プログラム
format_list_bulleted基礎・境界ソサイエティ
一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
A-1. 回路とシステム
3月10日 9:30〜12:00 Meeting 44 座長 越田俊介(八戸工大)
A-1-1 |
サイズ上限を考慮して多角形を矩形およびL型図形に分割する手法の改良
◎堀田智彦・藤吉邦洋(東京農工大) |
A-1-2 |
蟻コロニー最適化を用いた最適観光経路問題の解法
◎小原雄人・高橋俊彦(新潟大) |
A-1-3 |
構造的不確かさを含む線形離散時間システムに対する適応ゲインロバスト制御系の構成法
◎宇良光隼・伊藤 駿・大屋英稔・星 義克(東京都市大) |
A-1-4 |
マルチエージェントシステムのフォーメーション制御に対するL2ゲイン性能を考慮した適応ゲインロバストコントローラ
◎伊藤 駿・大原 薫・宇良光隼・星 義克・大屋英稔(東京都市大) |
A-1-5 |
抵抗熱雑音による乱数生成器を利用したストカスティック演算の試行
○松岡俊佑・吉田慧士(旭川高専)・市川周一(豊橋技科大) |
多角形を指定されたサイズ以下の矩形およびL型図形の集合に,それらの合計数がなるべく少なくなるように分割する問題を考える.この問題に対して我々はこれまでに,図形数が最小となる解を失わずに多角形を分割できるときの分割の条件を一部明らかにし,これをできるだけ利用して多角形を指定されたサイズ以下の矩形およびL型図形の集合に分割する手法を提案した.しかし,この手法では多角形の辺の長さに対して指定されたサイズが相対的に大きい場合には良い結果が得られなかった.そこで本稿では指定されたサイズが相対的に大きい場合でも有効である分割の条件を明らかにし,計算機実験により有効性を確かめた.
最適観光経路問題とは、時間帯ごとに移動時間や観光スポットの価値が変動するグラフ上で、与えられた制限時間を満たし出発点から終着点までの経路で、訪れた観光スポットの価値の総和が最大となる経路を求める問題である。
蟻コロニー最適化は、蟻が採餌の際の行動であるフェロモンを用い行列を作る習性を模倣し、組合せ最適化問題の近似解を求める発見的手法である。
本研究では、時間帯ごとに蟻コロニー最適化のフェロモンも変動させる手法を用いて計算機実験を行い、最適観光経路問題の厳密解と近似解の比較を行った。
制御系を構成する上で,不確かさが含まれることは避けることのできない問題である.この問題に対して構造的不確かさを陽に考慮した適応ゲインロバスト制御系の構成法が提案されている.本稿では,従来法と異なるリアプノフ関数の取り扱いをすることによって,構造的不確かさを含む線形離散時間システムに対して保守性の低減した新しい適応ゲインロバスト制御系の構成法を提案する.本稿で提案する手法は従来法と比べ保守性が低いという点で有用である.
分散制御問題の一つに,複数の自律システム(エージェント)を協調動作させるマルチエージェントシステム(MAS)がある.
本稿では,構造的不確かさと外乱を有するMASに対して,適応的に合意(フォーメーション形成)を達成するL2ゲイン性能を考慮した適応ゲインコントローラ構成法を提案する.
提案制御系は,リーダーと各フォロワー間の目標相対位置を陽に考慮しながら,不確かさと外乱による影響を同時に抑制し漸近安定性を保証するゲインと補償入力から構成される.L2ゲインをある値未満に保証し,また制約式が線形行列不等式の可解性に帰着し制御系設計が容易である特長がある.
ストカスティックコンピューティング(SC)とは確率情報にもとづき数値を表現し,演算を行う方法である.一般的な2進数演算方式と比較して,演算誤差は生じるものの,大量の演算器を小規模なハードウェアで構成することができる.ディープラーニングや画像処理などのように,ある程度の計算誤差が許容可能な処理への応用が期待されている.2進数から確率情報もとづくストカスティック数(SC Number)への変換には乱数を必要とする.筆者らは抵抗器の熱雑音をエントロピー源として,汎用マイコン内蔵のAD変換器を使って量子化することで真性乱数(TRNG)が生成できることを示した.本研究では筆者の提案したTRNGを用いてストカスティック演算を試行したので報告する.
休 憩(11:00 再開) 座長 菅谷英彦(日本ケイデンス・デザイン・システムズ社)
A-1-6 |
1ビット信号処理を用いた超音波距離推定のFPGA実装
○髙橋怜生・平野 智(名工大) |
A-1-7 |
スピンスレッド機能を応用したイジングマシンの低消費電力化についての回路検討
◎飯村凌馬・河原尊之(東京理科大) |
A-1-8 |
フェルマー数変換を用いた畳み込みアルゴリズムのFPGA実装
◎立見駿介・山本 亮・小川吉大(三菱電機) |
A-1-9 |
混合量子化に対応するAI推論FPGA回路向けメモリ削減技術
◎岩河秀知・山本 亮・小川吉大(三菱電機) |
超音波信号を用いた距離推定方法の 1 つに,図 1 に示
す相互相関処理を用いる方法がある.しかし,相互相関
処理には,大量の積和演算を含む演算処理が必要で,従
来の「マルチビット信号処理」では処理に大きな負担が
かかり,「リアルタイム」で距離を推定することが困難
であった.そこで,「1 ビット信号処理」を用いて計算コ
ストの削減を目指した手法が検討されている [1]. また先
行研究として処理の高速化の手法が検討されてきた [2].
しかし [2] では 1m まででの測定にしか成功しておらず
応用先の要求仕様を満たす結果は得られていない. そこ
で本研究ではゲイン補正を加えることで, 要求仕様を満
たす測定を行う.
我々は、以前にエッジコンピューティング用にイジングモデルをLSIへと実装した。このLSIでは1MHzで消費電力が12mWとなっており、スマートホンやタブレット端末にも搭載できるほどの低消費電力化を実現した。しかしながら、このLSIをさらに高速に動作させようとした場合、消費電力は増加してしまう。そこで、本研究では以前に実装したマルチスピンスレッド機能を応用しスピンスレッドの状態により確率的にスピン更新の有無を判定する機能をFPGAに実装し、提案手法と従来手法との比較検証を行った。その結果、回路規模はLUTでは約3.3%増加し、FFでは約0.06%の増加を確認した。また、消費電力では全体で36%、計算モジュールのみでは61%削減できることが確認できた。
深層学習で用いられる畳み込みニューラルネットワークは物体認識や物体検出等の様々な応用に有望な手法であり、組込み機器への活用が進んでいるが、畳み込みによる計算コストの大きさが問題であった。これを解決するために、フーリエ変換を用いて畳み込みの乗算回数を削減する手法が提案されている。しかしながら、本手法には変換処理に乗算が必要、計算結果に誤差が含まれる、複素数を扱うためデータ量が増加するといった問題があった。そこで本稿では、上記の問題が無く、フーリエ変換と同様に乗算回数を削減できるフェルマー数変換を活用し、DSPの少ない小規模なFPGAでも畳み込みを高速に実行できる回路について検討する。
近年,Neural Networkを活用したAI機能をFPGAに実装し,組込み機器上でAI処理をリアルタイムに実現する取り組みが進んでいる.しかし,一般的なCNN (Convolutional Neural Network)のネットワーク構成は,重みなどのパラメータ量が多く,FPGA内部のメモリに実装できない場合がある.そこで,混合量子化に対応したFPGA向けAI推論回路についてメモリの最適化検討を行った.本稿では,検討したメモリ最適化手法について説明する.
3月10日 13:00〜15:15 Meeting 44 座長 傘 昊(東京都市大)
A-1-10 |
微小信号に対する最適ディザ選択手法の有効性の検討
○小谷侑士・平野 智(名工大) |
A-1-11 |
精度を考慮した遺伝的アルゴリズムによるΔΣ変調器の最適設計に関する研究
○野宮涼雅・平野 智(名工大) |
A-1-12 |
1bit信号を用いたΔΣ変調器測定システムの性能評価手法に関する研究
○大崎直紀・平野 智(名工大) |
A-1-13 |
A 12-bit Successive Approximation Register Analog to Digital converter for Space Application in 22nm CMOS Technology
○Kohei Harada(Hosei Univ.)・Zheyi Li・SinNyoung Kim(Interuniv. Microelectronics Centre)・Akira Yasuda(Hosei Univ.)・Laurent Berti(Interuniv. Microelectronics Centre) |
A-D変換器として一般的に用いられている∆Σ変調器は微小信号入力時にリミットサイクル発振と呼ばれる発振が起こり,変換特性が悪化する.この発振により生じるスペクトルをアイドルトーンと呼ぶ.この現象を防ぐため,∆Σ変調器の入力信号に正弦波などを重畳するディザ法が用いられ , 一定の効果があることが知られている.先行研究では最もアイドルトーンを低減できる最適ディザ信号を選択するための手法について検討していたが,その手法の有効性については十分検討されていなかった.そこで,本研究では具体的な微小信号に対して,最適ディザ選択手法が有効かどうかを検討する.
3次以上のΔΣ変調器は動作が不安定になるが,内部積分器のフィードバックに重み係数を付加することで安定に動作をさせることができる.しかし,重み係数の値によって変調器の性能が大きく変化するため,最適な係数を設計する必要がある.そのため,この重み係数を求めるために遺伝的アルゴリズム (GA) を用いた変調器の設計アルゴリズムが提案されている.本研究では,探索序盤と安定解の探索に着目し,探索がより有効となるよう考えることで SNRおよび設計時間の向上を図る.
$\Delta\Sigma$変調器は広いダイナミックレンジを持ち,オーディオや工業計器などの様々な分野で使用されているが,$\Delta\Sigma$変調器を評価するための高精度なアナログ信号発生器は高額である.そこで,低コストに評価するため文献[1]ではFPGAを使用し,1bit信号をテスト信号として用いる手法が提案された.本研究では1bit信号のノイズの変化に着目し,1bit信号を用いた場合でもアナログ信号発生器でフルスケール入力したときと同等な評価値が算出できる手法を提案する.
We propose a 12-bit successive approximation register (SAR)-analog to digital converter (ADC)in 22nm Fully Depleted Silicon on Insulator (FD-SOI) CMOS Technology. The proposed ADC is implemented with radiation-hardened techniques to guarantee its operation in the space environment. Single-event transient (SET) which is one of critical radiation-strike effects suffers from non-linearity error or non-monotonic. The redundancy techniques are used for preventing failures of circuits caused by SET effects. the comparator uses Triple-Modular Redundancy (TMR) technique, and the serial switch scheme is applied for capacitive Digital-Analog Converter (CDAC) block. SETs are simulated on sub-blocks of the SAR-ADC to check the improvement caused by radiation effect.
休 憩(14:15 再開) 座長 中野誠彦(慶大)
A-1-14 |
出力側で直並列接続されたDC-DCコンバータの受動性に基づく制御に関する理論的検討
◎村川悠磨・引原隆士(京大) |
A-1-15 |
高精度Band Gap Reference回路に関する研究
◎XINYAO TONG・佐々木昌浩(芝浦工大) |
A-1-16 |
ダイレクトRFアンダーサンプリング受信におけるマルチバンド周波数特定のためのサンプリング周波数セット設計アルゴリズム
○古市朋之・本良瑞樹・亀田 卓・芝 隆司・末松憲治(東北大) |
A-1-17 |
オフセット制御機能付きプリアンプを用いたPAM4レシーバの出力性能向上に向けた検討
◎宮部雅也・井上敏之・土谷 亮・岸根桂路(滋賀県立大) |
DC-DCコンバータの直並列接続は, スイッチング電源の設計において, 各部品への負荷低減, 信頼性の向上, 熱管理の改善等を目的として利用される. 本報告では, 出力側で直並列接続されたDC-DCコンバータ回路の受動性に基づく制御に関して理論的に検討する. 受動性に基づく制御を適用した同回路の漸近安定性について一般化した後, それを数値計算によって確認する. また, 漸近安定性は変換器の種類, 回路パラメータ, 目標状態に依らないことを確認する. 本報告の結果は, 電力変換器の直並列接続を拡張することに寄与すると考えられる.
基準電圧回路は集積回路チップ中のキーモジュールの一つである.基準電圧回路の出力は極めて安定であるため高精度A / DおよびD / A変換回路,高精度集積アンプ,高精度電圧比較器,高精度の携帯機器,SoCなど回路でよく使われている.Band Gap Reference (BGR)回路は,電圧基準回路の一つである,簡単な回路構成と優位な温度特性という特徴がある.この研究では,ピースワイズ補正回路を使用して,Band Gap Referenceの温度特性曲線を分けて,各部分に単独の補正回路を加えて,各部分の高精度な補正することで,-40℃から120℃までの温度変化を3mVまで抑えるという研究である。
センサネットワーク等における周波数センシングの用途において,ハードウェアコストを抑えるため直接RF信号をアンダーサンプリングするダイレクトRFアンダーサンプリング受信方式が着目されており,入力周波数を特定するために複数の異なるサンプリング周波数でサンプリングを行う周波数特定手法がこれまで提案されている.本報告では周波数範囲がマルチバンドの場合で,より少ないADC数で周波数特定を実現するためのサンプリング周波数セット設計アルゴリズムを提案する.
近年,光通信の帯域幅要件が高まり,NRZ 伝送システムに対し2 倍の帯域幅効率を持つPAM4 伝送システムが導入されている.PAM4 システムにおいてレシーバ内プリアンプの出力レベルが揺らぐと正確な復調ができないことが問題となる.本研究ではオフセット電圧最適化が可能なプリアンプの回路構成を適用し,従来構成と比べレシーバ出力のアイ開口面積が拡大することを確認したので報告する.
A-2. 情報理論
3月12日 13:00〜15:00 Meeting 38 座長 細谷 剛(早大)
A-2-1 |
Sliding Window復号法のスケジューリングとWindowの移動条件について
◎金沢佑弥・新家稔央(東京都市大) |
A-2-2 |
BP-List-Erasure 復号法の計算量削減について
◎村上友朗・新家稔央(東京都市大) |
A-2-3 |
畳み込み符号化Polar符号の繰り返し復号法に関する一検討
◎菅原 諒・原 郁紀・石橋功至(電通大) |
A-2-4 |
多元LDPC符号における深層学習を用いたBit Reliability Based復号に関する一検討
◎渡辺大詩・大関武雄・山﨑浩輔(KDDI総合研究所) |
空間結合LDPC符号のSliding Window復号法に対し, Hassanらは計算量削減のためのスケジューリングを提案した.
一方, HanらはブロックLDPC符号に対し行処理のスキップを行うことで計算量を削減できるQ-ary Reliability-based Layered Belief-Propagation(RLBP)を提案した.
本研究ではWindowの移動条件の変更とWindow内で行うBPにRLBPを適用することで, より計算量の低減を図る方式を提案する.
Bocharovaらは,Low Density Parity Check(LDPC)符号の復号法として,Belief-Propagation-List-Erasure-Decording (BP-LED)を提案した.本研究ではBP-LEDにおいて,解が一意に求まるように消失ビット数をLを適応的に減少させる復号を提案し,その復号誤り確率を評価する.
小容量のデータを,低遅延かつ高信頼に伝送するためには,短符号長で高い復号性能を持つ誤り訂正符号が必須である.本稿では,このような符号として,近年提案された畳み込み符号化Polar(PAC: Polarization-Adjusted Convolutional)符号に着目し,信念伝播法(BP: Belief Propagation)復号器とBCJRアルゴリズムによる繰り返し復号法を提案する.
低遅延通信においては、短い符号長における高い誤り訂正能力が要求される。ガロア体上で定義される多元LDPC符号は、短い符号長においても高い性能を示すことが知られている。しかし、2元LDPC符号の復号で用いられる手法のハードウェア実装は、計算の複雑さから困難なため、処理を簡易にし、実装を考慮した復号手法が研究されている。BRBアルゴリズムは実装可能な計算量での復号を可能とした。しかしBRBアルゴリズムは従来の復号手法と比べると性能が劣化するという課題がある。そのため本稿では、BRBアルゴリズムの性能改善を目的とし、BRBアルゴリズムに深層学習を適用し、その性能をシミュレーションによって評価する。
休 憩(14:15 再開) 座長 石橋功至(電通大)
A-2-5 |
滞在時間の熱力学不確定性関係
◎土井彬史・Van Vu Tan・長谷川禎彦(東大) |
A-2-6 |
確認応答のあるセンサネットワークにおけるバリュープット向上手法の検討
◎棚橋亮太・Ben Naila Chedlia・岡田 啓・片山正昭(名大) |
A-2-7 |
複数のソースノードがサーバを共有する情報更新システムにおけるAge of Informationの相関係数に関する解析
姜 裕康・◎徳山喜一(東工大)・和田裕一郎(富士通研)・矢島萌子(東工大) |
近年,カレント と呼ばれる観測量の精度が全エントロピー生成に制約される,熱力学不確定性関係が多種多様なモデルや方法で明らかにされてきた.しかし,生体細胞の濃度推定理論など様々な分野で利用される滞在時間といった観測量に対しては未だ明らかになっていない.本研究では,非平衡定常状態の一般的な連続時間マルコフ連鎖に対して,推定理論の情報不等式を利用することで,有限時間で成立する滞在時間の熱力学不確定性関係を導出する.応用例として,生体細胞の濃度推定の精度限界が熱力学的コストに制約されていることを明らかにする.
センサネットワークでは,収集された情報の量だけでなく,情報発生からの経過時間・情報鮮度が重要である.そこで本稿は,確認応答のあるセンサネットワークを例として,情報量と情報鮮度を共に考慮した評価尺度バリュープットを向上する手法を検討し,情報鮮度を評価尺度に導入する意味を明らかにする.そのために,パケット再送と初回送信タイミングシフトの二つの手法を提案し,それぞれがバリュープットに与える影響をシミュレーションにより評価する.結果から,パケット再送はスループット向上には有効だが,バリュープット向上には必ずしも効果的でないこと,初回送信タイミングシフトは,バリュープット向上が大きいことなどを示す.
This work studies the age of information (AoI) on an information updating system such that multiple sources share one server to process packets of updated information. In such systems, packets from different sources compete for the server, and thus they may suffer from being interrupted and backlogged. Therefore, to grasp structures of such systems, it is crucially important to study a metric indicating a correlation of different sources. In this work, we analyze the correlation of AoIs on a single-server queueing system with multiple sources, and provide the closed-form expression of the correlation coefficient of the AoIs. Some nontrivial properties on the systems are revealed from our analysis results.
A-3. 信頼性
3月9日 10:30〜11:00 Meeting 18 座長 田村信幸(法政大)
A-3-1 |
電力カスケード故障の新検討
○清水 京・林 正博(東京都市大) |
A-3-2 |
Multivariate Clustering for Wind Turbine Anomaly Detection Using SCADA Data
○Bojian Du・Yoko Furusawa・Yoshiaki Narusue(The Univ. of Tokyo)・Nozomu Nishihara・Kentaro Indo(Eurus Technical Service)・Hiroyuki Morikawa・Makoto Iida(The Univ. of Tokyo) |
停電が発生すると,情報サービスを含む多くのサービスに重大な支障が発生することから,電力供給ネットワークの高信頼化は現代の重要な課題となっている.様々な原因による停電発生が考えられるが,本稿ではカスケード故障と呼ばれる現象による停電発生に焦点を当てて対策を検討する.
The existing Supervisory Control And Data Acquisition (SCADA) data based wind turbine anomaly detection methods are hindered by the high false alarm rates. To compensate the influences of the changes in external conditions, we develop a multivariate clustering based method with a new fault indicator referring to other WTs with similar external conditions. The indicator is calculated by subtracting the residuals of the target turbine from the medium of other turbines in the same cluster. Wind speed, ambient temperature, wind direction, and nacelle temperature are selected for clustering. The evaluation results confirm that the proposed indicator can raise fewer false alarms without degrading recall.
A-4. 超音波
3月9日 10:00〜11:45 Meeting 34 座長 土屋健伸(神奈川大)
A-4-1 |
円錐台形反射板型空中超音波音源の指向特性
○内山真乃介・淺見拓哉・三浦 光(日大) |
A-4-2 |
SDRによる200kHz超音波水中通信
○平石朝陽・小池正記(広島工大) |
A-4-3 |
頚動脈波波形による脳動脈閉塞の判別手法の検討
○嶋田啄真・清水啓仁・松川真美・大崎美穂(同志社大)・小林恭代・斎藤こずえ(奈良県立医科大)・山上 宏(国立病院機構大阪医療センター) |
A-4-4 |
超音波によって海綿骨で生じる圧電信号の観測-骨梁配向の影響-
○細川 篤(明石高専) |
A-4-5 |
超音波キャビテーションによる軟部組織の柔軟化-(Ⅱ)コラーゲン単材の機械的変化
○八木一平・小池一輝・内田 諭(東京都立大) |
A-4-6 |
超音波自動探傷においてSN比を劣化させるコーナーエコーの計算方法
○木村友則(三菱電機)・赤松 亮(菱電湘南エレクトロニクス) |
A-4-7 |
EMATを応用したコンクリート検査向け超音波探触子の試作
○井幡光詞・木村友則・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
鋭い指向性を持った強力な音波を遠距離に届ける技術が従来から必要とされている.筆者らはこれまでこの目的のための音源として,複合型反射板を設置した音源について検討を行ってきた.これまでの検討から,比較的容易に指向性の鋭い強力空中超音波を放射できることを明らかにしている.本検討では新しく考案した形状の円錐台形反射板型空中超音波音源について,その指向性を検討した.
これまで超音波によるエネルギー伝送の実験を行って来たが、今回200KHzの超音波を用いて可聴領域の音波信号の送受信を試みた。電波は水中では減衰が激しく実用するには困難になる。そこで超音波を用いて水中通信をした結果を報告する。超音波を用いる事によって水中通信が行える事を示した。課題として一つは音質面でAM変調側のSDRを改善する事と図2からわかる様にアンプによる歪が大きいので考慮する必要がある。二つ目は通信距離で出力を上げられる様に改善するか受信側でSDRの工夫によって微弱な電圧でも復調出来るようにする事があげられる。
救急医療の現場では脳動脈閉塞を迅速に判断し,適切な医療機関に送ることが重要である.そこで本研究では,頚動脈波の特徴に着目し,簡便な前方循環の主幹動脈閉塞を判断する手法の開発を目指す.具体的には,皮膚表面に圧電センサをあて,健常者と片側の前方循環の主幹動脈閉塞患者の左右の頚動脈波を測定した.測定した脈波の微分波形から左右の相互相関の最大値,ピーク数の左右差,脈波の立ち上がりの傾きの左右差を特徴量として抽出し,ロジスティック回帰を用いて検討を行った.その結果,予測の精度は 66%となった.また,各特徴量の重み係数の大きさを比較することで,重要な特徴量を検討できた.
骨は圧電体の一種であり,力学的負荷によって発生する圧電信号が骨の生成に関連すると考えられている.したがって,超音波照射による骨折治療の効率向上を図るためには,骨の圧電特性を解明することが重要となり得る.しかし,海綿骨は複雑な骨梁構造を有するため,その超音波特性は複雑であり,超音波照射時の圧電特性も複雑になることが予想される.筆者らは,海綿骨を圧電素子とみなした超音波センサ「圧電セル」を用いて,超音波照射時に海綿骨で生じる圧電信号の観測を行っている.今回は,海綿骨の骨梁配向による圧電信号の変化を観測した。その結果、骨梁配向が強くなると圧電信号の振幅が大きくなることが示された.
線維化は,慢性的な炎症・組織傷害・老化に伴い,軟部組織がコラーゲン線維に置き換わって修復不可能になる疾患であり,先進国における死因の約 40%と関連があると言われる.本研究の目的は、“組織の柔軟性を回復する効果的な治療方法を確立すること”である.これに対して,体外から超音波を照射する手法により低侵襲・短時間にコラーゲン線維を分解し,結果的に疾患組織の柔軟性を回復する方法を提案する.本報では,超音波キャビテーションによる生体材料の形状変化を評価するため,超音波発生装置および光学観測システムを新設し,生体を模擬したコラーゲンシートに対して超音波を照射した後の明視野および SEM 像を取得した.
パイプや丸棒鋼の超音波自動探傷では、試験体の周囲に探触子ホルダが設置され、水中で試験体を搬送しながら傷の有無を判別する。試験体中に傷が無い場合でも探触子ホルダでの反射波が妨害エコーとなり、SN比を劣化させる。この状況を回避するには、探触子ホルダの設計段階で妨害エコーを計算して対処する必要がある。本報告では妨害エコーの内でも問題となる場合が多いコーナーエコーの計算方法を示す。
物体内部の検査方法として超音波非破壊検査が広く知られている。超音波非破壊検査では一般に圧電
素子の厚み振動を利用した探触子が利用される。インフラ等のコンクリート構造物の検査を行う場合、
伝搬減衰等を考慮し低周波の超音波を用いることが望ましいが、圧電素子を利用した探触子ではサイズ
が大型化、重量化してしまう。このため、コンクリート内部検査向け探触子の小型、軽量化を目的とし、
筆者らは電磁超音波探触子(Electromagnetic AcousticTransducer: EMAT)を応用した探触子について提
案した。本報告では、提案した探触子を試作し、動作について検討した。アルミ筐体、磁石、コイルで構成されるEMAT を応用した超音波探触子を試作した結果、所望の動作をし、コンクリート中に超音波を励振できることが確認できた。
A-5. 応用音響
3月11日 13:00〜15:45 Meeting 10 座長 立蔵洋介(静岡大)
A-5-1 |
車室内環境でのWave-U-Netによる雑音除去の検討
◎樋口隼太・李 莉・井上翔太・牧野昭二・山田武志(筑波大) |
A-5-2 |
自動車の自己診断機能OBDⅡを用いた車内空間のアクティブ消音に関する基礎的検討
◎是永拓海・岡本 学(崇城大) |
A-5-3 |
窓振動を利用したマルチ騒音制御システムの騒音低減分析
◎深津遼貴・武藤憲司(芝浦工大) |
A-5-4 |
異なる空間音響特性を持つ混合音響信号の印象評価
◎大久保翔太・堀内俊治・服部 元(KDDI総合研究所) |
A-5-5 |
強弱変化の数学モデルを用いたMIDI鍵盤演奏評価法の研究
○宮腰和慶・臼杵 潤(神奈川工科大) |
音声認識や音声強調技術は,ハンズフリーで操作可能な製品に取り入れられている.例えば、走行中の自動車内ではカーナビゲーションシステムが用いられている.また,離れた座席間の会話を補助する目的で車室内コミュニケーションシステムの実用化が検討されている.
走行中の車室内ではエンジン音やタイヤ音,風切り音等の走行雑音が生じ,目的の音声に重畳することでハンズフリー操作や会話の妨げとなる.この問題を解決する技術として,観測された音声信号から目的信号を分離する雑音除去がある.本稿では,複数の自動車で実測した走行雑音とインパルス応答を用いて,車室内環境でのWave-U-Netによる雑音除去の有効性を評価する.
自動車内での能動騒音制御について、アクセルや速度などの車両情報を利用し、より効果的に行う手法を提案する。予備実験で車両情報と車内騒音について比較を行った。
船舶航行音が運河沿いに立ち並ぶ住宅や会社に大きな音となり伝わる.本研究の目的は,住宅室内静音化のための窓振動を用いたマルチ適応騒音制御システムの構築である.このシステムには,いくつかの適応フィルタから構築されたANCシステムによって窓の振動を制御し,騒音の伝達を低減させ室内空間を静音化させる.今回船舶の持つ最も低い周波数成分に着目し,窓振動マルチANCシステムを用いた時の騒音レベルと騒音レベルの分布を評価した.その結果、騒音を低減させることができ,窓全体の低減できる範囲がわかった.これにより低い周波数成分低減に対して窓振動マルチ騒音制御システムが効果的であると考えた.
音の収音,再生において収音場,再生場が持つ空間音響特性が関与する.空間音響特性は主に空間のインパルス応答に特徴付けられる.別の空間を擬似的に再現するにはインパルス応答の畳み込みが用いられ,インパルス応答の逆フィルタの畳み込みにより空間音響特性を抑圧,除去することが可能である.
近年,多対地での遠隔会議システムが発達し,その使用者は通常,対地ごとに異なる複数の空間音響特性が含まれる混合音響信号を聴取している. しかしながら,複数の空間音響特性が含まれた混合音響信号の知覚的印象について検討されていない.
本発表では,複数の空間でそれぞれ収音された異なる空間音響特性を持つ混合音響信号と,単一の空間で収音された一つの空間音響特性を持つ混合音響信号について比較聴取した.その結果と考察について発表する.
近年,楽器を趣味で演奏,練習する人が増えており,音楽教室では生徒の生活様式に合わせて一部がオンライン化するなど受講形態の多様化も進んでいる.また初心者向けには楽器演奏を視覚的に支援するソフトウェアの市販もある.このような中,本研究では個人の演奏内容を解析して練習支援する研究に着目し,音の強弱の観点から演奏者の表現を把握して演奏練習に活かす方法について検討する.
休 憩(14:30 再開) 座長 堀内俊治(KDDI総合研究所)
A-5-6 |
優決定条件における半教師あり音源分離
◎森下 潤・竹内太法・立蔵洋介(静岡大) |
A-5-7 |
方向毎分離音のクラスタリングによる音源分離
◎山本剛士(大分大)・太刀岡勇気(デンソーアイティーラボラトリー)・上ノ原進吾・古家賢一(大分大) |
A-5-8 |
深層学習を用いたアクションカメラによる音源方向推定手法
○寺島英明(三菱電機)・安部雅哉・山佐礼司・藤田 武(三菱電機ビルテクノサービス)・本山信明(三菱電機) |
A-5-9 |
複数スピーカを用いた指向性制御の改良検討
○平野 仁・粟野智治・井幡光詞・田中 泰(三菱電機) |
A-5-10 |
空中超音波の遅延時間制御による音場操作
◎上村将生・小塚晃透(愛知工業大)・豊田昌弘(本多電子) |
音源分離では,音源数と観測マイク数の関係により用いられる手法が異なり,音源数よりも観測マイク数が多い場合を優決定条件という.優決定条件で用いる手法としてOverIVAが提案されているが,音源モデルの仮定が全周波数で共通の分散を仮定しているため,楽器音のような複雑な時間周波数構造をもつ信号の分離には適していない.そこで,本研究ではOverIVAの音源モデルを半教師ありNMFに置き換えることで,より柔軟な音源の表現が可能な手法を提案する.本手法と本手法をブラインドにした手法とOverIVAを用いて音源分離の比較実験を行ったところ,本手法による分離精度がOverIVAの分離精度を上回る結果を確認した.
劣決定音源分離は音源の周波数情報を利用してブラインド音源分離を行う。しかし、音源の到来方向(DOA)情報は考慮されていなかった。これに対して、空間辞書として平面波のステアリングベクトルを用いDOAと別に分離音を推定する手法が提案されている。しかし、従来法では推定した複数のDOAから音源数のみピークをピックアップしているため、狭い角度しか使用できず、分離性能が安定しない。
本報告では、到来方向ごとの信号のアクティベーションが類似している場合同じ音源であると仮定し、クラスタリングを行い、クラスタ内の信号を平均し最終的な分離音を得ることで分離性能が向上することをシミュレーション実験により確認した。
筆者らは深層学習を用いたアクションカメラによる音源方向推定手法を開発している.アクションカメラで収録できる音声は動画投稿サイト等のウェブサービスに最小限の手間で投稿できるよう収録と同時に信号処理が行われる場合があり,従来の音源方向推定アルゴリズムを適用できない場合があった.そこで信号処理済みの音声データであっても音源方向推定が可能なニューラルネットワークによるアルゴリズムと、音源方向推定精度向上のための正則化を検討した。評価の結果、正則化を適用することで音源方向推定の正答率が74%から97%へ向上することを確認した。
複数スピーカを用いたスピーカアレイの性能向上を検討した.指向性制御型のスピーカアレイにおいて,再生方向に対するステアリングベクトル(STV)が必要であるが,あらゆる方向に指向性を生成する場合,すべての方向のSTVを測定するのは負担が大きい.そこで,スピーカと受音点との位置情報でSTVを近似する手法がある.本稿はSTVの近似に使用する基準スピーカ位置を変更することにより,所望指向性に対する生成指向性の再現性が変化することをシミュレーションにより示した.また,スピーカを等間隔に23個並べたスピーカアレイにおいては,アレイの中心位置を基準とすることで最も再現性の高い指向性が生成されることを示した.
パラメトリックスピーカは、高い指向性を有した特定の範囲に音を再生可能なスピーカである。指向性を向上させるために、任意の位置に音波を集束させることを試みた。各超音波素子の遅延時間を調整することにより、超音波の指向性を制御する実験を行ったので報告する。パラメトリックスピーカの指向性を制御するために、遅延時間を調整する必要がある。本研究では、セクタ電子走査等で知られているフェーズドアレイ方式をもとに、設定した角度から各素子の遅延時間を求めている。また、音を集束させて音圧を増幅させる際には、凹面振動子を参考として、余弦定理を用い集束地点からの距離の差分を求め、その距離から遅延時間を設定している。
A-6. VLSI設計技術
3月10日 13:00〜14:30 Meeting 18 座長 尾崎 靖(ルネサスエレクトロニクス)
A-6-1 |
複数クロックサイクル上の多項関係を含むハードウェアアサーションの自動抽出
◎鳥居一輝・濵口清治(島根大) |
A-6-2 |
集合対間配線における目標端子対選択手法の改良
○高橋俊彦(新潟大) |
A-6-3 |
詳細配線の並列計算における分割位置調整手法
◎四條佑哉・藤吉邦洋(東京農工大) |
A-6-4 |
FiCCを用いた不揮発スタンダードセルメモリ
◎阿部佑貴・小林和淑(京都工繊大)・塩見 準(京大)・越智裕之(立命館大) |
A-6-5 |
ビアスイッチのプログラミング電流制限によるバリスタ破損防止と抵抗値制御の実験的評価
◎根尾優一郎・橋本昌宜(阪大) |
A-6-6 |
画素アレイ上の可変抵抗クロスバーを用いたフィルタ演算のエネルギー評価
◎藤原 廉・根尾優一郎・橋本昌宜(阪大) |
ハードウェア設計の設計検証におけるアサーションとはハードウェア設計記述が満たすべき論理条件であり、アサーションベース検証に使用される。アサーションの記述を行うには、設計意図や動作を十分に理解している必要があり、高い専門性が求められる。そのため、ハードウェア設計記述やその実行トレースから自動抽出する様々なアサーションマイニングが提案されている。本稿では、静的に設計記述を解析する手法に注目し、3項以上の多項関係を含む、より複雑な機能のアサーション抽出を行う方法を提案する。
平面上の点集合SおよびTが与えられたとき, SとTの点を互いに交差することのない曲線で1対1に結ぶことを集合対間配線と呼ぶ.
どの点対同士を結ぶかを決定する目標端子対選択法どして2部グラフのマッチングを用いた手法が発表されているが,
この手法は最大配線長と最小配線長の差(配線長差と呼ぶ)を最小化するためには効果が薄いと考えられる.
本稿ではDouble Threshold法を用いた目標端子対選択アルゴリズムを与える.
このアルゴリズムにより計算時間のオーダーが増えることはない.
LSIの自動設計における配線問題の高速化のための手法の1つとして,並列計算を適用した研究が行われてきたが,詳細配線に関しては詳しく述べられていない.我々はこれまでに,配線領域に余裕があるLSIレイアウト設計の詳細配線を対象として,領域分割による並列計算手法を提案した.しかし,分割位置が原因で計算時間が偏り,高速化率が低くなることがあった.そこで本稿では,高速化率の向上を目的として,分割して得られる全領域の計算時間を考慮する分割位置の調整手法を提案した.計算機実験により,8コアで並列計算したときの高速化率が平均4.53倍から平均4.96倍となり,高速化率の向上を確認した.
メモリ専用のスタンダードセルを用いて論理合成と自動配置配線により設計するメモリをスタンダードセルメモリ(SCM)と呼ぶ. ビットセルにDラッチやDフリップフロップが用いられ, 周辺回路はランダムロジックにより実装される. ディジタル回路のみで回路実装が行われるため, 極低電圧領域における安定動作を実現することが可能である. 本稿ではメタルフリンジキャパシタの一種であるFiCC(Fishbone-in-Cage Capacitor)を用いた不揮発メモリをSCMのビットセルであるDラッチに搭載することで, 不揮発化したNV(Nonvolatile)-SCMを提案し, その動作およびレイアウト設計について述べる.
ビアスイッチとは,可変抵抗とみなせる原子スイッチ2 個とバリスタ2 個からなる配線層に作りこまれた小面積スイッチである.原子スイッチは電極間に電圧を印加し電流を流すことで抵抗値を変化させことができる不揮発性のスイッチである.ビアスイッチのオンオフの切り替えのためにはバリスタを経由した電圧の印加が必要であるが,電圧印加の際原子スイッチが低抵抗に変わると電流が急に増加する.この電流が大きすぎるとバリスタが破損するため電流を制限する必要がある.本稿では, 破損を回避したビアスイッチのオンオフのプログラミングを目的とし, 電流の制限値が破損率とオン抵抗に与える影響について実験, 考察を行う.
ニューラルネットワークとの組み合わせによるイメージセンサの高機能化が様々な角度から検討されている.本稿では軽量な畳み込みニューラルネットワーク(CNN)とイメージセンサの一体化実装を想定し,初段のフィルタ演算を画素の上に配置された可変抵抗クロスバーを用いてアナログ積和演算で実現した.そして,可変抵抗クロスバーを用いた場合の消費エネルギーとディジタル実装した場合の消費エネルギーを評価した.それぞれ場合の消費エネルギーは,可変抵抗クロスバーを用いた場合では0.72μJ,ディジタル実装した場合では50μJであった.メモリ使用の有無によって大きな差が生じており,CNN初段のフィルタ処理全体で98.6%のエネルギー削減の見込みを得た.
A-7. 情報セキュリティ
3月9日 9:00〜11:30 Meeting 15 座長 渡邉洋平(電通大)
A-7-1 |
トランプカードの部分開示を用いたAND秘密計算
○小山寛人(東北大)・宮原大輝・水木敬明(東北大/産総研)・曽根秀昭(東北大) |
A-7-2 |
Six-card trickの出力のコミットメント化
○佐々木 優(東北大)・宮原大輝・水木敬明(東北大/産総研)・曽根秀昭(東北大) |
A-7-3 |
簡略化部分格子攻撃によるRing-LWE問題の実験解析
◎室井謙典・奥村伸也・宮地充子(阪大) |
A-7-4 |
PNB解析に基づくストリーム暗号Salsa20への差分攻撃
◎宮下翔太郎(阪大)・伊藤竜馬(NICT)・宮地充子(北陸先端大) |
A-7-5 |
同種写像暗号SIDHに対する定義体フォルト攻撃の一方式
◎村井公輔・趙 晋輝(中大) |
これまでトランプカードを用いるカードベース暗号プロトコルがいくつか提案されている.2入力ANDの秘密計算に注目すると,最初のプロトコルは1999年にNiemiとRenvallによって提案され,5枚のカードと9.5回(期待値)のシャッフルを要した.2016年にMizukiはカード8枚とシャッフル4回で,2019年にKochらはカード4枚とシャッフル6回(期待値)でそれぞれプロトコルを構成した.またごく最近,3入力ANDプロトコルが提案されている.これらの既存プロトコルではトランプカードの数字のみに注目している.本稿では数字に加えスートに注目し,数字を明かさずスートのみ部分開示する方法を提案した上で,これを用いた2入力ANDプロトコルをカード4枚,シャッフル1回で構成する.
カードベース暗号では,裏向きに置かれた黒カードと赤カードの2枚組をコミットメントと呼び,「黒赤」の並びのときはビット値0を表し,「赤黒」の並びのときは1を表す.2014年にHeather,Schneider及びTeagueは,3つのコミットメントを入力としてそれらの値が全て等しいか否かを秘密計算する満場一致プロトコルを提案した.最後に6枚をめくったときに「黒黒黒赤赤赤」あるいはその巡回で得られる列であれば3つの値は全て等しく,「黒赤黒赤黒赤」あるいはその巡回で得られる列であれば等しくない.本稿では,このSix-card trickとも呼ばれる彼らのプロトコルの出力フォーマットに従う裏向きの6枚が与えられたときに,通常のコミットメントに変換する手法を提案する.
Ring-LWE問題は,多くの効率的な耐量子暗号の構成に利用されている.Ring-LWE問題は代数体を利用することから,代数構造を利用した攻撃の存在が示唆されている.2020年にHao Chenにより,代数体の整数環の部分格子とイデアルを利用した攻撃が提案され,ある種の代数体上のRing-LWE識別問題は多項式時間で解けることが示された.しかし,部分格子攻撃に脆弱な代数体とパラメータの条件が厳しく,多項式時間であるが計算量が大きいため,計算機実験が困難である.そこで本研究では,条件を緩和した部分格子攻撃の亜種を提案し,特殊なRing-LWEサンプルに対してある種の代数体上のRing-LWE識別問題が解けることを実験で示した.
ARX構造をもつストリーム暗号であるSalsa20は,TLS1.3に採用されている ChaChaの原型となっている. Salsa20に対して各種差分攻撃が提案されており,本論文執筆時における最良の差分攻撃として,Salsa20/8 に対してデータ量2^96 ,計算量2^244.9で可能な鍵回復攻撃が報告されている.本研究では,筆者らがCSS2020で報告したProbabilistic Neutral Bits(PNB)の解析を差分攻撃に応用することで, Salsa20/8への差分攻撃におけるデータ量を2^41.9 ,計算量を 2^143.9に大きく削減した.
近年、同種写像暗号であるSIDHやSIKEが耐量子コンピュータ暗号として提案されている。この暗号方式に対する攻撃法が知られており、特定のプロトコル下において、また、SIDHの変形版に対して多項式時間で解読が可能な攻撃が存在する。他にも、有限体の定義方程式の係数をランダムに1bit置換することで、同種写像暗号の安全性を低下させるといった攻撃も提案されている。本論文では、有限体の定義方程式に対するフォルト攻撃を行うことで、多項式時間で同種写像暗号を解読する方式を提案する。
休 憩(10:30 再開) 座長 水木敬明(東北大)
A-7-6 |
非負集計データのための部分和精度に優れた差分プライバシー適用手法二次元化の一考察Ⅳ
○本郷節之・石井貴己(北科大)・寺田雅之(NTTドコモ)・鈴木昭弘・稲垣 潤(北科大) |
A-7-7 |
管理者が5人の場合の管理者を追加可能な秘密分散法に関する一考察
◎岡﨑太介・栃窪孝也(日大) |
A-7-8 |
IoT機器上で動作するプログラムの改ざん検知で用いるホワイトリストの作成方法の検討
○西本拓矢・福田洋治(近畿大)・廣友雅徳(佐賀大)・白石義明(神戸大) |
A-7-9 |
レーザ光のショット雑音による並列化可能な高速物理乱数生成機構
○加藤研太郎・谷澤 健・二見史生(玉川大) |
集計データに対するプライバシー保護に関して,近年差分プライバシー基準を実現するLaplaceメカニズムが,高い安全性を実現するための基準として注目を集めている.その一手法であるPrivelet法は,部分和精度が高いという性質をもつ.これに非負精緻化処理を組み込むことで,「非負制約の逸脱」に対する回避と, 「疎データの密度急増」の抑制をも同時に実現できる.我々は現在,その二次元化手法の開発を進めている.これまでの研究結果では,一次元方式に見られる,部分和サイズが小さい領域での著しいRMSE値の低下傾向が観測されなかった.そこで本報告ではこの特性への検討を深めた結果について述べる.
情報化社会において、盗難対策と紛失対策の両方を実現する情報の安全な保管方法である秘密分散法は、重要な技術の一つであるといえる。しかしながら、秘密分散法の手法の多くは管理者の更新が考慮されていない。2016年にKomargodskiらは管理者を追加可能な秘密分散法を提案した。本稿では、Komargodskiらの手法により管理者4人のアクセス構造に管理者を1人追加することで、管理者4人のアクセス構造から構成可能な管理者5人のアクセス構造との対応関係を明らかにする。
IoT機器で動作するプログラムに対する実行パスに影響を与える攻撃を検知する目的で,対象プログラムのモジュールに対してCFG(control flow graph)をもとにブロックに分割,ブロック毎に実行パスのauth値を計算する,ホワイトリスト型のリモートアテステーションの手法の1つにC-FLATがある[1].
C-FLATでは,検知対象のプログラムからCFGを作成し,ブロックが実行されたことを示すauth値を測定,ホワイトリストにあるauth値と一致するか確認する必要があるが,繰り返しの多い処理や分岐の多い処理では実行パスのパターン数が多くなることから,ホワイトリストを手動で作成することは難しいと考えられる.
本研究では,ホワイトリスト型のリモートアテステーションの手法C-FLAT向けのホワイトリストの自動構成の手法を検討,提案する.また提案する手法をc言語のプログラムで試作し動作確認を行った.
光ファイバ通信技術の飛躍的発展の結果,ペタビット級の光ネットワーク技術を競う時代に突入しており,家庭等に届く末端の光回線でさえも10ギガビット級の速度が現実のものとなっている.ネットワークの物理レイヤにおいてそのように大量のやりとりがなされるデータを守ることを目的とした技術に我々は関心を持っており,乱数を高速生成可能であることは,物理レイヤを守る技術を考察する上で一つの重要な要請である.本報はレーザ光の強度測定に伴うショット雑音を用いた並列化可能な高速物理乱数発生機構を提案する.
3月10日 9:00〜11:45 Meeting 15 座長 掛井将平(名工大)
A-7-10 |
WebAuthnを基にした端末追加と権限付与のためのプロトコルの実装
◎網川 澪・福光正幸(北海道情報大) |
A-7-11 |
キーワード検索公開鍵暗号を基にしたパスワード漏洩チェッカーの開発に向けて
◎田中 翔・福光正幸(北海道情報大) |
A-7-12 |
WebAPIを標的とした攻撃の検知と防御手法
○田谷 透・花田真樹・村上洋一・早稲田篤志(東京情報大)・三須剛史・石田裕貴(セキュアブレイン)・布広永示(東京情報大) |
A-7-13 |
Webアプリケーション脆弱性診断に関する影響分析システムの開発
○張 邯尹・中川佑人・花田真樹・村上洋一・早稲田篤志(東京情報大)・三須剛史・石田裕貴・三由裕也・三村隆夫(セキュアブレイン)・布広永示(東京情報大) |
A-7-14 |
LPWAネットワーク上の分散台帳を用いたポイント取引システム
◎徳武孝紀・江口力哉・近藤大暉・佐古和恵・佐藤拓朗・佐藤俊雄(早大)・柴田巧一(Skeed)・丸山優佑・Keping Yu(早大) |
次世代認証API「WebAuthn」では,公開鍵認証をベースとした認証をWebブラウザで実現しているが,認証の際に使用される秘密鍵は端末外に持ち出すことができない。この制約について,Webサービスを例に考えると,複数端末でそのサービスを利用する場合,端末ごとに再登録を行う必要があることを意味する。この問題に対し,本研究ではWebAuthnの仕組みを応用した端末追加プロトコルを実装する。なお,このプロトコルは,複数人でデータを共有するようなサービスにおいて,他のユーザに権限を付与する際にも同時に利用可能である。
Webサービスにおいて,今なお,標準的にパスワード認証が用いられている。一方,このパスワードについては漏洩事件などが多々起こっている現状から,パスワード漏洩について確認できる「漏洩パスワードチェッカー」がWebサービスとして実現されている。この利用の際に,クライアントは自身のパスワードを入力し,サーバに伝える必要がある。これに対し本研究では,サーバ側にこの入力パスワードを直接知られずに漏洩を確認できるパスワードチェッカーの実現を目指す。なお,その手段として,キーワード検索公開鍵暗号方式の導入を試みる。
WebAPIが普及する一方で,同時にWebAPIを狙った攻撃が報告されるようになっている.
OWASP(Open Web Application Security Project)による報告書(OWASP API TOP 10)では,WebAPIの脆弱性について,内容やその対策手法を述べている.
しかし,攻撃の具体的手法とその詳細な検知・対策手法については記載されていない.
そこで,本研究では,WebAPIを狙った攻撃の詳細を明らかにし,その攻撃を早期に検知し,WebAPIを提供するサーバを防御する手法を提案する.
近年,手軽にECサイトが構築できるようになり,EC市場の規模が拡大している.これらのECサイトではセキュリティのため,脆弱性診断サービスを受けるケースが増えている.そのため,診断サービス提供者側では脆弱性診断ツールの発行するリクエストの内容に加えて,脆弱性診断ツールによるシステムにおける振舞いを事前に把握しておかないと,ユーザの診断対象システムにおいて重要なデータを破壊したり,過剰なシステム負荷を与える可能性がある.
本研究では,脆弱性診断ツールによるシステムへの影響やシステム負荷を分析するシステムを開発し,診断サービス提供者による脆弱性診断ツールの選定や脆弱性診断の新機能開発を支援する.
LPWAネットワーク(Low Power Wide Area network)は消費電力を抑えて遠距離通信を実現する通信方式で、電池駆動が想定されるIoT機器をノードとして、災害時にも通信を継続させることができると注目を浴びている。先行研究では、このネットワーク上でデータをロバストに共有するための分散台帳方式を検討した。本稿では、このような分散台帳と、低コストの可搬デバイスを用いてポイント取引が可能な方式を提案する。
休 憩(10:30 再開) 座長 早稲田篤志(東京情報大)
A-7-15 |
Androidアプリケーションにおける操作可能な画面要素とパーミッションの関係の調査
◎宇野文人・掛井将平・齋藤彰一(名工大) |
A-7-16 |
ロジックボム検知における疑わしい条件の絞り込み手法
◎本居千佳・掛井将平・齋藤彰一(名工大) |
A-7-17 |
Anomaly Detection of C&C Traffic using Chebyshev Inequality Based on URL and DNS Anomaly Characteristics
◎YIHUI YAN・Kouichi Sakurai・Hiroshi Koide(Kyushu Univ.) |
A-7-18 |
Morphing Attack Detection for Low-Power Electronics using the Residual Noise of Spatial and Frequency-based Features
○Lina Septiana・Tomoaki Matsunami・Narishige Abe・Shigefumi Yamada(Fujitsu Labs.) |
A-7-19 |
CTFを用いたセキュリティ教育の効果測定
◎伊藤優希・小林秀幸(仙台高専) |
Androidアプリには,操作した結果がユーザの意図と反する動作を行うものが存在する.こうした動作を,操作可能な画面要素の画像とそのテキストと,操作によって呼び出されるAPIに必要なパーミッションの関係を学習することで検知するDeepIntentという研究がある.この研究では,学習した画像に似た画像しか対応できないが,画像は国や地域によって表現が異なる.本論文では,学習データの内,国や地域による表現の差が少ない画像ファイル名を用いて,画像とパーミッションの関係の調査を行った.結果,意図と反する動作と判定した54組の関係の内,実際に反する関係は41組であった.
システムを破壊するマルウェアにロジックボム(論理爆弾)がある。ロジックボムは感染直後ではなく、極めて限定的な条件が満たされた時に動作する特徴を持つ。これを踏まえ、既存のロジックボム検知手法は、疑わしい条件と疑わしい動作の組み合わせにより検知する。疑わしい条件の判定基準について、既存研究では“時間に関するメソッドの有無”で判定していたのに対して、本研究では条件の要素を取得し、“実要素数”“実要素の希少度”“実要素中の定数の有無”を調査することにより疑わしい条件を絞り込み、ロジックボムの検知精度を向上させる手法を提案した。評価は小規模なプログラムを用いて行い、絞り込みが可能であることを確認した。
While the Internet has become widespread, the number of damages caused by computer viruses to users is increasing, which has become a problem. Among them, the damage caused by botnets is becoming more serious. However, from around 2010, Web servers began to be used as servers to control botnets, and the number of botnets using HTTP is increasing year by year.
In this research, through the combination of a variety of abnormal characteristics and the improvement of Chebyshev algorithm calculation steps, a detection method for HTTP botnet is proposed, and the accuracy of this method is tested by experiments, which is slightly improved compared with the existing detection methods.
Recently morphing attack becomes a serious challenge in the face authentication as one of main systems in smart urban mobility initiatives. Aiming at face morphing detection which suitable for low-power IoT devices, we propose morphing attack detection using low-level features from residual noise in spatial and frequency domain. The result of the proposed method on the Labeled Faces in the Wild dataset achieve D-EER at 6.69%.
インターネットの普及に伴い,不正アクセスによる被害が多発しており,セキュリティ人材確保のため,より効果的な教育方法が求められる.そこで,本研究では,効果的な教育方法の一つとして注目されているゲーミフィケーションを,セキュリティ教育に取り入れた際の教育効果を測定する.CTFと講義を組み合わせることで,セキュリティに関する知識や対策の重要性を学べるだけでなく,CTFに取り組む意欲が向上すると考える.しかし,CTFの教育効果の検証は十分とは言えない.従って,本研究ではセキュリティ教育の講義とCTFを組み合わせた手法を提案し,CTFによる学習意欲の変化や学習効果を測定する.
A-8. 信号処理
3月12日 9:00〜11:30 Meeting 17 座長 林 和則(京大)
A-8-1 |
条件付け生成モデルに基づく地震波形状予測手法に関する検討
○工藤 忍・谷田隆一・木全英明(NTT) |
A-8-2 |
変分オートエンコーダによる生成モデルを用いたZ-R関係
○釣谷那津・椎名 徹(富山高専) |
A-8-3 |
ケプストラム型非線形SVMを用いた自動判定アルゴリズム
○堀 晃己・田邉 造(諏訪東京理科大)・古川利博(東京理科大) |
A-8-4 |
逐次修正AdaBoost型音検査法による自動正誤判定システム
○渡邊昂樹・宮崎 海・田邉 造(諏訪東京理科大)・古川利博(東京理科大) |
地震の揺れを高精度に予測することは将来の大規模地震への防災計画や地殻解析等で重要な研究課題の1つである.従来の地震予測手法では地震の強さや震源から観測地点までの距離などをパラメータとして過去のデータから回帰分析する手法や機械学習を行う手法が提案されているが,いずれも対象地点の揺れの強さのみを推定するものであった.そこで,本稿では地震波の形状予測に取り組む.地震波形状を予測することができれば,都市計画における建造物の共振周波数等の推定などに活用することができると考えられる.本稿では地震発生時の震源情報と観測地点座標を条件パラメータとする生成モデルに基づく地震波形状予測手法を提案し,評価実験により有効性を示す.
近年,局地的豪雨や豪雪の増加により,詳細な降水観測の重要性が増している.降水強度の推定はレーダ反射因子Zと降水強度Rの関係式から算出される.Z-R関係式は降水粒子種,粒径と落下速度分布に依存している.先行研究では,ドップラーレーダを用いた降水粒子種の判別が行われた.更に,降水粒子種ごとの粒径-落下速度分布の生成モデルが学習されている.本研究ではそれを用いて,Z-R関係の算出を行った.VAEによる生成モデルを用いて,レーダ測定と同様の関係が得られた.
本論文は,非線形 SVM を用いた高精度判定を可能にする自動判定アルゴリズムを提案する.提案手法は,(i) 有色性駆動源カルマンフィルタを用いて所望信号を抽出する.その後,(ii) ケプストラム分析結果より第一フォルマントと第一フォルマント周波数を特徴量とした非線形 SVM による最適識別境界を求め,(iii) 特徴量の時間的変化を考慮した自動判定アルゴリズムから正誤判定・評価する.提案手法の有効性は,計算機シミュレーションで明らかにしている.
本論文は,AdaBoostの閾値を逐次修正可能な正誤判定法を提案する.提案手法は,(Step 1) 有色性駆動源カルマンフィルタを用いて雑音抑圧し所望信号を抽出した後に,(Step 2) 所望信号から抽出した特徴量に基づいた重みの更新と弱識別器の生成を繰り返して強識別器の構成している.(Step 3) また,過去データを含めた信頼値判定と判定誤り時に弱識別器の閾値自動修正を逐次的に行っている.提案手法の特徴は,(i)特徴量分布の重複による判定誤りを低減可能となり,(ii)高い精度の正誤判定を実現することである.
休 憩(10:30 再開) 座長 杉本憲次郎(早大)
A-8-5 |
iPS細胞自立拍動域の動態可視化に基づいた時間周波数解析によるCNN型機械学習を用いた分化度判定モデル
◎西田百花・田邉 造(諏訪東京理科大)・青山純也・宮城泰雄(日本医科大)・古川利博(東京理科大) |
A-8-6 |
心臓解剖学的部位別動別特徴量を用いた心周期判定によるCNN型心筋梗塞予測
○金井 翼・田邉 造(諏訪東京理科大)・宮城泰雄・青山純也(日本医科大)・古川利博(東京理科大) |
A-8-7 |
心臓の伸長運動に着目した心周期を特徴量としたCNNによる心筋梗塞予想
○深澤光希・田邉 造(諏訪東京理科大)・宮城泰雄・青山純也(日本医科大)・古川利博(東京理科大) |
A-8-8 |
Emotion speech synthesis based on interpolation algorithm
○Chenyu Cai・Jianwu Dang(JAIST) |
本論文は,iPS細胞自立拍動域の動態可視化に基づいた時間周波数解析によるCNN型機械学習を用いた分化度判定モデルを提案している.提案手法は,(Step 1) オプティカルフロー動態解析により動態の方向と大きさを HSV色空間とベクトルを用いて可視化した後に,(Step 2) 細胞の収縮拡張グラフを作成している.次に,(Step 3) この結果の時間周波数解析を特徴量としたCNN型機械学習による分化度判定モデルを作成している.提案手法の特徴は,(i) iPS細胞自立拍動域の可視化と(ii) 動態の特徴量の定量的な評価,さらには(iii) CNN 型機械学習を用いた分化度判定モデルより定量的な分化度の判定を可能にしていることである.
本論文は,心臓超音波映像の心臓解剖学的部位別動態特徴量解析に基づく心周期を用いたCNN型心筋梗塞の予測法を提案している.
提案手法は,
(Step 1) 心臓超音波映像を1フレーム毎に分解したマスク処理にてノイズを除去する.
次に(Step 2) 各フレームにおける心臓解剖学的部位毎の特徴的な動態のみオプティカルフロー解析を行うことで心周期を判定した後に時間周波数解析を行い,
(Step 3) その特徴量からCNNを用いて心筋梗塞を予測している.
提案手法の特徴は,心臓の特徴的な動態にのみ着目していることから高速な処理が可能なことである.
本論文は,心臓の伸長運動に着目した心周期を特徴量とした,CNNによる心筋梗塞を予測する手法を提案する.提案手法は,(Step 1) 心臓超音波画像からマスク処理を用いて不要な情報を除去する.(Step 2) 心臓の心基部・中央部・心尖部の伸長運動に着目した結果から統計学的機械学習を用いて心周期を判定した後に,(Step 3) その結果から時間周波数解析を特徴量としたCNNによる心筋梗塞予測をしている.
提案手法の特徴は,正確な心臓の伸長運動を推定可能なことより心筋梗塞の予測精度を向上させたことである.
Emotional speech synthesis is to converse text into expressive emotional speech. Nowadays, the demand for human-computer interaction is growing, so how to synthesize and express emotional speech has become a hot issue. In previous studies, the method changed emotions through the spread-aware intra-category distance (SA-I2I) method [1], which used interpolation to control the intensity and type of emotions. However, this method does not consider the influence of other emotions in the interpolation process, so that the emotion change is biased. This paper proposes a new interpolation method, which can control the intensity and type of synthesized emotional speech by considering other emotions' influence while ensuring the synthesis quality [2].
3月12日 13:00〜15:30 Meeting 17 座長 田邉 造(諏訪東京理科大)
A-8-9 |
Self-Attention Network with Non-Separable Oversampled Lapped Transforms for Object Recognition
◎Yasas Godage・Shogo Muramatsu(Niigata Univ.) |
A-8-10 |
VVCにおける画素値の特徴量を用いたMTT分割モード高速決定法
◎和田康一・藤田 玄(阪電通大) |
A-8-11 |
Inferring Optimal Landmarks of 3D Reconstruction using Monte Carlo tree search
○Youming Fan・Chang Hengyuan・Gao Yixiao・Atsuo Yoshitaka(JAIST) |
A-8-12 |
強反射領域の検出を用いた反射除去手法
◎山下尚樹・船橋勇那・吉田太一(電通大) |
This work proposes a novel architecture for object recognition. Object recognition is an evolving topic in surveillance systems, intelligent vehicle systems and soon. Although convolutional neural networks are widely used in literature for object recognition, Self-Attention(SA) networks have outperformed such convolutional baselines in different object recognition applications[1].However, exploring variations in SA networks and their effectiveness could yield better performance. This work proposes to adopt Non-Separable Oversampled Lapped Transforms (NSOLT) as a feature extractor[2] together with SA to achieve better accuracy in object recognition. In this study, we verify the effectiveness of the proposed image recognition model by sharing that it outperforms networks based fully on SA.
近年、4Kや8Kなどの動画像の高精度化が進んでいる。動画像の高精度化に伴い、更なる符号化効率の向上が求められている。次世代動画像符号化標準H.266/VVCは既存のH.265/HEVCと比べて、符号化効率は改善したが符号化処理に必要な演算量が大幅に増加するという欠点がある。演算量が大幅に増加するという課題に対処するために、本研究ではCTブロック内の画素値にバラツキがみられることに着目した。標準偏差を用いて画素値の偏りを求め、偏りの少ない分割候補を除外する。偏りの少ない分割候補を除外した結果、演算量の削減につなげることができた。
In recent years, deep-learning method of facial landmark localization has been largely developed. The performances are continuously improved in facial landmark localization tasks. However, it also turns marking process into a black box and makes it unconvertable randomly in marking methods. In the end, there is little previous research interprets which landmarks to choose will affect better. The 68-landmark method is the most popular. In 3D reconstruction field, most studies use this method. We first derive the optimal solution of 68-landmark on 3D reconstruction, paving the way for the future derivation of other landmark methods on various image processing.
ガラス面等での反射が写真に写りこむと画像認識や分類の精度悪化などがあり,その除去が研究されている.従来法では,強い光の反射が存在する領域(強反射領域)を考慮しておらずそれらを除去できていない.従来法は,反射を含む画像は反射成分と背景成分の線形合成と仮定し,それらを分割する手法が一般的である.しかし、強反射領域では反射成分の画素値が飽和しており,背景成分の情報が欠損しこの仮定が成り立たない.そのため本研究では,強反射領域を考慮して深層学習を用いた検出とInpaintingを用いた除去を提案する.実験の結果,提案法は視覚的に強反射領域の除去に成功し,良好な画像が得られた.
休 憩(14:30 再開) 座長 村松正吾(新潟大)
A-8-13 |
ブラインド信号処理に対応したDLS型ブロック適応アルゴリズムとその考察
○小松 稔・横山舞人・田邉 造(諏訪東京理科大)・古川利博(東京理科大) |
A-8-14 |
未知2入力2出力系の入力信号相関が直接逆同定法に及ぼす影響
○西山 清(岩手大) |
A-8-15 |
深層乗算更新アルゴリズムを用いた非負値行列因子分解の統計モデルの学習
◎丹治寛樹・村上隆啓(明大) |
A-8-16 |
スパース制約を用いたグラフブラインド逆畳込み
◎岩田和磨・山田宏樹・田中雄一(東京農工大) |
本論文は,ブラインド信号処理に対応可能としたブロック適応アルゴリズムを提案を提案する.提案手法は,(Step 1) 雑音を含んだ観測信号の相関から疑似チャネル行列を構成する.(Step 2) 観測信号の雑音を考慮したデータ最小二乗型等化器のパラメータをBLMSアルゴリズムにより送信信号を逐次的に復元している.提案手法の特徴は,(i) 直接等化器のパラメータを推定でき,(ii) 復元精度を犠牲にすることなく速い収束速度を得られる.従来手法であるデータ最小二乗法を用いた適応ダイレクトブラインド等化と提案手法を比較し,計算機シミュレーションで示す.
我々の先行研究では、トランスオーラ再生に用いる逆フィルタを求める方法として、未知2入力2出力系の逆システムを高速H∞フィルタを用いて実時間で直接同定する4経路同時直接逆同定法を提案している。本発表では、入力信号の相関が直接逆同定法に及ぼす影響について考察する。
非負値行列因子分解(nonnegative matrix factorization; NMF)は音響信号処理における要素技術として広く知られている.音響信号処理において,NMFを複素スペクトログラムの分解問題として解釈するために,複素分布に基づく統計モデルが検討されてきた.しかし,雑音除去などのNMFの応用において,どのような複素分布を用いればよいかは明らかでない.そこで,本稿では,特定のタスクや音源に適したNMFの複素分布を学習するためのニューラルネットワークを提案する.提案するニューラルネットワークは,NMFの複素分布およびパラメータの最適化アルゴリズムとして同時に解釈できる.さらに,本稿ではスパース雑音除去において提案法の有効性を検証する.
本稿では,厳密なスパース制約を用いた,グラフ上の信号に対するブラインド逆畳込み手法を提案する.グラフブラインド逆畳込みは,複数のノイズを含む観測信号からグラフ上の原信号を推定するためのアルゴリズムである.本項では,S-sparse制約を含む非凸最適化問題を定式化し,それをADMMの反復手法を用いて解く.非凸最適化問題は局所解に陥ることが問題であるが,ADMMは適切な初期値を用いることで非凸最適化問題にも有効であることが実験的に知られている.合成信号に対する実験で,提案手法の有効性を示した.
A-9. ワイドバンドシステム
3月12日 9:00〜11:15 Meeting 18 座長 木下雅之(千葉工大)
A-9-1 |
適応閾値処理による空間分割多重OCCアップリンクの低輝度化
◎川出有紗・中條 渉・小林健太郎(名城大) |
A-9-2 |
小型LCDバックライト制御OCCアップリンクの検討
後藤巧磨・○中條 渉・小林健太郎(名城大) |
A-9-3 |
長距離高速8×8光無線MIMO通信システムの実験的評価
◎中村哲也・Chedlia Ben Naila(名大)・小林健太郎(名城大)・岡田 啓・片山正昭(名大) |
A-9-4 |
回転式LED送信機を用いたイメージセンサ通信におけるAlamouti型時空間符号化のためのデータ受信可能範囲の判定法
◎唐 正強・荒井伸太郎(岡山理科大)・山里敬也(名大) |
室内において互いに干渉なく送受信できるよう,スマートフォンの液晶ディスプレイ(LCD)を送信機,室内カメラを受信機とする可視光通信(OCC)アップリンクの検討を行っている.これまでに空間シンボル間干渉(ISI)を考慮した適応閾値処理により,空間分割多重(SDM-OCC)で,168.75k シンボル/秒(symbol/s)を達成している.本報告ではセキュリティ性を高めるためLCDの低輝度化を図った.
大型液晶ディスプレイ(LCD)を用いた高速バックライト制御による可視光通信(OCC)ダウンリンク技術が実用化され,送信機内蔵ディスプレイが市販されている.この技術を小型LCDのバックライトを利用したOCCアップリンクへ活用を図った.現在,LCDバックライトを高速制御できるスマートフォンはないので,小型LCD単体のバックライトを制御し,OCCアップリンクの実現性を検討した.
本研究では,屋内環境で長距離光無線MIMO通信システムを構築することを考える.光無線MIMO通信システムでは伝搬路行列の形は光学系の素子配置に強く依存している.著者らは,光素子を横一列に配置する線形アレイ配置の方が正方形アレイ配置より優れていることを理論と実験によって示している.そこで本研究では,通信速度の向上を目的に,線形アレイ配置の8×8光無線MIMOについて通信実験を実施し,BERの測定から通信距離特性を評価した.結果として,通信速度200Mbpsにおいて60mで2.8×10^-3以下,65mで1.0×10^-2以下のBERを達成した.
本研究では,送信機に回転式LED送信機,受信機にカメラを用いたイメージセンサ通信(ISC)に注目する.回転式LED送信機とは,LEDを回転させながら点滅させることで残像を生み出し,その残像を利用して通信速度を向上させる装置である.さらに,本ISCシステムの通信性能を向上させるために,我々はLED光の残像に基づくAlamouti型時空間符号化(STC)を提案した.従来のAlamouti型STCでは,最尤推定を利用して近距離通信用データと遠距離通信用データの受信可能範囲を判定していた.本研究では,最尤推定せずにカメラの射影幾何学を利用してAlamouti型STCのための近距離及び遠距離データ受信可能範囲の判定法を提案する.
休 憩(10:15 再開) 座長 中條 渉(名城大)
A-9-5 |
全二重伝送におけるニューラルネットを用いた非線形干渉抑圧
◎石塚崇寛・宮嶋照行・杉谷栄規(茨城大) |
A-9-6 |
全二重フィルタ転送型リレーにおける同時干渉抑圧へのハードウェア不完全性の影響
◎竹腰雄斗・宮嶋照行・杉谷栄規(茨城大) |
A-9-7 |
OFDM移動受信環境下におけるZF等化の演算量軽減法
◎平等尚貴・中村 聡・小松 隆(神奈川大) |
A-9-8 |
アドホックネットワークにおける移動コーディネータの位置決定に関する一検討
○唐澤史門・大野光平(明大) |
本発表では,希望局の送信データの復調を考慮した全二重伝送におけるニューラルネットワーク(NN)を用いた非線形干渉抑圧について提案する.
従来のNNによる非線形干渉抑圧法では,自局の送信信号だけが存在する環境で学習と評価を行っており,希望相手局の送信信号が存在する場合に受信機不整合により動作しない可能性が存在した.
提案法は,希望局からの信号を受信した状態で自身の送信信号と希望信号を用いて干渉を抑圧するようにNNの学習を行うことにより,学習後に希望局からの信号を受信した場合にも干渉が抑圧できると期待できる.
シミュレーションにより,提案法のBER性能が従来法よりも優れることを示す.
我々は,CPなしシングルキャリア伝送におけるフィルタ転送型リレーのための符号間干渉と自己干渉の同時抑圧法を既に提案している.本発表では,提案同時抑圧法に与えるハードウェアの不完全性の影響について報告する.提案同時干渉抑圧法は送信IQインバランスと増幅器の非線形性が存在する場合であっても干渉抑圧が可能であることを示す.シミュレーションにより,干渉抑圧性能に劣化がないことを示す.
近年、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調を利用した通信が多く使われているが、OFDM移動受信環境下では受信特性を劣化させるキャリア間干渉(ICI: Inter-Carrier Interference)が起きてしまう。このICIの影響を補償する方法としてZF(Zero Forcing)法があるが、ZF法は演算量が膨大となってしまう。ZF法の演算量を軽減する手法として、繰り返し復調型ICIキャンセラが提案されている。提案法では、さらなる演算量の軽減を図るため、対象サブキャリヤにおける復調シンボルの重複を利用することにより、逆行列の演算回数削減を行った。
災害時、基地局やアクセスポイントが物理的なダメージを受けてしまった場合、臨時的なネットワークを構築する為、移動コーディネータ(ドローン等)を中継ノードとして用いる研究が行われている。移動基地局車に比べドローン等の小型モジュールでは、電力容量に限りがある。その為、従来のスター型ネットワークではなく、電力効率に優れたメッシュ型アドホックネットワークの利用を検討する。この移動コーディネータは位置により、通信性能が異なるため、配置位置について評価、検討することは重要である。本研究では、より通信状況の良い移動コーディネータの位置を通信シミュレーションにより評価し、位置決定に関しての検討を行う。
A-10. システム数理と応用
3月9日 9:45〜11:45 Meeting 17 座長 坂巻慶行(富士通研)
A-10-1 |
雲画像を利用した局地豪雨予測手法の検討
◎竹花治紀・柳川芳輝・早島 希・尾崎敦夫(阪工大) |
A-10-2 |
人狼ゲームにおける深層強化学習を用いたエージェント
◎福田宗理・穴田 一(東京都市大) |
A-10-3 |
割合推定におけるアンカリング効果のベイズ更新モデルによる分析
◎濱田智明・竹川高志(工学院大) |
A-10-4 |
ARモデルからの区分線形の簡単化
○和氣 彬・塩谷 勇(法政大) |
近年局地豪雨による被害が増加しており,令和2年7月豪雨においては九州地方に局地的に猛烈な豪雨が降り甚大な被害が出ている.局地豪雨の影響は河川の氾濫による洪水や地下への浸水など多岐にわたる.そのため,様々な対策を行うために十分な時間を確保する必要がある.現在,気象庁の高度降水ナウキャウトが存在するが,250m解像度の降水分布は30分後までの予測しか提供されていない[1].
そこで本研究では,観測した雲画像から将来の雲画像を生成するNeural-Network (NN) と,雲画像から降水量を予測するNNとを組み合わせ,30分後以降の局地豪雨を予測する手法を検討している.
本稿では、この提案手法において、雲画像を利用した降水量の予測精度に関する評価結果を述べる.
近年,人工知能による将棋や囲碁などのゲームの大会が開催されている.その1つに人狼ゲームを行う人狼知能大会がある.人狼ゲームで勝つためには嘘をつく能力や,情報の真偽を見極める能力が要求される.これらの能力が 向上することで,人工知能がより高度な判断が可能となり,人間に近づくと考えられる.そのため,この人狼知能大会が注目されている.我々はこれまでの研究で,15人人狼においてニューラルネットワーク(NN)を用いて全ての会話情報を考慮し,各プレイヤ-の役職を推定する役職推定モデルを構築した. 本研究では,構築した役職推定モデルとDeep Q Network(以下,DQN)を用いて,相手から自分への発言内容を状態として入力し,行動の方向性を決める事で,相手の発言に対して受け答えができるエージェントを構築する.
不確かな入力に基づいて意思決定を行う際にベイズ更新が用いられるとしたBayesian brain仮説がある.この仮説を基にアンカリング効果に関する研究でも数多くの成果が上がっている。アンカリング効果は事前に提示された数字によりのちの推定が影響を受ける現象である.Turnerらはベイズ更新の枠組みで正規分布のモデルを,小沢らはTurnerらのモデルで不十分だった前処理とアンカによる違いに着目し対数t分布のモデルを提唱した.前処理で対数をとるため非負実数の推定を行う際の現象を,分布をt分布とすることでアンカによる違いを説明した.本研究では前処理をロジット関数に置き換えることでアンカリング効果の一般化が可能であると考え検証を行った.
区分線形の簡単化とは,海岸線や都市の境界線などを幾何学的な特徴を保持しつつ,より簡単なデータの少ない区分線形で近似を行う問題である.この問題にはすでに多くの手法が考えられてきた.しかし,現在でもあらゆる線に適した手法は発見されていない.
本研究は与えられた区分線形に等間隔に点を配置し,配置した点と暫定的な近似結果との距離を利用した仮想的な時系列データを生成する.生成した時系列データを2次のARモデルで同定し,その結果を用いて暫定的な近似結果に修正を加えることで近似を行う.
休 憩(11:00 再開) 座長 篠宮紀彦(創価大)
A-10-5 |
Restricted Genetic Network Programmingによる外国為替取引戦略の構築
◎内田純平・穴田 一(東京都市大) |
A-10-6 |
集団形成をするマルチエージェントモデルにおける揺らぎの影響
○新川広大・塩谷 勇(法政大) |
A-10-7 |
通信網の冗長性を考慮した被覆制御に関する提案
○平嶋一貴・河尻翔太・白石 將(三菱電機) |
近年,テクニカル分析を用いた株式売買や外国為替取引に関する研究が精力的に行われている. テクニカル分析を用いた投資戦略に関する研究では, 相場のトレンドや転換点を判断するテクニカル指標を組み合わせることにより売買戦略を構築している.しかし, テクニカル指標のシグナルのみを信頼して取引を行っても利益を大きく上げることは難しい.そこで本研究では, テクニカル指標による売買シグナルの強さを定義し, 売買シグナルの強弱を判断基準とすることで安定して利益を生み出す, Restricted Genetic Network Programmingによる外国為替取引における売買戦略の構築を目的とする.
エージェント間の特徴ベクトルの内積によって適合度を定義し、この定義を拡張してエージェント集合とエージェント集合間の適合度を定義する.適合度の高いエージェントが集まってグループを形成し,さらに適合度の高いグループが結合してグループを形成する.その際,グループを形成する適合度に「揺らぎ」を加える.「揺らぎ」は,エージェントの特徴が動的であることを表す.例えば,人は常に同じ特徴を持っているのではなく,その時によって気分や行動が変わるものである.
本研究では,適合度に少量かつ短期間の「揺らぎ」を加えた時にネットワークの満足度が最大となる時間があることを示す.
近年、無人機等を対象としたマルチエージェントシステムにおいて、複数エージェントの協調動作により任務を効率的に実現するための研究開発が盛んに行われている。本発表では、冗長性を持った通信ネットワークを維持する領域監視向けの被覆制御手法を提案する。
3月10日 10:00〜11:45 Meeting 17 座長 金城秀樹(沖縄大)
A-10-8 |
多層構造を持つ離散事象システムの最適スーパバイザ設計の検討
○佐野友規・山﨑達志(摂南大) |
A-10-9 |
基準メンバシップ値を用いた多目的二人非ゼロ和ゲームに対する対話型意思決定
○矢野 均(名古屋市大)・西崎一郎(広島大) |
A-10-10 |
自律分散ロボットのアルゴリズムの検証機能を有するシミュレータについて
○大原拓人・金 鎔煥・片山喜章(名工大) |
離散事象システムに対する代表的な制御方式に論理的な制御仕様を満たすようにシステムの振る舞いを制御するスーパバイザ制御がある。またこれを拡張し,事象の生起と禁止に関するコストを考慮する最適スーパバイザ制御もあり,不確かな環境下でも制御器(スーパバイザ)の設計を強化学習により行う手法も提案されている。しかし,大規模な離散事象システムに対しては学習に時間が掛かるため,著者らは上位・下位の階層構造を導入して効率的に最適なスーパバイザを設計する枠組みを提案している。本報告ではこれを拡張し,多層構造を持つ離散事象システムに対する階層型の最適スーパバイザの設計手法を提案する。
本論文では、多目的二人非ゼロ和ゲームに対して、各プレイヤーは各期待利得に対してファジィ目標を持ち、対応する線形型メンバシップ関数を設定することができるものと仮定する。各プレイヤーのメンバシップ関数に対する基準メンバシップ値を設定することにより、対応するパレート均衡解を求めるための最適化問題を定式化する。相手プレイヤーの基準メンバシップ値を想定することにより、パレート均衡解集合の中から満足解を導出するための対話型意思決定手法を提案する。
分散システム分野における自律分散ロボットについて幅広く研究されているが,与えられたアルゴリズムに従うロボット群の全体の動作を把握することは困難である.ロボット群の動作を可視化するための汎用シミュレータとして,Sycamoreが提案されている.Sycamoreにより,入力したアルゴリズムに従うロボット群をシミュレータ上で動作させられる.しかしSycamoreは与えられたアルゴリズムが正当でない場合も実行されるため,アルゴリズムの正しさは保証できない.一方で,解状況に達しない初期配置である反例を1つでも示すことで,アルゴリズムは正当でないことを証明できるのは明らかである.そこで本研究では,反例の検出により入力アルゴリズムの正当性を検証することを目指す.反例検出には,停止したロボット群が解状況であるかの判定機能と同じ動作のループの検出機能が必要である.
休 憩(11:00 再開) 座長 小中英嗣(名城大)
A-10-11 |
地図上のユーザ追跡に連動するLINE認証を用いた施設利用管理システム
○白鳥祐那・田邉 造(諏訪東京理科大)・秦野克彦(Kiah)・小原隆弘(コイシ)・阿部憲一(Kiah)・原田須恵宏(国東市役所)・古川利博(東京理科大) |
A-10-12 |
大規模イベントを対象としたデータ同化による人流予測手法の検討
◎高山颯太・尾崎敦夫(阪工大) |
A-10-13 |
Wi-Fi Probe Packetを利用した人数分布取得手法の検討
◎△豊味諒磨・藤野雄亮・尾崎敦夫(阪工大) |
本論文は,テニスコートの認証予約と利用者の地図上追跡する施設利用管理システムを提案する.提案手法は, (Step 1) LINE 認証による予約管理と料金管理,さらには, (Step 2) 施設利用ユーザの位置情報をリアルタイムに追跡して地図 上へ可視化管理の3つのシステムで構成されている.提案手 法の特徴は,施設の利用状況を (i) リアルタイムに, (ii) 視 覚的かつ直感的に管理可能となるだけでなく,(iii) 人員不足 対策,施設の利用活性化対策,さらには感染症対策にも対応 可能なことである.
近年,感染症の流行により日本国内の大規模イベントは殆どが中止や延期となっている.また,イベント再開に際しては感染症対策として密集の回避が重要である.この対策として,会場の混雑状況に加え,将来時刻での混雑状況を来場者に提示することにより,混雑回避行動を促すといった方法がある.将来時刻での混雑状況を把握する手法として,マルチエージェントシミュレーションによる人流予測が有効であるが,現実の人流に合うように,リアルタイムにシミュレーションを行う必要がある.既に一方向の人流を対象としたデータ同化手法が報告されているが,本稿では来場者が行き交う双方向の人流を対象とした人流予測手法について述べる.
感染症の拡大に伴い,イベントの中止や規模縮小,商業施設の営業自粛などが相次いでおり,経済活動へ悪影響を及ぼしている.その原因の一つとして,混雑の発生を避ける仕組みが整備されていないことが挙げられる.そこで,本稿では,イベント会場内や商業施設内の人数をスマートフォン等のWi-Fi端末が発するWi-Fi probe packetを取得・可視化することで,混雑の発生を抑制する仕組みを提案する.
A-11. 思考と言語
3月9日 11:00〜11:45 Meeting 9 座長 坪田 康(京都工繊大)
A-11-1 |
社内文書検索に活用するオントロジー構築方法の検討
○小泉賢一・掛野真弘・伏見 渉・阪田恒次(三菱電機) |
A-11-2 |
リズムの有無を考慮したクレペリン作業時の回答数の推定
○渡邊博之(日大) |
A-11-3 |
オンライン授業における課題設定の模索
○鈴木雅実(東京国際工科専門職大) |
検索者は文書の検索結果を確認する時,数ある文書に対して暗黙的に条件を設定し、有益な文書の有無を判断している.この判断には社内の業務知識や経験が必要となるため時間を浪費する.確認時間削減のため,文書検索結果を検索者の意図に合わせた順で表示する事を目的とした文書検索用オントロジーの構築方法および検索方法を検討した.有識者がオントロジーを活用した場合の文書検索結果に有益度のスコアを付与し、nDCGを用いて検索結果表示順の妥当性を評価した結果,nDCGが最大0.33(0.43→0.75)改善した.よって,検討した検索用オントロジーおよび検索方法は,検索者にとって有益な文書を検索し,また検索結果の確認作業の時間削減に有効である.
クレペリン作業ではリラックスと緊張のバランスを示す指標C_α/C_βの値が大きいと,作業量も大きい報告がある[1]。学習時にC_α/C_βの値を大きくするには音楽を聴くなどの方法があるが,多数のパターンを組み合わせて実験で最適値を見つけるには限度がある。そこで,推定で見つける方法が有用となる。これまで,脳波の時系列の推定は報告されているが,組み合わせて新しい脳波を推定する方法はない。
本研究では,クレペリン作業とリズムを聴いたときの脳波を個別に測定し,リズムを聴きながらクレペリン作業する場合のC_α/C_βの値を推定する方法を提案している。また,C_α/C_βの推定値の最大値を求め,実測値と比較することによって,作業量である回答数が最大のリズムを求めている。
オンライン授業の実践に関しては学生の参加意識の低下や教員の心理的負担など種々のストレス要因が重なり,所期の学修到達レベルを担保することが困難となるおそれがある.本稿では教員の立場から「比較文化論」の講義内容に関連する課題設定上の工夫により,オンライン授業の限界を緩和する試みについて紹介する.具体的には,美術展見学レポートおよび異文化コミュニケーションのための創作課題であり,それぞれの事例報告として概要を述べる.
A-12. 技術と社会・倫理
3月9日 9:30〜9:45 Meeting 11 座長 大谷卓志(吉備国際大)
A-12-1 |
ライフスタイルのICT化による環境影響評価
○篠塚真智子・張 暁曦・久田正樹・田中百合子(NTT)・金森有子・増井利彦(国立環境研) |
ICTは人々のライフスタイルを変化させ,地球環境に影響を及ぼしている.
本稿では将来ICTサービスが生活に広く浸透した際のライフスタイルの変化によるCO2排出量を評価し,低環境負荷なICT社会構築に向けた課題について考察する.
A-13. ITS
3月12日 13:00〜15:15 Meeting 18 座長 佐保賢志(富山県立大)
A-13-1 |
合成開口レーダによる道路勾配データの作成検討
◎北田智之・前川智哉・西村茂樹・羽賀 剛(住友電工) |
A-13-2 |
複数のミリ波レーダによる車両追跡
○白永英晃・東 篤司・小河昇平・葉若秀樹(住友電工) |
A-13-3 |
車載環境センサによる路面状況センシングデータの解析
○櫻庭 彬・齊藤義仰・羽倉 淳・新井義和・柴田義孝(岩手県立大) |
A-13-4 |
赤外線レーダを用いた曲面リフレクタコード認識方式における信頼性向上と情報量増加の一検討
◎御宮知佑磨・和田友孝(関西大) |
電気自動車は今後普及することが見込まれているが,充電時間と航続可能距離に課題がある.特に山間部では充電スポットが少なく,さらに貨物車両においては,積載重量と道路勾配が航続可能距離に大きく影響を与えるため,道路勾配の把握が重要となる.しかし,一般的に利用できる標高データ(勾配データはこれの相対値)の多くは,道路面ではなく地表面の標高データとなっていることや,データ作成日の関係から盛土や切土により造成された地帯が反映されていないなどの問題がある.一方で,測量車による測量については,全ての対象道路を走行する必要があり高コストになる問題がある.
本稿では,道路勾配データを安価に作成するため,一般向けに公開されている合成開口レーダ(SAR:Synthetic Apertture Radar)データを用いて,道路の標高データを作成することを目的とし,その方法と結果について報告する.
当社は、アンテナ設計と、車両や歩行者の検知ロジックを活かして、インフラに設置するために最適化したミリ波レーダを開発してきた。さらに当社では、高速道路などの広いエリアをカバーするため、複数のレーダを設置して連携させ、各レーダの検知エリアを跨いで走行する車両の追跡を行えるようにした。本稿では、この複数レーダの連携のために開発した機能と実験結果について報告する。
積雪寒冷地域で運用可能な高レベル自動運転に対する技術的課題には周辺監視センサのノイズ対策が知られているが,積雪や凍結箇所の検知が重要な要素である.本稿では,公道を走行する自動車に外気温,外気湿度,路温,路面判定センサからなる周辺環境センサ群を搭載して,実際の道路状況と比較解析を行った.分析の結果,搭載した近赤外線路面センサは,76.4%の正解率で路面状況を正しく評価した.各センサ出力値相互の相関分析では,外気温と路温が非常に高い相関関係にあったことが判明した一方で,路面センサの摩擦係数がどのセンサに起因しているかの特定には至らなかった.
車載レーダを用いて車両の周辺状況の取得とその他の道路情報等を取得するために,インフラ設備の電柱を想定した円柱にリフレクタを配置したリフレクタコードを用いた曲面リフレクタコード認識方式がある.その曲面リフレクタコード認識方式に対して新たなリフレクタを用いることによる信頼性の向上とリフレクタの凹凸による情報量の増加に関する検討.
休 憩(14:15 再開) 座長 永長知孝(関東学院大)
A-13-5 |
複数歩行者の動作に対応した歩行者車両間衝突回避支援システム
○川下幸都・和田友孝(関西大) |
A-13-6 |
スマートフォンとスマートウォッチを併用したPDRによる屋内位置推定の実験評価
◎若泉朋弥・戸川 望(早大) |
A-13-7 |
モンテカルロ木探索を用いたユーザ個人の嗜好を考慮した経路推薦手法とその高速化
◎石崎雄太(早大)・高山敏典(ゼンリン)・戸川 望(早大) |
A-13-8 |
デジタルタワー管制のための映像情報と監視センサ情報の合成表示
○井上 諭・角張泰之(電子航法研)・上野晃司(フィックスターズ) |
利便性の高い移動手段として自動車が普及しているが,その増加に伴い交通事故などの深刻な社会問題が発生している.問題解決のために,カメラを用いた歩行者検知等が研究されている.これらのシステムにより,交通事故による死亡者数は減少傾向にある.しかし,カメラを用いた検知は,歩行者の死角からの飛び出しなどに対応が遅れるといった問題点がある.そのため,現在でも歩行中の死亡者数は交通事故による死亡者数の一定割合を占めている.そこで,無線通信を用いた歩行者車両間衝突回避支援システムに着目する.
近年,スマートフォンをはじめとする携帯端末の普及により,歩行者向けナビゲーションシステムが多く利用されている.こうしたナビゲーションシステムでは一般的にGPS (Global Positioning System)を利用しているが,屋内や地下では精度が大幅に低下する.
PDR (Pedestrian Dead Reckoning)は屋内位置推定手法の一つであり,歩行者に身に付けられたセンサから得られた加速度や角速度などの歩行データをもとに,現在位置を推定する手法である.
本稿では,我々が提案しているスマートフォンとスマートウォッチを併用したPDR手法について,いくつかの実験フィールドで実験評価する.
過去の提案では直線や1回の方向転換といった単純な経路を実験したが,本稿では加えて方向転換が3回のより複雑な経路で評価する.
スマートフォンやタブレットの普及が進み,経路推薦・案内サービスが幅広く利用されている.従来のサービスでは各ユーザの区別がされないことが多く,現在地や目的地等の入力情報が同じであれば異なるユーザでも同一の経路推薦がされることになる.これまでに我々は,モンテカルロ木探索を用いた経路推薦手法を提案し,同手法がユーザ個人の嗜好を考慮した経路を推薦することを評価実験によって確認した.ところが,同手法には探索対象の経路長が大きくなると実行時間が指数的に増大する問題がある.本稿では,モンテカルロ木探索を用いた経路推薦の高速化手法を提案する.提案手法では,目的地点周辺範囲や区間分割法を新たに定義・導入することで,従来アルゴリズムの高速化を図る.
新たな空港用管制システムとして、カメラや監視センサなどを空港に設置し、ネットワークで結ばれた運用室のディスプレイに情報表示し運用を行うデジタルタワーシステムの研究開発が行われている。この新しいタワー管制システムでは空港の管制塔の視界をディスプレイに映像で表示する。表示される映像は管制塔の(Out of The Windows 以下、OTW)視界と同様に水平360°の画角をカバーする。さらに、デジタルシステムの特徴として、航空機の位置情報を示す監視センサ情報を映像情報中に合成し表示することで、管制業務におけるワークロードの低減などが期待される機能を持つ。本研究では、この映像と監視センサを合成表示する仕組みの検討について報告する。
A-14. スマートインフォメディアシステム
3月10日 13:00〜14:30 Meeting 17 座長 古賀崇了(近畿大)
A-14-1 |
強調画像と原画像の重み付き和による逆光画像の画質改善
◎赤井優斗(山口大)・植田祥明(福岡大)・古賀崇了(近畿大)・末竹規哲(山口大) |
A-14-2 |
マルチスケールガウシアンフィルタを用いた夜間デヘイズ法
○秋田孝文・小島清一・末竹規哲・内野英二(山口大) |
A-14-3 |
区分線形変換を用いた3値誤差拡散法
◎武田修馬(山口大)・植田祥明(福岡大)・末竹規哲・内野英治(山口大) |
A-14-4 |
人体通信型RFIDにおけるタグ条件に対する受信電力特性
○李 贇・佐々木 健(東大)・村松大陸(東京理科大) |
A-14-5 |
Nvidia Jetson TX2を利用した実時間振動イメージングシステム
○島崎航平・Sharma K. Atul・妹尾 拓・石井 抱(広島大) |
A-14-6 |
広帯域OFDMシステムにおけるブラインドIQインバランス補償に関する一検討
◎神岡晃輔・笹岡直人・中川匡夫・伊藤良生(鳥取大) |
逆光条件下で取得された画像や映像では,被写体が暗くなり視認性が著しく低くなってしまうことがある.こうした画像に対して,一般的な画像強調法や逆光画像の画質改善に特化したWangらの手法を適用した場合,過強調や明部でアーティファクトが発生する等の問題が起きる.本報告では,強調処理に伴う画質低下を抑制しつつ,効果的に暗部の視認性を改善する画像強調アルゴリズムを提案する.
屋外で画像や映像を撮影する際,霧や靄などのヘイズが画像中に写り込み,被写体の視認性を著しく低下させることがある.近年,画像処理によりヘイズを除去する研究が広く行われている.しかし,これらの手法では夜間のヘイズ画像に対して効果的にヘイズが除去できない.本報告では,夜間に撮影されたヘイズ画像に対して効果的にヘイズを除去できる手法を提案する.
誤差拡散法は,多階調の画像を少数の階調値のみで再現する方法の一つである.一般的な誤差拡散法では,量子化レベル数が3以上の場合に,中間量子化レベル付近でドット分散性が悪くなることから,画質が低下する傾向がある.本報告では,区分線形変換を用いて原画像から2枚の変換画像を作成し,それらを2値化し,平均することで画質に優れる3値画像を作成する方法を提案する.実験によりその有効性を確認した.
人体を伝送路の一部として利用する人体通信を非接触ICカード等で用いられているパッシブ方式のRFIDに応用し,スマートウォッチ等のウェアラブル機器と組みあわせれば,リーダ/ライターに手を触れるだけで通信できるシステムを構築できる.本研究は人体通信型RFIDタグをさらなる小型化による応用範囲の拡大を目標として,人体通信に接触するタグ条件と受信抵抗値に対する受信電力の関係を数値電磁界解析によって評価した.その結果,振幅2 Vppの信号源に指先で触れた場合,手首部に配置したタグで約7 µWの受信電力が得られ,パッシブ方式人体通信型RFIDの実現可能性を示した.
回転機械などの産業機器の状態をモニタリングするために,オフライン高速度カメラ等により計測された振動解析は非接触かつ遠隔から計測対象の分布的な振動情報を調べる上で非常に有効な技術となっている.一方で,高速現象を瞬時に解析する高速ビジョン技術が開発されており,マルチコプター追跡等の応用事例が報告される中.全ての画素の輝度信号に対する短時間フーリエ変換(STFT) 機能を並列実装することで,画素レベルでの時間周波数応答を瞬時に計算する実時間振動イメージング技術を実現した.
本発表では,実時間振動イメージング技術をNvidia 社のJetson TX2 に並列実装し,500 fpsの640×480 画像の実時間振動イメージングが20 fps 程度で動作することを検証した。
本研究では,ダイレクトコンバージョン受信機内で発生するIQインバランスなどのアナログ回路の不完全性の影響を緩和するため,縦続縦続型補償法の判定部分と補償部分を再度行うことにより64QAMにおける縦続型補償法のさらなる性能改善を検討を行った.具体的には,広帯域OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)システムにて,CNA(Constant norm algorithm)で補償された信号をLMS(Least Mean Square)アルゴリズムを用いて判定帰還と補償帰還を再度行うことで縦続型補償法を含む従来の方法と性能比較をブラインド補償することで行った.
A-16. 高信頼制御通信
3月10日 9:30〜11:00 Meeting 13 座長 小林孝一(北大)
A-16-1 |
メカトロ機器用の60GHz帯ミリ波無線モジュールに関する検討
○佐久間和司・清水 聡・芹澤和伸・鈴木義規(ATR)・大平昌敬(埼玉大) |
A-16-2 |
メカトロ機器用のミリ波アクセス制御モジュールに関する検討
○清水 聡・佐久間和司・芹澤和伸・鈴木義規(ATR) |
A-16-3 |
次数制約付き深層展開を用いた合意制御におけるネットワーク条件の緩和のための一検討
○小川翔也・石井光治(香川大) |
ロボットを始めとするメカトロ機器内部にはハーネスと呼ばれる多くの配線がある.このハーネスはロボットの関節部において屈曲等を繰り返すため,線噛みや疲労による断線等の懸念がある.我々はこの懸念を解消すべく,ハーネスの無線化をワイヤレスハーネスと名付け,いち早く研究開発を進めてきた.昨年度からは,千葉大学,埼玉大学と研究グループを作り,ミリ波を用いて関節部の制御信号を伝送するとともに,関節部への電力伝送も非接触給電により行うワイヤレスハーネス技術の確立を目指している.今回は,その検討状況の一部であるミリ波の通信モジュールを紹介する。
ロボットを始めとするメカトロ機器内部にはハーネスと呼ばれる多数の配線があるが,関節部などで線噛みや断線等の懸念がある.我々はこの懸念を解消すべく,その無線化をワイヤレスハーネスと名付け,いち早く研究開発を進めてきた.昨年度からは,千葉大学,埼玉大学と研究グループを作り,ミリ波を用いて制御信号を伝送するとともに,電力も関節部で非接触伝送するワイヤレスハーネス技術の確立を目指している.今回は,構成するモジュールと試作したアクセス制御モジュールを紹介する.
近年,複雑なネットワーク構造を持つ合意制御が注目を集めており,岸田らによる先行研究では深層展開を用いてデータ駆動型で合意制御アルゴリズムを設計することで制御性能が向上することが報告されている.しかし,先行研究ではネットワークトポロジーに対する汎用性がない.したがって,本項ではネットワークトポロジーに対する汎用性を獲得することを目的に,深層展開を次数中心性で学習する制約を付加することを検討する.
休 憩(10:30 再開) 座長 浜口 清(NICT)
A-16-4 |
同報通信を用いたIEEE802.15.4複数機器無線制御の最適化に関する一検討
◎梅村康寛(名大)・小林健太郎(名城大)・岡田 啓・片山正昭(名大) |
A-16-5 |
Energy Saving Strategy and Implementation for Cooperative Networks
○Lin Shan・Katsuhito Temma・Ou Zhao・Fumihide Kojima(NICT) |
工場などの無線制御では,一つのコントローラが複数の機器を同時に制御する環境が想定される.そこでは,効率的に多元接続通信を行うことで,制御対象全体の制御品質を向上させることが重要となってくる.通信規格の一つであるIEEE802.15.4ビーコンモード用い、複数機器との効率的な通信を検討する.先行研究では,制御品質に基づく割当と無線通信の同報性を利用した手法が提案されている.しかし,この手法では,通信状況を考慮した制御は行っていない.そこで,本稿では,同報通信を考慮して制御則を最適化することで,制御品質が向上することを示す.
Cooperative communication is widely viewed as a promising key technology for improving the energy efficiency of battery-driven mobile terminals (MTs). In this study, we investigate the use of machine learning in user-cooperation access networks. For MT cooperation, we provide a real implementation example which is our developed application on smartphones that can realize cooperative communication in cellular networks.
A-17. バイオメトリクス
3月11日 13:00〜16:00 Meeting 12 座長 高田直幸(セコム)
A-17-1 |
手のひら伝搬信号による多点認証実現に向けた検討
◎奥 朋晃・藤田航平・中西 功(鳥取大) |
A-17-2 |
Elliptic Envelope法を用いた生体検知手法の検討
◎小邨綾果・笠間直樹・前田忠彦(立命館大) |
A-17-3 |
高度偽装物検知を目的とした機械学習判定のための位相特徴量の検討
◎寺西ひろ葉・小林和貴・前田忠彦(立命館大) |
A-17-4 |
小型化CSRR生体検知センサの電気特性
◎松浦悠之亮・前田忠彦(立命館大) |
A-17-5 |
CSRR構造を用いた生体検知センサによる高度偽装物判別のための特徴量の検討
○大友 健・小林和貴・前田忠彦(立命館大) |
本研究では,体表面に露出しない新たな生体情報である手のひら伝搬信号を用いたバイオメトリクス認証の検討を行っている.手のひら伝搬信号とは,手のひら上に入力端として 1 対の電極を設置し,その間に微弱な電流を流す.電流が流れることによりその周囲に漏れ電界が生じる.この漏れ電界が手のひらを伝搬し,出力端で電圧の変化として検出される信号のことである.本稿では,認証に使用する部位が1点であったものを多点に増やすことで個人特徴の増加による認証率の向上を目指し,その導入段階として2点で評価を行った.人差し指と中指の2点では指ごとの特徴差が得られなかったが,人差し指と中指付け根の2点で再度検討を行った結果,伝搬距離の違う2点の振幅スペクトル間に特徴差を見出すことが出来た.
近年, 指紋認証において偽造した指紋を使用した「なりすまし」被害が報告されている. 「なりすまし」被害を防ぐための対策として, 検知対象物が生体か否かを判定する生体検知手法が提案されている.本稿では, 異常検知手法の一つであるElliptic Envelope法を用いて, 高度偽装物の検知精度評価を行った. なお, 高度偽装物としてシリコーンゴム(0.1 mm 厚)を使用している. 実験的評価を行った結果, 従来手法と比べ提案手法は FRR の検知精度の改善が確認できた. 今回の検証データという限定的な条件下ではあるが, 従来手法と比べ検知精度が改善された結果となった. 今後は, より多くのデータを用いて提案手法の検知特性を把握する必要がある.
近年, 指紋認証において「なりすまし」による脆弱性が報告されており, 対応策として生体検知による偽装指判別手法が提案されている.高度な偽装物判定のため, PP フィルムを取り除いた条件下で, 2 - 3 GHz 帯域での判別を行うための特徴量の検討を行う. 新たな特徴量として 2 - 3 GHz 帯域における位相を使用した特徴量の検討を行った. 極大値の有無および, 極大値の位相の値とその周波数, 数値勾配を特徴量とし, LOF 法に適用させた. その結果PP フィルムを除いた場合, 位相の特徴量を用いることで, 2 - 3 GHz 帯域にて偽装指が判別できる可能性が示された.
生体認証技術において , 非生体素材による指紋を模擬した偽装物を用いた「なりすまし」行為による脆弱性が指摘されており [1], 生体か否か判別する生体検知がセキュリティ強化のために重要である .
文献 [2] では , 媒質近接時に特性が大きく変化する CSRR構造を同軸状に配置した生体検知センサが提案されている . また , 文献 [3] では , 文献 [2] のセンサ構造を基に CSRR 構造を大きくし , リング数を増加させたセンサ構造が提案されている . 一方 , 高度偽装物検出のためには , センサの共振周波数に関わる構造の検討をしておく必要がある . そこで本稿では , 文献 [2] のセンサを基に CSRR 構造を小型化したセンサ構造の検討をし , シミュレーションによる電気的特性への影響の確認を行った .
指紋認証において指紋を模擬した偽装物による「なりすまし」被害\cite{1} 対策として,CSRR 構造を用いたセンサ\cite{2} と教師なしアルゴリズムによって偽装物を判別する方法が検討されている\cite{3}.本報告では,より高度な偽装物を想定し,これまでセンサ切削部平坦化のために使用していたポリプロピレンフィルム(0.2mm厚)を使用しない条件下での特徴量を検討した.
休 憩(14:30 再開) 座長 佐野恵美子(三菱電機)
A-17-6 |
勾配法を用いた画像処理による歩行分析に関する研究
◎金子侑加・中島重義(阪市大) |
A-17-7 |
別視点映像による歩行者の識別分類
◎佐藤 佑・中島重義(阪市大) |
A-17-8 |
ウェアラブル膝角度計を使った歩行時疲労度の測定
◎操本壮至・中島重義(阪市大) |
A-17-9 |
歩行時加速度の不安定性に着目した片麻痺患者の回復段階の推定
○山下和暉・中島重義(阪市大) |
A-17-10 |
ECG Circuit Design Using Capacitive Electrodes Aiming for Unconscious and Continuous Health Monitoring
○△Dansong Li・Kakeru Fukuzaki・Reiji Hattori(Kyushu Univ.)・Ayako Shintani・Satoshi Matsunuma(Maxell) |
A-17-11 |
79GHz帯ミリ波センサによる非接触での連続血圧推定
○川崎凌大・梶原昭博(北九州市大) |
画像処理による歩行分析に関して、GEI(Gait Energy Image)を用いるのが一般的である。しかし、GEI では身体部位の隠蔽等の理由により、正確な分析ができない場合がある。そこで、本研究では、歩行者の身体をパーツごとに分けて歩行者のシルエットを作ることで分析する方法につて提案する。この方法を用いる理由としては、GEI では歩行者のシルエット全体から歩行特徴を見つけるが、身体をパーツごとに分けることで、身体の一部分の動きから歩行特徴を見られると考えられるためである。本研究は、歩行者のシルエットに楕円画像を正確にマッチングさせる方法を提案する。
近年, 広域監視を実現するためカメラから離れた位置の人物を認証する手法として歩容解析が用いられている.歩容解析を用いた個人認証での問題点として, 人物の歩行方向やカメラの視点における映像の見え方が変化するということが挙げられる.従来研究では独自の歩行変換モデルを導入することでこれに対応したものがあった. 本研究では,大阪市立大学で開発された方法で求められる重心変化波形を補正することで対応する. また, その方法で抽出した周波数領域特徴を入力信号とした機械学習手法に基づく人物分類モデルを構築した. モデルを用いた分類実験により別視点映像間での分類精度の比較を行った.
従来の膝角度の解析には、ゴニオメータ、モーションキャプチャーなどが使われていた。しかし、剛体の角度計のゴニオメータでの測定は,動きを止める,またはサージカルテープで被検者の体に張り付ける必要があった.モーションキャプチャーはカメラや磁気の測定範囲が限定される.本研究では,着用することによって膝角度を測定することができる新しいグンゼ製の軟体のウェアラブル角度計を使用することで被検者の歩行時の違和感をなくし,電波の通信で角度の記録を行うことによって,測定範囲を制限されず,広い空間での体の動きを解析することができるようにした.疲労度の違う複数の歩行を測定し,比較した.
高齢化社会において対応するべき病気として脳卒中が挙げられ, その後遺症として片麻痺があり運動能力に障害が生じる. 片麻痺のリハビリテーションにおいて歩行能力の回復過程は重要な項目の 1 つとされており, 運動機能の回復の指標としてBrunnstrom Stage(以下 Brs)がよく用いられていが,評価が医師や理学療法士が主観で行うものとなっている.従来の研究では加速度センサの他にフットセンサやEFS を用いて Brs間の分類を行なっている研究があるが,フットセンサやEFSの使用は制限がある.本研究は大阪市立大学で開発された特徴量を加速度のみで計算しニューラルネットワークを用いて、Brs 間での分類実験を行なったものである.
We have been researching on capacitive Electrocardiogram (ECG) because it can satisfy the requirements of unconscious and continuous health monitoring.
ECG signal obtained from the human skin shows electrophysiological and myocardial activities. The common mode voltage, however, does not provide any useful information about the heart rate and may affect the measurement accuracy. Therefore, the ECG system must suppress the environmental electrical noise caused by AC power line, radio frequency interference (RFI), etc. in order to amplify and display the ECG signal. In this paper, a variety of methods for noise reduction of noninvasive electrocardiograph with capacitive coupling electrodes such as setting bias resistance, active guarding, common mode noise reduction circuit, power regulator are developed and evaluated.
血圧は一日の中でも状態や環境によって大きく変化する.そのため,心血管疾患のリスク評価では,動きを制約せず,日常生活の中で長時間かつ連続して血圧をストレスフリーで計測することが望まれる.しかし,一般家庭で用いられているカフ式血圧計は間欠測定であり,装着方法等により誤差が発生する.そこで本稿では,ミリ波センサにより非接触かつ無拘束な連続血圧推定技術を提案する.
A-18. 安全・安心な生活とICT
3月11日 13:00〜16:30 Meeting 25 座長 宮北和之(新潟国情大)
A-18-1 |
小型自立移動式災害対策支援ユニットの評価
◎田島氷河・水野 修(工学院大) |
A-18-2 |
災害時/平常時に向けた自立移動式災害対策支援ユニットを用いた情報提供システムの構築
◎磯貝吉春・田島氷河・水野 修(工学院大) |
A-18-3 |
河道能動制御システムのプロトタイプ構築
○ZHANG CHEN・内藤勇鷹・村松正吾・安田浩保・早坂圭司(新潟大)・大竹 雄(東北大) |
A-18-4 |
ネットワーク対応型市街地火災延焼シミュレーションシステムの開発
○高梨健一・細川直史(消防庁) |
災害時に被災者を支援するため,自立移動式災害対策支援ユニット(D-ZEV:Disaster-robust Zero Energy Vehicle)とD-ZEV miniを開発している.これまでに,被災地の情報を収集するD-ZEV miniが走行する移動モデルとD-ZEV mini同士で情報共有を行う災害情報共有方式を提案した.本稿では,東京都新宿駅周辺エリアでD-ZEV miniを使用したときの有効性をシミュレーションで評価する.結果より,D-ZEV miniを使用することで最大637.6MBのデータを収集することが可能であり,新宿駅周辺エリアの主要施設の情報を集めるには十分な値であるため,有効性を確認した.
災害時に被災者を支援するため,自立移動式災害対策支援ユニット(D-ZEV:Disaster-robust Zero Energy Vehicle)とD-ZEV miniを開発している.D-ZEVは,通信設備を車載した中型自動車である.D-ZEV miniは,通信システムを車載した自転車である.これまでに我々は,D-ZEVとD-ZEV miniを使用した災害情報提供システムを構築し,被災者への情報提供を実現した.本稿では,災害時と平常時の両面で使用可能な災害情報提供システムを構築し,アンケート調査を行い,有効性を評価する.結果より,提案システムの有効性は最大で85%であることを確認し,有効性を示した.
本稿では,河川の健全性を維持するための水制学習システムについて報告する.令和元年 10 月の台風 19 号による豪雨,令和 2 年 7 月豪雨など河川の氾濫・洪水による災害が頻発し,人命の喪失や経済圏の破壊など甚大な被害が生じている.河川災害による被害を減ずるための早急な対応策が求められている.河川災害が激甚化する要因の一つに,河川の蛇行が挙げられる.しかし,河川蛇行メカニズムは未だ解明されておらず,制御法も確立されていない.本研究では,流路を健全に維持するためのサイバーフィジカルシステム (CPS) を提案し,そのプロトタイプシステムにおける水制アクアクチュエーションの評価を目的とする.
市街地火災延焼シミュレーションは従来から大規模地震災害の被害推定や消防活動の事前計画策定、都市計画における防火対策、自治会における防火教育等に用いられている。近年では、平成28年12月22日に発生した糸魚川市大規模火災以降、木造密集市街地等の大規模な火災につながる危険性の高い地域における活動計画の策定等が進められており、消防研究センターにおいても協力を行ってきた。
本報では、消防本部等の活動に資するために消防研究センターにおいて開発したネットワーク対応型の市街地火災延焼シミュレーションシステムについて紹介する。
休 憩(14:15 再開) 座長 山内尚久(三菱電機)
A-18-5 |
スマートフォン連携型の土砂災害関連情報TV通知システムの構築
○細川拓也・徳本敬祐・小林 真・新 浩一・西 正博(広島市立大) |
A-18-6 |
無人航空機を用いた電波での被災者検知に向けた920MHz帯電波伝搬特性に関する一調査
◎加藤諒一・小林 真・新 浩一・西 正博(広島市立大) |
A-18-7 |
無線アドホックネットワークを用いた列車内混雑度推定に関する検討(その2)
○稲玉慶広・行田弘一(芝浦工大) |
A-18-8 |
グラフの部分彩色と無線通信におけるチャネル割当
○田村 裕(中大)・中野敬介(新潟大) |
集中豪雨による土砂災害では,避難の遅れによって多くの人的被害が生じている.例えば甚大な被害を西日本にもたらした2018 年7 月の豪雨では避難率は4.6%と低くかった.被害を未然に防ぐために,住民の早期避難を促す防災情報提供の重要性が高い.本研究では,近年普及率が高まってきているスマートフォンとTV に接続した小型PC をBluetoothで連携させることで,インターネット回線がスマートフォンのみの高齢者世帯でも利用可能な土砂災害関連情報TV 通知システムの構築を行った.
土砂災害現場では,広範囲な情報収集を迅速にできる無人航空機が注目されている.本研究では,基礎的な評価として地中の送信機から受信機を搭載した無人航空機を垂直方向へ飛ばした際の920MHz伝搬特性について調査を行った.今回の測定から,60mの高さで無人航空機を飛行させても,受信電力は-80dB以上であり,地中0.5mの被災者を検知できる可能性が確認できた.さらに,対数近似の結果,パスロス係数は約2.1となった.このことから地中に埋めた送信端末から受信端末への伝搬では,地中から地面までにおいて電波減衰はあるものの,地面から無人航空機との間に障害物がないため,自由空間伝搬が支配的であったと考えられる.実験結果から,無人航空機の高度上昇と受信電力の低下との関係を示した..
現在日本で導入されている列車内の混雑度推定方法には,コストが高いという問題や,列車内で推定が完結しないという問題などがある.我々は低コストかつ列車内で推定が完結する混雑度推定システムの実現を目的として,乗客の持つスマートフォンなどの無線 LAN 搭載端末で構成される無線アドホックネットワークを用い,車掌の持つ端末において混雑度を推定する方法を提案した.今回は提案手法を用いた列車内乗客端末数1000までの推定結果,及び列車内部の乗客端末と列車外部端末を判別手法の推定結果を述べる.
無線通信におけるチャネル割当とグラフ理論における彩色問題は古くから関連性が示され,様々な研究がなされてきた.彩色問題の一つに部分彩色があり,これは,一部の点や辺にあらかじめ色を塗り,その後で全体を彩色するものである.部分彩色については多くの研究があるが,本文では,無線通信におけるチャネル割当への応用を念頭に置いた問題を紹介する.
休 憩(15:30 再開) 座長 新 浩一(広島市立大)
A-18-9 |
電気自動車のながら充電における駐車場規模からのサービス品質の推定について
○宮北和之(新潟国情大)・佐藤友香・中野敬介(新潟大) |
A-18-10 |
労働災害データベースの活用と課題
○濱島京子(安衛研) |
A-18-11 |
図面変換への回路設計に関する規則の適用検討
◎植野 岳・安友洋平・河村美嗣・川島佑毅・山内尚久(三菱電機) |
A-18-12 |
グラフDBを活用した受配電設備管理システムの統合管理方法
○河村美嗣・植野 岳・安友洋平・川島佑毅・山内尚久(三菱電機) |
電気自動車(EV)の普及のためには,ガソリンの給油に比べて長い充電時間の問題を改善する必要がある.そのため,店の駐車場等で用事を済ませている間に充電を行う「ながら充電」が考えられており,これにより充電のための体感待ち時間をどの程度軽減できるかなどの研究が行われている.これらの研究において,各店舗へのEVの到着率や駐車場の収容台数が重要なパラメータとなるが,充電の体感待ち時間を推定するために,パラメータを推定して実際の値を知ることは必ずしも簡単ではない.本報告では,インターネット上で公開されている航空写真を用いることによって,店舗における駐車場の収容台数を推定し,これをながら充電のサービス品質の推定に用いる方法を提案する.また,駐車場に実際に駐車している車の台数も航空写真から算出することによって,各店舗へのEVの到着率を推定する手法も提案する.
厚生労働省が職場のあんぜんサイトで公開している,労働災害(死傷)データベースおよび死亡災害データベースは,労働安全衛生法で努力義務化されている「危険性又は有害性に関する調査(以下,リスクアセスメント)」で災害プロセスを想定する際に有用なデータである.しかし,機械判読性に係る問題点がいくつもあるために,オープンデータのようなデータ活用が進んでいないことが推察される.本発表では,死傷データベースの事故型別起因物(中分類)別集計結果を示し,活用の案を示すとともに,解消を要する問題点を指摘する.
電気系統の図面において古いものや設備点検用のものは、紙やPNG、PDF形式で保存されており、再利用や管理ができるようにデジタルで作成・保存することが必要となっている。本発表では、図面から図面を構成する機器や機器間の接続関係のデータを取り出す手法について提案する。
受配電設備の監視・制御を行う受配電設備管理システムでは、設備の物理配置や電力系統の接続関係を管理する他、機器の設計・設置・運用に関わる様々なデータを管理する。
従来の受配電設備管理システムにおける設備管理方法では、設備の物理配置や電力系統の接続関係を管理していたが、運用時に蓄積される計測データ・点検記録を同じデータベースで管理できないため、故障診断のための全データを横断したデータ分析などができなかった。
本論文では、グラフデータベース(グラフDB)を用いて受配電設備のライフサイクル間の各フェーズで扱われるデータを連携して管理する統合管理手法を提案する。
A-19. ハードウェアセキュリティ
3月10日 10:15〜11:00 Meeting 43 座長 鈴木英明(富士通セミコンダクターメモリソリューション)
A-19-1 |
IoT共通プラットフォームのための生産ライン解析可視化とボトルネック予測システム
○△若林郁弥・田邉 造(諏訪東京理科大)・古川利博(東京理科大) |
A-19-2 |
利用環境を考慮したラップトップからの電磁的情報漏えい評価
◎福嶋章悟・藤本大介・林 優一(奈良先端大) |
A-19-3 |
FPGA消費電流シミュレーションに向けた要素回路に対する電気計測手法の検討
◎森崎啓太・和田慎平・藤本大介・林 優一(奈良先端大) |
本論文は,IoT共通プラットフォームを用いたボトルネック判定システムを提案する.提案手法は,(Step 1) 工場機械に設置した自作 IoT deviceのセンサデータを Zigbee 通信によって工場サーバへ送る.(Step 2) 工場サーバからインターネットを介して送られてきたデータをメインサーバで解析した後に,(Step 3) その解析からボトルネックをWeb上に予測している.提案手法の特徴は,(ⅰ) 各製造工程を動的システム・ダイナミクスモデルと,(ⅱ)ピッチダイアグラムの2つを用いてボトルネックを予測していることである.
ラップトップから放射される電磁波を取得することで映像情報が電磁的に取得される脅威が報告されている。ラップトップが利用される環境は多種多様であり、これがディスプレイからの漏えい電磁波の伝搬に大きな影響を与える可能性がある。本発表では、ラップトップ利用時の設置環境や給電環境に着目し、利用環境がディスプレイの映像情報漏えいに与える影響を評価する。
FPGA(Field Programmable Gate Array)は汎用の CPU に比べ て性能を高めることができ、内部の論理を再構成可能であ るため、自動運転車などのアプリケーションにおいて実製 品への利用が進みつつある。一方で、内部の回路の物理的 な情報は非公開であり、専用回路で行われている電力解析 攻撃への耐性を評価するための消費電流の時間変化波形シ ミュレーション[1]を行うことは困難であった。そこで本稿 では、FPGA 内部の要素回路ごとの消費電流を推定するた めの電気計測手法の検討を行う。
H-1. ヒューマンコミュニケーション基礎
3月10日 13:00〜16:15 Meeting 14 座長 熊野史朗(NTT)
H-1-1 |
大画面LEDディスプレイおよびプロジェクションによる画像・映像表示の心理評価II
○中津良平・土佐尚子(京大)・高田裕之(テルミック)・楠見 孝(京大) |
H-1-2 |
音楽演奏システムのUIと楽譜の改良および評価
○出口幸子(近畿大) |
H-1-3 |
アニメ制作における台詞に相応しい動作の選択
○山本正信(新潟大) |
H-1-4 |
集団内での個人の価値基準形成モデル
◎松本 駿・竹川高志(工学院大) |
H-1-5 |
共感に基づいた依頼の諾否モデル
◎永井明日美・竹川高志(工学院大) |
H-1-6 |
供給が不安定な状況での個人の購入行動と品不足に関するモデル
○前田新太・竹川高志(工学院大) |
映像や画像を高輝度のプロジェクターや大型のLEDディスプレイを使って表示する機会が、イベントや広告、美術館などにおいて増えてきており、場面・コンテンツに応じていずれが適しているかの比較が重要である。前回はアートコンテンツとテキストコンテンツを使用した場合の比較実験を行い、アートコンテンツに関してはLEDディスプレイの使用が有効であることを示した[1]。今後は大型のLEDディスプレイが、テキストと画像・映像が混在したコンテンツを長時間視聴する講演・会議などの場面でも使われることが多くなると考えられる。今回は、講演・会議などでの使用を仮定し、数十分という長時間視聴した場合におけるLEDディスプレイとプロジェクションの比較を心理実験を通して行ったので、実験方法や結果について報告する。
筆者らは,高齢者とその介護者・家族のQOLの向上のために,誰でも容易に演奏できるシステムを開発してきた.本研究では,介護施設で音楽演奏の講座を実施し,そこで得られた知見を基に,新たなUIを開発・改良した.音域を限り,黒鍵を無くして調弦で音階を変更できるようにし,楽譜から#・♭を無くした.本UIとキーボードとを比較するため学生33名に対して評価実験を行い,本UIの有用性が示された.一方,楽譜表示システムを改良し,音価の表現2種類(音価を空間的距離あるいは記号で表現)に対し評価実験を行った.前者の有用性を確認し,また後者を支持する人がいることも確認した.
映画、ドラマ、演劇、アニメなど台詞のあるコンテンツでは、発話と動作(しぐさ)の関係は重要である。近年、演劇界の一部からその関係を見直す動きが出てきた。本稿でも、アニメの制作において台詞と動作との関係を再考することにした。
人は他者に影響を受け,自己の価値基準を形成している.価値基準は人それぞれ異なる形を成しているが,相互に影響を受け合っているためコミュニティ集団のネットワーク構造が存在すると考えられる.価値基準がどのように形成されるかをモデル化できれば,集団内のネットワーク構造を観測することができるのではないだろうか.
本研究では,価値基準の形成・変化を再現(理解)するために単純な学習モデルを用いてシミュレーションを行った.結果,環境に存在する他者とランダムに接触する場合,個性的なエージェントからは個性がなくなった.また,価値基準の収束値は学習率の大きさに起因することが確認された.個性を持たせるためには,接触する他者に偏りを持たせることが必要であった.
明確な報酬を伴わないで依頼を行う場合が多数存在する.この依頼関係において,依頼を引き受けることはコストのみが発生し利得が得られないため,一見,合理的ではない.しかし,人間はこのような場面において,依頼を引き受けることがある.このような行動は,一般には将来の利得を想定した心理的な貸しや借りにより解釈しうると考えられる.しかし,実際に引き受けるか否かにあたっては何らかの根拠が必要となる.本研究では,被依頼者が依頼者の利得に共感することが報酬にあたるものと想定し,数理モデルを用いてシミュレーションを行った.
2020年2月末以降コロナ情勢下において,生活必需品の供給が減少するという情報が広く取り上げられた.その結果,通常より多くの生活必需品を購入する人が現れ,店頭で品物がなくなり,購入したい人が購入出来ない品不足の事態となった.人々の行動は必要以上の購入をする「買い占め」にあたるのだろうか.必要最低限の量だけを個々人が購入していたのであれば本当に品不足は起きなかったのか.
本研究では,供給が不安定な状況において各個人にとって適切な購入行動をしらべるため,モデルに基づいて個人の利得の検証を行った.また、経験による行動の変更という点を考慮したシミュレーションを行い,結果を検証した.
休 憩(14:45 再開) 座長 山田雅敏(常葉大)
H-1-7 |
クラスター分析によるゲーム依存のタイプ分類
○横田健治・田名部浩美(KDDI総合研究所) |
H-1-8 |
スマートフォン嗜癖の実態把握ならびに検知に関する検討
○小林 直・三宅佑果・畑川養幸(KDDI)・本庄 勝(KDDI総合研究所)・田中沙織(ATR) |
H-1-9 |
スマートフォン嗜癖診断システム開発に向けた, 臨床現場でのスマートフォン利用ログ分析
◎池田直樹・浜村俊傑・本庄 勝・米山暁夫(KDDI総合研究所)・小林七彩・中島涼子・治徳大介(東京医科歯科大) |
H-1-10 |
スマートフォン嗜癖とコーピングの関係に関する一考察
○三宅佑果・小林 直・畑川養幸(KDDI)・浜村俊傑・池田直樹・本庄 勝(KDDI総合研究所) |
H-1-11 |
マナー行動改善を目的とした情報提示システムの検討
○椿 泰範・古木一朗・宮城惇矢・橘 温希(三菱電機) |
H-1-12 |
歩きスマホ抑制に向けた介入コンテンツの検討
◎栗木優一・徐 文臻・多屋優人(KDDI総合研究所)・小林 直(KDDI)・南川敦宣(KDDI総合研究所) |
近年,ゲームに依存する人の増加が世界的に社会問題となっており,2019年5月にWHO(世界保健機関)がゲーム障害を疾患として認定した.日本においても,ゲーム依存に関するアンケート調査がいくつか行われているが,ゲームに依存しているかの判定基準や依存している人のゲーム関連行動の特徴について明らかになっていない点がある.そこで本研究では,ゲームに依存している人をクラスター分析によりタイプ分けし,タイプごとのゲーム関連行動の違いを分析する.
近年,スマートフォン(スマホ)はゲーム,動画,SNS等といった通話以外の利用の幅が増えている.一方,スマホ利用が長時間化することで,日常生活に悪影響を与えてまでスマホを利用してしまうスマホ嗜癖も顕在化し始めている.本稿ではスマホ嗜癖の実態把握とスマホ嗜癖の検知を目的に52,737名の被験者を対象とした質問紙調査,質問紙調査結果から選定した40名の被験者を対象とした3カ月間の行動実験を実施し,スマホ嗜癖と関連する行動について分析した.
過度にスマートフォン (以下, スマホ) を利用するスマホ嗜癖が社会課題となっている. 不登校や引きこもり等, 病的なスマホ利用の方においてはネット依存外来等臨床現場での治療が行われている. スマホ嗜癖の評価は, 医師の診断やアンケート形式の自己評定が主であり, スマホ利用ログの客観的な分析は十分にできておらず, 学術的な報告は国内外を通じて存在しない. そこで本稿では, スマホ嗜癖の重症度を診断するシステムの開発を目的とし, 国内のネット依存外来の患者を対象としたスマホ利用ログとスマホ嗜癖重症度との関連を探索的に調査した. 結果, 臨床現場でのスマホ嗜癖の自己評定の限界とスマホ利用ログの有用性が示唆された.
日常生活に悪影響を与えるまでスマートフォン(スマホ)を利用してしまうスマホ嗜癖が問題となっている. ストレスがかかった時の対処の仕方(コーピング)により,スマホ嗜癖傾向も変化する可能性があるため,本研究ではスマホ嗜癖とコーピングに関係があるか検討した.結果,スマホ嗜癖と正と負の相関があるコーピングがわかったが,いずれも相関係数が低かった.これは利用方法の違いにより相関が相殺されてしまったためである可能性がある.今後は利用方法が類似するクラスタごとにスマホ嗜癖とコーピングの関係を検討する.また,ストレスがかかった時にスマホ嗜癖傾向と負の相関があるコーピングを使うことで,スマホ嗜癖傾向が変化するか確認する.
公共の場では、マナーを守らない、または、マナーを知らない人(以降、マナー違反者)の行動が周囲の人を不快にさせる問題がある。現行のポスターやアナウンスによるマナー向上策の効果は必ずしも高いとはいえず、マナー違反者に直接注意することはトラブルの原因となる可能性がある。本研究ではマナー違反者に対してさりげなく気づきを与え、マナー違反者が不快感を抱くことなく自発的にマナー違反行動を是正可能にするシステムの実現を目指している。本稿では、マナー行動改善に効果的な注意情報の検証を目的に、弊社内で実施した実証実験の結果について報告する。
近年,スマートフォンを操作しながら歩行すること(以下「歩きスマホ」)によって発生する事故が社会問題となっている.本研究では,歩きスマホ抑制につながる行動変容方式の確立を目指し,歩きスマホをするユーザの特徴を明らかにするとともに,渋滞の迂回行動に関して行動変容の効果が確認できているシミュレーション効果,感情的アプローチを用いたコンテンツが歩きスマホを抑制する効果について検証を行った.結果,歩きスマホに関する7つの行動に関して,ユーザの特徴を3群(歩きスマホ低頻度群,効率性重視群,全般利用群)に分けられ,感情的アプローチを用いた画像3を提示することで,歩きスマホの実施意向が提示前より低減することを確認した.
H-2. ヒューマン情報処理
3月11日 13:00〜16:30 Meeting 14 座長 望月理香(NTT)
H-2-1 |
Autoencoderによる生体情報を用いたコミック読者の感情推定
○小野浩輝・菅沼 睦・亀山 渉(早大) |
H-2-2 |
生体情報を用いたSRC辞書中に含まれない映像視聴者の感情推定
○持倉有紀・菅沼 睦・亀山 渉(早大) |
H-2-3 |
表情・声色・体動の長時間計測による固有感情状態モデリング
◎栗林 潤・島田伸敬・松尾直志(立命館大) |
H-2-4 |
生体情報に基づく感情把握に関する一考察
○加藤徹洋・長谷川 渉・中野泰彦・村下君孝・山田 浩(デンソーテン) |
H-2-5 |
印象を考慮した画像に基づく音楽生成手法の検討
◎渡邉祥太朗・井上勝文・吉岡理文(阪府大) |
H-2-6 |
利用規約中の特異な文章を強調するインタフェース
◎竹ノ内朝陽・矢谷浩司(東大) |
H-2-7 |
加齢による色覚への影響を考慮した視覚的注意の計算モデル
◎渡邊康希・佐藤敬子(香川大) |
H-2-8 |
マルチスペクトル画像を用いた色覚異常の見え表現とその評価
◎洲脇拓実・佐藤敬子(香川大) |
高精度なコミック推薦システム構築のために, 新たなメタデータとして読者の感情を利用することが検討されている. 生体情報を用いた感情推定には, しばしばアンケート回答を正解データとした教師あり学習が用いられるが, 主観によるアンケート回答は正しいとは限らないため, 精度向上に限界がある. そこで本稿では, コミック読者の生体情報をAutoencoderで次元圧縮し, 得られた特徴表現に対してクラスタリングを行った. その後, クラスタリング結果とアンケート回答の対応を取ることで, アンケート回答を正解データに使用しない感情推定手法を試みた. 結果として, 特定の感情データの相対頻度が高いクラスタが確認され, 感情分類の可能性が示唆された.
本稿では,複数の映像視聴者の生体情報とアンケート回答を用いて,ある視聴者の感情推定が他者のデータ及び自身の異なる映像に対するデータを用いて可能かをSRC(Sparse Representation-based Classification)によって検討した.被験者の映像視聴時の瞳孔径,基礎律動,RRI変化率,顔特徴点を結合させたデータを用いて,ある被験者及び他者の生体情報データを辞書として新規映像視聴時データに対する推定を行った.その結果,生体情報を用いたSRC辞書中に自身のデータが全くない被験者の感情推定は難しいが,推定対象者の他のデータがあれば辞書に含まれない映像に対する一部の感情を推定できる可能性が示唆された.
人の感情状態を推定するという技術の開発が行われている。例えば、人間が口角を釣り上げている表情と笑い声という聴覚情報を結び付けることによって笑っているという感情状態を推定するといった視覚と聴覚をリンクした先行研究がある。また体の動きや姿勢などといった動作を上記のような視覚や聴覚と結び付けて推定する事例はあるが、いずれも個人差を考慮しないまたは普遍的な基準で推定している。
しかし、感情状態は個人によって差があるので、個別に計測する必要があると考えられるので、本研究では動作を状態に組み入れ個性を反映した推定をすることによって、より詳しい個人別の感情領域と状態を推定することを目的とする。
人の状態に応じて活動・成長を支援するためには、感情状態を把握することが重要である。例えば、自動車運転の際に、ドライバーの感情によって判断や操作が変わる。本稿では、Russell円環モデルを自律神経の観点から考察し、快適度を交感神経との相関、覚醒度を副交感神経との逆相関と見なし、心拍・脳波からこれらを独立に推定して感情を把握する手法を提案する。心臓は交感神経・副交感神経の双方が繋がっているため、心拍に基づく快適度推定に副交感神経が与える影響の有無についても調査する。
共通の印象を持つ視覚・聴覚情報の組み合わせによって,全体の印象を強調させられることが知られている.本研究では,画像と音楽を組み合わせたコンテンツを魅力的なものにする第一歩として,画像が持つ印象に基づいた音楽生成手法を提案する.また,自動音楽生成の研究で着目されてきたオリジナリティや音楽的自然さについても魅力的なコンテンツの作成に必要だと考え,本手法ではオリジナリティを担うメロディを生成すると共に,画像が持つ印象の反映と音楽的自然さを目的とした多目的最適化により和音進行を生成する.
利用規約を読解した上でオンラインのサービスを利用するユーザは極めて少ない.筆者らは先行研究において,既存の利用規約の表示手法はユーザにとって不十分で,利用規約に一般的でない内容が含まれている場合ユーザが見逃すリスクが高いことを明らかにした.本研究では,このようなリスクを低減するようなインタフェースの構築を目指し,インタフェースのプロトタイプを実装した.本プロトタイプは,現時点で筆者らが先行研究で構築したウェブサイトで動作するブラウザ拡張機能である.今後,本ブラウザ拡張機能を様々なサービスの利用規約のページで利用可能にすることを目指す.本報告では,構築したプロトタイプおよび使用した技術について述べ,今後の展望について論じる.
視覚的注意の代表的な計算モデルであるIttiらの手法は,顕著性マップ作成時に人間の色知覚システムに則った計算を行っていない.また,計算モデルの対象は若年者であり,加齢による色覚への影響は考慮されていない.そこで本研究では,加齢による色覚への影響を考慮する視覚的注意の計算モデルの提案を目的として,代表的な手法であるIttiらの計算モデルを,色知覚システムと高齢者の色覚特性を考慮した計算モデルへ改良した.また,改良した計算モデルの評価のために,高齢者の見えを模擬した眼鏡を着用した若年者に対して,画像の自由注視実験と視線計測を行い,提案した計算モデルから求めた顕著性マップと,注視量を可視化したヒートマップを比較した.
色覚異常者の見えを正常色覚者が理解できるように表現するための手法として,Yaguchi et al. は,マルチスペクトル画像を用いて異常強度に応じて見えを表現する手法を提案した.この手法は,マルチスペクトル画像(各波長における反射率)と,異常強度に応じてシフトさせた錐体感度関数を用いることで,より正確な色覚異常の見えシミュレートが可能であるとされている.しかし,見えの評価として1型異常色覚者に対する実験が行われていない.本稿では,Yaguchi et al.のマルチスペクトル画像を用いた異常3色覚の見えシミュレートの評価を目的として,色覚異常者の錐体感度関数に基づいて作成した見え画像が,1型色覚者の異常強度に沿って表現できているのかについて実験的に調べた.結果として,異常強度が大きい参加者ほど,弁別閾が大きくなり,Yaguchi et al.の手法は,1型色覚異常の見えを異常強度に応じて表現できている可能性を示唆した.
休 憩(15:15 再開) 座長 望月理香(NTT)
H-2-9 |
本能を活用した運動学習
◎福田収一(慶大) |
H-2-10 |
マルチタスク学習を用いたセンサデータからの行動認識
◎△向井大貴・野見山哲平・白浜公章(近畿大) |
H-2-11 |
導電糸を用いたウェアラブルデバイス向け手書き文字入力デバイス
◎篠田和宏・原田珠華・佐野由季・安斉 周・矢谷浩司(東大) |
H-2-12 |
頸部トルクを基準としたHMDの重心と重量の許容範囲の検討
◎真壁亮太(芝浦工大)・伊藤弘大(産総研)・大倉典子・木村昌臣(芝浦工大)・多田充徳(産総研) |
H-2-13 |
異常検出アルゴリズムを用いた顔面熱画像における深部温変動の検出
◎高野聖仁・正木彩花・南雲健人・大岩孝輔・野澤昭雄(青学大) |
運動学習(MOTOR LEARNING)において独習するための評価尺度を非ユークリッド空間の順序尺度であるマハラノビスの距離を利用して与えた。これにより「呪いの尺度」が問題となるユークリッド空間の方法から脱却した。またパターンと組み合わせることにより運動学習の全体イメージを掴めるようにした。これにより「カン」と「コツ」における「コツ」、すなわち「ワザ」の学習を容易化した。さらに、本能を活用することにより「カン」を活かした適切な状況判断、意思決定を可能とした。
現在,多くの機械学習手法では,単一タスクのモデルを定義し,パラメータを最適化していくことで許容できる精度を達成している.そのため,単一タスクに依存した特徴抽出は行っているが,他の関連のあるタスクの特徴が重要視されていないという問題がある.例えば,人がドアを開けるときは,まず間違いなく立っているはずである.そのため,立っているという行動を認識するために有用な特徴は,ドアを開けるという行動を認識するためにも有用である.本研究では,このように関連し合う複数のタスクに対するモデルを同時に学習するマルチタスク学習を用いる.これにより,個々のタスクで独立したモデルを学習するよりも一般化された特徴を抽出できることが期待される.
ウェアラブルデバイス向けに文字入力を行うための研究は多数行われている.しかし既存手法では,文字入力をするために覚えるべきことが多いこと,身につけた時に違和感のあること,入力時の姿勢や動作が不自然になってしまうこと,入力に視線の注意が常に必要なことの4点の課題がある.そこで本研究では,それらの課題を克服するためにズボンの上にストライプ状に導電性の糸を編み込んだデバイスで手書き入力を行うデバイスを開発する.このデバイスは構造上ストライプ上の垂直方向のみの検出が可能なため,1次元上の入力データを用いた手書き文字認識を実装した.最後に,このデバイスの文字認識の精度を評価する.
近年HMDの需要は高まりつつあるが、HMDは頭部への荷重や前方へ偏る重心から身体への負担が問題視されている。本研究では安全面を考慮した重心と重量の基準を設定するために、実験でHMDの着用が許容できる頸部トルクの閾値を調査し、シミュレーションで姿勢とHMDの条件から頸部トルクが閾値を超える組み合わせを調査する。実験ではHMDを模した治具に錘を装着し姿勢を測定した。実験とシミュレーションの結果から首の傾きが水平に近づく姿勢で, 500gから600gの間で閾値を超えることがわかった。今後の課題としては、複数の実験協力者の結果の比較と、閾値が正確なものか検証することが挙げられる。
顔面皮膚温は、赤外線サーモグラフィにより遠隔計測が可能な自律神経系指標である.これまでに、顔面皮膚温から眠気などの生理心理状態を判別する研究が行われてきた.しかし、多様な生理心理状態の全てを判別することは不可能である.応用に際しては、正常状態を判定できれば良いケースも多い.先行研究では深層生成モデルを用いて、顔面皮膚温の正常及び異常状態を分離する手法を提案した.しかし、体調などの生理状態に起因する皮膚温変動を検出する検討は行われていない.本研究では、実験により被験者の深部温上昇を喚起し、体調不良時の顔面皮膚温を再現した.その後、顔面皮膚温の正常時モデルを構築することで深部温上昇の検出を試みた.
H-3. メディアエクスペリエンス・バーチャル環境基礎
3月12日 13:00〜16:45 Meeting 24 座長 磯山直也(奈良先端大)
H-3-1 |
VR空間での斜面滑降時における人間の体性感覚と視覚の関係
◎高山英士・小方博之(成蹊大) |
H-3-2 |
CGおよび音声のリアリティがアバタを用いるコンテンツの印象に与える影響
◎△坂井優太・小宮山 摂・田辺弘子(青学大) |
H-3-3 |
香りによる情景想起の基礎的研究
◎小内彩椰・伊関方晶・中本高道(東工大)・Nathan Cohen(Univ. of Arts London) |
H-3-4 |
ARを用いた震災記憶の提示に関する研究
○上関啓斗・三浦竜矢・安藤敏彦(仙台高専) |
H-3-5 |
オペラブルリアリティのためのMRにおける収納家具の対話的取り込み
◎前田康佑・野村朋哉・島田伸敬・松尾直志(立命館大) |
H-3-6 |
Use of Virtual Reality for Improving Driving Skills and Its Properties
○Yuejun Xu・Makio Ishihara(Fukuoka Inst. of Tech.) |
H-3-7 |
歩行者を含む実写映像からの4Dシーンモデリングの初期検討
◎田中来樹・出口大輔・川西康友・村瀬 洋(名大) |
VRはコンピュータ上で作られた仮想空間をユーザに体験させることが出来るが、例えばスキー滑降の加速を体験させるにしても、実際の加速をかけることなどに限界がある。そこで本研究では視覚と体性感覚刺激を被験者に与えた場合の知覚との関係を究明することを目的として、立位姿勢と座位姿勢でのそれぞれにおいてVR空間内で斜面滑降時に現実環境の斜面の角度を操作したり、映像の加速度を操作したりし、これらの操作がユーザに知覚されずにどれだけ操作可能かの閾値を恒常法の絶対閾を用いて特定し、仮想環境と現実環境での動きを同一と認識する主観的等価点(PSE)も確かめた。
VR(Virtual Reality)空間で認知タスクを行う場合,使用するアバタのリアリティがパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があることや,リアリティの高さが人間に不気味な印象を与えることから,アバタとのコミュニケーションにおいて,その円滑さを決める要因の一つとしてコンテンツのリアリティが挙げられる.本研究では,VR空間でアバタ・環境(アバタのいる空間)・音声の各要素のリアリティがコンテンツの印象に及ぼす影響を検証するために,アバタが小説を朗読するアニメーションを被験者に提示し,内容の主観的理解度を答えさせた.結果として,アバタは低リアルの条件の方が高い値が得られたのに対し,音声は高リアルの条件の方が高い評価値が得られた.また,VR群よりもモニタ群の方が高い評価値が得られた.
匂いによる,記憶や情景の想起については多くの研究が行われているが,匂いのみによる情報伝達や情景想起は実現されていない.先行研究では,匂いと視覚刺激で物語を伝えることを最終的な目標として「香りでシーンを当てよう」というコンテンツが作成された.このコンテンツは,特定の一場面について嗅覚情報のみを提示し,何の情景だったかを問うクイズゲームであった.しかし,過去の経験や個人差が大きく影響し,ある匂いから誰もが特定の一場面を想起することは困難であった.本研究では,先行研究のコンテンツの応用として,補助となる視覚情報を追加して情景想起を容易にすることを目指す.作成したコンテンツを18人に体験してもらい,提示した情報と正答率の関係について調査した.
災害危険区域に条例指定された仙台市沿岸の荒浜地区では,これまで宅地として使われていた土地が他の用途で利用され始めており,震災の爪痕が見えにくくなりつつある.そのため,荒浜の景色を多角的に捉えて記録していくことが重要である.
本研究では,東日本大震災の記憶・記録伝承に関するスマートフォンアプリケーションを開発している.ここでは,震災学習をいつでも行えるマップによる案内機能,およびARを用いた見学者間の情報共有機能の実現について報告する.本アプリを使用し見学を行うことで,震災の記憶と記録を後世へ伝え,津波によって失われる以前,荒浜に確かにあった暮らしの豊かさを多くの人に伝えられることが期待できる.
本研究では3次元形状の引き出しオブジェクトを用いて、ARデバイス上で段ごとに操作可能な状態になるよう分割操作を行い、引き出し内部の状態とその変遷情報を閲覧できるシステムを作成した。対象物体の画像データから3Dモデルを作成する技術を用いて引き出しオブジェクトを作成し、ユーザーの仮想ボタン操作によって分割操作を実現、また物体の持ち込みなどのイベントを検知し記録する室内シーンロギングシステムを用いて、ユーザーの要求に応じて引き出し内部の状態をMR空間に提示する。実験では、HMD上で3次元形状の引き出しオブジェクトに切断操作を行い引き出し操作を付与すること、さらに引き出し内に収納された物体とその変遷情報を可視化ができることを示した。
Learning to drive in a driving school is generally very expensive. Although some people have obtained a driver’s license, they rarely go on the road. If they have insufficient driving experience, they are prone to accidents. To deal with this problem, a virtual reality system is a promising training and learning tool to properly familiarize drivers with a car. K. Likitweerawong et al. built a VR serious game with realistic physics and natural feels. S.M. Taheri et al. showed that controlling the car, speed, tendencies and fatigue are closely related to the performance of driving even if using a VR simulator. This report conducts an experiment on feasibility of our make-shift driving simulator.
近年,より現実に即した自動運転技術の評価を目的として,写実的かつ現実的なドライビングシミュレーションの実現への期待が高まっている.
ドライビングシミュレータ上で現実に即した環境を再現するためには,CG自体の写実性に加え,環境内に存在する物体の動きまでが詳細に記述された時間情報を含む3Dシーン(以下,4Dシーンと呼ぶ)が必要となる. しかし,現実環境に即した4Dシーンをゼロから手作業で構築するコストは非常に高い.そのため,写実的で実環境での物体の動きまでを再現する4Dシーンの安価な構築方法が求められている.
本発表では,歩行者を含む実写の単眼カメラ画像系列から歩行者の動きまでを含めた4Dシーンを構築する手法を提案する.
また,UnrealEngine4を用いて,4Dシーンが再現可能なことを示す.
休 憩(15:00 再開) 座長 原 豪紀(大日本印刷)
H-3-8 |
シーン検索に適した単語の類似度計算手法の検討
◎飯野雄哉・椿 郁子(東京工科大) |
H-3-9 |
五味要素の相違に基づいた調味料推薦による対象料理への味付けアレンジ支援システム
○加賀見彰吾・小尻智子(関西大) |
H-3-10 |
リーディング公演に向けた演者とキャラクタの動作合成とその印象
○星 凪音・安藤敏彦(仙台高専) |
H-3-11 |
食い違いつみき:ARのユーザ別部分情報提示が引き起こすコミュニケーション
○河盛真波・島田伸敬(立命館大) |
H-3-12 |
ARを用いたユーザ別部分情報提示による既存カードゲームの戦略性の拡張
◎萩原祐介・河盛真波・島田伸敬・松尾直志(立命館大) |
H-3-13 |
遠隔学習の動機づけを支援するインタラクティブデバイス
◎柿本涼太・大津耕陽・福田悠人・小林貴訓(埼玉大) |
H-3-14 |
遠隔対話時の発話を支援するCGエージェント
◎小林弥生・福田悠人・小林貴訓(埼玉大) |
ある特定の映画の中から,ユーザが見たいシーン(場面)だけを探して視聴するためのシーン検索について検討する。Image Captionや単語のベクトル化については,学習済みのモデルが公開されており,それらを利用できる。映画の各フレーム画像について,Image Captionによって画像内容の説明文を作成し,ユーザが検索したい場面について検索文を入力する。検索文と各フレームの説明文を比較し,最も検索文に似ている説明文のフレームを出力する。比較の際はコサイン類似度を尺度として用いているが,この方法ではImage Captionの誤りなどにより,検索したいシーンの画像を選択できないことがある。本稿では,その影響を小さくするロバストな類似度計算方法を提案する。
料理を作るとき、その料理を特定の他の料理のような味にしたいと考えることがある。例えば、お吸い物に中華スープのようなコクを出したい場合である。このとき、料理の経験が浅い人はレシピをどのように変更すればよいかわからない。料理の味を左右する大きな要因は調味料であるため、他のレシピに近づけるためには、食材ではなく調味料を変更する必要がある。本研究では作りたい料理(作成料理)の味を近づけたい料理(対象料理)の味にするための調味料を推薦することを目的とする。
現在も様々な人によって行われている絵本の読み聞かせは,楽しいだけではなく人間関係を豊かにするなど情操教育に対する効果も持っている.読み聞かせは演者と聞き手がどう交流するかという触れ合い・双方向性について検討することが重要であるとされているが,通常の読み聞かせでは演者の一方通行になりやすく,難聴者やADHD児に考慮したものが少ないことが現状である.そこで,モーションキャプチャを使用して視覚的情報を付与しエンターテインメント性を向上させた新しい読み聞かせについて検討・開発を進めている.人間とキャラクタの動きをインタラクティブに合成し,Webアンケート調査にて合成動画の印象調査を行っている.
ARには重畳提示するデジタル情報の量や質をユーザごとの状況に応じて個別に調節し、同じ物体を見ても人によって別のものを提示できる。本研究ではこの機能を“ARのユーザ別部分情報提示機能”とし、ARのユーザ別部分情報提示を適用したときの一例として、同じ実物体が各ユーザにはそれぞれ一部が隠ぺいされ異なる形で提示される“食い違いつみき“を作成した。各ユーザが互いに異なる形状のものを同時に見ているとき、“それぞれが異なる情報を見ている“という状況を各ユーザがどう認識するのか、また各ユーザがどのようなコミュニケーションを取るのか検証する。
AR を用いて複数のユーザで同じ物を見ている際に、あるユーザにはある情報が見えて、別のユーザでは別の情報が見えているという状況を作り、ユーザごとに得られる情報量や質を変える事で既存のゲームよりも戦略性を向上させることができるのではないかと考えた。本研究では、ごきぶりポーカーにAR を用いたルールを追加することでどのようにエンターテインメント性が変化するかどうかの検証を目的とする。
遠隔授業では、モチベーションの低下や一方向的な授業になりやすくなる、などの点で不都合がある。そのような問題に対して、学生1人1人の振る舞いを教師や他の学生に伝える、教師の意図を学生に伝える方法を検討している。円滑な授業を行うためには、遠隔であることにより損なわれる非言語的な情報を適切に伝えることが必要となる。そのため、授業参加者を繋ぐインタラクティブなデバイスによって互いに情報を伝え合えるよう、デバイスを通して光や振動として合図を送るシステムなどを試作した。
本稿では上述のデバイスを用いて、遠隔授業で教師が学生の動きを把握するために必要な、手の動きの認識を行った。
生活様式の変化から,在宅勤務や遠隔授業等において,ビデオチャットアプリケーションを用いて他者とコミュニケーションをとる機会が増えている.対面対話と比べ,ビデオチャットでは非言語的な情報が失われることから,円滑な発話の交代が難しいことが知られている.そこで,本研究では,これまで開発してきた1対1の対話支援CGエージェントを複数人でのビデオチャット環境に拡張し,CGエージェントがビデオチャット画面上を移動することで,対話の整序やユーザの発話を支援するシステムを提案する.また,今回の実験ではビデオチャット画面上を移動するCGエージェントの有用性は評価されたが,改善の余地があるため,今後見直していく.
H-4. 福祉情報工学
3月10日 13:00〜16:30 Meeting 12 座長 細野美奈子(産総研)
H-4-1 |
ロボットアームによる身体接触とバイタル計測
○大野健介・米澤佑美・三枝 亮(神奈川工科大) |
H-4-2 |
焦電型熱赤外センサを用いた高齢者のフレイル予防のための歩行速度測定システムの構築
○内海富博・橋本 仁(秋田大) |
H-4-3 |
環境データの組み合わせによる独居高齢者の行動検知
◎中谷和哉・三谷雄大・杉井 学・松野浩嗣(山口大) |
H-4-4 |
体力測定データの記録効率化に関する一検討
◎△金沢和樹・真田博文・和田直史・松﨑博季(北科大) |
H-4-5 |
COVID-19対策としての認知症予防プログラムi-CANサイト開設
○小久保奈緒美(放医研/東京都健康長寿研)・長田勇我・山川祐汰・吉本定伸(東京高専) |
H-4-6 |
新たな認知症予防プログラムi-CANの開発チームサイトの開設
◎長田勇我・山川祐汰(東京高専)・小久保奈緒美(放医研/東京都健康長寿研)・吉本定伸(東京高専) |
近年,医療介護現場では業務負担が増加する一方で職員人材を確保することは難しく,ロボットや福祉機器による業務支援や業務代替への期待が高まっている.入院患者や入居者の体温や血圧などのバイタル項目は電子的に管理されているが,接触を伴う計測については職員が行うことが多く,計測行為を自動化する方法は確立されていない.本研究では,入院患者や介護施設利用者の自助的な健康管理を目的として,見回りロボットが能動的にアームを駆動制御して身体に接触し,バイタル計測を行うシステムを提案する.施設利用者が見回りロボットと協調的にバイタル計測を行うことで,健康管理への意識を高めるとともに現場職員の計測業務の負担を軽減する.
健康長寿のため,健常な状態から要介護状態になるまでの中間的な段階である「フレイル」の状態や兆候を早期発見し,適切な治療や運動を行うことで健常な状態へ近づけることが重要である.そのためには高齢者の身体活動量をモニタリングする必要があり,装着型のセンサを用いることは,高齢者への負担が大きい.そこで,本研究ではフレイルのチェック項目の一つである「歩行速度」を測定するため,焦電型熱赤外センサを用いた計測システムを構築し,5%程度の誤差で測定できることを明らかにした.
一人暮らしの高齢者は年々増加しており,遠隔地から見守るサービスの需要が高まっている.そのサービスの中には,利用者の意識的な行動による情報伝達を必要とするものが多い.本研究では,このように利用者に負担をかけることなく,環境データによって人の動きを検知することを考える.環境データとして,照度,気温,気圧,湿度,二酸化炭素相当物を取得し,その中でも照度と二酸化炭素相当物を組み合わせることによって,利用者の「外出中・在宅中・就寝中」を区別できるということを実際のデータで確認できた.さらに他のセンサを組み合わせることにより,生活リズムまでの把握が可能になることが期待される.
北海道S市でデイサービスを展開しているA社では,通所者に対して,体力測定や担当理学療法士(PT)による個別機能評価をもとに作成した,運動メニューを提供している.この種の業務にはIT導入による効率化が期待されており,いくつかの試みがなされている背景がある.現在,A社PTの負担となっている作業のうち,体力測定・記録部分の作業効率化を目的としたソフトウェアの開発を進めている.本報告ではその過程と現状を報告する.
筆者らはこれまで,認知症を予防する新たな遠隔医療・医師―患者間プログラム:Information technology assisted Cognitive Assessment & Neurobehavioral enhancement program for Dementia(以下,i-CAN)の開発を進め,そのアプリケーション開発と改良にユーザー調査の結果を積極的に取り入れて来た.本稿では,COVID-19対策としてi-CANポータルサイトを新たに開設し,研究協力者と研究開発者双方の安全を確保し得る非対面でのユーザー調査を試みた経緯と現状について報告する.
日本の認知症患者数は増加し続け,2025年には700万人となり65歳以上の5人に1人が認知症であると推計されており,国は新たな施策として認知症の「予防」と「共生」を推進している.筆者らはこれまで,認知症を予防する新たな遠隔医療・ヘルスケアプログラム『i-CAN』で用いる認知機能検査及びトレーニング用アプリケーションの開発を進めてきた.しかし,COVID-19の影響で対面を主軸としたユーザー調査が困難になり,新たな手法を考える必要が生じた.本稿では,遠隔下でのコミュニケーションツール確保と新たなWebサイト用の認知機能トレーニングゲームの開発を目的とした開発チームサイトの概要と運用状況について報告を行う.
休 憩(14:45 再開) 座長 菅野亜紀(名大附属病院)
H-4-7 |
口腔インターフェースによる感覚運動と機器の知覚操作
◎西園魁人・大野健介・三枝 亮(神奈川工科大) |
H-4-8 |
手指インタフェースによる運動転写とリハビリの自立支援
◎野村知広・大野健介・三枝 亮(神奈川工科大) |
H-4-9 |
リハビリ支援のための拇指先端可動域計測および可視化アプリ
◎青木映里香・島田伸敬・松尾直志(立命館大) |
H-4-10 |
マイクロコンピュータを用いた点字ブロックの自動識別のための推論システムの開発
○渡部嘉司・葛目幸一(弓削商船高専)・村上雄大(九工大) |
H-4-11 |
点字ブロック,地磁気マップと歩行特性を利用した歩行支援システムの開発
◎新田涼輔・葛目幸一・宮丸尚士(弓削商船高専) |
H-4-12 |
Azure Kinect DKを用いた歩行解析システムの検討
○稲垣 潤・春名弘一・昆 恵介・鈴木昭弘・本郷節之(北科大) |
H-4-13 |
肢体不自由者のための自立活動支援アプリケーションの一検討
◎畑中正介・春日源太郎・吉本定伸(東京高専)・谷本式慶(小平特別支援学校) |
脊髄損傷やALSによる麻痺患者の自立支援では,患者自身が残存する感覚運動機能を用いて支援機器を知覚し,操作することが重要である.身体麻痺において口腔は感覚運動の解像度が高く機能が残存することも多いため,機器の知覚操作を行うための身体部位として有望であると考えられる.本研究では麻痺患者の自立支援を目的として,口腔内の感覚運動機能を拡張し機器を知覚操作するためのインターフェースを提案する.口腔インターフェースのデザインを口腔内部の歯列に装着可能な形状とすることで機器の操作性を高め,利用時の疲労感や発話への支障を低減する.
脳血管疾患による手指麻痺のリハビリテーションでは鏡像療法が適用される場合があるが,手指の屈曲進展の動作は療法士によって支援されることが多い.運動機能の回復には対象部位の運動を繰り返し行うことが重要であるため,鏡像療法においても患者が自立して手指動作を行えるような支援装置があれば有用であると考えられる.本研究では手指リハビリテーションの自立を目的として,患者のみで着脱可能な手指インターフェースを提案する.本インターフェースが自律駆動することでインターフェースの着脱を簡易化し,手指動作のリハビリテーションを促進する.
拇指のリハビリテーションを行う際に回復度を知るために関節可動域が計測されているが、拇指は複雑に動くため正確に計測することは難しく時間がかかる。そこで本研究ではRealsenseで撮影した深度画像を用いて非接触に拇指先端可動域の計測、その結果をユーザーがわかりやすいように可視化、それを表示するアプリの作成を行ったので報告する。
現在,日本全国の視覚障碍者は約30万人を超え,そのうち中途視覚障碍者は全体の約6割となっており,移動や情報入手の難しさから引きこもりがちになると言われている.
本報告では,主に,中途視覚障碍者が使用する点字ブロック自動識別のための推論システムの開発を目的とする.
本研究では,入力16bit(7bit),隠れ層ニューロンの数6の条件で機械学習を行なったものを重み係数とし,求めた係数をプログラムへ書き込み推論させる.
MATLABで,機械学習した重み係数をRaspberry Piのプログラムに実装し,推論できることを確認した.今後はシステムにWiFi機能を追加するとともに,伝達方法を検討する必要がある.
近年,新たなインフラ設置を必要としない地磁気を利用したインドアナビゲーション技術が進歩している.しかし,そのナビゲーション技術はフロア全体の地磁気マップを取得しなければならないため,一部の限定された場所でしか利用できない.そこで,視覚障碍者が歩行時に使用する点字ブロックに着目し,点字ブロックの周辺に限定した地磁気マップを利用し視覚障碍者のための屋内歩行支援システムを開発する.本研究では,DTWの処理時間の短縮や,ユーザの歩行状況把握,DTW以外での自己位置推定法の検討を行うため,歩行特性を使用し,屋内歩行支援システムの開発,評価を行う.
脳血管障害等を原因とする中枢神経疾患患者の歩容の特徴として,身体合成重心(COG)の力学的エネルギー変換の不足に伴う歩行速度の低下や安定性の欠如等が挙げられる.従って,リハビリテーションの評価ではエネルギーコストを評価基準とすることが有用であるが,大規模かつ高価な三次元動作解析装置が必要となるため,医療機関への導入は進んでいない.
我々は,臨床場面における客観的評価の導入を目標として,Kinectを用いた簡便な歩行解析システムを開発している.本システムではKinect v2を用いていたが,2020年に後継となるAzure Kinect DKが発売された.本稿では,新旧デバイス並びに三次元動作解析装置を用いた同時測定を行うことにより各デバイスで取得されたCOGのデータについて報告する.
特別支援教育の場において肢体不自由のある児童生徒に対して自立活動が行われている.また,その自立活動を支援するために様々な機器が利用されている.しかし,児童生徒によって肢体不自由の度合いや興味を持つものが異なるため,教職員が各々に対応した機器を用意し,さらにその使用方法を理解することが必要になってくる.本研究では,自立活動支援アプリケーションの開発を行っており,骨格認識率の精度向上のためAzure Kinectでのアプリケーションの再構築を進めている.本稿では,その検討状況について報告する.
シンポジウムセッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
AS-1. スマートシティにおけるスマートモビリティ
(ワイドバンドシステム研専、ITS研専 共催)
3月11日 13:00〜14:55 Meeting 18 座長 濵村昌則(高知工科大)
AS-1-1 |
(依頼講演)地方部における自動運転サービスの導入について
○成島大輔(国交省) |
AS-1-2 |
(依頼講演)セルラーV2Xの標準化動向及び世界各国における検討状況
◎吉岡翔平・永田 聡・油川雄司(NTTドコモ) |
自動運転の実用化や自動運転技術の活用により、高齢者等の交通事故削減や中山間地域等での移動手段確保等、地域の様々な課題解決が期待されている。その実現に向けた国土交通省道路局の自動運転への取組として、道路インフラ側との協調により自動運転の安全で円滑な走行を補助することで自動運転サービスを本格導入した秋田県道の駅「かみこあに」の事例や、内閣府未来技術社会実装事業と連携した自動運転サービス導入支援を紹介する。
移動通信システムの標準化団体3GPPでは,産業連携向けの規格の一つとしてV2X用の通信規格(セルラーV2X,C-V2X)の検討を行っている.4G LTEのRelease 14およびRelease 15において基本的な安全運転支援向けの仕様を策定し,さらに5G NRのRelease 16において,より多くの適用ケースをカバーするC-V2X規格を仕様化した.仕様化が完了したこれらのC-V2X規格は,有力な自動車向け通信規格の一つとして,世界各国において活発に議論されている.本稿では,3GPPにおけるC-V2X標準化の動向について概要を述べるとともに,C-V2X実用化に向けた各国の検討状況について触れる.
休 憩(14:05 再開) 座長 和田友孝(関西大)
AS-1-3 |
(依頼講演)自動運転サービスの継続性向上のための遠隔運用監視システム
◎樫原俊太郎・大岸智彦(KDDI総合研究所) |
AS-1-4 |
(依頼講演)中国におけるC-V2Xの最新動向とファーウェイの取り組み
○朱 厚道(華為技術日本) |
株式会社KDDI総合研究所で研究開発を行っている自動運転車両の遠隔運用監視システムを中心に、自動運転遠隔監視技術における個別技術の現状の課題、過去の取り組み事例を紹介する。
2016年に3GPP Release 14でLTE-V2Xの最初のバージョンがリリースされて以来、セルラーV2X 「C-V2X」は共通のIoV 「Internet of Vehicles」通信技術として世界各国と地域で幅広く認められるようになってきています。IoVに関する取り組みが世界的に活発化している中、中国政府は、IoV産業を国家戦略レベルに引き上げ、C-V2X産業の推進において成果を上げています。中国国内にスマートコネクテッドカー実証実験パイロット拠点を16か所の建設をはじめ、 全国的なIoV実証実験パイロット拠点の整備が加速しています。また、中国は無錫、天津、長沙に国家実証実験区の設立を許可し、実用化に向けた取り組みが進んでいます。IoVの発展にあたり、小規模な実証から都市部での大規模な商用展開へ拡大は、IoVの次の段階の焦点となりつつあります。
ADS-1. RISC-Vシステム設計の現在と将来展望
(VLSI設計技術研専、コンピュータシステム研専、リコンフィギャラブルシステム研専 共催)
3月10日 9:00〜10:40 Meeting 18 座長 松本高士(東大)
ADS-1-1 |
RISC-Vが支えるオープンハードの潮流
○河崎俊平(SHコンサルティング) |
ADS-1-2 |
RISC-V命令セットの特性と研究への利用
○塩谷亮太(東大) |
ADS-1-3 |
地域メッシュコード生成器のRISC-Vプロセッサへの実装
○多田十兵衛(山形大)・佐藤啓一(山形県立産短大) |
ADS-1-4 |
教育用プロセッサとしてのRV32I
○天野英晴(慶大) |
コンピュータシステムの最重要資産「命令セット」で革命が起きている。ムーア則が終わり、「命令セット」闘争が終わる。そこに新しい世界の予感がある。RISC-V がもてはやされるのは、そうした終末観からなのか。そしてRISC-Vのおかげでどんなうれしい未来が待っているのか?
RISC-Vは近年登場したオープンな命令セット・アーキテクチャであり,現在急速にその利用が広がっている.そのようなオープンな命令セットは従来からいくつか提案されてきたが,それらは成功したとは言いがたくこれまでに大きな広がりを見せることはなかった.これに対しRISC-Vは多くの企業において実際にプロセッサが開発され,すでに発売もされているものもある.また,研究や教育の分野で用いる命令セットとしては既に標準に近い地位を獲得しており,非常に多くの実装が公開され使用されている.我々もこれまでにRISC-Vを採用したプロセッサ・シミュレータ「鬼斬」やout-of-orderスーパスカラ・プロセッサ「RSD」を開発してきており,研究に広く利用している.また,企業との共同研究などのプロジェクトにおいてもRISC-Vに基づくプロセッサを実際に研究・開発することが増えている.本稿ではこれらのシミュレータやプロセッサとRISC-Vの関わりや,その際に得られたRISC-V命令セットへの知見について述べる.
近年,人の移動履歴や人口密集率を明らかにする上で,地域メッシュコードを用いた統計分析が注目を集めている.しかし,地域メッシュコードは緯度・経度から幾つかの数式を用いることで求められるが,多くの浮動小数点命令を必要とするため長い計算時間がかかる.本稿では,緯度・経度から地域メッシュコードを1サイクルで生成する演算器を設計し,RISC-Vプロセッサに実装する.提案演算器を搭載したRISC-VプロセッサをFPGA上に実装し、性能を評価した結果,提案演算器を用いる命令を利用することにより,ベンチマークプログラムの実行時間を36.6%短縮した.
RISC-Vの32ビット基本命令セットであるRV32Iを教育用モデルプロセッサの観点で検討する。