プログラム
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一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
C-1. 電磁界理論
9月6日 10:00〜11:30 Meeting 24 座長 石田健一(九産大)
C-1-1 |
2帯域で領域区分した単位セルをもつリフレクトアレー
◎牧野由弥・矢野敬洋・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
C-1-2 |
偏波変換機能を有するリフレクトアレーの検討
○谷澤壮太・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
C-1-3 |
中心に円板をもつクロス型導体隔壁板が装荷されたCRLH方形導波管の伝送・漏洩特性測定
◎天見大智・西村柊耶・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
C-1-4 |
分散性媒質に挟まれた無損失誘電体層からのパルス応答解析
◎王 淳・尾崎亮介・山﨑恒樹(日大) |
C-1-5 |
電磁界と磁化の複合物理演算法を用いた相互作用解析
◎伊藤勇太・岸本誠也・大貫進一郎(日大) |
C-1-6 |
Novel Three-dimensional Windowing Function and Size of Fast Fourier Transform for Kirchhoff Approximation
◎△Xin Du・Jun-ichi Takada(Tokyo Tech) |
筆者らは,任意形状素子によるリフレクトアレーについて検討を行い,これまでに広帯域で動作するものを提案してきた本稿では,領域区分による2帯域共用単層リフレクトアレーアンテナの利得低下を抑制するために2帯域で領域区分した単位セルをもつリフレクトアレーについて検討したので報告する
近年, 交差偏波成分に偏波して, 電波を反射させる直交偏波変換反射板の研究がなされ, 遺伝的アルゴリズム (GA) を用いた直交偏波変換反射板, 2つのV字型素子を用いた形状が提案されている. また, 著者らは斜めの直線をステップ状にした簡単な形状で広帯域にわたって直交偏波変換が行えることを示した. 本稿では, リフレクトアレー構成のため, 全ての素子が高い変換効率をもち, 広帯域にわたって直線的かつ平行移動した交差偏波への360°の位相量をもつ素子を提案し, 検討したので報告をする.
従来のTEモード導波管の形状変化によるバンドギャップ制御ではTEモード導波管と遮断TM11モードの電磁界の乖離が生じ,モードの整合をとることが困難になるという問題があった.本発表ではリッジの代わりに円板を用い,TE・TMモード導波管の軸長を調整することでバンドギャップの制御を行うことで解決を図り,CRLH方形導波管の伝送特性及び,低サイドローブとなるように単位セルを60セル周期配列し漏洩波アンテナとした場合の漏洩特性の実験的検討を行ったので報告する.
著者らは先に,ストリップ導体を有する分散性媒質のパルス反射応答を解析し,導体幅や観測点及び高次入射パルスによる効果を応答波形から検討してきた.本文では,分散性媒質間に誘電体層をもつパルス応答を高速逆ラプラス変換法(FILT)と点整合法(PMM)の行列化を併用して解析し,誘電体層の誘電率を変化した場合の影響を検討する.
反強磁性体を用いたテラヘルツ波の発振や,強磁性体を用いたマイクロ波磁気記録における磁化のシミュレーションには,電磁界と磁化との相互作用の解析が重要である.そのため,Maxwell方程式とLLG (Landau-Lifshitz-Gilbert) 方程式とを練成した,複合物理演算法が必須となる.従来は,TE波とTM波を重ねてMaxwell方程式を解き,LLG方程式と練成する手法について検討してきた.本報告では3次元空間に適用できる複合物理演算法を開発し,従来法との比較を行う.
This paper proposes a novel three-dimensional windowing function and size of fast Fourier transform for Kirchhoff approximation (KA) to predict the shadowing gain of a screen. The proposal is validated by comparing it with the referenced KA.
C-2. マイクロ波A(マイクロ波・ミリ波能動デバイス)
9月6日 9:30〜11:45 Meeting 34 座長 濱野皓志(住友電工)
C-2-1 |
基板結合した帰還回路による容量中和型300GHz帯CMOS増幅器
○杣田一郎・池田 翔・堤 恒次(三菱電機)・坂巻 亮(産総研)・吉田 毅・天川修平・藤島 実(広島大) |
C-2-2 |
周波数選択性並列帰還回路を用いたC-Ku帯GaN MMIC低雑音増幅器
◎久樂 顕・神岡 純・桑田英悟・山口裕太郎・加茂宣卓・津留正臣(三菱電機) |
C-2-3 |
積層ラジアルスタブを用いた130GHz帯CMOS多段増幅器
◎青木拓海・町井大輝・古市朋之・本良瑞樹・末松憲治(東北大) |
C-2-4 |
歪帰還回路を有する高出力低雑音増幅器
○河野孝昌・山本勇輝・能村健一・加藤 岳・菅 信朗・紫村輝之(日清紡マイクロデバイス) |
ポスト5Gのモバイルネットワークでは100GHz超の周波数帯の利用が検討されている.100GHz超周波数帯における単相CMOS増幅器の利得改善についてはドレイン―ソース間容量を伝送線路による誘導性により中和する方式が報告されている.本稿ではゲートードレイン間容量の中和に基板結合したインターデジタルキャパシタを用いた誘導性帰還型増幅器を提案する.
広帯域な増幅器の回路構成の1つに直列RCを使用した並列負帰還回路がある. しかしながら、帯域外の高周波にて安定性が得られないという課題がある. この課題に対して、周波数選択性を有する並列帰還回路を提案し、C-Ku帯GaN MMIC低雑音増幅器 (LNA)を試作・評価した. 結果として、周波数6-18 GHzにて、17.5dB以上の利得と2.5dB以下のNFを実現した.
超100 GHz帯CMOS増幅器では,FETの利得が十分に得られないため,整合回路の低損失化や多段化による高利得化が必要である.我々は,整合回路の低損失化のためにACグランドにラジアルスタブを用いた増幅器を提案し,高利得化を図った.さらなる利得向上のためには多段化が必要になってくるが,ラジアルスタブが大きいため,干渉回避のために伝送線路が長くなり余分な損失が発生してしまう.本稿では,この問題を解決するために,MMICの多層配線層で重ねた積層ラジアルスタブを段間回路に適用した130 GHz帯CMOS多段増幅器を実現した.電磁界解析により,積層ラジアルスタブの特性を確認した後,3段の130GHz帯CMOS増幅器に適用して試作により実証した.
増幅器の回路規模の拡大および低雑音特性を犠牲にすることなく、出力信号の一部を帰還させ歪をキャンセルする手法により、低雑音と高いOIP3を両立するGaAs p-HEMTを用いたMMICの新しい設計手法を報告する。2つのソース接地FETを縦続接続した構成において、2段目FETのゲートバイアス回路を構成する抵抗分割回路の上段抵抗にダイオード接続トランジスタを並列接続した。このダイオード接続トランジスタを追加することにより、2段目FETのフィードバックを通過するIMD3(3次相互変調歪)が変調され、2段目FETを通過するIMD3をキャンセルする動作を行う歪帰還回路が形成される。その結果、低雑音特性を犠牲にすることなく、2段目FET出力のIMD3レベルが顕著に低減する効果が得られた。
休 憩(10:45 再開) 座長 長谷川直輝(ソフトバンク)
C-2-5 |
ミリ波カスコード型GaN パワーアンプにおける設計課題
○末松英治・原 信二(名大) |
C-2-6 |
連続高調波処理CRLH線路を用いた1.6-2.2GHz帯10W高効率増幅器
◎辻 恵梨・田中愼一(芝浦工大) |
C-2-7 |
Tee-line Networkを用いた5G向けKa帯高効率広帯域GaNドハティ増幅器
○中谷圭吾・山口裕太郎・津留正臣(三菱電機) |
C-2-8 |
50Ω設計増幅器を用いた準ミリ波帯アウトフェージング動作に関する一検討
◎芦沢 直・本城和彦・石川 亮(電通大) |
ミリ波カスコード型PAでは、fmaxのみならずftが重要であり、高ftは、カスコード型PAのもつ本来の出力特性を発揮することが可能となる。
次世代移動体通信に向けて広帯域で高調波を連続処理可能な高効率増幅器が注目されている。しかし,基本波(f0)から高調波(2f0, 3f0)までの負荷インピーダンスをLPFで制御する従来の設計手法[1]は,回路サイズや高調波の制御精度の点で課題があった。今回,CRLH線路を用いて高調波を連続処理する手法[2]を用いてF級高出力増幅器を試作したところ,従来よりも回路サイズを大幅に削減しつつ600 MHzの帯域で >70%ドレイン効率を得たので報告する。
第 5 世代移動通信システム(5G)では6GHz以下の周波数帯を用いたサービス(Sub-6)が既に実用化されている.しかし,より高速大容量通信の実現のためにミリ波帯の活用が注目されており,ミリ波帯でのGaN増幅器の適用が検討されている.バックオフ動作時での高効率化のためにミリ波帯でのドハティ増幅器の適用が検討されており,高効率な性能が得られている増幅器の報告がある.しかし,ミリ波帯ではGaNトランジスタの出力寄生成分の影響が大きくなるため,広帯域な特性を得ることが難しいという課題がある.本報告では,広帯域で高効率な特性を実現するために寄生成分をドハティ増幅器の出力インバータの一部として構成するTee-line networkを用いたKa帯3段GaNドハティ増幅器の試作結果を報告する.
第5世代移動通信システム(5G)で使用される電力増幅器はデジタル変調信号に対応するため広ダイナミックレンジ性能が必要であるが,準ミリ波帯ではそれに対応する回路が複雑であるため挿入損失による効率低下が起きる.そこで,簡素な回路構成の50Ω設計増幅器を使用し,アウトフェージング動作させることによるバックオフ性能改善の検討を行った.
9月7日 10:00〜11:15 Meeting 33 座長 坂井尚貴(金沢工大)
C-2-9 |
RF環境発電に向けた共振コイル装荷型235MHz倍電圧整流器
◎照井隆史・田中愼一(芝浦工大) |
C-2-10 |
Magic-T を用いた広帯域反射型移相器
◎田村 成・新井宏之(横浜国大) |
C-2-11 |
ドレーン接地されたパッケージ化FETの負性抵抗制御
◎前田貫成・佐薙 稔(岡山大) |
C-2-12 |
電磁波発信方法に関する一検討
○大内和幸(波動デバイス研究所) |
C-2-13 |
フィードフォワード容量の追加による高周波スイッチの大電力化の課題と対策
○渡利宏行・栗原大介・登坂裕之(日清紡マイクロデバイス) |
RF環境発電に向けて高感度整流器の開発が急がれている。これまで0.7-2.45GHz帯においてダイオードに直列共振コイルを装荷して微弱電力におけるRF-DC電力変換効率(PCE)の改善に取り組んできた[1]が,NiH畜電池等への充電を想定すると1V超の出力電圧の確保が課題であった。今回,直列共振コイル装荷型整流器の利点を有効に利用できるVHF帯に着目し,直列共振コイルを装荷した倍電圧整流器に検討した結果,良好な結果を得たので報告する。
移相器はアレーアンテナのビーム走査に必要不可欠である.移相器の使用帯域幅は挿入損失・損失変動量・移相量によって決定される.代表的な反射型移相器の構成に平面回路で製造が容易な3dBハイブリッド回路が挙げられるが,動作周波数は狭帯域である.本稿は従来構成に代わり,Magic-Tによる広帯域反射型移相器を報告する.
パッケージ化されたFETをドレーン接地で用いるとゲート端子から見て負性抵抗を示す。よって、げ^と端子に共振器を接続するだけで発振器を実現できる。試作した発振器を用いた実験では発振周波数帯が所望より低かった。そこでソース端子に接続する負荷を変えることで負性抵抗を制御し、発信周波数を低下させた。
以前の学会発表から平行平板電極間に弾性波,電磁波ともに共振特性が存在することが分かっている.弾性波・電磁波ともに,共振点で大きな電流が流れることが分かっている.SAW(表面波)の弾性波入力方法にIDT(くし形電極)がある.電磁波においても,IDTが電磁波を発生することは考えられ,電磁波発生・持続から発信への過程を考察した.弾性波発生には,質量を動かすのに大きなエネルギーが必要である.そのためにエネルギー閉じ込める多数の電極から構成している反射器を,エネルギー蓄積率を設けて説明した.また,電磁波発信に必要な反射器,共振器の構成方法も,波動等価回路から計算・説明した
高周波FETスイッチの耐電力性能の向上の手段の一つとして用いられる、多段化した両端のFETのゲートとRF端子間に容量(フィードフォワード容量)を追加する場合に発生するアイソレーション特性の劣化への対策を報告する。実験には当社GaAs Hetero Junctionプロセスを用いて試作した、10W級SPDTスイッチICを使用した。フィードフォワード容量の追加による、意図しない端子の電圧の上昇によってアイソレーション特性に寄与しているFETのON状態が維持できなくなりアイソレーション特性が悪化する。適正な値の電圧固定抵抗と補正容量の追加によってこの電圧の上昇を抑制して良好なアイソレーション特性を保つことができた。
C-2. マイクロ波B(マイクロ波・ミリ波受動デバイス)
9月8日 9:30〜11:45 Meeting 33 座長 石川 亮(電通大)
C-2-14 |
ジャイレータを用いた非相反CRLH線路の分散特性に関する一考察
○円山知浩・坂口浩一郎・岸原充佳・大久保賢祐(岡山県立大) |
C-2-15 |
タップ結合型CRLH線路BPFにおける減衰極の制御に関する検討
◎平山敦也・石川 陽・藤野聖也・大野貴信・谷井宏成・飯田聡子(木更津高専) |
C-2-16 |
インターディジタルキャパシタとショートスタブを用いたCRLH線路型UWBフィルタの検討
◎石川 陽・平山敦也・藤野聖也・大野貴信・谷井宏成・飯田聡子(木更津高専) |
C-2-17 |
曲率を持つCRLH線路のコルゲーション構造による非相反性増大
○大島幹矢・近藤 巧・井手口拓夢・黒澤裕之・上田哲也(京都工繊大) |
伝送線路にジャイレータを装荷した構造による非相反CRLH-TL(G-CRLH-TL)が提案されている.これらは従来のCRLH-TLと比べて動作周波数の可変性に優れており遅れ位相から進み位相まで位相を連続的に制御できる.本研究ではG-CRLH-TLの低域, 高域遮断周波数, 遷移周波数 f0,そして, f0における群速度と構造パラメータの関係を明らかにしている.
右手/左手系複合線路(CRLH線路)は電子機器の小型化及び高機能化が期待できるため,近年研究が盛んに行われている.先行研究において,タップ結合を適用したCRLH線路型共振器により,減衰極の制御が可能であることが報告されている.本稿ではこの共振器を応用し,減衰極を制御することが可能なバンドパスフィルタ(BPF)に関する検討を行う.
本研究では,CRLH 線路を用いてUWB フィルタを構成し,遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm: GA)によって所望する特性を探索する.GAによって得られたCRLH線路の各素子値に基づくインターディジタルキャパシタやショートスタブを用いた解析モデルを構築し,その伝送特性を解析する.
CRLH線路の非相反性増大技術として,これまでに曲率を有する線路構造やCRLH線路を構成するマイクロストリップ線路の一方の金属ストリップ端にコルゲーション構造を装荷した線路構造が提案されている.本稿では,曲率をもつCRLH線路の非相反性増強技術として,コルゲーション構造を装荷した線路構造を提案し,数値解析により非相反性の増大について調べたので,これを報告する.
休 憩(10:45 再開) 座長 西森理人(富士通)
C-2-18 |
金属3DプリンタによるX帯導波管サーキュレータの試作評価
○田島隼人・根本淳一・萩原栄治・浅利 哲(島田理化) |
C-2-19 |
表面実装(BGA*)型Ka帯サーキュレータの試作評価
○北上景一・佐藤 圭・鈴木君尚・田添 晃・浅利 哲(島田理化) |
C-2-20 |
放熱性を考慮した導波管8 合成器の検討
○廣田明道・大島 毅・西原 淳・野々村博之・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
C-2-21 |
中空構造を利用した小型4合成器の評価
○杉山勇太・大島 毅・石橋秀則・加賀野未来・湯川秀憲・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
金属3DプリンタでX帯導波管サーキュレータを試作し、その性能を評価した。物理的に隙間のない構造が得られ、良好な電気特性が確認できた。
サーキュレータは,入力信号と出力信号を分離することができる部品であり,例えば,アンテナ-送受信機間において,送受共用を実現するために用いられる.
本稿で報告するサーキュレータは,一般に使用されているマイクロストリップ型[1]とは異なる表面実装(BGA)型である.
筆者らは,製品ラインナップ拡充を目的とし 5Gの使用帯域のうちミリ波帯に着目した.本稿では,5Gの周波数(26~30 GHz)に対応した表面実装(BGA)型サーキュレータを設計及び試作評価したので,その内容について報告する.
導波管広壁面から同軸線路の中心導体を挿入しつつ、先端をオープンとした同軸線路-導波管変換器(以下、COXWG変換器)において、中心導体の先端部分を1/4 波長線路を介して壁面に接続することで放熱性を高めた、COX-WG変換器を提案している。本稿では、上記COX-WG 変換器を用いた導波管8 合成器について検討を実施したので報告する。
高周波回路において高電力化が進んでいる.例えば,高い電力密度を可能にするGaNを採用したHPAが5Gや衛星通信に向けに多く使われ始めている.1つのHPA のみで大きな電力を出力するのは電力密度の観点から限界がある.そこで,複数のHPAの出力電力を低損失で合成し,所望の電力を出力できる合成器が望まれている.近年,電力を合成するための手段として,空洞共振器や導波管や同軸構造などを利用した中空構造の合成器の検討が進んでいる.中空構造を利用するメリットは、平面回路を利用した合成器やトーナメント配置した合成器に比べて合成効率が高いことである.今回,Ka帯向けに導波管を用いた小型で高効率な4合成器の試作・評価を実施したので報告する.
9月8日 13:00〜17:00 Meeting 33 座長 池内裕章(東芝)
C-2-22 |
金属フォトニック結晶共振器に関する一検討
○范 佳興・陳 春平・蔣 梁超・王 明・平岡隆晴・穴田哲夫・武田重喜(神奈川大) |
C-2-23 |
周波数帯域幅30%で平坦な利得をもつ無給電素子装荷広帯域フィルタリングアンテナ
◎崎山 拳・大平昌敬・馬 哲旺(埼玉大) |
C-2-24 |
Simplified Six-Port Correlator - A new Circuit with four Q hybrids and one Power divider -
○Toshiyuki Yakabe(Multi-Port Laboratory LLP)・Makoto Yoshida(CDEX)・Masahiro Hanazawa(UL-Japan) |
C-2-25 |
マイクロストリップ線路型十字交差方向性結合器
○岸原充佳・坂口浩一郎・大久保賢祐(岡山県立大)・太田 勲(兵庫県立大) |
C-2-26 |
管軸分岐端子をオフセット配置した小型OMTの検討結果
○湯川秀憲・関 竜哉・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
C-2-27 |
掘り込みつき銅ボール縦配線のためのGCPW-SLトランジション設計・試作評価
◎桑田瑞希・吉田賢史・西川健二郎(鹿児島大) |
C-2-28 |
誘電体チューブ挿入金属ロッド伝送線路を用いた140GHz帯方向性結合器の設計
◎新浜優貴・黒木太司(呉高専)・宮本和哉(宮本機器開発) |
C-2-29 |
誘電体小片を付加した誘電体導波路の電磁波放射特性
○福田敦史・山本大斗・岡崎浩司・鈴木恭宜(NTTドコモ) |
Beyond 5Gを実現のため、超高周波での新たな電磁波回路の開発が望まれている。近年、金属フォトニック結晶(MPhC)構造のミリ波・サブミリ波帯での利用は注目を集めている。MPhCは無限周期配列構造であるが、点欠陥共振器などの実際の有限大きさの回路を構成するためには周期性を打ち切る必要がある。この打ち切りによって、一定の電磁波の漏れが生じる。実際の小型且つ高Q MPhC点欠陥共振器を構成するために、必要最低限な周期数などの構造パラメータを決める必要がある。本研究では、三角格子と正方格子MPhC点欠陥共振器の各損失によるQ値と構造パラメータ(打切り壁の層数、共振器の基板厚など)との関係を数値計算手法によって調べ、実際のMPhCの構造パラメータによる影響を検討する。
広帯域で急峻な周波数選択特性を持つアンテナの設計には,仕様から所定の帯域幅を設計することが可能な広帯域フィルタリングアンテナ(フィルテナ)の設計手法が有用である.しかし,放射素子単体の放射Q値に下限があり,実現できる比帯域幅が20%程度に制限されていた.そこで,本報告ではこの問題を解決する広帯域フィルテナの構造を提案し,設計及び測定によってその有効性を示す.
The simplified Six-port Correlator (S-SPC), which consists of four quadrature (Q) hybrids and one power divider (PD), is proposed. “Simplified” implies to decide the amplitude ratio of a two-port device under test (DUT) first, and next to decide its phase deference using the amplitude ratio. The number of the system parameters of the S-SPC can be significantly reduced two real numbers and two complex numbers, compere to the basic Six-port Correlator (B-SPC) which has three real numbers and four complex numbers. Furthermore, both improvement in measurement accuracy and dynamic range are expected. The improved calibration of the S-SPC and the S-parameter measurement of the DUT method for a proposed S-SPC are shown.
H面やE面導波管を十字交差させた極めて簡単な構造で,良好な分配特性を有する方向性結合器が提案されている.最近,ストリップ線路構造で同様の十字交差方向性結合器が設計できることが報告された.今回,マイクロストリップ線路構造で十字交差方向性結合器の設計を行ったので報告している.また,測定により良好な特性が得られることを確認している.
異なる周波数帯の直交する直線偏波を分離するOMT(Ortho-Mode-Transducer)は導波管偏波分離回路におけるキーコンポーネントのひとつである。OMTを小型化するため、各直線偏波を分離して出力する分岐端子の変成部を近接配置した場合、相互の影響により良好な特性が得られにくい。そこで、それらの影響を補償するように管軸分岐端子をオフセット配置することにより、小型化と良好な特性の両立を図った。ここでは、電磁界計算により提案する構成について検討したので報告する。
回路の高速化、高密度化に伴って大規模な配線が求められるようになり、両面基板では足りない面積を補うために基板は多層化されてきた。本研究が着目するモバイル端末内臓用のアンテナには、小型で薄いことが求められており、このような背景の中、銅ボールを用いた基板の積層方法について検討を行ってきた。本稿では、掘り込みつ銅ボール縦配線に必須となるGCPW-SLトランジション単体の設計・試作を行った結果について報告する。
車載レーダに用いられる77GHz帯では検知距離が100mを超えるとレーダビームが対向車線側へも照射され、対向車からの反射波が偽象としてレーダ信号処理されるという課題があり、これを解決するために欧州では140GHz帯ミリ波の利用が検討されている。本論では誘電体チューブ挿入金属ロッド伝送線路(Dielectric-tube-supported Metal Rod Transmission Line;以下DTMラインと呼ぶ)を用い、レーダアンテナ給電回路に用いられる140GHz帯方向性結合器の設計を行ったので報告する。
今後の移動帯通信において予測される急激なトラヒックの増大に対応するためミリ波帯およびサブテラヘルツ帯の利用が検討されている。著者らはこれまで誘電体導波路(以下、DWG)を屈曲させることにより電磁波を漏洩する特性を応用し、ミリ波帯通信エリアを形成する手法を提案し、広帯域伝送が可能であることを示した。本稿では、DWGに誘電体小片を付加し、その誘電体小片から電磁波を漏洩させる漏洩DWG(Leaky DWG:LDWG)を提案し、提案LDWGによる通信エリア化を提案し、併せてLDWGの電磁波漏洩特性を報告する。
休 憩(15:15 再開) 座長 矢加部利幸(マルチポート研究所)
C-2-30 |
自由空間法を用いた複素比誘電率推定の不確かさに関する一検討
○花澤理宏(UL Japan)・亀井利久(防衛大)・荻野 哲(新日本電波吸収体) |
C-2-31 |
円形パッチ配列電波吸収体の任意の偏波及び入射角度におけるSパラメータ推定手法の測定による有効性評価
○押野隼也・松本壮太(青学大)・荒木純道(東工大)・橋本 修・須賀良介(青学大) |
C-2-32 |
整合法による平衡化MSL上で発生するPIMの評価
◎室伏竜之介・久我宣裕(横浜国大)・花山英治(職業開発大) |
C-2-33 |
平衡系PIM測定用終端器の構成
◎白川武蔵・室伏竜之介・久我宣裕(横浜国大)・花山英治(職業開発大) |
C-2-34 |
WR-3全帯域で動作する非分割型楕円チョークの検討
◎武元佑紗・待鳥誠範(アンリツ) |
C-2-35 |
厚銅基板を用いた積層型増幅器パッケージの基礎検討
◎西村拓真・小松崎優治・長峯巧弥・湯川秀憲・深沢 徹(三菱電機) |
C-2-36 |
寄生素子を用いた円偏波方形ホーンアンテナの軸比測定
○熊谷 凌・中野聡太・上野伴希・須賀良介(青学大) |
自由空間法を用いて複素比誘電率を推定する際,サンプルの位置ずれや試料厚みの測定誤差が不確かさ要因となることがある. 本報告では, これらの不確かさが誘電率推定に与える影響について検討した.
薄型,軽量という付加価値をもった電波吸収体として,円形パッチ配列電波吸収体が提案されている.
我々は,4つの入射角度における電波吸収体のSパラメータから全ての偏波及び入射角度におけるSパラメータを推定する手法を提案しており,その有効性を電磁界解析により確認している.
本研究では,測定により本提案手法の有効性を確認した.
マイクロストリップ線路(MSL)の受動相互変調ひずみ(PIM)評価のためにMSLと等価な平衡被測定試料を用いる,平衡非接触PIM測定系が提案されている.平衡非接触PIM測定系を用いて,整合法によりダイオードを装荷した試料を評価した例がこれまでに報告されているが,ダイオードで生じる相互変調が支配的であり,被測定試料の線路から発生するPIMの評価ができていない問題がある.そこで,本稿では平衡非接触PIM測定系を用いて,整合法により被測定試料の線路から発生するPIMを評価することを目的とし,送信二波f1=2.05GHz,f2=2.2GHzに対する3次の反射PIMのうち,fPIM=1.9GHzを対象に実験的な検討を行い,被測定試料の線路から発生するPIMの測定ができることを示す.
PIM評価に際して測定試料以外で発生するPIMを防ぐため、非接触における測定が求められます。
また,整合をとった状態で測定を行うことが一般的であり、同時に低PIMな終端器が不可欠となります。
終端器で発生するPIMを伝送線路のロスで消費することで低PIM性を実現しており、数10m~数100mの長線路のセミリジットケーブルが用いられ、測定系が大きくなってしまうという問題があります。
本稿では異なる比誘電率を持つMSLを接続する非接触コネクタを設計し、小型化可能であるMSLを用いた終端器を接続可能にします。
導波管スイッチの摺動部などの対向する導波管の間に空隙がある場合に使用されるチョークとして,標準導波管WR-3の全帯域(220-330 GHz)で動作する非分割型楕円形のチョークを提案した。非分割型楕円形のチョークは楕円チョークの溝部分を導波管の対角線方向に沿って導波管開口部から離れる方向に延伸した構造を特徴としている。適切に設計された非分割型楕円形の4重チョーク(最内殻楕円内周 0.4×0.6 mm,最内殻楕円外周 0.71×0.91 mm)では,導波管の間隙が0.05 mm(1/20波長程度)でも220-330GHzにおいて、挿入損失 0.05 dB以下(銅損は含まない)、反射 -20 dB以下,漏洩 -45 dB以下の良好な特性が得られることをシミュレーションによって確認した。
近年の移動体通信基地局には、通信容量の急激な増加、基地局共用化等の観点から、高効率で広帯域な増幅器が求められる。本報告では、これまでに筆者らが検討したモード切替増幅器向けに厚銅基板を用いた積層型パッケージのコンセプト、および積層構造の基礎検討結果を示す。本構造は、2枚の掘り込み部を有する厚銅基板にMMICを実装し、間にインターポーザー基板を配置したうえで、銅核球入りのはんだボールで接続した構成である。上記積層構造を用いたスルー線路を設計/評価した結果、良好な特性が確認でき、本積層構造の有用性を確認した。
これまでに我々は,直線偏波方形ホーンアンテナの開口に寄生素子を配列した円偏波アンテナを提案し,
その偏波変換特性を電磁界解析により確認している.本研究では,この円偏波アンテナの実現を目的とし試作実験を
行った. その結果,軸比の 3dB 比帯域幅 1.2%,垂直及び水平成分の利得 12.5,10.5dBi の円偏波ホーンアンテナを実
現した.
C-2. マイクロ波C(マイクロ波・ミリ波応用装置)
9月6日 9:30〜11:45 Meeting 33 座長 宮田尚起(都立産技高専)
C-2-37 |
相補型スプリットリング共振器(CSRR)を用いた非侵襲血糖値センサ
◎△竹内遥輝・小林海太・吉村浩司・山下喜市・杉本泰博・安田 彰(法政大) |
C-2-38 |
義歯管理用920MHz帯RFIDシステムにおける口腔内義歯位置依存性の測定
◎高寺裕二・長張永哉・本良瑞樹・末松憲治(東北大) |
C-2-39 |
誘電体ロッドにより構成したマイクロ波エネルギーデバイス
◎△仲川俊哉・西舘嗣海・齊藤一幸(千葉大) |
現在の侵襲型血糖値センサに比べ,測定時の糖尿病患者の負担を減らせるため,非侵襲型血糖値センサは期待されている.本稿では,血液に見立てたグルコース水溶液の誘電率として,虚数部を含めたパラメータを用いたときのグルコース濃度による共振周波数の変化に着目した,相補型スプリットリング共振器(CSRR)を用いたセンサを検討する.グルコース濃度とS21の周波数ディップの関係をシミュレーションにより評価する.
我々は義歯を誤飲した場合や紛失した場合に体内外を判別し所在を明らかにするための人体内外両用の義歯管理用RFIDシステムの研究を行ってきた.本稿では,人体頭部を模擬した簡易ファントムモデルを用いて,RFIDタグ付きの部分義歯を前歯,左奥歯,右奥歯の3か所に配置した際の通信距離を評価した.結果として,右奥歯に配置した際には頭部左方向に,左方向に配置した際には右方向に通信範囲が広がっていることを確認した.また,義歯の位置によらず,ほぼ頭部全周にわたり体表から100mm アンテナを離しても通信が成立することを確認した.
近年の外科手術では, 超音波凝固切開装置や電気メスなどのエネルギーデバイスが使用されるようになり, 短時間で生体組織を加熱し, 切開, 止血などを同時に行うことが可能となった. しかし, これらのデバイスではサージカルスモークが発生し視野が妨げられるといった問題が生じる. 一方,マイクロ波エネルギーデバイスによる加熱は生体組織の水分子運動の摩擦熱によって引き起こされるため,視界を妨げる問題がないが, これらのデバイスは衛生上, 単回使用で廃棄される. そこで, ディスポーザルを前提として, 金属部品を使用せずに誘電体ロッドのみで構成したデバイスを検討した. 本研究では数値解析として電界分布とSAR分布の解析を行った.
休 憩(10:30 再開) 座長 平野拓一(東京都市大)
C-2-40 |
AMラジオ波受信による土壌含水率推定の検討 ―(1) アンテナセンサの動作―
木下拓真・岩城昴琉(呉高専)・坂本雅弥(東北大)・○黒木太司(呉高専) |
C-2-41 |
AMラジオ放送波受信による土壌含水率推定の検討 ― (2) 地表対向モノポールアンテナ ―
◎木下拓真・黒木太司(呉高専) |
C-2-42 |
AMラジオ放送波受信による土壌含水率推定の検討 ―(3) 含水土壌に埋設した土中コイルの特性―
◎岩城昴琉・新浜貴翔・坂本雅弥・黒木太司(呉高専) |
C-2-43 |
AMラジオ放送波受信による土壌含水率推定の検討 ~(4) 共振コイルによる検知分解能向上~
◎新浜貴翔・岩城昴琉・坂本雅弥・黒木太司(呉高専) |
C-2-44 |
AM ラジオ波受信による土壌含水率推定の検討 ―(5) 土中コイル接続アンテナセンサによる土壌含水率推定―
◎大谷元続・岩城昴琉・新浜貴翔・黒木太司(呉高専) |
土中アンテナをセンサとして利用した土壌含水率局所的推定方法が提案された。本論では地表対向型及び同軸状型の二種のモノポールアンテナについて土壌含水率推定センサとしての特性について検討した。
2020年2月神奈川県逗子市、2020年3月広島県庄原市JR芸備線、2022年5月長崎県長崎市にみられるように、近年晴天時であってものり面が崩壊する現象が増加しており、これらの原因はのり面の地盤が水分を含んだためとされている。そこで本論では、地表に対向させた構造のモノポールアンテナでAMラジオ放送波を受信し、地中含水層が地表側に上昇した際の検知可能性について簡易的な都市モデルを用いて数値的に検討した。
AMラジオ放送波の相対受信電力から土壌含水率を推定するには地表に対向させたモノポールアンテナを用いることが効果的であり、更に同軸線路の外導体表面をアンテナとして動作させることも有効的であることが示された。本論では後者のアンテナにコイルを直列接続し、これを土中に埋設することでより土壌の含水状態が把握しやすくなることを示す。
先行研究において土壌に埋設したコイル周辺の含水状態をコイルに接続したアンテナでAM ラジオ放送波を受信することにより把握できる可能性について検討した。本論では、このコイルにコンデンサを外付けすることにより含水状態での検知分解能を向上させることについて検討した。
近年,異常気象による土砂災害の被害が増加していることから、AM ラジオ波受信を利用した土壌含水率推定システムが検討されている。この手法では土中埋設型コイルが重要な含水率推定の要素になることが確認されており、土中埋設型コイルの設計は提案手法に適するよう改善された。そこで本論では、改善前後の土中埋設型コイルを使用した実験結果を基に、土壌含水率推定を検討した。
9月6日 13:00〜17:00 Meeting 33 座長 野坂秀之(立命館大)
C-2-45 |
サブテラヘルツ帯シングルキャリア伝送における振幅・位相偏差の周波数特性を補正する送信機構成の提案
◎山本大斗・福田敦史・青木すみれ・濱田裕史・岡崎浩司・鈴木恭宜(NTTドコモ) |
C-2-46 |
CDR回路を用いたディジタルRF送信機の低位相雑音化
○萩原達也・早馬道也・水谷浩之・中溝英之(三菱電機) |
C-2-47 |
2つの可変抵抗器で振幅の周波数特性を制御可能な広帯域キャンセラ回路単体の測定結果
○山浦真悟・西本研悟・稲沢良夫(三菱電機) |
C-2-48 |
デルタシグマDACを用いたD-RoFの伝送特性評価
○早馬道也・西岡隼也・斧原聖史・野田雅樹(三菱電機) |
C-2-49 |
異なる閾値を有する量子化器を並列化したΔΣ変調回路を用いたディジタルRF信号発生器のSNR改善
○水谷浩之・早馬道也・萩原達也・中溝英之(三菱電機) |
C-2-50 |
1ビットΔΣ変調信号の2次イメージ成分を用いた40GHz帯ダイレクトディジタルRF変調器
○張 俊皓・末松憲治(東北大) |
C-2-51 |
簡易モデルを用いた60 GHz帯ダイレクトRFアンダーサンプリング受信用サンプルホールド回路のクロック立下り時間の検討
○古市朋之・本良瑞樹・末松憲治(東北大) |
第6世代移動通信システムの要求条件の一つは100 Gbpsを超える超高速・大容量化である.この条件を満たすための1つのアプローチとして,数GHzの広帯域信号を用いたサブテラヘルツ帯シングルキャリア(以下,SC)伝送システムがある.しかし,SC伝送では,信号帯域内における振幅および位相偏差により,伝送品質が劣化するという課題がある.そして,送信機を構成するミキサ,フィルタ,アンプなどの周波数特性により,多くの場合において信号が広帯域化するほど帯域内の振幅および位相偏差は大きくなる.本稿では,サブテラヘルツ帯超広帯域SC伝送において,送信機自身が有する振幅および位相偏差の周波数特性を補正する送信機構成を提案する.提案構成におけるEVM(Error Vector Magnitude)改善効果を実験により評価し,その結果について報告する.
デルタシグマ変調回路を用いたディジタルRF送信機において、FPGA内蔵のクロック源の影響により出力の位相雑音が大きくなるという課題がある。本報告ではCDR(Clock and Data Recovery)回路を用いてディジタルRF送信機の出力信号の位相雑音を低減する方式について提案し、実験による検証を行った結果を示す。
キャンセラ回路は,無線通信やレーダの同時送受信を実現するために使用されている.筆者らはこれまでに,2つの可変抵抗器で振幅の周波数特性を容易に制御可能な広帯域キャンセラ回路を提案し,従来回路よりも広帯域に漏れ込み波をキャンセルできることを解析結果から示している.本稿では,提案キャンセラ回路単体の測定を行い,提案回路の有効性を示す.
通常A-RoF (Analog Radio-over-Fiber)において伝送するRF信号のSNRは光区間の伝送損失によるが,デルタシグマDAC型のD-RoFにおける伝送信号品質と光区間の伝送損失の関係は明らかにされていない.そこで本稿では,伝送路損失がデルタシグマ変調信号に与える影響を通信用の光トランシーバを用いて実測評価した結果を報告する.
FPGAなどのディジタル回路からRF信号を直接生成するディジタルRF信号発生器において、信号の量子化雑音に対するSNRを改善するために、初期値を異なる値に設定したうえで並列化した複数のΔΣ変調回路を用い、その出力を合成する構成が報告されている。ここでは、1つのΔΣ変調回路を用い、内部の1ビット量子化器の閾値を異なる値に設定したうえで並列化することで、SNRの改善とディジタル回路規模の増大の抑制を両立する構成を提案し、シミュレーションによる原理検証を行った結果を報告する。
我々は,ディジタル信号から直接ナイキスト周波数を超えるRF信号を生成するダイレクトディジタルRF送信機として1ビットband-pass (BP) 変調器の高次イメージ成分を取り出す検討をしてきた .これまで,25GbE QSFP28光モジュール出力の1次イメージ成分を用いた20 GHz帯のRF信号の生成が実験で検証された.本稿では,より高いミリ波周波数帯でRF信号を生成するため,32 Gbpsの1ビットΔΣ変調信号の2次イメージ成分を利用し,40GHz帯のイメージ出力特性を測定したので報告する.
我々はこれまで60 GHz帯ダイレクトRFアンダーサンプリング受信用サンプルホールド(S/H) ICを開発してきた.
ダイレクトRF アンダーサンプリング受信では,直接RF 信号をサンプリングするため,サンプル状態からホールド状態に遷移する立下り時間がホールド出力電圧に影響する.60 GHz帯などのミリ波帯に高周波化すると,クロックの立下り時間がps 級であっても入力周波数の周期もps級であるためその影響を無視できず,これを考慮したクロックの設計が必要となる.
本稿では,可変コンダクタンスとホールドキャパシタからなるS/H回路の簡易モデルを用いて,クロックの立下り時間に対するホールド出力の低下量について数値解析を行いその影響を明らかにしたので報告する.
休 憩(15:00 再開) 座長 枷場亮祐(パナソニックインダストリー)
C-2-52 |
プリント基板集積型同軸プローブの広開口化に関する基礎検討
○中村昌人・池田あゆみ・田島卓郎・瀬山倫子(NTT) |
C-2-53 |
ブロードサイドカプラで構成したバトラーマトリクスを用いた5.2GHz帯反射型レトロディレクティブアレーの再放射パターン
◎本間優作・ジャン テンガ・古市朋之・芝 隆司・末松憲治(東北大) |
C-2-54 |
インパルスレーダ用スタック型パッチアンテナの試作
◎岩本孝太・坂本雅弥・岩城昴琉・黒木太司(呉高専) |
C-2-55 |
SDR機器を用いた屋内ローカル5Gの障害物による受信電力変化に関する実験的検討
○今井大貴・山口裕也(青学大)・土屋明久・菅間秀晃(KISTEC)・橋本 修・須賀良介(青学大) |
C-2-56 |
山岳地帯における920MHz帯電波伝搬特性に関する実験的検討
◎宮本大哉・黒木太司(呉高専)・宮本和哉(宮本機器開発) |
C-2-57 |
LiDARとステレオ画像を用いた障害物の検出精度向上に関する検討
◎高松 陸・黒木太司(呉高専) |
C-2-58 |
Millimeter-Wave 2D Imaging Experiment Using Dielectric Lens
○Arie Setiawan・Atsuki Yamawaki(Mie Univ.)・Naruto Yonemoto(ENRI)・Hitoshi Nohmi(Alouette Technology)・Hiroshi Murata(Mie Univ.) |
C-2-59 |
受信電波によるドローン位置推定の検討
○柴田大樹・亀井利久(防衛大) |
同軸プローブ法は材料の加工を必要とせず,広帯域にマイクロ波-ミリ波帯の複素誘電率が測定可能であることから生体試料の非侵襲測定に用いられる手法である.一般的な同軸プローブはセミリジッドケーブルの端面にフリンジを設けた構造となっており,プローブ開口はケーブルの仕様により制限される.近年,半導体やプリント基板上に準同軸構造を設けた基板集積型の同軸プローブが報告されているが,開口が2 mmΦ を越えるプローブに関する報告はない.本稿では,集積型プローブの高機能化に向け,既報のデバイスよりも広開口となる設計値を含むPCB 集積型プローブを製作し,その特性を評価したので報告する.
バックスキャッタ通信に適した,反射型レトロディレクティブアレー(RDA)を取り上げる.位相共役回路にブロードサイドカプラで構成したバトラーマトリクスを用いた反射型RDAを試作し,新たな測定系を構築して再放射パターンを測定した.アンテナ正面方向から±20°の範囲で測定した結果は,シミュレーションと良い一致を示し,提案RDAが良好なレトロディレクティブ特性が得られることを確認した.
広島県竹原市はタケノコ農家のDX化を目的として簡易的な地中インパルスレーダ[1]を検討し、パルス繰りかえし周期208MHz のインパルスを放射するスタック型パッチアンテナを提案した[2]。本論ではこのアンテナを実際に試作し、その特性を評価したので報告する。
近年,工場などにおける生産性向上や事業の効率化を実現するインフラとして,sub6帯(4.8-4.9GHz)を使用したローカル5Gの活用が期待されている.
このローカル5Gにおいては,見通し(LOS)および見通し外(NLOS)通信に関わらず安定した通信が求められており,社会実装に向けた実環境における測定データの充実が求められている.
本研究では,SDR(Software defined radio)機器を用いて,ローカル5GのLOS及びNLOS領域における受信電力に着目し,柱による受信電力の減衰を評価した.
AMラジオ波を利用した土砂災害予知システムでは,急傾斜地に設置した送信端末からAMラジオ放送波の受信レベルを,920MHz帯の搬送波によりLoRaWANで約1~2km離れた受信端末に送信するが,この無線ネットワークの設計では森林のUHF帯電波伝搬特性を考慮する必要がある.本論ではこれを実験的に検討した.
近年、物流倉庫や病院など屋内環境にて自律移動を行うロボットの技術開発が進められ、屋内環境における周辺環境認識の技術として赤外線光の反射を用いて 対象物 の形状や位置情報を計測できるLiDAR(light detection and ranging)が注目を集めている。
しかし、赤外線の反射率が低い物体では反射光が受信できず、検出精度の劣化が懸念される。そこで、カメラのステレオ画像に着目し、赤外線の反射率が低い物体の検出精度の比較について検討を行った。その結果、LiDAR のデータとステレオ画像
を融合させることで赤外線の反射率が低い物体の検出精度が改善していることを確認した。
Millimeter-Waves (mmW or MMW) has been an attractive topic in remote non-destructive imaging applications. The mmW advantage is that it can easily penetrate most clothing which the camera cannot, furthermore it is also safe for use on the human body, so it is desirably used for security check systems. By treating each reflected signal from the target after passing a lens, the reconstruction of the object images can be performed. The experimental results indicated that a mmW Lens is useful as a promising method in imaging for security applications.
近年ドローン技術の発展により,一般人でも簡単にドローンを手に入れ,操作することができるようになった.ドローンは人々の生活を便利にできる一方で,2015年には一般人が操作するドローンが首相官邸に落下する事件が起こった.翌2016年にドローンに関する法整備が行われ,「ドローン規制法」等も施行されるが,2019年度のドローンに関する事件・事故は111件と過去最高であり,2021年では86件の事件・事故が発生しているのが現状である.この背景を踏まえて,様々な企業が飛行するドローンの位置を推定し,監視する製品を発表している.
本研究では,観測者が電波を照射することなく,ドローンの発信する電波を受信し,その時間差からドローンの位置を推定できるかを検討した.
C-3/4. 光エレクトロニクス/レーザ・量子エレクトロニクス
9月6日 9:00〜11:15 Meeting 22 座長 丸山武男(金沢大)
[光・THz無線(1)]
C-3/4-1 |
(依頼講演30分)光カメラ通信技術とその応用
○中山 悠(東京農工大) |
C-3/4-2 |
障害物存在空間における光無線給電の高効率経路選択方式の検討
◎△後藤克彦・宮本智之(東工大) |
C-3/4-3 |
発電効率を元にした光無線給電のシステム要求解析
○浅葉 薫・宮本智之(東工大) |
光カメラ通信(Optical Camera Communication;OCC)とは,送信機としてLEDやディスプレイなどの光源を,受信機としてカメラを用いる可視光通信のことである.On-Off Keying(OOK)やColor-Shift Keying(CSK)などの変調方法を用いて,データを光信号として送信する.受信側の動作としては,カメラで撮影した動画像内から光源の占めるピクセルを抽出し,当該領域のRGB値から信号を復調する.本稿では,OCCの特長および,特性の改善技術とドローン等を用いたアプリケーションについて報告する.
光無線給電は小型・軽量で長距離伝送可能,電磁ノイズ干渉無しといった利点を持つ給電方式である.本方式は光源から出射した光ビームを太陽電池で受光することで給電するものである.
一方で光ビームは,原則として直線的にしか進まない.そのため,給電対象が建造物などの光に対する障害物が入り組んだ場所にある場合,直線経路での給電は阻まれる.
そこで本研究では,ビーム経路の中継手段として鏡を用いて,光を直線でない経路を通して給電対象に届けるシステムの構築を目指している.この際,鏡の位置や数によって様々な経路が選択できる.給電効率を高めるためには,鏡の反射特性や光強度の距離減衰を考慮し,最適な経路を選択する必要がある.それらをPC上で2次元空間としてシミュレーションするプログラムを作成し,経路選択を可能とした.
電力の無線伝送に光波を用いる光無線給電(OWPT)はビーム拡がり角が小さいことから遠距離向けのシステムに有望である。OWPT は受光ユニットが固定され送光ユニットがビームアラインメントを行う非協力型OWPT と送光ユニット受光ユニットが互いにビームアラインメントを行う協力型OWPTに大別される。本研究では非協力型・協力型のそれぞれについてビームアラインメント・ビーム形状調整に関するシステム要求を発電効率(power generation ratio)を元に行った。
休 憩(10:15 再開) 座長 石村昇太(KDDI総合研究所)
[光・THz無線(1)]
C-3/4-4 |
(依頼講演30分)フォトニック・ナノジェット発生デバイスのアンテナ応用とテラヘルツ無線伝送
○久武信太郎(岐阜大) |
C-3/4-5 |
テラヘルツ波高セキュリティ通信を用いた500 Mbit/s 無線伝送
○陳 漢偉・河合優佑・矢野拓弥・三上裕也・加藤和利(九大) |
C-3/4-6 |
THz帯マルチキャリア信号のTHz領域直接分離手法
○瀧口浩一・西尾 望(立命館大) |
本発表では,我々がテラヘルツ波帯で resolution enhancer として提案し,回折限界を超えたテラヘルツイメージング に応用した誘電体キューブがアンテナとしても動作す ることを紹介する.我々はこのアンテナを dielectric cuboid antenna (DCA)4)と名付けた.アンテナ利得や遠方界パターン,放射効率 などのアンテナとしての基本的特性について述べた後に, これを 300 GHz 帯無線通信へ応用した例について紹介す る.
無線通信では電波が空間中を伝搬するため、常に傍聴のリスクがあり、高度な暗号化処理でも情報が解読される可能性がある。そこで、物理層でのセキュリティ向上が注目を集めている。我々の先行研究では、二つのテラヘルツ波を用いた高セキュリティ無線通信方法を提案し、受信器での二信号からのデータの復号の原理確認を行った。
提案したシステムは、ビームステアリングした二つのテラヘルツ波どうしが重なった場所でのみ信号が復号されることで、物理的に情報の傍聴を防いでいる。今回、データ伝送の検証として、500 Mbit/s のPRBS 信号を空間的に離れた二つの送信器から伝送する実験を行ったので報告する。
THz帯マルチキャリア通信の高速化、簡易化、および低消費電力化のため、THz波の波動性(干渉特性)を活用したチャネル分離受信信号処理の検討を進めている。今回、THz波用の非対称マッハツェンダ干渉計(Asymmetric Mach-Zehnder interferometer: AMZI)型周波数フィルタを2段構成に拡張し、これを用いて、2/4チャネルの300 GHz帯周波数分割多重(Frequency division multiplexing: FDM)信号を300 GHz帯で直接分離受信する検討を行ったので、その結果について報告する。チャネル間隔12.5 GHzの2 ch x 1.5~7.5 Gbit/s(最大周波数利用効率0.6)、4 ch x 1.5~7.0 Gbit/s(最大周波数利用効率0.56)の300 GHz帯FDM信号の分離を実現した。
9月7日 9:00〜11:30 Meeting 22 座長 山本直克(NICT)
[次世代光通信/情報処理]
C-3/4-7 |
(依頼講演30分)量子インターネットに向けた量子中継の研究開発
○堀切智之(横浜国大) |
C-3/4-8 |
光ショット雑音の並列ホモダイン測定による100-Gbit/s量子乱数発生
○谷澤 健・加藤研太郎・二見史生(玉川大) |
C-3/4-9 |
(依頼講演30分)誘電体メタサーフェスを利用した光学素子:レンズからホログラムまで
○岩見健太郎(東京農工大) |
我々は通信波長量子もつれ生成、および長光ファイバ伝送後の中継ノードにおける量子メモリ結合システムの実証を通じた、量子中継実装を目標としている。量子メモリは希土類添加物Pr:YSOの不均一幅内に複数の波長チャンネルを生成することで、波長(周波数)多重可能な量子メモリを開発している。またメモリとの結合効率を高める狭スペクトル通信波長光源の開発も並行して行ってきた。
本発表では、通信波長光源と量子メモリをつなぐ波長変換・周波数安定化による調整を含めた、光-量子メモリ統合システムの研究開発現状と、統合実験に関してご紹介する。
真に予測不可能な乱数は暗号への応用に不可欠な技術である.量子力学によりランダム性が担保された現象を用いて乱数を生成する量子乱数発生器が,近年注目されている.レーザ光とビームスプリッタを用いてホモダイン測定した真空場揺らぎ,つまりレーザ光のショット雑音をエントロピー源とする量子乱数発生は,比較的な簡便な系で高速の乱数発生を実現できる.この量子乱数発生の一つの特徴は,エントロピー源の並列化が一つの共通のレーザ光を多段のビームスプリッタで分岐することで実現できることである.本稿では,1 × 8シリカ平面光回路スプリッタを用いた4並列の広帯域ホモダイン測定による量子エントロピー源を報告する.乱数抽出処理をオフラインで実施し,4 × 25 = 100 Gbit/sの高速乱数発生が実現できることを示した.
サブ波長サイズのナノ構造“メタ原子”を配列した位相格子である“メタサーフェス”は、次世代の超薄型光学素子として注目を集めている。我々は、単結晶シリコンからなる誘電体導波路型メタサーフェスを利用して、可視光で動作する回転型可変焦点Moireメタレンズならびにカラーホログラム動画を製作したので報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 谷澤 健(玉川大)
[次世代光通信/情報処理]
C-3/4-10 |
(依頼講演30分)光ニューラルフィールドと高速・高効率リザバー計算への応用
○砂田 哲(金沢大) |
C-3/4-11 |
シリコン上集積化SOA-MZMによる相互位相変調型光リザーバコンピューティング
○鶴谷拓磨・開 達郎・相原卓磨・中島光雅・ディアマドプロス ニコラオス・武田浩司・瀬川 徹・松尾慎治(NTT) |
C-3/4-12 |
集積ユニタリ変換器による偏波多重全光MIMO処理の実証
○田之村亮汰・唐 睿・相馬 豪(東大)・石村昇太(KDDI総合研究所)・種村拓夫・中野義昭(東大) |
AI・機械学習の急速な進展により、コンピューティングの需要が爆発的に増大すると同時にその要求水準も劇的に変化している。一方でポストムーア時代を支える新しいコンピューティング技術の創出が望まれている。本講演では、超高速・高効率のフォトニックコンピューティングおよびセンシングへの新しい展開を可能にするニューラルフィールド(PNF)という概念を導入し、光リザバー計算の高度化と応用展開の研究例を紹介する。はじめに、PNFを情報担体とする超高速・高効率光リザバー計算回路を紹介し、1.3 PMAC/s相当の瞬時処理の可能性を議論する。次に、高速光ランダムパターン生成に基づく圧縮センシング技術を導入し、それと光リザバー計算回路を組み合わせることで、サブナノ秒スケールの超高速パターン認識への展開が可能となることを示す。さらに、時間があれば、最適制御に基づく光の深層学習への展開についても議論する。
半導体光増幅器(SOA)中の相互位相変調(XPM)に基づいて顕著な非線形応答を示す光リザーバコンピューティング(RC)系を提案,動作実証した.シリコン上MZMの両アームにSOAが集積化された素子を活用することで,XPMに由来する位相変調を強度変調に変換し,遅延帰還光信号に対して強く応答する非線形なリザーバを実装した.相互利得変調(XGM)のみに基づいた従来の光RC系と比較して,リザーバの非線形応答性を有意に増強し,入力情報の保持時間,すなわちリザーバの記憶力を向上させることに成功した.非線形時系列予測タスク(Santa-Feタスク)に対しては,規格化平均二乗誤差が0.1を下回る良好な処理性能が得られた.
多コア・多モードファイバによる空間モード多重光通信は10Tbpsを超える大容量伝送を達成しているが,受信側でのモード間クロストーク補償に必須のmulti-input and multi-output (MIMO)処理の負荷低減が重要な課題となっている.本報告では,偏波多重とモード多重された信号に対し,シリコン上光集積回路による全光MIMO処理によってモードクロストーク補償に成功したので報告する.偏波回転分離部と任意光ユニタリ変換部によって構成される全光MIMO素子を用いることで, 3モード多重された300 Gbps 偏波多重4値位相変調 (DP-QPSK)信号を前方誤り訂正(FEC)閾値以下のビット誤り率 (BER)で復調することに成功した.
9月7日 9:00〜11:45 Meeting 23 座長 石倉徳洋(フジクラ)
[光制御(1)]
C-3/4-13 |
Investigation of nonreciprocal effect in topological waveguide with chiral metamaterial
◎Yahui Wang・Tomohiro Amemiya・Hibiki Kagami・Sho Okada・Nobuhiko Nishiyama(Tokyo Tech)・Xiao Hu(NIMS) |
C-3/4-14 |
低偏波依存性pn接合型光スイッチの偏波変換効率の要求条件に関する検討
◎杉山悠也・植之原裕行(東工大) |
C-3/4-15 |
ラティスフィルタ型石英系平面光波回路による可変利得等化器
◎森本祥江・山口慶太・鈴木賢哉(NTT) |
C-3/4-16 |
シリコンアレイ導波路回折格子とブラッググレーティングフィルタを接続した低クロストーク光フィルタの特性
○八木勇太・津田裕之(慶大) |
C-3/4-17 |
ベイズ型直接2分探索法により設計した超小型モザイクパワースプリッタの試作
○藤澤 剛(北大)・御手洗拓矢・沖本拓也・河野直哉・藤原直樹(住友電工)・澤田祐甫・村椿太一・佐藤孝憲(北大)・八木英樹(住友電工)・齊藤晋聖(北大) |
Chiral metamaterials give different properties for right and left circularly polarized light. Since topological waveguides have unidirectional propagation property that depends on the state of circular polarization, placing chiral metamaterials on topological waveguides have the potential to realize optical isolators on photonic integrated circuits without using magnetic materials. In this paper, we have analyzed the characteristics of the above devices and report the details.
シリコンフォトニクスによる低偏波依存pn接合型MZM-OSWを想定し、双方向入力を用いた偏波ダイバシティ構成を提案するとともに、BERの観点から、送信光パワーの設定値に対する偏波変換効率の要求条件を決定した。
エルビウム添加光ファイバアンプ(Er3+-doped Optical Fiber Amplifier: EDFA)は波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing: WDM)のキーデバイスである。今回、我々は、EDFAの動的な利得等化に向けて、小型化が可能で光ファイバとの接続性に優れる石英系平面光波回路(Silica-based Planar Lightwave Circuit: PLC)を用いた可変利得等化器の検討を行った。ラティスフィルタ型光回路によって構成される可変利得等化器を石英系PLCにより作製し、特性を評価した結果、低損失で偏波依存性の小さな可変利得等化器としての動作を確認した。
シリコンアレイ導波路回折格子にブラッググレーティングフィルタを接続した低クロストーク光フィルタを設計、作製した。シリコンアレイ導波路回折格子について、チャネル数16、チャネル間隔100 GHz 、AWG部の回折次数70、スラブ導波路長78.321 µm、アレイ導波路本数60本とした。ブラッググレーティングフィルタは広い部分の導波路幅を450 nm、狭い部分の導波路幅を420 nm、周期数を110とした。AWGの各出力導波路に2段のブラッググレーティングフィルタを接続した光フィルタを設計、作製した。ブラッググレーティングフィルタを接続しない場合の平均損失-2.6 dB、平均クロストーク-19.2 dBが、平均損失-2.9 dB、平均クロストーク-41.9 dBとなり、実用的に十分なクロストークの達成が見込まれる。
Si フォトニクスによる導波路型デバイスをさらに小型化、
高機能化するための方法として、モザイク型デバイスが注
目を集めており、これまで様々な超小型素子が提案されて
きた。モザイク素子の設計には通常、直接2 分探索法
(Direct Binary Search: DBS 法)が用いられるが、設計結果
が試行の度に変化し、また、局所解に陥りやすいという欠
点がある。それに対し我々は、機械学習技術の一つであ
るベイズ推定を用いることで、設計を高速化するとともに、
より良い構造の探索が可能であることを示した。ここで
は、このベイズDBS 法により作製した超小型パワースプリ
ッタを試作したので、その結果について報告する。
休 憩(10:30 再開) 座長 吉田真人(東北大)
[光部品・センシング]
C-3/4-18 |
6 ゾーン式温度勾配炉を用いた ZnS:Mn 薄膜蛍光体の作製
○北脇大靖・和迩浩一・山本伸一(龍谷大) |
C-3/4-19 |
光ファイバーベースレーザードップラー振動計の外乱緩和手法の検討
◎木村広太・藤井亮浩(OKI) |
C-3/4-20 |
Si導波路リング共振器による嗅覚センサの基礎検討
○田川裕士・清水大雅・吉田周平(東京農工大) |
C-3/4-21 |
分子センサに有用な近接光波長の光周波数コム対を同時発生するモード同期レーザの試作研究
◎安井健人・小西遥介・秋田 亮・佐藤知洋・髙橋直生・王 超一・上野芳康(電通大) |
C-3/4-22 |
波長変調された光周波数コム成分列をプローブ光としてC2H2吸収線2本に起因する被変調光電流成分を識別検出する分子センサー
◎小西遥介・髙橋直生・安井健人・上野芳康(電通大) |
無機 EL(EL: Electro-Luminescence)は電界印加により励起・発光するデバイスである。発光層にはZnS 系の無機蛍光体が主に用いられ、長寿命な発光デバイスへの応用が期待される。現在、無機 ELの蛍光体層は蛍光体を樹脂に分散する成膜方式と真空蒸着による成膜方式の 2 種類があるが、真空蒸着により成膜された無機 ELは高輝度発光が確認されている。本研究では、真空蒸着により ZnS:Mn金属薄膜を成膜後、温度勾配炉を用いて硫黄供給を行い、ZnS:Mn 薄膜の作製を検討した。
著者らは、レーザードップラー振動計の開発に取り組んでいる。振動計本体とセンサーヘッドの間を光ファイバー接続した光ファイバーベースレーザードップラー振動計では、光ファイバーを長延化することで遠方の対象物の振動測定が可能となる。しかし、光ファイバーに加わる外生的振動により測定結果が不正確になる問題がある。これを回避する手法として光偏波の直交性を利用した方式が既に提案されている[1]。しかし、偏波を保持する特殊なファイバーを使用する必要があり、コスト面で課題となっていた。また長延化に伴い偏波消光比が劣化するため、長延化時に精度が悪化していた。著者らは複数光源を用いることでこれらの改題を解決する手法を検討したので報告する。
Si細線導波路は、同一基板上に多数作製でき、光集積回路への応用が期待されている。これまで、Siの周辺に様々な化学修飾を施したバイオセンサやガスセンサが報告されている。化学修飾を施すことで、検出感度の向上や分子の識別が見込まれ、嗅覚センサなどへの応用が期待されている。化学修飾の中で、嗅覚受容体は匂い分子に対する幅広い応答や高感度検出が報告されていることから、嗅覚を模倣するための有力な手段の一つであるがリアルタイム高感度検出についての報告が少ない。本研究では、水中で安定な嗅覚受容体を修飾したSi 導波路嗅覚センサの実現に向けて、生理食塩水(PBS)を滴下した Si リング共振器に酢酸を滴下した際の共振波長のシフトから酢酸を検出し、嗅覚センサを基礎的に検討したので報告する。
当グループでは現在、波長を近接させた光周波数コム対の光ビートを利用した分子センサ方式を検討している。本研究はその前段階として、近接波長の光周波数コム対を同時発生させるモード同期レーザを提案・試作し、動作実証を行った。本方式レーザの外部変調周波数を10.5GHz,波長をそれぞれ1538.00nm,1538.05nm(光周波数差6.6GHz)に設定し、出力光及びその光ビート周波数を持つRF信号を測定した。その結果、波長差約0.05nmの光コム対及び3.9 GHz,6.6GHzの光ビート周波数を持つRF信号の生成に成功した。今後は本構造レーザを用いて、分子センサとしての動作実証を行う。
波長可変半導体レーザーを波長変調しながら掃引することによって,近赤外領域に吸収を持つ気体分子の吸収線を高感度に検出する変調分光方式(WMS)[1]がすでに研究され,実用化されている.しかし,検出対象以外の分子の吸収線がレーザーの掃引波長内にある場合に誤検出を起こすおそれがある.一方で我々は吸収線の間隔を光周波数コムによって高精度に検出するセンサー方式[2]を提案している.今回はオフセットとノイズを除去するために,我々は光周波数コム全体を波長変調し,変調周波数の2倍の周波数成分を検出する方式(2f検波)により変調分光を試みた.
9月8日 9:00〜11:45 Meeting 22 座長 八木英樹(住友電工)
[半導体レーザ]
C-3/4-23 |
(依頼講演30分)CPO光トランシーバのための1060nm帯単一モード結合共振器面発光レーザ
○小山二三夫(東工大) |
C-3/4-24 |
光閉じ込め構造改善によるGaInAsP半導体薄膜分布反射型レーザの低しきい値電流動作
○△高橋直樹・Weicheng Fang・Ruihao Xue・勝見駿斗・大礒義孝・雨宮智宏・西山伸彦(東工大) |
C-3/4-25 |
InP系Bi-Level方向性結合器における分岐特性の検討
◎川原井カノン・清水大雅(東京農工大) |
C-3/4-26 |
グリッドフリーWDMシステム向け量子ドット多波長レーザの無温調動作実証
◎増山 圭・白尾瑞基(三菱電機)・西山伸彦(東工大)・大畠伸夫(三菱電機) |
面発光レーザーは,これまでの研究開発により,レーザ単体としての性能も通常の半導体レーザーを大きく凌ぐようになってきた.サブミリアンペアの低しきい値素子の実現や近赤外波長域での実用化が進められ,現在の短距離光ネットワークの光源として中心的な役割を果たしている.また,サイバー空間とフィジカル空間が一体化するサイバー・フィジカル・システムの発展を支えるには、エッジ・クラウドコンピューティング性能の大幅な高度化が不可欠であり,そこでは,超高速・低消費電力光インターコネクト技術が求められている.
本講演では, 次世代光インターコネクトに向けCPO (Co-package Optics)超小型光トランシーバのための1060nm帯単一モード結合共振器面発光レーザについて述べる.
大規模集積回路の配線発熱や信号遅延といった問題を解決できるオンチップ光配線の光源として、我々は半導体薄膜分布反射型(DR)レーザを提案している。これまで薄膜レーザの低消費電力動作に向け、活性層への光閉じ込めに着目し、横方向の光閉じ込めを向上するburied-ridge-waveguide (BRW)構造、共振軸方向に対するAsymmetric corrugation pitch modulation (ACPM)回折格子導入の検討を行ってきた。今回、これらの構造を導入した半導体薄膜DRレーザにより低しきい値電流動作を実現したのでご報告する。
リング共振器は、波長分割多重通信における波長選択やへき開不要のレーザに用いられる光集積回路における重要なデバイスの一つである。リングレーザの低動作電流化のためには、曲げ半径の低減、導波損失に対して最適な共振器損失を実現する方向性結合器の分岐特性の実現と小型化が有効である。これまで我々は、エッチングプロセスによってBi-Level構造を実現し、マイクロワットオーダーの発光を得ることに成功した。しかしながら、リング共振とファブリペロー共振の分離が十分ではなく方向性結合器のギャップ部のエッチング深さと分岐特性に関する検討が不十分であった。本研究では、方向性結合器における導波特性と分岐比を検討し、分岐特性を改善する構造について報告する。
高密度な波長間隔と半導体レーザの無温調動作を可能とするグリッドフリーWDMシステムを提案している。提案システムでは温度変化によって波長ドリフトしても安定した波長間隔で発光する多波長レーザが重要なデバイスとなる。SiフォトニクスとQD-SOAを組み合わせた外部共振器型の多波長レーザでリング共振器のFSRに一致する約800GHzの周期で30℃、40℃、50℃のいずれの場合でも4波長同時発振動作を実証した。発振波長は温度上昇に比例してほぼ線形に60pm/Kでシフトした。また、温度上昇に伴い発振波長が長波長側の隣接レーンにシフトしているが、これはQD-SOAの利得シフトによると説明することができる。以上より、本レーザが提案システムにおいて有望な光源であることを示した。
休 憩(10:30 再開) 座長 望月敬太(三菱電機)
[半導体レーザ]
C-3/4-27 |
(依頼講演30分)長距離ディジタルコヒーレント伝送におけるローカル光位相雑音の影響
◎齋藤航平・中村政則・笹井健生・柿崎 武・濱岡福太郎・小林孝行・山崎悦史・木坂由明(NTT) |
C-3/4-28 |
アクティブMMIレーザへの垂直回折格子適用基礎検討
○高津渓一郎・肖 何・川野祐大・姜 海松・浜本貴一(九大) |
C-3/4-29 |
時間差導入による混合変調半導体レーザ高速変調時の波形整形
○内山 香・横田信英(東北大)・小林 亘(NTT)・八坂 洋(東北大) |
C-3/4-30 |
Affection analysis of frequency response with photon-photon-resonance (PPR) to large signal modulation (II)
○He Xiao・Keiichirou Kodou・Yudai Kawano・Kiichi Hamamoto・Haisong Jiang(Kyushu Univ.) |
120GBaud 16QAMサブキャリア信号の長距離伝送における白色および非白色ノイズによるEEPN信号品質の低下を,市販のITLA光源A,B,およびCを使用して評価した.MHzオーダのFMノイズが少ない光源の場合,EEPNによるNGMIペナルティが0.02と小さいことを確認した.さらに,FMノイズが10^5 Hz^2/Hzを超えても,SC数を8に増やすことで,NGMIペナルティを0.4から0.01未満に低減することを確認した.これによりサブキャリア信号は長距離伝送に適していることを確認した.
将来の超高速直接変調技術実現を目指し、アクティブMMI(multi-mode interferometer)による複数フォトン・フォトン共振を利用した、超高速直接変調レーザを検討している。これまで報告してきたアクティブMMIレーザでは、ファブリペロー共振構造であったことに起因して、絶対波長制御に難点があった。そこで今回、垂直回折格子導入による、絶対波長制御機構付加を検討した。本報告では、アクティブMMI構造への適用を前提に、ハイメサ導波路に対する垂直回折格子を設計し反射特性及び透過特性をシミュレーションした結果、透過特性の結果からストップバンドが確認できた。また、反射特性の結果から、特定波長帯の光の反射についても確認できた。
直接電流変調半導体レーザを高速化する手法として光子共鳴効果が注目されている.光子共鳴効果による共振ピークを適切に制御することにより変調帯域を拡大することができるが,緩和振動周波数以上の高周波領域における急激な感度劣化のため変調帯域拡大が制限されていた.この問題に対し,我々は,直接電流変調と共振器内部損失変調を同時に行う混合変調半導体レーザを提案してきた.本研究では,数値解析を通して直接電流変調と共振器内部損失変調に時間差を設けることで混合変調半導体レーザにおいて100-Gbps NRZ信号による動的単一モード動作時に出力光変調波形を改善することが確認できたので報告する.
Photon-photon resonance (PRR) in direct modulation laser diode has been widely researched [1] because of the potential of high-speed direct modulation capability apart from the constrain of the regular resonance (or oscillation) frequency. In our last work [3], we confirmed that the high PPR amplitude improved the extinction ration (ER) of large signal modulation, however, the mechanism how come it improved was not clearly analysed. In this work, we newly compared the result with the case of artificial flat response. As a result, it has been clarified that the damping improvement after CPR attributed to the signal quality improvement in eye-diagram.
9月8日 9:00〜11:45 Meeting 23 座長 安井 崇(北見工大)
[設計/シミュレーション]
C-3/4-31 |
導波路型偏波変換器設計における変換長の微修正
◎土方裕貴・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-3/4-32 |
通信波長帯で動作する周期的金属孔で構成される 1/4 波長板
○齋藤裕樹・柴崎英彦・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-3/4-33 |
誘電体平行平板からなる偏波回転子の広帯域化
朝生龍也・◎中條孝則・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-3/4-34 |
超広帯域台形テーパ非対称方向性結合器の設計
◎△落合真栄・藤澤 剛・中村航大・澤田祐甫・佐藤孝憲・齊藤晋聖(北大) |
C-3/4-35 |
断熱テーパ型III-V/Si高効率接続構造の作製トレランスに関する検討
◎内田啓太・佐藤孝憲・藤澤 剛(北大)・御手洗拓矢・平谷拓生・沖本拓也・石川 務・河野直哉・藤原直樹・八木英樹(住友電工)・齊藤晋聖(北大) |
導波路型偏波変換器において固有モード解析のみで消光比を評価すると,モデルによってピーク波長の位置に僅かな誤差が生じることがある.導波モードパワーの振る舞いを調べると入力導波路と変換導波路との接続部で,不連続性のために最初の変換長Lc1 のみが固有モードの変換長Lc に比べ僅かに小さくなることが見出せる.この時短縮比Lc1/Lc は,波長依存性が小さい.そのため,中心波長で一度FDTD 解析を行い,短縮比を求めておけば,残りの波長の計算は固有モード解析のみで精度よくかつ効率的に行うことができることを明らかにしている.
金属膜に周期的開口を設けると異常透過の得られることが知られている.筆者らはクロススロット配列を利用し,スロット長あるいは周期長を変化させることで,直線偏波を円偏波にする変換板として動作することを明示してきた.さらに,金属膜を誘電体で挟み金属面に対する対称性を保つことで,透過率が向上することを見出してきた.しかし,検討は動作帯域を考慮していなかった.本稿では,通信波長帯(Oバンド)での動作を意図し,構造を再設計する.スロット長に僅かな差をもたすことで,通信波長帯でも80%以上の高透過率を有する偏波変換板として動作することを明示する.
近年,周期構造を用いて偏波制御を行うデバイスに関心が高まっている.筆者らは,誘電体平行平板からなる1/2波長板を45°の交差角で積層することで,入射偏波面無依存偏波回転子として動作することを明示してきた.しかしながら,これまでの検討では,単一の誘電体平行平板の基本特性に関する考察が不十分であった.本稿では,充填率と周期長を変化させた際の,位相差特性を解析する.構造値を選択することで,位相差の波長特性に極値が生じ,広帯域に偏波回転子として動作することを明らかにする.
近年,長距離光通信の大容量化のために,波長分割多重方式と共に,偏波多重方式が併用されている.将来,波長分割多重方式で使用する帯域が広がることを想定すると,併用される偏波多重方式には,広帯域に偏波の合分波が可能な偏波制御素子が必要不可欠である.偏波制御素子の中でも,シリコン導波路型偏波分離回転素子(Polarization Splitter-Rotator: PSR)は,光送受信機用チップ内に集積することができるため,光送受信機の小型化と低コスト化が期待できる.代表的なシリコン導波路型PSRとして,非対称方向性結合器(Asymmetric Directional Coupler: ADC)型TE0-TE1モード変換器(Mode Converter: MC)と,TE1-TM0MCを縦列接続したPSRが報告されているが,構成要素であるADCには,一般に波長依存性が大きいという問題がある.この問題を解決するため,本稿では,バス導波路をテーパさせたADCを利用して,超広帯域に動作するTE0-TE1MCを設計したので報告する.
III-V族化合物半導体から成る高効率な光学素子をSOIプラットフォーム上に多機能集積する異種材料集積に関する研究が近年活発に行われている.InP系導波路とSi導波路間の光接続構造として多段テーパ構造が報告されているが,80%以上の結合効率を得るためには,400 nm以下のInP系導波路のテーパ先端幅が要求され,作製難度が高い.本報告では,Si導波路のみをテーパ構造とした構成を提案し,InP系導波路とSi導波路の中心座標をずらすことで,作製トレランスが向上することを示す.また,対称テーパ構造に比べ,片側テーパ構造が優位であることも示す.
休 憩(10:30 再開) 座長 中 良弘(宮崎大)
[設計/シミュレーション]
C-3/4-36 |
光波長フィルタと光ユニタリ変換器を用いたアナログRoF用光制御ビームフォーミング
◎佐藤孝憲・藤澤 剛・齊藤晋聖(北大) |
C-3/4-37 |
6モードスクランブラと光ユニタリ変換器を用いた4LPモード合分波器の検討
◎吉田康人・佐藤孝憲・藤澤 剛(北大)・森 崇嘉・坂本泰志・山下陽子・今田諒太・中島和秀(NTT)・齊藤晋聖(北大) |
C-3/4-38 |
深層学習を用いた高次直列結合マイクロリング波長フィルタの設計
○福與太一・荒川太郎(横浜国大) |
C-3/4-39 |
モザイク構造に基づく波長2 µm帯小型2 × 2 3-dB結合器
○村椿太一・藤澤 剛・佐藤孝憲・齊藤晋聖(北大) |
C-3/4-40 |
DWDMフィルタの透過における焦点移動現象
○田中正人・山田英一郎・田澤英久(住友電工) |
第6世代移動通信システム(6G)では,デジタルRoFからアナログRoF(ARoF)への移行が検討されている.しかしARoF伝送では,これまで基地局で行っていたビームフォーミング等のMIMO処理を遠隔で行う等の新しい技術が求められている.本研究では,ARoF信号に載せられた無線信号の位相を光波長フィルタと光位相シフタで制御できること,ならびに,光ユニタリ変換器と可変光減衰器を用いて複数の光信号を任意の比で干渉させられることに着目し,ARoF信号をD/A変換することなく任意の角度に対してマルチビームフォーミング可能な構成を提案する.原理検証のための簡易的な数値解析を行い,所望のビーム指向性が得られることも示す.
モード分割多重(MDM)用デバイスの1つである平面光波回路(PLC)型6モード合分波器(MUX/DEMUX)は,4LPモードを選択的に励振することができ,モード依存損失(MDL)が低いことで注目を集めている.しかし,多数の非対称方向性結合器(ADC)が用いられており,位相整合を取るために高いアスペクト比が必要となるだけでなく,導波路間隔によって特性が大きく変わるといった製造トレランスの問題がある.これに対して,Y分岐の多段接続構造を用いたPLC型6モードスクランブラは,モードが混ざりあうためMIMO処理が前提となるが,上述のADCの問題を大幅に改善できる.
我々は以前,4モードスクランブラに4×4光ユニタリ変換器を接続することで,ADCの問題を回避しつつ2LPモードを選択的に励振可能な2LPモードMUXを提案した.本報告では,PLC型6モードスクランブラの前段部に4×4および2×2の変換器を配置した4LPモードMUXを提案し,低損失かつ広帯域に動作可能なことを示す.
光波長フィルタはフォトニックネットワークの経路制御に用いられる重要なデバイスであり,特に本研究の対象となる高次直列結合マイクロリング共振器波長フィルタは小型で設計性に優れている.しかし,リング次数が高次になるほどに設計パラメータが増え,設計時に要求される条件が多いため,所望の特性を有するフィルタの設計は容易ではない.
そこで本研究では,機械学習の中でも少ない評価項目で用いることが可能な深層学習を使い,フィルタ設計を試みた.光デバイス設計における深層学習の適用例としてはフォトニック結晶デバイス設計があるが,高次マイクロリングフィルタ設計へ適用された例はない.
波長2 µm帯において、モザイク構造に基づく小型2 × 2 3-dB結合器を提案する。2 × 2 3-dB結合器の主な構造として挙げられるマルチモード干渉結合器型は、製造トレランスの高さ、広帯域性に優れている一方で、大きな設置面積が課題となっていた。本研究では、マルチモード干渉導波路および前後のテーパ導波路にモザイク構造を適用し、2 × 2 3-dB結合器の大幅な小型化が可能であることを示した。提案素子は、従来のマルチモード干渉結合器型素子と比べて設置面積が約10分の1であり、透過率が89%を超え、また出射ポート間の透過率差は3.4%未満、位相誤差は1°未満と高い性能を示す。
薄膜フィルタ(TFF)を用いてジグザグ状に反射させる空間型光合分波器(MUX/DEMUX)が、波長チャネル数4-16chで低損失を実現できるものとして期待されているが、TFFにおけるビーム特性変化が損失に大きな影響を及ぼす。このビーム特性変化について、TFFの反射及び透過で焦点移動が生じることが知られているが、透過における焦点移動はTFF曲面の屈折効果で説明できる反射における焦点移動とは大きく異なるため、空間型MUX/DEMUXの詳細設計にTFFの透過モデルが必要である。本報告では、TFFの中心波長特性と群遅延特性を考慮したモデルで、TFFの透過における焦点移動現象を説明できることを報告する。
9月8日 13:00〜17:00 Meeting 22 座長 竹中 充(東大)
[光集積]
C-3/4-41 |
(依頼講演30分)AXELによる1.5 pJ/bit 128 Gbit/s 50℃動作
○小林 亘・金澤 慈・進藤隆彦・満原 学・中島史人(NTT) |
C-3/4-42 |
SiC基板上直接変調メンブレンレーザの85℃における光子-光子共鳴効果により増強された74 GHz帯域の実証
◎山岡 優・Diamantopoulos Nikolaos-Panteleimon・西 英隆・藤井拓郎・武田浩司・開 達郎・金澤 茂・硴塚孝明・松尾慎治(NTT) |
C-3/4-43 |
(依頼講演30分)データ伝送およびコンピューティングに向けた高性能SiフォトニクスデバイスおよびInP/EOポリマーハイブリッド光変調器
○藤方潤一(徳島大)・野口将高(PETRA)・佐久間智己(徳島大)・岡本大典(PETRA)・石川靖彦(豊橋技科大)・横山士吉(九大) |
AXEL (SOA assisted extended reach EADFB laser)を用いて、100Gbit/s以上の動作を低消費電力で実現する検討を行った。64Gbit/sにおいて1.0 pJ/bit、128Gbit/sにおいて1.5 pJ/bitの動作を実現した。光配線の技術領域での適用を目ざし、さらなる高速化と電力効率の改善を進めていく。
800 Gbit/sイーサネット向けの光送信器には、アンクール100 GBaud級動作が求められる。これまでに我々は、高電流密度・高光閉じ込めによる広帯域化の観点から高放熱・低屈折率SiC基板上メンブレンレーザを作製し、光子-光子共鳴(PPR)効果を用いて108 GHz帯域と256 Gbit/s PAM-4信号伝送を実証したが、動作温度は25℃に留まっていた。高温では緩和振動周波数が劣化し、PPR周波数との間で周波数応答にディップが生じることが懸念となる。そこで今回は、85℃における小信号応答を測定した結果について報告する。85℃において、SiCの高い放熱性により30 GHz近傍に緩和振動ピークが観測された。PPRにより増強された3dB帯域は74 GHzであり、本レーザがアンクール100 GBaud動作に有望である。
本検討では,高速・高効率Siマッハツエンダー変調器およびGe受信器の112Gbps高速動作に関して報告する.また, 電気光学(EO)ポリマーと半導体層をハイブリッド化した高性能ハイブリッド光変調器およびこれを利用した光演算回路の検討内容に関しても報告する.
休 憩(14:30 再開) 座長 田中信介(富士通)
[光集積]
C-3/4-44 |
Thermal resistance reduction of ridge-waveguide III-V/SOI hybrid lasers by thin ridge-insulation
◎Moataz Eissa・Takehiko Kikuchi・Yoshitaka Ohiso・Tomohiro Amemiya・Nobuhiko Nishiyama(Tokyo Tech) |
C-3/4-45 |
High temperature operation of membrane optical link with buried-ridge-waveguide on Si bonded by surface activated bonding
○Weicheng Fang・Naoki Takahashi・Tsuyoshi Horikawa・Yoshitaka Ohiso・Ruihao Xue・Shunto Katsumi・Tomohiro Amemiya・Nobuhiko Nishiyama(Tokyo Tech) |
C-3/4-46 |
(依頼講演30分)Siプラットフォーム上メンブレンInGaAlAs EADFBレーザ
○開 達郎・相原卓磨・前田圭穂・藤井拓郎・佐藤具就・土澤 泰(NTT)・髙畑清人・硴塚孝明(早大)・松尾慎治(NTT) |
Hybrid integration of III-V lasers on SOI by wafer bonding has gained attention as on-chip light sources for coherent detection applications in Si photonics. However, it suffers from a relatively high thermal resistance due to the SOI buried-oxide which limits the CW output power. In this work, thermal resistance reduction of FP hybrid GaInAsP/SOI ridge-lasers is demonstrated by allowing additional heat transfer to p-electrode metal on ridge sides through a thin insulation film. Thermal resistance values were simulated and measured for conventional and improved ridge insulation structures. Reduction of 9.3% and 16.3% was obtained from simulation and experiment, respectively.
The on-chip optical interconnect is attracting attention for overcoming interconnection bottleneck in electrical global wiring of Si-LSIs. We proposed the membrane optical integrated circuit (MPIC) consisted of membrane DFB laser, GaInAP buried waveguide, and p-i-n photodiode (PD) on Si substrate by benzocyclobutene (BCB) adhesive wafer bonding. However, large thermal resistance limited its output power, especially, at high temperature. In this report, we introduced a surface activated bonding (SAB) at room temperature to reduce the thermal resistance of membrane DFB laser, and a buried-ridge-waveguide (BRW to enhance the lateral optical confinement. The static and dynamic characteristics were measured under various stage temperature.
本研究ではメンブレン電界吸収型光変調器とDFBレーザのSi光回路上集積について報告する。変調器及びレーザは230 nm厚のInP層を用いた横型p-i-nダイオード構造を有する。これにより変調器の光閉じ込め向上と素子容量低減の両立が可能となり、67GHz以上のE-O帯域を達成した。また、メンブレンInP層とSi導波路層の実効屈折率が概ね整合するためInP-Si間の光結合が容易となり、高性能InP系レーザと光変調器のSi光回路上集積が可能となった。
休 憩(15:45 再開) 座長 硴塚孝明(早大)
[光集積]
C-3/4-47 |
光電子集積インターポーザを用いて小型化実装したTWDM-PON光トランシーバーモジュールの送受信特性
○小野英輝・高橋博之・太縄陽介・玉井 功・長谷川達志・伊藤正紀・岡山秀彰・志村大輔・八重樫浩樹・佐々木浩紀(OKI) |
C-3/4-48 |
シリコンフォトニクスを用いた小型波長ロッカ素子の基礎動作検証
○鈴木純一・長谷川清智・増山 圭・大畠伸夫・有賀 博(三菱電機) |
C-3/4-49 |
3Dミラーを用いた光電コパッケージ用光再配線構造の熱解析
◎中村 文・須田悟史・黒須隆行(産総研)・指宿康弘(PETRA)・乗木暁博(産総研)・玉井 功・浮田明生・竹村浩一・青木 剛(PETRA)・天野 建(産総研) |
C-3/4-50 |
(依頼講演30分)ソリッドステート光メモリの実現に向けた光導波路型光磁気記録メモリ
○庄司雄哉・村井俊哉・西山伸彦・水本哲弥(東工大) |
Siフォトニクス技術によりTWDM-PONで用いる上り下り各4波長多重の一芯双方向光送受信機能を集積した超小型の光送受信チップの開発を進めてきた。また、同時に開発を進めてきた光電子集積インターポーザを用いた小型化実装技術により、この光送受信チップを実装したTWDM-PON ONU用光トランシーバーモジュールを試作した。この光トランシーバーモジュールに対して、TWDM-PON仕様10Gbps上り下り各4波長多重の一芯双方向光送受信機能を評価したところ、上り下り共に4波の波長間隔がTWDM-PON仕様を満たしていることと、10Gbpsの送受信を実証した。
シリコンフォトニクス技術を用いた低コスト光源向け小型波長ロッカを提案した。同一 TEC 上動作となる提案構成の動作原理を示すとともに、波長ロッカ素子の試作評価を行った。素子単体の測定結果から波長ロッカに必要となる波長依存性を確認し、本提案の実現可能性を見出した。
データセンタでのトラフィック増加に伴い、電気配線部分の電力消費量の増大が課題となっている。光電コパッケージではパッケージ基板上に光素子と電子デバイスを集積し、電気配線の一部を光配線に置き換えることで低消費電力化が可能となる。光電コパッケージではシリコン導波路からポリマー導波路への結合部にマイクロミラーを用いることで広帯域・低損失な光再配線が実現される。データセンタでは高温化での動作が求められるため、シリコンとポリマーのように熱膨張係数が2桁以上異なる材料の集積の場合、高温での特性劣化が懸念される。そこで本研究では熱応力解析と光学伝搬解析を行い、光電コパッケージ用光再配線構造の熱特性解析を行った。
我々の研究グループでは,光磁気記録を用いた導波路型光メモリについて研究を進めている.光磁気記録はかつてMOディスクとして製品化された技術であり,メモリとしての性能は実用性が高い.しかし,光信号処理に用いるためにはレンズなどの空間光学系や機械的な回転機構を持たないソリッドステートの光メモリが望まれる.本報告では,記録層となる薄膜磁石のメモリ磁化による光強度への再生動作,光誘起の磁化反転による磁化への記録動作の実証について紹介する.
9月8日 13:00〜17:00 Meeting 23 座長 藤田和上(浜松ホトニクス)
[光・THz無線(2)]
C-3/4-51 |
(依頼講演45分)コヒーレント検波による2キャリア間のアンド演算を用いた暗号化無線伝送システムの原理実証
◎山内健太(NTTドコモ)・河合優佑・車 明(九大)・伊藤 弘(北里大)・石橋忠夫(Wavepackets)・加藤和利(九大) |
C-3/4-52 |
小型ドローンの垂直飛行に向けた光無線給電系の詳細設計
○菊地悠登・渡村友哉・宮本智之(東工大) |
C-3/4-53 |
光無線給電による走行中無線給電型EVのCO2排出量抑制効果
○須田祐輔・鶴田公隆・宮本智之(東工大) |
無線の物理レイヤでの新たな暗号化手法として,テラヘルツ波ビーム制御とコヒーレント検波による2キャリア間のアンド演算を利用した伝送システムを考案した.2つの300GHz帯テラヘルツキャリアを用いた2キャリア間のアンド演算実験にてその原理実証を行った結果を報告する.
本研究は光無線給電(OWPT: Optical Wireless Power Transmission)によるドローンの飛行中無線給電を目標としている.OWPT方式は小型で長距離給電可能,電磁ノイズなしという利点から, ドローンへの給電に最適と考えている.本研究ではドローンの応用拡大に向けて小型ドローン(トイドローン)に着目してきた.これまでに小型ドローンの固定設置太陽電池からの配線により垂直浮遊最大64 cm(光出力24.4 W)や,小型ドローンの認識・追跡手法の基礎検討などを報告した.今回,小型ドローンに太陽電池搭載した垂直飛行動作条件の検討を行った. その結果, VCSEL光出力25.4 Wを照射したところ,小型ドローンのプロペラの一つが1 cmほど浮きあがることを確認した.
電気自動車(EV)はガソリン自動車と比較してCO2排出量が削減され、地球温暖化の重要な対策となる。しかし、EVには多量のバッテリーが搭載され、これはEV自身の1/3の重量、1/3のコスト、また走行可能距離制限など、多様な課題を持つ。さらにバッテリー製造時のCO2排出量は極めて多く、CO2排出抑制を制限する。このEVを走行中無線給電化できれば、理想的にはバッテリー搭載が不要となり、CO2削減を含む多様な課題解決に加え、充電作業の不要化など利便性向上も期待される。ここで光ビームと太陽電池で構成される光無線給電(OWPT)を用いたEVはバッテリーの削減ができ、CO2削減につながる。本発表では、レーザー学会の提言書内容を基本に、光無線給電による走行中無線給電式EVのCO2排出削減効果をより詳細に評価したので報告する。
休 憩(14:30 再開) 座長 永井正也(阪大)
[光・THz無線(2)]
C-3/4-54 |
超広帯域テラヘルツ非線形量子カスケードレーザの周波数と放射角度の関係、および応用計測における影響評価
○中西篤司・林 昌平・里園 浩・藤田和上(浜松ホトニクス) |
C-3/4-55 |
InGaN真空フォトダイオード用405nm帯二光波生成
○宋 慶傑・三上裕也・加藤和利(九大) |
C-3/4-56 |
フライアイレンズを用いた高出力水中光無線給電の実験検証
◎多井楢葉・高橋 倭・宮本智之(東工大) |
非線形量子カスケードレーザは非常に小型であり,取り扱いが容易な半導体光源である.従来のテラヘルツ波量子カスケードレーザとは異なり,室温動作が可能であるだけでなく,超広帯域テラヘルツ波放射が可能である.非線形量子カスケードレーザは活性領域内で中赤外光をテラヘルツ波に変換させる際に,チェレンコフ位相整合(角度位相整合)を利用している.このチェレンコフ位相整合によってテラヘルツ波をブロードバンド発生させたときに,周波数ごとにわずかに放射角度が変化することが知られている.そこで,その周波数ごとの放射角度について計算を実施した.さらにこの放射角度の差がイメージング応用においてどのような影響があるかについて実験およびシミュレーションによって評価を実施したところ,集光スポット径を考慮すると十分小さいため,分光イメージングなどにほぼ影響を与えないということがわかった.
データトラフィックの爆発的な増加に対応するため、テラヘルツ波を用いた高速無線通信が注目されている。我々は2つの光波から、その周波数差に等しい電磁波を生成するフォトミキシング技術を用いたテラヘルツ波生成法を研究している。現在フォトミキサとして使われている1550nm帯単一走行キャリアフォトダイオード(UTC-PD)は出力に上限が存在するため、我々は電子を走行させる真空フォトダイオード(V-PD)によるテラヘルツ波の高速・高出力化を目指している。高い光電子放出効率が期待されるInGaN V-PDを用いたフォトミキシングによるテラヘルツ波生成では405nm帯の二光波光源も重要な開発課題である。今回、405nm帯レーザから単一モードの二光波を生成したので報告する。
現在,水中・海中では既存の無線給電は損失が大きく利用できない.そこで損失の少ない青色光を利用した水中無線給電の実現により,新たな応用創出なども期待できる.本研究では,これまでに水槽(水中伝搬距離90cm)において青色レーザーを利用した光無線給電実験の基礎評価を行い,特に,ビームの位置ずれ耐性や効率に有効なフライアイレンズを用いた太陽電池均一照射モジュールを構築してきた.電力出力を達成するために6W出力の青色レーザー3台を利用し,最大出力2Wを得た.効率や長距離伝搬特性も報告予定である.
休 憩(15:30 再開) 座長 島川 修(住友電工)
[ファイバデバイス]
C-3/4-57 |
内径533μm銀中空Ni-Tiファイバの伝送特性
○岩井克全・高久裕之・宮城光信(仙台高専) |
C-3/4-58 |
A Study on Cladding Diameter Dependence of Crosstalk in Heterogenous Multi-core Fibers by considering Polarization-mode Coupling Effects
◎Gustavo Ocampo・Takanori Sato・Takeshi Fujisawa(Hokkaido Univ.)・Yoshimichi Amma(Fujikura)・Kunimasa Saitoh(Hokkaido Univ.) |
C-3/4-59 |
Bending-Fiber Mode Filter Evaluation for 1060nm Data Transmission in Conventional Single-Mode Fiber
○Boxuan Zhang・Fumio Koyama・Xiaodong Gu・Susumu Kinoshita(Tokyo Tech) |
C-3/4-60 |
螺旋状ファイバ回折格子による広帯域OAMモード変換器の開発
◎鈴木大河・久保 凌・孟 章・李 洪譜(静岡大) |
C-3/4-61 |
2LPモード伝送のためのPLC型モード依存損失等化器の性能検証
◎井馬遼人・藤澤 剛(北大)・森 崇嘉・阪本隼志・山下陽子・坂本泰志・今田諒太(NTT)・佐藤孝憲(北大)・渡邉 啓・笠原亮一・橋本俊和・中島和秀(NTT)・齊藤晋聖(北大) |
C-3/4-62 |
19コアMCFを用いた空間クロスコネクト用1x8コア選択スイッチ
○音羽亮平・川杉昌弘・堀田雄二・久能雄輝・溝口 真・高橋文博・桜井康樹(santec)・神野正彦(香川大) |
内視鏡治療用無破断中空ファイバとして、Ni-Tiチューブを母材とした中空ファイバの製作を行ってきた。今回は、中空Ni-Tiファイバの長尺化を図り、内径533 μm、外径635 μm、長さ1 m、銀中空Ni-Tiファイバの製作を行い、その伝送特性について述べる。
We considered polarization-mode coupling effects caused by the birefringence in optical fibers to investigate the crosstalk’s dependence on the cladding diameter in heterogenous multi-core fibers (Hetero MCF). The research consisted in simulating the crosstalk of two Hetero MCF with almost identical cores, but different cladding diameter, as a function of their birefringence beat length and correlation length. Results showed different ranges of beat length and correlation length for each fiber, which are assumed to be related to a difference in resistance to structural perturbations from different cladding diameters.
We measure the bending loss of LP11 mode by using offset-splicing fiber. The measurement results agree well with the simulation model.
[背景]
OAMモードはその特性からモード分割多重 (MDM)光通信システムへの応用が期待されている.
OAMを生成するOAM変換器の中でも螺旋状長周期ファイバ回折格子(HLPG)は,ファイバ単体でOAM変換が可能で省スペースな点や,作製が容易な点から注目を集めている.
[目的]
DTP法という手法を用いてC+Lバンドの広帯域をOAMに変換できるHLPGを作製する.この手法は均一な螺旋構造のHLPG一本で作製でき,先行研究における広帯域OAM変換器の課題を解決できると考えられる.
[方法]
光ファイバをレーザで熱したサファイア管に通しながら,ねじることで螺旋構造を形成する.
[結果]
帯域幅65nmの広帯域HLPGを試作することに成功した.
近年,光ファイバの伝送容量の拡大のため,数モードファイバ(Few Mode Fiber: FMF)を用いたモード分割多重(Mode Division Multiplexing: MDM)伝送が多くの注目を集めている.しかし,複数のモードを伝搬させるMDM伝送では受信部分においてモード依存損失(Mode Dependent Loss: MDL)が生じる.このMDLが大きい場合,受信部分での信号復元処理が複雑化してしまう.そこで,MDLを低減するために,低次モードの損失のみを大きくする平面光波回路(Plannar Lightwave Circuit: PLC)型MDL等化器の設計及び試作をし,その性能検証を行った.設計したデバイスを用いることで,LP11a,bモードに比べ,LP01モードのみに3 ~ 4dBの過剰損失を与えることが可能であり,MDLの低減が見込めることを確認した.
B5Gを支えるネットワークは現在の単一モードファイバのみを用いた光リンクでは構成が困難であることからMCF(マルチモードファイバ)を用いたSDM(空間分割多重)技術の研究開発が行われている. 大規模なSDMネットワークの構築にはWDMレイヤとSDMレイヤを明確に分離し、従来の波長単位の光スイッチに加え、空間単位の光スイッチを設け、階層型SDM光ネットワークを構築する方が、経済的であり拡張性にも優れている. またコア選択スイッチ(CSS)に基づくFIFOレスの空間クロスコネクト(SXC)は更に経済性に優れている. 今回、SDM光ネットワークの基盤技術となるMCFを用いた1x8 CSSの検討を行ったので報告する.
9月9日 9:00〜11:30 Meeting 22 座長 種村拓夫(東大)
[光制御(2)]
C-3/4-63 |
(依頼講演45分)光信号処理技術のシステム応用ならびに光集積デバイス適用に関する研究
○植之原裕行(東工大) |
C-3/4-64 |
光信号処理による復号化回路の提案および基本動作の実証
○相川洋平・植之原裕行(東工大) |
C-3/4-65 |
Siフォトニクス光OFDMチャネル分離回路の温度変化に対する位相許容度に関する検討
○塚澤直也・植之原裕行(東工大) |
光通信ネットワークはインターネットの成長を支え続ける社会インフラであり、高速化を続ける無線通信のバックボーンでもあり続けている。その理由は光ファイバのメタル線にはない広帯域にわたる低損失性、50Gbaudを超える変調速度を実現可能な光送受信器、波長・偏波・空間分割多重を可能とする光機能素子、一括処理可能な光増幅器などの存在が大きい。その中で、高速光パケットを低負荷で宛先認識・転送可能な技術は通信ネットワークのみならずコンピューティングにおいても重要性が増すと考えられる。これまでその手法提案と実証、光集積素子の適用に関する研究に携わってきた技術を中心に解説する。
CMOS技術における処置遅延の問題を解決することを目的として,現在,光技術をプロセッサチップ内に導入し一部処理を光の領域にて実行する 「光アクセラレータ」が注目されている.本研究は,そのなかでもプロセッサにおける命令解析に着目し,復号化回路の実現を目指すものである.従来技術は,非線形光学現象を用いて光領域で論理演算を実行するものであった.これに対して,本研究では「線形」現象を用いて復号化動作を実行する.検討の結果,2-bitのBPSK信号に対して特定の符号に紐づくポートからのみ光信号を取り出すことに成功した.これは正常な動作波形であり,その際の消光比は7.6 dB であった.
インターネットの急速な普及に伴い、幹線系のコアネットワークだけでなく、メトロ・コアネットワークにも大容量化が求められている [1, 2]が、光直交周波数分割多重(OOFDM)を導入することでさらに改善されると考えており、光集積チャネル分離回路の集積化[3-5]、各サブチャネルに信号を割り当てる機能やスイッチングが実証されている[5, 6] 。サブチャネル間隔とクロストーク特性は、素子特性評価において重要であるが、Siフォトニクスでは位相誤差が大きな問題として残り、クロストーク特性も理想値より悪くなる傾向があり、分離信号への影響が懸念される。本報告では、SiフォトニクスOOFDMチャネル分離回路の温度変化によるQPSK信号のEVM評価を行い、温度変化に対する位相シフト許容度を見積もったので報告する。
休 憩(10:30 再開) 座長 西山伸彦(東工大)
[LIDAR]
C-3/4-66 |
SS-OCT方式ディジタル光センサにおける測定範囲拡大の一検討
○山内隆典・園 直樹・後藤広樹・小竹論季・今城勝治(三菱電機) |
C-3/4-67 |
除錆レーザ安全装置用FMCW LiDARの検討
○△上野雅浩・川村宗範・坂本 尊・津田昌幸(NTT) |
C-3/4-68 |
瞬時ビート周波数の比較によるFMCW光距離センサシステム
◎田中壮太・飯山宏一(金沢大) |
C-3/4-69 |
電気的周波数逓倍kサンプリング法を用いたFMCW光距離センサ
◎檞 知弥・飯山宏一(金沢大) |
我々は距離測定の一手法として波長掃引型光干渉断層計(SS-OCT)をベースとした光センサを提案している[1].周波数変調方式ライダと同様に波長掃引光源を用いて,対象物までの距離に比例するビート周波数を持つ光を受光したのちフーリエ変換して得られるスペクトルを用いて測距する.本方式は,ビート周波数スペクトルの得られる距離範囲が瞬時周波数の逆数であるコヒーレンス長によって制限される.さらに,光路長差が等しい点である零点を中心として絶対値の等しい周波数をもつ折り返しスペクトルピークが生じるため,測定可能な距離範囲はコヒーレンス長の半分に制限される.この課題に対して,光通信分野で用いられるコヒーレント受信機であるICRを用いた直交検波によって信号の折り返しピーク強度を抑制する技術が報告されている[2].このとき,複素信号として取り扱うI信号とQ信号の位相差は理想的な90°からIQインバランスと呼ばれる位相差を持つため,折り返しピーク強度の抑制量が限定される.そこで,本研究においては,IQインバランスの評価と補正によって抑制量を改善した.
鉄塔等のインフラ設備の保守における素地調整(除錆)では、素地破壊が生じ難く、塩分除去可能で、狭隘部作業可能なレーザ工法が注目されているが、ハイパワーレーザビーム照射故の作業者や周囲への損傷を回避するため、我々は、錆光減衰に対応可能なFMCW LiDARを構成し除錆対象/対象外の検知装置の開発を進めている。安全性向上には当該LiDARの高速化が必須であるのに対してFMCW LiDARはその処理の複雑さ故に高速化の難易度は高いが、信号処理をCPUから数千レベルの並列化が可能なGPUに実装し直したところ、12倍の高速化が為されたので報告する。
車載距離センサなどに利用可能なFMCW光距離センサは光の干渉を用いた距離計測法であり、干渉信号のビート周波数から距離を得る。FMCW光距離センサは光周波数掃引の非線形性により距離測定精度が劣化するため、光周波数掃引の線形化 や、kサンプリング法やリサンプリング法により信号サンプリングの最適化が行われている。 本報告では、補助干渉計と測定干渉計の瞬時ビート周波数の比較から距離を測定する方法を提案する。
光周波数が掃引されたレーザ光源を用いるFMCW光距離センサは、簡便な構成で高い空間分解能が実現されるため、高い精度で短距離から長距離への測定が期待される。一方,光周波数掃引の非線形性の影響を受けるため,kサンプリング法などの手法が利用されている。本研究では、kサンプリングクロックの周波数の電気的逓倍による,距離測定の長距離化について報告する。
C-5. 機構デバイス
9月8日 13:00〜13:30 Meeting 21 座長 萓野良樹(電通大)
C-5-1 |
気流を噴出させる接点対間で発生させた開離時アークの継続時間に対する開離速度と接点形状の影響
◎服部聖也・関川純哉(静岡大) |
C-5-2 |
500VDC/10A回路内で磁気吹き消しされる開離時アークに作用するローレンツ力の空間分布を考慮した解析
◎半田 蒼・関川純哉(静岡大) |
直流回路の遮断時に電気接点対間にて発生するアーク放電の消弧手法として発表者らは過去に電気接点内部から気流を噴出させる手法を提案した.過去の報告において,接点開離速度vが0.2m/s,0.4m/s および 0.5m/sでは気流噴出によるアーク継続時間の違いはなかった.
本報告ではより多くの気流噴出がされるように接点開離速度と構造を変えた電気接点を用いて開離時アークを発生させた場合の結果について報告する.
開離時アークを消弧する手段の一つに永久磁石を用いた磁気吹消しがあり,開離時アークに作用するローレンツ力は消弧特性を示す重要な指標である.
本報告では,500VDC/10Aの抵抗性負荷回路内で接点対を0.05m/sで等速開離させた場合に,磁気吹き消しされる開離時アークについて,電流分布と磁束密度分布を考慮して解析したローレンツ力の時間変化を報告する.
C-6. 電子部品・材料
9月8日 13:00〜13:45 Meeting 29 座長 中澤日出樹(弘前大)
C-6-1 |
Cu成膜条件によるAZO/Ag/Cu/AZO透明導電膜の電気的特性の改善
◎上床雄貴・永田哲平(鹿児島高専)・吉村幸雄(鹿児島工業技術センター)・新田敦司(鹿児島高専) |
C-6-2 |
PLD法で作製した硫化鉄薄膜の電子物性
○播間愛実・小宮山崇夫・長南安紀・小谷光司・山口博之・山内 繁(秋田県立大)・菅原 靖・関根 崇・杉山重彰(秋田県産技セ) |
C-6-3 |
ナノクリスタル材料を用いた電波受信アンテナの開発
○佐久間穂崇(東静工業)・守谷 陸・矢澤翔大・新妻清純(日大)・渡邊 洋(東静工業) |
現在,ITOの代替材料としてZnOを用いたフレキシブルな透明導電膜関する研究が行われている.著者らは,AZO透明導電膜に着目し成膜を行った.しかし,熱に弱いPEN基板を用いるため低温成膜での特性改善には限界がある.そこで,AZO/Ag/AZO透明導電膜に着目したがAgの酸化及び基板側AZO層への拡散によって電気的・光学的特性を十分に改善できないことが明らかになった.本研究では,AZO/Ag/Cu/AZO透明導電膜を作製し,Cu層の成膜条件による特性の検討を行った.Cu層を挿入することによって,Agの酸化及び基板側AZO層への拡散を抑制し,抵抗率が改善した.Cuの成膜条件により抵抗率及びAZOの結晶性が向上することがわかった.現在,さらなる特性改善に向けて検討中である.
環境発電のうちの太陽光発電、熱電発電の発電デバイスの材料となりうる二硫化鉄に関する研究である。電圧印加PLD法で硫化鉄薄膜を作製し,堆積膜の物性へのバイアス電圧への影響を調べた。バイアス電圧印加PLD法では、電極板にバイアス電圧を印加することでプルーム内に含まれるイオンの運動制御を狙っている。バイアス電圧印加により堆積膜の化学量論比とゼーベック係数が変化した。特に±50Vのバイアス電圧を印加したときに、ストイキオメトリーに近い組成の硫化鉄薄膜の成膜ができた。
近年,電子機器産業の分野におけるアンテナなどの電子部品は小型薄型化及び軽量化が求められる.従来用いられているアンテナ材料としては,フェライト材料が主流で広く用いられている.しかしながらフェライトの小型薄型化はワレやヒビなどが発生し,材料強度が低下する.
ところで軟磁性材料においてフェライト材料よりも磁気特性が優れるナノクリスタル材料がある.このナノクリスタルの薄帯を積層したアンテナでフェライトアンテナと同様に電波受信が行われ電波クロックが正常に動作することを明らかとした.
本研究では,ナノクリスタル薄帯を積層しアンテナを作製する.巻き線のターン数を変化させた際のL値及びQ値を比較した.また,クロックに積層アンテナを搭載し受信可否の検討を行った.
C-8. 超伝導エレクトロニクス
9月7日 9:00〜11:45 Meeting 31 座長 明連広昭(埼玉大)
C-8-1 |
断熱量子磁束パラメトロン回路におけるMajority-boosterゲートを用いた全加算器の設計と乗算器への適用
◎小宮 航・竹内尚輝・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
C-8-2 |
可逆量子磁束パラメトロン回路を用いた8-word by 4-bitレジスタファイルの動作実証
◎山栄大樹・竹内尚輝・吉川信行(横浜国大) |
C-8-3 |
断熱量子磁束パラメトロン回路を用いたランダムアクセスメモリセルの駆動
◎水島直哉・竹内尚輝・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
C-8-4 |
Design of a Pipeline Multiply-Accumulator with a high-throughput accumulator using Single Flux Quantum Circuit
◎Zongyuan Li・Yuki Yamanashi・Nobuyuki Yoshikawa(Yokohama National Univ.) |
C-8-5 |
部分多重化によるStochastic Computingに基づく 多項式演算 RSFQ 回路の精度向上
◎辻 萌佳・鬼頭信貴(中京大) |
超電導論理回路の一つである断熱量子磁束パラメトロン(AQFP)回路は5~10GHzの高速動作性とCMOS回路と比較して消費電力が5、6桁程度小さい低消費電力性を特徴としている。我々は、AQFP回路の基本論理演算ゲートである多数決論理(Majority)ゲートの駆動力を向上させる研究を行っており、以前の研究においてMajorityゲートの次段にboosterゲートを接続して一相の励起電流で駆動するMajority-boosterゲートを設計し、動作の安定化と回路面積の削減を行ってきた。本発表ではMajority-boosterゲートを用いた新しい全加算器の設計を行い、AQFP回路における効率的な乗算アルゴリズムの一つである8bit Wallace tree型乗算器に適用した結果、回路の集積度向上に一定の成果があったことを報告する。
可逆計算は熱力学的に可逆な過程で行う計算であり、準静的に動作させることで計算に伴う消費エネルギーを無限小にすることが可能である。我々は超伝導回路である断熱量子磁束パラメトロン(AQFP)を用いた可逆論理ゲートである可逆QFP(RQFP)を用いた高エネルギー効率な計算システムの実現にむけて様々な論理回路の動作実証を行ってきた。今回は、RQFPを用いた8-word by 4-bitレジスタファイルを設計し、動作実証を行った。設計したレジスタファイルはモジュールをビット数だけ並べて接続するだけで容易に多ビット化することが可能な構造にしている。測定において、レジスタファイルの正常動作を確認した。
断熱量子磁束パラメトロン回路(AQFP)は低消費電力性に優れた超伝導論理回路である。高性能な計算機を実現する上でスケーラブルなメモリの開発は必須であるが、過去に実証された超伝導メモリの多くはSFQ回路への応用を想定されており、AQFPと互換性のある超伝導メモリは未だ実現できていなかった。特にAQFP回路は駆動電流が数十A と小さく、微小電流で書き込み可能なメモリの設計が必要となる。過去にQFPランダムアクセスメモリセルの設計および動作実証が行われたが、動作マージンが±2%と狭く、集積が困難であるという課題を抱えていた。我々はAQFPによるドライバとそれにより駆動可能なメモリセルの設計を行い、回路シミュレーションにより動作確認及び評価を行った。
In this work, we designed a pipeline SFQ-MAC with a high-throughput SFQ accumulator. It has a very high throughput rate and energy efficiency, and is flexible in expansion. Also by changing the logic gates in the calculation section it is easy to implement functions such as matrix multiplication and convolution operations.
Stochastic Computing(SC) [1] は,ビット列中の1の出現割合で数値を表現し演算を行う方法である.SC では,乗算をANDゲート1つで実現可能である.単一磁束量子(RSFQ)回路[2]は,高速動作性と低消費電力性を兼ね備えた超伝導集積回路の一種である.各ゲートにクロック端子を持っているため,SCのビット列を自然に扱える.
実用的な多くの関数は多項式近似が可能であるため本稿では,多項式演算を行うSC回路[3]を基に,部分多重化による多項式演算 SC RSFQ回路を提案する.提案回路では,多項式内の演算への影響が大きい部分を多重化することで,演算精度を向上させる.
休 憩(10:30 再開) 座長 山梨裕希(横浜国大)
C-8-6 |
量子ビットとのモノリシック実装に向けたNbNベース低電圧駆動単一磁束量子回路の設計
◎上田伴春・中山彪之助・田中雅光(名大)・山下太郎(東北大)・藤巻 朗(名大) |
C-8-7 |
SFQ電流パルスによるトポロジカル量子ビットの量子操作
◎船澤卓朗・成瀬雅人・明連広昭(埼玉大) |
C-8-8 |
2つのオシレータのタイミングジッタを利用するRSFQ真性乱数生成回路の動作実証
◎佐藤健太・瀬賀直功・島田 宏・水柿義直(電通大) |
C-8-9 |
半磁束量子回路の半磁束量子-電圧変換回路のパラメータ最適化
○種村匠真・竹下雄登・李 峰・田中雅光・藤巻 朗(名大) |
C-8-10 |
高Q値超伝導バルクコイルによる高効率ワイヤレス電力伝送
◎押本夏佳・作間啓太・關谷尚人(山梨大) |
NbNベース量子ビットとのモノリシック実装に向けた量子ビット制御用単一磁束量子(SFQ)回路における、消費電力削減のために駆動電圧を下げた場合の影響について調査した。臨界電流値4.26µAのジョセフソン接合で構成されたジョセフソン伝送路において、量子ビットの制御に必要とされる6GHzの電圧パルス列を入力した時、周波数を維持して伝送できる駆動電圧をアナログ回路シミュレータで評価した。結果、0.05mV以下の駆動電圧では、電圧パルス間の斥力により1番目と2番目のパルス間隔が増大し、6GHzで伝送できなくなることが示された。したがって、駆動電圧は0.06mV以上確保することが必要であると評価した。
量子コンピュータは、機械学習や量子化学計算などの特定の分野において高速な計算処理が期待され、そのポテンシャルから研究が盛んに行われている。トポロジカル量子計算(TQC)は、トポロジカル超伝導状態を利用し、エニオンと呼ばれる特殊な粒子同士の位置を交換した際の位相情報を量子計算に利用する。本報告では、量子計算を行うためのトポロジカルジョセフソン接合アレイを擬似的に再現したジョセフソン接合アレイにSFQパルスを射出する回路を接続し、CNOTゲート操作などの量子ゲート操作を再現してその動作を確認する。さらに、シミュレーションに用いるジョセフソン接合モデルに4π周期成分が含まれる場合の影響についても議論する。
セキュリティの向上のために真性乱数が求められており,それにはノイズなどのランダムな自然現象を利用する.RSFQ論理では1つのオシレータとトリガ信号でのタイミングジッタを利用した乱数生成回路が研究されている.
本研究ではランダム性の安定化を目指し,オシレータの数を2個に増やした乱数生成回路の特性を調査した.
乱数生成回路を試作し,オシレータ周波数を変えながら20kbitsの乱数列を24本取得した.1が出現する確率はオシレータ周波数を変えても変動は小さく,安定していた.乱数検定に対する合格率は,クロック周波数が58.06 GHzでは合格率が100%で安定し, 38.70 GHzのクロック周波数ではオシレータ周波数が58.06 GHz以下にて100%で安定していた.
我々は、単一磁束量子(SFQ)回路のジョセフソン接合を、π接合を含むSQUIDで置き換えることにより、より低電力で動作する半磁束量子(HFQ)回路[1]の研究を行っている。本研究では、HFQ回路の動作確認を行うのに必要となるHFQと電圧信号の変換回路を回路パラメータの最適化について、最適化プログラムの改良と最適化結果を報告する。
ワイヤレス電力伝送の伝送効率を向上させるためには送受電コイルのQ値を向上させる必要がある.しかし従来の銅コイルではこれ以上導電率を向上させることは困難であるため,我々は銅に比べて非常に低損失である超伝導バルクコイルを提案した.超伝導バルクコイルの線幅・線間距離を最適化することで銅コイルの12倍となる高Q値を達成した.この高Q値コイルを用いて送受電コイル間の距離および位置ずれ・角度ずれに対する伝送効率を測定した.結果の詳細は当日述べる.超伝導バルクコイルを用いると銅コイルよりずれに対する伝送効率の低下を抑制することができ,高Q値超伝導バルクコイルを用いたワイヤレス電力伝送の優位性を明らかにした.
C-9. 電子ディスプレイ
9月7日 10:45〜11:45 Meeting 21 座長 穐本光弘(山口東理大)
C-9-1 |
遠隔操作可能な大型ラインディスプレイの開発
○関 裕二・川崎直紀・奥村万規子(神奈川工科大) |
C-9-2 |
μ-LEDディスプレイの駆動ICの作成
○松野龍馬・Zhongzheng Xiao・服部励治(九大) |
C-9-3 |
Development of High-Definition Cylindrical POV Display using 2D-LED Arrays
○ZHONGZHENG XIAO・Ryoma Matsuno・Reiji Hattori(Kyushu Univ.) |
C-9-4 |
Sr2MgSi2O7 : Eu2+蛍光体における希土類元素と残光特性の関係
○贄 光希・川嶋智寛・小南裕子・原 和彦(静岡大) |
これまで高速点滅した縦一列のLEDを、サッカードと呼ばれる高速眼球運動を行うことで二次元画像を知覚できるラインディスプレイを開発してきた。実験により点滅周期が早くなるほど知覚最適距離が遠くなるが、距離が離れると知覚する画像が小さくなり視認性が低下することがわかった。そこで、LEDの個数を64個から128個に増やし二次元ディスプレイでは約100インチ相当まで大型化し、遠くから観測することを想定し、遠隔操作で点滅周波数の変更を可能とした。本研究では、スマートフォンやパソコンから任意の画像転送可能とし、実用化に向けて機能を追加した。また、これらの遠隔操作機能を使って、点滅周波数を変更し、距離ごとの知覚最適な点滅周波数を求める実験をしたのでこれを報告する。
近年,ディスプレイの主流である液晶ディスプレイや有機ELディスプレイに代わるμ-LEDディスプレイの開発が行われている。そこで、私達の研究室では,μ-LEDディスプレイを,回転浮遊ディスプレイに応用することを考えている。この回転浮遊ディスプレイは宣伝などに応用することができ,宣伝広告の向上が見込める。駆動ICは数µのLEDを動作させるため,小型化は必須である。そのため,私達は,ICのチップを極力減らして,電源,GND,クロックとデータinを一つにした端子,データoutの4端子のチップを作成することを目標としている。そこで,本発表では,これ等の目標を達成するための研究について発表する。
Current commercial POV displays use one-dimensional(1D) arrays of light sources arranged in a straight line, and the resolution is limited by the LED pitch and response speed. In this research, a cylindrical POV display using an 8*8 two-dimensional(2D) LED array was developed, the resolution can be increased by allowing other rows of LED to pass within the pitch. Besides, considering the application of micro-LED(µ-LED) to this technology, more signals will be needed, so in this study, the improvement of the signal writing speed will also be investigated.
現在、長残光性蛍光体として主に用いられているSrAl2O4 : Eu2+, Dy3+は水分による劣化が著しく、寒冷地では光を蓄えることができないなど、屋外での使用には制限がある。近年、屋外での避難誘導のための蓄光標識として利用するために、安定性・耐久性に優れた蛍光体が求められている。残光性蛍光体Sr2MgSi2O7:Eu2+Dy3+はSrAl2O4と比較し耐水性に優れており、より適した電子トラップ準位を形成する元素を探索することで、寒冷地での利用が期待されている。
本研究では、トラップ準位の形成に寄与すると考えられる希土類元素を共添加したSMS : Eu2+の試料を作製し、発光特性向上のための形成準位の状態について調査した。
C-10. 電子デバイス
9月8日 10:00〜10:45 Meeting 29 座長 藤代博記(東京理科大)
C-10-1 |
(依頼講演30分)Si基板上の窒化物半導体結晶成長及びパワーデバイス
○江川孝志(名工大) |
C-10-2 |
Ga-In-Sn液体金属合金の表面酸化膜を用いた抵抗変化素子の作製と評価
◎勝間勇斗・番 貴彦・一宮正義・柳澤淳一(滋賀県立大)・山本伸一(龍谷大) |
地球温暖化問題が注目され、その主要因とされるCO2の排出削減のために種々の分野で省エネルギー化が取り上げられている。しかし、Siデバイスは物性限界に直面し大幅な性能向上は困難な状況にある。このSiの物性限界を大幅に打破できる半導体材料として、SiC、GaN等の新しいワイドバンドギャップ半導体に大きな期待が寄せられている。
サファイアやSiC基板と比較して、Si基板上のGaN層の結晶成長では格子定数や熱膨張係数の不整合率が大きいため、高品質のGaN層を成長させるには適切な中間層が必要である。本講演では、MOCVD法を用いた大口径Si基板上のAlGaN/GaN HEMTヘテロエピタキシャル成長及びリセスゲート構造のノーマリオフ型MISデバイスについて述べる。
ReRAM(Resistive Switching memory)は抵抗の変化を利用した不揮発性メモリであり,次世代記憶素子として注目されている.液体金属は液体でありながら高い熱伝導率や電気伝導率を持ち,非常にフレキシブルな材料である.ReRAMの電極に固体金属を用いた研究は多く行われているが,液体金属を用いている研究例は少ない.本研究では,Ga-In-Sn液体金属合金とその表面酸化膜を用いてReRAMの作製と評価を行った.その結果,バイポーラ型の抵抗変化現象を確認することができた.また,伝導機構解析を行った結果,高抵抗状態ではRESET直後にSEが起こっていた.低抵抗状態では常にオーミック伝導が起こっていることに加え,RESET直前にSEも同時に起こっていることがわかった.
C-12. 集積回路
9月8日 9:30〜11:45 Meeting 34 座長 福岡一樹(ルネサスエレクトロニクス)
C-12-1 |
熱電発電のための1mV 級昇圧回路に関する研究
◎尹 航・矢嶋赳彬(九大) |
C-12-2 |
熱電素子・バッテリーのハイブリッド電源用DC/DCコンバータのコンセプト実証
◎田辺駿介・丹沢 徹・酒本陽介(静岡大) |
C-12-3 |
サブスレッショルド動作CMOS Latch型RF-DC昇圧回路の出力抵抗の起源
◎小坪稜麻・丹沢 徹(静岡大) |
C-12-4 |
アンテナとオンチップ整流器から成るレクテナの入力電力最小化設計フローの提案
◎橋本拓磨・丹沢 徹(静岡大) |
C-12-5 |
高速充電ブースト・コンバータ昇圧特性の寄生抵抗ばらつき依存性
◎金山湧司・丹沢 徹(静岡大) |
IoT(Internet of Things)デバイスの電源問題を解決するため、環境中の熱流から発電する熱電発電が期待されている。しかし、熱電素子当たりの発電電圧は数 mV と極めて低く、従来の昇圧回路を直接利用することができない。一般的には熱電素子を直列接続して高い電圧を得ているが、一か所断線すると出力が得られなくなるという問題がある。そこで本研究では、1mV から直接昇圧できる昇圧回路の実現を目指して、インダクタを用いるブーストコンバータと、キャパシタを用いたチャージポンプの、2種類の回路を検討した。その結果、どちら回路も1mV からの昇圧が可能だが、ブーストコンバータを用いた方がより小さな外付け素子で大きな処理電力が得られることを明らかにし、さらに実験的に1mV から500mV へ昇圧を実証した。
近年注目されている電力変換システムとしてエネルギーハーベスティング(EH)技術があり、この変換電力でICを駆動する研究が行われている。しかし、EHは環境から微小なエネルギーを得るものであり、環境依存性が高いことから供給電力が不安定という問題点がある。筆者らはこの問題点を解決するために、EHにバッテリー(BAT)を直列に繋ぎ、DC/DCコンバータを用いて供給する電力を安定させる電力変換回路システムを提案している。提案回路はBATの寿命を一桁延ばして、BATの交換コストを1/10にすることを目標とした。回路を試作し、BATとEHの開放電圧はDC電源を使用した実機においてBAT電圧を1.3~1.8Vと変動させても寿命が20~100倍であり、提案回路によりBATの寿命を延ばすことが可能であると確認した。
近年IoTデバイスへの電力供給手段としてマイクロ波による無線電力伝送技術が注目されている。低入力電力でも高い直流電圧を発生させるためにRF-DCチャージポンプ(CP)が使用される。CPに用いられる整流回路として、これまでにNMOSとPMOSを入れ子にした回路(ULPD)とCMOSラッチ回路(Latch型)が提案されている。それぞれの整流回路を用いて回路定数・面積を同一にしたCPを設計して、両者の出力電圧電流特性を比較した。Latch型の出力抵抗が、ULPDを用いたCPより3倍以上高い結果を示した。解析の結果、Latch型整流器のゲート・ソース間電圧には出力電圧依存性が入らないため出力抵抗が高くなること、その値はサブスレッショルド領域飽和電流のドレイン・ソース間電圧依存性から生じることが分かった。
本研究ではアンテナとオンチップ整流器から成るレクテナの入力パワー最小化設計フローについて提案する.提案設計フローはレクテナのモデリングを行い,回路シミュレーションの実行回数を減らすことで最適設計にかかる時間を抑えることができる.本稿ではアンテナタイプとしてダイポールアンテナとループアンテナ,整流器タイプとして二倍圧整流器と単一ダイオード型整流器のそれぞれ二種の組合せの中から出力電力100uWの条件において,入力電力が最も低くなる組合せを選択するデモンストレーションを実施した.その結果ループアンテナと二倍圧整流器の組合せで0.45mWの入力電力を示し,最も入力電力が低くなることを確認した.
ハードディスクより高速アクセスで低消費電力なSSD(Solid-State Drive)の書込みや消去にはワード線容量負荷を高電圧まで充電する必要があるが供給される電源は低電圧であるため昇圧回路が用いられる。筆者は先行研究でブースト・コンバータを用いた高電圧充電を高速化する4つの制御方式を提案し最速方法の選択を可能にした。本研究ではブースト・コンバータに用いられる電流検知回路の抵抗と容量が集積化によってばらついた際、容量負荷の充電速度に与える影響についてモデル計算を行い比較検討した。定格電流が大きく、負荷容量が小さい条件でばらつきによって昇圧最速方式が変わることが分かった。
(10:45 開始) 座長 田島英幸(ルネサスエレクトロニクス)
C-12-6 |
フリップチップパッケージングにおける裏面電圧擾乱印加によるオンチップ電圧変動の評価
◎△弘原海拓也・河合航平・長谷川陸宇(神戸大)・村松菊男(e-SYNC)・長谷川 弘・澤田卓也・福島崇仁・金銅 恒(メガチップス)・三木拓司・永田 真(神戸大) |
C-12-7 |
ターボ・サンプリング:MCU制御システムにおける内蔵ADCを用いたサンプリングレートの高速化技術
○野村昌弘・森 時彦・桜井貴康(東大) |
C-12-8 |
多点高頻度刺激に向けた人工視覚デバイス制御チップの動作実証
◎中西優輝・Ronnakorn Siwadamrongpong(奈良先端大)・鐘堂健三・寺澤靖雄(ニデック)・春田牧人・竹原浩成(奈良先端大)・田代洋行(九大)・笹川清隆・太田 淳(奈良先端大) |
C-12-9 |
ストカスティック演算に基づく高速かつ大規模スピンアニーリングハードウェアのFPGA実装
◎シン トッキュ・鬼沢直哉・羽生貴弘(東北大) |
半導体ICの実装技術は小面積化が求められ、フリップチップ実装が一般的となっている。しかし、IC裏面が露出することであらゆる擾乱に曝されることによる永久故障や一時故障などのEMC問題となり得る。さらにはEMC上の脆弱性をついた物理攻撃のリスクも増加すると考えられている。本取り組みでは、試作チップを作成し、裏面電圧擾乱の定量的な評価を行った。試作チップには、SAR ADCで作成されたオンチップモニタ回路が搭載されており、複数箇所のシリコン基板電圧の測定が可能である。実際に裏面から電圧擾乱を注入し、チップ表面の電圧波形と位置依存性を確認した。
ディジタル機器を安全安定にモニタし、制御するためのインテリジェント・ディジタル制御・プラットフォーム(PF)を開発している。各エッジはマイクロコントローラ(MCU)を基本構成要素とするが、モニタ対象のアナログ信号データを取得するMCU内蔵ADCは小面積で低電力な逐次比較型(SAR)が一般的であり、高分解能を得る場合、比較を繰り返すためサンプリングレートが制限される。本論文では、MCU制御システムにおける内蔵ADCによるサンプリングレートの高速化技術を提案し、5.33Mspsを80Mspsに向上できたことを報告する。
人工視覚デバイス用の眼内埋植型CMOSチップの制御信号を最適化し、多点・高頻度の電気刺激に向けた高速駆動の実証を行った.本手法では、少ない配線で多数の電極への刺激電流を制御するためにCMOSチップを用いる。本研究で新たに試作したチップでは、人工視覚デバイスの配線数は従来同様の4本に保ったまま,従来の約1/150のクロック数で刺激電極制御が可能となった。制御信号のクロック周波数約2.3 MHzにおいて,正常に刺激条件設定できることを確認した。設定に要する時間は1電極あたり18 µsであり,日常生活に必要とされる1,000電極をフレームレート30 Hzで駆動できる見込みを得た.
近年, 従来のSimulated annealing法(SA法) [1]より, 最適解への収束が高速である新たなアルゴリズムとしてstochastic 演算(SC)に基づいたSC-SA法が提案された[2]. SC-SA法は高速に最適解へ収束するため, 従来のSA法では対応が困難である大規模な問題へも対応ができる. 本稿ではそのSC-SA法の大規模ハードウェア実装することでより、大規模な問題へも対応可能かつ高速なSC-SA法の実現を示す.提案SC-SAハードウェアは従来SA法より60倍高速な計算サイクル数で最適解を探索できた.
9月8日 13:00〜17:00 Meeting 34 座長 古田 潤(京都工繊大)
C-12-10 |
Fパラメータを用いた伝送線路の折れ曲がりパーツの設計
◎浅野祐太・天川修平・吉田 毅・藤島 実(広島大) |
C-12-11 |
不連続部を有する構造の回路シミュレーションの提案
◎田岡楽登・吉田 毅・天川修平・藤島 実(広島大) |
C-12-12 |
45nm SOI COMSプロセスを用いた254GHz-299GHz ダウンコンバージョンミキサ
◎佐古裕太・小林知広(広島大)・原 紳介(NICT)・吉田 毅・天川修平・藤島 実(広島大) |
C-12-13 |
可変周波数特性を有する29-65GHzCMOS増幅器
◎矢吹俊介・藤本慎一郎・吉田 毅・天川修平・藤島 実(広島大) |
集積回路において,長い伝送線路が必要になるとき,折れ曲がるパーツを用いることで,決められたスペースに敷き詰めることができ,チップ面積の削減につながる.しかし,折れ曲がった構造の部分のインピーダンスが特性インピーダンスと異なるとそこで反射が起こる.この折れ曲がり部分のパーツを伝送線路の一部とみなすことができれば,設計の見通しが立ちやすくなる.そこで,本研究では伝送線路の折れ曲がり部分のパーツのFパラメータに着目して所望の特性インピーダンスを持つある長さの伝送線路に置き換えることができるように設計し,折れ曲がりパーツのは特性インピーダンスは直線パーツの特性インピーダンスにあわせることが重要であることを示した.
2種類の構造が異なる回路がつながった回路のレイアウトの特性を求めるとき,それぞれの回路の特性を回路シミュレーション上でつなぎ合わせても,全体を電磁界解析したときの結果とは必ずしも一致しない.そのため,回路全体の正しい特性を知るためには全体に電磁界解析をする必要がある.構造の切り替わりで生じる反射や電磁界の乱れを考慮するための素子である不連続部を使うことで,構造が切り替わる伝送線路や,伝送線路のオープンスタブ や ショートスタブの電磁界解析をした時の結果と回路シミュレーションで求めた結果の誤差を抑制することができた.
45nm SOI CMOSプロセスを用いて、254GHzから299GHzの帯域幅を持つCMOSダウンコンバージョンミキサーを実現した。試作したチップを測定した結果、変換利得-16.5 dB、SSB NF 26.5 dBを得ることができた。局部発振器を内蔵した場合、シミュレーションの結果、変換利得は-4.16 dB、SSB NFは15.3 dBに改善可能であることが判明した。
300GHz 帯では 44GHz までの連続した周波数帯域を使用でき,第 6 世代移動通信では 100Gb/s を超えるデータレートが期待されている.通常,信号経路の周波数特性を補償するための周波数領域等化(FDE)はベースバンド回路にて行われるが,高いクロック周波数で変換されたデジタル信号を処理するため,消費電力が問題となる.本研究では,300GHz帯の無線通信を目的とした広帯域CMOS増幅器を設計するとともに,周波数特性の調整を可能とし,FDEに増幅器を使用することで低消費電力化を図る.40nmCMOSプロセスで試作した増幅器の測定結果は,1dB帯域幅28GHz,3dB帯域幅36GHz,利得27.3dBであり,消費電力は144mWであった.また,この増幅器は4つの周波数において5dB程度利得を調整することができる.
(14:00 開始) 座長 兼本大輔(阪大)
C-12-14 |
スイッチトレジスタを用いた発振器の周波数制御に関する検討
◎田村直渡・小椋清孝・伊藤信之(岡山県立大) |
C-12-15 |
A 24.25-71GHz Dual-Mode Multi-Band Low Noise Amplifier for 5G NR
◎Minzhe Tang・Jian Pang・Yi Zhang・Zheng Li・Atsushi Shirane・Kenichi Okada(Tokyo Tech) |
C-12-16 |
A 39-GHz CMOS Area-Efficient Attenuator Featuring Low-Phase-Variation with Capacitive Compensation Technique
○Peng Luo・Zheng Li・Jian Pang・Atsushi Shirane・Kenichi Okada(Tokyo Tech) |
C-12-17 |
トランスフォーマ型注入増幅手法を用いた超広帯域4分周ILFDの研究
◎山崎雄大・Pang Jian・白根篤史・岡田健一(東工大) |
近年,発振器の周波数の離散的な可変器として,スイッチトキャパシタが実用化されているが,スイッチトキャパシタは切り替えによるキャパシタンスの差に限界があるため,周波数の微小な可変は困難である.そこで本研究では,共振器回路のインダクタをトランス構造とし,その二次側に接続した抵抗を MOS-SWの ON/OFFで切り替えることにより周波数を切り替える発振器を検討した.その結果,スイッチトレジスタを用いて発振周波数を切り替える電圧制御発振器を検討し,発振周波数27.26 GHz ~ 27.81 GHz において帯域幅 0.55 GHz(比帯域1.98 %)の発振周波数が得られることを確認した.
This work demonstrates a dual-mode multi-band Low Noise Amplifier consisting of a 24-44GHz lower-band LNA and a 44-71GHz upper-band LNA. By utilizing the input matching network sharing technique, the proposed design can realize a compact chip area and high blocker rejection at the same time. The measurement results show the proposed design can cover from 24-71GHz while maintaining 32-35dB signal gain.
This work demonstrates a 39-GHz CMOS attenuator for 5G phased-array beamformer. A capacitive compensation technique is introduced for improving the phase performance over gain variations. By utilizing the compensation technique, the phase variation is reduced to smaller than 5.2°at 37-43.5GHz.
近年、28GHz、39GHz、60GHzの全てのミリ波帯周波数での動作を実現する5G向けマルチバンド高速無線機に関する研究が進められている。また、無線機内部のPLLや検出回路での基準信号生成に不可欠な注入同期型周波数分周器(ILFD)も同様に高周波かつ広帯域な動作が求められており、特に4分周ILFDはミリ波帯における基準信号生成にて頻繁に用いられている。本稿では、トランスフォーマ型注入増幅手法を用いた超広帯域ILFDについて提案する。提案手法により1.8-67GHzの超広帯域4分周動作を達成した。
休 憩(15:15 再開) 座長 小野豪一(日立)
C-12-18 |
A Hybrid-Type Passive Polyphase Filter with High Image Rejection and Low Insertion Loss
◎Yi Zhang・Jian Pang・Ashbir Fadila・Atsushi Shirane・Kenichi Okada(Tokyo Tech) |
C-12-19 |
フェーズドアレイ校正のための37-39GHz帯位相・振幅検出回路
◎坂巻 潤・山崎雄大・Jian Pang・Joshua Alvin・Zheng Li・白根篤史・岡田健一(東工大) |
C-12-20 |
An Ultra-Low-Power Ka-Band CMOS Phased-Array Receiver Utilizing Multi-Coupled Balun for Small Satellite Constellation
○Xi Fu・Yun Wang・Dongwon You・Xiaolin Wang・Ashbir Fadila・Yi Zhang・Sena Kato・Chun Wang・Zheng Li・Jian Pang・Atsushi Shirane・Kenichi Okada(Tokyo Tech) |
C-12-21 |
A Ka-Band Dual Circularly Polarized CMOS Transmitter Enabled with Adaptive Impedance Tuner and Cross Polarization Calibration for Satellite Terminal
◎Dongwon You・Yun Wang・Xi Fu・Atsushi Shirane・Kenichi Okada(Tokyo Tech) |
This work proposed a hybrid-type passive polyphase filter (PPF) with a simple and low-power calibration circuit. The PPF can be switched between type-I mode and type-II mode while maintain same peak image rejection ratio (IRR) frequency. By calibration at type-I mode and operating at type-II mode, both high IRR and low insertion loss (IL) can be achieved.
近年、データトラフィックの増加による周波数帯の逼迫が危惧される中、ミリ波帯を用いたフェーズドアレイ方式が注目されている。しかし、チップ製造時のばらつきや温度変化などの影響で出力信号の位相や振幅にミスマッチが生じ、ビームパターンのサイドローブ特性が劣化してしまう。そのため、ミスマッチ校正のための位相・振幅検出回路が必要である。従来のI/Q変調技術を用いた検出回路は回路内でのミスマッチが大きく、ビームの精度が非常に悪くなってしまう。本稿では、Phase-to-Digital-Converter(PDC)、Analog-to-Digital-Converter(ADC)を用いた、アナログデジタル混成の位相・振幅検出回路を提案し、測定結果を示す。
Noted that the small LEO satellite constellation has been demonstrated as a promising technology for providing global internet access, the available solar panel area limits the system power consumption for the phased-array transceiver. To solve the power issue, a new multi-coupling LNA with the current-reuse topology is proposed. The multi-coupling LNA utilizes three coupling inductors to reduce the input matching impedance with smaller input N-type transistors. After implementing the multi-coupling LNA, the proposed RF circuit realized 5.5% of the typical power consumption compared with the conventional front-end.
A Ka-Band Dual Circularly Polarized CMOS Transmitter Enabled with Adaptive Impedance Tuner and Cross Polarization Calibration for Satellite Terminal is proposed. The proposed TX is adopting a novel adaptive load tuner and polarization calibration against the beam scanning and load tuner. The measured results show that cross-polarization EIRP and EVM are being degraded by the beam scanning. However, after the load tuning and polarization calibration, cross-polarization EIRP and EVM are recovered to their original values. At maximum, 18.1 dB of EIRP and 14.8 dB EVM are recovered.
(16:15 開始) 座長 弘原海潤治(キオクシア)
C-12-22 |
An Inter-Element Mismatch Compensation Technique Utilizing Shared-LUT DPD Strategy for 5G Doherty Phased-Array System
○Zheng Li・Jian Pang・Atsushi Shirane・Kenichi Okada(Tokyo Tech) |
C-12-23 |
A Foldable Implementation of Ka-Band Active Phased Array for LEO small Satellite Communication
○Xiaolin Wang・Dongwon You・Atsushi Shirane・Kenichi Okada(Tokyo Tech) |
C-12-24 |
ミリ波帯5G中継機向け再帰反射型バックスキャッタ
○井出倫滉・湯浅景斗・加藤星凪・白根篤史・岡田健一(東工大) |
This work demonstrates a 39-GHz CMOS phased-array beamformer with the bi-directional Doherty PA-LNA. An inter-element mismatch compensation technique is introduced for improving the shared-LUT DPD performance over the PVT variations. By utilizing the proposed mismatch compensation, the measured 64-QAM OFDMA-mode EVM and ACLR with the shared-LUT DPD are improved from −22.4dB to −25.0dB and from −28.7dBc to −32.1dBc, respectively.
This paper presents the design and implementation of a flexible, deployable Ka-band active phased array for satellite communication. Due to the flexibility, this phased array can be folded to keep in a small size before launching, then unfolded in outer space to get a large antenna aperture for better EIRP and beam synthesis. To make it flexible, this work adopts the flexible 4-layer liquid crystal polymer (LCP) board. A 32-element active phased array is successfully designed and fabricated on the flexible LCP. Measurement results show this phased array can work in 28 GHz. It can steer a beam angle from -50° to 50°, with -10 dBc sidelobe level. And it has -28.7 dB EVM with a 500MS/s symbol rate for 32 APSK.
近年, ミリ波帯5G通信向けの高性能なフェーズドアレイ無線機の研究が盛んに行われているが, 建築物等で発生する高い透過損失により, 見通し内通信での利用に限られている. さらなるカバレッジ拡大に向けて中継器の大規模展開が考えられるが, 従来のアクティブ無線機ではケーブル敷設や電源装置の設置場所確保が課題となる. そこで, 本研究では24GHz無線電力伝送(WPT)を用いて, 外部電源が不要かつ維持コストの削減可能なパッシブ中継器の実現を目指す. 提案無線機は, 受信時は24GHz WPT信号と28GHz 5G信号を同じ方向から受信する. 送信時は28GHz信号を24GHz信号の到来方向に再帰反射送信する. 提案する点対称アンテナペアを用いた移相器により2次元方向でのビーム角制御が可能である.
C-13. 有機エレクトロニクス
9月9日 9:00〜11:45 Meeting 13 座長 梶井博武(阪大)
C-13-1 |
電気光学ポリマーのフリースタンディング積層膜を用いた広帯域テラヘルツ波検出
○山田俊樹・梶 貴博・山田千由美・大友 明(NICT)・中西智哉・常守秀幸・藤丸滋樹(帝人) |
C-13-2 |
近赤外光を用いたマルチモード自己形成光導波路作製
◎遠藤建祐・寺澤英孝・杉原興浩(宇都宮大) |
C-13-3 |
近赤外光を用いたコア選択重合型シングルモード自己形成 光導波路の作製と光接続
○大鷹陽輝(宇都宮大)・河崎康成(NTT-AT)・太田ともみ・寺澤英孝・早山凌生・近藤圭祐・杉原興浩(宇都宮大) |
C-13-4 |
表面ナノ構造を用いた有機太陽電池の統合デバイスに関する光学解析
○久保田 繁・鹿又健作・有馬ボシールアハンマド(山形大)・水野 潤(早大)・廣瀬文彦(山形大) |
C-13-5 |
PWM照明下での色素増感型太陽電池の特性評価
○多田和也(兵庫県立大) |
30~40 pm/V程度の電気光学(EO)係数を持つ4µm程度のポリカーボネート(PC)系EOポリマーフリースタンディング膜を積層し、75µm、128µmのPC系EOポリマー積層膜を作製した。EOポリマー積層膜を用い、THz-TDS測定系により、DAST結晶から発生したTHz電場の検出を行った。0~20THzの周波数領域に加えて44~47THz付近にピークを持つ電磁波(赤外光)が観測された。検出効率はほぼ膜厚に比例し、44~47THz付近にピークを持つ赤外光も、EOポリマー積層膜のEOサンプリングにより検出されているものと考えられる。
光配線におけるキーデバイスの一つに、電気信号と光信号を相互に変換する光トランシーバがある。シリコンフォトニクス光トランシーバとマルチモードファイバ (コア径50 μm ) の接続には、マイクロメートルでのアライメント精度が要求される。現状用いられているアクティブアライメントでは、将来の多チャネル化には大きな課題となる。そこで高感度な光硬化性樹脂を用いて、自己形成光接続技術による光トランシーバとマルチモードファイバの自動接続を目的とし、近赤外光1310 nmを用いたマルチモード自己形成(LISW)光導波路を作製した。
将来の情報化社会を支える通信技術として、シリコンフォトニクスを用いた短距離光情報伝送に期待が集まっている。しかしながら、シリコンフォトニクス実装には高精細なアクティブアライメントが必要である。自己形成(LISW)光導波路はこのようなシリコンフォトニクスにおけるアライメント問題を解決する技術として注目されてきている。これまでに、光通信波長である1310 nmと1550 nmの光を用いたLISW光導波路の作製が報告されている。また、1310 nmの赤外光を用いて、コア選択重合型LISW光導波路の作製プロセスを利用した全固体LISWの作製も報告されている。本研究では、全固体LISW光導波路を作製し、光ファイバ間の光接続を行った。
有機太陽電池の効率改善を図る上で,発電層に光を閉じ込めるための優れた光制御技術の開発が重要である.本発表では,表面ナノ構造と多層干渉層,高屈折率ガラスを組み合わせることで,デバイス各部の屈折率分布を制御することを目的とした,有機太陽電池の統合デバイスに関する光学解析を行う.ナノ構造の周期と多層干渉膜の膜厚を適切に調節することで,統合デバイスの効率が大幅に向上することを示す.
IoT機器などの室内機器の電源向けに色素増感型太陽電池が市販されている。最近では室内照明にLEDによるPWM光が使用されることも多い。本研究では,そのような強度変調の効果が色素増感型太陽電池の発電特性に与える影響を調べることを試みた。
休 憩(10:30 再開) 座長 山田俊樹(NICT)
C-13-6 |
イオンアシスト蒸着によるハイブリッド高分子ナノ積層構造の形成
宮山拓実・○臼井博明(東京農工大) |
C-13-7 |
自己組織化単分子膜処理によるNiOx層の正孔注入改善と高分子EL素子への応用
◎山田真聖・梶井博武・森藤正人・近藤正彦(阪大) |
C-13-8 |
Plasmonic nanocomposite enhanced photoelectrochemical glucose sensor
○Sopit Phetsang(National Inst. of Tech., Nagaoka College)・Naoto Okuuchi・Chutiparn Lertvachirapaiboon・Kazunari Shinbo・Keizo Kato・Akira Baba(Niigata Univ.) |
C-13-9 |
CNT上下電極を有する全塗布型ポリイミド湿度センサ
○伊東栄次・井口丞太郎(信州大) |
C-13-10 |
poly(vinylidene fluoride-trifluoro ethylene) (70:30)スピンコート膜の摩擦発電の測定:電流源の温度依存性
○田口 大・間中孝彰・岩本光正(東工大) |
イオンアシスト蒸着法を用いてstearyl acrylate及び3-methacryloyloxypropylhepta-isobutyl-T8-silsesquioxaneの蒸着重合膜を形成し、有機及びハイブリッド高分子薄膜のナノ積層委構造を形成した。イオンアシストを用いると成膜の過程で分子が固定化されるため、膜厚がナノメートルレベルの積層構造を制御性良く形成できる。
本研究では、溶液プロセスによりワイドバンドギャップ無機半導体であるNiOX薄膜の形成を行った。金属酸化物であるITO(Indium Thin Oxide)に対して自己組織化単分子膜処理を行うことでキャリア注入特性が改善することが知られている。そのため、同じく金属酸化物であるNiOX薄膜表面に自己組織化単分子膜処理を施すことでキャリア注入特性の改善を目指した。また、自己組織化単分子膜処理を行った無機半導体層をキャリア注入層として高分子EL素子に使用することで素子特性に与える影響を検討した。発光層として黄緑色発光材料F8BTを使用した素子では、PEDOT:PSSの代わりに適切な処理をしたNiOXを用いることで、発光開始前の電流が抑制され、キャリアバランスが改善し、より低電圧で発光するように改善された。
In this work, we report the advantages of the developed nonenzymatic glucose sensing platform based on AuNPs/poly(3,4ethylenedioxy-thiophene):poly(styrene-sulfonate) nanocomposites modified ITO coated glass substrate (AuNPs/PEDOT:PSS/ ITO). A self-powered PEC was conducted for the quantification of glucose, which substantially minimized the interferences from the electroactive species in the system. The LSPR excitation of AuNPs can generate charge-carriers which can facilitate the electro oxidation of glucose. The developed sensing also demonstrates satisfied selectivity and good stability which might be beneficial for the development as a self-powered glucose sensor.
これまでナノメッシュ構造を有する多層カーボンナノチューブ(CNT)電極を塗布・転写法により上部電極とした数10msで応答可能な高速ポリイミド湿度センサを開発してきた.水の拡散原理においては感湿膜やCNT保護膜の厚さを薄くすれば厚さの2乗に反比例して応答時間が短くなるが,実デバイスでは特に下部電極等との界面の水の吸着の影響により非線形応答や応答時間の増大などが生じる場合がある.また,下層の形成に真空プロセスを必要とした.本研究では,上下にCNTを塗布形成した全塗布型のポリイミド湿度センサを作製し課題と効果を調査した.
摩擦発電などの物理的刺激をエネルギー源とする新しい発電の研究が活発化している。これらの発電源は、電子回路の電源としての新しい応用はもちろん、電気化学反応のエネルギー源などに広がりつつある。我々は、誘電物性の立場から、物理的刺激が誘電分極エネルギーをつくり、電気的仕事を外部負荷に行うシステムとして摩擦発電のモデルを提案した[1,2]。摩擦発電を電気的等価回路の電流源I_s(=P_0 A/τ)と内部抵抗R_i(=τ/C_s)で表し、誘電的性質(P_0:初期分極、A:電極面積、τ:永久双極子の緩和時間、C_s:静電容量)と結びつけた。本報告では大きな永久双極子をもつpoly(vinylidene fluoride-trifluoro ethylene) (P(VDF-TrFE) ) (70:30)の摩擦電流の測定結果を報告し、電流源の温度依存性を議論する。
C-14. マイクロ波テラヘルツ光電子技術
9月9日 9:30〜11:45 Meeting 16 座長 池田研介(電中研)
C-14-1 |
共鳴トンネルダイオード発振器における発振周波数のバイアス依存性
○猪瀬裕太・冨士田誠之・永妻忠夫(阪大) |
C-14-2 |
テラヘルツダイオード素子と誘電体導波路の高効率結合法の検討
◎小原嵩弘・川本勇真(阪大)・石橋忠夫(Wavepackets)・永妻忠夫(阪大) |
C-14-3 |
High-Power Cavity-Type RTD THz Oscillators Integrated with Slot Antenna
◎Feifan Han・Hidenari Fujikata・Hiroki Tanaka・Safumi Suzuki・Masahiro Asada(Tokyo Tech) |
C-14-4 |
テラヘルツ帯ブルズアイ-導波路系の偏波結合特性
○四方潤一・岩川優也(日大)・大野誠吾(東北大)・南出泰亜(理研) |
我々はこれまで,共鳴トンネルダイオード(RTD)の電流-電圧(I-V)特性やキャパシタンス-電圧(C-V)特性,そして,伝送路のインピーダンス特性などをモデル化することによって,RTD発振器において実験的に得られる発振周波数特性などを計算で再現することに成功してきた.今回は発振周波数のバイアス依存性に着目し,その振る舞いを決定している要因について検討を行った.等価回路計算から,実験で得られる周波数特性が主にI-V特性の非対称性に起因していることを明らかにした.
テラヘルツ波を用いたシステムの集積化においては,伝送媒体あるいは伝送路の低損失化が不可欠である.近年,これまで主流であった中空導波管に代わり,シリコン誘電体導波路が注目されており,その実用においては,ダイオード等の能動素子と誘電体導波路との効率的な結合手法が要である.InP基板上で共鳴トンネルダイオード(Resonant Tunneling Diode: RTD)にテーパースロットアンテナ(Tapered-Slot Antenna: TSA)を形成し,フォトニック結晶(Photonic Crystal: PC)導波路と接続した例が報告されている.今回、我々は,放熱性に優れ,機械的強度を有するシリコンカーバイド(Silicon Carbide: SiC)上のダイオード素子と,低損失で広帯域性を有するEffective Medium(EM)導波路との結合を念頭に置き,TSA構造を最適化するとともに,新たなアンテナ構造を導入し,両者を比較した.
We proposed and fabricated high-power cavity-type RTD THz oscillators integrated with slot antenna. A high-power oscillation of 131 μW was obtained at 730 GHz. The experimental results reasonably agreed with theoretical calculation. Higher output power can be achieved by optimizing the RTD structure.
光とマイクロ波の領域をつなぐテラヘルツ(THz)帯は次世代の無線通信周波数帯に位置付けられており,THz波デバイスに対する関心が高まっている.今回,THz波の方向性結合器として働くTHz帯BE-導波路系の電磁場解析により,微小開口付近のエバネッセント波の偏波結合特性を調べた.楕円偏波のTHz波をBEに入射したとき,偏波の旋回に応じて左旋または右旋をして導波路に結合するスピン-運動量ロッキング現象が起こることが分かった.また,導波路の左端もしくは右端を電場励起したときの放射スペクトルにはBEの回折格子周期で決まる鋭い共鳴ピークが見られ,高周波側にサイドローブをもつことが分かった.
休 憩(10:45 再開) 座長 山口祐也(NICT)
C-14-5 |
単一RTD送受信器を用いたイメージングシステムの小型化
◎水野遼子・易 利(阪大)・西田陽亮(ローム)・冨士田誠之・永妻忠夫(阪大) |
C-14-6 |
シリコンY分岐導波路を用いた300 GHz帯三次元イメージング
◎小藪庸介・柴田紀彦・要 遼平・水野遼子・易 利・冨士田誠之・永妻忠夫(阪大) |
C-14-7 |
Radio-over-Pipewall(RoP)とRadio-over-Fiber(RoF)技術を用いたFRPMパイプラインリモート計測技術
◎片桐健登(三重大)・奥田忠弘・硲 昌也(栗本鐵工)・大田垣祐衣・村田博司(三重大) |
C-14-8 |
PVC管壁に沿って伝搬するマイクロ波を使用したMIMO通信の研究
○△鈴木眞史・深澤孝太・枚田明彦(千葉工大)・村田博司(三重大)・水上雅人(室工大) |
テラヘルツ波を用いたイメージングシステムはサブミリメートルの空間分解能を有し, 紙やプラスチックを透過した非破壊検査など,様々な分野での展開が期待されている.
我々はテラヘルツ帯で動作する共鳴トンネルダイオードに着目し,単一のRTD送受信デバイスによるイメージング応用について報告してきた.その際,テラヘルツ波に振幅変調を与えるために光学チョッパーを使用したが、システムの小型化の障壁となっていた.
本報告では,光学チョッパーを不要とし, バイアス電圧による強度変調を利用したシステムの検討を行い非破壊2次元イメージングに成功した.これにより今後RTDイメージングシステムのパッケージ化や低コスト化が期待できる.
近年,0.3–10 THzの周波数を有するテラヘルツ波を用いたイメージング技術は,多くの物質に対する透過性とサブミリメートルの分解能を併せ持つことから,物質内部の非接触検査やセキュリティ応用などへの展開が期待されている.
我々はこれまでに,三次元テラヘルツイメージングをターゲットからの反射信号と参照信号とが形成する干渉波形をフーリエ変換し奥行き情報を取得することで行ってきた.またシステムの小型化を目指し,空間光学マイケルソン干渉計を誘電体平面回路に置き換えることを試みたが,干渉計の構成には至らなかった.本稿では,シリコンY分岐導波路を採用した干渉計を用い,300 GHz帯三次元イメージングを行った結果を報告する.
近年,施工不良などによって異物が管底に取り残されることがあり,FRPMパイプラインが異物によって破損する恐れがある.それゆえ事故を防ぐために非掘削,非破壊で効率良くパイプラインを診断する技術が求められている.我々は,マイクロ波がFRPM管壁に閉じ込められて伝搬する特性(Radio-over-Pipewall(RoP))を利用して欠陥や異物の位置の特定が可能であることを実証している.本研究では,この技術をさらに実用的なものとするためにRoP技術と半導体レーザー,石英光ファイバーとフォトダイオードを用いたRadio-over-Fiber(RoF)技術を組み合わせることでFRPMパイプラインをリモートによって計測するための実験を行った.
PVC管壁を伝搬路として使用した5GHz帯通信において MIMOによる通信容量の増加が可能か検討した.長さ1mの PVC 管壁の両端にアンテナを取り付けた場合のS21は約-23dBであり,管内または外部空間で通信するよりも低損失で伝搬することが分かった.PVC管壁の両端に2つのアンテナを管の対角線の両端面の同じ位置に配置したとき MIMO 通信のチャネル容量が0.98 bit/s/Hz と最大となった.
9月9日 13:00〜15:15 Meeting 16 座長 佐藤 昭(東北大)
C-14-9 |
電気光学ポリマー変調器を用いた100 GHz連続波の検出
◎村上博紀(岐阜大)・梶 貴博・大友 明・菅野敦史(NICT)・久武信太郎(岐阜大) |
C-14-10 |
5G無線のための直交二偏波同時受信アンテナ電極電気光学変調器を用いたギガビットデータ伝送
◎中森俊介・大田垣祐衣(三重大)・佐藤正博・鬼澤正俊(精工技研)・黒川 悟(産総研)・村田博司(三重大) |
C-14-11 |
300GHz 帯無線システムにおけるAND 動作の高速化
◎仲下智也・西條 翼・十市敬太(阪大)・伊藤 弘(北里大)・加藤和利(九大)・永妻忠夫(阪大) |
C-14-12 |
120GHz帯無線信号の利用によるガラス基板を用いた高速接触通信の検討
○△熊木智大・小關聖士・枚田明彦(千葉工大)・加賀谷 修(AGC) |
我々は,テラヘルツ波を直接光信号に周波数上方変換し,光領域の技術に基づきテラヘルツ無線信号を検出するシステムの検討を行っている.光領域の技術に基づき無線信号を検出するためには,広帯域信号を高感度に光信号へ変換する変調器が鍵となる.100 GHzを超える超高速変調を可能にする電気光学(EO)ポリマー変調器は,広帯域性と感度の観点から有望と考えられる.本発表では,EOポリマー基板にアンテナを装荷した光変調器による100 GHz連続波の検出について報告する.
5G無線ではミリ波の28GHz帯が利用され, 高速大容量性や直進性で有利であるが、自由空間やケーブルでの伝搬損失が大きくなるという欠点がある. このため, ミリ波無線では光ファイバ無線(RoF)技術が有用であると考えられる.
我々はかねてよりアンテナ結合電極と誘電体基板を組み合わせたアンテナ電極電気光学変調器(光電界センサ)の研究を行ってきた. 本研究ではこのデバイスの外部電源が不要で, 低擾乱で受信できる点に着目し, 直交二偏波成分を同時に受信できるアンテナ電極電気光学変調器を研究している. 今回は直交二偏波によるデータ伝送実験の結果を報告する.
近年,無線の高速化に対するニーズの高まりを背景に,テラヘルツ無線の研究開発が活発化している.無線通信における課題の一つに,電波漏洩に対するセキュリティ対策が挙げられ,テラヘルツ無線技術に対しても検討が始まっている.最近,2 つのテラヘルツ波ビームを特定の位置で受信(いわゆる AND 動作)することにより,物理層におけるセキュア性の向上を目指した手法が提案されている.我々は,これまで 300 GHz 帯コヒーレントホモダイン検波方式により,1 Gbit/s での AND 動作の検証を報告した.今回,コヒーレントヘテロダイン検波と IF 光変調方式を受信器に導入することにより,10 Gbit/sでの AND動作の実験に成功したので報告する.
我々は120GHz帯 RF 信号を導波管の上部を SRR集積ガラス基板に置き換えた中空導波管内に伝搬させ,ガラス基板に別の誘電体を接触させることで接触した誘電体に RF 信号を導波する方法について検討した.SRR のガラス基板上への集積により,中空導波管と端末が接触していないときの中空導波管の損失を-5dBに抑えることができた.また,ガラス基板に別の誘電体を接触した場合,-21dBの損失で接触した誘電体側に電波を伝搬させることに成功した.
休 憩(14:15 再開) 座長 易 利(阪大)
C-14-13 |
半導体光増幅器の相互位相変調を用いたビート法生成マイクロ波信号の偏波無依存遠隔位相制御
◎林 駿弥・上原知幸・辻 健一郎(防衛大) |
C-14-14 |
マイクロ光コムを用いたTHz無線通信信号生成におけるコムモード光信号対雑音比の影響
○岸川博紀・岡村康弘・時実 悠・久世直也(徳島大)・梶 貴博・菅野敦史(NICT)・久武信太郎(岐阜大)・安井武史(徳島大) |
C-14-15 |
IFoFダウンリンク伝送向け周波数変換試作装置の遅延測定実験
◎赤松孝俊・西岡隼也・吉田 剛・小西良明(三菱電機) |
C-14-16 |
波長分散を利用した光アシスト型任意波形生成における時間方向波形圧縮歪に関する一検討
○西岡隼也・赤松孝俊(三菱電機)・小西 毅・牧野将之(阪大)・中村誠希・小西良明(三菱電機) |
2光波の差分周波数に相当する信号を生成する光ビート法は、アナログRoFにおいてマイクロ波などの高周波信号を効果的に生成・制御できる手法として期待されている。そのため、高精度な位相制御が要求されるアレーアンテナへ適用した遠隔指向制御が期待できるが、波長多重を用いた制御は伝送路長を考慮する必要がある。
我々は伝送路長に依存しない遠隔指向制御のために、アンテナ近傍に設置した半導体光増幅器の相互位相変調を用いた遠隔位相制御を提案しているが、偏光無依存化が課題となっている。本研究では、単一のSOAを用いて偏波ダイバーシティ構成とすることで偏光状態に依存しない制御法を提案し、その有効性を実験的に確認した。
新たな無線通信帯域の開拓及びBeyond 5Gにおける超高速無線通信に対する要求からTHz無線通信が期待されている.我々はマイクロ光コムとUTC-PDを用いたオール光型THz信号生成について検討しており,2.0 GbpsのOOK変調を施した搬送波周波数560 GHzのTHz信号の生成と受信を実験的に検証した.しかし受信信号のQ値は3.4(BER換算3.4×10^(-4))に留まり,この一要因にマイクロ光コムに付随する自然放出光雑音が考えられる.本稿ではOOK-THz信号のオール光型生成においてコムモードの光信号対雑音比(OSNR)が受信信号品質に与える影響を数値シミュレーションにより検討した.その結果,OSNRの改善と光OOK信号・連続光電力の平衡が重要であることがわかった.
次世代の移動通信システムBeyond 5Gにおいては,5Gに対して更なる超大容量化・超低遅延性が要求されており,高効率に無線信号を収容するための手法として,複数の無線チャネルを多重するIFoF伝送方式が提案されている.本方式を適用する場合,多重IFoF信号を周波数分離し,抽出した信号をアンテナ素子ごとに中間周波数帯に周波数変換する回路が必要となる.我々は特にデジタル信号処理を用いた回路に注目し,これをFPGAに実装したダウンリンク伝送向け周波数変換装置を試作した.本発表においては本装置を用いて実験を行った結果,及びその回路遅延量評価を行った結果について報告する.
光アシスト型任意波形生成においては,適用する波長分散デバイスの特性等により,波形圧縮時の部分的な過圧縮や圧縮不足などの時間方向歪が生じると考えられ,高精度な任意波形生成の実現には歪補償技術が必要になると考えられる.本報告では,補償方式検討の初期段階として,非線形な時間圧縮過程における歪特性の解析式を導出し,歪補償のシミュレーションを行った結果を示す.検討結果から時間方向の歪補償が可能であることを確認した.
C-15. エレクトロニクスシミュレーション
9月8日 13:30〜16:00 Meeting 15 座長 井口亜希人(室工大)
C-15-1 |
ダイナミックグルーピング型教育法に関する研究
○小島亜耶・木村秀明(中部大) |
C-15-2 |
音場波動方程式と機械学習を利用した媒質パラメータの予測
◎△佐貫颯治・西田大輝・津野晃大・音代 柊・木村秀明(中部大) |
C-15-3 |
将来の熱中症搬送人員数推定のための数値誤差検討
◎植田晴大・小寺紗千子・平田晃正(名工大) |
C-15-4 |
深層学習を用いた物体形状予測精度向上の研究
○西田大輝・佐貫颯治・音代 柊・木村秀明(中部大) |
近年,計算機性能の加速度的進展により,実空間と仮想空間を連携したシステムの研究開発が盛んに行われている.数値シミュレーション技術により過去不可能であった社会インフラ状況把握・予測等が実現可能になると期待されているが,人間行動を含めた数値シミュレーション技術には課題も多い.一方,今後激化する国際競争を勝ち抜くためには,新たな技術・サービスを創造する力が必要とされており,教育的観点からも数値シミュレーション技術への期待が大きい.今回,社会において必要とされる「探求・創造力」を持つ人材を育成,社会貢献を図るための教育システム構築に向けた方法を提案,数値シミュレーション技術によりその妥当性の検証を行ったので報告する.
我々は少子高齢化に伴う技術者不足の解決に向けた技術として数値計算ベースのシステムを提案してきた.マクスウェル方程式を利用した解析技術においては, 導電性媒質により予測精度が劣化するという課題があった.本課題を解決するために,音場波動方程式を利用,導電性媒質を含む構造体の予測精度の向上を図った.今回,音場波動方程式による数値計算と全結合型ニューラルネットワークを利用した媒質パラメータ予測実験を行ったので報告する.
近年,熱中症による搬送人員数が増加の傾向にあり,各地域でリスク低減に向けた対策が求められている.本研究グループでは,暑熱環境下における体内温度上昇及び発汗の解析、生体応答を考慮した熱中症による搬送人員数の予測式の開発を行ってきた.本稿では,将来の熱中症リスク評価を目的とし,これまでの予測方法の妥当性,とくに将来の気象の外挿時の有用性について定量評価した.その結果,気温を横軸にして予測値と実測値を比較したところ全温度帯おいては平均絶対誤差率が40%に収まっていた.また,31.5℃未満ではデータが十分あるため有用であると考えられる.33.5℃以上のデータは検証されていないことに留意が必要であるが,33.5℃以上のデータは将来の気象データの約1%であり,予測精度への影響は限定的であるといえる.
近年,少子高齢化による技術者不足や社会発展を担う生産現場数増加により異常検知技術の重要性・必要性が高まっている.本稿では,2次元電磁波波動方程式をベースとした数値シミュレーション技術と人工知能技術(AI)を連携・融合した「リバースエンジニアリング技術」を提案するとともに予測精度向上を図ったので報告する.
休 憩(14:45 再開) 座長 大寺康夫(富山県立大)
C-15-5 |
高速伝送用フレキブル基板上に形成したMSLのグラウンドに設けたスリットによる薄型化に関する検討
◎山口裕也(青学大)・土屋明久(KISTEC)・竹田昌弘・稲見英治(山下マテリアル)・菅間秀晃(KISTEC)・橋本 修・須賀良介(青学大) |
C-15-6 |
ハーモニーサーチと勾配法のハイブリッド手法によるNRDガイド素子のトポロジー最適設計
◎稗田直哉・井口亜希人・辻 寧英(室工大)・柏 達也(北見工大) |
C-15-7 |
L 字型金属素子を用いた電子レンジにおけるグリル皿に装荷したフェライトの均一加熱
○宮﨑龍一・須賀良介(青学大) |
C-15-8 |
ピエゾセンサを用いた傾斜角測定技術
○宮橋一瑠・加古啓晶・木村秀明(中部大) |
C-15-9 |
ドップラーセンサを用いた鉄筋コンクリート構造物内の錆検知に適した窓関数に関する検討
◎渡邉泰成(青学大)・平岡三郎(コニカミノルタ)・橋本 修・須賀良介(青学大) |
近年,マイクロストリップ線路(MSL)は狭い実装空間への対応や基板の屈折性の向上のため更なる薄型化が求められているが,基板厚を薄くすることによって伝送損失が増加することが懸念されている.そこで,我々はこれまでに薄型化したMSL を低伝送損失化するために,グラウンドにスリットを設けたMSLを提案してきた.そこで本検討では,厚さ25μmのスリット付きMSLと厚さ50μmのMSLの伝送特性を同程度とすることを目的とし,スリット構造について検討した.
電磁波を非放射で伝送できるNRDガイドは放射損失がないためミリ波小型回路の構成に有望である.最適設計技術の1つであるトポロジー最適設計をNRDガイドに適用することでこれまでにない全く新しいNRDガイドデバイスの実現の可能性がある.NRDガイドのトポロジー最適設計において,勾配法による解探索では局所解に陥りやすく,進化的手法では計算コストが高くなってしまう問題があった.そのため,本報告ではより堅牢で効率的な設計のため,進化的手法の1つであるハーモニーサーチと勾配法のハイブリッド設計手法について検討を行う.
近年の電子レンジには,冷凍食品を焼くためのグリル機能があり,焼成ムラを減らすための前処理としてマイクロ波加熱により解凍している.解凍後は天井のヒーターによる加熱に加え,マイクロ波によりグリル皿裏面に貼付したフェライトを加熱し,伝熱加熱により食品を両面から焼く.これらの解凍と焼成はアンテナの向きを変えることにより切り替えられる.焼成における課題としてフェライト内部に生じる定在波により,食品に焼成ムラが生じてしまうことが挙げられる.そこで本研究では,フェライト内部の磁界分布を均一化するため,L字型の金属素子を用いて節付近の磁界を大きくする手法を提案し,その効果を電磁界解析により示す.
近年,災害時には電柱の倒壊による道路の寸断などの2次被害状況,通常時には道路状況の把握及び,腐食による電柱の傾斜状況把握を簡単にできる技術が求められている.本研究では普及拡大が進むIoTセンサを利用,電柱の倒壊及び傾斜方向,交通状況の可視化を行うシステムを提案する.今回,圧力変化を電圧として出力する電子素子であるピエゾセンサを複数利用した.初期実験として交通振動にみたてた振動を実験装置に加えたときの電圧を測定し,提案技術の有効性を確認したので報告する.
近年の鉄筋コンクリート構造物の老朽化に伴い,被測定物を傷つけることなく評価可能である非破壊試験が注目されている.これまでに我々は,コンクリート表面からの反射波を除去し,鉄筋からの反射波のみを評価するためにドップラーセンサを用いた鉄筋のさび検知手法を提案してきた.本手法では被測定物からの反射波の時系列データを高速フーリエ変換(FFT)しドップラー周波数におけるレベルを評価するが,その時の窓関数に関しては議論されていない.そこで本研究では,本錆検知手法に適したFFTの窓関数に関して検討した.
9月9日 10:00〜11:30 Meeting 15 座長 阪本卓也(京大)
C-15-10 |
電界解析による実測心電波処理に基づく波源推定
◎小川幸大・平田晃正(名工大) |
C-15-11 |
脳深部領域を標的とするtDCS電極位置の数値解析
◎西本秀峻・Jose Gomez-Tames・平田晃正(名工大) |
C-15-12 |
3次元静脈認証技術の研究
◎△長谷川智敦・木村秀明(中部大) |
C-15-13 |
物理解析に基づく眼球内熱負荷と核白内障有病率の関係性評価
◎木下晃太朗・小寺紗千子(名工大)・初坂奈津子(金沢医科大)・江川隆輔(東京電機大)・滝沢寛之(東北大)・久保江理・佐々木 洋(金沢医科大)・平田晃正(名工大) |
C-15-14 |
腕部への一様磁界ばく露による末梢神経刺激閾値の推定
◎岡田真伯・平田晃正(名工大) |
C-15-15 |
体性感覚誘発電位に対する脳活動部位推定の数値的・実験的評価
○水谷笙吾・和坂俊昭(名工大)・木田哲夫(発達障害研究所)・平田晃正(名工大) |
心電図は,心疾患の早期発見の役割を果たす重要なツールとして利用され続けている.臨床現場において用いられる12誘導心電図は,胸部6個,四肢3個の電極で観測した電位から誘導方向を12パターンに拡張した時間波形を記録する.近年では,医用画像から生成された詳細胴体モデルを用いて順問題を解くことで LFM を構築し,12 誘導心電図と組み合わせることで心電波源を推定する研究が行われている.本研究では,詳細人体モデルに対する電界解析に基づいた心電波源の推定アルゴリズムを提案し,12誘導心電図の実測値を用いて波源推定を行うことで,推定手法の有効性を検討した.
近年,医療分野においてうつ病などの精神疾患に対する 治療を目的とした脳組織への電気刺激が注目されている. その手法として非侵襲刺激であり患者への負担が少ないtDCS(経頭蓋直流電気刺激)の有効性が検討されている.tDCSは頭部に貼付した電極間に微弱な電流を流すことにより,皮質興奮性を変化させ,神経活動を調整する手法である.電極間に流れる電流は脳深部まで拡散するが,脳深部領域の特定の組織を標的とした検討されていない.そこで本研究では,電極貼付位置による脳深部領域の電界分布の変化について評価を行った.また,各脳深部組織における電界閾値を基に,刺激の局所性の評価を行った.
現在、様々な場所でデジタルセキュリティ機器が利用されているが、一部のデジタル認証機器には重大な弱点が
ある。セキュリティの脆弱性は深刻な被害をもたらす可能性があり、無視できる問題ではない。現在の強力なセキュリティシス
テムの多くは煩雑な操作を伴い、その利用により一部の機能が損なわれており、回避できたはずの弱点を新たに生み出す可能性
がある。 本研究では、生体認証の強みと利便性に注目し、認証に必要な情報量を多角的に増やし、静脈認証装置のセキュリティと利便性を向上させる「3D 静脈認証システム」を開発、次世代に耐えうるより強固で利便性の高い生体認証装置の開発を目指す。
高齢者の核白内障有病率は,特に熱帯地域,亜熱帯地域で高いと報告されている.核白内障の環境要因として,外気温や紫外線による負荷が示唆されており,暑熱環境下における眼球内温度の詳細な検討は重要な項目である.本研究グループでは,暑熱環境下における体温上昇や発汗量を推定可能な混成熱解析手法の開発,年齢や出生地によるヒトの生理応答の違いのモデル化を行ってきた.本稿では,核白内障有病率に対する,複合物理熱解析を用いた眼球内温度の推定結果に基づく指標との相関を調査することで,熱や紫外線が核白内障発生に寄与する影響について考察した.
近年,電磁界ばく露による人体への影響について,関心が寄せられている.ICNIRPおよびIEEEは,電磁界の生体影響を防護するための国際ガイドライン,規格を定めているが,神経の反応を詳細に考慮した検討事例は少ない.そこで本稿では,右前腕部の刺激実験を基に,電磁界解析と神経モデルを用いたマルチスケール解析によって,神経モデルのパラメータフィッティングを行う.その後,300Hzから100kHzにおける,正弦波の一様磁界ばく露による刺激閾値を推定する.解析の結果,腕部の刺激閾値はICNIRPとIEEEの許容値をともに上回ることを確認した.本研究では,神経が最も活性化しやすい条件を想定しているため,許容値によって安全性は十分に担保されていると考えられる.
近年,医療・産業分野において,脳活動から生じる生体信号の有効活用が進んでいる.脳が活動した際,灰白質上で神経物質の受け渡しが行われ,その際に微弱な電流が生じる.この現象を非侵襲的に計測する手法として主にEEGとMEGが挙げられる.EEGはMEGに比べて測定装置が簡便であり広く利用されている反面,空間分解能が低いという問題点がある.これを補う手法として,本稿では医用画像から作成したリアル人体頭部モデルに対して,高速電磁界計算手法であるSPFD法を用い,脳波源推定に必要なリードフィールド行列を構築する.そして,実験値に基づく脳波源推定を行い,EEGとMEGを比較して有効性を検討する.
9月9日 13:00〜16:30 Meeting 15 座長 安藤芳晃(電通大)
C-15-16 |
マウス脳簡易モデルにおける光パルス応答解析
◎小林開人・岸本誠也・井上修一郎・大貫進一郎(日大) |
C-15-17 |
等価屈折率法を用いたPPDWの効率的な2次元近似解析
◎奥谷怜平・井口亜希人・辻 寧英(室工大) |
C-15-18 |
POとFILT法を用いた三次元過渡電磁界解析
◎荻野稜也・岸本誠也・大貫進一郎(日大) |
C-15-19 |
反復クランク・ニコルソン法に基づくFDTD法の分散性媒質解析への応用
○河原章良・西尾知将・柴山 純・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-15-20 |
Newmark-Beta法に基づく単一場FDTDスキームの精度評価
○藤田和広(埼玉工大) |
C-15-21 |
入射角を考慮したプラズモニックグレーティングカップラのFDTD解析
◎中坂日南・竹谷和真・柴山 純・山内潤治・中野久松(法政大) |
現在我々は,従来の光パルス生体イメージング方法を超える方法の開発を目指し,マウス脳を用いて検討している.イメージングにおいて光パルスの散乱による雑音の影響を低減することは急務であり,シミュレーションによる光パルス散乱の検討は重要なものとなっている.
本報告は,マウスの大脳皮質における神経細胞情報(Blue Brain Cell Atlas)を生体の解剖学的情報として利用し,これを生体の解析対象としてFDTD(Finite-Difference Time-Domain)法による電磁界解析を行った.
PPDWはTE10モードを導波モードとした面外方向に対して非放射な伝送路であり,THz波の伝送路としての応用が期待されている.PPDWは電磁波を伝搬する際に導体による伝搬損失が生じるため, 3 次元解析 · 設計が求められるが, 3 次元解析は一般に計算コストが高い.そこで本報告では, PPDW デバイスを効率的に解析 · 設計するため,等価屈折率法を用いた 2 次元近似解析 · 設計手法について検討する.
数値逆ラプラス変換法(FILT : Fast Inverse Laplace Transform)とは,複素周波数領域の関数を時間領域に変換する手法であり,電磁界の過渡応答を解析できる.
本報告では,物理光学近似(PO : Physical Optics)法とFILT法を併用した三次元の過渡電磁界解析を行う.周波数領域のPOで求めた合成電界値を用い,複素周波数領域で展開したPOとFILT法で求めた合成電界値の計算精度を検証する.
反復クランク・ニコルソン(ICN)法に基づく FDTD 法を分散性媒質解析へ応用する.はじめに,畳み込み積分の扱いが簡素で済む台形則に基づく帰納的畳み込み(TRC)法を導入した周波数依存型 ICN-FDTD 法の定式化を行う.次にプラズモン導波路グレーティングフィルタを解析し,本手法の妥当性を示す.
電界の波動方程式とクランクニコルソン法に基づく単一場のFDTD法が近年提案された.これに対して,筆者は有限積分法の行列代数に立脚した再定式化を行い,同単一場FDTD法の誤差が2次収束性を示すことを理論的・数値的に明らかにした.また,同手法は,Newmark-Beta法に基づく単一場FDTD法の特別な場合(Newmarkパラメータβ=1/2)とみなせることも示してきた.本稿では,β=1/2以外の場合に対して,Newmark-Beta法に基づく単一場FDTD法の精度評価を行う.
本稿では,長方形誘電体を装荷したプラズモニックグレーティングカップラの傾斜入射時における界の振る舞いを評価し,また,垂直入射時と比較しながら界の伝搬方向を議論した.その結果,垂直入射時には界が金属表面上を左右に伝搬するのに対し,傾斜入射時には界が金属表面で一方向伝搬することを示した.
休 憩(14:45 再開) 座長 柴山 純(法政大)
C-15-22 |
(依頼講演30分)サブ波長光学構造の電磁界解析とシミュレーション手法およびその応用について
◎大寺康夫(富山県立大) |
筆者はこれまで、有限差分時間領域法(Finite-Difference Time-Domain: FDTD)法に基づく電磁界シミュレータを開発し、周辺分野の理論的知見を取り込むことで様々な光学素子、特にサブ波長微細構造を有する素子の持つ新規物理現象の解明を試みてきた。当初はフォトニック結晶を中心とするサブ波長構造そのものの特性に注目し、その後は解析・試作した素子を用いた応用研究(特に分光イメージング)に取り組んできた。ここでは一連の成果を紹介する。
(15:15 開始) 座長 辻 寧英(室工大)
C-15-23 |
波数空間展開と差分法による電磁界解析
岸本誠也・◎椿 英駿・大貫進一郎(日大) |
C-15-24 |
波数空間における光パルスの伝搬方向検証
◎三枝美波・岸本誠也・井上修一郎・大貫進一郎(日大) |
C-15-25 |
FDTD法を用いたキルヒホッフ・ホイヘンスの式の有効性検証
○△樺澤一真・草間裕介(東洋大) |
C-15-26 |
波数領域における表面プラズモンの成分分離
◎都木慶吾・柴垣裕紀・岸本誠也・佐甲徳栄・大貫進一郎(日大) |
C-15-27 |
2D-FDTD法とRay-tracing法を併用した空港面電磁界解析手法の測定による有効性評価
◎渡邊 恵(青学大)・毛塚 敦(電子航法研)・須賀良介(青学大) |
本報告では,電磁界を波数空間にて展開する.展開係数は波動方程式中の空間微分を差分法(FDM: Finite-differemce method) に置き換え決定する.得られた解をFDFD(: Finite-difference Frequency-Domain)法と比較する事で本手法の妥当性について検証する.
著書らは光パルスの時間分解測定において,従来では達成できない高いS/N比の実現を目的とした背景雑音抑圧法の開発を行っている.本報告は,層構造モデルにおける光パルスの界分布を電磁界解析手法であるFDTD法により算出する.そこで得た結果に,2次元フーリエ変換を適用し波数空間に変換する.波数空間に任意の伝搬方向に対しフィルタリング及び逆変換をし実空間に戻す.この方法で伝搬方向の抽出を行い,ノイズである散乱光の検証を行う.
回折公式として用いられるキルヒホッフ・ホイヘンスの式は,扱いを簡単にするために幾つかの近似が使われている.近似された回折公式は簡略化されているため,物理的な意味が直感的に把握しやすい.このため,開口寸法や形状,周波数に対して回折パターンがどう変化するか,瞬時に計算結果が得られるメリットがある.しかし,これまでの多くの研究は鋭い指向性が得やすい光学系に対するものであり,周波数が低い電波領域に対しては適用範囲と妥当性が検証されていない.そこで,電磁界解析手法の一つであるFDTD法を用いてその有効性を検証し,近似式の適用範囲と妥当性を定量的に明らかにした.
近年,集積回路の高速化,小型化及び省電力化を目指した光導波路のデバイス設計が行われており,表面プラズモンを利用したプラズモニック導波路が検討されている.デバイスの最適化を効率的に行うためには表面プラズモンの評価が必要であり,電磁界を成分分離することで,表面プラズモンの伝搬・局在化の物理的解釈が可能となる.本報告では,波数領域の電磁界を波数ベクトルと平行な縦成分及び垂直な横成分に分離し,分離前の電界と比較し,位相関係や空間分布の特性について明らかにする.
次世代着陸誘導システムであるGround based augmentation system (GBAS) が開発されている.GBAS による自動着陸のサポートには100MHz 帯VHF data broadcast (VDB) アンテナを用いて航空機へGPS の補強情報を送信する必要があり,具体的には滑走路上3.6m~10.8m の高度において-72dBm 以上の覆域が要求される.これを実現可能なVDB アンテナの設置位置の決定には電磁界解析が有効である.我々は様々な空港地形に適用可能な電磁界解析手法として,2D-FDTD 法とRay-tracing 法のハイブリッド手法を提案してきた.本稿では,電波暗室内で構築した空港モデルを用いた測定により提案手法の有効性を評価した.
シンポジウムセッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
CS-1. 電磁界解析における解析的手法と数値解析の最新状況
(電磁界理論研専)
9月6日 13:00〜16:35 Meeting 24座長 出口博之(同志社大)
CS-1-1 |
(依頼講演)反復計算を用いた新しい陽的FDTD法の開発
○柴山 純・河原章良・西尾知将・山内潤治・中野久松(法政大) |
CS-1-2 |
TD-SPTによる後方過渡散乱磁界の応答波形を用いた散乱体情報の推定法-推定法の適用条件ー
○後藤啓次・岩切宗利・河野 徹・加藤大博・郡山英之(防衛大) |
CS-1-3 |
(依頼講演)等価回路表現を用いた過渡的エネルギー吸収量の時間領域解法
○チャカロタイ ジェドヴィスノプ・藤井勝巳(NICT)・鈴木敬久(東京都立大)・柴山 純(法政大) |
CS-1-4 |
(依頼講演)FILT法を用いた電磁界数値計算法の信頼性検証
○岸本誠也・大貫進一郎(日大) |
本稿では,最近筆者らにより提案された,クランク・ニコルソン(CN)法を反復計算を用いて陽的に解く反復CN法に基づくFDTD法を議論する.
推定に使用する散乱体の構造は,材質の均一な一層の誘電体媒体で覆われた導体円柱(コーティング導体円柱)である.散乱体の誘電体媒質の厚さが薄くなると,後方過渡散乱磁界成分の応答波形には隣接する後方過渡散乱磁界成分が重なり合うために,散乱体情報の推定精度が劣化することになる.本報告では,時間領域における鞍部点法(time-domain saddle point technique:TD-SPT)による散乱体情報の推定法に対する適用条件を新たに提案する.提案する適用条件の有効性は,散乱体情報の推定精度と比較することにより明らかにする.
これまで,著者らが研究開発を進めてきた周波数分散型時間領域有限差分(Frequency-Dependent Finite-Difference Time-Domain, (FD)2TD)法はCole-Cole, Davidson-ColeやHavriliak-Negami等の様々な分散式に対して,適用可能であることを示した.しかし,従来のFDTD定式化では,物質内に吸収されるエネルギー量を時間領域で定量的に求めることができない問題がある.そこで,本研究では,従来法を拡張し,等価回路表現を用いたFDTD定式化及び過渡的なエネルギー吸収量の計算法を提示し,手法の妥当性を確認すると共に,実際の計算例を示す.
著者らの研究グループでは,数値逆ラプラス変換(:Fast Inverse Laplace Transform)法と複素周波数領域に拡張した数値計算法を用い過渡電磁界問題の解析を行っている.本報告では,これら解析手法の信頼性検証ついて述べる.
休 憩(14:55 再開)座長 山本伸一(三菱電機)
CS-1-5 |
物理法則に基づくニューラルネットワークによる電磁界解析技術の開発
○藤田和広(埼玉工大) |
CS-1-6 |
(依頼講演)3次元インピーダンス法計算スキームの超並列化と過渡的な時間領域解析への応用
○鈴木敬久・北原 真(東京都立大) |
CS-1-7 |
(依頼講演)傾斜型空洞で構成された周期的分散性媒質の過渡応答解析
○尾崎亮介・山﨑恒樹(日大) |
CS-1-8 |
メタサーフェスを用いたRCS低減方法に関する試作評価
○末延 博・山本伸一・瀧川道生・米田尚史(三菱電機) |
近年,深層学習の概念を取り入れて偏微分方程式を解く手法が,科学技術計算と機械学習の融合分野において活発に議論されている.代表的なアプローチとして, Raissiらが提案したPhysics-Informed Neural Networks (PINN)がある.一方,電磁界はその時間変動の速さに応じて「静的な場」,「渦電流場」,「高周波場」の3種類に大別される.本稿では,筆者らがこれまで行ってきたPINNによる電磁界解析技術とその応用に関する研究を中心に概説する.深層ニューラルネットワークは,上記3種の電磁界に対応する偏微分方程式で記述された物理法則を学習できることを示す.
本研究では、磁界測定データをほぼそのまま数値解析に利用できるインピーダンス法(IM)の利便性に着目し、Graphics Processing Unit(GPU)計算のための計算スキームの超並列化を目的とする。また、超並列化によるIMの計算速度の飛躍的な向上および、それにより可能になった時間領域解析手法についても述べる。本研究ではインピーダンス法の計算スキームの並列化のためにRed-Black SOR法の適用を行った。また、GPUを使用した超並列計算を行うため、並列化されたインピーダンス法の計算スキームをCUDAプログラミングモデルを用いて実装した結果飛躍的な計算パフォーマンスの改善が示された。
情報通信技術の進展から自動運転に関する追突防止技術(ミリ波レーダ)や第5世代移動通信(5G)サービスをはじめとして無線通信システムの高速化等により周波数の需要が増大し,高マイクロ波帯やミリ波帯電波の利用拡大が展開されはじめ,更なる技術展開に期待が高まっている.こうした技術展開を支えるため,あらゆるデバイスの設計や未知な物理現象を解明するための電磁界解析技術の進歩が大変重要な役割を担っている.一方,電磁界理論の研究分野は,電磁界の基礎理論,散乱・回折,アンテナ伝搬,逆問題,レーダ・イメージング,導波路,周期構造,高周波近似などの電磁界理論に関する問題として,未知の物理現象解明や数値計算法の解析精度など多岐にわたり様々な解析的手法や数値的手法を用いて研究が進められている.
最近,著者らは周期構造を利用した分散性媒質に関する時間領域の解析を進めている.
本文では,現在進行中の研究経過と研究成果を紹介する.
周期構造によって反射特性を制御するメタサーフェスを用いてRCS(Radar Cross Section: レーダ断面積)を低減する方法について報告する。RCSを低減する基本的な方法として、対象物と振幅が同等な導体を用いて、対象の散乱波と逆相の散乱波を重ねて打ち消す方法がある(散乱相殺)。打ち消しが生じるのは対象と導体の間隔が1/4波長程度となる周波数付近であり、その動作は狭帯域となる。本稿では,対象物の散乱相殺にメタサーフェスを用いることでRCS低減の帯域拡張を検討し、等価回路モデルおよび電磁界シミュレーションによる設計結果と、試作評価結果を報告する。
CS-2. 磁気記録技術の最前線
(磁気記録・情報ストレージ研専)
9月9日 13:00〜16:10 Meeting 32座長 吉田周平(近畿大)
CS-2-1 |
磁気テープ技術の進歩
○鶴田和弘・板垣 浩(日本IBM) |
CS-2-2 |
塗布型ストロンチウムフェライト磁気テープの高記録密度化技術
○今岡典子・辻本真志・白田雅史・堂下廣昭(富士フイルム) |
CS-2-3 |
スパッタ垂直媒体におけるM-H曲線と記録再生特性の熱減衰―実測およびシミュレーションによる検討―
◎兒玉 聡・立花淳一・相澤隆嗣・山鹿 実(ソニーストレージメディアソリューションズ)・田河育也(東北工大) |
CS-2-4 |
Co/Tb磁性細線メモリーにおける磁区の記録と駆動
○加藤大典・髙橋真央・中谷真規・小倉 渓・井口義則・宮本泰敬(NHK技研) |
2022年5月, IBM(International Business Machines Corporation)初の磁気テープ製品IBM 726が発表されてから70年が経過し, 日本IBMがテープ研究開発に従事してから四半世紀になる.ともすれば時代遅れと揶揄される磁気テープは, 今尚データストレージとしての重要な役割を担い、デジタルデータ量の増大する将来を支えている. 本稿はLTO(Linear Tape Open)以降の磁気テープ技術の動向を解説する.
IoT・ICTの進展、AIを用いたビッグデータ解析の普及などにより、世の中で生成されるデータ量は爆発的に増加している。これらの膨大なデータを安価・安全に長期保管したいというニーズがますます高まっている。磁気テープは、大容量、低コスト、省電力、長期保存に適したメディアとして、大手データセンターを中心に利用が進んでおり、更なる大容量化も期待されている。
我々は2020年にシステムメーカーと協働で、塗布型磁気テープにおいて世界最高となる面記録密度317 Gb/in2 の記録再生特性の実証に成功した。
その中心技術である微粒子ストロンチウムフェライト磁性体の開発、磁性体の均一分散と高配列化、磁性層均一薄層塗布による平滑化について説明する。
現行の磁気記録におけるさらなる高密度化のためには磁性粒子の微細化が必須であるが、むやみに微細化を進めると熱擾乱による記録再生特性の劣化が生じる。そこで熱擾乱の影響を回避してSNRを向上するための媒体設計指針を得ることを目的として、熱擾乱を考慮した磁気記録シミュレーターを作成し、実測結果との比較によりシミュレーションの妥当性を検証した。グラニュラー単層媒体およびグラニュラーCap二層媒体について、M-H曲線と記録再生特性の時間減衰を比較したところ、単層媒体およびCap付き二層媒体ともに実測とシミュレーションで概ね一致した。しかし、Cap層の効果が実測とシミュレーションで異なる部分があり、さらなる検討が必要である。
我々は超高速かつ大容量な次世代ストレージとして、磁性細線メモリーを提案している。これは,多数の磁性細線中に情報を分割して磁区として記録した後,磁性細線の長さ方向にパルス電流を印加することによって記録磁区を一方向に高速に駆動させ,磁性細線の長さ方向に情報を蓄積する新メモリーである。これまで、磁性細線とそれと直交するように層間絶縁層を介して配置された1本の記録素子とを一体化形成した磁性細線メモリー構造を試作し,磁区の記録と駆動の一連動作の検証に成功している.今回、磁区の記録における低電流化、安定化に向けて、2本の記録素子により磁性細線中に磁区を記録する新しい構造を考案し、試作デバイスを用いて磁区の記録と駆動の一連動作に成功した。
休 憩(14:55 再開)
CS-2-5 |
マイクロ波アシスト磁気記録技術の開発
○成田直幸・高岸雅幸・中川裕治・前田知幸(東芝) |
CS-2-6 |
三次元磁気記録のための信号処理方式について
○仲村泰明・西川まどか(愛媛大)・金井 靖(新潟工科大)・岡本好弘(愛媛大) |
CS-2-7 |
次世代スマート社会を推進する情報ストレージの展望
○田中陽一郎・Simon Greaves(東北大) |
ハードディスクドライブ(Hard disk drive:HDD)は、現在の情報化社会を基盤から支える中心デバイスであり、今後も継続的な記録容量の増加が強く望まれている。本講演では、現在のHDDの立ち位置や課題を述べた上で、次世代高密度磁気記録技術として注目されるマイクロ波アシスト磁気記録技術(Microwave-Assisted Magnetic Recording:mMAMR)についてその技術概要・課題について説明する。また東芝が独自に展開する2種類のMAMR技術について、その概要や開発状況について説明する。
記録層を多層化した三次元磁気記録の信号処理方式の開発について紹介している。
情報通信技術(ICT)をフルに活用して社会の質(Quality of Society)の豊かさを醸成する取り組みとして,超スマート社会の姿を目指すデジタルトランスフォーメーション(DX)が推進されている.多様なデバイスのネットワーク連携によって様々な社会事象をデジタルデータとして活用する仕組みや,リアルタイムのビッグデータ解析が普及し, 新たな社会価値やビジネスの機会の創出が行われている.デジタルデータの流通と価値情報の抽出を支える重要な基盤が情報ストレージであり,スマート社会を推進する基盤を担う今後の情報ストレージのあり方を展望する.
BCS-1. Society 5.0時代における光・電波を活用した横断型伝送技術
(アンテナ・伝播研専、衛星通信研専、光通信システム研専、短距離無線通信研専、光応用電磁界計測特別研専、マイクロ波テラヘルツ光電子技術研専 共催)
9月8日 9:50〜11:30 Meeting 17座長 村上友規(NTT)
BCS-1-1 |
(依頼講演)空間的並列信号伝送を用いたLED可視光無線通信における照明間干渉低減手法の検討
◎日笠颯汰・冨里 繁・田野 哲・上原一浩(岡山大) |
BCS-1-2 |
(依頼講演)低消費電力かつ高速な多重化シングルキャリア光無線通信の伝送特性改善に関する研究
◎鈴木穂孝・中川匡夫(鳥取大) |
第五世代移動通信方式の実用化による無線通信トラフィックの急速な増大に対応するため,LED可視光無線通信が研究されており,これを高速化する空間的並列信号伝送が検討されている.この空間的並列信号伝送では,LED照明と受光素子の位置関係により,1つの受光素子に複数のLED照明からの光が同時に受光されることで照明間干渉が発生し,並列信号伝送可能な信号系列数が低下するという問題がある.そこで照明間干渉の影響を低減し,並列伝送可能な信号系列数を増大させるため,適応送信分配手法が提案されている.本研究では,受信地点ごとに最適な変調方式を選択した場合の並列伝送可能な信号系列数を評価する.
多重化シングルキャリア光無線通信について,シミュレーションによって提案構成を用いてチャネル情報推定信号のシンボル数を変化させ適応フィルタにより信号を補償することでSN比が最大で約1dB改善された。シミュレーションの結果からチャネル情報推定信号のシンボル数が少ないとき大きな改善効果が得られた。
(10:40 開始) 座長 菅野敦史(NICT)
BCS-1-3 |
(依頼講演)Free-space Optical Communication Systems for B5G - Architecture and Transceiver Design
○Abdelmoula Bekkali・Michikazu Hattori・Yuichiro Hara(TOYO Elec.) |
BCS-1-4 |
(依頼講演)フォトミキシングによる光-テラヘルツ波信号変換技術
○加藤和利(九大) |
In this paper, we give an overview of the FSO system architecture and transceiver design for B5G networks. We also introduce our newly developed FSO system based on
optical beam stabilizer(OBS)technology.
本講演では、これまで我々が取り組んできたフォトミキシングによるテラヘルツ波発生、アレーフォトダイオードによるビーム形成、ビームステアリングについて説明する。また光デバイスの活用をさらに進めた、任意の波長からのテラヘルツ波信号への変換手法について紹介する。
9月8日 13:00〜15:45 Meeting 17座長 井家上哲史(明大)
BCS-1-5 |
(依頼講演)5G/Beyond 5Gモバイル収容向けアナログRadio over Fiber技術
○田中和樹・二村真司・石村昇太・西村公佐・猪原 涼(KDDI総合研究所) |
BCS-1-6 |
(依頼講演)NICTにおける通信用補償光学系の研究開発
○斉藤嘉彦・白玉公一・コレフ ディミタル・中園純一・阿部侑真・布施哲治・豊嶋守生(NICT) |
BCS-1-7 |
(依頼講演)位相感応増幅を用いた低雑音光増幅器とその宇宙光通信応用
○橋本洋輔(JAXA)・風間拓志(NTT)・荒木智宏(JAXA)・渡邉 啓(NTT) |
基地局を収容する光アクセス回線としては,従来, Point-to-point構成のデジタル回線が広く利用されてきたが,5GやBeyond 5Gで膨大なアンテナが設置されると,既設アクセスファイバの枯渇が懸念される.大容量デジタル回線としては,10 Gbit/s級の光アクセスシステムが商用導入されているが,今後さらなる大容量化が必要である.著者らは,光アクセス回線の大容量化,低遅延化,既設ファイバの有効活用,更には基地局アンテナ機器の小型・省電力化を目指し,アナログRoF(Radio over fiber)技術を用いたMFH(Mobile fronthaul)の研究を進めてきた.本稿では,アナログRoF技術とモバイル向けユースケース,著者らが取り組んできたMFH向け大容量アナログRoF伝送システムの研究開発について報告する.
衛星-地上局間の空間光通信技術の展開は高速大容量データ送受信だけではなく、暗号鍵配送のための通信技術としても脚光を浴びている。衛星と地上の間には大気が存在し、その存在によって通信光は影響を受ける。
雲による遮蔽は論外として、晴天であっても、散乱による損失の影響を受け、さらに到達した光は大気ゆらぎの影響を受ける。
散乱は大気が存在する以上避けられないとしても、大気揺らぎに関しては補正する技術が存在する。天文学において大口径望遠鏡を用いた観測を行う場合、大気揺らぎの補正をしなければ本来望遠鏡が持つ空間分解能の性能が発揮できない。その補正のために実用化された「補償光学系」の技術は宇宙から到来する光を受ける通信光の受信にも応用が可能である。本講演ではNICTが現在取り組んでいる通信用の補償光学系についての研究開発の概要について説明する。
衛星通信高速化の要求の高まりを受け、これまでのRF衛星通信に加えて、高速な光衛星通信の研究、実利用が進んでいる。光衛星通信においては、空間伝搬により大きく減衰した光信号を受信する際に低雑音光増幅器を用いることで、S/N比が向上し通信速度高速化につながる。我々は、一般に用いられる低雑音光増幅器よりも原理的に3 dB雑音指数が低く、より低雑音増幅が可能な位相感応増幅器とその宇宙光通信適用の研究を進めている。本講演では位相感応増幅器の概要、衛星通信時に発生するドップラーシフトへの対応策、および位相感応増幅器との組み合わせ検証結果について報告する。
休 憩(14:30 再開)座長 辻 宏之(NICT)
BCS-1-8 |
(依頼講演)Beyond 5G/6Gに向けたIRSの伝搬特性の実験的評価
○松野宏己・大戸琢也・原田教広・長尾竜也・林 高弘(KDDI総合研究所) |
BCS-1-9 |
(依頼講演)可視光を用いたスケールモデルにおける参照点数に対するチャネル容量推定精度に関する研究
○谷口諒太郎・村上友規・猪又 稔・小川智明・鷹取泰司(NTT) |
BCS-1-10 |
(依頼講演)W-band 用光ファイバリンクを用いたアンテナ測定システム
○黒川 悟・飴谷充隆(産総研)・廣瀬雅信(7G aa) |
Beyond 5G/6Gで求められる超高速・超大容量・超低遅延などの無線性能を実現するためには,帯域幅の確保が必要で,ミリ波をはじめとする高周波数帯の利用が期待されている.一方,周波数が高くなるほど電波の直進性が高くなるため,遮蔽などにより基地局の電波が届き難い不感地帯が無線エリア内に生じる問題がある.この対策として,基地局からの電波を不感地帯に反射させてエリア化する検討が進められている.特に,反射面内に反射位相の分布を形成し,特定方向に電波を反射するメタサーフェス反射板や,反射板に反射位相の可変機構を持たせ,反射特性と制御するIntelligent Reflecting Surface (IRS) / Reconfigurable Intelligent Surface (RIS)は,不感地の変化への追従や, MIMO通信に優位なマルチパス環境の創出など,様々な目的での検討が進められており,Beyond 5G/6Gの候補技術として注目を集めている.IRSを移動通信システムで利用するためには,IRSの伝搬特性の把握が必要となるが,実環境での伝搬特性の評価結果はほとんど報告されていない.そこで本稿では,IRSを用いたエリア測定を行い,伝搬特性やIRSサイズによる反射特性の評価結果を報告する
著者らはスケール率の高い環境モデルにおいて,可視光レーザ,球体,カメラを用いて測定した光の到来方向および反射回数と受信電力の情報から,伝搬特性を推定する手法を提案している.本手法は,測定に電波免許が不要である点や動的環境を再現可能である点などの特徴がこれまでの手法との違いである.本稿では参照とする実測定点数に対する提案手法のMIMOシャノン容量の推定精度を,実験結果に基づいて明らかにする.
光ファイバリンクを用いたミリ波発生装置を開発し,それを用いたアンテナ放射パターン測定システムを開発した.開発システムは,75 GHz~110 GHzのW-bandミリ波信号を-30 dBm以上で発生することが可能である.本報告では,開発システムとスペクトラムアナライザを用いたW-band標準利得ホーアンテナの近傍界測定結果も併せて示す.