プログラム
format_list_bulleted通信ソサイエティ
一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
B-1. アンテナ・伝播A(電波伝搬,非通信利用)
3月9日 9:00〜11:45 Meeting 25 座長 中林寛暁(千葉工大)
B-1-1 |
市街地環境における転移学習を用いた伝搬損失推定
○清水健矢・中西孝行・瀧川道生・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-2 |
深層学習による電波伝搬推定における特徴量の可視化
◎小瀬良開光・今井哲朗(東京電機大)・北尾光司郎・中村光貴・須山 聡・小田恭弘(NTTドコモ) |
B-1-3 |
機械学習を用いた時空間伝搬特性推定モデルの基礎検討
◎伊藤智史・林 高弘(KDDI総合研究所) |
B-1-4 |
遺伝的アルゴリズムを用いたレイトレースパラメータの最適化システムの構築
◎呉 聖屹・岩﨑 慧・チン ギルバート・シー・吉敷由起子(構造計画研)・今井哲朗・廣瀬 幸(東京電機大) |
B-1-5 |
遺伝的アルゴリズムによるレイトレースパラメータ探索の一考察
○廣瀬 幸・今井哲朗(東京電機大)・呉 聖屹・岩﨑 慧・チン ギルバート・シー・吉敷由起子(構造計画研) |
次世代移動通信,Internet of Things,コネクテッドカーなど,高速かつ高品質な無線通信環境を実現するには複雑な電波環境の理解が不可欠であり,その実用化においては電波伝搬特性の的確なモデリングが極めて重要である.近年では,目覚ましい発展を遂げている機械学習を活用した電波環境モデリングに関する研究が報告されている.本稿では,ImageNetで学習済みのVGG16を特徴量抽出に,サポートベクターマシンを回帰分析に用いた伝搬損失推定モデルとその推定結果について報告する.
近年では人工知能による応用研究が盛んとなっている.電波伝搬損失推定においても例外ではなく,ディープラーニング(深層学習)を基盤として用いる方法が提案され,研究が行われている.しかしディープラーニングの推定過程において,どのような部分を特徴量として取得しているかという事はモデルのネットワーク任せであり,その判断根拠は疑問となる.本稿ではGrad-CAMを用いて特徴量の可視化を試みたので報告する.
新たな電波システムの効率的な導入に向けて,仮想空間上に再現した無線機や伝搬環境での効率的な検証基盤の構築が検討されている.様々なシナリオで高精度に評価するためには,基地局・端末間の環境に応じた伝搬特性のモデル化が必要となる.さらに,マルチパスの合成により発生するフェージング変動による影響やMIMOなど電波の到来方向により性能が変化するマルチアンテナシステムの評価などでは,時空間伝搬特性のモデル化が必要となる.環境に応じた伝搬特性のモデル化手法として,CNN (Convolutional Neural Network) を用いた手法が提案されているが,時空間伝搬特性の推定は検討されていない.そこで本稿では,より時空間伝搬特性に適した入力情報として,全天球画像を用いた推定モデルを提案する.また,本モデルによる推定精度の検証結果について報告する.
本研究では広域環境における高精度なレイトレース法の電波伝搬モデルの構築を目指している.レイトレース法の精度は周辺環境を表す空間モデルに依存する.空間モデルのパラメータとして,構造物のマクロな形状や主な材質の情報を得ることができるが,ミクロな構造(凹凸)や電気的特性(媒質定数)の情報を得ることは難しい.しかし近年5G 通信の普及に伴い,電波の反射面における散乱現象が無視できず,その要因となるミクロな情報が不可欠である.本研究ではより高精度なシミュレーションを実現するため,遺伝的アルゴリズムを用い,レイトレース法におけるパラメータ(特にミクロな部分)の最適化システムを構築した.
広域環境における高精度な空間モデル技術を確立するため,環境変動特性及び構造・材料特性を含め周辺環境を精緻に三次元モデル化し,レイトレーシング法の高精度化を目指している.レイトレーシング解析において遺伝的アルゴリズムを適用することによる電波伝搬推定法が報告されている.これはレイをトレースする場合の構造物の組合せを最適化することで,演算処理が高速化された.本研究ではレイトレーシング解析の高精度化を目的として,遺伝的アルゴリズムを利用した,構造物,散乱およびレイトレーシングのパラメータを最適化する.
休 憩(10:30 再開) 座長 日景 隆(北大)
B-1-6 |
サブテラヘルツ帯を活用したイメージングシステム
○梅田周作・平 明徳・石岡和明・早馬道也・有賀 博(三菱電機) |
B-1-7 |
サブテラヘルツ帯における電波暗室内の伝搬測定
◎鮫島景子・石岡和明・早馬道也・梅田周作・平 明徳・有賀 博(三菱電機) |
B-1-8 |
電力合成とコヒーレント合成を併用したサブテラヘルツ・イメージング向けキャリブレーション方式
○早馬道也・石岡和明・梅田周作・平 明徳・有賀 博(三菱電機) |
B-1-9 |
回転反射鏡を用いたミリ波・テラヘルツ波における到来方向測定
○宮下真行・安藤由純・豊見本和馬・山口 良・矢吹 歩(ソフトバンク) |
B-1-10 |
都市部における300GHz帯無線フロントホールの基地局自動配置
◎奥村 凌・枚田明彦(千葉工大) |
高い時間分解能を実現できるサブテラヘルツ帯を活用することにより、超高精度なイメージングシステムを実現できる。本稿では、サブテラヘルツ帯を活用した高精度イメージングの評価するために汎用送受信機を用いた測定環境の構成を構築し、イメージングに必要な距離分解能を確保するために周波数特性のキャリブレーションを実施した結果、3mmという高い距離分解能を実現し、超高精度なイメージングシステムが構築できたことを示す。
電波暗室においてサブテラヘルツ帯での実験を行うにあたり,既存の電波吸収体や発泡スチロールの台等の使用可否を確認するため,電波暗室内での伝搬測定を実施した.電波吸収体について,十分機能していることを確認した.また,発泡スチロールは、透過特性としてはほぼ透明であったが、境界面での反射と内部の散乱波を観測した.
複数の周波数を用いたSARイメージングにおいて、画素ごとの相関ベクトルを複素加算するコヒーレント合成方式は,電力強度を加算すると方法と比較して高いサイドローブ低減効果が得られるが周波数ごとに存在する位相オフセットを事前に求め,位相補償を行う必要がある.本検討では電力合成画像を用いてイメージング対象自体からキャリブレーション座標を抽出し,周波数間の相対位相差を求めることでコヒーレント合成を実現するキャリブレーション方式を提案,実測結果を報告する.
5Gの商用サービスが開始され,次世代移動通信として第6世代移動通信システム(6G)の研究開発が行われている.6Gでは,100 GHz超の高周波数帯(テラヘルツ帯)の活用が考えられている.そのため,電波伝搬基本特性が非常に重要である.本稿では,後述システムの基本特性として,電波暗室内にてミリ波・テラヘルツ波における到来方向測定を行ったので結果を報告する.
6G移動無線システムでは,超高速化,大容量化,無線通信の信頼性向上が求められており,近距離で見通しが取れる環境で基地局を稠密に配置する必要がある. 100Gbit/sを超える無線フロントホールリンクを実現するために,テラヘルツ(THz)帯の利用が検討されているが,高層ビルが密集する大都市圏では,テラヘルツ帯の無線フロントホールリンクを高密度に展開することは困難である.本論文では,新宿における300GHz帯無線フロントホールリンクの自動配置アルゴリズムについて検討した.
3月10日 14:15〜17:00 Meeting 25 座長 林 高弘(KDDI総合研究所)
B-1-11 |
屋内工場環境下における3GHz帯及び28GHz帯伝搬損失特性に関する一検討
○後藤健太・中村光貴・北尾光司郎(NTTドコモ)・稲村浩之・土井敏則(東芝インフラシステムズ)・宮地健介(NTTドコモ) |
B-1-12 |
動的な遮蔽物を含む工場モデルのレイトレース計算の高速化手法の基礎的な検討
◎白川正之・チン ギルバート・シー・古川 玲・吉敷由起子(構造計画研)・沢田浩和・松村 武・児島史秀(NICT) |
B-1-13 |
地下・地上間無線通信における基地局アンテナ高さと伝搬損失の関係の一検討
○山本修平・八幡一毅・下田雄大・冨里 繁・上原一浩(岡山大) |
B-1-14 |
地中送電線マンホール内部からのLPWA電波伝搬特性評価に関する一検討
○土屋弘昌(電中研) |
B-1-15 |
後方散乱通信を用いたセンシングデバイスの検討
◎柴田晃清・小林秀幸(仙台高専) |
5Gではこれからの産業や社会を支える基盤技術として新たな価値を提供することが期待されており, NTTドコモでは, 工場における高度な無線通信の適用に向け様々な評価を進めている.
工場内の経済的な5Gのエリア設計に向けて, 大型の構造物がミリ波帯の電波伝搬に大きな影響を与える事が想定される. そこで, 特徴的な大型の構造物のみをモデリングしたデータを元にレイトレースシミュレーションを行い, 工場内での実測結果との比較からその有用性を評価した.
電波伝搬のレイトレース法はモデルが大規模,複雑になるほど,移動する遮蔽物を含む動的なモデルの短時間での評価が難しい.本研究では,レイトレース法による動的電波環境の模擬に向けた基礎的な検討として,工場モデルのシミュレーションにおける移動体の遮蔽効果について検討した.移動遮蔽物を含まないモデルで,レイトレース法によりパスを推定し,遮蔽物と交差するパスを除去し,遮蔽物を考慮した電波伝搬推定結果を算出する.検討の結果,遮蔽物と交差するパスの除去した結果と遮蔽物込みのレイトレース法の計算結果を比較し,同等の計算結果が短縮した計算時間で得られることを確認した.今後は本手法の妥当性と適用条件の検討を行う.
近年,IoT技術を用いて地下構造物を対象としたセンシングデータ収集が検討されている.本稿では,遠方での受信特性の向上のために最適な基地局アンテナの高さについてFEM解析を用いて検討する.
本研究でのセンシングデータ収集方式において,送受信アンテナ間の距離が20m以上の遠方では高さ1mに比べ高さ5m~15mに設置することで,伝搬損失を10dB以上小さくできることが分かった.電界強度分布を計算した結果,バルブボックス全体を一つのアンテナと考えた場合,地上では迎角約30°に最も強く電波が放射されており,上記の結果が得られたものと考えられる.
地中送電設備の保全効率化および高度化を対象としたIoT技術の活用においては,マンホール内部の各種センサー情報の収集が想定される.マンホールは,内部にコンクリート壁,上部に金属蓋によってそれぞれ覆われており,閉空間である.マンホール内部から外部へ無線信号を伝送する場合,金属蓋やコンクリート壁,地面などによる遮蔽の影響を明らかにする必要がある.本稿は,実マンホール環境における電波伝搬特性を920 MHz帯無線を用いて測定し,マンホール蓋による遮蔽の影響を評価した結果を示す.
近年,デバイスの消費電力を削減するため,後方散乱通信(Backscatter Communication)の研究が行われている.しかし,Vikramらの後方散乱通信では,輝度などの電気信号に変換するセンシングができない.また,Spyridon-Nektariosらの後方散乱通信では,電気的な変化を捉えるために電力が必要となる.そこで,本システムはセンサの抵抗値の変化により後方散乱通信を行うことで,無給電でのセンシングを可能にする.そのため,提案するIoTデバイスはマイコン等を使用せず,外部電源も不要である.本研究では,抵抗値の変化を用いて後方散乱通信が可能か実験を用いて確認する.
休 憩(15:45 再開) 座長 長縄潤一(電子航法研)
B-1-16 |
高基地局環境における屋内侵入損失の測定解析
○木村 翔・佐藤彰弘・林 合祐・田中翔馬・表 英毅(ソフトバンク) |
B-1-17 |
ドローン(球殻ヘリ)へのアンテナ取付位置に関する一検討
○沢田浩和・松田隆志・飯草恭一・松村 武・児島史秀(NICT)・田所 諭・大野和則・岡田佳都(東北大) |
B-1-18 |
HAPS通信における温暖化の影響を考慮した降雨減衰モデルの検討
○田中翔馬・表 英毅・佐藤彰弘・木村 翔・林 合祐(ソフトバンク) |
B-1-19 |
HAPS通信における人体遮蔽損失モデル
○佐藤彰弘・木村 翔・林 合祐・表 英毅(ソフトバンク) |
B-1-20 |
不規則水面形状における散乱マルチパス波の電波伝搬特性評価
○中西孝行・橋本貴博・瀧川道生・稲沢良夫(三菱電機) |
超広域のカバーエリアや災害に強いネットワークを実現する新たな移動通信プラットフォームとして成層圏プラットフォーム(HAPS : High-Altitude Platform Station)への期待が高まっている[1].HAPS通信における効率的なセル設計を実現するためには,地形,植生,都市部,郊外地,屋内侵入などを考慮した電波伝搬モデルの開発が必要不可欠である.本稿では屋内侵入損失に着目する.屋内侵入損失の電波伝搬モデルとしてITU-R勧告P.2109-1[2]がある.ITU-R勧告P.2109-1では建物の種別,入射仰角,周波数が考慮されているが,入射方位角や侵入距離などは考慮されていない.そこで,有人ヘリコプターを用いた高基地局環境における電波伝搬測定を実施し, 屋内侵入損失へ影響を与えるパラメーターの検討を行った.
NICTが主導して取り組む電波模擬システムの研究開発において,ドローンの利活用を想定した伝搬モデルの開発が必要となっている.本報告ではドローンにアンテナを取り付けて伝搬測定を実施する場合を想定し,ドローン機体の影響を考慮したアンテナの電波放射特性を電磁界解析した.ドローンの重量バランスと無指向性特性の確保を考慮しつつ,アンテナ取付位置を決めることが重要であることが分かった.
衛星通信や今後新たな移動通信プラットフォームとして期待されている成層圏プラットフォーム(HAPS : High-Altitude Platform Station)においてミリ波等の高周波数を用いた回線を設計する為には特に伝搬損失に大きな影響を与える降雨減衰特性を明らかにする必要がある。上空への降雨減衰を推定するモデルや時間率に対する降雨強度を推定可能なモデルがITU-Rにより標準化されているが、近年、温暖化の影響により気象状況が大きく変化している為、今後の更なる温暖化の影響を考慮できる降雨減衰モデルが求められている。本稿では、東京における降雨強度を過去1年半にわたり測定し昨今の降雨の様相を時間率で評価する。併せて、今後の温暖化による気象状況の変化の予測を考慮できる降雨減衰モデルについて考察する。
超広域のカバーエリアや災害に強いネットワークを実現する新たな移動通信プラットフォームとして成層圏プラットフォーム(HAPS : High-Altitude Platform Station)への期待が高まっている。HAPS通信における効率的なセル設計を実現するためには、地形、植生、都市部、郊外地、屋内侵入、人体遮蔽などを考慮した電波伝搬モデルの開発が必要不可欠である。本稿では人体遮蔽損失に着目し、様々な仰角からの人体遮蔽損失測定と実際の都市環境における到達角度測定に基づくHAPS通信における人体遮蔽損失モデルを提案する。
海上における無線システムでは海面からの反射波の影響を考慮して設計する必要がある.送受信間距離が十分離れ
ていれば海面からのフレネル反射係数は-1 で近似できるが,送受信間距離が近く,アンテナの高さが高い場合,波浪の影響によりマルチパス波がばらつき,無線システムに影響を与える.UAV(Unmanned Aerial Vehicle)を用いて海面からのマルチパス波の評価をしたが,実際の環境では波の高さをパラメータとした評価が困難である.そこで本報告では船舶等の評価に用いられる人工的に波を発生させる造波装置を用いて不規則な水面形状からの散乱マルチパス波の電波伝搬特性評価結果について示す.
3月11日 13:00〜17:00 Meeting 24 座長 太田喜元(ソフトバンク)
B-1-21 |
車車間通信を想定した簡易道路モデルにおける伝搬損失測定
◎間宮拓朗(三菱電機)・平松英伸(三菱電機エンジニアリング)・中西孝行・瀧川道生・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-22 |
船上での地上デジタル放送の難視聴改善手法
○霜田一将・岡村知則(海技教育機構)・鈴木 治(鳥羽商船高専) |
B-1-23 |
新幹線による地上デジタル放送波の劣化に関する研究
◎土屋皓奨・樋口雄哉・都竹愛一郎(名城大) |
B-1-24 |
鉄道の曲線における100GHz帯ミリ波電波伝搬特性に関する一考察
◎岩本功貴・中村一城(鉄道総研) |
B-1-25 |
OATSに設置する薄型電磁波吸収体による帯域除去フィルタの設計
○町澤朗彦・川原昌利・塩田貞明(NICT)・井上 朗・中村 透・村川真一・石井義弘(ラボテック・インターナショナル) |
近年,事故防止や自動運転支援を目的にした車車間通信の実現に向けた取り組みが行われている[1-2].車車間通信は,各車両が基地局を介さずに通信することが特徴であり,アンテナは低アンテナ高となるため,道路沿い構造物が伝搬特性に大きな影響を与えると考えられる.
本報告では,車車間通信での伝搬損失に対する道路沿い構造物の影響を,電波暗室内に構成した簡易道路モデルで測定した結果について示す.
海上を航行する船舶は,陸上と比較し情報収集手段が限定される.特に外部と隔絶される船舶においては,コロナ禍における情報収集にはテレビ放送の受信が必要不可欠である.本研究では,船員を養成するために多数の実習生を乗船させる練習船「大成丸」(全長91.28m,総トン数3,990トン,地上デジタル放送受信アンテナ高水面上20m)船内で地上デジタル放送の確実な受信環境を提供する手法の検討を行う.
新幹線沿線では、新幹線通過時に車体により地上デジタル放送波が遮られ、正しく受信できない障害が発生する。そのため、新幹線通過前と通過中の減衰量を再現し、新幹線による影響を定量的に調べる必要がある。新幹線の開業前に減衰量を求めることができれば、受信障害エリアの正確な推定と事前の対策が可能となる。
本研究では、市販受信機へ新幹線通過時の振幅と位相変化を模擬した放送波を入力し、所要入力電力を測定し、新幹線通過による影響を定量的に評価した。
鉄道では,走行する列車と地上間の連絡に使用する無線システムの周波数はV/UHF帯が主流である.しかし,V/UHF帯では伝送容量を拡充するための周波数帯域の確保が難しいため,ミリ波帯を用いた新たな地上-車上間通信システムの開発が行われている.しかし,ミリ波は直進性が強く,曲線ではアンテナでカバーできる範囲が狭くなる可能性があることから,効率的にアンテナを配置することが重要となる.そこで本報告では,ミリ波を用いた無線システムの鉄道環境への適用可能性を検証するため,高速鉄道で十分な乗り心地が確保できるとされる半径の曲線を対象に,レイトレース法を用いた100GHz帯ミリ波の電波伝搬特性を計算したので報告する.
船舶用レーダ不要発射を精度良く測定するためのOATS(Open Area Test Site) の構築法が求められている。本稿では、薄型電磁波吸収体壁を伝搬路中に設置することでOATSにおける地面反射波によるマルチパスを低減するための研究である。壁の大きさや形によって遮蔽効果に周波数特性があることを明らかにし、壁の位置と大きさ・形を調節することで直接波と干渉が大きくなる特定の周波数に対する遮蔽効果を高める帯域除去フィルタの設計方法について提案する。
休 憩(14:30 再開) 座長 廣瀬 幸(東京電機大)
B-1-26 |
オフィス環境における双角度ミリ波チャネル測定結果
◎熊倉啓一朗・唐 率欽・金 ミンソク(新潟大) |
B-1-27 |
クラスタの数と角度広がりのチャネル特性に及ぼす影響
○塚田 響・金 ミンソク(新潟大) |
B-1-28 |
大規模FDTD解析を用いたRF帯都市環境伝搬特性シミュレーションの高速化検討
◎佐藤亜衣・吉江明花・日景 隆・山本 学・大宮 学(北大)・久野伸晃・猪又 稔・山田 渉(NTT) |
B-1-29 |
側面に設置したミリ波帯導波管スロットアレーによるタッチレス改札内受信レベルの解析
○黒瀬瑞輝・広川二郎・戸村 崇(東工大) |
B-1-30 |
ミリ波レーダの降雨環境下での電波減衰に関する検討
○加藤弘規・持田英史・中川貴央・森中諒太・萩原和志・葉若秀樹(住友電工) |
近年,ミリ波デバイスの急増やIoTの展開により,利用シナリオは多様化し,ミリ波帯を用いた無線通信システムの実用に向けて様々な利用シナリオにおける正確なチャネル特性の需要が高まっている.
本研究では,複数のアナログビームフォーマを用いて,全方位角の高速ビームステアリングが可能なチャネルサウンダを構築し,オフィス環境におけるチャネル測定実験を行った.
本稿では,全方位角方向の高速ビームステアリングが可能なチャネルサウンダの構築について簡単に紹介し,同一部屋内,部屋対部屋間,同一廊下内,部屋対廊下間を含んだオフィス環境におけるチャネル測定を行った結果を報告する.
5G を始めとする無線通信技術により,自動走行やドローンなど,新たな利用サービスが実用化されることが想定され,そのための通信性能を満たす様々な無線システムの開発が必要となる.このような状況に適切に対処するためには,無線システムの周波数帯・通信方式等を大規模かつ高精度で模擬可能な電波模擬システムの実現が必要である.以上のことから,本研究では,適用環境に応じて電波伝搬特性を高精度に再現する伝搬チャネルモデルを検討する.既存のモデルは,対象とする無線通信システムの周波数や無線局の設置条件,周辺環境によって決められた典型的なシナリオに基づいたサイトジェネラルモデルが採用され,個別環境における特性が十分考慮されていない.このようなモデルで予測した電波伝搬特性は,適用環境によっては実測値と大きく乖離する.本稿では,既存のモデルにおいて主要なパラメータであるクラスタの数と角度広がりが,チャネル特性,今回は特にフェージング変動およびMIMOチャネル容量に与える影響を確認する.
高速かつ高品質な無線通信環境の実現においては,複雑な電波伝搬特性の把握と高精度で効率の良い無線回線設計が必須であり,そのためには的確な伝搬モデリングが重要となる.これまでに著者らは,FDTD解析を用いた電波伝搬特性推定法について検討し,屋内や乗り物内などの多重反射環境における高精度かつ空間網羅性に優れた損失推定モデルについて検討を行ってきた.本稿では,都市環境の伝搬特性を大規模FDTDシミュレーションにより評価するための並列プログラムについて,スケーラビリティに配慮しベクトル化を行う最適化により高速化を実現した具体例を示す.
タッチレス改札の1つとして、改札の天井に設置したアンテナから床面に向けてミリ波を照射し、乗客が持つスマートフォンと通信してゲートが開く仕組みのものがある[1]。しかし、天井からのミリ波が体や荷物によって遮られてしまい、スマートフォンに届かない場合がある。そこで、改札の側面にもアンテナを設置し、遮られる部分がなくなるようにする。側面アンテナが放射するビームは、その改札内において最低動作レベルを上回り、改札外では与干渉レベル以下にする必要がある。アンテナのビーム幅及び出力を変えながらその最適値を検討した。また、今後のアレーアンテナ設計のため、一様分布、テイラー分布でシミュレーションした。
安全運転支援システム(DSSS)や自動運転社会の実現の為に,高精度なインフラセンサの要求が増している.
インフラセンサの代表例としては,ミリ波レーダ,LiDAR,画像センサ等が挙げられるが,
その中でミリ波レーダは,耐環境性が高い(雨/霧/雪/照度変化等に対して堅牢)という特徴を持つ.
本稿では,降雨環境下においてミリ波がどの程度電波減衰するのかを評価する為に,
降雨状態を再現可能なトンネル状の屋内環境下にて,電波減衰を評価した結果を報告する.
休 憩(16:00 再開) 座長 猪又 稔(NTT)
B-1-31 |
臨時災害放送における電波伝搬特性の基礎的調査
◎平 晴太郎・小林 真・新 浩一・西 正博(広島市立大) |
B-1-32 |
土砂災害センサネットワークのための920MHz帯伝搬特性の評価
◎山田裕太・小林 真・新 浩一・西 正博(広島市立大) |
B-1-33 |
加重平均を用いた標準電波JJY信号の品質改善
◎岩月駿弥・荒川貴洸・土屋皓奨・都竹愛一郎(名城大) |
B-1-34 |
GNSSに同期した高精度・高安定発振器の製作
◎荒川貴洸・岩月駿弥・樋口雄哉・都竹愛一郎(名城大) |
災害発生時に,地方公共団体は臨時災害放送局という,FM放送局を開設する.臨時災害放送局のアンテナは役場等の屋上に設置されることから,通常のFM放送局と比べてアンテナ高が低い.アンテナ高の低い環境での電波伝搬特性は詳しく調査されていない.本研究では臨時災害放送局と類似した環境および臨時災害放送の試験放送の電波伝搬特性について調査した.測定の結果,水平偏波,垂直偏波により受信電力に違いが出ることがわかった.現在,測定結果の地理的要因等詳細な考察や今回と異なる環境での測定を検討している.
日本列島は急峻な山地が多く,湿潤な気候帯に属するため,毎年のように各地で豪雨による土砂災害が発生している.そこで我々は,避難行動や救助につなげるために,土砂災害が発生する恐れのある個所にモニタリングのためのセンサを設置して,災害発生の予兆あるいは災害発生の情報を収集・伝達する無線センサネットワークシステムの構築を目指している.本研究では,基礎的段階として, 省電力で広範なセンサネットワークを構築できるLPWA (Low Power Wide Area)で用いられる920 MHz帯電波の伝搬特性を調査した.
現在の電波時計の時刻校正には、標準電波JJYが用いられている。
しかし、建物内などの電波が減衰してしまう場所では環境雑音に標準電波JJYが埋もれてしまい、時刻校正を行うことができなくなる。
そこで、そのような環境においても時刻校正ができるようなアルゴリズムを実装した電波時計が必要となる。
本研究では、高性能な電波時計の開発に向けて、雑音軽減のための同期加算の平均処理に加重平均を用い、受信C/Nがどれだけ改善するかを検討した。また加重平均を行う時間帯を電波伝搬が変わる昼間・夜間に分け、それぞれの受信C/Nの改善量を求めた。
正確な時刻は、デジタル機器の同期や電子取引の時刻決定において重要な役割を果たしている。正確な時刻を保つためには正確な周波数を得ることが必要である。現在、Rb原子発振器に正確な周波数源の信号を同期させることでより正確な周波数が得られる。先行研究において、基準信号にGPS(Global Positioning System)を用いた場合、同期にかける時間を長くとらなければ高精度かつ高安定を実現できないことがわかっている。
本研究では、GNSS(Global Navigation Satellite System)を基準信号に用いることで同期時間が短い場合において、高精度かつ高安定な発振器を実現できるか検討した。
B-1. アンテナ・伝播B(アンテナ一般)
3月9日 9:00〜11:45 Meeting 24 座長 今野佳祐(東北大)
B-1-35 |
小形球ヘリカルアンテナの放射効率に関する解析表現
◎藤田佳祐(前橋工科大) |
B-1-36 |
境界積分法を用いたアンテナ表面電流の推定
◎岩谷茉衣子・宇野 亨・有馬卓司(東京農工大) |
B-1-37 |
散乱体のある環境における海洋レーダーのFDTD解析
◎中村昇平・宇野 亨・有馬卓司(東京農工大)・藤井智史(琉球大) |
B-1-38 |
FDTD法を用いた高温帯における熱解析
◎仁木達大・有馬卓司・宇野 亨・鮫島俊之(東京農工大) |
B-1-39 |
海中電波伝搬損失計算法の検討
◎佐藤脩太郎・陳 強・佐藤弘康・許 双悦(東北大) |
球面にらせん状のワイヤを配置する球ヘリカルアンテナが提案されており,その放射効率はワイヤが比較的太い場合に球面アンテナの理論値に近づくことが知られている.しかし,従来の球面アンテナの解析モデルでは球ヘリカルアンテナの放射効率を理解するモデルとして不十分である.そこで,本報告では球面波展開の近似計算を利用して球ヘリカルアンテナの放射効率を単純な数式として表現し,結果を数値シミュレーションと比較することで検証した.太さ,アンテナサイズにかかわらず解析表現とシミュレーション結果は非常に良く一致しており,本報告で得られた放射効率の解析表現が妥当であることを確認できた.
近年,電磁波は移動体通信やレーダー技術等に広く利用されている.そのため,無線通信システムに使用されるアンテナの故障箇所を見つける必要がある.アンテナの故障箇所を見つけるためには,アンテナ上の電流分布が重要となる.しかし,プローブがアンテナの近傍に近づくと,プローブと波源がカップリングし,実際の電磁波の振る舞いを妨害することがある.そのため,アンテナの電磁界分布や電流分布を遠方の電磁界より再構成する技術が求められている.本研究では,境界積分法を用いてアンテナの放射電界から波源の電流分布を推定することを目的とする.
海洋レーダーは海面で反射した散乱波の周波数がドップラー効果により変化する性質を利用して海流の流速を計測することができ,その技術は漂流体の追尾など様々な分野で応用されている.本研究では海上に散乱体が存在する場合,ドップラースペクトルにどのような影響を及ぼすかシミュレーションで検討することを目的とする.
加熱装置はあらゆる製品製造の現場で使用されており,半導体デバイスの作製においては,シリコンを活性化及び結晶化させるための高温度帯での熱処理は必須の技術である.近年,従来の半導体デバイス製造における熱処理技術とは異なり,炭素粉末にマイクロ波を照射することで急速に加熱させる技術が提案されている.これはカーボン粉のマイクロ波吸収発熱の特性を利用したもので,マイクロ波を効率よく吸収させることで短時間に数千度の高温の熱を発生させることが出来る.本研究では,このFDTD法を持ちいて電磁界を解析し,解析した電磁界分布より熱伝導方程式によりカーボンの過熱を解析する.
海上救難活動の支援,海中における資源探査,センシングネットワークの構築において,海中電波の利用が期待されている.これまでの研究では,海中の伝搬損失を評価するために全波解析の電磁界シミュレーションを使用しており,長い計算時間が必要であった.本報告では,海中伝搬損失の計算を解析式と実測をハイブリッドした手法により行った.
休 憩(10:30 再開) 座長 福迫 武(熊本大)
B-1-40 |
小型平面モノコーンアンテナを用いたLPWA向けアンテナの検討
○伊澤正裕(金沢村田製作所) |
B-1-41 |
低背化した新幹線向け架線電圧検知/無線通信共用アンテナの放射特性評価結果
○牧村英俊・西本研悟・圷 浩行・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機)・松村善洋・西山武志(JR東海) |
B-1-42 |
反射鏡アンテナ一次放射器向けスプラインテーパホーンアンテナ
○山本伸一・瀧川道生(三菱電機) |
B-1-43 |
同軸突起付きグルーブを装荷した8/26GHz帯共用低交差偏波ホーンアンテナ
◎高田睦貴・伊藤真一・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
B-1-44 |
幅広のダブルリッジを有するホーンアンテナ
○倉本晶夫(NECプラットフォームズ) |
本稿では、モノコーンアンテナにスリット、周波数調整素子、無給電素子を加えることで広帯域なCellular帯に対応した平面アンテナを設計した。
これまでに著者らは,従来比約1/4の高さへの低背化と無線アンテナ性能を両立するアンテナ構成を提案した.本報告では,提案方式の有効性を実験により確認した結果を報告する.
試作したアンテナの水平面内平均利得の計算値/測定値はよく一致しており,計算の妥当性と共に,本提案アンテナによる水平面内利得の改善効果が確認できた.
コルゲートホーンに比べてシンプルな構造で、低交差偏波を実現できる反射鏡アンテナの一次放射器として、スプラインテーパホーンが知られている。本稿では、複数の周波数帯で動作するスプラインテーパホーンについて述べた。
反射鏡アンテナの一次放射器とするため、理想コルゲートモードのパターンに類似したパターンを有するホーンを提案した。2周波共用アンテナを設計し、有効性を確認した。
反射鏡アンテナの一次ホーンとして一般に求められていることは,主ビームが回転対称であり,低交差偏波,低サイドローブ,広帯域で小型なものである.本稿では,1つの広帯域ホーンではカバーできない大きく離れた周波数帯で低交差偏波特性を得る広帯域2周波数共用ホーンアンテナを設計し,その特性の検討を数値的に行ったので報告する.
電波監視等に用いる広帯域・高利得のパラボラアンテナを実現するために,周波数変化に対するビーム幅変化の少ない一次放射器の開発を行っている.先に,幅広構造のテーパスロットアンテナを提案し,ビーム幅変化を緩和できることを示した.今回,幅広構造のテーパスロットをホーン構造とし,側面及び背面の放射を抑え,ビーム幅変動が緩和できることを計算により確認したので報告する.
3月9日 13:00〜17:00 Meeting 24 座長 藤本孝文(長崎大)
B-1-45 |
スリットを設けた構造により小型化したMACKEY M型の検討
◎袴田幸汰・田村俊樹・宮下圭介・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
B-1-46 |
片側短絡により小型化したMACKEY O型の検討
◎横江慧人・田村俊樹・宮下圭介・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
B-1-47 |
給電素子に逆L型アンテナを用いた不平衡型MACKEYの研究
◎宮下圭介・田村俊樹・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
B-1-48 |
逆Fアンテナからの後方放射の抑制
◎△阿部智希・山内潤治・中野久松(法政大) |
B-1-49 |
PDモジュールを用いたSパラメータ法による小形アンテナの高精度測定
○西岡 宗・山浦真悟・西本研悟・西岡泰弘(三菱電機) |
周囲の金属における影響を受けない小型アンテナとしてMACKEY(Meta-surface inspired Antenna Chip developed by KIT EOE Labo-ratory)について考案し,自由空間および金属上でも動作可能なことを示した.本報告では,920MHz帯MACKEY IIの小型化(80[mm]×50[mm]のカードサイズ)を目的とする.スリットを増やすことでさらなる小型化を目的としたMACKEY M型(Multi slit type)について検討する.
周囲の金属における影響を受けない小型アンテナとしてMACKEY(Meta-surface inspired Antenna Chip developed by KIT EOE Labo-ratory)について考案し,自由空間および金属上でも動作可能なことを示した.また,これを元にオフセット給電を用いて二周波共用を実現できるモデル(以下:O型)が検討された.本研究では,小型化を目的として短絡板を片側側面に設けた片側短絡型にO型を適用することにより,従来のO型よりも小型化した新たなモデルを検討する.
近年,IoT化の普及に伴い,周囲の金属による影響を受けないアンテナが求められている.そこで,金属に対して,ロバスト性を持つ小型アンテナとしてMACKEY(Meta-surface inspired Antenna Chip developed by KIT EOE Labo-ratory)を考案し,自由空間と金属上の両方で動作することを示した.本検討では,不平衡型MACKEYにおけるアンテナ幅の検討と測定結果を示す.
低姿勢構造を有するアンテナの一つに, 逆Fアンテナがある. 一般に, 小さな反射板を有する逆Fアンテナは双方向(±z方向)に電磁界を放射する. この双方向放射は反射板面積の増加に伴い, 単方向放射へと変化する. しかしながら, 反射板面積の増加は, アンテナ体積の増加を意味する. 本稿では, 小さな反射板面積を有しながら, 単方向(+z方向)に電磁界を放射する逆Fアンテナを提案する.
近年,様々な小形アンテナの高精度な放射パターン測定法が提案されている.例えば,アンテナに給電するためのRF ケーブルを光ファイバに置換し, PD(Photodiode)よりアンテナに給電することでRF ケーブルの影響を除去する手法や,RF ケーブルの外導体に流れる不平衡電流を低減するS パラメータ法が提案されている.本稿ではさらなる測定の高精度化を目的とし,小形PD モジュールを用いたS パラメータ法を提案,加えてその効果を計算により検証する.計算結果より,提案方法は従来方法と比較して高精度な放射パターンの測定が可能となることを確認している.
休 憩(14:30 再開) 座長 袁 巧微(東北工大)
B-1-50 |
折り畳み可能なフレキシブル基板パッシブリフレクトアレーの設計
◎町田理人・戸村 崇・坂本 啓(東工大) |
B-1-51 |
展開式センターフィードリフレクトアレーアンテナの設置誤差による影響評価
○中嶋宏昌・山本伸一・瀧川道生・縫村修次・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-52 |
偏波によりビーム方向が異なるリフレクトアレーアンテナの1層化の検討
○瀧能翔太・牧野 滋・重光賛志郎(金沢工大)・瀧川道生・中嶋宏昌(三菱電機) |
B-1-53 |
一次放射器をオフセットしたビームチルト型リフレクトアレーアンテナ
○永原春菜・新井宏之(横浜国大) |
B-1-54 |
スキャニングスポットビームリフレクトアレーアンテナの検討
◎皆森勇甫・瀧能翔太・牧野 滋(金沢工大)・瀧川道生・中嶋宏昌(三菱電機) |
リフレクトアレーは平板のリジッド基板で構成され,小型に収納できるため超小型衛星搭載用アンテナとして用いられる.しかし開口面積に比例して重量が増えるため大型化・高利得化が困難である.フレキシブル基板2枚で構成するリフレクトアレーアンテナは反射素子とグラウンド板の間に空気層を設けるため,リジッド基板より単位面積当たりの重量を低減できる.また,基板自体をフレキシブルに折り畳めるため,折り紙による小型収納も可能である.しかし,軽量の展開・支持構造を用いるため,たわみ等が生じ高い平面精度が維持できない.著者らは機械的な平面精度の劣化を電気的なアプローチで補償する手法として,アクティブ反射素子による位相調整を提案している.本稿ではその初期検討としてとして折り畳み可能なフレキシブル基板パッシブリフレクトアレーの設計結果を報告した.
現在,移動体衛星通信用アンテナには,安価に高利得な特性を実現できるパラボラアンテナが主に用いられている.持ち運び時には曲率のある鏡面を分割して収納するため,サイズが大きく,組立/分解に時間を要することが課題となっている.そこで,コンパクトな収納性と,短時間での組立/分解を実現する展開式リフレクトアレーを提案している.本稿では,展開時に生じる設置誤差が電気特性へ与える影響について評価したので報告する.
リフレクトアレーは共振素子を用いることで反射位
相を制御し,球面波を平面波に補正している.これ
らの機能を応用したマルチビーム方式では偏波と周波
数によってビーム方向を変化させることで,少ない鏡面
でサービスエリアをカバーする方式が提案されている.
本報告では,前回の報告の改良として 1 層で独立
した位相制御を可能とする素子の再検討を行った.
リフレクトアレーアンテナは反射素子の位相を調整するとビームチルトができる.本稿ではマルチビームを実現するため同一の反射鏡を用いて複数のビームを生成する手法として,一次放射器オフセットと二点焦点設計を検討する.
リフレクトアレーアンテナ(以下,リフレクトアレー)を用いたマルチビーム通信方式では,偏波と周波数によって,ビーム方向を変化させることで,少ない鏡面でサービスエリアをカバーする方法が提案されている.本報告では,偏波と周波数によってビーム方向を変化させる鏡面構成と素子を用いたリフレクトアレーの設計例を示すことを目的とする.偏波と周波数によって異なる方向にビームを変化させることによって,1枚のリフレクトアレーで所望のサービスエリアを効率的にカバーできることについて検討する.
(15:45 開始) 座長 平部正司(NEC)
B-1-55 |
多周波で最適化した成形ビームを放射するリフレクトアレーアンテナ
◎重光賛志郎・牧野 滋・瀧能翔太(金沢工大)・中嶋宏昌・瀧川道生(三菱電機) |
B-1-56 |
誘電体スラブによるリフレクトアレーの高利得化に関する研究
◎知久望海・今野佳祐・陳 強(東北大) |
B-1-57 |
ミリ波におけるスルーホール反射鏡を用いた平面波励振
◎飯田 渉・新井宏之(横浜国大) |
B-1-58 |
回転反射鏡を用いたテラヘルツ波帯指向性走査アンテナ
豊見本和馬・山口 良・宮下真行・○安藤由純・矢吹 歩(ソフトバンク) |
B-1-59 |
パラボラ型反射鏡を使用した光漏れ波アンテナの利得向上の検討
◎菅谷聡志・飯田 渉・新井宏之(横浜国大) |
リフレクトアレーアンテナにおいて収差理論を応用することにより,簡易的に周波数特性を評価できることを示した[1].本報告では,簡易評価法を用いて成形ビームを放射するリフレクトアレーアンテナを多周波数で最適化する設計法について提案する.
現代の第 5 世代以降の無線通信システムには,高速通信,大容量化,多端末の同時接続,低遅延が期待されている.このような無線通信システムはミリ波帯での実現が進められているが,ミリ波の特徴として直進性が強く伝搬損失が大きいということが挙げられる.直進性の強いミリ波伝搬は,遮蔽物による電波の影領域が発生する.そこで、リフレクトアレーを用いて,影領域に電波を散乱させ,無線通信の安定化,高速化を図ると考える.本研究では,リフレクトアレーに誘電体スラブを装荷することにより,リフレクトアレーの高利得化を実現する手法を検討し,報告する.
近年,beyond 5Gなどの次世代の移動体通信として100GHzに迫るようなミリ波帯での通信が想定されている.ミリ波の送信用アンテナとして誘電体漏れ波アンテナが複数提案されているが、漏れ波アンテナは幅広い平面波を励振する必要があり,そのために金属の反射鏡を用いる.しかし,ミリ波デバイスはサイズが小さく設計が困難となる.そこで本報告ではミリ波帯漏れ波アンテナ(100GHz)に用いる平面波励振用のスルーホール反射鏡を提案する.
指向性走査アンテナは,通信用途や到来方向測定用途などに活用されている.その中でも,ミリ波帯における到来方向測定においては,狭ビームアンテナの回転走査やビームフォーミングなどを活用し到来波の検知を行っている.しかしながら,第6世代移動通信システム(6G)で利用が検討されているテラヘルツ波帯においては,微細加工の難しさなどから当該バンドにおいてアレーアンテナを実現することは容易ではない.そのため,空間合成を用い,狭ビーム特性を有したアンテナを形成することが現実的である.今回は,テラヘルツ波帯での到来方向測定用途へ活用するための回転反射鏡アンテナの検討を行ったため報告する.
本論文ではパラボラ反射鏡を使用した光漏れ波アンテナの利得向上の手法について述べる。本アンテナは光漏れ波アンテナであるグレーティング導波路に平面波を入射するためにフォトニックバンドギャップ(PBG)を放物線上に配置したパラボラ反射鏡を使用しているが、今回更なる利得の向上のためにPBGとガラスの薄膜を組み合わせた新しい反射鏡を考案した。
3月9日 13:00〜15:15 Meeting 25 座長 野口啓介(金沢工大)
[English Session I]
B-1-60 |
Design of a Waveguide Feeder with Centered Longitudinal Coupling Slots for a Parallel-Plate Slot Array Antenna Panel
○△Tianyu Wang・Takashi Tomura・Jiro Hirokawa(Tokyo Tech) |
B-1-61 |
Transmission Stability on Distance in the Near-field Region in 5.8 GHz Band Radial Line Slot Antennas Using a Dog-bone Cross-slot Feed
○Tuchjuta Ruckkwaen・Takashi Tomura・Jiro Hirokawa(Tokyo Tech) |
B-1-62 |
Proposal of Polarization Agile Active Array Antenna Integrated with Gunn Oscillator and Diode-Loaded Cross Slots
○△Maodudul Hasan・Ryo Moroishi・Eisuke Nishiyama・Ichihiko Toyoda(Saga Univ.) |
B-1-63 |
Transmission Simulation in Rectangular-Coordinate Orthogonal Multiplexing by Excitation Optimization of Slot Arrays Based on the Scattering Parameters
○Baoquan Duan・Takashi Tomura・Jiro Hirokawa(Tokyo Tech) |
The waveguide feeder with centered longitudinal coupling slots for a slot array antenna panel is designed by HFSS. Full structure simulation results show that a peak directivity of 37.0dBi is achieved in the desired bandwidth. Compared to the results of old feeder, the novel feeder obtains 1.0dBi directivity and 18% aperture efficiency enhancement.
This paper presents the simulated transmission on distance between two radial line slot array antennas (RLSA) in the near-field region. Conventionally, a straight cross slot was used to excited the rotating mode in RLSA in the transmission in near-field region. The transmission degraded significantly at some distances (especially at 85 mm). This came from the multiple reflections between the two antennas, which were related to the amplitude ripples in the rotating mode in the circumferential direction in the straight coupling slot. In this manuscript, the dog-bone cross-slot is introduced to replace the straight cross to reduce the amplitude ripples in the rotating mode, and enhance the transmission stability on the distance.
Polarization agile active integrated array antenna (AIAA) has been proposed for spatial modulation systems with the aid of diode-loaded cross slots. The antenna has a simple structure, which consists of an oscillator and two patch antennas with a diode-loaded cross slot. Each patch antenna contains four switching diodes, which are connected to the ground through a shorted stub, and a land on the bottom by a center via hole to provide the switching voltage. In order to realize ±45-deg. polarization switching, the boundary condition of the antenna is controlled by the diodes.
To increase the transmission rate, various multiplexing techniques such as MIMO using a millimeter-wave are being widely researched as well as two-dimensional rectangular-coordinate orthogonal multiplexing (ROM) antenna system for non-far region communication [1]. Transmission enhancement for a given propagation distance by excitation optimization [2] was proposed. However, in [2], the system was analyzed by replacing the array elements with infinitesimal dipoles, and the effect of the mutual couplings among these dipoles was not considered.
休 憩(14:15 再開) 座長 藤元美俊(福井大)
[English Session II]
B-1-64 |
Design of a 2-plane Coupler with Unequal Division
○Qi Li・Jiro Hirokawa・Takashi Tomura(Tokyo Tech)・Fonseca Nelson(European Space Agency) |
B-1-65 |
Configurations of 2-D Beam-switching One-body Butler Matrices using 2-plane Couplers Generating a Triangular Lattice of Beams
○Jiro Hirokawa・Qi Li(Tokyo Tech)・Nelson J. G Fonseca(European Space Agency) |
B-1-66 |
Study on Electric Field Characteristics of Conductive Polycrystal Thin Film
○Yuanfeng She(AIST)・Bo Da(NIMS) |
B-1-67 |
Fast Full-Azimuth Scanning Double-Directional Millimeter-Wave Channel Sounding System
○Shuaiqin Tang・Keiichiro Kumakura・Minseok Kim(Niigata Univ.) |
This paper introduces a 2-plane coupler with unequal division of 4:2:2:1 by utilizing specific coupled region.
The triangular lattice of beams is more preferable than the square lattice of beams to reduce the gain roll-off over the coverage. We proposed a connecting network with the conventional 2-D matrix generating a square lattice of beams by modifying the square lattice of apertures to the triangular one and relocating some apertures with 180-degree phase compensation. In this manuscript, we directly change the configuration of the conventional 2-D matrix generating a square lattice of beams to provide a triangular lattice of beams while keeping the square lattice of apertures. In both configurations, the 2x2-way matrix generating a triangular lattice of beams is explained. Other 2nx2n-way matrices can be achieved similarly in principle.
The simulation results show when the distance between conductor polycrystal is close to the wavelength, the frequency characteristics of electromagnetic fields become stronger. Therefore, it can be developed to be used as shield materials. It can be used for windows due to its light transparency. And it is also possible to transmit electromagnetic waves by re-radiating the element (the opposite effect of the shield). This study can be applied in the high-frequency lens antenna and the small antenna.
With the spread of technologies such as 5G mobile communication and WiGig ultra-high-speed wireless LAN and IoT, the number of millimeter-wave (mm-wave) devices in various usage scenarios has drastically increased. The requirements for the design and evaluation of communication systems are also increasing. For radio channel measurement in the mm-wave band, angle information should be an important parameter due to the use of large-scale antenna array and beamforming technologies. Based on the previous work [1], this article describes a fast full-azimuth scanning double-directional mm-wave channel sounding system which has been built up using 2 transmit (Tx) and 4 receive (Rx) antenna arrays.
3月10日 9:00〜11:45 Meeting 24 座長 戸村 崇(東工大)
B-1-68 |
GPS信号がない場合の捜索救助用無人航空機に搭載されたミリ波帯アンテナに対するプロペラ回転の影響
◎李 孟浩・常光康弘(拓殖大) |
B-1-69 |
稼働部と静止部の合成によるRCS解析手法の検討
◎大橋諒太郎・瀧川道生・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-70 |
二次反射波を用いた小型なバイスタティックRCS測定系に関する一検討
○末延 博・山本伸一・瀧川道生・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-71 |
ミリ波イメージングへの機械学習の適用
◎西村 陸・前田淳朗・佐藤弘康・陳 強(東北大) |
B-1-72 |
工場内マイクロ波電力伝送における人体上の電力密度推定方法の実機評価について
○グエン マインタイ・村井彬人(オムロン)・山田寛喜(新潟大) |
災害現場、洞窟や人が入ることの難しい場所の探索に対して、地形の影響を受けにくい、捜索範囲を広げられる探索用無人航空機に注目が集まっている。災害時や地下など電波が不安定な場所では、GPS信号が届きにくい状況がよくあるので、高精度ミリ波帯センサを搭載した無人航空機で障害物を検知して、捜索活動を支援することが求められている。捜索制限の問題を解決する為に、電波不安定の環境:洞窟、建物内、災害現場の捜索など、屋内や地下等を想定し、GPS信号が届かない場所で障害物を検知可能なミリ波帯センサを搭載した無人探査機で捜索活動を支援することを目的とする。
近年,ドローンを利用したシステムやサービスが普及する一方で悪用する事例も増加傾向にあり,ドローンを検出する需要が拡大している.著者らはマイクロドップラー(μ-D: micro-Doppler)[1]を用いたドローン識別を検討している.μ-D特性を算出するためには時間変化する散乱体のレーダ断面積(RCS: Radar Cross Section)時間特性が必要となる.本稿では,μ-D計算のための時間変化とともに稼働する散乱体モデルRCS解析手法を述べ,フルモデル解析との計算結果を比較し有効性を評価する.
バイスタティックRCS(Radar Cross Section: レーダ断面積)の測定は、広い測定空間を要することが課題である。本講演では、測定対象と送受アンテナ間の空間に反射板を設置し、反射板による二次反射波を用いることで測定系を小型化する方法を提案する。導体平板を測定対象として測定を模擬したシミュレーションを行うことで、提案手法の実現性を検証する。
パッシブイメージングは周囲温度環境に応じて画質が劣化する問題がある.これまでインコヒーレント照射源を用いたアクティブイメージングについて検討し,コントラストが大幅に向上する知見を得た.本報告では,アクティブイメージングに機械学習を適用して物体の検知特性を評価した.
マイクロ波無線給電は長距離給電が可能であり様々な分野への適用を目指して研究が行われている[1]~[2].その中
で,工場で使用されるセンサへの応用が断線防止,省配線の観点で期待される.一方,人体に影響を及ぼさないよう
に電波防護指針を満たす必要があり,実用化に向けての課題の一つである.給電時に人体が存在する空間上の電力密
度(以下,人体上の電力密度)が基準値を超えないように給電側で人体上の電力密度を把握し,その値に応じて送信電力を制御する必要がある.本稿ではマルチパスが多い工場内でも実装が容易で比較的精度が高い人体上の電力密度推定方法を提案し,シミュレーションにてその効果を確認した.
休 憩(10:30 再開) 座長 有馬卓司(東京農工大)
B-1-73 |
鉄塔を用いた広帯域折り返しモノポールアンテナの設計
○山浦真悟・西本研悟・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-74 |
無給電素子付Haloアンテナ及びダイポールアンテナから構成される直交偏波用無指向性アンテナに関する検討
○水谷智一・松林一也・道下尚文(防衛大)・佐藤 浩・小柳芳雄(パナソニック)・森下 久(防衛大) |
B-1-75 |
特性モード解析によるグランド板電流を考慮した2素子のPIFAのデカップリング手法
◎フン クァン クァン・道下尚文(防衛大)・佐藤 浩・小柳芳雄(パナソニック)・森下 久(防衛大) |
B-1-76 |
簡易な回路構成により放射パターン制御可能なダイバーシチアンテナの実験検証
◎和田紗希・西本研悟・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-77 |
2本の伝送線路と3個の共振回路から成る2周波共用減結合回路
○西本研悟(三菱電機)・小林亮介(三菱電機エンジニアリング)・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
低周波帯(MF~VHF帯)向けに鉄塔を用いた折り返しモノポールアンテナが提案されている.本稿では,同アンテナの広帯域化について検討を行っている.回路解析に基づいて広帯域化の指針を示し,電磁界解析で検証した結果,指針通りにアンテナの比帯域幅が拡大する設計結果が得られた.
2巻先端開放ループアンテナ(Haloアンテナ)は,1波長方形ループアンテナを円筒状に折り曲げたもので,水平偏波で無指向性の特性を有する.Haloアンテナにパッチアンテナを組み合わせた直交偏波用のアンテナや無給電素子を装荷することで広帯域化したアンテナが報告されている.本稿では無給電素子を2個装荷したHaloアンテナの中心部にダイポールアンテナを配置することにより,小型で細径の直交偏波用のアンテナについて検討する.
近年,MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) が次世代通信の要素技術として検討されており,アンテナの素子間相互結合の低減(以下,デカップリングと呼ぶ.)が重要となっている.先行研究では,2素子の平板逆Fアンテナ(PIFA)に対してブリッジ素子で接続した無給電素子を用いることでデカップリングを実現しており,特性モード解析 (Characteristic Mode Analysis: CMA)によりデカップリングの動作原理の考察を行った.本稿では,先行研究で明らかにした動作原理に基づき,グランド板の各モード電流を考慮することでもう一つ新たなデカップリング手法を提案した.
これまでに,4つの集中定数素子から構成されたアンテナの励振分布を制御可能な減結合回路を,金属柱の周囲に配置した2素子のスリーブアンテナに適用することで,放射パターンを制御し,最大利得の低減が可能であることを計算により確認した.本稿では,測定による検証結果を報告する.
無線通信システムの高速化,高品質化に伴って,MIMOやダイバーシチを適用するために,相互結合の低い複数のアンテナ素子を小さい領域に配置する技術への要求が高まっている.また,複数の周波数帯への対応も求められており,2素子アンテナへの限定条件が小さい汎用性の高い2周波共用減結合回路が検討されているが,多数の伝送線路を組み合わせているため回路サイズが大きいという課題がある.そこで,ここでは,2本の伝送線路と3個の共振回路から成る,汎用性があり比較的小形の2周波共用減結合回路を提案し,計算により有効性を確認する.
3月10日 14:15〜17:00 Meeting 24 座長 西山英輔(佐賀大)
B-1-78 |
バックローブを抑圧した小形円偏波アンテナと直線偏波アンテナの一体化
◎坂本寛明・牧村英俊・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-79 |
バックローブを抑圧した2周波共用小形円偏波アンテナの試作評価
◎宮坂拓弥・坂本寛明・牧村英俊・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-80 |
ベースバンド合成型ミリ波帯円偏波広角ビーム走査フェーズドアレーの開発
◎池田峻一・横川 佳・横溝真也・和田 平・中本成洋・平井暁人・深沢 徹・大塚昌孝・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-81 |
薄膜上の励振パッチと基板上の非励振パッチによる二重パッチアンテナ
○丸山貴史・青山裕之・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-82 |
環内径に接地ビアを備えた環状パッチ円偏波アンテナ
◎袖長翔太・長谷川 優・島崎仁司(京都工繊大) |
著者らは4つの線状アンテナと平行平板共振器を一体化してバックローブを抑圧する小形円偏波アンテナを提案している.本稿では,本アンテナとは異なる周波数で動作する直線偏波アンテナを一体化する際の実装方法を検討する.
筆者らは,磁流源となる平行平板共振器を多層化することで,2周波数でバックローブ抑圧可能な小形円偏波アンテナを提案した.本稿では,提案手法を適用した小形円偏波アンテナの試作評価結果について述べる.
現在の移動体衛星通信ではKu帯の利用が主流であるが,大容量・高速通信のためにKa帯の利用が進みつつあり,将来的にはミリ波帯の利用が計画されている.また,近年では薄型化を目的として,フェーズドアレーアンテナ(PAA)が注目されている.これに対し筆者らは,放射素子/RF-IC/RF給電回路を単一基板に形成・実装するミリ波帯PAAを開発している。本稿では当該アンテナの概要,及び各部構成要素の試作結果について示す.
ミリ波等の高い周波数では、アンテナをICあるいはパッケージの配線層に形成する場合がある。しかし、波長に対し配線層が過剰に薄い場合、アンテナの損失は増加する。本稿では、損失の改善を目的とし、非励振素子を追加した二重パッチアンテナを提案する。計算により、非励振素子による損失改善効果を示す。
我々は先に,背面近傍に導体が存在し,素子が回転する状況での使用を想定し,さらにその回転軸付近にアンテナ面を設けることができない条件を付加してアンテナの構造を設計・試作し,測定を行った.また,環内部に導体軸が存在する場合の影響が低減されることを期待し,擬似的な導体壁として機能するよう環内径に沿って放射パッチ部と導体接地板を接続するビアを設けたアンテナについても報告を行った.本報告では,先に報告したアンテナの環内部に導体突起物を挿入した場合の影響について実際に測定を行った.結果として,軸費が3dB 以下の帯域幅が 35MHzとなり,環内の導体の影響も小さいことをシミュレーション及び実測から明らかにした.
休 憩(15:45 再開) 座長 深沢 徹(三菱電機)
B-1-83 |
キャビティ装荷直交偏波共用Lプローブ給電2周波広帯域多リング型マイクロストリップアンテナに関する一検討
◎△木村雄樹・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-84 |
放射素子形状を直線形としたバラクタ装荷Lプローブ給電2周波共用小形平面アンテナの周波数制御に関する一検討
◎朝比奈歩輝・本多祥平・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-85 |
Lプローブにより給電される3周波多リング型マイクロストリップアンテナの広帯域化に関する一検討
○△岩本和樹・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-86 |
線状無給電素子を用いたマイクロストリップアンテナの放射パターン整形に関する検討
○江頭祥太・西山英輔・豊田一彦(佐賀大) |
B-1-87 |
コプレーナストリップ線路を用いた低損失Magic-Tを組み込んだモノパルスマイクロストリップアンテナの設計
○△中原弘貴・田中高行・豊田一彦(佐賀大) |
Lプローブにより給電される多リング形MSAはマルチバンド特性を有するMSAとして良好な特性を示す [1]。このLプローブ給電多リング形MSAに中心周波数の約0.13波長程度の厚さを有する誘電体基板を用いると2周波帯において広帯域特性が得られる [2], [3]。さらに、2個のLプローブを直交する位置に配置すると直交偏波共用化が可能となり[4]、放射素子中央にビアを装荷すると2ポート間のアイソレーション特性を改善することが可能できる[5]。本稿では、この直交偏波共用2周波広帯域多リング型MSAにキャビティを装荷した際の利得の変化ついて検討した結果について報告する。
バラクタダイオードを装荷したリング形マイクロストリップアンテナ(MSA)の周波数制御については、種々の研究が成されている[1]-[4]。本稿では小型化された周波数制御マルチバンド平面アンテナの交差偏波特性と反射特性の改善を目的として、小型化されたバラクタ装荷Lプローブ給電2周波共用MSAの放射素子形状を直線形とし、さらに素子間隔を広くしたMSAの周波数制御特性につき実験により検討を加えたので、ここに報告する。
マイクロストリップアンテナは小型・薄型・軽量・安価という特長を有し多面的な研究が行われている[1], [2]。また、Lプローブにより給電される多リング型MSAはマルチバンド平面アンテナとして良好な特性を示す[3]。このLプローブ給電リング形MSAに約0.1波長程度の厚さの誘電体基板を用いると、比帯域(反射量10 dB以下)は28%程度となることが報告されている[4]。そこで、本稿では3リング型MSAを用い、3周波帯において広帯域特性を有する平面アンテナについて検討を行い、設計基礎資料を得たので報告する。
マイクロストリップアンテナに無給電素子を積層することによる高利得化や広帯域化などが提案されている.本稿では, マイクロストリップアンテナに2 つの線状無給電素子を積層することにより放射パターンを整形し,高利得化または広角化を実現する方法を提案する.シミュレーションによる解析において線状無給電素子を用いることによる0.64dBの利得向上または44°の広角化を確認した.
我々は,コプレーナストリップ線路(CPS)とマイクロストリップ線路(MSL)を用いた低損失Magic-Tを提案した.本稿では,このMagic-Tを用いたモノパルスアンテナを提案し,その設計結果について報告する.本アンテナは,指向性可変アンテナや到来角推定アンテナなど様々な用途で用いることができる.提案構成では,スロット線路の代わりにCPSを用いて裏面への放射を抑圧し,低損失化を図っている.設計の結果,後方への放射を抑え,利得が向上することをシミュレーションにより確認した.
3月12日 9:00〜11:45 Meeting 24 座長 橋本 紘(東芝)
B-1-88 |
26GHz帯平行平板円偏波スロットアレーアンテナの設計
○友利優希・Wang Tianyu・広川二郎・戸村 崇(東工大) |
B-1-89 |
逆相給電平行平板導波路スロットアレーアンテナの設計
◎石川裕太・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-90 |
ラジアルラインスロットアンテナにおける同心円状配列Tの字型スロットペア
◎高田祐輝・常光康弘(拓殖大) |
B-1-91 |
広壁面階段構造平面導波管スロットアレーアンテナにおけるφ=45°面内放射指向性のグレーティングローブ抑圧
◎佐藤択迅・常光康弘(拓殖大) |
B-1-92 |
誘電体基板上に形成した寄生素子を備えた導波管狭壁スロットアレーの試作検証
○中本成洋・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
平行平板スロットアレーアンテナはミリ波帯において,高効率かつ簡単な構造である.本稿では,26GHz帯の円偏波放射平行平板スロットアレーアンテナを設計する.放射部は右旋円偏波を放射するスロットペアを1次元に6つ配置した構造で設計しモーメント法で解析した.給電導波管には各結合スロットにつき2つの誘導性ポストを用いた構造でHFSSを用いて設計,解析を行った.現時点では,給電導波管の終端素子,平行平板側壁部を除いて設計した.
太陽光発電電力伝送用アンテナでは大規模なアレーを構成するので,サブアレーは簡易な構成であることが望ましい.逆相給電導波管スロットアレーアンテナは,側壁の電気的接触が不要のことから側壁を取り除ける.逆相給電において放射スロットを同相で励振させるために,半管内波長間隔で互いにオフセットさせると不要な2次ローブが発生するので,それを抑圧するためオフセットをなくして平行平板導波路内に金属ポストをスロット近傍に設け励振する.狭帯域の小素子数のアレーに適用するため定在波励振とし,設計を簡単にするため等価回路が並列コンダクタンスのみで表わされる構造について検討し,アンテナ設計を行った.
RLSA(Radial Line Slot Antenna)とは円偏波を発生させることの出来る薄型平面のアンテナである。ラジアルラインへの給電方法は非共振クロススロットにより回転モード励振で実現している。
ラジアルライン終端には放射用素子として、非共振クロススロットを配置して原理的に最少構成のRLSAを実現が提案され、解析と実験により示されている。任意の利得を実現するために内周にTの字型スロットを同心円状に配置することで設計できる。
本報告では、Tの字型スロットについて共振長を導くためにアンテナ正面方向指向性利得及び第1サイドローブとの差から共振長を導く事で従来モデルより利得が1.9(dB)改善された事を示す。
平面導波管スロットアレーアンテナはミリ波帯でも導体損失が少ない特徴を持つ。等振幅、等位相で放射素子アレーを励振すると最大利得が得られる。しかし、アレー終端付近では電力放射量を大きくするためにoffset量が増え、φ=45°面内でグレーティングローブが高くなる問題がある。その改善の為階段状段差構造を導波管広壁面に適用した例がある。本報告では、更にスロットoffset量の変化に注目した結果を報告する。
管軸方向に垂直なスロットを導波管狭壁に設けた導波管狭壁スロットでは,従来,スロット近傍にワイヤやアイリスを設ける構造がとられるが,製造性に課題がある.筆者らは,製造性向上のため,基板上に形成したダイポール状寄生素子を用いてスロットを励振する方法を提案している.本稿では,提案スロットを複数配列したスロットアレーの試作検証結果について示す.
試作アンテナは,設計周波数において−10 dB以下の低反射特性を有するとともに,放射パターン測定値と解析値は良く対応しており,アンテナ正面方向の交差偏波レベルは−40dB以下の低交差偏波特性を有しており,その実現性および有効性を確認した.
休 憩(10:30 再開) 座長 佐藤啓介(電気興業)
B-1-93 |
近距離物体検知レーダのための平面アレーアンテナの開発
◎平 亜結美・近木祐一郎(福岡工大)・石田 薫・小山達也・奥長 剛・野田真奈美(日本ピラー工業)・伊藤直樹(宇部高専)・間瀬 淳(九大) |
B-1-94 |
TM20モードパッチアレーアンテナの設計
○後藤 準・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-95 |
超広帯域テーパスロットアレーアンテナの低域反射改善
○渡辺 光・紀平一成・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-96 |
両平面給電回路を用いた葉状ボウタイスロットアレーアンテナの検討
◎山本尚也・日景 隆・山本 学(北大) |
B-1-97 |
MACKEYⅡのアレー化検討
○辻 開生・田村俊樹・宮下圭介・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
自動車の安全支援システムにおいて,レーダは多くの役割を担っている.それらのアンテナは自動車のデザインを損なわないように車体の内部に隠されているが,電波の性質から本来は遮蔽物のない位置に設置したほうがよい.
本研究では,自動車衝突防止に用いる近距離物体検知のための,24GHz帯レーダ用平面アンテナの開発を行う.平面基板上の銅箔面にメッシュ加工を施し銅箔面積の少ないアンテナを設計,作製する.加工前と加工後のアンテナの性能の違いについて検証する.
奥行き方向を利用して高利得化を図ることのできるTM20モード動作のパッチアレー
アンテナを提案する。パッチアンテナを1波長間隔で配置し、一端に反射板を設け
ることで、誘電体基板の面方向にメインビームを形成できることを示す。
超広帯域アレーアンテナで所望の周波数帯域内で良好な反射特性を得るためには,アンテナ全体の大きさが下限周波数の自由空間波長オーダのサイズが必要となり,それよりも小さくなると低域特性が劣化してしまう.したがって,低域の反射を改善するためには,アンテナ全体を大きくしなければならず,配置するプラットフォームによっては設置できないといった課題があった.
そこで本稿では,アンテナ全体が小さい小規模な超広帯域アレーアンテナでも,低域の反射特性を改善可能な方法を提案し,電磁界解析で有効性を検証した結果を示す.
平面アレーアンテナのための給電回路のひとつとして,マイクロストリップ線路とスロット線路からなる両平面給電回路がある.本給電回路の利点として,交差偏波抑制性能及び多素子化の容易さがあげられる.筆者らはこれまで,葉状ボウタイスロットアンテナと両平面給電回路からなる広帯域アレーアンテナを設計した.本稿では,上述の広帯域アレーアンテナについて,従来モデルよりも高誘電率の基板を採用するとともに,構造パラメータの最適化を行うことにより,従来モデルよりも動作帯域の広帯域化が可能であることを示す.
周囲の金属における影響を受けにくい小型アンテナとしてMACKEY(Meta-surface inspired Antenna Chip developed by KIT EOE Labo-ratory,以下:基本型)について考案し,自由空間および金属上でも動作可能なことを示した.本報告では,素子構造を連続的に配置することでアレー化し,放射する電波のビーム方向を制御可能なMACKEYについて検討する.
3月12日 9:00〜11:45 Meeting 25 座長 道下尚文(防衛大)
B-1-98 |
半円型ノッチを有するAMC基板の薄型化に関する検討
○篠崎良太・新井宏之・田村 成(横浜国大) |
B-1-99 |
数単位セルからなる一層FSS型AMCの特性
○内村弘志(京セラ) |
B-1-100 |
0次共振チョークで構成されたスリーブアンテナ
◎榊原圭介・西目 匠・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-101 |
動作帯域より低周波側に阻止帯域を有するマントルクロークアンテナ
◎グェン タインビン・道下尚文・森下 久(防衛大)・宮崎輝規・田所眞人(横浜ゴム) |
B-1-102 |
マイクロ波WPT装置の測定システム用アンテナに関する検討
○吉田 翔・関野 昇・佐藤啓介(電気興業)・西森健太郎(新潟大) |
近年,IoT分野の発展が加速しており,アンテナには小型・薄型だけでなく,金属の有無にかかわらず設置ができる柔軟性が求められている.金属上でも特性を維持できるものとしてAMC(Artificial Magnetic Conductor: 人工磁気導体)が挙げられる.そこで本稿では,半円型ノッチを有するAMC基板を用いて,その半円型ノッチの弧長を変化させた場合のAMC基板の薄型化について検討する.
人工磁気導体(AMC)は周波数選択板(FSS)と接地板とで構成される.多くの場合,AMCの特性は周期境界条件を用いて計算された無限セルに対するものであるが,現実的には有限となる.これまで著者らは,二層パッチFSS型AMCの数単位セルAMC特性について報告した.今回,4種類(ループ,パッチ,ループスロット,パッチスロット)の一層FSS型AMCについて調べた.その結果,二層パッチFSS型AMCの場合と同様に,収束PMC周波数fsは単位セル数の増加に伴い低くなりf0∞に漸近した.また,AMC基板サイズがλ0∞/2より大きいときはf0∞で近似できることが分かった.さらに,一対の電気壁をAMC基板端面に作るとfsは低くなり,f0∞で近似できることが分かった.
スリーブアンテナを構成するチョーク構造として,右手/左手系複合(CRLH)線路の−1次共振モードを用いると,チョーク構造のサイズは小型になるが狭帯域となる.一方,0次共振チョークを用いることで広帯域化できるが,−1次共振周波数よりも高周波化する.そこで,本稿では0次共振周波数が−1次共振周波数と一致するチョーク構造を提案し,アンテナ特性を比較した.0次共振モードを用いることで比帯域幅は3倍に増加し,アンテナ効率は維持できることがわかった.
動作周波数が異なる2つのダイポールアンテナの間に左手系無給電素子を配置すると,アンテナ間の相互結合を急峻に低減できる.しかし,動作周波数において放射特性が変化する.一方,電磁波を制御するマントルクローク技術が提案されている.動作周波数720 MHzのダイポールアンテナの表面リアクタンス値を設計することで,高周波数側の750 MHzにおいて帯域阻止特性が得られる.本稿では,動作帯域より低周波数側に阻止帯域を有するマントルクロークアンテナについて検討した.表面リアクタンスおよびアンテナの給電部を調整することで,動作周波数750 MHz,阻止周波数720 MHzのマントルクロークアンテナを設計した.
マイクロ波WPT装置はコネクタを持たないため,複素指向性パターンを得るためには参照アンテナを使用した測定システムを用いる.システムの小型化,装置のEIRPが高いことから影響軽減のために,参照アンテナは小形・低利得が望ましい.本稿では,参照アンテナとして小形かつ低利得なメタマテリアルアンテナを検討する.
休 憩(10:30 再開) 座長 竹村暢康(日本工大)
B-1-103 |
双指向性を有する表面波誘電体アンテナ
◎滝波 真・久我宣裕(横浜国大) |
B-1-104 |
ポリイミド薄膜フイルムを用いた28GHz帯パッチアンテナの試作
○立石和幸・細貝誠二・小野和宏(カネカ) |
B-1-105 |
高利得ガラスアンテナの設計
◎加地拓弥・佐藤弘康・陳 強(東北大)・長江眞平・熊谷 翔・森本康夫・加賀谷 修(AGC) |
B-1-106 |
金属枠付きガラス上オンガラスアンテナの指向性について
◎渡邉天斗・宇野 亨・有馬卓司(東京農工大)・加賀谷 修・新井圭祐(AGC) |
B-1-107 |
コンクリート上に設置したパッチアンテナが受ける影響
◎高遠翔大・新井宏之(横浜国大) |
本稿ではFDTD法を用いた電磁界解析による計算による確認を行い, 双指向性誘電体アンテナと誘電体導波路を用いた2素子アレーアンテナの設計を行った.これらは位相調整機構が不要な構造となっている. アンテナ単体モデルにおいては誘電体を直接プローブで励振し, アレーモデルにおいてはプローブに励振される誘電体導波路を用いてアンテナ素子が励振される.これにより利得向上が確認された. 導波路が狭帯域であることが今後の課題である.
弊社製品のポリイミドフィルムを基材とした下面給電の28GHz帯パッチアンテナを作製し性能確認を行った。
反射特性、アンテナ放射測定の結果はシミュレーションと一致し、シミュレーションの妥当性が確認できた。
弊社開発材料の28GHz帯での有用性を確認できたので、今後は基材を変更したアンテナ測定を行うとともに、
シミュレーションも併用して新規基板材料の開発を進めていく予定である。
1次放射器の前面に高誘電率の誘電体板を配置して高利得化を図る漏れ波アンテナが報告されている.簡単な構成で高利得化を図ることが可能であり,導体損を抑えた高効率ミリ波帯アンテナへの適用が期待される.本報告では,誘電体板としてガラス板を用いた漏れ波アンテナの高利得化を検討した結果を述べる.
近年、自動車に搭載されるアンテナは,デザインの観点よりガラスに直接取りついているオングラスアンテナが用いられている.それら車載用アンテナ設計においては,アンテナ単体の特性と自動車搭載時の特性が大きく異なるため車体全体を含むシミュレーションが必要になる.そこで先行研究では車載用オンガラスアンテナのシミュレーションにおいて反射係数特性と指向性の評価に関してはフロントガラス周辺モデルだけで計算が可能であり,金属枠の影響が大きいという事が明らかになった.
本研究では,FDTD法とグリーン関数を用い,アンテナ部分と金属枠部分の電流から個別に全体への指向性寄与を検証し,金属枠の指向性への影響を計算,考察を行う.
本稿では,5G基地局アンテナを想定し,コンクリート壁上に設置したパッチアンテナがコンクリートから受ける影響について調査した.まずパッチアンテナをコンクリート上に設置したモデルについてFDTD法を用いて解析を行い,コンクリートからの影響を受けない最小の地板を解析から求めた.鉄筋を含むコンクリート,含水率の異なるコンクリートについても同様の検討を行い,影響を受けないことを確認した.最後に,解析で用いたモデルを製作しアンテナ特性を測定し,解析の妥当性を確認した.
3月12日 13:00〜17:00 Meeting 25 座長 黒川 悟(産総研)
B-1-108 |
分散型マイクロ波WPTシステム近傍の電力密度に関する検討
◎田中勇気・金井一輝・枷場亮祐・佐藤 浩・池田拓磨・五閑 学・梶原正一・谷 博之・小柳芳雄(パナソニック) |
B-1-109 |
車載MIMOアンテナ用コヒーレント基地局スキャナの電波暗室内検証
○豊見本和馬・山口 良(ソフトバンク)・福迫 武(熊本大) |
B-1-110 |
AOAとTDOAを併用した航空機位置検証の検討
○長縄潤一・宮崎裕己・田嶋裕久・古賀 禎(電子航法研) |
B-1-111 |
単一面の平面状近傍界振幅分布を用いた非反復位相再構成による平面アレーアンテナの遠方界推定法
◎杉本義喜・榊原久二男・菊間信良(名工大) |
分散配置された複数の送電アンテナからマイクロ波を送電し,位相制御により広範囲に高効率で無線給電を行う分散型WPTを提案している.本方式は受電端末の近傍のみに電力を集中することができるため,送電アンテナと受電アンテナの間に存在する人体・機器等への影響を低減しつつ,高い受電電力が得られる.本稿では,分散型WPTによる周辺の電磁界強度を解析により求めたので報告する.
我々は車載MIMOアンテナの簡易かつ小規模な測定方法を確立することを目的に,コヒーレント受信に対応した基地局スキャナを開発し,運用中の基地局からのダウンリンク信号による評価方法を提案している.今回は,電波暗室内に既知の波源を用意し,開発した基地局スキャナを用いた測定を行い,測定器の動作の妥当性を示す.
新しい航空機監視システムであるADS-Bは,各航空機がGPSにより得た位置情報を放送するものである.高精度な位置情報が得られるものの,認証の仕組みが無く,悪意あるユーザが不正な位置情報を送信可能という課題(成りすまし)がある.対策として,筆者らは信号到来角(AOA)や信号到達時間差(TDOA)による位置検証技術の検討を進めてきた.本稿では,TDOAとAOAを併用した手法を提案する.
単一面の近傍界振幅分布を用いて位相分布を再構成し,測定した振幅分布と再構成した位相分布を用いてアンテナ遠方界を推定する手法が提案されている.この手法では,位相分布を再構成する過程の反復処理で近傍界取得面端部の有限打ち切り誤差が積み重なるため,サイドローブの推定精度が悪い問題があった.本報告では,単一面の近傍界振幅分布に非反復位相再構成処理を適用することで有限打ち切り誤差の積算を回避して位相分布を再構成し,アレーアンテナの指向性利得を精度よく推定できることを示す.
休 憩(14:15 再開) 座長 西森健太郎(新潟大)
B-1-112 |
28GHz帯メタ・サーフェス反射板設置による屋内伝搬実験
○杉村独歩・芳野真弓・工藤友章・小林敏幸(日本電業工作)・松野宏己・伊藤智史(KDDI総合研究所) |
B-1-113 |
屋内環境における点群データを用いたレイトレース解析に適用可能な3次元平面モデル構築手法の提案および電波伝搬評価
○岡村 航・海部太郎・吉敷由起子(構造計画研)・齋藤健太郎・高田潤一(東工大) |
B-1-114 |
誘電体整合層を用いた広角方向インピーダンス整合法の基礎検討
◎宇野 孝・中本成洋・深沢 徹・高橋智宏・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-115 |
固有モード電流と人工ニューラルネットワークを用いたアレーアンテナの電流分布推定
○今野佳祐・Xing Wang・陳 強(東北大) |
B-1-116 |
面外変形によるリフレクトアレーアンテナの利得低下量の一検討
○戸村 崇・坂本 啓(東工大) |
屋内環境において,28 GHz 帯メタ・サーフェス反射板(MSR: Meta-Surface Reflector)を壁面に設置し,MSRの反射方向で受信電力の測定を行った.本稿では,送受信間は見通し内環境とし,送信アンテナからMSRまでの距離が異なる場合の測定結果を報告する.
近年IoTサービスやローカル5G等の自営網の普及に伴って様々な業種のユーザが無線ネットワークを構築・運用するようになっている.本研究では,それらのユーザがエリア設計時の電波伝搬解析で用いるモデル構築の負担を軽減するめに,自動的に屋内点群データからレイトレース解析で利用可能なモデルを構築するアルゴリズムを開発した.
点群データからモデルを作成する手法を提案し,作成したモデルを用いたレイトレース解析を行い,電波伝搬実験と結果を比較することでモデルの適用可能性を検証した.
高効率な広角ビーム走査フェーズドアレーを実現するため,アンテナ前方に整合層を配置した広角方向インピーダンス整合法が知られている.従来の設計法は,導波管開口やダイポールのアクティブインピーダンス理論式を用いるため,素子アンテナ全般への適用が困難となる.本稿では,素子放射部の回路パラメータ値と,誘電体整合層の等価回路を用いた設計法を提案する.提案手法では,放射部の回路パラメータ値を電磁界解析により抽出するため,素子アンテナ全般への適用が可能となる.電磁界/回路解析値を比較評価することで,本設計法の有効性を示す.
アレーアンテナの電流分布推定法は,アレーアンテナの電磁界から電流分布を推定する,いわゆる逆問題を解く方法であり,故障素子の発見や近傍界-遠方界変換など,様々な応用が期待されている.近年,人工ニューラルネットワークと呼ばれる技術が注目されており,様々な逆問題へ応用されている.本報告では,人工ニューラルネットワークと固有モード電流を用いたアレーアンテナの電流分布推定法について述べ,その有効性を数値的に明らかにする.
膜面展開アンテナ等の膜構造は軽量で高い収納効率と広面積を実現できる[1].一方で高い平面度を実現するための展開・支持構造が硬く重いため,アンテナ全体としての重量や体積が増加してしまう.低い平面度を許容し柔らかく軽量な展開・支持構造を用いれば,軽量かつ広面積なアンテナを実現できる.しかし平面度の劣化により開口面位相分布が乱れ,指向性利得が低下する.本稿ではこの平面度の劣化がリフレクトアレーアンテナの指向性に与える影響を検討する.
休 憩(15:45 再開) 座長 陳 強(東北大)
B-1-117 |
電波伝搬シミュレーションのための建材物性パラメータモデリング
○齋藤健太郎・CheChia Kang・Weihan Huang・Zhuoyang Lyu・高田潤一(東工大) |
B-1-118 |
汎用PLL-ICを用いた周波数・符号分割MIMOレーダ実験
○紀平一成・榊 裕翔・柿谷 彬・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-119 |
部分空間白色化を前処理とした複素数値FastICAの無線通信混信信号ブラインド分離特性
○塩見英久(阪大) |
B-1-120 |
ショートスタブを付加したUWB MIMOアンテナの素子間結合低減に関する検討
○竹村暢康(日本工大) |
B-1-121 |
移動通信用マルチバンド直交偏波MIMOアンテナの700MHz帯拡張
○中野雅之(KDDI総合研究所) |
5GやInternet of Things (IoT)システム等の普及に伴い,様々な周波数帯において無線通信ネットワークが構築され利用されるようになってきた.ネットワークの構築の際には通信性能評価のために,電波伝搬シミュレーションが行われるが,評価の精度を高めるためには正確な環境のモデルが必要になる.特に建物建材の電気的特性は電波伝搬特性に大きな影響を与えるが,既存研究では均質な媒体の特性しか明らかにされておらず,建材のような複合材料をどのように取り扱うべきか検討が必要である.本稿では,反射電力法により様々な建材の物性パラメータを推定した.そしてその物性パラメータのモデリング手法を提案する.
送受積パターンで等価的に大きなアンテナ開口を実現するMIMO レーダ方式が注目されている.素子毎の信号分離にために周波数や符号(位相)を切り替える必要があり,RFフロントエンドの低コスト化のために汎用PLL(Phase Lock Loop)-ICを用いた送信機構成を検討する.
独立成分分析は線形結合モデル y = Ax において、既知の観測ベクトル y が与えられた時、未知の混合行列 A や未知の信号ベクトル x を推定する手法である。独立成分分析は推定の手がかりとして信号ベクトルの各要素 xi が互いに統計的に独立であることを用いることが特徴である。さまざまな信号分離の問題への適用が試みられているが、複素数値信号への拡張もなされ、等価低域信号の分離特性についても検討されている。独立成分分析による無線通信信号のブラインド推定における課題は、典型的なアルゴリズムにおいて観測時に付加される加法的雑音の取扱が曖昧であり、雑音電力の増大に対して他の統計的推定手法と比較して推定結 果の劣化が早いことが挙げられる。本研究では、劣化の原因のひとつと考えられる前処理である白色化に着目して分離特性の改善を試みた。
UWB(Ultra-Wideband)はIoTにおける無線通信技術の有力な手段として期待されており,屋内だけでなく屋外での利用も含めた高速通信や測位・測距など様々なアプリケーションへの適用が見込まれている.筆者らは先に誘電体基板上に形成した平面型UWBモノポールアンテナにショートスタブを付加した構造のアンテナについて報告した.本稿では,UWBモノポールアンテナをMIMO構成とした場合の素子間結合低減について検討したので報告する.
移動通信用マルチバンド直交偏波 MIMO アンテナについて、あらたに700MHz帯の2ブランチMIMO、2.5GHz帯の4ブランチMIMOの拡大を計算機シミュレーションで行った。
B-1. アンテナ・伝播C(アンテナシステム)
3月9日 9:00〜11:45 Meeting 23 座長 紀平一成(三菱電機)
B-1-122 |
低電力PIMテスタを複数用いたアレーアンテナの非接触PIM測定法
○君野理哉・桑田昌佳・久我宣裕(横浜国大) |
B-1-123 |
ビームチルトを考慮したアレーアンテナのPIM測定におけるオープンスタブ法の有効性評価
◎△桑田昌佳・君野理哉・久我宣裕(横浜国大) |
B-1-124 |
メタサーフェス反射板近傍の散乱パターンの簡易評価手法の一検討
◎大戸琢也・松野宏己・伊藤智史・林 高弘(KDDI総合研究所) |
B-1-125 |
可変リフレクトアレー実現に向けた負荷変調伝搬路推定法
◎佐々木 駿・小田島祥太・村田健太郎・本間尚樹(岩手大)・高橋雄太・阿部順一・油川雄司(NTTドコモ) |
B-1-126 |
電波天文観測用マルチフィード型ビーム走査リフレクトアレーにおけるアレー素子個体差に起因する位相誤差の補正法
◎加藤 匠・村田健太郎・本間尚樹(岩手大)・亀谷 收・小山友明・本間希樹(国立天文台水沢VLBI観測所) |
アンテナのPIM評価手法として,非接触PIM測定が提案されている.この手法を用いることにより,簡易なアレーアンテナ内のPIM源の位置特定手法の実現が期待できる.しかし,トーナメント形のアレー給電回路において,根元にPIM源がある場合,非接触PIM測定では測定感度が低下してしまう.そこで本稿では,アレー素子を複数の PIMテスタで同時励振し測定する方法を提案し,アレー給電回路基部のPIM源に対して,測定感度の改善を示した.また,そのときの入力位相の誤差の影響について検討した.
先行研究ではアレーアンテナ内の PIM 源特定手法の検討が行われている.ここでは整合終端での測定手法が採用されており,サイズの大きい特殊な低 PIM 終端器を要するため実用的でない.そこで,オープンスタブを用いた簡易的な測定手法が提案されている.オープンスタブ法ではオープンスタブ着脱に応じて2度測定し,最悪値を評価する.しかし,検討では 2 素子アレーのみを対象とし,ビームチルトの影響は考慮されていなかった.本稿では多素子モデルとして8 素子を検討に加え,給電線路長を乱数で掃引させることで,ビームチルトを考慮に入れた検討を行い,オープンスタブ法の有効性を評価している.
第5世代移動通信システムで利用が開始した28GHz帯のように,今後の移動通信では高い周波数の利用が活発になると考えられる.高い周波数は直進性が高く,遮蔽エリアが頻繁に発生する問題がある.この対策としてメタサーフェス反射板の利用の検討が進められている.遮蔽エリアに十分な電力を反射するためには,反射板のサイズを第一フレネル半径程度とする必要がある.この場合,反射範囲は反射板の遠方領域とはならないため,反射板の設置効果を検証するために,反射板近傍の反射特性の把握が必要となる.反射板近傍の反射特性は,反射板からの角度と距離の両方に依存するため,その全てを測定することは困難である.そこで本稿では,簡易的に反射板の反射特性を把握するために,フレネルの後方散乱モデル[2]をもとに反射板近傍の散乱パターンを計算し,実測結果との比較評価を行う.
基地局-ユーザ端末間に設置された可変リフレクトアレーの負荷制御により,電波伝搬特性を改善し無線通信性能を向上する手法が大別すると2つ提案されている.1つ目は伝搬路情報を規範とする負荷制御法が提案されているが,全素子に伝搬路推定用の直交検波器を設けた場合,ハード構成の複雑化は避けられない.二つ目は伝搬路推定機能を不要とする一方,通信特性改善のために試行的な負荷切替と端末からの頻繁なフィードバックが必要となりオーバーヘッドを生じる.そこで本稿では,アレー内の少数素子だけにRSSI (Received Signal Strength Indicator) の測定機能のみを付加した簡素なハード構成により,基地局-アレー間全体の伝搬路推定を可能とする手法を提案する.
次世代電波天文観測のための超大型アンテナを安価に実現する手段として,リフレクトアレーの利用が検討されている.特に広天域観測には,マルチフィード又は開口面位相制御によるビーム走査が必須である.その一方,(i) 開口面の歪みや(ii) 回路部を含むアレー素子個体差に起因するビーム特性の劣化が問題となる.これに対して,(i) による位相誤差をアレー素子に装荷した可変容量で補正する手法が提案されているが,(ii) の補正については言及されていない.
そこで本稿では,マルチフィードを活用したアレー素子個体差の推定法とその補正法を提案し,誤差の大きさに依らず,ビームを高精度に補正可能であることを示す.
休 憩(10:30 再開) 座長 堅岡良知(KDDI総合研究所)
B-1-127 |
同一周波数Full Duplexに向けた車載アンテナの設置位置に関する検討
○埜々考平・藤元美俊(福井大)・山口 良・豊見本和馬(ソフトバンク) |
B-1-128 |
双寄生アンテナを用いたフィードバック不要な空洞共振型無線電力伝送法
◎瀧谷慧斗・近藤慎之介・村田健太郎・本間尚樹(岩手大) |
B-1-129 |
インピーダンス変換ハイブリッド回路と擬似伝送線路可変リアクタンスから構成される低損失反射型移相器
◎田村 成・新井宏之(横浜国大) |
B-1-130 |
初期位相を用いた半球面近傍界からの遠方界推定
◎三井悠輔・林 祐造・新井宏之(横浜国大) |
B-1-131 |
セシウム蒸気セルを用いたパッチアンテナからの放射磁界分布のリアルタイムイメージング
◎東島侑矢・木下 基・飯田仁志(産総研) |
同一周波数Full Duplexの実現には,約110 dBの自己干渉除去が必要となり,移動体では実質的に不可能であるとされてきた[1].解決法として,アナログ減結合回路,ディジタル信号分離処理などがあげられるが,コスト的に問題があるため,アンテナ指向性による結合低減が期待されている.本報告では,基地局からの電波の到来方向が車両周りで一様である場合に,車載ホーンアンテナの設置位置による送受信アンテナ間の結合低減効果を明らかにする.
寄生アンテナの負荷制御により導体筐体内の共振モードを最適化し,高効率給電を実現する空洞共振型無線電力伝送が提案されている.但し,負荷最適化に受電電力や送受電アンテナ間のSパラメータの情報を要するため,受電側がフィードバック不能時,給電困難となる.これに対し著者らは,導体筐体内特有の性質を利用し,フィードバック不要で給電効率最大となる負荷条件を特定可能な手法を提案し,その原理を実証している.しかし,単寄生アンテナのみ使用した場合,筐体内に不感点が発現することが課題となっていた.そこで本稿では,双寄生アンテナのダイバーシチによる給電特性の改善効果について実証結果を報告する.
電気的制御による移相器は高速なビーム走査に用いられ,可変移相量が大きく,低損失な設計が望まれる.これまでに,擬似伝送線路可変リアクタンスを用いた反射型移相器が高移相量を得ることが報告されている.また,インピーダンス変換ハイブリッド回路と組み合わせることで,低損失かつ高移相量を得られることが伝送線路理論より明らかにされている.しかし,所望特性を満足するパラメータの傾向や誘電正接の影響について詳しく示されていない.本項では,MATLAB及び高周波回路シミュレータADSを用いて特性の変化を比較し,設計指針を報告する.
アンテナの特性として遠方界の測定が重要である。しかし、遠方界を直接測定する際にはコストや測定場所など様々な問題点がある。そこで、本研究では近傍界遠方界変換を用いて遠方界を正確に推定する方法を検討する。近傍界の測定に関しても電気長などの問題から位相を正確に測定することは難しい。よって、振幅データのみを用いて推定を行うために適切な初期位相を与える手法について示す。
次世代移動通信では,通信品質の安定性を向上するために移動端末に対するビームトラッキング技術が重要となっている.高精度なトラッキング技術やレーダーセンシングの研究開発には,空間中の電磁界分布をリアルタイムに可視化・評価する技術が求められている.本報告では,セシウム原子に対するマイクロ波とレーザーの二重共鳴に基づく近赤外の蛍光観測から,パッチアンテナからの放射磁界分布をリアルタイムに測定するための基礎検討を行ったので報告する.
3月9日 13:00〜17:00 Meeting 23 座長 山田寛喜(新潟大)
B-1-132 |
合成開口型と回転反射鏡型を融合した到来方向測定法―1次放射器鏡像による凹形円弧仮想アレー合成ビーム生成法―
○山口 良・豊見本和馬(ソフトバンク) |
B-1-133 |
ミリ波・テラヘルツ波回転反射鏡アンテナを用いた移動通信ユースケース検討
山口 良・○矢吹 歩・宮下真行・豊見本和馬(ソフトバンク) |
B-1-134 |
参照ビーコンを用いた屋内到来方向推定補正法
◎勝又 敬・小野寺和希・本間尚樹・村田健太郎(岩手大)・竹田真理・武居厚志・松本一弘・柴野伸之・菱川哲也(パナソニック) |
B-1-135 |
圧縮センシングを併用した合成開口型測定による到来方向推定
○池田友典・藤元美俊(福井大)・豊見本和馬・山口 良(ソフトバンク) |
B-1-136 |
圧縮センシングとSAGEアルゴリズムを併用したMIMOレーダの性能解析
○市川元也・菊間信良・榊原久二男・杉本義喜(名工大) |
著者らは,移動通信到来方向測定法として合成開口型と回転反射鏡型の2つを提案している.本報告では,さらなる高分解能を目指し,これら2つの方法を融合した回転反射鏡を用いた合成開口型到来方向測定法を提案し動作原理検証を行う.その結果,本提案法により狭ビーム成形が可能であることを示す.
次世代移動通信においてミリ波・テラヘルツ波アンテナの利用が進むものと考えられる[1].このような新周波数
帯アンテナをどのように活用してユースケースを発掘するかは重要な課題である.本稿では,アンテナ・伝搬測定用に開発した回転反射鏡アンテナを用いたユースケース検討の考え方について述べる.
強い反射波の存在下ではDOA (Direction-of-Arrival) 推定精度が劣化する.そのような場合でも高精度に推定するためには,反射波を考慮した補正を行う必要がある.本報告では,座標が既知である参照ビーコン (RB: Reference Beacon) を用いることで事前の環境情報を用いずにDOA推定精度を改善する方法を提案し,数値解析により性能を評価する.提案法はRBから到来する信号のアレー応答の観測値と予測値が一致するよう鏡像を推定し,RB周囲で推定した鏡像を考慮することでDOA推定精度を改善する.数値解析により,反射壁付近の範囲におけるDOA推定誤差が,提案法では低減することが分かり,提案法が反射波考慮によりDOA推定精度を改善することを示した.
基地局周辺の伝搬環境把握のための簡易かつ高分解能な手法として,合成開口による到来方向測定法が検討されている[1].しかし,周波数が低い場合,測定系のサイズや測定時間の観点から,高分解能を得ることは難しい.本報告では,圧縮センシングを併用した合成開口測定による到来方向推定法を提案する.また,提案法の推定性能や計算時間を評価する.
アレーアンテナによる電波の到来方向(DOA)推定技術として圧縮センシングが注目されている.本研究では圧縮センシングと最尤推定法であるSAGEアルゴリズムを導入し,ターゲットのDOA推定精度の向上および演算時間の短縮について検討する.
休 憩(14:30 再開) 座長 杉本義喜(名工大)
B-1-137 |
ミリ波MIMOレーダを用いたCNNによる人物動作分類における特徴量の組み合わせについて
◎坂上史弥・山田寛喜(新潟大) |
B-1-138 |
4素子アレーアンテナを用いたUWB位置推定技術に関する検討
○大石佳樹・古賀健一・古池竜也・森 恵・片岡研人(東海理化) |
B-1-139 |
既知座標チャネル応答を用いた生体MIMOレーダーの校正法
◎伊藤友則・林 哲平・白木信之・本間尚樹(岩手大)・中山武司・飯塚翔一(パナソニック)・村田健太郎(岩手大) |
B-1-140 |
オフィス環境において天井に設置したミリ波FMCWレーダによる人の基本行動分類に関する一検討
○梁島一哉・胡 尭坤・戸田 健(日大) |
B-1-141 |
ミリ波を用いた伝搬環境イメージング法の精度評価
◎三宅祐人・金 ミンソク(新潟大)・高田潤一(東工大) |
近年,電波を用いたヒューマンセンシングとして,人間の動作認識に関する研究が行われている.動作認識にはレーダ受信データを信号処理解析した動作データに対して,機械学習分類器による学習・分類を用いることで実現できる.筆者らは高精度な動作認識を目指し,各動作の特性を明確に判断できる動作データについて検討している.本稿ではミリ波MIMOレーダの受信データから得られた3つの特徴量(ドップラ周波数,レンジ,DOA)を用いて計6種類の2次元動作データを用意した.そして畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による動作分類を行い,各動作データによる分類精度の評価から高精度な動作認識の実現を目指す.
近年、UWB(Ultra Wide Band)通信を用いた位置推定技術が注目されている。日本ではこれまで、UWBは屋内利用のみ認められていたが、法規改正により屋外でも利用可能となり、今後様々な場面での利用が増大すると考えられる。自動車業界における位置推定技術のニーズとしてスマートキーの位置推定が挙げられ、高精度な位置推定が必要となる。そこで、測距と到来角度推定を同時に行うことが可能なUWB位置推定機を試作し、性能評価を実施したので、その結果を報告する。
高齢者の人口増加に伴う見守りシステムの需要も高まりに対して,生体位置推定が検討されている.これを安価に実現するにはWi-Fiルータの転用が望ましいが,アンテナの校正を必要とする.そのため,本報告では既知座標チャネル応答を用いた生体MIMO (Multiple-Input Multiple-Output)レーダの校正法を提案する.提案法では,理想チャネルと校正用観測チャネルを比べることでチャネル校正係数を求め,係数を空間的に補間し利用する.以下では,提案法の原理について述べるとともに,逆Fアンテナアレーを用いたシミュレーションにより測位精度改善効果について述べる.結果として,位置推定誤差の中央値が従来法と比べて0.74m改善することを明らかとした.
近年,室内環境の改善や異常行動の検知等を目的に,人の行動データの分析が行われている.一方,マイクロ波やミリ波レーダによる人の位置や行動のモニタリングに関する研究が進んでいる.本研究ではオフィス環境を想定し,レーダを室内天井に取り付け,オフィスワークで起こりうる着座時の2動作と無人環境を観測し,時間-レンジ及び時間-ドップラ周波数特性の2次元領域から畳み込みニューラルネットワーク (CNN)を用いて各行動の分類を試みたので報告する.送信信号の帯域幅は3.99 GHz (77~80.99 GHz),チャープのスロープは70 MHz/μsとした.分類の結果,各行動の分類確率の中央値は,約99%であった.
スマートホーム・スマートビルディングに向けた多重波伝搬経路を用いるデバイスフリー屋内測位法が検討されている.この手法を実現するためには周囲環境の正確な形状を事前に把握する必要がある.本研究では,WiGig超高速無線LANや第5世代移動通信のようなミリ波帯無線通信システムを用いた環境形状イメージング法の開発を目指す.具体的には高い遅延時間分解能と角度分解能を持つといったミリ波の特徴を活用し性能の向上を図った多次元キルヒホッフマイグレーション法を開発した.本稿では多次元KM法の性能について実際の部屋をモデルとした屋内空間モデルを測定対象としその精度を評価する.
休 憩(16:00 再開) 座長 村上友規(NTT)
B-1-142 |
CMAに着想を得たバイタルサイン検出用アダプティブアレーアルゴリズム
○本間尚樹・村田健太郎・岩井守生・小林宏一郎(岩手大)・佐藤 敦(エクォス・リサーチ) |
B-1-143 |
逆正接復調心拍推定精度のアンテナ素子数特性
◎小川悠太・佐々木滉太・本間尚樹・村田健太郎・岩井守生・小林宏一郎(岩手大)・佐藤 敦(エクォス・リサーチ) |
B-1-144 |
チャネル時間応答線形予測と移動速度を考慮した生体MIMOレーダ測位精度の向上法
○白木信之・本間尚樹(岩手大)・中山武司・飯塚翔一(パナソニック)・村田健太郎(岩手大) |
B-1-145 |
79 GHz帯ミリ波超広帯域アレーレーダとクラスタリング手法を併用した多人数の呼吸非接触計測
◎香田隆斗・阪本卓也(京大)・奥村成皓・瀧 宏文(マリ) |
本報告では,生体信号に追従しアレーウェイトを自動的に決定するアダプティブアレーアルゴリズムを提案する.実験結果に基づき,提案法によりMIMOアレーを用いてバイタルサインの強調・抽出が可能であることを明らかにする.
近年,マイクロ波を用いた心拍数推定法の検討が行われているが,呼吸による体表面の変位が心拍に比べ大きく,その高調波成分が干渉するため,心拍推定精度の向上が困難であった.この問題を解消するために,逆正接復調を用いた心拍数推定法が検討されている.この手法では,信号の位相変動からバイタルサインを抽出する.この抽出精度を向上するために,MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) アレーを用いて伝搬路自由度数を増加させる方法が検討されている.
本報告では,アンテナ構成を最大16×16MIMOまで拡張し,レイリー商を用いた場合の心拍数推定精度を評価した結果について述べた.16×16MIMOは8×8MIMOに比べて,安静呼吸時の心拍推定精度が2.27 bpm改善し,アンテナ素子数増加により心拍推定精度が向上することが分かった.
近年,一人暮らしの高齢者数の増加に伴う見守りシステムの研究,開発が行われている.見守りシステムの一環として生体の位置推定が挙げられる.生体位置は過去から現在までの時間のデータを用いて推定されるため,用いる時間が長いほど遅延が発生するというデメリットがあった.また,受信信号の線形予測を用いたリアルタイムな行動推定法が提案されているが数秒の遅延時間があり,リアルタイムに推定することが困難である.
本報告では,線形予測により現在のチャネルから未来のチャネルを予測し,現在,過去,未来のMUSICスペクトラムから移動速度を算出し,推定位置を補正することで正確な現在位置をリアルタイムに推定することが可能であることを明らかとした.
わが国の少子高齢化は加速しており,その対策は喫緊の課題である.特に,共働きの家庭が増える中,安心して仕事と子育てが両立できる環境を整備する必要がある.我々は,これまでミリ波レーダを用いた乳幼児の非接触見守りセンサを開発してきた.本研究では多人数の乳幼児の呼吸を同時に非接触計測する見守りシステムを提案する.提案手法では,超広帯域アレーレーダの信号からレーダ画像を生成し,さらにクラスタリング手法を適用することで,多数の対象者の呼吸を同時計測できることを実験により実証する.
3月10日 14:30〜17:00 Meeting 23 座長 本間尚樹(岩手大)
B-1-146 |
ドローン間LoS-MIMO伝送のアンテナ配置に関する検討
◎岡田 陸・西森健太郎(新潟大) |
B-1-147 |
ドローンを利用したアンテナ高の違いによるKファクタ距離特性
○土肥 駿・西森健太郎・高世 駿(新潟大) |
B-1-148 |
多素子デイジーチェーンMIMOアンテナの伝送容量測定方法
◎北村理央・本田和博・小川晃一(富山大) |
B-1-149 |
64×64デイジーチェーンMIMOアンテナのOTA評価
○本田和博・北村理央・小川晃一(富山大) |
B-1-150 |
セルフリー大規模MIMOのためのユーザの公平性を考慮したダイナミックTDD割当方式に関する一検討
○福榮秀都(電通大)・飯盛寛貴・アブレウ ジュゼッペ(ジェイコブス大)・石橋功至(電通大) |
第5世代移動通信システムのサービスが開始され,同時にBeyond 5G,6Gに向けた検討も開始されている.その中で,ドローン等を使った中継局伝送も想定される.特に,ドローン間は見通し内(Line of Sight : LoS)環境である.したがって,ドローン間の伝送はLoS-MIMOチャネルとなる.アンテナ素子間隔が最適である理想的なLoS-MIMO伝送では,ある伝送距離では最大容量を達成できる反面,伝送距離が変化すると著しく伝送効率が低下する.
ドローン間の距離は常に変動することが想定されため,この問題がドローン間の伝送では顕著となる.そこで,アンテナ素子間隔をあえて不均一にすることでこの問題を緩和できることが明らかにしている.
本報告では,ドローン間のLoS-MIMO伝送において,伝送距離に依存しないアンテナ素子配置に対して,遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて導出する.さらに,アンテナ実装も考慮して円周上配列という拘束条件のもとで円形アンテナとした.
ドローン等の無人飛行機を用いた新たなMIMOを用いた中継伝送法が検討されている~\cite{1}\cite{2}.本報告では,ドローンを用いてアンテナ高を変化させることにより,MIMO中継局伝送の評価用のKファクタの距離特性を評価する.実験結果より,簡易な式でアンテナ高とKファクタの関係を示す.
我々は,全アジマス方向に対して超高速通信が可能なデイジーチェーンMIMOアンテナの研究開発を行っている.大規模MIMOアンテナの伝送容量測定に際し,8素子の受信信号はスイッチ回路を使用して自動で測定し,4つのサブアレーのチャネル応答は測定した8素子の受信信号をオフラインで合成して得る方法について検討したので報告する.
我々は,全アジマス方向に対して安定した超高速通信を実現できるデイジーチェーンMIMOアンテナの研究開発を行っている.本研究では2次元フェージングエミュレータを用いて64 × 64デイジーチェーンMIMOアンテナのMIMO伝送容量を測定した.その結果,到来波方向に応じたビーム走査により40 Gbpsを実現できることが明らかとなった.
本稿では,上り・下りリンクでの伝送を要求するユーザが混在するセルフリー大規模MIMOシステムを想定し,ダイナミックTDDを用いた空間資源割当問題を検討する.既存方式には,ユーザ間の公平性が担保されないという問題がある.そこで,本稿ではユーザの最小レートの最大化を主眼とし,ユーザ全体の公平性を担保した設計を提案する.具体的には,ユーザの要求に応じて電力制約を満たしながら,ユーザの最小レートを最大化するようなアクセスポイントの割り当ておよび,ビームフォーミング設計を可能とするアルゴリズムを提案する.計算機シミュレーションを用いて既存方式と比較し,公平な通信品質が確保できていることを示す.
休 憩(16:00 再開) 座長 村田健太郎(岩手大)
B-1-151 |
機械学習による電波伝搬予測で用いる建物マップ画像の検討
◎井上一也・市毛弘一(横浜国大)・長尾竜也・林 高弘(KDDI総合研究所) |
B-1-152 |
機械学習を用いたストリートセルにおける伝搬遅延時間推定
○林 真之介・藤元美俊(福井大)・北尾光司郎・中村光貴・須山 聡・小田恭弘(NTTドコモ) |
B-1-153 |
円形ビン入力データを用いたCNNによる混合信号の変調方式推定
◎新美貴教・藤元美俊・長谷川達人(福井大) |
B-1-154 |
ライス伝搬環境下における地板を有するAOAアンテナによる到来波方向推定
◎大坪海翔・本田和博・小川晃一(富山大) |
本稿では,機械学習による電波伝搬予測の高精度化を目指し,建物マップ画像の設定方法を検討する.文献[1]では,空間データとして建物マップ画像を利用し,機械学習によって電波伝搬予測を行う手法を提案している.また,文献[2]では,空間データとして新たにTx-Rx中間点画像を使用するなどの変更を加えた手法を提案している.本稿では,文献[2]の結果を踏まえ,建物マップ画像の設定方法を変更した場合の予測精度の変化を調べる.
移動通信において, 高速・高品質通信を実現するためには, 送受信間の電波伝搬特性を明確にすることが重要である. 伝搬特性を把握するには実測が確実であるが, あらゆる場所において測定することは困難である. そこで, 市街地モデルを用いたシミュレーションによる検討が行われている[1]. しかし, 高精度な伝搬特性を把握するには, 精密な市街地モデルが必要であることから, 簡易な推定手法が求められている.
本報告では, 実測定や精密な市街地モデルを用いることなく伝搬特性を推定するために, 市街地の特徴量及び機械学習アルゴリズムを用いた簡易な推定手法について検討する.
受信信号の変調方式を識別するアルゴリズムとして,畳み込みニューラルネットワーク(CNN: Convolutional Neural Network)を用いた手法が検討されている.CNNはデータの形状的な特徴を学習することから,特徴が現れやすいよう受信信号を処理することで,CNNモデルの推定性能の向上が期待される.本稿では,複数波が混合した信号のCNNによる変調方式推定において,振幅および位相角で分割する円形ビンによって生成した行列を入力データとして用いる手法を提案し,その推定精度の評価を行った.その結果,IQ成分を入力データとして与えたCNNモデルと比較して推定精度が向上することを示した.
我々は,到来波方向推定機能と超高速通信を同時に実現できる円形配列フェーズドアレーアンテナを開発している.本論文では,地板を有するモノポール素子による円形配列AOAアンテナについて,3次元ライス伝搬環境下における到来波方向推定精度について検証したので報告する.
3月12日 9:00〜11:45 Meeting 23 座長 豊見本和馬(ソフトバンク)
B-1-155 |
機械学習による電磁波を用いた3次元海中位置推定システムの基礎検討
◎阪谷新之助・加藤涼介・高橋応明(千葉大) |
B-1-156 |
電磁波を用いた3次元海中位置推定システムの実測
◎加藤涼介・高橋応明(千葉大)・菅 良太郎・松田隆志(NICT)・石井 望(新潟大) |
B-1-157 |
近傍界波源位置推定のためのブラインドアレー校正における距離領域の平均効果
○林 朋樹・菊間信良・榊原久二男・杉本義喜(名工大) |
B-1-158 |
2アンテナで生成するRSSI分布とPDRに基づく屋内位置推定法
◎内澤航平・北村大地・本間尚樹・村田健太郎(岩手大)・三浦 淳・梁川 翼(イーアールアイ) |
B-1-159 |
生体成分分析によるアレーレーダを用いた脈波ブラインド信号分離
○阪本卓也(京大) |
海難事故の件数は過去5年で大きな減少はなく,ほぼ一定である.海難事故において,救助を行う際はダイバーの活躍が期待されるが,海中の浮遊物や低体温症など様々な危険が伴う.水中におけるダイバーの位置の特定により,救助活動を支援することを想定し,中波以下のVLF帯の電波を用いた海中位置推定システムの検討が行われている.本研究では電磁波を用いた3次元海中位置推定システムにおける機械学習導入の基礎検討として,4つの教師あり機械学習モデルで海中位置推定を行い,モデルごとの比較を行った.最も優秀なモデルはMLPであり,計算時間については全てのモデルにおいてリアルタイム性に問題はない事が確認された.
水難事故の発生件数はここ数年ほぼ一定で,ほとんど減少が見られない.
水難事故の際に救助活動を行うのはダイバーであるが,海中には様々な漂流物が存在し,救助中のダイバーに常に危険が伴う.
本研究では,水中におけるダイバーの位置の特定により,救助活動を支援することを想定し,中波以下のVLF 帯の電波を用いた海中位置推定システムの検討を行う.
先行研究において,10 kHz の超長波電波は,理論上1 m あたり3.5 dB減衰し,30 m 以上の距離を伝送できる.
また,解析による3次元の海中位置推定についてはすでに報告されている.
本報告では,提案された位置推定アルゴリズムを実装した海中位置推定システムを用いて,実環境における海中アンテナの位置推定を行ったので報告する.
本研究では, 全方位推定が可能なサーキュラアレーと推定精度の高いMUSICを用い, アレー近傍の波源位置推定の検討を行う. さらに, 素子間相互結合がある場合に用いられるブラインドアレー校正に距離領域の平均を導入し, その効果を検証する.
2つの送信アンテナを離散的に配置することで形成した干渉縞マップを用い,PDRで得られる軌跡から予想したRSSIと,実際に端末で観測されたRSSI変化履歴とを比較することで位置推定を行う手法を提案する.Ray-trace法を用いたシミュレーションにより,提案法の位置推定精度について考察する.シミュレーションより,提案法における送信アンテナ間距離が10λのときの位置推定誤差のCDFの75%値が2.5 m以下となり,任意の経路上を移動したときの終点位置を推定可能であることを明らかにした.
人体皮膚表面には脈波による数十ミクロン程度の変位が見られる.脈波速度は血圧や血管の硬さで決まるため,高血圧症や動脈硬化に関わる重要な指標である.身体の複数部位で脈波の測定を同時に行い,これら複数部位の距離と脈波到達時間差から脈波速度を算出できる.本研究では,ミリ波アレーレーダにより人体全身の脈波伝搬を非接触計測することを目的とし,人体の複数部位の変位を高精度計測する.我々はこれまで,脈波伝搬などの生体信号を数理モデルで表現し,このモデルを利用したブラインド信号分離手法(生体成分分析)を開発してきた.本稿では生体成分分析の適用例を示す.
(10:15 開始) 座長 塩見英久(阪大)
B-1-160 |
Full-Duplex Line-of-Sight MIMOにおける最適アンテナ配置
○村田健太郎・小田島祥太・本間尚樹(岩手大) |
B-1-161 |
MU-MIMO通信における送信ダイバーシチを用いたBMSN法の特性解析
○菊間信良・嶋田 魁・小川純平・榊原久二男・杉本義喜(名工大) |
B-1-162 |
C-V2Xにおける基地局連携ユーザ割当アルゴリズムによるMU-MIMOのチャネル容量改善
○佐々木翔太郎・藤元美俊(福井大) |
B-1-163 |
ステップサイズの最適化制御を行うCMAアダプティブアレーを用いたブラインド信号分離の特性解析
◎關山桂太・菊間信良・榊原久二男・杉本義喜(名工大) |
B-1-164 |
TDL-ICAを用いた単素子アンテナによる位相偏移変調信号分離
◎清水優也・藤元美俊(福井大) |
B-1-165 |
地上波TV放送の長距離伝送おける偏波MIMOギャップフィラーによる受信特性改善
◎田中健太郎・藤元美俊(福井大) |
V2Vやドローン中継システム等の新たな無線通信形態の台頭に伴い,LoS(Line-of-Sight)通信の大容量化が課題となる.例えば,LoS MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)において,アンテナ間隔の最適化により高いチャネル容量が得られることが証明されている.一方,著者らは,FD(Full-Duplex) MIMOにおいて,最小限の空間的自由度の消費で自己干渉除去を可能とするアンテナ配置を提案している.
そこで本稿では,上記を融合したFD LoS MIMOにおいて,干渉除去と容量向上を両立する最適アンテナ配置を提案し,電磁界解析結果から従来配置に対する優位性を示す.
MU-MIMOの下り回線の線形送信制御技術として,BD法,BMSN法等が提案されている.本研究では,BMSN法の一つであるBMSN-GE法に送信ダイバーシチを導入したBMSN-GE-TD法を提案し,その特性を計算機シミュレーションにより評価した.
自動車の自動運転や安全運転支援を実現するため,自動車とあらゆるものとの通信(C-V2X: Cellular-Vehicle to everything)にMU-MIMO(Multi User-MIMO)の導入が検討されている[1].C-V2Xは人の安全に関わる技術であり,高い信頼性が必要である.本報告では, 市街地環境でのC-V2Xにおいて,MU-MIMOの最小チャネル容量を最大化するユーザ割当アルゴリズム提案する.
ブラインド信号分離を行うアダプティブアレーアルゴリズムの一つに定包絡線化アルゴリズム(CMA)がある.
本研究では,ステップサイズを最適化するOS-CMAに着目し,アレーのウエイトベクトル更新時に使用するステップサイズに閾値制限を設けた場合の信号分離特性を解析する.
近年ブラインド信号源分離技術である独立成分分析(ICA: Independent Component analysis)が無線通信分野でも注目されている.アレーアンテナを用いる電波の分離の場合,ICAは素子数≧到来信号数という条件でのみ適用可能な方式であるためICAにタップ付き遅延線を適用し,分離可能な信号数を増やすことができるTDL-ICAが提案されている.しかし,無変調波およびAM変調のみの分離しか検討されておらず,近年広く使われるディジタル変調信号は検討されていない.さらにその周波数特性から OFDM以上に周波数領域での多重化が期待できる.
そこで本稿では単素子アンテナに2波のQPSK信号が到来する環境でそのメインローブ帯域幅の半分以上が重なる場合でも分離が可能であることを確認する.
衛星4K,8K放送の実用化に伴い,地上波放送による4K,8K放送が検討されている.地上波4K,8K放送の実現に向けて,MIMO伝送と偏波の直交性を用いた偏波MIMO伝送の導入が検討されている.しかし,偏波MIMOは見通し外環境で伝送品質が低下することが懸念される.そこで,中継器を用いて受信特性を改善する図1のような偏波MIMOギャップフィラーが検討されている.
本報告では特に受信特性が低下する長距離伝送においてギャップフィラーによる受信特性の改善効果について検討する.
B-2. 宇宙・航行エレクトロニクス
3月9日 9:00〜11:45 Meeting 26 座長 網嶋 武(三菱電機)
B-2-1 |
釧路地域における自設置基準局によるKinematic測位精度
○山形文啓(釧路高専)・小熊 博(富山高専)・亀田 卓・末松憲治(東北大) |
B-2-2 |
民生用2周波対応GNSS受信器を用いた天頂全遅延測定
○中川 豊・宮内大輝・東野武史・岡田 実(奈良先端大) |
B-2-3 |
目標の広がり情報を利用する融合追尾方式
○小幡 康・亀田洋志・和泉秀幸(三菱電機) |
B-2-4 |
LMBフィルタによる車載レーダ向け歩行者・路側物追尾開始方式
◎小西響介・北村尭之・亀田洋志(三菱電機) |
B-2-5 |
GNSS精密測位における天頂全遅延と差分系列の複合条件による降水推定
◎宮内大輝・中川 豊・東野武史・岡田 実(奈良先端大) |
我々は, GPS (Global Positioning System) に代表される NSS (Navigation Satellite System) を用いたIoT (Internet of Things) 向けネットワーク Kinematic 測位システムを提案している.このとき,基準局の設置間隔が測位機会の増大につながるため,簡易に基準局を設置できることがシステム実現のために必要となる.本稿では,自設置基準局を用いた場合の測定結果を報告する.
ゲリラ豪雨のような局地現象の予測には、上空の水蒸気量の正確な見積もりが重要である。そのため にはある程度空間の広がりをもったGNSSにおける対流圏遅延の情報が有効である。高性能な受信機で構築されている国土地理院の GEONET の電子基準点のシステム以上の緻密な多点での同時観測網の構築が望まれるが、受信機等のコスト面から実現は困難である。近年コンシューマ向けに開発された低価格な2周波 GNSS 受信モジュールが市場にひろまりつつあるため、これらとGEONETの電子基準点の天頂全遅延(ZTD)推定を比較したところ、評価誤差の大きさは GEONETと比べて大きいものの、所望信号に対しては十分小さいことが判明した。低価格な2周波 GNSS受信モジュールでも局地現象の予測に貢献できると考える。
航空機搭載レーダによる地上目標追尾では,クラッタ環境下での相関決定の確度向上が課題である. 地上の
様子を高精度に把握するためにレーダ信号より画像を生成する技術があり,その画像より目標の大きさを反映
した広がりを算出することができる.本稿では広がり情報が追尾目標の種別に依存していることを利用して
追尾相関の確度向上を図る.
車載レーダによって路側物付近から現れる歩行者を観測する際,路側物と歩行者がドップラ速度上では分解可能だが,位置軸上では分解不可なため歩行者の追尾開始が遅れるとの課題がある.本発表では,より少ない観測回数での遠方の路側物と歩行者の個別追尾開始を目的として,分離目標向けLMBフィルタ(Labeled Multi-Bernoulli filter)の適用を提案する.この分離目標向けLMBフィルタは,1個の目標から別の目標が分離出現する予測モデルを用いる点が特徴である。また車載レーダ向けに,ドップラ速度の次元を持つ状態空間内で推定するよう拡張した.シミュレーション評価の結果,従来のLMBフィルタに比べ早期に歩行者を追尾開始できることを確かめた.
本研究では,GNSSを用いた測位の計算過程で得られる天頂全遅延(ZTD:Zenith Total Delay)とその差分系列(ZTDD:ZTD Difference)の複合条件による降水判定法の提案及び評価を実施した.測定では,L1及びL2帯の受信信号と精密軌道データを用いて,PPP(Precise Point Position)法により観測時刻のZTDを算出する.その後,差分をとり降水量センサーから得た降水強度のログと同期する.判定時には,ZTDとZTDDにしきい値を設定し,定義した条件を満たしてから1時間以内に降水が発生しているか判定する.以上の方法を,ZTDの差分系列のみを用いた降水判定法と比較した.その結果,複合条件による判定の方が誤判定数が低いことが判明した.今後の研究では,ZTDのしきい値の最適化による有用性の向上を図る.
休 憩(10:30 再開) 座長 山形文啓(釧路高専)
B-2-6 |
宇宙電波監視における3衛星間のTDOAによる累積測位
○網嶋 武・高橋龍平(三菱電機) |
B-2-7 |
次世代陸域航空無線通信システムのプロトタイプ開発 ーフォワードリンク基本性能評価ー
○森岡和行・二ッ森俊一・米本成人・北折 潤・住谷泰人・河村暁子(電子航法研) |
B-2-8 |
小型航空機における航空機電波高度計の干渉経路損失 -ビーチクラフトB300型機を用いた隣接周波数帯を含む測定評価-
○二ッ森俊一・宮崎則彦(電子航法研)・佐藤亜衣・尾﨑龍之介・日景 隆・野島俊雄(北大) |
B-2-9 |
ILS信号干渉シミュレーターの開発-LOC-
○本田純一・松永圭左・毛塚 敦・田嶋裕久(電子航法研) |
B-2-10 |
電波送信源の高度情報を用いたパッシブ測距方式
○高橋善樹・高橋龍平(三菱電機) |
衛星通信に生じるアップリンク干渉の電波源を測位する方法として, 3 衛星間の到来時間差( TDOA: Time Difference of Arrival)が知られている.本稿では,タイトカップリングを適用し,測位精度向上を試みる.本方式では,一方に探知抜けが生じる場合にも,他方のTDOA計測値を棄却することなく有効に使えるメリットがある.
効率的で経済的な航空用ネットワークを実現するため, 現在, ATN (Aeronautical Telecommunication Network)のIP化に関する議論が行われている. IP通信に対応した次世代の航空無線システムの一つとして, 陸域での空地通信を目的としたLDACS (L-band Digital Aeronautical Communications System)の国際標準化が進められている.LDACSについては, これまでに電子航法研究所で物理レイヤ評価システムを開発し基本性能評価を実施している. 本研究開発では, 物理レイヤ評価システムを発展させ, 上位レイヤを含め, リアルタイム通信が可能な, より実用に近いプロトタイプシステムの開発をめざしている. 本稿では, フォワードリンク(地上から航空機方向へ)のレイヤ2までの通信性能を評価した結果について報告する.
航空機電波高度計は,航空機と地表面の高度差を計測するものであり,主として安全上重要な飛行フェーズである離着陸時に用いられる.現在,同一周波数帯域(4.2 GHz-4.4 GHz)において,航空機内データ通信(Wireless Avionics Intra-Communications, WAIC)の国際標準化が行われており,隣接周波数帯域についても第5世代移動通信システム等への割り当てが進んでいる.著者らは,これまでWAIC周波数帯において,電波高度計への干渉経路損失(Interference Pass Loss, IPL)測定結果を報告している.本稿では,小型航空機の航空機電波高度計のIPL特性について,第5世代移動通信システム等の隣接周波数帯を含む測定を実施し,議論を行う.
ローカライザー(LOC)は計器着陸システム(ILS)の一つで,航空機に着陸経路上における水平方向の誤差を知らせる地上航法施設である.LOCでは,建物や航空機からの散乱波が着陸経路を乱す誤差要因としてしばしば問題になっている.そこで本研究では,ILSの電波干渉を数値解析するための計算アルゴリズム及びILSシミュレーターの開発を進めている.2020年総合大会では,シミュレーターの概要について説明した.本稿は,開発中のシミュレーターのうち特にLOC部分についてまとめたものである.
レーダのように自ら電波を送信することなく,目標(電波送信源)から送信された信号から距離を推定するパッシブ測距技術は,航法システム等への応用が期待される.最も単純なパッシブ測距方式の一つとしては,電波送信源の出力電力と受信信号電力から伝搬損失を算出し,距離を推定する方式(従来法)がある.しかし,従来法は,マルチパス等によって生じた受信信号電力誤差により,測距誤差が生じるという課題がある.そこで本稿では,電波源の高度情報を用いて,マルチパスの影響を考慮した測距方式を提案する.
3月10日 9:00〜11:45 Meeting 26 座長 高橋龍平(三菱電機)
B-2-11 |
折返しダイポールアンテナによるCubeSatの低仰角時HK信号の受信
○三橋龍一・小笠原 駿・髙橋俊暉・芳賀和輝・青木由直(北科大) |
B-2-12 |
1UサイズCubeSat用筐体型アンテナの開発
◎△小笠原 駿・芳賀和輝・髙橋俊暉・三橋龍一・小島洋一郎・青木由直(北科大) |
B-2-13 |
1.3GHz帯ウィンドプロファイラにおける信号処理手法の評価
○山本真之(NICT) |
B-2-14 |
次世代ウィンドプロファイラの実用化に向けた研究開発-ACSシステムの実証評価-
○山口博史・斎藤浩二・浜田隆行・今井克之(住友電設)・山本真之・川村誠治(NICT) |
北海道科学大学の宇宙開発研究同好会が開発主体である1UサイズのCubeSat(HMU-SAT1)の開発プロジェクトが行われている.2020年8月27日には,ISS「きぼう」からの放出サービス契約に関するプレスリリースが,JAXAの打上げサービス提供事業者のSpace BD㈱からあった.
HMU-SAT1のメインミッションは,SDRと筐体アンテナで構成したCubeSat搭載用無線通信システムの軌道上実証実験である.さらに,地上局もSDRと簡易なアンテナで構築することを目指している.
本報告では,SDRと3/4λ折返しダイポールアンテナで,CubeSatの低仰角時における430MHz帯のハウスキーピング信号の受信結果について述べる.
現在、北海道科学大学宇宙開発研究同好会が主体となって取り組んでいる1UサイズのCubeSat(HMU-SAT1)の開発プロジェクトでは、次世代のCubeSat無線システムの軌道上実証実験を行うことをメインとしており、本報告では、HMU-SAT1で使用予定である筐体型アンテナの受信実験を述べる。制作した筐体アンテナは放射パターンとして標準ダイポールアンテナと形状が酷似した状態であり、衛星搭載に向けて最適解導く実験を重ねている。本プロジェクトで製作した筐体アンテナは1Uサイズを最大限生かした構造で、標準ダイポールアンテナにかなり近い性能を実現している。これにより、筐体の強度・空間の確保とアンテナ性能の両立を実現する一助になることを意味している。
ウィンドプロファイラ(WPR)は、大気の電波屈折率擾乱を発生源とする電波散乱エコーのドップラーシフトから、晴天大気中における風速の高度プロファイルを測定するレーダーである。WPRにおける受信信号のデジタル信号処理は、多くの処理段階に分かれる。デジタル信号の各処理段階において、様々な信号処理手法が用いられている。一方、WPRにおいては、論文等で公開されているものの、その性能が十分に検証されていない信号処理手法がある。情報通信研究機構が有する1.3GHz帯WPRであるLQ-13を用いた、これらの信号処理手法の評価に取り組んでいる。発表では、これまでの取り組みと成果を報告する。
ウィンドプロファイラ(WPR)から得られる風速高度プロファイルの観測データは、気象予報等の気象業務に実利用されている。WPRの持つ優れた観測分解能を最大限に生かし、WPRの更なる高度利用を実現するためには、非所望エコー(クラッタ)の混入による風速観測データの品質低下を極力防ぐ必要がある。複数のサブアレイアンテナから得た受信信号を用いてクラッタを低減するアダプティブクラッタ抑圧(ACS)の実証実験と性能評価を行うことで、ACSがWPRの測定データ品質を向上させる実用的な手段であることを示すことを目的とした研究開発に取り組んでいる。発表では、本研究開発における取り組みとこれまでの成果を発表する。
休 憩(10:15 再開) 座長 山本真之(NICT)
B-2-15 |
RCS計測における発泡スチロール治具の影響
○赤嶺賢彦・大川保純・仲 功(防衛装備庁) |
B-2-16 |
一次レーダの不要発射測定システムの開発
○塩田貞明・町澤朗彦・川原昌利(NICT)・井上 朗・中村 透・村川真一・石井義弘(ラボテック・インターナショナル) |
B-2-17 |
実海面クラッタ環境におけるSTAPに関する検討
○松田 暁・大川保純・小林啓二(防衛装備庁) |
B-2-18 |
複数の電磁波吸収体壁によるマルチパス対策
○川原昌利・町澤朗彦・塩田貞明(NICT)・井上 朗・中村 透・村川真一・石井義弘(ラボテック・インターナショナル) |
B-2-19 |
信号が有相関となるMIMO伝送信号を用いた移動目標のDOD推定
◎寺田 翼・高橋龍平(三菱電機) |
B-2-20 |
センサ間のノイズレベルが異なる場合を考慮した波動分布関数法のノイズ積分核検討
◎田中裕士・笠原禎也(金沢大)・太田 守(富山県立大) |
RCS計測における発泡スチロール治具の影響を確認するため,屋外において治具のRCS計測を行った.X帯,Ku帯のいずれにおいても治具の形状変更によりRCSの低減が確認された.特にKu帯においては円柱型から蛇腹型への形状変更による治具のRCS低減効果が顕著であり,本来計測したい目標の計測精度向上が期待できる.
レーダシステムから発射されるスプリアス領域における不要発射の測定法はITU-R勧告M.1177に記されている。国内電波法もこれを基に整備されているが、これらの測定法に従い測定を実施すると非常に長い測定時間となることから高速化が望まれている。測定に必要なダイナミックレンジは、規制値に対し測定器のノイズレベル、あるいは飽和の影響を考慮すると80dB以上を確保する必要があり、また、測定は空中線の遠方界条件を満足する距離で実施する事となっていることから、測定距離で発生する伝搬ロスも考慮した測定システムが要求されている。本件は現行装置に比べ、廉価に小型化・高速化を達成することを目標に測定装置の開発を実施したものの報告である。
航空機搭載型の側方監視レーダでは、機体移動に伴い、海面からのクラッタ反射電力が角度‐ドップラー周波数軸上で広がる.そのようなクラッタを抑圧し、低速移動目標を検出するために、STAP(Space Time Adaptive Processing: 時空間適応処理)が提案されている.
本報告では、実クラッタ環境において、受信信号の相関行列の固有値分布の違いによるSTAPのクラッタ抑圧効果を示す.各ケースを比較した結果、Brennan’s ruleで示されるランクで固有値の変化が大きい場合においては、クラッタとノイズを分離することにより、SINR(Signal-to-Interference plus Noise Ratio)を改善できることを確認した.
舶用レーダの不要発射を精度良く測定するためのサイトの構築が求められている。本研究は、電磁波吸収体壁を伝搬経路中に設置し地面反射によるマルチパスを効率よく低減させることを目的としている。本稿は、シミュレーションにより求められた電波吸収体壁の形状、設置位置によるマルチパスの低減効果を実測し、電磁波吸収体壁による帯域除去フィルタとしての効果を確認するものである。
無線LANや5G等で使用されているSDM-MIMO(Space Division Multiplexing Multiple-Input Multiple-Output) 伝送信号を用いたパッシブレーダは,各アンテナから送信される信号が一般に無相関信号ではなく,受信側でのDOD(Direction of Departure)推定が困難であった.今回,静止クラッタ成分等の抑圧を行うECA(Extensive Cancellation Algorithm)を拡張し,相関信号の抑圧機能を加えることで目標に反射した各送信信号を無相関化する手法を提案する.シミュレーションによる評価を行ったところ,従来手法では相関信号の影響で最大20度程度生じていたDOD推定誤差が,提案手法を用いることで1度程度まで改善することが確認できた.
科学衛星で観測される自然電波の到来方向推定手法の一つである波動分布関数法は,少数のセンサで複数波の到来方向及び到来波の角度広がりが推定可能である.波動分布関数法の求解法の一つであるマルコフ確率場モデルは,推定に用いる基底関数である積分核に白色ノイズに対応するもの(ノイズ積分核)を加えてロバスト性を向上させている.ここで,ノイズ積分核は電磁界センサのノイズレベルが全て等しいという仮定のもと設計されている.しかしながら,科学衛星の長期運用により搭載している電磁界センサ間のノイズレベルが,経年変化によってばらつきが生じる場合がある.
本稿では,電磁界センサ間のノイズレベルが異なる場合の推定精度を向上させるノイズ積分核設計方法を提案し,その有効性についてシミュレーションで検証する.
3月10日 13:00〜15:30 Meeting 26 座長 園田 潤(仙台高専)
B-2-21 |
77GHz帯FMCW MIMOレーダを用いた自転車道の認識及びSNRに基づく静止歩行者検出の一検討
○入江泰生・胡 尭坤・戸田 健(日大) |
B-2-22 |
車載ミリ波3次元SARの高さ分解能向上に関する検討
○向出 優・山田寛喜(新潟大) |
B-2-23 |
自転車歩行者道においてミリ波FMCW-MIMOレーダを用いた横断歩行者の検出に関する実験
◎大塚涼平・平井寿幸・入江泰生・胡 尭坤・戸田 健(日大) |
B-2-24 |
ミリ波FMCW-MIMOレーダを用いた自転車歩行者道における付帯設備及び歩行者行動の認識に関する一検討
○平井寿幸・入江泰生・胡 尭坤・戸田 健(日大) |
近年自転車関連事故は増加傾向にある.本研究では自転車の安全走行を支援する目的で77GHz帯FMCW MIMOレーダを用い,狭小な自転車歩行者道で静止歩行者を検出した.検知されたオブジェクトデータからオブジェクトが危険エリア内に複数あればその空間を自転車道として認識する.次にその空間に同程度の距離かつある閾値を超えるSNRを有するオブジェクトがあれば,SNRの低いオブジェクトを歩行者と判断するアルゴリズムを提案する.実験結果から同程度の距離に付帯設備と歩行者が検出されたが,歩行者と付帯設備間のSNR差は閾値を超える結果となった.よって複数の付帯設備から自転車道を認識し,同程度の距離に存在する複数オブジェクトのSNR差から静止歩行者を検出できた.
近年,ADAS(Advanced driver assistance system)等の自動車運転支援のための技術が研究されている.筆者らのグループの先行研究では車載ミリ波レーダを用いた2次元のターゲットイメージングが行われてきたが,実際に観測しているターゲットは3次元空間に分布しており,レイオーバーやフォアショートニングによる位置誤差が生じる.本稿では,自動車の側面に垂直方向にアレーアンテナを設置することで車載SARにマルチパス観測によるトモグラフィックなSARを適用し,自動車周辺空間の3次元イメージングを実現する.また,本稿で用いた受信アレーは4素子のみであるため,十分な角度分解能を得ることは困難である.そこで信号処理及び複数の到来方向推定手法の併用による精度の向上を試みた.その結果を報告する.
近年自転車の利用が増加している.一方で歩行者の飛び出しによる対人事故が多発している.本研究では,77 GHz帯frequency-modulated continuous wave (FMCW) multiple-input multiple-output (MIMO)レーダを用いて,都心部の狭小な自転車歩行者道を横断する歩行者の検出を試みたので報告する.台車にレーダ及びノートPCを設置し,約1 m/s の速度で自転車歩行者道を移動させた.歩行者は,レーダ軸に直交し右側5 mから左側に約1 m/sの速度で歩行した.実験の結果,ガードレールや車,歩行者,ビル等が検出された.レーダ軸から右側での歩行者の相対速度は最頻相対速度よりも大きくなるが,左側では最頻相対速度よりも小さくなることから右から左に横断していることがわかった.
近年,自転車対人事故が増加していることから,自転車の安全走行支援のためにミリ波レーダの応用が検討されている.本研究では,77 GHz 帯 FMCW-MIMO レーダを用いて,都心部の狭小な自転車歩行者道で付帯設備及び歩行者を検出し,歩行者の行動認識を試みた.信号処理では,歩行者の抽出とトラッキングを行った.実験では,カメラとレーダモジュールを取り付けた三脚 及びデータ取得用のノート PC を台車の荷台に設置した. 台車は直進し,歩行者は台車に向かって走った後,U ターンをし反対方向に走った. 実験の結果,歩行者の動きと付帯設備が検出されていることがわかった. 付帯設備は不動のため台車と同速でレーダに向かって進み, 歩行者は台車に気付き,U ターンをしたことがわかった.
休 憩(14:15 再開) 座長 戸田 健(日大)
B-2-25 |
3次元FDTD法による地下探査レーダの解析
○張 凱淳・何 一偉(阪電通大)・平澤泰文(大谷大) |
B-2-26 |
高精度衛星測位を用いたクローラ型自動走行地中レーダの開発
園田 潤・○斎藤龍真・佐々木 匠・林 翔也・増田楓真(仙台高専) |
B-2-27 |
土石流災害現場における深層学習を適用した3次元地中レーダ探査
園田 潤(仙台高専)・○徳重海都・金澤 靖(豊橋技科大) |
B-2-28 |
送受信ダイポールアレーを用いたボアホールレーダによる波の到来方向推定実験
◎辻川裕貴・海老原 聡・小山幸輝・加古智也・山本久也(阪電通大) |
B-2-29 |
坑井内ダイポール・ループによる斜め導体円柱からの反射波測定
◎小山幸輝・海老原 聡・山本久也・辻川裕貴・加古智也(阪電通大) |
地下探査レーダは地下の埋設管などの検出に用いられている.地下探査レーダの反射エコーから埋設物を識別するには長年にわたって操作員の経験に頼っている.舗装層や大地の不均質性によって反射エコーが乱れ,識別には高い技術力が必要となる.近年に発展してきた人工知能(AI)による埋設管の自動検出ができれば,検出の自動化と精度の向上が期待できる.しかし,機械学習には膨大な地下探査レーダの反射エコーの画像データを用意する必要がある.これらのデータは実験計測による取得は難しい.FDTD 数値解析から反射エコーを得る方法もある.しかし,すべての反射エコー画像を3次元の解析に頼ると計算時間が問題となる。2次元のFDTD計算結果を補正する方法や,アンテナの特性と埋設物の反射特性から反射エコーを合成する方法も考えられる.これらの研究に先たち,ここでは3次元のFDTD法による地下探査レーダの数値解析を行う.
地中レーダは入射した数百MHz帯の電波の反射波から非破壊に内部を推定する技術であり,近年問題になっている道路空洞やコンクリート亀裂など社会インフラ点検に有効である.しかし,地中レーダは人や自動車が牽引するもので,時間とコストがかかる問題があり,自動化が求められている.本研究では,RTK (Real Time Kinematic)やCLAS (Centimeter Level Augmentation Service)による高精度なセンチメートル級衛星測位を用いた自動走行地中レーダの開発と走行性能について報告する.
2019年10月の台風19号では,豪雨による堤防決壊や土石流により甚大な被害が生じており,宮城県丸森町では現在も1名が行方不明となっている.数百MHz帯の電波を使用する地中レーダは,土石流など災害時の行方不明者捜索に活用できる可能性がある.我々は東日本大震災後の行方不明者捜索に地中レーダを適用しているが,土石流現場など地中レーダが使用しにくい実際の災害現場ではこれまであまり適用されていない.本研究では,宮城県丸森町の土石流現場における行方不明者捜索において,350/900 MHz帯の地中レーダを用いた3次元探査や深層学習の適用について報告する.
近年では都心で地中開発が進み、高層ビルなどの基礎杭の打ち込み場所の決定や地下道路などの建設の際に行う地層調査などでボアホールレーダの使用頻度が高まっている。この分野では、電波の偏波情報の活用だけでなく、物体の位置推定が必要である。著者らは送受信にアレーアンテナを用いた新たなボアホールレーダを開発中である。本発表では、このレーダを用いた土壌中の導体円柱の反射実験について報告する。とくに導体円柱からの反射波に対し、アレー素子信号間で生じる時間差を用いて送信アンテナからの波の出射角度と受信アンテナへの入射角度を推定した結果を述べる。
坑井内でレーダを用いたボアホールレーダに関する研究が進んでいる。ボアホールレーダは地中内にある物体の位置推定や地層調査に長けている。著者らはダイポールアンテナとループアンテナを送受信に用いたアレーアンテナによるボアホールレーダを開発中である。送受信にアレー化されたアンテナを用いると到達時刻により波の方向推定が可能である。さらに物体からの偏波を用いると物体形状推定の可能性がある。本論文では、これらのうち、物体からの偏波状態を推定することを目的に実施したフィールド実験について報告する。斜め導体円柱と鉛直導体円柱からの反射波の信号を観察することで、偏波状態を推定可能か検討する。
3月11日 13:00〜15:45 Meeting 26 座長 北沢祥一(室工大)
B-2-30 |
ドップラー周波数多重によるMIMO-SAR画像化手法
○北村尭之・諏訪 啓(三菱電機) |
B-2-31 |
逆合成開口レーダ画像の高分解能化による識別性能改善検討
○古田哲朗・諏訪 啓(三菱電機) |
B-2-32 |
衛星搭載干渉合成開口レーダの三次元解析を利用した過去の衛星の観測条件下での干渉画像のエミュレート
○夏秋 嶺(東大)・杉本 隆・堤 千明・中村良介(産総研) |
B-2-33 |
Aqua-MODISによる三陸内湾のクロロフィルa濃度の長期解析
○園田 潤(仙台高専)・米澤千夏・関澤彩眞(東北大)・西田信吉・佐藤広樹(陸前高田市役所) |
本発表では,ドップラー周波数軸上で送信信号を多重化するDDM-MIMO方式によるSARイメージング手法を提案する.ターゲット反射信号のドップラー周波数帯域がアンテナとターゲットとの幾何学的位置関係によって決まる有限帯域内に限定されることを利用し,ドップラー周波数軸上で送信信号を多重化することを特徴とする.点像シミュレーションにより,提案手法の有効性を実証する.
分解能が高い逆開口レーダ画像を用いる方が画像識別性能が高くなることは一般的に自明ではなく、明らかにする必要がある。高分解能化のアプローチとして、積分時間を長くした場合、超解像処理を適用した場合の両者に関し、高分解能画像を作成し、画像識別性能を比較した結果を報告する。
人工衛星の軌道保持精度の向上や観測の高頻度化,衛星の切れ目ない打ち上げに伴い,干渉合成開口レーダ(Interferometric Synthetic Aperture Radar: InSAR) の時系列解析は長期的な地殻変動を知る手段として近年広く行われるようになった.一方で,衛星の軌道や観測性能などは世代を経るに従い更新されていくため,衛星の世代交代に伴う時系列解析データの断絶は必然的に起こりえる問題となる.特に,地殻変動などをInSARで計測する場合,軌道の異なるSAR 干渉画像間では変動量を直接比較できない.そこで,本研究では,InSAR の三次元解析を媒介することで,ある地殻変動を既に存在しない過去の衛星が観測した場合にはどのような干渉画像が得られるかをエミュレートし,これにより同一地域での干渉画像の直接的な比較を可能とした.本稿では2011年と2016年に茨城県北部の同じ地域で生じた地殻変動を利用し,2016年の地震をALOS-2 (2014~現在)ではなくALOS(2006~2011年)が観測した場合にどのような観測結果が得られるか実験的に示した結果を報告する.
三陸沿岸では,ホタテや牡蠣などの増養殖が盛んであり,東日本大震災で大きな被害を受けたが,漁業復興の取り組みが現在も続けられている.このような二枚貝の生産では,クロロフィルa(以下Chl-a)濃度が餌料環境の指標となることが知られており,直接計測や人工衛星リモートセンシングによる観測が行われている.NASAの地球観測衛星TerraとAquaに搭載されている36バンド可視・赤外域の放射計MODISでは,分解能500 mで海色からChl-a濃度を推定できる.本研究では,震災前後10年間の三陸沿岸湾内におけるChl-a濃度の相対的な時系列変化の把握を目的に,2007年から2017年までのAqua-MODIS画像を用いた,三陸内湾におけるChl-a濃度の相対的な変動を長期解析結果について報告する.
休 憩(14:15 再開) 座長 夏秋 嶺(東大)
B-2-34 |
敵対的生成ネットワークを用いた深層学習による海岸漂着物の識別
園田 潤(仙台高専)・○金澤 靖・水原宝英(豊橋技科大)・木本智幸(大分高専) |
B-2-35 |
無人航空機用169MHz帯データ伝送無線システムの通信実験
◎渡辺拓哉・北沢祥一・上羽正純(室工大) |
B-2-36 |
レイトレース法による大学構内上空の伝搬特性の評価
◎木村壮寛・谷口美緒・北沢祥一(室工大) |
B-2-37 |
無人航空機を用いた電波環境測定システムに関する検討
◎寺島大誠・渡辺拓哉・谷口美緒・北沢祥一(室工大) |
B-2-38 |
無人航空機の目視外飛行に向けた環境適応周波数帯間ハンドオーバ評価プラットフォームの開発
竹川雅之・阿部達也・永作俊幸・中村 学・○浅野勝洋(日立国際電気) |
B-2-39 |
無人航空機の目視外飛行に向けた環境適応周波数帯間ハンドオーバ制御方式の検討
○竹川雅之・阿部達也・中村 学・浅野勝洋(日立国際電気) |
近年,海に年間少なくとも800万トンものプラスチックが流れこんでいるとされ,処理計画立案のための定量化が必要とされている.我々は,無人航空機 UAV (Unmanned Aerial Vehicle)と深層学習による海岸漂着物の自動検出を試みている.近年,UAVによる海岸漂着物の体積推定や,10ヶ月の長期観測による海岸漂着物の変動が研究されているが,回収計画に重要なプラスチックやビンなどの人工物は識別されていない.本研究では海岸漂着ゴミの定量化を目的に,UAV空撮画像と敵対的生成ネットワークGAN (Generative Adversarial Networks)による海岸漂着物の識別を試みる.
我々は北海道の広大な農地を短時間で観測する固定翼自律UAVの研究開発を実施し,無人移動体画像伝送システムのうち169 MHz帯をテレメトリ・コマンド通信に用いるシステムの研究開発を実施した.本報告では,開発した169 MHz帯テレメトリ・コマンドシステムの概要を説明したのち,屋外における通信実験の結果とレイトレース法を用いた推定結果を比較することで地形等による見通しの変化が通信に与える影響に関して報告する.
本研究では、上空の電波環境を把握し、UAV飛行時の挙動の監視や通信の途絶回避を目的として、レイトレーシング法を用いた上空の受信電力推定を行っている。都市部等での AP 位置の把握が困難なことから、レイトレーイング法による受信電力の推定に無線 LAN のAP(Access Point)の配置が与える影響を調査するために、大学構内にある AP (541点)を基に配置した場合とランダムに配置した場合で推定結果に及ぼす影響を測定値と比較することで検討を行う。
無人航空機(UAV : Unmanned Aerial Vehicle)は様々な分野で活用されているが,更なる利用拡大のために第3者上空での目視外飛行が求められている.しかし,小型UAVで利用する920 MHz帯,2400 MHz帯,5600 MHz帯および 5700 MHz帯の同一,隣接周波数帯域は多くの無線システムが利用しており,これらとの間の干渉が懸念されている.我々はUAVの飛行のため,上空の電波環境のモデル化を行っており,本研究ではUAVに搭載可能な小型のソフトウェア無線機(SDR : Software Defined Radio)を用いた電波環境測定システムの構築および上空の電波環境の測定を目的としている.今回は測定システムの開発およびその検証の一環として室蘭工業大学構内の建物屋上において電波環境の測定を行った.
小型無人航空機(UAV)の有人地帯(第三者上空)での目視外飛行を実現するために,機体の航行に伴って変化する電波環境に適応して無線通信を維持し,飛行状況の把握に必要な情報や機体の状態,制御指令データ等を途切れることなく伝送する,UAV目視外飛行支援通信システムが提案されている.これまで,飛行ルート周辺における電波環境情報に基づき,状況に応じて適切な周波数帯(無線通信回線)をシームレスに切替可能とする通信ネットワークの構成などが提案されているが,本稿では,UAV目視外飛行のための環境適応周波数帯域利用(周波数帯間ハンドオーバ)技術の評価用プラットフォーム開発について述べる.
小型無人航空機(UAV)の有人地帯(第三者上空)での目視外飛行を実現するために,機体の航行に伴って変化する電波環境に適応して無線通信を維持し,飛行状況の把握に必要な情報や機体の状態,制御指令データ等を途切れることなく伝送する,UAV目視外飛行支援通信システムが提案されている.これまで,飛行ルート周辺における電波環境情報に基づき,状況に応じて適切な周波数帯(無線通信回線)をシームレスに切替可能とする通信ネットワークの構成などが提案されているが,本稿では,UAV目視外飛行のための環境適応周波数帯域利用(周波数帯間ハンドオーバ)を実現するための適応ハンドオーバ制御方式について検討する.
B-3. 衛星通信
3月9日 9:00〜11:45 Meeting 27 座長 難波 忍(KDDI総合研究所)
B-3-1 |
高高度プラットフォーム(HAPS)による5G網と連携した38GHz帯の無線通信システム開発-5G網の高速大容量バックホール回線に係る検討-
○鈴木 淳・北之園 展・高盛哲美・森田靖彦(スカパーJSAT)・岸山祥久(NTTドコモ)・外山隆行(パナソニック)・三浦 龍(NICT) |
B-3-2 |
高高度プラットフォーム(HAPS)による5G網と連携した38GHz帯の無線通信システム開発−HAPSネットワーク構成と制御技術の検討−
◎外園悠貴・岸山祥久・浅井孝浩(NTTドコモ)・鈴木 淳・北之園 展(スカパーJSAT) |
B-3-3 |
高高度プラットフォーム(HAPS)による5G網と連携した38GHz帯の無線通信システム開発 -偏波の活用による周波数資源有効利用の検討-
○大内幹博・木村知弘(パナソニック) |
B-3-4 |
高高度プラットフォーム(HAPS)による5G網と連携した38GHz帯の無線通信システム開発-HAPS向け38GHz帯地上局アンテナシステムの検討-
○辻 宏之・三浦 龍・大倉拓也・菅 智茂・松田隆志・豊嶋守生(NICT)・鈴木 淳(スカパーJSAT)・岸山祥久(NTTドコモ) |
B-3-5 |
高高度プラットフォーム(HAPS)を利用した3次元非地上通信ネットワーク(NTN)の開発-広域でのUAV運航管理のためのHAPS中継制御リンクの検討
○三浦 龍・小野文枝・松田隆志・児島史秀(NICT)・鈴木 淳・高盛哲美(スカパーJSAT) |
本研究開発は,5G網の全国整備要求や災害時の強靭化要求に対して,5G網の基地局間バックホール回線の提供を目的とした38GHz帯HAPSシステムのHAPS搭載用通信アンテナ追尾技術、地上用アンテナ追尾及び5G網連携通信制御技術及び、降雨減衰補償技術等の確立を目指すもので、38GHz帯でKu帯静止衛星通信と比べ同等の回線稼働率を実現し,更に高速大容量で低遅延な5G網と連携したHAPSシステムの実現を目指すものである.
筆者らは,5G網を含む地上ネットワークとHAPSによる成層圏ネットワークが柔軟に連携できる通信方式やネットワークアーキテクチャの研究開発に取り組んでいる.本研究開発では,今後の5G高度化および6Gの時代で想定される幅広いユースケースを柔軟にサポートすることに加えて,災害発生時の柔軟な回線制御の実現や,開発・運用コストなどの面から現実的なHAPSを活用する通信システムの実現を目的としている.本稿では,幅広いHAPSユースケースで必要とされる要求条件について述べた後,HAPS搭載局の様々なオプションの下で,5G網と連携したHAPS向け通信システムのネットワーク構成と制御技術について比較検討する.
HAPS(High-Altitude Platform Station:高高度プラットフォーム)の事業化に向けて国際的に環境整備と技術開発が進み,その普及拡大が見込まれている.特にHAPSを利用した固定通信システムに対しては,上空経由にてバックホール回線の冗長経路確保実現等への期待が高まっている.本稿では,基地局搭載型HAPSのデジタルビームフォーミングにおいて,偏波の活用による周波数資源有効利用を図るため,その実現性を評価した. 本実験により,衛星から送信された実信号に対する偏波ダイバーシティ効果を明らかにした.よってHAPS固定通信システムで,偏波MIMOによる周波数資源有効利用が可能であると言える.
HAPS向け地上用アンテナ技術として,自律的に位置変動するHAPS方向を常に捕捉追尾する技術とともに,同一周波数帯を用いる他の固定無線局や携帯端末局を対象として指向性パターン等の送信特性を活用した干渉軽減技術を確立する.また,異種無線網(携帯電話網)との同一周波数共用を実現するため,携帯電話網と連携した通信制御技術を確立する.本発表では,この研究開発の概要と今後の計画を示す.
高度20km付近の高高度に滞空する無人飛行体に搭載した無線局(HAPS)を中継基地とし,これを経由して様々な無線サービスを広域に行うシステムを想定し,HAPSよりも低高度で飛行運用される無人航空機(L-UAV)の運航管理をHAPS中継によるCNPCリンク(コマンド・テレメトリのための非ペイロード通信)で行うことにより,衛星経由よりも低コストでかつ海洋や山岳・森林地帯等の通信インフラが貧弱な地域を含めた広域をカバーするシステムの提案と設計について報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 五藤大介(NTT)
B-3-6 |
多様なユースケースに対応するためのKa帯衛星の制御に関する研究開発-要求分析と方式検討-
○三浦 周・辻 宏之・吉村直子・森川栄久・久保岡俊宏・高橋 卓・豊嶋守生・飯草恭一・織笠光明・大川 貢・阿部侑真・大倉拓也・菅 智茂・布施哲治・宗正 康・竹中秀樹・コレフディミタル・若菜弘充・山本伸一(NICT) |
B-3-7 |
HTSと5Gシステムとの連携接続の検討
○山本 周・中尾彰宏(東大)・阿部侑真・三浦 周(NICT) |
B-3-8 |
多様なユースケースに対応するためのKa帯衛星の制御に関する研究開発 ―通信需要・回線条件の予測技術―
◎木村紋子・上田敦史・川島 穣・瞿 万霆・小暮駿介・佐々木謙一・中間洋子サラ・中村 凌・堀江秀斗(天地人) |
B-3-9 |
衛星通信システムにおける通信需要予測に基づくリソース制御の実行スケジューリングに関する初期検討
◎高橋昌希・川本雄一・加藤 寧(東北大) |
B-3-10 |
スパース再構成を用いた指向性測定点の決定に関する一考察
○田中 泰・内田 繁・堀江延佳・草野正明・須永輝巳・角田聡泰・金指有昌・坂井英一(三菱電機) |
次世代のフレキシブルHTS(High Throughput Satellite)の通信リソース配分を最適化するための制御技術を確立することを目的とした研究開発を開始している.本稿では,現在NICTで進めている要求分析と方式検討の状況について報告する.
ポスト5Gシステムでは、衛星通信を使用し地上通信インフラから孤立した過疎地や船舶又は航空機での5Gシステムのカバレッジ拡大の技術検討が行われている.
5Gでは,データプレーンと制御プレーンの分離(CUPS)や制御プレーンの機能分離とサービス・ベース・アーキテクチャ(SBA)により,ソフトウェアベースの柔軟なシステム構築が可能である.一方,次世代のハイスループット衛星(HTS)では,従来固定的であったリンク・リソースに対しフレキシブルな衛星通信機器の通信リソース制御が可能となる. 5Gと次世代HTSを利用した地上系と衛星システムの連携による高度な通信サービスの提供を目指し研究を進めている.
本稿では,HTSと5Gシステムの連携接続構成方法について検討する.
本研究開発では、技術試験衛星9号機(ETS-9)に代表される次世代のハイスループット衛星を用いた衛星通信システムにおいて、周波数リソースの効率化のために、通信需要や回線条件の変化をデータ解析に基づき予測を行い、衛星リソースを適切に割り当てる運用計画方式を確立する。具体的には、通信需要(ユーザリンク)では移動体の需要予測を行い、回線条件(フィーダリンク)では気象状況の予測を行う。各予測システムを、移動体需要予測サブシステム、気象状況予測サブシステムと呼び、各サブシステムの構成要素であるデータベース並びに解析アルゴリズムについて基本設計、試作、詳細設計、並びに開発(実装)を行う。本稿では、基本設計について検討を行った中間成果を報告する。
衛星通信システムを利用したリソース制御に関する先行研究では,ある時刻のスナップショットにおけるリソース割当の効率化に向けた検討に留まっており,衛星通信システムを取り巻く通信需要の時間変動を考慮した上でリソースを柔軟に制御するための方法は存在しない.そのため,衛星のカバレッジエリア内に分布する衛星端末における通信需要の時間変動を機械学習モデルに基づくデータ解析により予測し,リソース制御に反映させるためのシステム設計に関する検討が必要である.本稿では,衛星通信システムを取り巻く通信需要の時間変動に応じた多様なリソース制御へ応用可能とするために,衛星通信システムによる予測とリソース制御の時間間隔の調整を行う必要性について述べるとともに,リソース利用効率向上のための各時間間隔の設定方針に関する初期検討を行う.
技術試験衛星9号機(ETS-9)を用いた衛星リソース制御システムの研究開発において,衛星打ち上げ後,搭載されるDBF(Digital Beam Forming)装置により生成されるアンテナ合成ビームの衛星軌道上実証が行われる.送受ビームのカバーエリアが異なるETS-9において,ビーム形状を測定するために衛星姿勢を変化させる範囲には指向性領域の観点から制限があり,測定点が限られる.本稿では,測定点において得られる利得情報が,ビームの評価に足りえる情報を有するか判定する方法として,スパース再構成を応用した方法を提案する.
3月9日 13:00〜17:00 Meeting 27 座長 小島政明(NHK)
B-3-11 |
LEO-MIMO受信機における複数地点非同期サンプリング等化特性の改善
○五藤大介・糸川喜代彦・山下史洋(NTT)・加藤智隼・中台光洋(JAXA) |
B-3-12 |
920MHz帯衛星IoTプラットフォームにおける狭帯域LPWA方式の端末収容台数評価
○坂元一光・景山知哉・吉澤健人・藤野洋輔・小島康義・糸川喜代彦・山下史洋(NTT) |
B-3-13 |
920MHz帯衛星IoTプラットフォームにおけるドップラーシフト推定に関する一検討
○景山知哉・坂元一光・藤野洋輔・糸川喜代彦・山下史洋(NTT) |
B-3-14 |
920MHz帯衛星IoTプラットフォームにおける端末局アンテナ設計に関する一検討
○糸川喜代彦・五藤大介・小島康義・坂元一光・藤野洋輔・山下史洋(NTT) |
B-3-15 |
920MHz帯衛星IoTプラットフォームにおける通信時間制御の一検討
○小島康義・糸川喜代彦・五藤大介・坂元一光・藤野洋輔・山下史洋(NTT) |
筆者らは,低軌道周回(LEO)衛星システムの大容量化を目的とし,複数アンテナを用いたLEO-MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) 技術を検討している.本システムは複数アンテナを搭載する一基のLEO衛星と基地局間で空間多重伝送を行うものである. 本稿では,現実的な異なるチャネル相関・サンプリング周波数誤差を想定し,ZFより雑音耐性のあるMinimum Mean Square Error (MMSE)を適用した場合の LEO-MIMO等化特性を評価する.
著者らは、低軌道(LEO)衛星を用いて地上通信網ではカバーできない超広域エリアでのセンサデータの収集・伝送を実現する、920MHz帯衛星IoT-PF(Internet of Things Platform)について検討している。920MHz帯を用いるため、LEO衛星には所望の衛星IoT端末からの信号だけでなく、地上IoT-PFに収容される膨大な数の地上IoT端末からの干渉信号も到来する。本報告では、膨大な数の干渉信号が到来する状況において、衛星IoT端末として狭帯域LPWA方式の端末を用いた場合の、衛星1機あたりの端末収容台数を計算機シミュレーションにより評価したので報告する。
著者らは, 低軌道(LEO) 衛星を用いて地上通信網ではカバーできない超広域エリアでのセンサデータの収集・伝送を実現する, 920MHz 帯衛星IoT-PF (Internet of Things Platform) について検討している. しかしながら, 通信方式としてLPWA (Low Power Wide Area)を用いる場合はフレーム長が数秒程度と長く, LEO 衛星の高速移動によるフレーム内のドップラーシフト量の変化が問題となる. 従来, 既知信号を用いたドップラーシフト推定技術が提案されているが, LPWA に適用する場合, 既知信号の挿入は伝送効率の大幅な低下を招く. また, プリアンブルも同様にドップラーシフトを受けており, 時間同期が困難となる.
本稿では, 既知信号および時間同期処理を用いることなくドップラーシフト変化量を推定する手法を提案する. 提案方式は受信フレームの帯域幅を推定し, 送信信号の帯域幅との差分を用いてドップラーシフトを簡易に推定するものである. 計算機シミュレーション評価により, 提案方式によるドップラーシフトの推定精度を評価する.
920MHz帯衛星IoTプラットフォームにおける端末局アンテナ設計に関する一検討
低軌道衛星によるIoTサービスにおいて、衛星軌道情報、端末位置情報および通信エリア半径から求められる送信時間補正率αおよびで、各端末の送信時間を規制することで、端末位置に依存しない通信時間割当が可能なことを提案した。
休 憩(14:30 再開) 座長 筋誡 久(NHK)
B-3-16 |
多地点高速衛星データ集信システム用バーストスペクトラム分解伝送技術
○山下史洋(NTT) |
B-3-17 |
災害対策用衛星通信システムにおけるSNSの品質評価
○西野 満・永瀬文昭・原田耕一・柴山大樹・山下史洋(NTT) |
B-3-18 |
衛星ネットワークによる地上モバイルトラヒックのオフロードに関する一検討
○松井宗大・加納寿美・五藤大介・糸川喜代彦・山下史洋(NTT) |
B-3-19 |
Ku帯災害対策用衛星通信における端末局アンテナ拡張方法の一検討
○原田耕一・嶋 正樹・柴山大樹・山下史洋(NTT) |
B-3-20 |
航空機搭載用薄型電子走査アレイアンテナの研究開発―送信側512素子アレイアンテナの試作評価―
◎大倉拓也・菅 智茂・大川 貢・織笠光明・土谷牧夫・高橋 卓・辻 宏之・豊嶋守生(NICT) |
本研究では多地点に端末を配備し,各端末がデータをバースト送信する多地点高速衛星データ集信を想定したスペクトラム分解伝送技術を検討する.
NTT グループでは,Ku 帯を用いた災害対策用衛星通信システムを運用している.近年はスマートフォンの普及に伴い, 被災地においてもSNS提供への要望が高まっている.本稿では,現行の災害対策衛星通信システムにおいて,一般的なSNS をどの程度収容可能か,衛星実験評価に基づいて考察した結果を報告する.
本稿では,地上NWに対し,衛星やHAPSから構成される衛星NWを追加した場合の効果を,モバイルトラヒックのオフロードの観点で評価した結果を報告する。
NTT グループでは,Ku 帯を用いて災害対策用衛星通信システムを運用しているが,端末局は可搬性を重視し75cm の小型アンテナを適用しており,降雨減衰も勘案し,本システムのサービスエリアを主に日本本土に限定してきた.
本稿では,従来の可搬性を重視しながら,島嶼部でもサービス可能とするためのアンテナ拡張方法を提案し,その回線稼働率を評価した結果を報告する.
近年,小型・中型航空機向けの衛星通信を用いたブロードバンドサービスの需要が高まっている.NICTでは,Ka帯において航空機への搭載性を損なわず,開口サイズをスケーラブルに変更でき,広範囲のビーム走査を有する電子走査アレイアンテナの研究開発を行っている.本報告では,設計した送信側512素子アレイアンテナの試作評価について報告する.
休 憩(16:00 再開) 座長 西尾昭彦(パナソニック)
B-3-21 |
適応衛星光ネットワークの概念検討
○小竹秀明・阿部侑真・布施哲治・久保岡俊宏・豊嶋守生(NICT) |
B-3-22 |
小型光トランスポンダ(SOTA)実験時の雲量解析—伝搬データおよび環境データの比較—
○鈴木健治・宗正 康・布施哲治・豊嶋守生(NICT) |
B-3-23 |
RF-光ハイブリッド衛星通信の実現へ向けた要素技術の検討
○浜本正秀・橋本陽一・三好弘晃・武石 章・田中正樹(NEC) |
B-3-24 |
TDMA技術を適用した光マトリクス構成に関する一検討
◎坂元彩乃・吉間 聡・末廣 雄・石田和行・野田雅樹(三菱電機) |
近年, 様々な形態の衛星光通信回線や, 様々な変調方式や通信速度の光信号が現れ始めている. 今後想定される衛星光通信回線は, 様々な回線形態や光信号が混在することで, 地上側のシステム運用が煩雑化し, 運用保守費が急激に増大すると考えられる. 一方で, 幹線系光通信網では, 適応光ネットワークの概念がある. このシステムは, 光回線の状況に応じて回線パラメータの設定を柔軟に変更し, 自動的にシステム運用を行う. そこで, この概念を適用した適応衛星光ネットワークを提案し, 衛星光通信回線の自動化を図る. 本報告では, 適応衛星光ネットワークの機能要件を実現する要素技術やシステム構成に関し, 概念検討を実施した.
衛星-地上局間光空間通信において,地上のネットワーク網で繋がれた複数の地上局間でサイトダイバーシティを組めば,定性的にはいずれかの地上局で晴天域が確保でき,光衛星回線が確立できると考えられる.日本全国10ヵ所の統計処理解析が可能な全天カメラ画像,雲量・雲高,気象センサーによる環境データ「OBSOC(Observation system of the patch of Blue Sky for Optical Communication)」を,6年以上データ蓄積し解析を進めている.今回実際の周回衛星からの1.55 µm光信号(50 kg程度の超小型衛星に搭載できる光通信実証実験ターミナル「SOTA (Small Optical TrAnsponder, 超小型光通信機器)」)を小金井にある光地上局で受信した受信電力と全天カメラ画像および雲量とを比較して,ある程度通信可能領域の推定が可能であることが分かったので報告する.
今後の伝送量増大に伴い、伝送容量に優れた光通信とRF通信を共存させた「RF-光ハイブリッド衛星通信」において、アップリンクの大気揺らぎによる受信レベル変動が生じたときに生じるフレームロスを検出して、ダウンリンクの光回線とRF回線を切り替える機能を検証し、パケット損失を回避できることを確認した。
これまで,通信衛星内の機器間接続に光TDMA技術を適用することで,光受動素子への置き換えによる低消費電力化/高信頼化,また光ファイバ適用による通信衛星内機器間配線の軽量化を同時に実現可能な光マトリクス接続構成を提案している.本稿では従来提案方式の課題であったロスバジェットとスループットを向上可能な3構成((a)光カプラ並列,(b)光カプラ入力数制限,(c)光カプラ入出力数制限)について比較検討した。結果,(c)方式は合分岐数を限り,送信側サブスイッチで宛先毎に信号をグループ化する構成であるため,ロスバジェット10.5dB,スループット1250Mb/sと最も向上可能であることが分かった.
3月10日 9:00〜11:45 Meeting 27 座長 大倉拓也(NICT)
B-3-25 |
デジタルペイロードにおける確率的信号処理の系列長削減手法
○谷 重紀・山下靖貴・半谷政毅・有賀 博(三菱電機) |
B-3-26 |
地上・衛星回線切換を考慮した5G NRベースのRANスライシングの在り方についての一検討
○関口真理子・藤井義巳(構造計画研) |
B-3-27 |
21GHz帯放送衛星搭載用アレー給電反射鏡アンテナにおけるアレー給電部の交さ偏波特性向上に向けた検討
○亀井 雅・横澤真介・筋誡 久(NHK) |
B-3-28 |
21GHz 帯衛星放送の通信補完による降雨減衰補償(1)―衛星放送と通信路間の受信ダイバーシティによる LDPC 復号性能向上の検討―
○鈴木陽一・小泉雄貴・楠 知也・横畑和典・筋誡 久(NHK) |
B-3-29 |
21GHz帯衛星放送の通信補完による降雨減衰補償(2)―IP伝送用LDPC符号のパンクチャによる符号化率変換の検討―
◎楠 知也・小泉雄貴・鈴木陽一・横畑和典・筋誡 久(NHK) |
衛星搭載通信ミッション機器のデジタル化に際しては宇宙環境特有の放射線によるソフトエラー対策が重要となる.ソフトエラー対策の一手段として確率的信号処理は有効だが確率表現時の系列長に応じて通信性能と回路規模のトレードオフが生じるという問題があった.そこで,本稿では従来よりも少ない系列長で同等の通信性能実現する確率表現手法と演算手法を提案し,シミュレーションによる有効性を示す.
近年,地上系では5G実サービスが普及し始めている一方,3GPPにおいては5Gと衛星通信等非地上系通信との連携についても検討が進められている.筆者らは,衛星通信に5GNRを適用する場合の課題抽出,課題解決の提案を行ってきている.衛星通信では遅延が非常に大きく,地上系で利用されるアップリンクスケジューリングは適さない場合もある.そこで,物理的に単一の衛星RANに複数スライスを定義し,スライスごとに異なるスケジューリング方式を適用する検討を行っている.本稿では,地上回線の代用として衛星回線を利用するユースケースにおいて,ネットワークスライスの概念がどう利用されるべきか検討する.
大容量の伝送が可能となる21GHz帯衛星放送システムの実現に向けた研究開発を進めている.21GHz帯衛星放送で課題となる降雨減衰の増大に対して,降雨減衰の状況に応じて放射パターンを制御することで,効率的な降雨減衰補償が可能となる放送衛星搭載用アレーアンテナを提案し,主鏡および副鏡とアレー給電部で構成するアレー給電反射鏡アンテナのシミュレーションや試作を行い,性能や実現性を検証している.2018年12月に開始された12GHz帯放送衛星による新4K8K衛星放送では,これまで使用されていた右旋円偏波に加えて,左旋円偏波の使用も追加されている.これを踏まえて,21GHz帯衛星放送においても,右左旋両円偏波の使用を想定したシステム開発を進めていく必要がある.今回,21GHz帯衛星放送搭載用アレー給電反射鏡アンテナの両円偏波対応に向けて,アレー給電部を構成するホーンアンテナをシーケンシャルアレーとすることで,交さ偏波特性の向上を確認したので報告する.
21GHz 帯衛星放送の降雨減衰補償として,降雨減衰で受信不可となったサービスエリアに対して,晴天エリアで受信した信号を公衆 IP 回線等の通信路でバックアップするシステムを検討している.本システムの課題として,ベストエフォート回線における帯域ひっ迫やパケット消失が挙げられる.降雨減衰による衛星放送の遮断と通信路のパケット消失の双方が発生した場合において,一部の受信ビットは正受信する可能性がある.そこで,衛星放送および通信路の両方で誤り訂正符号を共通化し,両方の正受信ビットを利用した受信ダイバーシティを構成することで復号性能が改善するとともに,通信路のパケット消失を許容する相乗効果が期待できる.本稿では,LDPC 符号を利用した衛星放送と通信路の尤度比を用いた受信ダイバーシティモデルを構成し,計算機シミュレーションによりパケット消失率をパラメータとする C/N 改善量を評価する.
21GHz帯衛星放送の降雨減衰補償として,降雨減衰で受信不可となったサービスエリアに対して,LDPC符号を放送と通信で共通化しながら公衆IP回線等のベストエフォート通信路でバックアップするシステムを検討している[1].衛星伝送路と通信路の伝送特性はそれぞれ異なることから,両伝送路の特性に応じて柔軟に符号化率を変更することで,通信容量に応じた効率的な伝送が可能となる.符号化率を柔軟に変更可能な手法としてパンクチャがあるが,送信パケットの消失位置を指定するパンクチャパターンにより復号性能が大きく変化する.本稿では,衛星放送用LDPC符号をIP伝送で用いる際に,誤り訂正の性能劣化をなるべく抑えることが可能なパンクチャパターンを検討する.
休 憩(10:30 再開) 座長 名古屋 翼(スカパーJSAT)
B-3-30 |
ドローンを使用したリレー型GPSの測位誤差CCDF特性
○吉田恒平・杉山隆利(工学院大) |
B-3-31 |
ミツバチドローン実現に向けた花画像による花方向検出系の検討
◎青山玲乃・濵嶋恒希・上羽正純(室工大) |
B-3-32 |
無線中継用固定翼UAVにおける搭載アンテナの駆動角変動並びに機体によるブロッキングの評価
◎濵嶋恒希・上羽正純(室工大)・松井宗大・加納寿美・糸川喜代彦・山下史洋(NTT) |
B-3-33 |
マルチパス環境下における無人航空機を用いた位置検出システムのドップラーシフト推定手法の基礎検討
○毛塚直哉・石川博康(日大) |
B-3-34 |
無人航空機を用いたユーザ位置検出システムにおける周波数オフセット推定・補償技術に関する基礎検討
○山中 英・石川博康(日大) |
近年,GPS(Global Positioning System)が広く活用されているが,高層ビルなどの障害物が多く存在する都市部環境下では,GPS受信機が測位に必要な4機以上のGPS衛星からの信号を受信できずに測位不能となる場合がある.これを解決する方法として,測位を行うターゲット受信機の周辺に存在する擬似衛星ドローンがGPS測位によって得た自身の位置情報をブロードキャストすることで,ターゲット受信機のGPS衛星数を補完するリレー型GPSが提案されている.本稿では,擬似衛星ドローンを使用したリレー型GPSにおいて,ターゲット受信機の測位誤差の累積確率分布(CCDF:Complementary Cumulative Distribution Function)を明らかにしたので報告する.
近年,ドローンと呼ばれる回転翼型UAVは様々な利用が普及しつつあり,農業分野でも盛んに利用されている.その1つとして,筆者らは果樹の授粉作業を人の代わりに行うミツバチドローンの研究開発を推進している.現在,農家で人の手で行っている花の授粉作業をドローンで行えるようにすることにより,作業の効率化と労力の軽減につながると考えられる.本検討では,このドローンシステムの実現のために授粉対象の花を画像処理技術を用いて検出し追跡し続ける花方向検出系のアルゴリズムの考案とその追跡性能を評価した結果を報告する.
近年,高高度擬似衛星プラットフォーム(HAPS)のような,無人航空機(UAV)を用いた無線サービスの検討が盛んに行われている.長時間のサービス運用及び,高高度でのUAVの運用を想定した場合,固定翼UAVの使用が現実的である.筆者らは,指定した地上局を常時指向するため,走査によるアンテナゲインの変化がない2軸ジンバル構造のアンテナを搭載した固定翼UAVを用いた中継システムを検討している.しかしながら,旋回時のバンク及び地上局の方向によっては,搭載アンテナと地上局間のリンクが機体によりブロッキングされる可能性がある.本稿では,搭載アンテナの駆動角範囲から機体によるブロッキングの有無の領域を評価した結果を報告する.
無人航空機(UAV)を利用するユーザ端末位置検出手法では,地上端末から送信するトーン信号(CW)を上空で高速飛行するUAVが受信することで生じるドップラーシフトを利用する.従来研究では,UAVの飛行位置誤差を劣化要因と仮定し,ユーザ端末位置検出手法の特性評価を行なってきたが,端末周辺の建物等により生じる直接波の遮断やマルチパス波の影響は考慮していなかった.
本研究では,簡易的な3D建物モデルをRapLab上に作成し,1機のUAVが8の字飛行するケースについてマルチパス波を考慮したシミュレーションを実施し,ドップラーシフト分布特性を評価したので,その結果について報告する.
無人航空機(UAV)を用いたユーザ位置検出手法では,地上のユーザ端末-UAV間の搬送波周波数に生じるドップラーシフトを利用する.従来研究では,1機または複数機のUAVを用いて様々な飛行モデルで位置検出精度の特性評価を行ってきたが,ユーザ端末に内蔵される周波数発振器の安定度(精度)に起因する誤差によって生じる周波数オフセットの影響を考慮していなかった.
本研究では3機のUAVが円旋回する飛行モデルにおいて,ユーザ端末から送信されるトーン信号に含まれる周波数オフセットとユーザ位置検出を最小二乗法により同時に推定する手法を適用し,シミュレーションによる基礎検討を行ったので,その結果を報告する.
B-4. 環境電磁工学
3月9日 10:30〜11:45 Meeting 28 座長 明星慶洋(三菱電機)
B-4-1 |
有芯コイルのコアと巻線間に生じる容量の評価に関する検討
桑島遼輝・◎野部大貴・須賀良介(青学大)・長谷川光平・常盤 豪(東芝)・上野伴希・橋本 修(青学大) |
B-4-2 |
液晶ポリマーを用いたマイクロストリップラインのクロストーク抑制に関する研究
◎久永駿馬・須賀良介・橋本 修(青学大) |
B-4-3 |
ツイストペアケーブルからの不要放射評価
○五十嵐 俊・宮脇大輔・山岸 傑・桑山一郎(住友電工)・五百旗頭健吾・豊田啓孝(岡山大) |
B-4-4 |
バタフライ型プローブにおける隣接する2つの配線の分離性能測定
◎小林遼太・小林 剛・佐々木雄一(三菱電機) |
B-4-5 |
コモンモード用ESLキャンセル回路の広帯域化
○大塚喬太・廣瀬健二・佐々木雄一(三菱電機) |
近年,電気機器の高効率化に向けて,高速スイッチングが注目されているが,これに伴うノイズの顕在化が懸念されている.このノイズ対策に用いられるコイルの適用周波数は,その寄生容量によって制限されるため,設計段階においてコイルの寄生容量の把握が求められる.しかし,コアと巻線間に生じる寄生容量に関する報告例は少ない.そこで本研究では,電磁界解析と比較することで,有芯コイルの等価回路及びコアと巻線間に生じる寄生容量を評価した.
近年,携帯電話などの移動通信機器や高性能かつ小型な電子機器の普及に伴い,システムには処理速度の高速化や小型化,軽量化などが求められている.その一方で回路の高密度化に伴い,クロストークの発生が問題となっている.本研究では,マイクロストリップライン(MSL)上に液晶ポリマー(LCP)を配置し、クロストークを抑制することを目的とした.
本格的な5G(Sub6)サービスが始まるなど、通信機器の高周波化が進んでいる。周波数が高くなると、これまで問題とならなかったケーブルでも不要放射等の懸念があるが、これまで十分な検討はなされていない。今回、3.6GHz以上の周波数帯において、ツイストペアケーブル(以下、UTP)の通過特性と周囲の電界分布の評価を電磁界解析及び実測によって実施した。その結果、UTPには、撚りピッチに依存して通過損失が急激に増加する帯域があることを電磁界解析及び実測で確認できた。この時UTPは漏洩ケーブルとして振る舞っており、漏洩周波数帯・漏洩波伝搬方向が理論式と一致することを示した。ケーブルからの漏洩はEMCの観点から注意が必要であり、特に高周波化が進む中では取り扱いに十分注意しなければならない。
これまでに, プリント基板上の電磁ノイズを測定するための磁界プローブ構造として, 複数方向の配線から発生する磁界成分に反応するバタフライ型プローブを考案した. しかしながら, このプローブ自体の分解能については, 確認していなかった. そこで, 本研究ではこのプローブを用いて, 隣接する2つの配線の分離性能を測定したので報告する.
電源線のノイズ対策で使用されるコンデンサの広帯域化を目的として、寄生インダクタンス(ESL: Equivalent Series Inductance)の打ち消しが可能なESLキャンセル回路に関する開発を行ってきた。さらに、電源線ごとのESLキャンセル回路同士を磁気結合させることで小型化可能な構造の検討を進めている。しかしながら、入出力間の容量性結合によって高周波特性が悪化するという課題があった。本報告では、4層基板で構成したESLキャンセル回路において、層構成を変更することで入出力間の容量性結合を低減し、広帯域化を図った。検討の結果、-20dBの減衰を389MHzまで確保できることを電磁界解析によって示した。今後は実際の電子機器に適用した場合について検証する。
3月9日 13:00〜16:00 Meeting 28 座長 石居正典(産総研)
B-4-6 |
絶対湿度が帯電金属球の接近時に発生する静電気放電に及ぼす影響
○冨田 一(安衛研) |
B-4-7 |
高速FMCWレーダにおける電磁ノイズ起因誤検出のメカニズムと誤検出判定手法の検討
○堀口嵩浩・橘川雄亮・古谷航一・福井範行・米田尚史(三菱電機) |
B-4-8 |
複数LED照明を設置した電源線から発生する電磁雑音波形の評価
◎吉田侑介・呉 奕鋒・後藤 薫(NICT)・須賀良介・橋本 修(青学大) |
B-4-9 |
電離圏のTEC二次元推定に向けた検討
○北中直輝・岩崎拓磨(名工大)・毛利元昭(愛知大)・内匠 逸(名工大) |
B-4-10 |
複合現実を用いた電磁ノイズ源可視化システム
◎服部諄士・石渡光生・八木谷 聡・尾崎光紀・井町智彦(金沢大)・Umberto Paoletti(日立) |
帯電金属物体の接地体への接近時に発生する静電気放電(ESD)は,静止帯電物体でのESDに比較して放電電流のピーク値が大きく,立ち上がり時間が短くなる傾向にある.絶対湿度に対しては,絶対湿度が高くなると接近速度が放電電流のピーク値に与える影響が小さい結果が報告されている.本研究では,絶対湿度が接近時のESDの火花長に及ぼす影響を主に実験した結果,絶対湿度が高くなると接近速度に対する火花長の依存性が低くなる結果を得た.
高速チャープ方式のFMCWレーダにおいて,連続波の電磁ノイズによる誤検出発生メカニズムを明らかにし,電磁ノイズによる誤検出の時間変化の特徴を利用した誤検出判定方法とその検証結果について報告する。
近年の電力利用の省エネルギー化によってLED照明の使用の空間的密度が増加する一方で,LED照明のスイッチング電源から発生する電磁雑音が周囲の通信・放送へ電磁干渉を与えることが懸念されている.LED単体からの電磁雑音が放送へ与える影響については報告されているが,LEDの個数増加による電磁雑音量の変化や通信・放送への影響のメカニズムは未だ十分に解明されていない.本稿では,複数のLEDから発生する電磁雑音の特性を把握するために,ある特定のLEDに着目し,同一の電源線に他のLEDを追加配置することによって,特定のLEDから発生する雑音がいかに変化するかを測定によって確認した.
我々はELF,ULF帯の環境電磁波観測を通した地震予知手法を探ってきた.
ELF帯の環境電磁波の増減は主に発生源の熱雷の場所と電離層の状態に依存し、
その中から地震前兆の可能性を見出す困難性に直面している.
そこで,環境電磁波レベルを左右する電離圏電子数(TEC)の状態把握のために、
定常的なTECの二次元推定を試みた.TECの推定には,衛星から電子基準点までの
伝播遅延の周波数特性を利用するGPS-TEC法を使い,
GPS衛星と基準点双方の計器バイアスを個別補正し,さらに仰角補正を行った.
TECの二次元推定の結果,安定したTECの推定値を得たが,残留するバイアスも確認された.
電子機器の普及により電磁環境は複雑化し,不要電磁波ノイズによるEMC問題が深刻となっている.それに対処するには電磁波を計測し,電磁ノイズ源を特定することが有効である.従来のノイズ源探査では,オシロスコープを用いて近傍界と遠方界のノイズ波形を同時に測定し,それらに対して相関処理を行うことで,遠方界に影響を与える近傍界の位置が特定されていた.そこでは間欠的に取得した短時間の波形に対して相関処理がなされていた.本研究では連続的に電磁ノイズ波形を取得し,相関解析を行ってノイズ源位置をリアルタイムで特定するシステムの開発を行った.また,HMD(Head Mount Display)を用いて遠方界と近傍界の相関の有無をその場で可視化することで,より直感的なノイズ源探査を実現した.
休 憩(14:30 再開) 座長 山本真一郎(兵庫県立大)
B-4-11 |
時間反転法を用いたケーブルへのノイズ侵入位置推定の検討
○澁谷幸司・大和田 哲(三菱電機) |
B-4-12 |
30MHz以下のEMI測定における雑音源位置が測定結果に与える影響
◎近山 潤(東京農工大)・Jerdvisanop Chakarothai・藤井勝巳・和氣加奈子(NICT)・有馬卓司・宇野 亨(東京農工大) |
B-4-13 |
円偏波アンテナを利用した軸流ファンのIMノイズ特性評価
◎溝口弘也・久我宣裕(横浜国大) |
B-4-14 |
VHF帯における雷発生にともなう電磁ノイズ変動の評価
◎藤井一哉・小林 真・新 浩一・西 正博(広島市立大) |
B-4-15 |
円偏波再帰反射の主偏波/交差偏波モードを電子的に切替え可能な1次元Van Attaアレー
○犬塚 悠・西方敦博(東工大) |
B-4-16 |
ミリ波帯平行ビーム系におけるレンズ面の反射低減と材料定数測定
◎岡本巧馬・西方敦博(東工大)・緑 雅貴・栗原 弘(TDK) |
時間反転法(Time-reversal method)を用いて,観測されたノイズ波形からケーブル上のノイズ侵入位置を推定する技術を検討している.時間反転法は,観測点で得られた波形を,時間領域の解析手法に入力し,時間を過去にさかのぼらせて波源に波が収束する様子を再現させるものである.この手法は,ノイズ源の位置,個数およびノイズ波形の情報が不要という特徴があり,ノイズ源位置推定に有効と考えられる.
時間反転法では,時間遡行動作をさせるにあたり高精度なモデルが必要となる.しかし,ケーブルへの適用を考えると,ケーブルの電気特性,特にコモンモード特性は敷設状況に大きく影響されるため,高精度な解析モデルの構築が困難である.このため低精度な簡易モデルで代用せざるを得ないケースが多くなると考えられる.本検討では,低精度モデルを使用した場合の推定精度の検証を実施したので報告する.
現在,30MHz以下のEMI測定法として,金属床面の上で,ループアンテナを用いて,雑音源から生じる磁界強度を測定する方法が検討されている.筆者の以前の報告では,磁界強度を正確に測定することが可能なループアンテナの給電点位置を明らかにし,雑音源の位置が既知であれば,精密な測定ができることが分かった.しかし,一般的には測定対象の機器のどこから雑音が発生しているかは分からない.そこで,本報告では,30MHz以下の磁界強度を測定した際に,雑音源の位置が測定結果に与える影響を数値解析によって検討した.その結果,雑音源位置について,測定誤差が大きくなる位置や正確な測定が可能な位置があることを明らかにした.
本論文では電子機器の電磁波暴露に対するIM特性を非接触測定する方法を提案している. 本手法では円偏波アンテナによって電子機器に電磁波暴露を行うことによって, IM特性を評価する. 電磁波暴露を受ける電子機器として軸流ファンを用いた. 直線偏波では軸流ファンの配置角度によってIMが20dB以上の差があったが, 円偏波にすることによってその差を10dB未満の差に抑えることができた. また円偏波の軸比を改善することによってこの差をさらに抑えることができると考えられる. したがって, 本手法を用いて, 電子機器の配置角度の影響を抑えつつIM特性の評価ができることが示されている.
我々の研究室では,災害時の重要な伝達手段の一つであるVHF帯電波環境を観測してきた.これまで気象現象の中でも雷の影響は定量的に評価されていなかった.そこで.本研究ではVHF帯ノイズと雷との関係を評価した.調査対象として,VHF帯受信電力は国内で放送波に割り当てられていない受信電力の観測結果,気象データには広島気象台で観測された雷の時間帯と強度の観測記録を用いた.評価方法には雷の発生した時間帯と発生しなかった時間帯のヒストグラムを用いた.評価の結果,雷の発生した時間帯のヒストグラムが発生していなかった時間帯のヒストグラムに比べて受信電力が高い階級に広い周波数帯で分布していることが確認できた.この結果から,雷の発生によって受信電力の上昇につながることがわかった.今後は受信電力の変動の激しさを周波数解析によって定量に調査していく.
本報告では、円偏波の主偏波を再帰反射する1次元円偏波Van Attaアレーの給電回路にRF信号の交差・非交差を切り替え可能な平面交差回路を組み込むことで,再帰反射波の円偏波を主偏波と交差偏波とで選択可能にしたVan Attaアレーの数値解析評価を行なった.数値計算によるモノスタティックRCSの計算結果から,主偏波モードでは広い角度範囲に渡って交差偏波よりも主偏波が3dB以上強く反射され,交差偏波モードでは0度〜70度の範囲内で主偏波よりも交差偏波が3dB以上強く反射されることがわかった.また,電子スイッチ切り替えによって両偏波成分が0度〜75度の範囲内でそれぞれ3dB以上変化するため,電子スイッチの切り替えにコードを用いれば個体識別も可能である.
主にミリ波帯での材料定数測定法として用いられる集束ビーム法と平行ビーム法は材料の異方性やファラデー回転の評価に利用できるが2つの測定法にはそれぞれ利点・欠点が存在する. そこでMUTによって集束・平行ビーム法が選択可能な33GHz-50GHz測定系を構築してきた.PTFEレンズの平坦表面に対して, 整合層による反射低減を行なった. これをS11測定と時間領域処理により観察し, 反射低減の効果を確認した. 次に, 平行ビーム法を用いて測定した誘電体試料のS11とS21からそれぞれ材料定数を算出した.
3月10日 9:00〜11:45 Meeting 28 座長 大前 彩(日立)
B-4-17 |
放射効果を含む3次元伝送方程式の時間領域数値計算手法
○神野崇馬・木虎秀二・土岐 博・阿部真之(阪大) |
B-4-18 |
選好度付きセットベースデザイン手法を用いた安定化電源回路の最適設計と設計解のロバスト性の評価
◎小池健介・萓野良樹・肖 鳳超・上 芳夫(電通大) |
B-4-19 |
IoT機器組み込みPLCの低コスト化のためのループ状配線間の磁界結合を用いた信号受信回路
◎桑原堅誠・脇坂俊幸・松嶋 徹・福本幸弘(九工大) |
B-4-20 |
スケールモデルを用いた架空配電線におけるコモンモード電流推定
◎麻生真也・脇坂俊幸・小池大一朗・松嶋 徹・福本幸弘(九工大) |
B-4-21 |
周波数分散性を組み込んだFDTD法による様々なFR-4基板の信号伝送解析
◎北澤太基(長野高専)・山極大葵・北原 廉(電通大)・Jerdvisanop Chakarothai(NICT)・春日貴志(長野高専) |
一般的に用いられている電信方程式は、ノーマルモードにおける局所的な関係を用いて定式化されている。放射の原因となるコモンモードを厳密に取り扱うためには、外部放射を考慮した電信方程式を解く必要がある。そのためには、遠方からの影響が遅延を伴って発生する効果を含んだ方程式を解く必要がある。時間領域における、遅延を考慮した数値計算は主に部分要素等価回路法(PEEC法)が有名であるが、発散が問題となっている。我々のグループは、それは遅延時間の近似方法に問題があると仮定し、これまでに開発した3次元回路の数値計算手法を発展させ、遅延時間をより厳密に扱うことができる手法を開発したので紹介する。
本稿では,能動素子を含む安定化電源回路の最適設計にPSD手法を適用し,設計可能性と設計解のロバスト性を評価した.その結果,今回は単目的な設計仕様に対してであるが,PSD手法により,要求性能を満足し,パラメータ設計とほぼ同等のロバスト性をもつ設計解が得られることを示した.
2~30MHzを使用する高速PLCのIoT機器への組み込みに向けて、PLC回路の低コスト化を行うために磁気的に結合したループ状配線を用いた安価なカプラを用いることを提案する。カプラはPLC回路において絶縁された1次側と2次側の間の結合回路として機能する。住宅内での利用を想定した場合、PLCモデム内部のカプラに用いるトランスは高い精度を必要としない。提案回路を用いたIoT機器組み込みPLCを電力線を介してPLC親機と接続したモデルについて回路シミュレーションを行うことで透過特性を計算した。提案手法を用いたPLC組み込みIoT機器においても、電力線の分岐が4つ程度であれば最高速度での通信が可能であることがわかった。
現在、PLCの利用は屋内では認められているが、発生する漏洩電界が他の無線通信に及ぼす影響から、屋外での利用は制限されている。また、大規模な架空配電線系からの漏洩電界を測定することは困難である。そこで本報告では、実際の屋外の架空配電線系を模擬し、1/10 の大きさに縮小したスケールモデル作成して、放射磁界と相関関係にあるコモンモード電流の測定を行い、実スケールと1/10スケールモデルの間で、コモンモード電流の測定結果の比較を行った。その結果、コモンモード電流のピーク値の誤差は最大9dBとなったが、全体では平均誤差3.7dBで一致し、周波数特性をみても共振周波数は概ね一致するという結果が得られた。
一般的な電子機器の回路基板として用いられるFR-4 基板の誘電率は周波数分散性を有するため,GHz 帯の信号伝送解析では分散性を考慮した解析が必要である.FR-4 基板の複素誘電率を平衡型円板共振器で実測を行い,高速逆ラプラス変換とProny 法を用いたFDTD 解析によってFR-4 基板の周波数分散性を組み込んだ.本研究では,異なるメーカのFR-4 基板において,伝送特性Sdd21と位相定数について,FDTD 解析と実測結果による比較を行った.基板間における複素誘電率のわずかな差によって,周波数分散性を組み込んだFDTD伝送特性や位相特性に差が生じることが分かった.
休 憩(10:30 再開) 座長 春日貴志(長野高専)
B-4-22 |
高速伝送向け低誘電多孔ポリイミドFPCの伝送特性評価
○玉木雄三・山岸圭太郎・大和田 哲(三菱電機) |
B-4-23 |
多分岐伝送路における高速パルス伝送波形の最適化
○桑原 崇・板倉 洋・明星慶洋・大和田 哲(三菱電機) |
B-4-24 |
高速信号伝送向け電磁界解析における物性値の抽出方法の検討
○岡南佑紀・澁谷幸司・大和田 哲(三菱電機) |
B-4-25 |
逆位相制御型DC/DCコンバータの高周波ノイズ除去
○村上真一・山本昭夫・李 ウェン(日立) |
B-4-26 |
高速電力線通信における分電盤での分岐数による電流伝達量の変化
○脇坂俊幸(パナソニック)・小池大一朗・押川和正・桑原伸夫・松嶋 徹・福本幸弘(九工大) |
近年,電子機器における高速・大容量通信技術のニーズが高まっており,電子機器の内部配線等に用いられるフレキシブル基板(FPC)においても,1レーンあたり数十Gbps級の高速ディジタル信号伝送が行われるようになってきた.信号レートが高速化すると,基板の伝送損失により生じるシンボル間干渉が顕著になるため,基板材料の低損失化が一層求められる.このような背景のなか日東電工(株)は,従来からFPCの材料として用いられてきたポリイミドを,理想的な誘電体である空気で多孔質化することで,比誘電率1.5,誘電正接0.003(10 GHz)という優れた物性値のFPC向け基板材料「多孔ポリイミド」を開発した.
本発表では,多孔ポリイミドの評価用基板を製作し,伝送特性を実測評価したので報告する.
高速インターフェースでは,伝送路に分岐があるとインピーダンス不整合による信号反射が生じ伝送波形が劣化する.そのため,多点接続の高速I/Fではスイッチ機器等が必要となり,配線量の増大やコスト増加,装置の大型化などに繋がる.そこで筆者らは高速パルス伝送方式を多分岐線路へ適用する検討を行ってきた.さらに分岐線路の両端にRCL(Reflection Compensation Line:反射補償線路)を追加することで反射の影響を低減可能なことを示した.しかしRCLの追加により遅延波だけでなく主波の電圧も低下するため,本稿ではそれの改善検討について報告する.
通信機器の情報転送量の増大と共に,回路の動作周波数が高速化している.特に通信信号の伝送速度がGbps級になると信号の波長が基板配線や部品寸法と同程度以下になるため,信号品質を確保するためには基板の3次元構造をモデル化した電磁界解析が必要となる.本発表では電磁界解析を行う上で必要となる基板材料の比誘電率と誘電正接を求めるために,TEG基板の測定を通してこれらを抽出する手法を考案したためその報告を行う.
SiC/GaN 等の高速・高効率パワーデバイスの産業機器や車載電動部品への搭載が進み、ノイズを低減する実装設計が重要な課題となっている。筆者らは先に、2系統のGaNスイッチング素子を逆位相制御して合成出力する低ノイズDC/DC コンバータを提案した。本稿では、提案方式の更なる低ノイズ化に向け、各素子のゲート駆動タイミング制御による高周波リンギングノイズの低減効果を検証した結果を報告する。
現在,工場等の大規模施設においても2~30MHzを使用する高速電力線通信HD-PLCはの活用が進み始めている.このような大規模施設においては分電盤を経由した電力線通信も必要になるが,分電盤の特性が不明であったため,その解析が必要であった.過去の研究において,分電盤の配線分岐数の違いによる電流伝達特性の結果が2例示されている.本報告では,更に詳細に分電盤での配線分岐数ごとの電流伝達特性について検証した.その結果,分岐数と電流伝達特性の中央値の関係は,おおよそ分岐数分の1となった.今後は,この理由を解明するため,シミュレーション等により,詳細に検討する.更に,異相も含めた電流伝達特性について検討していく.
3月11日 13:00〜16:15 Meeting 28 座長 青柳貴洋(東工大)
B-4-27 |
低コストFSSを用いた広帯域CA電波吸収体の偏波特性
◎古谷航一・小林 剛・福井範行・米田尚史(三菱電機) |
B-4-28 |
金属パターン周期配列シートを用いるメタマテリアル電波吸収体の設計
◎△藤井洸平・岡田啓汰・山本真一郎・相河 聡(兵庫県立大)・笠置映寛(山口東理大) |
B-4-29 |
導電膜周期配列シートと誘電体による積層型空間フィルターの設計
◎江原隆太・河野脩司・山本真一郎・相河 聡(兵庫県立大)・松岡茂樹・長尾正揮(日本ジッパーチュービング) |
B-4-30 |
金属パッチアレーを用いたRC造壁面の2.45GHz透過特性改善実験
◎中條鷹信・西方敦博(東工大)・伊藤耕大・白戸裕史・北 直樹(NTT) |
B-4-31 |
筐体開口面の磁界分布に基づいた放熱孔のある電磁遮へい材の設計
◎津田尭哉・山本真一郎・相河 聡(兵庫県立大) |
軽量かつ安価な広帯域電波吸収体として,CA(Circuit analog)電波吸収体が注目されている.本検討では,基板上に実装する抵抗素子数を削減し,製造コストを低減する手法を検討した.今回は,提案構造の入射偏波依存性について検討し,提案構造が偏波無依存性を有することを示した.
本研究では,我々は同一平面上に正方形及び十字型の金属パターンを周期的に配列させた金属パターン周期配列シートと誘電体材料を用いるメタマテリアル電波吸収体を設計し,その反射特性を自由空間法により測定し,評価した.正方形,十字型それぞれの金属パターンの長さを制御することにより,比誘電率の大きさ,共鳴周波数を調整できることを確認した.我々が提案する電波吸収体は,異なる構造の金属パターンを同一平面上に配列させることにより従来のメタマテリアル電波吸収体の欠点である狭帯域吸収を改善し,帯域幅の効果的な拡張が期待できる.
近年,5Gシステム,スマートフォン等に代表されるように様々な無線通信機器が急速に普及している.その一方で,5Gのように使用周波数帯がミリ波帯に移行しつつあり,様々な周波数の電磁波が混在することによる機器間の電磁干渉等が問題となっている.これらに対処するために従来から種々の電磁遮へい材が使用されている.本研究では,導電膜をハニカム状に周期配列した構造のシートを作製し,その両側を誘電体で挟んだ構造の空間フィルターを設計した.次に,そのフィルターの透過特性を測定値,伝送線路理論による計算値およびFDTD法による電磁界シミュレーション結果と比較することで評価した.
先に我々は, 鉄筋を含むRC造壁面のFEMモデルを作成し, 2.45GHzにおいて金属パッチアレーによる整合の透過係数改善効果が片面整合で0.4dB, 両面整合で1.1dB期待できることを示した. 本報告ではそれを確かめるための実験を行った. 無整合, 片面整合, 両面整合それぞれにおいて受信電力分布を測定し, 整合による効果の有無を統計的に判断するためにT検定を行うことで, 金属パッチアレーによる透過特性改善効果を実験と統計的検定により示した.
近年,電力機器から発生する低周波数の磁界ノイズが問題となっている.この対策の一つとして,電磁遮へい材が利用されている.電力機器に電磁遮へい材を用いる場合,放熱効果を持つ遮へい材が必要となる.本研究では,金属筐体内部に磁界発生源として送信コイルを配置し,筐体の上面を開口面とした筐体モデルからの漏洩磁界について検討した.また,開口面での磁界分布を基にして円形の放熱孔を設けた遮へい材を作製し,遮へい材からの漏洩磁界について検討した.
休 憩(14:30 再開) 座長 東山潤司(NTTドコモ)
B-4-32 |
Performance Investigation of Directive Antenna at 2.4 GHz on Foot for Wanderer Location
◎MD ISMAIL HAQUE・Kengo Yoshibayashi・Jianqing Wang・Daisuke Anzai(Nagoya Inst. of Tech.) |
B-4-33 |
無線通信機器からの住居内における電波ばく露レベル測定
○幾代美和・飛田和博・大西輝夫・多氣昌生・渡辺聡一(NICT) |
B-4-34 |
屋内環境における28GHz電波ばく露による全身平均SARのレイトレーシング法を用いた評価法に関する基礎検討
◎市川智照(青学大)・佐々木謙介(NICT)・李 鯤(香川大)・和氣加奈子(NICT)・須賀良介・橋本 修(青学大) |
B-4-35 |
人体内SAR解析に用いる第5世代スマートフォンの数値モデル開発
◎山田寛和・高坂千明・齊藤一幸・高橋応明(千葉大)・長岡智明・和氣加奈子(NICT) |
B-4-36 |
入射電界ピーク形成を用いた複数インプラント機器位置推定の特性評価
◎佐伯英寿・安在大祐・王 建青(名工大) |
B-4-37 |
ウェアラブルロボット制御のための脳波測定の予備検討
◎韓 忠逸・王 建青(名工大)・田中元志(秋田大)・安在大祐(名工大) |
B-4-38 |
3GHz以上における導波管中のダイポールアンテナ引き上げによる電気定数測定の検討
◎清水悠斗(NICT)・石井 望(NICT/新潟大)・長岡智明・和氣加奈子・渡辺聡一(NICT) |
In this study,
the BLE beacon is assumed to be mounted on foot or
shoes. This is to prevent forgetting to carry the beacons.
Another reason is based on the consideration of energy
harvesting from piezoelectric elements mounted on the
shoe sole. Its main beam direction needs to be swept to
expand the beacon’s detection range. Therefore, a
transmitting antenna for the BLE beacon mounted on the
foot is designed to have high directivity by forming an
array. The antenna performances are evaluated by
computer simulation and S11 measurement by network
analyzer for validation.
我々は日常生活における電波ばく露の実態について定量的に把握するとともに,リスクコミュニケーションのあり方を検討することを目的に研究を行っている.昨年度は携帯電話基地局からの屋外における電波ばく露レベルの測定を行った.一方,住居内等では無線LANを使用した通信を行う機会が増えており,屋外同様,電波ばく露レベルを把握する必要がある.本稿では,個人ばく露計を用いた住居内の測定結果について報告する.測定は2日間,固定した位置で電界強度実効値を10秒毎に取得した.無線LANからの電波ばく露は携帯電話下り周波数帯に対して無視できないレベルであることを確認した.今後はより広く住居内の電波ばく露の測定を行う予定である.
5Gシステム等の準ミリ波・ミリ波帯を用いた無線技術の公共への普及が予測され,これらの無線機器からの電波に対する人体安全性への関心が高まっている.
2020年3月には電波への人体ばく露の防護のためのICNIRPガイドラインが改定され,全身平均SARに対する指針値が6 GHz超から300 GHzまで拡張された.
我々は屋内環境における全身平均SARの評価方法について検討している.
従来,全身平均SARの評価ではFDTD法が用いられてきたが,準ミリ波・ミリ波帯では計算規模が膨大となるため,全身平均SARの評価は困難である.
そこで,本研究では準ミリ波・ミリ波帯での全身平均SARの評価として,吸収断面積を用いた簡易推定方法に着目した.
本稿では,レイトレーシング法を用いた人体吸収断面積の解析方法を提案し,その有効性を明らかにすることを目的とする.
第5世代移動通信システム(5G)に対応したサービスの開始とともに,5G対応スマートフォンが次々に発売されている.5G通信は従来の通信と比べ高い周波数の電磁波を用いている.しかしながら,その電磁波が人体に与える影響については研究が進んでいない.そのため,本研究では高精細数値スマートフォンモデルおよび人体モデルを用いて,スマートフォン利用時の人体内10 g局所平均SAR評価を行い,機種や使用状況による違いを調査することを目標とする.本研究ではその第1段階として,5G通信に対応したスマートフォンの数値モデルを作製し,その妥当性を評価するための検証を行った.
近年,カプセル内視鏡などのインプラント医療機器が注目を集めている.インプラント機器を用いた医療では複数のインプラント機器を連携させる必要があるが,そのためには複数のインプラント機器位置が重要となる.複数のインプラント医療機器位置推定法として本論文は散乱電界を用いた電磁波イメージングによる方法に着目する.電磁波イメージングによる位置推定法において,ピーク形成された入射電界を用いることによって複数機器の位置推定の高精度化を目指し,計算機シミュレーションにより提案法の特性評価を行う.
人が腕部筋肉を収縮させる時に発生する微弱な電気信号をセンサで読み取り,制御信号としてロボット義手を思い通りに動かす事ができる.その筋電信号検出部と義手制御部をワイヤレス化する事で利便性が向上される.筋肉を動かす指令が脳から出ていることを考えると筋電信号の代わりに脳波を測定し,それをワイヤレスで義手制御部に送れば脳波で義手を制御する事が考えられる.脳波での制御が可能になれば実際に筋肉を動かす必要がなくなり,より幅広い用途での義手の使用が期待できる.本研究ではこれに先立ち,人体通信モジュールと直接接続可能な小型生体信号検出ボードを用いた脳波の測定時可能性を検討・評価する測定を行った.その結果,小型生体信号検出ボードを用いて脳波の測定を行う事が出来た.
評価(6 GHz以下)にはSAR (Specific Absorption Rate)を指針値として用い,SAR測定には人体と電気的に等価な液剤が用いられ,その生体等価液剤の電気定数(比誘電率,導電率)が規格値を満たしている必要がある.一般的に,この電気定数は同軸プローブ法によって得られる.しかしながら,同軸プローブ法では校正に参照資料(純水等)を用いるため,測定精度が校正時の参照資料の純度や温度,参照値の精度に依存する.そこで,著者らは生体等価液剤の代替的な測定手法として,伝送特性測定によるSARプローブ較正用の導波管を流用した電気定数測定システムを提案し,3 GHz以下において測定での評価や不確かさ要因の検討を行ってきた.本報告では,これまで測定による評価を行ってこなかった3 GHz以上に着目し,周波数特性の既知な参照液剤を測定することで評価を行った.
B-5. 無線通信システムA(移動通信)
3月9日 9:00〜11:45 Meeting 12 座長 田野 哲(岡山大)
B-5-1 |
パンクチャド畳込み符号用シンボル復号法向けパンクチャパターン最適化手法
○山口歌奈子・中島昭範・東中雅嗣・有賀 博(三菱電機) |
B-5-2 |
Bhattacharyyaパラメータを導入したTabu Searchを用いたPolar符号構成法
○山田 晃・大槻知明(慶大) |
B-5-3 |
LOS-MIMOにおけるダブルグレイマッピングを用いるパーシャルLDPC符号化の誤り率特性
◎青野佳奈・佐和橋 衛(東京都市大) |
B-5-4 |
FTNを用いるOFDMにおける干渉シンボル推定値の重み付き乗算を用いるターボソフト干渉キャンセラのブロック誤り率
◎小原敏晴・菖蒲谷 翼・佐和橋 衛(東京都市大)・岸山祥久(NTTドコモ) |
B-5-5 |
固有値分解を利用したFTN伝送のプリコーディングと相互情報量の最大化
◎△石原拓実・杉浦慎哉(東大) |
電力効率の良い定包絡線変調方式であるM値FSK(Frequency Shift Keying)方式に対し2値畳み込み符号を適用した場合の復号法として、パンクチャ周期で遷移するトレリス線図を用いるパンクチャド畳み込み符号用シンボル復号法が有効である。しかしながら、これまで本復号法に対してビット復号向けとして知られているパンクチャパターンが最適であるかは検討されていなかった。そこで、本稿ではパンクチャド畳込み符号用シンボル復号法向け最適パンクチャパターンを検討する。
Polar 符号の符号構成では,凍結ビットチャネルの選択が復号特性に大きな影響を与える.復号器や通信路に依らない符号構成法として,GA(Genetic Algorithm)を用いる手法がある.この手法では,符号長N,情報ビット長K とするとき,N 個のビットチャネルから良い復号特性を示すK 個の情報ビットチャネルの組み合わせをGA で探索する.GA を適用することで,ランダムな初期集団から効率良く符号を探索できるが,初期集団をBhattacharyya パラメータを使用した符号構成法で生成した場合,局所解に収束することがある.局所解を脱出しつつ,探索問題を計算効率良く解決する手法に,Tabu Search アルゴリズムがある.本稿では,Bhattacharyya パラメータを導入したTabu Search(TS)を用いたPolar 符号構成を提案する.シミュレーション結果より,GA を用いた符号構成法と比較して,提案法は局所解を脱出し,良い復号特性を持つ符号を探索できることを示す.
本稿では,Line-of-sight (LOS)-Multiple-Input Multiple-Output (MIMO)におけるダブルグレイマッピングを用いるパーシャル低密度パリティチェック(LDPC: Low-Density Parity-Check)符号化の周波数選択性フェージングチャネルにおけるビット誤り率 (BER: Bit Error Rate)特性を計算機シミュレーションにより評価する.
本稿では,Faster-than-Nyquist (FTN)[1]を用いる直交周波数分割多重(OFDM: Orthogonal Frequency Division Multiplexing)において,干渉シンボル推定値に重み係数を乗算するターボソフト干渉キャンセラ(SIC: Soft Interference Canceller)構成を提案し,ブロック誤り率(BLER: Block Error Rate)を計算機シミュレーションにより評価する.
従来のナイキスト基準に従う信号伝送よりも高い周波数利用効率を実現しうる技術として、faster-than-Nyquist (FTN) 信号伝送が知られている。本稿では、FTN信号伝送の相互情報量を最大化するプリコーディング行列を固有値分解およびラグランジュの未定乗数法に基づいて導出する。さらに、導出したプリコーディング行列を適用したときの通信路容量を与え、提案手法が理想的な矩形フィルタを用いた場合の性能限界と同等の性能を達成可能であることを示す。
休 憩(10:30 再開) 座長 酒井 学(三菱電機)
B-5-6 |
5G Evolution & 6Gに向けたNew Radio Network Topologyの検討
○岸山祥久・須山 聡・浅井孝浩(NTTドコモ)・岩渕匡史・内田大誠(NTT) |
B-5-7 |
高周波数帯分散アンテナシステムにおけるストリーム配分の一検討
○新井拓人・岩國辰彦・和井秀樹・内田大誠・北 直樹(NTT)・岸山祥久・須山 聡・永田 聡・浅井孝浩(NTTドコモ) |
B-5-8 |
高周波数帯RoFシステムのためのパッシブビームフォーマを用いた遠隔ビーム制御手法
○伊藤耕大・菅 瑞紀・新井拓人・白戸裕史・北 直樹(NTT)・岸山祥久・須山 聡・永田 聡・浅井孝浩(NTTドコモ) |
B-5-9 |
Reconfigurable Intelligent Surfaceを用いたカバレッジ拡張に関する一検討
◎濱 優人・来山大祐(NTTドコモ)・岩渕匡史・大宮 陸・村上友規(NTT)・岸山祥久(NTTドコモ) |
B-5-10 |
インテリジェント空間形成のための複数RIS制御技術の検討
◎大宮 陸・村上友規・岩渕匡史・小川智明・鷹取泰司(NTT)・濱 優人・来山大祐・岸山祥久(NTTドコモ) |
今後の5Gの高度化(5G evolution)と6Gに向けて,ミリ波やテラヘルツ波といった高周波数帯を用いた超高速大容量化や,無線通信の信頼性向上,無線での高精度なセンシングや省エネ通信の実現などを追求すると,できるだけ近距離かつ見通し環境で通信すること,および,できるだけ多数の通信路をつくり,パス選択の余地を増やすことが理想になる.これらを効率的に実現するため,空間領域で分散したネットワーク展開,および,周囲の移動端末や非陸上(NTN)も含めてネットワークとの接続経路を増やす新しいネットワークのかたち(New Radio Network Topology)の検討が必要だと考えられる.本稿では,5G evolution & 6Gに向け検討を進めているNew Radio Network Topologyのコンセプトについて概説する.
利得確保のためシャープなビーム形成を行い,アンテナを分散配置する高周波数帯の分散アンテナシステムにおいてON/OFF precodingを前提とするとストリーム間干渉が小さくなることに着目し,受信電力に基づく簡易なストリーム配分手法を提案する.また,シミュレーション評価により当該システムにおいて提案法が従来のCINRに基づくGreedy法と同等の性能が得られることを示す.
RoF (radio-over-fiber) を適用してRRU (remote radio unit) を簡易化する検討が進められている.我々は,RRUを最大限簡易化するため,RRUのビーム制御をCS (central station) から遠隔で行う遠隔ビーム制御手法を検討してきた.従来手法は,RRUの各アンテナ素子に異なる光波長を固定的に割り当ててCSで位相調整を行うが,アンテナ素子数分の光波長が必要,光波長配置に制約がある,マルチビーム形成時の構成が複雑,という課題があった.本稿では,上記課題解決のため,パッシブビームフォーマを用いた新たな遠隔ビーム制御手法を提案し,その実験評価を行う.
今後6G に向けては,さらなる要求条件の高まりから300 GHz 程度までをターゲットとした高周波数帯の開拓が求められている.ミリ波やテラヘルツ波では直進性が高く見通し外エリアのカバレッジが期待できないため,簡易にカバレッジを拡張可能な技術が求められており,表面の散乱電波強度・位相分布を動的に制御可能なReconfigurable Intelligent Surface (RIS) が近年注目されている.本稿ではRIS の適切なサイズ設計について解析し,RIS を介して伝搬されることによる二重のパスロスが,同一経路長の見通し環境と比較して影響を与えない条件について明らかにする.
我々は無線容量の抜本的な向上策として,インテリジェント空間形成(IRD)という技術コンセプトを提案している.IRDではこれまで制御されてこなかった伝搬路そのものを,RISやVM-MIMOを用いて能動的に制御することで,無線リソースを最大限活用するものである.本稿ではエリア内に配置された複数RISを連携制御できる新たなシステムを想定し,複数RIS制御によって獲得できる伝送容量のポテンシャル改善効果を明らかにした.具体的には屋内環境を想定したシミュレーションにおいて、RISを1枚設置するだけでも受信電力が約5.1%増加、16枚設置した場合では約15%増加することがわかった。
3月9日 9:00〜11:45 Meeting 13 座長 菅野一生(KDDI総合研究所)
B-5-11 |
テラヘルツ帯二次元アレーのビーム探索に関する基礎的検討
○宇津野太一・西村寿彦・大鐘武雄・小川恭孝・萩原淳一郎・佐藤孝憲(北大) |
B-5-12 |
3D-BFのビーム数に対する1024-QAMの利用率及びユーザスループット特性
○大村有司(工学院大)・須山 聡・浅井孝浩(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-13 |
シンボル分布近似法を用いた符号化MIMO空間多重システムの特性評価
◎山口修平・濱 優人・落合秀樹(横浜国大) |
B-5-14 |
MIMO Sphere Decodingへの判定帰還型伝搬路推定の適用に関する一検討
◎丸山優貴・菅沼碩文・前原文明(早大) |
B-5-15 |
端末連携MIMO受信におけるチャネル時変動にロバストな端末選択の一検討
◎笠井万平・村田英一(京大)・中平俊朗・佐々木元晴・守山貴庸(NTT) |
テラヘルツ帯(0.1~10THz)の広帯域信号により,極めて高速な通信が可能となるが,その大きな減衰を補償するため,送受信側に超多素子から成るフェーズドアレーを設置したUltra-Massive MIMOが提案されている.このようなフェーズドアレーはビーム幅が狭いため,送受信側で対向したビームを探索する際に時間を要するなど,その制御に問題がある.筆者らは,ミリ波帯通信における2段階ビーム探索法を基にした手法をテラヘルツ帯のリニアアレーに適用することを提案した.本稿では,この手法を二次元アレーに拡張した結果を報告する.
第5世代移動通信システム5GではターゲットUEの受信SINRを向上させ他のUEへの干渉を低減できる3Dビームフォーミング(3D-BF)が必須技術である.また,伝送速度を向上するために1024-QAMなどの高次変調方式の適用も重要である.これまで筆者らは,1024-QAMを適用したModulation and coding scheme (MCS)と3D-BFを併用した場合の特性評価を行ってきた.本稿では,3D-BFにおける垂直方向のビーム数を増やした場合のユーザスループット特性及び1024-QAMの利用率を明らかにする.
MIMO空間多重における様々な信号分離法の中で, 最尤検出法 (MLD)は理論上誤り率を最小化できる受信法であるが, 実装には極めて大きな計算量を要する. したがってQR分解を用いた計算量削減法等が提案されている. 一方, シンボル分布近似法はMLDの計算オーダーを1減らす信号検出として提案されており, QR分解を用いた計算量削減法と比べて各ビッ トに対応した対数尤度比 (LLR)が計算可能であるため, 符号化システムにおいて優位性がある. シンボル分布近似法では離散分布を連続分布に近似するため, 変調多値数が多いほど信号の近似精度が向上すると考えられていたが, これを裏付ける理論的な検討はされていなかった. 本稿ではシンボル分布近似法の近似精度を表す指標として量子化誤差の二乗平均を提案する. また, 量子化誤差の二乗平均は信号点が多いほど小さくなり, 近似精度が向上することを示す.
複数アンテナによる空間多重伝送を可能とするMIMOは,無線通信の大容量化に極めて有効である.MIMOの信号検出手法の一つであるSD (Sphere Decoding) は,計算量を抑えつつ,最尤検出 (MLD) と同等の良好な伝送特性を達成できる一方で,移動通信に適用した場合,端末移動性に起因した伝搬路変動によりストリーム間干渉が発生し,伝送特性が大幅に劣化するといった問題がある.本稿では,MIMO SDの移動通信適用時における伝送特性劣化の克服を目的として,判定帰還型伝搬路推定 (DFCE)によりストリーム間干渉を低減する方式を提案する.具体的には,MIMOでは,受信信号が自ストリームの他,他ストリームの信号も多重受信される点を考慮し,各ストリームの受信信号を,他ストリームの過去の伝搬路推定値と現在の送信信号判定値から得られる干渉信号レプリカを多重受信信号から減算することにより取得し,それに対して,DFCEの実行を図るものである.また,提案方式の有効性を,DFCEを適用しない通常方式を比較対象にとって,計算機シミュレーションにより評価する.
移動端末同士が基地局からの受信信号を共有し復調する端末連携MIMO受信では,複数の端末から連携する端末を選択する手法が研究されている.信号処理中の値に基づく選択手法はチャネル行列に基づく選択手法と比較して誤り率特性が改善される.しかし,全信号を収集し全連携パターンの信号処理を試みる必要があった.そこで選択結果を一定時間維持することで,連携トラフィックを削減しつつ,特性劣化を抑える選択手法を検討する.
休 憩(10:30 再開) 座長 三上 学(ソフトバンク)
B-5-16 |
適応ビームフォーミングを適用した基地局分散MU-MIMOによる周波数有効利用の検討
◎前田稜平・藤井輝也(東工大) |
B-5-17 |
無線式列車制御システムへの基地局連携MIMOの適用検討
○北野隆康・岩本功貴・中村一城(鉄道総研) |
B-5-18 |
高密度環境における干渉抑制のためのビームマネジメント法に関する一検討
◎戒能 匠・高橋拓海・三瓶政一(阪大) |
B-5-19 |
On Spectral and Energy Efficiency of Semi-Distributed Cell-Free Massive MIMO
◎Masaaki Ito・Issei Kanno・Takeo Ohseki・Kosuke Yamazaki・Yoji Kishi(KDDI Research)・Thomas Choi・Andreas F. Molisch(Univ. of Southern California) |
B-5-20 |
2D LiDARを用いた屋内環境における3Dマップの作成に関する一検討
◎田中瑞起・三瓶政一・高橋拓海(阪大) |
5G等の移動通信システムでは、セル内のどこでも超高速データ伝送が期待されている。全てのセルで同一周波数を繰り返し再利用するセルラーシステムでは、特にセル境界付近において隣接セル干渉により通信品質が劣化する。筆者らはセル境界付近の干渉を抑圧する技術として、隣接する基地局が連携して仮想的なセルを構成し、隣接セル干渉を抑圧する仮想化MU-MIMO (Multi-User Multi-Input-Multi-output)キャンセラを提案した[1]。一方、5GではMassive MIMOアンテナを用いた適応ビームフォーミングが注目されている[2]。本稿では、適応ビームフォーミングを仮想化MU-MIMOキャンセラに適用する新たな干渉抑圧技術を提案し、その適用効果を明らかにする。
鉄道における柔軟な運行制御の実現や鉄道信号保安システムの地上設備の削減を目的として,無線式列車制御システムの導入が進んでいる.現行の無線式列車制御システムでは,基地局ごとに異なるチャネルを割り当て,基地局の境界付近にて明示的にハンドオーバ制御することで,地上-車上間の連続通信を実現している.これに対して,無線式列車制御システムの特徴を活用して複数基地局が連携した空間多重を適用することで,チャネルの有効活用とハンドオーバ制御の効率化が可能となる.そこで本発表では,基地局連携MIMOを適用する方法について述べる.
本稿では,工場内でユーザが高密度に配置された環境において、できるだけ多くの端末をカバーできるビームを効率的に利用することでトータルのビーム数を抑制し,ビーム間の相互干渉を抑圧するビームマネジメントアルゴリズムを提案し,その有効性を工場モデルに基づく光線追跡法(Ray tracing) を用いた計算機シミュレーションで評価する.
Cell-free massive MIMO systems are expected to provide faster and more robust connections to user equipments by cooperation of massive distributed access points (APs). Recently, a measurement-based evaluation revealed that the performance of a semi-distributed deployment is comparable to that of a fully-distributed deployment in terms of coverage in an indoor environment while reducing the number of APs. In this paper, we analyzed the performance of several antenna distribution configurations, and showed that the semi-distributed deployments outperform the fully-distributed deployment in a certain environment from spectral and energy efficiency point of view.
本稿では,運搬車やドローンなどの移動体の自律制御に基づく運行実現を目的とする,LiDAR(Light Detection and Ranging)を用いた3Dマップの作成について検討する.LiDARは,測定したい物体とLiDARの間に別の物体が存在する場合,手前にある物体にレーザー光が遮られ測定できないため,多数の物体がある環境では測定できない区域が多く存在する.また,移動体にLiDARを搭載する方法や3D LiDARを用いる方法ではコストが非常に増大する.そこで本稿では,コストと不測地帯を抑制するため,空間の天井に2D LiDARを設置し3Dマップを作成する手法を提案する.
3月9日 13:00〜17:00 Meeting 12 座長 星野兼次(ソフトバンク)
B-5-21 |
伝送路予測多重遅延検波を用いた差動OFDMの比較
◎藤田太一・岩本航汰・久保哲朗・久保博嗣(立命館大) |
B-5-22 |
差動OFDMの水中音響通信モデムの実験評価結果
◎豊田晃紀・中井 唯・田中優花・久保博嗣(立命館大) |
B-5-23 |
FSSを適用したDownlink MIMO-OFDMAにおけるBER特性改善
○遠山裕太・小島 駿・安 昌俊(千葉大) |
B-5-24 |
二重選択性通信路のための二次元OTFSインデックス変調
◎△大比良和哉・石橋功至(電通大) |
B-5-25 |
OTFS変調における非整数ドップラーに起因するチャネル推定誤差を考慮したMMSE等化に関する一検討
○大澤 昇・橋本典征・山崎浩輔・岸 洋司(KDDI総合研究所)・衣斐信介(同志社大) |
本稿では,水中音響通信 (UWAC) を想定し,差動orthogonal frequency division multiplexing (DOFDM) に関する性能比較を行う.ここで,変調方式としては差動 QPSK (DQPSK) と差動トレリス符号化8PSK (DTC8PSK) を取り上げる.
本稿では,水中音響通信 (UWAC) 環境に対して有効な差動orthogonal frequency division multiplexing (DOFDM) の実験評価を行う.今回,DOFDMにフレーム利用効率を高めることが可能なsubcarrier phase offset (SPO) を適用し,その有効性を実験結果から明らかにする.
多元接続方式であるOFDMAにおいてはチャネルランキングによるフィードバック情報(FBI:Feedback Information)を用いて, ユーザ毎にいいチャネル応答を持つサブキャリアを割り当てる必要がある. この時, サブキャリアを細かく割り当てると通信性能は優れるが, FBIが増加してしまう問題があり処理遅延の要因となってしまう. 一方で, 各ユーザにサブキャリアグループ化して割り当てる場合, FBIは少なくて良いが, 周波数選択性フェージングの影響が大きいため, 通信性能は大きく劣化してしまう. サブキャリアグループ化して通信する場合においても通信性能を向上させることができれば, FBIを削減しつつ高品質な通信方式の実現が可能となる. そこで本稿では, 周波数シンボル拡散(FSS:Frequency Symbol Spreading)をMIMO-OFDMAに適用し, 周波数ダイバーシチ効果を得ることで, この課題を解決する.
直交時間周波数空間(OTFS: Orthogonal Time Frequency Space)変調に対してインデックス変調を適用することで,信号空間のユークリッド距離を伸長し,復調誤り率を改善する直交時間周波数空間インデックス変調(OTFS-IM: OTFS Index Modulation)が提案されている.一般にOTFSは,時間・周波数の両者において選択性を持つ二重選択性通信路で優れた特性を有するが,従来のOTFS-IMでは,二重選択性通信路の影響を考慮した設計になっておらず,これに適した設計法が求められている.そこで本研究では,遅延・ドップラーの両次元を用いてインデックス変調を行う二次元OTFS-IMを提案し,二重選択性通信路で特に性能に影響を及ぼすドップラー間干渉を考慮した信号設計法を提案する.
Orthogonal Time Frequency Space (OTFS) 変調における到来パスの推定手法としては,遅延--ドップラー領域にパイロットシンボルを埋め込み,そのインパルス応答を観測することで遅延--ドップラー領域のチャネル特性(チャネル行列)を推定する方法がある.しかし,本手法は遅延--ドップラーグリッドの離散ドップラー周波数とパスのドップラー周波数が一致しない非整数ドップラー環境では推定精度が劣化するという問題がある.この問題に対し,本稿では非整数ドップラーに起因するチャネル推定誤差を考慮したMMSE等化手法について提案する.
休 憩(14:30 再開) 座長 中村 理(シャープ)
B-5-26 |
60GHz帯活用のための5G NR同期チャネル性能評価とデザイン検討
◎芝池尚哉・岡野真由子・原田浩樹・永田 聡(NTTドコモ) |
B-5-27 |
5Gにおけるユーザ端末の初期アクセス手法の適用方法の提案
◎小山雄輝(玉川大)・大関武雄・山崎浩輔(KDDI総合研究所)・山﨑德和(玉川大) |
B-5-28 |
60GHz帯ミリ波V2X通信における初期接続確立の高速化技術
○中野幸成・江上晃弘・本塚裕幸・坂本剛憲・入江誠隆・高橋和晃(パナソニック) |
B-5-29 |
3GPP TDLチャネルモデルにおけるPRACHのプリアンブル検出確率
◎鎌田晃輔・佐和橋 衛(東京都市大)・岸山祥久(NTTドコモ) |
B-5-30 |
広帯域シングルキャリアにおける物理セルID検出確率特性
◎太田恭吾・井上大輔・佐和橋 衛(東京都市大)・永田 聡(NTTドコモ) |
移動通信システムにおいて,高周波数帯を活用する技術は,通信速度向上と通信容量拡大のために有用である.現在,3GPPでは5G NR(New Radio)の機能拡張の一つとして60GHz帯活用に向けたNRの拡張方法について検討が進められている.本稿では,NRの初期アクセスに用いられる同期信号(PSS: Primary Synchronization Signal及びSSS: Secondary Synchronization Signal)及び報知チャネル(PBCH: Physical Broadcast CHannel)の送信方法の60GHz帯向け拡張方法についてシミュレーション評価を基に検討したのでその結果を報告する.
5Gでは,これまで無線通信で用いられてきた初期アクセス手法である4-stepRACHに加えて,より低遅延化が図られた2-stepRACHも仕様化されている.2-stepRACHはユーザ端末(UE)と基地局間の1回のRound tripのやり取りのみで初期アクセスが完了するが,Preambleと同時にデータを送信するため,Preambleの検出に失敗すると,データを送信するための無線リソースが無駄となってしまうデメリットがある.本稿では,4-stepRACHと2-stepRACHに要する時間と消費無線リソース量をシミュレータを用いて定量的に明らかにし,各々の初期アクセス方式の最善な適用方法について評価と考察を行う.
スマートシティにおけるデータ活用実証が活発になる中,データ収集の重要性が高まってきている.筆者らは,大容量のデータ伝送に優れる60GHz帯ミリ波無線通信を活用した走行車両からのデータ収集プラットフォームを開発した.本稿では,60GHz帯ミリ波無線通信をV2X(Vehicle-to-Everything)通信に適用するために,初期接続確立の高速化技術を提案し,初期接続時間を従来から1/30に短縮できることを示す.これにより、従来は困難であった走行中の大容量のデータ転送を実現した.
本稿では,3GPPのTapped Delay Line (TDL)チャネルモデルにおけるNR無線インタフェースの物理ランダムアクセスチャネル(PRACH: Physical Random Access Channel)のプリアンブル検出確率を計算機シミュレーションにより評価する.
本稿では,広帯域シングルキャリアにおけるセル共通の系列を示す第1同期信号 (PSS: Primary Synchronization Signal)及び物理レイヤセルID (PCID: Physical-layer Cell Identity)を示す第2同期信号 (SSS: Secondary Synchronization Signal)を用いたときのPCID検出確率を計算機シミュレーションにより評価する.
休 憩(16:00 再開) 座長 久保博嗣(立命館大)
B-5-31 |
同一帯域干渉下での同期方式に関する基礎検討
○中川兼治・富塚浩志・佐野裕康(三菱電機) |
B-5-32 |
雑音環境下におけるSNR推定の検討
○丸田一輝(東工大) |
B-5-33 |
DSTBC伝送における同一チャネル干渉抑圧方式(1)―抑圧原理と基本性能評価―
◎上橋俊介・西本 浩・富塚浩志・佐野裕康・半谷政毅(三菱電機) |
B-5-34 |
DSTBC伝送における同一チャネル干渉抑圧方式(2) ―複局同時送信への対応―
○西本 浩・上橋俊介・富塚浩志・佐野裕康(三菱電機) |
本発表では高速に伝送路が変動する環境に適した同期プリアンブル方式を提案する.
また干渉信号耐性として,正規化ドップラー周波数 fdTs だけではなく,
システム外の干渉波としてCW (Continuous Wave) が到来した場合を想定し,
同期性能を評価する. そして自己相関性の高いことで知られる
CAZAC (Constant Amplitude Zero Auto-Correlation) 系列を同期プリアンブルとして用い
た場合と比べ, 提案方式がドップラー耐性が高く, 同シンボル数のCAZAC 系列を
同期プリアンブルとした場合以上の干渉耐性を有することを示す.
セル間干渉低減のためには基地局連携伝送が有効である.広範囲の基地局を連携対象とする場合,その範囲を適応的に決定する必要がある.これは推定するチャネル状態情報(CSI)から信号対雑音電力(SNR)等の品質を推定し,有効なものを取捨選択する制御により実現可能である.上りリンクにて取得したCSIを用いてこの制御を行う場合,端末の送信電力の制約から低SNR環境での推定が必要となる.本稿では,雑音環境下におけるSNR推定として周波数領域及び時間領域に基づく手法について検討する.
空間ダイバーシチ効果を得るとともに,時間変動対策として差動符号化を行う差動時空間ブロック符号化(DSTBC)伝送が検討されている.また,セル間で同一の周波数を用いる単一周波数繰り返しは,高い周波数利用効率を実現できるが,主にセル境界での同一チャネル干渉(CCI)が課題となる.一般に移動局では設置スペース等の制約により多くのアンテナを搭載することは困難であり,従来のアレー信号処理による干渉抑圧では信号間のCCIを十分に抑圧できない可能性がある.本稿では,少ない受信アンテナ数の条件においても動作可能なDSTBC向けCCI抑圧方式の原理と基本性能を示す.
移動耐性の高い送信ダイバーシチ方式として差動時空間ブロック符号(DSTBC)が挙げられる.DSTBCを用いる複局同時送信システムではビート干渉が課題であり,送信局ごとに送信アンテナ間の位相差を変えることで受信時のビート干渉を緩和する送信アンテナ間位相オフセット方式(以降,位相オフセット方式)の有効性が報告されている.一方,DSTBC伝送において同一チャネル干渉(CCI)が避けられない場合に対し,少ない受信アンテナ数の条件においても適切にCCIを抑圧可能な方式が提案されている.本稿では,位相オフセット方式を採用する複局同時送信システムにCCI抑圧方式を適用する際の課題と対策について議論する.
3月9日 13:00〜16:45 Meeting 13 座長 山本哲矢(パナソニック)
B-5-35 |
LCX-MIMOシステムにおける垂直配置での位置検出
○永山拳大・朱 俊傑・侯 亜飛・田野 哲(岡山大) |
B-5-36 |
時系列受信データを活用した高精度位置指紋法の計算量の削減
○辻野孝弘・藤井輝也(東工大) |
B-5-37 |
自車履歴情報を用いた高精度・低遅延ビーム追従方式の検討
◎加藤 諒・奥村 守・岡本英二(名工大) |
B-5-38 |
車両走行環境における通信信号を用いた測位活用高速ハンドオーバ技術
○岩國辰彦・内田大誠・和井秀樹・北 直樹(NTT) |
B-5-39 |
滑走路異物探知用リニアセルレーダにおける2周波FMCW信号を用いた干渉抑圧
◎奥田和徳(早大)・稲垣惠三・菅野敦史(NICT)・柴垣信彦・佐藤洋介・加島謙一(日立国際電気)・川西哲也(早大) |
現在,屋内位置情報の需要は著しく増加しており,地下街や工場など様々な場面で用いられている.
本研究では電波不感地帯や細長い場所でよく利用されている漏洩同軸ケーブル(LCX:leakly coazial cable)を用いる2-D端末位置推定を検討する.
従来では平行に配置していた2本のLCXを垂直に配置することにより位置推定精度の改善を提案する.
GPSを利用しない位置推定法として,事前に位置(ポイント)ごとに複数の基地局の受信電力を測定しておいて,各端末が測定した複数の受信電力とパターンマッチングすることで位置を推定する “位置指紋法” がある.事前に測定する受信機(以下,測定装置)と端末の受信性能は一般に異なる.筆者らはその手法の位置推定精度の改善を図るため,測定装置と端末の受信性能の差異を補正する“次元拡大位置指紋法”を提案した.受信性能差の補正には探索数が多くなり,計算量が膨大となる課題があった.本稿では,計算量を低減するために “探索範囲を制限する次元拡大位置指紋法”を提案し,評価する.
5G において自動運転用の無線通信には数百 MHz 級の広帯域を確保可能な28 GHz 帯の使用が期待されているが,伝搬損が大きいというデメリットを持つ.そのため車両側でもビームフォーミングとビーム追従システムを適用し,高い受信対雑音比(Signal-to-Noise Ratio: SNR)を確保する
ことが検討されている.しかし,既存の追従システムは1つ前のビームを到来角推定により補正する手法のため,急激な角度の変化に対応しきれないという課題があった[1].そこで本稿では過去のビーム方向の情報と車両の操舵角を利用して適応的にビーム探査範囲を決定することで高精度かつ低遅延なビーム追従を可能とする手法を提案する.
増え続ける無線通信トラフィックを収容するため,ミリ波帯及びサブテラヘルツ帯等の高周波数帯無線の利用検討が進められている.高周波数帯では信号の超広帯域性と距離減衰補償を目的とした挟ビーム伝送から,端末の距離や方位を推定することが可能となる.本稿では,車両走行環境におけるセンサ・撮影データ等の上り伝送をターゲットに,時速60kmでの通信信号による測位に基づく高速ハンドオーバ(HO)実証実験の結果を報告する.
走路上の異物を自動で探知するシステムとしてFMCWリニアセルレーダが開発され、成田空港などで実証実験が行われている。FMCWリニアセルレーダはRoF(Radio-over-Fiber)技術によってFMCW信号を複数のRAU(Remote Antenna Unit)に伝送する方式であり、各RAUのビーム方向は協調制御によって同じ方向を向いているため、送信波が直接他のRAUに干渉することはない。しかし、送信波が航空機などRCS(Radar cross-section)の高い物体によって反射された場合、所望波よりも強い干渉波として他のレーダヘッドで受信される可能性があることが分かっている。干渉を抑圧するため、従来の研究では2つのRAU間の光ファイバ長を切り替えることで偽像の発生位置をずらし、2つの像のANDを取ることで偽像を除去している。本論文では、従来の系で課題とされていた光ファイバの切り替えによるデータ取得のタイムラグを解消し、干渉によって発生する偽像を抑圧する新たな手法として2周波FMCW信号を用いた干渉抑圧を検討する。
休 憩(14:30 再開) 座長 松村 武(NICT)
B-5-40 |
電波暗号化変調におけるロジスティックマップを用いた性能改善の検討
◎奥村 守・加賀有貴・岡本英二(名工大)・山本哲矢(パナソニック) |
B-5-41 |
定包絡線インタリーブ型スペクトル拡散方式の実機評価
◎中村亮介・大橋章範・北中成紀・東中雅嗣・有賀 博(三菱電機) |
B-5-42 |
LoRa変調による画像送受信を用いた健康観察システム
◎梁 良我・田所正也・松本太地・小西たつ美(愛知工業大) |
B-5-43 |
マルチパスフェージング環境下におけるIEEE802.11axおよび11aの伝送特性比較
○長瀬 渉・松江英明(諏訪東京理科大) |
近年,無線通信の市場が拡大している一方で,個人情報を扱う現場などでは第三者に対する通信秘匿性の確保が重要視されている.従来,秘匿性の確保は主に上位層における暗号化技術が用いられており,物理層などの下位層に対して秘匿化が行われていなかった.今まで我々はカオス方程式の一つであるベルヌーイシフトマップを用いて,物理層秘匿性を有する電波暗号化手法を検討してきた[1].しかし,演算量の増大を避けるため符号化利得に制限が存在していた.そこで本稿では,ロジスティックマップ[2]を適用した符号化アルゴリズムによる電波暗号化手法を構築する手法を提案する.そして既存手法に対して同じ演算量で有効カオスブロック長12のときに,ビット誤り率特性が10^(-6)において約1.3 dBの改善を実現した.
M2M通信のための長距離高信頼無線通信システムとして著者らは,変調信号を位相回転系列で直接拡散し,更にインタリーブ型スペクトル拡散によってユーザを直交周波数多重する方式を検討している.本稿では,FPGA評価ボードに本方式の変復調処理を実装して実機評価を行い,AWGN環境でシミュレーション結果と一致する,良好なFER特性が得られた結果を報告する.
今日では,様々なIoTシステムにLPWA(Low Power Wide Area)の無線技術が用いられている. LPWAは安価で遠距離通信が可能だが,通信速度を犠牲にしているのがデメリットである.よってLPWAの技術は,主にセンサで読み取った値などの小容量なデータ通信に用いられている.
一方,通信ネットワークの普及が進む中で,そのネットワークから外れている人達も存在している.そこで本研究では,そのような人達に向けた健康観察IoTデバイスを,LPWAの1つであるLoRa変調方式の無線モジュールを用いて作成した.そして,そのデバイスが送信する画像を含めたデータを,受信機を搭載した車両が移動しながら回収する通信実験を行ったので,その結果を報告する.
IEEE802.11ax規格と11a規格について,遅延時間の異なる2種類のマルチパスフェージング環境下において平均BER対平均C/N特性をシミュレーション比較評価したので報告する
休 憩(15:45 再開) 座長 矢野一人(ATR)
B-5-44 |
キャリア間干渉を抑圧するマルチビームDPD方式
○大田智也・ロズキン A. N.・玉野井 健・石川広吉(富士通) |
B-5-45 |
AM/PM特性を持つHPAにおけるDPDのACLP低減効果
◎△増渕 篤・多田 陽・梅比良正弘・王 瀟岩(茨城大) |
B-5-46 |
ディジタル制御超広帯域GaN増幅器向けTwin-Nonlinear Two-Box型ディジタルプレディストータ
○山下 青・小松崎優治・榊 裕翔・安藤暢彦・中溝英之(三菱電機) |
B-5-47 |
Zadoff Codeを初期値として用いたマルチトーン信号の位相の最適収束演算による低PAPR化
○榊 裕翔・安藤暢彦・中溝英之・森 一富(三菱電機) |
本稿では,マルチビーム送信時に消費電力を低減しつつ,電力増幅器の非線形ひずみに起因するキャリア間干渉を抑圧するマルチビームDPD(Digital Predistorter)方式を提案する.提案方式は,アレイアンテナ送信機のアンテナ素子毎に備える複数の電力増幅器の高効率動作により発生する非線形ひずみを一括DPDで補償することで消費電力を低減できる.また,隣接キャリアの他ビームからの干渉となる成分に対し逆相関係のキャンセル信号を自ビームに予め付加しておくことで,空間合成後にビーム方向のキャリア間干渉を抑圧する.シミュレーションにより提案方式の有効性を検証し,周波数帯域が隣接するマルチビーム送信時の信号電力対干渉電力比(SIR: Signal to Interference power Ratio)を向上できることを確認したので報告する.
上り回線の高速化やミリ波帯の利用に伴い、携帯端末のHPA(High Power Amplifier)の電力利用効率向上が求められている。しかし、HPAを低OBO(Output Back Off)で使用すると、非線形性によりACLP(Adjacent Channel Leakage Power)が増大し周波数利用効率が低下する。この問題を解決するため、筆者らはマルチキャリアパイロット信号でHPAの動作点推定を行う携帯端末用DPD(Digital Pre-Distortion)HPAリニアライザを提案しているが、AM/PM特性を考慮したHPAの評価は行われていない[1]。本文ではAM/PM特性を持つHPAにおけるDPDのACLP低減効果を評価した。
5G やBeyond 5G などの移動体通信では,広帯域に亘り高効率に動作する増幅器が要求される.この要求に対し,著者らは二つの並列する増幅器からなるディジタル制御超広帯域GaN 増幅器(以下,ディジタル制御増幅器)を開発中である.本増幅器を高効率に動作させるには,送信信号を適切な電力比と位相差に分配して二つの増幅器に入力する必要がある.これまで、この処理を行う信号分配部について報告した.一方,本増幅器は非線形性が強く,出力信号の歪みが大きいことから,歪み補償回路が必要である. しかし,一般的に用いられる多項式型やLook-Up Table型のデジタルプレディストータ(DPD)では十分に歪みを低減できない.ここでは,強い非線形性が補償可能な Twin-NonlinearTwo-Box型DPDをディジタル制御増幅器に適用し, 本増幅器の出力信号の隣接チャネル電力比の改善量を確認したので報告する.
高品質な無線通信の実現や無線通信装置の周波数特性を正確に測定するために,マルチトーン信号の低PAPR(Peak to Average Power Ratio)化が求められている[1],[2].低PAPR化の実現には各トーン信号の初期位相を適切な値に設定すればよく,その方法として各トーン信号の位相を代数的に決定する方法[1]や,より低いPAPRが得られる収束演算で決定する方法[2]がある.しかし,文献[2]では収束演算の際に設定する各トーン信号の位相の初期値についても別途専用の収束演算で求める必要があり煩雑であった.
本報告では,各トーン信号の位相の初期値をZadoff Codeを採用することで代数的に設定する方法を提案する.
3月12日 9:00〜11:45 Meeting 12 座長 小西たつ美(愛知工業大)
B-5-48 |
有相関大規模MIMO検出のための一般化近似メッセージ伝搬法の収束特性改善に関する一検討
◎玉置凌太・伊藤賢太・高橋拓海(阪大)・衣斐信介(同志社大)・三瓶政一(阪大) |
B-5-49 |
量子化AMPによる大規模MIMO検出のための深層展開を利用した量子化閾値最適化に関する一検討
◎島村篤典・高橋拓海(阪大)・衣斐信介(同志社大)・三瓶政一(阪大) |
B-5-50 |
学習型AMPによる少数信号検出に関する検討
○辻本若葉・西村寿彦・大鐘武雄・小川恭孝・萩原淳一郎・佐藤孝憲(北大) |
B-5-51 |
低分解能ADCを用いた大規模MIMO検出のためのBussgang分解に基づくガウス信念伝搬法に関する一検討
◎渡部 樹・高橋拓海(阪大)・衣斐信介(同志社大)・三瓶政一(阪大) |
B-5-52 |
ビーム領域Local LMMSEフィルタ出力に基づく低処理量なミリ波大規模MIMO検出に関する一検討
○吉田拓実・高橋拓海(阪大)・衣斐信介(同志社大)・三瓶政一・白瀬大地(阪大) |
本稿では,有相関通信路(クロネッカーモデル)における上り回線の大規模マルチユーザMIMO (Multi-Input Multi-Output) 通信路において、データ推定手法のひとつである一般化近似メッセージ伝搬法(GAMP:Genelalized AMP)を扱う.大規模MIMO検出において,GAMPは大システム極限を前提に伝搬情報のガウス近似を施し低演算量で動作を可能としたデータ推定アルゴリズムである.
その特性は空間相関による通信路のグラム行列の非対角成分の増加によって対角行列に十分に近づかないことが起因し,特性が大幅に劣化する.この不都合を改善するための手法として制振(Damping)と大システム極限近似の不整合の悪影響を緩和するスケーリング(Scaling)を導入することで収束特性の改善を図る.
本稿では,大規模MIMO(Multi-InputMulti-Output)検出にかかる処理量低減と占有メモリ量削減を目的に,近似メッセージ伝搬法(AMP: Approximate Message Passing) の量子化を扱う.AMPはテンソル積のみで構成された極めて低処理量な繰り返し信号検出であるが,倍精度演算での実装は深刻な処理遅延を引き起こし,実用の観点からは望ましい形態とは言えない.この問題に対し,AMPのすべての算術演算をLUT(Look-Up Table)検索・参照に置き換えた整数精度の量子化AMPが提案されている.本稿では量子化による情報損失を最小化するため,深層展開を用いた機械学習による量子化閾値設計手法を提案する.
近似メッセージ伝搬法 (AMP) を MIMO 信号検出に応用した場合低演算量で高い検出性能を実現する.ただし,AMP アルゴリズムは大システム極限が成立し,かつ,観測行列の各要素が独立同一なガウス分布に従う場合に適用可能である.これまで筆者らは空間相関がある場合と送受信アンテナ数が小さい場合への適用について検討し,適用条件を満足しない場合でも観測率を定数倍することで検出性能が改善することを明らかにした.本稿では,観測率に乗算する係数を深層学習する学習型AMP (Learned AMP) について検討を行う.
本稿では,低分解能ADC (Analog-to-Digital Converter) 出力に基づく大規模マルチユーザMIMO (Multi-Input Multi-Output) 検出を検討する.
近年の基地局アンテナの超多素子化と基地局配置の高密度化に伴い,ハードウェアコストとRF (Radio-Frequency) 回路の消費電力抑制が課題となる.
そこで,Bussgang分解された線形信号モデルに基づきガウス信念伝搬法 (GaBP: Gaussian Belief Propagation) を動作させ,低分解能ADC出力に基づく高精度な高負荷MIMO検出の実現を図る.
本稿では,低処理量な上り回線大規模マルチユーザMIMO (Multi-Input Multi-Output) 検出のための,ビーム領域でのLLMMSE (Local Linear Minimum Mean Square Error) フィルタに基づくマルチユーザ検出器 (MUD: Multi-User Detection) を提案する.ミリ波通信で想定される超多素子MIMOにおけるMMSE規範の空間フィルタリングは,フィルタ生成のための逆行列演算に必要な処理量増大が問題となる.この問題に対し,受信フルデジタルビームフォーミングを用いて,ユーザ端末ごとに小規模なビーム領域フィルタを形成するLLMMSEが提案されている.本稿では,LLMMSEのデータ検出精度の向上を目的に,各ユーザ端末に対して重複するLLMMSEフィルタ出力の複数選択基準,および対数尤度比 (LLR: Log Likelihood Ratio) 次元での合成手法を提案する.
休 憩(10:30 再開) 座長 丸田一輝(東工大)
B-5-53 |
3GPP CDLチャネルモデルを用いた学習型ガウス信念伝搬法の特性評価
◎土井隆暢・式田 潤・村岡一志・石井直人(NEC)・白瀬大地・高橋拓海(阪大)・衣斐信介(同志社大)・三瓶政一(阪大) |
B-5-54 |
超高多値QAM変調を用いたMIMO通信のための位相雑音存在下におけるLLRの導出に関する一検討
○篗本大輝・高橋拓海(阪大)・衣斐信介(同志社大)・三瓶政一(阪大) |
B-5-55 |
FER制限下での符号化MIMO-OFDMシステムにおける機械学習に基づいた適応符号化変調に関する検討
◎長谷川喜久・落合秀樹(横浜国大) |
B-5-56 |
レベル交差回数に基づく深層学習を用いたフェージング変動推定に関する一検討
◎河内幸四郎・新保薫子・菅沼碩文・前原文明(早大) |
B-5-57 |
Reinforcement Learning-Based User Pairing in NOMA Systems
○Ahmad Gendia・Osamu Muta(Kyushu Univ.) |
大容量通信を実現する上りリンクのMassive MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) 伝送において,低演算量かつ高精度な信号検出方式としてガウス信念伝搬法 (GaBP: Gaussian Belief Propagation) がある.しかし、GaBPはフェージングの空間相関によって特性が劣化する.そこで筆者らはGaBPの空間相関耐性を向上させるため,内部パラメータを深層展開を用いて最適化するT-GaBP (Trainable GaBP) を提案した.GaBPの特性が空間相関に大きく影響を受けるため,従来研究よりも実システムに近い3GPP Clustered Delay Lineチャネルモデルと偏波を含む平面アレーアンテナを想定したシミュレーション評価を通して, T-GaBPの有効性を示す.
本稿では,大容量伝送を目的とした超高多値QAM (Quadrature Amplitude Modulation) 信号のMIMO (Multi-Input Multi-Output) 信号検出を扱う.ミリ波帯を用いた広帯域無線通信システムにおいて高多値変調を利用する場合,高SNRで動作させるため加法性雑音は小さいものの,局部発信機で発生する位相雑音の影響が顕著に表れ,伝送特性が著しく劣化する.この問題に対し,位相雑音を含む受信信号が従う確率密度関数 (PDF: Probability Density Function) を解析的に導出する.そのPDFに基づく高信頼な復号器入力LLRを生成し,高精度検出を実現する.
無線通信システムにおいてスループットを最大化するためには、適した符号化および変調方式(MCS)の選択が重要である。CQI(Channel Quality Information)として受信側における平均SNRを測定し、それを基にMCSを決定する手法が一般的であるが、一方で最適なMCSはチャネルの実現値に依存する。しかし実際の符号化変調方式およびMIMO環境において最適なMCSを理論的に求めることは困難である。そこで近年、機械学習を用いたMCS選択手法が注目されている。また一般には、MCSはスループットを高めるだけでなく、フレーム誤り率(FER)に制約を設けることが再送回数低減や低遅延実現の観点から重要である。そこで本稿では、ターボ符号と畳み込み符号の連接により低FERを達成する符号を設計するとともに、FER制約下でスループットの最適化をはかるニューラルネットワーク(NN)の実装を試み、またサポートベクターマシン(SVM)との比較を行い、従来手法よりもスループット特性が大幅に改善され、理想特性に近接した特性が得られたことを示した。さらにNNの出力の活性化関数であるソフトマックス関数において、閾値を設定することで、柔軟なFERとスループットのトレードオフを実現をした。
第5世代移動通信システム(5G)では,高速・大容量に加えて,多数同時接続,超低遅延といった多様なユーザニーズの実現が期待されている.5Gをプラットフォームとして多様なユーザニーズを実現するためには,各ユーザの伝送特性を決定づけるフェージングの時間選択性をはじめとする各種伝搬状況を,なるべく簡易に把握できることが望ましい.これまでに我々は,フェージングの時間選択性とレベル交差回数の関係を利用して,レベル交差回数から時間選択性を表すドップラー周波数を簡易に推定する方式を提案してきた.本稿では,本検討の発展として,深層学習により,レベル交差回数からドップラー周波数を推定する方式を提案する.また,提案方式の推定精度を従来の推定法を比較対象にとって,計算機シミュレーションにより評価する.
Non-orthogonal multiple access (NOMA) allows multiple user equipment (UE) to simultaneously share the same resource blocks using varying levels of transmit power at the base station (BS) side. Proper selection of candidate users for pairing over the same resource block is critical for an efficient utilization of the available resources. However, the optimal selection of paired UEs through an exhaustive search over the space of all possible pairings is prohibitive. Reinforcement learning (RL) deploying deep-Q networks (DQN) is a promising strategy for such a problem in wireless communications. In this article, an RL-based DQN user pairing is proposed for downlink NOMA, where UE selection is accomplished by the continuous interaction between an RL agent and the NOMA environment to increase the system throughput.
3月12日 9:00〜11:45 Meeting 13 座長 瀬山崇志(富士通)
B-5-58 |
ハイブリッド型Massive MIMOにおけるマルチクラスター時変動チャネルの適応予測
○柘植健太・張 裕淵・府川和彦(東工大)・須山 聡・浅井孝浩(NTTドコモ) |
B-5-59 |
ミリ波帯通信における受信信号レベルを用いたビームトラッキング方式の検討
◎多和田基史・太田喜元(ソフトバンク) |
B-5-60 |
無線品質予測を用いた送信タイミング制御における遮蔽物の影響評価
◎本多亮太・浅野弘明・野口 浩・安木 慎・志水紀之(パナソニック) |
B-5-61 |
28GHz帯における複数基地局連携技術の伝送性能評価
○奥山達樹・須山 聡・野中信秀・浅井孝浩(NTTドコモ) |
B-5-62 |
28GHz帯見通し外環境におけるOutdoor to Indoor伝送実験
○内野大地・石岡和明・木下裕介・武 啓二郎(三菱電機) |
第5世代移動通信で導入されるMassive MIMOでは,BB(Base Band)回路およびRF(Radio Frequency)回路の数を大幅に削減できるアナログ・デジタル-ハイブリッド型が注目を集め検討されている.本稿では,TDD(Time Division Duplex)マルチユーザMIMO通信を想定し,マルチクラスター時変動チャネル条件において,上り回線でのMUSIC法による到来角推定に基づくチャネル推定値を用いて,下り回線時の全アンテナ素子のチャネルインパルス応答を予測する手法を提案し,計算機シミュレーションによりその有効性を明らかにする.
近年,5Gをはじめとしたミリ波帯を用いた無線通信に関する研究が盛んに行われている.ミリ波帯を用いることで広帯域化が実現できるが,送信電力密度の低下や伝搬損失がUHF,SHF帯と比べて大きくなる.そのため,アンテナを多素子アレイ化しビームフォーミングにより長距離通信とアンテナ利得の確保が必要となるが,ビーム幅が狭小化してしまうため,対向局が移動する場合はビームの指向方向から外れてしまい,結果としてアンテナ利得が低下する問題が生じる.そこで,本研究において,対向局の方向が時々刻々と変化する場合を想定した受信信号レベルを参照したビームトラッキング方式を検討し,シミュレーションにより有効性を示す.
5Gの高度化に向け、ミリ波を含む高周波数帯を活用するための研究開発が進められている。道路交通や工場・倉庫等のローカルエリアで発生する大容量トラヒックを高い電力効率で収容する事が重要となっていく中で、ミリ波無線ネットワークにおいては、高い電力効率を実現する通信制御技術が求められている。また、高周波数帯における通信では、車や人体などの遮蔽による損失によって、通信の安定性が著しく影響を受けるという課題も存在する。これらの課題に対して、無線制御の一つとして、特に非リアルタイム系サービスで扱う大容量トラヒックを効率的に配信・収容するための無線品質予測に基づいた送信タイミング制御が提案されている。本稿では、道路交通において上記制御を用いた場合の遮蔽車両による影響を評価した結果を報告する。
2025年頃をターゲットとした5G Evolutionでは,28 GHzを筆頭としたミリ波帯の活用により,通信速度のさらなる高速化が求められている.複数移動局や複数ストリームを多重し通信速度を向上させるには,アナログBFではなく,デジタルプリコーディングを組み合わせるハイブリッドBFや,BFもデジタル信号処理で行うデジタルBFの利用が有効であると考えられる.また,移動局が高速移動する環境で広範囲に高いスループットを実現するため,複数基地局の連携技術が必要であり,著者らは,28 GHz帯デジタルBFにおいて,2台の基地局間でデジタルプリコーディングを用いた連携技術を,シミュレーションや屋外伝送実験により検証してきた.ここで,基地局連携技術をより拡張していくため,本稿では3台の基地局を連携させる場合の伝送性能を計算機シミュレーションにより評価し,その性能と課題を明らかにする.
5Gの活用に向け,見通し外環境における屋外から屋内への伝送実験を行った.窓ガラスによる減衰と柱による遮蔽環境にてAPAA(Active Phased Array Antenna)からなる16台のアレーアンテナを用いたSU-MIMO 2ストリーム空間多重伝送を行い,送信利得を改善させることで下りスループットが改善することを実験にて示す.
休 憩(10:30 再開) 座長 樋口健一(東京理科大)
B-5-63 |
ローカル5Gの高周波数帯活用のための高速な基地局位置制御方法
◎中山章太・村山大輔・守山貴庸・鷹取泰司(NTT) |
B-5-64 |
ローカル5Gの高周波数帯活用のための基地局位置制御方法
○村山大輔・中山章太・守山貴庸・鷹取泰司(NTT) |
B-5-65 |
40GHz帯OAM多重伝送技術による100Gbit/s超の屋外伝送実験
◎八木康徳・笹木裕文・瀬本智貴・山田貴之・増野 淳・李 斗煥・芝 宏礼(NTT) |
B-5-66 |
高周波数帯分散MIMOシステムにおける非再生無線中継局のビーム検索数軽減法
◎和井秀樹・岩國辰彦・新井拓人・内田大誠・北 直樹(NTT) |
B-5-67 |
高周波数帯における超広帯域6G無線アクセスの性能評価
○須山 聡・奥山達樹・岸山祥久・野中信秀・浅井孝浩(NTTドコモ) |
筆者らは工場や配送センタなど遮蔽物の移動頻度の高い環境であっても、環境変化に合わせてローカル5Gの基地局(TRP: transmission point)を移動させることで、高周波数帯(28GHz帯)を利用したときのエリア内の通信品質を向上させる方法を検討しており、本稿ではより高速に基地局位置を算出することで環境変化への追従性を高める方法を提案する。
企業や自治体が免許を受けた上で自営で構築可能な無線ネットワークとしてローカル5Gが注目されている。国内では、4.6-4.9GHzと28.2-29.1GHzが割り当てられている。28GHz帯はより広帯域を利用可能だが、遮蔽に弱く活用が難しい。本稿では、工場や配送センタなど多くの遮蔽物が配置移動するような環境であっても、環境変化に合わせて基地局を移動させることでエリア内の通信品質を向上する方法を提案する。
5G以降も増大する無線トラフィックを収容するため,大容量化を実現する無線伝送方式として電磁波の軌道角運動量 (OAM: Orbital Angular Momentum)を用いたOAM多重方式が注目されている[1]. OAM多重方式はOAMモードの直交性を利用した空間多重方式であり,UCA (Uniform Circular Array)を用いて複数モードのOAMビームを多重することができる.筆者らは,テラビット級無線伝送の実現をめざし,OAM多重伝送技術の研究開発に取り組んでいる.これまでに,伝送距離100 mで22 Gbit/sの伝送実験(28 GHz帯)について報告しており,本稿では,伝送速度100 Gbit/sへの大容量化を目標に, 40 GHz帯OAM多重伝送装置を試作し,屋外伝送実験を行ったので,その結果を報告する.
近年,無線通信の更なる大容量化のため,広帯域が確保できるミリ波帯/サブテラヘルツ帯などの高周波数帯活用と,遮蔽環境下での見通し確保や空間相関低減により空間多重数を向上させる分散MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)の組合せが注目されている.本稿では,分散アンテナ数に比例して増大するビームサーチオーバヘッドを軽減するビーム検索数軽減法を提案し,非再生中継を用いた高周波数帯分散MIMOの計算機シミュレーションによりその特性を評価した結果を報告する.
第6世代移動通信システム(6G)では,5Gで導入された28 GHz帯に代表されるミリ波帯を活用しつつ,さらに高い周波数帯を活用することでピークデータレートとして100 Gbpsを超える超高速通信の提供が期待されている.5Gと比較して広い信号帯域幅を確保できる周波数帯であるミリ波やテラヘルツ波の利用が想定され,100 GHz帯から300 GHz帯までをターゲットにした所謂テラヘルツ波を6Gに利用するための研究開発を加速する必要がある.本稿では,100 GHzの高周波数帯における超広帯域6G無線アクセスの基本的なシミュレーションにより100 Gbps超の通信の可能性について明らかにする.
3月12日 13:00〜16:45 Meeting 12 座長 村岡一志(NEC)
B-5-68 |
深度カメラ動画像とミリ波のRSSIを用いた端末位置推定のナノエリア環境への適用検証
◎三原翔一郎・吉川慧司・村上隆秀・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-69 |
ミリ波ナノエリアの遮蔽影響予測のための機械学習における上面図の利用と初期検証
○吉川慧司・三原翔一郎・村上隆秀・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-70 |
低遅延・多接続のためのグラントフリー非直交伝送法
◎△原 郁紀・石橋功至(電通大) |
B-5-71 |
上り回線グラントフリー非直交多元接続方式の仮想5G RAN基盤への実装
○津田顕祐・谷林昭浩・家 哲也・藤井義巳(構造計画研) |
第5世代移動通信システムで用いられるミリ波帯の電波は,通信路を物体に遮蔽されると,急激に受信強度が低下するという問題がある.解決のため,筆者らは,画像から通信端末の受信電力を予測することで,複数の基地局を活用した,遮蔽による無線リンク断を回避するための制御を行う手法を提案している.予測手法には,精確な端末の位置情報が必要となるため,深度カメラの動画像と基地局で測定したミリ波のRSSIを組み合わせて,ミリ波の遮蔽を契機に,端末位置を高精度に推定する手法を提案している.本稿では,ミリ波帯の基地局で形成される,最大50 m程度の通信エリア(ナノエリア)を模擬した実際のフィールドで,車両や人でミリ波の遮蔽を発生させる実験を行い,提案手法を適用した際の有効性の検証結果を報告する.
2025年頃を想定した第5世代移動通信システムの高度化では,高速大容量化のためミリ波の更なる活用が想定される.しかし,ミリ波は通信路の遮蔽により突然の通信断が発生するため,複数の基地局を用いて事前に接続先を切り替えることで回避する手法が考えられている.都市部の屋外でこの手法を実現するためには,ミリ波がカバーできる50m程度のエリア(ナノエリア)を対象に,複数の物体が存在する混雑環境において,遮蔽を事前に予測する手法が必要である.予測手法として,画像を用いた機械学習が提案されている.本稿では,混雑環境における予測精度向上のため,機械学習の入力画像として,フィールドにおける実験から得られた上面図を用いて評価を行った結果を報告する.
Beyond 5G/6Gの主要アプリケーションであるロボットの無線制御といったアプリケーションでは,高信頼・多接続・低遅延といった要求を同時に満たす必要がある.本稿では,これらの要求を満たす物理層技術として,時間・周波数領域を極限まで活用したグラントフリー非直交多元接続(GF-NOMA: Grant-Free Non-Orthogonal Multiple Access)方式と,その復調法を提案する.計算機シミュレーションにより,提案手法の有効性を示し,多数のユーザ端末による低遅延なグラントフリー伝送の実現可能性を明らかにする.
近年,5G以降の無線アクセス方式として,超低遅延な多数同時接続を実現すると期待されるグラントフリー非直交多元接続(GF-NOMA)方式が研究されている.本稿では,ソフトウェア無線技術に基づく仮想5G RAN基盤上に,上り回線GF-NOMA方式を実装した方法と評価結果を報告する.
休 憩(14:15 再開) 座長 淺井裕介(NTT)
B-5-72 |
有相関フェージング環境下におけるマルチユーザ・ジョイント送受信ダイバーシチ
○安達文幸・高橋 領(東北大) |
B-5-73 |
Cell-edge Classification for 2-step Interference Coordination in Multi-cell Distributed MU-MIMO Ultra-dense RAN
◎Chang GE・Sijie Xia・Qiang Chen・Fumiyuki Adachi(Tohoku Univ.) |
B-5-74 |
Antenna Assignment for K-means Based User Clustering in Ultra-dense Distributed RAN
○Sijie Xia・Chang Ge・Qiang Chen・Fumiyuki Adachi(Tohoku Univ.) |
B-5-75 |
光・無線統合制御における送信スペクトルへの影響に関する一検討
○関 裕太・牟田竜二・松川潤也・小杉正憲・松尾英範・外山隆行(パナソニック) |
5G以降の移動通信システムでは更なる周波数利用効率向上および高信頼通信が求められている.マルチユーザ・マルチアンテナ(MIMO)通信技術はそれを達成する有効な通信技術として知られている.この一つに,筆者らが検討しているユーザ毎ジョイント送受信ダイバーシチ(JTRD)とマルチユーザプリ/ポストコーディングとを組み合わせたマルチユーザJTRDがある.基地局(BS)では複数アンテナを設置するのに十分な広さが確保できるが,ユーザ端末(UE)側ではアンテナ間隔が十分に取ることができず有相関フェージングになる.本稿では,UEアンテナ間のフェージング相関がマルチユーザJTRDに及ぼす影響について検討している.
In this paper, we compared two cell-edge classification methods for 2-step graph coloring algorithm in multi-cell distributed MIMO. The simulation results revealed that the cluster-wise cell-edge classification method can maintain the original cluster structure and successfully mitigate the inter-cell interference.
A cluster-wise distributed MU-MIMO is considered to be able to improve the link capacity and mitigate the computational complexity problem of ultra-dense RAN. From our previous study [1], user clustering and antenna assignment achieves higher link capacity of zero-forcing (ZF)-based cluster-wise MU-MIMO. In this paper, we propose a new antenna assignment method and compare it with the methods in [1].
筆者らは,多数且つ多様な通信サービスが同時に発生する状況においても通信品質要求を満たす高信頼なシステムの実現を目的に,適応型RAN (Radio Access Network)技術の研究開発を進めている.適応型RANでは,仮想化技術を用いて無線基地局の機能配置を適応的に制御する.そして,無線基地局の機能配置に応じて光フロントホール(FH)の伝送方式を切り替える光・無線統合制御によりFH伝送効率を向上することができる.本稿では,提案する適応型RANおよび光・無線統合制御について述べ,無線送信スペクトルに与える影響について計算機シミュレーションにより評価する.
休 憩(15:30 再開) 座長 須山 聡(NTTドコモ)
B-5-76 |
適応型RANにおける通信品質保証制御に用いる無線品質情報の評価
◎平山晴久・塚本 優・難波 忍・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-77 |
適応型RANにおける基地局機能配置の分散強化学習の適用
○塚本 優・平山晴久・ムン スンイル・難波 忍・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-78 |
Distributed Reinforcement Learning-based Radio Resource Management Framework for Adaptive RAN
○Seungil MOON・Yu TSUKAMOTO・Haruhisa HIRAYAMA・Shinobu NANBA・Hiroyuki SHINBO(KDDI Research) |
B-5-79 |
バーストの特徴に基づく通信フロー識別方式の検討
○青木 寛・小津 喬・横山浩之(ATR) |
B-5-80 |
サービス継続率を向上させるためのフローへの優先度付与手法
○小津 喬・青木 寛・横山浩之(ATR) |
2025年ごろの5G高度化時代の多様な通信サービスの品質要求を満たすため,筆者らはサービスに応じて仮想化された基地局機能(vCU/vDU)の配置を変更する適応型RANを提案している.適応型RANで多様なサービスの品質を保証するため,制御を司るRANコーディネータが基地局から収集した情報に応じて,vDUへの無線リソース割当をはじめとした制御を行う.情報収集に用いる制御インターフェースの帯域は限られているため,情報量を抑えつつ,通信品質を保証可能な情報を適切に選定する必要がある.本稿では,通信品質の劣化を抑えるための無線品質情報について検討したため報告する.
2025年ごろの5G高度化時代における,大容量,超低遅延,超多接続などの多様な要求品質の通信サービスに対応するため,適応型RAN(Radio Access Network)を提案した.適応型RANでは,多様な要求品質を満足するために,サービス毎のトラヒックの状況に応じて基地局機能の最適配置及び,各スライスへの無線リソース割当の最適制御を行う必要がある.これらの制御に,強化学習を用いることが検討されているが,複数セルの制御を行う場合,行動の選択肢が多いため,学習モデルの肥大化が問題となる.この解決に向けて,基地局機能の配置制御に対して,分散強化学習を適用し,QoS達成率を評価した結果を報告する.
In advanced 5G system, to serve the communication services, we have proposed an adaptive Radio Access Network (RAN) system [1]. As shown in figure 1, multiple virtualized distributed units (vDUs) connected with a single radio unit (RU) share limited radio resources to provide various services in the adaptive RAN. Thus, an efficient radio resource management scheme for vDUs is required to satisfy various requirements from users. However, it is difficult to accurately formulate a complicated RAN system, also the problem becomes more complicated as more parameters are considered. Recently, machine learning (ML) approaches have been applied to radio resource management problems. In particular, the distributed reinforcement learning (RL) that have high learning efficiency come into the limelight. In this paper, we propose a distributed RL-based radio resource management framework to reduce training time for the adaptive RAN.
インターネット上のトラヒックは常に増大傾向にあるほか,低遅延や高信頼性を要求する各種アプリのサービス継続のため品質要求が多様化している.一般的に品質要求が高ければ高いほど,それを実現するにはネットワークリソースを多く使用する必要があるため,リソースを有効に利用するために各アプリの通信フローに対して品質要求を適切に設定する必要がある.しかし近年ではセキュリティのために通信が暗号化されており,多様な通信が混在するトラヒックでは各アプリの通信フローに対して品質要求を適切に設定するのは困難である.本稿では,多様な通信が混在するトラヒックから通信フローを識別する方式を検討した結果について報告する.
インターネット上のトラヒック量は増大傾向にあり,限りあるネットワークリソースの中で高い品質要求のトラヒックが多く流れネットワークが輻輳状態にあると,サービスを継続できない場合が生じることが課題となっている.
多用なフローが流れるネットワークにおいてサービス継続率を向上させるために,MPEG-DASHなど適応制御可能なフローの優先度を調整することでネットワークの輻輳状態をコントロールする手法を検討した.
3月12日 13:00〜16:45 Meeting 13 座長 高橋拓海(阪大)
B-5-81 |
5G基地局共用におけるフロントホール制約を考慮した無線リソース制御方式
○小林崇春・温 允・大山哲平・瀬山崇志・伊達木 隆(富士通) |
B-5-82 |
5G基地局共用におけるフロントホールリソース割当方式の一検討
○温 允・大山哲平・小林崇春・瀬山崇志・伊達木 隆(富士通) |
B-5-83 |
HetNet構成におけるマクロセル基地局上り回線干渉キャンセラーの処理量削減
◎△金田拓也・藤井輝也(東工大) |
B-5-84 |
5G NRチャネルモデル環境下での28GHz帯を用いたHetNetの伝送特性
○西村尚子・大塚裕幸・剱持郁也(工学院大) |
都市部の駅のプラットフォームやショッピングモール、地下街など環境が複雑で高トラフィックが想定されるエリ
アにおいては高密度な基地局(RU: Radio Unit)設置が必要となる.筆者らは効率的な RU 設置展開に向けて,複数のMNO(Mobile Network Operator)の広帯域な信号を扱うことができる共用 RU の開発を行っている.MNO 毎個別に RUを設置する場合(個別 RU)に対して,各 MNO が RU を共用利用することができ,エリア内の送信点(TP: Transmission Point)を増加させることができる.しかし,一つの RU から複数の MNO の無線信号を送信するため,TP 毎のフロントホール(FH: Front Haul)流量が増大するという課題がある. 本稿では,個別 RU に対して FH 流量の増加を許容しない共用 RU 無線リソース制御方式を検討し,その効果について検証を実施した.
都市部の駅のプラットフォームやショッピングモール,地下街など環境が複雑で高トラフィックが想定されるエリアにおいては高密度な基地局(RU: Radio Unit)設置が必要となる.筆者らは効率的なRU設置展開に向けて,複数の移動通信事業者(MNO)の広帯域な信号を扱うことができる共用RUの開発を行っている.MNO毎に専用RUを設置する場合に比べて,共用により低コストでエリア内のRUを増やすことが可能となり,5Gサービスの早期展開につながる.一方で,RU毎のフロントホール(FH: Front Haul)リソース量の制限により,複数MNOの全無線帯域信号を同時に送信できない課題がある.本稿では,共用RUのフロントホールリソースをMNO毎のトラフィック量と接続端末(UE: User Equipment)の通信レートに応じて動的に割り当てする方式を検討し,その効果をシミュレーションにより検証した.
マクロセル内部に同一周波数を用いた複数のスモールセルを設置して構成するHetNet (Heterogeneous Network) 構成は、周波数利用効率を向上させる技術として期待されている。この構成ではマクロセル、スモールセルが共に同一周波数を用いることから干渉抑圧が不可欠である。筆者らは上り回線を対象として、マクロセルにおいて協調制御ネットワークを介してスモールセル端末からの干渉を除去する“ネットワーク連携上り回線干渉キャンセラー”を提案した。本稿では、信号処理量を削減するためにパイロット信号の受信を各スモールセル近辺の端末だけに制限して干渉キャンセルウェイトを生成する上り回線干渉キャンセラーを提案する。
5G NSAは,4Gが管理するマクロセルと5Gが管理するピコセルが重畳する一種のヘテロジーニアスネットワーク (HetNet)の形態である.これまで筆者らは, 28GHz帯を用いた3セクターピコセルからなるマルチバンドHetNetを提案し,そのユーザスループット特性を評価してきた.しかしながら,これまでは2GHz帯マクロセル及び28GHz帯ピコセルに同じフェージングチャネルモデルを用いて評価を行ってきた.本稿では,3GPPで定義された5G NRのチャネルモデルを用いて2/28GHz帯マルチバンドHetNetの伝送特性を評価する.具体的には,システムレベルシミュレーションを用いて,システム全体の平均及び下位5%ユーザスループットを明らかにする.
休 憩(14:15 再開) 座長 張 裕淵(東工大)
B-5-85 |
Intelligent Reflecting Surfaceを用いたセキュア通信におけるQoS制約に基づく電力最適化
◎川井雄登・杉浦慎哉(東大) |
B-5-86 |
複数ユーザへのIntelligent Reflecting Surface割当スケジューリング方法に関する検討‐量子アニーリングの適用‐
○大山貴博(パナソニックSN開発研)・川本雄一・加藤 寧(東北大) |
B-5-87 |
Intelligent Reflecting Surfaceを用いた移動通信システムにおける選択的反射制御手法の提案
◎橋田紘明・川本雄一・加藤 寧(東北大) |
B-5-88 |
屋内環境における反射板を用いた28GHz帯のカバレッジ拡大に関する一検討
◎白坂 潤・三瓶政一・高橋拓海(阪大) |
B-5-89 |
Deep Learning Based Joint Design of Beamforming and Phase Shifts in Intelligent Reflecting Surface-aided MISO Systems
○Siyuan Yang・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.) |
Intelligent reflecting surface (IRS)は入射した電磁波の反射位相や振幅を変化させることが可能であり,それらを適応的に変化させることにより,スペクトル効率・エネルギー効率の高い通信を実現する.この特徴は盗聴者の存在を仮定した物理層セキュリティにおいても有用であり,特にそのシステムパラメータ最適化に関して近年多くの研究がなされている.本発表では従来の秘密レート最大化ではなく,より自由度の高いQoS制約に基づく電力最小化について最適化手法の提案を行う.またシミュレーションにより,手法の有効性について評価を行う.
第5世代移動通信システム以降で利用される高周波数帯は直進性が高く,遮蔽によって通信品質が大きく劣化する.これを解決する技術としてIRS(Intelligent Reflecting Surface)を用いた反射制御が注目されている.複数のIRSおよび複数のユーザが存在する環境下では,効率的な通信が出来るように各ユーザへのIRS割当を行う必要があるが,時間方向における割当スケジューリング方法については研究が行われていない.本稿では,全ユーザの通信を最短で完了させるための割当スケジューリング方法を提案し,これを量子アニーリングで実現するためのQUBO(Quadratic unconstrained binary optimization)式を示す.また,シミュレーションにより提案手法の有効性を明らかにする.
素子の位相応答を動的に変更可能なリフレクトアレーであるIntelligent Reflecting Surface (IRS)は,高周波数帯通信において電波遮蔽に頑強な通信システムを構築する手段として期待される.IRSを用いた通信は受信した電力を目的の地点へ再放射するという点ではリレー通信の一種であるが,IRSは受信機能および信号処理機能を持たないため,従来の通信手順を適用できない場合がある.特に,IRSにおける各素子の位相回転量を適切に設定するためには送信点,IRS素子,受信点を結ぶ伝搬路のCSI (Channel State Information)を得る必要があり,従来の通信システムと比較して伝搬チャネル推定に膨大な時間を要する.そこで本研究グループでは,IRS通信システムにおけるIRS反射制御手法の検討を行っている.本稿では,伝搬チャネル推定にかかる時間の削減と電波遮蔽による不感地帯の解消を両立することを目的とした選択的反射制御手法を提案する.また,計算機シミュレーションにより提案手法の有効性を検証する.
ミリ波帯は直進性が強く,回折・透過・散乱による減衰が非常に大きいという特徴があるため,NLoS (Non Line-of-Sight) 環境においては通信が困難となる.屋内では多くの構造物が存在するためNLoS環境は発生しやすく,それを補うように基地局を設置するには多くのコストがかかることに加えて,構造物の移動に伴ってNLoSスポット位置が変化する.そこで本稿では,エリア内に反射方向が制御できる反射板を設置することで,基地局増設を抑えながら,変動するNLoSエリアをLoS (Line-of-Sight) エリアに変換する方法を提案し,その有効性を工場モデルに基づく光線追跡法 (Ray tracing) を用いた計算機シミュレーションで評価する.
Intelligent reflecting surface (IRS) can improve a communication environment by controlling the reflection phase of the radio waves. There are some works attempting to optimize the performance of the IRS-aided MISO system. In this report, we propose a DL based method without CSI. We formulate the joint design problem to maximize the achievable rate (Rate) of the user and develop a two-step deep neural network (DNN). We estimate the angle of departure (AoD) of IRS in the first step, predict CSI by the AoD and design the BF and PS vector in the second step. Simulation results show that comparing with two benchmarks, the proposed method has a better rate performance.
休 憩(15:45 再開) 座長 北野隆康(鉄道総研)
B-5-90 |
低遅延中継伝送に向けたエッジ処理による画像サイズ削減
◎袁 偉然・丸田一輝・阪口 啓(東工大)・中山 悠(東京農工大) |
B-5-91 |
D2D通信における干渉キャンセル機能付きFog Nodeを用いた無線リソース共有
○京嶋裕幸・張 裕淵・府川和彦(東工大) |
B-5-92 |
ハイブリッドNOMA/OMA選択に基づくバッファ利用協調通信
◎河内 淳(東京農工大)・中井陵太・杉浦慎哉(東大) |
B-5-93 |
エピデミック通信における各端末のバッファの消費を軽減するための情報伝達手法の改善
○川浪皓一朗・稲井 寛・荒井 剛・若林秀昭(岡山県立大) |
カメラ映像によるリアルタイムの遠隔監視及びオブジェクト認識は,大容量・低遅延モバイルネットワークを活用する重要なアプリケーションの一つとして期待される.本稿では,その実現シナリオの一つとして,自動運転・安全運転支援を目的としたシステム構成を検討対象とする.路側機(Roadside Unit: RSU)に設置されたカメラにて取得した映像を,エッジサーバーへ転送し,画像処理により交通状況を把握する.大容量伝送が要求されることからミリ波帯の使用が妥当であるが,カバレッジの観点から中継伝送による構成が望ましい.このとき,複数のRSUノードからの映像トラフィックを多段中継にて収容することから,ネットワーク遅延が増加する.そこで,映像伝送の低遅延化を目的とし,カメラが固定設置された環境を踏まえたRSUエッジ処理による画像サイズの削減手法を提案する.
次世代移動通信においては,M2M(machine to machine)通信を広範囲で行う必要があり,この様なM2M 通信は遅延時間や信頼性,電力効率,周波数利用効率の点で比 較的高い性能が要求される.しかしながら,BS(base station) との通信ではM2M の要求条件を満たせないため,BS を介さ ず短距離での直接通信を行うD2D(device to device)通信が 検討されている.ただし,M2M のアプリケーションは端末の ストレージや処理能力の制約から,BS 上のクラウドで情報を 処理することが多い.このため,データ収集にはD2D 通信を 適用できるものの,最終的にBS との通信が必要となり,これ がM2M アプリケーションの性能劣化を招く.そこで,端末の 近くでM2M 通信を局所的に管理しながらデータ処理を行う Fog Node の導入が提案されている.一方で,直接通信に 比べて通信経路が増え帯域を専有しやすいので,リソース共有 を積極的に行い,周波数利用効率を上げる必要がある.本稿で はFog Node に干渉キャンセル技術を導入し,電力効率を高く 保ちながらリソース共有を行う方法を提案する.
バッファを利用した協調通信においてNOMAモードとOMAモードを適切に切り替えることで,チャネル状態にとらわれずに高レートおよび低遅延を達成する手法を提案する.送信元ノードから中継ノードに対する通信ではダウンリンクNOMA,ブロードキャストおよびユニキャストの中から,中継ノードから宛先ノードに対する通信ではアップリンクNOMA,協調ビームフォーミングおよびユニキャストの中から適切な送信方法を選択する.シミュレーションによる性能評価では,従来手法に比べて高スループットおよび低遅延を達成することを確認する.
無線通信端末の高性能化により,手軽にネットワークにアクセスして情報交換を行うことが可能になった.しかし,災害時に基地局が停止した場合やアクセスが集中し接続が不安定になった場合などは通信ができないという事態に陥ってしまう.その対策として研究されているのが,情報を空間的に拡散し,宛先ノードに伝えるエピデミック通信である.しかし,エピデミック通信ではフラッディングによりデータを送ってしまうため,その分ネットワーク内のノードのバッファを消費してしまう.その課題を克服すべく,中継ノード内に残存する情報パケットを削除するanti-packetという特殊な制御パケットが提案されている.
3月12日 13:00〜17:00 Meeting 14 座長 安達宏一(電通大)
B-5-94 |
HAPSシステムにおけるフィーダリンク用無線装置の試作開発及び基礎実験評価
○松浦一樹・太田喜元(ソフトバンク) |
B-5-95 |
HAPS複数ゲートウェイフィーダリンクシステム対応受信/送信干渉キャンセラーのマルチパス環境下における性能評価
○藤井隆史・太田喜元(ソフトバンク) |
B-5-96 |
ユーザの角度情報に基づくHAPS向けMassive MIMO方式
◎田代晃司・星野兼次・長手厚史(ソフトバンク) |
B-5-97 |
HAPSにおけるユーザ分布を考慮した動的セル制御アルゴリズムに関する一検討
○柴田洋平・高畠 航・星野兼次・長手厚史(ソフトバンク) |
B-5-98 |
複数セル構成におけるファジィQ学習を用いたHAPs動的アンテナ制御
◎和田健史郎・大槻知明(慶大)・柴田洋平・高畠 航・星野兼次・長手厚史(ソフトバンク) |
成層圏プラットフォーム (HAPS)を用いた地上のセルラ携帯端末と直接通信する携帯通信サービスは,サービスエリアの拡大,災害時の通信手段として非常に魅力的である.HAPSの通信回線は地上に設置されたゲートウェイ(GW)局とHAPS間を結ぶフィーダリンク,HAPSとユーザ端末間を結ぶサービスリンクから成る.また,フィーダリンク用の無線装置では,GW局とのリンクだけではなくHAPS間通信や航空機向けのバックホール等としての利用も想定される.そのため,目標物との位置関係やHAPSの姿勢変化を考慮した,高精度なビーム方向制御が必要となる.そこで当社では,従来提案していたフィーダリンク用アンテナの構成及びビーム方向制御を搭載したフィーダリンク無線装置の試作機を開発した.本稿では開発したフィーダリンク無線装置について説明する.
成層圏プラットフォーム(HAPS)を用いて地上のセルラ携帯端末(携帯端末)と直接通信する携帯通信サービスは,サービスエリアの拡大,災害時の通信手段として非常に魅力的である.HAPSと地上基地局(ゲートウェイ)間の通信であるフィーダリンクの周波数有効利用を目的に,同一周波数を空間分割多重する“複数ゲートウェイ(GW)システム”を提案し,地上からHAPSへの通信であるフォワードリンク(FL)およびHAPSから地上への通信であるリバースリンク(RL)が共に同一周波数干渉を低減する干渉キャンセル技術を提案した[1],[2].本稿では,提案干渉キャンセラーのマルチパス環境での干渉低減能力の評価を行った.
6Gにおけるカバレッジ拡張を実現する技術として,携帯端末と直接通信を行う成層圏プラットフォーム(HAPS: high-altitude platform station)が大きな注目を集めている.HAPSは在圏ユーザ数が非常に多いことから,頻繁なCSI (channel state information)推定やCSIの直交度を規範とするユーザ選択を行う一般的なmMIMO (massive MIMO)方式を適用する場合,演算量が多いことが課題である.本稿では,CSIの代わりにユーザの角度情報を利用することで演算量を大幅に削減するHAPS向けmMIMO方式を提案する.計算機シミュレーションにより,提案方式は複数回のソートを行うだけでCSIの直交度に基づく従来のユーザ選択手法と同等の性能を実現することを示す.また,提案方式はユーザ選択を行わない場合の約1.37倍の容量を達成することから,CSIを利用しない場合においても,低演算量で一定の容量改善効果が得られることを示す.
高度20kmの成層圏から直接地上の携帯端末に超広域の移動通信サービスを提供できるHAPS(High-Altitude Platform Station)システムは大規模災害等を用途とした新たな通信プラットホームとして注目されている。筆者らはこれまで一様のユーザ分布を仮定してセル構成の最適化検討を行ってきた。しかし、実際にはユーザ分布は必ずしも一様ではなく、また、ユーザの移動により時間帯に応じてユーザ分布が変化する。筆者らはこれまでビーム幅およびビーム方向を動的に変えることが可能なアクティブフェーズドアレイアンテナを検討してきており、本アンテナを用いることで動的にセルの場所や大きさを制御することが可能である。本稿では、時々刻々と変化するユーザ分布に対して、カバレッジの制約条件を満たす範囲内で、動的に細かな粒度でアンテナパラメータの最適化を行う手法を提案する。具体的には、到来方向推定や端末からのフィードバックなどにより得られるユーザ位置情報を用いて、遺伝的アルゴリズムによりアンテナパラメータを最適化する。
近年,急増する無線トラヒックを収容する方法として,高度 17km-20km の成層圏で動作する航空機に無線基地局機能を搭載した HAPs (High Altitude Platforms) でのミリ波の利用が考えられている.
しかし複数セル構成における HAPs では,風圧による影響でセル範囲が移動してしまい,それに伴って,端末にハンドオーバが生じてしまう.
このようなハンドオーバを抑制するには,HAPs ビーム制御が必要である.
本稿では,複数セル構成におけるファジィ Q 学習を用いた HAPs 動的アンテナ制御を提案する.
休 憩(14:30 再開) 座長 眞田幸俊(慶大)
B-5-99 |
移動通信における有線給電ドローン無線中継システムの実証実験
◎藤井輝也・張 亮・松浦一樹・飯塚哲也・前迫敬介・米田 進・千葉武伸(ソフトバンク) |
B-5-100 |
セルラー網を活用したドローン無線中継システムによる携帯端末の位置特定の実証実験
○張 亮・前迫敬介・飯塚哲也・松浦一樹・須藤渉一・江田紀一・米田 進・千葉武伸(ソフトバンク)・藤井輝也(東工大) |
B-5-101 |
ビームフォーミングを活用した地上と上空セルで構成する三次元空間セル構成における周波数共用の最適化
◎橘田 真・藤井輝也(東工大) |
B-5-102 |
HAPSと地上セルラーシステムが周波数共用した場合のHAPS下り回線干渉キャンセラーの検討
◎△柳川竜輝・藤井輝也(東工大) |
B-5-103 |
衛星搭載AISにおける衝突パケット数3以上の信号検出
◎野﨑航平・張 裕淵・府川和彦(東工大)・平原大地(JAXA) |
災害などで通信障害が発生している携帯電話サービスエリアを迅速に復旧させる取組みの一つとして、当社では係留気球に非再生無線中継装置(リピータ)を搭載した係留気球無線中継システムを開発し、全国の拠点に配備した[1]。一層のシステム構築の迅速化、簡便さを図るため、ドローンに非再生無線中継システムを搭載し、地上から有線給電することで長期間運用を可能とする有線給電ドローン無線中継システムを開発した[2]。本稿では開発システムを用いた実証実験を行ったのでその結果を説明する。
携帯端末に標準的に搭載されているGPS機能を活用して、圏外エリアでの遭難者の迅速な救助を支援する「ドローン無線中継システムを用いた遭難者位置特定システム」を提案した 。本システムはドローンにセルラー無線中継装置を搭載し、山岳など端末が通信できない圏外エリアを臨時に圏内エリア化し、携帯通信網を介して遭難者の位置(GPS)情報を取得し、捜索側に精度の高い位置情報を提供する。本システムは圏外である様々な遭難(山岳、積雪、土砂、瓦礫)に対応可能である。本稿では、様々な圏外を想定した実証実験を実施した結果を報告する。
近年ドローンなど上空で用いられる技術の発展が著しい。ドローンの飛行制御や撮影した映像データの転送などにおいて上空での無線通信の利用は必要不可欠である。その際、現状地上で最も通信エリアの広い既存の携帯通信網の利用が期待されている。しかしながら、現行の携帯通信システムは基本的に地上端末を想定して通信品質の最適化がなされており、上空での通信品質は考慮されていない。筆者らは5Gのビームフォーミング技術を活用して、各基地局で地上セルと上空セルが同一周波数を共用する“3次元空間セル構成”について検討し、上り回線での有効性を評価した。本稿では、基地局アンテナの最適化の検討結果を示す。
成層圏の高度約20kmを飛行するHAPS (High-Altitude Platform Station) と地上セルラーが同一周波数を共用する場合(以下、HAPSセルラー)、相互の干渉回避技術が不可欠である。マクロセル内に複数のスモールセルを設置し、同一周波数を利用するHetNet構成で、下り回線干渉を除去(回避)技術として、スモールセルの下り回線信号にマクロセルのキャンセル信号を重畳して送信する“スモールセル送信干渉キャンセラー”が提案されている。HetNet構成のマクロセルをHAPS、スモールセルをマクロセルと見做せば同様の構成となり、HetNet構成での干渉回避技術が適用できる。本稿では、地上セルラー端末へのHAPSからの下り回線干渉キャンセラーを提案する。
日本の領海では海洋上の安全のため,全ての大型船舶に対してAIS(Automatic Identification System)の搭載が義務付けられている.JAXAは衛星を用いて,公海等遠洋上に位置する船舶が発するAIS信号を受信する衛星搭載AISの実験を行っている.しかしながら,衛星の受信範囲が広いため,複数のAISパケットが衝突し伝送特性が劣化する問題がある.このため,SIC(Successive Interference Cancellation)やPIC(Parallel Interference Cancellation)による衝突パケット数2の分離検出が検討されてきた.本稿では,衝突パケット数が3以上の場合においても演算量の増加を抑えつつ良好な誤り率特性を維持するため,SICやPICを組み合わせた検出器を提案する.ライスフェージング条件下で衝突パケット数を3と仮定し,計算機シミュレーションにより提案手法の伝送特性を明らかにする.
休 憩(16:00 再開) 座長 岩渕匡史(NTT)
B-5-104 |
URLLCのためのMixed Numerologyを用いたリソース割り当ての性能評価
◎武居勇樹・眞田幸俊(慶大) |
B-5-105 |
高速道路環境におけるURLLCのSNR分布と早期HARQ再送制御の性能解析
◎塩満優作・岡本英二(名工大)・三上 学・吉野 仁(ソフトバンク) |
B-5-106 |
5G基地局仮想化におけるパケット中継の遅延低減に関する一考察
○宮下 怜・清水貴志・兵頭和樹(富士通研)・村川 博(富士通関西中部ネットテック)・石原智宏(富士通研) |
B-5-107 |
セルフリーMIMOにおけるグラントフリー接続のための双線形推論に関する一検討
飯盛寛貴(Jacobs Univ. Bremen)・高橋拓海(阪大)・○石橋功至(電通大)・アブレウ ジュゼッペ(Jacobs Univ. Bremen) |
本研究ではURLLCユーザとeMBBユーザが同一帯域を使用する状況で,URLLCユーザがeMBBユーザの2倍のサブキャリア間隔を用いるリソース割り当てを提案する.URLLCユーザの1スロット分の持続時間は,eMBBユーザの0.5スロット分に相当する.URLLCユーザに十分なリソースブロックが割り当てられた場合は,サブフレーム後半を不使用とすることで遅延量の削減が期待できる.システムレベルシミュレーションにより,提案法ではURLLCユーザのパケット生起が頻繁でない場合に遅延量を削減できることを示す.
第5世代移動通信システム(5G)の要求シナリオに,自動運転などを目的としたultra-reliable and low latency communications(URLLC)があり,自動運転,遠隔運転を目的としたトラック隊列走行の取り組みなどがなされている.URLLCの実現のために無線伝送における高信頼性と超低遅延性を同時に実現する技術が求められており,我々はこれまで高信頼・低遅延を実現するearly hybrid automatic repeat request(early HARQ)を提案した.しかしチャネル推定を理想としたリンクレベルでの検討にとどまっており,より実際に近い環境での性能が明らかではなかった.そこで本稿では高速道路環境において車両を距離50 km走行させたときのsignal-to-noise ratio(SNR)分布の解析および,チャネル推定に参照信号を利用した時のearly HARQの評価を行う.そして,実環境下でも特性改善が得られることを計算機シミュレーションにより明らかにする.
5Gでは特長の1つとしてURLLCが挙げられており, 超低遅延の実現が要求されている.また,柔軟なネットワークを提供するための,汎用サーバ上にソフトウェアによる仮想化基地局を構築する技術も必要とされている.しかし,汎用サーバでの実装ではベースバンド処理やネットワーク処理(パケットのルーティング/フォワーディング)に性能面での懸念がある.本稿では後者に着目し,まずソフトウェア実装での転送遅延を計測し,URLLCの要求性能と比較した.さらに我々が開発したルーティングのハードウェアオフロードを用いた場合との性能比較を行い,オフロードの有効性について考察した.
本稿では,多数のアンテナとディジタル信号処理部を光フロントホールによって接続することで,アンテナ同士を空間的に離すことで低い空間相関を実現し,高いサービス品質を達成するセルフリーMIMO(CF-MIMO: Cell-Free Multiple-Input Multiple-Output)通信において,超高信頼低遅延(URLLC: Ultra-Reliable and Low Latency Communications)通信を実現するグラントフリー接続法を提案する.具体的には,双線形推論を用いてアクティブユーザ検出・通信路推定・マルチユーザ信号検出を一括して行う新規アルゴリズムの提案を行う.計算機シミュレーションにより,本提案方式の有効性を示し,セルフリーMIMO通信におけるグラントフリー接続の実現可能性を明らかとする.
B-5. 無線通信システムB(無線アクセスネットワーク)
3月9日 9:00〜11:30 Meeting 14 座長 奥山達樹(NTTドコモ)
B-5-108 |
コンパンディング法を用いた帯域内全二重におけるビット誤り率の理論解析
◎岡野公太・小松和暉・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-5-109 |
帯域内全二重無線のための非線形補償受信機を用いたビット誤り率の改善
◎佐藤栄作・小松和暉・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-5-110 |
帯域内全二重無線システムにおける送受信アンテナ間の自己干渉についての研究(その1:平面アンテナの場合)
○李 可人・趙 欧・廖 偉舜・松村 武・児島史秀・原田博司(NICT) |
B-5-111 |
他セル干渉下でのCRDSAに適した送信電力制御に関する検討
◎池田知隆・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-5-112 |
Outage Analysis of One-Source-with-One-Helper Transmission in κ-μ Shadowed Fading Multiple Access Channels
○Shen Qian(Kanagawa Univ.)・Jiguang He(Univ. of Oulu)・Shulin Song(JAIST)・Takamasa Imai(Kanagawa Univ.)・Tad Matsumoto(JAIST) |
帯域内全二重における自己干渉除去手法の一つに線形自己干渉キャンセラがある.この手法は低計算量であるが,自己干渉信号が電力増幅器による非線形増幅を受けた場合,除去性能が劣化する.私たちは先行研究で,コンパンディング法を用いて電力増幅器に入力する信号のピーク対平均電力比を低減し,自己干渉除去量を改善する手法を提案した.しかし,このときの所望信号のビット誤り率は解析されていない.そこで本稿では,コンパンディング法を用いた帯域内全二重におけるビット誤り率の理論式を導出し,シミュレーション結果と比較する.
同一時間および同一周波数で送受信を行う帯域内全二重無線は,自己干渉(Self Interference: SI)が問題となる.ディジタル領域でSI信号の線形成分を除去する手法として線形SIキャンセラがあるが,電力増幅器(Power Amplifier: PA)の非線形性により,SI信号に非線形歪みが生じると,SI除去性能が劣化する.SI除去性能の向上と,BER劣化の抑制を目的として,送信機におけるクリッピングと,受信機における非線形補償を導入した全二重システムを提案する.シミュレーションの結果,従来手法に比べてPAの入力電力を上げた際の非線形増幅の影響を抑制できるため,達成可能な最小のBERを1.35分の1改善した.
本稿では、帯域内全二重(In-band Full-Duplex: IBDF)無線システムにおける送受信アンテナ間の自己干渉(Self-Interference: SI)について、平面アンテナであるマイクロストリップパッチアンテナを用いた場合のアンテナ配置依存性、アンテナ間距離特性、周波数特性等の研究結果を報告する。
Contention Resolution Diversity Slotted ALOHA(CRDSA)は逐次干渉除去により高いスループットを達成できる.しかし,干渉を受けると大幅にスループットが劣化する問題が生じる.この干渉の影響を低減する現象として,捕捉効果がある.捕捉効果を活用するには,送信電力を選択する戦略が重要となるが,干渉が発生する環境での送信戦略については十分に検討されていない.そこで本稿では,他セルからの干渉を受けるマルチセル環境に適した送信電力の制御方法について検討する.
This paper investigates the performance of one-source-with-one-helper transmission over multiple access shadowed κ-μ fading channel. The sufficient condition for lossless transmission is specified by the intersection of the unilateral Slepian-Wolf region and the multiple access channel region by assuming the source-channel separation holds. The outage probability upper bound expression is derived based on the sufficient condition. Monte-Carlo simulations verifies the accuracy of the analytical results. It is found that the shadowing has significant impact on the outage performance, however, has no impact on the diversity gain.
休 憩(10:30 再開) 座長 衣斐信介(同志社大)
B-5-113 |
OFDMにおけるSparse Codingを用いた位相雑音補償
◎赤葉尚樹・林 海・江 易翰(阪府大) |
B-5-114 |
パイロット汚染存在時のMassive MIMOにおけるチャネルエイジングを低減するチャネル推定
◎廣瀨大輝・大槻知明(慶大) |
B-5-115 |
広帯域シングルキャリアMIMOシステムにおける周波数領域ウェイトに基づく時間領域FIRビーム形成
◎栗山圭太・福園隼人・吉岡正文・宮城利文(NTT) |
B-5-116 |
FIR送信ビーム形成を用いたMIMO-SC-FDE系における通信路推定精度向上法
○福園隼人・栗山圭太・吉岡正文・宮城利文(NTT) |
直交周波数分割多重方式(OFDM)は,そのスペクトル効率の高さと周波数選択性フェージングの影響を受けにくいことから現代の無線通信技術では欠かすことができない.しかしながら,OFDMの性能は局部発振器の位相雑音の影響によって悪化する.位相雑音を補償する研究は周波数領域のものと時間領域のものに大別できる.時間領域において,従来法では離散フーリエ変換(DFT)や離散コサイン変換(DCT),Karhunen-Loeve(KL)変換の基底などを用いている.通常は位相雑音のサンプル数よりも推定に利用できるパイロット信号の数が少ないため,この基底の選び方が位相雑音の推定の正確さ, ひいてはOFDMの性能へと影響する. 本研究では,時間領域における位相雑音補償に焦点を当て,データ学習技術の一種であるSparse Codingを用いて位相雑音の重要な基底を抽出する手法を提案する.
Massive MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) の基地局は,ユーザに対する正確なCSI (Channel State Information) を必要とするが,パイロット汚染が生じると,チャネル推定精度が劣化する.深層学習を用いた手法は,その影響を低減できるが,チャネルエイジングによる影響を考慮していない.本稿では,チャネルエイジングの影響を低減するため,パイロット部とデータ部のチャネル推定に深層学習を用いる判定指向型のチャネル推定法を提案する.深層学習によってデータ部の受信信号に含まれるセル間干渉とセル内干渉を低減した後,スムージングフィルタによって誤差の大きい箇所を周辺データを用いて平滑化する.計算機シミュレーションを通して,提案法は従来法や内挿法と比べて,チャネルエイジング発生時にチャネルのNMSE (Normalized Mean Square Error) 特性を改善することを示す.
近年,SC (Single Carrier)方式を採用する広帯域MIMOシステムの検討がされている.これに対し,筆者らは時間領域のFIR (Finite Impulse Response) フィルタ処理で時間方向のシンボル間干渉と空間方向のストリーム間干渉を抑制する,FIR ビーム形成を提案した.この手法では, IFFTやCP 挿入 などのブロック処理が不要なため,処理遅延の削減が期待できる.しかしながら,従来のFIR ビーム形成では,伝達関数行列を用いて時間領域でウェイト生成を行うため,SVD (singular value decomposition) などの複雑な演算が困難であった.
本稿では,周波数領域で生成したウェイトを用いて,時間領域でFIRビーム形成を行う手法を提案する.FIRビーム形成によるTD (Time domain) -SVD-MIMOがSINR 特性を改善させることを計算機シミュレーションにより示す.
FIR送信ビーム形成を適用したMIMO-SC-FDE 系について,各ストリームに対する等価的なSISO通信路の応答が同一になることに着目し,通信路
推定結果を合成することで精度を向上させる手法を提案する.
3月9日 13:00〜17:00 Meeting 14 座長 牟田 修(九大)
B-5-117 |
無線LAN保護のための仮想専用チャネル構築法における稼働守衛端末の動的選択法
◎山田健志・宮本伸一(和歌山大) |
B-5-118 |
Trigger-based Uplink Accessを用いたリアルタイムトラフィック制御
○近藤良久(ATR)・四方博之(関西大)・横山浩之(ATR) |
B-5-119 |
IEEE 802.11ax無線LAN における高優先フレーム保護手法
◎大谷花絵・岸田 朗・井上保彦・永田健悟・淺井裕介・鷹取泰司(NTT) |
B-5-120 |
高効率無線LANアクセス制御のための冗長検査情報収集システムの設計
○矢野一人・新居英志・鈴木健太(ATR)・山本高至(京大) |
B-5-121 |
Lazy Learning-Based Self-Interference Cancellation for In-Band Full-Duplex Wireless Communication Systems
○Ou Zhao・Wei-Shun Liao・Keren Li・Takeshi Matsumura・Fumihide Kojima・Hiroshi Harada(NICT) |
不特定多数のBSS (Basic Service Set) で周波数資源を共用する無線LANでは,個々のBSSの伝送性能を保証することは不可能である.この問題に対し,これまで我々は,比較的広域なプライベート空間を対象とし,エリアオーナによって設置された端末(守衛端末)から継続的に媒体予約期間を報知することで,外来者のBSS(外来BSS)の割り込みを排除する仮想専用チャネル構築法を提案した.本稿では,仮想専用チャネル構築法においてエリアオーナBSSの位置を考慮してエリアオーナBSSの伝送に影響を及ぼすと予測される場合のみ外来BSSの近傍の守衛端末からNAVを通知する手法を提案し,その有効性を明らかにする.
製造や物流,建設などの産業分野において,現場の様々なアプリケーションを無線化することに対する期待が大きい.通信方式としては5Gが注目を集める一方,自前での敷設や運用が容易であるという利点を持つことから,無線LANへの期待も依然大きい.しかし,産業応用では,安定なリアルタイム通信を求められることが多く,その実現には更なる無線LANの性能向上が望まれる.本稿では,Wi-Fi 6としても注目されるIEEE 802.11axの,Trigger-based Uplink Access(TUA)に着目し,これを用いた適応制御のリアルタイム通信への応用と、そのシミュレーションによる評価結果に関して報告する.
IEEE 802.11無線LANでは,複数BSSが同一周波数で運用され地理的に重複配置されたOBSS環境において,AP/STAが他局からの干渉信号により過度な通信抑制を行う「さらし端末問題」が課題となる.この影響低減の為,IEEE 802.11axドラフトでは,他BSSのAP/STAが送信したフレームのキャリアセンスの電力閾値 (CCA閾値) を自BSSのそれより高く設定し面的周波数利用効率を高めるSR (Spatial Reuse) 機能が規定された.しかし,SRでは他BSSの送信フレームの優先度種別は確認しない為,あるBSSの高優先通信に対し他BSSの低優先通信が影響を与え,高優先通信の伝送遅延を増大させる場合がある.本稿では,高優先フレームに対しては他BSSの通信であっても自BSSと同等のCCA閾値を用いることで保護を行う選択的CCA閾値設定法を提案し,計算機シミュレーションにより効果を示す.
無線通信においては通信の成否は確認できる一方,フレーム損失など通信品質の要因は一般に不明である.そこで,通信品質要因の特定に資するフレーム送信区間などの「冗長検査情報」を収集して通信品質要因を解析し,その結果に基づいて高効率な無線パラメータ設定を行うアクセス制御技術が提案されている.また,筆者らはこれまで無線システムに非依存な冗長検査情報の収集方法に関する検討を行っている.今回はIEEE 802.11無線LANを対象に,スニファ(フレームキャプチャ)を用いて冗長検査情報を収集するシステムの設計を行った結果を報告する.
In uni-directional in-band full-duplex (IBFD) systems, since self-interference (SI) at BS is very strong compared to the received desired signals, more efficient cancellation approaches need to be employed. To achieve a significant suppression to SI and enable the IBFD transmissions in cellular systems, we propose a lazy learning (LL)-used digital cancellation (DC) and evaluate it with use of antenna and analog cancellations (AACs).
休 憩(14:30 再開) 座長 山本高至(京大)
B-5-122 |
IFoFで5Gミリ波無線信号を光伝送する場合のIF周波数の選定検討
○桂 勇男・川瀬大輔・船田知之(住友電工) |
B-5-123 |
波長固定ビームフォーミング性能向上のためのビーム制御方法
○菅 瑞紀・伊藤耕大・新井拓人・白戸裕史・北 直樹(NTT) |
B-5-124 |
ミリ波RoFシステムにおける送信順序制御方法の適用領域に関する一検討
○後藤和人・俊長秀紀・北 直樹(NTT) |
B-5-125 |
ソフトウェアおよびハードウェア無線環境エミュレータの統合実験
宮地利幸・○明石邦夫(NICT)・船田悟史(イーツリーズ・ジャパン)・表 昌佑・石田陽太・宮澤義幸(NICT) |
B-5-126 |
VHF帯無線システムの複数アンテナを用いたチャネル容量の実験的検討
○永瀬文昭・吉岡正文・宮城利文(NTT) |
5G超高速通信を至る所で実現するには5Gミリ波エリアの拡充が不可欠であり、その実現のために多くの無線基地局を設置する場合、小型化への強い要求が予想される。
アナログRoF(Radio over Fiber)は、無線信号を光信号に変換して光伝送する方式である。特に取り扱いしやすいように中間周波数(IF周波数)に変換して光伝送する方式はIFoF(Intermediate Frequency over Fiber)と呼ばれている。
IFoFを無線基地局フロントホールに適用すると、基地局集約局にディジタル信号処理が集約されるため、基地局張出局での同処理が軽減し、小型化への貢献が期待できる。本稿は、5Gミリ波基地局でIFoFを適用したときのIF周波数の選定検討について述べたものである。
RoFを用いた高周波数帯無線システムにおいてRRUを最大限簡易化するための波長固定BF手法を提案している.本BF手法は光ファイバの波長分散に起因する位相差により素子数増加に伴いビームが崩れ特性が劣化する.本稿では本BF手法でビーム崩れを低減するビーム制御方法を提案する.
ミリ波など高周波数帯を活用する無線システムにおいて, RoF技術を用いた検討が行われている.ミリ波RoFシステムは,アクセス制御と信号処理を行うCSと,アンテナ及びRF部から構成される複数のRRU間を最大10km程度の光ファイバで接続する.そして,RRUを介してWTが無線接続されている.
ミリ波RoFシステムでは伝搬遅延の増大に伴う伝送特性劣化が問題となる.伝送特性を改善するために,衝突を回避する方法が提案されている.しかし,これらの方法では,長遅延に起因する無線帯域の空き時間を有効活用できない.そこで,筆者らは,伝搬遅延時間を考慮して送信順序を制御する方法を提案した.本稿ではシミュレーション評価を用いて本方法の適用領域を明らかにする.
携帯デバイスなどの大幅な普及により無線環境は複雑化し、さらに新たな無線技術および無線通信を前提としたサービスやアプリケーションソフトウェアが開発、提供されている。このような技術の検証に際し、電波環境は再現性が乏しく、また実際に電波を送出しての検証は様々なコストが大きい。我々はこのような検証を容易に実施可能とするため、有線環境ネットワークを無線環境に模倣する技術を開発してきた。本稿では、本研究で開発を進めてきた要素群を統合的な検証実験の実施計画について述べる。
VHF 帯を用いた無線通信では長距離伝送が可能である.そこで防災通信に用いられるなど重要性が増しており,通信速度の高速化が望まれている.高速化の実現手段として複数のアンテナを用いるMIMO(Multi-Input Multi-Output)技術の利用が有効となる.VHF帯の長距離伝送では陸上伝送特性について報告がある.本稿ではそれぞれ2本の送受信アンテナを用いた2×2MIMO無線伝送実験による長距離海上伝送および特性チャネル容量の評価結果を報告する.
休 憩(16:00 再開) 座長 成末義哲(東大)
B-5-127 |
製造現場の無人搬送車に対する無線安定化機能の評価
○大堀文子・板谷聡子・中島健智・雨海明博・大須賀 徹・児島史秀(NICT) |
B-5-128 |
製造現場における無線通信の評価に関する一考察
○大須賀 徹・中島健智・板谷聡子・児島史秀(NICT) |
B-5-129 |
5G ARグラスを用いた安全運転のための死角透視技術
◎瀧澤実優・阪口 啓(東工大) |
B-5-130 |
道路交通環境における実時間通信状況の検証
○表 昌佑・宮澤義幸・宮地利幸・児島史秀(NICT) |
製造現場では自動ロボットを用いて省力化・省人化する動きが活発化しており,搬送設備としてAGV(Automated Guided Vehicle)と呼ばれる移動体が用いられている.本稿では,製造現場で通信品質が劣化する状況を再現し,実通信データから移動に伴う課題を整理し,Smart Resource Flow無線プラットフォーム(SRF無線PF)による通信安定化手法を移動体に適用した場合の効果について評価を行う.
製造現場では,生産工程の効率化のためWi-Fiなどの無線通信の利用が増加している.一方で,多数の無線工具を導入すると,干渉等により通信品質が劣化し,却って生産効率が悪化する可能性がある.そのため,製造現場では無線工具を安定して何台導入できるかが無線通信の性能指標として必要とされている.そこで本稿では,機械組立工場で取得したデータをもとに,相関関係から無線工具の導入可能台数を算出する.
現状のDSRCやC-V2Xでは,アラート機能などにより運転の安全性を向上させているが,これから導入が期待されるミリ波V2Xでは,路側機などに設置されたLiDARやカメラなどのセンサデータを直接取得することでより安全な運転環境を実現できる.本研究では,ミリ波V2Xを活用したアプリケーションの一つとして,交差点に設置した路側機から得た死角の情報をARグラスに投影し,直接死角を透視できる技術の実装を行った.単なる死角の映像ではなく,ARグラスを用いることで,運転者は現実世界の視覚情報にバーチャルな死角情報を重畳することができるため,よりわかりやすく危険物を察知することにつながる.
本稿では、具体的な実環境のアプリケーションとして道路交通環境を想定した無線状態を測定し、エミュレータ等の結果と比較するためのソフトウェア無線機を用いた実環境の評価基盤の構築と通信品質の測定を行った。さらに、通信測定の検証のため、実測定とレイトレースとの比較を行った。
3月12日 9:00〜11:30 Meeting 14 座長 宮路祐一(豊橋技科大)
B-5-131 |
階層型クラスタリングを用いた可動基地局配置制御法
○中平俊朗・佐々木元晴・守山貴庸・鷹取泰司(NTT) |
B-5-132 |
フェーズドアレイアンテナを用いたUAV-WSNシステム
◎武 祐太・吉井一駿・嶋本 薫(早大) |
B-5-133 |
動的ユーザ分布に対するUAV基地局の配置手法に関する検討
○小笹聖典・タン ザカン・阪口 啓(東工大) |
B-5-134 |
LPWANにおけるUAVリレーの導入効果に関する検討
◎熊田遼汰・川上純平・安達宏一(電通大) |
ユーザに無線ネットワークを意識させないナチュラルな通信環境の提供を目指し,マルチ無線プロアクティブ制御技術(Cradio®)の研究開発を進めている.本稿では,Cradioの無線ネットワーク動的制御技術の1つとして検討中の可動基地局配置制御に対し,階層型クラスタリングを用いた制御法を提案し,計算機シミュレーション評価により提案法の有効性を示す.
ドローンなどの無人飛行機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)を用いて,無線センサネットワーク(WSN:Wireless Sensor Network)の情報を効率よく取得することを目的としている.本研究ではUAVに搭載するアンテナにフェーズドアレイアンテナを想定したシミュレーションを行う
非常災害時では,映像伝送による災害地現場の情報収集や避難情報の配信など,高速無線通信インフラを迅速かつ安定的に供給することは必須である.そのため非常災害時において無線通信インフラをUAV(Unmanned aerial vehicle)に搭載し,アクセスリンクでのサービス提供を考える.UAVを用いたアクセスリンクでは,ミリ波インターフェースを用いることで高速なインフラ配備や見通し環境の確保が期待できる.これまでは瞬時的なユーザ分布に対してのUAV配置について検討されてきたが,ユーザの移動によってカバレッジ特性の劣化等が考えられる.そのため,本稿ではユーザの移動性を考慮した上で,動的なUAVの配置法を検討し,数値解析を行ったので報告する.
近年,モノのインターネット(IoT)の発展に伴い,低消費電力かつ長距離通信が可能なLoRaWANに代表される省電力広域ネットワーク(LPWAN)が注目されている.
これらの規格では,頻繁にパケット衝突が発生することに起因して端末数が増加するにしたがいパケット配信率(PDR)が低下する.そこで本稿では,無線通信機能を搭載した無人航空機(UAV)をリレー局として用いる検討を行う.UAVをセンサ端末(ED)から情報集約局への中継を行う補助的情報集約局として機能させることで,パケット衝突やパケット損失の回避を図る.
休 憩(10:15 再開) 座長 中島昭範(三菱電機)
B-5-135 |
パケット型インデックス変調におけるクロックドリフト補償法
◎鶴見康平・蕪木碧仁・安達宏一(電通大)・田久 修(信州大)・太田真衣(福岡大)・藤井威生(電通大) |
B-5-136 |
パケット型インデックス変調を用いるLoRaWANの実装評価
○安達宏一・鶴見康平・蕪木碧仁(電通大)・田久 修(信州大)・太田真衣(福岡大)・藤井威生(電通大) |
B-5-137 |
複数周波数チャネルを考慮した自律分散型パケット衝突回避法
◎蕪木碧仁・安達宏一(電通大)・田久 修(信州大)・太田真衣(福岡大)・藤井威生(電通大) |
B-5-138 |
蓄電池監視無線化に向けた多数モジュール無線接続技術
○内田大輔・米澤祐紀・堤 由佳子・坂本岳文・秋田耕司(東芝) |
B-5-139 |
CRC符号の深層展開に基づく誤り訂正復号に関する一検討
○張 岐林・衣斐信介(同志社大)・高橋拓海(阪大)・岩井誠人(同志社大) |
著者らは LoRaWAN(Long Range Wide Area Net-work) において,パケット型インデックス変調 (PLIM: Packet-Level Index Modulation) を提案した.これは LoRaWAN において各端末が送信するパケットの時 間間隔が一般的に大きいこと着目した伝送方法である. 各端末において,送信データ系列に基づいてパケットの送信周波数チャネルおよび送信スロットの組み合わせ (イ ンデックス) を決定し,送信する.ゲートウェイ (GW: GateWay) ではどの周波数チャネルと時間スロットを用いてパケットが送信されたかを推定することでインデックスの情報を得る.しかしながら一般的に,GW と端末 の持つクロックの進み具合には,ずれが生じる .このクロックの進み具合の違い(クロックドリフト)によって GW において正しく時間インデックスを推定出来ない可能性がある.本稿では,クロックドリフトを考慮した時間インデックス推定法を提案する.
筆者らは,LPWAN (Low Power Wide Area Network)の一つであるLoRaWAN において,パケット型インデックス変調(PLIM: Packet-Level Index Modulation) を提案した[1].PLIM は,ノードから送信されるパケットの多くが周期的に生成され,時間軸において疎であることに着目し,既存の標準化技術を変更することなく伝送効率を向上させることが可能である.各ノードは生成された情報に基づき,パケットの送信周波数チャネルおよび時間スロット(インデックス)を決定することで,パケット内で送信されるデータに加えて,インデックスにより情報を伝送する.本稿では,PLIM を市販のLoRaWAN端末およびゲートウェイ(GW: GateWay) に実装した結果について報告する.また安価なノードとGW 間のクロックドリフトに起因する時間インデックス誤検出を避けるための補償法[2] も実装し,その効果を評価する.
近年,モノのインターネット(IoT)や機械(M2M)通信などに用いる通信規格として,LoRaWANに代表される省電力広域ネットワーク(LPWAN)が注目されている.これらの規格では簡易なMAC層アクセス方式を使用しているため,イベント検知等により複数端末が同時にパケット送信を行う場合,通信品質が激しく低下する.筆者らは以前,自律分散型スロット化パケット送信制御法により,イベント検知時における通信品質の向上が可能であることを示した.本稿では,複数周波数チャネルが利用可能な環境において,周波数チャネルを考慮したを自律分散型パケット衝突回避法を提案し,計算機シミュレーションにより評価する.
近年,余剰電力を用いて蓄電池を充電し,需給バランスに応じて電力を供給するシステムが注目されている.このシステムでは,電池モジュールが直列に接続され,電圧,温度を監視するCMU (Cell Monitoring Unit) が装着されている.それらの情報はBMU (Battery Management Unit) に送られ,異常検出時に電池を保護する機能を持つ.BMUとCMU間は一般的にCAN通信などの有線通信が用いられるが,メンテナンスコストや絶縁の観点で無線で状態を監視することが望ましい.先行例より,無線で状態を監視するシステムのコンセプトが示されており,独自のプロトコルを用いたネットワークの検討も行われているが,本稿では汎用的なBLE (Bluetooth Low Energy)で複数マスターにより,無線監視する手法を提案する.
IoT (Internet of Things) 通信では,通信パケットサイズが小容量となる傾向にあり,符号長が長い場合は高い誤り訂正能力を有するLDPC (Low Density Parity Check) 符号を適用したとしても高い符号化利得を期待できない.通常,巡回冗長検査 (CRC: Cyclic Redundancy Check) 符号をパケット内の誤り検出のために利用する.小容量パケットサイズのIoT通信を前提とすると,誤り検査符号を誤り訂正符号として利用できる可能性が出てくる.この復号法として,信念伝搬法 (BP: Belief Propagation) の利用が考えられるものの,パリティ検査行列に多くのショートサイクルを含むため,その復号性能は高いものではない.本稿では,深層学習の一種である深層展開(DU: Deep Unfolding)をBPに適用することでその復号性能の改善を図る.
B-6. ネットワークシステム
3月9日 9:00〜11:45 Meeting 29 座長 木村達明(阪大)
B-6-1 |
Beyond-5G/6Gに向けたモバイルネットワークの要件に関する一考察
○桑原和成・北辻佳憲(KDDI総合研究所) |
B-6-2 |
Beyond-5G/6Gの低遅延に向けたモバイルコアの一考察
○長野知幸・北辻佳憲(KDDI総合研究所) |
B-6-3 |
無線通信品質の予測に基づく農機自動運転におけるマルチ無線ネットワークの最適選択
○河村憲一・若尾佳佑・守山貴庸・鷹取泰司(NTT) |
B-6-4 |
マルチ無線アクセスの最適ユーザ収容に向けたベイズ最適化アルゴリズムの適用性評価
◎小野央也・坂上裕希・成川 聖(NTT) |
B-6-5 |
無線NWに依存しない集中制御による品質制御技術の提案
○坂上裕希(NTT)・相浦一樹(阪大)・福井達也・津上諒平・谷口友宏・南 勝也(NTT) |
従来のモバイル通信は電話が主要な通信サービスであり、通信事業者は電話に求められるモバイルネットワークの機能を画一的に提供してきた。一方で、スマートフォンおよびIoTデバイスの普及によりモバイル通信は多様化しており、モバイルコアに求められる能力要件が変化すると考えられる。モバイルネットワークに接続するデバイスの通信容量は継続して増加することが予想され、これによりモバイルネットワークの設備更改は将来にわたって続くと予想されるが、従来の画一的な機能提供では過剰な設備投資となることが懸念される。そこで本稿では、次世代モバイルネットワーク(Beyond-5G/6G)にける、通信サービスへの個別機能の提供の効果について議論する。
5Gではデータ・プレーン送受信に関する高速・低遅延化が進み,次世代となるBeyond 5G(以下B5G)/6Gでは更なる高速・低遅延化が見込まれる.一方,データ・プレーン送受信には通信路確立要求等のコントロール・プレーン(以下 C-Plane)処理が必要である.また我々は,フィジカル空間とサイバー空間のオーケストレーションを実現するために,C-Plane処理にかかる時間の短縮化について取り組む必要があると考える.
本稿では,B5G/6Gに求められる遅延要件に対して,先行研究におけるC-Plane処理短縮化の取り組みをまとめる.
筆者らは、機械学習を活用し、無線通信の品質を過去の実績データから予測する技術に取り組んでいる。本稿では、農業ICTでの活用の例として、農機自動運転においてローカル無線アクセス/広域無線アクセス間を通信品質の予測に応じて品質が劣化する前に切り替える実証実験を行った結果を報告する。
我々は複数無線基地局と端末群の接続パターン最適制御によるネットワーク(NW)全体最適化を行うことで、NWリソースの有効利用とユーザの体感品質向上を実現する技術の検討を行っている。昨年度総合大会では、ベイズ最適化とNWシミュレーションのループ処理を通じて、Wi-Fiセル程度のエリアサイズにおけるLTE/Wi-Fi回線の最適接続台数制御が可能なことを例と共に示した。本講演では、より広域エリアのNW・ユーザ配置に適応するよう拡張したアルゴリズムと、内部で用いられているベイズ最適化アルゴリズムの系拡大への適応性評価結果について述べる。
近年,様々なアプリケーションやサービスが出現し,それらを収容するネットワーク(NW)は多様な要件に対応することが求められている. LTE,5G,Wi-Fiなどの無線NWには,多種多様な品質制御技術が利用可能[1][2]だが,各通信方式に合わせた設定や制御が必要となる.本稿では,集中制御により無線NWに入る前段のパケットを制御することで,無線NW状況やアプリケーション毎の要求品質に合わせ,かつ無線NWに依存しない品質制御技術を提案し,試作機による実現性評価を報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 眞田耕輔(三重大)
B-6-6 |
ワイヤレスSDNのための将来スループット予測の検討
◎小針 優・藤井威生(電通大)・田久 修(信州大)・太田真衣・大橋正良(福岡大) |
B-6-7 |
基地局からの給電頻度を考慮した無線給電情報通信ネットワークにおけるスループット解析
◎岩城敦大・眞田耕輔・羽多野裕之・森 香津夫(三重大) |
B-6-8 |
複数無線LANが相互干渉する環境における長距離無線ネットワークの支援による伝送スループット向上法の検討
◎澤田樹生・谷川陽祐・戸出英樹(阪府大) |
B-6-9 |
ローカル5Gを用いたスマート工場向け通信高信頼化プラットフォームの一提案
◎石野正典・藤嶋堅三郎・藤原亮介・高瀬誠由(日立) |
B-6-10 |
ローカル5Gと既設ネットワークとの相互接続に関する検討
○大石裕司・早瀬茂規・高瀬誠由(日立) |
本稿では,チャネル変動に対応したワイヤレスSDNを実現するために,ネットワーク上で得られる情報を活用することで将来のスループットを予測する手法を提案した.提案手法として,パケットキャプチャを行うことでパケット内に含まれるRSSI(Received Signal Strength Indication)等の情報を収集可能であるスペクトラムマネージャをネットワークやクラウド上に配備し,パケット内に含まれる情報を基にAR(Auto Regressive)モデルとSVR(Support Vector Regression)を用いて将来のスループットを予測した.提案手法について,シミュレーションによる評価を行い,スループット予測について真値と近しい予測結果が得られていることを確認した.
近年, 無線電力伝送を用いた無線給電情報通信ネットワーク(WPCN: Wireless Power Communication Network)が注目されており, 基地局(AP)が配下の端末に無線で給電を行うことにより電源を意識しないシステムの実現が期待されている. WPCNでは, 端末はAPから無線給電された電力を用いて情報送信を行う. この給電頻度とネットワーク性能の関係を明らかにすることは, 適切なネットワーク設計の観点から必要不可欠である. 本稿では, 端末の残存電力に依存せずAPが給電を行うAP始動給電に着眼し, 給電頻度を考慮したWPCNにおけるスループット解析手法を検討する.
近年,多くの無線LANが相互干渉するほど近接して配置される環境が増加しており,電波干渉の関係上同時伝送可能な複数フレームの同時伝送を促進することで各端末局へ必要十分なフレーム送信機会を確保する研究が行われている.しかし,同時伝送できないほど強い電波干渉を頻繁に受ける端末局において,フレーム送信機会が不足する.このようなフレーム送信機会が不足する端末局の接続先を別ネットワークに切り替えることで,各端末局へフレーム送信機会を適切に与えるとともに,各無線LANのチャネル利用効率を改善する方式を検討する.
多品種少量生産への転換や生産性向上を目的とした省力化、自動化アプリケーションの導入検討を背景に、生産計画に応じた生産設備の柔軟な変更を可能とするための工場内ネットワーク無線化が検討されている。工場向けアプリのうち、ライン制御のような制御系アプリは高い通信信頼性とリアルタイム性を必要とする。しかしながら、無線通信品質は伝搬環境の影響を受け変動しやすいため、単一の無線端末を用いた無線化では制御系アプリの通信要件を満足できない課題がある。本稿では、ローカル5G環境において複数台の無線端末を用いた経路冗長制御によりアプリの通信要件を満たす通信路を提供する通信高信頼化プラットフォームを提案する。
ローカル5Gがスマートファクトリーなどの用途で注目を集めいている。ローカル5Gは,その導入黎明期において,既設ネットワークから分離し新規で敷設されることがあるが,ローカル5Gから既設ネットワーク内システムの利用需要が存在する。一方でローカル5Gと既設ネットワークでは管理主体が異なるため,その運用ポリシーにギャップが生じる。本稿では運用ポリシーのギャップとしてアドレス体系とセキュリティ規定の2つに着目し,これらのギャップを埋める2つの技術を検討した。またこれらの技術を実装し,疑似的なネットワークにて動作確認を行った。
3月9日 13:00〜16:45 Meeting 29 座長 古賀淳一(NTT)
B-6-11 |
呼制御に関わる網間GW装置に適する負荷分散手法の検討
○鈴木璃人・宮城安敏・石谷和久(NTT) |
B-6-12 |
特殊詐欺通話の検出のための音声解析に関する検討
◎遠藤渉太・谷田康司(NTT) |
B-6-13 |
音声系システムへのハイブリッドクラウド適用時の必要リソース算出に関する一検討
○レー 武興・藤平忠弘(NTT) |
B-6-14 |
ENUMと電話番号等データベース情報を用いた特殊詐欺対策の検討
○秋本政憲・清水 宏(NTT) |
B-6-15 |
仮想環境上の呼制御サーバにおけるSnapshotを活用する復旧方式
◎戸田貴都・木村伸宏・三原孝太郎(NTT) |
音声通信にかかわる事業者間相互接続のIP-IP接続への移行が予定されている。本稿では事業者間信号差分を吸収するSBC(Session Border Controller)装置について、集約的なロードバランサを用いない場合に、より均等な負荷分散を実現するための負荷分散手法を、呼処理の継続特性を考慮した負荷モデルによる網間SBC装置への負荷シミュレーションや設備構築保守に関わるコスト及び障害時動作の観点から評価検討した結果を報告する。
本研究では,音声解析技術の活用により特殊詐欺通話を検出する手法の確立を目的としている.提案手法では会話内容分析・感情分析・声紋分析の音声解析技術を組み合わせた手法を提案し,本稿では特に会話内容分析の活用方法について詳細を記述した.まず初めに特殊詐欺を手口と通話相手に分類し,それらについて会話の内容を分析することで推定する.その後,推定した結果について感情分析と声紋分析での処理や評価値等を変更する.今後の展望としては,会話内容分析による特殊詐欺の手口・通話相手の推定に関する検証や,推定結果を用いた,感情分析や声紋分析の活用方法について,検証および考察を進めていく.
適用領域が増加しているパブリッククラウドを音声通信領域に適用することで,縮小傾向にある音声通信需要へのタイムリーな設備リソース確保(サーバリソース増減設)や維持管理コスト削減等の柔軟な運用が期待される.一方,オンプレミスで提供している設備から適用領域を徐々に広げていくハイブリッド利用の研究も進んでいる.
音声トラヒックは同時接続呼数や呼損等を考慮する必要があるが,一般的な通信に対するハイブリッドクラウドの必要リソース算出や音声通信のクラウド時の傾向調査をしている先行研究はあるものの,音声通信特性を考慮したハイブリッドクラウドのリソース算出事例は少ない.
本研究では音声トラヒック特性を考慮したハイブリッドクラウド適用時の必要なリソース算出を提案する.
端末のシンプル化およびより高度な特殊詐欺対策を提案し、提案方式による特殊詐欺対策の効果について評価した結果を報告する。
音声通信サービスを提供する呼制御サーバは,専用ハードウェア(HW)の採用やクラスタ構成(ACT/SBY)によるサーバの二重化などにより,サービス提供の信頼性を確保している.また,昨今の市販HW(IAサーバ)の高性能化やシステム仮想化の流行を受け,呼制御サーバも仮想環境への移行が検討されている.
前述の状況を踏まえ,本稿では,仮想環境上の呼制御サーバの復旧にSnapshotを活用する方式について提案する.
休 憩(14:30 再開) 座長 西島孝通(富士通研)
B-6-16 |
複数ホームネットワークサービス動作時における実行制御方式
◎木村太一・水野 修(工学院大) |
B-6-17 |
広域監視制御ネットワーク向け 併設5Gネットワークの通信方式
○長川大介・池田祐介(三菱電機) |
B-6-18 |
CRAMエラーの検出を契機とした、故障波及の対処方法の検討
◎舘野瑞樹(NTT) |
B-6-19 |
装置冗長における契約帯域遵守機能による転送リソース削減の検討
○渡辺裕太・武井勇樹(NTT) |
ネットワーク接続可能な家電機器(IoT機器)をホームネットワークに接続し,遠隔操作または自動操作をするサービスが提案されている.あるIoT機器に対する操作によっては別のIoT機器がユーザの望まない動作を実行してしまう可能性がある.特に,複数ホームネットワークサービス動作時に,このような状況が起き,結果的にユーザの望まない動作になる可能性がある.本研究では,複数ホームネットワークサービス動作時にユーザの望む動作を維持する実行制御方式を提案する.これは,操作の優先度を規定し,それを基に維持すべき状況を判断して,操作を実行する方式である.これにより,有効的な実行判断ができることをシミュレーションにより評価する.
広域監視制御システムでは、通信の高信頼性とリアルタイム性が求められる。従来の有線ネットワークでは、監視場所は広域に及ぶため、敷設の問題からネットワーク全域で十分な信頼性を確保できるケースは限られる。そこで、敷設制約の少ない無線ネットワークのうち、リアルタイム性を特長とする5Gネットワークを有線ネットワークに併設することで高信頼化を実現することを検討している。本論文では、通信品質の安定しない5Gネットワークにおいて、リアルタイム通信を優先する通信方式を紹介する。
半導体デバイスの高性能化に伴う微細化、高集積化により、宇宙線由来の中性子線等が引き起こすソフトエラーが課題となっている。一般に、ソフトエラーは、装置にECCといった機能を付与することで誤り検出・訂正を行い、修復できる。しかし、FPGAのCRAMのエラーは、誤り検出・訂正機能があっても誤り検出・訂正が完了する前に処理が行われ、故障に波及することがあり、通信装置を用いた検証では、CRAMエラー発生から10秒程度経過した後に故障が発生することが確認された。本発表の提案方式では、故障検出感度は通常は固定値であるが、CRAMエラーの検出を契機に故障検出感度を高めることやデータを再送することを実施する。本方式により、CRAMによる故障の発生を早期に検出し、CRAMエラーのサービス影響を低減できると考えている。
現在,アクセス種別の多様化,パブリッククラウドやその他の様々なサービスへのアクセスなどが求められている.そのため,将来は多様なネットワークの橋渡しを行う網間接続機能が重要な役割を果たすようになると考えており、安価にかつ高信頼に網間接続機能を提供する技術を提案する。
休 憩(15:45 再開) 座長 前川智則(東芝)
B-6-20 |
テレメトリ要件に基づくテレメトリ情報通知の効率化手法の提案
○佐藤卓哉・中村孝幸・天坂光男・鳴海貴允(NTT) |
B-6-21 |
トラヒック特性に応じた網間接続機能の配備位置決定方法
○武井勇樹・中務諭士・渡辺裕太(NTT) |
B-6-22 |
ネットワーク構成情報のメタモデルの試案
◎新井 凪・小形真平・鈴木彦文・岡野浩三(信州大) |
B-6-23 |
機能追加を許容するテストベッドアーキテクチャ
○宮地利幸・明石邦夫・井上朋哉・原井洋明(NICT) |
低遅延や広帯域等の特性を持つスライスを活用する上では品質保証(SLA)が重要となる.SLAの実現には,通信品質低下等を把握するためのテレメトリ情報(帯域,遅延等)の測定と通知が必要であり,障害発生時にも確実かつリアルタイムに通知を行う必要がある.
本稿では,テレメトリ情報に求められる通知頻度等のテレメトリ要件に応じて通知方法を変更することで,テレメトリ要件を満たしつつ通知を効率化する手法を提案する.
県内に閉じた通信(県内通信)と県間に跨った通信(県間通信)がどの程度発生するかというユーザのトラヒック特性に応じて網間接続機能の配置位置を決定する方法の提案・評価を行う.
本研究では,ネットワークを構築する中で,どの開発工程でもネットワークの構成情報の一貫性を持たせやすいよう,構成情報のメタモデルを提案する.このメタモデルに対して,最終的には,開発・保守・進化する構成情報を常に適合させることで,開発者や運用機器が変更されても一貫した構成情報を欠損なく維持できる手法の確立を狙う.
我々は2002年からネットワークテストベッドStarBEDの研究開発及びSpringOSを用いてその運用を実施しているが、SpringOS設計時からテストベッドに求められる機能は変化している。我々が開発した有線ネットワークで接続された計算機群のインタフェイスを無線ネットワークとして模倣する技術や、PC上では模倣できない物理現象などを模倣するためのシミュレーション・エミュレーション連携技術、今後の研究成果を組み込み、利用者に提供するための管理システムのアーキテクチャを設計した。
3月9日 13:00〜15:30 Meeting 31 座長 和泉 諭(仙台高専)
B-6-24 |
コンテンツポイズニング攻撃の影響分析
◎工藤多空飛・上山憲昭(福岡大) |
B-6-25 |
ICNにおける公開鍵暗号を用いたアクセス制御方式
◎深川悠馬・上山憲昭(福岡大) |
B-6-26 |
Local Surrogate Modelによる管理性の高いネットワークアクセス制御ポリシー
◎三谷昌平・Taniya Singh・植田啓文(NEC) |
B-6-27 |
ICNにおけるホワイトリストを用いたDDoS攻撃の防御
◎内田亘彦・上山憲昭(福岡大)・山本 幹(関西大) |
B-6-28 |
YouTubeの動画の反復視聴行動に関する分析
◎芦原大和・上山憲昭(福岡大) |
CPAは攻撃の性質から大きく二つに分類され,コンテンツと紐づいた公開鍵から生成されたディジタル署名と一致する偽のコンテンツをキャッシュ(CS: content store)に注入するfake型とコンテンツと紐づいた公開鍵から生成されたディジタル署名と一致しない無意味なコンテンツをCSに注入するcorrupted型がある.しかし既存研究では,限定されたCPA方式を想定しており,その多くが小規模なネットワークトポロジや攻撃者の位置で評価を行っており,汚染コンテンツ数や汚染ノードなどがCPAの脅威に与える影響が明らかにされていない[1].本研究では,大規模なネットワークトポロジで様々な攻撃者の位置で評価を多面的に行うことで,様々な要素がCPAの効果に与える影響を分析し,CPAの脅威を明らかにする.本稿ではfake型の影響を分析している
通信開始に先立つ名前解決を行わずにコンテンツの名称で要求パケットを転送し,ルータでコンテンツをキャッシュするICN (information-centric networking)が,コンテンツを効率的に転送するネットワークとして注目されている.従来インターネットでは,有料や会員限定のコンテンツなど特定ユーザだけがコンテンツを消費できる配信サービスに対し,通信開始時に配信要求が必ずコンテンツ事業者(Publisher)のサーバに届くためにPublisherによるアクセス制御が可能である,しかしICNでは配信要求(Interest)の転送経路上のルータで要求コンテンツがキャッシュされている場合,ルータから配信されるためInterestがPublisherには到達せず,Publisherによるアクセス制御が困難である.そこで本稿では,コンテンツの配信要求に先立ち,Consumerから公開鍵暗号方式で暗号化されたConsumerのIDを含むInterestを常にPublisherに到達させることで,Publisherにてアクセス制御を可能とする方式を提案する.
企業ネットワーク内部の脅威が増加し,アクセス制御の粒度が粗い境界防御では不十分になりつつある.これに対し,ゼロトラストモデルの導入が提案されているが,ポリシーが複雑になるため,管理コストが課題となる.先行研究において,類似したノードの縮約やポリシーの縮約が提案されている.しかし,これらの既存手法ではポリシー管理の複雑さを最適に抑制できない.
そこで,本研究では,まず管理コストをComplexityにより定量化する.そして,複雑なポリシーによる詳細なアクセス制御を再現しつつ,管理コストの低いポリシーをLocal Surrogate Modelとして動的に生成する手法を提案する.
また,机上評価により,既存手法と比較して管理コストを抑制できることを示す.
名前を用いてパケットを転送する新しいネットワークとして情報指向ネットワークICNが注目されている.ICNではコンテンツ名を元に要求を行い,コンテンツの転送経路上のルータにてコンテンツをキャッシュし,要求パケット(Interest)の経路上ルータに要求コンテンツがキャッシュされている場合,そのルータからコンテンツを配信する.またInterestの到着ポート番号をルータのPITで記録し,記録に沿ってコンテンツを転送することで,名前に基づくパケットの転送を可能としている.しかし,大量の悪意のある要求を転送することで,無効なエントリを注入し,PITの機能低下を狙うDDoS攻撃が問題となる.そこで本稿ではICNのDDoS攻撃を防ぐために,攻撃者の要求をコンテンツ提供者が判断し,ネットワーク上のルータに正常なコンテンツ名をホワイトリストとして配布し,ネットワークの入り口にて攻撃パケットを遮断する防御法を提案する.
筆者らは,少ないメモリ量とメモリアクセス回数で高精度に攻撃ホストを特定する,ホストIDとコンテンツIDの組をキーとするBloom Filter (BF)を用いたCPAホストの検知法を提案した.しかし本方式には,検出回数が時間とともに増加していき,いずれほとんどのユーザが誤検出される.本問題に対しては検出回数を周期的に減少させる方策が有効と思われるが,検出閾値や減少レートの適切な設定のためには,本方式は同一ホストが同一のコンテンツを要求することで検知を行うため,正常ユーザが同一コンテンツを繰り返し要求する時間間隔の分析が不可欠である.そこで本稿では,YouTubeの視聴履歴の分析を行い,ユーザの反復視聴の時間間隔が指数分布より分散が大きな分布に従うことなどを明らかにする.
休 憩(14:30 再開) 座長 小島英春(阪大)
B-6-29 |
Identifier Mapping for Non-Unified Identities in Hybrid- and Multi-Cloud Security Analysis
○Jens Doenhoff・Nodoka Mimura(Hitachi) |
B-6-30 |
ブロックチェーンネットワークにおける地域ベース隣接ノード選択
○松浦 洋・後藤良則・佐尾英博(NTT) |
B-6-31 |
Security Mechanism in Volunteer Computing System by Using Blockchain and Smart Contract
○Heming Li・Kosuke Kaneko・Kouichi Sakurai(Kyushu Univ.) |
B-6-32 |
ブロックチェーン上でのスマートコントラクトを用いたデータベース実用化の検討
◎董 思璋・三好 匠・山崎 託・シルバーストン トーマス(芝浦工大) |
Security in a hybrid or multi-cloud system requires observation of security-related events. The identities services use during interaction are managed by each security domain separately, with limited overlap. Therefore analyzing events spanning multiple domains in hybrid/multi-cloud deployments is difficult. In this research, a system for automatic tracing of security incidents spanning multiple non-unified security domains in a hybrid cloud deployment is proposed, and the feasibility of the proposal was verified experimentally.
ビットコインに代表されるブロックチェーンネットワー クは金融だけでなく、ヘルスケア、e-スポーツ等、その適 用範囲を広げている。本稿ではブロックチェーンネットワ ーク(NW)の各ノードの地域外隣接ノード(Outside neighbor) 数を一定、且つ少数に保つことにより、ブロックのネット ワーク全体への伝搬速度を高速化し、Fork による廃棄ブロ ック数を少なくする。既存研究としてブロック伝搬速度が速いノードを隣接ノードに設定する手法 [1] が提案されて いるが、このような手法は攻撃対象ノードの隣接ノードに なりやすいため Eclipse 攻撃を受けやすい。提案手法は Outside neighbor 数の制約以外はランダムに隣接ノードを選択するので、Eclipse攻撃に対しても堅牢である。
This paper introduces a proposal to protect volunteer computing system from sabotage attack by using blockchain and smart contract technology. One property of blockchain is that data in blockchain is unchangeable, which the system can trust the results from participant in blockchain. This paper also sets up a volunteer computing system with blockchain and smart contract technology to verify the proposal above. In this system a neural network is set up by volunteer computers to solve machine learning tasks, and a blockchain network is also created by Ganache. The neural network is working in the blockchain environment, so that the attackers are not available to attack the system.
ブロックチェーンは,データの分散管理や改ざん耐性などの特徴から,様々な分野への応用が期待されている.ブロックチェーンに拡張機能を加えたスマートコントラクトを用いることでデータベースのセキュリティ性の向上と効率化が見込めるが,既存システムとの相性問題やセキュリティ性の問題などの理由により,未だ実用化されていないのが現状である.本稿では,企業内でブロックチェーンを用いることを想定し,最適なブロックチェーンの選定と,スマートコントラクトの拡張により分散形データベースを実現するための手法を検討する.
3月10日 13:00〜17:00 Meeting 29 座長 上田清志(日大)
B-6-33 |
複数事業者を収容するキャリア網のトラヒックを可視化するFast xFlow Proxyの提案
○西岡孟朗・林 裕平・三好勇樹・森岡千晴・鎌村星平(NTT) |
B-6-34 |
Fast xFlow Proxyにおけるメタデータ活用によるハードウェアオフロード最適化
◎三好勇樹・鎌村星平・森岡千晴・西岡孟朗・林 裕平(NTT) |
B-6-35 |
マルチドメインEnd-to-Endパスの設定におけるドメイン間接続設定処理の自律分散化方式の検討
○福田亜紀・望月このみ・宮村 崇・吉岡弘高(NTT) |
B-6-36 |
ネットワークスライシングにおけるアンサンブル学習を用いた接続予測技術
○川合佑樹・橘 拓至(福井大) |
B-6-37 |
論理パスに重畳された複数スライスの経路迂回方式の提案
○中村孝幸・天坂光男・佐藤卓哉・鳴海貴允(NTT) |
本稿では,複数事業者を収容するキャリア網において,入力された各パケットのカプセルヘッダを解析し,用途に応じた最適な情報形式への整形および最適な宛先への送信を実現するシステムとしてFast xFlow Proxyを提案する.
本稿ではFast xFlow Proxyにおいて,一部の機能をハードウェア(HW)へオフロードすることで高速化を実現するアーキテクチャを提案する.
ユーザデータ等を転送するための通信路(パス)を、ネットワーク制御技術や保守運用者などが異なる複数ドメインを跨いでEnd-to-End(以下、E2E)設定する「マルチドメインE2Eパス」の設定におけるドメイン跨ぎの接続設定処理を、各ドメインの制御機能部(以下、ドメインコントローラ)が自律分散的に行うことを実現するネットワーク制御技術を提案する。提案技術により、従来方法に比べてマルチドメイン管理制御アーキテクチャのリスク分散やE2Eパスの設定に要する処理時間の短縮等の効果が期待できる。
第5世代移動通信システム(5G)では,多様なサービス品質要求を満足するために,通信ネットワークを複数のスライスに分割するネットワークスライシングが利用される.各スライスでは,各接続リクエストを適切なスライスに収容するが,リクエスト情報が一部欠落すると適切なスライスへの接続が困難になり,通信品質が低下してしまう.そこで本稿では,一部の情報が欠落した接続リクエストに対して,アンサンブル学習を用いた接続予測技術を提案する.提案技術では,特にスタッキングを利用して偏りと分散をバランスよく調整する.提案技術の性能を評価し,他の学習モデルと性能を比較する.
通信に対する多様な要件を持つサービスを1 つのネットワーク(NW)基盤上で実現する技術として,SDN/NFV 技術を用いて要件に応じた仮想NWを構成するNWスライス(以下,スライス)がある.多くのスライスが重畳されるNW(共用NW)では,多種多様なサービスの通信が混在するため,NW 運用者が予期しない通信量増加が生じることが懸念される.そこで,本稿では多数のスライスを効率的に収容する共用NW において,サービス品質の低下を防ぐことを目的にスライスの経路迂回方式を検討する.
休 憩(14:30 再開) 座長 篠原悠介(NEC)
B-6-38 |
TD学習を用いた仮想網マッピング手法の性能改善
◎佐川勇太・福島行信・樽谷優弥(岡山大) |
B-6-39 |
マルチテナント環境における動的TSNスケジューリング方式の提案
◎岩澤宏紀・東 信博・木津貴秀・益谷仁士・桑原 健(NTT) |
B-6-40 |
MECにおけるEAS探索手法に関する一検討
◎鈴木陽登・田中裕也・北辻佳憲(KDDI総合研究所) |
B-6-41 |
待ち行列理論によるMECへのマルチジョブ収容最適閾値設定
○湯田 孟・北口善明・山岡克式(東工大) |
B-6-42 |
インタラクティブサービスに適した双方向フローステート移行スケジューリング方法
○杉園幸司・河野伸也・岡田昭宏(NTT) |
仮想化技術の進展に伴い,物理網上で仮想化されたノード資源やリンク資源を用いて仮想網を構築し,それを必要に応じて自由に利用できるサービス(仮想網マッピングサービス)が提案されている.このサービスでは,仮想網を構築・提供する事業者の収入を最大化するために,物理網の限られた資源を用いて極力多くの仮想網を構築する必要がある.これを仮想網マッピング問題という.
この問題に対して既存研究では,強化学習の一種であるTD学習(Temporal-Difference Learning)を用いて仮想網を構築する手法(VNE-TD)が提案されている.本研究では,VNE-TDに対して,ノード資源量制約とリンク資源量制約の充足性判定機能を追加することでその性能を改善した.
クラウド環境も含めた広域網で超低遅延・低ジッタ通信を実現する上でTSNが有用である.しかし,TSNはクラス数に制限があり,事前の厳密なスケジュール(タイムスロットの割当)設定が必要である.これは特に今後期待されるマルチテナントクラウド環境における,TSNを適用するサービス (TSNサービス)の柔軟な追加・削除時に課題となる.本研究では,サービスの送信タイムスロット毎に動的にクラスを設定することで,TSNドメインに変更を加えることなくTSNサービスの追加・削除を実現する動的TSNスケジューリング方式を提案し,一次実装を行った結果について述べる.
マルチアクセスエッジコンピューティング(MEC: Multi-access Edge Computing) における,エッジアプリケーションサーバ(EAS: Edge Application Server)選択では,セキュリティ観点に基づく構成の制限から,従来のDNSの名前解決でEASを探索(決定)できない場合がある.
本稿では,EAS探索において満たすべき要件を整理し,それら要件を満たす手法の一案として,ユーザ端末にDNSサーバを搭載する手法を提案する.
MEC(Mobile Edge Computing)におけるリアルタイムジョブと非リアルタイムジョブが混在して存在する環境において,エッジサーバで,リアルタイムジョブの処理を担保しつつ,非リアルタイムジョブも一部処理を行うことで処理時間低減効果が見込める,閾値を用いたMEサーバへの共存収容方式を提案する.待ち行列理論により導出したMEサーバでの両ジョブの棄却率を元に,リアルタイムジョブのシステムが要求する棄却率を満たしつつ,非リアルタイムジョブの棄却率を最小にする最適閾値が導出可能であることを示す.数値解析の結果,本方式によって,非リアルタイムジョブの棄却率が低減可能であることを示した.
計算処理オフロード活用型インタラクティブサービスではクラウドにオフロードしたタスクの出力がモバイ
ル端末に遅れて到着することでレスポンスが悪化する.
サービスフロー再配置時,パケット処理機能(Network Function:NF) のフローステート再配置による遅延が発生する.本稿ではオフロード対象タスクの入力と出力がともに当該新規遅延増加を被らないようステート再配置実行タイミングを制御する方式を提案する.
休 憩(16:00 再開) 座長 大石裕司(日立)
B-6-43 |
IPレイヤで行うシームレスな異種NW切替技術の実装・評価
◎池田智彦・阿部拓也・成川 聖(NTT) |
B-6-44 |
レイヤ2ネットワークにおけるTSN標準の要否判定方式
◎久保見 慎・ジャオ ジェフリ・宋 家佳・滝田大介・堀田善文(三菱電機) |
B-6-45 |
細粒度トラヒック可視化と多目的最適化手法に基づくTE方式の検討
○林 裕平・鎌村星平・三好勇樹・西岡孟朗・森岡千晴・武井勇樹・中務論士(NTT) |
B-6-46 |
細粒度トラヒック監視技術を用いた最適実数解の近似経路設計法
○鎌村星平・林 裕平・三好勇樹・西岡孟朗・森岡千晴・武井勇樹・中務諭士(NTT) |
通信断を発生させず、TCPプロトコルにも限定されない、異種NW切替方式として、IPレイヤで行う異種NW切替技術の実装・評価を行った。
本実装・評価により、IPレイヤによる異種NW切替が実現可能であり、TCP/UDPで適用可能、かつシームレスで異種NW切替が可能であることを示した。
IPレイヤによるマルチパス機能、中継サーバによるIP書き換え機能実装によりこれを実現した。
ネットワークの大容量化、経済化の観点からイーサネット化が進む車載・産業用ネットワークでは、制御通信と情報通信を混在収容するための技術としてIEEE802.1TSNの適用が検討されている。TSNにより制御通信の遅延制約を満たすことが望めるが、TSNの導入には初期コストと設計・運用コストが発生するため、ネットワークの設計段階でTSNが必須か任意かを判定することが重要となる。今回、ネットワーク構成や通信の条件からTSNの要否を判定する理論として、レイヤ2ネットワークにおける高優先通信の最大End-to-End遅延を算出する方式を検討した。
本稿では,著者らが研究開発を進めている,トンネルヘッダでカプセル化されたユーザヘッダに関する細粒度トラヒック(以降,ユーザフローと呼ぶ)可視化技術と多目的最適化手法を組み合わせて,トンネリングを用いる網にてTEを行うフローを決定する手法について提案し評価する.
細粒度にトラヒックを監視及び制御できる技術進展に着眼し,従来の経路最適化法が算出する実数解を実網に設定可能な解へと近似する方法を提案する.
3月11日 13:00〜17:15 Meeting 29 座長 塚本和也(九工大)
B-6-47 |
低データ損失と低コストを両立するセンサクラスタリング方式
○野口博史・磯田卓万・新井誠亮(NTT) |
B-6-48 |
センサネットワークにおける発電量予測に基づく動的なデータ分割方式の提案と評価
◎西川龍之介・塚田晃司(和歌山大) |
B-6-49 |
V2X環境を考慮した分散協調形ダウンロード手法の性能評価
◎松田颯斗・三好 匠・山崎 託・シルバーストン トーマス(芝浦工大) |
B-6-50 |
ドローンを用いた電波発信源の動的推定法
◎西 拓哉・三好 匠・山崎 託・シルバーストン トーマス(芝浦工大) |
B-6-51 |
UAVを利用したMECシステムにおけるリレー通信による低遅延化手法に飛行軌道が与える影響に関する性能評価
◎島田隼人・川本雄一・加藤 寧(東北大) |
Internet of Things の台頭に伴い,大量のセンサ活用が期待される一方でリアルタイムに生成される膨大なデータを扱うためのコンピューティングコストが問題となっている.本稿は,広大な空間に分散配置されたセンサに対する,データ損失とコスト双方の低減を両立するクラスタリング方式を提案する.提案方式は,センサの設置位置と出力データの類似性を特徴量とすることで集約によるデータ損失を抑制し,また,k-means法を用いることでコンピューティングコストの主要因であるクラスタ数を制御する.評価実験により,提案方式がデータ損失とコンピューティングコストのトレードオフを解決することを示した.
近年、山間部における環境調査にセンサ機器が使用されている。機器の使用にはある程度の電力が必要であるが、森林内では電力インフラがないため、電池によって限られた電力が提供されている。よって機器の稼働時間を延ばし、データ取得量を増加させるには、電力消費を抑える必要がある。この課題に、太陽光電池から電力を供給し、発電が見込める機器にデータを優先して送信する手法があるが、発電量が高い機器に通信が集中し、当該ノードが早期に停止してしまうといった問題点がある。本研究では、一括送信ではなく分割送信を用いることで、一定ノードへのデータの集中を防ぎ、データ収集率の向上を図る。
近年,ICT技術の発展に伴い,V2X(Vehicle to Everything)通信の需要が増加している.V2X通信では,サーバとの通信には主に移動体通信網の利用が想定されているが,設備容量が限られる問題がある.一方,移動体通信のトラヒックを低減する手法として,LoCO(Local cooperative data offloading system)が提案されている.しかし,従来手法は端末の移動性を考慮していないため,V2X環境ではトラヒック削減効果が低下する問題がある.本稿では,V2X環境における近距離協調データオフロードに適した通信方式を検討し,シミュレーションによる性能評価を行う.
近年,無線端末が発するRF(Radio frequency)信号を計測することで発信源の位置を推定する手法が多く研究されている.このような技術は,遺失した無線端末の探索や大規模災害時の被災者の捜索に利用できるため,社会実装の促進が期待される.本稿では,ドローンを用いて2.4GHz帯無線LANの電波発信源を動的に推定する手法について検討する.
近年,IoTに伴い高度なデータ処理がネットワークのエッジに求められており,低遅延でデータ処理が可能なモバイルエッジコンピューティングが注目されている.また災害時におけるデータ処理に対応するため,MECと無人航空機を組み合わせたシステムの研究開発が展開されている.しかしながらUAVを利用したMECシステムでは,特定のUAVに搭載されたエッジサーバに処理負荷が集中してしまうとリアルタイムでのデータ処理が不可能になってしまう.このような背景の下,我々はこれまでに,UAV間のリレー通信を用いた処理負荷の分散手法を提案している.本稿では新たにUAVの軌道に依らない評価を実行し,提案された手法が有効であることを検証する.
休 憩(14:30 再開) 座長 樽谷優弥(岡山大)
B-6-52 |
24GHzレーダーと複数WSN方式を用いた医療介護施設向けハイブリッドWSNシステム基盤の研究開発
柘植 晃(WSN-ATEC)・布 房夫・山口一弘(諏訪東京理科大)・古屋靖哲(キッセイコムテック)・井口敦司(イデアシステム)・○松江英明(諏訪東京理科大) |
B-6-53 |
Wi-SUN FANマルチホップセンサーネットワークによる医療介護施設周辺静止画モニタリングシステムの構築
○柘植 晃(WSN-ATEC)・布 房夫・山口一弘(諏訪東京理科大)・萩原 大(YRP研究開発推進協会)・松江英明(諏訪東京理科大) |
B-6-54 |
24GHz帯レーダを活用した人の生活挙動および呼吸、心拍の遠隔計測システムの構成と特性
○督永 駿・松本啓吾・山口一弘・松江英明(諏訪東京理科大)・古屋靖哲(キッセイコムテック) |
B-6-55 |
Wi-Fiマルチホップネットワークにおいて24GHz帯レーダを複数接続する場合の計測精度への影響評価
○松本啓吾・督永 駿・布 房夫・山口一弘・松江英明(諏訪東京理科大) |
B-6-56 |
LoRaWANを用いた位置情報可視化システムの開発と実フィールドにおける評価
○山口一弘・沖田 執(諏訪東京理科大)・井口敦司(イデアシステム)・布 房夫・松江英明(諏訪東京理科大) |
B-6-57 |
Sigfox通信を用いたIoTスマート農業システムの開発
○森田雄平・米本 希・山口一弘・松江英明(諏訪東京理科大) |
本研究では、コロナ禍などの環境に有効な 24GHz レー ダーによる非接触センシングと、複数の Wireless Sensor Network(WSN)方式を適材適所でハイブリッドに活用しな がら、医療介護施設向けのハイブリッド WSN システム基 盤を構築した。
施設の居室内では 24GHz レーダーにより、挙動検出、 呼吸数、心拍数の検出を行い、施設レイアウトに柔軟に対 応可能な高速 Wi-Fi メッシュネットワークで共有する。施 設周辺では危険個所のモニタリング、郊外では小型端末に よる位置情報のモニタリングが可能なハイブリッド WSN システム基盤を構築した。以上のシステムを実際の介護施 設において実証実験を行い、その有効性を確認した。
本研究では、医療介護施設現場を想定してそれぞれの特 徴を活かした複数の WSN 方式をハイブリッドに適用する 取組み[1]の中で、施設内外を適度にカバー可能な Wi-SUN FAN マルチホップメッシュネットワークを用いた施設周辺 のモニタリングシステムを構築したので報告する。
24GHz 帯レーダと Wi-Fi マルチホップネットワークを活用して離れた場所からの人の生活挙動および呼吸、心拍を遠隔計測し PC に表示するシステムを構築し、実験評価したので報告する。
Wi-Fi マルチホップネットワークを介して離れた場所の PC 上に呼吸の計測結果をリアルタイム表示する場合につ いて、レーダを最大 4 台まで複数接続した場合の計測精度 への影響を評価したので報告する。
様々なデバイスからの情報を収集し,可視化・解析を
行う IoT(Internet of Things)技術が広く普及してお り,AI 技術の急速な発展も相まって様々な分野へとア プリケーションやサービスが展開されてきている.これ まで,介護・福祉現場へ応用が可能な IoT システムの開 発を目指し,施設の屋外広域における LPWA エリアの 展開,小型端末の開発を進めてきた.
本稿では,LPWA 方式の 1 つである LoRaWANを 採用したシステムについて,小型端末の開発,ネットワー クインフラの整備,クラウドサイドの開発,そして本シ ステムの介護・福祉現場における活用へ向けた今後の展 望について述べる.
いちご農園においてセンサーで取得した温湿度等の環境 データを Sigfox 通信[1]を用いてアプリケーションサーバー に蓄積、加工、可視化する IoT スマート農業システムを開 発したのでその概要について紹介する。
休 憩(16:15 再開) 座長 山崎 託(芝浦工大)
B-6-58 |
モバイルアドホックネットワーク環境下における優先度を用いた情報取得の検討
◎松本 瞬・近藤大嗣・谷川陽祐・戸出英樹(阪府大) |
B-6-59 |
MANETにおけるジオキャストのための適応型GeoGRID
○井ノ上怜央奈・吉田政望・Alberto Gallegos Ramonet・野口 拓(立命館大) |
B-6-60 |
ノードの離脱・移動耐性を有するマルチホップネットワーク構成法の検討
○廣野智秋・近藤大嗣・谷川陽祐・戸出英樹(阪府大) |
B-6-61 |
情報Boxを用いた災害情報共有
◎西村俊彦・三角 真・上山憲昭(福岡大) |
近年,携帯端末同士で自律的にネットワークを形成するモバイルアドホックネットワークにおける研究が盛んに行われている.しかしながら,不特定多数のノードから必要な情報を取得する方法についてはあまり研究がされていない.そこで,モバイルアドホックネットワーク環境下において基地局(BS)を起点として情報取得を行うためのQuery/Answerメッセージの転送プロトコルを提案する.また,効率的な情報探索のために探索時と回答時の優先度をそれぞれ定義し,その優先度を用いたメッセージの分配法を提案する.そして,提案手法と他手法を情報取得の観点から比較する.
近年, MANETにおけるルーチングは, GPSの普及に伴い従来のネットワークトポロジを用いるのではなく, 端末の位置情報を利用した方法が注目されている. 特に, 宛先配信地域を設定し, 端末の位置によって受信対象を指定することで, 特定の場所に存在するノードだけに情報を配信する手法はジオキャストとして, 盛んに研究されている. 本研究では, ジオキャストのパケット中継制御に可変サイズの二次元グリッドを用いることで, より効率的なネットワークを構築する適応型GeoGRIDを提案する. 計算機シミュレーションにより評価を行い, 提案手法の有効性を示した. 実験の結果, 提案手法は既存のGeoGRIDと比較して約10%中継効率を向上させることができた.
近年,スマートフォンの普及や機械学習の発展により,学習用のデータを集め活用する機会が増えている.そこで本稿では,基地局と無線通信でマルチホップネットワークを構成する際に,ノードの離脱・移動に伴うトポロジ変化に耐性のある網基盤を構成する手法の検討を行った.Optimized Link State Routing(OLSR)では経路を作成する際にMulti Point Relay(MPR)集合を用いるが,本研究ではこのMPRを決定する際の優先度を通常とは逆順で決定し,通常のものと合わせることで優先度の高いノードの離脱に対応できるネットワークを構築する.ランダムでノードを配置し,それらのノードを移動させたときのネットワークの接続可能端末数を調べたところ,既存手法よりも優位性が見られた.
大規模な災害の発生時に,通信インフラが使用できない状態での避難経路の提案に関する先行研究において,Delay Tolerant Network(DTN)を用いて避難者間で道路の被災情報を共有し,各避難者の年齢や性別などを考慮した避難経路提案手法が提案されている.しかし,先行研究では,避難者間での情報共有は近くの避難者の携帯端末で行われており,複数の端末から情報を収集するには,各端末と通信する必要があるため,通信回数が多くなり,端末のバッテリーが浪費される.
そこで我々は,被災者の携帯端末の通信回数を減らしバッテリー消費を緩和することを目的として,災害情報の収集と配信を通信範囲内に存在する避難者の携帯端末に対して行うことで災害情報を共有する情報Boxを提案する.本稿では,避難所までの距離や出発点における避難者の人数,予測される避難者の通過人数を考慮した情報Boxの配置手法を提案し,計算機シミュレーションを用いてその有効性を確認する.
3月11日 13:00〜16:45 Meeting 30 座長 会田雅樹(東京都立大)
B-6-62 |
迂回路形成に伴う通信データ量を削減するセンサネットワークシステムの提案と評価
◎中村 玲・塚田晃司(和歌山大) |
B-6-63 |
信頼性制約下における通信経路割り当ての最適化
◎上野浩太・竹内凌也・林 正博(東京都市大) |
B-6-64 |
深層学習を用いたネットワークスライス構築に関する一検討
◎安岡宏展・浦山康洋(高知高専) |
B-6-65 |
指向性全二重通信における再送制御に注目したスループットの改善
◎田島理大・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-6-66 |
アプリケーション単位で通信の公平性を担保するための遅延制御方式の提案
○天坂光男・鳴海貴允・中村孝幸・佐藤卓哉(NTT) |
近年センサネットワークの需要は高まっており,森林内山間部など各種リソースが乏しいエリアでも需要が存在する.そのような環境下で冗長性・耐故障性のために複数の通信方式を用いたシステムの考案もなされている.一方で,通信不通発生時に,不要なデータをシンクノードが収集する必要がないように迂回路形成を行うには各ノードが迂回路表を保持している必要がある.しかし,この手法ではネットワーク規模の拡大に伴い機器コストの増加,また電力の確保が課題となる.本研究では森林内山間部におけるセンサネットワークで機器コストを抑制しつつ,不要なデータ生成を行わずに迂回路形成を行うようなセンサネットワークシステムの提案を行う.
信頼性の観点からの通信ネットワーク自動設計の研究は,いわゆるトポロジー最適化への問題の定式化が主流であり,通信ネットワーク内に割り当てられる通信経路についての考慮がなされていない.そこで,本稿で初めて,通信経路まで考慮に入れた通信ネットワーク最適化問題の定式化を行い,最適化アルゴリズムを提案した.
数値実験の結果,信頼性の制約条件の微小な変動で,極端にコストが変動する場合があり,設計時の制約条件の設定を慎重に行うべきであることがわかった.
今後,さらなる数値例による知見の蓄積とモデルの改善を行う.
近年注目を集めているネットワークスライシングでは,一つの物理網上に複数のネットワークスライスを自由に構築できる.
本稿では,深層学習を用いてネットワークスライスのトポロジを設計する方式を提案する.
提案方式では,多層ニューラルネットワークを用いて教師ありの深層学習を行い,学習モデルを生成する.
当該ネットワークの入力層には基盤となる物理網の残余帯域とユーザがスライスで利用したいノードに関する情報が含まれている.
また,出力層からは構築するスライスのトポロジが導出される.
得られた学習モデルを用いることにより,ユーザの要求を満足する最適なスライスを瞬時に設計することが可能となる.
提案方式の性能はコンピュータシミュレーションで評価し,数値例において提案法の有効性を示す.
マルチホップ通信は,広い範囲の端末と通信するために,複数の無線端末を経由してデータをやり取りする技術である.本稿では,再送制御の一種であるBlock ACKをマルチホップ指向性全二重通信に適用した.パケットの連続送信によってBlock ACK はオーバーヘッドの削減を行う.シミュレーションより,パケットロスが発生するマルチホップ環境でも,Block ACK はスループット改善に効果的である事が確認された.
昨今、インターネット上でのゲームサービスが普及している。オンラインゲームの中には、ゲームが許容できる遅延時間が15ms以下のジャンルもある[1]。更に対戦型のジャンルでは、ユーザ毎の遅延時間が異なることにより、公平性を担保できなくなる。オンラインゲームの遅延の原因には、データ処理時間や描画時間など様々な要素があるが、ネットワーク(NW)の遅延も大きな要素である。そこで、本稿では、公平性を担保するためにNWの遅延時間をすべてのユーザで揃える遅延制御方式を提案する。
休 憩(14:30 再開) 座長 滝田大介(三菱電機)
B-6-67 |
Ansibleによる改造容易なエッジルータへのユーザコンフィグ投入
○岩橋宏樹・西口雅人・金澤俊之・柴田貴博(NTT) |
B-6-68 |
通信断を極小化するエッジルータの保守収容替え方式
◎西口雅人・中務諭士・岩橋宏樹・柴田貴博・金澤俊之(NTT) |
B-6-69 |
共通線のIP網移行における導通確認方法に関する一検討
○渡邊宏介(NTT) |
B-6-70 |
遅延測定経路の最適化方式提案と評価
◎上醉尾一真・森 弘樹・大町麗奈・高橋 賢(NTT) |
IPネットワークにおけるエッジルータ(以下,エッジ)では,収容されるユーザ毎に設定されたコンフィグ情報に基づき,様々なサービスの提供に必要な制御をユーザ毎に実施している.新サービス追加やサービス内内容変更,エッジの更改等による設定シナリオの追加・内容変更や実行順序変更等,運用中にも頻繁な改造が想定されるため,シナリオの改造容易性が重要となる.エッジルータへのユーザコンフィグ設定サーバについて,Ansibleを用いた構成案を検討し,実行速度及び改造容易性の比較評価を行う.
キャリアネットワークでは,通信事業者都合の保守目的で,ユーザ端末を収容するエッジルータの切り替え(以降,保守収容替え)が行われる.保守収容替えとは,簡単には,ユーザの契約内容に応じてエッジルータに設定されている,ユーザ通信に対する転送設定を記述したコンフィグを別のエッジルータに移し替えることである.本稿は,通信断を極小化する新たな保守収容替え方式を提案し,従来方式との比較評価によってその有効性を示す.
交換機の維持限界等の理由からIP網への円滑な移行の検討が進められている.移行後の形態では,メタル回線を維持し,メタルからIPへの変換装置を介して電話端末をIP網に収容する方式が考えられている.IP網への円滑な移行を実現するにあたり, 制御信号である共通線をIP網に移行を行う際の課題として導通確認方法を取り上げ,その解決方法の一提案を行う.
近年5Gやe-sportsを始めとするリアルタイム性を求めるサービスの発展に伴い、超低遅延・低ジッタなどの厳しいSLAを満たしたネットワークが求められており、SLAを監視するモニタリング技術が必要である。著者らは、単一システムでSR網全体の遅延、ジッタ等をμsecオーダの精度で測定することが可能な遅延測定システムを提案してきた。本稿では測定区間以外の経路品質劣化による測定影響を極小化して、遅延測定精度の安定性を向上させるための経路最適化方式を提案する。
休 憩(15:45 再開) 座長 北原 武(KDDI総合研究所)
B-6-71 |
事業者間流通情報を用いた特殊詐欺対策に関する検討
◎飯島直之・清水 宏(NTT) |
B-6-72 |
IEEE802.1ASにおけるグランドマスタ切り替えに関する一検討
○柴田浩司・坂上太一・高橋克佳(三菱電機) |
B-6-73 |
フォーマット変換システムにおけるフロー統計情報送出方式の検討
○森岡千晴・林 裕平・三好勇樹・西岡孟朗・鎌村星平(NTT) |
B-6-74 |
固有識別子を持たないツリー型ネットワークのアドレス自動割付けの提案
○広瀬太志・長川大介・柴田浩司・高橋克佳(三菱電機) |
近年,高齢者を狙った特殊詐欺が多発おり,対策としてこれまで様々な研究機関や企業による検討が行われているが,未だ効果的な対策は講じられておらず,依然として被害件数は高い水準を推移している.特殊詐欺では電話が用いられるため,その対策として,現在検討が進められている通信事業者間のIP網相互接続により事業者間で流通する情報(番号変換履歴,発側情報等)を利用することで,呼接続要否や警告要否を判定するネットワーク側の対策機能を提案する.提案方式と現在の対策にて比較を行い,特殊詐欺対策の有効性を評価する.
産業ネットワークにおいて、TSN(Time Sensitive Networking)の普及が見込まれている。TSNでは時刻同期プロトコルであるIEEE 802.1ASにより時刻同期を行う。
IEEE 802.1ASでは、基準となる時刻を持つ装置(GM:Grand Master)を、装置が持つ優先度情報により調停を行い選出するが、高優先度の装置がネットワークに後から新規参入し、GMに選出された場合、システム内で時刻とびが発生する課題がある。本発表では、高優先度装置が新規参入する場合においても時刻とびを発生させることなく時刻同期が可能となる方式を提案する。
近年,ネットワークにおいてトンネリング技術が多く適用されており,効率的なネットワーク運用のためにはカプセル化パケットのouterヘッダと紐づけてinnerヘッダも分析可能な仕組みが必要である.筆者らは,ヘッダサンプル型xFlow技術を用いてネットワーク装置からサンプリングしたカプセル化パケットのヘッダ情報を収集し,outerヘッダとinnerヘッダを解析してinnerフローの統計情報を外部の分析装置へ送出するフォーマット変換システムを検討している.本稿では,本システムにおいてinnerフロー単位に統計情報を算出して統計型xFlowパケットで送出するフロー統計情報送出方式を提案する.
組込み機器(局)の制御ネットワークにおいて、局はMACアドレスの様な固有識別子を持たない場合がある。こうした局では、DHCPのような仕組みでアドレス自動割付けができないため、敷設時に局に付属するDIPスイッチ等でアドレスを手動割付けすることがある。しかし、手動によるアドレス設定は、誤設定を起こし易く、大規模なシステムの構築に適さない。そのため、固有識別子を持たない局に対する自動的なアドレス割付け方法を提案する。
3月12日 9:00〜11:45 Meeting 29 座長 藤橋卓也(阪大)
B-6-75 |
多様な無線方式が混在するIoTネットワークにおける試験フレームワークの標準化
○坂野寿和・矢野一人・鈴木義規(ATR) |
B-6-76 |
Network Type Estimation based on Majority Decision using Accumulated Response Delay
○Rui Teng・Kazuto Yano・Yoshinori Suzuki(ATR Wave Engineering Labs.) |
B-6-77 |
A Study on WLAN Environment Classification for Efficient Internet-wide Port Scan Design
◎Shikhar Verma・Yuichi Kawamoto・Nei Kato(Tohoku Univ.) |
B-6-78 |
広域ネットワークに対するスキャン最適化技術と実環境評価
○松下一仁・石岡 裕・和氣弘明・大﨑光洋・種茂文之(NTT-AT) |
B-6-79 |
国内IPv4アドレスに対するSYNスキャン応答調査
○栗原拓哉・矢野一人・鈴木義規(ATR)・和氣弘明(NTT-AT) |
筆者らはインターネット上の,特に無線ネットワークに接続された多数のIoT機器に対するネットワークスキャンの効率化を目的とした研究を進めている.その一環として,多様な無線ネットワーク環境における効率的IoT機器試験のフレームワークについて検討し,国際標準化を行ったので報告する.
Network estimation from a snapshot of Round Trip Time (RTT) in local networks has shown high accuracy. This paper proposes a new estimation method based on majority decision using multiple RTT samples.
With the proliferation of IoT, network security has become a source of acute concern owing to highly vulnerable IoT devices, which can act as bots to attack other connected devices and infrastructure within the same network. Therefore, researchers are investigating the Internet-wide Port Scan (IWPS) for probing Internet-wide connected devices, including IoT~\cite{cyber}. However, most of the research and developments in the field of port scan have not considered wireless local area network’s (WLAN) environment state such as congestion, bad signal to noise ratio (SINR), and so on, which can lower the performance of port scan by increasing delay and scan packets losses. Therefore, in this paper, we propose a novel approach to classify the real WLAN environment based on the port responses and average scan delay. We provide experimental analysis of the proposed algorithm.
近年,IoT機器の数は著しく増加しておりサイバー攻撃に悪用されるIoT機器も増加している.サイバー攻撃を防ぐために広域スキャンを実施して国内の脆弱なIoT機器を調査することが不可欠である.本研究ではネットワークスキャンの最適化を図り,スキャンに係る通信量の削減を目指したシステムを構築し,それを利用したスキャンの実環境における評価について述べる.
著者らは,広域ネットワークにおける大量のIoTワイヤレス機器に対する長期的かつ多数ポートを対象としたSYNスキャンの実施に際して,スキャンの成功率向上や既存の通信への影響の低減を目的に,応答遅延が小さい時間帯を狙いスキャンを実施するスケジューリング技術等の検討を行っている.これらの技術は実施したネットワークスキャンの応答遅延をもとに学習を行うため,学習の精度や速度は得られる応答遅延の量に依存する.そこでSYNスキャンにおいて得られる応答遅延の量の調査のため,日本国内のランダムに選んだ10万のグローバルIPv4アドレスに対してSYNスキャンを実施したので,その結果を報告する。
休 憩(10:30 再開) 座長 矢島辰朗(NTTドコモ)
B-6-80 |
個人認証機能付き電話システムに関する一検討
○青島広武(NTT) |
B-6-81 |
加入者収容装置における反響音除去の機能配備に関する方式検討
○古屋貴行・佐藤教之(NTT) |
B-6-82 |
加入者収容装置における疑似線路回路の機能配備に関する方式検討
○佐藤教之・古屋貴行(NTT) |
B-6-83 |
特定の管理サーバを必要としない省電力サーバシステムの開発について
○竹下敏和・北村光芳・山口拓実(東京工芸大) |
B-6-84 |
サーバシステム構築トレーニングシステムの開発について
○山口拓実・北村光芳・竹下敏和(東京工芸大) |
親族等になりすますオレオレ詐欺対策として電話番号フィルタリングや録音、通話内容の解析技術が提案されているが、利用者を認証する仕組みは普及していない。本提案では個人認証機能付き電話を提案する。すなわちどの端末や電話番号から発信したかによらず発信者が本人であるかを着信者側が確認できる仕組みを検討する。具体的には本提案では、認証処理と発信処理を紐づける仕組みとして、発信側の電話番号またはURIに発信者の秘密鍵で電子署名する。これにより、『「認証後の一定時間における当該電話番号からの発信は認証を受けた本人によるものだとみなされること」に本人が合意したこと』を客観的に示す証跡を残すことができる。
現在、固定電話網のIP網への移行が進捗している。IP網により電話サービスを提供する場合、反響音(エコー)除去のために、エコーキャンセラ(EC)を用いて通話品質を補償することが一般的である。エコーキャンセラを挿入することで加入者収容装置における反響音除去の機能配備を変更し、通話品質(特に音声レベル)を向上する方式検討と机上評価を示す。
加入者交換機更改の一案として、市販品メタル収容装置の活用を検討した。市販品メタル収容装置に採用された市販加入者回路(SLIC)では、電話端末の回路特性に起因して通話品質(音声レベル)が確保できない場合があることが実測上の既知問題として知られている。電話端末の許容種類を増やすために、市販品のSLICに疑似線路回路(BON: Balance OfNetwork) の追加を提案し、方式検討と机上評価を示す。
近年,コロナウイルスの感染拡大に伴い,テレワークやオンライン授業などインターネットを利用したサービスの導入が増加している.このようなサービスを効率的に提供するためには,サーバの最適な運用が必要不可欠である.そのため,サーバシステムの高可用性と省電力化の実現は非常に重要となる.一般的な省電力サーバシステム(PSS)は特定の管理サーバがシステム全体の監視を行い,サーバシステムの構成変更により省電力化を実現している.しかしながら,管理サーバが故障した場合,システム管理が困難となる.そこで,本報告では特定の管理サーバを必要としないPSSについて,負荷測定中および構成変更中におけるサーバ故障時の対処方法について示す.
インターネットサービスへの要求が高まり,IT技術は更なる発展が予想される.しかし,それらを支えるIT人材の不足が問題となっている.そのため,エンジニアの育成が急務となる.そこで,LPICレベル1相当を対象としたサーバ技術者の研修やサーバ構築関連の職種を目指している学生などに対し,サーバシステム構築のみに焦点をあてた低コストで運用可能なサーバシステム構築トレーニングシステム(SSCTS)の開発が行われている.SSCTSではサーバ仮想化技術としてKernel-based Virtual Machine (KVM)を採用し,1台のサーバで複数ユーザが同時にトレーニングを行うことを可能としている.本報告では,Fail over cluster (FOC)システムの構築を例として,SSCTSの学習効果を検証するための実験を行い,SSCTSの優位性を示す.
3月12日 9:15〜11:45 Meeting 30 座長 菊間一宏(東京国際工科専門職大)
B-6-85 |
コンテンツ指向ネットワーク(CCN)における広告パケット削減の一検討
◎吉川拓麻・青木道宏(愛知工業大) |
B-6-86 |
コンテンツ再配置がICNルータのツリー型FIBの集約効果に与える影響の評価
◎小柳 真・上山憲昭(福岡大) |
B-6-87 |
ICNにおけるFIB集約のための名前付与法
◎児濱司樹・上山憲昭(福岡大) |
B-6-88 |
AIを活用した5Gネットワークのリファレンスモデルの検討
○山本秀樹・岩下将人・中松芳樹(OKI)・城 哲・蕨野貴之・鈴木悠祐(KDDI) |
近年のインタ-ネットでは,トラフィックが増加し,設備の増加や通信品質の劣化等の問題が懸念されている.解決案としてCCN(Content Centric Networking)と呼ばれるコンテンツ指向のネットワークが提案されている.CCNでは,コンテンツまでの経路を探索するためにノードにコンテンツの方向を示す情報(FIB: Forwarding Information Base) を保持する.この情報は,コンテンツがサーバに保持された時点で,全てのノードにコンテンツ情報を転送する広告パケット転送により実施する.従来方式では,複数のノードで多重に広告を受信するため,無駄な通信によるネットワーク負荷が増大する問題があった.
筆者らは広告転送方向を制限することで広告パケットを削減する方法を提案している.本検討では,この課題の解決方法の提案と有効性を確認する.
近年コンテンツ名をPrefix(識別子)としてルータでパケットを転送し,効率的なコンテンツ配信を実現する情報指向ネットワーク(ICN: information-centric networking)が注目されている.従来のインターネットでは目的ホストのサブネットワークアドレスをPrefixに用いて出力フェース番号を取得する転送テーブル(FIB: forwarding information base)をルータで用いる.ICNではサブネットワーク数に対して遥かに数が多いコンテンツ名をPrefixとしてFIBを構成するため,FIBで必要なエントリ数が多くなる.またFIBエントリの集約が難しく,ICNではFIBのサイズの低減が重要である.そこでコンテンツのオリジナル位置を変えることでFIBの集約を計る方式が提案されている.ここではハッシュテーブルを用いた FIB を想定し評価を行っている.FIBの構成法としてはパトリシア木を用いた構成が広く検討されているが,コンテンツ再配置のパトリシア木によるFIBの集約効果は明らかにされていない.本稿では,パトリシア木を用いたFIB構成により,コンテンツ位置を配置設計することでFIB サイズ低減の効果を明らかにする.
現在のネットワークに代わる新たなネットワーク技術として情報指向ネットワーク (ICN: information-centric networking) が注目を集めている.しかしICN にも解決すべき課題があり,その一つとしてルータの転送テーブル (FIB: forwarding information base) のサイズがあげられる.そこで本稿ではICNにおけるFIBのサイズを効果的に集約できるようなデータ名を設定し,2つのアプローチであるRNRF (Router-name-based redirect forwarding )とRNDF (Router-name-based direct forwarding )を提案する.Webコンテンツを用いた数値評価では, コンテンツ提供者(Publisher)が移動しない場合においては,RNRF,RNDFともにホップ長は変えずに,FIBサイズを約1/10^7に削減することが可能である.Publisherが移動する場合においては,RNRFでは,Publisherの移動比率が増加するに伴いホップ長が線形に増加するが,FIBサイズの低減効果を維持することが可能である.RNDFでは,Publisherの移動比率が増加するに伴いFIBのサイズが線形に増加するが,ホップ長を維持することが可能である.
本稿では、AIを活用した5GネットワークのCDNのユースケースの全体アーキテクチャと、その他のユースケースも含めた共通リファレンスモデルの概要を示す。本モデルはAIネットワークを使用することでAIの支援による、構成情報応答、予測したKPI、及び障害復旧支援情報を扱うことができる。
休 憩(10:30 再開) 座長 笹部昌弘(奈良先端大)
B-6-89 |
マルチキャスト視聴制限フィルタの共用化
○藤原貴之・中務諭士・渡辺裕太(NTT) |
B-6-90 |
映像ストリームのジッタパターンによるネットワーク状態推定
◎山口拓郎・持田康弘・白井大介・山口高弘(NTT) |
B-6-91 |
プロキシサーバを介したネットワーク環境における低遅延映像ストリーミングの検討
◎溝口 侑・権藤俊一・峰松美佳(東芝) |
B-6-92 |
The influence of target buffer on the user experience in live video streaming
◎Bo Wei・Jiro Katto(Waseda Univ.) |
B-6-93 |
視線情報を用いた高品質無線360度映像伝送に関する基礎的検討
◎岡本 翼・Yujun Lu・藤橋卓也・猿渡俊介・渡辺 尚(阪大) |
動画配信等の目的でマルチキャスト(以降,MC)が利用される.ユーザの契約状況に応じて視聴可能な範囲を指定するため,転送装置にフィルタ設定が必要となる[1].動画視聴ユーザの増加に伴い,必要なフィルタ数が装置に設定できる上限値を超えることが生じてきた.本稿ではフィルタの設定数を抑制するための共用化方式と効果を述べる.
従来のネットワーク状態推定技術は、ネットワーク上の各機器での情報を取得し、全体のトラヒック量の変化を基に状態推定を行う。これにより異常という形でのネットワーク状態検知が可能ではあるが、すべての端末の情報取得、正確な時刻同期などが必要であり、実運用における課題が多い。
本研究では時刻同期のない送信・受信の2端末のみにより得られる情報からジッタパターンを計算し、状態要素として時間帯による混雑状態推定を行った。入力ジッタパターンは時間帯による統計的性質による区別は難しいが、前処理とニューラルネットワークを用いることで閑散時間帯と混雑時間帯の判別を可能とした。
映像ストリーミングシステムにおいて,映像が遅延することなく視聴者側(ビューワ)の画面に表示されることが求められる.低遅延映像ストリーミングを可能とするメディアフォーマットとして,2018年に Common Media Application Format (CMAF) が標準化された.CMAFでは,通常のストリーミングシステムで用いられるセグメントをさらに細かいチャンク単位に分割して映像データを格納し配信することで低遅延映像ストリーミングを実現する.本研究では,一般的に企業が導入しているプロキシサーバを介した環境における低遅延映像ストリーミングの検討を行う.CMAF準拠のコンテンツを用いた低遅延映像ストリーミングシステムにおいて,プロキシサーバの有無による遅延への影響を評価する.
Live video streaming becomes more and more important in daily life, especially in the situation of global pandemic. Applications such as live meeting and live broadcasting require high-quality streaming services for improving the user experience. Unlike on-demand video, the latency is an essential factor which strongly affects the quality of the live streaming. To avoid large delay, the video buffer on the client side should be kept low level. This work investigates the influence of target buffer size on the user experience and find the optimal target buffer setting for high-quality live streaming.
撮影機器の高解像度化および視聴機器の高機能化とともに,視聴者に臨場感あふれる映像コンテンツを提供する一方法として,360度映像伝送が注目を集めている.本研究では360度映像伝送の無線化を実現する上で生じる無線伝送路品質の変動および知覚的冗長性に起因した映像品質低下を抑制する360度映像伝送手法を提案する.
B-7. 情報ネットワーク
3月9日 9:00〜11:30 Meeting 31 座長 原田薫明(NTT)
B-7-1 |
トーラス型データセンターネットワークにおける光バースト転送方式の一検討
○荻野優也・馬場健一(工学院大) |
B-7-2 |
ユーザの選択ミスを考慮した二元トラヒック受付制御の提案
◎小島汰一・宮田純子(芝浦工大) |
B-7-3 |
TCPセグメント連続転送に基づく経路利用率推定のためのMPTCPコネクション切替手法
○水口新太・川原憲治(九工大) |
B-7-4 |
個人データ流通におけるCIBAを適用したデータ一括転送方式の提案
◎岡部貴之・小倉孝夫・須加純一・伊藤 章(富士通研) |
B-7-5 |
学習型インデックスを用いたIPの最長一致検索の性能評価
◎樋口俊介・小泉佑揮・武政淳二(阪大)・田上敦士(KDDI総合研究所)・長谷川 亨(阪大) |
データセンターネットワークにおいて,主に用いられている階層型トポロジでは,スイッチングにより発生する待ち時間が長くなり,即時応答が必要なサービスの要求棄却率が高くなる可能性がある.
既存研究では即時応答性が必要なサービスの要求棄却率を抑制するため,光ラベル処理を用いるアーキテクチャ及びデバイス技術が提案されている.
本稿では,このアーキテクチャを利用し光バースト転送を用いたデータ転送手法を提案する.
経路選択時,信号通過確率を用いることで信号の競合が起こりにくくなる経路を選択する.
シミュレーション結果より,信号棄却率の低減を示した.
帯域の異なる通信を同一網に収容する際,全ユーザの網収容により得られる満足度を最大化する新しい受付制御方式が提案され,これまでに理論式を用いて有効性が示されている.この受付制御は,すべてのユーザが要求通りの帯域を要求していることを仮定していた.しかしながら,実ネットワークにおいては,ユーザが選択ミスなどの突然変異を起こして要求通りの帯域を得られなくなる可能性がある.このような環境下において,網収容により得られる満足度を最大化する受付制御方式を考察する必要がある.そこで,本稿では確率進化ゲーム理論によってユーザの振る舞いをモデル化し,ユーザが選択ミスをすることを考慮した場合にも適用できる受付制御方式を提案する.
送受信者間の複数経路により負荷分散/省電力化を図るTEでは,各経路の利用状況の把握が必要である.トラヒック転送にTCPを仮定した場合,送信者はセグメントの連続転送を利用したパケットトレイン方式による経路利用率推定が可能となる.しかし,連続セグメント転送に対して各ACKが間欠的に返送されるACKセルフクロッキングにより,送信側は後続のセグメント連続転送が困難となる.
本研究ではMPTCPにより被測定経路に複数の仮想コネクションを確立し,経路の負荷変動を考慮してTCP転送性能劣化を抑制しつつセグメント連続転送を維持するコネクション切替手法を提案する.
CIBAプロトコルを用いて,同意済みの複数の個人データを,保有者から利用者に一括で転送する方式を提案した.本方式は,全ユーザの同意の事前取得を必須とせず,同意を都度取得しながらデータを一括転送可能である.提案方式のデータ一括転送機能を実装し,動作確認を行った.
IPのパケット転送は、IPプレフィクスをキー、転送先を値として保持するForwarding Information Base (FIB)から、パケットの宛先IPアドレスに最長一致するIPプレフィクスを検索し、転送先を決定する処理である。FIBはKey-Valueストア(KVS)であるため、キーと値の格納位置の関係を機械学習で再現する学習型インデックス[1]を適用することで、FIBのコンパクトさと、高速な最長一致検索を両立できる可能性がある。本稿では、学習型インデックスを適用したFIB(学習型FIB)を実現する上で生じる、最長一致検索実現の困難さと、FIBサイズと計算時間の削減の両立という2つの課題を解決する。さらに、学習型FIBの性能をFIBサイズと計算時間の観点で既存のFIBと比較する。
休 憩(10:30 再開) 座長 会田雅樹(東京都立大)
B-7-6 |
グラフのランダムウォーク取得におけるノードID再配置のためのDBGの早期推定手法
◎土田康平・金子晋丈(慶大) |
B-7-7 |
グラフ空間における閲覧済み頂点を用いた関心度指標
◎小林うらら・松本直己・金子晋丈(慶大) |
B-7-8 |
低遅延フレーム処理における一検討
○水口 潤・野田雅樹(三菱電機) |
B-7-9 |
仮想化技術活用による大規模システム評価
○柴田剛志・眞下大輔・中代浩樹(日立)・新藤博之・山本淳二(日立ハイテク) |
グラフ演算において,ノードIDを適切に再配置しなければキャッシュミスが発生し,演算時間が増加する.特に,自律分散グラフ管理環境では,着目ノードの周辺グラフをランダムウォークによって取得する必要があるため,IDは間欠的となり,演算時の時間・空間コストが増加する.本研究では,グラフ収集の途中でも収集したグラフの次数分布情報は入手可能な点に着目し,ノードの次数情報のみを必要とする Degree Based Grouping をもとにグラフを収集しながら再配置を行う手法として Partial Degree Based Grouping Early Estimation (PDBG-EE) を提案する.PDBG-EEでは次数に基づきノードをグループ分けし,各グループのIDの範囲を推定する.PDBG-EEによるID再配置を行った結果, PageRankで46.4%,Personalized PageRankで 27.3% 演算速度が向上した.
ユーザが興味を示す情報に対して, どの程度の背景知識や関心を有しているかを測定することは, 広告や製品開発において重要である. これまでは興味を示している分野を限定し, たとえば既知のキーワードを挙げさせることで関心の程度を把握することが行われてきた. しかし, 既存の分野や領域にとらわれず関心度を測ろうとすることは困難である. 筆者らは, ボーダーレスに情報を扱うためにグラフ技術に注目しており, 本稿では, グラフ空間を用いた汎用的な関心度測定手法を提案する. 本手法は, 閲覧済み頂点を繋ぐ木を作成し, 興味頂点と木との距離によって関心度を測定する. Amazon の共同購入グラフを用いた評価により, 閲覧済み頂点と興味頂点とのコミュニティ間距離と関心度が対応することを明らかにした.
近年の通信端末は、モビリティ性が高いモバイル端末へと、より人の生活と密接な関係を結ぶ関係に至っている。それら端末との通信を担うネットワークは、有線接続であるFTTH(Fiber To The Home)から、無線接続である5Gへと劇的な進化をしてきた。このような端末進化とともに、通信ネットワークの主要な性能指標であったトラフィックレート以外にも、消費電力、遅延時間、多接続といったネットワークに要求される性能指標が多様化してきている。
本稿では、そのようなネットワークの要求性能指標である遅延時間に着目、送信フレームの待ち合わせについてシミュレーションと待ち合わせで発生する遅延時間について分析したので報告する。
ビッグデータ解析や機械学習での大量のデータ処理に向けて,大規模な分散処理を可能とする多様なソフトウェアが開発されている.各ソフトウェアにはそれぞれ特徴があり,用途に応じて選択できることが望ましいが,性能限界など特定閾値を超えて初めて顕在化する差異の確認には大規模な評価環境が必要であり,事前評価は困難である.本報告では,少ないリソースを用いて大規模システムを開発前に評価可能とする方法を提案する.
3月10日 9:00〜11:30 Meeting 31 座長 吉原貴仁(KDDI総合研究所)
B-7-10 |
ドメイン適応を用いた教師なし異常検知手法の提案
○松尾洋一・田尻賢吾・渡辺敬志郎(NTT) |
B-7-11 |
DAGに基づく分散台帳のRPL上の実装
○池田 篤・松本倫子・吉田紀彦(埼玉大) |
B-7-12 |
ブロックチェーン技術を適用した自律分散無線アクセス共用網の認証トランザクション設計
○樋野貴文・川原憲治(九工大) |
B-7-13 |
ICN網における複数暗号鍵を用いた名前暗号化の頻度攻撃に対する脆弱性に関する一考察
◎山田翔太・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-14 |
NDNにおける違法コンテンツブロッキングの処理分散
○三上浩輝・近藤大嗣(阪府大)・栗原 淳(兵庫県立大)・戸出英樹(阪府大) |
本稿では,ドメイン適応手法を用い,十分に正常データがあるICTシステムで学習させたAutoEncoder (AE) の知識を,少量の正常データしかないICTシステムに対して学習させるAEに適応させ,異常検知を行う手法を提案する.
Internet of Things(IoT)のデータの盗聴や改竄といったセキュリティ課題に対処する手法の一つにBlockchain(BC)などの分散台帳がある。しかし、BCは多くの計算リソースを必要とし、計算リソースの限られたデバイスで構成されるIoTにおいては適用しにくい。そこで本研究では、IoTへの適用を目的として提案された分散台帳であるTangleに着目した。そして具体的なIoTネットワークとして、IETFで標準化されているRPL(IPv6 Routing Protocol for Low-Power and Lossy Networks)に焦点を当て、TangleとRPLを組み合わせた手法を提案する。
近年の移動型端末の普及により,公衆無線LANサービスの拡大と無線LANアクセスポイント(無線AP)の稠密設置が予想される.
そこで管理者の異なる無線APを共用し,端末に対する利便性を提供する無線AP共用網の実現が検討されている.
本研究ではブロックチェーン技術を適用した共用網における端末認証手順と必要なトランザクションについて検討する.
Information Centric Networking(ICN) 網では、データを構成するパケット名を同一の暗号鍵で暗号化しても、データを構成するパケット数や要求頻度が公開されてい る場合、頻度攻撃により盗聴した暗号化パケット名(以降、暗号名と呼ぶ)からデータ名を推定できる。 本稿では、パケット名を複数の暗号鍵を用いて暗号化した場合の、頻度攻撃に対する脆弱性を考察する。
漫画や音楽をはじめとした違法コンテンツを配信する海賊版サイトの存在は社会問題となっている. 日本政府は, それらの海賊版サイトに対してサイトブロッキングを行ったが IP ネットワークでは法律的・技術的な課題が存在する. そこで Named Data Networking (NDN) 上でコンテンツ名ベースのブロッキングを行うことで上記の問題を緩和する手法が考案されている. 一方, 通常のネットワーク運用に加え効率的にブロッキングを行う ためには, その処理がネットワーク全体で分散できるものであることが望ましい. 上記の議論に対し, 本稿では, 確率的パケット検証と NDNのキャッシュ機能を用いた処理分散法について提案する.
休 憩(10:30 再開) 座長 橋本匡史(サイバー大)
B-7-15 |
IP相互接続における対向サーバ復旧確認手法
○撰 広嗣(NTT) |
B-7-16 |
期間公平性を考慮した複数仮想ネットワーク連携制御方式の検討
○星合擁湖(NTT)・石橋圭介(国際基督教大)・西松 研(NTT) |
B-7-17 |
MMORPGにおけるK-means++を用いた負荷分散手法
◎神戸 怜・宮田純子(芝浦工大) |
B-7-18 |
データベース定義型SDN制御におけるネットワーク情報の可視化機能の実装
◎△田中智也・佐藤寧洋(阪電通大) |
IP電話事業者網間における対向網の障害からの復旧検知において、着側IBCFの対応のみでOPTIONSを使用可能とし、復旧検知の精度を向上させることができる手法を提案する.
著者らが提案する、複数の仮想ネットワークに対して長期間にわたるネットワーク全体の公平性と効率性を考慮して網資源を割り当てる方式の、割当帯域がほぼ0の発着ノードペアが現れるという課題を解消する方式の検討結果と、過負荷時における当該方式の効果について報告する。
P2P 型MMORPGではゲーム空間を複数の領域に分割し,ノードを各部分領域に設置し管理させることでゲームを進行する.ノードの処理能力を超える負荷がかかった場合,ゲームの中断につながるため,負荷を分散する必要がある.そこで,各部分領域内に存在できるプレイヤ数の上限と下限に2 種類のしきい値を設けることでプレイヤの移動を検知し,動的に領域を分割・結合する負荷分散アルゴリズムが存在する.動的に領域を分割・結合を行うことで負荷の軽減を実現しているが,分割した領域数が多くなることで負荷が大きくなってしまう問題がある.そこで本研究では領域作成に非階層型クラスタリング手法の一つであるk-means++を用いることで負荷が軽減することを示す.
近年、Software Defined Networking (SDN)によるネットワーク制御が普及しつつある。SDNを使用したネットワークは規模が大きくなるにつれ、SDNコントローラへの負荷が集中する問題がある。SDNコントローラの高性能化や分散化によって処理能力を向上させているが、分散コントローラ間のネットワーク制御情報の一貫性の保持が難しく、コントローラ自身の機能も複雑化する傾向にある。本研究ではそれぞれ管理する情報の異なる3つのデータベースによるネットワーク制御の実現およびブラウザによるネットワーク情報を可視化を行う。
3月10日 13:00〜15:45 Meeting 31 座長 末田欣子(明星大)
B-7-19 |
自動運転向け高精度地図データ収容方式の検討
○眞下大輔・安保圭介(日立) |
B-7-20 |
ネットワーク伝送時間の変動を考慮した移動デバイスの遠隔監視・制御支援の一検討
◎鍔木拓磨・石橋亮太・桑原 健(NTT) |
B-7-21 |
力学モデルによるHANETsトポロジコントロールの一考察
◎宮 太地(東工大)・大島浩太(東京海洋大)・北口善明・山岡克式(東工大) |
B-7-22 |
MANETにおける片方向リンク対処手法と電力消費の関係
◎川田裕介・坪川 宏(東京工科大) |
B-7-23 |
通信量を削減する小型IoT機器向け移動エージェントフレームワークの提案
○中屋悠資・坂本和也・北形 元・長谷川 剛(東北大) |
自動運転の構成要素のひとつである高精度地図データは,高精細な3次元情報で構成され,走行ルート計画や運転行動決定のために利用される。日本国内においては,高速道路等を対象としたデータ整備がされている中,今後は一般道路への対象拡大が予定され,容量が増大することが見込まれている。これに対し,従来の地図収容技術を適用すると,必要とするストレージ容量が増大し,これに伴うコスト増加が課題となる。本課題に対し,ストレージ格納する地図を一部範囲に限定し,格納範囲外の走行時においてはオンデマンドでストリーミング配信データを取得する地図収容方式を提案する。
自動運転車やロボットトラクタ等の移動デバイスが注目を集めている.移動デバイスはセンサ等による自律的な制御に加えて,ネットワーク(NW)を介した遠隔監視・制御による制動も求められている.また,通常の自動車の停止距離と同等の停止距離(規定停止距離)で移動デバイスを停止できるようにすることも求められるため,NW伝送時間等の変動要素に応じた動的制御技術を提案する.
本研究では,HANETsの応用先の一つである群ロボットシステムにおいて,特にプロトコルスタックの異なる2種類のドローン群を,プロトコルトランスレータとして振る舞う少数のGWドローンで相互接続する状況を想定し,GWドローンのみを移動制御可能としたときの,異種ドローン間接続安定性の向上手法を提案する.提案手法のアルゴリズムは,相対速度に基づくネイバークラスタリングと力学モデルに基づく移動制御の2段階から構成されており,計算機シミュレーションの結果,一部のパラメータ領域において顕著な安定性向上を達成した.また,本稿では,特性解析を踏まえた提案手法の具体的な応用先についても考察する.
近年のユビキタスネットワークの発展に伴い、移動端末によって構成されるモバイルアドホックネットワーク(MANET)におけるルーティングプロトコルの研究が進んでいる。MANETの課題として、ノードの性能や通信範囲の差により、端末間において一方向の通信しかできなくなる片方向リンクと呼ばれる状況が挙げられる。これに対処するためのプロトコルがいくつかの既存研究で提案されているが、これらの手法において消費電力による性能評価は行われていないのが現状である。本稿では、片方向リンク対応プロトコルにおける到達率と消費電力の関係を、シミュレーション検証により明らかにする。
本稿では、小型IoT機器の性能的な制約やLPWAのような通信容量の制約にとらわれず、複雑な処理を実行し多様な状況に対応するための、軽量な移動エージェントフレームワークを提案する。本フレームワークでは、ネットワークへの負荷を少なくするため、小型化した移動エージェントをIoT機器群へ配布し、IoT機器の挙動をオンデマンドで変更可能とする。さらに、エージェントのタスクをより軽量に処理できるIoT機器向けの移動エージェント実行環境を設計し、小型IoT機器が処理可能なタスクを拡張することを目指す。本稿では、IoT機器向けの軽量な移動エージェント実行環境の機能設計を行い、この設計に基づきプロトタイプを試作し、提案フレームワークの有効性を示す。
休 憩(14:30 再開) 座長 平山孝弘(NICT)
B-7-24 |
低密度な無線ネットワークにおける固定局からの情報再送信によるIFの維持時間の向上
◎藁科亮宥・稲井 寛・荒井 剛・若林秀昭(岡山県立大) |
B-7-25 |
飛ばし見ユーザ占有帯域を加えた三元受付制御方式への拡張
◎大出啓介・宮田純子(芝浦工大) |
B-7-26 |
偏好性を考慮したゲーム理論によるDASHレート選択
◎柳沢拓実・宮田純子(芝浦工大) |
B-7-27 |
映像配信におけるマルチレイヤ統合制御
○小林正裕・河野太一・原田薫明(NTT) |
B-7-28 |
QoS劣化時間最小化のための仮想ネットワーク制御スケジューリング手法
◎岩本真尚・鈴木晃人・小林正裕・原田薫明(NTT) |
無線通信において,通信可能な場所を制限して拡散を抑えるIF(Information Floating)がある.
IFには端末の数が少ない場合に,IFで設定する時間までIFの維持が難しいといった課題がある.
IFを維持する手法として,IFで定める領域について検討したものが多く,IFで設定する時間について検討したものは少ない.
そこで,本研究では後者の立場から,端末密度が低い無線ネットワークにおいてもIFの維持時間を向上させる手法について,IFで設定する時間を変え,固定局からの情報の再送信による検討をしている.
ストリーミング動画の普及に伴い,通信品質保証の手法の一つとして受付制御が提案されている.本研究では,これまでに提案されてきた方式に加え,ユーザの視聴行動の一つと考えられるシーク操作を行うユーザ(以下,飛ばし見ユーザ)を考慮に入れ,さらに飛ばし見ユーザが他のユーザに比べ他の要求帯域を持つと考えた受付制御方式の提案を行う.さらに,待ち行列理論を用いた解析,および数値計算を行うことにより本提案手法の有効性を示す.
インターネットを用いた動画配信サービスのシステムとして最も普及しているDynamic Adaptive Streaming over HTTP (DASH)では,複数のユーザが共有するリンク容量を適切に割り当てるために,ユーザがビットレートの選択を行う.既存のレート選択法では,Quality of Service (QoS)を向上させる手法が主流であったが,近年,動画コンテンツの品質に対するユーザの満足度を表すQuality of Experience (QoE)をもとににした手法がサービスプロバイダやネットワークプロバイダなどの注目を集めている.また,ユーザの好みは,QoEに影響することが分かってきている.そこで本稿では,動画に対するユーザの好みを考慮したゲーム理論を用いたレート選択法を提案した.その結果,提案手法よってQoEが向上した.
本稿では,映像配信におけるアプリケーションレイヤでの配信レート制御とネットワークレイヤでの経路制御を組み合わせたマルチレイヤ統合制御を提案する.各制御を独立に動作させた場合と比較し,提案手法による性能改善効果をシミュレーションにより評価する.
多様なQoS要件に応じて柔軟にサービス提供を行う仮想ネットワーク技術として,SFC(Service Function Chaining)が注目されている.SFC制御ではトラヒック急増に伴うQoS劣化の影響を抑制する手法が検討されており,制御が完了した時点でのQoS劣化を最小化する手法が提案されている.しかしながら,SFCは制御ごとに開始から完了までにかかる時間(実行時間)が異なる.そのため既存手法に基づく制御では,実行時間の長い制御によってQoS劣化が最小化される場合,制御時間の長い制御が優先され,QoS劣化の継続時間(QoS劣化時間)が大きくなってしまう.そこで,本稿ではQoS劣化時間を最小化する手法を提案し,その有効性をシミュレーションで評価した.
B-8. 通信方式
3月9日 9:15〜11:45 Meeting 32 座長 安在大祐(名工大)
B-8-1 |
LoRaにおけるアドレスと送信順序の乱数化の提案
○妹尾尚一郎・古谷彰教・中山裕之(徳島文理大) |
B-8-2 |
時刻同期プロトコルを利用した無線タイミング制御方式
◎松永 亮・大賀正夫・武 啓二郎・有賀 博(三菱電機) |
B-8-3 |
WLAN理論スループットを最大化するフレーム集約法における多変数化の効果
○鈴木康介・山崎悟史(沼津高専) |
B-8-4 |
成功優先DCFの性能解析モデルの一考察
○梅原大祐・吉川大和(京都工繊大) |
IoTセンサネットワークの構築に適した無縁技術の1つであるLoRaにおけるセキュリティ向上のため、デバイスアドレスの乱数化に加えてゲートウェイ傘下の複数のデバイス間でフレーム送信順序を乱数化してデバイス特定を困難化する手法を提案する。
IoT端末の普及により,免許不要なアンライセンス帯を用いた無線通信システムが運用されている.一方で,対象アプリケーションの種類や利用エリアはシステム導入後も増加しており,新たなエリアを新設した場合,既設エリアとのパケット衝突でシステム効率が低下する課題がある.特に,周波数ホッピング等で信頼性を確保する場合,システム内の無線同期が重要となる.本稿では,安価なシステム上の無線装置間で,汎用的な時刻同期方法を用いて無線装置を同期させる無線タイミング制御方式について報告する.
IEEE 802.11n以降の無線LAN(WLAN)では,スループット改善を目的としてMAC層において2段階のフレーム集約(Frame Aggregation, FA)が導入されている.その際,各種フレームサイズなどIEEE 802.11 規格で定められたパラメータ値の下で,Aggregate MAC Service Data Unit (A-MSDU) とAggregate MAC Protocol Data Unit (A-MPDU) のサブフレーム数を適切に設定することが重要となる.これまで筆者らはBianchiのモデルに基づいて802.11ac 規格を満たす理論スループットを最大化する,パラメータ群を全探索により求める手法を提案した.提案手法をA-MSDUとA-MPDUのサブフレーム数 (2変数) について適用し,数値計算と計算機シミュレーションにより従来手法と比較し大幅にスループットが改善されることを示した.本稿では,提案手法を3変数以上に適用した場合の,スループットと計算量について評価した.特に,端末数が200を超えるような稠密環境下では,変数を増加させても計算量を抑えつつスループットが劣化しないことを明らかにした.
本稿では,成功優先DCFに関する非飽和性能解析モデルのスケーラビリティの向上を目的として,新たな性能解析モデルを提案する.その数値解析結果から,性能解析モデルのスケーラビリティの向上が確認された.また,従来のWi-Fiと比較して成功優先DCFは高いトラヒックにも対応可能であることを明らかにした.
休 憩(10:30 再開) 座長 黒木圭介(KDDI)
B-8-5 |
ダウンロード通信誤りを考慮した受信者代弁型情報伝送プロトコルの情報伝送効率
◎内藤碩治・北口善明・山岡克式・伊藤佑樹(東工大) |
B-8-6 |
複数接続点を有する網間接続におけるループ防止技術
◎川上優平(NTT)・木村英明(NTT西日本)・森田章弘・小杉友哉・吉原慎一(NTT) |
B-8-7 |
IoT端末1,000台同時送信時のマイクロバーストに対する連携シェーピングの実験評価の一検討
◎本田一暁・柴田直剛・原田臨太朗(NTT)・石田陽太・明石邦夫(NICT)・金子 慎(NTT)・宮地利幸(NICT)・寺田 純(NTT) |
B-8-8 |
PONシステムにおけるEnd-to-Endスライス対応DBA方式に関する検討
○末廣 雄・長沢明子・名倉健一・小崎成治(三菱電機) |
B-8-9 |
Multi-service Activation Using QR Code to Activate Service Function Chaining
Trinh Tri(Vietnam Post and Telecommunication Groups)・○Manabu Yoshino(NTT) |
下り回線の帯域が上り回線と比較して広いとき,効率的に上り通信を行う手法として受信者代弁型情報伝送プロトコルが提案されている.このプロトコルは,通信路における誤りへの耐性がなく,下り回線における既存の冗長性を利用した,リスト再構築法,リスト圧縮法2つの誤り訂正方式を提案した.リスト再構築法は,候補順を並び替え,リスト同士の最小ハミング距離を最大化し,誤り耐性を与える手法,リスト圧縮法は,既存の冗長性を削り,代わりにFECを加える手法である.シミュレーション解析よりネットワーク環境に応じて,スループットの増加,端末送信ビット数削減の有効性を示す.
2つの広域イーサネットワーク間を接続する場合を考える.網間接続点を1つしか持たない場合,網間通信は,収容装置と接続点の位置関係によっては大きな迂回が必要となり,転送遅延時間が増大してしまう.一方,網間接続点を複数持ち,近隣の接続点を使用すれば,迂回問題は解決するが,網間ループを発生させる可能性がある.
本研究では,複数の接続点を持つ場合でも,網間ループを発生させることなく,遅延の少ないネットワーク間通信を実現する方式について検討した.
Internet of Things(IoT)端末が取得するセンシングデータ等は、無線通信によりIoT-Gateway(GW)へ送られ、レイヤ2ネットワーク(L2NW)等を介してIoTサーバへ届けられる。ここで、多量IoTの同時通信時にマイクロバーストが発生し、L2NW上でフレーム破棄が生じる可能性がある。我々はこれまで、限られたキュー長で効率的にフレーム破棄を削減するため、複数レイヤ2スイッチ(L2SW)間での連携シェーピング技術を提案している。本稿では1,000台の模擬IoT端末からマイクロバーストを発生させ、提案手法の有効性を実機評価したので報告する。
単一の物理インフラ上で多様な要件のネットワークを複数同時収容する技術としてネットワークスライスが提唱されている.スライスの要件としてアイソレーションが挙げられるが,限りあるリソースの有効利用のため,筆者らはスライス間のリソース共有についても検討している.本稿では,PONシステムにおけるスライス間およびスライス内の帯域リソース共有に関して整理し,対応するDBA方式について検討したので報告する.
Zero Touch Provisioning Solutions represent a promising way to reduce the time required to deliver Internet services and the operating expenses related to fiber-to-the-home equipment configured networks. We can use service function chaining (SFC) to alter network functions that are incorporated in the network service chain to reflect the customer requirements.
This paper proposes a multi-service activation scheme using QR codes to activate SFC chains corresponding to various services.
3月9日 13:00〜17:00 Meeting 32 座長 鎌倉浩嗣(千葉工大)
B-8-10 |
ローカル5Gの伝搬遅延時間に関する一検討
○田野文彦・水口 潤・野田雅樹(三菱電機) |
B-8-11 |
IoTデータ信頼性向上に向けた無線LANメタデータ収集方式における端末負荷と消費電力の評価
○椎名亮太・玉置真也・鈴木徹也・木村康隆・谷口友宏(NTT) |
B-8-12 |
低レイヤメタデータ収集方式を用いたIoT機器の論理/物理構成一致管理システムへの適用例
○玉置真也・椎名亮太・鈴木徹也・木村康隆・黄 掣・秦野智也・山田崇史・谷口友宏(NTT) |
B-8-13 |
LED搭載ドローンと物体検出カメラ間可視光通信における実験評価
◎高野宏紀・久野大介・中原睦貴・鈴置皓介(阪大)・丸田一輝(東工大)・小野寺幸仁・八重樫 遼・中山 悠(東京農工大) |
B-8-14 |
電波を用いた海底付近における海中無線通信実験
◎横山大騎(明大)・滝沢賢一・菅 良太郎・松田隆志(NICT)・井家上哲史(明大) |
第5世代移動通信システム(5G)の無線通信サービスを通信キャリア以外の事業者も使用できるローカル5Gは、高速・大容量のほかに低遅延の特徴も有しており、通信手段をこれまでの有線から無線に置き換えることが可能となる。特徴の一つである低遅延性を評価するには、サービスによって求められる優先度が異なるため、優先度ごとのフレームの伝搬遅延時間を測定する必要がある。そこで、ローカル5Gの伝搬遅延時間の評価手法として、時刻同期の機能を利用し、優先度ごとに計測する方式を提案する。
近年、IoT(Internet of Things)センサを活用したサービスの普及が進んでいる。筆者らは、IoT端末に付随する主センシングデータ以外の情報(機種、設置場所、接続状況など。以下、メタデータと呼ぶ)を収集・活用することがセンシングデータの信頼性向上につながることを述べ、低リソースなIoT端末にも適用可能なデータリンク層での低レイヤメタデータ収集方式を提案し、無線LAN環境を想定した方式を提案してきた。本稿では、提案方式におけるセンサ端末の端末負荷及び、消費電力について着目し、トランスポート層プロトコルでのメタデータ収集方式との比較を行った結果を報告する。
IoTデータ信頼性向上を目的として、これまで提案してきた低レイヤメタデータ収集方式の応用例として、IoT機器の論理ネットワーク構成/物理構成の一致管理を実現するシステムの実装および動作確認結果を報告する。
地震や津波などの災害発生時には,機器の故障や電力供給の遮断により,通信サービスが利用できなくなる可能性がある.しかし,迅速な人命救助や災害対応のために通信ネットワークの早期復旧が不可欠である.そこで,災害対応向けドローン基地局の研究開発が近年盛んである.本稿では,通信と照明機能を両立する深層学習による物体検出を利用したLED搭載ドローンとカメラ間の可視光通信を提案する.フィールド実験から,カメラ・ドローン間距離が80mの場合に,高精度な物体検出及び可視光通信が可能であることを示し,提案手法が実現可能であることを報告する.
近年,資源探査産業や海洋環境モニタリング等の分野において海水中で利用可能な無線通信技術が求められていることから,海中無線通信への注目が高まっている.
海中無線通信としては,音波や可視光を利用する方式の開発が進められている一方,電波は海中での減衰が大きいために利用が困難と考えられてきたが,近年,海水中の伝搬特性の測定結果や海底層を伝搬することで通信距離の向上を図る手法など,電波を利用する海中無線技術に関する先行研究が報告されている.本稿では,海水中における電波伝搬測定結果を用いて,海底面からアンテナまでの間隔に対する通信可能距離及びSNRへの影響を評価する.
休 憩(14:30 再開) 座長 Kitswan Nattapong(電通大)
B-8-15 |
微弱な光入力領域における給電光電力モデリングの高精度化
○喜多亮太・深田陽一・桂井宏明・吉田智暁(NTT) |
B-8-16 |
全チャンネル位相変調によるFM一括変換方式を用いた広帯域RF信号伝送システムの検討
○下羽利明・宮武 遼・田邉暁弘・深田陽一・吉田智暁(NTT) |
B-8-17 |
全チャンネル位相変調によるFM一括変換方式を用いた広帯域RF信号伝送システムの長距離光伝送実験
○宮武 遼・下羽利明・田邉暁弘・深田陽一・吉田智暁(NTT) |
B-8-18 |
電力線通信 (PLC) システム瞬時電源周波数同期重畳図の通信品質解析図の提案
◎青木純陽(東洋大)・喜田健司(大同大)・石川博康(日大)・篠永英之(東洋大) |
B-8-19 |
準天頂衛星みちびきが放送する災害・危機通報の相互情報量
○高橋 賢(広島市立大) |
IoTサービスの普及拡大に向け,設置場所を選ばない通信デバイスの実用化が望まれる.その中でも,電源確保が困難な場所への設置を可能とするために,光給電にて稼働するデバイスに着目する.このようなデバイスでは,安全性を確保するために入力光を数mW程度と制限することが想定される.そのような微弱な光入力における給電光電力の算定では,出力電圧の給電光電力依存性を考慮することで,精度を向上させることができる.そこで,それらを考慮した高精度なモデル式を検討し,実測結果と合わせ評価することで,より正確にPDの特性を表すことを確認した.
本稿では,全ての伝送信号で光信号を位相変調した後,光ヘテロダイン受信により広帯域FM信号を得る,FM一括変換方式(全チャンネル位相変調方式)を採用した試作光送信装置において,全伝送チャンネルに対し,省令値を上回るCNRが得られることを明らかとした.
本稿では、CATV信号およびBS/CS右旋IF信号、BS/CS左旋IF信号を一括して伝送可能な広帯域FM一括変換方式の光送信装置を新たに試作し、V-OLTを多段に接続した長距離光伝送実験を実施した。その結果、全伝送チャネルにて省令値を上回る伝送特性(CNR)が得られることを明らかとした。
電力線通信(Power Line Communications:PLC)は電力線を媒体として通信する技術である。著者らは先行研究において、携帯電話充電器を電力線に接続すると電源周波数の半周期に一度パケットが未検出となる時間帯(以下、通信禁止時間)が発生することを明らかにし、通信禁止時間の解析手法として瞬時電源周波数同期重畳図を提案した。重畳図は多くのバースト信号先頭パケット受信時刻を表すプロット点が重畳するため、通信禁止時間による内包パケット数の変化を大まかに把握できるが詳細解析は難しい。本稿では通信禁止時間による内包パケット数への影響を詳細解析するため、重畳図の通信品質解析図を提案する。
準天頂衛星みちびきが放送する災害・危機通報信号を電池寿命に限りのある移動受信機にて間欠受信するために,その相互情報量を考察した.自らに関する災害・危機通報が発生することは稀であるために間欠受信は有効であると考えられる一方,受信機休眠中に自らに関するDC通報が放送されると情報欠損をもたらす.伝送路を非対称無記憶2元通信路に近似して求めた相互情報量は,そのデューティ比にほぼ比例した.災害・危機通報通報の単純な間欠受信は,そのデューティ比だけの相互情報量低下をもたらすため,むしろ,過去のDC通報内容の活用が必要である.
休 憩(16:00 再開) 座長 谷口 篤(NTT)
B-8-20 |
All-Photonics Networkを支えるPhotonic Gateway
○金井拓也・本田一暁・田中康就・金子 慎・原 一貴・可児淳一・吉田智暁(NTT) |
B-8-21 |
All-Photonics Networkにおける分散補償量の選択方式の提案
○妹尾由美子・胡間 遼・原 一貴・金子 慎・可児淳一・吉田智暁(NTT) |
B-8-22 |
APN実現に向けたSOAによるAMCC信号重畳に関する検討
◎田中康就・金井拓也・本田一暁・陳 明晨・進藤隆彦・原 一貴・金子 慎・中村浩崇・可児淳一・佐野公一・吉田智暁(NTT) |
B-8-23 |
6Gに向けた移動体との光空間通信時における指向性制御方式の受信電力評価
◎原田臨太朗・柴田直剛・金子 慎・今井健之・可児淳一・吉田智暁(NTT) |
現状のネットワークでは実現できないような高速・大容量化や、抜本的な低遅延化、低消費電力化を可能とする新たなネットワーク基盤の実現を目指し、フォトニクス技術をベースとしたAPN(All Photonics Network)に関する研究が進められている。APNでは、波長を活用したエンド・ツー・エンドかつフルメッシュな光パス接続の提供により、遅延を極限まで低減し、高速大容量な機能別波長専用ネットワークを柔軟に提供する。フルメッシュ面は、面内に配置されるPh-EX(Photonic Exchange)と、入口に配置されるPh-GW(Photonic Gateway)の2種類の光ノードから構成される。本稿では、Ph-GWの基本機能および遠隔波長設定による自動光パス開通について紹介する。
Ph-GWの機能の一つとして、分散補償量の選択方式を提案し、4種類の分散補償機能を用いることで、SMF長が0 kmから100 kmに対して、分散量に合わせた分散補償が実現できることをシミュレーションにより確認した。
現状のインターネットベースのネットワークの限界を打破する新たなサービス基盤の創出を目指し、光を中心とした革新的技術を活用した大容量・低遅延・低消費電力を実現するAPN(All-Photonics Network)の研究開発が進められている。APNでは様々なサービスを収容可能とするため、特定のクライアント信号の通信プロトコルに依らない通信プラットフォームの実現を目指しており、主信号成分と干渉しない低周波帯域の独立した管理制御チャネルを利用したAMCC(Auxiliary Management and Control Channel)の適用が検討されている。我々は、SOAをAMCCの光変調器として駆動させると共に、主信号もブースタ光増幅器として利用できるAMCC重畳方式を提案し、さらに、SOAをAMCCの変調器として利用した場合の最適な駆動領域を明らかにする。
6Gではあらゆる場所にある端末への高速無線通信の提供が検討されている.この実現手段の1つに移動基地局(移動局)の活用が挙げられるが,端末に提供する無線通信速度よりも高速な通信速度が地上基地局(地上局)と移動局の間に必要となる.筆者らは,地上局~移動局間で光空間通信(FSO)を用いることを想定し,持続的な通信を目指して指向性制御方式を提案している.本稿では,この提案方式の有効性を理論評価により示す.
3月12日 9:00〜11:45 Meeting 32 座長 稲森真美子(東海大)
B-8-24 |
DIPによる残留干渉およびノイズ除去とDNNによるスケーリング係数学習を用いたBPアルゴリズムによるMassive MIMO検出法
◎橘 順太・大槻知明(慶大) |
B-8-25 |
空間相関チャネル下における低解像度ADCを用いた大規模MIMOの特性評価
◎吉田麻菜・梅原大祐(京都工繊大) |
B-8-26 |
機械学習を用いた位相雑音耐力の向上
◎坂野 純・森 洋二郎・長谷川 浩(名大) |
B-8-27 |
雑音と1bit ADCを用いたマルチアンテナ受信機におけるチャネル推定と信号復調
◎中島康雄・山里敬也(名大)・荒井伸太郎(岡山理科大)・齋藤将人(琉球大)・羽多野裕之(三重大)・田中宏哉・田所幸浩(豊田中研) |
B-8-28 |
OTA測定におけるEVMの距離依存に関する検討
◎齋藤裕之・新井宏之(横浜国大) |
5G無線通信システムのキー技術として,Massive MIMOが注目されている.基地局側で空間多重した受信信号を分離・検出するための手法として,確率伝搬(BP)アルゴリズムに基づく信号検出法(BP検出)が注目されている.BP検出では,各反復において伝搬メッセージからシンボルレプリカを生成し,受信信号の干渉成分を除去することでLLRを更新するが,残留干渉,およびノイズの影響により伝搬メッセージに誤りが発生する.本稿ではDIPを用いて,BP検出における干渉除去後の受信信号の残留干渉,およびノイズを低減する手法を提案する.また,DIPを適用したBP検出において,干渉・ノイズ成分の分散のスケーリング係数を学習することで,伝搬メッセージの信頼度を向上することを考える.提案法では従来法と比べBER特性を改善することを計算機シミュレーションによって示す.
本稿では低解像度アナログ-ディジタル変換器 (Analog-Digital Converter, ADC) を用いたフルディジタル大規模 Multi-Input and Multi-Output (MIMO) システムの特性について検討する.フルディジタル構成は必要な高周波部品や ADC 数が多く,消費電力が増加する.そこで,アップリンクの低消費電力化を図るために,空間相関チャネル下において,低解像度 ADC を大規模 MIMO システムに適用することを想定し,計算機シミュレーションによりビット誤り率 (Bit Error Rate, BER) の観点から評価する.評価の結果,同時受信信号ストリーム数が16の場合,受信アンテナ数を1000とし,1-bit ADC を用いた大規模 MIMO システムの BER 特性は,無限解像度 ADC を持ち,受信アンテナ数を250とした場合と,ほぼ同等であるという結果を得た.
増加を続ける通信需要に対応すべく短距離光ファイバ通信システムへのデジタル光コヒーレント方式の導入が検討されている.デジタル光コヒーレント方式では光電界の強度情報に加え,位相情報を用いて情報伝送行うため.位相雑音の小さい狭線幅レーザの利用が前提となっている.しかし,低コスト性が重視される短距離通信システムにおいて,狭線幅レーザのコストが導入を阻む要因となっている.本稿では,位相雑音耐力を有する変復調方式を提案する.低品質なレーザの使用を想定したシミュレーションを行い,提案技術の有効性を確認した
非線形性が雑音によって改善される現象により,分解能が1bitのアナログ-ディジタル変換器(1bit ADC)を用いる場合においても振幅が変動する信号を再生可能になる.1bit ADCは,広帯域なマルチアンテナ受信機など高分解能ADCの利用が難しい状況における代替手段として検討されている.先行研究では雑音が加わった1bit~ADCの出力を確定信号と出力雑音に分離する解析手法を提案し,出力雑音の分散が入力信号振幅に依存する特徴が明らかになった.この特徴のため,1bit ADCを用いたマルチアンテナ受信機における最適な信号復調は出力の平均・分散の両方を考慮する必要があるが,一方でチャネル推定の精度によっては十分な性能を発揮できないと考えられる.そこで本稿ではチャネル推定手法の提案と,信号復調手法に与える影響の評価を行う.
損失発生時の変調,復調性能の評価において,EVM(Error Vector Magnitude)が用いられる.EVMを測定するにあたってRFケーブルによる直接接続で評価を行ってきた.ミリ波帯における測定では端子排除を行う必要があり,EVMの検証においてもOTA(Over-The -Air)での測定が必要になる.一般にOTA測定での検討を行う際には測定距離による影響が生じる.以前より近傍界でのOTA測定におけるEVMについての検討は行われてきた.本稿では,OTA測定におけるEVM測定においてチャネル推定を用いたシミュレーションを行い,OTA状況下で距離による影響がないこと,EVMの基準を満たすSNRを検討した.
休 憩(10:30 再開) 座長 久野大介(阪大)
B-8-29 |
光アクセスネットワークにおけるAPDデュアルレート・バースト受信器の受光感度最適化の検討
◎長嶺将太・今泉 大・木村俊二(九大) |
B-8-30 |
XGS-PON OLT用デュアルレートバースト受信チップセットの開発
○川中啓敬・吉間 聡・野田雅樹(三菱電機) |
B-8-31 |
閾値切替によるバースト光受信器高感度化に関する一検討
○吉間 聡・川中啓敬・野田雅樹(三菱電機) |
B-8-32 |
非対称コンスタレーション分布を利用した周波数オフセット補償方式のBER特性評価
○胡間 遼・五十嵐 稜・原 一貴・可児淳一・吉田智暁(NTT) |
B-8-33 |
分布ラマン増幅技術を用いたバス型光アクセスNWにおける収容ユーザ数の評価
◎五十嵐 稜・胡間 遼・原 一貴・可児淳一・吉田智暁(NTT) |
光アクセスネットワークでは1Gビット級のPONシステムが世界的に普及し、10Gビット級システムへのマイグレーションを目的に両ビットレートの共存化技術が検討されてきた。EPONシステムの上りのバースト伝送では、O帯波長の1Gと10Gの信号に対応するためにデュアルレート対応のバースト受信器がOLTに必要であるが、レートの切り替え機能に関してはトランスインピーダンスアンプ(TIA)の帰還抵抗可変化技術の検討が中心であった。そこで今回はAPDの増倍率を含めた最適化設計法について検討を行った。
光受信器の利得と帯域が変化すると最適な増倍率が変化することを解析により明らかにし、増倍率を瞬時応答制御する回路設計手法について提案する。
XGS-PON OLT用のデュアルレートバースト受信チップセットを開発した.9.95Gb/sおよび2.49Gb/s各信号に対して最小受信感度-30.6dBmおよび-36.6dBm,ダイナミックレンジ26.2dBおよび29.5dBを,プリアンブル長64.3nsで実現できることを示す.これは,XGS-PON[1] E1クラス,XG-PON[2] E2クラスの要求仕様をそれぞれ満足する.
PON用バースト光受信器において信号受信時と無信号時で受信器内部の閾値を切り替えることで,無信号時にDCオフセットをゼロとしつつ,信号受信時に感度最適点に閾値を設定可能な構成を示す。また,XGSバースト光受信器を用いた原理確認実験により,9.95Gb/s信号に対してDC中心固定時と比較し最大で0.6dB高感度化できること示す.
TDM-PONシステムの高速・長延化のため、デジタルコヒーレント受信技術の適用が検討されている。本構成の上り通信では、各ONUの送信する時間的に間欠なバースト信号光毎に、LO光との周波数差(周波数オフセット)を補償する必要がある。著者らは、プリアンブル部に挿入したトレーニングシンボルの差動検波後のコンスタレーション分布から、周波数オフセット量を推定する方式を提案し、±B/2(B:シンボルレート)の周波数オフセット量を推定できることを示した。本稿では、提案方式における25 Gb/s QPSK信号の受信特性を評価する。
加入者密度が低いエリアのユーザを効率的に収容するバス型光アクセスネットワーク(NW)のロスバジェット拡大に向けて,これまで我々は,信号をドロップするデバイスとして分岐比がポートによって異なる不等分岐スプリッタを用い,上り信号を分布ラマン増幅する構成を提案し, 特定のNW構成(ドロップ間隔10 km,ブランチ数3) での上り伝送特性を明らかにした.本検討では,ドロップ間隔・ブランチ数を任意に設定した場合の収容ユーザ数を数値シミュレーションにて評価した.
B-9. 電子通信エネルギー技術
3月12日 10:00〜11:00 Meeting 31 座長 湯淺一史(NTTファシリティーズ)
B-9-1 |
蓄電池分散装荷直流基線の過渡応答に関する検討
○山田博仁(東北大)・松井正和・越 浩之(古河電工)・岩月勝美・尾辻泰一(東北大) |
B-9-2 |
専用線を用いた電力融通による再エネ利用率向上効果
○劉 可(東北大)・松井正和・越 浩之(古河電工)・山田博仁・岩月勝美・尾辻泰一(東北大) |
B-9-3 |
電力パケットを用いた時分割多重による無線電力伝送に関する検討
◎間宮崇弘・持山志宇・引原隆士(京大) |
B-9-4 |
遺伝的アルゴリズムを用いたE級WPTシステムの最適設計
◎△朱 聞起・グエン キエン・関屋大雄(千葉大) |
蓄電池を分散装荷する直流基線において、EVの急速充電等の大きな電流負荷が突如印加された場合の基線電圧の過渡応答について数値解析を行ったので報告する。
太陽光発電と蓄電池を有する未来型の集合住宅において、発電量が消費電力量を上回る場合は、蓄電か系統への売電を行うことになる。しかし、系統の電力容量が限られている場合には売電の機会を失うこととなり、結果的に再エネ利用率の低下を招く。それに対して、専用線を敷設して電力融通を行えば、再エネ利用率の向上が期待できる。本報告では、このようなケースをモデル化し、数値解析によってその効果を検証したので報告する。
本研究では, 外部電源から独立してバッテリー等により駆動される閉鎖系が複数存在するシステムを対象とする. このとき, 各系が余剰電力を互いに融通し合う場合を考え, 配線が不要で構成の変更が容易な無線電力給電の適用を考える. しかしながら, 閉鎖系内で連続的な電力運用が行われていると, 無線電力伝送に際し電力変動が生じ, 閉鎖系の動作に影響する可能性がある. そこで,断続的な電力運用が可能な方法として, 電力パケット伝送を用い, 閉鎖系内に必要な電力が運用されていない時間帯に無線電力伝送を行うことに優位性がある. 本報告では, 電力パケット伝送システムを用い, ルータに有線で接続された負荷に電力を伝送しつつ, 空き時間に無線電力伝送を介して別の閉鎖系を模擬した負荷に電力が伝送できることを, 実験により確かめた.
本研究ではE級無線電力伝送(WPT)システムの設計において,コイルパラメータが含まれる回路の素子値を変数とし,出力電圧の目標値を達成する中で効率を最大化する設計手法を提案した.遺伝的アルゴリズム(GA) を用いることにより計算量の削減を図った.更に,回路実験を行い提案した設計手法の妥当性を確認できた.
B-10. 光通信システムA(光ファイバ伝送路)
3月10日 9:00〜9:15 Meeting 33 座長 高坂繁弘(古河電工)
B-10-1 |
新型多心融着接続機の開発
○神田佳治・横田耕一・尾崎 徹・神谷宏昭・高橋 中・山本悠介(フジクラ) |
本セッションはB-13との関連セッションであり、後続の講演はB-13-11よりご覧ください。 |
光ファイバの融着接続を必要とする通信インフラ工事の市場は,通信トラヒックの増大に伴い拡大している.多心光ファイバの敷設は,費用抑制の観点から既設地下管路を最大限有効活用するため,物理的な制約が存在し,ケーブルの細径高密度化が進むことで,多品種化している.
そのため通信インフラ工事市場からは,多種多様なクラッド径,ピッチ,心線数の多心光ファイバを接続できる融着機が求められている.また,現場で修理可能な高いメンテナンス性も市場からは常に要求される.
今回これらの要望に応えるべく,V溝交換機構を搭載した新型多心融着接続機90Rを開発した.
3月11日 14:00〜15:15 Meeting 33 座長 山本義典(住友電工)
B-10-2 |
O/E変換モニタを内蔵したMCF-Tapデバイスの特性改善
○小林哲也・皆川洋介・長山さやか・榧 明日美・高畠武敏(オプトクエスト) |
本セッションはB-13との関連セッションであり、先行の講演はB-13-20よりご覧ください。 |
我々はMCF光機能デバイスとして,空間結合を利用したTAPモニタデバイスを検討して報告している.これまでのTAPモニタデバイスでは,個々の伝搬コアの光量をモニタするためにはMCFからSMFへ変換するFan-outデバイスを用いた後にO/E変換する為のフォトディテクタに接続する必要があった.我々は,非結合型4コアMCFより出射した空間ビームをレンズにより分離させて直接PDにモニタ光を入力させることでFan-outデバイスが不要となるMCF用モニタデバイスを検討し,試作評価した結果を報告している.今回,さらに挿入損失やサイズなど改善したので報告する.
休 憩(14:30 再開) 座長 坂本泰志(NTT)
B-10-3 |
超低損失かつ低コア間クロストークを有する非結合4コアファイバ
○高橋正典・前田幸一・相曽景一・武笠和則・杉崎隆一(古河電工)・相馬大樹・高橋英憲・釣谷剛宏(KDDI総合研究所)・新子谷悦宏(古河電工) |
B-10-4 |
製法の異なる4コアファイバのスキュー特性
◎福本良平・佐々木雄佑・竹永勝宏・愛川和彦(フジクラ) |
B-10-5 |
スクランブル法によるランダム結合型マルチコアファイバのモード依存損失の測定
○長谷川健美・林 哲也(住友電工) |
本セッションはB-13との関連セッションであり、後続の講演はB-13-24よりご覧ください。 |
マルチコアファイバ(MCF)を用いた空間多重伝送技術の開発が盛んに行われており,実用化の観点から125μmのクラッド径を有する,MCFが注目されている.MCFの適用先として,光海底ケーブルがあげられる.光海底システムにMCFを適用するためには,低損失であること,コア間のクロストークが低いことが求められる.
本報告では非結合型のMCFにおいて最低損失となる0.155dB/kmの伝搬損失を実現した.さらに,-60dB/100km以下の低XTを両立した.このMCF 60.2kmの両端にFIFOを接続した状態でのスパン損失は9.9~10.4dBであり,スパンXTは-62dB以下であった.以上の結果から,作製したMCFは次世代の光海底伝送システム用ファイバとして有効な特性を有していると考えられる.
トラフィックが増え続けるデータセンタでの通信容量を大幅に向上させる技術として期待されるマルチコアファイバ(MCF)の製造法の1つに,通信用ファイバの製造に用いられる外付け法(OVD法)を利用するクラッド一括形成法(OBR法)がある.また,複数ラインでのパラレル伝送では,伝搬する光の伝搬時間差であるスキューを考慮する必要がある.そこで本稿では,孔開法およびOBR法で作製した4コアファイバのスキューを測定し,製法によるスキューへの影響を調査した.その結果,孔開法ファイバに比べてコア・トレンチ層が大きく変形しているOBR法で作製したファイバであっても,孔開法と同程度のスキューを示すことが分かった.
ランダム結合型マルチコアファイバ(RC-MCF)は低損失性と低非線形性に優れ長距離大容量のモード多重(MDM)伝送に適する.一方でMDM伝送ではモード依存損失(MDL)が伝送容量を低下させるため、RC-MCFのMDLを評価して管理することが必要である.MDL を評価する方法として波長掃引干渉に基づくOVNA法が知られているが損失測定精度は0.1dB程度に留まり、入出射に必要なFIFOのMDLによる誤差要因も伴う.一方で長距離伝送では100程度以上の中継スパン数を要するためスパンを構成するファイバのMDLは0.1dB程度以下に管理することが望ましい.本報告では、偏波依存損失の測定に用いられるのと同様のスクランブル法により0.05dB以下の誤差でRC-MCFのMDLを評価できることを示す.
3月12日 9:00〜9:15 Meeting 33 座長 森岡寛遵(フジクラ)
B-10-6 |
強いモード結合を有する屈折率分布型プラスチック光ファイバのアナログRadio over Fiber伝送特性
◎村元謙太・井上 梓・小池康博(慶大) |
本セッションはB-13との関連セッションであり、後続の講演はB-13-25よりご覧ください。 |
最近我々は,屈折率分布型プラスチック光ファイバ(GI型POF)を用いることで従来の石英系GI型マルチモード光ファイバと比べて高品質なアナログRadio over Fiber(RoF)伝送が可能となることを実証した.GI型POFによる高品質なRoF伝送はその強いモード結合に起因した雑音と非線形歪みの低減と関係することが示唆されており,その影響は伝送距離に大きく依存することが予測される.そこで本研究では,GI型POFのRoF伝送特性のファイバ長依存性を評価・解析した.その結果,GI型POFを用いたRoFリンクでは,伝送距離が長くなるほどモード結合に起因した雑音と非線形歪みの低減が顕著となり,伝送品質が向上する傾向があることが明らかとなった.
B-10. 光通信システムB(光通信方式,光通信機器,デバイスのシステム応用,光通信網・規格)
3月9日 13:00〜17:00 Meeting 34 座長 葛西恵介(東北大)
B-10-7 |
フィルタバンクマルチキャリア方式におけるオフセットQPSK信号のコスタスループ光ホモダイン検波
◎末次雄喜・水鳥 明・片山健夫(大分大) |
B-10-8 |
偏波多重QPSK信号のコスタスループホモダイン検波に適用する自動偏波制御システム
◎小池佑宗・片山健夫・水鳥 明(大分大) |
B-10-9 |
複素モーメント型固有値解法による楕円領域光固有値抽出
◎寺師悠平・久野大介・中尾彰吾・三科 健(阪大)・吉田悠来(NICT)・丸田章博(阪大) |
B-10-10 |
12個の固有値配置を用いた4096値固有値変調信号の伝送実験
◎△竹内裕之・三科 健(阪大)・吉田悠来(NICT)・久野大介・丸田章博(阪大) |
B-10-11 |
非線形シュレディンガー方程式の学習: 損失分布とPassband narrowingの推定
◎笹井健生・中村政則・山崎悦史・山本秀人・西沢秀樹・木坂由明(NTT) |
我々はOFDM方式において、特定のサブキャリアへのコスタスループによるホモダイン検波を達成している。今回はOFDM方式より高いスペクトル効率を有するフィルタバンクマルチキャリア(FBMC)方式を使用したホモダイン検波を目指した。受信信号は複数のサブキャリアで構成されている。そのため、位相誤差を生成する位相4倍回路の前にローパスフィルタを挿入することで不要なサブキャリアを除去し、位相同期を行うサブキャリアのみを通過させることでホモダイン検波を達成した。同時にホモダイン検波によりベースバンドを直接取得することができるため、周波数オフセットや位相推定を必要とせずに復調できることも確認できた。
我々はコスタスループを用いたホモダイン検波による光通信システムの研究を行っている。偏波多重したQPSK信号に対し、一方の偏光で局部発振レーザの位相を同期すると、それに直交する偏光の信号も同期し検出可能であることを報告している。今回は光ファイバを伝搬した偏波多重QPSK信号に対して自動偏波制御を行い、コスタスループによりホモダイン検波を確認できた。本研究で使用してる偏波多重光受信器には各チャネルの信号強度をモニタするための電圧出力がある。これを制御信号として利用し、PCに取得させ処理を行いL N偏波コントローラで自動偏波制御を行う。PCの処理は制御信号が最大になるよう制御する。
光ファイバの分散性および非線形性の影響を受けない理想的な情報キャリアである光固有値を用いた光固有値変調方式が注目されている.
光固有値変調方式では,逆散乱変換(IST)を用いて光固有値を求解するが,この求解にO(n3)の計算量が必要となる.
著者らは,固有値求解の計算量を削減するために,複素モーメント型固有値解法(CME 法)を用いた並列演算による固有値求解を検討してきた.
CME法では,固有値平面に円を描き,その領域に存在する固有値を抽出する.
しかし,白色ガウス雑音を印加した信号から光固有値を検出した場合,光固有値の分散は,実部と虚部で異なる.
本稿では,固有値平面における雑音分布に整合した固有値求解を行うために,楕円領域における固有値検出について検討した.
近年,光ファイバの非線形性の影響を受けない逆散乱変換に基づく固有値変調方式が注目されている.我々は,これまでにN 個の離散固有値を用いた2のN 乗値の多値変調方式を提案してきた.本稿では,12個の固有値を用いた4096値固有値変調信号の生成とその伝送実験を行った結果について報告する.
本研究では,マルチスパン光コヒーレント伝送において受信側デジタル信号処理(DSP)のみによって,以下の2つの実証に成功した.(1) 中心周波数ずれが発生している異常光ノードフィルタの特定/その周波数ずれ量の推定,と(2)光伝送路の損失分布の推定,である.通常,光フィルタのような,多段の可換な線形システムの応答は分離することはできないが,ノード間のファイバ非線形を利用することで,その応答を分離することに成功した.これにより,異常光フィルタを自動で検知,修正を行うような自動制御可能な光伝送システムが実現可能となる.
休 憩(14:30 再開) 座長 芝原光樹(NTT)
B-10-12 |
GAWBS雑音の波長分散依存性に関する考察
◎佐藤耕造・管 貴志・吉田真人・葛西恵介・廣岡俊彦・中沢正隆(東北大) |
B-10-13 |
ディープニューラルネットワークを用いた非線形イコライザのPRBSに対する過学習
◎中村迅也・生田 海・中村守里也(明大) |
B-10-14 |
ディジタルコヒーレント通信システムにおける送信器IQskew推定
◎土田直樹・森 洋二郎・長谷川 浩(名大) |
B-10-15 |
注入同期法を用いた広帯域・高精度WDMチャネル間相互位相変調雑音補償
○管 貴志・佐藤耕造・吉田真人・葛西恵介・廣岡俊彦・中沢正隆(東北大) |
B-10-16 |
時間インターリーブ光マルチトーン波形を用いた光送信機の周波数領域等化に関する検討
○井上 崇・松本怜典(産総研) |
近年、導波音響波型ブリルアン散乱(GAWBS: Guided Acoustic-Wave Brillouin Scattering)がデジタルコヒーレント伝送に影響を及ぼすことが明らかになっている。これまでに我々はパイロットトーン(PT)を用いたGAWBS位相雑音補償方式を提案し、本補償方式を用いることで単一チャネル1024 QAM-160 km伝送時におけるエラーフロアの抑制に成功している。今回、本補償方式において信号とPTの周波数間隔を変化させた場合の補償効果を評価した。その結果、光ファイバ伝送路の波長分散に起因した信号とPTとの間で生じる群遅延がGAWBS位相雑音の補償効果に影響を与えることを明らかにしたので報告する。
ニューラルネットワーク(ANN)を用いて光ファイバ通信における非線形歪み補償を行う方法を検討している。過学習に対する検討も進められている。ANNの層数を4層以上に増やしてディープニューラルネットワーク(DNN)として用いる場合もあるが、その場合の過学習の特性は明らかにされていない。今回、3層ANNと4層DNNの過学習の比較を行ったので報告する。
急速に増加する通信需要に対応するためには,周波数利用効率の向上が不可欠である.多値変調方式の導入により周波数利用効率の向上が可能となった.しかし,変調多値度の増加に伴い信号品質低下要因の影響が顕著になるため,これを補償するディジタル信号処理が必要となる.光送信器において生じるIQ skewは信号品質の劣化を招く.送信器IQ skewを受信端で補償するためには追加のFIRフィルタが必要であり,コストの増加が避けられない.そのため,送信器IQ skewは送信端で除去することが望ましい.本稿では,適応FIRフィルタの収束係数を用いた送信器IQ skewの推定法を提案し,計算機シミュレーションによりその有効性を示した.
デジタルコヒーレントWDM伝送において、チャネル間で生じる相互位相変調 (XPM) は主要な波形劣化要因となることが知られている。本報告では高い多値度のQAM伝送に適した注入同期法を用いたXPM補償方式を提案する。そして本方式を用いてWDM 256 QAM-160 km伝送を行い、そのBER特性を5~6x10-3から 2x10-3以下に低減することに成功したので報告する。
本報告では,時間的にインターリーブした光マルチトーン波形を用いて,DP-IQ変調器の各チャネルが持つ周波数領域伝達関数を精度よく測定する手法を提案し,FDEによる歪み補償を行うことで高品質な光信号を生成する実験の結果を述べる.
休 憩(16:00 再開) 座長 井上 崇(産総研)
B-10-17 |
パケット法を導入した光非線形歪補償用逆伝達関数法の適用条件の検討
◎小原日向・植之原裕行(東工大) |
B-10-18 |
12.8 Tbit/s(1.28 Tbit/s/ch x 10)-1500 km OTDM-WDM偏波多重DQPSK光ナイキストパルス伝送
◎渡邊 碧・吉田真人・廣岡俊彦・中沢正隆(東北大) |
B-10-19 |
空隙グリッドを持つ周波数フィルタを用いたSSFSによる光量子化およびコーディング方式の検討
○西岡隼也・赤松孝俊・斧原聖史・鈴木巨生(三菱電機)・小西 毅(阪大) |
B-10-20 |
空隙グリッド周波数フィルタを用いた光量子化およびコーディング方式の波形再構成精度検証
◎赤松孝俊・西岡隼也・斧原聖史・鈴木巨生(三菱電機)・小西 毅(阪大) |
近年,トラフィックの急激な増加に対応するため,大容量光通信技術の実現への要求が高まっている.伝送容量増加の要求に対応するための周波数利用効率の向上に対して非線形歪が技術的課題であり,この課題を解決するため我々は,非線形歪みをシンボル系列ごとに線形近似し、その逆伝達関数を作用させることで,歪みを軽減しDBP法などに対して計算負荷を低減する予等化手法についての検討を行ってきている.またこの手法により100Gbaud DP-16QAM信号を補償する際の適用条件も報告してきた.今回は この手法の適用方法として新たに「パケット法」を導入し,このパケット法におけるデジタル化要件や適用可能範囲の検討を行ったため,結果を報告する.
インターネットトラフィックは年率40%以上で急激な増大を続けており、これに対応するために単一チャネルで1 Tbit/sを超える超高速大容量伝送の実現が期待されている。我々は狭い帯域でも高速伝送が実現可能なOTDM技術として光ナイキストパルス伝送を提案しており、これまでに10~15 Tbit/sの単一チャネル超高速伝送を実現してきた。今回、1チャネル当たり1.28 Tbit/sの信号を10波長多重した12.8 Tbit/s光ナイキストパルスOTDM-WDM伝送実験を行い、1500 km伝送後全てのWDMチャネルにおいて20%オーバーヘッドFEC閾値(2x10-2)以下のBERが得られたので報告する。
光ADC技術は,光サンプリングを行う短パルス光源の高速・低ジッタ性から,電気的なADCを凌駕する数10Gsps・10bit以上の高速・高分解能性を実現できるポテンシャルがある.光ADCを実現する要素技術として,光領域で量子化をも行う光量子化技術が研究されている.光量子化技術においては,サンプリングパルスのスペクトルの広がりにより,量子化誤差が発生するためbit数が制限されるという課題がある.本報告では,上記課題を克服する一手段として,空隙グリッドを持つ周波数フィルタを用いた光量子化およびコーディング方式を提案する.提案構成のシミュレーションを行った結果,連続的なグリッドを持つ光フィルタに比べて,明確に量子化誤差改善が期待できることが分かった.
光ADC技術には,光サンプリングを行う短パルス光源の高速・低ジッタ性から,電気的なADCを凌駕する高速・高分解能性を実現できるポテンシャルがある.光ADCを実現する要素技術として,光領域で量子化をも行う光量子化技術が研究されている.また,光量子化から得られる光bitを電気的な信号処理回路に接続し様々なシステムを高性能化することなどを考えると,光bitを後段に効率良くインタフェースするためのコーディング技術もまた重要となる.本報告では, 要素検討の一環として空隙グリッドを設けたフィルタにより光量子化したパルスを周波数分離し,3 bitの光bitにコーディングする構成についてシミュレーションを行った結果, 及び誤差に関する検討結果について発表する.
3月10日 9:00〜11:30 Meeting 34 座長 佐野明秀(立命館大)
B-10-21 |
光アナログ伝送を考慮したシュタイナー木経路の複数求解
○山田裕通・一法師良幸(構造計画研) |
B-10-22 |
Lバンド19コアクラッド一括励起型EDFAへの双方向伝搬構成の適用
○前田幸一・高坂繁弘・吉岡和昭・杉崎隆一・塚本昌義・新子谷悦宏(古河電工) |
B-10-23 |
L帯マルチコアEDFAの全光型フィードフォワードAGCにおける利得制御特性
○北村 心・増田浩次(島根大) |
B-10-24 |
光固有値伝送方式に適した光増幅器構成の検討
○青木リシ・丸田章博(阪大) |
B-10-25 |
EDFAを用いたバースト光増幅におけるOSNRの過渡応答特性評価
○西山公太・益本佳奈・中川雅弘・松田俊哉・宮村 崇(NTT) |
光アナログ信号を強度変調し長距離光ファイバを用いて伝送するシステムにおいて,伝送品質を確保して長距離伝送するためには,適切なファイバ距離で中継光アンプを用い中継伝送する必要がある.先に筆者らは,設計作業自動化及び標準化を目的として支援ソフトウェアを開発した(“光アナログ伝送を考慮した経路探索ソフトウェアの開発,”電子情報通信学会 論文誌B Vol.J102-B, No.5, pp.366-372, May. 2019).
本発表では,光アナログ伝送経路の設計に係る既往研究の貪欲的解法を応用して複数の設計案を得るようにした,探索アルゴリズムの拡張について述べる.あわせて,格子状のネットワークにおける計算例を図示し,設計問題およびツールの特徴を説明する.
クラッド一括励起型マルチコアエルビウム添加光ファイバ増幅器のコア間クロストークは、マルチコアファイバを用いた伝送実験においての距離を制限していた。MCFのXTは伝搬方向の双方向化によって抑制されることが確認されている。
双方向伝搬構成をLバンドに最適化した19コアクラッド一括励起型EDFAに適用しXT低減の効果を確認する。またCバンドでは起こらなかった、励起方向の違いによるコアごとの増幅特性の変化が、LバンドでEDF長が延長され予想されるので確認する。
さらなる大容量光伝送システムの実現のため,マルチコア伝送システムをはじめとする新規空間多重伝送方式の検討が進められている.主要な構成要素にマルチコアエルビウム添加ファイバ増幅器(MC-EDFA)があり,その利得一定制御技術(AGC)は重要である.我々はこれまでに,MC-EDFAに適用可能な全光型フィードフォワードAGC(FF-AGC)方式を提案・報告している.本発表では,L帯MC-EDFAのための全光型FF-AGC方式の利得制御特性に関する実験検討結果を報告する.FF-AGC方式を用いることで,利得偏差を,AGCを用いない場合の11.0 dBから0.1 dBに,顕著に低減できることを実験により明らかにした
非線形シュレディンガー方程式を逆散乱変換によって解く際に用いる随伴固有値方程式の固有値は,光ファイバの分散性および非線形性の影響を受けない理想的な情報キャリアであり,その性質を利用した光固有値伝送方式が提案されている.しかし,固有値は損失の影響を受ける.本稿では,光固有値伝送方式に適した光増幅器構成および増幅器間隔のガイディングセンター理論に基づく設計指標を示す.
我々は,間欠的なバースト信号を用いた光TDM (Time division multiplexing) 技術の伝送網への適用を検討してきた.伝送網で主として使用されるEDFA (Erbium doped fiber amplifier) にバースト信号が入力されると,過渡応答による信号波形の歪が生じる.光TDM技術を伝送網に適用するためには,この波形歪がOSNR (optical signal to noise ratio) に与える影響を明らかにしたうえで,過渡応答を考慮した伝送設計を行う必要がある.上記設計指針を得るための第一段階として,本稿では,単一中継環境下における過渡応答発生時のOSNR の時間変動が極めて小さいことを実験的に実証したので報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 井上 恭(阪大)
B-10-26 |
両側波帯変調を用いた高次QAM信号の位相感応増幅実験
◎清水新平・風間拓志・小林孝行・梅木毅伺・圓佛晃次・笠原亮一・宮本 裕(NTT) |
B-10-27 |
非縮退光パラメトリック位相感応増幅と光Kerr効果を用いた振幅雑音抑圧法の検討
○田中 輝・岡村康弘・高田 篤(徳島大) |
B-10-28 |
コア拡大低損失光ファイバへのラマン増幅適用評価
○伊藤 健・関 剛志・川崎 岳・前田英樹(NTT) |
B-10-29 |
分布ラマンリングレーザ増幅中継系の利得帯域拡大に関する検討
○佐野明秀・裏 克也(立命館大) |
周波数非縮退型の位相感応増幅器を用いた光伝送システムでは、送信側で信号光の位相共役光であるアイドラ光を生成し、共伝搬させる必要がある。アイドラ光の生成は、信号変調後に光パラメトリック増幅を用いて、光学的に行う構成が一般的である。本稿では、デジタル領域で位相共役信号を演算し、単一のマッハツェンダ変調器による両側波帯変調を用いてアイドラ光を生成する、非縮退位相感応増幅器のための簡易な送信器構成を提案する。また、本構成を用いた高次QAM信号の位相感応増幅実験の結果を報告する。
光Kerr効果による位相偏移と非縮退光パラメトリック位相感応増幅を組み合わせることにより、QPSK信号に対する振幅雑音抑圧の可能性があることを数値シミュレーションによって検討した。
近年,5G導入やIoTなど様々な情報通信サービスの普及に伴い,コア中継網においては光伝送システムのさらなる大容量化・長延化による経済化が求められている.本稿では,コア中継網の長延化に向けて有効とされるコア拡大低損失光ファイバにラマン増幅を適用した際の長時間運用時の主信号特性影響について評価を行ったので,報告する.
DRRLA中継伝送系の利得帯域の拡大に向けて、リング共振器内で2波長の一次励起光を発生させる構成を提案し、動作検証を行った。本構成により、利得帯域が42 nm程度に広帯域化され、DP-QPSK信号の長距離伝送においても良好な伝送特性が得られることを確認した。
3月11日 13:00〜17:00 Meeting 34 座長 森 洋二郎(名大)
B-10-30 |
マルチレベル符号化圧縮PSによる光通信システムの低電力化
○吉田 剛(三菱電機)・五十嵐浩司(阪大)・備海正嗣・近森 峻・松田恵介・越川翔太・鈴木巨生(三菱電機) |
B-10-31 |
非同期サンプリングと可変サンプリングレート変換を用いたデジタルコヒーレント光通信のFPGAによる検証
○松田恵介・越川翔太・吉田 剛・鈴木巨生(三菱電機) |
B-10-32 |
光加入者網100Gb/sデジタルコヒーレント伝送におけるスター型16相APSK信号の誤り特性評価
○湊 直樹・神田祥宏・鹿嶋正幸・佐々木浩紀(OKI) |
B-10-33 |
THP-PAM信号用並列LUT型送信側非線形補償における信号ダイナミックレンジの検討
○菊池信彦・平井理宇(日立) |
光ネットワークインフラの大容量・低電力化が求められている.将来空間多重が進展すると光トランスポンダ数が増加するため,デジタル信号処理(DSP)LSIの低電力化がますます重要となる.処理スループットの増加に伴い,ビットを扱う符号処理機能の電力増加が顕著となり,特に軟判定誤り訂正(SD-FEC)復号が電力消費の多くを占めると想定される.本課題に対し,我々は,信号点配置の確率整形(PS)に情報圧縮の概念を組み合わせた圧縮PS[1]と,PSにマルチレベル符号化(MLC)を組み合わせたMLC PS[2]による低電力化を検討してきた.本稿では,この両者を組み合わせたMLC 圧縮PS について,シミュレーションにより低電力化の効果を定量化したので報告する.
デジタルコヒーレント方式の受信器において,ADCにて非同期にサンプリングを行い,デジタル信号処理により,シンボルレートに同期してリサンプリングを行う方式は,クロック源へのフィードバックが不要であり,受信器はシンプルな構成となる.また半導体プロセスの進展に伴うデバイスの更新にも柔軟に対応できる.本稿では非同期サンプリングと可変サンプリングレート変換によるリサンプリングを用いる方式をFPGAへ実装し,5Gb/s QPSK信号にて評価した.150ppmまでのクロック周波数誤差において評価した結果,周波数誤差の大きさに依存したQ値劣化は生じず,周波数誤差を推定し,補償できていることがわかった.
光加入者網の大容量化のため,デジタルコヒーレント技術を用いた400 Gb/s級の光送受信器を開発している.低コスト化のため既存デバイスを活用するという観点から変調速度を10 Gbaud程度とし,光源位相雑音耐性向上のためスター型16相APSKの光変復調フォーマットを適用して検討を進めている.本稿では,オフライン実験により提案フォーマットで100 Gb/s(12.5 Gbaud-DP-16APSK)信号のEVMを測定し10-9以下のビット誤り率を達成する見通しが得られたので,その結果を報告する.
データセンタ内外を結ぶ短中距離データトラフィックの急増に伴い、400GbE 等の短距離向け高速光ファイバ伝送方式の開発が進められている。400GbE では53GBaud PAM4 信号が採用され、今後もさらなる高速化とこれに伴うパワーバジェットや部品帯域不足が予想される。我々はその対策としてPAM 伝送へのTHPの適用を報告するとともに、さらなる性能向上に向けて送信側デバイスの非線形補償(NLC)に用いる先行波形(プリカーサ)の影響を考慮可能なTHP-PAM 用ルックアップテーブル型NLCの提案を行った。本稿では提案方式で問題となる送信信号ダイナミックレンジの増加とクリッピング歪みの補償の検討を行った。
休 憩(14:15 再開) 座長 岡村康弘(徳島大)
B-10-34 |
並列光増幅およびマルチ開口送信を用いた波長多重デジタルコヒーレント光空間通信の500m伝送実験
◎越川翔太・松田恵介・近森 峻・後藤広樹・備海正嗣・山内隆典・西岡隼也・鈴木貴敬・赤松孝俊・吉田 剛・鈴木巨生(三菱電機) |
B-10-35 |
傾き角変動のある光無線移動端末の角度ダイバーシティ受信特性
◎鶴見梨沙・今井崇雅(神奈川大) |
B-10-36 |
光無線通信における波長多重MIMO技術の検討
◎戸巻潤也・笠 史郎(明大) |
B-10-37 |
光無線通信におけるMIMO技術の適用に関する検討
◎△永瀬賢尚・笠 史郎(明大) |
B-10-38 |
波長多重可視光通信システムにおけるニューラルネットワークを用いたチャネル推定手法の検討
◎柴田咲葵・大柴小枝子(京都工繊大) |
光空間通信は従来のマイクロ波無線に対して大容量化および機器の小型化を実現する技術として,衛星通信やモバイルバックホールへの適用が期待されている.光空間通信では一般的に無中継伝送が求められるため,大容量化のためには送信光増幅器の高出力化が必要である.送信電力として100W級を想定する例があるが,実現は容易ではない.本研究では,送信光増幅器出力を抑えて大容量化するために,波長多重信号を並列に光増幅した後に,マルチ開口光学系から送信する方法の設計と実証を目的とする.本稿では,3波長多重した100Gbps偏波多重4値位相変調(DP-QPSK)信号を,屋外にて500m伝送し,送信光増幅器の出力電力低減量を評価したので報告する.
移動通信トラフィックの指数関数的増⼤への対応のため高周波数帯を搬送波とした無線通信の研究が進められている。一方、光無線をはじめとした高周波数帯は強い直進性のため、端末の移動や傾き変動に伴う受信特性劣化への対策が重要である。我々は端末の移動、傾き変動によらず良好な受信特性を得られる室内光無線送受信方式の検討を進めている。本稿では、複数の光源からの信号光を、異なる向きに設置した端末上の複数の受信器でそれぞれ受信後合成する角度ダイバーシティ方式の受信特性評価結果を示す。室内全体で動き回りかつ傾きも変動する端末における受信信号SNRの最小値を最大とするための複数受信器のなす角の設定方法も考察している。
近年,スマートフォンやモバイル端末の増加により通信トラフィックが増加している。そのため,新たな通信手段として光無線通信が盛んに研究されている。光無線通信へのMIMO技術の適用は,伝送速度の高速化を図る手段として注目されている。光無線通信にMIMOを適用した場合,直接光が支配的であるためにチャネル間の相関が高まり通信に支障を来す。そこで本論文では,波長の異なる光送信器と受光感度特性の異なる光受信器を用いることでチャネル間の相関を下げ,MIMOが実現可能であることについて報告する。提案手法を用いて符号誤り特性の評価実験を行った結果通信が可能(BER<0.000001)であることを確認した。
通信トラフィックは日々増大している。筆者らは予想される回線の混雑を改善するために光無線通信の導入を前提とした研究を行っている。光無線通信にZF(Zero forcing)推定を用いるMIMOを適用する検討は既に行われているが、送信信号を推定するためには伝搬行列がフルランクである必要があるため、伝搬行列が対称性を持ちやすい非イメージングレンズを用いるモデルの検討は十分に行われていない。そこで、本研究では非イメージングレンズを用いても、伝搬行列がフルランクになるための条件について検討を行った。シミュレーションから、伝搬行列がフルランクでない地点だけでなく、その近傍においても通信品質が劣化し通信不能な領域が存在することがわかった。
可視光通信は実用化へ向け様々な変調方式や送受信の手法が提案されている。本研究では複数のLEDとフォトダイオードを用いた波長分割多重可視光通信でのチャネル推定手法を検討する。OFDM変調した信号を波長の異なる5つのLEDを発光させ送信し、光学フィルタでそれぞれ透過波長帯を限定された5つのフォトダイオードで受信するシミュレーションを行った。従来手法ではパイロットシンボルを用いたゼロフォーシング方式及び逐次干渉キャンセラ方式のMIMO処理を用いて伝搬路推定を行った。本研究では事前学習を伴う順伝播型ニューラルネットワークを用いてチャネル推定を行い、比較検討する。
休 憩(15:45 再開) 座長 中村守里也(明大)
B-10-39 |
CFBGとLCoSを用いた低非線形分散マネージ伝送路とその超高速コヒーレントナイキストパルス伝送への応用
◎岩屋太郎・木村光佑・吉田真人・葛西恵介・廣岡俊彦・中沢正隆(東北大) |
B-10-40 |
狭線幅レーザーと平面光波回路を用いた光周波数中継装置
○赤塚友哉・今井弘光・石澤 淳・新井 薫・佐久間大樹・小栗克弥・郷 隆司・橋本俊和(NTT)・香取秀俊(東大/理研)・後藤秀樹・寒川哲臣(NTT) |
B-10-41 |
マルチコアファイバ直接光結合を目指したモスキート法3次元導波路形成の予備的検討
○松原 瞬・岩崎圭佑・姜 海松・浜本貴一(九大) |
B-10-42 |
5Gミリ波無線信号のIFoF伝送における波長分散耐力の検討
○川瀬大輔・桂 勇男・船田知之(住友電工) |
B-10-43 |
A Dither-Free Automatic Bias Control for Optical IQ Transmitter Based on Greedy Algorithm Using DC Component and Magnitude Variance
○Mingqi Wu・Masaki Sato・Kazushi Muraoka・Emmanuel Le Taillandier de Gabory(NEC) |
これまで我々はデジタルコヒーレント技術と光ナイキストパルスを用いた光時分割多重(OTDM: Optical Time Division Multiplexing)方式により、8.3 bit/s/Hzという高い周波数利用効率を有した単一チャネル15.3 Tbit/s(1.28 Tbaud, 64 QAM)-150 km伝送に成功している。今回、分散補償器としてChirped Fiber Bragg Grating (CFBG)とLiquid Crystal on Silicon (LCoS)を用いた低非線形性分散マネージ伝送路を新たに提案し、本伝送路を用いて15.3 Tbit/s 超高速OTDM信号のBER特性を改善することに成功したので報告する。
近年,現在の時間・周波数の基準であるセシウム原子時計の精度を数桁上回る18桁精度の光格子時計が開発されている。光格子時計の超高精度光周波数を光ファイバで伝送することにより,通信・科学・測位などで利用されるクロック信号の精度向上だけでなく,相対論的測地といった新しい応用も期待される。我々はこれまでに,ストロンチウム光格子時計の2倍波長である1.4ミクロン帯を用いた100km級光ファイバ伝送の実証実験を行ってきた。今回,全国規模の1000km級光ファイバ伝送に向けて開発している1.5ミクロン帯の超低雑音光周波数中継装置について報告する。
マルチコアファイバと光デバイスとの直接光結合を目指し、3次元光導波路形成技術であるモスキート法を用いた予備的検討を行った。1 µm以下の分解能でステージ移動が可能なXYZ軸を、ステッピングモータとボールスクリューにより構成し、予備的検討として5本の平行光導波路を形成し、その位置精度を評価した。その結果、コア材料を吐出するシリンジの固定方法が重要であることが分かったので報告する。
光変調デバイスMZM/EML/DMLを周波数チャープ特性を用いてモデル化し、光波長1550nmでの5Gミリ波IFoFを想定した伝送シミュレーションを行い、波長分散耐力の比較を行った。MZM、EML、DMLの順で分散耐力が高く、帯域幅400MHzの場合、本稿の伝送条件におけるDMLでは、IF6GHzで光ファイバ伝送可能距離が9km程度に制限されることを確認した。
In fiber-optic transmission, automatic bias control (ABC) is designed to optimize and lock bias points for modulators for stable performance over time and conditions. Dither-based ABC are common but the dither causes extra signal penalty with high-order QAM [1]. A dither-free method was reported [2] but it requires high-speed ADC and photodetector (PD), leading to high cost.
We propose a dither-free ABC using multi-objective genetic algorithm (MO-GA) and greedy algorithm with monitoring based on DC component and magnitude variance. We report bias error under 0.5% of V_π.
B-11. コミュニケーションクオリティ
3月9日 9:00〜11:45 Meeting 35 座長 小泉佑揮(阪大)
B-11-1 |
時系列の映像品質評価値に基づく協調的ABR配信手法の検討
◎福留大貴(NHK)・北田裕之(NTT)・黒住正顕・西出彩花・西村 敏(NHK)・奥山隆文・趙 笑添(NTT)・山本正男(NHK) |
B-11-2 |
遅延補償を用いたMPEG-DASH適応ビットレート制御におけるスループット変動の影響
◎越智功士・阪本竜太・久保亮吾(慶大) |
B-11-3 |
ボトルネック区間におけるQoEに基づく帯域制御方式の性能評価
◎金正英朗・木村拓人・山岸和久(NTT) |
B-11-4 |
IoTシステムのランダムアクセスチャネルにおける輻輳制御方式のシミュレーション評価
○茂木雄斗・荻野翔平・桑原優介・大田健紘・平栗健史(日本工大)・山本 幹(関西大)・吉野秀明(日本工大) |
B-11-5 |
サービスの満足度を考慮したIoTデータのキャッシュ制御法
◎佐々木 颯・上山憲昭(福岡大) |
近年、VMAFやSSIMplusといった映像の主観品質と相関の高い客観評価指標が開発されており、このような指標では映像のビットレートが一定であってもフレーム単位で評価値は変動する。一般的なABR配信は、ビットレートに基づく制御のため、主観品質が考慮されていない。また各視聴端末が自律的に制御を行うため他端末との帯域の競合が発生する。そこで筆者らはセグメント単位で算出された時系列の映像品質評価値に基づき、配信系全体の端末を協調的に制御するABR配信方式を提案した。評価指標にVMAFを利用した評価実験を行い、VMAF値の全端末平均を低下することなく、VMAF値=70以上となる割合を75.7%から98.3%(全端末平均)に向上したことを確認し、本方式の有効性を示した。
MPEG-DASH(MPEG Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)では,ネットワーク環境に適応して映像ビットレートを選択する適応ビットレート制御が採用されている.これまでに,PID(Proportional-Integral-Derivative)制御に基づいてプレイバックバッファのバッファレベルを安定化させることで,ユーザ体感品質(QoE:Quality of Experience)を向上させる手法が提案されている.また,著者らはネットワーク遅延によるQoEの劣化を改善するために,PD(Proportional-Derivative)制御と通信外乱オブザーバ(CDOB:Communication Disturbance Observer)を併用する手法を提案した.本研究では,CDOBを用いた遅延補償におけるスループット変動の影響を検証する.
筆者らは,ボトルネック区間を共有するユーザのQoEのうち最も低いQoEの向上を目指した帯域割当アルゴリズムを提案・評価してきた.しかし,これまではユーザの到着間隔を一定とした簡易的な評価を行ってきた.本稿では,実ネットワークを想定した条件下における提案方式の有効性を示すために,ユーザ到着をポアソン到着としたときの性能評価結果について報告する.
モノのインターネット IoT の普及・進展により、IoT システムが過負荷となり機能不全に陥る輻輳が今後重要な課題になると想定される。
第4世代携帯電話 LTEや5Gなどのライセンス系無線ネットワークは国際標準化機関を中心に、各種センサからのデータを送信するランダムアクセスチャネルにおける制御方式が提案・評価されているが、IoT 向けのアンライセンス系低消費電力広域無線技術 LPWA(Low Power Wide Area)を対象とした輻輳制御方式は十分に検討されていない。
本稿では、LPWAのMAC層 に多く用いられる Slotted ALOHA 方式に対し、加わるトラヒックに応じて適応的に発信を規制する制御方式を適用することで、スループット特性が改善できるかシミュレーションで評価したので報告する。
Internet of Things (IoT)デバイスの普及に伴い,IoT デバイスが収集する位置に紐づいたデータを利用したサービスが期待されている.IoTデータは不特定多数のIoTデバイスが生成するため,DNSを用いた名前解決による現在のインターネットプロトコルによるデータ転送は非効率的なことから,名前解決が不要なICN (Information-Centric Networking)を用いてIoTデータを転送することが注目されている.これまで位置の紐付いたデータに名前を付与する方法やFIBの構成方法などが多く研究されてきた.以前,平均値と標準偏差を提供するIoTサービスのキャッシュ制御法を検討した.本稿では,サービスの満足度を用いたキャッシュ制御法を検討する.そして検討するキャッシュ制御法を活用することによる満足度と1回の配信における転送データの総経由ホップ数との関係を評価する.
休 憩(10:30 再開) 座長 木村拓人(NTT)
B-11-6 |
ネットワーク設計・監視を目的としたQoSとWebブラウジングQoEの関係分析
○寺内 崇・河野太一(NTT) |
B-11-7 |
クラウドコンピューティング環境下における逐次最小二乗法を用いた異常トラヒック検出手法
◎湯本憲太・松田崇弘(東京都立大)・児玉武司・樋口淳一・上野 仁(富士通研) |
B-11-8 |
バースト損失劣化に対するPOLQAの推定精度検証
○倉島敦子・恵木則次(NTT) |
B-11-9 |
Tracerouteの発生間隔に基づくCrossfire攻撃検知方式の誤検知率の解析
◎仲原愛美・上山憲昭(福岡大) |
B-11-10 |
CDNのキャッシュサーバを騙ったDDoS攻撃の防御方式
◎宮崎椋平・上山憲昭(福岡大) |
QoEを考慮したネットワーク設計や監視を目指し、ネットワーク品質がWebブラウジングサービスに与える影響をサイト単位に確認し、特性を把握する.
本稿ではクラウドコンピューティング環境下において異常な振る舞いをする仮想マシン(VM: Virtual Machine)を検出する手法を提案する.VM および外部ネットワークに接続する物理NIC をノードとする.提案手法では,各ノードの送受信トラヒック量を観測値として,全ノード対の転送トラヒック量の時系列を拘束条件付きの逐次最小二乗法により推定し,推定した時系列より異常な振る舞いをするVMを推定する.
筆者らは超広帯域音声を対象にバースト性の高い損失劣化について,パケット損失の連続長や密集度の違いが音声品質に影響することを主観品質評価実験により明らかにした.本稿ではさらに,ITU-Tの音声品質客観評価技術POLQAを用いて,これらバースト性の高い損失劣化に対する適用可能性について検討した結果を報告する.
DDoS (distributed denial of service)と呼ばれる,特定のサーバに大量のパケットを送り付けてサーバを機能不全とする攻撃が頻繁に発生している.近年,特定のサーバではなく,複数のターゲットサーバ(TS)を含むターゲットエリア(TA)に至るネットワークのリンクを高負荷とすることで,TAへパケット到達不能とするCrossfire Attack (CFA)の問題が指摘されている.CFAでは攻撃対象がリンクであるためサーバにおける検知が困難であり,効率的・効果的な検知・防御方式の実現が課題である.CFAでは攻撃対象リンクを選定するため攻撃に先立ち,攻撃に用いる大量のボットからTSに対し大量のtracerouteが発生する特徴がある.そこで筆者らはtracerouteの発生間隔からCFAの攻撃に用いられるボットを検知する方式を提案し,提案方式が正常ホストの誤検知を抑制しつつボットを高精度に検知することを示した.しかし検知閾値の最適な設定法は未解決である.そこで本稿では,正常ホストの誤検知率の許容最大上限を設定し,それを満足する閾値を設定できるように,閾値に対する正常ホストの誤検知確率を簡易的な式で導出する.
CDN等の配信サービスの普及の弊害としてDDoS攻撃が社会問題となっている.CDNにおけるDDosへの対策として,ボットが標的オリジンサーバに向けて送った攻撃パケットを各CDNサーバに分散させることで攻撃の影響を抑えることができる.しかし,攻撃者がCDNサーバのIPアドレスを発アドレスとして偽り,標的オリジンサーバへパケットを送信するとファイアウォールでの検知ができない.CDNサーバからオリジンサーバへの配信要求は本来,キャッシュミスのときにのみ発生する.一方,DDoS攻撃は,短い時間間隔で多数のキャッシュサーバから連続して発生する.本稿では,この発生間隔の違いを利用した検知手法を提案する.
3月10日 9:00〜11:45 Meeting 35 座長 巳波弘佳(関西学院大)
B-11-11 |
コネクトーム解析による認知機能の予測
○小川剛史(ATR)・竹内 光(東北大)・池田純起(理研)・瀧 靖之・野内 類・横山諒一・事崎由佳・中川誠秀(東北大)・関口 敦(NCNP)・飯塚邦夫・塙 杉子・荒木 剛・宮内カルロス誠・榊 浩平・佐々祐子・野澤孝之・横田 晋・マジストロダニエル・川島隆太(東北大) |
B-11-12 |
非定常変動検知のパラメータ設定に関する検討
○高橋彰子・池上大介(NTT) |
B-11-13 |
機械学習によるSNSテキストデータからの通信品質推定
◎切替尊明・永来翔太(早大)・矢守恭子(朝日大)・田中良明(早大) |
B-11-14 |
製造業向けAIモデル最適化プラットフォームにおけるAIモデル管理手法の研究
○平井理宇・石井大介・緒方祐次・吉川 裕(日立) |
B-11-15 |
製造業向けAIソリューション導入における複数カメラを用いた教師データ作成手法の提案
◎久門 拓・平井理宇(日立) |
脳内の機能結合の大規模なデータと機械学習を併せた、認知機能を予測するコネクトーム解析が盛んに行われている。本研究では、データ駆動的に作業記憶や創造性という高次認知機能の予測を行う予測モデルの作成を試みた。785名分のfMRI画像について、大脳皮質を90分割した後、各脳領域の平均信号から相関行列を計算し、各被験者の機能結合を導出した。高次元の機能結合から認知機能スコアの予測には、スパース性を仮定したlassoを用いた。その結果、データ駆動的に、創造性を支える認知機能を予測できるだけでなく、その基盤となるネットワークの検出が可能であることを確認した。
筆者等は先行研究で多次元時系列データから非定常変動を検知する技術を提案し,実システムのデータを用いた評価を行った.提案技術は当該データにおいて一定の検知精度を示す一方,未知データに対しモデルのパラメータをいかに設定するかという課題が残った.本稿では,人工的に生成した時系列データを対象に,検知精度を最大化するパラメータ設定値の特徴について評価した.
SNS (Social Network Service)では様々な情報が発信されているが,その中には通信品質に関するものもある.通信品質が悪くなったと感じたとき, その感情をSNSに載せるユーザが多いことがその要因である.そこで,SNSのテキストデータを分析することで通信品質を推定できると考えられる.特に,Twitter上の「つぶやき」 はユーザの言葉であり,主観を表す要素が強い.本稿では,動画通信品質に関する主観評価実験を実施し,通信品質に対する主観をツイートさせている.ツイートされたテキストデータから機械学習によってQoE (Quality of Experience)の推定を行い,その推定精度を示している.
近年,製造業において生産性向上を目的としたAIソリューションの導入が検討されつつあるが,AI環境整備の困難さにより,大多数は本格導入には至っていない。そこで我々は既存AIモデルを活用し,AI導入を容易にするAIモデル最適化プラットフォーム「学習モデルブレンダ」の開発を進めている。本稿では,学習モデルブレンダにおけるAIモデル管理手法を論じる。
本発表では,製造現場へのAIソリューション導入時の課題となる教師データ作成に関する工数低減に向けて,複数のカメラを協調動作させて教師データ作成を自動化する手法を提案する。本発表で対象とするAIソリューションは,物体検出AIを用いて,現場画像から作業者の位置を検出し,生産ロスを推定する。作業者の物体検出の精度向上に必要な教師データの作成には,作成工数の大きさと,死角に隠れた作業者画像の抽出が困難という課題があった。そこで我々は,異なる角度から物体検出して得られる作業者の存在情報を利用し,死角で見落とした作業者を再検出することで,既存手法では困難であった死角に隠れた作業者の画像の教師データ化を実現した。本発表ではその提案手法と検証結果について報告する。
休 憩(10:30 再開) 座長 西川由明(NEC)
B-11-16 |
飛行体基地局における携帯端末位置推定方式の一検討
○田中裕也・北辻佳憲(KDDI総合研究所) |
B-11-17 |
飛行体基地局システムによる携帯電話位置推定の効率化
○堺 拓郎・北辻佳憲(KDDI総合研究所) |
B-11-18 |
グラフラプラシアン正則化RLSを用いたモバイルユーザ密度分布推定手法
◎根市凱世・松田崇弘(東京都立大) |
B-11-19 |
DTNを用いた災害時通信における無線アクセス制御方式の評価
○三角 真・上山憲昭(福岡大) |
B-11-20 |
環境発電を用いたスロット化ALOHAの情報鮮度に関する一検討
◎廣澤直也(電通大)・飯盛寛貴・Giuseppe Abreu(Jacobs Univ. Bremen)・石橋功至(電通大) |
精度の高い位置情報取得方法としてGPSによる測位があるが、携帯端末が測位した位置情報をサーバ等に伝えるためには認証設備が必要なことなどの制約がある。筆者らはドローンやヘリコプター等に基地局を搭載する飛行体基地局を提案しているが、モバイルコア設備へ通信路を確保できない場合がある。このような問題に対して、飛行体基地局に空中を移動させながら電波を発射させ、携帯端末からの応答を受信した際にその電波圏内に携帯端末が存在するとみなし、複数の応答から携帯端末の位置を推定する方法を検討している。本稿では、電波圏を可変にして探索を行うことで飛行時間を短縮させる、効率的な探索を可能とする手法を提案する。
災害時や山岳遭難時において,行方不明者の捜索に,広く普及している携帯電話を活用できると,早急な発見に繋げることができる.我々は,近くに基地局が無い携帯電話にも対応できるように,飛行体基地局システムを試作しており,1つの機能として位置推定手法を検討している.
既存手法では,携帯電話の電波検知と再送の動作を考慮できていないことが課題である.携帯電話は基地局電波に接続信号を送信するが,一定回数の再送を行い全て失敗と認識すると,一定期間接続信号を送信しない状態になる.その状態解消まで位置推定が継続できないため,効率が悪い.
本稿では,このような携帯電話の動作を考慮した位置推定の効率化手法を提案する.
無人飛行機(UAV: Unmanned Aerial Vehicle)基地局(UAV-BS)を用いたモバイルネットワークにおいて,UAV基地局での高いユーザ収容効率を実現するためには,UAV基地局をユーザ密度に応じて動的に配置する必要がある.本稿では,グラフラプラシアン正則化逐次最小二乗法(RLS: Recursive Least Square)を用いたユーザ密度分布推定手法を提案する.
災害発生時にネットワークインフラを利用せずに,delay tolerant network(DTN)を利用して,避難者の携帯端末から道路情報を収集し,避難経路を提供することが提案されているが,全避難者に同様の条件で求めた最小コストの避難経路の提示を原因とした避難者の特定の経路への集中によって引き起こされる渋滞発生が問題となっている.
そこで,我々は避難時の渋滞緩和を目的として,避難者に年齢や性別などで属性を付与し,故障個所の故障度合いに応じて属性ごとに通行の可否を設定し,属性ごとに通行可能な経路を用いて避難経路を求め提示する方式を提案し,multi agent simulation(MAS)を用いて提案手法によって避難時の渋滞が緩和されることを示した.
本稿では,我々の提案手法の無線通信方式として競合回避なしのランダムアクセス型通信方式を使用することを想定し,通信の呼損を考慮したシミュレータを実装し,距離とチャネル数に対するブロック率を評価した.
ランダムアクセスの1つであるスロット化ALOHAが達成可能な情報鮮度を示し,オーバーヘッドを考慮した時分割多元接続と比較することでオーバーヘッドと送信時間スロットの割合に対し,ランダムアクセスが,より小さい情報鮮度を達成する領域を明らかにする.
3月10日 13:15〜15:45 Meeting 35 座長 山本 寛(立命館大)
B-11-21 |
ARによる無線LAN通信品質見える化とユーザ誘導
◎原 啓祐(早大)・矢守恭子(朝日大)・田中良明(早大) |
B-11-22 |
クラウドソーシングのブロックチェーンを用いたユーザ評価システムの提案
◎許斐健太・上山憲昭(福岡大) |
B-11-23 |
音声通話アプリケーションの受信パケットを用いた受聴品質推定モデルの提案
◎△岡田 樹・妹尾智弥・林 孝典(広島工大) |
B-11-24 |
車車間での情報共有における5G NR based C-V2X通信方式の性能評価
○上野高明(KDDI総合研究所)・菊地陽介(KDDI)・大岸智彦(KDDI総合研究所) |
無線LANのアクセスポイント(AP)と離れた場所で通信する端末があると,その端末の伝送速度が低くなるばかりでなく,APに接続する全ての端末の通信品質が劣化する.この問題を解決するために,品質マップなどを用いたユーザ誘導の研究が行われてきた.本稿では,通信品質を拡張現実(AR)で可視化し,表示方法ごとの移動率と移動先をアンケートによるユーザ評価から明らかにしている.アンケートの結果、APの近くまで移動させたい場合はマーカ表示,所定のエリアに移動させたい場合はサークル表示が良いと考察された.今後の検討として,リアルタイムな品質測定を反映したアプリケーションの実装,並びに誘導の効果の実証実験が必要である.
近年クラウドソーシングが,主に計算機には困難だが人だと容易なタスクを低コストで実現するサービスとして注目されている.代表的なサービスとしてはアメリカではAmazon社が行っているAmazon Mechanical Turk,日本でも最近注目されているUber社のUberEatsやランサーズ社のランサーズなどのサービスが代表的である.本サービスの問題点は,一民間企業がサービス利用者の個人データやワーカーの評価スコアを集中的に管理することである.管理サーバが攻撃されるとこれらデータの書き換えや破損の可能性がある.また運用会社の従業員などがワーカーの評価データを書き換える可能性も考えられる.これらの問題を解決するにはブロックチェーンの活用が有効である.本稿ではブロックチェーンを利用したクラウドソーシングのワーカーの評価システムの一例として,UberEatsなどの宅配サービスの配達者の評価システムを提案する.
音声通話アプリケーションでは適切な品質となるように設計・管理はなされていない.このため,音声通話アプリケーションを快適な品質で利用してもらうためには,ユーザ体感品質に基づいたサービス提供前の品質設計だけでなく,サービス提供中の品質可視化やそれに基づく品質制御が求められる.本稿では,音声通話アプリケーションの受信パケットを用いた品質推定手法を検討する.具体的には,無音圧縮符号化技術を採用した音声通話アプリケーションの受信パケットを対象に,ネットワークで発生するパケット損失やパケット転送遅延揺らぎを考慮して受聴品質を推定するモデルを提案する.
現在我が国では,安全運転支援を目的とした車車間の通信方式として700MHz帯安全運転支援システム(ITS Connect)が利用されているが,自動運転支援などへの用途拡大のため,3GPP リリース16に準拠した5G New Radio based Cellular Vehicle-to-Everything(NR C-V2X)の方式が新たに検討されている.従来方式の3GPP リリース14 準拠のCellular Vehicle-to-Everything(C-V2X)と比べると,誤り検出方式の改善,輻輳制御処理、HARQ(Hybrid Automatic Repeat request:パケットの再送制御)の実装等の改善が行われている.本稿では,見通し内の直線道路と見通し外の交差点での車両間の通信を対象とし,シミュレーションによりNR C-V2XとC-V2Xの無線通信の基本性能の比較評価を行う.
休 憩(14:30 再開) 座長 澤畠康仁(NHK)
B-11-25 |
低遅延映像配信に向けた時系列解析による帯域変動予測手法
◎板倉慧汰・森 翔平・西村 敏(NHK) |
B-11-26 |
HoloLens上における360度映像のDASHライブ配信特性評価
○中条夢佳・金井謙治・甲藤二郎(早大) |
B-11-27 |
異なる通信環境におけるAR・VRアプリケーションのQoE評価
○山口拓人・三好 匠・山崎 託・シルバーストン トーマス(芝浦工大) |
B-11-28 |
VR映像配信に対するITU-T P.1204.3拡張モデルの一検討
◎小池正憲・浦田勇一朗・山岸和久(NTT) |
B-11-29 |
AV1コーデックの1passエンコーディングに対する主観品質評価特性に関する検討
○吉村憲子・浦田勇一朗・恵木則次(NTT) |
近年,CMAF(Common Application Media Format)を活用したアダプティブストリーミングなど,低遅延映像配信の取り組みが進められている.例えば,放送と連携したマルチアングル配信の実用化例が報告されている.
しかし,アダプティブストリーミングによる安定かつ高品質な低遅延配信の実現に向けては,スループットの値の予測精度が低いと過大もしくは過小な品質のセグメントを要求してしまい動画再生の安定性が低下するという課題がある.
そこでこの課題の解決に向けて,End-to-Endのネットワークの帯域変動を高精度に予測する手法を提案し,評価実験により有効性を確認した.
近年,実用化が進んできているMixed Reality(MR)デバイス上で,高臨場感な360度映像をライブ配信する技術は,高帯域なネットワーク環境を有するなど課題が残る.本稿では,より没入感が高い360度映像配信の実現に向け,dash.jsを利用したHoloLens上における360度映像のMPEG-DASHによるライブ配信を行う.実験シナリオとして配信サーバ側のネットワーク帯域を制限した際に各ネットワーク帯域における,DASHのレプリゼンテーションに対応するビットレートの変動回数および配信時の平均ビットレートを測定し、映像配信特性を評価する.
高速・大容量,低遅延・高信頼,多数同時接続という三つの特徴を有する次世代通信規格5Gの運用が,2020年3月に日本でも開始された.これに伴い,拡張現実(AR: Augmented reality)や仮想現実(VR: Virtual reality)といったリアリティを追求する技術のモバイル端末での利用が注目されている.これらの技術は,実際には見ることのできないものを可視化することができ,ゲームや医療など幅広い分野での活用が期待されている.一方で,大容量の通信を必要とするため,通信環境によっては遅延が発生してしまう問題がある.本稿では,通信帯域や遅延の問題がユーザに与える影響を調査するため,異なる通信環境下でAR・VRを利用したときのユーザ体感品質を分析し,評価を行う.
タイルベースVR映像配信に対して2D映像の品質推定技術であるITU-T P.1204.3モデルを拡張し、高画質および低画質タイルそれぞれの品質を利用し品質推定を行った結果について報告する。
これまでに,AV1を対象に2passエンコードにおける解像度,ビットレート,フレームレートに対する主観品質評価特性について明らかにした.映像のエンコード処理方法には2種類の手法が存在するため,それぞれの手法において最適な符号化条件を選定するための主観品質評価特性を把握する必要がある.本稿では主観評価実験を実施し,1passエンコードに対する主観品質評価特性を明らかにする.また,2passエンコードと比較した結果についても示す.
B-12. フォトニックネットワーク
3月9日 9:45〜11:45 Meeting 19 座長 石井健二(三菱電機)
B-12-1 |
粗粒度ルーティングを導入したダイナミック光ネットワークの特性解析
◎松尾 武・長谷川 浩・森 洋二郎(名大) |
B-12-2 |
高信頼化Flexible Waveband Routingネットワーク
◎棟方隆司・森 洋二郎・長谷川 浩(名大) |
B-12-3 |
EONにおける隣接リンク状況を考慮したARリクエストによる資源割当手法の検討
◎有井陽一朗・馬場健一(工学院大) |
B-12-4 |
SD-EONにおけるトラフィック特性を考慮した経路制御手法の検討
○吉山大翔・馬場健一(工学院大) |
通信量の指数関数的な増加に対応すべく,超大容量光パスが研究されている.超大容量光パスは高い周波数利用効率を実現する一方,帯域狭窄化による大きな影響を受ける.故に帯域狭窄化を軽減可能な,複数光パスの一括ルーティングを行う粗粒度ルーティングネットワークが提案されている.
本稿では粗粒度ルーティングが定義する仮想ファイバ上で,動的光パス制御時における光パスブロッキングの解析を行い,更に波長割当による特性変化を数値シミュレーションにより検証した.超大容量パス導入により光ファイバの収容効率が従来に比べほぼ半減すること,波長連続性制約の影響は相対的に軽微であることを明らかにした.
増加する通信トラフィックに対応するためには光クロスコネクトの多ポート化が必要である.我々は過去に波長選択スイッチによる光パスグループ化と光スイッチによる方路選択を組み合わせた Flexible Waveband Routing ノードを提案し,パス冗長化が導入されていない条件下で,波長選択スイッチ数が大きく減少すること,及び従来型光クロスコネクトとほぼ同等のルーティング性能を有することを示した.
本稿ではパス冗長化を導入した高信頼化 Flexible Waveband Routing ネットワークの設計法を提案する.提案手法を用いることで波長群数が4 以上の場合に従来型とほぼ同等のルーティング性能を達成可能であること,及び波長選択スイッチ数の大幅な削減が可能であることを示す.
コアネットワークにおいて増加するトラヒックを収容するため,周波数資源を効率よく利用できるエラスティック光ネットワークが注目されている.既存研究では,EONにおいて事前に資源予約を行うAR (Advance Reservation) リクエストに対し,資源予約状況に応じて算出されるコストを用いた周波数割当手法が提案されている.本稿では,既存研究の改善案として,評価式において隣接リンク状況を考慮したコスト関数を新たに導入した周波数割当方法を提案し,その効果を検証した.
また,評価式において用いられる要素の値について正規化を行う手法についても同様の検証を行った.
シミュレーション結果より,要求棄却率の低減を確認した.
今後も増加していくトラフィックをより効率的に収容するための技術として,柔軟な帯域割り当てが可能なエラスティック光ネットワークが注目されている.
また,IoT や5G を始めとした技術の発展に伴い,ソフトウェアでネットワークを制御可能にするSD-EON (Software Defind Elastic Optical Networks) が注目されている.
既存研究では,SD-EONにて重要なトラフィックをより効率よく収容するための、領域分割手法と経路制御手法が提案されている。
しかし、エラスティック光ネットワークでは一部のリンクにトラフィックが集中する問題がある。
そこで本稿では,重要なトラフィックをより効率よく収容する猟奇分割手法と、ネットワーク資源をより効率よく利用する経路制御手法を提案する.
休 憩(11:00 再開) 座長 中川雅弘(NTT)
B-12-5 |
SDM–EONにおける共有バックアップパス設定手法のための経路算出法の検討
◎加藤 基・馬場健一(工学院大) |
B-12-6 |
分散制御SDM-EONにおける要求資源量差を考慮した周波数割当手法
◎横田壮太郎・馬場健一(工学院大) |
B-12-7 |
空間分割多重型エラスティック光網におけるコア間クロストークの低減と周波数資源の利用効率の向上を両立させるコア選択手法の検討
◎関 勇弥・谷川陽祐(阪府大)・廣田悠介(NICT)・戸出英樹(阪府大) |
コアネットワークの周波数資源を効率良く利用することができるSDM-EON が注目されている.先行研究では,SDM-EONにおいて,占有バックアップパスおよび共有バックアップパスによるパスプロテクションを考慮したパス設定を行った.本稿では,先行手法に共有バックアップパス設定手法のための新たな経路算出法を追加する.これにより,共有の適用数を増加させ,呼損率を低減させる.シミュレーション結果より,呼損率の低減効果を明らかにした.
年々増加している通信トラヒックに対応するため,エラスティック光ネットワークや空間分割多重技術が注目されている.
先行研究では,分散制御によるマルチファイバ環境においてスロットの利用可否状態に加え,複数ファイバが空き状態であるスロット群を表すビット列を用いた手法が提案され,衝突が抑制された.しかし,要求資源量の大きいパスに対して十分に機能しない問題がある.
そこで本稿では,分散制御によるマルチコア環境において,要求資源量の大きいパスの収容率を向上させるため,マルチコア利用可能リンク数を考慮した周波数割当方式を提案する.
シミュレーションによる結果,棄却率及び棄却パスの平均ホップ数の低減を確認した.
マルチコアファイバを用いた空間分割多重型エラスティック光ネットワークにおいて,新規設定要求のあった光パスへ周波数資源を割り当てる際にコア間クロストークの影響を抑え,かつ周波数資源の利用効率を向上させる必要がある.本稿では特に7コアマルチコアファイバ環境下において,光パスが許容できる隣接光パス数を見積もり,極力その数以上の光パスが隣接しないようコアに優先順位をつけながら周波数資源を探索することで,低負荷時に棄却率が低く,かつ負荷の高まりに対してGraceful Degradationを達成するコアおよび空き周波数資源の探索法を提案する.
3月10日 10:00〜11:45 Meeting 19 座長 松本怜典(産総研)
B-12-8 |
遅延測定による光ファイバセンシングにおける遅延測定粒度の影響
◎山口 秀・中川雅弘・吉岡弘高(NTT) |
B-12-9 |
光周波数コムを用いた高確度周波数変換・配信技術の検討
○新井 薫・佐久間大樹・杉山隆太・宮村 崇(NTT) |
B-12-10 |
19コアEDFA用ファンアウトの光パワー耐性
○渡辺健吾・前田幸一・高坂繁弘・高橋正典・杉崎隆一・新子谷悦宏(古河電工) |
光ファイバセンサの計測結果を伝搬遅延に変換するセンサネットワークを提案し,遅延測定粒度がシステム構成に与える影響を机上評価した.遅延測定粒度による隣接FBG間の距離,光損失,FBGの接続可能数および計測地点数ついて机上評価した.その結果,μsecからnsecオーダーの測定粒度が適していることを明らかにした.現在μsecオーダーでの遅延測定が可能であるため提案センサネットワークが実現可能であることを証明した.
光時計などの将来の次世代原子時計を念頭にした高確度周波数同期ネットワークの実現に向けて、課題の一つである光周波数の高確度光電変換技術について検討している。本研究では、超短光パルスレーザーを光源とする光周波数コムを用いた光電変換方式を採用している。光周波数コムの広帯域性を活かすことで様々な周波数の基準信号と同期でき、高速な電気制御により光領域で高安定なパルス発生を行うことができる。それらのメリットを活かした光電変換システムを今回構築し、基準周波数の品質を転写した光パルスの電気変換による周波数品質への影響や、商用クロック配信装置を用いた信号分配評価を行ったため、その結果について発表する。
19コアマルチコアファイバ用ファンアウトの光パワー耐性を評価した。1コアあたり+25dBmの全コア同時入光(19コア合計で6W)において、顕著な出力劣化がないことを確認した
休 憩(11:00 再開) 座長 小玉崇宏(香川大)
B-12-11 |
多方路エラスティック光トランシーバを適用したエッジコンピューティング向け光ネットワークの性能評価
◎松本怜典・石井紀代・井上 崇・並木 周(産総研) |
B-12-12 |
ダイナミックMAC構成評価のための階層型ラウンドロビンマッパーエミュレータ
杉浦叶典・村上正樹・○岡本 聡・山中直明(慶大) |
B-12-13 |
光ネットワークを介したオフロードにおけるハードウェアリソース管理の処理時間の評価
◎豊島悠紀夫・西本恵太・浅香航太・山田崇史・島田達也・吉田智暁(NTT) |
光トランシーバに対して光波長を柔軟な粒度で多点に接続する多方路エラスティック機能が求められる。多方路エラスティック光トランシーバの適用により、アプリケーションに応じて帯域や光リンクを柔軟に設定できるため、システム全体の電力効率やスループットの向上が期待できる。本稿では、多方路エラスティック光ネットワークが、非エラスティックの場合と比較して、電力効率を43%、スループットを約4倍改善可能であることを数値計算により確認した。
1 Pbps 級の,SDMを利用した超並列型光ネットワーク実現に向けて,超並列型光ネットワークを使いこなす,10 Tbps 級のクライアントIFが求められている.我々は,複数の光チャネルをサービスに割り当てる仕組みとして,ダイナミックMACを提案した.本稿では,ダイナミックMAC実現のキー技術となる階層型ラウンドロビン方式を評価するためのエミュレータを開発した結果を報告する.
高精細映像技術等を用いた高負荷なアプリケーション実現のために,スマートフォン等のユーザ端末が広域ネットワークを介して,高負荷処理を外部ハードウェアリソースへオフロードする技術が検討されている.こうした既存技術の光電変換に伴うNWの遅延と容量のボトルネックを解消する,光NWを介したH/Wリソースへの処理のオフロード方式を提案する.提案方式は,ユーザ端末側が処理するデータへ付与した処理内容や遅延要件等を読み取ることで,H/Wリソースの管理や処理データの転送を実行することが特徴である.本稿ではこのH/Wリソース管理機能について,処理時間の要件を算定し,シミュレーション上でその実現可能性を確認した.
B-13. 光ファイバ応用技術
3月9日 9:00〜11:45 Meeting 33 座長 増田浩次(島根大)
B-13-1 |
位相OTDR振動計測における周波数多重方式を利用したサンプリングレート向上とフェーディング雑音低減の両立
◎脇坂佳史・飯田大輔・古敷谷優介・本田奈月(NTT) |
B-13-2 |
OFDR-DASによる架空ケーブル敷設状態の可視化
○岡本達也・飯田大輔・古敷谷優介・本田奈月(NTT) |
B-13-3 |
音相関を用いた光ファイバ振動センシングによるマンホール打撃地点自動検出の検討
○和田雅樹・及川大輝・前田 悠・島原広季・相原貴明(NTT東日本) |
B-13-4 |
レイリー散乱光位相のディジタル信号処理に関する検討
◎坪谷雄史・笠 史郎(明大) |
B-13-5 |
光ファイバセンサによる交通流俯瞰監視のための分析AI技術
◎松田侑真・樋野智之・櫻井 均(NEC)・Ming Fang Huang(NEC LA)・東 晋一郎(NEXCO中日本) |
位相OTDRを使用した分布振動計測では,大きな歪変化に伴い位相接続誤りが発生し,振幅が大きく高周波数の振動測定を妨げる.対策として補償光周波数を用いた振動のサンプリングレート向上を著者らは以前に提案した.しかし,フェーディング雑音が未低減のままでは,補償光周波数による補償精度の劣化や大きな位相雑音の発生が起きる.本稿では,著者らがフェーディング雑音低減方法として別に提案した2重平均化の方法と融合させることで対策を行ったので報告する.
光ファイバを用いた振動分布測定は,光ファイバを仮想的な振動センサーがファイバ長手方向に配列したセンサー列として活用することができ,地震測定,構造物モニタリング,通信設備保守等様々な分野への適用が期待されている.振動分布を測定するためには,測定対象の振動特性(振動の周波数,波長,振幅)に応じて測定法性能(サンプリングレート,空間分解能,ダイナミックレンジ)が要求される.振動特性が未知の測定対象の場合,高性能な測定法を用意することが望ましい.
本稿では,空間分解能が優れた光周波数領域反射計測技術に基づく振動分布測定(OFDR-DAS)で架空ケーブルの振動分布を測定し,その測定結果から敷設状態を可視化できることを示す.
光振動センシング装置を用いたマンホール位置特定技術の更なる稼働の効率化に向け、センシング装置から得られる測定結果と現地のマンホール打撃音との相関からマンホール打撃地点を自動検出する手法について報告する。
従来の後方散乱光測定技術では、一定時間間隔のパルスを用いるため、光伝送路上で起きる高速な変動について測定を行うことができなかった。そこで我々はこれまでに、時間および周波数領域の光リフレクトメトリ技術を組み合わせた、光ファイバ後方散乱光の時間軸での連続的測定方法を提案し、後方散乱光の位相変動測定を行った。しかし、十分な精度での測定は困難であった。本論文では、本技術のディジタル信号処理方法を改良し、振動が印加された光ファイバの任意地点において、時間領域で連続的に後方散乱光の位相変動を測定した結果について述べる。
高速道路の交通流監視にはカメラやループ式車両感知器など特定のスポットで監視するセンサが使用されている。そのため、交通異常の即時検知や時系列の詳細な傾向把握には、これらセンサを高密度に設置する必要があり、高速道路全線への導入には経済的な面で課題がある。この課題に対して、我々はこれまで既設の光ファイバインフラをセンサ化し、走行車両の振動軌跡から交通流をリアルタイムに且つ高い精度で推定するAI分析手法を提案してきた。 本稿では、環境ノイズが重畳したデータでも高い速度推定精度を実現する分析AIアルゴリズムと、その検証結果について報告する。
休 憩(10:30 再開) 座長 笠 史郎(明大)
B-13-6 |
狭線幅化したブリルアン利得スペクトルの分布測定に関する検討
◎小田友和・中村篤志・飯田大輔・古敷谷優介・本田奈月(NTT) |
B-13-7 |
4心テープ心線を用いたねじれセンシング
○中村篤志・古敷谷優介・飯田大輔・本田奈月(NTT) |
B-13-8 |
OTDRと光ファイバの曲げを用いた堤防内水位計の検討
○大平真仁・野村和史・木原 満(阪電通大) |
B-13-9 |
Modeling the Performance of an Amplified-Spontaneous-Emission Feedback Circuit
○Hiroji Masuda(Shimane Univ.) |
B-13-10 |
Numerical Simulation on the Performance of an Amplified-Spontaneous-Emission Feedback Circuit in Optical-Power Sensing Applications
○Biswajit Biswas・Hiroji Masuda(Shimane Univ.) |
ブリルアン時間領域解析(BOTDA)を用いたブリルアン周波数シフト(BFS)測定による温度・歪みセンシングが提案されている.BFSは,ブリルアン利得スペクトル(BGS)において利得が最大となる周波数から算出するが,この時取得できるBFSの精度は,一般に測定するBGSの線幅に依存する.したがって,狭線幅なBGSを取得することは,温度・歪みの測定精度を向上させる上で重要である.本稿では,狭線幅化したBGSの長手方向の分布測定法を提案し,原理確認を行った結果を報告する.
テープ心線にねじりを付与した場合に,各心線に生じるひずみ量を計算するモデルを提案し,その妥当性を示す.
本報告は、従来の技術より遠くから安全に堤防内水位を測定することを目的に、OTDRと光ファイバの曲げを用いて、水位計を作成した結果を述べる。
The optical power resolution (OPR) is one of the most important parameters of photodetectors in optical communication/measurement systems. The OPR is expressed in dB or % in most cases, and typical OPRs of conventional schemes reported to date are around 0.01 dB or 0.23 %. We proposed a novel optical power measurement scheme that significantly improves the OPR by using an amplified-spontaneous-emission feedback circuit (ASEFC) in front of a conventional photodetector. In this paper, we report for the first time a study of modeling the performance of an ASEFC.
The optical power sensing applications are important in photonics applications systems such as optical measurement and optical communication. We have proposed a novel scheme which uses an amplified-spontaneous-emission feedback circuit (ASEFC) in front of a conventional photodetector where the method can significantly improve the optical power resolution. In this paper, numerical simulations have been performed in order to clarify the performance of the ASEFC in optical-power sensing applications.
3月10日 9:15〜11:45 Meeting 33 座長 高坂繁弘(古河電工)
B-13-11 |
多心光コネクタ用粘着式清掃ツールの開発
◎鈴木正義・後藤 誠・大澤 誠・島 章嘉(巴川製紙所) |
B-13-12 |
マルチモードファイバの心線対照特性に関する検討
○高橋 央・東畑秀尚・海住卓生・大塚 誠・小林隆一(NTT東日本) |
B-13-13 |
固定式レーザスキャナにおける3D点群の絶対座標変換の検討
◎櫻原雄介・井上雅晶・清水智弥・本田奈月(NTT) |
B-13-14 |
点群データを用いた敷設済ケーブル径の計測手法の検討
○松本千春・五藤幸弘・本田奈月(NTT) |
本セッションはB-10Aとの関連セッションであり、先行の講演はB-10-1よりご覧ください。 |
光コネクタ端面にゴミがあると光通信に重大なトラブルを引き起こすため、清掃は重要な工程となっている。本報告ではゴミを確実にくっつけて取る粘着式の新しいコンセプトの清掃方式のクリーナ-を開発したので報告する。本清掃ツールは光ファイバの端面のゴミや塵を捕集し、引き上げることで取り除くことができる為、効率的かつ確実性の高い清掃が行えるだけでなく、粘着成分の粘弾性によりコネクタ端面の表面を傷つけない。更にその機構から帯電防止機能を備え、従来よりも除電効果が得られることが分かった。
データセンタ内の装置間など,短距離の光配線に利用されているマルチモードファイバ(MMF)の心線対照方法として,心線対照器の近傍で局所的な曲げを付与する方法を提案した.提案方式では,心線対照器近傍で局所的な曲げを加えることで高次モードを発生させ,対照光の漏洩光強度が増加することを示した.しかし,局所的な曲げによる損失も発生するため,対照光の漏洩光強度の増加と通信光の損失がトレードオフの関係である.
そこで本稿では,心線対照器の近傍で連続的な曲げを付与するMMFの心線対照方法について検討を行った.連続的な曲げの曲率半径と回数を最適化することで,高次モードの発生と損失の低減が可能であると考え,実験的な検討を行った.
MMS車両で取得した絶対座標を有する点群データ(MMS点群)と、固定式3Dレーザスキャナで取得した相対座標を有する点群データ(固定式点群)の一元化に向けた研究。データを一元的に管理するためには、相対座標で取得した点群データを絶対座標に変換した上で、MMS等絶対座標で取得したデータに重畳する必要がある。MMS点群と固定式点群の距離差を、地図としての利用に支障の出ない地図情報レベル250を目標に中心座標が異なる2つの固定式点群を用いた絶対座標変換を検討した。測定により取得した一部のパラメータを調整し、結果として距離差の標準偏差が4.7cmとなり、地図情報レベル250で絶対座標変換を実現した。
固定式の3Dスキャナで取得した敷設済ケーブルの点群データから、ケーブル径を算出する方法について検討した。
休 憩(10:30 再開) 座長 菊池拓男(職業開発大)
B-13-15 |
増設工事抑制に向けた多段ループ型光アクセス網構成の最適化
○大野槙悟・鬼頭千尋・古城祥一(NTT) |
B-13-16 |
将来光アクセス網に向けた遠隔光路切替ノードの検討
○川野友裕・藤本達也・中江和英・渡辺 汎・片山和典(NTT) |
B-13-17 |
遠隔光路切替ノード実現に向けた光給電効率の検討
◎藤本達也・川野友裕・中江和英・渡辺 汎・片山和典(NTT) |
B-13-18 |
遠隔光路切替ノードの心線切替におけるマルチコアファイバ回転機構の検討
○深井千里・阿部宜輝・片山和典(NTT) |
B-13-19 |
遠隔光路切替ノードにおける光強度監視のためのフレネル反射を利用した光抽出方法の検討
○小山 良・阿部宜輝・片山和典(NTT) |
光アクセス網は,面的に散在する光ファイバ需要に効率的に応えるため,あらかじめ適切な網構成を設計・構築する必要がある.従来の光アクセス網は,主にFTTHサービスの需要予測に基づき必要最小限の心線を固定的に割り付ける網構成がとられてきたが,今後の5G・Beyond 5G基地局向けの光ファイバ需要は発生需要の予測が困難であるため,従来の網構成では需要変動による増設工事の増加が想定される.そこで我々は,今後の需要の性質に合った光アクセス網構成として,心線切替機能を備えた多段ループ型網構成を提案している.本発表では,増設工事抑制の観点から提案網構成の効果を示すとともに,必要な設計指標の適正値について報告する.
我々は,将来の光需要に柔軟に対応可能な新たな光アクセス網を検討している.その特徴は,多段ループの網構成と,屋外での心線切替機能の配置である.本稿では,心線切替機能として,通信ビルからの光給電により遠隔制御で心線切替が可能な遠隔光路切替ノードの提案と,本ノードが屋外で受光できる光パワーの評価結果について報告する.
多段ループ型配線トポロジ向けに光ファイバを介した光給電と制御による遠隔で光路の切替ができる遠隔光路切替ノードが検討されている.システム全体のコスト抑制のため,複数の遠隔光路切替ノードへの光給電と制御を行う給電用レーザは少ない方が良い.そこで本稿では1台の給電用レーザで,複数台の遠隔光路切替ノードに対して光給電と制御を可能とするエネルギー管理方法の提案と,試作機での検証結果を報告する.
5GやBeyond 5G時代の高度な信頼性要求や柔軟な光経路選択等,従来とは性質の異なる光ファイバ需要の高まりが想定される.多様な情報通信サービスの実現と効率的な設備利用の両立を目指し,新たな光アクセス網として,心線切替機能を有する遠隔光路切替ノードを備えた多段ループ型配線トポロジが提案されている.このノードは所外に設置され,遠隔で制御されるため,切替手段の省電力化が重要な課題となる.この課題に対して,今回,マルチコアファイバ(MCF)の回転による切替機構を検討したので報告する.
5GやBeyond 5G通信を支える光ネットワークではFTTHより高い信頼性要求や異なる光ファイバ需要が想定される.多様な通信サービスの実現と効率的な設備利用の両立を目指し,新たな光アクセス網として,遠隔光路切替ノードを用いた多段ループ配線が提案されている.光路切替では切替対象ポートの検出と,切替後の通信の正常性確認が不可欠である.我々は光信号強度の変化からポート検出や通信正常性確認を行なうことを目指し,通信光から試験光までの広帯域な光信号の一部を抽出して強度監視する方法を検討している.今回,広帯域な光の抽出方法としてフレネル反射を利用した抽出方法を考案し,その抽出率と透過損失の計算結果から実用性について評価した.
3月11日 13:00〜15:30 Meeting 33 座長 山本義典(住友電工)
B-13-20 |
ランダム結合型マルチコアEDFAのMDGに対する曲げ・ねじれの影響
◎今田諒太・坂本泰志・青笹真一・中島和秀(NTT) |
B-13-21 |
ミー散乱によるクラッド励起7コアEDFAの出力パワー増加
○高坂繁弘・前田幸一・杉崎隆一・新子谷悦宏(古河電工) |
B-13-22 |
コネクタ接続されたマルチコアファイバのクロストーク特性の考察
◎大本航平・坂本泰志・水野隆之(NTT)・長瀬 亮(千葉工大)・杉崎隆一(古河電工)・阿部宜輝・半澤信智・中島和秀(NTT) |
B-13-23 |
異種構造の多心マルチコアファイバコネクタの接続結果
○阿部宜輝・坂本泰志(NTT)・川﨑浩平・渡辺健吾・杉崎隆一(古河電工)・中島和秀・片山和典(NTT) |
本セッションはB-10Aとの関連セッションであり、後続の講演はB-10-2よりご覧ください。 |
長距離モード多重伝送システムにおいては,光増幅器(Erbium doped fiber amplifier: EDFA) におけるモード依存利得(mode-dependent gain: MDG) を低減させることが重要となる.本発表では結合型マルチコアEDFAにおいて,EDF に付与する曲げおよびねじれがMDGに及ぼす影響について実験的に検討を行ったので報告する.
出力パワーを増加させる新たな手段として、コア径の拡大とミー散乱体の挿入を試みた。各手段を試すための7コアEDFを作製し、その増幅特性を測定した。その結果、コア拡大により明確な出力パワー増大の効果は見いだせなかったが、ミー散乱体として気泡を挿入することで利得が2.2dB向上し、出力も18.4dBm/coreに達した。すなわち、ミー散乱体のクラッドへの挿入は、出力パワー増大の効果があることが明らかになった。
コネクタ接続により構成された線路のコア間クロストーク(XT)が,構成要素の 各XTの線形和により推定できることを明らかにした.今回,C~L帯における推定XTと測定値の関係について考察を行ったので報告する.
マルチコアファイバ伝送システムの実用化に向けて、接続インターフェイスは同じであるが異なる構造となったコネクタを接続する状況を想定して、異種構造の多心MCFコネクタを接続した結果を報告する。
休 憩(15:15 再開) 座長 坂本泰志(NTT)
B-13-24 |
細径高密度光ケーブル内の光ファイバ曲率分布
○山田裕介・櫻井 信・菊池 雅・鉄谷成且・谷岡裕明(NTT) |
本セッションはB-10Aとの関連セッションであり、先行の講演はB-10-3よりご覧ください。 |
これまで細径高密度光ケーブル内において,光ファイバを束ねるバンドルテープによって,光ファイバに対して意図的に曲げと捩じれを加える構造を提案し,結合型マルチコア光ファイバ(MCF)の空間モード分散(SMD)の制御性について検討した[1].この光ケーブル内における光ファイバの曲率を光ファイバ設計において考慮することで,より効果的な設計が可能と考えられる.しかし光ファイバのケーブル内の曲率は均一でなく,その分布は明らかではない.本稿では,光ケーブル内での曲率分布を解析するとともに,分布形状について考察した結果を報告する.
3月12日 9:15〜11:15 Meeting 33 座長 森岡寛遵(フジクラ)
B-13-25 |
SI型コア構造における群遅延時間とレイリー散乱損失に関する検討
○寒河江悠途・森 崇嘉・松井 隆・中島和秀(NTT) |
B-13-26 |
路面配線光ファイバケーブルの基礎検討
○櫻井 信・大矢諒平・菊池 雅・山田裕介・鉄谷成且・谷岡裕明(NTT) |
B-13-27 |
任意の結合効率を実現する広帯域2モード長周期グレーティングの設計指針
◎山下陽子・森 崇嘉・松井 隆・中島和秀(NTT) |
B-13-28 |
帯域合成を用いた2-コム干渉計による広波長域モード間群遅延時間差測定
◎宇野将生・大坂祐樹・伊藤文彦(島根大)・岡本達也・飯田大輔(NTT) |
本セッションはB-10Aとの関連セッションであり、先行の講演はB-10-6よりご覧ください。 |
近年光通信サービスの多様化に伴い、低遅延通信に対する注目が高まっている。本稿では汎用的なステップインデックス型の屈折率分布を有するコア構造において、群遅延時間とレイリー散乱損失の関係を数値検討した。純石英コア構造、およびフッ素を添加した低屈折率ガラスをコアに用いるフッ素添加コア構造を比較し、フッ素添加コア構造ので、G.654ファイバの光学特性と低損失性を維持しつつ、より群遅延時間を低減できる可能性を示した。
今後多様化が予想される光ファイバ需要はIoTに対応するため,既に無電柱化されている都市部や電柱などの設備がない郊外において,架空/地下設備などの土木工事をすることなく,経済的かつ速やかに配線することが重要である.そこで光ケーブルの新たな布設方法である路面配線の提案および路面配線に適した光ケーブルについて検討した.路面上に設けた布設モデルにおける施工時の作業時間と光損失特性に基づき,本布設方法とケーブルの実現性を確認した結果を報告する.
長周期グレーティング(LPG)を用いたモード間結合では,同一の光ファイバに対してグレーティング長(Lg)を変化すると,結合効率とともに帯域幅も変化する.本稿では,任意の2モードファイバ(2MF)において,所望の帯域幅を有し,モード間の結合効率を制御するLPGの設計指針を検討したので報告する.
モード多重通信伝送路では、モード間群遅延時間差が受信器におけるMIMO処理の負荷を左右するため、その広波長域での測定技術が重要である。我々は、2-コム干渉計を用いて、2LPモードファイバのモード依存損失の測定、偏波保持ファイバの群遅延時間差測定が広帯域で行えることを示してきた。しかし、その測定帯域は数百GHz~1THzにとどまっている。更なる広帯域化のためには、2台のコムの周波数差の制御が厳しくなる、などの問題が生じる。
本稿では、これらの問題を回避するため、測定帯域をサブバンドに分割し手測定を行い、個々の測定結果を参照干渉計により得られた周波数基準をもとに合成することにより、広帯域測定を実現する手法を提案する。提案手法を使って、偏波保持ファイバの偏波モード間の群遅延時間差測定を試みたので報告する。
休 憩(10:30 再開) 座長 飯田裕之(NTT)
B-13-29 |
Pdナノ粒子/Ta2O5薄膜を用いたヘテロコア光ファイバ水素センサの応答性評価
○藤枝大樹・西山道子・渡辺一弘・窪寺昌一(創価大) |
B-13-30 |
ヘテロコア光ファイバセンサによる脈拍数測定精度の検証
○鎌田広輝・小野寺 巧・小山勇也(千葉工大) |
B-13-31 |
BPMによるマルチモード干渉センサのためのマイクロファイバの構造解析
○安部尚晃・木原 満(阪電通大) |
近年,水素はクリーンで豊富なエネルギー資源として注目されている.しかし,空気中の爆発限界濃度4%を超えると爆発の危険性があり,安全性,感度,応答速度に優れたセンサが必要である.本研究室ではヘテロコア光ファイバ水素センサの開発が進められてきた.本研究では,センサ部に高屈折率材料である五酸化タンタル(Ta2O5)薄膜を施し,その上にパラジウム(Pd)ナノ粒子を固定化したセンサを提案している.Ta2O5薄膜は 80 nm, Pdナノ粒子の粒径は 20 nm としてセンサを作製した.クラッド表面が剥き出しのファイバとTa2O5薄膜を成膜したファイバそれぞれにPdナノ粒子を固定化させ,応答性評価を行なった結果,後者のセンサの感度,及び応答速度が向上した.
日常生活における健康管理は疾患の予防に役立つ.また,日常生活におけるモニタリングには無拘束で低侵襲な測定が重要である.ヘテロコア光ファイバセンサはセンサ部における曲率の変化に応じて光損失を生じる.また柔軟な性質を持つため,低侵襲な計測の実現に有用と考えられる.本研究ではヘテロコア光ファイバセンサを用いた脈拍数測定精度の検証を行った.センサを橈骨動脈上にテープで貼り付け, 皮膚表面の僅かな隆起を通して、脈動を取得した.さらに計測値に0.5~5Hzのバンドパスフィルタを施し,ピーク検出を行い、ピーク間の時間から1分間の脈拍数を逆算した.その結果,参照に用いた市販の計測器と同等の精度があると確認した.
マイクロファイバは、光ファイバの一部を数㎛から数十㎛まで細くした光ファイバである。マイクロファイバを用いたセンサ応用のひとつにマルチモード干渉センサがある。
本報告では、マイクロファイバの構造の違いによる透過率の特性変化について調査し、マルチモード干渉センサとして機能する構造を明らかにする。
B-14. 情報通信マネジメント
3月10日 9:00〜11:15 Meeting 38 座長 三好 匠(芝浦工大)
B-14-1 |
UI拡張技術を用いたクライアントサイド連携手法の実装検討
○森 友則・小宮山真実・小矢英毅・若杉泰輔・田所将志・片岡 明・大石晴夫(NTT) |
B-14-2 |
ブロックチェーンによる工事/故障情報共有自動化方式の提案
◎小山内遥香・金丸 翔・高橋謙輔・豊嶋剛司(NTT) |
B-14-3 |
自律制御ループ方式における可観測性向上に向けた相関活用方式の提案
○佐々木幸次・高橋謙輔・豊嶋剛司(NTT) |
B-14-4 |
通信キャリア向け大規模OSSの導入評価プロセスの一検討
○吉田 敦・森谷高明・西尾 学・近藤 悟・山本太三・可児島 建・三好 優(NTT) |
既存のUI拡張技術は単一のオペレータ、単一のOpSを対象としたものである。実際のオペレーション業務においては、業務内容は多岐に渡るため、複数のオペレータが複数のOpSを利用する場合に対応できない。
本稿では、この課題を解決するための検討、および実装に向けたアーキテクチャについて述べる。
複数社で提供するサービスの構築~保全業務では,保守者がサービス申込書の内容に基づいてサービスを構築する構築システムと,リソース監視や故障対応等を行う保全システムを活用して業務を行っている.従来システムでは,複数社で提供するサービスの保全業務において,工事/故障情報の透明性の確保が必要である.また,構築時の顧客/サービス/リソース情報の収集及び関連付けと工事/故障発生時の情報共有範囲の設定及び設定範囲への情報共有の自動化ができない.そのため,顧客は公開された情報について関係するかを判断する必要がある.これらの課題を解決するため,本稿ではブロックチェーンを用いた工事/故障情報の収集及び共有自動化方式を提案する.
自律制御ループ方式において,トレーシングデータやメトリクスデータとの相関付けを可能とし,可観測性を向上させるための方式を提案する.
本稿では、正確な情報を入手できない状況においても、ログ・メッセージ等の検証結果からOSSカスタマイズ方針を抽出・選択するプロセスを提案する。
休 憩(10:15 再開) 座長 張 成(茨城大)
B-14-5 |
バグ傾向分析自動化方法
○寺山尚宏(NTT) |
B-14-6 |
脆弱性情報に該当するソフトウェア内機能の自動判断の検討
◎河合翔平・竹下 恵・山越恭子(NTT) |
B-14-7 |
位置依存形P2Pにおける移動性を考慮した検索領域設定手法
◎塙 大樹・三好 匠・山崎 託・シルバーストン トーマス(芝浦工大) |
B-14-8 |
位置依存形P2Pプラットフォームにおけるサービス検索手法
◎佐久間勇悟・三好 匠・山崎 託・シルバーストン トーマス(芝浦工大) |
本件は品質強化試験の強化ポイントの参考として、試験の問処一覧における複数のバグでの共通点を抽出するバグ傾向分析を自動化する方法の提案である。
本稿では,脆弱性情報に基づくリスク評価の自動化の一検討として,非構造化データである脆弱性情報を用いて,脆弱性情報に該当するソフトウェア内の機能の判断に必要な情報を構造化して抽出する方法を提案する.
近年,位置情報を利用したサービスが広く利用されている.高品質なサービスの実現のため,移動体通信網の高速通信性と近距離通信性を有する通信基盤の一つとしてG-LocON(Geo-location oriented network)が提案されている.従来手法では周辺端末を検索する際,検索周期や検索領域が固定されるため,柔軟な検索を行うことは難しい.本稿では,位置依存形P2Pにおける移動性を考慮した検索領域設定手法について検討する.
近年,位置情報を利用したサービス(LBS: Location-based service)が増加している.また,LTE や Wi-Fi などの既存通信インフラを用いて周辺端末との相互通信を実現する技術として,位置依存形P2P(Peer-to-peer)通信基盤G-LocON(Geo-location oriented network)が提案されている.しかし,G-LocONでは,通信方式を提供するのみであり,LBS 自体を検索する機能は備わっていない.本稿では,位置依存形 P2P を利用した LBS の検索手法について検討する.
3月10日 13:00〜16:30 Meeting 38 座長 大石晴夫(NTT)
B-14-9 |
LPWAと音声を用いた自然言語によるIoT端末の統一制御
◎金子惇也・山崎 託・三好 匠・新津善弘・シルバーストン トーマス(芝浦工大) |
B-14-10 |
共起度を用いたWebキャッシュ制御方式
◎他力誠人・三角 真・上山憲昭(福岡大) |
B-14-11 |
制限時間付き大容量ファイル並行転送のための最適分割数と経路決定方式
◎相津凜太郎・木下和彦(徳島大) |
B-14-12 |
上下通信の公平性を考慮した仮想アクセスポイント構成手法
◎岸上 隼・木下和彦(徳島大) |
センサ類の高機能化に伴い,様々なセンサを用いて遠隔での情報の収集や機器の制御などの実現が期待されている.しかし,端末間での情報収集や制御は,特定の規格やプロトコルに依存するため,非対応の端末が参加することは難しい.従来手法では,IoT端末の相互運用性の改善を図っているが,既存の端末を改変せずに相互運用を実現することは難しい.本稿では,端末を統一的に制御するため,LPWA と音声を用いた自然言語によるIoT端末の制御手法を提案する.
Webページを構成する複数のオブジェクトの並列取得によるHTTP/2やHTTP/3のWebページの表示待ち時間削減効果は,同一の配信サーバから取得するオブジェクト集合に対して有効であるが、多数の配信サーバからのオブジェクトの取得については効果が低い.桜井らは,任意の個数のオブジェクト組が複数のWEBページ内で出現することを示す共起という概念を提案し,オブジェクト組が出現するWEBページの数を共起度と定義し,約8,000のWebページのオブジェクトについて共起度の分析と,共起度のキャッシュ制御法への適用可能性を示している.
そこで本稿では,HTTP/2やHTTP/3の並列取得効果の向上を目的とし,複数のHTTP/2やHTTP/3に対応したキャッシュサーバが存在するとき,共起を考慮したキャッシュ制御を行うことで,共起するオブジェクト組を構成するオブジェクトを,単一のキャッシュサーバに可能な限り集約する手法を提案する.本稿では,提案手法による効果をオブジェクトの集約度合いを指標として評価する.
近年,制限時間付きファイル転送モデルが注目されている.
これは,転送要求を制限時間までに完了させることを保証し,それが不可能な場合は棄却するモデルである.
一方,負荷分散やスループット向上のためには,複数の経路を同時に利用する並行転送が有効である.
筆者らは時間制限のあるファイル転送に並行転送を適用する上で,元のファイルをn等分してから帯域割当と経路選択を順次行う手法を提案した.しかし,分割数が大きいと到着率が増加するにつれて呼損率が高くなることがわかった.
また,適切なnの決定方法が定められていないという課題もある.
そこで本研究では,到着率によらず呼損率を低減する最適な分割数nを動的に決定する手法を検討する.
近年、高機能携帯端末の普及に伴い、従来のBest Effort(BE)型サービスだけでなく、動画配信などのストリーミング型サービスが移動体通信で利用されるようになり、モバイルデータトラフィック量が急増している。そこで筆者らは、マクロセルとスモールセルが混在する環境でBEユーザとGBR(Guaranteed Bit Rate)ユーザが到着することを想定し、GBRユーザについては一定の帯域を保証できない場合は呼損とする呼受付制御を行う環境を提案している。その上で、サービスごとに複数の物理APから構成される仮想APを形成し、GBRユーザの呼損率を目標値以下に抑えながら、BEユーザの満足度を向上させる手法が考えられている。しかし、下り通信のみで考慮しており、実際にはAP以外の送信端末が上り通信するのに対して、APに収容される下りフロー数が増加すると、下りフロー1本あたりに確保できる帯域は上りフローに比べて減少するため、上下通信間で使用する帯域に差が生じる。そこで本稿では、下りスループットと上りスループットを公平に近づけるために、BEの仮想アクセスポイント構成手法を提案する。
休 憩(14:15 再開) 座長 木下和彦(徳島大)
B-14-13 |
P2PTV単位トラヒックを用いたトラヒック発生パターンの分析
◎大岡里奈・三好 匠・山崎 託・シルバーストン トーマス(芝浦工大) |
B-14-14 |
機械学習を用いたネットワーク障害予兆検知と予知保全に関する一検討
○毛利元一・宮本達史・河崎純一・鈴木悠祐・大谷朋広(KDDI) |
B-14-15 |
空間集約を用いた時空間テンソル分解モデル
◎福田展和・呉 超・堀内信吾(NTT) |
B-14-16 |
監視データの分類によるサービス回復戦略策定方式
○酒井 優・高橋謙輔(NTT) |
P2P(Peer-to-peer)方式を利用した映像配信サービス(P2PTV)では,ピアの参加・離脱によって視聴中でも発生するトラヒック特性が変化する.筆者らは,P2PTV トラヒックをコンテンツごとに単位時間に分割し,クラスタリングを用いて単位トラヒックを抽出する手法を提案している.本稿では,P2PTVアプリケーションの一つであるPPTV200本から得られた単位トラヒックを組み合わせてトラヒックのシグネチャをモデル化し,P2PTVトラヒックの発生パターンについて分析する.
5Gコアネットワークでは,ネットワーク機能仮想化技術(NFV)やネットワークスライスを用い,柔軟かつ迅速なネットワークを提供できる.一方で,ネットワーク(NW)を構成する管理対象が増大かつ複雑化するため,人手によるネットワーク運用が困難になる.本稿では,NW障害における予兆検知と予知保全の自動化を目的として,Network Element(NE)から収集されたPerformance Management(PM)データを入力とする機械学習モデルを用いた障害予兆検知と予知保全手法を提案する.
需要予測をはじめとする時系列分析では多数のデータ間の相関関係を利用する時空間分析が活用される。社会情報等の地理的に分散したデータにおいては、管轄区や行政区毎にデータが集計されることがある。従来の時空間モデルでは、時系列データが地点毎に収集されることを前提としており、各領域で集計された時空間データに適用する際には、領域の情報を適切に扱うことができない。そこで本手法では、空間集約の考え方を時空間分析に導入し、領域毎に集計された時空間データを高精度に予測可能な手法を提案する。
現状、マイクロサービス上で引き起こされる様々な障害と回復措置のパターンについて人手で解析し回復手段の選択を改善していくことは多大な労力を必要とする。本稿では, サービス異常発生時の監視データと回復手段を関連付けてノウハウとして蓄積し,最適な回復戦略を提示するサービス回復戦略策定方式を提案する.
休 憩(15:30 再開) 座長 佐藤陽一(オープンシステムズラボラトリ)
B-14-17 |
最適制御における動的機能分担調整方式に関する一検討
○近藤 悟・三好 優(NTT) |
B-14-18 |
通信帯域と故障頻度のユーザ効用関数の分析
○大石晴夫(早大)・矢守恭子(朝日大)・張 成(茨城大)・田中良明(早大) |
B-14-19 |
エネルギーと通信ネットワークの協調制御構想の提案
○佐藤 玲・中村亮太・香西将樹・藤本智也(NTT) |
B-14-20 |
仮想ネットワーク制御による再生可能エネルギー比率向上の検討
○中村亮太・原田薫明(NTT)・川原亮一(東洋大) |
近年,複数の事業者のサービスが連携したB2B2Xと呼ばれるビジネス形態が増えつつある.多様なサービスから有効な組合せを創出し効率よく運用していくためには,様々なコンポーネント(ミドルウェア・インフラ等)が揃っておりワークフローエンジン[1]等を有するPFを介することが主流となっている.PFに接続された各種コンポーネントをユーザ需要等に応じて最良に設定するにはAI等を伴う最適化処理を要するが,従来,最適化処理の機能分担は固定的に決まっており,状況に応じて適切な場所で最適化をすることはできなかった.そこで本稿では,多数のコンポーネントの状況に応じて,動的に最適化処理の分担を変更する方式について述べる.
近年の技術進展と利用シーンの変化の加速により,アプリケーション利用視点の利便が重要となり,ユーザの望む適切な料金でアプリケーションが快適に利用可能な通信サービスの提供が求められている.通信サービスの品質指標として帯域や信頼性の観点が重要である.本稿では,重要な観点である通信帯域と信頼性の故障頻度に対するユーザ効用の関数を組み合わせたユーザ効用関数を導出した.重要度のパラメータを導入し,サービス間の重要性の比較を評価可能とした.これにより,帯域と故障頻度の2尺度による効用評価として,より幅広い適用性が見込まれる.
近年,仮想化技術の発展により地理的に電力需要を動かすことが可能となってきている.本技術の応用で,再エネ発電量に応じて各エリアでのサーバ処理を増減させることにより,再エネの有効利用が可能となる.また温暖化の影響で台風が多発・巨大化しており,停電や通信ケーブル断による通信断が多く発生している.電力警報と通信警報を総合的に判断すれば通信サービス中断時間の短縮が可能である.このようにエネルギーと通信ネットワーク双方のオペレーションを融合することにより,再エネの有効利用やライフラインである通信設備の早期復旧という新たな価値を生み出す『エネルギーと通信ネットワークの協調制御構想』を提案する.
持続可能な社会の実現に向けて,温室効果ガス排出量の低い再生可能エネルギー(再エネ)の活用が求められる.再エネ比率向上に向けては各地で異なる再エネ比率に合わせて拠点毎の需要電力量を調整する必要がある.これに対し,ネットワーク(NW)仮想化技術によりICT負荷を空間的に移動することで拠点毎の需要電力量を調整する構想を検討している.筆者はこれまでエリア毎に異なるパラメータが与えられた場合のNW最適制御問題を検討してきたが,拠点毎の再エネ比率をパラメータと捉えることで本手法をNW全体の再エネ比率を向上させる制御問題に適用が可能である.本稿では拠点毎に再エネ比率が異なる条件下で仮想NWを制御することで再エネを有効活用する手法を提案し,シミュレーションにより効果を検証する.
B-15. センサネットワークとモバイルインテリジェンス
3月9日 9:00〜11:30 Meeting 37 座長 小川将克(上智大)
B-15-1 |
観測物体の類似性に基づいた移動カメラ位置推定方式
◎磯田卓万・野口博史・新井誠亮(NTT) |
B-15-2 |
自動運転車いすに用いる広域な地図作成方式の新提案
◎奥浜 駿・亀濱博紀・中平勝也(沖縄高専) |
B-15-3 |
屋内PDRにおける教師データの部分的導入による階段昇降の推定
◎高橋千彩季・森野博章(芝浦工大) |
B-15-4 |
製造システムの状態診断に関する一考察
○板谷聡子・大堀文子・大須賀 徹・児島史秀(NICT) |
メラの低廉化により多種多様な場所へのカメラ設置が進んでいく中で, 複数のサービス事業者がカメラの取得映像を共用するサービスの提供が始まっている. 今後, サービス事業者間の取得画像の共用を促進するために, カメラの位置情報を正確に把握する技術が必要となる. 我々はカメラの取得映像の解析により得られる物体数・種類の類似性から移動するカメラの位置を推定する手法を提案する。多数の観測物体が存在する環境下で高い推定精度が期待できるDice係数を用いて類似性を定量化し, 本係数の大きさに応じて各地点の過去の存在確率を用いて現在の存在確率に更新する手法をシミュレーション実験で評価した結果を報告する。
高齢化に対する介護士不足が急速に進行し、社会問題となっている。介護士の負担低減に寄与できるICT技術が望まれており、その1つとして、高齢者の移動支援が行える電動車いすの自動運転技術が開発されている。本研究では、電動車いすの自動運転技術で必須となる屋内地図の作成に着目する。複数の車いすがSLAMで作成した複数の地図を無線のアドホックネットワークで共有し、複数の地図を結合することで、広域な地図を作成する方式を提案する。
地震などの大規模災害後,建物内における避難者の避難経路をスマートフォンに記録し,救助隊に提供できれば要救助者の救助活動の支援に役立つと考えられる.屋内かつ災害時であることからPDR(Personal Dead Reckoning)が考えられる.回転ベクトルセンサを用いて足の腿上げ角度の変化を測定し,ユーザが廊下等で歩行,走りの動作で移動しているか,階段を昇降しているかの移動状態推定を行う従来方式があるが,避難中に歩行がなく走り動作のみの場合,推定ができない.そこで本稿では対象とするユーザの歩行動作の教師データを日常のなかで事前に取得し,避難時の移動状態の推定に用いる手法を提案する.結果は7割以上の精度が得られた.
製造現場においてセンサを活用した製造システムの稼働状態や,システムの異常動作の検知に関して期待が高まっている.振動センサとしては,サンプリングレート数十kHz, 分解能が16~24bitのものが多く用いられており,計測の際に大容量のデータが生成されるという特徴があり,無線化するにあたり慎重な設計が求められている.本稿では,ポリテック製レーザードップラ振動計IVS-500-HRを用いて,実際の製造機器から非接触に取得された振動データを用いて摩耗状態を検出できるかを検証した結果と無線化の方向性について考察を述べる.
休 憩(10:15 再開) 座長 湯 素華(電通大)
B-15-5 |
電波を利用した海底下埋設物センシングシステムの埋設物の大きさに対しての検出性能に関する考察
○松田隆志・菅 良太郎・滝沢賢一・児島史秀(NICT) |
B-15-6 |
複数受信機におけるCSIを用いた機械学習による人の転倒検出
○三須啓史・小川将克(上智大) |
B-15-7 |
Wi-Fi CSIを用いた機械学習による移動物体の物質識別
○YUAN TIAN・小川将克(上智大) |
B-15-8 |
ランダム化MACがWi-Fi Probeパケットによる混雑の計測へ及ぼす影響の調査
◎小岩 晃・和泉 諭・末永貴俊・千葉慎二・小林秀幸(仙台高専) |
B-15-9 |
大学構内におけるWi-Fiの受信信号強度を用いた位置推定の検討
◎田中空斗・岩舘武寛・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
従来,海中でのセンシングには主に音波(ソナー)が用いられているが,電波を用いたセンシングと組み合わせることで,音波だけでは検出が困難だった埋設物を検出できる可能性がある.これまでに我々は極限環境である海中において,これまでに海中電波伝搬測定をおこなってきた.海中用のアンテナや海中チャネルサウンダを製作し,海中での安定した電波伝搬の評価を行うことができた.また,海底下センシングシステムを開発し,実海域中での電波によるセンシングシステムの性能評価を行い,検出性能の実測およびシミュレーションとの比較を行ってきた.本稿では,本研究で製作した海底下埋設物センシングシステムの埋設物の大きさに関する検出能力について,シミュレーションの検討結果を報告する.
本稿では、無線LANのチャネル状態情報(CSI: Channel State Information)を利用した行動分類による転倒検出について着目し、CSIを取得する受信機数と分類精度の関係ついて明らかにする。
本稿では,送受信アンテナ間を通過する移動物体の物質を機械学習により識別する.送受信アンテナ間を物体が通過すると,物体の物質ごとに反射や透過,回折によりマルチパス伝搬特性が異なるため,CSIを利用して物質を識別する.また,1x1 MIMO,2x2MIMO,3x3 MIMO構成による識別精度の違いについても明らかにする.
スマートフォンなどのWi-Fi機器の普及により,人の持つWi-Fi機器の情報を利用した混雑度計測は実現可能な領域に入っている.
混雑度計測の手法としては,スマートフォン等のWi-Fi機器から定期的に自動送信されるWi-Fi Probeパケットに含まれる端末固有のMACアドレス数から端末数を推定するものが先行研究で提案されている.
一方,Wi-Fi機器所有者のプライバシー保護のため,MACアドレスをランダム化する機能が近年多数のWi-Fi機器向けOSでサポートされるようになり,MACアドレス数だけでは正確な混雑度測定が困難になってきている.
本研究では,混雑度計測への影響をWi-Fi機器のランダム化の過程から調査を行い,実機実験の結果からランダム化が混雑度計測へ及ぼす影響の原因を確認した.
屋内での位置推定の手法として,Wi-Fiなどのアクセスポイント (Access Point: AP) から得られる電波の受信信号強度 (Received Signal Strength Indicator: RSSI) を用いた手法がある.
しかし,AP配置が一様でなく,障害物が多い大学構内のような環境での検証は不十分であり,豊橋技術科学大学 (TUT) の構内における有効性は不明である.
よって,本稿ではTUTの構内で既設APのみを使用して位置推定を行い,精度を検証する.
はじめに,大学構内の廊下と教室内の計204点において,大学の既設APからRSSIを測定する.
つぎに,対象者の存在する階層,教室,廊下上での位置推定を行い,その精度を調査する.
代表的な結果として,廊下上での位置推定における平均の推定誤差は6.2 mであった.
3月9日 13:00〜16:30 Meeting 37 座長 西尾理志(東工大)
B-15-10 |
差分プライバシを適用したFederated Learningにおける学習コストの評価検討
◎柿崎優太・佐藤光哉・岩村惠市(東京理科大) |
B-15-11 |
氾濫解析モデルからの知識蒸留のための降雨パターンサンプリング手法
○近藤亮磨・成末義哲・森川博之(東大) |
B-15-12 |
CNNを用いたROV位置検出およびルート制御
○西 達大・中平勝也・亀濱博紀(沖縄高専) |
B-15-13 |
I/Qデータを用いた端末識別における環境変化に対する識別精度の評価
◎芳谷伊武希・篠田陵汰・中田大誠・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
無数の端末(クライアント)が生データをサーバへ開示せずに協調して学習を行うFederated Learning (FL)を行う際,サーバ–クライアント間の通信路に流れるモデルベクトルを解析することで学習に使用した生データが漏洩する恐れがある.更新モデルに対し(ε,δ)-差分プライバシを満たす確率的ノイズを加えることでこの対策が可能だが,一方で学習精度が劣化するなど,学習精度とプライバシレベルの間にはトレードオフの関係がある.そのため,学習の条件によっては,クライアントがFLに参加せずに単独で学習(単独機械学習)した方がかえって高精度であるケースも考えられる.本研究では,差分プライバシを適用したFLと単独機械学習の精度を比較し,FLを適用する利点がある領域について検討する.
筆者らは,リアルタイムなレーダ雨量を用いた内水氾濫予測のために,知識蒸留(Knowledge Distillation)を用いた手法を開発している[1].この手法は複数の運動方程式に基づく氾濫解析モデルのメカニズムを軽量なニューラルネットワークに学習させる.この手法によって予測時の計算コストが削減可能となる一方,事前に氾濫解析モデルを用いた学習データの生成が必要となる.そのため,多様な氾濫過程を含む学習データを効率的に生成することが重要である.そこで筆者らは,氾濫過程が降雨パターンに依存することに着目し,各降雨パターンの発生頻度に存在する偏りを考慮してサンプリングを行って学習データを生成することで,発生頻度の高い降雨パターンに対する過学習を抑制する.評価により,ランダムサンプリングと比較して,発生頻度の低い降雨パターンにおける氾濫予測誤差を平均37.45cm低減可能であることを示す.
ROVを利用した海洋生物調査システムを実現するために、ROVの位置推定およびルート制御方法において新たな方法を提案する。
まず、水上ブイに取り付けたカメラで水中を航行しているROVを撮影する。得られる画像よりCNNの画像検出を用いてROVの位置検出とあらかじめ設定したルート通りに航行させる制御情報の算出を行う
陸上にてプロトタイプシステムを構築し実験を行った。結果、低誤差で高精度なROV制御が可能であることが示された。
無線通信では,不法無線局による通信妨害,機器の不正利用,通信内容の漏洩などのリスクがあるため,適切な情報セキュリティが必要である.省電力で安価な無線通信端末におけるセキュリティ向上の手段の一つとして,端末の高周波回路で発生する電波の物理的な個体差を用いた識別手法が注目されている.先行研究では,機械学習を用いた端末識別において特徴量を数理的に抽出する方法が有効である事を示した.機械学習の学習時とは異なる伝搬路の受信信号では,端末の識別精度が低下する.本研究では,先行研究の方法をベースとして,そのような識別精度の低下について特徴量の傾向と共にその原因を考察する.
休 憩(14:15 再開) 座長 倉沢 央(NTTドコモ)
B-15-14 |
Leap Motionを用いた機械学習による手数字の識別
○金子典滉・小川将克(上智大) |
B-15-15 |
加速度センサを用いたLSTMに基づく転倒検知
◎魚谷義也・葉 臣・山本幸平・大槻知明(慶大) |
B-15-16 |
U-Netを用いた雑音混合スペクトログラムの雑音除去と評価
黒岩大雅・佐野将太・村上史尚・田中 博・○宮崎 剛(神奈川工科大) |
B-15-17 |
スペクトログラムの類似度比較による雑音除去効果の評価手法の検討
◎村上史尚・佐野将太・黒岩大雅・川喜田佑介・宮崎 剛・田中 博(神奈川工科大) |
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の防止対策として,非接触操作に関する需要は急激に高まっている.本研究は,非接触型ハンドトラッキングセンサであるLeapMotion を用いた手数字の識別について着目する.手数字には,手の動きを伴わない手話における指文字と,手の動きを伴う書き文字による表現がある.機械学習により同一の特徴量を用いて,これらの手数字の識別精度を評価する.
近年、高齢者の転倒事故が問題となっており、それに対して腰に装着した複数のセンサ(3軸加速度など)から取得したデータを用いて転倒を検知する手法が提案されている。しかし、この手法では歩行から転倒など通常の行動から転倒への遷移を考慮していない。本稿では、加速度センサを用いた LSTMに基づく転倒検知法を提案する。測定した3軸加速度データを LSTM ブロックを含むニューラルネットワークに入力し、行動を多クラスで分類する。通常行動、転倒及びその後の臥位状態を分類し、その結果を転倒/非転倒の2値分類として評価した。実験の結果、提案した LSTM が多クラスから2値分類の評価指標において優れた特性を達成したことを確認した。
雑音が混合したサウンドスペクトログラムからの雑音除去とその評価方法について述べる.スペクトログラムを画像に変換し,画像ベースでの雑音除去処理を提案する.画像による雑音除去にはニューラルネットワークのU-Netを利用する.画像化したスペクトログラムから小さな画像を切り出して学習させる.音が連続的に鳴る防犯用ドアアラームと,断続的に鳴るキッチンタイマーを原音とし,それぞれにホワイトノイズを重畳させた雑音混合音で実験を行った.雑音除去を評価する方法として,スペクトログラム画像同士の類似度算出を提案した.原音とU-Netによる雑音除去後の画像を比較して約93%の類似度が得られ,目視でも同傾向の結果が得られた.
聴覚に障碍がある人や耳が遠くなった人への各種アラーム発生の通知や生活状況の見守りなど,室内音を識別することによって,多様な応用が期待できる.雑音環境下で識別をするためには雑音除去が必要であり,評価する方法として,MOS評価やスペクトログラムなどが代表的である.しかし,これらの手法は耳で評価,目視で評価,など定性的な評価を必要とするため雑音除効果の数値的な評価をすることができない.そこで本研究では定量的な評価として原音源に対する雑音重畳音源と雑音除去音源の類似度を計算し評価する方法を検討,実験で比較した結果を述べる.
休 憩(15:30 再開) 座長 河東晴子(三菱電機)
B-15-18 |
Multiset Signal Restoration via Regularized Low-Rank Tensor Decomposition
◎Lu Wang・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.) |
B-15-19 |
時系列データに対する異常検知に関する一検討
◎本庄徹哉・安達宏一・山尾 泰(電通大) |
B-15-20 |
データ内挿による雑音性非線形モデル動特性の推定
○中川善継(都産技研)・佐藤春彦・森 一幸(イング) |
B-15-21 |
Optical Camera Communicationにおける光源間干渉回避
◎小野寺幸仁(東京農工大)・高野宏紀・久野大介(阪大)・丸田一輝(東工大)・中山 悠(東京農工大) |
In this report, we propose to apply the tensor theory to develop a novel structure for multiset signal restoration. By using tensor computing, we can regularize a low-rank prior to exploring a stack of cross-covariance matrices
along with temporal information. The approach in terms of limited storage can effectively encapsulate and condense the large-scale data into a compact format. The experiments show the proposed algorithm consistently presents a more accurate normalized mean squared error (NMSE) than three other classical algorithms.
Industry 4.0に代表されるように,近年,製造業分野においてオートメーション化・技能のデータ化などが目指されている[1].製造業では,機械を正常に動作させ続け,不良品を少なくすることが重要である.そこで,製造現場への無線通信の導入が進められている.工場内の設備に取り付けたセンサが取得したデータを無線通信により取得して監視することによって馴染み具合や摩耗の程度を把握することや加工状態のリアルタイムでの把握が可能となる.しかしながら,加工機械などには個体差があるため,馴染み具合や摩耗によって生じる影響を一意的に決定するのは難しい.そのため,正常時の加工機械の状態に基づいて,異常時の検知を行う機械学習を用いた状態解析が注目を集めている.本稿では,マシンニングセンタで部品を加工する際に発生するビビリ現象を,主軸が回転する際に発生する加速度から推定する手法を提案する.
近年、計測センサ技術が小型・高度化し屋外での環境情報等を捉えることが容易となった.一方で、サンプリング等の制約のある環境下において、既存のセンサを用いて環境ノイズ等のばらつきを含む時系列計測データからその動特性を捉える.さらに非線形関数を用いてモデルをフィッティングさせるためデータ内挿により推定を改善する手法について解説する.
近年,光源とカメラを用いた光カメラ通信(OCC)が注目されている.OCCでは,データを光信号として送出し,撮影画像から信号を検出し復調する.OCCの利点として,照明機能と通信機能を両立できる点や,光源の増加がスループットに影響を与えない点が挙げられる.ただし,複数光源の信号を同時に撮影する際には,画像上での光源の重なりを回避する必要がある.この課題に対し,光源間干渉を回避する光源配置法を提案されている.しかしながら,先行検討ではカメラの画角や俯角,高さを考慮しておらず,カメラからの距離が短い光源に対しては適用できなかった.そこで本稿では,これらを考慮した一般式を導出し,初期検証結果を報告する.
3月10日 13:00〜17:00 Meeting 37 座長 猿渡俊介(阪大)
B-15-22 |
放射加熱/冷却を利用した環境発電装置の評価と解析
◎東 星輝・鈴木悠平・鎌倉良成(阪工大) |
B-15-23 |
バッテリレスなウェアラブルの無線センシングに向けた衣類型リーダコイルの設計
◎高橋 亮・雪田和歌子・笹谷拓也・横田知之・染谷隆夫・川原圭博(東大) |
B-15-24 |
サレジオ高専周辺におけるLoRa通信のカバレージ調査
◎吉田龍紀・横川颯汰・三輪賢一郎(サレジオ高専) |
B-15-25 |
同期バックスキャッタストリーミングを実現する通信プロトコル
○川喜田佑介・田中 博(神奈川工科大)・市川晴久・三次 仁(慶大) |
B-15-26 |
無線ネットワークモニタリングのための信号強度データとキャプチャデータ間の同期方式
○玉井森彦・長谷川晃朗・横山浩之(ATR) |
放射による環境との熱収支を利用した環境発電装置の測定評価およびモデル解析について報告する.空に対し遮蔽物の少ない屋外に設置した金属板(面積:15 x 15 cm2)が,環境(大気,宇宙空間,太陽)と放射熱をやり取りすることで装置内部に温度差が発生する.これを熱電変換することで微小電力を収穫するIoT実験を試みたところ,昼間は太陽光加熱,夜間は放射冷却現象からエネルギー得ることで,温度センサと無線送信回路を動作させることができた.熱等価回路を用いた系のモデリングを行い,実験結果の解釈や多様な環境下での性能予測について考察した結果についても議論する予定である.
複数のウェアラブルセンサを衣類などに配置することで、日常生活で常時、健康管理や行動認識ができる一方で、ユーザには複数のセンサを定期的に充電する負担が生じる。そこで、環境発電や無線給電技術を活用し、アクティブセンサを駆動することが考えられる。しかし、これまで提案された衣類型発電・送電器は伸縮性・軽量性に富む一方で抵抗率の高い導電糸などにより実装されるため、電力損失が大きい。ゆえにセンサへ給電せずとも、リーダコイルを介してパッシブセンサを無線で読み取るパッシブインダクティブテレメトリ(PIT)技術に着目する。本論文ではPITを用いて、衣類上のセンサを読み取る衣類型リーダコイルを提案する。
近年,低消費電力で長距離通信が可能なLPWA(Low Power Wide Area)が広く用いられるようになってきている.中でもLoRa(Long Range)は,免許不要で運用が可能なことから,IoTのインフラとして幅広く利用されている. サレジオ高専が立地する町田市小山ヶ丘地区周辺は丘陵地となっており,本校の半径2㎞圏内の高低差は約60 mにも及ぶ.しかしながら,かつて本校の周辺でLoRaの伝搬環境についての調査は行われたことがなく,ファクトデータが存在しない.本稿では,サレジオ高専周辺地域におけるLoRa通信のカバー範囲について調査し,その結果について報告する.
RFID通信の国際標準規格であるISO/IEC 18000-6Cで用いられる後方散乱通信(バックスキャッタ通信)は,電波の反射を用いた通信方式で,タグは自ら電波を発信するための発振器や増幅器持たず,質問器から供給される電波に対して整合状態と反射状態の2つの状態を作ることでタグから質問器への信号伝送を可能としている.この標準規格を拡張したマルチプル・サブキャリア・マルチプル・アクセス(MSMA)技術は,複数のセンサタグが,各々に割り当てられたサブキャリア(チャネル)によって,センサデータを同時に送信し同期ストリーミングを実現する技術である.本稿では,国際標準規格を拡張した同期ストリーミングプロトコルについて提案する.
無線ネットワークにおける通信品質把握のため,対象環境下の複数の異なる位置にセンサノードを配置し,それらのノードから受信信号強度と無線フレームのキャプチャ結果を取得するシステムの研究開発を行っている.本発表では,収集されたデータを同一時間軸上に同期して解析・可視化することを可能とするため,異なるノードで取得された信号強度データとキャプチャデータ間のタイムスタンプの同期を実現する方式を提案する.
休 憩(14:30 再開) 座長 関屋大雄(千葉大)
B-15-27 |
分散ランダムビームフォーミングマイクロ波電力伝送における個別エナジービームフォーミング方式
○藤井正明(ミネベアミツミ) |
B-15-28 |
無線電力伝送適用センサネットワークにおけるクラスタリング方式の改良
◎原口和久・眞田耕輔・羽多野裕之・森 香津夫(三重大) |
B-15-29 |
無線電力伝送型センサネットワークにおける平均AoIを抑制するセクタ構成法
○石田達也・四方博之(関西大) |
B-15-30 |
FANETにおけるバッテリーを考慮したUAV配置法
◎△出羽健二・吉田政望・Alberto Gallegos Ramonet・野口 拓(立命館大) |
B-15-31 |
移動目標のリアルタイム監視のためのマルチUAVネットワークに関する一検討
◎深尾俊貴・藤本章宏(和歌山大) |
広範囲なエリアにおいて多数のデバイスに同時にワイヤレス給電を行うには分散アンテナによるマイクロ波電力伝送が有効である。また、ランダムビームフォーミング(RB)により不感地帯が同じ場所に長時間形成されるのを防ぐことができる。今回、分散RB送電環境下において特定のデバイスへ高効率な給電を可能とする簡易な個別エナジービームフォーミング(DEB)方式を提案し、計算機シミュレーションにより良好な送電特性を確認したので報告する。
無線センサネットワークでは,センサノード(SN)の長時間駆動のために無線電力伝送(WPT)が注目されている.WPTは無線信号によりSNに電力を供給するが,その受電量はWPT装置からの距離に依存しているため地理的不均一性が発生する.これを緩和するためクラスタリング技術のネットワーク機能の交替動作に着眼し,情報集約・中継伝送機能とWPT機能を併せ持つハイブリッドアクセスポイント(HAP)を複数導入し,HAPが交互に両機能を提供するネットワーク構造とクラスタリング手法を提案した.しかし,この従来クラスタリング手法はSN数によってネットワーク性能が劣化する問題がある.そこで本稿では,この性能劣化を抑制するために,従来法の改良について検討する.
近年、WSN (Wireless Sensor Network) の問題点であるセンサノードのバッテリー交換を不要とするWPSN(Wireless Powered Sensor Network) の研究が行われている。一方、IoT技術の発展とその応用の多様化によりリアルタイム性が要求されるWSNが増加している。リアルタイムデータ収集を行うWSNでは収集情報の鮮度を高く保つ必要があり、情報の鮮度を表す指標としてAoI (Age of Information) が導入されている。本稿では、WPSNにおいて、全ノードの平均AoIを抑制する電力伝送セクタ構成法を提案する。
近年FANET(Flying Ad-Hoc Network)の研究が盛んに行われている. FANETでは,ネットワーク稼働時間が,ノード(UAV)の航続時間の影響を強く受ける. そのため, UAVを用いて構成したFANETの長時間運用は重要な技術課題の1つである. 本研究ではFANETの稼働時間増加をめざし,UAVの残バッテリーを考慮した配置法を提案する.Ns-3シミュレータにより提案手法を用いた場合と用いない場合について比較検証を行い,UAVの交換回数と運用時間の観点から性能向上を明らかにする.
近年,UAV(Unmanned Aerial Vehicle)の自律飛行による遭難者の捜索,追跡技術への注目が高まっている.とりわけ,広範囲のエリアを複数のUAVが協調して捜索するための要素技術として,マルチUAVネットワークが活発に研究されている.本稿では,複数UAVによる移動するターゲットの探索・監視において,UAVの移動制御,ならびに経路制御を行うことで探索効率を損なうことなく監視映像の伝送に適した中継経路を維持可能なマルチUAVネットワークを提案する.
休 憩(16:00 再開) 座長 森野博章(芝浦工大)
B-15-32 |
スペクトラムデータベース上のパケット到達率情報を利用したV2Vネットワークの検討
◎向田敦紀・上田有由夢・藤井威生(電通大) |
B-15-33 |
RPLのメトリック変換手法に関する一考察
○川島佑毅・永井幸政・城倉義彦・山内尚久(三菱電機) |
B-15-34 |
エッジサーバにおける画像認識のためのフレームレート制御の検討
○銭 寅飛・小川将克(上智大) |
B-15-35 |
FPGA-SATソルバを用いたGate Control Listの高速アップデート法
◎八重樫 遼(東京農工大)・原 祐子・Anh Hoang Ngoc Nguyen(東工大)・中山 悠(東京農工大) |
高信頼な車車間(V2V: Vehicle-to-Vehicle)通信および路車間(V2I: Vehicle-to-Infrastucture)通信の実現には,車両の移動性に伴う電波伝搬特性変動を精度良く推定する必要がある.その解決策として,分散環境向け実観測型スペクトラムデータベース(MSD: Measurement-based Spectrum Database)を用いる手法が提案されている.本研究では,MSD上のパケット到達率情報に基づくマルチホップ通信向け経路構築法を提案し,マルチホップ通信における信頼性保証について検討する.
RPLは、無線メッシュネットワークのルーチングプロトコルであり、機器情報や環境情報を収集するセンサネットワークで利用されている。しかし、RPLでは経路選択に用いるメトリックが複数定義されており、またオプションに設定する値も実装毎に異なる。そのため、RPLに準拠したノード同士であっても、DODAG rootからの経路構築メッセージであるDIO (DODAG Information Object)を転送できず、相互運用することはできない。
本稿では、異なるメトリックを用いるRPLにおいて、経路情報交換を可能にするメトリック変換手法について検討する。
本稿では,エッジサーバでリアルタイムに画像認識させることに着目する.パラメータとして,解像度,同時アクセス数を変更させたときの画像認識の処理時間により,フレームレート制御の必要性について報告する.
近年,様々なアプリケーションで厳しい遅延制約が求められる中,低遅延を保証するIEEE 802.1 Time Sensitive Networkingが標準化された.代表的なフロー制御機構であるIEEE 802.1Qbv Time-Aware Shaperでは,低遅延伝送のために,各ノードのGCLを協調して設定する必要がある.ただし従来は静的環境での適用が想定されており,高頻度でデバイスやフロー分布が変化する環境において,動的にGCLを設定する手法はなかった.そこで本稿では,FPGA-SATソルバを用いたGCLの高速アップデート法を提案する.提案手法では,GCLスケジューリング問題をSATとして定式化し,FPGA-SATソルバを用いて解くことでGCLのリアルタイム再設定を可能にする.また,提案手法の性能についてシミュレーションにより確認した.
3月11日 13:00〜16:45 Meeting 37 座長 大和田泰伯(NICT)
B-15-36 |
ドローン統合情報利用プラットフォーム概念の提案
○木村紋子・久保大輔(JAXA)・虎谷大地(電子航法研)・武市 昇(東京都立大) |
B-15-37 |
車載向け次世代コネクティッドシステムの検討
○矢野純史・高木建太朗(住友電工) |
B-15-38 |
路車間通信を用いた自動運転車両の合流制御方式
◎白石遼平・森野博章(芝浦工大) |
B-15-39 |
倉庫内におけるフォークリフトの自動運転のための障害物回避に関する研究
◎川嶋崇己(早大)・大和淳司(工学院大)・大谷 淳(早大) |
ドローンは無線通信を介して通信・制御を行うため,IoT(Internet of Things)デバイスの一種と考えられることから,ドローンのデータ活用により新たな付加価値を生み出す可能性を秘めている.IoTデバイスとしてのドローンは,運航領域(飛行データ)のみならず任務領域(ミッションデータ)の情報を収集できるポテンシャルがあり,基本的UTM 機能の先にある運航領域・任務領域の大規模な情報共有の仕組みを検討することが有効であると考えられる.本原稿では,この仕組みを「ドローン情報統合利用プラットフォーム」と呼び,その概念を提案する.
次世代コネクティッドカーでは、CASE時代に対応したコネクティッドサービス実現のため、車両のE/Eアーキテクチャがセントラル化、集中制御化することが想定され、アプリケーションは車外からOTAにより頻繁に追加・更新が行われることが予想される。一方、車外とのインタフェース(アタックサーフェス)が増えることで、車両が脅威にさらされるリスクも高まる。安心安全を提供するために、車両で動作するアプリケーションの管理を行うことは、リスク低減のための必須項目の一つであると考えられる。そこで次世代コネクティッドカーで必要となると想定する車載アプリケーション管理技術、及び当該技術を使ったクラウド連携車両管理システムを検討し、試作開発を行った。
現在の自動運転技術は限定条件下でシステムがすべての運転操作を行うレベル3の実用化を目指して開発が進められている.その課題の一つとして高速道路本線への合流の自動化がある.高速道路での合流は車線変更制御とは異なり合流する車両は限られた長さの加速車線を走行する間に本線側の車両の位置と速度を正確に把握し,自車との速度差を考慮して合流する位置を決定する必要がある.そのため上手く合流ができないと後続車の減速に繋がり渋滞につながる可能性があるため協調型自動運転の研究が進められている.本研究では路車間通信を用いて走行車線の車両に車線変更の協力を要求しでスペースを作ることによって高速道路本線への合流をスムーズに行える手法を提案する.
人間とロボットが共存する環境において, ロボットには安全性を保ちつつ効率性の高い動作を行うことが求められる. 本研究では自動フォークリフトの制御方法としてDWA(Dynamic Window Approach)を採用しており, DWAでは危険回避行動において重要であるロボットの移動シミュレーションに関するパラメータの1つにsim_timeがある. そこで回避行動におけるsim_timeの最適な値の設定を本研究の目的とする. また, 人間の運転特性を反映させることで安全かつ効率の良い自動フォークリフトの走行を目指す. 人の回避行動についての実験を行い, 求めたsim_timeの値をDWAに与えて自動走行させることで安全性と効率性の評価を行った.
休 憩(14:15 再開) 座長 田頭茂明(関西大)
B-15-40 |
遅延の見える化の表示方法による遠隔運転の操作性の違いの検討
◎佐藤雄大・樫原俊太郎・大岸智彦(KDDI総合研究所) |
B-15-41 |
水上ドローン向け遠隔制御システムの試作と評価
◎南 雄也・今成浩巳・宇都宮栄二・吉原貴仁(KDDI総合研究所) |
B-15-42 |
水上ドローンへの小型燃料電池の搭載実験
○今成浩巳・南 雄也・宇都宮栄二・吉原貴仁(KDDI総合研究所) |
B-15-43 |
ARグラスを用いたネットワーク工事支援の検討
○山田恵太・鹿島和幸・大久保啓示(三菱電機) |
遠隔地から運転者視点映像を見て自動車を操作する遠隔運転においては,通信の往復遅延や映像処理時間などからなる遅延時間により操作性が損なわれることが課題である.著者らは,遅延時間による操作性の低下を抑える「遅延の見える化」機能を提案し,本機能により操作性が向上することを確認した.本稿では,「遅延の見える化」機能の表示方法の違いによる遠隔運転の操作性への影響を実験で評価した.
定置網漁などの沿岸漁業や魚介類の養殖では,赤潮や貧酸素水塊など水生生物へ悪影響となる現象の発生検知や,海洋環境の変化による養殖魚介の大量へい死予測が重要である.現在,水上ドローンを用いた海洋環境データの自動収集システムの開発を進めており,広域な漁場におけるデータ収集に向け,LTE通信機能によるドローンの遠隔制御システムを試作している.本稿では,沿岸付近の漁場を航行した際の通信品質を計測したので報告する.
近年,ICT 技術やドローンなどのロボット技術を積極的に取り入れたスマート水産業の実現のため、赤潮の発生検知などに必要な海洋データの測定にロボットが活用されており,用途に応じて様々な形態のドローンやロボットが開発されている.KDDI総合研究所は沿岸部の漁場や養殖場を対象として,水上ドローンを用いた海洋データの自動収集システムを開発している.海洋データの効率的な収集には養殖場などの周辺を長時間航行する必要がある.多くのドローンはバッテリーで駆動するが,航行時間を延ばすには,重量増という課題がある.本稿では,重量増なく航行時間を延長するため,水上ドローンへ小型燃料電池を搭載して実験をしたので報告する.
昨今、感染症対策として移動の抑制が求められている。ネットワーク作業では、機器の設定変更のみであれば遠隔で対応可能だが、物理的な作業を伴うネットワーク作業(以下、ネットワーク工事)を伴うことも少なくない。客先拠点のネットワーク工事が発生した際は、軽微な作業であっても作業員を確保し、客先拠点まで訪問して対応する。
今回、客先拠点でのネットワーク工事において作業員の移動が発生しないよう、作業を拠点勤務の顧客で対応できる仕組みとして、ARグラスを用いた作業支援を検討した。その検討結果を報告する。
休 憩(15:30 再開) 座長 今田美幸(NTT)
B-15-44 |
通話音声テキスト化サービスのサービス制御方式の検討
◎篠﨑卓也・松永 宏・西 豊太(ドコモ・テクノロジ) |
B-15-45 |
スピーチシミュレーションVRシステムの開発
○廣瀬竜介・吉浦紀晃(埼玉大) |
B-15-46 |
災害時医療救護活動と必要とされる組織間連携のための情報共有システムの検討
○梶田宗吾・Edgar Marko Trono・Gemalyn Abrajano・前野 誉(スペースタイムエンジニアリング) |
B-15-47 |
IoTエミュレーションシステムにおける監視制御機能の提案
◎大畑誠弥・中村拓人・湯村 翼(NICT) |
B-15-48 |
IoTデバイスの踏み台防止に関する初期的検討
◎仲渡和政・岡本祐樹(阪大)・椎名亮太(NTT)・藤橋卓也・猿渡俊介・渡辺 尚(阪大) |
通話内容をテキスト化するサービスを利用する際に通話相手に流れるガイダンスが原因となりサービス利用率が向上しないという状況が発生している。そこで、通話相手ごとのサービス制御技術を提案した。本稿では、当該機能の実現に向けた課題及び採用方式について示す。
近年,仮想現実技術(VR)の医療分野における応用例として,VRを利用した精神疾患の治療法が研究されている.Daniel Freemanらは高所恐怖症の治療にVRを利用するという実験を行った.VRによる治療法が研究されている精神疾患は様々だが,その一つに社会不安障害がある.これは他人とのコミュニケーションの際に極度の緊張から強いストレスを感じてしまう疾患である.スピーチシミュレーションVRシステムは社会不安障害の治療,ひいては人前で話すことが苦手という人を対象にした,VR空間でスピーチの練習ができるシステムである.本研究ではスピーチシミュレーションVRシステムを開発し,実際に使用してその効果を評価する.
阪神・淡路大震災を契機に形成された災害派遣医療チーム(DMAT)が,日本での大規模災害発災時における医療救護活動の中心的な役割を担っている.一方,南海トラフ巨大地震などにおいて,広域に渡る被災地域各地に発災直後からくまなくDMATを派遣することは困難であることから,被災地域内で利用可能な医療資源を用いた医療救護活動も同時に求められている.DMAT到着前から医療救護活動を実施する上での最大の課題は,被災地域内の複数分野の組織の横断的な連携を必要とし,医療ニーズと医療資源情報を迅速に共有・把握することにある.そこで本研究では,被災地域における医療救護活動データの共有と多組織間連携を実現する救護活動データ共有・連携システムの検討を行う.
情報通信研究機構のテストベッドStarBEDでは,IoTシステムのテストのためのデバイスエミュレーションシステムを構築している.
これは,実機に使用するIoTソフトウェアをエミュレーションするシステムである.
このシステムでは,エミュレータの配置や数を記述した設定ファイルを用い,展開し実行できる.
しかし,このシステムでは操作がCLIのみであり,CLIを扱えるユーザしか扱えないという問題がある.
また,コンテナ毎の負荷を見ることができず,ユーザが必要な情報を得ることができない.
そこで,GUIから操作できるコントロールパネルと監視システムを開発した.
IoTデバイスを誰もが簡単に入手してネットワークに接続できるようになった.
しかしながら,IoTデバイスを設置・利用するのはネットワークの非専門家が多く,Distributed Denial of Service (DDoS)などの踏み台になっているなどの問題が発生している.
本稿では,IoTデバイスに対して後付けで簡単に追加可能なDFW4IoT (Distributed Firewall for IoT)の初期的な設計・実装について述べる.
B-16. インターネットアーキテクチャ
3月12日 13:00〜16:00 Meeting 35 座長 大島浩太(東京海洋大)
B-16-1 |
エッジコンピューティングを用いたダイナミックマップにおける通信遅延と負荷のトレードオフ分析
◎高田拓夢・坂野遼平(工学院大) |
B-16-2 |
MQTT v5.0を用いたスケーラブルな情報収集基盤の検討
◎芳澤俊成・坂野遼平(工学院大) |
B-16-3 |
ユーザ数の変化に適応した動的Fogによる効率的コンテンツ共有
◎糸数拓哉・菅原真司(千葉工大) |
B-16-4 |
クラウドストレージを併用したハイブリッド型P2Pネットワークにおける人気変動予測を用いたコンテンツ事前配置手法
○△高橋和正・菅原真司(千葉工大) |
B-16-5 |
Wi-SUNを用いたRTK補正情報の送信方式の実装と評価
○坂中勇太・鈴木一哉(秋田県立大) |
自動運転技術やコネクテッドカーの実現において,ダイナミックマップが注目されている.さらに,ダイナミックマップに必要な動的情報の取得にPublish/Subscribe型アーキテクチャなどを用いる手法が提案されている.これらの技術によって,動的情報などの効率的な取得が可能となる.しかし,エッジブローカが増加してしまい,コネクションを管理するコストや負荷が増加する恐れがある.また,管理コストの増加により新たなクライアントを追加しづらい環境になっていると考えられる.本研究では,Subscriber側のコネクション数を調整可能にすることで,負荷低減を行う仕組みを提案し,コネクション数の調整による通信遅延と負荷のトレードオフを検証する.
IoT向けのプロトコルであるMQTTが注目されている.MQTTが利用される場面としてIoTデータを保管するデータセンタやスマートファクトリが挙げられる.これらにMQTTを導入時,Publisher側からのデータをBrokerが受信する際,多量の受信データをBrokerが処理出来ない可能性がある.また,Brokerが十分な処理能力を有していたとしてもSubscriberにおける受信処理がボトルネックとなる可能性がある.
そこで,Brokerを複数台用いて負荷分散を行う.さらに,MQTT v5.0が備えるShared Subscriptionを用いてSubscriberの負荷分散を行う.これらにより,高いスループットの情報収集基盤の構築を検討する.
本研究では,P2P とクラウドおよび Fog Computingを利用した,デジタルコンテンツのユーザ間共有において,Fog サーバ利用コストおよびネットワーク負荷の抑制のために移動体端末を動的 Fog として用いる手法を提案する.
Peer-to-Peer(P2P)ネットワークではピアの加入離脱などによるコンテンツ消失の影響を抑制するため,コンテンツの複製配置が行われる.本稿ではクラウドストレージを併用し,人気変動予測に従ってコンテンツの事前配置を行うことにより,コンテンツ取得に必要なコストを削減し効率的なコンテンツ共有を行う手法を提案する.
近年,農機の自動運転などにおいて,精度の高い位置情報測位システムが必要とされている.精度の高い測位の実現には,GNSSを用いたRTK測位が広く使われている.RTK測位では,基準局から移動局へ補正情報を送信する必要がある.そのためには,何らかの無線技術が必要となる.広大な農地での利用を想定した場合,Wi-Fiの到達距離は30 mほどであるため,農地全てをカバーすることができない.そのため,数百m以上先と通信可能な無線技術が必要である.省電力かつ長距離に通信が可能な無線方式にWi-SUNがある.本研究では,RTK補正情報をWi-SUNで送信するシステムを試作したので,その評価結果を報告する.
休 憩(14:30 再開) 座長 三村 和(日立)
B-16-6 |
自己主権型アイデンティティ情報管理システムに関する一考察
○才所敏明(IT企画)・辻井重男(中大)・櫻井幸一(九大) |
B-16-7 |
Kubernetes上でのIoT実証実験向けデータ収集・分析環境の提供方式に関する一検討
○秋山豊和・中島伸介・河合由起子(京産大)・シリアーラヤ パノット(京都工繊大)・春本 要・下條真司(阪大)・横手靖彦(理研)・菅 真樹(Little Wing) |
B-16-8 |
SDNを用いたTCPのマルチパス化方式における動的制御切り替え方式の検討
◎杉本 竣・伊藤嘉浩(名工大) |
B-16-9 |
車載EthernetにおけるSPQ,FRERおよびFPのQoS評価
◎平野航平・伊藤嘉浩・早川雅人・新田 萌(名工大) |
B-16-10 |
IEEE802.1TSN SPQ対応ネットワークにおけるQoS評価
◎新田 萌・伊藤嘉浩(名工大) |
B-16-11 |
Time-Aware ShaperにおけるGCLの値がQoSに与える影響の評価
◎小林千紗・伊藤嘉浩・中山瑠偉・新田 萌(名工大) |
個人の活動がインターネット上で展開されるサイバー社会へ移行する中,利用者の本人確認はもちろん,さまざまのアイデンティティ情報のインターネット上での確認を可能とするアイデンティティ情報の安全な利活用の仕組みが期待されている.本稿では,ブロックチェーンベースのセルフソブリンアイデンティティ情報管理システム(SSIMS)の自己主権性の観点からの評価の視点を整理・提案し,当該視点でのuPORTの評価結果を報告する.
近年の健康ブームの後押しもあり,ダイエットや体力維持を目的としたウォーキングやランニングに取り組む人々が増加しており,その支援のためのIoTアプリケーションの研究開発も進められている.筆者らもこれまでにランニング支援システムを開発しているが,一方で,これら個人情報を含むIoTアプリケーションのデータ収集・分析時には十分なセキュリティ対策が求められる.大阪大学グランドチャレンジ採択プロジェクトでも同様にデータマネジメントに係る基本方針を定めているが,すべての研究機関において,求められる要件を満たす環境を整備するのは必ずしも容易ではない.本研究では限られた計算ならびに運用リソースの環境で,より多くの研究開発をサポートするため,Kubernetesによるコンテナを活用した環境上で,データマネジメントポリシを満たすデータ収集・分析環境の提供を目指す.
現在,IoT(Internet of Things)の普及により,多くの新しいサービスの提供が期待されている.しかしながら,IoTを利用したサービスや利用者の数が増加すると,これらによるトラヒックも急増することになるため,輻輳によるQoSの低下を防ぐための制御が必要となる.IoTネットワークのためのQoS制御として,筆者らは,SDNによるTCPマルチパス化方式を提案している.この方式は,複数の経路を切り替えるものであり,パケットの損失には対応していない.そこで本稿では,SDNによるマルチパス化方式において冗長経路による経路制御を追加し,状況に応じて無制御を加えた3つの制御を切り替える方式を提案する.また,実験によりその有効性を確認する.
本論文では次世代の車載ネットワークである車載Ethernetにおいて,EthernetのためのQoS制御技術であるIEEE 802.1TSNの3つの制御(SPQ, FRER, FP)を組み合わせて適用した場合のQoSをシミュレーションによる実験により評価している.実験結果から,最も優先度の高いトラヒックに対してはSPQを用いるべきであるが,その他のトラヒックに対しては,要求されるQoSによって最適な制御を選択して組み合わせる必要があることを示している.また,FRERの使用は耐故障性の向上としては有効であるものの,全体のQoSの低下や,適切な経路の構築を考慮する必要も示している.
IEEE802.1 TSNは,IEEE802ネットワーク上で時間制約のあるデータを伝送するための規格であり,時刻同期,優先制御などを定義している.
本規格は産業用IoTや車載ネットワークなどでの採用が進められているが,これが提供するQoSは十分に評価されていない.
IEEE802.1TSNネットワークのQoSに関して,先行研究は優先制御の一つであるStrict Priority Queueing(SPQ)の評価を実験により行っている.
先行研究は,過負荷環境下においてSPQだけの制御では不充分であり,ソフトウェアベースのQoS制御との組み合わせが有効であることを示している.
しかしながら,先行研究はフレーム損失率のみを評価しており,時間制約のあるデータ伝達において重要となる遅延の評価は行われていない.
本研究では,最大遅延とフレーム損失率をQoSパラメータとして,IEEE802.1TSNにおけるSPQを用いたデータ伝送のQoSを評価する.
完全自動運転車の実現に向けた大容量伝送のために,車載Ethernetの採用が検討されている.
また,車載Ethernet上で安全性に関わる時間制約のある情報を優先的に伝送するため,優先制御などを定義するIEEE802.1TSN規格の採用も進められている.
IEEE802.1TSN規格の一つであるIEEE802.1Q-2018規格で定義されている優先制御方式の中でも,Time-Aware Shaper(TAS)は,高い精度でのQoS保証が期待できるため,特に時間制約の厳しいデータを扱う場面での利用が考えられる.
TASは,Gate Control List(GCL)と呼ばれるリストにより,スイッチ内の各待ち行列のゲートの開閉を制御する.
したがってGCLのの値は,提供するQoSに大きく影響を及ぼす.
先行研究では,GCLの適用間隔を対象としてQoSの評価を行っているが,GCLの値を変化させた場合の評価は行っていない.
本論文では,GCLの値がQoSに及ぼす影響をシミュレーションを用いた実験により評価する.
B-17. スマート無線
3月9日 13:00〜17:00 Meeting 11 座長 有吉正行(NEC)
B-17-1 |
周波数共用のための区間分割による間接的電波伝搬外挿手法の検討
○松尾祥吾・宮本 直・片桐啓太・藤井威生(電通大) |
B-17-2 |
電波発射イベントに対する多数の電波センサー情報集約アルゴリズムの高効率化の検討
◎末廣太貴・小林強志・田久 修・不破 泰(信州大) |
B-17-3 |
電力重心を用いた指向性のある無線局の位置推定の実測評価
○松野宏己・國澤良雄・林 高弘(KDDI総合研究所) |
B-17-4 |
ダイナミック周波数共用のための指向性アンテナの指向方向推定手法の実測データによる評価
○國澤良雄・松野宏己・林 高弘・天野良晃(KDDI総合研究所) |
B-17-5 |
並列給電導波管スロットアレーアンテナにおけるサイドローブ抑圧のための素子配置とその構造検討
○東 右一郎・工藤友章(日本電業工作) |
近年,時間的・空間的な空き帯域を異なる無線システムが二次使用する周波数共用技術が注目されている.周波数共用時,二次ユーザの干渉電力対雑音電力比を-10dB以下とすることが求められており,与干渉波の受信電力が雑音電力以下となる遠方において,電波環境を精度良く外挿する必要がある.送受信区間内に別の基地局 (以下,連携基地局) が存在する場合,連携基地局の電波伝搬経路が元の基地局からの遠方区間と同一である場合は,伝搬特性が類似すると考えられる.そこで本稿では,連携基地局の観測値を用いた間接的な電波伝搬外挿手法を提案し,その有用性を評価する.
近年,周波数資源の不足に対し,電波利用状態を観測する
電波センサを利用した動的周波数共用の検討が注目されてい
る.電波センサは既存システムの電波利用を検知するため,受
信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator) が一
定以上を超えたら通知するイベントドリブン型のアクセス制
御となる.しかし,高RSSI を検知した電波センサが同時多発
的にアクセスをするとパケット衝突が頻発し,情報集約が困難
になる.本稿では,特定の条件を満たしたセンサから探索的に
データを集約する手法の評価をした.また,閾値を設けること
による多段階的なデータ集約を評価した.
周波数を共用するためには,既存の無線局への干渉を回避するために,既存の無線局の位置を高精度に推定する必要がある.著者らはこれまでに電力重心を用いた無線局位置推定アルゴリズムの検討を進めてきたが、無線局に指向性があると位置推定精度が低下する.これに対し,扇形のサブエリアを規定し,サブエリアの電力重心を用いることで無線局の位置を推定する手法を考案した.本稿では実測データを用いて,考案手法を評価し,60m程度の精度で無線局位置を推定できることを確認した.
第5世代移動通信の普及による膨大データ通信へ対応するため,既存無線システムが利用していない時間や場所で周波数を共用する検討が進められている.周波数共用のためには既存無線システムへの与干渉を回避する必要があり,既存無線局の位置やアンテナの指向方向の情報が必要であるが,秘匿性確保のためこれらの情報取得が困難なシステムがある.筆者らは無線局のアンテナ指向方向を推定する一手法を報告した.本稿では,郊外環境における実測データを用いて提案手法を評価したので報告する.
アレーアンテナは各素子の放射量を制御することでサイドローブの抑圧が可能であるが,2×2素子のサブアレーで構成される並列給電導波管スロットアレーアンテナにおいては,制御単位が2×2素子であるため,特定の方向に抑圧できないサイドローブが存在する.
本稿では,その抑圧しきれなかったサイドローブを抑圧する目的で素子配置の検討を行い,更にそれを実現するための構造を提案する.
休 憩(14:30 再開) 座長 成枝秀介(三重大)
B-17-6 |
機械学習を用いた空き周波数リソース予測における時間スケールの検討
○長尾竜也・林 高弘・天野良晃(KDDI総合研究所) |
B-17-7 |
ダイナミック周波数共用における周波数割り当て高速化の検討
○伊神皓生・林 高弘・天野良晃(KDDI総合研究所) |
B-17-8 |
ダイナミック周波数共用における異システム干渉除去の屋外実験評価
○堅岡良知・菅野一生・林 高弘・津町直人(KDDI総合研究所)・鈴木利則(KDDI総合研究所/東北学院大)・石川博康(KDDI総合研究所/日大)・山崎浩輔・岸 洋司(KDDI総合研究所) |
B-17-9 |
周波数共用におけるリソース再構成を用いる5Gのスループット評価
○菅野一生・津町直人・堅岡良知(KDDI総合研究所)・鈴木利則(KDDI総合研究所/東北学院大)・石川博康(KDDI総合研究所/日大)・山崎浩輔・岸 洋司(KDDI総合研究所) |
本稿では,空きリソース判定より細かな時間スケールで受信電力予測を行った場合の,空きリソース検出率および誤検出率への影響について述べる.
近年,周波数の逼迫への対応策として,異なるシステム間で周波数を共用する技術が注目されている.本稿では,この異システム間のダイナミック周波数共用における, 2次事業者基地局への共用周波数割り当て手法に着目する.2次事業者基地局への共用周波数割り当て手法として,基地局毎の需要に応じて動的に割り当てる手法が検討されている[1].しかしながら,割当問題を組み合わせ最適化問題として定式化しているため,基地局数の増加に伴い計算時間が指数関数的に増加し,リアルタイムな割当ができない.そこで,本稿では複数の基地局のうち干渉が発生せず,かつ需要差が少ない基地局群を仮想基地局として扱うことで,割当計算量を削減する手法を提案する.
著者らは,携帯電話システムにおいて周波数資源を効率的に活用するため,他の無線システムとのダイナミックな周波数共用技術について検討している.これまでに,このような場合に課題となる既存無線システムからの干渉を5Gの受信側で除去する技術について,電波無響室内で実施した無線伝送実験結果を報告している.本稿では,屋外運動場で実施した無線伝送実験の結果に基づき,屋外実環境における提案手法の基本特性について報告する.
周波数資源を効率的に活用するため,5Gと他の既存無線システムとのダイナミック周波数共用の検討が進められている.筆者らは,共用周波数帯において5Gシステムが既存無線システムからの干渉影響を理想的に把握できる場合に,その影響に応じてリソースを適切に制御するリソース再構成により周波数利用効率を改善できる可能性を示した.本稿では,干渉影響を把握する具体的な手段として5Gに干渉観測用のブランクシンボルを導入することを想定し,そのオーバーヘッドを含めたスループット評価を通じてリソース再構成技術の有効性を示す.
休 憩(15:45 再開) 座長 田久 修(信州大)
B-17-10 |
製造現場における多用途周波数共用のための電波ノイズの分類
○宮本進生・大西綾乃・武内良男(ATR)・前山利幸(拓殖大)・長谷川晃朗・横山浩之(ATR) |
B-17-11 |
製造現場における電磁波パターン検出のためのソフトウェア無線機による電波環境計測システムの構築
○大西綾乃・宮本進生・武内良男・前山利幸・長谷川晃朗・横山浩之(ATR) |
B-17-12 |
マイクロ波対向パネルレーダによるウォークスルー危険物検知システム
○小倉一峰・住谷達哉・カーン ナグマ・山之内慎吾・野村俊之・有吉正行(NEC) |
B-17-13 |
対向パネルレーダ連携による人体の全周イメージング
○住谷達哉・小倉一峰・山之内慎吾・野村俊之・有吉正行(NEC) |
B-17-14 |
Whole Body Object Detection on Radar Images Captured by Coupled-Panel
○Nagma Samreen Khan・Kazumine Ogura・Tatsuya Sumiya・Masayuki Ariyoshi(NEC) |
近年,スペクトルアナライザ等で計測したデータに対して無線の変調方式の推定に機械学習の手法を適用する例が増えてきているが,製造現場で発生する電波ノイズは伝搬環境も発生源となる機器も様々で,大量のデータから教師データとなるサンプルを抽出することが難しい.クラスタリングにより大まかに把握したノイズ種別の結果を教師データに適用した機械学習分類を試みたので,これを報告する.
近年設備の監視や遠隔制御等,種々の目的で複数の無線システムを使用する工場が増えている.また無線通信を行う帯域に産業機器から広帯域ノイズが発生することも知られている.このような環境下で信頼性の高い無線通信を行うためには,各製造現場特有の電波環境を把握し,安定した通信が可能な帯域やタイミングを見出し,通信を行う必要がある. 筆者らは製造現場の電波環境を効率的に解析するための技術開発を行っており,本稿では広帯域ノイズを含む電波環境を計測するシステムの構築例を報告する.
多くの人が行き交う鉄道・商業施設・イベント会場・学校などのセキュリティ強化が急務である。このような場所では、施設利用者の利便性を損なわないセキュリティ検査が望まれる。本稿では、筆者らが開発したウォークスルー危険物検知(Invisible Sensing(IVS))システムについて報告する。本システムは、マイクロ波レーダを用いたセンサパネルを対向設置し協調動作させることで、利用者の歩行を妨げることなく歩行中に全周を検査することが可能である。
施設の安全性と利用者の利便性を両立するため、筆者らは歩行者の動きを止めずにセキュリティ検査を行う「ウォークスルー危険物検知システム」を開発している。本システムでは、マイクロ波レーダを用いたセンサパネルによる計測に基づき、検査対象者のレーダ画像を生成(イメージング)する。本稿では、対向設置した二枚のセンサパネルを連携させたシステム構成による、人体の前面・背面をイメージングする機能について報告する。
We are developing a walk-through concealed weapon detection system by utilizing coupled panel radar sensors. The system needs to detect weapons anywhere on a human body. We have developed a detection engine for weapons on a side of human body. In this work, we present a newly developed weapon detection engine for front and back sides of a human body. By combining the detection engine for front and back body with the one for side body, our walk-through concealed weapon detection system is capable of whole body detection, and is now ready for real-world demonstrations.
3月10日 9:00〜11:45 Meeting 11 座長 亀田 卓(東北大)
B-17-15 |
HAPS・地上移動通信システム間の下りリンク周波数共用における干渉回避制御の基礎検討
○小西光邦・西巻卓哉・柴田洋平・生天目 翔・長手厚史(ソフトバンク) |
B-17-16 |
オープン環境における自律分散型動的周波数共用の基礎検討
○鈴木信雄(ATR)・吉岡達哉(モバイルテクノ)・前山利幸(拓殖大)・長谷川晃朗・横山浩之(ATR) |
B-17-17 |
自律分散型動的周波数共用のための5G信号検出に関する一検討
○吉岡達哉・鈴木信雄・前山利幸・長谷川晃朗・横山浩之(ATR) |
B-17-18 |
5G基地局共用におけるミリ波DASに関する一検討
○大山哲平・温 允・小林崇春・瀬山崇志・伊達木 隆(富士通) |
B-17-19 |
単一の電波センサを用いたドップラシフトによる非直線経路上のミリ波帯移動端末の速度推定
○秋元浩平(秋田県立大)・田久 修(信州大)・戸花照雄・礒田陽次(秋田県立大) |
地上のセルラ移動端末へLong Term Evolution(LTE)や5G New Radio(NR)のような移動通信サービスを直接提供可能な,成層圏プラットフォーム(HAPS: High-Altitude Platform Station)を用いたHAPS移動通信システムは,サービスエリアの拡大,災害時の通信手段として非常に魅力的である.その運用については,周波数資源有効活用の観点から既存地上ネットワークとの周波数共用が望ましいが,そのためには同一周波数間の干渉回避制御が重要となる.本稿では,HAPSと地上移動通信システム間の下りリンク干渉回避制御について,屋外伝搬測定に基づいた評価を行い,その適用効果を明らかにする.
5G以降のさらなる無線通信システム高度化のためには,周波数資源の有効活用が必須である.その手法の一つに周波数共用がある.著者らは,ブロックチェーンを用いると共に,端末での自律的な共用対象周波数帯の決定を行う自律分散型動的周波数共用を提案している.本技術は,自律分散型構成であるために,オープン環境との整合性が高い.本研究では,近年注目されている無線システムのオープン環境の一つであるO-RANを対象に,自律分散型周波数共用技術を適用した場合の基礎的な検討を行った.本稿では,O-RAN上において自律分散型動的周波数共用を実現するにあたってのシステム構成やO-RAN機能要素間インタフェースの実現案を示す.
周波数共用するためには,当該周波数の利用状況をセンシングする必要がある.これまでに,5G信号を対象として,送受信側で既知であるパイロット信号の相関演算により検出する手法が提案されている.既存技術を適用するためには,フーリエ変換を行うタイミングを,送信側(既存の利用者)と受信側(検出したい利用者)で同期させる必要がある.しかし,一次利用者と二次利用者が異なるシステムの場合,システム同期をとることが難しい.本稿では,フーリエ変換のタイミングにオフセットが生じた場合における,検出精度の影響を評価した結果を報告する.
都市部の駅のプラットフォームやショッピングモール,地下街など環境が複雑で高トラフィックが想定されるエリアにおいては高密度な基地局(RU: Radio Unit)設置が必要となる.本検討では共用RUを用いたミリ波DASの評価を行い,RU多地点化によるスループット改善効果と,CU/DU – RU間接続変更によるロードバランシングの効果を示した.
限られた周波数資源を有効活用するため,既存の無線システム(PU: primary user)が利用する周波数帯のうち空間・時間的に未使用な部分を別の無線システム(SU: secondary user)が使用する周波数共用手法が検討されている.特に直進性が強くビームフォーミングを用いるミリ波帯では高い空間利用効率が期待される.周波数共用の実現にはSUからPUへの干渉を防ぐ必要があり,特にSUの移動端末から基地局へのアップリンク通信の際に生じるPUへの干渉はリアルタイムに監視する必要がある.本稿ではミリ波帯(26~60 GHz)における単一の電波センサを用いたSUの移動端末が方向転換する場合の移動速度推定を計算機シミュレーションにより検証する.
休 憩(10:30 再開) 座長 太田真衣(福岡大)
B-17-20 |
Angular-Frequency Wideband Spectrum Sensing utilizing Sub-Nyquist ADCs
○Azril Haniz・Takeshi Matsumura・Fumihide Kojima(NICT) |
B-17-21 |
Investigation of Time-Variant Channel Impulse Response Interpolation Using Extended Kalman Filter
○Nopphon Keerativoranan・Kentaro Saito・Jun-ichi Takada(Tokyo Tech) |
B-17-22 |
ミリ波における機械学習を用いた到来パス電力予測に関する一検討
◎島岡航平・大野光平(明大)・Ulf Johannsen・Sonia Heemstra De Groot(Eindhoven Univ. of Technology) |
B-17-23 |
ミリ波帯WBAN超過密環境下のバックオフ制御による送信機会公平化手法
◎千田 司・亀田 卓・末松憲治(東北大) |
B-17-24 |
制御信号の送信回数からマスタが接続チャネルを選択するランデブチャネル法
◎西尾勇樹・田久 修(信州大)・征矢隼人(neko 9 Laboratories)・太田真衣(福岡大)・藤井威生(電通大) |
For future 5G and Beyond 5G (B5G) networks employed in mmWave spectrum that use beamforming with massive MIMO arrays, higher spectrum utilization efficiency can be achieved with knowledge of the carrier frequency and angle-of-arrival (AOA) of the signals emitted from multiple base stations. Algorithms to estimate angular-frequency characteristics of the signals transmitted from multiple antennas becomes necessary. In this paper, an algorithm to perform angular-frequency spectrum estimation utilizing only sub-Nyquist ADCs is proposed based on multi-coset sampling (MCS). Simulation results confirmed that the proposed algorithm is able to sense the whole spectrum more accurately compared to conventional techniques.
The wireless channel model is one of the essential components in designing a wireless communication system. In a dynamic scenario, a channel impulse response (CIR) characteristic is changing continuously in space due to a multipath fading and Doppler shift. However, such continuous characteristics cannot be directly obtained from a measurement because it only captures a set of discrete CIR samples spatially. In this work, the authors propose the use of an extended Kalman filter to reconstruct the CIR through channel interpolation. Interpolation performance was validated through simulation in both undersampling and oversampling scenarios.
近年、無線通信に機械学習を役立てることが検討されている。さらに、ミリ波の利用が進められているが、ミリ波は遮蔽に弱く、アレイアンテナを用いたビームフォーミングを用いることが想定されている。その際に、受信電力を予測することができれば、遮蔽の検出やビームフォーミングの重み付けの助けになると考えられる。本稿では、機械学習を用いたミリ波の到来パス電力推定について検討を行う。機械学習を行うためには多くのデータが必要となる。そのため、測定した伝送路の帯域を分割しチャネルを複数に分けデータ数を増やすことにより、機械学習により受信電力を予測することを提案する。
ミリ波帯 (60 GHz 帯) を用いたWBAN (Wireless Body Area Network) は,超過密環境下におけるWBAN間の干渉問題を解決する手法の一つとして期待されている.ミリ波では,その人体遮断効果と減衰特性により,過密環境下での通信機会の公平性が低下する問題がある.本稿では,干渉数のばらつきが存在する環境において,ユーザ毎の通信機会をバックオフ制御にて最適化するWBAN 間干渉回避アルゴリズムを提案する.提案法の検証として,計算機シミュレーションを行うことで,システムの公平性が向上することを確認した.
近年,無線通信機器の爆発的な普及に伴って周波数資源の枯渇が問題となっている.そこで,無線端末が開拓的に周波数資源を利用するコグニティブ無線が注目されている.コグニティブ無線では,二つの端末であるマスタとスレーブのアクセスするチャネルが異なり通信が確立できない.そこで,マスタとスレーブが同じチャネルを選択するため制御信号を交換するプロトコルをランデブチャネルという.本研究では,センシングの誤検出及び誤警報を考慮し,制御信号の送信回数からマスタが接続チャネルを選択するランデブチャネル法を検討した.
3月12日 9:00〜11:30 Meeting 11 座長 大山哲平(富士通)
B-17-25 |
スペクトラムデータベースに基づくスパース性を考慮した干渉推定手法
◎伊藤弘樹(電通大)・稲毛 契(都立産技高専)・藤井威生(電通大) |
B-17-26 |
複数チャネル環境下における干渉電力分布を用いたLPWA向けチャネル選択手法の検討
◎角田真一朗・山崎悠大・片桐啓太・藤井威生(電通大)・田久 修(信州大)・太田真衣(福岡大)・安達宏一(電通大) |
B-17-27 |
チャープ復調を利用した干渉源の占有率推定及び干渉・雑音電力推定法の提案
◎小林 岳・田久 修(信州大)・安達宏一(電通大)・太田真衣(福岡大)・藤井威生(電通大) |
B-17-28 |
パケット型インデックス変調方式における干渉回避法の一検討
○太田真衣(福岡大)・藤井威生・安達宏一(電通大)・田久 修(信州大) |
Internet of Things (IoT)機器の多くは分散システムが想定されており,これまでの多くの検討では,主にCarrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance (CSMA/CA) ベースのプロトコルでシステム内・間の多元アクセスを行っている.一方で,CSMA/CAは隠れ端末・さらし端末問題により通信効率が大きく低下する問題がある
本稿では,被干渉端末に関与するのは一部の与干渉端末のみという性質に着目し,スパース性を考慮した構造推定手法であるGraphical Lassoを用いた干渉推定手法を提案する.計算機シミュレーションにより干渉関係の推定精度を評価し,提案手法の有効性を確認した.
省電力長距離通信を可能とするLPWA(Low Power Wide Area)には,LoRaWAN(Long Range Wide Area Network)やSigfox等920MHz帯を利用するシステムが複数存在する.多システム混在環境で通信品質を確保し,システム全体の周波数利用効率を向上させるには,システム間の相互干渉を考慮した無線リソース割当が必要となる.しかし,特に現行のLoRaWANでは,利用する周波数チャネル(以下,チャネル)をパケット送信毎に疑似乱数から決定しており,周囲の電波環境に対する考慮は行われていない.そこで本稿では,多くのシステムで1)送信周期が一定であること,2)伝送時間が長いことに着目し,各チャネルで他システム信号の時間占有率を干渉電力分布として経験的に推定し,LoRa端末毎に干渉時間比率の低いチャネルを利用するチャネル選択手法を提案する.
筆者らはこれまでに,Low Power Wide Area(LPWA)の規格であるLong Range-Wide Area Network(LoRa-WAN)に対して,チャープ復調を利用した所望信号電力および干渉電力の推定法を提案した.本稿では,他システムのアクセス比率である占有率推定を干渉電力と雑音電力の確率分布から高精度に推定する方法を確立した.
パケット型インデックス変調における干渉回避法に関して紹介する.
休 憩(10:15 再開) 座長 長手厚史(ソフトバンク)
B-17-29 |
拡散率による通信可能範囲の変化
○西江美奈・矢部 晃・石川柊斗(金沢工大)・袖 美樹子(国際高専) |
B-17-30 |
ショートビーコン連送を用いたLPWA端末起動技術の提案
◎吉澤健人・藤野洋輔・片山陽平(NTT) |
B-17-31 |
イベントの位置情報を用いたセンサ情報の傾向予測による高効率な情報集約手法
◎杉本亮太・田久 修(信州大) |
B-17-32 |
物理量変換一括収集法による電波センサを用いた位置推定法の検討
○神尾明典・田久 修(信州大) |
B-17-33 |
UAVを活用した次元拡大位置指紋法による屋外位置推定技術の検討
◎△土屋恒平・タン ザカン(東工大)・田中翔馬(ソフトバンク) |
地域の公共交通機関の一つにコミュニティバスがある。その地域によって重要な交通機関であるが、バスの運行状況を把握することが難しい場合もあるため、バスが何らかの事情により遅延した場合、利用者が運行状況を知る手段が必要である。我々は、野々市市のコミュニティバス「のっティ」にLoRaを搭載し、バスに搭載されたGPS情報を取得し、web上に表示する「バスどこシステム」を開発・運営している。しかし、今まで使用してきた20mWLoRaでは、拡散率を上げてもバスの位置情報を取得できない範囲があった。そのため、新たに250mWLoRaを用いて拡散率を変化させて、通信可能範囲がどれくらい変化するのかを検証した。
移動型GW装置による圏外端末の救済を実現するには、間欠動作をする端末の制御技術が必要となる。本投稿では、プリアンブル検出型のCSL方式で間欠動作するLPWAシステムを任意の間欠動作周期で設計する手法と制御技術を提案し、試作装置による評価結果と端末の省電力効果について報告する。
無線センサネットワーク(WSN)は通信容量が少なく、集約できる情報量に制限がある。しかし、モニタ対象で劇的な変化を与えるイベントが発生すると、センサ情報が急激に変化し、WSNの通信容量以上のトラヒックが生じる。一方、空間相間に基づく補間が有効なセンサからの情報集約を割愛することで、環境認識精度を落とすことなく、情報集約が可能になる。本稿では,WSNによるセンサ情報収集において、センサ情報に作用するイベントの位置情報を特定することで、空間補間の精度の高いセンサから情報集約を割愛する情報集約手法を確立した。
多数のセンサを用いて位置推定をする方法が検討されている\cite{kddi}が、多数のセンサから情報集約に時間を要することが課題となる。本稿では、各センサの受信電界強度を周波数に変換して伝送する物理量変換一括集約法(PhyC-SN)\cite{phy_c}による集約法を想定した位置推定法を検討した。
近年,UAV(Unmanned Aerial Vehicle:無人航空機)を活用した様々な取り組みがなされており、今後、更なる応用技術への展開が期待できる.その一例として端末等の電波発信源の位置推定技術を利用した被災地での救護支援や違法電波監視が考えられる.また,市街地環境を想定し,複数台のUAVを受信センサとして決められた位置に配置し,位置指紋法[1]により地上の電波発信源の位置推定を行う研究がある[2].本稿では,1台のUAVを受信センサとして決められた軌道上を飛行させ,位置指紋法に用いるデータを時間軸に対して拡大することで低コストかつ高精度の位置推定手法を提案し,シミュレーションによる評価を行ったので報告する.
3月12日 13:00〜15:45 Meeting 11 座長 李 斗煥(NTT)
B-17-34 |
電車内における自律的周波数共用システムの干渉に関する一検討
○前山利幸・小國治也(拓殖大)・吉岡達哉(モバイルテクノ)・鈴木信雄(近畿大)・長谷川晃朗・横山浩之(ATR) |
B-17-35 |
指向性アンテナを用いたドローンと地上Wi-Fi間の周波数共用に関する検討
◎梶原健渡・今田舜也・于 韜・阪口 啓(東工大) |
B-17-36 |
Wi-Fiアクセスポイントのセル設計支援システムの検討
○中村公紀・小泉 敦・小熊 博(富山高専) |
B-17-37 |
蓄積一括信号処理における信号の重畳度とEb/N0に関する信号分離性能の検討
◎中家 翔・西山 徹・平川拓志・冨里 繁・田野 哲・上原一浩(岡山大) |
B-17-38 |
蓄積一括信号処理における信号の重畳度とD/Uに関する信号分離性能の検討
◎平川拓志・西山 徹・中家 翔・冨里 繁・田野 哲・上原一浩(岡山大) |
動的・自律的な周波数共用システムについて提案している。この提案システムを満員電車の乗客に適用した場合について、Bluetoothシステムを比較対象として、比較・評価した結果を報告する。
近年,ドローン産業は急速な成長を遂げている。特に建設物の整備点検,農作物の管理,災害時における即時性の高い状況把握などに今後ますます焦点が当てられていくと推測されている。ただ一方で,ドローンを運用していく際の法整備やシステムに関しては多くの懸念が残る。また現在,ドローンの常時利用は想定されておらず,他のシステムとの周波数共用が望ましいと考えられている。
本稿では,5.7GHzを用いた複数台のドローンを用いたリアルタイム4K映像伝送システムにおける干渉回避を考慮した飛行可能エリアの導出を従来法の無指向性アンテナを用いた場合と提案法の指向性アンテナを用いた場合とで比較検討した。
近年, 都市部においては, ホットスポットやオフィスのアクセスポイントなど多様な無線 LAN 基地局 (以下, AP) が
密に設置され, 通信速度の低下をはじめとしてセル設計が難化している. 通信速度の低速化要因としては, 干渉源の存在や AP に接続する端末の多さなどが挙げられる. 通信事業者側は事前に AP 設置地点について干渉の有無を確認する
術はあるが, エリア全体に目を向けると他事業者が与干渉源となる可能性もあり, 現状, 簡単に原因を切り分ける手段
がない. そこで本研究では, 通信速度の劣化要因を切り分け手法とともにオンサイトでの切り分け支援のためのシステ
ムを検討する.
IoT時代が間近となり,多くの低機能の端末が無秩序に通信を行うと衝突や干渉により受信が出来なくなるという課題があるため,蓄積一括信号処理技術を確立し,衝突や干渉を受けた信号の分離,復調を目指している.
この問題を解決するために,検討が行われている特徴量復調法は多値数が比較的大きい16QAM変調に対して効果が高いことが知られている.本稿では特徴量復調法について,2波の信号の重畳度とEb/N0に着目し,計算機シミュレーションを用いて16QAM変調の信号分離性能を評価した.
その結果, 16QAM変調において, Eb/N0が約5dB以上,かつOBRが43%以下の条件において,従来手法では分離できなかった信号が分離可能となることが明らかになった.
増加する無線機能を搭載したデバイスの無秩序な通信により,信号の干渉が起こる課題が考えられている.本稿では既存技術では困難な干渉を受けたIoT/M2M端末信号の分離,復調を可能とする蓄積一括信号処理技術の確立を目指し,STFTによる特徴量抽出を用いた信号分離・復調方法について,信号の重畳度と干渉信号電力の影響を踏まえ分離・復調性能を計算機シミュレーションで評価した.その結果,8PSK変調方式,16QAM変調方式ともに重畳部分の帯域幅が所望信号の占有帯域幅の2分の1以下になる場合には,D/U=-9dBにおいて分離可能となることを明らかにした.
休 憩(14:30 再開) 座長 矢野一人(ATR)
B-17-39 |
Convolutional Neural Network Models for Automatic Modulation Classification using Constellation Diagrams
○Liu Yutao・Toru Nishiyama・Shigeru Tomisato・Kazuhiro Uehara(Okayama Univ.) |
B-17-40 |
A study on CNN using Deep Residual Learning (ResNet) for Digital Modulation Classification
○Teruji Ide(National Institute of Technology, Kagoshima College)・Rozeha A. Rashid・Leon Chin・M.A. Sarijari・Rubita Sudirman(Universiti Teknologi Malaysia) |
B-17-41 |
時空間等化を用いた水平方向の水中音響通信に関する検討
◎福本浩之・椿 俊光・藤野洋輔・中野真理菜・大岩美春・伊藤勇弥(NTT) |
B-17-42 |
時空間等化を用いた水中音響ソフトウェア定義無線機の実装
◎伊藤勇弥・福本浩之・椿 俊光・藤野洋輔・中野真理菜・大岩美春(NTT) |
B-17-43 |
加速度計を用いた水中音響高次ドップラー補償技術の実験評価
◎大岩美春・椿 俊光・福本浩之・藤野洋輔・中野真理菜・伊藤勇弥(NTT) |
Automatic modulation classification (AMC) can be applied to recognite the modulation methods of transmitted signals usually corrupted by noise, and plays a key role in cognitive radio system. There are some problems such as low efficiency and low accuracy for traditional classification systems. Therefore we proposed two models based on Convolutional Neural Network for Automatic Modulation Classification, and used five digital modulation methods: BPSK, QPSK, 8PSK, 16QAM and 64QAM for recognition. We improved input image size, number of dropout layers and simulation parameters to increase recognition accuracy. When the range of Eb/N0 from -7dB to 5dB, CNN model 1 was the best choice for AMC in the two models.
In this study, we investigate and present a deep residual learning for modulation classification. The simulation results show the degradation problem that was exposed due to an increase in network depth and the saturation of accuracy in the modified conventional CNN; however, the proposed CNN has no such degradation. Therefore, the processing burden of the conventional CNN is much larger than the proposed CNN. In the simulation results, the proposed CNN framework achieves almost the same modulation classification accuracy as the normal CNN framework when reducing the processing burden in the proposed one. The better simulation results are shown by adjustment of the parameters using the proposed method.
水中音響通信は,音波の伝搬速度が電波通信に比べて5桁低速なことから,マルチパスの遅延広がりとドップラー広がりの積(スプレッドファクタ)が陸上通信に比べて桁違いに大きい二重選択性通信路であり,伝搬路の時変動に適応可能な波形歪み補償が必要である.著者らは,広帯域伝送の課題である伝搬路の二重選択性フェージングを補償する時空間等化を提案している.本報告では浅海域,水平方向の音響通信への時空間等化の適用性を実海域の伝送実験を通して検討する.
海中工事、インフラ点検、資源探査をはじめとする海中の作業効率化、安全性向上に向けて、ROV(Remotely operated vehicle)の活用が期待されている。現用のROVは、有線でコマンドデータや映像データをやり取りするため、ケーブルの切断や絡まりに注意しながら作業する必要がある。筆者らは、海中作業のさらなる効率化、安全性向上を目指し、機器の無線化を実現すべく、リアルタイムに映像伝送が可能な大容量水中音響通信の研究に取り組んでいる。本稿では、水中移動環境で生じる二重選択性フェージングに対し、頑健な等化を実現する時空間等化器をSDR(software-defined radio)上に機能実装し、実海域、移動環境において現用モデム}の約4倍のリアルタイム伝送(250.2kbps)を実証したので報告する。
海中音響通信は、音波の伝搬速度が電波に比べて5桁以上低速なことから、一般的な無線通信と比べ、端末の移動に伴うドップラーシフトの絶対量およびその変化量が桁違いに大きい。そのため、判定帰還型の適応等化器や Phase Locked Loop (PLL) を用いてデータフレーム内で高速かつ不規則に変化する高次のドップラーシフトを補償する技術が検討されている。しかしながら、等化器や PLLだけでは、ドップラーシフトの補償性能に限界があるため、著者らは加速度計を用いた高次ドップラー補償技術を提案している。本稿では、加速度計を用いた高次ドップラー補償技術の実現性を、小型船舶を利用した海中実験にて確認したので報告する。
B-18. 短距離無線通信
3月9日 13:30〜15:45 Meeting 10 座長 齋藤健太郎(東工大)
B-18-1 |
時空間適応MIMO処理を用いた車載レーダ向け歩行者・路側物識別方式
○高柳 優・北村尭之・影目 聡・諏訪 啓(三菱電機) |
B-18-2 |
電波ビッグデータを用いた位置推定手法のための広域系WRANシステム電波モニタリングに関する一検討
○石﨑雅之・山本清志・浅野勝洋(日立国際電気)・水谷圭一・原田博司(京大) |
B-18-3 |
インテリジェント空間形成におけるRIS制御法のNLOS評価
○村上友規・岩渕匡史・大宮 陸・小川智明(NTT) |
車載レーダ等による歩行者の検知において、自車走行時では静止物の相対速度が時空間的に変化する為、相対速度のみでは歩行者と静止物の分離は不可能である。本発表では、対象の相対距離・方位角・相対速度を合成し、歩行者と静止物を分離する方法を提案する。
従来のレンジドップラーマップでは歩行者と静止物の分離は不可能であったが、本開発技術では距離や入射角で時空間的に変化する相対速度を用いることで分離が可能となる。
電波ビッグデータ(無線通信システムが発射する電波の様々な特徴量)を利用した端末位置推定が注目を集め,VHF帯WRANシステムの遅延プロファイルと,その測定位置情報を予め取得(電波センシング)し,その関係を学習することでGNSSを不要とする端末位置推定手法が提案されている.電波センシングではWRAN 移動局が移動しながら発射するWRAN 信号を基地局で受信し遅延プロファイルを測定する.実際の位置推定対象となる端末は複数台存在する可能性が高い.本稿では,複数の移動局から発射される電波を同時に観測して,各移動局からの遅延プロファイルをリアルタイムに測定するための手法を提案する.
2030年代の次世代ネットワークの実現に向けて,IOWN構想や6Gなどの研究開発が進められている.筆者らは,その中でも無線分野の新技術として,インテリジェント空間形成技術を提案している[3].本稿では,上記技術を紹介するとともに,その構成要素であるRIS制御法の有効性をレイトレースシミュレーションによって明らかにする.
休 憩(14:30 再開) 座長 村上友規(NTT)
B-18-4 |
無線装置間の相互監視による障害監視方式
◎上吉川直輝・青山哲也・武 啓二郎(三菱電機) |
B-18-5 |
人工雑音環境下での漏洩同軸ケーブルを用いた無線LANのスループット評価
◎永山有希・藤澤健太・宮本伸一(和歌山大) |
B-18-6 |
仮想専用チャネル構築法を用いた無線LANの遅延特性の評価
○藤澤健太・宮本伸一(和歌山大) |
B-18-7 |
ファクタグラフに基づくサブキャリア割当を行う非直交多元接続の特性
◎山上大智・田野 哲・侯 亜飛(岡山大) |
B-18-8 |
ダイバーシティ受信を考慮したM-aryチャープCDMAの特性評価
○佐々木重信・増田和也(新潟大) |
IoT社会の通信基盤としてISM帯無線が期待される.しかし,ISM帯は電波干渉による通信断等の障害が発生する可能性が高く,山林等の無人環境での動作時の機器の死活監視も課題となる.監視用無線装置による干渉システムの検出手法が検討されているが,機器の新設によるコスト増大がデメリットとなる.本稿では,複数のISM帯無線装置が相互通信するシステムを想定し,無線装置が通信中に他の無線装置が監視時間を設け,通信中の無線装置の通信状態を監視する相互障害監視方式を提案する.提案方式により,低コストに他局の障害監視を実現することができる.
漏洩同軸ケーブル(Leaky Coaxial Cable, LCX)を用いた無線LANは,微弱な電波をケーブル沿いに輻射するという電波伝搬特性を活用し,安定かつセキュアな情報伝送を可能とする無線LANとして注目されている.一方,無線LANの運用周波数帯のうち,2.4GHz帯は,元来,高周波利用設備(Industrial, Scientific and Medical機器,ISM機器)が利用する周波数帯と重畳していることから,ISM機器から輻射される人工雑音の影響による伝送性能の劣化が懸念される.本稿では,人工雑音環境下でのLCXを用いた無線LANのスループット特性を評価し,人工雑音が伝送性能に及ぼす影響を明らかにする.また,オムニアンテナを用いた場合の伝送特性と比較し,人工雑音が及ぼす影響の差異を明らかにする.
無線LANの利活用の拡大に伴い,スループットの向上はもとより伝送遅延時間の低減や保証が要求されている.しかし,不特定多数のBSS(Basic Service Set)が同一周波数チャネルを共有する無線LANでは,個々のBSSの伝送性能や遅延などのQoS(Quality of Service)を保証することはできない.この問題に対し,我々は,比較的広域なプライベート空間を対象とし,空間内に分散配置した端末から外来者が運用するBSSに対して媒体予約期間を周期的に通知することで,空間所有者専用チャネルを仮想的に構築する手法を提案した.本稿では,スループットおよび遅延時間を評価指標として仮想専用チャネル構築法の伝送性能の特性評価を行い,有効性を明らかにする.
近年スマートフォンやIoTデバイスなどの普及により超多数端末が存在する無線通信システムでは、非直交多元接続によって周波数利用効率の向上ができることが知られている。本稿では周波数領域での非直交多元接続を取り上げる。これは、送信側で各サブキャリアに複数のユーザ信号を重畳させて送信し、受信ではMPAによる繰り返し演算によって各ユーザ信号を検出するという手法である。この非直交多元接続において、提案する適応的なユーザへのサブキャリア割当による伝送特性の改善における有効性を計算機シミュレーションにより評価する。
IoT向けに最近注目されているLPWA(Low Power Wide Area)の一方式として, LoRaなどに採用されているチャープスペクトル拡散(CSS)方式がある.本報告では筆者らはM-ary直交符号変調[2]を組み込んだCSS方式によるCDMA(M-aryチャープCDMA)について,フェージング通信路におけるダイバーシティ受信を考慮した評価を行った.シミュレーションによる特性評価の結果,検波前の信号レベルによるダイバーシティ受信では特性の改善が得られないこと,また検波後出力を用いたダイバーシティ受信では誤り率特性が改善し,M-ary チャープCDMAでは従来の直接拡散(DS/SS)方式によるM-ary DS/CDMAと比較して良い誤り率特性が得られることを示した.
3月10日 10:00〜11:15 Meeting 10 座長 佐々木重信(新潟大)
B-18-9 |
U型グラウンドスロットを用いた2枚のプリント回路間のミリ波伝送に関する研究
◎関口昌幸・戸花照雄・礒田陽次・秋元浩平(秋田県立大) |
B-18-10 |
円形ループアンテナアレイを用いるOAM多重通信の固有モード伝送の評価
○菊池晴貴・斉藤 昭・三宅久之助・和田 渉・鈴木 博・石川 亮・本城和彦(電通大) |
B-18-11 |
チャネル推定に基づく最尤ドップラー周波数判定法
堀田和真・○田野 哲・侯 亜飛(岡山大) |
B-18-12 |
アナログFM型RFバックスキャッタリングセンサ端末の適用領域の検討
◎渡邉伊織・石原 昇・伊藤浩之(東工大) |
B-18-13 |
無線電力伝送の開始及び情報と電力のスループット両立のためのMACプロトコルの一考察
◎佐々木蒼一郎・河野隆二(横浜国大) |
近年,情報処理技術の進展にともない,通信に用いる信号が高周波化する傾向がある.そのため,高周波帯,特にミリ波で利用できる低損失な電子回路の開発が求められている.本稿では,「U」型グラウンドスロット同士の電磁結合を利用した無線信号伝送によるマイクロストリップ線路間の高効率な接続方法を提案し,その有効性を示す.
OAM通信は新たな多重通信手法として注目されている.円形ループアンテナアレイを用いたOAM通信はループの円周長を波長の整数倍とし,軸を一致させたアンテナアレイを用いる.半径が同一なループ同士の誘導電流は大きく,半径の異なるループ同士の誘導電流は微小になることから複数の直交通信路を簡易な構成で実現できる.ここでは固有モード伝送について解析した結果を示す.
Internet of Things(IoT)を高機能化するには,ユーザの
動作に応じて異なったサービスの提供が求められる.
本項ではユーザの動作を検出するためのドップラー周波数判定法
を提案する.
我々はRFバックスキャッタリング (RF-BS) によるワイヤレスセンシングの研究開発を進めている.今回,RF-BSセンサシステムの通信可能領域及びアナログFM型RF-BSセンサ端末のセンシング周波数帯における消費電力と分解能のトレードオフ特性を解析的に明らかにしたので報告する.
本研究では,無線LANに用いられる通信用MACプロトコルを応用し,無線電力伝送におけるMACプロトコルを考える.主な役割は,(1)無線電力伝送の流れを定めること(2)他の通信への干渉を抑制し両者を共存させることである.電力伝送はScheduling,Power Transferの2つのフェーズからなり,APは伝えられた給電量を複数回の給電によって達成する.これは,送信電力やチャネルの連続占有時間の制限により,1度の給電では給電量に足りないからである.今回のシミュレーションでは,情報スループットが電力の影響を受けず,逆に電力スループットは情報の影響を大きく受けていた.今後は両者をバランスさせていく所存である.
B-19. ヘルスケア・医療情報通信技術
3月12日 9:00〜11:45 Meeting 19 座長 中山奈津紀(名大)
B-19-1 |
Improved Fetal Heart Rate Detection Via Maternal ECG Removal Using Autoencoder in Frequency Domain
○Abuzar Ahmad Qureshi・Lu Wang・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.)・Kazunari Owada・Naoki Honma・Hayato Hayashi(Atom Medical) |
B-19-2 |
心拍波形の一次導関数を用いた胎児Rピーク検出とRR間隔の分布に応じた複数の重み付けによる胎児心拍数推定
○新飯田夏帆・大槻知明・王 路(慶大)・大和田一成・本間直樹・林 隼人(アトムメディカル) |
B-19-3 |
運転環境を想定したCWドップラーレーダを用いた心拍検出に関する研究
○川村拡秀・小西巧朗・廣林茂樹(富山大)・吉田一雄(カレアコーポレーション) |
B-19-4 |
マイコンを用いたドップラーレーダ信号による高精度心拍検出
○辻本英之・石橋孝一郎・孫 光鎬(電通大) |
B-19-5 |
ドップラーセンサによる呼吸・心拍測定における逐次最小二乗近似オフセット補正の検討
◎森 智也・上林真司(中京大) |
The extraction of fetal heart rate (HR) form non-invasive abdominal ECG is explored using autoencoder for maternal ECG removal.
胎児心拍数推定法で用いられる母体腹壁誘導胎児心電図には,母親の振幅が大きい心電信号と胎児の小さい心電信号,雑音が混在する.そのため,胎児の R ピーク位置と心拍数を推定するのは容易ではない.従来法では,心拍に相当する周波数のエネルギー積分値のピーク検出により R ピーク候補を選択した後,RR間隔の分布に応じた 1 通りの平均と標準偏差のガウス分布で重み付けし, R ピークを強調,検出している.しかし,エネルギー積分値を用いる場合,周波数スペクトル解析の時間と周波数の分解能が反比例するため,検出できないピークが存在する可能性がある.また,より適したガウス分布が存在する可能性がある.本研究では,波形の一次導関数を用いてRピーク候補を検出し,重み付けに用いるガウス分布を複数通りの平均と標準偏差から選択する手法を提案する.
近年,ドップラーレーダを用いた非接触で生体情報を検出する研究が行われている.ドップラーレーダから心拍や呼吸を検出する際,主に周波数解析方法であるFFTが用いられるが,解析窓と周波数分解能の関係で心拍の正確な時間変動の検出が難しいとされている.本研究では,周波数分解能が解析窓に依存しないNon-Harmonic Analysisを用いて心拍を検出する.本研究では,運転環境を想定し,安静時と動作ありの実験を行った.NHAを用いて安静時と動作ありを解析した結果,FFTに比べ,リファレンスとの一致率が高かった.また,NHAでは短い解析窓でも心拍の時間変動も捉えられていた.
ドップラーレーダを用いた非接触心拍検出の手法において周波数解析では潤沢な計算資源が想定され心拍変動を求められず、ブラックボックスを含む手法は製品への適用の際課題がある。本研究では軽量かつブラックボックスがない高精度心拍検出プログラムをマイコン上に実装し PC 上で心拍検出性能評価、マイコン上と PC 上での結果の比較、マイコン上での処理時間の評価を行った。
IQ mixer type ドプッラーセンサを用いて,呼吸と心拍の測定ができるが,周辺の障害物からの反射波や,I/Q間の僅かな偏差によって,DCオフセットが生じる.従って,復調前に,DCオフセットを補正する必要がある.本稿ではIQリサージュ波形を最小二乗法により円近似し,1サンプルごとにDCオフセットを更新して補正する方法について提案する.
休 憩(10:30 再開) 座長 井田一郎(富士通)
B-19-6 |
Remote Vital Signs Monitoring of an Indoor Moving Person with mm-Wave FMCW Radar Using Adaptive Range-bin Selection Method
○Yaokun Hu・Takeshi Toda(Nihon Univ.) |
B-19-7 |
離散ウェーブレット変換を用いた心拍推定における高調波低減に関する適応フィルタリングの一検討
◎佐藤駿佑・胡 尭坤・戸田 健(日大) |
B-19-8 |
離散ウェーブレット変換を用いた心拍推定においてハイパスフィルタによる呼吸信号の高調波抑圧
◎小谷中亮輔・佐藤駿佑・胡 尭坤・戸田 健(日大) |
B-19-9 |
ミリ波FMCWレーダとICEEMDANを用いて抽出した心拍波形のリニアアクチュエータによる模擬に関する一検討
◎篠原迅人・胡 尭坤・戸田 健(日大) |
B-19-10 |
非接触型電極によるオフィス環境下心電計測技術とその評価
○新谷彩子・島田和明・松沼 悟(マクセル)・福崎 翔・浜崎海翔・李 丹松・服部励治(九大) |
A prerequisite for mm-wave FMCW radar-based remote heart-rate estimation is the accurate detection of the person's distance information. The range-bin where the person is located will change during the walking state, and the signal energy is weaker than clutter at farther distances. Therefore, we propose a novel adaptive range-bin tracking method that effectively selects the optimal range-bin cell to obtain the correct radar vital sign before breathing and heartbeat signals reconstruction. The experimental results show that the proposed method can reconstruct the heartbeat signal with high precision when used in conjunction with the ICEEMDAN method.
近年,マイクロ波やミリ波レーダを用いて非接触での心拍や呼吸等バイタルサインの検出に関する研究が進んでいる.心拍の抽出方法の一つとしてウェーブレット変換が応用されている.本稿では77 GHz帯FMCWレーダを用いて呼吸周波数の高調波を低減するために適応フィルタリングにより精度及びSNRの改善を行った.実験は帯域幅 3.99 GHz (動作周波数77~81 GHz),チャープの傾き70 MHz/µsとした.その際,比較のためECGを用いて参考心拍の取得を行った.信号処理を施した結果,ある1つのデータに対して,従来の方法と比較すると1 Hz付近と1.6 Hz付近の高調波とされる大きなピークが低減し,1.2 Hz付近にある心拍周波数に対しSNRは約-5 dB改善することができた.
レーダを用いて生体信号を取得し,離散ウェーブレット変換(DWT)を用いて心拍数を推定する研究が行われている.従来の研究では,呼吸信号の高調波と心拍の周波数が近いためDWT の結果に呼吸の高調波が現れ,検出精度及びSNRが劣化する.
本稿では,77GHz帯frequency modulated continuous wave (FMCW)レーダによる心拍推定においてDWTを施す前にハイパスフィルタ (HPF)を用いて呼吸信号を抑圧することでSNRを改善し,心拍推定精度を高めたので報告する.従来のHPFが無い場合と比較し,HPFを用いた提案方法では心拍信号のSNRが大幅に向上した (+約8.3dB).被験者の心拍周波数BPMはECGデータでは約1.2Hzであったのに対し,従来のDWTのみでは0.95,提案手法では1.0となり推定精度が向上した.
本研究ではImproved Complete Ensemble Empirical Mode Decomposition with Adaptive Noise (ICEEMDAN) により抽出した心拍信号をリニアアクチュエータを用いて心拍模擬した. レーダで取得したリニアアクチュエータの心拍波形とICEEMDANにより抽出した心拍波形をRMSEで比較すると0.1227 mmであった. またレーダで取得したリニアアクチュエータの心拍波形とECGのRR間隔のRMSEは0.1666 s であったのに対し, ICEEMDANにより抽出した心拍波形とECGの場合は0.1584 sとなった.
オフィスや一般家庭等では皮膚に触れずに心電信号を計測し、健康管理を行える技術が求められ、特に昨今ではCOVID-19の蔓延に伴い非接触バイタルセンシングにおける需要が非常に高まっている。また単に心電の取得のみならず疲労度やストレスの評価も含めた心身の総合的なヘルスケアデバイスのニーズが高まっている。オフィス環境では環境ノイズの影響が大きく、増幅率の高い心電信号の計測が難しい問題があるが、ノイズ低減技術であるアクティブガーディングを搭載しノイズ環境下で容量結合型電極による心電計測を行った。今回ノイズ低減に繋げつつ小型化した電極について、またこの心電計測システムを用いた心自律神経評価についても報告する。
3月12日 13:00〜16:00 Meeting 19 座長 李 還幇(NICT)
B-19-11 |
生体電磁応答に基づく血糖推定時のインピーダンス測定周波数の検討
◎髙松怜紘・樋口健一・村松大陸(東京理科大) |
B-19-12 |
LSTMよる波形再構成に基づく非接触血圧推定法の精度改善
◎石坂秀壮・山本幸平・大槻知明(慶大) |
B-19-13 |
小型化した非侵襲深部体温センサの生体における耐環境性能の検証
◎松永大地・田中雄次郎・田島卓郎・瀬山倫子(NTT)・飯井海渡・和田直樹・加藤一聖・永島 計(早大) |
B-19-14 |
視床下部温度推定技術の構築に向けた簡易頭部モデル熱解析結果の外気温依存性の検証
◎豊田 新・小野一善・東 正造・中島 寛(NTT) |
B-19-15 |
ウェアラブル発汗計の小型化に向けた周辺回路開発
◎坂田天来・狩野 楓(信州大)・百瀬英哉(スキノス)・上口 光(信州大) |
糖尿病の進行は様々な合併症を招くため,血糖値の日常計測とコントロールが必要不可欠となる.現在の血糖計測は酵素電極を用いる侵襲的な方法が一般的で, 採血にともなう痛みや手間,感染症のリスクが大きな問題となっており,患者のQOLを改善する非侵襲血糖測定の実現が急務である.非侵襲血糖測定のひとつとして著者らは,血液の電気定数の血中グルコース濃度依存性を利用し,ウェアラブル電極で測定した生体電磁応答から血糖値を推定する手法を検討している.本稿では血糖推定確度の改善に向け,バイオインピーダンスの測定周波数について検討した.
近年,カフ装着による不快感がない非接触血圧推定法として,ドップラーレーダを用いた手法が検討されている.この
手法は,ドップラーレーダを用いて胸壁の動きに起因する波形(胸壁変位波形) を取得し,その波形から血圧と相関がある
パラメータを検出することで血圧を推定する. しかし,胸壁変位波形は呼吸や体の揺らぎにより容易に歪む. 先行研究[1] で
はLSTM (Long Short-Term Memory) を用いて胸壁変位波形を再構成し,その波形から血圧と相関がある脈波伝播時間
を検出する手法を提案し,実験を通して呼吸や体の揺らぎが生じる環境で,提案法が血圧推定精度を改善することを示し
た.本稿では,胸壁変位波形から心臓の収縮及び拡張の時間を検出し血圧を推定する手法に対してLSTM による波形再構
成法が有用であることを示すとともに,[1] の手法と精度を比較する.
深部体温は脳や臓器をはじめとした核心部の温度であり,体内リズムを反映することが知られている.そのため,深部体温の連続測定により体内リズムを可視化することで睡眠管理などの高度な健康管理が可能となるが,非侵襲かつ低負担に測定することが重要である.非侵襲に深部体温を測定する手法として皮膚表面に貼るセンサにより深部体温を間接的に推定する手法が提案されているが,原理上,空調機器等による外気の対流変化により推定誤差が生じる.本研究では対流変化時の推定誤差を低減する機構をもつ小型センサプローブを作製し,生体において対流変化に対する耐環境性能を評価したので報告する.
深部体温を測定する方法は複数存在するが、直腸温度計や鼓膜温度計などの体腔内を測定する方法では精度は高い、一方で体腔内に温度計を保持する必要があるため長時間測定することは難しい。それに対し、サーモグラフィや赤外線温度センサによる非接触測定法では、体腔外で簡易に測定できるが精度が低い。我々は深部体温の中でも温度調整中枢を司る視床下部の温度を測定することを目的としている。しかしながら、従来の測定方法では長時間測定と深部体温測定を両立させることができない問題があった。そこで本研究では赤外線温度センサによって測定した体表温度から視床下部温度を推定することで非接触の深部体温推定の可能性を検証したので報告する。
最近,日常の発汗量計測による体調予測の需要が高まっ ている.しかし,現行の発汗量計測器は筐体の大きさ故に持ち運びができず,日常的な計測が不可能である.本研究では CMOS 集積回路技術を用いた小型発汗量計測器の開発により,発汗量を手軽に測定できるシステムを提供する.
休 憩(14:30 再開) 座長 小林 匠(横浜国大)
B-19-16 |
褥瘡検出用アレイアンテナの開発
◎浅野佑介・小林大希・高橋応明(千葉大) |
B-19-17 |
Deformation of a Human Voxel Model for Numerical Simulation in Abdominal Fat Measurements
Ferdinand Alexander Dey・◎Hidenao Honda・Takahiro Aoyagi(Tokyo Tech) |
B-19-18 |
UWBインプラント機器における周波数領域情報による位置推定の一検討
◎石川靖人・安在大祐・王 建青(名工大) |
B-19-19 |
準天頂衛星と2アンテナ式GPSによる視覚障碍者用高精度測位に関する実証実験
○牧野秀夫(新潟大)・中澤陽平(高千穂大)・阿達 透・前田義信(新潟大)・井筒 潤・杉田 暁・福井弘道(中部大) |
B-19-20 |
パッシブ方式人体通信における床面グラウンド寄与に関する検討
○村松大陸・新井健太・樋口健一(東京理科大) |
B-19-21 |
干渉波環境およびWBAN環境を想定したPPM-UWB通信の非同期検波方式に関する検討
◎田中健介・井家上哲史(明大) |
褥瘡とは,長時間皮膚に圧力がかかり,血流が低下することで生じる局所的な皮膚及び皮下組織の損傷である.早期に発見し処置を行うことで,その治療期間を短くし,患者及び医療従事者への負担を軽減することが可能である.そこで本研究では,マイクロ波を用いて褥瘡発生時の皮下組織の変化を検出することにより,非接触式での褥瘡の早期発見を目指す.先行研究には,検出範囲についての検討がなされていなかった.そのため本研究では,アレイ化による検出範囲拡大を目的とする.そこで本稿では,簡易皮膚モデル上の損傷部位を移動させて数値解析を行い,作成したアレイアンテナによる検出範囲の検討を行ったため,報告する.
A deformation algorithm for the human voxel model is proposed to increase the thickness of abdominal fat and muscle to be used in modeling of abdominal fat measurement by microwave. As a result, abdominal models with variety of thicknesses can be generated. In the future, we will use the proposed algorithm to generate and simulate models.
医療分野において人体内に配置された医療機器と体外の受信機で通信を行うインプラントBAN (Body Area Network)の利用が注目されている. インプラントBANの応用例としてカプセル内視鏡が挙げられる.カプセル内視鏡の位置情報取得は医療における診断や制御技術に有用であり,様々な推定法が提案されている.その中でも信号到来時間(TOA: Time of Arrival)を用いた手法は位置推定精度の面で有利である.しかしながら,人体中では電波伝搬速度の変化により正確な時間差を測定することは困難である.加えて, 高い空間分解能には受信側で高いサンプリングレートが求められる.そこで本論文では, UWB(Ultra Wide Band)を用いた受信信号の周波数領域情報によりインプラント機器位置推定法を提案し, 提案法の有効性を示す.
視覚障碍者ならびに大規模災害時の位置情報提供を目的に,準天頂衛星の補強信号と2アンテナ式GPSによるセンチメータ級測位に関する実証実験を行った.その結果,移動軌跡ならびに前面方位表示結果より有効性を確認した.
ウェアラブル機器のバッテリレス化に向け,人体を介し機器に電力と情報を伝送するパッシブ方式人体通信について検討した.特に機器の装着位置,機器への接触状態,床面GNDの存在が送受信機間の伝送特性や人体周囲の電界分布に与える影響を,被験者実験によって定量的に評価した.
WBAN(Wireless Body Area Network)のほか屋内測位や防犯対策,決済のタッチレス化などの応用に向けて,超広帯域無線通信技術UWB(Ultra Wide Band)が注目されている.本研究ではそのようなUWBの応用に向けて,UWBと類似のパルスが干渉信号として存在する通信環境を想定している.本稿では,干渉波環境およびWBAN環境を想定し,変調方式にPPM(パルス位置変調)を採用した際のUWB通信において,非同期検波時の積分パラメータについて考察したので報告する.
B-20. 無線電力伝送
3月9日 9:00〜11:45 Meeting 38 座長 平山 裕(名工大)
B-20-1 |
電界結合型非接触スリップリングの検討
○大島綾太・斎藤大珠・彦坂忠利・塩野光弘・高野 忠・髙橋芳浩(日大) |
B-20-2 |
飛行体へのワイヤレス電力伝送に向けた結合器の評価実験
◎本多亮也・伊藤大剛・水谷 豊・塚本悟司・大平 孝(豊橋技科大) |
B-20-3 |
電動ゴーカート無線充電に向けた電極寸法の設計
◎長瀬聖弥・水谷 豊・阿部晋士・大平 孝(豊橋技科大) |
B-20-4 |
長い水路を航行する船への電界結合型WPTシステムの課題
◎辻村智寛・張 陽軍(龍谷大)・粟井郁雄(リューテック) |
B-20-5 |
2次元移動体給電に向けた櫛形送電・正多角形受電電極の設計法
◎唐川祐一郎・馬場涼一・阿部晋士・大平 孝(豊橋技科大) |
風力発電機,レーダアンテナ,ロボットアームなどの回転運動を有する機器では,静止体-回転体間の電力伝送が不可欠になる.一般にこのような回転体間の電力伝送は,金属製リングと摺動電極(ブラシ)との接触を用いたスリップリングが使用される.しかし,摩擦による劣化や破損,摩擦により発生した摩耗粉による接触不良などのため,定期的な保守が必要になる. そのため非接触化(ブラシレス化)が求められる.そこで本研究では電界結合型スリップリングについて検討を行った.
ドローンハイウェイ実現のために,タッチアンドゴー充電ステーション構想が提案されている.このドローンに搭載する結合器は,長時間飛行かつ高効率充電のために,軽量かつ十分な静電容量が得られることが求められる.その実現手法として,結合器の受電電極に孔を開ける方法がある.本稿では,この基礎検討として丸孔の孔径,電極間距離及び静電容量の関係を明らかにすることを目的とした.結果として,電極間距離が小さいほど孔径が静電容量に及ぼす影響が大きいことが分かった.さらに,孔径と電極間距離の比が一定であっても電極間距離が広く孔径が大きいほど静電容量は減少しないことが確認できた.
遊園地でガソリン駆動ゴーカートの電動化が望まれている.しかし電動化にあたり,走行時間が短いという問題がある.この問題を解決するためにコースを走行後,人の乗降の間に無線充電することを提案する.本研究ではゴーカートへ無線充電するために,電力効率が最大化される最適な電極寸法の設計を行う.
1mの比較的短い水路を用いた電界結合型の無線電力伝送システムでは、非接触給電による模型船の航行に成功した。だが、現実の水路や湖などで利用することを視野に入れると、より大規模なシステムでの検討が必要となる。水路での利用を考えた場合、電極が長大化すると波長による影響が問題となるため、波長に対して十分短くなるよう電極を区切るなど工夫が必要となる。また水量が増えることで損失が増大し、これまでと同等のシステムでも伝送効率の大幅な低下も考えられる。これらの問題を確認するために、同等の電極を用いた場合に電極外の水量が増加することで、システムの特性にどのような影響が出るのかkQ積をメインに検討を行った。
工場内のAGVや清掃ロボットは2次元平面上を自由に移動する.
常時給電を行うためには,平面移動や回転をしても送電電極と受電電極が重なり続ける必要がある.
本研究では,櫛形送電電極と正多角形受電電極において重なり面積の観点から,2次元平面で動作するロボット向けの電極構造の設計法を確立する.
休 憩(10:30 再開) 座長 山本綱之(津山高専)
B-20-6 |
中継コイルを活用したEV/PHV向け非接触給電システム
◎鈴木大輔・木村統公(SOKEN) |
B-20-7 |
ドローン駐機時磁界結合型ワイヤレス充電システムの放射・伝導妨害波測定
◎宇野 皓・司城 徹・兼清靖弘・尾林秀一(東芝) |
B-20-8 |
磁界結合型無線給電における高調波磁界低減型入力電圧波形設計の実験評価
◎小渕大輔・松浦賢太郎・成末義哲・森川博之(東大) |
B-20-9 |
磁界共振結合型無線給電向け二次側共振周波数補正機構の自律制御に関する検討
◎松浦賢太郎・小渕大輔・成末義哲・森川博之(東大) |
B-20-10 |
2×2MIMO IPTの直列共振回路のSパラメータによる特性評価
◎酒巻有吾・ズオン クアンタン・岡田 実(奈良先端大) |
近年、電気自動車(EV)の充電利便性向上のため非接触給電が注目されている。しかし、車両位置ずれや車高変動、車種毎の送電距離が異なっても充電仕様を満足するために、送電コイルが大型化する問題があった。
また、送電距離を延ばす技術として中継コイルを活用した研究がなされている。本稿では送電距離は維持し、中継コイル活用により送電コイルを小型化する構成を提案する。また、提案構成の中継コイルを含む送電コイルが従来の送電コイルよりも約49%小型化可能なことを試算により明らかにした。
ドローンはインフラの監視装置や運送機器への応用が期待されており、その充電にワイヤレス電力伝送 への適用が提案されている。ドローンをワイヤレス充電する際、他の電子機器に影響を及ぼす放射・伝導妨害波が懸念されている。そのため、実際の運用には放射・伝導妨害波を国内電波法で定められている許容値内にする必要がある。
本稿では、85kHz帯400W級ドローン駐機時磁界結合型ワイヤレス充電システムの放射妨害波や伝導妨害波をEMCサイトにて測定した。その結果について報告する。
無線通信への干渉や周囲の電子機器への電磁妨害を引き起こすため,磁界結合型無線電力伝送システムから発生する漏洩磁界には規制値が設けられている.
送受電器から発生する漏洩磁界に含まれる基本周波数成分を低減する手法については,著者らが過去に提案した送電器アレイを用いる手法を含め,様々な手法が提案されている.一方で,高調波周波数成分の低減については,送受電器へのローパスフィルタの挿入が有効であるが,小型のローパスフィルタでは低次の高調波を十分に低減することができない.
そこで著者らは,送受電器から生じる漏洩磁界の高調波成分を相殺可能な入力電圧波形の設計手法を提案した.回路シミュレーションによる提案手法の評価では,高調波周波数における送受電器電流の線形和を提案手法により低減できることを確認し,高調波磁界の低減可能性を示した.これは高調波磁界が送受電器電流の線形和に比例することに拠る.しかし,回路シミュレーションでは漏洩磁界そのものの評価はできないため,本稿では実験によって提案手法を評価した.
筆者らは,磁界共振結合型無線給電において二次側で計測可能な情報のみを用いて自律的に共振周波数補正を行う機構の検討を進めている.提案手法ではハーフブリッジのゲート信号を二次側電流を基準に90度位相シフトして生成し,またハーフブリッジに印加するDC電圧を負荷の消費電力を最大化するように変化させることで共振周波数補正を行う.しかし,ゲート信号生成やDC電圧制御の具体的な実装方法は未検討であった.本稿では,整流回路のダイオードに二次側電流が導通する際に生じる電圧の位相を利用したゲート信号生成回路と,最大電力点追従(MPPT)制御を応用したDC電圧の制御を検討する.これらの手法により,自律的な共振周波数補正が可能であることを回路シミュレーションにより確認した.
近年,磁界結合型ワイヤレス給電(IPT: Inductive Power Transfer)が家電や電気自動車に応用されるようになってきた.特に,高い電力を分散させて安全に伝送できることや,送電コイルが故障した時に,別のコイルで伝送できることから,送受電共に複数のコイルを用いるMIMO(Multiple Input Multiple Output)の研究が行われている.現在,2x2 MIMOを仮定し,送電間及び受電間のクロスカップリングの影響を打ち消すための補償回路を提案されている.Vector Network Analyzer (VNA)を用いて実験的評価を行い,反射損と効率の特性を検証した.
3月9日 13:00〜15:30 Meeting 38 座長 羽賀 望(群馬大)
B-20-11 |
ロボット用電源コネクタ技術の開発
○佐野 弘・橋本祐一・佐々木善教・末定新治・岡橋智也(福井県工技セ) |
B-20-12 |
在宅医療用ワイヤレス給電小形センサの整流回路の設計
◎柴 大虎・渡邊陽菜・高橋応明(千葉大) |
B-20-13 |
在宅医療用ワイヤレス給電小形センサの送信デバイスの検討
◎柴 幸之介・渡邊陽菜・高橋応明(千葉大) |
B-20-14 |
5.7GHzにおける人体検出用簡易軽量ファントムの開発
◎佐藤嘉希・齊藤一幸(千葉大) |
B-20-15 |
パルス波形制御4x1MISO磁気共鳴ビームフォーミングWPTに向けた基礎検討
◎原田知明・鈴木絢子・吉田賢史・西川健二郎(鹿児島大) |
災害現場などで活躍するロボットは,複数のモータを 駆動しながら情報収集・伝送を行うため,電源となるバ ッテリーを高頻度で充電あるいは交換をする必要がある. 一般に,バッテリーの交換には端子コネクタの抜き差し が伴うので,屋外等の多塵や高湿度な環境下においては コネクタの劣化が課題となっている.また,大容量化や 充電時間短縮のためには,バッテリーの高電圧化が望ま れているが,コネクタの脱着時に発生するアークにより 端子の溶着や火災等の危険が伴う. 本研究では,ワイヤレス電力伝送技術(WPT)を応用 し,バッテリー端子部を被覆して高耐久性と高容量化の 両立を図る技術開発を行う.
近年,医療分野におけるIoTの活用が重要視されている.IoTの活用例としては,遠隔地での診療や見守り,生体情報のモニタリングなどが挙げられる.IoTデバイスの普及が進んでいるが,デバイスの電源確保が課題となっている.この課題を無線電力伝送によって解決できると考えられる.本研究では,在宅医療用小形センサへの無線電力伝送システムの開発を目的として,アンテナで受信した電波を,センサが動作する直流電流に変換する整流回路の検討を行う.整流回路については従来多くの検討がなされているが,低電力入力時の電力変換効率が優れた回路の設計技術は確立されているとは言えない.本稿では,システムに用いる整流回路の設計および低電力入力時の電力変換効率の解析を行ったので報告する.
近年,医療分野において在宅医療の需要が高まっており,それに伴って遠隔での診療や医療データの利用などが期待され,医療用小形IoT(Internet of Things)デバイスの普及が進んでいる.しかしデバイスの増加により,ケーブルによる動作制限,バッテリー内蔵によるサイズの増大,電池利用の場合は電池の交換し忘れ等が生じている.これらの問題は無線電力伝送による給電を行うことで改善できると考えられる.本稿では,複数の小形センサの電源確保を目的とし,電磁波方式を用いた無線電力伝送システムにおける送信デバイスの設計・評価を行う.
空間伝送型WPT(Wireless Power Transmission)は,他のWPT方式と比較して,伝送可能距離が長いという利点がある一方で,送電電力が小さい,効率が低いという欠点があり,また,人体防護の観点からも,送電経路上の人体を検出し,送電方向を変更するという技術が必要である.この技術開発に際して,実際の人体を用いることは倫理的に困難なため,人体検出用ファントムの開発が求められる.使用するファントムには,人体と同等のRCS(Rader Cross Section)を持つ簡易軽量な物体が望まれる.これまでの研究で,人体のRCSは,姿勢,所持品,性別,体型等により変化することを確認した.そこで本研究では,様々な人体モデルのRCSを算出し,そのばらつきから,作製する簡易軽量ファントムのRCSの目標範囲を設定した.また,考案した簡易軽量ファントムの評価を行った.
さまざまな電子機器の普及に伴い,WPT (Wireless Power Transfer) システムは大きな領域での高い伝送効率が必要とされている.さらに従来の入力信号である連続正弦波では,振幅および位相制御回路/部品は複雑で巨大となる.そこでビームフォーミング制御技術を備えた4x1MISO (Multi-Input Single-Output) WPTシステムにパルス波形を入力することで,最適入力波形の検討を行う.
休 憩(14:30 再開) 座長 日景 隆(北大)
B-20-16 |
成層圏無線中継機に搭載する受電アンテナの直列給電アレー化検討
◎鎌田紘行・篠原真毅(京大)・長谷川直輝・中本悠太・太田喜元(ソフトバンク) |
B-20-17 |
SPS試験衛星搭載アレーアンテナの送信パターン測定法の誤差解析
○藤野義之・井上拓哉・小坂優太(東洋大)・田中孝治(JAXA) |
B-20-18 |
F級負荷機能を有する二層構造パッチアンテナの基礎検討
◎成田裕斗・大島尭隻・平山 裕(名工大) |
B-20-19 |
成層圏プラットフォームへの無線電力伝送に向けた送電アンテナ分散化検討
◎中本悠太・長谷川直輝・太田喜元(ソフトバンク) |
近年,通信環境が整っていない場所や自然災害時でも安定した接続を実現することは社会的課題となっており,成層圏に飛行させた無人飛行機を通信基地局として運用するシステムの開発が進められている。
飛行機への電力供給法として,従来は太陽電池と二次電池の組み合わせが検討されてきたが,軽量化が課題となっている。そこで,本研究では無線電力伝送によるバッテリーレス化を提案する。これは地上から給電用のビームを照射し,上空約20kmの飛行機に電力を供給する方式である。先行研究では送電システムを中心に検討が進められてきた。
本稿では,軽量化のために受電アンテナ素子を直列アレー化した際の受電能力への影響を評価した。
宇宙太陽発電衛星(SPS)を実現させるために小型衛星を用いた実証実験が計画されている.実証試験においては,衛星搭載機器の評価のため,送信ビーム形状を正確に測定することが必要となる.このため,衛星進行方向に直交する方向に1次元状に複数の受信局を地上に設置してレベルを測定し,最小二乗法を用いてビーム形状を再現することを提案した.今回,受信局の配置誤差に関して検討を実施したので報告する.
マイクロ波無線電力伝送において、増幅器での損失を低減することが重要である。F級負荷回路を増幅器に使用することで損失を低減できるが、アンテナ自身にF級負荷機能を持たせることで回路全体を小型化する方法が提案されている。しかし、三層構造のパッチアンテナとなっているため、層を張り合わせる際の製造誤差により特性が大きく変化することが問題であった。
本稿では、F級負荷機能を有する二層構造のパッチアンテナを提案する。
近年,発展途上国の通信エリア拡大や災害発生時の緊急時通信に成層圏プラットフォーム(HAPS:High Altitude Platform)を用いる構想が進められている.
しかし,HAPSを長期間運用するために昼夜関係なく安定した連続的な電源供給源が大きな課題である.
その電源供給源として無線電力伝送が検討されている.
先行研究においてHAPSの受電アンテナ形状に基づいて送電アンテナ形状や飛行経路による伝送効率を評価し,システム検討が行われた.
本研究では,送電アンテナをサブアレイごとに分けて分散配置することによって設置の簡易化や周囲への電磁干渉低減について評価する.
送電アンテナを分散配置した場合の伝送効率と周囲の電力密度分布について検討を行う.
3月11日 13:00〜15:30 Meeting 38 座長 坂井尚貴(金沢工大)
B-20-20 |
キャビティ共振モードWPTを用いた複数センサへの給電検討
◎赤井鈴鹿(豊橋技科大)・佐伯洋昌(村田製作所)・田村昌也(豊橋技科大) |
B-20-21 |
複素MPPTを用いたRF-DC変換回路の提案
◎棚橋功三郎・中江拓真・平山 裕(名工大) |
B-20-22 |
チャープ・パルス圧縮を利用する高周波整流回路の解析
◎Korya Chiathong・宜保遼大・阿部晋士・大平 孝(豊橋技科大) |
B-20-23 |
閉空間における複数負荷へのマイクロ波無線電力伝送の実験検討
○池田拓磨・田中勇気・枷場亮祐・金井一輝・谷 博之・梶原正一(パナソニック) |
B-20-24 |
平行平板導波路における二次元ビーム伝搬特性の研究
○湯川一樹・松室尭之・石崎俊雄(龍谷大)・石川容平(京大) |
現在,工業分野などでは IoT の活用が進んでおり,工場で使用される機械のセンシングには情報を無線で収集する WSN の技術が用いられている.しかし,電力供給にはバッテリを用いる例が多く,この多数のバッテリ交換作業が負担となっている.この問題に対して,我々は金属メッシュからなる遮蔽構造を構成し,壁面の反射特性を可変して遮蔽空間のインピーダンスを制御するキャビティ共振モードワイヤレス電力伝送 (CR WPT) を提案している.この CR WPT を用いて複数受電の確認と漏洩電界の測定を行った.結果として,複数の受電器の同時受電が可能であることが確認できた.さらに,送電電力が 5 W のとき漏洩電界は電波防護指針の基準値を下回ることを確認した.
近距離の無線電力伝送において送受電間距離により受電アンテナの出力インピーダンスが変動するため、適応的に整合をとることが要求される。DC-DCコンバータにMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御を施し受電電力を最大化する方法が提案されている[1]。しかし、直流において制御するため制御の自由度が1に限られ複素共役整合が達成できない。本稿では、高周波電力に対して2系統のDC-DCコンバータにMPPT制御を施すことで制御の自由度を2にし、複素共役整合を行う回路方式を提案する。
無線電力伝送の技術要素である高周波(RF) 整流回路 は小電力においてRF-DC 効率が低い[1].PAPR が大 きい波形をRF 整流回路に入力されることで,RF-DC 効率が向上できると報告された[2].しかし,PAPR が 大きい波形を送信器などの非線形デバイスに入力される と出力に歪みが発生し,伝送品質の劣化や他のシステム との干渉をするといった課題がある.本稿ではこれらの 課題を解決するために,チャープ パルス圧縮を利用す る高周波整流回路を提案し,「パルス圧縮整流回路」と名 づけ,数値解析により有用性を示す.
近年IoTによりセンサネットワークが急速に普及している.センサの増加により、センサノードの無線化及びバッテリレス化による設置コストの削減やメンテナンスフリー化が求められている.電源を無線化するための手段として,筆者らは920 MHz帯を利用したマイクロ波無線電力伝送(MWPT)の技術開発に取り組んでいる.本帯域では,自由空間での給電効率は低いものの,電波が反射する金属閉空間内における給電効率は自由空間に比べて高くなる.本検討では,金属で構成された閉空間内におけるMWPTの実験検討を行った.金属閉空間の特性を模擬でき,かつ内部の視認性が高い透明の電波反射箱を製作し,箱の中でダイバーシチ受信機能を搭載した受信端末を用いて無線電力伝送の実験を行ったので報告する.
近年における再生可能エネルギーの普及に貢献することを目的として洋上マイクロ波送電システムが提案されている.このシステムの縮小モデル実験のために平行平板導波路を提案する.平行平板内でのビーム伝搬は二次元とみなすことができるため,この研究では二次元におけるビーム伝搬の特性を調べた.三次元における電磁波の伝搬式から二次元における伝搬式を予想し,Pythonを用いて送電されたエネルギーが受電側にどれだけ伝搬されるかを計算することによって伝搬効率を計算する.計算結果から自由空間において電磁波は距離の二乗に反比例して伝搬するが,平行平板導波路では距離の一乗に反比例して伝搬することが分かった.
休 憩(14:30 再開) 座長 藤田稔之(東大)
B-20-25 |
飛翔体への無線給電のための受電アンテナ設計
○長谷川直輝・中本悠太・髙木裕貴・太田喜元(ソフトバンク) |
B-20-26 |
エネルギーハーベスティング用準等方性平面アンテナの基礎検討
◎加藤 健・土本 黎・平山 裕(名工大) |
B-20-27 |
容量装荷スパイラル反射板を用いたループアンテナアレイによるOAM多重通信・無線電力伝送の通信特性改善
○和田 渉・石川 亮・斉藤 昭・三宅久之助・菊池晴貴・鈴木 博・本城和彦(電通大) |
B-20-28 |
2周波共用ディファレンシャルレクテナのための5.8GHz帯放射パターン整形に関する検討
◎△齊藤健人・西山英輔・豊田一彦(佐賀大) |
近年、ドローンやHAPSを用いた飛翔体基地局構想が計画されている。飛翔体基地局に対する電力確保が大きな課題であり、マイクロ波電力伝送は連続的な電力供給解決手段として検討されている。マイクロ波電力伝送には電波を直流電力に変換するレクテナが必要であるが、飛翔体の重量制限によりデバイスの軽量化は必須の課題である。本研究では、小型ドローンへの電力給電を目的として、フレキシブル基盤を用いた超軽量受電アンテナの検討を行った。超薄膜フレキシブル基盤を想定した受電アンテナを設計した。計算値において、3.95dBiの正面方向利得を得た。
近年、 IoTの実現のためにセンサデバイスが大量に使われており、電力供給方法としてエネルギーハーベスティングが考えられている。エネルギーハーベスティングに用いられるアンテナは、電波の到来方向に依らず電力を得るために広い指向性が求められる。この問題を解決する手段としてシールデッド構造を用いた準等方性2層構造平面アンテナが提案されている[1]。本稿では、さらなる等方性を得るために、伝送線路を用いた351MHz用1層構造平面アンテナを提案する。
近年,無線通信システムへのさらなる高速・大容量化が求められる一方で,端末への非接触充電など新たな付加価値の需要も高まっている.我々は昨年度に円形ループアンテナアレイを用いたOAM多重通信と無線電力伝送の共用化に関するシステムの構成について報告したが,OAM多重通信の通信特性が低いという問題があった.その課題に対して,ループアンテナアレイシステムで使用するスパイラル反射板に対してキャパシタを設置することで高効率な無線電力伝送を維持しつつ通信特性の改善が図られたので,その結果を報告する.
我々は,2.45/5.8GHz帯2 周波共用ディファレンシャルレクテナを提案した.本稿では,空気層を挟み,2.45GHz帯放射素子の寸法を変えることによる5.8GHz帯放射パターンの整形方法についてシミュレーションにより検討した.2.45GHz 帯素子の幅を変えることで50 度の広角化あるいは0.79dB の高利得化が可能なことを確認した.
シンポジウムセッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
BS-1. 高周波化する無線での活用・検討が進むミリ波・テラヘルツ波アンテナ
(アンテナ・伝播研専)
3月11日 13:00〜16:40 Meeting 23 座長 大島一郎(電気興業)
BS-1-1 |
EBGを用いたパッチアレーアンテナの指向性改善
○三木祐太郎・山岸 傑・桑山一郎(住友電工)・榊原久二男(名工大) |
BS-1-2 |
プリント基板一層構造トランスミットアレーによる並列給電導波管スロットアレーアンテナの励振位相制御
◎櫻井壮一・戸村 崇・広川二郎(東工大)・Shulabh Gupta(Carleton Univ.) |
BS-1-3 |
300GHz帯における円錐型反射防止膜によるレンズ表面における反射低減
◎石原僚汰・榊原久二男・杉本義喜・菊間信良(名工大)・菅沼孝吉(エンプラス) |
BS-1-4 |
3ホーン給電レンズフェーズドマルチビーム合成による広角高利得広帯域300GHz帯アンテナ
◎山野 瑛・榊原久二男・竹嶋大智・石原僚汰・Baker Rohani・鈴木柊夜・杉本義喜・菊間信良(名工大) |
パッチアンテナの誘電体基板の厚さを大きくした場合、パッチ素子から放射される電磁波のうちグラウンド (GND) 表面を伝搬する成分 (表面波モード) がGND端部で放射され、パッチ素子から空間へ放射される主成分に対し不要放射源となって合成されることで放射指向性パターンに凹凸等の乱れが発生する。本稿では、パッチ素子で構成するアレーアンテナの各素子周囲にEBG (Electromagnetic Band Gap:電磁バンドギャップ) のセル構造を配列することにより表面波モードを抑制、指向性乱れを改善し、アレーアンテナの性能を向上させる検討について報告する。
並列給電導波管スロットアレーアンテナは, 構造の複雑性から, 素子ごとの励振位相制御が困難である. アンテナに装荷して, 励振位相を制御できるトランスミットアレーが誘電体共振器ベースで試作・評価されている. しかし, ドリルやレーザー加工を要するため, 製作誤差と生産性が課題である. プリント基板(PCB: Printed circuit board)加工技術によるトランスミットアレーが提案されているが, 狭帯域かつ多層構造を要する. 本報告では, トランスミットアレーを一層のPCBで実現し, その動作原理・設計方法について報告する.
ミリ波,テラヘルツ帯における無線通信やセンシング技術への応用に向けて,高利得アンテナを開発している.アレーアンテナで高利得を実現しようとすると,周波数が高くなるに従って伝送線路における給電損失が増加するため,効率が低下してしまう.誘電体レンズアンテナは,波長依存性がないため広帯域であり,空間で電力を給電するため高周波でも低損失である.一方で,誘電体レンズ表面での反射により効率が低下してしまう.本研究では,270GHz で誘電体表面における反射防止膜を設計し,広帯域に渡り,優れた反射低減効果があることを示した.また,反射防止膜を誘電体レンズに装荷することで,広帯域に渡り,誘電体レンズアンテナの利得とアンテナ効率が上昇することを示した.
テラヘルツ波技術は,周波数資源の拡大と高速大容量通信への応用に期待されている.高周波帯で高利得でも低損失なアンテナとしてレンズアンテナが研究開発されている.広い角度範囲を高利得でカバーするためには,指向性走査技術が必要となる.レンズアンテナにおけるビーム走査の方法としては,複数の一次放射器をレンズの焦点付近に配列し,給電する一次放射器を切り替える方式がある.ところが,その方法では,隣接ビーム同士が重なる部分の利得(クロスオーバレベル)が低下してしまい,走査角度範囲内で利得変動が生じてしまうという問題がある.
そこで本研究では,複数の一次放射器を切り替えるのではなく各一次放射器に移相器を接続して同時給電し,給電位相を制御することで,設定方向でビームを同相で合成する方法を提案する.アンテナを設計し,その特性の電磁界解析結果を示す.
休 憩(15:00 再開) 座長 山ヶ城尚志(富士通アドバンストテクノロジ)
BS-1-5 |
高周波集積回路における差動線路導波管接続回路の設計
○榊原久二男・鞠山匠汰・利田直也・ディアウオ ヘンリー アブ・山崎 誠・バカル ロハニ・グレイ ディレック・杉本義喜・菊間信良(名工大) |
BS-1-6 |
300GHz帯反射鏡オムニアンテナの検討
○佐藤啓介・佐々木隆吉(電気興業) |
BS-1-7 |
回転反射鏡を用いたミリ波・テラヘルツ波移動通信アンテナ・伝搬評価システム
○山口 良・宮下真行・豊見本和馬(ソフトバンク) |
BS-1-8 |
テラヘルツ帯アンテナのパターン測定
○稲垣惠三・沢田浩和・藤井勝巳・小川博世・菅野敦史・児島史秀・齋藤伸吾・関根徳彦・笠松章史・寳迫 巌(NICT) |
移動通信の分野では,要素技術開発は,第5世代移動通信(5G)から,Beyond 5Gや6Gへと移りつつあり,テラヘルツ帯が注目されている.このような高い周波数では,平面線路の伝送損失が大きいため,配線の長い引き回しは望ましくない.そのため,ICから直接,導波管へ変換し,導波管によって配線することにより,損失を低減できる[1].
そこで本研究では,300GHz帯において,シリコンのRF-IC(Radio-Frequency Integrated Circuit:高周波集積回路)チップ内に構成された差動線路と,この周波数帯の標準導波管であるWR-3導波管との接続回路の構成方法を検討し,設計した.その特性の電磁界解析結果を報告する.
次世代移動通信6Gでは,300GHzまでの超高周波数の利用が検討されている.300GHz帯においては,指向性アンテナの設計例は数多くあるものの,垂直偏波無指向性を得るオムニアンテナの例はない.本稿では,300GHz帯で用いる,反射鏡オムニアンテナについて,数値解析による検討を行った.
本オムニアンテナで用いる,TE10-TM01モード変換器は,キャビティ構造により,単体で良好なSパラメータを得た.本オムニアンテナで用いる,1次放射器では,マルチフレアホーンを適用した.マルチフレア構造により,ホーン開口での電界強度分布の位相面を揃えた.これらの調整を行った,モード変換器,1次放射器により,反射鏡アンテナを構成し,ビーム幅20°の垂直面内指向性,ならびに偏差1.5dB以下,交差偏波識別度20dB以上の水平面内指向性を得た.
移動通信においてミリ波・テラヘルツ波適用検討が始まっているが,高利得ビームを効率よく走査することは容易ではない.本稿では,簡易構造でアンテナ・伝搬特性を評価するために開発した回転反射鏡を用いたミリ波・テラヘルツ波アナログビームフォーミング走査アンテナの概要を述べる.
300 GHz帯においてオフセットパラボラ・カセグレン・コルゲートホーン・標準ゲインホーンの4種類,100 GHz帯においてカセグレン・標準ゲインホーンの2種類のアンテナについて,垂直・水平両偏波の±180°全周パターンを測定した.
6Gでは100 GHz以上のテラヘルツ帯の利用が検討されているが,すでに周波数が分配・特定されている他業務を有害な干渉から保護する必要がある.その計算で使われるITU-R勧告の一つに固定業務用アンテナの参照パターンを定めたF.699-8があるが,現在の適用上限周波数は86GHzと限られている.そこでF.699の適用周波数上限を330GHzまで拡張することを目的として,様々なアンテナのパターンを測定した結果を報告する.
BS-2. Beyond 5Gおよび6Gに向けたアンテナ伝搬技術
(アンテナ・伝播研専)
3月10日 9:00〜11:45 Meeting 23 座長 齋藤健太郎(東工大)
BS-2-1 |
5G向けSHF帯用クラスタモデルの提案
◎谷口諒太郎・西森健太郎(新潟大) |
BS-2-2 |
周辺建物高よりも低い場所に設置された基地局-UAV間の伝搬特性
○山田 渉・久野伸晃・猪又 稔・佐々木元晴(NTT)・西森健太郎(新潟大) |
BS-2-3 |
HAPS対応電波伝搬モデルの国際標準化状況(その2)
○表 英毅・田中翔馬・木村 翔・林 合祐・佐藤彰弘(ソフトバンク) |
近年の急激な無線通信量の増加に伴い,第5世代移動体通信システム(5G)のサービスが開始された.5Gで用いられる高SHF帯は,これまでの移動体通信で用いられてきた低SHF帯以下の周波数帯と比べるとその特性が異なることがこれまでの検討で明らかになっている.5Gのシステムを評価できるモデルとして3GPPモデルがある.しかし3GPPモデルは非常に複雑であるという問題がある.パラメータも多く,その実装が困難であり,簡易に5Gを評価することのできる新たな伝搬モデルは不可欠である.新たな伝搬モデルを提案するにあたり,着目したものが電波のパスのかたまり(クラスタ)の数である.高SHF帯のように比較的高い周波数になるとクラスタ数が減少することがシミュレーションにより明らかになった.
本報告では,中心周波数19.55.GHzのチャネルサウンダを用いて実際に行われた検討をもとに,クラスタ数やクラスタの角度広がり,クラスタ間の電力差などのパラメータを導出し,いくつかのクラスタからなる新たな伝搬モデルの提案し簡易的に5Gシステムに適用した場合の評価を行う.
周辺建物よりも低い場所に設置された基地局とUAV間の伝搬損失推定法確立に向けた初期検討として,地上から上空150mまで連続した伝搬損失測定を行ったのでその結果について報告する.
超広域のカバーエリア、災害に強いネットワークなどを実現可能な成層圏プラットフォーム(HAPS)への期待が高まっている。HAPSは地上への見通しが良好で超広域のカバーエリアを実現できる一方、最大100kmでLTEの端末とも直接通信することが可能である。このため、災害時等においても誰もが特別な端末を持つことなく、通常の端末を用いて通信を確保できることから、究極の災害時の通信インフラとしても期待される。現在、ITU-Rでは、HAPS対応電波伝搬モデルの検討を目的としたCGが設立され、検討が進められている。本稿では、HAPS対応電波伝搬モデルの国際標準化の検討状況について報告する。
休 憩(10:30 再開) 座長 今井哲朗(東京電機大)
BS-2-4 |
第6世代移動通信システムに向けた100GHz帯までの粗面散乱特性
○猪又 稔・山田 渉・久野伸晃・佐々木元晴(NTT)・北尾光司郎・中村光貴・小田恭弘(NTTドコモ) |
BS-2-5 |
B5G/6Gに向けた機械学習を用いた電波伝搬推定技術
○林 高弘・伊藤智史・長尾竜也(KDDI総合研究所) |
BS-2-6 |
LSTMを用いた準ミリ波帯の電波伝搬損失変動予測
○佐々木元晴・久野伸晃・中平俊朗・猪又 稔・山田 渉・守山貴庸(NTT) |
現在,第6世代(6G)移動通信システムの実現に向けた検討が世界各国の各機関において精力的に進められており, 5Gを超える超高速大容量通信の実現に向け,100GHz帯以上のテラヘルツ波帯の移動通信システムへの適用の検討が開始されている.しかし,移動通信環境におけるチャネルモデルの検討では,100 GHzまでのチャネルモデルがITU-Rにおいて規格化されたが,チャネルモデルの基となる測定評価は90GHz帯未満の検討が主となっており,90 GHz以上を含めた測定評価が必要である.本稿では,6Gにおけるテラヘルツ波帯利用に向けて,システム性能評価に必要な伝搬チャネルモデルに考慮すべき伝搬要素として粗面散乱特性の100GHz帯までの実測結果について報告する.
Society5.0時代には,サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたサイバーフィジカルシステムにより,物理空間の変化を仮想空間上でエミュレーションすることで,様々なネットワークの最適化,新たなシステム,デバイスの開発が必要となる.サイバー空間における通信のエミュレーションを高精度に実現するためには,様々な環境と周波数における電波伝搬特性の解明とモデル化技術が必要となる.場所固有の環境情報を保持したまま適切な範囲を入力データとして,機械学習を活用することが出来れば,サイトスペシフィックで高精度なモデルの実現が期待できる.本稿では,地図等の空間情報を特徴量とした機械学習による電波伝搬推定技術について述べる.
第6世代移動通信システムではTHz帯などの高周波数帯の利用が想定されるとともに,多様なシステム要件が想定されており,スマートフォンやタブレットPCに加え,配送用ドローンや機器の遠隔操作,遠隔医療のための高精細映像など,これまで以上に多様な利用形態が想定される.このような状況において,New network topologyと呼ばれる様々な無線セルが重畳された複雑なセル構成が提唱され,端末が多数のセルを切替,または協調制御が重要になると考えられる.そこで本稿では,そのような状況で必要と考えられる,事前に各セル基地局の通信品質を秒以上のオーダで予測する手法として,深層学習であるLong Short-Term Memory(LSTM)を用いた電波伝搬損失変動の予測手法について報告する.
3月10日 13:00〜14:15 Meeting 23 座長 井上祐樹(NTTドコモ)
BS-2-7 |
B5G/6Gに向けたMIMOの簡易評価法
○西森健太郎(新潟大) |
BS-2-8 |
多重らせん配列構造を有する超100Gbps大規模MIMOアンテナ
○本田和博・小川晃一(富山大) |
BS-2-9 |
6Gに向けた光無線通信
○新井宏之(横浜国大) |
本報告では,5Gシステムで採用されているMulti-user massive MIMO伝送において,ユーザごとのデータストリーム数が2程度に限定されていることに着目した簡易評価法を提案する.提案法は,データストリームが2個である場合,第1固有値がSNRに対応し,第2固有値がMIMOにおける空間分割多重の効果に対応することを利用する.提案法により,受信電力の測定とその分布を求めることでMIMOの性能を評価できることを示す.
文献[1]の256 × 256 MIMOでは,内側アレーの放射が外側アレーによって遮蔽されることおよび上下アレー位置の重なりによる素子間相関の増加の2つが伝送容量減少の要因である.本論文では,サブアレーの3次元ヘリカル配列によってシャドウイングの回避と相関の低減を同時に達成できる新しいコンセプトの多重らせん配列構造を有する大規模MIMOアンテナについて述べる.指向性走査機能により全方位にわたる100 Gbpsを超える伝送容量の実現に成功した.
5Gシステムの導入が本格的に開始されているが,次世代の6G に向けた検討も始まっている.データ伝送速度をTbps以上に引き上げるためには,より高い周波数の開拓が必要とされており,100GHz以上のミリ波帯,0.1~10THzのテラヘルツ帯,また,可視光から遠赤外の光波帯が候補と考えられている.本稿では,6Gシステムに向けて室内での利用を目的とした光無線におけるセル設計法について検討を行う.回線設計から得られた高利得アンテナを用いて所望のエリアをカバーするために,楕円ビームを形成し,それを走査するマルチビームスキャニング方式を用いることで均一なカバーエリアが提供できることを示す.また,このシステムを実現するためのアンテナの構成も明らかにする.
BS-3. Society 5.0を支える電力変換技術
(電子通信エネルギー技術研専)
3月12日 13:00〜15:20 Meeting 31 座長 久永光司(ピース電気)
BS-3-1 |
DCマイクログリッドを支える安定性解析
○土井昌志・財津俊行(オムロン) |
BS-3-2 |
大病院でのPVと非常用発電機によるDR検討モデル
○松井信正(長崎総合科学大)・水野裕志(阪電通大)・田中義人・黒川不二雄(長崎総合科学大) |
BS-3-3 |
次世代パワーエレクトロニクスの基盤技術創生に向けた磁気部品のモデリング,設計,シミュレーション技術
○今岡 淳・重松浩一・向山大索・山本真義(名大) |
従来,日本における送配電網は大規模な発電所から送電網を介して各需要家に供給する集中給電が主流であったが,近年,自然災害に対するリスク分散や,再生可能エネルギーの利活用,送電ロスの低減のため,DCマイクログリッドによる分散給電が注目されている。本稿では,DCマイクログリッドの最小構成要素であるDC/DCコンバータの安定性解析から,分散電源システム・DCマイクログリッドへの安定性解析の拡張について解説する。最後に,今後DCマイクログリッドの実現に向けて求められる解析手法の方向性について考察する。
令和2年度版災害白書では,病院や官公庁舎など継続的な電力供給が必要な重要施 設における非常用電源の確保が不十分であるという長期停電の課題を挙げている.課題解決のために,医療・福祉・上下水道施設・官公庁舎・避難所等の社会的重要施設への非常用電源の整備 促進に向けた予算の確保,および地域における災害時のレジリエンス向上のための分散型電源設置を促進する制度整備のため,法改正を含めた議論が加速している.本研究では,これまでの研究の成果を平穏時に適用し,院内電力系統のEGをPVと組み合わせて平常時に運用することで病院をVPPとし,EGを活用してDRに対応するためのシステムモデルを提案する.
本稿では, パワーエレクトロニクス部品の中でも基本的な部品の一つである磁気デバイスのモデリングと回路仕様を満たす磁気設計例を挙げ, さらに回路上での振る舞いを予見・性能評価できるシミュレーション技術について, いくつか事例を掲げ概説する.
休 憩(14:30 再開)
BS-3-4 |
インフラ予防保全や第一次産業高度化支援に用いる屋外IoT機器の独立型電源に関する考察
○石塚洋一・高江洲竜馬・杉本知史・岩崎昌平・藤本孝文・藤島友之(長崎大)・重井徳貴(鹿児島大) |
BS-3-5 |
Society 5.0 を支える非接触給電システムの高効率化技術
◎太田涼介・星 伸一(東京理科大) |
電子情報通信技術を統合したInternet Of Things (IoT)やArtificial Intelligence (AI)技術の利活用が,関連デバイスの普及や入手のしやすさが後押し,各所で盛んにおこなわれ始めている。特に,老朽化するインフラの遠隔長期モニタリングや多発する豪雨土砂災害への活用が期待されている。IoT / AI技術の活用は,従来にないモニタリングも可能となり,データドリブンに基づくデータ解析等も可能となる。一方,農業分野等においては人手不足を補うためにIoT / AI技術を活用した農業の高度化がすすめられている。
本発表では,我々が分野横断的に取り組んでいるインフラ予防保全や第一次産業高度化支援用屋外IoTの取り組みについて紹介を行い,特に屋外IoT機器への電力供給を行う独立型電源に関する考察を行う。
内閣府が提唱するSociety5.0では,日常生活の中で自動運転車・ドローン・AIなどが活躍し,電気エネルギーへの依存度の高まりが予想される.このような人の手から離れて活動する機器の充電は,プラグ脱着を必要としない非接触給電が適している.加えて,急速充電により充電時間を短縮することが望ましい.しかし,急速充電による電力損失は大きく,より巨大な冷却機構を車体(筐体)に搭載する必要がある.当然のことながら,車体に搭載できる冷却機構の大きさには限りがあるため,大電力化を行う場合,高効率な電力変換回路が求められる.そこで,本稿では,電磁誘導型非接触給電における高効率化手法について概説する.
BS-4. ニューノーマルに向けたセンサネットワークとモバイルインテリジェンス
(センサネットワークとモバイルインテリジェンス研専)
3月10日 9:30〜11:20 Meeting 37 座長 山本高至(京大)
BS-4-1 |
(依頼講演)自己産出型エッジクラウド技術によるスマート社会の実現
○大和田泰伯・久利敏明・天間克宏・滝沢賢一(NICT)・北形 元(東北大) |
BS-4-2 |
Comparative Study of Activity Detection System Using Wide Angle Low-Resolution Infrared Array Sensor at Different Positions
○Muthukumar K A・Mondher Bouazizi・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.) |
少子高齢化が進む日本において,労働人口の減少,社会インフラの老朽化への対応等,喫緊に解決すべき社会的な課題に直面している.これらの課題解決として,我々は,社会インフラや移動体,環境等に埋め込まれたセンサ群や,自律性を持ったロボット等のセンサ及びアクチュエータ群が連携・協調し,これまで人の手によって行っていた作業等を自動化することで効率化を図り,生産性を向上させ,限られた資源を有効に活用し,安全・安心な社会を実現することを目指した研究開発を行っている.このような社会の実現においてロボット制御が必要な場合,非常に短い応答時間を求められるケースが多い.例えば,力覚フィードバックを用いた遠隔制御においては,サブミリ秒以下が必要とされる.インターネットを経由して遠方に実態があるクラウドを用いたサーバ・クライアント型アーキテクチャではこの要求条件を満たすことは困難であるため,分散型のエッジコンピューティングの研究が進められている.本稿では,これらを実現するための技術として,自己産出型エッジクラウド技術と称するアーキテクチャについて紹介する.
We classify the activities using the data collected by the infrared array sensor (placed either on the ceiling or on the wall) using a hybrid deep learning model. In this approach, features are automatically learned by the neural network. Based on our experimental results, the performance comparison of classification of the data collected by the sensor when placed on the ceiling or on the wall reveals that each position has its advantages. However, in both cases, the model trained on the data collected from the sensor when placed on the ceiling and on the wall performs well and reaches an accuracy of classification equal to 0.97 and 0.96, respectively.
休 憩(10:30 再開) 座長 石原 進(静岡大)
BS-4-3 |
(依頼講演)リモート作業を効率化するテレプレゼンス遠隔作業支援システム
○山崎航史・大野千代・松田孝弘・池田直仁・山本敬亮(日立) |
BS-4-4 |
機器点検作業支援のための作業推定手法の検討
◎西川敬士・谷口貴耶・多田寛明・福井孝太郎・阪田恒次(三菱電機) |
世界に先駆けて人口減少・少子高齢化が急激に進行している日本では,労働力人口の減少,熟練者不足といった課題があり,生産性向上と共に非労働力人口の積極活用,熟練者の効率的な活用が求められている.これに加え,COVID-19の影響を受け,現場作業における3密回避やリモートからの業務遂行のニーズが高騰している.日立はこれらの社会課題の解決と新たな価値提供に向け,現場と遠隔をつなぐリモートソリューションとして,遠隔作業支援システムを開発している.本報告では日立が考える“テレプレゼンス遠隔作業支援システム”のコンセプトと,日立の現場での実証に向けて開発したプロトタイプの紹介をする.
一般に、作業の教育では、作業の熟練者の監督下で、作業手順や安全について学習者が体験を通して学ぶ。このため、教育方式はOJTであることが多い。ところが、作業のOJT教育では、数少ない熟練者が多数の学習者を監督・指導するため、熟練者の作業時間が削減されてしまうという課題がある。この課題の解決には、OJT方式を代替可能な作業教育システムが必要である。一般に、作業教育システムには、①学習者の作業を自動的に推定する機能、②①で推定された作業に関連し、作業遂行に有益な情報を提示する機能が求められる。本稿では、①を機器点検作業における人物の行動を推定する問題ととらえ、①を実現するための手法を検討・評価する。
BS-5. 感染症対策としてのICT活用
(ヘルスケア・医療情報通信技術研専)
3月11日 13:00〜15:05 Meeting 19 座長 花田英輔(佐賀大)
BS-5-1 |
感染症に関するICT活用と問題点
○花田英輔(佐賀大) |
BS-5-2 |
(依頼講演)新型コロナウイルス感染症における救急医療最前線~救命救急医からみたICTニーズ~
○丸橋孝昭(北里大学病院)・朔 啓太(国立循環器病研セ) |
BS-5-3 |
(依頼講演)院内IoT環境を用いた手指衛生管理と感染対策の試み
○山下芳範(福井大) |
BS-5-4 |
(依頼講演)COVID-19とmDX (medical Digital Transformation)
◎近藤博史(日本遠隔医療学会) |
BS-5-5 |
ニューノーマルに向けたICT基盤整備
○松居和広(シスコシステムズ) |
今般の感染症の拡大は,生活上の大きな制約をもたらすと共に,医療機関にとっては過重な負担を課している.医療機関でのICTの活用は既に進みつつあることから,感染症対策としてもICTの利活用が期待されている.既に感染対策としての既存技術の応用的な活用は数多くみられる.また感染症対策に独自の活用方法もある.そこでここでは,感染症対策に関連してICT活用が可能と考えられる内容を多角的視点から挙げ,注意点について述べる.
新型コロナウイルス(COVID-19)感染症では約20%が重症化し、5%程度の症例では集中治療管理が必要となる。ECMO(extracorporeal membrane oxygenation)は、血液を遠心ポンプで体外にくみ出し、人工肺を通過させて酸素化した血液を再び体内に戻すことで強力に呼吸を補助することができる医療機器であり、重症COVID-19肺炎治療における最後の砦である。一方で、ECMO管理には高度な専門的知識や熟練した専門スタッフが必要であり、現状ではECMO管理が可能な施設は限られている。現在、本邦には約1400台のECMOがあるが、それらを十分に活用できる体制はとれておらず、重症COVID-19診療におけるECMO使用の増加は医療崩壊を誘発し得る。さらなる増加が予想されるCOVID-19感染症を鑑みても、医療崩壊を防ぎながら、より多くの患者救命を達成するECMO医療の運用においてICTの利活用は喫緊かつ重要な課題である。本セッションでは、最前線の救急現場におけるCOVID-19診療の実際を紹介するとともに、ECMOを中心とした重症患者管理の上で求められるICT技術とその展望について解説する。
新型コロナ感染症の拡大により、接触機会の低減と感染対策の徹底が求められ、手指衛生の徹底が非常に注目されている。
これまでからも、感染症対策については医療現場では薬剤耐性菌の対応に代表されるように重要な位置づけになっており、手指衛生管理については、WHOがガイドラインを作成しており、5つのタイミングに手指衛生の遵守が求められている。
病院内でのICT環境とIoTを活用することで、医療者の位置情報を取得するとともに、手指衛生をセンサーで管理することで、感染管理への応用としてのシステムを構築してきた。
手指衛生の状況を医療者にフィードバックすることで、手指衛生の意識向上とともに、手指衛生の遵守率向上も行うことが可能となった。
また、院内のICT環境に加えて、内線のVoIP化とスマートフォン活用によるリモート監視・観察による接触時間の低減を行うために、コロナ病棟での運用を行った。
COVID-19では日本独自の「保健所システム」が病院の医療崩壊を防いだ。しかし、Faxの利用は日本のmDXの遅れを示し、医療との連携の問題を明らかにした。オンライン診療が初診からの適応になり広がりを見せ、コロナ後の対応が議論されているが、①リアルビデオに対するAIの利用、②患者・支援者が操作する医療機器に利用、③モバイルヘルス(m-Health)により対面以上の効果も期待出来る。重症患者の対応でもEHRの遅れからリアルビデオの利用が限定許可され、海外で進むTele-ICUが近くなった。mDXの中心であるm-Healthはcontinuous monitoring and timely interventionが生活習慣病以外にも有効であることを示し、北欧のようにDB化されたEHRが迅速なエビデンス提供の源になると考えられる。
COVID-19の感染拡大とともに、感染症対策の社会的ニーズが急速に高まる中、とりわけ医療機関では感染症の影響が甚大であるため、医療従事者や職員、患者に安全、安心な環境を提供することが緊急かつ重要な課題になっている.政府の施策としても、ICTを用いた遠隔診療や働き方改革による時間外削減が求められている.この対応にむけて、デジタル化に対応した安定かつ安全なICT基盤の整備が重要とされており、「5GやWi-Fi6を利用した無線環境の整備・強化」、「スマートデバイス等を利用したオンライン会議の活用」、「ゼロトラストに対応したテレワークの導入」という3つの観点から現状動向や技術的観点の紹介し、ニューノーマルに対応したICT基盤を提言する.
BS-6. 広がる水中無線技術:ユーザと語ろう
(水中無線技術特別研専)
3月10日 13:00〜16:50 Meeting 19 座長 滝沢賢一(NICT)
BS-6-1 |
海水の複素誘電率測定における大型テストフィクスチャの提案
◎都澤優希・居村岳広(東京理科大) |
BS-6-2 |
光の伝搬角度に基づく水の屈折率分布の推定
○高山佳久・山下泰輝(東海大)・高橋成五(Trimatiz) |
BS-6-3 |
可視光無線通信の伝搬ビーム径と水の揺らぎの影響
○高橋成五・鈴木謙一・山田 直・奥澤宏輝・野田健太(トリマティス) |
近年、海底マッピングや海底資源探索を目的として水中ロボットの開発が進められており、それに伴い水中ワイヤレス電力伝送も注目を浴びている。電界結合方式における水中ワイヤレス電力伝送の効率向上には最適なQ値を得られる周波数を用いる必要がある。海水を含んだコンデンサのQ値の周波数特性には複素誘電率が関係しており、今回は電力伝送実験に用いるカプラサイズの原寸大の電極を用いたテストフィクスチャを作成し、複素誘電率の周波数特性の測定を行い、65kHzでコンデンサのQ値のピークを得られることが分かった。
光の伝搬角度の変動を計測して水の屈折率分布を推定する方法について,その有効性を確認する.比較対象として,Schlieren法に着目し,それぞれの計測に基づいた屈折率分布の推定を行う.両者の結果から,光の伝搬角度の変動に基づく推定方法の有効性を示す.
水道水で満たした約10 mのパイプ水槽に青緑のLD光を伝搬させ、ビーム径と揺らぎの関係を測定をした。
ビーム径の細/太による揺らぎの影響の受けやすさを統計的に解析した結果、フェード確率は強度分布と良い相関があり、太ビームにおいて、フェード確率で見たパワー変動の縮小が見られた。水中光無線通信の高スループット化に向けては、ビームを太くすることで、水/海水の揺らぎによる劣化と、ROVの揺動によるビーム指向ズレの両者を緩和できることが期待できる。
休 憩(14:30 再開) 座長 石井 望(新潟大)
BS-6-4 |
画像情報を利用した水中検査・計測システムの開発
○坂上憲光(東海大)・川村貞夫(立命館大)・武村史朗(沖縄高専) |
BS-6-5 |
海洋の完全無人探査に向けた自律型海中ロボット群の協調ナビゲーション
○松田匠未(東大/明大)・濱松祐矢・藤田健一・坂巻 隆・巻 俊宏(東大) |
BS-6-6 |
水中ドローンの今と展望
○小林康宏(日本水中ドローン協会) |
水中検査や水中作業において画像情報は重要な役割を果たす.本稿では,筆者が開発してきた三種類の水中ロボットシステムについて述べる.一つは,ダム堤体の目視検査を目的に開発した水中ロボットであり,もう一つは画像情報に基づく水中測位システムである.最後に,ワイヤ駆動方式を用いた水中計測システムについても述べる.ダムの堤体検査のために開発した水中ロボットは負圧効果板と呼ばれる吸着力発生機構を持ち,ロボットの位置姿勢を堤体面上で安定させながら移動し,鮮明な堤体画像を取得することができる.次に述べる画像情報に基づく水中測位システムは,水上に浮かべたカメラからの画像を利用して水中対象物の位置計測を実現するシステムである.ワイヤ駆動方式を採用した水中計測システムは,軽量・細径であるワイヤの特徴を生かし,システム全体の軽量化や流体抵抗の軽減を図っている.
本発表では高性能な自律型海中ロボット(AUV: Autonomous Underwater Vehicle)を中心としたAUV群による探査手法と最新の試験結果について報告する.海洋探査は人や船の支援を受けて実施されるが,高い運用コストがかかるだけでなく,調査機会も限られるため,頻繁に実施することができない.また海中では急速な電波減衰によってGPS信号も取得できず,情報ネットワークを構築することも難しい.このような背景から陸域と比較して海中環境の可視化はほとんど進んでいないのが現状である.本研究では1台の高性能な測位機能を有したAUV(親機)が測位のランドマークや調査の司令塔となり,AUV群(子機群)を展開することで,人や船などの支援を受けることなく,AUVのみで完結した探査を実現する.
当協会は、今後産業の発展が期待される水中・海中ビジネスにおいて「水中ドローン」のエキスパートを育成し、水中事業の環境整備などを進め産業の発展に貢献することなどを目的に、2019年に設立した団体です。
休 憩(16:00 再開) 座長 石井 望(新潟大)
BS-6-7 |
(依頼講演50分)水中無線技術と水域産業の関わり
○吉田 弘(JAMSTEC) |
水中ロボットを使えるようにするためには,環境変化に即座に対応する機能を有することである.環境変化をとらえるのはセンサであるし,人の指令を与えるのは通信である.センシングで重要なのは位置保持制御のための位置情報である.ビジネスポテンシャルのある浅海域は構造物も多く,従来の音響システムは性能が大きく劣化する.そこで,新な水中音響技術や,ハイブリッド化する技術(光や電磁波技術)が重要となる.限定された範囲で良いので,音響を補間するような光・電磁波製品が廉価に提供できるようになれば,水中ロボットの実用性は格段に向上する
BS-7. AI technologies and their applications for future network systems and services
(ネットワークシステム研専)
3月9日 9:00〜11:20 Meeting 30 座長 横平徳美(岡山大)
BS-7-1 |
Comparative Evaluations of Deep Learning-based Super-Resolutions in Channel Estimation
◎Daiki Maruyama・Kenji Kanai・Jiro Katto(Waseda Univ.) |
BS-7-2 |
An Improvement of Transmission Power Optimization Method Considering Channel Assignment for Concurrently Communicating Three Access-Points in Wireless Local-Area Network
◎Hendy Briantoro・Nobuo Funabiki・Md. Mahbubur Rahman・Kwenga Ismael Munene・Sujan Chandra Roy・Minoru Kuribayashi(Okayama Univ.) |
BS-7-3 |
Performance Evaluation of WPT-motivated MANET Based on Realistic User Cooperation Models
◎Yoshihiro Taniguchi・Taku Yamazaki・Takumi Miyoshi・Thomas Silverston(Shibaura Inst. of Tech.)・Takuya Asaka(Tokyo Metropolitan Univ.) |
Recently, deep learning (DL)-based radio communication systems are widely studied. For instance, a channel estimation method using DL-based super-resolution (SR), such as ChannelNet, has been proposed. In this paper, in order to enhance this research efforts, we apply newer and deeper SR networks to channel estimation. In addition, through 5G physical downlink simulation, we evaluate the performances of several estimation methods. From the evaluations, the results concluded that deeper SR networks are effective to estimate radio communication channel with higher accuracy and potentially reduce BER for radio communication.
The IEEE 802.11n wireless local-area network (WLAN) has been commonly used for the Internet access service, due to its simplicity, flexibility, and expandability. To improve the performance by reducing interferences among wireless links in WLAN, the transmission powers of the access points (APs) should be optimized. Previously, we have proposed the transmission power optimization method for concurrently communicating three APs that selects either the maximum or minimum power to each AP after assigning the most distant channels between the APs. However, this method does not give the best performance when two or three APs are located closely. In this paper, we propose an improvement of this method by assigning the same channel to the nearby APs so that the CSMA/CA protocol well controls the competing links with them. For evaluations, we conduct experiments with four network topologies using Raspberry Pi APs, and confirm the effectiveness of the proposal.
In mobile ad-hoc networks (MANET), multi-hop communication relies on a give-and-take relationship among users. For stimulating users to be more cooperative in MANET, an incentive mechanism that offers electric power in exchange for relaying packets by using wireless power transmission (WPT) technology has been proposed. In this study, we investigate and analyze user's willingness to relay through qualitative evaluations. On the basis of the analysis, we model user's willingness to relay packets depending on the residual battery level and user's characteristics. Finally, we also evaluated the availability of the WPT-motivated MANET.
休 憩(10:30 再開)
BS-7-4 |
Translation Gateway Between IP and NDN Using Dual Channel
○Feri Fahrianto・Noriaki Kamiyama(Fukuoka Univ.) |
BS-7-5 |
Virtual Network Embedding Optimization
○Pedro Martinez-Julia・Ved P. Kafle・Hitoshi Asaeda(NICT) |
IP-to-NDN Translation gateway is the most effective way to migrate from IP to ICN Network. However, the different semantics between those two networks are completely different. We propose a dual-channel translation gateway that manages to translate and a better security feature.
In this paper we discuss how ARCA can optimize VN embedding with a new algorithm based on the Genetic Programming and Dynamic Programming methodologies, together with a new heuristic function that is particularly designed to exploit deductive reasoning techniques. With this algorithm, ARCA is 3 to 6 times faster than previous solutions.
3月9日 13:00〜16:35 Meeting 30 座長 金井謙治(早大)
BS-7-6 |
Data Validation Scheme Considering Edge Computing for Mobile Crowdsensing Application in Smart Transportation
◎Junto Kashino・Masaki Bandai(Sophia Univ.) |
BS-7-7 |
A Room Occupancy Detection Using WiFi Signals for Building Energy Management Systems
◎Tasha A. Fahira・Masaki Bandai(Sophia Univ.) |
BS-7-8 |
Comparison of Cooperative Work between Humans and Robots in Remote Robot Systems with Force Feedback
○Luozhang Li・Yutaka Ishibashi(Nagoya Inst. of Tech.)・Pingguo Huang(Gifu Shotoku Gakuen Univ.)・Yuichiro Tateiwa(Nagoya Inst. of Tech.) |
BS-7-9 |
Q-learning Based Path Planning for Efficient Mobile Video Surveillance
◎Misa Nimura・Kenji Kanai・Jiro Katto(Waseda Univ.) |
BS-7-10 |
Content-Oriented Multi-Camera Trajectory Forecasting Surveillance Network System
○Xin Qi・Toshio Sato・Keping Yu・Zheng Wen・San Hlaing Myint・Yutaka Katsuyama・Kiyohito Tokuda・Takuro Sato(Waseda Univ.) |
In the Mobile Crowdsensing application of road transportation, the users are encouraged to upload the images of reflecting the road traffic. However, people may upload the images with high similarities and uploading all would cause huge network traffic. Some may also upload the images unrelated to traffic scenes. In this paper, we consider the data validation scheme with Deep Learning and network computation. We propose that some similar images are filtered out at edges before sending them to the cloud. We evaluate how the accuracy is affected if all the similar images are uploaded to the cloud for further training.
Building Energy Management (BEM) systems have been implemented to manage the increasing energy demand. Understanding the number of occupants and usage behavior can improve the energy efficiency in buildings. Therefore, occupancy detection has been integrated into BEM systems to improve its performance. In this paper, we propose a WiFi-based room occupancy detection system for BEM applications by expanding an indoor localization method. Through evaluation using the data obtained in a real building, we confirm the effectiveness of the proposed method and consider the future extension of the system.
In this report, we compare cooperative work between humans and robots in two remote robot systems with force feedback by experiment. As the work, we handle hand delivery of an object between two robot arms (called the robot-robot case here) and between a human and one robot arm (the human-robot case) under the robot position control using force information as QoS control and/or the stabilization control with filters. Experiment results illustrated that the human-robot case is superior to the robot-robot case, and both types of control should be carried out together.
In mobile sensing by vehicles, the vehicle should be navigated to hotspots efficiently while it travels to the destination, and it is necessary to maximize the amount of data transfer on the moving path in order to upload videos as fast as possible. However, throughputs of hotspots fluctuate because the number of accommodated users or sensors is dynamically changed. In this paper, we consider throughput fluctuation in the path planning task and search the optimal path by using Q-learning. By carrying out computer simulations, we evaluate the total data amount on the paths, then we can find the better paths.
We introduce a content-oriented multi-camera surveillance network system with the help of trajectory forecasting. There are several parts described in the paper. We use Information-centric Networking (ICN) to realize the basic network structure, because of the efficiency of the content delivery mechanisms. We also implemented multi-camera scenario in the surveillance network to cover multiple areas and track individuals across different areas. Last, we introduce a simple trajectory forecasting method to the system and use it to realize the purpose of saving network and system resources.
休 憩(15:20 再開) 座長 須永 宏(阪工大)
BS-7-11 |
AI/ML Integration in Networks – Standardization Progress
○Ved P. Kafle・Takahiro Hirayama・Masahiro Jibiki・Takaya MIYAZAKI(NICT) |
BS-7-12 |
Real-Time Detection of Fileless Malware By Observing Instructions
◎Tomohito Ito・Akihito Taya・Yoshito Tobe(Aoyama Gakuin Univ.) |
BS-7-13 |
Investigating Dynamic Mining Time of Private Ethereum Blockchain on IoT Devices
◎Xuan Chen・Kien Nguyen・Hiroo Sekiya(Chiba Univ.) |
Artificial intelligence (AI) and machine learning (ML) techniques are essential for the efficient and agile control and management of complex systems, such as 5G and beyond networks, by collecting and timely processing a huge amount of control data. In this presentation, we provide an overview of standardization activities of AI/ML integrated network systems, mainly of the International Telecommunication Union (ITU). We also include in the presentation the related research work on the AI/ML application for computational resource management in virtualized networks that we have been pursuing in our lab.
In recent years, there has been an increase in the detection of file-independent malware. It is believed that the increasing trend of fileless malware will continue because it is difficult to be detected by conventional security software using signature-based prevention and detection methods; the conventional approach necessitates files created by the malware. because it does not depend on files. To solve this problem, we have developed an analyzer that can detect fileless malware in real time using memory analysis. In particular, we analyze the instructions exected by the malware. In this paper, we describe the method of detecting fileless malware in real time, explain its design, and show some preliminary results.
Blockchain technology has been used in many fields, including the Internet of Things. However, IoT devices are considered resource-limited to mine blocks with the PoW algorithm in a reasonable time. We demonstrate the feasibility of mining on Raspberry Pi 4 for private Ethereum blockchain, one of the most popular blockchain platforms. Ethereum has a mechanism to adjust mining tasks' difficulty dynamically. Thus, it can be adapted to mine blocks on IoT devices. Moreover, we also find the mining time follows the exponential distribution. The expected value of mining time is 11.07 seconds.
BS-8. インターネットアーキテクチャ若手ポスターセッション
(インターネットアーキテクチャ研専)
3月12日 10:00〜11:30 Meeting 35 座長 野林大起(九工大)
BS-8-1 |
豪雪地帯における除雪作業を支援する積雪状態広域予測システムの検討
○秋山諒太・山本 寛(立命館大)・北辻佳憲(KDDI総合研究所) |
BS-8-2 |
豪雪地帯における除雪オペレータ習熟支援システムの検討
○杉本健也・山本 寛(立命館大)・北辻佳憲(KDDI総合研究所) |
BS-8-3 |
豪雪地帯における除雪作業を支援する除雪車周辺危険感知システムの検討
◎大町航平・山本 寛(立命館大)・北辻佳憲(KDDI総合研究所) |
BS-8-4 |
災害復旧を支援するSfM/MVSを活用した被災住宅の三次元構造観測システムの検討
◎玉川大暁・山本 寛(立命館大) |
BS-8-5 |
軽量な失効可能グループ署名方式の提案
◎赤間滉星・近藤賢郎・甲斐 賢・佐藤雅明・手塚 悟(慶大) |
BS-8-6 |
機械学習による不審なDoH通信検出システムに関する一検討
○三橋力麻(北大)・金 勇(東工大)・品川高廣(東大)・飯田勝吉・高井昌彰(北大) |
本研究では、豪雪地帯を対象として、複数箇所に設置したLiDARを備えた高精度積雪センサを利用して点群データを取得し、そのデータを解析して積雪深を面的に計測する。加えて、計測結果を元に雪の降り方や雪質まで推定し、各地域における将来の積雪状況だけでなく、センサが設置されていない箇所の積雪状況まで予測できる積雪状況広域予測システムの研究開発を行う。これにより除雪作業者の負担を軽減し、長期的に除雪作業へ従事できる状況を実現する。
近年、道路除雪を行う除雪オペレータの人員不足が全国的に問題となっており、技術力があり経験豊富な熟練の除雪オペレータの高齢化や、除雪オペレータの技術力・経験不足などが大きな要因になっている
若手の除雪オペレータの確保が難しい理由の1つとして、除雪作業時における除雪車の操縦の複雑さが挙げられる。
除雪オペレータは単純に雪を押して進むように操縦するだけではなく、頻繁に前進後退や車両の方向転換などの操作が必要となり、一人前の除雪オペレータになるためには多くの経験と時間が必要となる。
そこで本研究では、若手の除雪オペレータの育成支援を行うために、除雪オペレータの操縦動作を観測し、操作の習熟度を評価できる習熟度支援システムの研究開発を行う。
除雪車による除雪作業は、歩行者や自動車が通行している路上で行われている。また、除雪作業は夜間に行われることが多く、除雪オペレータは、街灯の少ない場所や作業灯が届かない遠方に位置する歩行者の存在に気付きにくい。そのため、除雪作業中に、歩行者や自動車との接触事故が発生する危険性が高く、除雪車が関係する交通事故が毎年発生していることが問題となっている。本研究では、安心・安全な生活を実現する上で除雪作業が必要不可欠である豪雪地帯を対象として、除雪車と接触事故を起こす可能性のある除雪車に近づく歩行者や自動車の存在をLiDARを備えたセンサノードにより検知し、除雪オペレータへリアルタイムに通知できる、除雪車周辺危険感知システムを検討する。
住宅被害を受けた被災者は、国や地方自治体から支援を受けるために「罹災証明」が必要となる。罹災証明は住宅の被害の程度を証明するものであり、交付のために市町村職員による被害の調査が必要となる。しかし、熊本地震(2016年)のように数万件の建物が調査対象となった災害では、罹災証明の交付が遅れ、災害復興が低迷することが懸念されている。そのため、調査員が建物の被害状況を遠隔で把握する仕組みが強く求められている。そこで本研究では、被災地に滞在している協力者が建物の外観を撮影し、SfM/MVSの技術を用いて建物の三次元構造を計測してインターネット経由で共有することで、建物の被害状況を遠隔で把握するシステムを研究開発する。
匿名掲示板などのサービスでは,ユーザが不正を行った場合に,追跡して責任を明らかにできる必要がある.しかし安易に追跡をできることは,プライバシの懸念をもたらす.本稿では,これらの問題を大規模サービスやモバイル環境上で解決するために,新しいグループ署名方式を提案する.提案方式は,匿名認証プロトコルの先行研究をもとに実現する.提案方式ではペアリングを用いず,ローカルで失効確認をするための計算をしないため,より多くの大規模サービスの負荷を下げ,プアなデバイス環境で利用可能な署名・署名検証・失効検証コストを実現する.
近年、ユーザのプライバシーを守ることや、中間者攻撃(キャッシュポイズニング)を防ぐことなどを目的として、DNSの通信を暗号化する機運が高まっている。既にブラウザなどではDNS over HTTPS(DoH)が実装されている。しかしながら、DoHの仕組みを悪用した新しいマルウェア (Godlua)が登場している。このマルウェアは、DoHを使ってドメイン名を隠蔽しながらIPアドレスを取得する。この場合、ネットワーク管理者はマルウェアによる不審な通信を検知できない問題が生じることになる。本研究では、不審なDoH通信をネットワーク上で検知し、マルウェア感染の早期発見を実現することを目指す。
BS-9. ネットワーク技術特別ポスターセッション
(ネットワークシステム研専、情報ネットワーク研専 共催)
3月12日 13:00〜16:30 Meeting 33 座長 荻野長生(KDDI総合研究所)
BS-9-1 |
P4を用いたMQTT-SNアクセラレーションの実装
◎大澤昂生(工学院大)・日比智也(NTT)・坂野遼平(工学院大) |
BS-9-2 |
実機によるパケットロス値を反映したBluetooth MANETシミュレータによる木構造を持つスキャタネット構成法について
◎杉山海斗・森重玲生・石崎遥己・河野英太郎・角田良明(広島市立大) |
BS-9-3 |
接続ユーザ数を考慮した無線LANアクセスポイントチャネル割当手法
○大藤孝太・木下和彦(徳島大)・岸田昌巳(フルノシステムズ) |
BS-9-4 |
5G/Wi-Fi共存環境における上下通信を考慮した接続先選択
○近藤拓郎・木下和彦(徳島大) |
BS-9-5 |
インフルエンサー選定方法に関する一考察
○岡本雄基・岩下 基(千葉工大) |
BS-9-6 |
機械学習による試験項目自動抽出手法における教師データ選択による抽出制度向上の試み
○山田剛史(NTT)・塚田 光・岡田涼也・松下 廉・上田清志(日大) |
BS-9-7 |
判決文中の匿名語の自動検出手法の検討
○金澤政和・外山 史(宇都宮大)・伊藤 篤(中大) |
BS-9-8 |
走行ルート上の共通の通過点に着目した動的な隊列走行の形成方法
◎山七拓也・井上伸二・角田良明(広島市立大) |
IoT(Internet of Things)デバイスが世界的に急速に普及している.2021年までに稼働するIoTデバイスの数は400億台を超えると見込まれている.IoTデバイスの通信プロトコルにMQTT(MQ Telemetry Transport)が存在する.MQTTはPublish/Subscribe型の通信プロトコルである.この方式ではセンサデータ等のデータを提供するPublisherがBrokerと呼ばれるサーバにデータをPublishし,Brokerは対象データをSubscribeしているSubscriberにデータの転送を行う.よって,IoTシステムの規模が大きくなればなるほどBrokerへの負荷集中が懸念される.本研究では、MQTTの派生プロトコルであるMQTT-SNを対象とし、Brokerの一部機能をBroker直前のネットワーク内にて行うことで,Brokerの使用リソースの削減と周辺ネットワークでのトラフィックの削減を行うことを目的とする.
現在,Bluetoothを用いて構築するモバイルアドホックネットワーク(以降,Bluetooth MANET)について研究が行われている.
現在までに,Bluetooth MANETシミュレータの開発や,端末密集環境におけるコネクション確立制御手法(以降,検証手法)が提案されている.
しかし,検証手法では端末10台を用いた実験でしか評価が行われておらず,より多くの端末が密集する環境での評価は行われていない.
また,現行のBluetooth MANETシミュレータでは,実環境と比較しパケットロス率が大幅に低い.
本稿では,シミュレータにおけるパケットロス率を実環境のものとして検証手法を実装し,より大規模なネットワークにおける性能評価を行う.
近年, 無線 LAN アクセスポイント (AP) の増加によって発生するチャネル干渉によるスループット低下が問題となっている.そのため本研究では, 接続ユーザ数を考慮した最適化問題を解くことでチャネル干渉を回避しつつ,全ユーザのスループットが公平に向上するチャネル割当手法を提案する.
近年,スマートフォンの普及に伴ってモバイルネットワークで大容量コンテンツを利用者する需要が増え,より広いエリアで利用できるセルラとより高速に通信可能なWi-Fiを適切に選択することが求められている.一般にセルラと無線LANの利用状況をエンドユーザが知ることは難しいため,基地局とAPの位置情報を用いたネットワーク選択手法によってスループットを向上させる手法が提案されている.しかし,この研究では下り通信 (DL) しか考慮されていない.実際には,セ ルラでは上り通信 (UL) と DL で帯域が分けられており, Wi-Fi では CSMA/CA のため下りのスループットが上りより低くなるなどの差異があり,上下通信を分けて考える必要がある.
そこで本研究では,5G/Wi-Fi および UL/DL の全ユーザ間の公平性を保ちつつ,平均スループットを向上させる接続先選択手法を提案する.
今後も普及すると予想されるインフルエンサーマーケティングにおいて、企業とインフルエンサー双方の動向から問題点を抽出する。それら問題点を解決するため、本研究ではインフルエンサーと広告主が直接契約を交わし、商品に関連付けたコンテンツを制作するタイアップ広告に着目し、企業とインフルエンサーの双方に効果的なマッチング手法を提案する。その際に、インフルエンサーの申告情報をもとに企業は適切なインフルエンサーを選定するわけであるが、それらの情報には信用できる確定情報と、主観的に申告された不確定情報がある。これら2種類の情報を利用したインフルエンサー選定方法を検討していく。
我々はソフトウェア開発の自動化・効率化による開発期間短縮を図る取り組みの一環として検討稼働がかかりスキル依存が大きい試験項目抽出における自動化に取り組んでいる.
現状想定している機械学習を用いた試験項目抽出システムでは抽出制度が低いという問題があり,改善する方法を検討したのでポスターセッションで提案する.
近年、裁判のIT化にむけた検討が進められている。司法システムにITを採用したものをサイバーコートと呼び、誰でもが容易に裁判に参加できることを目的としている。しかし、日本の裁判制度はプライバシー保護の観点から判決文には特定の個人名や企業名等が伏せられている。この匿名化(伏字化)作業は人手で行われており、多大な労力を要しており公開される判例は1%に満たない。本論文では判例の公開を促進することを目的としこの匿名化作業を品詞(POS)タグを付加したニューラルネットワークにより伏字化すべき単語を自動的に検出する方法を提案する。この手法を伏字化前の判例に適用した結果、約5割の判例で70%以上の伏字検出能力を示すことができた。
自動運転の利用法の一つとして, コンボイ走行と呼ばれる隊列走行が存在する. これはコンボイと呼ばれる隊列内の車両同士で通信を行い, 先頭車両のアクセルやブレーキなどの運転情報を後続車両へ送り, 2台目以降の車両は送られてきた情報に基づいて自動運転を行う技術である. 隊列走行は運転手の負担を軽減するだけでなく, 車間距離が短くすることができるので, 渋滞の緩和も期待できる.本研究では, コンボイ走行のメリットを多くの車が享受できるように, あらかじめ決められた車両だけでなく, 走行中の車両同士が通信を行い, 動的に隊列を形成する手法を提案する.
休 憩(14:50 再開)
BS-9-9 |
ブロックチェーンネットワークに対するPlumtreeアルゴリズムの適用に関する一検討
◎北川雄介(工学院大)・首藤一幸(東工大)・水野 修・坂野遼平(工学院大) |
BS-9-10 |
DTNの送信順序制御方式における複製数の抑制
◎鈴木洋勇・田島氷河・水野 修(工学院大) |
BS-9-11 |
複数ゲートウェイを有する無線センサネットワークにおける能動的攻撃を検知するデータ転送手法について
◎越道涼太・浅井聡太・河野英太郎・角田良明(広島市立大) |
BS-9-12 |
平均転送時間と通信コストを考慮したVM転送スケジューリング
○樋上恵伍・木下和彦(徳島大)・Ekbote Siddharth(VMware)・渡辺 尚(阪大) |
BS-9-13 |
ソフトウェア開発文書作成支援技術に関する一検討-開発文書の自動ひもづけ手法-
◎宮尾 浩(NTT) |
BS-9-14 |
アフィリエイトサービスにおける貢献度計測方法の一考察
○杉田大空・岩下 基(千葉工大) |
BS-9-15 |
移動体通信事業における新規参入のゲーム理論による分析
◎梅津 駿(早大)・張 成(茨城大)・田中良明(早大) |
BS-9-16 |
中国語声調認知訓練アプリの設計と評価
○康 茗淞・長谷川まどか(宇都宮大)・伊藤 篤(中大) |
BS-9-17 |
機械学習を用いた障害検知における不完全なデータの影響評価
○濱 篤史・木下和彦(徳島大) |
暗号通貨を支える技術としてブロックチェーンが注目を集めている.ブロックチェーンは取引などを記録するための台帳をネットワーク上の複数のコンピュータで共有し内部及び外部からの改ざんを防ぐ仕組みである.しかし,ブロックチェーンを活用する上で問題となるのが通信リソースの消費である.ブロックチェーンは全ノードに情報を行き渡らせるためにノードが隣接するノードに対して情報を送信する.既に受信した情報が別ノード経由で複数回届くため通信リソースの消費が生じる.本研究ではランダムなトポロジを持つブロックチェーンネットワークにおいてPlumtreeを適用することで伝播経路を緩やかに固定し,重複した情報を削減する手法を提案する.
災害時の通信としてDelay Tolerant Networking(以下,DTN)が注目されている.DTNにおいて,限られた条件で効率のよい情報伝達の実現を目的とした場合,データの持つ重要度を考慮した方式の方が有利であると考えられる.我々は,データの重要度に着目したデータ属性別送信制御方式を提案し,有効性を確認してきた.一方で,この方式では,データの複製が過剰に行われるため,より多くの通信リソースを消費してしまう.本報告では,データ属性別送信順序制御方式に複製数を抑制する制御を提案する.
無線センサネットワーク(以降,WSN) において中継センサ端末(以降,ノード) またはその周辺のノードによるデータパケットの窃取,盗聴などのセキュリティ上の問題に対し,秘密分散法を用いたセキュア分散データ転送(以降,セキュア分散データ転送) を利用する複数ゲートウェイ(以降,GW) によるデータ転送手法が提案されている(以降,従来法).この従来法では,各送信元ノードが複数のGW に対し経路の構築を行い,シェアを送信する.しかし,構築した経路上に故障ノードや能動的攻撃をおこなう悪意ノードが同時に存在する場合の回避は想定されていない.本稿では,そうした故障を回避し悪意ノードを検知する経路構築手法を提案する.また,提案手法の効果についてシミュレーション実験により性能を評価する.
クラウドサービスの世界市場は年平均 20 %以上の成長を続けている.特に,パブリッククラウドと自営のオンプレミスを併用するハイブリッドクラウドが増加している.このとき,負荷分散やバックアップなどの目的で,それぞれのクラウド間で多数かつ大容量の 仮想マシンを効率よく移動させることが求められる.また用途によってはライブマイグレーションによって稼働中のVMを停止させずに転送する必要がある.
そこで本研究では,ライブマイグレーションを導入したオンプレミス側の VM をクラウド側に移動させる際の平均転送時間と総経路コストの最小化について検討する.
開発ドキュメントにおいて仕様書と検討資料の対応を自動的に取得し、レビュー前に内容もれ、誤りに気づきを与え、ドキュメント品質を向上させることにより、開発期間を削減する手法について提案する。
今後も普及が見込まれるアフィリエイトサービスにおいて、インターネット広告のターゲティングに高まる不信感から、個人情報保護が厳格化される傾向にある。すなわち、ITP (Intelligent Tracking Prevention)等のCookieの制限の影響で、トラッキングシステムが正常に機能しなくなるのではないかという懸念から、アフィリエイターがASP (Affiliate Service Provider)や広告主に不信感を抱く状況が想定される。本研究では、Cookieが利用不可となった状況下で、このような問題を解決するためのアフィリエイトサービスに必要となる課題と仕組みを明らかにする。
移動体通信事業者とは,移動体通信の回線網を自社で所有し,通信サービスを提供している企業のことで,MNO (Mobile Network Operator)と呼ばれる.日本のMNO市場は,長い間3社の寡占市場が続いていた.そんな中2020年新しく1社が参入した.現在のMNO市場は,市場が大きく動いている最中である.本稿は,このような寡占市場における新規参入ゲームに着目している.新規参入プレーヤのサービス価格と市場全体のユーザ行動の関係を考慮し,理論モデルを構築した上で,新規参入後の各社の利得が最大となるナッシュ均衡について分析を行っている.理論モデルは,寡占市場の特性を反映させており,現実の形に近くなっている.
中国語発音学習の一般的な学習方法は,教師による発音訓練と, 単語やフレーズの模倣による発音練習がほとんどであり, 声調学習の基本である声調の感知能力と, 感知能力向上のための教育コンテンツ設計があまり重視されていない. そこで, 本研究では,段階的に感知課題を提示する声調学習アプリを設計し, さらに, アプリ使用時の認知負荷を考慮してユーザーインターフェースを改良する.その結果, 音声情報の取得効率やアプリ操作の簡略化を重視したユーザーインターフェースでは, 感知訓練の学習効果を引き上げることができた. これにより, 感知能力を得る重要性と, 感知訓練による声調学習のポテンシャルを示すことができたと考える.
コンピュータネットワークの大規模複雑化と人工知能(AI)の発展の影響で、AIによるネットワーク管理が期待され始めている。
しかし、現在行われているAIを用いたネットワーク管理の研究事例はほとんどが1つの閉じたネットワークを対象としており、広域ネットワークでの研究は少ない。今後は大規模あるいは外部からのデータも利用したAI活用が課題となる。
今回は得られるデータの正確性がAIのネットワーク管理に与える影響を評価し、広域ネットワーク管理での有用性を検討する。具体的には、2つの隣接ネットワークにおける異常検知を行う。外部ネットワークから一部が隠れたような不完全なデータが送られることを想定してLSTMによる異常検知をし、検知精度に与える影響を評価する。