プログラム
format_list_bulleted基礎・境界ソサイエティ
一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
A-1. 回路とシステム
9月16日 9:00〜11:15 Meeting 24 座長 佐藤隆英(山梨大)
A-1-1 |
インバータ駆動されるインダクタから生じる騒音のラウドネス解析
◎青木陽介・茂木進一(神戸高専)・澤田純兵・山田正樹(ヤンマーホールディングス) |
A-1-2 |
パワーMOSFETのボンディングワイヤ剥がれをゲート電圧波形から検出する手法の提案
◎山崎大夢・高宮 真・畑 勝裕(東大) |
A-1-3 |
非線形双安定系加算ネットワークのASIC実装
◎留河友貴(兵庫県立大)・飯塚哲也・田畑 仁(東大)・堀田育志(兵庫県立大) |
A-1-4 |
直交変調型EPWM送信機のFPGA実装における伝送速度の高速化
○藤井 魁・楳田洋太郎(東京理科大) |
三相電圧形インバータのスイッチング損失を低減する手法として二相PWM法が検討されているが,二相PWMほうには負荷からの磁気騒音が大きくなる等言う欠点がある.この問題点に対して,過去に著者らは各種PWM法で三相電圧形インバータを駆動した際に,負荷であるインダクタから生じる磁気騒音の騒音レベルを比較したが,実験中に著者らが感じた騒音の大小と実験結果は一致しなかった.本稿では,ラウドネスを用いて磁気騒音の大小を比較し,それによって騒音の大きさについてよりヒトの聴覚に近い評価ができることと,過去に著者らが提案したパルス電圧重畳による二相PWM法によって生じる騒音が従来の二相PWM法と比べて小さくなることを示す.
パワーMOSFETは社会を支えるパワーエレクトロニクス機器を構成する重要な部品の一つであるため、高信頼性が求められる。パワーMOSFETモジュールの故障の主因がボンディングワイヤ剥がれである。先行例としてボンディングワイヤ剥がれをオン時のパワーMOSFETのドレイン/ソース電圧(VDS)降下から検出する手法があるが、高電圧のVDSの測定は容易ではない。そこで、本稿ではターンオン時のゲート電圧波形からボンディングワイヤ剥がれを検出する手法を提案する。提案手法の有効性を検証するためボンディングワイヤ剥がれを模擬したシミュレーションを行った。
確率共鳴(Stochastic Resonance:SR)は、非線形閾値型の信号伝達システムに閾値以下の微弱な信号とノイズが入力されたとき、それらが確率的に共鳴することによって出力側に位相情報が伝達される現象である。この原理を応用することで、ノイズを利用して微弱信号の検出が可能になる。SR現象を伴うシステムでは適度な強度のノイズがあるときのほうが出力の信号/ノイズ比(SNR)が向上する。さらに、SRユニットを並列化することにより、広範囲の強度のノイズでSNRを向上できるようになる。本研究では、この並列SR処理専用のハードウェアをApplication Specific Integrated Circuit (ASIC)によって実装し、非線形双安定系加算ネットワークデバイス実現の可能性を調査した。
近年, 移動体通信機の高効率化・高精度化を目的として包絡線パルス幅変調(EPWM)方式を用いた直交変調型(QM)EPWM送信機が研究されている. この送信機のFPGA実装として, FPGA組み込みの並直列変換(P/S)装置(シリアライザ)を用いた実装が提案されているが, 汎用論理ゲートの周波数制約により動作速度の向上は困難である. 本研究では, 従来方式の実装に対し, メモリ(RAM)とシリアライザを組み合わせることで, 構成の柔軟性を持たせてデータ伝送速度の高速化を可能とする改善方式を提案する. この方式を実験とシミュレーションにより評価し, 誤差振幅ベクトル(EVM)の比較を行う.
休 憩(10:15 再開) 座長 菅谷英彦(日本ケイデンス・デザイン・システムズ社)
A-1-5 |
数値計算法によるEF2級発振器の設計
◎△山崎将弘・萩原佑亮・羅 イ森・魏 秀欽(千葉工大) |
A-1-6 |
マルチステートADCによる低消費電力超音波検知手法
○小野寺優輝・西勝 聡・安田 彰(法政大) |
A-1-7 |
誤差増幅回路を用いた帰還型デジタル直接駆動スピーカシステムの提案
○府川祥大・原田康平・西勝 聡・安田 彰(法政大) |
A-1-8 |
マルチプレクサを遅延素子に用いるSAR-TDCの提案
○鈴木隆生・原田康平・西勝 聡・安田 彰(法政大) |
情報機器の高度化に伴い, より高効率で高電力密度の増幅器が求められる. この要求に対し, 高効率化と小型化を両立するEF2級発振器が注目されている. EF2級発振器は, E級スイッチング, フィードバック構造による自励発振, 低スイッチ電圧ストレスという特徴を併せ持つ. したがって, 高周波動作における高電力変換効率と高電力密度化を実現する. しかし, 従来の研究では, EF2級発振器の具体的な設計手法が示されていない. EF2級発振器の実用化には, 設計手法の確立が重要となる.
本研究では, 数値計算手法によるEF2級発振器の設計を提案する. また, LTspiceによるシミュレーションと回路実験を通して設計手法の妥当性と有効性を示す.
近年のモバイルアプリケーションにおいては,超音波検知による起動時のディテクションや,ジェスチャー認識が行われている.元来のモバイルデバイスでは,オーディオ信号処理用アナログデジタル変換器(ADC)を流用して検知していた.これにより,さらに高帯域の動作を必要とするため,消費電力の増加が懸念されている.本論文では,このように要求が異なる動作に対し,オーディオ信号と超音波信号でそれぞれ回路構成を切り替えることで低消費電力検知が可能なマルチステートADCを提案した.結果としてマルチステートADCの工夫により,低消費電力駆動時は通常駆動時と比較して1/5程度の消費電力に抑えることに成功した.
スマートフォンやタブレッドなどのポータブル端末の発展に伴い,オーディオシステムの高精度化および省面積化,低消費電力化への要求が高まっている.本論文では,デジタル直接駆動スピーカシステムにおいて,誤差増幅回路を用いた帰還制御を導入することで,帰還用アナログ-デジタル変換器(ADC)の高精度変換要求を緩和する構成を提案する.本システムは誤差増幅回路にてドライバ回路で生じるアナログノイズのみを抽出および増幅し,ADCにて変換するシステム構成となっている.これにより,帰還用ADCの精度要求を緩和し,回路規模と消費電力が低減できることをMATLAB/Simulinkモデルを用いて示した.
スマートフォンなどのモバイル機器では,ToFイメージセンサへの小型化の要求が増加している.そのため,回路規模の小さい逐次比較型TDC(SAR-TDC)が使われることが多い.また,従来手法では測定範囲を増やすにはビットを増やし回路規模が大きくなってしまう.
本論文では,MUXを遅延素子として使用し,インバータをなくすことにより,回路規模の削減および高精度化の実現法を提案した.さらに入力部直後にMUXを追加することにより,回路規模を増加させることなく測定範囲を増やすことができた.これに対しMATLAB/Simulink , ケイデンス社Spectreを用いたシミュレーションにより,その有用性を示した.
9月17日 13:00〜15:15 Meeting 24 座長 高島康裕(北九州市大)
A-1-9 |
スピンスレッド機能を応用したイジングマシンの高速化
◎飯村凌馬・河原尊之(東京理科大) |
A-1-10 |
サイズ上限を考慮して多角形を矩形およびL型図形に分割する一手法
○堀田智彦・藤吉邦洋(東京農工大) |
A-1-11 |
任意の時間窓を持つ動的巡回修理問題に対する最適アルゴリズム
○神谷洸将・山田敏規(埼玉大) |
A-1-12 |
効率的な相互依存ネットワークの構成方法について
○嶋村拓己・山田敏規(埼玉大) |
近年IoT社会の発展により、様々なものにセンサが取り付けられるようになった。そのため、クラウド上でのデータ処理が膨大な量となっている。そこで、我々はもの側で高度な情報処理を高速に行うことを考え、過去に、最適化問題を解くことができるイジングモデルをLSIへと実装した。また、解精度の向上を目的としスピンスレッド機能を提案し実装した。本稿では、このスピンスレッド機能を応用した新たな機能を提案した。提案手法を検証した結果、解く問題によっては解の精度が向上し、加えて、この提案手法をハードウェア上に実装した場合、計算に必要なクロック数を70~90%程度減少できることが確認できた。また、消費電力についても1~4%程度削減できることを確認した。
多角形を指定されたサイズ以下の矩形およびL型図形の集合に、それらの合計数がなるべく少なくなるように分割する問題を考える。本研究では、図形数が最少となる解を失わずに、多角形を分割できるときの分割の条件を一部明らかにし、これをできるだけ利用して多角形を指定されたサイズ以下の矩形およびL型図形の集合に分割する手法を提案し、計算機実験により有効性を確かめた。
オンラインで別々の場所で起こる期限付きのリクエストに対して,出来るだけ多くのリクエストを処理する問題を動的巡回修理問題と呼ぶ.Azarらは動的巡回修理問題に対する2つのアルゴリズムを提案したが、彼らのアルゴリズムはオンラインの入力に事前に制約を設けていた。本研究では,彼らのアルゴリズムを統合することによって,入力に制約を持たない動的巡回修理問題に対する最適な競合比を持つアルゴリズムを提案する.
ネットワークシステムは単独で存在することは少なく,他のネットワークとの間で相互依存関係を持つことが多い.そのようなネットワークを相互依存ネットワークと呼ぶ.相互依存ネットワークでは,局所的な故障が発端となって,連鎖的に次々に障害が発生する,カスケード障害が起こることで,ネットワーク全体が機能不全となる現象が発生することがある.小文では,相互依存ネットワークの構造とカスケード障害によって故障するノードの数の関係について考察する.
休 憩(14:15 再開) 座長 中村洋平(日立)
A-1-13 |
PONシステム下り信号対応可変型プリエンファシス回路の変動耐性改善の一検討
◎前川竜也・石原直志・湯浅貴文・伊藤大輔・中村 誠(岐阜大) |
A-1-14 |
マイクロ波センサ照射方向制御による広範囲検出手法の検討
◎柏木雅哉・吉村侑恭・井上敏之・土谷 亮・岸根桂路(滋賀県立大) |
A-1-15 |
I-PD制御系の極配置法に基づく設計法
◎大原 薫・伊藤 駿・大屋英稔・星 義克(東京都市大) |
A-1-16 |
未知パラメータを含むマルチエージェントシステムに対する適応ゲインコントローラを用いたフォーメーション制御
◎伊藤 駿・大原 薫・大屋英稔・星 義克(東京都市大)・永井駿也(神奈川大) |
光アクセスネットワークでは,光ファイバを共有し複数の利用者との通信を実現するPONシステムが広く用いられており,さらなる利用範囲拡大のための長延化が求められている.そこで,伝送距離に応じた可変型プリエンファシスによる波形補償が提案され,送信先毎の距離に応じたプリエンファシスの有効性が確認されている.しかし,光送受信器の小型化による電気クロストークや伝送路環境により各利用者の伝送距離情報の検出値に変動が生じ,波形補償性能の低下が課題である.そこで,本研究ではPONシステムの長延化を目的とした,伝送距離情報の検出値変動に耐性を持つ可変型プリエンファシス回路を提案する.
近年,保育士・介護士の人手不足等を背景に,労働負担軽減のための見守りシステムが必要とされている.中でも,非接触方式であるマイクロ波センサを用いたシステムが注目を集めている.しかし,マイクロ波センサには指向性があるため,センサ正面付近に位置する対象者の生体情報しか取得できない.マイクロ波照射方向の制御が可能となれば,検出範囲を拡大でき,対象者の移動に対する追従や複数人の検知への応用が期待できる.本稿では,マイクロ波センサを取り付けたサーボモータをマイコンで制御することにより,マイクロ波照射方向を変化させ,広範囲生体センシングを可能とするための位置検出手法の検討を行ったので報告する.
本稿では,ローパスフィルタを用いたI-PD制御系の極配置法に基づく設計法を提案する.
提案する手法は,制御系の閉ループ伝達関数の特性方程式が望ましい特性方程式に一致するようにPIDパラメータを調整する極配置法に基づく方法であり,I-PD制御系が安定となるための不等式条件を明らかにすることによって,極の存在領域を明らかに
する.提案する手法の特長は,極の存在領域を明らかにすることにより,設計者が極を系統的に選択できるという点にある.
大規模複雑化が進むシステムに対する効率化手法の一つに,複数の自律システム(エージェント)を協調動作させるマルチエージェントシステム(MAS)がある.
本稿ではシステムに不確かさを含むMASについて,不確かさによる影響抑制及びシステムの漸近安定性の保証,加えて他フォロワーの目標相対位置の情報が正確に得られない場合を考慮し,フォーメーション形成(合意)を達成する線形行列不等式(LMI)ベースによる適応ゲインコントローラ構成法を提案する.
提案法は,以前の著者の研究では考慮されていなかった不確かさによる影響を考慮しつつ,各エージェント間の目標相対位置を陽に考慮し隊列形成できる特長や,解くべき制約式がLMIの可解性に帰着され,容易に制御系設計ができる利点がある。
A-2. 情報理論
9月15日 9:00〜9:30 Meeting 30 座長 仲地孝之(NTT)
A-2-1 |
Sign Retrieval:信号の圧縮符号化におけるDCT係数に伴う符号ビットの除去および復元に関する研究
◎都竹千尋・高橋桂太・藤井俊彰(名大) |
A-2-2 |
準巡回符号に対する64元体上のHermitian自己双対符号の最小重みを用いた探索
◎川口将生・松井 一(豊田工大) |
ディジタル信号の圧縮符号化では,直交変換,量子化,及びエントロピー符号化が用いられており,特に離散コサイン変換(DCT)に基づく符号化方式は有効である.この方式では,符号化対象である原信号をブロックに分割した後に,各ブロックのDCT係数をビット列に変換する.しかし,DCT係数に伴う符号ビットの生起確率が一様であるため,ビット量の増加が問題である.そこで本研究では,符号化器で生成されるビット列から符号ビットを除去し,復号器で欠損ビットを復元することで,ビット量の大幅な削減を試みる.
性能の良い誤り訂正符号を見つけるために最小重みが大きい自己双対な準巡回 (quasi-cyclic, QC) 符号を探すことは符号理論において広く研究されている.
本研究では巡回長9を持つ自己双対なQC符号を構成して最小重みを調べる.
QC符号の構成には,AG=(1+x9)Iを満たす生成多項式行列Gを用いる.ただしAは任意の多項式行列,Iは単位行列である.
また,1+x9の2元体上の素因子分解を行い各素因子に対応する生成多項式行列を利用してGを構成する方法を用いる.
生成多項式行列の行列サイズを変えて探索を行い,2元体の最小重みに加えて4元体と64元体の最小重みを調べる.
A-3. 信頼性
9月18日 9:30〜10:00 Meeting 30 座長 田村信幸(法政大)
A-3-1 |
光アンプの利得波長特性を利用した光伝送網の故障発生個所特定
○久保貴志・濱野貴文・前田英樹(NTT) |
A-3-2 |
Clustering Based Wind Turbine Anomaly Detection Using SCADA Data
◎Bojian Du・Yoko Furusawa・Yoshiaki Narusue(The Univ. of Tokyo)・Nozomu Nishihara・Kentaro Indo(Eurus Technical Service)・Hiroyuki Morikawa・Makoto Iida(The Univ. of Tokyo) |
TRPDから取得可能な、波長毎の受信光パワーおよびPreFEC-BERの値に基づき、多段に接続されたAMPにより分けられるどの区間で故障が発生したかを特定する方式を提案する。
The existing Supervisory Control And Data Acquisition (SCADA) data based wind turbine anomaly detection methods are prone to high false alarm rates. In this paper, we leverage a clustering based approach to compensate external fluctuations, where a novel indicator is defined by referring to other WTs in the cluster with similar external conditions. The proposed indicator is calculated by comparing the residuals of the target turbine and a medium of similar turbines in the same cluster. Wind speed, ambient temperature, and nacelle temperature are selected for clustering. The evaluation results show that it can provide a more robust anomaly detection raising fewer false alarms without degrading the detection rate.
A-4. 超音波
9月17日 13:30〜15:15 Meeting 15 座長 大橋雄二(東北大)
A-4-1 |
質量負荷効果を利用したパッシブSAWセンサ識別法
堀川直起・○近藤 淳(静岡大) |
A-4-2 |
LiTaO3と水晶の接合構造を用いたリーキーSAW共振子の高周波特性
◎浅川詩織・鈴木雅視・垣尾省司(山梨大)・手塚彩水・水野 潤(早大) |
A-4-3 |
水晶を用いた同種材料接合構造におけるリーキーSAWの解析
◎藤巻貴海・鈴木雅視・垣尾省司(山梨大) |
A-4-4 |
振動の節がないたわみ振動板型空中超音波音源の特性
◎門前大樹・淺見拓哉・三浦 光(日大) |
A-4-5 |
円形たわみ振動板に複合型反射板を設置した空中超音波音源の開発
◎内山真乃介・三浦 光・淺見拓哉(日大) |
A-4-6 |
超音波自動探傷における妨害エコーの伝搬経路推定方法
○木村友則(三菱電機)・赤松 亮(菱電湘南エレクトロニクス) |
A-4-7 |
EMATを応用したコンクリート検査向け超音波探触子の基礎検討
○井幡光詞・木村友則・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
パッシブSAWセンサの識別法として,反射電極パターンが一般的に利用されている.この手法は,主に振幅を利用したセンサ認識方法である.我々は質量負荷効果に着目し,質量負荷により生じる位相変化を用いた識別方法を提案した.本稿では,測定により位相変化を観測し,その結果に基づいた識別性能の検討結果を報告する.
弾性表面波(SAW)デバイスには高周波化・高Q化・広帯域化といった高性能化が要求されている.本報では,LT/Q上のLSAW共振子について高周波帯での特性を実験的に検討した結果と,更なる高周波化へのアプローチとして,LT/Q上の高調波励振について検討した結果を報告する.LT/Q試料上にIDT型共振子を形成し評価した結果,2.2GHz帯において単体のアドミタンス比,比帯域幅,共振Q値がそれぞれ53 dB,3.7%,530であるのに対して,接合試料では81 dB,4.2%,1,470に格段に向上した.三次高調波の励振実験においても単体では三次高調波のアドミタンス比,比帯域幅,共振Q値がそれぞれ31 dB,0.8%,480であるのに対し,接合試料では63 dB,1.4%,1,770と格段に大きな共振応答を示した.
カット角の異なる水晶同士を接合させた構造上のLSAW伝搬特性,共振特性を理論的に検討した.Z30°X-Q(h/λ=0.43)/AT0°X-Q接合構造は,Z-Q単体の約3倍である最大値0.43%を示し,FEMにおいても41 dBのアドミタンス比と0.24%の比帯域幅を示し,LST-Q単体のこれらの値(26 dB,0.076%)よりも大きな値が得られた.同様に解析したLST-Q(h/λ=0.72)/AT0°X-Q接合構造では,比帯域幅(0.071%)はLST-Q単体と同等であるが,単体よりも大きなアドミタンス比(65 dB)と高いQrとQaを示した.同種接合により,水晶単体では成し得ない特性が現れた.
空中超音波センサなどは小型であることが求められるため,強力な音波が発生しにくいことが問題となっている.本研究では,小型でありながら一方向に強力な音波を放射する音源の開発を目的としている.これまで,振動の節が生じないたわみ振動板を用い,振動板全体を同一方向に大きな振幅でたわみ振動させることによって,小型でありながら,正面方向に音波を放射できることを示した.
本報告では,得られる音圧について検討するため,振動部の寸法が異なる音源のアドミタンス特性と入出力特性について検討を行っている.その結果,音源の正面方向300 mm地点で最大音圧レベル134 dBが得られた.
鋭い指向性を持った強力な音波を遠距離に届ける技術が従来から必要とされている.筆者らはこれまでこの目的のための音源として,複合型反射板を設置した音源について検討を行ってきた.これまでの検討から,比較的容易に指向性の鋭い強力空中超音波を放射できることを明らかにしている.本検討では空中超音波音源のアドミタンス特性,振動変位,指向特性の検討を行った.
パイプや丸棒鋼の超音波自動探傷では、試験体の周囲に探触子ホルダが設置され、水中で試験体を搬送しながら傷の有無を判別する。試験体中に傷が無い場合でも探触子ホルダでの反射波が妨害エコーとなり、無傷な試験体を「傷あり」と判定してしまうことがある。このような状況を回避するには、妨害エコーの伝搬経路を推定して探触子ホルダを設計する必要がある。本文では、妨害エコーの伝搬経路を推定する方法を示し、簡易モデルを用いた有効性検証結果を示す。
物体内部を非破壊で検査できる検査方法として超音波による検査が広く知られている。超音波非破壊検査では、一般に、圧電素子の厚み振動を利用した探触子が利用される。インフラ等のコンクリート構造物の検査を行う場合、伝搬減衰等を考慮し、低周波の超音波を用いることが望ましいが、圧電素子を用いた探触子で低周波の超音波を励振しようとすると、探触子のサイズが大きくなり、重量が増大してしまう。本報告ではコンクリート内部検査向け探触
子の小型、軽量化を目的とし、電磁超音波探触子(Electromagnetic Acoustic Transducer: EMAT)を応
用した探触子について検討した。
A-5. 応用音響
9月16日 10:00〜11:15 Meeting 28 座長 浅野 太(工学院大)
A-5-1 |
振動センサを用いた避難者の年齢判別についての実験的検討
◎山下 透・浅野 太(工学院大) |
A-5-2 |
ロボットアームとパーティクルスムーザを用いた配管損傷個所推定
◎佐藤峻矢・中村優太・浅野 太(工学院大) |
A-5-3 |
教師ありNMFを用いた音源分離における複数曲学習手法
◎工藤 魁・市毛弘一(横浜国大) |
A-5-4 |
周波数帯域分割を用いたCNNによるピアノ音の多重音解析
◎戸田大貴・市毛弘一(横浜国大) |
A-5-5 |
位相制御型クロストークキャンセラを応用した立体音響技術の検討
○堤 優哉・安田 彰(法政大) |
筆者らは,振動センサで取得した歩行振動データを用いることにより,災害時における避難者の状態を推定して,避難を支援するシステムの研究を行っている.本報告では,振動センサで得られた歩行振動データから,避難者が子供か大人かを判定する手法を提案し,実験的検討を行う.
近年,地震などの災害により原子力発電所が深刻な被害を被っている.原子力発電所の配管が損傷した場合,人体に危険が及ぶため,ロボットを用いた損傷個所の特定が望まれる.本研究では,ロボットアームを用いた,配管の損傷箇所の推定手法について検討する.ロボットアームに搭載したマイクロホンを走査しながらガス漏れなどの損傷箇所を探索する場合,信号源はロボットアームの座標系において相対的に移動する.本報告では,パーティクルスムーザ[1]を用いて信号源の追尾精度の改善を行う.
非負値行列因子分解(NMF: Nonnegative Matrix Factorization)を用いた音源分離において,学習に複数曲を用いる新たな手法を提案する.従来,目的音と同種の楽器音から学習された基底行列を利用する教師ありNMF(SNMF: Supervised NMF)が提案されている.しかし,これには畳み込みニューラルネットワークのような教師信号として複数曲を用いる学習が不可能であった.本稿では,複数曲から得られた学習データをもとに,組み合わせ最適化による再構成を行う分離精度向上法を提案する.
自動採譜は, 楽曲検索や音声入力による採譜などに非常に有用である. 中でも, 多重音解析は自動採譜において欠かせない技術である. 多重音解析手法には線形なものと非線形なものがあるが, 本稿では代表的な非線形手法の一つである深層学習を用いた検討を行う. 本稿では, 出力表現である MIDI 形式のピアノロールを帯域分割し, 各帯域を異なる学習器で学習させるアンサンブル手法を提案する.
近年,映画館やコンサートホールなどの音場の臨場感を再現する立体音響技術が注目を集めている.スピーカで再生するトランスオーラル再生法では,クロストークが発生するため,その抑制が重要となる.従来技術である位相制御を用いたクロストークキャンセラでは,HRTF(頭部伝達関数)から生成した逆フィルタを用いないため,演算量の多さや音質変化などの問題が改善される.しかし,デメリットとしてスイートスポットがスピーカ正面の周辺に縛られてしまう.本論文では,この従来位相制御型クロストークキャンセル技術を応用し,受聴者の位置変化に対応したクロストークキャンセラを提案する.
A-6. VLSI設計技術
9月17日 10:45〜11:15 Meeting 9 座長 桜井祐市(日立)
A-6-1 |
物体検出AI推論用ハードウェア向け動的小数点位置制御手法の提案
○八田彩希・鵜澤寛之・吉田周平・新田高庸(NTT) |
A-6-2 |
圧縮センシングを用いた脳波計測フレームワークにおいてアナログ回路で生じるノイズが信号復元に与える影響
◎佐藤太河・兼本大輔(阪大)・勝俣 駿(山梨大)・毎田 修・廣瀬哲也(阪大) |
近年,ドローン制御や監視カメラ等のエッジ/端末向けAI システムが注目を浴びている.これらのシステムは,映像に対して畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を有するAIの推論処理を利用した物体検出を,リアルタイムに行
うことで実現される.端末側は電力・重量等の資源に限りがあるため,ハードウェア(HW)化が必須となる.一般に,畳込み演算の各パラメータ(重み,バイアス,出力値)は32bit 浮動小数点数で扱われるのに対し,HW 実装ではそれらを低ビット化する方法が提案されているが、画像毎に適切な小数点位置を決定している手法はない.本稿ではCNN 畳込み演算パラメータを8 bit 化した際の推論精度向上を目的として,画像に応じてパラメータの小数点位置を層毎に動的に変更するAI 推論用HW 向けの制御手法について提案し,その効果を確認した.
本研究では圧縮センシングを用いた脳波計測フレームワークにおいて,回路で発生するノイズと復元精度の関係について調べた.ノイズの種類として1/fノイズとホワイトノイズを考慮し,復元精度はNMSEを用いて評価を行った.評価には国際10-20法により取得した16か所の脳波電極から電極FP1の脳波を使用し,MATLAB上でノイズの印加・圧縮・復元の一連の信号処理を実施した.評価結果より,それぞれのノイズスペクトラムの形は復元精度に影響を与えることが分かった.
A-7. 情報セキュリティ
9月17日 9:00〜9:45 Meeting 9 座長 岩本 貢(電通大)
A-7-1 |
暗号資産台帳の匿名性と特定・追跡性についての考察
○才所敏明(IT企画)・辻井重男(中大)・櫻井幸一(九大) |
A-7-2 |
NIST軽量暗号の第2ラウンド候補の軽量実装に向けた分類と比較
◎日良僚太・李 陽(電通大)・原 祐子(東工大)・崎山一男(電通大) |
A-7-3 |
M&Mによる対策されたAESハードウェアの安全性評価について
◎平田 遼・羽田野凌太・李 陽(電通大)・三浦典之(阪大)・Nikova Svetla(KU Leuven)・崎山一男(電通大) |
暗号資産台帳に登録され管理される情報による暗号資産の分類を提案した。具体的には、トランザクションベースで管理する暗号資産(TCAM方式)とバランスベースで管理する暗号資産(BCAM方式)への分類を考案し、それぞれの匿名性と特定・追跡性に関するメリット・デメリットを考察した。TCAM方式は、一般的に特定・追跡性の観点からは効果があるが、匿名性の維持のための工夫が課題となり、BCAM方式は、匿名性の観点からは効果があるが、特定・追跡性の確保のための工夫が課題となることを確認した。更に、11個の暗号資産Bitcoin、Monero、Zcash、Grin、IOTA、Obyte、Aidos Kuneen、Dero、Nano、Hedera Hashgraph、Tangramの暗号資産台帳を調査し分類、個々の暗号資産の特徴・課題を考察した。
Interenet of Things(IoT)化が進み,計算資源の限られたデバイスにもセキュリティ対策が求められるようになった.データ及びプライバシーの保護のためには,安全で実装性の高い軽量アルゴリズムが必要である.本研究では,IoTデバイスでの利用のためにNational Institute of Standards and Technology(NIST)の標準化プロジェクトで選定中の32候補の構造や特徴の比較・分類を行う.NISTに提出された仕様書にもとづく調査の結果,実装上の性能が認証暗号の構造や暗号処理部分部分での置換処理に応じて異なることが推測できた.ソフトウェア実装を行い,実際の性能を確認する.
近年,サイドチャネル解析が暗号ハードウェアへの脅威となっている.加えて,故障差分解析や故障感度解析といったアクティブ型の物理攻撃も脅威とされている.先行研究では,サイドチャネル解析と差分故障解析への対策として,Threshold Implementation, Infective Computationを組み合わせた対策手法M&Mが提案された.本稿では,FSA攻撃に対する攻撃耐性について言及し,M&Mが実装されたAESハードウェアに対する故障感度解析への安全性評価について報告する.
A-8. 信号処理
9月16日 9:00〜11:45 Meeting 21 座長 小西克巳(法政大)
A-8-1 |
深度学習を用いた顔認識明暗汎用性向上の研究
○鄭 有穎(東洋大) |
A-8-2 |
ベイズ定理にEMアルゴリズムを導入した点群データによる路面の状態推定法
○折本寿子・生田 顕(県立広島大) |
A-8-3 |
重み付きシャッテンpノルム最小化による人体関節位置推定
◎吉村 海・市毛弘一(横浜国大) |
A-8-4 |
顕著性マップを用いた農作物検出手法に関する検討
○青木俊介・山﨑達也(新潟大) |
A-8-5 |
特徴量正規化に基づいた高精度動画像前景抽出手法
◎鈴木悠茉・市毛弘一(横浜国大) |
顔認識による社会的な技術は毎年上昇する傾向があります。よって、顔認識技術の汎用性及び正確性もより高く求められている。従来、画像処理技術の問題点(光の影響が強い、顔姿勢の影響もあり、他に訓練データの正確率など)がまだ完全に解決していないですが。深度学習、ここ数年に突然様々な領域に活発しました、特に画像処理の領域に多きな成果を見出しました。本研究は深度学習のConvolutional Neural Network(以下CNNと略称)に基づき、データペースの明暗度を修正した。これにより、顔認識システムの明暗汎用性が向上した。
荷物の運搬で安全に運転するためには,道路の定期的な点検および整備は必須であり,様々な点検手法が適応されている.例えば,画像によるクラック等の検知方法も広く使われているが,画像データのひずみや,データ量が膨大になるという問題点がある.そこで,レーザーを照射させ非接触に点群データを計測するレーザースキャナが着目されている.路面の陥没などの状態を計測することが期待されているが,正確なデータを得るにはレーザーの照射回数が増え,計測時間が長くかかる.そこで,本研究ではベイズ定理にEMアルゴリズムを導入することにより,レーザーの照射回数の少ない精度の低いデータを用いて,路面の状態を推定する一手法を提案した.
本稿では,人物の映った動画像から推定された人体関節位置の高精度化手法として,重み付きシャッテン p ノルム最小化 (WSNM: Weighted Schatten p-Norm Minimization) を用いた補間モデルを提案する.著者らは,人体関節位置の推定結果のうち,推定精度が悪い部分を異常値として検出し,異常値部分を異常値補間手法である切断核ノルム最小化 (TrNNM) を用いる手法を提案した [1].しかしながら,補間精度が十分でないという問題がある.本稿では、文献 [1] の手法をベースとし,異常値補間手法として WSNM を用いた場合の推定精度向上法を提案する.
現在,日本国内における農業従事者の減少や高齢化等の問題から,農家の負担軽減を目的とした,トマトやナスなどの果菜系作物の収穫作業の自動化への需要が高まっている.しかしながら環境変化の大きい露地栽培の現場においては,高精度な農作物検出の実現のために,作物の品種や現場環境に応じた多量のデータや手法が必要となる.そこで本研究では,少量のデータから得られる作物の分布特性に加え,顕著性マップを用いることによる,多様な農作物に対応可能な領域検出手法に関する検討を行った.ナスの露地栽培画像に本手法を適用した結果,顕著性マップの利用が精度向上に有効であることが確認できた.
本稿では,グループごとに正規化を行う Group Normalization を動画像の前景抽出に導入する.また,LN (Layer Normalization) と IN (Instance Normalization) によって正規化された特徴量を合成することで,バッチサイズ依存性を解消した前景抽出の高精度化法を提案する.
休 憩(10:30 再開) 座長 林 和則(京大)
A-8-6 |
バイアス誤差の低減法
○藤井健作(コダウェイ研究所)・棟安実治(関西大)・苣木禎史(千葉工大) |
A-8-7 |
周波数領域ICAとk平均法を用いたOFDM信号分離
◎丸山祐一・前川直志・布施匡章・塩入 健(アンリツ) |
A-8-8 |
適応型コムフィルタを用いた調波複合音の抑圧
◎原 宗大・藤枝 大(OKI) |
A-8-9 |
スパースな係数を持つ二次元FIRフィルタの制約付き設計
◎板坂樹生・松岡 諒(北九州市大)・奥田正浩(同志社大) |
A-8-10 |
サブバンドANCシステムの騒音低減効果に関する検討
◎山之内 諭・梶川嘉延(関西大) |
適応フィルタに印加する参照信号に外乱が重畳するシステムではバイアス誤差が発生する.本検討では,学習同定法の1次巡回型フィルタ表現からバイアス誤差は同フィルタの振幅利得の低下として表されることが見出される.この表現から更に,振幅利得を定式化し,バイアス誤差を補正できる係数を導く.最後に,計算機シミュレーションによって,この補正系数の有効性を示す.
デジタル変調方式の一つであるOFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)信号の分離は、ブラインド信号分離アルゴリズムのひとつであるICA(Independent Component Analysis)を周波数領域で施すFDICA(Frequency Domain ICA)を用いることで可能である。しかしOFDM信号の周波数割り当てに空きが存在する場合、推定順不定性を解決することができず周波数ごとに分離した信号の同定が課題となる。
そこで本稿では、周波数ごとに実行されるICAから得た信号成分のビームパターンに対してk-means法によるクラスタリングを用いることで、ICAの不定性を解決する方法を示す。2個の信号源からの信号を2素子アレーアンテナで受信する場合についてシミュレーションを行った結果を報告する。
消防車のサイレン音などは緊急時に音声通話を困難にするため,抑圧する方法の検討が必要である。ここで,サイレン音は基本周波数およびその高調波成分を含む調波複合音であり,また,周波数が連続的に変化する.
このような連続的に変化する調波複合音の抑圧するために,適応コムフィルタを用いることを提案した.この適応コムフィルタは,連続的に変化する周波数に対応するために,周波数を決定する遅延長に通常では整数遅延が用いられているが,分数遅延へ変換する措置を行った.
このような適応コムフィルタを用いて,実際にシミュレーションした結果,連続的に変化する調波複合音を抑圧できていることを確認した.
スパースな係数を持つ二次元FIRフィルタの制約付き設計のためのアルゴリズムを提示する.最大誤差制約付き最小二乗法で設計された二次元FIRフィルタ係数は設計仕様を満たすフィルタを構成するという点で見ると必ずしも最適ではない.いくつかのゼロ係数を持つ高い次数のフィルタの方が,より少ない乗算器数で仕様を満たすフィルタを構成することができる.我々の手法は,フィルタ係数のうち非ゼロ係数の数を,作られたフィルタの周波数応答が設計仕様を満たすように最小化する.同数以上の乗算器数を持つ従来の制約付き最小二乗設計よりも最大誤差の面で優れた性能を実現した.
サブバンド信号処理は帯域分割処理とも言われ,サンプリング周波数の変換を伴うため,マルチレート信号処理の代表例である.
サブバンド信号処理は,信号をいくつかの周波数帯域に分割し,それぞれの周波数帯域で独立に処理を行うため,各周波数帯域における信号やシステムの性質の違いを反映させ,帯域ごとに処理を変えることができる.また,各帯域の信号はフルバンドの信号に比べて周波数特性が平坦になる.つまり,信号が白色化されるため,適応フィルタでの収束速度が早くなるなどの利点がある.本稿ではサブバンド信号処理をアクティブノイズコントロール(ANC)に導入し,騒音の性質に合わせて各帯域で適切なタップ長を割り当てることで,同演算量で騒音低減効果を増大させることについて検討を行う.
A-9. ワイドバンドシステム
9月15日 13:00〜15:15 Meeting 29 座長 木下雅之(千葉工大)
A-9-1 |
VN-CSK照明可視光通信におけるMPOMSを利用する等重み(4, 4)視覚復号型秘密分散法
◎真中佳祐・Liyuan Chen・羽渕裕真・小澤佑介(茨城大) |
A-9-2 |
二種類の疑似雑音符号を用いるRGB並列可視光通信の性能評価
◎垂石興起・羽渕裕真(茨城大) |
A-9-3 |
水中可視光ワイヤレス給電通信システムにおける重畳型のパルス位置変調の評価
○川島久尚・大内浩司(静岡大) |
A-9-4 |
上り回線非直交多元接続における機械学習を用いた干渉除去選定-必要な訓練サンプル数に関する検討-
◎山本典瑛(明大)・森山雅文・滝沢賢一(NICT)・井家上哲史(明大) |
これまで、(k, n)視覚復号型秘密分散(VSS)において、その親和性の高さから(2, 2)VSSと照明可視光通信を融合したシステムが考えられてきた。しかし、(2, 2)VSSは最小の組合せであり、n>2のときの(k, n)VSSは検討されていない。本稿では、(4, 4)VSSとVN-CSK照明光通信を融合するシステムを検討し、室内モデルにおいてシミュレーションを行い、VSSデータの誤り率特性を導出している。結果から、各LEDと受信機の距離が等しい位置において、VSSデータの誤り率特性が最も良いことが示されている。
IEEE802.15.7において,RGB LEDのの発光強度比の変調により送信するカラーシフトキーイングが提唱されているが,RGBのスペクトル干渉や多元接続干渉については考慮されていおらず,RGB並列伝送においても,それら二つの干渉は存在している.
本稿では,二つの干渉に対応可能なRGB並列伝送として,拡張プライム系列符号 (MPSC)により多元接続間干渉を,変形擬直交M系列対(MPOMs)によりカラースペクトル間干渉を低減するRGB並列伝送方式が提案されている.また,多元接続環境におけるビット誤り特性の性能評価をシミュレーションによって行われ,提案方式は干渉除去が可能な方式であることが示されている.
水中可視光ワイヤレス給電通信システムとは,水中での可視光無線通信システムの1つで,受信機に太陽電池を用いて光信号を電気信号に変換する.その後,AC/DC分離フィルタを用いて直流成分と交流成分に分離し,直流成分を給電用電圧,交流成分を通信用電圧として使用することで,通信と給電を両立するシステムである.このシステムの問題点として,太陽電池の内部静電容量によって太陽電池の応答速度が制限され,通信速度が低い点が挙げられる.そこで本研究では,通信速度向上を目的として重畳型のパルス位置変調を提案,評価を行う.
IoT(Internet of Things)の時代においては,膨大な数のセンサからの小サイズデータを効率的に収容する無線アクセス技術が求められることから,複数端末が同一通信資源を共用する非直交多元接続方式(Non-orthogonal Multiple Access: NOMA)への注目が高まっている.上り回線へのNOMAの適用においては,基地局におけるデバイス間干渉除去技術が必須であり,機械学習を用いた干渉除去技術の選定に関する研究も行われている.本稿では,上り回線NOMAの実測データを用いて,基地局におけるデバイス間干渉除去技術の機械学習による選定手法を評価する.
休 憩(14:15 再開) 座長 藤井雅弘(宇都宮大)
A-9-5 |
トレーニング信号が不要なニューラルネット等化器の性能改善
◎井坂 開・宮嶋照行・杉谷栄規(茨城大) |
A-9-6 |
全二重フィルタ転送型リレーにおける同時干渉抑圧法の検討
◎竹腰雄斗・宮嶋照行・杉谷栄規(茨城大) |
A-9-7 |
深層学習に基づく超広帯域レーダによるドローンの識別に関する基礎検討
○川口大貴・中村僚兵・葉玉寿弥(防衛大) |
A-9-8 |
位相限定相関法に基づくピーク評価式を用いたOFDMレーダにおける推定精度の高性能化
○小島利文・大内浩司(静岡大) |
本発表では,トレーニング信号を必要としないニューラルネットワーク(NN)を用いた時間領域等化器の性能改善法について提案する.
提案法では,希望信号,符号間干渉(ISI)および雑音成分を含む受信信号を最大比合成した信号から,NNによって処理したISIおよび雑音成分のみを含む信号を減算することで,希望信号成分を保持したままISI成分を相殺する.
また,提案法は判定遅延の導入と複数受信アンテナを利用することで,合成信号の希望信号成分を大きくする.
NNの重みは等化器出力の分散を最小にするようにオンラインで学習して調整する.
シミュレーションにより,適切な判定遅延の設定と受信アンテナを増やすことで,従来法よりもビット誤り率性能が優れることを示す.
本発表では,シングルキャリア伝送におけるフィルタ転送型リレーのための,自己干渉と符号間干渉の同時抑圧法を提案する.提案法は適応最小分散法を利用するもので,従来法と異なり,リレー局において符号間干渉を抑圧でき,さらにサイクリックプレフィックスを利用しないため伝送レートの劣化がないという特長がある.シミュレーションによる動作確認の結果を示す.
近年,ドローン技術は急速に発展しており,軍事,産業,インフラ管理等様々な分野で利用されている.これに伴い
ドローンの墜落事故,違法行為等は増加しており,テロなど悪意のある利用も危惧されている.こうしたドローンの
早期発見は喫緊の課題といえる.これまでに,筆者らは超広帯域(UWB)レーダによるドローンの遠隔検出について
検討しており飛行するドローンから特徴的な反射信号(本体とローター部からの反射波の分離)が得られることを報
告している.本稿では深層学習(ディープラーニング)を用いて,レーダ画像から各種ドローンを識別する方法につ
いて実験的に検討した結果について報告する.
レーダ/通信共用システムの一種に直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing: OFDM)レーダがある.OFDMレーダの推定精度を向上させる方法が幾つか存在する.本稿では推定精度の向上を目的として,位相限定相関法(Phase Only Correlation: POC)法に基づくピーク評価式(Peak Evaluation Formula: PEF)を利用する方法を提案し,その有効性を計算機シミュレーションにより確認する.
A-10. システム数理と応用
9月16日 9:45〜11:45 Meeting 17 座長 林 直樹(阪大)
A-10-1 |
大規模イベントを対象とした複数エージェントによる協調型避難誘導手法
◎△竹本和弘・豊味諒磨・高山颯太・但馬正太・杉本敦哉・尾崎敦夫(阪工大) |
A-10-2 |
人狼ゲームにおける深層強化学習を用いたエージェント
◎△福田宗理・穴田 一(東京都市大) |
A-10-3 |
探索問題を対象としたマルチエージェント強化学習法
◎△豊味諒磨・尾崎敦夫(阪工大) |
現状,多くのイベントでは災害発生時の避難誘導体制が整っておらず,イベント開催における課題の一つとなっている.この課題に対し,我々は,来場者が保持するスマートフォンからの電波を検知する機器で取得した人数分布により,混雑している場所を回避させる避難誘導手法を検討してきた.本発表では,提案手法の詳細と,提案手法の初期評価として枚方市のイベントである「枚方宿くらわんか五六市」における避難誘導を対象としたシミュレーションにより,実測した来場者数に基づき,来場者が増加した場合の評価結果について報告する.
近年,人工知能による将棋や囲碁などのゲームの大会が開催されている.その1つに人狼ゲームを行う人狼知能大会がある.人狼ゲームで勝つためには嘘をつく能力や,情報の真偽を見極める能力が要求される.これらの能力が向上することで,人工知能がより高度な判断が可能となり,人間に近づくと考えられる.そのため,この人狼知能大会が注目されている.我々はこれまでの研究で,15人人狼においてニューラルネットワークを用いて全ての会話情報を考慮し,各プレイヤ-の役職を推定する役職推定モデルを構築した.本研究では,構築した役職推定モデルとDQNを用いて,相手から自分への発言内容を状態として入力し,行動の方向性を決める事で,相手の発言に対して受け答えができるエージェントを構築する.
防災・セキュリティ・清掃等の分野における監視・ 観測・保守・管理業務は,「高危険度」,「長時間」,「広範 囲」等,人間には不向きな性質を持つことから,無人システム化が期待されている.そこで我々は,無人システム化の例として,マルチエージェントによる領域探索時における方策を強化学習により獲得する手法を検討した.本手法では,各エージェントの方策を用いて領域探索を行い,方策勾配法定理に基づき各エージェントの方策パラメータを更新し,再度領域探索を行う.これらを繰り返すことで,各エージェントの方策パラメータを最小化し,方策の最適化を図った.その結果,方策の領域探索終了までのステップ数を大幅に減少できることが確認できた.
休 憩(10:45 再開) 座長 BIN AHMADON MOHD ANUARUDDIN(山口大)
A-10-4 |
多様性向上を指向した対話システムの検討
◎柳川芳輝・尾崎敦夫(阪工大) |
A-10-5 |
強化学習による推理小説の犯人推定
○△勝島修平・穴田 一(東京都市大) |
A-10-6 |
作業者視点映像における撮影位置および方向に基づく特定行動場面の推定
◎久保田 遥・片岡 明・大石晴夫・中村宏之(NTT) |
A-10-7 |
売買シグナルの強弱を考慮したGenetic Network Programmingにパラメーター変動を導入した外国為替取引戦略の構築
○△内田純平・穴田 一(東京都市大) |
高齢者の話し相手や教育の支援などを目的として対話システムの利用が注目されており,その先行研究としてNCMがある.NCMの問題点で学習を行うにつれ生成した応答文に多様性がなくなるということが挙げられている.本稿では,先行研究の問題点を改善し多様性のある対話システムを提案する.学習の際,生じる誤差に許容範囲を設けるε-許容誤差を応用した損失関数を用いるモデルで多様性のある応答文の生成を図る.評価は多様性と文章としての評価を行い,εの値が大きければ多様性が増し文章としての質が落ちることが確認された.結論として適切なεの値を設定することで従来のモデルよりも多様性を保ち,精度の劣化も防いだ文章を生成することができた.
近年, 機械学習の発展に伴い,これらの技術への社会的な期待が高まっている一方,専門家でも結果に対して解釈を与えられない解釈可能性が問題となっている.そんななか、解釈可能性を題材とした推論を行うコンテスト「ナレッジグラフ推論チャレンジ」が開催となった.
既存研究では、推論過程を評価するためにエキスパートシステムを用いた方法が提案されているが、途中の自然言語処理により、元の表現とのずれや、構造化に多大なコストがかかり現実的ではない.
本研究では, Graph Embeddingにより得られたベクトルを利用し強化学習を行い, 方策勾配法によって学習した方策に従い, 推論過程の説明を行う.
工事等の作業を行うにあたり,作業者視点で撮影されたカメラ映像は作業ログとして有効であり,マニュアル化,業務分析,作業証跡等への活用が期待される.映像から目視で特定の場面を抽出するのは非効率だが,位置情報を用いることで,特定の場所で撮影された,または特定の対象を捉えた場面を抽出することができる.しかし,スキル継承などのため実際に作業を行った場面を抽出したい場合には,位置に加えその場で撮影者がどのような行動を取ったかが重要となる.本研究では,視点映像の撮影者位置および方向を用いて各場面の撮影者行動を判別可能にする手法を提案することで,映像活用の更なる効率化を目指す.
近年,テクニカル分析を用いた株式売買や外国為替取引に関する研究が精力的に行われている. テクニカル分析を用いた投資戦略に関する研究では, 相場のトレンドや転換点を判断するテクニカル指標を組み合わせることにより売買戦略を構築している.しかし, テクニカル指標のシグナルのみを信頼して取引を行っても利益を大きく上げることは難しい.そこで本研究では, テクニカル指標による売買シグナルの強さを定義し, 売買シグナルの強弱を判断基準とすることで安定して利益を生み出す, Genetic Network Programmingによる外国為替取引における売買戦略の構築を目的とする.
9月16日 13:00〜16:15 Meeting 17 座長 小林孝一(北大)
A-10-8 |
多入力多出力モデルの精度と時間の評価
○吉田秀俊・山田哲靖(諏訪東京理科大) |
A-10-9 |
D2CNNを用いたWSI画像の乳癌転移有無の判定に関する検討
○△葛 睿剛・陳 国躍・猿田和樹・寺田裕樹(秋田県立大) |
A-10-10 |
CNN-BP復号器による誤り削減手法
◎吉永悠真・古田憲一郎・吉沢竜太・鳥井 修・児玉知也(キオクシア) |
A-10-11 |
fastTextによる特徴量ベクトルを用いた金融テキストマイニング
◎瀬戸 要・松井藤五郎(中部大) |
A-10-12 |
単語の主観的類似度と客観的類似度のギャップに関する一考察
○森谷高明・西尾 学・山本太三・三好 優・歌原 崇(NTT) |
IoTなどの発展によりセンサ数が増加すれば時系列予測には多入力多出力を高精度かつ高速に実行できるモデルが必要になると考えた。
多入力多出力を扱う上で、時系列予測のLSTMにはどのような特性があり、どのようにモデルを構築することで高精度かつ高速に実行できるかの
評価を行った。実験では3つのモデルを考案し、それらについて精度と学習+推論時間の評価を行い、本実験環境下での最適なモデルを提示した。
また最適なモデルでの今後の展望と課題をまとめている。
近年,世界における女性の乳癌の罹患率は年々増加している.一方,日本の現役の病理医不足し,病理による診断結果の差も深刻な問題になっている.そこで本研究では,深層学習の分野における分離チャンネル方法を用い,2つのCNNモデルを融合するD2CNNモデルを提案する.デジタル病理組織の標本画像(WSI)であるPatchCamelyon(PCam)に対する乳癌の転移有無の性能評価実験の結果,提案モデルと構成要素の単一CNNの判定性能を上回ることを確認できた.
BP-CNNは, 雑音推定用の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)をBP復号器の後段に配置することで, 効率よく誤り訂正を実行し, 復号性能を向上させる手法である.
既存手法では, 受信語に含まれる雑音と学習に用いた雑音が異なると復号性能が悪化してしまう.
また初回のBP復号が失敗してから, CNNによって雑音を推定するため, 計算時間も大幅には改善しない.
本稿では, 複数のCNNを前段に配置し, 推定雑音により誤りを削減することで, 復号性能の向上と計算時間の短縮を両立するCNN-BPを提案する.
本論文はテキストを用いた金融市場の上昇下落の動向予測において、ニューラルネットワークによって単語の分散表現を獲得する機械学習ライブラリであるfastTextを使用して特徴量ベクトルを生成し、価格と合わせて入力として深層学習を行う手法を提案する。従来手法では単語の出現パターンを用いていたが、本手法ではfastTextによって生成された特徴量ベクトルを用いることによって単語の意味を考慮することができる。また、日本経済新聞の記事とTOPIX ETFを対象とした実験を行い、その有効性を示す。
大量のデータが従来よりも容易に入手できるようになり,人の主観的な印象では関係なさそうな2つの事象であっても,データを客観的に分析すると関係がある,という意外性が潜んでいる.本稿では,単語の使われ方が人の主観的印象から成るものと仮定し,一方で,単語に関連する時系列データを客観的なものとみなす.同一の単語に関してであっても両者にはギャップ(距離)が存在するため,それ
を算出する方法を提案し,意外な特徴の抽出を試みる.
休 憩(14:30 再開) 座長 豊嶋伊知郎(東芝エネルギーシステムズ)
A-10-13 |
生産現場におけるデジタル信号とアナログ信号の非定常検出方式の検討
◎青木聖陽・柴田昌彦・竹内清史(三菱電機) |
A-10-14 |
大型低温重力波望遠鏡KAGRAにおける干渉計ロックロスの原因推定システムの開発
○冨士川雄太(新潟大)・横澤孝章(東大)・鷲見貴生(国立天文台)・苔山圭以子・山本尚弘(東大)・小坂井千紘(国立天文台)・三代浩世希(東大)・鈴木孝昌(新潟大)・佐藤 孝(新潟工短大)・大河正志(新潟大) |
生産現場でライン停止などのトラブルが発生した時には、その要因の特定が求められる。要因特定の手がかりを得るため先行研究では、 FA機器のデジタル制御入出力信号の正常パターンを機械学習し、生産ライン稼働時の信号の非定常な変化を検出する方式を提案している。しかし、先行研究の方式は、 0か1の2値のみを取るビット信号の非定常検出に特化し、0か1以外の値をとるアナログ信号は対象とされない。本稿では、生産現場におけるビット信号とアナログ信号を組み合わせて機械学習し、信号の非定常な変化を検出する方式を提案する。模擬製造ラインを用いた評価実験の結果、アナログ信号の非定常を検出できた。
重力波は時空の歪みが伝播する波であり、KAGRAはFabry-Perrot Michelson 干渉計型の重力波検出器である。重力波による時空の歪みは非常に微小であることから、重力波の直接検出には干渉状態を維持する制御が不可欠である。しかし、様々な要因から制御が外れてしまうことがある。この制御外れ(ロックロス)の原因を明らかにすることにより、要因の排除や頻度の低減が可能となるが、要因特定のためには膨大な干渉計補助チャンネルを解析する必要がある。そこで本研究では、ロックロスの原因となり得る現象を選別し、それらをモニタリングする信号とロックロスの関係について考察を行った。また、この考察結果を基に、ロックロスの原因を判別するシステムを開発した。
休 憩(15:15 再開) 座長 足立亮介(山口大)
A-10-15 |
数列モデルによるテーマパーク優先入場の解析
○坂本憲昭(法政大) |
A-10-16 |
履歴を活用した車両基地構内作業計画システムカスタマイズ方式
○加藤祐子・小林雄一・前川勇樹・賀沢 唯・佐藤達広(日立) |
A-10-17 |
自動車通勤者に対する所要時間の提示と渋滞の関係性の考察
◎中村佑輔・勝間田優樹・泉澤拓弥・山田 曉(NTTドコモ) |
A-10-18 |
計画変更情報モデリングに基づく段階型運転整理支援方式
◎植松凌太・木村恵二・皆川 剛(日立) |
テーマパークの優先入場システムがあるアトラクションにおいて,非優先入場者の待ち時間を短くするために,優先入場の単位時間あたりの発券枚数を一定値から増加関数にすることを提案した。本稿は入場者の到着分布を数列モデルで仮定し,その提案手法の数理的解析を示す。
鉄道車両基地における車両の検査,修理,清掃などの各種メンテナンス作業を支援するための計画情報管理システムである構内作業計画システムに対し,機械学習技術と数理最適化技術の融合により,熟練者の計画履歴から基地固有の計画作成ルールを自動抽出して計画作成アルゴリズムに反映する自動カスタマイズ機能を開発した.仮想的な中規模車両基地における10日分の模擬データを用いた検証により,意図的に組み込んだ車両基地固有のノウハウが97%の編成に自動的に反映されることを確認した.今後は,車両基地への実適用をめざし,複雑な線形やダイヤ,様々な制約条件,ノウハウに対しても適用できるよう検討する.
通勤時は交通需要が集中するため,時差出勤をはじめとした渋滞を緩和する施策が注目されている.
これまで,通勤者の出発時刻の決定問題のモデル化は盛んに研究されているが,こうしたモデルを用いた施策の検証の議論は十分になされていない.本稿では,自動車通勤者に対して出発時刻毎に通勤にかかる時間を提示した際に,渋滞が如何に変化するかを明らかにする.シミュレーションによる検証により,道路の混雑情報のみを提示すると,却って渋滞を誘発する危険があることが確認された.
本稿では列車運行計画の運転整理業務の支援を目的として、運転整理案の妥当性を段階的に確認する方式を提案する。従来研究ではシステムが運転整理案を作成しユーザに示す支援方式が検討されてきたものの、ユーザが運転整理案を採用するまでの過程は考慮されておらず、膨大な変更点の妥当性をユーザがいかに短時間で確認するかが課題となっていた。そこで提案法では2つのネットワークモデルを用いて、ユーザの着目列車に対応する部分問題のみを抽出・提示することで、運転整理案の確実かつ速やかな妥当性確認を支援する。最後に、提案法の有効性について考察するため、オープンデータを利用した適用例を示す。
A-11. 思考と言語
9月15日 11:00〜11:30 Meeting 24 座長 近藤公久(工学院大)
A-11-1 |
PBLオンライン教育システムの検討
○袖 美樹子(国際高専)・新 聖子・宮崎慶輔・伊藤隆夫(金沢工大) |
A-11-2 |
体育大学における保健医療学部生向けEBMのための情報系遠隔授業
今江 崇・○角田 貢・渡邊いろは・奥山瑞樹(日体大) |
KITとICTは、学生に必要なスキルを教育するオンラインPBL教育に取り組んでいる。生徒一人ひとりの学習状況を的確に把握し、適切なアドバイスを行うことで生徒の成長を促進することは、生徒の成長に有効であり、そのためにはAIを活用する必要がある。AIを利用したオンラインPBL教育システムをご提案した。
従来より,保健医療学部において情報系授業を開講してきた.この4月から,この授業をネットワーク経由でビデオも併用した授業により実施したことについて発表する.
A-13. ITS
9月16日 10:00〜11:00 Meeting 22 座長 橋本尚久(産総研)
A-13-1 |
姿勢センサと測距を用いた屋内位置推定のグリッド探索に関する一検討
◎瀧 郁弥・藤井雅弘(宇都宮大) |
A-13-2 |
天球カメラによるスカイプロットマスクの空領域を用いた屋内位置推定システムに関する一検討
◎和田光彰・藤井雅弘(宇都宮大) |
A-13-3 |
自動運転の仮想テストにおいて想定外の事故事例を創出する方式
◎大関和夫・斎藤亜希(東京国際工科専門職大)・井上秀雄(神奈川工科大) |
A-13-4 |
ミリ波レーダを用いた自転車歩行者道における歩行者の検出に対するコヒーレント積分の効果
○入江泰生・胡 尭坤・戸田 健(日大) |
近年,スマートフォンやスマートウォッチの普及にともない,位置情報を情報端末に導入したサービスが増えつつあり,屋内位置推定に対する需要が高まっている.既存の屋内位置推定手法として,測域センサを用いた推定手法が提案されてきたが,これらはセンサを車椅子や壁面などに固定することを前提としており,推定を行う部屋空間の2次元的な測距情報のみを推定に用いていた.本研究では,測域センサを歩行者腕部に装着し,ジャイロセンサ,加速度センサによる姿勢推定と融合することで測距情報を3次元に拡張した上で歩行者屋内位置推定を行う手法について検討する.本稿では,提案手法の有効性を検証するための実証実験とその結果について報告する.
本稿では,GNSS(Global Navigation Satellite Systems)を用いて屋内で位置推定する手法について検討する.一般的に屋内ではGNSS信号は届きにくいが,窓から入射するものに関しては,ある程度の強度で受信できる.そのため,屋内における各GNSS衛星の受信状況は,その地点の窓の見え方に影響を受ける.そこで,屋内のある地点での窓の見え方をスカイプロットマスクとして事前にデータベースに登録しておき,端末から得られた受信強度と照合し端末の室内での位置を推定する手法を提案する.スカイプロットマスクとは,ある地点からの窓の見え方を方位角・仰角を用いて表したものであり,天球カメラで撮影した写真を用いて作成できる.また,実験により提案手法の性能を評価する.
完全な自動運転への道は,技術的な問題と,社会の受容という2つの問題がある.技術的にAIの精度が十分向上したとしても,その振る舞いが人間にとって違和感のあるものである場合は,社会に受け入れられない,という可能性がある.「考えられない,想定外の事故」を発見し対策をとれるような,質的な安全性の向上を目指している.想定外の事故の事例を構成するため,本研究では,形態分析法[1]を用い,仮想テストにおけるデータ増強(Augmentation)を行う
近年自転車関連事故が増加傾向にあり, その対策が急務となっている.自動車の安全運転支援としては近年車載ミリ波レーダの実用化が進む一方,自転車においても前方向の衝突防止や視界支援のためミリ波レーダを搭載し試験が行われている.そのような中, ガードレールやバリケード,道路標識等の付帯設備が多数設置された歩行者自転車道では, 歩行者が安定して検知できない. そこで本研究では77GHz帯ミリ波FMCW方式MIMOレーダにおいて,ガードレールや標識等の多数の付帯設備が設置された狭小な自転車歩行者道空間において, Range-FFT後の信号に対しコヒーレント積分を行い, 静止障害物を抑圧し歩行者の検出を試みた. 実験では多数の付帯設備が抑圧され, 歩行者が抽出されることを確認した.
A-14. スマートインフォメディアシステム
9月15日 13:00〜15:30 Meeting 24 座長 三澤秀明(宇部高専)
A-14-1 |
3原色の色相・彩度調整によるカラー画像のホワイトバランス調整法の一提案
○深井健宏・田口 亮(東京都市大) |
A-14-2 |
ヒストグラム指定法に基づく逆光画像の強調
◎植田祥明(福岡大)・古賀崇了(近畿大)・末竹規哲(山口大) |
A-14-3 |
輪郭画像入力によるGANを用いた対話型進化計算デザインシステム
◎陳 鑫・荒川 薫(明大) |
A-14-4 |
画像強調のための最適な階調値変換関数導出法の一提案
○下釡康輔・田口 亮(東京都市大) |
A-14-5 |
適応型時空間正則化相関フィルタによる動き物体追跡方式
◎唐 兆前・荒川 薫(明大) |
照明条件によっては取得される画像が、特定の色に偏ってしまう、すなわち、ホワイトバランスが崩れてしまう場合がある。そのような場合、白色光下で取得した画像と等価な画像に修正する、ホワイトバランスの調整が要求される。従来のホワイトバランスの調整法はR(赤)G(緑)B(青)の3原色の強度調整によるもので、これはヒトの色に対する順応に基づく方法であり、明度の基準をG成分としていた。本研究は、「R(赤)G(緑)B(青)3原色の色相と彩度がズレることでホワイトバランスが崩れるという新しいモデル」を仮定し、ホワイトバランス調整を行う方法を提案する。新しいモデルで、かつ、原画像の明度を保存したホワイトバランス調整を実現する。
逆光の条件下で撮影された画像(逆光画像)には,極端に暗い領域や極端に明るい領域が存在する.従来より,逆光画像に対する画像強調法が提案されている.また,逆光画像の明度ヒストグラムは双峰性を示すことが知られている.そこで,本研究では,明度ヒストグラムの双峰性の形状を改善するようなヒストグラム指定法を適用することにより,逆光画像の強調を試みる.提案手法の有効性を検証するために,比較実験を行う.
GAN(Generative Adversarial Networks)はDeep neural networkの一つであり、実在しない画像を生成したり画像を変換することができる.本稿では、GANに対話型進化計算(IEC)を導入し、利用者の好みを反映した物体のデザインを行うシステムを提案する。このシステムは、利用者が所望する輪郭画像を入力し、その輪郭に合わせて色や素材感のデザインを利用者の好みに基づいて実現するものである。GANとIECを用いたデザインシステムは、他にBontragerらにより提案されているが、これは輪郭が固定化されておらず、特定の形の物体をデザインすることはできない[1].本提案方式は、希望の形を指定することができ、また、任意の物体をトレーニング画像として用いることができるので、多様性の高いデザインを実現できる。計算機シミュレーションにより,その有効性を示す.
ヒトが見やすい画像を生成する処理は画像強調と呼ばれており,その中でもカメラの性能や照明条件の不備などで生じたコントラストの偏りや不十分さを改善する処理がコントラスト強調である.コントラスト強調は様々な手法が存在し,階調値変換関数を用いた手法が知られている.この手法においてヒストグラム平坦化が最も代表的で、かつ、有力な方法であるが,入力画像の階調平均値を大幅に変動させる場合があり,また,強調を必要としていない箇所の画像に占める面積が大きい場合は良好な強調結果が得られない.できれば,ユーザーが望む強調を導く階調値変換関数を導きたい。
本研究では,自然な強調結果を得るために入力画像の階調平均値を保ち,画像の特徴のある箇所を中心にコントラストを向上させるような最適な階調値変換関数を導出する手法を遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて明らかにする.
判別的相関フィルタ(DCF)は動き物体追跡において、目標画像サンプルの巡回シフトによるトレーニング画像生成と高速フーリエ変換(FFT)を利用して高速な学習と目標物体検出を行うことができる。しかし、FFTの周期性により境界の影響を生み出し、追跡の効果が制限される。そこで、境界近辺が0となる方形窓をフィルタにかけることで境界の影響を軽減するBACFが提案された。本稿では、 BACFの追跡効果を向上する為に、適応型時間正則化を導入する改良法を提案する。計算機シミュレーションにおいて、他の物体追跡方式に対する本提案方式の有効性を示す
休 憩(14:30 再開) 座長 末竹規哲(山口大)
A-14-6 |
Webカメラを用いた製造ライン状態報告ランプモニタリングシステムにおけるSVMによる色判定の評価
◎髙杉 豪・筒井 弘(北大)・宮永喜一(千歳科技大) |
A-14-7 |
軽量な機械学習に基づく高速ビームフォーミング
◎Yitu Wang・仲地孝之(NTT) |
A-14-8 |
センサネットワークにおけるエッジ計算手法の提案
○吉見真聡・清家 巧(TIS) |
A-14-9 |
非目的指向のコミュニケーションのための情報推薦手法
○釘本健司・鎌谷 修・山口高弘(NTT) |
工場の製造ラインでは,異常発生をすばやく検知することが重要である.そのため,製造ラインにおける状態報告ランプの色をWebカメラを用いて判定するシステムが提案されている.先行研究では,閾値を用いてランプの色判定を行っている.この手法では閾値を手動で設定する必要があり,カメラの違いや環境が変化する度に再設定が必要になる.そこで本稿では,SVMを用いて色判定を行う手法を提案し,評価を行った結果を報告する.
Beyond 5Gや6Gなどの次世代移動通信でビームフォーミングの研究が盛んに行われている。フィンガープリントは、ミリ波の電波伝搬空間に関する情報を含んでおり、この情報を活用することで高速ビームフォーミングを実現できる[1]。しなしながら、ユーザーが移動する動的環境において、従来の位置に基づくフィンガープリントでは、ミリ波の伝送状態を正しく反映できない。本稿では、ミリ波の伝送状態を正しく反映するように、ユーザーの移動軌跡に基づいたフィンガープリントを提案する。リアルタイム処理に向けて、スパースコーディングを用いた高速ビームフォーミングのアルゴリズムを提案しその検討結果を報告する。
本研究報告では,センサが取得した生体・環境の情報をネットワークを介してクラウドに収集する際に,センサデータを中継するエッジサーバでの計算方法を提案する.センサデータの到着を周期的なストリームと見なして,一般的に使用されるクエリによる数値演算を行う仕組みである.
本稿では,様々なコンテキストに応じてユーザーに対して適切な情報を提供するコンテキストアウェア情報推薦システムCACRS (Context Aware Communication Recommender System)を提案する. CACRSでは,各種センサやコミュニケーションにおけるメッセージの断片からコンテキストを推定し,コンテキストに適した知識,ニュース,話題,動画コンテンツなどの推薦アイテムを利用者に対して適宜提供することによって,対人コミュニケーションの促進・深化を図る.
A-16. 高信頼制御通信
9月17日 11:00〜11:15 Meeting 29 座長 単 麟(NICT)
A-16-1 |
メカトロ機器の配線無線化に関する検討状況
○清水 聡・芹澤和伸・佐久間和司・鈴木義規(ATR)・関屋大雄(千葉大)・大平昌敬(埼玉大) |
ロボットを始めとするメカトロ機器内部には多くの配線がある.その無線化を我々は,ワイヤレスハーネスと呼び,いち早く研究開発を進めてきた.昨年度から,千葉大学,埼玉大学と研究グループを作り,技術の確立を目指している.今回は,その検討状況の一部を紹介する.
A-17. バイオメトリクス
9月15日 10:30〜11:15 Meeting 17 座長 奥井宣広(KDDI総合研究所)
A-17-1 |
プライバシーを考慮した複数情報を用いた人物照合技術
○小山雄喜(富士通QNET)・紺野剛史・近野 恵・粟井修司(富士通研) |
A-17-2 |
テンプレートの選択が生体検知精度に与える影響
◎松浦悠之亮・前田忠彦(立命館大) |
A-17-3 |
One Class SVMを用いた偽装指検知精度評価
◎水山桂乃・前田忠彦(立命館大) |
高齢者になっても安心して住み続けられる持続可能な環境の実現の一環として,認知症により行方不明になった高齢者を防犯カメラの映像から人物照合技術によって早期に発見できる仕組みの検討が行われている.プライバシー保護が可能な照合手法として,歩容情報や耳介情報を用いた研究があ
るが,歩容情報を用いた照合技術では,実際の監視カメラの映像では,足元が隠れるケースが多いことから特徴量が減り,精度劣化が発生する.そのため,ロバストな条件下でも高精度に照合可能な技術が望まれている.本稿では,複数の情報を用いることで従来手法より高精度に人物照合が行える手法を提案する.また,撮影日の異なる高齢者の歩行映像を用いて評価した結果を報告する.
文献 [1] で提案された生体検知センサを用いて , 生体検知センサにおける検知精度の安定性評価を行うために , 5 週にわたる測定で取得した測定データの 1 週目の測定データをテンプレートに用いて時間的変動について評価した [2]. しかし , 文献 [2] ではテンプレートを被験者 3 名の測定データを相加平均した人体指テンプレートによる評価しか行っておらず , 被験者毎の定量的な評価が行われていない . そこで , 本報告では ,文献 [2] の測定データを用いて , テンプレートを本人指テンプレートにした場合の生体検知精度に与える影響について評価を行った .
指紋認証において,指紋を模擬した偽装物による「なりすまし」被害が報告されている.その対策として,指の表面に偽装物を装着した指(偽装指)を検出する生体検知手法があり,センサで測定した指の通過特性(|S21|)から偽装指を判別するために, LOF 法を用いた機械学習による判定手法が提案されている.この手法により |S21| が未知であるような高度偽装物も検知できる方向性は示されたが,一定程度誤検知は発生している.本稿では,従来の手法より偽装指検知精度を高めるために, One Class SVM を用いた生体検知判定を実装し,検知精度の評価および LOF 法との比較を行う.
A-18. 安全・安心な生活とICT
9月17日 13:00〜14:30 Meeting 17 座長 大塚 晃(事業創造大)
A-18-1 |
グラフのリスト彩色と無線通信におけるチャネル割当
○田村 裕(中大)・中野敬介(新潟大) |
A-18-2 |
無線アドホックネットワークを用いた列車内混雑度推定に関する検討
○稲玉慶広・行田弘一(芝浦工大) |
A-18-3 |
緊急救命避難支援システム(ERESS)のためのセンサ情報と人の検知を統合した災害発生検知法
◎金山祐太・和田友孝・大月一弘(関西大) |
A-18-4 |
避難行動における愛他性心理要因の影響
○山崎達也(新潟大)・佐藤翔輔(東北大) |
A-18-5 |
作業姿勢におけるバランス崩れの測定手法の検討
○酒井理恵・吉田 寛(NTT)・國岡達也・森山徳秀・小出正信・永塚弘晃(ミライト) |
A-18-6 |
データ拡張とCNNによるパッシブイメージャ画像からの危険物識別の検討
○勝山 裕・Hlaing Myint San・余 恪平・徳田清仁・亀山 渉(早大) |
無線通信におけるチャネル割当とグラフ理論における彩色問題は古くから関連性が示され,様々な研究がなされてきた.彩色問題の一つにリスト彩色があり,これは,各点や辺に割当てられる色が指定されているものである.リスト彩色については多くの研究があるが,無線通信におけるチャネル割当への応用を念頭に置いたものはみられない.そこで本稿では,チャネル割当への応用のためには,従来のリスト彩色のどの点に注意すべきかについて考察する
現在日本で導入されている列車内の混雑度推定方法には,コストが高いという問題や,列車内で推定が完結しないという問題などがある.我々は低コストかつ列車内で推定が完結する混雑度推定システムの実現を目的として,乗客の持つスマートフォンなどの無線 LAN 搭載端末で構成される無線アドホックネットワークを用い,車掌の持つ端末において混雑度を推定する方法を提案する.提案方法の有用性を評価するため,ネットワークシミュレータを用いて車掌の持つ端末において混雑度推定が完了するまでの時間を求めた結果について述べる.
世界各地で火災やテロなどの様々な突発的災害により多数の死傷者が発生している.このような災害に直面した被災者は災害の発生地点や安全地帯のような災害情報が得られず,逃げ遅れが発生する恐れがある.そのため,被災者に災害情報を提供するシステムが必要となる.我々はリアルタイム性の高い避難支援情報を提供するシステムとして緊急救命避難支援システムERESS(Emergency Rescue Evacuation Support System)の研究開発を行っている.ERESSは人の行動を分析し,災害を自動で検知するシステムである.本稿ではERESSのシステムの一部である災害発生検知法について提案する.従来方式として機械学習を用いた行動分析および災害発生検知法がある.しかし,この方式にはセンサ情報のみを使用し災害発生検知を行うため,災害発生と定義するにはデータ量が少ないため精度が乏しいという問題がある.従来方式の問題点を解決するためにセンサ情報と人の検知を統合した災害発生検知法を提案する.提案方式は,センサ情報に加えて人の検知を考慮した災害発生検知法である.実証実験により提案方式の有効性を示した.
マルチエージェントシミュレーションにおいて,シミュレータ上のエージェントの動きを実際の人の避難行動に合致させることが重要である.災害時の避難行動は避難者の心理要因によって大きく変わり,正常性や同調性,あるいは愛他性が心理要因に影響する代表的なものである.本稿では,心理要因の中の愛他性に着目し,避難者が別の避難者を援助するような,避難者同士が相互に働きかけを行う仕組みを導入することで,避難行動に与える影響を評価する.具体的には,エージェントに高齢者モデルを導入し,他のエージェントは高齢者エージェントに対し歩行を援助するという愛他性をシミュレーション上に実現し,避難行動全体の数量的な評価を行った.
近年、脚立を使用した事故が問題になっている。脚立などからの転落は、用具自体もしくは作業者の姿勢のバランスが崩れることで発生することが知られているが、本論文では、作業者の姿勢のバランス崩れからの転落に着目した。立位姿勢保持における安定性には状況によって差異があることがわかっており、姿勢のバランス崩れから転落に至った作業者は、作業中に正常状態からバランス崩れ状態に移行したうえで転落したことが想定されるが、自らの安定性を作業者が認知することは困難である。作業安定性の指標には重心動揺面積が広く使われていることから、作業者ごとの重心動揺面積を簡易に数値化・可視化する方法について検討した。
衣服内に隠し持った不審物を撮影するパッシブイメージャは、光学カメラのように手軽に撮影できないので、CNNによる認識においても学習画像数不足により高精度認識が難しいという課題があった。本研究では21画像/カテゴリの少ない画像数を、従来法とGANによるデータ拡張を行い、データ拡張によるCNNの正解率の比較を行った。その結果、オリジナル画像と全ての拡張後画像を使用した場合に、オリジナル画像だけの正解率から大幅に向上した85%程度の正解率が得られることがわかった。
A-19. ハードウェアセキュリティ
9月17日 10:00〜10:45 Meeting 9 座長 三浦典之(阪大)
A-19-1 |
Time-to-Digital ConverterへのシグナルインジェクションによるPUFステート復元攻撃の難易度評価
◎山下晃平・李 陽・菅原 健(電通大) |
A-19-2 |
マイコンを利用した真性乱数生成器の乱数品質の評価
○松岡俊佑(旭川高専)・市川周一(豊橋技科大) |
A-19-3 |
電源ノイズシミュレーションを用いた暗号モジュールのサイドチャネル漏洩評価
○門田和樹・安田一樹・月岡暉裕・永田 真(神戸大) |
Physically Unclonable Function(PUF)とは物理的な複製が困難なデバイス固有の値を生成する技術である. PUF 固有の値 (ステート) を暗号モジュールの秘密鍵保管庫として利用することで,リバースエンジニアリングにより秘密鍵を読み取る攻撃の対策として期待されている. 最近,PUFのステート生成の際に使われる Time-to-Digital Converter のクロックを操作することでステートをバイアスし,現実的な計算量でステートを復元する攻撃が提案された.本稿では,その攻撃の難易度に関わるパラメータであるクロック操作の分解能を計算機シミュレーションで評価する.
乱数の生成にはメルセンヌツイスタ―などのようにソフトウェアプログラムを用いる方法がある.ただし,シードと呼ばれる初期値を必要とし,生成される乱数は擬似乱数(PRNG)となる.真性乱数の生成にはハードウェアデバイスを利用する.乱数の発生源にはリングオシレータやラッチのメタスタビリティ,抵抗器から発生する熱雑音を利用した方法がある.先行研究では,マイコンに内蔵されているAD変換器を利用して乱数が生成可能なことを示した.本研究では汎用マイコンのArduino Unoに搭載されている低分解能のAD変換器を利用して抵抗器から発生する熱雑音から乱数を生成させ,diehardテストにより生成された乱数の品質評価を行った.
情報化社会の発展に伴い、半導体集積回路技術による暗号モジュールにおいて、電源ノイズによるサイドチャネル情報漏洩が非常に脅威となっている。ICチップ製造前の設計段階でシミュレーションを用いて耐タンパー性の評価を行う事はチップの耐タンパー性向上、試作コストの回避に大きく貢献する。本稿ではトランジスタレベルシミュレーション、及びスタンダードセルのパワーライブラリを用いたシミュレーションによりチップ内部の電源ノイズ波形を取得し、サイドチャネル漏洩について評価し、両手法でサイドチャネル情報漏洩の同等性を確認した。
シンポジウムセッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
AS-1. Stochastic & Approximate Computing と VLSI 設計技術
(VLSI設計技術研専)
9月17日 13:00〜14:15 Meeting 22 座長 岩垣 剛(広島市立大)
AS-1-1 |
加算による演算誤差を抑えたStochastic Computing積和演算器
◎△市川克泰・山下 茂(立命館大) |
AS-1-2 |
Approximate Arithmetic Circuit Design Using a Fast and Scalable Method
Qi Lu・Amir Masoud Gharehbaghi・○Takashi Matsumoto・Masahiro Fujita(The Univ. of Tokyo) |
AS-1-3 |
Partial Logic Synthesis via training a topologically similar binarized neural network
○Chaoyi Jin・Masahiro Fujita(The Univ. of Tokyo) |
Stochastic Computing (以降 SC)は, Stochastic Numberと呼ばれるビッ ト列中の1の存在確率を表すビットストリームを用いて 演算を行う近似計算手法である. SCは従来のバイ ナリ算術手法と比べて低電力,低面積で回路設計が可能 であるため, 近年ニューラルネットワークや画像処理に応用されている. SCによる加算 (以降SC加算)はマルチプレクサを 使用し,演算結果が正確なバイナリ加算のおよそ1/2スケールの加算を実現する. しかし,入力の半分の情報を 失ってしまい正確な精度は保証されない. このSC加算 を多用する積和演算器では,入力数が増えれば増えるほ ど演算誤差は大きくなってしまう. 本稿では, SC加算による演算誤差を抑えたSCによる 積和演算器を提案する.
Approximate computing can be applied to error tolerant applications, by trading off accuracy for lower power consumption, shorter delay and smaller area. In this paper, we focus on the approximate arithmetic circuit design especially targeting combinational multipliers and adders, which are essential computing components in machine learning such as neural network computation. We propose a novel approach to generate approximate circuits from the given correct circuits. We propose two different methods and apply them to adders and multipliers with different architectures. The experimental results demonstrate that our method outperforms the state-of-art methods in terms of the quality of the circuits with orders of magnitude shorter processing time.
In this paper, we present an experimental technique for solving partial logic synthesis problems through training a topologically similar binarized neural network. By replacing 2-input logic gates with perceptron model and inheriting the topological structure of the logic circuit, we are able to recover the missing parts with back propagation and discrete training. To check the effectiveness of the trick, we compared the different training strategies on different scales of circuits with multiple independent experiments. We state the uniqueness of this approach from traditional logic reasoning methods.
ABS-1. 広がりを見せるUWB技術 ~制度化と標準化動向、期待される利活用~
(高信頼制御通信研専、ワイドバンドシステム研専、ヘルスケア・医療情報通信技術研専 共催)
9月17日 13:00〜16:10 Meeting 29 座長 李 還幇(NICT)
ABS-1-1 |
(依頼講演25分)UWB無線システムの屋外利用周波数の拡張に向けた検討について
◎大野誠司(総務省) |
ABS-1-2 |
(依頼講演25分)UWB無線システムの屋外利用に対応したARIB規格
○眞田幸俊(慶大) |
ABS-1-3 |
(依頼講演25分)UWB無線の第3の波;電波法・デバイス・標準化によるUWB無線技術の学術・ビジネスの新パラダイム
◎河野隆二(横浜国大) |
近年UWB無線システムのセンサーネットワーク等での利用が注目され,日本においてもモバイル端末等への搭載を想定した屋外利用の需要が高まっている背景を踏まえ,平成30年度に一部の周波数帯(7.587~8.4GHz)の屋外利用を可能とするための技術的条件の検討がなされ,令和元年5月に制度化された.今般,UWBの更なる用途の拡大(チャネルの拡張)やUWBの広帯域性を利用したレーダー用途での利用のニーズも踏まえ,屋外利用周波数の拡大に向けて,必要な技術的条件等の検討を行う.
令和元年5月電波法施行規則,無線設備規則,および特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則の改正により,
超広帯域無線通信(Ultra Wideband:UWB)システムが屋外で使用できるようになった.これに合わせて一般社団法人
電波産業会はUWB無線システムの標準的な仕様等をまとめた標準規格ARIB STD-T91を改訂した.
本稿では,その改訂点,特に屋内において使用する無線設備と屋内および屋外において使用する無線設備の違い
について説明する.
ウルトラワイドバンド(UWB)技術は,測距測位および短距離無線通信等において優れた特長を示すことから,高信頼無線通信,高精度測距測位,及びボディエリアネットワークなどにおいて注目を集めている.本稿では,IEEE802.15およびETSIのSmartBanにおけるUWBの標準化状況について記述する.
(14:15 開始) 座長 安在大祐(名工大)
ABS-1-4 |
(依頼講演25分)IEEE 802.15におけるUWB測距関連規格の進展
◎李 還幇・滝沢賢一・児島史秀(NICT) |
ABS-1-5 |
(依頼講演25分)自動車内におけるUWB通信の可能性検討
○國立忠秀(矢崎総業)・李 還幇・滝沢賢一(NICT)・池田浩太郎(矢崎総業)・児島史秀(NICT) |
UWB(Ultra-Wideband)技術は高精度測距測位や短距離無線通信およびレーダー等の利用において優れた特性を示すため,広く注目されている.本稿では,国際標準化組織IEEE 802標準化委員会傘下のワーキンググループ15で策定されているUWB測距関連の標準規格の進展を概観する.
自動車内における電波環境の問題と,無線通信における高信頼な通信の研究事例を紹介し,電波環境が比較的安定していると考えられているUWB (Ultra Wide Band) 無線を利用した通信の可能性を示す.
休 憩(15:20 再開) 座長 濵村昌則(高知工科大)
ABS-1-6 |
UWB屋内位置推定における機械学習によるNLOS判別を用いた精度向上手法の検討
○石田圭吾・岡本英二(名工大)・李 還幇(NICT) |
ABS-1-7 |
UWB屋内位置推定におけるNLOS環境センサの判定誤り軽減に関する実験的検討
○小久保友裕・石田圭吾・岡本英二(名工大)・李 還幇(NICT) |
屋内での位置情報の需要は近年ますます高まっている.特にUWBを用いたTOA方式は精度とリアルタイム性の両方を実現できるため,普及が期待されている.屋内位置推定において問題となるのは障害物やマルチパスにより正しい測距値を得ることができないNLOS環境である.この問題に対し,冗長なセンサ数を利用し,測距値と推定値の残差からNLOS環境センサの特定及び排除を行う,事前知識を必要としない手法が検討されている.本稿では,残差だけでなく様々なセンサノード組み合わせによる推定位置の分布を機械学習の一種であるクラスタリングにより分析することで,統合的にセンサノードの信頼度を判定する手法を提案する.
位置情報を用いたサービスの増加から,高精度位置推定技術の需要はますます高まっている.その中でも精度の良さからUWBを用いたセンサが注目されている.しかし見通し外(NLOS)環境にあるセンサによって推定精度が大きく劣化してしまうことが課題となっており,NLOS環境にあるセンサを判定する方法が検討されてきた.一方,推定位置を用いたシステムには知的照明システムなど,複数の推定位置に対して点灯し,制御できる物も存在する.そこで複数の推定位置が許容されるシステムに対して適用可能な,NLOS環境センサ判定アルゴリズムの提案を行い,シミュレーションと実験により推定精度を向上させることが可能であることを示す.