プログラム
format_list_bulleted通信ソサイエティ
一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
B-1. アンテナ・伝播A(電波伝搬,非通信利用)
9月17日 13:00〜17:00 Meeting 12 座長 齋藤健太郎(東工大)
B-1-1 |
移動測定による市街地ストリートセル環境の電波伝搬解析
◎立神光洋・藤元美俊(福井大)・北尾光司郎・須山 聡・小田恭弘(NTTドコモ) |
B-1-2 |
商業施設における電波伝搬特性評価及び統計モデルの検証
○中西孝行(三菱電機)・内藤 出(新居浜高専)・平松英伸(三菱電機エンジニアリング)・瀧川道生・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-3 |
高仰角基地局環境クラッター損失の測定解析
○佐藤彰弘・木村 翔・林 合祐・表 英毅(ソフトバンク) |
B-1-4 |
高基地局環境における移動局側電波到来角度の測定解析
○木村 翔・佐藤彰弘・林 合祐・表 英毅(ソフトバンク) |
B-1-5 |
移動通信における複数基地局間連携ビームフォーミングによる通信品質改善の一検討
○星野兼次・藤井輝也(ソフトバンク) |
第5世代移動通信システムでは,低基地局アンテナを利用したスモールセルの導入が検討されている.高周波数帯におけるチャネルモデルは3GPPやITU-Rにおいて標準化されたが,これらを用いて実際の街構造と伝搬経路の関係を把握することはできない.
本稿では,送信局移動時における20GHzチャネルサウンダにより測定されたデータを解析し,LOS市街地ストリートセル環境の伝搬経路について検討する.
近年,IoT(Internet of Things)やローカル5Gが普及しており,宅内やビル,製造工場,商業施設などで省配線化などを目的とした無線導入が始まっている.無線機器の通信距離を適切に把握するために,電波伝搬解析技術が重要となる.無線環境の周囲構造物の影響でマルチパス波が発生し,電波伝搬特性がばらつくため,適切な電波伝搬モデルにより回線設計する必要がある.著者らはこれまで複数の屋内環境における電波伝搬統計モデルについて検討してきた[1]が,オフィス,工場,住宅の評価にとどまっていた.そこで本報告では,商業施設における電波伝搬特性評価と提案する統計モデルの有効性について検証する.
移動体通信において、無人航空機やドローンなどの機体に無線機を搭載して移動通信サービスを提供する通信プラットフォームが検討されており[1]、高基地局環境における効率的なセル設計を実現するためには、地形、植生、都市部、郊外地、建物の侵入などを考慮した電波伝搬モデルの開発が必要不可欠である。建物によるクラッター損失において、高仰角基地局環境では移動局および移動局周辺の建物への入射角がほぼ同じ角度になることから、より高い基地局環境における伝搬損失特性を解明することが重要となる。本稿では有人ヘリコプターを用いた高仰角基地局環境におけるクラッター損失の測定解析を行う。
移動体通信においてMIMO等の空間処理アルゴリズムを精度良く評価するためには,電波到来角プロファイル推定が重要である.また,ドローンなどの機体に無線機を搭載し,移動通信サービスを提供する,通信プラットフォームが検討されており,実用化に向け,高基地局環境での電波伝搬モデルが必要となる.本稿では,ヘリコプターを用いた上空からの到来波における移動局側電波到来角プロファイルを測定し,その測定結果について述べる.
5Gシステムでは超多素子アンテナを用いたビームフォーミング(BF)技術によりセル内のスループットの向上が図られている。エリア内の全ての場所で一定のスループットを提供するためにはセル境界のスループット改善が必須である。この課題に対し、セル境界のスループットを改善するように、各基地局が連携して各基地局アンテナを最適にBF制御する“基地局間連携BF制御”は有効である。本稿では、各基地局を高度に連携させてBF制御を行うことで、セル全体のスループットを劣化させずにセル境界のスループットを改善する方式を提案し、その適用効果を明らかにする。
休 憩(14:30 再開) 座長 豊見本和馬(ソフトバンク)
B-1-6 |
車車間通信を想定したレイトレーシング法による市街地電波伝搬解析に関する一検討
○間宮拓朗・中西孝行・瀧川道生・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-7 |
屋内点群データを用いたレイトレース解析に適用可能な3次元平面モデル構築手法の提案
○海部太郎・岡村 航・杉山健斗・松山祐樹・吉敷由起子(構造計画研) |
B-1-8 |
コンクリート製天井近傍における伝搬特性の検討
○山本尚武・菱川哲也(パナソニック)・齋藤健太郎・高田潤一(東工大)・前山利幸(拓殖大) |
B-1-9 |
エッジ/観測点BVHを用いたレイトレーシングの高速化
◎橋本貴博・瀧川道生(三菱電機) |
B-1-10 |
電波センシングに向けた異物が近接する環境におけるアンテナ特性の解析
◎久保賢治郎・岩井誠人(同志社大)・栗原拓哉・清水 聡・鈴木義規(ATR) |
近年,事故防止や自動運転支援を目的にした車車間通信の実現に向けた取り組みが行われている.車車間通信は,携帯電話などの移動体通信と異なり,無線基地局を介さずに移動体である各車両が直接通信する.このような車車間の電波伝搬については,測定の困難さもあり,十分に明らかにされていない.
本報告では,車車間通信における電波伝搬解析の一手法として,市街地環境モデリングとレイトレーシング法を用い,実測値を基にしたITUの伝搬モデル等と比較する.
近年,IoTサービスやローカル5Gに代表される自営通信網の普及に伴い,様々なユーザーが無線ネットワークを構築・運用するようになってきている.従来から無線ネットワークのエリア設計には電波伝搬解析が広く活用されているが,自営通信網の導入が検討されるオフィスや工場内等の屋内環境を解析する場合,解析モデルの作成には人手と時間がかかる.そこで,本研究ではレーザースキャナにより計測したオフィスビルの1フロアの3次元構造の点群データから平面モデルを自動で作成するアルゴリズムを検討し,モデルを作成した.また,作成したモデルがレイトレース法による電波伝搬解析へ適用できることを確認した.
近年, あらゆる機器が相互に接続されるIoT (Internet of things)の普及に伴い, 屋内で利用される家電や設備機器においても無線システム化されてきている. 特に照明や空調などの設備機器においては, 伝搬性能の観点から920MHz 帯が利用されるケースが多く, 接続される親局と共に建材近傍に固定設置される場合がある. 無線システムを利用する際には利用環境毎の伝搬特性の把握が必要になるが, 建材の種類によりその特性が変わるものと推測される.
本稿では, 均一素材のコンクリートを想定して, その電気定数により, 伝搬特性がどのように変化するのかを伝搬シミュレーションにより求めたので報告する. 尚, 伝搬シミュレーションは, FDTD (Finite Difference Time Domain)法とRay tracing (以下, RT)法を用いた.
レイトレーシングはサイトスペシフィック電波伝搬モデルとして広く使われているが、大規模な伝搬環境では計算コストが非常に大きく高速化が重要である。コンピュータグラフィックスにおいてフェイスに対するBVHは広く研究がなされている。一方で、電磁界レイトレーシングでは、光線とエッジ/観測点に対する交差判定に無視できないコストが発生するが、これらに対するBVHにはあまり注意が払われてこなかった。本稿では、エッジや観測点とレイチューブの交差判定に適用可能なBVHを提案する。計算時間は、フェイスのみに適用した場合の63%に対して、エッジと観測点にも適用すると2.8%となり、計算コスト削減に有効であることを示す。
アンテナ近傍に存在する物体のセンシングを,アンテナの特性変化を用いて実現する技術の検討が進められている.この方式の実現可能性を示すことを目的として,人体または紙が近接するアンテナの共振特性をFDTD (Finite Difference Time Domain) 法および実測により示す.
休 憩(16:00 再開) 座長 吉敷由起子(構造計画研)
B-1-11 |
KIOSK端末からの300GHz帯漏洩電力測定
○沢田浩和・稲垣惠三・藤井勝巳・笠松章史・菅野敦史・関根徳彦・寳迫 巌・小川博世・石津健太郎・児島史秀(NICT) |
B-1-12 |
電波伝搬における欠損あり三次元信号強度データのテンソル補間
◎大澤 允・菅 宣理・古川利博(東京理科大) |
B-1-13 |
合成開口アンテナを用いた時空間伝搬測定法におけるアレーウェイトの検討
○豊見本和馬・山口 良(ソフトバンク)・福迫 武(熊本大) |
B-1-14 |
EBG構造設置面積によるアンテナ間干渉抑圧に関する一検討
◎大橋諒太郎・田中 泰・山本伸一・瀧川道生・稲沢良夫(三菱電機) |
将来の300 GHz帯無線通信システムのアプリケーションの一つとして,KIOSK端末から携帯端末への高速データダウンロードが想定されており,本報告ではシステム検討に必要な干渉電力を見積もるため,端末周囲への漏洩電力を測定した結果を報告する.
電波伝搬解析では電波を光と見立てて,送受信点間に存在する障害物との相互作用・減衰等をシミュレーションするレイトレーシングが広く使われている.レイトレーシングでは,送信点から射出されたレイが受信点に到達するすべてのパスを計算するため一般的にシミュレーションに長い時間を要する.基地局のカバレッジの計算等,信号強度計算の対象となる受信点が3次元空間的に存在する場合,レイトレーシングに要する計算時間はさらに膨大になる.そこで,計算対象の受信点の数を減らし,計算を行わない受信点における信号強度値についてはテンソル補間により推定することで計算時間を短縮する手法について検討を行った.
MIMOアンテナやビームフォーミングアンテナを設計するために時空間伝搬モデルを活用することは重要であり,そのようなモデル構築には実伝搬環境特性を把握する必要がある.そのため,簡易かつ高精度な時空間伝搬測定法が求められている.その中で,我々は合成開口アンテナを用いた測定法を提案している[1].本稿では,測定比帯域による測定精度への影響を確認する.そのため,シミュレーションより得られた周波数特性データに対し,2種類のアレーウェイトにより得られた到来方向(DOA)スペクトラムの比較を行う.その結果,得られた周波数特性データに対し,中心周波数に設定したアレーウェイトを使用しても,実用上問題とならないことを示す.
複数のアンテナから構成されるシステムにおいてアンテナ間の干渉が問題となることがある.本稿では,2つのアンテナ間に導体壁が配置された系における電磁バンドギャップ(EBG: Electromagnetic Band Gap)構造の設置面積による干渉抑圧特性について検討する.
9月18日 9:15〜11:45 Meeting 12 座長 佐々木元晴(NTT)
B-1-15 |
トンネル内における電波伝搬測定
○宮下真行・芹澤弘一・田島裕輔(ソフトバンク) |
B-1-16 |
0.9/2.4/5.1GHz帯における垂直・水平方向を考慮した屋外-屋内伝搬侵入損失の検討
○水野優太・西森健太郎・谷口諒太郎(新潟大) |
B-1-17 |
920MHz帯におけるLoS/NLoSを考慮した伝搬損失に関する検討
○五十嵐悠貴・西森健太郎(新潟大)・島崎安徳(パナソニック)・谷口諒太郎(新潟大)・濱邉太一・竜田明浩・江村鉄兵・浅田拓也(パナソニック) |
B-1-18 |
920MHz帯実測データに基づく六面体アンテナを用いた到来方向特性評価
○島崎安徳(パナソニック)・西森健太郎・五十嵐悠貴・谷口諒太郎(新潟大)・濱邉太一・竜田明浩・江村鉄兵・浅田拓也(パナソニック) |
近年,多数同時接続をサポートする5Gの検討が行われている。ユースケースとして,トンネル内にセンサ等が設置され事故や災害の発生状況をリアルタイムに監視し、安全を確保することが期待される.本稿では,トンネル内における電波伝搬損失特性ついて,実環境での測定結果をITU-Rモデルと比較評価したので報告する.
近年,第5 世代移動通信システム(5G) に向けた開発が進められている.5G 導入後は4G までの端末が多数存在するが,管理下の無線ノードの干渉を制御し,ネットワーク全体の通信量を最大化するコンセプトが提案されている.このような多数のIoT 端末が存在する環境での基礎検討として,端末側の伝搬特性を把握するための検討を進めている.本報告では,多数のIoT 機器の使用が想定される0.9/2.4/5.1 [GHz] 帯において, 屋外から窓を経由して屋内に電波が侵入する際の損失(屋内侵入損)に関する特性を比較した.すでに垂直方向に対するモデルは提案しているが,垂直・水平面を考慮した屋外から屋内への入射角の違いによる,屋内侵入損特性を示す.
第5世代移動通信システム(5G)に向けた開発が進められている.5Gの環境では4Gまでの端末が多数存在するが,管理下の無線ノードの干渉を制御し,ネットワーク全体の通信量を最大化するコンセプトが提案されている.このような多数のIoT端末が存在する環境での基礎検討として,端末側の伝搬特性を把握するための検討を進めている.本稿ではIoT端末の利用を想定して,実際に測定した結果をもとに予想される920MHz帯における伝搬損失の推定式を提案する.
多数のIoT端末が存在する環境での基礎検討として,端末側の伝搬特性を把握するための検討を進めている.本稿ではIoT端末を想定して,全方向からの電波を取得可能な6面体アンテナを用いて,920MHz帯における伝搬特性を評価した. 6面体アンテナで取得した伝搬のデータより最大値の受信面を評価し各測定地点での到来を6方向として解析しその結果,上部から到来する比率が高い事を確認した.
休 憩(10:30 再開) 座長 沢田浩和(NICT)
B-1-19 |
NNおよびCNNを活用した伝搬損失推定の評価
○久野伸晃・山田 渉・佐々木元晴・淺井裕介・鷹取泰司(NTT) |
B-1-20 |
屋内動的環境における深層学習を用いた伝搬特性推定の基礎的検討
○岡村 航・海部太郎・岩﨑 慧・吉敷由起子(構造計画研) |
B-1-21 |
画像処理技術による簡易環境モデルを用いた市街地伝搬特性に関する検討
◎山倉裕和・海部太郎・吉敷由起子(構造計画研) |
B-1-22 |
深層学習による地震前兆時の電磁波異常の自動検出
◎小池広夢・早木健人・藤井雅文(富山大) |
B-1-23 |
畳み込みニューラルネットワークを用いた領域分割型電波伝搬推定法
◎清水健矢・中西孝行・瀧川道生・稲沢良夫(三菱電機) |
近年注目を集めているCNNを活用した伝搬損失推定モデルは,複雑な関数形および入力パラメータの導出を不要とする.一方で,入力パラメータ導出を必要するが,同じく関数形導出を不要とするNNを活用したモデルも注目されているが,両モデルの推定傾向の違いなどは検証されていない.そこで本稿では,伝搬コンペティションにおけるNNモデルと同様の考え方を用いたCNNモデルを構築し,各々の推定誤差と傾向を比較および検証する.
近年では電波伝搬の分野において,深層学習を伝搬特性推定に適用した事例はいくつかあり,精度の良い推定結果を示している.本研究では,小規模な部屋内を一人の人が移動する単純なシナリオについて,受信電力変動と電力遅延プロファイル(PDP: Power Delay Profile)を深層学習により推定する.深層学習の学習用データにはレイトレース計算結果を使用する.また,別途実施するレイトレース計算結果と比較することで推定結果の妥当性を検証する.
レイトレース法は,対象環境に含まれる面数およびエッジ数の増加とともに,解析時間が増大することが知られている.
本稿では,画像処理技術による解析対象市街地の簡易化で面数およびエッジ数の削減を図り,
レイトレース法の高速化検討と実測結果との比較を行ったので報告する.
近年, VHF帯の電磁波の異常伝搬現象が地震の発生と関連している可能性が報告されている.本研究では,FMラジオ波の受信強度を継続的に観測し,地震に関連する可能性のある異常信号を学習データとして収集し,深層機械学習を用いて解析した.必要となる学習データは,観測者の経験に基づく判断により,地震に関連する異常信号と地震に関連しない正常信号とに区別し,それらのデータをAlexNetを利用して深層学習しネットワークを生成した.これをもとに観測信号について正常か異常かの自動判定が可能であることを示した.さらに異常信号を検知した後に地震が発生している状況を確認した.
次世代移動通信,Internet of Things,コネクテッドカーなど,高速かつ高品質な無線通信環境を実現するには複雑な電波環境の理解が不可欠であり,その実用化においては電波伝搬特性の的確なモデリングが極めて重要である.近年では,目覚ましい発展を遂げている機械学習を活用した電波環境モデリングに関する研究が報告されている.本稿では,複数枚の画像を入力とし,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて構築した伝搬損失推定モデルとその推定結果について報告する.
B-1. アンテナ・伝播B(アンテナ一般)
9月15日 9:00〜11:45 Meeting 13 座長 道下尚文(防衛大)
B-1-24 |
回転対称フォトニックバンドギャップアンテナの漏れ波特性
山内潤治・◎宮本 凌・齋藤星汰・中野久松(法政大) |
B-1-25 |
レンズ化した回転対称フォトニックバンドギャップアンテナ
◎齋藤星汰・山内潤治・中野久松(法政大) |
B-1-26 |
BOR素子を使用した特性再生可能アンテナ
◎阿部智希・山内潤治・中野久松(法政大) |
B-1-27 |
ストリップ導体を用いたマントルクロークアンテナ
◎グェン タインビン・道下尚文・森下 久(防衛大)・宮崎輝規・田所眞人(横浜ゴム) |
B-1-28 |
サブ波長メタマテリアル磁気導体による放射指向性制御
◎伊藤 陵・藤井雅文(富山大) |
円形導波管で給電された回転対称構造からなるフォトニックバンドギャップ(PBG)アンテナが提案されている。本稿では、欠陥部を伝搬する界分布と放射界との関係を、回転対称FDTD法により明らかにする。
開口端面をレンズ化したフォトニックバンドギャップ(PBG)アンテナを提案する.レンズの形状を最適化することで,より広帯域な漏れ波アンテナとして動作することを明らかにする.
9 dBi以上の高利得ビームを放射する特性再生可能アンテナを提案してきた. このとき, 動作帯域幅は約6%であった. 本稿では, 給電素子として回転対称体(BOR)素子を使用し, 広帯域にわたって高利得ビームを放射する特性再生可能アンテナを検討する.
左手系無給電素子を用いると,アンテナの動作周波数近傍においてアンテナ間の相互結合を急峻に低減できる.しかし,動作周波数における放射特性への影響が問題となる.一方,電磁波を制御するマントルクローク技術を用いることで,アンテナ特性を維持できる可能性がある.動作周波数720 MHzのダイポールアンテナに対し,750 MHzにおいて帯域阻止特性が得られるように,表面リアクタンス値が設計されたマントルクロークが報告されている.本稿では,ストリップ導体を用いたマントルクロークアンテナについて検討した.アンテナ長および誘電体厚を調整することで,動作周波数720 MHz,阻止周波数750 MHzのマントルクロークアンテナを設計した.
本論文では,波長より極めて小形の人工磁気導体(AMC:Artificial Magnetic Conductor)を920 MHz帯単一指向性アンテナへ応用した.AMCを集中定数素子による二次元LC回路網で構成することによりAMC全体の大きさを波長の1 / 5から1 / 10に小形化し,このようなサブ波長AMCがアンテナからの電磁波を効果的に同相反射することを示した.基本形アンテナとして試作したアンテナの寸法は,50 mm × 50 mm × 12.8 mmであり,一辺の長さが1 / 6波長以下,高さが約1 / 25波長と小型化・低背化が可能であった.本研究で製作した小形指向性アンテナは波長に比べて極めて小形であるにも関わらず,放射前後比10 dBから15 dBを達成し,RFIDへの応用など情報通信技術の発展に貢献することが期待される.
休 憩(10:30 再開) 座長 大島一郎(電気興業)
B-1-29 |
メタ表面背面板による反射位相特性の改善
○久世竜司・福迫 武・松島 章(熊本大) |
B-1-30 |
インターディジタル構造を用いたメタサーフェス反射器‐マルチビア構造の導入と設計‐
○浦上大世(香川高専)・丸山珠美(函館高専)・塩沢隆広(香川高専) |
B-1-31 |
2帯域共用単層リフレクトアレー素子配置について
○矢野敬洋・坂川幸太郎・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
B-1-32 |
2周波偏波共用リフレクトアレーのバイスタティックRCSパターンの測定
◎グェン コン ワイ・松林一也・道下尚文・森下 久(防衛大)・松野宏己・伊藤智史・林 高弘・中野雅之(KDDI総合研究所) |
B-1-33 |
広帯域遮断特性を持つ周波数選択板
◎仲宗根 築・宇野 亨・有馬卓司(東京農工大) |
アンテナの低姿勢化や電波伝搬制御の手段として反射波の位相制御が可能なメタ表面反射板が知られているが,メタ表面は周期構造であるため,十分なユニット数を配置できない場合,設計通りの反射位相とならない場合がある.
本報告では,メタ表面の背面板の縁端に切り欠きを設けることで,端部の影響を改善できることを明らかにする.
高周波帯における電波環境改善方法の一つとして,メタサーフェスを用いた反射器が提案されている.我々は過去の研究において,インターディジタル構造を導入したメタサーフェス反射器を提案した.インターディジタル構造は,等ピッチのマッシュルーム構造を基本構造とするため設計が容易となる特長がある.しかし,180°付近の反射位相が得難い課題があった.今回,マルチビア構造により180°付近の反射位相を実現し,インターディジタル構造との併用で指向性の良い反射特性が得られることを電磁界シミュレーションにより確認したので報告する.
任意形状素子によるリフレクトアレーについて検討を行ってきた.本稿では,ひとつの広帯域なものではカバーできない大きく離れた周波数帯においても所望の特性を得る2帯域共用単層リフレクトアレー素子の設計の素子配置について検討したので報告する.
クロスダイポール素子とパッチ素子を積層した単位セル構造からなる2周波偏波共用リフレクトアレーが提案されている.本リフレクトアレーは,28GHzと39GHzの2周波数において,TE波及びTM波入射時に概ね45°方向に反射するように,電磁界シミュレーションにより設計されている.本稿では,本リフレクトアレーのバイスタティックRCSパターンを測定することで,シミュレーション結果の妥当性を確認した.
本研究ではFSSで特定の周波数帯のみを反射し,それ以外の周波数帯を透過させる帯域阻止型のフィルタを設計する.帯域阻止型の代表的なFSSに正方形ループ型の2次元周期構造があるが,このFSSは阻止できる周波数帯域が狭いという問題がある. そこで本研究では,正方形ループを2層構造にすることで,遮断する周波数帯域を広くすることを目的とする.FSSの設計には等価回路を利用し,遮断する周波数帯は利用機器の多い2.45GHz帯を想定する.特性は2.45GHz付近で透過率を-30dB以下とし,その他の帯域は透過率を0dBから-10dB程度に抑えることを目標とする.
9月15日 13:00〜17:00 Meeting 13 座長 出口博之(同志社大)
B-1-34 |
リフレクトアレーアンテナにおける一次放射器の位置誤差に対する利得周波数特性への影響
◎重光賛志郎・牧野 滋・瀧能翔太(金沢工大)・中嶋宏昌・瀧川道生(三菱電機) |
B-1-35 |
リフレクトアレーアンテナの共振素子間隔の検討
◎瀧能翔太・牧野 滋・深谷芽衣(金沢工大)・瀧川道生・中嶋宏昌(三菱電機) |
B-1-36 |
展開式センターフィードリフレクトアレーアンテナの検討
○中嶋宏昌・山本伸一・瀧川道生・縫村修次・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-37 |
反射位相制御によるリフレクトアレーアンテナの非平面度補償
○戸村 崇・大本圭祐・坂本 啓(東工大) |
B-1-38 |
デュアルバンドで独立に最適化した任意形状素子による単層リフレクトアレーアンテナ
◎井上治幸・坂川幸太郎・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
リフレクトアレーアンテナにおける残留収差の周波数特性は球面波で近似できることを示した。本報告では、写像公式を用いることで周波数特性は、一次放射器を前後することで変えられるっことを示す。
リフレクトアレーにおいて、一般的には自由空間でのグレーティングローブを抑えるための共振素子間隔を用いて設計を行っている.一方この条件では不十分だと考え、我々は誘電体内でのグレーティングローブを抑えるための共振素子間隔を用いて設計を行っている.本論文では、この2つの条件を比較し、能率・サイドローブ特性を比較する。
移動体衛星通信用の反射鏡アンテナでは,オフセット反射鏡や軸対称反射鏡が主に用いられている[1][2].これらのアンテナは,持ち運び時には曲率のある鏡面を分割して収納するため,サイズが大きく,組立/分解に時間を要することが課題である.そこで本稿では,コンパクトな収納性と,短時間での組立/分解を実現する展開式リフレクトアレーを提案する.
膜面展開アンテナ等の膜構造は軽量で高い収納効率と広面積を実現できる.一方で高い平面度を実現するための展開・支持構造が硬く重いため,アンテナ全体としての重量や体積が増加してしまう.低い平面度を許容し柔らかく軽量な展開・支持構造を用いれば,軽量かつ広面積なアンテナを実現できる.しかし平面度の劣化により開口面位相分布が乱れ,指向性利得が低下する.本稿ではこの平面度の劣化を電気的に補償するリフレクトアレーアンテナを検討する.面外変形を与えた素子の反射位相を制御し,変形無しの場合と同程度の指向性利得が得られることを示す.
筆者らは,任意形状素子によるリフレクトアレーについて検討を行ってきた.多くのリフレクトアレーは、素子の共振現象を利用しているため,周波数帯域幅が狭くなってしまうという欠点を持っているが,任意形状の素子を使用することにより、単層構造の広帯域リフレクトアレーを実現している.本稿では、ひとつの広帯域なリフレクトアレーではカバーできない,大きく離れた周波数帯域でも所望の特性を得るための単層リフレクトアレー素子群の設計法を提案する.そして、設計例として、13GHzおよび30GHz帯において必要となる様々な反射位相特性を実現する素子を用いて,2帯域共用リフレクトアレーの設計をし,放射特性の評価も行い,提案する設計手法の有効性を示す.
休 憩(14:30 再開) 座長 榊原久二男(名工大)
B-1-39 |
無給電素子を用いたヌルステアリングアンテナの指向性改善
◎田村 成・新井宏之(横浜国大) |
B-1-40 |
間隔制御平面アレーアンテナの放射パターンの解析
◎永瀬広明・高野 忠・三枝健二(日大) |
B-1-41 |
低サイドローブスーパーゲインアンテナの励振誤差耐性に関する実験検討
○後藤 準・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-42 |
アンテナ間減結合表面によるマイクロストリップアンテナアレー間の結合抑圧
◎櫻井壮一・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-43 |
2周波共用ディファレンシャルレクテナのためのアレーアンテナの基本コンセプトの提案
○△齊藤健人・西山英輔・豊田一彦(佐賀大) |
IoTを用いたサービスの発展に伴い,方向探知アンテナの需要が高まっている. ヌルを用いた推定は高分解能であるため,古くからループアンテナ等を用いた方向推定に使用される.移相器を用いてヌルを任意方向に形成するヌルステアリングアンテナは高速な方向探知に望まれる.しかし,小型なアレーアンテナは相互結合や端部効果の影響を受け,各素子は本来と異なる振る舞いをする.その結果,ヌル精度は走査角度によって劣化する.本稿では,この問題に対して無給電素子を用いた改善手法を報告する.
間隔制御アレーアンテナは放射素子を一様な振幅で励振し,代わりに素子アンテナの間隔をアレー上で変化させるものである.これにより,励振分布を実効的に振幅制御アレーに合わせ,所望の放射パターンを実現する.これまでに1次元アレーを放射状に2次元配列した場合について,アレー面内における放射パターンを明らかにした.しかし全方向の放射パターンは検討されていない.本稿では,観測面の方位角を変化させつつ,1次元と2次元アレーの放射パターンを解析し比較する.
さらに間隔制御と振幅制御の2次元アレーについてそれぞれの放射パターンを比較することにより,間隔制御アレーアンテナの有効性を検証する.
本稿では、低サイドローブ化されたスーパーゲインアンテナにおける誤差耐性の実験検討結果を報告する。8素子円形アレーアンテナに対し、実験により得られた励振振幅位相誤差を与えたシミュレーションを実施した結果、第1サイドローブレベルが-10dB以下になることを確認した。
広角走査のため方形同軸線路を用いたマイクロストリップアンテナアレー構造は、素子間隔が小さく近接アンテナ間相互結合が-19dB程度となる。本稿では素子間や給電線路間に大きな構造を必要としないアンテナ間減結合表面を用いて、設計周波数で-30dB以下に結合を抑圧した。
本稿では,2周波共用ディファレンシャルレクテナのためのアレーアンテナの構成について提案し,その実現性をシミュレーションにより検討した.本アレーアンテナは2.45GHzと5.8GHzの2つの周波数で動作し,アンテナ単体に比べて利得が約3dB向上することを確認した.本アンテナは簡易な構成のため大規模アレーの実現に適している.
休 憩(16:00 再開) 座長 瀧川道生(三菱電機)
B-1-44 |
切り抜き同軸給電によるオクターブバンド自己補対アンテナの解析
◎吉村仁志・常光康弘(拓殖大)・野田一房・平野圭一(雄島試作研究所) |
B-1-45 |
両平面給電回路を用いた葉状ボウタイスロットアレーアンテナ
○山本尚也・日景 隆・山本 学(北大) |
B-1-46 |
軸対称2枚反射鏡アンテナにおける既存の主鏡を用いた副鏡設計法
○山本伸一・瀧川道生(三菱電機) |
B-1-47 |
直交偏波共用だ円ビーム放射グルーブ装荷方形ホーンの軸長短縮
◎高橋寛和・若林 遼・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
製造ライン等にて、微小な異物の混入を検知する装置が必要とされている。レーザー・赤外線・超音波・電波等を用いる方式があり、用途に応じて使い分けられている。
現在、極めて微小な金属片またはプラスチック等の異物が製品材料に紛れ込んだ場合に発見するため、極めて高い分解能を備えた異物識別用センサが求められている。FMCWレーダーを用いて高分解能を実現するために十分な帯域を使用可能なアンテナを調査した。
本報告は、40.0 - 80.0 GHz のオクターブバンドをカバーする自己補対アンテナを実現するアンテナへの切り抜き同軸給電構造を提案する。
平面アレーアンテナのための給電回路の一つとして,マイクロストリップ線路とスロット線路からなる両平面給電回路がある.本給電回路の利点として,交差偏波ナ抑制性能および多素子化の容易さが挙げられる.本稿では,葉状ボウタイスロットアンテナと両平面給電回路で構成される広帯域アレーアンテナについて,FDTD法による数値シミュレーションを行った結果を報告する.
軸対称反射鏡アンテナにおいて、既存の主鏡形状を用いた場合に、光路長を一定とする条件で副鏡形状を設計する方法を提案し、既存の鏡面系と同程度の利得が得られ、本設計法の有効性を確認した。
方形開口で,低交差偏波かつ直交偏波でビーム形状の一致するホーンの提案をしてきた.本稿では,グルーブ装荷ホーンの軸長の短縮を図るため,偏波ごとに独立してモードを制御する構造について検討したので報告する.
9月16日 9:00〜10:15 Meeting 13 座長 山ヶ城尚志(富士通アドバンストテクノロジ)
B-1-48 |
小形球ヘリカルアンテナの放射抵抗
◎藤田佳祐(前橋工科大) |
B-1-49 |
境界積分法を用いた複雑なモデルの電磁界推定
○中村通義・宇野 亨・有馬卓司(東京農工大) |
B-1-50 |
積分方程式を用いた電界および電流分布の推定法に関する研究
◎岩谷茉衣子・宇野 亨・有馬卓司(東京農工大) |
B-1-51 |
二次元ARMAを適用したFDTD法による遠方界解析の高速計算
◎中尾晃大・有馬卓司・宇野 亨(東京農工大) |
B-1-52 |
FDTD法と畳み込みニューラルネットワークによるアレイアンテナのパラメータ予測
○Pieter van Wyk・松本昇紘・吉敷由起子・淺沼雅行(構造計画研) |
アンテナを小型化していくと,放射効率や帯域幅などの性能が劣化してしまうので,理論的最大放射効率に近い性能を目指した球ヘリカルアンテナが提案されている.より小型化を進めていくと放射抵抗が小さくマッチング機構の設計が必要となるので,本報告では球ヘリカルアンテナの放射抵抗を球面波展開の近似計算から求めることによって,単純な数式として表現する.結果として得られた近似式では,電流のθ成分とφ成分の比及びアンテナサイズによって放射抵抗が決まる.モーメント法によるシミュレーション結果との比較から,どちらの放射抵抗もアンテナサイズによって増大する傾向を示すことがわかった.
現代の生活に必要不可欠なスマートフォンやタブレットなどの情報端末には,電磁波によってデータの送受信を行っている.しかしながら,電磁波が人体にばく露されると,吸収されたエネルギーによる熱作用で体温上昇などの影響が現れる.そのため,電磁波の安全性を検証する必要があり,安全性の評価には主にSAR(specific absorption rate)が用いられている.SARの測定にはファントム内部の電界の値が必要である.ファントム周辺の電界を計測し,その結果からモーメント法を用いて内部の電界の計算を行う手法がある.[1]この手法の利点は非侵襲に内部の電界の計算を行う事が出来る点である.この手法は平板や球といった簡単なモデルについて有効性は確認されているが,複雑なモデルに関しては有効性が確認されていない.そのため本稿ではより複雑なモデルに関して検討を行った.
現在,電波が用いられている製品は広汎に使用されており,電子機器から漏れた電波による他の電子機器への干渉も懸念されている.このような問題を解決するため,電子機器等で用いられているアンテナの動作の解明や,電子機器が放射する不要電磁波の位置の特定・低減・除去を行う必要がある.測定においてプローブが波源の近傍に近づくことでプローブと波源がカップリングし,実際の電磁波の振る舞いを妨害する恐れがある.そのため,構造内部の電磁界分布を非侵襲で推定する技術が求められている.本研究では,積分方程式を立式してアンテナの放射電界から波源の電流分布を推定することを目的とする.
低周波問題, 伝搬モデリング, レーダーモデリングなど様々な数値電磁界解析においてFDTD法が広く使用されている. FDTD法は, アルゴリズムが単純であり実用的な精度が得られる一方で, 複雑なモデルを扱う場合は膨大な計算が必要となる. これまで, 計算量を削減するために, 自己回帰移動平均(ARMA, autoregressive moving average)モデルを用いて収束値を推定する手法が提案され, 有効性が確認されている. しかし, 遠方界解析では時間-空間の多次元データが必要となることから, ARMAは適用されていない. 本研究では, 二次元ARMAをFDTD法遠方界解析に適用し, 通常のFDTD法との比較を行うことで, 計算コスト, 精度の面から有効性を確認した.
深層学習の手法の一つである畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network : CNN)は,大量のラベル付きデータを与えることで空間的な相関を持つ特徴量を見つけ出し,データを分類することが可能にする.一方,マックスウェル方程式を離散化して時間領域で解くFDTD法は,ハードウェアの進歩により高速な計算が可能となっている.このため,FDTD法によって深層学習に必要な大量のデータを準備する環境は整っているといえる.そこで本稿では,任意の放射パターンを持つアンテナを深層学習によって設計するという目標へ,CNN を使用して8 素子のパッチアンテナアレイの放射パターンから,各素子の位相を予測することを試みた.
9月17日 9:00〜11:45 Meeting 13 座長 山岸 傑(住友電工)
B-1-53 |
金属平板間に設置した金属近接ロバストアンテナに関する一検討
○中川雄太・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-54 |
内部に折返しダイポールアンテナを設置したスロットを有する金属筐体の小型化に関する検討
◎蒲生城久・松林一也・道下尚文(防衛大)・松本一弘・菱川哲也(パナソニック)・森下 久(防衛大) |
B-1-55 |
グリッド板をH文字にしたMACKEYの検討
◎袴田幸汰・田村俊樹・宮下圭介・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
B-1-56 |
逆L型アンテナを給電素子に用いた不平衡型MACKEYの検討
◎宮下圭介・田村俊樹・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
B-1-57 |
MACKEY S1型の広帯域化に関する検討
◎田村俊樹・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
アンテナのインピーダンス特性は近接物体の影響を強く受けることが知られている.この問題に対し,アンテナの入力インピーダンスを適切に選択し,アンテナに近接する金属体の影響を低減できることが報告されている.本稿では,金属平板間に設置した折り返しモノポールアンテナに対して,金属平板が与える影響について検討する.
内部に折返しダイポールアンテナを設置した2つのスロットを有する金属筐体について検討がなされており,2つの共振が発生しどちらも同様の放射特性が得られることがわかっている.本稿では,スロットを片面のみとし,内部アンテナの位置等の調整によるスロット付き金属筐体の小型化に関する検討を行う.
周囲の金属における影響を受けない小型アンテナとしてMACKEY(Meta-surface inspired Antenna Chip developed by KIT EOE Labo-ratory, 以下:基本型)[1]について考案し,自由空間および金属上でも動作可能なことを示した.本報告では,920MHz帯MACKEYの小型化を目的とする.グリッド基板をH文字にすることによって電流経路を長くし,小型化したH型について検討する.
周囲の金属による影響を受けにくい機能的小型アンテナとしてMACKEY(Meta-surface inspired Antenna Chip developed by KIT EOE Labo-ratory)を考案し,自由空間と金属上の両方で動作することを示した.本検討では,給電素子に逆L型アンテナを用いることによって,給電点を一つにした不平衡型MACKEYを提案する.不平衡型にすることによって,従来の平衡系のMACKEYよりも測定時間を短縮することができる.また,RFIDタグやアレー化への応用にも繋がると考えられる.
周囲の金属における影響を受けない小型アンテナとしてMACKEY(Meta-surface inspired Antenna Chip developed by KIT EOE Labo-ratory, 以下:基本型)について考案し,自由空間および金属上でも動作可能なことを示した.また片側を短絡させたMACKEY S1 typeを考案し,小型化可能なことを示した.本報告では,S1 typeの広帯域化を目的としたS1type Lについて検討を行う.
休 憩(10:30 再開) 座長 佐藤 浩(パナソニック)
B-1-58 |
メアンダ状素子を用いた電気磁気共振アンテナ
◎宮岸美有・野口啓介(金沢工大) |
B-1-59 |
金属円筒内に設置された容量装荷モノポールアンテナの放射特性
◎橋本隆宏・道下尚文・森下 久(防衛大)・越 隆之(小松製作所) |
B-1-60 |
頭部方向への放射を抑えた垂直偏波・無指向性の放射パターンを有するVHF帯ヘルメットアンテナの検討
○松林一也・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-61 |
スリット装荷による地中探査レーダ用ボウタイアンテナの小型化及び広帯域化に関する検討
◎瀧澤 洸・松林一也・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-62 |
折返しダイポールアンテナによる直方導体の特性モードの励振
◎西目 匠・道下尚文・森下 久(防衛大) |
人体に設置する有指向性の小形アンテナとして電気磁気共振アンテナを扱い,メアンダ状素子による小型化を検討している.アンテナは3つの素子から成り,2本のメアンダ状の電気型無給電素子とループ状の磁気型無給電素子,およびそれらを励振させるための直線状無給電素子で構成した.各素子のパラメータが及ぼすアンテナ特性について解析している.
近年,様々な形状や大きさの金属体を無線で管理するため,小型で金属に取り付け可能なRFIDタグ用アンテナが検討されている.また,金属円筒内に配置されたRFIDタグ用アンテナの放射特性についても検討されている.しかし,金属閉空間かつ金属円柱上部へ設置可能なアンテナに関する検討はない.本稿では,自動車のオイルタンク内で用いる消耗部品をRFIDシステムで管理することを想定し,金属円筒内に設置された容量装荷モノポールアンテナの放射特性について検討した.
低姿勢で垂直偏波・無指向性の放射パターンを有するアンテナとして,容量装荷モノポールアンテナが広く使用されている.本稿では,容量装荷モノポールアンテナをヘルメットアンテナに適用することで,垂直偏波で無指向性の放射パターンを有するVHF帯のヘルメットアンテナについて検討した.さらに,スリットを装荷し,縁を短絡することで頭部方向への放射の低減を検討したので報告する.
地中探査レーダ用のアンテナとして小型であること及び広帯域特性を有することが求められる.小型で広帯域なアンテナの一つとして折返し構造ボウタイアンテナが報告されている.折返し構造ボウタイアンテナは,地板上に設置し,給電部の形状を変更することで,50 の給電線路に整合させることが可能である.また,折返し構造ボウタイアンテナに水平なスリットを装荷するとで,アンテナの小型化が可能である.本稿では,折返し構造ボウタイアンテナに装荷するスリット形状を変更することによる,更なる小型化及び広帯域化について検討する.
アンテナの小型化に伴う放射効率低下や狭帯域化を改善するために,特性モード解析(Characteristics Mode Analysis)による金属筐体の特性モード励振法が検討されている.筐体上の所望の電流分布を励振する励振素子としては逆Fアンテナが採用されている.本稿では,直方導体上に折返しダイポールアンテナを配置したときの放射特性を検討する.直方導体上にて折返しダイポールを折曲げたとき,放射パターンが変化して直方導体からの放射が主となることが解析結果から得られた.また,放射効率は無限地板上から48%改善した.特性モード解析の結果より,アンテナを折曲げたときに直方導体が持つ特性モードが強く励振され,直方導体が放射器として働いていると考えられる.
9月17日 13:00〜17:00 Meeting 13 座長 竹村暢康(日本工大)
B-1-63 |
ループ線路直下に配置したNFC用小形ソレノイドアンテナの伝送特性
吉良優也・中村亮公・○長 敬三(千葉工大) |
B-1-64 |
バックローブを抑圧した2周波共用小形円偏波アンテナ
◎坂本寛明・牧村英俊・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-65 |
特性モード解析を用いた2素子平板逆Fアンテナのデカップリング手法の考察
◎フン クァン クァン・道下尚文(防衛大)・佐藤 浩・小柳芳雄(パナソニック)・森下 久(防衛大) |
B-1-66 |
AMCを放射体とした小形アンテナの素子間相互結合に関する検討
○吉川博道・平松信樹・内村弘志・米原正道(京セラ) |
B-1-67 |
偶奇モード解析を用いた対称構造アンテナ間の電磁結合低減検討
○佐藤 浩(パナソニック)・QUANG QUAN PHUNG(防衛大)・江口和弘・小柳芳雄(パナソニック)・森下 久(防衛大) |
近年の電子決済の普及に伴いNFC(Near field communication)が携帯端末に広く搭載されている.一方端末の小形かつ高機能化に伴い部品の小型化が求められており,NFC用小形アンテナとしてソレノイドアンテナが開発されている.しかしこのアンテナを携帯端末に内蔵してNFCで広く用いられるループアンテナにかざす場合,ソレノイドがループ面に平行になるため伝送特性が劣化する.本報告では,小形ソレノイドをループアンテナの線路の直下に直交に配置することにより,ループ面に平行に配置してかざした場合でも伝送特性を改善できることを有限要素法解析により示す.
これまでの発表では,電流源と磁流源を組み合わせることでバックローブの抑圧が可能な小形円偏波アンテナに関して述べた.本発表では,提案手法を2周波に拡張した小形円偏波アンテナの検討結果について述べる.
近年,Massive MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)が次世代通信の要素技術として検討されており,アンテナの素子間相互結合の低減 (以下,デカップリングと呼ぶ) が重要となっている.デカップリングには,ブリッジ素子や回路素子を用いた手法が提案されている.本稿では,より多くのアンテナ素子に対応できるようにアンテナ素子の寸法を変更せず,無給電素子のみの調整によるデカップリング手法を提案した.また特性モード解析を用いて定量的に考察した.
近年、IoTを想定した多元接続が規格化され、その普及が進んできている。IoTのセンサーデバイス用のアンテナとして、金属上へのアンテナ設置を目的としたAMC (Artificial Magnetic Conductor) を放射体とした低背な小形アンテナを提案してきた。一方、センサーデバイスを近接配置させる状況では、アンテナ素子間相互結合の低減が課題となる。本報告では、提案したAMCアンテナの素子間相互結合と相関係数について検討を行う。
2素子モノポールアンテナ間の結合低減の設計手法に偶奇モード解析を取り入れることで,集中定数部品を用いなくても整合条件が得られる低結合アンテナの構造を求める.偶モード解析により整合に必要なアンテナ長を求めた後,奇モード解析によりbridge line接続の構造を求めることで,アンテナ間の低結合化のための構造検討と,整合を確保するための構造を独立して設計可能である.
休 憩(14:30 再開) 座長 桧垣 誠(東芝)
B-1-68 |
60GHz帯導波管スロットアレー並列給電回路用H面T分岐の形状最適化による広帯域化設計
◎倉本 航・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-69 |
六角形スロット層と円形スロット層を用いた並列給電アレー用4層構造円偏波素子の設計
◎西本広希・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-70 |
誘電体基板上に形成した寄生素子を備えた導波管狭壁スロットアレー
○中本成洋・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-71 |
導波管スロットアレーの隙間からの再放射を抑圧するチョーク構造
◎上坂昂司・宇野 孝・中本成洋・深沢 徹・稲沢良夫・山本剛司・柿元生也(三菱電機)・小西善彦(広島工大) |
B-1-72 |
樹脂導波管スロットアレーのパターン劣化を低減する樹脂導波管底面構造の検討
◎宇野 孝・上坂昂司・中本成洋・深沢 徹・稲沢良夫・山本剛司・柿元生也(三菱電機)・小西善彦(広島工大) |
著者らは,導波管スロットアレーアンテナの並列給電回路におけるH面T分岐の形状最適化手法を提案した。この研究は350 GHz帯で設計しており、エッチング精度の高いシリコンウエハを用いた製作を想定していた。本稿では他の周波数帯への適応を目的として、60GHz帯導波管スロットアレーにおけるH面T分岐の広帯域化設計を行った。この周波数帯では従来の銅板エッチングを用いているため、エッチング精度を考慮して形状を調整する必要がある。管幅の長さを変化させて形状を最適化した結果、管幅3.0 mm のときに比帯域24.3%を実現した。従来構造よりも比帯域が6.6%広がった。
本稿では,短絡終端方形導波管広壁上直線スロットより,2層の縮退分離型六角形スロット層を励振させ,最後に円形スロット層で4素子に電力を分配して円偏波を放射させる構造を60GHz帯において設計した.縮退分離型六角形断面の導波管構造で円偏波を放射させた場合,(直交する2モードの位相定数の差)×(導波管長)が位相量の差となるため,広帯域の軸比を得るためには,導波管長を大きくしなければならない.本稿では,六角形スロットを2層用いて,高さの小さい素子で広帯域の軸比を得たことを報告する.結果,軸比が3.0以下の帯域は,56.9―64.2GHz(比帯域12.1%),VSWRが2.0以下の帯域は,58.0―63.6GHz (比帯域9.2%)が得た.
管軸方向に垂直なスロットを導波管狭壁に設けた導波管狭壁スロットでは,従来,スロット近傍にワイヤやア
イリスを設ける構造がとられるが,製造性に課題がある.筆者らは,製造性向上のため,基板上に形成したダイ
ポール状寄生素子を用いてスロットを励振する方法を提案している.本稿では,本提案スロットを複数配列し,ス
ロットアレーとしての実現性を検証した結果について示す.
レーダ分野や通信分野の高性能化に伴い,高効率かつ低サイドローブ,低交差偏波特性を持つ二重偏波のフェーズ
ドアレーアンテナが求められている.筆者らは,それらの特性を有するアンテナとして,樹脂導波管スロットアレー
アンテナを開発しており,高性能かつ軽量,低コストを目指している.本アンテナは複数のアンテナユニットを配列することで構成される.アンテナユニットの間には隙間が存在し,水平偏波アンテナにおいて,隙間から電波が再放射されためサイドローブレベルが上昇するという課題がある.本稿では,チョーク構造を利用して隙間からの再放射を抑圧する検討について報告する.
従来の導波管スロットアレーに比べて,低コスト・軽量な射出成型による直交二偏波樹脂導波管スロットアレーを開発している.樹脂導波管は,金属導波管より熱収縮が大きいため,歪みによる電気特性の劣化が顕著になる.本稿では,樹脂導波管の歪みで生じる間隙からの再放射によるパターン劣化を低減する樹脂導波管底面構造を提案する.目標サイドローブレベル-30 dB以下の直交二偏波樹脂導波管スロットアレーの垂直偏波アンテナに提案構造を適用し,本構造の有効性を示す.
休 憩(16:00 再開) 座長 木村雄一(埼玉大)
B-1-73 |
高次モード抑圧フィルタを装荷した4周波共用分岐モノポールアンテナのスケールモデル測定
○山浦真悟・西本研悟・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機) |
B-1-74 |
VHF帯心拍センサの検知範囲拡大の一検討
◎和田紗希・西本研悟・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-75 |
地中に埋めた無線センサノード用920MHz帯アンテナ
○岡田直樹・越水脩司・島崎仁司(京都工繊大) |
B-1-76 |
新幹線向け架線電圧検知/無線通信共用アンテナの低背化に関する検討
○牧村英俊・西本研悟・圷 浩行・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機)・松村善洋・笹木栄志・西山武志(JR東海) |
筆者らは,高次モードを抑圧するためにフィルタを装荷し,水平面前方方向における利得の安定化を図った低周波帯(MF~VHF帯)向け4周波共用分岐モノポールアンテナを提案している.本稿では,提案アンテナの有効性及び設計の妥当性を確認するため,スケールモデルの解析と測定を行い,解析値と測定値を比較した結果を報告する.
筆者らは,低放射効率のVHF帯小形ループアンテナを人体に近接設置することで周囲物体からの電波の反射の影響を低減し,かつ,可変整合回路を適応的に制御して人体を含む周囲物体の影響を低減した非接触心拍センサを提案してきたが,心臓の拍動位置とアンテナ位置がずれると心拍検知精度が大幅に低下する問題があった.本発表では,検知範囲拡大を目的とした,アンテナ素子形状および給電方法の基礎検討結果を報告する.
本研究では,地中に埋めた無線センサノード用の 920MHz帯軸モードヘリカルアンテナを設計し,まず自由空間と地中における放射特性について,解析を行い比較した.地中でのアンテナの放射特性から,自由空間に比べて地上方向への放射が全体的に弱くなり,放射が大きく減少する角度が複数現れた.その結果を基に,アンテナの地導体板に壁を加えて誘電体内に設置した.得られた放射特性を見ると,地上方向へほぼ一様に放射され,放射量も大きくなった.本アンテナは,地中内部で環境データを測定するようなセンサを無線ネットワークに接続する際に役立ち,センサと一括で地中に設置することで,農作業を妨げることなく測定が可能となる.
新幹線用の架線電圧検知/無線通信共用アンテナは, 車両の屋根から突起しているため騒音源となっており,低騒音化が要求されている.低騒音化のためには低背化が有効である.低背化に適したアンテナ構成として,放射導体の先端を切り欠いた逆Fアンテナを提案し,その有効性を計算により確認した結果を報告する.
9月18日 9:00〜11:45 Meeting 13 座長 山本 学(北大)
B-1-77 |
柔らかい基板を用いたデュアルバンド板状逆Fアンテナ
◎西 百合恵・島崎仁司(京都工繊大) |
B-1-78 |
Lプローブ給電されたバラクタ装荷片側短絡マイクロストリップアンテナの小型化に関する一検討
◎本多祥平・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-79 |
直交偏波共用Lプローブ給電広帯域2周波多リング型マイクロストリップアンテナの素子間相互結合に関する一検討
◎△木村雄樹・斉藤作義・木村雄一(埼玉大)・立松雅大(TDK) |
B-1-80 |
導電性繊維で形成された電磁結合給電型マイクロストリップパッチアンテナのシミュレーションによる刺繍量削減検討
◎市川大暉・前田忠彦(立命館大) |
B-1-81 |
導電性繊維で形成された電磁結合給電型マイクロストリップパッチアンテナの地板刺繍量削減モデルにおける反射特性
○藤山大輝・市川大暉・前田忠彦(立命館大) |
本報告では,ウェアラブルデバイスのアンテナに適した基板材料を用いてデュアルバンドで動作するアンテナを設計し,作製,および測定を行っている.本報告で取り扱うアンテナは,動作周波数として,特定小電力無線に割り当たられた920 MHz帯、ならびにGPS帯として使用されている1575 MHzの2つの周波数帯を選択したデュアルバンド板状逆Fアンテナである.シミュレーションソフトを使用して設計し,実際にシリコンゴムシートを用いてアンテナを作製している.そして,反射特性,および放射パターンを測定し,シミュレーション結果と比較して,2つの周波数帯において動作することを確認している.
バラクタダイオードを装荷した周波数制御多リング形マイクロストリップアンテナ(MSA)については、種々の研究が成されている[1][2]。また、この周波数制御MSAの小型化を目的として、片側短絡によるリング形素子の小型化が検討されている[3][5]。そこで、本稿ではバラクタ装荷平面アンテナの更なる小型化を目的として、MSA素子とLプローブを折り曲げ構造としたバラクタ装荷片側短絡MSAにつき実験により検討を加えたので、ここに報告する。
マイクロストリップアンテナ(MSA)は小型・薄型・軽量・安価という特長を有し多面的な研究が行われている。Lプローブにより給電される多リング形MSAはマルチバンド特性を有するMSAとして良好な特性を示す 。このLプローブ給電リング形MSAに中心周波数の約0.1波長程度の厚さを有する誘電体基板を用いると広帯域特性が得られ、2個のリング形MSAを配置すると2周波帯において広帯域特性が得られる。さらに、2個のLプローブを直交する位置に配置すると直交偏波共用化が可能となり、放射素子中央にビアを装荷することにより2ポート間のアイソレーション特性を改善することが可能である。本稿では、このポート間のアイソレーション特性を改善した直交偏波共用2周波広帯域MSAを素子配列した場合の素子間相互結合について述べる。
導電性繊維を用いて形成する電磁結合給電型マイクロストリップパッチアンテナの放射素子について, 電流方向にのみ刺繍形成することで約75% 導電性繊維を削減しても放射特性への影響が少ないことを明らかにした. 本報告では, 最適な刺繍量削減検討のため同アンテナの放射素子及び地板について, FDTD 法を用い導電率を変更し計算を行うことで, 隣接する導電性繊維の接続必要性の検討を行ったため報告する.
近年, 衣類に装着して使用されることを想定したウェアラブルデバイスの構成素材として導電性繊維が注目されている. また, 導電性繊維で形成されたテキスタイルアンテナとして, 電磁結合給電型マイクロストリップパッチアンテナが研究されている. テキスタイルアンテナでは, 柔軟性やコスト面から刺繍量を削減することが望まれており, マイクロストリップパッチアンテナの地板刺繍量を削減し, 全体で約65%削減したモデルが提案されている. 本報告では, 地板刺繍量削減モデルを模擬した構造をFDTD 法を用いて解析し, 計算面から反射特性評価を行った.
休 憩(10:30 再開) 座長 笹森崇行(北海学園大)
B-1-82 |
管軸に垂直な偏波を放射する導波管狭壁面上の平面アレーアンテナの進行波励振アレー設計に関する一検討
◎保前俊稀・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-83 |
マイクロストリップアンテナの近傍に置かれた金属ポストが放射指向特性に与える影響に関する検討−H面放射特性−
◎今井 亨・松井章典(埼玉工大) |
B-1-84 |
ミリ波帯円偏波広角ビーム走査フェーズドアレー向けキャビティ付きパッチアンテナ
◎池田峻一・横川 佳・中本成洋・深沢 徹・大塚昌孝・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-85 |
6ポート電力分配器を用いて給電した小型偏波共用パッチアンテナ
○佐野 誠・橋本 紘(東芝) |
B-1-86 |
920MHz帯環状パッチ円偏波アンテナ
◎長谷川 優・袖長翔太・島崎仁司(京都工繊大) |
導波管の管軸に対して垂直な偏波を放射するスロットアレーを構成するため、方形導波管の狭壁面上に管軸に対して平行なスロットを1管内波長間隔で配列するとグレーティングローブが発生する。これに対して、1管内波長間隔で配列された方形導波管の狭壁面のスロット上にマイクロストリップアンテナ(MSA)を配置してグレーティングローブを抑制する平面アレーアンテナが提案されている。その構成法を用いた3素子定在波励振アレーアンテナは、グレーティングローブが抑制された良好な放射パターンを示すことが報告されている。そこで、本稿ではこの構成法を用いた進行波励振アレーアンテナの設計について検討を加えたので、ここに報告する。
マイクロストリップアンテナ(MSA)の近傍に置かれた金属ポストが放射特性に与える影響についての検討を以前に行った.
その報告ではE面における調査を中心に行い報告した.
本報告ではH面における金属ポストの影響について述べる.
移動体衛星通信において,将来的にミリ波帯電子走査アレーアンテナの利用が計画されている.素子アンテナ方式の候補としてキャビティ付きパッチアンテナが挙げられるが,大規模アレーを構成した場合,製造工数が増大するだけでなく,波長に対する基板固定用のねじの大きさが無視できず,広角ビーム走査時にアンテナ特性が劣化するという課題があった.これに対し,筆者らは,アンテナ構成要素をはんだ接合により一体化することで,ねじ止めを不要としたアンテナ素子を提案している.本稿では,当該アンテナを試作・評価した結果を報告する.
直交直線偏波共用パッチアンテナは4点給電することでポート間アイソレーションおよび交さ偏波識別度を向上できるが,給電回路が大きいためアレー化すると素子間隔が広くなるという欠点がある.本稿では,2入力・4出力の小型な6ポート電力分配器を用いて給電した小型な直交直線偏波共用パッチアンテナの設計結果を示す.
本報告では,920 MHz帯環状パッチ円偏波アンテナを設計・解析および作製した.このアンテナは,FR-4基板上の円形パッチ導体から同心円状に導体を取り去ってリング状にしたものを放射導体とし,設けたスリットにより円偏波が放射される.測定結果として,反射係数及び軸比を示し,作製したアンテナは960 MHz ~ 975 MHzの範囲で左旋円偏波が放射されることを確認した.また,有限要素法に基づくシミュレーション結果と比較すると,作製したアンテナの動作帯域は30 MHz ~ 40 MHz程高いことが分かった.本アンテナは円環内部に導体突起物が存在するような応用を念頭に置いている.
9月18日 13:00〜14:00 Meeting 12 座長 深沢 徹(三菱電機)
B-1-87 |
4個の無給電素子の装荷による広帯域Haloアンテナの細径化に関する検討
◎水谷智一・松林一也・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-88 |
EVMを用いた低レベルPIM測定における補正方法の検討
○毛利 檀・井上祐樹・木村泰子・井原泰介(NTTドコモ) |
B-1-89 |
任意の2素子アンテナに適用可能な2周波共用減結合回路
○西本研悟・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-90 |
導波管2面ハイブリッド結合器の結合領域分割化による2周波数帯動作設計
○陳 詩皓・戸村 崇・広川二郎(東工大)・伊藤耕大・菅 瑞紀・白戸裕史・内田大誠・北 直樹(NTT) |
2巻先端開放ループアンテナ(Haloアンテナ)は,1波長方形ループアンテナを円筒状に折り曲げたもので,水平偏波で無指向性の特性を有する.このHaloアンテナの鉛直方向に2個の無給電素子を装荷することで,細径で広帯域のアンテナが報告されている.ここでは,4個の無給電素子を装荷することで,アンテナ素子径の更なる細径化について検討する.
移動通信の基地局において,FDD-LTEとTDD-NRを周波数共用する場合,相互変調歪み (PIM:Passive Inter Modulation ) が発生し,上り受信レベルを劣化させることから,微弱なレベルのPIM測定が必要となる.そこで,エラーベクトル振幅(EVM: Error Vector Magnitude)測定値からPIMを検出する手法が提案されているが,微弱なPIMを測定する際に,参照信号源である信号発生器や測定器の内部で生じる波形歪みが深刻な誤差を生じるという課題があった。本検討では、上記の波形歪みを補正する方法を提案し,検証試験を行う.
無線通信システムの高速化,高品質化に伴って,MIMOやダイバーシチを適用するために,相互結合の低い複数のアンテナ素子を小さい領域に配置する技術への要求が高まっている.また,複数の周波数帯への対応も求められており,2素子アンテナ用の2周波低結合化方法が検討されているが,任意の2素子アンテナに適用できない,伝送線路を組み合わせているため回路サイズが大きいという課題があった.ここでは,任意の2素子アンテナに適用可能な,集中定数素子のみから構成された2周波共用減結合回路を提案し,計算により有効性を確認した結果を示す.
従来の2面ハイブリッド結合器の結合領域断面形状に2次元の任意形状を適用し、結合領域内における伝搬するモードを制御することによって、現在の2面ハイブリッド結合器の比帯域は 7.2%になった。本報告は、2面ハイブリッド結合器の結合領域を二つの領域に分割し、主に用いる伝搬モードが現在の帯域より高い周波側における結合量を向上させ、高次側に第2の帯域を設計する方法を提案し、設計した結果を示す。
9月18日 13:15〜16:45 Meeting 13 座長 広川二郎(東工大)
[English Session I]
B-1-91 |
An example of Antenna Design using Bayesian Optimization based on Data
○Yuanfeng She(AIST)・Bo Da(NIMS) |
B-1-92 |
Design of a Beam Switchable Self-Oscillating Active Integrated Array Antenna Using a Microstrip Line Gunn Oscillator and Planar Magic-Ts
○Maodudul Hasan・Eisuke Nishiyama・Ichihiko Toyoda(Saga Univ.) |
B-1-93 |
Dual-polarized Omni Antenna for Sub6 Base Station
◎Sirao Wu(Tohoku Univ.)・Lin Wang・Tetsu Kou(Nihon Dengyo Kosaku)・Qiang Chen(Tohoku Univ.) |
A dipole array as the parasitic element, as shown in Fig. 1 is targeted in the antenna design. The data of the elements are set by the simulation. An electromagnetic field analysis software can analyze the effect of the design of dipole elements (parasitic elements) on the radiation characteristics. We select Bayesian optimization with a small amount of data in the Gaussian process (GP) part. The learning data created by the simulator and the Bayesian optimization and simulation are alternately used for optimization.
In this paper, design of a beam switchable self-oscillating active integrated array antenna(AIAA) is proposed for X-band applications. The proposed AIAA consists of four linearly polarized microstrip antenna elements, a dual-feed network using two planar magic-Ts, two single-pole single-throw (SPST) switches and a Gunn oscillator. The proposed antenna can switch beam between sum and difference pattern by using SPST switches.
In the fifth-generation (5G) wireless communications, the frequency band is divided into Sub6 and millimeter wave bands. Compared with millimeter wave, sub6 has some advantages such as wide coverage, and low cost. It is a challenge to develop the antennas for sub6 base stations, which are wide-band, high gain and compact. In this report, a series fed dual-polarized omni base station antenna with a compact size is presented. By implementing 3 planar antenna arrays in 3 sectional directions, omni radiation pattern in horizontal plane is obtained.
休 憩(14:15 再開) 座長 福迫 武(熊本大)
[English Session II]
B-1-94 |
An evaluation of improving patch antenna gain by use of four slots on ground plane
○HoYu Lin・Hideki Omote(Softbank) |
B-1-95 |
Efficient Analysis and Wideband Design of a Tripe-Layer 2×2-Element Slot Array
○△Shuang Ji・Takashi Tomura・Jiro Hirokawa(Tokyo Tech) |
B-1-96 |
The Effect of Rotational Dependence on Transmission Characteristics of Radial Line Slotted Array Antennas
○Tuchjuta Ruckkwaen・Takashi Tomura・Jiro Hirokawa(Tokyo Tech) |
B-1-97 |
Transmission in Rectangular-Coordinate Orthogonal Multiplexing by Excitation Optimization of Slot Arrays Based on the Scattering Parameters
○Baoquan Duan・Takashi Tomura・Jiro Hirokawa(Tokyo Tech) |
Patch antenna is one of the most common directional antennas in wireless communications. Moreover, the performance of patch antennas can be varied in accordance with the combination of reflectors and directors. However, as we know the dielectric substrate and the presence of ground plane affect the antenna performance and resonant frequency is shifted. In this report, we introduce two-pairs slots to embed into the ground plane for improving the antenna performance, the simulated results are presented and discussed.
In this paper, the eigenmode analysis is conducted on a triple-layer 2×2-element slot antenna. By applying Galerkin’s method of moments, the solution of the antenna characteristic is acquired faster than in a commercial electromagnetic software. Combined with a genetic algorithm, the dimension of the model is optimized and a wide refection bandwidth is obtained.
Near-field communication using a radial line slot array (RLSA) antenna is presented in [1]. The antennas suffer from the reduction in transmission power due to the multiple reflection in near-field region [2]. This study investigates the effect of RLSA antenna rotation on its transmission characteristics
To increase the transmission rate, various multiplexing techniques such as MIMO using millimeter-wave are being widely researched as well as two-dimensional rectangular-coordinate orthogonal multiplexing (ROM) antenna system for non-far region communication. Transmission enhancement for a given propagation distance by excitation optimization was proposed. However, the system was analyzed by replacing the array elements with infinitesimal small dipoles, and the effect of the mutual coupling among these dipoles was not considered. This paper presents a new method to get the best excitation distribution by using the scattering parameters including the mutual coupling.
休 憩(15:30 再開) 座長 陳 強(東北大)
[シニア セッション]
B-1-98 |
幅広構造のテ-パ-スロットアンテナ
○倉本晶夫・横山嘉保(NECプラットフォームズ) |
B-1-99 |
ニュートン・ラフソン法を用いた複数波源の到来波方向推定
○本田和博(富山大) |
B-1-100 |
D帯OAMモード・偏波多重無線屋外伝送実験
○平部正司・善久竜滋・宮元裕章・生田耕嗣・佐々木英作(NEC) |
B-1-101 |
Walfisch-Bertoniモデルの高周波数帯への拡張検討
○山田 渉・久野伸晃・中村光貴・佐々木元晴(NTT) |
B-1-102 |
5Gにおける建物占有面積率を用いたマクロセル用パスロスモデルの検討
○北尾光司郎・今井哲朗・猪又 稔・須山 聡・小田恭弘(NTTドコモ) |
電波監視等に用いる広帯域・高利得のパラボラアンテナを実現するために,周波数変化に対するビーム幅変化の少ない一次放射器が必要になる.先に,広帯域な入力インピ-ダンス特性を有するテーパスロットアンテナを幅広構造とすることで,ビーム幅変化を緩和できることを示した.今回,実験により良好な結果が得られたので報告する.
ニュートン・ラフソン法を用いた3次元到来波方向の推定方法について検討している.本研究では複数の波源が存在する際の推定方法について検討したので報告する.
我々は,大容量無線伝送を実現する手段として,電磁界の軌道角運動量(OAM:Orbital Angular Momentum)による多重無線伝送方式の検討を行い,これまで円形アレーアンテナを用いたミリ波におけるOAMモード多重無線伝送の開発を行ってきた.今回,D帯におけるOAMモード・偏波多重無線屋外伝送実験で256QAMの16多重による100m伝送を実現したので報告する.
次世代移動通信ではより大容量の通信を可能となる300GHzまでの活用が想定されている.筆者らはこれまでに屋根越え伝搬環境で広く使われているWalfisch-Ikegamiモデルの周波数拡張について取り組んできた.本報告では.WIモデルやWalfisch-Bertoniモデルを周波数拡張する際に問題となる距離適用時の課題を解決するモデルについて報告する.
5Gでは,従来と同様に,6GHz以下の電波が利用される.移動通信システムのエリア設計には、多様な環境をカバーするパスロスモデルが必要である.マクロセル環境において,高精度にパスロス推定を行うためには,基準となる市街地用モデルに建物占有率を用いた補正式を適用する手法が有効である.本稿では,5Gにおけるマクロセル環境用の一般的なモデルであるITU-R M. 2412のベースであるITU-R M. 2135記載のパスロスモデルに対する建物占有面積率を用いた補正式について,測定データをもとに検討した.
B-1. アンテナ・伝播C(アンテナシステム)
9月15日 9:15〜11:45 Meeting 12 座長 井上祐樹(NTTドコモ)
B-1-103 |
車車間通信におけるMIMO伝送容量解析
◎向山功望・本田和博(富山大) |
B-1-104 |
パス数設定機能を有した大規模MIMOモンテカルロ解析法
◎大坪海翔・小川晃一・本田和博(富山大) |
B-1-105 |
マルチユーザMIMOにおけるブロックビームフォーミングに対する素子指向性の影響
◎小川純平・菊間信良・榊原久二男・杉本義喜(名工大) |
B-1-106 |
地上波放送における偏波MIMOギャップフィラーによる受信エリア拡大
◎田中健太郎・藤元美俊(福井大) |
OTA評価装置を用いて車載アンテナの性能評価を行うには市街地における伝搬環境をエミュレータに実装する必要がある.本研究では,市街地をモデル化して電波伝搬シミュレーションを行い,必要な到来波特性を導出し,MIMO伝送容量解析を行った.
少ない散乱体をランダム配置することによってチャネル応答行列をフルランクにし,計算時間を大幅に短縮できるモンテカルロ解析法が提案されている.しかし提案法は伝搬環境に応じたパス数を設定することができなかった.本論文では,乱数の相関制御によるパス数の設定方法について述べる.
マルチユーザMIMO通信の下り回線の線形制御技術として,BD(Block Diagonalization)法及びブロック最大SNR(BMSN:Block Maximum Signal-to-Noise ration)法が提案されている.本研究では,これらのブロックビームフォーミング機能をもつ線形制御法に対する素子指向性の影響を検討する.
衛星4K,8K放送の実用化に伴い,地上波放送による4K,8K放送が検討されている.地上波4K,8K放送の実現に向けて,MIMO伝送と偏波の直交性を用いた偏波MIMO伝送の導入が検討されている.しかし,偏波MIMOは見通し外環境で伝送品質が低下する.そこで,中継器を用いて伝送特性を改善する図1のような偏波MIMOギャップフィラーが検討されている.
本報告では中継器から再送信を行う際の,効率的な指向性について検討する.
休 憩(10:30 再開) 座長 本間尚樹(岩手大)
B-1-107 |
移相器制御に基づく送受積時間変調アレーの位相切替効率化
○紀平一成・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-108 |
単一面の平面近傍界振幅分布を用いた適切な初期位相設定による高利得ビームチルトアンテナの遠方界推定法
◎杉本義喜・榊原久二男・菊間信良(名工大) |
B-1-109 |
市街地でのITS通信におけるアダプティブアレーの干渉抑圧効果
○佐々木翔太郎・藤元美俊(福井大)・河合克敏・飯沼敏範(京セラ) |
B-1-110 |
複数の所望信号に人工雑音が混入する環境における干渉抑圧システムの効果
○清水優也・藤元美俊(福井大) |
B-1-111 |
HAPSシステムにおけるフットプリント固定を実現するサービスリンクアンテナの試作及び評価
○須藤渉一・星野兼次・太田喜元(ソフトバンク) |
著者らは移相器による送受積時間変調アレーアンテナを提案している.これは送信側と受信側で協調して各素子アンテナに与える位相分布を時分割で切り替え,時間平均により等価的に振幅制御を実現する技術である.本報告では,位相切替の効率化方法を提案する.
本報告では位相再構成法を行う際の位相分布の初期解を適切に設定することで,極近傍界の振幅分布を用いて高利得ビームチルトアンテナの遠方界が推定できることを示す.
市街地伝搬環境での ITS通信におけるアダプティブアレーの効果評価をした. その結果, 見通し内(LoS)伝搬環境と見通し外(NLoS)伝搬環境のいずれにおいても,干渉端末数が素子数-1(アレーの自由度)未満であるときに安定して通信が行えることが確認できた.一方で, アレーの自由度を超えると,LoSよりもNLoSのSINRの方が高くなるということが確認できた.
近年広く利用されているスイッチング電源にはスイッチングノイズと呼ばれる人工雑音を発生させる性質があり,この人工雑音が様々なワイヤレス通信システムに干渉する可能性が懸念されている.この人工雑音を抑圧する手法として周波数シフトを用いた抑圧システムが提案されているが,所望信号が1波の場合のみ抑圧効果が確認されている.そこで本報告では複数のAM信号が到来する環境における抑圧システムの効果を確認する.
地上の携帯端末と直接通信する成層圏プラットフォーム(HAPS: High-Altitude Platform Station)において、十分な通信容量を確保するためにはサービスエリア内を複数セルで構成するマルチセル構成が必要である。ソーラープレーン等の無人航空機を用いたHAPSでは上空での旋回飛行により、地上に形成される複数セル(フットプリント(FP))が変動し多数の端末がハンドオーバを起こすことが課題である。この課題に対し筆者等はシリンダ型多素子アクティブフェーズドアレイアンテナを用いたFP固定制御方式を提案している。
本稿では上記提案方式の有効性を確認するため、提案方式の試作装置開発を行った。また、試作装置を用いた基礎実験評価結果よりFP固定制御が実装置で実現できることを示す。
9月15日 13:15〜17:00 Meeting 12 座長 本田和博(富山大)
B-1-112 |
送受信系を利用したAPAAの自己校正法の校正精度改善
○渡辺 光・紀平一成・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-113 |
寄生アンテナを用いた受電機フィードバック不要な筐体内無線電力伝送法の実験的評価
○村田健太郎・千田 司・近藤慎之介・本間尚樹(岩手大) |
B-1-114 |
偏波特性を考慮した電波到来方向推定システムの提案
滝沢正則・○布施匡章・河村尚志(アンリツ) |
B-1-115 |
3次元クラスター伝搬環境を実現するOTA評価装置
◎柄澤利哉・本田和博(富山大) |
筆者らは先に短時間で簡易的にアクティブフェーズドアレーアンテナ(以下、APAA)を校正する手法として、送受信系を利用した自己校正法を検討した。しかしながら、本自己校正法で素子間相互結合を取得する際の基準とする参照素子の校正ができないことや校正精度の改善が課題であった。 本稿では、APAAの自己校正法に関して素子間相互結合を取得する際の参照素子を複数回切り替えてそれぞれの校正値を算出し、これらの校正値を平均化した値で校正を行うことで上記課題を改善した結果を示す。
車両・産業機械内端末の電源配線レス化に向け,寄生アンテナ(Px)の負荷制御により金属筐体内の共振状態を変化させ,送受電アンテナ(Tx/Rx)間の伝達特性を改善する空洞共振無線電力伝送法(CRWPT)が提案されている.ただし従来法は,負荷最適化にRxの受信電力やSパラメータの情報を必要とし,端末が電池切れの場合,これらの情報をフィードバック不能となり適用不可となる.そこで著者らは,Rxフィードバック不要なCRWPTを提案し,その伝達特性改善効果を電磁界解析により明らかとしている.本論文では,提案法の有効性を実験的に評価した結果について報告する.
無線機からの到来波を受信し,その到来方向と電界強度を推定するためには,到来波と受信アンテナの偏波を一致させる必要がある.偏波が異なっている場合は,到来波の一部電力のみを受信することになり,受信地点の電界強度を正確に知ることが困難となる.このため,到来波の偏波が未知である場合は,直交する3偏波を受信可能なアンテナを用いる必要がある.偏波の異なる複数本のアンテナを用いる方法もあるが,同一地点に複数のアンテナを設置することは困難である.本稿では,偏波の直交する3本のアンテナを同心円上に並べたアンテナシステムを用い,各アンテナが同一位置の時の受信データを加算することにより3偏波の電力を受信することが可能となることを実証した.
本研究室では2次元クラスター伝搬環境をOTA装置で実現するための散乱体配置について検討してきた.本論文では3次元クラスター伝搬環境を実現する散乱体の配置について検討する.
休 憩(14:30 再開) 座長 飴谷充隆(産総研)
B-1-116 |
マイクロ波電力伝送に向けた受動伝搬路推定法の有線接続評価
◎近藤慎之介・小田島祥太・村田健太郎・本間尚樹(岩手大) |
B-1-117 |
アレーアンテナ内に存在するPIM源の非接触位置推定に関する基礎検討
○君野理哉・久我宣裕(横浜国大) |
B-1-118 |
負荷変調を用いた媒質複素誘電率の遠隔推定
◎引地 渉・本間尚樹・村田健太郎(岩手大) |
B-1-119 |
海中疑似スケールモデルにおけるシールデッドループアンテナ間の伝送特性の距離依存性
○石井 望・坂井洸太(新潟大) |
B-1-120 |
長尺水槽を用いたkHz帯組織等価液剤中における基準アンテナの送信アンテナ係数の測定
◎増田 力・石井 望(新潟大)・チャカロタイ ジェドヴィスノプ・清水悠斗・和氣加奈子・渡辺聡一(NICT) |
著者らは,電池切れ端末への高効率マイクロ波電力伝送に向け,送受電機間の受動伝搬路推定法を提案している.本手法では,入射電力に対し,レクテナの反射係数が非線形に変化することを利用し,送信電力を変化させたときにレクテナで生じる散乱波の変化を観測することにより伝搬路を推定する.これによりレクテナにおいてチャネル推定のための能動的な処理及び特別なシステムを必要としない伝搬路推定が可能となる.本報告では,電波伝搬路を模擬した有線接続評価系を用い,提案法の有効性を実験的に評価した結果を示す.実験結果から,提案法適用時,約96 %の推定精度を達成し,提案法の有効性を確認した.
アンテナのPIM評価手法として,非接触PIM測定が提案されている.この手法を用いることにより,簡易なアレーアンテナ内のPIM源の位置特定手法の実現が期待できる.本稿ではT型分配器を使用した2素子のアレーアンテナをモデルとして,非接触PIM測定における観測PIMレベルの計算を行い,PIM源の位置推定に関して評価を行った.
農業における土壌や木の幹の水分量等は,生産品に大きな影響を与える重要な要素である.また水分量の変化に伴い誘電率も変化するため,農業における誘電率測定には大きな意味がある.本検討では,可変負荷付き無給電アンテナ(タグアンテナ)を測定対象に装荷することで,複素誘電率を遠隔で推定する方法について提案する.数値解析により,誘電率実部と誘電正接それぞれで定義した複素誘電率を推定した.結果として送信電力比-120 dBの雑音を与えた場合,誘電率実部と誘電正接とも平均推定誤差率5 %以下で推定が可能であることを示した.
海中疑似スケールモデルを用いて,実験的に海中動作ループアンテナ間の伝送特性に関する基礎的な検討を行った.シールデッドループアンテナを利用した際の問題点,すなわち,実験系に生じる不平衡電流による影響について,1) 時間領域ゲーティング機能を利用し,多重反射の影響を取り除く, 2) 配線同軸ケーブルにフェライトをビーズ状に取り付けることにより確認した.直接波領域では不平衡電流の影響は観測されなかったが,ラテラル波領域ではその影響が観測された.不平衡電流の影響の有無で10dB程度のレベル差が生じること,この影響は1), 2)の手法で低減できることを確認した.
長尺水槽(幅:1200 mm)に満たされた組織等価液剤(0.074 mol/l食塩水)において,基準アンテナであるダイポールアンテナを対向させ,伝送特性および送信アンテナ係数の距離特性を測定した.不平衡電流電流による大きな寄与は見られないが,純粋に入射波のみで構成された距離特性ではなかった.今後,入射波以外の要因を分析するとともに,送信アンテナ係数を用いた電界プローブの修正を検討する.
休 憩(16:00 再開) 座長 堀 智(小島プレス)
B-1-121 |
無線LANを用いたパッシブレーダによる人物の屋内位置推定に関する実験的検討
◎小川辰也・牛腸正則・山田寛喜(新潟大) |
B-1-122 |
ホバリング中のマルチコプタのRoFによる位置推定の基礎検討
○河村暁子・角張泰之・森岡和行・二ッ森俊一・米本成人(電子航法研) |
B-1-123 |
V-matrixと不等間隔アレーを用いた近距離屋内位置推定法
○高橋優人・本間尚樹・村田健太郎(岩手大)・村上友規・小川智明(NTT) |
B-1-124 |
Khatri-Rao積拡張アレー処理を用いたMIMO仮想アレーによる近傍界ターゲットイメージング
◎羽澤帆乃佳・山田寛喜(新潟大)・森 浩樹(東芝) |
近年,電波センサを用いた屋内位置推定に関する研究が盛んに行われている.しかし,電波の利用需要が急速に増加しており,割り当て可能な周波数が枯渇しつつある.この問題の解決策として,一般的なレーダのように自ら電波を放射する必要の無い,既存の電波源を利用するパッシブレーダに着目した.このレーダは特別な周波数の割り当て及び無線局免許の申請が不要であるといった利点を持つ.本稿では,無線LANを用いたパッシブマルチスタティックレーダの実験データに対してスパース再構成による距離推定を行い,複数の距離推定結果から求めた人物の屋内位置推定結果について報告する.
近年,ドローンの利用増加に伴い重要施設への侵入検知技術が求められている.著者らは,小型無人航空機の運用に関わっていない第三者が,機体とオペレータ間のテレメトリ通信波を受信して到来時間差より機体の位置を推定する手法について検討した.市販のマルチコプタを用い電波無響室内において到来波を測定し,位置を推定できることを明らかにした.
本報告ではV-matrixを用いた屋内位置推定法を提案した.提案法により,得られた推定誤差平均値が0.84 mとなり,等間隔配置の場合と比較して推定誤差平均値が1.58 m改善することを明らかにした.
近年,ミリ波レーダを用いたセキュリティシステムが期待されている.既存のシステムでは,危険物の高精度イメージングのために,合成開口レーダ(SAR)方式が一般に用いられる.SAR方式は,大量の送受信アンテナ数が必要,または,少ないアンテナ数で機械走査が必要,という課題がある.本稿では,少ないアンテナ数で機械走査が不要な方式として,Khatri-Rao(KR)積拡張アレー処理を利用するMIMOレーダ方式を検討し,シミュレーションによりSAR方式とイメージング精度の比較を行った.
9月16日 9:00〜10:15 Meeting 12 座長 村上友規(NTT)
B-1-125 |
カトリ・ラオ積を用いた2次元MIMO仮想アレーについて
◎山田寛喜・羽澤帆乃佳(新潟大)・森 浩樹(東芝) |
B-1-126 |
行列演算に基づく圧縮センシングを用いた2次元推定の評価
○下茂清峰・立神光洋・藤元美俊(福井大) |
B-1-127 |
AWGN下におけるISTA再構成の正則化パラメータ最適値に関する一考察
○牛腸正則(NICT)・山田寛喜(新潟大) |
B-1-128 |
MIMOレーダにおける雑音電力を用いた対象数推定法
◎沼﨑和樹・本間尚樹・白木信之・村田健太郎(岩手大)・中山武司・飯塚翔一(パナソニック) |
B-1-129 |
SHF帯におけるISTAを用いたクラスタ数推定に関する考察
○谷口諒太郎・西森健太郎(新潟大) |
筆者らの研究グループではPassive アレーにおける仮想アレー技術をMIMO アレーに拡張し,少ない素子数でより大規模な仮想アレーの実現を可能とするMIMO仮想アレー手法を提案し,最小冗長アレー(MRA)を用いることにより飛躍的に仮想素子数を増加できることを示した.従来の検討は,1次元リニアアレーであったが,人物等のより詳細なイメージングでは2次元平面アレーによる3次元推定が望まれる.本稿では等間隔2次元平面アレーを実現する不等間隔2次元MIMO アレーの素子配置を提案し,その有効性を示す.
無線通信品質を改善するために,DOAおよびTOAの様々な推定法が提案されている.特に,圧縮センシング(CS)を用いた手法は,従来法と比べ1サンプリングで推定が可能であり,注目されている.しかし,CSは,推定に多くの計算時間を必要とする.また,2次元以上のプロファイル推定を行う場合,CSのアルゴリズムは,一般に1次元に次元を下げて(ベクトル化して)推定を行う.そのため,計算時間が膨大となってしまう. 本稿では,CSのアルゴリズムであるISTA(Iterative Shrinkage Thresholding Algorithm),FISTA(Fast ISTA)において,DOAとTOAを2次元のマトリックスで同時推定するアルゴリズムを提案する.提案法において,DOAはTOAに比べ推定成功率の高いエリアが広いこと確認した。
観測空間にスパース性を仮定し線形式の求解を行うスパース再構成は様々な信号処理に利用されている.特にL1 ノルム再構成に基づくスパース再構成法の一種であるISTA(Iterative Shrinkage Thresholding Algorithm),およびその派生アルゴリズム群は高い汎用性と実装の簡便性から大きな注目を集めている.ISTA による再構成は正則化パラメータによって再構成結果が左右され,正則化パラメータを大きくすれば解のスパース度が高くなり,反対に小さくすれば最小自乗解に近づく.そのため適切なパラメータを用いて再構成を行うことで高精度かつスパースな解を得ることができる.しかし最適なパラメータは問題によって異なるため,その探索は大きな負担となっており,また不適切なパラメータを用いた場合は推定性能が大幅に劣化する.
本稿では複素ガウス分布に従う付加雑音,すなわちAWGN(Additive White Gaussian Noise)環境下の観測信号を想定しISTAの正則化パラメータの最適値について考察する.
本報告ではマイクロ波生体センサ実現に必要となる人数推定法の実現を目的として、MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)レーダにおける雑音電力を用いた対象数推定法を提案し,実験によりその有効性を検証する.本手法では無人状態の雑音特性を用い,MUSIC(MUltiple Signal Classification)法で設定する到来波数を決定するし,得られたMUSICスペクトル図における虚像成分を排除し,極大数を数えることにより人数を推定する.屋内環境において 4×4MIMOレーダを用いて実験を行い,被験者数が1~3人の場合 において平均64.4%の正答率で正しい被験者数を推定できることを明らかにした.
第5世代移動通信方で用いられるSHF波帯では,伝搬特性がi.i.d.レイリーフェージングとは大きく異なり,Massive MIMOの伝送レート評価のためには厳密なクラスタ数の把握が必要である.そこで実環境に即した伝搬モデルを提案したが,クラスタ数の評価は十分ではなかった.これまで,SHF帯におけるクラスタス数が2から3個程度であることを示した.本報告ではIterative Shrinkage-Thresholding Algorithm (ISTA) を用い,シミュレーションと実測によるクラスタの数推定と,クラスタ数推定に必要な受信アンテナ数を明らかにする.
9月17日 9:00〜11:30 Meeting 12 座長 平部正司(NEC)
B-1-130 |
無人飛行機を用いたISTAによる波源位置推定法の検討
◎高世 駿・西森健太郎・谷口諒太郎(新潟大)・松田崇弘(東京都立大)・満井 勉(光電製作所) |
B-1-131 |
重みづけ固有ベクトルを用いた複数局生体位置推定法の精度評価
○白木信之・本間尚樹・村田健太郎(岩手大)・中山武司・飯塚翔一(パナソニック) |
B-1-132 |
ミリ波FM-CWレーダを用いたCNNによる人間の動作認識に関する基礎検討
◎坂上史弥・山田寛喜・村松正吾(新潟大) |
B-1-133 |
レイリー商に基づくMIMOレーダ心拍推定精度の向上法
◎佐々木滉太・本間尚樹・村田健太郎・岩井守生・小林宏一郎(岩手大)・佐藤 敦(エクォス・リサーチ) |
B-1-134 |
ミリ波帯MIMOアレーレーダによる人体複数部位の脈波計測
◎小山田祐志・阪本卓也(京大) |
携帯電話・無線LAN等の1次システムが使用していない帯域を2次利用するため,1次システムからの信号波源の位置を無人飛行機で推定する手法が検討されている.本稿では,圧縮センシングの中でL1ノルムを利用した ISTAによる到来方向推定法を用いて,周辺の建物高よりも高い場所に配置された無人飛行機から信号波源の位置推定を行う手法を提案する.提案法に対し,レイトレースを用いたシミュレーションにより.無人飛行機の高度とアレー素子数の違いによる波源推定精度を明らかにする
近年,一人暮らしの高齢者数の増加に伴い,様々な高齢者の見守りシステムの研究や開発が行われている.見守りシステムの一環としてMIMO (Multiple-Input Multiple-Output)レーダを部屋の複数個所に配置し,連携させることで生体位置推定精度の向上を図る手法が提案されている.しかし,同文献で用いられているMUSIC (MUltiple SIgnal Classification)法は高精度に位置を推定することが可能であるが事前に人数(到来波数)情報が必須である.本報告では,複数局協調型MIMOレーダに適した,重み付け固有ベクトルを用いた位置推定法を提案する.実験結果より,固有ベクトル番号に対応した重みづけを行うことにより複数人時に位置推定精度が大きく向上することを確認した.
近年,見守りシステムやホームセキュリティシステムに電波を用いたセンシング技術が注目されている.これらは人間の動作を認識することが求められ,現在多くの研究で検証されている.本稿では,ミリ波レーダを用いた畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による人間動作の分類について検討する.筆者らは,屋内で10種類の人間動作の観測実験を行い,時間-ドップラ周波数,時間-レンジ,レンジ-ドップラ周波数の3つの2次元領域を用いて各動作の特性を確認した.また,CNNを用いた各動作の分類結果から,ミリ波レーダを用いたCNNによる動作認識の有効性を評価した.10種類の動作として本稿では,椅子に座る,椅子から立つ,しゃがむ,立ち上がる,物を拾う,手を挙げる,手を下げる,転倒,歩く,走るを取り上げる.
完全自動運転実現までは,依然として人間の介入が必要であるため,運転がシステムから人に引き継がれる際に運転手が安全に運転できる状態であるか監視する必要がある.運転手の監視法として電波を用いたバイタルセンシングが検討されているが,走行時は車体の振動などの外乱が存在し,非接触で観測することは困難である.本報告では,MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) レーダにおいて,レイリー商を用いて生体信号が含まれる周波数成分を強調させることで,心拍推定精度を向上させる方法について述べ,実験に基づく評価結果を示す.結果は,走行時に呼吸成分高調波が含まれる帯域を含めて解析することで心拍推定精度を改善できた.
脈波は動脈に沿って伝搬する弾性波であり,その伝搬速度は動脈硬化や高血圧などの疾患と関係するため,長期連続的なモニタリングが望ましい.著者らは,ミリ波帯の12チャネルMIMO (Multiple-Input and Multiple-Output)アレーレーダを用いて人体の複数部位を同時に計測するシステムを提案してきた.本稿ではビームフォーマ法によってレーダで計測された脈波による皮膚変位をレーザ変位計の変位データと比較することで精度を定量評価する.特に,レーダのビーム幅の影響を考慮して両者の波形の違いについて議論する.
休 憩(10:30 再開) 座長 松野宏己(KDDI総合研究所)
B-1-135 |
高SHF帯におけるISTAを用いた到来方向推定結果
◎上村早紀・西森健太郎・谷口諒太郎(新潟大)・猪又 稔・北尾光司郎(NTTドコモ) |
B-1-136 |
M-FOCUSSを用いたMIMOレーダの特性解析
○木許 肇・菊間信良・榊原久二男・杉本義喜(名工大) |
B-1-137 |
ミリ波最小冗長MIMOレーダによる屋外人物検出
○谷本雄大・大橋 卓・齋藤啓介(オムロン) |
B-1-138 |
ドローン中継局を想定した伝搬特性によるチャネル容量特性
◎土肥 駿・西森健太郎(新潟大)・山田 渉・久野伸晃(NTT) |
第5世代移動通信システム(5G)では,28GHz帯が使用されている.5Gでは,Massive MIMOの導入が検討されており,ミリ波のような伝搬損失が大きい環境において,Massive MIMOは端末の位置に応じて,ビームフォーミングを実現できる .ミリ波帯での到来方向の把握は重要である.本報告では,新潟市の市街地において20GHz帯の48素子のMassive Arrayを用いて,水平方向に注目した場合の電力・遅延時間・到来方向の関係を明らかにする.また,Iterative Shrinkage-Thresholding Algorithm(ISTA)による到来方向の推定結果を示し,さらにレイトレースで示された結果を加えて20GHz帯における伝搬環境特性を考察し,同時にISTAの性能評価も行う.
本研究では,近年注目されている圧縮センシング技術の一つであるM-FOCUSS(Multiple Focal Undetermined System Solver )をMIMO(Multiple Input and Multiple Output) レーダに用いた場合の複数ターゲットに対する推定精度について検討する.
レーダによる人物検出を精度よくおこなうためには,到来方向推定における角度分解能を高めることが有効である.角度分解能はアレー開口長に依存するため,従来の等間隔リニアアレーで高い角度分解能を実現するには多くの素子が必要になる.そこで,本研究では最小冗長リニアアレーを送受信で直交配置してMIMOによる仮想最小冗長平面アレーを構成し,さらにKR変換によるアレー拡張を適用する.これによりアレー開口長を拡大し角度分解能を高めたミリ波レーダを用いて,屋外の複数人物を対象とした分離検出に関する評価実験をおこなったので,その結果について報告する.
近年,増大する通信トラヒックに対しさらなる周波数利用効率向上を目指し,マイクロ波帯以上の周波数を用いたシステムが研究対象となっている.本研究は,小型自律無人航空機(ドローン)を用いて,建物が多く存在する環境において伝搬損失の低減と中継局伝送の実現を目指す.本報告では,レイトレースで得たアンテナ高さによる伝搬損失をモデル化し,その結果を用いた中継システムの基本特性を計算機シミュレーションにより評価する.
B-2. 宇宙・航行エレクトロニクス
9月15日 9:00〜11:45 Meeting 21 座長 住谷美登里(電子航法研)
B-2-1 |
宇宙電波監視における3衛星間のTDOAによる未知干渉局測位の精度評価
○網嶋 武・高橋龍平(三菱電機) |
B-2-2 |
釧路地域における2周波数測位による測位精度
○山形文啓(釧路高専)・小熊 博(富山高専)・亀田 卓・末松憲治(東北大) |
B-2-3 |
小型無人航空機における混信・干渉回避のための電波利用技術の研究開発―電波環境データベース利用によるUAV目視外飛行支援通信システムの提案―
◎浅野勝洋・竹川雅之・阿部達也・中村 学(日立国際電気)・荻原陽輔(OKI)・北沢祥一・谷口美緒・上羽正純(室工大) |
B-2-4 |
累積相対度数分布による電波環境測定結果の解析
○谷口美緒・佐々木恵梨菜・上羽正純・北沢祥一(室工大) |
B-2-5 |
航空機内データ通信周波数帯における航空機電界強度特性評価-ビーチクラフトB300型機を用いた地上放射特性測定-
○二ッ森俊一・宮崎則彦(電子航法研)・関口徹也・日景 隆・野島俊雄(北大) |
衛星通信に生じるアップリンク干渉の電波源を測位する方法として,3衛星間の到来時間差(TDOA: Time Difference of Arrival)が知られている.しかしながら,測位精度に係る諸性質は明らかでない.本稿では,日本及びその近海における当該測位方式の精度評価を行う.
我々は, GPS (Global Positioning System) に代表される NSS (Navigation Satellite System) を用いた
防災情報報知システムを提案している .このとき,複数の周波数を用いることで,測位機会の増大と測位
精度の向上が可能となると言われている.本稿では,L1 波 (1575.42MHz) と L2 波 (1227.60MHz) を用いたGPS/QZSS の複合測位を行った測定結果を報告する.
電波環境データベースを活用することでUAVの飛行空域において最適な通信方式を特定して地上とUAVの間の高信頼な無線通信を確保できる,UAV目視外飛行支援通信システムを提案
小型無人航空機が無線通信に利用する周波数は,920 MHz帯,2.4 GHz帯,5.7 GHz帯などのUnlicensed Bandであるため,既存の無線システムとの被干渉,与干渉が懸念されている.我々は,総務省の「無人航空機の目視外飛行における周波数の有効利用技術の研究開発」を受託しており,小型無人航空機が第三者上空を飛行する際に課題となる電波環境を定量的に評価するために研究を進めている.今回,都市部等の上空での電波環境調査のため、高層建築物を用いた測定結果を基に、定量的な解析をしたので報告する.
2015年世界無線通信会議(WRC-15)において,航空機電波高度計に配分されている4 GHz帯(4.2 GHz-4.4 GHz)が航空機内データ通信(Wireless Avionics Intra-Communications, WAIC)にも配分されることが決議された.現在,電波高度計とWAIC機器間およびWAIC機器間の周波数共用が可能となるよう,国際民間航空機関,欧州民間航空電子装置機関および航空無線技術委員会等で,2021年10月を目標にWAIC機器の国際規格化が進められており,著者らはその活動に参加している.本稿では,航空機電波高度計とWAIC機器の周波数共用検討を実施するための基礎データとして,小型航空機を用いて実施した,WAIC機器を想定した地上放射特性測定の結果について議論する.
休 憩(10:30 再開) 座長 阪本卓也(京大)
B-2-6 |
新航空管制システム移行後のレーダデータ解析手法の検討
○住谷美登里(電子航法研) |
B-2-7 |
電磁波レーダを用いた空洞亀裂検出における補修造影剤の検討
○園田 潤(仙台高専)・木本智幸(大分高専)・山本佳士(法政大)・金澤 靖(豊橋技科大) |
B-2-8 |
車載ミリ波SARを用いた自動車側方の3次元イメージングに関する検討
◎向出 優・山田寛喜(新潟大) |
B-2-9 |
局所ヒストグラム解析ベース衛星SAR画像変化検出処理に対するGPU向け並列化手法の性能評価
○後町将人・大石 昇・有井基文(三菱電機) |
B-2-10 |
ミリ波干渉SARを用いた変位計測に関する基礎検討
◎佐藤 潤・山田寛喜(新潟大)・髙橋悠介・平本美智代(OKI) |
国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 電子航法研究所では国土交通省航空局の要望に基づいて、航空管制に関わる研究を行っている。実際の航空交通状況を把握するために航空交通管制情報処理システムから出力される様々なデータから航空交通状況を把握している。このシステムが統合管制情報処理システム(新航空管制システム)へ順次導入・移行されている。
新航空管制システムへの移行にあたり、そのシステムから出力される各データの特性を把握することは重要である。そこで新航空管制システム移行後のデータを解析する手法を検討するために既存の航空管制システムから出力されたレーダデータと比較したので、報告する。
電磁波レーダは入射した数百MHz~数GHz帯の電波の反射波から非破壊に内部を推定する技術であり,近年問題になっている道路空洞やコンクリート亀裂など社会インフラ点検に有効である.特に,空洞や亀裂は重大な故に繋がるもので,早期発見と補修が求められている.このような空洞や亀裂は,周囲の土壌やコンクリートの比誘電率との差が大きいほど検出されやすいため,より比誘電率差を大きくする造影剤が有効である.このような造影剤はX 線用は存在するが,X線では撮影フィルムが必要なことなど制限が多いため,取り扱いが容易な電磁波レーダ用が有効である.本研究では,補修も可能な電磁波レーダ用造影剤の開発を目的に,ここでは既存の補修剤の比誘電率の基礎特性を調べる.
近年,ADAS(Advanced Driver Assistance System)等の自動車運転支援のための技術が研究されている.筆者らのグループの先行研究では車載ミリ波レーダを用いた2次元のターゲットイメージングが行われてきたが,実際に観測しているターゲットは3次元空間に分布しており,より精密なターゲット検知には3次元でのイメージングが必要になると考えられる.本稿では,実験による3次元イメージングすなわち高さ方向のイメージングについて検討する.
観測時期の異なる衛星SAR画像から変化検出結果を迅速に得る手段として、局所ヒストグラム解析に基づく変化検出処理の演算量削減法およびGPU向け並列化手法を開発した。27K×37K画素のALOS2画像×2枚に対する従来手法と提案手法の処理時間を実測した結果、GPU利用時、従来手法は35秒程度の処理時間を要したが、提案手法は3秒で処理を完了することができた。
将来,線路に隣接した法面が経年劣化により崩壊し,交通機関に影響を及ぼす可能性があるため,今後法面の崩壊の前兆を監視する必要がある.筆者らはこの問題の対処法として,ミリ波レーダを用いたSAR(Synthetic Aperture Radar)による二次元イメージングにより観測対象の変動を監視する方法を提案している.SARとは,レーダを移動させながら観測を行う事で仮想的に大開口アンテナを実現させる技術である.SARを用いる利点として,高分解能かつ広範囲な2次元イメージングが可能である点が挙げられる.本稿では,屋外に存在する法面に対して変化をつけSARによる観測を行い,その変化を相関画像により確認できる事を示す.
9月15日 13:00〜14:45 Meeting 21 座長 高橋龍平(三菱電機)
B-2-11 |
海洋レーダの高機能化に関する基礎検討
◎小泉達寛・山田寛喜(新潟大)・藤井智史・長名保範(琉球大) |
B-2-12 |
グラフ推定によるレンジドップラーマップ上の異種クラッタ領域検出技術
○谷高竜馬・平嶋一貴・白石 將(三菱電機) |
B-2-13 |
短時間フーリエ変換を用いたHFレーダのための航空機クラッタ抑圧法の検討
○磯田健太郎・諏訪 啓(三菱電機) |
B-2-14 |
1.3GHz帯ウィンドプロファイラの高度化
○山本真之(NICT)・西村耕司(極地研究所)・川村誠治(NICT)・吉田 智(気象研究所) |
B-2-15 |
機械学習とミリ波レーダによる睡眠時無呼吸の非接触検出
◎香田隆斗・阪本卓也(京大)・奥村成皓・瀧 宏文(マリ)・濱田 哲・陳 和夫(京大) |
B-2-16 |
ミスマッチドフィルタ受信によるOFDM通信・レーダ統合システムにおいてドップラーシフトがレーダ性能に与える影響
○渡部颯人・山尾 泰・安達宏一(電通大) |
B-2-17 |
分散アレーレーダ向け行列型校正方式における校正用データ取得回数の低減検討
○高橋善樹・高橋龍平(三菱電機) |
従来, 海洋レーダは波浪情報のみの観測に用いられてきたが, 波浪情報だけでなく船舶や航空機などの位置や速度といった情報も海洋レーダで観測できる可能性を有している. 現在は海洋レーダの高機能化実現のため, 多偏波海洋レーダの開発を進めている. 昨年度試作を終え, 垂直偏波におけるキャリブレーションも含めた初期実験を行ったのでその結果を報告する.
HFレーダは数十km先の海面流況を観測可能な装置であり,広範囲にわたる不審船監視等に利用される.一方で,シークラッタや電離層クラッタといった不要波は,HFレーダの目標検出性能を低下させる要因として知られている.本稿では,機械学習技術を応用することで性質の異なるクラッタを同時に検出する技術を提案する.
低高度におけるレーダの観測距離は,地球の丸みのためレーダの設置高度により制限される.HF(High Frequecny)レーダは,表面波と呼ばれる海面上を伝搬する特性を利用し,見通し外の船舶等の目標を探知すること
ができる.しかし,航空機のRCS(Radar Cross Section)は大きく,その反射波はHF レーダでも受信されるため,船舶目標を目的とした場合,これらはクラッタとなり抑圧する必要がある.本稿では,短時間フーリエ変換を用いた航空機クラッタの抑圧方法を示し,その効果を数値シミュレーションで確認する。
ウィンドプロファイラ(WPR)は、晴天域における風速の高度プロファイルを連続計測するレーダーである。WPRによる風速の観測データは、気象状態の把握と気象予報に利用されている。さらなる観測性能の向上を目指した、1.3GHz帯WPRの高度化に取り組んでいる。アダプティブアレイ技術を応用することで、1.3GHz帯WPRの観測性能を向上させる。送信毎の周波数切り替えと適応信号を用いるレンジイメージングにより、高度(レンジ)分解能が向上できる。サブアレイアンテナと適応信号処理を用いたアダプティブクラッタ抑圧により、非所望エコー(クラッタ)が低減できる。情報通信研究機構が有する1.3GHz帯WPRであるLQ-13を用いて、観測実験を実施している。発表では、1.3GHz帯WPRの高度化に向けた取り組みを紹介する。
国内の治療対象の睡眠時無呼吸症候群の患者数は300万人を超え,早期発見の重要性が指摘されている.睡眠ポリグラフ検査(polysomnography: PSG)に代わり,レーダによる睡眠時無呼吸(sleep apnea: SA)の非接触検出の試みが報告されている.本研究では,SAの症状が認められる患者に対してPSGと24GHz帯ミリ波レーダ計測を同時に実施し,レーダ信号とSAの対応関係を機械学習の一種であるサポートベクターマシン(SVM)で学習し,SAイベントの非接触検出の可能性を調べる.
無線通信の送信波を用いてレーダセンシングを同時に行う無線通信・レーダ統合システムが研究されている.既提案のOFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing) 通信・レーダ統合システムでは,ミスマッチドフィルタ(Mismatched Filter; MMF) 受信がレーダのダイナミックレンジ拡大に有効であることを確認した.しかし,送信機や物標が移動する場合に発生するドップラーシフトがレーダ検知性能に与える影響は不明であった.そこで本稿では,計算機シミュレーションによって,ドップラーシフトがレーダ性能に与える影響を確認し,この影響はサブキャリア間隔に依存することを示した.
近年,複数のサブアレーアンテナを分散配置し,高い角度分解能を得る分散アレーレーダの研究が進められている.分散アレーレーダのビーム形成には、サブアレー内間の振幅位相の校正が必須である。アレーアンテナの校正方式として校正行列を用いる方式(行列型校正方式)が提案されている.校正行列算出のために必要な校正用データ数は素子数によって決まる.そのため,総素子数が多い分散アレーレーダでは,多く校正用データが必要となり,校正用データ取得コストが高くなる課題がある.そこで本稿では,データ取得コストを低減するために,分散アレーレーダが大開口であることに着目した校正用データ取得回数の低減方式を提案する.
B-3. 衛星通信
9月15日 9:30〜11:45 Meeting 26 座長 筋誡 久(NHK)
B-3-1 |
多様なユースケースに対応するためのKa帯衛星の制御に関する研究開発-研究開発全体の課題と計画-
○三浦 周・辻 宏之・吉村直子・森川栄久・久保岡俊宏・高橋 卓・豊嶋守生(NICT)・山本 周・中尾彰宏(東大)・川本雄一・加藤 寧(東北大)・木村紋子・高山泰一・百束泰俊(天地人)・内田 繁・草野正明・須永輝巳・堀江延佳(三菱電機) |
B-3-2 |
多様なユースケースに対応するためのKa帯衛星の制御に関する研究開発―衛星地上連接システムの構成とインタフェース検討―
◎阿部侑真・三浦 周・辻 宏之・高橋 卓・森川栄久・吉村直子・大川 貢・織笠光明・豊嶋守生(NICT) |
B-3-3 |
多様なユースケースに対応するためのKa帯衛星の制御に関する研究開発-5Gシステムによる衛星陸上連携接続の検討-
○山本 周・中尾彰宏(東大) |
B-3-4 |
多様なユースケースに対応するためのKa帯衛星の制御に関する研究開発-ユーザリンク・フィーダリンク最適衛星リソース割当方式
◎辻 宏之・三浦 周・阿部侑真・菅 智茂・豊嶋守生(NICT) |
近年,衛星通信分野ではハイスループット衛星(HTS)によるKa帯を利用した衛星通信の大容量化が進み,また,最近は次世代HTS技術として技術試験衛星9号機での計画等で衛星通信機器のフレキシブル化技術の開発が進んでいる.本研究開発では,こうしたフレキシブルな衛星通信機器の通信リソース配分を最適化するための制御技術を確立し,限られた周波数で多様なサービスへの対応や大容量通信を可能とすることを目的とした地上システムの研究開発を実施する.本稿では,研究課題と今後の計画を述べる.
近年,フレキシビリティ機能を有するハイスループット衛星(High Throughput Satellite:HTS)の研究開発や,衛星通信システムと5G(第5世代移動通信システム)を含む地上システムの連携に関する検討が進められている.本稿では,衛星地上連接システムの概要と,本システムの実現に向けた研究開発項目について述べる.
モバイルネットワークでは、高速大容量、多接続及び低遅延など多種多様な通信に対し品質確保されたサービス提供を可能とする5Gシステムの導入が進められている。しかし、サービス展開は、人口密度の高い地域に限られ、過疎地や船舶又は航空機での利用にサービス提供が望まれる。一方、衛星津信を利用した3次元空間利用による5Gシステムのカバレッジ拡大の技術検討が行われている。
静止衛星通信では、約500msecの往復遅延、伝送速度が最大100Mbps程度など、陸上系システムの伝送特性と大きく違う。本稿では,このような違いにも対応可能な静止衛星通信と5Gシステムの接続構成方法につぃて検討する。
2022年に打ち上げ予定である次世代HTSに向けた技術試験衛星9号機を利用した、地上システム技術の研究開発の概要を示す。本研究開発では、衛星通信のユーザリンク及びフィーダリンクにおいて、ユーザの通信需要や分布、気象条件による回線品質を把握し予測することにより、衛星回線の利用効率を向上させることを目的としている。本稿では、その研究開発の概要及び今後の予定などを示す。
休 憩(10:45 再開) 座長 石川博康(日大)
B-3-5 |
多様なユースケースに対応するためのKa帯衛星の制御に関する研究開発 −AI技術を活用した衛星通信システム最適制御方式の理論検討に関する研究計画−
○川本雄一・高橋昌希・加藤 寧(東北大) |
B-3-6 |
多様なユースケースに対応するためのKa帯衛星の制御に関する研究開発―通信需要・回線条件の予測技術―
○木村紋子・高山泰一・百束泰俊(天地人) |
B-3-7 |
多様なユースケースに対応するためのKa帯衛星の制御に関する研究開発-衛星リソース制御技術開発と評価-
○内田 繁・堀江延佳・草野正明・須永輝巳・角田聡泰・田中 泰・坂井英一(三菱電機) |
B-3-8 |
多様なユースケースに対応するためのKa帯衛星の制御に関する研究開発-衛星リソース制御技術及び総合評価 -
○髙橋 卓・森川栄久・吉村直子・三浦 周・久保岡俊宏・豊嶋守生(NICT) |
本稿ではAI技術によるデータ解析・学習及びそれに基づいた衛星通信リソースの最適制御により衛星通信システムの運用計画を立案するための研究開発の計画について述べる.
ユーザリンク、フィーダリンクに関する衛星リソースの制御においてユーザを適切に収容するためには、フレキシビリティを有する衛星リソースを適切なタイミングで割り当てていくことが必要である。そのためには、衛星リソースを時間軸上で適切に割り当てる運用計画立案が必要である。本研究開発では、運用計画立案のために通信需要や回線条件の変化を最新のデータ解析により予測する。具体的には、ユーザリンクでは移動体の需要予測を行い、フィーダリンクでは気象状況の予測を行う。各予測システムの構成要素であるデータベース並びに解析アルゴリズムについては、最新の機械学習・確率推論等の手法を適用することを検討する。
近年の社会経済活動のグローバル化・多様化に伴い,空や海,ルーラルエリア等,広範な活動領域においてブロードバンド環境を提供すべく,「超カバレッジ拡張」の議論がBeyond 5G / 6G向けに開始されている状況であり,衛星通信への期待が増大しつつある.日本においては令和4年度打ち上げ予定の技術試験衛星9号機(ETS-IX)を用いた実証実験を通して,フレキシビリティ機能を有する次世代HTS (High Throughput Satellite) 実現に向けた衛星リソース配分最適化のための制御技術を確立する.この中で当社は衛星通信システム制御技術の実装開発,ETS-IXに搭載予定のデジタルチャネライザ,DBF (Digital Beam Forming) 機能(固定/可変ミッション)に対する衛星リソース制御システム開発,実証環境構築,及び機器実証を担当する.本発表では,当社担当研究開発課題と計画を述べる.
技術試験衛星9号機等次世代のハイスループット衛星においては利用周波数帯域幅やユーザビームの形状・位置,ゲートウェイ局(RF系及び光)の変更が可能となっている.こうしたフレキシブルな衛星リソース制御のための方式を検討し、リソース制御システムの設計・製作・評価を行う計画について報告する.
9月15日 13:00〜16:45 Meeting 26 座長 井家上哲史(明大)
B-3-9 |
5G NRベースの衛星通信におけるRANスライシングに関する一検討
◎ファナンデズ シーナ・藤井義巳・谷林昭浩・関口真理子(構造計画研) |
B-3-10 |
衛星IoTにおける920MHz帯IoT端末の通信エリア評価
○坂元一光・吉澤健人・藤野洋輔・小島康義・糸川喜代彦・山下史洋(NTT) |
B-3-11 |
低速離島衛星専用線のパケット化における帯域削減技術の一検討
○小島康義・糸川喜代彦・山下史洋(NTT) |
B-3-12 |
低軌道衛星MIMO技術を活用した920MHz帯衛星IoTプラットフォームの提案
○糸川喜代彦・五藤大介・小島康義・山下史洋・吉澤健人・坂元一光・藤野洋輔(NTT)・加藤智隼・中台光洋(JAXA) |
B-3-13 |
LEO-MIMOシステムにおけるドップラーシフト追従精度の検証
○五藤大介・糸川喜代彦・山下史洋(NTT)・加藤智隼・中台光洋(JAXA) |
近年,航空機内でのブロードバンドアクセス需要が高まっており,今後更に需要は高まっていくことが予想される.そのような背景から衛星通信およびHAPSやATG:Air To Groundなどを利用した航空機向けブロードバンドアクセスの高速化および大容量化が求められている.
本研究では上記を実現する衛星通信のアクセス方式提案を目的としており,周波数利用効率が高く,かつ,地上系ネットワークとも親和性の高い4G,5Gをベースとしたアクセス方式を衛星通信へ適用することを検討,課題の抽出および対応策の検討を行っている.なお5G RAN のNTNへの適用は3GPPにおいても検討されている.
本稿では衛星5G統合としてネットワークスライシングに注目し,スライスごとに異なるスケジューリング方式を適用する衛星RANスライシング方式の提案を行う
著者らは、低軌道周回(LEO)衛星システムに複数アンテナを用いたLEO-MIMO技術を用い大容量化したフィーダリンクを活用し、地上通信網ではカバーできない超広域エリアでのセンサデータの収集・伝送を実現する、衛星IoTプラットフォームについて検討している。本報告では、市販の安価なIoT端末からのセンサデータ収集を想定し、920MHz帯特定小電力無線局を用いる場合の通信エリアの評価として、低軌道衛星の位置とSNRの関係を計算機シミュレーションにより評価したので報告する。
低速離島衛星専用線のパケット化のシステム構成検討を行った。衛星回線で中継することによる通信用パケットのタイミングの変動を抑えるため、衛星回線に送信タイミング制御パケットを挿入する方法を提案し、効果を理論的に考察した。
低軌道周回(LEO)衛星システムに複数アンテナを用いたLEO-MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) 技術を用い,大容量化したフィーダリンクを活用し, 衛星地上通信網ではカバーできない超広域エリアでのセンサデータの収集・伝送を実現する,衛星IoT(Internet of Things)プラットフォームについて検討している.本稿ではそのコンセプトと要素技術について紹介する.
著者らは,低軌道周回(LEO)衛星システムに複数アンテナを用いたLEO-MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) 技術を用い大容量化したフィーダリンクを活用し,地上通信網ではカバーできない超広域エリアでのセンサデータの収集・伝送を実現する,衛星IoT (Internet of Things)プラットフォームについて検討している.LEO-MIMOではドップラーシフトが生じるため,基地局は常時同期を確立しながらMIMO復調を行う必要がある.本稿では,2基の受信アンテナ局において異なるドップラーシフトを受けた場合の追従精度を検証する.
休 憩(14:30 再開) 座長 小島政明(NHK)
B-3-14 |
曲線飛行を行う 1 機の無人航空機を用いた位置検出手法の特性評価
○深谷泰良・石川博康(日大) |
B-3-15 |
リレー型GPSにおける擬似衛星ドローン間のGPS信号相互受信による測位精度向上効果
○吉田恒平・杉山隆利(工学院大) |
B-3-16 |
電子走査アレイアンテナ(AESA)による航空機衛星通信システムにおける信号狭帯域化の検討
○大川 貢・大倉拓也・菅 智茂・織笠光明・土谷牧夫・高橋 卓・辻 宏之・豊嶋守生(NICT) |
B-3-17 |
スペクトラム分解合成アダプタにおける符号間干渉低減技術
○山下史洋(NTT) |
本研究では、遭難者探索を目的とする1機のUAVを用いた位置検出手法において、曲線飛行を行うモデルを対象とし、最大位置検出誤差推定方式に基づくシミュレーション評価を実施するとともに、評価対象エリア内で測位精度が良好となる飛行経路について新たに検討している。具体的には、曲線飛行の経路である弧の大きさ、すなわち、無人航空機の速度ベクトルの変化率が異なる4種類の飛行モデルを対象とする計算機シミュレーションを行なっている。シミュレーションの結果、速度ベクトルの変化率が最大となる飛行モデルが最良な飛行経路となることを確認するとともに、ドップラーシフトの観測時間間隔が短いほど、速度ベクトルの変化率の違いによる特性差が顕著となることを報告する。
現在,GPS(Global Positioning System)が様々な場面で利用されているが,高層ビルなどの障害物が存在する都市部環境下では,GPS受信機が測位に必要な4機以上のGPS衛星からGPS信号を受信することができず測位不能となる場合がある.これを解決する方法として,擬似衛星ドローンを使用したリレー型GPSが提案されている.リレー型GPSでは,擬似衛星ドローンの測位精度が目標のターゲット受信機の測位精度に影響する.そこで本稿では,複数の擬似衛星ドローンを使用したリレー型GPSにおいて,擬似衛星ドローン間でGPS信号を相互に受信することで擬似衛星ドローンの測位精度を向上する方法を提案し,ターゲット受信機の測位精度向上効果をシミュレーションにより明らかにしたので報告する.
限られた周波数帯域幅の中で高い容量の通信を行うために多値変調を用いた信号狭帯域化の技術を使用する必要がある.電子走査アレイアンテナ(AESA)は,航空機への搭載性を考慮した平面アンテナであり,スケーラブルにアンテナ開口サイズを変更することで従来の機械駆動のアンテナよりG/T,EIRPを改善できる.そのため,電力的な改善量を多値変調方式による信号帯域幅の狭帯域化に充てることで周波数利用効率の改善が図れる.本稿では,Ka帯航空機衛星通信システムにおいて従来アンテナと開発平面アンテナを使用した回線に対して開発平面アンテナの狭帯域化のメリットを検討した.
衛星中継器に散在する周波数資源の有効利用を目的とし,これまで既存衛星モデムにアダプタを外付けし,所定の帯域に信号を分散配置するスペクトラム分解合成伝送技術の研究を推進してきた.本発表では,これまで課題であったスペクトラム分解合成アダプタで生じる符号間干渉を解決する手法を報告する.
休 憩(15:45 再開) 座長 難波 忍(KDDI総合研究所)
B-3-18 |
並列化デルタシグマDACにおける不連続性緩和手法の実験評価
○早馬道也・金子和真・小西良明(三菱電機) |
B-3-19 |
ΔΣ変調器における適応的ノイズシェーピングに関する一検討
○金子和真・早馬道也・谷 重紀・半谷政毅・有賀 博(三菱電機) |
B-3-20 |
確率的信号処理を用いた通信ペイロードの性能評価
◎山下靖貴・谷 重紀・半谷政毅・有賀 博(三菱電機) |
B-3-21 |
Ka帯512素子電子走査アレイアンテナ(AESA)評価のための飛行実験の概要
○菅 智茂・大倉拓也・高橋 卓・辻 宏之・土屋牧夫・大川 貢・織笠光明・豊嶋守生(NICT) |
時間分割を用いたΔΣDACの並列化手法は、ポリフェーズ分解を用いる方式と比較して次数やフィルタ特性を柔軟に決定することができるといったメリットがある。一方で分割したブロック間に生じる不連続性により信号が劣化する。本稿は時間分割した信号境界でオーバーラップ区間を設けたうえで、出力の差分が連続して小さくなるタイミングで出力信号を切り替えることでブロック間の不連続性を緩和する手法を提案、実験評価により変調信号のEVM改善効果を確認したので報告する。
量子化誤差をフィードバックすることで信号帯域内の量子化雑音を抑圧するデルタシグマDAC(Digital Analog Converter)は従来構成で必要だった多ビットDACと周波数コンバータが不要であり,機器の小型化が可能であるため小型無線通信機器として注目されている.しかし,従来のデルタシグマDACでは通過帯域内の雑音形状が信号配置に対して最適化されておらず,信号のSNRが低下するという課題があった.そこで,本稿ではデルタシグマDACの零点配置を信号配置に従って最適化することにより信号のSNRを最大化する手法を提案する.また,提案した零点配置手法に関してシミュレーション評価を実施し,従来の零点配置と比較を行う.
筆者らは,デジタルペイロード型の衛星に安価で高性能な民生デバイスを利用するために,ソフトエラー耐性を向上させる確率的信号処理を用いた通信ペイロードを検討している.本稿では,回路規模と中継性能を考慮して確率的信号処理を用いた衛星搭載通信ペイロードを設計し,性能評価の結果を示す.
近年,Wi-Fi通信を活用した機内でのインターネット接続サービスの普及等,小型・中型航空機向けの衛星通信を用いたブロードバンドサービスの需要が高まっている.情報通信研究機構(NICT)では,Ka帯において航空機への搭載性を損なわず,開口サイズをスケーラブルに変更でき,広範囲のビーム走査を有する電子走査アレイアンテナ(AESA)の研究開発を行っている[1].今年度試作する航空機搭載用送信用512素子薄型電子走査アレイアンテナの性能評価の為,実際に航空機にアンテナを搭載し,飛行しながらの測定実験を計画している.本稿では,飛行実験の概要について報告する.
B-4. 環境電磁工学
9月15日 11:00〜11:45 Meeting 25 座長 日景 隆(北大)
B-4-1 |
市街及び郊外における携帯電話基地局からの電波ばく露レベル
○大西輝夫・多氣昌生・塩田貞明・後藤 薫・和氣加奈子・藤井勝巳・渡辺聡一(NICT) |
B-4-2 |
FDTD法によるリバブレーションチャンバーにおけるラットに対する全身平均SAR算出方法の考察
○伊藤涼太・王 建青・安在大祐(名工大) |
B-4-3 |
導波管中のアンテナ引き上げによる生体等価液剤の電気定数測定における引き上げ角度誤差の影響
◎清水悠斗(NICT)・石井 望(NICT/新潟大)・長岡智明・和氣加奈子・渡辺聡一(NICT) |
近年,ワイヤレス電力伝送(WPT)や第5世代移動通信システム(5G)等の実用化により,様々な無線装置より低周波から高周波帯まで広範囲な周波数帯の電波にばく露する機会が増大している.従来,一部の諸外国では携帯電話からの電波ばく露レベルのモニタリングを行い,結果を公表している[1].我々は,これらの背景を踏まえて昨年度より日常生活における電波ばく露の実態について定量的に把握するとともに,リスクコミュニケーションの在り方を検討することを主な目的に研究を行っている.本稿では,携帯電話基地局からの電波ばく露レベルを市街及び郊外にて測定を行ったので報告する.
米国国家毒性プログラム(NTP)研究による電波ばく露の長期発がん性試験により,雄ラットは2G及び3G携帯電話で用いられているような無線周波放射を通常より遥かに高いレベルでばく露した際にがん性の心臓腫瘍を発症した.これを受けて検証試験が本年度から日本と韓国で実施される.本研究では,検証試験の前段階として解剖学的ラットモデルを用いたFDTD (Finite Difference Time Domain)法による電磁界解析を行う.本稿ではばく露実験に使用されるリバブレーションチャンバー内のラットに対する全身平均比吸収率(SAR)のFDTD (Finite Difference Time Domain)計算法を比較検証する.
携帯電話等の移動無線端末の人体ばく露に対する適合性評価にはSAR (Specific Absorption Rate)を指針値として用い,SAR測定には人体と電気的に等価な液剤が用いられ,SAR測定前に生体等価液剤の電気定数(比誘電率,導電率)がIEC規格値を満たしているか確認する必要がある.一般的に,この電気定数は同軸プローブ法を用いたプローブ端面の反射特性測定によって得られる.しかしながら,同軸プローブ法は反射特性のわずかな変動を測定するため不確かさが大きくなる.そこで,著者らは伝送特性測定によるSARプローブ較正用の導波管を流用した電気定数測定システムを提案している.具体的には導波管中に挿入されたダイポールアンテナと同軸導波管変換器の間の伝送特性の距離特性を測定することで電気定数を得る.本報告では,このアンテナ引き上げの際のアンテナ引き上げ角度の誤差が電気定数測定に与える影響について検討した.
9月15日 13:00〜17:00 Meeting 25 座長 東山潤司(NTTドコモ)
B-4-4 |
スクリューホール付下顎骨治療プレート空隙部のSAR推定
◎伊藤涼音・大塚敦生・日景 隆(北大)・長岡智明・和氣加奈子・渡辺聡一(NICT) |
B-4-5 |
数値スマートフォンモデルと成人男女モデルを用いた人体内SAR解析
◎高坂千明・山田寛和・齊藤一幸・高橋応明(千葉大)・長岡智明・和氣加奈子(NICT) |
B-4-6 |
電波ばく露と青少年の健康影響に関する疫学研究を目的とした5G周波数帯における人体遮蔽特性推定
尾﨑龍之介・○日景 隆・大宮 学・水田正弘・山崎圭子・荒木敦子・岸 玲子(北大) |
B-4-7 |
電磁界ばく露による確立されていない生体作用に関する標準的な研究手法提案のための取り組み
○鈴木敬久(東京都立大)・池畑政輝(鉄道総研)・服部研之(明治薬科大)・牛山 明(保健医療科学院)・和田圭二(東京都立大) |
体内埋め込み金属に起因して指針値以下のばく露でも局所的なSAR上昇の可能性が示唆されている.現在,様々な形状の医療用金属プレートが開発されており,これら器具等装着者に対する指針適用性の検討が重要となっている.これまで,体内に平行に埋め込まれた2枚の金属プレート空隙部におけるSAR上昇について数値シミュレーションおよび物理ファントムを用いた温度測定などにより検討している.本稿では,スクリューホールを有する下顎骨骨折治療用埋込み金属プレートに起因するSAR上昇について周波数特性の評価を行う.
近年,スマートフォンを始めとする情報通信端末が急速に普及しており,スマートフォン端末を詳細に模擬したモデルと高精細数値人体モデルを用いて,スマートフォンの実使用環境を想定したSAR解析が行われてきている.スマートフォンを使用する際の人体に対するスマートフォンの配置は一定とは限らず,様々な位置や角度で利用される.そこで本研究では,筆者らがこれまでに作製した高精細数値スマートフォンモデルを用い,成人男性・成人女性モデルのそれぞれに対し,人体との距離および人体に相対する傾き角度を変化させてSAR解析を行った.
本稿では,青年層の被験者人体の近傍に配置されるばく露測定装置の受信特性を評価するため、5G周波数帯域での人体遮蔽影響について数値シミュレーションにより推定する。
本取り組みでは総務省の生体電磁環境に関する研究戦略検討会・第一 次報告書で示されている研究の優先順位を踏まえ,優先順位順に超高周波, 中間周波,高周波それぞれについて in vitro(動物実験) 及び in vivo(細胞実験)に関して標準的な研究手法を 提案することを目的とする.プロジェクトにおいては幅広く工学的・生物学的プロ トコルについて検討を行う計画である.講演では研究プロジェクトの構成の概要と2019 年度から開始した現在進行中の国際意識調査の概要について述べる.国際意識調査に関しては,国内外の研究者等 377 名に調査の依頼を行 い,期間内に 74 件の回答があり,有効回答率は 19.0% であった.講演においては国際意識調査の結果の予備的な結果を示す予定である.
休 憩(14:30 再開) 座長 山本真一郎(兵庫県立大)
B-4-8 |
低コストFSSを用いた広帯域CA電波吸収体の測定結果
◎古谷航一・小林 剛・福井範行・米田尚史(三菱電機) |
B-4-9 |
メタマテリアルで構成する電波散乱壁の散乱特性
○村上靖宜・チャカロタイ ジェドヴィスノプ・藤井勝巳(NICT) |
B-4-10 |
導電膜周期配列構造を利用する空間フィルターの設計
◎江原隆太・河野脩司・山本真一郎・相河 聡(兵庫県立大)・松岡茂樹・長尾正揮(日本ジッパーチュービング) |
B-4-11 |
開口を有する銅と磁性体の二層シートの近傍磁界シールド効果に関する実験的検討
◎瀬戸貴大(青学大)・土屋明久(KISTEC)・須賀良介(青学大)・菅間秀晃(KISTEC)・橋本 修(青学大) |
B-4-12 |
印刷とめっきで作製した人工磁性体の複素比透磁率測定
○伊藤盛通(大阪技術研)・松本健志・喜多村康一(太洋工作所)・産一盛裕(奥野製薬工業) |
軽量かつ安価な広帯域電波吸収体として,CA(Circuit analog)電波吸収体が注目されている.本検討では,基板上に実装する抵抗素子数を削減し,製造コストを低減する手法を検討した.提案構造は,非対称構造を有するFSS(Frequency selective surface)からなり,抵抗素子数を従来の4分の1以下に削減することができる.今回は,試作品の測定結果を報告する.
第5世代移動通信システム(5G)では,28 GHz帯の電波を利用する.この周波数帯では,高利得アンテナが使用され,壁面からの電磁波は主に鏡面方向に反射する.そのため,送受信アンテナ間に遮蔽物がある場合は,受信機に直接波も反射波も届かない領域が生じると考えられる.そこで通信品質を改善させるために,反射波を広角に散乱させる電波散乱壁を設計してきた[1].本報告では,メタマテリアルで構成する電波散乱壁の設計を行い,その性能を評価する
近年,5Gシステム,スマートフォン等に代表されるように様々な無線通信機器が急速に普及している.その一方で,それらから発生する不要電磁波による機器間の電磁干渉等が問題となっている.これらに対処するために従来から種々の電磁遮へい材が使用されている.本研究では,導電膜をハニカム状に周期配列した構造のシートを作製し,その両側を誘電体で挟んだ空間フィルターを設計した.次に,そのフィルターの透過特性を実験的に評価した.
広帯域に45dB以上の近傍磁界シールド効果を持つ銅と磁性体の二層シートが報告されている.本研究では,二層シートの放熱性と視認性を向上させるため,開口を設けた二層シートのシールド材について検討している.本検討では,開口形状が近傍磁界シールド効果に与える影響について検討するため,形状の異なる開口を設けた銅と磁性体の二層シートの近傍磁界シールド効果をKEC法を用いて評価した.その結果,二層シートのシールド効果は低周波においては磁性体層の開口形状が支配的になり,高周波においては銅層の開口形状が支配的になる事を実験的に確認した.
反射・透過制御素子への適用を目的として人工磁性体の開発を進めている.今回,生産性の高い加工技術であるめっきと印刷技術を用いて、単位構造が小型なブロードサイド結合型スプリットリング共振器からなる人工磁性体を試作し,複素比透磁率を測定した.同軸導波管法を用いて0.5 ~4.0 GHzにおける複素比透磁率を測定した結果,構造中の誘電体層の材料(SiO2およびBaTiO3)や層厚(およそ20 um~60 um)を制御することで複素比透磁率のピークが制御できることを確認した.
休 憩(16:00 再開) 座長 立松明芳(電中研)
B-4-13 |
近接放射試験に用いるハイブリッドテーパーTEMホーンの検討
○張間勝茂・後藤 薫(NICT)・久保崇将・石田武志(ノイズ研究所) |
B-4-14 |
30MHz以下のEMI測定に対するループアンテナの給電点位置による影響
◎近山 潤(東京農工大)・Jerdvisanop Chakarothai・藤井勝巳・和氣加奈子(NICT)・有馬卓司・宇野 亨(東京農工大) |
B-4-15 |
ESD間接放電試験環境における垂直結合板近傍での磁界分布測定
◎森永育宏・王 建青・安在大祐(名工大) |
B-4-16 |
小型ドローンにおける近傍磁界の広帯域評価
◎渡邊 航・青井 舞・小松美早紀・田中 聡・永田 真(神戸大) |
近接放射イミュニティ試験に用いるハイブリッドテーパーTEMホーンアンテナを設計し、アンテナ特性および電界均一性について評価を行った。数値シミュレーションによる検討結果から、提案したアンテナは、小型化を実現しつつ広帯域放射特性を有し、良好な均一領域場を生成することを示す。
近年,無線電力伝送装置をはじめとした30 MHz以下の電波利用機器の開発が行なわれている.しかしながら,30 MHz以下の電磁波の精密な測定法は未だ確立されておらず,放射妨害波の影響を定量的に評価することができない.本研究では,ループアンテナを用いて30 MHz以下の放射妨害波を測定した場合について,モーメント法を用いた数値解析を行なった.その結果,ループアンテナの給電点の位置について,測定誤差が大きくなる位置や精密な測定が可能になる位置があることを明らかにした.また,測定誤差の大きさは,ループアンテナの半径に比例することや,測定誤差が極大となる放射妨害波源からループアンテナまでの距離は,放射妨害波の波長に比例することを明らかにした.
近年普及しているウェアラブル機器に対し,国際電気標準会議規定のIEC 61000-4-2[1] に準拠した静電気放電(ESD:Electrostatic Discharge) のイミュニティ試験を行うことで,外部電磁界に対するイミュニティ性能を確認する必要がある.今回は,ESD 環境下における筋電義手のイミュニティ性能の評価を目的として垂直VCP近傍での磁界分布の測定を行った,また観測電圧から,ピーク値およびゼロクロッシング,エネルギーの算出を
行った.これにより,磁界の観測電圧はVCP の左端に近づくほど大きくなる事、およびVCPの下部ほど大きくなる事が確認された.今後は,今回算出した磁界波形の各パラメータと筋電義手の誤動作率の関連性を検討していく予定である.
無人航空機(以下、ドローン)の産業用途に向けた研究開発が進められている。小型化・軽量化が求められるドローン内部には自律飛行のためのセンサや電源回路等が密接して配置されている。これらから生じる不要電波がドローンの制御に用いられる無線通信信号と干渉し、安全性に影響を及ぼすことが懸念されている。本稿では、基本的な機能を実装した小型ドローンの放射不要電波を近傍(1 cm)かつ広帯域(6 GHz)において測定した。無線通信に利用される高周波帯域においてもドローンによる不要電波成分が観測でき、無線通信との干渉の恐れが十分にあることを確認した。
9月16日 9:30〜11:45 Meeting 25 座長 西本太樹(パナソニック)
B-4-17 |
FMCWレーダにおける電磁ノイズ起因の誤検出に対する受信信号比較手法の実証実験結果
○橘川雄亮・堀口嵩浩・古谷航一・福井範行・米田尚史(三菱電機) |
B-4-18 |
グラウンド上の撚り線における誘導電流予測のための等価回路
◎稲垣直樹・肖 鳳超・上 芳夫・萓野良樹(電通大) |
B-4-19 |
放射を考慮したグランド平面内の電位変動の時間領域解析
◎神野崇馬・木虎秀二・土岐 博・阿部真之(阪大) |
B-4-20 |
減衰極をもつ差動信号用EMIフィルタとPSDによる設計
○萓野良樹・上 芳夫・肖 鳳超(電通大) |
本発表では,FMCWにおける電磁ノイズ起因の誤検出対策として提案した受信信号比較手法について,実証実験による有効性を示す.
撚り線は電磁干渉の影響を軽減するためによく使われるが,実際の撚り線はグラウンドに近接していることが多く,外部電磁界にさらされているときの誘導電流を求める際は,電界によってライザーや撚り線に発生する等価電圧源を別々に計算している.一方,撚り線とライザー,グラウンドはループを形成しており,撚り線自体をコイルとみなすこともできるので,それらに鎖交する磁界の時間変化からも等価電圧源を計算できる.そこでこの研究では磁界とループからCMとDMの誘導電流を計算するための,電気的に短い撚り線を対象にした等価回路を作成する.
我々の研究グループでは、これまでにマクスウェル方程式とオームの法則、連続の式から導出した電位と電流に関する伝送方程式と集中定数回路を組み合わせた数値計算を実現し、2次元平面回路へと拡張し、時間領域における回路導体内の物理現象を定量化することを可能にした。
しかし、これまでの数値計算は、安定性の理由から遠方からの作用が遅れて生じる遅延時間を考慮しない近似を用いて計算を行なってきた。この近似は、外部放射が考慮されていないことを意味している。最近、遅延時間を考慮して安定に計算できる手法を構築することができた。今回は、数値計算における遅延時間の有無によるグランド平面内の基準電位の変動を比較し、考察した。
DM,CM 両モードに減衰極をもつ EMI フィル タと PSD による設計手法を提案した.車載 LAN を想定した事 例に適用した結果,試行錯誤を行うことなく全ての要求性能を 満足する設計変数範囲が得られており,提案手法の有効性,妥 当性が確認できた.
休 憩(10:45 再開) 座長 肖 鳳超(電通大)
B-4-21 |
FDTD法によるミアンダ差動線路パターンの伝送特性解析
◎赤羽真和(長野高専)・山極大葵(電通大)・春日貴志(長野高専) |
B-4-22 |
透磁率の周波数特性と自己共振をトランスと並列共振回路によって表したトロイダルコイルの等価回路モデルに関する検討
◎桑島遼輝・須賀良介(青学大)・長谷川光平・常盤 豪(東芝)・上野伴希・橋本 修(青学大) |
B-4-23 |
主偏波を再帰反射する1次元円偏波Van Attaアレーの設計
◎犬塚 悠・西方敦博(東工大) |
B-4-24 |
展示会場における不要電波の評価と磁性体による抑制基礎評価
○宮澤安範・高橋昭博・山口正洋(東北大)・田中 聡・椙本祥史・渡邊 航・永田 真(神戸大) |
大容量データの高速処理のため,プリント基板の配線にはパラレル伝送方式が用いられている.パラレル伝送線路は,データ伝送を一致させるために等長配線にする必要があり,ミアンダ配線が用いられる.配線パターンによりミアンダ配線構造が異なるが,様々な構造と伝送特性との関係性については明らかになっていない.本報告では,等長配線長におけるミアンダの折り曲げ回数,折り曲げ長を変えたミアンダパターンモデルについて,FDTD解析により伝送特性を求めた.その結果,ミアンダ折り曲げ回数を増やすと,特定の周波数で共振が発生し信号が低下する.等長配線を行う場合は,折り曲げの長さを変えた方が信号伝送の低下を防ぐことが出来ることが明らかとなった.
近年のスイッチング素子の高速動作化に伴って,高周波帯電磁ノイズの顕在化が懸念される.
フィルタに用いるコア付きトロイダルコイルのインピーダンスは透磁率の周波数特性などのコアの材料定数により大きく変化するため,フィルタの帯域設計に支障が生じる.
これまでに,コイルの使用周波数帯域やインピーダンスの推定を目的としたコイルの等価回路モデルについて報告されているが,回路構造が複雑であるためフィルタ設計への適用が困難であった.
そこで本研究ではフィルタの帯域設計のため,コイルの一次共振特性と複素透磁率の周波数特性を高精度にモデリングし,構造が簡易で複数のコアに対応した回路モデルを提案する.
本稿ではレーダーアプリケーションにおける再帰反射体の検出性能向上を目的として,アンテナ感度が姿勢に依存しない円偏波に対応し,かつ背景散乱と区別するため円偏波の主偏波を再帰反射する1次元Van Attaアレーを設計した.電磁界シミュレーションによるモノスタティックRCSの計算結果から,設計したVan Attaアレーが効率的に主偏波を再帰反射し,検出上優位に動作していることを確認した.
今後、益々増えるインバータ機器から放射される不要電波により第5世代移動通信システム(以下5G)等の無線機器の受信感度が劣化しうる[1],[2]。本研究では、電波暗室と異なり実使用に近い環境として、Microwave Workshops & Exhibition (MWE 2018)会場において、無線電力伝送(以下WPT)用7 kW級インバータ機器からの不要電波がLTE受信周波数帯に干渉することを公開実験にて示した。その抑制法を開発する端緒としてGHz帯における磁性体の損失特性を計測したので報告する。
B-5. 無線通信システムA(移動通信)
9月15日 9:00〜11:45 Meeting 10 座長 眞田幸俊(慶大)
B-5-1 |
PAPR特性を改善したシンボル間欠送信を行う干渉キャンセラ方式の性能評価
○酒井 学・井浦裕貴・富塚浩志・佐野裕康(三菱電機) |
B-5-2 |
フェージング環境下でのOFDMのサブキャリア間隔に対する256-QAMの伝送特性
○小菅大輔・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-3 |
端末移動度情報を必要としないSC-FDE判定帰還型伝搬路推定に関する一検討
◎中村敦也・新保薫子・齋藤周平・菅沼碩文・前原文明(早大) |
B-5-4 |
空間変調シンボルと時変チャネルの繰り返し推定
◎秋庭優也(東京農工大)・石原拓実・杉浦慎哉(東大) |
B-5-5 |
有相関大規模MIMOのための通信路とデータの繰り返し同時推定に関する一検討
○伊藤賢太・高橋拓海(阪大)・衣斐信介(同志社大)・三瓶政一(阪大) |
IoT(Internet of Things)などの超多数端末が存在する無線通信システムでは、周波数利用効率の観点から、高度な周波数共用技術が求められており、著者らはこれまでにシンボル間欠送信型干渉除去法を提案している。一方で、IoT向け送受信機では低消費電力であることが求められるため、送信信号のピーク対平均電力比(Peak-to-Average Power Ratio:PAPR)は可能な限り抑圧する必要がある。本稿では、シンボル間欠送信型干渉除去法において、送信信号のPAPRを低減させる手法を提案し、同手法の有効性を計算機シミュレーションにより評価する。
5Gでは高速,大容量化の要求条件を満たすため,高周波数帯の利用が検討されている.高周波数帯を用いて広帯域伝送する場合,OFDM信号において複数のサブキャリア間隔をサポートすることが求められており,特に高周波発信機の位相雑音の影響が大きい場合,サブキャリア間隔は拡げる必要がある.筆者らはこれまでLTEベースのサブキャリア間隔の条件で256/1024/4096-QAMの伝送特性の評価を行ってきた.
本稿では,3種類のサブキャリア間隔に対してマルチパスフェージング環境下における256-QAM を用いたOFDM信号の伝送特性について考察する.
SC-FDEは,PAPRを低く抑えつつマルチパスフェージングを克服できることから,送信側を低コストに抑えたまま広帯域無線通信を実現できる.これまでに,我々は,SC-FDEの時間選択性フェージング対策として判定帰還型伝搬路推定 (DFCE) を採り上げ,移動速度情報により決定づけられる端末移動性が既知となることを前提に伝搬路への追従を図る方式を提案してきた.本稿では,移動速度情報を必要とすることなく,DFCEの誤り訂正復号時に得られる尤度を比較することにより,伝搬路への追従を図る方式を提案する.具体的には,雑音軽減効果と伝搬路への追従効果の優先度合いを決定づける各々の忘却係数を適用したときの誤り訂正における尤度を比較することにより,端末移動性に適応したDFCEの忘却係数を選択するものである.また,提案方式の有効性を,忘却係数を固定した通常のDFCEと従来の移動速度情報を既知としたDFCEを比較対象にとって,計算機シミュレーションにより評価する.
本稿では,空間変調マルチアンテナ方式を対象として,時変チャネル (channel state information: CSI) とデータの繰り返し推定方式を提案する.空間変調は送信機で必要な高周波回路が一系統であるため電力効率が高い.空間変調のプリアンブルオーバヘッドを低減する技術として,joint channel estimation and data detection (JED) や非正方差動符号化空間変調が提案されている.しかし JED は時不変チャネルを想定しているため,時変チャネルでは CSI 推定誤差が大きくなる.そこで,提案手法は送信フレームを複数のブロックに分け,ブロックごとに JED 方式に基づいて CSI を更新することにより時変チャネルに対応する.これにより,従来方式よりも高い通信品質を達成する.
本稿では,上り回線の有相関大規模マルチユーザMIMO (Multi-Input Multi-Output)のための,低処理量な通信路とデータの同時推定(JCDE: JointChannel and Data Estimation)手法を検討する.ガウス信念伝搬法(GaBP: Gaussian Belief Propagation)に基づく低処理量なJCDEとして提案されたBiGaBP (Bi-linear GaBP)は,フェージング空間相関下では収束特性が著しく劣化する[1].この問題を改善するため,本稿ではBiGaBPにPDA (Probabilistic Data Association)に基づくデータ検出を導入し,逆行列演算により空間相関の悪影響を抑圧できる新たなJCDEを提案する.
休 憩(10:30 再開) 座長 高橋拓海(阪大)
B-5-6 |
Robust Transmission Method Against Millimeter Wave Channels
○Tatsumi Konishi・Hiroyuki Nakano・Yoshikazu Yano・Michihiro Aoki(Aichi Inst. of Tech.) |
B-5-7 |
ハイブリッドビームフォーミングを用いたMassive MIMOにおける時変動チャネルの適応予測
○柘植健太・張 裕淵・府川和彦(東工大)・須山 聡・浅井孝浩(NTTドコモ) |
B-5-8 |
OAM多重伝送への偏波多重の適用効果に関する基礎的検討
◎伊藤有希・齋藤周平・菅沼碩文(早大)・小川賀代(日本女子大)・前原文明(早大) |
B-5-9 |
5G URLLC向け適応MIMOモード切替手法の提案
◎塩満優作・岡本英二(名工大)・三上 学・吉野 仁(ソフトバンク) |
B-5-10 |
Impact of Non-uniform User Distribution on ZF-based Cluster-wise MU-MIMO
◎Sijie Xia・Chang Ge・Qiang Chen・Fumiyuki Adachi(Tohoku Univ.) |
Recently, it has been reported that small-scale spatial fading of millimeter waves is modeled as Rician fading even in non-line-of-sight; however, most multiple-input multiple-output (MIMO) transmission techniques are suitable for Rayleigh fading. This letter proposes a novel MIMO transmission method for Rician fading channels. An analytical error rate is derived, and the bit error rate is compared with that of spatial modulation (SM) schemes over Rician fading via computer simulation. The results show that the proposed method outperforms SM schemes and provides robustness against variations in Rician fading channels.
第5世代移動通信(5G)で導入されるMassive MIMOでは,BB回路およびRF回路の数を大幅に削減できるアナログ・デジタル-ハイブリッド型(HB: Hybrid Beamforming)が注目を集め検討されている.本稿では,TDD(Time Division Duplex)マルチユーザMIMO通信を想定し,時変動チャネル条件において,上り回線でのチャネル推定値を用いて下り回線時の全アンテナ素子のチャネルインパルス応答を予測する手法を提案する.計算機シミュレーションでは,適応チャネル予測選択を行うことで最大ドップラー周波数が比較的低い領域において予測精度が向上することを示す.
さらなる大容量化が求められる今後のモバイルネットワークのバックホール回線の拡充に,OAM伝送の適用が一候補として期待されている.OAM 伝送では,モード多重に加えて偏波多重が可能となることから,さらなる大容量化が期待できる.本稿では,OAM多重伝送への偏波多重の適用効果を明確化すべく,全アンテナ素子数と総送信電力を一定に設定し,偏波多重を適用する場合と適用しない場合のシステム容量を計算機シミュレーションにより比較・評価する.
自動車における通信にはこれまでDedicated Short Range Communications(DSRC)が主に用いられてきたが,第5世代移動通信システム(5G)の利用も検討されている.現在,5Gを用いた自動運転実現への取り組みとして,トラックの隊列走行などが検討されている[1]が,この実現には超高信頼・低遅延(Ultra-Reliable and Low Latency Communications: URLLC)な通信システムが必要となる[2].さらに今後はURLLCにおいても車車間での映像伝送の実装などスループットの向上が必要になると考えられる.そこで本稿では,スループット向上を目的としたURLLC向け適応Multiple-Input Multiple-Output(MIMO)モード切替手法を提案し,その特性改善を計算機シミュレーションにより明らかにする.
To improve the spectrum efficiency and to mitigate the computational complexity problem of ultra-dense radio access network (RAN), we have been studying ZF-based cluster-wise MU-MIMO. Users do not exist densely everywhere. In this paper, we examine how the non-uniform user distribution impacts the achievable capacity of ZF-based cluster-wise MU-MIMO and then, discuss about a possible deployment of distributed antennas.
9月15日 13:00〜17:00 Meeting 10 座長 前原文明(早大)
B-5-11 |
OFDMに基づいたグラントフリー非直交多元接続のためのハイパーパラメータフリー受信機
◎原 郁紀(電通大)・飯盛寛貴(Jacobs Univ. Bremen)・石橋功至(電通大) |
B-5-12 |
ミリ波通信システムのための通信路遮蔽予測に基づいた低演算量ロバスト多地点協調伝送
◎岡部 亮(電通大)・飯盛寛貴(Jacobs Univ. Bremen)・石橋功至(電通大) |
B-5-13 |
28GHz帯ナノエリアにおける複数RU協調送受信の特性評価
○谷林昭浩・津田顕祐・家 哲也・藤井義巳(構造計画研) |
B-5-14 |
上り回線グラントフリー非直行多元接続方式のSDR基盤への実装
○津田顕祐・谷林昭浩・家 哲也・藤井義巳(構造計画研) |
B-5-15 |
ユーザクラスタ毎MU-MIMOを用いる超高密度RANのC/U分離アーキテクチャ
○安達文幸・高橋 領・松尾英範(東北大) |
ロボットや自動車の無線制御といったアプリケーションでは,高信頼・多接続・低遅延といった要求を同時に満たす必要がある.これらの要求を満たす新たな物理層技術として,グラントフリー非直交多元接続(GF-NOMA: Grant-Free Non-Orthogonal Multiple Access)方式が活発に研究されている.従来研究の多くは,時間方向に信号を拡散し,ユーザの信号を重畳している.このためユーザ数の増加に伴い,より長い信号時間が必要となる.そこで本稿では,周波数方向への拡散を用いたGF-NOMAを検討し,既存手法とは異なり,事前情報やハイパーパラメータなどを必要としない受信機を提案する.
第5世代移動体通信(5G)のさらなる高度化に向け,ミリ波帯のさらなる活用は急務である.ミリ波帯では,車や人体によって,通信路の見通し経路が遮蔽され,これが受信電力の低下を引き起こし,通信の安定性を著しく損なってしまうことが知られている.この問題に対し,遮蔽の発生を予測し,この発生確率を考慮することで安定した多地点協調伝送を行う手法が提案されている.しかしこの手法では,遮蔽の有無に伴う通信路状態を全て考慮することから,連携基地局数とユーザ数に応じて,設計に伴う計算量が指数的に増加してしまう.本稿では,遮蔽予測に基づく複数基地局ビームフォーミング設計を,重み付け総和レート最大化の問題として定式化することで,低演算量で安定した多地点協調伝送を実現する.
ミリ波により実現されるナノエリアにおいて,ミリ波の遮蔽特性により,通信の継続性および通信品質が損なわれる場面を想定し,DU配下の複数RUを協調させてその影響を最小化する研究を行っている.今回,28GHzの5G信号を複数のRUにより協調送受信させる実験を行い,得られた特性について報告する.
本稿では,通信品質の要求として「多接続」かつ「低遅延」を仮定し,これらの要求を同時に満たすと期待される上り回線グラントフリー非直行多元接続(GF-NOMA: Grant-Free Non-Orthogonal Multiple Access)方式の,SDR基盤上へのプロトタイプ実装について報告する.
5G無線アクセスネットワーク(RAN)を実現する技術として知られるのが,制御データとユーザデータの送受信を分離するC/U分離アーキテクチャである.本稿では,ユーザクラスタ毎MU-MIMOを並列実行する超高密度RANにおけるC/U分離アーキテクチャを提案している.ユーザデータ(U-Plane)の送受信はユーザクラスタ毎に行うが,制御データについては全ての分散アンテナを仮想的に一本のBSマクロセルアンテナと見做して送受信することで高信頼な制御データ送受信を実現できる.
休 憩(14:30 再開) 座長 旦代智哉(東芝)
B-5-16 |
適応型RANにおける光・無線統合制御の実証実験に向けた実機開発
牟田竜二・松川潤也・小杉正憲・松尾英範・○関 裕太・外山隆行(パナソニック) |
B-5-17 |
後方レイリー散乱光との干渉の無いモバイルフロントホール用160Gbit/s, 256QAM双方向デジタルコヒーレント光伝送
○葛西恵介・吉田真人・廣岡俊彦・岩月勝美・中沢正隆(東北大) |
B-5-18 |
5G高度化適応型RANにおける基地局機能配置手法の評価
○塚本 優・平山晴久・ムン スンイル・難波 忍・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-19 |
Markov Decision Process (MDP) for Ensemble Learning Method-based Slice Admission Control in Adaptive RAN
○Seung Il MOON・Haruhisa HIRAYAMA・Yu TSUKAMOTO・Shinobu NANBA・Hiroyuki SHINBO(KDDI Research) |
B-5-20 |
ミリ波帯における自動車による遮蔽の発生モデルの検討
○栗田雄太朗・村上隆秀・新保宏之(KDDI総合研究所) |
第 5世代移動通信システムの普及が進み,通信トラヒックの増加に加えてサービスの多様化に伴い通信品質への要求が複雑になると想定される.筆者らは,多数且つ多様な通信サービスが同時に発生する状況においても通信品質要求を満たす高信頼なシステムの実現を目的に,適応型RAN(Radio Access Network)技術の研究開発を進めている.適応型RANでは,仮想化技術を用いて無線基地局の機能配置を適応的に制御する.そして,無線基地局の機能配置に応じて光フロントホール(FH)の伝送方式を切り替える光・無線統合制御によりFH伝送効率を向上することができる.本稿では,提案技術の実証実験に向けた実機開発の取り組みについて述べる.
次世代型RAN用Mobile Fronthaul (MFH)として大容量PONの研究開発が進められてきている。双方向伝送を行うPONにおいては、光ファイバ伝送路で生じるBackward Rayleigh Scattering (BRS)が伝送性能を劣化させる。特に上り・下り信号を同一周波数で伝送するノンコヒーレントPONではBRSによってデータ信号の光S/Nが劣化する。また、コヒーレントPONでは、データ信号とBRSとの干渉を防ぐため、両信号の周波数を離して伝送している。一方、我々は大容量MFHを実現するため、超多値QAM信号を用いた双方向コヒーレント伝送を提案してきている。本方式では光注入同期によってデータとLOとの位相同期を行うため、上り・下り信号の周波数が等しくなる。このため、データ信号とBRSとの干渉によって伝送性能が大きく劣化することが明らかとなっていた。本報告ではBRSとデータ信号との干渉を防ぐため、上り・下り信号の周波数をシフトする方法を提案し、その有効性について報告する。
2025年ごろの5G高度化時代には,大容量,超低遅延,超多接続などの多様な要求品質の通信トラヒックが発生することが想定される.これらの要求品質を満足するため,基地局機能を通信サービスに応じて最適に配置する適応型RAN(Radio Access Network)を提案し,その基地局機能の配置手法を検討した.しかし,基地局機能の配置制御よりも細かい時間粒度のユーザートラヒックの変動を考慮しておらず,光伝送路において輻輳が生じる可能性がある.本稿では,提案手法の高度化に向けて,上述のユーザートラヒック変動を考慮した際の光伝送路におけるトラヒック量と,リソース最適化という観点で重要な計算機リソース量を評価する.
The advanced 5G system is expected to support further diverse services with the performance targets of low-latency, high-reliability or high-capacity. In advanced 5G system, we have proposed an adaptive Radio Access Network (RAN) system [1]. In the Adaptive RAN, an efficient slice admission control (SAC) scheme for RAN slices with machine learning (ML) is required. Because the RAN resources are limited and need to manage efficiently by the SAC scheme in order to satisfy various requirements from users. We introduced the EML-based SAC in adaptive RAN to solve the above problem in [2], where we formulated the SAC problem in Adaptive RAN to maximize the utility of RB. In this paper, we model the MDP to solve the formulated SAC problem using the ML approach, to find the optimal policy that can be described as a probability distribution. The policy vector θ in the SAC problem is to make a decision for an action a_t at a state s_t to maximize the reward r_t in the environment.
ミリ波帯は6GHz以下の周波数帯と比べて直進性が高く,遮蔽の影響により無線リンクの切断が発生して,通信品質が劣化する問題がある.そこで,遮蔽の無線伝搬に対する影響を事前に予測して通信を制御する手法を検討している[1].制御のためには遮蔽による無線信号の時間変動の特性を把握し,遮蔽発生モデルを確立する必要がある.
遮蔽発生モデルとして,歩行者の遮蔽によるミリ波受信信号電力の時間変化モデルの検討例が報告されている[2].実際には歩行者や自動車が存在する.本稿では,自動車による遮蔽の影響に対して文献[2]のモデルが適用できるか評価した結果を報告する.
休 憩(16:00 再開) 座長 中村 理(シャープ)
B-5-21 |
インテリジェント空間形成のためのVM-MIMO伝送法
○村上友規・岩渕匡史・大宮 陸・小川智明(NTT) |
B-5-22 |
インテリジェント空間形成のための中継器による伝搬路制御技術
○岩渕匡史・村上友規・大宮 陸・小川智明・鷹取泰司(NTT) |
B-5-23 |
インテリジェント空間形成のための無線中継器組合せ選択法
◎大宮 陸・村上友規・岩渕匡史・西野正彬・小川智明・鷹取泰司(NTT) |
B-5-24 |
インテリジェント空間形成のための無線センシング技術高度化に向けた評価
○大槻信也・村上友規・小川智明(NTT) |
本稿では,インテリジェント空間形成を構成する技術の一例として,1本のアンテナで仮想的にMIMO受信を実現するVM-MIMO伝送法を紹介し,実伝搬試験による評価結果からその有効性を示す.
無線通信システムの発展のため,実空間の把握とそれに基づく高度な無線制御を実現するインテリジェント空間形成という概念を提案する.本稿では,インテリジェント空間形成を構成する伝搬路制御技術について述べる.伝搬路制御技術は,送受信局間の空間上に多種多様な中継器を展開し制御することにより,伝搬路そのものの性質を改善する.近年注目を集める中継デバイスの1つであるIntelligent reflecting surfaceに着目し,伝搬路制御技術により得られる効果の初期評価を紹介する.
筆者らは,これまで制御対象とされてこなかった電波伝搬路を,複数の中継器を用いて能動的に制御する,インテリジェント空間形成というコンセプトを提唱している.その一例として,パッシブな中継器のOn/Off制御(反射の有無)の組合せのみで,セル間干渉電力を能動的に抑制できる技術の提案を行ってきた.しかし,最適な中継器の組合せ探索はNP困難な問題であり,中継器数の増加に応じて指数関数的に計算コストが増大する.そこで本稿では,最適化問題として定式化し,汎用ソルバにより最適な組合せを計算可能にした.また中継器クラスタリングにより選んだ代表値のみを組合せ探索候補とすることで,性能を大きく劣化させずに計算量を削減する手法を提案した.
本稿では,IOWNや6G等将来NWに向けて検討がされているインテリジェント空間形成の構成技術の1つである無線センシングについて,複数の端末の制御信号を用いることによる精度の向上の可能性について実験的評価を行ったのでその結果を報告する.
9月16日 9:15〜11:45 Meeting 10 座長 岩渕匡史(NTT)
B-5-25 |
テラヘルツ帯フェーズドアレーのビーム制御に関する基礎的検討
◎宇津野太一・西村寿彦・大鐘武雄・小川恭孝・萩原淳一郎・佐藤孝憲(北大) |
B-5-26 |
固定ビームと適応ビームを併用したDSTBC向け干渉抑圧方式
◎佐々木 慧・中島昭範・増田進二・東中雅嗣・有賀 博(三菱電機) |
B-5-27 |
空間・周波数直交マッピングに基づくFSK送信ダイバーシチにおける誤り率解析とビットラベリング
◎堀 勇太・中島昭範・東中雅嗣・有賀 博(三菱電機) |
B-5-28 |
インターリーブ分割多元接続手法に対する複数ユーザ電波暗号化の検討
◎奥村 守・加賀有貴・岡本英二(名工大)・山本哲矢(パナソニック) |
B-5-29 |
カオス変調とQAMを用いた伝送効率向上電波暗号化変調手法の検討
◎加賀有貴・奥村 守・岡本英二(名工大)・山本哲矢(パナソニック) |
テラヘルツ帯(0.1~10THz)の広帯域信号により,極めて高速な通信が可能となるが,その大きな減衰を補償するため,送受信側に超多素子から成るフェーズドアレーを設置したUltra-Massive MIMOが提案されている.このようなフェーズドアレーはビーム幅が狭いため,送受信側でビームを対向するための制御に時間を要することが懸念される.本稿では,その操作を速やかに行う方法について基礎的な検討を行った結果を報告する.
無線通信における自システム内の同一チャネル干渉は受信性能低下を引き起こす.筆者らは,差動時空間ブロック符号(DSTBC)方式にて,既知系列により推定したDSTBC復号後の推定SINRを用いて複数の固定ビームを選択・合成することで高速移動環境に適応可能な干渉抑圧方式を検討している.しかし,従来方式では干渉信号に対しビームが最適化されておらず,到来方向次第で劣化する課題があった.そこで,固定ビームと適応ビームを併用し, DSTBC復号後のSINRを基準にビームを選択する方式を提案する.本稿では,計算機シミュレーションにより,提案方式の受信性能を評価し,提案手法の有効性を示した.
M2M 通信のための長距離高信頼無線通信システムに適した送信ダイバーシチ手法として,筆者らは空間・周波数直交マッピング(SFM: Space-Frequency Mapping) に基づくFSK(Frequency Shift Keying) のための送信ダイバーシチ手法を提案し,移動環境においてSTBC(Space-Time Block Codes) [1] よりも優れた性能を持つことを示した[2].本稿では当手法に対して誤り率の解析を行うとともに,UEP(Unequal Error Protection) を利用したビットラベリングを適用することでBER(Bit Error Rate) が0.5 dB 改善することを示す.
近年,多数の Internet of Things (IoT)端末の通信方式と して高いスペクトル効率を持ち,非同期通信に強いインタ ーリーブ分割多元接続(Interleave Division Multiple Access: IDMA)手法の適用が見込まれている.一方で,通信に 関する安全性の確保の需要も継続的に増加している.この 問題を解決するため,我々は過去に IDMA に対して電波暗 号化技術としてカオス変調を適用し,物理層秘匿性及び通 信の高品質化を実現する手法を提案したが,1 ユーザのみ が秘匿される状態であった.そこで本稿では,全ユーザ カオス IDMA(All User Chaos-IDMA: AUC-IDMA)を提案 する.そして,計算機シミュレーションにより通信の品質 を評価することで提案手法の有効性を明らかにする.
無線移動通信システムにおける暗号化変調方式としてカオス符号化変調が提案されている.しかし既存手法では伝送効率の向上が課題であった.そこで本稿ではQAMを併用することで伝送効率を向上させる手法を提案する.カオス変調は疑似雑音信号であり受信側で波形からQAM信号と区別が可能であるため,カオス変調信号とQAM信号の伝送順を操作することで,index変調の原理により追加の情報ビット伝送が可能となる.そして計算機シミュレーションにより,提案手法が比較的良好な伝送誤り特性を保ちつつ,伝送効率が向上していることを示す.
休 憩(10:45 再開) 座長 張 裕淵(東工大)
B-5-30 |
差分プライベートなOver-the-Air演算を実現する送信電力制御の提案
◎香田優介・山本高至・西尾理志・守倉正博(京大) |
B-5-31 |
IQ軌跡画像4分割法を用いた無線機識別
○△田村比呂・柳澤 潔・白根篤史・岡田健一(東工大) |
B-5-32 |
Neural Network-Based PAPR Reduction of OFDM Signals
○Ahmad Gendia・Osamu Muta(Kyushu Univ.) |
B-5-33 |
ユーザ位置情報に基づく深層学習を用いたSCMA/OFDMA方式選択に関する一検討
◎熊谷雄太・権田尚哉・新保薫子・菅沼碩文・前原文明(早大) |
電波の重畳を利用し,各無線端末やセンサの持つデータの収集と集約を一度に行うOTA(Over-the-Air)演算が,とりわけ機械学習の分野で注目を集めている.OTA演算では,受信時に付与される雑音により,データの集約結果にランダムな歪みを生じる.この課題に対し,歪みを軽減してデータを精度よく集約するシステム設計が従来なされてきた.一方で,集約結果にランダムに生じる歪みは,各無線端末の持つデータが集約結果に与える影響の特定を困難にするという点で,無線端末の所有者のプライバシを守ることに貢献する.本発表では,我々がこのことに着眼して提案した,所望のプライバシレベルを達成するための送信電力制御について紹介する.プライバシの定量化には,データ集約結果の公開方法のプライバシ指標として近年注目を集めている差分プライバシを使用する.
本論文では、IoTデバイスのセキュリティ向上を目的として、新しい物理層での無線機端末の識別を提案する。既存の物理層無線機端末識別技術の持つ、大規模なニューラルネットワークを必要する点および、攻撃端末への対応を考慮していないという問題を解決するために、入力を信号軌跡の画像とし、出力に対してしきい値を設けることで解決を図る。また、過学習を抑制することが必須となるため、IQ信号軌跡の画像でのみ活用可能なアンサンブル学習手法としてIQ軌跡画像4分割法を提案する。
In this article, we propose a neural network-based clipping and filtering approach for peak-to-average power ratio
(PAPR) reduction of orthogonal frequency division multiplexing (OFDM) signals. The neural network (NN) module is
trained offline using target data generated by running the simplified clipping and filtering (SCF) algorithm [1].
The goal is to achieve higher PAPR reduction performance with lower computational complexity.
5Gの利用シナリオの1つであるmMTCでは,多数の端末が同時接続することが想定され,符号領域で非直交多元接続を行うSCMAの適用が有望視されている.SCMAの特徴として,高CNR帯では,高い容量拡大を達成できるものの,低CNR帯においては,各ユーザの信号分離が困難となることから,OFDMAよりも容量が小さくなる問題がある.我々は,SCMAのこのような容量低下の問題に着目して,SCMAとOFDMAの同時利用の有効性を明らかにしてきた.本稿では,SCMA,OFDMA及び両者の同時利用といったアプローチの中からユーザ位置情報に基づく深層学習により,システムスループットが最良となるアプローチを選択する方式を提案する.また,提案方式の有効性を,SCMAのみ,OFDMAのみ及び両者を同時利用する場合を比較対象にとって,システムスループットの観点から計算機シミュレーションにより評価する.
9月17日 9:00〜11:45 Meeting 10 座長 菅野一生(KDDI総合研究所)
B-5-34 |
移動通信における有線給電ドローン無線中継システム
◎△藤井輝也(ソフトバンク/東工大)・張 亮・松浦一樹・飯塚哲也・米田 進・千葉武伸(ソフトバンク) |
B-5-35 |
ビームフォーミングを活用した地上セルと上空セルの周波数共用の検討
◎橘田 真・藤井輝也(東工大) |
B-5-36 |
HAPSサービスリンク向けシリンダMassive MIMOの提案
◎田代晃司・星野兼次・長手厚史(ソフトバンク) |
B-5-37 |
HAPSモバイル通信におけるユーザ分布を考慮した動的セル制御
◎柴田洋平・星野兼次・長手厚史(ソフトバンク) |
B-5-38 |
HAPS複数ゲートウェイフィーダリンクにおける信号帯域分割干渉キャンセラーの理論解析
○藤井隆史・太田喜元(ソフトバンク) |
B-5-39 |
セルラー網を活用した遠隔操縦可能なドローン無線中継システムの実証実験
○張 亮・前迫敬介・飯塚哲也・江田紀一・米田 進・藤井輝也(ソフトバンク) |
災害などで通信障害が発生している携帯電話サービスエリアを迅速に復旧させる取組みの一つとして、当社では係留気球に非再生無線中継装置(リピータ)を搭載した係留気球無線中継システムを開発し、全国の拠点に配備した。一層のシステム構築の迅速化、簡便さを図るため、ドローンに非再生無線中継システムを搭載し、地上から有線給電することで長期間運用を可能とする有線給電ドローン無線中継システムを開発した。本稿ではその概要を説明する。
セルラー網を利用したドローンの飛行制御や撮影した映像データの転送が期待されている。しかしながら、現在のセルラー網で上空端末が通信を行えば、広範囲に干渉を及ぼすことから、地上端末の通信品質劣化が避けられない。筆者らは、5Gのビームフォーミング技術を活用して、アンテナ指向性により各基地局が地上セルと上空セルを空間分割することにより同一周波数を共用する“3次元空間セル構成”を提案し、検討している。本稿では、従来の地上システムで上空端末が通信を行う場合と比較して、提案システムの有効性を評価する。
携帯端末との直接通信を行う成層圏プラットフォーム(HAPS: high-altitude platform station)が災害時等における新たな通信手段として期待されている.これまでに筆者等は,半径100 kmの超広域をカバーすると同時に,セル単位のビームフォーミングにより地上セルの固定を実現するシリンダ型アレーを提案した.同方式では,ビームの最大利得から外れるセル境界の利得低下が課題である.本稿では,5Gを意識したユーザ単位のビーム制御を行うことでスループットの向上を実現するシリンダmMIMO (massive MIMO)システムを提案する.計算機シミュレーションにより,提案方式はセル単位のビーム制御を行う従来方式に対して,セル境界で約6倍のチャネル容量を達成することを示す.
高度20kmの成層圏から直接地上の携帯端末に超広域の移動通信サービスを提供できるHAPS(High-Altitude Platform Station)システムは大規模災害等を用途とした新たな通信プラットホームとして注目されている。筆者らはこれまでセル構成の最適化検討を行ってきたが、実際のユーザ分布は考慮せず、ビーム幅や指向方向などのアンテナパラメータは固定としてきた。しかし、HAPSによるカバーエリアの半径は数10kmから100kmと広いため、ユーザの地理的分布は必ずしも一様ではない。また、ユーザの移動により時間帯に応じてユーザ分布が変化することも考えられる。筆者らはこれまでビーム幅およびビーム方向を動的に変えることが可能なアクティブフェーズドアレイアンテナを検討してきた。本アンテナを用いることで、このような地域や時間帯によって偏在するトラフィック需要を考慮し、動的にセルの場所や大きさを制御することでこれまで地上基地局システムでは不可能であった高度なセル制御が可能である。本稿では広域カバレッジを確保しつつ、ユーザ分布に応じた動的セル制御を行うアルゴリズムを提案し、その効果を明らかにする。
成層圏プラットフォーム(HAPS)を用いて地上のセルラ携帯端末(携帯端末)と直接通信する携帯通信サービスにおいて,HAPSと地上基地局(ゲートウェイ)間の通信であるフィーダリンクの周波数有効利用を目的に,同一周波数を空間分割多重する“複数ゲートウェイ(GW)システム”を提案した.提案システムでは上下回線共に同一周波数干渉が課題であり,それを抑圧する干渉キャンセル技術を提案し,計算機シミュレーションで適用効果を明らかにした.
本稿では,提案した受信干渉/送信キャンセラーを理論解析し,シミュレーションの妥当性を示す.
セルラー網を活用して,雪中などの遭難者の携帯端末のGPS情報を取得してその位置特定を行うドローン無線中継システムを提案し,開発した.本システムはドローンにセルラー対応の通信装置を搭載し,ドローンの操縦や無線中継システムの運用・監視をセルラー網を介して遠隔地及び現地で適宜切り替えることが可能であり,運用に関して一層の迅速化や効率化,安全性の確保が図っている.また,本システムは移動通信網圏外エリアにおいても,衛星バックホールの利用で運用可能である.提案システムを使ったフィールド実証実験を実施した.本稿では,フィールド実証実験の内容を説明する.
休 憩(10:45 再開) 座長 亀田 卓(東北大)
B-5-40 |
低軌道衛星と静止衛星を併用した複数衛星MIMO伝送手法の検討
◎野田彩夏・上野皓平・岡本英二(名工大)・辻 宏之・三浦 周(NICT) |
B-5-41 |
衛星AISにおけるドップラ周波数の推定誤差を考慮した衝突パケットのPICマルチユーザ検出
◎高根沢優和・張 裕淵・府川和彦(東工大)・平原大地(JAXA) |
B-5-42 |
高高度HetNetにおけるトラヒックおよびセル間干渉に基づく航空基地局配置
◎和田健史郎・大槻知明(慶大) |
B-5-43 |
アレイアンテナによる干渉軽減及びCoMP接続によるUAV接続性に関する検討
◎川上純平・安達宏一(電通大) |
現在,地理的デジタルディバイドの解消と災害時の安定した通信手段確保のために大容量衛星通信の需要が高まっている.これを実現する手段の一つとして,低軌道衛星での複数衛星 MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) 伝送が検討されているが,衛星毎のサービスエリアが常に移動するため,継続的な通信を行うには多数の衛星が必要となり,コスト面,スペースデブリや衛星同士の衝突事故増加を引き起こすことが危惧されている.そこで本稿では,所要低軌道衛星数を抑えつつ通信路容量の拡大を図ることのできる低軌道衛星-静止衛星 MIMO (Low Earth Orbit-Geostationary Orbit MIMO: LEO-GEO MIMO) 伝送システムを提案する.そして計算機シミュレーションにて,少ないLEO衛星数においても高スループットを実現できることを示す.
近年,日本の領海において,全ての大型船舶に対してAutomatic Identification System (AIS) の搭載が義務付けられており,航海安全にある程度の成果を上げている.公海等遠洋でもAISを利用可能とするSpace-based AIS Experiment (SPAISE)では,衛星を用いた通信システムが検討されているが,受信範囲が広くなるため複数パケットが衝突し伝送特性が大幅に劣化するので,衝突パケットの分離検出が必要となる.分離検出法として,主にSuccessive Interference Cancellation(SIC)及びParallel Interference Cancellation(PIC)が挙げられる.伝送路推定が理想の場合PICはSICに較べ平均ビット誤り率(BER)特性を大幅に改善できるが,相関検出による伝送路推定を行った場合PICの性能は,SICよりも劣化することが示されている.相関検出におけるドップラ周波数の推定誤差が特性劣化の大きな要因と考えられるため,本稿ではドップラ周波数推定誤差の範囲を考慮したPICを提案し,BER特性の改善を図る.計算機シミュレーションを行い,提案手法の有効性を明らかにする.
航空基地局は, 高度 17〜20 km で動作する HAPs (High-Altitude Platforms) と,1〜12 km で動作する LAPs (Low-Altitude Platforms) の 2 種類存在する.
HAPs はビームフォーミングによりマルチセルを構成する.
一方, LAPs は HAPs よりも小さい範囲のシングルセルを構成する.
これらの, 異なる高度の 2 種類の航空基地局を利用した HetNet (Heterogeneous Network) が考えられている.
本研究では,ユーザトラヒックに加え,HAPs マルチセルにおけるセル間干渉を考慮して LAPs 配置及びユーザ接続を制御する.
通信端末との見通し内(LoS: Line of Sight) となる確率が上がることや固定基地局(BS: Base Station) とは異なり動的配置が可能となることから,無線通信機能を搭載した無人航空機(UAV: Unmanned Aerial Vehicle)が注目されている.UAVそのものが通信端末となる場合及びUAVが中継局として動作する場合には,地上BSとの高品質な通信リンクの確立が必要となる.しかしながら,UAVと各BS間の良好なチャネルによって接続BS 以外からの干渉が大きくなり,通信品質が劣化して通信可能エリアが制限される.そこで本稿では,UAVに線形アレイアンテナ(ULA:Uniform Linear Array) を具備し,さらに複数BSが協調してUAVと通信を行うCoMP(Coordinated MultiPoint)を適用することで,UAVの通信可能エリアを拡大する検討を行う.
9月18日 9:00〜11:45 Meeting 10 座長 三上 学(ソフトバンク)
B-5-44 |
巡回シフト系列および巡回シフトパターンによる変調方式を用いるアンライセンスバンド向けNR上りリンク制御チャネル伝送
○山本哲矢・眞木翔太郎・鈴木秀俊(パナソニック) |
B-5-45 |
DMRS共有における参照信号削減に関する一検討
○中村 理・浜口泰弘(シャープ)・高橋拓海・三瓶政一(阪大) |
B-5-46 |
ローカル5Gにおけるシステム間干渉を考慮した参照信号送信方法
○村山大輔・中山章太・河村憲一・守山貴庸(NTT) |
B-5-47 |
Massive MIMOハイブリッドビームフォーミングにおけるギャランティ型移動通信のリソース制御規範
○野中信秀・須山 聡・奥山達樹・奥村幸彦・浅井孝浩(NTTドコモ) |
B-5-48 |
高速移動環境での28GHz帯デジタルBF基地局連携技術の伝送実験
○奥山達樹・須山 聡・野中信秀・奥村幸彦・浅井孝浩(NTTドコモ) |
3GPPでは,第5世代移動通信システム(5G)の無線インタフェースの1つであるNR (New Radio)を拡張し,アンライセンスバンドに対応したNR-U (NR-Unlicensed)が標準化された.欧州では,5GHz帯のアンライセンスバンドにおいて,送信電力帯域密度が制限され,かつ,占有する帯域幅(OCB: Occupied Channel Bandwidth)が使用するシステム帯域の80%以上であることが規定されている.この条件下でNR-U上りリンク制御チャネル(PUCCH: Physical Uplink Control Channel)を高電力送信する手法を筆者らは提案し合意された.本手法では,等間隔インターレース状に配置した各リソースブロック(RB: Resource Block)に異なる巡回シフト(CS: Cyclic Shift)量を適用した従来規定(NR Rel.15)のPUCCH送信系列を割り当て,送信信号のピーク対平均電力比(PAPR)を低減する.また,各RBへ適用するCS量のパターンで上りリンクのリソース割当要求(SR: Scheduling Request)を伝送することで無線リソース利用効率を向上させる手法も提案し,シングルユーザ時の伝送特性を評価した.本稿では,複数端末多重の性能を評価する.
3GPP (3rd Generation Partnership Project) において,NR (New Radio) Rel-16までの仕様策定が完了している.Rel-16までに,通信信頼性向上のため,スロット間繰り返し送信,およびスロット内繰り返し送信が仕様化された.スロット間/スロット内繰り返し送信では,NR Rel-16では,スロット/繰り返し毎にDMRS (Demodulation Reference Signal) が挿入されるが,各スロット/繰り返し毎にチャネル推定を行う必要がある.
NR Rel-17では,PUSCH (Physical Uplink Shared Channel) のカバレッジ拡張のための技術として,スロット間/スロット内繰り返し送信において,他のスロット/繰り返しに含まれるDMRSを使用したチャネル推定を行えるようにする,DMRS共有の導入が検討されている.
しかしながら,スロット内繰り返し送信において低MCS (Modulation and Coding Scheme) が使用される場合には,必要なチャネル推定精度に対して,DMRSが余剰に送信される可能性がある.本稿では,DMRS共有が適用された場合におけるDMRSを削減した送信スロット構成について検討し,計算機シミュレーションによる特性評価を行う.
企業や自治体が自営で構築可能な無線ネットワークとしてローカル5Gが注目されている.ローカル5Gは,運用者または土地・建物所有者が免許を受けて個々に運用する.使用する周波数帯は,運用者ごとに占有的に割り当てるのではなく,同じ周波数帯を共用する.よって,将来的にローカル5Gの利用が増加し,高密度に独立したシステムが構築されると,システム間干渉が生じ伝送特性が劣化する.本稿では,ローカル5G向けに,独立システム間での電波干渉耐性を向上する方法を提案し,その効果を評価したので報告する.
2025年頃をターゲットとした5G Evolution では,通信品質を保証するギャランティ型の無線通信サービスの提供について検討されている.著者らは,これまでギャランティ型通信の実現に向けた初期検討として,ターゲットスループットを保証するサービスに加入した優先ユーザが存在する場合について,Massive MIMOハイブリッドビームフォーミング(BF: Beamforming)における優先適応制御として,ランクアダプテーション(RA: Rank Adaptation)と適応変調符号化(AMC: Adaptive Modulation and Coding)に関する検討を行ってきた.一方で,優先ユーザがターゲットスループットより高いスループットを必要としない場合も想定される.そこで,本稿では,優先ユーザのスループットをターゲットスループット程度まで抑えるようなリソース制御規範におけるスループット特性を評価する.
2025年頃をターゲットとした5G Evolutionでは,28 GHzを筆頭としたミリ波帯の活用により,通信速度のさらなる高速化が求められている.そのためには,現在のアナログビームフォーミング(BF: Beamforming)から,より信号多重が可能なデジタルBFやハイブリッドBFに移行すると考えられる.また,端末(MS: Mobile Station)の高速移動時にもミリ波帯を活用した安定的通信の提供をめざし,著者らは基地局(BS: Base Station)連携技術の検討を進め,シミュレーションによりその有効性を示してきた.本稿では,28 GHz帯に対応したデジタルBF装置を開発し,その装置を用いた屋外伝送実験によりBS連携技術の有効性を示す.
休 憩(10:30 再開) 座長 村岡一志(NEC)
B-5-49 |
高周波数帯における非再生無線中継局のビーム選択手法
○和井秀樹・岩國辰彦・内田大誠・北 直樹・鬼沢 武(NTT) |
B-5-50 |
The influence of different clustering method on graph coloring algorithm in Ultra-dense RAN
◎Chang GE・Sijie Xia・Qiang Chen・Fumiyuki Adachi(Tohoku Univ.) |
B-5-51 |
移動通信システムにおける伝搬パス損失に基づくIntelligent Reflecting Surface割当手法に関する基礎的検討
◎橋田紘明・川本雄一・加藤 寧(東北大) |
B-5-52 |
3Dビームフォーミングを適用した28GHz帯3セクターピコセルの提案
○剱持郁也(工学院大)・須山 聡(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-53 |
UE分布のクラスターサイズに対する適応制御型CREのユーザスループット特性
○藤澤研斗(工学院大)・須山 聡(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
近年,無線通信の更なる大容量化のために,GHz以上の広帯域信号が確保できるミリ波帯/テラヘルツ帯などの高周波数帯活用と,遮蔽環境下での見通し確保と空間相関低減により空間多重伝送数を向上させる分散MIMOの組合せが注目されている.分散MIMOは多数アンテナを経済的に分散配置する実装方法が課だが,その実現手段の一つに非再生無線中継局の活用が検討されている.ただし,従来の非再生無線中継局は固定ビームのため,短距離通信または固定通信に限定されていた.そこで本稿では,非再生中継局を分散MIMOの長距離移動通信へも対応させるために,非再生中継無線中継局でビーム選択を実現する手法を提案する.
In this paper, antenna and user-based clustering methods jointly used with graph coloring algorithm are compared in terms of link capacity in ultra-dense radio access network (RAN) with distributed antennas. It is shown that the user clustering method is more stable and less sensitive to antennas’ locations.
高周波数帯を利用する移動通信システムでは,電波の高い直進性などに起因するカバレッジエリアの狭小化が課題となっている.そのような課題を解決するために,Intelligent Reflecting Surface(IRS)により人工的に良好な伝搬パスを形成する方法を検討している.遮蔽物を迂回するルートを確保するためには複数のIRSを分散的に設置することが求められるが,全ての反射素子に対する伝搬チャネルを測定し反射制御を行うことは現実的ではなく,環境変化に応じて使用するIRSを選択する必要がある.そこで本研究グループでは,直接パス(BS-UE)および反射パス(BS-IRS-UE)の伝搬パス損失を基に,各UEに対して反射制御を行うIRSを決定するIRS割当手法に関する研究を行っている.本稿では,計算機シミュレーションにより直接パスと反射パスの伝搬損失とIRSによるUEの平均受信SINR向上率の関係を解析した結果を報告する.
移動通信システムではシステム容量を増大するためにヘテロジーニアスネットワークHetNetの研究が盛んである.特に,広い帯域幅を有し高周波帯で動作するピコセルを用いたHetNetが注目されている.我々は,2GHz帯マクロセルと28GHz帯ピコセルから成るマルチバンドHetNetにおいて,ピコセルを3セクター化する方法を提案し,そのユーザスループット特性を評価してきた.本稿では,ピコセル近傍に分布するUEの受信SINRを向上するために,3セクターピコセルに3Dビームフォーミング(3D-BF)を適用した場合のユーザスループット特性を明らかにする.また,従来のオムニピコセルとの特性比較を行う.
ヘテロジーニアスネットワークHetNetはシステム容量を増大するためのキー技術であり,5Gにおいても重要な位置づけにある. 筆者らは,各ユーザ端末UEにとって最適なパーソナルセルを形成する適応制御型Cell Range Expansion (CRE)を提案し,その特性評価を行ってきた.本稿では,2 GHz帯マクロセルと3.4 GHz帯ピコセルから成るマルチバンドHetNetにおいて,UE分布におけるクラスターサイズのパラメータを拡張し,それらに対する適応制御型CREのユーザスループット特性を明らかにする.
9月18日 13:00〜16:00 Meeting 10 座長 山本哲矢(パナソニック)
B-5-54 |
3Dプリンタを用いた室内伝搬の測定
◎牧野一生・三木信彦(香川大) |
B-5-55 |
高周波数帯無線通信システムにおける通信信号を用いた測距機能の実験評価
○黄 俊翔・岩國辰彦・内田大誠・和井秀樹・北 直樹(NTT) |
B-5-56 |
高周波数帯無線通信システムにおける測距機能を用いたハンドオーバ制御のための実験評価
◎岩國辰彦・内田大誠・黄 俊翔・和井秀樹・北 直樹(NTT) |
B-5-57 |
NRにおける周波数オフセットとSSS系列のジョイント推定を用いるPCID検出法
◎井上大輔・太田恭吾・佐和橋 衛(東京都市大)・永田 聡(NTTドコモ) |
B-5-58 |
2つのチャープ信号を用いたDS-SS初期捕捉のマルチパス環境における特性評価
◎福間 恵・東中雅嗣・大橋章範・有賀 博(三菱電機) |
B-5-59 |
2つのチャープ信号を用いたDS-SS方式の精同期および周波数オフセット推定法
○大橋章範・東中雅嗣・有賀 博(三菱電機) |
本稿では,高精度に位置を指定することができる3Dプリンタを用いて室内伝搬を測定する.
高周波数帯の無線通信は,1GHz以上の広帯域信号と指向性制御を有する狭ビームアンテナを使用するため,高速無線伝送をしながら,通信相手との距離と方位推定を同時に行うことが可能である.本稿では,60GHz帯IEEE802.11ad規格の通信信号を用い,移動端末への距離推定について,屋外実験により検証した測距の結果を報告する.
本稿では,自動車走行環境において,高周波数帯無線通信システムの一例である60GHz帯無線通信システム(IEEE802.11ad)を用いて,センシングの一つである測距性能を評価するとともに,それが無線伝送区間のハンドオーバ制御に適用できることを明らかにする.
5G New Radio (NR)無線インタフェースでは,物理セルID (PCID)検出のための第1同期信号 (PSS: Primary Synchronization Signal)及び第2同期信号 (SSS: Secondary Synchronization Signal)が規定されている.本稿では,周波数オフセットとSSS系列のジョイント推定を用いるPCID検出法を提案し,PCID検出確率を計算機シミュレーションにより評価する.
筆者らは,M2Mの長距離通信実現を目的に,直接スペクトル拡散(DS-SS)通信に用いるタイミング同期の検討を行っている.DS-SS通信の拡散符号タイミング粗同期(初期捕捉)の方法として,周波数が時間とともに増加・減少する2つのチャープ信号を用いてプリアンブルを拡散し,受信側で2つのチャープ信号の推定タイミングの中間値を求めることで,周波数オフセット耐性を向上する方式を提案した.本稿では,計算機シミュレーションにより,提案した初期捕捉方式のマルチパスフェージング環境下の特性を示す.
近年、IoT やM2Mの分野では低消費電力かつ長距離無線通信を実現するLPWA が注目されている.LPWA は耐干渉性や耐妨害性、通信の秘匿性から、チャープ信号を拡散符号に用いる直接スペクトル拡散(DS-SS)方式が有効である.チャープ信号を拡散符号に用いるDS-SS 方式では拡散利得を得るために高精度なタイミング推定が要求される.本稿では拡散符号にアップチャープおよびダウンチャープを用いた精同期および周波数オフセット推定法を提案する.
休 憩(14:45 再開) 座長 酒井 学(三菱電機)
B-5-60 |
屋内環境における高周波数帯分散アンテナシステムのユーザ選択方法に関する一検討
○内田大誠・岩國辰彦・北 直樹・鬼沢 武(NTT)・岸山祥久・永田 聡・須山 聡・浅井孝浩(NTTドコモ) |
B-5-61 |
マルチポイント協調送信における準直交Non-Coherent Joint Transmission
○式田 潤・村岡一志・石井直人(NEC) |
B-5-62 |
HetNet構成におけるスモールセル上り回線干渉キャンセラー
◎金田拓也・藤井輝也(東工大) |
B-5-63 |
Neural Network-based Joint Control of Transmit Power and 3-Dimensional Beamforming for MIMO Small Cell Systems
◎Shuaifeng Jiang・Yuyuan Chang・Kazuhiko Fukawa(Tokyo Tech) |
B-5-64 |
Low Complexity ICI and ISI Cancellation Scheme for Windowed OFDM Systems
○Ziang Liu・Yuyuan Chang・Kazuhiko Fukawa(Tokyo Tech) |
分散MIMOシステムでマルチユーザ伝送を行う場合、ユーザ間干渉を抑えるため直交度の高いユーザ組を適切に選択することが必要である。全ユーザ間のMIMOチャネルが推定できる場合は、MIMOチャネルからユーザ間空間相関を算出し、直交度の高いユーザ組を選択することが可能だが、分散アンテナ間のpre-codingが1/0ウェイトのON/OFF制御の時、MIMOチャネル推定自体が困難である。本稿では、このON/OFF制御時でも直交度の高いユーザ組を選択できるように、各分散アンテナのビーム方向から各ユーザ位置を推定し、ビーム方向と各ユーザ推定方向の角度差をユーザ間直交度を見なしてユーザ選択する手法を提案し、シミュレーション評価した結果について報告する。
移動通信システムの高速大容量化を実現するために、基地局送受信点 (TRP) の高密度配置と複数TRP間の協調送受信が検討されている。協調送信方式の1つであるNCJT (Non-Coherent Joint Transmission) は、複数のTRPからある端末へ異なるレイヤを同時に送信する。しかしながら、異なるTRPから送信されるレイヤ間の干渉により、1 TRP送信と比べてスループット特性を改善できない場合がある。本稿では、異なるTRPから送信されるレイヤ間の干渉を緩和するNCJT方式を提案する。計算機シミュレーションを行い、スループット特性の改善効果を示す。
マクロセル内部に同一周波数を用いた複数のスモールセルを設置して構成するHetNet (Heterogeneous Network) 構成は、周波数利用効率を向上させる技術として期待されている。この構成ではマクロセル、スモールセルが共に同一周波数を用いることから干渉抑圧が不可欠である。筆者らは上り回線を対象として、各セルが連携することにより、スモールセル端末からマクロセル基地局への干渉信号をマクロ基地局で抑圧する”ネットワーク連携上り回線受信干渉キャンセラー”を提案した。一方、マクロセル端末からスモールセル基地局への干渉信号により通信品質が劣化する。本稿では、同様の干渉キャンセラー技術を用いてスモールセルへのマクロセル、他スモールセル干渉を抑圧するネットワーク連携上り回線干渉キャンセラーを提案する。
Inter-cell interference coordination (ICIC) can mitigate inter-cell interference in small cell multiple-input multiple-output (MIMO) systems. As such an ICIC scheme, the exhaustive search (ES) can find the optimal combination of transmit power levels and beamforming vectors in their set (codebook). However, the computational complexity of ES grows exponentially with the number of base stations (BS). To reduce such complexity, this paper proposes a neural network (NN) based ICIC scheme for small cell 3-dimensional (3D) MIMO systems. Computer simulations demonstrate effectiveness of the proposed scheme.
OFDM, which is widely used in wireless communications, suffers from high out-of band emission (OOBE). To suppress such OOBE, windowed OFDM (w-OFDM) multiplies multicarrier signals by time- domain window [1]. However, the multiplication causes sig- nal distortion, which induces inter-carrier interference (ICI) and inter-symbol interference (ISI) especially over severe frequency selective fading channels. In addition, the ICI and ISI degrade the bit error rate (BER) performance se- riously when high-order modulation schemes are employed for each subcarrier. To alleviate ICI and ISI, this paper proposes a low-complexity cancellation scheme, that also performs channel estimation by considering effects of the time-domain window. Computer simulations demonstrate that the proposed scheme can drastically improve the BER performance of w-OFDM.
B-5. 無線通信システムB(無線アクセスネットワーク)
9月15日 9:15〜11:45 Meeting 11 座長 三木信彦(香川大)
B-5-65 |
強化学習を用いたMCS選択アルゴリズム応用の一検討
○依田大輝・鍋谷寿久(東芝) |
B-5-66 |
Wireless Powered MECにおける確率的バイナリーオフロード及びモード切替方式の評価
◎小林拓弥・安達宏一(電通大) |
B-5-67 |
無線LANのCSIを利用した物体検知に関する一検討
◎高田圭輔・牟田 修(九大)・村上友規・大槻信也・小川智明(NTT) |
B-5-68 |
Wi-Fiチャネル情報を用いた人物検出システムの実装に関する一検討
◎楠 湧夢・川野真裕・永野航太郎・ラナンテ レオナルド(九工大)・長尾勇平(レイドリクス)・黒崎正行・尾知 博(九工大) |
B-5-69 |
RadComにおけるRF不完全性を考慮した距離と速さの検知
◎田齊広太郎・小松和暉・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
フェージングによるダイナミックな無線環境変動や設備起因のノイズ等のために、工場内の通信環境は不安定であることが知られており、各種システムの無線化は容易ではない。筆者らは、パラメータの一つであるMCSの制御に着目し、遅延時間を低減するようなMCS選択を、強化学習を用いて自動的に学習する手法を検討してきた。本検討では1対1通信環境を仮定し、工場内の様々な場所で観測されたRSSIデータを用いて提案手法の有効性を評価するとともに、報酬パラメータ調整による性能変化についても考察する。
IoT (Internet-of-Things) 端末の小型化に伴い計算能力の制約ならびに充電管理が重要な検討事項となっている.
MEC (Mobile Edge Computing) と, 無線電力伝送 (WPT: Wireless Power Transfer) を組み合わせたWireless Powered-MEC (WP-MEC) システムによって2つの問題を解決することが期待されている.
筆者らは, 自律分散型の確率的制御によってオフロードとローカル計算の2つのモードを選択する確率的バイナリーオフロード(PBO: Probabilistic Binary Offloading) システムを提案した.
本稿では,通信品質の低下を避けるためのモード切替方式に関する詳細な検討を,パケット配信率(PDR: Packet Delivery Rate)とバッテリ寿命の観点から行う.
無線通信を利用した物体検知手法として, IEEE802.11acにおけるCSI(伝搬チャネル情報)を利用する方式が検討されている. この方式は, 無線局間で伝搬される圧縮CSIを特徴量として機械学習による物体検知を行うものであり, その検知精度はアンテナ配置やアンテナ本数に依存する. 本稿では, 検討システムを対象として, 送受信アンテナの配置や本数が検知率に与える影響をシミュレーションにより評価した. 結果として, アンテナ本数の増加, およびアンテナを分散配置させることで物体の検知精度を向上できることをシミュレーション評価により確認した.
Wi-Fi通信では,直交周波数分割多重方式(OFDM)と呼ばれる帯域をサブキャリアに分割する通信技術を利用している.このサブキャリアごとの振幅や位相の情報であるチャネル状態情報(CSI)をセンシングに応用する研究が行われている.本研究ではFPGAとソフトウェア無線(SDR)を用いた新たなWi-Fiセンシングの実装を行い,その応用であるデバイスフリーな人物検出システムの実現性を検討した.
実験結果から,検出アルゴリズムを適切に選択することで,デバイスフリーな人物検出が十分に達成可能であると考えられる.また,送受信機の複数化やMIMO通信,ノイズ除去や機械学習の利用といったハード・ソフトの両面からのさらなる発展や位置測位・追跡などの技術への応用が望める.
Radar and Communication(RadCom)は無線通信用機器をレーダとして用いる技術であり,
専用機器を使わずに対象の距離と速さの検知ができる.
RadComにおける検知対象以外で反射した信号(自己干渉信号)が,
静的な線形チャネルを伝搬する場合,検知対象を移動物体に限定することで,容易に検知できる.
実際には,自己干渉信号はRF不完全性の影響を受けるため,検知精度が劣化する.
本研究ではOFDM信号を用いたRadComにおいて,RF不完全性を考慮した検知手法を提案し,シミュレーションで有効性を評価する.
その結果,提案手法は既存手法に比べ,高い検知精度を示した.
休 憩(10:45 再開) 座長 奥山達樹(NTTドコモ)
B-5-70 |
無線LANにおける許容遅延を考慮した時分割通信のパラメータ検討
○青木 寛・山口真司・長谷川晃朗・横山浩之(ATR) |
B-5-71 |
無線LANにおける端末毎の送信時間制御を用いた遅延抑制技術の検討
◎中山章太・河村憲一・若尾佳佑・村山大輔・守山貴庸・鷹取泰司(NTT) |
B-5-72 |
ハイブリッド型適応可動無線制御によるスループット改善
○中平俊朗・石原浩一・佐々木元晴・守山貴庸・鷹取泰司(NTT) |
B-5-73 |
統合MAC層による無線LANマルチホップネットワーク構築手法の提案
○村上貴臣・添谷みゆき・鍋谷寿久(東芝) |
工場のように多くの製造システムが密に配置され複数の無線機器が同時に通信を試みる環境においては,パケット衝突が頻発し,パケットロスや遅延が発生するといった問題がある.この問題に対して我々は複数の無線LANシステムの送信タイミングを制御し協調動作させる時分割通信システムの研究を進めている.本稿では,時分割通信による遅延増加の影響を考慮し,トラヒックの許容遅延を考慮した割当アルゴリズムとそのパラメータである割当タイムスロット長に関する評価を行った.その結果,チャネル占有率が低い、または100%を超える条件では,コーディネータ配下の端末数の増加によりトラヒックが高密度になる場合に許容遅延を考慮した時分割通信システムを適用すると逆効果になる可能性が示唆された.そのため,各端末のトラヒック量から推定されるチャネル占有率に応じて割当タイムスロット長もしくは割り当てるスロット数を設計、設定する必要があると考えている.
筆者らは、分散制御で動作する一般的な端末に対して、疑似的に集中制御を実現する方法を提案する。このうち、下り遅延特性の改善を実機測定により確認したので報告する。
ドローンやロボットなどの可動機器にAP(access point)を搭載し通信状態に応じてAP配置を制御する適応可動AP制御と無線パラメータの動的制御を組み合わせた適応可動無線制御法の検討を進めている.本稿では,固定APと可動APを連携させて適応制御するハイブリッド型適応可動無線制御を提案し,計算機シミュレーション評価によりスループット改善効果を示す.
無線LANマルチホップネットワークにおいて、無線LAN端末(STA)が複数のBSS (Basic Service Set)をまたいでパケットを中継する場合、STAは接続先となる無線LANアクセスポイント(AP)を切り替える必要があるため、中継に時間がかかる。この問題の解決には、装置内でAPやSTAを複数持ち常時リンクを確保することが有効であるが、APやSTA毎に異なるネットワークに属してしまうため、パケット中継が複雑になる。そこで本稿では、統合MAC層を設けることで、単一ネットワークで複数BSSをまたぐパケット中継の経路制御を提案する。
9月15日 13:00〜16:45 Meeting 11 座長 山本高至(京大)
B-5-74 |
自律分散型スロット化パケット送信タイミングの一検討
◎蕪木碧仁・安達宏一(電通大)・田久 修(信州大)・太田真衣(福岡大)・藤井威生(電通大) |
B-5-75 |
パケット型インデックス変調伝送を用いたLoRaWANの検討
◎鶴見康平・蕪木碧仁・安達宏一(電通大)・田久 修(信州大)・太田真衣(福岡大)・藤井威生(電通大) |
B-5-76 |
車載型LPWA基地局を用いた走者情報収集システム置局の検討
○平賀 健・大串幾太郎・吉田英邦(NTT-BP) |
B-5-77 |
ICNにおける効率的情報収集方法について(その1)
○上杉 充・品川宜昭(パナソニック) |
B-5-78 |
ICNにおける効率的情報収集方法について(その2)
○品川宜昭・上杉 充(パナソニック) |
近年,モノのインターネット(IoT) や機械(M2M) 通 信などの普及により,LoRaWAN に代表される省電力広 域ネットワーク(LPWAN) が注目を集めている.これ らの規格において端末は純ALOHA プロトコルをMAC 層のアクセスプロトコルとしている.そのため,イベン ト観測により複数端末が同時にパケット送信を行った場 合,通信品質が激しく低下する.筆者らは以前,強 化学習と送信確率を用いた自律分散型のパケット送信制 御法により,イベント発生時における通信品質の向上が 可能であることを示した.本稿では,自律分散型パ ケット送信制御法において,遅延時間の選択法が特性に 与える影響を計算機シミュレーションにより評価する.
LoRaWANに代表されるLPWAでは,端末が自律分散的にパケットを情報集約局(GW)に送信することで,多数端末通信を可能とする.しかしながら,各端末には送信比率(DC)の遵守が課せられているため,単純に送信パケット数を増やすことで伝送容量を増大させることは不可能である.本稿では,LoRaWANにおいて,1)各端末が送信するパケットの時間間隔が一般的に大きいこと,2) LoRaWANでは複数の周波数チャネルを用いた通信が可能であることに着目して,パケット型インデックス変調を提案する.提案法では,パケットを送信する周波数チャネル・時間スロットを用いて情報を伝送することで,既存の通信規格を変更せずに伝送容量を拡大できることを示す.
長距離走者の位置・生体情報収集には、走者に取り付け可能な軽量端末での無線伝送に適したLPWAが有用と考える。基地局設置コストの制約により競技時沿道に臨時基地局を設置する場合が想定される。100km以上の無線伝送実績があるLPWAといえども、アンテナ設置高が1m程度の場合は通信可能距離1km以下となる場合もあり、長いコースに多数の基地局が必要となる。試合時走者の隊列長はある長さ以下となる場合が多く、固定基地局でのコース全域カバーではなく、伴走する基地局が経済的置局に有効と考えられる。本稿では、約10kmのコースでLoRa基地局を伴走させる置局方法を検討し、固定基地局の併用を提案して設計例と効果を示す。
インターネットの新しい利用形態に適したネットワーク技術であるICN(Information Centric Network=情報中心ネットワーク)を用いることで、ネットワーク負荷の低減などのメリットがあることが知られているが、筆者らは、ICNに対してLPWA(Low Power Wide Area)を組み合わせることにより、更に広域の不特定多数のデバイスに対して同時にインタレストを送信することで、効率の良いデータ収集を行うことを考えた。しかしながら、LPWAは通信速度が低いため、ファイルサイズの大きいデータを扱うことが難しい。そこで、移動体に情報を運んでもらうことで、LPWAの特徴を活かしながら、ファイルサイズの大きいデータも扱える、効率的情報収集方法について検討した。
インターネットの新しい利用形態に適したネットワーク技術であるICN(Information Centric Network)を用いることで、ネットワーク負荷の低減などのメリットがあることが知られているが、筆者らは、位置ベースのパケットフォワーディングを行うICNに対してLPWA(Low Power Wide Area)の1つであるLoRaを組み合わせることにより、指定地域内の不特定多数のデバイスに対してデータ要求メッセージをワイヤレス同時配信することで、効率の良いデータ収集を行うことを考えた。本稿では、その一例として、宅配ソリューションにおける配送先ユーザの在否情報収集を想定したプロトコルを設計し、それに基づく小規模テストベッドを実現したので、その結果について報告する。
休 憩(14:30 再開) 座長 安達宏一(電通大)
B-5-79 |
波長固定ビームフォーミング手法のIFoFシステムへの適用
○伊藤耕大・菅 瑞紀・白戸裕史・北 直樹(NTT) |
B-5-80 |
波長固定ビームフォーミングにおける位相誤差補償手法の提案
○菅 瑞紀・伊藤耕大・白戸裕史・北 直樹(NTT) |
B-5-81 |
ミリ波RoF-FWAシステムにおけるアップリンク送信順序制御方法のスループット特性評価
○後藤和人・俊長秀紀・北 直樹(NTT) |
B-5-82 |
固定無線回線による緊急時通信での輻輳制御技術についての一検討
○永瀬文昭・小野 優・伊藤俊夫・吉岡正文・大坂一夫・古谷博幸・宮城利文・林 崇文(NTT) |
RoF (Radio over Fiber) を用いた無線基地局構成において,BS (Base Station) のビーム制御をCS (Central Station) から遠隔で行う波長固定ビームフォーミング (BF) 手法を提案している.本BF手法は,BSの各アンテナ素子に対して異なる波長を割り当てるが,波長間隔を十分に狭くして配置する必要がある.本稿では,その波長配置における制約の緩和による適用領域の拡大を目的として,波長固定BF手法をIFoF (Intermediate Frequency over Fiber) システムへ適用し,評価を行う.
RoF (Radio over Fiber) を用いた無線基地局構成において張出局(BS)で形成するビームを集約局(CS)で遠隔に制御する波長固定ビームフォーミング (BF) 手法の検討を進めている.本BF手法は光ファイバの波長分散や素子間の経路長差などが原因で生じる位相誤差を低減することで適用可能な波長間隔や素子数を拡張できる.そこで本稿では,本BF手法において位相誤差を補償する方法を提案し,その評価を行う.
ミリ波RoF-FWAシステムでは伝搬遅延の増大に伴う伝送特性劣化が問題となる.ポーリングに基づく集中制御により衝突を回避することで伝送特性を改善するアップリンク用アクセス制御方法が提案されている.しかし,当該方法は長遅延に起因する無線帯域の空き時間を有効活用できない.本稿では,伝搬遅延時間差を考慮して送信順序を制御するアップリンク用アクセス制御方法を提案し,シミュレーション評価によって有効性を示す.
近年の頻発する災害に対しては避難所等へ固定無線回線の活用が有用である.また,スマートフォンによる通話アプリは,普及とともに通話手段としてだけでなく緊急連絡手段としての利用要望が高い.緊急時にはなるべく多くの通話を収容することが重要であるが,一人あたりの通話時間が長くなると比較的小容量の固定無線回線ではパケット廃棄率が高くなる.その結果,新たに発呼した通話は開始されず呼損になり,通話収容数を増やすことができない.本稿では緊急時での呼損率増加の抑制を目的に固定無線回線における輻輳制御技術について報告する.
休 憩(15:45 再開) 座長 牟田 修(九大)
B-5-83 |
下りリンクNOMAにおける時間領域干渉抑圧法の性能評価
◎倉山智成・宮嶋照行・杉谷栄規(茨城大) |
B-5-84 |
深層学習を用いたSIR推定によるE-BSCMAアダプティブアレー干渉抑圧効果
○丸田一輝(東工大)・小島 駿(千葉大)・久野大介(阪大)・中山 悠(東京農工大) |
B-5-85 |
パイロット汚染存在時のMassive MIMOにおけるメタ学習によるロバストなチャネル推定
◎廣瀨大輝・大槻知明(慶大) |
B-5-86 |
ヌルビームフォーミングを用いた全二重無線通信システムに関する一検討とその実装
◎川野真裕・長尾勇平・ラナンテ レオナルド・黒崎正行・尾知 博(九工大) |
本発表では,下りリンク非直交多元接続において,クラスタ間干渉 (ICI) と符号間干渉 (ISI) を抑圧する基地局 (BS) の時間領域フィルタの設計法を提案している.BS の各アンテナには FIR フィルタが設置され,ICI と ISI を 抑圧する制約の元,各受信 SINR を最大化する問題を解くことで最適なフィルタ係数を決定する.提案法とフィル タを用いないシステムの平均受信 SINR を比較することで,提案法が ICI と ISI を抑圧し,受信 SINR を改善する ことを示す.
ブラインドアダプティブアレー(BAA)は事前情報を用いることなく同一チャネル干渉を抑圧する手段として有効であるが,希望信号を捕捉し,干渉信号を抑圧の対象とするためには信号対干渉電力比(SIR)を事前に取得する必要があるこれまでに,受信コンスタレーション画像を用いた深層学習によりSIRを推定する手法を提案した.本稿では,固有ベクトルビームスペースアダプティブアレー(EBAA)を初期ウェイトとした低包絡線アルゴリズム(CMA)を用い,上記SIR推定結果を基にEBAAウェイトの選択を行った際の干渉抑圧効果を明らかにする.
Massive MIMO (Multiple-Input Multiple-Output)の基地局は,ユーザに対する正確なCSI (Channel State Information)を必要とする.しかし,パイロット汚染が生じると,チャネル推定精度が劣化する.深層学習を用いた手法は,その影響を低減できるが,学習時と運用時で同じチャネルモデルが適用されることを想定している.そのため,運用時のチャネルモデルがトレーニング時のものと異なる場合,チャネル推定精度が劣化する可能性がある.本稿では,この問題を解決するため,モデルミスマッチに対してロバストなメタ学習を用いたチャネル推定法を提案する.運用時の環境に応じて,パイロット信号を介してNN (Neural Network)の重みパラメータが更新される.計算機シミュレーションを通して,提案法は通常学習と比べてオンラインの更新により,モデルミスマッチに対して適応性が高いことを示す.
全二重無線通信を実現するにあたって,自己干渉キャンセルの実現は重要かつ必須の課題となっている.これまでは,アンテナアイソレーション・アナログキャンセリング・ディジタルキャンセリングの3つの手法を用いて自己干渉をキャンセルするするのが一般的であった.本研究では新たな手法として,MIMO技術を応用したNull Beamforming to Selfを提案し,その理論と実機システムによる実証を行った.その結果,提案手法単体で30 [dB]の自己干渉キャンセルを達成した.従来の3手法と提案手法は併用可能なため,併用することで合計110 [dB]以上の自己干渉キャンセルを達成することが今後の課題である.
B-6. ネットワークシステム
9月15日 9:00〜11:45 Meeting 18 座長 金井謙治(早大)
B-6-1 |
エッジルータにおけるユーザ収容柔軟化システムの分散構成提案
◎岩橋宏樹・西口雅人・柴田貴博(NTT) |
B-6-2 |
FaaSにおけるタスクリソース配置箇所選択指標の時間劣化補正法
○杉園幸司・河野伸也・岡田昭宏(NTT) |
B-6-3 |
オーバレイネットワークプロトコルのマルチスレッド処理をサポートする管理クラウドソフトウェアの基礎評価
◎磯村周平・吉川大貴・小村 聖・西脇千紘・内藤克浩(愛知工業大) |
B-6-4 |
ICNの普及程度がISPの利益に与える影響の分析
辻 香菜・○上山憲昭(福岡大) |
B-6-5 |
AmazonEC2スポットインスタンスにおける価格変化の評価
◎明谷 宙・磯部元輝・小板隆浩(同志社大) |
IPネットワークにおけるエッジルータ(以下,エッジ)では,収容されるユーザ毎のプロファイル情報に基づき,様々なサービスの提供に必要な制御をユーザ毎に実施している.エッジには帯域やセッション数等の同時提供可能なリソースに上限があり,ユーザの収容状況や各ユーザの利用サービスによっては,サービス提供に必要なエッジのリソースが不足しサービス品質が維持できない可能性がある.本稿ではリソース状況に応じた柔軟なユーザ収容システムについて,性能要件や変更容易性等の課題を解決可能な機能分散構成を提案する.
FaaS ( Function as a Service ) における仮想マシン(VM) 等のタスクリソース配置では,配置計算が使用するインフラリソース状況が測定時点と配置時点で乖離することで最適解からの誤差が生じる.本稿では待ち行列モデルを用いて両者の乖離を補正する手法を提案する.
Internet Protocol (IP)は,IoTシステムを実現するための基本的な通信技術である. しかし,IPはIPv4の枯渇や接続ネットワークの切り替えによる切断の問題がある. これらの問題を解決するための手法として,本研究室では,CYber PHysical Overlay Network over Internet Communication (CYPHONIC)と呼ばれる技術が提案されている. CYPHONICは事前にクラウドサービスと通信することで,デバイス間の直接通信を実現する. そのため,各デバイスからクラウドサービスへのトラフィックは増加する. ただし,各サービスは,単一スレッドで処理する設計になっているため,複数スレッドの処理に対応する必要がある. しかし,マルチスレッド環境において,サービスへのリクエストが増加すると,スレッド生成に多くの時間がかかり,スレッド待機にもオーバーヘッドが発生する問題がある. したがって,本論文では,上記の問題に対応可能なクラウドサービスを提案する. 本提案システムでは,リクエストを受け取るスレッドと処理を行うワーカースレッドを分離することで,スレッドのオーバーヘッドを抑えることが可能である.
ICN (Information-Centric Networking)が広く検討されている.ICNの導入に伴い,ISP間のトラヒックの交流パタンが変化するが,トランジットISPは交流トラヒック量に基づきトランジット費を得ているため,ICNの導入がISPの利益に影響を与えることが予想される.そのためICNの普及可能性を明らかにするには,ICNの導入がISPの利益に与える影響を分析する必要がある.そこで本稿では,階層的なAS間トポロジを対象に,一部のISPのみがICNを導入した状態において,ICNの導入がISPの利益に与える影響について分析する.
クラウドサービスの利用はここ数年で急激に成長し,提供されるサービスも多様化している.本研究では商用クラウドサービスの一つである AmazonEC2が提供するスポットインスタンスを対象とする.2017年11月Amazonはスポット価格の需給の長期的な傾向に基づいて価格変化がより緩やかになるよう価格対策を導入した.本研究ではAWSスポットインスタンスにおける価格対策導入の影響を分析することを目的とした.価格対策導入前後のスポットインスタンス価格傾向を比較し,価格対策導入後はスポット価格の変化は見られないことを明らかにした.
休 憩(10:30 再開) 座長 上田清志(日大)
B-6-6 |
SLAベースのサービス提供に向けた機能配備方式の提案
◎平澤崇佳・中務諭士・高橋 賢(NTT) |
B-6-7 |
SLAを考慮したVPNへのリソース割当の最適化
○森 弘樹・中務諭士・高橋 賢(NTT) |
B-6-8 |
エッジルータにおけるユーザへの割当リソースの動的変更制御手法
◎西口雅人・岩橋宏樹・柴田貴博(NTT) |
B-6-9 |
ドメイン間連携を考慮したネットワークスライス構成方式の提案
○中村孝幸・本間俊介・天坂光男・佐藤卓哉・土屋英雄(NTT) |
B-6-10 |
IPレイヤで行うシームレスな異種NW切替技術の提案
◎池田智彦・阿部拓也・成川 聖(NTT) |
トラフィックの状況により変化するネットワークのパフォーマンスに対し、SLA要件を維持しつつサービス提供するためには、ネットワークの品質測定及び測定結果を元にした経路制御のサイクルを定期的に回す必要がある。本検討では広域ネットワークにおいても品質測定、経路制御を効率的に実現するための機能配備方式に関して提案する。
5Gやe-sports等のSLAとして想定される遅延に着目したVPNへのリソース割当の最適化問題を定義し、数理計画問題として定式化を行った結果を報告する。
ユーザの収容位置が可変な固定IP網における,ユーザへの割当リソースを動的に変更する手法について検討した.従来の回線単位での静的なリソース割当てではなく,ユーザからの申告や通信状況の変化などを契機とした,ユーザの収容位置変更やQoS制御をエッジに対して動的に実施することで,ユーザのネットワーク利用の実態に則した柔軟なリソース割当てを可能とする.
通信に対する多様な要件を持つサービスを効率的に提供する技術として,仮想資源(仮想サーバ,仮想リンク,仮想ネットワーク機能等)を組み合せた仮想網を共通物理基盤上に構成するネットワークスライス技術(以下,スライス)がある.通信の多くはアクセスNWからDCまで複数のNW ドメインを跨ることから,単一ドメインに限定することなく End-to-End(E2E)で一貫してサービス要件を満足するE2E スライスが必要となる.本稿では, E2E スライス実現に向けて必要となるD-Plane 構成方式について検討する.
通信断を発生させず、TCPプロトコルにも限定されない、サービスサーバへの実装も必要ない方式として、IPレイヤで行う異種NW切替技術を提案する。
通信サービス利用者がセルラ回線無線LANや有線など複数の回線を選択できる環境下にあるときに,アクセス手段の特徴を意識することなく、自動で異種のアクセス手段を切り替え、通信が途切れることなく利用サービスを継続させるための切替技術について検討した。この技術を検討する上で、既存NWへの適用性を考慮する。
9月16日 13:00〜16:45 Meeting 18 座長 大石裕司(日立)
B-6-11 |
Iフレーム適応置換を用いた低遅延映像配信方式の検討
◎大西正芳・西村 敏(NHK) |
B-6-12 |
視聴開始時のバースト受信を考慮した配信レート安定化手法
○北田裕之(NTT)・福留大貴(NHK)・奥山隆文・趙 笑添(NTT)・黒住正顕・西出彩花・西村 敏・山本正男(NHK) |
B-6-13 |
特定の管理サーバを必要としない省電力サーバシステムの開発について
○竹下敏和・北村光芳・山口拓実(東京工芸大) |
B-6-14 |
サーバシステム構築トレーニングシステムの開発について
○山口拓実・北村光芳・竹下敏和(東京工芸大) |
B-6-15 |
通信システムの開発工数削減に向けた一検討
○長野知幸・堺 拓郎・北辻佳憲(KDDI総合研究所) |
本稿では低遅延映像配信における再生開始のレスポンス性と視聴安定性を高める手法としてIフレームを適応的に置換する方式を提案する。本方式はMPEG-DASHによる映像配信方式をベースとしており、映像のエンコード時にすべてIフレームで構成されるストリームを追加で生成し、配信サーバ上でクライアント間のネットワーク状況に応じて任意の位置でIフレーム置換を行う。これにより、レスポンス性と視聴安定性を向上を図ることができ、試作システムの動作検証により、従来の方式と比べ各性能を向上できることを確認した。
映像配信サービスでは,クライアントが複数のビットレートの中から,回線帯域の状況に応じて動的に映像データを選択するABR(Adaptive Bit Rate)が広く利用されている.筆者らは,これまでに視聴セッション毎に適切な帯域を割り当てることで,ABR配信を安定化する手法について検討を進めてきた.本稿では,ABRの動作フェーズに応じて動的に必要な帯域を算出することで,安定的な配信を実現する制御手法を提案する.
近年,インターネットを利用したサービスの需要が非常に高まっている.このようなサービスを効率的に提供するためには,サーバの最適な運用が必要不可欠である.そのため,サーバシステムの高可用性と省電力化の実現は非常に重要となる.一般的な省電力サーバシステム(PSS)は特定の管理サーバがシステム全体の監視を行い,サーバシステムの構成を変更することで省電力化を実現する.しかしながら,管理サーバが故障した場合,システム管理が困難となる.そこで,本報告では特定の管理サーバを必要としないPSSについて,サーバシステムの構成変更の判断処理やサーバ故障時の対処法について示す.
インターネットサービスへの要求が高まり,IT技術は更なる発展が予想される.しかし,それらを支えるIT人材の不足が問題となっている.そのため,エンジニアの育成が急務となる.そこで,サーバエンジニアの育成に関して,重要となるサーバ構築を目的としたサーバシステム構築トレーニングシステム(SSCTS)の開発が行われている.SSCTSではサーバ仮想化技術としてKVM(Kernel-based Virtual Machine)を採用し,1台のサーバで複数ユーザが同時にトレーニングを行うことを可能としている.本報告では,SSCTSのトレーニングメニューの詳細を示すとともに,同時利用ユーザ数の増加における問題点の解決方法を示す.
通信事業者・通信サービス事業者は,多様な通信サービスを提供するために,お客様の要望に応じた通信サービスの開発を継続的に実施している.通信サービスを実現する通信システムの提供サイクルを短くできることが,事業継続・発展に不可欠になっている.
本稿では,通信システムを短期間で開発できるよう,開発内容の共通となる処理をパッケージ化することで,開発工数削減のアプローチを検討した.
複数の通信システムを分析・整理することにより,基本処理をモデル化して,共通処理のパッケージを試作した.また,通信システムの一例を基に,その一部処理の開発に適用し,工数削減が可能な見通しを得た.
休 憩(14:30 再開) 座長 木村達明(阪大)
B-6-16 |
スマート工場向けローカル5Gネットワークアーキテクチャの検討
○高瀬誠由・三村 和・水垣健一・藤原亮介(日立) |
B-6-17 |
災害時における自律的避難誘導システムに関する研究
◎石丸慧太・佐当百合野(佐世保高専)・古閑宏幸(北九州市大) |
B-6-18 |
効果的な時空間データ滞留のための適切な送信位置決定手法
◎後藤一郎・野林大起・塚本和也・池永全志(九工大) |
B-6-19 |
ICNにおけるキャッシュ制御方式CDOの最適なキャッシング閾値に関する一検討
◎東野洸太・中村 遼・上山憲昭(福岡大) |
ローカル5Gの免許申請受付が19年12月に始まった。モノづくりノウハウのデジタル化や製造ラインのフレキシブル化への期待が高い製造現場ではローカル5Gの早期導入検討が進められている。とりわけ,製品に応じて製造手順や製造ラインを柔軟に変更するフレキシブル製造の実現には製造現場の無線化が極めて重要である。製造現場の無線化には,工場ネットワーク(NW)の特性を理解した上でのNWアーキテクチャ設計が不可欠である。本稿ではローカル5Gの工場適用する上でのネットワークアーキテクチャについて検討したのでその結果を報告する。
日本は「地震大国」と形容されるほどに地震が頻発しており, 既存の研究にてすれちがい通信によって
情報共有をしながら避難を行うシステムが提案されている.
しかし, 災害下では避難所の倒壊によって安全な避難が行えない可能性が高い.
そこで, 本研究では稼働中のAP(Access Point)への誘導を目的とした, すれちがい通信による自律的避難誘導システムを提案し,
環境変動が発生しない場合と発生した場合における提案手法の有効性をシミュレーションによって評価した.
結果として, 環境変動の有無に関わらず提案手法が高い避難成功率を示した.
交通情報といったデータコンテンツが生成場所に強く依存する時空間データは,データの生成場所周辺で活用することが有益だと考えられる.
そこで私たちは時空間データを生成場所周辺に滞留させ,その場にいるユーザに向けて配信する時空間データ滞留システムを提案してきた.
本研究では,この先行研究における送信ポイントの適切な位置決定手法を提案し,その有効性をシミュレーションにて検証する.
近年,データを送受信するホストではなくデータそのものを中心としたネットワークである情報指向ネットワーク (ICN: Information-Centric Networking) が注目を浴びている.本稿では,ICN におけるネットワーク障害時の高可用性を実現する,ルータにおけるキャッシュ制御方式 CDO (Caching based on Distance to Originals) を対象とし、AMDC (Average Maximum hop Distance to Caching copies) およびネットワーク全体の平均キャッシュヒット率と,CDO の最適なキャッシング閾値の関係を明らかにすることを目指す.
休 憩(15:45 再開) 座長 菊間一宏(東京国際工科専門職大)
B-6-20 |
次数を動的に変更したARモデルによるIoTデバイスの異常検知手法
◎中村裕太郎・水野 修(工学院大) |
B-6-21 |
ネットワークスキャンがWi-SUNの通信品質に与える影響
◎鈴木健太・栗原拓哉・矢野一人・鈴木義規(ATR) |
B-6-22 |
多端末・多無線基地局の接続パターンに対する高速・高精度な通信品質予測手法の提案
◎小野央也・坂上裕希・成川 聖(NTT) |
B-6-23 |
IoTシステムの稼働状態計測手法の提案
○大石 巧・緒方祐次(日立)・岡田孝宣・渡邊大輔(日立情報通信エンジニアリング) |
様々なモノがインターネットにつながるInternet of Things(IoT)が注目され,センサデータをはじめとするデータの収集や活用が重要視されている.しかし,IoTにおけるモノにあたるIoTデバイスには故障や盗難などの異常により,システムの信頼性が低下する恐れがある.そこで,本報告では受信したセンサデータを用いてデバイスの異常を検知できる方式を提案し,シミュレーションによって評価した.シミュレーション評価より,データが異常値を出力する箇所で高い変化点らしさを示し,異常箇所を異常とみなす正答率は92.8%であった.
著者らは大量のIoTワイヤレス機器に対する,背景通信(ユーザが行っている通信)への影響が小さいネットワークスキャンの実現に向けて,スキャン対象ネットワーク内の混雑状況を考慮したスキャンスケジューリング手法を提案している[1].通信速度が遅い無線ネットワークではスキャン通信自体が混雑を引き起こし,背景通信の通信品質劣化の原因となり得る[2].このため,スキャン対象ネットワークに対して印可可能なトラヒック量を事前に把握する必要があるが,スキャン対象ネットワークの外部からネットワークスキャンを行う場合,スキャン通信が背景通信に与える影響を直接把握できない.そこで,スキャナで把握可能なスキャン通信品質から背景通信の通信品質を推定することを考える.本稿ではスキャン対象ネットワークとして通信速度が遅くスキャン通信自体が混雑の原因となる可能性があるWi-SUNを用い,スキャンパケットの送出レートとスキャン通信の応答遅延ならびに背景通信の再送回数との関係性を計算機シミュレーションにより評価し,スキャン通信が背景通信に与える影響の把握可能性について検討する.
近年の通信端末はセルラ回線や無線LANのような、複数の通信回線から選択して通信が可能であり、端末は高品質な回線に接続することで、体感品質(QoE)を向上させることができる。また、端末が接続する回線をネットワーク上のサーバが一括して制御することにより、ネットワークの全体最適化が可能となる。我々は、端末群と基地局群の接続パターンの最適制御に向けた最適化ループを高速に実行するべく、ある接続パターンに対して数理モデルによる近似やシミュレーションと比べ高速性と精度を両立した実現品質予測手法を考案した。本発表では、畳み込みニューラルネットワークを用いた深層学習による実現手法の提案を行う。
IoTシステムの適用先の1つに製造工場があり、生産工程最適化に向け設備の稼働情報収集等に適用される。しかしIoTシステムは多種多様な装置で構成されるため、従来の各構成装置毎のログ監視では装置毎に健全か不健全かを示す指標が様々であり、IoTシステム全体の稼働状態を評価することが困難であった。本稿では装置毎の性能計測値に基づくIoTシステムの稼働状態監視方法を提案する。
9月17日 9:00〜11:45 Meeting 18 座長 北原 武(KDDI総合研究所)
B-6-24 |
通信装置におけるCRAMエラーの故障波及の分析の報告
◎舘野瑞樹(NTT) |
B-6-25 |
ネットワーク遅延計測手法の精度評価
◎大町麗奈・森 弘樹・中務諭士・高橋 賢(NTT) |
B-6-26 |
運用情報を活用したテレメトリ情報測定・通知の効率化手法の提案
○佐藤卓哉・本間俊介・中村孝幸・天坂光男・土屋英雄(NTT) |
B-6-27 |
高精度なネットワーク時刻同期プロトコルの実装評価
○松下竜真・坂口尚駿・田尻祐介・谷口幸子(三菱電機) |
B-6-28 |
エッジルータ装置の冗長化方式におけるVPN主要通信の早期回復方法
○武井勇樹・渡辺裕太・西木雅幸(NTT) |
通信機器の小型化に伴う半導体デバイスの小型化、高性能化により、宇宙線由来の中性子線等が引き起こすソフトエラーが課題となっている。中性子線によるメモリの1ビットエラーはECCによる修正が可能である。しかし、FPGAのCRAMのエラーは訂正される前に、FPGAにて情報処理が行われ、故障に波及しうることが予想される。本研究では、通信機器のソフトエラー試験を行い、CRAMの1ビットエラーがECCにより訂正されたこと、ECCによる事後的な訂正にも関わらずCRAMにおけるソフトエラーが原因だと考えられる故障が発生したことを観測した。
5Gやe-sportsといった既存サービスよりも低遅延性を求める新サービスの登場により、サービスに影響を与える要素としてネットワークの遅延への注目が高まっている。ネットワーク遅延を計測する手法としてpingやTWAMPが一般的だが、ルータ内部のCPU処理負荷の影響で計測精度が悪くなるといった問題があったことから、タイムスタンプ処理をハードウェア化した新たな遅延測定技術が提案されている。本発表ではハードウェア化による精度向上の計測遅延量への依存性を定量的に評価した結果を報告する。
5Gの低遅延や広帯域等の特性を活用したサービスを利用する上では,必要な特性の品質保証(SLA)が重要となるが,SLAの実現には通信品質の確認を行うためのテレメトリ情報の測定が必要となる.本稿では,運用情報に基づいてテレメトリ情報測定・通知頻度を調整することで,効率化する手法を提案する.
産業、車載ネットワーク向けに規格化中の時刻同期プロファイルであるIEEE P802.1AS-Revをレイヤ2スイッチに実装し、時刻同期精度を評価した結果を報告する。IEEE P802.1AS-Revの時刻同期プロトコル概要を紹介し、ハードウェア処理した場合の利点等を述べる。評価結果として、スイッチを10段構成にしたネットワークにおいて、エンドツーエンドで-57ns~+3nsの同期精度を実現したことを報告する。
本稿では,ユーザ拠点間やデータセンタへ接続をするVPNサービスをエッジを用いて実現することを想定し,エッジ故障時において主要サービスを早期に復旧する冗長化方法の提案・評価を実施した。
休 憩(10:30 再開) 座長 中平佳裕(OKI)
B-6-29 |
SONS UI: Suspicious Object Network System User Interface Design
○Xin QI・Toshio SATO・Keping YU・Zheng WEN・San Hlaing MYINT・Yutaka KATSUYAMA・Kiyohito TOKUDA・Takuro SATO(Waseda Univ.) |
B-6-30 |
共通線のIP化によるリンク割り当て方法に関する一検討
○渡邊宏介(NTT) |
B-6-31 |
SIPサーバにおける複数障害切り分けのためのルールの組合せ手法に関する一検討
○レー 武興(NTT) |
B-6-32 |
仮想環境における呼制御サーバのファイル更新方式
◎戸田貴都・三原孝太郎・木村伸宏・佐久間美能留(NTT) |
B-6-33 |
個人認証機能付きSIP電話システムに関する一検討
○青島広武(NTT) |
Deadly diseases and terrorism attacks are greatly threatening human safety, which challenges global security. In the following parts of this paper, we will briefly introduce the overall system design of Suspicious Object Network System (SONS) and show the partially finished User Interface (UI).
交換機の維持限界等の理由からIP網への円滑な移行の検討が進められている.移行後の形態では,メタル回線を維持し,メタルからIPへの変換装置を介して電話端末をIP網に収容する方式が考えられている.本稿では,制御信号となる共通線に着目し,共通線をIP網に移行を行う際のリンク割り当て方法に関する課題を挙げ,効率的に移行を進めるための方式について提案を行う.
従来,商用IP電話網におけるサーバ運用において異常・エラーが発生すると,アラームやログ等を分析することで,障害原因を特定する.しかし,SIPサーバの台数が多く,SIP系障害は多種多様のため,障害SIPサーバ推定が難しい.先行技術では,過去のアラーム・ログ情報等をデータ入力として、予め生成・登録されたルールに基づき,障害箇所を推定する.しがしながら,複数の関連アラームを結び付けて一つの障害原因を特定することが難しい.
本研究では,この課題を解決するために,複数の関連アラームを組み合わせたルール生成手法を提案する.
音声通信サービスを提供する呼制御サーバは,専用ハードウェア(HW)の採用やクラスタ構成(ACT/SBY)によるサーバ二重化等により,サービス提供の信頼性を確保している.
また,昨今の市販HW(IAサーバ)の高性能化やシステム仮想化の流行を受けて,呼制御サーバも仮想環境への移行が検討されている.
仮想化した呼制御サーバは,ファイル更新手続きを新たな仮想マシンの起動・切り替えで行うことが考えられるが,この際に片系運転時間が長期化するおそれがあるという課題がある.
前述の状況を踏まえ,本稿では,仮想環境上の呼制御サーバについて片系運転時間が短縮されるようなファイル更新方式を提案する.
SIP電話を例にとり電話に個人認証機能を付ける方法を考える。SIPを拡張してINVITE信号に認証に関する情報を追加する方法だとSIPサーバの負荷が大きくなる課題がある。そこで本研究ではSIPを拡張せずSIPサーバの負荷を抑えた実現方法を提案する。提案手法の主な構成要素は、利用者を認証するPKIサーバ、認証結果保管サーバ、SIPサーバ、個人番号カードであり、発信前に発信者を認証する場合を対象とした。PKIサーバによる認証結果をSIPサーバと円滑に共有するため、SIPのURIを利用者と紐づけるように認証プロセスを実行することを提案する。これにより、SIPサーバには認証結果問合せの処理1つを追加するだけで、個人認証機能付きSIP電話を実現できる。
B-7. 情報ネットワーク
9月16日 13:00〜17:00 Meeting 13 座長 平山孝弘(NICT)
B-7-1 |
機械学習によるトラヒック推定に基づく帯域保証型中継ネットワークの帯域設計手法
◎竹下絵莉奈・小杉友哉・森田章弘(NTT) |
B-7-2 |
エッジ・クラウド連携コンピューティング技術の提案
○下川 功(日立) |
B-7-3 |
AutoMLサービスにおける交互作用特徴量推定手法の提案
○高橋洋介・豊野 剛(NTT) |
B-7-4 |
学習型インデックスのIPの最長一致検索への適用に関する一考察
◎樋口俊介・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-5 |
異常検知向けの学習用長期間データを生成するデータ期間拡張手法の提案
◎三宅貫太郎・高瀬誠由(日立) |
ユーザの通信帯域を保証する中継ネットワークの帯域設計において,機械学習によるトラヒック推定に基づいた必要帯域算出手法を提案する.従来のON-OFF モデルに基づく手法と比較して,提案手法は高い回線稼働率を保ちつつ帯域利用効率の向上を達成することを示す.
近年,デジタルトランスフォーメーション(以下,DX)が注目され企業で導入が進んでいる.DX実現に当り,計算リソースを容易に提供するクラウサービス(以下,クラウド)は有用である.またクラウドの負荷を分散するため,現場に近い計算リソースを活用するエッジコンピューティング(以下,エッジ)も検討され,クラウドとエッジを連携して活用するには課題がある。本稿では,エッジ・クラウド連携時における課題の解決を目指し,エッジ・クラウド連携コンピューティング技術を提案した.提案技術は,エッジの中継サーバでAI解析の応答時間を計測し,クラウドの管理サーバで方針策定するシステムであり.方針から中継サーバはシステムの系を切替え,AIモデルの置き換えや削減を行う.提案技術を試作,評価した結果,約136[sec]でシステムの系が切替り,正常動作を確認した.
特徴量エンジニアリングの中でも,複数の特徴量を組み合わせることで生成される交互作用特徴量に焦点を当て,AutoML サービスをはじめとする機械学習ワークフローがブラックボックス化された環境下において,外形的な情報のみからサービス内部で利用されている交互作用特徴量を明らかにする手法を提案する.
IP におけるパケット転送は、IP プレフィクスをキー、値としてインターフェース ID が格納された Forwarding Information Base (FIB) から、パケットの宛先 IP アドレスに対して最長一致する IP プレフィクスを探索することである。本稿では、Key-Value ストア (KVS) におけるキーと値の格納位置の関係を機械学習のモデルで再現する学習型インデックス [1] の FIB への適用が可能である。最長一致検索では、FIB に格納されているキー(IP プレフィクス)と検索に使用するキー(IP アドレス)が異なるため、学習型インデックスの格納位置の予測に誤差が生じる。本稿では、学習型インデックスを FIB に適用するための学習方法について議論する。
制御システムを適切に運用するため,高精度な異常検知システムを短期間で導入することが望まれるが,運用者は要求される学習期間に対して不足しているデータの用意に時間がかかるという課題に直面する.本研究では制御システムで観測されるデータを長周期ごとの周期変動成分と短周期ごとの周期変動成分の合成にゆらぎが加わったものとしてモデル化した.また、1週間分の観測データをSeasonal-Trend decomposition using LOESSにより構成要素分解し、モデルに従い機械学習用に要求される期間のデータを生成するデータ期間拡張手法を提案した.データ期間の短縮における提案手法の効果を検証し,提案手法により生成したデータで学習した異常検知モデルが、単純なデータ複製によるものよりも誤検知率が小さくなることを確認した.
休 憩(14:30 再開) 座長 大下裕一(阪大)
B-7-6 |
通信断エリアの早期復旧のためのアンテナチルト角制御手法
◎岩本真尚・鈴木晃人・原田薫明(NTT) |
B-7-7 |
可搬型ローカル通信システムの発展途上国への適用可能性に関する検討
○坂野寿和・周 政信・トウ ルイ・オジェツンデ ババツンデ・鈴木義規(ATR) |
B-7-8 |
データの作成期間を考慮した重要度別データ送信制御方式
◎鈴木洋勇・田島氷河・水野 修(工学院大) |
B-7-9 |
時空間データ滞留のためのデータ拡散制御の効率改善手法
◎山崎駿平・野林大起・塚本和也・池永全志(九工大) |
B-7-10 |
車載ネットワークにおけるCredit Based Shaperの最適なIdleSlopeの値に関する研究
○平野航平・伊藤嘉浩(名工大) |
無線通信は必要不可欠な公共サービスであり,高い可用性を維持する必要がある.そのため,迅速な故障復旧が求められる一方で,基地局故障の復旧に数時間から数日かかるケースも存在する.これに対して,復旧までの間,周辺の基地局アンテナの俯角(チルト角)を一時的に変更し,通信断エリアのトラヒックを収容するという救済措置(チルト救済)が検討されている.現状のチルト救済は人手による判断で行われており,運用コスト削減のためチルト救済の自動化が求められている.そこで本稿では,短時間で適切な救済担当の基地局とそのチルト角を算出する手法を提案する.評価の結果,目標時間以内にチルト救済が可能であることを示した.
著者らは,大規模災害時にローカルなネット環境を即時構築可能な可搬型通信方式LACS(Locally Accessible Cloud System)を提案している.本稿では,通信インフラが整備されていない発展途上国地域へのLACS適用可能性について検討を行ったので報告する.
災害時の通信としてDTNが注目されている.DTNにおいて,限られた条件で効率のよい情報伝達の実現を目的にデータの持つ重要度を考慮した重要度別データ送信制御方式の方が有利であると考えられる.我々は,データの重要度に応じた送信制御方式を提案し,高重要度データが常に作成されている条件で有効性を示した.発災前から発災後を考えると,一定期間のみ高重要度データが作成されるシナリオでの評価が必要である.本報告では,高重要度データが常に作成される場合と一定期間のみ高重要度データが作成される場合の2つのシナリオでシミュレーションを行い,高重要度データのデータ伝搬率を確認する.
IoT技術の発展に伴い,時間や場所に依存するIoTデータ(時空間データ:STD)が生成される.このSTDを特定の時間・場所で地産地消するために,車両を用いた時空間データ滞留システム(STD-RS)を提案してきた.先行研究では,滞留期間と滞留完了時間を新たに考慮し,滞留完了までの送信間隔決定手法を提案した.しかし,情報発信源が自身の周囲の車両台数に応じてSTDの送信間隔を決定するため,車両密度が変化する際のデータ拡散効率に課題があった.そこで本研究では,この問題を改善する新たな手法を提案する.
完全自動運転を実現するためには,膨大なデータを車載ネットワーク上で送信できなければならない.そこで,高速車載Ethernetの採用が検討されている.
一方,車載 Ethernet 上では様々な種類のトラヒック が伝送されることになるため,安全に関わる重要なトラヒックを優先的に送信する制御が必要である.このような制御として,IEEE 802.1TSN が検討されている.IEEE 802.1TSNには多くの標準が含まれるが,この中でもCredit Based Shaper (CBS) は実装が容易であり次世代車載ネットワークに必要とされている.
CBSはクレジットという変数を持ち,クレジットは待ち行列からフレームを取り出す時に消費される.また,CBSはIdleSlopeと呼ばれる変数を持ち,その値はQoSに影響を与えるが,最適なIdleSlopeの値は明らかではない.
本論文では,シミュレーションによるQoS評価に基づいて最適なIdleSlopeの値を検討する.
休 憩(16:00 再開) 座長 原田薫明(NTT)
B-7-11 |
排他制御しないPITを用いたマルチコアNDNルータで発生するエラーの検証法に関する一考察
◎小山 亮・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-12 |
分断されたアドホック網におけるNDNベースPublish/Subscribe通信に関する一考察
山本瑶司・小泉佑揮・◎長谷川 亨(阪大) |
B-7-13 |
信頼できないノード上で位置プライバシー保護機能を提供するアノニマイザの設計に関する一考察
◎北 健太朗・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-14 |
オーバーレイネットワークプロトコルのマルチプラットフォームをサポートする共有ライブラリの基礎評価
◎吉川大貴・磯村周平・小村 聖・西脇千紘・内藤克浩(愛知工業大) |
Named Data Networking (NDN) ルータは、Pending Interest Table (PIT) に記録したパケット転送情報を、パケット転送ごとに書き換えるため、転送処理の並列化には、排他制御が必要であるが、排他制御を実現する処理が転送速度向上を阻害すると指摘されている。これに対して設計された、排他制御を必要としないPITを用いたNDNルータでは、プログラムを停止させる致命的なエラーは発生させず、NDNプロトコルで回復可能なエラーを許容するが実際に回復可能であるか検証する必要がある。本稿では、提案したPIT を用いたNDN ルータにおいて発生するエラーがすべてNDN プロトコルで回復可能であることを検証する手法について議論する。
筆者らは、Named Data Networking (NDN) ベースのアドホック網において、Rendezvous Point (RP) を根とするコアベース木を用いて非同期グループ通信を実現するPublish/Subscribe 通信プロトコルを提案してきた。本稿では、ノードの移動や障害で分断された網へ、移動するノードがメッセージをプロアクティブにキャッシュすることで、メッセージを配達する方式を設計する。
これまでに,位置ベースサービスにおいてユーザの興味のある位置 (目的位置) を隠蔽するプロキシとしてアノニマイザが提案されているが,既存のアノニマイザは信頼できるノードで動作することを仮定している.本稿では,Intel SGX が提供する,盗聴や改ざんに対して耐性をもつ安全なメモリ領域を利用し,信頼できないノード上でも動作可能なアノニマイザを設計する.
IoTでのエンドツーエンドのコミュニケーションは、相互通信や継続的な通信が重要になる。
著者らは、インターネット通信(CYPHONIC)を介したCYber PHysical Overlay Networkと呼ばれるオーバーレイネットワークプロトコルを開発をした。
CYPHONICの現在の実装は、LinuxベースのOSをサポートしている。
したがって、スマートフォンやIoTデバイスの実用的な実装を実現するには、マルチプラットフォームのサポートが必要である。
本論では、CYPHONICエンドノード関数を処理するC言語ベースの共有ライブラリを設計および開発する。
B-8. 通信方式
9月16日 13:00〜15:30 Meeting 30 座長 眞下大輔(日立)
B-8-1 |
分布ラマン増幅技術と不等分岐スプリッタを用いたバス型光アクセスネットワークのロスバジェット拡大に関する検討
◎五十嵐 稜・藤原正満・金井拓也・鈴木裕生・可児淳一・寺田 純(NTT) |
B-8-2 |
一波長双方向WDM-PON伝送における反射干渉成分の抑圧技術
◎紫尾田 将・久野大介(阪大)・中山 悠(東京農工大)・丸田一輝(東工大)・三科 健・丸田章博(阪大) |
B-8-3 |
10G-ONUの信頼性評価とソフトエラー対策方針の検討
◎伊藤健太・喜多亮太・嶌津聡志・田代隆義・関口真良・吉田智暁(NTT) |
B-8-4 |
帯域利用効率向上のためのReport送信省略による動的帯域割当手法
◎栩野貴充・氏川裕隆・酒井慈仁・寺田 純(NTT) |
B-8-5 |
多量IoTを収容するレイヤ2ネットワークの連携シェーピングにおけるレート設定に関する数値解析
◎本田一暁・柴田直剛・原田臨太朗・金子 慎・寺田 純(NTT) |
加入者密度が低いエリアにおける光アクセスネットワーク(NW)の収容に向けて,不等分岐光スプリッタを活用したバス型NWが提案されている.一方,装置の運用コスト削減に向けた無中継でのロスバジェット拡大に向けて,上り信号の分布ラマン増幅(DRA)が提案されている.上記のバス型NWに対してDRAを適用する場合,スプリッタの位置や分岐比によって,発生するASE雑音の量や利得が異なるため,ロスバジェットの拡大効果を明らかにすることが重要である.本稿では,不等分岐光スプリッタを用いたバス型の光アクセスNWに対してDRAを適用した場合の最大分岐数や,DRAによるロスバジェットの改善効果を数値シミュレーションにて検討した結果について述べる.
マルチサービスを一括して収容するために,波長分割多重型PON(WDM-PON)の導入が検討されている.しかし,WDM-PONでは上下リンクに異なる波長を割り当てるため,収容ONU数の増加に伴い異なる波長で動作するトランシーバが多数必要となり,システム導入時における設備投資費用の上昇が懸念される.我々は,一波長双方向伝送方式を適用したWDM-PON(一波長双方向WDM-PON)について検討を行うとともに,その導入に向けた技術課題である反射光の影響を抑圧する干渉抑圧型適応等化器を提案する.本稿では,原理確認実験によりその有効性を報告する.
ONUのような小型装置のソフトエラー対策の必要性や、どのように対策を施すべきかを検討するにあたり、その評価のための最新の半導体を搭載した10G-ONUを試作し、加速器中性子源を用いたソフトエラー試験を実施したので、その内容について報告する。
昨今,リモートワークやオンライン授業の機会が増えている.ビデオ通話のような,継続的に大きな通信帯域を要するサービスの利用が増加すると,光アクセスサービスに大きな通信帯域が要求される.本稿では,送信要求量のゆらぎが小さいONUのReport送信頻度を削減し,PONの上り帯域利用効率を向上する動的帯域割当アルゴリズムを提案する.また,理論計算により,64台のONUを接続時に,最大帯域利用効率が11.6% 向上することを示す.
Internet of Things(IoT)端末はセンシングデータ等の信号を、無線通信によりIoT Gateway(GW)に送信し、IoT GWはレイヤ2ネットワーク等を介してIoTサーバに送信する。多数のIoT端末による同時接続により、レイヤ2ネットワークではミリ秒長のトラヒック急増によるマイクロバーストが発生する。そこで我々は、周期的に生起するIoTトラヒックを想定し、レイヤ2スイッチ(L2SW)間連携シェーピングを検討してきた。本報告では、L2SW間連携シェーピングにおけるシェーピングレート計算手法を提案し、バースト耐性の増大効果について述べる。
休 憩(14:30 再開) 座長 久野大介(阪大)
B-8-6 |
6Gに向けた光空間通信の並列伝送時の設置スペースに関する一検討
○柴田直剛・原田臨太朗・金子 慎・寺田 純(NTT) |
B-8-7 |
6Gに向けた移動体との光空間通信を実現する指向性制御方式
◎原田臨太朗・柴田直剛・金子 慎・寺田 純(NTT) |
B-8-8 |
OFDMを用いた流星バースト通信システムのデータ伝送実験
○舘林慎一郎・亀井利久(防衛大)・高崎和之・若林良二(都立産技高専) |
B-8-9 |
強化学習を用いたPolar符号構成法の符号探索時間改善に関する検討
○山田 晃・大槻知明(慶大) |
第5世代移動通信(5G)サービスが開始される中、次世代の6Gに関する技術展望イメージの検討が始まっている[1]。本稿では、6Gの光アクセスに対する自由空間通信(FSO: Free Space Optics)の適用性について述べる。また、複数送受信組を用いた並列伝送における所要設置スペースを評価し、設置スペースの削減方法についても提案する。
第5世代モバイルシステム(5G)の商用サービス導入が世界各地で進む中,2030年頃をターゲットとする第6世代モバイルシステム(6G)の研究が開始されている.6Gでは,これまで困難であった新幹線や航空機などの高速移動体への高速無線通信の提供が検討されており,高速移動体に設置された移動基地局に対する回線が必要となる.本稿では,この実現に向けて光空間通信(FSO)を適用する場合に必要となる指向性制御方式を提案する.
流星バースト通信 (Meteor Burst Communication : MBC)は,宇宙の塵が大気圏に突入する際に生じる電離気体柱を低VHF帯電波の反射体とした見通し外通信である[1].
本報告ではOFDMを用いたマルチキャリア伝送実験としてマスター局(産技高専),リモート局(北海道大学)を想定した構成によるデータ伝送実験を行った.
原信号の場合,平均して5.5個受信でき,クリッピング信号は平均して6.7個とクリッピング信号の方が安定してデータを受信できた.これはクリッピングによりスパイク状のピークが抑圧され,信号成分の平均電力が大きくなったからだと考えられる.
今後は長期的なデータを元に通信方式等を最適化し,流星バースト通信システムのさらなる効率化を検討する.
Polar符号は,2 元対称通信路において通信路容量を達成する符号として注目を集めている.Polar 符号の符号構成では,凍結ビットの選択が復号特性に大きな影響を与える.既存のPolar 符号構成法の多くはSC復号を想定しており,その他の復号法では復号特性が劣化してしまう.従来の研究として,遺伝的アルゴリズムを使用した復号器に依らないPolar符号構成法があるが,ランダムに初期集団を生成しているため,復号特性が改善するような符号探索に時間がかかる.本稿では,初期集団の生成をBhattacharyya boundsに基づき行うことで,符号探索時間が改善できることを計算機シミュレーションにより示す.
9月18日 13:00〜15:15 Meeting 30 座長 宮田純子(芝浦工大)
B-8-10 |
QoE推定値に基づく協調制御によるABR配信方式の検討
◎福留大貴(NHK)・北田裕之(NTT)・黒住正顕・西出彩花・西村 敏(NHK)・奥山隆文・趙 笑添(NTT)・山本正男(NHK) |
B-8-11 |
複数端末時の偶奇選択型バックオフ値を用いたIEEE802.11優先制御法の特性評価
◎河原祐樹・杉山隆利(工学院大) |
B-8-12 |
IoTデータ信頼性向上に向けた無線LANメタデータ収集方式の実装
○玉置真也・椎名亮太・鈴木徹也・木村康隆・谷口友宏・黄 掣・秦野智也・辻 幸嗣(NTT) |
B-8-13 |
各種パラメータが802.11acにおけるフレーム集約数と理論スループットに与える影響
○鈴木康介・山崎悟史(沼津高専) |
B-8-14 |
複数IoT-GW間でのホワイトリスト連携による異常検知技術の検討
◎温品貴大・張 一凡・永渕幸雄・小山高明(NTT) |
近年の映像配信で主流のABR(Adaptive Bit-rate)を用いた配信方式は、視聴端末ごとの自律制御のため、輻輳時に視聴品質のばらつきが発生する課題がある。そこで筆者らはITU-T SG12のQoE推定モデルを基に目標品質(目標QoE)を定め、配信系全体の協調制御により視聴品質のばらつきを抑制し、目標QoEを満たす視聴端末数を最大化するABR配信方式を提案し、実機による評価実験を行った。実験の結果、単純なMPEG-DASH配信方式と比較し、視聴品質の変動抑制効果と、全端末が目標QoEを満たす収容台数を50%程度増加できる効果を確認し、本方式の有効性を示した。
VoIPやVideo upload等,要求遅延時間の異なるアプリケーションが混在する家庭内WLAN環境において, VoIPパケット遅延の増大を回避するためにAIFSN制御[1]を適用するとVideoパケットのスループットが大きく劣化してしまう.そこで筆者らはVoIPパケット遅延とVideoパケットスループットの双方に着目し,VoIP-STAとVideo-STAそれぞれで偶数/奇数番バックオフ値の確率密度を0として優先制御を行う偶奇選択型バックオフを提案した[2].これまでの評価は初期検討としてVoIP-STA1台時のみであったが,本稿では実際の家庭環境を想定して複数のVoIP-STAが混在する場合の特性を示す.
IoTデータ信頼性向上を目的として、無線LAN環境を想定した低レイヤメタデータ収集方式を提案・実装し、低リソース端末において実機動作確認を行った結果を報告する。
これまでA-MPDUを含む送信フレーム全体のビット誤りを考慮したスループット理論式を導出し,802.11acにおける規格下で理論スループットを最大化する,最適なサブフレーム数の組を全探索により求める手法を提案した.
さらに,理論解析と計算機シミュレーションにより提案手法の妥当性を示した.
具体的には,送信フレーム中におけるビット誤り率をパラメータとして,A-MSDUとA-MPDUサブフレーム数の組を適切に設定することで,スループット特性が大幅に改善されることを示した.
本稿では提案手法の性能をより詳細に把握すべく,各種パラメータを変化させたときのスループット性能やサブフレーム数の変化について数値計算により評価する.
IoT機器を対象としたマルウェア感染等による外部への不正通信の対策として,機器の正常通信パターンを基に宛先ドメイン,IPアドレス,ポート番号等の通信先ホワイトリスト(WL)を生成して通信異常検知や通信制御を行う方式が提案されている.正常な通信先を異常と誤判定してしまう「過検知」のないWLを生成するためにはすべての正常通信パターンを学習する必要があるが,学習時にすべての正常通信パターンを網羅できたか判断することは困難である.WLを早期に生成し,通信を保護するため学習期間を切ってWLを生成する手法が用いられるが,学習期間中に観測されない正常通信がある場合,過検知が発生する.また,WL生成後にファームアップデート等で機器の通信先が変更される場合も同様の問題が生じるため,WLの適切な運用は課題であった.
本稿では,各ゲートウェイ(GW)で生成したIoT機器の通信先WL及び関連情報をサーバでリアルタイムに収集し,GW間で共有することで,WLの生成,運用に関する課題を解消する手法を提案する.
休 憩(14:30 再開) 座長 鎌倉浩嗣(千葉工大)
B-8-15 |
電柱を用いたオンデマンド路上監視システムの試作
◎山本信一・横谷哲也・徳永雄一・齋藤正史(金沢工大)・川村裕直・金山隼人(北陸電力) |
B-8-16 |
移動体による地産地消データ配信システム(第1報)コンセプトの提案
○宮田博司・有本和民(岡山県立大) |
B-8-17 |
移動体による地産地消データ配信システム(第2報)車・車間通信システム
○有本和民・宮田博司(岡山県立大) |
近年、IoTサービスについて様々な分野でユースケースが議論され、新たなサービスが数多く生み出されている。IoTサービスが社会問題の解決にも一役買っているケースも多くある。本稿では、IoTのひとつのサービスとして、電柱を用いたオンデマンド路上監視システムについて検討し、画像解析機能とAIプラットフォームを活用したオンデマンド路上監視サービスについての試作システムについて報告する。筆者等の試作したオンデマンド路上監視システムを活用することで路上通行や路上作業の効率化が期待できると考えられる。
5Gの普及と自動車の自動運転化が近づき、移動体が収集したローカル情報をそのエリアで利用する“情報データの地産地消”のための新しい収集・蓄積・配信システムの実現性が増してきた。例えば従来は、移動車両で収集したデータを別の車に送るのに、基地局に送信して、次にクラウドに送信・蓄積し、それから基地局に送信、別の車両に送信している。クラウドを介さずに車から基地局にデータを送信、蓄積し、そこから車に送信することができれば通信遅れ時間低減や通信コスト・エネルギー低減の可能性がある。さらには、車・車間で直接通信することでさらなる通信遅れ時間低減、通信コスト・エネルギー低減の可能性がある.このようなデータ通信コンセプトが有用であってかつ成立する条件を明確にし、現状の技術の利活用条件下で実現性があることが分かった。
前報 [1] では、自動車の自動運転化などに資する情報データの配信コンセプトとして、地産地消データ配信システムの実現性について述べた。 従来は移動車両で収集した高精度道路データを別の車に送るのに、基地局を介してクラウドに蓄積し、それから基地局を介して別の車両に送信している.車からデータを基地局に送信、基地局で蓄積し、そこから車に送信するシステムを提案し、このシステムで車・車間で直接通信することでさらなる通信遅れ時間低減、通信コスト・エネルギー低減の可能性があるため、本稿ではこのデータ通信システムにおいて車・車間通信を用いる場合の評価指標と性能評価ケースについて検討し、有効性と実現性を確認した。.
B-9. 電子通信エネルギー技術
9月16日 9:00〜9:45 Meeting 30 座長 古川雄大(福岡大)
B-9-1 |
グリッド間電力融通に必要な電力ケーブルの電流容量に関する検討
◎劉 可・山田博仁・岩月勝美・尾辻泰一(東北大) |
B-9-2 |
蓄電池分散装荷直流基線の電気的慣性力に関する検討
○山田博仁・岩月勝美・尾辻泰一(東北大) |
B-9-3 |
室内光を利用したエナジーハーベスト技術によるIoTセンサ給電法
○林 翼・木村秀明(中部大) |
太陽光発電の電力を蓄電して利用するオフグリッド電源システムにおいて、複数の電源システム間で電力を融通し合うことにより電力供給の安定化を図ることが可能となるが、電力融通を行う電力ケーブルの許容電流容量が小さい場合には、十分な電力融通を行えないことが予想される。そこで今回我々は、融通を行う電力ケーブルの電流容量をパラメータとした電力供給の安定性の検討を行った結果、400 Vでの電力融通を行う場合においては、電力ケーブルの許容電流容量は少なくとも50A程度あれば良いことが分かった。
直流マイクログリッドにおいて、EVの急速充電を行うなどした時に、基線電圧の急激な低下が生じるが、基線上に小さな蓄電池を分散装荷装荷することによってそれを提言する方法を提案し、その効果について検討した。
本研究では,エナジーハーベスト技術により環境中に偏在するエネルギー利用したIoTセンサ給電法の研究を推進する.この給電システムは,室内環境における照明光から得られる光エネルギーを用いて電力を生成し,確実に増大するIoTセンサへの給電技術確立を目的としている.
本報告では,まず,用いる光発電素子の発電特性評価行い,エナジーハーベスト技術による給電法の適用領域拡大のための高効率発電素子について検討を実施した.
その後,特性評価実験により得られた発電特性を基に光発電素子の発電効率最大化のための制御回路を試作,実験を行った結果,電力効率約81%を達成することができた.
B-10. 光通信システムA(光ファイバ伝送路)
9月15日 11:30〜11:45 Meeting 14 座長 飯田大輔(NTT)
B-10-1 |
ニューラルネットワーク導入による長距離伝送光受信信号の復調性能検討ー学習データによる汎化性能ー
◎上野信明・植之原裕行(東工大) |
本セッションはB-13との関連セッションであり、先行の講演はB-13-6よりご覧ください。 |
現在,光通信システムにおいて,非線形歪の課題解決に開発されているDBPの性能は,改善効果が認められるものの飽和傾向が残り,計算複雑性が課題となっている.また,ANNなどの機械学習を用いた補償方法による性能改善も期待されており,我々もANN・CNNによる性能比較を報告してきたが,一方で汎化性能を得られる学習データの検討が必要である.今回,RZ-16QAM信号の非線形歪補償に用いる3層ANNにおけるハイパーパラメータの探索・異なる学習データ間の補償性能比較を行った.その結果,中間層ニューロン数300,500エポックのときに最もEVMの改善効果が得られ,画像のRGB値をbitに変換した符号を学習データに用いることで汎化性能が得られることが分かった.
9月16日 13:30〜15:15 Meeting 14 座長 山本義典(住友電工)
B-10-2 |
4コアファイバのスキュー特性
○佐々木雄佑・竹永勝宏・愛川和彦(フジクラ) |
B-10-3 |
クラッド一括形成法を用いた4コアファイバの構造検討
○福本良平・竹永勝宏・愛川和彦(フジクラ) |
本セッションはB-13との関連セッションであり、先行の講演はB-13-10よりご覧ください。 |
シングルモードのマルチコアファイバ(MCF)を用いた空間多重技術は,既存の光通信システムと親和性が高く,トラフィックが増え続けるデータセンタにおける通信容量を大幅に向上させる技術として期待されている.MCFを用いて伝送を行う際、スキューの考慮が必要である.スキューは各コアを伝搬する光の伝搬時間差であり,通信距離の長尺化や高ボーレート化の観点から小さいことが望ましい.本稿では,2種類の4コアファイバを用いてスキュー特性を調査した結果を報告する
マルチコアファイバの製造法の1つにクラッド一括形成法(OBR法)がある.この製法では,コア変形が大きいという課題がある.そこで今回,OBR法を用いてクラッド外径125 μm,コア間距離40 μmの 4コアファイバ作製を考えたときにコア変形を抑制することが可能なロッド形状の検討を行った.バンドル化したときにクローバ形状になるように研削したロッドとスペーサを用いることで研削によるガラス廃棄率を少なくしつつ,充填率を88%まで大きくすることが可能であることが分かった.
休 憩(14:15 再開) 座長 小田拓弥(フジクラ)
B-10-4 |
フィールド環境で使用可能なマルチコアファイバの融着技術
○高橋正典・藤井俊行・杉崎隆一・新子谷悦宏(古河電工) |
B-10-5 |
低損失LC型MCFコネクタの環境試験評価
○森島 哲・真鍋 賢・豊川修平・中西哲也・佐野知巳・林 哲也(住友電工) |
B-10-6 |
標準外径マルチコアファイバの異ベンダ接続時における光学特性
○相馬大樹・吉兼 昇・釣谷剛宏(KDDI総合研究所) |
B-10-7 |
マルチコアファイバ用Fan-out内蔵TAPモニタデバイス
小林哲也・高畠武敏・○榧 明日美(オプトクエスト) |
本セッションはB-13との関連セッションであり、後続の講演はB-13-12よりご覧ください。 |
近年、マルチコアファイバ(MCF)を用いた空間多重伝送技術の開発が盛んに行われており、特に早期の実用化を目指して、クラッド径125µmのMCFの開発が進められている。MCFを使用した伝送システムを実現するためにはMCFのフィールドでの融着接続技術が必要である。本報告ではフィールドでの使用に適した小型、軽量でバッテリー駆動可能な融着接続機を用いて、標準外径の5コアMCFの融着接続を実施した。MCFの自動調心に要する時間は1回当たりおよそ3分間であり、外周コアの番号が同一のコアどうしを融着した場合に平均で0.12dBの融着損失であった。マーカーを認識する機能を実装する必要があるが、これ以外の点においてMCF融着機の実用化の可能性を示した。
大規模データセンター等のネットワークスイッチ入出力部での帯域幅改善にあたり,マルチコアファイバ(MCF)を用いた単心MCFコネクタは有望である.MCFはクラッドの中心以外にもコアを有するので,低接続損失実現のためには,コネクタ間でMCFの回転角度を合わせる必要がある.その際,単心MCFコネクタでは,フェルールのフローティングと回転角度の制御という,相反する機能を両立する必要がある.我々は当課題を解決する,高精度な部品や追加部品が不要な新規コネクタ構造を考案し,これまでに低接続損失と機械的信頼性を確認している.今回,当コネクタの環境試験特性を評価し,良好な特性を確認したので報告する.
近年,単一モードファイバ(SMF)における伝送容量の物理的限界を打破する技術として,マルチコアファイバ(MCF)を用いた空間分割多重(SDM)技術が注目されている.中でも125umの標準クラッド外径を持つMCFは,従来のSMFと同等の優れた機械的強度が見込め,さらに従来型のケーブル構造も適用可能であるため,SDMシステムの実現に向けたファーストステップとして有望視されている.本稿では,ステップインデックス(SI)型MCFの実システムでの利用を想定して,異ベンダ製のSI型4コアファイバをコネクタ接続した際の,挿入損失及びコア間クロストーク特性について評価を行った.
マルチコアファイバ(MCF)を用いた伝送路の各コアの光量をモニタするには、Fan-outデバイスにてSMFに変換した後にTAPカプラによりモニタ光を分岐し、信号光はFan-inデバイスにより再度MCFへ入力する必要がある。そのためデバイス数が増加することで実装スペースが大きくなり、経路損失が悪化する。我々はFan-outとTAP機能をもつデバイスを実現するべく、レンズによる空間結合技術を用いて試作・評価を行った。
結果、モニタポート、信号光ポートともに低損失であり、コア間のバラつきも少ないデバイスを実現できた。しかし、製造上の誤差も多く、今後の低損失化にはまだ課題がある結果となった。
9月17日 11:15〜11:30 Meeting 14 座長 野呂 亙(昭和電線ケーブルシステム)
B-10-8 |
耐リフロー性を有する2次元ファイバアレイ型高密度光接続部品の開発
◎熊谷 傳・荒生 肇・グェン ホンチュエン・中西哲也(住友電工) |
本セッションはB-13との関連セッションであり、先行の講演はB-13-18よりご覧ください。 |
電気ICとシリコンフォトニクスを一体実装するCo-packaged optics(CPO)技術の重要性が高まっている。
CPOでは、光接続部品にも高密度性と耐リフロー性が求められるため、これらの性能を満たす2次元ファイバアレイを開発した。
B-10. 光通信システムB(光通信方式,光通信機器,デバイスのシステム応用,光通信網・規格)
9月15日 9:00〜11:45 Meeting 15 座長 神田祥宏(OKI)
B-10-9 |
O/E変換モニタを内蔵したMCF機能デバイスの提案
○小林哲也・榧 明日美・高畠武敏(オプトクエスト) |
B-10-10 |
マルチコアファイバ中のGAWBS雑音に関する実験および理論解析
○吉田真人・竹節直也・葛西恵介・廣岡俊彦・中沢正隆(東北大) |
B-10-11 |
DP-16QAM信号に対する光非線形歪補償用逆伝達関数法の適用条件の検討
◎小原日向・植之原裕行(東工大) |
B-10-12 |
光伝送路モニタリング技術としてのDigital Backpropagation:損失/分散分布の推定
◎笹井健生・中村政則・山本秀人・西沢秀樹・木坂由明(NTT) |
B-10-13 |
後方2次励起型分布ラマンリングレーザ増幅を用いた長距離伝送
○佐野明秀・裏 克也(立命館大) |
我々はマルチコアファイバ(MCF)伝送路に使用される光機能デバイスとして,単レンズを用いた空間結合を利用したTAPモニタデバイスを検討している.しかし,これまでスはMCFでモニタ光を取り出す構成となっており,個々の伝搬コアの光量をモニタするためにはMCFからSMFへ変換するFan-outデバイスを用いてO/E変換デバイスであるフォトディテクタ(PD)に接続する必要があった.我々は,非結合型4コアMCFの個々のコアより出射した空間ビームをレンズにより分離させて直接PDにモニタ光を入力させることで,Fan-outデバイスが不要となるMCF用モニタデバイスを検討し、試作評価した結果を報告する.
光ファイバ断面内に生じる熱音響振動モード(R0mおよびTR2mモード)とコア中を伝搬する光電界との相互作用により、導波音響波型ブリルアン散乱(GAWBS: Guided Acoustic-Wave Brillouin Scattering)と呼ばれる光位相・偏波変調雑音が誘起される。前回我々は様々な種類の単一モードファイバ中のGAWBS位相雑音特性を解析し、そのデジタルコヒーレント伝送への影響について明らかにした。今回、空間多重伝送に用いられるマルチコアファイバ中で生じるGAWBS位相雑音特性を実験および理論解析し、ファイバ断面内のコア配置の違いによるその雑音スペクトルの差異を明らかにしたので報告する。
近年,トラフィックの急激な増加に対応するため,大容量光通信技術の実現への要求が高まっている.伝送容量増加の要求に対応するための周波数利用効率の向上に対して非線形歪が技術的課題であり,この課題を解決するため我々は,非線形歪みであるSPMをシンボル系列ごとに線形近似し、その逆伝達関数を作用させることで,歪みを軽減しDBP法などに対して計算負荷を低減する予等化手法についての検討を行っている.今回は多値度・伝送速度を上げ,100Gbaud DP-16QAM信号に対し逆伝達関数法を適用する際のサンプリング数・量子化ビット数の最低条件,および補償可能範囲の検討を行ったため,その結果について報告する.
本研究は,デジタルコヒーレント光伝送システムにおけるマルチスパン光ファイバ伝送路の損失分布や分散分布を,OTDR等の専用機器を用いずに受信信号のみから推定することに成功した.特に分散分布の光ファイバ長軸方向の分布を取得したのは本研究が初と思われる.Digital Backpropagationで用いられる非線形定数と分散係数の最適値を逆問題として求めることで,光ファイバ中の光パワーと分散分布と同時に推定することが可能である.これにより,光送受信機を接続するだけで光ファイバ伝送路の基本特性を取得することができ,オペレーションコストの削減につながるほか, ユーザフレンドリな光通信システムを実現することができる.
2次励起光を後方のみから入力する分布ラマンリングレーザ増幅中継伝送系を提案した。提案構成を用いてDP-QPSK信号の長距離伝送実験を行い、良好な伝送特性が得られることを確認した。
休 憩(10:30 再開) 座長 佐野明秀(立命館大)
B-10-14 |
非線形波形歪み補償用ニューラルネットワークを用いた偏波追尾特性の検討
◎黒川祐一郎・中村守里也(明大) |
B-10-15 |
ランダムビットパターンに対するニューラルネットワークとボルテラフィルタの過学習の比較
◎生田 海・中村守里也(明大) |
B-10-16 |
オートエンコーダ型機械学習による信号点配置・判別領域の自動設計
○後藤雄大・塙 雅典(山梨大) |
B-10-17 |
疎行列に基づく分布整合器を用いた確率振幅整形の提案
◎柿崎 武・中村政則・濱岡福太郎・木坂由明(NTT) |
B-10-18 |
BICM-IDを適用したProbabilistic Amplitude Shaping方式の特性
○那賀 明(茨城大) |
我々は、非線形イコライザとして用いられるニューラルネットワーク(Artificial Neural Network: ANN)がバタフライ構成のFIRフィルタを内包し、それによって偏波追尾が可能であることを明らかにしてきた[1,2]。今回、ANN単体の場合と、ANNとバタフライ構成FIRフィルタをタンデム接続した場合とで、偏波追尾・非線形補償特性の比較検討を行ったので報告する。
我々は、光ファイバ通信における非線形波形歪みをニューラルネットワーク(ANN)で補償する方法について検討を進めているが[1,2]、PRBSで学習を行った場合に過学習が起こる問題が議論されるようになった[3]。それに対し我々は、ボルテラフィルタ(VSTF)でも同様の過学習が発生することを示し、過学習がANNだけの問題ではない事を明らかにした[4,5]。今回さらに、PRBSではなく有限長のランダムビットパターンを繰り返し用いて学習を行った場合、ANNよりもVSTFの方が強く過学習を起こすことを明らかにしたので報告する。
送信器・受信器を同時に最適化できるという利点から機械学習の手法の一つであるオートエンコーダのコヒーレント光通信システムへの適用が検討されている.本稿では伝送路条件を実際の伝送路モデルに近づけて数値シミュレーションを行い,非線形光学効果と波長分散が適切に現れる状況にてオートエンコーダによって信号点配置と信号判別領域を獲得した.
近年,光伝送等の分野において,伝送容量を向上させるために,シンボル振幅の生起確率を通信路に適した分布に変換する確率振幅整形が注目されている.確率振幅整形のための分布整合器(Distribution Matcher)であるConstant Composition Distribution Matching (CCDM)では逐次的な計算を必要とするため,ブロック長の増加に対して遅延が増大する.本研究では,疎行列を用いた分布整合器を提案する.提案法はブロック長に依存せず並列計算できることから低遅延化が期待できる.
非グレイ符号である自然二進符号をマッピングしたPAS方式にBICM-ID の適用により、グレイ符号のPAS方式と比較して良好なBER特性が得られることを示した。
9月15日 13:00〜15:45 Meeting 15 座長 中村守里也(明大)
B-10-19 |
水中ワイヤレス光通信における浮遊物による符号誤り率の劣化に関する検討
◎吉野量子・藤井恵子(日本女子大附属高校)・小日向央士・吉野隆幸(東京電機大) |
B-10-20 |
演算規模削減非線形MLSE適用による225-Gbps PAM8 O帯SMF 20-km伝送の実証
◎谷口寛樹・山本秀人・中村政則・木坂由明(NTT) |
B-10-21 |
THPを用いたIM/DD光PAM伝送におけるプリカーサ補正が可能な送信器非線形補正の検討
○菊池信彦・平井理宇(日立) |
B-10-22 |
次世代400Gb/s/λコヒーレント光アクセスシステムの一検討
◎三浦浩志・近森 峻・備海正嗣・松田恵介・吉田 剛・鈴木巨生(三菱電機) |
B-10-23 |
スター型16相APSK変復調を用いた光加入者網100Gb/sデジタルコヒーレント伝送に関する検討
○湊 直樹・神田祥宏・鹿嶋正幸・佐々木浩紀(OKI) |
近年、水中ワイヤレス光通信の高速・大容量化に向けた研究が活発に行われている。本研究では光ビームの一部を遮蔽するような比較的大きな水中浮遊物が伝送特性に与える影響を明確にすることを目的とし、これまでに受信光強度ゆらぎについての報告を行ってきた。本稿は浮遊物の存在が符号誤り率に与える影響に関する一検討である。伝送実験およびシミュレーションの結果により、水中ワイヤレス光通信システムにおける浮遊物による符号誤り率特性の劣化について議論する。その結果、浮遊物のある伝送路に対して光ビーム径を大きくすることの有効性が示された。
短距離光伝送を想定した直接検波システムにおいて、帯域制限耐力を向上させる非線形最尤系列推定の演算量を削減する手法を提案し、提案手法による225-Gbps PAM-8の20-km伝送を実証する。
データセンタトラフィックの急増に伴い、PAM変調を用いる短距離向け高速光ファイバ伝送方式の開発が急ピッチで進められている。PAM変調のパワーバジェットや部品帯域の不足に対して我々はPAM伝送へのTHPの適用を報告したが、さらなる性能向上には光変調器などの送信側デバイスの非線形補償(NLC)が有効である。が、受信側NLCは回路規模大きく、また従来のTHP向け送信側NLCではTHPの制約(チャネル応答H(z)は因果性関数に限定)からプリカーサの影響を考慮できないという問題点があった。本報告ではプリカーサ成分の補正が可能なルックアップテーブル(LUT)型NLCの提案と検証を行う。
400ZRを適用したコヒーレントPONシステムを提案し,8波長100GHz間隔でWDMした場合の下り回線の受信感度をリアルタイムに測定した.その結果,8波長WDM時の受信感度は-21.0dBとなり,400GではWDMによって1.7dBのパワーペナルティを確認した.また,システムの消費電力100GコヒーレントPONシステムと比較した.その結果,ビット当たり84%のシステム消費電力削減効果を確認した.
光加入者網の大容量化のため,デジタルコヒーレント技術を用いた波長当り100 Gb/s級の光送受信器を開発している.低コスト化のため既存デバイスを活用するという観点から変調速度を10 Gbaud程度として検討を進めている.本稿では,光源位相雑音に対する耐性を向上させるため,スター型16相APSKの光変復調フォーマットを提案する.実験により提案フォーマットで100 Gb/s(12.5 Gbaud-DP-16APSK)信号の良好な受信波形が得られたので,その結果を報告する.
休 憩(14:30 再開) 座長 廣岡俊彦(東北大)
B-10-24 |
非線形光ループミラーを用いた全光PAM4/16QAM変換信号の伝送特性
◎末吉 旭・松本悠汰・三科 健・久野大介・丸田章博(阪大) |
B-10-25 |
最適化アルゴリズムを用いた低雑音パルス列生成手法の検討
◎山崎 佑・小西 毅(阪大) |
B-10-26 |
複素モーメント型固有値解法を適用した光固有値検出
◎久野大介・三科 健(阪大)・吉田悠来(NICT)・丸田章博(阪大) |
B-10-27 |
光固有値変調のための時間領域波形ユークリッド距離に基づく変調フォーマット設計
◎中村政則・三科 健・久野大介・丸田章博(阪大) |
B-10-28 |
強度変調型Y-00光通信量子暗号を用いたセキュア空間光通信
○二見史生・谷澤 健(玉川大)・ベッカリ アブデルモウラ・藤田日出生(東洋電機) |
変調フォーマットが異なるネットワークを低遅延で効率良く接続するための技術として,全光変調フォーマット変換が提案されている.我々は,データセンターを接続するネットワーク向けに,非線形光ループミラー(NOLM) を用いた全光PAM4/16QAM 変換を提案している.本稿では,変換後の16QAM 信号の伝送特性を計算機シミュレーションにより調査した結果について報告する.
光A/D変換や光スイッチなど,様々な光信号処理において用いられている超短光パルスには,高い信号品質が求められる.信号品質だけでなく,光信号処理において用いられる非線形光学効果誘起の観点からも,光パルスには高いパワーが必要であり,増幅が行われる.これまで,増幅による信号品質向上の制限要因となる自然放射増幅光(ASE)雑音の抑制を行ってきたが,パルスと重なっている部分の雑音(強度ゆらぎ)は依然として残っており,その抑制が重要となる.本研究では,低雑音パルス列生成のために,最適化アルゴリズムを用いた強度ゆらぎ抑制手法を提案し,その効果を検討した.
光ファイバの分散性および非線形性の影響を受けない理想的な情報キャリアとして,光固有値変調方式が注目されている.受信器において信号波形から光固有値を検出するためには,非線形シュレディンガー方程式に逆散乱変換(IST)を適用する必要がある.しかし,ISTにより光固有値を求めるために,1パルスあたりのサンプル数xIQチャネル数nに対してO(n3)の計算量が必要となる.本稿では,並列演算が可能な複素平面上の指定した領域の固有値を抽出する複素モーメント型固有値解法(CME)の光固有値検出への応用を検討する.計算機シミュレーションにより,従来法と遜色なく光固有値が検出できることを示す.
光固有値変調において,時間領域における受信波形と逆散乱変換により計算された候補波形をもとに送信シンボルを判定する復調方式では,候補シンボルに対応した時間波形は伝送距離によって変化するため,雑音耐力の向上には各伝送距離において波形間のユークリッド距離を拡大する変調フォーマットの設計が必要となる.本研究では,各シンボルに対応した時間領域波形のユークリッド距離に着目し,伝送距離に応じた光固有値変調のシンボル設計法を提案する.さらに数値シミュレーションにより,提案手法による雑音耐力の改善を示す.
空間光通信(FSO)は自由空間を伝送路として光を用いて通信する技術で,光ファイバ通信と比較すると敷設が容易,無線電波通信と比較するとより大容量通信が可能などの特徴があり利用分野が広がっている.無線通信の課題の一つにセキュリティがあるが,光は指向性が高くFSOでは,一般に盗聴のリスクが低く安全性が高いといわれている.しかし,長い距離の通信時に受信機での光軸調整を容易にするために大きなビーム径の光が用いられると,光の一部を盗み取られる危険がある.その場合でも,暗号を利用すればデータを守れる.データを多値変調信号に変換し暗号化するY-00光通信量子暗号(以下,Y-00暗号)には,雑音により生じる暗号信号のマスキングに基づくランダム性により,高い安全性や暗号処理負荷低減などの特徴がある.
本稿では,FSOシステムの安全性を高めることを目的に,強度変調型Y-00暗号と長距離化のために新たに光アンテナを付加したFSOとを組み合わせたセキュア空間光通信実験の結果を報告する.
B-11. コミュニケーションクオリティ/イメージ・メディア・クオリティ
9月17日 9:15〜11:45 Meeting 11 座長 栗本 崇(NII)
B-11-1 |
Webブラウジングのカテゴリの違いが閲覧離脱行動に与える影響
◎小川秀貴・川口銀河・恵木則次・山岸和久(NTT) |
B-11-2 |
クラウドソーシングを用いた映像品質評価におけるデータスクリーニング効果
○林 孝典・永田達矢(広島工大) |
B-11-3 |
クラウドソーシングにおける行動経済学の効果検証のためのQoE評価実験
◎永来翔太(早大)・矢守恭子(朝日大)・田中良明(早大) |
B-11-4 |
クラウドソーシングを用いたワーカー割り当ての検討
◎杉村太一・目良侃太郎・小板隆浩(同志社大) |
Webブラウジングにおける待ち時間と閲覧離脱行動との関係性を,Webページのカテゴリ別に分析した結果について述べる.
インターネットを用いたクラウドソーシングを音声/映像メディアを対象とした主観品質評価に用いる取り組みが行われている.クラウドソーシングを用いる主観品質評価は,評価データの信憑性が低くなることが懸念されているため,信憑性が低い評価データをスクリーニングして分析することが望まれる.本稿では,クラウドソーシングにより取得した映像の主観品質評価データに対し,スクリーニングを適用した場合の効果を分析した.具体的には,評価者全員で得た平均評点と各評価者の評点の相関係数を算出し,その値を閾値として分析対象から除外するか否かを判断した.その結果,相関係数0.1未満のデータをスクリーニングするだけでも誤差を減らす効果が見られた.
クラウドソーシングはタスクを不特定多数のユーザに向けて発注することで,短時間に大量のデータを取得することができるが,いい加減にタスクに取り組むユーザの存在によって,得られるデータの信頼性が問題となる.本稿では,クラウドソーシングで主観評価実験を行うことを前提に,アンカリング効果,社会規範,一貫性の原理を利用して,行動経済学の効果を検証する実験システムの構築について述べている.
学術研究においてオープンサイエンスが導入されているにも関わらず専門家が単純なタスクを行っていることを背景に,非専門家が正しいデータを作成できるタスクの特性を明らかにする.オープンサイエンスが広く導入されていて,かつデータセットにアクセスが容易な生物学分野を対象とする.実験としては,Amazon Mechanical Turkのワーカーに鳥類画像のオスメス分類タスクを行ってもらい正解率と類似度という独自の観点との相関から,非専門家が正しいデータを作成できるタスクの特性を示した.類似度とはオスメスの色のヒストグラムの一致している割合である.「オスメスが同系色でない場合」と,「オスメスが同系色の濃色,淡色である場合のオスに光が当たっている場合以外」で,非専門家が正しいデータを作成できるということを示した.
休 憩(10:30 再開) 座長 久保亮吾(慶大)
B-11-5 |
G.729Aのバースト損失劣化に対する音声品質特性に関する検討
○倉島敦子・恵木則次・山岸和久(NTT) |
B-11-6 |
災害輻輳に対する最短通話優先制御方式の改良と特性評価
◎茂木雄斗・大田健紘・平栗健史・吉野秀明(日本工大) |
B-11-7 |
様々なネットワーク品質環境下におけるWebブラウジングQoE特性
○寺内 崇・恵木則次・山岸和久(NTT) |
B-11-8 |
符号化の実装の違いがVR映像配信の主観品質特性に及ぼす影響
◎小池正憲・浦田勇一朗・恵木則次・山岸和久(NTT) |
B-11-9 |
複数コーデックに対するフルリファレンス映像品質指標の性能評価
○吉村憲子・恵木則次・山岸和久(NTT) |
筆者らはこれまで,広帯域および超広帯域音声のパケット損失の連続長に加え,パケット損失の密集度が音声品質に影響することを確認してきた.本稿では電話帯域音声を対象に,様々なパケット損失パタン音声を用いて実施した主観品質評価実験の概要と結果について報告する.
大規模な地震などでは、安否確認のために電話の需要が急増し、電話が繋がりにくくなる災害型輻輳が発生する。
既存の輻輳制御方式では被災地域への発信が規制され、直接会話をしたいというユーザのニーズを満たしていない。これに対し、先行研究として予約型輻輳制御方式と最短通話優先方式が提案されている。しかしながら先行研究の課題として、平均待ち時間の評価に留まり、予約待ち状況の過渡特性が明確にされておらず、条件によっては予約待ち行列が発散する場合がある。
そこで本稿では、これらの課題を解決する最短通話優先方式の過渡特性の検証と予約待ち行列の発散を抑制する改良方式の検証を実施した結果を報告する。
NW品質とWebブラウジングQoEとの関係について,特定の品質条件(固定遅延,遅延変動,パケット損失率)を有するNW経由時の,Webサイト閲覧時のQoEを繰り返し測定し,各品質条件の変動がQoEに与える影響について確認する.
タイルベース型VR映像配信に対して複数の符号化設定を行った主観品質評価実験を行い,符号化設定が主観品質に与える影響について述べる.
4種類のコーデック (H.264/AVC(Advanced Video Coding), H.265/HEVC(High Efficiency Video Coding), VP9, AV1(AO Media Video1))を対象に3840x2160/60fpsを含む主観評価データを取得し,3種類の品質指標VMAF(Video Multimethod Assessment Fusion), PSNR(Peak Signal-to-Noise Ratio),SSIM(Structural SIMilarity)の品質推定精度を明らかにする.
9月17日 13:00〜17:00 Meeting 11 座長 齊藤新一郎(ソニーセミコンダクタソリューションズ)
B-11-10 |
海中生物モニタリングシステムの構築に関する一検討
○中平勝也・亀濱博紀・Pich David・西 達大・奥浜 駿・比嘉諒人・照屋珠嵐・金城琉馬(沖縄高専) |
B-11-11 |
製造業向け画像解析ソリューションにおけるAIモデル最適化プラットフォームの提案と初期検討
○平井理宇・石井大介・緒方祐次・吉川 裕(日立) |
B-11-12 |
複数の人物識別用と属性認識用データセットを用いた効果的なDNNの学習
◎福田 竣・廣池 敦・吉永智明(日立) |
B-11-13 |
ユーザ間の公平性に基づく電力割り当てを用いたMU-MIMOシステムによる無線動画像伝送
◎吉川祐太・黒崎正行・尾知 博(九工大) |
B-11-14 |
MPEG-DASHにおけるQoEの公平性を考慮した動的帯域制御
◎阪本竜太・久保亮吾(慶大) |
海中ドローンとAIを組み合わせ、ダイバーに頼らずに海中生物の育成状況や分布状況をデータベース化する海洋調査システムの研究開発を行なっている。海中ドローンは海上ブイと通信ケーブルまたは音波/光通信で接続し、海上ブイと地上のセンター局は無線通信で接続する。海上ブイのカメラから得た画像と海中ドローンのカメラから得た画像は、陸上のディープラーニングサーバーに送信する。ディープラーニングサーバーは、ドローンのカメラの画像から海中生物の情報として魚やサンゴの種類・数・密度を画像から検出し、クラウドサーバに蓄積する。さらに、ディープラーニングサーバーは、海上ブイのカメラの画像から自動的にドローンの位置を推定しながら、調査ルートに沿ってドローンを運行させる。本稿では、魚の画像検出技術とシステム実証実験の結果について報告する。
国内外において工場の生産性向上に向けた製造デジタルソリューションの検討が盛んである。特に近年のAI技術の高度化に伴い,AI活用型の画像解析が工場最適化に取り込まれつつある。本稿では、製造現場へのAI導入の課題のひとつである,AIモデルの学習方法について言及し,AI最適化技術である学習モデルブレンダの提案と初期検討について報告する
防犯用,リテール向けにAIを用いた監視カメラの映像解析の普及が進んでいる.特に,広域の空間内で人物追跡を行う人物識別(ReID)や,年齢・性別などの情報を抽出する属性認識が主に行われている.しかしながら,実環境では照明やカメラの向きなど条件が大きく変化するため,AIの学習時に用いたデータと性質が異なり,認識精度が劣化するという課題がある.このため,より環境変化に頑健なモデルを構築する必要がある.本研究では,異なる複数のデータセットを用いて,より頑健なモデルを構築する学習方法と,これを実現する木構造DNNを提案する.
近年,情報端末の普及によりFull HD,4K,8Kに代表される高解像度な動画像コンテンツの無線伝送に対する需要が高まっており,複数のユーザに同時に伝送するMU-MIMOシステムを用いた動画像伝送が注目されている.本稿では,MU-MIMOシステムを用いた動画像伝送のための画質を規範としたユーザ間の公平性を保つ電力割り当て手法を提案する.提案手法では,各ユーザの通信状況に応じて電力を分配し,ユーザ間の公平性を保ちつつ,各ユーザにおいてストリームに電力を割り当てる際,貪欲法を用いることで高画質化も図る.シミュレーションにより,提案手法は,ユーザが二人存在するとき,従来手法に比べてユーザ間のPSNRの差を最大30 dB抑えることを示す.
近年,映像ストリーミングの品質を評価する際の指標としてユーザ体感品質(QoE:Quality of Experience)が注目されている.ユーザの嗜好には個人差があるため,複数のユーザに対して同様の映像ストリーミング手法を用いてしまうとユーザ間のQoEに差が生じてしまう.本研究では,ユーザの嗜好に合わせて帯域制御を行うことでユーザ間のQoE公平性を向上させ,かつ過剰な帯域利用を防ぐ動的帯域制御手法を提案する.
休 憩(14:30 再開) 座長 塚常健太(東京都立大)
B-11-15 |
ボトルネック区間におけるQoEに基づく帯域制御方式の一検討
◎金正英朗・木村拓人・河野太一・山岸和久(NTT) |
B-11-16 |
距離制約付き迂回路を含む経路の到達可能性に関する一検討
◎大谷珠有・原 崇徳・笹部昌弘・笠原正治(奈良先端大) |
B-11-17 |
ネットワーククラスタリングによるSDNコントローラの負荷低減手法の提案
◎吉田賢一・篠宮紀彦(創価大) |
B-11-18 |
Tracerouteの発生間隔に基づくCrossfire Attackの検知
◎仲原愛美・上山憲昭(福岡大) |
B-11-19 |
Bloom Filterによるキャッシュポリューション攻撃の検知
◎芦原大和・上山憲昭(福岡大) |
近年,インターネットを流れるトラヒック量や利用するユーザが急増している.多くのユーザに快適な通信を提供するためには,通信中のユーザの体感品質(QoE: Quality of Experience)を一定以上に保つことが重要となる.しかしながら,アクセスの集中により輻輳が発生すると通信品質が劣化するため,QoEも劣化する可能性がある.こうした輻輳は相互接続点などのボトルネック区間で発生することが多いため,この区間において帯域を適切に制御することが重要となる.本稿では,映像およびWebのアプリケーションを利用するユーザを対象とし,ボトルネック区間を共有するこれらユーザのQoEのうち最も低いQoEの向上を目指した帯域制御方式を提案し,シミュレーションによる評価結果を報告する.
故障などによるリンクの障害は正常なネットワークの利用を妨げる恐れがある.このようなリンクの障害に対する経路やネットワークの頑健性を示す指標として,経路到達確率やネットワーク信頼性が提案されている.本稿では,無線マルチホップ通信など,通信途中のリンクで障害が発生した際,始点ノードから再送するよりも,障害発生地点から終点まで迂回により到達を目指すことで,ネットワーク資源の有効活用が期待できる状況を想定する.特に,通信遅延の増大を抑えるために一定の距離制約下での迂回を想定した,距離制約付き迂回可能性という新たな指標を提案する.数値実験より,距離制約付き迂回可能性の基本特性を明らかにする.
現在の大規模かつ複雑なネットワークを支えるために, SDNが登場した.SDNは,制御機能に特化したコントロールプレーンと,パケットやフレーム転送するデータプレーンに分け,システム全体を集中管理する.
しかし,コントローラに障害が発生すると,管理しているスイッチ含め,システム全体に甚大な被害を及ぼしうる.
この問題に対し,複数のコントローラを用いた分散制御によって,コントローラへの負荷を低減する方法が提案されている.本研究では,フローエントリを変更する際の負荷を低減するため,複数のグラフクラスタリングアルゴリズムを用いてネットワーク分割し,各コントローラの管理領域を決定する手法を提案する.
DDoS (distributed denial of service)と呼ばれる,特定のサーバに大量のパケットを送り付けてサーバを機能不全とする攻撃が頻繁に発生している.DDoS攻撃は攻撃ターゲットとなるサーバで到着パケットを観測することで検知・防御が可能である.しかし近年,特定のサーバではなく,複数のターゲットホスト(TH)を含むターゲットエリア(TA)に至るネットワークのリンクを高負荷とすることで,THへパケット到達不能とするCrossfire Attack (CFA)の問題が指摘されている[1][2].CFAでは攻撃対象がリンクであるためサーバにおける検知が困難であり,効率的・効果的な検知・防御方式の実現が課題である.CFAでは攻撃対象リンクを選定するため攻撃に先立ち,攻撃に用いる大量のボットからTHに対し大量のtracerouteが発生する特徴がある.そこで本稿では,tracerouteの発生間隔からCFAの攻撃に用いるボットを特定する方式を提案する.
悪意を持ったユーザが意図的に低人気のコンテンツに多数の要求を行うことでキャッシュの効果を低下させるキャッシュポリューション攻撃の問題が指摘されている.本論文では限られたメモリ量で高精度に攻撃ホストを特定するため,ホストIDとコンテンツIDの組をキーとするブルームフィルタを用いCPA ホストを検出し防御する方式を提案する.
休 憩(16:00 再開) 座長 小川剛史(ATR)
B-11-20 |
携帯端末位置特定のための飛行体基地局の飛行速度導出
○田中裕也・北辻佳憲(KDDI総合研究所) |
B-11-21 |
ヘリコプター搭載型小型通信システムによる携帯電話位置推定に関する検討
○堺 拓郎・丸山 翔・若林康央・北辻佳憲(KDDI総合研究所) |
B-11-22 |
ヘリコプター搭載型小型通信システムにおける高度による通信エリアの調査
○若林康央・丸山 翔・堺 拓郎・北辻佳憲(KDDI総合研究所) |
B-11-23 |
ヘリコプター搭載型小型通信システムが形成する通信エリアの送信電力に対する特性調査
○丸山 翔・堺 拓郎・若林康央・北辻佳憲(KDDI総合研究所) |
精度の高い位置情報取得方法としてGPSによる測位があるが、携帯端末が測位した位置情報をサーバ等に伝えるためには認証設備が必要なことなどの制約がある。災害や山岳遭難の現場などにおいては、必ずしも被災者や遭難者が携帯端末を利用できる訳ではなく、また、認証設備を事前に準備できないことが想定されるため、携帯端末の位置特定のためにその位置情報を利用できない場合がある。
そこで、携帯端末の位置特定のために携帯端末が基地局とやり取りする接続信号を用いる。ヘリコプターやドローンなどの飛行体に基地局機能を搭載(以後、飛行体基地局と呼ぶ)させ、空中から移動しながら電波を発射して携帯端末を探索する。携帯端末からの応答を受信した際に、その電波範囲内に携帯端末が存在するとみなせる。
しかし、携帯端末にはバッテリー消費を軽減するために基地局電波を検知するためのインターバルが設定されている。そのため、そのインターバルの時間内では基地局電波に応答できるが、それ以外の時間では携帯端末は応答できない。本稿では、携帯端末のインターバル設定を考慮したときに探索時間が最小となる飛行体の飛行速度を導出する。
災害時や山岳遭難時において,行方不明者の早急な発見は人命救助に繋がり,非常に重要である.携帯電話は広く普及している通信機器であるため、行方不明者の捜索に携帯電話を活用できると,早急な発見に繋げることができる.しかしながら,災害時には無線基地局が停止する場合が,山岳遭難時には山岳地帯が無線基地局の圏外である場合があることから,携帯電話を活用することが難しい.これに対して,我々は飛行体に搭載可能な携帯電話向け小型通信システムを試作しており,1 つの機能として位置推定機能を検討している.本稿では,ヘリコプターを用いたLTE(Long Term Evolution)での位置推定機能の実験結果を報告する.
災害時,通信システムの障害よって電話・通信が利用できないエリアが発生すると,そのエリアに残された被災者は救助要請や外部との安否連絡ができなくなる.被災エリアにおける携帯電話への期待は大変大きく,基地局が利用できなくなった際の一時的な通信エリアの復旧には,車載型基地局や船舶型基地局が用いられる.しかし,車載型基地局が立ち入れない山間部などでは電波が届かない.そこで我々は,ヘリコプターに搭載可能な携帯電話向け小型通信システムの開発を進めている.本稿では,ヘリコプターの高度に対する通信エリアの変化を調査したので,その結果を報告する.
災害や山岳遭難の現場において,被災者や遭難者に災害情報やコミュニケーション手段を提供することは,被害の最小化や被災状況の把握,捜索活動の支援を行う上で重要である.しかしながら,一般にも広く普及している携帯電話であっても,災害現場や山岳地帯では圏外となることがある.そこで我々は,商用電波が届かない場所で携帯電話の通話やメッセージの送受信を可能とする飛行体搭載型の小型通信システムの開発を進めている.本稿では,飛行体として災害現場で使用されるヘリコプターを想定し,実際にヘリコプターに上記の小型通信システムを搭載したときに形成される通信エリアを調査した結果を報告する.
9月18日 9:15〜11:45 Meeting 11 座長 新井田 統(KDDI総合研究所)
B-11-24 |
力覚フィードバックを用いた遠隔ロボットシステムにおけるQoS・安定化制御実験 : 力情報によるロボット位置制御の効果
◎金石和也・石橋 豊(名工大)・黄 平国(岐阜聖徳学園大)・立岩佑一郎(名工大) |
B-11-25 |
車両への情報配信におけるマルチキャスト配信手法の性能比較
○上野高明(KDDI総合研究所)・伊藤 章・辻 圭介(KDDI)・大岸智彦(KDDI総合研究所) |
B-11-26 |
都市部におけるV2X安全通信の性能指標の閉形式
◎高橋 快・塩田茂雄(千葉大)・平井健士・村瀬 勉(名大) |
B-11-27 |
伝送遅延のある無人走行車遠隔制御における状態予測器の効果
◎吉本雄大・渡辺大郎・中村僚兵・葉玉寿弥(防衛大) |
本稿では, 対等な関係ン位ある二つの遠隔ロボットシステムで物体を一緒に運ぶ作業を扱っている. このシステムに適応型Δ因果順序制御とフィルタによる安定化制御を適用し, 実験によってその効果を示している. しかし, 操作方向を反転する際に物体に大きな力が加わっている. この問題は, 力情報を用いたロボット位置制御を適用することで解決できる可能性がある. しかし, その制御の効果は定量的には明らかにされていない. そこで, 本稿では, システムに力情報を用いたロボット位置制御も適用する. そして, 実験によって, その効果を調査する.
我が国におけるITS(高度道路交通システム)では,事故,渋滞等の交通情報,
信号情報等を車両に配信することで運転の快適性や利便性の向上を図ることが期待されている.
これらの情報は,数100m~数kmの範囲で多数の車両へ配信する必要があるため,
モバイル基地局を利用したマルチキャスト配信が効果的である.
筆者らは,これまでにマルチキャスト配信方式の一つであるeMBMSとユニキャスト配信の比較評価を行い,
車両数が一定数以上の場合にeMBMSの方が全車両への配信完了までの時間が短いことを確認した.
しかしながらeMBMSは車両数が少ない場合も一定のリソースブロックを確保する方式であるため,
その欠点を補うSC-PTMも含め,リソースブロック使用率,遅延時間の比較評価を行うこととした.
本稿では,実施したシミュレーションの内容を示し,その結果について考察する.
V2X 通信の応用の一つとして,車両が位置や速度情報などを含むメッセージを周囲に絶えず同報することで,事故を防止し,交通の安全性を高める技術(SafetyCommunication)が注目されている.本稿では,本技術の都市部での適用を想定して車両が2次元平面内に一定の密度でランダムに存在すると仮定した場合,本技術の信頼性の代表的な性能指標(メッセージ受信確率,平均メッセージ受信間隔,情報伝達率)が単純な閉形式で導出できることを示す.
インターネットを介して制御サーバにより遠隔地の走行車を制御する方法として,状態予測制御器の有効性を評価した.具体的には,伝送遅延状況下における走行車遠隔制御シミュレーションにおいて,走行速度及び伝送遅延をパラメータとした場合の走行軌跡を記録した.さらに記録した走行軌跡を基準とする走行軌跡と比較し,その差異を数値化することで,速度及び伝送遅延による走行制御の影響を定量的に評価した.その結果,シミュレーションにおいて,片側伝送遅延500msの場合は,走行速度11m/s(約40km/h)までで良好な走行制御ができた.
休 憩(10:30 再開) 座長 木下和彦(徳島大)
B-11-28 |
ブラインド型仮想Massiveアレーの非同期サンプリング方法の検討
○髙橋草太・渡部一聖・西森健太郎・谷口諒太郎(新潟大)・村上友規(NTT) |
B-11-29 |
無人飛行機間のLOS-MIMO通信における揺れの影響
◎岡田 陸・西森健太郎・松村尚輝(新潟大) |
B-11-30 |
FD-VLCネットワークにおけるパケット破棄を抑制する改良型バックオフ手法の非飽和トラヒック状態における性能解析
◎澤 優太・眞田耕輔・羽多野裕之・森 香津夫(三重大) |
B-11-31 |
IEEE802.11aa GCR Block Ackと送達確認前2回送信の組み合わせによる大容量データ伝送のQoS向上
◎長原明良・布目敏郎(名工大) |
B-11-32 |
無線LANブロードキャストのAP連携符号化によるエリア拡張と遅延短縮効果
○篠原笑子・井上保彦・淺井裕介・鷹取泰司(NTT) |
著者らは,高速でA/D変換を行い1シンボル内で複数のアンテナパターンを形成するVirtual Massive (VM)-MIMOを提案した.その中で,VM-MIMOを実現する伝搬環境制御法として,ブラインドアルゴリズムを用いた方法を提案した.本稿では,QPSKやQAMでも適用可能なサンプリング方法を提案し,その効果を示す.
5Gシステムで使用される高周波数帯の電波は遮蔽物により伝搬損失が大きくなる.地上付近では,建物の影響で,距離の3~4乗に比例して伝搬損失するのに対して,上空では距離の2乗程度に収まる .この特性を利用した無人飛行機間で見通し内(LoS) MIMO伝送を実現する手法を提案している [1].本稿では,無人飛行機を無人飛行機の揺れが及ぼすチャネル容量への影響を計算により算出した.無人飛行機の揺れが存在したほうが,LoS-MIMO固有の特性劣化を抑えることができることを明らかにした.
全二重通信を適用した可視光無線通信では,コーディネータがデータを受信しながらビジートーン信号の送信を行うことで,隠れ端末による衝突を軽減している.しかし,その副作用として, 最大再送回数超過によるパケット破棄が頻繁に生じる問題が起きる.これに対し我々は,端末がCCA時にチャネルビジーを検出した場合,バックオフ指数(BE)とバックオフステージ数(NB)を維持する手法を提案し,パケット破棄が著しく改善されることをシミュレーションおよび理論解析の両面で示している.しかし,常に端末のバッファに送信データが存在する飽和状態での評価のみで,非飽和状態での評価はなされてない.そこで本稿では,改良型バックオフ手法の非飽和状態を考慮した性能解析を行い, その有効性を理論的に示す.
本稿では,GCR Block Ackにおいて送達確認を行う前に同じフレームを2回送信する方式を使用し,
ns-3によるコンピュータデータ伝送シミュレーションを行う.
欠落なく送信できた際の送信に要した時間を通常のGCR Block Ack方式と比較する.
無線LAN の新たな活用方法として検討されている無線LAN ブロードキャストについて、シームレスかつ高品質な伝送を可能とする広域化のためにAP連携技術を提案した.実験の結果から、AP 連携技術を利用することで複数AP でカバーできるエリアを拡張できるほか、セルエッジとなるSTAに対して複数APからの無線LANフレームを復号化することで転送完了時間を約1/2 に短縮できる品質向上効果を確認できた.
B-12. フォトニックネットワーク
9月17日 14:00〜17:00 Meeting 26 座長 松浦基晴(電通大)
B-12-1 |
広域データセンタ間通信における深層学習を適用したPolicy Gradientによるデッドラインアウェアなデータ転送
◎能登谷将紀・塩本公平(東京都市大)・栗本 崇(NII) |
B-12-2 |
Block-stream as a Serviceを活用するアクセスメトロエッジコンピューティング技術の提案
○岡本 聡・杉浦叶典・村上正樹・山中直明(慶大) |
B-12-3 |
SDM-EONにおける共有バックアップパス設定手法の一検討
○加藤 基・馬場健一(工学院大) |
B-12-4 |
EONにおける重畳符号化を用いた動的なパス設定手法の検討
◎佐藤広康・馬場健一(工学院大)・廣田悠介(NICT) |
B-12-5 |
NETCONFとgNMIを用いた光伝送装置の監視機能に関する比較検証
○吉兼 昇(KDDI総合研究所) |
B-12-6 |
Void fillingを使用したバースト光伝送技術のメトロ網への適用検討
◎益本佳奈・中川雅弘・松田俊哉・西山公太・松村和之(NTT) |
デッドラインアウェアなジョブのスケジューリング問題は,データセンタ広域ネットワーク(DC-WAN)などの応用分野で注目されている.本研究はジョブスケジューリングに深層強化学習を適用し,デッドラインを満たせるジョブを最大にすることを目的とする.深層強化学習をジョブスケジューリングに適用するにあたり,どの程度学習時間が必要なのかを明らかにする.深層学習を適用したPolicy Gradientを用いたジョブスケジューリング手法において,適切な学習時間を明らかにし,トラフィック負荷が大きい場合にEDFを上回る性能を発揮することを示した.
アクセス・メトロ網に設置される機器のホワイトボックス化が進展し,将来的には網内機器の制御用CPUリソースの余剰資源を汎用計算資源プールとしてユーザに提供することが期待される.網が提供する計算資源プール活用をアクセスメトロエッジコンピューティング(AMec)と名付けた.本稿では,AMec実現の基盤として Block-stream as a Service (BaaS) を適用することを提案する.
コアネットワークの周波数資源を効率よく利用することができるエラスティック光ネットワーク(EON; ElasticOptical Networks) に空間分割多重技術(SDM; Space DivisionMultiplexing) を適用したSDM-EON が注目されている.大量の通信トラフィックが伝送されるSDM-EONにおいては,リンク障害などに対する影響が大きいことからプライマリパスとは別にバックアップパスを用意することが考えられる.EON において,占有バックアップパスおよび共有バックアップパスによるパスプロテクションを考慮した研究がある.本稿では,SDM-EON において共有バックアップパス設定手法を提案する。バックアップパスのスロットを共有することにより呼損率を低減させる.
近年,増加するトラフィックを効率よくコアネットワークに収容する技術としてエラスティック光ネットワーク(EON)の研究が活発に行われている.
EONにおいて,周波数利用効率を向上させる様々な研究が行われており,無線領域で研究されている重畳符号化をEONに適用する手法もそのひとつである.
重畳符号化では2つの信号を単一の信号として伝送するため,周波数スロットの共有を可能にし,周波数スロットの節約が可能となる.
本稿では,周波数資源の利用効率を向上させることを目的とし,重畳符号化を用いて動的要求に応じた経路制御ならびにパス設定を行う手法を提案した.
シミュレーション結果により要求棄却率の低減を確認した.
本稿では,光伝送装置の実機を用いて,Telemetryのための統一管理プロトコルとして検討が進められているgNMI(gRPC Network Management Interface)を活用した場合の監視情報量と情報転送完了時間について, NETCONF(Network configuration protocol)を用いた場合との比較検討結果について報告する.
筆者らは,メトロ網の低コスト化に向けて光TDMネットワークについて検討しており,その要素技術としてクランプ光を用いて過渡応答抑制を可能とするバースト光増幅技術の検討を進めてきた.システム内に配備されているバーストトラポンから連続信号を送信しクランプ光とする方式において,GATEを使用し他系のバーストトラポンをクランプ光として用いる手法を提案し,既存検討を適用した構成と比較して不稼働時間が1/4以下になることを示した.本論文では, GATEを用いない簡易な構成を提案する.2つの構成の故障時の動作とその影響,ネットワークのCAPEXについて比較し,提案方式が有効であることを示したので報告する.
休 憩(15:45 再開) 座長 中川雅弘(NTT)
B-12-7 |
空間スーパーチャネルを用いたデータセンタ内光スイッチの評価
◎本田瑛士・森 洋二郎・長谷川 浩(名大)・佐藤健一(産総研) |
B-12-8 |
マルチモード光ファイバを用いた光ファイバ給電における高強度給電光の相対強度雑音評価
◎河村幸明・松浦基晴(電通大) |
B-12-9 |
光ファイバ給電式ドローンのための有線信号伝送
○神藤夏季・松浦基晴(電通大) |
B-12-10 |
ダブルクラッド光ファイバを用いた光給電型光ファイバ無線における1.55-μm帯信号・給電光の同時伝送
◎間宮光瑠・松浦基晴(電通大) |
B-12-11 |
フラクショナルフーリエ変換を用いた位相変調信号測定の一検討
◎上川涼平・山崎 佑・小西 毅(阪大) |
増加を続けるデータセンタ通信トラフィックを効率よく処理するために,光スイッチの導入が期待されている.波長ルーティングスイッチとポート選択スイッチを組み合わせたスイッチ構成は,低コストかつ高スループットのスイッチングが実現可能である.我々は光スイッチの更なる高スループット化を目指して,空間スーパーチャネルを活用したスイッチ構成を提案した.
本稿では,空間スーパーチャネルを用いた大容量光スイッチについて更なる検討を行った.シミュレーションにより,設計パラメータとスループットおよび素子コストの関係を明らかにした.また,伝送実験により,本スイッチ構成を用いて2.15 Pbpsのスループットを実現できることを確認した.
モバイルデータトラフィックの急増に伴い,光ファイバ無線(RoF)技術が重要になっている.一般的にRoFは基地局に外部電源が必要であるが,構成の簡素化などを目的に同一光ファイバで制御局から基地局に電力を伝送する光給電(PWoF)型RoFが検討されている.マルチモードファイバ(MMF)を用いたPWoF型RoFでは,信号光と給電光のクロストークにより信号が劣化するため,実用化に向けては信号劣化の抑制が重要になる.そこで本研究では,MMFを用いたPWoFにおける信号劣化の要因である給電光の相対強度雑音(RIN)評価を行い,給電光のRINが入力パワーと伝送距離に強く依存することを明らかにした.
近年,災害時に迅速かつ持続可能な通信サービスを提供する手段として空中基地局が注目されている.光ファイバの有線給電により駆動するドローンを光ファイバ給電式ドローンと呼び,ドローンに基地局設備を搭載した空中基地局の実用化を目指し研究が行われている.この論文では,空中基地局用の光ファイバ給電式ドローンの有線による飛行制御を紹介する. 光ファイバ給電式ドローンの飛行制御の可能性を示すために,消費電力15W未満のエントリー型ドローンとフライトコントローラーを10 mの光ファイバーで接続し,フライトコントローラーからの制御信号を無線を使用せずに有線のみでドローンを制御し飛行の実験を行う.
無線通信における基地局の構成簡素化と敷設・管理の容易化を目的として,光給電型光ファイバ無線システムが提案されている.本研究では,長距離の光ファイバ伝送路による高強度な光給電と高品質な信号伝送の実現に向け,ダブルクラッド光ファイバを用いて1.55 μm帯の信号光と給電光の同時伝送実験を行い,その下り/上りアナログ信号の伝送特性をエラーベクトル振幅の測定により評価した.結果として信号光と給電光の波長を僅かにずらすだけで高品質な信号伝送を行えたことから,ダブルクラッド光ファイバ伝送路では信号光と給電光の波長間隔によらず,クロストークを抑制できることを明らかにした.
信号の多重化や解析に最も汎用的に使われているフーリエ変換を一般化したフラクショナルフーリエ変換を用いることにより,時間-周波数領域で信号の解析を行うことができる.我々はこれまでにこのフラクショナルフーリエ変換の特徴を利用して、時間領域と周波数領域の多重化方式の間の変換などを提案してきている。本研究では、時間領域の位相情報を多重化に利用した信号をフラクショナルフーリエ変換領域で受信することにより分類できるかについて検討を行った。
B-13. 光ファイバ応用技術
9月15日 9:00〜11:30 Meeting 14 座長 伊藤文彦(島根大)
B-13-1 |
光ファイバテープ心線を用いた分布ねじれセンシング
○中村篤志・飯田大輔(NTT) |
B-13-2 |
受光素子の二光子吸収応答を用いた距離測定―パルス参照光の導入
◎阿部哲也・園田直弘・田中洋介(東京農工大) |
B-13-3 |
両端固定支持によるヘテロコア光ファイバ式加速度センサの振幅応答特性の評価
○門倉美幸・山崎大志・西山道子・渡辺一弘(創価大) |
B-13-4 |
OFDRによる振動分布測定における振動の解析長さと感度のトレードオフ
○岡本達也・飯田大輔・押田博之(NTT) |
B-13-5 |
コヒーレント位相OTDRにおける感度向上に関する検討
◎脇坂佳史・飯田大輔・押田博之(NTT) |
安価な汎用光ファイバテープ心線を用いたねじれセンシング方法を提案し,その原理確認実験を行った結果について報告する.
我々はこれまでに受光素子の二光子吸収応答を利用したファイバ内反射点測定, 及びその技術を応用した多点FBGの位置・スペクトル同時測定の研究を行ってきた. 提案手法は反射中心波長が等しいFBGの縦続接続による多点センシングが可能である. 一方,FBG間の多重反射の影響を抑圧するために低反射率のFBGを使う必要がある. しかし, FBGからの反射光が微弱になると検出信号のSN比が劣化し距離測定が困難になる. プローブ光の高強度化も考えられるが, 光学部品の損傷の問題を含め, 限界がある. 今回, 二光子吸収応答を利用した距離測定において, 参照光にパルス光を導入することで測定光の平均光パワーを抑えつつ距離測定が可能な手法を考案し, 原理確認に成功したので報告する.
光ファイバセンサは小型,細径,軽量な光ファイバの構造的な特徴と耐電磁誘導性を有しており,産業用機械に対する健全性モニタリングシステムでの活用にも期待される.本研究では,ヘテロコア光ファイバを用いた加速度センサの提案をしており,ヘテロコア光ファイバを半円状にしたまま土台に固定することで,ファイバ自体を両端固定支持の曲がった振子として見なすことができる.この構造で,振動が与えられた際にわずかに生じるヘテロコア光ファイバの曲率変化から加速度を検出することができる.本稿では,ヘテロコア光ファイバ加速度センサに定常的な正弦波振動を与え,加速度に対する振幅応答特性について評価を行ったので報告する.
光周波数領域反射計測技術を用いた振動分布測定において、振動解析長さと振動感度がトレードオフであることを示し,OFDR-DASの適用領域を示す.OFDR-DASを適用する際は,測定対象の振動特性に応じて,相反する振動解析長さと振動感度を最適化する必要があり,最適化の例として,敷設架空ケーブルの振動分布測定結果の最適化を示す。
光ファイバそのものをセンサとして用いる分布振動計測(DVS)について,多様な応用が盛んに検討される一方,ファイバ上各地点で高感度かつ振動波形に忠実な測定が可能なDVS自体の研究開発も継続して進められている.著者らのグループでも,DVSの一つである位相OTDRに関し,高感度化を行う複数の手法を提案してきた.本稿では,それら提案手法を統合的に用いて振動検出の感度を向上させる方法について検討した.
休 憩(10:30 再開) 座長 飯田大輔(NTT)
B-13-6 |
光ファイバ後方散乱光の時間領域における連続的位相変動測定
◎坪谷雄史・笠 史郎(明大) |
B-13-7 |
Optical Loss Measurement Using an Amplified-Spontaneous-Emission Feedback Circuit with High Improvements in Optical Power Resolution
○Hiroji Masuda・Biswajit Biswas・MD Syful Islam・Kokoro Kitamura(Shimane Univ.) |
B-13-8 |
べき乗間隔パルス列を用いたブリルアン光相関領域解析法による高空間分解能測定
◎三宅大樹・伊藤文彦(島根大) |
B-13-9 |
線形光サンプリングを用いた広波長帯域での擬似ランダム2値信号列変調波形の測定
◎清水奏吾・伊藤文彦(島根大) |
本セッションはB-10Aとの関連セッションであり、後続の講演はB-10-1よりご覧ください。 |
従来の後方散乱光測定技術では、一定時間間隔のパルスを用いるため、光伝送路上で起きる高速な変動について測定をおこなうことができなかった。そこで我々は光ファイバ後方散乱光の時間軸での連続的測定方法を提案し、周波数領域での光位相雑音スペクトル測定を行った。本論文では、上記測定法を改良し、検証実験として光ファイバを振動させ光信号の位相変動を起こし、時間領域で連続的に後方散乱光の位相変動を測定した結果について述べる。本実験の結果、提案方法により、ファイバ内部の任意箇所において、時間領域で連続的に位相変動が測定できることを確認した。
The resolution in optical power, which is expressed in dB or % in most cases, is one of the most important parameters of photodetectors in optical communication/measurement systems. The typical resolution in some conventional schemes reported to date is around 0.01 dB. We proposed a novel optical power sensing scheme that significantly improves the resolution by using an amplified-spontaneous-emission feedback circuit (ASEFC) in front of a conventional photodetector. In this paper, we demonstrate for the first time an optical loss measurement of an optical component, a variable optical attenuator (VOA), with a significant improvement of about 100 times in the resolution using the ASEFC scheme.
以前に提案したべき乗間隔で配置されたパルス列を用いる新しいブリルアン相関領域解析法により、5cm分解能で距離25mに渡るブリルアン利得スペクトルの測定を報告する。本方式で得られる利得スペクトルは狭帯域のスペクトルピーク幅と広い自由スペクトルレンジを有し,高精度かつ広いレンジでのひずみまたは温度の計測に有用であると考えられる.
線形サンプリング法(LOS)は, 超高速な複素変調信号を測定可能な手法であり, 単一波長の位相変位変調(PSK)信号などの測定に使用されているが,広帯域サンプリング パルスを用いることにより,広い波長での変調器の評価を行うことが出来る. 今回我々は, 信号光に波長掃引光源(SWL)を備えた振幅 平均 LOSを用いて, 擬似ランダム2値電気信号列により駆動されたマッハツェンダー型ニオブ酸リチウム(𝐿𝑖𝑁𝑏𝑂3)強度変調器(LN変調器)の変調波形を広波長帯域で測定したので報告する.
9月16日 13:00〜15:30 Meeting 14 座長 山本義典(住友電工)
B-13-10 |
光ファイバ実装状態を制御した光ケーブルの機械的ひずみ特性
○丸尾勇太・櫻井 信・山田裕介・鉄谷成且・谷岡裕明(NTT) |
B-13-11 |
双方向分布ラマン増幅によるマルチコアファイバのXT変動抑制
○寒河江悠途・松井 隆・坂本泰志・今田諒太・中島和秀(NTT) |
本セッションはB-10Aとの関連セッションであり、後続の講演はB-10-2よりご覧ください。 |
既存光ファイバの伝送容量を拡大する空間分割多重光ファイバ技術が提案されている.これまでに,結合型のマルチコア光ファイバの空間モード分散(以下,SMD)を抑制するため,光ケーブルの構造パラメータによってケーブル内の光ファイバの曲がりや捩じれを制御した光ケーブルについて検討した.この光ケーブルにおいては,ケーブル内の光ファイバ心線を束ねるバンドルテープに張力を加えることによって光ファイバの曲がりや捻じれの状態を制御し,SMDを抑制できているが,機械的なひずみ特性に与える影響は明らかでない.本稿では,ひずみ特性を測定した結果を報告する.
次世代大容量光通信基盤として、マルチコアファイバを使った空間分割多重伝送技術が注目されている。マルチコアファイバのコア間XTはコア間特性偏差によって設計値から変動する。本稿ではコア間損失偏差に起因するXT変動を双方向分布ラマン増幅器によって抑制できることを見出したので、報告する。
休 憩(15:15 再開) 座長 小田拓弥(フジクラ)
B-13-12 |
広帯域適用可能な4コアMCF用ファンイン・ファンアウト
○渡辺健吾・高橋正典・吉岡和昭・川崎浩平・杉崎隆一・新子谷悦宏(古河電工) |
本セッションはB-10Aとの関連セッションであり、先行の講演はB-10-4よりご覧ください。 |
標準外径4コアMCF用のファンイン・ファンアウトの広帯域光学特性として、挿入損失およびクロストークを波長1310nm、1550nm、1625nmで評価した。ファンイン・ファンアウトの合計で、挿入損失<0.7dB、クロストーク<-52dBと広帯域で良好な特性を確認した。
9月17日 9:00〜11:15 Meeting 14 座長 荒生 肇(住友電工)
B-13-13 |
テーパ型矩形中空導波路による中赤外光用分岐素子の検討
◎生田目浩至・松浦祐司(東北大) |
B-13-14 |
低温化における中赤外光伝送用金属中空光ファイバの伝送特性
◎横山裕二・松浦祐司(東北大)・片桐崇史(富山大) |
B-13-15 |
FMF中におけるLP11モードの電界分布とBGSに関する基礎検討
◎小田友和・中村篤志・飯田大輔・押田博之(NTT) |
B-13-16 |
2モード光増幅器における空洞付与位置が利得特性に与える影響
○山下陽子・松井 隆・青笹真一・坂本泰志・中島和秀(NTT) |
B-13-17 |
LPFG型モードスクランブラの低損失化に向けた検討
◎今田諒太・坂本泰志・中島和秀(NTT) |
矩形中空導波路における多モード干渉を利用した中赤外光用光分岐素子を開発した.さらに分岐素子として機能する波長領域を拡大させるための構造としてテーパ型導波路の導入を検討した.本発表では金属で構成された導波路を用いて各種の波長で測定した伝送効率および分岐比について考察する.また金属導波路の内面に誘電体薄膜を装荷することにより伝送効率を改善させた結果についても報告する.
中赤外領域の光の伝送に利用される金属中空光ファイバは低温化することで,金属の導電率が向上し,それに伴って反射率が増加する。この反射率の増加を利用して,金属中空光ファイバの伝送損失の低減を試みた.今回は,室温から液体窒素温度へ冷却した際のファイバの伝送損失の変化について,実験的に検討した結果を報告する.
FMFでは,高次モードの電界分布が変化しながら伝搬し,また電界分布によって損失やXT等の伝搬特性が異なるため,FMF中の電界分布を把握した上でこれらの伝搬特性を把握できることが望ましい.本稿では,FMF中の高次モードの電界分布を取得する方法の確立に向け,基礎検討としてBOTDAにおけるポンプ光およびプローブ光間の電界分布の組み合わせとブリルアン利得スペクトル(BGS)の関係について調査した結果を報告する.
モード分割多重伝送の長距離化には数モード光増幅器が必須となるが,モード間利得差による伝送特性の劣化が課題となる.これまで我々は,2モードEDF内に空洞を付与することで,モード間利得差を低減できることを明らかにした.本稿では,空洞の挿入位置が,利得および雑音指数に及ぼす影響を評価したので報告する.
モード多重伝送ではモード間特性差の低減が重要であり,例えば,長周期ファイバグレーティング(Long period fiber
grating: LPFG)型モードスクランブラの利用が提案されている.LPFG によるモードスクランブルでは,クラッド
モードへの結合により過剰な挿入損失が生じる.本検討では,LPFG 型モードスクランブラにおいてより高次のモードの伝搬を許容することで,挿入損失の低減が可能であることを示した.
休 憩(10:30 再開) 座長 野呂 亙(昭和電線ケーブルシステム)
B-13-18 |
最適所内配線に向けた光ケーブル積み上げ量推定の検討
○川野友裕・藤本達也・中江和英・片山和典(NTT) |
B-13-19 |
細径高密度光ファイバケーブルの凍結エリア適用に向けた凍結対策に関する検討
○櫻井 信・丸尾勇太・山田裕介・鉄谷成且・谷岡裕明(NTT) |
B-13-20 |
現場組立コネクタ用フェールセーフファイバカッタの開発
○小山 良・阿部宜輝・片山和典(NTT) |
本セッションはB-10Aとの関連セッションであり、後続の講演はB-10-8よりご覧ください。 |
通信機械室及びデータセンタ内のサーバ類の高性能化により,発熱容量も増加しており,空調コストの抑制が大きな課題となっている.フロア構造として多い二重床下構造における空調効率への影響要因の一つとして,床下配線光ケーブルの積み上げ量が,空調気流に大きく影響を与えることが分かっている.
本稿では,どれだけの高さの光ケーブルが積み上げられているか直接計測せずに推測できるようにするため,光ケーブル積み上げ量をモデル化し,その推定式を実験的に求めた.
細径高密度光ファイバケーブルの凍結対策エリアへの適用のため,凍結対策条件について検討してきた.これまで,ケーブルの耐圧性を簡易に評価して凍結対策条件を求める手法を検討し,ケーブルの耐圧性はケーブルの外被厚や剛性などの幾何学/材料パラメータのみによって算出していたが,光損失特性については考慮していない.光損失特性が異なる光ファイバ種別ごとに凍結対策条件が異なるため、この条件を求める手法が必要である.本稿では,光損失特性を考慮したケーブル耐圧性の評価と管路内凍結対策条件を決定する手法を明らかにした.
我々は初期傷と応力を一定とするため,砥粒刃(樹脂に砥粒が付着した刃)と引張応力を用いたファイバ切断方法を検討してきた.初期傷は砥粒の形状を一定とすることで制御し,応力はバネで加えることで一定とした.本検討ではこの切断方法を用い,カッタが異常な場合はファイバが切れない(切断失敗)という挙動をするフェールセーフファイバカッタを開発したので報告する.
B-14. 情報通信マネジメント
9月17日 13:00〜16:30 Meeting 19 座長 張 成(茨城大)
B-14-1 |
オーバーレイネットワークにおける通信中継サービス機能の基礎評価
◎小村 聖・内藤克浩・磯村周平・吉川大貴・西脇千紘(愛知工業大) |
B-14-2 |
ネットワーク障害箇所推定技術における一研究
鈴木 聡・○浅井文香・明石和陽・村田尚美・野末晴久・金井俊介・田山健一(NTT) |
B-14-3 |
構築・保全システム間連携によるサービス情報自動流通方式の提案
○片柳亮太・高橋謙輔・近藤 悟(NTT) |
B-14-4 |
自律制御ループ方式における可観測性向上に向けた情報取得方式の提案
○池谷友基・高橋謙輔・近藤 悟(NTT) |
近年,Internet of Things(IoT)の注目により,インターネットに接続される端末が急速に増加している.
Internet Protocol(IP)が用いられるインターネット上の通信では,端末間の相互通信が不可能な場合の存在やネットワーク移動による端末間通信の切断といった問題がある.
そこで,IPが抱える諸問題を同時に解決する技術として,CYber PHysical Overlay Network over Internet Communication(CYPHONIC)が提案されている.
現状,CYPHONICは,端末間通信の中継を行うTunnel Relay Service(TRS)が未実装である.
TRSは,Internet Protocol version 4(IPv4)パケットやInternet Protocol version 6(IPv6)パケットを転送先に応じて変換する機能をもち,直接通信が困難な端末間の中継を行う役割をもつ.
本研究では,CYPHONICにおいて未実装である通信中継サービスのシステム提案および実装を行う.
NWトポロジ情報とアラーム情報を元に故障箇所をルールベースで推定する手法において、アラーム(イベント)を外部定義化し、推定精度の向上させるための手法について提案する。
本稿では,連携サービスの構築システムと,連携サービス提供システム,および保全システムを連携させて,サービス情報をシステム間で自動流通させる方式を提案する.
本稿では,各部品が自律的に動作するシステムの挙動を把握するために,自律制御ループ方式の運用部品に対して,Service Meshアーキテクチャを適用して,可観測性の情報を取得する方式を提案する.
休 憩(14:15 再開) 座長 清水智明(NTTコムウェア)
B-14-5 |
波形の類似性を利用した時系列データの時間補正手法の検討
◎中村瑞人・林 直輝・高田 篤・関 登志彦・山越恭子(NTT) |
B-14-6 |
Pad図を用いた分岐が発生する装置設定手順書の作成手法
○中西弘毅・名和長年・大石晴夫・中村宏之(NTT) |
B-14-7 |
アジャイル開発のスクラムチームにおけるコミットログを用いた開発安定性測定手法の提案
○高橋謙輔・金丸 翔・池谷友基・豊嶋剛司(NTT) |
B-14-8 |
API項目とCLI項目の包括的な試験自動化方式の提案
◎金丸 翔・池谷友基・高橋謙輔・豊嶋剛司(NTT) |
ネットワーク(NW)の保全業務において,サービス故障の原因特定の迅速化には正しいトポロジ情報が必要となる.
筆者らはこれまで,NW装置のIFに流れる送受信トラヒック量からトポロジ情報を取得する,トポロジ推定技術を提案してきた.しかし,キャリアNWにおいては,レイヤ・ベンダ毎に異なる管理システムを導入していることが一般的であり,仕様が異なる複数システムで取得されたデータを組み合わせた解析が必要である.その結果,異なるシステムで取得されたデータ間にタイムスタンプずれが存在し,正しい分析ができない課題があった.
本稿では,波形の類似度を利用した時系列データの時間補正手法を提案する.
装置状態によって分岐処理が発生した場合でも,装置の状態を取得しPad 図の分岐要素を判別して装置の状態に応じたカスタマイズされた手順書を生成する方法を提案し、実際に使用されているソフトウエアの設定手順書にてきようし、評価を行った。
本稿では,バージョン管理システムのコミットログを解析することで,開発サイクル毎の開発安定性を測定する手法を提案する.
本稿では,API項目とCLI項目が混在する試験を包括的に自動化する方式を提案し,OSSを組み合わせて実装し,提案方式の実現性を確認した.
休 憩(15:30 再開) 座長 中山裕貴(ボスコテクノロジー)
B-14-9 |
二次元座標情報を用いた経路探索手法
◎小川まな美・金井俊介・鈴木 聡・田山健一(NTT) |
B-14-10 |
強化学習を活用した災害時における配送計画立案手法に関する検討
○明石和陽・金井俊介・鈴木 聡・田山健一(NTT) |
B-14-11 |
他現場の入力チェックルール活用時の精査要否判定手法
○東海林佳昭・小笠原志朗・柴田朋子(NTT) |
B-14-12 |
過去データを活用した業務改善提案手法
◎小俣真吾(NTT) |
災害時にガソリン等の物資を被災地に車で供給する時には, 供給地点で物資が途切れてしまう時間(遅延時間) を最小限に抑える経路が必要になる. 例えば通信会社では広域停電が発生した場合電源車を配備するのだが, 通信ビルが電源枯渇によりサービス断になる時間を最小にするような経路が必要がある. しかし経路の設定には供給地点に残っている物資量や住所等の多様な情報を加味する必要があり,設定を手動で行う場合多大なスキルと時間を要する. 従来の最適経路探索手法では移動コストを最小化することに対して活発な議論がなされてきたが, 遅延時間を最小化する問題に対しては有効な手段が無かった。そこで本研究では分枝限定法を用いた最小化する問題に取り組んだ。
災害時において燃料や食料等の物資を車で配送する際,被災地で物資が枯渇する時間を最小限に抑える配送計画を立案することが求められる.この配送計画は,物資の量や交通状況等,様々な環境情報を考慮して決定する必要があり,人手での検討にはスキルと時間を要することから,自動かつ短時間 で立案する技術が必要となる.そこで本稿は,比較的少ない計算量で高い精度の解が得られることで知られる強化学習を活用し,物資の枯渇を防ぐための最適経路を探索する手法を検討する
通信サービスの提供には正確なデータ管理が不可欠であり、データ登録時の誤り軽減が重要である。そのためにはシステムに入力チェック機能を具備するのが一般的であるが、入力チェックルール(以下ルール)の変化バリエーションへの対応が困難である。そのため、システムでの入力チェックは最低限の共通的ルールに留まっているケースがある。その結果、システム外のチェックが必要となり、有識者の多くの稼働が必要となる。そこで、現場間でルールの一部が異なることを許容し、チェックを自動化する仕組みが検討されている。本稿では、有識者の稼働をかけずに、異なる現場で作成したルールを活用できるかどうか自動で判断する仕組みを提案する。
本稿では, オペレーション対象に,モノ(ネットワークなど)だけでなく組織構造や人の振る舞いも含めた改善方針を自動提案する技術について考察する.
B-15. センサネットワークとモバイルインテリジェンス
9月15日 13:00〜16:45 Meeting 27 座長 佐藤健哉(同志社大)
B-15-1 |
登山者位置情報共有システム用山小屋ネットワークの実証実験
○石坂圭吾・小林 香(富山県立大)・本真義博(北陸電気工業) |
B-15-2 |
無線センサネットワークにおける無線電力伝送を考慮したクラスタリング方式
◎原口和久・眞田耕輔・羽多野裕之・森 香津夫(三重大) |
B-15-3 |
ネットワークとロボットとの協調制御に関する初期的検討
○新宮裕章・石岡卓将・本生崇人・藤橋卓也・渡辺 尚・猿渡俊介(阪大) |
B-15-4 |
オーバーレイネットワークを用いたマイコン機器エンド間接続技術の設計
◎窪田庄太・内藤克浩・小村 聖・吉川大貴・磯村周平(愛知工業大) |
現在、登山者の増加に伴い、遭難事故が増加している。そこで、遭難事故の早期発見を目的とした150MHz帯電波を用いた登山者位置検知システムを開発する。本研究では登山者の位置を山小屋で共有するために、マルチホップ無線ネットワーク技術を応用した山小屋ネットワークを構築した。そして、開発した山小屋ネットワークを用いて、2019年9月に実証試験を行い、剱岳方面登山道、雄山-大汝山-雷鳥沢登山道を移動する登山者からの緊急信号を受信することができた。本報告では、山小屋ネットワークについて説明し、実証試験結果を報告する。そして、今後社会実装に向けた取り組みについても報告する。
無線センサネットワーク(WSN)では,ネットワーク長寿命化のために省電力化技術や電力ハーベスティング技術等が適用される.省電力化ではクラスタ型ネットワークの導入,電力ハーベスティングでは無線電力伝送(WPT)がある.クラスタ型ネットワークでは,クラスタヘッド(CH)の負荷分散のために,CHを交替させるクラスタリング技術が併用される.WPTを適用したWSNでは,受電量が電力伝送装置からの距離に依存するため, SN受電量に地理的な不均一性が生じる.そこで本稿では,SN受電量の不均一性を緩和してネットワーク寿命を長期化するために,従来CHにWPT機能を追加したハイブリッドアクセスポイント(HAP)を導入したクラスタ型WPT-WSNを提案し,そのクラスタリング方式について検討する.
IoT(Internet of Things) の普及とともに,センサだけでなく自動運転車やロボットなどの移動体も無線を介してネットワークに接続され始めている.ロボットが通信しながら動作する場合,ネットワークに問題が生じるとロボットの動作にも支障をきたす恐れがある.本稿では,移動体の中でも自律的に動作するロボットを対象として,ネットワークとロボットとの協調制御手法について検討する.
近年,センシング技術や無線通信技術の発達により,Internet of Things(IoT)が注目されている.現代のインターネットはInternet Protocol(IP)を用いて構築されている.しかし,多くのIoT通信規格ではネイティブなIP通信が考慮されておらず,ゲートウェイでIPとの連携を行う必要がある.さらに,IPバージョンが異なるデバイス同士の直接通信が不可能な問題がある.そこで,IPにおいて相互接続性を実現する技術としてCYber Physical Overlay Network over Internet Communication(CYPHONIC)が提案されている.また,農業の圃場のような環境でのセンシングにおいて,配線コストを考え消費電力は重要な課題である.本研究では,IPベースの省電力IoT向け通信規格であるOpenThreadと,CYPHONICを連携させる手法を提案して,エンド間の柔軟な接続技術の実現に繋げる
休 憩(14:15 再開) 座長 内藤克浩(愛知工業大)
B-15-5 |
IEEE 802.15.4 互換Backscatter の通信理論に関する基礎的検討
◎小西陽平・木﨑一廣・藤橋卓也・猿渡俊介・渡辺 尚(阪大) |
B-15-6 |
光ネットワークリソース制御によるGPUエッジでの画像処理の効率化
◎小野寺幸仁(東京農工大)・井上文彰・久野大介(阪大)・中山 悠(東京農工大) |
B-15-7 |
ネットワークエッジでの軽量なDDoS緩和法におけるバーストトラフィックの影響について
◎八重樫 遼(東京農工大)・久野大介(阪大)・中山 悠(東京農工大) |
B-15-8 |
合流部での円滑な合流を考慮した自動運転車両間での情報共有
◎白石遼平・森野博章(芝浦工大) |
Backscatter 通信は無線通信の省電力化を達成できる.一方で,そ の理論的背景は未だ確立されていない.本稿では著者らが提案した IEEE 802.15.4 互換 Backscatter を基にした回路シミュレーションを通 して Backscatter の通信理論について検討する.
近年,画像からの物体検出の研究が大幅に進められている.特にGPUエッジによる画像の物体検出は,バッチサイズ増大による効率性の向上が指摘されている.しかし,バッチサイズ増大と輻輳によるネットワークの遅延増大とはトレードオフの関係にある.そこで本稿では,一般的な光ネットワークを用いて多数の画像データを低遅延にバースト到着させるシステムを提案する.提案するリソース割り当てアルゴリズムでは,信号伝搬遅延などを考慮して波長および送信時刻を割り当てる.結果として,従来の代表的手法であるIPACTと比較して,大幅なバッチサイズの増加や遅延の削減が可能であることをシミュレーションにより示した
近年,IoT分野は5Gの台頭により急速に発展し,今後の人々の生活への影響を強めていくと考えられる.その一方で,DDoS攻撃にIoTデバイスが使用される場合が増加し,その対策が重要な問題となっている.そこで,本稿ではネットワークエッジでの軽量なDDoS緩和法を提案する.提案手法は,確率的なキュー割り当てを繰り返してキュー長の変化を観察し,その結果からflooding型のDDoS攻撃を判定,パケットの廃棄を行う.しかし,閾値処理では正当なバーストトラフィックを悪意のあるフローと誤判定してしまうことが考えられる.そこで,本稿では特に,バースト性と判定の成功率について,シミュレーション評価した結果について述べる.
現在の自動運転技術は限定条件下でシステムがすべての運転操作を行うレベル3の実用化を目指している.その課題の一つとして高速道路本線への合流の自動化がある.車線変更制御とは異なり限られた長さの加速車線を走行する間に本線側の車両の位置と速度を正確に把握し,自車との速度差を考慮して合流する位置を決定する必要がある.従来研究として自動運転車両の合流のためのV2I型ブロードキャスト制御技術がある.しかし,使用する周波数帯によっては利用できる帯域幅が十分でないためパケット衝突が起きる可能性がある.そのため,本研究では自動運転車両間での情報共有を効率化し,合流をスムーズに行える手法を提案する.
休 憩(15:30 再開) 座長 服部聖彦(東京工科大)
B-15-9 |
路車間通信を用いた高速道路渋滞緩和制御の特性評価
○相浦龍青・森野博章(芝浦工大) |
B-15-10 |
遅延の見える化による遠隔運転の操作性向上の評価
◎佐藤雄大・樫原俊太郎・大岸智彦(KDDI総合研究所) |
B-15-11 |
自動運転車の利用を見据えたデマンド型交通配車方式の検討
◎恋塚 葵・大岸智彦(KDDI総合研究所) |
B-15-12 |
沿岸部における海上ロボット向け航路作成システムの試作
◎南 雄也・吉原貴仁(KDDI総合研究所) |
B-15-13 |
ドローンを用いたリレーネットワークにおける被覆制御に注目した飛行モデルの一検討
◎浅野博之・岡田 啓・ベンナイラ シャドリア・片山正昭(名大) |
[目的] 高速道路の渋滞問題を解消するために役立つ,渋滞吸収運転手法について研究をしている.
[方法]各車両が自車の速度が閾値以下になった時,路車間通信により最寄りのサーバに現在位置とともに報告する.その位置から上流に渋滞吸収運転の開始を促し,上流で渋滞の解消に努める.
[結果]速度閾値を高い値に設定し,渋滞が実際に起こる時刻より前に制御を行うことで効果は得られたが,早すぎる時刻での制御は却って渋滞を引き起こすことが分かった.よって制御を始めるタイミングを遅らせることで,良い結果が得られた.
[結論]速度閾値を高く設定することで渋滞が実際に起きる前の制御が可能であり,速度改善もすることが分かった.
遠隔地から運転者視点映像を見て自動車を操作する遠隔運転においては,通信の往復遅延や映像処理時間などからなる操作遅延時間により操作性が損なわれることが課題である.遠隔運転の運転者は,操作遅延時間による車両位置の差異を認識しながら運転することが必要となる.本稿では,遠隔運転システムが具備すべき機能として,操作遅延時間による車両位置の差異を可視化する「遅延の見える化」機能を提案し,本機能の有用性の評価を行った.
少子高齢化・東京一極集中に伴い人口減少が進んだ地域では,路線バスの利用者数が減少傾向にあり,採算性の悪化が問題となっている.このような中,ユーザの希望に応じて乗合を実現するデマンド型交通は,より少ない経費で住民の足を確保できると注目されており,各地で導入が進められている.デマンド型交通には複数の運行形態があるが,運行方式は自由経路,運行ダイヤは非固定のものが最も自由度が高く,需要量が比較的少ない郊外部や農村部にて有効であるといわれている.これまでこのようなデマンド型交通を実現する配車方式の提案がなされているが,車両は運転手が運転を行う自動車が想定されている.しかしながら,郊外部や農村部では運転手の不足が課題となっており,自動運転車の利用が望まれている.本稿では,自動運転車を用いる場合などに特に必要となる,非サービス中の車両を拠点にて待機させる運行を実現するため,拠点からの出発・帰着を考慮したトリップ単位に基づく配車方式を提案する.また,車掌・車両の休憩時間を動的に設定するための配車条件を導入することで,デマンド成立率と休憩時間の自由度の両立を可能とする.
現在、沿岸部の漁場や養殖場を対象として,UMVを用いた海洋環境データの自動収集システムを開発している.連続かつ広域なデータ収集には海上に点在する養殖いけすなどの障害物を避けて航行させる必要がある.従来,このための航路作成システムがあるが,PC上で動作するものが多く,漁港や海岸など現場に持ち込んで使うことが難しく,手入力による誤入力の可能性があった.そこで本稿では,現場に持ち込んで使用することを想定した,スマートフォンの画面をなぞることで誤入力を抑制できる航路作成システムを提案する.
広域災害被災地における臨時通信システムとして,ドローンが移動しながら情報を中継するリレーネットワークを考える.本研究では,情報が送信元から宛先に伝達するまでにかかる遅延時間を短縮することを目指す.その実現のため,マルチエージェントシステムの被覆制御に注目し,それを利用した新たな飛行モデルとして,被覆飛行,目的地維持型被覆飛行を提案,及びシミュレーションにより性能を評価する.シミュレーションから得られた遅延時間とドローンの飛行軌跡を考察し,ドローンの台数が多い場合に目的地維持型被覆飛行が既存の飛行モデルより低遅延なリレーネットワークを構築できることを示す.
9月16日 9:30〜11:45 Meeting 27 座長 森 慎太郎(福岡大)
B-15-14 |
地磁気と電波強度に基づく座席推定
○山本正明・栗山裕之(日立) |
B-15-15 |
磁界式端末位置推定におけるニューラルネットワークの有用性検証
◎太田瑛佑・佐々木愛一郎(近畿大) |
B-15-16 |
スマートフォンと超音波を利用する屋内測位技術の提案と基礎評価
◎大崎翔太郎・内藤克浩(愛知工業大) |
B-15-17 |
Counting and Localization using Low-Resolution Infrared Array Sensors
○Mondher Bouazizi・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.) |
座席推定に活用可能な従来システムとしては,地磁気と電波強度に基づく屋内測位システムがある.従来システムは,オフィス内の地磁気と無線LANの既設アクセスポイントの電波強度を使って,スマートフォンの現在地を推定する.しかし,特定の座席で測定された地磁気が数十m離れた座席の測定値と近い場合,現在地を遠方の座席と推定誤りするという問題があった.そこで,2段階で座席推定する方式を提案する.まず地磁気による長距離の測位誤りを低減するため,席が遠いほど差の大きい電波強度を使った測位で座席候補を絞り込む.その後,座席候補を対象として,地磁気と電波強度を使った測位で最終的な座席を推定する.
これまでに様々な位置推定技術が研究されており,特に磁界式位置推定は精度の高さの点で有望である.代表的な磁界式位置推定として,逐次最適化問題を解くことによって検出磁界からユーザ端末位置を推定する手法があるが,推定時間を100 ms 以下に収めることは難しく,端末のリアルタイムトラッキングを実現する上で課題が残る.
筆者らはこの課題を解決するため,代表的な機械学習アルゴリズムであるNearest Neighborを適用し,推定精度を低下させることなく推定時間を10 ms以下に短縮することに成功している.しかしながら位置推定誤差が実用上妥当な範囲に収まる確率は未だ十分とはいえず,推定精度の更なる向上が望まれる.今回筆者らは機械学習アルゴリズムとしてNeural Networkを採用し,Nearest Neighborに対する優位性を確認した.
Society 5.0において, Internet of Things(IoT)は重要な技術である. IoTでは人やモノの位置情報が利用されているため, 近年, 様々な位置取得技術が提案されている. 提案されている中でも, 一般的に, 正確な屋内の位置取得技術には, Time of Arrival(TOA)方式が使用されている. 従来のTOA方式による位置測位技術では, 時刻同期のために光を利用する機械が必要である. また時刻同期のためにWi-Fiを利用したTOA方式による位置測位技術が存在する. しかしながら, 位置測位中にWi-Fiを占用的に利用してしまうため, 受信機がインターネットに接続が不可能といった問題が存在する. そのため本稿では, 超音波信号とスマートフォンとNetwork Identity and Time Zone(NITZ)を利用したTOA方式による実用的な屋内測位技術を提案し, その基礎評価を行う.
We propose a low-resolution Infrared (IR) array sensor-based method to count and locate people indoor. We use a Deep Learning (DL) Convolutional Neural Network (CNN) to perform the former task (count people), and a computer vision edge detection technique to perform the latter one (locate people). Our approach reaches 97% accuracy in the detection of up to 3 people, and 100% accuracy in the detection of presence of at least a single person. Nevertheless, it detects the location of people present with a precision equal to 0.3 m.
休 憩(10:45 再開) 座長 湯 素華(電通大)
B-15-18 |
スマートフォンのアンテナ指向性を考慮した屋内位置推定の精度向上に関する基礎検討
◎廣濱佑哉・内藤克浩(愛知工業大) |
B-15-19 |
Neural Networkによる二段階位置推定
○高島勇也・相河 聡・山本真一郎(兵庫県立大) |
B-15-20 |
屋内位置推定における再帰型NNによる過去位置情報の利用
◎天田翔也・相河 聡・山本真一郎(兵庫県立大) |
B-15-21 |
カメラによる物体検出を用いたRSSI位置推定用学習データ自動生成
◎角南智也・西尾理志・守倉正博・山本高至(京大) |
屋内による位置情報取得技術として,RSSI方式が使用されている.
RSSIは,送信機から受信した信号強度であるため,双方のアンテナの方向により,測定値に誤差が発生する.
既存研究において,送信機を中心とした円周上で受信機のスマートフォンの位置を変化させることにより,RSSIが変動することを確認した.
しかしスマートフォンは,端末を手に持つ場合や机に置く場合など端末を傾けて使用するため,様々な利用状態を想定して検討しなければならない.
本研究では,位置推定を行うフィンガープリント法を使用し,スマートフォンの傾きによるRSSIの変動から発生する,位置推定の誤差改善を目指す.
ナビゲーションシステムにおける無線LANアクセスポイント(AP)の受信信号強度(RSSI)を用いたFinger-Printによる屋内位置推定を検討している.
Finger-Printでは,事前に座標毎のAP情報(RSSI,ID)を測定し,データベース(DB)とする.次にユーザが測定した座標におけるAP情報を取得し,ユーザデータ(UD)とする.このUDとDBを比較し位置推定を行う.また,位置推定には入力層,中間層,出力層からなるNeural Network(NN)を使用する.NNはUDを入力層に入力し,出力層からは座標毎のユーザの存在確率が出力され,最も存在確率の大きいものを推定座標とする.
本稿では第1推定で絞り込んだ座標の中から,第2推定で推定座標を求める2段階位置推定を提案する.
無線LANを用い,Finger Printに機械学習を適用した屋内位置推定法に着目する.従来手法として,入力データを時間的に独立したデータとして扱った位置推定法がある.一方, RSSI(受信信号強度)の急変動に対して,瞬間的に大きな推定誤差を生じる場合がある.本稿では,RNN(Recurrent Neural Network)を用いてRSSIの時系列データを扱い,過去情報を利用した位置推定法を提案する.
無線LAN端末の位置推定手法として,RSSI(Received Signal Strength Indicator) fingerprintを用いた機械学習による位置推定手法が盛んに研究されている.端末位置情報をRSSI fingerprintにラベル付けした訓練データを教師あり学習することで,RSSI fingerprintから端末位置へのマッピングを学習できる.しかし,正確な位置推定モデルの学習には, RSSI fingerprintと位置情報からなる訓練データを大量に作成する必要がある.本稿では,複数台のRSSI観測局で取得したRSSI情報を集約して構成するRSSI fingerprintに対してカメラによる物体検出から得られた端末の位置座標を付与することで,教師あり学習データを生成するという RSSI位置推定用のデータ自動生成手法を提案し,実験で自動生成したデータにより位置推定モデルが学習できることを示した.
9月16日 13:00〜16:45 Meeting 27 座長 二瓶浩一(NEC)
B-15-22 |
体内への電磁界暴露を抑制可能な無線給電・通信用テキスタイルコイルの設計
◎高橋 亮・笹谷拓也・川原圭博(東大) |
B-15-23 |
エナジーハーベスティング用熱電素子の故障対策について
◎的早耕太郎・伊藤聡真・小畑周平・吉川 隆(近畿大高専) |
B-15-24 |
GPS信号受信状態を用いた紫外線量推定手法の検討
◎日隈壮一郎・西山勇毅・瀬崎 薫(東大) |
B-15-25 |
LiDARを用いた気圧センサとRTK-GPSの高度計測の比較
○小川将克(上智大)・荒井昌和(宮崎大) |
本稿では、衣服へ装着された複数のウェアラブル機器のバッテリ管理とデータ収集を無線で行い,ウェアラブル機器間の連携を支援する,無線ボディエリアネットワークの実現に向けた,無線給電・通信用テキスタイルコイルを提案する.コイルを用いて衣服全面における無線給電・通信を行う際には,神経への刺激作用と人体への熱作用の原因となる体内への電磁界暴露を抑制する必要がある.そのため,硬く重い磁気シールドを衣服へ装着する必要があるが,この方法では衣服の伸縮性・軽量性を損ない,日常生活での着用が困難になる.そこで体内への電磁界暴露を抑制しつつ,衣服全面での無線給電・通信を実現するコイルの設計を行う.
我々はエネルギーハーベスティングに関する研究を行っている。エネルギーハーベスティングとしては様々な方式があるが,熱発電(温度差発電)に注目した。熱は我々の生活空間のありとあらゆる領域に存在するため、究極的なエネルギー源と考えらえる。通常低温域の温度差を利用して発電を行う場合、熱電素子が用いられている。熱電素子は沢山の素子を接続して一つのモジュールを構成しているがその一つでも壊れたら発電がなされなくなってしまうため、保護回路を設ける必要がある。我々は保護回路を導入しその検証のため、故障時と正常時の実験を行い、保護回路の有効性を確認した。
近年の都市構造の変容と急激なライフスタイルの変化に伴い,人間が屋内で過ごす時間は長時間化し,逆に屋外で直射日光を浴びる時間は年々短くなっている.過度な紫外線の被曝は皮膚癌やシワ,シミの発生可能性を高めるが,一方で適度な紫外線被曝は体内でのビタミンDの生成に必要不可欠である.また,基本的に野菜に含まれていないビタミンDの不足は,カルシウム不足や低カルシウム血症,骨の軟化やうつ病などに繋がる危険性があり,長期的な健康管理において,Control of UV exposure is importantである.しかしながら,紫外線センサを常に携帯することはユーザの負担が大きく,長期的な利用には日常的に計測または推定可能な手法が必要である.そこで本研究では,スマートフォンに搭載されたGPSモジュールを用いて,GPS信号の受信状態から紫外線量を推定する手法の検討を行う.
UAVにより植物成長を観察するために,気圧センサによる高度計測を検討した.これまでの検討では,屋内での計測であり気圧センサをUAVに装着ていなかった.気圧センサをUAVに装着すると,プロペラからの風圧により気圧が変化するために,風を遮るための遮蔽物が必要となる.
本稿では,LiDARで計測した地面からの距離と,気圧センサ,RTK-GPSの計測値と比較し,LiDARとRTK-GPSの計測値の相関が高いことを明らかにする.
休 憩(14:15 再開) 座長 関屋大雄(千葉大)
B-15-26 |
アンテナ配置によるWi-Fi CSIを用いた人の位置推定
○熊田 悠・小川将克(上智大) |
B-15-27 |
収集データの相関に基づくセンサの位置推定と交通量調査への応用
◎△白木詩乃・大橋優人・塩田茂雄(千葉大) |
B-15-28 |
空間相関を考慮したワイヤレスセンサ情報DCT圧縮手法
◎夏目康平(電通大)・太田真衣(福岡大)・安達宏一(電通大)・田久 修(信州大)・藤井威生(電通大) |
B-15-29 |
無線ネットワークモニタリングのためのキャプチャデータ間の同期方式
○玉井森彦・長谷川晃朗・横山浩之(ATR) |
B-15-30 |
室内音源識別のための前処理としての雑音除去性能の比較実験
◎村上史尚・佐野将太・川喜田佑介・田中 博(神奈川工科大) |
本稿では,Wi-Fiにおけるチャネル状態情報(CSI: Channel State Information)を用いて,人の位置を推定するにあたり,7パターンのアンテナ配置の観点から推定精度を評価する.送信アンテナ本数を増やすことにより,空間領域の伝搬情報が増えるため,推定精度が向上することを明らかにする.推定手法として、カーネル関数をpolyとしたSVM(Support Vector Machine)により人の位置を推定する.
本研究では道路上に多数の物体反応型センサを埋め込み,それらのセンサの反応に基づき交通量調査を行う手法について考察する.センサは近くの車両に反応して,反応結果をクラウドに送信する機能を持つ.ただし,個々のセンサの位置は不明であるとする.本研究では,二つのセンサの反応パタンに大きい正の相関がある場合,それらセンサは互いに近くにあるとみなすことでセンサ間の近接情報を求め,得られた近接情報から,センサの位置を推定する.さらに,センサの推定位置を用いて,センサの反応を可視化して道路上の車両の大きさや車両数を計測する.本研究では,このアプローチの妥当性をシミュレーションにより検証する.
無線センサネットワーク (Wireless Sensor Networks: WSNs)において,ネットワークを長寿命化するためのデータ圧縮手法として離散コサイン変換 (Discrete Cosine Transform: DCT)の研究が行われている.しかし,従来のDCTでは空間相関を活用していない.本研究では,空間相関を活用することでDCTの再構築精度を向上させることを目的とする.提案手法では総センサ間距離が最小となるセンサ順のデータにDCTを適用する.計算機シミュレーションにより従来と提案のDCTの再構築精度の性能を確認した.
無線ネットワークにおける通信品質把握のため,対象環境下の複数の異なる位置にセンサノードを配置し,そららのノードから受信信号強度と無線フレームのキャプチャ結果を取得するシステムの研究開発を行っている.本発表では,収集されたデータを同一時間軸上に同期して解析・可視化することを可能とするため,異なるノードで取得されたキャプチャデータに含まれる同一フレームに着目し,それぞれのデータに付与されているタイムスタンプ間の同期を実現する方式を提案する.
聴覚に障碍がある人や耳が遠くなった人への各種アラーム発生の通知[1](図1)や動作家電を含めた各種生活音からの生活状況の見守りなど,室内音を高精度に識別することによって,多様な応用が期待できる.一方,室内には多様な音源が存在し,それらが雑音となり識別精度の劣化要因になると考えられる.本報告では各種アラーム音源と複数の特性の異なる雑音源を取り上げ,それらに対する各種雑音除去方法の効果を実験的に評価した結果を述べる.
休 憩(15:45 再開) 座長 太田 能(神戸大)
B-15-31 |
クラウドとRESTfulなアクセスを活用した水位計測システム
◎大園倖暉・森 慎太郎・大橋正良(福岡大) |
B-15-32 |
加速度センサを用いた電柱倒壊方向推定手法
◎山下 優・木村秀明(中部大) |
B-15-33 |
マスク着用時の二酸化炭素濃度とストレス評価
○鈴木窓香(東京理科大)・大槻知明(慶大) |
B-15-34 |
IoTセンサを用いた深層学習による運動時の心拍推定
○白崎智美・金井謙治・甲藤二郎(早大) |
スマートシティ実現に向けた課題に,相互運用性や拡張性の低さがある.そこで,RESTfulなシステムを用いることによりスマートシティ実現を試みる.本研究では,クラウドと RESTful なアクセスを用いた水位計測システムの開発を通じて,RESTful なスマートシティシステムのベースとなるモデルシステムを示す.これによりスケーラビリティの向上や汎用性があることを示す.raspberry piで水位を計測し,計測データをクラウド上のデータベースに格納してURIを設定し,HTTPメソッドのGETを行うことで計測データを閲覧する.計測データが基準値を超えていた場合はメールによるアラート通知を行う.
近年、台風や豪雨等の災害により電柱や鉄塔などの配電設備に大きな被害が続発している。災害で倒壊した電柱が道路を塞ぎ救助活動の障害となることが問題となっている。本報告では低コストで災害時も利用可能な電柱倒壊方向推定手法として電柱1本に対し1つの加速度センサを用いたシステムを提案する。また本報告で提案するセンサは取り付け時に正確な取付方角が考慮されない前提とするため、風向センサを用いて加速度センサ情報からセンサの取付方向を判定する。また災害時のデータ伝送には伝送路中で電力を必要としない光ファイバを用いた方式を利用する。
新型コロナウイルスの感染予防にマスク着用が新しい生活様式になり,マスクを着用する機会が多くなった.マスクを長時間着用することで息苦しさやストレスを感じることは少なくない.ストレス増加や疲労の蓄積による生産性の低下は,以前から経済的損失をもたらす社会問題となっている.中でも室内の二酸化炭素濃度は,人間の認知能力に影響を及ぼすことが報告されている.二酸化炭素は,少量であれば人体に有害ではないが,室内の二酸化炭素濃度が1,000 ppm以上に上昇すると不快感や眠気を感じると報告されている.着用する機会が増したマスク内の二酸化炭素濃度は非常に高いことが予想される.本稿では,マスクを着用した際のマスク内の二酸化炭素濃度とその影響を,心拍変動に基づくストレス指標により評価した結果を報告する.
ウェアラブルセンサは心電図,筋電図,加速度などの生体・行動情報の取得を可能にし,活動記録や睡眠管理など健康増進の目的で活用されている.筆者らは,生体センサを利用せず,スマートフォンやウェアラブルデバイスに搭載されているIoTセンサや気象といったIoTデータによる高精度な心拍推定手法の確立を目的としている.本稿では,運動時における心拍推定のための優位な入力データを決定するため,様々なデータの組み合わせのデータセットを作成し,先行研究の深層学習モデルを活用した心拍推定手法の精度評価を行う.
9月17日 10:00〜11:45 Meeting 27 座長 中野 亮(日立)
B-15-35 |
把持動作に有用な質感情報を画像から取得する学習モデルの提案
◎道後千尋・加藤晴久・菅野 勝(KDDI総合研究所) |
B-15-36 |
映像情報に基づく無線通信品質予測技術の屋内実験評価
◎高橋馨子・工藤理一・井上 武・水野晃平(NTT) |
B-15-37 |
映像情報に基づく無線通信品質予測技術の屋外実験評価
○工藤理一・高橋馨子・井上 武・水野晃平(NTT) |
汎用ロボットにおける把持タスクにおいて,多指ハンドは複雑な把持位置推定が必要であり,吸着ハンドは把持物体の素材に把持の可否が左右される.本研究では複数方式のロボットハンドを搭載したロボットが,把持物体の素材を予測し,把持位置に依存しにくい手法を優先して選択し,把持するプロセスの確立を目的とする. 可塑性物体や割れ物では接触による転倒・破損の恐れがあるため,非接触での素材推定が望ましい.画像から物体の触感を推定する既存研究が存在する。本稿ではこの手法が今回の目的に適切であるかを実験によって明らかにし、その結果と傾向から、本目的に適切な機械学習モデルと教師データの形式を提案する。
5Gをはじめとする無線通信技術の発展により、様々なコネクテッドデバイスによるサービス創出が期待されている。しかしそれらデバイス周辺の環境によっては通信品質が著しく低下することがあり、サービスが要求する品質が満たせない可能性がある。本研究では動的なオブジェクトによる通信品質の低下に焦点を置き、通信品質を予測した。屋内での実験により、通信機に接続したカメラ情報を用いた無線通信のスループット予測を機械学習により行なった結果を示す。
周辺のオブジェクトを認識することで、無線通信品質を推定する技術について、車や人が通過する屋外環境で実験を行った結果について報告する。
休 憩(11:00 再開) 座長 西尾理志(京大)
B-15-38 |
車載超高速ビジョンセンサによるトンネル内目標物検出·追跡実験
○藤井正明・辻 直樹・今井 悠・大森 清・増田重巳(ミネベアミツミ) |
B-15-39 |
単一コンテクスト実行と遅延を考慮したスケジューラによるストリーム処理効率化の一検討
◎森澤雄太・鈴木理基・北原 武(KDDI総合研究所) |
B-15-40 |
Twitterにおけるヘイトスピーチ検出:人によって定義の異なるヘイトスピーチ
○新飯田夏帆・大槻知明・Mondher Bouazizi(慶大) |
社会インフラ構造物の走行モニタリングでは高速移動車両からバッテリレスワイヤレスセンサへのマイクロ波給電を企図している。これまで電波暗室内で高速移動する目標物に対して超高速ビジョンセンサによる送電アンテナアレー指向性制御実験を行っている。今回、車載超高速ビジョンセンサにより固定位置マーカを捕捉·追跡し送電指向性制御用リアルタイム角度変換実験をトンネル内で行い、良好な捕捉·追従特性を確認したので報告する。
近年,リアルタイムに大容量のデータを処理するストリーム処理基盤は幅広い分野で利用されている.しかしながら,ストリーム処理アプリケーションにおいては,リソース割り当てに起因するプラットフォームコストの増大が問題となっている.そこで,我々は単一クラスタで複数のアプリケーションを実行させることでリソース利用率を向上させる手法を提案してきた.本稿では,遅延要件を加味したスケジューリングによって,複数のアプリケーションを単一クラスタで実行した際により柔軟にリソースをAppに割り当て,遅延要件を遵守する手法を紹介する.実機を用いた実験では,同手法により36%のリソース使用量の削減が確認された.
ヘイトスピーチとは人種,宗教などに対する極端な差別的思考や偏見に基づいた発言のことであり, 近年Twitterでヘイトスピーチを自動検出する技術が盛んに研究されている.従来研究の多くは,共通のデータセットを用いて評価しており,それらは複数のアノテータによりラベル付けされている.しかし,ヘイトスピーチの定義は人によって異なる.本研究では,その人の定義に対応したヘイトスピーチを検出するカスタマイズ分類器を提案する.提案分類器は言語モデルの転移学習により構築され,ツイートを 3 クラス(Hate, Offensive, Clean) に分類する.カスタマイズ分類器とカスタマイズ前の「一般向け分類器」それぞれの分類結果を比較することで,その人の定義に対応した分類ができることを示す.
B-16. インターネットアーキテクチャ
9月16日 9:00〜11:45 Meeting 15 座長 菅原真司(千葉工大)
B-16-1 |
情報指向分断耐性ネットワークにおけるランダムウォーク型ルーティングの特性に関する一検討
◎萩倉 丈・大崎博之(関西学院大) |
B-16-2 |
大規模情報指向ネットワークのための流体ネットワークシミュレータに関する一検討
◎山本創麻(関西学院大)・中村 遼(福岡大)・大崎博之(関西学院大) |
B-16-3 |
情報指向ネットワークにおけるネットワーク障害時のコンテンツ可用性に関する一検討
◎中村 遼・上山憲昭(福岡大) |
B-16-4 |
情報指向ネットワークにおけるマルチパスAIMD型ウィンドウフロー制御のモデル化に関する一検討
◎後藤啓大・山本創麻・大崎博之(関西学院大) |
B-16-5 |
情報指向ネットワークにおけるルータへの最適キャッシュ割当に関する一検討
萩倉 丈(関西学院大)・中村 遼(福岡大)・○大崎博之(関西学院大) |
近年、通信リンクが断続的であるような環境下において、情報指向ネットワーク ICN を
実現しようとする試みである情報指向遅延耐性ネットワーク ICDTN が注目を浴びている
が、ICDTN には従来の ICN におけるコンテンツルーティングや遅延 /分断耐性ネットワ
ーク DTN におけるメッセージルーティングをそのまま用いることは望ましくない。
本稿では、ネットワークトポロジが動的に変化する ICDTN において、分岐型ランダムウ
ォーク (BRW; Branching Random Walk) に基づくコンテンツルーティング (特に、コンテ
ンツ要求ホストから複数のコンテンツ提供サーバへの要求メッセージのルーティング) が
どの程度有効かを定量的に明らかにする。
近年、データを送受信するホストではなく送受信されるデータを主体としたネッ
トワークである情報指向ネットワーク (ICN; Information-Centric
Networking) が注目を浴びている。
本稿では、ICN のトランスポートプロトコルに対する流体近似モデルの
数値解法である、情報指向ネットワークのためのフローレベルシミュレータ
FICNSIM (Fluid-based ICN SIMulator) を提案する。
さらに、小規模なネットワークを対象とし、
実装した FICNSIM のシミュレーション精度を実験により調査する。
近年,データを送受信するホストではなくデータそのものを中心としたネットワークである情報指向ネットワーク (ICN: Information-Centric Networking) が注目を浴びている.ICN では,コンテンツキャッシングにより,コンテンツ配送遅延の短縮や可用性の向上などが期待されているが,ネットワーク障害に対して,ICN がどの程度堅牢であるかはこれまで十分に明らかにされていない.本稿では,ネットワーク障害のパターンとしてランダムなルータの故障を対象とし,数値計算により,ノードをランダムに除去した時の ICN におけるコンテンツ可用性を分析する.
近年、ネットワーク中を転送されるコンテンツを中心としたネットワークアーキテクチャ
である ICN (Information-Centric Networking) が活発に検討されているが、ICN は従
来の TCP/IP とは異なる通信パラダイムを採用しているため、TCP のような従来のトラ
ンスポートプロトコル設計手法をそのまま ICN に適用することができない。
そこで本研究では、我々が提案した情報指向ネットワークの流体近似モデルを拡張することにより、ICN におけるマルチパス AIMD
(Additive Increase and Multiplicative Decrease) 型ウィンドウフロー制御の流体近似モデルを構築する。
ICN におけるコンテンツキャッシングの有効性は、ICN ネットワークを構成する様々な要
素 (例: ネットワークトポロジやコンテンツ要求分布) に大きく依存する。ICN では、与
えられたキャッシュ総量に対して、各ルータに割り当てる最適なキャッシュ容量を求める
、という最適キャッシュ割当問題が活発に研究されている。その結果、ICN における最適
なキャッシュ割当は予測困難な挙動 (例: 最適なキャッシュ割当の不連続な変化) を示す
ことが報告されている。
本稿では、ICN における最適なキャッシュ割当に対する複雑な挙動を解析的に分析するた
めに、単純化した解析モデルを用いて、最適なキャッシュ割当を求める。
休 憩(10:30 再開) 座長 坂野遼平(工学院大)
B-16-6 |
潜在トラヒックを考慮した経路帯域同時最適化
◎内田拓海・石橋圭介(国際基督教大)・福田健介(NII) |
B-16-7 |
ダイナミックチャネルボンディングにおけるチャネル縮退を考慮した適応型レート制御手法に関する研究
◎△久保諒平・野林大起・池永全志(九工大) |
B-16-8 |
PTPのための時計調整機構の安定性解析の適用可能性に関する一検討
◎前川龍一郎・山崎康広・大崎博之(関西学院大) |
B-16-9 |
SPQ,FRERおよびFPを用いたネットワークにおけるQoS評価
◎早川雅人・伊藤嘉浩(名工大) |
B-16-10 |
Time-Aware ShaperのGCL値がQoSに与える影響に関する研究
◎中山瑠偉・伊藤嘉浩(名工大) |
安定なネットワークを提供するためには輻輳を回避する必要がある.
その手法として帯域設計や経路制御があるがこれらは通常観測トラヒックに基づいて行われる.
輻輳発生時にはユーザーやアプリケーションの反応によりトラヒックが潜在化し、これらの制御が有効でない場合があり、この潜在トラヒックを推定するモデルが研究されている.
また帯域設計や経路制御それぞれの手法単体では、コストがかかる、対応できる潜在トラヒックに制限がある、といった問題があった.
そこで帯域設計と経路制御を組み合わせた、潜在トラヒックに対応した上で、幅広いトラヒック増加や、コストを考慮した手法を提案する.
スマートフォンの普及に伴う無線 LAN の需要増加に伴い,高速通信に対応した IEEE802.11ax/ac 準拠の機器が普及している.これらの規格の高速化技術の一つに複数のチャネルを同時に利用するダイナミックチャネルボンディング (DCB) がある.DCB では,一部のチャネルに競合通信が存在すると著しく性能が低下することが確認されている.この原因として,競合を回避するために縮退した場合も低い伝送レートのまま通信してしまうことが考えられる.そこで本研究では,DCB において動的に変化するチャネルの利用状況に応じて適切なレートを選択する適応型レート制御手法を提案し,その有効性を評価した.
近年、ネットワークを介して接続された機器の高精度な時刻同期を実現するプロトコルとして PTP が注目されており、ソフトウェア実装による PTP のための PI 制御器を用いた時計調整機構の提案やその特性解析が行われている。本研究は、PTP におけるマスタおよびスレーブ間の通信遅延が変動する状況下における、我々が行った安定性解析の適用可能性を明らかにする。マスタおよびスレーブ間の通信遅延に意図的にノイズを発生させた状況下において、 PI 制御器を用いた時計調整機構の制御パラメータをさまざまに変化させた数値シミュレーションを行い、どの程度のノイズ環境下において安定性解析が適用できるかを調査する。
次世代車載ネットワークとしてEthernetとIEEE802.1TSNの採用が検討されている.
IEEE802.1TSNは複数の規格であり,この中でフレームの複製と削除を行い信頼性を向上させるFRER(IEEE802.1CB)とexpress frameを分割可能なpreemptable frameに割り込ませることで低遅延を実現するFP(IEEE802.1Qbu),トラヒックに優先度を設けるSPQ(IEEE802.1Q)がある.しかし,これらの規格を同時に使用した時のQoSは明らかではない.
本論文ではSPQ,FRERおよびFPを用いたネットワークで提供されるQoSを明らかにする.
IEEE802ネットワークを制御するためのIEEE802.1 TSNには,SPQ,CBS,TASなど,QoS制御に関する多くの標準がある.
これらの中でも,TAS (Time-Aware Shaper)はより確定的なネットワークを提供できるため,車載ネットワークなどでの採用が期待されている.
TASには,Gate Control List (GCL)と呼ばれるパラメータがあるが,TASの実装者がGCLの適切な値を設定しないと,QoSは低下する.
しかしながら,GCLの適切な値は明らかにされていない.
本論文では,TASのGCL値がQoSに及ぼす影響をシミュレーションにより調査する.
9月16日 13:00〜15:45 Meeting 15 座長 渡部康平(長岡技科大)
B-16-11 |
Strict Priority Queuingを用いた車載ネットワークのQoS推定方法に関する研究
◎小林千紗・伊藤嘉浩(名工大) |
B-16-12 |
MEC向けコンテナ管理基盤の性能評価
◎前迫敬介・熊倉 顕・森田孝裕・張 亮(ソフトバンク) |
B-16-13 |
複数の音響センサノードによる機器異常検知システム
◎△髙野千愛・藤野慎也・野林大起・塚本和也・水町光徳・池永全志(九工大) |
B-16-14 |
Geo Centric情報プラットフォームにおける物理位置に基づくデータ伝送手法の提案
◎弓削和也(九工大)・妙中雄三(奈良先端大)・野林大起・池永全志(九工大) |
B-16-15 |
クラウドストレージを用いたハイブリッド型Peer-to-Peerネットワークにおける人気度を考慮した複製配置法
○△高橋和正・菅原真司(千葉工大) |
次世代の完全自動運転の実現のためには,莫大な情報の伝送が必要なため,次世代車載Ethernetの採用が検討されている.
また,Ethernetの採用により,目的によって分割されていた複数の配線を集約できる.Ethernetへの集約化により,様々な種類のデータがこの上で混在することになるため,車載EthernetのIEEE802.1TSN規格の採用が検討されている.
IEEE802.1TSN規格には,様々な制御が含まれるが,本論文ではこれらの中で最も単純な制御であるStrict Priority Queuing(SPQ)に焦点を当てる.SPQを採用したネットワークにおいてスイッチが多段に接続された場合,提供されるQoSは自明ではない.
したがって,提供されるQoSを推定する方法があれば,これは車載ネットワークの設計において有用である.
本研究では,多段なネットワークを対象とし,SPQ利用時のQoSの推定方法を検討する.
大規模MEC環境では,アプリケーションデプロイの際に,エッジノード間の環境差異による問題が発生する恐れがある.そのため,ノード間で環境が異なる場合においても,動作が担保されるコンテナ型仮想化技術の利用がすすんでいる.
コンテナ技術を活用するにあたって,複数のノードに対してコンテナアプリケーションを自動的にデプロイし管理するためのコンテナオーケストレータが重要である.近年,オープンソースのコンテナオーケストレータとして Kubernetesが広く利用されている.しかしながら,MEC 環境で利用するには,いくつか課題がある.本稿では,MEC に適したコンテナオーケストレータである KubeEdgeの特徴を述べ,性能評価結果を報告する.
工場等には多数の大型機器が存在し,常に故障と隣り合わせの状態である.これらの機器は現在,作業員の点検により異常の発見が行われている.この手法には,故障と点検のタイミングのずれによる異常の発見の遅れや人的コストの消費などの問題がある.また,機器の異常は普段と異なる音に現れることが多い.そこで,本研究では,異常検知の指標として稼働音に着目し,遠隔地で音による機器異常検知を行うシステムについて検討する.
IoT(Internet of Things) 技術の発展により IoT デバイスが年々増加しており,物理世界の現象がデータとして収集,
記録されている.これらのセンサデータを連携させることで,より有益なサービスを提供することが期待されている.
しかし,センサデータは分野ごとにサーバや管理者が異なっており
データの連携が難しいのが現状である.そこで,連携が行われるデータは地理的に近い位置に存在する点に
着目し,地理情報に基づきデータの利活用を行う新しいプラットフォームであるGeo-Centric 情報プラットフォ
ーム(GCIP)が提案されている.
しかしGCIPではデータ利用者とデータ生成地が遠い場合についての議論が進んでいない.
現状の通信方式のままデータを遠隔地まで伝送すると上位のメッシュルータへのアクセスの集中等の問題が発生する恐れがある.
そこで本稿ではGCIPにおける遠距離伝送にも適したデータ伝送方式を提案する.
近年,P2P(Peer-to-Peer) ネットワークにおけるコンテンツ共有について,様々な研究が行われている.P2Pネットワークではピアの加入離脱が発生し,ネットワー
クトポロジの変化や共有コンテンツの消失が生じやすいため,コンテンツの複製配置が行われる.本稿ではコンテンツの人気度の変化を考慮した複製配置を行い,さらにクラウドストレージを併用することにより効率的なコンテンツ共有を行う方式を提案する.
休 憩(14:30 再開) 座長 野林大起(九工大)
B-16-16 |
分岐型ランダムウォークの最適分岐パラメータに関する一検討
◎阪口亮太・大崎博之(関西学院大) |
B-16-17 |
観測したフロー情報に基づくネットワークトポロジ推定に関する一検討
◎北浦敬太・松尾涼太郎(関西学院大)・中村 遼(福岡大)・大崎博之(関西学院大) |
B-16-18 |
グラフの最短経路長と粗視化グラフの最短経路長の関係に関する一検討
◎岩田丈了・北浦敬太・松尾涼太郎・大崎博之(関西学院大) |
B-16-19 |
ランダムウォークによる実効グラフ抵抗の推定手法に関する一検討
◎西 雄平・阪口亮太・大崎博之(関西学院大) |
B-16-20 |
未知のグラフ上の影響最大化問題における最適サンプルノード数に関する一検討
◎脇坂悠生・山下量之(関西学院大)・津川 翔(筑波大)・大崎博之(関西学院大) |
情報ネットワークやソーシャルネットワークのような大規模ネットワークにおける情報
探索・配送・拡散の問題は、グラフ上の単一もしくは複数の移動エージェントによるラ
ンダムウォークによってモデル化が可能である。
グラフ上のランダムウォークを効率化するアプローチとして、
ランダムウォークに従って移動
するエージェントの数を、エージェントの分裂・集約によって動的に変化させる分岐型
ランダムウォーク (BRW) が提案されてい
る。BRW では分岐パラメータと呼ばれる制御パラメータによってエージェントが分岐する
頻度を調整できるが、分岐パラメータを大きく設定しすぎるとエージェントが過剰に分岐し、
過剰なエージェントが大量に集約されてしまうという問題が生じる。
本稿では、分岐型ランダムウォークの最適分岐パラメータを実験により調査す
る。
大規模ネットワークのトポロジの推定は、その規模などのために容易ではない。これまで、通信ネットワーク外部からの観測から、ネットワーク内部のトラフィック流量などを推定する様々な手法 (ネットワークトモグラフィ) が提案されている。しかし、ネットワークのトポロジ推定は、トラヒック流量の推定と比較して解空間が広大であるため、これらの手法をそのままトポロジ推定に用いることはできない。本稿では、ネットワーク中の一部のノードにおいて観測された、フローの集合から、ネットワークトポロジを推定する手法 TOPFLOW (network TOPology infererence from FLOW sets) を提案する。さらに、実験により様々なネットワークに対する TOPFLOW の有効性を調査する。
近年、ソーシャルネットワークにおける交流関係などグラフ構造を有する大規模データが生成・収集・利用されており、このような大規模グラフに対するデータマイニング技術の一つとして、グラフの粗視化 (coarsening) が活発に研究されている。大規模グラフの特徴を有したたまデータの次元数を削減する手法であるグラフの粗視化手法は、グラフ分割問題のような複雑な問題を高速に解くための手段として検討されているが、グラフの最短経長問題にも応用できる可能性があると考えられる。そこで本稿では、大規模グラフにおける任意の二頂点間の最短経路長を、粗視化したグラフにおいて対応する頂点間最短経路長によってどの程度推定できる可能性があるかを調査する。
近年、ネットワークトポロジをグラフとして表現した時に、そのグラフのスペクトル構造によって通信ネットワークの特性を分析・推定する手法が活発に検討されているとともに、グラフ上のランダムウォークによってグラフのスペクトル構造を推定する手法の検討も始まっている。スペクトル半径や代数的連結性などさまざまなスペクトル指標が提案されているが、それらの中でも、特に実効グラフ抵抗 EGR (Effective Graph Resistance) は障害に対する通信ネットワークのロバスト性を測る指標として有用であることが知られている。実効グラフ抵抗は、グラフのラプラシアン行列の非零固有値の逆数の和によって与えられるため、グラフ上のランダムウォークによって最大固有値や第二最大固有値を推定するという既存手法から実効グラフ抵抗を推定することができない。本稿では、グラフ上のランダムウォークによって得られる頂点系列から、グラフ全体の実効グラフ抵抗を推定する手法を提案する。
未知のグラフにおける影響最大化問題において適切なシードノードを決定するためには、
未知のグラフからできるだけ多くのノードをサンプリングすることが望ましい。しかし、
一般にノードのサンプリングにはコストが必要であり、サンプルノード数の増加による
コスト増加と、より適切なシードノードを選択できることによる被影響ノード数の増加の
トレードオフを考慮する必要がある。
本稿では、未知のグラフ上の影響最大化問題において、単一のノードサンプリン
グに要するコストが与えられた時に、サンプル数と被影響ノード数によって決定される
効用を最大化できる最適なサンプルノード数を明らかにする。
9月17日 9:00〜11:30 Meeting 15 座長 石橋圭介(国際基督教大)
B-16-21 |
スパースモデリングによるリンク欠損したネットワークトポロジ復元手法に関する一検討
◎松尾涼太郎・大崎博之(関西学院大) |
B-16-22 |
ネットワークのスペクトル指標とフローQoSとの関係に関する一検討
○山下量之(関西学院大)・中村 遼(福岡大)・大崎博之(関西学院大) |
B-16-23 |
大規模なネットワークにおけるランデブー型ランダムウォーク探索の有効性に関する一検討
◎△豊田郁弥・作元雄輔・大崎博之(関西学院大) |
B-16-24 |
半教師付き学習による通信遅延推定に関する一検討
◎辻 光雄・鈴木泰誠・大崎博之(関西学院大) |
B-16-25 |
断続的なリンクで接続された複雑ネットワークにおけるエンド-エンドルーティングに関する一検討
◎大西美知加・南口宙太・大崎博之(関西学院大) |
近年、統計的モデル化手法であるスパースモデリングを用いた研究が信号処理や画像処理の分野を中心に数多く行われており、情報ネットワークの分野では、スパースモデリングによるネットワークトポロジの辞書構築手法およびスパース表現化手法が提案されている。ネットワークトポロジの辞書はさまざまな用途に応用できると期待される。例えば、ネットワークトポロジの辞書構築手法により構築した辞書があれば、リンクが欠損しているネットワークトポロジを復元するという「ネットワークインペインティング」に応用できる可能性があると考えられる。そこで本研究では、スパースモデリングにより、ネットワークトポロジの辞書を利用することにより、リンクが欠損しているネットワークのトポロジをどの程度復元できるかを明らかにする。
これまで、スペクトル指標を用いたネットワークの特性分析が精力的に行われているが、グラフのスペクトル指標と通信ネットワークの性能にどのような関係があるかは十分に明らかにされていない。本稿では、実験により、5 種類のグラフのスペクトル指標と通信ネットワークにおける 3 種類のフロー QoS の相関係数を求めることにより、スペクトル指標と通信ネットワークの性能の関係を分析する。
隣接ノードを闇雲に辿って特定のノードを発見しようとするブラインド探索が,様々なネットワークで検討されている.メッセージのフラッディング転送を用いたブラインド探索は,最も単純でかつ探索時間の短い方法として知られているが,ネットワーク全体に膨大な数のメッセージを転送してしまう.これまでに我々は,フラッディング探索よりも効率的なブラインド探索となることを目指したランデブー型のランダムウォーク探索を提案してきた.本稿では,大規模なネットワークにおける我々の探索方法の有効性を明らかにするために,ネットワークのノード数を変化させた実験を行う.その結果,我々の探索方法は大規模なスケールフリーネットワークに対して高い有効性を期待できることが分かった.大規模なネットワークで使用することも視野に入れているため,本稿では,その有効性をネットワークのノード数を変化させた実験を通じて確かめる.実験結果を通じて,我々の探索方法は大規模なスケールフリーネットワークに対して高い有効性を期待されることが分かった.
近年、GNN (Graph Neural Network)や GCN (Graph Convolutional Networks) に代表される、機械学習の元データに含まれるグラフ構造を明示的に埋め込んだニューラルネットワークが注目を浴びており、その応用として、GCN を用いた半教師付き学習によりネットワークにおける基準ノードからの通信遅延を推定する手法が提案されている。
そこで本稿では、基準ノードとその他のノード間の通信遅延の一部だけでなく、基準ノード以外のノードとの通信遅延の情報をあわせて利用することにより、基準ノードとその他のノード間の通信遅延の推定精度がどの程度向上するかを明らかにする。
本稿では、不確実なリンクによって構成される大規模ネットワークにおいて、エンド–エンドルーティングを
用いた時の平均メッセージ配送遅延を解析的に求める。これにより、エンド–エンドルーティングはどの程度の
性能を実現できるのか、送信元ノードおよび宛先ノードの次数(隣接ノードと接続されているリンク数)によっ
て、平均メッセージ配送遅延はどのような影響を受けるのかなどを明らかにする。
休 憩(10:30 再開) 座長 新 麗(IIJイノベーションインスティテュート)
B-16-26 |
920MHz帯LoRa搭載車両を用いた市街地での走行データ収集実験
○△丹羽康文・野林大起・塚本和也・池永全志(九工大) |
B-16-27 |
走行車両の位置情報を活用した車両管理システムの開発
○野林大起・丹羽康文・塚本和也・池永全志(九工大) |
B-16-28 |
自律移動ロボット分散制御のための無線通信負荷削減手法に関する研究
◎△河野孝明・野林大起・池永全志(九工大) |
B-16-29 |
都市内移動体端末数の時間的変化を考慮した動的Fogによる効率的コンテンツ共有
○△糸数拓哉・菅原真司(千葉工大) |
車両の持つ膨大なデータをセンサにより収集・活用する Mobility as a Service (MaaS) の実現により,収集したデータを分析,利用することで地域社会における交通・環境課題等を解決することが期待されている.
本研究では,車両による情報収集システムとして,省電力広域無線 LPWA の LoRa 通信を用いて,車両の走行動作および通信環境の変化を考慮した情報収集機器を開発し,市街地での稼働実験・評価を行う.
IoT (Internet of Things) 技術の活用例の一つとして, 車両から得られる膨大なデータを収集し活用することで交通課題・環境課題の解決を図る MaaS (Mobility as a Service) が検討されている. 本研究は,MaaS の適用例として商業利用車両に着目し, 車両からリアルタイムにデータを取得・活用可能なシステム構築を行う.
人手不足の解消や効率化のため,荷物搬送ロボット (Industrial Carrier Robot,ICR) が注目されている.ICRの制御方法として一般的には集中制御が用いられているが,サーバ設置およびインフラ整備のコストが増大してしまう.一方で,ICRを分散制御すると,ICR間で情報共有を行う必要があるため,通信量が増大し拡張性に影響を及ぼす.そこで本研究では,ICR自律分散制御のための通信量削減手法について検討する.
近年,ソーシャルネットワーキングサービス(SNS) やTwitterなどのコミュニケーションサービスに加え,現実の位置情報などを利用したコンテンツ共有が盛んに行われている.また,それに伴い,ネットワークの負荷も年々大きくなっている.本研究では,それらのコンテンツ共有をP2Pとクラウド,Fog Computingを利用し,Fogサーバ利用コストおよびネットワーク負荷抑制のために移動体端末を動的Fogとして用いるコンテンツ共有手法を提案する.
B-17. スマート無線
9月16日 9:15〜11:30 Meeting 9 座長 三木信彦(香川大)
B-17-1 |
電波環境モニタリングを活用したLPWAネットワークにおける拡散率制御の検討
○須藤浩章・小坂和裕・小谷暁彦・下条則之・安永 毅(パナソニック) |
B-17-2 |
強化学習を活用した920MHz帯LPWAネットワークにおけるチャネル割り当て方式の検討
○下条則之・須藤浩章・小坂和裕・小谷暁彦・安永 毅(パナソニック) |
B-17-3 |
LPWAにおける物理フレームヘッダを利用した高速な方式検出法
◎吉澤健人・藤野洋輔・赤羽和徳(NTT) |
B-17-4 |
チャープ復調を利用した雑音電力および干渉電力の分布推定法
◎小林 岳・田久 修(信州大)・安達宏一(電通大)・太田真衣(福岡大)・藤井威生(電通大) |
IoT機器の普及によって電波干渉・電波雑音の増加が懸念されており、管理内の無線Network(NW)全体を制御し、NW全体の通信量を最大化する技術が検討されている。本報告では、十分な送信電力制御範囲が確保できない場合において、電波環境モニタリングを活用した拡散率制御の検討を行ったので報告する。
IoT機器の普及によって電波干渉・環境雑音の増加が懸念されており,周囲の電波状況に応じて無線通信パラメータを制御することでネットワーク全体の通信効率を改善する手法について検討を行っている.本稿では強化学習を活用したチャネル割り当て方式を検討したので説明する.
LPWA通信で用いられる複数の無線方式を、単一の到来フレームから高速に方式を検出する技術を提案する。この技術は各方式の無線フレーム設計と通信方式の特徴を利用し、複数の方式候補の中から逐次的に同期検出を行う。本投稿では、具体的にLoRa信号とFSK信号の異なる2つの通信方式を候補とし、検出対象とは異なる他システムのLoRa/FSK信号が存在する実環境下においてフレーム検出精度を評価したので報告する。
近年、LPWAが IoTの活用に適しているとして注目を集めている。LPWAとは920MHz帯を用いる特定小電力無線機で、低消費電力で長距離通信が可能な通信規格である。電源が確保しにくい環境であっても、LPWA はバッテリーで長時間の使用が可能なためIoT のニーズに合致し活用されることが多い。筆者らはLPWAの一種であるLoRaに注目し、これまでに920MHz帯LoRaにおける他システムとの周波数共用を想定し、LoRa変調方式を利用した、雑音電力および干渉電力推定法を提案した。本稿では、LoRaの集約局のエリア展開を想定し、他システムのアクセス比率(DU比)を想定した、所望および干渉電力の分布推定法を提案する。
休 憩(10:30 再開) 座長 竹内和則(KDDI総合研究所)
B-17-5 |
蓄積一括信号処理を用いた衝突した信号の分離・復調方法におけるSTFT窓幅の一検討
◎西山 徹・平川拓志・中家 翔・冨里 繁・田野 哲・上原一浩(岡山大) |
B-17-6 |
車車間通信のためのp値を用いた遮蔽車両台数推定法
○片桐啓太(電通大)・佐藤光哉(東京理科大)・藤井威生(電通大) |
B-17-7 |
HAPS移動通信システムにおける上りリンク周波数共用に関する一検討
◎小西光邦・西巻卓哉・柴田洋平・生天目 翔・長手厚史(ソフトバンク) |
B-17-8 |
UAVを活用した電波発信源の屋外位置推定のセンサ配置に関する検討
○田中翔馬(ソフトバンク)・タン ザカン・阪口 啓(東工大) |
ネットワーク上での蓄積一括信号処理技術を確立するため,従来の受信機では実現できない,衝突した信号や干渉を受けたIoT/M2M端末信号の分離方法と信号分離後のデータの復調方法として,短時間フーリエ変換を用いた特徴量抽出による信号分離と得られた特徴量を復調に使用する方法を提案した.さらに信号分離に使用する短時間フーリエ変換の時間窓幅を変更して計算機シミュレーションを行い,窓幅によって信号分離性能に与える影響を確認し,特定条件下において最適な窓幅を明らかにした.
高信頼な車車間(V2V: Vehicle-to-Vehicle)通信を実現するには,周辺環境の地理的条件に応じて送信電力や変調方式などの通信パラメータを適切に設計する必要がある.V2V通信では,電波伝搬特性が送受信車両間に存在する遮蔽車両の数に強く依存するため,同台数を正確に予測することで通信パラメータの適応設計に活用可能と考えられる.そこで本稿では,仮説検定におけるp値を用いた遮蔽車両台数の推定手法を提案する.
成層圏プラットフォーム(HAPS: High-Altitude Platform Station)を用いたHAPS移動通信サービスは、地上のセルラ移動端末(UE: User Equipment)へLong Term Evolution(LTE)のような移動通信サービスを直接提供可能であり、サービスエリアの拡大、災害時の通信手段として非常に魅力的である。その運用については、周波数資源有効活用の観点から既存地上ネットワークとの周波数共用が望ましいが、HAPSと地上移動通信システム間の周波数共用についてはこれまでに十分に検討が行われていない。本稿では屋外伝搬測定を実施し、周波数共用時における地上から上空への信号電力の大きさを明らかにするとともに、干渉回避のための上りリンク周波数共用システムを提案する。
IoT社会におけるモバイル端末の急激な普及により, 災害時の救護支援や違法電波の監視などを目的とした電波発信源の位置情報の利用がなされている. 本稿では, 市街地環境においてUAVを受信センサとして活用することを想定し, 位置指紋法アルゴリズムを適用した, 地上のマイクロ波帯の電波発信源の位置推定技術に関する検討について述べる. UAVの活用により送受信機間がLoSまたは準LoSとなる確率が大きくなり, さらに受信電力および 到来角を位置推定のパラメータとして利用することで高精度の位置推定技術の実現が期待できる. レイトレースシミュレーションで得られた離散データから空対地における電波伝搬モデルのモデル化を行い, 任意の受信センサ配置において, 電波発信源の真の位置と推定位置との距離で算出される位置推定誤差の累積分布の評価により, 高精度の位置推定システムが実現できるセンサ配置を粒子群最適化法により決定し, その設計指針を明らかにしたので報告する.
9月18日 9:15〜11:30 Meeting 9 座長 稲森真美子(東海大)
B-17-9 |
受信性能差を補正する時系列受信データを活用した高精度位置指紋法
◎辻野孝弘・藤井輝也(東工大) |
B-17-10 |
低天空率環境下におけるGNSSの位置捕捉精度の実験的解析
◎小熊 博・篠崎 蓮(富山高専)・亀田 卓・末松憲治(東北大) |
B-17-11 |
異なるクロック周波数による同時アンダーサンプリング情報を用いた圧縮センシング型スペクトル再生の復調応用
○芝 隆司・古市朋之・本良瑞樹・亀田 卓・末松憲治(東北大) |
B-17-12 |
SDRを用いた可変帯域幅に対応した通信の基礎評価
◎加藤大貴・内藤克浩(愛知工業大) |
GPSを利用しない位置推定法として,事前に位置(ポイント)ごとに複数の基地局の受信電力を測定しておいて,各端末が測定した複数の受信電力とパターンマッチングすることで位置を推定する “位置指紋法” がある.筆者らはその手法の位置推定精度の改善を図るため,端末が測定した時系列上の複数の受信電力値を利用する時間次元に拡張した“次元拡大位置指紋法”を提案した .事前に測定する受信機(以下,測定装置)と端末の受信性能は一般に異なる.本稿では,測定装置と端末の受信性能の差異を補正する“次元拡大位置指紋法を提案する.
我々は,GNSS (Global Navigation Satellite System) を無線通信分野や防災分野等に高精度位置情報の活用を念頭に天空率 (Sky View Factor) による位置捕捉精度の検討を進めている.本論文では, GPSとBeiDouのマルチGNSSシステムを対象に低天空率環境下において可視衛星数と位置捕捉精度との関係について実験的に検証を行った. その結果, 位置捕捉精度を可視衛星数ごとに, A: 可視衛星数の影響が非常に大きい領域, B: 可視衛星数の影響がマルチパスの影響よりも大きいか同等である領域, C: 可視衛星数よりもマルチパスの影響が大きい3つの領域があることがわかった.
一般に,広帯域信号のアンダーサンプリングでは,スペクトルの折り返しが発生し,元のスペクトルの再生は難しい.我々は,圧縮センシングアルゴリズムを用いて,複数クロックの同時アンダーサンプリングスペクトルからRFスペクトルの再生を行う方法を報告している.今回は,上記手法を用いて再生を行った複素スペクトルを用いて,復調処理を行う手法を提案した.例として,中心周波数5.6GHz,帯域20MHzのm系列符号BPSK信号に対して,上記手法を適用した結果,復調に成功し,本手法の有効性を確認した.
近年,2.4GHz帯域のIEEE802.11(Wi-Fi)を用いた無線通信が広く用いられている.
従来では,パソコンを主体とした通信が行われていた.
しかし,現代ではモバイル端末や,Internet of Things(IoT)機器など,様々な通信機器が接続される.
そのため,通信速度を高速化する一方で,チャネルを柔軟に利用することが求められている.
通常の通信では,送受信間で特定の中心周波数と帯域幅を用いる.
しかし,チャネルを柔軟に用いるような通信では,この条件を満たすことが困難である.
そこで,本研究では,2.4GHz帯のチャネル割り当てが重畳したWi-Fi 規格であるIEEE802.11gを用いて,送受信間で異なる帯域幅を用いた通信システムを提案する.
Wi-Fiの通信に用いる帯域幅を20MHzだけでなく,5MHzや10MHzも用いることで,接続機器台数の増加に対応した効率の良い通信を実現する.
提案する通信システムの実現性を,Software Defined Radio(SDR)を用いて基礎的な評価を行う.
休 憩(10:30 再開) 座長 佐藤光哉(東京理科大)
B-17-13 |
単一の電波センサを用いたミリ波帯移動端末のアンテナ指向性推定
○秋元浩平(秋田県立大)・田久 修(信州大)・戸花照雄・礒田陽次(秋田県立大) |
B-17-14 |
Automatic Modulation Classification of Digital Modulation Signals using Convolutional Neural Network with Constellation Diagram
○Yutao Liu・Toru Nishiyama・Shigeru Tomisato・Kazuhiro Uehara(Okayama Univ.) |
B-17-15 |
深層距離学習を用いた送信機照合における学習パターンの影響
○大辻太一・竹内俊樹(NEC) |
B-17-16 |
自律的周波数共用のためのセンシングに関する一検討
◎小國治也・前山利幸(拓殖大)・吉岡達哉(ATR)・鈴木信雄(近畿大)・長谷川晃朗・横山浩之(ATR) |
限られた周波数資源を有効活用するため,既存の無線システム(PU: primary user)が利用する周波数帯のうち空間・時間的に未使用な部分を別の無線システム(SU: secondary user)が使用する周波数共用手法が検討されている.特に直進性が強くビームフォーミングを用いるミリ波帯では高い空間利用効率が期待される.周波数共用の実現にはSUからPUへの干渉を防ぐ必要があり,特にSUの移動端末から基地局へのアップリンク通信の際に生じるPUへの干渉を防ぐ必要がある.本稿ではミリ波帯(26 GHz)における単一の電波センサを用いたSUの移動端末の指向性推定手法を提案し,その推定精度を計算機シミュレーションにより検証する.
Automatic Modulation Classification of the transmitted signals remain a challenging area in modern intelligent communication systems such as cognitive radio system. There are some problems such as low efficiency and low accuracy for traditional classification systems. Therefore we proposed a system based on Convolutional Neural Network for Automatic Modulation Classification, and used five digital modulation methods: BPSK, QPSK, 8PSK, 16QAM and 64QAM for recognition. We improved input image size, number of dropout layers and simulation parameters to increase recognition accuracy. When the Eb/N0 was higher than -5dB, recognition accuracy of all five modulation methods were higher than 94%.
電波識別技術は,コグニティブ無線ネットワークにおける一次ユーザへの干渉抑制等を目的として注目されている.照合に用いる深層学習モデルの学習データは,多いほど照合性能が高いことが期待されるが,照合性能の改善はデータ量の増加分に比例するわけではないため適切な学習データのパターンが求められる.本稿では,学習データのパターンが照合性能に与える影響を評価した結果を報告する.
自律的周波数共用のシステムを構築するにあたり隠れ端末問題が課題の一つとして挙げられる.そこで,隠れ端末問題を改善するために複数端末を用いたセンシング法が提案されている.
本稿では,複数端末を用いたセンシング法のユースケースをドローンなどの無人航空機を想定し,地上と空中でのセンシングで周波数共用機会がどのように変化するかシミュレーションによって確認した.
9月18日 13:00〜17:00 Meeting 9 座長 大辻太一(NEC)
B-17-17 |
強化学習を用いたチャネル選択手法の一検討
◎今中崇詞・太田真衣・太郎丸 真(福岡大) |
B-17-18 |
電波伝搬シミュレーションを用いた無線通信の受信電力データ拡張に関する一検討
◎岩崎正寛・西尾理志・守倉正博・山本高至(京大) |
B-17-19 |
ローカル5G自営無線システムにおけるスライス単位での干渉制御技術に関する一検討
○大山哲平・田中良紀・札場伸和・瀬山崇志(富士通) |
B-17-20 |
深層生成モデルによる電波伝搬推定手法に関する一考察
◎坂内信允・須藤克弥(電通大) |
B-17-21 |
複数基準信号を用いたTD-LTE重畳下での一次ユーザ検出手法
○中野隼輔(電通大)・稲毛 契(都立産技高専)・藤井威生(電通大) |
キャリアセンスでは、その瞬間にチャネルがビジーかアイドルかにより送信の可否を判断する。また、チャネルの
占有率が低い順に利用チャネルを選択する場合、アイドルの可能性が高いチャネルを利用できるものの、その後にどのくらい空きチャネルが続くか分からないため、空きリソース長と送信パケット長が合わないチャネルを選択すると、
チャネル利用効率が低下する。本稿では、強化学習の古典的な手法である多腕バンディット問題を用いて、パケット長に応じたチャネルを選択する手法の検討を行った。
無線ネットワークのカバレッジおよび各地点での受信電力を推定する手法として,深層学習を用いた受信電力予測手法が提案されている.一方で,予測モデルの学習に多量のデータが必要となる課題がある.本稿ではこのデータ不足による学習モデルの予測精度低下を改善するため,無線通信の受信電力データ拡張手法を提案する.提案手法では,計算機シミュレーション等を活用し少数の実測データを拡張することで,高コストな実測を重ねることなく,データ不足を解消し予測精度を大きく向上させる.
企業等が5G通信技術を用いた自営無線ネットワークを独自に構築できる制度として,限定されたエリアで通信事業者以外に5G用周波数を割り当てるローカル5Gへの関心が高まっている.ローカル5Gでは多様な要求品質を持つトラフィックが混在するが,そうした環境に対し我々はセル間干渉とスライス毎の要求品質に基づいてスライス単位で干渉制御を行う方式を提案している.本稿ではスライス単位での干渉制御技術をシミュレーションによって評価した.そしてスライス毎の所用品質を満たすためにはスライス毎に異なる干渉制御を適用することが有効であり,セル間干渉を考慮することで特性改善が図れることを示した.
本稿では,観測外のエリアの電波伝搬を深層学習により推定する手法を検討する.深層学習を活用した従来手法では,FCN(Fully Convolutional Network)により,複数の観測データを用いて空間補間するする手法(SICNN)があるが,観測外のエリアの受信電波強度を外挿することは困難である.そこで本稿では,高度・距離マップを入力とし,観測データのシャドウイングの特徴に近づくように,電波マップを構築する深層生成モデルを提案する.
筆者らは二次ユーザではなく外部センサによりTD-LTEと他システム間での周波数共用を検討している.この場合,定点に固定されたセンサ群は二次ユーザ通信中においても,一次ユーザを検出することが求められる.筆者らは,二次ユーザ信号に周期性がある場合に,その構造を利用して二次ユーザ信号が存在しない区間からセンシングの検定統計量を抽出する手法について検討を行ってきた.
しかし,この手法にはパケット量変動が激しく,観測信号と周期開始点推定に用いる基準信号が大きく異なる場合に,周期開始点の推定誤差が大きくなる問題があった.そこで本稿では,基準信号を複数用意することで該当環境下において誤警報確率を改善できることを示す.
休 憩(14:30 再開) 座長 大山哲平(富士通)
B-17-22 |
後方散乱波を考慮したミリ波帯における最小伝搬損失推定手法
○村上厚介・高田潤一・齋藤健太郎・ハンピニットサック パナウィット(東工大) |
B-17-23 |
電波センサネットワークにおける探索的データ集約法
◎小林強志・末廣太貴・田久 修・不破 泰(信州大) |
B-17-24 |
位置誤差を含む無線局位置における指向性アンテナの指向方向推定に関する一検討
○國澤良雄・松野宏己・林 高弘・天野良晃(KDDI総合研究所) |
B-17-25 |
六角形放射素子の整合回路を備えた円偏波導波管スロットアレーアンテナの試作特性
◎東 右一郎・工藤友章(日本電業工作) |
B-17-26 |
機械学習を用いた将来の空き周波数リソース検出に関する一検討
○長尾竜也・林 高弘・天野良晃(KDDI総合研究所) |
近年,増加の一途を辿る移動通信分野におけるトラフィックに対応するために, 24GHz∼28GHz 帯が移動通信システムに割り当てられる事が決定されている.これらの周波数帯は国内では他システムに既に割り当てられていることから,周波数共用技術による柔軟な周波数利用に注目が集まっている.筆者らは最小伝搬損失を推定することで共用可能エリアを検出するモデルを提案した.しかしながら,市街地環境では受信局背後の建築物に起因する後方散乱波の影響が無視できない.そこで本稿では提案モデルを拡張し,建物壁面による正規反射と建物の水平エッジによる回折波から成る後方散乱波を考慮することで共用エリア判定精度の更なる向上を図る
近年,周波数資源の不足に対し,電波利用状態を観測する電波センサを利用した動的周波数共用の検討が注目されている.電波センサは既存システムの電波利用を検知するため,受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)が一定以上を超えたら通知するイベントドリブン型のアクセス制御となる.しかし,高RSSIを検知した電波センサが同時多発的にアクセスをするとパケット衝突が頻発し,情報集約が困難になる.本稿では,特定の条件を満たしたセンサから探索的にデータを集約する手法を検討した.また,閾値を設けることによる多段階的なデータ集約を検討した.
5Gの展開に向けて,国内外で追加候補バンドの検討が進められている.これらの周波数帯では,既存の無線システムが使われているが,既存無線システムには,可搬型の無線局や,秘匿性の高い無線局など,無線局の位置やアンテナの指向方向,放射パターンの情報取得が困難なシステムがある.5Gと既存無線システムが相互に干渉しない共用判定を少ないマージンで行うために,無線局の位置推定に関する研究が進められているが,推定結果には誤差が含まれる.そこで本稿では,誤差のある無線局位置におけるアンテナ指向方向推定の一手法を検討したので報告する.
導波管スロットアレーアンテナの円偏波化に六角形放射素子を用いたものが報告されている.著者らはその六角形放射素子に整合回路を追加することで広帯域化をする構造を提案し,それを拡散接合により試作した実験結果を報告する.
無線通信によるデータトラフィックの急増に伴い,周波数資源の確保が喫緊の課題となっている.ところが,多くの周波数帯ではすでにさまざまな無線システムで利用されており,異システム間で周波数を共用する仕組み (dynamic spectrum access: DSA) が検討されている.本稿では,歩行者や車両といった遮蔽物により変化する1次システムのカバレッジを機械学習により予測し,将来の空き周波数リソースを検出する手法を提案する.提案手法について,シミュレーション評価により有効性を示す.
休 憩(16:00 再開) 座長 小西光邦(ソフトバンク)
B-17-27 |
異システム間周波数共用における共用周波数の動的割当方式
○伊神皓生・林 高弘・天野良晃(KDDI総合研究所) |
B-17-28 |
ダイナミック周波数共用における適応的リソース再構成の評価
◎津町直人・菅野一生・堅岡良知(KDDI総合研究所)・鈴木利則(KDDI総合研究所/東北学院大)・石川博康(KDDI総合研究所/日大)・山崎浩輔・岸 洋司(KDDI総合研究所) |
B-17-29 |
ダイナミック周波数共用における異システム干渉除去の実験評価
○堅岡良知・菅野一生・津町直人(KDDI総合研究所)・鈴木利則(KDDI総合研究所/東北学院大)・石川博康(KDDI総合研究所/日大)・山崎浩輔・岸 洋司(KDDI総合研究所) |
B-17-30 |
高効率周波数共用のための三次元的な干渉制約下におけるビームフォーミング制御に関する検討
◎長谷川 嶺・守内祐三・志水紀之・安永 毅・金本英樹(パナソニック) |
近年,周波数の逼迫への対応策として,独占的に割り当てられた帯域における周波数の共同利用が注目されている.我々は,周波数の独占利用権を持つ既存無線システムと2次利用する無線システムという異システム間の周波数共用をより稠密かつ動的に実現する技術の検討を進めている.本論文では,この異システム間な周波数共用において,2次事業者基地局へ空き周波数リソースを動的かつ効率的に割り当てる手法を提案する.
我々は,第5世代移動通信システム(5G)において周波数資源を効率的に活用するため,他の既存無線システムとのダイナミック周波数共用技術について検討している.本稿では,既存無線システムの信号が5Gシステムへ大きな干渉を発生させる場合に,共用周波数リソース内で,5G周波数リソース割当を制御することにより,共用システム全体のリソースの利用効率を高める技術について検討し,シミュレーションによる評価結果を述べる.
著者らは,携帯電話システムにおいて周波数資源を効率的に活用するため,他の無線システムとのダイナミックな周波数共用技術について検討している.これまでに,このような場合に課題となる既存無線システムからの干渉を5Gの受信側で除去する技術のシミュレーション評価結果を報告している.本稿では,電波無響室内で実施した無線伝送実験の結果に基づき,提案する干渉除去手法を実装した際の特性劣化要因について考察する.
携帯電話事業者による全国5Gサービスとは別に,企業や自治体が自己の敷地内で自営の5Gシステムをプライベートネットワークとして構築・運用可能なローカル5G制度の普及が期待されている.既存無線システムとの共用条件下において,周波数資源の利用効率を向上するため,これまで筆者らは,5G が屋内の限定的な空間において,電波伝搬シミュレーションにより把握した送信ビーム毎の電力分布に基づき,ビーム毎に送信利得制御を行う手法を提案してきた.本稿では,実環境での運用を想定した高さ方向を含む三次元的な許容与干渉レベル制約下において,ビーム毎送信利得制御法が最大送信電力での管理法に比べ高い周波数利用効率を達成可能なことを示す.
B-18. 短距離無線通信
9月17日 10:30〜11:45 Meeting 17 座長 水谷圭一(京大)
B-18-1 |
複数偏波成分による拡散を用いた多重伝送手法に関する一検討
○新井麻希・関 智弘(日大) |
B-18-2 |
M-aryチャープCDMAの特性評価
○佐々木重信・森若嵩之(新潟大) |
B-18-3 |
無線LANにおける同一チャネル干渉に対するTD-DCM技術の検討
◎窪田 瑛・久保田周治(芝浦工大) |
B-18-4 |
Wireless Powered伝送における有効なRF-EH範囲に関する一検討
◎桑名 遼・佐々木重信(新潟大) |
B-18-5 |
無線チャネル状態情報による果実糖度判定の検討
○笹岡直人・中川匡夫・赤根 暖・内田和希(鳥取大)・村上友規・小川智明(NTT)・竹村圭弘・伊藤良生(鳥取大) |
第五世代移動通信 (5G) 等の無線通信における大容量化実現のため,高周波数帯における広い帯域幅の活用,及び多数アンテナ素子を用いて同一時間・周波数で多重伝送を行うMIMO (Multiple-Input Multiple-Output) 技術の利用が注目されている.
一方,高周波数帯になるほど電波の直進性が高く見通し環境での通信となり,伝搬路同士の相関が高くなるために十分なMIMO多重化利得を得ることが難しい.
そこで,本報告では見通し環境であっても多重伝送を可能とするための複数偏波成分による拡散を用いた多重伝送手法について報告する.
モノのインターネット (IoT)を実現する一つの通信手段としてLPWAが注目されているが,そのなかでチャープスペクトル拡散(CSS)方式が注目されている.しかしCSS方式によるCDMAの研究は直接拡散(DS/SS)方式によるCDMAに比べると少ない.本報告では直交符号系列によるM-ary変調を組み込んだM-ary チャープCDMAの多元接続特性を評価し,従来のM-ary DS/CDMAとの比較を行なった.その結果チャープを用いることで誤り率特性の改善が見られた.さらに直交符号系列としてM系列を基にした構成法を用いることでさらに誤り率特性を改善できることがわかった.
近年、多彩な用途に応えるためWi-Fiスポットの増設を進めている。今後も利用者数は増加を続ける見込みであり、職場・学校だけでなく自宅を含む様々な場所での利用が加速している。
しかし、Wi-Fiスポットの増設は同時に干渉源の増加につながる。本研究では、Wi-Fiスポットの増設に伴い発生するであろう同一チャネル干渉に対し、TD-DCM (Time Diversity – Dual sub-Carrier Modulation)という手法を提案し特性の改善を狙った。
ACKパケットが干渉となった場合、BPSKよりもTD-DCMの方がBER=1×10^(-4)において約3[dB]よい特性が確認された。
IoT(Internet of Things)を支える無線センサネットワーク(Wireless sensor network : WSN) では多数の端末の使用が想定され,その長寿命化が課題となる。これに対し周辺の無線端末の電波からエネルギーを獲得するRFエネルギーハーベスティング(RF-EH)を利用したWireless Powered伝送が注目されている。その際にRF-EHを行うエネルギー源となる無線端末をどの程度の範囲まで考慮すべきかが問題となる。本稿では周囲の複数のエネルギー源となる無線端末から有効なRF-EHが行える範囲をエネルギー収支の評価を通して明らかにする。
果実の成熟度判定のために破壊検査である糖度計を利用する手法が一般的である.しかし,破壊型は抜き取り検査しかできず,全数検査が可能な非破壊検査の需要が高まっている.そこで,無線信号のCSI(Channel State Information)によって果実の内部情報も参照して糖度を判定する手法について提案する.本稿ではCSIを入力信号としてSVM(Support Vector Machine)による糖度判別について報告を行う.
B-19. ヘルスケア・医療情報通信技術
9月16日 9:00〜11:45 Meeting 29 座長 大野光平(明大)
B-19-1 |
スマートフォンを用いたDeep Autoencoding Gaussian Mixture Modelによる脚力異常検知
◎塩井悠太郎・斎藤 洋(東大) |
B-19-2 |
LSTMによる波形解析に基づくドップラーレーダを用いた非接触血圧測定
◎石坂秀壮・山本幸平・大槻知明(慶大) |
B-19-3 |
非侵襲深部体温センサの自己校正手法の検討
◎松永大地・田中雄次郎・瀬山倫子(NTT) |
B-19-4 |
保守性に優れたウェアラブルバイタルセンサ構成技術
○松久佳祐・木村秀明(中部大) |
B-19-5 |
ミリ波センサを用いた人の室内位置センシング及び行動認識に関する基礎検討
◎梁島一哉・胡 尭坤・戸田 健(日大) |
社会問題となっている高齢者の転倒を事前に防止するために,転倒リスクを正しく把握する必要がある.そこで本稿ではスマートフォンを用いたDeep Autoencoding Gaussian Mixture Model(DAGMM)による脚力異常検知システムを提案する.これまで転倒をその直後に検知する研究は多数実施されてきたが,脚力に着目して転倒自体を事前に防止する工学的な研究はまだ少ない.被験者実験により収集した脚力の正常/異常時の歩行データセットを用いて,教師なし学習により構築した異常検知器の性能をAUCで評価した結果,本システムは適切に脚力の異常を検知できることが示された.
血圧変化は脳心血管病を発症させる原因のひとつであり,日常生活で血圧を自己計測することが重要視されている.一般的な血圧測定法としてカフを用いた方法があるが,例えば睡眠中の不快感やカフ装着位置による血圧の誤推定が問題とされてきた. 非接触血圧推定手法として,ドップラーレーダを用いた手法が検討されている.この手法は,ドップラーレーダを用いて大動脈の動きに起因する血圧と相関のある波形を取得することで血圧を推定する. しかし,その波形は呼吸や体の揺らぎによって容易に歪む. 本稿ではLSTM (Long Short-Term Memory) を用いて血圧と相関のある波形を再構成する手法を提案し,実験を通して呼吸や体の揺らぎによって歪んだ波形に対して提案法が血圧推定精度を改善することを示す.
深部体温は脳や臓器をはじめとした体の核心部の温度である.この深部体温はおよそ24時間周期でわずかに変動しており,体内リズムとの連動が知られている.深部体温の連続測定により体内リズムを可視化することで,高度な健康管理への応用が期待されている.現在一般に用いられる手法では直腸や外耳道にプローブを挿入することで直接深部体温を測定するが,侵襲を伴い測定負担が大きい.我々はセンサプローブを皮膚表面に貼ることで間接的に深部体温を計測する手法を研究している.この手法は事前測定された深部体温の初期値を用いた計測開始時の初期校正を必要とする.本研究では初期値を必要としない自己校正手法を検討したので報告する.
社会基盤の経年劣化や防災、更に健康管理などIoTとAIを結合させた高度安全安心システムの構築が急がれている.本研究は将来のセンサの急激な需要増加に向け,メンテナンスフリーかつ半永久的に稼働するIoTセンサを構成するためにエナジーハーベスト技術を用いたIoTセンサ構成技術を追求するものである.具体的なIoTセンサとして,ECG信号を対象としたウェアラブルバイタルセンサを試作し,評価実験を行い,総消費電力2.97mWを実現した.更に,保守性に優れたセンサを達成する為にIoTセンサの低消費電力化技術を提案し,総消費電力1.23mWを達成,従来のセンサと比べて約60%の消費電力削減可能な見通しを得た.
近年電気コスト削減のため住宅やオフィスにおけるエネルギー管理システムHEMS (Home Energy Management System)やBEMS (Building Energy Management System)向けに,監視カメラ屋内の人の位置や人数をセンシングするシステムの実装が進んでおり,マイクロ波やミリ波を使用した電波センサによる人の位置センシングに関する研究が進んでいる.本研究では,ミリ波センサを用いて被験者の位置を検出する.什器等の環境要因による影響を少なくする必要があるため,天井にミリ波センサを設置し実験を行なった.本報告では日常のデスクワーク環境を再現するために着座した被験者を対象にし,位置センシングを行なった結果を報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 高橋応明(千葉大)
B-19-6 |
二重正方環型FSSを用いた電磁波遮へいに関する3次元FDTD解析
◎河野誠太・工藤孝人(大分大) |
B-19-7 |
FDTD法を用いた人体近傍UWB信号の到来波電力遅延特性解析
○李 鯤(香川大)・チャカロタイ ジェドヴィスノプ・藤井勝巳(NICT) |
B-19-8 |
高周波電圧印加による根管治療時の至適条件探索を目的とした電熱連成解析システムの開発
○竹谷英雄・芥川正武(徳島大)・太良尾浩生(香川高専)・榎本崇宏・湯本浩通・平尾功治(徳島大)・富永敏彦(とみなが歯科医院)・池原敏孝(徳島文理大)・安野恵実子(阿南高専)・木内陽介(徳島大) |
B-19-9 |
オフィス環境下での非接触型電極による心電計測技術
○新谷彩子・島田和明・松沼 悟(マクセル)・福崎 翔・浜崎海翔・李 丹松・服部励治(九大) |
B-19-10 |
拡散型分子通信における温度変化が通信特性に与える影響
◎鳥山肖太・安在大祐・王 建青(名工大) |
無線通信機能を搭載した電子機器が医療機関に持ち込まれ使用されることで院内無線LANに干渉する問題がある.その結果,無線機器を搭載した医療システムの不具合が発生し,個人情報の漏洩等に繋がるおそれがある.この問題に対処するため,特定の周波数の電磁波のみを遮へいできるFSS(周波数選択鈑)に着目している.これは導電率の高い物質を特殊な形で周期的に配置した構造体である.本研究ではFSSを利用した周波数選択的な電磁波遮へい材の開発を目指している.本稿では二重正方環型FSSに対してFDTD法に基づく3次元数値解析を行った結果,狭帯域ではあるが,2つの周波数帯に遮へい効果が確認できた.
我々は,運転者健康緊急サービスを提供できる超広帯域インパルス(UWB-IR)信号を用いた車内医療センサ無線通信システムを開発している.本稿では,周波数依存型時間領域有限差分(FDTD)法を用いて数値人体モデル近傍における広帯域パルス電磁界の解析を行い,UWB到来波信号の電力遅延特性を求めたので報告する.
現在,根尖性歯周炎に対する新たな治療法としてEMATが提案されている.この治療法の効果として根管内の殺菌と歯槽骨の再生が臨床所見で得られている.しかし,これらの効果の機序や治療時における至適条件が解明されていないため,本研究グループではこれらの解明を目的としている.この解明のために,解析対象を格子状に分割した格子状回路網を用いて計算機シミュレーションにより電熱解析を行う.ただし,解析に必要な導電率,熱伝導率には温度依存性があるため連成解析が必要となる.そこで本研究では,格子状回路網を用いた電熱連成解析システムを構築し,その計算結果を実測値と比較することで計算精度を評価した.
オフィス環境や一般家庭では、非接触心電計測により健康状態を可視化するニーズが高まっている。これらの環境は電源ノイズ等の影響で計測しにくい。今回電源ノイズの影響を調べ、それを低減する技術を研究した。計測には容量結合型電極を使い、増幅回路、帯域除去フィルタを通して差動出力をデジタルオシロスコープにより検出した。心電波形からは電源ノイズ(60Hz)等の環境ノイズの混在が判明した。そこで電磁シールド布により防護した所、効果的に除去された。心電波形から時間領域解析と周波数解析により自律神経指数を算出しLF/HFやCVRRを解析した。ノイズ環境でも非接触心電計測により健康状態やストレスをモニタリングできる可能性が明らかになった。
近年, 分子通信に関する基礎研究が盛んに行われている.分子通信とは,生体分子を用いて情報の伝達を行う通信技術であり,電磁波や電気を用いた既存の通信技術とは異なる.分子通信の特徴として数nm~数 μm のメゾスコピックスケールの通信であることや,生体親和性が高いことが挙げられる.これらの特徴から,医療分野などの既存の通信技術が適応できない通信環境への応用が期待されている.本研究は,拡散型分子通信において通信路の温度変化が通信特性に及ぼす影響を検討する.分子拡散を表現する拡散方程式において温度パラメータを考慮した有限要素法による解析を行い,ビット誤り率 (BER: Bit Error Rate) 特性をEb/N0により評価した.
9月16日 13:00〜15:30 Meeting 29 座長 青柳貴洋(東工大)
B-19-11 |
Sparse Representation and Online Recursive ICA-based Framework Used for Motor Imagery EEG Recording
○Xueyi Lin・Lu Wang・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.) |
B-19-12 |
Reconstructing Maternal ECG from Abdominal ECG Using Autoencoder
○△Abuzar Ahmad Qureshi・Lu Wang・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.)・Kazunari Owada・Naoki Honma・Hayato Hayashi(Atom Medical) |
B-19-13 |
Fetal Heart Rate Monitoring from Non-invasive Electrode Recordings
◎Lu Wang・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.)・Kazunari Owada・Naoki Honma・Hayato Hayashi(Atom Medical) |
B-19-14 |
イヤホンのインピーダンス変動による心拍測定
○横井敦也・村上忠正・立花裕美・北島利浩(サムスン日本研) |
B-19-15 |
ミリ波センサによるEMDを用いた心拍及び呼吸推定の検討
○胡 尭坤・戸田 健(日大) |
Motor imagery (MI) experiment is a strategy applied for brain-computer interface (BCI) technology, which does not need actual movements, only needs to imagine. To use the MI recording, the electroencephalogram (EEG) signal needs to be separated since the recording is usually contaminated by artifacts. In this report, a novel framework is proposed based on the sparse representation (SR) and online recursive independent component analysis (ORICA) for MI EEG recording.
Extracting fetal electrocardiogram (ECG) from noninvasive abdominal recordings is a challenging task as it contains a strong contamination of maternal ECG (MECG) and undesirable signals due to body motion and muscle activity. In this study, we introduce neural-network autoencoder for MECG reconstruction. The proposed method is able to reconstruct the MECG from single-channel abdominal ECG (AECG). Furthermore, numerical assessments under various AECG channel recordings demonstrate the adaptability of the proposed method.
Despite the enormous potential applications, non-invasive recordings have not yet made enough satisfaction for fetal disease detection. This is mainly due to the fetal ECG signal is contaminated by the maternal electrocardiograph (ECG) interference, muscle contractions, and motion artifacts. In this report, we propose a novel approach that allows us to access accurate heart rate detection, making it possible to perform a non-invasive heart rate monitoring for daily life.
近年、ウェアラブルデバイスによる生体情報検出と健康管理が注目されている.
本論文では、外耳道の圧力変動から脈波を含む様々な生体情報が得られる[1]ことに着目し、イヤホンのインピーダンス変化から外耳道の圧力変動を検出することで、脈波を測定する方法を提案する.試作システムでは、市販のイヤホンで音楽を聴きながら、PPGセンサとの比較で2%以下の誤差で心拍を測定可能であった.
近年,マイクロ波やミリ波センサを用いて,心拍,呼吸,体動を検知する研究が進んでおり,生体信号の検出及びその位置測定の高精度化が可能になってきている.従来生体信号の分離と抽出の方法はBPF(Band Pass Filter)とWT (Wavelet Transform)である.それぞれの弱みとして,BPFでは,人間の呼吸と心拍信号の周波数帯域が近いため,心拍信号への呼吸信号の高調波の干渉問題が解決できない.一方WTでは,WT基底関数を選択するのが難しい点が挙げられる.本研究ではHuang N.E.によって提案されたEMD(Empirical Mode Decomposition)を用いることで,時間領域で非線形・非定常信号を固有振動モードに分解することで心拍と呼吸を分離・抽出した.EMDを用いて測定した結果はFFT-BPFの結果より誤差が小さいことが分かった.
休 憩(14:30 再開) 座長 四方博之(関西大)
B-19-16 |
テンプレートマッチング法を用いたドップラーセンサ心拍測定におけるテンプレート原波形自動生成法の検討
◎森 智也・上林真司(中京大) |
B-19-17 |
ウェアラブル生体センサを用いた運動時の心電図測定における心電図R-R間隔推定法
○山口修平・柴田健斗・中川匡夫(鳥取大) |
B-19-18 |
ウェアラブル生体センサを用いた心電図R-R間隔推定における相関係数による体動ノイズの除去
○柴田健斗・山口修平・中川匡夫(鳥取大) |
B-19-19 |
就寝前の環境制御による自律神経活動および睡眠への効果
○松久裕子・中村 透・井出和宏・増田浩一(パナソニック)・片岡洋祐(理研) |
筆者らはドップラーセンサの出力波形にテンプレートマッチング法を適用することで、心拍を精度よく測定できることを報告したが、測定波形から人が典型的な波形を選択する必要があった。本研究では、テンプレート原波形を機械的に選択して、テンプレート波形を自動生成する方法を開発し、測定精度を評価した。
本研究では相関係数を用いる波形にノイズを含んだ心電波形と従来の方法である固定した位置のR波ではなく、逐次、直前のR波を繰り返し用いることでR波の検出精度向上を行った。ベルトで固定した体動ノイズが加わりにくい装置から取得した心電波形を真値として比較したとき、局所最大値を用いてR波を推定した場合に比べて、提案法を用いてR波を推定した場合が真値と近い結果になった。相関係数を波形の箇所を直前のR波の位置に逐次更新することは有効な手段であると考えられる。
心電波形をモニタリングできるウェアラブル生体センサは、激しい動作時にその体動によりノイズが発生し、R-R間隔などの生体情報の推定が困難になるという問題があった。そこで本研究では適応フィルタを用いて体動ノイズを除去した後に相関係数を用いることでR波を順次検出し、安定したR-R間隔の推定を行える手法を提案する。
提案法では腕回し等の動作を行っている時でも従来法に比べてR波推定の誤差率を低減していることが確認できた。
本報告では, 空気, 照明, 香り, 音楽の複合的な環境制御条件を個人毎に最適化することにより自律神経活動を制御できる可能性を示した.また, 自律神経活動に関するクラスタリング解析で分類した特定グループにおいて, 就寝前の環境制御により副交感神経活動を亢進させ, 睡眠中の覚醒時間を低減させえることもわかった. 一方, 本試験の期間中, 自律神経測定によって恒常的にストレスが高かったと判断されたグループでは, 覚醒時間の低減は示されなかった.
B-20. 無線電力伝送
9月17日 9:00〜11:30 Meeting 21 座長 藤田稔之(東大)
B-20-1 |
送電100kW超級ワイヤレス電力伝送システムの雑音端子電圧測定
◎宇野 皓・小川健一郎・司城 徹・兼清靖弘・井上和弘・尾林秀一・石田正明(東芝) |
B-20-2 |
磁界結合型無線電力伝送における高調波磁界強度低減に向けた入力電圧設計
○小渕大輔・松浦賢太郎・成末義哲・森川博之(東大) |
B-20-3 |
Φ2級WPTシステムの数値設計
◎大城 秀・魏 秀欽・羅 イ森・山崎将弘・萩原佑亮(千葉工大) |
B-20-4 |
E級トポロジを用いる電子制御ZVS可変リアクタ回路
◎碓井優希・水谷 豊・小山哲志・大平 孝(豊橋技科大) |
B-20-5 |
挟み込み型のコイル構造を持つ無線電力伝送システムの力率改善に関する検討
◎北原 真・鈴木敬久・多氣昌生(東京都立大)・秋山美郷・佐々木秀勝・佐野宏靖(都産技研) |
ワイヤレス電力伝送(WPT)は利便性・保守性の観点から、電気自動車(EV)や電子機器への適用が検討されている。特に、大型車両の急速充電では100kW 超級の大電力送電が必要となる。大電力WPT システムは他の無線局と干渉することが懸念されている。その普及には他の無線局と共存させることが重要であり、そのための技術を提案してきた。
本稿では、送電100kW超級WPT システムにおいて、雑音端子電圧をLISN(AMN)にて測定した。その結果を国内電波法の許容値と比較した。
著者らは送電器に入力する電圧を制御することで基本周波数における漏洩磁界を低減する手法を研究してきた.しかし,漏洩磁界には高調波成分も含まれているため,高調波成分も低減可能となるように入力電圧を制御しなければならない.
本研究では,磁界結合型無線電力伝送システムにおいて,受電器のフルブリッジ整流器で生じる電圧は,平滑コンデンサが十分大きい場合に矩形波に近似できることに着目し,整流器を矩形波電圧源とみなす.これにより漏洩磁界の高調波成分を抑制可能な送電器の入力電圧設計を実現する.
回路シミュレーションの結果,提案手法は,単にデューティ比0.5の矩形波をインバータに入力した場合と比較して,選択した高調波周波数において漏洩磁界を 20.0 dB以上低減できることを確認した.
現在, 利便性や安全性を求め, WPTシステムが注目されてきた. その中でも小型化・高効率を両立し, 低スイッチ電圧ストレスが可能なΦ級WPTシステムは今後の産業における注目の回路の一つである. しかし, このΦ級WPTシステムは, 高精度な設計においてまだ活路が少ない. そこで本研究では, 数値計算法を用い, Φ級WPTシステムの設計を試みた. 実際に回路を設計しシミュレーションを行った結果, E級ZVS/ZDS条件を達成し, 送受電部のスイッチ電圧ストレスはそれぞれの入出力電圧の2倍になっていた. このことより設計の妥当性を確認した.
無線電力伝送において,負荷変動への対策としてATAC(Automatic Tuning Assist Circuit) 回路が研究されている[1].現在提案されているATAC 回路は,矩形波動作のため不要輻射やスイッチング損失が大きいという課題がある.そこで本研究は,E 級インバータのトポロジを持ちいることで,正弦波動作するZVS 可変リアクタを提案し,その理論解析とシミュレーションを行った.
そして,入力電流とゲート電圧の位相差を適切に制御することで,提案回路がZVS 可変リアクタとして動作することを確認した.
現在、電動アシスト自転車などのパーソナルモビリティに適している無線電力伝送装置の構造として、「挟み込み構造」が提案されている。
この構造を用いることで、従来の無線電力伝送装置に比べ、中心軸方向の位置変化に対するロバスト性が向上することが実験により確認されいる。
しかし、この構造の詳しい回路解析は行われておらず、現在提案されている手法では、力率が1とならない。
本検討では、この構造について回路解析を行い、力率が悪化する原因について検証し、力率の改善手法について提案した。
また実験を行い、提案手法で実際に効果が得られることを実証した。
休 憩(10:30 再開) 座長 坂井尚貴(金沢工大)
B-20-6 |
流通角方程式を用いたシングルシリーズダイオード整流回路の入力インピーダンス理論式
◎阿部晋士・大平 孝(豊橋技科大) |
B-20-7 |
入力電力が異なる2つの整流回路を並列DC合成するときに見られるカットオフ現象
◎本多亮也・阿部晋士・大平 孝(豊橋技科大) |
B-20-8 |
直径1mコイルを用いたAUV向け塩水内無線電力伝送の一検討
○枷場亮祐・山口修一郎・岡本克也・八木達雄・川田壮一・江口和弘・小柳芳雄(パナソニック) |
B-20-9 |
新規高周波用超伝導線材を用いた高Q値コイルの検討(III)
◎△桶田将弘・關谷尚人(山梨大) |
高周波整流回路の入力インピーダンスを理論解析した.
理論解析の結果を数値解析の結果と比較し, 一致した.
電源側のインピーダンスが入力インピーダンスに影響していることがわかった.
電気自動車・ドローン・床走行ロボット・レクテナなどのWPTシステムにおいて,大電力化やロバスト性向上を目指して複数の整流回路でDC電力合成する研究が行われている.DC電力合成において,整流回路の入力電力の偏りに関する研究が実験的に行われている.本稿では,入力電力の偏りにより片方の整流回路がカットオフとなる現象を発見したため,片方の整流回路がカットオフとなる入力電力比を理論的に導出した.カットオフ入力電力比は,負荷抵抗と電力源の内部抵抗のみで決まることが明らかになった.本研究の成果は,高周波大電力整流回路の設計に貢献できる.
自律型無人潜水機(Autonomous Underwater Vehicle:AUV)は,海洋資源の探査,海洋生物の調査,インフラ施設の監視などに利用されている.今後海中ドローンの開発などで,小型低コスト化が進み利用範囲がさらに広がると考えられる.著者らは,AUV向けの海中の無線電力伝送の研究を行っており,直径 2m コイルから AUV へのシミュレーション検討や 1/10 縮尺モデルでの基礎検討を行ってきた.本稿では,1/2 に縮尺したモデルとなる直径 1m の送電コイルを使用した電力伝送の実験検討を行う.
我々は,高効率なワイヤレス電力伝送を実現するために従来の超伝導線材を2枚重ね合わせた線材構造を提案した.また,線材を埋め込む発泡スチロールの支持材の誘電体損失によりQ値が制限されるため,支持材を部分的に用いる構造を提案した.しかし,支持材を部分的に用いると2枚の線材を重ね合わせる提案線材構造を維持することが困難になるため,本発表では,誘電体テープを用いてラッピングする方法を提案した.解析結果より,誘電体テープは,0.66 mm厚のPTFEに決定した.最後に,これまで提案した技術を用いてコイルを作製しQ値を測定したところ,銅コイルの約20倍となる飛躍的に高いQ値を得た.
9月17日 13:00〜15:45 Meeting 21 座長 藤本孝文(長崎大)
B-20-10 |
廃線レールをフィーダーとする電界結合WPTに対する誘電体の影響
◎大野寿紗・小板侑司・丸山珠美・中津川征士(函館高専) |
B-20-11 |
マイクロ波融雪のための右手系左手系交互配列導波管
◎小板侑司・大野寿紗・丸山珠美・中津川征士(函館高専) |
B-20-12 |
無線受電用TUアンテナ
○藤野義之・寺西誠也・米村 悠(東洋大) |
B-20-13 |
近傍に配置した微小ループアンテナとダイポールアンテナの伝送特性
◎角谷直哉・伊東健治・坂井尚貴(金沢工大) |
B-20-14 |
誘電体共振器アンテナを用いた平面レトロディレクティブアレー
◎松室尭之・石崎俊雄(龍谷大) |
北海道などの過疎地において走行中EV自動給電インフラコストを抑えて走行中EV自動給電を実現する手法として、廃線レールをフィーダーとして用い、レールからタイヤのホイールを介して電界結合WPTを行う方法を提案している。
これまでの検討で、氷雪影響は実験値と、解析値が十分に一致しなかった。そこで本研究では、雪の代わりに、先ず値があらかじめわかっている誘電体を用いて解析と実験を比較した。その結果、提案しているタイヤのホイールからの受電に対する、誘電体の影響が小さいこと、解析と実験が良く一致することが確認できたので報告する。
マイクロ波加熱を応用して雪を解かす融雪システム[1]が検討されている。本システムはスロット導波管の漏れ波を用いているが、広いエリアを低コストでカバーする配置法に対する検討は不十分であった。エリアを均質にカバーするために導波管の向きを交互に配置すると、電波の進行方向が真逆になり、不具合が生じる可能性がある。そこで、本研究では、電界、磁界ベクトルと電磁波の進行方向が右手系ではなく左手系動作をする左手系導波管[2]を応用し、右手系導波管と配列したときの特性を電磁界解析により明らかにした。
当研究室では、無線電力伝送を用いたデモンストレーションシステムを構築している。2017年に構築した350MHzデジタル簡易無線機を送信機として、模型自動車を走行させるシステムを基に、さらに実演に適したシステムとして、Nゲージ鉄道模型を動作させるシステムを構築した。このシステムのための受信アンテナは、従来ワイヤアンテナを利用していたが、取り扱いが困難であったため、平面アンテナとすることが望まれていた。
今回、本目的に適したアンテナとして、本大学陸上部のロゴマークを模したTUアンテナを開発したので報告する。
微小ループアンテナと整流器との共振を利用するレクテナは小型であり,共振による高インピーダンス特性により高効率動作が得られる.このレクテナは主に送信アンテナから遠方での微弱電力での受電を行っている.本報告では送信アンテナ近傍での受電を目的とし,その伝送特性の検討を行う.そのために動作原理が異なる微小ループアンテナとダイポールアンテナを近傍に配置したときの伝送特性を計算する.
マイクロ波を用いた無線電力伝送においては、受電アンテナの位置に対し正確にビームを向けるためにレトロディレクティブシステムと呼ばれる技術が用いられる。我々はパイロット信号と電力信号に同一周波数で直交する偏波を用いることを提案し、高い偏波アイソレーション特性を持つ半球十字型形状の直交2重モード誘電体共振器アンテナ素子の開発を進めている。今回は、この誘電体アンテナ素子を平面上に配置して平面波が入射した場合のレトロディレクティブ特性についてシミュレーションを用いて解析した。その結果、入射角の仰角および方位角の変化に対し、入射角の方向に応答波が折り返されたものの、若干の角度誤差やアンテナ利得の変動がみられた。
休 憩(14:30 再開) 座長 松室尭之(龍谷大)
B-20-15 |
分散協調型マイクロ波WPTに向けたバックスキャッタ信号生成回路に関する検討
◎田中勇気・金井一輝・枷場亮祐・佐藤 浩・池田拓磨・梶原正一・谷 博之・小柳芳雄(パナソニック) |
B-20-16 |
簡易ビーム制御可能な進行波型2次元フェイズドアレイアンテナの試作・評価
○長谷川直輝・髙木裕貴・中本悠太・太田喜元(ソフトバンク) |
B-20-17 |
整流効率を考慮したHAPSに向けたマイクロ波送電システム検討
◎中本悠太(ソフトバンク)・篠原真毅(京大)・長谷川直輝・太田喜元(ソフトバンク) |
B-20-18 |
受電電力分割を用いたレクテナ構成の検討
○水野誓也・関 智弘・新井麻希(日大)・岡崎浩司・鈴木恭宜(NTTドコモ) |
B-20-19 |
基本波再放射抑圧機能を備えた5.8GHz帯高出力整流器の試作
○和田雅司・田中俊行・本間幸洋・津留正臣・山本敦士(三菱電機) |
分散配置された複数の送電アンテナからマイクロ波を送電し,位相制御により広範囲に高効率で無線給電を行う,分散型マイクロ波WPTシステムの検討が行われている.分散型WPTでは他の無線通信や人体への影響を最小限にしながら,広範囲に大電力を供給可能であることが期待されている.分散型WPTにおいては,受電端末に対する送電位相の最適化にバックスキャッタ信号の利用が検討されている.本稿では,単一のアンテナにおいて低損失かつ低消費電力で位相の最適化に十分な大振幅のバックスキャッタ信号を生成する新しい手法について検討したので報告する.
マイクロ波による長距離電力伝送を想定した簡易制御可能なフェイズドアレイアンテナを試作する.
一般に,高効率なマイクロ波長距離送電を実現する為には,送電距離に応じた大きなアンテナ開口面が必要となる.
従来のフェイズドアレイアンテナでは全てのアンテナエレメントに対する位相制御によりビームフォーミングを行うが,
アンテナ大開口化・多素子化に伴い制御系統数が膨大となる課題があった.
本研究では,進行波型の位相回路による2次元ビームステアリング可能なアンテナ構成を提案する.
簡易制御可能なフェイズドアレイアンテナを試作し、印可電圧V1、V2 の制御のみによる2 次元ビームステアリングを実現した。
成層圏プラットフォーム(HAPS:High Altitude Platform Station)は発展途上国や山岳部などでの通信エリア拡大や災害時通信への活用が期待されている.
HAPSを長期間運用するために昼夜関係なく安定した電源供給源としてマイクロ波無線電力伝送が検討されている.
これまでマイクロ波の伝搬部分であるビーム効率を元に周波数やアンテナ形状,飛行経路について検討を行ってきた.
しかし,受電アンテナ中心と端での電力密度分布に差が生じ,整流回路の入力が低い部分では整流効率が低下することが考えられる.
そのため,整流効率まで考慮すると伝送効率が低下することが考えられる.
本稿ではビーム効率と整流効率を含めた伝送効率を元にシステム検討を行う.
近年、空間伝送方式を用いた無線電力伝送技術の検討が盛んに行われている。高効率な無線電力伝送を行うためには鋭い指向性を持つアンテナを用いて狭ビーム無線電力伝送を行うことが有効である。しかし、狭ビームを用いた無線電力伝送システムを構築する場合、受電アンテナにおいて電力分布が生じてアンテナ端部に接続される整流回路のRF-DC変換効率が低下し、システム効率が劣化する。そこで、受電アンテナ面上で電力分布に応じたサブアレーを構成し、各整流回路への入力電力を調整してRF-DC変換効率が低下を防ぐ必要がある。本稿では、受電電力分割を用いたレクテナ構成を検討したので報告する。
宇宙太陽光発電システムなどのマイクロ波電力伝送システムの受電部に用いられる整流器には、高出力を得られることと、入力電力の変動に対して基本波の反射抑圧が求められている。ここでは、高出力化のために高耐圧なGsAsショットキーバリアダイオード(SBD:Schottky Barrier Diode)を用い、基本波の反射抑圧のために90°位相差を備えた分配器を用い試作した。その結果を報告する。
シンポジウムセッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
BS-1. スマート社会の実現を推進する無線センシング技術
(アンテナ・伝播研専)
9月16日 10:30〜11:45 Meeting 12 座長 塩見英久(阪大)
BS-1-1 |
ミリ波トモグラフィーイメージング法を用いた屋内測位の性能評価
○田嵜威司・金 ミンソク(新潟大) |
BS-1-2 |
ミリ波帯無線通信システムを用いた環境形状イメージング
○三宅祐人・金 ミンソク(新潟大)・高田潤一(東工大) |
BS-1-3 |
M-FOCUSSによるマルチアンテナPN相関法のマルチパス波TOF推定の改善
○菊間信良・滝藤寛人・榊原久二男・杉本義喜(名工大) |
人体による見通し波の遮蔽損失の変化をマップ上に可視化するデバイスフリーの測位法,トモグラフィーイメージング法(RadioTomographic Imaging:RTI)が開発されており,当研究グループではマイクロ波帯狭帯域システムに向けた従来法を,時空間分解能の優れたミリ波無線システムへ適用し,複数の多重波経路を利用して性能改善を実現するMultipath-RTI法を提案し,レイトレーシングシミュレーションにより原理確認を行った.その後,実環境への適用に向けて実験室環境での伝搬測定を行い,提案手法の有効性を実証した.本講演では,部屋のサイズやアンカーノードの数をパラメータとして誤差評価を行い,設置条件と性能の関係を明らかにしたことを発表する.
スマートホーム・スマートビルディングに向けた多重波伝搬経路を用いるデバイスフリー屋内測位法が検討されている.この手法を実現するためには周囲環境の正確な形状を事前に把握する必要がある.本研究では,WiGig超高速無線LANや第5世代移動通信のようなミリ波帯無線通信システムを用いた環境形状イメージング法の開発を目指す.具体的には,デバイスノードを一定の軌道に沿って移動させ,アンカーノードで取得された伝搬路特性の変化を用いて周囲環境の形状を学習しデータ入力を自動化する手法を検討した.特に,高い遅延時間分解能と角度分解能を持つといったミリ波の特徴を活用し性能の向上を図った多次元キルヒホッフマイグレーション(Kirchoff Migration:KM)法を開発し,実際のシナリオに則したレイトレーシングシミュレーションによる性能評価を行った.
本研究では,複数のアンテナで得られたPN相関法の遅延プロファイルに,圧縮センシングのアルゴリズムであるM-FOCUSSを適用することにより,マルチパス波のTOF(伝搬遅延時間)推定の改善効果が得られることを示した.
9月16日 13:00〜16:40 Meeting 12 座長 阪本卓也(京大)
BS-1-4 |
無人飛行機を考慮したISTAによる主要パスの到来方向推定
○西森健太郎・高世 駿・谷口諒太郎(新潟大)・松田崇弘(東京都立大)・満井 勉(光電製作所) |
BS-1-5 |
ミリ波FM-CWレーダを用いた交通監視におけるターゲット識別手法に関する検討
◎西村和真・山田寛喜(新潟大) |
BS-1-6 |
独立成分分析を用いたブラインドCDMAによるRFIDタグのアンチコリジョン
○塩見英久(阪大) |
BS-1-7 |
バックスキャッタ通信を用いた同期無線データストリーミング
○三次 仁(慶大)・川喜田佑介(神奈川工科大)・市川晴久(慶大)・Hao Min(Fudan Univ.) |
著者らは,無人飛行機の移動によるアレーアンテナを用いた波源推定法を確立するための研究開発を行っている.本報告では,圧縮センシングの中で反復縮小しきい値アルゴリズム(Iterative Shrinkage Thresholding Algorithm, ISTA)と呼ばれる手法を用い,無人飛行機が周辺建物よりも高い場所に飛行できる特徴を利用した少数アレーによる到来方向推定法を提案する.また,提案法の基本特性をレイトレース計算に基づいた計算機シミュレーションにより明らかにする.
近年,ミリ波レーダを用いた交通監視システムが注目を集めており,レーダによるターゲットの識別に関する研究が盛んに行われている.レーダを用いることで悪天候でのターゲットの検出やプライバシーの侵害がないこと等,現在,交通監視システムで使われている光学カメラの欠点を補うことが可能となる.本稿では,ミリ波FM-CWレーダを用いて実験を行い,人間,自転車.自動車のスペクトログラムを求める.その後,0.25 sec. という短いレーダ観測時間を条件として,ターゲットの速度の標準偏差による識別と,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による識別について識別精度を比較し,短いレーダ観測時間における有効な識別手法について検討する.
RFID は電波を用いて遠隔からタグの情報を読み取ることができる技術である。RFID において複数タグを一括で読み込む多重読み取り技術は重要な課題の一つである。通常、 RFID では確率的な時分割多重により読み込みが行われるが、その複雑な処理の過程で読み取り不良が発生するなどの課題も懸念されている。我々は独立成分分析を用いて多重化に必要な様々な情報処理をリーダー側に集約し、RFID のタグ側情報処理を最小限にすることを試みている。独立成分分析を用いると未知の符号で拡散された観測信号から元の信号を復元することができるため CDMA を RFID に適用することが可能となる。タグに要求される動作が極めて単純となり、消費電力が少なく作動距離の延長が期待できる。近年盛んに研究されているパッシブ RFID における多重化への応用も期待される。
バックスキャッタ通信を用いた、電池なしあるいは省電力端末を用いた同期無線センサーデータストリーミングの実現について、既存研究や著者の取り組みで達成している現状技術レベルと、今後の課題を述べる。
休 憩(15:00 再開) 座長 西森健太郎(新潟大)
BS-1-8 |
ドップラーレーダスペクトログラム画像の深層学習を用いた歩容・起立着座動作による個人識別
○塩入慶太郎・佐保賢志(富山県立大) |
BS-1-9 |
2.4GHz帯9素子アレーレーダによる最大比合成を用いた位相校正を要しない非接触呼吸計測
◎香田隆斗・阪本卓也(京大) |
BS-1-10 |
ドップラーレーダを用いた無拘束な日常動作計測に基づく健康リスクを有する高齢者のスクリーニング技術
○佐保賢志・上村一貴(富山県立大)・孟 林(立命館大)・藤本雅大(産総研)・松本三千人(富山福祉短大) |
BS-1-11 |
改良型疑似逆正接復調法を用いたMIMOレーダによる複数人心拍同時推定法
○本間尚樹・長谷部 駿・岩井守生・小林宏一郎・村田健太郎(岩手大)・佐藤 敦(エクォス・リサーチ) |
本稿では,レーダによる歩容識別及び起立着座に基づく個人識別の精度改善について述べる.歩容識別については,スペクトログラムの分解能を決める窓関数の幅を変化させ,より高精度を達成できる設定を示す.起立着座動作についてはこれらスペクトログラムを組み合わせて使用することにより,98 %を超える高精度で10人の個人識別が可能であることを実証する.
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い,レーダによる呼吸の非接触計測に注目が集まっている.著者らは,これまでに呼吸イメージングを可能とする9素子十字型アレーレーダシステムを開発してきた.このシステムは,呼吸運動に整合したバンドパスフィルタとビームフォーマ法を併用して呼吸部位を特定し,呼吸による体表面変位を高精度に計測できる.しかし,人体の測定前にアレー素子の固有位相を校正する必要があり,実用上の課題であった.そこで本稿では,最大比合成法を導入し,位相校正を要しない呼吸計測技術を開発する.
本稿では,ドップラーレーダによる健康リスクを有する高齢者のスクリーニング技術について述べる.考慮する健康リスク情報は,認知障害(記憶障害),日常生活動作能力の低下,そしてアパシー(無気力状態)とする.ドップラーレーダによる高齢者の歩行及び起立・着座動作計測により抽出した運動パラメータにより,上述の健康リスクを有する高齢者がスクリーニング可能であることを示す.さらに,ドップラーレーダ画像の機械学習に基づくアパシーを有する高齢者の分類法を提案する.いずれの検討においても,当該症状のスクリーニングに十分な精度を達成することを高齢者のべ300名以上の実データを用いて示す.
非拘束・非接触なバイタルサインモニタリング手法として,MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) レーダを用いた手法が検討されているが,低マイクロ波帯では逆正接復調法を用いてバイタルサインを正しく推定することが困難になるという問題があった.本報告では,安定的に直線を推定可能な改良型疑似逆正接復調法を提案する.複素平面上で信号軌跡の平行移動と回転処理によって,計算の大幅な簡易化が可能である.呼吸状態の複数被験者の心拍を同時に推定した結果,提案法による心拍数推定誤差は3.23 bpmとなり,従来法の約半分の誤差で推定できることが明らかになった.
BS-2. ハイスループット衛星の最新技術と将来展望
(衛星通信研専)
9月16日 9:00〜11:45 Meeting 26 座長 岡本英二(名工大)
BS-2-1 |
技術試験衛星9号機による次世代HTSのフレキシブルペイロード技術の研究開発状況
○三浦 周・森川栄久・吉村直子・高橋 卓・辻 宏之・大川 貢・織笠光明・大倉拓也・阿部侑真・豊嶋守生(NICT) |
BS-2-2 |
技術試験衛星9号機による超高速光フィーダリンク技術の研究開発状況
○久保岡俊宏・國森裕生・白玉公一・高橋靖宏・鈴木健治・布施哲治・斎藤嘉彦・宗正 康・竹中秀樹・コレフ ディミタル・カラスコ カサドアルベルト・チンフック・豊嶋守生(NICT) |
BS-2-3 |
光フェーズドアレイを用いた光空間通信
◎竹本裕太・原口英介・鈴木貴敬・藤江彰裕・秋山智浩・安藤俊行(三菱電機) |
ハイスループット衛星(HTS)の現状と、技術試験衛星9号機の通信ミッションの概要を紹介する。また、次世代HTSのフレキシブル化技術の宇宙実証に向けた研究開発の取組として、技術試験衛星9号機に向けてKa帯のデジタルチャネライザ及びマルチビーム給電部を中心とした研究開発状況を報告する。
現在開発が進行中の技術試験衛星9号機(ETS-9)〜地上間の超高速光通信システム(HICALI)の概要と,ETS-9で予定している光通信実験について概説する.
衛星に関する空間光通信は,観測衛星の大容量データ伝送やハイスループット衛星(HTS)による需要増加に伴い近年注目されている.HTSにおいては,通信の大容量化に対応するために光通信を用いたフィーダリンクの検討も進められており,大気による通信品質への影響が懸念されている。大気の影響のうち,大気ゆらぎの影響については,高次モードのビームによる伝搬を行うことで軽減することができることがわかっている.高次ビームの生成にあたっては複数の素子光を空間配置し,各素子の相対位相を制御する光フェーズドアレイ技術がある.本報告では,複数波長を用いたアクティブ位相制御型の光フェーズドアレイ構成を用いた光空間通信の実証実験について報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 藤野義之(東洋大)
BS-2-4 |
ハイスループット衛星に対する取り組みについて
○大宅将史・箕輪祐馬・名古屋 翼・中里真一(スカパーJSAT) |
BS-2-5 |
ハイスループット衛星を用いた電力リソース割当における通信要求分布に合わせたDBF制御に関する検討
◎高橋昌希・川本雄一・加藤 寧(東北大) |
BS-2-6 |
低高度地球周回衛星からのX帯偏波多重2.65及び3.3Gbpsデータ通信の実証実験
○齋藤宏文(早大)・金子智喜(東大)・河野宜幸・村上圭司・國井喜則・友田孝久(無所属)・田中孝治(JAXA)・平子敬一(慶大)・中須賀真一(東大)・白坂成功(慶大) |
衛星通信において通信速度の高速化や低価格化の実現のために、従来型の衛星よりも通信帯域が大容量であるハイスループット衛星への需要が高まっている。従来型衛星とハイスループット衛星の特徴を比較するとともに、当社が運用中であるJCSAT-1C, Horizon 3eの2機のハイスループット衛星について、衛星概要、カバレッジを紹介する。また最新の技術動向として、衛星のフルデジタル化により軌道上にて変更可能となる衛星コンフィグについて述べる。
5G時代において衛星通信の需要が高まる状況の中,通信容量の大容量化及び通信のフレキシブル化を図ったハイスループット衛星(HTS: High-Throughput Satellite)の研究開発が進んでいる.しかし,現行のHTSであるベントパイプ型衛星では打ち上げ後において通信要求分布に合わせた通信リソース割当ができず,通信リソースの利用効率という観点で改善の余地がある.本研究では,通信のフレキシビリティ化を促進させるために,所望のアンテナパターンをデジタル信号処理で高速かつ並列的に作成することで複数ビームの指向性を制御できるDBF(Digital Beam Forming)をHTSに搭載した衛星通信システムに注目し,通信要求分布に合わせた電力リソース割当を可能とするDBF制御方式についての概要を述べる.
小型地球観測衛星などの低高度周回衛星からのデータ伝送の大容量化を目的に、偏波多重方式、64APSK及び256APSK変調を利用した毎秒2-3ギガビット(Gbps)の通信システムをX帯において開発した。JAXAの小型技術実証衛星Rapis-1を用いて、2偏波多重、シンボルレート300Mspsにて、64APSK変調では2.65Gbps, 256APSKでは3.3Gbpsのデータ通信速度を実験的に実証した。受信信号は地上局にて一旦デジタル記録された後、事後にソフトウェア復調処理を行った。この通信速度は低高度衛星からの無線データ伝送の現時点での最高速度と思われる。本講演では高速通信におけるドップラー周波数追尾、及び、交差偏波混入状況の結果を紹介する。
BS-3. 5Gの更なる発展に向けた無線アクセス技術と実証実験
(無線通信システム研専)
9月16日 13:00〜16:35 Meeting 10 座長 岡本英二(名工大)
BS-3-1 |
(依頼講演25分)多様なサービス要求に応じた高信頼な高度5Gネットワーク制御技術の研究開発
○新保宏之・岸 洋司(KDDI総合研究所)・横山浩之(ATR)・石橋功至(電通大)・藤井義巳(構造計画研)・中沢正隆(東北大)・外山隆之(パナソニック) |
BS-3-2 |
(依頼講演25分)5G高度化に向けたミリ波帯における高エネルギー効率な無線技術
○浅野弘明・志水紀之・奥田雅久(パナソニック)・岡田健一・Jian PANG・白根篤史(東工大)・堀 真一・國弘和明・金子友哉(NEC) |
BS-3-3 |
(依頼講演25分)Dynamic-duplexセルラシステムに関する研究開発
○原田博司・水谷圭一・松村 武(京大) |
BS-3-4 |
UCAを用いたOAM多重伝送におけるシステム容量向上とモード間干渉抑圧に向けた取り組み
◎齋藤周平・伊藤有希・菅沼碩文(早大)・小川賀代(日本女子大)・前原文明(早大) |
2025年頃を想定すると,5Gシステムへのユーザからの要求は大きくなり,高度化が必要になると考えられる.高度化のひとつの方向として, 「大容量,多接続,高信頼/低遅延」の各軸の性能向上が挙げられる.他方,ユーザセントリックというユーザ中心の視点で,必要な品質の通信を常に提供することにより,高信頼性を実現する技術が必要になる.この状況では,「大容量かつ低遅延」のように複数の特性を持つ,多数かつ多様な通信サービスが同時に発生する状況で,個々の通信フローへの品質要求を満たすことになる.具体的な例として,今後普及が想定されるロボットの場合,制御信号のような高信頼かつ低遅延,4kカメラ等の複数のセンサーからの大容量かつ低遅延などの通信が行われても,各々の品質を満たせる.さらに,これらの通信は繁華街等の端末が集中しやすい範囲に限って多数の通信が発生すると考えられる.筆者らは,ユーザセントリックでの高信頼な通信を実現するための,高度5Gシステムにおけるネットワーク制御技術の研究開発を2019年度から開始した.本稿ではその概要について紹介する.
初期導入される5G では,Sub6G や28GHz 帯が利用される.今後,さらに増加するモバイルトラフィックへの対応や,ローカル5G で期待される様々な用途に応じて,ミリ波帯を幅広く活用することが期待されるが,電力効率が低い課題がある.本稿では,「平成31 年度における電波資源拡大のための研究開発」として公募された研究開発課題の一つである「第5 世代移動通信システムの更なる高度化に向けた研究開発」の中から,デバイスとシステムそれぞれの観点で電力効率を向上させることを目指した「技術課題イ ミリ波帯における高エネルギー効率な無線技術の研究開発」の取組みを説明する.
本稿では,Full-Duplex通信をセルラ通信に利用したDDCシステムのシステム構成,研究開発項目をまとめ,システムレベルシミュレーションによる基礎評価結果を示す.
さらなる高速・大容量化の実現が期待される今後のモバイルネットワークでは,スモールセルをベースとしたアクセスリンク技術の高度化だけでなく,それらを収容するバックホール回線の拡充も重要である.この課題に対応すべく,近年,UCA (Uniform Circular Array) によるOAM (Orbital Angular Momentum) 多重伝送が注目を集めている.UCAによるOAM多重伝送では,搬送波周波数やアンテナ径といったシステムパラメータにより受信特性が大きく変動することや,風などの振動によるアンテナ軸ずれによりOAMモード間干渉が生じることから,それらの影響について評価・対策を検討することは重要と考えられる.本稿では,このような問題意識に基づき,当研究室において進めてきたOAM多重伝送に関する検討とその結果について紹介する.具体的には,まず,伝送特性を安定化できる複数のUCAを用いたOAM多重伝送について,UCA多重数やアンテナ軸ずれの影響が伝送特性に与える影響を明らかにする.最後に,偶数モードの活用により,アンテナ軸ずれにより生じるモード間干渉を抑圧する方式を提案するとともに,その有効性を明らかにする.
休 憩(14:55 再開) 座長 西村寿彦(北大)
BS-3-5 |
(依頼講演25分)ミリ波帯を活用する5Gの展開に向けた高速移動体のための基地局連携技術
○浅井孝浩・奥山達樹・野中信秀・須山 聡・奥村幸彦(NTTドコモ) |
BS-3-6 |
(依頼講演25分)広帯域IQインバランス補正と偏波MIMO-OFDMを適用した長距離無線伝送装置
○内田大輔・河口民雄・依田大輝・佐野 誠・秋田耕司(東芝)・Evgeny Tsimbalo・Magnus Sandell・Seifallah Jardak・瀬戸一郎(東芝欧州) |
BS-3-7 |
集中制御型無線LANにおける送信電力制御の適用に関する一検討
◎田中風我・山下颯磨・菅沼碩文・前原文明(早大) |
BS-3-8 |
高いシステム容量と公平性を両立するMU-MIMOユーザスケジューリングにおける深層学習を用いたユーザ位置情報に基づく帯域割当てに関する一検討
◎新保薫子・菅沼碩文(早大)・留場宏道・小野寺 毅(シャープ)・前原文明(早大) |
2020年3月に国内において5G商用サービスが開始され,28 GHz帯において400 MHzの信号帯域幅を用いた広帯域通信による信号伝送速度の向上が期待されている.これらのミリ波帯を用いる5Gの普及・展開に向けて,基地局の低消費電力化・小型化及び,高速移動体向けの基盤技術の研究開発が2018年から進められている.ミリ波帯の活用においては,Massive MIMOアンテナを用いた基地局によるBFの利用を前提とする下で,端末が高速移動する環境で継続的な通信を提供するためには複数基地局を連携させると共に,デジタルプリコーディングを用いたハイブリッドBFやフルデジタルBFによる複数端末多重やストリーム多重により,さらなる通信速度の向上が期待できる.
本研究開発における高速移動体向けの基盤技術の検討では,デジタルプリコーディングを活用した複数基地局連携により,高速移動端末に対して広範囲に高スループットを実現するための技術検討,ならびに,試作実験装置を用いた屋外伝送実験による性能検証を実施している.以下では,本検討におけるBS連携技術の概要と,シミュレーション及び屋外実験による特性評価の結果について述べる.
近年,第5世代移動通信システム実現に向けた検討が盛んに行われており,無線バックホールへの期待も高まっている,バックホールは基地局装置と基幹回線網をつなぐ回線である.5Gでは多種多様なセルサイズとなり,従来は基地局がない場所にも配置をする必要があり,バックホールの無線化で工事費やメンテナンス費の削減が可能である.我々は伝送距離5km,伝送速度20 Gpbsを目標に,偏波MIMOと広帯域IQインバランス補正を適用した試作機開発を行ってきた.これまでにEバンド帯でMIMO構成を用いて屋外実環境における性能評価をした例は少ない.本稿では上記の技術を搭載した試作機と,900mの伝送距離で行ったフィールド試験で得られた結果について記述する.
無線LANは,移動通信システムのトラヒック負荷軽減に極めて有効となるが,一定エリア内で多数の無線LAN機器が利用されると,ユーザ/アクセスポイント(AP)間の干渉に起因したシステムスループットの低下が問題となる.これまでに我々は,MU-MIMO(Multi-user Multiple-input and Multiple-output)が適用された無線LANにおいて,制御エンジンによりユーザの干渉状態を把握し,各AP内でのユーザ割り当てとMU-MIMOのリソース割り当てを同時に実現し,システムスループットを向上させる方式を提案してきた.本稿では,このような集中制御型無線LANにおけるMU-MIMOのリソース割り当てに対して,送信電力制御を適用することにより,消費電力削減と他セルへの干渉抑圧を図る方式を提案する.具体的には,各APに割り当てられたユーザの数が送信アンテナ数よりも小さい場合には,余剰アンテナによる空間ダイバーシチ利得の獲得が可能となることに着目し,当該APの送信電力を低減するものである.更に,提案方式の有効性を,消費電力とシステムスループットの観点から,APの送信電力を固定する従来方式を比較対象にとって,計算機シミュレーションにより評価する.
多様なニーズの実現が求められる今後のモバイルネットワークでは,システムの大容量化と公平性を効率的・効果的に両立させることが期待される.これまでに我々は,高いシステム容量を実現できるMU-MIMO THPをベースとして,MU-MIMO LPとの連携により,システム容量とユーザ間の公平性を柔軟かつ効率的に両立させるユーザスケジューリング方式を提案してきた.本方式では,SUSとPFといったシステム容量と公平性の面から対照的な特性を有する2つのユーザスケジューリングの帯域の割合を変化させることにより,両特性のバランスを変化させることができる.その一方で,実際の運用では,対象とするシステムによって,求められる公平性に幅があることから,各システムが所望するFI(Fairness Index)を前提に,それが満足できるように帯域割合を制御できることが望ましい.そこで,本稿では,これまでの検討の発展として,ユーザ位置情報を用いて,システムが所望するFI を満足する帯域割合を深層学習により決定する方式を提案する.提案方式の有効性を,多様なユーザ分布を想定して,システム容量と公平性の指標であるFI の観点から,計算機シミュレーションにより評価する.
BS-4. ネットワーク技術特別ポスターセッション
(ネットワークシステム研専、情報ネットワーク研専 共催)
9月18日 9:00〜11:45 Meeting 21/Meeting 22 座長 小松 潔(富士通)/吉村康彦(NTT)
※Meeting 22におきましては、BS-4-3、BS-4-4、BS-4-5、BS-4-1、BS-4-2の順番にてパラレル開催となります。
BS-4-1 |
バグ傾向分析に有効な用語抽出方法
○寺山尚宏(NTT) |
BS-4-2 |
Fog Computingを用いたIoTデータ流通方式におけるアクセスコントロールリストの適用
◎吉井優輝・坂野遼平・水野 修(工学院大) |
BS-4-3 |
放牧中の牛の行動モニタリングに向けたLoRaの利用可能性の評価
○羅 金山・伊藤 篤・長谷川まどか・芦部詩織・長尾慶和(宇都宮大) |
BS-4-4 |
隣接端末によるメッシュ状ネットワークにおけるBluetooth MANETのためのコネクション確立要求の送信制御手法
◎野間﨑晃文・河野英太郎・角田良明(広島市立大) |
BS-4-5 |
試験項目自動生成手法における教師データ選択による精度向上
◎塚田 光(日大)・山田 剛(NTT)・上田清志(日大) |
ソフトウェア開発の自動化・効率化による開発期間短縮を図る上で試験工程の品質分析においては、バグ傾向分析は分析項目の中でも自動化できれば開発期間短縮効果が大きく且つスキルに依存せずできるようになる。
本件はこれに関連したバグ共通点として有効な専門用語の抽出方法について提案する。
IoTデバイスとクラウドの中間にデータの事前処理を行うフォグノードを配置したFog Computingが注目されている.フォグノードはサービスプロバイダと契約しているユーザのIoTデータを収集し,他フォグノードに流通させることが出来る.これにより新たなサービスの創出も期待できる.しかしサービスを利用するプレーヤが意図しない形でプライバシに関するデータを流通させてしまう可能性がある.本稿ではこれを防ぐ目的で,IoTデータ流通方式におけるアクセスコントロールを提案する.
近年、情報通信技術やロボット技術を活用したスマート農業が急速に広がりつつある。日本の牧場は、中山間地域の割合が高く、数キロメートルに達するところもあり、牧場でデータ通信が難しい状況にある。また、24時間リアルタイムに牛の運動量や摂食行動を測定するため、低消費電力も要求されている。放牧牛の行動分析のため、様々なモニタリングシステムが開発されているが、これまでに牧場における長距離省電力のテータ通信システムは、存在していない。そこで、本論文では、低消費電力長距離無線通信技術LoRaによる山岳地域の牧場におけるデータ伝送実験の結果と、放牧通信システムの構築に先立ち、農場で実験したLoRaデータ伝送システムの実証実験について報告する。
Bluetooth MANETは端末の持つBluetooth通信のみによるMANET構成手法であり,現在,Bluetooth Low EnergyとClassic Bluetoothを相補的に用い,多数の隣接端末が存在する環境を想定した確立コネクション数を基準としたコネクション確立制御手法(以降,既存手法)が提案されている.しかし,既存手法ではある端末が複数のコネクション確立要求を受信することによるコネクション確立の失敗を防ぐことが出来ない.本稿では,コネクション確立要求を送信する端末数を制限することである端末が複数のコネクション確立要求の受信を可能性を低減し,性能向上を図る手法を提案した.また,Android端末を用いた実験により,提案手法の効果を確認した.
通信ソフトウェア開発においては,ウォーターフォールモデルによる開発が主流である.高品質な通信ソフトウェア開発には,スキルの高い技術者が多数動員されており,コストの増加や人員不足などが問題となっている.特に仕様から総合/安定化試験の試験項目を抽出する工程は効率化や自動化が困難であった.先行研究\cite{sample1}では,要求仕様書を機械学習機によって試験項目を生成する試験項目自動生成手法が提案された.本稿では,本手法における自動タグ付け正答率のさらなる向上を目指し,後述する機械学習フェーズにおいて,テストデータと教師データの関係を明らかにする.
BS-5. 光・電波・音響による海中・水中無線技術
(水中無線技術研専)
9月17日 13:00〜16:35 Meeting 9 座長 石井 望(新潟大)
BS-5-1 |
水中における光の伝搬角変動に基づく屈折率分散の推定
○高山佳久・山下泰輝(東海大)・高橋成五(Trimatiz) |
BS-5-2 |
水中光無線通信技術を用いた水中モニタリングシステム
○奥澤宏輝・高橋成五・鈴木謙一(トリマティス)・吉本直人(千歳科技大) |
BS-5-3 |
電波を用いた海底下埋設物センシングシステムの評価
○松田隆志・滝沢賢一・菅 良太郎(NICT)・吉田 弘(JAMSTEC)・児島史秀(NICT) |
BS-5-4 |
海中複素誘電率計測装置の開発
○吉田 弘(JAMSTEC)・菅 良太郎・滝沢賢一・松田隆志(NICT) |
水中における光通信技術が盛んに研究され,安定した通信を目指して,光の伝搬特性の調査検討が行われている. 水の屈折率の分布は,光の伝搬経路に沿って時間的空間的に変化すると考えられる.このため,伝搬光が被る影響の評価に重要な指標となる水の屈折率の分散特性を,実際に伝搬させたレーザ光の計測から推定できることは有益である.そこで本報告では,水中における光の伝搬角度の変動から,伝搬経路に沿った屈折率の分散を推定する.
可視光LDを用いた水中光無線通信を活用した水中モニタリングシステムの検討及びそのデモ展示を行ったので報告する.また水中モニタリングシステムの要素技術である水中光無線通信の伝送特性およびその課題につても述べる.今後、水中モニタリングシステムの実現に向けて水中光無線通信の高速化や捕捉追尾機構の適用について検討を進める予定である.
電波にとって減衰の大きい極限環境である海中において,これまでに海中電波伝搬測定をおこなってきた.海中チャネルサウンダを製作し,海中での安定した電波伝搬の評価を行うことができた.そこで得られた知見を活かして,電波を用いた海底下埋設物センシングの研究開発を行っている.海中アンテナアレイによるセンシングシステムの構築に向けて,シミュレーションによる評価やセンシングシステムの製作を進めている.本稿では,製作した海底下センシングシステムを利用した測定実験による評価について報告する.
低周波の海水中の電磁波応用においては,海水パラメータを明確にすることは重要なことである.海水の複素誘電率の計測方法を確立し,代表的な値を決定するために,2016年から海中の複素誘電率の計測装置の開発に着手している.本件では,海水中に全体を沈めた平行平板プローブによる複素誘電率の計測結果を示しながら,計測誤差要因について検討する.
休 憩(14:55 再開) 座長 滝沢賢一(NICT)
BS-5-5 |
受信電力プロファイルを利用した海中位置推定法の検討と疑似スケールモデルに基づく実験への適用
◎佐瀬亮太・石井 望(新潟大)・高橋応明(千葉大)・陳 強(東北大)・吉田 弘(JAMSTEC) |
BS-5-6 |
低周波電磁波を使った氷下海中ドローンの測位機器の開発
○佐藤 良・吉田 弘(JAMSTEC) |
BS-5-7 |
大気・海水2層問題における電界成分の数値積分評価
○石井 望(新潟大)・高橋応明(千葉大)・陳 強(東北大)・吉田 弘(JAMSTEC) |
BS-5-8 |
Wavelet OFDMを用いた高速海中通信システムの基礎検討
○行實良太・江口和弘・川田壮一・岡本克也・枷場亮祐・小柳芳雄(パナソニック) |
これまでに著者らは,海中で動作するハーフシースアンテナ,微小ダイポールによる電磁界分布に基づく海中における位置推定法,屋内実験検証を可能とする海中における疑似スケールモデルの提案および検証実験について報告している.本稿では,電磁波を利用した浅瀬海中でのダイバー位置推定について,事前受信電力プロファイルに基づく方法を提案し,疑似スケールモデル実験で得られた測定値により検証する.本検証で,深度計によりダイバーの深さが既知であるとし,受信電力に1dBのマージンを設定した場合,試みたすべての深さで90%以上の割合でダイバーの推定位置を示すメッシュが1カ所に限定できることを明らかにした.
地球温暖化により北極を覆う氷の融解が急激に進んでいる。氷の融解の原因には気温上昇のほかに、氷下からの温暖ガス放出や生態系の変化などが原因と考えられている。著者らは北極海下調査のための自律型無人探査機(本講演内では北極ドローンと称する)を低周波の電波によって通信、及び測位する手法を提案している。著者らは、海中での通信性能を測定するための実験用通信機を開発してきた。氷上で測位した緯度経度を海中に設置した受信局へ送ることで、北極ドローンの位置を測位する模擬的な測位装置を開発したので、その概要を報告する。
著者らが検討を進めている浅海域における海中位置推定システムの基本となる,海中の電気的ダイポールアンテナによる電磁界について古典的手法で得られる積分の数値処理について取りまとめる.
AUVなどの海中移動体に海中でワイヤレス給電を行う研究が行われている.実際のシステム運用ではAUVの電池にワイヤレスで充電を行う.この際、充電情報をワイヤレスでリアルタイムに知る必要がある.また、AUVとワイヤレスで高速データ通信が可能となると海底探索データ収集作業の効率化にも繋がる。海中では電磁波の減衰が大きいため、音波による通信が一般に行われている.しかし音波通信は速度が遅いため、充電制御や大容量データ伝送のための高速通信が必要なシステムには使用することができない.また可視光やレーザなどによる通信方式もあるが、海水の濁りによる通信品質の低下、光の送受光部に海洋生物が付着し長期使用に耐えられないなどの課題がある. 海中の電磁波の減衰量は1MHzで39dB/m、10MHzで121dB/mと非常に大きい.この減衰量は海水のNa+ Cl-イオンの導電性によるもので、これに距離減衰が加わるため海中で数百mの距離を数Mbpsの高速で海中通信を行うことは容易ではない.そこで本研究では数mの近距離伝送を目標に、減衰量の大きい伝送路でも通信が可能なWavelet OFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing) を用いて0.5mの通信実験を行った.
BS-6. ワイヤレス給電社会を支えるエネルギーエレクトロニクス技術
(電子通信エネルギー技術研専)
9月16日 9:55〜12:00 Meeting 30 座長 大津 智(NTTファシリティーズ総研)
BS-6-1 |
13.56MHzを用いたkW級ワイヤレス電力伝送システム
○赤津 観(横浜国大) |
BS-6-2 |
マイクロ波放射型無線電力伝送の高効率化要素回路技術
○原 信二(名大) |
BS-6-3 |
ワイヤレス給電の伝送効率向上のための磁束経路制御技術
○水野 勉(信州大) |
BS-6-4 |
停車中と走行中の電気自動車への多彩なワイヤレス給電技術
○居村岳広・佐々木寛太・上沼直輝(東京理科大)・武田広大・古関隆章・藤田稔之(東大)・皆川裕介(日本自動車研究所) |
BS-6-5 |
低消費電力センサデバイスを安定運用する電源技術
○石山俊彦(八戸工大) |
13.56MHzを用いたkW級ワイヤレス電力伝送システムについて述べる。GaNを用いた高周波インバータ、共振キャパシタを用いない送受信アンテナなど、各要素技術の説明とEV非接触給電に向けた位置ずれ補償方法の検討についても述べる。
電波を用いた放射型の無線電力伝送(WPT)は、比較的長距離での給電が可能、充電のために特定箇所にとどまる必要が無いという大きな利点がある一方で、距離の2乗で電力が減衰するため、大電力の給電が困難、総合給電効率が低いという課題を有する。また、空間に電力を放射することに伴う人体曝露や電子機器への干渉、無線妨害等について、より一層の注意が必要となる。
本報告では、マイクロ波を用いた放射型無線電力伝送の応用例や給電効率を決める要素の概略を述べるとともに、受電部、送電部それぞれの高効率化の鍵となる要素回路技術に関する最近の取り組みを紹介する。
ワイヤレス給電システムには低損失・高効率な電力伝送コイルが望まれている.コイル間効率は、コイルのQ 値と結合係数との積の関数となっており、コイル間の効率を向上させるためには、コイルのQ 値を大きくすることが必要である.一般にコイルのQ 値を大きくするためには、伝送周波数の高周波数化が有効な手段である.しかし、高周波化に伴って表皮効果と近接効果に起因する交流抵抗が増加するために、コイルの発熱低減や伝送効率の向上のためには交流抵抗の低減が必要不可欠である.磁束経路制御技術(Magnetic Path Control Technology: MPC)とは、磁性コンポジット材などの軟磁性体を導線に装荷することで、電流がつくる磁束が導線に作用しないようにして、表皮・近接効果を抑制する技術の総称である.
本論文では、13.56MHz 帯および85kHz 帯のワイヤレス給電コイルへの磁束経路制御技術の適用例を紹介する.
電気自動車(EV:Electric Vehicle)へのワイヤレス充電の期待は高まっており、SAE, IEC, ISOで盛んに議論されている。停車中充電では互換性や金属異物検出がホットなテーマであり、また、走行中充電は最適なシステムを構築することが全体に与えるインパクトが大きくシステム自体の研究が盛んである。これら停車中充電と走行中充電は全く違った技術であり両者共に研究が盛んに行われている。本稿では磁界共振結合(磁界共鳴)によるEVへのワイヤレス給電技術を停車中充電と走行中給電技術について紹介する。具体的には、停車中ワイヤレス充電で重要課題である互換性と金属異物検出、走行中ワイヤレス充電で重要な課題である低コスト化可能なコンデンサレスフェライトレスコイルとDouble LCCによるセンサレスシステム設計について紹介する。
スマート化する社会を支えるセンサデバイスについて,電力供給の観点から概説した.環境発電は,極低消費電力で動作するセンサデバイス群への電力供給手段として有効であり,かつ,センサデバイスの維持に不可欠な長期間にわたる電力供給もおこなえる.課題であった,供給電力の少なさについても,発電機構のサイズを大きくするだけでなく,エネルギー源のハイブリット化により供給電力を増加させることができる.環境発電は,その供給電力の大きさから,ワイヤレス給電を補完する位置づけとして住み分けを図ることが期待される.
BS-7. 超スマート社会を実現するQoEに基づくシステム設計
(コミュニケーションクオリティ研専)
9月18日 13:00〜15:45 Meeting 11 座長 西川由明(NEC)
BS-7-1 |
センシングアプリケーションに適した階層型Slotted ALOHAの検討
◎奥 嵩史・木村共孝・程 俊(同志社大) |
BS-7-2 |
アクセルペダルの位置信号に基づくニューラルネットワークを用いた緊急ブレーキ予測
◎井上智貴・木村共孝・程 俊・Tanev Ivan(同志社大) |
BS-7-3 |
レイトレースを用いた3次元クロスレイヤシミュレータの一検討
○設樂 勇・平栗健史(日本工大)・谷口諒太郎・西森健太郎(新潟大) |
IoTの通信方式はランダムアクセス方式が適しており,この方式の代表的なものとしてSlotted ALOHAがあるが,通信端末が増加するにつれて,パケット衝突が頻繁に発生し遅延の増大を招く.これを解決するため階層型Slotted ALOHAを検討する.本稿では,複数のセンサ端末が周期的にパケットを生成し,基地局に情報を送信するようなセンシングアプリケーションを想定する.時間経過に伴う価値の減少を定量的に評価する指標のAoI(Age of Information)を用いて,シミュレーション実験により従来のSlotted ALOHAよりも階層型Slotted ALOHAの方がセンシングアプリケーションに適していることを示す.
自動車を運転する運転者は,片足でアクセルペダルとブレーキペダルを操作するため,危険を察知してからブレーキペダルに踏み替えるまでに時間を要する.アクセルペダルの位置信号より緊急ブレーキを予測すれば,ブレーキの自動動作によりこの時間の短縮が可能になる.
本研究では,アクセルペダルの位置信号のみを常にモニタリングし,ニューラルネットワークを用いて当時刻に運転者が緊急ブレーキを踏もうか否かを予測する.ドライブ・シミュレータから取得したアクセルペダルとブレーキペダルの位置信号を基に学習を行い,テストで本方式の予測精度を確認した.さらに予測による自動ブレーキの動作時刻と運転者操作時刻の時間差の分布を調べた.
これまでの無線通信品質の評価指標は,DU比,SINRおよびBERなどの伝搬特性が主な評価指標となっていた.しかし,ユーザが利用する無線通信サービスは,端末によるストリーミングサービスや音声アプリケーションが主流となっており,ユーザを基準とした通信品質の評価が重要となった.
したがって,本来の無線通信品質は伝搬特性だけでなく実環境の電波伝搬からアプリケーションまでのクロスレイヤでの評価が必要である.
そこで,著者らはこれまで困難だったクロスレイヤによるパフォーマンス評価を実現するために,3次元に対応したクロスレイヤシミュレータを開発したため報告する.
休 憩(14:30 再開) 座長 平栗健史(日本工大)
BS-7-4 |
(依頼講演25分)制御工学的アプローチに基づくQoEを考慮した映像ストリーミング技術の動向と課題
○久保亮吾・阪本竜太・越智功士(慶大) |
BS-7-5 |
MPEG-DASHを用いた多視点ビデオ・音声伝送における視点数がQoEに及ぼす影響
高原涼佑・○布目敏郎(名工大) |
BS-7-6 |
(依頼講演25分)待ち行列理論解析によるQoE特性を用いたMPEG-DASHの画質選択方式
○宮田純子(芝浦工大) |
ストリーミング型の映像配信サービスの普及に伴い,ネットワーク環境に起因したQoE(Quality of Experience)の低下が課題となっている.ネットワーク環境を考慮した映像ストリーミング技術として適応ビットレート制御が利用されており,MPEG-DASH等で採用されている.効率的で公平な映像配信サービスを実現するためには,QoEを考慮したネットワークの設計および制御が重要となる.本稿では,フィードバック制御を用いた映像ストリーミング技術の動向とQoEを考慮したビットレート制御の課題について述べる.
本研究では,MPEG-DASHを用いたMVV-A伝送において,視聴者が選択可能な全視点を同時に伝送する全視点同時配信方式について,同時配信する視点数を増やした場合のQoE評価を行う.扱う視点数が多くなった場合に,全視点同時配信方式の有効適用領域が変化する可能性がある.実験結果より,視点数が少ないほど高いQoEが得られることが確認された.
ビデオストリーミングサービスにおいて,適応的に画質を変動させるMPEG-DASHでは,クライアント側で蓄積されているデータ量(以下,バッファ占有量)に着目した画質選択法が提案されている.一方で,マルチキャスト環境におけるセグメントのロス率(以下,セグメントロス率)が,MPEG-DASHのサービス品質に大きく影響することを述べている.しかし,これまでに提案されている画質変動アルゴリズムは,マルチキャストを想定していなかったため,セグメントのロス率に着目した制御はいまだ提案されていなかった.
さらに,バッファ内に保持されるセグメント数が1を下回ると,大幅に通信品質が劣化すると指摘されている.そこで,本研究ではセグメントロスと共に,バッファにセグメントがたまらない状況 (以下,バッファアンダーラン)を考慮した新たなQoE評価方式を用いた画質選択法を提案し,その特性を解析する.
BS-8. Network and Service Design, Control and Management
(情報通信マネジメント研専)
9月15日 9:00〜11:20 Meeting 19 座長 吉原貴仁(KDDI総合研究所)
BS-8-1 |
Activity Detection Using Wide Angle Low-Resolution Infrared Array Sensors
○Muthukumar K A・Mondher Bouazizi・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.) |
BS-8-2 |
Data Augmentation for Sentiment Analysis Using Supervised Learning Sentence Compression Based SeqGAN
◎Jiawei Luo・Mondher Bouazizi・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.) |
BS-8-3 |
5G Shared xHaul Control and Management with ONF TAPI
○Hiroki Baba・Shiku Hirai・Saburo Seto(NTT) |
In this research, we propose an activity detection using wide-angle low-resolution Infrared (IR) array sensor placed on the ceiling. We use a hybrid deep learning model by combining Convolutional Neural Network (CNN) and Long Short Term Memory (LSTM) to detect the sequence of various activities like “standing”, “walking”, “sitting”, “lying”, “falling” and the transition between activities, which we refer to as “action change”. Our hybrid deep learning model reaches 97.74% accuracy in the overall detection of activities.
Sentiment analysis is an important field in natural language processing. With the development of social media, more and more people can express their feelings online, which makes sentiment analysis increasingly important. Deep learning has achieved high accuracy in sentiment analysis. However, it requires a large amount of high-quality training data. In this work, we propose an approach that combines sentence compression and seqGAN to conduct data augmentation in the purpose of improving the accuracy of sentiment analysis. The data generated by our approach improve the accuracy of the sentiment analysis classifier by 0.9% on some of the benchmark sentiment analysis dataset available.
The evolution in 5G radio access network (RAN) creates mobile mid-haul in addition to mobile back-haul and front-haul networks for connecting RAN functions. We propose an architecture that enables infrastructure sharing of 5G xHaul as slices and on-demand creation of xHaul network slices over a multi-domain network by the Open Networking Foundation (ONF) Transport API (TAPI) based orchestration. We also describe validation through the implementation of the architecture in the live testbed for 5G xHaul.
休 憩(10:30 再開) 座長 大石晴夫(NTT)
BS-8-4 |
Dynamical Resource Allocation Using Modified Artificial Bee Colony Algorithm in 5G C-RAN
○Yuemeng Tang・Zhenni Pan・Shigeru Shimamoto(Waseda Univ.) |
BS-8-5 |
Ultrasonic Sensor Based UAV 3D Reconstruction Path Planning System
○Yunpeng Bai・Kazutoshi Yoshii・Shigeru Shimamoto(Waseda Univ.) |
In this paper,we propose a dynamical resource allocation scheme in 5G Cloud Radio Access Network (C-RAN) based on modified Artificial Bee Colony (ABC) algorithm to reduce the overall network power consumption while maintaining the user QoS and QoE. In comparison to two resource allocation schemes, computational results demonstrate that our proposal reduces the overall network power consumption and significantly improves the throughput.
In this paper we have proposed a ultrasonic sensor based UAV 3D reconstruction flying control and path planning system. In this system drone can automatic change its flying path by wireless sensing the reconstruction target's surface complexity and processing ultrasonic data feedback from sensor. We also give experiment's result of image processing 3D reconstruction to shows that our proposal has a better efficiency and higher accuracy than other methods.
9月16日 13:00〜16:35 Meeting 19 座長 大谷朋広(KDDI総合研究所)
BS-8-6 |
Building IP and ICN/NDN Gateway Based On Network Layer Translation
○Feri Fahrianto(Fukuoka Univ. /Syarif Hidayatullah Jakarta State Islamic Univ.)・Noriaki Kamiyama(Fukuoka Univ.) |
BS-8-7 |
Cooperative Relaying System Employing OFDM Based NOMA System
○Ma Ma Myo Moe・Hossain Md. Abir・Megumi SAITO・Shigeru Shimamoto(Waseda Univ.) |
BS-8-8 |
Uplink Cooperative NOMA Using D2D Assisted Relay
○Atsuki Sawada・Zhenni Pan・Shigeru Shimamoto(Waseda Univ.) |
BS-8-9 |
Building Technical Communication Skills of Engineering Students using Authentic Materials and Tasks
◎Christoffel Moekoe・Sena Yun・Pataranit Sirithummarak・Zilu Liang(Kyoto Univ. of Advanced Science) |
Named based Internet architecture such as Named Data Networking (NDN) and Information Centric Network (ICN) have been rapidly developed recently. These Internet architectures will replace current Internet architecture for sure. The migration of Internet architecture will be unavoidable in the future. Therefore, migration mechanism to enable name-based Internet architecture should be discussed and implemented. This paper gives technical implementation of Network Layer translation for NDN as consumer and IP as producer. Finally, the numerical result of throughput is given to show the performance of translation.
Non-Orthogonal Multiple Access (NOMA) becomes a hot candidate for future 5G due to its superiority using power domain multiplexing and successive interference cancellation (SIC) benefits. Aiming to enhance the achievable transmission rate of the CRS-NOMA system, OFDM based CRS-NOMA architecture is proposed and investigated under different relay numbers and power constraints utilizing these benefits. Numerical results show that our proposed system achieves over that of orthogonal frequency division multiple access (CRS-OFDMA).
This paper proposes an uplink cooperative NOMA model using D2D transmitter as a cooperative relay for user equipment with weak channel conditions. In order to evaluate the advantages of this model, three theoretical analysis are done: SINR analysis, fairness analysis, and outage analysis. The results indicate that the proposed model provides higher throughput and a more reliable outage probability while maintaining the same level of fairness, compared to OMA models as well as NOMA models without cooperative relay.
In this paper, we present an experience report of an advanced English course tailored for freshmen engineering students. The course is designed to provide opportunities for students to experiment with and explore both written and spoken language through activities that are designed to engage them in an authentic, practical, and functional use of English for academic purposes.
休 憩(14:55 再開) 座長 山下陽一(NTTネオメイト)
BS-8-10 |
Leveraging Cloud-Based Learning Technologies for Developing Professional Communication Skills in A Collaborative Learning Environment
◎Sena Yun・Christoffel Moekoe・Pataranit Sirithummarak・Zilu Liang(Kyoto Univ. of Advanced Science) |
BS-8-11 |
A Study on Comparative Analysis of Content Routing Strategies in Information-Centric Delay-Tolerant Networking
◎△Chuta Minamiguchi(Kwansei Gakuin Univ.)・Ryo Nakamura(Fukuoka Univ.)・Hiroyuki Ohsaki(Kwansei Gakuin Univ.) |
BS-8-12 |
A Study on Performance Evaluation of Automotive IP Network using Network Emulator
◎Ryuichiro Maegawa・Fumiya Ohura(Kwansei Gakuin Univ.)・Ryo Nakamura(Fukuoka Univ.)・Yasuhiro Yamasaki・Hiroyuki Ohsaki(Kwansei Gakuin Univ.) |
BS-8-13 |
Optimal Provisioning of Cloud-native Network Functions based on Performance Prediction
○Shiku Hirai・Hiroki Baba・Saburo Seto(NTT) |
Collaborative learning refers to the educational approach of using groups to enhance learning abilities through working together. The collaborative learning actively engages learners to take in and synthesize knowledge and concepts, rather than obediently memorize facts and figures. In this paper, we present the use of cloud-based learning technologies to support the development of professional communication skills in a collaborative learning environment.
In recent years, the realization of an information-centric network (ICN) in environments where communication links between nodes are intermittent due to several factors such as uncertainty of wireless communication and dynamic change of network topology. By introducing an ICN-based communication paradigm, even in a network where communication links are intermittently connected, efficient content delivery compared with the conventional host-oriented network can be expected. In this paper, we therefore analytically clarify what type of routing scheme should be chosen for request and response message transfers in terms of the average content delivery delay under given link intermittency. Specifically, we derive content delivery delays with six types of combinations of request message routing and content message routing.
In recent years, with the development of a technology called Advanced Driver-Assistance System (ADAS), expectations for realizing an automotive network based on Ethernet technology as well as serial bus communication protocols such as CAN (Control Area Network) and FlexRay has been increasing. EthernetAVB (Audio/Video Bridging) and EthernetTSN (Time-Sensitive Networking) is expected to realize highly-reliable, low-latency Ethernet communication. However, it is not sufficiently discussed what communication protocols should be used to realize highly-reliable and low-latency communication in an automotive network. In this paper, we evaluate the performance of transport protocols such as TCP and UDP in automotive networks using our network emulator ATINET.
Cloud-native Network Functions (CNFs) (e.g., 5G Core) is a type of application that is container-based and microservices architecture. In this study, we propose a resource optimization engine for CNFs that enables optimal assignment of the hardware resources to CNFs for the service requirement based on performance prediction using machine learning. We also evaluate its effectiveness by implementing it on Kubernetes based CNF platform and comparing the proposed engine with conventional Kubernetes resource assignment mechanisms.
ABS-1. 広がりを見せるUWB技術 ~制度化と標準化動向、期待される利活用~
(高信頼制御通信研専、ワイドバンドシステム研専、ヘルスケア・医療情報通信技術研専 共催)
9月17日 13:00〜16:10 Meeting 29 座長 李 還幇(NICT)
ABS-1-1 |
(依頼講演25分)UWB無線システムの屋外利用周波数の拡張に向けた検討について
◎大野誠司(総務省) |
ABS-1-2 |
(依頼講演25分)UWB無線システムの屋外利用に対応したARIB規格
○眞田幸俊(慶大) |
ABS-1-3 |
(依頼講演25分)UWB無線の第3の波;電波法・デバイス・標準化によるUWB無線技術の学術・ビジネスの新パラダイム
◎河野隆二(横浜国大) |
近年UWB無線システムのセンサーネットワーク等での利用が注目され,日本においてもモバイル端末等への搭載を想定した屋外利用の需要が高まっている背景を踏まえ,平成30年度に一部の周波数帯(7.587~8.4GHz)の屋外利用を可能とするための技術的条件の検討がなされ,令和元年5月に制度化された.今般,UWBの更なる用途の拡大(チャネルの拡張)やUWBの広帯域性を利用したレーダー用途での利用のニーズも踏まえ,屋外利用周波数の拡大に向けて,必要な技術的条件等の検討を行う.
令和元年5月電波法施行規則,無線設備規則,および特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則の改正により,
超広帯域無線通信(Ultra Wideband:UWB)システムが屋外で使用できるようになった.これに合わせて一般社団法人
電波産業会はUWB無線システムの標準的な仕様等をまとめた標準規格ARIB STD-T91を改訂した.
本稿では,その改訂点,特に屋内において使用する無線設備と屋内および屋外において使用する無線設備の違い
について説明する.
ウルトラワイドバンド(UWB)技術は,測距測位および短距離無線通信等において優れた特長を示すことから,高信頼無線通信,高精度測距測位,及びボディエリアネットワークなどにおいて注目を集めている.本稿では,IEEE802.15およびETSIのSmartBanにおけるUWBの標準化状況について記述する.
(14:15 開始) 座長 安在大祐(名工大)
ABS-1-4 |
(依頼講演25分)IEEE 802.15におけるUWB測距関連規格の進展
◎李 還幇・滝沢賢一・児島史秀(NICT) |
ABS-1-5 |
(依頼講演25分)自動車内におけるUWB通信の可能性検討
○國立忠秀(矢崎総業)・李 還幇・滝沢賢一(NICT)・池田浩太郎(矢崎総業)・児島史秀(NICT) |
UWB(Ultra-Wideband)技術は高精度測距測位や短距離無線通信およびレーダー等の利用において優れた特性を示すため,広く注目されている.本稿では,国際標準化組織IEEE 802標準化委員会傘下のワーキンググループ15で策定されているUWB測距関連の標準規格の進展を概観する.
自動車内における電波環境の問題と,無線通信における高信頼な通信の研究事例を紹介し,電波環境が比較的安定していると考えられているUWB (Ultra Wide Band) 無線を利用した通信の可能性を示す.
休 憩(15:20 再開) 座長 濵村昌則(高知工科大)
ABS-1-6 |
UWB屋内位置推定における機械学習によるNLOS判別を用いた精度向上手法の検討
○石田圭吾・岡本英二(名工大)・李 還幇(NICT) |
ABS-1-7 |
UWB屋内位置推定におけるNLOS環境センサの判定誤り軽減に関する実験的検討
○小久保友裕・石田圭吾・岡本英二(名工大)・李 還幇(NICT) |
屋内での位置情報の需要は近年ますます高まっている.特にUWBを用いたTOA方式は精度とリアルタイム性の両方を実現できるため,普及が期待されている.屋内位置推定において問題となるのは障害物やマルチパスにより正しい測距値を得ることができないNLOS環境である.この問題に対し,冗長なセンサ数を利用し,測距値と推定値の残差からNLOS環境センサの特定及び排除を行う,事前知識を必要としない手法が検討されている.本稿では,残差だけでなく様々なセンサノード組み合わせによる推定位置の分布を機械学習の一種であるクラスタリングにより分析することで,統合的にセンサノードの信頼度を判定する手法を提案する.
位置情報を用いたサービスの増加から,高精度位置推定技術の需要はますます高まっている.その中でも精度の良さからUWBを用いたセンサが注目されている.しかし見通し外(NLOS)環境にあるセンサによって推定精度が大きく劣化してしまうことが課題となっており,NLOS環境にあるセンサを判定する方法が検討されてきた.一方,推定位置を用いたシステムには知的照明システムなど,複数の推定位置に対して点灯し,制御できる物も存在する.そこで複数の推定位置が許容されるシステムに対して適用可能な,NLOS環境センサ判定アルゴリズムの提案を行い,シミュレーションと実験により推定精度を向上させることが可能であることを示す.