プログラム
format_list_bulleted情報・システムソサイエティ
一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
D-1. コンピュテーション
3月10日 13:00〜16:30 Meeting 30 座長 小野廣隆(名大)
D-1-1 |
錦織選手のテニスサーブに関するゲーム理論解析
◎青木大輔・真鍋義文(工学院大) |
D-1-2 |
ホテルの利益を最大化する部屋の割り当て戦略
◎佐々木 輝・真鍋義文(工学院大) |
D-1-3 |
自転車再配置問題の実データに対するタブーサーチ法を用いた解法の性能調査
○對馬帆南(東京理科大)・松浦隆文(日本工大)・池口 徹(東京理科大) |
D-1-4 |
複雑ネットワークの全域木のスケールフリー性についての研究
◎鈴木一優・千葉英史(法政大) |
D-1-5 |
Calculation Cost Efficient Alternative to Google PageRank
○Keita Sugihara(Nanzan Univ.) |
D-1-6 |
Multimodal Optimization Using Spy Algorithm
○Dhidhi Pambudi・Masaki Kawamura(Yamaguchi Univ.) |
ゲーム理論を応用すればスポーツの戦略を考えることができる。その関連研究としてバレーボールの攻撃側とディフェンス側についての戦略を解析する研究がされている。本研究はテニスのサーブについて解析を行う。テニスにおいて最も重要である場面がサーブであり、サーブからゲームの流れを作る戦略がとられることが多いためである。そこでどこにサーブを打てば得点を取りやすくすることができるかを戦略的に知るために、錦織圭選手の2018年の1年間の試合データを基に、ゲーム理論の利得行列を作成し、混合戦略ナッシュ均衡を求め応用してどこに打てば利得が最大化できるかを求めた。
ホテルでは、来客予約が入った際その客をどの部屋に割り当てるかということを決めることになる。来客パターンは常に予測可能なものではなく、未来にどんな来客予約が入るかわからない状態で割り当てなくてはならない。その状態であっても部屋が余ることや、広い部屋に少人数客を割り当てることは好ましくないため、定員いっぱいで全部屋を余すことなく使うことが重要になる。
本研究ではリゾートホテルにおいて、多数の部屋が存在し、来客パターンが不明な場合にホテル側の利益の競合比を最大化する割り当て戦略を示す。
我々は既に Bike Sharing System(BSS)で生じる自転 車の過不足を調整するために,複数の自転車回収車を用いた自転車再配置問題(mBSSRP)とその近似解を短 時間で発見できる解法を提案している.これまでは,ランダムに駐輪ポートを配置した問題例を用いて提案解法の性能評価を行ってきた.本稿では,提案解法で使用しているOr-optを拡張した手法を導入し,実デー タに対する性能について報告する.
複雑ネットワークの性質について,近年集中的に研究されている.
本研究では,辺の重みをランダムに決める.そして,その最小全域木のスケールフリー性について計算実験から考察する.
WSモデル,ランダムグラフ,BAモデルを実験対象として,各モデルに対する最小全域木の次数分布,強度分布,重み分布を作成して,
スケールフリー性を示しているかを確認する.
WSモデルとランダムグラフの最小全域木の分布はどれもスケールフリー性を示さなかった.
一方,BAモデルの最小全域木の分布はどれもスケールフリー性のような振る舞いを示した.
計算実験から,スケールフリー性をもつネットワークに対して,その最小全域木はスケールフリー性を持つことが確認された.
Google PageRank is widely used by search engines and known for its high calculation cost. This study proposes an alternative to it for search systems.
In multimodal optimization (MMO), many methods attempt to find as many optimum points as they can. The metaheuristic algorithm is one of the superior methods for MMO. Most metaheuristic methods use a niching strategy to improve performance. However, the niching strategy depends on the basin control mechanism which impacts a longer computation time. So, we propose a Spy Algorithm without niching to detect all global optimum points. The proposed method can detect more global optimal points than GA and PSO while still providing better optimum values and in less computation time.
休 憩(14:45 再開) 座長 安藤 映(専修大)
D-1-7 |
任意の支配集合から極小支配集合を構築する自己安定アルゴリズムについて
◎中西弘毅・金 鎔煥・片山喜章(名工大) |
D-1-8 |
7台のペアボットにおける集合アルゴリズムについて
○伊藤芳晃・金 鎔煥・片山喜章(名工大) |
D-1-9 |
ペアボットモデルにおける直線から三角形への形状形成アルゴリズムについて
◎田口雄哉・金 鎔煥・片山喜章(名工大) |
D-1-10 |
Jリーグにおけるダイナミックプライシングによる効用の検証
○鈴木颯馬・真鍋義文(工学院大) |
D-1-11 |
TSPの近似解法に与える枝候補作成手法について
◎土佐真義・宮 南風・對馬帆南・池口 徹(東京理科大) |
D-1-12 |
多拠点連携配車による配送計画手法の提案
◎中村開耶・木村昌臣(芝浦工大) |
D-1-13 |
指定時間内に最小燃料で航行するウェザールーティングアルゴリズム
◎久田海里・真鍋義文(工学院大) |
自己安定アルゴリズムとは,任意の初期状況から有限時間内に解を求める分散アルゴリズムである.また支配集合とはグラフ上の支配集合に属さないノードが少なくともひとつの支配集合に属するノードと隣接しているノードの集合である.支配集合に属するノードを支配点といい,支配集合においてどの支配点をひとつ取り除いても支配集合ではなくなるとき,特に極小支配集合という.本研究では,あるグラフG上の任意の支配集合Sが与えられたとき,S中のノードからGの極小支配集合を求める自己安定アルゴリズムを提案する.
自律分散ロボットとは, 自律的に動作する移動可能なロボットの集合で構成された分散システムである. 本研究ではその一つであるペアボットモデル[1]に着目する. ペアボットモデルとは予め決められた2台の自律分散ロボットを一つのペアとし, 二次元平面上で連携して動作するモデルである.本研究では, ペアボットの台数を集合した状態が最も単純となる 7 台に固定し, 単一のロボットとペアボットの集合問題の可解性の関係について調査することを目的とする. 本研究ではペアボットが視野 1 を持ち,x 軸の向きと方向, キラリティに合意を持つモデルにおいて集合を達成することができるアルゴリズムを考える.
自律分散ロボットシステムとは,複数の自律的に動作して移動するロボットが互いに協調しながら動作することでひとつの目標を達成するシステムである.この自律分散ロボットの能力と問題解決能力の関係が研究者の興味を集めている.本研究では自律分散ロボットのモデルのひとつであるペアボット(pairbot)モデルを扱う.ペアボットモデルとは,ロボットが予め2台で1つのペアと定められているモデルである.自律分散ロボットシステムの研究として,分散配置問題や形状形成問題,一点集合問題等が挙げられる.本研究では,形状形成問題の一つとして,直線状に配置されたペアボット群から三角形を形成する形状形成問題を解くアルゴリズムを提案する.
消費者の需要と供給に応じて価格を動的に設定するダイナミックプライシングは、近年様々な業界で導入が進み始めた。日本のプロサッカーリーグ「Jリーグ」においても、2018年「横浜・F ・マリノス」の導入を皮切りに浸透を始め、実際に効果を発揮している。しかし、未だ導入に踏みとどまっているチームが多いのも事実である。本論文では、未導入チームへの仮想的な導入により、実際に収益や動員数の向上に繋がるのか、過去の動員データや対戦データに対し強化学習などの手法を適用し、需要予測からプライシングまでを実装、検証を行った。結果、ダイナミックプライシングは、実際にスポーツチームの動員数、収益向上に貢献することが検証された。
TSPは組合せ最適化問題の1つである.TSP は NP困難なクラスに属する問題であり,厳密解法だけではなく近似解法の開発も重要である.
近似解法は都市集合の他に最適解に含まれると推測される枝候補も入力とすることで,短い時間で良好な近似解を求めることができる.しかし,枝候補を作成する手法は,近似解法と同様に都市数の増加に伴って計算時間も増加する.すなわち,効率的な枝候補の作成法も重要である.
本稿では,従来手法の計算時間削減を目的とした枝候補作成手法を提案する.数値実験の結果,提案手法は近似解法の解探索性能を維持しながらも計算時間を削減できることがわかった.
近年, 輸送業界はドライバーの人材不足に陥り, 一人当たりの就業時間の増加傾向にある. そのため, 最短距離かつ就業時間が短い配送経路の提案が必要である. 就業の負担を分散するためには, 過少積載を防ぐためにトラックが協調する必要もある. そこで本研究はトラックの協調により, 距離が短く, かつ長時間労働を抑止し稼働台数が少ない配送計画の手法を提案する. 本研究は複数のトラックおよび複数の集荷と納品を行う拠点を対象とする. 経路の生成手法および評価関数を提案し, 遺伝的プログラミングを用いて最適解の探索を行った. 結果, トラック間で発生した貨物の受け渡しにより, 過少積載の抑止, 就業時間の超過防止を実現した.
ウェザールーティングとは、気象情報を利用して最適な航路を求めるアルゴリズムである。最短時間航法と最小燃料消費航法が考案されている。貨物輸送などでは到着期限が設定されている場合もあり、最小燃料消費航法を使用すると到着期限を守れない場合も考えられる。そこで、指定時間内に最小燃料で航行するアルゴリズムを考案した。その概要は以下の通りである。
1.既存手法で最短時間航法を求める。このとき最大プロペラ回転数で航行を行うこととなる。
2.割り出した航海時間と指定時間の差からプロペラ回転数を補正する
3.得られたプロペラ回転数で燃料消費量を求め、所要時間との積を総燃料消費量とする
D-2. ニューロコンピューティング
3月9日 10:30〜11:45 Meeting 42 座長 内部英治(ATR)
D-2-1 |
エッジ画像とグレースケール画像を用いた段階的超解像モデル
◎平田大貴(岡山県工技セ)・高橋規一(岡山大) |
D-2-2 |
ニューラル木の効率的な探索アルゴリズムの検討
○大宮拓馬・井上浩孝(呉高専) |
D-2-3 |
FPGA上で動作する強化学習モデルの計算性能評価
◎小口大輔・守谷 哲・熊谷 俊・山本英明・佐藤茂雄(東北大) |
D-2-4 |
マインドフルネス状態の実現に寄与する脳内情報伝搬経路のデジタルアニーラを用いた同定の試み
◎中村遥佳・田和辻可昌・松居辰則(早大)・中村 誠・木村浩一・藤澤久典(富士通研) |
D-2-5 |
視覚注意における経験と事象関連電位P300の関連性
○山本昂汰(中部大)・信川 創(千葉工大)・我妻伸彦(東邦大)・稲垣圭一郎(中部大) |
本講演では、ダウンサンプリング、エッジ抽出画像、グレースケール画像を活用した超解像モデルについての提案を行う。本提案モデルは、エッジ抽出画像、グレースケール画像を利用してカラー画像の補正を行いながら、段階的な超解像処理を行うものである。これにより、8倍の超解像タスクにおける提案モデルのPSNR、SSIM値が、従来モデルより高くなることを示す。また、段階的な超解像、エッジ抽出画像とグレースケール画像によるカラー画像補正にそれぞれ精度改善の効果があることを示す。最後に、今後取り組むべき課題について説明する。
近年,深層学習を利用した機械学習の技術が様々な分野で応用されているが,これらのアルゴリズムは学習に多大な時間を必要とする.これに対し,教師なし学習の自己生成ニューラル木のアンサンブル学習法である自己組織化ニューラル木立は木構造の近傍探索を行うことで高速に学習を行うという特徴がある.本研究では,より高速な推論を可能とするためのニューラル木の最大子ノード数を制限する二つの手法を提案する.実験結果より,認識精度を落とすことなく推論に必要な処理時間を半分に減らすことができることを示す.
IoT化の進展に伴い目的地へのナビゲーションなどの情報処理システムの需要が高まっており,これを実現する強化学習(RL)に注目が集まっている.しかし,RLは計算コストが高く,CPUやGPU上で実装すると多くの電力や回路リソースを消費するため,エッジデバイスへ搭載する際の課題となっている.このような中で我々は,エッジ上で動作するRL専用ハードウェアの実現を目指している.本発表では,大規模なRL専用ハードウェアの実装に向け,RLの中でも基本的なQ学習をFPGA上で動作させるためのRTLの開発を行い,Q値演算のbit幅を制限した場合でも学習性能が維持されることを明らかにした.また当該モデルのFPGA上での実装と,消費電力・処理時間についての報告も行う.
マインドフルネス状態は,多くの脳領域の関与が示唆されるが脳内の情報伝播メカニズムは不明瞭である.本研究ではマインドフルネス状態の実現に寄与する脳内の情報伝播経路の同定を組合せ最適化問題として定式化し,デジタルアニーラを用いた最適解の探索を行った.まず最小頂点問題として問題を定式化し,マインドフルネス状態を特徴付けると考えられる8つの脳領域を同定し,先行研究との整合性も確認された.そして次に同定された各脳領域の活性化に寄与する脳内の情報伝播経路を求めるために最大流量問題として問題を定式化した.そして本研究の脳内ネットワーク構造内の経路のうち約3割の経路を同定し,中でも流量の多い経路はマインドフルネス時のボトムアップな感情制御を特徴づけていると考察される.
国土交通省の調査によれば,自動車事故発生件数は近年減少傾向にあることが報告されている.こうした傾向には,盛んに研究開発が進んでいるITS技術の普及によるところが大きい.一方で,自動車を運転するのはヒトであり,ヒトの認知や操作に起因した事故件数は依然高止まりしている.こうした問題に対して,我々の先行研究ではドライバの運転経験と脳波に着目し,特定の脳波の賦活パターンに視覚認知に関する運転経験が反映されることを示した.本研究では,この経験に基づく脳活動の差異が,視覚認知において重要な役割を果たす注意によるものと仮説を立て,これを明らかにすること目的として注意を反映する事象関連電位であるP300の応答特性を評価した.
D-3. ソフトウェアサイエンス
3月12日 13:00〜14:30 Meeting 36 座長 林 晋平(東工大)
D-3-1 |
複数OS動作環境における性能阻害要因の特定容易化手法の提案
◎髙橋由梨香・山本遼介・出原章雄・桐村昌行(三菱電機) |
D-3-2 |
言語変換されたプログラムの現新比較テスト自動化方式
◎木下崇央・曾我 遼・大原貴都・野尻周平・鹿糠秀行・齋田雄一・栗田 繁(日立) |
D-3-3 |
VR空間上でのVRアプリ開発環境の実現と応用
◎太田優希・佐々木 晃(法政大) |
D-3-4 |
ブロック型言語で記述されたプログラムの動作可視化によるプログラミング学習ツールの提案
◎村田健悟・佐々木 晃(法政大) |
D-3-5 |
業務用空調機向け単体テスト自動化方式
◎大原貴都・藤平 達(日立) |
D-3-6 |
関数型言語における深層学習を用いたtype4コードクローン検出
◎上條典嗣・篠埜 功(芝浦工大) |
近年は、組込みシステムでもハイパーバイザを使用し、1つのH/W上で複数OSを同時実行する製品が増えてきている。このような複数OS動作環境での、性能阻害要因の特定作業には様々な課題があるため、作業が煩雑となり工数が発生する。
本発表では、複数OS動作環境における、性能阻害要因の特定に対する課題の整理と、本課題を解決する要因特定容易化手法を提案する。
レガシー化したCOBOLを刷新するために言語変換ツールで自動言語変換したJavaに対して,正しく変換され機能的な差異がないことを確認するために現新比較テストが必要である.しかし,現新比較テストを手作業で実施する場合は多大な労力が必要である.本研究では,COBOLの各関数をテストするために作成されたテストケース仕様書からJUnitコードを自動生成するテストコード生成ツールを開発することによって,言語変換ツールを用いた場合の現新比較テストを自動化する方式を提案する.
仮想現実を実現するVRゴーグルがOculus Quest 2などの登場により,安価にそしてPCレスでどこでも使用できるようになった。また,コロナウィルスの影響で外出やイベント等の実施が制限された場合でも仮想空間であれば自由に行き来が可能である。このような様々な要因から今後さらにVRの普及は進むことが期待される。しかし,アプリケーションを開発するにはさらに専門的な知識が必要となる。さらに,VR上での動作はVRゴーグルを装着した状態でないと実際に実行した際の動作が分からないため,スムーズに開発が行えなかった。
本研究では,開発するプロセスもVR上に取り込むことでシームレスにコーディングとデバッグを行えるようするとともに,VR空間上での操作をより完結にするべくブロックインターフェースを採用し,誰でも簡単にVRアプリケーションを開発することができるようにVR上の開発空間を実現し,実際に使用した際の動作などについての評価実験の結果を示し,VR空間上の開発環境が有意であり今後の発展が見込めることを示すための研究を行った。
プログラミング言語を習得するためにはその言語特有の文法や構文を覚える必要があり、労力を要する。本研究では、プログラミング言語を学習するときの負担を軽減し、アルゴリズムやプログラムのデータ構造についての理解を助けることを目的とした、ブロック型言語で記述されたプログラムの実行時の内部動作を可視化するツールの実装を行った。実装したツールでは、可視化部分に対応したブロックをハイライトさせることで、実行中のブロックを確認しながら、プログラムの内部動作を確認することができる。
業務用空調機のソフトウェアは複雑で規模が大きくなっており,効率的なソフトウェア開発による工数の削減が求められている.従来から,前工程での不具合発見を行う単体テストの適用とその自動化が進んでいるが[1],単体テストは手作業が主流であり自動化は行われていない.そこで本報告では,業務用空調機のようなリソースが限られた環境における単体テストの自動化について提案する.
コードクローンとは、ソースコード中に現れる同一のコード断片または、類似したコード断片のことである。近年、コードクローン検出に関する研究が盛んに行われているが、関数型言語に特化したコードクローン検出手法は多くない。また関数型言語を対象として、構文は異なるが同じ意味を持つtype4のコードクローンを検出する手法に関する研究は、筆者らが調査した限り見当たらない。そこで本研究では、関数型言語Haskellを対象とし、type4のコードクローンを深層学習を用いて検出する。競技プログラミングサイトAtCoderから取得したソースコードを用いて実験した結果、84%の正解率でtype4のコードクローンが検出された。
D-4. データ工学
3月12日 13:00〜15:45 Meeting 34 座長 宮崎 純(東工大)
D-4-1 |
単語の意味と時系列データの関係性の定義に関する一考察
○森谷高明・西尾 学・山本太三・三好 優(NTT) |
D-4-2 |
文書ベクトルの次元圧縮によるツアー推薦システムの精度変化
◎木嶋耕太・林 貴宏(関西大) |
D-4-3 |
観光情報アプリユーザの滞在地における時系列アソシエーション分析
○佐藤啓一(山形県立産短大)・多田十兵衛(山形大)・長橋洋介(デジコンキューブ) |
D-4-4 |
視線情報に基づいたクラウドワークの品質評価
◎名和 駿・Md. Rabiul Islam・Andrew Vargo・岩田 基(阪府大)・松原正樹・森嶋厚行(筑波大)・黄瀬浩一(阪府大) |
D-4-5 |
改良動的選択モデルを導入した間接照合法による類似図形検索
◎柴田悠也・林 貴宏(関西大) |
本稿では,単語の意味と,その単語に関連する時系列データとの間で,どのような関係性が定義できるか考察する.
多くの旅行者がレビューを元に参加ツアーを決定している.一方で膨大なレビューを読む負担は大きい.これまでに,ユーザー自身のレビューから嗜好を抽出し,嗜好の類似性から他者のレビューを推薦するシステムが提案されてきた.これまで推薦システムではBoW法に基づく文書ベクトルが用いられてきた.しかし,この手法は単語の一致でレビューを推薦するため,同一観光地のレビューが推薦される傾向がある.そこで本研究では、LSAにより次元圧縮された文書ベクトルを用いる.実験から,適切な次元数削減により同一観光地のレビュー推薦を抑制しつつ,関連性の高い他の観光地のレビューが推薦できることを確認した.
山形県を訪れる観光客を対象とした携帯端末向け観光情報アプリ(Wi-Fi YAMAGATA)から得られるトラッキングデータを用いて時系列アソシエーション分析を行い, 本アプリユーザの滞在地間の関連性を経路抽出する試みを述べる. 具体的にはユーザ毎の滞在場所の履歴をAprioriおよびCSPADEによるアソシエーション分析をそれぞれ適用し, 得られた相関ルールの前提部と結論部が示す2地点間を関連性のあるパスとして経路抽出する. 今回の分析結果から, CSPADEによるルール数がAprioriのものより約37%少なくなり, 冗長なルールが排除されることで行動履歴においてより有益なルールおよび経路抽出に有効であることを確認した.
クラウドソーシングは、 コンピュータが不得意とするタスクを比較的経済的かつ効率的に行う手段として注目されている。クラウドソーシングには不真面目に仕事を行うスパムワーカがいるが、このスパムワーカの排除についてはすでに多くの研究が行われている。しかし、真面目に行っていてもタスクに対して能力のないワーカの問題は残っており、データの品質を下げる原因となっている。そこで本研究では真面目なワーカのクラウドワークの品質評価について注目する。
評価には視線情報を用いることで解答時間によらない推定を行う。また、本手法では正答率を推定するためのタスク数を可変にすることで、短期的なパフォーマンスから長期的なパフォーマンスまでの推定が可能である。
類似図形検索では, 図形の特徴点分布の類似性が評価される.この類似判断処理は計算量が大きく, 大規模データベース(DB)では実時間処理が困難になる.この問題を解決するため, 間接照合法が提案されている.間接照合法は,事前にDB内から少数のキー図形を選び, キー図形と各図形の類似度を計算する.検索時は, 事前計算したこれら類似度と, キー図形とクエリ図形との類似度の関係からDB内の類似図形を探す.間接照合は, キー図形の選択により, 検索精度が変化する問題がある.本稿では, クエリ図形と個々の被検索図形に依存して, 動的にキー図形を選択する方法を提案する.実験結果から,提案手法による検索精度向上を確認した.
休 憩(14:30 再開) 座長 宮崎 純(東工大)
D-4-6 |
部分隠蔽された顔画像での人物再識別実験
◎沖 拓樹・金子邦彦(福山大) |
D-4-7 |
脳神経外科手術支援データベースのための3D脳モデルインタフェース
○渕 崇洋・上東亜佑稀・大西克彦・上善恒雄(阪電通大) |
D-4-8 |
データ間の関係性評価に人の感覚を反映可能な学習方式
○山本太三・森谷高明・西尾 学・三好 優(NTT) |
D-4-9 |
深層学習を用いたマルチラベル分類に基づく災害画像分析
◎山本愛海・田村慶一(広島市立大) |
D-4-10 |
人工知能によるナンバープレート認識システム設計
◎竹川尚志・金子邦彦(福山大) |
人流の把握は,重要な研究課題である.ここでいう人流の把握は,施設の出入り口,部屋の出入り口に,カメラ等の計測機器を設置し,個々人の入退場や通過を観測ものである.すでに,人工知能による人物再識別は可能となっている.本稿では,人物再識別に利用できる人工知能のソフトウエアDlibを使い,種々の考察を行う.実験計画の立案,WindowsパソコンやDlibソフトウエア等の準備を終えた.そして,試行実験からは,マスク等で顔のパーツが隠れていて,顔検知が正しく行われない場合であっても,人物再識別が可能であることを確認できた.
脳神経外科では,手術計画や診療に3DCG技術が用いられているなど3D技術は欠かせないものとなっている.
しかし,術前に3DCG技術を用いて手術計画やシミュレーションを行なっても,術中と術前ではずれが生じる.
この場合においても,脳神経外科医師は肉眼では判別することの難しい脳神経や太い血管を避けつつ腫瘍の除去をこれまでの経験的知識を元に行なっている.
本研究では,この経験的知識に注目し,経験的知識の蓄積と共有を行うシステムの提案を行う.また,本稿では,本研究で利用する,Body Parts 3Dを元にしたglTFモデルフォーマットの3D脳モデルインタフェースの検討に関する報告を行う.
玉石混合の大量のデータが入手できる時代において,適切なデータの絞り込み,分析を通じた関係性の発見/解決策の立案を行うことが様々な課題解決に重要となっている.本稿では同様の役割を担っているデータサイエンティスト等が様々な分析手法から事例に合わせた最適な手法を選択するための,人の感性に基づく思考プロセスをアルゴリズム化し,誰でも利用できるようにすることを目指す.
台風,豪雨などの自然災害が発生した際は,災害支援のための迅速な情報収集や分析が重要である.また,自然災害発生時にTwitterでは,被害状況を報告している写真が画像データとして投稿されている.しかし,Twitterへ投稿されるツイートは膨大な量であるため,ツイートから迅速に災害の種類や被害状況を確認することは容易ではない.そこで,本研究では,深層学習を用いたマルチラベル分類に基づく災害画像分析手法を提案する.評価実験では,実際にTwitter上に投稿された画像データを用いて提案手法の評価を行った.実験結果として,マルチラベル分類に基づく分析が可能であることが確認できた.
ンバープレート認識システムは広く普及している.私設駐車場などでも,車の流れを把握したいというとき,ナンバープレートを認識することは有力な手掛かりとなる.こうしたとき,パーソナルにナンバープレート認識システムを設置・運用することになるが,パーソナルなものは市販・普及していない.そこで,パソコン,既存の文字認識ソフトウエア等を組み合わせて,パーソナルなナンバープレート認識システムを設計・試作することに着手した.予備実験を通した考察の結果,画像の中からの車両検知,文字認識,文字の配置に関する処理の組み合わせとして設計することを計画している.
D-5. 言語理解とコミュニケーション
3月12日 13:00〜14:45 Meeting 40 座長 目良和也(広島市立大)
D-5-1 |
文構造及び感情の特徴量を用いた電子商取引サイトのレビュー分類モデル
◎須永 龍・秦野 亮・西山裕之(東京理科大) |
D-5-2 |
就職活動における自己PR添削支援システム
○伊東拓也・荻野 正・桑原明栄子(明星大) |
D-5-3 |
共起を考慮した主成分回帰分析による推理小説の犯人推定
○△勝島修平・穴田 一(東京都市大) |
D-5-4 |
手順書による画像検索の性能改善の検討
○△三橋祐亮・田村哲嗣・速水 悟(岐阜大) |
D-5-5 |
属性語埋め込みによるニューラルネットワーク対話システム
◎龔 華楊・井上 潮(東京電機大) |
D-5-6 |
対話における意図分類を目的とした発話の分散表現構築法
◎矢田 理・寺本優香・木村優介・波多野賢治(同志社大) |
D-5-7 |
談話構造解析を用いた文書からの暗示的怒りの自動検出
◎藤ノ木太郎・湯川高志(長岡技科大) |
近年, 電子商取引 (Electronic Commerce, EC) 業界の市場規模は大幅に伸びている. EC サイトのレビューには商品の性能に関するレビュー (商品レビュー) と性能以外の配送やサポートに関するレ ビュー (サービスレビュー) が混在するため商品の性能を知るためにはこれらのレビューを区別する必要がある. 土屋2020の研究では Amazon にある 1 つの商品に対してこれら 2 種類のレビューを分類する機械学習モデルを提案した.
本研究では土屋2020のモデルの商品数が増えると性能が低下するという問題点を解消するため、文構造と感情の特徴量をレビュー文から作成することで商品数が増えても性能が低下しないモデルを提案する.
就職活動における履歴書やエントリーシートに書く自己PRを文章解析の手法を用いて添削することができないか考える. 文全体の構成に注目し, 参考とする添削前及び添削後の文との類似度を求めることで, 添削の参考とする文を提示する方法を検討する.
近年, 機械学習への社会的な期待が高まっている一方, 専門家でも推論過程に対して説明を与えられない解釈可能性が問題となっている. 既存研究では, 単語の意味を学習するために埋め込みに基づいた手法が提案されているが, 小説上の場所, 時間, 対象物などの同時性を考慮できていない. そこで本研究では, 穴埋め問題などで利用されるCBoWモデルを利用することで単語の共起に関する学習を行う. そして, 学習した共起情報を用いて主成分回帰分析を行う事で推論過程の説明を試み,追加知識によって対象となる小説の犯人推定までの過程を追えることを確認した.
世の中には製品の製造課程や料理のレシピといった, 画像を含んだ手順書と呼ばれる文書が数多く存在する. しかし手順書の作成は人手で行われており, 作成者の経験に依存する. そこで過去の類似手順書を検索しそれらを参照することで, 作成者の業務を補助することを目的とする. 本研究では手順書と画像を共同空間に埋め込むことで, 画像からペアとなる手順書を検索する手法を, 日本語データセットを用いて実験を行った. またモデルの一部にtransformerを使用することで, いくつかの評価指標で改善が見られた.
昨今、機械学習の発展により様々な会話AIが登場している。その中で特定の目的がない雑談AIも登場しているが、多くの雑談AIは一つの話題に対して継続的な応答ができない。そこで、本研究では会話モデルの基本となるTransformerモデルをベースに一つの話題について話し続ける雑談AIモデルを提案する。提案モデルではまず入力の会話文を会話履歴からの複数文とすることで、直前の文だけでは判断できない文脈が学習できると期待される。また、入力文の前に全体の会話の中から主題を抽出しこれを属性語と定義する。属性語を入力に加えることで、モデルが現在の会話における文脈を取得できるようになる。本研究では以上の2点を加えたモデルを提案し評価する。
ユーザとの雑談を行う非課題対話システムが,より人間らしい返答を行うには,ユーザの発話意図を理解することが不可欠である.
そのため,発話を発話意図で分類し,それをシステムの返答決定に用いる研究が存在する.
しかし,これらの研究では,教師データに発話意図が人手でラベル付けされた対話コーパスが必要である.
この人的コストを問題視した既存研究では,ラベル付けの自動化を目的に発話意図に基づく分類を行っている.
しかし,分類に使用される特徴量は一文に含まれる単語のみを用いており,発話意図をとりうる曖昧性を十分に解消できない恐れがある.
そこで本研究では,対話の文脈を考慮するために 1 発話文を 1 トークンとして, BERT に入力することで 1 発話文の分散表現を構築する.
本稿は文書に多く存在する日本人特有の感情の表出を抑える傾向から生まれた「暗示的怒り表現」の自動検出の手法として、談話構造解析と自然言語分散モデルBERTを用いた文書の怒り表現を抽出する手法を提案した。提案した手法は先行研究と比較して精度が向上しているが、一部の怒り表現の検出数は低い結果となった。
D-6. コンピュータシステム
3月10日 11:00〜11:30 Meeting 18 座長 高前田伸也(東大)
D-6-1 |
多倍長計算の仮数部計算高速化のための粗粒度再構成可能なアーキテクチャの検討
◎宮内亮太・川端英之・弘中哲夫(広島市立大) |
D-6-2 |
永続メモリ向けの拡張可能ハッシュの改善
◎神庭弘樹・山崎憲一(芝浦工大) |
多倍長計算とは仮数部の桁数が指定できる浮動小数点演算のことであり,有名なライブラリとしてMPFR がある.しかし多倍長計算はソフトウェアで多くの命令を組み合わせて実現されることが多く,計算に長い時間がかかる.本稿では,粗粒度再構成可能プロセッサ技術を用いることで,任意精度に対応できるアクセラレータ実現を目的とし,多倍長演算において最も処理時間が大きい仮数部計算を以下の2つの方法で高速化する方法を示す.1つ目は加減算・シフトの連続する仮数部要素の並列計算である.2つ目は乗算における乗数の各要素が行う「部分積の計算」と「部分積の加算」のパイプライン処理である.提案方式の有効性を示すため,性能評価としてRTLレベルシミュレータを作成し,評価した結果を示す予定である.
永続メモリには書き込みが遅いという特徴があるため、従来のメモリ(DRAM)向けのデータ構造ではこれを有効活用することができない。既存研究であるCCEHは、拡張可能ハッシュにセグメント層を追加することで永続メモリを有効活用する。ただし、CCEHには無駄な書き込みがある。本稿では、この無駄な書き込みを削減する2種類の方法を提案する。1つはハッシュ値の別の部分を利用して再挿入を試みる方法である。もう1つは、レコードが実際に参照されるまでコピーを遅延する方法である。提案を実装し、実行時間を測定して評価を行い有効性を確認する。
D-7. MEとバイオサイバネティックス
3月12日 13:00〜15:30 Meeting 27 座長 辛島彰洋(東北工大)
D-7-1 |
糖尿病バイオマーカの計算的予測
○中島 唯・Sapkota Achyut(木更津高専) |
D-7-2 |
圧力分布装置を用いたヒト座位の内部構造推定アプリケーションの開発
◎古澤航平・鈴木史恭・村上知里(日大) |
D-7-3 |
顔面領域温度の時系列相関に基づくストレス対処様式の分類
◎中村亮介・一箭大貴・大岩孝輔・野澤昭雄(青学大) |
D-7-4 |
頸部誘導法による脈波伝播時間の計測と最高血圧の推定
◎谷 国門・水口龍太・水野裕志・松村雅史(阪電通大) |
D-7-5 |
長波長近赤外画像を用いた遠隔血圧推定
○佐々木優大・小澤佑介・南雲健人(青学大)・七井 靖(防衛大)・大岩孝輔・野澤昭雄(青学大) |
糖尿病は血糖値が高くなることにより神経や目,腎臓,心臓,動脈などに障害を起こす.しかしながら,現状の糖尿病検査方法は血糖値またはグリコヘモグロビン濃度計測等に限られていて,早期発見は困難であると言われている.従って,本研究の目的は,生命科学関連データの解析を用いて,糖尿病の早期発見に役立つ代謝物質バイオマーカの探索を行うことである.糖尿病の臨床研究関連論文と公開データベースより代謝物質の状況を収集し,糖尿病と直接関係する代謝物質に対して正常・異常状態時の濃度の解析を行った。最終的には3件のバイオマーカ候補を抽出し,検証を行った。
従来のヒト内部構造を表示させるツールの多くは,高額であり,機器を扱うために専門的な知識が求められる.そのため,医療従事者以外の一般ユーザが容易に使用可能な方法として,安価な圧力分布装置を用いたアプリケーションを開発した.一般ユーザが容易に操作可能なアプリケーションを実現するために,GUIアプリケーションとして開発し,実行ファイルの形式での配布を予定している.また,出力では,3次元表示で殿部の内部構造を可視化する.今回は殿部をゲルで作製したファントムに対して行われた実験データを使用し, PythonのTkinter,3次元表示にMatplotlibモジュールを用いて作成した.
人間はストレスを感知すると能動的対処や受動的対処を示す。これらは連続血圧計で判別可能だが、身体の制約があるため非侵襲かつ無拘束な評価が必要である。そこで、顔面熱画像計測を応用することで顔全体の皮膚温変動を捉える事が可能である。皮膚温変動の応答時間は緩慢であるため時系列変化に着目することで特定のパターンを抽出出来ると仮説を立てた。本研究は、顔面熱画像によるストレス対処様式の分類を目的とし温度変動の時系列相関の分類を行った。k-means法での分類結果は、クラスター1は72.2%が能動的対処、クラスター2は62.5%が受動的対処という結果が得られた。これより、顔面熱画像によりストレス対処様式の分類の可能性が示された。
循環器疾患の検査に血圧測定があるが、現在主流のカフを用いた方法では血圧を連続的に測定することが難しく、疾患の早期発見のために連続的な血圧計測法が切望されている。
本研究では血圧の連続測定の第1歩として、頸部にて測定した脈波伝播時間とカフで測定した最高血圧の関係を調べた。ネックバンドデバイスを用いて頸部にて心電図と光電脈波を計測し脈波伝播時間を算出する。エルゴメータを用いて運動を行い頸部で測定した脈波伝播時間とカフを用いて測定した最高血圧の2つには比例関係にあることが確認できたので血圧推定とその結果を報告する。
高血圧症の予防や早期発見には日常的な血圧測定が必要である。日常的な血圧測定の実現を目指し,近年では生体内への深達度が高い近赤外光に基づいた遠隔血圧推定が行われている。先行研究では,「第一の生体の窓」と呼ばれる波長が700〜900nmの近赤外帯域にて撮影した顔面近赤外画像に基づく血圧に関する特徴量の抽出および血圧推定を行った。一方,1100〜1300nmの長波長帯域は「第二の生体の窓」と呼ばれ,第一の生体の窓と比べ生体への深達度が高いことが知られており,その帯域での計測により遠隔血圧推定精度の向上が期待できる。本研究では,長波長近赤外帯域にて取得した顔面近赤外画像に基づく血圧に関する特徴量の抽出および血圧推定を行った。
休 憩(14:30 再開) 座長 渡邉高志(東北大)
D-7-6 |
畳み込みニューラルネットワークによる胃癌深達度診断システム
○相田敏明・河原祥朗・濱田健太・岡田裕之(岡山大) |
D-7-7 |
複素CNNによる脳コンピューターインターフェースのためのSSVEP分類
○池田 晟・鷲沢嘉一(電通大) |
D-7-8 |
Implementation of a Virtual Reality Live Concert Experience Systems Attended by 10 People via Brainwaves
◎△Ángel Muñoz González・Shohei Kobayashi・Ryota Horie(Shibaura Inst. of Tech.) |
D-7-9 |
脳波BMIによる認知機能評価システムの開発
◎竹原繭子(筑波大)・山本泰豊・長谷川良平(AIST) |
胃癌深達度とは,胃癌の胃粘膜への浸潤の程度であり,治療方法を選択する上で決定的な役割を果たしている.
私達は,内視鏡により撮影され,正確な深達度を付与された胃癌画像千数百枚を,学習済み深層畳み込みニューラルネットワークへ入力して得られた特徴ベクトルを用いて,胃癌深達度診断システムの作成を試みた.
本講演では,その問題点や利点,診断性能について報告する.
脳コンピューターインターフェイス(BCI)とは, 脳信号により機械を制御するシステムである.
定常状態視覚誘発電位(SSVEP)を用いたBCIは,高い情報転送量を示し,広く研究されている.
特に, EEGの複素スペクトルを使用した畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は,高い分類性能を示すことが報告されている.
本研究では, 結合重みを複素数に拡張したCNNを使用し, 絶対値関数によって実数値に変換するネットワーク構造を提案する.
公開SSVEPデータセットを用いた実験結果は, 提案ネットワーク構造が最も高い分類精度を示し, SSVEP分類問題において, ネットワークを複素数に拡張することの有効性が示された.
Abstract—In this paper, we propose the implementation of a multi-audience virtual reality (VR) concert in which attendees generate visual effects based on their emotional brain activity. These visual effects are generated thanks to the collection of data from the electroencephalogram (EEG) based brain computer interface (BCI) application. The visual effects created by each of the users are shared with the other attendees.
本研究では,注意の瞬間的な高まりを反映する頭皮上脳波成分「事象関連電位」に着目したBrain-Machine Interface (BMI)技術を応用した認知機能評価システムの開発を実施した.簡便性の高いヘッドギアを装着した40名の実験協力者が,認知課題(経時的に提示される8種類の図形から脳内で標的を選択する課題)を遂行中の事象関連電位の波形パターンに対して,線形判別分析に基づくパターン識別を実施したところ,平均64%の精度で標的の出現を解読することが可能であった.今後,このシステムを臨床現場に応用することによって,認知症の早期発見や高次脳機能障害の定量評価などに役立てたいと考えている.
D-8. 人工知能と知識処理
3月10日 13:00〜15:30 Meeting 22 座長 清 雄一(電通大)
D-8-1 |
ニューラルネットワークによるウイルス感染症の高速な伝播シミュレーション
◎山口珠々・豊谷 純・原 一之・權 寧博(日大)・高橋弘毅(東京都市大)・柿本陽平(法政大)・大前佑斗(日大) |
D-8-2 |
スウォーム人工知能に基づく掃除ロボット群協調行動の環境依存性
◎比江嶋龍也・河原尊之(東京理科大) |
D-8-3 |
物体検出AIの完全回路化と廉価FPGAへの実装
○白石忠明(三菱電機マイコン機器ソフトウエア) |
D-8-4 |
アウトレットにおける購入品のドローン配送システム
◎石井啓大・吉野 樹・原嶋勝美(阪工大) |
D-8-5 |
MAPF問題におけるエージェントの操作回数を考慮する経路探索と退避先頂点の選択手法の検討
○宮地亨輔・松井俊浩(名工大) |
ウイルス感染症の拡大とその対策の効果を知るために,緊急事態宣言や感染症病床数などの影響を調査することができるマルチエージェントシミュレータ(MAS)が開発された.ただし,MASはプログラム上でエージェントを個々に制御するため,社会規模の増大に従い,それに応じた高い計算資源が要求される.これは,試行錯誤的なシミュレーションが難しいことを意味する.別のアプローチの1つに常微分方程式(ODE)を活用する方法があり,これはMASよりも少ない計算資源でシミュレーションを実 施することができる.しかし,ODE は MAS のように複雑な条件を設定できないという欠点がある.そこで本研究では,ニューラルネットワーク(NN)を 活用することで,MAS のように多様な条件を設定することができ,かつ,ODE のように低い計算資源でシミュレーション結果を得ることができるモデルを構築する.
人工知能技術を導入したロボットなどが複数集まり、AI機能を協調・競合させることでさらなる高機能や新しい能力を獲得することを目的とした「スウォーム人工知能」というテーマのもと研究を行なっている。今回のAI同士の協調方法は群知能を参考にした。本論文では、掃除ロボット群の協調行動がどのような環境にて有効であるのかを調べるため、環境中のゴミの分布を変化させ、コンピュータシミュレーションを用いて検討を行なった。結果として、環境中に占めるゴミの面積が少ない時、協調行動は有効であり、協調行動を導入しないときに比べ、掃除速度が20%向上した。しかし、占める面積が非常に多い時、掃除速度は10%ほど低下する結果となった。
深層学習による物体検出は,層数を増やす事で検知性能の向上が図られる傾向にある.そのため今なお演算量は増え続けており,1枚の画像に対して1億回を超える演算が必要で,GPU無しでは処理しきれない状態にあるが,GPUは多数の積和回路を同時にギガヘルツの高速なクロックで動作させるため,消費電力が非常に高い.また,回路規模も大きく高価になる構造にある.このため,サーバー側での処理に特化される傾向にあるが,ネットワーク接続できないケースや,無線通信での通信回線品質の影響が問題になるケースがあり,端末処理のニーズは依然として強く,その解決に向けて廉価なFPGAへの完全回路化実装を行った.対象はFull YOLO Version3である.
本研究ではアウトレットにおけるドローンでの購入品配送システムを提案し有効性の検証を行う。アウトレットを店舗数が同程度になるように複数のエリアに分ける。各エリアには初めにドローンを1 台ずつ配置する。シミュレーションでは、2つの配送方法とドローンの台数の組み合わせを変更し、有効性を確認した。ドローン台数、フィールド面積などの運用条件を見出すことが課題である。
MAPF問題は複数のエージェントの衝突のない経路を求める問題である.本研究ではMAPF問題の解法のPush and Swapアルゴリズムに着目する.PASの解であるエージェントの行動系列は冗長な操作を含む場合がある.操作回数削減のために,経路上のエージェントの操作回数を考慮する経路探索と,Push操作において競合するエージェントを移動させるための退避先頂点の選択手法を検討する.前者の提案手法ではエージェントを頂点に動かす操作回数のヒューリスティックとして新たなコストを導入する.後者では退避先頂点を選ぶ際に競合エージェントの終点までの距離が最短のものを選ぶ.提案手法の効果を実験により評価する.
休 憩(14:30 再開) 座長 櫻井祐子(産総研)
D-8-6 |
重み付き評価関数を用いてユーザの嗜好を反映したGAによる買い物経路探索
○吉盛 秀・加藤智仁・廣瀬航希・釜賀健吾・石原真紀夫・福本 誠・山澤一誠(福岡工大) |
D-8-7 |
格子ベースFastSLAMの自己位置推定精度の改善
◎小川昂志・星 義克・大屋英稔(東京都市大) |
D-8-8 |
在宅勤務と欠勤者を考慮するシフトスケジューリング問題の検討
○福田悠也・松井俊浩(名工大) |
D-8-9 |
生産調整が必要な製造業のための休業予定と生産調整を考慮した多目的ロジスティクス設計問題の一解法
○井上古樹(宮崎産経大) |
遺伝的アルゴリズム(GA)は,組み合わせ問題の膨大な解空間から近似解を効率的に探索する手法の1つである.
%解の候補は個体というデータ構造により表現され,個々の個体は解としての評価である適応度をもつ.複数の個体とこれらの適応度を用いて個体を選択し,交叉,突然変異の3つの操作を繰り返して世代交代を進めることで解を探索する.
一般にGAは1つの最良な近似解を求める手法であることから,解の複数候補を求める工夫が議論されている.稲垣らは最適な道路経路をGAを用いて求める際,個体の適応度を求める評価関数を複数用いて多様な個体を次世代に残し,複数の解候補を得る手法を提案した.田中らはGAを用いて最適な飛行経路を求める問題を扱い,制約の厳しい条件を適応度の評価関数に用いるとGAの進化が鈍化することを防ぐため,評価関数を分類しGAと全探索を組み合わせる手法を提案した.
本稿はGAを用いてユーザの嗜好を反映する買い物経路の候補を対話的に複数求める枠組みを報告する.ユーザの嗜好とは商品の合計額や店舗間の移動距離,持ち歩く荷物量などの基準である.具体的には複数の評価関数とそれらの重み付けによりユーザの嗜好を反映する.
FastSLAM(Fast Simultaneous Localization And Mapping)は,SLAMと呼ばれる周辺がどんな環境でも使用できる自己位置推定アルゴリズムを改良したアルゴリズムである.FastSLAMは,パーティクルを有しており,これを地図上に散りばめることで自己位置を推定するが,本稿では自己位置推定に重要な尤度計算を格子地図で行うアルゴリズムを採用し,採用したアルゴリズムよりも自己位置推定精度の高い尤度計算方法を提案する.最後に,同様の環境下でシミュレーションを行い,結果を比較して本稿の有効性を検証する.
シフトスケジューリング問題は,勤務者,勤務日,勤務内容等に対して,与えられた制約条件を満たす勤務計画表を求める組み合わせ最適化問題である.シフトスケジューリング問題は,充足すべき制約条件が多く,理想的な勤務計画表を求めることが難しい.また,実際には急な欠勤により勤務計画表を修正せざるを得ない状況が起こるため,欠勤に対応ができる勤務計画が必要である.更に,近年注目されている,在宅勤務の考慮も必要である.そこで本研究では,在宅勤務を考慮するシフトスケジューリング問題について検討する.さらに、在宅勤務者で欠勤者を代理することを考慮した,プロアクティブなシフトスケジューリング問題を提案する.提案手法を実験により評価し,勤務者毎の代理の可能性を均一化しつつ,一定数の欠勤者を許容できる解が得られることを示す.
新型コロナウイルスの影響により、製造業は増産に追われる部門と、減産を余儀なくされる部門が生じる結果となった、その物流ネットワークの最適化は、e-Businessを支えるロジスティクス設計において重要な役割を果たす。本研究では、生産調整が必要な製造業に焦点を当て休業予定と生産調整を考慮した多目的ロジスティクス設計問題について取り扱う。
3月11日 13:00〜15:30 Meeting 22 座長 福田直樹(静岡大)
D-8-10 |
個人の嗜好に適応した混合分布を活用したコンテンツ推薦に関する研究
◎三嶋隆史・北越大輔・鈴木雅人(東京高専) |
D-8-11 |
BERTを用いたサービスロボットの命令発話理解
○Hao Zhu・田口 亮(名工大) |
D-8-12 |
オウム返し対象単文選定方式の検討
◎田原俊一・松本一則・服部 元(KDDI総合研究所) |
D-8-13 |
抽象構文木を利用したメソッド名の推測
◎鈴木祥太・山崎憲一(芝浦工大) |
D-8-14 |
分散制約最適化のための進化的計算と確率的探索の併用の一検討
◎岡 大貴・松井俊浩(名工大) |
近年,様々なサービスにおいて利用者各々の興味や嗜好に合わせた情報を予測・提供する機構に関する研究が盛んである.本稿では,予測対象者以外の嗜好データの有効活用を目指し,他の利用者の嗜好データから生成された確率分布を,対象者の嗜好に合うよう混合して活用する手法を提案する.加えて,提案手法を適用したニュース推薦システムを試作し,混合分布の値と利用者の評価の関係性を実験によって調べ,混合分布による嗜好表現の性能を評価した. 実験の結果,混合分布を活用することで,類似する利用者の嗜好データから推薦対象者の好むニュースを幅広く予測できることが確認された.
家庭やオフィスで活動するサービスロボットは,初めてロボットに触れるユーザでも直感的にインタラクションできることが求められるため,人間が普段使用している言語を認識・理解できることが望ましい.そこで,本研究は自然言語処理モデルBERTを用い,多様な表現の命令発話をロボットに理解させることを目指す.実験では,日本語のデータで事前学習されたBERTを,ロボットの命令理解用にファインチューニングすることで,学習の用いられていない未知の表現に対して8割程度の正解率が得られることを確認した.
近年,カウンセリング等の場面でユーザの話を傾聴することを想定した対話システムが登場している.傾聴技術の中には,ユーザの発言をそのまま繰り返して応答するオウム返しという技術があり,ユーザの話を引き出すことが可能となる.現状では,対話をしているユーザの発話に含まれる焦点となる単語を抽出し,その単語を含む応答を生成する手法が存在しているが,否定的な単語を含む応答を生成することで,ユーザの対話意欲が低下する可能性がある.そこで本稿では,ユーザの発話に含まれるポジティブな表現や願望表現に応じて,オウム返しの対象となる単文を選定する方式を提案し,有効性を評価する.
プログラムを深層学習のモデルに学習させる様々な手法が考案されている.コメントやインデントといった意味に関係のない特徴を取り除き,プログラムの意味だけに注目した抽象構文木を利用した研究がある.抽象構文木を深層学習のモデルに入力する際に様々な変換方法が考案されている.本研究では抽象構文木の各ノードを,そのノードとノードが持つ子ノードによって表現する方法を提案する.提案手法を用いて,収集したプログラムをAttention seq2seqにて学習を行いメソッド名の推測を行った.precision,recall,F1スコアの3つで評価実験を行った.
分散制約最適化問題は、マルチエージェントシステム上の基本的な組み合わせ最適化問題である。本研究では、近年提案された分散制約最適化問題の解法AED (Anytime Evolutionary DCOP)に注目する。AEDは進化的計算を分散制約最適化問題に適用した非集中型アルゴリズムであり、既存の解法よりも解の精度が高い傾向があることが示されているが、特定の問題においては解の精度が他の手法に劣ることがある。そこで、分散制約最適化問題の確率的山登り法DSAをAEDのメッセージの送受に重畳して動作させ、より良い解を得るポートフォーリオ型のアルゴリズムについて検討する。実験により提案手法の効果を評価する。
休 憩(14:30 再開) 座長 大囿忠親(名工大)
D-8-15 |
スウォーム人工知能に基づく少数ロボットを用いた誘導問題における協調性獲得のシミュレーション検証
○△堀内賢斗・河原尊之(東京理科大) |
D-8-16 |
畳込みニューラルネットワークと慣性信号によるシュートフォームのクオリティ判定
○大前佑斗(日大)・秋月拓磨(豊橋技科大)・高橋弘毅(東京都市大) |
D-8-17 |
ワーカープレイスメントゲームにおけるAIの開発と検証
○千田一輝・丹羽拓実・神谷涼斗・田島孝治(岐阜高専) |
D-8-18 |
ドットイートゲームへのQ学習の適用
◎森田隆弘・細部博史(法政大) |
本研究ではAI機能を協調・競合させることで更なる高機能や新しい能力を獲得することを目的とした「スウォーム人工知能」というテーマのもと、誘導ロボットにおける認識能力と無線通信による情報共有を用いた「視覚的共有による協調性」の獲得をシミュレーションにおいて検討する。二次元平面上に二台の誘導ユニットと誘導対象を配置し、追跡行動と2種類の協調行動である協調行動とは無線通信による視野の共有と行動の最適化を並行して行う。誘導成功までにかかる時間を指標といてシミュレーションを行った。結果として協調行動の有無によって平均時間が約2.6倍の差が生じることがわかり、協調性を獲得することによって効率が向上するといえる。
近年,慣性信号による身体動作の量的判定が盛んに行われている.しかし,特にアスリートがパフォーマンスを向上させたい場合,動作のクオリティ判定が必要となる.そのため本研究では,サッカーのシュート動作を事例とし,慣性信号を畳込みニューラルネットワークにより処理することで,そのクオリティを自動判定するためのモデルについて報告する.
本稿では岐阜高専電気情報工学科で実施しているPBL型ゲームAI作成コンテストにおけるゲームAIの開発について述べる. このAIはMinimax法を用いており, その係数決定に遺伝的アルゴリズムを用いている. また, 昨年度までの課題に対して作成していたNN+GAを用いたゲームAIを2020年度版に改良したものとの対戦を行ったので, その結果についても考察する.
ゲームAIの多くで,機械学習の一つである強化学習が頻繁に活用される.強化学習で主流の一つとなっているのがQ学習である.また,Q学習で連続した空間を扱うようにしたものがファジイQ学習である.先行研究ではドットイートゲームの一つである,Ms. PacManにこのファジイQ学習を用いることにより,ある程度のスコアを出す結果が得られた.しかし,この研究ではQ学習の特徴から,価値推定関数であるQ値が最大のものを選び続けてしまうことで局所解が生まれ,Q値を十分に更新することができなかった.本研究では,以上の課題を解決するためにファジイQ学習とUCBQアルゴリズムを組み合わせたUCBファジイQ学習を提案しMs. PacManに適用して先行研究との比較を行う.
D-9. ライフインテリジェンスとオフィス情報システム
3月11日 13:00〜14:45 Meeting 27 座長 上杉志朗(松山大)
D-9-1 |
ニュートン補間法とニューラルネットワークに基づいた時系列分析法の研究
◎馮 鑫・能上慎也(東京理科大) |
D-9-2 |
実習先決定のための通勤経路の全探索化による改善
◎新藤拓也・天野直紀(東京工科大) |
D-9-3 |
ジェスチャ送信機能を有する遠隔作業支援システムの展開
○市原俊介・鈴木雄介(OKI) |
D-9-4 |
ARスマートグラスの文字視認性向上に向けたUI開発
○山本将史・大野千代・山崎航史・中道拓也(日立) |
D-9-5 |
スパムメール分類のための辞書なし語の時間的変化特性について
◎天満誠也・中谷和哉・杉井 学・松野浩嗣(山口大) |
D-9-6 |
深層学習を用いた体表温推定手法
◎金山英資・森島 信・浦島 智・鳥山朋二(富山県立大) |
D-9-7 |
Wi-SUN FANを用いた水位データ計測の一検討
○小林秀幸(仙台高専)・横田憲史(ビオシス)・權 垠相(東北大) |
販売の管理業務において、販売量予測は常に解決すべき最も困難な問題の 1 つであり、現在のグローバル化と市場競争が日々激しくなる現在、販売量予測の正確さは特に重要だと考えられる。売上高を正確に予測することの難しさと、製品自体の季節変動性およびランダム変動性などの特徴を考慮して、本研究では前回の研究に続き、電子商取引企業の販売データを用いて、従来の時系列分析理論に基づいた補間アルゴリズムとニューラルネットワーク分析を応用した新しい予測モデルを提案する。
近年,コーオプ教育に期待が集まっている.東京工科大学ではコーオプ教育を実施しており,実習における企業マッチングに関連した通勤経路探索業務が発生しているが,業務量が膨大なことから最寄駅を固定した簡略的な経路探索となっている.本稿では,RPAと経路探索APIを用いた最寄駅に依らない通勤経路探索システムを構築し,人手では現実的ではなかった全探索による改善および省力化を行った.また,探索結果にその経路における混雑度を与える事で,COVID-19等の感染リスクを考慮した企業マッチングの検討も行った.
現場の作業者に対して遠隔地から映像と音声を用いて指示や支援を行なう遠隔作業支援技術について、我々の取り組みと現状の経過について報告する。具体的には、社内工場で実証実験を実施し、それに伴って工場内の細かいラベル等の情報を無理な姿勢を取らずに伝えるためウェアラブルカメラ着脱機構を設けたほか、現場からの要望に応えてスマホに対応してスマホならではの課題に対して改良を加えている。
近年産業界では,ARスマートグラスを活用した現場作業支援に向けた開発が進んでいる.日立では現場保守作業におけるヒューマンエラー抑制,作業効率向上を目的に,ARスマートグラスのユーザインターフェース開発を行っている.現場では多くの文字情報を含む手順書を使用しており,適用に向けては文字視認性向上が一つの課題となる.課題解決には,保守作業に必要な文字サイズの明確化や,人間の目の特性を活かした文字色/背景色での表示が有効と考えるが,現在まで関連調査は言及されていない.そこで本稿では,保守作業に必要な文字サイズ及び照度環境に応じた文字色/背景色の視認性との関係に着眼し,考案した評価方法と結果を報告する.
増加傾向にあるスパムメール被害の要因の一つに,フィルタをすり抜けるためにスパム送信者が新種の文面や,記号やスペースなどの組み合わせによってテキストの特徴を変化させることで機械学習の誤認識を誘発させていることがある.そこで,2007 TREC Public Spam Corpusを用い,受信日時順に並べたメールから,単語の出現傾向の時間的変化を受信日ごとに調査した.これにより,機械学習用メールの受信日から日数が経過するにつれ,分類用メールが新しく含むようになった辞書無し語の出現頻度が大きく増加することを確認した.これにより,スパムメール送信者のフィルタをすり抜けるための工夫による影響が表れる単語群を特定することが可能となる.
体温の一種の体表温は非接触でリアルタイムに測定可能であるが、体表温は変動しやすいため深部体温のように一定の診断基準を持たない。体表温における異常検出の基準を作成するために、現在の周辺環境から健康時の体表温を推測する手法を提案する。提案する手法は、周辺環境のデータと個人を判別するためのデータから深層学習を用いて体表温を推定する。推定精度を評価した結果、平均誤差が0.61℃であり、誤差の最大値は2.3℃であった。今回の推定手法は、基準値として用いるにあたり十分な精度が達成できていると言える。しかし、誤差の最大値が大きいため、体温の異常を誤検出する可能性がある。よって、この問題への対策が今後の課題である。
近年の線上降雨帯による集中的な豪雨は,急激な水位上昇を伴い,簡易で設置された水位計の多くを破損させる.また,非災害時においては,機能の維持管理のために,多額の保守コストが必要となる.したがって,水位観測機器を維持管理することは,容易ではない.そこで,我々は,簡易な水位データを計測するシステムを提案する.我々の水位計測システムでは,施工方法や管理コストを極力少なくするため,データ通信を行うネットワークを動的にかつ即応的に作成する必要がある.我々はセンサネットワークの通信にWireless Smart Utility Network for Field Area Network profile(Wi-SUN FAN)を用いる.Wi-SUN FAN はマルチホップ機能に対応しており,即応的なネットワークの構築に向いている.本発表では,実機を使い,広島県の河川からの水位データを計測,伝送し,伝送距離とデータの到達率の検証を行う.
D-10. ディペンダブルコンピューティング
3月12日 13:00〜13:45 Meeting 37 座長 新井雅之(日大)
D-10-1 |
思考階層を用いた交渉による自律型プリンタの作業割当法の研究
○鳥羽宇浩・臼杵 潤(神奈川工科大) |
D-10-2 |
組合せ論理回路の確率的テスタビリティの妥当性検証
○大豆生田利章(群馬高専) |
D-10-3 |
回路の動作状況の違いに伴う劣化予測モデル更新の有効性について
◎権藤昌之・三宅庸資・加藤隆明・梶原誠司(九工大) |
複数台のプリンタが存在する組織等では,任意のプリンタに負荷を集中させないようにプリンタサーバを導入している.しかし,負荷分散の設定は管理者に依存するため環境変化への対応には手間がかかる上,故障発生時には全てのプリンタが稼働しなくなる.このような中,プリンタを自律化することで柔軟な対応の実現を目指す研究がある.そこで,本研究ではアドラー心理学の目的論をヒントに人間的思考階層と自律型意思決定法を検討して問題解決を試みる.そして,環境状況の変化に対応するための人間的思考階層の条件の入れ替えや追加手法を模索する.さらに,提案した人間的思考階層を用いた自律型のプリンタ間交渉手法を検討する.
著者が提案した確率的テスタビリティが評価尺度として妥当であるかどうかを検証した.
ISCAS89 s27ベンチマーク回路に適用した結果,縮退故障に対するテストパターン数を正確に算出でき,
提案方法が評価尺度として妥当であることが示された.
最先端のVLSIでは微細化に伴い,NBTI(Negative Bias Temperature Instability)をはじめとする経年劣化による影響が顕著になっており,劣化が引き起こす遅延故障によるシステムの誤作動を防ぐため,異常検知や劣化予測の重要性が高まっている.これまでに,劣化シミュレーションまたは代表チップより得られる遅延値から回路劣化の予測モデルを生成し,そのモデルをフィールドで測定した遅延値を用いて更新する予測モデル生成手法が提案されている[1].本研究では,耐劣化構造を有するリング発振器(RO: Ring Oscillator)を搭載した実チップの劣化加速実験を行い,動作状況の違いにより劣化傾向が異なる場合に,フィールドでの測定値に基づいて予測モデルを更新することの有効性を評価する.
D-11. 画像工学
3月9日 9:00〜11:45 Meeting 36 座長 福嶋慶繁(名工大)
D-11-1 |
周辺視野におけるβ運動おいて輝度の影響を考慮した点滅色と背景に関する研究
◎梶原康平・鉄谷信二・井ノ上寛人(東京電機大) |
D-11-2 |
スプリンガー線分とエッジぼけにおける視覚効果
◎岩見祐里・鉄谷信二(東京電機大) |
D-11-3 |
情報量に応じた遠近画像の立体視に関する研究
◎瀧澤海斗・鉄谷信二(東京電機大) |
D-11-4 |
写真家の色味再現のための写真選択手法の提案
◎伊藤大稀・雨車和憲(工学院大) |
D-11-5 |
画像と色から想起される情動の理解と応用
○髙田篤志・山崎俊彦・汪 雪婷(東大) |
仮現運動のうち,適当な距離の空間を取りながら光点などを順次点滅させていくと動いているように見える錯覚をβ運動という.先行研究[1]では,周辺視野でβ運動を観視した場合に,その知覚速度が一時的に高速化し,しばらくすると元の速度に戻る現象が報告されている.これは網膜偏心度が大きくなるほど,知覚される点滅の数が減少し,点が欠けて次の点に大きく移動したと知覚することで生じていると考えられている.また,先行研究[2]では,β運動の色の違いが周辺視野での高速化知覚に及ぼす影響について検討されており,実験の結果から色より輝度の影響が強いと考察されている.しかし,色の影響の詳細を調べるためには輝度の影響を考慮した実験を行う必要がある.また,点滅と背景のコントラスト差が影響を与えている可能性も考えられる.本研究では,輝度の影響を考慮し,周辺視野におけるβ運動の色による見え方の違い,背景とのコントラスト差が知覚に与える影響を調べるため実験を行った.
本研究に関する先行研究として, エッジにぼかし領域がある場合に, エッジの両側の領域全体に対して, 濃度の濃い側の濃度が下がり, 濃度の薄い側の濃度が上がることでコントラストの低下を生じさせる現象が報告されている.本研究では, スプリンガー線分という錯視画像の錯視効果が, エッジボケ視覚現象を用いることでより強調されるのではないかと予想し, 評価実験を行った. この結果をもとに, エッジボケの有無によるスプリンガー線分の見え方の違い, また, パターン画像におけるエッジボケ視覚現象について考察する.
近年3D映画やVR等両眼視差を用いるコンテンツが増えている.これらは立体視により奥行きと臨場感を実現している.このような3D表現の品質向上には経験上記憶されている奥行きの記憶情報と両眼視差との整合性をとることが必須である.先行研究[1]では非常に強い遠近感の画像を使用した主観的評価実験によって視差の違いがもたらす奥行き感や違和感の影響について述べている.そこで本研究では先行研究の発展として,情報量の違いも考慮した視差の違いと奥行きの知覚との関係性を求める.「奥行感」と「違和感」の評価項目に対して,情報量の異なる画像,視差が異なる正視画像と逆視画像(左右の画像を入れ替えて提示)を用いて評価実験を行った.
近年,スマートフォンの普及によりSNSの利用者が増加している.それとともに,写真に対するアプローチも変化してきており,ある写真家特有の色味の再現により,自分で撮った写真の価値を高めることができる.
従来手法では,再現したい色味の写真(以降,targetと表記)と色味を変更したい写真(以降,sourceと表記)をそれぞれ1枚ずつ指定することによって,targetのような色味を再現する手法が提案されている.しかし,この手法ではどの写真をtargetに選択するのかをユーザーが手動で選択する必要があり,選択を誤ると色味が自然な色味にならないことがある.
本研究では,複数枚ある写真に対しsourceとtargetヒストグラムの誤差の二乗和を評価量とした,自動写真選択手法を提案する.この処理を行うことで,沢山ある写真の中からtarget1枚が自動で選択され,自然な色味で変換を行うことができると期待される.同じ色味である写真を複数枚用いた実験により,提案手法の有効性を示す.
本研究では、画像の色について着目し、グレースケール画像とカラー画像についてvalence-arousalモデルのラベルとEkmanの基本6感情モデルの離散的なラベルの両方を持つデータセットを作成し、valenceとarousalについて予測精度を確かめた。グレースケール画像による事前学習は精度に対して影響を与えなかったことから、モデルはグレー画像とカラー画像の両方を別な画像として判断していることが分かる。今後はこのデータを活用して、ある画像について特定感情を想起させるような再着色方を検証していく。
休 憩(10:30 再開) 座長 河村 圭(KDDI総合研究所)
D-11-6 |
領域分割に着目した画像カラー化のためのグラフ生成手法の提案
◎窪田 司・雨車和憲(工学院大) |
D-11-7 |
CFA raw動画像用3-D MS2T-DFTの雑音除去性能評価
○西沢 豪・小松 隆・中村 聡(神奈川大) |
D-11-8 |
インペインティングのためのグラフ信号処理を用いたK-SVD辞書改善手法の提案
◎丸山真央・雨車和憲(工学院大) |
D-11-9 |
Vibration Detection Using Differential Multiple Exposure Imaging
◎Mingjun Jiang・Kohei Shimasaki・Taku Senoo・Idaku Ishii(Hiroshima Univ.) |
D-11-10 |
入れ子型深層展開を用いたグラフ信号復元
◎長濱直智・山田宏樹・田中雄一(東京農工大) |
グラフ信号処理アプローチによるカラリゼーション手法では,画像上にグラフを定義することで,白黒画像から色差画像のグラフィカルモデリングを行い,僅かな既知の色差情報からカラー画像が生成される.この手法は,色指定情報が少ない場合にも,高精度のカラー画像を復元することが示されている.しかし,グラフィカルモデリングに用いる領域分割アルゴリズムにSLICを利用しているため,作成されたグラフのグラフ信号数に冗長性がある.
本研究では,グラフ信号処理カラリゼーションに適した領域分割アルゴリズムを目的として,画像上における新しいグラフ生成手法を提案する.数値実験により提案手法の有効性を示す.
低照度下または高フレームレートで撮影すると雑音が多く混入するため、デモザイク前のCFA rawデータに直接適用可能な雑音除去が必要である。CFA rawデータに直接適用可能な疑似4ch雑音除去法が提案されている。そこで本研究では、実際にカメラ撮影されたCFA raw動画像を用いて、筆者らの提案法(MS2T-DFT法)との雑音除去性能比較を行った。
近年インペインティングの研究が盛んに行われている.
特にスパース表現による画像復元は広く知られており,インペインティングにおいても主要な手法の一つである.
スパース表現による画像復元では,画像を辞書と呼ばれる基底の集合とスパースな係数行列で表現できることを利用する.
このとき,用いる辞書の良し悪しが復元結果に大きく影響を与えるとされ,様々な辞書学習アルゴリズムが提案されている.
本研究では,スパースコーディングベースのインペインティング性能向上を目的として,グラフ信号処理とカラリゼーション手法を応用してK-SVDで生成される辞書を改善する手法を提案する.
数値実験により,提案手法が既存手法と比較してより元画像に近い復元を行うことができることを示す.
Localizing objects vibrating in the audio frequency range is one of important topics in the field of signal processing. Most of conventional vibration source localization methods are based on acoustic or optical sensors. To precisely localize a vibration source vibrating at acoustic-level-frequency, a concept of vision-based vibration source localization to extract vibration image regions by analyzing high-frame-rate (HFR) video have been proposed recently. However, massive data processing is required to deal with HFR video, that difficult to process big size images in real time with conventional personal computer (PC). In this study, we propose a vibration source detection method using differential multiple exposure imaging. Clearly different from exiting HFR video-based method, the method realizes a band-pass filter function by differencing simultaneously-captured two images with different exposure times.
深層展開は従来の反復的な最適化アルゴリズムの計算を展開し,訓練可能なパラメータを導入することで深層ネットワークを構築する方法である.訓練データから最適なパラメータを学習することで収束速度の改善などが期待される.本研究ではPlug-and-Play ADMMの特徴を利用し,ネットワーク全体および内部のノイズ除去モジュールの両方が深層展開で構成される入れ子型深層展開を提案する.また,提案手法をグラフの頂点上を定義域とする信号(グラフ信号)のノイズ除去に適用する.実験では収束速度の改善およびノイズ除去性能の向上を示した.
3月9日 13:00〜15:30 Meeting 36 座長 雨車和憲(工学院大)
D-11-11 |
屋外風景画像からの人影の自動除去
○吉井康貴・中島克人(東京電機大) |
D-11-12 |
Equirectangular変換による歪みを考慮した360°画像超解像
◎西山晃人(東大)・池畑 諭(NII)・相澤清晴(東大) |
D-11-13 |
局所射影明度を用いた画像の鮮鋭化処理
○天野まりん・小野直樹・井上光平(九大) |
D-11-14 |
距離画像を利用した漫画画像のインペインティング
◎小野直樹・相澤清晴・松井勇佑(東大) |
近年, スマートフォンの普及に伴い, 旅行先や外出先で風景画像の撮影機会が増加した. しかし, 撮影シーンの中に意図せぬ人影が映りこんでしまう等で見栄えを損ねてしまう場合が多くある.
そこで我々は除去対象を風景画像内に映りこんでしまった人物に限定して自動で除去するシステムの構築を目指しており,今回は深層学習による画像生成で除去部分を風景として修復する手法の提案とその精度評価を行った.
360度画像は,Equirectangular projection (ERP)方式で利用される.360度画像の超解像では,Perspective画像と同様にERP画像への超解像を行うことができるが,既存の深層超解像手法を360度画像に適用するには,球面画像をERP画像に変換する際に緯度に応じた歪みが存在することが問題である.また,これまで著者らの知る限り,360度画像超解像の研究は少なく,利用できるデータが限られている.そこで本研究では2つの手法を提案する: (1) ERP変換に基づいて計算される歪みマップとそれの入力用チャネルの導入,(2) ERP変換を考慮したデータ拡張,である.2つの提案手法は既存のどの深層超解像手法にも適応可能である.
画像の鮮鋭化処理の方法として局所射影明度による方法が提案されている.画像全体で使用されている輝度や色情報をもとにした大域的な画像の情報ではなく,局所的な画素値の情報に基づいて画像を鮮鋭化する方法である.この処理には彩度の強調と明度のアンシャープマスキングによる鮮鋭化処理とが含まれ,それぞれの処理パラメータの与え方によって処理結果も変わる.本研究では,局所射影明度を用いた画像の鮮鋭化処理における適切なパラメータの与え方について考察し,見た目に自然でかつ鮮明な画像を生成する方法を提案する.
近年,画像のインペインティングに関する研究が盛んに行われている.自然画像に対しては,敵対性生成ネットワーク (GAN) をベースとした様々な既存手法が存在する.しかし,漫画画像には高周波成分である線画が多く含まれているため,既存手法をそのまま適用することは難しい.そこで,本稿では線画画像を距離画像に変換してからインペインティングを行う手法を提案した.これにより,難しい線画のインペインティングを,より簡単な低周波成分の復元に帰着させた.実験では距離画像をインペイントするためのGANを実装し,それを漫画画像のデータセットを用いて訓練した.その結果,提案手法が線画を高精度に復元できることを示した.本研究により,吹き出しやオノマトペを除去するといった漫画画像処理の実現が期待できる.
休 憩(14:15 再開) 座長 海野恭平(KDDI総合研究所)
D-11-15 |
単眼カメラによる3次元変位計測における光学的基準距離キャリブレーション方法
○今井 浩(NEC) |
D-11-16 |
ロボット把持に向けたモデルレス3次元物体認識手法
◎大和田卓宏・佐藤峰斗(NEC) |
D-11-17 |
単一画像を用いたSplitDepthImage生成の一手法
◎田中凌也・村木祐太・小堀研一(阪工大) |
D-11-18 |
Google Earth Street Viewにおける単眼計測の計測精度の実験的検討
◎△外岡 凌・近藤大騎・橋本 岳(静岡大)・山本茂広(神戸大) |
D-11-19 |
全方向コンプトンイメージによる線源推定情報と全天球カメラ映像と合成による隠匿された放射線源の可視化
○海老秀虎・石田文彦・高田英治(富山高専)・向 篤志・原 真太朗・山岸恵大・富田英生(名大)・田村雄介(東北大)・禹 ハンウル・岸本卓也・湖上碩樹・Zhihong Zhong・上ノ町水紀・Nurrachman Agus・島添健次・高橋浩之・浅間 一(東大)・河原林 順(東京都市大)・田辺鴻典(科警研)・鎌田 圭(東北大) |
画像計測による構造物表面の変位計測は、インフラ構造物などの劣化状態を、遠隔から非接触で検出する手段として有効である。これまでに、このような応用を目的とした、単眼カメラの時系列画像から面内・面外変位を分離して3次元変位を計測する方法の開発してきた。ただし、本方式ではカメラから物体までの光学的基準(主面)からの物体距離を予め別の手段を用いて計測しておく必要があり、カメラ単体で光学的に正確な物体距離を求めることが出来なかった。今回、光路長変化による光学的基準距離キャリブレーション方法を開発したので報告する。
本手法は, 事前に3Dモデルや学習データを必要とせず, 3次元点群情報のみで物体の領域を識別し, 識別された物体の位置と幾何学的な形状から姿勢を推定する3次元物体認識手法を提案する. ロボットアームによる対象物(直方体, 円柱)の把持検証を行い, 実機にてピック&プレイスの動作を確認することができた.
近年,画像や動画中に幅を持った帯を追加することで物体が飛び出して見えるSplitDepthGIFと呼ばれる錯視技法が存在する.しかし,錯視画像を作成する際には専門的な知識や時間を要する等の問題がある.そこで,本研究では単一のRGB画像用いてSplitDepthGIFを自動生成する手法を提案する.提案手法では,セグメンテーションにより飛び出させる物体の大まかな領域を抽出する.そして,補正を行い物体の形状に沿った正確なマスク画像を生成する.その後,仮説に基づいた評価式により,物体が飛び出て見える白い帯の位置を推定し,SplitDepthImageを生成する.
本研究ではGoogle Earth Street Viewが擁する画像データを使って土砂災害の危険箇所検出を行うことを目的に,Street Viewにおける単眼計測の手法の検討及び精度を検証した.単眼計測では画像座標を空間座標に変換する際に,3次元座標のいずれか1つの座標軸を既知の値として与える必要があり,過去の実験によって奥行き方向の値を用いることで誤差が最小となることがわかっている.精度検証として Street View上の横断歩道の長さを測定し,提案手法が応用に耐えうる精度を持つのかを確認した.設定した目標精度を一定条件下においては達成することができ,必要な条件を明確化することができた.
核セキュリティ向上や原発廃止処理作業の効率化のため、放射線源の位置、強度推定可能なコンプトンカメラシステムが開発されている。本研究では、無人ビークル搭載の全方向ガンマイメージャを用いた効率的な探知の支援に向け、画像化した線源情報を全天球カメラ映像に合成するシステムを開発した。ケース内に隠された線源を用いた探知実験を行い、全天球カメラ映像内に推定線源強度を合成し、隠匿された線源の位置、強度の推定を支援できるかどうかを検討した。
3月10日 9:00〜11:45 Meeting 36 座長 福嶋慶繁(名工大)
D-11-20 |
深層学習とマルチスケールフィルタを用いた洋ナシ花群検出手法
◎青木俊介・山﨑達也(新潟大) |
D-11-21 |
自己教師あり学習による画像合成を利用した360°映像スタビライゼーション
○長谷川祐也(東大)・池畑 諭(NII)・相澤清晴(東大) |
D-11-22 |
Global Reasoningユニットを用いたグラフ畳み込みニューラルネットワークによる顔パーツのセマンティックセグメンテーション
◎平田悠人・檜作彰良・中山良平(Ritsumeikan Univ.) |
D-11-23 |
レンズ研磨条件分析のためのデータの点群照合とデータ拡張の比較
○山下智泰・竹本和樹・松林幹大・前田俊二(広島工大)・坪井裕明・池田竜二(京セラSOC) |
D-11-24 |
超音波B-mode動画解析による小腸運動活性度評価法
◎松浦和貴・阪田 治(東京理科大) |
果菜系作物である洋ナシの生育過程の一つとして,樹木が実をつけるための受粉がある.洋ナシは開花期に人工授粉が行われるのが一般的であり,現在,こういった授粉作業は主に農家の手によって行われている.本研究では,受粉作業の完全自動化を目指し,カメラ画像から洋ナシ花を検出する手法に関する研究開発を行う.本稿では,畳み込みニューラルネットワークモデル一つであるFaster R-CNNとマルチスケールフィルタを組み合わせた洋ナシ花群の検出手法について提案する.開花期の洋ナシ花を撮影し独自に取得したデータセットに対して,提案手法を用いて精度評価を行った結果.F値0.724での洋ナシ花群検出が可能であることが確認できた.
近年,360°映像の撮影が個人向けの360°カメラの販売によって従来より簡単になったことに加えて,VRヘッドマウントディスプレイなどのデバイスや動画共有サービスの普及により360°映像はより身近なものとなっている.しかし特殊な機材を利用せずに撮影された360°映像には多くのブレが含まれており,これらを除去するのは簡単ではない.特に撮影者の歩行による緩やかな揺れは従来のスタビライゼーション手法では除去することは困難であった.本研究では単眼カメラで撮影された映像から深層学習における自己教師あり学習を利用して,ブレを含む映像からブレを除去するモデルを学習することを提案する.
本研究では,GloRe(Global Reasoning)ユニットを用いたConvolutional Neural Networkにより,顔パーツのセマンティックセグメンテーションを行う.実験試料として,Labeled Face in the Wild(LFW)データセットを使用する.このLFWには,12,013枚の顔画像と顔パーツに手動でアノテーションが付与されたマスク画像が含まれる.提案手法のネットワークはSegNetをベースとしており,Decoder側の各Un pooling層の後に,GloReユニットが挿入されている.このGloReユニットは,隣接領域間の関係をグラフ構造として捉え,グラフ畳み込みを行うことで,物体間の位置関係を考慮した特徴マップを生成できる.提案手法の平均IoU(Intersection over Union)は71.13%であり,従来のSegNetの平均IoU(69.33%)よりも高い値が得られ,提案手法の有用性が示唆された.
オスカー式研磨機において、光学レンズの面精度を達成すべく、研磨条件の妥当性を評価する手法を検討中である。本研究では、設定した研磨条件から得られる面精度を予測することとし、深層学習を用いて、研磨が進むごとに未来のレンズ形状を逐次予測する。ここでは、ICPと呼ばれる点群照合手法によりレンズ姿勢を補正し、深層学習に補正形状データを入力する方法と、データオーグメンテーション手法により、深層学習に与える形状データを網羅的に増やす方法を比較した。実験を通じ、レンズ研磨における予測精度向上に有効なデータ処理を明らかにし、光学レンズ研磨の支援を行う。
医療用超音波診断装置を用いて、小腸の超音波B-mode動画を撮影し、動画解析によって小腸の活動度評価の実現を目的とした研究である。医療において小腸の活性度を評価することは患者の体調把握などに有効である。既存の小腸の活性度を観測する方法は内視鏡や、X先見差など患者にとって負担の大きいものである。従って、超音波診断装置を用いた非侵襲的な観測が理想的である。しかし、超音波診断装置によって小腸自体を撮影することは困難である。そこで、本研究では消化管内を移動する消化物を検出・追跡することで間接的に小腸の活性度評価を試みる。そして、畳み込みニューラルネットワークを用いた学習による消化物の検出手法を提案する。
休 憩(10:30 再開) 座長 井ノ上寛人(東京電機大)
D-11-25 |
複数非同期映像の低遅延分割画面合成方式の検討
○藤原稔久・福井達也・小野央也・椎名亮太・池田智彦・谷口友宏(NTT) |
D-11-26 |
鉄道用トロリ線の懸垂状態に基づく鉄道線設備の異常診断
○髙見玲音・中村雅美・青戸勇太・前田俊二(広島工大) |
D-11-27 |
自動溶接ロボットのための対象物位置把握技術の開発
◎秋元嘉文・阪田 治(東京理科大) |
D-11-28 |
画像処理を用いた物片付け判別手法の検討
◎石崎美弓・寺島美昭(創価大) |
D-11-29 |
螺鈿code:鮑貝真珠層模様の定量化
○山﨑裕貴・中田崇行(富山県立大) |
超低遅延のユースケースを想定し、1画面で複数地点をモニタするためのテレビ会議システム用途に、複数非同期映像の分割画面合成方式として、並べ替え配置法を提案する。
鉄道設備において、電車線設備はその種類と数が多く、目視による検査には労力がかかるため、検査の自動化が期待されている。トロリ線の摩耗測定などの代表的な研究例は多いが、ハンガやコネクタなどの架線金具に対する報告例は少ない。本報告は、車内から撮影された画像を用いたトロリ線の懸垂状態に基づくハンガ診断方法について述べる。具体的には、トロリ線が持つカテナリ形状に着目し、カテナリ曲線でトロリ線の吊下げ状態を近似する。そして、その近似曲線の当てはまり具合いや近似曲線からの乖離に基づき、異常を診断する。
地震や台風などの災害により多くの建物に被害が生じた際、それらの建物を全て解体・撤去し、新たに建物を建築するのは現実的でなく、修繕可能な建物は再利用する。修繕作業として、補修箇所の捜索や機材の搬入、溶接などの作業があるが、現在それらの修繕作業はほとんど人が行っているため、災害地域の復興には膨大な時間と労力がかかる。そのため、修繕作業を自動化することが望まれている。本研究は、修繕作業のなかで溶接作業に着目し、溶接を自動で行う自動溶接ロボットの開発のための研究となっている。溶接時には強い光が発生するため、溶接物や溶接位置の把握が困難である。そのような問題を画像処理により解決し、自動で溶接を行うことができるシステムの開発を目指した。
画像処理はこれまでに様々な手法が提案され、数多くの分野に応用されてきた。この画像処理を物片付けの分野へ応用し、片付いている状態と片付いていない状態の物体の動きを画像から読み取り比較することで、片付けを行うかどうかの判別を行うことができる。
本研究では、片付いている状態と片付いていない状態の画像から物体の動きを片付けに適した情報に変換して読み取ることを目的とし、物体の動きを識別、削除、追加、移動、回転の5つの項目に類別し要素と定義した。さらに各要素それぞれに適した画像処理の手法としてマーカ検出とラベリング処理を提案し、これらの手法が要素の情報を読み取るのに適切であるかを確かめる実験を行った。
経済産業大臣が指定した伝統的工芸品は,今日まで原材料,技術や技法が後世に伝承されている.富山県高岡市では,鮑貝真珠層などを用いて漆器に装飾する螺鈿という加飾技法が特徴の高岡漆器(図1右)がある.その高岡漆器は,年間販売額の減少が著しく,存続の危機に晒されている[1].そのため,製造修理技術,構成部材の伝承を通じた後継者の育成,真贋判定や職人の見える化を通じたブランド力の向上などが求められている.その解決策として,本研究では鮑貝真珠層の個体差によって生じる積層構造による発色の特徴を利用して,鮑貝真珠層の 個体識別を行い,高岡漆器の修理の効率化を通じたブランド力の向上の実現を目指す.
3月10日 13:00〜16:15 Meeting 36 座長 阪田 治(東京理科大)
D-11-30 |
VR空間での歩行時の移動感覚に関する研究
◎賈 卓凡・鉄谷信二・井ノ上寛人(東京電機大) |
D-11-31 |
3Dモデルを入力とした立体ワイヤーアートの設計支援システムの開発
○津田賢志・村木祐太・小堀研一(阪工大) |
D-11-32 |
行と列のクラスタリングに基づく可変サイズピクセルアートの生成
○肖 紫琳・井上光平・原 健二・小野直樹(九大)・平岡 透(長崎県立大) |
D-11-33 |
仮想現実空間内での文字入力手法と表示文字盤に関する比較検討
◎△近藤功輝・宮崎 剛(神奈川工科大) |
D-11-34 |
ファッション画像からのコーディネートの特徴の発見
○右田 幹・秦野 亮・西山裕之(東京理科大) |
D-11-35 |
非接触型心拍数推定を用いたフェイク映像における心拍数評価
◎新井茉優・金井謙治・甲藤二郎(早大) |
近年,HMDを使ってのVR(VR:Virtual Reality,仮想現実)ゲームや展示会が増えている.その際,VR空間の移動で臨場感を増すには実歩行が有効と考えられている[1].しかし,実空間と一致したVR空間での歩行には限られた空間しかない問題がある.
本研究は,VR空間での歩行距離感覚を明らかにすることを目的とし,スケール(縮尺)の変更においての歩行時の違和感,座る動作の違和感,恐怖感の評価を行った.
手芸の一種である立体ワイヤーアートは針金を曲げて形作るアートである.しかし,立体ワイヤーアートを制作するためには,知識と技術が必要であり,多くの時間を要する.そこで,本研究では立体ワイヤーアートを対象とした,3Dモデルの形状に沿った曲線よりワイヤー形状を提示するシステムを提案する.提案システムでは,まず,3Dモデルのスケルトンを用いてパーツを分割し,パーツに沿った平面群を周囲に生成する.次に,生成した平面群と3Dモデルのメッシュとの交線を求める.そして,求めた交線に対して形状の評価を行い,ワイヤーアートの輪郭線として決定する.決定した輪郭線を提示することで,ユーザにワイヤーアートの設計支援を行う.
与えられた画像の行と列をクラスタリングすることによって、画像を大きさの異なる矩形領域に分割する可変サイズピクセルアート生成法を提案し、生成例を示す。
ヘッドマウントディスプレイとコントローラを使用した,仮想現実(VR)での文字入力方法を提案する.VR空間内に表示させた文字盤上の文字を,コントローラと連動したポインタを操作して文字入力する.文字配置の異なる文字盤を作成し,文字の入力速度やミス率を計測する.英文字入力には3種類の文字盤を作成し,仮名入力には2種類の文字盤を定義する.ポインタの操作には,腕の動きに連動するタイプとコントローラのスティックの動きに連動するタイプを実現する.英文10文と日本語単語4個,日本語文1文で実験を行った.英文字入力では平均8.35WPM(words per minute)となり,従来研究より1〜2文字の速度向上がみられた.日本語入力では,従来研究より少し遅い結果となったが,ミス率は大きく減少した.
近年,SNS の普及により,瞬時にファッションコーディネート画像の閲覧が可能になった.しかし,閲覧可能な画像数が多いため,組み合わせ方で悩んでしまうという問題がある.そこで,本研究では,SNS に投稿されているコーディネートの特徴を,「フォーマル」の度合いに着目して分析し,適切なコーディネートの組み合わせを得る手法を提案する.提案手法では,アイテムのデザイン・色・シルエットからフォーマル度の評価を行い,コーディネートの特徴を分析する.コーディネート画像を季節ごとに用意して実施した実験では,色・シルエットともに,フォーマルの度合いが高く,季節によって値が大きく変化しないことが分かった.
近年,深層学習の急速な発展により,顔画像の自動生成技術が発展している一方,ディープフェイクに代表されるように,技術の悪用も危惧されている.これに対して,映像から推定される生体情報を利用したディープフェイクの判定手法も提案されている.筆者らは,「フェイク」を「人のなりすまし」と定義し,人のなりすまし判定について,生体情報の適用可能性を検討する.本稿では,その予備実験として,紙に印刷された顔画像およびタブレットに表示した顔映像から心拍推定を適用し,真値と比較評価する.心拍推定手法として,映像から推定する非接触型手法を採用する.
休 憩(14:45 再開) 座長 檜作彰良(立命館大)
D-11-36 |
デジタル展示用写真プリント画像のノイズ処理と画質に関する検討
○田村 徹・東 吉彦(東京工芸大) |
D-11-37 |
PredNetを双方向に適用した生成予測画像の性能に関する一検討
○坂間奏斗・関口俊一・亀山 渉(早大) |
D-11-38 |
電子ホログラフィ分散計算システムにおける圧縮伝送を考慮したCGH分割方式
◎△杉内 舜・西辻 崇・朝香卓也(東京都立大) |
D-11-39 |
アニメーションFLIFを利用した画像集合の可逆圧縮
◎櫻井拓也・井上 潮(東京電機大) |
D-11-40 |
事例探索に基づく動画像の可逆符号化方式におけるテンプレートサイズの検討
◎三宮耕平・亀田裕介・松田一朗・伊東 晋(東京理科大)・海野恭平・河村 圭(KDDI総合研究所)・喜多泰代(東京理科大) |
D-11-41 |
RGB-Dカメラを用いた電子ホログラフィによる追従可能な3次元映像投影システムの提案
◎△林 明日未・西辻 崇・朝香卓也(東京都立大) |
本学写大ギャラリーには10000点を超える貴重な写真プリント作品が所蔵されている。それらの作品は企画展等で公開しているが、公開可能な点数には限度がある。そこで、モニタを用いたデジタル展示が公開手段として期待される。デジタル展示においては、本来の写真プリントが持つ色合いを忠実に再現することが極めて重要であり、筆者らは、その手法について検討している。本研究では写真プリントの反射特性を測定した際に生じるノイズ処理と画質の変化について検討したので報告する。
脳における視覚入力刺激の予測処理をDNNで模倣したPredNetを映像符号化向け予測画像の生成に適用し、動きベクトルを必要としない予測画像が得られる可能性を確認した関口らの文献は、限定された映像シーケンスでの検証であり、リカレントネットワークリフレッシュに伴うPredNet出力画像のボケ、並びに、オクルージョンによる予測効率低下等の課題が存在している。そこで、本稿では、予測効率を改善するために、過去及び未来からの双方向の画像予測に対応した学習モデルを提案し、性能検証を行った結果、リカレントネットワークリフレッシュ時及びオクルージョン発生による予測効率低下の改善を確認した。
電子ホログラフィは、人間の立体知覚条件を全て満たす3次元映像技術として注目されているが、映像の電子的な記録媒体である計算機合成ホログラムCGH (Compuger-Generated Hologram)に必要な計算量の膨大さを一因として実用化には至っていない。本研究では、電子ホログラフィの分散計算システムの実現を目的に、圧縮による再生像への影響を考慮したCGHの最適な分割方式を開発した。そして、評価実験により提案方式の一つであるPV(Pixel Value)方式が、圧縮率が約2倍と最大かつ3次元映像の画質評価に用いたPSNRも48.0と最大値をとることに成功した。
現在,大量の画像データセットがインターネット上で公開されており,コンピュータビジョンの発展に貢献している.巨大なデータセットは,研究に有益である反面,データ量が大きいために転送に時間がかかるという問題がある.特に,医用画像などで用いられる可逆符号化は非可逆符号化よりも圧縮率が悪く,大きな問題となる.データセットに含まれる画像は,画像を1枚ずつ符号化するよりも,データセットの特徴を利用して複数枚をまとめて符号化することで,より効率的な符号化が実現できると考えられる.本稿では,画像の特徴を決定木として学習し符号化を行うFLIFを利用して,画像集合を効率的に可逆符号化する手法を提案する.
先に我々は,動画像信号の生起確率を符号化済み領域の事例探索に基づいて画素ごとにモデル化し,効率的に可逆符号化する手法を提案した.本稿では,事例探索に用いるテンプレートのサイズを探索対象となるフレームに応じて切り替えることで符号化性能の改善を図る.
電子ホログラフィは,究極の3次元映像技術として注目されている.しかし,ホログラムの電子的な記録媒体である計算機合成ホログラム(CGH:Computer-Generated Hologram)の作成には膨大な計算量が必要であり,実用化には至っていない.本研究では,3次元像を線画オブジェクト(同じ奥行距離に直線的に密に並んだ点群)に限定したCGHの計算量削減による,リアルタイムに対象物を追従可能な3次元映像投影システムを提案する.提案システムでは,RGB-Dカメラ(Intel RealSense SR300)で取得した対象物の位置・奥行情報に基づき,対象物を囲む矩形を投影可能なCGHをリアルタイム作成し,対象物に重畳するように3次元像を投影する.
D-12. パターン認識・メディア理解A(パターンメディアの認識・理解・生成)
3月10日 9:30〜11:45 Meeting 40 座長 谷口行信(東京理科大)
D-12-1 |
画像処理を用いた洋ナシ果実の外観汚損の検出の研究
○中澤健介・山崎達也(新潟大) |
D-12-2 |
大豆の圃場状態把握のための深層学習モデルとデータ拡張の検討
◎山口拓海(筑波大)・豊田皓人(小山高専)・村川正宏(産総研)・飯島洋祐(小山高専) |
D-12-3 |
敵対的学習を用いたDeepLab v3による歯種セマンティックセグメンテーション
◎林 大誠・中山良平・檜作彰良(立命館大)・村田 乾(タカラテレシステムズ) |
D-12-4 |
AutoEncoderとOne Class SVMを用いた工業製品の画像異常検知
○谷本湧気(金沢大)・笠原竹博(石川県工試)・南保英孝(金沢大) |
新潟名産の高級洋ナシ「ル レクチエ」(以下,洋ナシ)は高級果実として知られ,外観品質は果実品質の重要な決定要因の一つである.外観品質に基づいた果実の等級は,傷や病気(以下,外観汚損)の要因ごとに出荷規格基準が新潟県により定められており,等級判定には外観汚損の要因特定が必要である.しかしながら,等級判定作業は通常目視により行われており,判定結果の個人差や判定作業の負担が農業現場の大きな課題の一つとなっている.そのため,本研究では画像処理による客観的判定を導入し,作業を支援することを目的としている. 本稿では,洋ナシの汚損検出のためにテクスチャ特徴量を用いた手法を用いた実験を行った結果を報告する.
近年,農業分野での農作業のオートメーション化が進められている中で圃場の正確な状態把握の重要性が高まってきている.
そこで,本研究では,葉の虫食い領域のセグメンテーションによる深層学習を用いた大豆圃場の虫害被害の自動監視を検討する.
本検討では,虫害被害の状況を正確に検出するために,フラクタルを用いた虫食い葉画像の自動生成によるデータ拡張を適用し,大豆の圃場における虫害状態の定量的評価を検証する.
本研究の目的は,DeepLab v3の分割結果画像と教師画像を分類するCNNをDeepLab v3に追加した新たなネットワークを構築し,敵対的学習を用いた歯種セマンティックセグメンテーション手法を開発することである.実験試料は歯科パノラマX線画像161枚(学習用81枚,検証用20枚,評価用60枚)である.提案ネットワークの学習では,各歯種の歯牙領域の分割を行うDeepLab v3の学習と,教師画像から抽出された各歯種のROIと対応する位置の分割結果画像のROIの判別およびROIの歯種同定を行うCNNの学習を交互に行う.提案ネットワークの平均IoUは0.678で,敵対的学習を用いないDeepLab v3 (0.611)より各歯種の歯牙領域の分割精度が有意に改善した.
本研究では,実際の工場で使えるシステムを構築することを目的とし,正常品画像のみを訓練データとした深層学習の手法として、AutoEncoderとOne Class SVMを用いたSense Learningを参考にし,異常検知を行った.実験を行う上で画像全体を使った検知を行うと精度が悪く,検知に時間が掛かりすぎるという課題があった.そのため,本研究では最大差分ピクセルの周辺8ピクセル以内と座標のみを検知の対象とし,実験をおこなった.結果として、周辺2~5ピクセルの時に感度が100%となり、その中でも、5ピクセルの時に特異度、Accuracy共に一番良い数値となった。
休 憩(10:45 再開) 座長 谷口行信(東京理科大)
D-12-5 |
顧客の属性を考慮した商品画像の印象推定法の検討
◎中本麻友・川西康友・出口大輔・井手一郎・村瀬 洋(名大)・中澤 満・Yeongnam Chae・Bjorn Stenger(楽天) |
D-12-6 |
深層学習を用いた工業製品の画像異常検知における誤差関数の評価
◎中田駿太(金沢大)・笠原竹博(石川県工試)・南保英孝(金沢大) |
D-12-7 |
航跡方向を考慮したグラフ畳み込みネットワークによる海底地形超解像
◎有本拓矢・薗頭元春・飯山将晃(京大) |
D-12-8 |
深層学習を用いた複数国の道路標識分類
○QUY TRAN VAN・佐藤荘一朗・浅川徹也・青野雅樹(豊橋技科大) |
ECサイトでの商品検索には,商品名や説明文中のキーワードが用いられる.しかし,検索エンジン最適化(SEO)対策として,商品との関連性が低いキーワードが付与されている場合,検索結果の信頼性が低く,直感的な検索もできない.そこで本研究では,商品画像から受ける印象に基づく,直感的な商品検索の実現を目指している.商品画像の印象は商品を検索する顧客の属性により異なることが想定されるため,本発表では,検索者の年代や性別などの属性に応じた商品画像の印象推定法を検討した.属性を考慮しないベースライン手法と,属性を考慮する提案手法を比較した結果,属性を考慮することで,商品画像の印象をより正確に推定できることを確認した.
本研究では,教師なし学習可能な確率分布生成モデルVariational AutoEncoder (VAE : 変分自己符号化器)を用いて,深層学習による工業製品の異常検知モデルの精度向上を行った.先行研究によると,画像を小さなパッチに分割し,パッチごとに非正則化スコアにより評価することで,工業製品のような複雑な画像に対して従来よりも高性能な分類が可能であると示されていた.その一方で,このパッチ化手法は処理時間に課題があることが判明した.そこで,パッチ化処理をせず,VAEの訓練時の誤差関数として非正則化項を用いることで,複雑な画像に対して高い性能かつ短い時間での異常検知が行えることを示した.
海底地形はソナーを搭載した船舶を移動させながら計測され、低コストであるが船底直下の深度しか得られないシングルビームソナーと、高コストであるが広範囲の深度を一度に計測できるマルチビームソナーが存在する。後者だけで全ての計測を行うことはコスト的に現実的ではない。これに対し、実測は前者で行い、それを超解像するアプローチを提案する。海底地形超解像は3次元点群として得られる海底地形データを超解像するタスクと位置付けられる。提案手法では、シングルビームソナーの航跡間を補完するような点群が生成されるよう航跡方向を考慮した隣接点グラフを構築し、従来手法と比較して欠損の少ない超解像を実現した。
近年、自動運転技術の進歩に伴い、レベル3の自動運転車が世界中に商品化され始めた。また、輸送時間とコストなどを削減するのに、将来、レベル5の自動運転車が国内だけでなく、各国間に人と物の輸送に使えると期待されている。しかし、世界中では、各国で異なる道路標識が使われている。
そこで、輸送の安全を確保するために、自動運転車が世界各国の道路標識が認識できる必要がある。本研究では、深層学習を用いた複数国の道路標識分類システムを提案する。
3月10日 13:00〜16:45 Meeting 40 座長 木村昭悟(NTT)
D-12-9 |
畳み込み層統合によるCNN推論処理における演算量削減手法
◎吉田周平・鵜澤寛之・八田彩希・大森優也・小林大祐・中村 健・新田高庸(NTT) |
D-12-10 |
最適輸送理論による主観評価タスクを対象とした転移学習の親和性予測
◎畠山智之・汪 雪テイ・山崎俊彦(東大) |
D-12-11 |
Graph Neural Networksの判断根拠エッジの可視化
◎笠西 哲・汪 雪婷・山崎俊彦(東大) |
D-12-12 |
Sparse Fooling Images: 認識誤りを誘発するピクセル画像
◎熊野創一郎・計良宥志・山崎俊彦(東大) |
D-12-13 |
構造未知の画像認識器に対するModel Inversion Attackの検討
◎吉村駿佑・中村和晃・新田直子・馬場口 登(阪大) |
近年,CNNを用いた画像認識や物体検出を監視カメラやドローン等のエッジデバイス上で実行するエッジAIシステムが注目されている.計算資源が限られるエッジデバイスで,処理性能と認識精度を両立させるためには,精度劣化無くCNN推論処理の演算量を削減する手法が求められる.本稿では,CNNモデル内の活性化関数を削除し,隣接する層の畳み込み演算を統合することで,推論処理の演算量を削減する手法を提案する.
近年,汎化性能の向上やアノテーションコストの削減のために転移学習という手法が注目されている.転移学習とは,目的とするタスクについて学習する前に別のタスクで事前学習する方法であり,これまで分類や検出などの客観評価タスクについては転移学習のしやすさが議論されてきた.本論文では初めて審美度や記憶しやすさなどの主観評価タスクについて転移学習のしやすさを調べ,また最適輸送理論を用いた転移学習のしやすさの予測手法を提案する.この手法により事前学習に有効なデータセットを小さなコストで予測することができる.
本稿では,グラフデータを入力として扱う深層学習モデルであるGraph Neural Networks (GNN)の判断根拠の可視化手法について検討を行った.検討する手法としてCNNモデルの可視化手法であるGrad-CAM,並びに機械学習モデル一般に適用できる可視化手法であるLIMEをGNNに適用し,判断根拠となる入力グラフ中のエッジの可視化を行った.これらの手法を,GNNの主要なタスクであるグラフ分類,ノード分類を行うGNNモデルに適用し,定量的な評価を行った.その結果,Grad-CAMと比較してLIMEの精度が高いことが分かった.
DNNはいくつかの画像に対して人間と全く異なる認識をする. Fooling imagesは人間にとって全く意味を成さない画像であるにもかかわらず, DNNによって高い確信度であるクラスへと分類される. 既存のfooling imagesは人間が知覚できない画像としながらも, 分類されるクラスに固有な特徴を持っており, DNNはそのような特徴に反応し, 高い確信度を生成していると考えることができた. 本研究では局所的にも大域的にも全く特徴を持たないfooling imagesを作成する. 新たなfooling imagesの形式として我々が提案するsparse fooling images (SFIs)は数ピクセルだけ変更されたほぼ単色の画像である.
画像認識器に対する攻撃法の一つにModel Inversion Attack (MIA)がある.MIAは,対象の認識器が特定の出力を返すような画像を推定・生成する攻撃であり,例えば顔認識器に対し実行された場合,認識対象人物の顔画像が無断で生成・配布されるなどの問題を生ずる可能性がある.その脅威度を解明し防御法の開発へとつなげることを目的としてMIA手法を検討した研究が行われているが,従来手法では,対象の認識器の構造やパラメータが既知であること(white-box条件)を仮定していた.本稿では,より現実的な観点からMIAの脅威度を調べるために,認識器の構造が未知という条件(black-box条件)の下でMIAの実行手法を検討する.
休 憩(14:30 再開) 座長 松井勇佑(東大)
D-12-14 |
双二次変換を用いた極端に湾曲した文字列の認識
◎長岡 巧・若原 徹(法政大) |
D-12-15 |
くずし字の翻刻のための文字切り出し
◎一色昂祐・村木祐太・小堀研一(阪工大) |
D-12-16 |
クエリの句構造と物体領域の対応づけによる映像検索
◎宇津木駿介・白浜公章(近畿大) |
D-12-17 |
ビジュアルアテンションと品詞の情報を用いた画像に対する日本語キャプションの生成
○常田陸史・青野雅樹(豊橋技科大) |
現在、情景内文字認識の分野では多くの研究結果が公開されている。ディープラーニングにより、その認識精度はますます高くなってきている。 しかし、極端に曲がった文字列の場合、精度はそれほど高くない。そこで本論文では、双二次変換を用いて極端に湾曲した文字列に特化した認識手法を提案する。この手法では、検出手法「CRAFT」、認識手法「CLOVA-AI v2」も使用する。まず初めに、「CRAFT」で文字を検出する。次に、双二次変換を用いて湾曲した画像を変換する。最後に、認識手法「CLOVA-AI v2」で文字を認識する。実験には、湾曲画像を多く含むデータセット「CUTE80 」を用いる。画像のデータ数は288枚である。実験結果では、288枚のうち、245枚の認識に成功し、認識精度は85.1%となった。
日本の歴史的典籍はくずし字という特殊な形状の文字で書かれており,翻刻には専門的な知識が必要となる.そのため,翻刻の自動化が求められている.しかし,自動翻刻においては連綿と呼ばれる文字を連続して書く書体が障害となる.そこで,本研究では連綿の文字間における接続部分の特徴に着目して,1文字に切り出すことで翻刻を支援する手法を提案する.提案手法ではまず,本文を構成する文字領域を抽出する.次に,クラスタリング手法により文字領域が連綿であるかどうかを判定する.そして,連綿から接続部分の特徴を満たす,接続部分の候補を抽出する.最後に,候補の評価を行い,最も評価が高い候補で連綿を分離することで切り出しを行う.
近年,フレームとクエリを共通空間に射影して直接比較する埋め込みに基づく映像検索手法が主流になっている.特に,フレーム全体とクエリ全体を共通空間に射影するVSE++ (Visual-Semantic Embedding)がよく用いられているが,クエリ中の単語がフレームのどの領域に対応しているか考慮できない.一方,フレーム中の物体領域とクエリ中の単語を共通空間に射影するSCAN (Stacked Cross Attention)が提案されているが,クエリの句構造を考慮していないため,連語に対応できない.そこで,本研究では,クエリの句構造の解析を行い,単語に加えて,名詞句も共通空間に射影する手法SCAN-Phraseを提案する.
近年、自然言語と画像の統合的でマルチモーダルな処理は注目を集めている。その中でも、画像に対してその画像の内容を説明するキャプションを自動生成する技術(image captioning)は特に海外で大きく発展してきている。
画像のキャプション生成の精度が向上すると、教育現場や、視覚障害者のために役に立つと考えられる。
本研究では、日本語におけるキャプション生成に品詞の情報を利用する事で、日本語のキャプションの精度向上を目指す。
休 憩(15:45 再開) 座長 平山高嗣(名大)
D-12-18 |
バスケットボールにおけるパス可能な攻撃選手とパスを防ぐ守備側選手のスコアリング法の提案
◎佐野裕介・中田洋平(明大) |
D-12-19 |
7人制ラグビーにおけるランとハンドパスを考慮した最適攻撃プレー算出法の高速化
◎△八代航太朗・中田洋平(明大) |
D-12-20 |
幾何学的フォーメーション特徴量を利用したパスプレー評価値の可視化
◎三村達也・中田洋平(明大) |
D-12-21 |
指位置自動判別機能によるタイピング運指判別システムの検討
◎川原守玲那・平野晃昭・髙橋大介・岡本教佳(関東学院大) |
これまで,著者らのグループでは,バスケットボールの選手・ボール位置情報を3次元CG で可視化するツールの研究を進めてきた.また,このツールでは,パス可能予測選手情報を表示しており,その高度化のため,著者らは運動モデルを用いたパス可能選手予測法も提案してきた.しかし,このパス可能選手予測法は,単にパスが渡る可能性を評価するものであり,パス可能と予測された選手の得点への関連性を評価するものではなかった.そして,パスを防ぐ守備側選手に対しての評価値について示すものでもなかった.そこで,本稿では,パス可能選手予測法に基づいたパス可能な攻撃選手と,パスを防ぐ守備側選手をスコアリングする方法を提案する.
近年,日本でのラグビーへの注目度が高まってきている.そのような中で,試合放送時などに試合展開を分かりやすくする付加情報の提供が,ますます重要となりつつある.このような背景の下,著者らは,7人制ラグビーにおける選手位置情報から,ランとハンドパスを含む最適な攻撃プレーを算出する方法を提案してきた.また,仮想的フォーメーション例を用いて検証を進めてきた.ただし,リアルタイム処理を行うためには,高速化する必要があった.本稿では,計算の高速化を目的とし,最適攻撃プレー算出法の実装について3つの改良を施す.さらに,4つの仮想的フォーメーション例を用いて,処理時間を比較し,それらの改良の有効性の検証を行う.
これまでに著者らは,選手位置情報から複数の幾何学的フォーメーション特徴量を抽出し,パスの得点への繋がりやすさや奪われやすさを定量化する方法を提案してきた.本研究では,パス評価法のフォーメーション解析ツールでの利用法について検討する.まず,選手位置情報から優勢領域を算出し,ボール保持選手と領域が隣接している味方選手を抽出する.その後,ボール保持選手とその全ての隣接味方選手の間の潜在的パスプレーに対して,前述のパス評価法を用いてパスプレーの評価値を算出し,フォーメーション解析ツール上で可視化を行う.また,本稿では,この可視化法の有効性の検証のため, J1リーグの選手位置情報を用いた検証実験も行う.
タイピング学習の初歩はホームポジションを体得することである.それにより指を多く使えることと,同じキーは同じ指で押下することが徹底され効率的に入力を行うことができる.本稿では,ホームポジションによる正しい指使い(運指)で入力されているかを自動的に判別可能な運指判別システムを提案する.本システムは,指先の位置情報と指の種類を取得するためにモーションセンサLeap Motionを用いる.このセンサをスタンドでキーボード上に設置し,キーボードと指先のカメラ画像を取得できる状態にする.実験では,運指判別精度を求める精度実験を行う.被験者14人にそれぞれ1800文字の文字列を入力させ,本システムの運指判別精度は99.64%となった.
3月11日 13:00〜15:30 Meeting 40 座長 島田伸敬(立命館大)
D-12-22 |
360°画像からの顕著性マップの予測と注目部分画像の検出
◎△澤邉裕紀(東大)・池畑 諭(NII)・相澤清晴(東大) |
D-12-23 |
手作業により整備された注視点データを用いた運転手注視点予測用動的顕著性マップ構築法の検証
◎中澤空知・中田洋平(明大) |
D-12-24 |
車載カメラを用いた遠方歩行者からのアイコンタクトの検出に関する初期検討
◎畑 隆聖・出口大輔・平山高嗣・川西康友・村瀬 洋(名大) |
D-12-25 |
歩き方の特徴に着目した所持物・重さ認識の初期検討
◎水野雅也・川西康友・出口大輔・村瀬 洋(名大)・井下哲夫(NEC) |
D-12-26 |
運転者の顔を追尾するバックミラー制御の検討
○秋山英里・村瀬 洋・出口大輔・川西康友(名大) |
近年,360°画像の生成,編集,公開,閲覧が一般的に出来るようになってきている.しかし,360°画像を閲覧者がディスプレイで見る際,閲覧者の視野角は限定されるため,360°画像全体の情報を得ることが出来ず,見落としが起こる可能性がある.本稿では,このような見落としを防ぐため,360°画像を閲覧者に見せた際に視線が画像上のどこに集まったかを示す顕著性マップを元に,新規の360°画像に対して閲覧者が見るべき注目部分画像を検出する手法を提案する.天球上でのランダム回転によるデータ拡張は,既存の手法よりも高い精度での顕著性マップの予測を実現した.その予測を元に,提案するSalient-IoU Lossを考慮することで,顕著性が高い領域を含みつつ,領域間で重なりがないような注目部分画像を検出出来た.
運転支援システムでの活用を目的とし,これまで著者らは,運転手注視点予測のための動的顕著性マップ構築法を提案してきており,その有効性を示してきている.しかし,注視点データを整備する際,車載カメラ画像とアイマークカメラ画像との間で特徴点マッチングを行い,その結果を用いたホモグラフィ変換により,アイマークカメラ画像上の注視点を車載カメラ画像上での位置に対応付けてきた.この整備方法による注視点の対応付けでは,対応付けが上手く行われていない例も確認された.そこで,本研究では,手作業により,より正確に整備された注視点データを用いて,動的顕著性マップ構築法の検証実験を行う.
車両の運転において,アイコンタクトは歩行者の気付きを判断する重要な要素である.従来のアイコンタクト検出手法の多くは眼球計測に基づく直接的な視線推定に依存しているが,道路環境のように車両と歩行者の距離が離れるような場合は視線推定が困難となる.一方,我々が運転する様子を振り返ると,遠方の歩行者に対しても顔向きや姿勢等の情報を複合的に用いてアイコンタクトの有無を判断していることに気付く.そこで本発表 ではこのような我々の知見に倣い,遠方で視線推定が困難な歩行者からのアイコンタクトの有無を検出可能な手法を検討し,PIEデータセットを用いた実験により,顔向きや姿勢などの情報を組み合わせる提案手法の有効性を確認した.
近年,不審物検出の需要が高まっている.不審物は重いものが多いため,所持物の重さ認識は不審物検出の重要な手掛かりになりうる.
本発表では,所持物の種類や重さによって人の歩き方に所違いが生じることに着目し,人の歩き方の特徴に着目した所持物・重さ認識手法を検討する.
提案手法は,姿勢推定により得た人物骨格の歩行1周期分の系列を入力とし,所持物・重さを表すクラスを出力とする.
このとき,入力ごとに系列長が異なる問題に対処するため,フレームのランダム選択により,固定長部分系列を複数作成する.
また,人体の構造をうまく表現するために,ST-GCNによる部分系列の分類を行なう.
最終的に,得られた複数の分類結果の多数決を取ることにより,最も投票数の多い所持物・重さのクラスを出力する.
複数種類・重さの所持物を用いた実験を通して,提案手法の有効性を確認した.
家族での自動車の利用やカーシェアリングなど,複数人で自動車を共用する場面では,体格差がある人が同じ自動車を運転することになる.そのため運転者ごとにバックミラー角度などを適切に調整する必要がある.また運転中には,疲労による姿勢の変化や,カーブなどの道路環境により,適切なバックミラー角度は変化する.本発表では,バックミラーに映った運転者の顔から,運転者の顔の位置に応じて常に適切なバックミラー角度をCNNにより推定し,バックミラーに取り付けられたモータの角度を制御するシステムを検討する.
休 憩(14:30 再開) 座長 木村昭悟(NTT)
D-12-27 |
屋内測位のためのRGB-IRカメラによる不可視二次元コード検出に関する基礎検討
○中澤陽平(高千穂大)・牧野秀夫・前田義信(新潟大) |
D-12-28 |
モーションブラー画像と静止画像を用いた深度推定
◎△安達真武(京大) |
D-12-29 |
Shapelet間の順序情報を利用した時系列データ分類
◎藤岡公平・岡部正幸(県立広島大) |
D-12-30 |
画像の印象操作のためのオブジェクトの外観変換
◎内田祐生・新田直子・中村和晃・馬場口 登(阪大) |
屋外での位置情報取得にはGPS (global positioning system) が利用されるが,屋内外でシームレスにナビゲーションを行うためには,正確な屋内測位技術が不可欠である.本研究では,可視光と赤外 (infra-red,以下IR) 光を同時に撮影することができるRGB-IRカメラを利用することで,赤外光のみで撮影可能な二次元コード(以下,不可視コード)を読み取り,屋内測位を行うことを目指す.不可視コードは,屋内の表示や案内板といった歩行者への指示の他,絵画や風景写真など環境中の物体に違和感なく重畳することが可能である.
本研究では画像を用いた深度推定の新しい手法として、カメラが動くことで取得されるモーションブラー画像と、カメラが静止した状態で取得される静止画像を用いることを提案する。
画像が取得される様子を順光学に基づき定式化し、逆光学を考えモーションブラー画像から距離を求める最適化問題を導入し、座標降下法を改良した手法により最適化し、数値実験により評価した。
数値実験の結果について、画像内のコントラストのある部分についてはニューラルネットに劣らない高い深度推定精度を得ることができ、提案手法の有効性を示すことができた。
本研究では時系列データ中の特徴的な部分系列であるShapeletの出現順序情報を利用した分類学習方法を提案する.提案方法では,文字列データ中における単語の出現順序の類似度を定量化するn-gramカーネルを用いてShapelet間の順序関係を定量化する.このShapelet版n-gramカーネルは,nの値を変化させることで複数生成されるため,分類の際には,マルチカーネル学習を用いる.複数の時系列データ分類用のベンチマークデータセットを用いて提案手法の有効性を検証する.
人間は,画像に対する印象を決定する際に,画像中に存在する特定のオブジェクトに注目しており,人物の顔や車など同じ種類のオブジェクトに対しても,その表情や光沢など,オブジェクトの外観によって異なる印象を持つ.そこで本研究は,画像の印象を操作するため,印象がラベルとして付与された画像集合から,各オブジェクトの外観と印象の関係を学習することにより,指定したオブジェクトの外観を印象に応じて変更する手法を提案する.ホテル内観画像をもつデータセットを用いて, 提案手法の有効性を検証する.
D-12. パターン認識・メディア理解B(コンピュータビジョンとコンピュータグラフィックス)
3月9日 9:00〜11:45 Meeting 40 座長 木村昭悟(NTT)
D-12-31 |
プロジェクションマッピングによる実環境照明再現
◎竹内正稀・岩井大輔・佐藤宏介(阪大) |
D-12-32 |
RoboCup MSLのための自己位置同定法の構築
◎馬 躍航・渡邊 香・鈴木秀和(東京工芸大) |
D-12-33 |
誘導と追従を切り替えながら移動するロボットショッピングカート
◎佐々木知紀・福田悠人・小林貴訓(埼玉大) |
D-12-34 |
日常的な物体操作の自動記録と解析に基づく物体把持方法の想起
○有本光希・島田伸敬・松尾直志(立命館大) |
D-12-35 |
多解像度画像を使った全方位ステレオカメラによる3次元計測
◎藤村勇吾・中村真吾(芝浦工大) |
投影型複合現実感はコンピュータ上で作成した仮想空間の映像を現実空間の対象物体にプロジェクタで投影する技術である.近年はエンタテインメント,製品開発などの様々な分野において応用されている.しかしプロジェクタは暗い環境下での映像投影を前提としている.これは周囲の光により投影対象のコントラストが低下するのを抑えるためである.本稿では対象への投影に加え,環境光源をプロジェクタに置き換えることで対象物体の周囲の環境面にも映像を投影するプロジェクタ・カメラシステムの構築を目指す.実験では対象物体への投影において提案した手法により視認性が向上したことを確認し,実用可能であることが示唆された.
近年,人工知能の発展を目的として開催される自律移動ロボットの競技大会として,RoboCup MSL(ロボットサッカー中型リーグ)がある.RoboCup MSLにおいて,ロボット同士の協調行動や高度な戦略的動作を実現するためには自機の位置を推定する自己位置同定が必要不可欠である.本研究では,全方位画像から得た白線情報とフィールドデータを照合するモデルマッチング法による自己位置同定手法を構築し,さらに,その処理を実時間で行うために,自己位置の探索に遺伝的アルゴリズム(GA)を利用する.
ロボットカートによる買い物支援において,ロボットはユーザの買い物行動に合わせて振る舞いを変化させることが必要である.そこで本稿では,以前より我々が開発してきたロボットカートが持つ,自律移動機能を利用したユーザへの追従と,誘導と追従の切り替え手法を提案する.本手法では,ユーザを常に追跡し,自動走行機能の目的地をユーザの座標で動的に上書きすることで追従を実現する.また,ユーザとの距離に合わせて誘導と追従を切り替えることで,ユーザの振る舞いに適応した買い物支援を実現する.
実験により,提案法を用いて走行モードを切り替えて走行可能なことを確認した.
日常的な手で操作する様々な物体について,ロボットにその把持方法を逐一設定していくのは不可能である。そこで人間の物体操作シーンを監視してデータを蓄積し,そこから人の把持動作を解析して物体の形状と併せて学習させることで,ロボットが未知の物体に対しその特徴から把持方法を想起できるようにする。
手法としては自動で人と物体の接触を検知し,人の骨格を解析し,関節点群データを抽出するシステムを作成した。そして物体の深度画像と関節点群
をCNNとAutoEncoderを組み合わせたモデルを用いて学習を行い,連鎖的に次のフレームの手指座標を推定することで物体把持動作を想起させることができた。
近年,自律移動ロボットの全方位センサーとしてレーザーセンサーが使われている.しかしながらステレオカメラはレーザーセンサーに比べより高い空間分解能を持っている.そこで本研究では2台の全天球カメラを用いて全方位ステレオカメラを作成し,3次元計測を試みる.一般的に全天球ステレオカメラを使用した手法では正距円筒図を用いて画像の対応点検出を行うが,画像の歪みにより精度が落ちる.本研究では正距円筒図の代わりにCubic Mapping画像を用いる.さらに2つのカメラ座標の平行化を行った上で,歪みを取り除く画像変換を行い,解像度の高い画像と低い画像を組み合わせることで,高密度な3次元計測を行う手法を提案する.
休 憩(10:30 再開) 座長 中村和晃(阪大)
D-12-36 |
誤りラベルを含むデータに対するマルチラベル学習
◎鈴木大智・堀田大地・田中大揮(東大)・伊神大貴(NTT)・相澤清晴(東大) |
D-12-37 |
ラベル誤りを含む学習データにおける深層距離学習
◎△吉田光樹・郁 青(東大)・伊神大貴・入江 豪(NTT)・相澤清晴(東大) |
D-12-38 |
深層強化学習によるバナー画像の要素配置最適化
◎△近藤佑亮・Xueting Wang(東大)・勢〆弘幸(セプテーニ)・山崎俊彦(東大) |
D-12-39 |
特徴抽出のカスケード化による高速点群位置合わせ
◎久留陽一郎・松井勇佑(東大) |
D-12-40 |
畳み込みニューラルネットワークを用いた障害者向け段差計測手法
◎仲谷淳之介・吉岡明信・陳 キュウ(工学院大) |
大規模データセットで学習されたディープニューラルネットワークは, シングルラベル画像の分類において高い性能を発揮している. しかしながら, 日常生活の画像は本来マルチラベルであることが多いため, シングルラベル分類の問題から拡張する必要がある. 一般に, 大規模データセットにはノイズラベルと呼ばれる不正確なラベルが含まれる傾向があるが, マルチラベル画像の場合, その傾向が顕著になりやすい. そこで, 我々は, ラベル誤りを含むデータセットから, モデルのパラメタとラベルの同時最適化によって, ノイズロバストに学習する手法を提案した.
深層距離学習は, 画像をニューラルネットを用いて埋め込み空間に変換する手法で, 埋め込み空間上で類似画像の組はより近く, 非類似の組はより遠くなるように学習させる手法である. 本稿では, 同種画像2枚からなる画像ペアを入力として受け取る深層距離学習について, 入力に別種画像2枚のペアが混入している問題を取り扱う. 本稿では, 正常なペアとノイズで埋め込み空間上での距離分布が異なる特性を利用し, ノイズの影響を軽減する手法を提案する.
Web広告において,バナー画像のデザインは広告効果への寄与が大きく重要である.しかし,魅力的なデザインを作成するためには,各画像要素の配置でさえ,熟練者が繰り返し調整する必要があり,手間である.加藤ら[1]は,特にテキスト要素を画像中に自動配置する手法を提案した.本研究では,バナー画像の多くがレイヤ情報を持つ画像(以下,PSD画像)として作成されていることに着目する.図1に示すように,各要素の配置を乱したPSD画像を与え,これを修正するようにAgentを強化学習することで,画像全体のバランスを俯瞰しながら各要素の配置を反復的に最適化する手法を提案する.
三次元点群位置合わせは、ロボットが自己位置と環境地図を同時に推定する場合や、三次元モデルの再構成な どのタスクの要素技術として重要である。近年では、深層学習を特徴量抽出に用いた手法が多く発表されている。
本研究では高精度の手法を改良し、その推論時間の短縮に成功した。ベース手法には RPMNet(Yewら, 2020)を用いた。 ベース手法は極めて高精度であるが、その計算量は大きい。これは、深層学習を用いることと、位置合わせを反復的に行うことによる。提案手法は、特徴量抽出のカスケード化によって精度の劣化なしに、二回目以降の反復の計算量を大きく減らした。
近年日本ではバリアフリー化が進んでいる.しかし、路面状況の悪い道や段差を越えなければ入店できない飲食店などが今なお多数存在する.こういった問題は車椅子利用者が日常生活を送る上で大きなバリアとなる.そこで,通行可能な道順や入店可能な店舗を事前に知る取り組みがなされている.しかしながら,現在行われている取り組みではバリア情報を得たいところに実際に車椅子利用者や行政スタッフなどが赴き,情報を収集する仕組みになっている.したがって,情報の偏りや労力がかかってしまう.そこで本研究では,畳み込みニューラルネットワークを用いることで段差画像から高さを推定し,車椅子利用者がその段差を登ることが可能か否か判定する手法を提案し,実験結果により有効性が実証された.
3月9日 13:00〜17:00 Meeting 40 座長 飯山将晃(京大)
D-12-41 |
形状特徴とテクスチャ特徴を用いた籾を判別する一手法
◎長﨑泰規・村木祐太・小堀研一(阪工大) |
D-12-42 |
二次元画像から枝の構造推定
◎中﨑貴哉・村木祐太・小堀研一(阪工大) |
D-12-43 |
ディープニューラルネットワークを用いた樹木の健康状態判別方法
◎中山陽太・吉岡明信・陳 キュウ(工学院大) |
D-12-44 |
天井カメラ動画からの乳牛の行動分類
◎奥田悠太(東京理科大)・古田諒佑(東大)・谷口行信(東京理科大) |
D-12-45 |
深層学習を用いた顔映像からの血中酸素飽和度の非接触推定
◎中澤侑己・秦野 亮・西山裕之(東京理科大) |
収穫された籾は見た目や形状などの欠陥の有無により,様々な状態に判別される.この作業は専門家の目視によって行われており,多くの時間や手間がかかるといった問題がある.そこで,本研究では籾を撮影した画像を入力とし,籾の状態を判別する手法を提案する.提案手法では,籾を「良品」,「屑米」,「砕粒」,「脱稃」,「枝梗付着粒」の5種類に分類する.最初に籾と枝梗を分離し,籾と枝梗の長さを比較して枝梗付着粒の判定を行う.また,枝梗を分離した籾領域から,形状特徴量の算出を行い,サポートベクターマシン(SVM)を用いて,「脱稃」,「砕粒(割れ)」,「その他」に分類する.そして,その他に分類された籾に対しクスチャ特徴量の算出を行い,SVMを用いて,「良品」,「屑米」,「砕粒(剥離)」に分類する.
近年,農業従事者は高齢化や若年層の農業離れによって減少傾向にある中で,ロボットを用いた農作業の自動化が注目されている.しかし,農作業の自動化には植物の枝構造の情報が求められ,葉によって隠れた枝構造の情報も高速に取得する必要がある.そこで,本研究では植物を多視点から撮影した画像を入力として,枝の三次元構造の復元を行う.はじめに,多視点から撮影した画像に対して,深層学習を用いて画像変換を行い,枝領域を推定する.そして,枝領域の推定結果を用いて,三次元復元を行う.最後に,復元した三次元構造を細線化し,不要な領域を削減することで,高速な枝の構造復元を実現する.
気候変動に伴い風水害による大規模停電の被害が市民生活に深刻な影響を与えている.その原因の一つとして,管理不足の樹木が多数倒木したことによる電線の切断被害が挙げられる.このような被害を未然に防ぐために,本研究ではディープラーニングを用いて樹木の健全性を効率的かつ定量的に診断し倒木リスクを検証することを試みた.なお,行政で行っている樹木の点検には簡易診断と健全度調査の2つがある。まず、全樹木を対象に簡易診断を行い,その中で詳細点検が必要と判断された樹木については健全度調査を行っている.本研究では,従来の目視による簡易診断に対し,ディープニューラルネットワークを用いた樹木の健康状態判別手法を提案し有効性が実証できた.
酪農業において乳牛一頭一頭の行動を常に観察し,病気や発情の兆候を早期に発見することは重要である.酪農家の減少や大規模集約化により,酪農家の負担が増加している.本研究では,乳牛の個体管理の効率化を目的として,牛舎の天井に設置したカメラで撮影された画像を用いて,乳牛の基本動作である,歩行,飲水,採食,伏臥,静止の5 種類の行動を分類する手法を提案する.提案手法は,二つのstreamに分けた3次元畳み込みニューラルネットワーク(3D CNN)を用いて行動を分類する:(i) stream 1には,乳牛個体を切り出した画像を3D CNNに入力し,乳牛の詳細な動き特徴を捉え,(ii) stream 2には,外接矩形領域を示す2値画像を3D CNNに入力し,大きな動きと位置の特徴を捉える.
近年生活習慣病患者が増加しており、死因の約5割、医療費の約3割を占めている。従って、健康管理・予防医療へのシフトが課題となっており、心身の健康状態のモニタリングが望まれる。生体情報の中でも血中酸素飽和度(SpO2)は体調不良や体に疾患があると値に反映されるため、いち早く身体の異常を察知することができる。ウェアラブルセンサーでも計測可能であるが、接触型デバイスゆえ皮膚圧迫による不快感が伴い、長時間測定では皮膚の炎症が生じる可能性もある。そこで、本研究は深層学習を用いて心臓の活動が反映されやすい顔の映像からSpO2を非接触で推定する。実験結果から改善の余地があることが伺えるが、end-to-endで推定できていることが考えられる。
休 憩(14:30 再開) 座長 川西康友(名大)
D-12-46 |
物体識別と姿勢推定を用いた核物質等盗取行為検知手法の提案
○横地悠紀・陳 実・出町和之(東大) |
D-12-47 |
全方位カメラによる指差し位置の検出
小野口一則・◎白取雄一郎(弘前大) |
D-12-48 |
動作の類似度に基づく階層的な行動認識に関する検討
○澤田清仁(警察大)・細野峻司・北原正樹・島村 潤(NTT) |
D-12-49 |
ディープラーニングを用いた3密防止するための人数自動計測手法
◎小林香生留・野中琢登・陳 キュウ(工学院大) |
D-12-50 |
時間相関特徴を用いた動画分類手法の検討
◎藤森真綱・望月貴裕(NHK) |
IAEAのIncident and Trafficking Database(ITDB)によると、世界における核セキュリティ関連の事件は約3日に1件の割合で発生しており、その中で最も多数を占めるのが核物質や放射性物質の盗取である。盗取行為への対策としては計量管理等が適用されているが、本研究ではさらに、盗取行為が実施される瞬間を検知することで物理的防護システムの予防・検知性能を向上させることを目標に、監視ビデオカメラ画像の深層学習解析により盗取行為をリアルタイムで検知する手法の開発を行った。盗取行為の検知には物体識別と動作推定のための深層学習モデルの適用が有効であるが、高精度検知のためにはこれらモデルの結果の組み合わせに対する判定手法の開発も重要である。よって本研究では、以下の3つを実施すると共に、その性能を評価して盗取行為をリアルタイムで検知する手法の実現性を検討した。
1)物体識別深層モデルの実装
2)姿勢推定深層モデルの実装
3)物体識別結果と姿勢推定結果の組み合わせによる盗取検知手法の提案
スマートフォンを始めとした様々なスマートデバイスが開発される中、スマートスピーカーのような音声認識デバイスが脚光を浴びている。しかし、音声だけの指示では「あれを取って」や「それの名前は」といった、対象物を曖昧な表現で指示するような直感的なやり取りは困難である。このような操作を実現するためには、ジェスチャによる指示を併用することが有効と考える。このため、本研究では畳み込みニューラルネットワークを用いて、画像から指差し位置を検出する手法を提案する。本手法をスマートスピーカー等に組み込むことで、各種装置の使い勝手が格段に向上すると考えられる。
行動認識技術は,監視カメラ映像の解析や,ロボットの人間行動理解等,幅広い応用が期待されている.
従来手法の中でも精度の高いものは,Graph Convolutional Networks (GCN) 等を用いて,クラス分類に有効な特徴を学習している [1].このとき,学習にはネットワークの最終層から得られた特徴量に基づく分類結果の正否のみが用いられているが,複雑な分類問題を学習する際,この機構では学習が困難になる場合がある.これに対し,ネットワークの中間層の出力に,最終層よりも単純な問題を解かせ,単純な問題から階層的に認識をするよう学習させることで精度が向上することが他タスクにおいて報告されている.
本稿では,行動認識に対し上記段階的な認識を行なうことを考える.行動認識の難しさはクラス間で動作が類似することに由来すると考えられる.そこで,我々は,動作の類似度に基づき行動クラスをクラスタリングし,抽象化することで,段階的に行動認識が難しくなるような階層構造を作成し,その階層構造に基づき,行動認識を行なう手法を提案する.
世界的に流行している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関して,厚生労働省が感染拡大期に集団感染防止のために「3つの密」(密閉,密集,密接)を避けることを掲げた.本研究では三密を防ぐためようにディープラーニングを用いた人数自動計測手法を提案した.具体的に, 物体検出分野での代表手法としてFaster R-CNNを応用し,画像内に写っている人数を計測し,その人数が設定された人数を超えたかどうかで三密に該当するかを判定する。実験結果により、提案手法が有効であることを実証できた.
放送局には,過去の放送映像や収録素材などの大量の映像が蓄積されている.これらを効率的に再利用するためには,映像にメタデータを自動で付与する技術が不可欠である.顔認識技術や物体認識技術により「映っている人や物の名前」を特定することができるが,番組制作現場では,さらに多様なメタデータを付与する技術が求められている.そのような技術のひとつが,「動作」や「行動」を識別するための動画分類技術である.本稿では,少ない計算量で動画全体における画像特徴の時間的な相関を取得可能な「時間相関ブロック」を適用した,新しい動画分類モデルを提案した.また,実験により従来手法に比べ提案手法の分類精度が向上することを確認した.
休 憩(16:00 再開) 座長 山崎達也(新潟大)
D-12-51 |
インフラ協調自動運転における物体追跡の基礎検討
○大関和夫(東京国際工科専門職大) |
D-12-52 |
野鳥画像の識別精度向上のための前処理手法の検討
◎宮越一響・小嶋和徳・伊藤慶明(岩手県立大) |
D-12-53 |
物体領域抽出のためのマスク画像の自動生成
◎田中靖浩・西口敏司(阪工大) |
D-12-54 |
エラー解析が容易な単眼3次元物体検出ネットワークの検討
◎岸田悠右・吉岡理文・井上勝文(阪府大) |
インフラ協調自動運転は、中国で車両と道路が協調する項目が取り上げられ、大規模な実証実験が行われている[1]。米国でも、今後の計画の準備がは始まっている。インフラ協調の有効性は、車両単独では、得られない重要な情報を供給できることから、自動運転では、重要な機能となる。本研究では、インフラ協調処理のうち、車両等の道路上の動物体の検出を確実に行うため、2段階の動作について検討を行う。精度向上のため、固定カメラから見た、位置ごとに変形状態が決まるデータによる学習、Bounding Boxの探索の前処理に拡大要素を入れる予備実験を行った。一方、カテゴリ分けはさらに検討を要する。
現在,野鳥等動植物の画像情報を基に種類識別する技術は図鑑アプリなどで幅広く利用されている.しかし,それらはFine Grained Visual Categorizationと呼ばれる細粒度の多クラス画像識別であり,視覚的に非常に類似したクラスを扱うため,低い識別精度となる.本研究では画像内の野鳥以外の背景情報を削除することで識別率の向上を図る.具体的には,1.YOLOにより画像内の野鳥の座標を把握し,それを基に野鳥及びその付近を切取る.2.その画像にDeeplabv3等による背景除去処理をし,野鳥のみの画像を作成する.そしてこれをデータセットとして学習させる.
画像上の物体を識別する物体識別技術において,学習データは重要な要素であるが
自前で学習用データを作成する場合,多くの時間と労力が必要になる.
特に,正解データとして物体の位置を手作業で提示する必要があるため,その作業量は大きく増えてしまう.
そこで,物体の切り抜き作業を自動化するために,RGB-Dカメラを用いて,切り抜き作業を自動化かつ高速化する方法を提案する.RGB-Dカメラで得られた情報を基に高精度な切り抜きが実現できるかを模索し,撮影対象となる物体の形状や材質等の条件によってどのような差が生じるか調査を行い,F値等の指標から提案した切り抜き作業の切り抜き精度を評価する.
近年,自動運転や自律型ロボットなどの研究が盛んに行われており,その基盤技術として3次元物体検出が注目されている.比較的安価なセンサとして単眼のカメラを使用し,end-to-end で畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いる手法が主である.しかし,CNNの内部処理は解析が難しく,改良のための知見が得難い.そこで本研究では,CNNが内部で推定・ 処理をするシーンの3次元情報を視覚化し,改善のためのエラー解析が容易となるネットワークを構成する. 従来手法と同等の検出精度を達成することはできなかったが,ネットワークが推定したシーンの3次元情報を視覚化でき,推定できていない箇所を把握することができた.
D-13. 知能ソフトウェア工学
3月11日 13:00〜14:45 Meeting 13 座長 中川博之(阪大)
D-13-1 |
ベイジアンネットを用いた打者の信念推定に基づく配球モデルの構築
○船津丸真嵩・布山美慕・松居辰則(早大) |
D-13-2 |
チャット基盤を用いたシステム障害事例情報の共有と活用
○鹿糠秀行・大林浩気・鈴木一平・三島典子・手塚聡子・嶋村伸子(日立) |
D-13-3 |
パターンの役割違反に着目したコード品質改善手法の提案
○飯山隆章・山崎貴弘・橋浦弘明(日本工大) |
D-13-4 |
ブラウザの開発者ツールを用いたオンラインレビューツールの実装
○高橋 黎・吉成知晃(日本工大)・櫨山淳雄(東京学芸大)・橋浦弘明(日本工大) |
D-13-5 |
ソフトウェア開発PBLにおける実装工程での個人貢献評価支援システムの開発
○七夕昂陽・山田侑樹・古川貴一・櫨山淳雄(東京学芸大) |
D-13-6 |
UMLステートマシン図学習における答案の誤り特定自動化手法の提案
◎五島光祥・小形真平(信州大)・槇原絵里奈(同志社大)・岡野浩三(信州大) |
D-13-7 |
ステートマシン図における編集時間に基づいた学習者の躓き調査
◎北村拓弥・小形真平(信州大)・槇原絵里奈(同志社大)・岡野浩三(信州大) |
野球における投打の勝負において重要なのは,投手と捕手が打者に打たれないために球種,コースなどを選択する「配球」である.また,この投手と打者の対戦では駆け引きが行われており,配球に大きな影響を与えていると考えられる.本稿では,実際のプロ野球公式戦のデータを分析し,配球の決定に重要となる要素と,打者と投手のお互いの意思決定を推測する信念を明確にした上で,条件付き確率によって推移するベイジアンネットを組んだ配球モデルを作成した.これにより,打者の信念を推定して被打率を低くする配球を組み立てるためには,前打席の打撃結果とその打席のn球目の球種とコースが重要な情報となっていることが示唆された.
過去に発生し類似した情報システムの障害を未然に防止する,または障害が起こった際の対策のために,システム障害事例情報を共有し活用することは有用である.システム障害事例情報は様々な形式で複数のサーバで管理されているため,一元的な検索が難しかった.
そこで,社内外のシステム障害事例情報を集約し,定める形式に変換してデータベースに登録・蓄積し,システム障害事例情報を検索できるシステムを提案する.提案システムの特徴は,既存のシステム障害事例情報を原因・現象・対策等に分類してデータベースに登録し各観点で類似事例を検索できる点,及びチャット基盤を用いて複数人で検索を実施し結果の共有と活用ができる点にある.
デザインパターンを正しく使用しないと元のコードよりコードの品質が低下を引き起こすという問題がある.デザインパターンを利用したことによって引きおこされる問題をパターンエラーと呼ぶ.
本研究は,前述の問題に対して,パターンエラーの検出をツールによって自動的に行うことで,開発者自らがパターンエラーを除去できる手法を提案する.
Web制作において,コンテンツレイアウトの修正の際にブラウザの開発者ツールが広く用いられているが開発者ツールにはコードを保存する機能やレビューのための機能を備えていないため,修正結果をエディタ等に転記する必要があった.
前述の問題を解決するために,GitHubとブラウザの拡張機能を用いて,ブラウザの開発者ツールで行った修正を直接GitHubに送信し,プルリクエストを用いたレビューが可能となる環境を実装した.
HTMLの修正とレビューを行う実験を本ツールとVisual Studio Codeのプラグインに対して行った結果,修正率は本ツールがVisual Studio Codeと同等の結果を示し,HTMLの修正を行うまでの準備時間が短縮した.
チームプロジェクトはソフトウェア工学教育の主要なものであることが広く認識されているしかしチームプロジェクトにおける評価は簡単ではなく,多くの課題がある.その中でも,学生を公正に評価するために各メンバーが行った作業量を定量化することが難しいという問題がある.そこで本研究では,SDPBLにおける実装工程での個人の機能実装をファンクションポイント法を用いて定量化する.定量化に際し,助け合いや,取り組んだが実装を完了できなかった機能を加味する教育上評価すべき部分を考慮する.以上より算出された数値を実装工程での個人の貢献とし,それを可視化するシステムを提案する.
UMLのステートマシン図は,離散的なイベント駆動の振る舞いを表し,組込みシステム等の様々なシステム設計に使用されている.ステートマシン図の記法は複雑で,初学者には理解が難しいため,学習支援ツールが必要である.ステートマシン図学習支援に関する先行研究として,振る舞いの等価性の観点で図を分類できるツールがあり,解答例とは異なる振る舞いを持つ誤った答案の検出効率化に資する.しかし,この先行研究のツールは,どこが誤り箇所で,誤り箇所がどのような誤りであるか特定できない.そこで,本研究ではステートマシン図の学習支援を目的とし,解答例と答案を比較し,誤り箇所の特定を自動で行う手法を提案する.
UMLステートマシン図では,組込みシステムやIoT(Internet of Things)の振る舞いの分析に適しており,教育の必要性が高まっている.一般的な教育現場では,教育者が学習者に対して授業を行い,学習内容の理解度を測るため,課題を与え評価する.そして,見つかった誤りに対して学習者にフィードバックを提供する.
しかし,提出された答案のみからでは,躓きを知るには限界がある.そこで,学習者の躓きを特定する方法が必要となる.
そこで,本研究ではステートマシン図学習者の躓きを特定する方法の萌芽研究として,学習者が躓いたと表明した内容とモデルを編集した時間との関係を調査した.
調査の結果,3分以上編集を行っている箇所が62%であることがわかった.
D-14. 音声
3月12日 10:00〜11:30 Meeting 10 座長 河井 恒(NICT)
D-14-1 |
マスク処理による音響測距に生じる偽ピークの除去
◎山門 樹・篠原寿広・上保徹志・中迫 昇(近畿大) |
D-14-2 |
誤嚥防止に向けた梨状窩への食物残留模擬音声の分析
◎細山友紀・杉田あおい(千葉大)・西村雅史・西田昌史(静岡大)・堀内靖雄・黒岩眞吾(千葉大) |
D-14-3 |
非自己回帰型ニューラル音声認識における周期性導入による音素セグメンテーションの精度改善
◎本田裕己・加藤恒夫・田村晃裕・山本誠一(同志社大) |
D-14-4 |
ロボット支援言語学習システムにおける学習者による言い直し発声の特徴分析
◎佐内 亮・加藤恒夫・田村晃裕(同志社大) |
D-14-5 |
ニューラル対話モデルの自動評価に向けた応答文の誤り分析
◎鈴木 優・加藤恒夫・田村晃裕(同志社大)・呉 剣明・楊 博・服部 元(KDDI総合研究所) |
D-14-6 |
注意機構付きEncoder-Decoder再帰型ニューラルネットワークにおけるNucleus Samplingによる対話応答生成の評価
◎冨岡愛也・加藤恒夫・田村晃裕(同志社大)・呉 剣明(KDDI総合研究所) |
様々な分野において, 対象物までの距離は重要な情報である. 可聴音域における送信波と反射波の位相干渉を利用した音響測距 (ADM; Acoustic Distance Measurement) 法が提案されている [1]. 一般的に ADM では 1ch あるいは 2ch マイクロホンを用いるが, 条件によっては誤った距離を推定してしまうことがある.
本研究では, 1chADM と 2chADM を組み合わせて偽ピークを除去する. 具体的には 1chADM の結果をマスク情報として用いる.
嚥下障害の患者は食物が声道に残留することが原因で肺に食物が侵入する誤嚥を生じることがあり,重篤な肺炎に繋がることがある.我々は,食物が残留した場合に誤嚥の可能性が高いと言われている梨状窩への食物の残留を音声から検出することを検討している.音声分析の分野では梨状窩は音声に影響を与え,特にスペクトルの4から5 kHzに零点を生じさせることが知られている.本研究では実際に食物が梨状窩に残留した音声を多数収集することは困難であるため,首の回旋により梨状窩をつぶすことで梨状窩への食物残留を模擬し,この状態での母音発声と通常の母音発声との音響特徴量の差異を調査した結果を報告する.
近年,ニューラルネットワーク技術を用いた音声認識の精度向上が著しい.我々は,こうした技術を用いて第2言語学習者音声の発音・韻律の自動評価を目指している.しかし,発音やリズムの自動評価には,音素セグメンテーションが必要となる.本研究では,非自己回帰型ニューラル音声認識において,学習に音素セグメンテーションを必要としないCTCと,音素セグメンテーションを用いる教師あり学習モデルにおける音素セグメンテーション精度を比較した.結果,音素セグメンテーションの精度は教師あり学習モデルの方が高かった一方で,音声の周期性を導入することによって,CTCモデルにおいて顕著に精度が改善した.
第二言語によるコミュニケーション能力の向上を支援するシステムとして,当研究室ではJoining-in-typeロボット支援言語学習システムを提案している.2体のロボットが学習者1名の前で英会話を展開し,日常的な話題を取りあげながらも,特定の表現形式に焦点を当てており,学習者はロボットの間のやりとりを参考にして質問に回答することで,焦点を当てた表現形式を習得することを狙いとしている.
しかし,学習者の発声には,しばしば回答を途中で打ち切り,回答し直す言い直し発声(restart, リスタート)が含まれ,システム自動化に不可欠な音声認識は高い確率で誤認識を起こす.
本研究では,リスタート発声への対策を進めるためにJIT-RALLシステムの運用で収集した学習者のリスタート発声に単語レベル,音素レベルのアノテーションを行い,特徴を分析した.
対話応答品質の自動評価手法はいまだ確立していない.本研究では,機械翻訳におけるモデルの自動評価手法に倣い,非タスク指向型対話応答生成の自動品質評価を行うための評価セットの作成に向けて,ニューラル対話モデルが生成する応答文の誤り分析を行った.著者含む3名により,応答が文脈を含めて自然であるか否かを基準に二値分類を行い,自然でないと考えた文から誤りラベルの定義を行った.さらに,自然でないと考えた文に対して該当するラベルをすべて選択することで誤りの原因について分析を行った.その結果,応答の自然さを基準とする二値分類の一致度は高い一方,自然でないと考えた根拠については評価者によってばらつきが見られた.
対話コーパスをもとに教師あり学習を行ったEncoder-Decoderニューラル対話モデルから最尤基準で応答生成すると,ありきたりでつまらない応答を含みがちである.質の良い応答文を生成するため,事後確率の高い単語から累積の事後確率が閾値を超えるまで確率的に単語を生成するNucleus Samplingが提案された.本稿では注意機構付きEncoder-Decoderモデルによる日本語の対話生成に同手法を適用し,閾値設定と応答の多様性ならびに品質との関係を分析した.分析の結果,閾値を大きく設定すると単語生成時における候補単語が多く多様な文を生成できるが,文法的・文脈的に誤りを含む文の割合も増加することを確認した.
D-15. 教育工学
3月12日 9:00〜11:45 Meeting 28 座長 白浜公章(近畿大)
D-15-1 |
異常検知手法を用いた聴覚利用型不正行為の検出
◎大出憲吾・小方博之(成蹊大) |
D-15-2 |
コンピュータ利用型テストにおけるVRヘッドセットの装着の影響
◎三澤紘平・傳田侑平・小方博之(成蹊大) |
D-15-3 |
遠隔授業における学生達の筆記状態の可視化
○尾関孝史(福山大)・渡邊栄治(甲南大) |
D-15-4 |
顔動画像データを用いたオンライン試験のカンニング検出
◎勝良優太・安藤雅洋・湯川高志(長岡技科大) |
D-15-5 |
情報リテラシーに関する理解度テストの実施および分析
◎野崎崇弘・村川猛彦(和歌山大) |
近年、就職活動などの場などで会場外のオンライン受験の利用が普及しつつある。しかし、監督者が不在のため不正行為の判別ができないので、重要度の高い試験には導入されていない。そこで、本研究では外部から音声で解答を得るような聴覚利用型の不正行為を対象にして、アイトラッカを用いて眼球運動を計測し、通常受験を模した「読解条件」と不正受験を模した「聴取条件」に対して異常検知手法を用いて読解条件を学習させ、聴取条件を異常値として判別することを目的とした。その結果、autoencoderでは判別率が100%、one-class SVMでは判別率95.8%となった。そのため、通常受験の特徴量を異常検知手法で不正受験を異常値として判別できる見込みがあると考えられる。
近年、コロナ渦の影響により、濃厚接触を避ける目的で、受験者が直接会場へ赴くことなくオンライン上で行うことができる試験形式が注目されている。しかし、受験場所には監督者がいないため、不正行為の横行が懸念される。特に、カンニングペーパーの使用等の視覚を利用した不正行為には、現状系統だった防止法が見られていない。そこで、VRヘッドセットを利用して使用者の視覚情報を限定することで、そのような不正行為を防止する提案をした。この提案が妥当であるか検証するため、実世界と仮想空間の2つの条件で同じ試験を行い、受験者にどのような影響が生じているのかを確かめる実験を行なった。
遠隔授業は対面授業と異なり,講義中のクラス全体の雰囲気を講師が把握することが難しい.もし,ライブ講義中に学生がノートを筆記しているかどうかの状態を知ることができれば,学生達の受講状況の把握に利用できる.そこで,本発表ではライブ授業中の学生達の筆記状態を講師のノートパソコン上にグラフで可視化するシステムを提案する.その方法では,各学生のノートPCから,それぞれの筆記状態をサーバに送信し,サーバで集計した結果を講師のノートPC上にグラフで表示する.実験の結果,複数の学生からの情報をサーバが集計し,リアルタイムにグラフを更新できることが確認できた.
近年インターネットを介したオンライン試験が一般的になりつつある.しかし,導入コストが高いカンニング検出の研究は行われているが,安価で誰でも持っているような機材でカンニング検出を行う研究はあまり行われていない.
本研究では単眼カメラで撮影した動画からカンニングを自動的に検出する手法の検討を行なっている。具体的には、まず試験中に想定される不正な行動をとる受講者の動画を収集し、「受験者の頭部姿勢の変化、画面をみている時間、発話の有無」の観点から特徴量を設定した。そして、オンライン試験中の不正行動を判別するため、複数の機械学習の手法で推定器を構成し、不正行動を判別する実験を行った。
大学の情報処理教育において,レポートで成績評価を行い試験を実施しない場合,学ぶべき事項の見直しと振り返りが十分ではない.本研究では,授業内容および学習者数に基づき,最適な理解度テストを開発し検証することを試みた.25問を作成して2020年8月の授業で解答してもらい,項目反応理論に基づいて分析を行ったところ,良問(識別力が高くて困難度が低い)を2問,発見することができた.
休 憩(10:30 再開) 座長 安藤雅洋(長岡技科大)
D-15-6 |
写経型プログラミングに基づく学習支援システムの構築
○小髙真太郎・村川猛彦(和歌山大) |
D-15-7 |
スモールステップ法を用いたIaC学習法の提案と評価
○須山光樹・山田侑樹・櫨山淳雄(東京学芸大) |
D-15-8 |
摂動を用いたランダムなコード生成手法の提案及び有効性評価
◎亀井亮汰・篠埜 功(芝浦工大) |
D-15-9 |
非同期型ソフトウェア開発演習の進捗を自動支援するBot実現に関する研究
○小野光一・寺島美昭(創価大) |
D-15-10 |
個人差を考慮したスライドに対する瞬き率推定
◎△西本光希・佐々木海斗・白浜公章(近畿大) |
C言語を学習する者に対し支援を行うためのインタフェースをWebアプリケーションとして構築した.
講義内容に沿った1行から複数行のタイピング問題を提供するものであり,解答情報はデータベースに保存する.
大学のプログラミング入門科目で使用してもらい,事後テストと合わせた分析を実施した.
さらなる改善を行いながら学習効果ならびにプログラムの理解とタイピング速度の関係性を明らかにしていきたい.
近年クラウドコンピューティングの登場により,インフラリソースの更新期間が短く頻繁に行われるようになっている.従来の自社にサーバを設置し管理を行うオンプレミスのインフラ環境構築を行うことは,運用コストを肥大化させ,非効率である.
そのため,インフラの環境構築の手順をコードによって記述したファイルを実行することによって自動的に環境構築を行うInfrastructure as Code (IaC)という考え方が重要となっている.IaCは,利用を簡単にするツールの開発の研究[1]は行われているが,現状大学でIaCの学習が目的の授業は行われていない.しかし今後普及していく技術であり,講義内容として取り上げられることが予想される.
そこで本研究では,大学での授業形式を想定しIaCの基礎を習得するまでに必要な知識を段階別に分割することによって,現在のサーバ学習からIaCの学習までをスムーズに行える学習法の提案とその評価を行う.
プログラミング初学者は,サンプルコードを模倣して,実行結果を確認することによる学習をよく行うが,対象言語の構文や意味についての理解が不十分になりがちである.そこで著者らは,命令型言語を対象とし,ソースコードに摂動と呼ぶ微小な変更を加えることによる新たな学習法を提案した.これを元に,ランダムに摂動を加える機能を2つ実装する.これらのランダム生成機能を使用して,教授者を対象に評価実験を行った.アンケート結果から教授者の負担を軽減させる質問項目の点数について検定を行った結果,手動で摂動を加える機能と新たに2つの方法で実装したランダムに摂動を加える機能との間で5%の有意水準で有意な差が見られた.
本研究は、分散型PBL(Project Based Learning)授業におけるTA(Teaching Assistant)の役割をBoTを用いて自動化することにより作業効率化を目指している。三段階支援モデルを定義してBoTの役割を決めた。本報告はこのBoTの実装及び実験結果について述べる。
近年,教育現場では,スライドを用いた授業が急増しており,学生が集中して受講できるようなスライドを作成する必要がある.そこで,我々は,「人は集中すると,瞬きの回数が減る」という知見に着目して,スライドの視覚特徴から瞬き率を推定し,ユーザの集中度を客観的に評価するシステムを開発している.ただし,瞬き率には大きな個人差があり,スライドの視覚特徴だけでは高精度な瞬き率の推定を行えない.そのため,個人差も考慮した瞬き率推定手法を提案する.
3月12日 13:00〜15:30 Meeting 28 座長 大沼 亮(福島大)
D-15-11 |
VRを用いた学習環境におけるパーソナルスペースについて
○嶋岡夢佳(共立女子大)・卯木輝彦(フォトロン)・米谷雄介(香川大)・永岡慶三(早大)・谷田貝雅典(共立女子大) |
D-15-12 |
裸眼3D視線一致型テレビ会議システムを用いた「現代的なリズムのダンス」学習について
◎田之畑舞花・藤本彩華(共立女子大)・卯木輝彦(フォトロン)・米谷雄介(香川大)・永岡慶三(早大)・谷田貝雅典(共立女子大) |
D-15-13 |
遠隔美術授業におけるVRと裸眼3D視線一致型テレビ会議システムの有効活用について
◎小笹 澪(共立女子大)・卯木輝彦(フォトロン)・米谷雄介(香川大)・永岡慶三(早大)・谷田貝雅典(共立女子大) |
D-15-14 |
ARを用いたプログラミング教育の実践
◎宮本和典(九女大) |
D-15-15 |
解剖学を対象とした学習支援アプリケーションの開発―筋の位置の把握に特化した5機能の構築―
○上田秀治・大杉 聡(摂南大)・林 亜遊・本岡健太郎(阪医療福祉専)・西 恵理(摂南大) |
ICTを活用したオンライン教育の事例は複数存在し一部実用段階に入ったものもある。その中でも、完全に現実と切り離し、仮想空間上で教育活動を行えるVR(Virtual Reality)による仮想学習環境に着目する。実践例は少なく、対面環境と比較するとVR学習環境においては最適な学習空間の検証はほとんどされていない。
本研究では、VR空間における最適な学習空間を設計する上で、集団学習における、教授者と学習者間、学習者同士間、同性および異性間における、多様な学習活動場の最適なパーソナルスペースが存在するのかを明らかにすることを目的とする。
2020年COVID-19の世界的大流行により、これまで対面で行われていた多様な活動は感染症予防の観点から、急速に遠隔によるオンライン化を余儀なくされた。筆者はダンス活動を行っているが、激しい運動と接触を伴うことから、非対面によるVODやテレビ会議システム等による遠隔環境での活動が不可避となった。裸眼3D視線一致型を活用すれば、リズム感が重要なダンス学習においても効果的に遠隔による実施が可能であると考え本研究計画に至った。本研究より、小中学校体育科を主眼とし、広くダンス学習が遠隔で実用的に実施できる方法を見出すことを目的とする。
本研究では、2020年以降の教育界におけるオンライン化の情勢をうけてHMD によるVR遠隔環境と、先行研究で開発された裸眼3D視線一致型テレビ会議システムによる視線が一致した2Dおよび3D映像通信遠隔環境において、美術教育の実践と評価を行う。各授業において学習者の授業評価アンケート(学習主観評価)と学習効果測定試験(客観学習評価)を実施し、授業ごとの効果を比較分析する。得られた成果から各授業法術の有効性を明らかにする。
小学校のプログラミング教育において、ロボットを使い,実践的に取り組んできているが、課題として,シミュレーションとは異なり,実機での動作においては,一部再現性が低い状況が起こり,改善の余地が残されていた。児童がプログラミングを「体験」し,自らが意図する動きを実現するために試行錯誤することが極めて重要とされているが、試行錯誤できているのか、ロボットの特性による再現性の低さによるのかが分かりにくく、プログラミング教育の導入として改善の余地があった。そこで、拡張現実(AR:Augmented Reality)を使ったプログラミング教育を実践して考察する。
人体の構造を学習する解剖学において,教科書(書物)による学習では視覚的に理解しづらい問題点がある。本研究では,筋の位置関係が視覚的に理解しやすい解剖学学習アプリケーションソフトの開発を目的とした。具体的には,①複数の筋における位置の表示,②筋の起始および停止の位置の表示,③回内または回外時における主要な筋群の表示,④冠状面および横断面における筋の位置の表示,⑤筋の名称または位置に関する復習問題,の5つの機能を構築した。本アプリケーションの利用に関してアンケートを行った結果,本アプリケーションのほぼ全ての機能について良い評価を得て,筋を立体的に捉える学習に適していることが示唆された。
休 憩(14:30 再開) 座長 谷田貝雅典(共立女子大)
D-15-16 |
遠隔学習のためのロボットアバターを用いた言語学習支援システムの試作
◎名島大生・加藤恒夫・田村晃裕・山本誠一(同志社大) |
D-15-17 |
Joining-in-typeロボット支援言語学習システムにおける学習者発話に対する単語分散表現の類似度に基づく回答レベル識別器
◎萱原健太郎・加藤恒夫・山本誠一・田村晃裕(同志社大) |
D-15-18 |
講義データベースにおける議論の進捗状況の可視化
加藤聡太郎・○篠沢佳久(慶大) |
D-15-19 |
Twitter上の有用議論事例抽出と話題分布の視覚化
◎千葉広汰(福島大)・中山祐貴(早大)・大沼 亮・神長裕明(福島大)・宮寺庸造(東京学芸大)・中村勝一(福島大) |
当研究室では第二言語学習支援システムとしてこれまでロボット2体を用いて対話を行うJoining-in-type RALLシステムを採用し,継続的な訓練により英語表現の習得効果を確認してきた.しかし,コロナウイルス感染拡大により今後はリモート教育の重要性が増すことが予測される.本研究では,遠隔対話訓練ができるようにバーチャル空間にロボットアバターを試作し,6名の実験協力者に6日間試用してもらった.実験協力者のレベルに合わせて習得対象表現の難度を2つに分け,実験初日のプレテストと最終日のポストテストを比較したところ,適切な表現の割合を高難度グループで55%,低難度グループで50%向上させた.
第二言語でのコミュニケーションを訓練するシステムとして,我々は2体のロボットによる言語学習支援システムを提案した.ロボット間の英会話を参考に学習者は質問に回答することで,無生物主語の使い方などの特定の表現形式の習得を狙う.さらに回答レベルに応じたフィードバックができれば学習効果の向上が期待できる.そこで,無生物主語の使い方を例に,文構造に基づく識別フローと,主語と動詞それぞれの単語分散表現の類似度に基づく識別器を組み合わせた回答レベル識別器を提案する.無生物主語の表現の正誤を2値判別する識別器を学習し,模範解答との編集距離を用いた識別器と比較した結果,正解率とF1スコアがともに向上した.
近年,大学の講義においては,講義の補佐的な役割を目的としてe-learningシステムが活用されている.特に講義ごとでコミュニケーションツールを自由に設置できるシステムが提供されており,その導入やユーザー管理が容易である一方,効果的な運用のノウハウを提供しておらず,運用上において教員にかかる負担も少なくない.本研究においては,講義中、コミュニケーションツールを用いてディスカッションを行った場合,議論の進捗状況の把握を容易にするためその可視化を試みる.どのような内容の議論がされていったのか,話題ごとに沿ってキーワードを抽出する手法を考案し,トピック,キーワードそして発言者間の関係についての可視化を試みる.
大学などの教育機関では,主体的学習活動の一環として,PBLのグループワーク等において学生間で議論を行う機会が増加している.これらの議論では,自ら考え,意見の交換を重ねることが重要である.しかし,議論の経験が少ない学生は,自身の考えを整理し発言することや議論の状況を把握しつつ,議論に参加することが難しい場合が多い.これらのスキルを身につけるためには,経験を重ねることが重要だが,容易ではない.特に,身近な媒体でありながら,利用に際して独特な難しさを伴うソーシャルメディア上の議論については,有効な支援方法が実現されていない.本研究では,ソーシャルメディア上の議論を対象として,未熟者の議論経験の獲得を促進する枠組みの開発を目指す.本稿では,主に,ソーシャルメディアから議論に関する発話群を抽出し,返信関係の分析に基づいて議論構造を抽出する手法について述べる.また,実際のツイートを対象にした実験について報告し,その結果に基づいて提案手法の特徴について考察する.
D-16. 医用画像
3月12日 9:00〜10:15 Meeting 37 座長 滝沢穂高(筑波大)
D-16-1 |
病理組織画像における核面積抽出の高精度化
◎山見 慧・佐々木陽祐・高橋正信(芝浦工大)・中野雅行(横浜市大) |
D-16-2 |
複数のデータセットを用いた3D-CNN肺野結節影分類モデルの検証
◎李 拓宇・山﨑達也(新潟大) |
D-16-3 |
特徴分離Dual-CNNに基づく皮膚がんの判定手法
○△葛 睿剛・陳 国躍・猿田和樹・寺田裕樹(秋田県立大) |
D-16-4 |
FCNを用いた細胞核抽出における学習画像サイズの検討
◎足立寿幸・山口雅浩(東工大) |
D-16-5 |
Direct Image Reconstruction of a Helmet Brain PET System with Time-of-Flight Information Using a Feed Forward Neural Network
○Tuo Yin・Takashi Obi(Tokyo Tech)・Hiroyuki Suzuki(Gunma Univ.)・Joong-Sun Lee(Tokyo Tech) |
N/C比などの病理診断に有用な定量的指標を高精度で算出するには細胞核の面積を高精度で抽出する必要がある.深層学習による細胞核の抽出では,出力を2値化して核領域を抽出する面的な抽出手法が一般的であるが,閾値により面積が変動する問題がある.そこで,核輪郭を閉領域として抽出する手法を新たに試みた.閾値の変化により輪郭の太さは変化するが,中心位置はほとんど変化しない利点があり,面積の変動を低減できる.核輪郭を閉領域として抽出するため,途切れた輪郭を補完する手法を組み合わせた.従来の補完手法であるRacNetを改善して適用した結果,閾値による面積の変動が抑制されると共に,面積誤差自体も大幅に低減された.
肺がんの早期発見により生存率は向上するが,CT画像をもとに診断を行う放射線科医の負担の軽減が求められている.本稿では診断補助における様々なCT画像に対応する汎用的な結節影検出システムの構築を目的として,二種類のデータセットを用いた3D-CNN結節影分類モデルの精度検証を行った.結果として92%以上の精度が得られた.
皮膚がんの早期発見と診断精度向上を目的とし,初期病徴を迅速に捉える,深層学習を用いた自動診断システムの研究が進められている.本研究では,自動診断システム開発の第一段階として,2つのCNNを並列に融合する2CNNモデル及びクラス重み付けと分離チャンネル方法を用いて,皮膚がんを含む7種類の皮膚腫瘍を判定するモデルを提案する.HAM10000データセットにおける皮膚がんを含む7種類の皮膚腫瘍に対し,提案モデルでは,判定精度が0.883(Top1)と0.968(Top5+)とし,単一 CNNの判定性能を上回ることを確認できた.
病理組織診断において、細胞核の状態は良悪性の判断や癌のグレード・進行度を判断する要因の一つである。このため、病理画像解析では、細胞核の抽出を自動的に行い、抽出された細胞核の様々な特徴量を用いた判別等が行われている。近年、細胞核抽出はU-NetなどFCNを用いてセグメンテーションを行う手法が成功を収めている。FCNの特徴の一つとして、様々な入力サイズをモデルは受け付ける点が挙げられる。もし、小さな画像サイズで学習したモデルを大きな画像に適用できれば、学習や処理の効率化に繋がり有効である。本研究では上記の特徴に注目してFCNの学習時の画像サイズの変化が細胞核抽出の精度に与える影響を評価する。
We proposed a direct PET image reconstruction method that is expected to be used in the development of a helmet brain PET. The feed forward neural network (FNN) carries out domain transformation from PET emission data to activity maps, with 5 Time-of-Flight (TOF) sinograms as inputs. By the proposed method, we reconstructed more reliable activity maps without aligned CT device only using PET emission data, compared to the time-consuming Maximum Likelihood Attenuation Correction Factors (MLACF) algorithm.
D-17. ソフトウェアインタプライズモデリング
3月9日 9:00〜10:00 Meeting 20 座長 荻野 正(明星大)
D-17-1 |
排出権取引市場における売り価格のモデル
○仲田知弘(第一工大) |
D-17-2 |
モジュールの不具合判別のための不具合含有率増加データセット作成方法の提案
◎奥野芙実・村上知里(日大) |
D-17-3 |
ニューラルネットワークによるサウナの店舗属性に対するユーザ評価の推定
◎山本 蒼・豊谷 純・大前佑斗(日大) |
D-17-4 |
アサエルの購買行動類型モデルの検証及びニューラルネットワークの構築
◎封 昊睿・豊谷 純・大前佑斗(日大) |
近年、排出権取引に関する研究は、実験経済学やマルチエージェントシステムを用いた研究等があり、入札の意思決定や価格変動等の分析を行っている.そこで、本研究では人間(被験者)の数を少なくした状況で排出権取引のシミュレーションを行うため、人間(被験者)が買い手、コンピュータが売り手を想定し、売り手の入札価格のモデルを提案する.
ソフトウェア開発において,不具合が含まれるモジュールの判別はテスト工程において重要である.近年,機械学習による方法が提案されているが,一般的な開発データは不具合データが少ないため,不具合の判別精度は低下する傾向がある.本研究では,不具合含有率を増加させるデータセット作成方法として,過去バージョンの不具合データを追加する方法と,不具合を含まないデータを層化抽出する方法を提案する.作成したデータセットについて,ランダムフォレストで不具合判別を行った結果,提案方法を適用しない条件に対し,2つの方法はF値,AUCともに向上した.今後はデータ総数を統一し,提案方法の効果を評価する予定である.
本研究では,サウナの新規店舗出店に対するAIの活用について検討する.サウナの新規店舗出店を成功させるには,実際にサウナを設置する前に,どのようなサウナの店舗を作れば,多数の顧客を獲得できるのか,シミュレーションベースで把握できることが望ましい.そのため本研究では,AI技術の一つであるニューラルネットワークを活用し,サウナに対するユーザ評価を推定するモデルを構築する.
企業にとって消費者の行動分析は売り上げを向上させるための重要な一環であることから,1900年代から研究されてきた.この一つにアサエルの購買行動類型モデルがある.これは,消費者の製品関与とブランド間の知覚差異により,購買行動を4つに分類するものである.本モデルは提案されてから30年以上経過しているが,現在でもこれを参照する者は多い.しかしこのモデルが提案された当時は,インターネットなどの通信技術が市民に普及しておらず,商品に関する情報は企業から消費者に一方的に伝達されることが通例であった.一方現代の消費者は,インターネットなどから製品の情報を入手することが可能となっている.これは,受動的のみならず,能動的に製品の情報を入手できるようになったことを意味する.そのため本研究では,アサエルのモデルが現代の消費者に適用されるのか,その可能性について言及し,適合しないと判断された場合には,他手法による購買行動を類型するモデルについて述べる.
D-19. 情報通信システムセキュリティ
3月11日 13:00〜14:15 Meeting 31 座長 高倉弘喜(NII)
D-19-1 |
部分観測マルコフ決定過程に基づくサイバー攻撃内容の自動生成
◎伊神和馬・八槇博史(東京電機大) |
D-19-2 |
HTMLタグの出現頻度を用いた悪性Webサイトの検知
◎北村圭輝・岡村真吾(奈良高専) |
D-19-3 |
機械学習型IDSにおける攻撃傾向に応じた特徴量選択の重要性調査
◎香取樹里(東京海洋大)・北川直哉(NII)・大島浩太(東京海洋大) |
D-19-4 |
高速量子乱数源の実装と性能評価
◎遠藤寛之・藤原幹生(NICT)・庄司陽彦・深澤菜穂美・飯田伴則(YDK)・吉野健一郎(NEC)・武岡正裕・佐々木雅英(NICT) |
D-19-5 |
医療分野における簡便かつ安全な電子的本人同意取得方法の検討
◎宇都宮大河・小尾高史・Joong Sun Lee(東工大)・秋元孝博(NEC) |
サイバー攻撃の一種である標的型攻撃は企業や国家などの組織にとって大きな脅威となっている.従来の標的型攻撃では,人間である攻撃者は事前に収集した脆弱性情報や公開情報などに基づいてマルウェアの作成や攻撃戦略の策定を行い,マルウェアに指令を通信することで攻撃を実施している.本研究では,攻撃者が行っている攻撃内容の決定をマルウェアに搭載された人工知能が行う将来を想定し,それに対する攻撃対策を検討することを目的としている.本稿では,自律的に動作するマルウェアの行動選択メカニズムに部分観測マルコフ決定過程を適用し,攻撃シミュレーションを行うことでマルウェアの自律的動作を検証した.
Drive-by Download攻撃による被害は未だに観測されている.
Drive-by Download攻撃はWebサイトに埋め込んだ不正スクリプトによって、マルウェアをダウンロードおよび実行させる攻撃である.
攻撃者は、攻撃が検知されないように様々な手法を施しており、このような悪性Webサイトを高い精度で検知する手法が求められる.
本研究では、HTMLファイルに含まれるタグの出現頻度を用いた機械学習アルゴリズムによる検知手法を提案する.
評価方法として、文字出現頻度を特徴量に用いた既存研究との比較実験を行った.
攻撃の複雑化・多様化に伴い、検知する技術の進歩が求められている。新しい手法に、機械学習型の侵入検知システムがある。機械学習は学習データやモデルにより精度が変化するため、本研究ではその影響を調査した。
発表者らは,光子の量子性に起因するノイズ(量子雑音)をホモダイン検出技術で高速に検出することにより,1.244Gbpsという高速度でかるリアルタイムに乱数生成可能な量子乱数生成装置を開発した.本発表では,開発した乱数生成装置の詳細と,その性能評価(光学系自体の特性評価,NISTから発表されている最新の評価スイート(NIST sp 800-90B)による乱数性評価,装置としての耐環境試験など)の結果について述べる。
オンライン保険資格確認や地域医療情報連携ネットワークが制度化され、医療機関では電子カルテが普及しつつある。一方で、患者から同意取得の場面では、紙の同意書への手書き署名などが使われている。手書き署名を代替する手段として、電子文書への電子署名がある。公的な手段としてはJPKI電子署名機能があるが、これには利便性の面で課題がある。これらの課題を解決し、より利便性の高い電子的同意取得の手法を提案することがこの研究の目的である。本稿では、リモート署名を活用した手法と、立会人型署名を活用した手法の2種類の手法を提案する。登録にJPKI電子署名機能を、利用時の認証にFIDOを用いることで、安全性を担保しつつ簡便な同意取得を実現する。
D-20. 情報論的学習理論と機械学習
3月11日 13:00〜15:45 Meeting 36 座長 恐神貴行(IBM)
D-20-1 |
CNN-based OBSS Packet Detection for Spatial Reuse Enhancement
◎Muhammad Harry Bintang Pratama・Leonardo Lanante Jr.・Hiroshi Ochi(Kyushu Inst. of Tech.) |
D-20-2 |
生産システム向け改善箇所分析技術の検討
○伊藤直輝・橋本 茂・高橋克佳(三菱電機) |
D-20-3 |
真贋判定における機械学習を用いた判定対象ファイルの分類
○荒川玲佳・山中友貴・大内聖紫・伊藤真奈美・千葉伸浩・瀧口浩義(NTT) |
D-20-4 |
深層学習による電験三種における穴埋め問題の学習とその対策
○藤井瑛寛・山下将吾・伊藤義道(阪電通大) |
D-20-5 |
広域監視システムを用いた大規模火災早期発見手法
○徳梅慎也・江下尚彦・森口拓雄(綜合警備保障) |
Wi-Fi standards require packet detection that depends on a packet's preamble portion to overcome the OBSS problem. CCA checks for a valid OFDM symbol in the preamble part of the received packet to detect the channel condition. Therefore, the CCA must not miss the preamble part. CNN can be used as a method to gain information from WLAN packets' payload. Our experiments show that the proposed CNN model can classify different packet formats and their modulation types using datasets that consist of OFDM symbols. Moreover, it is still reliable to classify the packet with the OFDM symbol offset error.
生産システムにおける生産性悪化の要因を自動抽出する技術の検討結果を発表する。従来、改善担当者の経験を基に行われていた生産性悪化の要因特定作業を、生産システムの構成や生産プロセスを考慮して定義した情報の関係性を活用して分析する手法を検討した。
本論文では,IoT機器を対象とした真贋判定技術においてバイナリ特徴に基づく判定対象ファイルの選定方法を提案し,有効性について述べる.IoT機器の利用が拡大する中,リソース面で充分なセキュリティ機能を搭載できないために,それらを踏み台にする高度なマルウェア攻撃が出始めている.有効な検知技術として,リモートから構成内のファイルの不正な改変を早期に検知する真贋判定がある.ハッシュ比較を用いた方法は,判定対象ファイルは静的であることを前提とするが,動的なファイルが含まれていると誤検知となる課題がある.これに対し,ファイルバイナリのバイト頻度の特徴を学習させて静的ファイルを分類する方法を提案し,実験で精度の検証と有効性を示す.
第三種電気主任技術者試験(電験三種)は五肢択一形式の試験であり,合格率が数パーセントの難関試験として知られている.本研究では,その中の穴埋め問題に着目し,選択肢と正答の組み合わせからなるデータセットを用いて深層学習によって学習させ,過去の未知の穴埋め問題に対する正解率が20%を超えることを示す.また,正答の分布に着目し,その分布が均一になるよう答えを変えることによって,上に述べた方法によって学習させた場合の正解率が約20%となることを示す.
森林火災や広域火災は一度発せいた場合は生態系や経済に多大な被害を及ぼす危険性があり、火災が広域に燃え広がる前に発見する必要性がある。
そこで我々はドローンや高所にカメラの設置を行い機械学習による火災早期発見システムの構築を行った。その中で遠距離で発生した小さな煙は機械学習で検出することが困難であった。この問題点に対し我々はカメラから取得した画像を分割することによって煙検出の精度に向上する事に成功した。本稿では遠距離で発生した煙を早期発見するためのシステムの紹介を行う。
休 憩(14:30 再開)
D-20-6 |
深層学習を用いたカラスの識別法の比較
○原田雅文・松村 遼・北風裕教(大島商船高専) |
D-20-7 |
光源情報を用いたマガモの識別精度の一考察
◎堀江 歩・松村 遼・北風裕教(大島商船高専) |
D-20-8 |
Yoloの物体認識スコアを用いた物体名と相対位置概念の同時学習
○SHANHE ZHENG・相良陸成・田口 亮(名工大) |
D-20-9 |
複数CNNモデルによる各顔パーツの高解像度化
◎丸井勇輝・檜作彰良・中山良平(立命館大) |
D-20-10 |
グラフ構造を活用したロバストな札認識手法の提案
○疋田智也・中村開耶・木村昌臣(芝浦工大) |
害鳥カラスによる被害は多岐にわたり,また,順応性が高いことから,対策が非常に困難である.我々はドローンを用いたカラスの追い払いシステムを開発しており,その識別器としてYou Only Look Once(YOLO)の深層学習アルゴリズムを利用している.YOLOはリアルタイム処理を得意とするが,遠距離対象の検出において高い認識率を得るのが難しい問題があった.そこで,YOLOとYOLOより高い認識率が期待できるEfficientDetを用いた学習アルゴリズムについて適合実験,カラス1羽の認識実験,カラス複数羽の認識実験を行い,識別精度について検討を行った.結果は,カラスの解像度が低い画像の認識において,EfficientDetの方が精度面で優位であることが確認できた.
現在,日本国内ではマガモによる農作物への食害が確認されており,対策が必須である.我々の研究グループでは,ドローンを用いてマガモを追い払うシステムを開発している.本研究ではこれまでにマガモの3DモデルのData Augmentationによるデータセットの作成を行い,それを用いて深層学習であるYOLOでの学習を行ってきた.しかし仮想空間上で作成した画像は現実のマガモの写真と比べて違和感のある画像であり,認識精度の低下に繋がっていた.そこで本研究では,マガモの3Dモデルに光源情報を付加した場合としなかった場合での認識実験を行った.結果,光源情報を与えることによって認識率の向上が確認され,光源情報の必要性を示す結果になった.
人間と柔軟に対話できるロボットを実現するためには,ロボットが実環境で単語の意味を学習できることが望ましい.先行研究では,音声発話から物体名と相対位置概念を同時に学習する手法が提案されている.しかし,この手法では,物体認識器から物体のカテゴリが正しく与えられることを仮定していた.本研究では,事前学習されたYoloの物体認識スコアを物体の特徴として利用することで,実環境で物体名と相対位置概念の同時学習を実現する.
本研究では,各顔パーツ(顔,髪,皮膚)を高解像度化するSRResNetをそれぞれ構築することで,より正確な顔の高解像度化画像を生成する.実験試料は,顔画像30,000枚と顔パーツのマスク画像で構成されるCelebA Mask-HQデータセットを使用する.提案手法では,まず,顔パーツごとに独立してSRResNetの学習を行う.そして,顔画像の高解像度化では,同一の低解像画像を学習したSRResNetに入力し,それぞれの高解像度化画像を推定する.そして,推定画像を統合することにより,顔画像全体の高解像度化画像を生成する.提案手法のPeak Signal to Noise RatioとStructural Similarity Index Measureは31.223と0.9998で,画像全体を高解像度化する従来のSRResNet(30.924, 0.9997)よりも高い結果が得られ,提案手法の有用性が示唆された.
競技かるたでは,自身の反省のため大会や練習を撮影した映像を活用することが多い.その際大会等の映像は遠くから撮影されるため,映像を拡大して確認を行う.しかし,どの場所に札があったかを細かく覚えていない場合が多く,細部の反省に活用することができない.また,自然に撮影された画像であるため,照明の光や影の影響で札の一部が隠れてしまい,札の判別が困難となる.さらに,撮影される角度によっては文字の向きが異なるため,あらゆる方向から撮影された札が認識出来る必要がある.
札の一部が隠れてしまう場合の対処法として,札内の文字列をグラフとして扱う.これにより,グラフ構造の包含関係を利用して札の比較を行う.本研究では撮影した競技かるたの陣の画像から札内の文字を認識し,グラフ構造を活用することにより札の一部が隠れてもロバストかつ高速な認識が可能な札認識手法を提案する.
3月12日 9:00〜11:30 Meeting 36 座長 恐神貴行(IBM)
D-20-11 |
AUC Maximization in Deep Neural Network Learning for Imbalanced Classification Problems
◎Shuyu Zhang・Yoshikazu Washizawa(The Univ. of Electro-Communications) |
D-20-12 |
共役な正規分布の有効性
○田畑菜々子・三浦孝夫(法政大) |
D-20-13 |
隣接要素の関連性を考慮した最適輸送によるシーケンスマッチング
◎堀江光彦・笠井裕之(早大) |
D-20-14 |
A study on graph embedding using multi-layer adjacent point merging
◎Jianming Huang・Hiroyuki Kasai(Waseda Univ.) |
D-20-15 |
共役知識は事後情報を適切に表現するか
○中山瑛李・三浦孝夫(法政大) |
AUC (Area under the ROC (receiver operating characteristic) curve) is an efficient performance evaluation criterion for binary classification tasks, especially for label imbalanced data, such as abnormality detection, outlier detection, and low prevalence rate disorder detection. Previous direct AUC maximization methods consider the linear classification models. Recently, deep learning neural network has been developed rapidly and exhibited higher performance in spite of high complex, non-convex, non-linear nature. In this work, we aim to maximize AUC directly during the training. To this end, we formulate AUC as loss function, approximate it by the sigmoid with to make it differentiable, and derive the conventional optimization procedure.
ベイズ推論における共役事前分布は、現実データでどの程度有効的か検証する。それによって、適用できる条件、または適用できない条件を考察することができ、今後のベイズ推論の実装の際の一助になると考える。
本稿では,シーケンスデータ間の距離計算のためのシーケンスマッチング手法を提案する.本稿の提案手法では,シーケンス構造を持つデータの特徴である,隣接要素の関連性とシーケンス間の時間分布の相違を考慮したマッチングを実現する.具体的には,最適輸送問題を用いたマッチングから得られる輸送行列をもとにシーケンス内の隣接要素の関連性を抽出し,関連する要素をひとつのグループにまとめることで時間分布の違いを吸収する.さらに,この提案手法について3つのデータセットを用いた評価実験を行い,その有効性を示す.
For graph classification tasks, many traditional kernel methods focus on measuring the similarity between graphs These methods have achieved great success on resolving graph isomorphism problems. However, in some classification problems, the graph class depends on not only the topological similarity of the whole graph, but also constituent subgraph patterns. To this end, we propose a novel graph embedding method using a multi-layer adjacent point merging model. This embedding method allows us to extract different subgraph patterns from train-data.
本稿は、ベイズ推論における共役分布のシナリオを疑うことから、実データを用いてモデルの検証を行う。実証的に確かめ、それぞれの事後情報が共役知識として有効に作用するかどうかを確認する。
休 憩(10:30 再開)
D-20-16 |
ニューラルネットワークの枝刈りによる特徴マップの変化に関する考察
◎国定恭史・橘 素子・山本康平(OKI) |
D-20-17 |
フィルタ統合に基づくチャネル枝刈り手法の一検討
◎川村聡志・山本康平・橘 素子(OKI) |
D-20-18 |
強化学習を用いたグライド推進運動の学習
◎永瀬達也・稲垣克彦・尾関智子(東海大) |
D-20-19 |
クラスタリングによるCNN意思決定プロセス説明手法の提案
◎加瀬裕也・木村昌臣(芝浦工大) |
ニューラルネットワーク(NN)は,画像認識などの問題において高い性能を示す一方,高い計算コストを必要とする.NNをエッジデバイスに実装する需要が高まっているが,そのためにはNNの軽量化が必要である.「枝刈り」とは,重要度の低いニューロンを削減することによってNNを軽量化する手法である.しかし,枝刈りによりモデルが抽出する特徴量にどのような影響を及ぼすかについてはまだ多く分析されていない.そこで我々は,枝刈りを行ったモデルの特徴マップを可視化し,枝刈りの影響を分析したため,その結果を報告する.
高度な画像認識を実現可能な畳み込みニューラルネットワーク(CNN) は,従来の画像処理技術に比べ膨大な演算量とパラメータ数を必要とする.一方で,その高度な認識技術を小型なエッジデバイスに実装するニーズが高まっているが,エッジデバイスの計算資源は限定的であり,CNN モデルの軽量化が必要となる.軽量化技術の一手法として,モデルから冗長なチャネルを削減する「枝刈り」があるが,通常は単に削減されるだけのチャネルの情報を,削減されなかったチャネル情報に統合することで精度が改善する可能性がある.そこで本稿では,前述のアイデアに基づくチャネル枝刈り手法を提案し,画像認識タスクを対象にその性能を検証する.
日本では少子高齢化による労働力不足や,人災による危険作業が問題となっており,自律ロボットによる業務の代替が期待されている.しかし,自律ロボットによる代替を実現するには,環境に適した移動を行うためのロボットとその自律制御が必要になる.環境に適した移動を実現するため,車輪と脚を組み合わせた脚車輪の研究が行われている.脚車輪の制御方法としてグライド推進運動が提案されているが,摩擦係数の変化などを含めた環境に対応させることは難しい.本研究では,強化学習を用いて実環境のロボットにグライド推進運動を学習させる.実験結果は,ランダムより高い報酬を得て周期的に動かした場合と同程度の性能を得る結果となった.
画像を対象とした機械学習モデルであるCNNは, 深層学習の発展により劇的な精度向上を成し遂げた. 一方でAdversarial Examplesを使った予測結果の改竄などの脆弱性と, 推論プロセスのブラックボックス化が課題点として残っている. 本研究は先行研究で提案されたAXAIを使用しCNNの入力に対する注目特徴の抽出と, クラスタリングを使った注目特徴の分類でクラスタ内に共通した特徴量を解析する手法を提案した. その結果, 画像中の物体の向きや大きさがCNNの推論に寄与していることを発見した. 提案手法で得られた知見により頑健で, 推論プロセスが明瞭なモデル構造を今後の展望とする.
D-21. マルチメディア情報ハイディング・エンリッチメント
3月9日 10:30〜11:15 Meeting 16 座長 長谷川まどか(宇都宮大)
D-21-1 |
ヒヤリハット体験からの学びに適用可能な可視化画像の生成
◎阿部大弥・伊藤 仁・嶌田 聡(日大) |
D-21-2 |
電子透かしを用いた準色相保存型可逆カラー画像強調の検討
○黒川涼扇・長谷川まどか(宇都宮大) |
D-21-3 |
顔表面の温度変化を強調することによる個人認証の一検討
○吉澤舟太郎・吉浦 裕・市野将嗣(電通大) |
登山者のヒヤリハット体験からの主体的な学びを推進するにはテキストだけでなく画像情報も付加できるとよい。登山画像は「地形」と「状況」を合わせて表現できることから、地形を表した画像を類似画像検索で選定し、選定画像を状況に応じて加工することで、ヒヤリハット体験時の情景を再現する画像を生成する方法を提案する。類似画像検索はCNNで、加工はラベル付きDCGANで実現し、予備実験によりその妥当性を確認した。
カラー画像のコントラストや彩度強調では,強調前後で色相が変化しないことが望ましい.また,強調後の画像から原画像を復元できる可逆性が望まれる応用分野も存在する.しかし,既存の色相不変な強調法は可逆ではない.また,ヒストグラムシフトを利用した可逆な強調法では,強調前後で色相が大きく変化する.本稿では,西川らの手法を改良し,より色相の変化が少ない可逆なカラー画像強調手法を提案する.
近年,生体認証の利用が増加していく中で,なりすまし等の安全面での課題が出てきている.そのため,利便性よりも安全性を重視しなければならない場面では,第三者に容易に盗まれない生体情報を利用する必要がある.この問題に対し,心拍を用いた認証が提案されている.心拍は,身体内部の情報であり,常に変化しているため,なりすましが困難であると考えられている.従来研究では,心電図や可視光カメラを用いた手法が提案されている.しかし,心電図を用いた手法は機器を身につける必要がありユーザの負担が大きい.また,可視光カメラを用いた手法は照明環境や肌の色による影響を受けやすいという欠点がある.そこで筆者らは,サーモグラフィから得られる温度変化に着目し,これらの課題を解決する新しい認証手法の提案と,その有効性の評価を行った.
D-22. クラウドネットワークロボット
3月9日 10:00〜10:45 Meeting 41 座長 小林優佳(東芝)
D-22-1 |
複数台の自律型AGVにおける情報共有と交渉に関する研究
○伊東裕次郎・臼杵 潤(神奈川工科大) |
D-22-2 |
小型UAVのQRを用いた倉庫内飛行のための現在位置補正法の研究
○中村綾佑・川窪修斗・臼杵 潤(神奈川工科大) |
D-22-3 |
ロボット向けハード/ソフト協調リアルタイム制御
◎山科和史・三枝高志・船津輝宣(日立) |
近年,消費者の商品に対するニーズの多様化が進むにつれて,商品のライフサイクルはさらに短くなっている.これにより,生産者が消費者の多様な要求の変化に対応するために多品種少量生産化が進められてきた.そして,製造工程の複雑化や,短期間でのレイアウト変更にも柔軟に対応できるようにするため,AGVを用いた無人搬送システムのさらなる自律化について議論されてきた.このような中,本研究では工場内搬送システムの自律化による柔軟対応の実現を目指し,AGV間の円滑な情報共有のための通信手法を提案,搬送作業に対する自律型AGV間交渉の実現可能性を模索する.なお,これらの提案手法についてハードウェアシミュレーションを実施可能な環境を構築する.
近年,生産物流拠点では効率的な倉庫管理を目指した機械化や自動化が進んでいる.しかし,問屋や小売店などの川下に位置する倉庫になると,機械の導入や運用にかかる費用が嵩むことから管理を人手に依存せざるを得ない現状がある.しかし,人手による管理は作業時間がかかりやすく,ミスも生じやすいために改善が望まれる.このような中,本研究では小型UAVによる倉庫内在庫管理の実現を目指し,上下左右に細かく仕切られた棚前において小型UAVが移動用のQRコードでできたQRノードを辿って飛行することを想定し,隣接するQRノードを発見できなくなった場合の探索方法と現在位置補正方法を検討する.
今後不足する労働力の代替手段として,ロボットの活用が期待されている.これを後押しする技術として,深層学習によるロボット制御技術の開発が進んでいる.例えばGoogle 社では,深層学習を用いてロボットアームの把持動作に必要なグリッパ位置の推定を実現した.我々は,環境変化やロバスト性の観点で導入が困難であった屋外等の非構造化環境での作業におけるロボット導入をめざして
いる.このような環境では多様な作業や想定外事象への対応が必須と考えており,本稿では,これを実現するロボット向けHW/SW 協調リアルタイム制御システムを提案する.また,リアルタイム制御のためにロボットのアームやハンド部などのエッジ搭載を想定しており,小型コントローラでも複雑なロボット制御を実現するための,推論演算を用いた動作制御切替えについて述べる.
D-23. サービスコンピューティング
3月12日 13:00〜16:15 Meeting 41 座長 山登庸次(NTT)
D-23-1 |
生産中止部品の調達リスクと運用価値を考慮した保守判断支援システムの検討
○杣 信吾・中西 惇・楓 仁志(三菱電機) |
D-23-2 |
保守支援システム実現に向けた機器設計・製造情報の活用
○中西 惇・杣 信吾・楓 仁志(三菱電機) |
D-23-3 |
長期的視点で洋菓子店の売上向上策を発見するための手法の提案
○沼瀬太朗・三木良雄(工学院大) |
D-23-4 |
カメラ映像によるリアルタイムなクラスター検出
○大澤勇斗・三木良雄(工学院大)・藤田 功(マイソフト)・箕谷祐也(ライタス) |
D-23-5 |
グラデーションを考慮した夕焼け予報システムの構築
○熊崎健斗・大場春佳・定國伸吾・松田 崇・水野信也(静岡理工大) |
D-23-6 |
北国の観光業活性化のための観光客の移動障壁の分析手法
○新井義和・齊藤義仰・羽倉 淳・柴田義孝(岩手県立大) |
社会インフラを支える設備は,設備に組み込まれた機器の故障による運用停止が発生した場合の社会に与える影響が大きいため,適切なメンテナンスによる安定的な稼働が求められる.一方で社会インフラ設備のライフサイクルは長く,数十年利用され続けることが一般的である.しかし設備に使われる機器や,その部品の生産寿命はそれよりも短く,設備運用の後半では設備メンテナンスに必要な部品や機器が調達できず,代替品による再設計が必要となるといった課題が生じる.
本稿では生産中止部品が使用される設備を早期に発見すると共にその保守判断を部品調達リスクと設備の運用価値から判断するためのシステム構成とその活用例を報告する.
社会インフラを支える設備は故障による運用停止が発生した場合,社会への影響が大きいため適切なメンテナンスによる安定的な稼働が求められる.一方で,労働人口の減少によって高度なメンテナンス技術を持った保守員の減少が見込まれる為,より少ない労働力で効率的なメンテナンスの実施が求められる.効率的なメンテナンスには機器に関わる様々な情報を連携して利活用することが必要とされる。本稿では,機器の稼働中の情報と機器が設計,製造される際の各ライフサイクルで発生する情報を紐付けて管理し,メンテナンスの効率化を実現する保守支援システムを構築するため,製造拠点の機器の設計情報や製造情報を活用する取り組みについて述べる.
小売業界で蓄積された大量の購買データは,データマイニング手法を用いることで価値のある情報の発見に活用されている.しかし,長年の購買傾向に偏りがあり,併売が少ない顧客を持つ洋菓子専門店において,従来の短期的視点による分析手法では有用な知見を得ることができず,データを活用できない.本稿では,時系列的にベイジアンネットワークを用いて購買シミュレーションを行い,長期的な視点から洋菓子専門店の売上向上に最適な施策を発見する手法を提案する.提案手法より,売上を伸ばしたい単一部門にのみ販促努力をするのが一般的であるが,複数部門に注力する方が店舗の売上増加に繋がることが判明した.
2020年に流行が始まった新型コロナウイルスによって、われわれの生活様式は大きく変わろうとしている。社会規模での生命・資産の維持に努める一方で、経済活動の維持が根本的な課題となっており、ウィルスの蔓延と活動の両面を適正に制御することが求められる。しかし、日々報道されるのは新規感染者数であり、潜伏期間だけ過去の状況を観測しているため、活動抑止を検討する指標として遅すぎることが懸念される。この課題を解決するためには、これからの感染挙動を予測し、早急に対応することが必要である。そこで本研究ではカメラ映像から密状態を検知しリアルタイムな感染率を算出することで、精度よく感染挙動を把握する手法を提案する。
近年,地域振興の基幹産業として観光への期待が高まっており,観光は地方創生のひとつの大きなテーマとなっている.しかしながら,新型コロナウイルスの影響で国内外問わず観光産業が大きなダメージを受けている.画像,動画やVRでバーチャルでの体験を高め,リアルでの体験に価値を生むことが今後の観光活性化に必要と考える.本研究では,日常風景の美しい瞬間を記録・予測・配信すること,さらには風景へのインタラクションをリデザインすることで,新たな観光資源を創出することを目的とする.本研究では,先行研究での夕焼けの検出と夕焼け確率の算出に加え,夕焼けのグラデーションに注目して,日常に埋もれていた風景価値を評価していく.
日本政府はインバウンドの積極的な受け入れを筆頭に観光産業の育成に注力しており,コロナ後を見据えてますます産業規模が成長することが期待される.しかしながら,北国におけるその産業規模は全国的に見て小さく,特に東北 6 県は夏季と比較して冬季の観光客の入込客数が軒並み少ないことが特徴的である.著者らは,近隣の観光資源間の移動の障壁を排除することによって相乗効果的に新たな観光ルートの開発あるいは既存ルートの魅力の向上を目指して,情報共有を核としたアプリケーション開発の構想を検討してきた.本研究では,これまで想定にとどまっていた移動障壁を根拠に基づいて導出するために,その分析手法を提案する.
休 憩(14:45 再開)
D-23-7 |
時系列分析に基づくアプリケーションとデータのバランシング
○坂下悠貴・中村隆喜・斎藤秀雄・揚妻匡邦(日立) |
D-23-8 |
業務プロセスモデリングとグラフデータベースを活用したワークフロー型データ管理システムの検討
○石田仁志・宮本啓生(日立) |
D-23-9 |
スマート製造を実現するソリューション設計における成熟度モデルの活用に関する一検討
○高橋清隆・緒方祐次・野中洋一(日立) |
D-23-10 |
圃場作物の自動判別による作付け確認支援ソフトウェアの研究開発
◎清川隼矢・長沼俊介・村田恵介(オプティム) |
D-23-11 |
IoT向け多種システム相互接続インフラの開発
○馬場博幸(東大)・松村 淳・小畑至弘(IoT-EX)・石田慶樹(日本ネットワークイネイブラー) |
D-23-12 |
Wi-FiとBluetoothパケットセンサデータを組み合わせた滞在者実数推計システムの開発
◎玉田 拓・野矢大輔・豊木博泰(山梨大) |
Hyper-converged Infrastructure (HCI) は、ストレージ機能を持つサーバに、仮想マシンやコンテナで動作するアプリケーションを集約し、データ量や負荷に応じてサーバを増やすことで容量や性能をスケールアウトできる分散システムである。HCIでは、システムの一部のサーバに負荷が偏ると、そのサーバがボトルネックとなり、システムとして安定した性能が提供できなくなる。本稿では、時系列変化する負荷情報に基づいて負荷の偏りを改善する事で安定した性能を維持するのに必要なサーバ数を削減するバランシング方式を提案し、評価を行った。
製造業や物流業などの各産業では,機能別に分割された業務を決められた手順で遂行し,次の業務へ業務結果の引継ぎを繰り返すことで事業を形成している.業務プロセス全体の最適化のためには,収集したデータから業務がどのように実施されたかを再現し,トレーサビリティを確保するとともに,業務プロセス全体に渡ってデータを統合的に管理する仕組みが必要となる.このために,本稿では,業務プロセスモデリングとグラフデータベースを活用したワークフロー型データ管理システムを提案する.
日本の”Connected Industries”や独の”Industrie4.0”が目指すスマート製造では,生産システムの構築や保守をサービス事業として運営するサービサが仮定されている.このサービサが構築を提案する生産システムは,顧客の業種業態や事業規模だけでなく,人・モノ・カネなど顧客毎に異なる経営資源の現状と将来における質・量を勘案する必要がある.この課題に対して本稿ではスマート製造の要件に基づく成熟度モデルを定義し,現状と目標をそのモデル上でマップすることで,経営資源の余力に応じて段階的に構築するアプローチを提案する.
経営所得安定対策等交付金においては、現地での作付状況の確認(以下、作付け確認)や台帳の管理など多くの時間と労力が費やされおり、これには毎年数十億円規模のコストが投じられている。この課題に対して、ドローンによる空撮とAIによる作物判定技術を用いて、上記作業時間を約1/3以下に削減したので、これについて報告する。
あらゆるモノがネットに接続されるというIoTでは、ひとまとまりの価値を創出するために、様々な仕様のクラウドやデバイスを低廉・円滑に相互接続する必要がある。本研究は、サイロありきを検討の出発点として、プライベートクラウドやローカルデバイス、アプリケーション等をそれら自身のインターフェイスの変更なしに相互接続する方策を開発し社会実装したものである。
携帯端末から発信されるWi-Fiプローブパケットを用いた人流解析は、観光地などの経営戦略の基礎データとして期待されている。本研究では、Wi-FiとBluetoothのパケットを取得するセンサを県立公園に設置し、観測及び分析を行った。Wi-Fiパケットは広範囲の取得が可能であることを活かし、位置ごとの受信強度分布のデータに対するニューラルネットワークモデルを構築し、観測された端末の位置を推定した。それを用いて滞在者密度分布を可視化した。一方、Bluetoothパケットは取得範囲が狭いため、検知範囲内のパケット数は滞在者の実数として扱うことが可能である。この2つのデータを組み合わせると、システム単体で滞在者実数推計を行うことができる。
シンポジウムセッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
DS-1. COMP 学生シンポジウム
(コンピュテーション研専)
3月10日 9:00〜11:20 Meeting 30 座長 増澤利光(阪大)
DS-1-1 |
(依頼講演25分)Hedonic Seat Arrangement Problems
Hans L. Bodlaender(Utrecht Univ.)・◎Tesshu Hanaka(Chuo Univ.)・Lars Jaffke(Univ. of Bergen)・Hirotaka Ono・Yota Otachi(Nagoya Univ.)・Tom C. van der Zanden(Maastricht Univ.) |
DS-1-2 |
区間グラフに対するハミルトン閉路遷移問題
◎佐藤颯介・鈴木 顕・伊藤健洋・周 暁(東北大) |
DS-1-3 |
Fair MSO Evaluation Problems Parameterized by Vertex Integrity
◎Tatsuya Gima・Yota Otachi(Nagoya Univ.) |
In this work, we study a variant of hedonic games, called Seat Arrangement. The model is defined by a bijection from agents with preferences to vertices in a graph. The utility of an agent depends on the neighbors assigned in the graph. More precisely, it is the sum over all neighbors of the preferences that the agent has towards the agent assigned to the neighbor. We first consider the price of stability and fairness for different classes of preferences. Then we investigate the computational complexity and the parameterized complexity of problems to find certain “good” seat arrangements, say Maximum Welfare Arrangement, Maximin Utility Arrangement, Stable Arrangement, and Envy-free Arrangement.
グラフのハミルトン閉路に対して隣接関係を導入し,グラフに含まれる全てのハミルトン閉路から形成される解空間において到達可能性を研究する.二つのハミルトン閉路が,二組の辺だけを入れ替えることで互いに得られるとき,それらは隣接しているという.二つのハミルトン閉路が,このような辺の入替操作を繰り返すことで得られるとき,それらは互いに到達可能であるという.本稿では,グラフが区間グラフであるとき,どの二つのハミルトン閉路も互いに到達できることを示す.
Fair MSO Evaluation is a variant of the well-studied MSO Evaluation problem on graphs. In addition to the full expressive power of MSO on graphs, Fair MSO Evaluation allows us to optimize the "fairness" of solutions. It is well known that the original MSO Evaluation can be solved in linear time for graphs of bounded treewidth. On the other hand, Fair MSO Evaluation is known to be W[1]-hard parameterized by treedepth (and thus by treewidth). In this paper, we show that Fair MSO Evaluation parameterized by vertex integrity is fixed-parameter tractable. This result generalizes the best known algorithmic results in this direction of study and almost matches the known hardness results in some sense.
休 憩(10:30 再開) 座長 大下福仁(奈良先端大)
DS-1-4 |
七並べのグラフ的一般化と必勝判定
◎木谷裕紀(名大)・末續鴻輝(NII)・小野廣隆(名大) |
DS-1-5 |
一般化費用分配関数の下での容量制約付きネットワーク設計ゲーム
◎廣瀬暁之(名大)・土中哲秀(中大)・小野廣隆(名大) |
七並べは日本で遊ばれるトランプカードゲームの中でも認知度, 人気が高い遊びである.
本研究では, 二人で行う七並べについて, グラフ的一般化を行い, その解析を行う.
本研究ではグラフ的一般化を通して, 広く遊ばれる七並べのその必勝戦略保持者が線形時間で計算できることや, いくつかのローカルルールの下での計算困難性を示した.
費用分配型接続ゲーム(Cost-Sharing Connection Game, CSG)は,ネットワーク上のルーティングゲームの一種であり,このモデルでは,費用と容量が与えられた辺を持つ有向グラフが与えられる時,各エージェントはソースからシンクへのパスをできるだけ少ない費用で構築したいと考えている.各辺の費用は費用分配関数に基づいてエージェントが共有する.最も素直な費用分配関数は,かかる費用をエージェントの数で割ったものである.この関数は,人々がものを共有する際にオーバーヘッドが発生しない理想的な設定をモデル化しているが,現実には多かれ少なかれ何らかのオーバーヘッドが生じることが多い.本論文では,費用分配関数を一般化することで,より現実的な費用分配型接続ゲームの場面をモデル化する.本研究では一般化された費用分配関数の下で,合計費用と最大費用に関する無秩序の価格(Price of Anarchy, PoA)と安定性の価格(Price of Stability, PoS)を考察した.一般化した設定にも関わらず,合計費用におけるPoSを除いて,オーバーヘッドのない費用分配関数と同じ上下界とタイトな例が得られることを示す.また,合計費用におけるPoSは,一般化によりlognからnに増加する.
ADS-1. RISC-Vシステム設計の現在と将来展望
(VLSI設計技術研専、コンピュータシステム研専、リコンフィギャラブルシステム研専 共催)
3月10日 9:00〜10:40 Meeting 18 座長 松本高士(東大)
ADS-1-1 |
RISC-Vが支えるオープンハードの潮流
○河崎俊平(SHコンサルティング) |
ADS-1-2 |
RISC-V命令セットの特性と研究への利用
○塩谷亮太(東大) |
ADS-1-3 |
地域メッシュコード生成器のRISC-Vプロセッサへの実装
○多田十兵衛(山形大)・佐藤啓一(山形県立産短大) |
ADS-1-4 |
教育用プロセッサとしてのRV32I
○天野英晴(慶大) |
コンピュータシステムの最重要資産「命令セット」で革命が起きている。ムーア則が終わり、「命令セット」闘争が終わる。そこに新しい世界の予感がある。RISC-V がもてはやされるのは、そうした終末観からなのか。そしてRISC-Vのおかげでどんなうれしい未来が待っているのか?
RISC-Vは近年登場したオープンな命令セット・アーキテクチャであり,現在急速にその利用が広がっている.そのようなオープンな命令セットは従来からいくつか提案されてきたが,それらは成功したとは言いがたくこれまでに大きな広がりを見せることはなかった.これに対しRISC-Vは多くの企業において実際にプロセッサが開発され,すでに発売もされているものもある.また,研究や教育の分野で用いる命令セットとしては既に標準に近い地位を獲得しており,非常に多くの実装が公開され使用されている.我々もこれまでにRISC-Vを採用したプロセッサ・シミュレータ「鬼斬」やout-of-orderスーパスカラ・プロセッサ「RSD」を開発してきており,研究に広く利用している.また,企業との共同研究などのプロジェクトにおいてもRISC-Vに基づくプロセッサを実際に研究・開発することが増えている.本稿ではこれらのシミュレータやプロセッサとRISC-Vの関わりや,その際に得られたRISC-V命令セットへの知見について述べる.
近年,人の移動履歴や人口密集率を明らかにする上で,地域メッシュコードを用いた統計分析が注目を集めている.しかし,地域メッシュコードは緯度・経度から幾つかの数式を用いることで求められるが,多くの浮動小数点命令を必要とするため長い計算時間がかかる.本稿では,緯度・経度から地域メッシュコードを1サイクルで生成する演算器を設計し,RISC-Vプロセッサに実装する.提案演算器を搭載したRISC-VプロセッサをFPGA上に実装し、性能を評価した結果,提案演算器を用いる命令を利用することにより,ベンチマークプログラムの実行時間を36.6%短縮した.
RISC-Vの32ビット基本命令セットであるRV32Iを教育用モデルプロセッサの観点で検討する。