早稲田大学 57号館 202教室
安藤 真
電子情報通信学会会長
1979年03月 東京工業大学大学院理工学研究科電子工学専攻博士課程修了
1979年04月 日本電信電話公社横須賀電気通信研究所入社
1982年12月 東京工業大学工学部電子物理工学科助手
1985年03月 同電子物理工学科助教授
1987年05月 同電気・電子工学科助教授
1995年04月 同電気・電子工学科教授
2000年04月 同大学院理工学研究科電気電子工学専攻教授
2015年04月 東京工業大学理事・副学長(研究担当)
2017年04月 同名誉教授
2018年03月 東京工業大学退職
2018年04月 独立行政法人国立高等専門学校機構理事(現在に至る)
電子情報通信学会編集特別幹事,電磁界理論研究専門委員会/アンテナ・伝播研究専門委員会委員長,APMC国内委員長,ISAP 国際運営委員会委員長,エレクトロニクスソサイエティ会長,副会長,次期会長,フェロー,名誉員2009年IEEEアンテナ伝搬ソサイエティ会長,2015年~2017年ISAP国際運営委員会議長。2017年~2020年国際電波科学連合(URSI)会長,IEEEフェロー,学術振興会学術研究センタープログラムオフィサー(工学:電気電子工学)1982年本会学術奨励賞,1990年第5 回電気通信普及財団賞,1992年井上学術賞,1993年,2016年,2018年(喜安善市賞)本会論文賞,2007年,2009年本会通信ソサイエティ論文賞,1996年本会通信ソサイエティ活動功労感謝状,2004年電波産業会電波功績賞総務大臣表彰,2006年情報化促進貢献総務大臣表彰,2011年IEEEIMWS2011,Best Paper Award,2011年,2012年,2013年APMC2011,2012,2013 Best Paper Award,2014年本会功績賞,2017年NHK放送文化賞各受賞
社会と対話する学会へ
科学技術の社会貢献が求められている。持続可能な開発のためのアジェンダやソサイエティ5.0などの課題を解決する鍵はICT技術といっても過言では無い時代に本会の真価が問われている。2019年の学会の課題を,社会との対話と捉えて,産業界との対話,国(官)との対話,他学会との対話,専門家と一般の方との橋渡し,さらに世代を拡げた会員との対話を促進してゆきたい。
野口 晴子
早稲田大学 政治経済学術院 教授
早稲田大学大学院経済学研究科修士課程を修了,1997年ニューヨーク市立大学経済学研究科博士課程修了。Ph.D.(Economics)取得。スタンフォード大学公衆衛生大学院,Stanford Institute of Economic Policy Research(SIEPR),全米経済研究所(NBER:National Bureau of Economic Research)等の研究員を経て,2000年に帰国。帰国後,東洋英和女学院大学,国立社会保障・人口問題研究所を経て,2012年より早稲田大学政治経済学術院・教授。現在,東京都病院経理本部「都立病院経営委員会」・委員,厚生労働省保険局「中央社会保険医療協議会(中医協)」・公益委員,内閣府行政改革推進会議「歳出改革ワーキンググループ」委員,足立区教育委員会「足立区子ども施設指定管理者選定等審査会」・委員長などを務める。早稲田大学では,ソーシャル&ヒューマン・キャピタル研究所(WISH研究所)所長,また,実証政治経済学研究拠点(The Center for Positive Political Economy: CPPE)拠点メンバー。American Economics Review,Journal of Health Economics,The Lancet,Annals of International Medicineなどをはじめとする,経済学・公衆衛生学系の国際ジャーナルに論文多数。
日本における行政データの活用を模索する −介護レセプトデータを中心に−
昨今,行政の現場でも,科学的根拠に基づく政策が重要視され,行政データの有する科学的な価値が認識されつつある。標本抽出による調査と異なり,行政データでは,特定の行政目的の対象者全数を対象とした情報収集を行うことから,選択バイアスや回答バイアスが回避されやすいといった長所がある一方,特定の行政データから単独で得られる情報は極めて限定的である。こうした行政データの短所については,複数の行政情報を照合させることで,研究の遂行に必要な情報を追加的に得るという手段が考えられる。本稿では,行政データの利活用をめぐる米国の経験を踏まえ,日本における行政データの活用を模索しつつ,1つのケーススタディとして,『介護給付費実態調査(介護レセプトデータ)』と『人口動態調査(死亡票)』との照合を,当該データに含まれる識別変数群の特性を活かして,最も単純なdeterministic linkageの手法を用いて行った。介護レセプトデータには,死亡を識別可能な情報が存在せず,個票データに基づく全国規模での生涯介護費の全容はいまだ明らかにされていない。したがって,死亡届提出年月日・死亡場所・死因などの情報が含まれている死亡票と照合することにより,性や年齢などの個人の人口学的属性のみならず,死亡場所や死因別の生涯介護費の実態を明らかにすることができる。結果,女性の生涯介護費は,全都道府県で男性よりも高く,全国平均では,男性が約220万円,女性が約377万円と,女性の方が約157万円上回っている。また,都道府県によって,受給者1人当たりの生涯介護費にばらつきがあることがわかった。但し,本稿の観察期間は,2006年の4月から2014年の3月までの8年間と比較的短いことから,生涯介護費が過小に推定されている可能性は否めない。したがって,観察期間を延伸した場合,生涯介護費の推定にどの程度の影響があるのかを含め,継続的な検証を行う必要がある。人類社会が経験したことのない超高齢社会に突入した日本において,公共サービスを提供するための社会的資源(ヒト・モノ・カネ)の減少が予想される。公共サービス提供の効率化のためには,サービス提供者間のみならず,サービスの受益者に対しても情報共有を図っていかなければならず,行政データが果たすべき役割は今後ますます高まるだろう。
上田 路子
早稲田大学 政治経済学術院 准教授
国際基督教大学卒業後,東京大学及びスタンフォード大学にて修士号取得。2006年マサチューセッツ工科大学(MIT)政治学部博士課程卒業(Ph.D.)。カリフォルニア工科大学Assistant Professor,内閣府経済社会総合研究所客員研究員などを経て,2016年より現職。著書に「自殺のない社会へ : 経済学・政治学からのエビデンスに基づくアプローチ」(共著,2013年,第56回日経・経済図書文化賞受賞),Economic Analysis of Suicide Prevention: Towards Evidence-Based Policy-Making (共著,2017年,Springer)など。ソーシャルメディアを分析対象とした論文として,Tracking the Werther Effect on social media: Emotional responses to prominent suicide deaths on twitter and subsequent increases in suicide(共著,Social Science and Medicine, 2018)など。2018年度早稲田大学リサーチアワード受賞。
データサイエンスで見えてくる社会
データサイエンスはこれまで見えなかった人々の行動や社会の動きを明らかにします。テキストマイニングや 機械学習などの分析手法の発展は,ビッグデータの急速な普及と相まって,従来では不可能であった分析を可能にし,社会科学分野の研究にも大きな変革を及ぼしつつあります。データサイエンスの手法を取り入れることによって,これまでにどのような社会への洞察が得られたのか,そして今後期待される新たな知見は何かを政治学,経済学,医療の分野の研究例を用いてご紹介します。