プログラム
format_list_bulletedエレクトロニクスソサイエティ
一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
C-1. 電磁界理論
9月17日 9:30〜11:45 Meeting 23 座長 鈴木敬久(東京都立大)
C-1-1 |
軸対称多層誘電体の散乱特性測定による誘電率分布推定方法の検証
○末延 博・山本伸一・瀧川道生・稲沢良夫(三菱電機) |
C-1-2 |
FDFD解析における階層的領域分解と反復法の収束性の関係
○山口隆志(都産技研)・呉 迪・大貫進一郎(日大) |
C-1-3 |
車載レーダ解析に特化したFDTD法の高速計算手法
○奥木友和(マツダ)・大久保 寛(東京都立大) |
C-1-4 |
傾斜入射時における周期構造解析のためのDCP-TRC-FDTD法
柴山 純・◎岩本哲弥・山内潤治・中野久松(法政大) |
軸対称な多層誘電体モデルを用いた誘電率分布の推定方法を検討している.今回,4層構成の円柱型誘電体について近傍界におけるバイスタティック散乱特性を測定し、誘電率の空間分布を推定した.円柱の層構成に応じた推定値が得られ,本推定方法の有効性を確認した.
周波数領域の波動方程式を差分近似で解くFinite-Difference Frequency-Domain (FDFD) 法では,解析領域をPerfect Matched Layer吸収境界条件で囲むと反復法の収束性が悪くなる問題が起こる.本報告では,解析領域を分割することで段階的に問題の規模を縮小した場合における反復法の収束性について検討した.
車載ミリ波レーダの性能向上には、実走行環境における電波伝搬メカニズムと伝搬特性の解明が必要である。FDTD法(Finite Difference Time Domain method)は、マクスウェル方程式を解析空間全体において時間領域で解く手法であるため、時々刻々と変化する電波伝搬現象を高精度に可視化・定量解析ができる利点がある。しかし、FDTD法は多大な計算時間が必要である。この問題に対して、車載ミリ波レーダの解析空間が道路に沿って細長いことに着目し、解析領域を長手方向で分割してマルチGPUに割り当て、伝搬の進行に応じてGPUを制御する計算手法を開発した。新手法と従来手法の計算時間をウィーク・スケーリング測定で比較し、計算速度の向上を定量検証した。
筆者らは分散性媒質と誘電体の任意境界を精度よく取り扱うDispersive Contour Path(DCP)アルゴリズムを導入したTrapezoidal Recursive Convolution(TRC)法に基づくFDTD法に周期構造の傾斜入射解析のためのSplit-Field法を適用した.本稿では任意形状を持つ金属を傾斜入射解析するためのDCP-TRC-FDTD法の定式化を行う透過特性の評価を行い,刻みが粗い場合でも精度よく解析できることを示 す.
休 憩(10:45 再開) 座長 中 良弘(宮崎大)
C-1-5 |
包絡線型FDTD法を用いた新しい固有モード計算法
柴山 純・◎田中宏季・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-1-6 |
時間分割並列計算を用いたLOD-FDTD法による光導波路解析
◎中沢 佑・呉 迪・岸本誠也(日大)・柴山 純・山内潤治(法政大)・大貫進一郎(日大) |
C-1-7 |
分離型矩形空洞共振器を用いた異方性材料の複素誘電率測定
◎萩生田恭雅・平山浩一(北見工大)・柳本吉之(EMラボ)・杉坂純一郎・安井 崇(北見工大) |
C-1-8 |
導体ストリップで構成された分散性媒質によるパルス応答の数値解析
◎賀川智弘・尾崎亮介・山﨑恒樹(日大) |
光導波路の固有モードを計算する手法として,ビーム伝搬法(BPM)に虚軸法を適用した虚軸BPMやYee格子に基づく虚軸BPMがある.本稿では,Envelope型の計算を陽的FDTD法に適用した新たな固有モード計算法を提案する.伝搬定数とモード形状を厳密解と比較し,よい一致が得られることを示す.
近年,電磁界解析に用いられる時間領域有限差分(Finite-Difference Time-Domain:FDTD)法の高速化として,陰解法や並列計算法の研究が行われている.著者らが開発した時間分割並列計算法では,時間軸方向に計算を分割し,独立した複数ノードで並列計算を実行する.
本報告では,時間分割並列計算をLocally One-Dimensional FDTD(LOD-FDTD)法に適用し光導波路解析を行う.また,時間分割並列計算を用いない従来のLOD-FDTD法と計算精度や計算時間を比較検討する.
円形空洞共振器を中心軸に垂直に半分にしてフランジを付けた構造に薄い平板試料を挟み、複素誘電率を測定する方法が異方性試料に対しても使われているが、電気力線が円を描くように曲がって縦方向と横方向の誘電率を分離して測定できない。ここでは、異方性を有する平板試料に対して、矩形空洞共振器を用いて測定する方法について検討している。具体的には、一度の測定で平板試料断面内で異方性を有する誘電率を推定できるようにすること、および矩形空洞共振器作製の都合上、共振器の側面の角に丸みができるので、これを有限要素法を用いることで複素誘電率推定に取り込むことを検討している。
著者らは,先に反射板が埋設された分散性媒質中に含まれる金属片を導体ストリップで近似した構造において,ストリップ幅を変化した場合のパルス応答をTE/TM波について検討してきた.更に,詳細なストリップ幅を検出する為,応答波形の差分や媒質内部の電界分布を検討してきた.しかし導体ストリップと反射板との相互作用による影響については課題であった.
本文では,異なる深さにそれぞれ導体ストリップを配置した構造において,パルス応答を高速逆ラプラス変換法(FILT)と点整合法(PMM)を併用して解析し,TE波入射の場合について検討する.
C-2. マイクロ波A(マイクロ波・ミリ波能動デバイス)
9月15日 9:15〜11:45 Meeting 20 座長 小林一彦(日大)
C-2-1 |
GaN基板上GaN-HEMTによる電流コラプス抑制とパワー特性改善
◎熊崎祐介・多木俊裕・小谷淳二・尾崎史朗(富士通)・新井田佳孝(富士通研)・美濃浦優一・岡本直哉(富士通)・中村哲一(富士通研)・渡部慶二(富士通) |
C-2-2 |
SiCおよびGaN基板上のAlGaN/GaN HEMTの歪特性比較
○森脇 淳・原 信二(名大) |
C-2-3 |
整合回路レスパワーアンプ設計の検討
○原 信二(名大) |
C-2-4 |
800MHz帯で動作するD級電力増幅器を用いた2値直交変調型EPWM送信機
◎澤山太志・楳田洋太郎・高野恭弥(東京理科大) |
GaN基板上にGaN-HEMTを試作し、DC特性、およびRF特性を評価した。GaN基板の利⽤による結
晶層の⾼品質化により、電流コラプスを⼤きく抑制することが可能であることを⽰した。2.45GHzの⼤信号特性評価から効率71%と出⼒6.6W/mmの良好なRF特性が得られた。これらの結果はパワーアンプの⾼出⼒化・⾼効率化に向けてGaN-on-GaNの優れたポンテンシャルを⽰す結果であるといえる。
GaN基板上のHEMT(GaN/GaN HEMT)および、SiC基板上のGaN HEMT(GaN/SiC HEMT)のIMD (Inter-Modulation Distortion)特性を評価、比較した。
マイクロ波パワーアンプ(PA)において、出力整合回路をなくすことは、損失削減や小型化の観点から重要であり、トランジスタの負荷を50Ω近傍に設定することはよく行われている。また、アンテナとPAを一体化して設計し、アンテナ素子の入力インピーダンスをPAの最適負荷と一致させることで、整合回路を不要とする手法も提案されている。本報告では、理論効率100%である、E級、F級、逆F級PAについて、過去の動作解析文献中の式を変形整理し検討を行う。
近年、移動体通信システムにおいて大容量な通信、送信機の無線回路には小型化及び低消費電力化が求められている。これらの要求を満たすためにスイッチング動作型電力増幅器を用いることができる、2値直交変調型包絡線パルス幅(QM-EPWM)送信機が研究されている。本研究では2値QM-EPWM送信機に用いられ、800MHz帯で動作するD級電力増幅器を試作し、送信機を実験とシミュレーションの比較によって評価した。その結果、800MHz帯の実測において2値QM-EPWM送信機の変調の精度を示す誤差ベクトル振幅(EVM)で-24.4db、ドレイン効率で18.8%という性能を示した。
休 憩(10:30 再開) 座長 坂井尚貴(金沢工大)
C-2-5 |
1ポートCRLH線路で構成される高調波処理回路を用いた2GHz帯GaN HEMT R級高出力増幅器
◎飯坂尚章・田中愼一(芝浦工大) |
C-2-6 |
デュアルモードバイアス回路を備えた0.85-2.05GHz帯および2.4-4.2GHz帯GaNドハティ増幅器
○小松崎優治(三菱電機)・馬 瑞(三菱電機リサーチラボラトリ)・坂田修一・中谷圭吾・新庄真太郎(三菱電機) |
C-2-7 |
70W級高効率X帯GaN MMIC高出力増幅器
○神岡 純・垂井幸宣・加茂宣卓・新庄真太郎(三菱電機) |
C-2-8 |
5G向け26-30GHz帯広帯域高効率GaNドハティ増幅器
○山口裕太郎・中谷圭吾・新庄真太郎(三菱電機) |
C-2-9 |
5G/SATCOM向けKa帯15W出力30% PAE広帯域GaN増幅器MMIC
○中谷圭吾・山口裕太郎・小松崎優治・新庄真太郎(三菱電機) |
我々は増幅器の回路サイズの小型化と高調波処理による高効率化を両立するためマイクロストリップ線路と右手系/左手系複合線路(CRLH)スタブを組み合わせた高調波処理回路 を報告してきた.また前回は高調波リアクティブ終端(R級)増幅器に向けてCRLH線路のみで構成した高調波処理回路を提案した.今回は実際に増幅器を製作したときの回路レイアウトと損失を考慮して増幅器特性をシミュレーションし,小型化を図ったR級増幅器を実現する見通しを得たので報告する.
通信量の増大を受け、増幅器にはピーク対平均電力比の大きい信号を高効率に増幅し、複数バンドに対応した広帯域な動作が要求される。近年、高効率かつ広帯域な負荷変調増幅器が提案されているが、比帯域100%を超える高効率増幅器の特性を引き出すには、負荷変調に適した広帯域なバイアス回路の実現が課題となる。今回、2つの周波数帯で負荷変調モードが成立するGaNドハティ増幅器に対し、各モードに応じてバイアス回路の機能が変化し広帯域な負荷変調を実現するデュアルモードバイアス回路を提案した。測定の結果、0.85-2.05GHzおよび2.4-4.2GHzの広帯域にわたり、効率41%以上の高効率動作が確認できた。
レーダや通信システムには,探知・通信距離の延伸や,低消費電力が求められており,高出力・高効率な増幅器の研究が盛んに行われてきた今回はIndividual Source Via (ISV)構造を有するGaN high electron mobility transistor (HEMT)を用いたX帯高効率GaN MMIC高出力増幅器 (HPA, High Power Amplifier)を試作・評価した結果を報告する.評価の結果,8.5-10.5 GHzにおいて出力電力 47.2–48.4 dBm (53–70 W), 電力付加効率(Power Added Efficiency, PAE) 52–54%,動作利得11.2–12.1 dBを達成した.試作したHPAはこれまでに報告されたX 帯GaN MMIC HPAの中で世界トップレベルの出力電力・効率を達成したことが分かった.
近年,第5世代移動通信システム(5G)ではミリ波帯の活用が注目されており,ミリ波帯でのGaNN増幅器の適用が検討されている.通信システムにおいて増幅器はバックオフ動作時での高効率動作が要求される.バックオフ動作時での高効率動作可能な増幅器の候補としてドハティ増幅器があり,これまで多数の報告がある.しかし,ミリ波帯ではトランジスタの出力容量の影響が大きくなるため,広帯域で高効率な特性を得ることが難しいという課題がある.本稿では広帯域で高効率な特性を実現するためにTee-line networkと2倍波反射オープンスタブを用いて設計した26-30GHz帯GaNドハティ増幅器を報告する.
近年,Ka帯はミリ波帯衛星通信システム(SATCOM)や24GHz以上の周波数を用いる第5世代移動体通信システム(5G mmWave)の周波数帯としても注目されており,高出力,高効率,小型な増幅器の開発が進められている.本稿では,Ka帯MMIC増幅器に,高効率,高利得動作が可能なISV(Individual Source Via)構造のトランジスタと,寄生成分の低減による広帯域化と回路素子の小型化が期待できるMIM-on-Via(Metal-Insulator-Metal on Via)を採用した.試作の結果,周波数28GHzにおいて飽和電力(Psat)= 41.8dBm(15.1W),電力付加効率(PAE)=31%が得られた.また周波数26-31GHz (比帯域17.5%) においてPsat=41.0dBm(12.5W)以上,PAE=26%以上,動作利得(Gp)=19.5dB以上の良好な広帯域性能が得られた.
9月15日 13:30〜16:00 Meeting 20 座長 片山光亮(早大)
C-2-10 |
直列共振コイル装荷による倍電圧整流器の高感度化の検討
◎大野 桂・田中愼一(芝浦工大) |
C-2-11 |
マイクロワット・レクテナ最適回路トポロジーの出力電圧電流平面へのマッピング
◎田渕侑幹・丹沢 徹(静岡大) |
C-2-12 |
AMC基板上に配置したレクテナ用折り返しダイポールアンテナのインピーダンス解析
◎安丸暢彦・伊東健治・田村俊樹・坂井尚貴・牧野 滋(金沢工大) |
C-2-13 |
高調波処理FDAを用いるレクテナの高調波ソースプル特性
◎麦谷彰彦・廣野敦哉・坂井尚貴・伊東健治(金沢工大) |
C-2-14 |
2.4GHz帯10W高効率ブリッジ整流器
◎桔川洸一・伊東健治・坂井尚貴(金沢工大) |
C-2-15 |
E-PHEMTダイオードを用いる5.8GHz帯倍電圧整流器MMIC
◎小松郁弥・伊東健治・坂井尚貴(金沢工大) |
我々はRFエネルギーハーベスティングへの応用に向けて、ダイオード寄生容量と外部コイルを直列共振させることで整流器を高感度化する手法を提案してきた。これまでその効果をシングルシャント整流器で実証してきたが、今回、倍電圧整流器での有効性を検討したので報告する。
IoTデバイスへの電源供給と通信を両立する手段として,マイクロ波によるマイクロワットレベルの無線電力伝送が注目されている.これを実現しうる回路として,①レクテナ,②レクテナにDC-DC チャージポンプ(CP)を組み合わせたもの,③RF-DC CP,④ダイオードを複数直列接続したレクテナが提案されている.本研究では,①,②,④について,出力電流・電圧条件を変更しながらどの方式が入力電力をより低くできるか比較を行った.入力周波数は2.45GHzとした.出力電圧電流平面に最適回路トポロジーのマッピングをしたところ,0.5V以下,または10µA以上の領域で④が,1V以上かつ1µA以下の領域で②が,入力電力が低くなることが分かった.
WLAN,放送などの微弱な電波を用いる環境発電の検討が行われている.筆者らはMeta-surfaceに着想を得たAMC基板[1]上に折り返しダイポールアンテナ(FDA)を設けるレクテナの検討を行っている.有限要素法(FEM)による計算で高アンテナインピーダンス16kΩを得ており,レクテナとしてもその高効率化の効果を確認している.ここでは高インピーダンス動作のメカニズムについて検討したので報告する.
無線電力伝送において,レクテナの高効率化が課題である.筆者らは高効率化のために,アンテナと整流器の直接整合を行うとともに,折り返しダイポールアンテナ(FDA)に高調波処理の機能を実装している.本報告ではこのような高調波処理に関し,第3次高調波周波数(3f0)に対するソースプル特性を検討したので報告する.
無線電力伝送システムにおいて,整流器の大電力化,高効率化が課題である.筆者らは,Schottky Barrier Diode(SBD)の特性と整流器の限界性能について検討している.これより,高耐圧のSBDを用いるほど大電力動作が可能であり,かつ高効率化が可能であることを示している.ここでは,耐圧が60 V以上のGaAs SBDを用いる2.4 GHz帯10 Wブリッジ整流器の設計,試作結果について報告する.
無線電力伝送の広範な応用のためには,レクテナの高効率化,大電力化が課題である.ノーマリーオフ特性を有するFETのゲート端子とドレイン端子を接続して構成するFETダイオードは大電流密度が特長であり,大電力化に適する.筆者らはMOSFETにより,その効果を確認している. ここではより高耐圧である0.5μm E-PHEMTダイオード(WIN Semiconductor社PD50-10)を用いる5.8GHz帯整流器MMICの試作結果を報告する.
休 憩(15:15 再開) 座長 高野恭弥(東京理科大)
C-2-16 |
180°広帯域移相器を備えたK帯仮想接地型並列ダイオードリニアライザ
○河村由文・二宮 大・半谷政毅・新庄真太郎(三菱電機) |
C-2-17 |
2周波混合ベクトル合成型移相器を用いたV帯受信RFICの試作結果
◎横溝真也・津留正臣(三菱電機) |
C-2-18 |
1ポートデエンベディング手法の比較
○片山光亮・馬場孝明・大澤 隆(早大) |
K帯周波数を利用した衛星通信向け増幅器モジュールでは、高効率化と低歪化を両立することが求められている。ダイオードリニアライザ(D-LNZ)は、小型・低コストで、かつ比較的歪み要求の小さなシステムにおいて有効な歪補償手段である。筆者らはこれまでに、D-LNZのダイオードと地導体との間の寄生成分の影響を軽減する構成として、Ku帯仮想接地型D-LNZ を提案してきた。
本稿では、動作周波数をK帯へと高くすることに加え、動作比帯域を広帯域化するため、広帯域な180°移相器を備えた仮想接地型D-LNZを提案し、その試作評価結果を報告する。
近年,衛星通信において,電子的にビームを形成可能なAPAA(Active Phased Array Antenna)を用いた大容量通信が注目されている.大容量通信はミリ波帯の広帯域な信号を使用することで実現することができる.しかし,周波数が高くなると,APAAのアンテナピッチが狭くなるためRFICの実装面積も小さくなり,RFICの小型化が求められる.本稿では,ポリフェーズフィルタをLO経路に配置し,直交ミクサで信号とLOを混合することで小型化した2周波混合ベクトル合成型移相器を用いて,8chの信号経路を搭載した受信用V帯RF ICの試作結果を示す.
表面実装デバイス (ダイオード) の治具成分をダミーパタン (オープン・ショート・ロード) を用いてデエンベディングする。各種デエンベディング手法によって得られたダイオードのRF特性を比較した結果、ショート・オープン法、オープン・ショート法、ワンポート法ではそれぞれ510, 720, 830 MHz まで少ない誤差でデエンベディングできることを確認した。デエンベディング時に得られる治具成分の等価回路を示し、デエンベディング手法による差異を考察する。
C-2. マイクロ波B(マイクロ波・ミリ波受動デバイス)
9月16日 9:15〜11:45 Meeting 20 座長 清水隆志(宇都宮大)
C-2-19 |
自由空間法を用いた複素誘電率推定における金属枠の影響排除に関する一検討
○花澤理宏・鈴木仁哉(UL Japan)・亀井利久(防衛大)・荻野 哲(新日本電波吸収体) |
C-2-20 |
高精度な平面回路評価システムの長期安定性
○坂巻 亮・堀部雅弘(産総研) |
C-2-21 |
平面キャビティによる微少試料の物性測定
○加藤初弘・石田健太・小川和也(山梨大) |
C-2-22 |
誘電体損失を低減した平衡MSL非接触PIM測定系
◎室伏竜之介・久我宣裕(横浜国大)・花山英治(職業開発大) |
C-2-23 |
インクジェット銀配線と銅箔配線を組み合わせた高周波回路
○杉山勇太・石橋秀則・大島 毅・高橋 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
自由空間法を用いて小さい試料を測定する際,金属枠を用いることがある.金属枠を用いると,校正面と試料の表面の
位置が異なり複素Sパラメータの位相を変更する必要がある.本検討では,金属枠の厚み情報を用いずに校正面と試料表面を一致させる手法を提案し基礎検討を行った.
通信機器等の電子機器では平面回路が多く利用されており、その特性の評価には高周波プローブを用いた平面回路評価システムが利用されている。産総研では、プローブ位置の再現性を高めることで高精度な平面回路評価システムを構築した。これまでの報告では、長くても数日間程度の短期的な期間における測定再現性について議論をした。しかしながら、実用上、1年以上の期間に渡る長期的なシステムの安定性を把握する事は、測定システムの能力を知る上で重要である。そこで今回は開発したシステムを用いて、1年半の期間に渡り評価した結果を報告する。
化学反応の促進や薬品の活性化のためにマイクロ波照射が活用されている.これに関連して幾つかのマイクロ波照射装置が提案されているが,それらは研究室あるいはプラントなどでの使用を想定した比較的サイズが大きな装置であった[1].一方,電界集中によるマイクロ波吸収の強調を利用した比較的小型の装置も提案されている[2].本研究の目的は,平面型のキャビティで生じる局在波を利用して,微少な試料でも物性定数の測定が可能な装置の可能性を探ることにある.
移動体通信において受動回路における相互変調ひずみ(PIM:Passive Intermodulation)が干渉波として問題となっている.PIMは伝送線路からも発生することが知られており,高周波デバイスで多用されるマイクロストリップ線路(MSL)の評価は重要である.高感度なPIM測定法として,試料非接触の同軸管法が提案されている.しかし,同軸管法では測定試料形状の制約により,MSLのPIM測定が難しい問題がある.このため,MSLの影像モデルである平衡MSLを用いて,MSLの電流偏在の影響を考慮し,非接触にPIM測定を行った例が報告されている.しかし,この報告では測定系が基板で構成されており,損失が大きいという問題があった.本稿では,この非接触測定系の誘電体損失低減を目的とし,新たな非接触PIM 測定系の構成を示す.
インクジェット印刷技術は,高周波の分野でもRFID用のアンテナやバンドストップフィルタへの利用が検討されている.インクジェット印刷は版を必要としないため,回路形状のカスタマイズを行い易く,多品種少量生産に向いている.しかし,インクジェット印刷に用いられる銀配線は,銅箔配線に比べて導電率が低く,高周波回路では損失が課題となる.
そこで,インクジェット印刷銀配線と銅箔配線を組み合わせた高周波回路を提案し,複数の回路パターンを切り替え可能なカスタマイズ性と低損失化が両立することを示した.今回,電力分配比を切り替える際に,印刷銀配線の適用位置による損失の違いを3次元電磁界シミュレーションによって検証した.
休 憩(10:45 再開) 座長 河合 正(兵庫県立大)
C-2-24 |
Design of 28GHz-Band 4x4 Butler Matrix using Broadside Coupled Stripline Structure
○Jean Temga・Koki Edamatsu・Mizuki Motoyoshi・Noriharu Suematsu(Tohoku Univ.) |
C-2-25 |
180GHz帯PTFE基板集積導波管バトラーマトリクスの試作
○岸原充佳(岡山県立大)・竹内雅耶・山口明啓・内海裕一・太田 勲(兵庫県立大) |
C-2-26 |
導波管ラットレースカプラの広帯域化に関する検討
○湯川秀憲・大島 毅・高橋 徹(三菱電機) |
C-2-27 |
永久磁石を両面に配置する電磁シールド表面実装サーキュレータの検討
○石橋秀則・遠藤邦浩・安藤晃洋・上田哲也・長峯巧弥・高橋 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
In this paper, a design of 28GHz-Band 4x4 Butler Matrix (BM) using Broadside Coupled Stripline Structure is reported for the first time. The broadside coupled stripline structure has a tight coupling, thus allowing the design of a compact and wideband BM at millimeter-wave frequencies. A 0.75λg×0.5λg circuit size of BM is realized at 28-GHz. A maximum output phase difference error of ±11 degree is obtained and an average insertion loss of 1.4dB is obtained from the range of 24-32GHz.
放射光直接エッチングによりPTFE(テフロン)の直接加工を行い,表面に金属を蒸着させることでPTFE基板集積導波管を形成するプロセスが報告されている.今回,180GHz帯にて4x4バトラーマトリクスを試作した結果について報告している.まず,180GHzにて方形スルーホールを用いたPTFE基板集積導波管の寸法を決定し,文献の十字交差形90°ハイブリッドおよび横断回路をPTFE基板集積導波管で接続してバトラーマトリクスを設計している.PTFEの放射光直接エッチング,金のスパッタ蒸着と電解めっきを組み合わせた製作プロセスで試作を行い,放射パターンを測定することで本構造の妥当性を確認している.
ラットレースカプラは180度の位相差で分配するカプラとして有用であるが、原理的に180度の位相差が得られるのは中心周波数のみであり、分配振幅特性(結合特性と通過特性)は異なる周波数特性となる。このため、分配振幅差と分配位相差は周波数に依存し、狭帯域であるという問題があった。ここでは、導波管ラットレースカプラの広帯域化について検討したので報告する。
近年,アンテナ送受信機に用いられる送受信モジュールは,小型・低コスト化の要求から,全ての搭載部品を表面実装するものが提案されている.そこで,筆者らは,送受信アンテナの一体化に必要なサーキュレータの表面実装化を図った.本サーキュレータを,Ku帯のシステムに適用すると,より強い磁力が必要となるため,永久磁石の低背化が課題となる.そこで,低背化を目的に,地導体を上面,中心導体を下面に配置し,その両面を永久磁石でバイアスする構造の電磁シールド表面実装サーキュレータを検討したので報告する.
9月16日 13:00〜15:30 Meeting 20 座長 池内裕章(東芝)
C-2-28 |
マルチモードマルチアドミタンスJインバータの設計法
◎牛山太陽・宮田尚起(都立産技高専) |
C-2-29 |
両端開放半波長共振器の電界分布の偶奇対称性を利用した4段ボックス型結合マイクロストリップBPF
◎大野美帆・大平昌敬・馬 哲旺(埼玉大) |
C-2-30 |
共平面型Hスロット共振器を用いた30GHz帯6段HTS-BPFの設計
◎金乙翔大・古神義則・清水隆志(宇都宮大) |
C-2-31 |
開放端に容量を装荷した共振器の低スプリアス化に関する検討
○青山裕之・湯川秀憲・高橋 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
C-2-32 |
楕円型結合共振器を用いたNMR用超伝導RFコイルの開発
◎藤田貴紀・關谷尚人(山梨大)・豊島克幸・田中良二(JEOL RESONANCE)・大嶋重利(山形大) |
筆者らはこれまでにマイクロ波フィルタを設計する際に用いられるJ インバータとして複数の周波数で動作し各動作周波数において任意のアドミタンスを設定可能なマルチモードマルチレベルJ インバータを提案してきた.しかし提案したJ インバータにおいてインバータを構成する素子が実現可能な素子値をとるための設計条件について検討が行われていない.そこでマルチモードマルチアドミタンスJ インバータを構成する各素子が実現可能な素子値となるための条件を導出した.また,提案した 型のJ インバータをもとにL 型のJインバータへの変換を行い設計式を導出した.
帯域通過フィルタ(BPF:Bandpass Filter)の設計において,一般化チェビシェフ関数を特性関数に用いると任意の周波数に伝送零点を生成できる.この特性を物理構造で実現可能な結合トポロジーとしてボックス型結合トポロジーがある.この物理構造は,負結合の生成を偶奇モード半波長共振器により実現していたためビアが必要不可欠であり,これが製作精度の劣化を招くという問題があった.そこで本報告では両端開放半波長共振器のみを用いた4段ボックス型結合マイクロストリップBPFの構造を提案し,設計によりその有効性を検証する.
近年,5Gをはじめとした様々な無線通信機器でミリ波帯の利用が進められ,より低損失かつ急峻な遮断特性のフィルタが求められている.我々はミリ波帯において高Qかつ優れたスプリアス特性を有するHスロット共振器に着目し,30 GHz帯BPFの開発を行ってきた.本研究では,更なる高性能化を目指し,共平面型Hスロット共振器を用いた30 GHz帯6段HTS-BPFの設計を行った.シミュレーションの結果,低損失かつ急峻な遮断特性が得られることを確認したので報告する.
高周波フィルタは異なる周波数が混在した信号から所望の周波数成分のみを取り出す受動回路であり、広帯域に不要波を減衰させられる、すなわち低スプリアスであることが求められる。また、フィルタは他の回路と比較してサイズが大きく、通信/レーダ機器の小型化のためにはフィルタの一層の小型化が必要となる。本稿では、これらの要求を満たすフィルタの実現に向け、小型・低スプリアスな共振器構造について検討し、また、電磁界解析により提案構造の有効性について検証している。
NMRのSN比の改善方法の一つとして高温超伝導体でRFコイルを作製する方法が提案されている.RFコイルには高い無負荷Q値とサンプル領域の均一なRF磁場が求められる.我々のグループはこれまで1ターンの半波波長共振器を対面させて配置したヘルムホルツコイルを提案し,10,000以上の無負荷Q値を実現した.しかし,RF磁場は電流が集中する共振器の上部に偏ってしまい,サンプル領域で均一なRF磁場を得ることが困難であった.そこで,本研究では2つの半波長共振器を結合させた楕円型共振器を対面させてヘルムホルツコイルを実現することで,サンプル領域のRF磁場の均一度を改善したので報告する.
休 憩(14:30 再開) 座長 大平昌敬(埼玉大)
C-2-33 |
高誘電率粒子と金属細線網からなる3次元等方性カイラルメタマテリアル
◎岩佐惇平・山口拓也・上田哲也・黒澤裕之・高橋 駿(京都工繊大)・伊藤龍男(カリフォルニア大ロサンゼルス校) |
C-2-34 |
非相反メタマテリアルからなる擬似進行波共振ビーム走査アンテナの偏波回転制御の実験
◎神野雅喜・上田哲也・黒澤裕之(京都工繊大)・伊藤龍男(カリフォルニア大ロサンゼルス校) |
C-2-35 |
空間不連続境界を用いた異方性誘電体レンズの設計法について
◎高野佑磨・真田篤志(阪大) |
C-2-36 |
低導電率スクエアパッチアレー薄型電波吸収体におけるパッチアレーと導体板間の電磁界結合の影響
◎松本壮太・須賀良介・橋本 修(青学大) |
これまでに3次元カイラルメタマテリアルの研究が行なわれている.応用例として, 光学活性を利用した偏波選択・偏波操作性のあるレンズなどが挙げられる.
本稿では,実効誘電率および透磁率の独立操作が可能な金属細線と誘電体粒子からなるメタマテリアル構造に注目して,反射損失が小さく,かつカイラリティ操作により偏波回転角の周波数分散が小さい3次元等方性カイラルメタ分子を提案する.同メタ分子からなる単層のメタサーフェスを設計し,反射・透過特性および偏波回転角の周波数特性を数値計算により確認した.
非相反メタマテリアル線路を用いた擬似進行波共振器を用いることにより,ビーム走査機能と主偏波回転制御機能を同時に兼ね備えたアンテナが提案されているが,数値計算による検証のみで, 実験報告例はまだない.
本稿では,擬似進行波共振アンテナを設計・試作し,外部直流磁界によるビーム走査と,共振器両端に挿入された反射素子の位相変化による主偏波回転制御機能を併せ持つアンテナを提案する. 実験結果より, ビーム走査角±20°, 90°の主偏波回転制御を実証した.
本研究では, 空間不連続境界における電磁波の屈折現象を利用した新たなレンズの設計法を提案する. 本手法により, 原理的には自由形状のレンズが設計できる. 空間不連続境界による余分な位相回転を理論的に導出し, 位相回転を考慮した平板レンズの設計法を示す. 等価回路による伝搬シミュレーションを行い, 提案する平板レンズの設計理論の妥当性を確認する.
導体板の前面に低導電率パッチを配列した電波吸収体が提案されている。この電波吸収体はパッチアレーと終端を短絡したTEMモードの伝送線路によって構成される。しかし、薄型化によってパッチアレーと背面の導体板が近接する場合には、両者の電磁界結合による吸収特性への影響は無視できない。そこで、本検討ではこの結合による低導電率スクエアパッチアレーの実効コンダクタンスの変化を解析する.
C-2. マイクロ波C(マイクロ波・ミリ波応用装置)
9月17日 9:00〜11:45 Meeting 20 座長 岡崎浩司(NTTドコモ)
C-2-37 |
FMCWレーダの位相シフトによる干渉波同定手法におけるノイズの除去
◎森田佳恵・和田 平・水谷浩之・中溝英之(三菱電機) |
C-2-38 |
単一のS/H回路におけるクロック信号と出力信号の位相差情報を用いたアンダーサンプリング周波数検出方式
○和田 平・水谷浩之・中溝英之(三菱電機) |
C-2-39 |
SFP+光モジュールを用いた光ファイバ給電ディジタルRF送信機によるディジタルビームフォーミング実験
◎田村 涼・本良瑞樹・亀田 卓・末松憲治(東北大) |
C-2-40 |
小型アンテナモジュールを用いた5GHz帯Wi-Fiバックスキャッタシステムにおける回線設計と受信電力測定
◎△町井大輝・枝松航輝・本良瑞樹・亀田 卓・末松憲治(東北大) |
C-2-41 |
5GHz帯Wi-Fiバックスキャッタシステムにおける複数センサノード識別実験
◎枝松航輝・町井大輝・本良瑞樹・亀田 卓・末松憲治(東北大) |
FMCWレーダの干渉波同定手法として,チャープの途中で位相シフトを行い,位相シフトの有無でスペクトラムに生じる形状変化を用いる方法がある.しかし,位相シフトによるビート信号の位相の不連続に起因するノイズが発生し,信号レベルが小さい反射波のビート信号の周波数を特定できない問題があった.本発表では,位相シフトのタイミングでビート信号の振幅を小さくする窓関数を適用してノイズを除去する手法を提案し,実験にて有効性を確認した結果を報告する.
到来する未知の信号の周波数を特定する周波数検出方式として,我々は同一周波数で位相差を設けたクロック信号で動作する2つのSample and Hold (S/H)回路を並列化して入力信号をアンダーサンプリングし,クロック信号の位相差とS/H回路の出力信号の位相差から入力信号の周波数を検出する方式を提案している[1].この方式では,S/H回路,Low Pass Filter (LPF),Analog-to-Digital Converter (ADC)からなるRF回路の系が2つ必要であった.本稿では,RF回路の部品点数削減のため,単一のS/H回路でクロック信号の位相を時間変化させ,変化前後でのクロック信号の位相差とS/H回路の出力信号の位相差から入力信号の周波数を検出する方式を提案し,原理検証を行った結果を示す.
我々は以前より市販10GbE向けのSFP+光モジュールを用いたディジタルRF送信機を構成し,その伝送特性を評価してきた.本稿では,SFP+光モジュールを用いたディジタルRF送信機による4素子のアレーアンテナを構成し,1-bit Band Pass delta sigma変調波の基本波成分(第1ナイキストゾーン)の伝送および各素子間の位相差を変化させた場合のメインローブの放射方向変化について実験を行ったので報告する.
これまで,5 GHz帯Wi-Fiベースの,ビームトラッキングのためにバックスキャッタ通信を用いた簡易ビームフォーミング機能を有する無線IoTシステムを提案し,検討してきた.このシステムでは,工作機械の基部に設置されたアクセスポイント(AP)における簡易的なビームフォーミングにより,比較的高速に移動・回転するセンサノード(SN)をトラッキングすることを想定している.本稿では,バックスキャッタ通信SN用の小型アンテナモジュールを試作し,バックスキャッタ通信システムの回線設計を行うとともに,試作したアンテナモジュールを用いて通信実験を行いAPでの受信電力の測定を行ったので,報告する.回線設計を行った結果,SNがAPから2.7 m離れた地点まで通信可能であり,試作したモジュールを用いた測定の結果は,回線設計結果と良い一致を示した.
我々は,工場内無線IoT通信としてAP (Access Point)とSN(Sensor Node)間の通信に5 GHz帯Wi-Fi信号を用いたバックスキャッタ通信を利用することを提案してきた.本稿ではWi-Fiバックスキャッタ通信システムにおいてスペクトルが重なる複数センサノードからのバックスキャッタ信号を識別する手法を提案し,実証実験によってその実現性を明らかにした.
休 憩(10:30 再開) 座長 平野拓一(東京都市大)
C-2-42 |
共振型電極を用いた簡易土中筍探知機
◎岩本孝太・坂本雅弥・岩城昴琉・黒木太司(呉高専) |
C-2-43 |
土中探知を目的とした筍のUHF帯誘電特性測定とその散乱断面積の計算
◎岩城昴琉・岩本孝太・坂本雅弥・黒木太司(呉高専) |
C-2-44 |
肺癌部位推定を目的としたピンセット型共振電極による食用豚肉内異物検出
◎坂本雅弥・黒木太司(呉高専) |
C-2-45 |
2種の同軸プローブを用いた生体の誘電分光測定時におけるアドミタンスモデルの検討
◎中村昌人・田島卓郎・瀬山倫子(NTT) |
C-2-46 |
Development of Miniature Microwave Energy Device for Robotic Surgery Operation
○Aditya Rakhmadi・Kazuyuki Saito(Chiba Univ.) |
筍は空気に長く触れると酸化し味が落ち、市場価格が低下する。また、全体数の 8 割は土の中で成長が止まり採取されず腐ってしまう。そこで、土中に埋まっ ている筍を探知できれば、品質向上、生産量増加が見込め る。先行研究として、母竹に振動を加え、筍に伝わった振動を土表面で振動検出するシステムや地中レーダがあるが、本論ではより低価格に提供できる簡易筍探知機を提案する。
ICTを活用したスマートアプリが提唱 されて久しく、土中作物に関しては腰をかがめた手作業と長年の勘によるところが大きいため、土中作物センサ の導入が切望されている。そこで本論では筍に注目して、UHF帯における誘電特性を測定し、バイスタティックレーダー散乱断面積(RCS)を計算することにより電波センサによる筍探知の可能性を検討した。
我国において総死亡数の約三割は癌によるものであり、中でも肺癌による死亡率が最も高い。胸腔鏡下手術は初期肺癌に最も有効な手術方法であり、術中では目視で癌部位を推定している。本研究は癌部位の推定精度向上を目的としてピンセット型共振電極による肺癌部位検出の可能性を肺及び癌部位の代わりに豚肉と墨汁を用い、計算及び実験により検討した。
同軸プローブ法は非測定物質の加工なしに広帯域な誘電分光が可能であるため,生体試料測定によく用いられる.しかし、本手法は誘電率が一様な物質にを想定した測定手法であり,皮膚のような深さ方向に誘電率分布のあるMUTでは同軸プローブの侵入深さにより測定値が異なるという課題がある.本稿では同軸プローブ法の高度化に向け,同軸径が異なる2種の同軸プローブを用いることで表層の影響を補正し生体内部の誘電率を評価するためのアドミタンスモデルを考案し,生体模擬試料を用いた実験値と比較検討したので報告する.
This study presents a miniature antenna device at 2.45 GHz for minimally invasive robot surgery. SAR numerical calculations show a localized microwave energy distribution between the antenna and the ground. Further study will calculate the thermal distribution of the device and evaluation experiment will be conducted using phantom, which mimics the electric properties of the human prostate. Also, a trial coagulation experiment will be conducted using biological tissue.
C-3/4. 光エレクトロニクス/レーザ・量子エレクトロニクス
9月15日 9:30〜11:45 Meeting 16 座長 上向井正裕(阪大)
[設計/シミュレーション(1)]
C-3/4-1 |
Design of Series-Coupled Microring Resonator Chebyshev Wavelength Filter using Digital Filter Design Method
○Zhifeng Peng・Mao Yamauchi(Yokohama National Univ.)・Yasuo Kokubun(Chubu Univ.)・Taro Arakawa(Yokohama National Univ.) |
C-3/4-2 |
金,銀,銅を用いたプラズモニック光フェーズドアレー特性
○桑村有司・日端恭佑(金沢大) |
C-3/4-3 |
終端に直線導波路を用いたコヒーレント結合型スポットサイズ変換器(II)
◎小島功義・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-3/4-4 |
誘電体平行平板からなる入射偏波面無依存積層型偏波回転子‐広帯域特性の実現
◎大石雅人・朝生龍也・山内潤治・中野久松(法政大) |
So far, research and development of many MRR wavelength filters using dielectrics and silicon have been made. However, a design method for high-order series-coupled MRR filters has not yet been investigated sufficiently. In this study, we investigated a design method of a high-order series coupled MRR with digital filter characteristics. This method enables us to more efficiently design an MRR Chebyshev filter with a desired 3 dB wavelength bandwidth and FSR as compared with conventional design methods.
光出射方向を電気信号で高速に走査できる光ステアリング素子の研究が盛んである.我々は,電気光学ポリマーを用いたプラズモニック光フェーズドアレーを提案し,偏向角走査範囲が100°以上可変できるプログラマブルな素子を波長1.55umで設計してきた.金属材料としてはオーミック損失の少ない銀を利用してきたが,ここでは素子作製が容易な金,銅材料を用いたPOPA特性をシミュレーションした.
導波モードパワーと放射モードの位相定数から算出されるテーパ角のガイドラインが提案されている.筆者らは,テーパ構造の終端において,ガイドラインを超えるテーパ角と直線導波路を設けるコヒーレント結合型スポットサイズ変換器が,変換効率を向上させることを明らかにしてきたが,TMモードに議論を限定するものであった.本稿では,TEモードの結果と併せてテーパ構造を再設計することで,両モードで高効率な変換特性が得られることを見出す.
水晶の複屈折性を利用した1/2 波長板を45 度の交差角で積層すると,入射偏波面に依存しない偏波回転子として動作する.筆者らは,誘電体平行平板を積層すると,水晶に比べて広帯域に動作する可能性を指摘した.ジョーンズマトリックスを用いて,通信波長帯で広帯域に動作するPRを設計する.
休 憩(10:45 再開) 座長 村尾覚志(三菱電機)
[設計/シミュレーション(2)]
C-3/4-5 |
誘電体が埋め込まれたクロススロット配列の異常透過特性
◎佐々木玲音・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-3/4-6 |
複数の共振モードを考慮した光 NoC におけるトポロジー生成手法
◎有澤寛太・山下 茂(立命館大)・Tsun-Ming Tseng(ミュンヘン工科大) |
C-3/4-7 |
非対称導波路型偏波変換器の光軸回転角評価法の改善
山内潤治・◎小竹翔太・中野久松(法政大) |
C-3/4-8 |
高性能モザイク状素子設計のためのハイブリッド最適化手法
◎中村航大・藤澤 剛・齊藤晋聖(北大) |
クロススロットを設けた1/4波長金属板の異常透過特性が議論されている. 筆者らは, スロット長あるいは周期長のわずかな変位で円偏波への変換板として動作することを明らかにしてきた. 本稿では, クロススロット部を誘電体で埋めた際の波長特性を評価する.
光 Networks-on-Chip (NoC) は, 電気配線による NoC と比較し, 低遅延・高バンド幅の特性を持つため, 効率的な多ノード間通信を実現することができる. 光 NoC では, 光信号の経路制御に MRR (Micro Ring Resonator) を用いる. これまでの光 NoC におけるトポロジー生成手法では, MRR の複数の共振モードを利用したルーティングは考慮されていない. そこで, 本稿では, MRR の複数の共振モードを考慮した光 NoC におけるトポロジー生成手法を提案する. 提案するトポロジー生成を行った結果, 既存手法と比較して, ルーティングに必要となる MRR の配置の数を最大で 17% 削減することを確認した.
非対称の断面形状の導波路を利用した偏波変換器が盛んに研究されている.我々が提示してきた光軸回転角の評価式に励振効率を加味した光軸回転角を導入することで,従来手法に比べ精度を改善できることを明らかにする.解析にはYee格子に基づく虚軸ビーム伝搬法(YM-BPM)とFDTD法を使用する.
DBS法を利用し設計されたモザイク状光学素子はデバイスサイズの小型化,特性の向上といった点で,既存の光学素子に対する優位性が示されているが,DBS法は総当たりによる自動設計に分類され,自動設計後得られる構造特性が初期構造として与える材料状態に強く依存し,自動設計後の素子性能の分散が大きいという問題があった.DBS法において問題となる初期構造に依存した設計素子性能のばらつきを低減するために,DBSとGWOを組み合わせたハイブリッド自動設計手法を提案し,それを用いることで,素子性能の分散を抑え,少ない初期構造を利用する場合においても高性能な構造設計が可能である事を示す.
9月16日 9:30〜11:45 Meeting 16 座長 永井正也(阪大)
[ナノフォトニクス(1)]
C-3/4-9 |
(依頼講演30分)ドレスト光子による磁気光学効果を使ったSiC偏光回転素子
◎門脇拓也・川添 忠(日亜化学)・大津元一(ドレスト光子研究起点) |
C-3/4-10 |
(依頼講演30分)自己組織化有機・高分子マイクロレーザーと応用
◎山本洋平(筑波大) |
我々は、Al原子をイオン注入した間接遷移型半導体のSiC単結晶を使い、可視域で動作する新規の透過型の偏光回転素子を作製した。この素子は、ドレスト光子の作用によって、ナノ寸法領域での光子、電子、磁場の相互作用が顕著になることで誘起される磁気光学効果によって動作する。また、外部コイルによる巨大な磁場や外付けのバルク磁石を必要とせず、素子表面のリング電極に発生するmTオーダーの小さな磁場で動作する。測定結果から、SiC素子は、既存の材料と比較して巨大な磁気光学効果を示した。すなわち、そのVerdet定数は入射光波長450 nmにおいて、9.51×104 rad/T.mであった。
本講演では、有機分子・高分子の自己組織化によるマイクロ共振器の形成とレーザー特性、およびその応用について発表する。
休 憩(10:45 再開) 座長 八木英樹(住友電工)
[ナノフォトニクス(2)]
C-3/4-11 |
波長多重通信デバイス作製に向けたフォトニック結晶直交格子導波路に関する研究
◎樋口拓也・熊 一帆・山口拓也・森藤正人・梶井博武・近藤正彦(阪大) |
C-3/4-12 |
フォトニック結晶円形欠陥レーザ構造への電流注入に関する研究
◎小暮崇史・熊 一帆・森藤正人・梶井博武・近藤正彦(阪大) |
C-3/4-13 |
(依頼講演30分)3次元カイラルフォトニック結晶における光ワイル点近傍のマイクロ波特性の観測
○高橋 駿・玉置爽真・山下兼一・山口拓也・上田哲也(京都工繊大)・岩本 敏(東大) |
先行研究においてW1導波路とCirDレーザを結合させる最適化がなされた。しかし、一本の導波路ではCirDレーザ共振周波数範囲の内、半分程度しか使用できないという問題が挙げられている。本研究では、従来のW1導波路に変わり、新たに提案された直交格子導波路(orthogonal lattice waveguide (OLW))を持つフォトニック結晶構造の作製、評価を行った。さらに所望の周波数範囲を得るためにはOLWの中心の導波路に対しその両側に位置する空孔列を外側にシフトしなければならないことが予測されているため、そのシフト幅を変更して作製し、光学測定において最適なシフト幅を評価した。
我々は,GaAsを用いた電流注入型フォトニック結晶(PhC)円形欠陥レーザの実現を目指し,検討を行っている.これは電流注入面積の十分な確保とWhispering gallery modeによる高い光閉じ込めを実現する.このレーザは垂直方向への電流注入構造を採用しているが,光学測定を行うためには,上面電極にワイヤーボンディングをする必要がある.しかし,PC上の電極に直接ボンディングしてしまうと,空孔が多数存在するコンタクト層の表面状態から,電極破壊などの問題が発生してしまった.そこで本研究では,上面電極とコンタクト層の間に,SiO2絶縁層構造を導入し,電気特性の評価を行った。また、プローブから直接電流注入を行い,光学測定を行った.
3次元woodpile型カイラルフォトニック結晶における光ワイル点について、その近傍におけるマイクロ波の伝播現象を観測することで、実験的実証を行った。バンド特異点に特有の透過パワーの減少や擬拡散伝播を観測したほか、点光源入射に対する平面波出射と内部の散乱体の影響を受けない平面波出射も確認した。さらに、光ワイル点に起因するトポロジカル表面状態の観測にも成功し、本3次元構造における光ワイル点を実証した。光ワイル点における単一モード性を利用することで、マイクロ波の高出力素子や増幅器への応用のほか、トポロジカル表面状態を利用した無散逸で外乱に強い伝送も期待できる。将来的には、半導体を材料としてサブミクロン周期の3次元構造を作製し、通信波長帯での光ワイル点を実現することで、大体積単一モードレーザやロバストな光通信デバイスへの応用が期待できる。
9月17日 9:15〜11:45 Meeting 16 座長 小林弘和(高知工科大)
[光センシング・光無線(1)]
C-3/4-14 |
(依頼講演30分)光学的3Dセンサを用いた物理セキュリティ
◎吉田直樹・松本 勉(横浜国大) |
C-3/4-15 |
FMCW-LiDARシステムによる点群物体検出
○齋藤直仁・雨宮智宏・ジェイジッチャロンチャイ ナパット・西山伸彦(東工大) |
C-3/4-16 |
掃引毎の掃引周波数幅取得によるFMCW LiDARの高精度化
○上野雅浩・田中優理奈・赤毛勇一・坂本 尊・川村宗範・岡 宗一(NTT) |
C-3/4-17 |
内径533μm銀中空Ni-Tiファイバの製作
○岩井克全・泉田裕太郎・高久裕之(仙台高専)・宮城光信(東北工大) |
人工物のフィジカルな特徴を利用して認証を行う技術として人工物メトリクスの研究が行われている。
人工物のクローンを作るのが困難である微細な表面形状を読み取るために、共焦点レーザー顕微鏡や白色干渉計の利用が検討されている。
このような光学的3Dセンサを用いた物理セキュリティの事例を紹介する。
LiDAR(Light detection and ranging)は、周辺物体の距離・形状などの3D空間情報を映像化するセンサーであり、自動運転に必須なデバイスとして近年大きな注目を集めている。そのような中、我々は、従来のTOF(Time of flight)方式に比べて光源の出力を抑えることができるFMCW(Frequency-modulated continuous-wave)方式のLiDARシステムを提案し、その実証を行ってきた。今回、上記LiDARシステムで得られた点群データに対してディープニューラルネットワークを適用し、物体検出のアルゴリズムであるVoxelNetを用いて3次元空間での物体検出を行った。
光測距技術であるFMCW LiDARは、観測対象の反射点をアーム中に含む干渉計と波長掃引光源を使い、測距対象までの距離(アーム間光路長差/2)を、干渉計出力光の2乗検波信号(干渉信号)に含まれるビート周波数νBから算出する。距離計算式によれば、距離が同じ場合は光源の掃引周波数幅Δνの変動に比例してνBは変動するため、測距前に測定したΔνを用いて距離を算出する従来方法では、測距時に生じるΔνの変動により測距精度が低下する。報告では、測距時に取得した干渉信号毎にνBとΔνを算出して測距計算する方法を提案し、これによる測距の高精度化について示す。
内視鏡治療用無破断中空ファイバとして、Ni-Tiチューブを母材とした中空ファイバの製作を行ってきた。今回は、Ni-Tiチューブの長尺化を図り、内径533 μm、外径635μm、長さ90 cm銀中空Ni-Tiファイバの製作について述べる。
休 憩(10:45 再開) 座長 那須秀行(古河電工)
[光センシング・光無線(2)]
C-3/4-18 |
kmクラス長距離光無線給電の基礎検討
○大野桃果・宮本智之(東工大) |
C-3/4-19 |
Analysis of Mie scattering characteristics for controlled appearance of OWPT system
○Yu Liu・Tomoyuki Miyamoto(Tokyo Tech) |
C-3/4-20 |
Influence of Waves on Underwater Optical Wireless Power Transmission when Light Incident from Underwater to Air
◎Jiaying Li・Tomoyuki Miyamoto(Tokyo Tech) |
C-3/4-21 |
Design of OWPT system with beam direction control based on PID controller
◎Jing Tang・Tomoyuki Miyamoto(Tokyo Tech) |
光無線給電は長距離伝送の適用性から有望である.この光無線給電の長距離応用の条件や課題を明らかにすることを目標に,今回,ビームの長距離伝送時のビーム拡がりと光源への要求を基礎検討した.効率を高めるためにビーム照射面積は受講側太陽電池と同程度にする必要から,単一横モード(ガウスビーム)について,出射スポットサイズに対する照射スポットサイズを解析した.結果として,kmクラスの伝送距離でも数mmの出射スポットサイズでよいことを確認した.一方,kWクラスまでの高出力とビーム特性からファイバレーザが有望と指摘した.
Optical wireless power transmission (OWPT) is a system consisting of light source and solar cell. The infrared monochromatic light is appropriate because of high efficiency in mature Si or GaAs solar cells. Since the surface color of these solar cells is black, it will prevent the visual design in the practical equipment. We have reported to use color filters and frosted glass to control the appearance of solar cells. In this report, we calculated scattering efficiency of Mie scattering with NIR and visible wavelengths of incident light for achieving wavelength dependence of scattering and simulated the characteristics of multiple Mie scattering using an FDTD method.
The important characteristic of OWPT system is the power transmission efficiency. There are some problems which can influence the system efficiency that particularly appear in underwater OWPT system. One of these problems is the existence of water waves when light passes through the interface between air and water. Last time we discussed about the light incident from air to underwater, in this paper, we discuss about the influence of water waves when light incident from underwater to air.
OWPT system with solar cell recognition and beam control based on PID controller was conducted. And the functions were tested by initial experiment.
9月17日 13:00〜16:30 Meeting 16 座長 名田允洋(NTT)
[レーザ(1)]
C-3/4-22 |
(依頼講演30分)8kW単一共振器型Yb添加ファイバレーザ
○王 宇・北原倫太郎・清山 航・白倉勇紀・栗原拓哉・中山通雄・生駒晋也・島 研介(フジクラ) |
C-3/4-23 |
9xx nm帯高出力半導体ブロードエリアレーザダイオードにおける内部故障のメカニズム調査
○諸橋倫大郎・能川亮三郎・山形友二(フジクラ) |
C-3/4-24 |
(依頼講演30分)1.3μm帯InGaAlAs-MQW SR-LBH DFBレーザによる112Gb/s PAM4非冷却直接変調動作
○中原宏冶・菅 一輝・岡本 薫・早川茂則・荒沢正敏・西田哲也・鷲野 隆・北谷 健・三瀧雅俊・坂本裕則・佐久間 康・田中滋久(日本ルメンタム) |
C-3/4-25 |
切替幅800GHzにおけるTDA-DFBレーザの高速波長切替
◎新谷友里・河野隼太・久保木 猛・加藤和利(九大) |
C-3/4-26 |
Threshold Modes Analysis for Asymmetric Hybrid III-V/Si DFB Laser Structures
◎Moataz Eissa・Yutaka Makihara・Yoshitaka Ohiso・Tomohiro Amemiya・Nobuhiko Nishiyama(Tokyo Tech) |
C-3/4-27 |
強キャリア閉じ込め構造を有するOバンド波長帯SSG-DBRレーザ
○進藤隆彦・藤原直樹・大礒義孝・佐藤具就・松崎秀昭(NTT) |
高い出力と良好なビーム品質を有するシングルモードファイバレーザは,炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの難加工材料の加工への応用や,高速・高アスペクト比の金属溶接への応用が期待されている.今回,出力8kW,ビームパラメータ積(BPP)値0.50 mm-mradの性能を有する高出力・高ビーム品質のシングルモードファイバレーザを単一共振器で実現した.8 kWを超える単一共振器型のファイバレーザとしては,我々が知る限り最もビーム品質の良い結果である.
ファイバーレーザーの励起光源として使用される9xx nmブロードストライプ高出力半導体レーザーダイオード(LD)は、高出力と高信頼性が求められる。 InGaAs / AlGaAs材料で構成されるLDの故障は、Catastrophic Optical Mirror Damage(COMD)による端面故障と内部故障に大別される。内部故障のうち、電流注入領域に点状の暗部(Dark Spot Defect)が形成されることによる故障モードが知られている。本研究では、DSD形成による故障素子を調査し、故障要因を明らかにすることを目的とする。
光通信用直接変調半導体レーザは駆動方式が単純で非冷却動作が可能であり小型化、低消費電力化が期待できる。本報告では新規に提案した1.3μm帯InGaAlAs-BHレーザ構造を用いて25~85℃にて112Gb/s PAM4動作において良好なアイ開口を達成した。
多チャンネル光パケットスイッチ用の光源の候補として我々はTDA-DFBレーザに着目している。TDA-DFBレーザは電流注入によるキャリアプラズマ効果を利用した高速な波長変化を可能である。また1つのレーザが800GHzの波長可変帯域を有しており、波長帯域の異なる6個のレーザをアレー化することフルCバンドを超える広帯をカバーしている。我々はTDA-DFBレーザの非線形性に基づくモデルを開発し、フィードフォワード制御を行うことで、これまで切替幅600GHzまでの範囲で50ns以下の高速な波長切替を達成している。今回、単一レーザの最大波長可変帯域である800 GHzの波長切替において、非線形モデルによるフィードフォワード制御に加えフィードバック制御を併用することで30 nsの高速波長切替を実現した。
Hybrid integration of III-V lasers on Silicon by wafer bonding gained attention as on-chip light sources in Silicon photonics. Previously, asymmetric DFB structures with λ/4 shift or AR-HR mirrors are utilized in monolithic platforms to increase single-ended output power. In this work, threshold analysis of their hybrid counterparts is performed by transfer matrix method. Threshold modes are calculated for asymmetric hybrid III-V/Si DFB laser structures with either a λ/4-shift or a HR-LM at κL = 2. Phase-tuned HR-LM structure showed lower normalized main-mode gain and gain-margin of 0.23 and 0.35, respectively.
キャリア・プラズマ効果を用いた波長可変DBRレーザはナノ秒オーダーの高速な波長切り替えが可能であり、通信用光源に加えOCTなどの医療用やガスセンシング光源への応用が期待されている。しかし、波長1.3 μm帯においては主要な通信波長帯であるにもかかわらずキャリア・プラズマ効果による屈折率変化が極めて小さく、これを用いた波長可変レーザはほとんど報告されていない。今回我々は、1.3 μm帯のDBRレーザにInAlAsによるキャリア閉じ込め層を導入することで、キャリアのオーバーフローを抑制し電流注入時の屈折率変化量の大幅な向上を確認した。加えて1.3 μm帯としては初となるSSG-DBRレーザを作成し波長可変幅32 nmを達成した。
休 憩(15:15 再開) 座長 田中信介(富士通)
[レーザ(2)]
C-3/4-28 |
(依頼講演30分)反射型トランスバーサルフィルタによる電界制御型波長可変レーザ
○上田悠太・進藤隆彦・金澤 慈・石川光映(NTT) |
C-3/4-29 |
光負帰還狭線幅半導体レーザの広帯域FMノイズ特性評価
○横田信英・木内啓生・八坂 洋(東北大) |
C-3/4-30 |
Investigation of heat generation reduction effect of semiconductor membrane laser using thermal shunt structure
○Weicheng Fang・Naoki Takahashi・Weiqi Wang・Tomohiro Amemiya・Nobuhiko Nishiyama(Tokyo Tech) |
C-3/4-31 |
光負帰還用Siリングフィルタの光損失低減による半導体レーザ狭線幅化の検討
○相澤元太・佐藤翔太・横田信英・八坂 洋(東北大) |
反射型トランスバーサルフィルタの反射スペクトルを半導体多重量子井戸の量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)により制御する新構造の波長可変レーザについて紹介する。QCSEの利用により極小の波長制御電力(<10mW)と高速な波長切り替え速度(<1ns)が同時に達成されており(共に既存光源の1/10)、更にスペクトル線幅は350kHz以下でありデジタルコヒーレント方式に対応可能である。本レーザはこれまでにない高性能な狭線幅波長可変レーザとして、近年のデータセンタやアクセスネットワークの高機能化・省電力化に向けて検討されているデジタルコヒーレント技術を適用した高速光スイッチングへの適用が期待される。
狭線幅半導体レーザ光源はコヒーレント光通信やFMCW LiDARなどの光計測分野において不可欠となっている。我々はスペクトル線幅の狭窄化と光源サイズの小型化を両立するため、周波数弁別器を用いた光負帰還法に基づく狭線幅半導体レーザ光源を提案し、これまでにFabry-Perot (FP)型やリング型の光フィルタを周波数弁別器として用いた場合のスペクトル線幅狭窄効果について報告してきた。本研究では、FP型光フィルタを用いた光負帰還狭線幅半導体レーザの広帯域FMノイズ特性を遅延自己ホモダイン型コヒーレント検波法によって評価し、半導体レーザの有する変調感度特性との関係を明らかにした。
We have proposed a semiconductor membrane DR laser as a light source for on-chip optical wiring to solve the LSI performance limitation problems. The membrane DR laser has a short cavity structure to realize a low power consumption. However, a short cavity length caused a high thermal resistance which limits the high temperature operation of membrane DR laser. In this study, the effect of thermal shunt structure to reduce the heat generation of active region was investigated by 3D finite element method (FEM). With the thermal shunt structure, the heat from active region can be spread to the Si substrate.
小型かつ低位相雑音な狭線幅半導体レーザの実現に向けて、モニタ導波路への光パワー遷移率を低減させた反射型Siリングフィルタを設計した。計算の結果、本設計の反射型Siリングフィルタを光負帰還法に用いた場合、従来設計の反射型Siリングフィルタと比較してリング導波路内の光損失の低減による電界反射係数勾配を増大可能であり、利得の改善を見込めることを確認できた。また、フリーラン時と比較しておよそ1/1000の発振スペクトル線幅に狭窄化可能であることを確認し、光負帰還法による線幅低減効果の向上が期待できることを報告する。
9月18日 9:30〜11:30 Meeting 16 座長 谷澤 健(玉川大)
[次世代光通信/情報処理(1)]
C-3/4-32 |
(依頼講演30分)タイムインターリーブ変調器を用いた光送信器帯域拡張技術
○山崎裕史・中村政則・郷 隆司・橋本俊和・宮本 裕(NTT) |
C-3/4-33 |
テラヘルツ帯ナイキストWDM通信の特性制限要因に関する検討
○瀧口浩一・西尾 望(立命館大) |
C-3/4-34 |
2キャリア間のアンド演算を用いた無線通信信号の暗号化の検討
◎山内健太・山本留央・車 明(九大)・伊藤 弘(北里大)・石橋忠夫(NTTエレクトロニクステクノ)・加藤和利(九大) |
基幹系デジタルコヒーレント光通信ネットワークにおいて、波長チャネル当たりデータレートをさらに増加させるべく、光送信器の帯域を拡張する技術が注目を集めている。複数のDACからのアナログ出力を時間或いは周波数インターリーブすることで、各DACのアナログ帯域を大きく超える広帯域信号を生成できる。これまでに、アナログ電気領域および光領域のそれぞれにおいて、時間および周波数インターリーブによる帯域拡張が報告されてきた。本依頼講演では、このうち筆者らが最近提案・実証した光領域での時間インターリーブによる帯域拡張技術について報告する。
テラヘルツ帯ナイキストWDM通信(2 x 40 Gbit/s)の特性劣化の主要因は、UTC-PDの出力リプル、受信信号が完全なナイキストパルスとなっていないために生じる符号間干渉であることを実験的に明らかにしたので、報告する。
5G(第五世代移動通信システム)の開始やIoT化の進展に伴い、6G(ポスト5G)に向けて無線通信においては、その高セキュリティ化が重要な課題である。無線通信方式は、物理レイヤである伝送路がオープンであるため、上位レイヤでの様々な暗号化の研究が行われている。これまで我々は高周波電波の特性を利用した二キャリアのアンド演算による物理レイヤでの暗号化手法を考案し、疑似的に光キャリアでその動作原理を実証している。今回300GHz帯無線キャリアを用いて動作原理実証実験を行った。実験結果から、二信号のホモダイン検波によりアンド演算を実現できることが確認できた。
休 憩(10:45 再開) 座長 岩井克全(仙台高専)
[次世代光通信/情報処理(2)]
C-3/4-35 |
(依頼講演30分)PPLN導波路を用いた広帯域高レベルスクィーズド光生成
◎柏﨑貴大(NTT)・髙梨直人・山嶋大地(東大)・風間拓志・圓佛晃次・笠原亮一・梅木毅伺(NTT)・古澤 明(東大) |
C-3/4-36 |
搬送波抑圧変調光の位相制御を用いたRF信号の位相シフト法
○高橋 浩(上智大) |
直交位相振幅スクィーズド光は連続量光量子情報処理において重要なリソースであり,量子もつれ状態の生成等に用いられる.近年,光学的遅延干渉系を用いて時間領域に多重化された大規模な量子もつれ状態が実証されており,これを用いた一方向量子計算が大規模・万能・高速量子計算可能であるとして期待が高まっている。将来この技術を光集積チップ上で実現するためには広帯域かつ高レベルな連続波スクィーズド光が必要となる。今回、我々の光パラメトリック増幅器により広帯域かつ6デシベルを超えるスクィージングに成功した。また、最近取り組んでいるファイバピグテール型スクィージングデバイスに関しても紹介する。
無線信号を光ファイバを用いて伝送するRoF伝送方式において、光電変換前に光の位相を光回路で制御することにより、光電変換後の無線信号の位相をシフトする方法について、実験的に検証を行った。その際、一般的な両側波帯変調ではなく、搬送波抑圧変調を用いることにより、無線振幅の変動なしで、所望の位相シフトが得られる。熱光学効果を用いた薄膜ヒータ型の光位相シフタに印加する直流電力と、得られた無線信号の位相シフトは比例し、直流電力調整により簡単かつ連続的に28GHz帯の無線信号の位相を制御できることを実験的に明らかにした。
9月18日 13:00〜17:00 Meeting 16 座長 望月敬太(三菱電機)
[光集積(1)]
C-3/4-37 |
(依頼講演30分)光DAC送信器の実現に向けたシリコン光変調器の高速動作
◎蘇武洋平・田中信介・田中 有・秋山祐一・星田剛司(富士通) |
C-3/4-38 |
異種材料集積シリコン光集積回路と光変調器応用
○竹中 充(東大) |
C-3/4-39 |
Si Mach-Zehnder変調器とInGaAsP半導体光増幅器のSi基板上集積
○相原卓磨・開 達郎・藤井拓郎・武田浩司・土澤 泰・硴塚孝明・福田 浩・松尾慎治(NTT) |
C-3/4-40 |
CMOSプロセスを利用したSi導波路型反射率可変ミラーの作製と評価
◎槇原 豊・Eissa Moataz・御手洗拓矢・雨宮智宏・西山伸彦・庄司雄哉(東工大)・鈴木恵治郎・鴻池遼太郎・岡野 誠・池田和浩(産総研)・水本哲弥(東工大) |
光変調器を駆動する電気DACや大振幅のリニアドライバは、アナログ帯域、リニアリティ、消費電力の観点で限界を迎えつつある。当グループでは、これらの限界を打破する技術として光DACアーキテクチャを研究している。本報告では、光DAC送信器の実現に向けた開発動向として、集中定数駆動におけるシリコンPIN-RC変調器の高速動作と、セグメント変調器の光DAC動作の原理検証および高速動作の実証について報告する。
シリコン光集積回路の大きな課題の一つは、高効率・低損失光変調器の実現である。この問題を解決するため、異種材料集積シリコン光変調器の研究に取り組んできた。SiGe混晶に歪みを印加することでホールの有効質量が軽くなる。これにより歪みSiGe中で自由キャリア効果が増大することを実証した。また、電子有効質量が軽いInGaAsPをSi導波路上に貼り合わせたハイブリッドMOS構造を用いることで、InGaAsP MOS界面に蓄積した電子による光位相変調に成功し、変調効率の向上と光損失の低減を両立可能な光変調器を実現した。本講演では異種材料集積によるシリコン光変調器に加えて、それを応用したプログラマブル光回路による深層学習に関する研究取り組みも紹介する。
インターネットトラフィックの増大に伴い、光送受信器の大容量化および小型、低コスト化が求められている。この要求に対し、光回路のSi基板上大規模集積化が期待されている。これまでに、Siを用いた光デバイスが実現し、それらを用いた光送受信器が実用化されてきた。しかし、Siは間接遷移型半導体であり、高効率なレーザおよび半導体光増幅器(SOA)のSi基板上集積が困難とされてきた。
この課題に対し、化合物半導体のSi基板上ヘテロジニアス集積が重要である。本研究では、Siフォトニクスファブで作製したSi光回路上に薄膜のInGaAsP-SOAをヘテロジニアス集積した。集積したSOAにより、Mach-Zehnder変調器の損失補償、および32 Gbit/sのアイ開口を達成したので報告する。
大規模集積が可能なシリコンフォトニクスによる光FPGA(Field Programmable Gate Arrays)といった汎用的な光集積回路が注目されている。我々は、レーザ・光増幅器を含むプログラマブル光集積回路の実現を目指しているが、これまでに機能可変のできる光素子として、レーザの反射率可変による特性変更を実現することを目的としてマッハツエンダー干渉計とループミラーを用いた反射率可変ミラーを報告してきた。今回はCMOSプロセスを用いて反射率可変ミラーを作製し、評価したのでご報告する。
休 憩(14:30 再開) 座長 北 智洋(早大)
[光集積(2)]
C-3/4-41 |
(依頼講演30分)光集積フェーズドアレイによる単一ピクセルイメージング
○種村拓夫・福井太一郎・河野佑亮・小松憲人・中野義昭(東大) |
C-3/4-42 |
高消光比多モード干渉計型電界吸収光変調器の小型化
○兼坂悠平・荒川太郎(横浜国大) |
C-3/4-43 |
シリコンフォトニクス光コム集積回路実現に向けたリング共振器内コム広帯域化の検討
◎山下孝史・植之原裕行(東工大) |
C-3/4-44 |
多スタート局所探索法を用いた多重直列結合マイクロリング波長フィルタの設計
◎宇田川悠大・荒川太郎(横浜国大) |
多数の光位相シフタをアレイ状に集積した光フェーズドアレイ(OPA: optical phased array)は,機械式ミラーを用いずに高速なイメージングを実現する技術として注目を集めている.著者らは,OPAから出力されるスペックルパターンを照射光として用いる単一ピクセルイメージング手法を検討し,シリコン集積素子を用いた実証を進めてきた.従来手法と異なり,光位相の精密なキャリブレーションを必要としないだけでなく,多モード光ファイバを通すことで空間分解能が向上することを見い出した.本講演では,その基本構成と原理を概説し,最新の成果を紹介する.
近年, 光通信デバイスを構成する一つである光変調器の高性能化が求められている. 今後, 多値変調等の高度な通信技術が多く行われる場合, 送受信する情報の正確性が損なうことを防ぐためにデバイスの高消光比化, また高集積化のための小型化が必要とされる. 本研究では, 光変調器の一つである電界型吸収型光変調器(EAM)と, 導波路内に高次モードを励起させる多モード干渉(MMI)素子を組み合わせた多モード干渉計型電界吸収光変調器(MMI-EAM)の小型化について検討した. 先行研究においてMMI-EAMの設計が行われ高消光比化が実現できたが, デバイス長が152 µmと従来のEAMと同程度でありその大きさが課題となっていた. 本稿では電極の配置など構造を変更することでMMI-EAMの小型化を行ったので報告する.
光コム技術は、近年、様々な分野での応用が見込まれている。
本研究では、光コムを光デフラグメンテーション用の四光波混合ポンプ光源として活用することを考え、1GHz以下の周波数の安定性、10GHz程度の狭い周波数間隔、小型の構成を目標とする。その実現のため、マッハツェンダー変調器(MZM)により厳密周波数の光コムを生成し、それをリング共振器に入力することで四光波混合の効果でコムの広帯域化を行い、周波数の高精度化と帯域幅の拡大の両立を目指している。今回、リング共振器におけるコム拡張測定とその条件に関する数値解析の検討を行ったので報告する。
光波長フィルタはフォトニックネットワークにおけるキーデバイスの一つであり,特に,高次直列結合マイクロリング共振器フィルタは構造が比較的小型で設計性に優れる. 一般的にリング次数が高次になると設計パラメータが増え,設計が複雑になる.高次直列結合マイクロリングフィルタの設計法としてディジタルフィルタ設計手法も提案されているが,汎用性が十分とはいえず,その設計法はまだ確立されていない.
そこで本研究では,フィルタ設計への機械学習の適用を試みた.光デバイス設計における機械学習の適用の例としてはフォトニック結晶デバイス設計があるが,マイクロリングフィルタ設計へ適用された例はない.本研究ではその設計を機械学習に適用できるような数理モデルを定義し,多スタート局所探索法により設計を行ったのでそれを報告する.
休 憩(16:00 再開) 座長 小野英輝(OKI)
[光集積(3)]
C-3/4-45 |
Proposal of PLC 6-mode-selective Photonic Lantern Mode Multiplexer
◎Han Wang・Yusuke Sawada・Takeshi Fujisawa(Hokkaido Univ.)・Taiji Sakamoto・Takashi Matsui・Kazuhide Nakajima(NTT)・Kunimasa Saitoh(Hokkaido Univ.) |
C-3/4-46 |
スラブ型光導波路内ハーフミラーのFDTD解析と反射率測定
◎上島誠司・丸山武男(金沢大) |
C-3/4-47 |
シリコンリング共振器を用いた位相シフタとパワーディバイダの試作評価
◎佐藤孝憲(北大)・榎原 晃(兵庫県立大) |
C-3/4-48 |
標準CMOS互換SiN-Si導波路型ファイバ結合器
○前神有里子・岡野 誠・叢 光偉・鈴木恵治郎・大野守史・成島利弘・横山信幸・関 三好・大塚 実・並木 周・山田浩治(産総研) |
In order to increase the transmission capacity of optical fiber, a mode-division multiplexing (MDM) technology has received attention in recent years. Photonic lantern, which was originally used to connect multi-mode fiber and multiple single-mode fibers for astronomical instruments, has been extensively studied as a structure of mode multiplexer for MDM transmission. In this study, we propose a 6-mode-selective photonic lantern mode multiplexer based on PLC, which can realize LP01, LP11a, LP11b, LP21a, E31 and E13 six-mode multiplexing with high selectivity. Then, we use the beam propagation method (BPM) to calculate and verify its performance.
我々はスラブ導波路上にテーパや曲率ミラーなど様々なものを設計し、解析及び測定を行ってきた。以前の発表でハーフミラーの解析結果のみについて発表を行ったので、今回は解析結果と計測結果を比較して考察する。解析結果によると反射光と透過光の比が等しくなるとき、TEモードとTMモードそれぞれのハーフミラーの厚さは110nmと140nmであった。測定結果はTEモードTMモードともに80nmであった。この差について我々はハーフミラーの製作過程において、ハーフミラーの厚さが想定よりも厚くなってしまったためだと考えている。
近年,ムーアの法則の限界を超える1つの突破口として,光・量子演算に注目が集まっており,これまでに全加算回路や行列積演算回路といったデバイスが提案されている.しかし,光回路は電子回路に比べて素子サイズが大きく,スケーラビリティの改善が不可欠であった.そこで我々はこれまで,リング共振器を用いた位相シフタ・パワーディバイダを提案してきた.今回,CMOS互換プロセスによるシリコンリング共振器の試作評価を行った.シリコンリング共振器が位相シフタおよびパワーディバイダとして動作することを確認したので報告する.
Siフォトニクスにおいて、Si導波路と外部との接続で用いる光ファイバとの光結合は重要な課題である。本研究では、細いSiN導波路とSi逆テーパ導波路で構成されたファイバ結合器を、これまでの設計に基づき、標準CMOS互換プロセスにより作製した。その結果、このファイバ結合器の結合特性は、Cバンド帯域において、モードフィールド径4.1 umの高NAファイバに対し、TEモードで<0.4 dB/facet、TMモードで<0.8 dB/facetと低損失で、<0.5 dBと低偏波依存を実現した。そして、本構造は広い設計マージン、プロセスマージンを担保しつつ、低損失・低偏波依存なファイバ結合を実証した。
C-5. 機構デバイス
9月17日 13:00〜13:45 Meeting 28 座長 萓野良樹(電通大)
C-5-1 |
交流遮断時のアーク放電への周囲気体の圧力と電流の影響
○吉田 清・澤 孝一郎(日本工大) |
C-5-2 |
48VDC/10A-300A回路の遮断時に発生する開離時アークの継続時間と消弧時の接点間隙の開離速度依存性
◎矢崎晴子・関川純哉(静岡大) |
C-5-3 |
製造メーカの異なるコネクタの相互接続時に生ずる接触境界部の高周波特性の基礎評価
◎上田浩行・藤本大介・キム ヨンウ(奈良先端大)・北澤太基・春日貴志(長野高専)・林 優一(奈良先端大) |
電磁コンタクタをクリーンエア(大気中)と水素中で開離時アーク放電を発生させ、アーク継続時間ta,アークエネルギーEa,アーク消滅電流および接触抵抗Rc等を測定した。電源電圧はAC100V、50Hzの商用電源を使用した。閉成時電流Ioは10,30Aとして、気体圧力を0.5,1,3気圧に設定を行い、クリーンエア(Air)と水素の封入気体がアークの諸特性に与える影響を比較・検討した。その結果、クリーンエア中では、Ioの変化によるアーク継続時間taに変化がないことを確認した。一方、水素中では気圧が高い3気圧の方がtaは短くなった。アーク消滅電流はクリーンエアと水素中では、大きく異なった。
48VDC/10A-300Aの抵抗性負荷回路において,開離時アークを発生させた.開離速度を0.05~0.5m/sの範囲で変化させた場合の,開離時アークの継続時間と消弧時の接点間隙について調査し次の結果を得た.各電流I₀ごとに,開離速度vが速いほど開離時アークの継続時間Dは短かった.回路電流I₀が100A以下の場合は,接点間隙dはvによらずほぼ一定であった. I₀が200Aの場合,vが0.1m/s以上の場合はdはほぼ一定であったが,vが0.05m/sの場合はdは他のvの場合と比べて短かった.I₀が300Aの場合,vが0.2m/s以上の場合はdはほぼ一定であるが,vが0.05m/s及び0.1m/sの場合はdは他のvの場合と比べて短くなった.I₀が200A以下の場合,I0が大きいほどdは長かった.I₀が300Aの場合,I₀が200Aの場合よりもdは短かった.
情報機器の相互接続が行われる際、コネクタ部は異なるメーカの部品が相互に接続されるケースがある。過去の検討において、僅かなトルクの変化や、経年劣化によりコネクタの接触境界部において僅かな不整合が生ずることで不要放射が発生し、周囲の電磁環境を劣化させる可能性が指摘されている。そのため、異なるメーカの接触部品の相互接続においても同様の問題が発生する可能性がある。本稿では基礎的な検討として、高周波化が進むUSBコネクタに着目し、TDRによるインピーダンス計測により、同一規格のコネクタであってもメーカ異なるコネクタを相互接続することで接触境界部の電気特性が変化することを示した。
C-6. 電子部品・材料
9月17日 13:00〜14:30 Meeting 27 座長 佐藤 勝(北見工大)
C-6-1 |
Cu(111)配向制御のための極薄バリヤの構造評価
○武山真弓・佐藤 勝(北見工大)・安田光伸(東レリサーチセンター) |
C-6-2 |
反応性スパッタ堆積された高抵抗相ZrNx膜の特性
○佐藤 勝・向井高幸・武山真弓(北見工大) |
C-6-3 |
IoTを活用したセンシングシステムによるメロンの水耕栽培
◎天野渓太・佐藤 勝・武山真弓(北見工大) |
C-6-4 |
非単結晶基板上GaNナノ柱状結晶へのMgドープとフォトルミネセンス特性
◎谷口真悟・齋藤 宇・薛 後耀・齋藤 翼・佐藤祐一(秋田大) |
C-6-5 |
各種半導体ベースのアレイセンサによる昼夜におけるLED信号機の着雪モニタリングの検討
◎三浦佑太・川崎浩輝・王 宇軒・齋藤 翼・佐藤祐一(秋田大) |
C-6-6 |
細線同軸コネクタの電磁界解析
○福嶋隆広(拓殖大/第一精工)・和泉峻介・前山利幸(拓殖大) |
Cu111)配向は、エレクトロマイグレーション耐性に優れていることから、集積回路の多層配線においては、切望されているものの、実際にはそのような下地材料は選択性に乏しく、かつ比較的厚い膜が必要とされる。さらに、Cu配線には通常拡散バリヤが用いられるが、先の下地材料にはCu拡散を抑制することが難しいため、Cu(111)配向を得るためには、下地材料と拡散バリヤの2層構造が必要とされている。我々は、5nmの拡散バリヤを使用し、Cu(111)配向と優れた熱的安定性という相反する要請の両方を満足することができた。さらに、これまで困難とされてきた5nmのバリヤの構造解析に初めて成功したので、その結果を報告する。
集積回路の分野では、これまでの2次元的な配置のみならず、2.5Dや3Dなど様々なプロセスが検討されているが、それらのプロセスに見合った材料開発を行うことが望まれている。これまで我々は、低抵抗なZrN膜をCu配線の拡散バリヤとして適用し、その有用性を実証してきたが、ZrNx膜には高抵抗相があり、その作り分けにも成功したので、本研究では、絶縁性を示すZrNx膜の特性及びCu配線の拡散バリヤ特性等について報告する。
メロンの露地栽培では, 大きく甘いメロンを育成する為に一つの株から2つだけに絞って生育している. しかし,植物工場を想定して水耕栽培にすると, 原理的にはたくさんのメロンを季節を問わず通年栽培することが可能となる. そこで我々は, 4年前から先駆けて水耕栽培によるメロン作りの基礎データを取得, 分析することを目指し, 研究室内で実証実験している. 本研究では, メロンの水耕栽培を通して, 水耕メロンの特徴及びデータ取得に関する有用な知見が得られたので報告する.
GaN系結晶の成長に多く使われている基板はサファイア等であり,それにより得られているのは点発光型のLEDである。この方式で面光源型デバイスとするためには導光板を使うか大量の LED チップが必要となってくる。そのため,安価で大面積化が可能な基板上への形成が待望される。これまで我々は各種非単結晶基板上にGaN系ナノ柱状結晶の成長を行ってきた。本研究では非単結晶基板上に成長したGaNナノ柱状結晶へのMgドーピングについてフォトルミネセンス特性の評価により検討した。その結果,Mgアクセプタ準位に関する発光が確認され,有効にMgがドープされていること,およびMg供給量を多くすると発光ピークが長波長側にシフトする傾向が確認された。
近年,道路情報表示器や信号機などのLED化が進んでいるが,LEDの発熱量は小さいため,着雪により視認性が損なわれる事例が寒冷地で散見される。信号機への着雪は点灯,消灯時および昼夜に関わらず生じるが,本研究では各種半導体ベースのアレイセンサによる,様々な条件下での着雪状況のモニタリングについて検討した。使用したアレイセンサは,サーモパイルアレイ,ボロメータアレイ,および近赤外対応のC-MOSイメージセンサである。これらによる昼夜および点灯・消灯時の画像の取得を試みることで,各種センサの着雪認識に対する適性を検討した。いずれの手法においても,周囲の環境によらずに,着雪状況の検出が可能であることを確認できた。
近年、5G(第5世代移動通信システム)の影響により伝送信号がさらに高速化しています。[1]そのため伝送信号に悪影響を与えるインピーダンス不整合が今まで以上に問題となります。これは電気コネクタやケーブルなどの電子部品による物理的な不連続点の発生が原因の1つです。本報告では実在する製品を例にインピーダンス不整合の影響を電磁界解析から明らかにする。
C-7. 磁気記録・情報ストレージ
9月16日 13:20〜13:50 Meeting 22 座長 田河育也(東北工大)
C-7-1 |
MAMRによる多層記録シミュレータの一検討
◎高松慧介・仲村泰明・西川まどか(愛媛大)・金井 靖(新潟工科大)・岡本好弘(愛媛大) |
C-7-2 |
トラック間干渉を考慮したニューラルネットワークLLR調整器の一検討
○西川まどか・仲村泰明(愛媛大)・金井 靖(新潟工科大)・大沢 寿・岡本好弘(愛媛大) |
HDD(hard disk drive)の更なる記録密度向上のため, 記録ヘッドが出力する記録磁界に加え, STO(spin torqe oscillator)が発振する高周波磁界によって磁性粒子の磁化方向に歳差運動を促し, より高い保磁力を有する記録媒体に対して記録を可能とするマイクロ波アシスト磁気記録(MAMR: microwave assisted magnetic recording)が注目されている. さらに, MAMRを用いて複数の記録層を有する多層ディスクに対して選択的に記録を行う方法が提案されている. そこで本検討では, 2層からなる記録媒体に対してMAMRを用いて記録を行い, 上層と下層の記録状態を比較検討する.
先に我々は, SMR(shingled magnetic recording)におけるLDPC(low-density parity-check)符号化・繰返し復号化方式において,APP(a posteriori probability)復号器で算出されるLLR(log-likelihood ratio)を同一トラック内の磁化反転情報を用いて調整しSP(sum-product)復号器に提供することにより, 効果的な繰返し復号を実現できることを示した. 本稿では, 隣接トラックのLLRから得られる磁化反転情報もニューラルネットワークLLR調整器に提供し, ISI(inter-symbol interference)だけでなくITI(inter-track interference)の影響の低減について検討する.
C-8. 超伝導エレクトロニクス
9月17日 9:00〜11:15 Meeting 30 座長 田中雅光(名大)
C-8-1 |
特殊ケースにおける2層チャネル配線アルゴリズムの開発
◎山田剛久・Christopher L. Ayala・齋藤蕗生・田中智之・吉川信行(横浜国大) |
C-8-2 |
断熱量子磁束パラメトロン回路を用いたFPGAの設計
◎高橋大地・大熊幸寛・竹内尚輝・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
C-8-3 |
AQFP回路のためのN-Phase Clockingに関する研究
◎齋藤蕗生・Christopher L. Ayala・Olivia Chen・田中智之・吉川信行(横浜国大) |
C-8-4 |
チャネル配線の寄生インダクタンス最適化による断熱量子磁束パラメトロン回路の小型化
◎△田中智之・Christopher L. Ayala・吉川信行(横浜国大) |
我々は,超伝導集積論理回路の一つである断熱量子磁束パラメトロン(Adiabatic Quantum Flux Parametron : AQFP)について研究を行っている。AQFP論理回路には素子の向きや信号線の配線長の限界など配置制約により集積度が低いのが問題である。その問題を解消するために配置配線アルゴリズムを考える必要がある。現在、研究で扱っているMIT-LL SFQ5ee ProcessによるAQFP(MIT-LL AQFP)では、2層のチャネル配線が可能である。更に配線同士のオーバーラップが可能である。そのMIT-LL AQFPが特殊な配置の際に適した配線アルゴリズムの開発を行った。
超伝導集積回路は半導体による集積回路と比べ動作速度や低消費電力性に優れる。中でも、断熱量子磁束パラメトロン(AQFP)回路は、CMOSと比べ数桁低い低消費電力性を持つ。我々はAQFP回路を用いることで、低消費電力なField Programmable Gate Array (FPGA)を構築することを目的として研究を行っている。我々はこれまでに、AQFP回路とCMOSメモリを組み合わせたAQFP/CMOS hybrid FPGAの設計及び動作実証を行った。しかし、高集積度なCMOSメモリを用いても双方の回路を接続するためのPADの面積が大きいという問題や、双方の回路を接続する配線が非常に煩雑になってしまう問題がある。そこで今回は、メモリにもAQFPを用いることで、AQFP回路のみによるFPGAの設計を行った。
現在広く利用されているCMOS論理回路は集積性に優れている一方、発熱や微細加工の技術の限界によって性能をスケールさせることが困難になってきている。そこで我々は、CMOSと比較して5桁程度低い極低消費電力で動作可能なことが特徴の断熱磁束量子パラメトロン(Adiabatic Quantum Flux Parametron, AQFP)回路と呼ばれる超伝導論理回路についての研究を行っている。
AQFP回路のbenchmark回路の素子内訳を確認すると、bufferが回路素子全体の90%以上を占めることがあり、論理演算に関わらない信号伝搬のためだけのゲートが多すぎることが問題視されていた。
本研究ではN-phase clockingと呼ばれる新しいバイアス駆動方式について検討し、これによってbufferの数が大きく削減可能であることを示す。
近年の情報化社会は、半導体集積回路が牽引してきたが、さらなる性能向上を満たすことが難しくなっており、CMOSに代わる集積回路技術が必要である。
そこで、我々は断熱量子磁束パラメトロン (AQFP) 回路に注目し、研究を行っている。AQFP回路は、CMOS回路に比べ、6桁程度の低い消費電力で動作し、5~10 GHz 程度で駆動できる。AQFPを用いることで、低環境負荷で高速な計算器を構築できる。
AQFP回路の小型化のために、オフセットバッファが提案された。これを用いることで、AND, ORゲートが小型化出来る。オフセットゲートの演算は、電流の合流によって行われており、左右の入力電流の大きさを揃える必要がある。そこで、チャネル配線アルゴリズムの一つであるGlitterを用いて、寄生インダクタンスの値を自動的に調整し、回路の小型化を行うことを検討した。
休 憩(10:15 再開) 座長 山田隆宏(産総研)
C-8-5 |
断熱量子磁束パラメトロン回路のゲート間配線における反射特性の評価
◎△浅井和人・竹内尚輝・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
C-8-6 |
電流増幅のためのAQFP boosterの性能評価
◎水島直哉・竹内尚輝・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
C-8-7 |
量子磁束パラメトロンによる相互結合型回路の動作点最適化手法の検討
○三宅航平・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
C-8-8 |
高帯域データ読み出しレートJosephson-CMOSハイブリッドアキュームレータの設計及び評価
◎弘中祐樹・吉川信行(横浜国大) |
我々は超伝導集積回路の一つである断熱量子磁束パラメトン (adiabatic quantum-flux-parametron; AQFP) 回路の研究を行っている。AQFP回路は静的な消費電力がなく、スイッチングの際にエネルギーポテンシャルを断熱的に変化させることで動的な消費電力を劇的に減少させることが可能である。したがって、CMOS回路と比較すると5 - 6桁程度低い消費電力で5 - 10 GHzの高速動作が可能である。
我々は、AQFP回路を用いた大規模回路設計を目指している。そこでより正確なディジタルシミュレーションモデルを考えるにあたりAQFP回路の配線間遅延を考慮する必要性がある。そのため、AQFP回路の配線として伝送線路モデルを用いた場合の影響を検討している。
今回は、AQFP回路の配線として伝送線路を用いた場合の動作シミュレーションを行い、信号に対する反射波の振幅の評価を行った。
半導体に代わる新たなデバイスとして、超伝導集積回路が注目されている。我々はその中の一つである断熱量子磁束パラメトロン(AQFP: Adiabatic Quantum Flux Parametron) 回路の研究を行っている。AQFP回路の特長として、5~10GHzの高速動作、CMOSより5~6桁低い消費電力が挙げられる。
AQFP集積回路の現状の課題として集積度が低いことが挙げられる。AQFP回路は数十uAという微小電流によって動作する回路であり、配線長やファンナウト数の増加によって電流が減少すると、熱雑音の影響を受けやすくなる。そのため、回路の正常動作のために配線長とファンナウト数が制限を受けるのである。我々は許容配線長およびファンナウト数を増やすための2種類のboosterを考案した。今回は、両回路を用いた際の許容配線長と消費電力をシミュレーションによって計算し評価した。
量子アニーリングは,組み合わせ最適化問題をより高速に解く手法として注目されている.組み合わせ最適化問題の典型的な例として,イジング模型の基底状態も求める問題が挙げられる.この問題を従来のノイマン型コンピュータで解こうとすると組み合わせ爆発などの問題が生じるため,有効な時間で解を求めることは困難である.そこで注目されているのが量子アニーリングという手法であり,本手法では相互作用を持つ系が時間の経過とともにエネルギー的に安定な状態へと遷移することで解が求まる.
我々は,超伝導回路の 1 つである量子磁束パラメトロン(QFP: Quantum Flux Parametron)を用いて相互作用型ネットワークを構成し,熱雑音を印加することで数値解析により確率的な状態遷移を評価した.さらに,イジング模型に基づいて設計した理論値と実際の回路パラメータの対応付け方法についても検討した.
本研究ではJosephson-CMOSハイブリッドメモリにおける高帯域読み出し動作の実証に向け、シーケンシャルアクセスを行うCMOSメモリ及びSFQアキュームレータの設計を行った。64-kb CMOSメモリはシフトレジスタ (SR)デコーダによってシーケンシャルアクセスを行う方式となっており、SFQ回路と共通となる高速外部クロック信号によって逐次読み出しを行う。SFQアキュームレータはCMOSメモリからの2×16-b出力信号をパラレル-シリアル変換し、オンチップのクロックジェネレータ (CG)によってビットシリアル積算を行う。本回路は動作周波数1 GHzでのメモリ読み出し動作を目標に設計された。
9月17日 13:00〜15:15 Meeting 30 座長 竹内尚輝(横浜国大)
C-8-9 |
多輝線同時観測分光観測装置に用いる超伝導DB-BPFの開発
◎林 拓磨・關谷尚人(山梨大)・中島 拓・小瀬垣貴彦(名大) |
C-8-10 |
フィードバックループを含む単一磁束量子回路の高周波設計に向けたカウンターフロー方式シフトレジスタのタイミング解析
○長岡一起・加島亮太・田中雅光・山下太郎・藤巻 朗(名大) |
C-8-11 |
単一磁束量子回路に基づく並列処理データパスの64GHz動作実証
◎加島亮太・長岡一起・田中雅光・山下太郎・藤巻 朗(名大) |
C-8-12 |
低消費電力単一磁束量子回路における論理ゲートのタイミングパラメータ解析
◎国吉真波・長岡一起・田中雅光・山下太郎・藤巻 朗(名大) |
名古屋大学では複数の分子スペクトルの同時観測が可能な分光観測装置の開発が行われている.従来の分光観測装置では観測帯域ごとに帯域通過フィルタ(BPF)を必要とするため,信号経路を分岐させていた.しかし,分岐には分波器や結合器等を必要とし,装置構成の複雑化による特性の悪化が懸念されていた.そこで我々は帯域ごとに必要だったBPFを低損失と急峻な遮断特性を両立し,尚且つ一つの素子で二つの通過帯域を有する超伝導デュアルバンド帯域通過フィルタ(DB-BPF)に置き換えることで簡易な分光観測装置を実現した.超伝導DB-BPFを組み込んだ分光装置は実験において良好な特性を示したため,2020年度からの南極昭和基地での観測に向けた準備が進められている.
フィードバックループを含む回路の高周波設計に向けてカウンターフロークロッキングを用いたシフトレジスタのタイミング解析を行った。解析の結果、50 GHzにおいて、7.7 psまでクロック遅延を挿入できることが分かった。
高速動作性と低消費電力性に優れる単一磁束量子(SFQ)回路を用いて設計された並列処理データパスの評価を行った。この回路では、SFQ回路においてスループットを最大限に発揮できるゲートレベルパイプライン構造を用いており、パイプラインステージを増加させることでフィードバックループを伴う回路におけるタイミング制約を克服した。作製されたチップを測定したところ、50 GHzにおいて十分な動作マージンが得られ、最大で64 GHzの動作が実証された。
単一磁束量子(SFQ)回路の消費電力は、バイアス電流供給に伴う静的な消費電力がその大部分を占めていることから、ジョセフソン接合の臨界電流値(Ic)や駆動電圧(Vb)を下げることが消費電力削減のための効果的な手法である。しかしこれらは熱雑音の影響を増加させ、回路の安定性や高速動作性に影響を与える。そこで我々はSFQ回路を低消費電力化した際のセットアップタイムやホールドタイムなどのタイミングパラメータの変化をシミュレーションにより解析した。シミュレーションの条件などから、Icを下げる場合もVbを下げる場合も、タイミングパラメータのばらつきの変化の仕方は同じような結果になると予想されたが、シミュレーションの結果はIcを下げた時よりもVbを下げた時の方がばらつきの値が大きくなった。
休 憩(14:15 再開) 座長 宮嶋茂之(NICT)
C-8-13 |
10kA/cm2プロセスを用いたDouble-SQUID分布型RSFQアンプの動作検証
◎瀬賀直功・山崎洸生・曽明裕太・島田 宏・水柿義直(電通大) |
C-8-14 |
高臨界電流密度ジョセフソン集積回路プロセスにおける受動伝送線路特性の調査
◎池戸駿介・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
C-8-15 |
単一磁束量子回路における超伝導受動伝送線路のビア構造の伝搬特性の調査
◎淳 月桐・鈴木秀雄・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
C-8-16 |
単一磁束量子を用いたFPGAの実装に向けたシフトレジスタデータリンクの設計
◎和田洋明・吉川信行・山梨裕希(横浜国大) |
Rapid single-flux-quantum(RSFQ)回路のディジタル出力信号を増幅し出力する回路として、
SFQ をストレージするRSFFと、電圧読み出しのSQUIDを組み合わせた基本セルが多段接続されている
分布型アンプ(Distributed Amplifier,DA)がある。
本研究では、10kA/cm2の臨界電流密度NbプロセスにおいてDSDAの回路を改めて最適化した。
12段DSDAを作製し測定を行った結果、21.4mVの電圧振幅を得られ、臨界電流密度の上昇による性能向上が確認された
近年の増加し続ける情報化社会に対処するために、消費電力が半導体集積回路に比べ2~3桁低く、高速性においても数十GHzでの高速動作が可能である単一磁束量子 (Single Flux Quantum : SFQ) 回路が注目されている。
SFQ回路の長距離配線には受動伝送線路Passive Transmission Line (PTL) が用いられる。回路面積を削減し、大規模回路設計の柔軟性を向上させるために、我々の研究では、PTLの配線幅の縮小化を目指している。高臨界電流密度ジョセフソン集積回路プロセスにおいて回路シミュレーションを行い、ドライバ、レシーバのMc Cumber parameter βc等の回路パラメータの最適化により、動作マージンの拡大検討を行った。
現在の情報処理の中心に使われている半導体集積回路は、微細化技術の限界や発熱量、消費電力の増大等の問題があり、半導体集積回路に代わる新たなデバイスとして、単一磁束量子回路が注目されている。SFQ回路は数十GHzでの動作が可能であり、消費電力が半導体回路に比べ3桁程度低く動作することが特徴である。SFQ回路の高速動作において超伝導多層構造を用いたPTL(PTL: Passive Transmission Line)は配線自由度の向上という点において重要である。ビア構造から等価回路を抽出し、ビア構造の周波数特性、多段ビア構造の特性についてシミュレーションによる調査を行った。
現在FPGAは主に半導体集積回路を用いて作られている。その半導体集積回路に代わる新たなデバイスとして高速動作性、低消費電力性が特徴である単一磁束量子回路(Single Flux Quantum : SFQ) が存在する。我々はこのSFQ回路を用いてFPGAを作成する研究を行っている。その中でもSFQ回路の高速伝搬性を生かすことができるシフトレジスタに注目している。我々は従来のFPGAのSwitch box,Connection Blockの代わりにシフトレジスタを用いてLogic Blockに入出力を行うハイスループットのデータリンクの検討をしている。本研究では新たなFPGAのアーキテクチャの提案に向けて、SFQシフトレジスタを用いて、2bitLUT(Look Up Table)に入出力を行う回路の設計、シミュレーションによる検証を行った。
C-9. 電子ディスプレイ
9月15日 13:00〜14:00 Meeting 30 座長 木村 睦(龍谷大)
C-9-1 |
準マクスウェル視を用いたフォーカスフリー拡張現実システム(Ⅲ)
○服部励治(九大) |
C-9-2 |
二次元LEDアレイを用いた高精細POVディスプレイ
○此本光駿・服部励治(九大) |
C-9-3 |
凹レンズ効果を用いたリバースモード素子の開発に関する研究
◎伊藤耀希・山口留美子(秋田大) |
C-9-4 |
ツイステッドネマチック液晶素子におけるUVシャッター特性
◎原野翔太・山口留美子(秋田大) |
我々は今までにコリメート光を用い幅広い眼球回転許容角を持つフォーカスフリーの持に拡張現実(AR:Augmented Reality)を提案してきた.今回の報告では,レーザー光を用いた検証実験システムで得られたAR像の広い眼球回転許容角について検討結果を述べる.
我々は、透明パッシブマトリックス駆動有機ELダイオード(PMOLED)の開発を行ってきたが、その一つの応用方法としてPOVディスプレイ(Persistence-of-Vision Display)を提案した[1]。これは透明PMOLEDを空中ディスプレイに用いることで、静止・回転時の映像背景の透過度を向上させ映像があたかも空中に浮いているように見える表示装置を目指すものである。その前段階として、透明PMOLEDの代わりにピクセル配置がひし形の二次元LEDアレイを用いた。
今回は、二次元LEDアレイを用いることで縦方向の高精細化、パラレル送信を用いることで横方向も高精細化を実現したことを示す。
リバースモード素子において、p型液晶を用いた場合、凸レンズ効果と高分子分散の二つの散乱原理を組み合わせることで散乱強度が向上することが報告されている。本研究では、n型液晶を用いて、凹レンズ効果と高分子分散の組み合わせ素子を作製した。凹レンズ効果のみの散乱による素子には、セル厚の違いによって高電圧印加時に透過率が増加していく素子と減少していく素子があり、凸レンズ効果による散乱では見られなかった特性が得られた。また、p型素子においては散乱機構を組み合わせることで駆動電圧がわずかに増加していたが、n型の組み合わせ素子では駆動電圧を増加させずに散乱強度の向上が得られ、凹レンズ効果の光散乱が効果的に働いていることが示された。
近年,UV光のみを偏光するUV偏光板や,一定方向のUV光を吸収し発光するUV偏光発光フィルムが開発され,ツイステッドネマチック(TN)液晶素子と組み合わせることにより,UV励起による透明ディスプレイが提案されている。TN素子は,UV光の偏光状態を制御するためのものであるが,用いる液晶材料のUV領域での屈折率異方性の値は,これまでほとんど報告がない。加えて,可視光領域ではほとんど吸収のないネマチック液晶においても,UV領域では吸収があり,さらには吸収異方性が生じている。そこで,本研究では,UV吸収の異なる二つの液晶を用いたTN素子を作製し,電気光学特性を測定し,UV領域での屈折率異方性と吸収異方性を明らかにするため,理論計算とのフィッティングを行った。
C-10. 電子デバイス
9月15日 10:30〜11:30 Meeting 27 座長 堤 卓也(NTT)
C-10-1 |
多電極人工視覚のための慢性刺激回路の検討
◎森 康登・長谷川 諒(奈良先端大)・鐘堂健三・寺澤靖雄(ニデック)・竹原浩成・春田牧人(奈良先端大)・田代洋行(九大)・笹川清隆・太田 淳(奈良先端大) |
C-10-2 |
Development of Implantable Retinal Device with CMOS Smart Electrodes in Honeycomb Matrix
○Kuang Chih Tso・Yuki Fukunari(Nara Inst. of Sci. and Tech.)・Yasuo Terasawa・Takurou Kouno(NIDEK)・Hironari Takehara・Makito Haruta(Nara Inst. of Sci. and Tech.)・Hiroyuki Tashiro(Kyushu Univ.)・Kiyotaka Sasagawa・Jun Ohta(Nara Inst. of Sci. and Tech.) |
C-10-3 |
各種帰還増幅回路のAPIを用いた性能比較
◎一澤春希・大川典男(都立産技高専) |
C-10-4 |
Terahertz Imaging Using Coherent Resonant Tunneling Diode Receiver
◎Li Yi・Ryoko Mizuno・Ryohei Kaname・Atsushi Oshiro・Shuya Iwamatsu・Tomoki Sagisaka(Osaka Univ.)・Yosuke Nishida(ROHM)・Masayuki Fujita・Tadao Nagatsuma(Osaka Univ.) |
網膜疾患の患者に対し、埋植デバイスを用いて網膜を電気刺激することで視覚を再建する人工視覚は、一部で実用化が始まっている。刺激点数の向上のため、刺激電極ユニット自体にCMOSチップを搭載したスマート電極デバイスを開発する。これにより、少配線での多電極構造が実現される。人工視覚デバイスのような埋植デバイスでは、破損時の生体への安全性の担保が必要となる。本研究では、安全性向上のため埋植デバイスをカップリングコンデンサでグラウンド分離しコンデンサ越しにAC給電を行う。埋植デバイスの連続した刺激動作を実現するための手法を検討した。また、提案方式を実現するための回路設計を行った。
Recently, an implantable artificial vision device has been developed that practically restores vision to a patient who has lost vision due to the retinal degeneration such as age-related macular degeneration (AMD). The implantable device could deliver an electrical stimulation through the bio-electrodes to achieve a vision recovery. Among various visual remedies, the suprachoroidal-transretinal stimulation (STS) method of implanting electrodes on the choroid has been attractively considered as a highly safe stimulation method, and clinical implantation is much easier to operate [1, 2]. Moreover, the human eyeball is curve and soft so that the implantable device has to be designed in flexible and bendable architecture which is compatible for nature of retina tissue [3]. Therefore, we have been devoted to fabricating the flexible device by using the STS method [4].
2段構成の電流-電流形帰還増幅回路および、電流-電圧形帰還増幅回路の性能評価に、増幅回路の帯域、利得、消費電力を一元的に評価する性能指標APIを適用した。回路パラメータの内、電源電圧VDDと負荷抵抗RLを連動させてマルチステップに変更することで、トランジスタの動作点を固定しながら回路シミュレーションを行い、支援プログラムを用いて各動作点でAPIが最も大きくなる回路パラメータを求めた。それぞれの帰還増幅回路のVDDに対するAPIの値を比較することで、電流-電流形帰還増幅回路は電流-電圧形帰還増幅回路に比べて、API最大値が13%大きいことが分かった。また、電流-電圧形帰還増幅回路はAPI最大となった点からVDDの値を少し下げると急激にAPIが低下することから回路パラメータ変動をより抑える必要がある。
We deployed a self-oscillating RTD mixer as coherent detector in a demonstration of terahertz imaging. Detector sensitivity is found to be highest in the center of the RTD oscillator’s lock range, at 325 GHz. And the SNR is 20 dB higher than those outside the oscillating frequency in imaging applications. Compact and sensitive detectors of this sort are expected to be of great benefit for integrated THz imaging and sensing systems.
C-12. 集積回路
9月15日 10:00〜11:30 Meeting 23 座長 宮地幸祐(信州大)
C-12-1 |
Temperature-Compensated Active Phase Shifter for 28GHz Phased-Array Transceiver
○Yi Zhang・Jian Pang・Atsushi Shirane・Kenichi Okada(Tokyo Tech) |
C-12-2 |
A High Accuracy Phase and Amplitude Detection Circuit for Calibration of 28GHz Phased Array Beamformer System
○Alvin Joshua・Jian Pang・Atsushi Shirane・Kenichi Okada(Tokyo Tech) |
C-12-3 |
A High-Resolution Compact 39GHz Switch-Type Phase Shifter for 5G New Radio
◎Xiaofan Gu・Jian Pang・Xueting Luo・Atsushi Shirane・Kenichi Okada(Tokyo Tech) |
C-12-4 |
An Adjacent-Channel-Interference Tolerant Receiver for Ka-Band Satellite Communication
○YUN WANG・Dongwon You・Xi Fu・Takeshi Nakamura・Ashbir Aviat Fadila・Teruki Someya・Atsuhiro Kawaguchi・Atsushi Shirane・Kenichi Okada(Tokyo Tech) |
C-12-5 |
Millimeter-wave CMOS High-linearity Transmitter for Satellite Communication System
◎XI FU・Yun Wang・Dongwon You・Takeshi Nakamura・Ashbir A. Fadila・Teruki Someya・Atsuhiro Kawaguchi・Jian Pang・Kiyoshi Yanagisawa・Bangan Liu・Yuncheng Zhang・Haosheng Zhang・Rui Wu・Atsushi Shirane・Kenichi Okada(Tokyo Tech) |
C-12-6 |
A CMOS Ka-Band SATCOM Dual-Channel Receiver with Low-NF and Wide Dynamic Range
◎DONGWON YOU・YUN WANG・XI FU・Takeshi Nakamura・ATSUHIRO KAWAGUCHI・ATSUSHI SHIRANE・KENICHI OKADA(Tokyo Tech) |
A temperature compensated biasing circuit for phased-array TRX is proposed. For a single path in phased-array TRX with active phase shifter, the phase errors from -40°C to 80°C at usual output phases are less than 2°, and the gain variation is also less than 1dB.
This paper presents high-accuracy phase and amplitude detec-tion circuit for the calibration of 5G millimeter-wave phased array beamformer systems. The phase and amplitude detection circuit, which is implemented in 65nm CMOS process can real-ize phase and amplitude detections with RMS phase error of 0.1 degree and RMS gain error of 0.15 dB, respectively. The total power consumption of the circuit is 88mW.
In 5G communication, the implementation of phased array system makes it possible to realize over 10Gbps data-transmission speed with extremely low latency. However, to minimize the beam pointing error and sidelobe, phase shifter with high phase resolution is highly demanded in phased array system. In this work, a switch-type phase shifter(STPS), which aims at providing high phase resolution, good PVT reliability with compact chip area is presented.
In this paper, an dual-RX adjacent channel interference (ACI) cancellation scheme is proposed to further enhance the RX dynamic range. A prototype of SATCOM transceiver is fabricated in a 65-nm CMOS process.
This paper presents the first Ka-band satellite communication (SATCOM) transmitter in standard CMOS technology. The proposed Ka-band SATCOM trasmitter is based on direct-conversion architecture, which is designed for a earth ground platform communicating with Geostationary (GEO) and low Earth orbit (LEO) satellites. Under 1.05 V supply voltage, the transmitter achieves a P SAT of 19 dBm and an average output power of 10.6 dBm with 2 % EVM and 42.9 dB ACPR.
This paper presents wide dynamic range RX with low NF and high linearity for ground segment in satellite communication. The proposed RX employs dual signal path to double data transmission. And to realize it, low noise design and several variable gain blocks are utilized.
9月15日 13:00〜15:45 Meeting 23 座長 野口宏一朗(三菱電機)
C-12-7 |
集積パワーマネジメント回路の展望:パワーエレクトロニクス向けデジタルゲートドライバIC
○高宮 真(東大) |
C-12-8 |
静電振動発電用耐プロセス温度変動完全集積化シャント・レギュレータの設計
○石田遥祐・丹沢 徹(静岡大) |
C-12-9 |
バッテリー・熱電素子直列接続型電力変換回路システムのバッテリー長寿命化コンセプトの実証
◎酒本陽介・丹沢 徹(静岡大) |
C-12-10 |
オフセット電圧調整によるエナジーハーベスト向けブーストコンバータの効率改善
◎小川航平・吉村 勉・木原崇雄(阪工大) |
C-12-11 |
抵抗圧縮回路を用いたデュアルバンドエネルギーハーベストの検討
◎平出佑弥・深谷京冴・辻 大輝・前多 正(芝浦工大) |
C-12-12 |
差動型CMOS整流回路のアンテナ整合に関する考察
◎秋池菜々子・折笠達哉・前多 正(芝浦工大) |
IC回路設計技術を駆使して、高効率に電力変換を行い高品質な電圧を供給する「集積パワーマネジメント回路」の研究例として、パワーエレクトロニクス向けデジタルゲートドライバICを紹介する。
小型IoT用LSIへの給電手段として、環境エネルギーから電力を取り出すエネルギーハーベスティングという技術に近年注目が集まっている。本論文では振動発電の1つである静電振動発電素子から電力を変換する回路システムを提案する。静電振動発電は振幅数10Vの交流電圧を発生させる。先の研究では標準3V CMOSプロセスでも信頼性上の問題が生じない降圧回路を提案した。しかしこの回路は温度とプロセスばらつきにより出力電力が最大±35%ほど変動してしまった。そこで今回新たに1V CMOSプロセスによるシャントレギュレータを提案した。SPICEシミュレーションにより、提案回路が出力電圧のプロセス温度変動を±5%に抑えられることを示した。
近年エネルギー・ハーベスティング技術が注目されている。この電力を用いてICを駆動する研究が行われている。エナジーハーベスター(EH)をバッテリーと同時に用いることで電力供給の安定を可能にし、バッテリーの消費電力も抑制することができる。バッテリーとEH直列接続型電力変換回路システムのコンセプトを市販のコンバーターを用いて実証した。さらに、EHとバッテリーを用いた回路についてコンバーターによりバッテリーがどれだけ長寿命化できるかを調べた。各ノード電圧を保持したまま各抵抗を増加させて各電流を減少させていくことが出来る限り低電力下でも長寿命化を実現できる。
電源システムに必要な昇圧回路、発振回路についてシミュレーションによる検討を行い、システム全体の性能向上を目指した。トランスオシレータを用いることによって超低電圧でのクロック信号を実現し、5段チャージポンプの出力をバッファ回路の電源として用いることでクロック信号のパルス化、立ち下がり時間の短縮によるブーストコンバータの高性能化を目指した。更に、バッファ回路のオフセット電圧を調整し、入力電圧に応じて最適な効率で出力することを目指した。結果として、入力電圧が50mVのとき、回路全体の効率が41.2%。入力電圧が100mVのとき、回路全体の効率が47.9%となった。
地デジ(500MHz帯)及び無線LAN(2.4GHz帯)のデュアルバンド環境電波エネルギーハーベストを検討した。半波二倍圧整流回路と、デュアルバンド抵抗圧縮ネットワーク(RCN:Resistance Compression Network)を用いた整合回路の構成において、約5倍の周波数差を同時に整合するための設計に関して調査した結果について述べる。
微弱な環境電波エネルギーを高効率に回収できる差動型CMOS整流回路[1]のアンテナ整合調整に関して、地デジ電波を対象に500MHz帯での整合シミュレーションを行ったので報告する。
休 憩(14:45 再開) 座長 兼本大輔(阪大)
C-12-13 |
2系統の伝送線路を用いた半導体サーキュレータのシミュレーション
◎工藤千碩・折笠晃也・前多 正(芝浦工大) |
C-12-14 |
n-pathフィルタを用いたサーキュレータ特性の経路数依存解析
◎古幡壮太朗・齊藤 輝・奥野 葵・前多 正(芝浦工大) |
C-12-15 |
誘導結合を用いた分布型差動増幅回路の省面積化
◎△川原啓輔・楳田洋太郎・高野恭弥(東京理科大) |
C-12-16 |
MOSFETの弱反転領域で動作する高周波増幅器の検討
◎宮﨑和哉・森下賢幸・小椋清孝・伊藤信之(岡山県立大) |
2系統の3/4λ伝送線路とジャイレータ用いたCMOSサーキュレータは、ハンドリングパワーが大きく魅力的である。今回、ジャイレータ内部の伝送線路を集中定数回路で小型実装するために、lattice-π型セルを用いる素子数低減効果に関してシミュレーションを行ったので、報告する。
3/4λ伝送線路とn-pathフィルタを用いたサーキュレータ(n-pathサーキュレータ)は, 小型実装可能で魅力的であるが, これまではn-pathフィルタの経路数が少ない場合のサーキュレータ性能の解析式がなく, 回路シミュレーションを用いた試行錯誤の設計を行っていた. 今回, n-pathサーキュレータのジャイレータに損失があり, アンテナインピーダンスの整合が取れていない場合の解析式を導出し, 回路シミュレータで検証を行ったので報告する.
分布型増幅回路は光通信などの広帯域が要求されるアプリケーションで用いられている.このようなアプリケーションではダイナミック・レンジや耐雑音性能に優れた差動伝送が用いられることが多い.しかし差動構成の分布型増幅回路は多数のインダクタを集積化する必要があるため専有面積が大きくなり,経済性に劣る.そこで本研究では差動対のインダクタを逆極性に誘導結合させることにより省面積を実現する手法を提案する.提案回路と比較用の従来回路を0.18μm CMOSプロセスを用いて設計し,電磁界解析と回路シミュレーションにより性能を評価した.
本研究ではLPWAに対応する低消費電力高周波増幅器の検討を行った.低消費電力回路を実現するためには高いgm/IDSが必要であり,弱反転領域におけるgm/IDSの値は強反転領域に比べ大きいため,有用であるが,gmの値は低いためゲート幅を増大させる必要がある.そうすることによりCgsは増加してしまうが,整合回路のゲートインダクタンスは低下させることができ,その寄生抵抗も低減することができるため,NFの改善が見込める.設計した増幅器のコア回路にはカスコード回路を用い,入力整合回路はISD回路とした.シミュレーション結果は,VDD=1.0 V,IDS=3.0 mAにおいて,920 MHz帯で,S21は15.4 dB,NFは2.95 dBとなった.なお,使用したプロセスは,ローム社0.18umCMOSプロセスである.
9月16日 9:00〜11:30 Meeting 23 座長 渡邊大輔(アドバンテスト)
C-12-17 |
3D ICの検査容易化設計における遅延故障検査用ダイ選択回路の開発
○△牧野紘史・四柳浩之・橋爪正樹(徳島大) |
C-12-18 |
電荷注入量によるCMOS IC内断線の実験による検出可能性調査
○出口祥大・松本悠汰・四柳浩之・橋爪正樹(徳島大)・Shyue-Kung Lu(台湾科技大) |
C-12-19 |
電流テストによるダイ間断線検出のためのpMOSのオン抵抗値を用いた断線抵抗値の推定
○奥本裕也・橋爪正樹・四柳浩之(徳島大)・Shyue-Kung Lu(台湾科技大)・曽根田伴奈(徳島大) |
C-12-20 |
アナログ素子で構成する弛緩発振器によるCMOS IC内温度測定
◎△大寺佑都・硲 文弥・伊喜利勇貴・四柳浩之・橋爪正樹(徳島大)・Shyue-Kung Lu(台湾科技大) |
ICの高集積化に伴い、新たな高集積化法として3次元積層IC(3D IC)が注目されている。TSV(Through-Silicon-Via)を用いた3D ICはTSVの製造時に発生した欠陥による微小遅延故障が問題となっている。そこで、本研究室では、TDC(Time-to-Digital-Converter)組込み型バウンダリスキャン(TDCBS)を用いたTSVの検査が行われている。しかし、積層されるダイの増加に伴い、検査時のTDCBSのモード設定時間も増加してしまう。そこで本論文では、TSVの検査時に必要なダイのみにモード設定を行うために、モード設定信号の伝搬経路に改良を加え、TDCBSのモード設定時間の削減を行った。
CMOS IC内の回路規模増大に伴い,コア回路内の論理ゲート間配線に発生した断線の発見が困難となっている.過去に論理IC に直流電源から電源電圧を供給するかわりにIC内部に組み込んだ電荷供給回路内のコンデンサから繰り返し電荷をコア回路に注入し,その注入量の異常でその断線を検出する検査法が提案されている.本稿では,その検査を可能にする検査回路を内蔵させたインバータチェイン回路をコア回路とするICを試作し,実験によりその断線の発見が可能か調査している.その実験により,電荷注入量によるCMOS IC内断線検出の可能性が明らかになったことが示されている.
TSVを用いて積層された3次元積層IC内のダイ間配線は,検査プローブによる電気テストが困難であるため,我々は過去にダイ間配線に出荷後に発生した抵抗断線を電流テストで検出するための断線の抵抗値の推定法を提案した.我々はその推定法の精度を上げるため,検査時に流れるその電流経路上のpMOSのソース・ドレイン間のオン抵抗を用いて推定する方法を開発し,抵抗値推定能力調査を行った.その結果,抵抗断線は挿入した抵抗値によらず約13[%]の誤差率で推定できることが明らかになり,過去の推定法よりも低抵抗の抵抗断線が発見することが可能である.
ICの信頼性は温度の影響を受けるため、ICの長寿命化のためには温度測定が必要不可欠であり、様々なIC内組込型温度センサが提案されている。その多くは論理ゲートで構成したリングオシレータが利用されている。我々は過去に、論理ゲートを用いた弛緩発振器によるIC内組込型温度センサを提案し、温度測定が可能であることを明らかにしている。本稿では、その発振器をアナログ素子のみで構成し、それを用いた温度センサで温度測定可能か回路シミュレーションで調査している。そのシミュレーション結果は、線形回帰分析を利用し弛緩発振器の発振周波数からIC内の温度推定が可能であることを示している。
休 憩(10:15 再開) 座長 兼本大輔(阪大)
C-12-21 |
異なるタイミングの位相情報を用いたTime to Digital Converterの試作結果
○森野芳昭・津留正臣(三菱電機) |
C-12-22 |
Multiplied ΔΣTDCにおけるDynamic Element Matching特性の検討
○嘉藤貴博・安田 彰(法政大) |
C-12-23 |
オンチップ擾乱検知に向けたSAR ADC搭載ICチップの評価
◎弘原海拓也・三木拓司・永田 真(神戸大) |
C-12-24 |
高エネルギー効率のピクセル近傍2次元CNNアクセラレータの提案
○王 叡智・高宮 真(東大) |
C-12-25 |
16スピン全結合型フル機能イジングモデル回路の小型FPGA実装
◎山本 薫・柯 夢南・河原尊之(東京理科大) |
TDC(Time to Digital Converter)は2つの信号の入力時間差をデジタル値として出力する回路であり,時間差情報を利用する距離計測などに用いられる.一般的には固定遅延量をもつインバータを縦続接続し,遅延時間を利用してスタート信号とストップ信号の時間差を出力する.従来TDCの分解能はインバータの遅延時間(τ)に基づいて決定されるため,高分解能を得るためにはトランジスタのゲート長の短い最先端プロセスを用いる必要があった.ここでは,ゲート長に制限されずにTDCの分解能を高くすることを目的に提案した回路構成の試作結果について報告する.提案したTDCはスタート/ストップ信号が入力されたタイミングと3/2τ遅延したタイミングのインバータの位相情報を利用することで分解能を1/2τと高分解能化でき,トランジスタのゲート長を緩和できる効果を確認した.
従来から,Phase Lock Loop(PLL)のリファレンスリークの対策として,PLL前段にDelay Lock Loop(DLL)のような帰還回路を置き,リフレンスクロックの周波数向上をする手段がある.DLLで逓倍エッジを生成し,エッジコンバイナで逓倍する手法では,DLLを構成する遅延器の製造ばらつきで,スプリアスが発生する問題がある.本発表では,既報のMultiplied ΔΣTime to Digital Converter(Multiplied ΔΣTDC)[1]内にあるDynamic Element Matching(DEM)を改善して,スプリアスの低減をSimulinkで検討した.
近年, IoT(Internet of Things)デバイスの普及によりハードウェアへの攻撃による情報漏洩や改竄が多数報告されており, より一層セキュリティ面の向上が急務である. また, IoT機器があらゆる場所で使用されることによって, 全てのデバイスを物理的に守ることが困難となり, 攻撃者による干渉が可能となっている. よって, ハードウェア内部において高精度かつリアルタイムで検知できることが重要である. 本稿では65 nm逐次比較型AD変換器(SAR ADC)を用いた試作チップを作成し, チップ内部の波形をリアルタイムで取得した. また, オンチップ擾乱検知のための環境を構築し, リアルタイム擾乱検知手法を検討した.
CNNの低エネルギー化を目的としたピクセル近傍2次元CNNアクセラレータ回路を提案し、回路シミュレーションにて動作確認を行った。今後、チップの試作と測定を行う予定である。
イジングモデルとシミュレーテッド・アニーリング法を用いて,組み合わせ最適化問題の近似解を効率的に導出する半導体アニーリングマシンの研究が盛んに行われている.本稿においては,すべてのスピン間での相互作用を考慮した全結合型イジングモデルを、intel MAX10 FPGAと呼ばれる小型で安価なFPGAに搭載した.今回の実装では、スピン、相互作用、外場を内部に持ち、加えてエネルギー計算、温度計算、擬似乱数計算も内部で行い、初期値を与えるだけでアニーリングを自己完結させるフル機能アニーリングマシンとして実装を行った.更にテストベンチとして4都市TSPを解き、その近似解を求めた.
C-13. 有機エレクトロニクス
9月17日 9:45〜11:30 Meeting 25 座長 梶井博武(阪大)
C-13-1 |
光第2次高調波発生(SHG)法による摩擦発電層(PMDA-ODA)の双極子と電荷の面内角度依存性の測定2
○田口 大・間中孝彰・岩本光正(東工大) |
C-13-2 |
Light-Induced Self-Written Waveguide Using Soft Material
◎Ziqiao Ni・Hidetaka Terasawa・Okihiro Sugihara(Utsunomiya Univ.) |
C-13-3 |
非線形光学ポリマーのシュタルク効果による高精度・広帯域テラヘルツ波検出
○山田俊樹・梶 貴博・山田千由美・大友 明(NICT) |
環境にやさしいトライボ発電の研究開発が加速している。関連するIEC標準が昨年7月に公開された[1]。しかし、材料表面の摩擦発電のミクロ起源(電荷移動と双極子)と発電の関係は十分に明確化されているとはいえない。我々は、電界誘起光第2次高調波発生(SHG)測定の波長選択性により、トライボ発電層のミクロ起源を特定する光学的静電気測定法として確立した[2,3]。電荷変位と双極子配向の面内角度依存性を測定して電荷と双極子の選択性を確実なものとしたので報告する。
We have demonstrated that a flexible light-induced self-written (LISW) waveguide can be fabricated at a wavelength of 853 nm using soft material. A straight LISW optical waveguide with similar core size to that of the input graded-index plastic optical fiber (GI-POF) has been actualized successfully. The optical interconnection between two GI-POFs has also been demonstrated.
本研究では非線形光学ポリマーのシュタルク効果を利用した新規なテラヘルツ波検出方法について報告する。従来のテルル化亜鉛結晶を用いた電気光学サンプリング法との比較を行い、検出のための光学系の違い、テラヘルツ電場波形、検出のバンド幅についても議論を行う。
休 憩(10:45 再開) 座長 田口 大(東工大)
C-13-4 |
CsSnI3ペロブスカイトの酸化における混合物の影響
○嘉治寿彦・角田智亮・林 和輝・中村翔大郎・石橋浩伸(東京農工大) |
C-13-5 |
電気泳動堆積法により作製される樹脂-セラミックス複合膜による超撥水表面形成
○青木裕介(三重大) |
C-13-6 |
2ステップ法による混合溶媒を利用したPbI2を利用した有機ペロブスカイト活性膜の作製
○森 竜雄・大川大貴・清家善之(愛知工業大) |
非鉛系のペロブスカイト結晶の安定化や耐久性の向上を検討するため、CsSnI3のCs2SnI6への酸化過程において、CsSnI3のXサイトにヨウ素の代わりに硫黄Sを混合するために空気中で安定な硫化スズ(SnS)を混合した場合と、AサイトにCsの代わりに比較的熱安定な有機アミンであるグアニジン(G)を混合した場合の、CsSnI3のCs2SnI6への酸化に対する影響を検討した。その結果、CsSnI3のXへのSとAへのG、どちらの混合でも、混晶の形成やCs2SnI6への酸化の抑制はない一方で、 ペロブスカイト構造の形成の促進、ないしは安定化による、可視光吸収の向上と劣化の抑制効果は確認された。
電気泳動堆積により形成される堆積複合膜は,絶縁性,耐熱性,放熱性,応力緩和性に優れたものとなる。さらに,電気泳動堆積条件によって,堆積膜の構造制御が可能となる。本報告では,超撥水表面の形成について紹介する。
2ステップ法で作製する有機鉛ペロブスカイト膜の前駆体である酸化鉛(PbI2)を作製する溶媒に、ジメチルホルムアミド(DMF)とジメチルスルホキシド(DMSO)の混合溶媒を利用した。DMSOの混合量が増えると、PbI2の膜厚が減少すると共に平滑性が向上する。このPbI2膜をヨウ化メチルアミン(MAI)を利用してペロブスカイト化すると、前駆体のPbI2膜厚に依存した膜厚となるが、DMSOの混合量が多いほど膜厚変化量は大きかった。これはDMSOを利用するとMAIの拡散が容易となるPbI2膜質となっていることが示唆される。
C-14. マイクロ波・ミリ波フォトニクス
9月15日 13:00〜15:45 Meeting 28 座長 相葉孝充(矢崎総業)
C-14-1 |
FRPMパイプラインのマイクロ波非破壊検査のためのアレイアンテナの近傍界ビーム解析
○松川沙弥果(産総研)・吉田光佑(三重大)・奥田忠弘・硲 昌也(クリモト)・黒川 悟(産総研)・村田博司(三重大) |
C-14-2 |
5G無線のための28GHz帯アンテナ電極電気光学変調器の高速データ伝送特性
◎横橋裕斗(三重大)・松川沙弥果(産総研)・佐藤正博・鬼澤正俊(精工技研)・黒川 悟(産総研)・村田博司(三重大) |
C-14-3 |
広帯域動作のテラヘルツ帯表面電磁波共振器
○四方潤一・岩川優也(日大)・時実 悠(徳島大)・大野誠吾(東北大)・南出泰亜(理研) |
C-14-4 |
共鳴トンネルダイオードを用いたリング型差動発振器の放射パターンの特性評価
○岩松秀弥(阪大)・西田陽亮(ローム)・冨士田誠之・永妻忠夫(阪大) |
C-14-5 |
THz自己相関計を用いたテラヘルツパルス列観測
◎一山昂平・山本留央・加藤和利(九大) |
地中埋設FRPM管を非破壊で効率よく検査・診断する技術が求められており,我々はFRPMが1-10 GHzの周波数範囲で比較的低損失な誘電体であることに着目し,FRPM管の管壁に沿って伝搬するマイクロ波導波モードを利用した新しい検査方法を提案している.本研究では,FRPM管の非破壊検査に適したビームフォーミング技術を開発するための第一歩として,FRPMスラブ型誘電体導波路内に設置したアレイアンテナの近傍界領域におけるビーム解析を行い,非破壊検査への応用を検討したので報告する.
ミリ波を用いた第5世代(5G)無線通信システムは大きな注目を集めている.ミリ波は自由空間伝搬やケーブル伝搬において伝搬損失が大きいため,無線信号を光信号に変換して伝搬するRadio Over Fiber (RoF) 技術が有用である.これまでに,我々は無線信号を直接光信号に変換するアンテナ電極電気光学変調器を用いた無線データリンクの開発を進めてきた.アンテナ電極光変調器はパッシブ無線-光信号変換素子である.また,低擾乱な光電界センサ・プローブとしても有用であり,5G無線向けのアンテナ精密測定への応用も期待できる.
今回,異なる素子数(1~4素子)のアレイアンテナ電極電気光学変調器を作製して,それらの詳細な評価とデータ伝送実験を行ったので報告する.
テラヘルツ(THz)帯の表面プラズモン共振器であるbull’s eye(BE)構造は回折限界を超える微細THz波ビームを生成するため,高解像THzイメージングやTHz集積回路等の応用が期待されている.このデバイスは微細孔の周囲に付された円形回折格子の周期によって動作波長が決まるため,従来の単一周期構造では単一波長の動作となる.今回,回折格子に多周期を取入れた構造設計を行い,有限要素解析を行った.その結果,2周期を導入した単体のTHz-BEでは偏波切替により,動作波長のスイッチングが起こることを見出した.さらに対数周期構造を検討し,単体で数THzに及ぶ超広帯域の動作を見出した.
近年,Beyond 5Gに向けて,テラヘルツ無線通信の研究開発が盛んに行われている.我々は,テラヘルツデバイスの小型集積化に向け,共鳴トンネルダイオード(Resonant Tunneling Diode: RTD)に注目し,30 Gbit/sのエラーフリー無線伝送を報告してきた.一方,RTD送信器の出力増大に向けて,2つのRTDを有するリング型差動発振器を提案し,その基本的な動作と無線通信実験を報告してきた.今回は無線デバイスとして重要な本発振器のアンテナとしての動作に着目し,放射パターンに関して評価を行ったので報告する.
我々は100Gbit/sを超える超高速無線通信へのアプローチとして高繰り返しテラヘルツパルス波を無線通信に適応することを検討している。これまでにテラヘルツパルス波の生成源として高繰り返し光パルス列の生成及び観測を報告している。光パルス列は光周波数コムから抜き出した等しい周波数間隔の複数光波を合波することによって生成される。本稿では、光パルス列を高速フォトダイオードで光電変換することによるテラヘルツパルス波の生成およびTHz自己相関計による観測結果を報告する。
休 憩(14:30 再開) 座長 戸田裕之(同志社大)
C-14-6 |
(依頼講演)光コムを用いたヘテロダインミキシングによるテラヘルツ帯周波数計測
○諸橋 功(NICT)・杉山卓也(横浜国大)・小川 洋(NICT)・片山郁文(横浜国大)・関根徳彦・笠松章史・寳迫 巌(NICT) |
C-14-7 |
300GHz帯平面アレーアンテナを用いた32Gbit/s無線通信
◎綾野史也・十市敬太(阪大)・Adrian Gomez-Torrent・Joachim Oberhammer(KTH Royal Inst. of Tech.)・戸村 崇・広川二郎(東工大)・永妻忠夫(阪大) |
C-14-8 |
フェルミレベル制御バリアダイオード検出器を用いた300GHz帯無線伝送
◎十市敬太・綾野史也・易 利(阪大)・藤原正満・飯山法子・可児淳一(NTT)・伊藤 弘(北里大)・永妻忠夫(阪大) |
C-14-9 |
フォトニック結晶を用いた600GHz帯ダイプレクサと無線通信応用
◎柴田紀彦・上村悠太・東本大樹・易 利・冨士田誠之・永妻忠夫(阪大) |
C-14-10 |
光技術を用いた600GHz帯ヘテロダイン検波システム
◎上村悠太・東本大樹・易 利・永妻忠夫(阪大) |
本研究は,光コムを用いた電気光学(EO)サンプリング検出による広帯域電場検出法の開発を目的としている.本稿では,アクティブモード同期半導体レーザ(MLLD)を用いたテラヘルツ帯周波数計測ついて述べる.
近年,Beyond 5Gや6Gといった次世代無線通信の議論において,テラヘルツ波の積極的な利用が検討されている. これまで我々はシリコンMEMSに基づく加工技術により平面アレーアンテナを作製し, OOK変調による通信速度として,300GHz帯で最高25 Gbit/s(FECリミット)を報告している.今回,プロセス技術の改良によって新たに開発した広帯域平面アレ-アンテナを用い,32 Gbit/sの通信速度を達成したので報告する.
近年,無線通信の高速化に対するニーズを背景に,テラヘルツ波 (THz) を用いた無線通信の研究開発が盛んになされている.最近のTHz受信技術として,フェルミレベル制御バリアダイオード (Fermi-level Managed Barrier Diode : FMBD) と呼ばれる検波素子が提案されており,高感度性に加えて,ミキサとして用いた場合に,低いLO電力で駆動できることが特徴である.
本報告では,新たに開発された導波管入力型FMBDモジュールを基本波ミキサとして用い,300 GHz帯コヒーレント検波方式による無線伝送実験を行ったので報告する.
近年, Beyond 5Gや6Gなどを代表する無線通信の高速化のニーズを背景に, テラヘルツ波を用いた無線通信の研究開発が盛んに行われており,300 GHz帯において数十 Gbit/sを超える無線伝送が可能となっている. 我々は, さらなる高速化に向けて, 100 GHz以上の広い帯域が得られる600 GHz帯の研究を行っている.
この600 GHz帯の広帯域性を活かし, 複数の情報を同時に送信する手法として, 周波数多重通信が有望である. 今回, 周波数多重通信の要となるダイプレクサを, フォトニック結晶導波路技術を用いて設計, 試作し, 無線通信への適用を行ったので報告する.
近年, 超高速無線通信 (100 Gbit/s超)に対するニーズが高まる中, テラヘルツ (THz)通信に注目が集まっている. 現在300 GHz帯内外の利用が活発であるが, 我々は次のフェーズとして, より広い帯域が確保可能な 600 GHz帯の開拓を進めている. これまで600 GHz帯ヘテロダイン検波システムでは, IF信号をショットキーバリアダイオードで直接検波して情報信号を復調していたが, IF周波数信号のリークによりSNRが悪化し, 通信速度が3 Gbit/sに制限されていた. 今回, 300 GHz帯ヘテロダイン検波システムの光出力化のために検討された手法を, 600 GHz帯ヘテロダイン検波システムに導入することにより, 上記のリークの問題を解決し11.5 Gbit/sのエラーフリー通信に成功した.
C-15. エレクトロニクスシミュレーション
9月18日 9:00〜11:45 Meeting 23 座長 萓野良樹(電通大)
C-15-1 |
ポテンシャルを用いた電磁界時間応答解析―分散性媒質を考慮した場合 ―
○東 貴範・岸本誠也・大貫進一郎(日大) |
C-15-2 |
円柱状微小レーザの指向性に関する検討―マルチモード発振による放射パターン制御―
◎三島拓馬・岸本誠也・大貫進一郎(日大) |
C-15-3 |
物理光学近似法とFILT法による過渡電磁界解析の基礎検討
岸本誠也・◎荒瀬健太・大貫進一郎(日大) |
C-15-4 |
磁気センシングに向けた表面プラズモン共鳴―周期構造における高次回折光の影響評価―
◎柴垣裕紀・田丸幸寛・呉 迪・岸本誠也・芦澤好人・中川活二・大貫進一郎(日大) |
C-15-5 |
微小金円柱の断面形状変化に対するプラズモン伝搬解析
○安藤雄喜・呉 迪(日大)・山口隆志(都産技研)・岸本誠也・大貫進一郎(日大) |
分散性媒質を取り扱う時間領域の電磁界解析では,電界,磁界を逐次計算により求めるAuxiliary Differential Equation Finite-Difference Time-Domain(ADE-FDTD)法などが利用される.
本報告では,ポテンシャル表示の観点から,ベクトルポテンシャル("A" )とスカラポテンシャル("Φ" )を用いた電磁界解析を行う.分散性媒質に対して,"A-Φ" を逐次計算により求める提案法と従来法(ADE-FDTD)との結果を比較することで,界の妥当性について検証する.
Whispering Gallery Modeを利用するレーザは非常に高いQ値を有し,低閾値なレーザ発振が可能である.しかし,このレーザ発振器の放射パターンはWhispering Gallery Modeの分布に基づき,無指向性の放射パターンとなる.そこで,放射光に対して指向性を与えることでビームステアリングデバイスやスイッチング素子等への応用が検討されている.本報告では円柱状微小レーザ発振器の指向性制御に向けて,複数の共振波長で同時にレーザ発振を行うマルチモード発振による放射パターン制御について検討を行う.
本報告では,物理光学近似(PO : Physical Optics)法と数値逆ラプラス変換法(FILT : Fast Inverse Laplace Transform)を併用した過渡電磁界解析の基礎検討を行う.POにより求まる散乱体表面の電流密度を複素周波数領域にて定義する.これを放射面積分することで得られる散乱界をFILT法により時間領域に変換する.解析結果についてFDTD(: Finite-difference Time-Domain)法と比較する事で本手法の妥当性について検証する.
表面プラズモンは,金属薄膜に光を入射すると金属薄膜上で励起され,印加磁界に対して鋭敏に反応することから,磁気センサとしての利用が期待されている.本報告では,表面プラズモンが励起する光学系のクレッチマン配置を対象とし,複数の金属媒質により構成された混合薄膜を用いた電磁界解析を行う.解析結果から全ての反射波成分が含まれた特性と比較し,銀,コバルト薄膜の周期構造における高次回折光の影響を検証する.
近年,表面プラズモンを用いた円柱列導波路が注目されている.この導波路ではプラズモンの励起波長が円柱ごとに変化するという特性が確認されている.この特性により,導波路内のすべての円柱のプラズモンを単一の波長で励起させることが難しいことが分かっている。本報告では円柱列導波路の断面形状を楕円柱にした場合の電磁界解析を行い,光励起波長について比較を行う.
休 憩(10:30 再開) 座長 岸本誠也(日大)
C-15-6 |
有極型広帯域バンドパスフィルタの理論設計
◎孫 航・陳 春平・勝野絵梨香・穴田哲夫(神奈川大)・武田重喜(アンテナ技研) |
C-15-7 |
寄生素子を用いた円偏波ホーンアンテナにおける開口面と寄生素子間の多重反射電界に関する検討
◎中澤右京・須賀良介(青学大)・上野伴希(オフィスウワノ技術コンサルティング)・橋本 修(青学大) |
C-15-8 |
Si細線平行導波路側壁のラフネスが伝搬特性に及ぼす影響
朝生龍也・◎浴 一輝・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-15-9 |
ニューラルネットワークを用いたアクティブゲートドライバのスイッチングパターン推定
◎安田理夢・鈴木敬久・和田圭二(東京都立大) |
C-15-10 |
InSbコート誘電体球配列のTHzセンサへの応用
柴山 純・◎黒田匠真・山内潤治・中野久松(法政大) |
高速無線通信を実現する広帯域無線通信システムに必要不可欠な広帯域フィルタに関する設計が多くの研究者から注目を集めている.著者らは先端短絡スタブ付き平行結合線路に基づいたチェビシェフ型広帯域バンドパスフィルタ構造を提案した.本稿は,先端開放スタブと先端短絡スタブ付き平行結合線路を組み合わせることにより,より急峻なスカート特性をもつ有極型広帯域フィルタを提案し,それに対応する設計理論/手順を検討する.
円偏波アンテナは広い分野に渡って利用されており、数多くのアンテナが提案されている。我々は寄生素子を用いることによるホーンアンテナの円偏波化について検討しており、本研究ではホーンアンテナと寄生素子間に生じる多重反射電界について検討した。
コアを空気界面から僅かに埋め込んだSi細線導波路は屈曲損の低減に有効である. 他方, 作成過程で生じるコア側壁のラフネスは伝搬損失を増加させる.本稿では, Si細線平行導波路の側壁にラフネスを導入し, ラフネスの相関長が結合長とリターンロスに与える影響を評価する. 基礎検討として, 片側の導波路側壁にのみラフネスを導入した場合を取り上げる.
アクティブゲートドライバを用いた電力変換回路における,パワー半導体のスイッチング性能の向上が報告されている.この制御方法では,最大63レベルの電流値を数十ns間隔で時間的に適切に制御することでオーバーシュート電圧やスイッチング損失,電磁干渉の抑制が期待される.しかし,この制御方法では膨大な組み合わせのスイッチングパターンが存在し,最適なパターンを高速に決定することは困難である.本研究ではアクティブゲートドライバでのスイッチングパターンを,ニューラルネットワークを用いて推論する手法を提案する.その結果,スイッチングパターンが与える影響が時間的に差がある可能性があることが分かった.
InSbでコートされた誘電体球配列において球外部の屈折率を変化させた場合の透過特性を評価する.屈折率が大きくなるとディップ周波数は低周波側へシフトする.その際,表面プラズモン共鳴をともなうディップ周波数の変化量が他の周波数帯に比べ大きいことを明示する.
9月18日 13:00〜16:45 Meeting 23 座長 日景 隆(北大)
C-15-11 |
FDTD法による皮膚厚みを考慮したミリ波帯頭部ばく露評価に関する一検討
○田口健治・柏 達也(北見工大)・平田晃正(名工大) |
C-15-12 |
表皮内電気刺激を用いた末梢神経応答の評価
◎田中翔大・ゴメスタメス ホセ・和坂俊昭・平田晃正(名工大) |
C-15-13 |
短期暑熱順化を考慮した高齢者の熱中症搬送人員数予測
◎西村 卓・小寺紗千子(名工大)・滝沢寛之(東北大)・江川隆輔(東京電機大)・平田晃正(名工大) |
C-15-14 |
ウェアラブルデバイスを用いた体温推定手法の開発と妥当性評価
◎上松涼太・小寺紗千子・平田晃正(名工大)・宮澤太機(至学館大)・橋本優生・都甲浩芳・高河原和彦・桑原 啓(NTT)・樋口雄一(NTTテクノクロス) |
近年,ミリ波を用いた第5世代無線通信に関する研究が盛んに行われている.本周波数帯の電磁界による人体への影響は皮膚組織近傍における電力吸収に起因する熱効果であるとされている.しかしながら,ばく露解析において皮膚厚みを考慮した解析例は少ない.一方,ばく露評価においては解剖学に基づく詳細な人体モデルを用いたFDTD解析が有効であるが,本周波数帯において十分な解像度を有する人体ボクセルモデルは一般向けに公開されていない.
本研究では,皮膚厚みを考慮した高解像度頭部ボクセルモデル構築し,FDTD法によるミリ波帯頭部のばく露評価を実施したのでその結果について報告する.
近年、神経科学の研究分野において末梢神経系を選択的に刺激することに関心が高まっている.刺激方法の一つとして,表皮内電気刺激(IES)がある.IESとは,皮膚に刺した針電極から微弱な電流を流すことで,表皮内の神経を刺激する方法である.そこで本研究では,既存の有髄神経モデルを電磁界解析から得られたIESにおける電位分布に適用することにより,Aδ線維の活動電位を算出する.またIESによる刺激実験から痛覚閾値の計測を行い,既存の神経モデルと実験結果を比較することで妥当性の検討を行う.さらに,Aδ線維のモデル化を行うために,既存の神経モデルの電気的パラメータを調整し,実験結果と比較することでその有効性を評価した.
近年,熱中症による搬送人員数が増加の傾向にある.熱中症は,体内における熱バランスの崩れや脱水症状が要因となり発症する.また,当日のみならず過去数日間の暑熱気象条件が影響することや,短期暑熱順化の程度が熱中症のリスク増大の因子となることが報告されている.本研究グループは,暑熱環境下における体温上昇や発汗量を推定可能な混成熱解析手法を開発した.本稿では上記計算で得られた解析結果を用いて,熱中症搬送人員数予測式の提案を行う.予測式において過去数日間の暑熱気象条件と短期暑熱順化を考慮し,高齢者の熱中症搬送者数を事前に予測することによって,予防・普及啓発活動に貢献することを目的とする.
近年,地球温暖化や高齢化を背景に熱中症による搬送人員数が増加し,大きな社会問題となっている.熱中症の発症リスクは,年齢や体格などの個人差や環境によって大きく異なるため,ウェアラブルデバイスによって取得したバイタルデータを利用したリスク管理が検討されている.本稿では,スマートフォンやPCへ実装可能なウェアラブルデバイスを用いた体温推定を目的に,これまで本研究グループで開発してきた大規模数値解析技術に基づく簡易体温推定手法を開発し,運動実験による測定値と比較することで提案手法の妥当性を評価した.
休 憩(14:15 再開) 座長 柴山 純(法政大)
C-15-15 |
(依頼講演30分)アルゴリズムによるシミュレーション高速化技術と電磁界解析への応用
○大貫進一郎(日大) |
C-15-16 |
双方向ビーム伝搬法を活用した構造最適化の効率化を目指した行列平方根の計算方法に関する検討
○井口亜希人・辻 寧英(室工大) |
C-15-17 |
有限要素法に基づく散乱演算子を用いた効率的な光導波路解析に関する検討
◎森本佳太・辻 寧英(室工大) |
C-15-18 |
LOD-FDTD法の計算精度に関する考察
◎五味頌子・柴山 純・山内潤治・中野久松(法政大) |
本講演では,著者のグループで研究開発を行ってきたアルゴリズムによるシミュレーションの高速化技術と,それらを自動車搭載用アンテナや磁気記録システムの設計・開発などに適用した例を紹介する.また近年の研究成果である,複合物理解析の進展についても概説する.
大きな導波路不連続問題を比較して汎用的に解析する手法として,双方向BPM(Bi-BPM)が提案されてる.Bi-BPMは行列平方根の計算方法に一つの力点が置かれており,その精度・安定性について議論されてきた.筆者らはこれまでに,Bi-BPMを活用した光導波路素子の構造最適化を検討してきたが,これらの検討では行列平方根の計算に反復法の一種であるDenman-Beavers(DB)反復法を適用してきた.本検討では,Bi-BPMを活用した構造最適化のさらなる効率化を目指して,行列平方根の計算方法に関して直接法とDB反復法を精度・計算時間の観点から比較検討している.
導波路型光デバイスの自由度の高設計では,特性解析のための計算量が膨大となるため,構造のあらゆる可能性を検討するためには解析の効率化が求められる.任意形状の解析を得意とする有限要素法(FEM)では,一般に大規模な連立一次方程式を特性解析のたびに解くため,計算量が多くなる.そこで,本研究では,任意形状をFEMで離散化し,さらに伝搬演算子法(POM)を用いた境界条件のもと散乱演算子化することによる,解析の効率化について検討する.これにより一度構造全体の特性を表す散乱行列を生成すれば,任意の入射波形に対してわずかな追加計算で特性解析が可能となる.
LOD-FDTD 法において時間刻み幅を大きく選び,THz帯でのTM 透過導波路型偏光子を解析する.時間刻み幅を大きく選んだ場合のLOD-FDTD 法の計算精度について議論する.CFLN = 20,55 に選ぶと誤差率が最大でそれぞれ5.1,12 %となる精度で,計算時間を陽的FDTD法の約19,10 %に短縮できることを明示する.
休 憩(15:45 再開) 座長 田口健治(北見工大)
C-15-19 |
リードフィールド行列に基づいた脳波源推定に関する実験的検討
◎森寺峻義・ゴメスタメス ホセ・和坂俊昭(名工大)・木田哲夫(愛知県医療療育総合センター/生理学研究所)・平田晃正(名工大) |
C-15-20 |
tDCSによる下肢一次運動野の最適刺激における電極条件の検討
◎濱島弘紀・平田晃正・Jose Gomez-Tames(名工大) |
C-15-21 |
双極子を用いた不整脈伝搬経路のモデル化に関する研究
○中野裕貴・平田晃正(名工大) |
C-15-22 |
中赤外域用カルコゲナイドガラス光導波路の単一モード動作条件
○安井 崇・杉坂純一郎・平山浩一(北見工大) |
近年,医療分野において,脳波の利活用に対する関心が高まっている.脳が活動した際の電気活動を,頭部に貼付した電極により観測する方法をEEGと呼び,空間的に離れた位置に配置されたセンサーにより観測する方法をMEGと呼ぶ.EEGは測定装置が簡便であり,広く利用されている.一方で,空間分解能が低いという問題点がある.MEGは導電率の影響を受けないため高い空間分解能を得ることが出来る.一方で,測定環境の問題から臨床応用の機会は少ない.本研究グループでは,広く用いられるEEGによる脳波源の推定に関する基礎検討を行ってきた[2].そこで本稿では,実験から得られた電気信号を用いた脳波源推定を行い,有効性を検討する.
近年,医療分野において脳の組織を非侵襲的かつ局所的に刺激することに関心が高まっている.その方法の一つとして,tDCS(経頭蓋直流電気刺激)が挙げられる.tDCSとは頭部に貼付した電極間に微弱な電流を流すことにより,皮質興奮性を変化させ,神経変調をもたらす手法である.本刺激法は,脳卒中のリハビリテーションにおける補助療法として有効性が示されている.先行研究では,一次運動野における手の運動機能を司る領域を刺激対象とした研究は多数行われてきた.一方で,足の運動機能を司る下肢一次運動野を刺激対象とした研究は少なく,効果的な電極貼付方法が明らかになっていない.本研究では、tDCSによる下肢一次運動野の刺激に有効な電極貼付方法を目的とする.
心疾患の1つである不整脈は,心臓の電気的活動の異常を起因とし,発生機序により様々な種類に分類される.それらの疾病の内,心室期外収縮は不整脈の原因として最も頻度が高く,治療方法には心臓の一部を焼灼するカテーテル-アブレーションが用いられている.しかし治療箇所は,医師の経験に基づいて心電図の波形から異常を発見し推定されるため,その精度は医師の能力や経験に依存する.これらを踏まえると,アブレーション治療の精度向上を目的とした,心室期外収縮の発生源推定が必要不可欠である.本研究では,それに先立ち,電磁界解析による物理シミュレーションを用いた心室期外収縮における伝搬経路のモデル化を行った.
中赤外域で動作する光集積回路に使用されるカルコゲナイドガラスを用いたチャネル型光導波路について詳細な解析を行い,天文学で使用される波長帯のひとつである,波長8~12μmにおけるシングルモード動作条件を明らかにしている.スカラー波近似に基づく有限要素法と等価屈折率法による解析結果の比較を行い,簡便な等価屈折率法による結果は高次モードのカットオフ波長が短く見積もられることを確認している.
シンポジウムセッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
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CS-1. 周波数分散性媒質中の電磁界とその解析手法の新展開
(電磁界理論研専、エレクトロニクスシミュレーション研専 共催)
9月17日 13:00〜15:45 Meeting 23 座長 柴山 純(法政大)
CS-1-1 |
(依頼講演25分)分散性を考慮した電磁デバイス設計に向けた数値解析-微小金属から磁性材料の非線型性まで-
○岸本誠也・大貫進一郎(日大) |
CS-1-2 |
(依頼講演25分)金属散乱体や空洞が埋没された分散性媒質の過渡電磁界解析
○尾崎亮介・山﨑恒樹(日大) |
CS-1-3 |
(依頼講演25分)周波数分散を持つメタマテリアルのFDTD解析について
○有馬卓司・宇野 亨(東京農工大) |
著者らの研究グループでは,分散性を有する電磁デバイス設計に向けた数値解析法の開発を行っている.本報告では,これら解析手法,分散性に基づく電磁デバイスの設計の進展について述べる.また,非線型性を有する磁性材料についても併せて検討し,透磁率の分散性を電磁界解析に組み込む方法と解析結果についても紹介する.
電磁波逆散乱問題の過渡電磁界解析によるパルス応答波形から様々な散乱体(古代遺跡, 地雷等)の形状識別技術が注目を集め,イメージング技術などを駆使して形状識別や同定などの研究が活発に行われている.
著者らは,地中レーダ(GPR: Ground Penetrating Radar)への応用を目的として分散性媒質の過渡電磁界解析を高速逆ラプラス変換(FILT: Fast Inversion Laplace Transform)法に基づいて行っている.
本文では,著者らが行ってきた金属散乱体や空洞を有する分散性媒質の過渡電磁界解析に関する最近の研究成果について紹介する.
マイクロ波領域においてメタマテリアル[1][2][3]が示す特異な電気的特性を利用する事は一般的となっている. よって,メタマテリアルは研究対象から一段進み,応用段階になってきていると考える.メタマテリアルを用いた新しい技術の開発において,シミュレーションは不可欠である.筆者の知る限り,現在実用化されているメタマテリアルはすべて周波数によって電気的特性が異なる分散性媒質である.本稿では,周波数分散を持つメタマテリアルのFDTD法[4][5]を用いた解析について述べる.
休 憩(14:30 再開) 座長 尾崎亮介(日大)
CS-1-4 |
テラヘルツプラズモニックデバイスの周波数依存型FDTD解析
○柴山 純・髙橋澄玲・山内潤治・中野久松(法政大) |
CS-1-5 |
(依頼講演25分)高速逆ラプラス変換とProny法を適用した広帯域時間領域電磁界解析及びその応用
○チャカロタイ ジェドヴィスノプ・藤井勝巳(NICT) |
CS-1-6 |
FILT及びProny法を用いた(FD)2TDスキームの並列化とパフォーマンス評価
○鈴木敬久・小内利仁(東京都立大)・柴山 純(法政大)・Jerdvisanop Chakarothai(NICT) |
本稿では,周波数依存型FDTD法を用いたTHz帯での半導体材料の取り扱いを示し,新たな3次元導波路型偏光子への応用を述べる.TE阻止・TM透過の偏光子特性を評価し,480umの素子長で30dBの消光比の得られることを明らかにする.
周波数分散性媒質中の電磁界解析を行うために,様々な分散モデルを統一的に取り扱える,高速逆ラプラス変換(Fast Inverse Laplace Transform, FILT)及びProny法を適用した新たな周波数依存型時間領域有限差分法について述べる.提案法を用いることで,定式化が困難であったべき数が小数となるCole-ColeやHavriliak-Negami等の分散モデルを容易に定式化できることを示した. また一度の時間領域での計算で,複数の周波数点における解が得られ,計算効率の観点からも非常に有効であることを示した.本発表において,提案手法の妥当性検証及び人体ばく露評価への応用例を示し,今後の展望について述べる.
本研究では周波数分散性における電磁界解析への応用を視野に入れ, FILT-Prony-(FD)2TD スキームに対して,実装におけるコストを抑えるための離散化量に対する展開係数の決定を含む一連の処理を自動化するシステムを構築した.また計算コストを抑えるための超並列計算による高速化の実装を行った.CPU(IBM Power9)とGPU(NVIDIA Tesla V100)において実際に並列計算を実施し,それらに対してパフォーマンス解析を行った.その結果としてルーフラインモデルにより推定した到達可能最大実行性能に対して,GPUでは約17-28%の程度の性能が得られていることを確認できた.