プログラム
format_list_bulleted基礎・境界ソサイエティ
一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
A-1. 回路とシステム
9月7日 9:00〜11:15 Meeting 26 座長 Mahfuzul Islam(京大)
A-1-1 |
光変調器用3段スタック型CMOSドライバ回路の高速・PAM4対応化の検討
◎佐田京介・山田拓磨・泉 蓮・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大) |
A-1-2 |
25 Gb/s PAM4対応バーストモード・オフセット補償回路の検討
○牧野文哉・加藤篤史・石原駿輔・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大) |
A-1-3 |
VCIIを用いた有損失FDNRの構成法
○松元藤彦・畠井和紀(防衛大) |
A-1-4 |
変動するケーブルの寄生容量及び回路素子の寄生容量の影響を低減する差動容量-電圧変換回路の検討
◎太田捷斗・小川覚美・佐藤隆英(山梨大) |
近年、急激に増加している情報トラフィックに対応するために、大容量通信が可能なPAM4のような多値符号を用いた高速光送信器の研究が行われている。PAM4符号対応高速光送信器には高速変調動作に加えて、光変調器の駆動に必要な大振幅出力特性とPAM4符号対応に必要な広い線形動作範囲を持つ光変調器用ドライバ回路が求められている。また、経済的なドライバ回路の実現のためにCMOS技術の適用が期待されている。そこで本稿では大振幅出力特性を持つ3段スタック型CMOSドライバ回路についてアンプ段にマルチ負帰還を用いることで、線形動作範囲と帯域の拡張を行い、高速・PAM4対応化の検討を行った。
近年、情報トラヒックの急増により光通信システムの高速化と伝送効率の向上が求められている。特に
経済的な光加入者システムであるPONシステムでは高速化のためPAM4信号を用いた25 Gb/sの導入が検討されている。高速信号を受信するために信号の単/差動変換が必要で、伝送効率向上のために高速でオフセットを除去するオフセット補償回路が必要とされる。そこで、本研究では、オフセット補償回路のPAM4対応化と高速応答性の向上を検討した。
提案構成では、時定数を切り替えることで高速応答性と同符号連続耐性の両立を可能とした。応答時間は10 nsと従来回路と比較して95%短縮できた。
アナログフィルタを集積化する手段の一つであるBruton変換は、インダクタを抵抗に変換し、インダクタの使用を回避するというものである。1つの演算増幅器を用いてFDNRと容量の並列インピーダンス素子(有損失FDNR)を実現する回路が提案されている。しかし、演算増幅器のGB積の影響により、高周波用途には不向きである。そこで本稿では、この問題を解決するため、VCIIを用いてFDNRを構成する手法を提案する。提案回路を用いて遮断周波数200kHzの3次バタワースLPFを構成し、その周波数特性をシミュレーションで確認した結果、従来手法よりも優れた特性が得られた。
現在, 医療や介護の分野で容量型センサの有効活用が期待されており, その一つに内視鏡の先端に取り付けたセンサでの直接的な臓器の触診という応用例が考えられている. 回路本体とセンサを繋ぐケーブルによる変動する寄生容量の影響はセンサとケーブルの間にnMOSを挿入することで軽減できるが, nMOSの寄生容量により測定精度が低下してしまう. そこで, 新たに付加容量を加えることでnMOSの寄生容量から注入される電荷の影響を低減する差動容量-電圧(C-V)変換回路を提案した. 提案回路のフルスケールに対する最大誤差が0.00214 %となり, 従来のC-V変換回路に比べて10000倍程度の精度を有していることを, HSPICEシミュレーションによって確認した.
休 憩(10:15 再開) 座長 山脇大造(富士フイルムヘルスケア)
A-1-5 |
CMOS MMIC向けミリ波レーダ高分解能処理方式
◎中尾美裕・赤峰幸徳(日立)・黒田浩司(日立Astemo) |
A-1-6 |
エッジ端末における8K超高精細映像AI推論処理手法の提案
◎飯沼宥光・八田彩希・鵜澤寛之・吉田周平・佐野公一(NTT) |
A-1-7 |
シングルチャネル/マルチポート制御システムにおける同符号連続パターン埋込による制御情報付加手法
◎種 龍之介・中塩屋真也・井上敏之・土谷 亮・岸根桂路(滋賀県立大) |
A-1-8 |
探索中に方策を更新するモンテカルロ木探索による組合せ最適化問題の解法
◎小林侑介・藤吉邦洋(東京農工大) |
近年,自動車の完全自動運転へ向けたシステム開発が注目を集めている。完全自動運転では高精度カメラに加えてLiDARやミリ波レーダといったセンサが統合的に用いられる。なかでもミリ波レーダは遠距離に強く天候の影響を受けにくいセンサとして活用が期待されている。その一方で,角度分解能を得るためには回路規模やコストが増大するという課題がある。自動運転における街中交差点シーンで必要となるミリ波レーダの角度分解能の目安としては3度以下で,一般的には複数チップのMMICやMUSIC法といった高負荷な信号処理を用いる必要が生じる。本研究では,単チップMMIC構成による低負荷な高分解能処理方式を提案する。
近年,エッジ端末でAI推論を実行するエッジAIが注目されている.また,高精細カメラの小型化が進み,8Kカメラを搭載したドローンなどが登場している.そのため,今後,8K超高精細映像からエッジ端末上で物体検出等の処理を行うエッジAIの需要が高まっていくと予想される.従来手法では,超高精細映像中の小物体を検出するため,フレーム画像を分割したうえで各分割画像に対して推論処理を行っていたが,画像分割数の増加に伴って精度の低下や計算量の増加という課題が生じる.そこで本研究では,密度推定を用いて効率的に画像の分割数を削減することで,エッジAIを用いて超高精細映像から物体検出を行う手法を提案する.
近年,通信ネットワーク規模が急速に拡大しており,光通信システムのさらなる高速化,高性能化が課題である.我々は,光通信システムの中継・終端装置の調整を簡易無線で実施可能とするシングルチャネル/マルチポート制御システムを提案している.現状のシステムでは,フレーム内パルス数とフレーム信号周波数情報を制御情報として用いる通信プロトコルを採用している.本稿では,送信データフレーム内の従来パルス列(1,0交番信号)に対し,数パルス分の同符号連続(CID)パターンを埋め込み検出することで,データフレーム長の増加を抑制した付加情報量増大手法を提案する.無線通信による実機検証により,提案システムの基本動作が確認できた.
近年、組合せ最適化問題の解法としてモンテカルロ木探索を適用することの有効性が指摘されている。しかし、モンテカルロ木探索を用いた解法は、解の質や探索の効率について、既存の有力なメタヒューリスティクス解法と比較して良い性能を示していない。そこで本研究は、モンテカルロ木探索のDefault Policy(部分解を評価するステップ)のパラメータを遺伝的アルゴリズムによって探索中に調整する手法を提案する。提案手法を時間枠などの制約の付いた配送計画問題に適用した結果、Default Policyでランダムにノードを選択して解を構築する手法よりも探索効率が良いという結果を得た。
A-2. 情報理論
9月9日 9:00〜9:45 Meeting 21 座長 麻谷 淳(岡山理科大)
A-2-1 |
単一の逆元器を用いた3重誤り訂正可能なBCH符号の直接解法
◎近藤裕樹・久保田貴大(キオクシア) |
A-2-2 |
テンソル積によって得られる整数剰余環上の符号に対する最小リー重み
○尾白典文・松井 一(豊田工大) |
A-2-3 |
反転不変な準巡回符号に対するべき等元を用いた構成とその最小重みの探索
◎兼子 駿・松井 一(豊田工大) |
BCH符号を復号する際の,誤り位置多項式の直接解法回路の回路規模削減に関する一検討である.主な貢献は,直接解法で参照するROMテーブルの値を工夫することで,直接解法計算時に2箇所で必要になる逆元計算を1つにまとめたことである.これにより,直接解法で使用する逆元器を,回路の共有を行わずに2つから1つに減らすことができ,回路規模を削減することに成功した.回路規模削減効果は適用するBCH符号に依存するが,本検討ではGF(2^10) 上の3重誤り訂正可能なBCH符号に適用し,当社で実施した論理合成では約10%の回路規模削減効果が得られた.
本研究では整数符号を被約生成行列と呼ばれるある種の整数行列によって表す.これを用いて符号長と法が任意の2つの整数符号に対し,それらの被約生成行列のクロネッカー積によって定義される整数符号の最小リー重みを元の符号の最小リー重みから算出する定理を与える.
本論文では,べき等元を用いた準巡回符号の構成方法について述べた.この方法は,符号長の長い符号を探索するのに適した方法である.また,この方法を用いて反転不変かつ自己双対な準巡回符号の最小重みの最大値の探索を行った.今回の実験では,2元体と4元体の符号について探索した.この実験結果により,反転不変かつ自己双対な準巡回符号のクラスと,自己双対な準巡回符号のクラスでは,最小重みの最大値について,調べた範囲では同じであることがわかった.これより,反転不変の条件が付いていても誤り訂正能力の高い符号が存在することを確認することができた.
A-3. 信頼性
9月6日 10:00〜10:15 Meeting 28 座長 土肥 正(広島大)
A-3-1 |
Quantifying Machine Learning Models' Explainability with Reference to Human Strategy
○△Zhaopeng Li・Mondher Bouazizi・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.)・Masakuni Ishii・Eri Nakahara(NTT) |
eXplainable Artificial Intelligence (XAI) has recently become a research hotspot. One open question in this domain is the quantification of the “explainability” or “interpretability” of Machine Learning (ML) models. In our research, together with some well-studied criteria, we propose a method to map the human cognition to a linear model and then compare this human-defined model with the local surrogate model obtained by SHAP (Shapley Addictive exPlanations) to quantify the explainability of ML models.
A-4. 超音波
9月6日 13:00〜13:45 Meeting 27 座長 吉澤 晋(東北大)
A-4-1 |
海底を模擬した凹凸形状のモデル化およびエコー計算方法
○木村友則・塚本祐介・秋本信二(三菱電機) |
A-4-2 |
位相反転素子構成の超音波センサーの音場測定
○土屋健伸・遠藤信行(神奈川大) |
A-4-3 |
気流中における空中超音波により励起したLamb波のパルス圧縮
◎△清水鏡介・大隅 歩・伊藤洋一(日大) |
海底探査用の超音波アレイセンサの設計では、反射源からエコーを計算し、その結果に基づいて素子数や素子配列等を決める。反射源を滑らかな面とすると鏡面反射のエコーしか受信されず、実際の海底からのエコーとは異なるためセンサ設計には適さない。本発表では、海底の凹凸を微小な四角推の集合体としてモデル化し、時間領域積分法で受信信号を求める計算の妥当性について示す。
一般的な超音波センサーは,センサーを構成する各素子の入力位相を制御することで放射方位を変更することができるが、装置が大掛かりになりコストも掛る.本研究では,素子を位相反転構造とした超音波センサーによって放射方向を制御する超音波センサーの基礎特性を測定することを目的とする.前報では,基礎検討として数値シミュレーションによって搬送波周波数に対する超音波センサーの放射方向と最終極大値の変化について求めた.本報告では,位相反転素子構成の超音波センサーの試作機を作成し放射方位を変更することを確認した.放射音場の測定結果から理論通り周波数が高くなると放射角度が小さくなることが確認された.指向特性の測定結果からメインローブに関しては放射角度が理論値とほぼ一致した.
近年,空中超音波励起によるガイド波の分散性を考慮したパルス圧縮手法が研究されている.この手法は,励振源にステップチャープ信号を用いることで周波数を弁別し,分散補償を行うパルス圧縮手法である.本研究では,この信号処理手法を橋梁など高い位置での非破壊検査に適用するために,AUPAをドローンに搭載して,被測定物までの距離を自在に制御することを考えている.一方,ドローンの周囲には気流が発生するため,上記の提案手法を実現するには,この気流中でのAUPAを用いた非破壊検査の有用性について検証する必要がある.
本報告では,その基礎検討として気流中におけるガイド波の分散性を考慮したパルス圧縮について検証を行ったので報告する.
A-5. 応用音響
9月8日 10:30〜11:30 Meeting 16 座長 中山雅人(阪産大)
A-5-1 |
座標系の異なるデプスカメラとステレオマイクロホンを用いた配管損傷箇所の位置推定に関する検討
◎福島悠生・小嶌俊輔・浅野 太(工学院大) |
A-5-2 |
数値シミュレーションによる振動情報解析
○津野晃大・加古啓晶・木村秀明(中部大) |
A-5-3 |
肩掛け型ウェアラブルスピーカを用いた音場再生に向けてのクロストーク評価
○喜田健司(大同大) |
A-5-4 |
スペクトログラム画像を用いた遠隔授業等における背景音除去の検討
○渡邉大河・林 堅・佐野将太・田中 博・宮崎 剛(神奈川工科大) |
原子力発電所などの事故では,配管の損傷により被害が拡大する可能性がある.前報[1]では,ロボットアームに搭載したステレオマイクロホンとデプスカメラにより,配管の損傷箇所の3次元位置を推定する方法を提案した.本報告では,デプスカメラをロボットのボディに搭載する場合について検討する.
作業員により実施されている道路交通量調査は,技術による自動化・低コスト化が可能であるが,観測用カメラ等の価格が高価であることやプライバシー対策が必要であることなど,さまざまな課題が存在する.その課題を元に,圧電素子を用いたインフラ状況把握技術の研究を提案,実施している.本稿では道路状況の把握を目的とするIoTセンサを用いた社会インフラ把握技術について,ドップラー効果を考慮した震源移動伝搬シミュレーションを用いた振動情報解析手法について検討,震源移動速度導出の実験を実施したので結果を報告する.
ある音空間の断片を別の空間で再生する技術として音場再生がある。
ヘッドフォンを利用したバイノーラルシステム、スピーカを利用したトランスオーラルシステムにはそれぞれ良い点と課題が存在する。著者は近年普及してきた肩掛け型ウェアラブルスピーカを用いた音場再生システム構築を目指している。ウェアラブルスピーカを用いることで既存2システムの利点を活かしつつ問題点を改善できると考えている。
本稿では、肩掛け型ウェアラブルスピーカを用いたクロストーク成分を評価したので報告する。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,テレワークや在宅勤務,遠隔授業が急速に拡がった.しかし,自宅から接続する場合は同居者の声や生活音,ペットの鳴き声等の背景音が混入してしまうこともある.本稿では,U-Netを使用した画像ベースでの背景音除去について検討する.背景音の混入していない音声と混入した音声とをそれぞれスペクトログラム画像に変換し,U-Netを学習させる.背景音混入音声のU-Netの出力を音声データに逆変換する.猫の鳴き声を背景音とし,遠隔授業に慣れた大学3年生と4年生に背景音除去処理後の音声の講義動画を聞いてもらった.除去処理前と比較して背景音が聞こえなくなるや気になる程度が下がる評価が得られた.
A-6. VLSI設計技術
9月7日 10:30〜11:00 Meeting 28 座長 小平行秀(会津大)
A-6-1 |
ガウス過程を用いたウェハーレベル特性モデル化手法のカーネル関数選択に関する実験的検討
○△廣江達也・Mian Riaz Ul Haque(島根大)・新谷道広(京都工繊大) |
A-6-2 |
車の経路探索を応用した概略配線手法
◎山口裕介・藤吉邦洋(東京農工大) |
製造プロセスの微細化により集積回路(LSI)の大規模複雑化が進展し,LSI 検査コストは製造コストの多くを占めている.少数 LSI を測定し,未測定 LSI の特性を統計的に推定するウェハレベル特性推定手法が注目を集めている.特に,ガウス過程回帰(GPR)を用いた手法は、優れた推定精度を達成している.本研究では,量産 LSI 検査データに対して GPR を適用し,多数のカーネル関数を実験的に比較し,最良のカーネル関数を求める.さらに,本評価に基づき,推定精度の高い複数のカーネル関数を用いることで,推定精度をさらに向上できることを示す.
カーナビゲーションシステムによる車の経路探索は渋滞を回避しながら走行距離が短い経路を探す.しかし、各車が渋滞を回避すると別の道路で渋滞が発生する可能性があるため、車ごとに複数の経路を用意し、その中から経路を選ぶ手法が提案されている.ところで、LSIのレイアウト設計における配線は配線容量以内で総配線長が短い配線経路を求める概略配線と、この結果から詳細な経路を決定する詳細配線の2段階に分けて行われる.本稿では混雑を避けながら短い経路を求めるという概略配線と車の経路探索の類似性に着目して、車の経路探索での手法を適用した概略配線手法を提案する.提案手法と単一の経路で配線する逐次配線をベンチマークで比較実験した結果、8個中4個で前者のほうが良い結果が得られた.
A-7. 情報セキュリティ
9月7日 13:00〜16:15 Meeting 23 座長 佐々木貴之(横浜国大)
A-7-1 |
サイバー攻撃への多層防御を考慮した対策立案方式
◎水島 諒・井ノ口真樹・柳生智彦(NEC) |
A-7-2 |
Process Ghostingを利用したマルウェア解析ツールの秘匿化に関する一考察
○松浦慎太朗・深谷秀利・福澤寧子(阪工大) |
A-7-3 |
ブロックチェーンを用いた分散型コロナワクチン追跡システムの開発
○△小山温己・谷瀬博紀(阪市大)・Dinh Dung Ho・Thi Hong Tran(大阪公立大) |
A-7-4 |
ブロックチェーンを用いた分散型クラウドファンディングシステムの開発
○△谷瀬博紀・小山温己(阪市大)・Dinh Dung Ho・Thi Hong Tran(大阪公立大) |
A-7-5 |
IoT機器のアウトソーシングアクセス制御
◎馬 越(千葉大) |
A-7-6 |
ハイパースペクトルカメラを用いた指紋の付着時期推定
○工藤紗織・嶌野雅久・崎山一男・宮原大輝(電通大) |
近年のサイバー攻撃被害の深刻化に伴い,定期的にリスク分析を実施し,セキュリティ対策を進めることが強く推奨されている.
しかし,リスク分析で発見された攻撃ルートに対して1箇所のみに対策している場合,設定不備やシグネチャの未更新等によって,一時的に対策が無効となり突破される危険性が高い.
そのため,全攻撃ルートに対して複数の対策を導入する多層防御の観点が必要である.
本研究では,リスク分析で発見された全攻撃ルートに対して複数の対策を可能とする対策立案方式を提案する.
マルウェアの動作を解析するため,静的解析や動的解析など様々な手法や解析ツールが使われている.しかしマルウェアには解析を回避するために,解析ツールの存在を検知する耐解析機能が搭載しているものが存在する.そこで本稿では,Process Ghostingとよばれるマルウェアが自身のプロセスを秘匿する手法を用いて,解析ツールなどのセキュリティソフトのプロセスを秘匿することでマルウェアが持つ耐解析機能の効力を低下させる可能性について検討する.
昨今のコロナパンデミックの影響でワクチンにより集団免疫を獲得する動きがある中、数多くの偽造ワクチンや偽造ワクチンパスポートが出回っている。本論文では、ブロックチェーン技術を用いて、ワクチンやワクチンパスポートの管理・追跡を行うシステムを提案した。本システムの特徴としては、ワクチンの所有権の移動を追跡し、ワクチンパスポートに登録することで偽造ワクチンや偽造ワクチンパスポートが流通するのを防ぐことを可能にする。
インターネット上で不特定多数の人に資金提供を呼びかけ、サービスや商品の趣旨・個人の想いに賛同した人から資金を集める方法であるクラウドファンディングがあるが、従来のシステムは人々に広く浸透せず、将来有望なアイデアが資金不足のために頓挫していることも多いように思われる。そのため本論文ではブロックチェーン技術を活用することにより現在のクラウドファンディングに存在する問題を解決する新たなシステムを開発し、多くの人のとって身近な存在となり、様々なプロジェクトが生まれ社会がより発展することを目指す。
IoT 技術の発展に伴い,生活に便利な設備が多数生まれ,これらの設備の使用中に大量のプライバシーが発生すると同時に,データの漏洩がますます一般化しているため,IoTネットワークの安全なアクセス制御が課題となっている.ブロックチェーン技術は分散型手法でデータを収集・保持するもので,集中型手法と比べて透明性,安全性,不変性を備えている.ブロックチェーンとアクセス制御技術を組み合わせることで,セキュリティの高いアクセス制御が可能になる.本研究は,IoT機器の計算能力の不足に対し,計算負担を低減することを目的とする.そこで,クラウドサーバにアウトソーシング計算を行ってもらい,ブロックチェーンで検証可能なCP-ABEアルゴリズムを提案している.
本研究では,ハイパースペクトルカメラを指紋の時期推定に活用することを目指す.これまでの研究でも,ハイパースペクトル・イメージング技術を利用し,血痕や血液が付いた指紋の付着時期推定を行う研究が存在する.しかしながら,指紋単体での付着時期推定は行われておらず,本研究ではこれを扱う.これにより,鑑定の質的・量的負担が減り迅速な鑑定を行うことができると期待される.
実験では環境条件が異なる指紋を時間経過毎にハイパースペクトルカメラで撮影し,スペクトル情報を解析した.時間経過によるスペクトルの違いを観測できた.指紋の酸化などは時間経過により進むと考えられ,さらに時間経過した指紋の撮影を試みる.
休 憩(14:45 再開) 座長 安田貴徳(岡山理科大)
A-7-7 |
TI技術を用いたAES S-boxの故障感度の評価
○佐藤泰雅・古野亨紀・平田 遼・宮原大輝・崎山一男(電通大) |
A-7-8 |
AES暗号に対する非プロファイリング深層学習攻撃の再現実験
○荻原実那・李 陽・宮原大輝・﨑山一男(電通大) |
A-7-9 |
サイドチャネル攻撃と偽コイン問題の関連性
○吉田深月・宮原大輝・崎山一男(電通大) |
A-7-10 |
同種写像鍵共有法SIDHのCGBNを用いたGPU上の実装
◎李 奕慷・桑門秀典(関西大) |
A-7-11 |
被覆攻撃の対象となる有限体の拡大体上の楕円・超楕円曲線から被覆曲線の構成に関する研究
○登丸尚哉(中大)・飯島 努(光電製作所)・志村真帆呂(東海大)・趙 晋輝(中大) |
A-7-12 |
同種条件を満たさない被覆攻撃の対象となる偶標数4次拡大体上の楕円・超楕円曲線の分類
◎鐘ケ江柊子(中大)・志村真帆呂(東海大)・趙 晋輝(中大) |
本研究では,TI技術を用いたAES S-boxの入力値による故障感度の評価を行う。暗号ハードウェアに対する物理攻撃は脅威であり,暗号化処理中に故障を誘発させ,出力される誤り暗号文を利用して攻撃を行うフォールト攻撃が知られている.故障感度解析はフォールト攻撃による解析の一種であり,故障感度情報を基に暗号ハードウェアの内部信号の解析を行う.実験では,AES暗号化回路を実装したASICを用いた.AES暗号化処理における10ラウンド目のS-boxに故障を誘発させ,S-boxの各入力値での故障が起きた割合を調べることにより,S-boxの入力値と故障感度の関係を調査した.結果,各入力値での故障確率に最大で約15%の差が存在した.
デバイスが暗号化処理する際に消費する電力を,深層学習を用いて解析するディープラーニングサイドチャネル解析(DLSCA)の研究が活発である.これまではChipWhispererやATMega8515ボードで実行されるソフトウェアAES実装に対して行われてきたが,本研究ではFPGAに実装したハードウェアAESに対するDLSCAを行う.使用ソフトはソニーが提供するNeural Network Consoleであり,正解率の導出にはバッチ処理を行う.その結果,予測鍵が正しい場合の正解率は,256通り中6番目に高いことが分かった.今後は,畳み込みニューラルネットワークを導入し,より高い精度で鍵を推測できるかを検証する.
サイバー攻撃などの脅威は目に見えづらいため,非専門家には実感し難い.本稿では,サイドチャネル攻撃を身近な道具で説明することを目指し,差分電力解析を偽コイン問題の設定で説明する.偽コイン問題とは,8枚の見た目が同じコインの中に混じった1枚だけ軽いコインを,天秤を用いて見分ける問題である.本稿では,1グラム刻みで重量の異なるコインに対し,16グラム未満では傾かない天秤を用いていくつかの操作を行う.これが差分電力解析の消費電力の差の大小を用いて鍵を導く事象との関連性を示す.今後は,天秤を上手く利用して論理積の秘密計算や,算術加算などの応用秘密計算に取り組んでいきたい.
同種写像鍵共有法SIDHは、NISTの耐量子暗号標準化プロジェクトに応募された同種写像暗号SIKEに含まれる鍵共有法である。本稿では、cooperative groupsプログラミングモデルに基づいてSIDHをGPU上に実装し、複数の共有鍵を並列に生成したときに要する時間を調べた。
被覆攻撃は拡大体上の楕円・超楕円曲線暗号に対する攻撃として知られている.
被覆攻撃に対する安全性解析は被覆曲線を構成することが重要だが,その構成法は楕円・超楕円曲線の性質に依存しているため自明ではない. 本研究では分類表に被覆曲線の存在が確認された楕円曲線に対して, 具体的に被覆曲線を構成し, 種数の値や超楕円曲線かの判定を行った.
楕円・超楕円曲線暗号は従来使用されている公開鍵方式である RSA 等よりも短い鍵で作ることができるため更なる活用が見込まれている. 拡大体上で定義された楕円・超楕円曲線暗号は高速化や効率的な実装に向いているが, 特定の攻撃である被覆攻撃が存在する. これらの攻撃を受ける曲線の分類が同種条件の下で行われたが, その対象範囲の全体は未だ完全に明らかになっていない. 暗号系の安全性を確保するために,攻撃の安全性解析の検討と,安全な曲線を選択する際に重要である. 本研究では,偶標数拡大上楕円曲線において同種条件を満たさない場合にあるクラスの中で存在する, 被覆攻撃の対象となる曲線の分類と構成を目的に行った.
A-8. 信号処理
9月8日 13:00〜16:45 Meeting 32 座長 吉田太一(電通大)
A-8-1 |
画像領域分割を用いた視点依存テクスチャマッピング
◎森本澪二・佐藤智和(滋賀大) |
A-8-2 |
グラフ信号処理および領域分割を用いた深度画像復元における画像特徴量に応じた分割数決定手法の提案
○河瀬謙二郎・雨車和憲(工学院大) |
A-8-3 |
セマンティックセグメンテーションを用いた洋ナシ果実の検出
○中澤健介・山﨑達也(新潟大) |
A-8-4 |
正弦波点滅信号を用いたローリングシャッター情報の校正手法
○三浦一幸(竹中工務店)・長 篤志(山口大) |
View-dependent Texture Mapping : VDTM は,仮想空間内の任意の視点からの見えを合成提示する自由視点画像生成において,写実的な画像提示を実現する手法の一つである.本手法は,対象となるシーンの三次元形状が不正確な場合でも詳細な形状を視覚的に再現することができる.ただし,従来手法ではテクスチャの選択が画素毎に独立に行われることで,合成画像上にテクスチャの幾何学的・光学的な不連続が生じる場合がある.本研究では画像の領域分割を用いた VDTM を新たに提案し,この問題の解決を試みる.
近年,車やロボット,スマートフォンなど様々な機器に深度センサーが用いられているが,取得される深度画像はRGB画像に比べて解像度が低いことが多く,深度画像の超解像の需要がある.本研究では,高解像度カラー画像と低解像度深度画像から高解像度の深度画像を復元することを考える.従来研究では,グラフ信号処理とカラー画像への領域分割を用いて,高解像深度画像の復元手法が提案されているが,領域分割数については十分な議論がされていない.実際,異なるサイズの画像に対しては分割数を変える必要があると考えられる.本研究では,従来手法の深度画像の復元に対して,画像サイズなど,画像の特徴量に応じた領域分割数の設定方法を提案する.数値実験を行い,提案手法の有効性を示す.
新潟県の名産品である「ルレクチエ」(以下,洋ナシ)は,ギフトやお歳暮での需要が高いため外観品質が重要な果実である.実際に,新潟県により定められている出荷規格に基づき,形状や外観汚損(病害や傷) によって外観品質の等級が決められている.
現在,等級判定作業は目視により行われており,判定結果の個人差や作業量の負担が課題となっており,本研究では目視に代わる等級判定システムの開発を目指している.
本稿では,洋ナシの等級判定を行う要素技術として画像内から洋ナシ果実をピクセル単位で検出する手法を提案する.
提案手法では,セマンティックセグメンテーションモデルを用いて検出し,正解率99.33%の精度を得た.
ローリングシャッターを活用した高周波信号の時間周波数解析に関する校正手法を提案する.ローリングシャッターで得られた信号を活用する場合,撮像ライン間のサンプリング間隔とフレーム終了時の未サンプリング期間を同定する必要がある.一般的には光源のON/OFFなどの点滅光の撮影により生じる矩形波様の縞画像を用いた校正手法により取得することが多いが,露光時間が長い場合には時間積分の効果で理想的な縞が得られない可能性が高い.本稿では正弦波様の点滅信号を前提とすることで上述の問題を解決した.505Hzの信号を6fpsで撮影した動画像から505.56Hzを得ることに成功し,提案手法の妥当性が確認できた.
休 憩(14:15 再開) 座長 林 和則(京大)
A-8-5 |
FMCWレーダを用いたハンドジェスチャー認識におけるRange-Dopplerマップの前処理手法の検討
◎毛利弦友・市毛弘一(横浜国大) |
A-8-6 |
ウィーナーフィルタを用いたCAMPS LiDARの歪み補正
◎陳 瑞彦・張 哲元・白畑卓磨・セット ジイヨン・山下真司(東大) |
A-8-7 |
気象観測データに基づく降水粒子の後方散乱断面積の推定
◎廣野幸里・椎名 徹・太田 守(富山高専) |
A-8-8 |
A novel parameter estimation and tracking method based on distributed sensors
◎Lei Jiang・Tad Matsumoto・Jun-ichi Takada(Tokyo Tech) |
A-8-9 |
A Non-Contact Robotic Arm Control System Through Human Gestures and Arms
◎Xu Cheng・Tadahiko KIMOTO(Toyo Univ.) |
本稿では,近距離レーダにより取得したrange-doppler (RD) マップから,ハンドジェスチャーを認識する手法を提案する.Google Pixel 4以降のスマートフォンでは,手を触れずにジェスチャーを使った操作が可能である.ニューラルネットワークを用いたジェスチャー認識手法は,機械学習による計算コストが課題となる.本稿では,前処理により冗長度を削減したデータセットによって,高速なジェスチャー認識を行う.結果,前処理手法は従来手法と同程度の正答率と計算コストの低減を実現できた.
近年,LiDARシステムは自動運転や工業計測の分野で注目され,研究開発が加速している.
ここで,LiDARなどのイメージング技術での物体の像は,物体面における個々の点と点像分布関数PSFの畳み込み積分で表されるため,測定対象の形状に対してLiDARに用いるPSF(ガウシアンビーム)のサイズが大きい場合,物体の像は広がる傾向が見られている.
本研究では、近年提案されたCAMPS LiDARにおける測定精度の向上を目的とした信号処理手法の検討を行った.従来手法では,ウィーナーフィルタを用いた信号処理を行ったが,それに伴うリンギングが必ず発生するため,本研究では,フィルタ前後の傾きに対する加重平均を用いた処理を導入してリンギング効果を低減させることを試みた.
近年,豪雨・豪雪災害が増加しており,降水現象のさらなる理解が求められている.気象ドップラーレーダによる降水強度推定には,降水粒子の電磁波散乱特性である後方散乱断面積の把握が重要である.
本研究では,厳密解を求めることが困難な扁平雨滴や降雪粒子の後方散乱断面積を推定するための手法を提案する. また, 提案手法で得られた後方散乱断面積をBeard and Chuangモデルに従う扁平雨滴の後方散乱断面積と比較する.
The primary objective of the distributed sensor-based model parameter estimation and tracking techniques is to achieve high estimation accuracy and robustness against the environment. In this article, we proposed a distributed sensors-based technique for generic model parameter estimation and tracking by using a factor graph (FG).
We propose a method that uses Kinect V2 sensors to acquire human arm poses and then map and control the robotic arm. The feature of this study is to use spatial 3D shear mapping and transformation to correct the data of people with different heights, arm lengths and arm swing amplitudes, and then control the robotic arm after unification, which can be used more freely and widely in different scenes. This allows different people to safely control the robotic arm in different situations according to their own habits. In addition, we also added a combination of left and right hand gestures, which can make the control method more diverse.
休 憩(15:45 再開) 座長 市毛弘一(横浜国大)
A-8-10 |
ポアンカレプロットを考慮した電気的除細動の効果の予測
◎吉川雄大・岡井貴之・大屋英稔・星 義克(東京都市大) |
A-8-11 |
マルコフ確率場モデルに基づく波動分布関数法の性能評価
○太田 守(富山高専)・笠原禎也(金沢大) |
A-8-12 |
MFCCを用いた正則化Cauchy NMFによる楽曲の音源分離
◎岩下 颯・大木 真(山梨大) |
A-8-13 |
2次系推定誤差が能動騒音制御を不安定化させる原因
○藤井健作(コダウェイ研)・棟安実治(関西大)・苣木禎史(千葉工大) |
本稿では,電気的除細動直前の心室細動波形を対象とし,従来手法で提案されている特徴量に加え,ポアンカレプロット解析により抽出された特徴量を用いて電気的除細動の効果の予測を行った.
地球磁気圏の宇宙プラズマの空間分布を正確に把握するためには, 科学衛星の観測電磁界データを用いてプラズマ中を伝搬する電磁波の到来方向を推定することが重要である. 到来方向推定手法は到来波として単一平面波を仮定するものと, 不規則波を仮定するものに大別される. 後者は, 波動分布関数法と呼ばれ, 波動分布関数 (到来波のエネルギー密度方向分布) を得るためにプラズマ波動の分散関係が利用される. 一般に, 波動分布関数を推定する問題は不良設定問題であり推定解の良し悪しは観測データだけでは判別できず, 先験情報を付加して逆問題を解く必要がある. その先験情報として近年提案されたのがマルコフ確率場モデルであるが, 尤度と先験情報のどちらを優先するかを制御する最適なハイパーパラ メータの自動決定法については未解決の問題として残っている. そこで本研究では,マルコフ確率場モデルに基づく波動分布関数法の性能評価を行う.
楽曲の音源分離技術において,非負値行列因子分解(Non-negative matrix factorization; NMF)による手法が近年盛んに研究されている.NMFをさらに拡張した手法として,予め学習音源のメル周波数ケプストラム係数(Mel frequency cepstral coefficients; MFCC)を混合ガウスモデル(Gaussian mixture model; GMM)でクラスタリングし,NMFに正則化を行うことで分離精度を向上させた,ケプストラム距離正則化[1]が提案された.しかし,従来手法では,分離精度は高いものの,非負スペクトルの加法性を満たしていないKullback-Leibler距離基準のNMF(KLNMF)に正則化を行っているという問題点がある.
そこで本発表では,非負スペクトルの加法性を満たしたNMFとして提案されたCauchy NMF[2]に,MFCCによる正則化を行う手法について提案し,音源分離実験の結果について報告する.
Filtered-x LMS法の安定条件は,2次系と2次系フィルタの位相差の範囲として-π/2~π/2$とされている.しかし,騒音制御フィルタのタップ数の削減も安定化に有効となる.その理由を評価関数から明らかにする.
A-9. ワイドバンドシステム
9月8日 9:30〜11:45 Meeting 19 座長 齋藤将人(琉球大)
A-9-1 |
ミリ波高速チャープMIMOレーダによる鳥と小型ドローンの反射特性の比較
◎黒崎将史・小川拳史・中村僚兵・葉玉寿弥(防衛大) |
A-9-2 |
ミリ波高速チャープ変調MIMOレーダによるドローンのイメージングに関する実験的検討
◎小川拳史・黒崎将史・中村僚兵・葉玉寿弥(防衛大) |
A-9-3 |
LCDバックライト制御4PPMを用いたアップリンク可視光通信の標準画像重畳特性
◎大谷 颯・中條 渉・小林健太郎・川口翔大・舟橋英輝(名城大) |
A-9-4 |
空間分割多重4PPMを用いたスクリーンカメラアップリンク通信
◎川出有紗・中條 渉・小林健太郎(名城大) |
近年,ドローンは,空撮,運輸,測量等,幅広い用途に利用されるようになってきた.一方,ドローンを誰でも手軽に入手出来るようになったことから,悪意のある者がドローンを犯罪やテロに使用することも懸念されている.こうしたドローンを早期に検知し,他の飛翔体と識別することは重要な課題となっている.筆者らはこれまでに,ミリ波高速チャープMIMOレーダによるドローンの検知・識別について検討している.先行研究では,高い距離分解能により対象の識別に有効なドローンの特徴的な反射波が得られるだけでなく,プロペラの回転による特徴的なマイクロドップラも検出でき,さらに目標の到来方向も同時に推定出来る事を確認している.これまで,レーダの検知範囲にドローンのみが存在する状況で検討してきたが,実際の環境では検知範囲に鳥やその他の飛翔体が侵入することも予想される.そこで,本稿では小型ドローンと飛行姿勢が実際の鳥とよく似た鳥型ラジコンの反射特性を比較した結果を報告する.
近年,ドローンは,警備業,医療,測量,災害対応及び農林水産業等のあらゆる分野で注目されている.一方,ドローンが犯罪やテロに利用されることが考えられるため,ドローンの検出を行うシステムの実現が課題となる.筆者らは,これまでにミリ波高速チャープ変調(FCM)方式を用いたMIMOレーダによるドローンの検知について検討している.その結果,ドローンの機種に応じて特徴的なイメージング画像が得られることを確認している.しかしながら,到来方向の推定性能はアンテナの開口長に依存するため,明瞭なイメージングを行うためには角度分解能の向上が必要である.そこで,本稿ではKhatri-Rao(KR)積拡張アレー処理によってアレー開口長を仮想的に増加させることで角度分解能を向上させ,ドローンのイメージングを行った結果について報告する.
スマートフォンのLCD(液晶ディスプレイ)を用いた高速バックライト制御によるアップリンクOCC(可視光通信)を検討している。先行研究では8色カラーバーを重畳したOOK(オンオフキーイング)のアンサンブル平均の有効性を示した[1]。本研究では標準画像を重畳した4PPM(パルス位置変調)の有効性が明らかになったので報告する。
スマートフォンのスクリーンを送信機,屋内カメラを受信機とするアップリンクのスクリーンカメラ通信(SCC)において,低輝度空間分割多重(SDM)によるデータレート向上とセキュリティ強化を図る.これまで空間シンボル間干渉 (ISI)を克服するため,オンオフキーイング(OOK)セルの周囲8セルパターンを考慮した適応閾値処理によりシンボル判定を行ってきた[1].今回,4 Pulse Position Modulation (4PPM)の相関を用いた適応閾値処理により,空間ISIが増加してもシンボル判定が可能になったので報告する.
休 憩(10:45 再開) 座長 陳 娜(奈良先端大)
A-9-5 |
UWB屋内測位におけるNLOS環境センサの判定誤差軽減のアルゴリズムに関する検討
○YI LAN・井家上哲史(明大) |
A-9-6 |
大規模な建物でのLoRaデバイスを用いた紛失物の屋内位置推定システム
◎庄司奈津美・大野光平(明大) |
A-9-7 |
深層学習による準直交STBCの復号
◎△細川五代・塩田慎也・浜村昌則(高知工科大) |
A-9-8 |
1bit ADCとオーバサンプリングを用いたSFBC-MIMO-OFDM信号受信
○齋藤将人(琉球大)・山里敬也(名大) |
位置情報を用いたサービスやアプリケーションの増加から、高精度位置推定技術の需要はどんどん高まっている。その中でも精度の良さからUWB(Ultra Wide Band)を用いたセンサが注目され、見通し内(Line of Sight:LOS)環境において数10㎝の精度のであることが知られている。しかし、測距において見通し外(Non Los:NLOS)環境にあるセンサによって推定精度が大きく劣化してしまうことが課題となっており、NLOS環境にあるセンサの判定誤り軽減の方法が検討されてきた。
本稿では、IR-UWB通信技術を用いて、精度を高めるアルゴリズムを提案し,実験を通して、正規化残差の小さいセンサの組み合わせおよび測距値の選定方法について評価した。
本論文では、大規模ビルにおけるLoRaデバイスを用いた屋内位置検出手法について述べる。各階で受信機によって測定されるRSSIを比較することで、紛失物と仮定した送信機のある階数を特定することができる。また、送信機が部屋の外にある時、部屋の中にある時、金属の箱の中にある時の3パターンで、送信機のある階数を特定することができる。さらに、拡散指数を変更することで、送信機を箱の中に入れたときにRSSIを測定できなかった階でも、RSSIを測定することができるようになる。
Alamoutiの時空間ブロック符号(STBC)で,複素メッセージをフルレートで伝送できる送信アンテナ数は2である.より多くの送信アンテナを使用してフルレートで伝送するために,準直交STBC(QO-STBC)を使うことができる.QO-STBCは準直交であり干渉が生じるため,これを深層学習によって抑えて復号することについて検討する.QO-STBCにおいて最良の性能が得られる最尤(ML)復号は,受信側がチャネル行列を正確に知っておく必要があり,チャネル推定に誤差があると性能が悪化する.本研究では,深層学習を用いた復号と,チャネル推定誤差のあるML復号を比較する.
本研究では,計算機シミュレーションにより,MIMO (Multiple-Input Multiple-Output)-OFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号を1bit ADCとオーバサンプリングを用いて受信した場合のBER (Bit Error Rate)特性評価を行った.
MIMOとして,SFBC (Space-Frequency Block Code)を用いた.
1bit ADCを用いた場合でも,フレーム同期が可能であり,SNRが10dB程度あれば0.001のBERを達成できることを示した.
A-10. システム数理と応用
9月7日 13:00〜16:45 Meeting 12 座長 小中英嗣(名城大)
A-10-1 |
未知の複数話者を対象とした音声と画像によるマルチモーダル音声認識システムの開発
◎山賀大樹・清水創太(芝浦工大) |
A-10-2 |
読書時の視線計測と機械学習に基づく読解速度の推定
◎高瀬美和・清水創太(芝浦工大) |
A-10-3 |
日常英語とビジネス英語の口語的言い換え文の作成
◎滝沢耀介・日高杏子・清水創太(芝浦工大) |
A-10-4 |
7人制ラグビー最適攻撃プレー算出法を搭載した戦術ボードツール
◎△八代航太朗・中田洋平(明大) |
A-10-5 |
7人制ラグビーにおけるキッカーのランを考慮した最適キックパスプレー算出法の拡張
◎△龍崎伸太朗・八代航太朗・中田洋平(明大) |
本発表では,音声と画像というマルチモーダルな情報を用いた深層学習により構築した音素認識器に基づく,未知の複数話者が同時発音した場合でも高い精度で認識出来る音声認識システムについての発表を行う.音声のみ,画像のみ,音声と画像の組み合わせを入力とするEnd-to-End音声認識器を実装し,検証実験を通じて性能評価行った.
本稿では,“読解に要した時間”と,“視線計測データと機械学習に基づく実際に読んで理解した重要度の高い単語数”に着目した読解速度の提案を行う.具体的には,視線データから停留点となる箇所を決定し,停留点を中心として,そこから遠ざかるに従って徐々に強度が強くなるようにぼかしをかけた画像を生成する.これをOCRに読み込ませることで被験者が注視した文字を抽出し,抽出された単語の内,重要度の高い単語をカウントし,被験者が1分間に重要度の高い単語をどのくらい見ていたのかを読解速度として定義する.
本発表では日常英語とビジネス英語の二つの観点で,口語的言い換え表現を学習できるシステムを提案する.提案する言い換え文作成法は以下の3つから構成される.(1)入力文のベクトル化.(2)データセット内のフレーズとのcos類似度を算出.(3)類似度が最も高いフレーズを日常英語とビジネス英語のそれぞれから言い換え表現として出力.
近年,日本では,ラグビーへの注目度が高まっている.このような中で,これまで,著者らは,7人制ラグビーを対象とし,選手位置情報と選手速度情報から,シミュレーション技術と最適化技術に基づいて,ランとハンドパスからなる最適な攻撃プレーを算出する方法の研究を進めてきた.著者らは,試合放送時での視聴者に対する付加情報を作成するための利用を主目的として研究を進めてきたものの,この最適攻撃プレー算出法は,実際の試合に携わる人々が戦術理解を促進するためにも利用することが可能と考えられる.そこで,本稿では,同最適攻撃プレー算出法を搭載した戦術ボードツールを試作し,仮想的なフォーメション例でその動作を確認した.
近年,ラグビー競技においては,ファンの固定化や新たなファンの獲得のために,放映中に試合の流れなどを理解しやすくする付加情報の提示が重要となってきている.このような目的のため,著者らは,これまで7人制ラグビーを対象として,最適キックパスプレー算出法を提案してきた.しかし,キックパス時のオフサイドルールが存在するため,本算出法ではキッカーのランプレーは考慮できていなかった.そこで,これに対応すべく,直近の研究にて,同オフサイドルールを考慮した選手到達可能領域を導出した.本稿では,同オフサイドルールを考慮した選手到達可能領域を用いて,本算出法をキッカーのランプレーも考慮に入れたものに拡張する.
休 憩(14:30 再開) 座長 白井匡人(島根大)
A-10-6 |
製造設備向け3Dシミュレータにおける動作設定の生成手法
◎阿部貴成・野口智史・小林 毅(三菱電機) |
A-10-7 |
Wi-Fiパケットセンサを利用した賑わい創出事業の効果検証
◎豊味諒磨(阪工大)・藤野雄亮(所属なし)・尾崎敦夫(阪工大) |
A-10-8 |
ソフトウェアの社内需要予測
◎横田日菜子・徳本直樹・向山和孝・吉田憲雄(村田製作所)・尾崎博子(NTT) |
A-10-9 |
ぶどうの発育予測における誤差算出手法
◎久島遼太・山田哲靖(諏訪東京理科大) |
製造設備の開発時には開発の手戻りを削減するために3Dシミュレータによる事前検証を行うことがあり、これには、3Dシミュレータ上で設備を模擬したオブジェクトを動かす設定が必要になる。この設定は、設備の設計を参照して、利用者が汎用的なプログラム言語で作成する場合があり、多くの工数がかかる。また、設計を変更して再度検証を行う際は、プログラムの修正にも多くの工数がかかる。
本稿では装置の設計データを元に3Dシミュレータの設定プログラムを生成する手法に加えて設計データ変更時に効率良く設定プログラムを再生成する手法を報告する。
近年,商業施設における流通・小売業のマーケティング,観光施設やテーマパーク等での観光客の誘致,そして災害時の危機管理対策などに活用するために,人数・人流を検知する技術の需要が高まっている.人数・人流を検知する技術として,カメラ等の画像認識による人物検知が挙げられるが,広域な環境では多くの台数が必要となり,設置コストが高くなることや,顔などの個人を特定できる情報を含むなどのプライバシーの問題があり,導入の障壁となっている.上記の課題を解決するために,我々は,人々が保持しているWi-Fi端末(例:スマートフォン)から発信されている信号をWi-Fiパケットセンサによりリアルタイムで検知し,人数・人流を把握する手法を検討している.
本稿では,Wi-Fiパケットセンサによる人数検知手法を用いて大阪府枚方市で実施したフィールド実験について報告する.
製品の高機能化に伴い、研究開発・商品設計用ソフトウェアの役割は拡大し、その利用者も年々増加している。
今回、調査対象としたソフトウェアの村田製作所内での需要もその傾向は顕著であり、導入本数の最適化を検討する重要性はますます高まっている。
そこで本研究は、ソフトウェア導入本数の最適化を図ることを目的に、十分な精度で社内需要予測を行う手法の検討を行った。
ぶどうを対象として,堀江ら(1990)の発育指数(DeVelopmental Index,以後DVI)と発育速度(DeVelopmental Rate,以後DVR)を用いることで,萌芽期から収穫期に遷移する日の予測を行うことを目的とする.しかし,従来の方法では検証用のデータセットの期間でDVIが次のステージに必要な値に達せず,予測日を大きく外す可能性がある.そこで,本論文では,学習時にDVIの値だけではなく,予測日と実際の時期の差を考慮することで発育予測の精度向上を狙う.
休 憩(15:45 再開) 座長 稲元 勉(愛媛大)
A-10-10 |
時系列データに対する複数イベント影響推定方式
○角田 愛・森谷高明・西尾 学・山本太三・三好 優(NTT) |
A-10-11 |
時系列予測有用性のある品目組の抽出に関する一考察
○森谷高明・角田 愛・西尾 学・山本太三・三好 優(NTT) |
A-10-12 |
物体を並列に識別する識別器のスウォームAI化有効性の検討
◎田所岳之・河原尊之(東京理科大) |
A-10-13 |
Amazon EC2 スポットインスタンスの価格分析―リージョン別スポットインスタンスの価格の評価―
◎笠井菊平・小板隆浩・片山太輔(同志社大) |
時系列データに与えるイベントの影響の推定結果は,将来発生する災害対策の予算の根拠や,物価上昇に対する施策実施の判断材料などにできる.本稿では時系列データに対する複数イベントの影響を推定する手法を検討した.
品目iの時系列データxitの回帰予測において,iと関連性の深い品目jの時系列データxjtの推移を考慮すると精度が上がる可能性がある(jのiへの「予測有用性」と呼ぶこととする).本稿では,「iに対してjが,人に気づかれにくい予測有用性を持つ」ようなiとjの組を抽出する方法について考察する.
自然界には、単純な行動規則を持つ個体が多数集まると知的な振る舞いを見せる群知能と呼ばれる現象がある。この考え方をAIに拡張し、AIが群れることで新たな能力を会得する試みを「スウォームAI」と呼称している。本発表では、レーンを流れる物体を4台の識別器が識別するシステムを想定し、協調によって群全体の識別率が向上するか検討した。本システムでは、(1)学習データを分け、4台のパラメータの違いを大きくすること、(2)識別に迷った時、信頼度の高いAIに識別を委任すること、この2つの手法を用いれば、協調なし時よりも識別率が向上することが分かった。したがって、識別器をスウォームAI化させることにより、識別率向上を図れる可能性がある。
Amazon Web Services (AWS) が提供する,Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は,クラウド上にサーバを構築するサービスである.Amazon EC2の利用方法として,スポットインスタンスがある.スポットインスタンスは,余剰リソースを最大90%の割引価格で利用することができる.本研究では,リージョンがスポットインスタンスの価格へ与える影響について分析した.AWSの5つのリージョンにおける8種のインスタンスタイプについて60日間の価格履歴を分析した結果,リージョン単位,及びサブリージョン単位でスポットインスタンスの価格が異なることがわかった.したがって,スポットインスタンスの価格を最小限に抑えることに,適切なリージョン選択が影響すると考えられる.
A-11. 思考と言語
9月8日 9:00〜9:15 Meeting 12 座長 坪田 康(京都工繊大)
A-11-1 |
観光トリビアクイズの自動生成システム開発の検討
◎木嶋耕太・岩崎未歩・林 貴宏(関西大) |
本研究では、観光地の歴史や文化といった知識をゲーム感覚で楽しんで学べるWebアプリを提案する。アプリでは、Wikipediaを利用して「True/False」の二択で回答できる観光トリビアクイズを自動生成する。正解がTrueとなるトリビアクイズはWikipediaの冒頭一文をそのまま提示する。正解がFalseとなるトリビアクイズはWikipediaの冒頭一文の主語を同一ジャンルの別の単語に書き換えて提示する。全国の各所・観光スポット人気ランキング」で示された100件の観光地に関するWikipedia記事に対し本手法を適用し、適切なトリビアクイズが作成できたかどうかを調査した。
A-12. 技術と社会・倫理
9月9日 11:15〜11:45 Meeting 32 座長 大谷卓史(吉備国際大)
A-12-1 |
“Less”, It Be?
○吉川 隆(近畿大高専) |
A-12-2 |
グリーンボンドにおける経営効率分析方法の提案
○△方 鳳麒・能上慎也(東京理科大) |
この世の中は世代を経て全てのものが「Less」の時代に突入している。「Less」を実現するのは他でもない科学技術の進歩に依るものである。「ペーパーレス」から始まり,「ワイヤレス」「キャッシュレス」「カーボンレス(ニュートラル)」「ワイヤレス」・・。これらの「Less」はほぼ完全に「Less」になったものもあれば,進行中のものもある。果たしてこれらの「Less」,或いはこれから始まるであろう新たな「Less」は,今後,何の配慮もなく進行してよいものだろうか?「Less」が「Lost」になる前に我々は何らかの約束事(コミットメント」を定めるべきではないだろうか。
経済の急速な発展は,資源の急速な消費や環境汚染の問題とも関わってくる.グリーンボンドは従来の債券と比較して、企業のグリーン資金調達チャネルを増やすために,国内の経済発展を後押しする上で積極的な役割を果たす.本稿では、グリーンボンドを発行した会社の経営効率を分析するために,DEAのMalmquistモデルを検討して,グリーンボンド発行の経営効率の分析方法を提案する.
A-13. ITS
9月8日 9:00〜9:30 Meeting 18 座長 和田友孝(関西大)
A-13-1 |
運転手注視点予測用動的顕著性マップ算出法におけるセンターバイアス処理の更なる改良
◎水野倫太郎・中田洋平(明大) |
A-13-2 |
LTE網を用いたITSサービスの遅延量に関する評価
○牧野寿之・徳安朋浩・丸小倫己・井原 武(NTTドコモ) |
これまで著者らのグループは,運転支援技術での利活用を最終的な目標として,車載カメラ動画像から運転手の目の行きやすさを数量化することのできる動的顕著性マップの算出法の研究を進めてきた.また,著者らは,その検証に用いるために,現実には再現しにくいような運転状況における車載カメラ動画像でも,3DCGにより再現できるシミュレータも試作してきた.更に,同試作シミュレータにより再現した幾つかの車載カメラ動画像を用いて検証実験を行い,その検証結果を基に同算出法の改良も行ってきた.本稿では,これまでに得られた知見も活用し,同算出法の中の一処理であるセンターバイアス処理の更なる改良を行い,その効果を検証した.
弊社では、伝搬シミュレータ、交通流シミュレータ、V2Xシミュレータからなる広域エリアの車両数百台の通信性能を評価するコネクテッドカーシミュレータを開発している。本稿ではITS Forumで検討された 安全運転支援の複数のユースケースを抽出・結合し、V2N により通信すると仮定した場合のシミュレータによる評価結果を報告する。交通量の多い市街地のFDD-LTE環境下において、車両のV2N搭載率が100%の場合でも、安全運転支援のITSサービスの要求遅延量(100ms)以下を満たすULパケットの割合は99%以上となり、通信要件満たすことを確認した。
A-14. スマートインフォメディアシステム
9月6日 9:00〜10:15 Meeting 21 座長 杉浦陽介(埼玉大)
A-14-1 |
ゲートボールIoT審判の研究
◎大浦源矢・石岡公貴・内方亜弥・ファム ディン チョン(金沢工大)・袖 美樹子(国際高専) |
A-14-2 |
ライブ配信のリアルタイムチャット数に着目したハイライト検出
◎前田雄亮・田村共哉・林 貴宏(関西大) |
A-14-3 |
クラウドソーシングによる多人数会話の議事録作成
◎黒岩 舜・小板隆浩・中平一六(同志社大) |
A-14-4 |
社内業務向けチャットボットに関する研究
○山田真徳(NTT) |
A-14-5 |
RGB色空間における等色相平面の性質を用いたHPUM法の改良
◎向田眞志保(山口大)・植田祥明(福岡大)・末竹規哲(山口大) |
今まで目視で行われていたゲートの通過判定をAIによる画像認識に変更し、審判の公平性を確保する。また、結果をデジタル表示し、選手にわかりやすく伝える。本研究ではカメラ付ラズベリーパイをゲートに設置し、Jetsonのエッジコンピューティングにより通過を判断するシステムを構築した。
近年YouTubeなどの動画共有サイトで切り抜き動画が増えている.切り抜き動画とは,長時間のライブ配信に対して,見どころとなる区間をクリッピングして編集を加えた短時間の動画のことである.切り抜き動画の制作は,長時間のライブ配信から面白い場面を探す必要があり,制作負担が大きい.そこで,本報告では,ライブ配信の単位時間あたりのチャット数に着目し,ライブ配信のハイライトシーンを検出する手法を提案する.予備実験では,実際のゲーム実況プレイのライブ配信に対して,ハイライトシーン検出が可能であることを確認した.
議事録は会議のすべての会話を記録するという膨大な作業コストを必要とする.近年,AIによる字幕作成が盛んにおこなわれているが,多人数会話では精度の高い議事録などの作成は難しい.本実験ではクラウドソーシングを用いて議事録作成を行い,他手法による議事録との比較実験を行った.
目的はユーザーがチャットに入力した文章に応じて,一般的な会話及び,スキルの選択を行うことが目的である.これを実現するための基本的な方法は,ユーザーが入力した文章と各スキルとの意味の距離を測り,一番近いスキルを選択を行う,この際,予め決めておいたしきい値よりユーザーの入力文章とすべてのスキルが遠ければ一般的な会話を行うというものである.
画像を鮮鋭化する代表的な方法は,アンシャープマスキング(Unsharp Masking: UM)である.カラー画像向けの処理として,色相を保存した(Hue Preserve: HP)UM法が提案されている.HPUM法は明度をシフトさせて明暗を調整し,UMによってテクスチャを鮮鋭化する.このHPUM法は処理が単純であるが,画素値の再規格化によって詳細部が消失する問題がある.そこで,本研究ではRGB色空間の等色相平面の性質を用いることでこの問題を改善する.
A-15. イメージ・メディア・クオリティ
9月6日 9:00〜10:00 Meeting 32 座長 山添 崇(成蹊大)
A-15-1 |
2台のステレオカメラを用いたゴルフスイング分析
◎荻原尚哉・中沢憲二(金沢工大) |
A-15-2 |
ビン処理補正を考慮した傾斜エッジ法
◎藤田美卯・西 一樹(電通大) |
A-15-3 |
CNNを用いたNo Reference型画像客観品質評価手法の提案
○△林 楷舜・孫 宜蒙・中口孝雄(京都情報大学院大) |
A-15-4 |
デジタル展示用画像の画質評価-照明光の影響-
○田村 徹(東京工芸大) |
2台の単眼カメラを使ってバドミントンプレイヤーにおける三次元の骨格位置を推定している研究がある。そこでは、オクルージョンの影響で片方のカメラからは位置を観測できず、正確な三次元位置を推定できないという問題が報告されている。本研究では、オクルージョンの影響を軽減するため、奥行き情報を検出できるステレオカメラを2台用いた三次元位置推定法に取り組んでいる。これは、相互のオクルージョン領域を双方のカメラからの情報を用いて補完するものである。今回は、その方法をゴルフスイング分析に適用し、ゴルフスイングにおける右手の動きを三次元構築した。
カメラやレンズの解像度を評価する指標として用いられるMTF(Modulation Transfer Function)は被写体から撮影画像までの周波数応答を表したものであり,その国際標準の測定法として傾斜エッジ法がある.この方法はサブピクセル化の際のビン処理で平均化を伴うため誤差が生じてしまう問題点がある.これを軽減し測定精度を高めるために,ビン処理に着目した補正法について検討した.提案した補正法と従来法及び他ツールを用いて,人工的に作成した理想画像のMTFを求め理論値との誤差を比較し,補正の有効性を検証した.その結果,画像の行数が大きくなるにつれて提案法による誤差が減少していることが明らかになった.本解析により,提案法は画像の行数が多いときに有効的な補正法であることが確認できた.
現在,画質評価指標のひとつとしてSSIMが用いられるが,計算複雑度の高さが課題である.Xuらは,2段階の最適化アルゴリズムを用いたことで計算量を24.12%削減する手法を提案した.本研究では,ニューラルネットワークを用いて,約50%の計算時間を削減する手法を提案する.また,SSIMはFR(Full Reference)型の評価方式であり,原画像と復号画像の両方を必要とする.しかし,動画配信サービス経由で受信した動画の品質を評価する場合は,原画像を入手することが難しく,復号画像だけで画質を評価する手法が求められる.
本研究では,CNNを用いて復号画像と既存の評価手法の結果を学習させることで,復号画像から画像の品質を高速に求める手法を提案する.
東京工芸大学は写真大学をルーツに持ち、本学写大ギャラリーには多数の貴重な写真プリントが所蔵されている。作品の公開では、一度に公開可能な点数の上限や公開による写真プリントの劣化等の問題がある。そこで、モニターによるデジタル展示が公開手法として期待される。デジタル展示では、本来の写真プリントが持つ色合いを忠実に再現することが重要であり、筆者らはハイパースペクトルカメラを使った測定を行い、高品位画像を生成する手法について検討している。
本研究ではハイパースペクトルカメラで測定した際のノイズを処理する際に生じる画質劣化の照明光におよる影響をPSNR、SSIMを指標として検討したので報告する。
A-16. 高信頼制御通信
9月6日 10:30〜11:30 Meeting 9 座長 今井 雅(弘前大)
A-16-1 |
ローカル5G電波環境を反映した移動ロボットの適応的経路制御
○高谷 聡(東芝)・西川浩行(東芝インフラシステムズ)・平野竜馬・内田大輔(東芝)・飯田康隆(東芝インフラシステムズ)・旦代智哉(東芝) |
A-16-2 |
山中の送電鉄塔を中継するUAVの169MHz帯通信実験
○三浦 龍・松田隆志・単 麟・越川三保・松村 武(NICT)・追良瀬利也(中部電力)・小林健悟(中部電力パワーグリッド)・谷村和彦(日立) |
A-16-3 |
移動ロボット制御のためのローカル5Gシステム
○平野竜馬・内田大輔・高谷 聡(東芝)・飯田康隆・西川浩行(東芝インフラシステムズ)・旦代智哉(東芝) |
A-16-4 |
ロジスティック関数による膀胱内蓄尿量モデルの提案
◎塩田崇真・浜田百合・栗原陽介(青学大) |
ローカル5Gおよび計算リソースをエッジ近傍に配置するMulti-access Edge Computing (MEC)技術を適用することで、MECサーバからAutonomous Mobile Robot (AMR)のリアルタイム走行制御を実現する。また、AMR上の5G端末が計測した受信電波強度を元に電波地図を作成し、目的地までの経路の距離と電波強度から各経路のコストを算出、コストの最も低い経路を選択する。物流倉庫を想定した実験環境にてAMRを繰り返し走行させ、荷物を模擬した電波遮蔽体を配置し一部の経路の電波環境を悪化させた場合、電波地図が更新され、コスト最小となる経路を選択することを確認した。
人の立入りが困難で電波が届きにくく携帯電話も圏外が多い山中等において小型UAV(無人航空機/ドローン)を飛行させる場合,安全運用の観点からその通信手段が求められている.この問題に対応するため,UAVのコマンド・テレメトリ通信手段として,無人移動体画像伝送システムの169MHz帯を活用したマルチホップ制御通信システム「コマンドホッパー」の開発を行い,現場での評価と性能改善を進めている.本稿では,山中の電力設備点検への活用を想定し,送電鉄塔への中継局設置によるUAVの見通し外飛行実験を行い,通信性能評価を行ったので報告する.
ローカル5Gおよび計算リソースをエッジ近傍に配置するMobile Edge Computing (MEC)技術を適用することで、MECサーバからAutonomous Mobile Robot (AMR)のリアルタイム走行制御を実現しつつ、大規模な移動ロボットソリューションでは導入コストの低減が可能である。移動ロボット制御に用いるローカル5Gシステムの概要、本システムの遅延性能および受信電力について評価した。遅延性能についてはMECサーバとAMRに接続する端末間のRound Trip Time(RTT)は10~15[ms]であり、移動ロボット制御に問題ない遅延性能であることを確認した。また、Synchronization Signal-Reference Power(SS-RSRP)による室内の受信電力分布を把握し、縦10[m]×横17[m]×高さ3[m]の室内においてどの場所でも通信に必要な電力が確保可能であることを確認した。
介護施設では,超音波センサにより高齢者の膀胱内蓄尿量の推移をモニタリングすることで,排泄介助を適切なタイミングで行っている.本研究では膀胱内蓄尿量の推移を表すモデルとしてロジスティック関数によるモデルを提案する.検証実験では,超音波センサで計測した膀胱内蓄尿量の実測値にたいするモデルの近似精度を,先行研究の一次遅れ要素と,むだ時間によるモデルと比較した.194データにたいし平均絶対誤差で精度を比較した結果,先行研究における一次遅れ要素とむだ時間によるモデルでは誤差が25.78mlであったのにたいし,ロジスティック関数による提案モデルでは誤差が17.73mlとなり,1%水準で有意差が見られた.
A-17. バイオメトリクス
9月6日 13:00〜14:00 Meeting 17 座長 白川真一(横浜国大)
A-17-1 |
Evaluating the Privacy-Preserving Properties of DeepFake Using User’s Personal Attribute Features
◎Md Mojahedul Islam Porag・Nguyen Vo Ngoc Khoi・Masakatsu Nishigaki・Tetsushi Ohki(Shizuoka Univ.) |
A-17-2 |
オンライン署名照合における実画と空画の有効性評価
○大川 学(警視庁) |
A-17-3 |
継続認証におけるテンプレートの登録・更新に関する一検討
○渡邊友花・山崎 恭(北九州市大) |
A-17-4 |
スマートデバイス上の継続認証におけるなりすましの脅威に関する一検討
○木下集人・渡邊友花・山崎 恭(北九州市大) |
DeepFake (DF), the most serious problem in face application, has been studied in terms of the detection algorithm. Some researchers pointed out that DF can be used for privacy protection. A previous study found that re-identification from DF image (namely, DF re-identification) is possible even when the facial part is completely swapped which makes the privacy commitment at risk. In this study, we conduct DF re-identification experiments and show the results where it provides the importance of the user's specific personal attribute features. For analysis, we created a feature-based ScoreCAM which visualizes and compares the DF images during feature-based comparison.
署名照合の偽筆対策として,バイオメトリクス分野では,他人偽筆を主な対象とする一方,法科学分野では,さらに本人偽筆も考慮する必要がある.しかし,オンライン署名照合では,これらの包括的な偽筆の照合性能の影響について未だ十分な検討がなされていない.そこで本研究は,ペンタブレットの多くが,実画に加え,一部の空画も検出可能なことから,空画が他人に可視化されない無形画線であり書字の習熟度にも関連する点に着目し,実画と空画を併用することで,オンライン署名照合における偽筆耐性の改善効果について総合的検討を図った.
近年,スマート デバイスに搭載されているセンサから取得可能な生体情報を用いた生体認証が注目されている.一方,スマートデバイスにおける生体認証では,利用環境の変化よる認証精度の低下や,第三者によるロック解除後の端末の不正利用などの問題がある.この問題に対し,先行研究では,利用環境に適した認証方式を適応的に選択するための利用環境認識機能と,ユーザの生体情報を継続的に取得して認証を実行する継続認証機能を組み合わせた利用環境認識型継続認証システムが提案されている.本稿では,上記システムにおいて,安全性と利便性を考慮したテンプレートの登録・更新の一手法を提案するとともに,提案手法の有効性を評価した結果について報告する.
近年,スマートデバイス上のユーザ認証技術の一つとして,生体認証技術が注目されている.また,認証後に他人にデバイスを使用されるというリスクに対する対策として,継続認証が提案されている.
一方,スマートデバイス上の継続認証に関しては,なりすましの脅威を主眼とした研究は必ずしも十分には行われていない.一例として,本人の歩行時のデバイスの揺れを装い,意図的にデバイスを揺らすことでブレた顔画像を撮影してなりすましを図る可能性が考えられる.そこで,本稿ではこのような脅威によるなりすましの可能性について検証した結果について報告する.
A-18. 安全・安心な生活とICT
9月6日 13:00〜14:45 Meeting 31 座長 新 浩一(広島市立大)
A-18-1 |
Research on Developing a Mobility Obstacle Detection System for Walking Pedestrians Utilizing Wi-Fi Sensing with Channel State Information
◎△Emad Moawwad・Naoki Amano(Tokyo Univ. of Tech.) |
A-18-2 |
情報フローティングを用いた仮想交通信号機に関する考察
◎野内遥紀(新潟大)・宮北和之(新潟国情大)・中野敬介(新潟大) |
A-18-3 |
設備三次元復元に向けた可動部の外形変化ノイズ除去手法の検討
○掛野真弘・小泉賢一・阪田恒次(三菱電機) |
Research on utilizing Wi-Fi CSI (Channel State Information) for developing a mobility obstacle detection system to support and aid walking pedestrians. The system will help pedestrians to navigate safely from one point to another by alerting them of any stationary obstacles or incoming moving obstacles that may interfere or stop their movement. This is done by using a new technology called Wi-Fi sensing. Where CSI data which is the wireless signal information that propagates between a station and an access point is collected and analyzed to determine the existence of an obstacle.
本研究では,分散型の無線ネットワークにおける仮想交通信号機および,インフラを使用しない分散型の情報蓄積技術を用いた青信号・赤信号の時間の設定を同時に考えることを目的とする.具体的には,自動車同士が直接無線通信を行い,仮想信号機を実現することと同時に,情報フローティング(IF)の仮想蓄積機能を用いて交通量を把握し,青信号・赤信号の時間長を制御する.これにより,災害時等で移動通信インフラが使えないような場合に,自動車同士が仮想信号機を構成し,その制御も分散的に行うことができる.
フォトグラメトリ手法を用いて高品質に三次元復元するためには,復元用画像は,設備を固定した状態で取得する必要があり,取得負荷が大きい.負荷削減のため,設備点検中に,目線カメラ等で取得した画像を用いて復元可能としたい.本稿では,点検中に取得した画像からの設備三次元復元に向け,複数の可動部外形が混ざった画像によって復元結果に歪みや消失が生じる課題への対策を述べた.画像取得時点の点検内容を推定し,各画像に点検内容と対応する可動部外形メタデータを付与し,外形別にグルーピングして復元する方法を述べた.同一の外形画像から復元することで,歪みや消失がなくなり,可動部の外形や寸法が確認可能となることを示した.
休 憩(14:00 再開) 座長 宮北和之(新潟国情大)
A-18-4 |
投擲型斜面監視システムの構築
◎村上和暉・天野直紀(東京工科大) |
A-18-5 |
地震に伴う電磁波の山岳異常回折現象の3次元電磁界解析
◎宮岸知喜・藤沢友暉・高田龍之介・中沢完介・藤井雅文(富山大) |
A-18-6 |
電波観測による電磁気的地震前兆の高感度検出
○藤井雅文(富山大) |
【はじめに】日本は土砂災害の多く発生するが,大雨や余震が続く期間に個人レベルで局所的に斜面を監視する斜面監視対策は未だ不十分である.
【目的】9軸センサを用いて地表面移動速度を計測し斜面崩壊の予兆を検知することで,個人レベルで局所的な斜面監視を行えるシステムの構築を検討した.
【方法】設置時のアンテナ向きによる通信強度を比較するために,3軸13パターンのアンテナ各向きのRSSI値を計測し,1軸にアンテナ1本の場合と3軸にアンテナ3本の場合の通信強度を比較した.
【結果】実験の結果から3軸にアンテナ3本の場合,(+X,0,0)(0,-Y,0)(0,0,+Z),(+X,0,-Z)(0,-Y,0)(-X,0,-Z)の2パターンのアンテナ向きが最もRSSI値が低くなることが予想されるため,各RSSI値を計測したところ1軸にアンテナ1本の場合よりも高い値を示した.
近年、地震前兆における電磁気的現象が報告され、その原理が明らかになりつつある。これらの現象によってVHF帯であるFMラジオ波が影響を受ける可能性を見出した。本研究では、電磁気的現象を引き起こす要因の一つとして考えられる地表面プラズマ波が、FMラジオ波の伝搬にどのような影響を与えるのかについて解析、考察を行った。
電磁気的観測による地震前兆検出の試みはこれまで多数報告されており、地電位や地抵抗の観測では地震の数日前に前兆現象を検出している例も存在する。これは地殻の岩石に応力が作用して電荷が生じ、地中の電気特性を変化させ、測地的観測には現れない地震の前段階の地殻活動を捉えるためであると推測されている。しかし、その微小な信号を安定かつ明瞭に検出することは困難であった。ここではラジオ放送波の電波観測により2022年3月16日の福島県沖マグニチュード7.4およびその前後の地震の前兆現象を観測した例を報告する。
A-19. ハードウェアセキュリティ
9月8日 10:00〜10:45 Meeting 31 座長 鳥居直哉(創価大)
A-19-1 |
スカラー倍算におけるサイドチャネル攻撃対策効果について
◎阿部浩太郎・池田 誠(東大) |
A-19-2 |
BN,BLS12曲線を用いたペアリング暗号のハードウェア的安全性効率
◎菊岡才人・池田 誠(東大) |
A-19-3 |
電源ノイズと近傍磁界の統合シミュレーションによるサイドチャネル漏洩評価
◎門田和樹・永田 真(神戸大)・ラン リン・ハーシュ シュリバスタフ・デッチ ジュ・ノーマン チャン・カルバン チョウ(ANSYS) |
暗号回路ではサイドチャネル攻撃が脅威となっている.本研究ではECDSAにおけるスカラー倍算に対する攻撃について攻撃と対策を行う.ECDSAでは格子攻撃と呼ばれる攻撃が存在し,数ビットの漏洩で攻撃が可能となるためこれを防ぐことを安全性の基準とした.対策としては異なる3種の手法とその組み合わせを扱う.対策効果の評価として未対策及び対策を施した実装においてシミュレーションを行い,対策による攻撃耐性と性能ペナルティを示し,実測による攻撃精度との関連を確認した.また,実際の攻撃精度に応じて,安全性を満たす条件下での性能ペナルティの少ない対策の組み合わせに関して考察を行った.
ペアリング暗号の安全性やペアリングにかかる演算時間などのコストは,用いる楕円曲線のパラメータによって定められ,実用性を考えると所望のセキュリティを満たす中でなるべくコストが小さくなるような曲線を選択するのが効率面において優れていると言える.しかし,ペアリング演算回路のハードウエア実装は,まだまだ研究途上の分野であり,このような議論は現状ソフトウェアによる実装に対して行われることがほとんどである.本研究では,ペアリング暗号の安全性と,暗号回路をハードウェア実装した際のレイテンシおよび面積といったコストを見積もる方法を提案し,現在ペアリングによく用いられるBN曲線とBLS12曲線についてそれを適用した結果を示した.
半導体集積回路に実装した暗号モジュールにおいて、サイドチャネル情報を用いて秘匿情報を入手するサイドチャネル攻撃は大きな課題となっている。これまでサイドチャネル攻撃に対する対策は多く提案、研究されてきた。一般にこれらの対策が有効であるかの解析はチップ製造後に実機を用いて行われるが、チップ製造前の設計段階でシミュレーションによりサイドチャネル攻撃耐性を評価出来れば、設計品質の向上、試作コストの回避に大きく貢献する。本稿では大規模集積回路向け電源ノイズシミュレーションを用いたチップ直上の近傍磁界ノイズによるサイドチャネル漏洩分布の評価手法を提案し、実測との比較により提案手法の妥当性を確認した。
シンポジウムセッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
AS-1. スマート農業におけるエッジコンピューティング
(VLSI設計技術研専)
9月7日 13:00〜13:50 Meeting 28 座長 鬼頭信貴(中京大)
AS-1-1 |
超精密放牧のためのエッジコンピューティング
○伊藤浩之・Ludovico Minati・Jim Bartels・Chao Li・府川政元・Korkut Kaan Tokgoz・大橋 匠(東工大)・竹田謙一(信州大) |
AS-1-2 |
画像認識による害獣検知の試行
○泉 知論(立命館大) |
我々は,ITによる放牧の超精密化によってアニマルウェルフェアと生産性を向上させるシステム”PETER”の研究開発,国内のAW畜産普及に向けた消費者・生産者の行動変容デザインを進めている.本講演では,前者のPETERについて,その構成要素のEdge,Cloud,UIのうち,特にPETER Edge用のハードウエアと深層学習モデルの研究開発成果について紹介する.
獣害対策のための画像認識による害獣検知の試行事例を紹介する。寺社を破損するアライグマ対策のため、監視カメラによる自動検知を試行した。深層学習に基づいた画像認識のため、CIFAR100の動物の画像や独自に鳥獣飼育施設で撮影した画像から学習用データベースを構築し、実際にアライグマが建造物に侵入する画像で検出性能を評価した。また、木造建造物に残る爪痕からアライグマの痕跡を検出するため、ハフ変換による分析手法を検討した。さらに、緑地に設営したフィールドカメラに写ったシカ、イノシシ、サルなどの野生動物の自動認識の試行事例も紹介する。
AS-2. 勢いを増す光無線通信
(ワイドバンドシステム研専)
9月8日 13:00〜15:05 Meeting 19 座長 浜村昌則(高知工科大)
AS-2-1 |
イメージセンサ通信の高速化のための回転式LED送信機の開発
○荒井伸太郎(岡山理科大)・唐 正強・山里敬也(名大)・圓道知博(長岡技科大) |
AS-2-2 |
LED設置位置を変化させたプロペラ型回転式LED送信機によるイメージセンサ通信の通信性能の一検討
◎尺田一輝・荒井伸太郎(岡山理科大) |
AS-2-3 |
確率共鳴現象を利用したPD型可視光通信の通信性能の一検討
◎藤井大智・荒井伸太郎(岡山理科大)・山里敬也(名大)・羽多野裕之(三重大)・齋藤将人(琉球大) |
AS-2-4 |
ローリングシャッタカメラを用いた可視光通信における通信距離拡大手法
○木下雅之・前田隆人・鎌倉浩嗣(千葉工大)・山里敬也(名大) |
AS-2-5 |
スマートフォンスクリーンを利用した可視光アップリンク通信
○中條 渉(名城大) |
本研究では送信機にLED,受信機にイメージセンサ(カメラ)を用いた可視光通信(イメージセンサ通信: ISC)に注目する.ISCではイメージセンサの特性を活かして,送信源の光とそれ以外の外乱光(雑音)を画像上で分離できる点が大きな特徴である.しかしながら,カメラを用いた可視光通信ではその通信速度が受信機であるカメラの撮影速度に依存することが問題となっている.この問題を解決するため,筆者らは送信機自体が高速回転する「回転式LED送信機」を開発した.本発表では筆者らがこれまでに発表した回転式LED送信機に関する研究発表を基に,回転式LED送信機の動作や通信速度向上の原理,通信性能を紹介する.
本稿では回転式LED送信機及びイメージセンサ(カメラ)を用いたイメージセンサ通信に注目する.回転式LED送信機とは筆者らが先行研究で開発した装置である.本装置でデータを送るLEDを点滅させながら回転させ,それらを受信機側がLED光の残像として捉えられることを利用してイメージセンサ通信の通信速度向上を図る.筆者らはこの装置を改良し,複数のLEDをプロペラ状に回転させる「プロペラ型回転式LED送信機」を現在開発中である.プロペラ状に回転させることで,先行研究の装置と異なり,回転一周分のLED光の点滅を1枚の画像に残像として捉えられ,通信速度がさらに向上すると期待している.しかしながら,プロペラ状に回転させることで,回転の中心からのLED設置位置によって,回転1度あたりのLEDの移動量が変化することが分かっている.この場合,回転の中心に近いLED程,回転によって隣接するLEDの残像光が互いに干渉しやすく,データの復調を誤る可能性が高い.本研究では,プロペラ型回転式LED送信機上のLEDの設置位置の違いが,復調性能にどう影響するかをシミュレーションにより評価する.
人の目に見える光を用いてデータ伝送する光無線通信技術を可視光通信と呼ぶ.本稿では送信機に LED,受信機にフォトダイオード(PD)を用いた可視光通信システムに注目する.PDは光を高速に検知する特性を有していることから,可視光通信の通信速度を容易に高速化できる.一方で,PDは受光感度に満たない微弱な光は検知できないため,受信範囲外からの送信信号を受信できない問題がある.この問題を解決するため,筆者らは可視光通信の受信機に確率共鳴を利用することを検討している.確率共鳴とは,微弱な信号に雑音を加えることで信号の応答特性を向上させる現象である.筆者らが行った先行研究では,確率共鳴受信機に送信信号である LEDの点滅周波数よりも速い周波数の雑音を複数加えることで,受信機側で送信された信号波形をある程度復元できることを確認した.しかしながら,先行研究では波形の復元までにとどまっており,データの復調までは行っていなかった.そこで本研究では,確率共鳴受信機を用いた PD型可視光通信の微弱な信号に対する通信性能をシミュレーションにより評価する.
本稿では,受信機にローリングシャッタカメラを用いる可視光通信(ローリングシャッタ型可視光通信)を扱う.ローリングシャッタカメラでは,ラインスキャン特性から,撮影速度より高速に変調した光信号を送ると、その点滅パターンが縞模様として撮像されることから,通信速度の高速化が可能である.一方で,ローリングシャッタ型可視光通信の課題として通信距離の制限が挙げられる.そのため,本稿ではローリングシャッタ型可視光通信の通信距離拡大手法として,二つのアプローチを紹介する.
OCC(Optical Camera Communication, イメージセンサ可視光通信)は電波による無線通信とは異なる多くの特長を活かすことで,電波を補完する通信手段として発展が期待できる.ダウンリンクOCCの研究は広く進められているが,アップリンクOCCの研究例は少ない.本報告では代表的な近距離無線通信技術と比較することでアップリンクOCCの特長を明らかにする.OCCの特長を活かしたRS(Rolling Shutter, ローリングシャッター)カメラとスマートフォンのSDM(Space Division Multiplexing, 空間分割多重)スクリーンによるアップリンクSCC(Screen Camera Communication, スクリーンカメラ通信)について述べる.