プログラム
format_list_bulleted通信ソサイエティ
一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
B-1. アンテナ・伝播A(電波伝搬,非通信利用)
9月7日 9:00〜11:45 Meeting 17 座長 佐藤彰弘(ソフトバンク)
B-1-1 |
LiDAR点群データを用いたオフィス環境における動的電波伝搬シミュレーション手法
○齋藤健太郎・Nopphon Keerativoranan・高田潤一(東工大) |
B-1-2 |
高基地局環境におけるミリ波帯クラッター損失の測定解析
○木村 翔・林 合祐・田中翔馬・佐藤彰弘・表 英毅(ソフトバンク) |
B-1-3 |
高地上局におけるクラッター損失特性を明らかにするための測定解析
○田中翔馬・木村 翔・佐藤彰弘・林 合祐・表 英毅(ソフトバンク) |
B-1-4 |
ローカル5G通信のための到来仰俯角の評価
◎恒成創太・廣瀬 幸・松嶋 徹・福本幸弘(九工大) |
B-1-5 |
市街地マイクロセル環境における24/60GHz帯双角度伝搬チャネル測定
◎塚田 響・鈴木直也・高橋莉玖・金 ミンソク(新潟大)・沢田浩和・松村 武(NICT) |
近年ではInternet of Things (IoT)やIntelligent Transport Systems (ITS)サービス等,無線通信技術が様々なシステムで利用されており,これらのシステムの迅速な設計や動作検証のため,Cyber-Physical-System (CPS)の利用が期待されている.CPSエミュレータでは,通信環境を仮想空間に取り込み電波伝搬シミュレーションによりシステムの通信性能予測を行う.この際,建物や家具等の静止物と比べて人通りや車両等の移動物については正確な大きさや移動経路等を記録する手法が無く,正確なシミュレーションを行う事ができない問題があった.本稿では,LiDARによりオフィス環境の人の動きを計測し,これらの移動物が伝搬路を遮蔽する影響をレイトレーシングシミュレーションに取り込む手法を提案する.
超広域のカバーエリアや災害に強いネットワークを実現する成層圏プラットフォーム(HAPS : High-Altitude Platform Station)への期待が高まっている[1].HAPS通信における干渉検討を実施するためにはクラッター損失の推定が必要不可欠である.著者らは,ITU-R 勧告P.2108をベースにして,1.5GHz,3.3GHz,5.7GHzの周波数帯を用いた測定結果を元に,遮蔽建物高を考慮したクラッター損失モデルを開発しており[2],この開発モデルが10GHz以上の周波数帯にも適用できることを,測定結果から確認することが求められている.本稿では,10GHz以上の周波数帯でのクラッター損失に着目する.有人ヘリコプターを用いた高基地局環境におけるミリ波帯電波伝搬測定を実施し,測定結果の解析と評価を行った.
HAPS(High-Altitude Platform Stations)などの上空局または衛星を利用した無線通信システムの設計や干渉検討のために、地上局周辺の環境に応じた伝搬損失を推定する必要がある。ITU-R(International Telecommunication Union Radiocommunication Sector)勧告P.2108では、建物などの地物によるクラッター損失を推定する統計的なモデルが提案されている。一方で、10GHz以下の周波数が適用範囲でない点、地上局高がパラメータとして含まれていないため異なる地上局高において正確に推定できない点などの課題がある。著者らは、ITU-R勧告P.2108をベースにして遮蔽建物高を考慮できるクラッター損失モデルを開発しており、この開発モデルには、地上局高の導入が求められている。本稿では、ヘリコプターを使用し、地上局が建物に遮蔽される環境において、地上局高を31.5mまで変化させた際の伝搬損失測定を実施し、その特性を評価する。
九州工業大学戸畑キャンパス構内にはローカル5G通信の28 GHz帯の通信環境が構築されており、実証実験が行われている。本報告ではこのローカル5G通信の仰俯角軸における電波伝搬のメカニズムを解析するために、指向性の鋭いホーンアンテナを使用した受信電力測定とアンテナパターンの作成・評価した。この評価によって仰俯角軸にて地面からの反射の到来を確認した。また、今回の測定においては直接波と地面からの反射波の受信電力強度の差は最大6.2 dBであることも確認した。
ミリ波を用いた新しい無線通信システムの開発には,ミリ波の特性をよく反映したチャネルモデルが不可欠である.しかし,現在広く用いられているサイトジェネラルなクラスタベースのチャネルモデルは,強い環境依存性を有するミリ波に対しては不十分である.このような,既存のチャネルモデルの精度を向上させるためには,実験に基づいたさらなる伝搬チャネル解析が必須である.本稿では,24 GHz帯および60 GHz帯の2周波数帯を用いて市街地マイクロセル環境において伝搬測定を行った結果について報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 堀端研志(構造計画研)
B-1-6 |
車両周辺における伝搬損失推定に関する一検討
○埜々考平・藤元美俊(福井大)・山口 良・豊見本和馬(ソフトバンク) |
B-1-7 |
ITS通信における路車間電波伝搬シミュレーションの精度評価
◎坂本歩美・藤元美俊(福井大)・小川真人・鈴木 剛(京セラ) |
B-1-8 |
スーパーコンピュータ「富岳」を用いた大規模FDTD法シミュレーションによる都市モデルにおける5Gの電波伝搬解析
○巨智部陽一・江端直樹・山ヶ城尚志・小田島 渉・渡邉洋彰・井上 晃(富士通) |
B-1-9 |
鉄道環境における点群データを用いた3次元モデリング
○清水健矢・岩谷茉衣子・中西孝行・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機)・田崎 剛(JR東日本) |
B-1-10 |
都市部の鉄道沿線における電波伝搬解析の一検討
○間宮拓朗・中西孝行・西岡泰弘・稲沢良夫・後藤健太郎(三菱電機)・堀内直樹(JR東日本) |
これまで筆者らは,同一周波数Full Duplexの実現に向けて,図1に示す様な状況における自己干渉,周辺地物からの干渉についてFDTD法を用いて評価してきた[1].しかし,FDTD法による解析のみでは,車両周辺の伝搬状況を物理的に理解することが難しいことから,ここでは結合度を伝搬モデルにより定式化することを目的とする.本研究では,初期検討として,車両を模した金属直方体とルーフだけを考慮した結合度推定式を導出し,その妥当性を評価する.
近い将来,自動車は通信インフラや交通管制センターと常に通信しながら走行する自動運転が実現されようとしている.その通信手段として,第5世代移動通信システム(5G)やITS通信システムの利用が期待されている.ただし,市街地における路車間,車車間通信の通信エリアは,市街地構造および基地局構造に大きく影響される.本報告では,実際の市街地構造を考慮した通信エリア拡大手法の検討に向けて,郊外地構造データを用いたレイトレースによる電波伝搬シミュレーションと実測データとの比較を行い,伝搬損失の推定を行った.
近年,第5世代移動通信システム(5G)のサービス開始やITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)での車車間・路車間無線通信技術の発展など無線通信技術の利用がますます拡大している.本研究では5Gによる都市部の交差点での路車間通信を対象として、スーパーコンピュータ富岳を用いてFDTD法シミュレーションによるフルウェーブ電磁界解析を行い、電界強度分布、伝送損失、遅延スプレッドを算出し、通信品質の厳密評価の有効性を検証した。
置局設計などを目的として線路沿線の電波環境を把握するために,しばしばレイトレーシング法による電波伝搬解析が活用されている.電波伝搬解析には送受信点の諸元や解析空間のモデルが必要であり,市街地環境におけるモデルは一般的に電子住宅地図データを基に作成する.しかし,鉄道施設である駅舎や線路沿いの架電柱などに関する情報は電子住宅地図データに含まれない.これら鉄道施設は電波の遮蔽物となるため,高精度な電波伝搬解析を行うためにはこれら構造物を含んだモデルを作成する必要がある.本稿では,モービルマッピングシステムで取得した鉄道施設の 点群データを基に電波伝搬解析に適した3次元モデルを作成する方法について報告する
列車の運行においては列車無線の安定的な性能が重要となっている.列車無線は鉄道沿線に設置された地上局と列車間での通信となるが,線路上や線路脇に建物などの障害物が多数存在する都市部の鉄道では,地上-列車の位置関係による伝搬特性の把握が難しい.本報告では,都市部の鉄道沿線における伝搬特性をレイ・トレーシング法で解析し,実際の伝搬特性を再現するために重要となるモデリング要素について明らかにしている.
9月7日 13:00〜16:00 Meeting 17 座長 佐々木元晴(NTT)
B-1-11 |
テラヘルツ帯の利用に向けた腕・胴体周辺の電波伝搬特性の検討
◎竹澤和輝・長尾竜也・林 高弘(KDDI総合研究所) |
B-1-12 |
屋内環境における人体遮蔽時の160 GHz帯反射波の測定
中村光貴・○須山 聡・北尾光司郎・富永貴大(NTTドコモ)・丸田 靖(NEC) |
B-1-13 |
300GHz帯無線通信における人体遮断・反射損失特性の検討
○△高木駿汰・松井啓祐・枚田明彦(千葉工大)・竹澤和輝・林 高弘(KDDI総合研究所) |
B-1-14 |
テラヘルツ波を用いた人体散乱における偏波の影響
○宮下真行・矢吹 歩・保前俊稀・豊見本和馬・山口 良(ソフトバンク) |
B-1-15 |
ミリ波・テラヘルツ波における人体散乱波の交差偏波の周波数特性
○矢吹 歩・宮下真行・保前俊樹・豊見本和馬・山口 良(ソフトバンク) |
第6世代移動通信システムでは超高速・大容量通信の実現に向けテラヘルツ帯の利用が検討されている.筆者らはユーザ端末とウェアラブルデバイスなどを協調しアンテナ数を拡張する仮想化端末への活用を提案している.本技術の無線リンクの評価には電波伝搬特性の解明が不可欠であり,筆者らはこれまでに100GHz帯の頭部周辺での伝搬経路について報告している.本稿では腕・胴体周辺の支配的な伝搬経路を明らかにし,滑らかな丘の回折モデルとERモデルの合成による伝搬損失モデルを提案する.
第6世代移動通信システム(6G)に向けて100 Gbpsを超える超高速・大容量通信の実現が検討されている.100 Gbps超の通信速度を実現するため,100 GHz~300 GHzのサブテラヘルツ波の活用が注目されているが,ミリ波と比べて人体等の遮蔽損失が大きいことが知られている.一方,屋内環境では,人体遮蔽時においても壁や天井などからの反射波を活用することが期待できる.本稿では,屋内の廊下において,160 GHz帯で人体遮蔽時の直接波と壁や天井方向からの反射波を測定した結果を報告する.
300 GHz帯無線において,人体が電波を遮断・反射することにより与える受信電力の減衰量を評価した.遮断による減衰量は,完全に遮断された状態だと人体が正面,横向きともに約26 dBとなった.反射における減衰量は,伝送距離1.6 m,送受信機にアンテナ利得7 dBのプローブアンテナの場合,受信機位置90° から-5° までは入射角30°、60° どちらも損失は約 -20~-30 dBであった.その後,入射角30° の損失は減少傾向であり,入射角60° は増加傾向にあった.今後は反射・遮断損失の衣服の種類依存性の評価を実施する.
次世代移動通信として6Gの研究開発が行われている.我々は,これまで人体遮蔽特性および人体散乱特性を評価した.本稿では,電波暗室内にて人体散乱特性における偏波の影響に関する測定を行ったので結果を報告する.
次世代移動通信として第6世代移動通信システム(6G)の研究開発が進んでいる.6Gでは,100 GHz超の高周波数帯(テラヘルツ帯)の活用が考えられており,そのユースケースの一つとしてマルチユーザーキオスクの検討や基本的な電波伝搬の研究も行われている.我々は,これまで人体によるテラヘルツ波の伝搬,透過損失,散乱などの特性の検証を行ってきた.本稿では,人体散乱波の交差偏波の特性について30GHz, 100GHz, 300GHzでの周波数特性を実測により検証したので報告する.
休 憩(14:30 再開) 座長 今井哲朗(東京電機大)
B-1-16 |
市街地マイクロセル環境における2-300GHz帯伝搬損失特性
○猪又 稔・山田 渉・久野伸晃・佐々木元晴(NTT)・中村光貴・北尾光司郎・富永貴大・須山 聡(NTTドコモ) |
B-1-17 |
300GHz帯無線通信における樹木による減衰量の評価
○△松井啓祐・髙木駿汰・枚田明彦(千葉工大) |
B-1-18 |
300GHz帯フロントホール回線におけるゲリラ豪雨時の回線稼働率評価
○古川翔一朗・奥村 凌・枚田明彦(千葉工大) |
B-1-19 |
屋内多重波クラスタ測定を通じた300GHz 帯双角度チャネルサウンダの検証
◎高橋莉玖・柴田航輔・金 ミンソク(新潟大) |
B-1-20 |
300GHz帯双角度チャネルサウンダの動作検証実験
○柴田航輔・高橋莉玖・金 ミンソク(新潟大) |
B-1-21 |
屋内環境における300 GHz帯マルチパス波の測定
○中村光貴・須山 聡・北尾光司郎・富永貴大(NTTドコモ)・猪又 稔・山田 渉・久野伸晃・佐々木元晴(NTT) |
6Gでは超高速・大容量の実現に向けて, ITU-Rにおいて300GHz帯までのサブテラヘルツ波帯の適用について検討が開始された.5Gチャネルモデルは,3GPPやITU-Rで100GHz帯まで標準化されたが,測定結果は71GHz未満であり,サブテラヘルツ波帯システム設計において十分ではない.そこで本稿では,市街地マイクロセル環境において2-300GHz帯までの伝搬損失特性について検討したので報告する.
我々は,300GHz帯無線において,樹木が電波を遮断する際の季節ごとの減衰量への影響を評価した.伝送距離60mで送受機・受信機にカセグレンアンテナを使用した場合,樹木遮断による平均減衰量は,11/2で21dB,3/23で15.8dBとなり, 約5dB差となった.減衰の変動幅を比較すると11/2が47dB,3/23が35dBで14dB差という結果が得られた.
本論文では300GHz帯フロントホール回線におけるゲリラ豪雨時の回線稼働率を評価した.東京中心部の 5km 四方のエリアに構築された356のフロントホール回線において,晴天時では全ての回線で100Gbpsのデータ伝送が可能な受信電力を上回った.また,ゲリラ豪雨が発生した30分間で所要受信電力を下回る回線の割合の平均は20.5%となった.
Sub-6GHz帯と28GHz帯のサブミリ波帯を利用した第5世代(5G)モバイルネットワークの商用展開が進む中,研究開発の焦点は5G以降のモバイルネットワークに移りつつある.将来のモバイルネットワークでは,5G10倍以上である最大100Gbpsでの超高速データ転送の実現が要求される.このため,数GHzから数十GHzの広い帯域が利用可能なテラヘルツ帯(100GHz~10THz)の活用が注目されている[1].これまで,ポイントツーポイント(P2P)の短距離通信のための無線システム構成が検討されてきた.本研究では,モバイル接続用途への拡張を目指し,150~300GHz帯の電波伝搬測定技術の開発および伝搬路モデルの検討を行い,新たな超高速無線通信システムの設計・開発・評価に貢献することを目的としている.本稿では,構築した300GHz帯チャネルサウンダについて述べ,構築したシステムの検証実験およびその結果を報告する.
近年の急激な通信トラヒックの増加に対応する一つの方策として,ミリ波やサブテラヘルツ波の高周波数帯の利用が注目されている.特に,サブテラヘルツ帯は,ミリ波に対して10倍以上広い周波数帯域幅を利用できるとみられている.しかし,これらの高周波数帯の電波は今まで利用されてきた周波数帯の電波に比べ,直進性が高く,減衰が大きいことが知られている.今後サブテラヘルツ波を利用していくためには,サブテラヘルツ波の特性を正確に把握する必要がある.本研究では我々が構築した300GHz帯双角度チャネルサウンダを用いて基礎実験を行い,装置の動作検証,サブテラヘルツ波の特性を確認する.
第6世代移動通信システム(6G)に向けて100 Gbpsを超える超高速・大容量通信の実現が検討されている.100 Gbps超の通信速度を実現するため,100 GHz~300 GHzのサブテラヘルツ波の活用が注目されているが,ミリ波と比べて人体等による遮蔽損失が大きいことが知られている.しかしながら,屋内などの周囲に壁や天井が存在する環境では,それらで反射した反射波が遮蔽されずに十分な強さを持って到来することが期待できる.本稿では,屋内環境において,300 GHz帯で会議室の壁や天井で反射するマルチパス波を測定した結果を報告する.
9月9日 9:00〜11:45 Meeting 17 座長 廣瀬 幸(九工大)
B-1-22 |
簡易空間モデルにおける波源位置推定アルゴリズムの有効性
○芳野真弓・杉村独歩(日本電業工作) |
B-1-23 |
PLATEAUを活用した3Dモデル精度による電波伝搬シミュレーションと実測との比較評価
◎杉山健斗・菅原康太・岡村 航・吉敷由起子(構造計画研) |
B-1-24 |
カラーイメージを用いた電波伝搬特性の新推定法
◎富永貴大・須山 聡・北尾光司郎・中村光貴(NTTドコモ) |
B-1-25 |
実環境における複素比誘電率計測に関するー検討
◎相澤廣樹・前山利幸(拓殖大) |
B-1-26 |
透過型メタサーフェス屈折板を含む電波伝搬解析手法
◎石川 慧・吉川博道・平松信樹(京セラ)・中野久松(法政大) |
無線空間内における波源位置推定アルゴリズムの検討を行っている。電波センサの到来方向推定結果を基にレイトレース法による伝搬路推定を行い、細分化した空間との伝搬路の交差空間を推定することで波源位置推定を行い、本アルゴリズムの有効性について示す。
Society 5.0時代では,これまで以上に多くの通信機器が用いられ,かつ大規模通信が行われることが考えられる.これに伴い,新たな電波システムの設計・評価・検証を低コストかつ短時間に実施することが求められる.Project PLATEAUでは,3D都市モデルのオープンデータ化が進められており,PLATEAU 3D都市モデルの電波伝搬シミュレーションにおける活用が期待される.本報告では,精度が異なるPLATEAU 3D都市モデルを用いた電波伝搬シミュレーション結果を実測結果と比較したので報告する.
移動通信システムにおけるエリア評価のための伝搬シミュレーションの高精度化は重要である.また,6Gにおいては,サイバー空間においてこのような技術を用いてリアルタイムに伝搬特性を予測し,フィジカル空間においてシステムを動的に制御することで,性能の最大化と通信品質を担保することができる.本稿では,高速かつ高精度な電波伝搬推定を目的として,カラーイメージを用いた伝搬推定法であるCI法を提案する.屋外環境における伝搬損失の実測結果との比較により,CI法の有効性を明らかにする
屋内の電波伝搬の電磁界解析において,建築材料の設定した複素比誘電率により,電界分布に変化があることが確認されている.そのため,複素比誘電率を推定することは電波伝搬を確認するために大切である.そこで筆者らは非破壊で建物の壁などの複素比誘電率を測定する方法について検討を進めている.複素比誘電率の測定方法の中でも反射係数と位相から求めることが可能な定在波法に着目した.定在波法は平面波環境では法則通りに成り立つが,実環境での算出を試みた際に設定した複素比誘電率と異なる結果を得たため修正が必要だと考えている.本稿では,レイトレース法と実測データを用いて平面波環境と実環境の誤差要因について考察する.
5Gの利用が本格的に始まっている。5Gで用いるミリ波帯の電波は直進性が高いため、スルーホールが発生しやすい。この問題を解決するため、メタサーフェスによる電波の反射・屈折制御が提案されている。我々は独自に透過型メタサーフェス屈折板を開発し、5G電波を用いた実験により効果を確かめた。メタサーフェスを含んだ電波伝搬解析手法の研究については、メタサーフェス反射板の放射特性を考慮したレイトレース解析の研究報告があるが、適用範囲は遠方界領域に限られる課題がある。そこで我々は屈折板を対象にフレネル領域に適用可能なレイトレース解析手法を検討した。
休 憩(10:30 再開) 座長 中林寛暁(千葉工大)
B-1-27 |
機械学習による時空間伝搬特性推定のための建物の入力手法の検討
○吉川慧司・長尾竜也・竹澤和輝・林 高弘(KDDI総合研究所) |
B-1-28 |
Correlation Graph CNNによる伝搬損失推定
◎今泉圭太・市毛弘一(横浜国大)・長尾竜也・林 高弘(KDDI総合研究所) |
B-1-29 |
事前推定値を用いたRNNによる受信電力変動予測
○佐々木元晴・澁谷尚希・河村憲一・久野伸晃・猪又 稔・山田 渉・守山貴庸(NTT) |
B-1-30 |
移動通信環境におけるDCNNを用いたチャネル推定モデルの提案
○高橋和希・今井哲朗(東京電機大)・廣瀬 幸(九工大) |
B-1-31 |
提案する深層学習を用いた降雨減衰推定法の評価
◎小枩谷勇二・今井哲朗(東京電機大)・廣瀬 幸(九工大) |
仮想空間上で無線システムの評価や設計を行う無線エミュレータを実現するため,個々の環境に応じた高精度な伝搬モデルが求められている.マルチパスによるフェージングの変動の影響を評価するためには,時空間特性のモデル化が必要である.環境情報を利用した時空間特性の推定手法として全天球画像を用いた機械学習が提案されている.本手法では,送受信点から共通して見える建物の特徴抽出により,サイトジェネラルなモデルより高精度な推定を実現している.しかし,送受信点からの見通し外の建物等で複数回の反射回折が生じる場合は,全天球画像では環境情報が欠落するため推定精度に課題がある.本稿では,複数の反射回折が生じる場合でも高精度に時空間特性を推定するため,新たな建物高の入力形式を提案し,遅延スプレッドに対する推定精度の評価結果を報告する.
本稿では,計算量を削減する目的で,建物マップ画像を利用せず,特徴量パラメータのみを入力として,C-GraphCNN による電波伝搬損失の推定手法を提案する.FNNによる伝搬推定モデルをベースラインとして,AP 研伝搬データベースの小倉・津田沼データセットを使用したシミュレーションを通して,提案手法の優位性を検証した.
第6 世代移動通信システムではNew Radio Network Topologyと呼ばれる様々な無線セルを重畳した複雑な構成が提唱されており,多数セルの切替/協調制御が重要になると考えられる.本稿では,そのような状況で必要な,事前に各セルの通信品質を秒以上のオーダで予測する手法として,深層学習のRNNを用いた受信電力変動予測について,入力データとして直近の受信電力を用いる手法に加え事前に導出した推定値を用いた手法を報告する.
現在検討されている次世代移動通信システム(B5G / 6G)では周波数利用効率と電力効率のさらなる向上が求められており,そのためには高精度な伝搬モデルが必要となる .そこで,筆者らはDCNNを用いた伝搬損失推定モデルを提案している.一方,システム性能を評価するためには送受信間パスの遅延時間や到来角度を推定可能とするチャネルモデルも必要である.そこで,本稿ではDCNNを用いたチャネル推定モデルを提案する.
近年,B5GやHAPS等など無線システムで使用する周波数の上昇は著しく,降雨減衰の推定の重要度は増している.一方で,最近では経路上の情報を入力マップとするCNNを用いた伝搬損失推定に関する研究が盛んに行われている.筆者らは以前に,降雨減衰推定においても伝搬損失推定と同様の手法をとることが可能であると考え,降水強度および送受信点間距離といった経路上の情報の二次元データを入力とする,深層学習を用いた降雨減衰推定法を提案した.本稿では,提案した手法に対して実データを用いて深層学習モデルの訓練および検証を行い,提案した降雨減衰推定法の評価を行った.
B-1. アンテナ・伝播B(アンテナ一般)
9月6日 9:00〜11:45 Meeting 18 座長 山ヶ城尚志(富士通)
B-1-32 |
円偏波マイクロストリップアンテナの軸比特性の広帯域化に関する検討
○大川原健史・松井章典(埼玉工大) |
B-1-33 |
円形スロット開放を用いたMagic-T給電型広帯域円偏波アンテナの高性能化
◎△江崎海志・西山英輔・豊田一彦(佐賀大) |
B-1-34 |
大口径メタループアンテナを用いた円偏波軸ビーム形成
○阿部智希・山内潤治・中野久松(法政大) |
B-1-35 |
シーケンシャルアレー技術を用いたMACKEYの円偏波化
○米田道典・横江慧人・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
マイクロストリップアンテナは摂動を加えることによって円偏波の励振が容易に行える. しかしながら, 円偏波MSAの軸比が3dB以下の帯域は狭帯域で, 周波数比帯域は1〜2%である. 本報告では, MSAのボアサイト方向に摂動給電型円偏波クロスダイポールを寄生素子として配置し, 軸比を広帯域化する検討を行った.
Magic-Tを用いることにより2点給電型円偏波アンテナの軸比を広帯域化することができる.本稿では,円形スロット開放をMagic-Tに適用し,2点給電型円偏波アンテナの更なる広帯域化を実現した.提案アンテナの軸比の3dB帯域は,先行研究のアンテナの4.4%に対して8.5%と約2倍に広帯域化でき, T分岐を用いた円偏波アンテナの0.8%と比べると10倍以上広帯域化することが可能である.
約0.03波長の超低姿勢構造を有し, 円偏波軸ビームを形成するメタマテリアルループ(メタループ)アンテナを提案してきた. このとき, ループの円周は設計周波数において2波長以下であった. 本稿では, 約5波長の大きな円周を有するメタループアンテナを用いた円偏波軸ビーム形成を検討する.
周囲の金属における影響を受けない小型アンテナとしてMACKEY(Meta-surface inspired Antenna Chip developed by KIT EOE Labo-ratory)を考案した.本報告では,MACKEYを薄型化し,逆L型素子を用いて不平衡給電にしたMACKEYⅡをベースとした.さらにシーケンシャルアレー技術を用いてアンテナサイズ約λ/2角で偏波を従来の直線偏波から円偏波とする新たなモデルであるMACKEY CS型(以下:CS型)を提案した.
休 憩(10:30 再開) 座長 豊見本和馬(ソフトバンク)
B-1-36 |
ブリッジラインを用いた2素子の平板逆Fアンテナの低結合化及び帯域幅の維持に関する検討
◎フン クァン クァン・道下尚文(防衛大)・佐藤 浩・小柳芳雄(パナソニック)・森下 久(防衛大) |
B-1-37 |
マッシュルーム構造を用いた筐体励振指向性切換アンテナ
◎西目 匠・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-38 |
H型スロット付金属筐体及び折返しダイポール素子から構成されるアンテナの小形化検討
◎和田有紀子・道下尚文・森下 久(防衛大)・山本 温・松本一弘・菱川哲也(パナソニック) |
B-1-39 |
車載アンテナの車両形状に対する放射パターン評価
○沢田浩和・飯草恭一・松田隆志・松村 武(NICT) |
B-1-40 |
2周波共用化した双方向指向性を有する金属カバー付アンテナの試作評価
○宮坂拓弥・坂本寛明・牧村英俊・西本研悟・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) アンテナにおいて広帯域にわたってアンテナ効率を向上させるために,広帯域化及び低結合化(以下,デカップリングと呼ぶ.)を同時に考慮する必要がある.2素子のMIMOアンテナ間のデカップリングには,様々な手法が提案されており,ブリッジライン(BL)を用いた手法が最も簡易な手法の一つである.先行研究では,2素子の平板逆Fアンテナ(PIFA) 同士をブリッジラインで接続するとデカップリングが実現可能になることが確認できたが,帯域幅が狭まってしまう課題がある.そこで本研究では,2素子のPIFAのデカップリング及び帯域幅の維持を両立させる手法を検討した.
携帯端末には多数のアンテナが搭載されており,周囲環境に応じて簡便に指向性を切り替えられることが求められている.エネルギーバントギャップ構造(EBG)を配置してアンテナの指向性を切り替える手法が検討されているが,立体的な筐体への適用は検討されていない.携帯端末を模した金属筐体の放射については,折り返しダイポールアンテナを用いて筐体を励振する手法が検討されている.一方で筐体からの放射の指向性は考慮されていないため,指向性を制御する手法が必要である.本稿ではマッシュルーム構造を提案し,金属筐体上に適用したときの放射特性の変化について検討する.
スロットを設けた金属筐体内部に給電アンテナ素子を配置したアンテナについて様々な報告がされている.先行研究では,金属筐体に1つのスロットを設け,内部に折返しダイポール素子を設置したアンテナが報告されている.そこでは,2共振特性による広帯域化の動作原理を基に,薄型化が検討されている.本稿ではスロットの形状をH型にすることで,更なるアンテナの小形化を検討した.
仮想空間上で様々な無線システムを検証可能とするワイヤレスエミュレータの研究開発において,現実に近いアンテナ特性を模擬するために,アンテナを機器に取付けた場合の放射パターンのモデル化が必要となっている.本稿ではITSシナリオを想定して,車両内外にアンテナを取付けた場合の放射パターンの電磁界解析結果を報告する.
筆者らは,2周波数で使用可能な双方向指向性を有するアンテナとして,逆三角形状のモノポールアンテナをコの字型金属カバーで覆ったアンテナ方式を提案した.本稿では,提案手法を適用した双方向指向性アンテナの試作評価結果について報告する.
9月6日 13:00〜17:00 Meeting 18 座長 高野豊久(住友電工)
B-1-41 |
広帯域スリーブアンテナを用いた直交偏波アンテナに関する検討
◎水谷智一・道下尚文(防衛大)・佐藤 浩・小柳芳雄(パナソニック)・森下 久(防衛大) |
B-1-42 |
メッシュ構造テーパスロットアンテナのメッシュ間隔に対する放射特性に関する検討
○篠原 葵・松井章典(埼玉工大) |
B-1-43 |
電磁結合とスタブ構造を備えた平面型UWBモノポールアンテナの実測検討
◎畑 知華代・竹村暢康(日本工大) |
B-1-44 |
薄型円筒状キャビティを有する2線式スパイラルアンテナ
○倉本晶夫・平工清雄(NECプラットフォームズ)・竹村 崇・宮本勝男(NEC) |
B-1-45 |
バイコニカルアンテナにコーナリフレクタを組み合わせた広帯域高RCSアンテナ
○松林一也・髙熊 亨・平野 誠(防衛装備庁) |
近年,通信容量を確保するためにMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)技術が広く用いられている.特に、偏波MIMOアンテナは多くの携帯電話に実装されており、偏波MIMO技術は携帯電話基地局にも利用されている.本稿では広帯域でコンパクトな偏波MIMOアンテナに着目する.Haloアンテナに無給電素子を4個装荷し,内部に広帯域スリーブアンテナを挿入することにより比帯域幅が10 %以上の広帯域な直交偏波無指向性アンテナを検討したので報告する.
近年種々のアンテナについてメッシュ化の検討がされている.本報告ではメッシュ構造テーパスロットアンテナについてシミュレーションを行い,その特性について検討した.
超広帯域(Ultra-wideband: UWB)システムは,非常に広い周波数帯域を用いて通信を行うことで,近距離における高速な無線通信システムとして広く検討されている.米国連邦通信委員会(FCC)は,2002年に超広帯域無線システムの使用周波数として,3.1GHz~10.6GHzを認可しており,この周波数帯域を満たす広帯域な特性を有するアンテナの設計が求められている.本稿では,著者らが以前に提案した電磁結合とショートスタブ構造を備えた平面型UWBモノポールアンテナを試作し,実測した結果について報告する.
円偏波で広帯域な衛星通信等に用いるアンテナとして,スパイラルアンテナが有力である.スパイラルアンテナの適用には,単一指向性のアンテナとする必要があり,広帯域でブロ-ドな指向性が維持されることが望ましい.また,高感度のアンテナとするために,導体で構成されるキャビティ内に電波吸収体を配置せず,軸比及びインピ-ダンス特性を広帯域で良好に保つ必要がある.今回,低姿勢の薄型円筒状キャビティを用いることで,良好な結果を得たので報告する.
船舶の安全航行のため,多くの通信用アンテナやレーダリフレクタが設置されている.通信用アンテナ及びレーダリフレクタは見通しを確保するために高く設置することが求められるが、船舶工学的には可能な限りこれら高所位置の艤装品を減らすことが必要である.本稿では,通信用アンテナを高RCS 化することで,レーダリフレクタとしての機能を通信用アンテナに持たせることを検討する.具体的には,トランケットバイコニカルアンテナに広い角度範囲で高いRCS 値となる3 面コーナリフレクタを組み込むことで無指向性の放射パターンを有する広帯域の高RCS アンテナについて検討したので報告する.
休 憩(14:30 再開) 座長 佐藤 浩(パナソニック)
B-1-46 |
斜め45°偏波を放射する導波管狭壁面上の平面アレーアンテナの定在波励振アレー設計に関する一検討
○佐藤拓馬・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-47 |
ストリップ線路給電スロット結合パッチアンテナの低軸比化の検討
◎宇野 孝・中本成洋・横江隆文・高橋 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-48 |
クランク状のスリットを設けた広帯域パッチアンテナの解析
○丸山貴史・後藤 準・宇田川重雄(三菱電機) |
B-1-49 |
Lプローブ給電2周波共用一層構造広帯域多リング形マイクロストリップアンテナに関する一検討
◎高橋昌也・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-50 |
Lプローブ給電広帯域リング形マイクロストリップアンテナの高さと比帯域幅の関係に関する一検討
◎川橋温生・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
周長を5波長とするリング形MSAを用いて、管軸に対して斜め45°偏波を放射する方形導波管狭壁面上の4素子定在波励振平面アレーアンテナを設計し、シミュレーションから良好な周波数特性と放射パターンを得られた。
通信用アレーアンテナなどでは,低軸比な円偏波特性が要求される.素子アンテナとして,マイクロストリップ線路で給電されたスロット結合パッチアンテナを用いた場合,アンテナ背面方向の不要放射と軸比が課題となる.そこで,本稿では,ストリップ線路給電スロット結合パッチアンテナの低軸比化を検討する.提案構造では,パッチと結合スロットの形状をそれぞれ,十字状とコの字状とする.これにより,スロットの干渉がなくアンテナを整合設計でき,低軸比特性が得られることを解析より示す.
パッチアンテナの広帯域化の方法として、二重パッチアンテナ、E形状を用いる構成等が知られている。前者は基板の層数が増える、後者はパッチの幅が広く、アレー化時の素子間隔に制約が生じるといった懸念がある。著者らはこれまでにパッチにクランク状のスリットを設けたアンテナを提案し、通常のパッチアンテナとほぼ同じ外形を維持して広帯域化できることを示した。本稿では電磁界解析により提案アンテナの動作を考察する。
2つの周波数帯域で約10%の比帯域幅を示すLプローブ給電2周波共用一層構造広帯域MR-MSAを設計した。
リング形素子、Lプローブ、地導体の間を空気層とするLプローブ給電リング形MSAのアンテナ高さと比帯域幅の関係についてシミュレーションにより検討した。アンテナ全体の高さを低くするほど狭帯域特性を示し、利得の最大値は増加することが確認された。
休 憩(16:00 再開) 座長 野口啓介(金沢工大)
[English Session 1 : Antennas]
B-1-51 |
Experimental Study of Single-Feed Dual-Beam Switchable Microstrip Array Antenna Using Planar Magic-Ts
○Maodudul Hasan・Eisuke Nishiyama・Ichihiko Toyoda(Saga Univ.) |
B-1-52 |
Design of Reconfigurable Circularly-Polarized Microstrip Array Antenna Employing Short-Ended Microstrip-Line Perturbations and Planar Magic-Ts
○△Wai Htun Htet・Eisuke Nishiyama・Ichihiko Toyoda(Saga Univ.) |
B-1-53 |
High Gain Omnidirectional Base Station Antenna for Sub-6 Band
◎Junyi Xu・Sirao Wu・Qiang Chen(Tohoku Univ.) |
B-1-54 |
Omnidirectional Property Enhancement of Circularly Polarized Collinear Antenna Array
◎SIRAO WU・JUNYI XU・QIANG CHEN(Tohoku Univ.) |
In this study, a single-feed dual-beam switchable microstrip
array antenna is experimentally studied. It consists of four linearly polarized antenna elements and two magic-Ts. The magic-T consists of a microstrip line T-junction
and slot-to-microstrip line T-branch. It has two input ports using a
microstrip line and slot line. A PIN-diode-loaded
single-pole double-throw (SPDT) switch is used to select either
one of the input ports. Based on the input ports, the proposed antenna can switch its radiation pattern.
This paper presents an array configuration of reconfigurable circularly-polarized microstrip antenna employing short-ended microstrip-line perturbations and planar Magic-Ts. It consists of two feed networks and four radiating elements. Each radiating patch has diode-integrated short-ended microstrip lines for the reconfigurable circular polarization (CP) using the bias voltages. The feed networks for the RF signal and the switching signal are properly designed to function together using Magic-Ts. Therefore, this structure can offer the design flexibility without the additional feed circuits. The CP reconfigurable property can be enabled by concurrently applying the RF signal and the switching signal to the respective feed networks.
Base station antennas for Sub-6 communication systems require omnidirectional and highly directional radiation patterns. In this paper, a high gain vertical polarized omnidirectional base station antenna for Sub-6 band is proposed. The utilized radome enlarges the aperture of the antenna so that the gain also increases. By utilizing several elements in one layer and the medium radome, an omnidirectional radiation pattern is realized with a compact geometry.
Omnidirectional circularly polarized (OCP) antennas take both the advantages of their unique radiation pattern and circular polarization (CP) characteristics. In this paper, we aim at improving the omnidirectional features of the omnidirectional circularly polarized collinear (OCPC) antennas by changing the open-ends of the loops. A ten-stage 4-side arrangement OCPC antenna array is presented as an example. The orientation of the loops are different along the array and roundness of the pattern is improved.
9月7日 9:00〜11:45 Meeting 18 座長 久世竜司(熊本大)
B-1-55 |
メタサーフェス屈折板の回転による電波の進行方向変化
○平松信樹・杉山憲吾・米原正道・吉川博道(京セラ)・中野久松(法政大) |
B-1-56 |
多層構造を用いた両偏波対応可能な透過型メタサーフェス屈折板の検討
○吉川博道・米原正道・平松信樹(京セラ)・中野久松(法政大) |
B-1-57 |
電波を集束可能な透過型メタサーフェスの設計・評価
◎杉山憲吾・米原正道・平松信樹・石川 慧(京セラ)・中野久松(法政大) |
B-1-58 |
透明メタサーフェス屈折板
◎米原正道・平松信樹(京セラ)・中野久松(法政大) |
5Gで用いられるミリ波帯など高い周波数の電波は、障害物により見通しが得られない場所では通信品質を確保できないという課題がある。その課題解決のためメタサーフェス反射板が提案されていたが、我々は柔軟で自由度の高いエリア構築を可能とするため、新たな選択肢としてメタサーフェス屈折板を開発した。本報告ではメタサーフェス反射板とメタサーフェス屈折板の違いとして、入射面に垂直な軸の周りの回転に対する反射/屈折方向のずれ方に着目した。解析と実験により、メタサーフェス屈折板は設置後の回転ずれに対して電力の安定性が高いことがわかった。設置に対するロバスト性が高い一方で、板の回転による方向の調整は限定的である。
ミリ波帯ではマイクロ波帯と比較して電波の直進性が高く、障害物に対して電波の回り込みが少なくなり、その結果、カバレッジホールが発生してしまう。これを解決するために我々は、360°の位相変化を達成可能な素子を提案し,それを用いた透過型メタサーフェス屈折板を報告した。しかしながら、この構造においては、水平または垂直のどちらかの偏波にしか反応しないため、水平偏波対応の屈折板と垂直偏波対応の屈折板を2 枚重ねて両偏波に対応する必要がある。
本報告では、スーパーセルが実現可能な両偏波対応の透過型メタサーフェス屈折板の素子を提案し、それを用いた屈折板を設計する。最後に有機基板による試作結果の報告を行う。
ミリ波帯の電波は直進性が強いため, 障害物により見通しが得られない場所では通信品質を確保できないという課題がある.解決方法として電波の進行方向を任意に制御可能なメタサーフェスの検討が数多く行われてきた. 透過型メタサーフェス屈折板の実現のためには各素子の透過位相を360°制御する必要があり, 我々の研究グループでは簡易な構成で360°の位相変化を達成可能な素子を提案している. この電波の位相を制御する技術を応用することで電波を集束可能な透過型メタサーフェス(以降, 集束板)も設計可能である. 本稿では設計した集束板の特性について報告する.
ミリ波5Gにおける課題として,周波数に起因する直進性の高さによりカバレッジホールが発生しやすいという点がある.これを解決する技術として筆者らはこれまでに透過型メタサーフェス(以降,屈折板)を提案している.この屈折板を構成する各素子はフッ素樹脂系基板とその両面に形成された共振器で構成されており,2つの共振器を適切に結合させることで360°の連続した透過位相の変化を実現している.これにより,透過方向への任意の波面制御を可能としている.屈折板を設置する際には,景観に配慮しなければならない場合もあり,その際には透明であることが求められる.本稿ではこれまでに提案した屈折板の透明化を検討し,その特性について報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 長坂正史(NHK)
B-1-59 |
2周波数偏波共用リフレクトアレーの入射対反射特性
○橋口 弘・道下尚文・森下 久(防衛大)・松野宏己・大戸琢也・中野雅之(KDDI総合研究所) |
B-1-60 |
Measurement of Reflection Coefficient at Surface of Reflectarray
◎YUHAO SHANG・Hiroyasu Sato・Qiang Chen(Tohoku Univ.) |
B-1-61 |
スプリット矩形ループ素子を用いた一層化リフレクトアレーアンテナの放射特性
○髙尾昌誠・牧野 滋・皆森勇甫(金沢工大)・山本伸一・西岡泰弘(三菱電機) |
B-1-62 |
多重折り畳みアレーアンテナのビーム走査特性
◎保坂大貴・高野 忠・三枝健二(日大) |
B-1-63 |
広帯域アンテナの開発
○△氏原秀樹(京大) |
第5世代移動通信において,カバレッジホールを解消する手段の一つとしてリフレクトアレーが注目されている.一般にリフレクトアレーは,想定された入射に対して所望の方向に反射するよう設計されているが,そのリフレクトアレーに想定外の入射があった場合の報告例は少ない.本研究では,リフレクトアレーに想定以外の方向及び周波数で入射があった場合,どのようなRCS特性となるかを調査した.
In order to evaluate the reflection coefficient at the surface of a reflectarray (RA), the far field measurement has been used which required a large-size measurement system. In this report, a near field measurement is presented to evaluate the complex reflection coefficient distributions by measuring standing wave.
偏波によってビーム方向を変化させるリフレクトアレーアンテナが提案されている.以前の報告では,各偏波について360°の反射位相領域をカバーし,独立した位相制御が可能である素子形状としてスプリット矩形ループ素子[1]を提案した.本研究では,この素子形状を用いて設計したリフレクトアレーの放射特性について報告する.
多重折り畳みアレーアンテナは, 段差を残したまま展開を行うアンテナである. そのため, 簡単な構造で大きいアンテナも小さく格納でき, 二次元の展開も容易である. これまでにも小型衛星用の多重折り畳みアレーアンテナの放射特性や素子配列についての検討が行われている. 本論文では, ビーム走査を行った際の放射特性についての検討する.
大気中の水蒸気を精密に測定するために水蒸気から雲中の水、酸素のスペクトラムを1つの受信系で測定できる16-64GHzの広帯域アンテナを開発した。これはNICT鹿島34mアンテナなど大型カセグレンアンテナの広帯域化に用いた広帯域フィードを基にしたものである。この帯域を全てカバーできる冷却低雑音アンプの市販品がないため、異なる帯域の2つの低雑音アンプを使っている。このためのクワッドリッジ導波管によるOMTも開発した。
本研究の性能測定には京都大学生存圏研究所METLABを利用し、16-64GHzの広帯域のアンテナ開発には科研費(21H03828)および (科研費21H04524)のサポートを受けている。
9月7日 13:00〜17:00 Meeting 18 座長 大島一郎(電気興業)
B-1-64 |
オクターブバンド自己補対アンテナに広帯域で整合する同軸切りかけ構造を同軸給電線路に用いた解析と実験の比較
◎正能健一・常光康弘(拓殖大)・平野圭一・野田一房(雄島試作研究所) |
B-1-65 |
60GHz帯偏波切り替えパッチアンテナの45°偏波時の放射パターン評価
◎石森 晃・葉 文穎・本良瑞樹・末松憲治(東北大) |
B-1-66 |
150GHz帯チャネルサウンダ用中空導波管スロットアレーアンテナの給電部設計
◎山口莉香子・広川二郎・戸村 崇(東工大)・猪又 稔・山田 渉(NTT) |
B-1-67 |
300GHz帯8ビーム切り替え誘電体レンズアンテナの試作特性
◎杉本義喜・杉山拓矢・成田貴則・Bakar Rohani・榊原久二男・菊間信良(名工大) |
B-1-68 |
コセカント 2 乗指向性反射鏡アンテナを用いた300 GHz 帯垂直面内エリア設計に関する基礎検討
◎保前俊稀・豊見本和馬・山口 良・矢吹 歩・宮下真行(ソフトバンク) |
食品製造ラインやプレス加工現場では、微小な異物の混入を検知する必要がある。高い分解能が必要とされる。周波数の変化によらず一定のインピーダンスを維持可能な自己補対アンテナがある。この放射アンテナ素子のインピーダンスは約189Ωで一定となる。その特徴を活かして広い帯域を用いたFMCWレーダーを実現することで高い分解能を得たい。同様に一定のインピーダンスを持つ給電構造として同軸ケーブルがある。同軸ケーブルの特性インピーダンスは50Ωであるため、自己補対アンテナ(約189Ω)と整合可能な仕組みが必要となる。本研究グループでは、同軸切りかけ構造を用いることで広帯域に整合がとれることを解析により示している。
本報告では、実験を行い広帯域において-10dB以下の反射特性を維持し正面方向に一定の利得(3dBi±2dB)を維持できたことを計算値と測定値の比較により明らかにする。
60 GHz帯で単素子パッチアンテナを試作し,アンテナ基板の側方につけた給電用同軸コネクタの放射パターンへの影響を報告してきた.本稿ではこのパッチアンテナを2点給電として,偏波をV/H/±45°の4種に切り替え可能なアンテナとし,その+45°偏波時の放射パターンを測定した.結果としてE面を用いることで±30°で5.4 dBi以上,±45°で5.2 dBi以上のアンテナ利得が得られた.
150GHz帯チャネルサウンダ用中空導波管スロットアレーアンテナの給電部を設計した.150GHz帯と周波数が高いため,空間伝送損失が大きくなりアンテナの所望利得が大きくなる.高効率特性を実現するため伝送損失が小さい中空導波管構造を用いる.設計周波数は158GHz,所望帯域は155~161GHzである.方形導波管,給電開口はWR6.5(断面1.65mm×0.82 mm)とし,ラジアル線路の高さは1.65mmである.方形導波管の壁厚は0.10mmとしている.所望帯域内で給電部の反射は現時点で-9.6dB以下であり,今後さらに反射を抑圧する必要がある.
本報告では,300GHz帯で,±30°の範囲を8マルチビーム切り替えする誘電体レンズアンテナを設計,試作し,その特性を評価した結果を示す.
300 GHz 帯は Loss 環境での利用が予想される.そのような環境では基地局アンテナの垂直面内指向性をコセカント 2 乗に設定し,基地と移動局の距離にかかわらず受信電力が一定となるエリアの構築が理想とされる.そこで,本発表ではコセカント 2 乗指向性反射鏡アンテナの試作とその距離特性の測定を行い,本アンテナが 300GHz 帯のエリア設計に寄与できるかを検討する.
休 憩(14:30 再開) 座長 橋本 紘(東芝)
B-1-69 |
スロットペアの動作切換により素子信号の符号分割多重化を行う導波管スロットアレーアンテナの実験検討
○中本成洋・紀平一成・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-70 |
非共振クロススロットペアを放射部終端整合スロットとして用いた同心円アレーラジアルラインスロットアンテナの解析と実験
◎高田祐輝・常光康弘(拓殖大) |
B-1-71 |
コルゲーション付平行平板導波路上円偏波スロットペアの設計
○友利優希・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-72 |
部分並列給電平行平板スロットアレーアンテナの放射素子設計
◎原 慶城・広川二郎・戸村 崇(東工大) |
B-1-73 |
誘電体板ハード壁導波管によるアレーアンテナ素子単体評価法の一検討
○栁 虎乃介・戸村 崇(東工大) |
フルDBF(Digital Beam Forming)アンテナの低コスト化技術として,各素子アンテナ信号に直交符号を乗算・合成し,信号処理でこれらを分離することでA/D 変換器数を削減する方法が提案されているが,各素子アンテナ系統に増幅器が必要となる.筆者らはこれまで,増幅器数を削減する方法として,複数のスロットペアを配列した導波管スロットアレーの各スロットペアの動作を直交符号に従うようにPINダイオードにより切り換えることで,受信信号を符号分割多重化し,信号処理で各素子アンテナ信号に分離するDBFアンテナを提案している.本稿では,提案アンテナの試作品を用いた実験結果について示す.
RLSA (Radial Line Slot Antenna) は平面薄型アンテナで円偏波向けに使われている。ラジアルラインへの給電は非共振クロススロットにより行う。スロット長を共振長から励振位相差90°つける事で回転モードを励振する。
給電部だけでなく、放射スロットアレー終端部に非共振クロススロットペアを用いることで原理的に最少構成のRLSAが提案され、解析も示された。更に内周にTの字型スロットを配列して任意の利得を実現できる。
本報告では、実験により理論と解析の結果を裏付けたことを示す。
平行平板スロットアレーアンテナはミリ波帯において,高効率かつ簡単な構造である.平行平板内を伝搬する平面波に対しスロットを傾斜して配置すると横方向へ散乱波が生じ特性が悪化する.本稿では,横方向散乱波を防ぐコルゲーション構造を導入した平行平板導波路上スロットペアを設計する.
完全並列給電導波管2次元2^n×2^nスロットアレーアンテナにおいて並列給電段数nを1段増やすと面積が4倍になり指向性利得を6dB増やせる。しかし給電線路長が長くなり伝送損失が増え、それが6dBを超えると利得が低下する。そこで部分的に直列給電を取り込み、帯域は狭くなるが伝送損失を減らせる可能性がある。本稿では部分並列給電平行平板スロットアレーアンテナの放射素子を設計する。給電スロットは直列給電導波管広壁中央に非傾斜に配置し,1つの壁により磁界を近づけ励振し,もう1つの壁で反射を抑圧する。給電スロットは1/2波長間隔で配列し,隣接素子で壁を逆の狭壁から伸ばして同相で励振する。
本研究の目的はアレーアンテナ素子単体の性能測定評価精度の向上である.素子間相互結合を含む周期境界条件と同様な電磁界分布の実現を目指し,アンテナ外部空間に誘電体板ハード壁導波管を配置する構造を設計した.
休 憩(16:00 再開) 座長 西山英輔(佐賀大)
[English Session 2 : Antennas]
B-1-74 |
Design of a Hollow-waveguide Two-plane Coupler with Unequal Division Ratio along with Horizontal and Vertical Directions
○Qi Li・Jiro Hirokawa・Takashi Tomura(Tokyo Tech) |
B-1-75 |
Design of a 1D radiating subarray in a dual-polarized parallel plate slot array antenna with centered longitudinal feeding slots
○Huanqian Xiong・Jiro Hirokawa・Takashi Tomura(Tokyo Tech) |
B-1-76 |
Comparative Evaluation of Different Assignments for 1-D Parallel Switching Matrices with Four Beams
○Shengjia Wu・Jiro Hirokawa・Takashi Tomura(Tokyo Tech)・Nelson J. G. Fonseca(European Space Agency) |
B-1-77 |
Design of a Gap Waveguide with Interlaced Pins for Higher-Frequency Fabrication
○Yaxiang WU・Jiro Hirokawa・Takashi Tomura(Tokyo Tech) |
In 2016, Kim et al. firstly proposed a hollow-waveguide two-plane coupler, owning a bright advantage over a conventional one-plane structure in shorter physical length. However, when it comes to actual application in more diversified matrices, a two-plane coupler equivalent to the concatenation of an H-plane coupler with an E-plane coupler having a different division ratio is more in demand . This manuscript introduces a newly proposed two-plane hollow waveguide coupler with an unequal division ratio of 1:√2 and 1:1 along with the horizontal and vertical directions, respectively.
This paper presents the design of the 1D radiating subarray of slot pairs with no offset in a dual-polarized parallel plate array antenna. The design of the feeding part will be presented at the conference.
General configurations of planar switching matrices with an arbitrary number of beams using one-plane couplers have been proposed. For an even number of beams, a special configuration, where two Nolen matrices are fed in parallel through crossovers, was found to be more compact than standard 1-D matrices. This special configuration reduces to a Butler matrix layout in the particular case with four beams, although phase shifters may differ. This manuscript discusses the performance of different phase difference assignments for this special configuration.
This manuscript has investigated a groove gap waveguide with interlaced pins extending from both top and bottom plates. It is advantageous to reduce fabrication difficulty by adopting a groove gap waveguide with interlaced pins. The proposed unit cell with interlaced pins has practically the same bandgap as the reference unit cell that is commonly used, with a bandwidth of 54 GHz spanning 41 GHz to 95 GHz. The isolation for two parallel H-plane groove gap waveguides with the proposed unit cell is better than 18 dB throughout the whole V-band.
9月9日 9:00〜11:45 Meeting 18 座長 中西孝行(三菱電機)
B-1-78 |
移動通信用 8 波マルチバンド直交偏波 MIMO アンテナの試作
○中野雅之(KDDI総合研究所) |
B-1-79 |
2アンテナの簡易な減結合回路に関する基礎検討
○佐野 誠・橋本 紘(東芝) |
B-1-80 |
誘電体基板とEBG素子により構成されるギャップ導波路の伝送損失に関する基礎検討
◎梶江俊樹・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-81 |
ADAS開発に向けたミリ波レーダー解析ソリューション
○染谷哲勇・川端茉莉(アンシス・ジャパン) |
屋内基地局や車載を想定した、第 5 世代移動通信システムま
での 800MHz~4.2GHz に対応した移動通信用マルチバンド直交
偏波 MIMO アンテナについて試作した。本稿では、移動通信用
マルチバンド直交偏波 MIMO アンテナについて、あらたに 700MHz
帯の 2 ブランチ MIMO、2.6GHz 帯の 4 ブランチ MIMO に拡張したア
ンテナ構造を試作したので報告する。
互いに近接した2アンテナの前段に3個の集中定数素子で構成した減結合回路を接続することで相互結合を低減できる.本稿では,2個の集中定数素子のみで構成したより簡易な減結合回路でも相互結合を低減できることを示す.
上部導体板と下部の誘電体基板により構成されるギャップ導波路の伝送損失についてシミュレーションにより検討を加え、各種寸法を適切に設定することで、1 dB/m以下の伝送損失となることが確認された。
本稿では、電磁界解析を利用したアンテナ単体モデルでの解析、実際にアンテナを車体に設置した際のレドームやバンパーなどのアンテナ周辺環境の影響を考慮したモデルでの解析、それらの影響をすべて考慮した状態での、実際のミリ波レーダーとしての性能を検証するための、実走行時のレンジドップラー解析について紹介する。また、より複雑なシナリオでの仮想空間走行解析についての紹介を行う。
休 憩(10:30 再開) 座長 羽賀 望(群馬大)
B-1-82 |
インピーダンス装荷と中継コイル挿入による磁界結合WPT効率改善に対する実験的検討
◎鎌田緋莉・柴田紘希・島田昂幸・丸山珠美・中津川征士(函館高専) |
B-1-83 |
大規模高密度DCレクテナアレーの無給電素子低姿勢化のための誘電体挿入に関する検討
◎△吉地琢真・西山英輔・豊田一彦(佐賀大) |
B-1-84 |
金属板上FDAによる高インピーダンスアンテナ
◎山城興輝・高島宣希・野口啓介(金沢工大) |
B-1-85 |
半球殻構造型防災用ヘルメットアンテナの帯域特性
◎甲斐太陽・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-86 |
高い水平方向利得を有する低姿勢の短絡導体付きスロットアンテナの検討
○秋元晋平・山浦真悟・西本研悟・稲沢良夫(三菱電機) |
磁界結合ワイヤレス電力伝送において,送信コイルと受信コイルの間への無給電コイルの挿入,およびインダクタンスの装荷によるワイヤレス電力伝送効率向上効果について,試作と,ネットワークアナライザを用いた測定による検討を行った.その結果,設計周波数である2MHzにおいて,インダクタンス装荷のみ,中継コイル挿入のみの場合は,効率の向上は数%とわずかであるのに対して,中継コイルを挿入し,3つのコイル全てにインダクタンスを装荷した場合は,ワイヤレス電力伝送効率が8%から44%まで向上することを明らかにした.また,測定結果と,解析結果を比較し,効率,最大効率とも,周波数に対する変化が良く似ていることを明らかにした.
我々は,DCレクテナアレーの性能向上のために,高密度アレーアンテナに装荷する無給電素子の配置法について検討した.本稿では,無給電素子を装荷した高密度アレーアンテナに誘電体を挿入し,アンテナを低姿勢化する方法を検討した.シミュレーションにより,開口比 を維持したまま,高さを従来最も開口比の高かった0.4よりも0.15程度低くできることを確認した.
ワイヤレス電力伝送(WPT)技術は,IoT デバイス,ウェアラブル機器,無人航空機など,多くのワイヤレスシステムに向けて開発されている.WPTでは整流効率の向上が大きな課題となっており,アンテナと整流器の効果的な統合が求められている.筆者らはミリ波帯で高効率な整流器を実現するために,高インピーダンスアンテナについて研究してきた.ここでは,高インピーダンスの金属板上折り返しダイポールアンテナ(FDA)について報告する.
ウェアラブルアンテナの一つとしてヘルメットアンテナが様々な目的で検討されている.防災用のヘルメットアンテナとして,先行研究では,低姿勢かつ水平面内垂直偏波・無指向性の放射パターンを有する容量装荷モノポールアンテナを用いたものを提案している.これは, VHF帯で仕様可能でアンテナが突起物とならない構造となっているが,VSWR ≤ 3となる比帯域幅が1.82 %となる狭帯域となっている.本稿では,防災用ヘルメットアンテナの広帯域化について検討する.
海洋レーダでは,一般的にHF帯などの低周波帯を利用するため,アンテナ素子が大型となる.そのため,景観への影響を最小限に抑え,かつ耐風性を満足するためには,利得を落とさずにアンテナを低姿勢化する必要がある.電流が放射に寄与するダイポールアンテナ等を低姿勢化する方法として折り曲げることが考えられるが,地板の影響により利得低下が懸念される.一方で,地板の影響を受けにくい磁流が放射に寄与するスロットアンテナを用いることで,アンテナ素子の低姿勢化が可能になると考えられる.本発表では,スロットアンテナを用いた場合の水平方向への高利得化が可能な構成を提案し,計算による検証を行う.
9月9日 13:00〜15:45 Meeting 18 座長 山口 良(ソフトバンク)
[English Session 3 : Antenna Systems and Propagation]
B-1-87 |
Study on Propagation Prediction in Non-Planar Serration Object at Millimeter-Wave Band Utilizing Physical Optics
◎Ek-amorn Shinwasusin・Nopphon Keerativoranan(Tokyo Tech)・Panawit Hanpinitsak(Khon Kaen Univ.)・Du Xin・Jun-ichi Takada(Tokyo Tech) |
B-1-88 |
Large Scale Channel Parameters Prediction Model using VGG16 based Transfer Learning
◎Zhiqiang Li・Minseok Kim(Niigata Univ.) |
B-1-89 |
Design of Passive Reflectors for Illumination of Shadowed Regions in 28 GHz
○△Yuxuan Zhang・Nopphon Keerativoranan・Xin Du・Jun-ichi Takada(Tokyo Tech) |
B-1-90 |
Experimental Evaluation of Human-Body Localization Using Bidirectional SIMO Channel
◎Abudusaimi Abuduaini・Naoki Honma・Kentaro Murata(Iwate Univ.)・Nobuyuki Shiraki・Takeshi Nakayama・Shoichi Iizuka(Panasonic) |
B-1-91 |
Experimental Evaluation of Correlation Coefficient Calculation of Lossy MIMO Antenna Using Conductor Cavity Using Extended Wheeler Cap Technique
○Tandra Pal・Naoki Honma・Kentaro Murata(Iwate Univ.) |
Since the geometrical optics assumption has accuracy issue, especially at mmWave band where the wavelength is small relative to the size of the scatterer. Therefore, there is room to improve Ray tracing at mmWave for the structures with a finite surface (e.g., the non-planar surface). Physical optics (PO) simulation calculates a scattered field on the illuminated surface of the object by using electromagnetic wave. The mechanism of the propagation can be observed by PO simulation. In this work, propagation prediction on the non-planar surface (serration) will be investigated utilizing PO simulation.
With the development of wireless communication systems including 5G, various services such as autonomous driving and drone can be realized. As well known, an accurate channel model is essential to develop and evaluate such systems. However, conventional channel models are difficult to capture site-specific channel properties which differs from various environment conditions. Recently, machine learning based channel modeling is attracting large attention as a promising solution. In this paper, machine learning based method is proposed to predict large scale channel parameters (LSCPs) in outdoor urban cellular environment using the extracted map data features by pre-trained VGG16 model.
One technical challenge in mm-wave frequency band is the shadowing effect. Passive reflectors can deal with this issue without energy supply. There is paper investigates that with some repeated small triangular structures on flat reflectors, the coverage of it can be improved. However, there is few research on how shape influences the coverage of passive reflectors. This paper used physical optics (PO) to investigate the coverage area of different passive reflectors.
This paper investigates the experimental performance of human-body localization using such a bidirectional SIMO radar. A single target was estimated in an indoor multipath-rich environment. The measurement results indicated that the 50-percentile of distance error was decreased from 2.50 m to 0.20 m. The experiment confirmed that our proposed method can successfully localize the target position even when two stations have various frequency offsets.
In this paper, we experimentally evaluated the accuracy of the previously proposed method using a lossy monopole array and a cavity to verify its feasibility. Though the accuracy is degraded out of the resonant frequency, this experimental result verified that the proposed method computes the correlation coefficient accurately at the center frequency.
休 憩(14:30 再開) 座長 山田寛喜(新潟大)
[シニア・若手セッション]
B-1-92 |
高基地局環境における見通し・見通し外境界のクラッター損失特性
○佐藤彰弘・田中翔馬・木村 翔・林 合祐・表 英毅(ソフトバンク) |
B-1-93 |
屋内環境における機械学習を適用した伝搬損失推定法
○中西孝行・清水健矢(三菱電機)・人見健三郎(三菱電機エンジニアリング)・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-94 |
Reconfigurable Intelligent Surfaceにおけるチャネル推定および最適負荷制御法
○村田健太郎・佐々木 駿・加藤 匠・本間尚樹(岩手大) |
B-1-95 |
ミリ波レーダを用いた非接触センシングに関するシミュレーション解析手法の検討
◎堀端研志・多田靖弘・吉敷由起子(構造計画研) |
B-1-96 |
集束ビーム給電系を有する反射鏡アンテナの通過位相偏差
○山本伸一・阿戸弘人・関 竜哉・西岡泰弘(三菱電機) |
超広域のカバーエリアや災害に強いネットワークを実現する成層圏プラットフォーム(HAPS : High-Altitude Platform Station)への期待が高まっている[1]。HAPS通信における干渉検討やセル設計を実現するためにクラッター損失推定が必要不可欠である。著者らは移動局高の変化によるクラッター損失特性の測定解析を行っている[2]。本稿では、移動局が遮蔽建物と同等の高さ、更に見通し・見通し外の境界となる状況におけるクラッター損失について着目し、測定と解析を実施した。
近年,IoT(Internet of Things)やローカル5Gが普及しており,ビルや工場,空港など様々な環境で無線導入が始まっている.無線通信の安定性・信頼性向上のためには伝搬特性の把握が重要で,屋内環境では壁や天井,什器など周囲構造物の影響でマルチパス波が発生し,電波伝搬特性がばらつく.そこで適切な電波伝搬モデルにより回線設計する必要があり,著者らはこれまで複数の屋内環境における電波伝搬モデルについて検討した.本稿では屋内環境で機械学習を適用した伝搬損失推定法について報告する.
電波型無線電力伝送では,不感点にある端末への給電効率劣化や,他の通信システムへの電波干渉が課題となっている.これは,一旦空間中に放射された電波を受動的に「観測・校正・制御」することが困難なためである.そこで本稿では,Reconfigurable Intelligent SurfaceにReceived Signal Strengthを測定可能な単一の観測素子を追加しただけの簡易なハード構成でチャネルを推定可能し,適切な電波制御を実現する最適負荷制御方法を提案する.
ミリ波を用いた呼吸や心拍の非接触バイタルセンシングが注目されている.ミリ波を用いる利点としてカメラ画像が不要,肌に装着しなくて良い,服の上からでも観測可能,等が挙げられる.
本稿ではミリ波レーダによる非接触バイタルセンシングにおいて呼吸の様子がシミュレーションで観測可能であるか,検討を行った.具体的には呼吸による微小な変位を与えた簡易人体モデルを作成し,反射波や散乱波の位相変化を計算する手法を検討した.
その結果,PO 法とレイトレース法を組み合わせたシミュレーションを行うことで測定対象の呼吸位相に対する周囲の散乱物の影響が観測可能であることを確認した.
近年、70m級の大型反射鏡アンテナの代替として、32m級の中型の反射鏡アンテナをアレー状にして用いることが検討されている。文献では、受信系の信号処理による位相調整が想定されているが、送信アンテナとして用いる場合には、各反射鏡アンテナの通過位相を既知としておき、補正する必要がある。著者らは、集束ビーム給電系のセンターホールに設置した反射板にて通過位相を測定する方法を提案し、簡易実験にて検証している。本稿では、実際の集束ビームにおいて通過位相を測定したところ、AZ回転に伴い位相が変動する現象が観測されたため、原因を分析し報告する。
B-1. アンテナ・伝播C(アンテナシステム)
9月6日 9:00〜11:45 Meeting 19 座長 塩見英久(阪大)
B-1-97 |
車載用MIMOミリ波レーダの方位角検知に関する実験的検討
○中村俊斗・梶原昭博(北九州市大) |
B-1-98 |
不等間隔アレーとハイブリッド回路によるRSSIのみに基づく無相関波到来方向推定
◎勝又 敬・本間尚樹・村田健太郎(岩手大) |
B-1-99 |
THz帯を活用した仮想化端末におけるビーム追従のための方位予測
○松野宏己・長尾竜也・原田教広・林 高弘(KDDI総合研究所) |
B-1-100 |
複数間引きアレーを用いたFFT-FOCUSSによるマルチパス環境における直接波のDOA推定
○太田和也・菊間信良・榊原久二男・杉本義喜(名工大) |
B-1-101 |
UWB 無線システムにおけるPN 相関法に2D-FOCUSS を用いたマルチパス環境での信号源のTOF・DOA 推定
◎片岡研人(東海理化)・菊間信良(名工大)・大石佳樹・古池竜也・古賀健一(東海理化)・榊原久二男・杉本義喜(名工大) |
近年,自動運転や安全走行支援に向けて車載用レーダの需要が高まっている.特にMIMOミリ波レーダは高い空間分解能から複数人の同時追跡や生体信号検出などが期待されている。本稿では,マルチパス環境下でのMIMOのチャンネル数および様々な到来方向推定方法による高分解能化技術について実験的に比較検討を行った。
不等間隔アレーとハイブリッド回路を組み合わせた,RSSI のみを用いて無相関な複数波の到来方向推定を行う手法を提案する.また,到来方向推定精度を数値解析で評価した結果について報告する.数値解析の結果,提案法は平均二乗誤差平方根の75%値で約1.8°の誤差で無相関波2波の到来方向推定ができることが分かり、提案法の有効性を示した.
Beyond 5Gや6Gで求められる超大容量・超低遅延通信の実現にむけて,ユーザ端末が周辺の無線デバイス(中継デバイス)を仮想的にアンテナとして扱うことで,ユーザ端末の無線性能を向上する構成(仮想化端末)の検討を進めている.仮想化端末では,ユーザ端末と中継デバイス間で発生する大容量通信を収容するために,テラヘルツ帯の利用を想定しており,テラヘルツの狭ビームを相互の移動に追従するためのビーム連携制御が必要となる.著者らはこれまでに,ユーザ端末のビーム方向と,ビーム方向ごとの中継デバイスの受信電力から計算される重み付け平均角度を用いて,少ないビーム掃引数で高精度に方位推定する手法を考案してきた.一方,狭ビームを広い角度範囲に掃引すると,方位推定に時間を要する.そこで,本稿ではビーム追従を実現するための方位予測手法についての基礎評価を行う.
本研究では,マルチパス環境下での等間隔リニアアレーを用いた FFT-FOCUSS による直接波の DOA 推定において,複数の間引きアレーを構成し,その推定結果を統計処理することにより DOA推定性能の更なる改善を試みる.第1波(直接波)と第2波の到来角を変化させ,計算機シミュレーションを行った.アレーは 4素子すべてを用いるもの,第 3 素子を間引いたもの,第 2 素子を間引いたものの 3 種類を利用し,3 つの推定値の中央値を推定値とした.これらの手法を比較したところ,3 アレーの中央値を推定値とする手法では,第 1 波の推定精度が向上することが確認できた.
UWB無線システムにおいてPN相関法は高精度な遅延時間(TOF:Time of Flight)推定法として知られており,アレーアンテナで受信することで到来波の到来方向(DOA:Direction of Arrival)推定を行うことも可能である.しかしながら,マルチパス環境では所望波とマルチパス波の合成によりTOF・DOA推定精度が劣化してしまう課題が存在する.これを解決するために圧縮センシングでマルチパス波を分離して所望波を読み取る手法が検討されており,推定精度の向上が確認されている.本研究では,さらなる推定精度の向上を目的とし,時間領域だけでなく時間・空間領域でマルチパス波を分離することでマルチパス分離性能を向上させた2D-FOCUSSを提案した.シミュレーションで検証した結果,所望波のTOF・DOA共に推定精度が向上することを示した.
休 憩(10:30 再開) 座長 市毛弘一(横浜国大)
B-1-102 |
DOAとTOFに基づくBistatic SIMO Radarによる複数人数測位
◎伊藤友則・本間尚樹・村田健太郎(岩手大)・中山武司・飯塚翔一(パナソニック) |
B-1-103 |
フェージングパターンとPDRを用いた測位法の実験的評価
◎内澤航平・本間尚樹・村田健太郎(岩手大)・三浦 淳・梁川 翼(イーアールアイ) |
B-1-104 |
劣悪な無線通信環境下におけるパッシブ型屋内測位法の性能評価
◎池上十五・金 ミンソク(新潟大) |
B-1-105 |
圧縮センシングを用いた波源推定手法における波源位置の選択に関する検討
◎宝田広夢(新潟大)・松田崇弘(東京都立大)・山田寛喜(新潟大) |
B-1-106 |
Deconvolution ISTAを用いたSARの信号処理的な高分解能化‐位相情報保存の検証
○牛腸正則(NICT) |
本報告では,電波の伝搬距離と到来方向の2次元MUSIC法を用いた複数人数測位法を提案する.以降,推定精度をシミュレーションにより評価した結果について報告する.対象数が2人のときの測距誤差と到来角度誤差は約1.17 m,約12.7°となり,複数人測位が可能であることが分かった.
著者らは,移動通信端末で観測したRSSI (Received Signal Strength Indicator) と加速度センサ等のセンサ情報によるPDRを用い,人工的に生成したフェージングパターンと比較することで測位する手法を検討してきた.しかし,この検討ではシミュレーションによる検討にとどまり,実験による有効性は明らかにされていない.本報告では,提案手法について実験的評価を行い,測位精度の検討を行った結果について述べる.実験結果より,全経路における平均測位誤差は1.9 mとなり,1局の受信機での測位が可能であり,実験における提案法による有効性を明らかにした.
利用者がデバイスを携帯することなく,建物内の人の居場所を同定するデバイスフリー測位法として,電波トモグラフィ―イメージング(RTI)法がある.
これは,測位対象エリアに構築された複数のセンサネットワークのリンクを,人体が遮蔽した際に生ずる受信電力(RSS)変化を利用して対象エリアにおける人の位置を画像化する.
先行研究においては,時空間分解能の高いミリ波を用いることでより高精度な測位を可能とする多重波トモグラフィーイメージング(多重波RTI)法を開発した.
本研究では,被災現場や分厚いコンクリートで閉じ込められた原子力発電所などの劣悪な無線環境下での応用を想定した多重波RTI 法の精度評価を行った.
無人飛行機を用いて既存の無線通信システムから送出される信号波源の位置を推定する手法が検討されている.本手法では,複数の受信地点で圧縮センシングにより推定された直接波の到来方向を組みあわせて波源の位置が推定される.これまで,各受信地点では直接波の到来方向のみが得られる理想的な環境を想定してきたが,実際には複数の到来方向が観測されることがあり,その場合には複数の波源の候補位置が得られることになる.そこで本検討では,複数の候補の中から有力な波源位置を選択する方法について検討を行う.
これまでに我々はスパース再構成によるSAR(Synthetic Aperture Radar) の高分解能化検討を行ってきた.提案手法はSAR のL1 データを点拡がり関数を用いてスパース再構成することで分解能を向上させる.すなわちL1データをよりシャープな点拡がり関数のL1 データに変換するものである.本発表ではスパース再構成適用前後でSAR のL1 データ的性質,特に複素数的な位相情報が保存されていることを報告する.
9月6日 13:00〜15:30 Meeting 19 座長 松野宏己(KDDI総合研究所)
B-1-107 |
Reconfigurable Intelligent Surfaceにおける単一観測素子を用いたチャネル推定法
◎加藤 匠・佐々木 駿・村田健太郎・本間尚樹(岩手大) |
B-1-108 |
Reconfigurable Intelligent Surfaceにおける圧縮センシングを用いた負荷変調チャネル推定法の高速・高精度化に関する研究
◎佐々木 駿・加藤 匠・村田健太郎・本間尚樹(岩手大) |
B-1-109 |
IRSの反射パターンのビーム幅と受信電力に関する一検討
○原田教広・松野宏己・大戸琢也(KDDI総合研究所) |
B-1-110 |
多様なシナリオでの検証のための無線空間再現技術の検討
○村上友規・谷口諒太郎・小川智明・鷹取泰司(NTT) |
B-1-111 |
移動通信三次元空間セル構成における上空セルのKファクタの推定方法
○藤井輝也(東工大) |
従来法ではRISの面上にRSSを測定可能な少数の観測素子を設けることで,これに隣接する受動素子のチャネルを推定可能とする手法を提案している.被チャネル推定素子の負荷切替時に,隣接する観測素子との相互結合を介し,RSSが変化することを利用したものである.故に本手法を大規模RISに適用する場合,面上に多数観測素子を要するためハードウェア規模が増大する.また観測素子と全被推定素子との相互結合を事前測定する必要がある.そこで本報告では,RISのハードウェア構成を変えずに単一観測素子のみを追加するだけで,相互結合の遠隔測定・校正とチャネル推定を可能とする手法を提案し,実験により提案法の有効性を示した.
著者らはRISにRSSを測定可能な単一の観測素子のみを追加した簡易なハードウェア構成により,送信局-RIS全素子間のチャネルを推定可能とする負荷変調チャネル推定法を提案している.本手法は,RIS各素子の負荷制御時に素子間相互結合を介し観測素子におけるRSSが変動する現象を利用しチャネル推定を行う.しかし,素子毎に個別にチャネルを推定する必要があり,大規模RISに適用した場合,チャネル推定にかかるオーバーヘッドの増加は避けられない.
そこで本稿では,従来の負荷変調チャネル推定法とCSを組み合わせることで,高速にRISのチャネルを推定可能とする手法について提案する.更にCSにおける(i)PBFに基づく角度ビンの限定化と(ii)既チャネル推定素子配列の最適化によるチャネル推定精度の向上効果について報告する.
第5世代移動通信システム(5G)では,28GHz帯などの広帯域を確保可能なミリ波帯の利用が開始された.今後も通信容量の増加が期待され,高い周波数帯の利用がますます活発になることが想定される.高周波帯は,直進性が高くなるため,不感地が発生しやすい問題がある.この対策して,電波の反射を制御できるIRS(Intelligent Reflecting Surface)が近年注目されており,不感地のサイズに合わせた反射波の広ビーム化の検討も行われている.このような従来研究では, 主に遠方界のビーム幅について検討されてきた. 一方でIRSは高周波帯で利用されるため,近傍界での活用が想定される.そこで本稿では, IRSを広ビーム化した際の近傍界の基礎データとして,物理光学近似を用いたエリア電力計算を行った.
スマートフォンに加えて,IoT デバイスなどの多様な無線通信デバイスの普及が急速に進んでいるとともに,利用環境もこれまで以上に多様化している[1].このような多様なシナリオにおいて安定した無線通信サービスを提供するために,利用シナリオに応じた無線通信システムの検証が実施されている.しかしながら,利用シナリオの多様化は,検証に関わる時間やコストの大幅な増加を引き起こす.本稿では,既存の検証手法のOTA (Over The Air) 試験を拡張した無線空間再現技術を提案するとともに,基礎評価結果から本技術の実現性を明らかにする.
携帯通信網を利用したドローンの飛行制御や撮影した映像データの転送が期待されている。筆者らは5Gのビームフォーミング技術を活用して、各基地局で地上セルと上空セルが同一周波数を共用する“三次元空間セル構成”を提案している。上空を飛行するドローンは見通しとなることからその伝搬変動は仲上-Rice変動となり、その特徴であるKファクタのモデル化が必要となる。
本稿では上空における仲上-Rice変動のKファクタを効率的な推定方法を提案する。
休 憩(14:30 再開) 座長 吉敷由起子(構造計画研)
B-1-112 |
電波到来角度を考慮した三次元空間仲上-ライス変動の相関係数の近似解析
◎津濱ひかり・藤井輝也(東工大) |
B-1-113 |
高高度プラットフォーム(HAPS)による5G網と連携した38GHz帯の無線通信システム開発 -地上局におけるレンズアンテナ向けアレー給電の検討(その2)-
大内幹博・○木村知弘・外山隆行(パナソニック ホールディングス)・辻 宏之・三浦 龍(NICT) |
B-1-114 |
電波強度情報とハイブリッド回路を用いたデバイスフリー侵入者測位法
◎渡邉静磨・本間尚樹・村田健太郎・内澤航平(岩手大) |
B-1-115 |
CNNによるアレーアンテナ励振誤差推定の検討
○紀平一成・高橋 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
携帯通信網を利用したドローンの飛行制御や撮影した映像データの転送が期待されている。筆者らは5Gのビームフォーミング技術を活用して, 各基地局で地上セルと上空セルが同一周波数を共用する“三次元空間セル構成”を提案している[1]。受信変動特性を評価する場合には, 受信振幅(複素振幅)の自己相関が重要となるが, 上空を飛行するドローンの自己相関の解析は複雑であり, 簡易な解析解が求められていた。本稿では三次元空間仲上-ライス変動の自己相関係数の近似式を提案する。
筆者らは38GHz帯を用いたHAPS (High-Altitude Platform Station) バックホールシステムでのアレー給電と誘電体レンズを組み合わせた地上局アンテナシステムにおいて,アレー給電での波面整形により、開口効率向上とレンズ外への不要輻射抑圧を可能とし,更にレンズの焦点距離短縮化を通じて小型アレー給電部でもビーム制御の広範囲化を可能とすることを示した.本稿では,アレー給電における一部の素子への電力集中回避方法について述べる.
本報告では,電波強度情報とハイブリッド回路を用いた侵入者測位法を提案する.提案法についてRay-trace 法を用いた数値解析により,提案法の測位精度評価を行う.本研究では, 2 素子アレーアンテナに180 度ハイブリッド回路を組み合わせた受信局を複数用い,観測されたRSSIを利用し侵入者の測位を行った.数値解析より,提案法の測位誤差75 %値は,精度が0.47 m 改善することが明らかになった.
放射振幅パターンから位相情報を推定する方法はPhase retrievalと呼ばれて様々な分野で検討されており,近年は学習データからニューラルネットワークを構築し,励振係数などを推定する手法が報告されている.本報告では励振誤差を含むアレーアンテナ遠方界振幅パターンから各素子の励振振幅位相値を推定する逆問題にCNN(Convolutional Neural Network)を適用する手法を提案する.
9月7日 10:30〜11:30 Meeting 19 座長 中本成洋(三菱電機)
B-1-116 |
スペクトル拡散符号を用いた送信ディジタルビームフォーミングアンテナの校正手法
○松木 誠・田中 泰・紀平一成・高橋 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-117 |
円形配列フェーズドアレーアンテナにおける全方位ビーム走査
◎高倉浩亮・本田和博(富山大) |
B-1-118 |
屋内無線電力伝送における二項分布を用いたビーム制御法
◎西村海都・藤元美俊(福井大) |
B-1-119 |
位置拘束付電力最小化に基づく無線電力伝送における壁面材質の影響
◎池田彰宏・藤元美俊(福井大) |
ディジタルビームフォーミング(以下,DBF)アンテナの校正手法としては様々な検討がなされており,校正手法の大分類は他文献にてまとめられている.本報告では,アンテナ内部に設けられた測定系を用いて誤差推定する内部校正方式において,校正信号としてスペクトル拡散符号信号を用いた校正方法について述べる.また、計算機シミュレーション結果により,提案する校正手法の有効性を示す.
本研究室では,高い到来波方向推定精度を有する小形円形配列AOAアンテナを開発している.本論文では,そのAOAアンテナによる全アジマス方向に対するビーム走査性能について検討したので報告する.
無線電力伝送の実現に向け,現在屋内での無線電力伝送実用化に向けた検討が盛んに行われている.屋内での無線電力伝送を行う上で,人体暴露による健康被害は大きな課題である.そのため屋内での無線電力伝送を実現するにあたり,安全のため人体への放射を回避する必要がある.本稿では遠方界ビームフォーミング,近傍界モードベクトル,レトロディレクティブの三種類の指向性制御手法へ,二項アレーを導入した際の人体への放射回避について検討を行った.
屋内環境において無線電力伝送を実現させるため,方向拘束付き電力最小化法(Directionally Constrained Minimization of Power, DCMP)を拡張した位置拘束付電力最小化(Positionally CMP, PCMP)を検討してきた.給電・照射回避対象から放射されるパイロット信号が壁面で反射し,マルチパスを形成しながらアレーアンテナで受信されることにより,高効率給電・照射回避を実現することができた.本報告では,壁面や床等の材質の影響について検討する.
9月7日 13:00〜15:30 Meeting 19 座長 平野拓一(東京都市大)
B-1-120 |
Sパラメータ法による入力インピーダンス測定の実際
○笹森崇行(北海学園大) |
B-1-121 |
複素偏波比を用いた軸比評価における誤差解析に関する数値検討
○内藤 出(新居浜高専) |
B-1-122 |
一面の全球面近傍界振幅を用いた位相回復手法について
◎三井悠輔・新井宏之(横浜国大) |
B-1-123 |
電気光学プローブを用いた円筒走査型300 GHz帯アンテナ近傍界計測の平面走査型との比較
○田中雄介・久武信太郎(岐阜大) |
Sパラメータ法は平衡給電アンテナの入力インピーダンスを測定する方法であり,ベクトルネットワークアナライザ(VNA)の2つの入出力ポートを同時に用いて測定したSパラメータから平衡インピーダンスを計算で求める間接測定法の一種である.Sパラメータ法は,アンテナを測定するケーブルの影響を低減できることからRFID等の小形アンテナの測定や,バランやハイブリッド回路を使用しないことから平衡インピーダンスの広帯域測定に適している.
本報告では,ダイポールアンテナの入力インピーダンスをSパラメータ法によって測定する方法を紹介する.
軸比は,複素偏波比(直交する直線偏波成分の振幅比と位相差)から求めることができる.これまで,複素偏波比の誤差が軸比評価に与える影響を解析的に検討している.本稿では,この結果を用いて,複素偏波比の測定値による軸比評価において,軸比性能を保証するために必要な条件を,数値例を示して論じる.
近年,IOTデバイスの増加に伴いその無線能力を評価するOver the Air (OTA) 試験が注目されている.この試験は通常遠方界で行われるため,大規模な測定装置によるコスト面と走査時間の時間面の問題が生じている.そこで,2つの異なるワイヤーグリッドモデルを用いた近傍界遠方界変換を用いることで一面の全球面近傍界の電界振幅値からアンテナの電流分布を推定し,遠方界指向性を計算することによりOTA試験の小型化と素早い測定を実現する.本稿では,位相の回復手法について説明したのちにシミュレーションによる結果を示す.
本発表では,電気光学(EO)プローブを用いた円筒走査型の近傍界計測技術がTHz波帯のアンテナ特性評価に有用であることを報告する.測定する電界はEOプローブで光領域(1550 nm)にアップコンバートされ,光ファイバで測定系に送られる.測定された円筒近傍界分布から計算されたホーンアンテナの遠方界パターンは,平面近傍界分布から計算された遠方界,ベクトルネットワークアナライザーを用いた直接遠方界測定システムで測定された遠方界と比較した.EOプローブを用いた円筒走査による近傍界計測は,プローブ補正がなくとも直接測定結果と良い一致を示し,高利得アンテナを含む様々なTHz波帯アンテナ計測に適した技術であると考えられる.
休 憩(14:30 再開) 座長 飴谷充隆(産総研)
B-1-124 |
調波平均法を用いたアンテナの非接触PIM測定におけるプローブ結合損失の影響評価
◎肖 琨(横浜国大)・室伏竜之介(職業開発大)・久我宣裕(横浜国大) |
B-1-125 |
6 – 10 GHz におけるダイポールアンテナを利用した純水中近傍界利得および電気定数の推定
◎関屋敬太・石井 望(新潟大)・清水悠斗・長岡智明(NICT) |
B-1-126 |
水槽周囲空気を考慮した大気・海水2層問題の疑似スケール実験系における水槽効果の評価
◎神谷安璃・石井 望(新潟大) |
B-1-127 |
100 MHz大気・海水2層問題に対する疑似スケールモデル実験系における利用可能範囲
◎若林大雅・石井 望(新潟大) |
提案されているアンテナのPIMを近傍電磁界を介して非接触測定する手法はセンシングアンテナと被測定アンテナの間の結合損失を事前に取得する必要がある.
本稿は高強度IM源を用いた結合損失法に対して,結合損失推定を調波平均法を用いてシミュレーションし,その妥当性を評価した.
5G, Beyond 5Gのより高い周波数を利用する情報端末の普及が見込まれている中,電磁波の生体へのばく露量の指針値に対する適合性評価法として, SAR 評価法が存在する.SAR 評価法では,プローブの較正が必要である.本稿では,3G, 4G の周波数で利用されている液剤動作ダイポールアンテナの伝送特性を使用したプローブの較正を 6 GHz 以上の周波数に拡張するための基礎検討を行う. 本稿では,組織等価液剤での検討の前段階として,純水中におけるアンテナ間の伝送特性 S21 の距離特性の実験を行い,その周波数拡張性について検討する.近傍界利得の推定においては,近傍界利得の距離特性が平坦となる距離を十分に確保することが必要であることから,同時に高い精度で液剤の減衰定数と位相定数を推定した.
著者らは,電磁波を使った浅瀬における海中位置推定法を検討している.初期コスト削減のため,この海中位置推定モデルに対する疑似スケールモデルを提案している.疑似スケールモデルで得られた実験結果を海中位置推定法に適用するため,水槽の影響を前もって評価する必要がある.本稿では,大気・海水 2 層問題の疑似スケール実験系における水槽の有無に関して,水槽周囲の空気を考慮した FDTD 法による数値シミュレーションを行い,水槽有りモデルと水槽無しモデルの結果を比較することにより検討を行った.海面の電界分布では,水槽からある程度離れた範囲では水槽の影響が見られないことが確認できた.
浅瀬領域における海中ダイバー位置を電磁波により推定するために,大気・海水2層問題の電磁波の振る舞いについて調べる必要がある.疑似スケールモデルを利用し,10 kHzの大気・海水2層問題実験系を数10 MHzから数 100MHzの周波数に変換し,実験室内で再現できる.本稿では,100 MHzにおける疑似スケールモデル実験系におけるいくつかの受信アンテナ位置での受信電力分布を測定した.その結果をFDTDシミュレーションと比較したところ,受信アンテナから水平距離200 mm 程度までの領域では両者はよく一致することから,海中位置推定には受信アンテナから水平距離200 mm 程度までの領域を利用することが望ましい.
9月9日 9:00〜11:30 Meeting 19 座長 堅岡良知(KDDI総合研究所)
B-1-128 |
パス数に応じたMIMO伝送容量のOTA評価
○本田和博・北村理央(富山大) |
B-1-129 |
多重波実環境におけるMassive MIMO立方体アンテナの評価
○本間尚樹・及川航世・村田健太郎(岩手大)・西森健太郎(新潟大) |
B-1-130 |
直角座標系二次元直交多重伝送におけるサブアレー間隔拡大による伝送容量増大の素子間隔,素子数依存性
◎藤城将志・広川二郎・戸村 崇(東工大) |
B-1-131 |
直接波を2波有する見通し内マルチユーザMIMO通信におけるブロックビームフォーミング法の特性
○大江泰生・菊間信良・榊原久二男・杉本義喜(名工大) |
我々は,パス数に応じたMassive MIMOアンテナのOTA評価方法を提案している.本研究では,フェージングエミュレータを用いて提案手法について実験的検証を実施した結果,評価アンテナに到来するパス数を制御でき,それに応じた伝送容量を測定可能であることが明らかとなったので報告する.
本報告では,Massive MIMO立方体アンテナの性能を多重波実環境において評価した結果について述べる.提案構成は,線形アレーと比べてアンテナ幅を1/16以下に小形化するだけではなく,より高いチャネル容量を実現することを明らかにした.
本稿では,ミリ波帯の直角座標系二次元直交多重(ROM)伝送において,サブアレー間隔拡大による伝送容量増大の素子間隔と素子数依存性について検討した。アンテナ系は,2x2のサブアレーからなる同じアンテナを送受信に用いて構成する。2x2のサブアレーは送受信のそれぞれにおいて直角座標系で2次元直交する極性をもつ4つのモードで独立に重みづけし,サブアレー中の素子はy偏波の微小ダイポールからなる。素子数を16x16に固定し素子間隔を変化させたときの規格化伝送容量について調べた。また, 素子間隔を0.90波長に固定し素子数を12x12から28x28に変化させたときの規格化伝送容量について調べた。
通常、見通し内マルチユーザMIMO通信において、見通し内波(直接波)は1波として解析されることが多い。しかし、本研究では直接波を2波として1波の場合の特性と比較検討した。なお、本研究ではBD法とBMSN法について解析した。結果として、通信平均容量特性において直接波が2波の場合に、1波に比べ改善が見られた。
休 憩(10:30 再開) 座長 内田大輔(東芝)
B-1-132 |
3次のButler matrixを用いたOAM多重伝送の特性評価
◎新井駿斗・加藤 匠・村田健太郎・本間尚樹(岩手大) |
B-1-133 |
全二重無線通信における空間ダイバーシティを用いたミリ波帯でのチャネル容量特性に関する検討
○竹村暢康(日本工大) |
B-1-134 |
改良型CMAアダプティブアレーによるバイタルサイン検出
◎小川悠太・本間尚樹・村田健太郎・岩井守生・小林宏一郎(岩手大) |
B-1-135 |
多チャンネルレーダにおける送受信回り込み成分低減
○井上大輔・中山裕次郎・長田真幸・鍵本太志・大谷栄介(古河電工) |
等間隔円形アレーとButler matrixを用いたOAM多重伝送技術では,原理的に無限の多重化数が実現可能である.一方で,2n次の多重化を実現するシステム構成については体系化されているが,他の任意の次数への拡張について言及している論文は少ない.
例えば,3を基数とする回路の設計が可能となれば,3の倍数次の多重伝送が可能となる.
従来,3次のButler matrixに関する論文が発表されているが,二層構造にする手法や多数ポートのうち不要ポートを終端する手法,複数の回路素子を用いる手法は,回路製作の困難性や回路の専有面積の増大が課題である.
そこで本稿では,単層構造の3次のButler matrixを提案し,提案回路を用いたOAM多重伝送方式の特性評価の結果について報告する.
近年,信号伝送を同一周波数帯域で同時送受信する全二重無線通信システムが検討されている.このシステムは従来のTDD方式と比較して,理論上2倍の通信容量を実現できるという利点がある.同時に送受信するため,基地局へ送信する端末からの信号がダウンリンクする他の端末へ漏れこむ端末間干渉が発生する.本稿では,ミリ波帯において,空間ダイバーシティを用いて携帯端末間の干渉を抑圧した際のチャネル容量特性について検討した結果を述べる.
著者らはレイリー商規範のビームフォーミングによるバイタルサイン検出法を提案している.しかし,安静呼吸時であっても無意識な体動により観測対象の方向や距離が変化するため,心拍成分を継続的に強調するようなウェイトの更新が困難であった.また,体表面変位に起因した円弧状の応答波形を観測できない場合,DCオフセットの除去が困難となり逆正接復調が機能せず,正確に心拍応答を検出できなくなる.本報告では,MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) レーダにおいて,ブラインド処理により生体信号に追従するため,CMA (Constant Modulus Algorithm) を基に改良を加えたビームフォーミング法を提案し,ウェイトとDCオフセットをリアルタイムに更新可能な改良型CMA法により心拍推定が可能であることを明らかにした.
周辺監視レーダにおいて、アンテナのチャンネル数が増加し、レーダ自体の高集積化が進んでいる。多チャンネルの送受信を一体化したMMICにてレーダを構成する場合、送信信号が直接不要信号として受信側に回りこみ、距離0周辺近傍領域のDCノイズとなり、検知能力不足の原因となる。本発表ではこれら課題を特定角度範囲において低減する、新たな構成と処理に関して報告する。
B-2. 宇宙・航行エレクトロニクス
9月6日 9:00〜11:30 Meeting 12 座長 二ッ森俊一(電子航法研)
B-2-1 |
釧路地域における自設置基準局によるKinematic測位精度(4)
○山形文啓・白瀬佳就(釧路高専)・小熊 博(富山高専)・亀田 卓(広島大)・末松憲治(東北大) |
B-2-2 |
直接標定法による衛星通信端末位置標定技術の開発
○福島浩文(三菱電機)・網嶋 武(明大)・高橋龍平・白石 將(三菱電機) |
B-2-3 |
Si-PM検出器を使用したドップラLIDARに関する研究
◎青沼祐介(東海大)・水野貴秀(JAXA)・田中 真(東海大) |
B-2-4 |
レーダ散乱断面積計測のための重み係数を用いた円筒面走査近傍界遠方界変換
○赤嶺賢彦・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-2-5 |
GANを用いた地中レーダ画像からの3次元モデル推定
○園田 潤(仙台高専)・木本智幸(大分高専) |
我々は,GPS (Global Positioning System) に代表される NSS (Navigation Satellite System) を用いたIoT (Internet of Things) 向けネットワークKinematic測位システムを提案している.このとき,多数の基準局
を稠密に設置することが測位機会の増大につながるため,簡易に基準局を設置できることがシステム実現のために
必要となる.本稿では,自設置基準局を用いた場合の測定結果を報告する.
衛星通信を行う電波源の位置標定方式としては,元来受信信号間の相関処理後,信号の時間差(Time Difference Of Arrival : TDOA)及び周波数差(Frequency Difference Of Arrival : FDOA)の情報を用いて位置標定を行う,2 段階処理による手法(Two-Step-Geolocation-method :TSG 法)が用いられてきた.一方で近年,受信信号から直接的に目標位置を標定する直接標定法(Direct-Geolocation-method : DG 法)が提案されている.DG 法は地上局での受信時に十分な電力が得られない場合(低 SNR 環境下)での効果が報告されている.一方で,現状の DG 法は衛星で生じる遅延時間,周波数誤差等の影響は考慮されていない.そこで本稿では,位置が既知であるリファレンス局の活用により,衛星起因誤差を低減する手法を提案する.
ドップラLIDARは,ドップラ周波数を送信波と受信波のうなり周波数(干渉縞),速度と距離を算出する.本研究では,このうなりをSi-PM検出器と呼ばれる,複数のガイガーモードAPDをアレイ化して 1つの素⼦としたフォトンカウンティングデバイスで測定を行う.Si-PM検出器を使用したドップラLIDARを提案することで,速度測定の高精度化及び,⾼感度化をはかることを目的としている.本報告では,Si-PM検出器を用いて,信号光の光路に変調をかけ,参照光と信号光との「うなり」の測定結果について報告する.
レーダ散乱断面積(RCS)計測のための近傍界遠方界変換(NF 変換)では,ターゲットを点散乱源の集合に近似(Born 近似)する手法が複数提案されている.これらの既存手法では,単一周波数のみを使用,近傍領域に適用可能,計算時間が短い,実装が容易という4 つの条件を全て満たす手法が存在しない.1 次元円走査系においては,Born 近似に基づき上記4 条件を全て満たす新たなNF 変換手法を既に提案した.本稿では,これを2 次元円筒面走査系に拡張して定式化し,数値シミュレーションにより検証した.
地中レーダは入射した数百MHz帯の電波の反射波から非破壊に地中を推定する技術であり,近年問題になっている道路空洞など社会インフラ点検等に有効である.しかし,レーダ画像から内部を推定する問題があり,様々な手法が研究されているが,画像判読が必要であった.我々は深層学習による自動識別・可視化を研究しており,FDTD法で生成した大量の地中レーダ画像を学習することにより,地中物体の材質や大きさを推定できることを示している.これまでは垂直断面であるBスキャンによる2次元での識別・可視化であったが,本稿では,敵対的生成ネットワークGAN (Generative Adversarial Networks) による水平断面であるCスキャンの識別・可視化による3次元モデル推定について示す.
休 憩(10:30 再開) 座長 福島浩文(三菱電機)
B-2-6 |
ハイブリッド・バンドル内における誘導電圧トランジェントの考察
○塩野谷哲久・米本成人(電子航法研) |
B-2-7 |
測位衛星と地球観測衛星の干渉に関する基礎実験
◎青木拓海・落合史和・藤野義之(東洋大) |
B-2-8 |
高速FMCWレーダにおける距離スペクトラムを用いた干渉判定手法
○橘川雄亮・堀口嵩浩・福井範行・谷口英司(三菱電機) |
B-2-9 |
航空機電波高度計の隣接/同一周波数帯における電磁干渉特性自動測定系の構築
○二ッ森俊一・宮崎則彦・平賀規昭(電子航法研) |
航空機に艤装されるバンドル内の個々の配線(非シールド線)に誘導される電圧と、シールド線を同一バンドルに同束することによる誘導電圧の低減の効果
今回測位衛星と地球観測衛星の干渉に関する基礎実験を行ったため、その実験結果を報告する。はじめに現在世界中で衛星測位システムが用いられており、生活に欠かせないものとなっている。しかしその衛星測位システムと同じ帯域を共有している地球観測衛星からの干渉が懸念される。そこで2周波GPSが陸域観測技術衛星2号(ALOS-2)との干渉により、どのような影響が出ているのかを測定した。その結果ALOS-2が観測を開始しているときと開始していないときのどちらにも測定点からの緯度と経度の変動に大きな違いが見当たらなかった。
本発表では,距離スペクトラムのフロアノイズ(信号強度の平均値)とピーク値を用いた干渉判定方法を提案し,シミュレーションによる有効性を示す.
航空機電波高度計は,4 GHz帯(4.2 GHz-4.4 GHz)を用い,航空機の離着陸時の高度情報の提供だけでは無く,各種の航法機器への高度入力として利用されている[1].一方,電波高度計周波数の隣接周波数帯では,世界各国において5Gモバイルシステムの運用が開始されている.さらに,同一周波数帯が航空機内データ通信(Wireless Avionics Intra-Communications, WAIC)にも配分され,現在,WAIC機器の国際標準策定が進められている.本稿では,電波高度計とその隣接および同一周波数帯を用いる機器の周波数共用検討を実施するための基礎データである,電波高度計電磁干渉特性を測定評価するための自動測定系の構築について議論する.
B-3. 衛星通信
9月6日 9:30〜11:45 Meeting 16 座長 亀井 雅(NHK)
B-3-1 |
低軌道衛星MIMOを活用した920MHz帯IoTプラットフォームの衛星軌道上実証運用計画
○糸川喜代彦・五藤大介・小島康義・坂元一光・藤野洋輔・山下史洋・須﨑皓平(NTT) |
B-3-2 |
衛星IoTプラットフォーム軌道上実証実験に向けた受信感度及び通信エリアの評価
○坂元一光・須﨑皓平・片山陽平・藤野洋輔・鈴木賢司・小島康義・糸川喜代彦・山下史洋(NTT) |
B-3-3 |
衛星IoTシステムにおけるチャネル利用偏りによる性能劣化を防ぐCRDSA方式の送信制御の一検討
◎熊澤完介・岡田 啓(名大)・松井宗大・五藤大介・糸川喜代彦・山下史洋(NTT)・片山正昭(名大) |
B-3-4 |
衛星IoTに向けた合成開口レーダ活用型後方散乱通信の実現可能性
◎生形 貴・舘野将寿・成末義哲・森川博之(東大) |
筆者らは,低軌道地球周回衛星システムに複数アンテナを用いたLEO-MIMO技術,および本システムに大容量化したフィーダリンクを活用して衛星地上通信網ではカバーできない超広域エリアから取得したセンサデータの伝送を実現する衛星IoTプラットフォーム技術について検討している.本稿では当コンセプトの実証実験運用計画について報告する
著者らは,LEO衛星システムに複数アンテナを用いたLEO-MIMO技術により大容量化したフィーダリンクを活用し,地上通信網ではカバーできない超広域エリアから取得したセンサデータの伝送を実現する,衛星IoTプラットフォームについて検討している.本システムの衛星軌道上技術実証実験に向け,衛星搭載用コンポーネント(PFM, Proto Flight Model)およびその評価用試作装置(EM, Engineering Model)を開発してきた.本報告では,EMで波形キャプチャした狭帯域LPWA方式の信号について,ソフトウェア復調系における受信感度評価結果を示す.また,受信感度を基に実証実験が可能となる通信エリアをシミュレーション評価したので報告する.
920MHz帯LPWAを使用したIoT端末について,地上ネットワークが利用できない山間地等からも接続できるよう,低軌道衛星を介しインターネットに接続するシステムが検討されている.IoT端末から衛星へのアップリンクでは複数チャネルを利用可能であるが,既存のIoT端末との干渉を避けるため,端末により利用可能なチャネルが異なることが考えられる.そのため,各チャネルの利用率に偏りが生じ,システムの性能が劣化する.また,送信の過多も性能が劣化する原因となる.本研究では,CRDSA方式に焦点をあて,性能劣化を防ぐ送信制御を提案する.提案する送信制御をシミュレーションで検証し,その有効性を示す.
近年,衛星IoTが注目を集めている.人工衛星を用いて通信網を構築することにより,砂漠や海上など物理的アクセスが容易でなく,通信インフラの敷設が困難である地域にもIoTシステムを構築することが可能となる.我々は,衛星IoTの新たなアプローチとして,地球観測用の衛星搭載合成開口レーダを活用した後方散乱通信機構の検討をすすめており,本稿ではその実現可能性に関して初期的な検証を実施した.Sentinel-1 A/B および高利得パラボラアンテナを用いた実験的検証により,反射波がSAR画像に白点として撮像されていることを確認し,本機構の実現可能性が示された.
休 憩(10:45 再開) 座長 西尾昭彦(パナソニックホールディングス)
B-3-5 |
光TDMA技術を適用した3+1冗長接続切替方式に関する一検討
◎坂元彩乃・末廣 雄・亀谷聡一朗・吉間 聡・白井 聡(三菱電機) |
B-3-6 |
多様なユースケースに対応するためのKa帯衛星の制御に関する研究開発 ―通信需要・回線条件の予測技術―
○木村紋子・伊東裕貴・稲岡和也・上田敦史・北尾大河・佐々木謙一・陳 柏嘉・中村 凌(天地人) |
B-3-7 |
LDPC符号化FECを適用したスペクトラム圧縮伝送のBER特性評価
○菅家哲平・杉山隆利(工学院大) |
B-3-8 |
地上端末間の公平性を考慮した空中基地局の速度制御手法
◎三井 周・西山大樹(東北大) |
近年、衛星内機器間配線の光化が進んでおり、筆者らは機器間N+1冗長接続へのTDMA技術適用により、低消費電力化を実現する方式を提案している。本稿では、本方式において通信断が発生した際に、確実に冗長系へと切り替えるための通信断検出方法として、ユーザデータ有無を利用する方式を検討し、その試作・評価結果について報告する。試作機において、信号1周期長を100ms~1000msまで変更しながらファイバ断を発生させた場合の切替時間を評価した結果、いずれの周期長においても切替時間が信号周期長の2倍に至ることはなく、本方式により最大でも信号1周期長分の信号欠落のみで冗長系への切替が可能になることを確認した。
本研究開発では、技術試験衛星9号機(ETS-9)に代表される次世代のハイスループット衛星を用いた衛星通信システムにおいて、周波数リソースの効率化のために、通信需要や回線条件の変化をデータ解析に基づき予測を行い、衛星リソースを適切に割り当てる運用計画方式を確立する。具体的には、通信需要(ユーザリンク)では移動体の需要予測を行い、回線条件(フィーダリンク)では気象状況の予測を行う。各予測システムを、移動体需要予測サブシステム、気象状況予測サブシステムと呼び、各サブシステムの構成要素であるデータベース並びに解析アルゴリズムについて基本設計、試作、詳細設計、並びに開発(実装)を行う。本稿では、特に気象状況予測サブシステムについて、データ解析による予測精度について中間成果を報告する。
周波数利用効率向上のためスループットを維持したまま所要帯域幅を削減するスペクトラム圧縮伝送は,所要帯域幅をナイキスト帯域幅未満に狭帯域化することで生じるISI(Inter Symbol Interference)により伝送品質が劣化する.これを解決するためにFEC(Forward Error Correction)の適用が有効であるが,従来のスペクトラム圧縮伝送では畳み込み符号化-ビタビ復号法の適用に留まっている.そこで本稿では,より大きな誤り訂正効果が期待できるLDPC(Low Density Parity Check)符号化FECを適用したスペクトラム圧縮伝送を提案し,そのBER特性を計算機シミュレーションより定量評価する.
災害等による通信インフラ損壊時の対策として、空中基地局を用いることが考えられている。本研究ではその際に地上端末の通信量の公平性を担保することを目的とする。システムモデルとして、地上に端末が分布し、空中基地局が旋回しながら地上端末と上りリンク通信をするモデルを想定する。このモデルにおいて空中基地局を等速で飛行させた場合、端末の分布の疎密によって端末間の通信量に不公平性が生じてしまう。公平性を担保するためには、空中基地局の速度制御が必要となる。そのため最適な速度を求めるためのアルゴリズムを作成し、シミュレーションを通して提案手法が等速制御と比べ、端末間の通信量の公平性を担保していることを確認した。
9月6日 13:00〜16:30 Meeting 16 座長 大倉拓也(NICT)
B-3-9 |
非地上系ネットワークの統合制御システムの研究開発
○瀬戸口喜幸・宮下拓也・鈴木 淳・箕輪祐馬(スカパーJSAT) |
B-3-10 |
非地上系ネットワークによるカバレッジ拡張通信システムの開発 -UEのQoSに基づくEnd to End ルート設定制御-
○松井宗大・加納寿美・阿部順一(NTT)・外園悠貴・巳之口 淳・岸山祥久(NTTドコモ)・山下史洋(NTT) |
B-3-11 |
非地上系ネットワークによるカバレッジ拡張通信システムの開発―NTNシミュレータを用いた降雨時におけるUEの可用性評価―
○加納寿美・松井宗大・阿部順一(NTT)・外園悠貴・小原日向・岸山祥久(NTTドコモ)・山下史洋(NTT) |
B-3-12 |
非地上系ネットワークによるカバレッジ拡張通信システムの開発-Ka/Q 帯デュアルバンド開口共用フェーズドアレイアンテナの開発Ⅱ-
○安達尚季・中仙道 剛・木村知弘・三浦 崇・外山隆行(パナソニック ホールディングス) |
Beyond 5G時代においては,宇宙を含む非地上系の空間を利用したネットワーク,所謂NTN(Non-Terrestrial Network)の活用や地上通信との連携が必須である.GEO/LEO/HAPS等で構成されるNTNプラットフォームは単一では遅延やカバレッジに長短あるが,3次元的,マルチレイヤに配置し,接続したNTNノードをネットワーク化することで多層的ネットワークシステム環境を構築することにより強靭且つ柔軟なネットワークを形成することができると考えられる.本稿ではNTNと地上5G網との連携・統合に関する標準化や外部動向の初期調査結果と,それを踏まえたNTN統合制御システムの必要性と機能要件の整理結果を示す.
本稿では,複数の衛星/HAPS NWから構成される多層的ネットワークにおいて、QoSに基づいて端末とコアネットワーク間のE2Eでルートを設定する制御技術について検討した結果を報告する.
B5G/6G時代のモバイル通信システムに向け, 非地上系ネットワーク(NTN)によるカバレッジ拡張が検討されている. NTNの構成要素であるHAPSは, 地上基地局とのフィーダリンク(FL)に38GHz帯の活用が検討されているが, 降雨減衰により通信不可となる.これに対し, 隣接するHAPS間を通信リンクで接続し, 通信可能なFLまでトラフィックを転送 することで可用性を向上することを検討している. 本稿では, 我々が提案するルーティング方法を適用時の, 各ユーザ端末の可用性を評価したので報告する.
B5Gに お い て は , NTN による上空・海上・宇宙へのユースケースに応じたサービスカバレッジの拡張が特に期待されている.従来衛星等 NTN ノード毎に地上網と接続されていたものを,光や Ka・Q帯等の無線を活用してノード間を直接通信回線にて接続を行い,それらを地上網と統合した形でネットワーク化した多層的なアーキテクチャ構成のNTN を実現する技術開発が必要となる.カバレッジ拡張のユースケースの1つに,航空機に搭乗したユーザーへのIFCサービスへの適用があり,多層化NTN を構成する航空機搭載用Ka/Q 帯デュアルバンドアンテナシステムの開発に関して報告する.
休 憩(14:15 再開) 座長 小泉雄貴(NHK)
B-3-13 |
非地上系ネットワークによるカバレッジ拡張通信システムの開発―HAPSと地上ネットワークの周波数共用に向けた3Dセル制御技術による2GHz帯の干渉回避評価―
◎外園悠貴・小原日向・室城勇人・岸山祥久・浅井孝浩(NTTドコモ)・加納寿美・松井宗大・阿部順一(NTT) |
B-3-14 |
高高度プラットフォーム(HAPS)による5G網と連携した38GHz帯の無線通信システム開発 -HAPSと地上ネットワークの周波数共用に向けた38GHz帯の干渉回避評価-
◎小原日向・外園悠貴・室城勇人・岸山祥久・浅井孝浩(NTTドコモ)・鈴木 淳・北之園 展(スカパーJSAT) |
B-3-15 |
高高度プラットフォーム(HAPS)による5G網と連携した38GHz帯の無線通信システム開発-フィーダリンクにおけるサイトダイバーシチの検討-
○北之園 展・鈴木 淳(スカパーJSAT)・外園悠貴・岸山祥久・浅井孝浩(NTTドコモ) |
B-3-16 |
高高度プラットフォーム(HAPS)による5G網と連携した38GHz帯の無線通信システム開発 -基地局搭載型HAPSにおけるフルデジタルビームフォーミングの検討(その3)-
○大内幹博・木村知弘・三浦 崇・安達尚季(パナソニック ホールディングス) |
一般のuser equipment (UE) がHAPS基地局と直接通信を行う移動系用途にむけて,現行の無線通信規則ではHAPS-UE間のサービスリンクに2.7GHz以下のIMT特定された周波数帯を使用する必要がある.HAPSが地上ネットワークと同一の周波数を利用してカバレッジを拡張する際には,地上エリアとの干渉影響をいかに回避できるかが鍵となる.本稿では,HAPSと地上ネットワークが周波数を共用するときのロードバランシングおよび干渉回避技術として,3Dセル制御技術を提案する.HAPSシミュレータを用いたシステムレベルの評価により,2 GHz帯における提案技術の効果を確認する.
筆者らは,5G網を含む地上ネットワークとHAPS による成層圏ネットワークが柔軟に連携できる通信方式やネットワークアーキテクチャの研究開発に取り組んでいる.今後の5G高度化および6Gの時代において, HAPSと地上ネットワークの連携を図るためには,周波数共用時の干渉回避が必要不可欠となる.本稿では,HAPSと地上ネットワークの周波数共用にむけて筆者らが提案した3Dセル制御技術を実装したHAPSシミュレータを用いて,38 GHz帯におけるロードバランシングと干渉回避の効果を確認する.
高度20kmのHAPSに搭載したミリ波帯(38GHz帯)無線局を用いたBeyond 5G時代の無線通信インフラに注目が集まっている.38GHz帯はその周波数特性上,降雨減衰により通信品質が著しく劣化するという課題があり,地上携帯電話網を構成するバックホール回線として用いる場合,降雨減衰による影響が当該エリア全体の通信サービスの品質劣化へと波及するため問題となる.本研究ではミリ波帯のバックホール回線のフィーダリンクについて,所用の回線稼働率を得るための降雨減衰補償の手法の一つとしてのサイトダイバーシチ技術に着目した場合の効果と課題について報告する.
筆者らはミリ波(38GHz帯)を用いたHAPS(High-Altitude Platform Station)バックホールシステムにおいて,基地局搭載型HAPSでのフルデジタルビームフォーミング実現のため,ADC・DAC低消費電力化と高精度リアルタイム位相校正法,及び遅延校正法の検討結果を示した.本稿では,実証実験用デバイスの構成について述べる.
休 憩(15:30 再開) 座長 加保貴奈(湘南工科大)
B-3-17 |
高高度プラットフォーム(HAPS)による5G網と連携した38GHz帯の無線通信システム開発 -HAPSネットワークの実現性確認のための遅延発生器による伝送実験-
◎室城勇人・小原日向・外園悠貴・岸山祥久・浅井孝浩(NTTドコモ)・鈴木 淳・北之園 展(スカパーJSAT) |
B-3-18 |
高高度無人航空機への搭載のための長距離広角度のアレーアンテナによる多元接続技術の研究
○松田隆志・三浦 龍・越川三保・松村 武(NICT)・鈴木 淳・高盛哲美(スカパーJSAT) |
B-3-19 |
航空機搭載用アンテナの機体影響評価のための基礎実験
◎大倉拓也・辻 宏之・土谷牧夫(NICT)・市橋洋基・長山博幸・大木 孝(三菱総研) |
B-3-20 |
3x3 LEO-MIMOにおける逐次干渉除去を用いた伝送容量の改善評価
○五藤大介・糸川喜代彦・山下史洋(NTT)・加藤智隼・中台光洋(JAXA) |
筆者らは,高高度プラットフォーム (HAPS) の実用化に向けてHAPSを用いたネットワーク全体の通信性能や要求条件の特定の研究に取り組んでいる.本稿では,HAPSを用いたネットワークの実現性確認を目的として行った実証実験について報告する.HAPSをcore network (CN) -5G基地局間のバックホールとして用いた場合を想定する.高度約20kmの成層圏から通信エリアを提供するHAPSは,地上システムに比較して伝搬遅延が大きくなる.また,HAPS局をはじめとする機器による処理遅延も加わる.そのため,HAPSを用いたネットワークの実現には,遅延を考慮したシステム設計が必要となる.HAPSを用いたネットワークの現実的な遅延要件を調査するために,遅延発生器を用いてフィーダリンク,サービスリンク,およびHAPS局における伝送遅延に相当する遅延を発生させ,平均スループットを評価した.
本研究開発では,通信インフラが十分でない離島,洋上や山間部を含む広域で今後利用が進むとみられる小型無人航空機の運用を管理するため,高高度無人航空機等の利用による中継システムを想定し,長距離の通信エリアをカバーするとともに,多数同時接続数を可能とした多元接続技術の確立を目標とした.この目標を実現するため,長距離・広角度対応アレーアンテナ技術,広角度複数可変ビーム形成技術,空間・周波数多元接続技術の3つの開発項目について開発するとともにその基本性能を検証するための実証実験を行った
衛星通信において移動する地球局(ESIM: Earth Stations In Motion)への周波数分配と技術的要件について,Ka帯の通信需要の増加を背景に、決議169(WRC-19)においてESIMに周波数分配が追加され,地上システム等との共用に関する技術的要件が規定された.当該決議では地上業務保護のため,航空機搭載地球局1局当たりの電力束密度(PFD: Power Flux Density)制限値を設けている.PFD制限値は地上にて許容される電力束密度の制限値であることから,航空機搭載地球局から放射された際の航空機胴体による減衰の効果を見積もることは重要である.本稿では機体の減衰効果を評価するための基礎実験として,電波暗室においてホーンアンテナを用いて,機体を模したモックアップの有無に対する放射パターンの変化について報告する。
筆者らは,低軌道周回(LEO)衛星システムの大容量化を目的とし,一基のLEO衛星に複数アンテナを搭載し,遠隔に配置した複数の基地局アンテナ間で空間多重伝送を行う, LEO-MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) 技術を検討している [1-3].本稿では,現在予定している実証実験を想定した3x3LEO-MIMO伝送において,想定される衛星軌道情報に基づいてチャネルを設定した.また受信等化アルゴリズムとして, ZFとMMSEに加え,逐次干渉除去(SIC)を導入することによる容量改善効果を検証する.
9月7日 9:30〜11:15 Meeting 16 座長 流田理一郎(KDDI総合研究所)
B-3-21 |
無人航空機を用いたユーザ位置検出システムにおけるドップラーシフト複数回観測時の測位精度改善効果
○出口泰河・石川博康(日大) |
B-3-22 |
同心円飛行経路のドローンを適用したDTNの情報伝達時間低減効果
◎加藤優季・杉山隆利(工学院大) |
B-3-23 |
複数ドローンの高度制御を用いたスループット特性向上効果
○今村圭佑・杉山隆利(工学院大) |
無人航空機(UAV)を用いるユーザ位置検出システムでは,地上端末-UAV間の送受信信号の搬送波周波数に生じるドップラーシフトの測定値とUAVの飛行位置情報に基づき位置検出を行う.これまで,2機のUAVが同一の8の字経路を周回飛行するモデルにおいて,ドップラーシフトの測定回数を2回に拡張することで位置検出精度が改善できることを報告した.今回,ドップラーシフトの測定回数をさらに3回にまで拡張することによる位置検出精度の改善効果を評価したので,その結果を報告する.
大規模災害発生時には通信インフラが崩壊していることが予想される.この問題を解決するため,複数台のドローンにより臨時の中継システムを構築する手法がある.対象エリアの範囲に対してドローンの台数が十分に確保できる場合はホバリングして静止したドローン同士のマルチホップネットワークが構築される.しかし,ドローンの台数が少ない場合はDTNの概念の導入が必須である.これを実現する従来のドローンの飛行経路には,ドローンの台数が少ないときに端末間の情報伝達時間が長いという問題点がある.この問題を解決するために新たに同心円飛行経路を提案し,その特性をシミュレーションにより定量評価する.
6Gで検討されている衛星やドローンなどを使用したNTN(Non-Terrestrial Networks)が地理的な地上網の不感地帯のエリア化に有効である.一例としてホバリングした複数ドローンで通信エリアをカバーする場合に端末分布に偏りがあると,そのドローンに収容される端末当たりのスループットが低下する.この問題を解決するために,当該ドローンの高度を降下させる方式が有効である.本稿では,端末スループット向上を目的とし,端末が集中しているエリアをカバーするドローンに加えて隣接ドローンの高度も同時に制御する方式を提案する.計算機シミュレーションにより,全端末の平均スループットを定量的に示し,提案方式の有効性を明らかにする.
休 憩(10:30 再開) 座長 阿部順一(NTT)
B-3-24 |
新宿エリアにおける擬似距離近似のビル反射面からの距離測定誤差がGPS測位精度に与える影響
○斎藤晃一・杉山隆利(工学院大) |
B-3-25 |
12GHz帯衛星放送の増力に向けた宅内配信システムの評価
○横澤真介・秋山良太・長坂正史・亀井 雅(NHK)・中澤 進・田中祥次(放送衛星システム) |
B-3-26 |
ISDB-S3の32APSK伝送における衛星中継器動作点の検討
◎秋山良太・小泉雄貴・横澤真介・小島政明・長坂正史・亀井 雅(NHK)・中澤 進・木村州志・松原元樹・西田勇人・田中祥次(放送衛星システム) |
GPS測位では伝搬時間から計算されるGPS衛星とGPS受信機間の擬似距離を使用して測位演算をするが,ビル壁等で反射波が受信されるとGPS測位精度が劣化する.これを解決する方法の擬似距離近似法では,GPS受信機における反射回数,入射角とビル反射面からの距離が必要である.従来の研究では東西方向に対称なビルモデルにおいて反射回数と入射角は推定し,ビル反射面からの距離は既知として評価してきた.本稿では実際の新宿を模擬したビルモデルにおいてビル反射面からの距離の測定誤差がGPS測位精度へ与える影響を定量的に示し,反射回数と入射角を推定して,擬似距離近似によるGPS測位誤差改善効果を明らかにする.
2018年12月に開始した新4K8K衛星放送では,伝送方式としてISDB-S3を採用しており,16APSK(符号化率7/9)を用いることで約100Mbpsの伝送容量を実現している.さらに大容量化が可能な32APSKも規定されており,符号化率を3/4としたときの伝送容量は約120Mbpsとなる.16APSK(7/9)に対して,32APSK(3/4)は所要C/Nが約3dB高いため降雨マージンが減少し,年間サービス時間率が低下する.この補償には放送衛星の増力が一つの手段として考えられ,高出力化が可能となる衛星搭載用TWTAの開発実績もある.そこで,本稿では放送衛星の増力を想定し,宅内配信システムへの影響について評価したので報告する.
衛星放送の回線設計では,衛星中継器の非線形特性を考慮する必要がある.ISDB-S3[1]の16APSKについては,衛星伝送実験により,非線形特性を有する衛星中継器の動作点(以下、動作点)と伝送特性の関係を明らかにし,回線マージンが最大となる動作点(以下,最適動作点)を確認している[2].一方,16APSKと同様ISDB-S3に規定されており,伝送容量の増大が期待できるが非線形の影響をさらに受ける32APSKについては,最適動作点の評価ができていない.
本稿では,放送衛星BSAT-4bを用いた伝送実験により, 32APSKにおける最適動作点を評価したので報告する.
B-4. 環境電磁工学
9月8日 9:00〜11:45 Meeting 9 座長 肖 鳳超(電通大)
B-4-1 |
ICが実装されたプリント基板の電源系インピーダンス特性に対するICの構成要素の影響検討
○小林玲仁・明石憲彦・谷口英司(三菱電機) |
B-4-2 |
多分岐伝送路における高速パルス伝送波形の最適化(その2)
○桑原 崇・明星慶洋・大和田 哲(三菱電機) |
B-4-3 |
コモンモード用ESLキャンセル回路と他回路の電磁界結合についての検討
○大塚喬太・明石憲彦(三菱電機) |
B-4-4 |
Lアングル型コネクタに差動信号をアサインした場合のモード変換量改善検討
○本橋あゆみ(三菱電機) |
B-4-5 |
MSLの遠端クロストーク抑制に向けたLCPシートの寸法最適化
◎久永駿馬・須賀良介(青学大) |
近年、電子機器の高速・高周波化および低電圧化に伴いパワーインテグリティ(PI)設計の重要性が高まっている。これまで、PI解析の精度向上を目的としたICモデルとプリント基板の3次元構造モデルを組み合わせた電磁界解析について報告した。本稿では、この解析手法を用いて、インピーダンス特性に対するICの構成要素(ダイ・ワイヤ・パッケージ)の影響について報告する。
高速インターフェース(以下,高速I/F)では,伝送路の分岐があるとインピーダンス不整合による信号反射が生じ伝送波形が劣化する.そのため多点接続の高速I/Fではスイッチ機器等が必要となり,配線量の増大やコスト増加,装置の大型化などに繋がる.そこで筆者らは,多分岐線路へ高速パルス伝送方式の適用を検討中であり,分岐線路の両端に反射補償線路(Reflection Compensation Line,以下RCL)を加えることで,反射波の影響が低減できることを確認した.さらに,終端抵抗値を変えることで主波電圧低下と遅延波電圧上昇の両方を抑えられることを確認した.本稿では,レシーバの動作を考慮して収束条件を見直した最適化を行い,遅延波をより抑圧可能なことを示す.
ノイズフィルタの特性悪化の要因に、寄生インダクタンス(Equivalent Series Inductance: ESL)の影響がある。そこで筆者らは、ESLを打ち消すことが可能な、ESLキャンセル回路を開発してきた。なかでも、回路を小型化可能な、コモンモード用ESLキャンセル回路について検討を進めている。本研究では、他回路との電磁界結合の影響を把握することを目的とし、電磁界結合量を示す指標であるクロストークについて、電磁界解析による検討を行った。結果として、コモンモード用ESLキャンセル回路を搭載することで、クロストーク量が増加することを確認した。したがって、実際の電子機器に搭載する場合、搭載していない場合よりも他回路を離す必要がある。
多ピンタイプの L アングル型 D-sub コネクタ(以下,L コネクタ)は,複数配列を有する場合,ピンの列によってピンの長さが異なる.Lコネクタに差動信号をアサインする場合は,同じ列に差動信号をアサインしないと差動信号線のポジティブ信号とネガティブ信号の長さが異なってしまい,信号のモード変換量や放射ノイズが増大すると考えられる.今回は,Lコネクタに差動信号をアサインし,ピンアサインの違いによるモード変換量を,シミュレーションにより定量評価した.また,差動信号線路の長さが等しくないアサインをされたLコネクタに対して,誘電体部品を装着することで,モード変換量を改善する構造を検討し,この効果も評価した.
近年,情報機器を構成する配線板の高密度化が進んでおり,デジタルシステムの動作速度はGHzオーダーに達している.
これに伴う遠端クロストークの増大が高密度配線板を設計するうえで重大な課題となっている.
線路間距離を維持したままマイクロストリップライン(MSL)の遠端クロストークを低減させるため,我々はこれまでにLCP(Liquid Crystal Polymer)シートをMSL上に局所的に設置する手法について電磁界解析を用いて検討してきた.本手法はOddモードとEvenモードの伝搬時間差を縮小させることで遠端クロストークの抑制を可能にしている.
本研究では実験により本手法の有効性を確認し,遠端クロストーク抑制に向けたLCPシートの最適寸法について検討した.
休 憩(10:30 再開) 座長 明星慶洋(三菱電機)
B-4-6 |
Multi-Objective Design of EMI Filter by Preference Set-based Design Method and Polynomial Chaos Method
◎Duc Chinh Bui・Yoshiki Kayano・Fengchao Xiao・Yoshio Kami(The Univ. of Electro-Communications) |
B-4-7 |
多項式カオス展開を用いた多線条不均一伝送線路の統計的解析
◎八賀優人・萓野良樹・上 芳夫・肖 鳳超(電通大) |
B-4-8 |
2導体線路の不連続部におけるノーマルモード・アンテナモードのカップリング解析
◎△神野崇馬・木虎秀二・土岐 博・阿部真之(阪大) |
B-4-9 |
コイル巻線の巻線間とコア間で生じる寄生容量の寸法依存性に関する実験的検討
○野部大貴(青学大)・長谷川光平・安住壮紀・桑島遼輝(東芝)・須賀良介(青学大) |
B-4-10 |
小型水槽を用いた海中アンテナからの漏洩磁界測定
◎桑原堅誠・廣瀬 幸・松嶋 徹・福本幸弘(九工大)・江口和弘・熊懐一浩(パナソニックコネクト) |
This paper discusses a combination of statistical analysis by Polynomial Chaos method and multi-objective satisfactory design by Preference Set-based Design method for Electromagnetic Interference (EMI) filter in practical case, which includes uncertainty parameter. The design parameters of the EMI filter, which satisfy required performances, are obtained in range by the PSD method. The validity of this design is demonstrated.
本報告では,多線条不均一伝送線路の統計的解析手法として,PCEの適用を提案し,従来から使用されているMC法と比較することで,PCEの有用性を考査した.その結果,PCEはMC法と同等の精度を保ちつつ大幅な計算時間の短縮が可能であり,PCEの妥当性を示すことができた.
形状が異なる伝送線路を接続する際、不連続部ではノーマルモード(NM)とコモンモード(CM)がカップリングし、hパラメーターを用いた解析などが実用化されている。主にNMとCMの解析には3導体(2導体の信号線と1導体の基準)が用いられているが、基準導体がない場合もある。2導体の回路ではCMのリターン経路は存在せず、これはアンテナモード(AM)とも呼ばれる。本報告では、NMとAMのカップリングを取り扱うために、電磁ポテンシャルを用いた解析を行なった。電磁ポテンシャルから導出した電信方程式を用いて、異なる形状の伝送線路の接続部である不連続部におけるNMとAMの反射やカップリングを定量化した。
電磁ノイズ対策用フィルタとして使用されるコア付きコイルには,一般的に広いフィルタ帯域が要求されている.しかし,この帯域幅は構造に起因して生じる寄生容量により制限される.この寄生容量をコイルの形状から見積もることで,設計段階において広帯域なフィルタ設計が実現できると考えられる.これまでに,コア-巻線間容量の巻線間距離依存性は極大値をとることが電磁界シミュレーションによりわかっている.本研究では,この巻線間距離依存性を実験的に検討し,シミュレーション結果の妥当性を示す.
HF帯を使用した海中での電波通信により海中IoT機器の通信インフラ整備を目指して研究開発を行っている。本稿では、0.1~30MHzの帯域で海中のアンテナから海上へ漏洩する電磁界について調査することを目的とし、小型水槽を用いた実験系を構築し漏洩実験を行った。ループアンテナを塩水中に沈めた状態で水面上で観測される磁界強度の測定と、測定系を模擬したシミュレーションにより、アンテナ深度と周波数によって、漏洩磁界は非常に大きな減衰を受けることを確認した。また、遠方界において磁界強度の距離特性は伝搬定数の理論式ともよく一致した。
9月9日 9:15〜11:30 Meeting 9 座長 山本真一郎(兵庫県立大)
B-4-11 |
周波数拡散シールドの試作評価結果
◎古谷航一・小林 剛・福井範行・谷口英司(三菱電機) |
B-4-12 |
光変調散乱素子を用いた近傍界測定時の散乱体厚さの影響評価
○黒澤孝裕(秋田県産技セ) |
B-4-13 |
3次元Conical Helix構造を有するメタマテリアル広帯域電波吸収体
○五十嵐絵里・梅津暢彦・金子幸雄(ソニーグループ)・田中拓男(徳島大/理研) |
B-4-14 |
印刷とめっきで作製した人工材料のパターン組み合わせによる透過・反射特性への影響評価
○伊藤盛通(大阪技術研)・喜多村康一(太洋工作所)・産一盛裕(奥野製薬工業)・松本健志(太洋工作所) |
アクティブFSS(Frequency Selective Surface)を使用した周波数拡散シールド(SSS:Spectrum-Spreading Shield)を提案している.本稿では,SSSの測定結果を示す.
半導体を散乱体とした光変調散乱素子を用いる高周波電界計測システムについて,光走査により近傍電界分布を計測する場合の散乱体厚さと変調散乱波強度および侵襲性との関係についてFDTDシミュレーションにより検討した.マイクロストリップライン近傍電界を計測する場合を例にとり,変調散乱波強度を求めるとともにマイクロストリップラインの反射係数により侵襲性を評価した.その結果,光走査により近傍電界分布に対応した信号強度が求められ,計測法および解析モデルの妥当性が確認できた.また,散乱体厚を減少させることで感度増加および侵襲性低減が図れ,性能向上に効果的なことが明らかとなった.
人工の波動制御媒質であるメタマテリアルは、一般的な磁性体材料では対応困難な1 GHz以上の高周波帯における電波吸収材としての応用が期待されている1。しかしこれまでに提案されているメタマテリアルの応答特性は電磁波との共振を起源としているため、一般にその応答帯域幅は狭く、広帯域での電波吸収機能を得るには応答周波数の異なる複数の構造を並列あるいは積層して用いる必要があった。そこで我々は、光領域で提案されたConical Helix型メタマテリアル2から着想を得て、シンプルな単一構造でGHz帯での広帯域電波吸収特性を与えるメタマテリアル構造を検討した。検討の結果、比帯域幅54%にて80%以上の電波吸収率を与えるConical Helix構造を見出した。
電磁ノイズフィルタへ適用するため、印刷とめっきを用いてプリント基板上に人工材料からなる試料を作製してその透過・反射係数を測定した。スプリットリングのみを配列した人工磁性体薄型試料において、周波数帯域が数GHzの場合は相対的に試料が薄いため性能が低くなる。今回はこの課題を解決するため、今回はスプリットリングと組みわせるパターンとしてワイヤパターンを配置し、その効果を確認した。誘電体層としてSiO2の微粒子を混錬した樹脂を用いて作製した結果、ワイヤパターンが人工誘電体として機能することで試料の伝搬定数を操作し、4GHz付近の帯域において反射・透過係数の変化が大きくなる様子が確認できた。
休 憩(10:30 再開) 座長 矢野佑典(名工大)
B-4-15 |
差動印加法を用いた半導体単体のイミュニティ評価法
○山梶佑介(三菱電機) |
B-4-16 |
SEMの画質向上に向けた電子ビーム振動の評価技術開発
◎岩塚崇泰(日立)・佐々木智世(日立ハイテク)・李 ウェン(日立)・鈴木 誠・森 渉(日立ハイテク) |
B-4-17 |
アレイプローブの各端子に干渉するESDノイズの影響評価
○小林遼太・小林 剛・佐々木雄一(三菱電機) |
B-4-18 |
高感度筐体表面電流計測の研究
○門井 涼・村岡 諭(日立)・金井久亮(日立ハイテク)・李 ウェン(日立) |
電子機器の複雑化及び低電力化に伴い, 誤動作しにくい電子機器の設計が困難になってきている. 誤動作原因となる半導体を評価する方法としてDPI (Direct Power Injection)法が知られているが評価用治具が付いた基板設計が必要であるとともに, 外部から信号を接触プローブで印加するためプローブが接触しても誤動作が起こらない特定の半導体の評価しかできなかった. それに対し同軸プローブを用いて非接触で信号を印加する方法が知られている. しかし, 信号の伝搬経路を形成することができないため, 印加効率が悪いとともに, 誤動作原因となる半導体の両端の端子を特定することができなかった. そこで本稿では2つの非接触プローブを用いてプローブ間に差動信号を印加する差動印加法を提案する.
学術・産業分野で広く試料表面構造の評価に使われているSEMは、近年省電力化のためスイッチング電源の搭載が進み、電源ノイズが引き起こす撮像画像の劣化が問題となっている。対策には、電源ノイズに起因する周波数100kHz以上の電子ビーム振動の正確な評価が必要である。本報告では、試料上の輝度勾配が大きな点で電子ビームの走査を停止することで電子ビーム振動を直接輝度変動に変換し検出し、同点の輝度勾配で割り戻すことで振動量を正確かつ高速に定量化可能な技術について示す。本技術により、周波数10kHzから1MHzの帯域で、振幅0.07nmから1nmの振動を±0.03nm程度の絶対精度で計測可能となる。
プリント基板上を伝搬するESD(静電気放電)ノイズを広範囲に可視化するためのアレイプローブを試作した. アレイプローブを用いた評価の懸念点として, ESD評価時に各プローブ間の電磁干渉によって正確な可視化結果が得られないことが挙げられる. そこで, 単純なアレイ配置の基板を用いて, 各プローブ端子に干渉するESDノイズを評価した.
産業・医療用の装置において,電気ノイズは装置筐体やフレームを通じて微弱な表面ノイズ電流として伝搬する。この表面ノイズ電流は装置の動作精度に悪影響を及ぼし,装置の性能を低下させるという問題がある。そこで,本研究では装置筐体表面上のノイズ電流をフラックスゲートセンサを用いて高精度に計測する技術を開発した。フラックスゲートセンサを用いてノイズ電流から発生する微小な磁界を検出するためには,地磁気などの外来磁界による感度劣化の影響を抑える必要がある。本開発技術では検出コイルの2次高調波成分に基づき外来磁界を動的に打ち消すことで感度向上を行った。
9月9日 13:00〜17:00 Meeting 9 座長 松本洋和(青学大)
B-4-19 |
産業用ドローンにおける移動通信受信感度劣化評価
○渡邊 航・酒井陵多・田中 聡・永田 真(神戸大) |
B-4-20 |
電流プローブの挿入インピーダンスの測定
○藤井勝巳(NICT) |
B-4-21 |
差動通信線終端構造に対するモード変換量測定の一検討
◎吉田征弘・矢野佑典・王 建青(名工大)・石田武志(ノイズ研) |
B-4-22 |
TWCの等価回路モデル構築の一検討
○矢野佑典(名工大)・遠藤光太・和田修己(京大) |
産業利用が進むドローン内部における放射ノイズと移動通信信号の電磁干渉について評価した。ドローン内部では様々な電子機器が稠密に実装されており、ノイズ源の近接に配置された移動通信アンテナに放射ノイズが混入することで、移動通信の受信感度が劣化し、ドローンの運行範囲の縮小や機体の管制離脱を引き起こすことが懸念される。本研究では機体内部基板の放射ノイズ評価と無線通信システムシミュレータによる移動通信への干渉評価により、ドローン内部の電磁干渉問題によって移動通信性能が10 dB以上劣化し得ることを見出した。
クランプ式電流プローブを線路に取付けた際に生じる挿入インピーダンスの測定方法を検討するために,実験を行った結果を紹介する.
差動通信系に到来する外来のノイズの影響を解析するためには,外来ノイズのCM(Common mode)結合と結合により励起される妨害波の差動通信線の終端部おけるモード変換を考える必要がある.先行文献では,差動通信線であるUTP(Unshielded twisted pair)ケーブルにBCI(Bulk current injection)により印加されたCM妨害波の,UTPケーブル終端部の負荷インピーダンスの不平衡によるモード変換が説明されている.実際には,終端構造の影響や終端部のPCB上のCMC(Common mode choke)などの非線形素子の影響が含まれるため,終端部を単純な負荷インピーダンスで表すのは困難である.そこで,本稿では,VNA(Vector network analyzer)と電流プローブを用いた3ポートのSパラメータ測定によって,任意の終端構造や素子を含めたUTPケーブル終端部のモード変換量の測定を試みた.
ISO 11452-4[1]には,BCI(bulk current injection)法の高周波拡張版として400 MHzから3 GHzの適用周波数を持つTWC (Tubular wave coupler)法が記載されている.しかし,被試験機(EUT: equipment under test)側だけでなく対向機(AE: artificial equipment)側へも不必要に妨害波が印加されたり,置換法のみが規定されており校正時と試験時のセットアップの違いにより妨害波注入量が異なり一貫したイミュニティ性能試験ができなくなる可能性がある[2].そのため,TWC法には妨害波注入特性改善の余地がある.そこで筆者らはTWC法の特性改善検討を目的とし,そのための準備としてTWCの妨害波印加特性を表現する等価回路モデルの構築を行った.
休 憩(14:15 再開) 座長 鵜生高徳(デンソー)
B-4-23 |
光変調器を用いたミリ波帯信号の伝送特性評価
○チャカロタイ ジェドヴィスノプ・藤井勝巳(NICT) |
B-4-24 |
Effect of Detection Modes on Radiated Disturbance Measurements Using Reverberation Chamber
○Ifong Wu・Sadaaki Shiota・Yasushi Matsumoto・Kaoru Gotoh(NICT) |
B-4-25 |
反射箱での同軸導波管アダプタ参照法による放射効率測定
○張間勝茂・後藤 薫(NICT) |
B-4-26 |
電測車を用いた携帯電話基地局等からの電波ばく露レベル測定
○大西輝夫・飛田和博・幾代美和・多氣昌生・渡辺聡一(NICT) |
B-4-27 |
マイクロ波WPTの人体回避性能評価に用いるファントムのRCS測定
◎佐藤嘉希・齊藤一幸(千葉大) |
近年,情報伝送量の急激な増大により,電子機器内で用いられる信号はますます広帯域化し,その信号の高調波成分がミリ波帯まで発生し,放射妨害波として放射される事例が増えている.また,ミリ波帯電磁界測定において同軸ケーブルを伝送路とした場合,伝送損失が大きいため,受信機でのS/Nが低下し,高精度な計測が困難である[1][2].そこで,本研究では,高精度な電磁界計測のために,同軸ケーブルの代わりに,光変調器を用いた広帯域信号の計測が可能なシステムを構築し,43.5 GHzまでの伝送特性の評価結果について報告する.
In this study, we examined the conditions under which the detection results of pulse signals measured in a FAR are equivalent to those measured in a RC, using the spectrum analyzer detectors.
EMI測定で用いる反射箱の適用周波数範囲を40GHzまで拡張する議論がCISPRでされている.反射箱での置換法による放射効率測定について,参照アンテナとして放射効率を接続測定できる同軸導波管アダプタを用いた手法を提案する.同手法によるWR-42帯角錐ホーンの放射効率の測定結果を示す.
我々は,これまで一般環境における主なばく露源である携帯電話基地局,放送送信所や無線LAN等からの電波ばく露レベルをそれぞれ屋外及び屋内において定点で測定し,結果について報告を行ってきた.本稿では,電界測定装置を搭載した電測車における広範囲の移動測定について検討を行ったので報告する.
我々はこれまでに,天井設置型WPT送信機の人体回避送電性能評価を想定して,人体の上方から920 MHzの電波を照射した際のRCS (Radar Cross Section)に着目し,数値計算によって人体と同程度に電波を散乱させるファントムを考案した.本稿では,解析結果をもとにファントムを作製し,実際にRCSの測定を行なった.測定値と解析値の差異が5 dB程度と比較的大きくなる照射角度もあったが,それ以外の点では解析と同様の傾向が測定され,これまでの数値計算の妥当性が確認された.このことから,作製したファントムは解析結果と同様に人体と同程度に電波を散乱させ,マイクロ波WPTの人体回避性能評価に有用であると考えられる.
休 憩(15:45 再開) 座長 井山隆弘(NTTドコモ)
B-4-28 |
E-Field Strength Measurements on a 28 GHz-Band 5G Base Station for Exposure Assessment
◎Sen Liu(NICT)・Naoto Tsuchiya(Tokyo Metropolitan Univ.)・Teruo Onishi・Masao Taki・Soichi Watanabe(NICT)・Yukihisa Suzuki(Tokyo Metropolitan Univ.) |
B-4-29 |
共焦点レーザー走査型顕微鏡を使用した生体ファントムの温度分布イメージング
○山崎祥他・水野麻弥・長岡智明(NICT) |
B-4-30 |
中間周波パルス磁界に関する時間領域の人体ばく露評価手法の検討
○岡田滉平・鈴木敬久・多氣昌生・江嵜かおる(東京都立大) |
B-4-31 |
数値スマートフォンモデルを用いた電磁波複合ばく露のSAR解析
◎△木村圭佑・齊藤一幸・高橋応明(千葉大)・長岡智明(NICT) |
B-4-32 |
フェーズドアレーアンテナによる曲面へのばく露評価
○櫛山祐次郎・長岡智明(NICT) |
Comprehensively grasping the EMF exposure level from all kinds of sources, e.g.: conventional wireless systems, 5G systems, and WPT systems, in real living scenarios is essential for addressing the associated public concerns. Particularly, focusing on 5G systems, due to the introduction of new spectrum (FR2 band), it is highly important to figure out the corresponding EMF exposure level. With such background, we measured the exposure level from a 5G FR2 base station (BS) in two different scenarios (Synchronization Signal Block broadcasting/data traffic), and the results are analyzed and compared.
次世代無線通信(B5G/6G)ではTHz帯の電波利用が想定されており,人体に対するTHz帯の電波ばく露量評価の必要性が高まっている.THz帯の電波は高周波帯で水に強く吸収される性質があり,低周波帯の0.1 THzであっても水分含有量の多い生体組織では数100 μm程度の表層で全てのエネルギーが吸収され,温度上昇を引き起こすことが知られている.しかし,従来の電波ばく露による温度上昇評価に利用されてきた光ファイルバー温度計等の空間分解能は2 mm程度であることから,THz帯の電波ばく露によって誘起される温度変化を計測することは困難である.そこで本研究では,温度感受性蛍光プローブを添加した生体ファントムを作製し,共焦点レーザー走査型顕微鏡による蛍光強度測定から,ファントム内部の温度分布を可視化し、さらに数100 μmの空間分解能で取得できるか検討した.
インピーダンス法に基づいた時間領域におけるばく露評価手法を提案し、その計算結果とパルス波のピーク周波数の正弦波を仮定した場合のばく露評価手法の結果との比較を行った。
スマートフォンなどの情報通信端末の普及に伴い、スマートフォン使用時の環境を想定した電磁波ばく露に関する評価が行われている。近年の移動通信においては、より高速かつ安定した通信の実現のため、複数の周波数帯を同時に利用した通信技術が利用されている。しかし従来の電磁波ばく露評価の多くは、単一の周波数のみを用いて行われていることから、今日の電磁波ばく露環境に即した評価を行う必要がある。本研究では、数値スマートフォンモデルを電磁波源として用いた解析モデルを作成し、電磁波複合ばく露を想定したSpecific Absorption Rate (SAR)解析を行った。
第5世代移動通信システム(5G)などの基地局や端末において,局所性の高いビームの形成も可能なフェーズドアレーアンテナの利用が広がっており,これらの無線通信機器から放射された電波に対する人体安全評価が重要な課題となっている.6GHz以上の周波数では,局所ばく露に対する安全性評価の指標として吸収電力密度(APD:Absorbed Power Density [W/m^2])が用いられており,人体表面での電力の吸収を評価するが,フェーズドアレーアンテナは,様々な放射パターンを実現し,またばく露される人体も様々な曲面を持つため,網羅的な評価が困難である.そこで,本研究では,アレーアンテナによる人体ばく露評価で考慮すべき要素を明らかにするため,簡易モデルを用いてばく露量の評価を行った.
B-5. 無線通信システムA(移動通信)
9月6日 9:15〜11:45 Meeting 20 座長 宮路祐一(愛知工業大)
B-5-1 |
上り回線にSIMOを適用した基地局連携MU-MIMO干渉キャンセラの適用効果
◎前田稜平・藤井輝也(東工大) |
B-5-2 |
一般化近似メッセージ伝搬法を用いた大規模マルチユーザMIMOのシステムレベル評価
○土井隆暢・式田 潤・村岡一志・石井直人(NEC)・高橋拓海(阪大)・衣斐信介(同志社大) |
B-5-3 |
マルチセルMassive MIMOシステムにおけるセミブラインド干渉除去方式の端末ビームフォーミングによる性能改善
○丸田一輝(東京理科大) |
B-5-4 |
三次元空間HetNet構成における他セル干渉を考慮したネットワーク連携上り回線対応マクロセル干渉キャンセラー
○金田拓也・藤井隆史(ソフトバンク)・藤井輝也(東工大) |
5G等の移動通信システムでは、セル内のどこでも超高速データ伝送が期待されている。全てのセルで同一周波数を繰り返し再利用するセルラシステムでは、特にセル境界付近において隣接セル干渉により通信品質が劣化する。筆者らはセル境界付近における上り回線の干渉抑圧技術として、隣接する基地局が連携して仮想的なセルを構成し、隣接セル干渉を抑圧する“仮想化セルMU-MIMOキャンセラ”を提案し、上下回線共に通信品質を大幅に改善できることを示した。上り回線の受信方式としてMIMOに代わりSIMOが適用される場合がある。本稿では、仮想化セルMU-MIMOキャンセラの上り回線にSIMOを適用した場合の干渉抑圧効果を明らかにする。
Beyond 5Gでは,これまで以上に上りリンクの大容量化が求められるが,その実現に有効な大規模マルチユーザMIMO (Multi-Input Multi-Output) では,基地局において大規模マルチユーザ検出が必要である.高精度な検出方式として知られる一般化近似メッセージ伝搬法 (GAMP: Generalized Approximate Message Passing) は,リンクレベルシミュレーションにおいて優れた検出特性を達成することが確認されている.本稿では,初めてGAMPを検出方式として採用したシステムレベルシミュレーションを行い,スループットの改善効果を明らかにする.
Massive MIMOシステムにおいて容量増大のために空間多重数を増加する場合,チャネル推定に必要な直交系列数には上限があることから,それらは各セルにて繰り返し用いることになり,その結果パイロット信号によるセル間干渉(パイロット汚染)が生じる.このためセル間干渉(ICI)に加えユーザ間干渉(IUI)も十分に抑圧できない.これまでに,干渉の影響を含むチャネル推定値に基づいたセミブラインド干渉抑圧方式を提案した.本稿では,ユーザ端末(UT)が複数のアンテナを備えた場合のビームフォーミング(BF)による性能改善効果を明らかにする.
マクロセル内部に同一周波数を用いた複数のスモールセルを設置して構成するHetNet (Heterogeneous Network) 構成は、周波数利用効率を向上させる技術として期待されている。この構成ではマクロセル、スモールセルが共に同一周波数を用いることから干渉抑圧が不可欠である。筆者らは上り回線を対象として、マクロセルにおいて協調制御ネットワークを介してスモールセル端末からの干渉を除去する“ネットワーク連携上り回線干渉キャンセラー”を提案した[1]。一方、自セルの周囲には連携制御を行っていない異なるHetNet構成のマクロセル(及びスモールセル)があり、これらの端末からの干渉が到来する。本稿では、これらの干渉を考慮した実環境を想定した “ネットワーク連携上り回線干渉キャンセラー”の適用効果を評価する。
休 憩(10:30 再開) 座長 中村 理(シャープ)
B-5-5 |
教師なし学習のCNNに基づく送信電力及び送信ビームフォーミング協調制御
○玉田直人・張 裕淵・府川和彦(東工大) |
B-5-6 |
A Distributed Reinforcement Learning Approach for Inter-Cell Interference Coordination
○△Yuchen LIU・Yuyuan CHANG・Kazuhiko FUKAWA(Tokyo Tech) |
B-5-7 |
Power Control Based on Multi-layer FISTA for Small Cell MIMO Networks
◎Haoxiang LUAN・Kazuhiko FUKAWA・Yuyuan CHANG(Tokyo Tech) |
B-5-8 |
機械学習を活用した60GHz帯無線LAN端末位置測位実験
○岩國辰彦・内田大誠・新井拓人・和井秀樹・北 直樹(NTT) |
B-5-9 |
敵対的生成ネットワークによる受信信号データセットの拡張
◎小島 駿(宇都宮大)・赫 赫・王 君ハン(千葉大)・丸田一輝(東京理科大)・安 昌俊(千葉大) |
近年,移動通信では急増するトラフィック需要に対応するため,マイクロセル内に小セルを導入し周波数利用効率の向上を図っている.周波数リソースの制約により同一周波数帯を異なる小セル間で再利用するため,セルが重なるセル端ではセル間干渉(ICI)が発生しシステム容量を劣化させる.ICIを抑圧する方法の一つにICI協調(ICIC)がある.既存のICIC手法は,反復アルゴリズムによる膨大な計算量,送信電力制御のみによる不十分な干渉抑圧効果,集中制御による適応性及び拡張性の制約が問題となる.これらの問題に対処するため本研究では教師なし学習の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて基地局(BS)側の送信電力と送信ビームフォーミング(BF)を協調的に制御するICICを提案する.計算機シミュレーションにより提案手法の有効性を明らかにする.
In mobile communications, inter-cell interference (ICI) can severely degrade overall system capacity. To alleviate ICI, this thesis applies multi-agent reinforcement learning (MARL) to three-sector micro-cellular systems, which aims to jointly optimize transmit power levels and beamforming vectors of base stations (BSs). Each BS, which plays a role of the agent in the reinforcement learning, communicates with each other so as to exchange partial environment observation. Specifically, the agent is expected to exploit local observation and to exchange information on the same environment for making decisions. Computer simulations show that the proposed scheme can achieve almost the same average system capacity as local exhaust search (ES) in 3-Links and 21-Links models, while requiring much less computational complexity, and that it can be extended to larger scale systems.
Transmit power control can be regarded as one of inter-cell interference coordination (ICIC) techniques, to which neural networks (NNs) have been applied recently. However, the converge speed when training NN tends to be very slow because the number of its weights is very large. To speed up the training process, this article proposes to employ the fast iterative shrinkage-thresholding algorithm (FISTA) for training of NN to optimize downlink transmit in combination with interference cancellation (IC) for small cell MIMO networks. Especially, the feedforward network is redesigned by multi-layer FISTA, which can learn global features more easily. Computer simulations demonstrate that the proposed NN can converge the training progress faster than the conventional one and can achieve performance closer to that of the greedy search.
増え続ける無線通信トラフィックを収容するため,ミリ波帯及びサブテラヘルツ帯等の高周波数帯の利用検討が進んでいる.高周波数帯を用いる無線通信では通信信号の広帯域性と指向性ビームにより,基地局1台で通信しながら端末の距離や方位を推定する端末位置測位が可能である.一方屋内や見通し外環境など反射波で通信する場合,反射波の到来方向と経路距離が実際の端末方向と距離に対応しないため測位誤差が大きくなる課題がある.本稿では,通信信号から取得できるリンク距離や使用ビーム等の情報を機械学習における教師あり学習の一手法であるランダムフォレストを用いて回帰処理することで反射波により通信する環境でも測位精度が向上することを示す.
近年益々複雑化する無線通信ネットワークに対し,高い汎化能力を持つ機械学習技術の導入が注目されている.しかしながら無線通信環境は多岐に渡るため,機械学習を適用する際に最も重要となるデータセットの収集がボトルネックとなってしまう.そこで本稿では,敵対的生成ネットワーク(GAN)を用いることで,少量の受信信号データセットからでも十分な学習が可能なデータセットの拡張について検討する.受信信号の3次元グラフであるスペクトログラムをデータセットとして用いるSNR分類において,提案法によりデータセットを拡張することで高い精度を達成可能なことを明らかにする.
9月6日 13:00〜17:00 Meeting 20 座長 菅野一生(KDDI総合研究所)
B-5-10 |
大学内ローカル5Gネットワークの展開と今後の展望
○山口一弘・征矢隼人(諏訪東京理科大)・齋藤星汰・大石 孟・飯田純也(NECネッツエスアイ)・松江英明(諏訪東京理科大) |
B-5-11 |
ローカル5G無線基地局を学内屋外設置した場合の受信電力特性に関するシミュレーションおよび実験評価
○梅落亮太・浦沢碩規・西島隆正・征矢隼人・山口一弘・松江英明(諏訪東京理科大) |
B-5-12 |
ローカル5Gシステムを用いた4Kリアルタイム動画像の伝送実験評価
◎西島隆正・松江英明・山口一弘・征矢隼人・梅落亮太・浦沢碩規(諏訪東京理科大) |
B-5-13 |
ローカル5Gを用いた超高精細映像転送システム実現に向けた取り組み
○留場宏道・白川 淳・小野寺 毅・難波秀夫(シャープ) |
B-5-14 |
新幹線回送線ローカル5G走行試験における調整対象区域の測定
◎洞井裕介・山下真弘・石間礼次(JR東日本)・仙田航基・松永博也・坂本洋介(NEC) |
ローカル5Gは,携帯電話事業者による5Gの全国サービスと異なり,地域や産業などの個別ニーズに応じ,地域の企業や自治体等の様々な主体が自らの建物内や敷地内でスポット的に柔軟に構築できる5Gシステムである.総務省では,ローカル5G普及のための取組の1つとして,多種多様なローカル5G基地局の設置場所・利用環境下を想定したユースケースにおけるローカル5Gの電波伝搬等に関する技術的検証を実施するとともに,当該検証を通じてローカル5G等を活用した課題解決モデルを構築する「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」に取り組んでいる.こうした背景を受け,本学ではローカル5Gシステムをキャンパス内に独自展開し,教育リソース,研究リソースとしての活用を目指し,計画を進めている.本稿ではその概要と今後の展望について報告する.
学内の研究棟屋上にローカル5G無線基地局を設置した場合の下り回線の受信電力特性について,レイトレーシング法により求めたシミュレーション結果と実機による実測結果を比較評価した結果,良好な一致を得たので報告する.
昨今5Gシステムを用いたリアルタイム高精細映像伝送実験などが検討されている。 DXなどを推進するため、本学においても学内にローカル5Gシステムを設置して、4Kリアルタイム動画像伝送実験を行った。そこで、4Kリアルタイム動画像伝送のためにシステムを構築し、送信側および受信側の画像信号の遅延時間RTTや動画像伝送時のビットレートを可変した場合における画質等の基本特性評価を行った。
我々が日常的に扱う映像の解像度は高解像度化が進んでおり,最近では,超高精細(8K)映像の実用化に向けた取組みが盛んに行なわれている.8K映像は単に視聴するだけではなく,様々な産業応用が期待されており,建設現場等における事故リスク低減を目的とし,8K映像の無線伝送を想定したソリューション実現が検討されている.土木建設現場は,山間部など商用5Gがエリア展開されていない場所も多く,8K映像を安定的に配信するためのエリアネットワークを独自に設計して展開することができるローカル5G(L5G)に対する期待は大きい.本稿では,稼働中の土木建設現場を対象とし,ローカル5Gを用いた8K映像転送システム実現に向けた実証試験の取り組みについて報告する.
鉄道事業者において,指令からの遠隔監視等のニーズが高まっている.5Gシステムは,このための有力なソリューションである.ローカル5Gは,企業等が自らの建物,敷地内で5Gシステムを整備できる制度であるが,鉄道敷地内に導入するためには,車両走行中の伝送品質等の動的変化について,鉄道固有環境での検証が必要である.JR東日本研究開発センターでは,新幹線回送線沿いにローカル5Gシステムを構築し,指令からの監視等,走行中の車両上から地上への映像伝送を想定した検証試験を実施した.本稿では,この検証の内,ローカル5Gにおける調整対象区域の観点から,敷地外電波強度測定結果を示す.
休 憩(14:30 再開) 座長 石原浩一(NTT)
B-5-15 |
鉄道運行制御システム向け5G活用ガイドラインの策定に向けた検討項目の整理
○北野隆康・岩澤永照・中村一城・竹内恵一・川崎邦弘(鉄道総研) |
B-5-16 |
適応型RANにおける通信品質保証のための動的制御の実証
○小日向礼緒・平山晴久・塚本 優・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-17 |
高度5Gシステムのシミュレーション計算高速化にむけた並列処理の一検討
○渋谷惠美・山口 明・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-18 |
5G NRにおけるAIを用いたCSI圧縮の性能評価
◎越後春陽・原田浩樹・永田 聡(NTTドコモ)・Liu Liu・中村一成・Yazhuo Guan・Xin Wang(ドコモ北京研) |
B-5-19 |
FDD Massive MIMOにおける転移学習に基づく CSI フィードバック法のソースデータ評価
◎井上真悠子・大槻知明(慶大) |
近年,列車制御や列車無線など鉄道の安全・安定運行に関わるシステムに公衆網を活用する検討が進んでいるが,システムごとに検討されており,公衆網に対する要件が整理されていないため,検討の進め方や手順も共通化されていない.今後,5Gの展開に伴い運行制御システムへの導入が進むことが期待されることから,仕様策定や導入方針などの効率化を図るためには,共通部分をまとめてガイドラインとして策定することが望ましい.そこで本稿では,ガイドライン策定の必要性やコンセプトを示すとともに,策定に向けて重要となる検討項目を抽出して整理する.
2025年ごろの高度5G時代には,大容量,超低遅延,超多接続などの多様な要求品質の通信トラヒックが想定されることから,個々のサービスに必要な品質で通信を常に提供する高信頼なネットワーク制御が必要となる.筆者らは,現状の5倍のトラヒックが発生することを想定し,個々の通信サービスによるデータフローに対して要求された通信品質を担保し, かつ端末の移動を想定した適応型RAN (Radio Access Network) を提案した. 本手法においては, RAN全体の無線リソースに関して短周期での基地局機能への割当制御と, 基地局機能配置自体の変更を行う長周期での制御の2種類を組み合わせることによりトラフィックの収容と通信品質の担保を行っている. 適応型RANの実現のためには, 各制御が連携して1つのシステムとして動作する必要があるため, 実機による実証実験を計画している. 本稿では実証基盤の構成と実証内容を紹介する.
2025年頃の高度5Gシステムでは,大容量,超低遅延,超多接続に加え,基地局機能を通信サービスに応じて適応配置する仮想化RAN(Radio Access Network)の導入が検討されている.実用化に向けては,ユーザレベル,無線帯域,伝送路などの通信品質評価が必要となる.このような評価には計算機上で模擬を行う,システムレベルシミュレータ(SLS)を用いる.しかし,多数の機能の模擬によりシミュレーションが複雑になり,大規模環境ほど模擬のための計算に時間を要する.さらに,時間オーダーの基地局適用配置制御などを評価するには,シミュレーション上で長い時間の評価が必要である.このような評価を円滑に行うためのシミュレーションの高速化に向けて,計算処理の並列化を検討したので報告する.
Rel-17 5G New Radio(NR)仕様では, 周波数/空間領域で粒度の高い下りリンクのChannel State Information (CSI) を端末が基地局へ報告する際のオーバヘッドが課題とされている. そのためRel-18では5G NRの機能拡張の一つとしてAI (Artificial intelligence) を用いたCSI feedbackのオーバヘッド削減と復元性改善が検討されている. 本稿では,AI モデルを基地局と端末に配備してCSIの圧縮を行うCSI feedbackの性能についてシミュレーション評価を基に検討し、その結果を報告する.
FDD Massive MIMO において基地局で下り通信路の CSI を得る手法として,DTL に基づく CSI フィードバック法が提案されている.この手法はソースモデルを少ないサンプル数でファインチューニングすることで,低い学習コストで異なる無線環境の ターゲットモデルを得られる. このDTL に基づく CSI フィードバック法において,5 種類の CDL モデルのソースデータの違いによるターゲットモデルの NMSE 特性を過去に評価した.本稿では,それら 5 種類の CDL モデルを均等に混ぜた場合をソースデータとして新たに検討し,NMSE 特性を評価した.また,NMSE 特性とソースデータのエントロピーの関係性についても考察した.
休 憩(16:00 再開) 座長 吉野 仁(ソフトバンク)
B-5-20 |
Cell-Free massive MIMOの実現にむけた分散CPU配置のための干渉抑制手法の検討
○伊神皓生・相原直紀・塚本 優・村上隆秀・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-21 |
ユーザセントリックRANにおけるCF-mMIMOのためのAP Clustering実証実験
○塚本 優・相原直紀・伊神皓生・村上隆秀・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-22 |
ユーザセントリックRANに向けたCF-mMIMOにおけるユーザ移動速度に対する無線品質の特性評価
◎相原直紀・伊神皓生・塚本 優・村上隆秀・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-23 |
クラウドソース無線装置を用いた適応C-RAN構成における無線システムレベルシミュレーション
○宗 秀哉(湘南工科大)・丸田一輝(東京理科大)・中山 悠(東京農工大) |
筆者らは,Beyond 5Gに向け, Cell-Free massive MIMO (CF-mMIMO) を用い,user equipment(UE)が存在するありとあらゆる場所で必要なユーザスループットを確保できるuser-centric radio access network(UC-RAN)を検討している.CF-mMIMOの大規模展開を考え,UEとの送受信を行うaccess point(AP)と接続され,一括して無線信号処理を行うcentral processing unit(CPU)を異なるサイトに分散配置することで,伝送路・計算機負荷を低減する手法が提案されている[1].しかしながら,CPUが分散配置される環境では,異なるCPUに接続したUE間での干渉が発生し,CPU間のエリア境界付近のUEのユーザスループットが大きく劣化する.本稿では,実際の無線アクセスシステムへの適用を想定し,伝送路負荷や計算機負荷を低減しつつ,異サイトのUE間干渉を抑制し,高いユーザスループットを確保する新たな干渉抑制手法を提案する.
筆者らは,Cell Free massive Multiple Input and Multiple Output (CF-mMIMO) を用いて,User Equipment(UE)が存在するありとあらゆる場所でUEが必要な通信品質を確保できるuser-centric radio access network(UC-RAN)を提案している.UC-RANでは,信号処理負荷を抑制しつつUEの通信品質を確保するため,UE毎にその無線品質に応じて信号の送受信を行うAccess Point(AP)を選択するAP cluster化技術を用いる.これまで,AP cluster化技術の実現性を示すため,単一UEでの実証実験を行った.本稿では,2UEでの通信品質を評価し,両UEが場所に依らずに通信品質を確保可能であることを実験結果から示す.
Beyond 5Gの実現に向けて,筆者らは,Cell-Free massive Multiple Input and Multiple Output (CF-mMIMO) を用いて, User Equipment (UE)が存在するありとあらゆる場所で必要な無線品質を確保するユーザセントリックRANを研究している.ユーザセントリックRANでは,信号処理の計算量を削減しながら無線品質を維持するために,信号の送受信を行うAccess Point (AP)の集合であるAP clusterが,Radio Intelligent Controller (RIC)により各UEに対して形成される.UEの移動に着目すると,UEがAP cluster内のAPから離れることで,AP cluster内のAP-UE間のRSRPが劣化する.このRSRPの劣化により,UEが得られる無線品質である,CF-mMIMO信号処理後のSINRを維持できなくなる恐れがある.そのため,UEが移動しても,高い無線品質を確保できるように,一定周期でAP clusterを再形成する必要がある.本稿では,UEの移動環境においても無線品質を維持できるAP cluster形成手法を検討するために,UEの移動速度に対するSINRの特性を評価した.
端末が高密度に配置する環境における無線通信の大容量化のため,集中型無線アクセスネットワーク(C-RAN)が検討されている.ユーザの行動により端末分布が時刻や場所で変動するため,それに応じて通信要求も時空間で変動する.
時空間の通信要求の変動に対応するため,車等のクラウドソース無線装置(CRU)が適応的にスモールセルとして動作する適応C-RAN構成を提案している.本稿では,無線システムレベルシミュレーションにより提案法のスループット特性を明らかにする.
9月8日 9:00〜11:45 Meeting 20 座長 久保博嗣(立命館大)
B-5-24 |
周波数に依存する電力増幅器の非線形性を同一の係数で補償するNN-DPD
○山下 青・榊 裕翔・中溝英之(三菱電機) |
B-5-25 |
ピークキャンセラを適用した多素子MIMO-OFDMにおける帯域内歪み補償用アンテナ選択に関する検討
◎野島 陸・牟田 修・槇田智史(九大)・丸田一輝(東京理科大) |
B-5-26 |
高周波数帯シングルキャリア周波数領域等化系におけるIQインバランス補償の一検討
○福園隼人・栗山圭太・長谷川 仁・田中健太郎・宮城利文・内田大誠・鬼沢 武(NTT)・須山 聡・山田貴之・岸山祥久(NTTドコモ) |
B-5-27 |
SE blockを用いた畳み込み残差ニューラルネットワークによるDigital Pre-distortion
○渡辺大詩・大関武雄・天野良晃(KDDI総合研究所) |
B-5-28 |
高周波数帯シングルキャリア伝送におけるベクトル合成マッピングを用いたPAPR低減
○栗山圭太・福園隼人・長谷川 仁・田中健太郎・宮城利文(NTT) |
移動体通信では,無線送信機の高効率動作と線形性を両立するために,主に電力増幅器で生じる非線形性を補償するディジタルプリディストーション(DPD)が用いられる.近年はニューラルネットワーク(NN)を用いたDPD(NN-DPD)が研究されている.4G/5Gの周波数をカバーするような広帯域な電力増幅器に対するDPDでは,無線送信機の動作中に,各周波数によって異なる非線形性を補償することが求められる.そのためには補償する非線形性の分だけDPDの係数が必要となり,係数の数が多くなることが課題である.本稿では,周波数ごとに異なる電力増幅器の非線形性を同一の係数で補償可能なNNを提案し,そのNNを用いたDPDの効果をシミュレーションにより示す.
多素子MIMO-OFDMに適したピーク対平均電力比抑圧手法として, ピークキャンセラとその帯域内歪み補償技術が提案されている.この方式では, 送信アンテナ素子の一部を歪み補償アンテナに割り当て,帯域内歪みを打ち消すビームを形成することで,受信(ユーザー)側で特別な信号処理を行うことなく歪み補償を行う.本稿では, ピークキャンセラ(PC)を適用した多素子MIMO-OFDMにおいて,適切な歪み補償アンテナを選択することで帯域内補償特性を改善する方式を提案する.提案方式の特性を計算機シミュレーションにより評価し,その有効性を示す.
本稿では,IEEE 802.11ad-SC ベースのSC-FDE (frequency domain equalization) 系のフレーム構成を改変したIQ インバランス補償法を提案する.シミュレーションにより,提案法が符号化BER (bit error rate) 特性を改善することを示す.
移動通信システムの広帯域化に伴って電力増幅器 (PA) の非線形歪みが課題となり,PAの非線形特性をモデリングして逆特性を事前に補償する Digital Pre-distortion (DPD) の研究が進められている.近年では,より正確にモデリングするためにニュー ラルネットワークなどの深層学習技術の応用が提案されている.筆者らは畳み込みニューラルネットワークを用いたRVTDCNN(real-valued time-delay convolutional neural network)にSE (Squeeze-and-Excitation) blockを組み合わせた手法を提案し,比較的少ない計算量で高精度にモデリングができることを示した.本稿では,提案した手法にさらにPAの線形挙動と非線形挙動を別々に学習する残差学習(Residual learning)を組み合わせ,DPDを行った際の歪み補償性能と計算量を示す.
高周波数帯では,電力増幅器の非線形性が課題の一つであり,PAPR特性に優れるシングルキャリア伝送が再注目を集めている.しかしながら, 64 QAMなどの振幅変動の大きい多値変調を用いる場合は,PAPRが増加する.本稿では,ベクトル合成マッピングを用いたPAPR低減法を提案する.シミュレーションにより,提案法がBER特性を改善させることを示す.
休 憩(10:30 再開) 座長 安達宏一(電通大)
B-5-29 |
UAV Positioning and User Pairing in NOMA via Reinforcement Learning
○△Ahmad Gendia・Osamu Muta(Kyushu Univ.)・Sherief Hashima(RIKEN-AIP)・Kohei Hatano(Kyushu Univ.) |
B-5-30 |
Constant Amplitude NOMA-OFDM Wireless Communication System
○Zihan Wang・Kazuhiko FUKAWA・Yuyuan CHANG(Tokyo Tech) |
B-5-31 |
Reconfigurable Intelligent Surfaceにおける量子アニーリングに基づく2値位相分布最適化
◎濱 優人(横浜国大)・来山大祐・高橋宏行(NTT)・落合秀樹(横浜国大) |
B-5-32 |
RIS完全自立化に向けたRISパネルスリープ手法の一検討
○岩渕匡史・大宮 陸・小川智明・鷹取泰司(NTT) |
B-5-33 |
Device-to-Device Communications via Fog Nodes using Parallel Interference Cancellation
◎Binu Shrestha・Yuyuan Chang・Kazuhiko Fukawa(Tokyo Tech) |
To provide reliable high-speed communications in disaster areas where the main serving base stations (BSs) are temporarily out of service, unmanned aerial vehicle (UAV) can be utilized to support coverage to selected receiver equipment (RE) in the stricken zone. Non-orthogonal multiple access (NOMA) allows multiple REs to share the same resource blocks using varying UAV transmit power levels. Proper UAV placement and selection of candidate REs for pairing is critical for an efficient utilization of the available resources. However, the optimal selection through an exhaustive search is prohibitive. Double deep-Q networks (DDQN) and multiarmed bandit (MAB) are promising reinforcement learning (RL) strategies for such a problem in wireless communications. In this article, RL-based DDQN and MAB joint UAV positioning and user pairing schemes are proposed for downlink NOMA.
Non-orthogonal multiple access (NOMA), which linearly combines multiple user signals, can improve spectral efficiency of wireless communications. Joint NOMA and orthogonal frequency-division multiplexing (OFDM) suffers from high peak-to-average power ratio (PAPR) as well as OFDM. To minimize such PAPR, this article proposes to apply a constant-amplitude modulation scheme\cite{b1} to NOMA-OFDM. The proposed scheme decomposes a NOMA-OFDM signal into two constant-amplitude signals, which are transmitted at different timing. Computer simulations demonstrate that the proposed scheme can achieve lower PAPR than the conventional NOMA-OFDM, while maintaining good bit error rate (BER) performance, when the LPF is followed by nonlinear power amplifier (PA).
第6世代移動通信システム(6G)に向けては,多様化する無線通信システムへの要求に対してさらなる高周波数帯の活用が検討されている.一般にミリ波やテラヘルツ波は強い直進性を有するため,Reconfigurable Intelligent Surface (RIS)を用いた伝搬路制御技術への注目が高まっている.しかしながら,RISでは極めて多数の位相素子を実用的な計算量で適切に制御することが要求されるため,様々な位相制御手法が提案されており [1,2],実システムへの実装を考慮した現実的なハードウェア制約下での検討が喫緊の課題である.本稿ではRISの各素子における位相が2値に制約される条件を想定し,量子コンピューティングによりRIS の位相分布を最適化する手法について検討を行う.また,実際に量子コンピュータを用いた提案手法で設計した位相分布によって,良好な受信信号電力が得られることを計算機シミュレーション結果から示す.
Reconfigurable Intelligent Surface (RIS)に注目が集まっている.RISの特徴の1つとして,電力増幅を行わないため比較的低消費電力であることが挙げられるが,電気的な制御を伴うため外部電源への有線接続が必要である.RISを多数設置し,環境変化に対応しながら柔軟に無線システム性能を高めるためには,そのような制限からも解放されることが望ましい.そこでRISと環境発電の組合せによる完全自立型のRISを検討する.本稿では,RISの低消費電力化のためにRISパネルスリープ手法を提案する.
Underlay in-band device-to-device (D2D) communication allows users to share frequency resources with existing cellular systems, causing interference with cellular users. Successive interference cancellation (SIC), which detects and subtracts user signals in descending order of received power, can cancel the above interference and has already been applied to fog nodes that manage machine-to-machine communication. However, SIC suffers from error propagation when power differences of received signals are small. This article proposes to apply parallel interference cancellation (PIC) based on maximum likelihood detection on fog nodes. Computer simulations show that PIC is superior to SIC in terms of average throughput.
9月9日 9:00〜11:45 Meeting 20 座長 成末義哲(東大)
B-5-34 |
ミリ波UAV無線局ネットワークの低消費電力化に関する検討
◎山本蒼汰・タン ザカン・阪口 啓(東工大) |
B-5-35 |
HAPSモバイル通信における2段階動的セル制御アルゴリズム
○柴田洋平・高畠 航・星野兼次・長手厚史(ソフトバンク)・大槻知明(慶大) |
B-5-36 |
HAPS間通信を想定したフィーダリンク用無線装置の実験評価
○松浦一樹・太田喜元(ソフトバンク) |
B-5-37 |
セルラー網を用いて遠隔操縦可能とするケータイドローン飛行制御システム
○張 亮・前迫敬介・米田 進(ソフトバンク)・藤井輝也(東工大) |
B-5-38 |
捜索対応ドローン無線中継システムを用いた雪山遭難者の位置特定の実証実験
◎前迫敬介・松浦一樹・飯塚哲也・田島裕輔・張 亮・米田 進(ソフトバンク)・藤井輝也(東工大)・江田紀一(ソフトバンク) |
自然災害の多い日本においては,災害発生時にICTを活用した迅速な救助活動が大いに期待されている.我々は,災害地における高精細映像伝送等を想定して,UAVを一時的なセルラー基地局・中継局とし,高速大容量通信ネットワークを構築することを目指している.特に,本稿ではAF(非再生中継), DF(再生中継)の二通りの無線中継方式における,システム全体の消費電力を数値計算して,低消費電力なネットワークの形態を検討する.システム全体の消費電力を駆動電力,復号電力,電力増幅器の消費電力の和から計算した結果,DFで複数の中継局を用いた時に最も低消費電力となることが判明した.
高度20kmの成層圏から地上の携帯端末に直接移動通信サービスを提供するHAPSモバイル通信において、筆者らはこれまで非一様なユーザ分布に対してエリアを最適化する動的セル制御アルゴリズムを提案した。マルチセル構成において様々なユーザ分布に対応するためには、各セルを個別に制御する必要があるため、パラメータの組み合わせ数がセル数に応じて指数関数的に増大してしまうことが課題であった。そこで、パラメータ数を削減するために共進化に基づく動的セル制御アルゴリズムを提案した。この手法では複数セルから構成されるエリアをサブエリアに分割し、各サブエリアを順番に最適化することでパラメータ数を削減しつつエリア全体を最適化する。さらにパラメータの組み合わせ数を削減するためには、各パラメータの探索範囲を削減することも有効である。しかし、様々なユーザ分布に対して事前に探索範囲を定義しておくことは困難である。本稿ではこれまでの共進化動的セル制御アルゴリズムをベースとして、探索範囲削減ステップと最適化ステップから成る2段階動的セル制御アルゴリズムを提案する。
成層圏プラットフォーム (HAPS)を用いた地上のセルラ携帯端末と直接通信する携帯通信サービスは,サービスエリアの拡大,災害時の通信手段として非常に魅力的である. HAPSの通信回線は地上に設置されたゲートウェイ(GW)局とHAPS間を結ぶフィーダリンク,HAPSとユーザ端末間を結ぶサービスリンクから成る.さらにフィーダリンク用無線装置では,GW局とのリンクだけではなくHAPS間通信としての用途も想定している.そこで当社では,相手局との位置関係やHAPSの姿勢変化を考慮した,高精度なビーム方向制御機能を搭載したフィーダリンク無線装置の試作機を開発した.本稿では開発した無線装置についてHAPS間通信を想定し,対向局それぞれに姿勢変化が生じる環境での実験評価について説明する.
遭難者の人命救助では一刻も早く遭難者の位置を特定することが重要である.筆者らはGPS受信機が搭載されている携帯・スマホを利用した遭難者位置特定支援システムを提案した.しかし,遭難場所が圏外エリアであれば,GPS情報を転送できない.そこで,ドローンに無線中継システムを搭載して基地局の電波を無線中継し,携帯•スマホとの通信を確保する「遭難者の位置特定システム」を開発した.本システムは,遠隔地から携帯網を介してドローンの操縦を行える「ケータイドローン」機能を搭載している.遠隔地から熟練操縦者によるドローンの操縦支援により,現地でのドローンの迅速な飛行と安全性の両方を実現している.従来のシステムでは,遠隔地からのドローン操縦は飛行前に予め紐づけたドローンと操縦装置(プロポ)に制限されていた.本稿では,その制限を緩和して遠隔飛行制御の柔軟性を向上させたケータイドローン遠隔飛行制御システムについて概説する.
雪山やスキー場において,雪崩などの遭難事故よる遭難者の迅速な救助を目的として,“ドローン無線中継システムを活用した遭難者の位置特定に関する実証実験”を羊蹄山ろく消防組合消防本部と共同で北海道 羊蹄山中腹で実施した.無線中継局を搭載したドローンを飛行させることで臨時通信エリアが形成され,あらかじめサービス圏外エリアの雪中に埋めていた遭難者端末5台をサービス圏内にしGPSの位置情報がサーバに送信することで,サーバ経由で位置情報表示装置(PC,タブレット等)で各端末の位置を特定することができた.その後,捜索隊員がタブレットを持ち遭難現場に向かい,端末を発見することができた.
休 憩(10:30 再開) 座長 眞田幸俊(慶大)
B-5-39 |
隠蔽通信に適した非コヒーレント検出可能なガウス変調
◎香月優真(横浜国大)・Giuseppe Abreu(Jacobs Univ.)・石橋功至(電通大)・石川直樹(横浜国大) |
B-5-40 |
Random Phase and Pattern Schemes for Wireless Physical Layer Security
◎Meng Yan・Yuyuan Chang・Kazuhiko Fukawa(Tokyo Tech) |
B-5-41 |
周波数分割複信における物理レイヤ鍵共有に基づく認証付きグラントフリーアクセス
○松崎優太・杉浦慎哉(東大) |
B-5-42 |
Study on Underwater Acoustic Communications Using Faster-Than-Nyquist Signaling
○Jingwen Zhou・Takumi Ishihara・Shinya Sugiura(The Univ. of Tokyo) |
B-5-43 |
BEM based Adaptive Signal Detection for Underwater Acoustic MIMO-OFDM Communications
○Tianhao DONG・Yuyuan CHANG・Kazuhiko FUKAWA(Tokyo Tech) |
隠蔽通信とは, 第三者に通信をしていることを検知されないための通信方式である.送信信号を複素ガウス分布に従うように構成する,ガウス変調を行うことで,時間,周波数領域で送信信号が雑音に隠れ,第三者の信号検知確率を小さくすることができる.従来方式はコヒーレント検出を前提としているが,チャネル推定のための頻繁なパイロットシンボルの送受信により,通信していることが検知される危険性がある.このことから,非コヒーレント検出可能な変調方式は隠蔽通信分野で未解決の問題である.そこで,本稿ではMIMO環境を前提とした非正方差動符号化を応用し,非コヒーレント検出可能なガウス変調方式を提案する.
Physical-layer security for wireless communications can repel physical layer attacks such as eavesdropping control signals. As its conventional schemes, artificial noise and artificial fast fading need high transmit power, while random phase (RP) can minimize the power. A major problem of these schemes is that desired signals can be intercepted by multiple-antenna eavesdroppers (Eves). Thus, this article proposes an enhanced version of RP that multiplies the desired signals by random patterns so that multiple-antenna Eve cannot detect the signals even by employing diversity combining with blind algorithms. Computer simulations show that the proposed scheme can prohibit Eve from eavesdropping the signals.
グラントフリーアクセスは,基地局が端末に対して通 信を許可するために発行するグラントを省略した低遅延方式である.超低遅延特性が重要な制御を伴うワイヤレ ス通信や多端末IoT通信における利用が期待されている.しかしながら,グラントフリーアクセスでは遅延時間削減のために認証を考慮しないことが多い.そこで本稿では,端末の認証を加えたグラントフリーアクセス方式を提案する.特に,周波数分割複信を対象として,伝搬路特性に基づく秘密鍵生成を利用した方式を検討する.
This paper uses precoded faster-than-Nyquist (FTN) signaling for underwater acoustic (UWA) communication to combat the effects of a detrimental doubly selective channel. As the explicit benefits of a reduced symbol interval of FTN signaling, the effects of a time-selective channel are relaxed.
Acoustic sound is one of the most suitable mediums for underwater long distance communications. Since underwater acoustic channels suffer from time-variant multi-paths, this report proposes a MIMO-OFDM receiver that can cope with such multi-path conditions and
increase the date rate. Some conventional receivers cannot operate well when delay time of propagation paths exceeds a guard interval (GI) of OFDM. Thus, the proposed receiver performs array combining to suppress the long delay paths and thus can improve bit error rate (BER) performance. To improve robustness against the time-variant (TV) channels, this report models these channels by basis expansion model (BEM) and then estimates parameters of the BEM models by the recursive least squares (RLS) algorithm [1]. Computer simulations show that the proposed receiver can maintain good BER performance over the underwater doubly-selective channels.
9月9日 13:00〜16:30 Meeting 20 座長 川本雄一(東北大)
B-5-44 |
OAM を用いた主回線優先型PtMP 無線伝送における複数ユーザに対する空間リソース制御方式の検討
○景山知哉・増野 淳・芝 宏礼(NTT) |
B-5-45 |
大地反射波存在下におけるSICに基づくOAM-MIMOの特性評価
◎武内暁哉・齋藤周平・菅沼碩文(早大)・小川賀代(日本女子大)・前原文明(早大) |
B-5-46 |
正方配列アレーによる OAM モード多重伝送の基礎的検討
◎釜谷俊輝・西村寿彦・大鐘武雄(北大)・旦代智哉・内田大輔(東芝) |
B-5-47 |
100 GHz帯送受信ハイブリッドBF伝送におけるマルチユーザ環境でのスループット特性
◎中村敦也・野中信秀・奥山達樹・須山 聡・山田貴之(NTTドコモ) |
著者らは, OAM 多重伝送を用いた主回線優先型のPtMP (Point-to-multi point) 無線伝送を検討している.
本稿では, 先に提案した空間リソース制御方式を複数端末の同時接続時に拡張し,副回線の総スループットを最大化する空間リソース制御方式を提案する.
提案方式適用時の主回線のスループットの要求値と副回線のスループットの関係を計算機シミュレーションによって評価し, 主回線の余剰空間リソースの有効活用の観点から, 本方式の適用範囲を示す.
OAM多重伝送のさらなる大容量化を図るべく,複数UCAを用いて,同一OAMモード内においてストリーム多重を行うOAM-MIMOが提案されている.これまでに,我々は,OAM-MIMOを対象として,OAM信号の受信特性に着目した逐次干渉除去 (SIC) に基づく特性改善法を提案するとともに,直接波のみを考慮した伝搬環境を想定したときの有効性を明らかにしてきた.本稿では,本提案方式について,現実的な伝搬環境として2波大地反射モデルを想定するとともに,偏波面として垂直及び水平偏波を想定した場合の有効性をシステム容量の観点から解析・評価する.
次世代無線通信システムでは,スモールセルのバックホール回線に固定無線通信の適用が検討されており,その手法の一つとして,軌道角運動量(OAM)を用いた空間多重伝送(OAM モード多重)の検討が進められている.OAM モード多重を実現する方法として,比較的容易に多重化が可能であることから,等間隔円アレー(UCA)が用いられることが多い.本稿では,MIMO 多重伝送で多く用いられている正方配列アレー(USA)を用いた OAM モード多重について検討を行う.素子数を 8 とする場合は,UCA と USA のいずれも隣り合う素子の角度差は 45◦ で同じため,同じ番号の素子の励振位相も同じとなる.
第6世代移動通信システム(6G)では,サブテラヘルツ帯を活用し,100 Gbps以上の超高速通信を複数のユーザが同時に享受可能な大容量通信の実現が求められる.100 GHz帯のMassive MIMO伝送のシングルユーザ(SU: Single User)環境において,基地局(BS: Base Station)と端末(MS: Mobile Station)にハイブリッドビームフォーミング(H-BF: Hybrid Beamforming)を適用した送受信H-BFのスループットがすでに評価されている.本稿では,マルチユーザ(MU: Multiuser)環境における送受信H-BFの下りリンク(DL: Downlink)スループットを計算機シミュレーションにより評価し,100 Gbps超のユーザスループットを達成できることを示し,システム性能の観点からMU-MIMO伝送の優位性を明らかにする.
休 憩(14:15 再開) 座長 岩渕匡史(NTT)
B-5-48 |
屋外環境下における28GHz帯及び39GHz帯カバレッジ測定実験
◎後藤健太・山田貴之・須山 聡(NTTドコモ)・伊藤昌嗣(エリクソン・ジャパン)・野中信秀(NTTドコモ) |
B-5-49 |
ミリ波通信におけるアンテナ高とユーザ位置情報を用いた基地局選択法
◎細井 元・新田光将・齋藤周平・菅沼碩文・前原文明(早大) |
B-5-50 |
ミリ波マルチユーザMIMO-OFDMのための周波数フラットプリコーディングの一検討
○楊 松・宮嶋照行(茨城大) |
B-5-51 |
Beyond 5G仮想化端末の非線形性による通信性能・隣接帯域への影響
○眞木翔太郎・湯田泰明・西尾昭彦(パナソニックホールディングス) |
5Gは既に世界的に商用導入が開始され,日本でも2020年3月より商用サービスが開始されている.さらに,既存の28GHz帯に加えて,5Gにおいて追加割当てされる周波数帯の候補として39 GHz帯が検討されている.本稿では,将来の39GHz帯の導入を見据え,28GHz帯及び39GHz帯の実験装置を用いて屋外環境における伝送特性を比較評価したので,その実験結果について示す.
ミリ波通信では,歩行者や自動車などの遮蔽により伝送特性が大幅に劣化することから,遮蔽の影響を考慮した特性評価が重要となる.これまでに,我々は,遮蔽確率を理論的に導出できる点に着目し,アンテナ高とユーザ位置情報を用いた基地局選択法の提案を行い,無指向性アンテナを想定したときの有効性を明らかにしてきた.本稿では,ミリ波通信で深刻となる伝搬減衰の対策として,通常ビームフォーミング(BF)が適用される点に鑑み,BF を適用したときの提案方式の有効性を計算機シミュレーションにより評価する.
本発表では,ミリ波マルチユーザMIMO-OFDMシステムにおいて,周波数に依存しないプリコーダとコンバイナの設計法を提案する.アンテナ数と利用帯域の増加に伴い計算量が増加するという従来のサブキャリヤ毎に狭帯域プリコーダを用いる方法の問題を解決することができる.周波数に依存しない全サブキャリヤ共通の周波数フラットプリコーディングが最適となる条件を示す.シミュレーションにより,提案する周波数フラットプリコーダは従来の周波数選択性プリコーダと同等の性能が得えれることを示す.
Beyond 5G向け仮想化端末技術では,ユーザ端末とその周辺の中継デバイス間をテラヘルツ(300GHz)帯で接続し,中継デバイスを仮想ミリ波アンテナとして利用する.複数のチャネルを束ねた広帯域の超高速通信が検討されている.300GHz帯では自由空間伝搬損失が大きいため,送信出力電力を大きくとることが望ましい一方,増幅器の非線形性による信号自身の歪みや,隣接チャネル間の漏洩による性能劣化が懸念される.本稿では,仮想化端末を想定した300GHz帯位相雑音,ミリ波フェージング,増幅器の非線形性を考慮した評価により,バックオフと所要SNR劣化量およびACLRの関係を示した.
休 憩(15:30 再開) 座長 村岡一志(NEC)
B-5-52 |
高周波数帯分散アンテナシステムにおけるビーム組合せ履歴に基づくビーム探索数削減法の実験的評価
◎和井秀樹・新井拓人・岩國辰彦・内田大誠・北 直樹(NTT) |
B-5-53 |
高周波数帯における階層型ビームサーチの簡易化手法
○新井拓人・内田大誠・岩國辰彦・和井秀樹・北 直樹(NTT) |
B-5-54 |
ミリ波帯CF-mMIMOでのCPU選択手法の基礎的検討
○村上隆秀・相原直紀・伊神皓生・塚本 優・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-55 |
実環境を想定したミリ波Cell Free massive MIMOの空間多重ユーザ数に対するシステム容量の評価
◎神渡俊介・菅野一生・林 高弘・天野良晃(KDDI総合研究所) |
近年,無線通信の超大容量化の実現手法として高周波数帯分散アンテナシステムが注目されている.本システムでは各分散アンテナでビーム探索する必要があり,分散アンテナ数に比例してビーム探索のオーバヘッドが増加する課題がある.そこで,著者らは各分散アンテナで同時に選択されたビームの組合せ履歴に基づくビーム探索数削減法を検討している.本稿では,60GHz帯無線LAN(WiGig)評価機を活用して,提案法を実験評価した結果を報告する.
高周波数帯では距離減衰が大きいため、超多素子のアレーによる狭ビーム化によりシステム利得を補う必要がある。ここで、特にミリ波やテラヘル波といった高周波数帯では狭ビーム化によりマルチパスの影響が相対的に低くなり、ビーム間の受信電力の関係が静的になると想定される。この特徴を活用し、階層型ビームサーチの初段のビームスイープ時の複数ビーム方向における受信電力比に基づき2段目のビームスイープを省略可能なビームサーチ手法を提案し、シミュレーション評価により屋内天井設置シナリオでビームスイープ数を約15%に低減しつつ、90%以上の確率で最適なビームが選択可能であることを示す。
筆者らは,個々のユーザの通信品質をいつでもどこでも確保するユーザセントリックRANの実現に向けて,Cell-Free massive MIMO(CF-mMIMO)を適用したRANを検討している.CF-mMIMOでは,多数のAPの信号をCPUに集約して処理を行うため,RANでのCPUの配置場所によって集約の範囲が異なり,無線品質と伝送路負荷が変化する.これまでに,ミリ波帯を用いたCF-mMIMOでのCPU配置と無線品質の関係について評価を行い,CPUを分散配置する構成が,伝送路負荷の低減と無線品質の確保に有効であることを示した.この評価では,UEの接続先CPUをランダムとしており,接続先が適切でないUEでは無線品質が低下する課題がある.そこで本稿では,UE毎の無線品質に応じて接続先を選択する手法を提案し,その効果を計算機シミュレーションで示す.
Beyond 5G に向けた要素技術として Cell-Free massive MIMO(CF mMIMO)が注目されている.本稿では, ミリ波帯においてCF mMIMOを実際に展開するシナリオを想定し, 空間多重ユーザ数に対するシステム容量の評価結果を報告する.具体的には,都市部および郊外での屋外展開を想定し, 地形・構造物データを考慮したレイトレース法により分散配置するアクセスポイント(AP) ・ユーザ端末間の伝搬路情報を取得し,集約局(CPU)におけるハイブリッドBFによる信号処理性能を加味したシミュレーションにより空間多重ユーザ数に対するシステム容量の特性を明らかにした結果を報告する.
B-5. 無線通信システムB(無線アクセスネットワーク)
9月8日 9:15〜11:30 Meeting 21 座長 瀧川将弘(KDDI総合研究所)
B-5-56 |
BRANにおける端末収容数平滑化手法のUE配置変動に対する特性
◎福島 健・佐々木元晴・中平俊朗・村山大輔・守山貴庸(NTT) |
B-5-57 |
災害時における端末接続と周波数帯域割当問題のモデル化
○松澤和泉・西山大樹(東北大) |
B-5-58 |
移動コストを考慮した可動中継局の最適位置算出方法
○村山大輔・中平俊朗・高谷 聡・守山貴庸(NTT) |
B-5-59 |
レイトレースを用いたReconfigurable Intelligent Surfaceの特性評価
○大宮 陸・岩渕匡史・村上友規・小川智明・鷹取泰司(NTT) |
第6世代移動通信システムでは個人や事業者が有する自営無線基地局(BS)も含めたセキュアな連携・統合利用が重要になると考えられる.本稿では,ブロックチェーンを用いたセキュアなBSの共用(BRAN)において,これまでに提案している各BSで参照可能なブロックチェーンの台帳情報を基にBSの提供価格を制御してユーザ端末(UE)収容数を平滑化する手法に対して,計算機シミュレーションを用いてユーザの配置方法を変えながら評価を行い,提案手法の有効性を示す.
急激に増大するトラヒックや多様化する通信要求に対応するため,基地局機能を仮想化・オープン化する取り組みが進められている.本研究では,基地局機能が仮想化した次世代通信網において災害による通信障害が発生した環境を想定し,臨時基地局を導入し喪失したエリア内の端末と通信を行う際に発生する端末収容と周波数帯域割当問題のモデル化を行う.また,モデル化したシステムを用いて計算機シミュレーションを行い,端末収容方法と周波数帯域割当方法がシステムの性能に与える影響を評価する.
基地局や中継局を移動体に積載し,物理位置を動的に制御することで,遮蔽環境やトラフィック集中エリアの遷移などの環境変化に追従可能な無線ネットワークでは,環境変化が生じるたびに独立に最適位置を求めるため,移動距離が長く非効率な移動先を選択する可能性があった.本稿では,移動体の移動先を,移動コスト(移動距離や時間)を考慮して決定することで,移動距離を抑えつつ,エリアの環境変化追従を実現する方法を提案し,シミュレーションにより有効性を評価したので報告する.
B5G/6Gにおける高周波数帯利活用のために、RIS (Reconfigurable Intelligent Surface)反射板を用いた反射方向制御によるカバレッジ改善等の取り組みがなされている。RIS制御によるエリアカバレッジの評価には、マルチパス等を考慮できるレイトレース法を用いた検討が多い。しかし既存のレイトレースシミュレータは正規反射以外の物体を考慮できないため金属反射板の代用しかなく、RISのような反射方向が動的に変化する物体の評価が困難である。本稿では、RISの動的制御による伝搬特性を、電磁界解析とレイトレースを組み合わせることで評価する手法を提案した。その結果、RIS動的制御結果がレイトレース計算に反映され、エリア内の受信電力CDFが改善し、下位10%値で約10dB向上したことが明らかとなった。
休 憩(10:30 再開) 座長 山本哲矢(パナソニックホールディングス)
B-5-60 |
アナログRoF用40GHz帯フォトニックアレイアンテナの開発
○二村真司・石村昇太・田中和樹・西村公佐・猪原 涼(KDDI総合研究所) |
B-5-61 |
A-RoFを用いたミリ波帯張出アンテナにおけるOTA品質評価
○山本泰義・髙橋雄太・白戸裕史・新井拓人・俊長秀紀・北 直樹(NTT) |
B-5-62 |
高速移動体通信のための MIMO 方式の一検討
◎宮路直享・小西たつ美(愛知工業大) |
B-5-63 |
独立成分分析を用いた大規模MIMOのチャネル推定の検討
○高橋佑弥・井家上哲史(明大) |
40GHz帯で動作するA-RoF(Analog-Radio over Fiber)用アンテナとして,PD(Photodiode)とRF回路を一体化した8×8素子のフォトニックアレイアンテナを開発し,性能の評価を行った.3GPPに準拠した帯域幅380.16MHz,変調方式64-QAM OFDMの無線信号を2チャネル使用し,20kmのアナログRoF伝送と最大3mの自由空間伝搬,および主ビーム方向を±50度の範囲で変更した際のEVM(Error Vector Magnitude)の評価を行い,すべての条件において3GPPで規定された品質条件であるEVM 8%未満を達成した.
高周波数帯無線システムは広いエリアをカバーするために多数の無線基地局が高密度に必要になるという課題がある.そこで,A-RoFを活用して無線基地局の機能を集約局と張出局に分離するシステム構成が提案されており,高密度な設置が必要な張出局の機能削減による簡易化・低消費電力化により,エリアの拡大が容易になる.本稿では,A-RoF伝送システムにおける256QAM変調方式の適応可能性について実験評価した結果を報告する.
高速移動体通信では、連続するパケットが異なるパスをたどって受信機に到達するブロックフェージング通信路が想定される。このような通信路では、一つ前の情報と現在の情報の間でフェージング係数が不変という条件が必要な非コヒーレント方式は適さない。一方、このような通信路に対して、グラスマン多様体を用いた非コヒーレントMIMO方式が提案されている。しかし、このグラスマン多様体ベースの方式は、ブロック内での急速な激しいチャネル変動には追従できない。そこで本研究では、そのような激しいチャネル変動に対し有効なMIMO方式について検討した結果を報告する。
周波数帯域の有効な利用手法として,複数の送受信アンテナからなるMIMO(Multi-Input Multi-Output)システムが用いられている.一般に, MIMOにおける信号分離には既知のチャネル行列が必要であるが,独立成分分析(Independent Components Analysis : ICA)を用いることにより,チャネル行列が未知であっても信号分離が可能になる. 一方,チャネル行列が分かっている場合,TDDの逆向き回線では,プリコーディング等によりMIMO技術を効率的に利用できる可能性がある.本検討は,ICAを用いて信号分離を行い,チャネル情報の推定を行えるのかを検証した.大規模MIMOにおける信号検出およびチャネル推定が問題なく行われることを報告する.
9月9日 13:00〜16:30 Meeting 21 座長 前原文明(早大)
B-5-64 |
チャープインデックス空間分割に基づくLoRa信号の誤検出確率低減手法
○鶴見康平・蕪木碧仁・安達宏一(電通大) |
B-5-65 |
チャープ信号による逆拡散処理とゼロパディングを用いる通信路推定方式の特性評価
◎天野匡平・大橋章範・中村亮介・中島昭範・野田雅樹(三菱電機) |
B-5-66 |
クロックドリフト補償誤差に起因するパケット衝突回避法の検討
○蕪木碧仁・安達宏一(電通大)・田久 修(信州大)・太田真衣(福岡大)・藤井威生(電通大) |
B-5-67 |
建設現場における三次元位置推定に向けた920MHz帯LoRaWAN を用いた階高推定の検討
○井上貴裕・牟田 修・中野恭輔(九大)・渡辺拓人・池田直広(東急建設) |
近年,省電力広域ネットワークの一種であるLoRaWANが注目されている.LoRaWANの物理層には,チャープスペクトラム拡散(CSS)変調方式が用いられている.CSSでは送信情報ビット列に基づき,チャープ系列を選択し,信号を時間的にチャープさせることにより帯域内で拡散する.受信機では,チャープ信号の逆拡散を行うことで,拡散利得を得ることができるため,雑音や干渉に対して高い耐性を有している.しかしながら,雑音などの影響により,受信機でチャープの検出誤りが発生した場合には,大幅に特性が劣化してしまう.近年,チャープ系列を複数のグループに分割し伝送することで,伝送効率を向上させる手法が提案されている.本稿では,チャープインデックス空間を分割し,そのグループ番号を,筆者らが以前提案したパケット型インデックス変調(PLIM)により通知することで,チャープインデックスの誤検出を低減する手法を提案する.
本発表では拡散方式にチャープ信号を用いたDS-SS方式における通信路推定方式について検討する。検討する通信路推定方式は受信されたパイロット信号を逆拡散した後に閾値以下の信号をゼロパディング処理して雑音成分を除去することにより推定精度を改善させる方式である。本発表では、これまで未検討であった閾値と性能の関係を計算機シミュレーションにより明らかにする。
筆者らは以前,端末とゲートウェイ(GW)間のクロックドリフトを活用した周期的トラフィック環境における無線リソース制御法を提案した[3].文献[3]の手法では,GWで推定した端末のクロックドリフトおよび送信予定時刻を基に,端末のクロックドリフトの補償,パケット衝突回避可能な周波数チャネルおよび送信オフセット時間の割当てを行う.しかし,端末のクロックドリフトは確率的に変化するため,クロックドリフト補償時に小さな補償誤差が発生する.GWはこの補償誤差を把握困難なため,適切な無線リソース制御が出来ず,一部の端末のパケット配信率(PDR)が著しく低下する問題がある.
そこで本稿では,端末にパケット送信中止確率を導入し確率的にパケット送信を中止することで低PDRとなる端末数が減少することを計算機シミュレーションにより示す.
高層ビル等の建設現場では作業従事者の安全確認や機材配置の管理のため, 無線信号を利用した高所作業者や機材の位置推定技術の導入が期待されている. 従来, 無線 LAN等の既存インフラを活用した屋内測位技術が検討されている. しかしながら, 建設現場等においては既存の通信インフラが存在せず, また建物の内部構造も時々刻々と変化する. したがって, 建設現場では少数の無線機で建物全体を網羅可能な三次元測位技術の確立が課題となる. 本論文では, 屋内における三次元測位を実現するための要素技術として, 建物内に配置した少数の LoRa 無線機を利用した階高推定手法を提案する. 提案方式の有効性を実験的に示す.
休 憩(14:15 再開) 座長 張 裕淵(東工大)
B-5-68 |
BLEによる蓄電池状態監視を想定したパケット遅延測定
○内田大輔・米澤祐紀・秋田耕司(東芝) |
B-5-69 |
水中音響通信に有効な並列ブラインド復調方式を用いた差動OFDM
◎藤田太一・久保博嗣(立命館大) |
B-5-70 |
並列ブラインドリサンプラ選択による三次元チャネルサウンド
◎橋本宏一・久保博嗣(立命館大) |
B-5-71 |
不等間隔アレーを用いた時空間等化器による遅延波抑圧に関する一検討
◎福本浩之・藤野洋輔・大岩美春・伊藤勇弥・奥村亮太・大森誓治(NTT) |
近年,余剰電力を用いて蓄電池を充電し,需給バランスに応じて電力を供給するシステムが注目されている.筆者らはこれまでに,蓄電池の電圧,温度を監視するCMUとそれを管理するBMUの間をBLE (Bluetooth Low Energy)で無線化することを提案した.蓄電池モジュールが置かれる蓄電池盤は金属に囲まれており,電波伝搬的に厳しい状況である.これまでに,BLE の接続確立のためのアドバタイズチャネルに関して,各種伝搬環境で測定を行った例は存在する.しかしながら,データチャネルを使い,厳しいマルチパス環境にて通信を行った場合の特性は定かでない.また,このような環境で,長期稼働可能なシステムを構築するために,実測で遅延の統計データを取った例はない.本報告では,実際の蓄電池盤にて,多数のBLE モジュールを無線接続し,通信時のパケット遅延の統計量を評価する.
水中音響通信 (UWAC) は,厳しい二重選択性伝搬環境となる.本稿では,UWACに有効な差動OFDM (orthogonal frequency-division multiplexing) について議論する.筆者らは,これまでに,伝送路予測多重遅延検波 (MDD) が,二重選択性に対して有効であることを明らかにした.本稿では,並列ブラインド復調方式を用いることで,さらに耐周波数オフセットが改善可能なことを示す.ここで,一次変調としては,QPSK (phase-shift keying) とTC (trellis coded) 8PSKを取り上げる.
水中音響通信(UWAC)は,厳しい二重選択性伝搬環境となる.加えて,M系列を用いたチャネルサウンドでは相関を算出するため,その系列の周期により耐時間選択性が劣化する.本稿では,三次元(3D)伝送路インパルス応答(CIR)計測における,リサンプラを用いて耐時間選択性の劣化を抑圧するチャネルサウンド手法の有効性について,UWACを想定したシミュレーション結果より論じる.
水中音響通信における時空間等化器の遅延波抑圧の性能向上に向けて、受波アレーの配置手法を検討する。時空間等化器は、広帯域ビームフォーマの一種であり、空間分解能はアレーの開口長に依存する。受波素子自体が物理的に大きい場合や、配列できる素子数に限りがある場合、開口長分、半波長間隔で素子を配列できない。この際、遅延波と所望波の到来方向ベクトルが一次従属になり、到来方向の組合わせに起因した出力SNR(信号対雑音電力比) の劣化が生じることがある。そこで、一次従属な2 方向の組が生じないよう不等間隔に配列した受波アレーを用いる等化手法を提案する。計算機シミュレーションを通して、等間隔配列の受波アレーと出力SNR 特性を比較することで、本手法が遅延波の抑圧性能を向上させることを示す。
休 憩(15:30 再開) 座長 酒井 学(三菱電機)
B-5-72 |
次世代無線LANシステムにおける6GHz帯利用のための基礎性能検証
◎永野航太郎・アベセカラ ヒランタ・淺井裕介・鷹取泰司(NTT) |
B-5-73 |
IEEE 802.11be マルチリンク機能のための優先的トラヒック割当技術
◎大谷花絵・アベセカラ ヒランタ・淺井裕介・鷹取泰司(NTT) |
B-5-74 |
帯域内全二重無線システムにおける送受信アンテナ間の自己干渉についての研究(その4:28GHz帯ミリ波平面アンテナの場合)
○△李 可人・松村 武(NICT) |
B-5-75 |
5Gシステムと同一周波数を利用する他システムへの与干渉キャンセラーの基礎検討
○藤井隆史(ソフトバンク)・藤井輝也(東工大) |
次世代無線LANシステムにおける6GHz帯利用の検討のために,スループットやマルチリンク伝送機能における6GHz帯利用の有効性についての簡易な検討を行い,干渉環境下の5GHz帯のみを利用する場合と比較して最大3.5倍程度のスループットが得られることを示した.
さらにマルチリンク機能において同時伝送を行う場合にはスループット向上と同時に遅延増大が生じうることを示した.
現在標準化が進められているIEEE 802.11beの主要機能にマルチリンク機能がある.本機能はデータ伝送に異なる周波数帯を同時に利用し,通信の高速化を実現するものである.一方,個々のマルチリンク端末が独立にトラヒック割当を行うと,特定リンクにトラヒックが集中し端末間で通信特性に不均衡が生じる可能性がある.そこで帯域制限および優先度重みづけを取り入れた端末の各リンクに対するトラヒック割当最適化を行い,スループット格差の是正や特定端末の優先制御を実現するトラヒック割当手法について検討を行った.また,数値計算により本手法の有効性を確認した.
本稿では、送受信アンテナとして広帯域ホーンアンテナを用いた帯域内全二重(In-band Full-Duplex: IBDF)無線システムにおけるアンテナ間の自己干渉(Self-Interference: SI)について、28GHz帯ミリ波平面アンテナを用いた測定結果を報告する。自己干渉の測定結果から、平行配置したアンテナ間の自己干渉が対向配置の場合より、20dB以上も小さく、40mmという比較的短い距離にもかかわらず、約-56dBの自己干渉となっていることが分かる。この値は、IBFDの実現に大きな意味をもつと思われる。
5Gシステムに割り当てられた周波数は現行Cバンドの周波数を用いた衛星通信システムの下り回線と同一周波数を利用しており,同一周波数干渉が課題となっている.そのため5G基地局からの干渉電力が所定値以下となるように衛星基地局からの離隔距離をとる必要があり,5Gシステムのエリア設計の障害となっている.
本稿では,5G基地局の衛星通信システムへの与干渉キャンセラーを提案し,その適用効果を簡易モデルで示す.
B-6. ネットワークシステム
9月6日 13:15〜17:00 Meeting 10 座長 松谷宏紀(慶大)
B-6-1 |
LPWAによる屋内混雑度推定に向けた基礎検討
◎細沼恵里(東大)・三好 匠・山崎 託(芝浦工大)・西山勇毅・瀬崎 薫(東大) |
B-6-2 |
端末ごとの方角推定アルゴリズムの基礎評価実験
◎浦野悠吾・小板隆浩(同志社大) |
B-6-3 |
デバイス推定技術のリソース割り当てへの応用
◎高崎智香子・郡川智洋・服部恭太・大和田英成・清水雅史(NTT) |
B-6-4 |
大容量時空間データ滞留のための送信タイミング遷移による衝突回避手法
◎金安歩尚・野林大起・塚本和也・池永全志(九工大) |
屋内環境の混雑度を推定する手法として,無線センサノードが送受信する信号の受信信号強度(RSSI:Received signal strength indication)に基づき混雑度を推定する手法が提案されている.しかし,建物内などの広範囲な場所で混雑度を推定する場合,これらの手法ではセンサノードの設置コストや利用環境の汎用性に課題がある.そこで,本稿では,低消費電力かつ広域通信が可能な無線通信規格であるLPWA(Low power wide area)を利用し,低コストで様々な環境に適用可能な混雑度推定の実現に向け,混雑度推定に用いる指標の特性評価を行う.
日々,早期発見・早期救助が命題とされている人命救助において、UAV(unnmanned aerial vehicle)を用いた端末の位置推定方法が期待されている。本稿では先行研究で既存手法として提案されていた方角推定アルゴリズムを2方向に限定して、実際の屋外環境で実験を行う。その結果をもとに、方角推定アルゴリズムを用いた際の評価を行う.
5G以降のネットワークでは,工場や一般家庭,医療など様々な用途でInternet of Things(IoT)デバイスが活用され,各デバイスが持つ通信品質要求が多様化してきており,単一のネットワークですべての通信品質要求を満たすことは難しい.そこで,使用目的やデバイスの持つ機能に応じて,ネットワークスライスやチャネルなどのリソースを適切に割り当てることで,多様な要求を満たすネットワーク提供が検討されている.従来研究では,接続されるデバイスの使用目的や機能が事前にわかっている場合に,各デバイスの通信品質要求をもとにリソース割り当てを設計している.しかし,実際のネットワークでは,デバイスがモビリティを持つため,各アクセスポイントや基地局への接続デバイスが時間変化し,事前に接続デバイスの使用目的や機能を把握するのは難しい.そのため,従来研究では,接続デバイスの事前知識なく,ネットワークオペレータ側から取得可能な情報のみから各デバイスの通信品質要求を推定するのが難しいという課題があった.本稿では,IoTデバイスの機能を推定するデバイス推定技術を活用し,リソース割り当てに応用する方式を提案する.
交通情報や気象情報などの場所や時間に依存する時空間データの利活用には,生成場所付近での地産地消が効果的である.そこで我々は車両アドホックネットワーク(VANET)を活用して,時空間データを付近のユーザへ即時に配信する時空間データ滞留方式を提案してきた.また動画像などの大容量時空間データを滞留させることで,より地域内でのデータ利活用を促進できることから,大容量の時空間データ滞留を可能にする送信制御手法の検討にも取り組んできた.本研究では,それら大容量時空間データ滞留において発生するパケット衝突を効率的に回避するための制御手法を提案し,シミュレーションによってその有効性を示す.
休 憩(14:30 再開) 座長 原 崇徳(奈良先端大)
B-6-5 |
リング型動的バックアップサーバシステムにおけるサーバ故障時の対処
○岡崎竜弥・北村光芳(東京工芸大) |
B-6-6 |
高可用分散クラスタにおけるマイクロサービスのアプリケーション分散配置方式
◎塚越健斗・上田清志(日大) |
B-6-7 |
コンテナ型NFV構成のVPN GWにおけるリソース割当方式の検討
○中村孝幸・鳴海貴允・大坂 健(NTT) |
B-6-8 |
エッジネットワーク内データ前処理機構の有効性に関する実験評価
○大嶋彩雅(九工大)・妙中雄三(奈良先端大)・塚本和也(九工大) |
B-6-9 |
多端末データ受信におけるRDMA適用時のCPU負荷低減効果に関する一検討
◎津上諒平・福井達也・谷口友宏(NTT) |
近年,新型コロナウイルス感染拡大により,インターネットサービスの重要性が高まっている.このようなサービスをクライアントに提供するにはサーバシステムが必要となり,その高可用性が重要となる.一般的なサーバ管理システムは特定の管理サーバが管理対象サーバの管理を行う.しかし,管理サーバが故障した場合には管理ができなくなる問題を有する.そこで特定の管理サーバを必要としないPeer-to-Peer方式サーバ管理システムが報告されている.しかし,管理プログラムが複雑となる問題点を有している.そこで管理プログラムが比較的単純なリング型動的バックアップサーバシステム(RDBSS)を提案する.このシステムは基本的に1台の管理サーバが1台の管理対象サーバを管理することから,複数台のサーバが故障した場合を考慮する必要がある.
近年,大規模なデータ処理を可能とする分散処理が求められている.また,通信事業者が提供するセッション制御サーバには非常に多くの能力が求められている.セッション制御サーバに求められるスケーラビリティとスモールスタート性を高めるために,マイクロサービス化した上でのアプリケーション分散配置方式を提案した.セッション制御サーバを多層化し,単調増加関数によってサーバ間の通信回数を抑制する方式を提案した.従来と提案の各方式ともに,複数の条件下において検証を行った.サーバ間の通信回数を比較することで,従来方式に対する提案方式の有効性を確認した.
NW機能別のコンテナ(コンテナ型NFV)により構成されるVPN GWにおいて,通信種別毎に転送優先度の要件が異なる場合を考える.本稿では,VPN GWのリソースを最大限活用した転送処理を行い,かつ高優先通信の転送処理性能の確保することを目的としたコンテナへのリソース割当方式を検討する.
5G/Beyond5Gの導入により,多様な接続デバイスから生成されるデータの効率的な利活用が課題となる.この実現手段としてエッジネットワーク内でのデータ前処理が注目されている.先行研究では,通信・計算資源の利用効率のためにエッジ前処理を行うサーバを選択する方法を提案したが,有効性は未検証である.そこで本稿では,エッジネットワーク内でのデータ前処理による有効性を実機環境で評価した.結果から,同一サーバ内にデータ前処理を追加することの有効性を示した.さらに,追加したデータ前処理をエッジネットワーク内の前処理サーバで実行する場合は,同一サーバで実行する場合と比べて処理時間が短縮でき,提案手法が有効であることを示した.
広域に多数配備されるデータソースからデータ収集する際に低負荷に受信するためにRDMAの利用を検討していたため、従来のTCPと比較してどの程度受信負荷を低減できるかを評価した。
休 憩(16:00 再開) 座長 木村共孝(同志社大)
B-6-10 |
TSNトランスレータを活用した産業用イーサネット通信無線化の課題抽出
◎此川志穂・松永 亮・大賀正夫・野田雅樹(三菱電機) |
B-6-11 |
CQFを組み合わせたTASスケジューリング手法
◎川上優平・川田秀雄・久保尊広・安原夏樹・阿部広尚・吉原慎一・吉田智暁(NTT) |
B-6-12 |
長距離ネットワーク向けTime-Aware Shaperスケジュール方式の提案
○岩澤宏紀・東 信博・益谷仁士・桑原 健(NTT) |
B-6-13 |
TSNにおける優先フロー収容最適化時のトポロジによる影響評価
○青木佳紀・鳴海貴允・中村孝幸・大坂 健(NTT) |
近年、ローカル5G(第5世代移動通信システム)の超高信頼・低遅延の特徴を活かし、工場の製造ラインに配備されたシーケンサ間通信など、産業用イーサネット通信の無線化が期待されている。本通信では、TSN(Time Sensitive Networking)と呼ばれる通信規格が採用されており、TSNと無線システムのシームレスな接続が課題となる。本稿では、TSNトランスレータと呼ばれるTSNと無線システムを接続する機能を試作し、無線環境が産業用イーサネット通信に与える影響について検証した結果を報告する。
近年,リアルタイム通信による遠隔制御やクラウド型アプリケーション利用を,距離の離れた拠点間で実現することへの期待が高まっている.このようなリアルタイム通信を実現する技術の一つとして,工場等の閉域NWでの利用を想定した確定周期型通信であるIEEE802.1Qbv (Time-aware Shaper: TAS)が注目されている.本稿では,共用型の大規模NWにおいて遅延保証を行う際に有効なスケジューリング手法について提案する.
近年,低遅延・低ジッタサービスへの需要の高まりから,5Gなどの次世代無線規格において,Time-Sensitive Networking (TSN)の導入が進んでいる.TSNの代表規格IEEE802.1Qbv Time Aware Shaper (TAS)では,通信種別毎に予め通信可能なタイムスロットを定めておくことでキューイング遅延を制御し,ジッタ保証を可能にする.一方TSNは車載や工場等のLANでの利用を主に想定しているため,モバイル網等の広域ネットワークで利用する場合,伝搬遅延によって送信タイミングがずれてしまう可能性がある.本稿では,伝搬遅延を考慮して送信スケジュールを補正する方式を提案し,評価を行った結果について述べる.
5Gにおける通信要件である遅延揺らぎ値を保証する技術としてTASが提案されている.TASでは優先フローを通す際にリソースを占有するため、優先フローを収容する際に経路設定や遅延挿入を最適化することで占有されるリソースを最小化できる.そこで本稿では優先フローを収容時に最適化することによる効果を様々なトポロジに対して適応させることで、各トポロジにおける占有リソースの削減効果を評価した.
9月7日 9:00〜11:45 Meeting 10 座長 西島孝通(富士通研)
B-6-14 |
深層学習を用いたネットワークオペレータの意図に基づくネットワーク設定支援手法
◎鈴木雅也・水谷后宏(近畿大) |
B-6-15 |
L2TP網のVPNユーザトラヒック自動識別方式の検討
◎井上里美・林 裕平・須藤篤史(NTT) |
B-6-16 |
転送処理異常が発生したノード特定方式の検討
○上醉尾一真・木原 拓・高橋 賢(NTT) |
B-6-17 |
機械学習ベースのアクセス制御ポリシーの信頼性に関する考察
○湯本英二・三谷昌平・植田啓文(NEC) |
B-6-18 |
トラヒック可視化技術における統計情報出力の汎用化検討
○古田晶規・林 裕平・須藤篤史(NTT) |
Currently, network operators take much time to learn network configuration commands specified a network equipment. To support the learning, Intent-based networking (IBN) is proposed, which aims to translate the network operator's intent described by natural language to real network configuration.
However, in previous research on IBN, in order to translate the operator's intent, a large amount of dataset (i.e., synonyms) is necessary to associate the operator's intent with network commands.
To save the step of collecting the synonyms, we propose an automatic configuration generation IBN scheme from the network operator's intent described by natural language without collecting the synonyms. In concrete terms, our IBN scheme directly finds the corresponded network configuration from network configuration documents by using deep learning.
本稿では,著者らが研究開発を進めているxFlowプロキシから送出するフロー統計情報に,
VPN情報を自動で収集、紐づける「VPNユーザトラヒック識別の自動化方式」を検討する.
ノードを跨るパケット転送処理のみに異常が発生した際には、ノードが異常を検出することができず、異常個所の発見および予備系経路への切り替え実施に大幅な時間を要して、長期間にわたってユーザ通信断が発生する場合がある。
著者らはネットワークの1か所から試験パケットを流入させることにより、任意区間の遅延量をμ秒オーダーの精度で測定する方式を提案している。本稿では、本方式を拡張することにより、全ルータ間のパケットロス発生状況の把握及び転送処理に異常が発生したノードを特定する方式を提案する。
ネットワーク多様化,構成の複雑化に伴い,アクセス制御ポリシー(以下,ポリシー)の設計が高度化している.デバイス位置やユーザ認証情報などのデータが収集できる一方,それらを反映した人手でのポリシー設計は困難である.そこで,Machine Learning(ML)によるポリシー設計の自動化を目指し,その課題を考察する.
キャリア網で提供している各サービスは,IPv4,IPv6,MAP-E,IPsec,L2TP等,様々なプロトコルスタックが用いられている.これらに柔軟に対応するため,適切なフロー統計情報を可視化する必要がある.本研究は,著者らが研究開発を進めているxFlow変換装置にて,フロー統計を集計する際に指定するkey情報を汎用化する方式を提案する.
休 憩(10:30 再開) 座長 佐藤丈博(京大)
B-6-19 |
ステートレスなトラヒック分散率向上手法の提案
◎王 博臣・横井俊宏・望月このみ・松岡康行(NTT) |
B-6-20 |
複数エリアに跨るネットワーク間接続機能の配備位置選択方法
○武井勇樹・中務諭士(NTT) |
B-6-21 |
MEC間ハンドオーバ導入時におけるVPNゲートウェイ電力削減法
○杉園幸司・宮本克真・加納浩輝・河野伸也(NTT) |
B-6-22 |
アクセス網を用いた異種網間U-Plane通信乗り入れに関する一検討
◎渡辺眞成・武井勇樹・中務諭士(NTT) |
B-6-23 |
OpenFlow を利用したクライアントネットワークの切替手法
◎坂下峻昭・佐藤寧洋(阪電通大) |
マルチパストポロジにおける帯域の有効活用や障害時のトラヒック影響を小さくするために複数パスに対してトラヒックを分散させて転送する方式を採るが、IPトラヒック分散にはトラヒックが特定のリンクに偏るという課題がある。そこで本稿では、本課題に対して、ハッシュキーとアルゴリズムを動的に切り替えることで、より偏りの少ない分散制御を実現する方式を提案する。
複数の県間などのエリアに跨る大規模なネットワークにおいて,各エリアに網間接続点するための装置が配置されていることを前提に,NW品質を担保する通信経路の選択のための接続点の配置位置の選択方法を提案・評価する.
モバイル端末活用型インタラクティブサービスでセキュアな低遅延通信を導入する方法としてモバイルアクセ
スエッジクラウド(MEC) と仮想プライベート網(VPN)の活用が注目を集めている.本システムの主要課題は通
信の暗号化やトラヒックの転送先決定を担当するVPNゲートウェイ(VPN GW)[1] の電力コスト削減である.
本稿ではVPN ユーザ向けMEC 間ハンドオーバ導入時にユーザの増減に応じてGW を起動停止する,VPN GW 稼働電力削減方法と性能評価法を提案する.
近年,低遅延通信への要求からMEC[Mobile Edge Computing]の活用など,より低い階梯で通信を実施したいという需要が高まっている.より良い低遅延特性の実現には最短経路で通信を行うことが望ましいため,アクセス網での通信制御が重要であると著者らは考える.本稿ではアクセス網端のルータでパケット処理を行い,低階梯で異種網間通信を実現する方式を提案する.
OpenFlow によるクライアントネットワーク単位での切替手法を検討し、簡単な動作検証を行う。
9月8日 9:00〜11:45 Meeting 10 座長 滝田大介(三菱電機)
B-6-24 |
無線触覚伝送のトラヒック削減に関する一検討
◎小椋登夢・北村翔吾・藤橋卓也・猿渡俊介・渡辺 尚(阪大) |
B-6-25 |
グラフニューラルネットワークを用いた無線点群伝送に関する基礎的検討
○伊吹将一・岡本 翼・藤橋卓也(阪大)・秋濃(小池)俊昭(Mitsubishi Electric Research Labs.)・渡辺 尚(阪大) |
B-6-26 |
MANETにおけるノード中継遅延を考慮したGreedy Forwarding
◎井ノ上怜央奈・吉田政望・野口 拓(立命館大) |
B-6-27 |
MANETにおけるロジスティック回帰分析を用いたブラックホール攻撃防御法
◎金井大河・吉田政望・野口 拓(立命館大) |
B-6-28 |
時間的変動を考慮した無線通信品質予測に関する一検討
○澁谷尚希・河村憲一・佐々木元晴・守山貴庸(NTT) |
ネットワーク技術の発展とともに高精細映像と対応する音情報を利活用する Virtual Reality (VR) に対する需要が娯楽,教育,医療などの分野において高まっている.多様な分野への VR サービス展開が進むにつれて,映像情報や音情報から得られる視覚情報・聴覚情報だけでなく,触覚情報・味覚情報・嗅覚情報に挙げられる Multiple SensorialMedia (MulseMedia) を効率的に圧縮・伝送する技術が注目を集めている.本稿では MulseMedia の一種である触覚情報の無線伝送に向けた手法について検討する.
点群は 3 次元空間上の点を多数用いて 3 次元情報を表現する.点群を無線路を介して伝送する場合,伝送中に発生する雑音の影響を低減しつつ,3 次元情報をより正確に表現できることが重要となる.本稿では,点群伝送に要するデータ量の削減と,無線伝送路において生じる雑音に起因する品質低下に対処するために,グラフニューラルネットワーク (Graph Neural Networks: GNN) に基づいて点群情報を潜在変数に圧縮して無線伝送路上で伝送するとともに,受信側では得られた潜在変数を点群情報に復元することで両課題を解決する新たな点群伝送手法を提案する.
近年, コンピュータ性能や通信速度の向上に伴い高性能なモバイル端末が普及しており, 新旧多種多様な端末が混在している. しかし, MANETにおける既存ルーチングプロトコルの大部分は全ての端末が同一性能であると仮定している.そのため,端末処理性能が不均一である現実環境における既存ルーチングプロトコルの性能は十分には検証されていない.本稿では, 中継端末の処理性能差を考慮した環境で, 中継端末を選択する指標として端末の処理性能を用いた新たなGreedy Forwardingルーチングプロトコルを提案する. 計算機シミュレーションによる実験の結果, ノードの性能差が広がるほど, 既存手法と比較して提案手法は遅延時間を減少できることを示した.
モバイルアドホックネットワーク(MANET)における脅威の1つとしてブラックホール(BH)攻撃がある.MANETのルーチングプロトコルであるAODVでは通信経路構築のためにシーケンス番号とホップ数を用いる.AODVにおけるBH攻撃はシーケンス番号とホップ数の値を詐称することで良い経路であるように振る舞い,攻撃を行う.本稿ではシーケンス番号の単位時間あたりの増加量と宛先ノードまでのホップ数をロジスティック回帰分析の説明変数として用いることで,BH攻撃の検知を行う防御方法を提案する.シミュレーション実験を行い,提案手法のBHノード誤検知率が既存手法よりも低いことを示し,提案手法の有効性を評価した.
筆者らは,機械学習を活用し,移動体向けに無線通信の品質を過去の実績データから予測する技術に取り組んでいる.本稿では,安定通信を目指すうえでの課題となる,移動体の位置変動以外の無線品質変動要因を考慮するために,時間帯情報・受信電力情報も特徴量へ加えた結果を報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 沢辺亜南(NEC)
B-6-29 |
電力領域非直交多元接続によるALOHA方式のスループット特性
◎△市村友玖・塩田茂雄(千葉大) |
B-6-30 |
無線マルチホップ連合学習へ向けた実装実験
◎小野翔多(東大)・山崎 託・三好 匠(芝浦工大)・西山勇毅・瀬崎 薫(東大) |
B-6-31 |
IEEE802.11ax無線LANAPの通信手順と通信性能に関する性能評価
◎中島千晴・田村 瞳(福岡工大)・野林大起・塚本和也(九工大) |
B-6-32 |
5G アーキテクチャを構成するリソースのモデリングに関する考察
○山添麻悠・佐藤正崇・金井俊介・堀内信吾(NTT) |
B-6-33 |
ローカル5Gと既設ネットワークの相互接続におけるモバイルルータ利用時のIoT機器識別技術
○大沼晃浩・大石裕司・眞下大輔・高瀬誠由(日立) |
基地局側での集中制御を行うことなく,多数のIoT 端末を収容する目的で,電力領域非直交多元接続(Power-Domain Non-Orthogonal Multiple Access:PD-NOMA)をslotted ALOHA 方式に適用する提案が行われている.本稿では,PD-NOMA をslotted ALOHA 方式に適用した際の達成可能なスループットを理論的に評価する.
Internet of things(IoT) やセンシング技術の発達により,センサを搭載したデバイスが急速に普及している.
このセンサで収集したデータを分析するために機械学習が用いられる.
しかし,機械学習を実行する上で,計算施設に対して負荷が増大する問題や,計算施設までの通信量が増大する問題がある.
そこで,分散機械学習に着目する.
分散機械学習において,複数のデバイス間の通信にローカルネットワークを用いることで計算量と通信量を分散できる.
本稿では,無線マルチホップ通信を用いた連合学習(FL)を実装してホップ数に応じた学習効率を評価した.
本研究室では過去に様々な製造メーカのIEEE802.11ac規格の無線LANを使用して性能評価を行った結果,通信手順や発生する制御フレーム,フレーム集約方法が異なることに起因して,通信性能も異なることを明らかにした.本研究では11ax準拠の各種メーカの無線LAN機器においても同じ問題が生じるかを検証するため,11ax準拠無線LAN単体におけるダウンリンク通信に関する実験を通して,機器の実機による通信手順と通信性能に関する調査を行った.その結果,MAC制御,チャネルボンディング手法,エアタイムは共通化されていることがわかり,通信性能はフレーム集約手法,データフレームの転送レート制御に依存していることを明らかにした.
5Gネットワークスライスの運用に向け、ネットワーク品質を確保する為に、 E2Eでのネットワークトポロジの一元的な管理が必要とされている。5Gネットワークは多種のリソースによって構成されており煩雑である。そこで、汎用的なデータ形式でネットワーク情報を管理できるネットワークリソース管理技術(NOIM)が5Gアーキテクチャのリソース管理に活用できると考え、考察した結果を示す。
現場データを活用したDX化を推進する技術としてローカル5Gが注目を集めている。ローカル5Gは内部の脆弱なIoT機器が影響を与えることを防ぐために孤立ネットワークとして敷設されるケースが多い。一方で、既設ネットワーク内には様々なシステムが稼働しているため、今後はローカル5Gと既設ネットワークを相互接続する需要が増加すると考えられる。本稿では、ローカル5Gと企業ネットワークの接続課題としてセキュリティに着目し、モバイルルータ利用時のIoT機器識別技術を提案する。
9月8日 13:15〜17:00 Meeting 10 座長 鎌村星平(成蹊大)
B-6-34 |
加入者収容装置における試験方式検討と実機評価
○佐藤教之・古屋貴行(NTT) |
B-6-35 |
テラビットの速度を実現する軽量匿名通信プロトコルのプログラマブルスイッチを用いた設計と実装
◎吉仲佑太郎・武政淳二・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-6-36 |
Fast xFlow Proxyにおける複数ヘッダサンプル分割機能のハードウェアオフロード実現
○三好勇樹・林 裕平・森岡千晴・須藤篤史(NTT) |
B-6-37 |
P4 スイッチと計算機を組み合わせたCCNルータのキャッシュにおけるボトルネックに関する一考察
○武政淳二・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
現在、固定電話網のIP網移行が進捗しており、2024年度末に完了の計画である。現在の加入者交換機は、移行後もメタル加入者収容装置として継続使用する。加入者交換機は1996年に導入開始し、約20年以上運用されている。特に屋外設置の遠隔加入者収容装置(RSBM)は、局舎内設置よりも劣化し易いと想定される。加入者増減に伴う装置転用等の利活用も含め、今後の継続使用には整備や点検が必要である。転用等の利活用での装置点検作業は、商用局舎から点検部門の別スペースへ搬出して実施される。点検作業の効率化を実現するため、試験方法と試験ツールを検討した。
Torに代表される匿名通信プロトコルは,ユーザのプライバシーを保護するための有望な手段であるが,低速なホスト上で行われる暗号処理のためにパフォーマンスの悪化が著しい.高速化のためには,ASICによる高速なパケット転送と柔軟なプログラマビリティを同時に実現するプログラマブルスイッチの活用が期待される.しかし,プログラマブルスイッチのASICが持つ制約を満たしながら,通信の匿名化を実装するためには,スイッチの限られた計算能力を有効に活用する工夫が必要となる.本稿では,ワンタイムパッドによる暗号方式と,転送状態のリングバッファに基づくデータ構造を用いて,プログラマブルスイッチ上でテラビットの通信速度を実現する軽量匿名通信プロトコルの設計と実装を示す.
カプセル化技術の用いられているNWから得たパケットについて,カプセルヘッダを除去しinnerのパケットを分析可能にしつつ,事業者等の属性ごとに異なった複雑な処理・分析を実現するFast xFlow Proxyにおいて,複数ヘッダサンプル分割の機能をハードウェア(HW)へオフロードすることでさらなる高速化を実現するアーキテクチャを提案する.
P4スイッチと計算機で構成する Content-Centric Network (CCN) ルータは TBのキャッシュ容量とTbps のパケット転送を両立するための有望な基盤である。しかし、パケット転送が ASIC や CPU の演算、スイッチと計算機間のデータ伝送などの処理から複合的に構築されるため、高速化にはパケット転送を律速する処理を正確に特定しその負荷を削減する必要がある。本稿では、スイッチのASIC、計算機のCPU、双方を繋ぐポートの負荷より推定したパケット転送速度を比較し律速要因を分析する。
休 憩(14:30 再開) 座長 木村達明(阪大)
B-6-38 |
移動固定混在収容時のPPPoEセッションID割当手法
○栗田佳織・大坂 健(NTT) |
B-6-39 |
モバイル網の情報を活用するアプリケーションの連携方式提案
◎林 航平・西山聡史(NTT) |
B-6-40 |
RPLにおける隣接ノードのランク値に基づくランク攻撃回避法
○内田亮太・吉田政望・野口 拓(立命館大) |
B-6-41 |
Proposing Zero Trust Access Control Platform for Beyond 5G CPS
○Nakul Ghate・Shohei Mitani・Hirofumi Ueda・Masaaki Kitano・Tsukasa Kobayashi(NEC) |
B-6-42 |
ICNのコンテンツポイズニング攻撃がキャッシュヒット率に与える影響の分析
◎工藤多空飛(福岡大)・上山憲昭(立命館大) |
5G通信サービス開始を好機に,移動固定混在収容の検討が加速している.
移行過渡期には,1BNG配下に5Gコア経由と非5G経由のユーザの同時収容が想定される.
一方,PPPoEセッションIDの固定移動分割管理では分割損によるスケーラビリティに課題がある.
本稿では,移動固定混在収容下における最適なPPPoEセッションIDの割当方式について検討し,試算結果を報告する.
第5世代移動通信システムでは,モバイル網のコアネットワークから外部のアプリケーションに対して,APIを使ってネットワーク情報を提供する機能であるNEFが標準化されている.この機能の利用用途として,モバイル網の情報を使ったふるまい検知アプリケーションなどの利用が見込まれている.本発表では,5Gのコアネットワークと外部APLの接続についてMECを活用することで消費リソースを低減する方式を提案する.
センサネットワークにおけるルーチングプロトコルであるRPLでは, 低性能なセンサ同士でネットワークを構築することが可能である反面, センサの計算リソースが少ないことから従来のセキュリティ技術をそのまま適用できないという問題がある. RPLに存在する脅威の一つとして, ランク攻撃がある. 本研究では, 各ノードが隣接ノードのランク値を用いて, 親選択の際のランク閾値を算出することで, ランク攻撃を回避する手法を提案する. シミュレーションによる実験の結果, 提案手法は攻撃ノードの位置に影響を受けず攻撃を回避できることを示した.
Cyber Physical Systems (CPS) in the Beyond 5G networks, enable smart services where many IT/OT/IoT devices connect on the same network. In such a massive, interconnected network, without well-managed security functions, the malware can intrude through endless possibilities. The Zero Trust (ZT) assumes ever-presence of attack in the network. In ZT, malicious activities are continuously monitored, evaluated, and are restricted to prevent spread of the threats. Such an access control is performed according to thoughtfully designed access control policies. We proposed a novel architecture design delivering efficient ZT access control on CPS. Notably, our design contains automatic policy generation mechanism.
コンテンツ配信を効率的に行う情報指向ネットワーク (ICN: information-centric networking)が注目を集めている.しかし,悪意を持ったユーザが不当なコンテンツをNWに展開することでキャッシュの効果を低下させるコンテンツポイズニング攻撃 (CPA: content poisoning attack)の問題が指摘されている.
本稿では,攻撃者の配置方式,ICNのキャッシュ方式,NWトポロジが,独自fake型CPAのキャッシュヒット率の低減効果に与える影響を分析する.
休 憩(16:00 再開) 座長 渡部康平(長岡技科大)
B-6-43 |
Streaming Telemetryを活用したトラヒックフローの補正効果評価
○山田賢杜・林 裕平・森岡千晴・須藤篤史(NTT) |
B-6-44 |
Q学習を用いたビットレート制御手法の実装およびその評価
○佐野優斗・魏 博(早大)・宋 航(東工大)・甲藤二郎(早大) |
B-6-45 |
ハッシュ計算方法切替によるトラヒック分散率向上手法の特性解析
○横井俊宏・望月このみ・松岡康行(NTT) |
B-6-46 |
マルチホップHD-PLCにおけるブロードキャスト通信性能改善のための送信制御手法
○古濱佑樹・野林大起・塚本和也・池永全志(九工大) |
網運用におけるサービスの障害や異常検知のために,フロー毎の帯域値データを収集する技術がある.本発表では,転送装置のインタフェース単位の統計情報を取得可能なStreaming Telemetryを用いて,パケットサンプリングによりデータが欠落したフローデータを推定する手法を提案する.さらに,本手法の適用前後の推定精度と収集情報量の比較評価結果について報告する.
モバイルデータトラフィックは急速に増え続けており、中でもビデオトラフィックが占める割合が大きくなっている。そこで近年、ビデオ視聴中のユーザーの体感品質向上を目的として、ビットレート制御に強化学習が用いられる。本研究では、Q学習を用いたビットレート制御をdash.js上で実装し、QoEによる性能評価を行う。
IPネットワークのトラヒックロードバランスにおいては、特定のリンクにトラヒックが偏ってしまうという課題がある。これに対して、転送リンクを決定するハッシュ計算方法を切り替える事でトラヒックの分散率を向上させる方式が提案されている。本稿では、当該方式の特性をシミュレーションによって解析した。その結果、本方式を導入することで最もトラヒックが集中しているリンクの帯域を1割以上削減する事が可能であることを確認した。
HD-PLCは,電力線を用いて最大PHYレート240Mbit/sの高速通信を実現する通信技術である.長距離通信を可能にする手段として,マルチホップ技術を搭載したHD-PLCが開発されている.マルチホップHD-PLCの用途の一つとして,ブロードキャスト通信によって工場の機器やビル管理を行うアプリケーションが存在する.しかし,マルチホップ網でブロードキャスト通信を行うとパケットの衝突が発生し,性能が低下するという問題点がある.本研究ではこの問題の解決のためブロードキャスト通信時にRTS/CTS交換を用いる送信制御手法を提案し,シミュレータを用いてその評価を行った.シミュレーション結果から,提案手法によりパケットロス率を改善しつつ全体の遅延時間を削減することに成功した.
B-7. 情報ネットワーク
9月6日 13:00〜15:30 Meeting 12 座長 吉原貴仁(KDDI総合研究所)
B-7-1 |
機械学習を用いたオンデマンド帯域予約判定精度の改善
○源田浩一(日大) |
B-7-2 |
情報指向ネットワークにおけるステートフルフォワーディング輻輳制御方式 : RTT公平性の改善
○萱野友哉・川原憲治(九工大) |
B-7-3 |
ユーザの収容替え先通信装置の制御方法
○井上寛規・西口雅人・岩橋宏樹・金澤俊之(NTT) |
B-7-4 |
Scientific Workflows実行に向けたAmazon EC2におけるインスタンス性能評価
○小川光貴・杉村太一・小板隆浩(同志社大) |
SDNの柔軟性を活かしたサービスの一つにオンデマンド帯域予約サービスがある.機械学習(ML)を用いたリクエスト受付判定方法を用いることで,速やかなレスポンスと高いリクエスト受付率が可能となるが,誤判定が発生することからネットワークの利用率を低下させる恐れがある.本稿では,誤判定を削減し判定精度を向上するために,CNNの適用とリクエスト帯域の粒度に着目した方法を提案し,その効果をシミュレーションにより評価した.
情報指向ネットワーク(Information Centric Network, ICN)では, ルータのコンテンツキャッシングにより要求者の受信性能の向上が可能となる.しかし, 膨大な要求に対して輻輳発生が予想される場合, 点在するソース/キャッシュノードの位置を意識した輻輳制御が必要であり, 中継ルータにおいて迅速に対応可能なステートフルフォワーディング輻輳制御方式が有効と考えられる.本研究では, ステートフルフォワーディング輻輳制御手法の問題点を示し, 改善手法を検討する.
ネットワークにおいて,ユーザを収容するエッジルータのユーザの収容位置を,各エッジのリソース状況や故障状態に応じて変更する集中管理サーバが検討されている.本稿では,集中管理サーバがユーザ収容替えで他エッジを選定する際に,空きリソースに加え,様々なパラメータによる条件付けを多段に設けることにより選定先を柔軟に制御する方法を論じる.
近年クラウドコンピューティングが登場し、コンピューティングリソースを自身で管理する必要がない商用インフラとして利用されている。Scientific Workflowsのクラウド環境での実行はオンプレミス環境での実行より性能は良いと分かってきたが、クラウド環境の特性である、リソースを共有するという観点からリソースの要求を行ってから即座にリソースの開放が行われる保証はない。本研究では、Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)を用いて1つのインスタンスで数分間リソースの要求と開放を繰り返しその所要時間を評価する。それによってクラウド環境での効率的な実行について確認する。
休 憩(14:15 再開) 座長 原田薫明(NTT)
B-7-5 |
IPモビリティ方式MATのモバイル端末への実装
◎武井克安・前田香織・髙野知佐・稲村勝樹(広島市立大)・大石恭弘(インターネットイニシアティブ) |
B-7-6 |
タイムスロット型ルーティングの評価手法の検討
◎郡川智洋・高崎智香子・服部恭太・大和田英成・清水雅史(NTT) |
B-7-7 |
DTN に基づいた情報配信における転送相手選択の重要性
◎鎌田崚暉・西山大樹(東北大) |
B-7-8 |
DTNにおける通信相手選択がデータ到達確率に与える影響
◎斉藤 陽・西山大樹(東北大) |
B-7-9 |
指定位置への情報配信方式に関する一検討
◎鋒 幸洋・岡田真悟・小島久史(NTT) |
近年,モバイル端末の増加やモバイルトラフィックの増加は著しく,これらのデバイスは複数の通信IFを備え,異なるネットワークを切り替えながら通信をする.筆者らはIPモビリティ方式の1つであるMATを提案しており,本研究ではモバイル端末であるAndroid OSへMATを実装し,その通信性能について評価を行った.これによって,Android MATの実装に通信スループットへの影響はほとんどないことを示した.
宇宙や地上など多様な領域について3次元空間上でネットワークノードのモビリティや天候等による環境変化の通信品質への影響の解析や、ルーティング方式によるネットワーク性能の評価を行うための評価手法を提案する。
災害発生などの緊急時は, 通信インフラが損壊している中でも情報のやり取りを行う必要がある. そこで, 時刻表や広告の掲示のためにバス停で利用されているデジタルサイネージに注目した.具体的には, デジタルサイネージを起点とした遅延耐性ネットワーク(DTN: Delay Tolerant Networking)を検討する. 本研究では, バス停を想定した発信者から, 地域住民を想定した宛先者までの転送の実現を考え, 発信者における適切な転送相手選択手法に着目する. 転送ノードの移動方向を考慮した転送相手選択の重要性を検討する.
災害発生時,早急な対応をするために被災者や災害対応者間で安否情報などのやり取りを行う必要があるが,基地局などの通信インフラが損壊している可能性がある.そのような状況下でデータ転送を行う方法として遅延耐性ネットワーク(DTN:Delay Tolerant Networking)を用いることが考えられている.本研究では,DTNを用いてデータ発信者から宛先までのデータ転送を実現することを考え,発信者におけるデータ転送相手選択に着目する.そして,その方法が宛先までのデータ到達確率に与える影響について解析を行い,発信者における通信相手の選択方法を検討することの重要性を示す.
本稿では,広域グリッドを用いたLocation Based Multicast によりコア網を転送し,広域グリッド内ではパケットヘッダに組み込んだ配信先車両リスト情報を参照することで配信先車両を識別して転送する2段階のマルチキャスト配信方式を提案する.
9月7日 9:30〜11:45 Meeting 12 座長 城 哲(KDDI総合研究所)
B-7-10 |
BLEビーコンを用いた障害物を考慮した屋内位置推定手法の検討
◎安田怜史・齋藤真輔・馬場健一(工学院大) |
B-7-11 |
An energy aware routing in wireless sensor networks via a relayed sink
◎Yoshihiro Kaneko(Gifu Univ.) |
B-7-12 |
機械学習を適用したTCP輻輳制御方式の高速無線環境における通信特性評価
◎六箱圭一郎・小畑博靖・石田賢治(広島市立大) |
B-7-13 |
Similarity-based Priority Experience Replay for Reinforcement Learning in the Adaptive RAN
○Seungil Moon・Yu Tsukamoto・Hiroyuki Shinbo(KDDI Research) |
モバイル端末の普及に伴い位置情報を活用したサービスの需要が高まっている.
屋内での位置推定にはGPSなどが利用できないため多くの研究でBLEビーコンが用
いられている.
本研究では,障害物等によりBLEビーコンの電波強度が減衰した場合にも位置推
定を行うため,障害物の影響を受けているBLE ビーコンを判別し,そのビーコン
の観測値を除いて他のビーコンのみで位置推定を行う手法を提案した.シミュ
レーションによる評価を行った結果,障害物により一部のビーコンが減衰した環
境では,減衰を考慮しない手法に比べ1/10程度の誤差に抑えることができた.
This report enhances the shortest path-based routing by restricting access to a base station BS in a wireless sensor network WSN. Suppose that each node regularly collects and transmits sensed data toward a BS. By a newly defined sink which is a little different from a usual one, we propose a novel routing via sink-relay on a WSN. Simulation experiments show its validity in terms of one lifetime LDN when the last node dries out its energy.
無線LANをはじめとする高速無線環境の普及に伴い,TCPを利用した高レートのアプリケーションの利用が増加している.しかし,リアルタイムアプリケーションは遅延に敏感であり,過剰なバッファリングによる大きな遅延を意味するバッファブロートの影響を大きく受けやすい.この状況を改善する為に,TCP輻輳制御を改良する様々な検討が行われている.その中でも,既存のTCP輻輳制御における輻輳ウィンドウサイズなどのパラメータを機械学習に基づいて調整するDeepCCと呼ばれるプラグイン型のツールが提案されている.しかし,DeepCCはモバイル回線における評価が行われているだけで,無線LANなどの異なる高速無線環境における性能は不明である.そこで本研究では,様々な無線環境において既存のTCP輻輳制御にDeepCCを適用した際の通信特性を実機を用いて評価した.その結果,特定の条件下においてDeepCCを利用すると大きくスループットが改善することが分かった.
The resource management methods in the 5G network based on RL being actively studied recently. In RL, an agent can effectively increase the reward by learning important experience with high expected learning progress. To use important experience, prioritized experience replay (PER) based on the TD error was proposed. However, the TD error-based PER can’t respond to change in a dynamic environment. Because the existing TD error-based PER does not update the priority of the previously set experience data even current environment is changed. In this paper, we propose the similarity-based PER method that responds to changes in the environment.
休 憩(10:45 再開) 座長 山本秀樹(OKI)
B-7-14 |
マイクログリッド連携型需給制御の一考察
○中村亮太・原田薫明(NTT) |
B-7-15 |
トラヒック量と再生可能エネルギーの不確かさに対するロバストなVNF割当における予測誤差と性能に関する一考察
○浦田賢吾・中村亮太・原田薫明(NTT) |
B-7-16 |
多次元意見形成モデルにおける相互作用規則の提案
◎△平倉直樹・会田雅樹(東京都立大) |
B-7-17 |
リツイート数分布を再現するツイート投稿モデル
◎△小西隆仁・塩田茂雄(千葉大) |
再エネが大量導入される世界においては地域間での電力不足・余剰の混在を解消するためマイクログリッド間の電力融通が有効となる.本稿ではマイクログリッド連携型需給制御について考慮すべき要件を提起のうえ,計算時間短縮を考慮したアプローチを示す.
本発表では,トラヒック量と再生可能エネルギーの不確かさに対するロバストな仮想ネットワーク割当手法について性能解析を行う.
特に,トラヒック量と再生可能エネルギー発電量の不確かさに関するパラメータを様々なパターンで変化させ,統計的な指標を用いて性能評価を行う.不確かさを考慮しない場合既存手法と比較して,不確かさ集合が大きいときにロバスト仮想ネットワー割当手法の平均的な性能が優れる傾向にあることを確認した.
オンラインソーシャルネットワークでは,対立する意見を持つ複数の集団が形成される分極化が社会的問題となっている.
分極化メカニズムを解明するための意見形成モデルが提案されているが,複数の話題を扱う多次元意見形成モデルでは高次元の状態空間で発生するいわゆる次元の呪いが考慮されていない.
これに対して我々は次元の呪いを回避可能なユーザ間相互作用の低次元部分空間の構成方法を過去に提案した.
本稿では,具体的な相互作用規則を提案し,ある部分空間での意見形成が別の部分空間の意見に与える影響を評価した.
Twitter には他のユーザの投稿の再投稿を許すリツイートと呼ばれる機能がある.各ツイートの獲得リツイート数には大きな偏りがあり,裾の長い分布に従うことやべき分布で近似した際のべき指数は2 未満であることが知られる.以前,我々は,オリジナルツイート数に対するリツイート数の比が時間とともに増加する仮定を用いたツイート投稿モデルを提案した.しかし,現実は必ずしもモデルの仮定に従わない.そこで,前述の仮定を用いることなく現実のリツイート数分布を比較的良く再現する改良モデルを提案する.
B-8. コミュニケーションシステム
9月6日 13:00〜16:30 Meeting 25 座長 更科昌弘(OKI)
B-8-1 |
光無線連携制御によるモバイルバックホール上りリンクジッタ低減の評価
○宮本健司・酒井慈仁・島田達也・吉田智暁(NTT) |
B-8-2 |
光コムに基づく300 GHz 帯128Gbit/s信号のイントラダイン受信
◎五十嵐 稜(NTT)・十市敬太(阪大)・胡間 遼・原 一貴・可児淳一・吉田智暁(NTT)・永妻忠夫(阪大) |
B-8-3 |
遠隔光路切替ノードにおける遠隔操作・管理保守機能の検討
○渡辺 汎・野添紗希・川野友裕・小山 良・中江和英・片山和典(NTT) |
B-8-4 |
遠隔光路切替ノードのファームウェア更改のファイルサイズの検討
○野添紗希・渡辺 汎・川野友裕・中江和英・片山和典(NTT) |
移動通信システムにおける上りリンク信号のジッタを低減するため,光無線連携制御によるシェーピングをモバイルバックホールのルータで行う手法を提案し、ns-3によるシミュレーション評価を行った結果を報告する。
テラヘルツ通信において,光コムを用いてTHz信号を発生させる方式では,ヘテロダイン受信にて128 Gbit/s伝送が報告されている.本検討では必要な電気帯域が半分にできるイントラダイン受信器の構成において128 Gbit/sのテラヘルツ無線伝送を達成した.また,光コムによって周波数を安定化した場合には,周波数オフセット補償回路の削減による消費電力の低減をBER劣化なく実現可能であることを明らかにした.
今後,Beyond 5G 等の需要予測が困難な心線需要に対応できる多段ループ型光アクセス網が提案されている.我々はこの網内に光給電駆動で心線切替を行い,屋外設置の遠隔光路切替ノード(以下,所外ノード)を検討している.この所外ノードを通信ビルから遠隔操作するコントローラ(以下,所内ノード)が不可欠であり,その機能検討が必要である.また,所内ノードには所外ノードを管理・保守する機能も求められる.本稿では所内ノードが所外ノードを遠隔操作,管理保守するための機能を提案する.またそれらの機能の実行後に,複数の所外ノードの畜電量を一定以上に保ち,安定動作させるための条件を報告する.
多段ループ型光アクセス網に適用する遠隔光路切替ノードを検討している。本ノードのネットワーク装置としての運用には、管理・保守機能が必要であり、ファームウェア(F/W)更改機能はそのうちの一つである。ノードの不具合修正、新機能追加を目的とし、通信ビルの制御装置(所内ノード)から所外設置の遠隔光路切替ノード(所外ノード)に対してF/Wファイルを送信する。今回、複数台のノード構成にて安定動作可能なF/Wファイルサイズの算出方法を検討したので報告する。
休 憩(14:15 再開) 座長 Nattapong Kitsuwan(電通大)
B-8-5 |
APNのアクセスノードにおける折り返し光パスの実現構成の提案
○濱上立季・柴田直剛・金子 慎・可児淳一・吉田智暁(NTT) |
B-8-6 |
APNにおけるPoint to Multipoint適用に伴うコスト削減効果の評価
◎内山 仁・胡間 遼・原 一貴・可児淳一・吉田智暁(NTT) |
B-8-7 |
多ポートOSUへの移行に関するN:1PONプロテクション方式のコスト評価
○嶌津聡志・田代隆義・関口真良・吉田智暁(NTT) |
B-8-8 |
IoT端末向け試作光給電装置における間欠動作率の給電光電力依存性
○深田陽一・喜多亮太・桂井宏明・関口真良・吉田智暁(NTT) |
フォトニクス技術をベースに、大容量・低遅延なサービスを提供するAll-Photonic Network (APN) の実現が目指されている。またAPNのアクセスノードとして、Photonic Gateway (Ph-GW) が提案されている。Ph-GWの機能の一つに、同一Ph-GWで収容されるユーザ間を最短経路でつなぐための、折り返し機能がある。従来文献では、Ph-GW内の光スイッチ(SW)の2ポートを直接配線する折返し構成が検討されている。ここで、収容ユーザ数拡張のためにPh-GWで光SWを複数台用いることが考えられるが、光SW間に必要な折返し用配線数が光SWの台数に比例するため、Ph-GW規模が大きくなるほどPh-GWあたりの収容可能ユーザ数は減少する。本稿では、Ph-GWの規模に対する収容可能ユーザ数を向上する新たな折り返し構成を提案し、理論評価により向上効果を示す。
近年,CPS/AICによる,新たなサービスの実現が期待されており,これらを提供する大容量・低遅延の通信基盤としてAPNが検討されている. APNでは,光送受信器間は任意の光波長を占有しEnd to End でPtP通信を行う.特に,CPS/AICではデータ収集と処理・分析を行うデータセンタ(DC)にトラフィックが集中するため,PtP接続では波長リソースの枯渇や,ファイバ数増加,機器数増加に伴うネットワークコストの増加が懸念される.これらはアクセス区間の光集線を伴うPtMP接続で解決が見込まれるが,具体的なコスト削減効果が明らかになっていない.本稿ではAPNにおけるPtMP適用時のコスト計算モデルを決定し,コスト削減効果の定量評価を実施した.
単ポートのOSU を多ポートOSU に移行することで収容率の向上と併せて,CPU などの部品共有により省電力化も実現できる.PON プロテクションを用いてサービス断を回避しながら,OSU 交換で多ポートOSU へ移行できるが,そのコスト評価は明らかでない.そこで本稿は,Type X’ での多ポートOSU への移行がType B よりも経済的になる条件を示す.
IoT端末は,屋外,山中などのさまざまな設置場所が想定される.我々は,その中でも電源確保が困難な場所へのIoT端末設置を想定し,シングルモードファイバ(SMF)を介しての光給電システムを検討してきた.我々のシステムでは光給電を連続動作/IoT端末を間欠動作とし電力収支を均衡させることが特徴である.今回,給電光電力を変化させてシステム評価を行ったので,報告する.
休 憩(15:30 再開) 座長 金井謙治(早大)
B-8-9 |
無線映像伝送時に事前切替を行うためのトラヒック予測方式の検討
○岡本優花・氏川裕隆・酒井慈仁・島田達也・吉田智暁(NTT) |
B-8-10 |
プロファイル変換を用いた複数時刻同期プロファイル配信方式の提案
○山形佳祐・中西 隆・吉原慎一(NTT) |
B-8-11 |
全チャンネル位相変調技術を用いたFM 一括変換方式における映像信号と無線信号の多重伝送に関する一検討
○下羽利明・宮武 遼・深田陽一・田邉暁弘・関口真良・吉田智暁(NTT) |
B-8-12 |
自己注意機構を用いた情報源・通信路深層結合符号化方式
○井上文彰(阪大)・原 祐子(東工大)・久野大介(阪大)・丸田一輝(東京理科大)・中山 悠(東京農工大) |
これまで、大容量化に対応する光NWの経済性と低遅延性を両立するため、トラヒックの予測に基づき輻輳発生前に光経路を切り替える方式を提案し、計算時間と予測精度の観点から高い有効性が期待できる時系列予測手法を明らかにした 。本発表では、予測時間(計算時間)+切替時間を考慮したトラヒック予測を行い、その予測精度と計算時間を評価することで、予測に基づく事前輻輳制御が可能かを明らかにした。
高精度な時刻同期を実現する方法の1 つとしてPrecision Time Protocol (PTP) が有効であるが,PTP は使用する分野によって方式(プロファイル)が異なるため,分野ごとに時刻配信のネットワークが必要で高コストな配信形態となっている.本稿では,プロファイルを用途に応じて変換し,単一のネットワークで様々な分野に高精度な時刻を配信する方式を提案する.
本稿では,全チャンネル位相変調技術を活用したFM 一括変換方式において,従来の放送信号とローカル5G 信号との多重伝送が可能であることを実験的に示した.
深層学習に基づく情報源・通信路結合符号化変調 (Deep JSCCM) は,極限的な通信環境における効率的な通信方式として近年活発に研究され始めている.先行研究では,畳み込みニューラルネットワーク (CNN) に基づく Deep JSCCM 方式が考案されており,情報源・通信路符号化および変調を別個に行う場合と比べて効率的かつロバストな画像伝送が可能であると示されている.本研究では新たに,自己注意機構 (SA) に基づく Deep JSCCM 方式を提案する.SA は系列データを扱う深層ニューラルネットワークにおいて優れた性能を示すことが知られており,最近多数の研究がなされている.本研究ではDeep JSCCM に SA モジュールを組み込むことで, CNN に基づく従来方式と比べて高い性能を発揮することができることを示す.
9月7日 9:30〜11:15 Meeting 25 座長 岩松隆則(ライフラボラトリ)
B-8-13 |
予測パケット数に基づく無線LAN送信制御の一検討
◎津波 琉・中平勝也(沖縄高専) |
B-8-14 |
ICNを用いた災害情報収集方式の検討
◎笹林兄嗣・横谷哲也・石橋孝一(金沢工大) |
B-8-15 |
電解質溶液内のイオンを媒介とする海水パイプ中の無線通信
◎正留康太・佐藤弘隆・野本玲於奈・Yu Hao Chang・川原田 洋(早大) |
無線LANの規格は、主にスループット増大を目的として進化し続けており、1999年〜2019年までの間にスループットは約900倍となっている。近年では、発展が目覚ましいディープラーニングを無線LANに応用することで更なるスループット増大を目指す研究が多く開始されている。本稿ではディープラーニングを用いて予測したパケット数を元に無線LANを制御することでスプープットを増大させる新たな手法を提案し評価したので報告する。
現在、IoTネットワークにInformation Centric Network(ICN)技術を適用することが検討されている。その中で筆者等は災害情報の収集にICN技術を適用することを検討している。そのために、シミュレータを用いてネットワーク構成毎の災害情報に関するトラヒック量の比較を行う。石川県金沢市をモデルにして模擬環境上で水位情報の収集を行うことを想定して実験を行う。トラヒック量の比較はリング構成とツリー構成で行う。実験の結果、リングと比較してツリーはトラヒック量が少ないという結果になった。今回の実験では災害情報の収集に適しているのはツリー構成であることが明らかになった。
水中無線通信には、超音波や可視光、電波が使われているが、管のような複雑形状での閉空間での上記の通信は難しい。そのため、発電所や海水淡水化プラント内の海水管の保守点検用ロボットに海水管内での無線通信が求められている。本研究で我々は、海水管内という特殊環境で、従来方式に代わって、パイプ内海水中の電解質を媒介とした新方式の水中無線通信、海水管通信を提案する。本研究では、パイプ内海水の濃度やパイプ径や距離を変化させ、塩濃度(導電率σ) に対する搬送波の伝送特性を評価した。その結果、距離25 m程度で1 Mbps以上のデータ伝送を行えると期待できることを明らかにした。
休 憩(10:30 再開) 座長 稲森真美子(東海大)
B-8-16 |
ヌル信号SMを用いたQO-STBC-MIMOの検討
◎椎野 凌・行廣 仁・井田悠太(山口大)・丸田一輝(東京理科大)・黒田 翔(FXシステムズ)・松元隆博(鹿児島大) |
B-8-17 |
ゼロハイブリッドガードインターバルを適応したMUDiv-DFTs-OFDMA
◎中野宏士朗・井田悠太(山口大)・松元隆博(鹿児島大) |
B-8-18 |
深層学習を用いたガードインターバルを付加しないMUDiv-OFDMAの干渉除去
◎津森駿介・井田悠太(山口大)・黒田 翔(FXシステムズ)・松元隆博(鹿児島大) |
MIMOシステムの送信技術として空間時間ブロック符号(STBC)や準直交STBC(QO-STBC)がある.STBCはフルレートとフルダイバーシティを実現できるが,送信アンテナが2本の時に限られる.一方で,QO-STBCは送信アンテナが2本以上の時のフルレートを実現できるが,準直交となるためフルダイバーシティを実現できない.この問題を解決するために,本論文はヌル信号を用いた空間変調(SM)を適応したQO-STBC-MIMOを提案する.
直交周波数分割多元接続 (OFDMA) では,ユーザ毎のチャネル状態に応じた割当によりマルチユーザダイバーシティ(MUDiv) 効果を得ることができ,さらに DFT による周波数シンボル拡散によりチャネル歪みによる通信品質の劣化を軽減できる.また,マルチパスフェージングによるシンボル間干渉 (ISI) を防ぐために,ガードインターバル (GI) を挿入する.しかし,GI は冗長であるため,送信電力の増加が問題である.本論文はユーザ割当に用いるチャネル状態を利用し,閾値を用いて判定するゼロハイブリッドガードインターバルを適応した MUDiv-DFTs-OFDMA を提案する.
無線通信では,マルチパスによるシンボル間干渉(ISI)とキャリア間干渉(ICI)を防ぐためにガードインターバル(GI)を付加する.これはマルチユーザダイバーシティ(MUDiv)を得られる様にユーザ割当を行う直交周波数分割多重アクセス(OFDMA)でも同様である.しかし,GIの付加は送信レートを劣化される.GIを付加しない時の干渉除去に深層学習を用いる方法が提案されているが,ISIとICIの影響が分かる前提で学習が行われている.本論文はこの様な前提のない深層学習を用いたGIを付加しないMUDiv-OFDMAの干渉除去を提案する.
B-9. 電子通信エネルギー技術
9月8日 9:00〜10:45 Meeting 27 座長 岩佐 稔(JAXA)
B-9-1 |
オン-オフグリット間での電力融通に及ぼす送電電圧の影響
○劉 可・山田博仁・岩月勝美・尾辻泰一(東北大) |
B-9-2 |
特殊巻線構造トランスを用いた直流給電方式の検討
◎田中 蒼・池田和樹・岩﨑裕翔・西谷 強・雪田和人・七原俊也・後藤泰之(愛知工業大)・加藤彰訓(河村電器産業) |
B-9-3 |
給電方式の違いによるPLC通信への影響に関する基礎検討
◎池田和樹・岩﨑祐翔・田中 蒼・西谷 強・雪田和人・七原俊也・後藤泰之(愛知工業大)・加藤彰訓(河村電器産業) |
本報告では、オン-オフグリッド間の電力融通に送電損失が及ぼす影響について、送電電圧と送電電力の両者に着目してシミュレーションを行い、解析した。その結果、一定な負荷の規模に応じて、送電電圧と電力とを適切に選択することが重要となることが分かった
近年、再生可能エネルギーの普及に伴いAC-DC変換技術が必要不可欠となる。また、太陽光発電はさらに増加が見込まれるが,太陽光発電の発電量は気象状況により大きく変化するため,発電した電力の効率的な活用が課題となっている。そこで、本検討では太陽光発電の出力を変圧器の二次側に接続した際の直流負荷と系統への影響を計測し、検討を行った。これにより、太陽光発電の出力を直流負荷に、変換による損失がなく供給することが可能となる。また,余剰分の発電量を系統へ供給できることで発電した電力を効率的に活用できることを把握できた。
本研究では,直流給電システムにて,トランス方式を用いて直流バスを敷設した場合とスイッチング方式を用いて直流バスを敷設した場合のPLC通信特性の違いに関して検討を行った。その結果、トランス方式ではエアコン負荷が接続された場合にLQI値の減少は僅かであるが、スイッチング方式では、エアコン負荷が接続された際にLQI値が大きく減少することを確認した。
休 憩(10:00 再開)
B-9-4 |
小形風力発電システムにおける出力特性の解析
◎岩崎祐翔・細江忠司・池田和樹・田中 蒼・西谷 強・雪田和人・七原俊也・後藤泰之(愛知工業大) |
B-9-5 |
分散アンテナシステムへの電力供給に関する検討
○唐 琼顔・岩月勝美・山田博仁(東北大) |
B-9-6 |
屋外設置用マイクロデータセンター構築に関する研究
○王 静池・山田博仁・岩月勝美・尾辻泰一(東北大) |
SDGsの7番目の目標にあたる「エネルギーをみんなに,そしてクリーンに」を念頭に,筆者らは小形風力発電機に関する研究開発を進めている。本報告では,風力発電システム導入に伴い発生する問題,騒音及び振動に関する解析を行った。上述の問題は,システム内の制御コントローラやPWM変換器等の使用により,出力電圧波形にひずみが発生することで,共振現象が発生することが原因と考えられる。本報告では,小形風力発電機の共振現象の解析を目的として,各相にリアクトルを導入し意図的に波形にひずみを発生させて解析を行った。結果として,電圧・電流波形のゆがみ,FFT解析時の特定の周波数帯域における共振現象の発生を確認した。
第五世代(5G)以降の移動通信システムにおいては、SDGsの観点から、グリーンでレジリエントなシステムが求められる。また、上記の移動通信システムでは、分散アンテナシステム(DAS)方式が主流となり、CU/DUが設置された仮想基地局とフロントホールによって結ばれた複数の分散アンテナで構成される。本研究ではDASにおける分散アンテナに電力供給をする自立電源の構成について検討したので報告する。
車の自動運転や街角での防犯対策等、限られたエリヤにおいてリアルタイムの情報提供が求められるようなアプリケーションにおいては、直近のクライアントへ低遅延のサービス提供を可能とするエッジコンピューティングが不可欠となる。それを実現するためには、例えば道路の交差点やビルの屋上などに設置可能な超小型のマイクロデータセンター (MDC)を開発する必要がある。
本報告では、そのような屋外設置可能なMDCを実現するための設計検討と、さらにそれらを100%再エネ発電によって駆動する試みについて紹介する。
B-10. 光通信システムA(光ファイバ伝送路)
9月6日 11:15〜11:30 Meeting 14 座長 川口雄揮(住友電工)
本セッションはB-13との関連セッションとなります。 |
B-10-1 |
ラマン散乱スペクトルを用いた光ファイバの仮想温度評価法の考察
○大本航平(NTT)・辻川恭三(NTT-AT)・中島和秀(NTT) |
光ファイバの低損失化には,ガラスが凍結する時の温度
である仮想温度𝑇𝑓の低減が有効である.光ファイバの𝑇𝑓
は,ラマン散乱スペクトルのピーク強度と関連を有するこ
とが知られている.ピーク強度の絶対値は背景光の影響
で変動するため、相対変化に換算して解析する必要があ
る.今回,2 種類の解析手法における𝑇𝑓の評価精度につい
て考察を行ったので報告する.
9月7日 9:00〜10:45 Meeting 14 座長 小田拓弥(フジクラ)
本セッションはB-13との関連セッションとなります。 |
B-10-2 |
標準外径マルチコアファイバの多段接続時における光学特性
○相馬大樹・別府翔平・吉兼 昇・釣谷剛宏(KDDI総合研究所) |
B-10-3 |
標準外径4コアファイバの異方向融着接続検討
○高橋正典・藤井俊行・杉崎隆一・新子谷悦宏(古河電工) |
B-10-4 |
双方向6コアMCF海底光ケーブルシステムにおける伝送容量拡大
○立野翔真・竹下仁士・細川晃平・ル・タヤンディエ・ドゥ・ガボリ エマニュエル(NEC) |
B-10-5 |
SMF用市販OTDRを用いた4コアファイバのクロストーク分布測定
◎小林優斗・井上歩美・永島拓志・林 哲也(住友電工) |
近年,単一モードファイバ(SMF)における伝送容量の物理的限界を打破する技術として,マルチコアファイバ(MCF)を用いた空間分割多重(SDM)技術が注目されている.中でも125 umの標準外径を持つMCFは,従来のSMFと同等の優れた機械的強度が見込め,従来型のケーブル構造も適用可能であるため,SDMシステムの実現に向けたファーストステップとして有望視されている.本研究では,高い生産性が期待できるステップインデックス型の4コアファイバ(4CF)と長距離伝送に向けてコア間クロストーク(XT)を抑圧したトレンチ型の4CFの2種類のMCFを用いて,SCコネクタによりそれぞれ多段接続した際の,挿入損失及びコア間XT特性について評価を行った.
近年、マルチコアファイバ(MCF)を用いた空間多重伝送技術の開発が盛んに行われており、特に早期の実用化を目指して、クラッド径125µmのMCFの開発が進められている。MCFを使用した伝送システムを実現するためにはMCFの実使用環境での融着接続技術が必要である。フィールドでの使用に適した市販の側方観察型の融着機を使用してMCFの融着接続を行った事例が報告されている。この報告では、1本の4コアファイバを使用し、同一方向端面の融着において、低損失で融着可能であることが示されている。実使用環境においては端面方向の異なるファイバの接続が想定される。本報告では、端面方向の異なるMCFの融着接続に対する検討を実施したため、その結果を報告する。
海底光ケーブルシステムの伝送容量拡大に向けた空間分割多重技術のうちの非結合マルチコアファイバを用いた伝送システムについて報告する。マルチコア中の単一方向伝送からコア毎の伝搬方向を互い違いに配置する双方向伝送を利用した際のケーブルシステムについて評価し、伝送容量拡大について示す。
マルチコア光ファイバ(MCF)のクロストーク(XT)はファイバの曲げ径に依存するため,ケーブル敷設後のXT評価が必要であり,片端入出射のXT測定方法として多ch OTDRを用いた手法が提案されている.また,MCFの限られた断面の中で,XTを抑制するために,隣接コア間で信号の逆方向に伝搬する双方向MCF伝送も有力な信号伝送手法として期待されている.
本研究では,SMF用の市販の1ch OTDRを用いた系でMCFのXT分布測定を実現し,OTDRによるXT測定の簡便さを示すとともに,正方配置4コアファイバの対角コア間のXT分布測定により,双方向伝搬時に考慮が必要となる「隣接コアを介した間接XT」のファイバ長依存性について,理論予測の実験的検証を行ったことを報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 青笹真一(流通経済大)
本セッションはB-13との関連セッションとなります。 |
B-10-6 |
4コアMCF用ファンイン・ファンアウト の機械特性評価
◎佐々木 翼・吉岡和昭・高橋正典・杉崎隆一・新子谷悦宏(古河電工) |
既存の光ファイバ伝送路の容量限界を超える技術として、マルチコアファイバ(MCF)を用いた空間分割多重が期待されている。MCFの実用化には、入出力デバイスであるファンイン・ファンアウト(FIFO)が不可欠であり、我々はファイババンドル型FIFOの開発を進め、挿入損失は0.4dB/pairを達成した。FIFOを屋外で使用する場合、クロージャ内に収納されることが想定され、クロージャ内の環境に耐えうる構造である必要がある。本検討では、4コアMCF用FIFOの機械試験を実施し、機械特性を確認したため、報告する。
B-10. 光通信システムB(光通信方式,光通信機器,デバイスのシステム応用,光通信網・規格)
9月6日 13:00〜17:00 Meeting 15 座長 芝原光樹(NTT)
B-10-7 |
深層学習による変復調方式設計と特性評価
○那賀 明・小松 衛(茨城大) |
B-10-8 |
ディープニューラルネットワークを用いた非線形イコライザの学習速度と光学非線形補償性能の評価
○中村迅也・生田 海・中村守里也(明大) |
B-10-9 |
PAM-n光伝送向けANN型非線形補償器の活性化関数に関する一検討
○平井理宇・菊池信彦(日立)・佐々木愼也・吉本直人(千歳科技大) |
B-10-10 |
短距離向けIM/DD超高速光PAM伝送におけるデジタル信号処理を用いたレーザRINの影響緩和の検討
○菊池信彦・平井理宇(日立) |
B-10-11 |
低帯域光受信器を用いたマルチレートO-band WDM伝送実験
◎宮関勇輔・自念圭輔・船田知之(住友電工) |
機械学習、特に機械学習の手法であるニューラルネットワークによる分析手法を拡張した深層学習は、近年、急激な進化を遂げ、様々な分野で応用されている。光ファイバ通信の技術分野でも、通信性能の監視、SDNを通じた多階層ネットワークの最適化、非線形補償などへの応用が試みられている[1]。本研究では、深層学習により、変調方式におけるI/Q2次元平面上のコンスタレーション設計を行い、その性能の評価結果を報告する。
光ファイバ伝送で発生する光学非線形歪みを、ニューラルネットワーク(ANN)を用いた非線形イコライザにより補償する方式が検討されている。ANNの層数を4層以上にしたディープニューラルネットワーク(DNN)を用いた方式も検討されている。しかし、DNNとANNによる非線形イコライザの詳細な比較は行われていない。我々は、これまで過学習の比較評価について報告を行った。今回は、3層ANNと4層DNNの学習速度及び補償能力の比較検討を行ったので報告する。
近年,人工ニューラルネットワーク(ANN: Artificial Neural Network)を用いた光ファイバ非線形補償方式は,省電力の観点で注目を集めている.本報告では,短距離用途IM/DD PAM-n変調向けに検討を進めているANN型非線形補償器の活性化関数と非線形補償ゲインの関係について述べ,従来のボルテラ型非線形補償器との比較を行う.
データセンタトラフィックの急増に対し、短距離高速光ファイバインタフェースの開発が急速に進められている。400GbEでは53GBaudPAM4変調が採用され、現在も800G化などさらなる高速・大容量化の検討が進められている。PAM信号は波形劣化に弱く、ノイズ等による劣化対策が重要となる。本稿で取り扱うレーザ相対強度雑音(RIN)はレーザ光源の持つ強度揺らぎであり、PAM信号はRIN耐力が低いことが指摘され、従来は送信機内でRIN波形を実測し変調波形から差し引く光学的補償方式等が提案されていた。本稿では受信側デジタル信号処理によるレーザRINの影響緩和方式を提案し原理実証実験を行った。
低帯域光受信器(10G APD)を搭載した光トランシーバに信号処理(DFE)を適用して,伝送距離30 kmにおける10/25 GbpsマルチレートO-band WDM通信実験を行った.25 Gbps動作時において、IEEE 802.3 cc 25GbEでの規定値(20.7 dB)を5.7 dB上回る26.4 dBのロスバジェットを実現した.これより,DFEの適用で10G APDを25 Gbps動作O-band WDM通信へ適用可能であることを明らかにした.
休 憩(14:30 再開) 座長 小玉崇宏(香川大)
B-10-12 |
アナログ光ファイバ無線における変調歪の予歪付与による等化と等化信号の波長分散への応答に関する実験的検討
○藤嶋宏典(東京理科大)・カーリヤワサム アミラ(九大)・前田譲治(東京理科大) |
B-10-13 |
多値変調を用いた光無線通信方式
◎△聖代橋康希・笠 史郎(明大) |
B-10-14 |
予歪付与によって光変調歪を等化した搬送波付き光単側波帯信号に対する波長分散の影響
◎長田 笙(東京理科大)・カーリヤワサム アミラ(九大)・前田譲治(東京理科大) |
B-10-15 |
ナロービームによる水中移動体光無線情報伝送における伝送速度の伝送距離依存性の理論検討
◎武田有馬・松田知也・岡村康弘(徳島大)・中土井 祐・羽岡侑哉(古野電気)・髙田 篤(徳島大) |
B-10-16 |
マルチビーム構成の水中ワイヤレス光伝送におけるクロストークによる強度ゆらぎ
◎吉野量子(所属なし)・藤井恵子(日本女子大附属高)・吉野隆幸(東京電機大) |
アナログ光ファイバ無線 (A-RoF) は,光変調器の非線形性による変調歪の影響を受けやすい.本稿では,A-RoFで伝送する無線信号に予め歪を付与してマッハツェンダ変調器の変調歪を等化した光信号を生成し,その波長分散に対する応答を実験的に調べた.その結果,予歪付与はback-to-backにおける変調歪を抑制するとともに,波長分散による変調歪の変化を小さくすることを明らかにした.
スマートフォンやパソコンなどインターネット技術が発達したことで、通信基地局のモバイルネットワークやWi-Fiの回線では混雑が発生している。回線の混雑を解決する手段として、光無線通信技術が研究されている。光無線通信技術に、一度に複数ビットを伝送する多値変調方式を用いることで伝送速度を向上させることができる。これまで、多値変調方式を用いた光無線通信技術に関する検討は行われているが、256QAM以上の変調方式では十分に検討が行われていない。本論文では、PLLを使用せず、ディジタル信号処理で位相補正を行い、64QAMと256QAMを用いた光無線通信技術の実験、通信品質の比較検討を行った。
アナログ光ファイバ無線をマイクロ波・ミリ波帯信号に用いる場合には,波長分散によるフェージングが問題となる.変調側波帯の一方のみを伝送する搬送波付き光単側波帯 (OSSB+C) 信号を用いるとフェージングが回避できるが,変調側波帯の高調波も同時に伝送すると,光変調器の非線形性による歪が波長分散によって緩和されることが知られている.本稿では,変調信号に予め電気的に歪を付与して変調歪を等化したOSSB+C 信号に対する波長分散の影響について調べた.数値シミュレーションの結果,予歪付与による変調歪の改善は,波長分散の存在下でも有効であることを予見した.
無人潜水艇(UUV)から洋上等の基地艇へ高精細な水中動画像等のリアルタイム無線伝送が望まれている.水中では, 狭拡がり角の可視光ビーム(ナロービーム)を用いることにより, 長距離・高速伝送の実現可能性がある. 長距離伝搬の際, 水中での光吸収/散乱による伝搬損失以外に回折と, 光ビーム角度ずれも受光パワの減少要因となる. 本稿では, 光強度変調―直接検波(IM-DD)方式を想定し, 水中伝搬損失と回折拡がり及び光ビーム角度ずれを考慮した伝送速度の伝送距離依存性を理論的に求め, BER=10^-3で光送信ビーム角度ずれφ=0.02degを許容する場合, 70m(損失係数0.4dB/m)で約1Gbit/sの伝送速度を達成する等の結果を得た.
水中ワイヤレス光伝送では, マルチビーム構成によって浮遊物による特性劣化が改善される. しかしながら, 水中伝送路での光散乱等の影響によって光ビームが大きく拡がると, 光ビーム間でクロストークが発生する. 本稿では2ビーム間のクロストークに起因する光強度ゆらぎについて検討を行ない, クロストーク量と確率密度関数の関係を明確にした.
休 憩(16:00 再開) 座長 小金井洋平(富士通)
B-10-17 |
耐量子暗号を用いた認証と鍵共有機能を組み込んだY-00暗号通信システムのフィールド実験
○二見史生・谷澤 健・加藤研太郎(玉川大) |
B-10-18 |
中国におけるY-00量子ストリーム暗号の開発の分析
○廣田 修(中大) |
B-10-19 |
逆散乱変換に基づく双峰ソリトンの固有値解析
◎橋本康平・遠藤滉己・丸田章博(阪大) |
B-10-20 |
光固有値変調信号に対する雑音の影響についての実験的検証
◎中尾彰吾・角淵敦基・三科 健・丸田章博(阪大) |
本稿では,標準化候補として現在選定中のPQCで鍵共有するY-00暗号通信システムを実証したので報告する.公衆回線を通して遠隔地のユーザをPQCで認証後,鍵共有を行い,共有した秘密鍵を用いてリアルタイムのY-00暗号通信を,敷設光ファイバ通信回線で行った.
Y-00 量子ストリーム暗号(光通信量子暗号)は、2000年のDARPAプロジェクトにおいて、 Northwestern 大学のH.P.Yuen によって提案された共通鍵暗号のプロトコルである。その開発の動機は、Shannonが無条件安全な暗号として証明した鍵使い捨て暗号(OTP)の欠陥を解決することが可能かと言う命題が提示されたことによる。具体的には、Shannonが考察した時代には暗号文単独攻撃しか存在せず、OTPは暗号文単独攻撃に対して完全な情報理論的安全性が保証されたが、暗号学の発展によって、暗号技術には改ざん攻撃や既知平文攻撃など、様々な攻撃に対して安全性の定量的な評価が求められるようになった。その結果、OTPは改ざん攻撃には安全性を保証できず(非展性がない)、また平文に対する部分既知平文攻撃に対しては、平文の残りの情報が漏れることが指摘された。このようなShannon流の暗号が持つ欠陥は、盗聴者が正確な暗号文を入手することができるために生ずるものである事より、その解決策として暗号文自体を正確に取らせないY-00量子ストリーム暗号が提唱された。本稿では、この新量子暗号に関する中国の最新の成果を分析する。
光固有値変調方式は光ファイバの分散性および非線形性による自己位相変調(SPM)の影響を受けない変調方式である。一方、波長分割多重(WDM)方式による長距離光ファイバ通信の大容量化を実現するうえで、分散マネージメント(DM)技術は有望な技術の一つである。本稿では、DM伝送路を伝搬する周期的に定常なパルスのうち、2つのメインローブを持つパルスである双峰ソリトンの固有値解析を行った結果を示す。双峰ソリトンは、離散固有値を持つ場合、2つの離散固有値と実軸上の連続固有値を持つ。また、伝送路のパラメータによって、双峰ソリトンは離散固有値を持つ場合、離散固有値を持たない場合、存在しない場合があることが分かった。
光ファイバ通信における伝送容量は非線形シャノン限界によって制限されることが知られている.そこでファイバの非線形性および分散性による信号歪みの影響を受けない理想的な情報キャリアである光固有値を用いる光固有値変調方式が提案されている.しかし,信号に付加される雑音の影響により固有値の値が変動する.本稿では,1-ソリトン解について摂動逆散乱変換に基づく,白色ガウス雑音(WGN)が固有値に与える影響の理論解析結果を,実験的に検証した結果について報告する.
9月7日 9:00〜11:45 Meeting 15 座長 鈴木巨生(三菱電機)
B-10-21 |
新規構造を持つ光結合デバイスの研究
○中川大輔・津田裕之(慶大) |
B-10-22 |
Bias Teeを用いた信号合成による広帯域光パケット信号生成の検討
○古谷達男・津田裕之(慶大) |
B-10-23 |
Development of tunable filter for beyond 400Gb/s digital coherent transceivers
◎Quang Anh Duong・Masahiro Kawasugi・Fumihiro Takahashi・Yuki Kuno・Yuuki Horiuchi・Zhong Liang・Yasuki Sakurai(Santec) |
B-10-24 |
光伝送網における中継情報を活用した故障予兆の発生個所特定方式の提案
○久保貴志・伊達拓紀・渡邉紘平・島崎大作(NTT)・福地 裕・前田英樹(東京理科大) |
B-10-25 |
マルチコアファイバを用いたハードスライス収容の一検討
◎小野寺美澪・平野 章(東京電機大) |
マルチコアファイバ(MCF:Multi Core Fiber)を光通信システムに導入するためには高効率な光結合デバイスが必要になる。本研究ではMCFとシリコン光回路間の新しい光結合構造を提案する。構造は斜めに研磨された光ファイバと逆テーパー導波路を有するシリコン光回路から構成される。基板の上面から光を結合させるので、基板上のどこにでも配置できる結合構造となっている。3D-FDTD法を用いてテーパ幅wの最適化を行った結果、TE波はw = 0.16 µmのとき最小損失3.74 dB、TM波はw = 0.11 µmのとき最小損失3.28 dBとなった。また、w = 0.14 µmのときTE波とTM波の損失が最も近い値となり、このときの偏波依存損失は0.08 dBであった。
近年、通信トラフィック増加の影響により、光パケット交換技術の研究が盛んに行われている。一方で高度自動運転に向けた車載光ネットワークにおいても、光パケットを利用する。これらの光パケットを用いた通信では、低域から高域までをカバーする広帯域な光変調回路が必要である。そこで本研究では、Bias Teeを用いた低周波信号と高周波信号の多重化によって光変調器を駆動する構成を検討した。ガードタイムや間隔の異なる光パケット列に対して、アイ開口ペナルティの観点からBias Teeのカットオフ周波数を最適化する光パケット生成シミュレーションを行い、広帯域な光パケット生成を実現した。
For the next generation of 400G, 800G or higher bitrate network, a new type of optical tunable filter (TOF) with higher Gaussian order than 1st and better noise cancelation is required. In this research, we succeeded in assembling a miniature TOF within a package size of 7.5x5.5x3.5mm and with a Gaussian order of 1.5th. The new TOF is promising for the next generation of high-speed transceivers for the 5G network and beyond.
光パスのQ値の劣化情報に加え、中継部位に追加モニタを導入しOptical Signal to Noise Ratio(OSNR)および光スペクトル形状を取得することで、異常部位の特定をパッケージ部位単位で実現できる方式を提案し、伝送装置を用いて実現性の確認を行った。
5Gに向けて多様な要件に迅速かつ柔軟に対応できるネットワークの提供が課題となっている。そこで、大容量ブロードバンドや超低遅延高品質など、幅広い要件に対応できる技術としてネットワークスライシングが期待されている。これらのサービスを支える仮想化ネットワークでは、スライス間の影響を押さえたハードスライスが求められている。本稿では、マルチコアファイバを用いてハードスライスを実現する手法を提案し、基本的収容設計とコスト評価を行った。
休 憩(10:30 再開) 座長 佐野明秀(立命館大)
B-10-26 |
FM-EDFA利得制御性に対するEDF断面内励起エルビウムイオン分布の影響
○小野浩孝(湘南工科大)・山田 誠(大阪公立大) |
B-10-27 |
反射型マルチ QPM モジュールを用いた光パラメトリック増幅の検討
○川端優樹・遊部雅生(東海大)・風間拓志・圓佛晃次・梅木毅伺・渡邉 啓(NTT) |
B-10-28 |
PPLN導波路を用いた光パラメトリック増幅器の増幅帯域拡張に関する一検討
◎清水新平・小林孝行・風間拓志・梅木毅伺・中村政則・圓佛晃次・柏崎貴大・渡邉 啓・宮本 裕(NTT) |
B-10-29 |
マルチコアファイバ利用による双方向フレキシブル伝送に向けたアイソレータレス光増幅器増幅特性の検討
◎下村優輔・竹下仁士・細川晃平(NEC) |
B-10-30 |
光スペクトル反転法を用いたコア間クロストーク累積特性の低減方式の提案と実証
◎星 めぐみ・芝原光樹・清水新平・小林孝行・梅木毅伺・風間拓志・渡邉 啓・森 崇嘉・山田裕介・中島和秀・宮本 裕(NTT) |
2-LPモードEDFAについて,励起エルビウム分布が利得制御性に与える影響をシミュレーションにより調べた結果を報告する.
近年、通信トラフィックの増大に伴って、光通信の大容量化が求められている。通信帯域の拡大にむけて、我々は周期分極反転LiNbO3導波路を用いた光パラメトリック増幅(OPA)を利用した、C/Lバンド以外での光増幅を試みている。先行研究において、複数の擬似位相整合(QPM)条件を満たすマルチQPM素子を往復で用い、第二高調波発生(SHG)過程及び差周波発生(DFG)過程を行うことで単一の素子による波長変換の検討を行った。本研究ではSH光のみを反射するミラーを内蔵したマルチQPMモジュールを用い、SHG過程及びDFG/OPA過程による波長変換・増幅の検討を行った。その結果、1.48μm帯信号光の増幅と、1.63μm帯アイドラ光への変換を実現した。また、従来の素子と比較して変換効率が向上し、単一の素子を用いた構成としては初めて信号光の増幅が実現された。
PPLN導波路による光パラメトリック増幅 (PPLN-OPA) は、光ファイバ通信における広帯域光増幅中継器としての応用が期待されている技術である。本稿では、PPLN-OPAのさらなる広帯域化に向け、2つのPPLN導波路を縦続接続した構成を提案する。2つのPPLNはそれぞれ相補的な利得スペクトルとなるように導波路温度が調整される。また、初段のPPLNで使用した励起光は後段のPPLNで再利用される。このような構成によって、従来構成と比較して励起光の増加無しに約0.9 THzの増幅帯域の拡張が可能であることを実験的に確認した。一方で、提案構成の利得飽和特性を数値解析によって調査し、縮退波長近傍での増幅特性が課題となり得ることを確認した。
マルチコアファイバ(MCF)においてコア毎に伝送方向を切り替えられればトラフィック需要に応じた伝送路が提供できる。しかし、光増幅器にはアイソレータが存在するため、自在に伝送方向を切り替えることができない。そこで最も単純な解決手段としてアイソレータレス光増幅器を検討した。本研究ではMCF伝送方向切り替えシステムの実現に向け、アイソレータレス光増幅器の課題をシングルコアファイバで検討した。今回の報告ではアイソレータレス光増幅器で生じるレーザー発振を抑えるための条件と、その時に得られるゲインとNFについて検討した結果を報告する。
ファイバあたりの伝送容量拡大に向けて空間多重技術が注目されているが、そのうちマルチコアファイバ(MCF)を用いた伝送路では、コア間クロストーク(XT)が主要な伝送制限要因となる。XTには波長依存性が存在するため、広帯域を用いたMCF伝送においては、信号処理を含むシステム設計が複雑化するという課題がある。本報告では、XTの波長依存性を、伝送路途中でのスペクトル反転により低減させる手法について提案する。提案手法の有効性を実証するため、PPLN素子を用いた位相共役変換によりスペクトル反転を行う伝送実験を行い、4コアMCF敷設ケーブルを用いて、C帯についてXTスペクトルの傾きの低減効果、およびPDM-QPSK信号のQ値の波長依存性低減を確認した。
9月7日 13:00〜14:30 Meeting 15 座長 アミラ カーリヤワサム(九大)
B-10-31 |
FPGAを用いた2.5Gbaudコヒーレント光送受信器による搬送波周波数変動補償
備海正嗣・松田恵介・◎横村優太・佐野勇人・吉田 剛・小西良明(三菱電機) |
B-10-32 |
光送受信機のIQ波形歪みの四次元モデル化と推定
◎川合 暁・中村政則・小林孝行・宮本 裕(NTT) |
B-10-33 |
光送信機の帯域制限に対するDigital Predistortion補償量の伝送路雑音量に応じた最適化による雑音耐力向上
◎金子瑠那・笹井健生・中村政則・山崎悦史・木坂由明(NTT) |
B-10-34 |
アナログおよびデジタルDEMUX方式による160 Gbaudコヒーレント光ナイキストパルス信号の復調特性の比較
○吉田真人・木村光佑・葛西恵介・廣岡俊彦・中沢正隆(東北大) |
B-10-35 |
確率的整形符号化光伝送システムでのファイバ非線形雑音特性の影響
○入江博之・喜志多達郎・中島久雄・秋山祐一・星田剛司(富士通) |
B-10-36 |
デジタルコヒーレント通信における光領域等化の補償帯域幅最適化による雑音耐力の最大化
◎高橋みなみ・中村政則・笹井健生・木坂由明(NTT) |
デジタルコヒーレント光通信は,線形な光電気変換後のデジタル信号処理(DSP)によりさまざまな信号品質劣化の補償が可能であり,長距離大容量光ファイバ通信のみならず,短距離光ファイバ通信や衛星間光通信への応用も検討されている.従来,デジタルコヒーレント光通信用DSPは専用の大規模集積回路に実装されてきたが,Field Programmable Gate Array(FPGA)の活用により,より広範な用途への展開が期待される.一方で,変調速度が数Gaudに制限され,光源の周波数ドリフトや位相雑音が性能劣化要因となることに加えて,高速な周波数変動を生じるドップラーシフトの影響も課題である.本稿では,FPGAを用いたコヒーレント光送受信試作機を用いて,2.5Gbaud 2値位相変調及び4値位相変調信号に対して,リアルタイムに送信搬送波周波数を変化させることでドップラーシフトを模擬し,光源位相雑音を含めた耐性を評価したので報告する.
光送受信機の最大容量増加やフレキシブルな距離・容量設定を可能とするため、光送受信機の100 Gbaud超級の高シンボルレート化が近年実用化に向けて検討されている。高シンボルレート化の制限要因の一つが、送受信機内のIQ波形歪み、すなわち送受信機のIn-phaseレーンとQuadratureレーンとの間に生じる相対的な特性差(IQスキューなど)やクロストークである。
本研究では、先行研究では扱うのが難しかった偏波間IQクロストークを含めた四次元IQ波形歪みをモデル化し、理論的に扱う方法を示す。また、その応用として、複素8×2 MIMO適応等化器を用いて、送受信機のIQ波形歪み特性を分離推定する方法を示す。
光伝送システムにおいて,光送信機中のアナログデバイスにおける帯域制限は信号の伝送性能に大きく影響する.そのため,伝送レートの最大化には,予め送信側で帯域制限を補償するDPD: Digital Predistortionを行うことが必要である.ここで,伝送路雑音量に応じて,送信側の帯域制限の最適な補償量は変化することが先行研究より明らかになっている.本研究では,64QAM 100 GBaudの信号に対する,伝送路雑音量に依存した最適補償量を実験的に評価し、雑音耐力の向上を確認したので報告する.
光ナイキストパルスを用いたコヒーレント多値OTDM伝送は、超高速かつ高効率な光伝送方式である。我々はこれまでに本方式を用いて単一チャネル15.3 Tbit/s-150 km伝送を8.3 bit/s/Hzの周波数利用効率で実現している。しかしながら、シンボルレートが1.28 Tbaudと高いため、伝送距離は150 kmに制限されていた。このシンボルレートを低速化させWDM波長数を増やすことにより、総伝送容量を保ちながら伝送距離の拡大が期待できる。例えば160 Gbaudまで低速化した場合にも、16 QAM変調方式を用いて1.28 Tbit/s/chの高い伝送速度を実現できる。
このシンボルレートの低速化に伴い、高速DSPを用いたデジタル信号処理によるOTDM信号の多重分離(DEMUX)が可能となり、復調回路を簡素化できる。今回、このデジタルDEMUX方式による復調特性を評価するために、これまでに採用してきたナイキストLOパルスを用いたアナログ方式による復調特性との性能比較を行ったので報告する。
ディジタルコヒーレント伝送システムにおいて、確率的整形符号化技術により伝送システム性能を最大化する技術が活発に検討されている。この方式は従来の一様確率分布のQAM変調方式に比べファイバ非線形雑音が大きく、それは信号確率分布の4次モーメントに依存することが解析的に示されている。今回我々は数値計算により信号対ファイバ非線形雑音比の4次モーメント依存性、及びその伝送距離による変化について調査した。結果として、その依存性は伝送距離が短いと大きく、距離とともに減少することを示した。
PAPRの増加なしにデバイス帯域補償が可能な光領域等化(OEQ)について、補償する周波数帯域を考慮したOEQを提案し、提案方式を用いることで所要OSNR(Optical Signal Noise Ratio)耐力の改善を確認した。
B-11. コミュニケーションクオリティ
9月6日 13:00〜16:30 Meeting 28 座長 菅沼 睦(多摩大)
B-11-1 |
ゲーム操作における遅延影響評価に関する検討
○吉村憲子・恵木則次(NTT) |
B-11-2 |
Web会議サービスの品質変動映像に対する評価特性に関する一検討
○川嶋喜美子・恵木則次(NTT) |
B-11-3 |
複数サービスを対象とした比較品質推定モデルの検討
○浦田勇一朗・恵木則次・河野太一(NTT) |
B-11-4 |
車外監視映像のビットレートが物体の検知率に与える影響
◎小池正憲・横田将裕・山岸和久(NTT) |
本検討では,ゲーム内の操作の違いが評価に与える影響について確認する.具体的には,複数パターンの遅延を混入させた際の操作性に関する主観評価実験を実施し,ゲームの難易度が異なる3種類のゲームに対する評価特性,およびその考察について述べる.
Web会議サービスのパラメトリック品質推定技術の構築に向けて,符号化開始時変動や,品質上昇,品質下降といった品質変動がWeb会議映像品質に与える影響を明らかにするために主観品質評価実験を実施した.その結果,平均ビットレートが同程度であっても品質要因によって主観品質は異なり,品質変動時には安定時に比べて主観品質が低下する特性を確認した.
複数サービスのユーザ体感品質に基づいた品質設計の実現をめざし,複数サービスの品質推定値を同一尺度上で比較可能とするために,Webブラウジングと映像配信を対象に,比較品質推定モデルを構築した.両サービスの品質比較を行う主観品質評価実験を実施し,その結果から精度確認を行ったところ,提案モデルは高い精度で推定可能であることを確認した.
自動運転において監視カメラで車外映像を撮影し,遠隔で運転に支障となる物体を検知する際,撮影した映像が物体検知可能な品質でエンコードされる必要がある.本検討では物体検知率モデルの構築に向けた初期検討として,映像のビットレートと主観実験で確認された物体の検知率との特性について報告する.
休 憩(14:15 再開) 座長 大西健夫(NEC)
B-11-5 |
事前シミュレーション評価に基づく無線基地局稼働状態制御技術の提案
○中平俊朗・村山大輔・高谷 聡・守山貴庸(NTT)・山本高至(京大) |
B-11-6 |
端末および基地局の省電力化のための通信時間制御技術の提案
○高谷 聡・中平俊朗・村山大輔・守山貴庸(NTT) |
B-11-7 |
観測数を考慮した階層ベイズモデルに基づく無線基地局のスループット推定モデル構築手法の提案
◎金正英朗・竹下 恵(NTT) |
B-11-8 |
6G網におけるエッジコンピューティング資源信頼管理の一検討
○山中広明(NICT) |
筆者らは,ユーザに無線ネットワークを意識させないナチュラルな無線通信実現に向けたマルチ無線プロアクティブ制御技術の研究開発において,無線エリア動的設計・制御技術の検討を進めている.本稿では,Beyond5G/6G 時代に増加が見込まれる高密度な無線基地局配置環境における無線基地局の稼働状態制御に着目し,通信要求を満たしつつ余剰な無線基地局稼働を削減して電力消費を抑えるための制御技術を提案し,計算機シミュレーション評価により有効性を示す.
筆者らは,端末の要求を満たしつつ端末・基地局の省電力化を実現するため,制御サーバから基地局-端末間の通信を行う時間を制御する無線システムとアルゴリズムを提案し,計算機シミュレーション評価によりその効果を示す.
通信事業者はユーザの通信品質向上の観点から無線区間のスループットの改善に取り組んでいる.一例として,オペレータの経験則に基づき基地局のチルト角を変更することでユーザ全体の平均スループットを向上させる取り組みがあるが,平均スループットをより向上させるには,ユーザ数とスループットの関係を適切にモデル化し,そのモデルに基づきチルト角を変更することが望ましい.特に,ユーザ数が同じでも周波数帯等の設定の違いにより基地局ごとにスループットが異なることから,基地局ごとにモデルを構築する必要がある.本稿では従来手法の問題点を鑑み,観測数を考慮した階層ベイズモデルに基づくスループット推定モデルの構築手法を提案し,実データを用いてその有効性を評価する.
6Gでは,エッジコンピューティングの適用が想定されている.高いQoEを得るため,通信事業者以外に,ローカル5Gのような自営基地局とサーバを利用することが考えられる.また,自営網を一般にも解放して,運営者がビジネスを行うことも考えられる.ただし,管理者によりメンテナンス状況が異なるため,高いQoEが十分に得られない可能性がある. そこで,本研究では,評判(レピュテーション)システムにより,管理者の信頼性を確認して,高い性能が得られる見込みがあるローカルサーバを利用するアプローチを考える.評判システムを用いることで,多様な運営者が混在する環境において,運営者間の合意や中央集権的なシステムなしに,信頼管理を実現できる.
休 憩(15:30 再開) 座長 大石晴夫(NTT)
B-11-9 |
NDNでのプライバシー保護を目的としたアクセス制御法の検討
◎深川悠馬・上山憲昭(立命館大) |
B-11-10 |
ICNのFIBサイズとネットワーク負荷低減を目的としたコンテンツ配置制御
◎橋本紘輝・上山憲昭(立命館大) |
B-11-11 |
合意形成モデルにおけるフィルターバブルの影響と合意形成不全
◎岩崎 創・塩田茂雄(千葉大) |
B-11-12 |
クラウドソーシングを用いたリアルタイム防犯システムの低コスト化の検討
○野原智哉・小板隆浩・板野竜也(同志社大) |
ICN (Information Centric Networking)が,コンテンツを効率よく転送されるネットワークとして着目されている.ICNのアーキテクチャの一つであるNDNでは,コンテンツを要求する際に要求コンテンツ名で配信要求 (Interest)を送信する.そのため攻撃者がスニッフィングにより,Interestの情報からどのコンテンツを取得しているのかを盗聴できる問題がある.この問題を回避するために,コンテンツ名を暗号化するといった対策をとることが考えられる.しかしコンテンツ名を暗号化するだけでは,暗号化コンテンツ名を収集し,コンテンツ名を特定する頻度攻撃が可能である.そこで著者らはNDN上での具体的な動作を考慮したコンテンツ名の暗号化や頻度攻撃の問題を減少させる方式を提案する.
これまでにCDN をICN のオリジナル提供プラットフォームとして位置づけ,URL の最初のコンポーネントであるTLD(top level domain) とURL の2 番目のコンポーネントであるSLD (second level domain)の各々に対し,該当Web オブジェクトの個数の降順に同一のCDN のキャッシュサーバに割り当て,Webオブジェクトを再配置することで,ICN ルータのFIB サイズを効果的に削減することを提案した.本稿ではこれを拡張し,高人気コンテンツを多く含むドメイン名のURLをネットワークの中心に配置することで,FIBサイズだけなく平均リンク負荷の低減を同時に考慮する方式を提案する.
検索サイトやソーシャルネットワークサービスの機能等により,関心のない/不快な情報がいつの間にか遮断され,(バブルに包まれたかのように)関心のある/心地良い情報しか入らなくなることをフィルターバブルと呼ぶ.本研究では,フィルターバブルのある合意形成モデルを考察し,フィルターバブルが合意形成や多数派の形成を阻害することを示す.
現在,犯罪行動の自動検知に関する研究が多数行われている。その多くは機械学習を用いた手法であるが,犯罪検知の分野では教師データが集めにくく,犯罪パターンも多様であり,機械学習の適用が難しい.板野らは犯罪行動の一つとして万引きを対象とし,クラウドソーシングを用いたリアルタイム万引き検知システムを提案した。この先行システムに残された課題の一つがコスト問題である.
本稿では,より低コストでクラウドソーシングを用いたリアルタイム万引き検知システムを実現する手法の検討を目的とし,タスクの回答の正解率およびコストを実験により評価する.
B-12. フォトニックネットワーク
9月7日 9:00〜11:30 Meeting 32 座長 石井健二(三菱電機)
B-12-1 |
高速フーリエ変換を用いた光ネットワークリソース探索の高速化
○角田聖也・吉兼 昇(KDDI総合研究所) |
B-12-2 |
k-SPF アルゴリズムによる光ネットワーク上での冗長経路設定
○松浦 洋・越地弘順・金子康晴・横井花深・松川達哉・佐尾英博・宮村 崇(NTT) |
B-12-3 |
マルチバンド仮想バイパスリンクを用いたネットワーク容量拡張法
◎齊藤大介・森 洋二郎(名大)・細川晃平・柳町成行(NEC)・長谷川 浩(名大) |
B-12-4 |
グラフスペクトル相関解析による光ファイバ網の特徴量評価
○東森一晃・田中貴章・井上 武(NTT) |
B-12-5 |
ダイナミックセキュアネットワークのためのパケットペイロード置換フィルタ装置の評価実験
○岡本 聡・村上正樹・植松芳彦・山中直明(慶大) |
マルチコアファイバ(MCF)などの空間分割多重伝送技術が研究されている.MCFの各コアを個別にスイッチング可能とする構成の場合,経路内で使用するMCFのコア組み合わせは膨大となり,リソース探索の処理時間が課題となる.これまで光NWリソース全探索の高速化はあまり議論がなされていなかった.周波数帯域を探索する処理は離散畳み込み積分としきい値判定とみなすことができる.要素数が多い場合,一般的に離散畳み込み積分は高速フーリエ変換(FFT)を用いることで高速化可能である.そこで,今回N次元FFTを用いてコアなども含めた光NWリソースの全探索を高速化する手法を検討したため報告する.
光ネットワーク上での様々なサービスを実現するためには、迅速な光パス生成と、信頼性を確保するための冗長経路の設定が必要になる。本稿では指定された始終点間に k本の経路を経路コスト順に算出する k-SPF アルゴリズムを適用し、指定された始終点ノード間に 1 系、2 系の光パスを設定する手法を提案する。
通信量の継続的かつ指数関数的な増大に伴い,光ネットワークの飛躍的な容量拡大が必要とされている.更なる容量拡大手法として,空間多重度の向上や,S/L帯等を用いるマルチバンド伝送が検討されているが,これらの導入は多大なコストと時間を必要とする.
本稿ではネットワークの一部にマルチバンド伝送を導入して既設光ファイバを最大限に活用する,費用対効果の高い光ネットワーク容量拡大法を提案する.提案法では最も混雑が見込まれるリンクの周辺のみでのマルチバンド伝送と,そこで追加的に用いられる帯域への波長変換機能を導入する.JPN25トポロジにおいて混雑すると想定される,連続する2リンクで周波数帯域を拡大することでネットワーク容量が増加することを示した.
光ファイバ網は所与とされることが多いが,光網システムの重要な構成要素であり,それ自体が研究/設計対象である.ファイバ敷設の敷居の高さを考えると,短期的みれば柔軟性に欠けるものの,長期的にはシステム性能を左右し続ける.実際,光ファイバ網の物理トポロジに依存して,ネットワーク全体の通信容量,コスト,堅牢性などのシステム性能の上限は大きく変わる.本講演では,光ファイバ網の特徴量を網羅的に調べるための相関解析手法を紹介し,特にグラフスペクトルの観点を中心に,光ファイバ網の設計において重要なグラフ指標について述べる.
Beyond 5G実現に向けて,ネットワーク機器の再構成を利用してIn-Networkでのデジタルツイン型セキュリティ防御網の提案を行っている.提案防御網における攻撃トラヒックに対する網の反応を検証するための疑似攻撃用トラヒック作成を目的として,実網からのデータ収集を行うためのユーザプライバシに配慮した収集機器の開発を行った.本稿では,機器の評価実験を行った結果を報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 光野正志(日立)
B-12-6 |
マルチバンド光クロスコネクトの実現に向けたPPLN型全光波長帯変換技術の雑音特性評価
◎巳波春香・広瀬健太・深谷崇文・関 剛志・清水新平・小林孝行・風間拓志・圓佛晃次・梅木毅伺・渡邉 啓・宮村 崇(NTT) |
B-12-7 |
シリコン光回路を用いたハイブリッド波長選択光クロスコネクトの設計
◎守屋勇樹・津田裕之(慶大) |
B-12-8 |
高信頼かつ大規模データセンタ光スイッチ
◎三ツ矢拓誠・落合匠郎・久野拓真・森 洋二郎・長谷川 浩(名大)・佐藤健一(産総研) |
B-12-9 |
メトロ網向けL帯光TDMネットワークに関するー検討
◎益本佳奈・松田俊哉・関 剛志・中川雅弘・西山公太・宮村 崇(NTT) |
マルチバンド伝送を適応したネットワークにおいて、我々は、各波長チャネルに対して任意の波長帯および方路を選択して伝送することが可能なマルチバンド光クロスコネコネクト(MB-OXC)構成を提案している。これにより、波長帯を跨った信号のクロスコネクトが可能になり、波長リソース使用率の向上が期待される。本報告では、PPLN型全光波長帯変換装置を使用した場合のMB-OXCの雑音特性を評価し、このMB-OXCが長距離伝送を行う中継ノードシステムに適用可能であることが示唆された。
柔軟で効率的なネットワークの実現には、ROADMが不可欠である。ROADMの高機能化のために波長選択光スイッチ(WSS : Wavelength Selective Switch)が重要な役割を担う。導波路型 WSSは多ポート化・多チャネル化が困難で、自由空間光学型WSSはスイッチング速度がミリ秒と低速である。本研究では、シリコン光回路を用い、波長合分波を自由空間光学系で行う多ポート・多チャネルが可能でスイッチング速度がマイクロ秒のハイブリッド型 Wavelength Selective Crossconnect (WXC)を提案する。また、回折格子・レンズのパラメータを最適化した。
急増するデータセンタ通信トラフィックを効率よく処理するために,光スイッチのデータセンタへの導入が期待されている.空間スイッチと波長ルーティングスイッチを組み合わせることで,低コストかつ大規模な光スイッチ構成が実現可能である.しかし,波長ルーティングスイッチ部に用いられるエルビウム添加ファイバ増幅器(EDFA)が故障すると複数のポートが同時に利用不可能になる.これを避けるために,EDFAの故障に備えた設計が必要である.本稿では,損失の増加を抑圧しつつ,信頼性を向上する光スイッチ構成を提案する.計算機シミュレーションにより,96ポート当たり1つのEDFAを追加することで,EDFAの故障による光スイッチの年間故障時間が0.0014%まで減少することを確認した.伝送実験により,本光スイッチ構成の実現可能性を確認した.
メトロ網への光TDM技術の適用において,EDFAを用いたオーバーシュート抑制可能なバースト光増幅技術が必須となり,我々は過去複数のアプローチを報告しているが,これらは光TDM信号の使用波長帯として全てC帯を用いた評価を行っている.
そこで,本論文では,光TDM技術を適用する波長帯の選択肢を広げるために,C帯と同様にトランスポート網で使用されているL帯を用いた評価を行う.つまり,C帯・L帯それぞれメトロ網相当の長距離バースト光伝送を行い,オーバーシュート量を比較し,C帯よりL帯の方がオーバーシュートが起きにくいことを確認したので報告する.
B-13. 光ファイバ応用技術
9月6日 9:15〜11:15 Meeting 14 座長 高橋正典(古河電工)
B-13-1 |
結合型マルチコアファイバにおける曲げ損失のコア数・曲げ方向依存性
◎今田諒太・坂本泰志・森 崇嘉・山田裕介・中島和秀(NTT) |
B-13-2 |
3モード階段型純石英コアファイバのモード間遅延差と損失特性
◎岩屋太郎・寒河江悠途・森 崇嘉・坂本泰志・松井 隆(NTT)・佐藤孝憲・齊藤晋聖(北大)・中島和秀(NTT) |
B-13-3 |
標準クラッド径3モード4コアファイバの設計
○寒河江悠途・森 崇嘉・松井 隆・岩屋太郎・坂本泰志(NTT)・佐藤孝憲・齊藤晋聖(北大)・中島和秀(NTT) |
B-13-4 |
Silica-PLCを用いた2LPモード伝送用可変モード依存損失等化器
○森 崇嘉(NTT)・藤澤 剛(北大)・阪本隼志・山下陽子・坂本泰志・今田諒太(NTT)・井馬遼人・佐藤孝憲(北大)・渡邉 啓・笠原亮一・橋本俊和(NTT)・齊藤晋聖(北大)・中島和秀(NTT) |
結合型マルチコアファイバ (MCF) は優れたモード分散特性を有するため長距離大容量伝送に適した空間分割多重伝送用光ファイバとして期待されている.これまで我々は,結合型MCFにおける曲げ損失のコア数および曲げ方向依存性について計算検討を行ってきた.本稿では試作した4, 8, 12コアファイバを用いて,曲げ損失特性を実験的に検証したので報告する.
モード間遅延差(DMD)を抑制するGI型数モードファイバ(FMF)では, シングルモードファイバ(SMF)相当の損失が報告されている. レイリー散乱損失の低減には, 一般的に純石英コアファイバが適用されるが, その製造過程において, 複雑な屈折率分布の制御が困難であることが知られており, GI型純石英コアファイバの報告例はない. 本検討では, FMFの更なる低損失化のため, 3モード階段型純石英コアファイバにおける損失特性を計算検討したので報告する.
標準クラッド径数モードマルチコア光ファイバでは光の漏洩損失とXTの設計が難しく、数100 km以上の伝送路に適用可能な設計は明らかにされていない。本稿では今日ディプレスト層を有するマルチコア構造を用いることで、漏洩損失とXTの設計が可能であることを計算で明らかにしたので、報告する。
低損失かつ小型のPLC 型可変モード依存損失等化器を提案した.提案デバイスを用いることで2 LP モード光増幅器のモード間利得差について,励起条件に依らずC 帯全域で0.5 dB 以下に低減できた.モード依存損失を最小化したモード多重伝送リンクの実現が期待できる.
休 憩(10:30 再開) 座長 川口雄揮(住友電工)
本セッションはB-10Aとの関連セッションとなります。 |
B-13-5 |
装置内高密度配線に向けた19コアマルチコアファイバの設計
○松野佑亮・高橋正典・杉崎隆一・新子谷悦宏(古河電工) |
B-13-6 |
三層巻きボビン法によるカットオフシフト光ファイバを実装した細径高密度光ケーブルの実装密度の設計
○菊池 雅・山田裕介(NTT) |
B-13-7 |
光ファイバの水素短期暴露時の光損失特性変化
○石川聡一・櫻井 信・松尾崇司・山田裕介・宝満貞治(NTT) |
本論文では、装置内での高密度配線に適した19コアMCFの設計について報告する。ファイバ設計の最適化により,コア間XT及び曲げ損失双方が小さい設計を検討した。製造性に優れた単峰コアと低XT、低曲げ損失に有効なトレンチコアをMCFに使用する場合を比較検討した。その結果、トレンチコアを使用することでMCFの細径化と低XT、低曲げ損失の両立が可能となり、装置内での高密度配線に適したMCFを実現可能なことが示された。
低曲げ損失光ファイバを用いた間欠接着型光ファイバテープ(以下,間欠テープ)を高密度に実装した細径高密度光ケーブルがアクセスネットワークを中心に広く実用化されている.
特に中継区間に適したカットオフシフト光ファイバ(以下、CSF)等のマイクロベンディング損失の生じやすい光ファイバを細径高密度ケーブルに実装する場合、実装密度を複数水準試作し,損失を抑制可能な範囲を見極める必要がある.
そこで,任意の光ファイバに対してケーブル化時のマイクロベンディング損失を簡易に再現し適切な設計範囲を推定する三層巻ボビン法を提案してきた.本稿では,三層巻ボビン法をCSFに適用し,ケーブル実装した場合と比較したので報告する.
これまでにシングルモード光ファイバ(SMF)を短時間に水素へ暴露した際の光損失特性の変化について報告した。一方、今後の陸上幹線ネットワークにはカットオフシフトファイバ(CSF)と呼ばれる低損失の純シリカコアファイバが用いられる可能性がある。CSFはSMFとコア・クラッドの組成が異なり、クラッド部にフッ素ドープの石英が用いられている。石英への水素の拡散は、フッ素ドープにより拡散係数が上がることが知られており、CSFはSMFより短時間水素暴露による影響が大きいと想定されるが、定量的に明らかにされていない。そのため本検討では、CSFに短時間水素を暴露した際の、暴露時間と損失増加量の関係を測定した結果について報告する。
9月7日 10:00〜11:45 Meeting 14 座長 小田拓弥(フジクラ)
本セッションはB-10Aとの関連セッションとなります。 |
B-13-8 |
MFD定義式とファイバパラメータを用いたDMD推定法の関係
○中森真輝・中村篤志(NTT)・大橋正治(大阪公立大高専)・古敷谷優介(NTT) |
数モードファイバ(FMF)を用いたモード分割多重(MDM)伝送は,従来の光通信システムの伝送容量の限界を打破する有力な手段として注目されている.我々は容易に測定可能なファイバパラメータを用いてDMDを推定する方法について検討してきた.FMFにおける伝搬モードのMFD値はその定義式によって異なるため,DMDを正しく推定するためのMFD定義式について検討する必要がある.本稿では,MFDの定義式とDMDの推定結果の関係について基礎検討を行ったので報告する.
9月7日 10:45〜11:45 Meeting 14 座長 青笹真一(流通経済大)
本セッションはB-10Aとの関連セッションとなります。 |
B-13-9 |
4コアマルチコアファイバ用バンドル型ファンインファンアウト
○菊地貴広・島川 修・田澤英久(住友電工) |
B-13-10 |
マルチコアファイバコネクタ反射減衰量の簡易測定法
◎上村圭史・藤巻湧己・中澤優太・長瀬 亮(千葉工大) |
B-13-11 |
遠隔光路切替ノードの心線切替のための多心円筒フェルール端面構造の検討
○深井千里・阿部宜輝・片山和典(NTT) |
B-13-12 |
MTフェルール端面における固形屈折率整合材の接着力評価
○阿部宜輝・小山 良・片山和典(NTT) |
4コアマルチコアファイバと4心シングルコアファイババンドルをフィジカルコンタクト接続することで低ILと高RLを実現したバンドル型ファンインファンアウトに関して、その設計と共に諸光学特性と温度特性の評価結果について報告する。
マルチコアファイバ(MCF)は,次世代の大容量通信を実現する候補の一つである.MCF用光コネクタの接続特性を測定するには個別のコアに光信号を入射するためのファンイン・ファンアウト(Fan-in/Fan-out: FIFO)部品が必須である.MCF用光コネクタの反射減衰量を測定するためにはFIFO自体およびFIFOとの接続点における反射の影響を取り除かなくてはならない.
そこで我々は,FIFOを用いずに,MCF用光コネクタ1接続点の反射減衰量を簡易的に測定する方法を検討した.
遠隔光路切替ノードに適応可能な省電力な光スイッチ(OSW)として検討してきたマルチコアファイバを用いたOSWでは,フェルール端面での反射を抑制するために,端面に低反射フィルタを取り付けたが,反射減衰量は一般的な光コネクタの規格値を達成しなかった.このため,フェルール端面に円周上にSMFを配置し,斜め端面とすることにより反射特性を向上するマルチファイバフェルール構造について検討したので報告する.
MPOコネクタは、斜めに研磨したMTフェルール端面同士をバネで押圧することで低反射接続を実現しているが、接続心数の増加に比例して押圧力が増加しており、この傾向は低損失なコネクタ設計・製造の難易度を上げる。そこで、接続心数が増加してもフェルールへの押圧力を増加させる必要がない多心光コネクタの構造として、直角研磨したMTフェルール端面に固形屈折率整合材を成膜させることを提案した。今回は、MTフェルールに成膜させた固形屈折率整合材のフェルール端面への接着力を評価した結果を報告する。
9月7日 13:00〜17:00 Meeting 14 座長 高橋 稔(フジクラ)
B-13-13 |
側面研磨ファイバの残存クラッド厚と研磨損失の関係性
○植松卓威・納戸一貴・飯田裕之・片山和典(NTT) |
B-13-14 |
光ファイバ側面研磨を用いた現場作製光カプラの側面研磨時の荷重の分岐比への影響評価
○納戸一貴・植松卓威・飯田裕之・片山和典(NTT) |
B-13-15 |
フレネル反射を利用した光抽出方法における偏波特性改善の検討
○小山 良・阿部宜輝・片山和典(NTT) |
B-13-16 |
遠隔光路切替ノードの直列接続台数に関する検討
○黒田晃弘・川野友裕・中江和英・渡邉 汎・片山和典(NTT)・真鍋哲也(三重大) |
B-13-17 |
遠隔光路切替ノードの電力モデルに関する検討
○川野友裕・黒田晃弘・中江和英・渡辺 汎・片山和典(NTT)・真鍋哲也(三重大) |
現状,光ファイバを分岐するためには心線を切断し光分岐デバイスを挿入しなければならないため,既設光ファイバを通信断なく分岐することは困難である.この問題解決に向け,通信断なく既設光ファイバ側面を研磨し光分岐カプラを挿入する方法を提案した.提案方法ではコアから研磨面までの残存クラッド厚(RCT: remaining cladding thickness)が小さくなるに伴い損失が増加することを利用し,目標のRCTになるように研磨を終了する損失値を設定する.しかし,RCTと研磨損失の関係性についてはこれまで理論的な検討がなく,実験的に導出する必要があった.本報告では,RCTと研磨損失の関係性の計算方法を提案し,実験結果と一致することを確認する.
柔軟な光通信網として,光のバス型ネットワークが検討されている。しかし,既設の光通信網に後付けで光カプラを接続する場合,一度光ファイバを切断し,光カプラを接続する必要がある.そこで,通信中の光ファイバの側面を研磨し,通信断なく光カプラを後付けする方法を提案している.提案方法では,光ファイバ側面研磨により,伝搬損失を発生させ,その損失を検知することで,研磨完了を判断している.そのため,光ファイバ側面研磨時の研磨条件の伝搬損失への影響が懸念される.そこで,本報告では,提案方法にて作製した光カプラの光ファイバ側面研磨時の荷重と最大分岐比の関係を報告する.
我々が検討する光信号の一部をフレネル反射により抽出して強度測定する方法は,幅広い通信帯域の光抽出が可能な点で有利であるが,フレネル反射率に偏波依存性があるため抽出光量がファイバ伝搬光の偏波状態によって変化するという問題点がある.そこで,本検討では2つの光抽出部を用いて偏波に依らない光強度測定を行なう方法について検討した.
光サービス需要に柔軟に対応可能な多段ループ網構成と遠隔での心線切替機能を持った遠隔光路切替ノードを提案している.ノードの接続方式の一つとして提案した直列接続方式において,接続可能なノード台数を明らかにするために,所外区間の光損失を損失設計モデルを用いて検討したので報告する.
我々は,遠隔からの光路切替を実現するため,光ファイバ給電で駆動する遠隔光路切替ノードを検討している.本稿では,複数のノードを1台のレーザで動作させる場合に必要な光給電量とノード搭載のマイコン(MPU)待機時間について考案した電力モデルを基に検討したので報告する.検討結果より,遠隔光路切替ノードの光給電駆動条件を検討し,KiとKrの関係について明らかにした.また,提案モデルから制御ノード台数に対する光給電量およびMPU待機時間比の設計指針を明らかにした.
休 憩(14:30 再開) 座長 高橋 央(NTT)
B-13-18 |
光ファイバ温度センシング応用における増幅自然放出光回路最適化
◎田中邦浩・増田浩次・原田瑠河・MD Golam Barkatul Abrar(島根大) |
B-13-19 |
増幅自然放出光帰還回路を用いた高感度温度センシングの特性
◎原田瑠河・増田浩次・田中邦浩・MD Golam Barkatul Abrar(島根大) |
B-13-20 |
Wavelength-division-multiplexing characteristics of an amplified-spontaneous-emission circuit technique for multipoint sensing applications
◎Md Golam Barkatul Abrar・Hiroji Masuda・Kunihiro Tanaka・Ryuga Harada(Shimane Univ.) |
B-13-21 |
中空光ファイバガスセルを用いた中赤外分光法によるアンモニアガス検出
◎大村勇索・木野彩子・松浦祐司(東北大) |
B-13-22 |
マルチモード光ファイバ伝送特性を利用した電柱状態把握技術
○△音代 柊・津野晃大・佐貫颯治・木村秀明(中部大) |
光ファイバセンシング技術は,高安定,高感度,遠隔計測といったさまざまな特長を有し,これまでに数多くの研究が報告されている.我々はこれまでに,励起されたエルビウム添加ファイバ(EDF)からの増幅自然放出光(ASE)のパワーを受光することによる温度センシングに関する検討を行っている.後方向励起のEDFからのASE光パワーの計測を行い,感度の励起光パワー依存性の明確化を行った.励起光パワーが3.6 mWのとき感度が最大となり,波長1532 nmで0.043 dB/℃であった.
光ファイバを用いた温度センシング技術は多数の研究が成され,その温度感度および分解能,および安定性などの優位性から環境・工業分野で実用化されている.我々が提案している増幅自然放出光帰還回路(ASEFC)は光強度のみでの温度センシング技術であり,容易な設計である.ASEFCの特性の明確化のため,フィードバック回路を介さないASECと比較したときに,最大感度が約6.4倍という優位性を持つことが確認された.また,入力パワーを5.81[dBm]に設定することにより今回の構成において感度を最大化できることも確認した.
we proposed an experimental study on the wavelength-division-multiplexing (WDM) based multipoint sensing application that measures amplified spontaneous emission power generated from a spool of long EDF. We experimentally investigated the characteristics of the output ASE spectra in the cases of 10 and 5 wavelength channels for a multipoint sensing system. We design that a spectrally sliced ASE light is used as an output light from one sensing point for the multipoint sensing system.
呼気中の揮発性有機化合物などの微小濃度のガス分析には,長光路ガスセルが有効であり,中空光ファイバを用いたガスセルは,微小容量かつ長光路ガスセルとして期待できる.我々のグループでは,肝臓や腎機能の状態を反映するバイオマーカーとされるアンモニアガスを対象に,分布帰還型量子カスケードレーザ(DFB-QCL)と中空光ファイバガスセルの組み合わせによる高感度検出について検討している[1].本報告では,中空光ファイバの長尺化による低濃度アンモニアガス検知について検討を行った.
日本では社会インフラの老朽化問題が顕在化しており2011年に発生した東日本大震災での電柱倒壊による道路寸断、大規模停電、および緊急車両の通行が困難となる等の問題が発生した。以降、無給電かつ完全リモートによる電柱等社会インフラの状態を把握可能とする技術が必要とされている。本研究ではマルチモード光ファイバを利用した電柱倒壊方向予測技術の提案を行う。また、提案手法の評価検証の第1段階として、FD-BPM、FDTD法を利用した光伝搬特性を示すとともに、人工知能(AI)を用いた状態把握分類技術を示す。
休 憩(16:00 再開) 座長 五藤幸弘(NTT)
B-13-23 |
直接変調レーザを用いた低コストBOTDRシステムの開発
小泉健吾・○村井 仁(OKI) |
B-13-24 |
高分解能リアルタイムSDH-BOTDRによる950℃分布温度測定
○小泉健吾・村井 仁(OKI)・西ノ入 聡(電中研)・西田秀高(中国電力) |
B-13-25 |
周波数多重高サンプリングレート位相OTDRにおけるパルス圧縮を利用した高分解能化
◎脇坂佳史・高橋 央・石丸貴大・飯田大輔・古敷谷優介(NTT) |
B-13-26 |
ディジタルコヒーレント検出による微小変位計測の実証実験
◎近藤美月・Xiaoyan WANG・塙 雅典(山梨大) |
ブリルアン散乱を利用したBOTDRは、光ファイバ上の歪みや温度を数十kmにわたり分布的に測定できるために、橋梁などの大型建造物のヘルスモニタリングへの利用が進められている。一方で、SmARTストランドを用いたPC橋梁やグラウンドアンカーの張力モニタリングも近年注目されており、数十m程度の短距離分布計測の需要も増えている。このような中小規模の現場で光ファイバセンサを広く普及させていくには、計測装置の大幅な低コスト化が重要となる。
我々はこれまでに受光系のコスト圧縮が見込める自己遅延ホモダインBOTDRを開発しているが、今回、送信系の低コスト化を目指して直接変調レーザを用いた光パルスを採用し、空間分解能1 m、ファイバ長1 kmの分布測定を実証したので報告する。
光ファイバセンサは、IoTとの組み合わせにより社会インフラ向けだけでなく飛躍的に活躍の場を広げられる可能性が期待でき、我々は次世代火力発電プラントや化学プラントなどの超高温設備のリアルタイム異常検知システムを提案している。次世代火力発電プラントでは、プラント内のボイラ配管や伝熱管が常時750℃に達するため、局部的に加熱されるホットスポットや、溶接部の破損に伴うエネルギーロスが課題となっている。この異常加熱部を早期に発見するためには、10 cm間隔かつリアルタイムな光ファイバ分布温度測定が必要となる。
今回、我々は空間分解能10 cm、測定時間1秒の性能をもつ自己遅延ホモダインBOTDRを用いて最大950℃までのリアルタイム超高温測定を実証したので報告する。
位相OTDR分布振動計測では,サンプリングレートの制限やフェーディング雑音によるSN比劣化が問題である.これらを克服し,測定波形歪みも抑える手法として,補償光周波数を用いた光周波数多重がある.ここにさらに高分解能な測定を実現するため,チャープパルスによるパルス圧縮が考えられる.本検討では,パルス圧縮を組み合わせた系でも振動波形の歪みが発生すること,それに対して補償光周波数の手法が有効なこと,を確認した.
光音響(PA)センシングにおいて,検体表面の微小変位に基づくPA信号を検出することで,検体の内部構造のイメージングを行うPAイメージング(PAI)が可能となる.非接触で光学的な検体表面のサブマイクロメートルの微小変位の検知のため,高速光通信用ディジタルコヒーレント検出技術による疑似PA信号検出の実証実験を行った.疑似PA信号生成のため実験ではナノメートルオーダーの微小移動が可能なピエゾステージを用いた.ステージの移動に伴う位相変化波形に周波数領域でのくし形フィルタを適用し,位相変化量が読み取れることを確認した.さらに位相変化から変位を求め,ナノメートルオーダーの微小変位の計測が可能であることを実証した.
B-14. 情報通信マネジメント
9月7日 13:00〜16:50 Meeting 30 座長 廣田悠介(NICT)
B-14-1 |
Suppressing effect of Delayed Caching in ICN Router by Burst Score Aggregation
○Feri Fahrianto(Fukuoka Univ.)・Noriaki Kamiyama(Ritsumeikan Univ.) |
B-14-2 |
Study on SPQ and CBS effect on QoS over wired home networks
◎Ennouhe TALEB・Yoshihiro Ito(Nagoya Inst. of Tech.) |
A suppressing method to reduce the effect of delayed caching in ICN router by modifying the replacement algorithm in Content Store (CS). The method uses burst score aggregation to identify which content should be evicted in CS when it is full. The confirmation result shows that the proposing methods can effectively reduce the delayed caching effect about 40%.
This paper proposes to adapt IEEE 802.1Time Sensitive Networking (TSN) standards to wired home networks for QoS improvement. Thus, this paper evaluates the effect of CBS and SPQ over home networks. As the results, they confirm the effectiveness of the proposal by experiment.
休 憩(14:05 再開) 座長 張 成(茨城大)
B-14-3 |
エンドツーエンドスライス管理におけるドメイン間情報流通方式の提案
○金丸 翔・小山内遥香・佐々木幸次・高橋謙輔・近藤 悟(NTT) |
B-14-4 |
インテントに基づくWeb会議サービスの品質管理
○堀内信吾・呉 超・菊島宏明・福田展和・田山健一(NTT) |
B-14-5 |
インテントに基づくリソース制御に向けた意味解析の妥当性判定
◎福田展和・呉 超・菊島宏明・堀内信吾・田山健一(NTT) |
B-14-6 |
Web会議のサーバリソースを最適制御する会議振り分け高速化検討
◎呉 超・堀内信吾・菊島宏明・福田展和・田山健一(NTT) |
B-14-7 |
CDNのキャッシュサーバを騙ったDDoS攻撃の二段階検知法の最適閾値設定法
◎谷口和也・上山憲昭(立命館大) |
本稿では,E2Eスライス管理におけるドメイン間での情報流通を実現する方式を提案する.
Web会議に参加するユーザのきちんと見えているかどうかのようなインテントに対して、
ユーザ端末側での体感品質、ネットワークのイベント/アラーム情報、サーバの性能情報を
総合的に活用し、エンドToエンドでの品質が満たされているかを判断する方法と、この
結果を受けてエンドToエンドでの会議参加者間の品質レポート作成方法を提案する。
これにより、Web会議に参加中の品質劣化などのトラブル発生時の原因究明や対処方法
の検討に役立てる。
ネットワークサービスの機能とユーザーの要求との間にはギャップが存在するため、ユーザーの意図を実現するリソース制御にはサービス提供者の知識やスキルが必要である。そのようなコストを削減するため、自然文で記述されたユーザーのインテントに基づくリソース制御の要素技術として意味解析に着目した。リソース制御に適用する上では手法の頑健性が課題となるため、機械学習モデルの解釈手法を利用して意味解析モデルの入出力関係を対応付け、意味解析モデルの振る舞いから出力の妥当性を判定する方法を提案し、意味解析を用いたリソース制御の頑健性の向上を目指す。
ユーザのQoEやパフォーマンスに関する意図(Intent)を汲み取り、サーバリソースを最適に制御する技術を提案した。Web会議サービスに適用し、サーバリソース制御技術がIntentを満たすために、会議サーバを収容するクラウドインスタンスの追加/減少をレコメンドし、Web会議を各インスタンスに適切に振り分けるロジックとその高速化手法を提案し、高速化の効果を検証した。
インターネット上ではコンテンツの多くが, 遅延時間とトラヒック量を削減するため, CDN(Content Delivery
Network)を用いて配信されている. 一方で近年, ネットワーク上に広く存在するボットから大量のパケットをターゲットホストに送信することで、ターゲットサーバを機能不全とするDDoS(Distributed Denial of Service)攻撃が頻繁に発生している. そのような攻撃に対して, ボットが OS の IP アドレス宛てに直接パケットを送信した場合は,OS に対しCS から要求が届くことから,CS 以外からの配信要求をファイアウォールで棄却することで対処できる . しかし, ボットがキャッシュサーバ (CS)のIPアドレスを発アドレスとして偽り, 標的オリジンサーバ(OS)へパケットを送信した場合に, ファイヤーウォールで検知ができない問題がある. それに対して著者らは,DDoS 攻撃が短い時間間隔で多数のCS から発生することに着目し, 要求発生の違いを利用した, CDN を騙ったDDoS 攻撃の二段階検知法を提案した.本稿では本方式の, 最適な閾値の設定法を提案する.
休 憩(15:35 再開) 座長 中山裕貴(ボスコ・テクノロジーズ)
B-14-8 |
監視間隔の動的変更を併用した傾向変化検知方式の提案
◎酒井 優・高橋謙輔(NTT) |
B-14-9 |
VMの移動を考慮したVM消費電力の予測手法に関する評価
○中村義和・原田薫明・佐藤 玲・篠崎雄二・大林憲彦・藤本智也(NTT) |
B-14-10 |
時系列データ解析における時間間隔統一手法の提案
◎秦 祐也・中村瑞人・牧野裕介・髙田 篤・山越恭子(NTT) |
B-14-11 |
データ分析ツールを利用した画像重畳可視化
○青木尚登・中代浩樹・柴田剛志(日立)・新藤博之・内田善久(日立ハイテク) |
B-14-12 |
Instagramにおける企業アカウントの投稿特性の基礎調査
○△堂岡優陛・佐藤寧洋(阪電通大) |
ICTサービスを保守運用していくためには,基盤となっている様々なリソースの継続的な監視,及びリソースに起きた変化の検出が重要なタスクとなる.監視間隔調整手法により監視にかかる計算資源や通信料、デバイスの電力を節約しちつメトリクスの平均値の変化を検出する方式を提案する。
再エネ利用効率を向上させる手法として余剰な再エネがある地域へ仮想サーバ(VM)を移動することで電力需要を調整する方法を検討してきた。
これを実現するために現在のVM消費電力を推定するだけでなく,移動後に電力枯渇を生じさせないよう,未来にわたり予測する必要がある.ま
た別のサーバ筐体にVMを移動した時の消費電力変化も考慮する必要がある.
この方法として我々はVMの移動も考慮した将来のVM消費電力予測手法を提案してきた.
本発表では,提案手法に関して評価を実施したため,その評価結果を発表する.
時系列データ解析では,複数のデータを統合的に解析する際,各データの時間間隔を統一する必要がある.しかし,伝送レイヤやIPレイヤなどの複数レイヤや,複数ベンダ装置で構成される通信キャリアネットワークでは,取得間隔の異なるデータが混在する.そのため,その差分を吸収するデータの前処理が必須となる.
そこで本稿では,データの時間変動のタイミングをもとに複数データの時間間隔の最小公倍数を算出することで,データ本来の持つ特徴を消さずに時間間隔を統一する手法を提案する.
データ分析での可視化対象データと画像の対応関係把握は重要な項目の一つである.例えば,半導体検査での欠陥有無の尤度と半導体画像,病理検査での病変の尤度と生体画像,といった対応関係である.画像とプロットを重畳表示すれば,このような対応関係を把握できる.しかし,重畳表示可能なツールは多くなく,分野やユーザーによってデータ分析要件は様々であり,画像重畳表示機能を持つツールを必ずしも使えるわけではない.そこで,多くのツールが備えている世界地図表示機能に着目した.画像を地図として表示する方式を導入することで,画像とプロットの重畳表示が可能となり,使用可能な分析ツールの選択肢を拡げられることを報告する.
近年では、LINE や Twitter、Instagram などの SNSが多くのユーザに利用されている。さらに、個人の情報発信のみならず、企業もアカウントを開設し、自社の宣伝やキャンペーンの告知などに利用している。最新の統計では、インターネット広告費がテレビ・新聞などのメディア広告費をめて上回るという統計が示されているおり、広告宣伝の中心的な存在となりつつある。従来のメディアであるテレビなどでも放送される時間帯や番組によって広告費や広告効果が異なるのと同様に、SNSについても投稿する時刻や内容、回数などによって得られる効果に違いがあると考えられる。今後、さらに利用が増えると想定されるSNS におけるマーケティングにおいて、どのような投稿特性が効果的であることを明らかにすることは重要であると考えられる。本稿では、Instagram における企業 SNS アカウントを対象した投稿特性を調査する。投稿する時間帯やユーザからの反応を観察することで、情報拡散がどのように行われているのかを明らかにし、将来の投稿行動における指針を示すことを目的とする
B-15. センサネットワークとモバイルインテリジェンス
9月6日 9:00〜11:45 Meeting 26 座長 清水 聡(ATR)
B-15-1 |
非同期方式Backscatter MACプロトコルの解析評価
◎田平 宙・小泉亮介・小西陽平・木崎一廣・藤橋卓也・猿渡俊介・渡辺 尚(阪大) |
B-15-2 |
車載ハーネスレスを実現するためのUWB通信成立性評価
○奥原 誠・太田 能(神戸大)・栗岡伸行(デンソーテン) |
B-15-3 |
ミリ波通信におけるビームペアスキャンを用いた遮蔽予測
◎米村 樹・神田高望・花原遼祐・山本高至(京大)・新井拓人・和井秀樹・岩國辰彦・内田大誠・北 直樹(NTT) |
B-15-4 |
GPUリソース分割技術によるMECオフロード時の処理時間揺らぎ抑制の検証
◎北川雄一・飯島智之・三宅貫太郎・高瀬誠由・谷村崇仁(日立) |
B-15-5 |
LiDARを用いたミリ波通信スループット予測手法の実験評価
◎太田翔己・西尾理志(東工大)・工藤理一・高橋馨子・永田尚志(NTT) |
B-15-6 |
A-QLに基づくOCCにおける動的光源追従のための送信フォーマット
◎佐々木友基・丸田一輝(東京理科大)・小島 駿(宇都宮大)・久野大介(阪大)・中山 悠(東京農工大) |
Internet of Thingsデバイスが無線でデータを送信する際の消費電力を削減する手法として,backscatter方式に基づく種々の通信技術が検討されている.一方で,backscatter向けのMedium Access Controlプロトコルに関しては未だ十分な検討がなされていない.本稿では,backscatter通信の非同期方式MACプロトコルの解析評価を行う.
我々はUWB(Ultra-Wideband)とPLC(Power Line Communication)の統合利用によりワイヤーハーネスを削減し,自動車の燃費改善をはかることを目指している.本稿ではその一環として取り組んだUWBの車両内における通信成立性評価結果を示す.評価は車両単体評価と、隣接する車両間で同一ネットワークを使用した場合の通信干渉評価を行った。
現在,ミリ波通信は次世代の高速・大容量通信の実現に向けて大きな注目を集めている.しかし,アンテナ指向性を高める必要があり,遮蔽による減衰が急速かつ大きい.この問題を解決するため,通信で得られる情報から遮蔽を予測する手法が研究されているが,送信側の情報のみから推定を行う片側ビームスキャンに基づく手法にとどまっており,送受信局両側のビームを用いる手法はまだ検討されていない.本稿では,両側ビームスキャンと片側ビームスキャンの遮蔽予測精度について実験に基づいて評価する.
近年,現場映像をリアルタイム分析し結果を実世界にフィードバックする需要が高まっている。このようなアプリは一般に,ネットワークエッジに設置されたMulti-access Edge Computing(MEC)サーバに処理をオフロードし応答速度向上や通信量削減を狙う場合が多い。MECサーバには複数のアプリが同時にオフロードされ得るため,この時の処理時間とその揺らぎを検討する必要がある。本研究では,GPUリソース分割技術の一種であるNVIDIA Multi Process Service (MPS)を用いて,MECサーバにおける処理時間揺らぎ抑制効果の検証を行った。従来と比較し,処理時間揺らぎを最大1/4以下に抑制できることを実験的に示した。
本稿では,点群と機械学習を用いた通信品質予測手法について,ミリ波通信実験を新たに実施し,評価を行った.ミリ波通信などの高周波帯無線通信においては,人体や車両等の見通し通信路の遮蔽によって通信品質が大きく減衰する.この遮蔽を予測する技術として,3次元空間を点の集合で表す点群と機械学習を使用する手法が提案されている.既存研究では,深度画像から変換した点群と通信品質である受信電力のデータセットで手法が評価されていた.本稿では,LiDARで点群を取得するミリ波通信実験を新たに実施し,通信品質はスループットを使用した.実験評価の結果,本手法はLiDARで取得した点群においても適用可能であり,受信電力と同様に予測可能であることを示した.
水中や地下,電波利用制限区域などによる不感地帯におけるセンサネットワーク等の展開手段として,可視光を用いる光カメラ通信 (OCC) が有効である.このとき,送信減(光源) または受信機 (カメラ) が移動環境にある場合,光源を動的に追従し,信号の存在する領域を特定する必要がある.可視光通信の送信手段としては IEEE 802.15.7 [1] にて複数定義されているが,本検討ではディスプレイを用い,面的に RGB を複数面発光させることで比較的多くの情報を伝送可能な A-QL 方式をベースとし,深層学習の一つであるYOLO を用いて光源を追従する手法,並びにそれを高精度に実現するための送信フォーマットを新規に提案する.実験的検討により提案手法の有効性を示す.
休 憩(10:45 再開) 座長 工藤理一(NTT)
B-15-7 |
CSIを用いた3次元構造復元に関する基礎的検討
◎生尾夏輝・加藤空知・新宮裕章・藤橋卓也(阪大)・村上友規(NTT)・渡辺 尚・猿渡俊介(阪大) |
B-15-8 |
後方散乱同期ストリーミングにおける加速度センシング評価装置の試作
◎佐藤光汰朗・高澤祐樹・鎌田冬馬(神奈川工科大)・市川晴久(慶大)・田中 博(神奈川工科大)・三次 仁(慶大)・川喜田佑介(神奈川工科大) |
B-15-9 |
アンテナ特性の変化に着目した距離検出の検討
○栗原拓哉・芹澤和伸・清水 聡・坂野寿和(ATR)・新谷一貴・長友浩大・岩井誠人・衣斐信介(同志社大) |
B-15-10 |
アンテナ特性の変化を用いた人体センシングにおける距離検出指標
◎長友浩大・新谷一貴(同志社大)・清水 聡(ATR)・岩井誠人・衣斐信介(同志社大)・栗原拓哉・坂野寿和(ATR) |
空間をセンシングする方法としてカメラやセンサを用いた手法があるが、障害物の多い場所では機能しないことやバッテリがきれるなどの問題点がある。そうした問題点を解決する手法として、Wi-Fiから取得できるチャネル状態情報(CSI)を用いたワイヤレスセンシングの研究が行われている。そこで本稿では、3次元構造の生成を対象とするワイヤレスセンシング技術の初期検討として、ニューラルネットワークを用いてCSIから3次元構造を生成する手法を提案する。
構造ヘルスモニタリングや輸送梱包試験など,簡易なIoTデバイスを用いて加速度等のセンシングする技術への期待が高まっている.著者らは,RFID国際標準プロトコルであるISO/IEC18000-63を拡張したバッテリワイヤレスの同期ストリーミングシステムを研究開発している.本システムにより,RFタグと同様のRFセンサ端末を対象物に取り付けるだけで加速度等のセンシングが可能になる.一方,メイカームーブメントの潮流の中で小型安価で入手しやすいセンサ端末が登場し,試作RFセンサ端末と同様に容易に使用できる.本稿では,開発中の後方散乱同期ストリーミングシステムと市販端末による加速度センシング評価の装置の試作とその動作結果について報告する.
我々は、アンテナインピーダンスの変化を活用する電波センシング技術として、人感センサや距離センサの研究を実施している。
提案するセンサは、アンテナインピーダンスの変化を複素電圧反射係数の測定により監視するが、これまでの研究により、
複素電圧反射係数がアンテナと検出対象間の距離に応じて渦状の軌跡を描くことがわかっている。
本稿では、渦上における位相情報からアンテナと検出対象物間の距離を推定する方法を提案し、
電波暗室において実験を行い、その有効性の確認を行った。
アンテナ特性の変化を利用した新しい非接触型近接センサについて検討している.これまで人体をセンシング対象とし,人体・アンテナ間の距離検出を実現する検出指標について,FDTD(Finite Difference Time Domain)法を用いた解析を行った.本報告では,これを実験的に検証する.提案しているセンシング方式は,アンテナ近傍に存在する対象物の影響によりアンテナの入力インピーダンスが変化することに基づくものである.これまでFDTD法を用いた解析により,人体の存在検出や距離検出に適した検出指標について検討してきた.アンテナ入力端における複素反射係数の変化の絶対値である反射係数距離は,距離に対して単調減少し,この値からアンテナ・人体間距離が一意に決定できる.アンテナ特性の変化を利用するセンシング方式において,距離検出が実現可能な検出指標について実験的に検証し,反射係数距離の有効性を確認した.
9月6日 13:00〜16:15 Meeting 26 座長 瀧本栄二(奈良女子大)
B-15-11 |
移動先の予測需要を用いたD2Dキャッシュ制御方式
○常清睦与(福岡大)・上山憲昭(立命館大) |
B-15-12 |
公共交通を介したBluetooth LE端末間通信の性能評価
◎春山太一・西浦升人・大内夏子(構造計画研)・野川徹夫(NEXT VISION) |
B-15-13 |
遠隔地樋門制御のための河川状況の可視化システムの試作
○渡邊龍之介・森 慎太郎・大橋正良(福岡大) |
B-15-14 |
LoRa 無線端末を用いたセンサーネットワークの牡蠣養殖への応用
○金光優作・谷澤良城・古谷彰教・中山裕之・妹尾尚一郎・河合浩行・三好真千(徳島文理大) |
B-15-15 |
無線通信端末による医療用シリンジポンプの遠隔モニタリングおよび制御方法の研究
○谷澤良城・中山裕之・河合浩行・妹尾尚一郎・古谷彰教・金光優作(徳島文理大) |
B-15-16 |
ドローンを使用した誘雷技術に関する実験検討
○長尾 篤・枡田俊久・丸山雅人・池田高志(NTT)・王 道洪・高木伸之(岐阜大) |
移動端末(MT: mobile terminal)で動画を視聴する形態が一般化したことで,セルラ ネットワークのバックホールのトラヒック負荷の急激な増大が懸念されている.負荷を軽減する方式として,MTでコンテンツをキャッシュして D2D(device-to-device)通信で配信することが有効である.本稿では,MTが移動前に移動後の地点におけ るコンテンツの需要予測値の大きなものを優先的にキャッシュ に残し,移動後はキャッシュを置き換えないでどの程度のキャッ シュヒット率が達成できるかを計算機シミュレーションにより評 価する.そして,アメリカのカリフォルニア州とニューヨーク州の各10タイトルの検査回数 を用いた評価を行い,提案方式を用いることで,LRU でキャッ シュ置換を行う場合と比較して,移動先でのキャッシュヒット率 を向上できることを確認する.
著者らは,Wi-FiやBluetooth機能を搭載したスマートフォン・タブレット機器で動作する端末間通信技術「スマホdeリレー」の社会実装に取り組んでいる.街中での活用シーンとしては,同じ場所に集う集団内や歩行者同士の通信のみならず,バスや自動車などの街中における移動体を介したすれ違い通信のニーズも大きい.著者らのグループでは過去にWi-Fiを用いた移動体すれ違い通信の性能評価を実施した.本稿では,Bluetooth Low Energyを用いた場合の性能評価結果を述べる.
一級河川の流れる福岡県直方市では、樋門の管理者の高齢化とその後継者の不足、樋門制御時に重労働を強いられるという課題がある.そこで、我々はIoT技術を活用した、樋門の遠隔制御・監視に関する研究開発を行っている.この中で、VRを用いた樋門模擬制御システムの開発をした.しかし、このシステムの河川状況の可視化において改善の余地があった.本稿では、デジタルツイン実現のための河川状況可視化システムの開発について報告する.
[背景] 志度湾では水産資源が豊富なため牡蠣の養殖が盛んである。牡蠣の成長には温度が重要で、30度を超えると牡蠣が死滅することが分かっている。海水温度を遠隔でモニタリングし、養殖籠を最適温度の水深まで移動させるシステムが所望されている。
[方法]本研究では制御用の組み込みマイコンと海水温モニタリング用の温度センサ、籠移動用モータを取り付た、無線端末を製作した。
[結果]製作した無線端末を用いて、温度センサのデータを送れることができ、通信及び制御端末としてのフィジビリティを確認できた。さらにモータ(エミュレータ)を取り付け、動作検証を行う。
[背景]医療現場では、ヒューマンエラー低減のため、医療従事者の仕事量を提言することが望まれている。
本研究では、病院内において重要な役割を担っているシリンジポンプに着目し、その入出力データを無線端末と組み込みマイコンによる遠隔制御、モニタリングの信頼性にフォーカスし、検討した。
[方法]本研究では、信頼性を評価する為の無線端末を製作し、エラー抑制の条件の抽出を行った。
[結果] 実験では、データ長を30から90バイトとして、送信間隔を0.05秒から1秒とした。データ長が80バイトで、通信間隔が0.6秒以上において、エラーが0となる良好な通信条件が確認できた
落雷制御の実現に向け、ドローンを使用した誘雷技術の実証実験を行った。冬季雷雲の直下でドローンからの導線投下実験を実施した結果を報告する。
休 憩(14:45 再開) 座長 佐藤健哉(同志社大)
B-15-17 |
歩行状態で測定したデータを用いたCNNエリア推定
◎△中山将太・相河 聡・山本真一郎(兵庫県立大) |
B-15-18 |
電波環境の異なるデータを用いたFinger Print位置推定
◎△尾﨑遼河・相河 聡・山本真一郎(兵庫県立大) |
B-15-19 |
超音波センサアレイを用いた再帰的MAP推定における位置推定精度向上手法の検討
○服部将道・辻井明日香・山里敬也(名大)・羽多野裕之(三重大)・笠島 崇(日本特殊陶業) |
B-15-20 |
Wi-Fiの受信信号強度を用いた屋内位置推定のためのAndroid端末で動作するフィルタリングモジュール
◎田中空斗・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-15-21 |
マルチセンシング情報を用いる機械学習による高度が異なる屋内位置推定
◎川村 廉・工藤栄亮(東北工大) |
B-15-22 |
ミリ波レーダによる自車位置推定に関する実験的検討
◎森 稜樹・梶原昭博(北九州市大) |
本研究の目的は無線LANを用いた屋内エリア推定における推定精度の向上,及び測定コストの削減である.Finger Print方式を用いたエリア推定では,予め壁で区切られたエリアで測定したAP情報(RSSI,SSID)をDB,ユーザが測定したAP情報をUDとし,それぞれを比較してユーザの存在するエリアを出力する.先行研究では測定したDBとUDからRSSI確率分布を求め,エリアごとに比較して最も確率分布の重なりが大きいエリアを推定結果とした .本研究ではエリア内の様々な位置を歩きながら測定したデータを用いたCNNによるエリア推定を検討した.これにより,従来のエリア推定より推定精度を向上させ,歩行状態で測定することで測定時間を削減することができた.
屋内位置推定として無線LANを用いるFinger Print方式がある.この手法では事前に測定したRSSIから作成するDB(データベース)と,位置推定時のRSSIであるUD(利用者データ)を比較して最もデータが類似した座標を推定位置とする. しかし,この手法はDB作成時とUD取得時の電波環境が異なると位置推定精度が劣化する.そこで本研究ではドアの開閉によって電波環境を変化させ,異なる電波環境のDBの両方を用いたCNNによる手法を提案し,実験を行った.その結果,異なる環境のデータによる学習や,環境変化の影響が大きいAPを排除する提案手法で,どの環境であっても精度を維持できることを実験的に示した.
我々は、自動運転技術の発達に伴い, 物体の位置を認識するセンサの重要性が増している事から超音波センサのみを用いて位置推定を行うことを検討する。
従来研究では、検出距離が短いという欠点を持つが, 超音波送信機をアレイ化することで検出距離を伸長することに成功した。
しかし、位置推定精度について従来手法では、十分な精度で位置推定ができていなかったので, 本論文の提案手法により位置推定精度の課題を解決する。
また、従来手法と提案手法の比較を、実際に行った実験データを用いて精度の評価を行う。
Wi-Fiのアクセスポイントから得られる受信信号強度を用いた位置推定は,無線通信するためのWi-Fi設備を位置推定に利用できるため,導入コストが低い.位置推定システムの実装先の一つであるAndroid端末は,Wi-FiのBeacon信号をスキャンし,得られた信号の受信信号強度を算定する機能が搭載されており,位置推定システムの実装が容易である.しかし,そのスキャン機能は最新のスキャン結果に過去のスキャン結果の一部が残る可能性が報告されており,別地点で取得された過去のスキャン結果を用いて位置推定することで,推定精度が低下する可能性がある.本稿では,最新のスキャン結果から過去のスキャン結果を除去するフィルタリングモジュールを提案し,実機実験により提案モジュールの有効性を評価する.
屋内では衛星からの電波を受信することは困難であり, GPS等による位置推定も困難である.一方,温度・湿度・照度等のセンシング情報も位置に依存する.我々はこれまでに, 2次元の屋内において,受信電力,温度,湿度,照度等のマルチセンシング情報を用いる機械学習により,高精度な位置推定を行えることを示してきた.本論文では高度が異なる屋内において,マルチセンシング情報を用いる機械学習による位置推定を行い,推定された位置と実際の位置の一致確率について求め,時間情報を用いる位置推定の方が,時間情報を用いない場合に比べ高い一致確率が得られた.
自動運転社会では,雨・霧・雪などの悪天候や夜間でも自車位置や道路状況など車両周辺を把握して安全走行することが求められている.一般にレーダは悪天候下でも物標までの距離を測定できるが,ガードレールや縁石など物標を認識することは難しいと考えられている.本稿では, 79GHz帯ミリ波レーダで走行しながら測定した路上物標から周辺環境認識と自車位置推定技術について議論する.
9月7日 13:00〜16:00 Meeting 26 座長 西尾理志(東工大)
B-15-23 |
服装コーディネート支援システムのためのデータ拡張法の検討
◎大井鞠奈・長谷川治久(日本女子大) |
B-15-24 |
マルチモーダルデータに基づいたエージェントによる話題生成システムの検討
◎中曽禎啓(阪市大)・藤本まなと・阿多信吾(大阪公立大) |
B-15-25 |
マルチカメラ画像を用いた最大比合成による無線品質予測技術
○永田尚志・工藤理一・高橋馨子・小川智明(NTT) |
B-15-26 |
海洋マイクロプラスチック観測にセンサネットワークを用いるための画像処理の検討
○芦川和希・石山拓実・山岸優晴・小池義和・長谷川夏旺・二井信行・関 宏範(芝浦工大) |
B-15-27 |
Similarity Analysis for Social Robot Detection Using RoBERTa Classifier and Random Forest Regressor Based Voting System
○△Yeyang Chen・Mondher Bouazizi・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.) |
B-15-28 |
Implementation-Agnostic Framework for Analysis of Environment-Dependent Relations
○Akihito Taya(Aoyama Gakuin Univ.) |
外出前に着衣を決定することは天気・TPO・好みに応じた判断が難しく、多くの人の悩みになっている。そこで、筆者らは適切な服の選択を効率的に行う服装コーディネート支援を行うモバイルアプリケーションシステムを提案している。本システムでは機械学習を利用して服の選択を支援することを想定しているが、着衣した服装データを効率よく得ることは困難である。そこで本稿では、全体的なデータ量と低評価データの不足に関する課題を解決するデータ拡張方法を提案する。これによりデータ増加とともに正答率が向上することが確認された。
近年、発話可能な対話システムを搭載したロボットなど、エージェントの技術発展とスマート社会等の環境におけるエージェントの導入に伴って、人とエージェントが良好な関係性を築く方法の検討と確立が必要不可欠といえる。この提案として、我々は環境・状況に応じたエージェントによる自発的な話題生成システムを検討している。本研究では、システム構築を目的とした必要要素として、話題投げかけの有用性や人のリアクション判別のためのマルチモーダルデータのセンシング基盤構築などを行い、本システムが人のエージェントに対す対話意欲の変化にどのように影響しうるかの検討を行う。
Society5.0 では,あらゆる情報がネットワークに繋がり,カメラやセンサなどが普及すると考えられている.そのため,カメラから得られる物理空間情報を用いてカメラごとに無線通信予測モデルを構築し,各予測を最大比合成 (MRC) により統合することで,カメラの追加・削除などに対してモデル更新が容易で高性能な予測手法を提案する.
海洋問題の一つであるマイクロプラスチック(MPs)は広範囲でのMPs分布計測を短時間で行うためにセンサネットワークの運用が期待される。MPsの大きさは5mm3以下であり、さらに、直径350μm以下のスーパーマイクロプラスチック(SMPs)の観測も求められている。一般的なMPsは海洋で採取後、実験室において図1に示すフィルタで濃縮した後、密度分離を行い、赤外線分光(FTIR)または蛍光染色法が行われる。サンプルの移動、密度分離等、その場計測が必須のセンサネットワークを適用するために解決すべき多くの要素技術があげられる。本研究では、ポンプ等を使用し連続して海水を採取できるシステムを構築している。本報告では、画像処理技術の検討のため構築したフィルタで濃縮したMPsについて科学分野で広く使用されているImage JによるリアルタイムでMPsの粒径分布計測を試みたので報告する。また、濃縮フィルタ通過後のMPsのサイズ変化について調査を行った。
The primary challenge facing social robot detection tools on Twitter is extracting reliable features given the complexity of social robot behaviors. In our research, we propose a new system for social robot detection. We extract profile-level features from users’ profile information and tweet-level features from the text of tweets. In addition, we propose the similarity of tweets and the prediction of RoBERTa classifier as two new feature groups. We use a RoBERTa classifier to analyze the text of tweets and a random forest regressor to analyze other features.
Thanks to the recent development of supervised machine learning (ML), we can easily obtain models that represent relations between two types of datasets. However, studies of relations that vary with time, positions, and other attributions of environments, are rarely conducted. A challenge of analyzing ML models lies in the fact that it is unclear how model parameters affect the difference among the models. This paper proposes a framework for analyzing how relations, or models, vary with their attributions of environments without the knowledge of the inner representation of ML models.
休 憩(14:45 再開) 座長 湯 素華(電通大)
B-15-29 |
コラボレーション抽出を目的とするIoTデバイスを用いた変位算出アルゴリズムの基礎評価
◎藤原拓也・山口隼平(阪大)・大島律子・大島 純(静岡大)・藤橋卓也・猿渡俊介・渡辺 尚(阪大) |
B-15-30 |
低取得頻度チャネル状態情報を用いた人体の移動方向推定
◎玉井啓介・神田高望・山本高至(京大)・加藤紀康・瀧 俊志・根岸拓矢(アライドテレシス) |
B-15-31 |
胎児心電図信号を用いた深層学習に基づく胎児の不整脈検知
○中谷早良・山本幸平・大槻知明(慶大) |
B-15-32 |
Face-Touch Detection with Smartwatch by CNN: An Experimental Lab Study
○Haoyu Zhuang・Zengyi Han・Yuuki Nishiyama・Kaoru Sezaki(The Univ. of Tokyo) |
B-15-33 |
睡眠評価に向けた日中の活動状態の収集と解析
◎津田 渉・高橋英之・原田知親・横山道央(山形大) |
協調学習とは,他者と協調 (コラボレーション) しながら創造的な問題解決に取り組む能力を育成することである.学習科学の分野でこれまでなされてきた協調学習の定性分析における人的・時間的コストの課題解決を目的として,教師が着目すべきポイントを定量的かつ自動的に抽出する IoT デバイス Sensor-based Regulation Profiler Badge (SRP Badge) が開発されている.本稿では,SRP Badge に搭載されている加速度センサの更なる応用を目的として加速度センサから変位を算出するアルゴリズムの提案および誤差評価を行う.
近年,チャネル状態情報(CSI:Channel State Infor- mation)を用いたセンシング技術の研究が盛んとなっている.中でも,センシング対象が通信端末を携帯しないデバイスフリーな条件でのセンシングは,より広い応用が見込まれるため需要が高い.デバイスフリーな条件下での人体歩行トラッキングや移動方向推定に関する先行研究は多数存在するが,その多くは26 Hzから60 Hzの周波数域に現れる人体の歩行の特徴を抽出して利用している.そのため,多くの先行研究の手法は100 Hz以上の高頻度でのCSIの取得が前提となっており,高頻度なCSIフィードバックのオーバーヘッドにより通信の劣化を招く恐れがある.本稿では,10 Hzという先行研究の手法が適用できない低頻度で取得されたCSIを用いた人体の移動方向推定手法を提案し,実験により提案手法の性能を評価する.本手法では,低取得頻度CSIからも抽出可能な歩行の特徴として受信信号電力の移動標準偏差を用い,人体の移動の検知,および人体の移動方向の2値分類を行う.
不整脈は乳幼児の突然死の原因になり得るため,胎児の不整脈検知は重要である.胎児の不整脈は胎児心電図信号から検出した心拍間隔に基づいて検知できるが,不整脈検知精度は心拍検出精度次第で劣化しやすい.本稿では,胎児心電図信号を用いた深層学習に基づく胎児の不整脈検知法を提案する.提案法では,セグメント化した胎児心電図信号を深層学習モデルに入力し,その分類結果に基づいて被験者を健常者か不整脈被検者に分類する.また,各セグメントを推定心拍間隔に基づいてラベル付けすることで,モデルの分類精度を改善する.実験の結果,被検者の二値分類において,提案法は胎児心拍検出に基づく従来法の精度を改善することを確認した.
Since the pandemic of COVID-19, personal hygiene is received more attention to decrease the risk of infections. The combination of smart devices and health detection has a very wide range of research applications in various fields. Previously, researchers have conducted studies on the detection of human behavior through smartwatches, because the smartwatch contains multiple sensors with low-energy consumption.
In this article, we utilize the smartwatch for fine-grained face-touching event detection. We leveraged CNN, not only we can detect the event that happens or not, but also detect the touched part of the face, which can be used to provide more detailed information about personal subtle habits to users and remind them to ameliorate their unhygienic habits.
本研究は、大掛かりな測定器具の設置などが必要なく、体にセンサを取り付ける独自のウェアラブル計測器を用い、日常生活の中の活動状態(寝る・立つ・座る・歩くなど)を計測し、それぞれの状態の特徴量を抽出し解析することを目的とする。
9月8日 9:00〜11:45 Meeting 26 座長 太田 能(神戸大)
B-15-34 |
貨客混載に対応したデマンド型交通配車手法の実装と評価
○恋塚 葵・大岸智彦・樫原俊太郎(KDDI) |
B-15-35 |
PPP-RTKを用いた自動運転車とドローンの協調制御着陸システムの一検討
○佐藤雄大(KDDI)・足立 崇(KDDIスマートドローン)・山口修平・樫原俊太郎(KDDI)・杉田博司(KDDIスマートドローン)・磯部健太郎・大石淳也・根本 茂・室山晋也(アイサンテクノロジー)・山田秀昭・大谷朋広(KDDI) |
B-15-36 |
組み合わせ最適化に基づく観光ルート推薦アルゴリズムの提案
◎小川 唯(阪市大)・藤本まなと・阿多信吾(大阪公立大) |
B-15-37 |
中心周波数の異なる超音波センサを用いた低速走行障害物の観測
◎辻井明日香・笠島 崇(日本特殊陶業)・羽多野裕之(三重大)・山里敬也(名大) |
B-15-38 |
Using Turning Data for Micro-Mobility Rider Identification
○Zengyi HAN・Yuuki NISHIYAMA・Kaoru SEZAKI(The Univ. of Tokyo) |
B-15-39 |
ピエゾセンサを用いた電柱設置型交通量調査システム- 車両通過検知技術 -
○△加古啓晶・津野晃大・木村秀明(中部大) |
筆者らは,自動運転車を用いたデマンド型交通の運行管理システムの研究開発を進めている.人口減少が進んだ郊外地域では路線バスの運行本数が減少しており,運転免許証返納後の移動手段に不安を抱える方が多い.本システムは,このような住民を主な対象にオンデマンドの送迎を実現する.一方で,郊外地域では人の送迎のみでは車両の稼働率が低く,事業化における採算の見込みが立ちにくいことが課題となる.このような観点から,人の送迎に加え店舗からの商品・荷物配達を行うことで車両の稼働率を向上させることを狙いとし,運行管理システムの貨客混載対応を実施した.荷物の配達に比べ人の送迎は時間的制約が厳しいため,人の乗降車を優先し合間に荷物を配達するといった運行が必要となる.本稿では,車両の稼働率向上のため,人と荷物とで優先度を変える貨客混載に対応した配車手法を提案する.
中山間地域の荷物配送手段として,ドローンの活用が注目されている.ドローンを活用することで,陸路での配送が困難な場所に対しても,荷物配送が可能となる.一方で,航空法による制限で,ドローンは市街地での飛行が大きく制限される.したがって,市街地から中山間地域への荷物配送を実現する場合,自動車とドローンを組み合わせて荷物配送を実施することが好ましい.ここで,特に自動車とドローンが自動運行で荷物輸送を実施するには,ドローンが自動車に離着陸する際,互いの正確な位置情報を把握する必要があるため,高精度な位置測位が重要となる.高精度位置測位の手段として,精密単独測位型リアルタイムキネマティック測位(PPP-RTK)が注目されている.本稿では,自動運転車上へのドローンの着陸のための,PPP-RTKを利用した自動運転車とドローンの協調制御着陸システムについて述べる.
本研究では,個々の観光客に対し,観光満足度が最大化するような観光ルートをICTにより自動的にプランニングできるアルゴリズムを開発することを目的とする.さまざまな観光スポットに対し,観光スポットの魅力度やSNSの評価などの指標などを参考にスコアリングし,それらのスコアを用いた組み合わせ最適化問題を適用した観光ルート推薦アルゴリズムの実装を行う.アルゴリズムの実装の際には,身体能力や体力などに関与するその人の年代,観光客の趣味嗜好や観光客同士の関係性(例えば,誰と来ているのか等の情報),観光に費やすことのできる時間などを考慮しつつ,その時に最もおすすめのルートを表示するシステムを開発する.
我々は低速自動運転のような,従来の超音波センサが使用されてきた環境と比較して,測定対象との相対速度の大きい環境において使用可能な超音波アレイを用いる位置推定システムの開発に取り組んでいる.
共振型の超音波センサは中心周波数以外での性能の低下が大きく,ドップラー効果による周波数シフトに伴う感度の低下が想定される.
本発表では周波数シフトに伴う感度低下を低減すること目的として,中心周波数の異なる複数の受信センサ併用したシステムについて報告する.
実験により,0 - 30 km/hの相対速度において単一のセンサを用いるより強い受信信号が得られることを確認した
In recent years, micro-mobility such as bicycles and electric scooters has developed rapidly around the world. The combination with sensors has unleashed their various capabilities: detecting dangerous riding behavior, optimizing the traveling route, etc. However, these sensors can also be used to identify the micro-mobility rider, bringing convenience to the riders. For example, micro-mobility can automatically adapt to rider preferences (e.g. seat height, power level and route selection). In this paper, we take the bicycle as an example and explore the feasibility of using turning data for the identification of micro-mobility riders. First, we leverage a bump detection algorithm for turning detection. Then, we cast the identification problem in terms of time series classification.
近年,国内において交通量調査を無人化する動きが活発化している.現在,主流となっているのがカメラとAIを連携させた手法である.しかし,カメラ+AIは,プライバシー,コスト,夜間検出精度等の観点から課題も多い.我々は,IoTセンサを用いることで通常時と災害時両者における道路状況を把握する「道路状況把握システム」を提案してきた.本稿では,ピエゾセンサを内蔵した交通振動測定デバイスを電柱設置することで車種判別,車種別の車両数カウントを行う交通量調査システムを提案している.今回,機械学習を用いた車両通過検知技術の妥当性を確認するため車両通過,不通過を判別する特徴量の選択,評価を行った.
休 憩(10:45 再開) 座長 森 慎太郎(福岡大)
B-15-40 |
等距離射影ビジョンセンシングによるエナジービーム指向性制御方式
○藤井正明・辻 直樹・増田重巳(ミネベアミツミ) |
B-15-41 |
IoTデバイスの長期間運用に関する基礎検討
○都野巧実・森 慎太郎・大橋正良(福岡大) |
B-15-42 |
余剰電力活用リレー電力伝送を適用したWPSNにおけるアンテナ利得のシステム性能への影響
◎角田 剛・眞田耕輔・羽多野裕之・森 香津夫(三重大) |
B-15-43 |
量子アニーリングマシンによる電力損失を考慮した直流給電ネットワークの経路の一検討
○大津風人・和田拓海(神奈川工科大)・戸辺義人(青学大)・市川晴久・横川慎二(電通大)・川喜田佑介(神奈川工科大) |
車載の準ミリ波帯送電フェイズドアレーから狭角ビームにより受電アンテナへ送電を行う。魚眼レンズの等距離射影特性に基づく目標物画像重心点から低演算量で指向性制御を行うため水平・垂直方向の指向性制御角を導出した。受電アンテナを高速で通過する際に送電フェイズドアレー中心と受電アンテナの高さに差異がある場合でも給電量の減少を抑えることが可能となることを計算機シミュレーションにより確認したので報告する。
近年、自治体での課題についてIoT技術を用いて解決することが増えている.そこで我々は,商用電源が利用できない場所におけるIoTデバイスの長期運用を目指している.本稿では,極力バッテリー交換などの人的メンテナンスを長期間必要としないシステムの構築を目的とし,そのためのフィージビリティ検証を行った.
無線電力供給センサネットワーク(WPSN:Wireless Powered Sensor Network)は,RF波による無線電力伝送(WPT)を用いてセンサノード(SN)に遠隔給電を行い長時間稼働を可能にする.しかし,SNでのWPTによる獲得電力は電力伝送装置(WPTE)との距離に依存するため,遠方の SN ほど電力枯渇が発生する電力不均一が生じてシステム性能が劣化[1]する.一方で,WPTE近隣の SN では余剰電力が発生し未活用となっている.そこで本稿では,余剰電力の活用手段として受電電力を再伝送するマルチホップWPT[2]に着目し,WPTE近隣 SN の余剰電力を電力源として再伝送するリレーWPT方式を提案する.提案方式の有効性を計算機シミュレーションで評価し,アンテナ利得がその有効性に及ぼす影響を明らかにする.
近年,電力供給の規格としてUSB-PD(USB Power Delivery)に注目が集まっている.そこで,著者らはUSB-PDによる電力を分配・合成し,ハブ同士が連携することで協調給電を実現する機器であるVG-Hub(Virtual Grid-Hub)の開発を行っている.VG-Hubには電力合成,分配時に電力損失が起こり,供給された電力よりも実際に使用出来る電力が小さいという問題がある..本稿では,量子アニーリングマシンを実行するためのクラウド基盤であるFixstars Amplifyを用い,2つの電源と2つの負荷,4つのVG-Hubで形成される直流給電ネットワークのルート決定について報告する.
B-16. インターネットアーキテクチャ
9月7日 9:00〜11:45 Meeting 13 座長 菅原真司(千葉工大)
B-16-1 |
TCP BBR の輻輳制御アルゴリズムのモデル化に関する一検討
◎井上翔太・後藤啓大・大崎博之(関西学院大) |
B-16-2 |
モバイルネットワークにおけるTCP BBR輻輳制御によるMPTCP ビデオストリーミング品質評価
◎近藤優吉・Dirceu Cavendish・野林大起・池永全志(九工大) |
B-16-3 |
マルチパス対応 AIMD 型ウィンドウフロー制御のモデル化に関する一検討
◎後藤啓大・大崎博之(関西学院大) |
B-16-4 |
強化学習を用いたAIMD型ウィンドウフロー制御方式に関する一検討
◎大谷健人・井上翔太・後藤啓大・大崎博之(関西学院大) |
B-16-5 |
スループットをベースとしたWebQoE向上のためのMPTCPの輻輳制御方式における最適なスケジューラの検討
◎加藤岳志・伊藤嘉浩・櫻井佑真(名工大) |
近年、パケット損失の有無によって輻輳を検知するロスベースの TCP ではなく、ボトルネックリンクの帯域とラウンドトリップ時間の計測によって輻輳を制御するTCP BBR (Bottleneck Bandwidth and Round-trip propagation time) [1] が注目されている。これまで、TCP BBR の特性や性能はシミュレーションや実験によって調査されているが、TCP BBR の数理的な分析はこれまで十分に 行なわれていない。そこで本論文では、TCP BBR における、計測したボトルネックリンク帯域とラウンドトリップ時間に基づく輻 輳ウィンドウの時間変化と、ボトルネックリンクのバッファ内パケット数の時間変化の相互作用を数理的に記述する。具体的には 、TCP BBR の 3 種類のフェーズ (帯域検出、排出、ラウンドトリップ時間検出) における TCP BBRの輻輳ウィンドウと TCP BBR が計測したボトルネック帯域および最小ラウンドトリップ時間、ボトルネックリンクのバッファ内パケット数およびパケット棄却 率の時間変化を記述する。
インターネットトラヒックの大部分を HTTP/TCP 通信によるビデオトラヒックが占めており,そのビデオ品質 は TCP の性能に大きく依存する. そこで,End-to-End 間の通信スループットや冗長性を向上させることを目指 し,TCP の拡張方式である Multipath TCP (MPTCP) の研究・実装が進められている.MPTCP におけるビ デオ品質は,パケットを各経路に配分するスケジューラ と各経路の輻輳制御によって変化することを確認してい る [1].一方で,Bottleneck Bandwidth and Round-trip propagation time (BBR) は,Google 社が開発した輻輳 制御アルゴリズムであり,TCP の性能を大きく向上させ ること期待されている. そこで本研究では,動的に通信 品質が変化する環境を構築し,標準スケジューラと我々 がこれまで提案してきたスケジューラと,TCP BBR を 含む様々な MPTCP 輻輳制御を組み合わせてビデオス トリーミングの性能評価を行う.
マルチパス TCP (MPTCP) に代表される、マルチパス対応 AIMD 型ウィンドウフ
ロー制御では、異なるパスを経由する複数のサブフローが、それぞれ AIMD 型
のウィンドウフロー制御を行う。
AIMD 型ウィンドウフロー制御の特性は、制御パラメータ (ウィンドウサイズの
加算パラメータ α と乗算パラメータ β ) の設定に大きく依存す
ることが知られている。しかし、マルチパス対応 AIMD 型ウィンドウフロー制
御において、それぞれのサブフローの制御パラメータをどのように設定すべき
はこれまで十分に明らかにされていない。
そこで本稿では、マルチパス対応 AIMD 型ウィンドウフロー制御における、各
サブフローの制御パラメータ ( α および β ) が、定常状態のお
けるスループットに与える影響を解析的に明らかにする。
具体的には、マルチパス対応 AIMD 型ウィンドウフロー制御によって動作す
る複数の均質なフローによって構成されるネットワークを対象とし、各サブ
フローのダイナミクスを流体近似モデルによって記述する。
ネットワークの内部状態に関する事前知識を必要としない、機械学習を利用したトラヒック制御方式の研究が活発に行なわれている。
強化学習を利用したウィンドウフロー制御方式 Owl では、送信側ホストの「行為」として加算的な変化 (ウィンドウサイズの加算および減算)を行っている。強化学習を用いたウィンドウフロー制御においてもAIMD 型のウィンドウサイズ調整が有効であると考えられる。
そこで本稿では、輻輳ウィンドウを AIMD 型で変化させる、Q 学習に基づくウィンドウフロー制御 Q-AIMD (Q-learning based AIMD window flow control) を提案するとともに、その有効性を実験により明らかにする。
具体的には、従来手法である Owl における Q 学習の状態を、ウィンドウサイズ、スループット、パケット棄却率に限定するとともに、Q 学習の行為をウィンドウサイズの加算および乗算によって与える。
TCPに代わる新しいプロトコルとしてMPTCP\cite{MPTCP}の標準化が進められている.
文献\cite{Kato}は,MPTCPによりWebQoEを向上するため,QoSの指標としてスループットを考え,QoSの変動を抑制する新しい輻輳制御を提案し,評価実験によってその有効性を確認している.
しかしながら,MPTCPが提供するQoSは輻輳制御だけでなく,パケットスケジューラからも大きな影響を受ける.
本研究では,QoSの変動を抑制する新しいMPTCP輻輳制御を様々なスケジューラのもとで実装し,評価実験を行ってその有効性を確認する.
休 憩(10:30 再開) 座長 中村 遼(福岡大)
B-16-6 |
異なる輻輳制御方式を使用するQUIC通信競合時のスループット公平性の実機検証
◎内田敦博・池永全志・野林大起(九工大) |
B-16-7 |
連合学習を用いた TCP スループット予測モデル構築手法に関する一検討
○ハン ネーアウン・後藤啓大・大崎博之(関西学院大) |
B-16-8 |
車載イーサネットにおけるECU内でのTASによる制御に関する検討
◎新田 萌・伊藤嘉浩(名工大) |
B-16-9 |
IEEE 802.1TSNのSPQとTASを用いた車載ネットワークにおけるQoS推定に関する検討
◎粟根穂乃花・伊藤嘉浩・小泉舞歌(名工大) |
B-16-10 |
多段なEthernetベースの車載ネットワークにおける時刻同期を行わないTASが適用された環境下でのQoSの調査
◎小澤耀平・伊藤嘉浩(名工大) |
QUICはUDP上に輻輳制御や再送制御を追加してデータを転送する新しいトランスポートプロトコルである.
QUIC の輻輳制御には,TCPと同様のアルゴリズムが採用可能であり,QUIC環境においても異なる輻輳制御が競合する可能性が想定される.
一方で,TCPにおける輻輳制御の競合において,帯域遅延積に基づきウインドウサイズを調整するBottleneck Bandwidth Round-trip propagation time(BBR)とCUBICが競合した場合,お互いに過剰に帯域を奪い合うことで,いずれかの通信性能が低下し公平性が低くなることがシミュレーションにより確認されている.
本研究では,異なる輻輳制御アルゴリズムを使用するQUICの通信が競合した場合における通信性能を調査する.
協調型の機械学習技術である連合学習では、各クライアントがそれぞれ保有する教師データをサーバ側に開示
することなく、サーバとクライアントが協調することによりモデルパラメータの学習が可能である。これまで、
無線ネットワークのトラヒック推定やネットワーク資源の割当などに対する連合学習の応用が行われている。
現在、インターネットのトラヒックの大部分は TCP によって転送されている。連合学習を用いることにより、
多数のユーザの情報を秘匿したまま ( ユーザのプライバシを保護した形で ) 、 TCP スループットの予測モデルを
構築できる可能性がある。
そこで本稿では、多数のユーザ参加型の連合学習によって TCP スループットの予測モデルを構築する手法 FL-
PERF (Federated Learning based PERFormance predictor)を提案する。具体的には、 TCP スループットの予測モデルのパラメータを、 TCP による通信履歴を保有する多数のユーザ ( 学習クライアント ) による連合学習によって推定する。
Ethernetベースの車載ネットワークにおけるQoS制御として,国際標準であるIEEE 802.1TSN規格の採用が検討されている.
IEEE 802.1TSNの中で定義されているQoS制御の中でも,Time-Aware Shaper(TAS)は最も高い精度でQoSを制御できる.
TASは理論上すべてのECUやスイッチの出力で実装可能であるが,ECU内に実装するにはコストがかかる.
したがって,ECU内でのTAS制御の必要性を調査しなければならない.
本論文では,Ethernet上でTASをECUを含むすべてのデバイスに適用した場合と,スイッチのみに適用した場合のQoSを,シミュレーションによる実験により比較し,ECUでのTAS制御の必要の有無を調査する.
Ethernetベースの車載ネットワークでは,IEEE 802.1TSNで定義されるQoS制御が適用され,このネットワークがどのようなQoSを提供できるかを予測することが必要である.
先行研究では,SPQを多段に用いた車載ネットワークに対して,重回帰分析を用いたQoSの推定方式を提案している.さらにSPQとFPを組み合わせたネットワークにおいてQoSを推定されている.
一方,IEEE 802.1TSN規格の中で最も高い精度でQoS制御できるものはTime-Aware Shaper(TAS)であるが,これを用いたネットワークのQoS推定は行われていない.本論文では,SPQとTASを用いたEthernetベースの車載ネットワークにおけるQoSを重回帰分析による推定方式により推定し,本方式の適用の可否を検討する.
次世代のEthernetベースの車載ネットワークでは,QoS制御として,IEEE 802.1TSN(Time-Sensitive Network)が採用される.IEEE 802.1TSNは複数の規格からなり,その一つであるIEEE 802.1Qでは,SPQやCBS,TASなどの優先制御が定義されている.IEEE 802.1Qで定義されている制御の中で,TASは最も高い精度でQoSを制御できる.したがって、時間制約の厳しいデータを扱う車載ネットワークなどでは,TASの採用が検討されている.一方,TASは時刻同期が前提で適用されるが,すべての機器で時刻同期できるとは限らない.
したがって,時刻同期されていない環境下で,TASの提供するQoSを調査しなければならない.
本研究では,多段なEthernetベースの車載ネットワークにおいて,時刻同期を行わないTASが適用された環境下でのQoSの調査を行う.
9月8日 9:00〜11:45 Meeting 13 座長 小原泰弘(NTTコミュニケーションズ)
B-16-11 |
未知のグラフにおける (α, k) ランダムウォークの探査効率に関する一検討
◎吉次 亮・岩田丈了・松尾涼太郎・大崎博之(関西学院大) |
B-16-12 |
動的グラフにおいてランダムウォークの怠惰性がグラフ探査の効率性に与える影響に関する一検討
◎△中川大輝・岩田丈了・松尾涼太郎・大崎博之(関西学院大) |
B-16-13 |
ネットワークトポロジが分散型オンラインカーネル学習の効率性に与える影響に関する一検討
◎高森洸希・江見太一・ハン ネーアウン・後藤啓大・大崎博之(関西学院大) |
B-16-14 |
多層ネットワークにおける各層のネットワークと個別ノードの共ランキングアルゴリズムに関する一検討
◎△白川 周・澤野紘嘉・松尾涼太郎・大崎博之(関西学院大) |
B-16-15 |
グラフ粗視化におけるノードの中心性指標の安定性に関する一検討
◎岩田丈了・松尾涼太郎・大崎博之(関西学院大) |
ランダムウォークを用いたグラフ探査は幅広い工学的用途への応用が可能であり、近年、その数理的な特性が活発に研究されている。ランダムウォーク型移動モデルのいくつかは特性を組み合せることが可能であるが、どのような性質のグラフにおいて、どのような移動特性の組み合せがグラフ探査に適しているかはこれまで十分明らかにされていない。
そこで本稿では、遷移確率の重みパラメータαと自己回避に用いる記憶領域kを有する(α, k)ランダムウォークを対象とし、2 つのパラメータの設定とグラフの探査効率の関係を明らかにする。
ランダムウォークを用いたグラフ探査は幅広い工学的用途への応用が可能であり、近年、その数理的な特性が活発に研究されている。グラフ上のランダムウォークは、動的な (つまり、トポロジ構造が変化する) グラフにおいても、その数理的な特性が明らかにされつつある。我々の知る限り、現実的な条件下において、ランダムウォークの怠惰性が平均被覆時間に与える影響はこれまで十分明らかにされていない。そこで本稿では、ある進展グラフにおいて、ランダムウォークの怠惰性がランダムウォークの特性 (平均被覆時間および初回到着時間) に与える影響を明らかにする。
ネットワーク上に分散したそれぞれのノードにおいて観測した非線形データから、それらのデータを一箇所に集約することなく非線形モデルのパラメータ推定を行う分散学習が注目を浴びている。特に、ランダムフーリエ特徴を用いてカーネル関数を近似することにより、分散かつオンラインでの非線形学習が可能となる。文献[1]において、Bouboulisらは、ランダムフーリエ特徴を用いた分散型オンラインカーネル学習のアルゴリズムRFF-DOKL (Random Fourie Features DistributedOnline Kernel-based Learning)を提案している。文献[1]では、データセットに用いる非線形関数やノイズ量、ランダムフーリエ特徴の数などを変化させた時の学習効率を調査している。しかし、ネットワークトポロジとしてはランダムネットワークのみを対象としており、ネットワークトポロジがRFF-DOKLの効率性に与える影響はこれまで十分に明らかにされていない。そこで本稿では、ネットワークトポロジによって、分散型オンラインカーネル学習アルゴリズムRFF-DOKLの効率性(ノード間の通信量に対する非線形モデルの推定精度)がどのような影響を受けるかを実験により調査する。
現実に存在するさまざまなデータの多くは、複数のネットワークが相互に結合された多層ネットワークとして表現することが可能であり、多層ネットワークに対するデータマイニング手法が活発に研究されている。本稿は多層ネットワークにおける各層のネットワークと、各層のネットワークを構成する個別のノードのランキングの共ランキングをどの程度行えるかを明らかにする。各層のネットワークと個別のノードを単層ネットワークで表現した結合グラフを構築し、結合グラフ上のランダムウォークにおける各ノードの滞在確率によって、各層のネットワークと個別のノードのランキングを行い共ランキングの精度を調査する。
現実に存在するさまざまなデータは大規模ネットワークとして表現できることから、大規模ネットワークに対するデータマイニング技術や機械学習技術が活発に研究されている。ただし、大規模ネットワークはその規模のために計算量が膨大となることから、グラフの粗視化や低密度化によって大規模ネットワークの規模を縮退させる手法が注目されている。一般に、元の大規模ネットワークが有する特性が、その大規模ネットワークを縮退させたネットワークにおいても保存されていることが望ましい。これまで、MGC や COARSENET などのグラフの特徴や構造を保存することを考慮した粗視化アルゴリズムがいくつか提案されている。そこで本稿では、既存のグラフ粗視化アルゴリズムにおいて、大規模ネットワークにおけるノードのランキング等に広く用いられているノードの中心性(例:次数中心性、固有値中心性、媒介中心性)がどの程度保存されるかを実験により調査する。
休 憩(10:30 再開) 座長 中村 遼(東大)
B-16-16 |
辞書学習を用いたネットワークトポロジ復元手法に関する一検討
◎△松尾涼太郎・大崎博之(関西学院大) |
B-16-17 |
自律的ネットワーク運用のための5GCスケールアウト構成検討
◎小山大輝・宮坂拓也(KDDI総合研究所) |
B-16-18 |
機器異常検知のための超音波データ収集システム開発に向けた基礎検討
◎執行律和・池永全志・野林大起・水町光徳・塚本和也(九工大) |
B-16-19 |
Private LoRa インタフェースを用いた TCP/IP 通信におけるフラグメントの影響調査
◎△坂本淳平・野林大起・塚本和也・池永全志(九工大)・佐藤剛至・滝沢賢一(NICT) |
B-16-20 |
DNSクエリログ解析による未知悪性ドメイン検出のための特徴量算出手法の検討
○山田大登・野林大起・池永全志(九工大) |
我々はこれまで、スパース表現化のための過完全辞書構築アルゴリズム K-SVD (K-means Singular Value Decomposition) 法によって構築したネットワークトポロジの辞書を利用することにより、リンクが欠損しているネットワークトポロジを復元する手法を考案するとともに、小規模なネットワークトポロジを対象とした実験によりその有効性を確認した。ただし、現実のネットワークトポロジに対して、ネットワークトポロジの辞書による欠損したリンクの復元がどの程度可能かは明らかにしていない。そこで本稿では、4 種類 (Facebook、Yeast、 DBLP、 CAIDA) の実データを用いることにより、提案手法であるネットワークトポロジ復元法がどの程度有効であるかを調査する。
ネットワーク障害を検知・対処することは,ネットワーク運用において欠かせない要素である.
耐障害性を高めるためには,人間の運用者を介さずにネットワーク障害へ対処する自律的なネットワーク運用が求められており,我々はモバイルネットワークの AI/ML 技術を用いた自律的なネットワーク運用を目指している.
本研究ではスケールアウト構成のモバイルネットワークへのAI/ML技術の適用を目指しており,Open Source Software (OSS)として公開されている5Gコアネットワーク(5GC)のソフトウェアを利用したスケールアウト構成の検討とアーキテクチャ観点の考察について報告する.
電力設備等の大型機器の多くは作業員の定期的な点検により異常を検知している.このような人手による点検作業を効率化するために,機器の稼働音を用いた異常検知技術の開発が進められている.しかし,可聴音を用いる従来の異常検知手法では,機器周辺で発生する鳥の鳴き声や車のエンジン音等,目的外の音の影響が大きく,対象物の稼働音分析が困難であるという問題点がある.そこで本研究では,超音波に着目し,稼働音の超音波成分による異常検知システムを検討する.
Low Power Wide Area(LPWA)は低消費電力,長距離通信,低コストでの導入が可能であることから,IoT における主要な通信技術として期待されている.先行研究では,LPWAの一つの通信方式であるPrivate LoRaインタフェースを用いてTCP/IP通信を実現し,インターネット上の接続機器との通信を可能にした.本研究では,アプリケーションレイヤのパケットサイズを大きくした場合において,IP2LoRaによるIPパケットのフラグメンテーションが通信性能に与える影響について実験を通じて評価する.
世界中でマルウェアに感染したコンピュータの被害が脅威となっている.マルウェア感染端末の検出手法の一つとしてブラックリストを用いたシグネチャ型の手法が存在するが未知の悪性ドメインには対応できず対策には限界があると言える.そこで,本研究では悪性ドメインの名前解決の問い合わせの前後に着目し,機械学習を用いることで未知の悪性ドメインの検出を試みる.また,本研究では,ドメイン特徴量を求めるためのパラメータについて検討する.
9月8日 13:00〜15:30 Meeting 13 座長 明石 大(日立)
B-16-21 |
SDNによる新たな適応的TCP/UDPマルチパス化方式の提案
◎伊藤隼人・伊藤嘉浩・田中大貴(名工大) |
B-16-22 |
SDNを用いたマルチパス化方式における動的な制御切り替え方式のWebサービスに対するQoS評価
◎杉本 竣・伊藤嘉浩(名工大) |
B-16-23 |
IoTネットワークにおける強化学習を用いた経路制御方式の高性能化に関する一検討
○高橋翔太郎・井上翔太・後藤啓大・大崎博之(関西学院大) |
B-16-24 |
時空間データ滞留システムにおける位置情報に基づく送信制御手法の実証評価
◎赤司廉樹・池永全志・野林大起・塚本和也(九工大) |
B-16-25 |
複雑ネットワークにおけるエンド-エンドルーティングのメッセージ配送遅延に関する一検討
◎△畑中 湧・澤野紘嘉・松尾涼太郎・大崎博之(関西学院大) |
IoTネットワークのためのQoS制御として,先行研究はSDNを用いたTCP の動的なマルチパス化方式を提案している.
しかしながら先行研究はTCPトラヒックのみを対象とおり,UDPは扱われていない.
本研究では先行研究で提案されたSDNによる動的なマルチパス化方式をもとに,TCP,UDPの双方を考慮した新しい方式を提案する.
IoT ネットワークのための輻輳制御として,先行研究は,SDNによるTCPマルチパス化方式の動的な制御切り替え方式を提案している.
これは,SDNにより複数経路にTCPのトラヒックを分散させ,さらに複数の制御を環境によって切り替えるものである.
しかしながら,先行研究では一般的なTCP通信に対して評価を行っているのみであり,Webサービスに対する評価は行われていない.
そこで,本研究では,先行研究の方式に対してWebサービスに対するQoSを実機による実験により評価する.
IoT アプリケーション向けの無線ネットワークとして、低消費電力かつ損失のあるネットワーク LLN (Low-power
and Lossy Network) が注目を浴びている。Farag らにより、強化学習を利用した LLN 向けのルーティングプトコルが提案されている 。従来の手法では、シンクノードまでのホップ数と、隣接ノード経由のメッセージ損失率および隣接ノードのキュー占有率を報酬とする Q 学習を各ノードが独立に実行することによって次ホップを決定する。各ノードのQ 学習の状態を近隣ノードと共有することにより、ルーティングの性能改善が可能と考えられる。LLN 向けの Q 学習を用いたルーティングにおいて、各ノードの Q 表の値を隣接ノードと共有することにより効率的なルーティングを実現する CO-QLR (Co-OperativeQ-Learning based Routing) を提案するとともに、その有効性を実験により明らかにする。各ノードが Q 学習により隣接ノードを経由する場合の Q 値を学習し、学習した Q 値をリンクコストとする
ディスタンスベクタ型ルーティングによって各ノードがそれぞれの上流ノードを決定する。
本研究では,現実環境における受信電波強度の変化が送信制御に与える影響を検証するため実機に時空間データ滞留システムにおける位置に基づく送信制御手法を実装した.加えて,外的要因による電波強度の変動が送信制御へ与える影響を緩和するため,複数回の測定値をもとに中継送信の有無を決定する手法を提案し,想定外の動作に対する抑制効果があることが示された.さらに,過剰なデータ中継送信を抑制し,中継ノード全体のデータ送信数を削減することが可能となった.これらの結果より,提案手法では,滞留システムにおいて中継ノードが効果的に動作したと考えられる.
近年、ネットワーク科学の分野において、大規模ネッ
トワークを複雑ネットワークとしてモデル化すること
により、大規模ネットワークの通信特性が数理的に明ら
かにされつつある。我々はこれまで、不確実なリンクで
構成される大規模ネットワークにおいて、代表的なルー
ティング戦略であるエンドルーティングを用いた時の平
均メッセージ配送遅延を解析的に求めた。
複雑ネットワークにおけるメッセージ配送遅延は、エ
ンド–エンド間のパスの存在確率だけでなく、中継ノード
の処理速度にも大きな影響を受ける。しかし、中継ノー
ドの処理速度が、メッセージ配送遅延にどの程度の影響
を与えるかはこれまで十分に明らかにされていない。
そこで本稿では、文献 [1] の解析を拡張することによ
り、不確実なリンクと中継速度に制限のあるノードによっ
て構成される大規模ネットワークにおいて、エンド–エ
ンドルーティングを用いた時の平均メッセージ配送遅延
を導出する。
休 憩(14:30 再開) 座長 川上朋也(福岡大)
B-16-26 |
AUTOSAR E2E Profile 2におけるメッセージ破壊検出能力に関する一検討
◎江見太一・ハン ネー アウン・山崎康広・大崎博之(関西学院大) |
B-16-27 |
ソーシャル性を考慮した情報指向ネットワークにおける影響力の強いユーザの推定に関する一検討
○本田紘大(立命館大)・中村 遼(福岡大)・上山憲昭(立命館大) |
B-16-28 |
大規模ネットワークにおけるノードの中心性不明化に関する一検討
◎河村宇記・岩田丈了・松尾涼太郎・大崎博之(関西学院大) |
B-16-29 |
ネットワーク超解像度問題とその一解法に関する一検討
○澤野紘嘉・岩田丈了・松尾涼太郎・大崎博之(関西学院大) |
車載通信では制御系の通信を行うため高信頼化,機能安全(ISO26262)への対応が必要である。AUTOSAR E2Eでは、メッセージ破壊検出によるメッセージの保護するために巡回冗長符号が規定されている。IEC61784では、CRCの誤り検出能力についてハミング距離を用いた理論値ならびに2^-rを用いた近似値が提案されているが、実際の検出能力との間には差があり十分ではない。本稿では、AUTOSARE2Eにおけるメッセージ破壊検出率を実験により計測する。
本稿では,ソーシャル性を考慮した情報指向ネットワークにおいて,ソーシャルネットワークの部分的な構造から影響力の強いユーザを推定することの有効性を実験により調査する.特に,ソーシャルネットワークの部分的な構造から影響力の強いユーザを決定し,サンプリング戦略やサンプルサイズが情報指向ネットワークの通信性能にどのような影響を与えるかを調査する.
大規模ネットワークにおけるデータマイニング手法の一つとして、ネットワークのトポロジ構造によって定まるノードの中心性 (例:次数中心性、固有値中心性(PageRank)、媒介中心性) の推定が広く用いられている。これまで、高精度な中心性指標の提案や、高速な中心性指標の計算手法の研究が活発に行われてきた。一方、セキュリティやプライバシ保護の観点からは、ノードの中心性を不明化することも求められる。そこで本稿では、大規模ネットワークにおけるある特定のノード集合の中心性を不明化するアルゴリズムを提案するとともに、その有効性を実験によって確認する。
近年、画像処理の分野において、低解像度の画像から、高解像度のオリジナルな原画像を復元する超解像度(super resolution)の手法が活発に研究されている。一方、情報ネットワークの分野では、大規模ネットワークのサンプリング技術や粗視化・要約化技術の研究が活発に行われている。一般に、取得できる大規模ネットワークのトポロジ情報は欠損や集約が行われたものであることが大半である。画像の超解像度と同じように、低解像度のネットワーク情報から、高解像度のオリジナルな大規模ネットワークを復元する「ネットワーク超解像度」の実現が期待される。本稿では、大規模ネットワークの部分グラフと元の大規模ネットワークの次数分布から、元の大規模ネットワークを復元するアルゴリズムNET-SR (NETwork SuperResolution)を提案する。
B-17. スマート無線
9月7日 9:30〜11:45 Meeting 34 座長 中里 仁(楽天モバイル)
B-17-1 |
上面図を用いた機械学習によるミリ波遮蔽影響予測の混雑環境での評価実験
村上隆秀・吉川慧司・山口 明・○新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-17-2 |
画像情報と無線情報を併用するミリ波端末の追跡法
○山口 明・村上隆秀・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-17-3 |
産業用ネットワーク向けローカル5G通信障害監視技術の検証
◎土田 輝・此川志穂・松永 亮・大賀正夫・野田雅樹(三菱電機) |
B-17-4 |
HAPS無線中継システムの自動利得制御に関する実験評価
◎長谷川拓哉・小西光邦・太田喜元・長手厚史(ソフトバンク) |
B-17-5 |
UAV基地局における無線アクセスバックホール統合の検討
○炭谷俊宏・タン ザカン(東工大) |
物体の遮蔽によるミリ波の無線リンク断を回避するために,複数の基地局を用いた切り替え手法を考えている.リンク断の発生前に切り替えるためには,遮蔽の事前予測が必要である.これまでに,繁華街のような複数の物体や受信機が移動している環境を想定した遮蔽予測手法として,送信点と受信点の間の物体の相対的な位置を表す上面図と,送受信間距離および電波到来角度を特徴量として入力する機械学習を提案し,端末の周囲に少数の歩行者がいる環境での有効性を示した.本稿では,フィールド実験により,歩行者や車両が存在するより現実に近い環境で検証を行った結果を報告する.
第5世代移動通信システムで用いられるミリ波帯の電波は,通信路を物体に遮蔽されると,急激に受信強度が低下して無線リンク断となる問題がある.筆者らは,カメラの画像から予測するミリ波の受信電力により,遮蔽の発生を予測して,無線リンク断を回避する制御手法を検討している.同手法では,遮蔽を予測するために画像ベースの手法 (DeepSort) で端末位置を継続的に追跡する.多数の移動物体が往来する環境では,端末が画像に映らない状況が生じて,画像のみでは継続的な追跡が難しい.そこで,追跡精度を向上するために無線情報を併用する手法を提案し,その効果を屋外実験データで評価したので報告する.
ファクトリオートメーション分野では,ローカル5G(第5世代移動通信システム)の超高信頼・低遅延の特徴を活用した産業機器向け通信の無線化が期待されている.しかし,産業用ネットワークの無線化では,無線通信に影響を与える様々な事象を考慮する必要があり,さらに,無線状態は常に変化するため,従来の通信障害発生時のみの対応だけで通信障害の要因を特定することは困難である.本研究では,ローカル5G通信のリアルタイム監視結果から通信障害解析に必要な情報の収集ならびに通信障害検出の実現性に関する試作・評価結果について報告する.
地上のセルラ移動端末へLTE(Long Term Evolution)や5G New Radio(NR)などの移動通信サービスを直接提供可能な,成層圏プラットフォーム(HAPS: High-Altitude Platform Station)を用いたHAPS移動通信システムは,サービスエリアの拡大,災害時の通信手段として非常に魅力的である.その実現形態の一つとして,非再生中継型のHAPS無線中継システムが存在するが,HAPS機体は常に飛行によって移動することから,地上に設置された中継局親機と上空の中継局子機間におけるフィーダリンクの損失は常に変動する.したがって,中継局子機における自動利得制御(AGC: Automatic Gain Control)が重要である.本稿では,HAPS無線中継システムについて,機体の回転を考慮したAGC方式を提案し,実験評価に基づいて,その適用効果を明らかにする.
現在,ドローンの産業用途の応用が幅広く検討されている.その中で,ドローンをミリ波基地局として利用することで、空中からの一時的なネットワークを形成する研究が進められている.ドローンを携帯基地局に利用する利点としては,地形に左右されず配置できることや,ドローン-ドローン間やドローン-地上ユーザー間での見通し環境の確保が挙げられる.
ミリ波基地局はミリ波の性質により限られたカバレッジしか提供できないため,基地局を高密度化する必要がある.高密度にミリ波基地局を展開するために,3GPP(3rd Generation Partnership Project)では無線アクセスと無線バックホールを同一周波数帯で統合するIAB(Integrated access and backhaul)技術の標準化が進められている.
本稿では,ミリ波ドローン基地局ネットワークにIABを適用した場合の特性を評価したので報告する.
休 憩(11:00 再開) 座長 芝 宏礼(NTT)
B-17-6 |
非地上系ネットワークにおける無線空間データベースの検討
○板山雄祐・中條宏郁・松尾祥吾・藤井威生(電通大) |
B-17-7 |
周波数共用における端末位置予測を利用したアンテナビーム探索アルゴリズムの評価
◎川村 築(信州大)・秋元浩平(秋田県立大)・田久 修(信州大) |
B-17-8 |
5Gセルラシステムにおける周波数共用を想定した与干渉検知の一検討
◎山邊璃久・田久 修(信州大) |
Beyond5G/6Gにおいて非地上系ネットワーク(NTN: Non-Terrestrial Network)の活用が注目されており,より広範囲に低遅延かつ高速大容量なモバイルネットワークサービスの提供を図るには,将来の通信品質の予測等が重要となる.NTNの中でもLEO(Low Earth Orbit:低軌道)衛星等は,観測時刻や場所により建物等で電波が遮蔽されるため,無線環境の予測が困難となる.そこで本稿では, NTNの無線環境の予見性向上のため,モバイルネットワークでの活用が検討されている実観測データに基づく無線環境の電波伝搬予測に向けた無線空間データベースを,NTNへ拡張することを検討する.
アンテナビームフォーミングは電波の放射範囲を抑制するため,周波数共用における空間的な共用を可能にすることが期待されている. しかし,指向方位通りに電波が伝搬するとは限らず,また一定時間に放射可能なビームの組み合わせは膨大で効率的なビーム選択が必要になる.本稿ではシミュレーションデータと端末位置を用いるビームアルゴリズムを使用し,ビームの事前探索による端末のカバー率とビーム抑制による干渉影響領域の削減量で評価を行う.
5G及びbeyond 5Gでは各無線機に高い干渉耐性能力を有する必要がある.干渉推定から周波数資源の割り当て済みの無線通信システムにおいて,自局が受ける干渉や他局に与える干渉が通信品質を低下させていないかを監視することで,安心安全な周波数共用を可能にする.本検討では,MAC層を中心としたアクセス制御技術の監視による相互干渉検知を行う.干渉状態を推定するにあたり,5Gの通信環境をシュミレーションで構築した.この環境で,取得したデータを用いて干渉状態の推定を機械学習を用いて行った.
9月7日 13:30〜16:30 Meeting 34 座長 小西光邦(ソフトバンク)
B-17-9 |
信号検出確率・誤警報確率の設計値が電力検出キャリアセンスを用いたsub-GHz帯LPWANに与える影響
○成枝秀介(三重大)・藤井威生(電通大) |
B-17-10 |
パケット型インデックス変調における送信制御を活用した情報収集法の特性評価
○宮本隆司・田久 修・藤原洋志(信州大)・安達宏一(電通大)・太田真衣(福岡大)・藤井威生(電通大) |
B-17-11 |
無線物理量変換一括収集法における長区間FFTによる信号検出法
○伊藤 利・田久 修(信州大)・安達宏一(電通大)・太田真衣(福岡大)・藤井威生(電通大) |
B-17-12 |
蓄積一括信号処理による多数信号の分離・復調技術の一検討
◎広瀬 陸・中家 翔・平川拓志・冨里 繁・田野 哲・上原一浩(岡山大) |
B-17-13 |
送受信特性を考慮した蓄積一括信号処理による信号分離・復調技術の一検討
◎三田湧大・日笠智文・平川拓志・冨里 繁・田野 哲・上原一浩(岡山大) |
著者らはこれまでに,電力検出を用いたキャリアセンスならびにこれを用いたsub-GHz帯low power wide are network(LPWAN)の特性を理論的・数値的に解析してきた.統計的な信号検出法である電力検出を用いるときには許容可能な信号検出確率ならびに誤警報確率を設計しなければならない.本論文では,信号検出確率・誤警報確率の設計値が電力検出キャリアセンスを用いたLPWANの特性に与える影響について示す.
低消費電力で長距離通信可能な通信方式である LPWA(Low Power Wide Area) に注目が集まっている.LPWA で送信フォーマットを変更することなく,パケットの送信時間や周波数を切り替えることで追加の情報を伝送する,パケット型インデックス変調 (Packet Level Index Modulation : PLIM) では,複数のセンサが同一のインデックスを選択した場合,パケット衝突により情報が欠落する問題がある.本研究では,パケット型インデックス変調で情報を集約する際に,送信量を制御することで集約精度の向上を目指した送信設計を提案する.
センサ情報を搬送波の周波数に変換して伝送する物理量一括収集法(PhyC-SN)は,従来のパケット通信と比べて,消費電力を抑えアクセスしたセンサ全体の分布状態を検知でき, モニタリングの傾向分析に利用できることから無線物理量変換一括収集法に着目している.無線物理量変換一括収集法の課題として周波数オフセットの影響により,キャリア間干渉が発生しエネルギー値に揺らぎが生じる.そのため,出力の検知精度が劣化してしまうことがあげられる.本稿では,出力検知の精度を向上させるために,複数シンボルに対して窓関数をかけ,長区間でのFFT をすることで,キャリア間干渉の影響を抑え検知精度の向上を図った.
本研究はネットワーク上での蓄積一括信号処理を用いて,既存の受信機では困難な干渉を受けたIoT/M2M端末信号の分離・復調技術の確立を目指している.
蓄積一括信号処理の手法として提案されている短時間フーリエ変換 (Short-Time Fourier Transform: STFT) による特徴量抽出を用いた信号分離・復調法の一つである特徴量復調法において,これまでの検討では3つの信号の配置やEb/N0に対する信号分離・復調性能を評価してきた.そこで本稿では,同一変調方式の3信号の分離・復調性能を信号の重畳度とD/Uに着目して評価する.
シミュレーションの結果,QPSK変調方式ではOBRが75%,16QAM変調方式ではOBRが65%を下回る重畳度であればD/Uが0dB以下での分離が可能となり,OBRが50%以下の重畳度であればよりD/Uが小さい場合での3信号の分離・復調が可能であることを明らかにした.
IoT時代が到来し,限られた周波数資源で無秩序に通信を行うと,衝突や干渉により受信ができなくなるという課題がある.本研究では,ネットワーク上の蓄積一括信号処理技術を確立し,衝突した信号や干渉を受けたIoT/M2M端末信号の分離,復調を目指す.本稿では,信号分離・復調法の一つである特徴量復調法において,送信機における通信品質の劣化要因となるIQインバランスを考慮し,信号分離・復調性能に与える影響を計算機シミュレーションによって評価した.計算機シミュレーションの結果,IQインバランスの劣化が大きくなると,矩形窓のサイドローブの影響が見られ信号分離性能が劣化,もしくは分離不可となることが明らかになった.
休 憩(15:00 再開) 座長 村上隆秀(KDDI総合研究所)
B-17-14 |
準天頂衛星みちびきが放送する災害・危機管理通報における優先メッセージ予測
○高橋 賢(広島市立大) |
B-17-15 |
中天空率環境下のGPS/QZSS/Beidouによる衛星信号受信誤差の評価
○北 寛登・小熊 博(富山高専)・亀田 卓(広島大)・末松憲治(東北大) |
B-17-16 |
深層学習に基づく到来方向推定のための実測する教師データ量の削減手法
○大辻太一・宮本勝男(NEC) |
B-17-17 |
アイリス厚を考慮したD帯導波管バンドパスフィルタの設計・特性評価
◎八木康徳・笹木裕文・李 斗煥・芝 宏礼(NTT) |
B-17-18 |
16.4 GHz帯2×1素子パッチアレイアンテナを用いた WBANにおける干渉抑制効果の検討
◎福井蓮太・秋元浩平・戸花照雄(秋田県立大) |
B-17-19 |
IEEE 802.11無線LAN向け多腕バンディットアルゴリズムを用いた送信チャネル選択方式の性能評価
○矢野一人・Babatunde Ojetunde・森 敬一朗(ATR)・今中崇詞・太田真衣・太郎丸 真(福岡大) |
準天頂衛星みちびきが放送する災害・危機管理通報(DCR)において,受信メッセージから次メッセージの種別割合の統計を求めた.DCRは4秒ごとに伝送されるので,間欠受信を行えば受信機平均電力消費を削減できる.高優先度DCRメッセージは全体の23.3%程度なので,次メッセージを予測できれば,さらなる電力消費削減が見込める.高優先度メッセージ選択的受信の検討のため,高優先DCRメッセージと,それ以外のDCRメッセージとにわけて,メッセージ遷移を求めた.例えば,緊急地震速報の優先メッセージを受信すると,約0.8の確率で次メッセージも緊急地震速報であることから,優先メッセージについては次メッセージ予測の見込みがある.
2011年3月に発生した東日本大震災の際, 地震や津波などで地上系通信インフラを喪失したことにより, 被害者の安否確認に長時間を要した. そこで, 地上系通信インフラに依存しない安否確認システムとしてマルチGNSSを用いたロケーション・ショートメッセージSS-CDMA (Spread-Spectrum Code-Division Multiple-Access) 通信を提案している. 提案システムでは日本全国の多数のユーザが衛星測位情報をもとにメッセージの送信タイミングを制御することでユーザ間同期を実現する. これまでに天空率の高い環境 (95.3%) と天空率の低い環境 (天空率39.0%) で衛星信号受信誤差の評価を行ったところ天空率の低い環境では使用条件を検討する必要があることがわかった. 本稿では, 中程度の天空率での衛星信号受信誤差について評価を行ったので報告する.
近年,到来方向推定に深層学習を適用する方法(深層学習法) が注目されており,非学習手法と比較して限定的ではあるものの,その優位性が示されている.実環境で利用可能な学習モデルを生成するためには,細かい角度間隔の受信信号が教師データとして必要であるが,実測で得るには非常に多くの時間を要する.そこで本稿では,実測する教師データ量の削減手法を提案し,実機評価を行った結果を報告する.
6G時代の大容量無線伝送に向け、周波数帯が100 GHzを超えるようなsub-THz帯を活用した広帯域伝送が検討されている。筆者らはsub-THz帯でテラビット級の無線伝送実現を目ざし、D帯でのRFの構築に必要な、広帯域な通過域特性を持つバンドパスフィルタ(BPF)に取り組んでいる。D帯のアイリス結合BPFの設計では、アイリスの厚みによりリアクタンス値が変動し、帯域幅や中心周波数にずれが生じるといった問題が生じる。本研究では、アイリスの厚みを考慮した誘導性アイリス結合導波管BPFの設計手法を確立し、D帯においてBPF設計・解析を行ったため報告する。
人体領域通信(WBAN: wireless body area network)は人体上の複数のデバイス間で通信を行うネットワークである.従来のマイクロ波帯WBANで課題となるWBAN間干渉に対し,ミリ波帯WBANは遠く離れたユーザ同士の電波伝搬的な結合が弱いため,WBAN間干渉の抑制に効果的である.我々はこれまで,ミリ波帯WBANを想定した単素子パッチアンテナを試作し,実測により信号波と干渉波の分離効果を示してきた.本稿では,単素子パッチアンテナのアレイ化による干渉波の抑制効果を単素子パッチアンテナとの比較により明らかにする.
免許不要帯における無線通信需要は増加し続けており,多数の無線システムが混在する状況での周波数利用効率の向上は急務である.筆者らはCSMA/CA系システムと非CSMA/CA系システムとの効率的共存に向けて,多腕バンディット(MAB)アルゴリズムを用いた送信チャネル選択方式の提案と,当該方式をIEEE 802.11無線LANに適用するための方式設計を行っている.本稿では提案方式を用いる無線LANのBSSが複数存在する環境下を想定したシステムレベルシミュレーションによる,提案方式の性能評価結果を報告する.
B-18. 短距離無線通信
9月7日 13:00〜14:00 Meeting 16 座長 野田聡人(高知工科大)
B-18-1 |
工場環境における2.4 GHzと5.2 GHz帯の遅延スプレッドおよび受信電力特性
○ハニズ アズリル・沢田浩和・川崎 耀・伊深和雄・児島史秀・松村 武(NICT)・松井研輔・細川元気(矢崎総業)・柳 泰行(矢崎エナジーシステム)・國立忠秀(矢崎総業) |
B-18-2 |
2.4 GHzと5.2 GHz帯の実無線機を用いた工場環境の通信特性評価
○細川元気・松井研輔(矢崎総業)・柳 泰行(矢崎エナジーシステム)・國立忠秀(矢崎総業)・Haniz Azril・沢田浩和・川崎 耀・伊深和雄・児島史秀・松村 武(NICT) |
B-18-3 |
多次元TCM-QAMシングルキャリア伝送における位相雑音の影響
◎長南文理・佐々木重信(新潟大) |
B-18-4 |
A 12.5 Gb/s 1.1 pJ/b Rotatable Transmission Line Coupler Using Deep-Proximity Coupling Mode and Ground-Shield Vias
○Ximing Wang・Atsutake Kosuge・Yasuhiro Hayashi・Mototsugu Hamada・Tadahiro Kuroda(The Univ. of Tokyo) |
スマートファクトリーの実現には,安定した無線通信環境の導入が必須であるが,実稼働工場で導入試験をすることは困難であり,サイバーフィジカルシステム(CPS)を活用したワイヤレスエミュレータによる検証環境の整備が注目されている.その開発には,工場環境における高精度なチャネルモデルを構築することが不可欠である.本稿では,工場における2.4 GHz帯および5.2 GHz帯のチャネルモデル開発のため,工場内の様々な場所でチャネル・インパルス応答(CIR)を測定し,受信電力との関係について解析した結果を報告する.
近年,工場などの製造現場では,人手不足などの問題を解決する方法としてスマートファクトリー化が進んでいる.スマートファクトリーを実現する技術の一つとして,サイバーフィジカルシステム(CPS)があり、CPSのエミュレータの開発では,実環境に基づくデータを反映させるために,稼働中の工場環境の電波伝搬測定を行うとともに,実端末での通信状況を取得し反映させることが不可欠である.そのため,工場環境において実端末を用い2.4 GHzと5.2 GHz帯の1 対多の片方向無線通信の特性評価を行ったので,その結果について報告する.
高速で高信頼の無線通信システムの構築に向け広帯域の確保が容易なミリ波帯の活用が期待されている.一方各種無線システムで広く用いられるQAMの場合、高次になるほど誤り率特性が劣化し,特にミリ波帯などの高周波数帯において位相雑音の影響を強く受けるようになる.本報告では,ミリ波を用いたシングルキャリア伝送において多次元トレリス符号化変調(多次元TCM-QAM)を適用し,位相雑音の影響を誤り率特性により評価した.その結果,多次元TCM-QAMは同速度の符号化QAMと比較して,位相雑音の影響を受けにくいことが分かった.
A 12.5 Gb/s 1.1 pJ/b rotatable non-contact connector is developed for AI-controlled industrial equipment applications. The rotatable transmission line coupler (RTLC) provides constant communication characteristics at any angle and features a new deep-proximity coupling mode with wide communication bandwidth and high coupling gain. In the conventional RTLC, the signal reflection caused by the impedance mismatch of vias are not absorbed and resulting in multiple-signal reflections which will degrade signal integrity. The ground-shield via structure is used to reduce signal reflections to 1/23 compared to the conventional signal vias. Simulation results demonstrate that the proposed connector can achieve a 2.1 times faster data rate and 8.9 times higher energy efficiency than the most advanced rotatable non-contact connector.
B-19. ヘルスケア・医療情報通信技術
9月7日 9:00〜11:45 Meeting 24 座長 伊藤孝弘(広島市立大)
B-19-1 |
Doppler Ultrasound Signal Quality Assessment based on Unsupervised Representation Learning for Fetal Heart Rate Estimation
○Xintong Shi・Kohei Yamamoto・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.)・Yutaka Matsui・Kazunari Owada(Atom Medical) |
B-19-2 |
GAN-based Data Augmentation for Heart Rate Range Classification Using Doppler Radar Signals
○Danyuan Yu・Mondher Bouazizi・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.) |
B-19-3 |
深層学習モデルを用いたドップラーレーダによる非接触血圧推定の被験者内・被験者間条件における特性評価
○吉澤陸人・山本幸平・大槻知明(慶大) |
B-19-4 |
ミリ波FMCWレーダに基づく非接触追跡心拍測定の検討
○胡 尭坤・李 俊映・戸田 健(日大) |
B-19-5 |
An Application Design for Remote Tracking Heart Rate Measurement Based on mm-Wave Radar with Stepping Motor
○Joonyoung Lee・Yaokun Hu・Takeshi Toda(Nihon Univ.) |
For fetal heart rate (FHR) monitoring, the Doppler ultrasound (DUS) transducer has been widely utilized. However, various interference factors, such as maternal and fetal movements, might contaminate the fetal DUS signals. Signal quality assessment (SQA) for fetal DUS can help to refine the FHRs estimated from noisy signals. To address the limitation of the labeled DUS datasets, we propose a fetal DUS SQA based on unsupervised representation learning for improving FHR estimation accuracy.
Heart rate (HR) range classification using Doppler radar signals is crucial in the clinical field. However, the classification performance suffers from the imbalanced dataset problem. In this research, we focus on generating low HR Doppler radar signals from low HR ECG signals using GAN for balancing the dataset and improving HR range classification performance. Our proposed GAN model converges fast and is easy to be trained. Our proposed method achieved improvements in recall by 3% and F1-score by 1% after balancing the data. However, precision and accuracy deteriorated by 2% and 1%. It would be interesting to tackle this problem by applying GANs on the normal HR class for learning the underlying distribution as well.
本稿では, 深層学習モデルを用いたドップラーレーダによる非接触血圧推定法を提案し,学習・テストデータ間で被験者を混合・分離した条件下で特性を評価した.25人の被験者から測定した約20時間のデータを用いて提案法を評価した結果,学習・テストデータ間で被験者を混合した条件下では平均血圧の推定誤差が 1.02 ± 8.56 mmHg,平均血圧の真値・推定値間のピアソンの相関係数が 0.59 であったのに対し,被験者を分離した条件下では大きく劣化した.今後は,被験者を分離した条件下での血圧推定精度を改善する予定である.
日本において65歳以上の割合が28.9%であり,今後も高齢化が進行する状況である.そのため,制度や体制では対応しきれない問題が露呈してきている.医療において要介護の高齢者が急速に増加する見込みである.しかし,介護できる者がいない,あるいは独身老人が増えているという問題点が挙げられる.心拍数は健康管理をするための指標となる.沢山の病気は心拍数によって早期発見することができる.そのため,今は独身老人に向けの心拍モニタリングアプリケーションの開発が急務となっている.本研究では,自動化した回転台にレーダモジュールを設置し,目標をトラッキングしながら,心拍を測定する方法を提案した.提案方法で測定した結果が73.98 bpm (beats per minute)であり,ECGの結果と比べて精度が90.26%であった.
As radar technology advances, measuring human's vital sign remotely by using radar is advancing. We have proposed methods for monitoring vital signs of moving targets using a millimeter-wave radar. Even if multiple radar modules are used, problems such as mutual interference and costs will remain. In order to address these issues, a remote tracking method was proposed with hybrid use of the digital beamforming and stepping motor. Furthermore, its experimental evaluation has been considered. In this paper, we repot an application design of the remote tracking method.
休 憩(10:30 再開) 座長 杉本千佳(横浜国大)
B-19-6 |
ミリ波レーダを用いた心拍推定における離散ウェーブレット変換及機械学習を用いた周波数選定手法において帯域制限フィルタとしてEliptic型とChebyshevⅡ型を用いた場合の比較
○大津孝介・胡 尭坤・戸田 健(日大) |
B-19-7 |
A Study on Neural Network Method for In-body Implantable Device Localization
○Daria Dmitrieva・Daisuke Anzai(Nagoya Inst. of Tech.)・Jens Kirchner・Georg Fischer(Friedrich-Alexander Univ. of Erlangen and Nuremberg)・Jianqing Wang(Nagoya Inst. of Tech.) |
B-19-8 |
畳込みニューラルネットワークと胸部X線画像による肺動脈楔入圧のマルチクラス分類
◎△三浦朋樹・大前佑斗・齋藤佑記・深町大介・永嶋孝一・奥村恭男・柿本陽平・豊谷 純(日大) |
B-19-9 |
体内リズムの可視化に向けた貼付け型深部体温センサの開発
◎松永大地・田中雄次郎・田島卓郎・瀬山倫子(NTT)・加藤一聖・永島 計(早大) |
B-19-10 |
ミルトン法を用いた独居老人向け対話AIチャットボット
○竹内 茜・森田孝裕・米田 進・張 亮(ソフトバンク) |
77GHz帯ミリ波レーダによる非接触心拍推定において,離散ウェーブレット変換 (DWT)用いてきた.そこでは,心拍の周波数抽出においてノイズとなる体動や呼吸といった低域周波数の信号を低減するハイパフィルタ (HPF)を前処理に用いるが,減衰特性が急峻なEliptic型を用いてきた.通過帯域内にリップルが生じない第二種チェビシェフ型HPFを用いることで,通過信号のSNRが改善した報告がある.本稿では,従来手法におけるElliptic型HPFをChebyshevⅡ型に変えた場合の結果を報告する.
Implantable medical devices have been gaining attention in recent years. Among them are the wireless capsule endoscope or ingestible sensor on medicine. To find the location of the device, tracking methods such as adaptive filters have been applied. We propose a neural network (NN)-based method in combination with a liquid phantom experiment to show that using machine learning methods can be advantageous for the in-body localization accuracy. The proposed NN-based method does not need to derive the propagation model, so the estimation accuracy can be improved in a realistic environment where it is difficult to derive an appropriate channel model.
Pulmonary Artery Wedge Pressure は肺うっ血の指標として扱われる項目であり、右心カテーテル検査によって測定される。この検査は身体にカテーテルを挿入し、肺動脈の血流を止めて測定が行われるため、一定のリスクがある。また、医師の読影による診断方法もあるが、主観的であり医師のスキルに依存する。よって、客観的な診断方法が求められる。そこで我々はPAWPを通常値、異常値1、異常値2に分け、胸部X線画像から3クラスの状態を推定するモデルを構築した。テストデータに対する精度は約63.3%であり、異常値1クラスの分類に改善の余地があることがわかった。
深部体温(CBT)は体の核心部の温度である.CBTには振幅1℃程度で約24時間周期の変動が存在する.この変動は体内リズムとの相関が知られる.体内リズムはヒトの睡眠活動パターンに影響を与え,それらとの乖離が原因となる心身の不調が知られる.我々はCBTの連続測定により体内リズムを可視化した健康管理アプリへの応用をめざしている.そこでCBTの低負担な長時間連続測定に向け,体表面で測定した熱流束により内部温度を間接的に計測する熱流束法を用いた貼付け型センサで、容易に交換可能な1次電池で7日間連続測定が可能なセンサデバイスを開発したので報告する.また,提案デバイスを用いた夜間睡眠中のCBT変動の測定結果を紹介する.
高齢化が急速に進む日本において、高齢者介護等の社会負担軽減の為、高齢者の心身における健康維持が求められている。その一助となるべくAI 技術を活用した対話システムの開発を進めて来た。話すことが心身の健康維持に繋がるとの観点から、誰でも使えるようになりつつあるスマホのアプリであるLine Chatbotを利用した対話AIを開発した。更に催眠療法として知られているミルトン話法を取り入れ、会話並びにその中に含まれているメッセージを効果的に伝えることで、高齢者の行動変容をもたらすよう試みた。
9月8日 9:00〜11:15 Meeting 24 座長 和泉慎太郎(神戸大)
B-19-11 |
医療現場のネットワークに今後発生しうる課題とその対策
○花田英輔(佐賀大)・工藤孝人(大分大) |
B-19-12 |
4G (LTE) 信号と5G (NR) 信号の同時発射による医用電気機器への電磁干渉の評価
◎栃倉芳年・井山隆弘・東山潤司・鈴木恭宜(NTTドコモ)・長瀬啓介(金沢大附属病院) |
B-19-13 |
日常生活下の容量結合心電図における自律神経評価システムの開発
◎△久富壮悟(九大)・松沼 悟(マクセル)・服部励治(九大) |
B-19-14 |
A capacitive electrode ECG detection system design with fast recovery function aiming for unconscious detection of ECG data
○Dansong Li・Reiji Hattori・Shogo Hisadomi(Kyushu Univ.)・Satoshi Matsunuma(Maxell) |
総務省と厚生労働省の調査によると、日本の病院は90%以上が無線LANを導入済であるが、その約半数はトラブルを経験している。近年は院内PHSをスマートフォンに転換する動きもみられる。無線LAN通信機能を持つ医療機器も増えている。患者向け無線LANの整備とセキュリティ面を含めた両立という課題も浮上した。これらは、無線LAN活用の今後に大きな問題となり得る。そこで、これらの課題を整理すると共に、今後発生しうる障害を示し、解決に向け現状及び今後取り得る策を示す。
5G NSA運用を想定し、4G変調波と5G変調波を同時発射した場合の医用電気機器への電磁干渉について調査した。結果から、複数波の同時発射による医用電気機器への電磁干渉影響を各波の単独発射の場合の調査結果から見積もることができる可能性が示唆された。
近年,医療,ヘルスケア分野において,ウェアラブルデバイスやIoT などの研究,産業化が活性化している.日常生活下で人体の生体情報をセンシングし,評価する生体情報計測では,無拘束,非侵襲,非接触な計測技術が求められる.中でも心電図モニタリングは,心臓病の早期発見に繋がり,また,心拍動のゆらぎを解析することにより,自律神経活動の評価を行うこともできる。しかし,日常的なモニタリングが理想であっても,様々なノイズやアーチファクトが原因となり,データ欠損が生じやすいと認知されている.そこで本稿では,日常生活下の非侵襲における容量結合心電図を計測し,リアルタイムで波形評価を行なうシステムの開発に取り組んだ.
ECG signals obtained from human skin show electrophysiology and myocardial activity. In order to detect the electrophysiological signals on clothes, the front-end amplifier needs very high impedance to obtain effective ECG information. However, high impedance and capacitive coupling will lead to large time constants. which causes slow recovery speed。 In order to solve this problem, this paper introduces a fast recovery circuit (FR) method, which reduces the circuit recovery time to XX seconds. Through the non-invasive electrocardiograph with capacitive coupling electrode and Bluetooth system, the function of wireless long-time detection of ECG signal is realized.
休 憩(10:15 再開) 座長 宮崎祐行(日立総研)
B-19-15 |
ドップラーセンサを用いた呼吸・心拍測定における信号品質評価基準の一検討
◎伊藤大輝・岩口侑斗・助田洸也・高橋拓也・中村崚雅・上林真司(中京大) |
B-19-16 |
ミリ波センサによるバイタルサインモニタリング
◎川崎凌大・梶原昭博(北九州市大) |
B-19-17 |
AI連携型リアルタイムヘルスケアシステム
◎宮地宏一・大脇凱志・木村秀明(中部大) |
B-19-18 |
生体センサを用いたウォーキング時の心拍数予測
○△大脇凱志・宮地宏一・木村秀明(中部大) |
近年、ドップラーセンサを用いた非接触呼吸・心拍測定法の研究が進んでいる。単一センサを用いた場合は体動や測定環境に起因する雑音の影響により測定精度が不安定となりやすい。本稿では24GHz帯の異なる周波数の3センサを用いてターゲットの異なる部位3か所に対して同時に測定を行った。従来の信号処理フローのうち、ハイパスフィルタ出力波形から心拍ピーク候補の二乗平均とテンプレート残差の二乗平均の比(STRR)を算出し、各センサ信号の品質評価および最適な信号の選択・合成を行った。本手法による成人をターゲットとした呼吸・心拍測定実験の結果、STRRによる評価の結果と最終的な測定精度の優劣の一致、および合成による品質の改善が確認できた。
筆者等は基本的なバイタルサインである,呼吸・心拍・血圧を測定する非接触ミリ波センサ技術の開発に取り組んできた.本稿では,一つのミリ波センサモジュールで,それらのバイタルサインを同時に測定できることを実験結果とともに紹介する.
近年,日本は少子高齢化社会であり,医療費などの社会負担の増大が懸念されている.そのため早急な対応が求められる. しかし少子高齢化社会の人口バランスを改善する場合,数十年単位の期間が必要となる.予防医療の観点より健康寿命の延伸を行うことで社会全体の医療費などの負担軽減効果が期待されており.よって健康寿命の延伸につながるシステムの構築を行うことが必要である.よって健康寿命と平均寿命の差を縮める技術として「AI連携型リアルタイムヘルスケアシステム」を提案する.今回,技術確立に向けた第2段階としてAIを利用した運動強度の予測フィードバックによる運動強度の制御について検討したので報告する.
近年,日本は少子高齢化問題が深刻化してきている.少子高齢化が進むことによって,介護費や医療費の増加が見込まれる.そこで高齢者の健康増進を行うことで,健康寿命を延ばし介護などを必要とする期間を最小限にすることで,これらの問題を解決できると考えられる.ウォーキング時の心拍数を予測し,その結果から各個人に合わせたフィードバックをすることで運動の質が上がり,健康寿命が延びると考える.本論文では,様々な生体センサを用いて心拍数し,予測精度の向上を検討したので報告する.
B-20. 無線電力伝送
9月8日 9:00〜11:30 Meeting 25 座長 成末義哲(東大)
B-20-1 |
Hyper Harmony Electrical Power Drive System 二重共振を用いたワイヤレス電力伝送方式におけるバッテリー電圧の推定
○桜庭 弘・間形哲也(トヨタ自動車東日本)・菅井朋葉(仙台高専) |
B-20-2 |
マイクロ波電力伝送における高速人体検出のための最適信号観測時間に関する検討
◎村松亨朗・村田健太郎・本間尚樹(岩手大) |
B-20-3 |
SPS小形実証衛星用無電源ラジオの提案
◎中嶋優太・藤野義之(東洋大)・田中孝治(JAXA) |
B-20-4 |
最小二乗法を利用した衛星アンテナパターン再構成における近似関数とアンテナ形状について
○李 佳霖・藤野義之(東洋大)・田中孝治(JAXA) |
B-20-5 |
クロス偏波アンテナによるトンネル内伝播に関する検討
○石野祥太郎・山本淳弘(古野電気) |
Hyper Harmony Electrical Power Driveは二重共振を用いたワイヤレス電力伝送システムである1. 従来の方式に比べて伝送距離が長く, 大電力を送れる2. さらに低周波であり電波法の規制によらないというメリットがある3. トヨタ自動車東日本ではAGV(Automatic Guided Vehicle)のバッテリーを充電するのにこれを用いている. バッテリーの充電を行う際にバッテリー電圧を知る必要があるが, このHyper Harmony Electrical Power Drive Systemにおいては, 送電側の波形から受電側に接続されたバッテリーの電圧を推定することができる. このため受電側で電圧を計測し, その値を送電側に逆に伝送することを必要としない, シンプルな構成とすることが可能である.
著者らは,マイクロ波電力伝送の実現に向け,受信信号の時間差分によりDCチャネルを除去し,送信アレー - 人体間チャネルを瞬時に推定することで,高速な人体検出・回避と高効率給電を可能とするビームフォー ミング法を提案している.しかし本手法では 人体検出において最適な信号観測時間が不明であった.そこで本稿では,Tx-人体間チャネルの推定における最適信号観測時間の導出結果について報告する.解析的に求めた最適信号観測時間が,実験により得られる最適信号観測時間とほぼ一致したことから,解析的に求められる最適信号観測時間を人体回避ビームフォーミングに適用することで良好な人体回避性能が得られる可能性を示した.
SPS試験衛星から地上間でのSPS実証試験が提案されている.この実証試験は衛星搭載長距離ビーム方向制御技術の検証が目的であるが,そのほかに,衛星からの電力のみを使って電子機器の動作を確認し,SPS技術の有効性を示すことを目指す.小型衛星からマイクロ波を放射したときに地上で得られる電力は直径21mのパラボラアンテナを用いて2mWとLEDが光る程度である.しかし大口径アンテナ用いた実験は制約も多く,より低電力で有効なデモが望まれている.そこでLED点灯の代わりに無電源ラジオによる実証試験を提案し,従来のLED点灯と比較して直径1/10以下で実証試験が可能であることを示した.
低軌道におけるSPS実証衛星のパターン測定においては、地上に複数の受信局を直線状に配置することで衛星の移動を使って2次元のパターンを測定する.測定したパターンは受信局の誤差等を除くため,2次元最小二乗法を用いてパターンの再構成を可能とした.しかしながら,アンテナの2次元パターン形状はアンテナの外形に変化するため,円形アレーアンテナと正方形アレーアンテナを比較し,サイドローブを含むパターンの再構成に適する関数を導出し,有効性を確認したので報告する.
本検討では、トンネル環境における電波伝搬の効率化を目的に最適な周波数と偏波の検討、無線機に必要なアイソレーション特性を有するアンテナを検討した。
休 憩(10:30 再開) 座長 松室尭之(ATR)
B-20-6 |
非励振ループによる電力伝送コイルの不要放射低減
○牧村英俊・坂本寛明・西本研悟・稲沢良夫(三菱電機)・五十嵐 一(北大) |
B-20-7 |
TUアンテナを使用した無線電力伝送デモシステムの長距離化
◎米村 悠・藤野義之(東洋大) |
B-20-8 |
エネルギーハーベスティング用小型準等方性アンテナの伝搬実験
○伊藤 響・平山 裕(名工大) |
B-20-9 |
無線電力伝送における回転磁界発生の8の字コイル形状に関する研究
○今枝賢士郎・井上真澄(名城大) |
不要波周波数の放射を抑圧可能な無線電力伝送コイルの構成を提案する.コイル周囲に形成した無給電のループ導体に電力伝送周波数で共振する並列共振回路を装荷することで,電力伝送効率に影響を与えず,かつ高調波放射を抑圧できることを示した.
当研究室では、350MHzトランシーバーと鉄道模型を用いた無線電力伝送デモンストレーションシステムを構築している。しかし伝送距離は20mmとアンテナ同士がほぼ密着している近傍界での伝送となっている。そこで今回、近傍界の結合を前提とした効率の解析手法であるkQ積理論を適用して、シミュレーション、実験の両方から無線電力伝送用デモの長距離伝送に関する検討をシミュレーション、実験で行った。実際のデモシステムでも伝送距離が向上しシミュレーション、実験ともに効率の向上が確認できた。
本稿では,小型準等方性平面アンテナの伝搬実験を行っ た.その結果、微小ループアンテナと比較して受信電圧が 向上していることを確認した.
無線電力伝送では, 送電コイルから発生した交番磁束が受電コイルに鎖交することにより非接触での電力伝送を実現している. 現在の一般的な共振器結合型の無線電力伝送ではスパイラルコイルをお互い向かい合わせに配置して無線電力伝送を行っており, 受電側コイルの向きの自由度が少なくなっている.我々は回転磁界の原理と8の字コイルで発生する磁界の形状を利用して,1平面から回転磁界を発生させ, 受電側コイルの向きの自由度を高めることを目的として研究を行っている.8の字コイルによる伝送実験では直感的な結果とは大きく異なることがいくつかみられたので, 様々な形状で8の字コイルを作製し, それぞれの伝送効率や特徴を調査した.
9月8日 13:00〜15:30 Meeting 25 座長 藤田稔之(東大)
B-20-10 |
回路シミュレーションによる共振型整流器の最適化
◎△上江洲安祐・服部励治(九大) |
B-20-11 |
無線充電ロボットの経路制御によるデバイスの電源残量の最適化
○西谷俊紀・斎藤 洋(東大) |
B-20-12 |
レクテナアレーの導波作用によるワイヤレス電力伝送効率改善測定
○丸山珠美・海老田のあ・柴田紘希・中津川征士(函館高専)・村田政隆(道立工業技術センター) |
B-20-13 |
差動整流回路の適応負荷制御に関する検討
◎矢口直治・三村佳輝・小宮山崇夫・長南安紀・山口博之・小谷光司(秋田県立大) |
B-20-14 |
並列接続された整流回路の電流電圧特性に関する実験
○平川 昂・長谷川直輝・中本悠太・太田喜元(ソフトバンク) |
本稿ではEVへのワイヤレス給電に用いる整流器の反射についての検討を行う.
EVへのワイヤレス給電は交流で充電を行うが,バッテリーを充電するために整流器を介し直流にする必要がある.しかし,整流器にはダイオードを用いるため高調波成分が発生し反射電力が避けられない.電気自動車へのワイヤレス給電には10 kW以上が必要となるが,数%の反射電力が生じても発熱等の問題が顕著となる.この問題を解決するために我々は反射電力を最小とする共振型整流器の最適化する素子条件を回路シミュレーションによって求め,その反射電力の最小値と共振型整流器のキャパシタンスとインダクタンスの値をどのようになるかの検討を行った.
近年、遠距離のデバイスに対するマイクロ波を用いた無線充電について利便性や信頼性の高い電力供給が可能になるという点で注目されているが、そのような無線充電ではデバイスを充電する際に充電電力が不十分という課題がある。本稿では、移動式の無線充電器を用いることで必要な充電器の台数を減らしつつ効率的な充電を行うことを目的としており、提案手法では無線充電ロボットの停止位置を定めて充電器の周回経路を探索し、各停止位置での充電時間を最適化することで最も残量の少ないデバイスの電源残量の最大化を行っている。また、デバイスの消費電力を加味した状況やデバイスを所持したユーザが移動する状況について提案手法を拡張し、数値実験にて評価を行った。
整流ダイオードにLEDをはんだして構成したレクテナを配列すると,八木宇田アンテナの原理による導波作用により,LEDの点灯する距離を拡張できることが報告されている.そこで本研究では,ネットワークアナライザを用いて,ダイポールアンテナの間にレクテナアレーを挿入し,その本数を変化させたときの,ワイヤレス電力伝送効率の改善効果をネットワークアナライザを用いた測定により求めた.
環境電波発電向け整流回路の出力負荷を適応制御(最大電力点追従制御:MPPT)することで,広い動作電力範囲での高効率動作実現を目的とする
IoT社会の実現に向けて増大するセンサへの給電問題の解決策として電波無線電力伝送が注目されている。
本研究では、受電部整流回路の並列接続について電流電圧特性の測定を行った。
結果として、個々の整流回路の電流方向足し合わせによって合成DC特性の算出ができることがわかった。
休 憩(14:30 再開) 座長 中本悠太(ソフトバンク)
B-20-15 |
無線給電を用いたバッテリーレス下水道管渠内モニタリングシステム
○榊 裕翔・坂本寛明・長竹栄二・矢田 進・川田卓嗣・中溝英之(三菱電機) |
B-20-16 |
Visualize The Magnetic Field by Using AR Technology
◎Yunchong Tang・Qiaowei Yuan(Tohoku Inst. of Tech.) |
B-20-17 |
近距離4x4MIMO-WiCoPTシステムの電力伝送効率改善に関する検討
◎渡辺瑛大郎・宮 伸大朗・奈良太志・吉田賢史(鹿児島大)・川崎繁男(スペース&モバイルワイヤレステクノロジー)・西川健二郎(鹿児島大) |
B-20-18 |
2周波数ワイヤレス情報電力同時伝送システム実現に向けたデュアルバンドWPTシステム
○藪田暉規・吉田賢史・西川健二郎(鹿児島大) |
街中の下水道管渠(以下,管渠)内には油分を含有した排水が流れており,管渠内で冷却された油分により管渠の閉塞が発生することがある.管渠の閉塞は異臭やコンクリート壁の腐食の原因となるので[1],閉塞箇所の把握と除去が必要である.閉塞箇所の把握には重量物であるマンホール蓋を複数回開け閉めしなければならず,作業員の大きな負荷になる.本報告では,マンホール蓋を開け閉めすることなく管渠内の状態をモニタリングするシステムを提案する.本システムの技術的特長は,マンホール蓋外から無線給電により電力を供給してセンサ類を動作させることである.作業員の作業負荷の低減に加えて,マンホール蓋側にバッテリーを保有しないのでバッテリー交換の手間やコストの削減も期待される.
The wireless power transfer (WPT) system which handles power up to a thousand watts, far greater than that of wireless communication, has raised strong public concerns about the safety aspects of non-ionizing radiation. In this paper, we attempted to visualize the Magnetic Field (MF) in the vicinity of a wireless power charging system by combining MF analysis and measurement technology with AR, in order to improve users’ sense of security while confirming the safety of the WPT system.
本研究では,情報伝送と無線電力伝送を同一のアンテナ・周波数で行うWiCoPT システムの実現に向け,近距離MIMO システムを適用したWiCoPTシステムについて研究した.4x4MIMO-WiCoPTシステムにおいて,MIMO制御を実施しても,伝送距離に依存して電力伝送効率が大きく変化する課題がある.本報告では,測定結果を示し,入出力給電回路(マッチング回路)と伝送効率の関係を検討した.その結果、MIMO制御において伝送効率を最大化する最適なマッチング条件が存在することを明らかにした.伝送距離10mmで最大35ポイントの効率向上を達成し、伝送効率59%、対応する最大伝送容量52bit/s/Hzを達成しました.
無線による情報と電力の同時伝送システムの研究開発が進んでいる.電磁結合,磁界結合,マイクロ波を用いたものでそれぞれのシステムでデュアルバンド化の研究が進んでいる.しかし,同一の伝送方式でデュアルバンド化する場合には,帯域幅,伝送効率等で一長一短がある.本研究では,磁界結合とマイクロ波を用いるデュアルバンドシステムを簡易な構成で実現することを提案し,その結果を報告する.
シンポジウムセッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
BS-1. Beyond5G/6Gに向けた研究開発最前線 – ユースケース検討から要素技術開発まで -
(無線通信システム研専)
9月7日 10:30〜11:45 Meeting 20 座長 樋口健一(東京理科大)
BS-1-1 |
(依頼講演)Wi-Fiセンシングの基本原理とユースケース
○小川将克(上智大) |
BS-1-2 |
(依頼講演)帯域内全二重における送受信機の非理想性を考慮したディジタル自己干渉除去
○宮路祐一(愛知工業大) |
BS-1-3 |
DNN-based CSI Feedback with Quantization for FDD Massive MIMO Systems
○Junjie Gao・Mondher Bouazizi・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.) |
これまでのIEEE802.11準拠無線LANは,物理層において通信を高速化させるための技術や,MAC層において品質制御やセキュリティなど,通信を高機能化させるための技術により,通信用途として発展を遂げた.最近では,計測用途の規格が登場し,IEEE802.11mcでは測距機能であるFTM(Fine Timing Measurement)が導入された.FTMは,APと端末の機器間の距離について,無線LANフレームが往復する時間であるRTT(Round Trip Time)に基づいて測定するものである.WLANセンシングも計測機能であるが,FTMと異なり,計測対象においてデバイスレスであることが特徴である.FTMの測距に対して,WLANセンシングは送受信アンテナ間のマルチパス伝搬特性から人の存在検出や位置推定などを行うものである.
帯域内全二重は,同一周波数で同時刻に送受信を可能とする無線通信技術である.
その発想は単純であるが,無線通信において実現困難な技術の一つとされている.
本稿では,帯域内全二重を阻害する自己干渉と,著者の取り組んでいる送受信機の非理想性を考慮したディジタル自己干渉除去について解説する.
We propose a DNN-based CSI feedback method with quantization. The simulation results clearly showed that our proposed network outperformed the previous related work like FullyConv and CsiNet+. Even though the quantization module was added, the performance of the proposed method was still better than that of the other methods.
9月7日 13:00〜16:35 Meeting 20 座長 旦代智哉(東芝)
BS-1-4 |
(依頼講演)6G無線アクセスにおける周波数開拓とNew Radio Network Topology
○岸山祥久・須山 聡(NTTドコモ)・内田大誠(NTT) |
BS-1-5 |
(依頼講演)6G wireless technology – Capabilities and key components
○Hideshi Murai(Ericsson Japan)・Erik Dahlman・Stefan Parkvall・Patrik Persson・Gustav Wikström(Ericsson AB) |
BS-1-6 |
(依頼講演)Beyond 5G時代を見据えたローカル5Gの社会実装の展望
○伊藤陽介(三菱総研) |
BS-1-7 |
新幹線回送線におけるローカル5G映像伝送試験
◎洞井裕介・山下真弘・石間礼次(JR東日本)・仙田航基・松永博也・坂本洋介(NEC) |
本発表では,6G無線アクセスにおける周波数開拓と非地上系ネットワーク(NTN: Non-Terrestrial Network)を含むNew Radio Network Topologyの技術について,ドコモとNTTの取り組みを紹介する.
In this paper, 6G key capabilities and some key 6G technology components are introduced. 6G key capabilities include (1) Classical capabilities that will remain highly relevant also in the 6G era and (2) New capabilities that have been less explicitly considered within earlier wireless generations, and that reinterpret the role of networks.
For key 6G technology components, Spectrum and co-existence with legacy networks, New network topologies, Joint communication and sensing, Zero-energy device and AI-compute services are introduced.
Beyond5G/6Gによる「産業のワイヤレス化」の実現に向けては、実証実験を通じてユースケースの具現化を図るとともにその成果の汎用化・標準化等を進めることで、コストの低減化と様々な地域・業態で利用できる環境構築が肝要である。本講演では、実装が進むローカル5Gに着目し、実証事例における技術的課題や対応策等について概観しながら、今後の社会実装について展望する。
鉄道事業者において,指令からの遠隔監視等のニーズが高まっている.5Gシステムは,このための有力なソリューションである.ローカル5Gは,企業等が自らの建物,敷地内で5Gシステムを整備できる制度であるが,鉄道敷地内に導入するためには,車両走行中の伝送品質等の動的変化について,鉄道固有環境での検証が必要である.JR東日本研究開発センターでは,新幹線回送線沿いにローカル5Gシステムを構築し,指令からの監視等,走行中の車両上から地上への映像伝送を想定した検証試験を実施し,ローカル5Gにおける伝送品質等の動的変化,映像伝送特性,敷地外電波強度に関するデータを収集・解析し,鉄道固有環境が及ぼす影響を検証した.本稿では,この検証の内,走行する新幹線と地上間における映像伝送試験の結果を示す.
休 憩(14:55 再開) 座長 牟田 修(九大)
BS-1-8 |
(依頼講演)6G/IOWNに向けた高周波数帯分散アンテナを実現するA-RoF技術
○北 直樹・白戸裕史・内田大誠・俊長秀紀(NTT) |
BS-1-9 |
ミリ波分散MIMOにおけるアクセスポイント間協調送信に関する検討
○式田 潤・村岡一志・竹内俊樹・石井直人(NEC) |
BS-1-10 |
(依頼講演)ミリ波帯(30~300 GHz)移動通信に向けたアンテナ・伝搬評価
○山口 良・保前俊稀・豊見本和馬・宮下真行・矢吹 歩(ソフトバンク) |
BS-1-11 |
高速伝搬エミュレーションを活用した6GのCPSによる動的制御
○須山 聡・北尾光司郎・富永貴大・中村光貴・山田貴之(NTTドコモ) |
NTTは2019年5月にIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想を発表するとともに,多くの企業との連携の下,IOWN構想実現に向けた研究開発を推進している.IOWN構想では,光を中心とした革新的技術を活用することによって,従来の通信インフラの限界を超えた高速大容量通信,超低遅延通信,膨大な計算リソースを提供可能な情報処理基盤ネットワーク等を実現し,Society5.0や第6世代移動通信(6G)のイネーブラーとなる新しい通信ネットワーク(NW)基盤の創出を目指している.本稿ではIOWN構想の全体概要を述べたあと,IOWN構想の下で取り組んでいる個別の技術検討例として,6G実現に向けた高周波数帯分散アンテナを実現するアナログRoF技術について述べる.
Beyond 5Gの要素技術の1つとして、基地局のアクセスポイント(AP)を分散して配置し、分散した複数のAPを協調動作させる分散MIMOが検討されている。APを分散配置することで、遮蔽に弱い、伝搬損失が大きいといった高周波数帯の課題の解決が期待できる一方で、AP間の干渉が発生して容量拡大が期待通りに実現できない可能性がある。AP間の干渉を低減するためのAP間協調送信方法が検討されているが、ミリ波分散MIMOに適した協調送信方法について十分な検討はなされていない。そこで、本稿では、システムレベルシミュレーションを行い、ミリ波分散MIMOに適した協調送信方法を明らかにする。また、AP間の協調した端末・ビーム選択方法としてビームの受信品質の報告結果を用いる方法を採用し、受信品質を報告するビーム数が限定された条件でも適切な選択を可能とするために受信品質のデータベースを利用する方法を提案する。
ミリ波帯・テラヘルツ波(30〜300 GHz)の次世代移動通信に向けたアンテナ・伝搬評価法に関する課題と効率的に評価測定する回転反射鏡型測定システムを示した.本稿では,この測定法で測定した電波伝搬及びアンテナ特性を紹介する.まず,アンテナ・伝搬の課題と測定システムの概要を述べ,屋内で測定した伝搬特性及びアンテナ特性を示す.また,今後必要となる測定課題とそれに対応するシステム拡張機能を紹介する.
ビッグデータやAI(人工知能)の普及に伴い,サイバー・フィジカル融合(CPS)に関する関心が高まっており,AIが実世界(フィジカル空間)をサイバー空間上に再現し,実世界の制約を超えてエミュレートし,さらに,その結果を実世界にフィードバック(アクチュエイト)することで,社会問題の解決等,様々な価値やソリューションを提供する.CPSをさらに高度化するため,両方の空間を結び付ける2030年代の通信インフラとして6Gが期待されている.6Gにおいてもシステム性能の最大化,通信品質の担保,効率的なシステム運用のため,CPSによるシステム制御が導入されると考えられ,本稿では,高速伝搬エミュレーションを活用した6GのCPSによる動的制御について述べる.
BS-2. ネットワーク技術特別ポスターセッション
(ネットワークシステム研専、情報ネットワーク研専 共催)
9月6日 10:00〜11:15 Meeting 10 座長 谷田康司(NTT)
BS-2-1 |
情報指向ネットワークにおける自己組織化マップを用いたキャッシュ配置・探索法
◎山代 敬・高武美奈美・西辻 崇・朝香卓也(東京都立大) |
BS-2-2 |
自律分散クラスタリングを用いた避難支援システムにおける避難時間と避難経路に関する実験的評価
◎松永裕貴・大田知行(広島市立大) |
BS-2-3 |
ARによるセンサデータ可視化方式の検討
◎鈴木 悠・水野 修(工学院大) |
従来のインターネットアーキテクチャを一新する情報指向型ネットワーク (Information Centric Networking) が提案されている.情報指向型ネットワークでは,IP アドレスではなくコンテンツ ID を利用してコンテンツを発見・ 転送することにより,インターネットでのオーバヘッドを減らし高効率なコンテンツ配信を可能とすることが期待さ れている.しかしながら,コンテンツ ID だけを用いたコンテンツ探索では,高効率な探索が困難となっている.本研究では,コンテンツIDでなくコンテンツ属性ベクトルを用いた探索と自己組織化マップを用いたキャッシュ配置を用いた新たな情報指向型ネットワーク制御方式を提案する.
地震や火災などの災害発生時には,災害状況を正確に把握し,迅速かつ効率的に避難を行う必要がある.しかし,災害時には無線通信局の倒壊や通信トラヒックの増加により,既存の通信インフラが正常に機能しないといった状況が想定される.これまでに,屋外での避難において災害による地形の変化を考慮し,ユーザ端末間での情報共有によって,避難者に対して避難経路を提供する避難支援システムを提案してきた.本稿では,提案手法において共有する情報がユーザの避難に与える影響を,シミュレーション実験によって評価する.
センサなどのIoT(Internet of Things)に普及によりあらゆるモノがネットワークに接続され,あらゆるデータを収集することが可能になっている.そこで本研究では,センサなどのデータを人間に理解しやすい形に可視化する技術としてAR(Augmented Reality)に着目する.ARを使用し,センサデータを環境や人物の状況などデータをARデバイスを通してみることで,視覚的に重ねて表示することができる.本稿では,ARでセンサデータを可視化して表示するシステムを実際に作成したので,それを基に実用する際の課題点を明確にした報告をする.
BS-3. 脱炭素社会構築へ向けた電力変換技術とその応用
(電子通信エネルギー技術研専)
9月8日 13:00〜15:45 Meeting 27 座長 石山俊彦(八戸工大)
BS-3-1 |
横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)について
○藤枝 隆(横浜市役所) |
BS-3-2 |
IoTとAIを内包しデジタル化した「パワーエレクトロニクス2.0」
○高宮 真(東大) |
BS-3-3 |
鉄道分野における再生可能エネルギー利用と省エネルギー技術
○天田博仁・熊谷大輔・佐藤栄徳・鈴木高志・林屋 均(JR東日本) |
横浜市では、直面する地球温暖化等の課題に対応するため、「低炭素都市」の実現を掲げた「横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)マスタープラン(2010年8月)」を策定し、「次世代エネルギー・社会システム実証事業(経済産業省)」において実証地域の一つとして選定され、2010年から2014年にかけて「YSCP実証事業」に取り組んできた。2015年以降はYSCP実証事業で培った技術やノウハウなどの成果を生かし、「実証から実装」へと展開するため、新たな公民連携組織である横浜スマートビジネス協議会(YSBA)を設立している。今回は、2050年カーボンニュートラル、脱炭素化に向けて重要性が高まっているYSCPについて、2010年の実証開始から現在に至るまでの取組を述べる。
日本のパワーエレクトロニクス産業が将来も生き残るためには「良いモノを安く」という従来の競争軸とは異なる競争軸でアジア諸国と戦う必要がある。その競争軸の一つが本稿で述べるIoTとAIを内包しデジタル化した「パワーエレクトロニクス2.0」である。
2050年カーボンニュートラルや脱炭素社会の実現に向けて、鉄道電力分野においても再生可能エネルギー利用やエネルギーの高効率利用が求められており、鉄道事業者にて様々な取組みが行われている。本稿では、き電システムにおける省エネルギー技術として車両制動時に発生する回生電力の有効利用方法について、配電システムにおいては駅を対象として最近報告されている再生可能エネルギーや省エネルギー技術の導入事例や効果検証などを含めて紹介する。
休 憩(14:30 再開) 座長 松本 聡(九工大)
BS-3-4 |
オフィスビルの省エネルギーに関する一考察
○馬場﨑忠利(NTTファシリティーズ) |
BS-3-5 |
電気推進の性能向上に向けたワイドレンジ電源の試作評価
◎近藤大将・岩佐 稔(JAXA)・黒川不二雄(長崎総合科学大) |
BS-3-6 |
電力品質保証機能を付加した電気自動車用双方向バッテリチャージャ
池田風花・岡本昌幸(宇部高専)・山田洋明・○田中俊彦(山口大) |
近年、地球温暖化の問題や持続可能な開発目標SDGs などが議論され、政府のエネルギー基本計画でもカーボンニュートラルな社会の実現のために、再生エネルギーの野心的導入目標が設定されている。カーボンニュートラルな社会の実現には再生エネルギーの導入とともにエネルギー使用量の削減が重要である。本論文では主にオフィスビルや商用ビルにおける最近の省エネルギー技術について報告するとともに、電源に期待される機能について報告する。
商用通信衛星市場では,総通信量の増加のために通信機器の搭載比率の向上が要求されている.電気推進を用いたオール電化衛星は,従来化学推進衛星に対して推薬を削減でき,搭載比率を向上できることから,各国において,通信衛星への適用に向けて研究開発が進んでいる.電気推進の一方式であるホールスラスタは,大電流を流すほど大推力,高電圧を印加するほど高比推力となる特徴を有する.将来的な通信衛星において,電気推進には”大推力による遷移期間の短縮”と”高比推力による軌道保持時の燃料削減”が要求されており,本稿では,これらを実現するワイドレンジ出力を有する電気推進用電源についての試作評価結果を述べる.
電力品質保証機能を有する電気自動車用双方向バッテリチャージャを提案し,その有効性を明らかにする.自動車用双方向バッテリチャージャの制御法として,直流キャパシタ電圧一定制御を用いた簡易な制御法を用いている.双方向バッテリチャージャに流出入するパワフローを求め,制御原理を明らかにする.次に,提案した電気自動車用双方向バッテリチャージャの有効性を確認するため縮小実験モデルを構築する.実験結果加から,負荷側の電流は不平衡状態で歪んだ波形となっているが,電気自動車用双方向バッテリチャージャにより電力品質が保証され平衡状態で正弦波の電源電流が得られることを明らかにする.
BS-5. B5G/6Gを見据えたヘルスケア・医療を支える通信及びセンシング技術
(ヘルスケア・医療情報通信技術研専)
9月7日 13:00〜15:45 Meeting 24 座長 田中宏和(広島市立大)
BS-5-1 |
(依頼講演)レベル分割多重を用いた光符号分割多元接続の符号割当の検討
○宮崎真一郎(職業開発大)・山嵜彰一郎(広島市立大)・松嶋智子(横浜商科大) |
BS-5-2 |
(依頼講演)WEB3.0/6G時代に向けたセキュア分散パーソナルデータスア:”貯健箱 Ⓡ”と”miParuⓇPDSシステム”
○南 重信・神谷昭勝・田村正文(ミルウス) |
BS-5-3 |
(依頼講演)複雑化する無線通信端末の適合性評価における測定条件数削減手法の評価
○清水悠斗・長岡智明(NICT) |
電子機器への影響が少ない可視光通信は医療環境に適した特徴を有するが,通信量増加を目的にパワードメインNOMA(非直交多元接続) の可視光通信への適用が注目されている.我々は可視光通信において,各ユーザの異なる送信信号に対して同じ符号語で拡散し,それらを異なる強度レベルに変更した上で多重化する方式を提案した.この方式は,符号長やチップレートを変更することなく,通信量を増加できる点で有効である.本研究では,各ユーザの各レベルに割当てる符号語について異なる符号語を割当てる方式を提案し,その有効性を示す.
パーソナルデータストア(PDS)は、本人主導でパーソナルデータを活用先に提供できるため、プライバシー保護に有効。分散PDSはスマホなどのデバイスにデータを保管するために、ネット上でのデータ拡散・流出を抑止できる。本稿は株式会社ミルウスが提供しているmiParu PDS2.0を提案するとともに、その特徴である都度本人同意方式を説明している。
近年,情報通信技術の発展に伴い様々な無線通信機器が普及してきている.特に携帯電話は日常生活において欠かせないものとなってきている.このような背景から無線機器から放射される電波の人体へのばく露に対する評価は重要な課題であり,ICNIRP(International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection)から人体に対する電磁界ばく露の安全性評価のためのガイドラインが提供されている.100 kHzから6 GHzの範囲では,比吸収率(SAR :Specific Absorption Rate)が指針値として用いられ,この指針値に対して,ヘルスケアでの使用を目的とするスマートウォッチ等を含む無線通信端末の適合性評価方法が国際規格化されている.本稿では、現行の適合性評価方法について概説し,適合性確認のための測定条件数削減方法の妥当性を検証し,その有効性について述べる.
休 憩(14:30 再開) 座長 安在大祐(名工大)
BS-5-4 |
(依頼講演)反転符号と非反転符号を組み合わせた光CDMA調光方式の特性評価
○小野恭平(JEED)・松嶋智子(横浜商科大)・山嵜彰一郎・田中宏和(広島市立大) |
BS-5-5 |
無線ボディエリアネットワークとB5Gを見据えた広域データ回線網を活用した高齢者見守り・介護支援ネットワークプラットフォームの実験的検討
○小林 匠・杉本千佳(横浜国大)・河野隆二(YRP-IAI)・渡邊祥太・蔦谷雄一・石黒由紀・長島久美子・長坂知美(富士通) |
BS-5-6 |
UAVとアレーアンテナを用いた長距離海上無線通信システムに関する一検討
○伊藤孝弘(広島市立大)・山中仁昭(海上保安大)・田中宏和(広島市立大) |
近年,LED光源にデータ通信機能を付加する可視光通信が注目されている.
可視光通信は,電磁干渉が敬遠される医療施設などの環境でも利用できる.
また,無線周波数資源の不足を補う技術として,可視光通信はB5G/6Gの有力候補の1つに上げられている.
符号分割多元接続(Code-Division Multiple Access: CDMA)は可視光通信においても複数ユーザの同時通信に用いられる.
可視光通信では調光機能を有することが求められており,光CDMAにおいても調光制御方式が提案されている.
本研究では,従来方式よりフリッカーの影響が小さい調光制御方式の特性を評価する.
近年のコロナ禍において,医療・介護分野での社会的,人的負担が著しく増加し,特に高齢者のQoL低下や医療・介護従事者の負担増が問題視されている.このため,高齢者の支援及び介護,並びに健康寿命延伸のために,ICTによる支援が期待されている.そこで,B5Gの活用を見据えた広域データ通信網と,医療水準の信頼性を備えたBANの統合的活用により,要介護者の遠隔見守りや介護支援,さらに新型コロナ感染症の早期検知による感染拡大防止を目的とした統合ネットワークプラットフォームを試験実装し,試作システムを用いた測定実験を実施した.その結果,介護施設での測定環境で取得されたデータの遠隔での閲覧,解析による有用性が示唆された.
beyond 5G/6Gでは,海上を含めた超カバレッジがコンセプトのひとつとなっている.現在,海上においては4G/5G移動体無線通信サービスの提供エリア外となるため,遠洋の船舶との通信は衛星通信回線を利用することが多い.しかし,衛星通信は低スループットや費用が高額という問題がある.より安価で海上の広いエリアを通信可能領域とするために,VHF-High帯(200MHz帯)の公共ブロードバンド移動通信システムをベースにした,海上で長距離通信が可能なシステムが検討されている.本研究では,海上での通信可能距離の延長を目的として,アレーアンテナの適用,またUAVの適用を検討した.計算機シミュレーションにより,提案システムの有効性について検討する.
BCS-1. Society 5.0時代における光・電波を活用した横断型伝送技術
(アンテナ・伝播研専、衛星通信研専、光通信システム研専、短距離無線通信研専、光応用電磁界計測特別研専、マイクロ波テラヘルツ光電子技術研専 共催)
9月8日 9:50〜11:30 Meeting 17座長 村上友規(NTT)
BCS-1-1 |
(依頼講演)空間的並列信号伝送を用いたLED可視光無線通信における照明間干渉低減手法の検討
◎日笠颯汰・冨里 繁・田野 哲・上原一浩(岡山大) |
BCS-1-2 |
(依頼講演)低消費電力かつ高速な多重化シングルキャリア光無線通信の伝送特性改善に関する研究
◎鈴木穂孝・中川匡夫(鳥取大) |
第五世代移動通信方式の実用化による無線通信トラフィックの急速な増大に対応するため,LED可視光無線通信が研究されており,これを高速化する空間的並列信号伝送が検討されている.この空間的並列信号伝送では,LED照明と受光素子の位置関係により,1つの受光素子に複数のLED照明からの光が同時に受光されることで照明間干渉が発生し,並列信号伝送可能な信号系列数が低下するという問題がある.そこで照明間干渉の影響を低減し,並列伝送可能な信号系列数を増大させるため,適応送信分配手法が提案されている.本研究では,受信地点ごとに最適な変調方式を選択した場合の並列伝送可能な信号系列数を評価する.
多重化シングルキャリア光無線通信について,シミュレーションによって提案構成を用いてチャネル情報推定信号のシンボル数を変化させ適応フィルタにより信号を補償することでSN比が最大で約1dB改善された。シミュレーションの結果からチャネル情報推定信号のシンボル数が少ないとき大きな改善効果が得られた。
(10:40 開始) 座長 菅野敦史(NICT)
BCS-1-3 |
(依頼講演)Free-space Optical Communication Systems for B5G - Architecture and Transceiver Design
○Abdelmoula Bekkali・Michikazu Hattori・Yuichiro Hara(TOYO Elec.) |
BCS-1-4 |
(依頼講演)フォトミキシングによる光-テラヘルツ波信号変換技術
○加藤和利(九大) |
In this paper, we give an overview of the FSO system architecture and transceiver design for B5G networks. We also introduce our newly developed FSO system based on
optical beam stabilizer(OBS)technology.
本講演では、これまで我々が取り組んできたフォトミキシングによるテラヘルツ波発生、アレーフォトダイオードによるビーム形成、ビームステアリングについて説明する。また光デバイスの活用をさらに進めた、任意の波長からのテラヘルツ波信号への変換手法について紹介する。
9月8日 13:00〜15:45 Meeting 17座長 井家上哲史(明大)
BCS-1-5 |
(依頼講演)5G/Beyond 5Gモバイル収容向けアナログRadio over Fiber技術
○田中和樹・二村真司・石村昇太・西村公佐・猪原 涼(KDDI総合研究所) |
BCS-1-6 |
(依頼講演)NICTにおける通信用補償光学系の研究開発
○斉藤嘉彦・白玉公一・コレフ ディミタル・中園純一・阿部侑真・布施哲治・豊嶋守生(NICT) |
BCS-1-7 |
(依頼講演)位相感応増幅を用いた低雑音光増幅器とその宇宙光通信応用
○橋本洋輔(JAXA)・風間拓志(NTT)・荒木智宏(JAXA)・渡邉 啓(NTT) |
基地局を収容する光アクセス回線としては,従来, Point-to-point構成のデジタル回線が広く利用されてきたが,5GやBeyond 5Gで膨大なアンテナが設置されると,既設アクセスファイバの枯渇が懸念される.大容量デジタル回線としては,10 Gbit/s級の光アクセスシステムが商用導入されているが,今後さらなる大容量化が必要である.著者らは,光アクセス回線の大容量化,低遅延化,既設ファイバの有効活用,更には基地局アンテナ機器の小型・省電力化を目指し,アナログRoF(Radio over fiber)技術を用いたMFH(Mobile fronthaul)の研究を進めてきた.本稿では,アナログRoF技術とモバイル向けユースケース,著者らが取り組んできたMFH向け大容量アナログRoF伝送システムの研究開発について報告する.
衛星-地上局間の空間光通信技術の展開は高速大容量データ送受信だけではなく、暗号鍵配送のための通信技術としても脚光を浴びている。衛星と地上の間には大気が存在し、その存在によって通信光は影響を受ける。
雲による遮蔽は論外として、晴天であっても、散乱による損失の影響を受け、さらに到達した光は大気ゆらぎの影響を受ける。
散乱は大気が存在する以上避けられないとしても、大気揺らぎに関しては補正する技術が存在する。天文学において大口径望遠鏡を用いた観測を行う場合、大気揺らぎの補正をしなければ本来望遠鏡が持つ空間分解能の性能が発揮できない。その補正のために実用化された「補償光学系」の技術は宇宙から到来する光を受ける通信光の受信にも応用が可能である。本講演ではNICTが現在取り組んでいる通信用の補償光学系についての研究開発の概要について説明する。
衛星通信高速化の要求の高まりを受け、これまでのRF衛星通信に加えて、高速な光衛星通信の研究、実利用が進んでいる。光衛星通信においては、空間伝搬により大きく減衰した光信号を受信する際に低雑音光増幅器を用いることで、S/N比が向上し通信速度高速化につながる。我々は、一般に用いられる低雑音光増幅器よりも原理的に3 dB雑音指数が低く、より低雑音増幅が可能な位相感応増幅器とその宇宙光通信適用の研究を進めている。本講演では位相感応増幅器の概要、衛星通信時に発生するドップラーシフトへの対応策、および位相感応増幅器との組み合わせ検証結果について報告する。
休 憩(14:30 再開)座長 辻 宏之(NICT)
BCS-1-8 |
(依頼講演)Beyond 5G/6Gに向けたIRSの伝搬特性の実験的評価
○松野宏己・大戸琢也・原田教広・長尾竜也・林 高弘(KDDI総合研究所) |
BCS-1-9 |
(依頼講演)可視光を用いたスケールモデルにおける参照点数に対するチャネル容量推定精度に関する研究
○谷口諒太郎・村上友規・猪又 稔・小川智明・鷹取泰司(NTT) |
BCS-1-10 |
(依頼講演)W-band 用光ファイバリンクを用いたアンテナ測定システム
○黒川 悟・飴谷充隆(産総研)・廣瀬雅信(7G aa) |
Beyond 5G/6Gで求められる超高速・超大容量・超低遅延などの無線性能を実現するためには,帯域幅の確保が必要で,ミリ波をはじめとする高周波数帯の利用が期待されている.一方,周波数が高くなるほど電波の直進性が高くなるため,遮蔽などにより基地局の電波が届き難い不感地帯が無線エリア内に生じる問題がある.この対策として,基地局からの電波を不感地帯に反射させてエリア化する検討が進められている.特に,反射面内に反射位相の分布を形成し,特定方向に電波を反射するメタサーフェス反射板や,反射板に反射位相の可変機構を持たせ,反射特性と制御するIntelligent Reflecting Surface (IRS) / Reconfigurable Intelligent Surface (RIS)は,不感地の変化への追従や, MIMO通信に優位なマルチパス環境の創出など,様々な目的での検討が進められており,Beyond 5G/6Gの候補技術として注目を集めている.IRSを移動通信システムで利用するためには,IRSの伝搬特性の把握が必要となるが,実環境での伝搬特性の評価結果はほとんど報告されていない.そこで本稿では,IRSを用いたエリア測定を行い,伝搬特性やIRSサイズによる反射特性の評価結果を報告する
著者らはスケール率の高い環境モデルにおいて,可視光レーザ,球体,カメラを用いて測定した光の到来方向および反射回数と受信電力の情報から,伝搬特性を推定する手法を提案している.本手法は,測定に電波免許が不要である点や動的環境を再現可能である点などの特徴がこれまでの手法との違いである.本稿では参照とする実測定点数に対する提案手法のMIMOシャノン容量の推定精度を,実験結果に基づいて明らかにする.
光ファイバリンクを用いたミリ波発生装置を開発し,それを用いたアンテナ放射パターン測定システムを開発した.開発システムは,75 GHz~110 GHzのW-bandミリ波信号を-30 dBm以上で発生することが可能である.本報告では,開発システムとスペクトラムアナライザを用いたW-band標準利得ホーアンテナの近傍界測定結果も併せて示す.