プログラム
format_list_bulleted基礎・境界ソサイエティ
一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
A-1. 回路とシステム
9月10日 13:00〜16:45 C棟 2F C203講義室 座長 兼本大輔(阪大)
A-1-1 |
対称型非接地可変容量スケーリング回路の一構成法
○松元藤彦・諏訪間友也・大淵武史(防衛大) |
A-1-2 |
スイッチトキャパシタ容量・電圧変換回路の高精度化
◎△水島航太・小川覚美・佐藤隆英(山梨大) |
A-1-3 |
トンネルダイオード・マルチフェーズ発振器の特性改善
◎△東 樹宏・楢原浩一(神奈川工科大) |
A-1-4 |
FPGAを用いた全ディジタルPLLの設計手法に関する研究
◎吉原拓哉・SAICHANDRATEJA RADHAPURAM・松岡俊匡(阪大) |
生体医療用アナログ信号処理用低周波フィルタには、高抵抗と大容量の素子が必要である。小さなコンデンサの容量を大きな容量に増大させることができる容量スケーリング技術を発展させ、著者らはこれまでに、非接地の大容量コンデンサとして機能する回路を提案してきた。本稿では、容量値の調整が可能な新しい対称型非接地容量スケーリング(SFCS)回路の構成法を提案する。この回路を全差動一次ローパスフィルタに応用してシミュレーションを行った結果から、遮断周波数は概ね設計通りとなっており、容量可変により遮断周波数のチューニングが可能であることを確認している。
容量型センサは圧力、変位検知など幅広い用途に用いられる。センサの容量値をディジタル変換するC/D変換回路としては、容量値をアナログ電圧に変換し、A/D変換器を用いてディジタル値に変化する方式が一般的である。しかし、スイッチドキャパシタ容量・電圧変換器では、回路を構成するオペアンプの有限利得、チャネルチャージインジェクション等の非理想的な特性により誤差が生じ、信号処理回路の精度が制限される。
本発表では、単一容量型センサの容量値を、誤差を含む3つの電圧値に変換し、それらを演算することで素子の非理想的な特性の影響を大きく低減できる容量型センサの信号処理回路を提案する。Hspiceシミュレーションによってその動作を確認した。
共鳴トンネルダイオード(RTD)を用いたマルチフェーズ発振器はサブミリ波帯コヒーレント技術確立のために不可欠である。本研究では,トンネルダイオード(TD)をRTDの代替として、提案するマルチフェーズ発振器に非線形容量を導入しその効果を実験的に検証した。具体的には複数の線分TD線路を閉じたTD線路と接続する。線分TD線路の一端にDC電圧を与えると電圧エッジが線路上を振動する現象が見られる。結合によって同閉じたTD線路には特定の向きに周回する孤立パルスが誘起される。線形容量を用いた線路では発振周波数の可変性,回転向き制御などの課題があった。そこで線形容量の代わりに電圧可変容量を装荷し,これらの解決を試みる。
完全ディジタルPLLの数値計算を用いたトランジスタレベル検証ではシステムが複雑化しやすく解析に時間がかかってしまう。そこで本稿ではFPGA上に実装し、エミュレーションを行うことでリアルタイムにシステム全体の検証行う設計手法を提案する。
休 憩(14:15 再開) 座長 佐藤弘樹(ソニーLSIデザイン)
A-1-5 |
ソーティングネットワーク回路によるグラフ型近傍点探索を用いたピッキングロボット向け物体姿勢推定高速化手法
○小菅敦丈・大島 俊(日立) |
A-1-6 |
スパースイジングモデルのFPGA実装
◎飯村凌馬・南澤 晃・河原尊之(東京理科大) |
A-1-7 |
A design of arithmetic unit based on self-synchronous circuit
○Di Cui・Makoto Ikeda(The Univ. of Tokyo) |
A-1-8 |
畳み込みニューラルネットワークのFPGA実装における畳み込み演算オーバーフロー抑制手法
◎岸本 真・村田大智・平井理宇・北山 晃・小野豪一(日立)・伊藤浩朗(日立オートモーティブシステムズ) |
物流業界での人手不足を背景に、倉庫内の商品集荷作業を自動化するピッキングロボットの研究が進んでいる。課題の一つは、人手と比較しロボット1台当たりのピッキング作業が遅いことである。ピッキング作業高速化のためには、長時間の演算を占める物体姿勢推定の高速化が欠かせない。本研究では、特に物体姿勢推定の演算時間を占めていたk近傍点探索を高速化するため、グラフ構造を用いたk近傍探索高速化アルゴリズム、及びソーティングネット回路を基にした高速回路方式を考案した。提案高速化回路手法はFPGAに実装し、グラフ生成及びk近傍点探索の両方に適用したことで、物体姿勢推定時間を4.3倍高速化を達成した。
”モノ”へと最適化問題を解く能力を付与することは、システム全体の情報処理能力を向上させ、IoT社会のさらなる躍進へとつながる。イジングモデルは最適化問題の処理に適しており、そのハード化は先の内容を実現する。しかし、問題の規模が大きくなるとその計算には膨大な数の相互作用が必要となり計算時間が増加する。そこで本稿では、相互作用のスパース性に着目し不要な相互作用を無視するモデルを提案する。また、提案モデルをFPGA(Xilinx ZCU102)に実装し、画像のノイズ除去に対して処理速度の比較を行った。結果として、スパース化により処理速度が最大で9倍以上高速となることを確認したので報告する。
In this study, we focus on using the dual-pipeline self-synchronous circuit to design a 8 bit ripple carry adder. The self synchronous circuit is designed in the architecture called DCVSL and can operate at gate-level pipeline stage.The whole circuit is controlled by the Completion Detection (CD) signal generated by each stage of self synchronous logic gate.It can achieve about 2 times throughput compared with previous research in dynamic logic fast adder design.
近年、自動運転分野における周辺認識機能の実現に向け、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を物体認識に利用する研究が進められている。本稿はCNNをFPGAに実装する際に、FPGA内にある積和演算器内の加算器のオーバーフローを抑制する手法を提案する。本稿では畳み込み演算における加算回数が畳み込み演算の行列サイズにより決まることを利用して事前に判定を行いビット数を削減することで、オーバーフローの抑制が可能となる。
休 憩(15:30 再開) 座長 中村洋平(日立)
A-1-9 |
バースト対応電気分散補償回路におけるモニタ回路の高速応答化の検討
◎石原直志・三輪祐三久・前川竜也・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大) |
A-1-10 |
自己適応等化器における帯域・伝送距離依存性の検討
◎林 宏太・鷲見和紀・伊藤大輔・中村 誠(岐阜大) |
A-1-11 |
情報伝達長を考慮した連結ピン組織構造への関係追加
○澤田 清(流通科学大) |
A-1-12 |
適応ゲインコントローラによるマルチエージェントシステムのL2ゲイン性能を考慮したフォーメーション制御系
◎伊藤 駿・宮越一輝・大屋英稔・星 義克(東京都市大)・永井駿也(神奈川大) |
A-1-13 |
複雑な型紙集合を入力とする自動マーキングシステムの一手法
◎相馬和也・藤吉邦洋(東京農工大) |
近年の情報トラフィック量の急増により,光アクセス網形態の1つであるPON (Passive Optical Network) システムでは高速化・長延化が求められている.しかし,光伝送路での波長分散による符号間干渉が課題となっている.ユーザ毎の伝送距離に応じて波長分散量の異なるバースト信号を適応的に補償する必要があるが,波長分散を電気的に補償する従来の電気分散補償(EDC: Electrical Dispersion Compensation)回路を PON システムに適用するためには,バースト信号に対応可能な高速応答性が必要となる.そこで本稿では,EDC 回路の高速制御回路の検討を行った.
近年,情報通信端末の普及によりデータトラヒックが増加しており,光通信におけるアクセスネットワークの高速化・長延化が望まれている.しかし,高速化・長延化が進むと光ファイバや送受信器での波形劣化による信号品質の低下が課題となる.そこで,アクセスネットワークで必要な性能を明らかにし,低コスト・高性能波形等化技術を検討する.
波長分散と帯域不足が適応等化器に与える影響を検討するために,それぞれモデル化し数値実験を行った.その結果,波長分散は帯域不足に比べ,劣化波形の補償が困難であることが明らかとなった.
高さHの完全K分木の全兄弟を隣接化した完全K分木型連結ピン組織構造に対して,同じ深さNの全頂点間に辺を追加するとき,最適な辺追加深さを求めるために総頂点間短縮経路長の定式化を行う.ただし,完全K分木型連結ピン組織構造の各辺の長さ1に対して,追加辺の長さをL(1<L<2)とする.
本稿では、リーダーフォロワー構造を有するマルチエージェントシステムに対して、リーダーと各フォロワー間の目標相対位置を陽的に考慮し、かつ外乱影響(L2ゲイン性能)も考慮した上で合意を達成するゲインコントローラの設計法を提案する。
他フォロワーの目標相対位置の情報が不確かな場合の影響を考慮した補償入力の設計を行い、その上で外乱の影響抑制及びシステムの漸近安定性の保証性について線形行列不等式(LMI)の可解性へと帰着し、ゲインの設計を行い、合意達成(フォーメーション形成)をするLMIベースのコントローラを構成する。
今後の展望としてはオブザーバ併合系や出力フィードバック系への拡張が挙げられる。
「マーキング」とは、幅が一定の布地に洋服の型紙を配置することを言い、型紙をより密に配置することで生産コストが抑えられることから、このような要求を満たすマーキングシステムが望まれている。一度に多数種の型紙を手作業で扱うのは困難であるため、計算機によってマーキングを行なう自動マーキングシステムが研究されている。そのための配置探索アルゴリズムの一手法として、探索効率を良くするために型紙を事前に結合する手法について検討する。
A-2. 情報理論
9月13日 13:00〜14:30 A棟 2F A214講義室 座長 吉田隆弘(横浜商科大)
A-2-1 |
3元畳込み符号およびパンクチャド符号の構成
○宮城俊吾・井坂元彦(関西学院大) |
A-2-2 |
ElGamal暗号系と組み合わせた組織Reed-Solomon符号を用いる秘密分散方式
○山嵜彰一郎・松嶋智子・宮崎真一郎・大村光德(職業開発大) |
A-2-3 |
レベル分割多重を用いた光CDMA多重伝送に関する研究
○松嶋智子・山嵜彰一郎・宮崎真一郎・大村光徳(職業開発大) |
A-2-4 |
深層学習技術を利用した過負荷スパースCDMA検出器
◎山内友稀・高邉賢史・和田山 正(名工大) |
A-2-5 |
人狼ゲームにおける会話情報による役職推定
◎福田宗理・穴田 一(東京都市大) |
A-2-6 |
2値ECOCと3値ECOCのシステム評価
○平澤茂一・雲居玄道(早大)・八木秀樹(電通大)・小林 学・後藤正幸(早大)・稲積宏誠(青学大) |
ディジタル通信において,誤り訂正符号は必須の技術であるが,
既知の符号はごく一部を除いて元の個数が2でのべき乗である
有限体上で定義されており,とりわけ
F2上の符号が主要な研究対象となっている.
一方,3値位相変調を使用する利点が主張され,
2元記号をF3上の記号に畳込み符号化
する手法が検討されている.
本稿では,重み分布に関して優れたF3上の畳込み
符号およびそれらを母符号として構成したパンクチャド畳込み符号を報告する.
(k,n)しきい値法の秘密分散は,多項式を基に情報をn個のシェアと呼ばれる分散情報に分散させ,k個以上のシェアを集めなければ,元の情報を再構成できないようにシェアを設定する方式で,情報の紛失と漏えいを抑制することができる.ElGamal暗号の秘密鍵を秘密分散の保護対象とする場合,秘密鍵を再構成することなく平文を復号できることが知られている.本研究では,組織Reed-Solomon符号に基づく(k,n)しきい値法の秘密分散をElGamal暗号の秘密鍵の保護に適用する系を提案し,秘密鍵を再構成することなく平文を復号できることと,シェアを配信するときの通信路の安全性のレベルを下げ得ることを示す.
拡張プライム系列符号を拡散符号とし適切な干渉除去方式を用いた同期光符号分割多元接続(CDMA)は,多重ユーザ干渉を完全に除去することができる.本研究では,干渉除去に等重み直交方式を用いた同期光CDMAにおいて,レベル分割多重を利用し,伝送ビット数をL倍(Lは2以上の整数)にする多重伝送方式を提案する.提案方式では,各ユーザがLビットの送信情報を同じ符号語の対で拡散符号化し,Lレベルの異なる信号強度で同時に多重伝送する.各レベルの受信信号の振幅がそれ以降のレベルの振幅の和より大きいという条件を満たすとき,雑音のない理想的な通信路では全レベルで復号誤り率が零となることが示される.
情報社会の発展にしたがって大容量 ・高速 ・低遅延
な無線通信技術の開発が必要となってきている . 特に非直交信号に
基づく多元接続方式である NOMA (None-Orthogonal
Multiple Access) に近年研究開発の焦点が移りつつある .
NOMA における
重要な技術面の課題として , 高速かつ高精度の信号検出
器開発が挙げられる . 本研究では NOMA の中でも SCDMA (Sparse
Code Division Multiple Access)に着目し , 射影勾配法をベースにした深層学習を利用した検出器を提案す
る . また , その性能を BP (Belief Propagetion)を用いた検出器 と比較する .
人狼ゲームで勝つためには嘘をつく能力や見極める能力が要求される.この能力が向上することで,人工知能がより高度な判断が可能となる.大川らの研究では,5人人狼で勝つために,ニューラルネットワーク(NN)を用いて各プレイヤーの役職を推定する役職推定モデルを構築した.しかしそのモデルはNNに推定対象者が発言したほとんどの定型文ごとの発言数は入力しているが,発言の対象となっているプレイヤーの定型文ごとの発言数は入力していないため人狼の推定精度を向上できる余地がある.そこで本研究では,経過日数と追放投票で各プレイヤーが投票した対象,宣言した役職とその時の経過日数とターン数,全ての定型文ごとの発言数を考慮し,役職推定を行う.
2値({0,1}))判別器をN(≧kog2 M)個用いて,M(≧3)個のカテゴリを持つ多値分類システムを構成する方法(2値ECOC法)がある.この判別器を3値({0,*,1})とする3値ECOCについても知られており,ここではシステム評価の立場から考察する.ここで,判別器がデータを学習する際,0ならば負例,1ならば正例,*ならばいずれにも分類しないことを示す.システムに投資したコストとシステムの性能劣化の程度の間に成り立つトレードオフ関係を議論するシステム評価モデルに適用し,3値ECOC法はFlexible, Elasticなど優れた性質を有することを示す.
A-3. 信頼性
9月11日 14:00〜14:15 C棟 3F C307講義室 座長 安里 彰(富士通)
A-3-1 |
デジタルエビデンス管理システムの開発
○根本直一(日立) |
近年,Internet of Things(IoT)の本格的な到来を見据え,各産業のパラダイムシフトに向けた構想が活発に発信されている。今後,企業間が連携して,モノに加えヒトも繋がり,サプライチェーン全体のIoTシステムサービスの必要性が高まってくる。製造工程では,IoT化が浸透しつつも,作業員による人手作業がある。IoTセンサで捉えられない人手作業の監視を行うには,カメラ等による映像データを用いることになる。そのため,大容量な映像データの保存が必要であり,高コスト化の課題があった。本稿では,デジタルエビデンスを圧縮し,低コスト運用容易化を実現するデジタルエビデンス管理システムを提案する。
A-4. 超音波
9月13日 13:00〜15:15 C棟 2F C201講義室 座長 小山大介(同志社大)
A-4-1 |
超音波振動子を用いた非接触給電システムの結合係数に関する検討と実機評価
○菊田捷仁・三島智和(神戸大) |
A-4-2 |
Time Reversalによる水中音響MIMO通信の研究
○志村拓也・樹田行弘・出口充康・渡邊佳孝(JAMSTEC) |
A-4-3 |
二つのパラメトリックスピーカを用いた複数の周波数を含む局所的可聴領域形成における音圧制御の検討
袴田拓実・干場功太郎・○土屋健伸・遠藤信行(神奈川大) |
A-4-4 |
高強度空中超音波による微小容器内液体の非接触撹拌Ⅱ
◎上田 颯・大隅 歩・伊藤洋一(日大) |
超音波振動子の正逆圧電変換を利用する際,機械電気エネルギー変換の結合係数を論じた研究事例は少なく,未だ明らかにされていない。本報告では,海水中での非接触給電システムを模した実験機を作成し,実験機から得られた結合係数及び理論式により求められた結合係数から導出した機械電気エネルギー変換の結合係数について述べる。
水中の音響通信では、非常に多数のマルチパス波が受信される、周波数帯域幅が非常に狭い、ドップラーシフトの影響が桁違いに大きいなど、空中の電波による通信とは異なる問題がある。本研究では、こうした水中音響通信におけるMIMO通信を実現する手法として有望なTime ReversalによるMIMO通信の性能を検証する水槽試験を行った。その結果、OFDMによるMIMO通信に比較して非常に優位であるという結果が得られた。
パラメトリックスピーカは, 指向性が高くビーム状に可聴領域を形成するが, 壁や床, 天井などで反射してしまうため, 特定の人にのみ音を届けることが困難である.そのため, 局所的に可聴領域を形成するための技術が求められている. 先行研究では, 二つのパラメトリックスピーカを用いて, 局所的に単一の周波数音で可聴領域を形成し, 音圧制御をすることで可聴領域を制御した. 本稿では, 複数の周波数音を同時に制御した.測定結果より, 1 kHz 以外の周波数ではSPL が同程度であったため, 提案した音圧制御が有効
であると言える.
液体サンプルを封入した微小容器に強力空中超音波を照射し,サンプルを非接触で撹拌する新たな方法を提案し,研究を行っている.これまでに,提案手法によって液体が容器内で旋回するように流動することが確認されている.本報告では,音波照射時の液体挙動について詳細に観察を行っている.その結果,強力音波照射による容器内液体からの霧化粒子の放出は,強力音波照射による容器壁面への音波照射により壁面に沿ってせり上がる流体表面にキャピラリー波が発生し,やがて波頭の崩壊によって瞬時に多量の微粒子放出が起こり,容器内液体に旋回流動が生じることを確認した.
休 憩(14:15 再開) 座長 土屋健伸(神奈川大)
A-4-5 |
パネル取り付け型インサートナット固定状態の反射型超音波検査法
○原 六蔵・木村友則・井幡光詞・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機) |
A-4-6 |
空中超音波センサの指向特性制御の検討
○井幡光詞・原 六蔵・木村友則・西岡泰弘・米田尚史・鈴木涼太郎・岡田光昭(三菱電機) |
A-4-7 |
空気中に温度勾配がある場合の超音波伝搬シミュレーション
○木村友則・井幡光詞・鈴木涼太郎・岡田光昭(三菱電機) |
A-4-8 |
音響応答評価による室温推定
林田耀生・水野洋輔・○中村健太郎(東工大) |
建材などのパネル材料にネジ止めを行う際,パネルにインサートナットを埋め込むことがある.インサートナットでボルト固定を容易にする一方で,インサートナット自体がパネルに十分な強度で固定されている必要がある.本研究では,パネル貫通型の金属製インサートナットを対象とし,パネルとインサートの固定状態を超音波で検査する.本発表では超音波エコー特性を示す.
空中超音波センサは比較的安価であること、また車載用途に関しては法規制がなく、利便性に優れていること等から、駐車支援システムの障害物検知装置として利用されている。駐車支援システムでは、車両周辺の状況に応じて超音波センサの指向特性を変化させ、検知範囲を変えることができると、より正確な障害物検知を行うことができる。そこで、本報告では、超音波センサの指向特性を制御する方法について検討し、センサ側面の振動を利用することにより、指向特性が制御できることを確認した。
空気中に温度勾配がある場合の超音波伝搬特性を検討した。2次元FDTD法のシミュレーションを用い、温度勾配を音速分布として考慮して、送信センサから受信センサへ直接伝搬して受信される信号を求めた。温度範囲は、20℃~50℃とした。センサ付近の音速が急激に変化するものとしてシミュレーションした結果、音速分布により振幅が大きく変化する可能性があることが分かった。
室内の音響特性(周波数特性)は建築音響分野では古くから研究されている。本研究では、室温により共振モードの固有周波数が変化することに着目し、1つのスピーカと1つのマイクロホンで室内の音響周波数応答を測定することで、室温を推定することを検討した。縮小モデルによる実験により、常温付近の室温を1℃以下の誤差で推定できることを示す。また、室温の分布の有無も判定できることを確かめた。さらに、実際の室内における室温推定も試みた。
A-5. 応用音響
9月13日 9:15〜11:30 C棟 2F C201講義室 座長 浅野 太(工学院大)
A-5-1 |
波形の包絡線を用いたいびき音の分析
○小口直希・鈴木彰文(鈴鹿医療科学大)・中野 博(福岡病院) |
A-5-2 |
水平面方向知覚に必要な周波数帯域の年齢による違いの検討
◎奥野智也・平川 凛・河野英昭・中司賢一・中藤良久(九工大) |
A-5-3 |
深層学習を利用した電気式人工喉頭音声の自然性改善の検討
◎占部悦朗・平川 凜・河野英昭・中司賢一・中藤良久(九工大) |
A-5-4 |
複数話者音声分離向けラダー型オートエンコーダの聴覚音声特徴量スパース性に対する再構成音声品質
○△関口 浩・成末義哲・森川博之(東大) |
いびき音には波形のパルス間隔に乱れがある場合や隣接する波形が若干異なる場合がある.このような波形においてもいびき音として識別する方法を提案する.いびき音波形の包絡線において最大点を持つ部位をテンプレートとしていびき音識別の指標とし,いびき音候補部位とのコサイン類似度を求めた.包絡線の極大点の以前もしくは以後0.1 sの区間における最大であるピークを直線補間して包絡線の最大値の傾向とした.候補部位の極大点において極大値と補間直線の値とを比較し振幅比を計算した.コサイン類似度と振幅比を用いて部位がいびき音かどうかを識別した.アルゴリズムにいびき音を入力し適切にいびき音が識別されているかを検証した.
音声は、日常生活における人と人のコミュニケーションにおいて不可欠なものである。しかし、高齢になると聴力そのものが低下することで、うまく会話を聞き取ることが困難になる。本研究では、音声による会話を聞き取るために重要な要因の一つである方向知覚について成人と高齢者で比較する。音の方向知覚に関しては、これまで健聴者における必要な周波数について検討されているが、高齢者についてはよくわかっていない。さらに、補聴器を装用することで音源の方向が分かりにくくなり、聞き取りに大きな影響があることが分かっている。
世界中には、事故や手術で声帯を失った人達が約60万人いると言われている。その人々は喉頭摘出者と呼ばれ、自力での発声ができないが調音器官は正常に機能している。そこで、声帯の代わりに音源となる振動を与えることで発声を可能にする代替発声方法が開発された。電気式人工喉頭(EL)はその方法の一つであり、訓練を必要とせずに容易に発声ができ、手術も必要なく清潔に使用できるという利点を持つ。しかし、ELにより発声した音声は、抑揚がなくブザーのような声になってしまうという欠点を持つ。そこで、音声の品質を向上させるためにスペクトルサブトラクション法やGMMを利用した研究が行われている。本研究では、深層学習の1つであるWaveRNNを使用し、EL音声の自然性の改善を検討する。
霊長類が持つ,同時に発声する外部音源を聴覚脳神経系で聞き分ける能力は,聴覚音声特徴量抽出と時間同期性検知クラスタリングの2つの機能で構成される,時間同期性検知クラスタリングにおける包絡成分の時間推移の類似性に基づく音源の同一性判定が,聴覚脳神経系における聴覚情景物体生成の成否を決定する.そのためは,聴覚音声特徴量が互いに独立である必要性を示した.本研究ではその聴覚音声特徴量抽出をラダー型オートエンコーダ(LDAE)で実現し,その聴覚音声特徴抽出特性が再構成音声品質特性に及ぼす影響を評価する. 聴覚音声特徴抽出特性の尺度としてLDAEのエンコーダ出力間の集団スパースをとる.再構成音声品質特性の尺度としてはオリジナル入力音声と再構成音声間の SDR をとる. LDAE のハイパーパラメータを振って、種々の集団スパース性を実現したとき,広いスパース範囲で、再構成音声品質の特性が安定した.
休 憩(10:30 再開) 座長 中藤良久(九工大)
A-5-5 |
振動センサと重回帰分析を用いた歩行速度の推定に関する検討
◎椿 順・浅野 太(工学院大)・中臺一博(HRI-JP) |
A-5-6 |
線形予測を用いた足音検出に関する検討
◎栗山翔太郎・小泉智也・椿 順・浅野 太(工学院大) |
A-5-7 |
広帯域屋内生活音のSOMを用いた異常候補検出に関する一検討
◎高田 鳴・田中元志(秋田大) |
A-5-8 |
周波数掃引を用いた位置検出装置におけるSNR改善の一手法
◎郜 文参・西勝 聡・安田 彰(法政大) |
災害時に,年少者などが建造物に取り残される場合がある.取り残された避難者の歩行速度や方向が推定できれば,救助の際に有用である.本研究では,振動センサから得られた複数の特徴量に重回帰分析を適用することにより,歩行速度を推定する手法を提案する.推定に用いる特徴量には,歩行ステップ間のパワーの減衰量,歩行ピッチおよび体重の推定値を用いる.評価実験では,被験者1人あたりに対して,歩行速度を低速,中速,高速として行った.評価実験から,歩行速度の推定精度は,複数の特徴量の組み合わせを推定器に学習させた場合のほうが,1つの特徴量を用いて単回帰を行った場合よりも,高い結果であることが示された.
災害時に,振動センサを用いて避難者の歩行方向や歩行速度の推定をすることにより,避難経路や避難場所の予測が可能になり,効率の良い救助活動ができる.このため,振動センサの観測波形から,単独の足音を抽出する必要がある.本研究では,線形予測を用いて,足音の振動をモデル化し,抽出する手法を提案する.線形予測を用いて振動センサから得た波形データから,足音の開始点を検出する手法について実験的検討を行った.この結果,線形予測の予測誤差を用いることにより,良好な結果を得ることができた.
独居生活者の家庭内での異常(事故など)の検出を目的に,屋内で広帯域マイクロフォンを用いて収録した生活活動音(帯域幅80 kHz)の時間-周波数解析を行い,5通りの方法で特徴量を抽出した。各特徴量の場合についてSOM(自己組織化マップ)を求め,学習データ数が含まれる割合に応じて5領域に分割した異常候補検出用マップを作成した。音によって特徴量が含まれる領域が変化し,その推移を観察することで異常候補の検出を試みた。異常模擬音として,転倒後活動のない場合10音と悲鳴後活動のある場合5音を用いた。悲鳴による領域の変化は見られない場合が多かったが,転倒時の方は検出できる可能性が示唆された。
近年,電磁波や可視光の反射波による位置検知とディープラーニングを組み合わせた高精度な位置検出技術が注目されている.また,超音波を用いた位置検出方法も広く用いられている.小型かつ廉価で周波数特性の良好なMEMSマイクを用いて位置検出が出来れば,その応用範囲の拡大が可能となる.しかし,現在のMEMSマイクには利得制御回路が実装されておらず,十分なSNRを確保出来ない問題がある.本論では,周波数掃引による位置検出において,周波数オフセットを加えたスペクトラム加算を行うことで,受信信号のSNRを改善する手法を提案する.これにより,SNRを10dB改善することが可能となった.
A-6. VLSI設計技術
9月10日 11:00〜11:30 C棟 2F C207講義室 座長 兼本大輔(阪大)
A-6-1 |
FPGA開発を短TAT化するHDL・HLSハイブリッド設計手法
◎永島和治・池田一樹(日立)・和田正司(日立ハイテクノロジーズ) |
A-6-2 |
3D-LSIのフロアプラン探索の並列処理化に関する研究
◎島本拓弥・藤吉邦洋(東京農工大) |
半導体検査・測長装置では,ウェハ検査のスループット向上のため,画像処理高速化が求められている.一方で,装置開発短TAT(Turn Around Time)化も必須であり,大規模化するFPGA設計の開発工数低減が求められている.
本報告では,FPGA開発を短TAT化するHDL・HLSハイブリッド設計手法を提案する.HLSによるアルゴリズム記述範囲を最大化することで,画像処理回路設計において目標レイテンシを達成しながら,設計期間を短縮できることを示す.
本研究では3D-LSIのフロアプラン探索を、マルチコアCPUを用いた並列処理で実験を行い、逐次処理の場合と計算時間を比較して並列処理の有効性を検証する。実験した結果、逐次処理と並列処理で同程度のレイアウトが並列処理の方が高速に得られた。
A-7. 情報セキュリティ
9月12日 10:30〜11:45 B棟 1F B107講義室 座長 廣瀬勝一(福井大)
A-7-1 |
シンプルなカード入れ替え操作によるランダム置換生成の考察
◎村田総馬(東北大)・宮原大輝(東北大/産総研)・水木敬明・曽根秀昭(東北大) |
A-7-2 |
不正開示攻撃を考慮したカードベースANDプロトコル
◎高島 健(東北大)・宮原大輝(東北大/産総研)・水木敬明・曽根秀昭(東北大) |
A-7-3 |
ランダムカットのみ用いる6枚コミット型ANDプロトコル
◎阿部勇太・水木敬明・曽根秀昭(東北大) |
A-7-4 |
暗号の危殆化に対応可能なオンラインストレージシステムの実装・評価
◎柳 宏之・岡部大地・石橋拓哉・木村隼人(東海大)・渡邉英伸(広島大)・大東俊博(東海大) |
A-7-5 |
Convex Factorization Machinesを用いた学生モデリング
◎清水大幹・山下 滉・大枝真一(木更津高専) |
n人のプレイヤーがプレゼント交換を行う場面を考えよう.このとき,プレゼント交換は{1,2,...,n}上の置換とみなせ,自分のプレゼントが自分自身に贈られるのを避けるため,不動点のない置換であることが望ましい.本稿では,そのような置換を物理的なカード組を用いて,ランダムに秘匿したまま生成することを目的とする.これまで提案されたほとんどのプロトコルは,有限時間に終了することが保証されていない.本稿では,シンプルなカードの入れ替えによって有限時間に終了するプロトコルを提案し,生成される置換の分布は完全な一様ではないものの,定量的な評価によりプレゼント交換の実用上は問題のない分布であることを見る.
物理的なカード組とシャッフル操作を用いて秘密計算を実現するカードベース暗号において重要なのは,入力の値を秘密にしたまま計算できることである.実際,多くのプロトコルではsemi-honestの仮定の下,安全性を持つとされている.これに対し,更に高い安全性を持つモデルも複数提案されている.しかし,これらにおいて仮定しているのはcovertな攻撃者である.本稿では,更に強い攻撃を仮定する.攻撃者は不正が検知されることを厭わないとし,そのような攻撃者が不正に裏向きのカードをめくることを想定する.t枚のカードを表にされても(出力から推測される以外の)入力の情報が一切漏れないことを t-secure と定義し,具体例として1-secureなANDプロトコルを提案する.
身近な道具を用いて秘密計算を実現する方法として,カードベース暗号プロトコルがある.
カードベース暗号では,裏面が統一され,表面にクラブまたはハートの図が描かれた2種類のカードを用いる.このカード2枚でブール値を表し,それを裏面にしたものをコミットメントと呼ぶ.コミットメントで入出力してAND計算を行うプロトコルをコミット型ANDプロトコルという.
プロトコルでは,簡単で安全なシャッフルとしてランダムカットがしばしば使われるが,このシャッフルのみを用いた場合,現在知られているコミット型ANDプロトコルでは少なくとも8枚のカードが必要であった.本稿では,6枚のカードで行えるプロトコルを初めて提案する.
コンピュータの処理能力の向上や暗号解読法の発展によって暗号アルゴリズムの安全性の低下(危殆化)が生じることがある.岡部らは共通鍵暗号型のプロキシ再暗号化を用いて危殆化に対応可能なオンラインストレージシステムの構成を提案した.従来の共通鍵暗号型プロキシ再暗号化は,鍵を変更することを目的としているが,岡部らはアルゴリズムの変更も可能である事に注目し,弱い暗号アルゴリズムを強い暗号アルゴリズムに変更できるようにした.岡部らは基本アイデアの提案・評価を行ったが,通信を含めた処理の評価は行われていない.また,再暗号化処理を行う機能を追加するため,クラウドサーバの処理を変更する必要があり,汎用的ではなかった.そこで本稿では,中間にプロキシサーバを用意することでDropboxなどの既存のストレージサービスを利用できる構成を提案する.また,そのシステムについて通信を含めた性能評価を行った.
近年,教育現場においてe-Learning のようなIntelligent Tutoring Systems が普及している.より効果的な学習を行うためには,学習者のスキル状態を把握し,それに見合う設問を推薦する必要がある.ITS には学生モデルが取り入れられており,正確な学習者のスキル状態の推定や解答結果の予測が可能なモデルを利用することで,ITS の性能を向上させることができる.先行研究では,学生モデリングの手法として,Knowledge Tracing やFactorization Machines を用いた研究が行われてきた.Factorization Machines には,凸最適化ではないために局地的極小値を取得してしまう欠点がある.
本研究では,Factorization Machines を凸最適化したConvex Factorization Machines を学生モデリングの手法として用いることで,予測精度の向上を図る.
9月12日 13:00〜14:30 B棟 1F B107講義室 座長 藤本大介(奈良先端大)
A-7-6 |
ARM Cortex-M0におけるAES暗号化処理の小型実装
◎薮 茉莉花・崎山一男・菅原 健(電通大) |
A-7-7 |
AESに対する5ラウンド攻撃の物理攻撃への応用検討
◎高見 豪・菅原 健・崎山一男・李 陽(電通大) |
A-7-8 |
AES暗号への9ラウンド差分故障解析の攻撃耐性の評価
◎杉本博英・羽田野凌太・庄司奈津・崎山一男(電通大) |
A-7-9 |
レーザーフォールト注入攻撃への対策が施されたAES暗号チップの脆弱性評価
○羽田野凌太・李 陽(電通大)・多田 捷・松田航平・三浦典之(神戸大)・菅原 健・崎山一男(電通大) |
A-7-10 |
レーザー光を使った音情報の漏洩に対する安全性評価
◎星野 翔・椎名 瞭・松村竜我・崎山一男(電通大) |
A-7-11 |
LED光源を用いた光サイドチャネル認証装置
◎椎名 瞭・松村竜我・菅原 健・崎山一男(電通大) |
近年,小型デバイスの普及により,デバイスに組み込む暗号について,回路規模や消費電力,レイテンシ,メモリサイズが重要視されるようになった.特に,従来の研究では,RL78,ATtinyといったマイクロコントローラへのAESの小型実装を試みている.そこで,本稿では,従来研究の手法を応用し,広く利用されているARMアーキテクチャについて小型化を図った.実装は,ARMのコアの中でも低コストで面積の小さいCortex-M0へ行った.従来研究によるCISCプロセッサへの実装と比較すると,本研究の実装では,より大きなROM領域を使用するが,反対に,RAMの使用領域は小さくなることが分かった.
5ラウンドAESに対する理論攻撃の概要及び10ラウンドAESに対する物理攻撃に応用する検討を示す.先行研究では,後半の4ラウンドに対して物理攻撃を施す例がある.大幅に複雑度が下がった5ラウンドAESに対する理論攻撃が提案されたため,今回は5ラウンドの物理攻撃の可能性と攻撃者能力の考察をする.検討する物理攻撃は2種類ある.前半の5ラウンドへ応用する場合,特定の中間値ペアの差分が0であるかどうかを確認すること,後半の5ラウンドへ応用する場合,特定の中間値を変更することができれば解析が適用できる条件が整う.したがって,攻撃者は5ラウンドの攻撃を物理攻撃に応用することが理論上可能であることを示した.
近年,物理攻撃のモデル化の研究が行われている.先行研究では,物理攻撃の一種であるプロービング攻撃に対する攻撃耐性の指標は示されているが,差分故障解析に対する攻撃耐性の指標は示されていなかった.これに対し,本稿では,理想的な攻撃耐性を有するブロック暗号を仮定することで,これまでになかった差分故障解析に対する攻撃耐性の指標を提案した.すなわち,プロービング攻撃で用いられていた偽鍵の生存確率の考え方を差分故障解析に拡張できた.この指標を用いて,AES暗号の攻撃耐性を定量的に評価することができた.
暗号ハードウェアにレーザー照射を行うことで計算誤りを発生させ,秘密鍵を復元するLaser Fault Injection (LFI)攻撃が脅威とされている.その対策として,電力センサを用いた対策方法が提案された.対策では,レーザー照射に伴う電圧変化を感知すると,暗号文の出力を停止する.電力センサをAES暗号回路に統合することで,LFI攻撃への対策を施したAES暗号チップが設計された.先行研究では,LFI攻撃への対策を施したAES暗号チップから発するアラーム信号は,AES暗号の計算処理と相関を持つと示されている.本稿では,アラーム信号の電圧波形を分析する実験を行った.実験結果から,アラーム信号の電圧波形はAES暗号の中間値のハミング重みと相関があることを示した.
光無線通信が新たな情報の通信路として注目されている.一方で光が情報漏洩の原因になる脅威も報告されている.振動板に光を反射させることで振動板に伝わる音の情報を光に伝える研究が存在するが,実際の攻撃者を想定すると反射した光に乗った情報を受け取ることは場所や位置によっては難しい.ここで,振動板にレーザーモジュールを固定することによってより強力な攻撃が可能であることが考えられ,本研究ではその攻撃の危険性を明らかにした.本稿では,基礎実験として,レーザーモジュールを音源に固定した場合音源による微小な振動が光によって伝送できるかどうかを確認できた.
差分電力解析の応用としてサイドチャネル認証や距離偽装が困難な測距計が提案されている. 本稿では別の応用として照明光を用いたサイドチャネル認証装置を考案し,面光源で擬似的に平行光を発生するLED光源を用いて認証が可能であるかどうか検証を行なった.ハミング距離モデルと漏洩電磁波波形とのPearsonの相関係数を計算することでLED光源を用いた認証を行う.更に2つの光源を用いるよう拡張し,光が重なることによって生じる信号干渉が認証に与える影響を調べた.実験の結果,レーザーで行なっていた認証が集光装置なしでLED光でも行えることが示された.これは距離延伸および散乱光における認証の問題を同時に解決した.光源が2個の場合も同様である.
A-8. 信号処理
9月10日 9:30〜11:15 C棟 2F C205講義室 座長 相川直幸(東京理科大)
A-8-1 |
「安静」と「怒り」の情動刺激負荷時の脳内部位間関連性の評価
○伊藤聖人・村松 歩・水野(松本)由子(兵庫県立大) |
A-8-2 |
情動刺激後における脳波のコヒーレンス値と特性不安の関連性
○山本祐輔・村松 歩・水野(松本)由子(兵庫県立大) |
A-8-3 |
ハイパースペクトルイメージングを用いた乳癌の病理学的グレード分類の識別精度の評価と次元削減に関する検討
◎伊藤隆晃・小倉翔悟・中矢大輝・佐鳥 新(未来科学研究所)・杉山迪子・津田 均(防衛医大) |
A-8-4 |
胸骨圧迫実施による心電図波形への影響
○岡井貴之・大屋英稔(東京都市大)・山口芳裕・五十嵐 昴(杏林大)・中野和司(電通大)・星 義克(東京都市大) |
A-8-5 |
オクルージョンを考慮したベクトル場の回転を用いた小腸の動きの定量化
渡辺涼平(東京理科大)・◎高橋智博(東海大)・古川利博(東京理科大)・古川 顕(首都大東京) |
A-8-6 |
音声信号処理による感情分析の研究
◎△丁 安・井上 聡(埼玉工大) |
A-8-7 |
CNNおよび畳み込みLSTMを用いた単一画像の反射分離
◎三田健太郎・市毛弘一(横浜国大) |
情動に関する研究は数多くなされており、その分野は心理学や工学など多岐にわたっている。情動の中でも「怒り」に着目した研究は心理学の分野での研究がなされており、「怒り」を含む感情は脳内活動によって引き起こされる。本研究では、生体に「怒り」の感情が引き起こされた時の脳内部位間関連性を調べることを目的とした。方法として、被験者に対して「安静」と「怒り」の情動刺激を負荷し、刺激後の想起閉眼中の脳波をコヒーレンス解析した。結果、θ波・α1波帯域におけるコヒーレンス値は、「怒り」情動刺激後が「安静」情動刺激後と比較して高値を示した。この結果から、θ・α1 波帯域では、「怒り」情動刺激後は、「安静」情動刺激後と比較して、脳内部位間関連性が高値を示し、より情報伝播が行われていることが示唆された。
脳内ネットワークは、精神状態により変化する動的な存在である。本研究では、不安状態の違いにおける情動刺激が脳内ネットワークに与える影響を調べるために、コヒーレンス解析を用いて部位間関連性を求め、定量的に評価した。方法として、被験者に対して視聴覚刺激を課し、刺激後の想起閉眼を解析した。結果、θ波およびα1波帯域のコヒーレンス値は、安静・快状態において特性不安あり群は特性不安なし群と比較して高値を示し、不快状態では差はみられなかった。不安がある人は、不安のない人が恐怖に感じるのと同じように、安静・快刺激に対しても恐怖に感じていると考えられた。
ハイパースペクトルカメラは、対象物から入射する電磁スペクトルを高い波長分解能で検出できるVNIR(可視および近赤外)センサーである。対象物の詳細な情報把握が可能であり、リモートセンシングや異常検知などの幅広い用途に使用されている。
本研究では、ハイパースペクトルカメラを生体分野に応用し、浸潤性乳管癌のHE染色を行った病理組織標本を撮影したハイパースペクトル画像を使用して、病理学的グレード分類の核グレード分類(Nuclear Grading; NG)のうち核異型スコアの識別精度の評価を機械学習手法を用いて行った。また解析の高速化と識別精度の向上を目的としたハイパースペクトルデータの次元削減に関する検討についても報告する。
本稿では,胸骨圧迫実施時の心電図波形を解析し,胸骨圧迫による心電図への影響を考察する.まず,高度救急処置シミュレータ「セーブマン(R)」を用いて正常洞調律,心静止,心室細動,心室頻拍の各心電図を発生させ,それらの波形発生時に胸骨圧迫を実施することで,胸骨圧迫の影響を受けた心電図波形を記録する.次に,胸骨圧迫の影響を取り除くことができる波形認知アルゴリズムによって,記録された心電図を解析することで,胸骨圧迫の影響を分離し,その影響を考察する.
小腸蠕動運動の機能障害は,食欲不振,腹痛,慢性便秘,過敏性腸症候群など,さまざまな症状,疾患を引き起こす原因の1つであり,その定量的かつ正確な測定・評価法の確立が求められる.
既に呼吸による上下運動の影響を抑圧するためにオプティカルフローから求められるベクトル場の回転を用いる方法や,小腸が撮像断面へ侵入する際に生じる影響を抑制するためにRPCAを用いる方法が提案されているが,それらを組み合わせた場合の挙動については検証されていなかった.
そこで本研究はフローベクトル場の回転を評価量とし,前処理にRPCAを適用した場合の定量化結果について比較検討を行う.
実験の結果,提案法は撮像断面への侵入による異常なフローベクトルを抑制できていることが明らかとなった.
The purpose of our research is to enable computer develop more natural man-machine conversation. Therefore, it has to understand humans’ sentiments and learn from the nuance and context of every interaction. It’ll be rather difficult to determine when we take interactions literally, as the sentiment change mainly reflects in intonation, speed, rhythm etc. Accordingly, this research deals with the features of voice signal’s rhythms and analyzes the distribution of these features in various emotional states, so that it can provide important basis for the understanding of muti-emotional states in voice signals.
本稿では,窓への映り込みなどの反射領域成分を含んだ単一画像の反射分離を目的に,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)および畳み込みLSTM(ConvLSTM)を利用する手法を提案する.従来手法では,画像内に含まれる反射成分をある程度除去できるものの,画像によっては復元が難しい等の問題点があった.提案手法では,従来手法による出力をベースとしてConvLSTMを用いた段階的な除去を行うことで,より高精度な反射成分の分離が期待される.
9月11日 9:30〜11:15 C棟 2F C205講義室 座長 高橋智博(東海大)
A-8-8 |
粒径-落下速度分布の生成モデルの構築
○谷野文哉・牧野晃大・椎名 徹(富山高専)・太田 守(富山県立大) |
A-8-9 |
全波整流を用いた広帯域拡張法における高域利得調整の検討
○吉田健人・林 誠治(拓殖大) |
A-8-10 |
CNNによる深度画像を用いた肉牛の栄養度分類システムの検討
◎△餌取直輝・名取隆廣(東京理科大)・鍋西 久・根岸菜都子(北里大)・相川直幸(東京理科大) |
A-8-11 |
CFA動画像データの雑音除去法の検討
○小松 隆・齊藤隆弘(神奈川大) |
A-8-12 |
ラインスキャン型撮像器の実現に向けたスキャン方法の検討
◎今野翔太(東京理科大)・高橋智博(東海大)・雨車和憲(工学院大)・小西克巳(法政大)・古川利博(東京理科大) |
A-8-13 |
マルチ視点画像対応点検出のための回転変換に頑健な画像特徴量
◎満仁崎亮輔・大鎌 広(室工大) |
A-8-14 |
Bag-of-Featuresに順位方向特徴量を用いた指先位置検出のための画像特徴量
◎布川和樹・大鎌 広(室工大) |
近年,局地的な豪雨や豪雪被害の増加に伴い,レーダを用いた高精度な降水強度推定が急務とされている.降水強度推定には降水粒子種ごとの粒径-落下速度分布の解析が必要である.降水種によって分布の特徴が大きく異なる,降水粒子の粒径-落下速度分布の生成モデルを推定することで,そのモーメントとして与えられるレーダデータとの関係性を把握することが可能になる.本研究では,光学式ディスドロメータで得られた降水粒子の粒径-落下速度分布の生成モデルを,生成モデル学習手法の一種である変分オートエンコーダを用いて推定した.
学習後のエンコーダを用いて算出したテストデータの潜在変数分布は,粒子種ごとに排他的に集群し,全体的に2変量正規分布に従って分布した.以上より適切にモデルが学習されたと考えられる.
本研究室では,全波整流の情報を用いて高域成分を推定し復元する広帯域拡張の研究が行われており,推定された高域成分の利得を調整することで聴覚的に自然に聞こえることが判明した.そこで本研究では,狭帯域音声にはない高域成分の利得調整に機械学習の手法を用いることで原音声に近づけることを目的とする.
提案法は狭帯域音声より全波整流の情報で推定した高域成分を学習データ,原音声の高域成分の周波数振幅特性を教師データとし,帯域拡張後の高域成分の利得を原音声の高域の利得に近づけるような機械学習を行い,その学習結果を高域用の利得調整のフィルタとして用いる.
評価として原音声と理想限界音声,本提案手法の音声に対してスペクトログラムによる比較と音質の受聴テストを行った.その結果,音質に関しては利得調整を行った出力音声においてこもりが軽減されたことを確認した.
肉牛の繁殖率を向上させることが,生産酪農家にとって重要な課題である.そのためには雌牛の栄養度を評価し,その結果から適切な量の餌を与えて管理する必要がある.現在,肉牛の栄養度は目視により測定された体型情報から点数付けされている.この作業は労力と時間を要し,また個人差が生じるため自動化による効率性の向上が求められている.そこで本報告は,肉牛の深度画像をConvolutional Neural Network(CNN)で解析し,栄養度を分類するシステムを提案する.
カラーフィルタ配列を用いた単板撮像素子で動画像を撮像する場合,CFA動画像データとして観測・記録される.観測データが雑音を含む場合,デモザイクの処理の前に雑音除去が必要である.本稿では,CFA動画像データに対してデモザイク処理前に雑音除去する手法を提案する.提案法はCFA画像を直接DFTすることで,色間の相関を活用でき,色ごとに独立に動画像として雑音除去するcomponent法よりも雑音除去性能が高いことが分かった.
本研究グループでは,レーザー屈折結晶を用いた新たなレーザー撮像器の存在を仮定し,使用するレーザーの波長に応じたマルチスペクトル画像を同時に取得可能な新たなレーザー撮像システムの基礎理論について検討している.本撮像システムは必要な画像のピクセル数だけレーザーを照射し,反射光を測定する必要があり,高解像度な画像を得るためには解像度に比例した時間が必要になる.この問題を軽減するため,測定する回数を減らして欠落が生じた画像データを画像修復アルゴリズムによって修復することで測定時間の削減と画像の解像度とを両立する方法について検討する.
マルチ視点から得られる多眼ステレオ画像上の対応点は障害物回避センサや三次元物体復元等の実現に利用される。対応点検出には画像特徴量が用いられるが、多眼画像では視差が生じるため回転変化に頑健な特徴量が必要とされる。順位方向特徴量 ROFは明るさの変化に不変であるが、方向により順位和のとる形状が異なり、方向の分解能 (粒度) が粗いため回転変化の影響を受けやすい。そのため本稿では、ROF をベースに粒度を可変とする特徴量 FineROF とフーリエ変換に基づく回転変化に不変な特徴量FineROF-FT を提案し、先行研究と対応 点検出率の比較を行い本手法の有効性を確認した。
電子機器を非接触で操作するUIの実現の方法として指先の画像から特徴量を計算し,検出する方法を考える.特徴量として本研究室で開発している順位方向特徴量 (以下ROF) は,複合化することによって,従来から知られているHOGと比較して検出率を向上することができる.しかし,両手法とも複合化することによって、処理時間が長くなり,UIに必要なリアルタイム性を満たさない.そこで,Bag-of-FeaturesにROFを用いることによって処理時間の短縮を試みている.実験でROF with BoF特徴量の特徴パターン数の変化による検出率と他の特徴量の検出率およびそれぞれの処理時間を比較している.特徴パターン数が128個以下の場合,ROFの複合化よりも処理時間を短縮することが示されている.
A-9. ワイドバンドシステム
9月12日 9:30〜11:30 C棟 4F C401講義室 座長 大内浩司(静岡大)
A-9-1 |
街路灯として利用可能なDMDプロジェクタを用いたITS可視光通信送信機の基礎実験
◎有末知矢・山里敬也・岡田 啓(名大)・木下雅之(千葉工大)・荒井伸太郎(岡山理科大)・圓道知博(長岡技科大)・鎌倉浩嗣(千葉工大)・藤井俊彰(名大) |
A-9-2 |
走査方向が直交する2眼カメラを用いた最大比合成による可視光通信のSER改善手法
◎野間大和・村上和史・加藤大樹・中條 渉(名城大) |
A-9-3 |
ガウス波形による2次元BPSK変調信号を用いた最尤推定レーダ
○大橋正良・森 慎太郎(福岡大)・香田 徹・長谷川晃朗(ATR)・櫻井幸一(九大)・篠原克寿(一橋大) |
本研究では,街路灯として利用可能なDMD(Digital Micromirror Device) プロジェクタを可視光通信の送信機とした場合のBER(Bit Error Rate) 特性について検討する.ここで,受信機には高速度カメラを用いる. DMDプロジェクタを送信機に用いることで,送信パターンを人に知覚されない程の速度での投映が可能である.そのため,街路灯として使用しながら,高速度カメラを通じて車両に安全支援などの情報を送信することが可能である.本稿では,提案するシステムの基礎検討として,静止環境で DMD プロジェクタを用いて地面に送信パターンを投映し,通信実験を行ったので報告する.
2眼カメラの視差を利用して最大比合成を行いSER(Symbol Error Rate)の改善を図る手法が提案されている. 本報告では, ローリングシャッターを用いたイメージセンサ可視光通信において, 走査方向が直交する2眼カメラを用いる受信機構成を提案する. 2眼カメラで相関の低い受信シンボルを取得し, 最大比合成を行う. これによりLEDチップアレイの輝度分布ばらつきの影響を低減し, SERの改善を図る.
今後自動運転をはじめとして高性能なレーダはますます重要な位置づけになると考えられる。レーダにはパルス、FMCW、UWBレーダ等さまざまな方式が存在し実用に供されているが、本稿では、新たにGabor cellに基づくガウス波形による2次元BPSK信号を送信波形として用いるレーダ方式を提案する。本方式を用いると高精度かつ高速の信号検出を低演算量で最尤推定することが可能となる。本方式はこれまで連続信号で研究されてきたが、今回離散形式で取り扱い、実機での評価を見据えた検討を実施する。
休 憩(10:30 再開) 座長 森山雅文(NICT)
A-9-4 |
複素ニューラルネットワークによる時間領域等化の一検討
◎井坂 開・宮嶋照行・杉谷栄規(茨城大) |
A-9-5 |
自己エネルギー再利用を行うフィルタ転送型MIMOリレー
◎古川純汰・宮嶋照行・杉谷栄規(茨城大) |
A-9-6 |
Location Estimation Study with Direct Sequence Chirp Signal
◎Mohammad Mikal Amrul Halim Gan・Tetsushi Ikegami(Meiji Univ.) |
A-9-7 |
UWB端末間通信におけるネットワーク形成時の端末発見に関する考察
◎齋藤 豪・井家上哲史(明大) |
本発表では,複素信号を直接扱うニューラルネットワークによる時間領域等化について提案する.提案する等化器では複素信号を直接扱うことができる複素ニューラルネットワークを用いて,オフラインで事前に複数の通信路の知識について学習し,等化器を設計する.シミュレーションにより提案法が線形時間領域等化器よりもBER性能が優れていることを示す.
本発表では,周波数選択性通信路におけるシングルキャリア伝送のための自己エネルギーリサイクリングを行うフィルタ転送型MIMOリレー方式を提案する.提案システムでは,リレー局では受信した信号を分割し,それぞれに対してフィルタ処理とEnergy Harvesting処理をし,符号間干渉を抑えるために受信信号をFIRフィルタ処理した後,得られた電力を用いてリレー局から受信機に伝送する.フィルタ係数は,リレー送信電力をEH処理により得られた電力以下に制限する条件下で,受信機での受信SINRが最大になるよう決定する.シミュレーションにより,提案法の有用性を示す.
This paper provides the performance of time delay estimation by implementing direct sequence spread spectrum (DSSS) on chirp modulation. A simulation model of direct sequence chirp signal in AWGN channel has been developed. The mean error of the time delay estimation of different chirp signal bandwidth in different SNR environment is calculated. This paper provides the accuracy evaluation of the proposed system.
基地局などの通信インフラを必要としない端末間通信においては、端末発見やネットワーク形成に要する時間による電力の消費が問題となっている。一方、UWB(Ultra Wide Band)を用いた端末間通信がIEEEによりIEEE802.15.8として標準化されている。しかし、その端末発見やネットワーク形成に関する詳細な検討は見当たらない。本研究では、UWB技術を用いた端末間通信のネットワーク形成に着目し、無線アクセス制御方式と端末発見性能を考察する。
A-10. システム数理と応用
9月10日 9:45〜11:45 C棟 2F C206講義室 座長 山崎達志(摂南大)
A-10-1 |
通信範囲制約下における自律分散協調制御による領域探索
○平嶋一貴・河尻翔太・白石 將(三菱電機) |
A-10-2 |
不確実性を考慮した再エネ抑制発電計画の検討
○豊嶋伊知郎・矢口航太(東芝エネルギーシステムズ)・ルイ ポアリオン ピエール(理研)・フィゲラ ロウレンソ ブルノ(東大)・山嵜朋秀・久保田雅之(東芝エネルギーシステムズ)・武田朗子(東大)・佐藤勇樹・磯谷泰知(東芝エネルギーシステムズ) |
A-10-3 |
仮想力に基づく分散制御則による通信範囲制約下での領域探索と目標追従の両立
◎河尻翔太・平嶋一貴・白石 將(三菱電機) |
近年、無人機等を対象としたマルチエージェントシステムにおいて、複数エージェントの
協調動作により任務を効率的に実現するための研究開発が盛んに行われている。本発表では、通信範囲制約下における領域探索問題について、無人機のための自律分散協調制御則を提案し、数値シミュレーションにより既存手法への優位性を示す。
電力システムの発電計画において,需要や再生可能エネルギー電源の不確実性への対応が課題となっている.一方数理最適化の分野では,不確実性下の厳しいケースでの最良解を求めるロバスト最適化技術の研究が進展している.本発表ではロバスト最適化の応用として,需要と再エネ電源の不確実性下において抑制すべき再エネ電源を決定する再エネ抑制発電計画問題の定式化について報告する.
本発表では、無人機群システムのための、仮想力に基づく分散制御則を提案する。これは、無人機間に通信範囲制約が課された条件下でも領域探索と目標追従を両立可能なものであり、その特長は以下2点である。1点目は、探索対象とする領域セルを決定するための評価関数の入力に「最近傍の機体までの距離」を含んでいることであり、近傍の無人機による同一領域の冗長な探索を防ぐことができる。2点目は、既存手法と異なり、自機の速度を近傍の無人機の速度に近づけるための仮想力を使用しないことである。これにより、効率的な領域探索が可能となっており、かつ目標追従の失敗も起きづらくなっている。また本発表では、数値実験を通して提案手法と既存手法とを比較し、探索・追従両面における提案手法の優位性を示す。
休 憩(10:45 再開) 座長 豊嶋伊知郎(東芝エネルギーシステムズ)
A-10-4 |
HTMアルゴリズムを用いたリアルタイムログ異常検知方法の検討
◎平川 凜(九工大)・富永圭太郎(Panasonic System Design)・中藤良久(九工大) |
A-10-5 |
ブロックチェーンを使ったAI出自鑑定基盤の提案
○川本康貴・小林啓洋(OKI) |
A-10-6 |
テクニカル指標による金融取引の戦略木構築
◎加藤旺樹・穴田 一(東京都市大) |
A-10-7 |
レーダ目標監視のための信号識別方式の検討
◎谷高竜馬・平嶋一貴・松田貴文・田中 泰・後町将人・白石 將(三菱電機) |
近年、ソフトウェア開発においてOSS(Open Source Software)を利用する動きが活発化している。一方OSSを利用した開発では、バグが発生した場合に大量の出力ログデータ中に潜む根本的なエラーの原因を解析する必要がある。大規模な開発現場ではこの作業にかかる時間的・人的コストは莫大なものとなり、開発サイクルを遅らせる大きな障壁となっている。
そこで本研究では、出力されたログデータをリアルタイムに処理し、開発者がソフトウェアの異常を発見するサポートを行うシステムの構築を目的として、異常検知分野での利活用が期待されているHTM (Hierarchical Temporal Memory)アルゴリズムを用いたログデータのリアルタイム異常度算出法を提案する。評価実験では、リアルタイム異常度算出シミュレーションを行い、パフォーマンスを分析する。
AIが安心して使われるようになるためには,AI作成者は,AIの技術的側面だけではなく,AIの倫理的な側面に関しても責任を負う必要がある.本稿は,AI作成者がAI倫理に関する説明責任を果たすためのAI出自鑑定基盤の提案である.AI作成者は,AIモデルの学習に使ったデータや方法といったAIの出自に関する情報(以下,AI出自情報)をAI出自鑑定基盤へ登録しておくことによって,自身が作った学習済みAIモデルの判定結果についての説明責任を担保できる.また,AI利用者は,手元にある学習済みAIモデルの出自を,AI出自鑑定基盤を使って鑑定ができるので学習済みAIモデルを安心して利用できる.
近年,テクニカル分析を用いた株式売買に関する研究が行われている.テクニカル分析では,相場のトレンドや転換点を判断するテクニカル指標を用いることで,過去の値動きのパターンから将来の値動きを予測し,売買を行う.松村らは,テクニカル指標を用いた投資戦略を木構造で戦略木として表現し,それぞれの個体がその戦略木に従い株式売買を行うモデルを構築した.戦略木を構成するノードを個体の遺伝子として遺伝的操作を用いることで,より利益が高くなるように個体を進化させ,各個体が持つ戦略木の特徴を分析した.本研究では,その戦略木を用いて,様々なトレンドで利益を生み出す,テクニカル指標を用いた投資戦略の構築を目的とする.
持続的なレーダ目標監視では,低計算量かつ高精度な識別方式が望まれている.本稿では,この課題を解決するために低計算量の部分空間更新による信号検出法と部分空間ベースの識別法を統合した信号識別方式を提案する.
9月11日 9:45〜11:45 C棟 2F C206講義室 座長 宮本俊幸(阪大)
A-10-8 |
UAV操作支援システムと軌道生成器の提案
◎早川裕基・坂口聡範・潮 俊光・久世尚美(阪大)・安積卓也(埼玉大) |
A-10-9 |
同時補充問題における倉庫キャパシティプラニングーガウス過程回帰における能動サンプリングのサンプル効率分析ー
○末次浩詩・成末義哲・森川博之(東大) |
A-10-10 |
粒子群最適化を用いた巡回セールスマン問題の解法
◎山田悠希・穴田 一(東京都市大) |
A-10-11 |
クラウドワーカーの時間給とタスク選択基準に関する調査
◎目良侃太郎・磯部元輝・小板隆浩(同志社大) |
UAV(Unmanned Aerial Vehicle)操作支援システムに関する研究が進められている.これら研究のシステムは特定アルゴリズムに沿って飛行軌道を生成し,UAVを自動飛行させる.ミッションごとに最適アルゴリズムは異なるため, これらのシステムではミッションに対して最適な軌道生成アルゴリズムや自動飛行制御則の選択が重要である.本研究ではシステムを容易に変更できるコンポーネントベースのUAV操作支援システムとその軌道生成アルゴリズムを提案する.
近年,在庫倉庫の形態は,自社保有ではなく,不動産リースの活用が一般的となり,将来の倉庫キャパシティ変更の柔軟性が高まっている.将来の需要の不確実性を考慮してキャパシティ計画を立案する研究は複数存在するが,将来需要について複数シナリオを設定するものの,シナリオ間でキャパシティ拡張の意思決定は固定的である.将来のキャパシティ変更の柔軟性を考慮するには,将来起こりうるあらゆる条件下での必要コストを把握する必要がある.本稿では,強化学習によりある条件での補充方策が得られる場合に,より少ない試行回数で未学習の条件におけるコストを推定する方法を検討する.
工業や経済の問題の多くは,最も効率が良い組み合わせを求める組み合わせ最適化問題に帰着することができる.その中に,与えられた全ての都市を巡る最短経路を求める巡回セールスマン問題 (Traveling Salesman Problem,TSP) という問題がある.本研究では,実数値最適化手法の一つである粒子群最適化(Particle Swarm Optimization,PSO)をこのTSPに適用させた新たなアルゴリズムを構築した.この提案手法は,PSOで用いられている各粒子のそれまでの最良解と近傍の粒子の最良解の情報に加え,解空間上で最も遠い粒子の解の情報を現在の解に重ね合わせた解の集合を用いて,解の更新を行うよう設計した.そして,TSPLIBに掲載されているベンチマーク問題を用いて既存手法と提案手法を比較することで,その有効性を確認した.
クラウドソーシングを使用した働き方が普及しつつある.既存研究より,クラウドソーシングではワーカーはいくつかのタスクを一定期間で行うため,報酬ではなく,タスク選択とタスクを探す時間が時間給に影響を与えることがわかっている.本稿では,時間給とタスク選択の分析調査行い,時間給の差が生じる要因を明らかにすることを目的とする. 大半のワーカーが5$/h未満の時間給で働いていることと時間給と報酬をタスク選択基準とする場合が他を基準とする場合より時間給が高いことがわかった.
休 憩(11:00 再開) 座長 林 直樹(阪大)
A-10-12 |
An RLC Circuit-Based Modeling of Heat-Transfer Dynamics in a Large Open Space
◎Izumi Masaki・Yoshihiko Susuki(Osaka Prefecture Univ.)・Igor Mezic(Univ. of California, Santa Barbara)・Astushi Ishigame(Osaka Prefecture Univ.) |
A-10-13 |
形式手法に基づく温水供給システムの一設計とその動特性検討
◎尾谷英也・薄 良彦・石亀篤司(阪府大) |
A-10-14 |
scLTL仕様に対するLLPスーパバイザの設計
◎榊原愛海・潮 俊光(阪大) |
We develop a dynamically-relevant model to represent the dynamics of heat transfer in a large open space inside a building. The modeling is established by a combination of an equivalent electric-circuit equation of thermal mass and measurement data. In this report, we propose a set of multiple cascade models of parallel RLC circuits to represent multiple dominant oscillatory patterns that are decoupled in time by virtue of the so-called Koopman Mode Decomposition and dominant in heat-transfer dynamics. Effectiveness of the proposed model is established with a numerical simulation incorporated with time-series data on a practically-used office space.
エネルギーシステムの設計で要求される仕様の1 つとしてエネルギー供給の物理的継続性に関わる信頼性がある. 本報告では, 信頼性の系統的設計に向けた実システムの検討として, 透析治療のための医療施設の温水供給システムに着目する. 透析治療の過程では大量の水を人肌の温度まで上昇させる必要があり, 治療の継続において熱供給の信頼性確保は重要である.本報告では, 形式手法に基づきモードスイッチング制御器を設計した上で, 設計した制御器を組み込んだ温水供給システムの動特性シミュレーションについて述べる.
離散事象システムにおいて,オンラインで制御パタンを決定するLLPスーパバイザ制御が提案されている.本研究では,線形時相論理の部分クラスであるscLTLで制御仕様を記述し,それを達成するためのLLPスーパバイザの構成法を提案する.事前計算では,まず制御対象システムと,制御仕様から変換した決定有限オートマトンとの合成オートマトンを構成する.さらに合成オートマトン上で,各状態から受理状態へ到達させるのに必要なステップ数を計算する.この値に基づいて,LLPスーパバイザのオンライン計算が行われる.
A-11. 思考と言語
9月12日 13:15〜15:15 C棟 2F C205講義室 座長 佐野 洋(東京外語大)
A-11-1 |
特別支援学校のスポーツ環境調査のための情報システム
○角田 貢・野村一路・畑谷成郎・奥山瑞樹(日体大) |
A-11-2 |
ミスタイプ分類における機械学習の評価
◎小松龍生・中藤良久・平川 凛・河野英昭・中司賢一(九工大) |
A-11-3 |
Knowledge Tracingによる学習者モデルの生成
◎土井康平・大枝真一(木更津高専) |
A-11-4 |
実世界における実験に基づく繰り返し学習モデルの拡張
◎米澤智貴・的場隆一・萩原慎吾・Cooper Todd(富山高専) |
特別支援学校における体育及び体育的授業そしてクラブ活動に関して,これらの実態が把握されてきておらず,2020東京オリンピック・パラリンピックを控えた現在そして将来へ向けて障害者のスポーツの発展・普及のため,スポーツ環境調査が必須である.現状調査を行えて,地域及び児童・生徒の障害が多様な特徴を有する学校の状況を把握し迅速に整理できるシステムの開発が期待されている.我々は約2年間にわたる先行調査を基に,この解析システムの研究開発を進めている.そして本報は開発中のWebについての第1報である.このWebを用いて全国特別支援学校長会に設置されているみんなdeスポーツ推進委員会による全国アンケートを実施した結果,国内の現状を把握できるスポーツ環境調査が今後の特別支援教育のために重要であることが明らかとなったことを踏まえて,情報処理と特別支援教育の学際的視点から,パラスポーツへの発展可能性も考察する.
近年、我が国は高齢化が社会問題となっており、それに伴い高齢者の雇用も増加している。高齢者が就労している職種の8割が専門的・事務的または管理的な仕事であり、パソコンの操作を行う機会が多い。また、平成28年の時点で、世帯主年齢65歳以上のパソコン保有率は50%を大きく上回っている。しかし、パソコンの操作は、正確な作業が求められるため、高齢者にとって扱いづらく、効率的な作業を行うことが困難である場合がある。そこで我々は、パソコン操作の基本であるキーボード入力に焦点を当て、入力時に発生するミスタイプの修正法の研究を行っている。今回はミスタイプを7種類に分類するニューラルネットワークを作成し、その精度の評価を行った。
近年,様々な教育現場でe-Learningシステムが利用されるようになった.e-Learningシステムには学習効果の高さが求められるため,学習者の実力に合わせて設問を出題することによって,より良いシステムを構築したい.学習者の実力を推定するには,学習者の潜在的なスキルレベルを仮定する必要がある.そこで,隠れマルコフモデル(HMM: hidden Markov model)を用いて学習者のモデル化を試みる.本研究では,学習者の観測可能な解答結果(正答・誤答)と,仮定した観測不可能なスキル状態(習得・未習得)を,隠れマルコフモデルによってモデル化するKnowledge Tracingを用いる.
言語獲得の研究には繰り返し学習モデル(以下ILM)を用いたものがある.しかし、ILMは本来言語進化モデルであるため言語獲得モデルとしての妥当性は不明確である.本研究では,ILMを模した実験を実世界で行い,言語獲得に関する学習能力について調査し,これをILMエージェントの学習能力に追加することで新たな言語獲得モデルを提案する.実世界の実験ではILMエージェントの持つ学習能力に加えて,一致部分の抽出といった学習能力を発見した.この能力をILMに追加して拡張モデルを構築した.編集距離を用いて評価したところ実世界の実験と拡張モデルの編集距離の推移が類似した.このことから実世界の言語獲得に近いモデルを構築できたと考えられる.
休 憩(14:30 再開) 座長 近藤公久(工学院大)
A-11-5 |
プロジェクト遂行のための類似タスク検索方式の検討
○森 友則・井上正輝(NTT) |
A-11-6 |
ユーザ指向スケジューリングフレームワークSmart Schedulerの試作
○岩井憲一(滋賀大) |
A-11-7 |
工事情報が迂回意向に与える影響の一考察
◎栗木優一(KDDI総合研究所)・森下健太(NEXCO中日本)・多屋優人・小野智弘(KDDI総合研究所) |
新たなプロジェクトを遂行する場合,円滑な対処を可能とするために,過去のドキュメントを検索し,確認することは有効である.しかし,従来の単純なキーワード検索では,蓄積された過去のドキュメント量が膨大であると,指定するキーワードが有効でなければ,参考となりうる過去のドキュメントの発見が困難である.本稿では,的確に過去のドキュメントを発見する方式について検討を行った.
2019年4月からいわゆる「働き方改革」の推進で,労働時間の厳守や労働形態の多様化とともに,副業や兼業についても,今後さらに奨励されていくと考えられる.
筆者はこれまでに,教育分野における教育の多様化に応えるべく,「個別指導」のスケジューリング管理を支援するシステム「ユーザ指向個別指導スケジューリングシステムClass Scheduler」を構築した.筆者はこのシステムを一般・汎用化して個人や小規模業態の様々な事業に対応するためにシステムのフレームワーク化を目指し,「ユーザ指向スケジューリングフレームワークSmart Scheduler」の試作を行った.本稿では,この概要について述べる.
日本では,高速道路の老朽化の対策として高速道路リニューアルプロジェクトが実施されているが,工事期間中の渋滞の緩和が課題であり,迂回行動の効果的な促進が必要である。そこで本研究では,「小田原厚木道路リニューアル工事」を対象に情報提供内容の違いがユーザーの迂回意向に与える影響についてWebアンケート調査の結果から考察を行った。その結果,箱根訪問時の小田原厚木道路利用意向者を対象に工事情報に報酬効果やシュミレーション効果を加えた3種類の情報提示後に再度利用意向経路を聴取したところ、報酬効果が低かったこと,運転意向有無によってシュミレーション効果に差があることが確認された.
A-12. 技術と社会・倫理
9月11日 14:15〜14:30 C棟 3F C307講義室 座長 森住哲也(神奈川大)
A-12-1 |
スペクトル拡散法と(k,n) 閾値秘密分散法を用いた画像ステガノグラフィの検討
◎大沼海仁・宮田純子(芝浦工大) |
情報を秘密裏にやり取りをする技術としてステガノグラフィが注目されている.主な手法としては,画像のLSBを秘密情報と置換する方式である.しかしながら,LSBを用いた方式は埋め込み方が単純であり秘匿性に欠ける.本論文では,より秘匿性が高く埋め込み位置の自由度が高い埋め込み方としてスペクトル拡散法を用いた方式を提案する.また,埋め込む秘密情報を閾値秘密分散法を利用し,複数に分割することで機密性・可用性を高めた.そして,提案方式の有効性を検証するために埋め込み位置,容量と画質劣化の関係性を実験的に調べ,妥当な位置と容量について検討を行う.
A-13. 安全性
9月11日 13:00〜14:00 C棟 3F C307講義室 座長 木村昌臣(芝浦工大)
A-13-1 |
事象と出来事の概念を用いたハザードの前提条件の特定
○天井 治・住谷美登里(電子航法研) |
A-13-2 |
航空管制に関する安全性評価に用いるデータの管理について
○住谷美登里(電子航法研) |
A-13-3 |
離床判別のための静電気を利用した人体検知センサー
◎飯田一輝・鈴木 郁(法政大) |
A-13-4 |
ヒヤリハット・未報告事故の特定手法の検討
○酒井理恵・吉田 寛・森 友則(NTT) |
我々は航空交通管制を対象とした安全性評価に活用することを前提とした定量的ハザード解析手法を研究し提案している。その中で、ハザードは、1つもしくは連続した複数の人的過誤(ヒューマンエラー)により起こると考えている。人的過誤確率やパフォーマンス・シェイピング・ファクター(PSF)の値は可能な限り航空管制分野のものを利用するようにしている。
今回、ハザード発生に至る条件(前提条件)を、「事象」と「出来事」という概念を用いて特定する方法について報告する。尚、前提条件の定量化の方法については、更なる議論を要するため、本稿では触れない。
国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 電子航法研究所では国土交通省航空局の要望に基づいて、安全性を保ちつつより効率的な航空機運航のために必要なさまざまな航空管制に関わる研究を行っている。その研究のために、国土交通省航空局が管轄している航空管制をするための航空交通管制情報処理システムから出力する航空機の位置情報等に関するデータの提供を受けている。航空管制に関する安全性評価に必要なデータを例示し、当所の研究に必要なデータの保存・管理していく際の課題、今後の方針を報告する。
病院や介護施設における徘徊・転倒転落事故の予防手段として、ベッドからの起き上がりまたは立ち上がりを検出する離床センサーが使われている。既存の離床センサーのうち接触型は耐久・衛生面に、非接触型は設置の難易度に問題がある。本研究では、静電気を利用し非接触で設置が容易な離床判別センサーの製作を目的とする。ベッドフレームに設置したセンサー電極に帯電した人体が接近することで静電誘導電流が誘発される。電流2入力で差動、電圧出力の回路を経て得られた波形から、ベッドからの立ち上がり時に瞬間的な電圧の上昇が見られた。単位時間当たりの電圧変化最大となる点を発見するシステムを用い、立ち上がりの検出が可能となった。
近年、電気通信工事における人身事故が問題になっている。人身事故、特に死亡事故においては、作業中の転落が多い。こうした人身事故防止の対策として、転落に至らないヒヤリハット事例や事故事例の分析が効果的である。
だが、電気通信工事では一人作業の工程が多く、病院へ行かなくても自己解決可能な軽微な事故やヒヤリハット事例については、他人に公開されることの恥ずかしさやうしろめたさ等から、隠蔽される、あるいは報告されない場合、本人の申告がないヒヤリハットや未報告事故の分析ができないという課題があった。
そこで、本人の申告がなくても、匿名でヒヤリハットや未報告の事故を自動特定する手法を提案する。
A-14. ITS
9月12日 11:00〜11:30 C棟 2F C207講義室 座長 橋浦康一郎(秋田県立大)
A-14-1 |
移動体の警告範囲を用いた車両歩行者間通信システムの一検討
◎大谷瑠香・敷島明人・和田友孝(関西大) |
A-14-2 |
道路画像解析による自車両走行レーン推定手法の提案
○森 皓平・吉田 学・横畑夕貴・秦 崇洋・社家一平(NTT) |
自動車の普及により交通事故などの深刻な社会問題が発生しており,交通死亡事故の多くは歩行者の不注意のために生じる事故である.そこで歩行者を車両との衝突から守るために,歩行者―車両間衝突回避支援システムが提案されている.しかし,このシステムにおいて歩行者は常識的な行動をとる成人を前提にしており,歩行者の複雑な行動を正確に予測することは困難である.そこで,歩行者と車両を含む移動体の警告範囲を用いた車両歩行者間通信システムを提案する.歩行者の行動を判定し,行動に応じて警告範囲を設定する.また,車両に関しても同様に車速に応じた警告範囲の設定を行い,それらの警告範囲が重なった場合に警告する.
自動運転やレーン毎の渋滞情報把握,走行中のレーンに合わせたカーナビゲーションの実現には自車両の走行レーン推定が必要となる.従来手法として映像や各種センサから区画線を認識し推定する手法が提案されているが,区画線の掠れによる認識精度の低下といった問題が存在する.そこで本研究では区画線ではなく,走行するレーンごとに前方道路の見え方が異なる点に着目し,この差異によって自車両走行レーンを推定する手法を提案する.本稿では更に,片側2車線以上の道路を走行したドライブレコーダーの映像(平滑化処理済み)を用いて提案手法の評価を実施した.
A-15. スマートインフォメディアシステム
9月12日 13:00〜16:15 C棟 2F C207講義室 座長 古賀崇了(近畿大)
A-15-1 |
固定bit長整数型を用いた2n×m分解アルゴリズムの提案
◎長沼一輝・鈴木貴士・辻 裕之・木村誠聡(神奈川工科大) |
A-15-2 |
明度変換式とマスク画像生成法を改善した局所色補正法
○小島清一(山口大)・植田祥明(福岡大)・末竹規哲・内野英治(山口大) |
A-15-3 |
雨の軌跡除去を考慮した露光合成に関する考察
○赤井優志(香川大)・松岡 諒(九工大)・和田紗月・堀川 洋(香川大) |
A-15-4 |
データ埋め込みと画像特徴量を併用した印刷画像からのデータ取得
◎西川拓宏・西田有希・棟安実治・吉田 壮(関西大) |
A-15-5 |
コーナー検出を用いた文字列傾き補正手法
◎土井 猛・鈴木貴士・辻 裕之・木村誠聡(神奈川工科大) |
A-15-6 |
路車間通信を利用した車線利用平準化制御によるサグ部渋滞軽減効果の評価
○澁谷祐輝・森野博章(芝浦工大) |
A-15-7 |
開放空間におけるRFID読取技術の一検討
◎浦田雄紀・相田和俊・熊川正啓・宮崎達也(パナソニックスマートファクトリーソリューションズ) |
暗号の分野では安全性を確保するために扱える整数型の制限を大きくすることが一般的である.しかしながら,扱える整数型の制限を拡張するには専用のライブラリが必要となるが,組込み機器では記憶容量や計算量の観点から整数型の制限を拡張することは望ましくない.よって,整数型の制限を考慮する必要がある.
整数型の制限を拡張せずに安全性を高める方法として,K(√(-3))を用いる方法がある.K(√(-3))とは二次体の一つであり,簡単に述べればa+b√(-3)の数である.これを楕円曲線暗号に適用するにはノルムを含む数を2のべき乗と奇数の積に分解する演算が必要になる.このノルムを含む数はa^2+3b^2-1の形をしておりこれを直接計算すると指定された整数型からオーバーフローを起こす可能性がある.そのため,a^2+3b^2-1の構造を残したまま演算を行う必要がある.そこで,本稿ではa^2+3b^2-1の構造を残したままその数を2のべき乗と奇数の積に分解するアルゴリズムを提案し,そのアルゴリズムの検証を行う.
明るい部分と暗い部分が混在するような風景をディジタルカメラで撮影すると,取得された画像に白飛びや黒つぶれが発生する.こうした画像に有効な画質改善手法として,Local Color Correction(LCC)がある.本報告では,このLCCの改良手法を提案する.
本稿では, 雨の軌跡除去と画素飽和復元を同時に実現する新たな露光合成手法を提案する. 従来の雨の軌跡除去手法には, 単一画像や動画などの複数画像を用いるものがあるが, 屋外の撮影で生じやすい黒潰れや白飛びによる画素飽和を陽に考慮していないため, そのようシーンで十分に除去できない. 提案手法は, 雨の軌跡を外れ値とみなし, 露光合成の過程で適切に除去する. 実験より, 従来の雨の軌跡除去手法との比較を行い, 提案手法の優位性を示した.
QRコードを代替する技術として,画像へのデータ埋め込みが検討されている.この手法では,ある一定量のデータを自由に埋め込むことができるが,埋め込めるデータ量は少ない.一方,画像特徴量による画像識別を利用することにより,データを受け渡す手法も提案されている.このとき,データに自由度はないが受け渡せるデータ量には制限がない.本稿では,これらを組み合わせることを試みた.それによれば,同じ画像に対して異なる情報を付与することができ,受け渡し可能な情報量を増やすことも可能となる.
光学文字認識(以下OCR)を行う場合,紙面の傾き補正は不可欠である.認識される文字は紙面に対して水平である必要があり,故に正しく傾き補正したかどうかが認識率に大きく影響する.実際に筆者らが使用している文字認識エンジンTesseract-OCRを用いた実験では,5度以上の傾きがある場合,文字認識の成功率が急激に低下する問題を確認している.従って5度以上の傾きがある文字列は5度未満に直す必要がある.本稿では,印刷文字・手書き文字両方に対応,かつTesseract-OCRで読み取ることができない,角度5度以上の文字列傾き角を推定し,補正する手法について提案する.
NEXCO東日本によれば高速道路における渋滞発生の原因は交通集中が約7割を占め,その交通集中の約6割が上り坂およびサグ部で生じている.サグ部での渋滞発生は, 主に追い越し車線で発生する車両密度の高い車群の中の一部の車両が,サグの上り坂で減速し,その影響が後方車両に及ぶことで生じることが確認されている.本論文では,路車間通信を用いた車線変更誘導によって車線の利用を平準化する手法を検討する.路車間通信機能を備えた自動運転車両と通信機能を有しない手動運転車両が混在している環境を想定して交通流シミュレーションにより性能評価を行い,手法の有効性を明らかにする.
「工場における生産」から「店舗で販売」に至る製品トレーサビリティを一貫して確保する技術として, RFIDが注目されている.UHF帯パッシブ型RFIDは数mの通信距離,複数のRFIDを一括で読み取れる,という特長から,入出庫管理や在庫管理,会計で運用されている.周囲に存在する読取対象外RFIDの読み込み(誤読)は,金属や電波吸収体などで空間を遮蔽することにより回避できるが,その構成には扉や蓋等の可動部を要し,利用者の負担が増加する.故に,可動部レスの読取システムが要求される.これは開放空間における読取と等価であり,読取対象外RFIDの誤読対策が必要である.本稿では開放空間において誤読せず,読取対象RFIDのみを高精度で読み取る技術について報告する.
休 憩(15:00 再開) 座長 三澤秀明(宇部高専)
A-15-8 |
深層学習を用いた歯科パノラマX線写真における石灰化領域検出
◎山崎康裕・棟安実治・吉田 壮・浅野 晃(関西大)・内田啓一・石岡康明・吉成伸夫・田口 明(松本歯科大) |
A-15-9 |
熱中症リスク因子を用いた暑さストレス推定方式の検討
◎齋藤麻未・須藤 隆・鹿仁島康裕(東芝) |
A-15-10 |
顔の状態認識を用いたリハビリゲーミフィケーションの検討
○五十嵐弘紀・林 誠治(拓殖大) |
A-15-11 |
心臓ヨガが体表面温度に与える効果の予備的解析
○吉見真聡・梅谷 麗・井出将弘(TIS)・秋山綾子(日本ポジティブヘルス協会)・笠原稔也(Optimum Life)・田中宏和(広島市立大) |
A-15-12 |
エクササイズにおける生体情報取得による定量的評価に関する検討
○田中宏和(広島市立大)・吉見真聡・梅谷 麗(TIS)・秋山綾子(日本ポジティブヘルス協会)・笠原稔也(Optimum Life) |
歯の治療のために撮影された歯科パノラマX線写真を利用して,動脈硬化の兆候と考えられている頸動脈の石灰化の有無を自動的に判断することが検討されている.しかし,判断に必要な特徴量を確定することが困難であり,識別精度は十分とはいえない.そこで,特徴量も学習で取得するために深層学習を用いることを試みた.ここで深層学習の手法として,YOLO (You Only Look Once) v3 を用いた.実験結果から,提案手法による検出精度の向上が示された.
建設現場等の暑熱環境で働く作業者の暑さリスク管理では,温度・湿度等の環境情報によるWBGT計が利用されているが,通知が頻発するため体調不良の自覚症状で作業中断している.作業者の暑さの影響を推定する方法として,ウェアラブルセンサ等を活用し,環境情報に加え,脈拍数・運動量等の生体情報と年齢・身長等の個人特性を用いる研究がある.本報告では,作業者の暑さの影響を高精度に推定するために熱中症リスク因子を加味した低遅延の推定方式を提案する.屋外作業者が装着したリストバンド端末で採取した温度・湿度・脈拍数・体動量を用い,自覚症状の検知可否で性能評価し,誤棄却率0%かつ誤受理率8.8%となり有効性を確認した.
欧米ではゲームの優位性をヘルスケアなどに応用する動きがあり,その中で積極性・持続性を向上させるリハビリシステムの開発の重要性は高い.本研究では,KinectV2での顔の状態認識を用いたリハビリテーションを目的としたゲーミフィケーションシステムの開発を行う.KinectV2を用いて顔の状態をリアルタイムで認識し,それに応じて動作するプログラムを作成した.顔の筋肉を動かしたり,作り笑いをする行為自体に免疫をコントロールする機能があり,表情認識を用いたアプリケーションはリハビリの一部として使用することに適している.さらに,楽しみにより持続性を持たせたシステムの開発はリハビリテーションの自動化に貢献できると思われる.
本研究報告では,心臓ヨ によるエクササイズが,体表面温度に与える影響を計測した予備評価について報告する.ヨガはリハビリテーションや健康増進に効果があると言われている一方で,エクササイズ中の生体情報の時間 変化についての詳細な解析は実施されていなかった.そこで本研究では,サーモグラフィカメラを用いてエクサ サイズ中の体表面温度の変化を計測し,ヨガが身体に与 える効果の定量化を試みる.心臓ヨガのプログラムを体 験すると体が暖かく感じる原因について,客観的な情報から明らかにする.
高齢者の健康維持や健常者の日常健康管理に対する意識の高まりなどにより,ヨガやエアロビクスをはじめとするエクササイズが注目されている.現在,これらのエクササイズはスポーツクラブやヨガ教室などでインストラクターの指導の下に実施される形態が多いが,運動中の生体情報を定量化することで,遠隔で受講してもインストラクター及び受講者の双方がその効果を評価できるようになり,離れた場所の多くの受講者に均一のサービスを提供することが可能となる.また,運動中の生体情報の定量化でより質の高い効果的な受講が期待できるようになる.
本稿では,心臓ヨガ®をモチーフに運動中の心電位を取得し,その値から心拍数とLF/HFに基づくリラックス度合いを求めることで,エクササイズにおける生体情報の取得性とその定量的効果について基本的な評価を行った.
A-17. 高信頼制御通信
9月12日 13:00〜14:00 C棟 2F C201講義室 座長 浜口 清(NICT)
A-17-1 |
同期CDMA電力線通信による複数機器遠隔制御におけるパケットの送信タイミングと制御品質の関係
◎長谷川 充・小林健太郎・岡田 啓・片山正昭(名大) |
A-17-2 |
無線高信頼化を実現する低遅延ルートダイバーシチ法の実装
○鍋谷寿久・関谷昌弘(東芝) |
A-17-3 |
920MHzの分散アンテナシステムを用いた工場用高信頼無線通信
◎飯塚 椋・井家上哲史(明大) |
A-17-4 |
アプリケーション要件を用いた無線リソース管理手法
○村田秀一・板谷聡子・児島史秀(NICT) |
周期定常雑音環境下の電力線通信を用いた複数機器遠隔制御では,各機器からの状態情報及びそれらに対応する制御情報のパケットは,送信タイミングにより誤り率が大きく変化する.そこで本研究では,制御品質向上を目的とし,パケットの送信タイミングと制御品質の関係の検討を行う.
無線制御などでは無線通信の高信頼化および低遅延化の実現が求められる。本報告では、複数の無線機と同時に通信することでロバストな無線通信を可能とする低遅延ルートダイバーシチ手法を提案し、実機評価によりその有効性を示す。
近年の向上では、人を介することなく移動できる自動搬送車が求められている。そこで、920MHZの分散アンテナシステムを用いた工場内での高信頼無線通信について検討します。本稿では、工場に設置された複数の宛先ノードを組み合わせた基地局と、移動ノードを想定しています。送信したパケットを複数のノードで受けることで、複数のRSSIを測定することができます。そのRSSIを使い、ダイバーシチ合成によって受信信号電力がどのように改善するか評価します。
製造現場において,複数の異種無線通信方式が混在する環境で協調制御を行うSmart Resource Flow (SRF) 無線プラットフォームを用いて,複数のアプリケーションを連携動作させ,サービス要件を動的に変化させる手法により,複数のアプリケーションの要件を考慮した,効率的な無線リソースの管理手法を提案する.
A-19. 安全・安心な生活とICT
9月12日 9:00〜11:45 C棟 4F C403講義室 座長 内田 理(東海大)
A-19-1 |
災害時における避難者健康管理のための睡眠モニタリングシステムを用いた睡眠の質推定(その2)
◎阿部将斗・行田弘一(芝浦工大) |
A-19-2 |
無線アドホックネットワークにおける隣接ノードによるセルフィッシュノード検出方法の提案及び評価
◎綿貫博志・行田弘一(芝浦工大) |
A-19-3 |
車車間通信用無線アドホックネットワークプロトコルの性能評価を目的とした端末移動モデル自動生成システムの検討
◎石島貴市・行田弘一(芝浦工大) |
A-19-4 |
ドローンアドホックネットワーク用ルーティングプロトコルにおける速度維持関数の提案
◎渡部訓久・行田弘一(芝浦工大) |
A-19-5 |
情報フローティングを用いた通行可能マップ生成における送信可能エリアの動的制御に関する一考察
○柄沢直之・小林航大・宮北和之(新潟大)・田村 裕(中大)・中野敬介(新潟大) |
災害時に自宅が倒壊するなどの理由により車中泊避難を余儀なくされた被災者の自己健康管理を目的として、我々は車中泊時においても正確に睡眠をモニタリングできる加速度センサと圧力センサを用いたシステムを提案し[1]、提案システムを用いて睡眠中の加速度センサによる全測定データに対する加速度の閾値0.2Gを超えたデータ数の割合を用いることで、睡眠の質を推定できることを明らかにした。しかし、被験者数が十分とは言えないことが課題となっていた[2]。本稿では、 被験者の数を増やして測定を行い、閾値及び提案手法の妥当性の評価を行った結果について述べる。
無線アドホックネットワークの利用が想定されるシーンとして,通信集中により既存の通信インフラが輻輳して使用が難しい,人が多く集まるイベント会場などにおけるSNSによるコミュニケーションが挙げられる.このような場合,無線アドホックネットワークを構成するノードの公平性を確保するため,利己的にふるまうノードをいかに検出し対処するかという問題,いわゆるセルフィッシュノード問題を解決する必要がある.本稿ではセルフィッシュノードのより正確な検出を目的として,ルーティングプロトコルAODVにおけるRREQパケットを受信した被疑ノードの挙動を観察し判定を行う手法を提案し,その有用性を評価した結果について述べる.
自動車事故の防止や円滑な交通の実現のために,様々な高度交通システムが開発されている.その一例としてに先進安全自動車があり,車車間通信の実用化に向けた研究が行われている.そこでリアルタイムな通信を実現するために,無線アドホックネットワークの経路制御プロトコルの性能を評価が行われてきた.本稿では,経路制御プロトコルが実際の環境でも使えるかを検証するために,道路上の車両の情報から自動的に端末移動モデルの生成するシステムを提案し,開発した.
アドホックネットワークをドローンに適用したDANET(Drone Ad-hoc NETwork)において,信頼性の高いDANETを構築することを目的とし,我々は,既存プロトコルFORPの改良版である iFORPに,経路を構成する中継端末の移動を制御する機能を導入したiFORP-3DD(3-Dimensional Deceleration)を提案し,評価を行った.その結果Deceleration動作がパケット到達率向上に有効であることがわかった.しかし,この評価に用いた送信端末からの送信データレートは1024[bit/s]と比較的低い値であったため,本稿ではデータレートを動画のストリーミングを想定した値とし,再度性能評価を行った.また,iFORP-3DDのDeceleration動作において,新たに送信元端末の移動方向を利用した場合について,シミュレーションにより評価を行った.
情報フローティングとは,情報を持った移動体の移動と送信可能エリアだけに限定した移動体の直接無線通信による情報の送信により,無駄な情報拡散を防ぎつつ情報を共有する手法である.この情報フローティングを用いて,通信インフラが使えない災害時に,通行可能な道路に関する情報を計測,共有し,通行可能マップを生成する手法が検討されているが,送信可能エリアの大きさ等によって情報フローティングが継続できず共有された通行可能マップが失われることがある.本報告では,このような問題に対して情報フローティングにおける送信可能エリアの動的制御を適用することを考え,システムの性能にどのような影響を及ぼすかシミュレーションにより評価する.
休 憩(10:30 再開) 座長 佐藤大輔(NTT)
A-19-6 |
情報フローティングの情報蓄積性能の評価
○中野敬介・宮北和之(新潟大) |
A-19-7 |
危険度認知を促す災害関連情報提供システム
◎近藤拓也・内田 理(東海大) |
A-19-8 |
トラックの車載カメラを用いた被災地の状況可視化システム
◎松尾拓歩・内田 理(東海大) |
A-19-9 |
平成30年台風第21号関連ツイートの注目地域分析とその可視化
◎△山田実俊・宇津圭祐・内田 理・長 幸平(東海大) |
A-19-10 |
平成30年7月豪雨時に投稿された救助要請ツイートに含まれる語句の分析
◎近藤 恵・西川修史・内田 理・宇津圭祐(東海大) |
移動体同士の無線直接通信による情報交換と移動体の移動により情報を拡散し情報伝達を行うことができるが,移動体が自らの位置を把握し,予め指定した場所(送信可能エリア:略称TA)だけで送信を行う手法は情報フローティング(略称IF)等といわれ,災害時の通信への応用等を想定し,様々な研究が行われている.本報告ではIFをセンサネットワークのために用いた場合を考え,過去の研究で示された解析手法を拡張してIFの情報蓄積性能の評価を行う.
大規模災害が発生した際,人的被害を軽減するためには被害の発生が予想される地域の住民の早期避難が重要である.災害時や災害の発生が予見される際には,気象庁や自治体から気象情報や災害・避難情報が発表され,携帯電話・スマートフォンユーザは緊急速報メールで災害・避難情報を受信できる.しかし現状では,事前に防災に関する知識を深めていなければそれらの情報を正しく理解し,十分に活用できない可能性がある.そこで本研究では,大規模災害発生時,災害に関する情報を理解しやすい形で住民に提供することで,災害に対する危険度を適切に認識させ,迅速な避難を促すシステムを構築する.
災害が発生した際には迅速かつ的確な情報収集が重要である.そこで我々の研究グループでは,Twitterを利用した災害情報共有システムを開発し,運用を行っている.しかし,これらのシステムでは被災地の状況を網羅的に収集することは困難である.ところで,近年のトラックにはリアルタイムの通信機能が搭載されている.そこで災害の発生が予見される地域,および実際に災害が発生している地域の状況をトラックの車載カメラを用いて可視化するシステムを提案し,そのプロトタイプを作成した.本プロトタイプでは,現在地に何らかの警報が発令されている際にカメラから画像を撮影し、web上のマッピングシステムで閲覧することができるようにした.
2018年(平成30年)は多数の自然災害が発生した.特に6月18日の大阪府北部地震や平成30年7月豪雨,平成30年台風第21号などでは,甚大な被害も発生した.このような大規模災害が発生した際に被害を最小限に食い止めるためには,迅速かつ的確な情報収集・伝達が重要であるが,そのような観点から災害時のソーシャルメディア,特にTwitterの利活用に注目が集まっている.本稿では,平成30年台風第21号時のツイートを例として,ツイートの本文から地域単語(都道府県名や市区郡名)を抽出し,注目地域(多数言及されていた地域)に関する分析を行った.また,その分析結果を地図上に可視化し,時間帯による変化による違いについて考察した結果を報告する.
大規模災害時に救助を要請する手段の一つとしてTwitterの利用が注目されており,「#救助」や「#救助要請」というハッシュタグが利用される事例が増加している.救助要請にTwitterを利用することに関しては,否定的な意見も含め,様々な議論が重ねられているが,今後,救助・支援に利活用するためには,実際に災害時に投稿されたツイートの特徴を詳細に分析することが重要であると考える.著者らは,平成30年7月豪雨災害(西日本豪雨)時に投稿されたツイートのうち被害が甚大であった岡山県倉敷市に関連する372ツイートに注目し,ツイート群に含まれている語句について,頻度や共起という観点で分析を行う.
9月12日 13:15〜17:00 C棟 4F C403講義室 座長 中野敬介(新潟大)
A-19-11 |
Category Classification of Tweet Messages at the Time of Disaster
○Kemachart Kemavuthanon・Osamu Uchida(Tokai Univ.) |
A-19-12 |
A Line Bot Application Providing Disaster Warnings and Evacuation Information
○Nitit Phanomsophon・Osamu Uchida(Tokai Univ.) |
A-19-13 |
Development of Telegram Chat-Bot System which Provides Disaster-Related Information for Foreigners in Japan
○Sayed Ehsanullah Ahmady・Osamu Uchida(Tokai Univ.) |
A-19-14 |
LINEを利用した災害時行動支援用チャットボットシステム
◎武井真人・内田 理(東海大) |
During the disaster, Japanese people utilize social media to exchange useful information in real time. However, most information on social media during disasters does not help foreigners. Therefore, we have been working on developing a system which is useful for foreigners to obtain necessary information in real time during the disasters. We use Twitter to gather information to be provided by our system because Twitter is the most utilized social media in Japan. In this study, we propose a method to classify tweet data as a step of developing a disaster information providing system.
Japan is one country that always has high risk from natural disasters. In Japan, there is a nationwide warning system, J-Alert. It is designed to inform the public about various threats. However, the system does not support for foreigners in Japan. Then, we propose a LINE bot application for providing foreigners with disaster warnings and nearby evacuation points in English. The application connects the database to get coordinates of the evacuation place and store the coordinates of the user into the MySQL database using ClearDB. The application will guide users to find evacuation points nearby or search another user around.
In this research, a chatbot is developed as an add-on to the Telegram platform interface. This Chabot provides emergency information to the individual users at the time of disaster. The information is included but not limited to closest evacuation points like the nearest train stations and or safe zones, fastest possible evacuation roots and the real-time disaster information based on the user's meantime location. Python 3 language and My-SQL Pro database are used for developing of the proposed chatbot. This chatbot saves the information messages and location of each individual user to improve the disaster information exchange accuracy.
大規模な自然災害が発生した際,被害の軽減には迅速な災害情報の収集が重要である.近年ではその収集手段として携帯電話やスマートフォンが多く活用されているが,情報量が膨大であるため,適切な災害情報の収集は困難である.これに対し,様々な災害情報提供システムが研究されているが,災害時に特化したシステムは平時利用されないため,操作性の問題で活用が困難となる可能性がある.一方で,LINEなどのチャットアプリの浸透により,チャットボットが注目を浴びている.本研究では,状況に適した災害情報を,チャットボットを用いてコミュニケーションを行いながら提供することで,災害時における適切な行動判断を促すシステムを構築する.
休 憩(14:30 再開) 座長 和田友孝(関西大)
A-19-15 |
LSTMを用いた降雨量データの欠損補間
◎篠田拓樹・稲毛惇人・大枝真一(木更津高専) |
A-19-16 |
港湾内における船舶情報の収集に関する一検討
○山中仁昭・磯﨑裕臣(海上保安大)・寺重隆視(広島国際大) |
A-19-17 |
施設稼働率の向上に向けた取組みと今後の展開
○佐々木弘恵・雨宮健司・青木幸司(NEXCO東日本)・米村富美雄(ネクスコ東日本エンジニアリング)・臼井智徳(NEXCO東日本) |
A-19-18 |
IoTエッジにおける画像認識のリアルタイム性に関する検討
◎谷 奈津実・長谷川治久(日本女子大) |
A-19-19 |
児童引率支援システムのはぐれ推定の精度評価
◎上形雛乃・長谷川治久(日本女子大) |
近年の日本では,自然災害による被害が拡大している.その中でも豪雨に関する災害は,被害の規模が増加の傾向にある.このことを受けて降雨量データを始めとする気象データを用いた災害対策のためのシステムの開発・研究が行われている.国立研究開発法人防災科学研究所においても,XRAINと呼ばれるXバンドマルチパラメータレーダを用いた観測システムにより得られたデータを用いて研究を行っている.しかし,観測システムによって得られた降雨量データには,雲の厚み等の気象条件により計測することが出来ずに欠損が起こる部分が存在する.そこで,本研究では降雨量データ内の欠損箇所を補間することを目的とする.
港湾をはじめとする沿岸海域での船舶の安全管理や,ブイや筏等の海上設備間での情報伝送を目的として,海上無線ネットワークの需要が高まっている.特に無線LANは手軽に設置できることから既に一部のマリーナや漁港等では導入され,船舶と管理棟とのアクセスネットワークとして使用され始めている.無線LANではカバーする海域は限られるが,船舶の状態や周辺海域の情報を港湾内等で共有する手段として適していると考えられる.我々は船舶内のバッテリー電圧やビルジ水の有無等の船舶情報を自動計測し,船舶から管理棟へ通知することを検討してきた.本検討では,計測端末を構築した上で,無線LANにより船舶情報が収集可能な港湾内の海域を明らかにするための測定実験を実施した.
施設稼働率は施設設備において維持管理のPDCAサイクルを確実に実施すること,機能停止時間を最小限に抑えることを目的としたツールである.設備固有の健全性と保全体制の向上を目指して数値を設定している.本稿は,施設稼働率を向上するために行ってきた取組みの具体例と、今後の展開について報告する.
狭帯域通信を用いたIoTシステムに画像認識機能を搭載するためには、トラフィックの削減が必須である。本稿では、エッジ側で画像認識を行った結果を送信することでトラフィックを削減する方式を検討した。我々が提案したシステムでは、カメラから入力される動画の認識処理をリアルタイムにエッジ側で行う。しかし認識に要する時間がフレームの入力間隔に比べて極めて大きいため、バッファの輻輳によるリアルタイム性の阻害が課題となる。これを回避するため、認識完了ごとにカメラを再起動する方式とフレームを強制的に削除する方式の2種のバッファマネジメント方式を提案した。結果、いずれの方式においてもほぼリアルタイムな処理が実現できた。
最近では人やモノの位置情報を利用するプレゼンス制御が利用されている。本研究ではIoTの高いモビリティを活かし、移動するデバイス同士の近接状況を管理するプレゼンス制御を考える。筆者らは、RSSIを利用して先生と児童がはぐれないよう通知を行うといった児童見守りサービスを提案している。RSSIは電波の特性により精度よく距離推定が行えない。本稿ではこのことがはぐれた児童の把握に与える影響をシミュレーション評価した結果を示す。実際は遠くにいるのにはぐれていないと判断される危険側の間違いが確認されたが、受信側となる先生は上下に動くなど少し動きを加えることで連続した危険側の間違いが減る事がわかった。
休 憩(16:00 再開) 座長 大塚 晃(事業創造大)
A-19-20 |
ICNベースの車の自動運転補助システム
○田口裕都・文 鄭・佐藤拓朗(早大)・澤戸寛明・島山 求(PCIソリューションズ) |
A-19-21 |
ICNベースの分散監視システムの研究
◎平原 匠・文 鄭・佐藤拓朗(早大)・澤戸寛明・島山 求(PCIソリューションズ) |
A-19-22 |
A Comparative Study of Different Direction of Arrival Estimation Schemes based on FMCW for Target Detection
◎金森 潤・余 恪平・サン ライ ミィ・佐藤拓朗(早大) |
A-19-23 |
微少物体のレートレーシングシミュレーション
◎木村杏花・ミイ サン ライ・余 恪平・佐藤拓朗(早大) |
近年、高齢者の交通事事故が大きな社会問題となっている.次世代の交通システムの基盤となる情報通信ネットワークとしてICN(Information Centric Networking)に注目し,具体的事例の中で交通事故を防ぐためのICNの適用について検討したので報告する.
近年、世界中で自然災害が多発し、ここ数年で多くの災害、異常気象が報道された.その為、防災に加えて災害後の情報共有が必要とされており、日常の中の様々な災害情報をリアルタイムで検出できるような監視の重要性が高まっている.以上を踏まえ、ICN(Information Centric Networking)を用いてネットワークにおけるデータトラフィックを削減し、高効率配信可能な監視システムの実現することを目的とした監視システムの動画像カメラ映像の伝送においてのICNの有用性を明らかにする研究を行ったのでその成果を発表する.
本論文ではFMCWに基づくDOA(Direction of Arrival)による対象物の方位推定を行う上で、Beam scan, MVDR (minimum variance distortion less response), MUSIC (multiple signal classification)を用いて比較検討した結果について報告する。
本稿では,電波の伝搬,および反射,回折,透過がナイフのような金属製の小型物体に及ぼす影響を分析した.Wireless-InSiteレイトレーシングシミュレータを用いて,物体検出のためのレイトレーシングシミュレーションを行った.まず,28 GHzのキャリア周波数を使用して無線伝播フレームワークを構築した.そして,小さな金属の物体(1 x 10 cm)を反射板として作成した.屋内シミュレーションとして分析を行い,受信信号電力のさまざまな測定値(1〜10メートル)にわたって評価した結果を報告する。
A-20. ハードウェアセキュリティ
9月12日 14:45〜17:00 B棟 1F B107講義室 座長 粟野皓光(阪大)
A-20-1 |
ICチップレベル消費電流シミュレーションによる暗号モジュールのサイドチャネル漏洩評価
◎安田一樹・門田和樹・月岡暉裕・三浦典之・永田 真(神戸大) |
A-20-2 |
IoTデバイス管理基盤の一考察
◎長谷川健人・戸川 望(早大) |
A-20-3 |
クロック操作による Time-to-Digital Converter への情報改ざん攻撃
◎小沼竜也・李 陽・菅原 健(電通大) |
A-20-4 |
積分球による光量の均一化に基づくLEDの個体識別
◎土屋彩夏・藤 聡子・李 陽・崎山一男・菅原 健(電通大) |
情報化社会の発展に伴い、半導体集積回路(IC チップ)技術による暗号モジュールにおいて電源ノイズによ るサイドチャネル情報漏洩が課題となっており、電源ノイズの評価が必要である。本研究では IC チップに搭載され る暗号エンジンの電源消費電流について、トランジスタ素子モデルによるチップレベルのシミュレーションを効率 化する手法を提案する。評価対象チップは Advanced Encryption Standard(AES)暗号を搭載している。対象ファイルは 2 つある。一つは RTL と呼ばれる論理の動作をレジスタ間の転送と論理演算の組み合わせを記述したものから論理 合成を行ったネットリスト、もう一つは論理合成したネットリストを用いて配置配線を行ったネットリストである。 チップの動作シミュレーションを行い電源消費電流の波形を取得する。取得した波形データを用いて CPA を行い、 電源ノイズ評価を行った。
IoTデバイスの普及に伴い,これらに対するセキュリティ意識が高まっている.
今後Society5.0の社会を実現させる上で,セキュアなIoTデバイスの運用は重要な課題となっている.
不特定多数の「もの」を管理するの技術として,ブロックチェーンが注目されている.
本稿では,ブロックチェーンを用いたIoTデバイス管理基盤を提案する.
実験では,ブロックチェーンネットワークを利用して実際にIoTデバイスの認証を確認した.
近年普及が進む IoT では,機器が物理量を認識するためのセンサが重要な役割を担っている.特に最近では,センサだけではなく,電気信号をデジタル情報に変換する AD コンバータに対する攻撃も提案されている.本発表では,AD コンバータへの攻撃を踏まえ,電気信号をデジタル情報に変換する回路である時間-デジタル変換器(TDC)に対する攻撃を検討する.TDC とは,2つの信号入力時間の差をデジタル情報に変換する回路で,時間を扱う回路では最も基本的な部品の一つである.本発表は,TDC の初めての安全性評価を行う.その結果,クロックを操作することで,計測値を操作する攻撃が可能であることを示す.
工場で製造された際に生じる微妙なばらつきを利用して,製品の個体識別を行う技術が研究されている.近年LEDを用いた様々な製品が普及しており,LEDの個体識別が可能であれば,LEDを搭載した製品の模倣品判定や,可視光通信における通信相手認証などの応用が期待できる.先行研究では,分光スペクトルと駆動電流,駆動電圧を用いLEDの識別手法が提案されていた.しかし,計測の際にLEDへの接触が必要であるという課題があった.そこで本研究では,駆動電流・駆動電圧の代わりに光量を用いることで,非接触で行うことができる識別法を提案する.光量は計測器の距離や角度によって変化するという難しさがあるが,積分球を使用することで解決を図った.
休 憩(16:00 再開) 座長 李 陽(電通大)
A-20-5 |
複数の信号を含む漏えい電磁波からのターゲット信号の抽出に関する検討
◎川上莉穂・藤本大介・林 優一(奈良先端大) |
A-20-6 |
クロックへのグリッチ注入のタイミングがモータ動作に与える影響に関する基礎検討
◎中尾文香・藤本大介・林 優一(奈良先端大) |
A-20-7 |
Gyroセンサへの超音波攻撃に対する防御手法の研究
◎瀬戸口太平・松井俊浩(情セ大) |
A-20-8 |
ハードウェアトロイ検出方法の実装と課題
○永田真一・高橋功次・近藤信一(東芝情報システム)・大屋 優・戸川 望(早大) |
電磁照射を行い、電磁的情報漏えいを誘発させる手法が提案されている。既存検討では、1本の配線を流れる情報のみを漏えい対象としていたが、照射電磁に対して同程度の感度をもつ配線が回路内に存在する場合、複数の配線から漏えいされた信号が混合し、ターゲット信号の取得が困難となる可能性がある。本稿では、特定の周波数に同様の感度をもつ配線が複数存在する場合の情報漏えいの基礎的な評価として、異なる周波数成分を持った信号を伝送している系において、内部信号が混合して放射される場合であっても、変調波に含まれる周波数成分の違いに基づいてフィルタリング処理を施すことにより、ターゲット信号を取得可能であることを示した。
動作を伴う機器のアクチュエータにはモータが多く用いられている。一般にモータの動作はモータドライバにより駆動され、モータドライバは制御ICから送られた命令信号に基づいて決定される。そのため、命令信号を改ざんするような外乱が与えられた場合、制御動作を誤らせる攻撃が成立する可能性がある。本研究では、グリッチ信号のパラメータ調整が可能な評価系を構築し、制御ICとモータドライバ間の通信におけるクロックにグリッチを挿入し、その時のモータの動作を観測した。評価実験の結果、幅およびタイミングを制御したグリッチ信号をクロック信号に重畳させることにより、モータを誤動作させることが可能であることを示した。
近年IoT機器の増加は目覚ましく、世界のIoTデバイス数は、2017年時点で198億個であり、さらに2021年には349億個になると予想されている。デバイスのIoT化が進むと生活が便利になる反面、サイバー攻撃を受ける可能性があがる。今までIoTデバイスでなかったロボットもIoT化され、攻撃対象になると考えられる。近年Black HatやUSENIXなどのカンファレンスでロボットの制御に必要不可欠なGyroセンサへの超音波攻撃が発表されており、防御手法の検討が必要である。本研究はGyroセンサへの超音波攻撃に対する防御手法を研究することで、今後のロボットの普及に貢献し、安全なロボット社会を実現したい。
総務省の予測では2020年に全世界で400億個を超えるIoTデバイスが稼動する見込みになっている。IoTデバイスの利用は今後も多様化するため、ハードウェアに対するセキュリティ対策を改めて検討する必要がある。ここではハードウェアトロイの危険性について述べると共にハードウェアトロイ検出方法を実装したプログラムを開発し実製品に対しても有効である事が確認できた。
シンポジウムセッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
ABS-1. 海中における電磁波利用(通信、制御、給電、センシング)
(ワイドバンドシステム研専、アンテナ・伝播研専、高信頼制御通信研専、スマート無線研専、無線電力伝送研専 共催)
9月12日 15:00〜16:40 C棟 4F C401講義室 座長 高橋応明(千葉大)
ABS-1-1 |
海水環境下での水中光無線給電の検討
○田中文明・武石千宙・森田大樹・谷口和希・宇野木寿仁・押金勇人・内田史朗(千葉工大) |
ABS-1-2 |
多段コイルを用いた海水内のワイヤレス電力伝送の設計と一検討
○枷場亮祐・岡本克也・山口修一郎・八木達雄・川田壮一・江口和弘・小柳芳雄(パナソニック) |
ABS-1-3 |
電界結合型海水中無線電力伝送における高効率結合器の設計
◎村井宏輔・田村昌也(豊橋技科大) |
ABS-1-4 |
海底掘削ドリル用WPTシステムの結合部についての検討
○澤井秀将・石崎俊雄(龍谷大)・井上朝哉・石渡隼也(JAMSTEC)・粟井郁雄(リューテック) |
現在、光無線給電の研究が活発に進められている。一方、光無線給電を水中への応用も検討されており、水中ドローンへレーザ光を照射することにより充電を行う方法が検討されている。本実験では、水に吸収されにくい波長450nmのレーザ光とInGaP太陽電池を用い、空気、水道水、海水の伝搬に対して、電力伝送効率の測定を行った。測定の結果、空気と水道水ではシステム全体の効率は約20%だったのに対し、海水では吸収及びに散乱によってレーザ光強度が大きく減衰しシステム全体効率が約4%となった。今後、海水での減衰が少ない波長や散乱の影響の低減について検討を継続する。
自律型無人潜水機(Autonomous Underwater Vehicle:AUV)は,海洋資源の探査,海洋生物の調査,インフラ施設の監視などに利用されている.今後海中ドローンの開発などで,小型低コスト化が進み利用範囲がさらに広がると考えられる.AUVは,バッテリー交換または充電時に引き上げる必要があるため,海中内で無線給電することができると海洋活動の効率化が期待される.
海水中の電力伝送の特有の問題として,海水は導電性を持つため,減衰定数が大きく,電磁界の減衰が大きくなり,伝送効率が劣化する.また,海中内で海中移動体への給電は,海流の影響で位置合わせが難しく,位置自由度の高い給電が求められる.海水を介した無線給電は,過去に数cm離した伝送等が提案されている[1] - [2].著者らは,複数コイルを海水に沈めて,コイル間で無線給電する方式を,長距離化,高効率化の観点で2つのシステムを検討した.
電界結合型水中無線電力伝送の課題として,海水などの導電率が高い環境ではQ値が劣化するため電力伝送効率が低下する課題がある.そこで,導電率が高い海水であっても電気二重層を用いることでQ値の改善を行うことが可能である.そこで,電気二重層を用いた電界型結合器の高効率化設計法を提案する.まずは,測定セルを用いて海水の複素誘電率の面積依存性を測定し,測定ばらつきを押さえるために近似計算を行った.つづいて,測定した複素誘電率を用いて電極寸法の最適化を行いηmax = 92.0%の電極構造を設計した.実測を行い85.0%のηmaxを達成した.
本稿では科学研究や資源探査のため深海底を掘削するドリルパイプに非接触給電するシステムを提案している。昨年、「ちきゅう」にて行なった伝送実験によって、新たな計算法を用いた結果と実験結果が一致することを明らかにした。ドリルパイプを数百段つなげるとき、効率を悪くする一つの主原因である同軸線路ロスを軽減させるため通過帯域の周波数を低周波にシフトさせる必要がある。今回は通過帯域を低周波側にシフトさせるためコイルの結合部の構造を検討している。
9月13日 9:00〜11:45 C棟 4F C401講義室 座長 滝沢賢一(NICT)
ABS-1-5 |
海中における電波源位置推定に関する一検討
○滝沢賢一・菅 良太郎・松田隆志(NICT)・吉田 弘(JAMSTEC)・児島史秀(NICT) |
ABS-1-6 |
電磁波による3次元海中ポジショニングシステム
○高橋応明・加藤涼介(千葉大)・石井 望(新潟大)・陳 強(東北大)・吉田 弘(JAMSTEC) |
ABS-1-7 |
北極ドローン測位のための低周波電磁波の通信特性
◎佐藤 良・吉田 弘(JAMSTEC) |
電波を利用した海底下埋設物センシングに関する研究を進めている.本稿では,センシングに関連する基礎検討として,海中における複数受信アンテナを用いた電波源位置推定に関して報告する.
従来,海洋における無線通信では音波の利用が主流であった.しかし,音波は海中における伝搬速度が電波と比較して低速であり,雑音や海面,海底からの多重反射の影響を受けやすい.また,光波に関しても海水中の濁りによる散乱減衰が大きいことから,水中における通信には適さないとされている.電波は減衰量の大きさが問題点として挙げられるが,その大きさゆえに反射波や回折波の影響を無視できると考えられ,海水中における電波の利用を考える余地は十分にあるといえる.本研究では,10 kHzの電磁波を用いた海中位置推定システムにおける受信電力強度(RSS)使用の優位性について述べる。また,RSSを用いた深さ2 mから8 mまでの3次元位置推定シミュレーションを行ったので,併せて報告する
近年、地球温暖化により北極を覆う氷の融解が急激に進んでいる。氷の融解の原因には気温上昇のほかにも、氷下からの温暖ガス放出や生態系の変化などが原因と考えられている。著者らは北極で使用するための自律型無人探査機(本講演内では北極ドローンと称する)を使った北極下の調査を行うために、低周波の電磁波による通信、及び測位を提案している。そこで著者らは、海中での電磁波通信性能を測定するための実験用通信機を開発し、気中ー海中間の通信特性の測定にあたってきた。本講演では氷上-海中間の電磁波通信の変調方式や通信可能な水平距離を、冬季のサロマ湖上で評価したので報告する。
休 憩(10:30 再開)
ABS-1-8 |
UHF帯地中レーダによる海中探査の実験的・理論的検討
○園田 潤(仙台高専) |
ABS-1-9 |
電波を用いた海底下センシングシステムの開発
○菅 良太郎・滝沢賢一・松田隆志(NICT)・吉田 弘(JAMSTEC)・児島史秀(NICT) |
ABS-1-10 |
電波を用いた海底下埋設物センシングのシミュレーション評価
○松田隆志・滝沢賢一・菅 良太郎(NICT)・吉田 弘(JAMSTEC)・児島史秀(NICT) |
海水は導電率が高く一般的に電波は伝搬しないとされており,現在では海水中では主に超音波が利用されている.我々は東日本大震災の津波災害による海底の行方不明者やがれきを探索するために,数百MHz帯の地中レーダを用いた海中探査を試みている.本稿では,宮城県閖上広浦湾と山元町磯浜漁港および坂元沖における
地中レーダによる海底探査実験について,TDR (Time Domain Reflectometry) による海水の複素比誘電率の周波数特性と,実際のレーダ画像からの海底物体探査について述べ,350 MHzの地中レーダで深さ10 m程度の海底物体の反射波が受信できたことを明らかにする.また,GPUを用いたFDTD法による海水中の電波伝搬解析を行い,実験結果の妥当性を示す.
日本が有する海洋の面積は世界第6位であることは広く知られている.しかしながら,その有効利用は十分とは言えず,海洋産業の市場はそれほど大きくない.海洋の利活用を加速させるためには,海洋を知る事から始めなければならないが,現状はセンシングの手段が限られている.そこで我々は電波を用いた海底下埋設物センシングシステムを開発した.開発した海底下埋設物センシングシステムを用いて,浅海域において疑似埋設物センシング実験を実施した.その結果,模擬埋設物と海中アンテナとの位置関係により,位相変化量が変化することを確認し,位相変化量の観測による海底下埋設物センシングの可能性を確認することができた.
極限環境である海中において,これまでに海中電波伝搬測定をおこなってきた.海中チャネルサウンダを製作し,海中での安定した電波伝搬の評価を行うことができた.そこで得られた知見を活かして,電波を用いた海底下埋設物センシングの研究開発を行っている.海中アンテナアレイによるセンシングシステムの構築に向けて,海中アンテナの開発をシミュレーション及び実測を用いて進めている.本稿では,海中アンテナの設計及び設計した海中アンテナの海底下埋設物センシングへの適用について報告する.
9月13日 13:00〜17:00 C棟 4F C401講義室 座長 李 還幇(NICT)
ABS-1-11 |
海中電磁気の産業応用
○吉田 弘(JAMSTEC) |
ABS-1-12 |
モーメント法によるシース付き海水中ループアンテナの解析
○羽賀 望(群馬大) |
ABS-1-13 |
Design of Sheathed Dipole Antennas for Seawater Use
◎SHUANGYUE XU・HIROYASU SATO・QIANG CHEN(Tohoku Univ.) |
ABS-1-14 |
海中動作ダイポールアンテナによる電界強度測定のための疑似スケールモデル
○石井 望(新潟大)・高橋応明(千葉大)・陳 強(東北大)・吉田 弘(JAMSTEC) |
ABS-1-15 |
海水中における変動磁界を用いた新しい無線通信技術の提案
○河野實則・河野公則(アール・シー・エス)・THANG DUONG QUANG・東野武史・岡田 実(奈良先端大) |
日本が本物の海洋立国になる為には,商船,造船,漁業以外の海洋産業を見出していく必要がある.とくに日本は広大な海中空間を領海+排他的経済水域内にもっていることから,海中の産業化が重要である.市場ポテンシャルは,鉱物資源・エネルギー,食物,インフラと非常に大きい.これらの場で活躍するのは海中のロボットである.海中ロボットを効率よく運用する為には,通信・測位・探査の道具が重要であり,主力である海中音波を補完するような,新しい媒体が望まれている.本発表では,産業ポテンシャル,海中ロボット,光を含む海中電磁波について,全体を俯瞰して現状と将来展望について述べる.
海水は導電率が4〜6 S/m程度の高損失媒質であるため,海水中における電磁波の減衰定数は比較的大きい.しかしながら,海水中の電磁波による無線通信や位置推定は,音波や光波を用いたものには無い利点があるため,近年,その利用可能性が見直されつつある.当然ながら,減衰定数は周波数が高いほど大きいため,通信距離を長くするためには,低い周波数を用いる必要がある.したがって,アンテナの寸法は電気的超小形となるため,その解析は一般に困難となる.本検討では,シース付き海水中ループアンテナのモーメント法解析において,ループ・スター基底関数の使用が有効であることを示した.
In this report, numerical design of sheathed dipole antennas in seawater is presented. The comparison of antenna characteristics between dipole antennas with sheaths of different length is performed. The impedance and the return loss behavior under the effect of different length of sheaths is discussed. The effect of the length of sheath on the sheathed dipole antennas in seawater was clarified. It was shown that the structure of the sheathed antenna design is useful for decreasing the return loss and impedance matching.
大規模になりがちな海中電磁波利用の検証実験のコンパクト化を目指し,疑似スケールモデルという導電媒質特有のスケールモデルを導入し,室内での海中スケールモデル実験の可能性について論じた.
「ファラデーの電磁誘導の法則に基づく変動磁界(以後磁力波と称する)」を活用し,海水中で無線通信を可能にする,無線通信技術を実用化するために,過去約3年間に渡り継続して研究を行った成果を報告する。
休 憩(15:20 再開) 座長 三木信彦(香川大)
ABS-1-16 |
水中ネットワークを実現するALANコンソーシアム
○鈴木謙一・島田雄史(トリマティス)・安達文幸(東北大) |
ABS-1-17 |
水中光通信における日照による受信光到来角変動の検討
◎大峡春佳・山下泰輝(東海大)・奥澤宏輝・高橋成五(トリマティス)・高山佳久(東海大) |
ABS-1-18 |
ディジタルマッチトフィルタを適用したIM/DD-OFDM水中光無線伝送実験
○中村一彦・塙 雅典(山梨大) |
ABS-1-19 |
水中LiDARによるコンクリート片の3D測定
○高橋成五・山田 直(トリマティス) |
海中を代表する水中環境は,音波等限られた手段しか使えない「最後のデジタルデバイド領域」であり,水中環境の有効活用のためには,水中での地上並みの通信ネットワークの構築が課題である.これらの課題を解決するとともに,水中環境を一つの生活圏と捉え,水中に光無線技術を適用したLocal Area Network (LAN)を構築する目的で設立されたALAN(Aqua LAN)コンソーシアムにおける検討技術とその活動について報告する.
水中での伝送容量の向上のため光通信の適用が注目されている。日照により通信路の水温が均質的に変化するような状況において水温と水流が通信光に与える影響を評価する。そこで、水槽全体に日照による温度変化を与え、水中を伝搬するレーザ光の伝搬角度を計測する。計測で得られた結果から日照および水流量とレーザ光の伝搬角度の相関性について考察する。
本稿では,水中光無線伝送での受信SNR改善を目的として,IM/DD-OFDM信号伝送でのディジタルマッチドフィルタの適用の効果を実験的に検証している.波長405nmのLDで生成した光IM/DD-OFDM信号を1mの水中伝送路で伝搬させ,APDにより光・電気変換,ADC後,PCにてオフラインでディジタルマッチトフィルタ・OFDM復調処理を行った.ディジタルマッチトフィルタ処理をOFDM復調処理部の前で行うことで,フィルタなしの場合と比べてビット誤り率特性を約1桁改善できることを示している.
青色GaN-LDを光源とし、短波長での感度低下の少ないMPPCを受光素子として用いて、水中伝搬に適した可視光帯 水中LiDARを開発した。水槽内のコンクリート片を観察し、1 cm以下の空間距離分解能で、物体表面の凹凸が計測できることを確認した。