影響を有限地板を有するモデルと比較することによって検討を行った.
山岳領域での伝搬特性に優れており,位置情報伝達が可能である150MHz帯電波を用い,登山者の位置情報を共有することができるネットワークシステムの開発を進められている.このネットワーク内を移動する登山者が携帯する端末からの位置情報を得るためのアンテナが重要である.そこで,登山者携帯端末に接続することができる150MHz帯用小型アンテナについて試作し,アンテナの特性を測定した結果について報告する.
地中探査レーダ用のアンテナとして小型であること及び広帯域特性を有することが求められる.小型で広帯域なアンテナの一つとして折返し構造ボウタイアンテナが報告されているが,入力インピーダンスが200 Ωで整合するよう設計されている.本稿では,折返し構造ボウタイアンテナを地板上に設置し,給電部の形状を変更することで一般的なレーダで使用される入力インピーダンス50 Ωの給電線路と整合するための検討を行う.さらに,スリットを装荷することでアンテナの小型化について検討する.
アンテナと信号を接続するために、バランが用いられるが、実際のバランでは利得と位相差が理想バランと異なるため、アンテナのメインローブ方向に補角 (Y軸方向とのずれ) を生じる。本報告では、生じさせる補角が少ない平面バランについて考察する。補角が少ないバランとは、理想バランに近いバランであるが、無線通信ではチャネル毎に中心周波数が異なるため、全てのチャネルを含む帯域で、理想バランに近い必要がある。アンテナ利得の他に、給電系損失 (FL) も実効等方放射電力 (EIRP) に影響を与えるため、挿入損の低いバランが望ましい。ラットレース型バランはフットプリントが大きい欠点があるが、2.4 GHz 帯のCH1, CH6, CH11及びCH14において少ない挿入損、理想バランに近い特性が得られることを電磁界解析により確認できた。ラットレース型バランの各CHにおける利得と位相差をもとに半波長ダイポールアンテナの遠方放射電界パタンを計算した。計算結果からCH1, CH6, CH11におけるパタンは補角を生じず、日本固有のCH14においても補角はごくわずかである。これらの結果より、アンテナと信号を接続するバランには、ラットレース型バランが適していると考察する。
ミリ波モジュールを構成する伝送線路として,低コス トに製造でき,低損失で集積化に適した基板内導波路 (SIW)がある.積層した基板の各層への給電用に, 導波管との変換器が必要となる.そこで,バックショー トと開口部の寸法を最適化することでインピーダンス整 合した,多層基板内各層の金属導波管変換器を設計し, その解析結果を示す.
休 憩(10:30 再開) 座長 木村雄一(埼玉大)
B-1-64 |
2つのスロットを有する金属筐体に設置した折返しダイポールアンテナの特性解析
◎蒲生城久・松林一也・道下尚文(防衛大)・松本一弘・菱川哲也(パナソニック)・森下 久(防衛大) |
B-1-65 |
スイッチング素子を用いた入力インピーダンス制御型アンテナの一検討
○グェンコン ワイ・中川雄太・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-66 |
近接配置された分岐素子から成るマルチバンドアンテナのインピーダンス整合に関する一検討
○山浦真悟・西本研悟・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機) |
B-1-67 |
電磁結合及びショートスタブ構造による平面型UWBアンテナの小型化に関する一検討
◎市川舜太・竹村暢康(日本工大) |
B-1-68 |
可変リアクタンス素子を用いたLプローブ給電リング形平面アンテナの放射位相制御に関する基礎検討
◎鈴木貴大・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
IoT機器においては耐熱性等の観点から,アンテナを金属筐体内部へ配置する場合がある.アンテナを金属で覆った場合,電波は放射しないため,通信の確保が困難となる.金属筐体にスロットを設けることで,電波を放射する手法が報告されているが,VSWR等の周波数特性が述べられていない,共振周波数が単一などの問題点がある.多共振化したアンテナについても報告されているが,共振周波数を変化させるために,内部のアンテナ及びスロットのサイズを変化させる必要がある.ここでは,内部アンテナ及び金属筐体の形状を維持したまま,2つのスロットを有する金属筐体に設置した折返しダイポールアンテナの位置を変化させた場合の共振周波数の調整について検討する.
アンテナのインピーダンス特性は近接物体の影響を強く受けることが知られている.この問題に対し,スイッチング素子により入力インピーダンスを可変し,近接物体からの影響の低減を狙ったアンテナが報告されている.本検討では,従来のステップアップ比を利用したインピーダンスの可変手法との比較により,スイッチング素子を用いた素子幅の制御による入力インピーダンス可変手法の妥当性を検討する.
長さの異なる分岐素子によるマルチバンドアンテナが知られている.本アンテナにおいて,分岐素子が波長比で近接する場合は特定周波数での素子間結合が大きく,インピーダンスが狭帯域化する.そこで本稿では,屋外設置を想定した低周波帯のアンテナを前提に,分岐素子が近接したマルチバンドアンテナにおいて,インピーダンスの狭帯域化を改善させる手法を提案し,その有効性を計算により確認する.
UWBシステムは,低消費電力で高速な無線通信を可能とするシステムとして注目を集め,このシステムで動作するアンテナが広く検討されている.FCCは,UWBシステムの使用周波数として3.1GHzから10.6GHzを認可しており,この周波数帯域を満たす広帯域な特性を有するアンテナの設計が求められている.アンテナは様々な通信機器への導入のために小型な形状が求められている.本稿では電磁結合構造とショートスタブ構造をアンテナに付加することでアンテナのインピーダンス整合を取り,小型な形状で所望特性を満足するアンテナを実現したので報告する.
リアクタンス素子が装荷された無給電素子を用いて、マイクロストリップアンテナ(以後、MSA)の指向性を制御する平面アンテナについて種々の研究が行われている。本稿では、可変リアクタンス素子を用いた一次元ビーム成形平面アレーアンテナ(BA-MSAA)に用いる放射素子として、素子内側のマイクロストリップ線路に接続された可変リアクタンス素子により放射位相を制御する一層構造のリング形MSAに着目し、この素子の構成法と放射特性について検討を加えたので、ここに報告する。
9月12日 13:00〜17:00 B棟 2F B218講義室 座長 大島一郎(電気興業)
B-1-69 |
導電性繊維で形成された電磁結合給電型マイクロストリップパッチアンテナの撓みによる放射特性への影響
○市川大暉・前田忠彦(立命館大) |
B-1-70 |
導電性繊維で形成されたテキスタイルパッチアンテナの刺繍条件が電気的特性に与える影響
◎橋本直幸・前田忠彦(立命館大) |
B-1-71 |
Lプローブにより給電される一層構造広帯域リング形平面アンテナの試作特性
○古川耕平・斉藤作義・木村雄一(埼玉大)・立松雅大(TDK) |
B-1-72 |
Lプローブ給電広帯域2周波多リング型マイクロストリップアンテナの直交偏波共用化に関する一検討
◎△木村雄樹・斉藤作義・木村雄一(埼玉大)・立松雅大(TDK) |
B-1-73 |
反射器側に給電端子を有する帯状ループ単方向指向性アンテナ
◎君野理哉・久我宣裕(横浜国大) |
近年、衣類に装着して使用されるテキスタイルデバイスが普及している。特に導電性繊維を用いて形成されるテキスタイルアンテナは柔軟性や軽量性を持つため、人体近傍で使用する際には、撓みによるアンテナ特性の変化を把握しておくことが望ましい。本報告では、導電性繊維を用いて電磁結合給電方式を採用したマイクロストリップパッチアンテナを作製し、アンテナの撓みが放射特性に与える影響について試作アンテナを円柱型発泡スチロールに装着することで基礎的実験を行った。その結果、撓みによる正面方向利得の変化は撓み方向によらず2.0dB程度である測定結果が得られた。
近年, 導電性繊維で形成されたテキスタイルアンテナの研究が注目されている. 特に, コスト削減や柔軟性向上を目的として導電性繊維の使用量削減の検討が行われている. 一方, 導電性繊維の使用量削減によりアンテナ特性が劣化してしまうため, 使用量削減を行った際の安定性をあらかじめ把握しておくことが望ましい. 本報告では, 導電性繊維で形成された 2.45 GHz 帯用テキスタイルパッチアンテナを異なる刺繍密度で複数個試作し, 電気的特性の実験的評価を行った. その結果, 導電性繊維の使用量削減を行わないモデルに比べて約 1.5 倍の使用量を用いる事により, 安定した電気的特性を示した.
マイクロストリップアンテナ(以後、MSA)の広帯域化については、種々の研究が行われている[1][3]。また、Lプローブにより給電された多リング形MSA[4]広帯域化の基礎検討として、比誘電率2.6、中心周波数の約0.15波長程度の厚さを有する二層の誘電体基板を使用したLプローブ給電リング形MSAは比帯域約40%を示すことが報告されている[5]。本稿では、厚さの大きい誘電体基板を使用した一層構造のLプローブ給電リング形MSAを試作したので、ここに報告する。
マイクロストリップアンテナは小型・薄型・軽量・安価という特長を有し多面的な研究が行われている。また、Lプローブにより給電される多リング型MSAはマルチバンド平面アンテナとして良好な特性を示す。このLプローブ給電リング形MSAに中心周波数の約0.1波長程度の厚さを有する誘電体基板を用いることにより広帯域特性が得られ、さらに2個のリング形MSAを配置すると2周波帯において広帯域特性が得られる 。そこで、本稿では2周波広帯域2リング形MSAに2個のLプローブを直交する位置に配置することで直交偏波共用化を行い、各種特性について評価を行った。
反射器側に給電端子を有する単方向指向性帯状ループアンテナを提案している。マイクロストリップ線路に接続可能かつ誘電体表面にパターン形成が可能なアンテナ構成をしている。また、FDTD法を用いた計算により, プリント基板上での単方向指向性アンテナとしての動作を示す。
休 憩(14:30 再開) 座長 本間尚樹(岩手大)
B-1-74 |
偏波面と主ビーム方向を移相器により電子的に可変なKu帯フェーズドアレーの基礎検討
○佐野 誠・桧垣 誠(東芝) |
B-1-75 |
モーターによる素子回転を利用したラジアルライン給電ヘリカルフェーズドアレーのアレー校正実験
○中本成洋・鈴木雄将・山口 聡・深沢 徹・米田尚史・宮下裕章(三菱電機) |
B-1-76 |
多層基板内導波路における階段状放射素子を用いた二次元マルチビームロットマンレンズのブロードサイドビーム形成特性
◎山内秀悟・榊原久二男・山田健人・菊間信良(名工大)・岩佐光次郎・奥長 剛・中津 彰(日本ピラー工業) |
B-1-77 |
Magic-Tをスイッチング回路に用いた十字スロットダイオード装荷型円偏波切り替えマイクロストリップアレーアンテナの設計
○△諸石 涼・西山英輔・豊田一彦(佐賀大) |
B-1-78 |
進行波型直列給電ダイポールアレーアンテナの実験検証
○後藤 準・丸山貴史・宇田川重雄・深沢 徹・米田尚史(三菱電機) |
Ku帯衛星通信システムでは一般に直線偏波が用いられるため,移動体地球局のアンテナには主ビーム方向と偏波面の高精度な制御が要求される.本稿では,偏波面可変
アンテナをアレー化することで,可変移相器により主ビーム方向と偏波面を電子的に可変できることを示す.
筆者らは,高効率・高利得な平面アレーであるラジアルライン給電アレーにおいて,動的なビーム走査を実現すべく,ラジアルライン給電された各ヘリカル素子をモーターにより回転させ,位相制御を行うラジアルライン給電ヘリカルフェーズドアレーを提案し,実験によりその実現性を確認してきた.本稿では,提案アンテナ試作品のアレー校正による性能向上に関する検証結果を示す.
素子電界ベクトル回転法を利用して励振振幅・位相を測定し,測定された励振位相誤差を補正した.これにより正面方向利得が0.2dB改善し,アンテナ効率が80%に向上するとともに,交差偏波レベルも約10dB低減することが確認できた.
第5世代移動通信(5G)やミリ波センシングにおいて,二次元指向性走査が必要とされている.本研究では,誘電体基板を重ねて多層構造とし,ロットマンレンズの原理を従来の水平方向に加えて垂直方向にも適用することで,二次元指向性走査を可能とするロットマンレンズを提案する.放射部で基板を階段状にすることで,二次元指向性を天頂方向へ持たせる構造とし、その特性を評価した.
本稿ではMagic-Tをスイッチング回路に用いた十字スロットダイオード装荷型円偏波切り替えマイクロストリップアレーアンテナを提案する。本アンテナは4つの円偏波切り替えアンテナ素子と2つの平面型Magic-Tを含む給電回路で構成されている。各アンテナ素子は、マイクロストリップアンテナの中央に十字形スロットを設け、そこにスイッチとして機能する4つのダイオードを配置している。本アンテナはダイオードのON/OFFにより方向の違う縮退分離モードをもち、これにより円偏波切り替えを可能にしている。RF給電回路と切り替え信号回路はMagic-Tにより電気的に独立しており、単層の平面構造で実現している。このため、設計が単純で大規模アレーが容易である。
進行波型直列給電型ダイポールアレーアンテナの設計法について実験検証を行ったので報告する。本アンテナは、ダイポール素子中央部を横断するように幅狭のマイクロストリップラインを配置し、変成器により各素子への電力分配およびインピーダンス整合を図ることで、ブロードサイド方向に直線偏波を放射する4素子ダイポールアレーアンテナである。実験の結果、反射特性・放射特性ともに計算値と測定値が対応することを確認し、設計法の妥当性が示された。
休 憩(16:00 再開) 座長 桧垣 誠(東芝)
B-1-79 |
Ka帯送受共用平面アレーアンテナにおける素子間無給電素子によるグレーティングローブ抑圧
○須賀智文・夏原啓一・尚 尓昊・三浦庸平・野呂崇徳・吉田貴容美・石田克義(日本無線) |
B-1-80 |
端部円形放射素子を用いたミリ波帯二次元任意角直線偏波マイクロストリップアレーアンテナ
◎小島亮輔・榊原久二男・菊間信良(名工大) |
B-1-81 |
多重折り畳みアレーアンテナの放射特性のパネル数依存性
◎髙橋 涼・高野 忠・三枝健二(日大) |
B-1-82 |
間隔制御アレーアンテナの面的展開の検討
◎吉峯知明・高野 忠・三枝健二(日大) |
Ka帯衛星通信では,受信と送信の使用周波数帯域が大きく離れているため,送受共用平面アレーアンテナを構成する場合,送受信の素子間隔を同じにしなければならないという制約から最良の素子間隔を受信(低い周波数側)に合わせると,送信(高い周波数側)で素子間隔が1λを超えるためグレーティングローブが発生する.一般にグレーティングローブの抑圧には,誘電体やフレア等による素子指向性の狭ビーム化が有効であるが,重量や大きさの問題がある.本稿では,グレーティングローブ抑圧のため給電素子アレーの素子と素子の中間に無給電素子(素子間無給電素子)を配置することを提案する.また,32x32素子アレーの実測により素子間無給電素子によるグレーティングローブ抑圧が可能であることを示す.
コムラインアンテナは放射素子の角度を変えることで,様々な偏波を実現可能である.そこで,30度,45度,60度で放射素子を接続したコムラインアンテナから成る,二次元アレーを設計した.設計周波数を79GHzとして設計した構造と特性を示す.
多重折り畳みアレーアンテナは簡単な機械構造により,極めて大きいアンテナも小さく収納でき,かつ2次元の展開もできる.ただしパネル間に段差が生じるため,アンテナとしては位相的に補正する必要がある.
位相補正はアンテナ正面方向では正しいが,角度がずれると誤差が生じる.その誤差の影響はパネル数が多くなると,顕著になると予想される.本論文では,パネル数すなわちアンテナ寸法と放射特性の関係を,定量的に検討する.
その結果,3パネルから15パネルまで増加させた際には,ビーム幅は鋭くなり,精密なビーム放射が可能になると考えられる.SLLに大きな変化も確認できないため,多重折り畳みアレーアンテナは 有用である.
間隔制御アレーアンテナは,放射素子を一様に励振する代わりに,その装着密度を変えることにより,アンテナ上の励振分布を実効的に変えるものである.この構成により,任意のアンテナ放射特性を実現でき,かつ放射素子に付随する増幅器などが単一仕様で済むという利点がある.その特性は1次元のアレーアンテナで検討されてきた.本論文では,2次元の面的展開の方法を提案し,数値計算によりその有効性の検討をおこなう.その結果,今回作成したアレーアンテナにおいて,振幅制御アレーアンテナと放射パターンがおおむね一致した.したがって間隔制御法の有効性が,確認された.
9月13日 13:00〜15:30 B棟 2F B208講義室 座長 山口 良(ソフトバンク)
[English Session]
B-1-83 |
Analysis and Design of a Waveguide Feeder for a Parallel Plate Slot Array Antenna
○△Tianyu Wang・Takashi Tomura・Jiro Hirokawa(Tokyo Tech) |
B-1-84 |
Design of Millimeter-wave 4x4 Butler Matrix using Finline in Double Layer Dielectric Substrate
◎Thanh Tuan Nguyen・Kunio Sakakibara・Nobuyoshi Kikuma(Nagoya Inst. of Tech.)・Kojiro Iwasa・Takeshi Okunaga・Akira Nakatsu(NIPPON PILLAR PACKING) |
B-1-85 |
Localization Performance of Unsynchronized MIMO Radar with Multiple Human-bodies
◎Abuduaini Abudusaimi・Nobuyuki Shiraki・Naoki Honma(Iwate Univ.)・Takeshi Nakayama・Shoichi Iizuka(Panasonic) |
B-1-86 |
Beam Selection for Massive MIMO Using Wiener Filter Under Hybrid Transceiver
○David Alimo・Masato Saito(Univ. of the Ryukyus) |
B-1-87 |
Proposal of a Planar Polarization Switchable Self-Oscillating Active Integrated 2x2 Array Antenna with a Microstrip Gunn Oscillator and PSK Modulators
○△Maodudul Hasan・Eisuke Nishiyama・Ichihiko Toyoda(Saga Univ.) |
A parallel plate slot array antenna truncated by hard walls [1] is attractive for millimeter-wave application due to its light weight, simple structure and high antenna efficiency. This paper aims to analyze and design coupling slots of the feeder network by method of moments (MoM). The feeder network is designed by MoM. The maximum coupling difference among all slots is less than 2.5%. It is shown that the reflection below -28dB is achieved in the target bandwidth for each coupling slot.
A closed structure of finline in multilayer dielectric
substrate was proposed to design the beamforming circuit
of Butler Matrix [1]. In this paper, to simplify the structure,
the finline is composed of double layer dielectric substrate
with via-hole arrangements along both sides of the finline.
A finline 4x4 Butler Matrix in double layer dielectric is
designed at 79 GHz and its characteristics are confirmed
by electromagnetic simulation.
A performance of the human-body localization using unsynchronized MIMO radar has been studied.It proposed a frequency offset elimination technique suitable for the human-body in unsynchronized condition, by utilizing the direct path between the transmitter and receiver, the phase error due to the frequency offset is eliminated, and the location of the target is successfully estimated. However, the experiment was carried out only with the single target. This paper investigates the performance of the frequency offset elimination technique under the condition that the multiple targets up to six exist. The results confirm that the fairly good the localization accuracy is realized even when the number of the targets is increased
Millimeter wave massive multiple-input multiple-output (MIMO) has a huge potential to provide a much higher data rate at the expense of increased hardware complexity. Beam selection is critical to reduce hardware, power consumption and improve system performance as not all beams contribute to the system performance. We used Wiener filter (WF) as the digital precoder and beam selection is considered as the traveling salesman problem and Ant colony algorithm (ACO) is used to maximize the sum rate. The result has shown a performance near to the Full dimension counterpart with extremely reduce complexity.
A planar polarization switchable self-oscillating active integrated 2x2 array antenna with a microstrip Gunn oscillator and PSK modulators is newly proposed.The antenna consists of a microstrip Gunn oscillator, two PSK modulators and antennas for both horizontal and vertical polarizations. The proposed AIAA has a planar structure as all the elements are integrated on a single substrate. By changing the bias condition of the diode D1 and D2 in the PSK modulators, it is possible to realize +/-45-deg. linear polarization.
休 憩(14:30 再開) 座長 陳 強(東北大)
B-1-88 |
HAPS対応電波伝搬モデルの国際標準化状況
○表 英毅・緒方大悟・木村 翔・佐藤彰弘(ソフトバンク) |
B-1-89 |
電磁バンドギャップ特性を用いた短絡素子付きモノコーンアンテナの漏えい電流の広帯域抑制
松林一也・○道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-90 |
28 GHz帯用アレイアンテナ電極電気光学変調器の受信パターン評価
○黒川 悟・松川沙弥果(産総研)・佐藤正博・鳥羽良和(精工技研)・横橋裕斗・村田博司(三重大) |
B-1-91 |
一次元不均質のダイアディックグリーン関数とその直角座標表現
○宇野 亨(東京農工大) |
超広域のカバーエリア、災害に強いネットワークなどを実現する新たな移動通信プラットフォームとして成層圏プラットフォーム(HAPS: High-Altitude Platform Station)への期待が高まっている。また、ITU-R (International Telecommunication Union Radio Sector)では、HAPS対応の電波伝搬モデルの検討が開始されている。本稿では、HAPS対応電波伝搬モデルの国際標準化状況について報告する。
右手/左手系複合同軸線路(CRLH CL)の電磁バンドギャップ特性をチョークに利用したアンテナが報告されており,広帯域に漏れ電流の阻止が可能である.しかしながら,放射素子としてモノポールアンテナを使用しており,周波数に合わせて放射素子を交換する必要がある.本稿では,CRLH CLを用いたチョーク構造にモノコーン素子及び短絡素子を装荷することで,広帯域に亘り漏れ電流を抑制可能なアンテナについて検討する.
第5世代携帯電話通信では, 28 GHz帯を用いたサービスが検討されている.28 GHz帯で用いられるアンテナのアンテナ利得や放射パターンの測定に用いられる、アンテナ近傍界測定では、ベクトルネットワークアナライザ (VNA)、切り離し導波管(OEWG: Open Ended Waveguide Probe)、同軸ケーブルが用いられる。同軸ケーブルを用いた測定では、その測定結果への影響が懸念されることから、OEWGと同軸ケーブルの代わりに用いるアンテナ電極電気光学変調器(EO変調器)を開発した。本報告では、アンテナ電極として、1,4,8素子のグランド板付きアレイアンテナを開発したので、その受信パターン測定結果を報告する。
一次元不均質のダイアディックグリーン関数とその直角座標表現を導出した
9月13日 9:00〜11:45 B棟 2F B218講義室 座長 山岸 傑(住友電工)
B-1-92 |
クロス配置したステップ状ストリップ素子を用いた超広帯域直交偏波変換反射板
○村山弓弦・村山輝樹・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
B-1-93 |
ノッチ入り円形パッチFSS電波吸収体の斜入射特性
◎△篠崎友花・新井宏之(横浜国大) |
B-1-94 |
積層セラミックコンデンサの配置密度を制御した円筒クローキング
◎グェン タインビン・道下尚文・森下 久(防衛大)・宮崎輝規・田所眞人(横浜ゴム) |
B-1-95 |
偏波共用スパイラル型共振素子を用いたリフレクトアレーカーペットクローキング
○若島慎一郎・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
B-1-96 |
複数の誘電体層構成を用いた広覆域アンテナ用レドームの検討
○中嶋宏昌・山本伸一・瀧川道生・米田尚史(三菱電機) |
本論文では、ステップ状ストリップ素子をクロス配置にすることにより、広帯域な直交偏波変換リフレクトアレー素子として、直交偏波変換反射板に有用な新たな形状を提案し、数値的な検討を行った.結果として、14.7 GHz~ 43.9 GHz(比帯域105%)にわたって高い変換効率を実現し、提案素子の有用性を示している.また、本形状ではステップ状ストリップ素子では得られなかった反射位相量を得ることができ、新たな形状素子とステップ状ストリップ素子を組み合わせることで、360° の反射位相量が得られた.
薄型電波吸収体としてFSS(Frequency Selective Surface) を用いたものが提案されている.本稿では筆者らが提案しているノッチ入り円形パッチFSS 吸収体を元に平面波が吸収体に斜めから入射した場合の反射特性を解析した.入射平面波の偏波方向に対して回転軸が垂直か水平かに関わらず回転角が25◦ 以下であれば,反射量が-10 dB 以下となる帯域幅が正面から入射した場合と同等に得られることが分かった.
積層セラミックコンデンサ(Multi-Layer Ceramic Capacitors: MLCCs)には負透磁率を示す周波数帯域が存在することが確認されている.また、MLCCの内部構造を調整することで,MLCCを用いた円筒クローキングが提案されている.しかし,この方法では内部構造が異なる複数のMLCCを用意する必要がある.そこで,本稿では,一種類のMLCCを使用し,MLCCの配置密度を制御した円筒クローキングについて検討した.単位セル構造の周期長を調整することで,所望の実効比透磁率・比透磁率を設計し,円筒クローキングを設計できる可能性があることがわかった.
筆者らは所望の周波数で反射位相量を制御できるΩ型リフレクト共振素子を用いたカーペットクローキングについて報告してきた.本稿では,より広帯域で動作するスパイラル型共振素子を用いてカーペットクロークを設計し,その放射特性を数値的に検討したので報告する.
AESA (Active Electronically Scanned Array) 用レドームは,アンテナとレドームとの距離が近く,アンテナとほぼ平行な平板形状となるため,ビーム走査角とレドーム入射角が等しくなる.そのため,従来の機械駆動式や機械駆動と電子ビーム走査を組み合わせたアンテナ方式用のレドームよりも,より広い入射角に対して低損失な特性が求められる.しかし,従来の厚さが均一なレドームでは,設計した入射角以外では透過特性が劣化するという課題がある.そこで本稿では,広覆域にビーム走査するAESA用に,広い入射角に対して低損失となる多層平板レドームを提案する.
休 憩(10:30 再開) 座長 山本伸一(三菱電機)
B-1-97 |
傾けた金属リムを設けた回転対称構造フォトニックバンドギャップアンテナ
山内潤治・◎齋藤星汰・中野久松(法政大) |
B-1-98 |
短絡板を用いて小型化したMACKEYの検討
◎田村俊樹・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
B-1-99 |
AMC基板内部で給電したMACKEY Ⅱの検討
◎宮下圭介・田村俊樹・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
B-1-100 |
金属上で利用可能な偏波共用小型アンテナ
○内村弘志(京セラ) |
B-1-101 |
デュアルバンドSIWキャビティ裏付けクロススロットアンテナの設計
◎吉原圭一郎・田村昌也・宮路祐一(豊橋技科大)・Arokiaswami Alphones(Nanyang Tech. Univ.) |
側面に傾けたリムを設けたフォトニックバンドギャップ(PBG)アンテナを提案する.出力開口部で半径方向への界の振幅と位相変化が緩やかになり,高利得な漏れ波アンテナとして動作することを明らかにする.
周囲の金属における影響を受けない小型アンテナとしてMACKEY(Meta-surface inspired Antenna Chip developed by KIT EOE Labo-ratory, 以下:基本型)について考案し,自由空間および金属上でも動作可能なことを示した.本報告ではMACKEYの小型化を目的とし,基本型に短絡板を設けた2つのモデルを提案する.
周囲の金属による影響を受けにくい小型アンテナとして
MACKEY(Meta-surface inspired Antenna Chip developed by KIT EOE Labo-ratory,以下,基本型)[1]について考案し,自由空間および金属上でも動作可能なことを示した.本報告では,アンテナ基板をAMC基板内に入れることによって薄型化したMACKEY Ⅱについて報告する.
これまで,金属上でも利用可能な小型アンテナを開発するためにAMCに着目し,数単位セルAMCの小型化と,それを用いた小型アンテナ:Amcennaを提案した.このアンテナは,対向する1対の側壁に電気壁を形成したことに特徴を持つ.これにより小型化が可能となったが,アンテナの偏波は電気壁と垂直な方向に限定された.そこで,コーナーショートAmcennaを提案した.この構造によれば,x(y)方向に流れる電流に対して,y-z(z-x)面に平行なアンテナの側面は電気壁となる.これにより偏波共用となった.サイズは0.054λ×0.054λ×0.012λと小型であり,GPSやMIMOアンテナとして利用可能であることを示した.
携帯端末Wi-Fi 用アンテナの周波数(2.45 GHz 帯) および5G 通信に向けた周波数(3.5 GHz 帯) で放射するデュアルバンドSIW (Substarated Integrated Waveguide) キャビティ裏付けクロススロットアンテナを提案する.SIW キャビティにより二つの電気壁と二つの磁気壁を実現し,簡易な構造となり安価に設計できる.これに加えてクロススロットを用いることによって,デュアルバンドアンテナを設計する.結果,それぞれ比帯域は0.486%,0.780%となり,最大利得8.28 dBi,7.31 dBi を達成した.
9月13日 13:00〜14:15 B棟 2F B218講義室 座長 戸村 崇(東工大)
B-1-102 |
TM01モード励振グリッド装荷ステップ反射鏡アンテナ
○山本伸一・縫村修次・瀧川道生(三菱電機) |
B-1-103 |
多層リングで構成するパラボラアンテナの検討
◎松尾佳樹・越地福朗(東京工芸大)・越地耕二(東京理科大) |
B-1-104 |
ビームチルトのための半円筒導体装荷斜めカットホーンアンテナ
○大田治久・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
B-1-105 |
リフレクトアレーアンテナにおける残留収差による利得低下量の評価法
◎重光賛志郎・瀧能翔太・牧野 滋・琴浦 葵(金沢工大)・瀧川道生・中嶋宏昌(三菱電機) |
B-1-106 |
偏波によりビーム方向が異なるリフレクトアレーアンテナの検討2
◎深谷芽衣・小幡亮太・牧野 滋(金沢工大)・中嶋宏昌・瀧川道生(三菱電機) |
円形導波管TM01モード励振のステップ反射鏡アンテナにグリッドを装荷して、直線偏波を円偏波合成することで原理的に偏波損を3dB低減し利得改善した、グリッド装荷ステップ反射鏡アンテナを提案し、従来法に対する有効性を示した。
本研究では,リング状の銅箔パターンを階段状に層構造で配置したパラボラアンテナの検討を行った.その結果,電磁界解析および実測によって,良好な結果が得られることを確認した.
無線通信システムは所望エリアを高利得・低損失で照射できる小型アンテナが必要である.先に,ビームチルトを可能とするために,誘電体レンズを用いたアンテナを提案してきた.本稿では,ペンシルビームの高利得特性を維持しつつ,ビームチルト角を40°とした小型アンテナを設計し、その放射特性の検討を数値的に行ったので報告する.
リフレクトアレーアンテナにおいて、残留収差を球面波で近似すると波面の曲率半径がリフレクトアレーアンテナの幾何学的な数値で計算できることを示した[1]。本報告では、開口分布法を用い、残留収差による利得低下量を評価できることを示す。
リフレクトアレーは共振素子を用いることで反射位相を制御し,球面波を平面波に補正している[1].これらの機能を応用したマルチビーム方式では偏波と周波数によってビーム方向を変化させることで,少ない鏡面でサービスエリアをカバーする方式が提案されている[2].本報告では,前回の報告[3] では実現できなかった偏波によって独立した位相制御を可能とする素子の再検討を行った.
B-1. アンテナ・伝播C(アンテナシステム)
9月10日 9:00〜11:45 B棟 2F B208講義室 座長 鷹取泰司(NTT)
B-1-107 |
マルチビームMassive MIMOの屋内実環境における特性評価
○西森健太郎・工藤明紀・谷口諒太郎(新潟大)・平栗健史(日本工大)・広川二郎(東工大) |
B-1-108 |
垂直・水平面内の電波到来角度特性を考慮した2次元Massive MIMOアンテナの検討
○藤井輝也(東工大) |
B-1-109 |
大規模MIMOアンテナ解析のための散乱体ランダム配置によるモンテカルロ法
生川菜々・福嶋大希・○小川晃一・本田和博(富山大) |
B-1-110 |
中継伝送を用いた偏波MIMO 伝送のチャネル容量改善効果
◎森本和明・藤元美俊(福井大) |
B-1-111 |
干渉局チャネルを用いたMU-MIMOのチャネル間干渉低減
◎内田圭耶・藤元美俊(福井大)・北尾光司郎・今井哲朗(NTTドコモ) |
著者らはこれまで,アナログマルチビームとConstant Modulous Algorithm (CMA)によって干渉除去を行い,伝搬チャネル応答(Channel State Information : CSI)推定を不要とすることで,通信効率を改善するマルチビームMassive MIMO 伝送法を提案した.本報告では,アナログビーム形成およびブラインド信号処理による屋内実環境における干渉除去の効果について述べる.IEEE802.11ac信号における従来手法に対する効果を明らかにする.
第5世代移動体通信では伝送効率を一層向上させるために、基地局アンテナとして素子を水平方向のみではなく垂直方向にも配置するMassive MIMOのような多素子2次元配置アンテナが検討されている。このようなアンテナを最適に設計するには水平面内及び垂直面内の電波到来角プロファイルを考慮した設計が不可欠である。
本稿では、水平面内及び垂直面内の電波到来角プロファイルを同時に考慮して、2次元に配置されたM×N素子アンテナの最適合成方法について検討する。
大規模MIMOアンテナ(Large-Scale MIMO)をモンテカルロ法により解析する場合チャネル行列ランク落ちにより問題が生じる.本論文では,大規模MIMOアンテナのモンテカルロ法を実行するために,円周上の散乱体をランダム配置することでチャネル行列がフルランクとなる解析方法を提案する.
現在導入が検討されている8K放送では従来のフルハイ
ビジョン放送よりさらに大容量の通信が必要となる.伝送
方法として偏波MIMO伝送が検討されている.MIMO伝
送は同一周波数で複数の伝送路を用い,伝送速度と信頼度
を向上させ,より高速かつ大容量の通信を可能とする.市
街地の直接波が届かない場所で地上波放送を行うためには
中継局を設置する必要がある.
本研究では地上波放送で偏波MIMO伝送を用いる場合に
ついて,中継伝送の必要性とその効果を明らかにする.
高速かつ広帯域な通信を実現するため,5Gでは同一キャリアで動的に上下リンクを切り替えるDynamic TDDの導入が検討されている.しかし基地局が密集した状態でDynamic TDD を適用した場合,様々な干渉が発生する.
本報告では,基地局で上りの伝搬チャネルを推定する際,他の下り基地局(干渉局)から干渉を受ける伝搬環境において,その干渉を低減する下りのMU-MIMO 手法を提案する.
休 憩(10:30 再開) 座長 武田茂樹(茨城大)
B-1-112 |
無線通信システムにおけるシャハラン法による干渉波抑圧のための所望波相関行列算出方法
◎田中裕士・高橋善樹・高橋龍平(三菱電機) |
B-1-113 |
エイリアシングを用いた3素子ESPARアンテナの多出力化
○齋藤将人(琉球大) |
B-1-114 |
近距離Full-Duplex MIMOにおける自己干渉抑圧に適したアンテナ素子間隔
◎小田島祥太・村田健太郎・本間尚樹(岩手大) |
B-1-115 |
マルチビームMassive MIMOにおける畳み込みニューラルネットワークを用いた変調方式推定
○谷口諒太郎・西森健太郎(新潟大) |
B-1-116 |
マルチビームMassive MIMOに適したマルチビームパターンの検討
◎工藤明紀・西森健太郎・谷口諒太郎(新潟大)・平栗健史(日本工大)・広川二郎(東工大) |
無線通信システムに適した干渉波抑圧方法の1つに,アレーアンテナを用いるシャハラン法がある.同法は方向拘束の際ステアリングベクトルの代わりに所望波の先行情報(電力,角度分布及びステアリングベクトル)から算出した所望波相関行列を用いることが特徴であり,MVDR(Minimum Variance Distortionless Response)法と比べ拘束条件の誤差に対してロバストである.しかし先行情報の誤差が著しく大きい場合,干渉波だけではなく所望波も抑圧される.所望波抑圧を回避する方法の1つとして,干渉波のみの受信信号から所望波相関行列を求める方法が考えられるが,スループットの低下が生じる課題がある.上記の課題に対し本稿では,スロット間の相関行列の差から所望波相関行列を算出し,所望波抑圧を回避しつつ干渉波抑圧とスループット維持を両立する方法を提案する.
本研究では,MIMO受信に用いるアンテナとして,3素子ESPARアンテナを用いる.2本の寄生素子についてリアクタンス時系列の周期をTsおよびTs/2とし,時間差(位相差)をTs/4とする周期関数を用いた.これにより得られるアンテナ出力をサンプリング周期Ts/8と設定した.これらの設定により,エイリアシングを積極的に利用することができ,結果として5種類の異なる方位角特性を持つ多重化アンテナパターンが得られた.提案手法により,素子数3,給電線1本で5出力が得られるMIMO受信アンテナが得られることを示す.
著者らは,近距離Full-Duplex MIMOにおける自己干渉除去に適したアンテナ素子配置を提案している.本方式では,十字配置した送受信アレーの素子間隔を最適化することで自己干渉行列の固有値を縮退させ,主要な固有モードに対しヌルを形成することで,アレー間の自己干渉を一挙に抑圧する.これまでの検討では,本アンテナ配置において自己干渉行列の固有値が縮退する最適素子間隔の存在を数値解析的に確認している.本報告では,位相のみを考慮した幾何光学モデルに基づく自己干渉行列の固有値解析により最適素子間隔の理論式を導出した結果について述べる.
著者らは基地局でアナログマルチビームを形成し,受信信号にディジタル信号処理としてConstant Modulus Algorithm (CMA)を適用するマルチビームMassive MIMOを提案し,評価した.CMA適用後のマルチビームMassive MIMOの受信信号は位相が回転し,その補正にはパイロット及び受信信号の変調方式に関する情報が必要となる.本報告では,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて,マルチビームMassive MIMOの受信信号の変調方式推定を行い,その基本性能を検証する.
これまで著者らは,アナログマルチビームとIndependent Component Analysis (ICA) を用いることで,Channel State Information (CSI) 推定を不要とするマルチビームMassive MIMO伝送法を提案した[1].本検討では,マルチビームMassive MIMOに最適なマルチビームパターンの決定手法を提案し,マルチビームの違いによる性能差を明らかにする.
9月10日 13:00〜15:30 B棟 2F B208講義室 座長 飴谷充隆(産総研)
B-1-117 |
近傍界測定におけるEVM 特性に関する検討
◎勝田 敦・新井宏之(横浜国大)・八九勇樹・松村尚輝・西森健太郎(新潟大) |
B-1-118 |
2面の近傍電界振幅から求めた導体表面電流分布を用いた遠方界推定
◎林 祐造・新井宏之(横浜国大)・岩永伸也・堀 智(小島プレス) |
B-1-119 |
2次元OTA装置内にクラスター伝搬環境を実現する散乱体配置
◎稲垣達也・本田和博・小川晃一(富山大) |
B-1-120 |
先端開放プローブを用いた方形導波管狭壁面給電構造の試作評価
◎上坂昂司・宇野 孝・中本成洋・深沢 徹・米田尚史・山本剛司・柿元生也(三菱電機)・小西善彦(広島工大) |
B-1-121 |
合成開口法を用いたアンテナ・伝搬測定法の物理モデル[I] ーソフトウェアコンパクトレンジモデルによる遠方界測定ー
○山口 良(ソフトバンク) |
ミリ波帯では,伝搬損失や遠方界距離の関係からコンパクトな測定環境かつOver-The-Air(OTA)テストが望まれている.そこで,通信の変調及び復調の精度を示すError VectorMagnitude(EVM)の近傍界と遠方界で同様の特性が得られるか検討を行った.本稿では,基礎検討としてIEEE802.11ac 標準規格の20 MHzのOFDM信号を4系統生成し,19.55GHz 帯で伝送実験を行い,測定距離や同一測定面内の位置によるEVMの検討を行った.
金属筐体にアンテナを接続すると筐体全体がアンテナとして動作するため筐体サイズによっては、遠方界の測定に広大なスペースを要する場合がある。こういったアンテナにおいて半球面走査による近傍界測定を用いた電流分布推定法が提案されている。この方法では位相情報が必要であるが実測において位相を正確に測定することは難しい。そこで本報告では2面の半球面近傍電界振幅から電流分布を最適化し,遠方界推定を行う手法について述べる。
都市部において電波はビルに囲まれた道路に沿って伝搬するので,ストリートマイクロセル環境であることが知られている.本研究では,2次元OTA装置の低コスト化のため,クラスター伝搬環境を実現する散乱体の配置について検討した.
方形導波管を狭壁面からプローブで給電する場合,プローブをL字にし,先端を方形導波管の広壁面に短絡する方法がとられる.しかしながら,プローブの加工や方形導波管との導通が必要であることから製造性に課題がある.これまで筆者らは,方形導波管に台形状アイリスを設け,狭壁面から直線状プローブを挿入する給電構造を提案し,電磁界解析により良好な特性が得られることを示した.本稿では,試作評価結果を報告する.
合成開口アンテナ技術を利用して長尺アンテナ遠方界測定や到来方向高分解能測定ができる。本稿では、回転測定と仮想アレーアンテナを組合せたた共通原理でこれらの異なる測定ができることを示し、遠方界測定の物理モデルとしてソフトウェアコンパクトレンジを概説する。
休 憩(14:30 再開) 座長 井上祐樹(NTTドコモ)
B-1-122 |
合成電界振幅情報を用いたアレーアンテナの校正法
○浅井美佑・新井宏之(横浜国大) |
B-1-123 |
ポート励振条件に基づくアレーアンテナ校正向けダミーポート測定法の検討
○桧垣 誠・佐野 誠(東芝) |
B-1-124 |
OAM伝送用円形アレーアンテナのキャリブレーション方法の提案
○平部正司・善久竜滋・宮元裕章・生田耕嗣・佐々木英作(NEC) |
B-1-125 |
平面パッチアレイにおける二軸走査での欠損素子検出
◎楠瀬恭介・新井宏之(横浜国大) |
本稿では,4素子アレーアンテナの合成電界における振幅情報を用いて校正を行う方法を検討する.1つの素子の位相を変化させ,それ以外の位相をアンテナ配列の垂直方向に固定した場合の合成電界は,遠方界と近接した位置にヌル点が生じ,素子によって2種類に分けられる.各素子に-5度から5度までの誤差をランダムに与え,それぞれの位置で値の変化に着目したとき,2素子の位相変化によってその位置にヌル点を乗じない2素子の相対誤差が求められ,式の導出により4素子の相対誤差の推定が可能となる.今後の課題は最小値の変化で求まる相対誤差の推定精度の向上と推定可能な誤差の拡張である.
民生応用のため提案している到来方向推定用アレーアンテナの簡易校正法は低コストな一方、新たに追加したダミーポートの測定に手間がかかる。今回は、実使用ポートの測定のみで済む手法を適用し、到来方向推定精度を評価した結果を報告する。
5G,B5Gに向けて100Gbpsクラスの無線バックホール,フロントホールの要求が高まっており,我々はその実現現方法の1つとしてOAMモード多重無線伝送の研究開発を進めている.フルデジタル方式の円形アレーアンテナによるOAMモード多重無線伝送の屋外実験を進めているが,OAMモードを正確に生成するためにはアレーアンテナを構成するアンテナ素子間の特性ばらつきを補正するためにキャリブレーションが必要となる.高速な変調信号においては遅延時間のばらつきも考慮する必要があり,本報告では遅延時間まで考慮したキャリブレーション方法を提案し,実験結果を報告する
平面アレイアンテナは,その開口面電界分布の対称性を利用して直交する二軸走査のみで遠方界推定や校正評価が行える.本論文では製品検査などを目的として、直交二軸の少ない走査点からアンテナ素子欠損を検出する手法について検討する.
9月11日 9:15〜11:45 B棟 2F B208講義室 座長 金 ミンソク(新潟大)
B-1-126 |
市販の無線LANを用いた屋内測位法の検討
◎安川 悟・金 ミンソク(新潟大) |
B-1-127 |
RSSI測距・PDR協調型屋内位置推定の精度向上法
◎成毛一史・本間尚樹・北村大地(岩手大)・菅原雄介・三浦 淳(イーアールアイ) |
B-1-128 |
MIMOレーダMUSICスペクトルに基づく対象数推定法(その1)~数値解析による性能評価~
○本間尚樹・沼﨑和樹・白木信之(岩手大)・中山武司・飯塚翔一(パナソニック) |
B-1-129 |
MIMOレーダMUSICスペクトルに基づく対象数推定法(その2) ~屋内環境における実験的評価~
◎沼﨑和樹・本間尚樹・白木信之(岩手大)・中山武司・飯塚翔一(パナソニック) |
近年,急速な高齢化社会に伴い,高齢者の単独世帯が増加しており,孤立死や家庭内事故の問題が年々深刻化している.そのため,高齢者の行動パターンを把握し,転倒や,トイレ・浴室から長時間出てこないなどの異常事態を検出できるシステムの開発が重要となっている.本稿では,IEEE 802.11nに準拠する市販の無線LANを用いて,多重波成分を角度領域と遅延時間において分離し,機械学習法により判定することで屋内測位を評価した結果を報告する.
本研究では,BLE (Bluetooth Low Energy) ビーコンのRSSI (Received Signal Strength Indicator) による測距結果と端末センサの情報によるPDR (Pedestrian Dead Reckoning) の結果を組み合わせた位置推定法を提案する.従来検討では,送受信機間距離を比較することで,2つの技術を融合していた.本提案法では,距離の逆数の領域で比較することで,高精度に位置推定を行う方法を提案する.加えて,ビーコン信号の周波数ダイバーシチを利用することで,位置推定精度向上を図る.屋内環境での実験結果より,従来のハイブリット方式に比べ,0.55 m精度が改善できることが分かった.
本報告では, MUSIC法に実際の人数よりも大きい波数情報を与えてスペクトルを計算し,そこから虚像を排除することで人数を推定する方法について検討する.バイタルサインを考慮した数値解析を行い,仮想アレー自由度より少ない値に仮定人数を設定し虚像を排除することで,人数推定が可能であることが分かった.
CW (Continuous Wave) 信号を用いた屋内生体位置推定法を提案しているが,同手法は,CW信号を用いて測定を行い,到来波方向推定法の1つであるMUSIC (MUltiple Signal Classification) 法を用いて生体位置を推定する.しかし同手法は被験者が複数存在する場合は,被験者数が既知である必要があった.本報告ではMIMO (Multiple-Input Multiple-Output) レーダにおいて,MUSIC法の設定人数を実際の生体人数以上に設定し,虚像を排除することで生体人数を推定する方法を提案する.以下では,提案する生体数推定法の原理について示し,実験により提案法の有効性を明らかとする.
休 憩(10:30 再開) 座長 藤元美俊(福井大)
B-1-130 |
飛翔車両衝突防止向け指向性走査3次元モノパルスアンテナ
◎北原舜也・生川菜々・小川晃一・本田和博(富山大) |
B-1-131 |
疑似逆正接復調の振幅相当成分に着目した複数人心拍の同時検出法
◎長谷部 駿・本間尚樹・小林宏一郎・岩井守生(岩手大)・佐藤 敦(エクォス・リサーチ) |
B-1-132 |
局所線形予測法を用いたFMCWレーダ距離推定の高分解能化
○飯塚達哉・石山文彦・鳥海陽平・加藤 潤(NTT) |
B-1-133 |
MIMOレーダ方式における送受積パターンの一検討
○紀平一成・深沢 徹・米田尚史(三菱電機) |
B-1-134 |
不等間隔3周波仮想アレーを用いたTOF推定
◎北村大地・本間尚樹・成毛一史・村田健太郎(岩手大)・菅原雄介・三浦 淳(イーアールアイ) |
将来,空飛ぶ車が増加した実用成熟期には衝突防止が安心安全を得る優先的課題になる.一方,旅客航空機ではTCAS IIが衝突防止システムとして実用化されており,空間分割モノパルス法の有効性が実証されている.本論文では空飛ぶ車の衝突防止を目的としたモノパルスアンテナについて述べる.
固有ベクトルを用いて複数人の信号を分離し,疑似逆正接復調を適用することで心拍を同時に検出する方法を提案する.従来は利用されなかった振幅相当成分に着目することで呼吸と心拍成分を分離する.心電計を用いて実際の心拍を同時に測定し比較を行い,提案法によって複数人の心拍応答を同時に検出する.実験結果より分離信号の時間応答と心電図のピークが良く一致することを確認した.また心電図のR-R間隔と分離信号のピーク間隔の平均誤差はTarget Aでは0.0625 s,Target Bでは0.0225 sとなり,呼吸成分の影響を低減しながら複数人の心拍成分を正確に分離できることを明らかとした.
送信信号に周波数チャープ信号を使用するFMCWレーダ方式は,利便性やコストのメリットがある.しかし,周波数推定にフーリエ変換を用いる従来手法では,距離分解能が使用可能帯域幅に制限される.
本稿では,周波数推定に局所線形予測法を適用することで,使用帯域幅によらず高い距離分解能と精度を得る手法を提案する.FMCWレーダの受信信号を模擬し提案手法を適用した結果,従来のフーリエ変換を用いた距離推定よりも精度が大幅に増加することを確認した.
送受積パターンで等価的に大きなアンテナ開口を実現するMIMO レーダ方式が注目されている.著者らは,サブアレー方式におけるRF部コスト最小化の観点の送受信素子数最適化を提案した.本報告では,送受積パターンの設計について報告する.
Bluetooth5.1では,取得される位相情報を用いたAOA (Angle of Arrival) 位置推定法が利用可能になる.この手法は,複数局により得られるAOAを用いることで位置推定を行う.しかし,この方法では送信機が複数台必要となるという問題があった.本報告では,得られる位相情報を活用しTOF (Time of Flight) を求める方法を提案する.AOAと組み合わせることで,単一送信機のみを用いた位置推定に拡張可能となる. BluetoothのAdvertising channel (3周波) は不等間隔でありこの位相情報に対して仮想アレー処理を行い,MUSIC法によりTOF推定を行う.実験を行い,提案法により,距離推定誤差の中央値が0.24 m改善し,極端に大きな推定誤差を低減することを明らかにした.
9月11日 13:00〜17:00 B棟 2F B208講義室 座長 西森健太郎(新潟大)
B-1-135 |
FISTA切り替えによるDOA-TOA同時推定の高速化
○下茂清峰・藤元美俊(福井大) |
B-1-136 |
位相反転重み付け法による全立体角到来波方向推定
◎生川菜々・福嶋大希・小川晃一・本田和博(富山大) |
B-1-137 |
ニュートン・ラフソン法を用いた3次元到来波方向推定
○本田和博・小川晃一(富山大) |
B-1-138 |
受信電力を用いた機械学習による到来波数推定
◎△納庄尭大・立神光洋・長谷川達人・藤元美俊(福井大) |
B-1-139 |
複数のAnnihilating Filter出力情報を用いた2次元到来方向推定
齋藤 諒・◎濱田翔平・市毛弘一(横浜国大)・荒川暢哉・柏木克久・湯浅敦之(村田製作所) |
無線通信品質を改善するために,DOAおよびTOAの様々な推定法が提案されている.特に圧縮センシング(CS)を用いた手法は,従来法と比べ1サンプリングで推定が可能であり,注目されている.しかし,CSは,推定に多くの計算時間を必要とする.そのため,2次元以上のプロファイル推定を行う場合,計算時間が膨大となる.本項では,CSのアルゴリズムの一つであるFISTA(Fast Iterative Shrinkage Thresholding Algorithm)の切り替えにより,DOAとTOAの同時推定において,計算時間を短縮するための高速化手法を提案する.
通信目標が実質的に水平面に限られている地上の自動車とは対照的に飛翔車両では自由な飛行経路を持つため全立体角での通信が不可欠である.従来研究[1]では地上の自動車を対象としており天頂方向の高仰角における到来波方向推定が困難であった.本稿では飛翔車両を対象として,全立体角で到来波方向推定を可能とする位相反転重み付け法を提案する.
我々は,全アジマス方向のみならず全エレベーション方向に対して超高速通信を実現できるデイジーチェーンMIMOアンテナの開発を行っている.本研究では,3次元到来波方向の推定方法について検討したので報告する.
アレーアンテナを用いて電波の到来方向や到来波数を推定する場合,各アンテナ素子における受信信号の振幅,位相などで構成される受信ベクトルを一般に用いる.また近年,機械学習を用いた到来方向推定や電波伝搬推定などの応用研究が行われている.
本稿では,より簡単なアンテナ回路構成で得られる受信電力を入力データとし機械学習を用いて到来波数を推定する手法を提案する.また,推定精度に対する各パラメータの影響を明らかにする.
本稿では,Annihilating Filter(AF)を用いた1次元
到来方向(DOA)推定手法を,2次元DOA推定に拡張
する.文献[1],[2]では,AFを用いた1次元DOA推定
手法が提案されている.これらの手法を単純に2次元ア
レーに適用すると2変数多項式の求解が必要になり,一
般には推定が困難である.提案手法では,x,y方向の1
次元DOAをそれぞれ独立に推定し,得られた複数の推
定値(AF出力情報)から適切な組み合わせを決定する.
休 憩(14:30 再開) 座長 塩見英久(阪大)
B-1-140 |
高測角精度AOAアンテナの小形化
◎大坪勇樹・本田和博・小川晃一(富山大) |
B-1-141 |
2次元スパースアレーによるビームフォーミング手法の一検討
◎中村彰吾・岩崎 翔・市毛弘一(横浜国大) |
B-1-142 |
マイクロ波電力伝送に向けた負荷変調CSI 推定方式に関する検討
○村田健太郎・本間尚樹(岩手大) |
B-1-143 |
UHF Band RFID Tag Enabling Color Change: A Color-Change Tag
○Jian WANG・Fangyuan KONG・Shigeki TAKEDA・Kenichi KAGOSHIMA・Masahiro UMEHIRA(Ibaraki Univ.) |
B-1-144 |
室内光無線通信に適する端末アンテナの検討
○金岡舜一・新井宏之(横浜国大) |
我々は素子数を削減した高測角精度AOAアンテナを開発した.しかし,円周上の素子の半径については検討しなかった.本研究では円の半径について検討し,従来のAOAアンテナを小形化したので報告する.
本稿では,2次元スパースアレーの仮想拡張アレーを用いたビームフォーミングを提案する.著者らは以前に,2次元スパースアレーの最適素子配置を提案し,到来方向(DOA)推定精度の向上を確認している.そこで,DOA推定に次ぎ,スパースアレーおよびその拡張アレーによるビームフォーミング性能を評価する.
無線IoT (Internet of Things) デバイスの電源確保手段としてマイクロ波電力伝送技術が注目されている.本技術では,送受電機間のCSI (Channel State Information) に基づきBF (Beam Forming) を行うことで高効率な遠隔給電を実現する.一方,受電機においてもCSI推定用信号の送受信が必要なため受電機のハード規模および消費電力の増大は不可避である.そこで本報告では,簡易な受電機構成でCSI推定を可能とする負荷変調CSI推定方式に着目し,後述する本方式固有の課題を克服する新たなシステム構成および制御方法を提案する.
In this paper, an RFID tag that can change color, referred to as a color-change tag, is proposed, and preliminary experimental results are presented to validate the proposed color-change tag. The proposed color-change tags, for example, remove the work of staff who put discount stickers on specific items among those on shelves in convenience stores that are approaching their expiration dates.
光を無線通信に用いる場合,自由空間伝搬損が大きいため,高利得なアンテナが望ましい.そのような高利得アンテナとして光漏れ波アンテナが考えられており, 40dBを超える高い利得が得られている.本稿では,回線設計により所望の通信距離(5m)を確保するために必要な基地局側と端末側それぞれのアンテナ利得を算出して,基地局アンテナを高利得アンテナと想定した場合の適する端末アンテナの構造を提案し,その解析上の特性を示す.
休 憩(16:00 再開) 座長 紀平一成(三菱電機)
B-1-145 |
ドローン間通信におけるアンテナ切替型ミリ波 LOS-MIMO の提案
◎松村尚輝・西森健太郎・谷口諒太郎(新潟大)・平栗健史(日本工大)・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-146 |
全立体角飛翔車両間通信を実現する指向性走査MIMOサンドイッチアレー
◎福嶋大希・生川菜々・小川晃一・本田和博(富山大) |
B-1-147 |
OAMモード多重伝送におけるアンテナ軸ズレに関する評価
○善久竜滋・宮元裕章・生田耕嗣・平部正司・佐々木英作(NEC) |
B-1-148 |
HAPSシステムにおけるサービスリンクのフットプリント制御技術の検討
○須藤渉一・星野兼次・太田喜元(HAPSモバイル) |
著者らは,小型自立無人航空機 (ドローン) 間の通信にミリ波と LOS-MIMO (LOS: line-of-sight) 伝送を用いたシステムを提案した.本報告では,素子間隔の異なる複数の正方アレーアンテナ (サブアレー) を切り替えることで,ドローンの移動で送受信距離が変化した場合にも理論上限値に近いチャネル容量が得られることを明らかにする.
現在,飛翔車両間通信の実現に多くの関心が集まっている.飛翔車両では3次元空間内の全立体角にわたって通信ターゲットが広がるため,全立体角にわたる放射特性を有するアンテナが必要となる.本稿では,飛翔車両における車車間通信を実現する上下半球空間を指向性走査により全照射することのできる,指向性走査MIMOサンドイッチアレーを提案する.
5Gの普及に向けて,無線バックホール,フロントホールの大容量化が求められており,ミリ波利用による広帯域化,空間多重伝送技術による周波数利用効率向上が検討されている.その一つとしてOAM (Orbital Angular Momentum) モード多重伝送が注目されているが,アンテナ軸ずれによる特性劣化が一つの課題とされている.本報告では,適応制御型OAMモード分離によりアンテナ軸ズレによる特性劣化が抑圧できることを,シミュレーション,及び実験装置により評価した結果を報告する.
成層圏プラットフォーム(HAPS)を用いた地上のセルラ携帯端末と直接通信する携帯通信サービスは、サービスエリアの拡大や災害対策として非常に魅力的である。
一方、HAPSは上空で移動および姿勢の変化から、多数の地上セルラ端末がハンドオーバを起こす。そのため、機体の動きに合わせて地上のフットプリントを固定するアンテナビーム制御技術が重要である。
本発表では、シリンダアレイアンテナを試作し、一般逆行列によるウェイト計算手法を用いた測定結果とシミュレーション結果とを比較する。その結果から、HAPSの位置および姿勢の変化によるフットプリント固定制御を実現するにあたり、提案手法が有効であることを明らかにする。
B-2. 宇宙・航行エレクトロニクス
9月10日 9:00〜11:45 C棟 3F C308講義室 座長 秋田 学(電通大)
B-2-1 |
超小型衛星HSU-SAT1号機の開発状況
◎△中村聡希・戸波大希・堤内彩薫・山森佳奈・黒川準之介・竹津元晴・神澤礼成・阿部元春・佐々木宏朋(ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ)・伊藤那知・竹内佑介・中尾明弘(北海道衛星)・佐鳥 新(ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ) |
B-2-2 |
超小型衛星HSU-SAT1の姿勢制御系の開発
◎戸波大希・阿部元春・神澤礼成・中村聡希・佐々木宏朋・竹津元晴・堤内彩薫(Happy Science Univ.)・伊藤那知・中尾明弘・竹内佑介(北海道衛星)・佐鳥 新(Happy Science Univ.) |
B-2-3 |
干渉源位置標定システムにおけるDOPに応じた重み付けを行うクラスタリング方式の検討
◎萬谷禎昭・大島正資・網嶋 武(三菱電機) |
B-2-4 |
2受信局と3衛星間のTDOAによる非同期追尾の性能評価
○網嶋 武・高橋龍平(三菱電機) |
B-2-5 |
GPUベース多重仮説追尾向けK最小ソルバの検討
○後町将人・中村将成(三菱電機) |
現在,ハッピーサイエンスユニバーシティ(HSU)及び未来科学研究所(FSI)では本学初の人工衛星“HSU-SAT1”の開発を進めている.HSU-SAT1は1UのCubeSatであり,2020年末に国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」の小型衛星放出機構”J-SSOD”から放出予定である.メインミッションは2号機以降に搭載予定のバスシステムの実証実験と,光通信の基礎実験である.レーザーダイオードで自己発光を行うことで,肉眼で見える眼視可能な衛星を目指す.1号機の概要と開発状況について報告する.
2020年下半期に打ち上げ予定のHSU-SAT1の姿勢制御系について、姿勢制御の概要、搭載機器、予定している実験、地上での予備実験の結果などについて解説する。
衛星を用いた干渉源位置標定システムでは,干渉源のUPLINK信号が複数の衛星を経由する際に,各衛星の位置の差によって生じる時間差(TDOA:Time Difference Of Arrival)と,各衛星の移動ベクトルの差によって生じるドップラー周波数差(FDOA:Frequency Difference Of Arrival)から,干渉源の位置を標定する.これらの位置標定結果には複数の干渉源が含まれるため,干渉源毎に自動で分類(クラスタリング)することが求められている.
本研究では,干渉源位置標定システムにおいて,衛星位置と干渉局位置で決まるDOP(Dilution Of Precision, 誤差増倍率)に応じて位置標定結果に重み付けをして,クラスタリングを行う方式を提案する.
衛星通信に生じるアップリンク干渉の電波源を追尾する方法として,筆者らは,これまでに,3衛星間の到来時間差(TDOA: Time Difference of Arrival)を2受信局で非同期に計測し,得られたTDOAを入力値とした非同期追尾方式を提案している.本稿では,提案方式の性能評価を行う.
複数目標が縮退して検出される状況を考慮した多重仮説追尾手法の高速化を目的に、小サイズ・多量のK最小コスト問題に適したGPU向けソルバを検討した。検討した手法を試作した結果、従来手法に比べて21~59倍の高速化効果が確認できた。
休 憩(10:30 再開) 座長 網嶋 武(三菱電機)
B-2-6 |
レイトレース-SDR法を用いた都市部における衛星信号の模擬精度評価
○津田顕祐・藤井義巳・江森洋都・古川 玲(構造計画研) |
B-2-7 |
市街地を模擬した釧路地域における準天頂衛星システムの測位精度
○山形文啓(釧路高専)・小熊 博(富山高専)・亀田 卓・末松憲治(東北大) |
B-2-8 |
GNSS単独測位とMADOCA測位の比較例
◎岩本滉希・藤崎宏史・高橋 賢・田中公一・藤原 真・八方直久(広島市立大) |
B-2-9 |
RPM法とカーネルドップラー速度推定法の双方向処理に基づくレーダ画像化法
○林 拓海・木寺正平(電通大) |
B-2-10 |
カーネル密度推定を用いた超分解能ドップラ速度推定法の実験的検証
○Jianghaomiao He・木寺正平(電通大) |
近年,衛星測位技術を利用した都市型のサービスが増えているが,依然としてマルチパス誤差による精度劣化の対策は必須である.任意の時刻における都市部の衛星信号を高い精度で模擬することができれば,実測のコストを削減する上でも有用であると思われる.本稿では,レイトレース-SDR法を用いて生成した都市部における模擬衛星信号,および実測との比較結果について報告する.
我々は, GPS (Global Positioning System) に代表される NSS (Navigation Satellite System) を用いた防災情報報知システムを提案している .このとき,複数の測位システムを複合して利用することで,測位機会の増大と測位精度の向上が可能となる. 2017 年 10 月に準天頂衛星システム (QZSS:Quazi-Zenith Satellite System) の衛星 4 号機が打ち上げられ, 2018 年 11 月にサービスが開始された.本稿では,市街地を想定した,GPS/QZSS の複合測位を行った測定結果を報告する.
準天頂衛星(QZSS)は測位精度を高める補強信号を提供している.この補強信号の 1 つである MADOCA(Multi-GNSS Advanced Demonstration tool for Orbit and Clock Analysis)の補強効果を確認するため単独測位とMADOCA測位に比較をした。車の走行実験で測位に必要なデータを収集して後処理解析により測位を行った。比較した結果、単独測位と比べてMADOCA測位は車線スケールで信頼性の高い結果が継続的に得られることがわかった。
近距離レーダは光学センサ等の適用が困難な,壁越し・粉塵・見通し外環境等での目標探知が可能であり,自動車における衝突防止センサとして有望である.特に人体各部のマイクロドップラー成分を抽出することで,同識別性能が向上すると予測される.一方,壁透過や見通し外での検知を想定する場合,中心周波数を低く比帯域を大きく設定することが必要となり,十分なドップラー速度分解能が得られない.上記の問題を解決するため,我々はガウスカーネル密度推定に基づくドップラー速度推定法を提案している.本稿では,先行研究の方法における多数目標の場合でのドップラー速度推定精度を向上させるため,本稿ではRPM法で推定される実空間上での推定点に対してソフトクラスタリング処理を適用することで,速度推定精度を改善させる
マイクロ波,ミリ波近距離レーダは,悪天候,見通し
外,壁透過等の環境下でも計測が可能であり,自動運転
時の衝突回避センサ及び災害現場での生存者検出センサ
等に有望である.特に人体各部位の動きに起因するマイ
クロドップラと呼ばれる成分を正確に抽出することで,
高精度な人体識別が可能となる.従来のドップラ速度推
定法は,フーリエ変換等のコヒーレント積分処理に基づ
き,特に比帯域幅が広い超広帯域パルス等では,反射パル
スが同一レンジゲートに存在しない,RW(Range Walk)
問題が生じる.また時間分解能と速度分解能にはトレー
ドオフが存在するという問題がある.同問題に対して,
我々は既にカーネル密度推定に基づくドップラ速度推定
法を提案しており,RW 問題を回避し,また時間分
解能と速度分解能のトレードオフも本質的に解決できる
ことを数値計算等により示している.本稿は,X-band
レーダを用いた実機実験による,同手法の有効性の検証
結果を示す.
9月11日 9:00〜11:45 C棟 3F C308講義室 座長 高橋龍平(三菱電機)
B-2-11 |
位相アンラップのためのクラスタリングを利用したPS抽出法
◎田中大地・宝珠山 治(NEC) |
B-2-12 |
マルチベースラインSAR解析における信号数推定
◎牛腸正則・児島正一郎(NICT)・山田寛喜(新潟大) |
B-2-13 |
多偏波SARトモグラフィを用いた森林観測に関する実験的検討
◎山﨑 遼・山田寛喜(新潟大)・渡邉卓磨(所属なし)・佐藤亮一(新潟大) |
B-2-14 |
偏波GB-SARによる地滑り斜面の長期観測
◎△泉 佑太・佐藤源之(東北大) |
B-2-15 |
24GHz FM-CW合成開口レーダによる微小変位の計測
○森山敏文・佐々木建介・山田晃平(長崎大) |
本稿では、正確な位相アンラップのための、クラスタリングを用いたPersistent Scatterer (PS) 抽出法を提案する。合成開口レーダ(SAR)の干渉処理における位相アンラップでは、位相ノイズによって不正確な結果になるのを避けるため、処理対象の画素として位相のノイズ量が少ない画素であるPSを抽出することが重要である。提案法では、SAR画像の画素を位相が相関したクラスタに分割し、クラスタ内の平均的な位相変化との相関の強さに基づいてPSを抽出する。実データを用いた実験により、強度に注目した抽出法よりも、PSの数とアンラップ結果が改善されることを確認する。
航空機SAR(Synthetic Aperture Radar) は災害観測など多岐にわたる用途に活用されており,特に近年,並列する複数パスから観測されたSARデータ(マルチベースラインSAR データ) を用いて高さ方向に合成開口処理を行うSAR Tomography (TomoSAR) が大きな注目を集めている.TomoSAR は三次元空間の観測データを三次元再構成するため,従来のSAR におけるジオメトリック歪みを解決可能である.しかし高さ分解能が低いという問題があり,著者らはMUSIC法などの高分解能信号分離手法を適用することでこの問題の解決法を提案してきた.これらの手法は高い分解能を実現できるが,ハイパーパラメータとして信号数が必要であり,その推定が課題となっていた.本稿ではMDLと平行分析の2手法によるマルチベースラインSARデータの信号数推定を行い,結果の比較と検証を行う.
レーダで観測可能な物量の中で,森林バイオマスは地球環境を把握する上で,重要な情報である.特に,森林バイオマスは樹木の体積と関係する物理量であるため,三次元的な分布に関する情報が重要である.森林バイオマスの推定方法として,同一領域を高さを変えた複数の軌道から観測を行い,三次元の後方散乱分布が推定可能なTomoSAR(SAR TomoGraphy)が有効であると考えられる.本稿では,TomoSARを用いた森林バイオマス推定の実現に向け,簡易的な森林モデルを作成し,電波暗室内に設置した森林モデルに対してTomoSAR測定・偏波解析を行った結果を示す.
東北大学では地上型合成開口レーダ(GB-SAR)による差分干渉処理技術を熊本県南阿蘇村立野地区における地滑り斜面に応用し,災害防止を目的とした社会実装を2017年から継続して行っている.単偏波での観測がGB-SARでは一般的であり,衛星搭載SARなどで広く利用されている多偏波情報がGB-SARに適用された例は少ない.今回立野地区の斜面に実装されたGB-SARは送受信合わせて計4つのアンテナを保有しており,一回の観測で全偏波(HH, HV, VH, VV)の観測が可能である.本報告では,高精度に変位情報を得るための前処理である大気補正,また,本プロジェクトにおける偏波情報利用について述べる.
現在,24GHzレーダは移動体検知センサー用特定小電力無線局として安価に入手できる.主な用途しては,CWモードやFM-CWモードを利用したドップラーや位置の情報を利用した移動体検知である.周波数帯域は200MHzのため,レーダの分解能は75cm程度であり,あまり高くない.近年の動向としては,77GHz帯への移行や更なる広帯域化が進んでいる.しかし,波長が4mm程度となると計測時の振動などによる影響も大きくなり,用途によっては取り扱い難い.この発表では,市販の安価な24GHz FM-CWレーダを合成開口処理レーダとして用い,位相変化による物体の微小変位の検出を試みた結果を報告する.
(10:15 開始) 座長 森山敏文(長崎大)
B-2-16 |
FMCWレーダにおけるLPF特性を考慮した広帯域干渉の解析
○梅比良正弘・王 瀟岩・武田茂樹(茨城大) |
B-2-17 |
干渉抑圧法を用いたFMCWレーダの抑圧窓長が検出特性に与える影響
◎奥田健夫・梅比良正弘・王 瀟岩・武田茂樹(茨城大)・黒田浩司(日立オートモティブシステムズ) |
B-2-18 |
航空機前方監視用76 GHz小電力ミリ波レーダにおけるレドーム影響測定評価
○二ッ森俊一・宮崎則彦(電子航法研) |
B-2-19 |
空港近傍および空港面監視型OFC-PPSR実験システム
○渡邊優人・本田純一・大津山卓哉(電子航法研) |
B-2-20 |
ワイブルCFARによるクラッタに埋もれたタグボートの検出
○佐山周次(防衛大) |
B-2-21 |
超広帯域レーダによる飛行時の各種ドローンの反射特性
○水嶋 巧・中村僚兵・葉玉寿弥(防衛大) |
自動車用FMCWレーダが高密度利用されるとレーダ間干渉が問題になる。本文では、FMCWレーダにおけるLPF特性を考慮した広帯域干渉の解析を示し、干渉電力が大きく、フィルタ次数が小さくなると干渉継続時間が長くなることを明らかにした。
高度運転支援システムや自動運転技術の普及に伴い、車載FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)レーダ間干渉によるターゲットの不検出や誤検出が問題となる。筆者らは、レーダ間干渉により発生する干渉信号を時間領域で検出し抑圧する反復干渉抑圧法を提案している。提案方式ではターゲットからの受信電力に応じて干渉検出閾値を適応的に設定するが、抑圧窓長が検出性能に与える影響の評価は行われていない。本文では、反復干渉抑圧法を用いたFMCWレーダの抑圧窓長が検出性能に与える影響を評価したので報告する。
様々な航空機の中でもヘリコプタは,比較的離着陸場所等の条件に柔軟に対応可能であり,空中での静止ができることから,災害救助・救急医療などで活躍している.一方,ヘリコプタは航空機の中でも比較的低高度を有視界飛行するため,気象や周囲構造物の影響で障害物等の発見に支障が生じ,事故等のリスクが発生する恐れがある.著者らは,これまでミリ波レーダを中心とした様々なセンサからなる監視システムの研究を行い,実機試験等を実施している.本稿では,航空機前方監視用レーダの応用の一つとして開発した,ヘリコプタ前方障害物監視用76 GHz小電力ミリ波レーダを用い,機体搭載時のレドーム影響測定評価を実施した結果を議論する.
空港面および空港近傍における航空機監視において,航空機搭載のトランスポンダを活用した二次監視レーダ(SSR)やマルチラテレーション(MLAT)が主流となりつつある.しかし監視対象にトランスポンダを必要とし,トランスポンダを搭載しない航空機や車両,もしくは正常に動作しない場合の監視機能の補完として,Multi-Static Primary Surveillance Radar (MSPSR)技術を用いた独立非協調監視システムについて検討している.
本稿では,周波数の有効利用の観点から既存一次監視レーダの周波数帯を利用し,MSPSRの一形態である光ファイバ接続型受動型一次監視レーダOptical Fiber Connected– Passive Primary Surveillance Radar (OFC-PPSR)の空港面及び空港近傍を想定した覆域拡張検討のための実験システムおよびそのフィールド実験結果について紹介する.
Sバンドレーダによりクラッタに埋もれたタグボートを観測した.部分的Q-Q確率プロットにより分布推定を行い,観測データがワイブル分布に従うことがわかった.Cell-Averaging (CA) LOG/CFAR回路を改良したワイブルCFAR回路に,観測データを通し,クラッタに埋もれたタグボートを検出することができた.
近年,趣味としてドローンを保有するユーザーが増えており,免許不用で多種多様なドローンを誰でも気軽に入手できる.一方,ドローンの落下,接近事故の発生や空港等への侵入による航空法違反も発生しており,ドローンによる事故やテロへの懸念が高まっている.このようなドローンを早期発見する手法の確立は,喫緊の課題といえる.これまでに,筆者らは超広帯域(UWB)レーダによるドローンの遠隔検出について検討しており,飛行するドローンから特徴的な反射信号(本体とローター部からの反射波の分離)が得られ,鳥などの他の飛翔体との分離識別への有効な特徴として期待できることを報告している.ここでは,典型的なタイプのドローンに対して検討してきたが,ドローンは形状や大きさ,ローターの数が多種多様である.そこで,本稿ではタイプの異なる5種のドローンに対して上述した特徴的な反射信号が得られるかについて実験的に検討した.
B-3. 衛星通信
9月11日 13:30〜16:30 C棟 1F C101講義室 座長 石川博康(日大)
B-3-1 |
技術試験衛星9号機における軌道上DBF校正手法の初期検討
○尾野仁深・稲沢良夫・角田聡泰・須永輝巳・草野正明・金指有昌・堀江延佳・坂井英一(三菱電機) |
B-3-2 |
技術試験衛星9号機搭載 可変ビーム用アンテナのパターン設計結果
○金指有昌・古賀将哉・高谷侑希・稲沢良夫・尾野仁深・草野正明・須永輝巳・角田聡泰・堀江延佳・坂井英一(三菱電機) |
B-3-3 |
技術試験衛星9号機搭載デジタルチャネライザ分波合波部評価
○須永輝巳・角田聡泰・稲沢良夫・尾野仁深・草野正明・金指有昌・堀江延佳・坂井英一(三菱電機) |
B-3-4 |
技術試験衛星9号機搭載用 Ka-LNA RFモジュール搭載性評価
○角田聡泰・稲沢良夫・尾野仁深・草野正明・須永輝巳・金指有昌・堀江延佳・坂井英一(三菱電機) |
B-3-5 |
C帯衛星通信基地局用200W級GaN-SSPAの開発
○松井宗大・松下 章・山下史洋(NTT) |
静止通信衛星システムにおけるニーズに応じたリソース配分のエリアフレキシビリティ向上に向けて,Ka帯DBF(Digital Beam Forming)技術の開発を行っている.DBFはビーム形成機能のデジタルプロセッサへの集積化によるビーム数の拡大と,振幅・位相制御のデジタル化によるビーム形状のフレキシビリティ向上が見込まれる.ビーム形成において,各給電素子で送受信する通信信号に振幅・位相(励振係数)の重み付けをし,素子信号の合成を行うが,素子間の通過特性について校正が取れていることが重要である.開発中のDBF中継器は技術試験衛星9号機での軌道上技術検証をめざしており,今回DBF中継器の受信系に対する軌道上校正手法の初期検討を行ったため報告を行う.
2021年度に打ち上げ予定の技術試験衛星9号機の開発に関し,平成29 年度~平成31年度にて,総務省委託研究「Ka帯広帯域デジタルビームフォーミング機能による周波数利用高効率化技術の研究開発」を受託した.ディジタル回路を利用し振幅位相を制御することで可変ビームを生成し,空間的変動に対応したフレキシビリティ(エリアフレキシビリティ)を実現できる中継器等を開発中である.本稿では可変ビーム用アンテナについて,励振素子の素子間結合を考慮した場合の設計結果を示す.
技術試験衛星9号機ではKa帯のHTS衛星に向けた主要機器としてデジタルチャネライザの搭載を予定している.今回低消費電力とスイッチについて新しい方式を提案している.広帯域チャネライザの分波合波部(DXMX)について電気試験評価をおこなった.評価結果を報告する.
技術試験衛星9号機ではKa帯のHTS衛星実現に向けた研究開発を行っており,利用周波数帯域のフレキシビリティ化に加え,空間的変動に対応したフレキシビリティ(エリアフレキシビリティ)の実現による周波数利用効率向上を目指した研究開発を行っている.今回採用を検討しているKa-LNA RFモジュールについて,衛星に搭載可能か評価を実施したので報告する.
C帯衛星通信用RF装置の保守性向上を目的として、窒化ガリウムを採用した200W固体電力増幅器(GaN-SSPA)及び、GaN-SSPAを備えたRF装置を開発した。本稿では、RF装置の構成及び評価結果を示す。
休 憩(15:15 再開) 座長 山下史洋(NTT)
B-3-6 |
上下回線情報を用いたビーム配置最適化に関する一検討
○金子和真・谷 重紀・内田 繁・有賀 博(三菱電機) |
B-3-7 |
ISDB-S3方式による低C/N受信の検討に向けた12GHz帯衛星放送用小型平面受信アンテナの試作
◎横澤真介・亀井 雅・筋誡 久(NHK) |
B-3-8 |
ゲーティング処理を用いたアレーアンテナの系統誤差校正の測定点数削減に関する検討
○大倉拓也・三浦 周・織笠光明(NICT)・仙波新司(アクシス) |
B-3-9 |
21GHz帯衛星放送の通信補完による降雨減衰補償(1)―衛星放送用LDPC符号による消失訂正の検討―
◎小泉雄貴・阿部晋矢・鈴木陽一・横畑和典・筋誡 久(NHK) |
B-3-10 |
21GHz 帯衛星放送の通信補完による降雨減衰補償(2)-衛星放送向けLDPC 符号による連続消失に対する訂正能力の検証-
◎阿部晋矢・小泉雄貴・鈴木陽一・横畑和典・筋誡 久(NHK) |
マルチビーム衛星通信におけるコスト削減手段の一つとして,ビーム配置最適化によるビーム数の削減が有効である.従来のビーム配置手法は衛星から端末への下り回線情報(トラヒック分布と回線品質)に応じてビーム配置を最適化することで等間隔ビーム配置と比較してビーム数を削減可能だが,端末から衛星への上りリンクの回線品質が最適化されておらず,結果,システムスループットが低下するという課題がある.また,ビーム配置と周波数配置は相互に回線品質へ影響を及ぼすが,これまで両者の配置手法は独立に検討されており,必ずしも最適とは言えない.そこで,本稿では上下両リンクの回線情報から遺伝的アルゴリズムを用いて上り回線と下り回線の平均スループットを最大化するようにビーム配置とチャネル配置を同時に最適化する手法を提案する.
2018年12月に開始された新4K8K衛星放送では,様々な伝送パラメータの使用が可能なISDB-S3方式が採用されている.本稿では0dB以下の低C/Nで受信できる放送サービスを想定し,簡単に受信が可能な小型受信アンテナを試作するとともに,回線設計と伝送パラメータを検討した.受信アンテナはユーザが簡単に設置できるように,仰角方向が無調整の平面形状とした.また,ビーム傾斜角を水平から39°,ビーム幅を18°となるよう設計し,シミュレーションと試作でほぼ同等の指向性を得た.試作結果を元に回線設計を行い,π/2 BPSK(1/3)の伝送パラメータで,約11Mbpsの伝送レートが得られることがわかった.
DBF アレー給電反射鏡アンテナにおいて所望の指向性を精度良く形成するためには給電部の系統誤差の校正が重要であることから,軌道上において系統誤差を衛星内で直接測定,校正する自己校正技術の確立を目指している.これまでに,ピックアップアンテナを用いてアレー給電部との結合特性を測定し,ゲーティング処理により給電部の各素子の振幅及び位相を推定し,事前に取得した基準値との差分から校正係数を算出する手法を提案している[1].本報告では,結合特性を測定する際の周波数点数の放射パターン校正への影響について検討を行い,周波数点数を削減しても放射パターンの校正にはほぼ影響しないことが明らかとなった.
21GHz帯衛星放送の降雨減衰補償として、降雨減衰で受信不可となったサービスエリアに対して、晴天エリアで受信した信号を降雨時のみIP回線によりバックアップするシステムについて研究を進めている。21GHz帯衛星放送をIP回線によりシームレスにバックアップするためには、衛星放送で用いる誤り訂正符号が通信路で生じるパケット消失においても十分な訂正能力を有する必要がある。また、放送とIP回線で共通の誤り訂正符号を用いることで、復号アルゴリズムを共通化することができ、放送と通信の親和性の高いシステムを実現可能である。本検討では、21GHz帯衛星放送の誤り訂正符号の一例として、ARIB STD B44記載のLDPC符号を利用してIP回線における消失訂正を行う。21GHz帯衛星伝送で用いるLDPC符号がIP回線における消失訂正にも適用可能なことを示し、その訂正能力について述べる。
21GHz帯衛星放送ではIP回線を利用した通信補完による降雨減衰補償を検討している.本稿では,2元消失通信路上の連続消失に耐性を持ち,かつ送信装置に組み込みやすいパケット生成手法を提案し,計算機シミュレーションにより評価した.
9月12日 9:15〜11:30 C棟 1F C101講義室 座長 難波 忍(KDDI総合研究所)
B-3-11 |
Ku帯衛星回線における台風による降雨減衰変動特性
◎佐々木駿一・前川泰之(阪電通大) |
B-3-12 |
Ku帯衛星回線における降雨減統計とITU-R予測値の比較検討
◎山﨑光資・前川泰之(阪電通大) |
B-3-13 |
光衛星通信のための環境データ「OBSOC」とひまわりによる雲データとの比較
○鈴木健治(NICT)・Randall Alliss(Northrop Grumman)・Kolev Dimitar・Casado Alberto・豊嶋守生(NICT) |
B-3-14 |
地上空間光伝送実験におけるpolar符号の性能評価
◎藤田紳吾・伊藤啓太・岡本英二(名工大)・竹中秀樹・國森裕生・遠藤寛之・藤原幹生・北村光雄(NICT)・清水亮介(電通大)・佐々木雅英・豊嶋守生(NICT) |
大阪電気通信大学(OECU、大阪府寝屋川市)で、2011年から2017年にかけて過去7年間測定されたKu帯BS電波(11.84GHz、仰角41.4°、右旋円偏波)の受信レベルの降雨減衰変動特性について、特に台風襲来時に注目して解析を行った。台風接近に伴って数回にわたり数時間程度のあいだに降雨強度と降雨減衰が特に大きくなる時間帯が示された。また、降雨強度と降雨減衰は1時間単位でよく対応する事例とあまり対応しない事例があった。8月と9月の台風襲来時の降雨減衰特性を比較すると、8月の方が9月に比べて降雨減衰の降雨強度に対する等価通路長が長くなる傾向があり、夏季と秋季の地上気温の差が関係していることが分かった。
大阪電気通信大学(OECU、大阪府寝屋川市)で、1989年から2018年にかけて過去30間測定されたKu帯BS電波(11.84GHz、仰角41.4°、右旋円偏波)の受信レベルの降雨減衰変動特性について、降雨強度の年間累積時間率分布0.01%値に用いて算出されるITU-R勧告値との比較検討を行った。過去20年間にさかのぼって比較すると、前半の10年間では降雨減衰累積時間率0.01%の測定値と推定値の差は2dB程度に止まるが、後半の10年間では5dB程度にまで広がることが示された。さらに過去30年間にさかのぼると、前半の15年間は6月における両者の値は差がないが後半の15年間は差が増大することが分った。
ひまわり衛星で得られた雲データと光衛星通信のための環境データ情報「OBSOC」で観測された日本全国10局の雲量データを比較し,高い相関が得られたためその結果報告
近年、高速通信の需要はますます高まっているが、この高速通信を実現するインフラストラクチャの1つに光衛星通信がある。しかし、空間光通信においては大気を通過する際にシンチレーションの影響でバースト誤りが発生するため、強力な通信路符号化の適用が必要となる。強力な通信路符号化の一つにpolar符号が提案されており、我々の研究室ではこれまでに空間光通信への適応についてシミュレーション上での検討を行ってきた。しかし、実際の環境におけるpolar符号の空間光伝送実験はこれまで短距離かつ室内環境のものに限られていた。そこで本稿では、polar符号の地上空間光伝送を実験により実証し、その特性を評価する。
休 憩(10:30 再開) 座長 柴山大樹(NTT)
B-3-15 |
地球観測衛星用Ka帯受信システムの開発
◎白倉政志・宮谷 新・米倉克英・伊藤寛行(JAXA)・浦川忠智(NEC) |
B-3-16 |
ハイスループット衛星通信システムにおける電力リソース割当方法とフレキシビリティ性の関係に関する一考察
◎高橋昌希・川本雄一・加藤 寧(東北大) |
B-3-17 |
アレー給電反射鏡方式可変ビームアンテナのパターン評価
○稲沢良夫・尾野仁深・金指有昌・草野正明・角田聡泰・須永輝巳・堀江延佳・坂井英一(三菱電機) |
B-3-18 |
妨害波抑圧回路を用いたKa帯衛星通信向けCMOS受信機
◎△川口敦広・Yun Wang・Dongwon You・中村岳資・Ashbir Aviat Fadila・白根篤史・岡田健一(東工大) |
宇宙航空研究開発機構(JAXA)では,2020年度打上予定の地球観測衛星からのミッションデータの受信用に周波数としてKa帯(25.5GHz~27.0GHz)を用い,最大4Gbpsまで受信可能なKa帯受信システムを開発中である.
本受信システムは今後高性能化が進む衛星からの観測データの高速化の為に従来利用されていたX帯(8GHz帯)から新たにKa帯の周波数を採用することで,広帯域化に伴うデータ伝送の高速化を可能にし,併せて,可搬性を考慮したコンパクトなシステム構成としている.
本稿は、現在開発中の地球観測衛星用Ka帯受信システムの概要と開発状況の報告を行うものである.
近年,衛星通信システムは空海域や災害時における通信手段に限らず,IoT端末との連携も加速しており,その通信手段の多様化に伴う大容量衛星通信への需要の高まりからハイスループット衛星(HTS)の研究開発が進んでいる.また,複数のビームの電波を柔軟に制御できるデジタルビームフォーミング(DBF)が注目を集めており,トラヒック要求の発生分布に合わせて通信リソースを柔軟に配分できるフレキシビリティ性の向上が求められている.本稿では,このDBFを搭載したHTSの性能評価として,本研究グループが構築したシステム解析モデルによるフレキシビリティ性の定量評価を実施し,電力リソース割当方法がフレキシビリティ性に与える影響について検証する.
衛星通信サービスエリアを柔軟に変更可能なエリアフレキシビリティを実現するため,総務省委託研究にて衛星搭載広帯域DBFを開発している.ビーム形状・位置を変える可変ビームを実現する技術として,アナログのAPAAやデジタルのDBFが知られているが,本委託研究では衛星搭載用の広帯域なDBFの実用化を目指して開発を行っている.本稿ではアレー給電反射鏡方式の可変ビームのアンテナパターン形成において,励振係数の量子化の制約があるAPAAとDBFを比較した結果を報告する.
発展途上国や貨物船、航空機向けのインターネット回線の整備を目的として、高速で低コストな衛星通信システムの要求が高まっている。本論文では妨害波抑圧回路を用いたCMOSダイレクトコンバージョン受信機を提案する。ミキサでダウンコンバートされた信号をバンドパスフィルタに通し、アップコンバートして搬送波の周波数帯域に戻すことで、受信信号の妨害波のみを打ち消すことができる。シミュレーションの結果、妨害波を18dB抑圧できることを確認した。本技術を用いることで、CMOSダイレクトコンバージョン受信機でも十分な妨害波耐性を持つ受信機を実現することが可能となる。
9月12日 13:30〜16:30 C棟 1F C101講義室 座長 小島政明(NHK)
B-3-19 |
確率的信号処理を用いた通信ペイロードの初期検討
○谷 重紀・金子和真・山下靖貴・内田 繁・有賀 博(三菱電機) |
B-3-20 |
複数衛星中継器をまたぐスペクトラム分解伝送実験
○山下史洋・五藤大介・小島康義・柴山大樹(NTT)・小橋浩之・原口大輝(スカパーJSAT) |
B-3-21 |
帯域分解合成伝送における多分割サブスペクトラムのローテーション法によるPAPR改善効果
◎小俣澄夏・杉山隆利(工学院大)・山下史洋(NTT) |
B-3-22 |
ライスフェージング環境下でのスペクトラム圧縮伝送による周波数利用効率改善法
◎柳田憲治・杉山隆利(工学院大) |
B-3-23 |
A K a Band Intermodulation-Interference-Tolerant Receiver Design for Earth Station in Satellite Communication
◎△Dongwon You・Yun Wang・Atsushi Shirane・Kenichi Okada(Tokyo Tech) |
衛星打ち上げ後の各地域における通信需要の変化への対応や設計・製造の効率化を実現する手段の一つとして,衛星が中継する信号の周波数や送信先をデジタル信号処理で自由に操作することでフレキシビリティを向上するデジタルペイロード型の衛星が注目されている.本稿では,宇宙用と比較して放射線耐性は低いものの微細化により高性能且つ低コストに入手可能な民生デバイスを宇宙用途に利用するため,ソフトエラー耐性の向上が期待できる確率的信号処理を用いた通信ペイロードの初期検討結果を示す.
複数衛星中継器を跨いだスペクトラム分解伝送技術の衛星実験結果を報告する.
衛星通信では回線交換ベースの要求多元接続方式によって生じる未使用帯域が散在することで,周波数の有効利用が実現できない問題がある.これを解決する方法として帯域分解合成伝送が検討され,その有効性が示されている.本稿では,シングルキャリア変調スペクトラムをサブスペクトラムに分解する数に伴い増大するPAPRを改善する方式としてサブスペクトラムローテーションを提案し,計算機シミュレーションにより特性評価を行った.
近年,無線通信の発展とともに,無線通信の高速化に対する要求が高まっているが,周波数資源は逼迫している状況にあるため,新規の無線通信システムに対して新たな周波数帯域を割り当てや既存の無線通信システムの高速化が困難である.これを解決するため,送信スペクトラムの所要帯域幅を削減し,周波数利用効率を向上させるスペクトラム圧縮伝送が検討され,その有効性が示されている.
従来のスペクトラム圧縮伝送では,離島のような固定衛星通信でのAWGN(Additive white Gaussian noise:加算性白色ガウス雑音)環境を想定していたが,船舶のような移動衛星通信環境では,ライスフェージングを考慮する必要がある.そこで本稿では,ライスフェージング環境下でのスペクトラム圧縮伝送のBER(Bit Error Rate:ビット誤り率)特性と周波数利用効率を評価し,その有効性を確認した.
This work describes specification decision flow for analog blocks of a K a band earth station receiver used in satellite communication.
休 憩(15:15 再開) 座長 筋誡 久(NHK)
B-3-24 |
高層ビル郡環境におけるGPS衛星のアジマス角制御に基づく測位誤差改善法の提案
○早川俊成・杉山隆利(工学院大) |
B-3-25 |
飛行高度の異なる2機の無人航空機を用いた位置検出手法の最大誤差推定方式に基づく特性評価
◎堀川裕貴・石川博康(日大) |
B-3-26 |
マルチパス環境下における無人航空機を用いた位置検出法のドップラーシフト分布に関する基礎評価
◎毛塚直哉・石川博康(日大) |
B-3-27 |
重畳ビームと多素子アンテナ端末局によるLEO-MIMO容量向上効果
○五藤大介・山下史洋・柴山大樹(NTT)・山里敬也・桶間 椋(名大) |
B-3-28 |
LTEベースの衛星航空機間通信におけるハンドオーバに関する一検討
○関口真理子・藤井義巳・谷林昭浩(構造計画研) |
近年GPS衛星を使った測位が広く普及をしている.しかし高層ビル群環境下において反射波の受信によって測位精度が劣化する問題がある.この問題を解決する既存技術として仰角マスクがあるが,高層ビル群環境下においては測位に利用できる衛星数が4機未満(測位不能)となる可能性がある.そこでこれまで仰角マスクによって測位演算から排除されていた反射波の擬似距離を水平方向と仰角方向で直接波の擬似距離に近似する方式が提案されている.本稿ではGPS衛星からの信号をX-Y平面においてアジマス角による擬似距離近似制御法を提案する.提案方式の測位誤差改善効果を計算機シミュレーションによって評価する.
無線中継機能を有する無人航空機(UAV: Unmanned Aerial Vehicle)が上空を周回飛行することを想定する無人航空機システム(UAS: Unmanned Aircrat System)では,UAV-ユーザ端末間における送受信信号のドップラーシフトを観測することでユーザの位置検出が可能である.我々はこれまで無人航空機を用いた位置検出手法について,測位精度指標に基づく最大・最小推定位置検出誤差推定方式を提案し,その有効性を検証してきた.本研究では,飛行高度の異なる2機のUAVが円旋回飛行するモデルについて,測位精度の特性評価を最大誤差推定方式に基づき実施したので,その結果を報告する.
無人航空機(UAV)を利用するユーザ位置検出手法では,地上端末から送信するトーン信号(CW)波を上空で飛行するUAVが受信することを想定しているため,受信信号にドップラーシフトが生じる.従来研究では,UAVの飛行位置誤差を劣化要因と仮定し,ユーザ端末位置検出手法の特性評価を行ってきたが,端末周辺の建物等により生じる直接波の遮断やマルチパス波の影響は考慮していなかった.本研究では,3D建物モデルをRapLab上に作成し,1機のUAVが周回飛行するケースについてマルチパス波を考慮したシミュレーションを実施し,ドップラーシフト分布の基礎的な評価を行ったので,その結果について報告する.
筆者らは,低軌道衛星(LEO)システムにMIMO技術を適用するLEO-MIMOの検討を行っている.本システムはLEOが複数衛星を用いる特徴を生かし,複数アンテナを所有した端末局が複数のLEO衛星と同時に通信を行うMIMO伝送を行うものである.
本稿では,LEO-MIMOの特性をより向上させるためのシステム構成として,衛星間の送信ビームを重畳させ,各受信端末局は多素子アンテナを所有する場合を検討し,単一衛星と通信を行う既存のLEOシステムとの伝送容量比較を行ったので報告する.
近年,航空機内でのブロードバンドアクセス需要が高まっており、今後更に需要は高まっていくことが予想される.そのような背景から衛星通信を利用した航空機向けブロードバンドアクセスの高速化および大容量化が求められている.
本研究では上記を実現する衛星通信のアクセス方式提案を目的としており,周波数利用効率が高く,かつ,3GPPにおいても検討が開始している5G RAN NTN適用とも親和性が高いことから,地上系アクセス方式である4G,5Gをベースとすることを検討,課題の抽出および対応策の検討を行っている.本稿ではその中からGEOマルチビームを想定した場合のLTEハンドオーバに注目し,検討を行った結果を示す.
B-4. 環境電磁工学
9月11日 9:00〜11:45 B棟 2F B207講義室 座長 須賀良介(青学大)
B-4-1 |
長方形スターラーのリバブレーションチャンバーにおけるDe-embedding手法を用いた電界分布の数値計算
◎谷口晃大・青柳貴洋(東工大) |
B-4-2 |
反射箱の電界均一性測定条件に関する検討
○根建寛之・緑 雅貴・栗原 弘(TDK)・峯松育弥(KEC)・青柳貴洋(東工大) |
B-4-3 |
反射箱の電界均一性に対するスターラー効果
根建寛之・緑 雅貴・○栗原 弘(TDK)・峯松育弥(KEC)・青柳貴洋(東工大) |
B-4-4 |
モンテカルロ法による反射箱内部の電界均一性解析
○緑 雅貴・根建寛之・栗原 弘(TDK)・青柳貴洋(東工大) |
B-4-5 |
スイッチ付き金属平板のRCS変化が反射箱内の電磁界に与える影響
○濱本将太郎・須賀良介(青学大)・滝沢幸治(TDK)・橋本 修(青学大) |
リバブレーションチャンバーはEMC測定やアンテナ測定等の分野で注目されているが,設計法が確立されていない.また,構成要素の1つであるスターラーが与える影響も十分に解明されていない.
先行研究において筆者らは,スターラーの影響を分離するDe-embedding手法の原理確認を2次元問題の円形導体を対象に行った.
本検討では,より一般的なモデルである長方形スターラーを使用した場合における電界分布の数値計算を行い,従来の計算手法と比較して同程度の精度で計算ができることを確認した.
規格書で定義される電界均一性は、スターラーステップ数を増やすことにより改善する.ここで、電界均一性は各測定位置における電界強度の標準偏差から求めるため、測定位置数を増やすことによりその改善が見込まれる.本検討では、測定位置数による電界均一性への効果を確認する目的で、実験的な解析を実施した.
本検討では、配置数及び形状の異なるスターラー条件、すなわち容積比が異なる条件で電界均一性を測定し容積比に対する標準偏差の平均値を求め、その効果を実験的に把握した.
反射箱は、金属箱内部に設置した攪拌機により壁面の境界条件を変化させ、統計的に均一な電界分布を発生させる装置である[1].本検討では、反射箱の測定パラメーターである撹拌機ステップ数、測定位置数、周波数ステップ数に対する電界均一性への影響を把握することを目的に、モンテカルロ法によるシミュレーション解析を実施した.
電磁界攪拌機は反射箱内の電磁界を均一にするために使用されており,その小型化が要求されている.これまでに筆者らは,小型な電磁界攪拌機として金属平板をスイッチで接続し,スイッチのON/OFFによりRCS(Radar Cross Section)を変化させる構造について検討してきた.本研究では,一例として0.45GHz~1GHzにおいてRCSの変化が大きい攪拌機を設計し,スイッチON/OFFによるRCSの変化と反射箱内の電界分布の変化との関係を評価した.
休 憩(10:30 再開) 座長 栗原 弘(TDK)
B-4-6 |
周期穴あき金属板と誘電体を用いる空間フィルターの設計
◎河野脩司・高原 広・西内隆輝・山本真一郎・相河 聡・畠山賢一(兵庫県立大)・岩井 通(カワサキテクノリサーチ) |
B-4-7 |
金属パターン周期配列構造を利用する電波吸収体の設計
◎岡田啓汰・山本真一郎・相河 聡・畠山賢一(兵庫県立大)・笠置映寛(山口東理大) |
B-4-8 |
円筒を装荷した開孔付銅筐体のシールド効果に関する解析的検討
◎出口英大・須賀良介(青学大)・上野伴希(オフィスウワノ)・橋本 修(青学大) |
B-4-9 |
磁気シェイキング下での外部印加磁界によるシールド効果
○松田篤史・柳川太成・栗原 弘(TDK)・笹田一郎(笹田磁気計測研究所)・西方敦博(東工大) |
B-4-10 |
強磁性金属箔帯の磁気シェイキング効果
松田篤史・○柳川太成・栗原 弘(TDK)・笹田一郎(笹田磁気計測研究所)・西方敦博(東工大) |
近年,情報通信技術の発達により,スマ-トフォン,ETCなどの電磁波を利用した機器が普及している.さらに,自動車衝突防止レ-ダ-に代表されるように使用周波数帯もミリ波を含む高周波帯に移行してきている.また,様々な周波数の電磁波が混在しているため,使用用途で特定の周波数を選択する必要性が求められる.
本研究では,周期的に円形穴のあいた金属板と誘電体を組み合わせた構造の空間フィルタ-を設計し,この構造が透過制御材として機能することを理論的に確認した.
近年,スマートフォンや無線LANなどの電磁波を利用した電子機器が増加している.それに伴い,それらの機器から生じる不要電磁波が他の機器に電波干渉等を引き起こすことが問題視されており,その対策として電波吸収体が種々の箇所で利用されている.本研究では,従来から設計しているメタマテリアル電波吸収体の構成パラメータである,誘電体層の厚みdを変化させた場合の電波吸収特性を実験により評価した.
車載インバータから漏洩するkHz帯のノイズを抑制するための手法として,金属筐体を用いたシールドが挙げられる.この筐体には排熱性及び透視性が要求されており,この要求を満たすために開孔を設けた場合シールド効果が低下する.本研究では開孔を設けた銅筐体に円筒を装荷することによる,kHz帯におけるシールド効果特性改善について検討する.
本検討では、Co系アモルファス磁性箔帯に磁気シェイキングを施した条件で、シールドすべき磁界の強度を変化させた場合の磁気シールド効果について実験的に把握した.
各種Co系アモルファスとPCパーマロイの強磁性金属箔帯で構成した両端開口の円筒形構造体に、磁気シェイキングを施した場合の磁気シールド性能について評価を実施したので、その結果について報告する.
9月12日 9:00〜11:45 B棟 2F B207講義室 座長 鈴木敬久(首都大東京)
B-4-11 |
Cole-Cole モデルに対するデバイパラメータの抽出
○チャカロタイ ジェドヴィスノプ・藤井勝巳(NICT) |
B-4-12 |
有限要素法解析を用いた28 GHz帯電波の塩水浸透特性推定
◎孫 津韜・日景 隆(北大)・長岡智明・和氣加奈子(NICT) |
B-4-13 |
スクリューホールを有する金属プレート埋め込みに起因する局所SAR上昇の評価
◎伊藤涼音・日景 隆・山本 学(北大)・長岡智明・和氣加奈子・渡辺聡一(NICT) |
B-4-14 |
アレーアンテナを用いたマイクロ波帯WPTシステムにおけるSAR評価に関する検討
◎藤田直希(青学大)・Andrey Andrenko・清水悠斗・和氣加奈子・渡辺聡一(NICT)・須賀良介・橋本 修(青学大) |
B-4-15 |
28 GHz帯斜め入射ばく露における入射・吸収電力密度と皮膚温度上昇の関係
◎中江拓真・舟橋大輔・平田晃正(名工大)・東山潤司・大西輝夫(NTTドコモ) |
生体材料の電気的特性をよく表せるCole-Cole分散モデルを複数のデバイ分散の和で表現するためのパラメータを抽出する手法を新に提案する.本手法では,まず数値逆ラプラス変換及びProny法を組み合わせて複素誘電率のz領域での表現を求める.z領域での表現から周波数領域へ変換し,デバイ式のパラメータである比誘電率の変化分及び緩和時間を求める.一例として,筋肉の複素誘電率の分散特性からデバイパラメータを求め,数値計算結果と理論値との比較を行い,抽出パラメータの妥当性を検討した.
第5 世代移動通信システム(5G) やWiGigなど,ミリ波帯電波の利用拡大が始まり,これら周波数帯電波の人体への安全性に関する研究が国内外で実施されている.本稿では,電波の植込み型医療機器等への影響調査において疑似人体に用いられる0.18 重量%の塩水の電気定数を測定により取得し,5G候補周波数帯である28 GHzにおける浸透深さを数値シミュレーションにより評価する.解析には有限要素法を用いる.
体内に金属を埋め込んでいる場合,電波防護指針値以下でも局所的な比吸収率(SAR : Specific Absorption Rate)上昇の可能性が示唆されている.医療用金属プレート等の装着者が該当し,指針適用性の検討が重要となっている.先行研究において著者らは,平行に埋め込まれた2枚の金属プレートの空隙部においてSAR 値が上昇する可能性があることを数値シミュレーションおよび物理ファントムを用いた温度測定などにより明らかにしている.本稿では,スクリュー固定のための複雑な構造を有する顔面骨折治療用埋込み金属プレートに起因するSAR上昇について数値シミュレーションを用いて評価する.
マイクロ波帯を利用したWPT(Wireless Power Transfer)システムの検討が進められている.しかし,適合性評価手法については十分確立されているとは言えない.マイクロ波帯においては,人体ばく露時に熱作用が支配的となるため,熱的影響を評価するSAR(Specic Absorption Rate)による評価が必要となる.そのため本研究では,マイクロ波帯WPTに対するばく露評価手法を確立することを目的として,アレーアンテナを用いたWPTシステムのSARの評価について検討した.
近年,ミリ波帯の電波利用を想定した第5世代移動通信方式への関心が高まっている.高周波数帯の電波ばく露による人体への影響は,電力吸収により生ずる熱作用が支配的である.国際規格やガイドラインでは,電波ばく露による過度な温度上昇から人体を防護することを目的に策定されている.局所的な電波ばく露における熱作用の評価指標は,現在改訂中であり,新たに吸収電力密度が用いられる予定である.第5世代移動体通信システムの研究開発や標準化が推進されており,携帯端末から放射された電波が任意の方向にビームを形成することが見込まれる.本稿では,高周波ばく露による入射角度依存性について検討する.
休 憩(10:30 再開) 座長 和氣加奈子(NICT)
B-4-16 |
体内SAR評価に用いる数値スマートフォンモデルの開発
◎高坂千明・齊藤一幸・高橋応明(千葉大)・長岡智明・渡辺聡一(NICT) |
B-4-17 |
様々な条件の入射波による人体RCSの調査
◎鈴木雅大・齊藤一幸(千葉大) |
B-4-18 |
図書館の電子商品監視(EAS)機器から発生する不均一な中間周波磁界における人体誘導電界の検討
○幾代美和・地高僚太郎・金川宗嵩・江嵜かおる・相本篤子・鈴木敬久・多氣昌生(首都大東京)・小島原典子(東京女子医大)・和氣加奈子(NICT)・山崎健一(電中研) |
B-4-19 |
日常で使われる機器の中間周波帯の磁界の測定
○江嵜かおる・幾代美和・相本篤子・多氣昌生(首都大東京)・和氣加奈子(NICT)・小島原典子(東京女子医大)・山崎健一(電中研) |
B-4-20 |
Validations on SAR estimations of Multi-Antenna Transmitters in Heterogeneous Models
○DINH THANH LE・Kun Li・Tomoaki Nagaoka・Soichi Watababe(NICT) |
近年,スマートフォンを始めとする情報通信端末が急速に普及している.それに伴い,我々が電磁波ばく露される機会も増加・多様化し,その生体影響についての詳細な評価が必要とされている.電磁波ばく露による熱的作用の指標には単位質量当たりの吸収電力を表すSAR(Rpecific Absorption Rate:比吸収率)が用いられる.しかし実人体による測定は倫理的に困難であるため,数値解析による評価が有効である.簡易波源とスマートフォン実機では電磁波ばく露状況が異なるため,詳細なSAR評価を行うためには実機を高精細に再現した数値スマートフォンモデルの開発が必要である.本研究では人体内SAR評価に用いるための数値スマートフォンモデルの開発とその妥当性の評価を行った.
空間伝送型WPT(Wireless Power Transmission:無線電力伝送)には,ワイヤレスで比較的遠方まで電力伝送できるという特長がある.しかしながら,他の方式と比較して送電電力が小さく,効率が低いといったデメリットもあるため,送電経路上の人体を検出し,送電方向を変更するといった技術が必須である.この人体検出技術の開発には,ファントムの使用が不可欠である.ここで使用するファントムは,人体の形状や物性定数を精緻に模擬する必要はなく,単に,人体と同等のRCS(Radar Cross Section:レーダー反射断面積)をもつ物体であればよい.RCSは,物体が電波をどの程度反射するかを表した指標で,物体を完全導体球に置き換えその断面積に換算した値である.
本研究では,人体と同等のRCSをもつ“簡易ファントム”を開発するに先立ち,数値計算で人体のRCSを算出した.
電子商品監視(EAS)機器は,日常環境下で注目される中間周波帯(WHOの定義では,300 Hz ~ 10 MHz)磁界発生源の1つである.本研究は,測定した図書館の磁気式EASゲートから発生する不均一な回転磁界における人体誘導電界の検討を行った.この磁界データを使用し,複素変数のインピーダンス法を用いて人体誘導電界を求めた.その結果,EASゲート内の磁束密度は,ICNIRPガイドラインの参考レベル(200 μT)を局所的に上回るが,人体内誘導電界は基本制限(0.4 V/m-1 )より十分下回ることがわかった.この発生源では,回転磁界を考慮しても誘導電界の大きさはほとんど変わらず,また人体内入射磁束密度の平均値が参考レベルと比較する際の良い指標であることがわかった.
日常生活環境下における中間周波帯の磁界のばく露を把握するため,携行型個人ばく露計を用いて長時間測定を行った結果,IH調理器やEAS機器等の比較的強い発生源の近傍を除き,中間周波数帯の全体的ばく露レベルは,極めて低いことが示された.日常で使われる機器の中間周波帯の磁界は通常の使用距離では十分に低いが,機器近傍では比較的強い中間周波磁界が生じることが報告されている.
今回、家庭内で使用する機器近傍での磁界の測定を行った結果,機器から1cm以内を除きICNIRP2010の一般公衆ばく露の参考レベルを十分に下回っているが,充電器は中間周波磁界の発生源として,条件によってはIH調理器等からのばく露に比べても無視できないことがわかった.
Multi-antenna technology is one of the core developments for the next generations of wireless communication systems. In our previous studies, we introduced several estimation techniques to determine the maximum SAR of multi-antenna transmitters. So far, they have been validated in homogeneous phantoms for different frequencies, antenna configurations, or so on. Here, we extend the studies to validate the performances of the estimations in heterogeneous human models.
9月12日 13:00〜16:45 B棟 2F B207講義室 座長 藤井勝巳(NICT)
B-4-21 |
等価ダイポールアンテナを利用した金属板上に配置したワイヤーハーネスからの放射電界の推定
◎山田紘生・王 建青(名工大) |
B-4-22 |
複数のインパルス性磁気雑音源の位置同時推定実験
◎富塚ゆみ子・西方敦博(東工大) |
B-4-23 |
アンテナ間結合と不完全整合を考慮したVan AttaアレーのRCS評価
◎犬塚 悠・西方敦博(東工大) |
B-4-24 |
4×3素子Van Atta アレー再帰反射体を用いたASK変調通信実験におけるBERの改善
◎水越優紀・西方敦博(東工大)・伊藤耕大・白戸裕史・北 直樹(NTT) |
B-4-25 |
妨害波電界強度測定前点検用楕円パッチアンテナの設計と評価
◎杉村高弘(香川高専)・村井伸行(かがわ産業支援財団)・塩沢隆広(香川高専) |
近年,自動車に搭載される電子機器の増加に伴い,それに接続されるワイヤーハーネスも増加している.ワイヤーハーネスに流れるコモンモード電流から発生する電磁放射ノイズは,車載電子機器の誤作動を引き起こす原因となることから,ワイヤーハーネスからの放射電界の事前予測はEMC設計の立場から求められている.これまでに等価アンテナの考え方を適用することにより,電子機器が接続されたワイヤーハーネスを非対称ダイポールアンテナとみなすことで,ワイヤーハーネス上でのコモンモード電流の定点測定を行い測定結果から等価アンテナの電流分布を推定する手法を検討してきた.本研究では,その手法を金属板上に配置されたワイヤーハーネスに適用し,電気映像法を利用してそこからの放射電界を予測する手法を検討し,実験により,その有効性を検証する.
簡易な装置で複数のインパルス性磁気雑音源位置を同時推定する手法を検討した.ノイズ波源として垂直磁気ダイポールを仮定し,回転台と2つのループアンテナで雑音波形を同時記録し,ピーク電圧の比(V1-V2)/(V1+V2)をとることで位置推定を行う.その際使用する対数尤度関数に対し複数の波源を同時推定できるよう拡張を施し,本手法によって複数波源の同時推定が可能である見通しを得た.
Van Attaアレーはアンテナをアレー配置し,伝送線路網でアンテナ同士を結線することで,入射した電波を到来方向へ反射する再帰反射を実現する.アレーアンテナにおいて素子間近接による結合および不完全整合による反射は理想動作を妨げる要因となるため定量的な評価が必要となる.本稿では,6素子アレーアンテナをモデリングし,アンテナアレーの散乱行列を考慮したRCS(レーダ断面積)の計算を行った.バイスタティックRCSの計算結果では,結合と反射の有無でメインローブに大きな違いは見られず,結合と反射による再帰反射特性への影響は小さいことが分かった.モノスタティックRCSの計算結果からは,±32度間において良好な再帰反射特性を示すことが分かった.
アンテナ素子を規則的に配列, 配線することにより, 電波に対して再帰反射性を示すVan Atta アレーの構造を有する, 4×3素子Van Atta アレーをスイッチングすることで, ASK変調反射波による通信実験を行い, BERを評価してきた. その後の検討により, 通信速度を律速する要因のいくつかが明らかになった. 本報告では, 先の実験に用いた, BER増大の要因であるDCアンプを高速コンパレータに変更することにより, 2値化後の波形のジッタやオーバーシュート, アンダーシュートの改善, 及びBERの改善を確認した.
電磁両立性(EMC)の重要性の高まりに伴い,各所でEMC試験が盛んに実施されている.EMC試験の一つに電子機器から放出された電磁妨害(EMI)波を測定する妨害波電界強度測定がある.各測定サイトでは,測定系に故障などの障害が無いことを確認するためにEMI測定前の点検として,モノポールアンテナ等を備えた送信機を使用し,受信レベルを確認することが行われている.しかし,モノポールアンテナは無指向性アンテナであるため被測定装置などによる反射の影響を受け易く,再現性が低い問題があった.測定前点検送信機用の指向性アンテナとして楕円パッチアンテナを使用することを提案し,測定の再現性が改善されることを確認した.
休 憩(14:30 再開) 座長 三枝健二(日大)
B-4-26 |
非偏光変調電気光学周波数変換技術に基づくマイクロ波信号の検出
○竹内晴彦・久武信太郎(岐阜大) |
B-4-27 |
光走査式変調散乱素子を用いた電界分布計測の定量性評価
○黒澤孝裕(秋田県産技セ)・駒木根隆士(秋田高専) |
B-4-28 |
Measurement Condition of Power Density using a Near-Field Reconstruction Technique for Compliance Assessment of Phased Array Antenna at 28GHz
◎Kun Li・Kensuke Sasaki・Soichi Watanabe・Kanako Wake(NICT) |
B-4-29 |
等価容量置換法に用いるダミーアンテナの改良
○藤井勝巳(NICT) |
電子機器において不要電磁波の発生や機器間に発生する電磁干渉が問題とされており、通信機器ではアンテナへのノイズカップリングや受信感度の低下が問題として報告されている.それらの問題の解析・対策のためには広いダイナミックレンジかつ広い周波数帯域で低擾乱な計測を特長とする電気光学(Electrooptic: EO)計測法が有用である.我々は非偏光変調電気光学周波数変換技術に基づくEO計測システムを開発し、主にミリ波・テラヘルツ波の可視化を行ってきた.本発表では、本システムが1 GHz以下のマイクロ波計測にも適用可能であることを実証する。
半導体を散乱体とした光学的変調散乱素子を用い,光走査で電界分布を計測可能な高周波電界計測システムにおいて,光走査時の測定値の定量性を評価するため,光,機械両走査方式で電界分布計測可能なシステムを構築した.整合終端したマイクロストリップラインを電磁波源とし,7114 MHzの信号を給電した.波源直上に設置したシリコン基板を散乱体とし,これにダイオードレーザの出力光を照射して変調散乱素子とした.角度可変ミラーで散乱体上の光照射位置を走査して得られた高周波電界の強度および位相分布と,電磁波源を機械的に走査して得られた電界強度および位相分布を比較した結果,測定値の差異は光走査に伴う散乱波の伝播距離変化と定性的に一致した.この結果,走査方式の違いによる測定結果の差異を評価できた.
This study presents an experimental evaluation of power density in proximity to the antenna in mobile device to assess compliant with radio-frequency exposure limits. We investigated the impact of beam steering angles to the accuracy of the power density when employing a near-field reconstruction technique [1] using an 8-element phased patch array antenna at 28 GHz. The required scan area of E-field for ensuring the accuracy of the power density estimated by the near-field reconstruction was discussed.
30 MHz 以下の妨害波測定に用いるモノポールアンテナの校正法の1 つである等価容量置換法について、校正精度を改善するために、校正に用いるダミーアンテナの改良について検討する。
休 憩(15:45 再開) 座長 黒澤孝裕(秋田県産技セ)
B-4-30 |
アレーアンテナ理論に基づく28GHz帯の電波散乱壁の設計
○村上靖宜・チャカロタイ ジェドヴィスノプ・藤井勝巳(NICT) |
B-4-31 |
無線LAN用薄型電波吸収体の開発
○小畑 輝・髙橋文緒・渡部雄太(都産技研) |
B-4-32 |
電波暗箱内の受信評価対象物による評価誤差について
○小林一彦・村山健太郎・遠山勝久・三枝健二(日大) |
B-4-33 |
広帯域アンテナを用いた受信評価用電波暗箱の検討
◎遠山勝久・佐藤智紀・小林一彦・三枝健二(日大) |
次世代高速大容量通信(5G)では,28GHz帯の電波を利用する.この周波数帯の電波は高い直進性を有し,壁面からの反射波は鏡面方向にしか生じない.そのため室内に遮蔽物がある場合,直接波も反射波も届かない領域が生じ通信品質が劣化することが考えられる.そこで本研究では,28 GHz帯における室内での通信品質を改善させるため,電波散乱壁をアレーアンテナ理論に基づき設計し,その性能を評価する.2種類の金属平板を用いて,電波散乱壁は指向性拡散度が最大となるように組み合わせを決定し構成する.設計した電波散乱壁の散乱特性を明らかにし,設計法の有効性を示す.
筆者らはこれまでに,誘電体基板の表層に複数の金属パッチを周期配列することによって,多周波の電波吸収特性を実現可能であることを示した.本研究では同一層上に共振周波数の近い2種のパッチを配列することにより,広帯域化を実現し,無線LAN用の周波数帯域において吸収特性を持つ誘電体基板での薄型電波吸収体を提案する.ターゲット周波数は,2.45 GHz帯と5.2 GHz帯の2帯域とし,2層のパターンを設けた薄型電波吸収体を試作し,無線通信の品質に相関を持つ遅延スプレッドの改善を実験により確認した.
5G以降の携帯無線端末では,アンテナ特性も含めた総合無線性能として,OTA(Over The Air)評価が求められている.これまで,その評価環境を,安価で利便性がある電波暗箱に求め,適用の可能性を検討してきた.本報告では,既に報告を行った受信評価対象物である携帯端末を電波暗箱内に設置したことによる電磁界分布への影響に関連して,その影響によるBER(Bit Error Ratio)特性の誤差に関して検討を行った.
電波暗室よりも小型で内部の空間が狭い電波暗箱では,送信アンテナからの電波伝搬が,反射波により自由空間と異なり,無線携帯端末の受信特性評価への問題が考えられたが,暗箱の寸法形状を変化させることで測定誤差が小さくなる受信評価領域を得ることができると確認されている.5Gシステム以降における無線携帯端末の受信特性評価にあたり,広帯域に周波数をカバーする必要が考えられるため,送信アンテナに広帯域アンテナを用いた有限要素法による電磁界シミュレーションを行い,ホーンアンテナ適用時と比較検討を行った.その結果,放射パターンにより受信評価領域への影響があることを確認した.
9月13日 9:00〜11:45 B棟 2F B207講義室 座長 石居正典(産総研)
B-4-34 |
ESDイミュニティ試験における電界パルス諸パラメータと筋電義手誤動作率との相関関係の検討
○森永育宏・王 建青・安在大祐(名工大) |
B-4-35 |
GND分離基板におけるESDノイズ対策の効果検証
○堀口嵩浩・福井範行・宮崎千春(三菱電機) |
B-4-36 |
Investigation of Resonant Waveguide Penetration Method for Low-loss Dielectric Material Measurement
◎ZIQING XU・ATSUHIRO NISHIKATA(Tokyo Tech) |
B-4-37 |
ディジタルICチップにおける不要ノイズ低減対策のオンチップ及びオンボード評価
◎地家幸祐・渡邊 航・三浦典之・永田 真(神戸大) |
B-4-38 |
非接地状態の電圧測定装置を用いた伝導電磁ノイズ測定手法の提案
◎荒井稔登・岡本 健・加藤 潤(NTT) |
近年普及しているウェアラブル機器に対し,国際電気標準会議規定のIEC 61000-4-2に準拠したイミュニティ試験を行うことで,外部電磁界に対するイミュニティ性能を確認する必要がある.しかし,IEC61000-4-2 では試験対象(EUT: Equipment Under Test) の詳細な位置が規定されていないことに加え,垂直結合板(VCP: Vertical Coupling Plane) から発生する電磁界が一様でなく,EUT の位置によって受ける影響が異なることが考えられる.本研究では,筋電義手を対象にESDイミュニティ試験[1]を行い,そのESDによる電界パルスの諸パラメータと筋電義手の誤動作率との相関関係を検討する.
本発表では,ESD解析技術を用いて,GND分離基板内におけるESDノイズ対策(GND間のキャパシタ接続)の効果を検証した結果について報告する.
To achieve higher accuracy of measurement for low-loss materials, a method to excite electromagnetic resonance inside the waveguide by attaching narrowed waveguide irises at both ends of the waveguide was been proposed. Both practical experiment and finite element method were carried out to validate the performance of the proposed structure. The waveguide used in experiment is EIA Standard WR90 waveguide, which showed much higher unloaded Q-factor than conventional method using coupling aperture to excite resonance. After loading a low-loss material, the shift of resonance frequency is very noticeable. FEM simulation was applied in COMSOL, which present relatively good agreement with the experimental data.
ICチップ内で電源ノイズや、外部の電子機器による放射ノイズの干渉は電子機器の動作不良や誤作動の要因となる。電子機器の正常な動作を担保するには EMI対策が必須である。ICチップが発生させる放射従来のノイズ対策としては物理的に電子部品同士の距離をとる、ノイズ抑制シートや金属シールドの利用などがある。現在もノイズ対策手法の開発が進められており、ICチップの電源ノイズに起因する不要ノイズ放射の低減に向けて、磁性薄膜やノイズ吸収構造等の導入が提案されている。本研究では、ICチップ内部のノイズ観測 及びICチップ搭載ボード上のノイズ測定により、これらのノイズ低減対策技術の有効性の定量的な評価に取り組んでいる。
通信装置に電力を供給する電源装置から発生する電磁ノイズは,通信装置の内部にケーブルを介して侵入し,通信断や通信速度の劣化などの障害を引き起こす.電磁ノイズにより通信障害が発生した場合,トラブル原因の切り分けのため,その周波数特性やノイズ強度などの特性を把握することが大切となるので,障害現場では電磁ノイズの電流や対地電圧が測定される.本報告では,測定の簡易化のため,接地しない電圧測定装置を用いて対地電圧を測定する手法を提案し,提案手法の評価を実験的に行った結果を報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 安在大祐(名工大)
B-4-39 |
シーケンシャルサンプリングに基づく近傍電磁界推定
◎花岡信幸・上 芳夫・肖 鳳超・萓野良樹(電通大) |
B-4-40 |
直交する2つのループ面を有する磁界プローブ
◎小林遼太・小林 剛・宮崎千春(三菱電機) |
B-4-41 |
放電ノイズの3次元到来方向推定における大地からの反射の影響除去に関する一検討
◎栗原昌伸・王 建青・安在大祐(名工大)・田中洋佑・山下有三(ホッコー)・西川 久(アールエフネクスト) |
B-4-42 |
セシウム原子の多重共鳴を利用した交流磁界センサの高周波化の検討
○石居正典(産総研) |
B-4-43 |
サイドチャネル波形の計測分解能が秘密鍵の取得性に与える影響
○内海航平(東北大)・林 優一(奈良先端大)・水木敬明・曽根秀昭(東北大) |
直線のマイクロストリップ線路を検討モデルとして,均一な間隔で計算した理論結果とシーケンシャルサンプリングによって求めた推定結果を比較し,どのくらいの測定点で再現することができるのかを検討した.
1度のノイズ印加で, プリント基板全体のノイズ伝搬経路を観測するのに, 磁界プローブをアレー状に配置する方式の場合, 基板上に存在する様々な配線の方向から発生する磁界成分に感度を有するプローブが必要であり, プローブの角度依存性の改善が課題である. これまでに, 筆者らはこの課題を解決するためのプローブ構造として, バタフライ型プローブを提案し, 評価を行った. 本研究では, 直交する2つのループ面を有する, 新たな磁界プローブの構造を考案し, 評価を行ったので報告する.
電力設備や配電線設備の故障・停電は社会の経済的損失・生活の不安等につながる.これらを未然に防ぐために先行事例として,故障の前兆現象である部分放電の箇所同定技術が報告されている[1].しかし,現有の測定方法には測定時間や装置の大きさ等の課題が残っている.本研究ではポータブル型計測装置の設計,及び部分放電発生箇所の可視化ツールの構築を行う. また,部分放電の方向推定では大地からの反射による測定誤差への影響の除去を試み,その除去効果を検討する.
本研究では,交流磁界及びレーザーとセシウム原子の間の相互作用を利用する次世代型の交流磁界センサに関する研究を行っている.これまで,ゼーマン副準位間のエネル
ギー差に着目し,対象の磁界センサの実現に向けた初期検討をkHz の周波数帯域で行って来た.本報告では,対象周波数帯の高周波化を目指した検討を行ったので報告する.
暗号モジュールの動作時に発生する物理的な現象を利用して秘密鍵を解析するサイドチャネル攻撃がある.暗号処理時に発生する電圧変化の解析から情報漏えいを評価するが,解析対象となる電圧波形に誤差があると,解析に必要なデータ数,時間が増大することが知られている.また,信号の測定にはA/D変換による量子化誤差が必ず含まれるが,波形測定の計測分解能による量子化誤差について,解析によって秘密鍵の取得性に与える影響は十分検討されていない.本実験では測定機器の計測分解能の操作で量子化誤差を変化させ,解析結果について検討する.実験の結果,計測分解能の低下によって秘密鍵の取得が困難になることを示した.
9月13日 13:00〜17:00 B棟 2F B207講義室 座長 春日貴志(長野高専)
B-4-44 |
PLCにおけるスケールモデルを用いたコモンモード電流解析
◎小池大一朗・奥村浩幸・松嶋 徹・福本幸弘・桑原伸夫(九工大) |
B-4-45 |
フーリエ反復法を用いた不均一線路による広帯域反射抑制検討
○澁谷幸司・大和田 哲(三菱電機) |
B-4-46 |
平面回路の不連続によって生じる反射特性の時間領域解析
◎神野崇馬・木虎秀二・土岐 博・阿部真之(阪大) |
B-4-47 |
周期構造を有する伝送線路の二次定数の近似表現
◎松石紘輝・萓野良樹・肖 鳳超・上 芳夫(電通大) |
B-4-48 |
電源・グラウンド層に挟まれた伝送線路系の解析
◎増田絃之亮・上 芳夫・肖 鳳超・萓野良樹(電通大) |
PLCは電力線を通信線としても用いる通信方式であるが、通信により発生する妨害電磁波がほかの無線通信に与える影響について懸念がある。これを評価するためには大規模な系でPLCを利用した場合の放射電磁波を測定する必要がある。本報告では放射電磁波と相関のあるコモンモード電流の測定を小さな系で行うためのスケールモデルについて検討した。その結果、終端の平衡度など重要なパラメータについてスケーリングが成立していれば、スケーリングが不完全な値があっても有用な測定結果が得られることが分かった。
高速デジタル伝送では、広い周波数範囲かつ周波数ごとに異なる反射規定値をクリアすることが要求される事がある。伝送路中にコネクタ等インピーダンス不整合区間があると反射特性が悪化し規定値を満たすことが困難になるため反射を低減する手法が必要となる。
低減手法としてよく知られているλ/4 変成器を利用する手法は、その長さが四分の一波長となる周波数とその近傍でしか機能せず,デジタル伝送では適用が難しい。
そこでフーリエ反復法によって設計した不均一線路利用することで、広帯域に反射を低減できる方式を検討したので報告する.
我々の研究グループでは、これまでにマクスウェル方程式とオームの法則、連続の式から導出した電位と電流に関する伝送方程式と集中定数回路を組み合わせた数値計算を実現し、2次元平面回路へと拡張し、グランド平面内の電位変動によって発生する電磁ノイズ現象を定量化した。
今回は、これまでに実現した数値計算手法を任意形状導体へと応用するために、数値計算の妥当性について検討する。具体的にはTime Domain Reflectometry(TDR)測定を用いて平面回路の不連続によって生じる反射波を時間領域で測定し、本研究手法で得られた数値結果と比較した。
本稿では周期構造線路の二次定数の設計の簡易化のために,縦続接続した2つの伝送線路をそれと等価な特性となる1本の線路で表現した場合の二次定数の近似式を提案し,その有効性を示した.
本検討では、電源・グラウンド層間で配線する構造で,信号ヴィアが層を貫通しているモデルに関して,電磁気学的観点から伝送特性を計算する手法を検討する.
休 憩(14:30 再開) 座長 松嶋 徹(九工大)
B-4-49 |
ニューラルネットワークを用いた差動線路の伝送特性の予測
◎北原 廉・山極大葵・宇多裕太・赤羽真和・春日貴志(長野高専)・大橋 匠(東工大) |
B-4-50 |
非対称差動伝送線路の電圧電流分布の評価法
○萓野良樹・上 芳夫・肖 鳳超(電通大) |
B-4-51 |
デカップリングコンデンサのフィルタ性能を改善する電源パターン構造の検討
○中本藤之・佐々木雄一(三菱電機) |
B-4-52 |
メタモデリングにRBF補間を用いたPSD手法による電圧変動抑制のためのデカップリングキャパシタ実装の一検討
○川上雅士(秋田県立大)・萓野良樹・肖 鳳超・上 芳夫(電通大)・戸花照雄・秋元浩平・磯田陽次(秋田県立大) |
B-4-53 |
数理的方法による電源用EMIフィルタの最適化設計
◎板垣裕太・萓野良樹・肖 鳳超・上 芳夫(電通大) |
現在GHz帯信号伝送において,基板誘電材料の複素誘電率が分散性やクロストークや自家中毒によるシグナルインテグリティ(SI)の低下が問題となっている.本研究では,基板設計時におけるSIやノイズ放射の影響が少なく,かつ効率的な最適設計法を確立することを目的としている.その基礎検討として,基板設計時に必要な線路幅や線路間隔などを入力のパラメータとして用い,ニューラルネットワーク(Neural Network: NN)によりFR-4基板および高周波対応基板の差動線路の伝送特性Sdd211の予測を試みた.
NNモデルを用いた伝送特性Sdd21の予測は,基板設計における様々なパラメータの中から重要なパラメータを抽出し,実測と近い予測が可能なことがわかった.
本稿では差動伝送線路を等価電源回路と等価負荷回路で表現することにより伝送線路上の任意の点の電圧電流を理論的に解析する手法を提案する.
ノイズフィルタとしてデカップリングコンデンサを用いる場合,シャント経路のESL(Equivalent Series Inductance,等価直列インダクタンス)により,高周波領域ではフィルタ性能が低下する問題がある.この問題に対してこれまで,コンデンサ前後のパターンにループを形成し,電磁結合させることでフィルタ性能を改善する構造が多数報告されている.
今回,ループを形成せず,平行に近接させた2 本の電源パターン間の電磁結合による相互インダクタンスを利用し,フィルタ性能の改善方法を検討した.電磁界計算の結果,コンデンサのフィルタ性能改善を確認でき提案構造の有効性を示した.本構造は,ループを形成しないため,従来構造と比較して,小型化できる可能性がある.
電源設計において電圧変動を抑制するために,少ない数で,どのくらいの値のデカップリングキャパシタを,どの位置に実装するかの決定が要求されており,
ベテラン設計者でも試行錯誤的な設計を行っている.
筆者らは試行錯誤的な電源設計からの脱却を目標に,初期設計・多目的満足化設計手法である選好度付セットベース設計(PSD:Preference Set-Based Design)手法の適用を検討している.
本発表では,電源‐グラウンドプレーン間のポートの電圧変動が一定値以下になるように放射基底関数(RBF:Radial Basis Function)補間を用いた近似式を使ったPSD手法の適用を図った.
スイッチング電源によるノイズを除去するためのEMIフィルタ設計には,トレードオフの関係にあるディファレンシャルモード(DM)・コモンモード(CM)両方の挿入損失について要求性能を満足する必要があるため,煩雑な試行錯誤が必要であった.本研究では可変な素子値をパラメータとして挿入損失の数理的な最適化を行い, 試行錯誤なしでDM・CM 両成分のノイズの抑制に有効なフィルタを設計することを試みる.
休 憩(16:00 再開) 座長 萓野良樹(電通大)
B-4-54 |
両側磁気結合を用いたノイズフィルタの相互インダクタンスの計算
○小林玲仁・大和田 哲・宮崎千春(三菱電機) |
B-4-55 |
パルス性妨害波による車載Ethernetの通信品質劣化に関する調査
◎矢野佑典・木戸勇志・久門尚史・和田修己(京大) |
B-4-56 |
バイアス条件を考慮した電磁波曝露下のDCファンのIM抑制に関する検討
◎安藤佑悟・久我宣裕(横浜国大) |
B-4-57 |
LED電球から発生する電流ノイズの発生頻度と増加量の検討
◎高野誠也・堀田柊平・平林諒也・春日貴志(長野高専)・井上 浩(秋田大) |
シャントコンデンサで構成されるノイズフィルタの高周波領域の性能向上のため、磁気結合を利用した両側磁気結合フィルタを提案した。一方で、本フィルタ性能の定式化は未検討であり、定式化にはフィルタ構造のインダクタンスの導出が必要となる。そこで、本稿ではフィルタ構造の磁気結合に起因する相互インダクタンスを対象とした計算式を導出する。検討の結果、フィルタ性能の定式化に必要となる相互インダクタンスの計算式を導出し、実機適用の設計範囲となる電流経路の寸法に比べてGapが狭い領域での有効性を明らかにした。
先行研究では,100BASE-TX 通信に悪影響を与える 妨害波の性質を調査するため,通信ケーブルにパルス性 妨害波を印加する試験を実施した.その結果,1bit 送信に かかる時間と同等のパルス幅の妨害波が印加された場合 にフレームロス率が上昇することを示した.本研究では, 車載 Ethernetである1000BASE-T1 (IEEE 802.3bv)の通信品質に 悪影響を与える妨害波の性質について調査する.
電磁波曝露により電子装置から発生する不要IMノイズが問題となっており,その発生源の特定やノイズ抑制が必要となっている.そのような電子装置のIM特性評価には,電子装置稼働時のバイアス条件を考慮した測定が必要となる.これに対し筆者らは,機器内半導体素子の個別IM特性評価について検討をすすめ,これまでにダイオードを試料とした非接触測定法を提案し,印加バイアスに対するIM特性の依存性を評価した.本稿では電子装置の一例としてDCファンを扱い,電波吸収体によって装置のIM抑制化について検討した結果を報告している.
LEDのインバータ回路から発生している電流ノイズが、他の通信機器に影響を与えていることが問題となっている。LED電球を複数個接続した際の電流増加のメカニズムが明らかとなっていない。本研究では、電流ノイズの発生頻度と個数に対する電流増加量について検討を行った。電流波形の周波数分布では共振周波数において電流が大きくなった。共振周波数である40MHz付近における電流振幅の発生頻度分布はLEDの個数増加に伴い、正規分布に近づいた。また、それら発生頻度分布から実効値を求め、真値に直して個数に対する電流の増加量を求めた。電流値は0.68μA/個で増加していくことが明らかとなった。
B-5. 無線通信システムA(移動通信)
9月10日 9:00〜11:45 C棟 4F C402講義室 座長 安達宏一(電通大)
B-5-1 |
28GHz帯3セクターピコセルを用いたHetNetにおける適応変調符号化の提案
○剱持郁也・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-2 |
3.4GHz帯を用いたHetNet環境下での1024-QAMを用いた場合のユーザスループット特性
◎宇多津裕貴・藤澤研斗・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-3 |
3.4GHz帯を用いたマルチキャリアHetNetにおける適応制御型CREの効果
◎藤澤研斗・宇多津裕貴・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-4 |
LTEシステムにおけるAWSPF-MIMOスケジューリングの提案と評価
◎小竹啓輝・服部 武・小川将克(上智大) |
B-5-5 |
上り回線セルラにおけるチャネル推定誤差を考慮したユーザスケジューリングの確率幾何解析
◎神矢翔太郎・山本高至・西尾理志・守倉正博(京大) |
5Gではシステム容量を増大するためにヘテロジーニアスネットワークHetNetの研究が盛んである.また,広い帯域幅を利用出来る高周波帯の利用も注目されている.しかし,帯域幅の異なるマルチキャリアHetNetの性能評価は十分行われていない.本稿では,下りリンクの適応変調符号化セットMCSにおいて,広帯域幅を有する28GHz帯ピコセルに低次の変調方式を優先する方法を提案し,そのユーザスループット特性を明らかにする.また,マクロとピコセルに同じMCSを使用した場合との特性比較を行い,提案方式の優位性を示す.
5Gでは,データ通信速度を向上させる技術として1024-QAMなどの多値変調方式が検討されている.これまでに筆者らは,フェージング環境下での1024-QAMの伝送特性を示してきた.本稿では,マクロセル,ピコセルにそれぞれ2.0GHz,3.4GHz帯を用いたマルチキャリアHetNet環境下において下り回線のMCSに1024-QAMを適用した場合のユーザスループット特性を明らかにする.
5Gでは4Gに引き続きシステム容量を増大するためにヘテロジーニアスネットワークHetNetの導入が検討されている.また,伝送速度の高速化を目的として1024-QAM等の高次変調方式を利用した研究も盛んである.HetNetにおいて,筆者らは,各UEに最適なパーソナルセルを指向する適応制御型Cell Range Expansion (CRE)を提案し,その特性評価を行ってきた.
本稿では,2.0GHz帯,3.4GHz帯を用いたマルチキャリアHetNetにおいて, 下り回線のMCSに1024-QAMを適用した場合の適応制御型CREのユーザスループット特性を明らかにする.
本稿では,UEをグループに分類し,グループごとの平均通信容量比に対応するWeightに応じて無線リソース割り当てを制御することで,各UEの優先度に応じた通信容量を確保するスケジューリング方式であるAWSPF-MIMO(Advanced Weighted Stochastic Proportional Fair for MIMO)を提案する.
確率幾何学は,無線送受信局の配置が確率的に定まる状況を想定し,対象の通信組におけるSINRの分布の解析式を与える.確率幾何による解析は,モンテカルロシミュレーションの結果とよく一致するため,煩雑なシミュレーションを効率化することが期待される.また,結果が数式という客観性のある形で与えられる点でも望ましい.著者らはこれまでに,上り回線セルラにおいてユーザスケジューリングが適用される場合の確率幾何解析を行ってきた.ただし,チャネル推定に誤差がない環境を想定しており,通信品質が最大でないユーザが選択されるケースを想定していなかった.本稿では,チャネル推定誤差が存在する場合にも確率幾何解析が適用可能であることを示した後,結果がモンテカルロシミュレーションに近いことを確認している.
休 憩(10:30 再開) 座長 張 裕淵(東工大)
B-5-6 |
周波数偏差量に適応したMF分割数切り換えDS-SS初期捕捉方式
○福間 恵・東中雅嗣・中島昭範・中村亮介・有賀 博(三菱電機) |
B-5-7 |
インタリーブ型スペクトル拡散方式における空間・周波数直交マッピングに基づくFSK送信ダイバーシチ
◎堀 勇太・中島昭範・東中雅嗣・有賀 博(三菱電機) |
B-5-8 |
マルチパス通信路のインパルス応答を用いたFDDシステムの下り回線チャネル推定に関する基礎的検討
◎登坂紫織・小川恭孝・西村寿彦・大鐘武雄・萩原淳一郎(北大) |
B-5-9 |
雑音を考慮したマルチパスの遅延推定に基づくチャネル予測
◎高野裕太・小川恭孝・西村寿彦・大鐘武雄・萩原淳一郎(北大) |
B-5-10 |
敵対的生成ネットワークを用いたチャネル推定に関する基礎的研究
◎中島亮太・西村寿彦・大鐘武雄・小川恭孝・萩原淳一郎(北大) |
M2Mの長距離通信実現には,耐干渉や耐妨害性に優れる直接スペクトル拡散(DS-SS)通信が有効である.DS-SS受信機では,逆拡散を行うために,信号に拡散符号を乗じたタイミングを初期捕捉によって粗同期する.伝送効率向上のため,初期捕捉は短時間で精度良く行うことが求められている.
筆者らは,整合フィルタ(MF)の拡散符号周期を分割した分割整合フィルタ(SMF)を併用し重み付け合成する初期捕捉方式を提案した.本方式は広い範囲の周波数偏差量に対応可能であるが,その性能はMFとSMFの中間的な振る舞いを示すため,それぞれを単体で用いた場合と比べて検出時間が増加する場合がある.本稿では,MFとSMFの出力される電力値の波形から周波数偏差量を粗く判断し,周波数偏差の大小に従ってMFの分割数を切り替える方式を提案する.
M2M通信のための長距離高信頼無線通信システムとして筆者らは,FSK(Frequency Shift Keying)信号を位相回転系列で直接拡散することで高い電力効率を達成し,更にインターリーブ型スペクトル拡散によってユーザを直交周波数多重する方式を検討している.代表的な送信ダイバーシチ手法であるSTBC(Space-Time Block Codes)は,原理的にはフルダイバーシチを達成可能だが,2 つの時間スロットに亘って符号化するため,通信路の時変動により直交性が崩れ性能が劣化する.この性能劣化は,特に拡散率が高くシンボルレートが長い場合に問題となる.そこで本稿では、FSKブロック伝送におけるキャリア直交性を利用した新たな送信ダイバーシチ手法を提案し,時変動通信路においてSTBCよりも優れた特性を持つことを示す.
FDDを用いた通信システムの下り回線チャネルの推定は,通常,下り回線のパイロット信号により得られるチャネル情報を端末から基地局にフィードバックすることにより行われる.しかし,伝送効率が著しく低下することから,大規模MIMOシステムへのFDDの適用は極めて難しい問題と考えられている.一方,マルチパス通信路のインパルス応答は上下回線で同一と考えられる.本稿では,FDDを用いたOFDM伝送系における上り回線の各サブキャリアのチャネルに圧縮センシングを適用してインパルス応答を求め,それを基に下り回線チャネルを推定する手法を提案する.ここでは,基本特性の評価を行うため,SISO通信路を扱う.
筆者らは,広帯域OFDM通信の各サブキャリアのCSIを用いてマルチパスの遅延推定を行い,それらの分離・予測・再合成によるチャネルの予測手法を提案した.その結果,チャネルのスパース性に基づくFISTA (Fast Iterative Shrinkage-Thresholding Algorithm) を用いた手法が良好な特性を示すことが明らかになった.本稿では,観測雑音が存在する環境でのチャネル予測精度を明らかにする.なお,チャネル予測の基本特性の評価を行うため,基地局と端末にアンテナが1本ずつ搭載されているSISOについて考察する.
無線通信において,受信信号から送信信号を推定するには,チャネル推定が不可欠である.現状では Zadoff-Chu系列など,定振幅かつ自己相関関数がインパルス (周波数領域の電力スペクトル密度が一定値) となる直交パイロット信号を用いて線形演算により推定することが一般的である.しかし,直交する系列数は系列長に一致するため,パイロット信号長より多数のパイロット信号を必要とする場合は直交性が崩れてしまう.そこで,多数生成可能な非直交パイロット信号を用意し,線形演算によるチャネル推定精度の劣化を深層学習により改善できるか検討する.本稿では,SISO (Single-Input Single-Output) マルチパス環境下で, 非直交系列とし て Gold 系列,深層学習モデルとして敵対的生成ネットワーク (GAN: Generative Adversarial Network)を用いてチャネル推定を行う.
9月10日 13:00〜17:00 C棟 4F C402講義室 座長 村岡一志(NTTドコモ)
B-5-11 |
下り回線MIMO対応送信干渉キャンセラーにおける最適制御の解析
◎谷口怜奈・藤井輝也・表 英毅(東工大) |
B-5-12 |
HetNet 構成におけるMIMO 対応上り回線干渉キャンセラーの検討
◎金田拓也・谷口怜奈・藤井輝也(東工大) |
B-5-13 |
周波数共用 MIMO ヘテロジニアスネットワークにおけるパイロットオーバーヘッドを考慮したセル間干渉軽減に関する検討
◎神渡俊介・牟田 修(九大) |
B-5-14 |
周波数共用のための全二重中継機の組合せ選択による干渉抑制法
◎大宮 陸・村上友規・石原浩一・林 崇文・鷹取泰司(NTT) |
B-5-15 |
Affinity Propagationを用いた基地局動作決定に関する研究
◎高橋一成・安達宏一(電通大) |
マクロセル内部に同一周波数を用いた複数スモールセルを設置したHetNet (Heterogeneous Network) 構成は、周波数利用効率を向上させる技術として期待されている一方で、干渉除去技術が不可欠である。筆者等はマクロセルの下り回線の干渉除去技術として、2×2 MIMOを対象として、スモールセル端末が受信するマクロセル信号をキャンセルするための干渉除去信号を、各スモールセル基地局が自セル信号に重畳して送信する“スモールセル送信干渉キャンセラー”を提案し、自セル信号と干渉除去信号の送信電力の最適分配について検討した。本稿では、最適分配を解析的に検討する。
マクロセル内部に同一周波数を用いた複数のスモールセルを設置して構成するHetNet (Heterogeneous Network) 構成は、周波数利用効率を向上させる技術として期待されている。この構成ではマクロセル、スモールセルが共に同一周波数を用いることから干渉回避または抑圧が不可欠である。筆者らは上り回線を対象として、マクロ基地局のスモール端末からの干渉信号を除去するSIMO対応“上り回線干渉キャンセラー”を提案した。本稿では上り回線の送受信に
MIMO(Multi-Input-Multi-Output)を適用した場合のマクロセル基地局におけるMIMO干渉キャンセラーを提案し、それによる通信品質及び通信容量を評価する。
マクロセル(MC)とスモールセル(SC)が同一周波数帯域を利用する2層ヘテロジニアスネットワーク(HetNet)では, MC とSC 間の干渉(異層間干渉)の軽減が重要な課題となる. 本稿では, 多素子アンテナを備えたMC 基地局(MBS) と複数のSC 基地局(SBS) からなる時分割復信(TDD) HetNet において, 下り回線の異層間干渉の軽減手法について検討する. 検討方式では, 上り回線において各ユーザが送信する直交パイロットから干渉チャネル状態を推定し, 下り回線における異層間干渉の軽減を行う. 本稿では, 2 層TDD-HetNet におけるパイロットオーバーヘッドを考慮したセル間干渉軽減について検討し, その効果を示す.
スマートフォンなどのモバイル端末が爆発的に普及するとともに,モバイルのトラヒック量は増加し続けている.無線トラヒックと端末を収容するために,既存の一次無線局に支障を来さない範囲で「空き周波数」を検出し,二次的に周波数を利用する周波数共用技術は,有力なアプローチの一つである.従来研究では,全二重中継機を組み合わせて用いることで,既存無線局に対する干渉電力を一定値以下に抑えながらも,二次利用する無線局のSNRを改善できる手法が提案されているが,評価に用いている中継方式が計算コストのかかるDecode-and-Forward形である.将来的にIoTなどが普及し,計算能力が高くない端末も中継機として利用していくためには,より低負荷な中継方式での特性を明らかにする必要がある.そこで本稿では,最も計算コストが低い中継方式であるAmplify-and-Forward型の全二重中継機を組合せることで,既存無線局への干渉電力をノイズと同レベルまで低減でき,かつ二次利用する無線局の伝送容量を増大できることを示す.
近年のセルラーネットワークでは,増大するモバイルトラフィック量に対応するためスモールセル基地局(SBS)を高密度に配置している.しかし全時間帯において全てのSBSを稼働させることはエネルギー効率の低下を招く.本研究では,ネットワークのエネルギー消費量を削減できる基地局スリープ技術およびSBS間のクラスタリング手法にAffinity Propagation (AP)を用いて,UEの観点から最適なSBSの動作を決定することを目的とする.
休 憩(14:30 再開) 座長 丸田一輝(千葉大)
B-5-16 |
OFDMベースのQPSK/1024-QAM重畳変調の伝送特性
◎仙田航基・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-17 |
Superposed Convolutional Coded Modulation for 16-QAM
○Tatsumi Konishi・Hiroyuki Nakano・Yoshikazu Yano(Aichi Inst. of Tech.) |
B-5-18 |
差動符号化FTN-MIMO信号伝送
◎嵯峨山千恵・石原拓実(東京農工大)・杉浦慎哉(東大) |
B-5-19 |
複数アンテナを適用した位相回転送信ダイバーシチ方式による包絡線変動量抑圧検討
○山口歌奈子・中島昭範・東中雅嗣(三菱電機) |
B-5-20 |
送受信機の非線形を一括補償するブラインド受信非線形補償法
◎阿部友希・山尾 泰(電通大) |
次世代移動通信システム5Gではシステム容量を改善する技術として非直交多元接続NOMAが検討されている.また,伝送速度を向上する技術として256-QAM, 1024-QAMなどの超多値変調技術の検討も進んでいる.これまで筆者らは,においてQPSKと256-QAMの重畳変調を提案し,その基本特性を示した.本稿では,下り回線におけるQPSKと1024-QAMの重畳変調の基本伝送特性を明らかにする.
We propose a non-binary convolutional coded modulation system for M-QAM with high spectral efficiency for Rayleigh fading channels, which employs super-
position scheme. In particuler, we focuses on the superposed non-binary convolutional codes with one memory register for 16-QAM. The proposed codes cannot improve the bit error rate (BER) for additive white Gaussian noise (AWGN) channels because they offer no large Euclidean distances. However, the code is effective for Rayleigh fading channels. New good non-binary convolutional codes for 16-QAM are proposed and their bit error rates are evaluated for Rayleigh fading channels.
受信機において伝搬路推定を必要としない差動符号化MIMO伝送の一手法としてDifferential Space-Time Shift Keying using Diagonal Algebraic Space-Time (DSTSK-DAST) が提案されている. DSTSK-DASTは固定の信号点を維持しながら高い性能を実現できる.また,Faster-Than-Nyquist (FTN) 信号伝送はシンボル間干渉を許容することでナイキスト第一基準の限界以上のシンボルを伝送することができる. 特にFrequency-Domain Equalization (FDE) を利用した低演算量FTN復調や, 差動符号化FTNが考案されている. 本研究では,DSTSK-DASTを利用した差動符号化FTN-MIMO伝送を提案する.
本検討では、筆者らがこれまで提案してきた長距離高信頼通信を実現するFSK(Frequency Shift Keying)用位相回転送信ダイバーシチ方式に対し、更なる高信頼化の実現に向け、3ブランチ以上の送信アンテナを適用した場合における包絡線変動量増大の抑圧を検討し、その改善効果を明らかにする。
近年,高速・大容量の通信を可能にする第5世代移動通信システム (5G) の研究開発が進められている.5Gでは,より高い伝送精度が必要な高次の多値変調が多用されると考えられ,送受信機での非線形の影響が問題となる.非線形補償法として,送信機側ではディジタルプリディストーション,受信機側ではブラインド非線形補償が検討されているが,送受信機双方で補償回路が必要となるため,回路の規模が増加する.そこで本稿では,送信機側と受信機側で発生する非線形歪を受信機で一括補償する効率的な非線形補償法を提案し,計算機シミュレーションによってEVM 1% 以下を達成できることを確認した.
休 憩(16:00 再開) 座長 瀬山崇志(富士通)
B-5-21 |
Sparse User Pairing and Power Allocation Scheme for NOMA Systems
◎Ahmed Nasser・Osamu Muta(Kyushu Univ.) |
B-5-22 |
SICを用いた下りリンクカオスNOMA伝送手法の特性評価
◎枡田佳大・岡本英二(名工大)・山本哲矢(パナソニック) |
B-5-23 |
ブラインド受信非線形補償による下りリンクNOMAのEVM改善効果
◎永井 淳・阿部友希・山尾 泰(電通大) |
B-5-24 |
位相回転NOMAにおける3ユーザ重畳信号の位相最適化
○張 裕淵・府川和彦(東工大) |
In this article, we propose a novel low-complexity user pairing (UP) and power allocation technique (PA) scheme based on compressive sensing (CS) theory for NOMA systems. In the proposed scheme, we formulate joint UP and PA optimization problem in non-orthogonal multiple access (NOMA) systems as an equivalent sparse l1-norm problem, based on the fact that a limited, i.e., ‘sparse,’ number of users will be paired among a large number of users in a dedicated resource block (RB). Based on this inherent sparsity property, we can obtain a near-optimum solution by relaxing the original NP-hard problem of joint UP and PA.
第5世代移動通信システム(5G)において,より大容量かつ高速な通信を行う手法の一つとして非直交多元接続手法(non-orthogonal multiple access: NOMA)が検討されている.我々はその検討の一つとして,カオスNOMA(C-NOMA)伝送手法[1]を提案している.この伝送方式は,カオスMIMO(multiple-input multiple-output)伝送の原理をNOMA伝送の変調部に適用することでNOMA伝送の伝送効率向上と,C-MIMO伝送の物理層秘匿性と符号化利得を同時に獲得することができる手法である.そして我々は計算量を削減したSIC(succesive interference cancelation)適用C-NOMA伝送を提案した[2].しかしこれまでの検討では,セル環境とスケジューリングの要素を含めた包括的なシステム性能評価のみを行っており,リンクレベルでの既存手法に対する優位性が明らかではなかった.そこで,本稿では1リンクに注目したC-NOMA伝送方式の伝送特性をBit Error Rate(BER)を指標として算出し,既存手法に対する優位性を明らかにする.
周波数の有効利用技術として第5世代移動通信システム (5G) では非直交多元接続 (NOMA : Non-Orthogonal Multiple Access)の導入が検討されている.NOMAは1つの無線リソース上に複数ユーザへの信号を重畳するため,電力増幅器 (PA : Power Amplifier) やLNA (Low Noise Amplifier),受信ミクサ等による非線形歪の影響が顕著になる問題がある.そこで,本研究では受信機側でブラインド非線形補償を用いることによって,これらの非線形歪の影響を緩和することを提案する.その改善効果を受信後の信号の変調精度 (EVM : Error Vector Magnitude)で評価する.この結果, 非線形によるNOMAの受信特性劣化を受信ブラインド非線形補償によって軽減できることを示した.
非直交多元接続(NOMA)は高い周波数利用効率が得られるため,次世代移動通信(5G)のマルチアクセス方式の有望な候補として,近年注目されている.しかしながら,下り回線において,重畳された信号点間の最小距離が短い場合,ビット誤り率(BER)特性が劣化するという問題がある.この問題を解決するため,2ユーザ信号を位相回転した後重畳する位相回転NOMAが提案され,その位相最適化が先行研究に検討された.本稿では3ユーザ信号の場合の位相最適化を行う.さらに,受信側ではMUD(Multi-User Detection)とSIC(Successive Interference Cancellation)を併用することでBER特性の改善を図る.
9月11日 9:00〜11:30 C棟 4F C402講義室 座長 中島昭範(三菱電機)
B-5-25 |
高SHF帯Massive MIMOハイブリッドビームフォーミングにおける高速移動環境でのAFC適用時の特性評価
◎野中信秀・奥山達樹・村岡一志・須山 聡・奥村幸彦(NTTドコモ) |
B-5-26 |
高速移動環境でのAFC適用時のセル間協調制御技術の特性評価
奥山達樹・野中信秀・○須山 聡・村岡一志・奥村幸彦(NTTドコモ) |
B-5-27 |
ネットワークMIMO-OFDMにおける理論システム容量を用いたGI長制御法
◎菅沼碩文・齋藤周平・丸小倫己・前原文明(早大) |
B-5-28 |
適応フィルタを用いたガードバンド外挿平均化処理の適用によるMU-MIMO CSI 圧縮方式
◎北川 竜・井上貴裕・高畑文雄(早大) |
B-5-29 |
複数の周波数帯域を共有する MU-MIMO LP システムにおける適応的クラスタリングの有効性に関する特性評価
◎杉野裕幸・高畑文雄(早大) |
第5世代移動通信システム(5G)やそれ以降の移動通信システムにおける大容量・高速通信の実現のため,筆者らは高SHF帯において,ハイブリッドビームフォーミング(BF)を用いるMassive MIMOを検討してきた[1].高速移動時には搬送波周波数に比例して最大ドップラー周波数が大きくなるため,高周波数帯では特性劣化が大きくなる可能性がある.その一方で,直接波が支配的な高SHF帯では、AFC(Automatic Frequency Control)がドップラー周波数シフトの補償に有効となる可能性がある.そこで本稿では,角度広がりのある見通し環境のチャネルモデルを用いて,時速90 kmの高速移動環境における高SHF帯Massive MIMOハイブリッドBFへのAFC適用の効果を検証する.
第5世代移動通信システム(5G)における大容量・高速通信の実現のため,高周波数帯利用による広帯域伝送や超多素子アンテナによるビームフォーミング(BF: Beamforming)が検討されている.28 GHz帯等の高SHF帯では,アナログBFとデジタルプリコーディングの結合処理であるハイブリッドBFが研究されている.また,端末が高速移動する際には,移動に伴うドップラー周波数シフトにより伝送特性が劣化するが,AFC (Automatic Frequency Control) によりドップラー周波数シフトを補償する検討が進められており,1台の基地局アンテナで構成される1セル環境でAFCの有効性が示されている.しかし,高速移動する端末に対して広範囲に高速通信を提供するためには,複数セル環境においてセル間干渉を緩和しセル境界付近での通信速度の向上も必要である.そこで本稿では,AFC適用を前提に,2セル環境において,隣接セルに所属するユーザも直交化する拡張プリコーディング法を用いたセル間協調制御技術を適用する.そして,計算機シミュレーションにより,セル境界付近のスループットを向上可能であることを明らかにする.
MU-MIMOをベースとしたネットワークMIMO-OFDMでは,複数ユーザの同時伝送が必須となることから,シンボル間干渉 (ISI) の影響を回避すべく,全ユーザのマルチパス遅延を超えるガードインターバル (GI) 長の設定が必要となる.ところが,セル半径が大きいネットワークMIMO-OFDMでは,同時送信する複数のユーザ間で,信号の到着時間差 (TDOA) に差異が生じることから,TDOAが小さいユーザにおいて実効的にオーバーヘッドが増加し,伝送効率が低下する問題がある.本稿では,ネットワークMIMO-OFDMの伝送効率の向上を目的として,全ユーザの伝搬路情報 (CSI) を用いて,GI長を変化させたときのシステム容量を相関演算により理論的に把握するとともに,システム容量が最大となるようGI長を制御する方式を提案する.提案方式は,通常のISIの影響を完全に抑圧することを目的としたアプローチとは異なり,ISIの影響を一部許容した上で,システム容量が最大となるGI長を選択することを特色としている.また,提案方式の有効性を,最大マルチパス遅延をベースとした通常方式を比較対象にとって,システム容量の観点から計算機シミュレーションにより評価する.
MU-MIMO における CSI フィードバック量を削減する手法として,受信側で複数の周波数領域 CSI に対して緩衝帯を挟んで結合し,時間領域に変換した後,凸射影法に基づく繰り返し処理により,精度を高めたCSI情報を圧縮フィードバックする方式が提案されている.本稿では,凸射影処理前の初回の補間方法に関して,従来方式である適応フィルタを用いたガードバンド外挿処理による補間方法を改良し,外挿結果に対して平均化を適用する手法を提案する.提案方式が従来方式と比較して非常に高いCSIの復元精度を示し,初回の補間法として極めて有効であることを定量的に明らかにする.
MU-MIMO LP (Multi User – Multiple Input Multiple Output Linear Precoding) ダウンリンクシステムでは,ユーザ間の直交性が低い場合,非ユニタリ行列で表現される線形フィルタを所望送信信号に乗積することによって,所要送信電力が増大し電力効率が大きく低下するという問題を有する.本稿では,複数の周波数帯域を共有するMU-MIMO LP システムにおいて,ユーザの組み合わせを固定した場合 (以下,固定クラスタリングと呼ぶ.) に対して,伝搬路状況に応じてユーザの組み合わせを変化させる方式 (以下,適応的クラスタリングと呼ぶ.) を提案し,計算機シミュレーションにより基準BER対所要SNR特性を取得し,総送信電力の改善量を評価する.適応的クラスタリングを適用した場合,固定クラスタリングと比較して,基準BERを満足するための総送信電力が大幅に低減されることを定量的に明らかにする.
休 憩(10:30 再開) 座長 山本哲矢(パナソニック)
B-5-30 |
5Gを活用した遠隔診療高度化に関する実証試験
○増野 淳・奥山達樹・須山 聡・南田智昭・奥村幸彦(NTTドコモ) |
B-5-31 |
5Gを活用した救急搬送ソリューション高度化に関する実証試験
○南田智昭・増野 淳・村岡一志・奥山達樹・野中信秀・須山 聡・奥村幸彦(NTTドコモ) |
B-5-32 |
93GHz帯を用いたビームフォーミングの反射特性評価
◎坪井 淳・外園悠貴・岩渕匡史・岸山祥久(NTTドコモ)・Pekka Wainio・Mike Zierdt・Jim Kepler・Shahriar Shahramian・Michael Holyoak・Phil Rasky・Rob Nikides・Amitava Ghosh(NOKIA) |
B-5-33 |
93GHz帯無線通信におけるフェーズドアレイアンテナを用いたビーム追従実験評価
◎外園悠貴・坪井 淳・岩渕匡史・岸山祥久(NTTドコモ)・Pekka Wainio・Mike Zierdt・Jim Kepler・Shahriar Shahramian・Michael Holyoak・Phil Rasky・Rob Nikides・Amitava Ghosh(Nokia) |
本稿ではNTTドコモが実施主体となり総務省より請負った,平成30年度「屋外において平均4-8 Gbpsの超高速通信を可能とする5Gの技術的条件等に関する調査検討の請負」の一部として実施された,5Gを活用した遠隔診療高度化に関する実証試験について報告する.
本稿ではNTT ドコモが実施主体となり総務省より請負った,平成30 年度「屋外において平均4-8 Gbps の超高速通信を可能とする5G の技術的条件等に関する調査検討の請負」の一部として実施された,5G を活用した救急搬送ソリューション高度化に関する実証試験について報告する.
5Gの発展もしくはBeyond 5Gに向けて,5Gよりもさらに広域な利用用途およびさらに高い周波数帯を開拓していく必要があると考えられる[1].昨今,90GHzを超えるミリ波~テラヘルツ波の飛躍的に広い周波数帯域幅を無線通信へ利用する検討も開始されつつある[2, 3].本稿では,ノキアが開発した93GHz帯のフェーズドアレイアンテナを用いる伝送実験装置を用い,反射物が存在する環境でのビームフォーミングによる無線伝送特性を評価したので報告する.
5Gを超える伝送速度が要求される未来を想定し,筆者らはミリ波~テラヘルツ波の飛躍的に広い周波数帯域幅を無線通信へ利用する検討を進めている.これら高周波帯域の移動端末への利用においては,カバレッジや端末移動を考慮するとビームフォーミング技術が不可欠となる.本稿では,ノキアが開発した93GHz帯のフェーズドアレイアンテナを用いる伝送実験装置を用いて,シールドルーム環境におけるビーム追従特性を評価した結果を報告する.
9月12日 9:15〜11:45 C棟 4F C402講義室 座長 淺井裕介(NTT)
B-5-34 |
URLLCを用いた自動運転を実現する無線フレーム構成の検討
◎塩満優作・岡本英二(名工大)・三上 学・吉野 仁(ソフトバンク) |
B-5-35 |
周波数スケジューリング型車車間協調伝送手法による路車間遠方車両通信の性能改善の検討
○石川隼土・岡本英二(名工大)・岡田 啓(名大)・牧戸知史(豊田中研) |
B-5-36 |
駐車車両搭載クラウドソース基地局による適応的 C-RANのシステムレベルシミュレーションによる特性評価
○丸田一輝(千葉大)・中山 悠(neko 9 Lab.)・久野大介(阪大)・西尾理志(京大)・桑野 茂(大同大)・吉本直人(千歳科技大) |
B-5-37 |
車両への情報配信におけるマルチキャスト/ユニキャスト通信の性能比較
○上野高明(KDDI総合研究所)・辻 圭介(KDDI)・大岸智彦(KDDI総合研究所) |
5G(第五世代移動通信システム)の要求シナリオに,自動運転などを目的としたURLLC (Ultra-Reliable and Low Latency Communications)がある.URLLCでは無線伝送における高信頼性と超低遅延性を同時に実現する技術が求められている.無線伝送で従来用いられてきた,高信頼化技術であるACK/NACK (Acknowledgement /Negative ACK)フィードバックに基づくHARQ (Hybrid Automatic Repeat reQuest)再送制御を用いた場合,伝送遅延が大きくURLLCへの適用には課題を有する.そこで本研究ではURLLCにおける無線アクセスへHARQ再送制御を適用することを前提とした上で,URLLCに適した無線フレーム構成を検討し,その特性を明らかにする.
郊外地域などの基地局,車両の過疎地域においては,通信車両が基地局に対して遠方となる場合の通信特性が劣化することが課題である.本稿ではその解決策として,異なるチャネルを用いて伝送することによって得られるチャネルダイバーシチ方式を用いた車車間協調伝送手法を提案する.具体的にはLTE V2XのSL(Side Link)通信を用いた車車間通信(V2V: Vehicle to Vehicle)を利用する協調V2I上り伝送方式に対する多元接続方式を提案し,リソースを効率的に用いた伝送方法を確立する.またこれまでの提案手法[1]に加えて基地局遠方の伝送車両に対する特性改善効果を明らかにするために,郊外地域のフィールドを模擬したネットワークシミュレーションを行い,車両が提案協調多元接続伝送によって信号を伝送し,特性評価を行う.
筆者らはこれまでに,モバイルトラフィックの時空間的な変動を効率的に収容可能な適応的 ネットワークを提案している.この一形態として, 自家用車等にスモールセル基地局を搭載することでモバイルネットワーク構築をクラウドソースし,より効率的な C-RAN(Centralized Radio Access Network)を構成する車載スモールセルを提案した.本検討では,クラウドソース基地局(CRU; Crowd- sourced Radio Unit)を,より簡易な制御かつトラフィック収容効果が見込める駐車車両へ搭載することを提案する.本システム構成において,数理モデル化による所要CRU搭載率の定式化を行った.本稿では,同モデルにおけるパラメータを用いたシステムレベルシミュレーションによりその妥当性を示すとともに,システムスループットの改善効果を明らかにする.
我が国におけるITS(高度道路交通システム)では,事故,渋滞等の交通情報,信号情報等を車両に配信することで運転の快適性や利便性の向上を図ることが期待されている.これらの情報は,広いエリアの多数の車両へ情報を配信する必要があるため,モバイル基地局を経由して配信する方法が検討されている.配信方式には,ユニキャスト,マルチキャストの2通りが存在するが,一長一短がある.本稿では,車両台数等の条件に応じて,リソース使用効率の観点で効果的な配信方法を選択することを目的とし,シミュレーションにより,各方式の無線周波数リソース使用率から通信完了時間を算出する.
休 憩(10:30 再開) 座長 石原浩一(NTT)
B-5-38 |
28GHz帯におけるNB-IoTの同期信号を用いたときのPCID検出確率特性
◎井上大輔・太田恭吾・佐和橋 衛(東京都市大)・永田 聡(NTTドコモ) |
B-5-39 |
28GHz帯におけるNRの同期信号を用いたときのPCID検出確率特性
◎太田恭吾・佐和橋 衛(東京都市大)・永田 聡(NTTドコモ) |
B-5-40 |
アンライセンスドバンド活用のための 5G NRランダムアクセスチャネルデザイン特性評価
村山大輔・○原田浩樹・永田 聡(NTTドコモ) |
B-5-41 |
NR URLLC上りリンクGrant-free伝送におけるExplicit ACK導入可否に関する検討
○山本哲矢(パナソニック)・河内涼子(パナソニックシステムネットワークス開発研)・鈴木秀俊(パナソニック) |
B-5-42 |
処理遅延を考慮した干渉キャンセラ適用時のURLLCの伝送特性
○中村 理・浜口泰弘(シャープ)・高橋拓海・三瓶政一(阪大) |
本稿では,28GHz帯のキャリア周波数におけるNarrowband (NB)-Internet-of-Things (IoT)無線インタフェースの同期信号を用いたときの物理レイヤセルID (PCID: Physical-layer Cell ID)検出確率を計算機シミュレーションにより評価する.
本稿では,28 GHz帯のキャリア周波数における5G New Radio (NR)の同期信号(SS: Synchronization Signals)を用いたときの物理レイヤセルID (PCID: Physical-layer Cell ID)検出確率を計算機シミュレーションにより評価する.
移動通信システムにおいて,ライセンスドバンドに加え てアンライセンスドバンドを活用する技術は,通信容量の 拡大のために有用である.現在,3GPP では 5G NR(New Radio)の機能拡張が議論されている.その中で,5GHz 帯, 6GHz 帯のアンライセンスドバンド活用のための,NR の拡 張方法についても検討が進められている.本稿では,NR のランダムアクセスチャネル(PRACH: Physical Random Access CHannel)のアンライセンスドバンド向け拡張方法 についてシミュレーション評価を基に検討したので結果を 報告する.
3GPPでは,第5世代移動通信システムの実現に向けて,NR(New radio)のRelease 15仕様策定が完了した.Release 16における高信頼低遅延通信(URLLC)では,上りリンクにおいて基地局からのリソース割当のためのレイヤ1制御信号(Grant)を不要とするGrant-free伝送の機能拡張に関する議論が行われている.本稿では,基地局におけるGrant-free伝送の検出性能検証,および基地局が端末に対してACKを送信するExplicit ACK方式の導入可否を検討した結果を報告する.
3GPP (3rd Generation Partnership Project) において,1ms以下の低遅延性やブロック誤り率 (BLER) 10^−5をターゲットとするURLLC (Ultra Reliable and Low Latency Communication) の検討が行われている.
URLLCのアップリンクでは,信頼性確保のためにPUSCH (Physical Uplink Shared Channel) の繰り返し送信が仕様化されている.繰り返し送信に対する最適受信は,計算量および処理遅延が増大する問題がある.そこで3GPPでは,繰り返し送信された信号に対し,受信機で繰り返し毎にビットLLR (Log Likelihood Ratio) を合成することを前提とした評価がなされている.
本稿では,従来の繰り返し毎のLLR合成から処理遅延を増大させずに,干渉キャンセラを適用する方法を提案し,その受信特性を計算機シミュレーションにより評価する.
9月13日 9:15〜11:45 C棟 4F C402講義室 座長 宮路祐一(豊橋技科大)
B-5-43 |
高相関チャネルにおけるGaBPを用いた上りリンクマルチユーザMassive MIMO
○奥山達樹・村岡一志・須山 聡・奥村幸彦(NTTドコモ)・衣斐信介(同志社大)・高橋拓海・三瓶政一(阪大) |
B-5-44 |
過負荷LOS-MIMO信号検出のための部分空間周辺化信念伝搬法に関する一検討
◎高橋拓海(阪大)・衣斐信介(同志社大)・三瓶政一(阪大) |
B-5-45 |
Polar符号化伝送におけるSSCL復号とGaBPを用いた繰り返し適応等化に関する検討
◎福田健太郎・西村寿彦・大鐘武雄・小川恭孝・萩原淳一郎(北大) |
B-5-46 |
Polar符号における近似処理の通信路に与える影響
○三木信彦(香川大)・須山 聡・永田 聡(NTTドコモ) |
第5世代移動通信システム(5G)において高速通信実現が期待されている.上りリンクにおいて高速化を図るためには,マルチユーザMIMO(MU-MIMO: Multi-user Multiple-Input Multiple Output)伝送において,基地局で複数ストリームを検出する必要がある.そこで,整合フィルタ(MF: Matched Filter)に基づくGaBP(Gaussian Belief Propagation)が提案されている.また, MMSE(Minimum Mean Square Error)をMF-GaBPの前段に活用し,有相関チャネルにおいても高い伝送特性を得られることが明らかにされている.統計的なチャネルモデルに基づく計算機シミュレーションによる伝送特性評価は行われているが,実環境における有効性は明らかにされていない.そこで本稿では,伝搬実験により得た伝搬データを用いたシミュレーションを行い,MMSEによる信号検出結果をMF-GaBPの繰り返し一回目のソフト干渉キャンセルのレプリカとして利用する手法を適用し,実環境でのGaBPの有効性を明らかにする.
本稿では,大規模同時接続を目的としたLOS (Line-of-Sight) 環境における過負荷マルチユーザMIMO信号検出を扱う.信念伝搬法 (BP: Belief Propagation) は低演算量・高精度なマルチユーザ検出器として知られるが,ミリ波帯通信・近距離MIMOでみられるLOS環境では,フェージング通信路の強い空間相関性に起因して収束特性が著しく劣化する.特に,同時接続端末数が受信アンテナ数より大きい過負荷MIMO 構成では,深刻な性能低下が避けられない.この不都合を緩和するため,受信ビーム形成器による領域変換と部分空間周辺化をBP検出器に導入し,過負荷LOS-MIMO検出の実現を図る.
SISO環境Polar符号化伝送においてガウス確率伝搬法(GaBP)による適応等化を行う.GaBPを用いる場合,復号器において信頼度情報を生成する必要がある.Polar符号に逐次除去復号法を適用した場合,硬判定が行われるため軟値再符号化を行うことが困難である.そこで本稿ではリスト復号の際に求められるメトリックを用いる軟値生成法であるSSCL復号を用いてLLRを生成するのに加え,二つの変形手法について検討し,その特性を評価する.
本稿では, Polar 符号の復号処理において,近似処理を用いる場合の通信路に与える影響について評価する.
休 憩(10:30 再開) 座長 岡本英二(名工大)
B-5-47 |
5Gにおける高SHF帯・広帯域Massive MIMOシステムを用いた屋外環境MU-MIMO伝送実験
○酒井 学・蒲原健一郎・井浦裕貴・石岡和明・中澤正幸・岡崎彰浩(三菱電機)・野中信秀・須山 聡・増野 淳(NTTドコモ)・岡村 敦(三菱電機)・奥村幸彦(NTTドコモ) |
B-5-48 |
28GHz帯における屋外から屋内へのSU-MIMO伝送実験
○内野大地・石岡和明・木下裕介・武 啓二郎・有賀 博(三菱電機) |
B-5-49 |
ミリ波エッジクラウドでのSDNによるバックホール制御の特性評価
◎中村 誠・西内大晃(東工大)・Konstantin Koslowski・Julian Daube(Fraunhofer HHI)・Ricardo Santos(Karlstad Univ.)・Tran Gia Khanh・阪口 啓(東工大) |
B-5-50 |
5G超高密度分散アンテナシステムにおけるスケジューリング処理高度化のためのアクセラレータ構成
○有川勇輝・坂本 健・重松智志(NTT) |
B-5-51 |
屋内環境における大規模MIMO分散アンテナシステムのアンテナ選択に関する検討
◎島屋早希・西村寿彦・大鐘武雄・小川恭孝・萩原淳一郎(北大) |
第5世代(5G)移動通信システムの実現に向け,著者らは高SHF帯におけるActive Phased Array Antenna(APAA)によるアナログビームフォーミングとMultiple Input Multiple Output(MIMO)によるディジタルプリコーディング処理を組み合わせたハイブリッド・ビームフォーミングシステムを開発し,屋外環境におけるシングルユーザMIMO16ストリーム空間多重伝送実験において最大27 Gbps の下りリンクスループットを達成している.本稿では,同システムを用いたマルチユーザMIMO(MU-MIMO)屋外伝送実験の結果を報告する.
第5世代移動通信システム(5G)の実現に向け,28GHz帯APAA-MIMOシステムを開発した.本発表では屋内端末における28GHz帯を用いた伝送課題となる窓ガラスによる減衰を,APAAからなる16台のサブアレーを用いたSU-MIMO 2ストリーム空間多重伝送を行うことで送信利得を向上させ下りスループットの改善を確認したので報告する.
急増するモバイルトラヒックに対応するため,高速通信が可能なミリ波小セル基地局の高密度配置が想定されているが,大容量光ファイバーによるバックホール回線の敷設コストが課題として挙げられている.そこで,ミリ波バックホールおよびMECが低コスト化を実現する技術として提案されている.また,SDN制御を導入することにより,MECやミリ波バックホールを用いたネットワークの動的構築が実現可能となる.そこで本稿では,バックホールおよびMECをSDN制御するミリ波エッジクラウドについて PoCアーキテクチャを構築し,バックホール経路多重化による局所的なトラヒックへの処理能力について,通信速度の観点での実験を行い、有効性を確認した.
第5世代移動通信システムでは,送信アンテナを超高密度に配置する超高密度分散アンテナシステムが検討されている.本システムでは,電波干渉を考慮しながら,全送信アンテナと端末とを対象に,最適な送信組合せを決める協調無線リソーススケジューリングを行う.この処理では大量の計算が必要であるのに対して,費やせる時間は限られるので,我々はこの処理を高速化するアクセラレータを提案してきた.本稿では,NFV等の基地局装置汎用化・仮想化を想定して,提案アクセラレータを基地局装置に搭載する構成を提案する.
近年の急激なトラフィックの増加に対応するため,基地局に100素子規模のアンテナを配置する大規模MIMOシステムの実装が提案されている.現在,この大規模MIMOシステムにおいて基地局アンテナを分散して配置する分散アンテナシステムが検討されている.分散配置では,UE の位置によっては基地局アンテナからのチャネルの品質に差が出るため,いくつかの基地局アンテナを使用せず,その分の電力を他の基地局アンテナに分配することで有効に電力を利用できる可能性がある.また,将来的には,使用しないアンテナ素子を設けることで,システム内の消費電力の低減を期待している.本稿では屋内環境における分散アンテナシステムを想定し,アンテナ選択の効果・影響を評価する.
9月13日 13:00〜15:45 C棟 4F C402講義室 座長 星野兼次(HAPSモバイル)
B-5-52 |
ピークキャンセラを適用した多素子MIMO-OFDMにおける所要EVMに応じた帯域内歪み補償方式
◎景山知哉・牟田 修(九大) |
B-5-53 |
非線形プリコーディングとピークリミタを用いる多素子MIMOの余剰アンテナを用いたBER改善手法に関する検討
○川越詞文・景山知哉・牟田 修(九大) |
B-5-54 |
ミリ波Massive Relay MIMOを用いたセルラネットワークの検討
◎杉原裕一郎・阪口 啓(東工大) |
B-5-55 |
Outage Probability Analysis of Sensor Nodes Served by Multi-antenna UAV-BS
○Hendrik Lumbantoruan・Koichi Adachi(The Univ. of Electro-Communications) |
B-5-56 |
UAVセンサを用いた電波発信源の屋外位置推定の検討
○田中翔馬・Tran Gia Khanh・阪口 啓(東工大) |
多素子MIMO-OFDMでは, 送信信号のピーク電力対平均電力比(PAPR) の低減が課題となる. 著者等は, 帯域内歪み(EVM) と帯域外輻射(ACLR) を許容値以下に抑えながらOFDM信号のPAPR を低減する適応ピークキャンセラ(PC) を提案した. 適応ピークキャンセラを多素子MIMO-OFDM に適用する場合, 余剰の空間自由度を活用することで受信機側で特別な信号処理を行うことなくピークキャンセルにより生じた帯域内歪みを補償できる[1] [2].この方式では, 多素子MIMO の空間自由度を消費するため, 所要EVM 値に応じて歪み補償量を最小に抑えることで総合的な更なる特性向上を期待できる. 本稿では, 適応PC とその歪み補償を適用した多素子MIMO-OFDMにおいて, 変調方式毎のEVM 許容量に応じて各送信ストリームの歪み補償量を制御する方式を提案する. 計算機シミュレーションにより提案方式の有効性を示す.
多素子MIMO-OFDMではピーク対平均電力比(PAPR)の低減が課題となる. 本稿では, 非線形プリコーディングとしてTHP (Tomlinson-Harashima pre-coding) を用いる多素子MIMO-OFDM を対象として, ピークリミタの代表的な手法であるC&F (Clipping & filtering) と帯域内歪み補償技術[1] を併用する場合のピーク電力特性およびビット誤り率(BER) 特性を評価する. また, 余剰アンテナから送信する誤差信号にTHP における摂動ベクトルを重畳することでmodulo 演算を不要とする方式を提案する. 提案方式では, 摂動ベクトルを任意に構成できるため,modulo 演算の代わりにサブキャリア毎の電力制御を適用する. 摂動ベクトルを適切に構成することで所望のPAPR特性を得ながら受信BER 特性を従来方式に比べて大きく改善できることを計算機シミュレーションにより示す.
近年モバイルトラヒックの急増により,さらなる通信容量への要求が見込まれている.そこで,通信路容量を増やす重要な技術の一つとしてMassive MIMO(Multi-Input Multi-Output)伝送がある.数十,数百以上の多数のアンテナ素子を用いてMIMO伝送を行う技術である.因みにミリ波帯の利用により,アンテナの小型化が可能になり,自動車などの移動体にも多素子アンテナを備え付けることが出来ると考えられる.マルチユーザMassive MIMOの場合,空間上で十分に離れた複数の端末と基地局との間でMIMO伝送を行うことでアンテナ数に比例して通信路容量を向上させることが出来る.一方でシングルユーザMassive-MIMOでは,複数のビームを一つの端末へ向けてしまうため伝搬路相関が高くなり,MIMO伝送を有効に活用出来ない.そこで本稿では多数のAF(Amplify and Forward) 中継ノードを協調させることにより低遅延で受信電力を増幅し,シングルユーザMassive MIMOでも伝搬路相関を低減させMIMO伝送することにより通信路容量を大幅に向上できるシステムを提案した.
An unmanned aerial vehicle (UAV) with a uniform linear array antenna (ULA) has been proposed to tackle the high outage probability due to low transmit power of sensor node (SN) and the existence of interfering SNs. The purpose of this manuscript is to analytically compare the performance of ULA to that of selection diversity (SD) technique.
IoT社会となりモバイル端末が急激に普及し, 災害時の救護や通信サービスの発展のために位置情報が利用されている。代表的な位置推定のアプリケーションの一つとしてGPSが挙げられる。GPSは4つ以上の複数センサのTOAによって位置推定を行う。本研究では2.5GHz帯の電波をターゲットとし, 位置指紋法を用いた検討を行う。RFパラメータにはRSSIおよびAOA, パターンマッチングにはRMSEの最近傍近似を利用する。二次元でのRxセンサ配置およびドローンを想定した三次元配置を検討し, 各手法の電波発信源に対する位置推定精度をレイトレースシミュレーションにより比較評価を行ったので報告する。
休 憩(14:30 再開) 座長 須山 聡(NTTドコモ)
B-5-57 |
UAVによる広域上りリンクIoT情報収集システムの性能改善に関する検討
◎上野皓平・岡本英二・長谷川 遼(名工大)・辻 宏之・三浦 周(NICT) |
B-5-58 |
UAV-MIMO伝送方式におけるUAVの高度設計に関する検討
◎長谷川 遼・岡本英二(名工大)・辻 宏之・三浦 周(NICT) |
B-5-59 |
ギガビットHAPSモバイル通信に向けた電力効率を考慮したシステム設計
○柴田洋平(HAPSモバイル)・金沢 昇(ソフトバンク)・小西光邦・星野兼次・太田喜元・長手厚史(HAPSモバイル) |
B-5-60 |
HAPSマルチゲートウェイフィーダリンクシステムにおけるリバースリンク対応送信干渉キャンセラーの検討
◎藤井隆史・太田喜元(HAPSモバイル) |
B-5-61 |
HAPSシステムにおける姿勢変化を考慮したフィーダリンクアンテナのビーム方向制御検討
○松浦一樹・太田喜元(HAPSモバイル) |
IoT化が進む中で,山間部や河川に設置されたIoT端末は人力でのデータ収集が困難であり,基地局から遠いため十分な品質で通信を行うことができない課題が存在する.そこで無人航空機(Unmanned Aerial Vehicle: UAV)を一時的な基地局として用い,複数のIoT端末からの上りリンク情報を収集するシステムが検討されている.これまでの検討においては時分割多元接続を用い,UAVとの距離が一番近いIoT端末と1対1で通信を行っていた.しかしIoT端末の増加に伴い,広範囲に多数存在するIoT端末と効率的に通信を行うことが必要である.そこで本稿では複数のIoT端末から同時にデータを収集することが可能である,周波数分割多元接続を用いたスケジューリングを提案する.そして計算機シミュレーションによりその特性を評価する.
近年Unmanned Air Vehicle (UAV) の活用が注目されている.UAVの活用方法は多岐にわたり,インフラ点検や軽量な荷物の運搬,農業,被災地での状況確認や空撮などに用いられている.そこで,筆者らはドローンの災害地における運用に着目をし,携帯電話に対して通信サービスを行う基地局としての役割を持たせることを考え,これまでは複数UAVの高度を固定し,検討を行ってきた.しかしこれまでの提案ではUAVの高度に関する検討を行ってこなかった.そこで,本提案ではSpace Time Block Code (STBC) 符号を適用した複数UAVからのMulti Input Multi Output (MIMO) 下りリンク伝送方式において,UAVの飛行高度に対する伝送品質の変化について検討を行う.
HAPS(High-Altitude Platform Station)では高度20kmの成層圏で運用される飛行船等から超広域の移動通信サービスを提供できる。また、LTE等の地上移動通信網と同じシステムを適用可能であることから、日常使用する端末で直接接続可能であり、災害に強いネットワークを実現できる。HAPSモバイル通信においては機体に搭載可能なセル数によって様々なセル構成が考えられ、筆者らはこれまでに7セル程度を対象にセル構成の最適化手法を提案した。しかし、近年のモバイルブロードバンドの普及を考慮すると、将来的には多数のセルを搭載したHAPSによるギガビットクラスの大容量通信の実現が求められると考えられる。本稿では、ギガビットクラスの通信を実現するためのシステム設計手法を提案し、最適なセル構成を明らかにする。また、多数のセルの搭載は搭載可能な重量や消費電力などの機体の制約を受けることから、消費電力の低減に向けて送信電力の影響についても明らかにする。
成層圏プラットホーム(HAPS)を用いて地上のセルラ携帯端末(携帯端末)と直接通信する携帯通信サービスは,サービスエリアの拡大,災害時の通信手段として非常に魅力的である[1].HAPS通信システムは, HAPSと携帯端末間の通信であるサービスリンクと HAPSと地上基地局(ゲートウエイ)間の通信であるフィーダリンクで構成される.筆者等はフィーダリンクの周波数有効利用を目的として,同一周波数を空間分割多重する“複数ゲートウェイ(GW)システム”を提案し,フォワードリンク(FL)を対象として干渉キャンセル技術を適用することで通信品質を大幅に改善できることを示した.本稿では,複数GWシステムのリバースリンク(RL)を対象とした新たな送信干渉キャンセル技術を提案し,通信品質の改善効果を明らかにする.
成層圏プラットフォーム(HAPS)を用いた地上のセルラ携帯端末と直接通信する携帯通信サービスは,サービスエリアの拡大,災害時の通信手段として非常に魅力的である.HAPSの通信回線は地上に設置されたゲートウェイ(GW)局とHAPS間を結ぶフィーダリンク,HAPSとユーザ端末間を結ぶサービスリンクから成る.また,フィーダリンクアンテナでは,GW局とのリンクだけではなくHAPS間通信や航空機向けのバックホール等としての利用も想定される.そのため,目標物との高度差やHAPSの姿勢変化を考慮した,より高精度なビーム方向制御が必要となる.そこで本稿では,従来提案していたロール角によるBF角度補正に加え,ピッチ角及び目標物との高度差を考慮したフィーダリンクアンテナのアンテナ構成及びビームフォーミング制御を提案する.
B-5. 無線通信システムB(無線アクセスネットワーク)
9月10日 9:00〜11:45 C棟 4F C401講義室 座長 衣斐信介(同志社大)
B-5-62 |
FIR送信ビーム形成を用いたマルチユーザMIMO-SC-FDE系における適応CP長技術
○福園隼人・栗山圭太・吉岡正文・立田 努(NTT) |
B-5-63 |
FIR型ビーム形成を用いた広帯域シングルキャリアMIMOシステムにおける残留IAI抑制法
◎栗山圭太・福園隼人・吉岡正文・立田 努(NTT) |
B-5-64 |
1ビットデジタルRoF無線機の実現性検討
○石川広吉・大田智也・玉野井 健・馬庭 透(富士通) |
B-5-65 |
ミリ波RoF-FWAシステムにおけるビームフォーミングの波長配置によるファイバ長推定誤差の影響低減
○菅 瑞紀・伊藤耕大・白戸裕史・北 直樹(NTT) |
B-5-66 |
ミリ波RoF-FWAシステムにおける波長固定ビームフォーミング手法の平面アレー適用とその評価
◎伊藤耕大・菅 瑞紀・白戸裕史・北 直樹(NTT) |
B-5-67 |
ミリ波RoF-FWAシステムにおける送信順序制御方法のスループット特性評価
○後藤和人・俊長秀紀・白戸裕史・北 直樹(NTT) |
本稿では,FIR (finite impulse response) 型送信ビーム形成を適用したマルチユーザ MIMO-SC (single carrier)-FDE (frequency domain equalization) 系を検討する.FCP (cyclic prefix) を適応的に変化させ,SC-FDE シンボル間干渉を抑制する技術を提案する.計算機シミュレーションにより,提案法がCP 長固定の従来法と比較してBER 特性を改善することを示す.
広帯域シングルキャリアMIMO (multiple-input multiple-output) システムでは,時間方向の伝搬遅延によるISI (inter-symbol interference) と空間方向のIAI (inter-antenna interference) を抑制する必要がある.これに対し,筆者らはFIR (finite impulse response) 型送信ビーム形成と波形等化により,時間領域信号処理でISIとIAIを抑制する手法を提案した.一方,時変動チャネル環境において送信ビーム形成を行う場合,送信ウェイト算出に使用される推定CIR(channel impulse response)伝達関数行列と実際のCIR行列が一致せず,残留IAIが生じる.本稿では,FIR型受信ビーム形成を用いて残留IAIを抑制する手法を提案する.シミュレーションにより従来法と比較して提案法の特性が優れることを示す.
モバイルトラフィックの増加により無線基地局の増設が進んでいる。社会が必要とする設置しやすい5G無線装置を提供するため、我々は無線装置の小型化・省電力技術の研究を進めている。近年の無線基地局の構成はCU(Central Unit)とRU(Radio Unit)に機能分離されている。CU-RU間インタフェースにΔΣ変換を用いた1ビットデジタルRoF方式を用いることで部品点数を削減し、小型RUを実現できる可能性がある。本稿では、無線基地局に求められる無線信号の規格値を満足するΔΣ変換の所定パラメータや光トランシーバに求められる性能要求値を実測評価に基づき検討したので報告する。
ミリ波RoF-FWAシステムではCSでビーム制御を行うためにファイバ長の情報が必要となる.しかし既存のファイバ長推定手法を適用することは困難であるため,我々は時刻同期を利用したファイバ長推定手法を提案した.しかし,素子数が増加し使用する波長の帯域幅が広がると,ビームが崩れ所望のアレー利得が得られないという課題があった.本稿では任意の波長割り当てが可能なビームフォーミング手法において,時刻同期誤差に起因するファイバ長推定誤差によるビームの崩れを引き起こさないような波長配置について検討する.
著者らの提案するミリ波RoF-FWA (Radio over Fiber – Fixed Wireless Access) システムは,利得確保のためビームフォーミングが必須となる.そこで著者らは,波長を制御してビームを制御する既存のRoFビームフォーミング手法よりも,波長利用効率が良く,ファイバ長情報が不要で,適用範囲も広い,新たな波長固定のRoFビームフォーミング手法を提案し,線形アレーによる評価を行ってきた.本稿では,提案する波長固定RoFビームフォーミング手法を平面アレーに適用し,その性能評価を行う.
筆者らは,ミリ波RoF-FWAシステムを提案している.本システムは,CSと複数のBS間を最大10km程度の光ファイバで接続し,BSを介してWTと無線接続する.IEEE802.11規格をRoFに適用する従来方法では,遅延のばらつきが大きくかつ長遅延が発生する場合,スループット特性が劣化する.
そこで,本稿では,長遅延に起因して発生する無線帯域の空き時間を有効活用できる送信順序制御方法に対して,BSとWTの配置パターンを考慮したシミュレーション評価を実施し,送信順序制御方法の有効性を明らかにする.
休 憩(10:45 再開) 座長 中村 理(シャープ)
B-5-68 |
5Gモバイルフロントホールへの無線適用に関する一検討 ―小型アンテナを用いたミリ波フロントホールにおける干渉抑制実験―
○黄 俊翔・白戸裕史・黒崎 聡・北 直樹・鬼沢 武(NTT) |
B-5-69 |
災害対策用加入者系無線システムの長距離海上通信実験
○永瀬文昭・中山智裕・古谷博幸・宮城利文・立田 努(NTT) |
B-5-70 |
視覚情報を用いたマイクロ波帯通信品質予測の実験的検討
○工藤理一・高橋馨子・井上 武・水野晃平(NTT) |
B-5-71 |
Sub-GHz測距システムの試作と評価
○大城将吉・吉田 弘・大高章二・農人克也・西川正樹・加藤貴之・仁藤与晴(東芝デバイス&ストレージ) |
本稿では,5G向けの無線フロントホールにおける同一周波数干渉について実験的評価を行う.具体的に,10Gbps程度の伝送レートを有する市販装置を用い,複数無線フロントホールが密に設置された環境を模擬し,アンテナ指向性により干渉を抑制可能な設置例を実機により明確化する.
災害対策用加入者系無線システムは災害発生時に基地局から避難所等に設置された端末局へ通信手段を提供するもので,400MHz帯を使用し,長距離通信が可能である.本稿では海上における長距離通信実験を行い,通信品質および伝搬損を評価したので報告する.
無線通信技術の発展により、様々なコネクテッドデバイスによるサービス創出が期待されている。本検討では、屋外の実環境において、数10m先のオブジェクトの認識まで可能となるHDカメラを用い、電波伝搬に影響があるオブジェクトの種類、位置、サイズを認識し、機械学習により未来の通信品質を予測した結果を示す
IoT時代に位置推定/測距技術が求められている。測距技術に対応すべく、ARIB STD-T108に準拠したSub-GHz帯の測距システムのプロトタイプを試作・評価した。本プロトタイプは対向する2台の送受信機を用いた非同期システムであり、非同期で課題となる周波数オフセット、初期位相の課題を、交番シーケンスの対向通信により克服した。マルチパスの無い環境にて、試作したプロトタイプで実測を行い各測定点において測距誤差+/-25cm以内の高い精度が得られた。
9月10日 13:00〜16:30 C棟 4F C401講義室 座長 高橋拓海(阪大)
B-5-72 |
RSSIの大小順序情報を用いた物理層秘密鍵共有方式の検討
◎東出朋之・衣斐信介・笹岡秀一・岩井誠人(同志社大) |
B-5-73 |
ベクトル型適応周期性干渉除去法
◎古谷侑也・田野 哲・侯 亜飛(岡山大) |
B-5-74 |
Inter-Operator mmWave Base Station Sharing: A User Offloading Game
◎Bo Yin・Koji Yamamoto・Takayuki Nishio・Masahiro Morikura(Kyoto Univ.) |
B-5-75 |
5GHz帯マイクロ波給電と無線LANとの共存検討~CCA導入時のスループット評価~
○谷口健太郎・パビセティ サントシュ・森 浩樹(東芝) |
無線通信における盗聴対策として電波伝搬特性を用いた秘密鍵共有方式が注目されている.従来の方式ではRSSIを量子化し鍵候補とすることが多い.RSSIを量子化する際,閾値付近で雑音によって鍵不一致が発生する問題がある.本研究では量子化を行わず,一定時間内のRSSI系列を昇順に並べたときのその順序を鍵候補とする大小順序情報を用いた秘密鍵共有方式を提案し,従来方式との比較により評価を行った.
広帯域な周期性干渉信号による無線システムの特性劣化を補償するベクトル型適応周期性干渉除去法を提案する.提案法は所望変調信号以外の複数の周波数領域信号を用いて所望信号のSINR(Signal to Interference and Noise power Ratio)を改善する.提案法が従来法のスカラー型よりも高い干渉補償特性をもつか測るために,周期性干渉信号のモデルとして矩形波パルスを用いてシミュレーションを行った.シミュレーション結果より,周波数領域信号の数が多いほどSINR特性は良くなり,提案法が従来法のスカラー型よりも高い干渉補償特性をもつことを確認できた.
Inter-operator BS sharing provides a great potential for the cost-efficient deployment of the next-generation mmWave access networks. In this paper, we consider a game where multiple MNOs offload user traffic from sub-6 GHz access networks to a commonly shared mmWave access networks. At the beginning of each time slot, each MNO reports its user traffic condition to a third-party game manager. Then, the game manager gives recommended action profile to each MNO. Our main contribution is to optimize the product of utilities under coarse correlated equilibrium (CCE) constraints, which guarantees that MNOs do not deviate from the recommended action profiles.
近年,ケーブルの制約を受けずにメートルオーダで電力を送電可能なマイクロ波給電が注目を集めている.マイクロ波給電向け周波数帯として5GHz帯が知られているが,近傍の周波数帯を使う無線LAN(WLAN)に与える干渉が課題となる.著者らはこれまでにマイクロ波給電装置(WPT)にCCA(Clear Channel Assessment)を導入することで干渉を軽減可能であることを示してきた.本稿では,CCA導入時のスループット評価を行い,WLANとの共存環境下においてWPTが備えるべきキャリアセンシング時間の条件について検討する.
休 憩(14:15 再開) 座長 谷口健太郎(東芝)
B-5-76 |
無線LANにおけるCTSを用いた干渉抑制と無線リソース制御に関する検討
◎中山章太・河村憲一・若尾佳佑・岸田 朗・山田知之・守山貴庸・鷹取泰司(NTT) |
B-5-77 |
低遅延性の確保のための遺伝的アルゴリズムを活用した送信パラメータ最適化
◎若尾佳佑・中山章太・河村憲一・守山貴庸・鷹取泰司(NTT) |
B-5-78 |
WiSMAによる高密度AP環境下における接続安定化制御法
○中平俊朗・アベセカラ ヒランタ・村上友規・石原浩一・林 崇文・鷹取泰司(NTT) |
B-5-79 |
無線LANブロードキャストの高信頼化と高効率化
○篠原笑子・井上保彦・林 崇文・鷹取泰司(NTT) |
本稿では、周囲の無線LANからの干渉をCTS(Clear to Send)信号の送信により抑制することで、保護すべき通信を優先制御する方式について、実験機によるパラメータ制御による遅延抑制効果、および周囲の干渉との公平性を維持した制御について検討した結果を報告する。
無線LANの低遅延性の実現においては, 爆発的な普及に伴う機器の高密度化により, チャネルの重複が避けられない無線通信同士が干渉し合ってスループットが劣化し輻輳によるリンク遅延が生じやすいことが課題である. 本報告では,無線LANアクセスポイント(AP)の送信パラメータを遺伝的アルゴリズムにより最適化することで,遅延の改善効果が得られることを実験により評価したので報告する.
筆者らは,集中制御が持つ全体最適化と,自律分散制御が持つ動的追従性の利点を組み合わせた新たな無線リソース制御方式としてWiSMA (Strategy Management Architecture for Wireless Resource Optimization) を提案し,検討を進めている.本稿では,複数のAP (access point) が高密度に配置された環境において,端末の
接続先AP が意図せず切り替わってしまう課題に対してWiSMA を活用した新たな接続安定化制御法を提案し,簡易的な実験評価により提案法の効果を示す.
無線LAN は広く普及しているが、今後もさらにユースケースは増えると予想される.例えば、多数ユーザへの複数言語通訳サービスや同期コンテンツの送信など、同報サービスの創出が期待される.しかしながら、重複した内容を多数の端末に向けてユニキャストで無線送信する場合、互いに無線リソースを取り合い通信品質を低下させてしまう.本稿では無線LAN を利用したエリア内端末に対する同報送信方法としてブロードキャスト技術[1] に注目し、さらにこのブロードキャストを高い通信品質で効率よく高信頼エリア拡大する技術を提案する.また、提案方式の効果を計算機を使用したシステムレベルシミュレーションで明らかにする.
休 憩(15:30 再開) 座長 山本高至(京大)
B-5-80 |
LoRaWANにおける深層強化学習を用いた直交リソース割り当て法における報酬値の影響に関する検討
◎相原直紀・安達宏一(電通大)・田久 修(信州大)・太田真衣(福岡大)・藤井威生(電通大) |
B-5-81 |
階層型擬似二部グラフによるE-IRSAのレプリカ送信回数の最適化
○野中敏希・藤井威生(電通大)・田久 修(信州大)・太田真衣(福岡大) |
B-5-82 |
D2D通信におけるFog Nodeを用いたチャネル再利用法
◎京嶋裕幸・張 裕淵・府川和彦(東工大) |
B-5-83 |
高信頼低遅延無線通信におけるシステム干渉の観測に基づくコンテンションウィンドウの適応制御法
○宗 秀哉(東工大)・征矢隼人(neko 9 Lab.)・府川和彦・張 裕淵(東工大) |
多数の無線端末が自立分散的に周波数資源を共用する環境において,端末間干渉の軽減は重要である.本稿では筆者らが以前提案した,CSMA/CA を適用したLoRaWAN システムにおける深層強化学習を用いたリソース割り当て手法において,より優れた特性を得るための新たな報酬関数を検討し,その特性をより現実的なトラフィックモデル環境下で評価する.
近年, モノのインターネット(IoT: Internet of Things) への関心が高まる中, ランダムアクセス制御方式(RA: Random Access) の研究が活発に行われている. しかしRA において, 送信端末数の増加はパケット衝突の要因となる. パケット衝突の影響を緩和する手法として逐次干渉除去 (SIC: Successive Interference Cancellation)が注目されている.
本論文では, RAにおける既存手法であるIRSAに対して受信電力に基づくSICを適用した場合のモデルについて, 送信レプリカ数の最適化を行い, 達成可能なスループットを求めた.
次世代移動通信においては,M2M(Machine to Machine)通信を広範囲で行う必要がある.
M2M通信は短い遅延時間と高い信頼性が求められるが,1送信あたりのペイロードが小さいため,LTEシステムの無線リソース割り当ての最小単位であるRB(Resource Block)を有効に利用できないという問題がある.この問題を解決するするため,基地局を介さずに通信を可能とするD2D(Device to Device)通信を利用し,未使用の無線チャネルを再利用する手法(Subgrant法)が提案された.しかしながら,この手法では,再利用のためのスケジューリングに伴う処理コストや多数のデバイスの探索に伴う負荷の問題が発生する.そこで本稿では,M2M通信を局所的に管理するFog Nodeを導入し,新たなチャネル再利用法を提案する.Fog Nodeにより無線リソース再利用のスケジューリングや端末探索が比較的容易になり,さらに効率の良いリソース再利用が可能となる.この提案手法のスペクトル効率と遅延時間を計算機シミュレーションで求め,Fog Nodeを導入したチャネル再利用法の有効性を明らかにする.
高信頼低遅延が要求される IoT システムは伝送遅延時間に厳しい制約があるが,アンライセンス帯で CSMA/CA による通信を行うと,端末(UT)数の増加 に伴いパケット衝突が多頻度で発生し,伝送遅延時間が 非常に長くなる.パケット衝突数を低減するため,コン テンションウィンドウ(CW)の制御法 [1] が提案され ているが,CW を大きくすると送信待機時間の増加や同 一周波数帯を用いる他システムの割込送信により,伝送 遅延時間が長くなるという問題がある.この問題を解決 するため,本稿では,他システムの帯域時間占有率およ びパケット送信時間に基づく適応 CW 制御法を提案し, その伝送遅延時間特性を明らかにする.
9月13日 16:00〜16:45 C棟 4F C402講義室 座長 牟田 修(九大)
B-5-84 |
帯域内全二重における位相雑音を考慮した局部発振器の比較
◎福井崇久・小松和暉・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-5-85 |
帯域内全二重におけるRappモデルによる電力増幅器の非線形歪みと自己干渉除去の性能向上に関する検討
◎Teong Zhe Chua・小松和暉・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-5-86 |
仮想全二重における残留干渉を考慮した送信電力制御
◎冨田北斗・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
帯域内全二重では同一周波数で同時に送受信できるが,自端末の送信信号を受信してしまう自己干渉が問題となる.自端末の送信信号は既知であるが,高周波回路の不完全性によって歪みが生じるため,自己干渉信号を完全に除去することは困難である.本研究では位相雑音を発生させる局部発振器(Local Oscillator:LO)に着目し,LOにFree running(FR)とPhase Locked Loop(PLL)を用いたときの性能を自己干渉除去の観点で比較する.シミュレーション評価では,送受信機間の直接波の伝搬遅延時間が0.2 ns以下のときFRの方がPLLよりも自己干渉除去量が大きくなることを示す.
同一周波数で同時に送受信する帯域内全二重は,既存の複信方式と比較して周波数利用効率の向上が期待される.しかし,自端末の送信信号が自己干渉として受信され,相手端末からの所望信号の復調を困難にする.自己干渉が送信機で非線形増幅されることを考慮した自己干渉除去手法としてハマーシュタイン型キャンセラがある.先行研究で線形な電力増幅器よりも非線形増幅するRappモデルの方が自己干渉除去量が高い場合があることが報告されているが,Rappモデルのパラメータを変更した際の自己干渉除去量に関する検討がなされていない.本稿では非線形特性に影響を与えるRappモデルのスムースネスファクタとバックオフと,キャンセラで自己干渉を除去した後の残留電力の関係を明らかにする.
送信元端末から複数の半二重中継端末を利用してあて先端末へパケットを転送する場合,中継端末群があたかも全二重通信を行う中継端末のように振る舞う技術がある.これを仮想全二重 (Virtual Full-Duplex: VFD) と呼ぶ.VFDには干渉除去が必須であり,信号電力差を用いて干渉除去する手法が存在する.本稿では残留干渉を考慮したoutage確率を基に電力制御することで,意図的に信号電力差を作りoutage確率を抑制する.シミュレーションと理論式より,送信電力を制御することでエラーフロアを解消できることを示した.
B-6. ネットワークシステム
9月10日 9:00〜11:45 C棟 2F C202講義室 座長 木村達明(阪大)
B-6-1 |
センサノードの処理能力に応じた深層学習処理の分割方式
○梅田果凜・西辻 崇・朝香卓也(首都大東京)・三好 匠(芝浦工大) |
B-6-2 |
アドホックネットワークにおけるネットワークコーディングのための隣接ノード移動性推定法
◎△吉田政望・Alberto Gallegos Ramonet・野口 拓(立命館大) |
B-6-3 |
ハイブリッド型アドホックネットワークを用いた大規模災害時の通信インフラの構成法
◎△吉田慎吾・Alberto GALLEGOS・野口 拓(立命館大) |
B-6-4 |
光伝送ネットワークの波長リソース効率化に関する一考察
○越地弘順・金子康晴・石塚美加・安川正祥・岡崎義勝(NTT) |
B-6-5 |
SIPサーバへの分散DB適用における最適な整合性の選定方式
○朱 瑋・三原孝太郎・木村伸宏(NTT) |
筆者らは,これまでセンサネットワークにおいて深層学習の中間層を分割する分散実装方式について検討してきた.これによりセンサ間の通信量の削減とクラウドの負荷軽減の実現を目指している.本稿では,この分散実装方式を有効に実行するために,センサノードの処理能力に応じて深層学習の中間層を分割する方式について提案する.
モバイルアドホックネットワーク(MANET)においてマルチキャストやブロードキャストを効率的に実現する方法として,ネットワーク負荷を削減する技術であるネットワークコーディング(NC)を用いる方法がある.NCは,ネットワーク内で符号化を行いながらパケットを転送するため,ノードの接続関係の変化が性能に大きく影響する.このため,NCをMANETに適用する場合,その有用性はノードの移動性に依存する.本稿では,MANETにおいてNCを適切に運用するために,隣接ノードの移動性推定法を提案する.ネットワークシミュレータを用いて評価を行い,提案手法は約70%で隣接ノードの移動性を正しく推定することができることを示した.
東日本大震災のような大規模災害時,通信回線や基地局が被災し,大規模な通信の途絶が発生する場合がある.そこで,既存の通信インフラが使用不能になった時の代用として,基地局を不要とし,通信端末同士の相互通信で通信を行うアドホックネットワークの活用が注目されている.アドホックネットワークを構成するためにはルーチングプロトコルが必要になり,Proactive型,Reactive型の2種類が存在する.本論文では,2種類のプロトコルをハイブリッドに使用し,災害時における被災者同士の通信インフラを確保するためのアドホックネットワークの構成方法を提案する.
光伝送ネットワークの高速大容量化が進む一方で、波長リソースを効率的に利用する運用が求められている。本発表では、実運用への導入を考慮した、局所的な波長最適化手法を提案する。波長パスの波長再割当においては,波長パスの長さに加え、退去時期を考慮する。
大規模音声系システムで使用されるSIPサーバは,ミッションクリティカルゆえ専用サーバによるACT/SBY構成をとっているが,将来的には汎用サーバでステートレス化されたN-ACTなVNF(Virtual Network Function)とセッション情報を持つ分散DBで構成されるシステムに推移していくと考える.このようなクラウドネイティブな環境において,APL内のセッション情報は外部の分散DBへ移行することが必要となる.本稿では,SIPサーバへ分散DBを適用する時の課題について検討し,分散DBのCassandra[1]を例として,課題を解決する最適な整合性の選定方式について述べる.
休 憩(10:30 再開) 座長 藤橋卓也(阪大)
B-6-6 |
整数計画法を用いたスキャンタイミングスケジューリングのクラスタリングによる計算量削減
○栗原拓哉・鈴木健太・矢野一人・鈴木義規(ATR) |
B-6-7 |
ネットワークの混雑度がIoTワイヤレス機器のネットワークスキャン成功率に与える影響
○鈴木健太・栗原拓哉・矢野一人・鈴木義規(ATR) |
B-6-8 |
広域ネットワークスキャンが無線LANにおける正規通信に及ぼす影響の解析に関する研究
◎橋田紘明・川本雄一・加藤 寧(東北大) |
B-6-9 |
IoTデータの重複を考慮した可用性向上手法
◎片岡 操・野口博史(NTT) |
B-6-10 |
IoTデバイスへのIPv6適用に関する検討
○宮坂 昭・國友宏一郎(ドコモ・テクノロジ) |
著者らは,大量のIoTワイヤレス機器に対する,既存通信への影響が小さいネットワークスキャンの実現に向けて,整数計画法によるスケジューリングを提案している.このスケジューリングはスキャン対象機器の数が膨大であるため,その計算時間も相応に長い.計算時間の短縮の方法として,似た無線環境を持つと推定される端末をクラスタ化することによる,設計変数量の削減がある.本稿では,クラスタ化による計算量削減効果について主に述べる.
著者らは,大量のIoTワイヤレス機器に対する,既存通信への影響が小さいネットワークスキャンの実現に向けて,整数計画法によるスキャンタイミングのスケジューリングを提案している[1].加えて,スキャン対象端末をクラスタリングしてスケジューリングの計算量を削減する手法も提案している[2].無線ネットワークでは混雑がスキャン失敗を引き起こし,スキャン通信もまた混雑度を上昇させる.そのため,所望のスキャン成功率を達成できるスキャン通信量になるように,スキャンを実施する端末の数を適切に制御する必要がある.その初期検討として,本稿では,スキャン対象端末におけるチャネルの混雑度がスキャン成功率に与える影響について計算機シミュレーションにより評価する.
IoT機器の普及が進む中,そのセキュリティ対策としてネットワークスキャン(NS)が注目を集めている.NSでは短時間に多くのスキャンパケットを送信するため,ネットワークの輻輳を惹起する恐れがある.そのため,輻輳を低減するためのスキャン制御をすることが求められる.しかし,NSでは膨大な数のIoT機器が対象となるため,端末ごとにスキャン制御を行うことは非現実的である.そこで本研究グループは,スキャン制御区分が同一であるネットワークをクラスタリングする手法の開発を行っている.本稿では初期検討として,NSによる正規通信スループットへの影響を定量化するモデルの検討を行う.また,実機を用いた実験を行い,理論値との比較を行う.ここで,正規通信スループットとは,NSにより発生するトラフィックを除く,データ通信のスループットのことを指す.
昨今IoTサービスが普及,今後も市場拡大する見込みである.この大量のIoTデバイス各々をサービスへの効果が高いロケーションへ重複なく設置するには,論理・物理のチューニングに膨大なコストがかかり,IoTデータの重複を考慮せず大量に設置する場合,重複するデータに埋もれ重要データのヒーリングが後回しになることでサービス障害からサービス回復までの時間が延びるなど,可用性の低下を招く.本稿では,デバイス間の距離とデータ重複に関係があると仮定し,デバイスが得るデータの量に基づく効果の大きさや効果の重複を元に,デバイスの処理に優先度を付けることで可用性の向上を図り,シミュレーションによりその効果を確認した.
本稿では,IPv6での通信時に必要となるICMPv6 Router Advertisementが携帯電話ネットワークに接続されたIoTデバイスに及ぼす影響を明らかにし,その削減手法を提案する.
9月11日 9:00〜11:45 C棟 2F C202講義室 座長 大石哲矢(NTT)
B-6-11 |
N-Act 運用における装置障害時のサービス安定稼働に関する検討
○渡辺裕太・武井勇樹・西口雅人(NTT) |
B-6-12 |
上下対称通信における故障時のセッション断を削減する手法
○武井勇樹・西木雅幸・武田知典(NTT) |
B-6-13 |
IEEE 802.1 ASにおける最大中継段数を超えたネットワーク上での時刻同期実現方式の検討
○藤田優稀・高橋克佳・長川大介・伊東輝顕(三菱電機) |
B-6-14 |
IPリモート制作におけるネットワーク構築と監視
◎河原木政宏・小山智史・倉掛卓也(NHK) |
B-6-15 |
異常検知のためのネットワークフロー取得と性能評価
○中代浩樹・柴田剛志(日立) |
B-6-16 |
光伝送網におけるパスの物理距離変化を活用したサイレント故障被疑個所推定法
○山本 宏・久保貴志・齋藤航平・河原光貴・関 剛志・岡 利幸・前田英樹(NTT) |
複数のアプライアンス機器を利用して高信頼製を保ちつつネットワーク機能を提供する方法としてN+m冗長化方式やN-Act方式がある。
N-Act方式では装置故障時に予備系機器を現用化した際に故障が顕在化するリスクが小さい一方、ハッシュによる負荷分散時に再ハッシュにより多数のセッションが断となる懸念がある。今回、既存機能を活用して低コストで、既存セッションへの影響を抑止し、短時間で切り替える技術を提案する。
セッション情報を持つネットワーク機能の場合、上下通信で同じ装置を経由する必要があり,ネットワーク設計が複雑になる.上下通信のセッション情報を保持し、対称化を保証する仕組みが提案されているが、故障時にセッション断が発生する場合がある.本稿ではセッション情報を保持しない冗長系装置で対称通信を保証しセッション断を削減する方式を提案・評価した.
近年,ファクトリーオートメーション(FA)や車載システムなどで使用されている産業用ネットワークにおいて、IEEE802.1 TSN(Time-Sensitive Networking)の適用が検討されている。
TSNの規格の一つとして時刻同期プロトコルを定義したIEEE 802.1ASがある。IEEE 802.1ASでは、同一ドメイン内で時刻配信を配信するグランドマスタ局から中継段数256段を超えると時刻同期の対象外となる仕様制約がある。
本発表は、IEEE 802.1ASおいて、最大中継段数を超えたネットワークにおいても、時刻同期を実現するための方式を提案するものである。
NHKでは番組制作設備のさらなる利便性向上のため、SDIに代わりIP接続を基本としたIPリモート制作設備の研究を進めている。メディアデータのパケットフォーマットや機器制御方式の規格化は進んでいる一方、高トラフィックのマルチキャストシステムを適切に動作させるためのネットワーク設計や運用監視には課題がある。これまで行った実験では、SNMPでスイッチからトラフィック情報を取得したり、制作機器のWebステータス画面をスクレイプすることで監視できるようにしてきた。今回、2018 NHK杯 国際フィギュアスケート競技大会の8K番組制作において、3拠点間でIPリモート制作実験を行うに当たり、SNMPに加えて、TelemetryとsFlowを併用したネットワークの監視を行ったので報告する。
現在,企業やキャリアのネットワーク内の通信機器からネットワーク統計量を取得し,機械学習を用いて機器異常を検知する可視化や異常検知を行うサービスが提供されてきている。このようなサービスでは,価格を抑えて製品競争力を向上させるため,サーバ単体で高い受信性能を実現することが課題となった。本報告では OSS 等をベースとし独自の作り込みを減らし,製品競争力を維持する通信の負荷分散方式を示し,実装の性能測定により有効性を検証した。
光伝送網において、故障発生時に警報が発出されない故障(サイレント故障)は、被疑個所の特定に、非常に高いスキルが求められる上、大きな稼働を要するため、保守運用上の課題の 1 つである。本稿では、パスの物理距離の変化を観測することで、パスの経路を推定し、被疑個所の特定を迅速化する方式を提案し、フィールドファイバを用いた実験を通して、パスの距離測定の精度を検証し、実現可能性を検討した。
(10:30 開始) 座長 山崎 託(芝浦工大)
B-6-17 |
同期型FD MACを用いた無線マルチホップネットワークにおけるスループット解析
◎遊免陽介・坂倉翔太・眞田耕輔・羽多野裕之・森 香津夫(三重大) |
B-6-18 |
ハッシュを用いたinner-outerヘッダ対応付け方式の設定値の一検討
◎林 裕平・大澤 浩(NTT) |
B-6-19 |
TCP BBRの公平性の調査およびキューの管理による改善
◎柴山卓也・河西憲一(群馬大) |
B-6-20 |
any値展開によるHash法適用とその改善手法の提案
○金子 斉・西木雅幸(NTT) |
B-6-21 |
ハイブリッドなDB表現を用いた木構造データ参照、更新システム
◎中村哲朗・高田直樹(NTT) |
無線全二重(FD:Full Duplex)通信とは, 同一周波数上でデータの送受信を可能にする技術であり, FD通信を無線マルチホップネットワークに適用することで, スループット向上や隠れ端末による衝突の軽減が期待されている. このFD通信を行う際に用いられるMACプロトコル(FD MAC)は, 端末間での送受信のタイミング調整に制御フレームを用いない非同期型と用いる同期型に大別される. これまで, 非同期型FD MACを用いた無線マルチホップネットワークにおけるスループット解析手法が提案されている. しかし, 同期型FD MACを用いたネットワークにおける理論解析手法は得られていない. 本稿では, 同期型FD MACを用いた無線マルチホップネットワークにおけるスループット解析手法を提案する.
Segment Routing等を使用する網で,当該技術に非対応な分析装置を用いてパケット分析を行うには,outerヘッダを事前に除去する必要がある.一方,outerヘッダ除去後のパケット(以降,innerパケットと呼ぶ)に関する分析結果を基に,網内のルータにてトラヒック制御を行うには,innerパケットに付与されていたouterヘッダの情報が必要となる.
本稿では,outerヘッダを除去する際に,innerヘッダとouterヘッダの対応付けを行う簡易な方式を提案する.更に,その設定値について検討を行ったので報告する.
本稿では,TCP BBRとLoss-based輻輳制御のTCPアルゴリズムが共存するときの性能を評価し,TCP BBRとの公平性を調査する.また,調査をもとにTCP BBRとの共存時における公平性の改善案を提案する.調査にはネットワークシミュレータns3を用い,TCP BBRとTCP BICが共存する環境で評価を行う.この調査から,キューサイズが大きい場合に公平性が崩れることが確認された.本稿では,公平性を改善するために,キューをフローごとに分け,ラウンドロビン方式で管理することを提案する.実験から,キューをラウンドロビン方式で管理することで,キューサイズが大きい場合の不公平性の改善を確認できた.さらに,分割したキューサイズを適切に設定することで,より公平性が改善することが考えられる.
高速packet検索技術としてHash法があるが,その適用は,原則として各ruleの検索field長が固定である場合に限られ,検索fieldがany値を含む場合は,二分木法が用いられるのが一般である.筆者らは,検索field長が固定で無い場合にHash法を適用する手法を提案しているが,本稿では,any値を展開する事によってHash法を適用する手法と,その改善案について考察する.
企業の組織構造やタスク依存関係など、多くのデータは木構造を持つ。木構造データをデータベース上でモデル化する最も単純なものとして、直近の親を参照する隣接リストが挙げられる。直近のノードの情報を得るのに最適であり、木構造の更新も少ないレコードの変更で済む。一方、入れ子集合はノードを左右端の座標で表し、階層関係を包含関係と捉えるモデルである。隣接リストでは部分木情報を得るのにテーブル探索が複数回必要であるのに対し、入れ子集合ではテーブル探索が一度で済むのが特徴である。
本発表では、両モデルを相補的に使用することで操作性と高速性を両立するハイブリッドシステムを提案し、その評価結果を示す。
9月12日 9:00〜11:45 C棟 2F C202講義室 座長 滝田大介(三菱電機)
B-6-22 |
Fileサーバを使用しないPeer-to-Peer方式サーバ管理システムの検討
○谷 昂樹・北村光芳(東京工芸大) |
B-6-23 |
ネットワーク遅延がもたらすオンラインゲームプレイヤへの影響に関する基礎評価
◎本生崇人・川崎慈英・藤橋卓也・猿渡俊介・渡辺 尚(阪大) |
B-6-24 |
熟練技術の遠隔指導を目的とした映像トラヒック削減手法の初期的検討
◎上野創史・藤橋卓也(阪大)・菊川忠彦(愛媛大)・猿渡俊介・安藤英由樹(阪大)・雑賀隆史(愛媛大)・渡辺 尚(阪大) |
B-6-25 |
端末移動を考慮したエッジリソース割り当て制御方式の検討
◎小野孝太郎・石橋亮太・鍔木拓磨・中原悠希・桑原 健(NTT) |
B-6-26 |
効率的なE2Eネットワークスライスの品質測定方式の提案
◎中村孝幸・西原英臣・本間俊介・佐藤卓哉・岡田智広(NTT) |
近年,SNSやクラウドコンピューティングは我々の生活に欠かせない存在となっている.そのため,それらを支えるサーバシステムの高可用性が非常に重要となる.そこで,特定の管理サーバを必要としないPeer-to-Peer(P2P)方式サーバ管理システムが提案されている.P2P方式ではサーバを管理する上で必要となる管理ファイルやサーバ故障時にその機能を復旧する仮想サーバのシステムデータをFileサーバ上に保存している.そのため,P2P方式ではFileサーバの性能に依存する.そこで,本報告ではFileサーバを使用しないP2P方式について検討を行う.管理ファイルの共有に関しては,同期的編集方式(SEM)を採用し,ファイルの共有時間を調査する.また,仮想サーバの起動に関しては,オリジナルサーバ方式を提案する.
家庭へのブロードバンドネットワークの普及によって,e-Sports に挙げられるネットワークを介したオンラインゲームへの需要が増加している.オンラインゲームでは,一般的にネットワーク中で生じる遅延がプレイヤのパフォーマンスに影響を与える.本稿では,ネットワーク遅延とプレイヤのパフォーマンスとの関係について実験を通して評価する.
高い専門技術を必要とする現場において,ノウハウを蓄えた熟練技術者が長期間にわたって活躍している.一方,熟練技術者の高齢化や熟練技術者数の減少にともない,作業に不慣れな多数の若手技術者に対して熟練技術者が持つノウハウを伝えていくことが多くの企業や組織において課題となっている.このような背景のもと,筆者らは,ウェアラブルカメラなどで撮影した熟練技術者によるリアルタイムの作業映像を用いて,作業に不慣れな技術者への円滑な技能伝承を目指している.しかしながら,映像情報を用いた熟練技術の遠隔指導は,高解像度の映像情報に起因して高トラヒックが発生する.本稿では,映像情報を遠隔指導にとって重要な情報と重要でない情報とに分類するとともに,それぞれの映像情報に対して異なる映像符号化方法を用いたトラヒック削減手法を提案する.
ネットワーク(NW)エッジに配備されたサーバリソース(エッジリソース)によりサービスが提供されるエッジコンピューティング環境では、低遅延性などのサービス要件を充足するため、端末移動に伴ってサービスを提供するエッジリソースが代わる場合が想定される。本稿では、端末の移動先地域をNW情報の活用により推定し、エッジリソース配備地域の在圏端末数期待値を算出した上で、その結果を基にエッジリソースの割り当てを制御する方式を提案した。シミュレーション評価により、端末移動の推定ミスを考慮した場合においても、提案方式によるエッジリソースの割り当て効率化を確認した。今後は提案方式の実装およびより実用を意識した条件下での評価を進める。
通信に対する多様な要求条件を持つサービスを効率的に提供する技術として,仮想資源(仮想サーバ,仮想リンク, 仮想ネットワーク機能等)を組合せた仮想網を共通物理基盤上に構成するネットワークスライス技術(以下,スライス)がある.サービス提供者が求める多様な要件のスライスを提供するためには, End-to-End(E2E)で一定の通信品質の確保が可能なE2E スライスが必要となる.本稿では,このようなE2E スライス実現に向けて必要となるE2E の品質測定方式について検討した結果を報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 前川智則(東芝)
B-6-27 |
音声通信システムのNFV化における障害監視制御方式の検討
○三原孝太郎・左野利史・佐久間美能留・木村伸宏(NTT) |
B-6-28 |
仮想環境上のSIPサーバにおけるファイル更新に関する一考察
◎戸田貴都・三原孝太郎・木村伸宏(NTT) |
B-6-29 |
スケーラブルなVNFI 再配置先経路切り替え方法
○杉園幸司・河野伸也・岡田昭宏(NTT) |
B-6-30 |
SDNを用いたAP資源利用のための模擬環境構築
◎野依祐太・大橋正良(福岡大) |
B-6-31 |
分散非同期マイクロサービスアーキテクチャによる回線調査用APIの開発
○山内啓嗣・中辻康幸(ソフトバンク) |
従来の音声通信システムのNFV化に際して障害監視制御方式に着目し、従来のベアメタル構成で実施していたワンストップな障害監視制御ができなくなることを課題として、VNFとNFV基盤に分散した場合の機能配備方式について議論する。
障害制御をVNFとNFV基盤で独立に判断する案と、NFV基盤側で集約して判断する案の2方式について提案し、各案についての定性的な比較評価を行った。
音声通信サービスを提供するSIPサーバは,専用ハードウェア(HW)の採用やクラスタ構成(ACT/SBY)によるサーバ二重化等により,サービス提供の信頼性を確保している.また,近年では通信システムの低コスト化を目的として,汎用HW(IAサーバ)を用いた仮想環境への移行が提案されており,HWおよび維持管理コスト低減の機運が高まっている.
前述の状況を踏まえ,本稿では,仮想環境に移行したSIPサーバにおけるファイル更新の方式を提案する.
従来型のステートフル仮想ネットワーク機能インスタンス(VNFI) のサーバ間移行方法ではプログラマブルなSDN スイッチを用いて転送断などの影響を軽減していた.このとき, データパケットを移行先サーバに転送させるためのSDN スイッチ経路変更用メッセージ生成により,SDN コントローラの負荷がネットワーク規模に応
じて増大するという課題が存在する.
本稿ではVNFI サーバ間移行における経路変更時にイーサネットのMAC 学習を利用した, スケーラブルな経路切り替え手法を提案する.
キャリア回線によるセルラ通信が可能なモバイル端末においても,利用者はできるだけWi-Fiによる通信をしたいだろう.公衆のAP端末は事業者ごとに提供されており,設備費がかかったり,状況によっては使われないAPが出てきたりする.本研究ではAPのSSIDごとに帯域を柔軟に割当てることにより,リソースの有効利用の実現を目指す.今回は,その実験環境の構築について報告する.4台のAPを利用することで,Multi SSIDを模擬し,OpenFlowの統計情報を基に,チャネル割当てを行う.2台を同一無線チャネルかつ異なるSSIDに設定することで,PoE給電の制御によりSSIDごとの無線チャネル割当てを再現した.
近年、各国におけるインダストリ4.0やロボット新戦略といった動向の中で、企業における働き方改革、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進や、IoT/M2M需要の増大に伴い、提供する通信キャリアのネットワークスケールは爆発的な増加傾向にある。これに対し、品質の見える化、運用自動化などを通して従来、手作業や電話対応に頼つた業務スキムをAPI公開機能実装しサービス提供することで、情報開示精度や可用性、スケーラビリティに関する企業間ネットワークの相互運用品質向上を図ることができる。
本稿において、回線利用者の故障問合せ対応におけるオペレータのネットワーク調査対応プロセスを、API(Application Programming Interface)として実装し、回線利用顧客企業のシステムと直接相互運用連携を可能とする公開インタフェース開発を行ったので報告する。
9月13日 9:00〜11:45 C棟 2F C202講義室 座長 木下和彦(徳島大)
B-6-32 |
2.4 GHz帯無線LANチャネルにおける電子レンジ漏洩電波の時間領域特性 ―その1:インバータ式電子レンジの解析―
◎小林武史・喜田健司(東洋大)・石川博康(日大)・篠永英之(東洋大) |
B-6-33 |
2.4 GHz帯無線LANチャネルにおける電子レンジ漏洩電波の時間領域特性 ―その2:トランス式電子レンジの解析―
小林武史・○喜田健司(東洋大)・石川博康(日大)・篠永英之(東洋大) |
B-6-34 |
全二重無線LANにおける端末間のフレーム衝突を抑制するバックオフ手法の理論解析に基づく性能評価
◎坂倉翔太・眞田耕輔・羽多野裕之・森 香津夫(三重大) |
B-6-35 |
無線ネットワークのテストのためのGPIOを用いたトラフィックエミュレータ
○玉井森彦・長谷川晃朗・横山浩之(ATR) |
B-6-36 |
マルチアクセス環境に適応した最適アクセス自動選択方式の提案
○小野央也・成川 聖(NTT) |
電子レンジは日常生活で頻繁に使用される機器である。この電子レンジはISMバンドと呼ばれる様々な分野で利用するために割り当てられた2.4 GHz周波数帯域を使用しており、同様の周波数帯域を使用している2.4 GHz帯無線LANへの干渉が問題になっている。
そこで、本稿では無線LANへの干渉問題を改善のため、電源周波数がヘルツフリーのインバータ式電子レンジ2台の漏洩電波をダウンコンバータで無線LANのチャネル1、5、9、13相当の20 MHz帯域幅の時間領域特性を5 sec間測定した。漏洩電波は約10 msec周期のパルス状で、チャネルによってパルス時間領域特性が異なる。また、漏洩電波の長時間領域特性からパルスの間隙時間長が時間変化することや機種依存性を確認した。
電子レンジは日常生活で頻繁に使用される機器である。この電子レンジはISMバンドと呼ばれる様々な分野で利用するために割り当てられた2.4 GHz周波数帯域を使用しており、同一の周波数帯域を使用している2.4 GHz帯無線LANへの干渉が問題になっている。
そこで、本稿では無線LANへの干渉問題を改善のため、電源周波数が固定のトランス式電子レンジ2台の漏洩電波をダウンコンバータで無線LANのチャネル1、5、9、13相当の20 MHz帯域幅の時間領域特性を5 sec間測定した。漏洩電波は約20 msec周期のパルス状で、長時間領域特性からパルスの間隙時間長が変化することや機種依存性を確認した。
無線全二重(FD:Full Duplex)通信は半二重通信に比べてスループットを理論上二倍にできる. また, CSMA/CA方式に基いたMACプロトコルのFD MACが提案されている. しかし, FD MACでは従来型のバックオフ手法によって, 端末の送信機会が増加し, 衝突が誘発される. これに対し, 我々はこれまでに衝突を抑制するバックオフ手法を提案し, シミュレーション評価によりその有効性を確認した. 本稿では, マルコフ連鎖モデルを用いて提案手法の動作をモデル化し, 飽和スループットを導出する. 解析結果から, 任意の端末数に対する提案手法の有効性を理論的に示す.
無線ネットワークのテストを目的として,複数のトラフィック生成ノード間をGeneral-Purpose Input/Output(GPIO)を用いて高精度に同期させたうえで所望のパターンのトラフィックを生成するトラフィックエミュレータを提案する.
近年、多くの通信端末が複数の通信インターフェース(光回線、セルラ無線、WiMAX、無線LAN等)を利用して通信可能となっている。加えて、将来の端末はより多くのアクセス手段を利用可能となることが予想される。このように利用可能アクセス手段が多数存在するマルチアクセス環境では、それらのアクセス手段を適切に使い分けることでユーザ体感品質(QoE: Quality of Experience)の向上が見込める一方で、その使い分けの難易度も増加する。本講演ではNW全体の混雑度や複数ユーザのバランスを加味した全体最適化が可能なNW主導の最適アクセス選択方式について、各端末の接続先最適化手法を提案する。
休 憩(10:30 再開) 座長 井原 武(NTTドコモ)
B-6-37 |
5Gセルラーネットワークにおけるキャッシュポリューション攻撃の検知
◎芦原大和・上山憲昭(福岡大) |
B-6-38 |
EPCにおけるIPv6利用率を向上するためのPDN選択方式
○國友宏一郎・宮坂 昭(ドコモ・テクノロジ) |
B-6-39 |
Dedicated Core Network導入時の輻輳制御に関する考察
○阿部元洋(ドコモ・テクノロジ) |
B-6-40 |
HLR/HSS番号収容の自動決定方式
○鵜川裕子・楠瀬賢也・南方伸哉・藤森祐司・髙山一樹(NTTドコモ) |
B-6-41 |
ネットワークと端末の連携によるSMS送信制御手法
○筒見拓也・高山一樹・藤森裕司・南方伸哉・楠瀬賢也(NTTドコモ) |
Web 閲覧や動画配信サービスを快適に行うため 5G セルラー
ネットワークの基地局にキャッシュサーバを設置することでバッ
クホールのトラヒック負荷を低減することが検討されている [1].
しかし悪意を持ったユーザが意図的に低人気のコンテンツに多
数の要求を行うことでキャッシュの効果を低下させるキャッシュ
ポリューション攻撃 (CPA: cache pollution attack) の問題が指
摘されている.CPA 発生時にはできるだけ迅速に攻撃ホストを特
定し, キャッシュを保護することが重要である.そこで限られた
メモリ量で高精度に攻撃ホストを特定するため, 本稿ではブルー
ムフィルタを用い CPA を行う端末を検出し防御する方法を提
案する.
本稿では, EPCにおいて,IPv6利用率を向上させるためのPDN選択方式を検討する.
MNOのEPCにおけるDCN導入時の複数NWに関する輻輳制御に関する考察を行った。
現状HLR/HSSに収容されている契約者の加入者プロファイルデータについて、イベント情報や過去のトラヒックデータを基に、システムが自動で収容先を決定する方式案を提案する。
近年,法人からの広告配信や2段階認証等,SMS(ショートメッセージサービス)を利用したシーンが拡大している.一般的に,受信したSMSの内容を分析する技術はUE(User Equipment:ユーザ端末)のアプリケーションにより行われており,着側の通信事業者のコアネットワーク上で,受信したメッセージを分析・制御する技術は,積極的に行われていない.
そこで本稿では,SMSとUSSD/USSIの機能を組み合わせ,コアネットワーク(交換機)上でSMSを一時的に蓄積し,生成した通知用SMSにより,ユーザが任意のタイミングでメッセージを受信できる方式を提案する.
B-7. 情報ネットワーク
9月10日 13:00〜17:00 A棟 3F A301講義室 座長 村山純一(東海大)
B-7-1 |
階層型ネットワークファンクションのクラスタリングアルゴリズム
◎李 太樹・須釜裕人・金光永煥(東京工科大) |
B-7-2 |
動的仮想リソース割当手法に関する一検討
○鈴木晃人・原田薫明(NTT) |
B-7-3 |
地域の電気代値差を考慮したネットワーク制御に関する需要変動影響評価
○中村亮太・原田薫明(NTT) |
B-7-4 |
データプレーン・プログラミングによるスライス内遅延計測の検討
○山本 周・井内和則・中尾彰宏(東大) |
B-7-5 |
単一ノードによるボトルネックリンク検出手法の評価
○磯崎裕臣(海上保安大)・吉田健人(JT)・中條一輝(彦島製錬)・桐本賢太(北九州高専) |
NFVによるファンクションチェイニングを行うにあたっての、ファンクション配置に手法に関する一検討
近年,高画質の動画配信やOSアップデート等により,トラヒックやサーバのリソース需要変動が激化している.一定期間内の最大値で需要量を見積もる静的仮想リソース割当ではリソースの利用効率が低下してしまうことから,リソースの需要変動に追従した動的仮想リソース割当手法が求められている.しかし,既存研究の多くは静的仮想リソース割当を対象としており,動的仮想リソース割当の実現は重要な未解決問題の一つとされている.本稿では,動的仮想リソース割当手法に関する課題を整理し,解くべき課題とアプローチ案について述べる.
近年の仮想ネットワーク(NW)技術の普及拡大により,ソフトウェア制御による柔軟なNW制御が可能となってきている.仮想NW制御における従来検討は主に,トラヒックの変化や仮想NW要求等(需要要件)を仮想NWとして構成し,これをどのように物理リソースに埋め込むかが取り組まれてきた.これに対し筆者らは,電気料金単価やCO2排出係数等,物理NW側の適用条件(供給要件)の変動を考慮した仮想NW制御の検討を行っている.本稿では需要要件と供給要件の複合変化に対する検討の一例として,電気料金単価の変動に加えてトラヒックが変動した場合における制御結果への影響について検証した.
5Gモバイルでは,ネットワークに対する要求が多種多様化し,高速大容量化や低遅延化に加え,単一通信基盤上に,複数の品質要件のサービスを同時収容するネットワーク・スライシング技術[1]と,スライス資源の効率活用ための動的リソース制御・管理及び品質監視が検討されている.
本稿では,モバイルバックホールにおいて,スライシングされたサービス・トラフィック毎の品質監視を行うため、プログラマブル・データプレーンへのトラフィック監視機能実装について検討する。今回は、品質監視機能として,スライス内での遅延計測の実装について述べる.
「Link Flooding Attack」という攻撃対象のホストを直接攻撃せずに,途中の経路を輻輳させることで攻撃対象のホストにパケットが全く届かない状態を作りだす攻
撃が存在する.
一般的には複数の計測ノードを分散配置し,ネットワーク全体を計測し,ボトルネックリンクを監視することが有効であるとされている.一方で,複
数のノードを必要とせず,単一ノードで攻撃を受けるボトルネックリンクを検出する手法が検討されている.
本稿では,本手法をトポロジージェネレータで擬似的に生成したネットワークトポロジに適用することで,ボトルネックリンクの検出精度の評価を行う.
休 憩(14:30 再開) 座長 馬場健一(工学院大)
B-7-6 |
自己主権型アイデンティティにおけるユーザのクレデンシャル管理方法の検討
○大森芳彦・山下高生(NTT) |
B-7-7 |
偽装ワーカーがグラフベースの位置検証に与える影響に関する一考察
◎笹沼涼介・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-8 |
信頼されていない計算ノードのプログラムの実行検証法に関する一考察
◎増田大輝・北 健太朗・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-9 |
標的型攻撃対策としての仮想ルータ更新方式
◎宮岡祐太・田村 悠・村山純一(東海大) |
B-7-10 |
仮想ルータ更新時の動的経路情報の継承方式
◎田村 悠・宮岡祐太・村山純一(東海大) |
インターネットでのGAFAを中心とする中央集権的なID管理にもとづいたWebサービス間のID連携が普及している中で、ユーザ自身がIDを管理してWebサービスを利用するための技術検討がW3C等で進められている。ユーザ自身がIDを管理するというコンセプトはSSI(Self -Sovereign Identity,自己主権型アイデンティティ)と呼ばれ、DID(Decentralized ID,分散型ID)を用いたID管理基盤をユーザに提供する。本稿では、SSIやDIDによって実現されるユーザ主導のID管理において、ユーザのプライバシーの観点から課題を抽出し、課題解決に向けたID管理方法を提案する。
位置ベースの群衆ソーシングでは、ワーカーが申告する位置の検証が重要であり、グラフを用いた位置検証法が検討されている。位置ベースの群衆ソーシングにおけるタスクは、ある位置のドライブレコーダーの画像収集など、位置を指定してワーカーにタスクを依頼する依頼型のタスクと、ユーザ参加型地図情報生成など、ワーカーが位置を選択する選択型タスクがある。本稿では、2 種類のタスクにおける位置検証への攻撃を想定し、その攻撃が位置検証法に与える影響を評価する。
あるプログラムを実行したいノード (要求ノード) は自身で実行する代わりに遠隔にあるノード (計算ノード) が実行し実行結果を要求ノードへ返送する計算モデルがある。計算ノードが信頼されていない場合、返送された実行結果が要求ノードが依頼したプログラムの実行結果であることを検証する必要がある。本稿では、Remote Attestation (RA) を拡張したプログラムの実行検証法を示す。
企業情報通信システムへの標的型攻撃が頻発している。この攻撃では、マルウェアと呼ばれる悪性ソフトウェアが利用される。将来的には、プロバイダネットワークのルータにこのような攻撃が起こる可能性がある。その結果、盗聴やトラフィックの誘導といった被害がネットワーク規模で発生する。
この問題を解決するアプローチの1つとして、本稿では仮想ルータの更新方式を提案する。
将来的に、通信ネットワークのルータへの標的型攻撃が懸念される。この対策として、ルータを仮想ルータ化し、逐次的に新規の仮想ルータに切り替えていく手法が有効と考えられる[1]。ここで、仮想ルータの切り替え頻度とマルウェアの攻撃可能時間は密接に関係している。そのため、切り替え頻度の縮小により、ネットワーク利用者がマルウェア攻撃の被害を受けるリスクを抑制することにつながると考えられる。しかし、この実現には、ルーチングプロトコルで自律生成される動的経路の継承の効率化が課題となる。
休 憩(16:00 再開) 座長 村瀬 勉(名大)
B-7-11 |
モバイルエッジコンピューティングにおける優先性を考慮したタスクオフローディング手法の検討
◎嶋田 匠・松本宙也・水野 修(工学院大) |
B-7-12 |
モバイルエッジコンピューティングにおける移動性を考慮した分散タスクオフローディング手法
○松本宙也・水野 修(工学院大) |
B-7-13 |
無線LAN環境下におけるAP移動を考慮した結合振動子の同期現象に基づくメディアアクセス制御の特性評価
◎森田万裕・小畑博靖・高野知佐・石田賢治(広島市立大) |
B-7-14 |
時系列IoTデータのための複数NAS統合型ファイルシステムにおける課題と検討
○岡本祐樹(阪大)・荒井研一・小林 透(長崎大)・藤橋卓也・渡辺 尚・猿渡俊介(阪大) |
計算資源に余裕のある近傍エッジノードに計算タスクを譲渡するタスクオフローディングの研究が注目されている.本研究は,路肩に設置されている路側機(RSU:Road Side Unit)に計算タスクをオフロードする路車間通信環境において,適切なタスクオフローディング先の選択手法の確立を目的とする.本稿では,路車間通信環境における課題を示し,その1つであるRSUリソース割当方法について検討すると伴に,許容遅延時間を考慮したタスクオフローディング手法を提案した.
計算タスクを物理的に近接する計算資源に余裕のあるエッジノードにオフロードする,タスクオフローディングの研究が注目されている.これにより,計算能力の限られたノードにおいても許容計算遅延を満たす結果を得ることが可能となる.本稿では,ノードが高速に移動する環境において,適切なENにタスクを割り当てる手法の確立を目的に,タスクを分散するオフローディング手法を提案し,その評価を行ったので報告する.タスクオフローディングを行う前にENとの通信可能時間を算出し,タスクの処理時間および伝送時間が通信可能時間以内に収まるように分散することで通信の切断により計算結果が得られない問題を解決する.
無線LAN環境において,データフレームの衝突を回避することで合計スループットの
向上を目指した結合振動子の同期現象に基づくメディアアクセス制御(以降,SP-MACと呼ぶ)が提案されている.
また,走行する自動車を高速無線LANのAPとして用いて継続した通信を行う方式が提案されている.
車載APを用いた際もSP-MACを使用することでスループットの向上が期待されるが,SP-MACの移動通信特性は明らかではない.
そこで本稿では,APが移動する環境においてSP-MAC適用時の基本的なスループット特性を評価する.
軍艦島モニタリングにおいて大量の加速度データ,映像データ,音声データを蓄積・管理する必要性が生じたため,筆者らは複数Network Attached Storage (NAS)統合型ファイルシステム「SDFS (Sensor Data Filesystem)」を開発してきた.
本稿では,SDFSを用いてrsyncで遠隔からセンサデータを同期する時のオーバヘッドの要因と,そのオーバヘッドを解決する方法について述べる.
9月11日 9:00〜11:45 A棟 3F A301講義室 座長 末田欣子(明星大)
B-7-15 |
情報指向型ネットワークに基づくPush型コンテンツ配信におけるノード負荷抑制方式
◎山口歩夢・水野 修(工学院大) |
B-7-16 |
情報指向ネットワークにおける適応的キャッシュ管理手法
◎桑野創太・間木平伊織・金光永煥(東京工科大) |
B-7-17 |
情報指向ネットワークにおける自律的なBreadCrumbs管理手法
◎△間木平伊織・桑野創太・金光永煥(東京工科大) |
B-7-18 |
Ceforeを用いた情報指向型センサネットワークプラットフォームの試作
◎木村圭吾・水野 修(工学院大) |
B-7-19 |
クラウドセンシングにおけるネットワーク内計算による処理遅延低減の実験的評価
◎山本瑶司・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
現在,コンテンツ配信に適した新たなネットワークアーキテクチャとしてICN(Information-Centric Networking)が注目されている.ICN[1]は,Pull型の通信方式を基本としているが,Push型の通信は有効となると考えられる.そこで,著者らは,ノードの持つ経路情報数を可能な限り削減し,かつ,ネットワーク負荷を可能な限り抑制しながらPush配信するために,Interestによる経路形成方式を提案した[3].しかし,異なるトポロジへの適用や特別な処理を行わずにPush配信することができるフラッディングとの比較を行っていない.そこで,シミュレーションを用いて,提案方式を異なるトポロジに適用した場合やフラッディング,従来方式と比較することで,提案方式の有効性を確認した.
ICTサービスの普及により,通信トラフィックの増加が予想されるなど多くの課題が存在する.そのため,近年のインターネット利用形態の変化に適した情報のネットワーク技術であるコンテンツ指向ネットワークが注目されている.ICNでは,各ルータ内のCSにコンテンツキャッシュを蓄積することにより,データアクセスを分散化する.しかしながらもしCSが溢れた場合,どのキャッシュと置換すべきかといった基準が必要となる.また,CSの容量が各ルータ間で不均一である場合,置換されるキャッシュにより,ネットワーク全体としてのキャッシュヒット率に影響する.
本稿では,各ルータのCS容量に応じてキャッシュ置換の振る舞いを切り替えるAdaptive Cache Replacement with CS-Awarenes (ACR-CSA)を提案する.
Information centric Networkingにおいて,ルータにキャッシュされたコンテンツを効率的に利用する手法にBreadCrumbs(BC)がある.既存のBCには頻繁に参照されないBC列の残存,キャッシュ消失に伴うBC列による参照ループ現象,BC列削除のため該当ルータから信号を送る必要があった.本稿では各ルータの自律的なBC削除によってInterestパケットのキャッシュ到達率の低下を防ぐことを目的としたAutonomous BreadCrumbs for Cache Routing (ABCCR)を提案する.ABCCRでは削除条件としてBCの参照回数と最終参照時刻からの経過時間を用いて,各ルータにBCの削除を管理させる.結果,キャッシュ消失ルータからのBC列削除信号が不要になり,頻繁には参照されないBC列の削除,参照ループ現象の低減,BC列によるキャッシュの効率的利用が期待できる.
複数のM2Mサービスを実現するネットワークについて,情報指向型センサネットワーク(ICSN : Information-Centric Networking-based Wireless Sensor Network)を提案している.ICSNには複数のサービスが存在し,サービスは様々な要求をしている.それぞれのサービスには目的である個別の要件があり,個別の要件を満たすための手法を提案している.さらに,サービスの目的に合った手法を実行する情報指向型センサネットワークプラットフォーム(ICSNP : ICSN Platform)の設計を行っている.ICSNPを介してICSNへ要求が伝達される.そこで,ICSNPの有効性を評価することを目的として環境の構築を行う.本報告ではICSNPの実現に必要な機能であるICSNP機能とICSN機能のうち,ICSN機能の実現方法を述べる.
多数のスマートフォンから収集したセンサデータを活用するクラウドセンシングが普及している。一方、 センサデータをクラウドに収集して計算すると、画像のような大容量なセンサデータを対象とした場合、データと計算の集中による処理遅延の増大が課題となる。これに対して、本稿では、Information Centric Network(ICN) ネットワークにおいて、エッジのデバイスやルータでセンサデータを計算することによる、処理遅延低減の効果を実験により検証する。
休 憩(10:30 再開) 座長 平山孝弘(NICT)
B-7-20 |
Information-Centric Networkingにおける緊急情報配信方式の性能評価
○井上勇気・田島氷河・山口歩夢・水野 修(工学院大) |
B-7-21 |
NDN網におけるPublish/Subscribe通信プロトコルのビザンチン攻撃に対する耐性に関する一考察
◎村井穏永・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-22 |
マルチコアNDNルータにおけるメモリ参照順がPIT処理に与える影響に関する一考察
◎小山 亮・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-23 |
遅延更新許容型Webキャッシュサーバにおけるユーザ指向型キャッシュ削除アルゴリズム
◎蔵下雄大・高見一正(創価大) |
B-7-24 |
A Study of Service-Availability Performance in a Network Restoration System with Local Clouds
○Rui Teng・Toshikazu Sakano・Babatunde Ojetunde・Yoshinori Suzuki(ATR) |
グローバルIPトラフィックの増加へ対応するために,ICN(Information-Centric Networking)が注目されている.ICNでは,各ルータがキャッシュ機能を有しており,コンテンツの複製をネットワーク内に分散して保持できる.ユーザ所望のコンテンツが,ユーザ‐サーバ間の中継ルータで発見された場合は,複製されたコンテンツが返送される.このようにコンテンツの取得場所がサーバに縛られないため,サーバ負荷の軽減やトラフィックの分散,コンテンツ取得時間の短縮といった効果を得られる.一方でICNは,IPネットワークと異なる機能を持つため,IPネットワークで提供されているサービスをICN上で実現する方法を検討する必要がある.特に,災害情報を含む緊急情報の配信は,ICNにおいても重要な機能である.筆者はこれまでに,ICNにおける緊急情報の配信方式を提案している.本稿では,上記の2手法に対し,シミュレーションによる性能評価を行った結果を報告する.
筆者らは、Named Data Networking (NDN)ベースのアドホック網において、DoS耐性のあるPublish/Subscribe通信プロトコルを提案している。本稿では、このプロトコルのビザンチン攻撃に対する耐性を評価する。
マルチコア Named Data Networking (NDN) ルータでは パケット到着のたびに、Pending Interest Table (PIT) に対して書き込み、読み込みを実行するため、PIT の処理に対して排他制御を施す必要がある。しかし、排他制御の際に、CPU コアの処理が停止してしまうことによるパケット転送処理速度の低下が課題となっている。本稿では、2つのスレッドが同時にアクセスする可能性のある共有メモリに配置された PIT を排他制御なしに操作する環境を想定し、2 つのスレッドの PIT への全ての参照順を網羅的に検証することで、正しい処理、正しくない処理を定義したうえで、排他制御が不要な PIT 処理を明らかにする。
近年,発展途上国における教育欠如は深刻な問題である.2017年の学校に通えない子供は1憶2300万人である.その問題を解決するために,NGO(Non-governmental Organization)などが無償で教育の機会を提供するノンフォーマル教育やWebコンテンツなどを用いて学習するeラーニングが存在するが,インターネット環境が整備されておらず,有効な解決手段になっていない.上記のような教育環境を支援するため,筆者らは,遅延更新許容型Webキャッシュサーバを既に提案している.そのサーバはeラーニングなどのWebコンテンツをキャッシュとして保存・運搬し,オフライン環境でも学習できるシステムである.本稿では,そのサーバに取得されたキャッシュの学生毎の保留要望を反映した削除法を提案する.
A network restoration system based on local clouds, enables prompt and conventional networking service
restoration in disaster environment without the Internet
connectivity. This paper examines in detail the
service availability of the system. The evaluation result
shows the local cloud system significantly improves the
overall service availability.
9月12日 9:00〜11:30 A棟 3F A301講義室 座長 橋本匡史(阪大)
B-7-25 |
災害時におけるボランティアによるメッセージの信憑性の評価に関する一考察
○クルボノヴ ウルグベク・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大)・西垣正勝・大木哲史(静岡大)・河辺義信(愛知工業大) |
B-7-26 |
外部刺激によって起こるネットワークの共鳴に基づく新たなネット炎上モデル
◎木下知哉・会田雅樹(首都大東京) |
B-7-27 |
社会ネットワークのリンク構造を反映したラプラシアン行列の平方根
◎T. IKEYA・Masaki AIDA(首都大東京) |
B-7-28 |
トラヒックエンジニアリングにおけるフロー配置:輻輳リンクの推定
○嘉藤 学(有明高専)・川原憲治(九工大) |
B-7-29 |
一般通話の待時を考慮した非常時回線留保制御のための閾値設定法の評価
◎川合健太(工学院大)・山岡克式(東工大)・馬場健一(工学院大) |
災害時にSNS上で流れる記事にはフェイクニュースが多数あることがある。そのため、SNS上の記事を災害ボランティアの力で検証し、誤っていない情報を災害司令官に転送する方法を提案する。検証方法としてクラウドソーシングによる共同作業を利用し、記事の真偽を多数決によって評価する。それとともに、災害ボランティアの中に悪意ある振る舞いをするボランティアの投票への影響を抑えるために信頼管理を導入する。最後に、提案手法をシミュレーションにより評価する。
オンライン社会ネットワークのユーザダイナミクスを記述するネットワークの振動モデルは,ネット炎上のような爆発的ダイナミクスの発生とネットワーク構造の関係を明らかにしてきた.具体的には,社会ネットワーク構造を表すラプラシアン行列 L が実数でない固有値を持つと,外部からの刺激がなくてもネットワークの構造自体からユーザダイナミクスの発散が生み出されることがわかっている.本稿では,ラプラシアン行列 L の全ての固有値が実数であっても,外部から社会ネットワークに加わる周期的な刺激に反応する形でユーザダイナミクスが発散する新しいネット炎上モデルを提案する.
社会ネットワーク上のユーザダイナミクスを記述する振動モデルでは,社会ネットワーク構造を表すラプラシアン行列が重要な役割を演じる.一方,ネットワーク構造がユーザダイナミクスに与える影響の因果関係を記述するためには,ラプラシアン行列の平方根行列が必要である.どちらの行列も,非対角成分がユーザ間のリンク構造を表すが,リンクの有無が一致しない場合には無関係のユーザ同士にリンクが張られるなどの矛盾が起きる.このため,両者のリンクの有無の関係を一致させることが重要な課題である.
送受信ノード間のトラヒック要求が既知という条件のもと、TE(トラヒックエンジニアリング)を行う手法として、我々は文献[1][2]においてフロー配置アルゴリズムを提案している。そこでは、最大リンク利用率を改善するように再配置を行うが、そのような輻輳リンクをトポロジ情報に基づき事前に推定できればアルゴリズムの改善に寄与するものと考えられる。そこで本稿ではその手法を検討する。
非常時における輻輳対策として,回線交換網の一部を優先通話専用として留保する回線留保制御が存在するが,優先通話を呼損させず多くの一般通話を収容するためには適切に留保回線数を設定する必要がある.既存研究では,一般通話を待時呼として扱い,一般通話の呼損率を低減させたが,優先,一般通話の呼量を予測し,待時キューを持たない場合の閾値設定手法を用いた.本稿では,一般通話の待時を考慮した回線留保制御における,待ち行列理論を用いた数値解析により,最低限優先通話が収容可能な閾値を求めた.そして,優先通話における呼損率を要求値以下に保ちつつ,提案方式により設定された閾値の有効性を明らかにした.
休 憩(10:30 再開) 座長 大下裕一(阪大)
B-7-30 |
敵対的生成ネットワークを利用した疑似トラヒックデータ生成手法
◎山際哲哉・渡部康平・中川健治(長岡技科大) |
B-7-31 |
大規模ICTシステム監視に向けたフレキシブルな異常検知手法の一検討
○田尻兼悟・渡辺敬志郎(NTT) |
B-7-32 |
Standby P2Pのクラスタネットワークにおけるノードの応答時間と対等性を考慮したマスタ選択手法
◎金澤 清・高見一正(創価大) |
B-7-33 |
SNI解析に基づくサービス同定の精度に関する考察
◎山内啓彰(工学院大)・中尾彰宏(東大)・小口正人(お茶の水女子大)・山本 周(東大)・山口実靖(工学院大) |
ネットワークを構築する際には,実際にトラヒックを生成するトラヒックジェネレータを使用し,サーバーなどのネットワーク機器の負荷テストを行うことは重要である.
しかし,トラヒックジェネレータで実際のトラヒックの特性を多面的に再現した疑似トラヒックを生成することは困難である.
一方で,敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Networks;GAN) という画像などのデータを模倣して生成する機械学習の研究が発展してきている.
本稿では,GAN と次元圧縮手法であるEncoder を用いて疑似トラヒックデータ生成手法を提案する.提案手法は,任意の長さのトラヒックデータを学習させ,疑似トラヒックデータを生成する.
評価として,二つの確率分布が一致していないかを検定するコルモゴロフ-スミルノフ検定を用いて,生成手法の妥当性を検証する.
そして,提案した疑似トラヒックデータが実際のトラヒックデータの分布とかけ離れた分布ではないことを確認した.
近年、機械学習の実システムへの導入検討が進められており、機械学習を用いたICTシステムの監視もその一例である。
機械学習による異常検知では、異常検知モデルの学習/学習したモデルによる異常検知の2タームが存在するが,両タームで入力として用いる数値ベクトルの次元数は変動しないという制約が存在する.一方で大規模なICTシステムでは,機器の交換や増設,撤去などによって取得可能なログの種類が変化し,結果として異常検知の入力となる数値ベクトルの構造が変化しうる.
本発表では,入力の相関関係に基づき異常検知モデルを分割することで,数値ベクトルの構造が変化した際に,その影響を一部の分割された異常検知モデルのみに留める方法を提案し,異常検知モデルを分割した際の異常検知精度をベンチマークで評価した結果を示す.
スマートフォンゲームの特徴として,サーバのメンテナンスやアクセス集中などによって,しばしばアプリを利用できないことが挙げられる. これらの課題に対し,筆者らはクライアントサーバモデルとP2Pモデルを組み合わせたStandby P2Pモデルを提案した.サーバダウン時にサーバ機能をP2P型分散処理モデルによって代替する方式であり,シミュレーションによりノード数100以下においての有効性を示した.しかし,実ネットワークで運用させるためには,端末の処理能力と端末間の通信遅延時間のばらつきを考慮する必要がある.本稿では,そのような実環境において実装するために,P2Pネットワークのクラスタ化とクラスタ内のマスタノード選択手法を提案する.
パケット解析に基づく IPフローからのサービス同定手法と して,複数 TLSセッションクラス タリングに基づくサービス同定手法[1]が提案されている. 当該手法では,HTTPS通信を行うためのプロトコルである TLS のセッション確立時のダウンロードフローの非暗号部の n-gram の出現頻度によりセッシ ョンのクラスタリングを行う.n-gram の違いは解析対象が 持つフィールド値の違いにより生じている.しかし,当該 手法は,TLS セッションのバイトストリームのプロトコル 解析を行っておらず,同定に重要なバイト群とそれ以外を 区別せずに頻度の集計を行っている.よって,同定精度に 改善の余地があると考えられる.本稿では,SNIの解析に基づくサービス同定手法を提案し, 既存手法と同定精度の比較を行い,その有効性を評価する.
B-8. 通信方式
9月11日 10:30〜11:45 C棟 2F C207講義室 座長 谷口 篤(NTT)
B-8-1 |
GS-TAS制御によりモバイルフロントホール・IoTトラヒックを収容するL2-NWの動的経路選択に関する一検討
○柴田直剛・鵜澤寛之・寺田 純(NTT) |
B-8-2 |
IoTネットワークにおけるL2SW間連携シェーピング技術の提案
◎本田一暁・鵜澤寛之・柴田直剛・寺田 純(NTT) |
B-8-3 |
仮想PON形成における帯域、及び遅延要求を考慮したネットワークリソース割り当て方式の検討
○更科昌弘・斉藤洋之・中平佳裕・鹿嶋正幸・佐々木浩紀(OKI) |
B-8-4 |
マルチCU/DU構成のRANスライシングプロトタイプの試作
○塚本 優・平山晴久・難波 忍・西村公佐(KDDI総合研究所) |
B-8-5 |
IsolationとSLA保証を考慮したRANスライシングのための無線リソース割当手法
○平山晴久・塚本 優・難波 忍・西村公佐(KDDI総合研究所) |
将来モバイルフロントホール(MFH)やIoT(Internet of Things)等の多様なサービスを、1つのレイヤ2-NW(L2-NW)で収容することが検討されている。我々はこれまでに、IEEE802.1Qbv TAS(Time Aware Shaper)技術[1]を改良したGS(Gate Shrunk)-TAS方式により、MFHの要求遅延を担保しつつIoTサービスの帯域利用効率を向上することを検討してきた[2]。本稿では、IoTサービスのさらなる帯域利用効率向上のため動的経路変更を提案する。
Internet of Things(IoT)ネットワークにおいて、IoT端末は接続リクエストやセンシングデータ送信等、IoT-Gateway(GW)を介してIoTサーバと通信する。各IoT端末からの通信が同時生起すると、ミリ秒単位のトラヒック急増によるマイクロバーストが発生する。マイクロバーストがIoTサーバの処理レートを上回るとIoTサーバでのデータ廃棄が生じてしまう。本稿では、IoTサーバへのマイクロバーストによる過剰トラヒック流入を抑制するために、レイヤ2スイッチ(L2SW)間で連携するトラヒックシェーピングについて報告する。
本稿では、仮想PON形成時にタイムスロットの割り当てを計算することで、帯域と遅延クラスの両要求を満たすネットワークリソース割り当て方式を提案した。
近年、第5世代移動通信システム(5G)の研究開発や標準化が盛んに進められている。5Gでは、高精細動画配信や車両の自動運転、Internet of Things (IoT)などの様々なユースケースが提案されている。単一のネットワーク基盤上でこれらのサービス要件を満たすため、無線アクセスネットワーク(RAN: Radio Access Network)において、物理ネットワークを用途に応じて論理ネットワーク(スライス)に分割するRANスライシングが検討されてきた。著者らは、同一セルで基地局機能の配置が異なるサービスを提供可能なマルチCU/DU構成のRANスライシングを提案した。本稿では、提案構成の実現性を検証するため、プロトタイプを試作したのでその詳細を述べる。
5Gの多様化するサービスの要求を満たすため,筆者らはRAN(Radio Access Network)スライシングを検討しており,サービス要求に応じて最適に基地局の機能を配置することを提案してきた.1つのRUに基地局機能配置の異なる複数のCU/DUが接続するマルチCU/DU構成ではスケジューリング機能を持つDUが物理的に離れた場所に配置されることになり,各DUに一定の割合の無線リソースを固定的に割り当てる必要がある.固定的な割当ではリソースの利用効率が悪化するため,一定間隔ごとにスライスに対応したDUへのリソースの配分比率を更新する機能が必要である.本稿では,スライスのIsolationを確保しつつ,SLA保証を考慮した無線リソース割当手法を提案する.
9月12日 9:30〜11:45 C棟 3F C301講義室 座長 名倉健一(三菱電機)
B-8-6 |
一波長双方向型WDM-PONにおけるリンクバジェット拡大を実現する波長割当て方法の提案
◎久野大介・紫尾田 将(阪大)・中山 悠(東京農工大)・丸田一輝(千葉大)・桑野 茂(大同大)・吉本直人(千歳科技大) |
B-8-7 |
分布ラマン増幅技術による10G-EPONの伝送距離拡大に関する検討
◎五十嵐 稜・金井拓也・藤原正満・可児淳一・寺田 純(NTT) |
B-8-8 |
不等分岐光スプリッタを用いたエリア拡大の有効性に関する検討
◎河北敦子・原 一貴・木村康隆・堀川健史・古川裕透・鈴木康宏・池田 智(NTT) |
B-8-9 |
分岐比可変不等分岐光スプリッタの実現性に関する検討
○原 一貴・河北敦子・木村康隆・堀川健史・古川裕透・鈴木康宏・池田 智(NTT) |
ユーザが波長チャネルを占有するWDM-PONシステムでは,使用可能な波長チャネル数に上限があり,収容可能なONU数が制限される.著者らは,ONUの収容効率を改善するために,一波長双方向伝送型WDM-PONの検討を行ってきた.一波長双方向伝送では,上下リンクで同一波長を各ユーザへ割り当てる.この方式では,反射光が信号光へ干渉するため,リンクバジェットが制限される.そこで,本稿では,2台のONUに2波長を上下リンク入れ替えて割り当てることで,ONU の収容効率を改善しつつリンクバジェットの制限を緩和可能であることを示す.
無中継構成による光アクセスネットワークの伝送距離の拡大に向けて,光信号対雑音比(OSNR)の改善による抜本的な伝送距離の拡大効果が見込まれる分布ラマン増幅(DRA)技術を用いた手法が提案されている.一方,DRAの10G-EPON上り方向通信(10 Gb/s)への適用はこれまでに検討されていない.本検討では,10G-EPON上り方向通信(10 Gb/s)の伝送距離拡大に向けて,半導体光増幅器にDRAをカスケード接続した構成を提案し,その伝送距離拡大効果を伝送シミュレーションにて明らかにした.
これまで筆者らは,偏りあるユーザ分布に対し,アクティブ装置を必要としないFTTHのエリア拡大を目的とした不等分岐光スプリッタの検討を進めてきた.我々が提案する不等分岐光スプリッタは分岐構成を非対称構造にし,分岐比率を受信信号の最小受信感度付近に調整することで,伝送距離の拡大が可能である.
本稿では,不等分岐光スプリッタを試作し,提案する不等分岐光スプリッタの実現性,及び伝送距離拡大の定量的評価,更にはサービス選択の有効性を確認したので報告する.
本稿では,駆動ステージにより光学的距離を制御し,エバネッセント結合場の結合効率を変えることで,分岐比率を制御可能な分岐比可変光カプラに注目し,数値計算と実験の双方から不等分岐光スプリッタへの拡張,及び光アクセスネットワークへの適用可能性を評価したので報告する.
休 憩(10:45 再開) 座長 黒木圭介(KDDI総合研究所)
B-8-10 |
PON下り区間における低ジッタ転送に関する検討
○桑野 茂(大同大)・中山 悠(東京農工大)・久野大介(阪大)・丸田一輝(千葉大)・吉本直人(千歳科技大) |
B-8-11 |
TWDM-PONの高速波長切替による省電力化と遅延に関する一検討
○中平佳裕・齋藤洋之・更科昌弘・鹿嶋正幸・佐々木浩紀(OKI) |
B-8-12 |
複数波長を用いたPONの段階的な速度アップグレードにおけるフレーム振り分け手法
◎原田臨太朗・鵜澤寛之・中村浩崇・寺田 純(NTT) |
B-8-13 |
連携インタフェースを用いた低遅延ONU Activationの検討
○氏川裕隆・野村紘子・鵜澤寛之・中村浩崇・寺田 純(NTT) |
本研究では、低遅延ネットワークをPONを含んだネットワークに展開する場合において、低ジッタ転送を実現するための下り転送方法について比較・検討している。
TWDM-PONはトラヒックが少ない時,ONUを特定のOSUに片寄せ収容して一部のOSUを休止させ,省電力に運用する事ができる.その波長変更頻度は数分に一度以下を想定していたが,本稿ではDBA周
期と同頻度で,ONUの波長割当計算と切替,OSUの立上げが可能な装置を仮定し,更なる省電力化の可能性を検討する.従来の装置では,輻輳を防ぐため早めに稼働OSU数を増やす必要があるが,仮定
する装置なら負荷が100%を超えるまで稼働OSU数を絞れる.しかし負荷が大きいと上り遅延(ONUでの待ち)が大きくなる.そこで1波長多い従来の装置の遅延を許容遅延とし,仮定する装置が運用可能な負荷を見積もる.
高密度に配置される子局(RU)と親局(CU/DU)を光ファイバで接続するMobile Fronthaul(MFH)向けのPONが検討されている.著者らは,段階的に増加するMFHの速度需要に応じてPON区間の波長を追加し,並列転送することで段階的にPONを速度アップグレード(増速)する方法を提案した.本稿では,複数波長を用いた並列転送時に最大遅延を低減するフレーム振り分け手法を提案する.
FTTHに用いられる光アクセスシステムであるPONでは,TDMAを用いており,局側装置OLT が新規接続される宅内装置ONUを発見するために,定期的に送信停止期間QW(quiet window)を設ける.収容するトラフィックが到着するタイミングによっては,最大でQW分の遅延が増加してしまい,低遅延性を保証する際の課題となる.
NG-PON2では,低遅延化を実現できるように,PONのスケジューリングを司るDBAに対して,収容トラフィックの到着時刻や量を事前に通知する連携インタフェースについて記述している.本稿では,この連携インタフェースを用いて動的にQWを開くことで,ONU Activationによる遅延を低減する手法を提案し,適用可能な領域を見積もった.
9月13日 9:00〜11:45 C棟 3F C301講義室 座長 高橋 賢(広島市立大)
B-8-14 |
バースト信号分布図による電力線通信(PLC)システムの瞬時電源周波数同期重畳図の詳細解析手法の提案
◎後藤碩志・阿部 航・喜田健司(東洋大)・石川博康(日大)・篠永英之(東洋大) |
B-8-15 |
システム固有周期重畳図を用いたUDP通信時の第三世代HD-PLCの通信解析
◎阿部 航・後藤碩志・喜田健司(東洋大)・石川博康(日大)・篠永英之(東洋大) |
B-8-16 |
電力線分岐が電力線通信(PLC)システム伝送路の振幅、群遅延周波数特性に及ぼす影響の実験的解析
後藤碩志・阿部 航・喜田健司(東洋大)・石川博康(日大)・○篠永英之(東洋大) |
B-8-17 |
高速パルス伝送方式における狭パルス信号生成回路の検討 -ショートスタブとオープンスタブの併用による波形整形-
○桑原 崇・板倉 洋・大和田 哲(三菱電機) |
著者らは電力線通信(PLC)において、特定の電気機器を電力線に接続するとバースト信号を正常受信できない通信禁止時間が発生することを明らかにし、コンピュータ間通信状況を可視化する解析手法として瞬時電源周波数同期重畳図を提案した。本稿では瞬時電源周波数同期重畳図の詳細な解析手法としてバースト信号分布図を提案する。提案図は重畳図だけでは分からなかった内包パケット数毎のバースト信号分布を可視化することが可能である。これを用いて携帯電話の充電器を電力線接続時のPLCを介したコンピュータ間通信状況の詳細な解析例を示す。
電力線通信(PLC)システムにおいてUDP通信時システム固有周期探索アルゴリズムを提案し、第二世代HD-PLC(第二世代)を用いたパケット捕捉データに同アルゴリズムを適用し、システム固有周期重畳図(重畳図)を作図、解析した。重畳図は縦軸を実時間、横軸をシステム固有周期重畳時間とし、1つの受信時刻を2軸に対応させて決定したシステム固有周期を超えた時点で再び0から描画する手法である。本稿では第二世代と第三世代HD-PLC(第三世代)の重畳図を作成、比較を行う。また、第三世代の重畳図を区間分けして区間毎にシステム固有周期を探索、解析を行い、第二世代と第三世代の通信状況の違いを明らかにした。
電力線通信(PLC)の課題の一つとして伝送路が通信を想定して設計されていないことが挙げられる。電力線は屋内配線や電源タップの使用により多数の分岐が存在し、分岐による反射や損失等が伝送特性に悪影響を与えてPLCの通信品質を低下させる要因となっている。本稿では、分岐のある電力線の伝送特性について解析結果を報告する。VVFケーブル100 mに電源タップを接続して分岐を作り、電源タップの長さと振幅、群遅延周波数特性の関係や100 Vを印加するためのノイズゼロトランスの接続の有無による伝送特性の変化について解析した。
近年,通信機器間のメタル線による信号伝送の伝送レートはGbps級まで高速化されている.デジタル信号は,伝送路の損失による高周波減衰に起因してHighとLowの遷移時間が増加する.それに伴い信号間干渉量が大きくなる結果,ビット誤りが増加する.そこで信号間の干渉低減を図るため,パルス波形による伝送方式が検討されており,筆者らは先にショートスタブによる矩形波信号を狭パルス信号へ波形整形する方式を検討した.しかしショートスタブ付与のみでは,生成したパルス信号の立下りの収束時間が立ち上がり時間と比較して長くなる課題があった.本稿ではショートスタブとオープンスタブを併用した波形整形の検討結果について報告する.
休 憩(10:15 再開) 座長 藤原稔久(NTT)
B-8-18 |
光無線時刻伝送方式の一検討
○佐久間大樹・新井 薫・杉山隆太・松村和之(NTT) |
B-8-19 |
光/RFハイブリッド・ワイヤレスシステムにおける光無線の制御プレーンへの適用
◎椎名亮太・玉置真也・原 一貴・谷口友宏・中平俊朗・村上友規・池田 智(NTT) |
B-8-20 |
SD-RoFに対する電気合波回路導入による複数電波空間の相互接続に関する基礎検討
◎相浦一樹(阪大)・福井達也・成川 聖・桐原誉人・南 勝也・池田 智・椎名亮太(NTT)・石岡卓将・藤橋卓也・猿渡俊介・渡辺 尚(阪大) |
B-8-21 |
機械学習を用いたPHS-DECT端末の電波干渉検出手法の一検討
◎胡間 遼・田口勝久・齋藤一生(NTT東日本)・今井真人(NTT西日本)・成田好輝・姜 力・西脇 博・小林隆一(NTT東日本) |
B-8-22 |
ISDB-Tテレビ受信機における緊急自動起動信号の一定時間観測
○高橋 賢(広島市立大) |
B-8-23 |
雑音による1bit ADC受信機の線形化
◎△中島康雄・山里敬也(名大)・荒井伸太郎(岡山理科大)・田中宏哉・田所幸浩(豊田中研) |
基礎科学実験や金融、移動通信など幅広い分野において遠隔装置間で時刻を高精度に同期する技術が求められている。本稿では、時刻同期技術の適用領域拡大に向けて、光信号における安定性と無線接続による経済性に着目し、光無線時刻伝送方式を検討したので報告する。
電波とは異なる光の特性を利用し、初期検討として、Wi-Fiの制御プレーンとして光無線を活用する場合の、システムアーキテクチャと、それを実現する光送受信方式について提案する。
大容量性と低遅延性を兼ね備えたワイヤレスアクセスネットワークを実現することを目的として,筆者らは光と無線を密結合したアーキテクチャ「ソフトウェア定義光ファイバ無線(SD-RoF: Software Defined Radio-on-Fiber)」を用いたワイヤレスアクセスネットワークの実現を目指している.SD-RoF とは,既存のRoF において固定的であったアンテナと無線送受信器との関係をソフトウェア的に自由自在に制御可能としたものである.本稿では,光スイッチと電気合波回路を組み合わせたRoFネットワークにおいて複数の電波空間の相互接続の実現可能性について検討する.
DECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)準拠方式を用いた家庭用電話機の普及に合わせ、自営PHS(Personal Handy phone System)端末との電波干渉による音途切れ、雑音等の事象が報告されている。本稿では、PHS-DECT端末間の電波干渉を機械学習により簡易に検出するシステムを提案し、シミュレーションにより稼働削減に対する有効性を確認する。
ISDB-Tテレビ放送信号に重畳される緊急警報用の自動起動信号は,約0.2秒ごとにくり返し放送さえる制御信号TMCC上にある.ここでは,受信機において連続する過去の複数TMCCを観測し,一定数以上の起動信号を検出したときに起動することを提案する.受信機が誤って起動信号ありと判断する誤警報確率,誤って起動信号を見逃す見逃し確率,および起動信号放送確率を仮定して,受信機が得られるであろう相互情報量を求めた.その結果,起動信号のより長い期間の観測により高い相互情報量が得られることが明らかになった.
分解能が最低である1bitのアナログ-ディジタル変換器(1bit ADC)は消費電力が低い・高速化が容易である・構成が簡易で回路面積が小さい等の利点を持つ一方で,その非線形性による入出力間の歪みが大きいという欠点を持つ.ところが,低SNR環境においては確率共鳴と呼ばれる非線形系が線形化される効果がはたらき,線形系に対する劣化が小さくなる.
1bit ADCと雑音を組み合わせることで,振幅が変動する信号をも正しく復調できる.一方で,1bit ADCを用いた受信機をどのような通信路として扱うかは,理論的に確立されていない.本研究では,1bit ADCを用いた受信機について,雑音分布と入出力特性に着目した解析を行い,1bit ADCを線形系とみなせる条件・範囲を示す.
9月13日 13:00〜16:30 C棟 3F C301講義室 座長 鎌倉浩嗣(千葉工大)
B-8-24 |
ピークリミタと反復歪み補償を適用した多素子MIMO-OFDMの特性評価
◎田添 諒・景山知哉・牟田 修(九大) |
B-8-25 |
OFDM信号の帯域外漏洩電力抑圧に適したOrthogonal Precodingの性能改善
◎田中智規・太田正哉(阪府大) |
B-8-26 |
屋内駅プラットフォームにおける28GHz帯を利用した第五世代移動通信のスループット特性評価
◎岡野真由子・長谷川洋平・金井謙治・甲藤二郎(早大) |
B-8-27 |
Quantization to Forward Received MIMO-OFDM Signals
○Daisuke Umehara(Kyoto Inst. of Tech.) |
多素子MIMO-OFDM (Multi-input multi-output orthogonal frequency division multiplexing) では, 送信信号のピーク電力対平均電力比(PAPR: Peak-to-average power ratio) の低減が重要な課題となる. 従来, PAPR の制約の下でユーザの直交多重を実現する手法として, FITRA (Fast iterative truncation algorithm) と呼ばれる反復アルゴリズムが提案されている. 本稿では, 多素子MIMO-OFDM システムにおいて, 代表的なリミタ手法であるClipping & Filtering (C&F) とFITRA を併用する場合の有相関チャネル下でのPAPR 抑圧特性を評価し, その効果を示す.
直交周波数分割多重方式(OFDM)は周波数利用効率が高く,無線LANや移動体通信などの通信システムにおいて広く採用されている.一方,OFDMにおける送信信号はシンボル間が不連続に接続されるため高い帯域外漏洩電力(Out-of-Band Emission, OOBE)が生じる問題がある.Orthogonal Precoding(OP)法は,特定の周波数における電力を0にするような制約によりスペクトルノッチを形成し,OFDM信号の高いOOBEを抑圧するプリコーディング手法であり,優れたOOBE抑圧性能を有しつつ理想的な誤り率性能を実現する.しかし,制約条件を設定しない周波数では電力が穏やかに減衰し,フロアを形成する問題がある.
そこで本研究では,OP法と同等の急峻なノッチを形成しつつOOBEを速やかに減衰させる手法を提案する.
現在,2020年の実用化に向け,第五世代移動通信 (5G) に関する実証実験が盛んに行われている.特に,5G要件の一つである高速大容量化を実現する要素技術として,ミリ波帯通信が注目されている.本稿では,羽田空港国際線ターミナル駅で屋内環境における5Gの通信実験を実施 したので,その結果について報告する.実験では,28GHz帯通信におけるSINR,Modulation and Coding Scheme (MCS),物理層のスループット,およびトランスポート層のTCPスループットを実測評価した.さらに,実測されたMCS等を入力とし,MATLAB 5G Toolbox によるシミュレーションによるスループットも評価した.
Distributed collaborative interference canceller (DCIC) has been developed to enhance receiving antenna diversity even when the destination terminal (DT) has fewer antennas than the base station (BS) with the help of relay stations (RSs). RSs forward the received MIMO-OFDM signals through the higher-frequency radio (HR) band with the Lloyd-Max quantization. In this manuscript, we evaluate the performances of the DCIC systems for given numbers of quantization bits.
休 憩(14:15 再開) 座長 梅原大祐(京都工繊大)
B-8-28 |
新しい超低消費電力ネットワーク制御の性能評価
○高瀬優人・内海哲史(福島大) |
B-8-29 |
NerveNet環境におけるTCP輻輳制御の性能評価
○加賀慎也(福島大)・佐藤剛至(NICT)・内海哲史(福島大) |
B-8-30 |
CUBICと共存時のBBRスループットの改善と性能評価
○佐藤佑哉・内海哲史(福島大) |
B-8-31 |
衛星ネットワークにおける輻輳制御CopaとBBRの性能評価
○齋藤 司・内海哲史(福島大) |
IoTの普及により,インターネットは今後膨大な電力を消費すると考えられる.ネットワークの省力化は喫緊の課題である.本稿は,通信機器のスリープ機能を効率的に利用する新しい超低消費電力ネットワーク制御の提案と性能評価を目的とする.本稿が提案する手法は,複数パケットを「コンテンツ」として集約し,スリープ機能における起動状態への遷移回数を減少させ省電力化を図る.待ち行列理論に基づく解析モデルを用いて計算すると,従来手法と比較し消費電力が削減された.また,シミュレーション実験においても同様の傾向が得られた.
近年,国内では,大地震などの大規模災害が多発しており,大規模災害時においても確実な通信を確保するためのネットワーク環境を整備することが強く望まれている.災害時にも柔軟に機能する分散型ネットワークとして,NerveNetがあり,基地局同士が自動的に相互接続する機能を持つことで災害時に一部のルートで障害が発生しても直ちに別のルートに切り替え,通信を確保する無線マルチホップ技術を用いた分散ネットワークである.本稿では,Linux Kernel上に実装された16種類のTCP輻輳制御について,NerveNet環境上での実機実験を行い,その性能を比較評価する.実験を行った結果,CUBIC,HighSpeed,CDG,Vegasが比較的良い性能を示す傾向があることが分かった.
2016年にGoogle社が発表したBBRは輻輳に基づく輻輳制御と呼ばれ,Bufferbloat問題を改善することができると期待されている.しかし,深いバッファを持つボトルネックリンクにおいてパケットロスに基づく輻輳制御と共存すると性能的に劣ってしまう傾向がある.本稿ではこの課題を改善するためにBBRのアルゴリズムを改良し,パケットロスに基づく輻輳制御であるCUBICと共存させることでその性能を評価する.本稿で提案する手法では最小RTTの更新頻度を高めウインドウサイズの低下を防ぐことで,深いバッファにおいてもパケットロスに基づく輻輳制御フローに圧迫されにくいスループット性能を実現できることを確認した.
衛星ネットワークは,耐災害性に優れているが,伝搬遅延時間が非常に大きいため,衛星ネットワークにおいて遅延時間をできるだけ小さくすることが望まれる.エンドツーエンドの遅延時間を抑える輻輳制御として,BBRが2016年に発表されたがウィンドウサイズを帯域遅延積の2倍まで大きくすることがあり,衛星ネットワークでのリアルタイム性を大きく阻害してしまう.また,スループットを最大化しつつ,バッファリング遅延時間を最小化する新たなエンドツーエンド輻輳制御として,Copaが2018年に発表された.本稿では,Dummynetを用いた衛星ネットワーク環境下でのCopaとBBR性能評価を行った.
休 憩(15:30 再開) 座長 植田泰輔(日立)
B-8-32 |
Federated Learning based User Association Scheme for QoE Optimization in Heterogeneous Networks
○Seung Il Moon・Shinobu Nanba・Kosuke Nishimura(KDDI Research) |
B-8-33 |
異なるIoT資源環境下におけるマイクロサービスの遅延特性評価
◎関根 響・金井謙治・甲藤二郎(早大) |
B-8-34 |
802.11acにおける理論スループット上限とフレーム集約数のトレードオフについて
○鈴木康介・山崎悟史(沼津高専) |
B-8-35 |
不均一バックオフスロット確率を用いたIEEE802.11優先制御法
◎河原祐樹・杉山隆利(工学院大) |
Federated Learning is one kind of distributed machine learning technique. In each round, each UEs independently computes the gradient based on its local data, then delivers to a central server. After that, a central server updates training model based on aggregated information from each UEs. In this paper, we present a Federated Learning based User Association scheme for QoE optimization in Heterogeneous Network.
筆者らはこれまでエッジコンピューティングを活用したIoTデバイス仮想化技術として,デバイスの処理機能をマイクロサービスとして分割定義し,ネットワーク上の計算資源に分散配備する仕組みを提案してきた.より柔軟な資源運用のためには,アプリケーションの要求条件やネットワークの状況によって,マイクロサービスの分散割り当てを最適化するアルゴリズムの構築が課題と言える.本稿では,その構築に向けて,IoTデバイスとIoTゲートウェイのみに着目し,通信資源を他のデバイスが共有している環境下において,マイクロサービスの遅延特性がどう変化するか評価する.
IEEE 802.11ac 規格では超高速伝送が実現されているが,フレーム効率化や上りフレーム伝送などフレームに関する課題が挙げられている.これまで,802.11acのフレーム集約 (Frame Aggregation: FA) に着目し,スループットを最大化する,A-MSDU(Aggregate MAC Protocol Data Unit)およびA-MPDU(A-MAC Service DU)サブフレーム数の最適組を理論的に検討してきた.本稿では,スループット値を決定付ける重要なパラメータであるMSDU (MAC Service Data Unit) データサイズの上下限値に着目し,理論スループット上限値と準最適組の数がトレードオフになることを数値計算により示す.
VoIPやVideo upload等の要求遅延時間の異なるアプリケーションの混在WLAN環境において,CSMA/CAではVoIPパケットより長パケットとなるVideo パケットの時間占有率が長いためVoIPパケットの遅延が増加する.そこで, AIFSN制御によりVideo 端末(Video-STA)のAIFSをVoIP端末(VoIP-STA)のAIFSより長くし,VoIP-STAの送信権獲得確率を増加できるが, Video uploadスループットがAIFSの増加に伴い劣化する.この問題に対し筆者らはCSMA/CAでは均一なバックオフ値の確率密度を不均一とし,VoIPパケットが低遅延を保持しつつ,Video uploadスループットを改善する手法を提案した.これまでの評価は,Video-STAが飽和状態の場合にとどまっているため,本稿ではVoIP-STAとVideo-STAの混在環境下で, Videoパケットがポアソン分布に従い生起する場合でのVideo uploadスループット改善効果を定量的に示す.
B-9. 電子通信エネルギー技術
9月11日 9:55〜10:40 A棟 2F A201講義室 座長 吉村 勉(阪工大)
B-9-1 |
振り子アーム式発電機によるウェアラブル体動発電性能と用途探索
○安倍秀明(パナソニック) |
B-9-2 |
SPICE/MATLAB モデルによるCEMS 向け太陽電池の共用効果の検討
○小熊 博・伊藤美彩(富山高専)・石原 昇(東工大)・水本 巌(富山高専) |
B-9-3 |
IoTセンサ電源用熱電変換素子の等価回路モデル
○田辺隆也・川﨑慶喜(茨城高専)・古谷彰教(徳島文理大)・関口直俊(茨城高専) |
筆者等は,高齢化やIoT社会に向けた信頼ある自立電源の確保を目指し,人の日常の生活行動から比較的大きな電力を連続的に自然に取り出す方法を研究してきた。今回ウェアラブル発電を目的として,小型軽量の振り子アーム式ギアード発電機の着想を得た。この着想による試作機を人の歩行運動に適用した結果,無理なく大きな電力を連続で取り出せることを実証した。さらに日常の普段の単発の挙動から発電できることも分かった。多くの用途や利用シーンが想定され,このための新たなエネルギー源、自立電源として期待している。
我々は,富山高専に設置した太陽光発電・蓄電システムをSPICE (Simulation Program with Integrated CircuitEmphasis)モデル化し,EMS (Energy Management System) の構築へ展開している.先行研究では,共用で所有する蓄電池容量に注目しCEMS を行った場合の電力自給率を評価したところ,夏については共用する蓄電池容量を70kWh とすることで電力自給率95%以上を確保できたものの, 冬については, 100kWh の蓄電池を持たせても約60%の電力自給率に留まった.本稿では, 共用太陽電池の出力に着目して電力自給率の評価を行ったので報告する.
本研究では、熱電変換素子の最大電力を求める方法として熱電変換素子からの電圧を出力開放電圧の半分に制御する方法への適応を狙いに、スイッチを休止したときの開放電圧が短期的に約0.4 msで飽和するが、さらにゆっくりとした変化が続き約3sで再度飽和する2段階変化があることを明らかにした。この特性を基に熱電変換素子の内部電気モデルを解明し、短期間のスイッチ休止でも開放電圧を補正することで正しい開放電圧を求めることができるようにした。
B-10. 光通信システムA(光ファイバ伝送路)
9月12日 9:15〜11:00 C棟 3F C306講義室 座長 松井 隆(NTT)
B-10-1 |
Radio over Fiberリンクのための低雑音性屈折率分布型プラスチック光ファイバ
○西山公太・井上 梓・小池康博(慶大) |
B-10-2 |
アクリル系ポリマーのミクロ不均一構造を利用した低雑音性屈折率分布型プラスチック光ファイバ
○明石 健・井上 梓・小池康博(慶大) |
B-10-3 |
屈折率分布型プラスチック光ファイバを用いた低歪みRadio over Fiberシステム
◎村元謙太・井上 梓・小池康博(慶大) |
B-10-4 |
低雑音性屈折率分布型プラスチック光ファイバリンクにおける伝送品質のレーザ駆動電流依存性
○小林史英・井上 梓・小池康博(慶大) |
B-10-5 |
屈折率分布型プラスチック光ファイバを用いた低雑音多芯光インターコネクト
○巳波春香・井上 梓・小池康博(慶大) |
2018年12月より開始した新4K/8K衛星本放送の一般配信に伴い,光ファイバを用いてTV放送信号を伝送するRadio over fiber(RoF)の利用が検討されている.屋内でのRoF敷設には,切って挿すだけの簡単施工(DIY)が求められるが,そのような状況下では,光ファイバ後方からの反射に起因した光リンク特有の雑音がTV放送信号の伝送品質低下の大きな要因となる.本報告では,我々が新たに開発した低雑音性屈折率分布型プラスチック光ファイバ(GI型POF)が,従来のマルチモード光ファイバと比べてTV放送信号伝送における反射戻り光耐性を大きく増大することを実証した.低雑音性GI型POFが屋内DIYを実現する4K/8K時代のRoFとして極めて有用であることを明らかとした.
4K/8K端末の普及に伴い,大容量伝送に対応可能な一般消費者向け光ケーブルの開発が求められている.民生用の光ケーブルは短距離区間で利用され,また一般消費者によって頻繁に抜き差しが行われる.このような条件下では,雑音による信号品質の劣化が問題となる.最近,屈折率分布型プラスチック光ファイバが光リンクにおける雑音を低減することが報告された.この雑音低減効果は,ポリマーの密度揺らぎによって生じるミクロな不均一構造に起因することが明らかになってきている.本報告では,ポリマーの不均一構造を積極的に利用することで,雑音低減効果が向上し,伝送品質の軸ずれ依存性が大きく低減することを示す.
5G通信における屋内の電波不感地帯の対策のために,Radio over fiber(RoF)技術が注目されてきている.しかし,RoF伝送では光伝送路で生じる非線形歪みによる信号劣化が大きな問題となる.本研究では,GI型プラスチック光ファイバ(POF)がポリマー材料特性由来の強いモード結合に起因した非線形歪み低減効果を持ち,従来のマルチモード光ファイバに比べて信号対歪み比の高い伝送を可能とすることを実証した.さらに,光伝送路の長さに応じてGI型POFのモード結合強度を制御することで,光伝送システムの信号対歪み特性を最適化できることを示唆する結果を得た.GI型POFによる高品質な屋内RoFシステムの実現が期待される.
近年,我々は,屈折率分布型プラスチック光ファイバ(GI型POF)が,従来のマルチモードファイバに比べて反射雑音を低減するため多値伝送に有用な伝送媒体であることを実証した.多値伝送では信号レベル差の減少により低雑音性が要求される一方,信号レベル数が増加するため雑音や歪みの光出力レベル依存性が重要な指標となる.本研究では,低雑音性GI型POFを用いた光リンクにおける伝送品質のレーザ駆動電流依存性を評価し,低雑音性GI型POFを用いることで,全駆動電流において伝送品質が改善することを報告する.さらに,その改善効果が,低雑音性GI型POFのモード結合強度の増大に伴い顕著化することを実証する.
高速データ伝送が要求されるデータセンタでは,複数の光ファイバを一括接続するMPOコネクタが使用されている.MPOコネクタは,フェルールから突出したファイバ端面同士を物理的に接触させることでコネクタ間の空隙発生を防いでいるが,全ての光ファイバを高精度に接続することは難しく,空隙からの反射は雑音源になる.データ伝送の高速化のために利用が検討されている多値変調方式では雑音耐性が低下するため,MPOコネクタ接続部からの反射が問題となる可能性がある.本報告では,MPOコネクタを用いた低雑音性屈折率分布型プラスチック光ファイバの多芯光インターコネクトにより,精密な端面処理なしに従来のマルチモード光ファイバに比べて伝送品質が向上することを明らかにする.
休 憩(10:45 再開) 座長 高橋正典(古河電工)
B-10-6 |
小モードフィールド径マルチコアファイバを用いたコネクタ
○佐々木雄佑・竹永勝宏・愛川和彦(フジクラ) |
本セッションはB-13との関連セッションであり、後続の講演はB-13-11よりご覧ください。 |
データセンタ内通信へのMCFの応用は,高速伝送可能な光ファイバケーブルをより高密度に実現可能とする.新規に試作した小MFD7コアMCFを用いて作製したSC型MCFコネクタの評価結果について報告する.
9月12日 13:00〜15:00 C棟 3F C306講義室 座長 小田拓弥(フジクラ)
B-10-7 |
結合型マルチコアファイバを用いた非対称MIMO伝送
○坂本泰志・和田雅樹・山本貴司・中島和秀(NTT) |
B-10-8 |
空間結合型小型MCFデバイスの結合ずれによるコア間クロストークへの影響
○小林哲也・高畠武敏(オプトクエスト) |
B-10-9 |
2モードファイバのゼロ群遅延差領域における極短パルス波形
○柴田 宣・渡部仁貴(日大)・大橋正治(阪府大) |
本セッションはB-13との関連セッションであり、後続の講演はB-13-14よりご覧ください。 |
空間多重光ファイバとして検討されている結合型マルチコアファイバ(MCF)は、他のファイバと比較して伝搬するモード間がランダムに結合することが特長であり、長距離モード多重伝送用ファイバとして期待されている。一方で、モード多重伝送においては、モード間の損失差を起因とするモード依存損失(MDL)により信号品質が劣化する。本稿では、非対称MIMO伝送を結合型MCFに適用し、伝送信号数を可変パラメータとした伝送路のMDL制御に関して計算検討を行ったので報告する。
光ファイバによる将来の伝送容量不足を解消するため、1本のファイバに複数の伝搬コアを有するマルチコアファイバ(MCF)が検討されている。我々は、MCFの伝送路中に機能を付与するための空間結合型MCFデバイスを検討している。デバイスの小型化や低コスト化の為に部品点数の削減を考えた場合、極力調心個所を減らすことが望まれる。MCFを簡易的に軸調整して光学結合する際にはコア同士の軸ズレが発生し、結合損失が劣化してMCFクラッドへの漏れ光が発生する。漏れ光はクラッド伝搬して隣接コアへ結合することが考えられる。デバイスのコア調心ずれとコア間クロストークの影響を確認したので報告する。
TMFのDGDがゼロとなる波長域でLP01モードとLP11モードが互いに重なり合う場合の出射光パルス波形を求める式を導いた.その結果,LP01モード光とLP11モード光の干渉に起因する振動成分を有するパルス波形となることを明らかにした.
休 憩(14:30 再開) 座長 山本義典(住友電工)
B-10-10 |
六角形ロッドを用いたクラッド一括形成法の量産検討
◎福本良平・竹永勝宏・愛川和彦(フジクラ) |
B-10-11 |
標準SMFのコアを使用した5コアMCFの設計検討
○高橋正典・前田幸一・杉崎隆一・塚本昌義(古河電工) |
本セッションはB-13との関連セッションであり、先行の講演はB-13-15よりご覧ください。 |
マルチコアファイバ製造法の1つであるクラッド一括形成法は,マルチコアファイバ母材の大型化が容易という特長を持つ一方,コア変形が大きいという課題があった.このコア変形抑制として,研削のみした六角形ロッドを用いた検討が報告されている.本稿では,量産性を考慮し,太径研削ロッドを溶融延伸して得られた六角形ロッドを用いてクラッド一括形成法で7コアファイバを作製した.その結果,研削のみのロッドで作製されたファイバよりも太径ロッドを研削したことでコア間距離の標準偏差は小さくなる傾向がみられた.また,コア変形量に対応する内クラッド非円率は最大で約2%と小さいことを確認した.
本報告では、クラッド径125μmの5コアMCFの外周コアに、製造性に優れる標準的なSMFのコア設計を適用する可能性を探るためにファイバ設計を検討した。5コアMCFの外周コアにG.652、G.657相当の設計を適用した場合、波長1625nmにおいてはクラッド径をそれぞれ136.3μm、131.4μmとすることで過剰損失を抑制可能であり、被覆構造を最適化することで標準被覆外径のファイバを実現する可能性を示唆した。波長1310nmにおいては 標準クラッド径である125μmで設計可能であることが分かった。また、XTにおいても波長1310nmではG.652、G.657相当のコアを使用した場合でも長距離伝送に必要な低XTを実現可能であることが分かった。
9月13日 11:30〜11:45 C棟 3F C306講義室 座長 相馬一之(住友電工)
B-10-12 |
間欠接着型テープ心線を用いたφ2mm光ファイバコード
○多木 剛・鯰江 彰・大里 健・音光貴仁(フジクラ) |
本セッションはB-13との関連セッションであり、先行の講演はB-13-26よりご覧ください。 |
近年,DC内の光ファイバケーブルに間欠接着型光ファイバテープ心線を適用し,光ケーブルの大幅な細径・軽量化や,融着作業時間削減を実現した.今回,間欠接着型光ファイバテープ心線を光ファイバコードに適用する検討を行った.融着作業性・コネクタアセンブリ性に優れ,また,曲げ方向性を有さない丸形光ファイバコードを開発したため,報告する.
B-10. 光通信システムB(光通信方式,光通信機器,デバイスのシステム応用,光通信網・規格)
9月10日 9:00〜11:30 C棟 3F C307講義室 座長 品田 聡(NICT)
B-10-13 |
非線形光ループミラーを用いたフルCバンドサブピコ秒光スイッチ
○平田綾也・廣岡俊彦・吉田真人・中沢正隆(東北大) |
B-10-14 |
非線形最尤系列推定を適用したO帯255-Gbps PAM-8伝送実証
◎谷口寛樹・山本秀人・中村政則・木坂由明(NTT) |
B-10-15 |
クロストーク信号劣化のガウス近似に関する検討
◎小松大祐・井上 恭・五十嵐浩司(阪大) |
B-10-16 |
Twin-SSB変調方法の比較検討
◎中川龍人・高梨裕也・柏木省吾・Damia D.B. Zainudin・中村守里也(明大) |
B-10-17 |
強度変調型Y-00光通信量子暗号の1,000km伝送実験
○二見史生・谷澤 健・加藤研太郎(玉川大) |
高速な光スイッチは、超高速光通信から光信号処理及びネットワークに至るまで多くの用途を有している。その中で、非線形光ループミラー(NOLM: Nonlinear Optical Loop Mirror)と呼ばれるファイバ型全光スイッチはKerr効果によってフェムト秒程度の応答速度を有するため超高速なスイッチングが可能である。今回、分散フラット高非線形ファイバを用いてCバンド全体にわたり広帯域動作可能な超高速(~650 fs)NOLMを作製した。本スイッチを用いて320 Gbaud OTDM (Optical Time-Division Multiplexing)信号の波長1528~1565 nmにわたるエラーフリー多重分離を実現したので報告する。
短距離光伝送を想定した直接検波方式において、非線形応答の影響を受けた波形劣化に対する耐力を向上するチャネル等化技術である非線形最尤系列推定の適用による、20-GHz帯域制限下で255-Gbps PAM8のO帯10-km伝送を実証する。
WDM伝送において, チャネル間クロストーク(XT)は伝送信号の劣化要因となる. XTによる信号劣化の定量的評価に際しては, XTをガウス雑音として扱うことが多い. 我々はこれまで, QPSK信号について, チャネル数が少ない時にはガウス雑音より劣化度は小さく, XTチャネル数増加につれてガウス雑音による劣化に近づくことを示した. 本発表では, これに関してさらに詳細に検討し, XTによる信号劣化はガウス雑音とは異なることを定量的に示す.
光SSB 方式は周波数利用効率が高いことや耐分散特性が優れていることから注目されている。さらにLSBとUSBで異なる情報を伝送するTwin-SSB 方式は、ガードバンド無しにスペクトルを密接して多重化できることや、シンプルな変調器構成で実現可能であることから検討が進められている。今回、3 つの変調方式について特性の比較検討を行ったので報告する。受信には、我々の提案する電気段のバタフライ演算方式を用いた。
ネットの安全性を高めるために物理層の安全性向上も求められる.我々は,雑音を利用し暗号文自体を盗聴者に隠すことを特徴とするY-00光通信量子暗号(以下,Y-00暗号)を用いて光通信回線の安全性向上を目指した研究に取り組んでいる.複数の基底で構成される多値信号を用いると暗号文を雑音で隠すことができる.これまで,強度変調型Y-00暗号トランシーバを開発し,波長多重通信方式やネットワーク応用の実証実験を行った.本稿では,光増幅中継伝送路で伝送実験を行い,1,000 km伝送に成功したので,安全性評価と合わせて,その結果を報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 中村守里也(明大)
B-10-18 |
時間領域/固有値領域における光固有値変調信号の雑音耐性
○佐藤慎悟・野口拓人・山本將平・三科 健・丸田章博(阪大) |
B-10-19 |
摂動逆散乱変換に基づく光固有値変調における雑音の影響の解析
○角淵敦基・丸田章博(阪大) |
B-10-20 |
差周波光発生による波長無変換型位相共役光生成
○岡村康弘・高田 篤(徳島大) |
B-10-21 |
位相感応型光増幅器の雑音特性評価指標の提案と劣化要因依存性
◎新居厚志・岡村康弘・高田 篤(徳島大) |
光ファイバ中の非線形性の影響を受けない固有値を用いた通信方式が近年注目を集めている.また,固有値を用いて多値変調信号を生成する方法の一つとして,複数の任意の固有値のON/OFF状態に情報を割り当てる変調方式が提案されている.我々は,時間領域のIQ成分をニューラルネットワークに入力する復調方式を提案し,ビット誤り率が改善することを示した.本稿では,提案する復調方法の利点を解析するために,時間領域および固有値領域における雑音耐性を調査した結果について報告する.
非線形シュレディンガー方程式を逆散乱変換によって解く際に用いる,随伴固有値方程式の固有値は,光ファイバの分散性および非線形性の影響を受けない理想的な情報キャリアであり,その特性を生かした光固有値変調方式が提案されている.しかし,固有値は伝送路中の光増幅器などによる雑音の影響を受ける.本稿では,摂動逆散乱変換に基づいて,雑音が固有値に与える影響を解析し,数値シミュレーション結果との比較を行っている.
中間位相共役光発生(OPC)は,光ファイバ伝送路の中間において信号光から光位相共役光(PC光)を生成し,それを伝送路後半に伝送させる事により,信号光が伝送路前半で受けた線形・非線形歪を補償する技術であり,ディジタル信号処理との併用により光非線形劣化の大幅な低減が期待できる.PC光の生成には本質的に波長変換が必要であり,波長無変換型OPCとしてサニャック干渉計と四光波混合(FWM)を用いた方式(FWM-OPC)が提案されている.しかし,干渉計内の分散性素子長が比較的長いため,自由スペクトル領域を狭窄してOPCの動作帯域幅を制限する.本稿では,差周波光発生を用いた波長無変換型OPC(DFG-OPC)を提案・理論的に検討する.
位相感応型光増幅器(PSA)は、入力光の同相成分に利得を与え、直交成分を減衰させる光増幅器である。PSAは、位相雑音を抑圧し波形整形効果を有するため、多中継光ファイバ伝送系における光増幅中継器として適用することにより再生中継間隔の延伸が期待できる。一般に線形増幅器の雑音特性の評価指標には雑音指数(NF: Noise Figure)が用いられるが、線形増幅器ではないPSAにおいても、これを同相成分の雑音特性評価に用いることができる。ところがPSAでは、同相方向と直交方向では雑音特性が異なる。本稿では、直交方向の雑音特性評価指標を提案すると共に、この雑音特性評価指標の値を決定づける物理的劣化要因との関係を理論的に定量化した。
9月10日 13:00〜17:00 C棟 3F C307講義室 座長 小金井洋平(富士通)
B-10-22 |
ニューラルネットワーク導入による長距離伝送光受信信号の復調性能検討(ANN・CNN性能比較)
◎上野信明・植之原裕行(東工大) |
B-10-23 |
2元誤り訂正を用いる多値光通信システム運用時の通信品質モニタ
○吉田 剛・松田恵介・近森 峻・備海正嗣・越川翔太・鈴木巨生(三菱電機) |
B-10-24 |
Tomlinson-Harashima符号(THP)を用いたIM/DD光PAM伝送への多次元符号化変調の適用
○菊池信彦・平井理宇(日立) |
B-10-25 |
次世代モバイルフロントホール用256 QAMオンライン双方向コヒーレント伝送
○吉田真人・管 貴志・葛西恵介・廣岡俊彦・岩月勝美・中沢正隆(東北大) |
B-10-26 |
256 QAM WDMオンライン双方向コヒーレント伝送を用いた次世代C-RANモバイルフロントホール
○管 貴志・吉田真人・葛西恵介・廣岡俊彦・岩月勝美・中沢正隆(東北大) |
現在,光通信システムにおいて,周波数利用効率向上を目的とした多値変調による大容量化の必要性が叫ばれる一方で,入力パワー増大に伴う非線形歪の影響により周波数利用効率が飽和するという問題がある.非線形歪の補償のため,DBPの研究が進められているが,性能には飽和傾向が残り,リアルタイム解析による計算複雑性が課題となっている.また,ANNなどの機械学習を用いた補償方法による性能改善も期待されているが,その詳細は更なる検討が必要と考えられる.本研究では,NRZ-QPSK信号に対するDBP・ANN・CNNによる補償性能・計算時間の比較検討を行ったので報告する.
通信システムには運用時のシステムマージン推定のためのモニタリングが不可欠である.光ファイバ通信では2元誤り訂正が広く利用されており,時間当たりの誤り訂正ビット数から訂正前性能を推定できる.一方,誤訂正やバースト誤り等,何らかの理由で訂正が正常動作しない場合には推定不能となる.したがって,送信ビット情報なし(ブラインド)で統計処理により求まるQ値等,より上流でのモニタリングも欠かせない.我々はこれまでに情報量をブラインド推定する方法を提案している.本稿では,その導出過程で得られるパラメータから従来の統計的なブラインドQ値が多値変調信号にも同様に定義できることを示し,その精度について議論する.
データセンタ内外を結ぶ短中距離データトラフィックが急速に増大し、400GbEに代表される短距離向け高速光ファイバ伝送の普及が期待されている。400GbEではPAM4方式の採用とともに変調速度も53GBaudまで高速化され、今後もさらなる変調速度の向上とこれに伴うパワーバジェットや送受光/電気部品の帯域不足が予想される。我々はその対策としてPAM伝送へのTHP(Tomlinson-Harashima Precoding)の適用を報告した。本報告では比較的簡素に符号化利得を得られる多次元符号化変調に着目し、THP-PAM変調への適用について検討を行った。
次世代大容量モバイルフロントホールを実現する光伝送方式として、我々は光注入同期を用いたデジタルコヒーレント多値伝送を提案している。本伝送システムでは送信用光源と局発光源を1 台のレーザに担わせており、非常に簡便な構成で大容量伝送を実現することができる。また、上りと下り信号のキャリア周波数を変えることにより後方レイリー散乱の影響を避けている。今回、FPGA送受信器を用いて偏波多重5 Gbaud, 256 QAM (80 Gbit/s)信号のSMF 26 kmオンライン双方向コヒーレント伝送に成功したのでその結果を報告する。
我々はこれまでに注入同期法を用いた大容量256 QAM WDM伝送技術をオフラインで研究してきている。今回、本伝送技術を用いて10 ch 256 QAM 双方向オンライン伝送システムを構築し、多値度の高いWDMモバイルフロントホールシステムの可能性を調べたので報告する。
休 憩(14:30 再開) 座長 芝原光樹(NTT)
B-10-27 |
デジタルコヒーレント光伝送における各種ファイバのGAWBS雑音特性
◎竹節直也・吉田真人・葛西恵介・廣岡俊彦・中沢正隆(東北大) |
B-10-28 |
デジタルコヒーレント光受信機の非線形応答補償技術の検討
◎松下明日香・中村政則・桑原昭一郎・堀越建吾・岡本聖司・西沢秀樹(NTT) |
B-10-29 |
階層化DMに基づく確率整形QAMの線形/非線形性能の検討
吉田 剛・○備海正嗣・近森 峻・越川翔太・松田恵介・鈴木巨生(三菱電機) |
B-10-30 |
強度平均化DBPによるDP-64QAM信号の歪み補償性能改善
◎高野 真・植之原裕行(東工大) |
B-10-31 |
QAM光コヒーレント受信機用広帯域・高速・低演算量ブラインド周波数オフセット推定器の性能評価
◎唐川健志・中川匡夫(鳥取大) |
導波音響波型ブリルアン散乱(GAWBS: Guided Acoustic-Wave Brillouin Scattering)は円柱構造を有する光ファイバ中で発生する熱音響振動モードとファイバ中を伝搬する光波の相互作用により生じる光位相雑音である。本研究ではヘテロダイン検波系を用いて160 km ULAF(Ultra-large area fiber), 160 km SSMF(Standard single-mode fiber)および150 km DSF(Dispersion-shifted fiber)の 3種類の光ファイバ伝送路中で発生するGAWBS位相雑音 を検出し、本雑音のファイバ依存性を明らかにした。さらにベクトル解析を用いてGAWBS位相雑音による位相揺らぎの大きさを測定し、GAWBS位相雑音がデジタルコヒーレント光伝送に及ぼす影響を考察した。
受信機デバイスの非線形応答補償技術を提案し、提案方式の適用により、64-GBaud対応HB-ICRを用いたときの64-GBaud PDM-64QAMのSNRが最大0.32 dB改善することを実験により確認した。
通信トラフィック需要の増加に経済的に応えるため、光ファイバ通信における運用単位光チャネルの大容量・広帯域化が進められている。光チャネル帯域内で信号対雑音比(SNR)に偏りが生じる際に、光チャネルを低速のサブチャネルに分け、確率整形(PS)を用いて各サブチャネルのエントロピーを最適化する方法が提案されている。一方、我々はPSの符号処理を低電力に実現する階層化分布整合と、そのサブチャネル多重への応用を検討してきた。ガウシアン通信路に最適化したPSでは、特に低シンボルレート時にファイバ非線形光学効果への耐力が劣る懸念があり、各劣化要因に対して良好なバランスを実現することが望ましい。本稿では、階層化分布整合により実現できる線形/非線形性能について解析したので報告する。
光通信システムの高い周波数利用効率獲得のため,光受信器の非線形補償により非線形シャノン限界の改善がなされているが,リアルタイムでの反復的な解析によって,その解析量が問題視されている.我々はこの課題克服のため,既存技術(DBP: Digital Back Propagation)の補償データ利用により信号推定の性能改善,解析量削減を目指している.今回は光増幅器間での光信号強度を平均化することで性能改善をするIA-DBP (Intensity Averaged-DBP)に関して検討した.本報告では,28Gbaud DP-64QAM信号に対するIA-DBPの性能を示す.伝送距離1200kmにおいて,同計算量の条件においてピークパワーが1dB増化し,Q値が最大で0.4dB増加,またDBPから75%の計算量においてQ値が0.1dB以内の性能を発揮することを確認した.
100Gbit/sを越える伝送速度を持つ次世代システムを実現する手段としてQAM(方式が広く検討されている.光デジタルコヒーレント通信では受信機において最大5GHzと大きな周波数オフセットを推定し補償する必要があるため,受信機には広帯域な周波数オフセット推定器が必要である[2].従来のフィルタを利用した粗推定器では収束時間が長くなる.一方,周波数スペクトルの重心周波数のずれを周波数オフセットとして算出する方法では収束時間を短くでき.さらに周波数スペクトルの周波数成分毎の電力を1ビット量子化行って重心を算出することで回路規模を削減することが提案されている.今回,これらの推定性能と演算量とを評価したので,報告する.
休 憩(16:00 再開) 座長 川本潤一郎(NHK)
B-10-32 |
Probabilistic Amplitude Shaping方式と多次元変調方式の特性比較
○那賀 明(茨城大) |
B-10-33 |
ナイキストWDMにおけるQPSK光信号コスタスループホモダイン検波
◎末次雄喜・水鳥 明・片山健夫(大分大) |
B-10-34 |
リアルタイム400Gbit/s/carrier信号の長距離フィールド伝送
◎齋藤航平・笹井健生・濱岡福太郎・河原光貴・関 剛志(NTT)・増田 陽・伊達拓紀(NTTコミュニケーションズ)・前田英樹(NTT) |
B-10-35 |
階層化分布整合に基づく圧縮Probabilistic ShapingのFPGA実装検討
吉田 剛・○近森 峻・備海正嗣・越川翔太・松田恵介・鈴木巨生(三菱電機) |
代表的な符号化変調方式であるPAS方式と多次元光変復調/BICM-ID方式の通信路容量特性とBER特性を比較した。
これまでに単一キャリアにおいて、QPSK信号の位相を用いたコスタスループによるホモダイン検波を達成している。今回はRoot Raised Cosineフィルタによりスペクトルを狭窄化し、キャリア間隔がシンボルレートと等しい3波長のナイキストWDM信号のホモダイン検波を目指す。コスタスループでは3つのキャリア信号が混在している。そこでループ内の位相誤差検出回路の直前にローパスフィルタを挿入することで不要な信号を除去し、位相同期を行うキャリア信号のみを通過させることによってホモダイン検波を達成した。同時にキャリア間隔分の周波数オフセットを用いることによって、隣接する信号を個別にホモダイン検波するのではなく、一括した復調にも成功した。
本報告では長距離スパンを有する局間伝送路への適用性を確認するため,ITU-T G.654.Eに適合するコア拡大低損失純シリカコアファイバを用いたフィールド伝送実験を実施した。1スパンあたり112.2kmの陸上伝送路においてEDFAおよび後方励起型分布ラマン増幅を用いて中継し,フィールド環境下におけるリアルタイムのPDM-16QAM信号(一波400Gbps信号)が10波長多重条件下にて2,019km以上伝送可能であることを示す.
通信トラフィック需要に応えるため,光通信の大容量化が求められている.多値の直交振幅変調(QAM)では達成可能情報量のシャノン限界からの乖離が大きいが,Probabilistic Shaping(PS)を組み合わせればシャノン限界への漸近が可能となる.通常,PSの性能と実装性はトレードオフがあり,回路実装は容易ではないが,階層化した分布整合(DM)を用いれば比較的小さな回路規模・消費電力にて高性能なPSを実現できる.階層化DMでは必要最小限の機能を追加することでPSに対して疑似的な圧縮効果を与える圧縮PSが実現できる.今回,その送信側/受信側符号処理をまとめて一つのField Programmable Gate Array(FPGA)に実装したので報告する
9月11日 9:00〜11:30 C棟 3F C307講義室 座長 鈴木巨生(三菱電機)
B-10-36 |
7コア、5モードファイバ用空間モード多重分離器の作製
◎小林 颯・津田裕之(慶大) |
B-10-37 |
19コアハイブリッド励起型マルチコア光増幅器のコア密度向上による省電力効果の向上
○松本恵一・竹下仁士・柳町成行・野口栄実・ル・タヤンディエ・ドゥ・ガボリ エマニュエル(NEC) |
B-10-38 |
励起光回収率向上によるMC-EDFAの消費電力削減
前田幸一・高坂繁弘・川﨑浩平・吉岡和昭・○杉崎隆一・塚本昌義(古河電工) |
B-10-39 |
リング型分布ラマンレーザー増幅を用いたDP-QPSK長距離伝送
○佐野明秀・小川誉行(立命館大) |
B-10-40 |
前置光増幅型の差動直接検波DPSK受信器の受信感度解析
河原光貴・五十嵐浩司・○井上 恭(阪大) |
過去に我々は、MPLCによってSMFアレイとFew Mode Multi Core Fiber(FM-MCF)の接続を行う多重分離器の提案を行った。本研究では、提案した多重分離器の動作を確認するために、多重分離器を構成する位相板の作製を行った。
著者らは中継器の消費電力削減に関して,コア数7のマルチコア光増幅器にクラッド励起とコア励起を同時に実施するハイブリッド励起方式を提案し,利用コア数や必要帯域ごとに得られる省電力効果を検証してきた.だが,クラッド励起によるC帯光増幅の効率が低く,十分な利得を得るためにはコア励起出力にて利得を補償する必要があった.そのため,増幅器の更なる電力削減にはクラッド励起の光増幅効率改善を図り,コア励起出力を低減することで,光源の消費電力を削減することが必須である.クラッド励起の光増幅効率改善には,ファイバ断面でのコア密度を向上することや,コア数を増大することが有効である.本研究では,コア数を19とし,ハイブリッド励起方式について省電力効果を検証した.
クラッド励起型MC-EDFAの励起光回収器の回収効率を向上させることによる7コアEDFAの消費電力低減の検討を行った。本技術の適用により励起光回生のない状態と比較して最大30%の消費電力低減が可能であることを確認した。
リング型分布ラマンレーザー増幅を適用した偏波多重QPSK信号の長距離伝送実験を行い、従来構成に比べて良好な伝送特性を確認した。
DPSK(Differential phase-shift keying)方式は同じ直接検波系であるOOK(On-Off keying)方式より受信感度が約3dB良いことが知られているが[1], 前置光増幅受信系のQ値 = (S1 – S0)/(σ1 + σ0))は両者でほぼ同じ(S:信号レベル、σ:標準偏差)であり,高感度である理由は実はよく分かっていない.本報告では, 前置光増幅型の差動検波DPSK受信器について,信号-自然放出ビート雑音の特性解析により,その高受信感度性の起源を明らかにする.
休 憩(10:30 再開) 座長 森 隆(アンリツ)
B-10-41 |
電界振幅を用いた光増幅特性の量子力学的定式化
○菊池和朗(学位授与機構) |
B-10-42 |
半導体光増幅器を用いた全光型フィードフォワード利得一定制御方式における信号光偏波無依存化の検討
○北村 心・増田浩次(島根大) |
B-10-43 |
送信ダイバーシィを用いた光無線通信特性の送受信器傾き角依存性
◎鶴見梨沙・今井崇雅(神奈川大) |
B-10-44 |
SS-OCT方式ディジタル光センサを用いたエッジ測定の一検討
◎山内隆典・後藤広樹・斧原聖史・三本 雅・今城勝治・藤江彰裕・鈴木巨生(三菱電機) |
エルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA) や半導体光増幅器(SOA) などの光増幅器の雑音特性は,光子数をパラメータとするマスター方程式を用いて解析されている。これに対して本論文では,光電界振幅をパラメータとする,光増幅器雑音の量子力学的定式化を行う。この定式化を用いれば,増幅された光電界の雑音の物理的起源が明確に示され,光増幅器を用いたコヒーレント光通信システムやストークスベクトル変復調システムなどの解析に用いることが可能となる。
半導体光増幅器を用いた全光型フィードフォワード利得一定制御方式における信号光偏波依存性の低減について検討を行った.ファラデー回転子ミラーを用いた制御光発生回路構成を提案し,その信号光偏波依存特性について実験評価した.提案構成において,制御光の信号光偏波依存性が~0.12dBに低減できることを明らかにした.
受信端末の傾き角変動を考慮した室内光無線伝送特性の評価が進められている。一方、各種ダイバーシティ方式の研究も進められている。本項では、送信ダイバーシティシステムにおける受信端末の傾き角変動を考慮した送信器設置角度の最適化方法の検討結果を報告している。
室内の2光源直下間を移動する端末の許容最大傾き角と送信器の最適設置角度ならびにそのときに得られる最小SNRの関係を示した。
IoTとの連携などによる付加価値向上により光センサの市場は拡大し続けている.従来の三角測距方式では測定光を対象物に対して斜めに入射させるため,角度が垂直に近いエッジの測定は困難であった.
今回我々は,エッジ測定の一方法として波長掃引型光干渉断層計(SS-OCT) をベースとしたディジタル光センサを用いた.本方式は照射光と反射光が同軸に存在し,対象物に対して垂直に照射することが可能である.この方式によって角度が垂直に近いエッジの測定が可能であることを確認する.
B-11. コミュニケーションクオリティ/イメージ・メディア・クオリティ
9月10日 9:30〜11:45 C棟 4F C403講義室 座長 満井 勉(光電製作所)
B-11-1 |
MIMO干渉評価用SDR送受信装置の特性
○八九勇樹・西森健太郎(新潟大)・戸部英彦(アイダックス) |
B-11-2 |
Probabilistic Amplitude Shaping方式における所要パイロットレートのレーザ線幅依存性
◎柿崎 武・中村政則・笹井健生・濱岡福太郎・木坂由明(NTT) |
B-11-3 |
ディペンダブルワイヤレス技術の通信性能評価
○太田大輔・城島貴弘・林 佑樹・鈴木 順・飛鷹洋一(NEC) |
近年,無線LANやスマートフォン,IoTデバイス等の普及に伴い,無線通信機器のユースケースは様々である.そのため,通信環境や使用目的に応じて適応的に対応する必要がある.これを実現する技術として,ソフトウェア無線 (Software Defined Radio : SDR) 技術が広く知られている.SDRでは,ハードウェア構成を変更せず,ソフトウェアの書き換えにより,周波数や通信方式等の変更が可能である.本稿では,MIMOを想定した干渉評価の基礎検討として,LTE簡易評価テーブルとSDR-MIMO送受信装置で測定したデータを用いて,本装置による接続試験結果を示す.
光伝送において、情報理論に基づき信号点配置の出現確率分布を最適化することによりRSNR(Required Signal-to-Noise Ratio)を軽減するPAS(Probabilistic Amplitude Shaping)方式が近年注目されている。しかし、AWGN通信路で最適化されたPAS方式ではレーザ線幅等に起因する位相雑音環境下でSNR利得の低下が懸念される。変調多値度が高い信号に対しては、パイロットシンボルを信号系列に挿入し、位相雑音を推定・補償する技術が有効である\cite{2}。本研究では、数値シミュレーションにより、PAS方式におけるレーザー線幅とパイロットレートの依存性を評価する。
工場など製造現場でのIoT導入では,粉塵や熱などの環境,設置スペースの課題,メンテナンス性などを鑑み,現場にはセンサーなど情報収集・制御に必要なI/Oデバイスのみを配置し,過酷な環境に対応できないサーバなどのIT機器を遠隔地に配置する構成が好ましく,また,製造ラインの頻繁な変更や作業効率の観点から,両者を無線で接続することが好ましい.
著者らは,コンピュータとI/Oデバイス間の接続を無線化し,かつ,製造現場のシステムで要求される低遅延・高信頼を実現するディペンダブルワイヤレス技術を提案している.本稿では,ディペンダブルワイヤレス技術の有効性について述べる.
休 憩(10:30 再開) 座長 安田真也(NEC)
B-11-4 |
ドローンメッシュネットワークにおけるMassive MIMOを用いた通信手法の一検討
○設樂 勇・進藤卓也・平栗健史(日本工大) |
B-11-5 |
移動端末を用いた観測に基づく無線トモグラフィの性能改善
○福田健人・松田崇弘(首都大東京)・小野文枝(NICT)・原 晋介(阪市大)・児島史秀・三浦 龍(NICT) |
B-11-6 |
制御サーバを二重化した遠隔制御走行車プログラムの実装
◎渡辺大郎・佐藤友彦・永井勇希・中村僚兵・葉玉寿弥(防衛大) |
B-11-7 |
通信網を介した遠隔走行車制御における制御サーバ二重化の効果
○佐藤友彦・渡辺大朗・永井勇希・中村僚兵・葉玉寿弥(防衛大) |
B-11-8 |
V2Xによる衝突警告システムのフレーム受信成功確率の分布範囲
○古沼勇人・高橋 快・塩田茂雄(千葉大)・平井健士・村瀬 勉(名大) |
ドローンは編隊飛行することで空中に大規模なネットワークを構築できるが,無指向性アンテナを用いた場合は,送信信号が広範囲に送信され,隣接端末への干渉となる恐れがある.そこで本稿では,この問題を解決するために,ドローンメッシュネットワークにMassive MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術を用いた場合の有効性の検討を行う.また,複数の通信リンクにフレームを分割して送信する方式を検討し有効性を確認したため報告する.
無線トモグラフィは,領域外に設置された無線端末間の受信信号電力より,領域内部の各地点における信号電 力の減衰量 (減衰マップ) を推定する手法である.本稿 では,移動端末を用いた無線トモグラフィの性能改善手 法について検討し,その性能評価を行う.本手法では, 異なる時刻で観測された観測値をまとめて無線トモグラ フィを構成するカルマンフィルタに入力することにより, 推定精度向上を実現している.
無人走行車(UV)の自動制御の基本的な仕組みを次のようなものと想定した。UVはその状態(位置rと速度v)情報を制御サーバへ送信する。制御サーバは、走行車が目的地点へ到達するように、走行車に対し走行スピード(|v|)と方向舵角(θ)の指示を送信する。この制御では、制御サーバからの入力に従って走行車が走行した結果が、状態情報として制御サーバにフィードバックされる。このような制御においては、通信ネットワークに対し常時接続性と低遅延性が求められるとともに、制御サーバに対して高い可用性が求められる。
本稿では、これらの要求に応える制御の仕組みとして、複数の制御サーバを同時に活用する方法を実装して評価した結果を述べた。
自動運転技術は、自動車の走行以外にも自動走行車いす・屋内物品自動配達・移動監視カメラ、などの様々な応用を可能にし、社会の効率化に寄与する技術として期待が高い。制御サーバが、走行車が目的地点へ到達するように、走行車に対し走行スピードと方向舵角の指示を送信し、走行車から送られてくる状態情報をフィードバック信号として時々刻々受信しながら走行を制御するという基本的な仕組みが考えられる。このようなフィードバック制御においては、通信ネットワークに対して常時接続性と低遅延性が求められる。遠隔制御において遅延時間が大きければ大きい程、速度が早ければ早い程、制御不能に陥る可能性が高くなる。本稿では、これらの要求に応える制御の仕組みとして、複数の制御サーバを同時に活用する方法を提案する。通信ネットワークの低遅延性の観点から提案法を評価した結果を示す。
車などの通信ノードがV2X通信により位置情報をブロードキャストしつつ,他の通信ノードからの位置情報に基づいて衝突の危険性を予見し,警告を発する衝突警告システムが検討されている.本稿では,警告用のフレームを受信できる確率が,干渉信号源となる車両の配置に依存することに着目し,車両配置を様々に変えて受信成功確率を求め,その分布範囲を評価した結果を示す.
9月11日 9:00〜11:45 C棟 4F C403講義室 座長 山岸和久(NTT)
B-11-9 |
グラフの次数ばらつきが 2 つのランダムウォークの初回接触時間に与える影響
○作元雄輔・大崎博之(関西学院大) |
B-11-10 |
Bitcoinネットワーク上でのブロック拡散遅延攻撃における攻撃者数の影響
◎山本将成・笹部昌弘・笠原正治(奈良先端大) |
B-11-11 |
データに基づく影響最大化アルゴリズムのTwitterデータを用いた評価
◎永瀬拓也・津川 翔(筑波大) |
B-11-12 |
グラフ上の影響伝搬におけるランダムサンプリングの効率性に関する一検討
◎脇坂悠生・山下量之(関西学院大)・津川 翔(筑波大)・大崎博之(関西学院大) |
B-11-13 |
ネットワーク炎上の事例分析:最近のTwitterでの事例を元に
○中島圭佑・塩田茂雄(千葉大) |
グラフ上のランダムウォークは様々な分野で活用されており,その理解を深めることは新たな活用法の発見や既存アルゴリズムの改良に役立てられる.初回接触時間は複数のランダムウォークに対する基礎的な量であり,異なるノードから開始した複数のランダムウォーカが同一ノードで初めて出会うまでの時間として定義される.これまでに,規則的なグラフにおける初回接触時間に着目した解析は数多くの研究で行われている.しかし,一般的なグラフを対象とした研究は我々の知る限りほとんど存在しない.我々はスペクトラルグラフ理論に基づく方法により 2 つのランダムウォークの接触を解析し,それらの初回接触時間の性質として,(a) 初回接触時間の期待値が2 つのランダムウォークの始点ノードによらないこと,(b) グラフの次数ばらつきが増加すると初回接触時間の期待値が減少すること,を明らかにする.
Bitcoinシステムでは,ネットワーク上の各ノードが同じBitcoinプロトコルに従い,ブロックを速やかに拡散することが期待される.
一方で,Bitcoinクライアントはオープンソースで開発されており,悪意のあるノードが改変することも可能である.
先行研究では,ブロック転送時に設けられた正規のタイムアウト制御を攻撃者が悪用することで,隣接ノードに対するブロックの伝搬を遅らせる攻撃(ブロック伝搬遅延攻撃)の可能性が指摘されている.
本稿では,特定のマイナー(ブロックの生成を試みる特別なノード)が複数の攻撃者と結託し,競合するマイナーの生成したブロックの拡散を妨害する,ブロック拡散遅延攻撃という新たなリスクに着目する.
シミュレーション評価により,攻撃者の数がブロック拡散遅延攻撃のリスクに与える影響を明らかにする.
ソーシャルネットワークにおいて影響力の強い少数のノード(シードノード)の集合を特定する影響最大化アルゴリズムの研究が活発に行われている。影響最大化アルゴリズムはソーシャルメディア上でのバイラルマーケティングなどへの応用が期待されている。従来の影響最大化アルゴリズムの多くは影響伝播モデルに基づき、影響力の強いシードノードを特定する。影響最大化の新たなアプローチとして、過去の影響伝播の実データに基づきシードノードを特定するアルゴリズムも提案されている。データに基づく影響最大化アルゴリズムは、有望な手法として期待されているものの、その有効性の評価は限定的にしか行われていない。本稿では、データに基づく影響最大化アルゴリズムを、Twitterのデータを用いて評価することで、従来の文献とは異なる条件におけるその有効性を明らかにする。
近年、口コミマーケティング等への応用の期待から、ソーシャルネットワークにおける影
響最大化問題が活発に研究されている。ネットワークのトポロジが未知であるようなネッ
トワークにおいて効率的な影響伝搬を実現するためには、ソーシャルネットワークの一部
をネットワークサンプリングによって部分的に取得する上で、サンプルノード数を適切に
決定しなければならない。本稿では、数学的解析により、トポロジ構造が不明であるよう
な大規模ネットワークにおいて、ランダムなノードサンプリングと次数順にシードノード
を選択するという基本的なアルゴリズムを用いた時の、被影響ノード数の期待値を求めた。
実社会で様々な事象が発生すると,Twitter等のSNSに関連する内容の書き込みが多数投稿され,ピークを迎えたのち沈静化する事例が観察される.なかでも批判的な投稿が多数を占める事例は「炎上」と表現される.炎上の事例では,SNSへの一つの投稿を発端とするケースが少なからず見られる.本稿では,このようなTwitter上の最近の炎上事例を取り上げ,その特徴を分析する.
休 憩(10:30 再開) 座長 津川 翔(筑波大)
B-11-14 |
リンク付加とリンク保護の組み合わせによるネットワーク高信頼化設計問題
◎矢野皓己・巳波弘佳(関西学院大) |
B-11-15 |
システムの信頼性評価における指数分布近似の妥当性
野間 篤・和田彰俊・○林 正博(東京都市大) |
B-11-16 |
統計的データ集約に基づく適応的集約個数制御方式の特性評価
◎奥澤柚太・杉原龍之介・平栗健史・大田健紘・吉野秀明(日本工大) |
B-11-17 |
ルーチング確率を用いたネットワークトモグラフィの実用性検証に向けた一検討
○田行里衣・池上大介(NTT)・川原亮一(Toyo Univ.) |
B-11-18 |
ICNへのネットワークトモグラフィ適用可能性に関する一分析
○川原亮一(東洋大)・田行里衣・池上大介(NTT) |
情報ネットワークにおいては,故障時でも通信を継続できることが必要である.本稿では,リンク付加とリンク保護を組み合わせることにより,最小限のコストで高信頼ネットワークを設計する問題を定式化し,多項式時間で解ける条件および近似解が多項式時間で得られる条件を示す.
本研究では,大規模なシステムにおいて,故障発生が指数分布に従うと見なせるかという問題について,必ずしも直並列システムを前提とせず,しかも,非修理系をも対象とした検証を行った.修理系,かつ,直並列システムを対象とした研究はすでに行われているが,今回対象とするシステムについては,指数分布に従うことを実証するための数値実験アルゴリズムが,最近に至るまで効率的ではなく,検証が困難であった.しかし,効率的かつ簡便な方法が最近登場したことから,今回の検証が可能となった.検証の結果,修理系においては指数分布とみなせる可能性が高いが,非修理系では,必ずしもしすう分布とはみなせない.
遅延要件が厳しいIoTアプリケーションを実現するためには、センサデータを集約するIoTゲートウェイにおける遅延の抑制が重要な課題である。本稿では,統計的データ方式を対象に、最適集約個数推定式に基づく制御方式と到着率をパラメータとしたときの平均遅延時間の近似特性に基づく制御方式の性能を比較・検証する。
本稿では,対象とするネットワークトポロジに対応した現実的な遅延時間のシナリオに対してルーチング確率を用いたネットワークトモグラフィを適用することで,本手法の実用性を検証する.
著者らはこれまでに,Information-Centric Networking (ICN)へのネットワークトモグラフィ適用方法を提案してきた.提案手法では,従来のトモグラフィのように始点・終点ノードペア毎のエンドエンド品質測定値とルーチング情報を入力とする代わりに,コンテンツ名を始点とした品質測定値とコンテンツの(確率的な)ルーチング情報を用いる.本稿では,簡易な評価モデルを用いて,まずICNの実現方式のうち基本的な方式を想定した場合の提案手法の動作例を示し,次にNamed Data Networking (NDN)への適用を想定した分析を行い,課題を述べる.
9月11日 13:00〜17:00 C棟 4F C403講義室 座長 塩田茂雄(千葉大)
B-11-19 |
WiSMAによる無線リソース動的制御 ‐ 複数RF 環境における端末帰属先制御
○アベセカラ ヒランタ・中平俊朗・村上友規・石原浩一・林 崇文・鷹取泰司(NTT) |
B-11-20 |
ヘテロジニアス無線ネットワークにおける通信品質要求を考慮した基地局割当てシステムの実装
○西村大地・篠宮紀彦(創価大) |
B-11-21 |
無線LAN-APの受信電波強度値を利用した機械学習による屋内位置推定の一検討
◎早田健斗・牟田 修(九大) |
B-11-22 |
分散クラウド上の効率的なアプリケーション配置を考慮したMECアーキテクチャーの一検討
◎城 哲・福元徳広・蕨野貴之・鈴木理基・鈴木悠祐(KDDI総合研究所) |
デバイスおよび利用アプリケーションの多様化が進んでいることから, 今後のリソース制御においては, 多種多様なサービスへの即時対応や環境変化に対する素早い追従生が求められる.本稿では, 複数無線インタフェース(RF)を有するアクセスポイント(AP)が存在する環境において, 端末の環境変化に応じて帰属先RF を動的に変更することでユーザスループットが大きく改善できることを簡易実験を用いて評価する.
近年,ユーザ端末上のアプリケーションが扱うデータ通信量の増加にともない,公衆無線Wi-Fi基地局の利用率は高まっている.特に,人が混雑している場所では,通信品質が悪化する可能性がある.ユーザ端末と基地局との間のミスマッチが品質悪化原因の一つと仮定すると,Quality of Experimence(QoE)を向上させるためには端末を適切な基地局に接続する必要がある.本研究では,ユーザ端末で使用されているアプリケーションが必要とする通信品質から,適切な基地局に割当てるシステムを実機端末に実装し,割当て状況や処理時間から検証した.
屋内で低コストに測位を実現する技術として,予め作成した受信電波強度(RSS)情報のデータベースに基づき位置推定を行う方式(Fingerprint)が知られている.しかしながら,無線信号のRSSは周辺の地物による反射・散乱・回折等により大きく変動するため,特に反射物等の多い屋内では位置推定精度の向上が課題となる.近年,機械学習を活用した屋内測位・行動支援等の検討がなされている.本稿では,機械学習の一方式であるSVM(Support Vector Machine)を導入することでFingerprint法における位置推定精度を改善する方式について検討する.大学構内の既存無線LANアクセスポイントを利用した実機実験により, 測位精度が改善できることを明らかにした.
Multi-access Edge Computing(MEC)に関心が集まっている.MECはユーザーデバイス近傍の移動体網等で処理を行い,低遅延応答やトラフィック削減を可能とする技術である.MEC内の限られた計算資源を補完するため,データセンター(DC)と組み合わせた分散クラウド構成が検討されているが,その場合はアプリケーション(App)の効率的な分散配置が求められる.MECを含む分散クラウドにおけるApp 配置問題では,ユーザー動態に起因するMEC hostへの負荷集中や,DC 内の処理増加に伴うMEC-DC 間のトラフィック急増等,状況に応じて効果的なApp 配置を計算するための目的関数や制約条件等が流動的に変化する.そのため,MECを含む分散クラウドでサービスの安定供給を行うには,NW 情報やApp が提供するサービスの状況を分析し,目的関数や制約条件等を更新する仕組みが必要となる課題がある.本課題に対し,機能要件を整理し標準MECアーキテクチャー[1]の拡張を机上検討した.
休 憩(14:15 再開) 座長 黄 平国(星城大)
B-11-23 |
目的地の情報がユーザの移動の意思決定に与える影響
◎石田 翼(早大)・矢守恭子(朝日大)・田中良明(早大) |
B-11-24 |
通信不調の原因帰属に対するICT利用行動および心理要因の影響
○塚常健太・新井田 統(KDDI総合研究所) |
B-11-25 |
クラウドセンシングにおけるカバレッジと質を考慮したインセンティブの最適価格決定手法
○△天野圭貴・水野 修(工学院大) |
B-11-26 |
Webページの特徴がWeb品質に与える影響の評価
○小川秀貴・河野太一・池上大介(NTT) |
B-11-27 |
PESQによる ハンズフリー拡声通話音のQoE評価の検討
○栗原祥子・福井勝宏・原田 登(NTT) |
無線LANでは,端末の競合や晒し・晒され端末によって通信品質が著しく劣化することがある.そこで,ユーザを移動させることで,品質劣化を改善する方法が提案されている.その提案では,通信品質のヒートマップを提示する誘導に比べ,移動先のアクセスポイント(AP)周辺画像を提示する誘導の有効性を示している.その提案では混雑度に着目しているが,移動先の環境(設備)については考慮していない.本稿では,移動のインセンティブとなる移動先の情報をアンケート調査により明らかにし,移動確率を高める情報提示について議論している.
通信不調に直面したPCや携帯電話のユーザが,その原因を通信ネットワーク上の構成要素に帰属させるとき,選ばれる構成要素(端末そのもののトラブル,通信事業者,サーバ等)の組み合わせには一定のパターンが存在する.本研究ではこの原因帰属パターンに影響を及ぼす要因として,ICT利用に関する行動傾向と主観的容易性(苦手意識)を想定し,影響の有無を構造方程式モデリング等の方法により分析する.適用対象はweb調査データである.分析の結果,高度なICT利用と主観的容易性の間には強固な相関があったが,原因帰属に対する影響は限定的であり,PCの原因帰属パターンについてのみ主観的容易性の影響が見られた.
豊富なセンサを備えたモバイル端末が急速に普及している.一般ユーザが所持する多くのモバイル端末から,センサデータを収集し,統合・解析することで環境モニタリングなど幅広い分野に利用される,クラウドセンシングが期待されている[1].図1にクラウドセンシングの概要を示す.しかし,参加者は報酬なしではクラウドセンシングに参加することをためらうことが予測できる.従って,モバイル端末所有者を増やすためのインセンティブメカニズムは重要である.本報告では逆オークション理論を用いてクラウドセンシングに参加するユーザに参加する最低価格を提示させ,最適な価格を決定するインセンティブメカニズムを提案する.
Web ページの処理時間(以降,Web 品質)は,コンテンツプロバイダの収益や体感品質と関連があり,重要な指標である.我々はこれまで,Web 品質を把握するために,多数のWeb ページを対象として,NW 品質が変化する場合のWeb 品質推定に取り組んできた.
本稿では,異なる特徴を持つWeb ページが,Web 品質に与える影響を評価した結果について報告する.
これまで筆者らは,ハンズフリー通話の品質をより簡単にかつ的確に評価するため,受聴による主観評価とPESQによる客観評価の検討を進めてきた.筆者らが提案する受聴試験とPESQ評価の間には強い線形相関の関係があり,ハンズフリー通話やAECの評価法として有効であることは試験の結果から確認されている.しかしながら,受聴試験によって会話試験と同等の結果が得られるか,またPESQ評価から会話試験結果を推定できるかが未確認であるため,会話試験を実施して確認する必要があった.本稿では,AECを考慮した会話試験を提案するとともに,会話試験の結果とPESQ評価との関係性,ならびに,インカーコミュニケーションの評価への応用の可能性について述べる.
休 憩(15:45 再開) 座長 中口俊哉(千葉大)
B-11-28 |
ITU-T勧告P.1203モデルのタイルベースVR映像配信への適用
◎小池正憲・浦田勇一朗・山岸和久(NTT) |
B-11-29 |
タイルベース360度映像配信時の適応レート制御手法の性能評価
◎篠原裕矢・金井謙治・甲藤二郎(早大) |
B-11-30 |
機械学習による植物の果実や花の識別のための特徴量の検討
○福山英亮・星野祐希・進藤卓也・平栗健史(日本工大) |
B-11-31 |
映像のノイズレベル検出アルゴリズム
◎森 千夏・合志清一(工学院大) |
B-11-32 |
スパース性に基づく3DCG画像のノイズ除去に関する画質評価
◎河畑則文(東京理科大) |
タイルベースVR映像配信では視聴方向の変更に伴って低画質領域が表示され,品質劣化が知覚されるため,2D映像の視聴の際に知覚される品質劣化とは異なる.本稿では,2D映像の品質推定技術であるITU-T勧告P.1203.3モデルをタイルベースVR映像配信に適用可能か評価した結果を報告する.
近年,Virtual Reality (VR) の普及に伴って,高品質かつ低通信量な360 度映像配信の需要が高まっている.これまで筆者らは,サポートベクターマシン(SVM)を用いた360 度映像視聴時の視野予測の精度評価や簡易な配信シミュレーションを行なってきた.本稿では,新たに 360度映像のタイルベース配信手法における適応レート制御手法を4種類紹介し,シミュレーションによって各手法の性能を評価する.
現代のスマート農業では機械化によって,人間の代わりに農作業を行う技術が開発されてきた.しかし,依然として農業には,人間の視覚や触覚,経験に基づいた作業が必要とされる.本研究では,これらの感覚や経験的な作業方法を,機械学習によって実現する.本稿では,その取り組みの一つとして,機械学習を用いたトマトの花と実の識別の実験を行い検討する.
4K,8K放送が開始し、臨場感ある映像を楽しめるようになった。高解像度の撮像デバイスでは撮像素子単位の受光面積が減少し、相対的にノイズが増加する.映像や画像のノイズ低減技術にノイズリデューサ(NR)があるが、NRを適切に動作させるには,映像に含まれるノイズレベルに応じてNRのパラメータを調整する必要がある.これまで提案されているノイズレベル検出法の多くは静止画向けであり,映像のリアルタイム処理に適していない.本稿ではリアルタイム処理が可能なノイズレベル検出法を提案する.
画像の高精細化,高品質化により,大量の画像データを処理する機会が増えてきている.画像処理を行うにあたって,高品質で高速に処理を行うことが可能であれば良いが,必ずしも高品質な環境とは限らず,画像データをどのように表現していくかは重要である.画像データを表現するために,辞書をあらかじめ用意し,その要素からできる限り少ない組み合わせで画像データの入力の一部または全体を表現するスパースコーディングを用いた画像処理手法が今までに研究されてきている.しかし,画質の観点から,どの程度の要件を満たせば,意味のある画像表現として,スパースコーディングが有効に活用できるかという議論はなされておらず,検証する必要がある.本稿では,まず,辞書学習を用いてノイズを3DCG画像に付加し,その後,スパース性を考慮してノイズ除去を行った.そして,画像処理の前後では,PSNRを測定し,どの程度,画質評価値が最終的に改善しているのかを考察した.
B-12. フォトニックネットワーク
9月11日 9:00〜11:45 B棟 1F B107講義室 座長 中川雅弘(NTT)
B-12-1 |
パリティ検査行列の拡張とマスキングによる冗長度可変LDPC符号の提案
○石井健二・吉田英夫・小西良明・久保和夫・杉原隆嗣(三菱電機) |
B-12-2 |
Telemetryを活用した光伝送装置の監視機能に関する一検討
○吉兼 昇・釣谷剛宏(KDDI総合研究所) |
B-12-3 |
容量期待値保証型ルーティングの大規模網への適用性評価
○岡本 聡・松野将大・村上正樹・山中直明(慶大) |
B-12-4 |
SDN技術と光無線通信技術の連携による動的通信経路変更
◎戸巻潤也・笠 史郎(明大) |
B-12-5 |
プロトコル無依存リンク多重化技術の開発
○光野正志・豊田英弘(日立) |
光通信網への通信容量拡大の要求に伴いスペクトル効率向上を実現する技術が注視されている.それら技術の一つとして,伝送路に合わせた誤り訂正符号の冗長度の制御がある.光通信で用いられるLDPC(low density parity check)符号の冗長度を可変する方法として,ショートニングやパンクチャが一般的に知られている.しかしそれらは動作周波数増加に伴う電力増加や,情報削減による性能劣化が大きくなる課題があった.今回,性能劣化抑制と省電力を実現しうる冗長度可変LDPC符号について提案する.
本稿では,光伝送装置の監視機能について,TelemetryとNETCONF(Network configuration protocol)を用いた場合の監視情報量と情報転送完了時間に関する比較検討結果について報告する.
マルチパスルーティングとネットワーク機器の故障予測を組み合わせることで,光パス設定時に指定された容量期待値を提供する容量期待値保証型ルーティング (ECGR)を提案している.本稿では,ルーティング経路計算手法にk-shortest Pathを適用し,大規模網への適用性を評価した結果を報告する.
近年,スマートフォンやモバイル端末の増加により通信トラフィックが増加している.そのため,通信の大容量化の手段として光無線通信が盛んに研究されてれいる.光無線通信は空間伝搬光を用いて通信を行うために,光路の遮断等の影響を受けやすい.SDN(Software-Defined Networking)技術では,障害検出やその代替ルートへ切り替えのための様々な手法が考案されている.そこで,本論文では,SDN技術を用いて光無線通信経路を通過するパケット統計を元に通信の健全性の監視を行い,通信障害が発生した際には通信経路の変更を行うシステムを提案する.実験を行った結果,光無線通信経路に障害が発生しすると有線経路に切り替わり,通信が安定して行われていることを確認した.
大規模データセンタを実現するためには,異なるリンク層プロトコルや伝送レートに対応し,これら多数の低速リンクを論理多重し,大容量リンクに集約する多重化技術を確立することが必要である.そこでリンク層プロトコルや伝送レートに依存しない,物理層によるビット多重を用いたリンク多重化技術を提案する.本提案技術は,様々なプロトコルと伝送レートに対応し,低速リンクを論理多重・分離することができるので,多段のフレーム処理が必要になる従来のデータセンタに比べて,ネットワークの伝搬遅延を少なくすることが可能となる.
本報告では,提案したプロトコル無依存リンク多重化方式の動作検証を目的として,提案方式の機能をFPGA(Field-Programmable Gate Array)に実装し,更にFPGAを搭載した方式検証機を用いた動作検証結果について述べる.
休 憩(10:30 再開) 座長 笠 史郎(明大)
B-12-6 |
中継増幅機能を早期応急復旧する可搬型L帯光増幅器
○白岩雅輝(NICT)・Ray Man(Amonics)・淡路祥成・和田尚也(NICT) |
B-12-7 |
19コアクラッド一括励起型EDFAの双方向伝搬によるクロストークの低減
○前田幸一・高坂繁弘・川崎浩平・吉岡和昭・杉崎隆一・塚本昌義(古河電工) |
B-12-8 |
マルチコアファイバ対応CDC-ROADMのジョイントスイッチ構成
○渡邉俊夫・山内 航・永山 務・福島誠治(鹿児島大) |
B-12-9 |
PSLネットワークにおける光バースト増幅を考慮したノード構成の検討
○中川雅弘・益本佳奈・恩田英俊・松村和之(NTT) |
B-12-10 |
多段・長距離バースト伝送に向けたダミー信号による過渡応答抑制実験
◎益本佳奈・中川雅弘・松田俊哉・恩田英俊・松村和之(NTT) |
近年の大規模災害により,通信の耐災害性向上の重要性が再認識されている.我々は応急復旧した移動体無線通信サービスの輻輳緩和にも役立つ,壊れた光ネットワークの早期応急復旧技術の研究開発を進めている.
通信局舎が津波で流された地域でも地下に埋設された光ファイバは使用可能な状態であった.壊れた通信装置の代わりに光増幅器を接続することで中継増幅機能を応急復旧させ,迂回させていたトラヒックを元の光ファイバに戻すことが可能になり迂回伝送路のトラヒックを減らすことができる.
本稿では,広域光通信に使用されているL帯光信号の中継増幅機能を応急復旧する,消費電力を抑えた可搬型の光増幅器を試作したので報告する.
クラッド一括励起型マルチコアエルビウム添加光ファイバ増幅器のコア間でのクロストークは、マルチコアファイバを用いた伝送実験においての距離を制限していた。MCFのXTは伝搬方向の双方向化によって抑制される。しかし六方最密構造の19コアEDFの場合、完全な双方向伝搬配置は不可能である。本稿では、六方最密構造19コアEDFAの伝搬方向の最適パターンを考察する。双方向化した19コアクラッド一括励起型EDFAを実証し、XT低減の効果を確認する。
異なるコアを伝播する連続波長の光信号のグループで空間スーパーチャネルを構成することにより、既に実用化されている光導波路型マルチキャストスイッチを用いて、マルチコアファイバに対応したROADMノードのコストを20~30%程度低減できることを示した。
著者らはメトロ網の低コスト化に向けPSLネットワークの検討を進めている.PSLネットワークでは光バースト信号を活用して広域に分散したトラヒックを効率良く収容できる.一方,光バースト信号を多中継伝送する必要があり,光アンプで発生し得るオーバシュートを抑制可能なアンプ方式ならびにノード構成の検討が必要不可欠である.本稿では,光バーストアンプ方式の選択肢を述べた上で,メトロ網に適したノード構成を提案し,その特性を議論する.
筆者らは,メトロ網の低コスト化に向けて光TDMネットワークについて検討しており,その要素技術としてクランプ光を用いて過渡応答抑制を可能とするバースト光増幅技術の検討を進めてきた.クランプ光パワーが大きいほど過渡応答を十分に抑制できることが知られているが,クランプ光源として他バーストトランシーバからのダミー信号を用いた際,クランプ光パワー不足・非線形光学効果の影響から,長距離バースト伝送の可否が懸念される.
そこで本稿では,商用環境下において12スパンの多段・長距離バースト伝送実験を行った.その結果,過渡応答を抑制し,エラーフリー伝送を実現したので報告する.
B-13. 光ファイバ応用技術
9月11日 9:00〜11:45 C棟 3F C306講義室 座長 愛川和彦(フジクラ)
B-13-1 |
Optically Amplified Feedback-Circuit Scheme for Optical Measurement Applications with Significantly Improved Optical-Power Resolutions
○Hiroji Masuda・Kokoro Kitamura(Shimane Univ.) |
B-13-2 |
Output wavelength dependence of the performance of an optically amplified feedback circuit
○△Biswajit Biswas・MD Syful Islam・Kokoro Kitamura・Hiroji Masuda(Shimane Univ.) |
B-13-3 |
Loop Loss Dependence of the Performance of an Optically Amplified Feedback Circuit
○Md Syful Islam・Biswajit Biswas・Kokoro Kitamura・Hiroji Masuda(Shimane Univ.) |
B-13-4 |
光パルス試験における接続点推定の改善
○本田奈月・納戸一貴・押田博之(NTT) |
B-13-5 |
Propagation Mode Retention at Fiber Bending Region Using Strongly Coupled Multi-Core Fiber
○Mahmoud Nasef・Kantaro Fujimoto・Jiang Haisong・Kiichi Hamamoto(Kyushu Univ.) |
We clarified OPR characteristics of our proposed OAFC scheme by numerical simulations. The OPR was significantly improved by a factor of 72.8 when we used the scheme. The minimum OPR was as low as 0.00137 dB at the case that the OPR of the photo-diode module was 0.1 dB.
We proposed a novel optical-power variation sensing method using the configuration of an OAFC and investigated wavelength dependence of the performance. We experimentally confirmed that the slope S increased when the wavelength of the OBPF decreased. The slope S yielded a maximum value of 381 at the wavelength of 1548 nm.
We proposed a novel configuration of an OAFC for investigating loop loss dependence of the performance. We experimentally confirmed that the slope S increased when the wavelength of the OBPF decreased. The slope S yielded a maximum value of 403 at VOAring value of 0 dB.
光パルス試験における融着接続点の波形解析において, 接続点推定の改善手法を提案し, 検討結果について報告する.
Strongly coupled MCF is studied in propagation mode retaining capability as regular multi-mode fiber has an issue of mode crosstalk. As a result, mode retention characteristics of 5dB at 80mm bending radius, has been successfully confirmed.
休 憩(10:30 再開) 座長 高坂繁弘(古河電工)
B-13-6 |
二つの周波数差を用いたBOTDAによるFMF接続点の損失測定
◎小田友和・中村篤志・飯田大輔・押田博之(NTT) |
B-13-7 |
傾斜利用ブリルアン光相関領域反射計による単一モード光ファイバ中の偏波ビート長の分布測定
◎李 煕永・野田康平・水野洋輔・中村健太郎(東工大) |
B-13-8 |
OTDRによるモード間クロストークを有するファイバの損失測定法
○中村篤志・岡本圭司・小田友和・押田博之(NTT) |
B-13-9 |
線形光サンプリングを用いたDMD解析のためのスペクトル伝達行列の測定
○大坂祐樹・伊藤文彦(島根大)・飯田大輔・真鍋哲也(NTT) |
B-13-10 |
マルチモード光ファイバ伝送特性の周波数領域における詳細測定技術に関する基礎研究
◎小山拓也・翁 祖楷(早大)・稲垣惠三(NICT)・川西哲也(早大) |
数モードファイバ(FMF)を用いたモード分割多重通信では,モード依存損失(MDL)が伝送容量を制限する要因となるため,FMF伝送路の接続点で発生するモード毎の損失測定が重要である.本稿では,軸ずれ接続点で発生する第一高次モード(LP11)の損失に着目し,LP11の電界分布に依存した損失変動を測定した結果を報告する.
大容量通信において複屈折誘起の偏波モード分散が大きな問題となっており、複屈折の局所的な情報である偏波ビート長の分布測定法として、ブリルアン光相関領域反射計(BOCDR)を用いた手法が知られている。BOCDRは、光ファイバに沿った温度や歪の分布を測定する手法である。これまでに、通常のBOCDRを応用することで、片端光入射・高分解能・長距離レンジの3つの利点を併せ持つ偏波ビート長の分布測定が実証された。しかし、(1) 比較的遅い測定速度、および、(2) 歪や温度の分布測定との切替が比較的煩雑、という課題があった。そこで本発表では、最近提案された高速歪・温度分布測定法「傾斜利用BOCDR」を偏波ビート長の分布測定に応用することで、上記2つの課題を克服した。
軸ずれ接続によるクロストークに依存しないOTDRベースの損失測定法について報告する.
伝送容量の拡大にむけた検討として、空間多重伝送技術(SDM)の研究・開発が行われている。SDMで用いられるマルチモードファイバやマルチコアファイバの線形システムを知るために、複素インパルス応答およびそのフーリエ変換によって得られるスペクトル伝達行列(STM)を求めることは重要である。マルチモード伝送路のSTMは入力モードと出力モードの全ての組み合わせの間で定義されるため、モード数Nに対してN×N行列で定義される。偏波保持ファイバのSTMは2つの偏光モードが存在する。このSTMを解析することでモード依存損失および群遅延時間差(DMD)などのファイバ伝送路設計に必要な値を知ることができる。本研究では線形光サンプリング法をとインパルス応答を時間多重する方法を組み合わせ、偏波保持ファイバのDMDの解析を行ったので報告する。
SMF一本あたりの伝送容量が理論限界に近づき、近年はFMFやMCFといったSDM技術による伝送容量の拡大に注目が集まっている。また、光ファイバはコア径が大きいほど接続が容易になるため、車載ネットワークの光化などでは、コストの面からMMFの利用が望ましい。MMFでは低コスト化を目指して、VCSELなどの線幅の大きい光源と組み合わせたシステムが主に検討されてきた。本稿ではファイバ内の伝搬を解析するために、狭線幅レーザとVNA(ベクトルネットワークアナライザ)を用いた構成による精度の高いMMFの伝送特性測定を検討した。線幅の狭いファイバレーザを用いることで、モード間干渉の影響をより詳細に観測することが可能となることが期待される。
9月12日 11:00〜11:45 C棟 3F C306講義室 座長 高橋正典(古河電工)
B-13-11 |
4コアファイバのクラッド直径の公差に対する損失特性の考察
○半澤信智・松井 隆・野添紗希・寒河江悠途・中島和秀(NTT) |
B-13-12 |
3次元導波路内蔵MTコネクタを用いた異種光ファイバ接続の検討
◎山下陽子・和田雅樹・松井 隆・阿部宜輝・中島和秀(NTT) |
B-13-13 |
ハイパワー光伝送による光コネクタのファイバ引込みへの影響
○深井千里・阿部宜輝・高谷雅昭・小山 良・片山和典(NTT) |
本セッションはB-10Aとの関連セッションであり、先行の講演はB-10-6よりご覧ください。 |
4コアファイバにおいて、各コアにランダムな偏差を付与し、加えてクラッド直径の公差が接続損失に与える影響を試算したので、その結果について報告する。
一般に,マルチコア光ファイバ(MCF)と異種光ファイバの接続はFan-In/Outデバイスを介して実現される.本稿では,3次元導波路を内蔵したMTコネクタによる異種光ファイバの着脱接続について検討し、MTフェルールへの固定精度の改善が重要であることを明らかにしたので報告する.
現在,情報通信における伝送容量は増大しており,今後,更なる大容量化が想定される.大容量化に伴って伝送光パワーも増大するため,ハイパワー光伝送における光コネクタの影響を把握することは非常に重要である.これまでに異種ファイバを内蔵したSCコネクタへのハイパワー光伝送において,光損失とアダプタ表面温度の相関を見いだし,0.1 W以上の光損失においてコネクタ表面温度が上昇することを報告した.一方,コネクタは環境温度に依存してファイバが引込むことが知られている.今回,SCコネクタにハイパワー光を伝送し,コネクタ中のファイバ位置が初期状態よりも引込むことを確認したため報告する.
9月12日 13:45〜16:30 C棟 3F C306講義室 座長 小田拓弥(フジクラ)
B-13-14 |
低吸収率7コアEDFAの増幅特性
○高坂繁弘・前田幸一・川崎浩平・杉崎隆一・塚本昌義・吉岡和昭(古河電工) |
本セッションはB-10Aとの関連セッションであり、先行の講演はB-10-7よりご覧ください。 |
コア吸収率が2.5 dB/mと低いことを除いて従来の7コアEDFと同一特性の7コアEDFを作製し、その増幅特性を測定した。Cバンド増幅に最適なEDF長は33mと長くなり、出力パワーは15.3 dBmであった。従来の7コアEDFAの増幅特性との比較により、吸収率・条長積と出力パワーは、コア吸収率にほとんど影響を受けないことを確認した。
休 憩(14:15 再開) 座長 山本義典(住友電工)
B-13-15 |
単峰型標準クラッド径マルチコアファイバのフルバンド伝送への適用性
○松井 隆・寒河江悠途・野添紗希・坂本泰志・中島和秀(NTT) |
本セッションはB-10Aとの関連セッションであり、後続の講演はB-10-10よりご覧ください。 |
近年,マルチコアファイバ(MCF)を用いた超大容量伝送が高い関心を集めており,長尺MCFの製造性や標準的な周辺技術の活用の観点から,標準クラッド径MCFが検討されている[1].MCFの多くはXT低減のためトレンチ型屈折率分布を用いられている.一方,従来の単一モードファイバ(SMF)は一般的に製造性に優れる単峰(SI)型を採用しており,アクセス・メトロNWなど汎用的に用いられている.そのためSI型の標準クラッド径MCF(SI-MCF)は,製造性の向上と同時に既存NWとの互換性にも優れると期待できる.
本稿ではSI-MCFの設計およびフルバンド伝送への適用性について検討したので報告する.
休 憩(15:15 再開) 座長 古敷谷優介(NTT)
B-13-16 |
テラヘルツ波用誘電体内装中空光ファイバの伝送損失スペクトル解析と低損失化
◎柴田諒介(東北大)・片桐崇史(富山大)・松浦祐司(東北大) |
B-13-17 |
スペックル照明用ファイバプローブを用いた蛍光内視鏡
○大久保享一(東北大)・片桐崇史(富山大)・松浦祐司(東北大) |
B-13-18 |
波長依存スペックル照明を用いた単一ファイバイメージング―ファイバ長が画質に及ぼす影響―
◎久保田達也(東北大)・片桐崇史(富山大)・松浦祐司(東北大) |
B-13-19 |
中空光ファイバガスセルを用いた真空紫外吸収分光法による呼気分析
◎工藤祐大・松浦祐司(東北大) |
B-13-20 |
光ビート法による光周波数コムのスペクトル帯域の測定
○上原知幸・辻 健一郎(防衛大) |
金属管の内壁に誘電体層が形成された誘電体内装中空光ファイバは,誘電体材料およびその厚さの適切な選択により,テラヘルツ(THz)領域において低損失伝送が可能となる.今回は内径2.2 mm,長さ30 cmのファイバを製作し,テラヘルツ時間領域分光法(THz-TDS)を用いて伝送損失測定を行った.また得られた損失スペクトルから,ファイバ内を伝搬するTHz波における高次モードの干渉の検討を行い,高次モードであるHE12モードの励振を確認した.さらに,入射ビーム径の測定を通して低周波数領域における結合損の影響を確認し,より大口径となる内径3.3 mmファイバの製作を行った結果,1 THz付近で低損失な特性を得ることができた.
スペックル構造を持つ励起光を照明に用いた蛍光イメージング法を内視鏡へ実装するためにファイバプローブを設計し,製作した.ファイバプローブは,複数本のマルチモードファイバ(MMF)から構成され,先端には内視鏡用のレンズを取り付けた.従来の内視鏡の鉗子口に挿入されたファイバプローブは,スペックル構造を持つ励起光を照射し,その照射パターンに応じた蛍光スペクトルを検出する.得られたデータから圧縮センシングにより蛍光像を再構成する.実証実験では,蛍光試料の位置と大きさを推定するために十分なコントラストでの蛍光像再構成に成功し,今回製作したファイバプローブの有用性について確認した.
我々の提案する単一ファイバイメージングシステムにおいて,ファイバ長が画質に及ぼす影響について検討した.本システムはダブルクラッドファイバを基礎とした伝送系とステップインデックス型マルチモードファイバを基礎としたスペックル生成器から構成され,波長可変レーザにより制御される照明光パターンと反射光の観測データから反射像を再構成する.長さが2 mと0.6 mのマルチモードファイバを用いて得られた画像を比較したところ,ファイバの短尺化に伴う画質の劣化が確認された.また,条件数の概算からスペックル構造に不安定要因があることが示唆された.
呼気の成分分析はさまざまな疾病の診断方法として期待されている.そこで中空光ファイバをガスセルとして利用し,紫外分光器と組み合わせた簡易なシステムを用いて呼気中イソプレン濃度の定量分析を行った.また今回は測定波長を真空紫外領域に拡張し,さらに多種の成分分析を行うためのシステムを構築した.まず従来用いていた内径1 mmのファイバに替えて内径2 mmのアルミニウム内装中空光ファイバを作成したところ,約3 dB/mの低損失化が達成された.また真空紫外―紫外領域において呼気の吸収スペクトルを測定したところ,真空紫外領域において酸素以外の吸収ピーク群が存在することを確認した.
近年、光の干渉によりマイクロ波やTHz波を生成し電波の届きにくい山間部、ビルの高層階や地下設備でも通信を行うための研究、すなわちマイクロ波フォトニクスの研究が盛んに行われている。マイクロ波フォトニクスによる通信は、限られた閉鎖空間のみでの通信も可能となるため、秘匿性・抗堪性に優れた通信も可能となる。
本研究では、マイクロ波フォトニクスに用いる基準光源として1オクターブ以上に広がった光周波数コムを用いることを考えている。本発表では、光ビート法により光周波数コムのスペクトルが1オクターブ以上に拡大することを確認したことを報告する。
9月13日 9:00〜11:30 C棟 3F C306講義室 座長 荒生 肇(住友電工)
B-13-21 |
様々な需要分布様相に適応可能な光アクセス網構成法の検討
○大野槙悟・戸毛邦弘・川高順一(NTT) |
B-13-22 |
最適所内配線に向けた光ケーブル積み上げ量推定の検討
○川野友裕・寺川邦明・藤本達也・片山和典(NTT) |
B-13-23 |
3D点群データより生成されたポールモデルからの支柱特定手法
◎松田重裕・大平隼也・五藤幸弘(NTT)・本多竜二(NTT西日本)・押田博之(NTT) |
B-13-24 |
点群データを用いた道路横断ケーブルの地上高測定手法
○五藤幸弘・押田博之(NTT)・本多竜二(NTT西日本) |
B-13-25 |
柱状構造物の劣化診断における固定式3Dスキャナ活用の検討
○井上雅晶・清水智弥・押田博之(NTT) |
大容量移動通信サービスの普及に伴い移動通信基地局数は増加し続けており,今後の光アクセス網としては固定通信だけでなく基地局向け光需要に対しても効率的収容・即応性確保が重要となる.本報告では,基地局数増加に伴い光需要分布が不均一化することを想定し,様々な不均一需要分布様相に適応可能な配線トポロジ設計法を提案する.複数の需要分布パターンに基づく網構築シミュレーションにより提案法の有効性を検証したので,これについて報告する.
IoTや5Gの進展によりデータセンタの重要性がますます高まっている.また,サーバ類の高性能化により、発熱容量も増加しているため,サーバ類を冷却する空調のコストの抑制が大きな課題となっている.我々は,フロア構造として多い二重床下構造における空調効率を考慮した光ケーブル配線設計法に着目し,障害物(光ケーブルの配線パターンの違いによる光ケーブル積み上げ量)が空調気流に与える影響について,検討を行った.
本稿では,二重床下に配線される光ケーブルの配線ルートをモデル化し,光ケーブル積み上げ量(断面積)を実験的に明らかにした.
モービルマッピングシステム(MMS)を用いて計測した3D点群データより生成されたポールモデルから支柱を特定する手法を検討し、その実用性を検証したので報告する。
我々は,モービルマッピングシステム(MMS)を用いて取得した点群から電柱やケーブルなどの構造物をモデル化し,電柱たわみやケーブル地上高を定量的に測定する技術を開発している.定量的な測定のためには,点群から対象物ごとにアルゴリズムを用意しモデル化する必要がある.そこで,点群からモデル化を行わず,安全上必要な道路横断ケーブルの地上高を測定する手法を提案し,その実用性を検討したので報告する.
今回、固定式3Dスキャナを用いることで狭隘地域の電柱の3D点群データの取得及び点検作業を効率化することへの適用を検討したので報告する。
休 憩(10:30 再開) 座長 相馬一之(住友電工)
B-13-26 |
砥粒刃と引張破断を用いたファイバカッタの切断特性評価
○小山 良・阿部宜輝・高谷雅昭・片山和典(NTT) |
B-13-27 |
MACアドレスキャプチャ技術の心線方向無依存化に関する検討
◎植松卓威・廣田栄伸・飯田裕之・安部直嗣(NTT) |
B-13-28 |
既設ケーブルを利用したドロップケーブルの筒雪化対策
○山根 拓(NTT)・河内 敦(TOSYS)・恒川英士・川高順一(NTT) |
B-13-29 |
鳥虫獣害対策用細径高密度光ケーブルの開発
○丸尾勇太・遠藤洋平・山田裕介・鉄谷成且・泉田 史・谷岡裕明(NTT) |
本セッションはB-10Aとの関連セッションであり、後続の講演はB-10-12よりご覧ください。 |
メンテナンス不要なファイバカッタを目指し,傷深さが一定となる砥粒刃と一定張力による引張破断を用いたファイバカッタを試作し,切断回数282回以上,鏡面半径25μm以上であることを確認した.一方,2°以下の端面角度出現率77.4%は従来の80%以上より劣り,課題の残る結果となった.
光アクセス網の線路保守作業の高効率化に向けて,曲げた光ファイバ心線からの漏洩光を取得し,漏洩光からMACアドレスを抽出するMACアドレスキャプチャ技術が検討されている.本技術ではONUからの上り信号光を光分岐部で取得しMACアドレス解析部で解析する.従来技術では片方向の漏洩光のみ取得可能であるため,作業現場において上り信号光の伝搬する方向を把握し,その方向に合わせて光ファイバ側方出力装置をセットする必要がある.しかし,作業現場ではONU上り信号光の方向を把握することや,心線を逆方向にセットすることが困難であることが多くあり,心線方向に関係なくONUのMACアドレスを取得できることが望まれている.そこで本報告では,心線方向に依存しないMACアドレスキャプチャ装置の実現に向け検証を行ったので,その検証結果を報告する.
ドロップケーブルを既設ケーブルの下をくぐらせて敷設することで、ドロップケーブルに付着する筒雪の成長を抑制する架渉方法を考案し、モデルによる数値計算で評価した。その結果、既設ケーブルとドロップケーブルの引留位置と2本のケーブルの弛度の差を十分小さくして架渉することで、ドロップケーブルに筒雪が付着してもドロップケーブルの張力が設計張力を下回る敷設条件が存在することを示した。
鳥や虫,小動物などの食害を受けるエリア(鳥虫獣害対策エリア)においては,光ケーブルの強度を高めるために,PE外被の内側にステンレステープを設けた,スロット構造の光ケーブルが適用されている.この従来のHSケーブルは,施工時に専用の工具を必要とするが,慎重に作業を進めないと光ファイバ心線を傷付ける恐れがあり,作業に時間を要している.また,ケーブル自体も硬く重いため,取り回し性が低い.そこで,心線保護と機械特性の両立し,かつ作業性を向上させた鳥虫獣害対策用の細径高密度光ケーブルを開発したので報告する.
9月13日 13:00〜16:30 C棟 3F C306講義室 座長 成瀬 央(三重大)
B-13-30 |
OFDRを用いた振動分布測定における振動起因の周波数変調に対する耐力
○岡本達也・飯田大輔・押田博之(NTT) |
B-13-31 |
周波数多重位相OTDRを用いた分布振動計測方法
◎脇坂佳史・飯田大輔・岡本圭司・押田博之(NTT) |
B-13-32 |
汎用単一モード光ファイバを用いた放射線モニタ
寺井達哉・○久保田寛和・三好悠司(阪府大) |
B-13-33 |
コヒーレントヘテロダイン検波を用いた後方散乱光の位相特性解析
◎武井菜々子・笠 史郎(明大) |
光周波数領域反射計測を用いた振動分布測定において,レイリー後方散乱光の光スペクトルの統計的性質を解析することにより,振動起因の周波数変調に対する耐力が存在することを示す.光スペクトル解析長さが長いほど,耐力を持つ.また実験によって耐力を表す妥当な指標であることを示す.
光ファイバケーブルの敷設状態の把握に向けて、ケーブルに加わった振動を高感度に検出可能な位相OTDRを検討している.位相OTDRでは,コヒーレンスの良いレーザを用いる必要があるため,複数の散乱点からの干渉により散乱光強度が小さく位相検出ができない地点が多く発生するフェーディングが問題となる.その対策として,周波数多重による平均化の方法を検討したので報告する.
放射線環境モニタリングへの適用を考え、汎用SMFにガンマ線照射を行なった際の損失増加を波長780 nmのOTDRを用いて測定し、0.25 dB/(km・Gy)の感度が得られた。
従来の後方散乱光を用いたファイバの複屈折測定法では、後方散乱光の振幅がスペックル雑音を伴っているため、精度の良い測定ができなかった。後方散乱光の位相を解析を行えば、複屈折等の値をより正確に測定できる可能性があると考え、本論文ではコヒーレントヘテロダイン検波を用いて後方散乱光の位相特性解析を行った。最初に連続光に光SSB変調器を用いて光FSK変調を行い,コヒーレントヘテロダイン検波を用いて光位相を測定した。測定できた光位相から瞬時周波数を求め、ローパスフィルタをかけた。その結果から、パルス幅が適切に変復調できていることを確認した。続いて40kmの光ファイバを用いて後方散乱光の測定を行った。同様に光の瞬時位相を解析して、複屈折の影響などについて考察した。
休 憩(14:15 再開) 座長 杉崎隆一(古河電工)
B-13-34 |
ブリユアン周波数シフトを用いた光ファイバの振動測定
◎野澤汐里・笠 史郎(明大) |
B-13-35 |
2パルス信号を用いた新しいブリルアン相関解析法
◎△川上翔平・鷺坂優介・伊藤文彦(島根大)・飯田大輔・真鍋哲也(NTT) |
B-13-36 |
辞書学習によるブリルアンゲインスペクトル観測値のノイズ低減
◎清水省吾・成枝秀介・成瀬 央(三重大) |
B-13-37 |
ブリルアンゲインスペクトルモデルあてはめによる楕円環周方向ひずみ計測の模擬実験
◎北村祥太・成枝秀介・成瀬 央(三重大) |
ブリユアン散乱光の周波数シフト量は歪みや温度によって変化することが知られており、この性質は光ファイバセンシング技術として用いられている。しかしながら、従来の技術では、測定できる振動周波数が低い点が課題として挙げられる。そこで、コヒーレントヘテロダイン検波技術を用いた、光ファイバの振動測定を行った。入力パワーを+10dBmに設定し、誘導ブリユアン散乱状態の測定を行った。ブリユアン散乱の実験系にファイバストレッチャーで2kHzの変動を加えたところ、入力信号の周波数に対応する周波数スペクトルと、その高調波成分が確認できた。さらに、得られた瞬時周波数変動は一定値ではなく、機械的振動が時間的に揺らぎを持っていることがわかった。
ブリルアン散乱は、光波と音響波の相互作用によって起こる散乱現象の1つであり、光ファイバに加わる歪みや温度の分布センシングに用いることができる。正弦波周波数正弦波周波数変調信号またはランダムコード位相変調を用いるブリルアン光相関領域解析法(BOCDA)は、高い空間分解能と高速な測定を実現する優れた方法であるが、装置構成が複雑である、空間分解能と測定距離レンジが連動するなどの課題もある。今回我々は、音響波寿命以下の間隔で配置した2つのパルスを用いて、高い空間分解能とスペクトル分解能を両立する新しいブリルアン相関法を提案する。本方式は、比較的簡単な信号構成により、様々な空間分解能と距離レンジに柔軟に対応可能な利点を有すると考えられる。なお、ブリルアン時間領域反射計(BOTDR)において2パルス信号を適用した検討があるが、相関領域法への適用は筆者の知る限りない。
ブリルアンゲインスペクトル(BGS)周波数シフトのひずみ依存性を利用するひずみ計測では、BGS観測値に含まれるノイズによってひずみがばらつくため、その低減が重要であり研究が進められている。本稿では、この低減への辞書学習の適用可能性を調べる。その結果、BGS観測値のノイズ低減に辞書学習が有効であることをシミュレーションによって、明らかにした。
ブリルアンゲインスペクトル(BGS)のモデルを観測値にあてはめる環状構造物周方向のひずみ計測方法が提案され、数値シミュレーションによって有効性が確認されている。楕円環や荷重負荷装置の製作が困難なため、ここでは楕円環で観測されるBGSと同じ形状のBGSを観測する模擬実験によってこの計測方法の有効性を調べる。
休 憩(15:30 再開) 座長 飯田大輔(NTT)
B-13-38 |
両端固定支持によるヘテロコア光ファイバ式加速度センサの曲率半径による周波数応答特性への影響
○門倉美幸・山崎大志・西山道子・渡辺一弘(創価大) |
B-13-39 |
カンチレバー型ヘテロコア光ファイバ加速度センサのたわみに対する応答特性
◎松尾明人・門倉美幸・山崎大志・西山道子・渡辺一弘(創価大) |
B-13-40 |
[EMIM][BF4]を用いたヘテロコア光ファイバCO2センサ開発のための基礎的な検討
◎鈴木光弘・西山道子・渡辺一弘・井田旬一(創価大) |
B-13-41 |
グレーデッドインデックス型フォトニック結晶ファイバを用いた歪みセンシングの理論検討
○横田浩久・今井 洋(茨城大) |
光ファイバセンサは小型、細径、軽量な光ファイバの構造的な特徴を有し、航空宇宙分野においても幅広いアプリケーションが期待される。しかし、宇宙空間における実証例は少なく、コスト効率が高く、温度予測が困難な環境下でも正常に動作するセンサシステムの開発が望まれている.これまで筆者らは、振動情報に着目しコスト効率の高い計測システムでセンサ部における温度依存性が極めて小さく、光ファイバの曲率変化を検出できるヘテロコア光ファイバセンサを用いて、ファイバ自体を梁とした加速度センサの提案を行ってきた。本稿では、両端固定支持の光ファイバ梁に与えた曲率半径に対する周波数応答特性の評価を行ったので報告する。
近年,機械の異常診断やロボット制御などの分野で環境変化にロバストな加速度センサの需要が高まっている.これまでに,耐電磁誘導性・耐腐食性に優れた光ファイバセンサが提案されている. そこで本研究では,緩やかな曲げに対し鋭敏なヘテロコア光ファイバを用いたカンチレバー型加速度センサを提案する.本稿では,カンチレバー状に保持されたヘテロコア光ファイバ加速度センサの基本特性としての静的たわみおよび正弦波振動に対する応答特性を報告する.
建築物衛生管理法では, 衛生的な室内環境を維持するためにCO2濃度を1000 ppm以下にすることが義務付けられており, CO2センサが導入されている. 近年は光ファイバセンサの研究が進んでいる.
我々が開発しているヘテロコア光ファイバセンサは, センサ部に伝送路よりも小さいコア径のファイバを挿入した構造により,伝搬光をクラッド層へ漏洩させ, 外界と相互作用させる. そのため, 機械的強度を大きく失うことはない.
そこで, 表面プラズモン共鳴を利用したヘテロコア光ファイバCO2センサを提案する. 媒質には, 常温・常圧でCO2を吸脱着するイオン液体である, 1-Ethyl-3-methyl-imidazolium tetrafluoroborateを用いた. 本研究では, 本センサのCO2検出の可能性と媒質のファイバ表面への固定を検討した.
空孔径を半径方向に変化させたグレーデッドインデックス(GI)型フォトニック結晶ファイバ(PCF)の両端に通常のPCFを接続した構造において,GI型PCFに歪みを印加した際の透過スペクトル変化を理論的に明らかにした.歪みを印加することで透過スペクトルは長波長側へシフトし,その極小値が増加することが示された.
B-14. 情報通信マネジメント
9月11日 10:30〜11:30 C棟 2F C203講義室 座長 大石晴夫(NTT)
B-14-1 |
負荷分散型bandwidth calendaring法の最適性に関する一評価
○松村龍太郎・辻野雅之(NTT) |
B-14-2 |
IoTネットワークにおける管理装置配置の一検討
○岩田桂一・平井博昭・小野良司(三菱電機) |
B-14-3 |
ネットワーク障害箇所推定ルールの高度化技術に関する検討
◎浅井文香・金井俊介・田山健一(NTT) |
B-14-4 |
冗長構成を考慮したサービス影響把握方式の検討
○西川翔平・佐藤正崇・村瀬健司・深見公彦・田山健一(NTT) |
ユーザのトラヒック需要を空き時間にシフトするトラヒック運用を可能とする,bandwidth calendaring問題(BWC)と呼ばれるネットワークの混雑を踏まえてユーザ需要が要求する帯域の受け入れの利用開始時間と経路を同時に考える問題を取り扱う.著者の一人は,帯域割り当て後,後続に到着する需要をできるだけ多く収容するようにするため,負荷分散の観点を考慮した非線形コスト関数からなる負荷分散型BWC問題(LB-BWC)を設定し,利用開始時間と経路決定を段階的に実施する発見的手法を提案した.本稿では,この最適性評価を行った.
IoTネットワーク内に配置するIoT管理機器をコスト面から最小数にしつつ、運用を安定させられるIoT管理機器の配置箇所や数を求める方法を検討している。本発表では、組み合わせ爆発が起きる方法を用いた場合の配置箇所を求める計算時間のIoT機器数などのパラメータによる変化を報告する。
ルールベースでの障害被疑箇所特定技術の分野では、複数の被疑可能性からひとつに絞るために、障害箇所および要因を特定する精度の高いルールを作成することが求められている。本稿では、既存技術では定義できなかった精度の高いルール生成手法を提案する。
通信サービスの多くはマルチレイヤで実現されている上,通信サービス毎に異なるOpSで管理されているため,通信サービスを跨いだ迅速かつ正確な影響把握が困難である.これまで我々は,NW情報を汎用的に保持可能なNW管理アーキテクチャを用い,通信サービスやレイヤを跨った障害影響把握を実現する方式を提案してきた.しかし,多くの通信サービスは冗長構成で実現されており,障害発生時に通信サービスが全断か一部経路断かを迅速に影響把握する必要があるが,従来技術では冗長構成を考慮したサービス影響把握が実現できていない.本稿では,冗長構成を考慮した汎用的なサービス影響把握の方式を提案する.
B-15. センサネットワークとモバイルインテリジェンス
9月11日 9:00〜11:45 B棟 1F B108講義室 座長 西尾理志(京大)
B-15-1 |
MEMS加速度センサにおける近赤外線感光性の一調査
◎加藤拓也・横田浩之・屏 雄一郎・野垣内 出・宇都宮栄二(KDDI総合研究所) |
B-15-2 |
アラーム音源識別性能向上のための環境雑音除去に関する基本検討
◎橋爪裕貴・門倉 丈・田中 博(神奈川工科大) |
B-15-3 |
UAV高度計測のための気圧センサ評価
○小川将克(上智大)・荒井昌和(宮崎大) |
B-15-4 |
自転車の一時停止違反検知法とその閾値の有効範囲に関する一考察
◎田中 翔・高見一正(創価大) |
B-15-5 |
光学式測距センサを用いた小型車両カウンタにおける車長算出手法の検討
◎恋塚 葵・加藤拓也・宇都宮栄二(KDDI総合研究所) |
Micro Electro Mechanical Systems(MEMS) 技術により近年のセンサデバイスは小型化・省電力化され,小型電池による屋外でのユースケースも提案されている.筆者らは害獣侵入防護柵における侵入検知に関する取り組みを行っており,その中でMEMS加速度センサの活用を検討している.
通常,MEMS加速度センサは電源電圧や温度に依存して測定値にオフセットが加わるため,屋外利用においては外部環境に注意する必要がある.これらの特性はデータシートに記載があり,オフセットを考慮して測定値を補正することで,より正確な値を算出することができる.しかしながら,一部のMEMS加速度センサにおいては,太陽光の照射によっても漏れ電流が発生しオフセットが加わることがある.この感光性はデータシートに記載されていない場合もあり,屋外測定時には暗黙的に対処する必要がある.本稿では,太陽光に含まれる各種波長光線照射試験とその結果について述べ,近赤外線が一部のMEMS加速度センサの測定値に影響を与えうる事例を示す.
当研究室では聴覚に障がいのある人や耳が遠くなった人に向けて,ニューラルネットワークの技術をベースとした室内で発生する各種アラーム音を一元的に識別しユーザ端末に報知するシステムを検討している.しかし,本システムが適用される環境ではアラーム音以外にも掃除機の音や,テレビから出る音など様々なノイズ音が存在していると考えられるため,アラーム音が鳴っている際にノイズ音が存在したとしても正しく識別する必要がある.本報告では,識別をする前にノイズを除去することで正しい識別結果が得られると考え,様々なノイズを除去することができるSpectral Subtraction法とDenoising AutoEncoderを用いてノイズ除去の検討を行った結果を述べる.
UAVを利用して,牧場における植物成長を観察することを目指している.UAVの高度と,UAVから植物への距離により草丈を計測する.しかし,UAVの高度は,飛行中に変動するため,一定の高度を保てない.そのため,気圧センサを利用して,高度を計測することを検討する.
本稿では,3機種の気圧センサ(Sensor B,Sensor I,Sensor O)を比較する.LiDARで計測した床面からの高度と気圧値との相関により,各気圧センサを評価する.
自転車の安全な運転において,交通ルール理解は重要な要素である.しかしながら,自転車運転者間での交通ルール理解の浸透は完全とは言い難い.交通ルール理解の向上を図るためには,児童期における交通ルール学習の機会増加が有効である.自転車利用早期から違反行為を認識する機会を家庭で設けることで,安全運転意識の向上を期待できる.
著者らは自転車の違反運転検知システムをすでに提案している.本稿では,そのGPSによる位置情報を用いた一時停止違反検知法の標識モデル及び検知ロジックとその閾値について,シミュレーションにより有効範囲を評価した.
筆者らは,駐車場混雑度の把握や交通量調査などを低コストかつ簡易に実施するための車両カウンタの研究開発を進めている.本カウンタは,1箇所に角度をつけて設置した2台の光学式測距センサにより,車両の側面判定と前後面判定を行うことで,人や歩行者が通過する環境下においても車両のみを識別しカウントする.本稿では,この車両カウンタを用いた車長算出方法を検討する.車両のカウントだけでなく,車長の算出が可能となれば,車種の大小に応じた駐車場混雑度の把握やより高精度な渋滞状況の予測などへの応用が広がる.これまで,数m程度の間隔を開け平行に設置した複数のセンサにより,車長を算出する手法は提案されてきたものの,本車両カウンタのように,一つの筐体中に隣接して設置した測距センサを用いた手法は考えられていない.本稿では,2つの車長算出手法を提案し,車体の形状とカウンタに対する走行角度の影響を緩和することにより,5cm以下の正確度で車長算出可能であることを示す.
休 憩(10:30 再開) 座長 太田 能(神戸大)
B-15-6 |
A Study on Liquid Holdup Prediction in Oil and Gas Wells Using a Decision Tree Regression Predictive Model
○Meshal Almashan・Yoshiaki Narusue・Hiroyuki Morikawa(The Univ. of Tokyo) |
B-15-7 |
折りたたみ 3D 印刷の提案と形状に対する双安定性の評価
○野間裕太・鳴海紘也・奥谷文徳・川原圭博(東大) |
B-15-8 |
ローリングシャッタを利用したイメージセンサ可視光通信復調法の一検討
中村恭子・○岡田 啓(名大)・和田忠浩(静岡大)・小林健太郎・片山正昭(名大) |
B-15-9 |
マルチカメラを用いた深層強化学習による ミリ波通信プロアクティブハンドオーバ
○香田優介・山本高至・西尾理志・守倉正博(京大) |
B-15-10 |
機械学習を用いたカメラ映像上のユーザと無線LANに接続された端末の対応づけ
○小園涼太・守倉正博・西尾理志・山本高至(京大) |
Early detection of liquid holdup (HL) in oil and gas wells is needed to reduce the maintenance downtime and thus increase production. The existing approaches ignored the heuristic feature importance of the input parameters to the predicted HL values. In our study, a boosted decision tree regression (BDTR) model is built for predicating HL in oil and gas wells. For the built model, the most important input feature in estimating HL is the superficial gas velocity (Vsg). Results show that, the proposed BDTR model outperforms the best empirical correlations and the fuzzy logic model used in estimating HL.
現状の3Dプリンターは造形スピードが遅く,形状によってはサポート材を大量に消費してしまう.そこで,物体を高さ方向に折りたたんだ状態で 3D プリントし,後で展開させることができれば,造形時間及びサポート材消費を大幅に節約でき,3Dプリント 技術の可用性を大きく広げることができる.
本稿では,自立する最も簡単な物体として,同心円状のポップアップ構造を折りたたんだ状態で印刷し,その双安定性が厚さ・一段あたりの高さ・ 曲率に応じてどのように変化するのか分析した.
本研究では液晶ディスプレイを送信機,携帯端末搭載のカメラを受信機として用いるイメージセンサ可視光通信を想定する.送信機と受信機は互いに独立したクロックにより動作しているため,送信機による送信画像の表示の切り替えのタイミングと受信機による撮影のタイミングとの間に時間ずれが発生する.このずれにより,受信機は切り替え前後の2枚の画像が混合した画像を取得してしまう.また,携帯端末に搭載されているCMOSイメージセンサでは,ローリングシャッター現象により,連続する2枚の画像の混合割合が各走査線で異なるという現象が発生する.そこで本研究では,パイロット信号を付加し,混合画像中の復調可能な部分を検出し復調する手法を提案する.提案手法の実機実装及び通信実験を行い,その有効性を評価する.
カメラ画像を用いたプロアクティブハンドオーバ制御において,深層強化学習によりその制御則を獲得する方式が提案されている.本発表では,当該方式での複数カメラの活用を提案しその実現可能性を示す.
光学カメラと画像処理はユーザコンテキストを推定する方法として広く利用される.一方,映像上のどの人が,ネットワーク上のどの端末のユーザなのかを対応付けする必要がある.人の動作と端末で計測した加速度をもとに人と端末の対応付けを行う方法は従来から検討されているが,これらの手法では,歩行速度や人の行動について,対応付け可能な条件が限定される.
そこで本項では,カメラ映像上の人から得られる情報と携帯端末から得られる情報から特徴量を抽出し,機械学習を用いることで人と端末の動きの類似度であるマッチングスコアを出し,人の様々な動作に適用可能なユーザと端末の対応付け手法を提案する.
9月11日 13:00〜17:00 B棟 1F B108講義室 座長 佐藤健哉(同志社大)
B-15-11 |
Web of Thingsにおける複数機器からの同時アクセス時のパケットロスに対する一考察
◎大園倖暉・森 慎太郎・大橋正良(福岡大) |
B-15-12 |
VANETを用いた緊急車両優先走行のための適応型ブロードキャスト法
○北川湧己・Alberto Gallegos・野口 拓(立命館大) |
B-15-13 |
駐車車両搭載クラウドソース基地局によるスマートシティ向け適応的C-RAN
○中山 悠(東京農工大)・久野大介(阪大)・西尾理志(京大)・丸田一輝(neko 9 Lab.)・桑野 茂(大同大)・吉本直人(千歳科技大) |
B-15-14 |
コラボレーションを抽出するためのセンサネットワーク実現に向けた時刻同期精度に関する検討
◎△山口隼平(阪大)・大多和修介・大島律子・大島 純(静岡大)・藤橋卓也・猿渡俊介・渡辺 尚(阪大) |
B-15-15 |
一括集約型無線センサネットワークにおける姿勢制御への応用
◎天野直哉・田久 修(信州大)・藤井威生(電通大)・太田真衣(福岡大)・笹森文仁・半田志郎(信州大) |
IoTの普及により、効率よく多数のIoT機器を制御する要求もあるだろう。そこで、WoTに基づき、クラウドに制御プログラムを置くことで複数のCHIRIMEN for raspberry Pi 3を一括制御する環境を開発した。しかし、開発環境を実用する際に、複数機器が同一ウェプページにアクセスすると、コリジョン等によりパケットロスが起こってしまう懸念点が生じる。そこで、本研究では、同期動作をするCHIRIMEN for raspberry Pi 3を5台用いて、電波暗室による理想環境と実環境とでWiresharkを使った計測を行い、一考察を行う。
救急車やパトカー等の緊急車両(EV)は一刻も早く事故発生現場に到着することが求められており, 近年では, 車車間通信, 路車間通信(VANET)を用いて, 事前にEVの現在位置や接近を知らせる手法が検討されている. しかし, VANETでは建造物や車両自体などの障害物による通信遮断に起因してEV接近通知到達率が低下する問題があり, この問題を考慮した中継制御法が必要となる. そこで本論文では, 隣接車両台数を基に車両と路側機を併用することで事故発生現場までの確実なEV接近通知を実現する適応型ブロードキャスト法を提案する. また, ネットワークシミュレータNS-3を用いて, 性能評価を行い, 提案手法の有効性を検証した.
モバイルトラヒックの時空間的な変動に効率的に対処可能なネットワークを構築するため,筆者らは適応的ネットワークを検討している.この一形態として,自家用車等にスモールセル基地局を搭載することでモバイルネットワーク構築をクラウドソースし,より効率的なC-RAN(Centralized Radio Access Network)を構成する車載スモールセルを提案した.これまでは走行中の車両に搭載したクラウドソース基地局(CRU; Crowdsourced Radio Unit)を想定していたが,本稿では,より簡易に制御が可能と考えられる駐車車両搭載CRUを用いたスマートシティ向け適応的C-RANについての検討結果を述べる.
協調学習とは他者と協調(コラボレーション)しながら創造的な問題解決に取り組む能力を育成することである.現状の学習科学の分野では,定性分析の手法を用いて協調学習を分析してるため,数十人から構成されるクラスを分析するのに人的コストや時間的コストの観点で課題がある.このような観点から,本稿では協調学習の分析をサポートすることを目的として,Internet of Things (IoT) 技術を用いて学習者の活動を定量的に分析して教師が着目すべきポイントを自動抽出するSensor-based Regulation Proler を提案する.
近年,無線通信システム技術の向上により無線センサネットワーク(WSN:Wireless Sensor Networks)が発展している.従来のWSNではパケット通信が用いられるが,パケット通信では多数センサが同時アクセスした場合,パケットロスを補償する再送遅延が生じ,多地点同時認識が困難となる.これらの要件を解決するために,センサ情報を無線物理量である周波数に変換し,情報集約局(FC:Fusion Center)にて一括収集する物理量変換による一括集約型無線センサネットワーク(PhyC-SN:Physical Wireless Parameter Conversion SensorNetworks)が検討されている.
本稿では,PhyC-SNを3次元座標計測ができるモーションセンサによる姿勢制御というモニタリングWSNに応用し,認識精度を評価した.
休 憩(14:30 再開) 座長 瀧本栄二(立命館大)
B-15-16 |
IEEE802.11ah RAW方式における端末不均一配置に対応した端末グルーピング方式
○下川真季・眞田耕輔・羽多野裕之・森 香津夫(三重大) |
B-15-17 |
不均一発電環境のヘテロジニアスWSNにおける適応クラスタ制御
◎藤野公也・眞田耕輔・羽多野裕之・森 香津夫(三重大) |
B-15-18 |
スウォーム人工知能に基づく掃除ロボット群の協調行動シミュレーション
◎比江嶋龍也・河原尊之(東京理科大) |
B-15-19 |
室内環境における複数アクセスポイントを用いた電波による位相制御協調電力伝送の評価
◎林 健太朗・濱政 光・川崎慈英・木崎一廣・藤橋卓也・猿渡俊介・渡辺 尚(阪大) |
B-15-20 |
端末間連携・省電力通信システムのスマートフォンへの実装
◎天間克宏(NICT)・服部聖彦(埼玉工大)・単 麟・趙 欧(NICT)・安達文幸(東北大)・大和田泰伯(NICT) |
IoT向けネットワークの主要課題である大規模かつ超多数端末環境における高いチャネルアクセス競合を抑制するため,IEEE802.11ah[1]ではRestricted Access Window (RAW) 方式が採用されている.RAW方式は端末を複数のグループに分割し,同一グループ内端末が同一RAWスロットでアクセス競合を行う.したがって,端末グルーピングがネットワーク性能に大きな影響を及ぼす.既存研究でいくつかの端末グルーピング方式が提案されているが,カバレッジ内の端末配置が均一であることが前提となっている.ところが,実環境では端末は偏って配置される可能性がある.そこで,本稿では不均一端末配置に対応する端末グルーピング方式を提案し,その性能評価を行う.
環境発電型無線センサネットワーク(EHWSN)におけるネットワークの長寿命化を目的に各種クラスタリング方式が研究されており,地理的な不均一発電率環境に対応する方式としてEHGAFや適応クラスタ制御方式の研究例がある。従来の適応クラスタ制御方式は,同容量の電池を備えたノードを使用するホモジニアスEHWSNを対象としている。しかし,現実環境では各ノードの電池容量は異なり,この様なヘテロジニアスEHWSN (HEHWSN) に従来方式をそのまま適用することは困難である。本稿では,HEHWSNに対応した適応クラスタ制御方式を提案し,その特性評価を行う。
蟻が餌を運ぶとき振る舞いを例とする群知能における個体同士が直接的なやり取りを行わない間接的な群知能的協調にAI技術を導入したスウォーム人工知能をテーマに副次的に発生する音を用いた学習機能を持つ掃除ロボット群の協調の可能性ついてシミュレーションにより検討した。
協調行動とは他のロボットがゴミを回収しているときの音をセンシングし、掃除の結果により増減する音のほうへ向かうか向かわないかの重みをε-グリーディ法により判断する動作とする。この協調行動を導入し、学習が成功した時のゴミの回収量はロボットの数が2台の時では1.3倍となり、構成するロボットの台数を増やしたところ、この効率が大きくなることが分かった。
あらゆるモノがネットワークに接続される世界の実現に向けた課題の1つに,IoT (Internet of Things) デバイスの電源がある.電波を用いた無線での IoT デバイスへの給電は電源の問題を解決する手段として有効であるが,従来の電波電力伝送には給電の効率に関して課題が存在する.これまで筆者らは機器内の無線センサネットワークに対して位相制御協調(CPC:Cooperative Phase Controlled)電力伝送を提案してきた.本稿では,屋内における IoT デバイスに対する CPC 電力伝送の有効性を検討する
筆者らは,位置的に近い複数のモバイル通信端末(MT)を連携させることで,MT群全体から見たエネルギー利用効率向上を目指す端末間連携・省電力システムを提案した.本論文では,自律的に端末間連携グループを構築・再構成する機能のスマートフォンへの実装について紹介する.
休 憩(16:00 再開) 座長 小川将克(上智大)
B-15-21 |
IEEE 802.15.4互換Backscatterに関する基礎的検討
◎上田貴之・木崎一廣・藤橋卓也・猿渡俊介・渡辺 尚(阪大) |
B-15-22 |
移動目標物の画像追跡に基づくマイクロ波電力伝送室内実験
○藤井正明・辻 直樹・今井 悠・増田重巳(ミネベアミツミ) |
B-15-23 |
センサネットワーク電源としての太陽熱発電
○吉川 隆・伊藤聡真・小畑周平・的早耕太郎・森川裕汰・山下玲伊(近畿大高専) |
B-15-24 |
三次元無線給電システムにより駆動する空中浮遊デバイスに向けたペイロードと給電効率の検証
◎黒澤 蓮・笹谷拓也・鳴海紘也・川原圭博(東大) |
無線センサネットワークの時代からInternet of Things (IoT) の時代まで継続して問題になり続けているのが無線通信に要する電力の問題である.本稿では,Backscatter 技術を用いてIEEE 802.15.4 互換の通信を実現することで,センサ端末の消費電力削減の実現可能性について実験を通じて検討する.
移動環境でのバッテリレス·ワイヤレスセンサへの給電にはマイクロ波電力伝送が有効である。今回、広角カメラ・画像信号処理により移動目標物の方向をリアルタイムに算出してその方向へ送電アンテナアレーによりマイクロ波を放射し、目標物で測定したRSSIを低消費電力無線により帰還するシステムの基礎実験を行ったので報告する。
我々はこれまでセンサネットワークを用いたHEMSの実現に向けて研究を進めている。
宅内にセンサネットワークノードを多数個分散設置して小規模通信を実現させるため端末
稼働用電源は電池でなく,エネルギーハーベスティングによって獲得する手法を検討して
いる。そのため幾つかのエネルギーハーベスティング手法について検討を行っている。
その中で,熱電(温度差)発電によるハーベスティングはこれまでの実測より,様々な
環境を与える事で大きく発電性能が変化することが分かった。その系統を明確にし環境
発電係数を導入する事でエネルギーハーベスティングの特性把握を容易にする手法を提案
する。
空間の任意の場所に配置,移動させることが可能な浮くLEDライトが実現されれれば,室内の照明位置をプログラマブルに変更することや,明かりを照らしながら歩行者に追従し歩行誘導するといったことが可能になる.しかしながら従来のデバイスの多くは決まった場所や平面内に使用の場所を制限されていたり,空間中を安全かつ無制限に駆動することは困難であった.そこで本研究では上記の問題を解決する方法として,ヘリウムを封入したバルーンドローンに受電用のコイルを装着し,マルチモード準静空洞共鳴方式(Multimode QSCR)による三次元無線給電を行う空中浮遊デバイスを提案する.このような方法を用いてデバイスを設計する際に,制約となるのはペイロードと出力電力である.ペイロードは主にバルーンサイズ,出力電力は給電効率に依存し,給電効率は搭載するコイルのサイズ,導線の太さ,巻き数によって決まる.本研究ではパラメータであるバルーンのサイズとコイルの条件を変化させた場合の利用可能なコイルの重さを除いたペイロードと給電効率を調べ,その関係を示した.
9月12日 9:00〜11:45 B棟 1F B108講義室 座長 金井謙治(早大)
B-15-25 |
Wi-Fi CSIを用いた人の行動推定手法の検討
○棟朝寛文・小川将克(上智大) |
B-15-26 |
姿勢推定を活用した人物姿勢に基づく異常行動検知システムの精度評価
◎一原賢吾・竹内 健・甲藤二郎(早大) |
B-15-27 |
重み付き物体画面専有度の時系列変化に基づくドライブレコーダ映像からの危険運転シーン検知
○近藤亮磨・成末義哲・鈴木悠一郎・久野遼平・木脇太一(東大)・大矢晃示・吉村幸泰(デンソー)・森川博之(東大) |
B-15-28 |
音声感情を用いたいじめ判定システムの開発
◎上野貴弘・森 慎太郎・大橋正良(福岡大) |
B-15-29 |
MIMO FMCW レーダを用いた CNN に基づく呼吸検出
◎山本幸平(慶大)・豊田健太郎(A*STAR, SIMTech, Singapore)・大槻知明(慶大) |
本稿では,Linux 802.11n CSI Toolで得られるCSI(Channel State Information)を用いて,送受信機間における人の行動推定手法を提案する.提案手法では,送受信アンテナ間の伝搬路のCSIの振幅成分,位相成分から主成分分析の第一主成分を抽出し,機械学習により推定を行う.
近年,監視カメラが広く普及し,公共空間に数多く設置されている.その一方で,普及している監視カメラの利用の多くは事件後の検証に留まっており,警備員によるリアルタイム監視にも限界がある.このような背景から,自動で異常を検知する監視カメラシステムが求められている.
そこで,筆者らは,センサの設置を必要としないカメラベースの高精度な監視システムの実現に向けて,映像から得られる情報のみを活用し,人物の特異な行動に対して高いスコアを付与する,カメラベースの異常行動検知手法について研究を行っている.本稿では,人物姿勢を活用した異常行動検知システムの精度評価を行うと共に,CNNによる画像認識モデルを活用したケースとの比較実験を行う.
車両のドライブレコーダには,事故に至らずとも事故に繋がる危険な運転シーンが記録される.本研究の目的は,ドライブレコーダ映像の中から「人や車の飛び出しの危険があるシーン」を「飛び出す対象物が映っていない場合」でも,「運転者の認識を介さず」に検知することである.著者らは,前述の運転シーンを特徴づけるものとして,映像上の人や車,フェンス,道路,壁,自転車などの物体の位置関係が重要であると仮説を立てた.本稿ではこの仮説に基づき,危険運転シーンの種別ごとの物体の位置関係に近いほど値が増加する重み付き画面占有度を示す.この重み付き画面占有度を特徴量として利用して危険運転シーンの検知を行うことで仮説の検証を行う.
教育現場において,教職員の目が行き届かないところで発生しているいじめを防ぐために,音声情報からいじめを判定するシステムを開発する.開発システムでは,音声の感情解析と機械学習を組み合わせることでいじめ判定を実現する.開発システムの評価実験では,700件の訓練データに基づき学習を行い,いじめ加害者側の分類精度が76%,いじめ被害者側の分類精度が80%の結果になった.今後は対象データの取り扱い方法を見直すと共に,訓練データ数を増やすことにより,分類精度の改善を図る必要がある.
呼吸は健康状態を反映する生体信号であり, 非接触で呼吸を検出することで, 生存確認や睡眠障害検知が可能となる. 非接触型呼吸検出法として, MIMO (Multiple-Input Multiple- Output) FMCW (Frequency Modulated Continuous Wave) レーダを用いた手法が検討されている. この手法は, Wi-Fi やレーダを用いた呼吸検出法と比較し, 呼吸検出範囲が広い. MIMO FMCW レーダを用いて呼吸を検出するには, 胸壁位 置の推定が必要だが, 室内ではマルチパスの影響によりその位 置推定は難しい. 本稿では MIMO FMCW レーダを用いた CNN (Convolutional Neural Network) に基づく呼吸検出法 を提案し, 実験による提案法の特性結果を報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 松田隆志(NICT)
B-15-30 |
心電モニタ及び加速度センサを用いた行動提案システムの検討
◎土屋 彬・對馬一希・冬爪成人・石山 仁(東京電機大) |
B-15-31 |
ウェアラブル生体センサによる日常行動時の評価実験
◎白崎智美・金井謙治・甲藤二郎(早大) |
B-15-32 |
心拍センサとIoT機器による情動の可視化
○冬爪成人・阿部拓海・土屋 彬・石山 仁(東京電機大) |
B-15-33 |
言語学習を対象とした時空を越えて相手を感じられる自学自習システムの開発の概要
○梅澤克之(湘南工科大)・中澤 真(会津大短大部)・小林 学(早大)・石井雄隆(千葉大)・中野美知子・平澤茂一(早大) |
B-15-34 |
心電計を用いた茶道における主客双方のストレス評価
○鈴木窓香(東京理科大)・大槻知明(慶大) |
IoT機器と生体センサを用いて生体情報を取得しサーバに送信、データの処理を行い可視化する。またその後処理した生体情報をもとにその後の行動を提案するシステムを開発することを目的とする。
生体情報には心電と加速度を採用し、心電からは心拍数やストレス状態を取得し、加速度からは歩数を得た。
さらに、周囲のWiFiアクセスポイントから位置情報を取得し、先述の生体情報と共に可視化する。
可視化にはIoT可視化プラットフォームであるThingsBoardを用い、データの処理・蓄積・可視化を行った。
今後は生体情報の処理をAPI化し、生体情報を入力するとその後の行動を提案するものを作成することを検討している。
ウェアラブルセンサは心拍数,筋電図,加速度などの生体・行動情報を取得可能にし,健康管理,行動認識といった日常生活の様々な場面へのサポートとして活用されている.筆者らは,ウェアラブル生体センサを用いて,日常行動として「静止」,「歩く」,「走る」の3パターンの状態推定,更にその状態に伴う疲労推定を目的としている.本稿では,それぞれの推定を行うための優位なセンサを決定するため,4種類のセンサを用いて,各状態時の得られるセンサデータについて評価を行う.
近年,IoT (Internet of Things)機器が普及しており,さらにIoT機器に各種センサを搭載し,ウェアラブル端末として人間から様々な情報やデータの取得が行われている.
本研究では,心拍センサと小型マイコン基板を用いて脈波情報を取得し,それを用い,人間の情動の推定を行うシステムを構築することを目的とする.
今回は,光電式容積脈波記録法による心拍センサを用いて人差し指で脈波情報の計測を行い,それをM5Stack Gray で取得,処理を行った.
計測では,心拍センサとM5Stack Grayから脈波情報の取得を行い,おおよその感情の推定を行うことが可能であることを確認した.
本研究の目的は,言語学習を統一的な枠組みで捉え,相手(学習者)を感じて助言を行う人工教師を搭載した自学自習システムを開発し,その評価を行うことである.「相手を感じる」とは,学習行動の背後にある「学習者の理解度」や「学習者ごとの思考プロセスの差異」「学習時の集中度や退屈度」,学習者毎の「問題解決の困難度」等の学習者の学習状況をシステム側が把握することを指す.本研究では,英語とプログラミング言語という,今まで別々に扱われてきた教育対象に対して,言語学習という統一的な観点から学習履歴データを分析する枠組みを導入することで学習状況の把握度の飛躍的な向上を図る.
茶道は,「平常心の修行」や,心を穏やかにし,精神をリフレッシュする効果があると言われ,現在では情操教育やセラピーにも用いられている.また,グローバル化が進む現代では,海外からの茶道体験希望者が増えている.このように,日本文化としてだけでなく,その心理的な効果も注目されている茶道だが,ストレス軽減などの心理的な有効性の定量的な評価は少ない.先行研究では,安静時と茶道の点前中の心拍変動等から点前者の緊張感の変化について,「茶筅を用いて茶を点てる動作」で緊張感が顕著だったと報告されている.しかし,茶道の主客(もてなす側の亭主と客)双方の緊張感は不明である.本稿では,茶道歴10年以上の経験者を被験者とし,茶道における主客双方のストレスについて,接触型の心電計を用いて得られる心拍変動の周波数解析に基づくストレス指標により評価し,報告する.
9月13日 10:30〜11:45 B棟 1F B108講義室 座長 森 慎太郎(福岡大)
B-15-35 |
IoTを用いた養蜂用巣箱の一検討
◎後藤 淳・前山利幸・竹下正晢(拓殖大) |
B-15-36 |
DIY的IoTシステムに運用・維持・管理機能を提供するSaaSの基礎的検討
◎永野元基・新井悠介・藤橋卓也・渡辺 尚・猿渡俊介(阪大) |
B-15-37 |
複数アプリケーションの単一コンテクスト実行によるストリーム処理効率化の一検討
◎森澤雄太・北原 武(KDDI総合研究所) |
B-15-38 |
モバイルエッジクラウド基盤のためのスマート自転車の研究開発
○金井謙治・山本健人・丸山大貴・村山知輝・関根 響・白崎智美・前林伸治・甲藤二郎(早大) |
B-15-39 |
登山者位置検知システム用山小屋ネットワークの開発
◎小栗悠兵・小林 香・石坂圭吾(富山県立大) |
IoTによってデータの可視化と制御が求められている分野として農業がある. 筆者らは,農業の中でも養蜂に着目し,ミツバチの生態の調査と養蜂の効率化に着手した.農場及び巣箱にセンシングシステムを構築して巣箱内の環境を可視化することでミツバチの生態を探った.その結果,ミツバチが大量死しており,巣箱内温度が高温となったことが原因だと考えている.本稿では,巣箱内外の測定結果から養蜂IoTシステムを考案し,概要について説明した.今後は,設計した高温対策をした巣箱と高温対策をしていない巣箱によるミツバチの変化を比較する.また,巣箱内温度とミツバチの関係を詳しく調査する.
IoT(Internet of Things)をさまざまな現場に導入して環境や稼働状況を「見える化」することで,生産効率やマーケティング戦略の向上に繋げる動きが日本だけでなく世界にも広がっている.本稿では,著者らが提案する「IoTを利用した様々なシステムにおける運用・維持・管理を支援するSaaS(Software as a Service)」について述べる.
ストリーム処理では単一のアプリケーション(以降 App)が割り当てられた固定リソースを占有し続ける設計となっており,平常時に余剰リソースを生じさせることが多い.そこで本研究では,複数のストリーム処理 App を一つのコンテクストにまとめて実行することで,リソースを効率的に利用可能なストリーム処理基盤の開発を進めている.本基盤では,複数の App が単一コンテクスト上にあるため,タスクレベルの細やかなスケジューリングによって,入力データ量の急激な変化にも対応が可能となる.将来的には多数のストリーム処理 App を格納する,SaaS (Stream as a Service)の実現を目指している.
近年,日本を含め世界中において,インフラの老朽化への危機が高まっており,IoTデバイスを活用したインフラ監視システムの開発が進んでいる.これに対して,筆者らは,電動自転車を活用した道路インフラ観測システムの研究開発を行っている.本稿では,モバイルエッジクラウド基盤への拡張を進めているスマート自転車のシステムアーキテクチャと現在試作しているスマート自転車の様子を紹介する.また,最後に研究開発している要素技術についてまとめる.
近年の登山ブームに伴い,山岳遭難事故が増加している. そこで,遭難事故を早期発見するために,山岳での電波特性に優れている150MHz帯の電波を用いた登山者位置検知システムの開発が進められている.本研究では,このシステムに用いる山小屋ネットワークの構築を行っている. 本ネットワークは,山岳内にメイン検知局と複数のサブ検知局を設置し,検知局間でデータの中継を行うことで広範囲のエリア内で登山者からの救助要請信号を取得することが出来るものである。本ネットワークを用いたシステムを山岳内で試験したところ,サブ検知局で受信した救助要請信号がメイン検知局へ中継されることが確認できた.
9月13日 13:00〜15:45 B棟 1F B108講義室 座長 山口弘純(阪大)
B-15-40 |
CSI と GAN による電波情報から空間情報の生成手法の基礎検討
◎岩崎裕輔・福島 健(阪大)・村上友規・アベセカラ ヒランタ(NTT)・猿渡俊介・渡辺 尚(阪大) |
B-15-41 |
プローブパケットによる端末発見精度向上に関する一考察
◎中山 涼・小板隆浩・冨山将矢(同志社大) |
B-15-42 |
遅延プロファイルマップを用いた屋内位置推定法の研究
◎竹内郁人・田中敦綺・上林真司(中京大) |
B-15-43 |
動物間ネットワークのためのLPWANを用いた位置推定
◎石田幸輝・瀬崎 薫・小林博樹(東大) |
B-15-44 |
空腹度を考慮した位置情報に基づく来店予測手法の提案
◎西谷浩輝・小板隆浩(同志社大) |
近年,空港や学校,駅等様々な場所における高精度な不審人物の検知や侵入検知手法,またショッピングモールなどにおける高精度な混雑度推定手法が求められている.このような背景から,筆者らは室内において利用される WI-Fi 通信の電波を用いて空間内の情報が可視化できる手法について検討している.電波情報から空間情報の可視化が実現できた場合,室内の混雑度推定や不審人物の侵入検知が同時に可能になる.本稿では,IEEE802.11ac で規定された CSI (Channel State Information) フィードバックと GAN (Generative Adversarial Network) を組み合わせた空間内の画像生成手法を実装して評価する.
近年,災害時に被災者の発見にスマートフォンなど(端 末)が発信しているプローブパケットを利用する手法が注 目されており,様々な手法が検討されている.しか し,室内での端末発見にこの手法を利用するには発見精度 の向上が課題となる.本研究では UAV と端末を使用し, 実際に室内での発見精度を評価し,精度を向上させるため の手法について考察する.評価の結果として端末発見に適切な距離と測定回数を得ることができ.今後研究を進めていく上で重要な情報となった.
GPSの普及に伴い,ナビ以外にも様々なロケーションサービスが利用されるようになってきている.屋内でも位置推定の需要が増えているが,GPSが使えないため, RSSI法,TDOA法等が開発されている.しかし,これらの位置推定法は基地局-移動局間の見通しが必要という問題がある.筆者らは見通しの無い環境で高精度な位置推定を実現する方法として遅延プロファイルを用いた位置推定法を提案している.本稿では,見通しの無いエリアを含む2次元モデルにおいて,提案法の適用可能性を,シミュレーションにより評価した.推定精度は,測定誤差及び遅延プロファイルのパルス幅に依存し,例えばパルス幅が0.5ns,誤差の標準偏差が0.1nsの場合,失敗率は0.05になる.
環境保護やより良い生活のために自然環境のモニタリングは重要である.しかしながら,そのようなモニタリングしたい地域ほど既存電波網の利用や,人が容易に立ち入ることが難しい.そこで,現地に生息する動物にセンサを取り付け,周囲の環境をセンシングしてもらうことを考える.本稿では,使用する通信手法としてLPWANのLoRaを挙げ,その性能を屋内と屋外において検証する.その実験結果とともに,障害物の程度ごとに信号強度とパケット到達率の関係性を示す.また,GPSを使用せずにセンサを取り付けた動物の位置を推定するために,信号強度を用いた推定手法を提案し,屋内実験によって実用可能性の検証を行う.
大学食堂のような大人数を対象とする飲食店では,食品の作り置きをしておく必要があり,来店人数が少なかった場合に食品ロスが発生している.本研究では来店予測精度の向上を目的として,空腹度を考慮して来店人数を予測する.空腹度に加え,食堂との位置情報に着目し,空腹度と位置情報による来店予測手法を検討する.検討には,食事情報,運動量,位置情報を利用している.結果より,食事情報,運動量,位置情報が同じ場合であっても,食堂に来店するかに違いが見られた.その理由は,空腹状態であっても予定の有無によって来店するかどうかが分かれるためである.予定の有無も入力データとして扱うことでさらに推定精度の向上を目指す.
休 憩(14:30 再開) 座長 山本高至(京大)
B-15-45 |
各種室内音源を対象とした測位手法と基本実験結果
◎門倉 丈・橋爪裕貴・五百蔵重典・田中 博(神奈川工科大) |
B-15-46 |
ユーザの情報を用いてデータベース更新するFingerprintエリア推定におけるMSEによるデータ選別
◎宮本祐亮・相河 聡・山本真一郎(兵庫県立大) |
B-15-47 |
Particle Filterを用いたFinger Printによる座標間推定
◎多田健太郎・相河 聡・山本真一郎(兵庫県立大) |
B-15-48 |
3層NNの確率分布出力で加重平均したFinger Print座標間推定
◎松井崇豪・相河 聡・山本真一郎(兵庫県立大) |
B-15-49 |
RSSIを用いたフィンガープリント法における基地局数の影響の検討
◎田中敦綺・竹内郁人・上林真司(中京大) |
筆者らは,家電や警告器の動作音から位置推定を行うことによる音源の特定や,ドローンの動作音から自己位置を推定することによる自動飛行など様々な応用が期待できることから,家電の動作音や警報音を含む屋内での各種音源を対象とした屋内測位技術について検討している.これまで,測位精度向上のためのCSP(白色化相互相関)法を適用した受信タイミング検知の高精度化や,研究室の一区画の天井にマイクセンサを設置し,実空間での測位精度の検証を行ってきた.本稿では,実際の広さの室内空間における測位精度を確保することを目的に,測位のための参照点の決定方法について検討した結果について述べる.
GPSの電波は屋内,地下では端末には届きにくく,推定精度が低下する.そこで,無線LANアクセスポイント(AP)の受信信号強度(RSSI)を用いた,Fingerprint方式による地下,商店街のナビゲーションシステムの開発を行っている.このシステムでは,店舗などエリア単位での推定が求められる.
Fingerprint方式は,データベース(DB)の作成から時間が経つことで推定精度が低下するため,DB更新が必要である.DBを再構築する場合,測定にかかるコストが大きくなる.そこで,ユーザがエリア推定の際に測定するAP情報にユーザの位置を紐づけしたユーザの情報を更新用ユーザデータ(更新用UD)とし,これを用いてDB更新する.これにより,データを収集することが容易となる.この際,問題点として,エリア推定の結果に誤りが含まれることで,DBを誤って更新する可能性がある.誤った推定による影響をなくすため,本稿では,更新用UDを更新に用いるか否かを選別する.これにより,DBを誤って更新する可能性を低減し,更新されたDBによるエリア推定精度の向上を図ることを提案し,これを実験的に検証した.
無線LANアクセスポイント(AP)からの受信信号強度(RSSI)を用いたFinger Print(FP)方式による屋内位置推定の研究を行っている.
FPではユーザが測定をした時点のデータのみを用いるため推定結果が大きく離れた点に推定され,次の推定では元の位置に推定される場合がある.しかし,ユーザの位置は時間的に連続するためこの推定は誤りであると分かる.そこで,本稿では時系列フィルタとしてParticle FilterをFPに適用して座標間の位置を推定し精度の向上を図る.
無線LANアクセスポイント(AP)のRSSI(受信電波強度)を用いたFinger Printによる,自己位置推定において,NN(ニューラルネット)を用いた手法が提案されている[1-3].この方式では事前測定によるDB(データベース)とUD(利用者データ)の照合を行うが,測定座標にしか推定できないため,中間地点では,どちらかの座標に推定される問題がある.本稿では,3層NNで得られた座標の確率分布による重み付けを行い,中間地点の推定することを提案する.この手法による位置推定精度の向上を,実測データにより検証を行った.
屋内位置推定法として、受信レベル(RSSI)を用いたフィンガープリント法の研究が多く報告されている。フィンガープリント法は基地局(BS)-移動局(MS)間の見通しのないエリアでも位置推定が可能であり、障害物の多い屋内位置推定法として有効である。本稿では、見通し外エリアを含むL字型室内モデルにおいてRSSIを用いたフィンガープリント法を適用した時の基地局数と推定精度の関係を計算機シミュレーションによって評価した。本シミュレーションでは、無線LAN等で使用される2GHz帯の場合、RSSI測定誤差の標準偏差が1dB程度であれば、1BSのカバーエリアを約4m^2程度にすれば推定誤り率を8%程度にできることが分かった。
B-16. インターネットアーキテクチャ
9月12日 9:30〜11:45 A棟 2F A214講義室 座長 山田祥之(NEC)
B-16-1 |
情報指向ネットワークにおける最適キャッシュ割当に関する一検討
◎萩倉 丈・中村 遼・大崎博之(関西学院大) |
B-16-2 |
断続的なリンクで接続された複雑ネットワークにおけるエンド-エンドルーティングの性能に関する一検討
◎大西美知加・南口宙太・大崎博之(関西学院大) |
B-16-3 |
ランダム正則グラフにおける分岐型ランダムウォークのモデル化に関する一検討
○間屋口琢朗・阪口亮太・大崎博之(関西学院大) |
B-16-4 |
グラフ畳み込みネットワークの半教師付き学習による通信遅延推定に関する一検討
◎鈴木泰誠・安田裕一・中村 遼・大崎博之(関西学院大) |
近年、従来の TCP/IP ネットワークのようなホスト指向ネットワークではなく、情報指向ネットワーク (ICN; Information-Centric Networking) が注目を浴びている。ICN では、ネットワーク中のルータがコンテンツをキャッシュすることが可能である。このため、リポジトリからエンティティへのコンテンツ配送遅延の短縮や、ネットワーク中を転送されるトラヒック量の削減が期待できる。
本稿では、任意の ICN ネットワークの解析手法とヒューリスティックな組合せ最適化アルゴリズム (遺伝的アルゴリズム) を組み合わせることにより、ICN におけるネットワーク規模やネットワーク全体のキャッシュ総量をさまざまに変化させた時の、各ルータに対する最適なキャッシュ割当を調査する。
本稿では、不確実なリンクによって構成される大規模ネットワークにおいて、エンド--エンドルーティングを用いた時の平均メッセージ配送遅延を解析的に求める。これにより、以下の疑問に答えることを試みる。不確実なリンクによって相互に接続された多数のノードによって構成される大規模ネットワークにおいて、エンド--エンドルーティングはどの程度の性能を実現できるだろうか。送信元ノードおよび宛先ノードの次数 (隣接ノードと接続されているリンク数)によって、平均メッセージ配送遅延はどのような影響を受けるだろうか。
グラフ上のランダムウォークを効率化するアプローチとして、ランダムウォークに従って移動するエージェントの数を、エージェントの分裂・集約によって動的に変化させる分岐型ランダムウォークBRW(Branching Random Walk)が提案されている。
分岐型ランダムウォークは比較的新しいグラフ上の移動モデルであり、我々の知る限り、その数理的な特性は、ある始点ノードから移動を開始したエージェントがグラフ上の全てのノードを最低1度は訪問するまでの時間(被覆時間)の上限等の限定的なものしかこれまで明らかにされていない。
そこで本稿では、ランダム正則グラフにおける、分岐型ランダムウォークのダイナミクスを確率的に記述することによりモデル化する。
多数のエンドホストおよびルータから構成される大規模な通信ネットワークに
おいて、ノード間の通信遅延を正確に取得・計測・推定することは、高品質な通信サービ
スの提供にとって不可欠である。
ネットワークの QoSを表すさまざまな指標の中でも、
特に通信遅延はさまざまなトラヒック制御を実現する上で鍵となる指標である。
本稿では、大規模ネットワークにおける通信品質 (特にノード間の通信遅延)
の推定に向けた初期検討として、グラフ畳み込みネットワーク GCN (Graph
Convolutional Network)による半教師付き学習によって、ノード間の通信遅延がどの程度正確に推定できるかを実験によって調査する。
休 憩(10:45 再開) 座長 妙中雄三(奈良先端大)
B-16-5 |
DTN環境下の移動体端末間通信におけるゴシップ型メッセージ転送手法の改善
◎石林佑介・菅原真司(千葉工大) |
B-16-6 |
移動端末と静的及び動的なFogを用いた効率的コンテンツ共有の検討
◎△糸数拓哉・菅原真司(千葉工大) |
B-16-7 |
OpenFlow における定期的なトラヒック情報収集を考慮した適応型サーバおよびパス切替手法
◎西牟田裕之・野林大起・池永全志(九工大) |
B-16-8 |
海洋環境データ測定ブイを拡張した波高測定システムの実装
◎南 雄也・井戸上 彰・宇都宮栄二(KDDI総合研究所) |
近年,無線通信端末の高性能化により手軽にネットワークにアクセスし情報交換を行うことが可能となった. しかし災害時に基地局が停止した場合や通信圏外にある場合, 多くの移動端末では通信ができない. そこで多数の端末間で直接通信を行うことで接続状態が不安定な環境においても2端末間の通信を可能とする研究がさかんに進められている. 本研究では, MaxPropやPRoPHETといったゴシップ型ルーティングに, 無駄な重複メッセージを削除するパケットを送信するワクチン手法を改良したAnti-packet primeを適用し, 各端末のストレージ容量を確保しつつ移動端末間の効率的なメッセージ転送を行う手法を提案する.
近年,Social Networking Service(SNS)やTwitterなどのコミュニケーションサービスに加え,現実の位置情報などを利用したコンテンツ共有が盛んに行われている.それに伴い,ネットワークへの負荷も年々大きくなっている.さらに,それらを扱う移動端末の性能向上も著しく,一部では,Desktop型計算機と比較をしても遜色ないほどとなっている.また,その数も年々増加しており,その出荷数はDesktop及びLaptopを凌駕している.本稿では,P2Pのコンテンツ共有とFog Computingの概念を利用することにより,高速かつネットワーク負荷を抑えたコンテンツ共有手法を提案する.
CDN を利用した大容量コンテンツ配信では,通信開始時の適切なサーバ選択により通信およびサーバ負荷分散が可能である.我々は,通信開始後の通信品質劣化を改善するため,OpenFlow を用いた通信中のサーバ及びパス切替手法を提案している.しかし,既存手法では,OpenFlow Controller (OFC) /Switch (OFS) において定期的に収集するトラヒック情報の更新周期より短い期間に多数のフローの通信品質劣化が生じた場合に,適切な切替先選択が困難であった.そこで,本研究では,OFC における定期的なトラヒック情報収集に対応した適応型サーバおよびパス切替手法を提案する.
局所的な海洋環境データの測定を目的に開発した小型のスマートブイを拡張し,漁場周辺の波高を加速度センサ値を用いて簡易的に測定する波高測定システムについて述べる.
B-17. スマート無線
9月11日 13:00〜17:00 B棟 3F B307講義室 座長 秋元浩平(秋田県立大)
B-17-1 |
異システム間での動的周波数共用における周波数割当方式の検討
○伊神皓生・長尾竜也・天野良晃・岸 洋司(KDDI総合研究所) |
B-17-2 |
複数システム間での動的周波数共用時における干渉許容技術の検討
○堅岡良知・菅野一生(KDDI総合研究所)・鈴木利則(KDDI総合研究所/東北学院大)・石川博康(KDDI総合研究所/日大)・山崎浩輔・岸 洋司(KDDI総合研究所) |
B-17-3 |
周波数共用のための周波数利用調査
◎小國治也・細井宏樹・前山利幸(拓殖大)・吉岡達哉(ATR)・鈴木信雄(近畿大) |
B-17-4 |
角度毎に補正を行う電力推定方式の一検討
◎細井宏樹(拓殖大)・吉岡達哉(ATR)・鈴木信雄(近畿大)・前山利幸(拓殖大) |
B-17-5 |
Preliminary Investigation of Sparsity-based AOA Estimation of Multiple Sources
○Azril Haniz・Kentaro Ishizu・Fumihide Kojima(NICT) |
本稿では,5Gの利用に向けて稠密に空き周波数リソースを活用するダイナミックな周波数共用技術の高度化に関する必要性を示す.さらに,公平公正かつ効率的な共用周波数リソースの割り当てを実現する,共用利用者の通信要求から柔軟かつ公平に割当時間及び帯域を調整する割当方式のコンセプトを示す.
大容量コンテンツの普及に伴い,移動通信トラフィックは増加の一途を辿っており,高速・大容量通信を可能とする第5世代移動通信システム(5G)の実用化に期待が高まっている.5Gの本格的な普及に向けて,周波数資源の確保が重要であるが,WRC-19で議論対象となっている周波数帯の多くは国内では既に移動通信業務以外に割り当てられており,これらの周波数帯を利用するためには周波数共用の実現が必要である.我々は周波数資源を空間・時間・周波数の面で有効活用するため,動的に稠密な周波数共用を行う技術に関する研究を行っており,本稿では空き周波数リソースの利用時に5G側で干渉を許容する技術のコンセプトに関して報告する.
2020年に第5世代移動通信システムが開始される.それに伴い更なる周波数資源の開拓が必要となる.特に6GHz以下の周波数帯で周波数を共用する技術が求められている.周波数共用では電波の利用環境を明らかにする必要がある.
本稿では測定データを用いた周波数共用に必要な周波数共用可能な帯域幅と連続使用時間の解析を行った.またパラメータとしてトラヒックや,スキャン間隔,周波数帯域幅をそれぞれ設定し比較,検討を行った.今回行った解析では,周波数共用可能範囲はトラヒックに大きく依存する特徴がみられた.今後はより多様なトラヒック環境での測定データを用いた周波数共用可能範囲及び時間の検討を行う予定である.
6GHz以下の周波集帯では時間や場所に応じて動的に周波数を共用する技術の実現が求められている.このシステムでは一次利用者の利用領域の推定が必須になる.利用領域の推定方式の一つとして,移動機の位置情報と受信電力情報を元に作成した等電力線により電力を推定する方式が提案されている.この方式では波源付近の環境によりシャドウイングが生じると,一次利用者の利用領域の推定に誤差として現れる.本稿では推定波源を中心とした角度毎に,推定結果と移動機の受信電力の比較結果から補正を行う方式の提案を行った.実測データを用いた評価シミュレーションの結果,二次利用者の共用可能領域は既存方式と比較して提案方式では12.4%増加した.
5G microcells that utilize mmWave spectrum is expected to perform beamforming with massive MIMO in order to compensate for high path loss. This opens the possibility for spectrum sharing in the angular domain in addition to sharing in the time, frequency and spatial domains. Compressive sensing (CS) has been proposed for spectrum sensing as well as angle-of-arrival (AOA) estimation applications. As a preliminary step to realize a multidimensional spectrum database, in this paper the capability of CS to resolve the AOA of multiple sources is examined through Monte Carlo simulations.
休 憩(14:30 再開) 座長 長手厚史(ソフトバンク)
B-17-6 |
ARモデルを用いたフェージング予測におけるRLSアルゴリズムのトレーニング期間に関する一検討
○森山雅文・滝沢賢一・手塚隼人・児島史秀(NICT) |
B-17-7 |
深層学習を用いた電波識別における推論アクセラレータ向け電波特徴量の提案
○大辻太一・竹内俊樹(NEC) |
B-17-8 |
補助情報にSN比を用いる深層学習型変調方式識別法の初期評価
◎山下靖貴・内田 繁・有賀 博(三菱電機) |
B-17-9 |
ブラインド方式位相振幅補償回路の受信信号低下補償アルゴリズムによる収束時間の改善に関する一考察
◎三浦直大・井手輝二(鹿児島高専)・眞田幸俊(慶大) |
B-17-10 |
ブラインド方式位相振幅補償回路の時定数切り替えと信号低下補償を組み合わせた特性の評価
○田邊元輝・井手輝二(鹿児島高専)・眞田幸俊(慶大) |
電力差を利用するUL-NOMAにおいては,精度の高い送信電力制御(transmit power control : TPC)の利用が望ましい.しかし,移動通信では時々刻々と通信環境が変化するため,TPCのための通信路推定時における通信環境と送信時の通信環境が異なることがある.それ故,高精度なTPCの実現するためにはフェージング予測技術が必要であると考えられる.本研究では,フェージング予測のためにautoregressive (AR)モデルを採用し,その性能を検討している.本稿ではYule-Walker方程式により計算したAR係数を利用してRLSのトレーニング期間を短縮できることを示す.
受信した電波から端末固有の微小な個体差を特徴量として抽出し,予め学習しておいたモデルで分類することで送信機の特定する技術を電波識別と言う.筆者らは電力スペクトル密度に基づく電波特徴量と畳み込みニューラルネットを用いることで,低SNR環境にロバストな電波識別手法を提案している.近年,深層学習用の推論アクセラレータが安価に入手可能であり、消費電力が小さくエッジデバイスに搭載可能であるが、画像処理に特化した演算器を備えるため,1次元の畳み込み層やプーリング層がサポートされない課題がある.本稿では,推論アクセラレータで推論可能な特徴量を提案する.
受信信号の変調方式識別は,コグニティブ無線や電波監視といった分野において,無線通信の状況を分析する要素技術として重要である.本稿では,補助情報としてSN比を用いる深層学習型の変調方式識別法について,CNN(CNN;畳み込みニューラルネットワーク)の構成を変化させた場合の初期評価結果を示す.
ダイレクトコンバージョン方式は,マルチモード・マルチバンドの受信機の実現に適しているが,直交復調処理における位相及び振幅偏差の補償が必要になる.しかし,補償のためのブラインド方式 には,受信信号のレベルが低下すると補償時間が増加し,補償精度が劣化するという問題がある.そのため,本稿では受信信号のレベル低下の影響を改善する手法を提案し評価を行う.
近年,ダイレクトコンバージョン受信機が用いられているが,直交復調処理における位相及び振幅偏差によりBER(ビット誤り率)が悪化するため補償が必要になる.本稿では過去にブラインド方式補償回路の時定数を切り替えることで補償時間と補償精度とのトレードオフの問題を解決するアルゴリズム(時定数切り替え手法)が提案されている.今回はこの時定数切り替え手法と受信信号レベルの低下を補償する手法を組み合わせることで,受信信号レベル低下時の補償時間と補償精度とのトレードオフの問題の解決を図り,上記組み合わせ回路の収束特性及びBERの評価を行う
休 憩(16:00 再開) 座長 大辻太一(NEC)
B-17-11 |
異種無線システム共存のための空間再利用手法Dual-CTSの提案
◎小野謙人(東北大)・秋元浩平(秋田県立大)・亀田 卓・末松憲治(東北大) |
B-17-12 |
蓄積一括信号処理による信号分離・復調方法の一検討
◎西山 徹・宮地龍功・大野文也・冨里 繁・田野 哲・上原一浩(岡山大) |
B-17-13 |
ウォークスルー不審物検査に向けた高速レーダイメージング対応撮像ブレ抑制方式
◎住谷達哉・小倉一峰・Nagma Khan・山之内慎吾・有吉正行(NEC) |
B-17-14 |
35-50GHz帯におけるWBAN間干渉伝搬を想定した人体ブロッキング減衰量の測定
◎秋元浩平・川上雅士・戸花照雄・礒田陽次(秋田県立大) |
工場などの狭空間で異種無線システムの機器が混在する環境では異種無線システム間の干渉が問題となる.これまで干渉回避のためにシステム毎に時間を分割して割り当てる手法や片方のシステムの専用の通信時間にもう片方の機器の送信を待機させる手法などが提案されてきたが,これらの手法では時間リソースが不足し通信効率が低下する.我々は異種システムが空間軸で互いに干渉しない範囲で同一時間に同一周波数リソースを用いることで異種システム間の相互干渉を防ぎ,高い通信効率を保つ空間再利用手法Dual-CTSを提案する.簡易モデルで算出することで,この手法によって従来の手法よりも高いスループット特性を得られることを確認した.
IoT時代が間近となり,限られた周波数資源の中で多数の低機能の端末が無秩序に通信し衝突や干渉により受信が出来なくなり,時に人々の安心安全をも脅かすという課題がある.この課題に対し,ネットワーク上での蓄積一括信号処理技術を確立し,従来の受信機では実現できない,衝突した信号や干渉を受けたIoT/M2M端末信号の分離,復調を目指している.
このうち本稿では,特徴量の振幅・位相成分を用いて直接復調を行う特徴量復調方法を提案し、計算機シミュレーションによりその有効性を評価した.その結果より提案手法は従来手法のSTFTによる同期検波方式を用いた信号分離方法と同等の性能となることを明らかにした.
空港などのセキュリティ対策に静止型レーダイメージング装置が導入されているが、利便性向上のため不審物検査のウォークスルー化が希求されている。歩行中の検査を実現するにはレーダの高速処理に加え、対象の移動に起因する撮像ブレの抑制が重要である。本稿では、高速レーダイメージングに適用可能な撮像ブレ抑制方式を提案する。
WBAN (wireless body area network) は医療,スポーツ,エンターテインメントなど幅広いアプリケーションを人体領域通信でサポートするシステムである.WBANの密集時に問題となるWBAN間干渉に対し,我々はこれまで人体によるブロッキングの影響が大きい60 GHz帯WBANのWBAN間干渉抑制効果について検討を行ってきた.本稿では60 GHz より周波数が低い35-50 GHz帯における伝搬路上ユーザの人体ブロッキングの減衰量を測定し,WBAN間干渉の抑制可能性を検証する.
9月12日 9:00〜11:45 B棟 3F B307講義室 座長 田久 修(信州大)
B-17-15 |
920 MHz帯干渉発生状況測定(1)―鉄道駅―
○清水 聡・矢野一人・阿野 進・鈴木義規(ATR) |
B-17-16 |
920 MHz帯干渉発生状況測定(2)―大学および展示会会場―
○矢野一人・清水 聡・阿野 進・鈴木義規(ATR) |
B-17-17 |
電波環境モニタリングを活用した920MHz帯無線ネットワークにおけるチャネル割り当て最適化手法の検討
○下条則之・須藤浩章・小坂和裕・小谷暁彦・安永 毅(パナソニック) |
B-17-18 |
電波環境モニタリングを活用した920MHz帯無線ネットワークにおける送信電力制御の検討
○須藤浩章・小坂和裕・小谷暁彦・下条則之・安永 毅(パナソニック) |
B-17-19 |
周波数共用システムの受信電力比に応じた帯域幅制御による干渉低減
◎犬束欣生・冨里 繁・上原一浩(岡山大)・清水 聡・鈴木義規(ATR) |
920 MHz帯はLoRaをはじめとするLPWA(low power wide area)やWi-SUN(wireless smart utility network)など,様々な無線ネットワークが共用している.また,無線通信機器以外からの電磁ノイズも存在するため,効率的な無線システムの運用やシステム間共存を行うには,各環境における干渉や電磁ノイズの発生状況を把握し,これに応じた無線ネットワーク制御を行う必要がある.そのため,筆者らは国内の様々な環境において920 MHz帯における干渉や電磁ノイズの測定を実施している.本稿では国内の地下駅および地上駅にて観測した干渉や電磁ノイズの発生状況を報告する.
920 MHz帯はLoRaをはじめとするLPWA(low power wide area)やWi-SUN(wireless smart utility network)など,様々な無線ネットワークが共用している.また,無線通信機器以外からの電磁ノイズも存在するため,効率的な無線システムの運用やシステム間共存を行うには,各環境における干渉や電磁ノイズの発生状況を把握し,これに応じた無線ネットワーク制御を行う必要がある.そのため,筆者らは国内の様々な環境において920 MHz帯における干渉や電磁ノイズの測定を実施している.本稿では国内の大学および展示会会場にて観測した干渉や電磁ノイズの発生状況を報告する.
IoT機器の普及によって電波干渉・電波雑音の増加が懸念されている.そのような環境において管理下の無線機の通信パラメータを制御することで,ネットワーク全体の通信効率を改善する手法について検討を行っている.本稿では,電波環境モニタリングを活用したチャネル割り当て最適化手法について検討を行ったので説明する.
IoT時代では、Low Power Wide Area (LPWA)方式の通信機器開発が盛んに行われ、今後更なる増加が予測される。しかし、920MHz帯は無線システム間での電波干渉が懸念され、管理内の無線Network (NW)の干渉を制御し、NW全体の通信量を最大化する技術が提案されている。
本報告では、これまでに検討した電波環境を分析した結果を活用した920MHz帯無線NWにおいて、送信電力制御に関する検討を行ったので報告する。
管理下の無線ノードの干渉量を制御し,ネットワーク全体の通信量を最大化するコンセプトが提案されている.そのときに周波数利用の高効率化を実現する技術として周波数共用技術があり,このシステムで使用帯域幅を制御して帯域外雑音を低減した場合の干渉低減効果が評価されている.特に隣接帯域と3次相互変調歪が発生する帯域を被干渉システムが使用する場合,帯域外輻射による干渉の影響が大きくなる.良好な通信品質を確保するためには,管理下のシステムの干渉量を低減する必要がある.本研究では,周波数共用システムの使用帯域幅をシステム間の受信電力比に応じて制御を用いることで,システム間干渉を効果的に低減できることを明らかにした.
休 憩(10:30 再開) 座長 矢野一人(ATR)
B-17-20 |
複数のLPWA方式で同一チャネルを共用するための時間スケジューリング技術
◎吉澤健人・浅井裕介・内田大誠・宮武 遼(NTT) |
B-17-21 |
周波数オフセット送信ダイバーシチを適用したLoRa変調の実験評価
◎福本浩之・藤野洋輔・赤羽和徳(NTT) |
B-17-22 |
一括集約型無線センサネットワークにおける高密度データ分離を実現する送信制御法
◎神尾明典・田久 修(信州大)・太田真衣(福岡大)・藤井威生(電通大)・笹森文仁・半田志郎(信州大) |
B-17-23 |
高粒度位置推定と省電力を実現するためのGPS 内蔵型モバイルIoT 端末の適応的測位手法に関する検討
○酒造 孝・渡辺良人・荘司洋三(NICT) |
B-17-24 |
ミリ波搭載ドローンを用いた4K非圧縮映像伝送システム
○高久淑考(東工大)・海江田洋平(セコム)・阪口 啓(東工大) |
LPWA通信の特徴に基づき時間割り当てを行うことにより、複数方式で共用を可能とするGW機の制御技術を提案する。本投稿では具体的にEnOcean(ALOHA)方式とRIT方式を想定し、各方式の時間割り当て制御を適用した場合のスループット特性について計算機シミュレーションにより評価したので報告する。
IoT (Internet of Things)向けの無線通信規格として活用が期待されるLoRaは、チャープスペクトラム拡散に基づくLoRa変調を用いて高感度化を実現している。フェージング等の影響により受信信号電力が受信感度以下に低下する極めて厳しい環境に設置された端末に安定した通信品質を提供するためには、さらなる高感度化や電波の到達性の向上が期待される。著者らは、LoRa端末への電波の到達性の向上を目指し送信ダイバーシチの適用を検討している。本稿では、周波数オフセット送信ダイバーシチをLoRa変調に適用することでアンテナダイバーシチが得られることを実験評価により確認したので報告する。
物理量変換による一括集約型無線センサネットワーク(PhyC-SN: Physical Wireless Parameter Conversion Sensor Network)が注目されている.混在するデータから分離する方法としてトラッキングが用いられているが,誤ったデータを追尾するエラートラッキングが問題視されている.各センサが異なる時刻で送信する時分割多元接続方式(TDMA)はエラートラッキングを完全に回避できるが,送信できる情報量が大きく減少する.本稿では,エラートラッキングの回避と情報量の減少を抑制する送信制御法を提案する.
視界の悪い交差点や住宅街等において,車や自転車等
の高速移動する車両の接近情報を,IoT 端末を用いて近
隣の歩行者に共有し警告を発することで事故の低減が可
能であると考えられる[1].このようなシステムでは,一
般的にGlobal Positioning System (GPS) による車両の
測位周期と無線発信周期を短くする事で高速移動時でも
高粒度な位置情報の推定が可能になるが,一方測位周期
を短くする事は消費電力の増大に繋がる.したがって,
電池容量に制限のあるモバイルIoT 端末においては粒
度と電池寿命のトレードオフを解決することが課題とな
る.本検討では,測位時にGPS モジュールによって算
出される移動速度から,適応的に測位周期を変更するこ
とで,一定周期で測位を行う場合に比べて,移動時の粒
度の向上と電池の延命化が可能な手法の検討を行う
近年、ドローンを用いた上空からの広域監視を目的とした映像伝送の開発が非常に盛んである。最近では、高精細な動画像が利用されるようになったが、高い解像度に伴い、情報量が大幅に増加してしまう。そのため、一般的に原画像を符号化し、データ圧縮された状態で伝送が行われる。原画像に圧縮処理を加えることにより圧縮率に応じて顔検出率が低下するといった報告がある。一方、ミリ波5Gを用いた超高速伝送が実現されたことにより、データ圧縮を行わない非圧縮伝送も実現の可能性がある。本研究では非圧縮映像を伝送し、検出率の向上とより低遅延な映像伝送を可能にする60GHz帯無線通信システムの構築を目的とし、映像伝送実験を行った。
B-18. 短距離無線通信
9月12日 10:30〜11:45 C棟 2F C203講義室 座長 村上友規(NTT)
B-18-1 |
受信端末駆動型MACプロトコルを用いたポーリング型マルチホップネットワークにおけるアップリンク遅延改善法
◎奥村亮太・水谷圭一・原田博司(京大) |
B-18-2 |
無線システム導入における無線機器-位置マッチングの推定手法
○米澤祐紀・坂本岳文(東芝) |
B-18-3 |
複数の線状ネットワークが隣接する環境における送信タイミング制御方式
◎鮫島景子・三宅裕士・青山哲也・武 啓二郎・有賀 博(三菱電機) |
B-18-4 |
間欠動作時の通信S/W動作時間揺らぎを考慮した時刻同期補正
◎松永 亮・大賀正夫・武 啓二郎・有賀 博(三菱電機) |
B-18-5 |
多次元符号化変調を用いたミリ波無線伝送の一検討
○佐々木重信・古井丈士(新潟大) |
Feathery Receiver-Initiated Transmission (F-RIT) のような受信端末駆動型Media Access Control (MAC) プロトコルは,ガス・水道スマートメータに代表される,バッテリによる長期間動作が必要なInternet-of-Things (IoT) 端末に好適である.ポーリング通信により干渉の影響を抑えた高信頼なデータ収集を行うことが可能であるが,高頻度なデータ収集を行うには,低遅延で低消費電流の方式を検討する必要がある.本稿では,アップリンク遅延を改善するために,MAC RIT Periodを一時的に短縮する手法を提案する.
多くの無線機を利用する無線システムでは、どの位置にどの機器を据え付けたのかを明らかにしなくてはならい。しかしこの確認作業は台数が多くなるほど、時間を要するという課題がある。
我々は、無線照明制御システムにおいて、確認作業を効率化するための隣接機器推定手法を提案する。本手法では、無線照明器具と作業端末との間で測定できる受信信号強度を用いて、無線照明器具間の近さを評価し、作業員に効率的に確認できると推定された機器の順番を通知する。
実地試験とシミュレーションを通してその効果を検証した。600台規模のシミュレーションでは、80%程度の削減効果があることを確認した。
近年,様々な機器の状態を監視する無線ネットワークに注目が集まっている.筆者らは,線状に並ぶ機器の状態監視を無線化するために,マルチホップネットワークにおける送信タイミング制御方式を検討している.本稿では,線状のマルチホップ経路が複数近接する環境において,送信タイミング制御により,無線端末間の隠れ端末問題を自律的に回避し,パケットロスを低減する手法を提案する.
M2M通信で通信機を電池駆動させる場合,省電力性を高めるために,通信時間以外はスリープ状態
にして低消費電力化を図る間欠動作を用いる.通信ソフトウェア(S/W)を用いて時刻同期処理を
行う場合,通信S/Wの動作時間の揺らぎにより時刻同期誤差が発生し,送信機の通信可能時間と
受信機の通信可能時間の差異によりパケット不達が発生する.今回,パケット不達率から時刻同期
誤差を推定して時刻同期補正することで時刻同期誤差のばらつきを抑える提案手法を評価し,
時刻同期誤差のばらつきが改善できることを確認したため報告する.
ミリ波無線 LANなど様々な通信システムで,QAM(直交振幅変調)と誤り訂正符号の組合せは広く用いられている.QAMの多値数を増やすことで伝送速度を高められるが,それに伴ない一定の性能を得るのに必要な SN 比は大きくなる.また信号のピーク対平均電力比 (PAPR) が大きくなり,増幅器等の非線形性の影響を受けやすくなる.本報告では通常の符号化QAM の代わりに多次元符号化変調を適用し,ミリ波無線伝送路における誤り率特性の評価を行った.多次元符号化変調の適用により,同じ伝送速度のQAMに比べPAPRを抑えつつ,誤り率特性の改善が得られた.
B-19. ヘルスケア・医療情報通信技術
9月11日 9:15〜11:30 C棟 3F C305講義室 座長 川島 信(中部大)
B-19-1 |
学習済みネットワークモデルを用いた特徴抽出による手話動作識別実験
◎川口開都・王 治中(神奈川工科大)・Daraseneeyakul. Paporn・Veerakiatikit. Phaphimon(Chulalongkorn Univ.)・田中 博・西村広光(神奈川工科大) |
B-19-2 |
周期定常性を用いた非接触型心拍・呼吸同時推定法の開発
◎永井恒輝・金 ミンソク(新潟大) |
B-19-3 |
ドップラーセンサを用いた心拍測定におけるテンプレートマッチング法の検討
○佐藤里咲・上林眞司(中京大) |
B-19-4 |
心拍間隔検出時の心拍波形の影響低減方法について
○上村晴也(ユニオンツール) |
聴覚に障害を持った方とのコミュニケーション方法の検討として,手話を翻訳するための研究が多く行われている.当研究室では,カラー手袋を装着して光学カメラのみで実現する手話認識システムの開発に取り組んでいる.
本稿では,深層学習による両手で行う手話動作の認識を目的として,事前学習済みネットワークであるAlexnet,VGG16を用いて認識精度を比較した結果を報告する.
近年,高齢者の健康状態の見守りや,生体情報の常時モニタリングなど,日常的健康管理への要望が増えている.このため様々な測定システムが開発されているが,その多くは接触型であり,不快感やメンテナンスの煩わしさなどが問題となっている.以上より,非接触測定技術の導入が検討されているが,体動雑音,多重波干渉などに敏感であるなど様々な技術的課題が存在する.本研究ではミリ波帯によるレーダ信号の周期定常性を用いることで,定常過程である雑音にロバストな手法の実現を目指す.本報告ではスペクトル相関密度関数を用いた心拍・呼吸の同時周波数推定のアルゴリズムとその推定精度について述べる.
近年、ドップラーセンサを用いた非接触心拍測定の研究が、多く報告されている。心電図の電極装着によるストレスの軽減や、日頃からの健康管理が手軽にできること、更には精神状態までも分かることが期待されている。しかし、体動等により高精度の心拍測定は難しい。本稿では、連続する心拍波形の類似性に着目し、心拍間隔(RRI)の測定も併せて実現するため、ドップラーセンサを用いた心拍測定におけるテンプレートマッチング法の適用効果を検討した。基礎実験の結果、呼吸の影響がない理想環境では、テンプレートマッチング法により高精度でRRIを測定できることを確認した(光学式脈拍センサを基準とするRMSE 29ms)。
近年,心臓の拍動の時間間隔を表す心拍間隔(RRI)が注目されている.RRI の微小な変化を利用して,交感神経・副交感神経の指標,入眠推定,ストレス評価,眠気検出など,様々な分野への応用が試みられている.RRIを高精度で検出するには,被検者の胸部に機器を直接装着して心電を直接取るために,機器を小型・軽量にする.これを実現するために,RRI検出は可能な限り処理量の少ない方法とし,省電力化を図る.
一方,RRI検出の精度を下げる事象として,ノイズの混入,心拍波形の形状変化などがある.本研究では,心拍波形の形状変化によるRRI検出の精度低下の対策を少ない処理量で実現する方法を提案する.
休 憩(10:30 再開) 座長 安在大祐(名工大)
B-19-5 |
行動変容理論を用いた健康増進プロンプトシステムの改良
○谷口匡之・坪田 東・櫻田孔司(OKI) |
B-19-6 |
リハビリテーション病棟における脳卒中リハビリ患者の運動機能と日常における活動状態との関連性
○小笠原隆行・佐藤里江子・松永賢一(NTT)・向野雅彦(藤田医大) |
B-19-7 |
LSTMを用いた日常生活におけるストレス予測の高精度化
◎梅松旭美(NEC)・佐野あかね(Rice Univ.)・Sara Taylor・Rosalind Picard(Massachusetts Institute of Technology) |
B-19-8 |
長期ストレス推定における活動状態データ又は活動強度データを用いることによる効果比較
○中島嘉樹・梅松旭美・辻川剛範・大西祥史(NEC) |
行動変容理論は,人が行動を変え習慣化に至るメ
カニズムについて体系化した理論である.
本稿では,2017 年に行った実証実験の結果を受け
改良を施した健康増進プロンプトシステムを用い、長期
間に渡り実証実験を行った結果を報告する.
脳卒中発症後のリハビリ入院患者にとって、限られた訓練時間に留まらず、他の生活時間帯においても運動・活動機会を確保し、適切な身体負荷を得ることが望ましい.こうした背景から、我々は一日(24時間)の総量としての活動状態を計測して定量化するシステムを提案し,実験を行ってきた.しかし何らかのセンサデータが得られても、それが医学的に着目すべき指標として有効とは限らない.そこで、本システムで得られる計測結果と、臨床にて用いられている機能指標(FIM)との関連性について調査するため、リハビリ患者の活動状態モニタリング結果をFIMの得点に応じて分類した.結果、両者における正の相関が示唆され、一定の関連性が期待される.
ストレスレベルの正確な予測は,健康状態の把握やストレスの適切な自己管理に役立つ.本論文では,時系列データに対するモデルであるLong short-term memory (LSTM) を用い,過去1~7日間のデータを使うことによるストレス予測精度の変化を調査した.用いたデータは,学生142人,計2,276日間の,腕時計型ウェアラブルセンサから取得した生体情報,携帯電話のログ,アンケートなどの全375特徴量のデータである.実験では,Support vector machineやLogistic regressionと比較し,LSTMが大きく性能を上回り,過去7日間のデータを用いて翌日のストレスレベルを83.6%の精度で予測できた.
生体信号によって就業者のストレスの長期的な蓄積(長期ストレス)を把握し,精神疾患に至る前に対処,低減させることが望まれている.生体信号はストレス等の精神活動と身体活動の両方の影響を受ける為,長期ストレスを推定する際,身体活動の影響を取り除く必要がある[1].その方法として,身体活動の強度に対して被験者全てに共通の閾値を設定して区別する手法(Activity Magnitude Approach: AMA)と,被験者個人毎に身体活動の状態の区別を行う手法(Activity Sate Approach: ASA)の2つが考えられる.しかし,長期ストレス推定におけるAMAとASAの効果を比較した例はない.本稿では,いずれの手法が長期ストレス推定において効果があるのか比較する.
9月12日 9:15〜11:30 C棟 3F C305講義室 座長 本田和博(富山大)
B-19-9 |
マイクロ波を用いた非接触型褥瘡検出システムの検討
◎向坂美希・高橋応明(千葉大) |
B-19-10 |
高精細数値人体モデルを用いたカプセル内視鏡の位置推定
◎佐々木凜太郎・高橋応明(千葉大) |
B-19-11 |
入射電界ピーク形成を用いた電磁波イメージングによる複数インプラント機器位置推定法
◎星野純也・安在大祐・王 建青(名工大) |
B-19-12 |
受信電力に基づいたOn-body/In-body機器の同時位置推定
◎永尾文弥・安在大祐・王 建青(名工大) |
従来,褥瘡の早期発見を目的にインピーダンス分光法やウェアラブルマイクロ波センサ等を利用した褥瘡検出が提案されてきたが,これらは皮膚へ直接センサを付けるため,定期的な取替えが必要となるだけでなく,皮膚のふやけなどを誘発する可能性がある.
そこで本研究では,褥瘡発生時の皮下組織の変化に着目し,マイクロ波を用いた非接触での褥瘡の検出を目的とし,ステージの進行に伴う皮下組織の変化に起因する変化を健康皮膚と褥瘡皮膚を模した簡易皮膚モデルを用いた数値解析により算出した.
解析の結果,皮膚上に欠損が生じるステージⅡ以降において反射特性が大きく変わることがわかり,褥瘡の有無を識別することができた.
カプセル内視鏡システムは,従来の有線内視鏡に比べ侵襲性が低く,消化管内を可視化し診断できるイメージングツールとして現在最も普及している診断機器のひとつである.
本研究では,移動中のカプセル内視鏡への無線電力伝送の効率化を図るため,高精細数値人体モデルにおける受信信号強度を用いた位置推定の解析を行った.その結果,全241地点のうち約80%において推定誤差が40mm以内という結果が得られた.
近年,新しい医療機器としてインプラント機器の研究・開発が盛んに行われている.これに伴い,脳波測定用極小電極やセンサー内蔵薬など複数のインプラント機器を同時に用いた高度医療の実現が強く期待されている.これらの機器の位置情報を知ることは治療効率の向上などから非常に重要になる.位置推定法として本研究は散乱電界を用いた電磁波イメージングによる方法に着目する.従来,入射電界は単一の平面波を用いていたが,本稿ではビーム形成された入射電界を用いることによって推定精度の向上を目指す.不均質な組織分布を持つ人体モデルを用い,計算機シミュレーションによる特性評価を行う.
近年,インプラント機器による高度医療の実現が注目を集めている.インプラント機器に基づいた医療において高精度な機器位置推定が重要となる.先行研究では,インプラント機器の位置推定法として受信電力強度(RSSI: Received Signal Strength Indicator) に基づいた手法が提案されているが,体表に設置された複数のRSSI 測定器の位置を事前取得する必要があった.そこで本研究では,体表のRSSI 測定器位置とインプラント機器位置を同時に推定可能な位置推定法を提案し,計算機シミュレーションによる位置推定精度の評価から本提案法の有効性を示す.
休 憩(10:30 再開) 座長 四方博之(関西大)
B-19-13 |
ARモデルを用いた心拍変動解析のための低消費電力アーキテクチャの検討
◎吉田聖也・和泉慎太郎・矢野裕二・川口 博・吉本雅彦(神戸大) |
B-19-14 |
磁性体シートを装荷した経皮エネルギー伝送用トランスにおける伝送特性
◎佐藤潤弥・越地福朗(東京工芸大)・越地耕二(東京理科大) |
B-19-15 |
外気の対流変化に対する非侵襲深部体温推定手法の検討
◎松永大地・田中雄次郎・瀬山倫子(NTT) |
B-19-16 |
Basic Design and Implementation of reactive positioning on iPhone platform
Chia-Sheng Tsai・○Yen-Hsun Lin(Tatung Univ.) |
本研究ではウェアラブルなセンサモジュールを用いるヘルスケア応用に着目し,心拍変動解析を低消費電力に実現する専用アーキテクチャを検討する.センサモジュールは無線通信による消費電力が大きく,通信量を削減する手法が求められている。
提案手法は,心拍変動データの周波数解析計算の一部をセンサモジュールで行い,取得データを特徴量に変換することで送信データ量を削減する.本研究では周波数解析手法にARモデルを用いた.システム全体のエネルギー消費量は,BLEを使用するワイヤレストランシーバを搭載したセンサモジュールを想定して評価した.評価結果は,周波数解析手法にFFTを用いた場合と比較してセンサモジュールの消費エネルギーを73.5%削減することが出来た.
本研究では,磁性体を装荷した空芯偏平コイルを用い,生体を考慮した際の伝送特性および磁束密度分布について電磁界解析によって検討を行った.その結果,磁性体を装荷した場合には,通常の空芯偏平コイルに比べて,周囲への磁束の広がりが抑えられ,コイル間に効果的に磁束が分布するため,伝送効率の大幅な改善が可能であることが確認された.以上のことから,生体適用時にも,磁性体の適用によって良好な伝送特性が得られることが確認された.
生体の核心部の温度である深部体温を連続計測することで概日リズムなどの生体情報を取得可能である.計測負担軽減のため,生体の表面に置いた熱抵抗体で皮膚温度と核心部から外気へ発生する熱流束を計測し非侵襲に深部体温を推定する手法が提案されているが,この手法は外気の対流変化により誤差が発生する課題がある.
本研究では,従来手法で用いられた熱等価回路モデルを改良し対流変化の影響を受けないモデルを考案した.さらに,このモデルを実現するデバイス構造を考案し,生体の熱特性を模擬したファントムを用いた実験により外気の対流変化で生じる推定誤差を検証した.提案により推定誤差を低減可能であることを確認したので報告する.
A lot of positioning Apps were powered by MIT-App Inventor 2 or Android app program for android systems in the literatures. Here, a reactive positioning app is implemented for iOS platform using swift programming language by Xcode developer. The motivation of this design is to record the location of the handicapped person by iphone automatically. Also, the users can track or be tracked voluntarily by their parents, their children, lovers, friends, and even the stranger who cared. Furthermore, the history location data will be recorded in remote database server where the users can leave message to exchange information or communicate each other in the reactive system.
B-20. 無線電力伝送
9月11日 9:00〜11:45 C棟 4F C401講義室 座長 成末義哲(東大)
B-20-1 |
LC3 素子および 4 素子で構成されるジャイレータのポアンカレ長
◎水谷 豊・大平 孝(豊橋技科大) |
B-20-2 |
電界結合WPTシステムに対する3つのkQ積測定手法の検討
○大黒康平・植村 渉(龍谷大)・粟井郁雄(リューテック) |
B-20-3 |
複素インピーダンスを実抵抗に変換するLC整合回路の最短ポアンカレ長さおよび電力効率
○阿部晋士・大平 孝(豊橋技科大) |
B-20-4 |
オープンリング共振器を用いた920MHz帯無線送電機構
○大野泰夫・伊藤弘子(レーザーシステム) |
B-20-5 |
電界結合型WPT回路理論の双対性原理からの開放とkQ積理論の活用
○粟井郁雄(リューテック)・荒木純道(東工大) |
無線電力伝送において,インピーダンス反転の役割を持つジャイレータが用いられている.
本稿では,LC3素子を用いたT型回路とπ型回路,LC4素子ラダー型回路,それぞれのジャイレータを満たす条件を導出し,ポアンカレ長を理論計算で明らかにする.LC3素子ジャイレータとLC4素子ラダー型ジャイレータのポアンカレ長を比較した結果,LC4ラダー型素子ジャイレータの方がポアンカレ長が短くなる.また,インピーダンス変換比が大きくなるほど,ポアンカレ長の差が大きくなる.ポアンカレ長が短くなるほど回路損失を低減できるため,LC4ラダー型素子ジャイレータの方が低損失となる.
本稿では4枚極板を用いた電界結合WPTシステムへのkQ積測定手法について述べている.通常,WPTシステムはフル2ポートのベクトルネットワークアナライザ(VNA)を用いて効率測定が行われる.しかし, VNA内部で各ポートのGNDが共通となっているため,4枚の極板を用いた電界結合方式では実際の回路構成と異なってしまう.本稿ではGNDを独立に出来る1ポート及び3ポートVNAを用いた回路構成を変えない測定手法と、同じく独立化した2ポートVNAを用いた測定手法について比較検討している.しかし,ここでは測定の代わりにシミュレーションでの解析を行っている.
高周波回路において複素インピーダンスと実抵抗の整合は必要不可欠である.また, ワイヤレス電力伝送のように電力を扱う場合, 電力効率も重要である.本研究ではインピーダンス変換回路の電力効率について扱い,ポアンカレ計量についての長さを基に電力効率の最大値を示す.
オープンリング共振器を用いた920MHz帯無線送電装置の伝送実験結果を示す。直径約85mmのアルミ製リングを用いて、50mmの距離で90%、40mmの距離では位置ずれ幅35mm、長さ60mmの範囲で80%以上の効率を示した。
電界結合型ワイヤレス給電回路はしばしば磁界結合回路との双対性が有ると言われ、それに基づく等価回路表現が示されるが、其の回路定数の決定法については不明のままで放置されていた。この報告では其のような双対性は誤解に基づくものであって、回路を構成する電極間容量を正直に計算する他はないことを示し、其の計算に基づいて等価的に共通接地回路の存在が判明することを示した。それを利用すればVNAを用いた回路測定によってkQ積理論が適用でき、回路の最大効率等が判明する。
休 憩(10:30 再開) 座長 松室尭之(龍谷大)
B-20-6 |
非接触給電システムにおけるAR技術を用いた電磁界可視化の検討
◎鈴木公章・佐藤 拓・山田 洋・袁 巧微(仙台高専) |
B-20-7 |
アームロボットへの非接触同時伝送用通信伝送システムの開発
○二ッ矢幹基・石崎俊雄(龍谷大)・粟井郁雄(リューテック) |
B-20-8 |
各ゲート信号の位相調整を用いる並列接続E級インバータの電力制御手法
◎宮地啓輔・小山哲志・水谷 豊・阿部晋士・大平 孝(豊橋技科大) |
B-20-9 |
電化道路における遠端全反射可変整合方式のV-WPT実機実証
◎新谷純弥・柴田雄大・阿部晋士(豊橋技科大)・坂井尚貴(金沢工大)・大平 孝(豊橋技科大) |
B-20-10 |
ポジションフリー海中ワイヤレス給電実用化の基礎検討
○山口修一郎・江口和弘・川田壮一・八木達雄・岡本克也・枷場亮祐・小柳芳雄(パナソニック) |
近年,スマートモビリティ社会の実現へ向け,電気自動車やパーソナルモビリティへの非接触給電技術が注目されている.そこで我々は,パーソナルモビリティへのkHz/MHz帯における50W級の非接触給電システムの研究を進めている.このような数W以上の電力を扱う非接触給電システムの実用化に当たり,社会ではその安全性の問題が懸念されている.筆者らは,電磁界解析及び測定技術とAR(拡張現実)技術を組み合わせ,リアルタイム・空間で非接触給電システムの近傍電磁界の可視化を行うことで,システムの安全性を示すことができると考えた.本報告では,ARKit2.0を用いたARアプリの検討を行い,電磁界解析シミュレーション結果を用いた可視化を行ったので報告する.
本研究はこれまでに多関節アームロボット用非接触給電システムの開発を行い、各関節部に対して要求電力を供給することを可能にした。しかし、アームロボットの関節部に用いるサーボモータは制御信号が必要であるため従来のシステムに対して通信伝送機能を付与して同時伝送システムに昇華させるべきである。そこで、本稿では同時伝送システムへの足掛かりとして通信伝送システムの検討を行う。その際、意識するのは「通信ラインの減衰」と「電力ラインと通信ラインのアイソレーション」である。この2つの課題を「2つの共振点で力率が1となる共振器」と「多分岐対応可能なフィルタ」の設計により解決する。
E級インバータの電力を制御する場合,FETのドレイン側に加える直流入力電圧を制御する方法が一般的である.
この場合,大電力経路にDC-DCコンバータを接続する必要があり,損失が生じる.また,スペースも必要になる.
そこで本稿では,並列に接続された複数台のE級インバータの各ゲート信号の位相を調整することで,合成電力を調整する新しい制御手法を提案する.
電気自動車のバッテリに起因する問題を解決する技術として,路面下に給電設備を埋設した道路(電化道路)から走行中に給電する電化道路電気自動車が提案されている.本研究では,定在波による給電効率低下抑制手法として提案されている遠端全反射可変整合方式(FERMAT)を電化道路で適用できることを実証する.施工された電化道路と受電タイヤでのV-WPT系のSパラメータの導出方法を提案した.そして,FERMATを適用し車両の位置特性を測定した.その結果,位置が変化しても,入出力端での反射電力の抑制,定在波節による効率低下の解決ができることを実証した.
AUVなどの海中移動体にワイヤレスで充電を行うことができれば、活動時間を大幅に伸ばすことができる.これまでに海中で直径3.4mのコイル7段を用いて10mのワイヤレス電力伝送実験を行い海中でワイヤレス電力伝送できることを確認したが、伝送効率が26%と低く、また金属体であるAUVを考慮した実験ではなかった.そこで本技術を実用化するために伝送効率の向上や金属への影響にも配慮したシステムを検討し、小型モデルを作製して80%以上の高効率でワイヤレス電力伝送できることを確認した.
9月11日 13:00〜16:00 C棟 4F C401講義室 座長 長谷川直輝(ソフトバンク)
B-20-11 |
マイクロ波電力伝送によるドローンの飛行に関する研究
◎青木拓海・袁 巧微(仙台高専) |
B-20-12 |
マイクロ波帯無線電力伝送の屋内伝播における人体遮蔽推定
◎吉江明花・榊原慶太・日景 隆・山本 学(北大) |
B-20-13 |
GaNバラクタダイオードを用いた簡易ビーム制御可能な進行波型フェイズドアレイアンテナの検討
○長谷川直輝・髙木祐貴・太田喜元(ソフトバンク) |
B-20-14 |
分散協調型マイクロ波無線電力伝送システムに関する実験的検討
◎田中勇気・金井一輝・枷場亮祐・池田拓磨・梶原正一・谷 博之・小柳芳雄(パナソニック) |
B-20-15 |
パルスレーダによる無線電力伝送に関する基礎研究
○藤野義之・森下史也・佐藤快都(東洋大) |
ドローンは操作性や汎用性の高さから宅配サービスや三次元計測などといった商業から研究分野まで広い範囲での応用が期待されている.しかしドローンにはいくつかの課題があり,その中でも飛行時間の短さやバッテリーによる積載量の減少が大きな問題となっている.そこで,本研究では2.45GHzを使用したマイクロ波電力伝送技術を用いて地上から電力を供給することでバッテリー非搭載のドローンの飛行を実現する.実現するにあたり,レクテナの高効率化に加えて軽量化に着目した設計・試作を行った.試作したレクテナを使用しドローンの飛行実験を行ったところ数mm浮上した.
無線技術を利用して充電・給電を行うWireless Power Transfer (WPT)は, モバイル・ICT機器から家電,あるいは電気自動車(EV)まで,様々な分野での活用が期待されている.近年,より長距離の電力伝送に有効なマイクロ波帯の電波を利用したBeam方式のWPTシステム(beam-type WPT)の開発が行われている.本研究では,屋内利用のbeam-type WPTに関する電波伝搬特性の把握を目的として,数値解析に基づく特性評価を行う.屋内環境における伝搬特性の評価においては,人体による電波の吸収および遮蔽影響が無視できないため,これら影響を考慮した特性評価法が重要となる.また,実際の屋内環境においては,周囲の什器や壁からの反射波が生じるため,伝搬特性は複雑で多重反射環境となる.本稿では,小オフィス環境における915MHz帯beam-type WPTによる電波伝搬特性について評価する.人体遮蔽の有無に起因した伝搬損失増加について評価例を示す.
本研究では、フェイズドアレイアンテナの給電系として移相器・アンテナを直列に接続した進行波型回路を採用することで、移相器制御系統数を大幅に削減したスケーラブルなアンテナ構造を提案した。提案構成により簡易な電圧制御によるフェイズドアレイアンテナのビームステアリングが実現可能である。本検討においてGaN 移相器を設計・試作し1 次元のアンテナ評価を行った。本発表では簡易型フェイズドアレイアンテナの実測結果について報告する。
広く分散した複数の送電アンテナからマイクロ波を送信し,広範囲に高効率で無線給電を行う検討が行われている.分散型マイクロ波無線電力伝送システムにおいては,送受電アンテナに低利得アンテナを利用することができ,小型化,低コスト化,人体暴露の観点から有利である.8台の送電アンテナから1台の受電アンテナに電力供給を行う実験系を構築し測定を行った結果,従来手法であるCSD (Career Shift Diversity)と同等のカバーエリアを実現し,受電電力を約13dB可能であることを確認した.
近年,電波方式における無線電力伝送が検討されつつある.無線電力伝送からみると,レーダの分野においては,出力電力の大きさが魅力的である.このため,X帯に対応するレクテナ用整流回路を設計製作し,ハーベスティングのための基礎的な検討を実施したので報告する.
休 憩(14:30 再開) 座長 阿部晋士(豊橋技科大)
B-20-16 |
LCブースター方式を用いた走行中非接触給電システムの検討
○菅原直樹・佐藤 拓・山田 洋(仙台高専) |
B-20-17 |
複数送信器を利用した高い位置安定性を有する無線電力伝送
◎大西和真・山口和也・飯田賢一(奈良高専) |
B-20-18 |
平面容量性送受電器を用いたキャビティ共振モードWPTにおける高効率化手法
◎二村真司・田村昌也(豊橋技科大) |
B-20-19 |
マルチモード準静空洞共振器を用いた無線電力伝送における中継共振器の配置についての一検討
◎平井雄太・笹谷拓也・川原圭博(東大) |
B-20-20 |
FM放送周波数帯におけるエネルギーハーベスト回路の検討
◎安田秀史・島崎仁司(京都工繊大) |
B-20-21 |
金属閉空間内におけるマイクロ波無線電力伝送の受信ダイバーシチによる効率向上に関する検討
○池田拓磨・田中勇気・金井一輝・枷場亮祐・谷 博之・梶原正一(パナソニック) |
物流の分野において、作業効率の向上や人件費削減の方法として無人搬送車が注目されている。この無人搬送車は長時間の稼働を実現することで、より効果的な活用が期待できる。そこで本研究は、無人搬送車による24時間の稼働を実現するため、非接触による走行中給電システムの検討と各特性の評価を行った。各特性の評価において、負荷特性、ギャップ特性、位置ずれ特性の測定を行った結果、ギャップ長50mm 、1200mm区間での伝送効率70%の非接触給電を実現した。
本研究の目的は,送電回路を複数用いた無線給電における,回路パラメータや軸ズレの影響などの代数的な解析およびシステムの最適化である.併せて,位置に対して安定性の高い無線充電器を設計,制作および評価することを目的とする.
提案する手法において,受電回路の平面的な移動を想定するため,送電回路を3台と設定して解析を行った.ビオ・サバールの法則や回路方程式等から,送信器は正三角形状の配置が最適であると判明した.
実験では,コイル間の対面距離を固定して,受信器を水平方向に移動させた時の電力変化を観測した.その結果として,送信器の対面で4~4.5mW,中心で2.4mWの伝送を確認した.
我々は反射プローブ(可変リアクタンス回路で終端したプローブ)を用いることでキャビティ共振モードWPTにおけるRF-DC電力伝送効率ηの位置依存性を低減する方法を提案している.本稿では平面型容量性送受電器に対しても反射プローブを用いることでηを向上できるか実証実験を行った.反射プローブ挿入前後におけるηを比較した結果,反射プローブを挿入することで全ての位置でηが向上し,最大で10.7 pt向上することを確認した.以上より,平面型容量性送受電器に対しても反射プローブを用いてηを向上できることを確認した.
広い三次元空間における無線電力伝送に向けた手法としてマルチモード準静空洞共振器~(Multimode~QSCR)が近年提案された.しかし部屋の構造によって生成される磁界の向きが決まるため,自由に各位置の磁界の向きを設定できない.そこで中継共振器を家具に埋め込むなどの方法で自然に配置することで,デバイスの位置・角度に合わせた適切な磁界を発生させる手法を提案する。本稿ではその初期検討として,棚の上に置かれた受電器の効率を棚に中継共振器を設置することで最大30\%の効率の向上が可能であることを確認した.
周囲環境にある微小なエネルギーを採取するエネルギーハーベストとして、携帯電話や放送の電波から直流電力を取り出す研究が行われている。本報告ではFM放送の周波数帯を対象とし、コッククロフト・ウォルトン回路にループアンテナを用いた受信部を加えて直流電力を得る検討を行った。コッククロフト・ウォルトン回路の段数ごとの入力電圧、出力電圧特性をシミュレーションし、その結果を用いて、コッククロフト・ウォルトン回路の段数を決定した。また、ループアンテナについては、FM放送周波数帯で共振するアンテナを作製し、並列接続数を変えて比較することでループ数を決定した。実験室内で、94.9 MHz の電波を送信し、作製した回路で直流電力を得ることができた。
近年IoTやIndustry 4.0によりセンサネットワークが急速に普及しており,センサノードの無線化及びバッテリーレス等のメンテナンスフリー化が求められている.電源を無線化するための手段として無線給電技術 (WPT) が挙げられるが,マイクロ波方式では,電波法で制定される出力電力やアンテナ利得の上限が存在し,自由空間での給電効率は低い.
本稿では,自由空間より高効率で給電可能な金属閉空間内において,センサ等への給電を想定し,920MHz帯を利用したマイクロ波給電を行う.給電の効率を改善する方法を,電磁界解析によって示した.
シンポジウムセッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
BS-1. IoTに向けた小形アンテナ設計技術
(アンテナ・伝播研専)
9月11日 13:00〜17:00 B棟 2F B218講義室 座長 野口啓介(金沢工大)
BS-1-1 |
無給電素子を用いた2素子平板逆Fアンテナの素子間相互結合の簡易低減手法
◎フン クァン クァン(防衛大)・グエン トゥワン ハン(レークイドン工科大)・道下尚文(防衛大)・佐藤 浩・小柳芳雄(パナソニック)・森下 久(防衛大) |
BS-1-2 |
920 MHz帯ガススマートメーター用アンテナの設計
○佐藤弘康・陳 強(東北大)・土屋創太・横山睦人(東京ガス) |
BS-1-3 |
給電線路切替え円環マイクロストリップアンテナによる指向性制御アレーアンテナの検討
○石田将也・渡辺俊明(豊田中研) |
BS-1-4 |
VHF帯小形ループアンテナを用いた心拍センサにおける整合回路の制御方法
◎和田紗希・西本研悟・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機) |
BS-1-5 |
ロバスト設計を用いた小形2素子ダイバーシチアンテナの設計と評価
○柳 崇・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機) |
近年,Massive MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)が次世代通信の要素技術として検討されており,アンテナの素子間相互結合の低減が重要となっている.2つのアンテナの素子間相互結合の低減には,様々な手法が提案されており,ブリッジ素子を用いた手法が最も簡易な手法の一つである[1, 2].しかし,この手法では,アンテナ素子にブリッジ素子を付加すると,共振周波数が高周波化する.所望周波数に調整するためには,アンテナサイズを大きくする必要がある.そこで本稿では,より多素子に対応するために,無給電素子のみの調整による素子間相互結合低減の可能性について検討する.これを実現するために,まずは,基礎検討として2素子平板逆Fアンテナ(PIFA)を用いて検討を行う.
近年,様々なものをインターネットに接続するInternet of Things(IoT)の研究が盛んにおこなわれている.その試みの1つとして,920 MHz帯を利用して各種インフラメーターの検針データを無線通信により自動的に収集するWireless Smart Utility Network(以下Wi-SUN)が注目されており,パイプシャフト内のガス管に装着して検針を行うガススマートメーターの開発が検討されている.ガススマートメーターの筐体内部にはガス流量計や電子回路基板等の導体を含む部品が内蔵される.本報告では,ガススマートメーター筐体に装着する920MHz帯アンテナとして有効な構造を解析と実験の両面から評価した結果を述べる.
円環マイクロストリップアンテナ素子の給電線を切り替えることで,移相を実現する方式を新たに提案した。本方式では円偏波アンテナ素子に複数の給電線を設け,それらを切り替えることでアンテナを等価的に回転させ,移相を可能にした。本アンテナを用いて素子数8のリニアアレーアンテナを構成し,指向性ビームの設定角30°での,指向性利得を電磁界解析で計算した。結果,アンテナを連続的に回転させる方法(従来法)と3値の移相量を切り替える方法(提案法)のメインビーム,指向性利得とも同等であり,本手法の有効性を確認した。
非接触かつ非拘束な心拍センサとして,電波を用いたドップラーセンサがあるが,周囲物体からの反射や電磁ノイズの影響が大きく,心拍波形を正確に取得することが難しい.筆者らは,低放射効率のVHF帯小形ループアンテナを人体に近接設置することで周囲物体からの反射や外来ノイズの影響を低減させるとともに,アンテナインピーダンスを適応的に制御し,人体を含む設置周囲条件の影響を低減させる方法を提案している.本発表では,設置周囲条件によらず,良好なインピーダンス整合を保つための可変整合回路の制御方法を提案し,その妥当性を実証する.
IoTにおいては無線通信モジュールが様々な場所,機器に設置され,それに用いられるアンテナの設置条件は非常に多岐にわたる.小形アンテナの性能を発揮するためには,アンテナの周囲条件も含めた設計が必要不可欠であるが,無線機器の設置場所に対して個別に最適化を行うことは難しい.そこで筆者らは,品質工学(タグチメソッド)のロバスト設計をアンテナ設計に取り入れ,アンテナの設置条件や周囲構造による性能ばらつきが小さい小形アンテナを検討している.本稿では,小形の誘電体基板上に実装した2素子ダイバーシチアンテナに対してロバスト設計を適用して素子の最適寸法を決定する.さらに,試作評価により使用条件の変化に対するアンテナ特性のばらつきを実験的に検証する.
休 憩(15:20 再開) 座長 山本 学(北大)
BS-1-6 |
折りたたみ円筒スパイラルアンテナの放射効率解析
◎藤田佳祐(前橋工科大) |
BS-1-7 |
マイクロ波無線給電のための低損失材料を用いたフレキシブル小型アンテナの検討
◎金井一輝・田中勇気・枷場亮祐・池田拓磨・谷 博之・小柳芳雄(パナソニック) |
BS-1-8 |
誘電体基板上に配置された広帯域ループアンテナに関する基礎検討
◎鴫原達郎・野村早希・山本 学(北大) |
BS-1-9 |
直列・並列共振小形アンテナの広帯域設計と評価
○野口啓介(金沢工大)・大崎郁弥(北陸電力) |
IoTの発展を加速させるために,小型高性能アンテナが必要とされている.アンテナサイズの小型化と高性能化の両立が図れることから,折りたたみが可能な円筒スパイラルアンテナが注目されている.本報告では,円筒スパイラルアンテナの放射効率が折りたたみによって受ける影響について検討を行った.放射効率を数値シミュレーションによって計算し,ループアンテナの簡易理論モデルと比較した.その結果,アンテナが折りたたまれ高さが低くなったときの放射効率は多数巻小型ループアンテナの放射効率に近くなることがわかった.
近年,多くのウェアラブルIoT機器が開発されていく中,それらの機器への電力供給は,そのデバイス数の増大に伴い困難となっている.この問題の対策として,我々はマイクロ波を用いた無線電力伝送によって,ウェアラブルデバイスを駆動させる検討をしている.ウェアラブル性,フレキシブル性を有したアンテナとしてはテキスタイルアンテナが複数提案されている.しかし,衣類上に金属を用いたり,導電性繊維を用いたりしてアンテナを形成する場合,布の誘電損失や導電性繊維の導体損によってアンテナ効率は低下する.本稿では,誘電損失の少ないフレキシブルな低誘電率誘電体上に,再現性の高いアンテナパターンの形成方法を検討したので報告する.
複合ループアンテナを地板上に配置し,特性インピーダンスが適切に設定された平行二線式線路を介して地板側から不平衡給電した場合,単指向性の広帯域アンテナとして動作することを過去に報告した.本アンテナについて,矩形ループ素子及び平行二線式線路を誘電体基板上に配置されたストリップ導体に置き換えた場合の諸特性をFDTD解析によって評価し,線状のループ素子及び平行二線式線路を用いた場合と同様に,広帯域な単指向性アンテナが実現可能であることを示す.
IoTに向けたアンテナについては実装面積または体積が小さいだけでなく,薄型,軽量,安価であることが望まれる.アンテナ特性についてもシステムの仕様を満たす帯域と利得の確保が重要である.ここでは直列および並列共振型の小形アンテナとして逆Lアンテナ(ILA)およびマイクロストリップアンテナ(MSA)を取り上げ,広帯域設計の実施例を示すとともに,その小型化評価を行う.ILAの小型化はスリットを用いて行い,MSAについては短絡型とした.広帯域設計については折返し構造を有するILA(FILA)とし,MSAについてはスタブ装荷の方法を用いた.
BS-2. Beyond 5G / 6Gを目指した無線ネットワークの進化
(無線通信システム研専)
9月11日 13:00〜16:35 C棟 4F C402講義室 座長 前原文明(早大)
BS-2-1 |
(依頼講演)5Gの発展とその先の未来 ― Real & Future ―
○岸山祥久(NTTドコモ) |
BS-2-2 |
(依頼講演)鉄道における無線活用の現状と将来の展望
○阿部文俊・中川兼治(JR東日本) |
BS-2-3 |
(依頼講演)無人航空機システムのための通信ネットワーク技術に関する研究開発 ~5G時代の先にも必要となり得る多様なアプローチ~
○川本雄一(東北大) |
5Gの商用サービスが米国および韓国では既に開始されており,我が国でも4月に各通信事業者へ5Gの周波数が割り当てられ,2020年の5G商用化への動きが加速している.また,産業界向け用途に特化した「ローカル5G」の議論が総務省のリードで進められており,業界でも注目されている.一方で,米国FCCが95GHz~3THzの高周波数帯を6G and Beyondトライアル向けに開放するなど,昨今既に6Gに向けての議論の機運が高まりつつある.本稿では,2025年およびその先の未来を見据え,あらゆるコンシューマ/ビジネス向けマーケットにおける,あらゆるユースケースでの,あらゆる要求条件を十分に高いユーザ満足度で実現する世界を目指し,5Gの発展である「5G Evolution」および,さらに次世代の6Gまで見据えた将来の移動通信技術についての展望を,「Real & Future」というコンセプトで述べる.
2018年7月に当社が発表したグループ経営ビジョン「変革2027」では,今後の鉄道事業を取り巻く環境は厳しく,2040年までに当社エリア全体で約10%の人口減少が,特に東北エリアでは約3割近くの人口減少が予想され,さらに働き方の変化やネット社会の進展,自動車の自動運転実用化による鉄道の移動ニーズの縮小を予想している.その中で持続的成長を実現していくために,鉄道を質的に変革しスマートトレインを実現することを掲げている.将来ビジョン実現のため,外部との連携を拡大し,外部サービスやシステムを活用していく.2020年からサービス提供が開始される5Gについては,鉄道分野においても活用範囲の拡大が期待されている. 本発表では,鉄道で現在使われている無線の活用事例を取り上げた後,鉄道で公衆無線を活用する上で乗り越えるべき課題と公衆無線を活用した将来の展望について述べる.
近年無人航空機を利用した様々なサービスの実現に向けた取り組みが活発化している.この実現には効率的な無線通信技術の研究開発が不可欠であり,これまで各研究機関や企業において多様なアプローチが成されてきている.本稿では,5G,Beyond 5G技術と共存する無人航空機のための通信技術といった観点からいくつかの研究開発事例を紹介したい.
休 憩(14:30 再開) 座長 西村寿彦(北大)
BS-2-4 |
高速鉄道環境における28 GHz帯5G下り伝送実験
○村岡一志・野中信秀・高橋雄太・須山 聡・奥村幸彦(NTTドコモ) |
BS-2-5 |
Massive MIMOにおけるノード選択BP検出法のニューラルネットワークを用いたdamping係数学習
○橘 順太・大槻知明(慶大) |
BS-2-6 |
Source Separation Learning in epsilon-Vanishing Polynomial Network
○LU WANG・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.) |
BS-2-7 |
情報ボトルネック法を用いた離散Polar復号器
○山田 晃・大槻知明(慶大) |
BS-2-8 |
OFDM方式における圧縮センシング外挿を用いたMMSE伝搬路推定法の一検討
○新保薫子・菅沼碩文(早大)・留場宏道・難波秀夫・小野寺 毅(シャープ)・前原文明(早大) |
第5世代移動通信システム(5G)では,超広帯域を利用できる高周波数帯の活用が期待されるが,その際には高周波数帯の伝搬損失を補償する超多素子アンテナによるビームフォーミングが必須となる.このとき,移動するユーザに対しては,ユーザ方向にビームを適応的に切り替えるビーム追従が求められる.これまでに筆者らは,ビーム追従機能を備えた28 GHz帯5G伝送装置を用いて,駅ホーム上に設置した1台の5G基地局から時速90 kmで駅を通過する列車に向けた伝送実験[1]や,カーブする線路沿いに設置した2台の5G基地局から時速85 kmで走行する列車に向けた伝送実験[2]を行ってきた.これに対して今回,より高速な鉄道環境として時速120 km以上で走行する特急列車を用い,また,より広いカバレッジにおける鉄道環境での伝送性能を評価するために4台の5G基地局を線路沿いに設置した5G伝送実験を実施した.本稿ではその下り伝送測定結果を報告する.
5G無線通信システムのキー技術として,Massive MIMOが注目されている.Massive MIMOでは,空間多重した受信信号を分離・検出するための演算量が大きくなる問題がある.近年では,確率伝搬アルゴリズムに基づく信号検出法(BP 検出)が注目されているが,MIMO通信路に含まれる多数のループの影響により,BPの収束特性及び検出特性が劣化する.BPの収束特性を改善する手法として,damping係数を用いて連続したメッセージを平均化するdamped BPが知られている.また,damping係数をオフライン学習するDNN-dBPが報告されている.ただし,最適なdamping係数はアンテナ相関に応じて異なるため,学習時と評価時のアンテナ相関に差がある場合,検出特性が劣化する.本稿では,空間相関が低くなるよう更新ノードを選択するノード選択法適用時にDNN-dBPによってdamping係数を導出し,計算機シミュレーションによりBER特性を比較評価する.
Similar to the deep architectures, a novel polynomial network is presented to extract the nonlinearity caused by mixing function. Our network begins with the polynomial of degree $1$, up to build an output layer that can represent data with a small bias by a good approximate basis. Relying on several transformations of the input data, with higher-level representation from lower-level ones, the networks are to fulfill a mapping implicitly to the high-dimensional space. Once the polynomial networks are built, the coefficient matrix can be estimated by solving an optimization problem on the coding coefficient vector.
Polar 符号は,2 元対称通信路において通信路容量を達成する符号として注目を集めており,5 G の制御チャネルで使用されている.Polar 符号の復号法に,BP(Belief Propagation)復号 がある.BP 復号は,復号器の計算とハードウェアが複雑化する問題がある.この解決法の一つに,情報ボトルネック法という量子化法がある.情報ボトルネック法は,相互情報量を考慮したクラスタリング手法で,元の情報を保ちつつ圧縮できる.本稿では,情報ボトルネック法をPolar 符号のBP 復号に適用し,伝搬メッセージを符号無し整数に量子化することで,計算とハードウェアの複雑さを低減する離散Polar 復号器を提案する.計算機シミュレーションにより,離散Polar 復号器の誤り訂正能力が,圧縮無しのBP 復号と比較して無視できる程度の劣化であることを示す.
5Gの先の次世代システム(Beyond 5G)では,超高速・大容量(eMBB)に加えて,高信頼・低遅延(URLLC)の実現が期待されている.特に,URLLCでは,符号化利得の小さい短パケット伝送を余儀なくされることから,伝搬路推定の高精度化は極めて重要である.これまでに我々は,ガードバンドが存在するOFDM信号を対象として,圧縮センシング (CS : Compressed Sensing)による外挿を用いた伝搬路推定法を提案してきた.具体的には,伝搬路値の時間領域における雑音軽減を実現すべく,LS (Least Squares) の推定値に対して,CSによって欠落したガードバンド部分の周波数応答を外挿し,ガードバンドを含めた全サブキャリヤの周波数応答を取得するものである.一方,本方式により伝搬路の長区間統計情報が高精度に取得できれば,MMSE (Minimum Mean Squares Error)の適用が可能となるものと考えられる.本稿では,CS外挿を用いて初期的な伝搬路推定を行うとともに,その推定値から周波数相関を算定し,MMSEにより伝搬路推定を行う方式を提案する.また,提案方式の有効性を理想的な周波数相関に基づくMMSE伝搬路推定を比較対象にとって,BERの観点から計算機シミュレーションにより検証する.
BS-3. スマートコミュニティを支える電力システムと蓄電池・デバイス応用技術
(電子通信エネルギー技術研専)
9月11日 13:00〜15:45 C棟 3F C306講義室 座長 脇 寿彦(パナソニックアプライアンス社)
BS-3-1 |
再生可能エネルギーシステムにおけるBCPと経済的運用の両立に関する一検討
◎植嶋美喜・湯淺一史・馬場﨑忠利(NTTファシリティーズ) |
BS-3-2 |
再生可能エネルギーによる発電装置と蓄電池装置導入系統における給電手法の検討
○雪田和人(愛知工業大) |
BS-3-3 |
スマートエネルギーシステム向け電力変換回路技術の概要
○森實俊充・木村紀之(阪工大) |
グリットパリティの環境下では,電力調達の経済性のために,電力エネルギー自家消費率の向上は重要な課題の一つである.太陽光発電と蓄電池を組み合わせたシステムを,再生可能エネルギーの活用兼バックアップ電源として使用する場合,蓄電池の設備容量に対して期待できる自家消費率よりも,実際の自家消費率は小さくなるという問題がある.筆者らは,太陽光発電予測値の不確実性を考慮して,蓄電池のバックアップ容量を変更することにより,自家消費率を向上させる手法を検討した.本稿では,バックアップ容量を算出する手法として,最低発電量推定値に基づき実施した場合と,ロバスト最適化手法に基づき実施した場合の検証結果を報告する.
再生可能エネルギーによる発電装置が系統内に増加するに従い,電力システムの安定性と電力品質を維持するために,蓄電装置の導入も検討されてきた。そして,再生可能エネルギーによる発電装置と蓄電装置ならびに需要家のエネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入により,スマートグリッド,スマートハウスなどが増加し,これらシステムからスマートコミュニティに発展してきた。このスマートコミュニティは,街全体の電力の有効利用や再生可能エネルギーの活用,交通システムやライフスタイルの変革まで,複合的に組み合わせた社会システムである。このシステムにおける需要タイプとしては,複合市街地,戸建住宅,集合住宅,商業施設,教育施設,工場,事務所などに分類される。
本稿では, まず,これまで報告されている国内における代表的なスマートコミュニティについて整理する。次に.この代表的なシステムにおいて,キャンパス内に構築したスマートグリッドとその運用手法について報告する。
自然災害により電力供給不足が大きな社会問題となっているが,その解決策の一つとして分散型エネルギーシステムを含むスマートエネルギーシステムが注目されている.その中核の技術がパワーエレクトロニクス技術である.電気エネルギーの変換を行う電力変換回路技術は,スマートエネルギーシステム実現のキーファクタであり,蓄電池技術,太陽光発電に代表される再生エネルギー技術,高効率電力変換機器による系統間連系など,これらの実現になくてはならない技術となっている.
本論文では,スマートエネルギーシステムを構成する電源回路の基本的な構成とその動作原理を説明し,筆者らが現在NEDOから研究委託を受けている洋上風力発電システムを例にあげて,電力変換回路の応用例を示す.
休 憩(14:30 再開) 座長 雪田和人(愛知工業大)
BS-3-4 |
レドックスフロー電池によるカリフォルニア州での再生可能エネルギー大量導入課題解決への取組
○大岡俊夫・長岡良行・北野利一・矢野敬二・柴田俊和・筒井康充(住友電工) |
BS-3-5 |
太陽光発電と非常用発電機の併用による単独運転時の一考察
○水野裕志(阪電通大)・田中義人・黒川不二雄・松井信正(長崎総合科学大) |
BS-3-6 |
アクティブクランプ回路による共振形コンバータの電圧ストレス低減手法について
◎辻 和樹・梶原一宏(長崎総合科学大)・池田 敏(パナソニック)・松井信正・黒川不二雄(長崎総合科学大) |
再生可能エネルギーの導入促進に伴い、余剰電力の問題、出力変動に伴う電力品質への影響が懸念されている。これらの課題への対策の実証を行うべく、カリフォルニア州の電力会社の変電所に8MWhのレドックスフロー電池を設置し、2017年3月より実証運転を開始し、2018年12月には、CAISO電力市場での実証を開始した。これまでに実施した以下の実証試験結果について発表する。 1.蓄電池システムの基本性能 2.配電網の課題と試験結果 3.電力卸売市場での実証RF電池は、使用する充電状態の範囲や充放電サイクルが劣化要因とならないため運用制限が少ない。この特長を活かし、蓄電池価値の向上を検証していく予定である。
病院では,災害や電力系統の事故による停電時に72時間程度稼働できる非常用発電機EGを備えて院内に電力供給している.しかし,災害の影響の長期化と現在の電源余力には乖離があり,備蓄燃料でできるだけ長く電力を供給したい要求が増えつつある.本研究では,複数台のEG(s)と太陽光発電PVを併用した分散型電源において,提案してきたエネルギーマネジメントシステムEMSの運用による単独運転時の運用効率を検証し,分散型電源の容量計画を考察する.結果,PVの容量を増やすと,EGsの運転効率が悪くなることがわかった.また,院内負荷容量とEGsの燃料消費率による回帰モデルから,院内分散型エネルギーシステムの設備容量を計画できることがわかった.
共振形コンバータは,電力変換器の高効率化に有効な手段であるが,パワートランジスタにかかる電圧ピーク値が入力電圧の数倍にも達するという問題がある.本稿では,共振形コンバータにおけるスイッチ電圧ストレスを抑制するため,アクティブクランプ回路を適用した共振形SEPIC回路の基本特性について報告する.結果として,ソフトスイッチングを実現しつつ,スイッチ電圧のピーク値を約1/4に低減することができた.
BS-4. Network and Service Design, Control and Management
(情報通信マネジメント研専)
September 10 13:00〜16:35 Room C406, Bldg. C 4F Chairperson Makoto Misumi(Fukuoka Univ.)
BS-4-1 |
Multivariate Regression Based Dynamic CPU Resource Adjustment for Guaranteeing Desired Latency of IoT-DS
○Abu Hena Al Muktadir・Ved p. Kafle(NICT) |
BS-4-2 |
Estimating Cause of Scan Failure in IoT Wireless Network using Linear Discriminant Analysis
○Babatunde Ojetunde・Kenta Suzuki・Kazuto Yano・Yoshinori Suzuki(ATR) |
BS-4-3 |
A Study on CAN with Bipolar Coding in the Data Phase Compatible with CAN FD and Its Scalability
○Takeyuki Shishido・Daisuke Umehara(Kyoto Inst. of Tech.) |
BS-4-4 |
New Algorithm for Minimum Energy-Cost Aggregation Tree with Relay Nodes Problem in WSNs
○Hiroshi Matsuura(NTT) |
We employ multivariate regression models to dynamically predict and allocate the required amount of CPU resources for the IoT directory service (IoT-DS) so that the average database query latency remains below a predefined threshold in spite of the fluctuations in the workload. Our experimental results show that regression based CPU resource allocation reduces CPU allocation and latency threshold violations by 19% and 27%, respectively, as compared to a threshold-based conventional algorithm.
In this paper, we proposed a method to improve the network scan failure/delay cause estimation using linear discriminant analysis. The proposed algorithm achieves a high accuracy of scan failure/delay cause estimation. In the future, we will consider techniques to estimate cause of scan failure/delay in complex scenarios.
Vehicles’ control is shifting from mechanically to electronically controlled and the number of electronic control units (ECUs) mounted on a vehicles have increased significantly in recent years. Controller area network (CAN) is the most widely employed as an automotive communication protocol. In 2012, CAN with flexible data-rate (CAN FD) which is an extension of CAN was announced. CAN FD has higher data rates than CAN in the data phase, and has standardized for automobiles in SAE J2284. When the data rate gets higher, the number of nodes is quite limited. This is because the ringing has a significant impact on the communication reliability of CAN when the number of nodes gets larger and the pulse width gets higher. In this paper, we aim to alleviate the limitation and improve the scalability.
The minimum energy-cost aggregation tree with relay nodes (MECAT_RN) problem is now being discussed to reduce energy consumption on data-aggregation trees in WSNs. The algorithms for the MECAT_RN problem proposed by Kuo et al. are, however, time-consuming, so this paper proposes an algorithm that can significantly reduce the algorithm processing time. Combined with the tree node switching algorithm (TNSA), the proposed algorithm can further improve the energy-reduction rate in a data-aggregation tree.
休 憩(14:55 再開) Chairperson Noriaki Kamiyama(Fukuoka Univ.)
BS-4-5 |
Mobile Crowd Sensing Utilizing Smartphone Bluetooth forWalking Routes Analysis
◎Chenwei Song・Masaki Ito・Kaoru Sezaki(The Univ. of Tokyo) |
BS-4-6 |
Carrier-Cooperation-based Efficient Disaster Recovery with Emergency Lightpath-Support and Corresponding Incentive
○Sugang Xu(NICT)・Noboru Yoshikane(KDDI Research)・Naoki Miyata(NTT Communications)・Masaki Shiraiwa(NICT)・Takehiro Tsuritani(KDDI Research)・Xiaocheng Zhang(NTT Communications)・Yoshinari Awaji・Naoya Wada(NICT) |
BS-4-7 |
Evacuation Route Recommendation System by DTN for Congestion Mitigation Using Evacuee Attributes
○Makoto Misumi・Noriaki Kamiyama(Fukuoka Univ.) |
BS-4-8 |
Online Lightpath Establishment with Expanded/Contracted Service Provisioning in Elastic Optical Networks
○△Badr Mochizuki(The Kyoto College of Graduate Studies for Informatics)・Takuji Tachibana(Univ. of Fukui) |
This paper presents a mobile crowd sensing system based on Bluetooth scanning. Due to the system utilizes participatory sensors which means the smartphones installed our app becomes Bluetooth sensors that upload crowd information around it, therefore, the system doesn’t need additional equipment except for smartphones and the server. According to the results of the experiment, this system can not only obtain the number of people in the crowd but also correctly display the walking path of most people in the crowd.
In this abstract, we introduce a novel approach for disaster recovery based on carrier cooperation, in which carriers aid one another by offering emergency lightpath-support. The lightpath-supports are used exclusively by the counterpart carriers to satisfy its highest priority traffic demands, such as safety confirmation and victim relief with a significantly reduced recovery burden. In addition, we introduce an incentive to stimulate carrier cooperation. During cooperation, the confidential information of the carriers can be protected by introducing a carrier optical network abstraction mechanism.
In disaster affected areas where communication infrastructure can not be used, a system has been proposed to share failure point information collected by evacuees using DTN and recommend evacuation routes.
However, in the previous research, congestion caused by concentrating evacuees on a specific route is a problem. These congestions are caused by presenting evacuation routes similar to all evacuees. Therefore, in this research, we propose a method to set the propriety of traffic for each evacuee attribute in the fault location occurred on the evacuation route for the purpose of alleviating congestion at the time of evacuation and seek evacuation route for each evacuee attribute.
We propose an online algorithm that performs expanded/contracted service provisioning for new lightpaths in order to decrease the blocking rate. When a new lightpath request arrives at a node, the shortest path to destination is computed and the number of available FSs at all links in the path is checked. If that number is larger (smaller) than required, expanded (contracted) service provisioning is performed by allocating a larger (smaller) number of FSs and by decreasing (increasing) the holding time of the lightpath. We evaluate the performance of our method by simulation and investigate its effectiveness.
September 11 13:00〜16:35 Room C406, Bldg. C 4F Chairperson Cheng Zhang(Waseda Univ.)
BS-4-9 |
A Generalization of TCP Fairness Control Method Using Transmission Delay for Multiple-Host Concurrent Communications in Elastic WLAN System
◎Rahardhita Widyatra Sudibyo・Nobuo Funabiki・Ismael Munene Kwenga・Manowarul Islam Md.(Okayama Univ.) |
BS-4-10 |
An Access-Point Transmission Power Minimization Approach Using PI Feedback Control in Wireless Local-Area Network
◎Md Manowarul Islam・Nobuo Funabiki・Rahardhita Widyatra Sudibyo・Ismael Munene Kwenga・Hendy Briantoro(Okayama Univ.) |
BS-4-11 |
Automatic Mode Selection Method for Disaster Recovery in Wi-Fi Mesh Networks
○Erdenetuya Dorj・Kazuhiko Kinoshita(Tokushima Univ.) |
BS-4-12 |
An Investigation of Wi-Fi Bufferbloat Using a Wireless Emulator
Thi Thu Hien Do・Thanh Duc Ngo・Duy-Dinh Le(Univ. of Information Tech., VNU-HCM, Vietnam)・Hiroo Sekiya(Chiba Univ.)・Van-Hau Pham(Univ. of Information Tech., VNU-HCM, Vietnam)・○Kien Nguyen(Chiba Univ.) |
In the IEEE802.11 WLAN, the TCP throughput unfairness is observed when multiple hosts communicate with a single access-point (AP) concurrently. Previously, we proposed a TCP fairness control method using the transmission delay for two hosts in the elastic WLAN system. The delay is optimized by the PI feedback control such that the measured throughput becomes equal between them. In this paper, we generalize this method to deal with any number of concurrently communicating hosts. The target throughput is introduced as the equal goal among the hosts, which is dynamically updated with the measured throughputs to the hosts. The effectiveness is confirmed through experiments using the elastic WLAN system testbed with one AP and up to four hosts, where any host achieves the similar throughput by the proposal.
The minimization of the transmission power of the access-point (AP) is effective in reducing the energy consumption and the radio interference in the wireless local-area network (WLAN). In this paper, we propose an AP transmission power minimization approach using the PI feedback control. The initial power is examined from the measured received signal strength (RSS) from the host and the estimated RSS to achieve the target throughput. Then, the power is dynamically minimized by the PI feedback control. For evaluations, the proposal is implemented in the elastic WLAN testbed, where experiments results confirm the effectiveness.
Recently, researchers give much attention to the widely-used IEEE 802.11 infrastructure mode based mesh networks as considering ease of practical use and cost reduction. In this paper, we propose an automatic mode selection method, especially, for disaster recovery in Wi-Fi mesh network architecture. Our architecture uses 802.11-based mesh routers providing automatically an appropriate infrastructure mode such as access point (AP) and station (STA) to their radio interfaces in order to establish neighbor relationships. The automatic mode assignment process results in a neighbor table for each router after a disaster occurrence. Then they complete a routing process to reach a state of convergence. Furthermore, we formulated the automatic mode selection method for neighbor and routing table of the spare APs and the isolated routers.
In Wi-Fi networks, the bufferbloat problem, which produces undesired latency in packet transmission due to the oversized buffer, is critical. Hence, a supporting platform for evaluating and quantifying the bufferbloat issue is essential. This paper introduces an investigation of bufferloat in Wi-Fi networks using an emulator that relies on mininet-wifi. The proposed set of tool and measurement methods have been proved to give good evidence of bufferbloat in Wi-Fi networks in a resource- and time-saving manner.
休 憩(14:55 再開) Chairperson Ved Kafle(NICT)
BS-4-13 |
Energy-Efficiency Optimization In Fog Radio Access Networks
◎△Thi Ha Ly DINH・Megumi Kaneko(NII)・Ellen. H Fukuda(Kyoto Univ.) |
BS-4-14 |
Trust Region Policy Optimization Based Task Migration for Mobile Edge Computing
○Cheng Zhang(Waseda Univ.)・Kyoko Yamori(Asahi Univ.)・Yoshiaki Tanaka(Waseda Univ.) |
BS-4-15 |
A Pilot-Assisted Sparse Channel Estimation Scheme Based on Mutual Incoherence Property for Wireless Cellular Networks.
◎Ahmed Nasser・Osamu Muta(Kyushu Univ.) |
BS-4-16 |
Performance Evaluation of Social-aware Cooperative D2D Relay Selection in 2-dimension Environment
◎Yu Long(Waseda Univ.)・Ryo Yamamoto(The Univ. of Electro-Communications)・Taku Yamazaki(Shibaura Inst. of Tech.)・Yoshiaki Tanaka(Waseda Univ.) |
This study investigates the issue of user scheduling and beamforming optimization for enabling energy efficient Fog Radio Access Networks (FogRAN), taking into account the mathematically challenging FogRAN-specific constraints.
Firstly, we formulate the considered energy efficiency (EE) optimization problem under fronthaul rate constraints and the FogRAN local user clustering constraint. We then propose an optimization algorithm based on Augmented Lagrangian method.
Next, to alleviate the computational complexity of that algorithm, a heuristic low-complexity strategy is also proposed. Simulation results show that the proposed heuristic scheme enables to achieve a close to optimal solution and largely outperforms the system EE of the reference FogRAN scheme, while limiting the sum-rate degradation compared to the referenced sum-rate maximization algorithm.
In this paper a trust region policy optimization (TRPO) algorithm is proposed for task migration in mobile edge computing setting. TRPO algorithm uses the way of policy iteration to get the optimal policy, instead of estimating the sate-action value in deep Q network.
In wireless systems, the channel state information (CSI) must be available at the BS side. However, increasing the number of BSs towards wireless cellular network such as heterogeneous networks (HetNets) requires a number of pilots for accurate channel estimation. Thus, the pilot design has to be optimized to maximize the estimation accuracy. In this paper, we propose a pilot-subcarrier allocation scheme that optimizes the pilot subcarrier patterns without any knowledge of channels. The proposed pilot allocation scheme utilizes the mutual incoherence property (MIP) of the compressive sensing (CS) theory to formulate the pilot allocation problem into infinity norm problem. Then, MIP based weighted fast iterative shrinkage-thresholding algorithm (MIP-WFISTA ) is proposed to solve the formulated problem.
Cooperative communication in which devices can act as relays between each device is one of the effective device-to-device (D2D) communication models. Generally, once a source user fails to connect with the desired destination user due to distance or energy consumption constraints, cooperative communication will be executed to attain the aim. This paper mainly extends the relay selection strategy with social relationship to improve the success rate in 2-dimension mobility-aware cooperative communication.
September 12 9:00〜11:45 Room C406, Bldg. C 4F Chairperson Kien Nguyen(Chiba Univ.)
BS-4-17 |
A Deep Reinforcement Learning Based Traffic Prediction Method for Service Function Chaining Resource Allocation
◎△YANSEN XU(The Univ. of Electro-Communications)・Ved P. Kafle(NICT) |
BS-4-18 |
A Research on End Devices’ Network Softwarization
Kien Nguyen・○Hiroo Sekiya(Chiba Univ.) |
BS-4-19 |
Next-Generation Surveillance System Leveraging Edge and Cloud Computing
◎Jiaxing Lu・Ping Du・Akihiro Nakao(The Univ. of Tokyo) |
Service function chain resource allocation is a major challenge to realize automatic network control and to achieve optimal network resource utilization. Machine learning has been applied for many areas and it is promising for automatic network resource allocation. By processing historical data obtained from networks, machine learning is able to predict the network resource usage patterns, and allocate resources precisely, to optimize the network utilization. In this paper, we propose a deep reinforcement learning based traffic rate prediction method for efficient resource allocation to SFC.
This research presents an approach for network soft- warization on the end devices aiming to enrich the devices’ network usage following user demands. We will describe our approach that lets Software Defined Networking (SDN), Network Virtualization efficiently evolve on the devices. Moreover, we present the evaluation results of the prototype in comparison to the devices without softwarization.
In modern cities, surveillance systems are playing an important role in automobile traffic, public security and other fields. However, there are two new issues that slow down the large-scale deployment of intelligent surveillance. First, video resolution growth causes the requirement for transmission bandwidth to increase. Second, the privacy of the public is violated. In this paper, we propose a novel surveillance architecture leveraging edge computing and cloud computing in which surveillance videos are stored on the edge server to protect the users’ privacy, only the index data are transferred to the cloud so that less transmission bandwidth is required.
休 憩(10:30 再開) Chairperson Toshiro Nunome(Nagoya Inst. of Tech.)
BS-4-20 |
Empowering ICN in Intermittent Connectivity Scenarios
◎Zhaoyang Du・Celimuge Wu・Tsutomu Yoshinaga(The Univ. of Electro-Communications) |
BS-4-21 |
A Study on a Fast Packet Loss Detection Mechanism for Content-Centric Networking
◎Ryo Nakamura・Tsuyoshi Yabuuchi・Hiroyuki Ohsaki(Kwansei Gakuin Univ.) |
BS-4-22 |
A Study on Dynamical Modeling of Transport Protocol in Information-Centric Networking
◎Soma Yamamoto・Ryo Nakamura・Hiroyuki Ohsaki(Kwansei Gakuin Univ.) |
Recently, a lot of interests have been paid to information centric networks (ICN) due to its efficient routing based on the named content objectives. In ICN, content is created by a producer and it is requested by a consumer. In a network topology where stable connections between nodes are difficult to find, such as disaster occurred, communication should be provided in order to deliver urgent messages to first responders or government authorities. Delay tolerant networks (DTNs) however, can deliver a message, even though connectivity is not guaranteed, by using store-carry-forward strategy. Therefore, in a complicated network environment, ICN and DTN could be interworked. In this paper, we empower ICN in intermittent scenarios by using a DTN routing protocol.
In recent years, many studies have investigated networks that mainly
focus on transmitting and receiving content (i.e., information-centric
networking) rather than on hosts that transmit and receive contents
(host-centric networking), such as a conventional TCP/IP network. In
this paper, we propose Interest ACK for rapidly detecting the loss of
Interest packets and Data packets in a CCN. In this paper, we also
conduct simulations to investigate the effectiveness of Interest ACK.
Specifically, we focus on four types of window flow control
mechanisms: AIMD, ICP, AIMD with Retransmission Time Out (AIMD-RTO),
and Interest-ACK based Transport Protocol (IATP).
In recent years, networks that mainly focus on transmitted and
received contents (information-centric networking), instead of the
hosts that transmit and receive these contents (host-centric
networking), such as a conventional TCP/IP network, have attracted
much attention.
One of the promising approaches for designing, developing, and
evaluating transport protocols for ICN is a fluid-based modeling,
which models the dynamics of individual flows transferred
between the sending host and the receiving host.
In this paper, by extending our fluid-based modeling
approach, we develop a fluid model for an ICN
network that can describe complex interactions among transport
protocols at entities, content caching and request packet aggregation
at routers.
September 12 13:00〜16:35 Room C406, Bldg. C 4F Chairperson Kiyohito Yoshihara(KDDI Research)
BS-4-23 |
Experiment on Cooperative Work between Moving Robot Arms with Force Feedback:Effect of Position Follow-up Control
◎Qin QIAN・Yutaka ISHIBASHI(Nagoya Inst. of Tech.)・Pingguo HUANG(Seijoh Univ.)・Yuichiro TATEIWA(Nagoya Inst. of Tech.) |
BS-4-24 |
Study of Smart Glasses Display System utilizing VLC CSK Code
◎Kotaro Murase・Noriharu Miyaho(Tokyo Denki Univ.) |
BS-4-25 |
Study of secure e-mail system by simultaneous use of multiple accounts
◎Shunki Shinohara・Noriharu Miyaho・Yoichiro Ueno(Tokyo Denki Univ.) |
BS-4-26 |
Mining Association Rules in Quantified Self Data for Better Sleep and Productivity
◎ZILU LIANG(Kyoto Univ. of Advanced Science)・GARY WHITE(Trinity College Dublin)・MARIO ALBERTO CHAPA MARTELL(Silver Egg)・SIOBHAN CLARKE(Trinity College Dublin) |
In this paper, we did experiment on hand delivery of a wooden stick between moving robot arms and examined the effect of the position follow-up control by comparing the average operation time of the cooperative work under the control and no control when the network delay was added.
We propose the state-of –the-art AR system which displays secret private messages, medical data and so on by integrating smart-glasses and visible light-CSK code processing functions.
In this system, the displaying information using CSK code is analyzed in real-time by using smart-glasses embedded processor. There are several issues to be solved for establishing stable CSK code communication. In this paper, we described the effective CSK code configuration which has error correction, header information and so on for stable communication. We also evaluated the performance of reception of CSK code in the proposed system by measuring the processing time and bit error rate.
Currently, E-mail services are used in many applications, but in addition to high speed, more secure communication is required. This research aim to possible to send and receive e-mails more securely, and by using multiple E-mail accounts simultaneously, secure E-mailer that can send and receive e-mail using different routes automatically. The sending interval required to prevent the source E-mail server from being misidentified as spam E-mail etc. was set when sending E-mail, and the required sending interval was measured and evaluated for each of multiple email accounts.
Many people are collecting data on their physical and mental status such as sleep, physical activities, mood and stress. Whereas people have plenty of tools to choose from for data collection, they often encounter difficulties in gaining insights from their data due to lack of skills in data analytics. Our research aims to enable in-depth data analysis on the quantified-self data by applying advanced data mining techniques. In this paper, we present the application of association rule mining to finding correlations in quantified-self data. We demonstrate the results of two case studies related to sleep quality and productivity.
休 憩(14:55 再開) Chairperson Kazuhiko Kinoshita(Tokushima Univ.)
BS-4-27 |
A Study on Modeling IEEE 1588-2008 Precision Time Protocol with Clock Servo using PI Controller
◎Ryuichiro Maegawa・Daiki Matsui・Yasuhiro Yamasaki・Hiroyuki Ohsaki(Kwansei Gakuin Univ.) |
BS-4-28 |
Evaluation of Throughput Prediction Using Recurrent Neural Network
◎Bo Wei(Waseda Univ.)・Hang Song(Tianjin Univ.)・Kenji Kanai・Jiro Katto(Waseda Univ.) |
BS-4-29 |
A Study on Sparse Representation of Network Topology with K-SVD Algorithm
○Ryotaro Matsuo・Ryo Nakamura・Hiroyuki Ohsaki(Kwansei Gakuin Univ.) |
BS-4-30 |
The Effect of AL-FEC Algorithms on QoE of H.265/HEVC Video and Audio Transmission with MMT
○Toshiro Nunome・Koki Makino(Nagoya Inst. of Tech.) |
PTP (Precision Time Protocol) is a network protocol for achieving more precise time synchronization among networked devices than the conventional NTP (Network Time Protocol). Although hardware-assisted timestamp during PTP message exchanges has been commonly used for realizing a high-precision time synchronization, software-only implementations are also studied in the literature. A software-only implementation of the PTP protocol called PTPd includes a clock adjustment mechanism (clock servo), which utilizes two types of low-pass filters and a PI (Proportional Integral) controller in classical control theory. In this paper, we build a discrete model of a networked system utilizing the PTP protocol and the clock adjustment mechanism at the slave device. We also analyze the stability of the entire system. Through a numerical example, we investigate the effect of control parameters of the clock adjustment mechanism on a steady-state characteristic.
Throughput prediction plays an important role for the adaptive bitrate control. In this paper, we evaluate the performance of prediction with three RNN (Recurrent neural network) models: LSTM (Long-short term memory), GRU (Gated recurrent unit) and basic RNN model. Experiments are conducted to evaluate the methods, and the results indicate that LSTM and GRU have smaller prediction error, while basic RNN requires the least calculation time.
In recent years, a statistical approach called sparse modeling has been studied extensively for estimating unobserved model parameters from a small number of observations using the sparsity of model parameters. In this paper, we investigate whether a sparse representation of network topology can be obtained from a dictionary trained with a dictionary learning algorithm in sparse modeling. Our finding includes that graphs whose structure is uniform (e.g., tree) and networks with cluster structure are suitable for sparse representation of network topologies.
In this study, we evaluate QoE of H.265/HEVC video and audio IP transmission over MMT with the two AL-FEC coding methods. We employ Reed-Solomon (RS) and Structured Low Density Parity Check (S-LDPC). We perform multidimensional QoE assessment with three adjective pairs. We then found that the appropriate selection of the coding method and the code rate according to the content and network condition can enhance QoE.
BS-5. ネットワーク技術特別ポスターセッション
(ネットワークシステム研専、情報ネットワーク研専 共催)
9月11日 13:30〜15:30 C棟 2F C207講義室 座長 梶原貴利(日立)
BS-5-1 |
マイクロサービス化のためのコアNWシステム可用性保証の検討
○藤田勝美・伊藤義人・金子雅志(NTT) |
BS-5-2 |
小型自立移動式災害対策支援ユニットにおける重要情報配信方式
◎田島氷河・井上勇気・水野 修(工学院大) |
BS-5-3 |
避難支援のためのCEPを用いた避難経路情報可視化システムの設計と開発
◎野上拓雅・松尾美紀・大田知行・角田良明(広島市立大) |
BS-5-4 |
ブロックチェーンのトランザクション処理性能向上技術の研究
◎島津俊輝・小川猛志(東京電機大) |
BS-5-5 |
Raspberry Piを用いたサービス拒否攻撃におけるネットワーク 内のトラヒック量の定量評価
◎砂田瑞樹・干川尚人(小山高専)・白木厚司・下馬場朋禄・伊藤智義(千葉大) |
BS-5-6 |
クロックカウンタとCPUコア温度の相関関係に基づくディジタル機器における特徴量の抽出
◎高井淳光・干川尚人(小山高専)・白木厚司・下馬場朋禄・伊藤智義(千葉大) |
BS-5-7 |
GNSS測位誤差マップの作製に利用する測位誤差推定値のための一検討
◎中村洋輔・伊藤 篤(宇都宮大) |
BS-5-8 |
ソフトウェア開発文書作成支援技術の向上に関する一検討 ‐略語と原型語のWord2Vecを使用した自動獲得手法‐
◎長谷川菜那・宮尾 浩・菊間一宏(NTT) |
BS-5-9 |
非正方領域におけるセキュア分散データ転送を用いる無線センサネットワークでの複数ゲートウェイ配置の検討
◎藤田和希・中村彩乃・河野英太郎・角田良明(広島市立大) |
BS-5-10 |
効率的な同時コンテンツ配信のためのSoftware-Defined Multicast
○関口頌一朗・森 翔平(NHK)・杜 平(東大)・西村 敏・山本正男(NHK)・中尾彰宏(東大) |
BS-5-11 |
情報指向ネットワークにおける効率的な分散情報取得のための輻輳制御手法の検討
○森山尚紀(北九州市大)・伊藤友輔(東京理科大)・古閑宏幸(北九州市大) |
BS-5-12 |
上り通信を考慮した仮想アクセスポイント構成手法
◎岸上 隼・木下和彦(徳島大) |
近年, OTT サービスを中心とするマイクロサービス・アーキテクチャ導入による開発効率の改善等を背景に, VNF (Virtual Network Function) のマイクロサービス化が検討され始めている.
本稿ではマイクロサービス化されたシステムで多く採用されている N-ACT 構成をとるネットワーク (NW) システムの性能・可用性に注目する. 従来の ACT/SBY 構成を取るシステムと比較するために, 市中に存在するマイクロサービス化されたオープンソース実装で N-ACT 構成をとる Clearwater IMS の実装評価結果と NW システムのマイクロサービス化に伴う課題についての考察を報告する.
大規模な都市災害時では,災害対策本部からユーザに対して災害関連情報の収集・配信が必要である.そこで,DTN機能を実装した無線LANアクセスポイントを車載した小型自立移動式災害対策支援ユニット(D-ZEV mini: Disaster-robust Zero Energy Vehicle mini)を開発している.本稿では,DTNにおける既存の情報配信方式であるEpidemic Routingをベースに重要度の高い情報から送信する重要情報配信方式を提案し,通信システムに実装することで,重要度の高い災害関連情報の到達を目的とする.また,提案方式の有効性を確認するため,実証実験としてD-ZEV mini同士のすれ違い通信を行った.その結果,重要度の高い災害関連情報の到達を実現し,約15MBの災害関連情報が送信可能であることを確認した.
土砂災害などの災害が発生しそうな場合において,避難指示や避難勧告など,地域住民に対して迅速な情報配信が行われる必要がある.近年ではこれらの情報は,地方自治体などから地域住民に対してスマートフォンや携帯電話などに配信されている.その上で,地域住民が避難する場合に,避難場所までの避難経路や災害状況などが分かると,その状況をもとに避難することができると考えられる.本研究では,自治会単位など,各地域の中で地域住民のために災害避難支援のための情報共有システムの検討を行っている.ユーザからのセンシング情報をもとに,通ることができる経路や通れない可能性のある場所を地図上に可視化するための避難経路情報可視化システムを開発を行った.
ブロックチェーンを利用した暗号通貨が, グローバルな支払いシステムとして機能するためには毎秒多くの取引情報を処理する必要がある. しかし, 処理することができる取引情報の数は, ブロックサイズやブロック作成の時間間隔に制限され, 多くの取引情報を処理することができないという問題がある. 本問題を解決するトランザクション処理性能向上技術を提案する. 取引情報どうしをハッシュ値で接続したグラフとブロックチェーンを組み合わせることで, 処理性能をさせることができる.
現在深刻な社会問題となっている分散型サービス拒否攻撃(DDoS攻撃)はbot化されたIoT機器が多く用いられているが,そのIoT機器は様々な種類があり,その攻撃量の定量化が難しい.そこで我々は汎用的なIoT評価機器であるRaspberry Piを攻撃能力の基準として用いて比較評価する手法を提案する.ここで評価の指標は攻撃目標の帯域溢れを用いて,これをネットワークトラヒック量の計測で表した.実験ではRaspberry Piでネットワーク上に配備されたサーバにDoS攻撃を行い,そのトラヒック量を計測し,その結果Raspberry Pi 1台あたり1600 kB程のリクエストトラフィックを生成できることを示した.今後は攻撃対象機器のバリエーションを増やし,より実用的な指標の確立を目指す.
ディジタル機器の識別手法として,高精度時刻ソースを有する基準機と計測対象機を比較し,その機器間の時刻ズレの特徴を抽出する時刻ドリフトに基づく手法がある.しかし,この従来手法はネットワーク上に基準となる時刻装置が必要であり,またネットワーク遅延などの通信状況が精度に影響する問題があった.そこで本研究ではコンピュータ内に複数のタイマがあることに着目し、そのタイマ間の時刻ズレとCPUコア温度間の相関関係を用いて一つのローカルマシン内の機器から特徴量を抽出する手法を提案する.
近年,スマートフォンのアプリケーション等,位置情報を用いたサービスが多く出現している.これらのサービスの中には高い精度を要するサービスが増えてきている. GNSS測位における劣環境は刻々と変化するため,ユーザが現在,どの程度の誤差を受けているのかを簡易的に把握可能な方法として「誤差マップ」の提供が考えられる.この誤差マップがあれば,例えば測位精度向上に有効な仰角マスクによる衛星の選択の切り替え,測位の確度が高い経路を選択するなど,高い測位精度の維持が可能となる. 本論文ではこのような誤差マップを作製する方法として複数のGNSS受信機を用い,誤差推定値を算出,誤差の大小判別のための手法について提案する.
完成前の開発ドキュメントにおけるカタカナ語の略語とその略語に対する原型語との対応を自動的に獲得し執筆者に指摘することで,略語と原型語の表記揺れを防止する方法について提案する.
無線センサネットワーク(WSN) では,ノード同士やノードとゲートウェイ(GW)間で無線マルチホップ通信を用いる.そのため,中継ノードやその周辺のノードによる盗聴の危険性がある.また,GWは1つしかない場合単一障害点になる.これらの問題に対し,セキュア分散データ転送を用いた複数のGWを持つWSNのためのGW配置法と経路制御手法(従来法)が提案されている.ただし,従来法はフィールドが正方形と仮定している.一般にWSNが利用されるのは正方形のフィールドとは限らない.本稿では,非正方領域の一つである長方形に対応する2種類のGW配置手法を提案し,シミュレーションを用いて実験的に評価する.
多数の端末が同時に同一のコンテンツにアクセスする状況下で効率的なデータ配信を行うためのSoftware-Defined Multicastを提案する.データプレーンとしてWi-Fiマルチキャストを利用し,パケットロスはD2Dによって他の端末から補完する.制御プレーンとしてsXGPを利用し,対象端末の認証や接続すべきWi-Fiアクセスポイントの制御,およびD2Dリンク確立のための端末同士の接続情報の交換と接続管理をセキュアに行う.実機上で試作を行い,基本的な動作を確認することにより,本提案方式が効率的な同時コンテンツの配信が実現可能であることを示す.
現在,効率的なコンテンツ配信のためにICNが注目を集めている.
ICNでは,ネットワーク内のCRがキャッシュ機能を持ち,ネットワーク内に流れているコンテンツをキャッシュし,要求されたコンテンツを保持している場合,
サーバの代わりにそのコンテンツを配信する.すなわち,ユーザはサーバのみならず,複数のCRに分散された情報を同時に利用しながら,コンテンツを取得することになる.
このような状況において従来のTCPを用いて通信を行うと,複数の通信フローが競合
することで,各フローの伝送効率が低下し,コンテンツ取得時間が増加する恐れがある.
そこで本研究では,分散情報を効率的に取得するための輻輳制御手法を提案し,その
有効性を明らかにした.
近年,高機能携帯端末の普及に伴い,従来の Best Effort(BE) 型サービスだけでなく,動画配信などのストリーミング型サービスが移動体通信で利用されるようになり,モバイルデータトラヒックが急増している.既存手法では,マクロセルとスモールセルが混在する環境で BE ユーザと GBR(Guaranteed Bit Rate) ユーザが到着することを想定し, GBR ユーザについては一定の帯域を保証できない場合は呼損とする呼受付制御を行う環境を提案している.その上で,サービスごとに複数の物理 AP から構成される仮想 AP を形成することで,GBR ユーザの呼損率を目標値以下に抑えながら, BEユーザの満足度を向上させる手法が考えられている.しかし,この研究では通信の方向が考慮されていない.そこで本稿では,上り通信を行うユーザが増えてくると,衝突によってスループットが低下することを考慮した仮想アクセスポイント構成手法を提案する.
ABS-1. 海中における電磁波利用(通信、制御、給電、センシング)
(ワイドバンドシステム研専、アンテナ・伝播研専、高信頼制御通信研専、スマート無線研専、無線電力伝送研専 共催)
9月12日 15:00〜16:40 C棟 4F C401講義室 座長 高橋応明(千葉大)
ABS-1-1 |
海水環境下での水中光無線給電の検討
○田中文明・武石千宙・森田大樹・谷口和希・宇野木寿仁・押金勇人・内田史朗(千葉工大) |
ABS-1-2 |
多段コイルを用いた海水内のワイヤレス電力伝送の設計と一検討
○枷場亮祐・岡本克也・山口修一郎・八木達雄・川田壮一・江口和弘・小柳芳雄(パナソニック) |
ABS-1-3 |
電界結合型海水中無線電力伝送における高効率結合器の設計
◎村井宏輔・田村昌也(豊橋技科大) |
ABS-1-4 |
海底掘削ドリル用WPTシステムの結合部についての検討
○澤井秀将・石崎俊雄(龍谷大)・井上朝哉・石渡隼也(JAMSTEC)・粟井郁雄(リューテック) |
現在、光無線給電の研究が活発に進められている。一方、光無線給電を水中への応用も検討されており、水中ドローンへレーザ光を照射することにより充電を行う方法が検討されている。本実験では、水に吸収されにくい波長450nmのレーザ光とInGaP太陽電池を用い、空気、水道水、海水の伝搬に対して、電力伝送効率の測定を行った。測定の結果、空気と水道水ではシステム全体の効率は約20%だったのに対し、海水では吸収及びに散乱によってレーザ光強度が大きく減衰しシステム全体効率が約4%となった。今後、海水での減衰が少ない波長や散乱の影響の低減について検討を継続する。
自律型無人潜水機(Autonomous Underwater Vehicle:AUV)は,海洋資源の探査,海洋生物の調査,インフラ施設の監視などに利用されている.今後海中ドローンの開発などで,小型低コスト化が進み利用範囲がさらに広がると考えられる.AUVは,バッテリー交換または充電時に引き上げる必要があるため,海中内で無線給電することができると海洋活動の効率化が期待される.
海水中の電力伝送の特有の問題として,海水は導電性を持つため,減衰定数が大きく,電磁界の減衰が大きくなり,伝送効率が劣化する.また,海中内で海中移動体への給電は,海流の影響で位置合わせが難しく,位置自由度の高い給電が求められる.海水を介した無線給電は,過去に数cm離した伝送等が提案されている[1] - [2].著者らは,複数コイルを海水に沈めて,コイル間で無線給電する方式を,長距離化,高効率化の観点で2つのシステムを検討した.
電界結合型水中無線電力伝送の課題として,海水などの導電率が高い環境ではQ値が劣化するため電力伝送効率が低下する課題がある.そこで,導電率が高い海水であっても電気二重層を用いることでQ値の改善を行うことが可能である.そこで,電気二重層を用いた電界型結合器の高効率化設計法を提案する.まずは,測定セルを用いて海水の複素誘電率の面積依存性を測定し,測定ばらつきを押さえるために近似計算を行った.つづいて,測定した複素誘電率を用いて電極寸法の最適化を行いηmax = 92.0%の電極構造を設計した.実測を行い85.0%のηmaxを達成した.
本稿では科学研究や資源探査のため深海底を掘削するドリルパイプに非接触給電するシステムを提案している。昨年、「ちきゅう」にて行なった伝送実験によって、新たな計算法を用いた結果と実験結果が一致することを明らかにした。ドリルパイプを数百段つなげるとき、効率を悪くする一つの主原因である同軸線路ロスを軽減させるため通過帯域の周波数を低周波にシフトさせる必要がある。今回は通過帯域を低周波側にシフトさせるためコイルの結合部の構造を検討している。
9月13日 9:00〜11:45 C棟 4F C401講義室 座長 滝沢賢一(NICT)
ABS-1-5 |
海中における電波源位置推定に関する一検討
○滝沢賢一・菅 良太郎・松田隆志(NICT)・吉田 弘(JAMSTEC)・児島史秀(NICT) |
ABS-1-6 |
電磁波による3次元海中ポジショニングシステム
○高橋応明・加藤涼介(千葉大)・石井 望(新潟大)・陳 強(東北大)・吉田 弘(JAMSTEC) |
ABS-1-7 |
北極ドローン測位のための低周波電磁波の通信特性
◎佐藤 良・吉田 弘(JAMSTEC) |
電波を利用した海底下埋設物センシングに関する研究を進めている.本稿では,センシングに関連する基礎検討として,海中における複数受信アンテナを用いた電波源位置推定に関して報告する.
従来,海洋における無線通信では音波の利用が主流であった.しかし,音波は海中における伝搬速度が電波と比較して低速であり,雑音や海面,海底からの多重反射の影響を受けやすい.また,光波に関しても海水中の濁りによる散乱減衰が大きいことから,水中における通信には適さないとされている.電波は減衰量の大きさが問題点として挙げられるが,その大きさゆえに反射波や回折波の影響を無視できると考えられ,海水中における電波の利用を考える余地は十分にあるといえる.本研究では,10 kHzの電磁波を用いた海中位置推定システムにおける受信電力強度(RSS)使用の優位性について述べる。また,RSSを用いた深さ2 mから8 mまでの3次元位置推定シミュレーションを行ったので,併せて報告する
近年、地球温暖化により北極を覆う氷の融解が急激に進んでいる。氷の融解の原因には気温上昇のほかにも、氷下からの温暖ガス放出や生態系の変化などが原因と考えられている。著者らは北極で使用するための自律型無人探査機(本講演内では北極ドローンと称する)を使った北極下の調査を行うために、低周波の電磁波による通信、及び測位を提案している。そこで著者らは、海中での電磁波通信性能を測定するための実験用通信機を開発し、気中ー海中間の通信特性の測定にあたってきた。本講演では氷上-海中間の電磁波通信の変調方式や通信可能な水平距離を、冬季のサロマ湖上で評価したので報告する。
休 憩(10:30 再開)
ABS-1-8 |
UHF帯地中レーダによる海中探査の実験的・理論的検討
○園田 潤(仙台高専) |
ABS-1-9 |
電波を用いた海底下センシングシステムの開発
○菅 良太郎・滝沢賢一・松田隆志(NICT)・吉田 弘(JAMSTEC)・児島史秀(NICT) |
ABS-1-10 |
電波を用いた海底下埋設物センシングのシミュレーション評価
○松田隆志・滝沢賢一・菅 良太郎(NICT)・吉田 弘(JAMSTEC)・児島史秀(NICT) |
海水は導電率が高く一般的に電波は伝搬しないとされており,現在では海水中では主に超音波が利用されている.我々は東日本大震災の津波災害による海底の行方不明者やがれきを探索するために,数百MHz帯の地中レーダを用いた海中探査を試みている.本稿では,宮城県閖上広浦湾と山元町磯浜漁港および坂元沖における
地中レーダによる海底探査実験について,TDR (Time Domain Reflectometry) による海水の複素比誘電率の周波数特性と,実際のレーダ画像からの海底物体探査について述べ,350 MHzの地中レーダで深さ10 m程度の海底物体の反射波が受信できたことを明らかにする.また,GPUを用いたFDTD法による海水中の電波伝搬解析を行い,実験結果の妥当性を示す.
日本が有する海洋の面積は世界第6位であることは広く知られている.しかしながら,その有効利用は十分とは言えず,海洋産業の市場はそれほど大きくない.海洋の利活用を加速させるためには,海洋を知る事から始めなければならないが,現状はセンシングの手段が限られている.そこで我々は電波を用いた海底下埋設物センシングシステムを開発した.開発した海底下埋設物センシングシステムを用いて,浅海域において疑似埋設物センシング実験を実施した.その結果,模擬埋設物と海中アンテナとの位置関係により,位相変化量が変化することを確認し,位相変化量の観測による海底下埋設物センシングの可能性を確認することができた.
極限環境である海中において,これまでに海中電波伝搬測定をおこなってきた.海中チャネルサウンダを製作し,海中での安定した電波伝搬の評価を行うことができた.そこで得られた知見を活かして,電波を用いた海底下埋設物センシングの研究開発を行っている.海中アンテナアレイによるセンシングシステムの構築に向けて,海中アンテナの開発をシミュレーション及び実測を用いて進めている.本稿では,海中アンテナの設計及び設計した海中アンテナの海底下埋設物センシングへの適用について報告する.
9月13日 13:00〜17:00 C棟 4F C401講義室 座長 李 還幇(NICT)
ABS-1-11 |
海中電磁気の産業応用
○吉田 弘(JAMSTEC) |
ABS-1-12 |
モーメント法によるシース付き海水中ループアンテナの解析
○羽賀 望(群馬大) |
ABS-1-13 |
Design of Sheathed Dipole Antennas for Seawater Use
◎SHUANGYUE XU・HIROYASU SATO・QIANG CHEN(Tohoku Univ.) |
ABS-1-14 |
海中動作ダイポールアンテナによる電界強度測定のための疑似スケールモデル
○石井 望(新潟大)・高橋応明(千葉大)・陳 強(東北大)・吉田 弘(JAMSTEC) |
ABS-1-15 |
海水中における変動磁界を用いた新しい無線通信技術の提案
○河野實則・河野公則(アール・シー・エス)・THANG DUONG QUANG・東野武史・岡田 実(奈良先端大) |
日本が本物の海洋立国になる為には,商船,造船,漁業以外の海洋産業を見出していく必要がある.とくに日本は広大な海中空間を領海+排他的経済水域内にもっていることから,海中の産業化が重要である.市場ポテンシャルは,鉱物資源・エネルギー,食物,インフラと非常に大きい.これらの場で活躍するのは海中のロボットである.海中ロボットを効率よく運用する為には,通信・測位・探査の道具が重要であり,主力である海中音波を補完するような,新しい媒体が望まれている.本発表では,産業ポテンシャル,海中ロボット,光を含む海中電磁波について,全体を俯瞰して現状と将来展望について述べる.
海水は導電率が4〜6 S/m程度の高損失媒質であるため,海水中における電磁波の減衰定数は比較的大きい.しかしながら,海水中の電磁波による無線通信や位置推定は,音波や光波を用いたものには無い利点があるため,近年,その利用可能性が見直されつつある.当然ながら,減衰定数は周波数が高いほど大きいため,通信距離を長くするためには,低い周波数を用いる必要がある.したがって,アンテナの寸法は電気的超小形となるため,その解析は一般に困難となる.本検討では,シース付き海水中ループアンテナのモーメント法解析において,ループ・スター基底関数の使用が有効であることを示した.
In this report, numerical design of sheathed dipole antennas in seawater is presented. The comparison of antenna characteristics between dipole antennas with sheaths of different length is performed. The impedance and the return loss behavior under the effect of different length of sheaths is discussed. The effect of the length of sheath on the sheathed dipole antennas in seawater was clarified. It was shown that the structure of the sheathed antenna design is useful for decreasing the return loss and impedance matching.
大規模になりがちな海中電磁波利用の検証実験のコンパクト化を目指し,疑似スケールモデルという導電媒質特有のスケールモデルを導入し,室内での海中スケールモデル実験の可能性について論じた.
「ファラデーの電磁誘導の法則に基づく変動磁界(以後磁力波と称する)」を活用し,海水中で無線通信を可能にする,無線通信技術を実用化するために,過去約3年間に渡り継続して研究を行った成果を報告する。
休 憩(15:20 再開) 座長 三木信彦(香川大)
ABS-1-16 |
水中ネットワークを実現するALANコンソーシアム
○鈴木謙一・島田雄史(トリマティス)・安達文幸(東北大) |
ABS-1-17 |
水中光通信における日照による受信光到来角変動の検討
◎大峡春佳・山下泰輝(東海大)・奥澤宏輝・高橋成五(トリマティス)・高山佳久(東海大) |
ABS-1-18 |
ディジタルマッチトフィルタを適用したIM/DD-OFDM水中光無線伝送実験
○中村一彦・塙 雅典(山梨大) |
ABS-1-19 |
水中LiDARによるコンクリート片の3D測定
○高橋成五・山田 直(トリマティス) |
海中を代表する水中環境は,音波等限られた手段しか使えない「最後のデジタルデバイド領域」であり,水中環境の有効活用のためには,水中での地上並みの通信ネットワークの構築が課題である.これらの課題を解決するとともに,水中環境を一つの生活圏と捉え,水中に光無線技術を適用したLocal Area Network (LAN)を構築する目的で設立されたALAN(Aqua LAN)コンソーシアムにおける検討技術とその活動について報告する.
水中での伝送容量の向上のため光通信の適用が注目されている。日照により通信路の水温が均質的に変化するような状況において水温と水流が通信光に与える影響を評価する。そこで、水槽全体に日照による温度変化を与え、水中を伝搬するレーザ光の伝搬角度を計測する。計測で得られた結果から日照および水流量とレーザ光の伝搬角度の相関性について考察する。
本稿では,水中光無線伝送での受信SNR改善を目的として,IM/DD-OFDM信号伝送でのディジタルマッチドフィルタの適用の効果を実験的に検証している.波長405nmのLDで生成した光IM/DD-OFDM信号を1mの水中伝送路で伝搬させ,APDにより光・電気変換,ADC後,PCにてオフラインでディジタルマッチトフィルタ・OFDM復調処理を行った.ディジタルマッチトフィルタ処理をOFDM復調処理部の前で行うことで,フィルタなしの場合と比べてビット誤り率特性を約1桁改善できることを示している.
青色GaN-LDを光源とし、短波長での感度低下の少ないMPPCを受光素子として用いて、水中伝搬に適した可視光帯 水中LiDARを開発した。水槽内のコンクリート片を観察し、1 cm以下の空間距離分解能で、物体表面の凹凸が計測できることを確認した。