プログラム
format_list_bulleted通信ソサイエティ
一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
B-1. アンテナ・伝播A(電波伝搬,非通信利用)
3月17日 11:00〜12:15 総合科学部 K棟2F K210講義室 座長 太田喜元(ソフトバンク)
B-1-1 |
ドローンを用いた伝搬測定によるハイトゲインの検討
○山田 渉・久野伸晃・中村光貴・佐々木元晴(NTT)・西森健太郎(新潟大) |
B-1-2 |
ドローンを用いたITS融合ネットワークの構築とその実証
◎△仲栄真一成・辻野拓音・我那覇 翔・藤井 知(沖縄高専)・吉川憲昭・飯塚正孝・木下研作(サイバー創研) |
B-1-3 |
セルラ通信環境における車載アンテナの受信偏波特性の測定
◎岡本清立・川合優樹(同志社大)・聖川 桂(小島プレス)・岩井誠人・衣斐信介(同志社大) |
B-1-4 |
縦列走行V2V通信ドップラースペクトル[I] –シミュレーション–
山口 良・○芹澤弘一・豊見本和馬・宮下真行(ソフトバンク) |
B-1-5 |
縦列走行V2V通信ドップラースペクトル[II] –定式化–
○山口 良・芹澤弘一・豊見本和馬・宮下真行(ソフトバンク) |
ドローンに代表されるUAVを活用した物流などの各種サービスの実用化に向け,研究開発が活発に行われている.しかし,上空利用を想定した電波伝搬の検討は数少ないため,都市内UAV利用のための無線エリア設計法については未だ確立されていない状況である.そこで本稿では,モデル化に向けた初期検討としてドローンを測定系に活用したハイトゲイン評価結果について報告する.
ドローンを用いたITS融合アドホックネットワークを提案し、システムの構築とその実証を行った。5.7GHzの電波伝搬特性の実験結果から、地上・海上とも干渉によるフェージングが約25dBと大きい。また、アドホックネットワークを構築することで、しない場合に比べてスループットと受信レベルが改善された。学会当日ではその他の高度の2.4/5.7GHz電波伝搬特性とアドホックネットワークの評価の詳細についても報告する。
セルラ通信環境等において,車両設置を対象としたアンテナの必要性能は垂直偏波の利得により規定されることが多いが,実際の環境ではマルチパスなどの影響により水平偏波成分も大きな強度で到来するものと考えられる.したがって,この特性を考慮した車両用アンテナ開発が有効となると考えられるが、その実現には交差偏波識別度(XPD: Cross- Polarization Discrimination)の把握が必要である.本報告では,セルラ通信環境におけるXPDの分布を測定したので報告する.
縦列走行V2V直接通信における電波伝搬に関して,直接波,路面反射波,路面散乱波および2つの路面・車両多重散乱波の5つの伝搬経路(伝搬パス)に分類し,ドップラースペクトルをシミュレーションにより求める.
縦列走行V2V直接通信における電波伝搬に関して,2倍波スペクトルをもつ路面・車両多重散乱波はJakes一様散乱リングモデルと類似した周波数シフト特性をもつ.本稿ではこの点に着目して2倍波スペクトルの閉形式での定式化を行う.
3月17日 13:30〜17:30 総合科学部 K棟2F K210講義室 座長 佐々木元晴(NTT)
B-1-6 |
テラヘルツセンシングのための実スケール簡易FDTD法
○藤原 陸・荒原克樹・相馬翔太・中林寛暁・水津光司・長 敬三(千葉工大) |
B-1-7 |
インターディジタル構造を導入したメタサーフェイス反射器
○大西健斗(香川高専)・丸山珠美(函館高専)・塩沢隆広(香川高専) |
B-1-8 |
アンテナ間導体壁上面に設置したEBG構造による干渉抑圧の一考察
◎大橋諒太郎・田中 泰・瀧川道生・米田尚史(三菱電機) |
B-1-9 |
日食における中波放送波強度の観測
○深見哲男(石川高専)・長野 勇(金沢大)・東 亮一(石川高専) |
B-1-10 |
電磁波を用いた海中位置推定システムにおける波対策の基礎検討
○小林大希・加藤涼介・高橋応明(千葉大) |
近年,テラヘルツ波を用いた高周波・広帯域の特長を活かしたセンシングの研究が進められている.そのようなテラヘルツセンシングにおいて,測定システムを要因とする誤差は,測定結果に大きな影響を与える.センシング技術の向上には,このような誤差が発生しにくいFDTD法による電磁界シミュレーションの導入が有効であると考えられる.しかし,テラヘルツ波の波長の短さから,正確な結果を得るためにはセルサイズを小さくする必要があり,実スケールで計算を行うには計算機資源の点で問題が生じやすい.本報告では,そのような問題を解決するテラヘルツセンシングにおける実スケールでのFDTD解析を可能とする簡易計算法を提案する.
本研究では,従来のメタサーフェイスにインターディジタル構造(凹凸構造)を導入し,この構造パラメータにより反射位相を制御する方法を提案する.5.6GHzにおける構造パラメータ(凹凸の深さ)と反射位相の関係をシミュレーションにより求めた.この結果より垂直入射に対し20°で反射する反射器を設計した.現時点では制御可能な反射位相範囲が300°に限定される.このため指向性は強くないが設計値に近い約23 の反射角をシミュレーションにより確認した.今後,制御可能な反射位相範囲を広げること,偏波依存性の検討などに取り組む予定である.
複数のアンテナから構成されるシステムにおいてアンテナ間の干渉が問題となることがある.本稿では,2つのアンテナ間に導体壁が配置された系における電磁バンドギャップ(EBG: Electromagnetic Band Gap)構造による干渉抑圧効果について検討する.
日本において,2019年1月6日と2019年12月26日に部分日食があった.太陽光が生成源である電離層D層は,中波の電離層反射波の減衰に大きく影響する.つまり,昼間D層のため受信できないが,夜間D層が消滅するため遠方まで到達する.2012年5月21日の金冠日食時に石川県津幡において500kHzから1500kHzまでの中波放送波帯の電界強度を観測したが,数波しか反射波を観測できなかった。今回,特に2019年1月6日の部分日食時は,金冠日食と日出から日食に至る過程が時間的に同様であるが,日射遮蔽量が金冠日食の半分以下の特徴があった.しかし,中波放送波強度を水平方向無指向性の垂直ダイポールアンテナで観測したところ金冠日食より多くの放送波が観測された.
水難事故の発生件数はここ数年ほぼ一定で,ほとんど減少が見られない.水難事故の際に救助活動を行うのは主にダイバーである.水中におけるダイバーの位置の特定により,救助活動を支援することを想定し,低周波数帯の電波を用いた3次元海中位置推定システムの検討が行われている.本研究では,10kHzの電磁波を用いた海中位置推定システムにおける波対策の基礎検討として,波の有無による海面上空の伝搬の解析を行い,受信アンテナの空中配置の有用性を確認した.また,受信電力強度(RSS)を用いた3次元位置推定を,海面上の波の有無に分けて行い,目標の位置推定誤差2m以内を達成した.
休 憩(15:00 再開) 座長 北尾光司郎(NTTドコモ)
B-1-11 |
大規模屋内空間における伝搬特性
◎嶌田斐呂・前山利幸(拓殖大)・山本尚武・菱川哲也(パナソニック)・齋藤健太郎・高田潤一(東工大) |
B-1-12 |
T字路における伝搬解析の一検討
◎荒川祐也・嶌田斐呂・前山利幸(拓殖大)・山本尚武・菱川哲也(パナソニック)・齋藤健太郎・高田潤一(東工大) |
B-1-13 |
機械学習を活用した都市部伝搬損失推定における学習地点誤差と推定精度の関係
○久野伸晃・山田 渉・佐々木元晴・淺井裕介・鷹取泰司(NTT) |
B-1-14 |
都市環境モデルの伝搬特性推定を目的とした大規模FDTD解析の適用
◎吉江明花・日景 隆・山本 学・大宮 学(北大)・久野伸晃・山田 渉・淺井裕介・鷹取泰司(NTT) |
B-1-15 |
大規模FDTD解析による4.4GHz帯WAICシステム設計のための機外漏洩波特性推定
◎関口徹也・日景 隆・山本 学・野島俊雄(北大)・二ッ森俊一・森岡和行・河村暁子・米本成人(海上・港湾・航空技術研究所) |
大規模領域の電磁解析において, FDTD法では大きな計算リソースを必要とするため適用方法に検討が必要である. 本研究では,FDTD法とレイトレース法の併用を目指した初期検討としてレイトレース法の最大反射回数を増やし,計算の収束状況を評価領域の電界分布の累積確率について比較評価を行なった.オフィスモデルにおける4箇所から3m角の領域について空間的フェージングの比較評価を行なった.xy面では,直接波が支配的で,周囲からの反射が少ない仲上ライス分布となった.対してxz面は天井と床の反射が支配的となりレイリー分布となった.これは,レイトレースにおける反射回数が十分にあり,計算結果についても収束していると考えられる.
反射波と回折波が複雑に干渉する見通し外環境において電磁界数値解析手法であるFDTD法での伝搬解析は,大きな計算リソースを必要とするため適用方法に検討が必要と考えている.
本稿ではFDTD法とレイトレース法における適応方法の検討を行うため,T字路という直接波が届かない伝搬環境を例として,実測とシミュレーションの比較より検討した結果を報告する.
見通し内ではFDTD法とレイトレース法ともに実測とほぼ等しい結果を示したが,見通し外では,FDTD法と実測は良い一致を得ているが,レイトレース法は実測と大きく乖離している.
原因としてT字路となる見通し外では,反射波が廊下に十分に侵入していないことが原因と考える.
アンテナ・伝播研究会が開催した"共通のデータに基づく電波伝搬モデリング"を課題とするコンペティションにおいて,筆者らは配布データの伝搬経路を考慮したパラメータを用い機械学習を活用した推定手法を提案した.一般的に機械学習には大量のデータが必要とされる.しかしながら,そのレベルや位置情報に不確かさを有している可能性があり,本研究では位置情報について推定精度に与える影響について検討した.
次世代移動通信のための高速かつ高品質な無線通信環境の実現においては,複雑な電波伝搬特性の把握と高精度で効率の良い無線回線設計が必須であり,そのためには的確な伝搬モデリングが重要となる.従前,都市環境モデルの伝搬推定においてはRay-trace解析が多く行われている.さらに,Ray-traceと他の解析手法,例えば,地下街基地局アンテナによる人体ドシメトリや車車間通信評価を目的としたFDTD法とのハイブリッド解析なども提案されている.著者らは,大規模FDTD解析を用いた電波伝搬特性推定法について検討し,屋内や乗り物内などの多重反射環境における高精度かつ空間網羅性に優れた損失推定モデルについて検討を行ってきた.本研究は,今後ますます複雑化および多様化する都市環境における電波伝搬特性について大型計算機の資源を積極的に活用した大規模3次元Full-wave解析の適用を図り,新たな高精度伝搬モデリング構築法の確立を目的とする.本稿では,大規模FDTDシミュレーションについて,都市環境モデル電波伝搬特性推定への適用性検討を行う.計算には,北海道大学情報基盤センターのスーパーコンピュータシステムGrand Chariotを利用した.
航空機の運用コスト低減を目的として非常用照明などへの通信を担うワイヤハーネスを無線代替する航空機内データ通信システムWAIC(Wireless Avionics Intra-Communication)が検討されている.WAICシステムはAVSI(Aerospace Vehicle Systems Institute)により,4.2-4.4 GHz帯の利用が提唱されている[1].本稿では,アンテナ開口面に基づく窓部分の電磁界特性を評価した.
休 憩(16:30 再開) 座長 吉敷由起子(構造計画研)
B-1-16 |
工場内マイクロ波無線給電における人体上の電力密度推定
○グエン マインタイ・村井彬人(オムロン)・山田寛喜(新潟大) |
B-1-17 |
人体数を考慮した屋内の駅改札口周辺における伝搬損失距離特性
○中村光貴・山田 渉・佐々木元晴・浅井裕介・鷹取泰司(NTT) |
B-1-18 |
屋内建材近傍設置条件における空間相関特性の検討
○山本尚武・菱川哲也(パナソニック)・齋藤健太郎・高田潤一(東工大)・前山利幸(拓殖大) |
B-1-19 |
ロボットのための低アンテナ高5GHz帯電波伝搬の検討
○竜田明浩・笹井裕之・廣瀬元紀・重兼聡夫・上松弘幸・安藤 健(パナソニック) |
マイクロ波無線給電は長距離給電が可能であり様々な分野への適用を目指して研究が行われている.その中で,工場で使用されるセンサへの応用がセンサの断線防止,省配線の観点で期待される.一方 ,人体に影響を及ぼさないように電波防護指針を満たす必要があり,実用化に向けての課題の一つである .給電時に人体が存在する空間上の電力密度(以下,人体上の電力密度)が防護基準値を超えないように給電側で人体上の電力密度を把握し,その値に応じて送信電力を制御する必要がある.本稿ではマルチパスが多い工場内でも実装が容易で比較的精度が高い人体上の電力密度推定方法を提案し,シミュレーションにてその効果を確認した.
第5世代移動通信システムでは,混雑環境等の高トラフィック環境で高周波数帯の利用が検討されている.高周波数帯の伝搬損失は,人体等の遮蔽で大幅に増加するという報告があるが,混雑環境で,人体数の変動が伝搬損失距離特性へ与える影響は明らかでない.同じ混雑環境でも人体数は異なるため,無線システムの設計には人体数が伝搬損失距離特性へ与える影響の解明が必要である.本稿では,屋内環境において,人体数の変動が伝搬損失距離特性へ与える影響について検討した結果を報告する.
近年, IoT (Internet of things) の普及により屋内で利用される様々な家電・設備機器が無線システム化されており, 今後更なる普及が見込まれる. 一例として照明制御システムがあるが, 照明器具とコントローラは, 壁や天井などの建材近傍に固定設置される場合, セルラーのような移動による受信性能の改善は期待できない. 従って固定設置される無線システムにおいては, ダイバーシチアンテナによる性能改善が効果的と考える. 利用環境における到来波の受信電力とその到来角度を表す角度プロファイルの把握は, ダイバーシチアンテナの設計に必要である. そこで, 本稿ではオフィスを想定した簡易モデルにおいて, 角度プロファイルをシミュレーションで求め, 空間相関特性を理論計算により導出したのでその結果について報告する.
ロボットの無線通信搭載時のアンテナ高が低い場合に着目し,5GHz帯の電波伝搬の評価結果について述べる.
3月18日 9:45〜12:15 総合科学部 K棟2F K210講義室 座長 市坪信一(九工大)
B-1-20 |
電気的な指向性制御による920MHz帯RFIDの読取り率改善法
◎佐々木亮輔・舟山空良・山尾 泰(電通大) |
B-1-21 |
桑農場の灌木列に対する920MHz帯電波伝搬方向特性のアンテナ高依存性
◎中野由顕・岡田直樹・島崎仁司・一田昌利(京都工繊大) |
B-1-22 |
920MHz帯電波を用いた土壌水分量の推定手法の基礎検討
◎岡本真美・小林 真・西 正博・新 浩一(広島市立大) |
B-1-23 |
920MHz帯無線を用いたヒト室内移動経路推定手法の基礎検討
◎堀田禎之介・西 正博・新 浩一・小林 真(広島市立大) |
近年,RFID(Radio Frequency Identification)は,流通をはじめ様々なところで用いられている.RFIDの実用上の重要な点として,読取り率が挙げられる.読取り率を低下させる要因として,周囲環境から生じる電波の定在波の影響がある.定在波の影響を緩和するために本研究では,金属導体素子を用いることで,電気的にリーダライタ(R/W)アンテナの指向性を制御する方法を提案する.その結果,金属導体素子をスイッチで切替えることで電気的にR/Wアンテナの指向性を制御可能なことが確認できた.またそれを用いることで,RFIDの読取り率を改善できることを電磁界解析シミュレーションで確認した.
本報告では,桑農場における920MHz帯電波伝搬特性について,桑の灌木列方向に対する伝搬方向特性のアンテナ高による影響について測定を行った.送受信アンテナの高さを1.5mおよび0.3mの2通りとし,アンテナ間距離を保ちつつ受信アンテナの位置を変え,RSSI(受信信号強度)の測定を行った.その結果、伝搬方向が約10°から約120°の場合に,アンテナ高さが1.5mのときは変化がない一方,アンテナ高さが0.3mのときは依存性がみられた.桑農場の灌木列に対する伝搬の角度特性がアンテナ高さによって変化することがわかった.
2018年に西日本を中心に起こった豪雨による土砂災害被害によって多くの被災者や犠牲者が出た.
土砂災害前兆現象として地盤内に含まれる水分量の上昇することが,
抵抗型土壌水分量センサによって観測されている[1].
しかしながら,抵抗型土壌水分量センサにはプローブ端子の腐食,電気的ショックへの低い耐久性,「点」的な測定しかできないという物理的な課題がある.
本稿では抵抗型土壌水分量センサに代わる920MHz帯電波を用いた「面」的土壌水分量推定手法を提案する.
高齢者の見守りや働き方改革にともなう労働者の勤務状況の把握など,
様々な場面でヒト室内移動検知技術が求められている.
IoTで使用されている920MHz帯電波伝搬の変動を観測することで,ヒト室内移動経路を推定するシステムの構築を目指している.
本研究では,室内におけるヒト移動経路推定の可能性について
実験による評価を行った.
休 憩(11:00 再開) 座長 芳野真弓(日本電業工作)
B-1-24 |
都市部マクロセル環境における伝搬損失の2-26GHz帯周波数特性
○佐々木元晴・中村宏之(NTT) |
B-1-25 |
回折伝搬におけるビームフォーミングの挙動
○大植裕司・新海宗太郎・橋本和樹・山崎 聡・山田英之(パナソニック) |
B-1-26 |
車内構造物における60 GHz帯の反射及び透過の基礎的調査
○松井研輔・金子裕哉(矢崎総業)・金 ミンソク(新潟大)・國立忠秀(矢崎総業) |
B-1-27 |
10~100GHzにおけるビル反射損失の周波数特性の検討
○松村遼太・欅田雄紀・市坪信一(九工大)・表 英毅(ソフトバンク)・藤井輝也(東工大) |
B-1-28 |
D帯を用いた10Gbps伝搬実験
○大川 敬・伊東正治・八鍬直樹・丸本恒久(NEC) |
第5世代移動通信システム(IMT-2020)のための代表的なチャネルモデルとして,ITU-R SG5ではシステム評価を目的にITU-R報告M.2412が作成された.ITU-R M.2412のパスロスモデルでは0.5~100GHzの幅広い周波数fcにおいて周波数特性が自由空間損失と同様の20log(fc)とされている.一方,高周波数帯では直進性が高いなどの周波数特性が報告されており、セル設計等においては実際の周波数特性を把握することが重要である。本稿では,都市部マクロセル(UMa)環境での2~26GHzの測定結果からその周波数特性を報告する.
ミリ波無線LAN(IEEE802.11ad)の端末を工場内で移動させながらビームフォーミングの挙動を調べた。端末(STA)からアクセスポイント(AP)を見込む角度に追随してビームの方向が滑らかに変化するが、人や什器で伝搬路が遮られるときにビームの方向がグリッチ状に大きく変化する地点があることが分かった。グリッチの再現実験と遮蔽物によって生じる回折波のシミュレーションを行い、グリッチが回折波の干渉によって発生するヌル点をビームフォーミングにより回避した動作として説明できることを示した。
将来,車載センサの重要性が増加し,多くのセンサが車両に搭載されると考えられる.近年,60 GHz帯の電波を利用した自動車内での生体検知も検討されてきており,将来は通信との融合の可能性も含めて,車内におけるミリ波利用の可能性が考えられる.そこで,車内電波伝搬解析の為の基礎調査として車内構造物に於ける60 GHz帯の電波の反射及び透過の評価を実施したので報告する.インパネの反射及びシートの透過・反射の測定を行いそれらの損失を評価し,反射についてはその場所を特定した.
ITU-R SG3ではIMT-2020で使用する周波数を特定するために、衛星による通信と携帯電話システム等の陸上移動通信との共用を検討している。そのために都市部における周波数10~100GHzの伝搬損失の検討が行われており、周波数が高くなるとビルの反射損失が大きくなることが示されている。本研究では、周波数が10~100GHzまで増加することでビルの反射損失が増加するのかを材料の誘電率と壁面の凹凸の観点から検討した。材料の誘電率に起因する反射損失は周波数によってあまり変わらない。また、全反射波の電力は凹凸によって全体的にわずか1.5dBの損失増加である。
大容量無線伝送を実現するために100GHz帯超のテラヘルツ波帯の利用が注目されている。我々は、D帯(130-174.8GHz)におけるFDD通信可能な装置を開発し、導波管接続ならびに電波暗室内での伝搬特性確認してきた。ここでは、屋外において伝送容量10Gbpsでの伝搬実験を行ったので報告する。
B-1. アンテナ・伝播B(アンテナ一般)
3月17日 9:30〜10:45 総合科学部 K棟2F K210講義室 座長 笹森崇行(北海学園大)
B-1-29 |
オクターブバンド自己補対アンテナの解析
◎吉村仁志(拓殖大)・野田一房・平野圭一(雄島試作研究所)・常光康弘(拓殖大) |
B-1-30 |
周波数調整素子を用いた小型平面モノコーンアンテナの検討
○伊澤正裕(金沢村田製作所) |
B-1-31 |
ストリップBORアンテナ
◎蔡 政霖・阿部智希・山内潤治・中野久松(法政大) |
B-1-32 |
円形素子を装荷したY字形状の台形素子及び3本の短絡素子から構成される低姿勢広帯域アンテナ
○松林一也・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-33 |
分岐構造及び幅広構造のテ-パスロットアンテナ
○倉本晶夫(NECプラットフォームズ) |
製造ライン等にて、微小な異物の混入を検知する装置が必要とされている。レーザーや赤外線、超音波、電波等を用いた各種方式があり、用途に応じて使い分けられている。今回極めて微小な金属またはプラスチック等が製品素材に紛れ込んだ場合に発見して除去するために高い分解能を持つ物質識別用センサが求められている。
本研究では、FMCWレーダーを用いて高分解能を実現するために十分な帯域で使用可能なアンテナを調査し、40-80 (GHz) のオクターブバンドをカバーする自己補対アンテナを有限要素法による電磁界解析シミュレーター Femtetにて解析した。
IOT市場向けに使用されているWiFiについては、低コスト化のため、基板パターン上に小型で形成することを求められるケースが多い。現在の設計としては分岐モノポールが主として用いられているが、今後IEEE 802.11axの普及による帯域拡張により広帯域化が求められる。そこで、広帯域アンテナとして知られている平面モノコーンアンテナにスリットや周波数調整素子を加えることでアンテナの小型化を検討を行った。その結果スリットと周波数調整素子を付加しショート部分を有する構造とすることで、通常の平面モノコーンアンテナに対してV.S.W.R≦2.5となる帯域幅が2GHz帯で約129%、5GHz帯で約46%広帯域化できることを確認した。
充填型BORアンテナの内部を中空にした凹型BORアンテナを検討してきた. このアンテナは, 充填型BORアンテナの特性を維持したまま軽量化を達成している. 本稿では更なる軽量化を行う. このために凹型BORアンテナを構成する金属導体をストリップ状とした構造を検討する.
台形素子へ円形素子及び4本の短絡素子を装荷した低姿勢の広帯域アンテナが提案されている.本稿では,地上デジタル放送(470~710 MHz)の周波数帯をカバーする低姿勢の広帯域アンテナとして,既報告のアンテナの台形素子をY字形状に配置し,短絡素子の数を3本に変更した上で,短絡素子及び円形素子の直径を変更することにより,当該アンテナの更なる低姿勢化を検討したので報告する.
近年,電波監視等に用いる広帯域・高利得のパラボラアンテナの需要がある.広帯域・高利得のパラボラアンテナを実現するためには,周波数変化に対するビーム幅変化の少ない一次放射器が必要になる.広帯域な入力インピ-ダンス特性を有するテーパスロットアンテナを分岐構造または幅広構造とすることで,ビーム幅変化を緩和できることを確認したので報告する.
3月17日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟2F K211講義室 座長 佐藤 浩(パナソニック)
B-1-34 |
上面と背面で給電したMACKEY Ⅱ の検討
◎宮下圭介・田村俊樹・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
B-1-35 |
金属上での動作を改善したMACKEYの検討
○田村俊樹・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
B-1-36 |
マントルクロークを用いたダイポールアンテナ
◎グェン タインビン・道下尚文・森下 久(防衛大)・宮崎輝規・田所眞人(横浜ゴム) |
B-1-37 |
メタスパイラルアンテナを使用した円偏波ビーム走査
◎阿部智希・山内潤治・中野久松(法政大) |
B-1-38 |
FSSによる平面アンテナ利得向上に関する検討
○高野豊久・山岸 傑(住友電工)・中野雅之(KDDI総合研究所) |
周囲の金属による影響をうけにくい機能的小型アンテナとして,MACKEY(Meta-surface inspired Antenna Chip developed by KIT EOE Labo-ratory)について考案し,自由空間および金属上でも動作可能なことを示した.本報告では,アンテナ基板をAMC基板内に入れることによって薄型化したMACKEY Ⅱにおける給電方法の検討と,それに伴い設計したMACKEY Ⅱ上面給電型と,MACKEY Ⅱ背面給電型の二つのモデルについて提案を行い,基本型との性能の比較を行う.
周囲の金属における影響を受けない小型アンテナとしてMACKEY(Meta-surface inspired Antenna Chip developed by KIT EOE Labo-ratory)について考案し,自由空間および金属上でも動作可能なことを示した.本報告では,金属上における周波数シフトを修正するために基板縦幅Wを変更することで,金属上での動作の改善を行う.
現在,第5世代移動通信において,massive MIMOのような超多素子化,小形アンテナなど,アンテナ素子間の干渉である相互結合低減技術が求められている.近年では,メタマテリアル技術の利用により,いくつかの低減方法が提案されている.しかし,いずれの技術においても,結合低減のため,アンテナ特性が変わってしまう問題がある.一方,表面インピーダンスを調整することで電磁波を制御するマントルクローク技術が提案されている.本稿では,マントルクロークを用いたダイポールアンテナついて検討した.アンテナの長さおよびマントルクローク表面リアクタンスを調整することで,アンテナ特性の維持を達成できる可能性があることがわかった.
アルキメデススパイラルアンテナを使用した円偏波ビーム走査を検討してきた. このとき, アンテナ高は0.28波長であった. 本稿では, メタラインを使用し, スパイラルアンテナの低姿勢化を図り, 円偏波ビーム走査特性を検討する.
平面アンテナに主放射方向にFSS を適用することにより、FSS を使用しない平面アンテナと比較して、70%の面積で同利得のアンテナを実現できることをシミュレーション及び試作機評価で確認ので、上記結果について報告する。
休 憩(11:00 再開) 座長 野口啓介(金沢工大)
B-1-39 |
レンズを設けた回転対称構造フォトニックバンドギャップアンテナ
山内潤治・◎齋藤星汰・中野久松(法政大) |
B-1-40 |
回転対称構造フォトニックバンドギャップアンテナの整合に関する検討
山内潤治・◎宮本 凌・齋藤星汰・中野久松(法政大) |
B-1-41 |
非相反空間BPFに関する基礎検討
◎△篠崎友花・新井宏之(横浜国大) |
B-1-42 |
ワッフルアイロン構造を装荷した光アンテナの性能評価
○金岡舜一・橋口 弘・新井宏之・馬場俊彦(横浜国大) |
B-1-43 |
テーパ導体隔壁をもつ右手/左手系複合円筒導波管の伝送・漏洩特性測定
◎岡田 航・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
開口端面をレンズ化したフォトニックバンドギャップ(PBG)アンテナを提案する.開口面で界の位相変化が緩やかになり,高利得な漏れ波アンテナとして動作することを明らかにする.
円形導波管で給電された回転対称構造からなるフォトニックバンドギャップ(PBG)アンテナが提案されている。本稿では、挿入誘電体をテーパ化することで、Al2O3のみで良好な特性が得られることを明らかにする。
光や電流の入力方向によって出力特性の異なる非相反な系としてアイソレータやサーキュレータが挙げられる.
近年では非相反性を持ったメタマテリアルも提案されている.本稿では従来からあるアイソレータ等と同様にフェライトを用い,平面波の入射方向によって透過量の異なる空間バンドパスフィルタ(BPF)を提案した.電波の入射方向により,透過電力は−6.5 dB と−18.4 dBで電力比はおよそ15.5 倍となった.
光を無線通信に用いる場合,自由空間伝搬損が大きいため,高利得なアンテナが望ましい.そのような高利得アンテナとして光漏れ波アンテナが考えられており, 40dBを超える高い利得が得られている [1].本稿では,文献で述べられているグレーティング導波路(GWG),ワッフル導波路(WWG)に加えて新たな構造を持つワッフルアイロン導波路(WIWG)について実際に実験を行うことにより,性能評価と比較検討を行う.
本稿文では,円筒導波管の遮断TM01モードとテーパ状にした導体隔壁を用いた扇形導波管の遮断TEモードを利用したCRLH円筒導波管を提案している。従来のリッジを用いたバランス条件の満たし方ではなく,扇形導波管の中心角を操作することによりバランス条件を満たすCRLH-TLが構成可能であることを示している。そして,数値計算により分散特性及び伝送特性,さらに導波管外壁にスロットを設けた漏洩波アンテナの漏洩特性,また実際に製作した導波管の実験結果を示すことで,アンテナとしての有用性を検証した。
3月17日 13:30〜17:30 総合科学部 K棟2F K211講義室 座長 竹村暢康(日本工大)
B-1-44 |
位相勾配を有するメタ表面を用いた2×2 LOS-MIMOのチャネル容量改善
○久世竜司・福迫 武・松島 章(熊本大) |
B-1-45 |
同時16通話を実現するDECT機器用AMCアンテナの開発
○濱邊太一・山下好澄・山内涼史・渋田 朗(パナソニック) |
B-1-46 |
正方形ループ型メタサーフェスによる2.45GHz帯平面電磁波の遮蔽
○山田裕紀・宇野 亨(東京農工大) |
B-1-47 |
平行平板を用いた周期構造メタマテリアルの誘電率および透磁率の広帯域測定
◎岡 祥太郎・宇野 亨・有馬卓司(東京農工大) |
B-1-48 |
金属上に設置可能なマルチバンドアンテナ
○内村弘志・平松信樹・猫塚 光(京セラ) |
大容量の移動通信を実現する伝送方法として, Multiple Input Multiple Output (MIMO)がある.見通しでのMIMO伝送は,直接波の影響が支配的となる.よって,アンテナ素子間隔を適切に設定し設置することが重要である.この問題を回避するために,著者らはメタ表面反射板を用いたLOS-MIMOの構成を提案した.本報告では,位相勾配を持つメタ表面を用いることで,縁端の影響をチャネル容量改善に寄与させる構成を提案する.
DECT機器の同時通話数を増加させるためには、変調方式の多値化、もしくは同時に複数チャネルを送受信する方法などが提案されている。
ここでは、既存機器との接続互換性や通話品質の維持を考慮すると、変調方式は変更せず、同時送受信することで同時16通話を実現する必要がある。その一方、IM≦-30dBmのEMC規格も満足させる必要があるため、AMC(Artificial Magnetic Conductor)基板を用いて通信経路間のアイソレーション確保可能にしたアンテナの検討結果を示す。
正方形ループ素子を有するメタサーフェスによる平面波のシールド特性を解析すると共に,実験によってその妥当性の確認を行う.FDTD法でシミュレーションを行い,実測結果と比較することでFSSを利用した電磁シールドが実現できることを確認した.中心周波数は2.45GHzとし,-20dB以上のシールド効果を達成した.今後は,正方形ループを2重にし,遮断周波数帯の広帯域化を目指したFSS構造の開発を行う予定である.
現在,メタマテリアルは多く研究されている.メタマテリアルは,負の誘電率と透磁率を実現できる.負の誘電率と透磁率を実現するメタマテリアルを組み合わせることにより,屈折率は負になる.負の屈折率は,アンテナおよび高解像度スーパーレンズの小型化に応用できると期待される.本研究の目的はSprit Ring Resonator(SRR)の簡易な測定システムを開発することである.本研究では実験装置として平行平板を提案した.実験による測定を行う前に,測定システムを含むメタマテリアルを解析し,実験方法の妥当性を検証した.また,測定システムを作成し,SRRの測定を行った.
これまで,人工磁気導体(AMC)に着目し,AMCの小型化とそれを用いた小型アンテナを開発した.このアンテナはAMCの特性を引き継いでいるため,金属板上でも利用できるという特徴を持つ.これまではBLE用として2.4GHz帯のみをターゲットとしていた.しかし,LPWA等,複数の周波数帯域に対応が必要な用途も多数ある.そこで今回,セルラー系のLPWA用アンテナにチャレンジした.周波数帯は800MHz/2GHzであり,目標特性は周波数帯域内の総合放射効率が-7dB以上である.検討を重ねた結果,2種類の放射モードを用いることで実現可能であることが分かった.さらに,コスト低減のため,アンテナ構造を極力簡素化し,樹脂成型品で試作した結果,目標特性を満足することを確認した.
休 憩(15:00 再開) 座長 瀧川道生(三菱電機)
B-1-49 |
成形ビームを放射するリフレクトアレーアンテナについて
◎重光賛志郎・深谷芽衣・牧野 滋(金沢工大)・中嶋宏昌・瀧川道生(三菱電機) |
B-1-50 |
デュアルバンド単層リフレクトアレー素子の一構成法
◎坂川幸太郎・井上治幸・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
B-1-51 |
2周波偏波共用リフレクトアレー
◎グェン コンワイ・道下尚文・森下 久(防衛大)・松野宏己・伊藤智史・林 高弘・中野雅之(KDDI総合研究所) |
B-1-52 |
偏波によりビーム方向の異なるリフレクトアレーアンテナの検討3
◎瀧能翔太・深谷芽衣・牧野 滋(金沢工大)・瀧川道生・中嶋宏昌(三菱電機) |
B-1-53 |
オフセットリフレクトアレーによる扇形ビーム形成
新井宏之・○永原春菜・戸田礼二(横浜国大)・井上祐樹・井原泰介・石川義裕(NTTドコモ) |
リフレクトアレーアンテナにおいて、収差理論を応用することにより、簡易的に周波数特性を評価できることを示した。本報告では、簡易評価法を用いて設計したリフレクトアレーアンテナを測定し、簡易評価法の妥当性を示す。
筆者らは、任意形状素子によるリフレクトアレーについて検討を行ってきた、リフレクトアレーには、素子の共振現象を利用しているので狭帯域性という課題があり,これまでに広帯域で動作するものを提案してきた。本稿では、低域をカバーする素子と広域をカバーする素子の設計領域を分けて設計を行い、さらにそれらの素子を組み合わせることによって、ひとつの広帯域なものではカバーできない大きく離れた周波数帯においても所望の特性を得るデュアルバンド単層リフレクトアレー素子の設計について検討したので報告する。
第5世代移動通信システムで利用される28 GHz帯のように,今後,移動通信システムでは高い周波数の利用が活発になると考えられる.高い周波数の電波は直進性が高いため,カバレッジホールが発生する.この問題に対して,基地局の電波を任意の方向に反射するリフレクトアレーが提案されており,複数周波数に対応したリフレクトアレーも検討されている[1].本稿では,28 GHz帯,および今後利用が想定される39 GHz帯の2周波共用に対応した直交偏波共用のリフレクトアレーとして,正方形パッチ素子とクロスダイポール素子を積層した構造を提案する.
リフレクトアレーアンテナ(以下,リフレクトアレー)を用いたマルチビーム通信方式では偏波と周波数によってビーム方向を変化させることで、少ない鏡面でサービスエリアのカバーを実現する方法が提案されている.本報告では、前回提案した偏波によってビーム方向を変化させる素子(偏波によりビーム方向の異なるリフレクトアレーアンテナの検討2より)を用いたリフレクトアレーの測定結果を示す.
リフレクトアレーは平面構造かつ軽量で所望のパターンを形成できる利点があり様々な用途への応用が検討されている.本稿ではオフセットリフレクトアレーのビーム幅を制御するために,反射板の幅を可変させる簡易的な手法を用いることで扇形ビームを実現させるための検討を行う.
休 憩(16:30 再開) 座長 松沢晋一郎(豊田中研)
B-1-54 |
フェーズドアレーアンテナへの段階的サブアレー構成素子数変化による電力分布実装
◎△片野将太郎(総研大)・牧 謙一郎・水野貴秀(JAXA)・藤野義之(東洋大) |
B-1-55 |
スーパーゲインアレーアンテナにおける低サイドローブ化の一検討
○後藤 準・深沢 徹・米田尚史(三菱電機) |
B-1-56 |
八木宇田アンテナ応用によるワイヤレス電力伝送効率
○丸山珠美・小板侑司(函館高専) |
B-1-57 |
Ku帯偏波角可変フェーズドアレー用円偏波共用パッチアンテナの測定
○佐野 誠・桧垣 誠(東芝) |
宇宙空間で発電し無線電力伝送を行う太陽発電衛星では,1km超の大面積送電アレーアンテナが必要である.アレー全体に10dBガウス型電力分布を施すことで効率向上が見込めるが,従来手法では増幅器やアレーの構成が複雑になる点が課題となっていた.そこで本論文ではサブアレーを構成する素子数に分布をつける手法を提案する.同一の増幅器,同一のアンテナ面を用い,サブアレー構成素子数のみを変化させる構成にすることで,大量生産や大規模製造を可能にしつつ,メインローブ含有電力の向上が可能である.提案手法を用いてアレーを設計し,シミュレーションを行った.その結果,良好な特性を得たため報告する.
本稿では、スーパーゲインアンテナの課題の1つである低サイドローブ化に関する新たな手法を提案する。本手法で、円形アレーにおいて指向性利得を最大化する励振分布に対して励振振幅テーパの傾きを大きくする。8素子アレーに対してシミュレーションを行い、サイドローブレベルが-10dB以下になることを確認した。
アレーアンテナの各素子で受ける電力を合成すると同時にアレーアンテナの利得も利用して効率を向上させる新たなアンテナを提案する
Ku帯衛星通信システムでは一般に直線偏波が用いられるため,移動体地球局のアンテナには主ビーム方向と偏波角の高精度な制御が要求される.著者らは,偏波角可変アンテナをアレー化することで,可変移相器により主ビーム方向と偏波角を電子的に可変できることを計算で示した.本稿では,試作した放射素子の円偏波共用パッチアンテナの測定結果を示す.
3月18日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟2F K211講義室 座長 羽賀 望(群馬大)
B-1-58 |
Characteristic mode法を用いた固有モードの選択的励振
○紅 貴朗・新井宏之(横浜国大) |
B-1-59 |
ナチュラルモード法を用いた基本アンテナ素子の特性
○埜田夕平・新井宏之(横浜国大) |
B-1-60 |
特性モード解析を用いた金属近接時の折返しモノポールアンテナに関する一検討
○中川雄太・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-61 |
スロットによる金属筐体の特性モードの励振
◎西目 匠・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-62 |
海中微露出シースダイポールアンテナの理論解析
○佐藤弘康・許 双悦・陳 強(東北大) |
モード解析の一種である特性モード(CM)法は, プラットフォームの電流・電界分布を各固有モードと重み係数の線形結合で表現ができる [1][2]. ゆえに, 任意モードの重み係数を高めることで選択的にモードを励振することができる. 本稿では, 金属プラットフォームに対してCM法を用いて, 逆Fアンテナ による高次モードの励振について述べる.
固有モードを求める方法として、CM法がある。しかし、その妥当性についてはいくつかの問題で議論されている。固有モードを求める他の方法として、ナチュラルモード法(NM)があ,モーメント法から得られるインピーダンス行列の行列式が0になる式を解くことで境界条件を満足する固有値が得られる。本稿では基本的なアンテナ素子についてナチュラルモード法で固有周波数とQ値を求め、CM法との結果と比較検討する。
アンテナのインピーダンス特性は近接物体の影響を強く受けることが知られている[1].この問題に対し,アンテナの入力インピーダンスを適切に選択し,アンテナに近接する金属体の影響を低減できることが報告されている[2].本稿では,特性モード解析(CMA: Characteristic Mode Analysis)[3]を用いて,アンテナの金属近接時の特性の変化について,各モードの電流とMode Weighting Coefficient (MWC)から考察を行う.
近年の情報端末は,高機能化とともに端末サイズの小型化が求められている.また,デザイン性からほぼ全面に金属を用いた筐体を有しており,従来のPIFA や逆L アンテナでは十分なアンテナ性能を得られない場合がある.金属筐体そのものをアンテナとして励振することができれば,従来の小形アンテナに比して放射効率及び利得の向上が期待できる.本稿では,特性モード解析を用いた金属筐体が共振したときの電流分布の解析及びスロット励振による特性モードの励振と放射特性について検討した.金属筐体を複数の素子で励振し,理想的な電流分布を形成することができれば,小形アンテナの性能を向上できることがわかった.
海中通信用高効率アンテナが期待されている.アンテナ導体と給電回路を海水から絶縁するシースにおいて,完全にシースでアンテナ導体を囲むよりもアンテナ導体をシースから露出させた方が,送受アンテナ間の伝送係数が大幅に改善されることを確認した.その理論的検討にあたり,本報告ではシース構造を有するダイポールアンテナの入力インピーダンスの近似式を導出するとともにその有効性を示す.
休 憩(11:00 再開) 座長 今野佳祐(東北大)
B-1-63 |
FDTD法による薄い多層媒質解析手法の検討
○山ヶ城尚志・新出孝政(富士通アドバンストテクノロジ)・有馬卓司(東京農工大) |
B-1-64 |
FDTD法によるガラス上の金属薄膜アンテナの数値解析
◎水上嘉貴・何 一偉(阪電通大) |
B-1-65 |
四分木分割を用いたMR/FDTD法の高速化手法
◎朝日 慧・宇野 亨・有馬卓司(東京農工大)・西堀俊幸・植松明久(JAXA) |
B-1-66 |
小型パラボラによるブロードビームアンテナの実現
○瀨在俊浩・杉薗光太朗・寺岡 謙・砂見幸之(JAXA)・藤井秀彦・鈴木洋介(キーコム) |
B-1-67 |
グリッド装荷ステップ反射鏡アンテナの試作検証
○山本伸一・縫村修次・瀧川道生・米田尚史(三菱電機) |
FDTD法で波長に比べて微細な構造を正確に離散化すると,解析時間が膨大になるという問題がある.この問題を回避するためサブセル法をはじめとする多く解析手法が提案されているが,波長に比べて薄い多層媒質について解析した例は少ない.今回アンテナ解析への適用を目的として,波長に比べて薄い多層媒質を,セル内における誘電率および導電率の平均値を用いて解析した場合の精度を調査し,一次元問題において本手法の有効性を確認した.
高速大容量の次世代移動通信システム5Gの研究開発は急ピッチに進められている. 3.7, 4.5GHz帯に加え,新たに28GHzミリ波帯も採用されている.ミリ波帯の電波は直進性が強く,サービスの範囲が狭いため,より多くの基地局アンテナが必要となる.アンテナの設置場所の観点から,また,電波を屈折させ,室内や車内に取り込むためにガラス表面上に透明な金属の薄膜アンテナの研究・開発が行われている.本研究ではFDTD法による薄膜アンテナの解析手法について検討する.
走査する次元を増やすことにより地中の物体を3次元データとして推定する新しい地中探査レーダが開発されている.この推定に用いられるアルゴリズムの高精度化のため,数値電磁界解析が必要となる.走査次元を増やしたことにより,多数の解析が必要となるため,解析速度が重要である.FDTD法の一種であるMR/FDTD法は,等価定理を用いて複数の解析領域を接続することで大規模なモデルを比較的高速に解析できる手法であるが,それでも開発レーダの解析には解析速度が遅いという問題がある.このため,本研究では,MR/FDTD高速化法の開発を目標とし,四分木分割を用いた高速化法を提案,提案手法について精度および解析速度の検証を行った.
ロケット搭載アンテナは電波を広範囲に一様に放射することが理想である。しかしながら、ロケットに搭載されているアンテナのパターンは、一様とは言い難いものとなっている。この点を解決する為、小型パラボラによるブロードビームアンテナの実現方法を考案した。開口径が0.74波長の小型パラボラアンテナを試作し、その特性を測定した。その結果、小型パラボラによりブロードビームアンテナが実現出来ることを確認した。
円形導波管のTM01モード励振ホーンを用いた反射鏡アンテナを検討している。著者らは、鏡面に金属グリッドとステップ反射鏡を組み合わせて、従来のアンテナ方式[1]に比べて利得を改善する方式を提案している。本稿では、動作原理を検証するため試作モデルを製造し、計算値通りの特性が得られ、本アンテナ方式の有効性を示した。
3月20日 15:00〜17:30 School of Integrated Arts and Sciences (K Bldg.) Room K209 Chairperson Mitoshi Fujimoto(Univ. of Fukui)
[English Session I]
B-1-68 |
Theoretical Method Based Rain Attenuation Prediction for Millimeter-Wave Radio in Tropical Regions
○Yong Hong Tan・Kentaro Saito・Jun-ichi Takada(Tokyo Tech) |
B-1-69 |
Current Reconstruction of Phantom with Embedded DUT for Non-Invasive SAR Measurement
○Rasyidah Hanan Mohd Baharin・Toru Uno・Takuji Arima(Tokyo Univ. of Agriculture and Tech.)・Shuntaro Omi(National Inst. of Advanced Industrial Science and Tech.) |
B-1-70 |
A Study on Gain Enhancement of Leaf-Shaped Bow-Tie Slot Array Antenna within Quasi-Millimeter Wave Band
◎Mangseang Hor・Takuma Makanae・Takashi Hikage・Manabu Yamamoto(Hokkaido Univ.) |
B-1-71 |
Design of a Center-feed Waveguide Feeder Network for a Slot Array Antenna Panel
○△Tianyu Wang・Takashi Tomura・Jiro Hirokawa(Tokyo Tech) |
B-1-72 |
Wideband Design of a Parallel-Plate Slot Array Antenna with Hollow Waveguide Perpendicular-Corporate Feeding Network
○Shuang JI・Takashi TOMURA・Jiro HIROKAWA(Tokyo Tech) |
Rapid advances in radio communication systems have caused congestion in the lower microwave bands and have compelled service providers to migrate to higher millimeter-wave band to accommodate the ever-increasing data demands. However, the reliability of wireless systems at higher frequency can be severely degraded due to atmospheric phenomena of which rain is the dominant factor, especially in tropical region. Therefore, it is important to establish a model capable of predicting the amount of attenuation due to rain. In this study, a theoretical model utilizing the knowledge of scattering properties and drop-size distributions of raindrops is found to produce better prediction results than the ITU-R model, particularly at high rain rate and high frequency environment.
The conventional SAR measurement is invasive, and it may cause discomfort to patients. For this reason, a noninvasive SAR measurement system is deemed necessary. It is known that SAR quantity can be obtained by internal field of the phantom, directly related to the electric and magnetic current. In this paper, the electric current on the phantom’s surface is reconstructed by the electric field of probe obtained on the measurement’s surface. Method of Moments (MoM) is deployed for the calculation.
In recent years, many efforts to remove bandwidth limitation of planar antenna have been founded. One of the main purposes is to design a planar antenna which is suitable with next generation communication such as 5G and so on. Leaf-shaped bow-tie slot antenna is a type of printed antenna with wideband characteristic. In this paper, an array of 4-element leaf-shaped bow-tie slot antenna has been discussed. Antenna characteristic, such as gain and reflection coefficient, are evaluated by FDTD.
A center-feed parallel plate slot array antenna with high antenna efficiency and simple structure is proposed for millimeter-wave application. The feeder network for the slot antenna array panel is designed by MoM. Full structure simulation results are given. It is shown that a reflection below -20dB and a peak directivity of 36.0dBi are achieved in the desired bandwidth.
In this paper, the parallel-plate slot antenna with perpendicular-corporate feeding network realizes comparable reflection
bandwidth with fewer plates than the previous design in [1], while maintaining a high antenna efficiency in the 60GHz band.
休 憩(16:30 再開) Chairperson Takuji Arima(Tokyo Univ. of Agriculture and Tech.)
[English Session II]
B-1-73 |
Mutual Coupling Reduced Antenna Design for Transmission-stable Rectangular-coordinate Orthogonal Multiplexing System
○Baoquan Duan・Takashi Tomura・Jiro Hirokawa(Tokyo Tech) |
B-1-74 |
Transmission Enhancement by Using Baffles for Slot Pair on Parallel Plate Waveguide
○Tuchjuta Ruckkwaen・Takashi Tomura・Jiro Hirokawa(Tokyo Tech) |
B-1-75 |
Numerical Comparison of Circularly Polarized Microstrip Antennas with Short-End Microstrip-Line Perturbations for Reconfigurable Function
◎Htun Htet Wai・Eisuke Nishiyama・Ichihiko Toyoda(Saga Univ.) |
B-1-76 |
Design Concept of a Self-Oscillating Active Array Antenna Integrating a Microstrip-Line Gunn Oscillator with Inclined Patches for Spatial Modulation Systems
○Maodudul Hasan・Eisuke Nishiyama・Ichihiko Toyoda(Saga Univ.) |
To increase the transmission rate, various multiplexing techniques such as MIMO and OAM techniques using millimeter-wave are being widely researched, as well as 2x2-mode two-dimensional rectangular-coordinate orthogonal multiplexing (ROM) using 16x16-slot array antennas in the 60 GHz band. This ROM system has advantages such as a wide bandwidth and easy processing. Transmission enhancement by excitation optimization [2] was proposed to solve the deterioration problem caused by the fact that higher-order mode spreads rapidly. However, the transmission was unstable against distance and frequency due to the multi-reflection between the Tx and Rx antennas. This paper presents a method to reduce transmission instability. A mutual coupling reduced subarray was utilized to lower the design deviation between an infinite and finite element arrangement.
Near-field communication using a radial line slot array (RLSA) antenna is presented in. The antennas suffer from the reduction in transmission power due to the multiple reflection in near-field region. This study adopts baffle wall to improve transmission characteristic between two antennas in near-field region transmission.
This paper presents a numerical study of two microstrip antennas capable of providing reconfigurable CP performance. Both configurations effectively employ short-end microstrip-line perturbations for reconfigurable function and diodes for switchable capability. Since simple microstrip lines are used as perturbations, a simple structure without DC bias network can be designed. The sense of CP direction can be altered by applying opposite bias polarity to the switching diodes and the performance of these two configurations are numerically discussed by simulated results.
In this study, a new approach to obtain AIAA integrating a microstrip-line Gunn oscillator is proposed, which consists of a dual-polarized antenna, an oscillator and two switches. The key concept is that the dual-polarized antenna is excited either one of the feed lines controlled by the switches to achieve either ±45° polarization.
3月20日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟2F K210講義室 座長 中本成洋(三菱電機)
B-1-77 |
管軸に垂直な偏波を放射する導波管狭壁面上の平面アレーアンテナの定在波励振アレー設計と試作特性
○保前俊稀・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-78 |
Eベントとステップを組み合わせた導波管側壁支持構造の設計
○山川奨太・広川二郎・戸村 崇(東工大) |
B-1-79 |
導波管2面ハイブリッド結合領域断面形状の最適化による広帯域化
◎陳 詩皓・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-80 |
導波管グルーブギャップ導波路変換器のフロケモード展開解析
◎江尻敬祐・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-81 |
導波管スロットアレー並列給電回路におけるH面T分岐の形状最適化
◎倉本 航・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
導波管スロットアレーアンテナにおいて、スロットを1管内波長間隔で配列するとグレーティングローブが発生する。そこで、導波管の管内波長を短縮するために導波管内部に遅波構造を装荷する方法やリッジ導波管にT形のスロットを配列する方法が提案されている。これらの方法に対して、1管内波長(λg)間隔で配列された方形導波管の広壁面のスロット上にマイクロストリップアンテナ(MSA)を配置してグレーティングローブを抑制する平面アレーアンテナが提案されている。また、方形導波管狭壁面のスロット上に周長を5波長とするリング形MSAを配置した管軸に垂直な偏波を有する平面アレーアンテナが提案されている。そこで、本稿ではこの構成法を用いた定在波励振アレーを設計し、実験による検討を加えたので報告する。
積層薄板拡散接合並列給電中空導波管スロットアレーにおいて,アレーが大規模になると細くて長い金属パターンがあるため,エッチングや接合の際にたわみが生じやすい問題がある。これを防ぐため,ハーフエッチングを用いた構造を検討したが,アルミを用いた場合には溶けやすくハーフエッチング構造が作りにくい。これを解決するためEベンドとステップを組み合わせた支持構造を設計した。
反射特性としては、所望の帯域内でステップは-27dB以下、Eベンドは-42dB以下となった。全体の構造では55.6Gz から67.8GHzにわたり反射が-30dB以下となっている。
5Gのビームフォーミング技術に対応するアンテナの中に、導波管2面結合器を用いたバトラーマトリックスがある。2面結合器ではハイブリッド結合器と交差結合器の2種類があり、結合器の帯域はアンテナの性能に大きく関わっている。従来の導波管2面ハイブリッド結合器の帯域は6.5%である。結合器の帯域をさらに広げるため、結合領域内に使用する各伝搬モードの結合量をさらに高める必要がある。そこで、2次元の任意形状を用いて、ハイブリッド結合器の主に使う伝搬モードの位相を位相条件に合う断面形状を遺伝的アルゴリズムにより最適化する。
ギャップ導波路は上面金属と金属ピン付き底面金属の間に空隙があり,物理的な接触を必要としない.そのため,導波管では完全な導通を保証する必要があるがギャップ導波路ではその必要がない.また,損失は同じ導電率の金属であれば導波管と同程度である.これまでに導波方向が同一な導波管-ギャップ導波路変換器のフロケモード展開解析を行い解析手法の有効性を検討してきた.しかしギャップ導波路の上面金属と導波管の上面金属が同一であり,測定の際に完全な導通を導波管領域で保証できなかった.そこでEベンド型の変換器を用いてこの問題を解決する.Eベンド型の変換器ではギャップ導波路の上面金属が導波管の側壁と共通でないので導波管領域で完全な導通を保証できる.
著者らは,3種類の層厚の金メッキされたシリコンウエハを用いた350 GHz帯並列給電導波管スロットサブアレーの広帯域化設計し、比帯域20.0 %(326.5~398.9 GHz)を実現した。さらなる広帯域化を実現するためには給電部の広帯域化が必要である。本稿では給電部のH面T分岐の広帯域化を目的として、有限要素法を用いた遺伝的アルゴリズム(GA)による形状最適化を行った。対称軸にPMCを設置した1/2モデルを用いて解析時間を短縮し、MATLABにより反射を導出した。導波管幅と形状を構成するノードをあわせた67のパラメータをGAにより最適化した。反射が-28.9 dB以下となる比帯域は24.0 % (318.2~405.3 GHz)となり、従来よりも13.1 % 広がった。
休 憩(11:00 再開) 座長 木村雄一(埼玉大)
B-1-82 |
樹脂導波管スロットアレーアンテナの測定評価-垂直偏波アンテナ-
◎宇野 孝・上坂昂司・中本成洋・深沢 徹・米田尚史・山本剛司・柿元生也(三菱電機)・小西善彦(広島工大) |
B-1-83 |
樹脂導波管スロットアレーアンテナの測定評価―水平偏波アンテナ―
◎上坂昂司・宇野 孝・中本成洋・深沢 徹・米田尚史・山本剛司・柿元生也(三菱電機)・小西善彦(広島工大) |
B-1-84 |
誘電体基板上に形成した寄生素子を備えた導波管狭壁スロットアンテナに関する検討
○中本成洋・深沢 徹・米田尚史(三菱電機) |
B-1-85 |
建設用単管パイプを用いた5GHz帯導波管アンテナの開発
○石野祥太郎(古野電気)・八代成美(戸田建設) |
B-1-86 |
方形導波管広壁上クロススロットを用いた4つのスパイラルスロットへのシーケンシャル位相給電
○西本広希・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
レーダ観測精度向上化のため,高効率,低サイドローブ,かつ低交差偏波特性を持つ二重偏波フェーズドアレーアン
テナが求められている.筆者らは,それらの特性を有するアンテナとして,樹脂導波管スロットアレーアンテナを開
発しており,高性能,軽量化,かつ低コスト化を目指している.本稿では,サイドローブレベル-30 dB以下の垂直偏波アンテナの測定結果について報告する.
レーダ分野や通信分野の高性能化に伴い,高効率かつ低サイドローブ,低交差偏波特性を持つ二重偏波のフェーズドアレーアンテナが求められている.筆者らは,それら特性を有するアンテナとして,樹脂導波管スロットアレーアンテナを開発しており,高性能かつ軽量,低コストを目指している.本稿では,水平偏波アンテナのパターン測定結果について報告する.
導波管スロットアレーにおいて導波管の管軸方向に垂直なスロットを導波管狭壁に設け,管軸方向に対して平行な偏波特性を実現する方法として,従来,導波管内部にワイヤやアイリスを設ける方法があるが,製造性に課題がある.本稿では,製造性を向上させるため,誘電体基板上に形成したダイポール状寄生素子を用いて導波管狭壁スロットを励振する方法を提案し,その基本特性を示す.
ICT施工を実現するため、ビル建設現場内で無線LAN環境を構築する取り組みが進んでいる。ビル内の階をまたいで高さ方向に電波伝播することは難しいため、我々は単管パイプを垂直に設置し、導波管として扱うことを検討した。9階建てビルの現場において9個の導波管アンテナを足場パイプに接続し、垂直アレイとすることで全フロア内に無線LAN環境を構築したので報告する。
本稿では,2つのデュアルスパイラルスロットアンテナを直交させ,短絡終端方形導波管広壁上クロススロットにより給電した円偏波素子を60GHz帯において設計した. 結果として,4つのスパイラルスロットをシーケンシャル位相給電することになり,良いの軸比特性が得られる. クロススロットをつくる2 つの直線スロット長は半波長前後であり,その上に4つのスパイラルスロットを載せる.スパイラルの長さを調整すると,磁流が進行波分布になり,広帯域の軸比が得られる.側壁部は周期境界壁である.解析結果は,軸比3dB以下の帯域は58.4-65.1GHz(比帯域10.9%)であり,VSWR2.0以下の帯域は57.3-64.7GHz(比帯域12.1%)である.
3月20日 13:30〜15:00 総合科学部 K棟2F K210講義室 座長 平部正司(NEC)
B-1-87 |
円形ループアンテナアレイの端子方位制御による通過アイソレーション改善
○斉藤 昭・三宅久之助・石川 亮・本城和彦(電通大) |
B-1-88 |
OAM多重通信に用いるループアンテナアレイの集積化の検討
◎菊池晴貴・斉藤 昭・三宅久之助・和田 渉・鈴木 博・石川 亮・本城和彦(電通大) |
B-1-89 |
ループアンテナを用いたOAM多重通信における抵抗装荷による干渉波抑制
◎三宅久之助・斉藤 昭・鈴木 博・石川 亮・本城和彦(電通大) |
B-1-90 |
積層ループ素子を用いた直交散乱素子
◎髙山侑紀・久我宣裕(横浜国大) |
B-1-91 |
LCP基板を使用したVバンド帯アンテナ
○長谷川雄大・淡路大輔・大塚茂樹・官 寧(フジクラ) |
B-1-92 |
群遅延特性を改善した28GHz帯アンテナ
◎八巻直生・和泉峻介・前山利幸(拓殖大)・田中稔泰(マイクロウェーブファクトリー) |
ループアンテナアレイを用い、異なる軌道角運動量を有する直交OAM 波を直接放射・受信するOAM 多重通信方式が提案され有用性が示されている。ここでは、反射板がない場合に関して、更なる端子方位制御による通過アイソレーション改善を解析した結果を示す。
近年,電磁波の軌道角運動量(OAM:Orbital Angular Momentum)の直交性を利用したOAM多重通信が注目されている.この通信は,同一の周波数でも複数の直交通信路を活用した空間多重により通信容量が拡大できる.当研究グループでは,円形ループアンテナアレイを用い単一OAM 波を直接放射・受信する方法を提案している[1].OAM 通信では高周波を用いるのが有利なことから,ここでは反射板も含めた一体集積の基礎検討として,テフロン基板(ϵr=2.2, tanδ=0.0009)を用い,集積化を考え,実際に12GHz帯で試作・実測評価を行った.
OAM通信は、電磁界の軌道角運動量を利用して固有モード伝送を行い、高い周波数利用効率を可能としている。ループアンテナを用いたOAM多重通信が提案されており、ループの周囲長を波長のほぼ整数倍にすることでそれぞれ独立したのOAM波を放射でき、また端子方位を制御することでループ径が同一であっても多重度を2倍にする方法が提案されている。しかし、ループアンテナには給電線を配置する必要があり、ループアンテナからのOAM波から給電線に電流を誘起させ, 給電線から散乱波を放射し他のモードのループアンテナに干渉波を与えてしまう問題がある。ここでは、干渉波を抑制手法を提案し、その効果について実測結果から示す。
本稿では屋内の低レベル受信地帯への無給電での中継手段として、到来波を直交方向に集中して散乱させる直交散乱素子を提案する。この散乱素子は2つのループ素子を開口面が直交する状態で積層させることによって到来波を片方のループ素子で受信し、もう片方のループ素子から再放射することで到来波の到来方向から直角方向に中継を行う。また, 散乱素子を配列しアレー化することで到来波の受信の高感度化、送信の高利得化を行い所望の方向への散乱量を増加させられることを確認し、通信に必要なレーダ断面積に応じて拡張可能であることを示す。
LCPによる導体層4層の基板を使い57~71GHzで動作するアンテナの設計と測定を行った。設計に近いS11が得られ、57~71GHzで動作することを確認した。
第5世代移動通信では,28GHz帯という既存システムよりも高い周波数帯域が利用されている.28GHz帯は4キャリア各社に400MHz幅で割り振られている.周波数帯域は27GHz~29.5GHzで,比帯域は11.2%となる.端末や共用型基地局を想定すると,上記条件を満たす広帯域なアンテナが必要になる.また,アンテナを広帯域とすると群遅延特性が問題となる.特に帯域内遅延に差があると変調信号に歪みが生じ,さらにMassive MIMOなどのビームフォーミングにおいては遅延が一定でないとビームが歪む課題もある.
そこで,群遅延特性の差を小さくするため,パッチアンテナを広帯域化した2層型のパッチアンテナを試作し,複数のアンテナにおける群遅延特性を測定し評価比較する.
3月20日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟2F K211講義室 座長 山ヶ城尚志(富士通アドバンストテクノロジ)
B-1-93 |
ポスト壁方形同軸線路を用いた79GHz帯並列給電マイクロストリップアンテナアレーの設計
◎△櫻井壮一・戸村 崇・広川二郎(東工大)・城崎俊文・脇山 悟・新帯 亮(デンソー) |
B-1-94 |
スリット層を用いたH面配列広帯域マイクロストリップアレー送受信アンテナ間のアイソレーション向上
◎地頭所浩平・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-95 |
電磁結合給電型マイクロストリップパッチアンテナ放射素子の導電性繊維使用量削減検討
◎市川大暉・前田忠彦(立命館大) |
B-1-96 |
一点給電型円偏波方形マイクロストリップアンテナの軸比最良点での整合特性改善に関する検討
◎追木玲偉・松井章典(埼玉工大) |
B-1-97 |
直交偏波共用Lプローブ給電広帯域2周波多リング型マイクロストリップアンテナのアイソレーション特性改善に関する一検討
◎△木村雄樹・斉藤作義・木村雄一(埼玉大)・立松雅大(TDK) |
アレーにより広角まで走査可能で, アレー間でのアイソレーションが高い広帯域アレーとして, マイクロストリップアンテナを素子とするポスト壁方形同軸線路並列給電アレーを設計した. マイクロストリップアンテナは通常, 整合のためにマイクロストリップ線路に不連続構造を設けるため, 不要放射による損失増加の原因となる. しかし, 導波管による給電はカットオフを考慮しなければならないため, 大きな給電構造をとなる。そこで方形同軸線路を用いて管幅を減少させ, 制限された空間に並列給電構造を配置する.
固定無線通信において同一周波数かつ同一偏波で送受信を同時に行う場合、十分な送受間アイソレーションが必要である。高い交さ偏波識別度を有する導波管スロットアレーを送受信アンテナとして用いた場合、素子指向性からH面配列でアイソレーションを高く確保できる。本稿では、スロットと双対の素子としてマイクロストリップアンテナを用いた送受信アレーをH面配列し、その上にスリット層を装荷しアイソレーション向上効果を検討した。素子としてE型マイクロストリップアンテナを用いることにより30 GHz帯で比帯域約10%を確保し、32素子を送受信にH面配列した場合の最近接素子間のアイソレーションが約20 dB向上した。
導電性繊維を用いて形成するマイクロストリップパッチアンテナに電磁結合給電を採用することで放射特性の高い再現性を得ることを明らかにした. 一方で, 導電性繊維を用いて作製するアンテナでコスト削減や作製時間短縮のため, 所望の放射特性を満たすために必要となる導電性繊維使用量を把握しておくことが望ましい. 本報告では, 導電性繊維を用いて形成する電磁結合給電型マイクロストリップパッチアンテナの繊維量削減による放射特性への影響について実験的評価を行った.
マイクロストリップアンテナの放射素子面にスリットを加え等価的にキャパシタンスを付加させる方法を着想し, インダクタンス成分の低下について検討を行った.
マイクロストリップアンテナ(MSA)は小型・薄型・軽量・安価という特長を有し多面的な研究が行われている。マルチバンド特性を有するMSAとして、Lプローブにより給電される多リング型MSAは良好な特性を示すことが報告されている。このLプローブ給電リング形MSAに中心周波数の約0.1波長程度の厚さを有する誘電体基板を用いると広帯域特性が得られる。また、2個のリング形MSAを配置すると2周波帯において広帯域特性が得られる 。さらに、2個のLプローブを直交する位置に配置すると直交偏波共用化が可能となる。本稿では、直交偏波共用2リング形2周波広帯域MSAの放射素子中央にビアを装荷することによりポート間アイソレーション特性の改善の検討を行った結果について報告する。
休 憩(11:00 再開) 座長 大島一郎(電気興業)
B-1-98 |
Lプローブ給電されたバラクタ装荷2周波片側短絡マイクロストリップアンテナの交差偏波特性改善に関する一検討
○本多祥平・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-99 |
広覆域な指向性を有する4点給電円偏波アンテナ
◎坂本寛明・野口直也・関 竜哉・柳 崇・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機) |
B-1-100 |
摂動給電を用いた円偏波アンテナの特性改善に関する一検討
◎荒木義紀・松井章典(埼玉工大) |
B-1-101 |
マイクロストリップアンテナの近傍に置かれた金属ポストが放射指向特性に与える影響に関する検討
◎今井 亨・松井章典(埼玉工大) |
B-1-102 |
環状パッチ円偏波アンテナにおける環内導体突起物の影響
◎袖長翔太・長谷川 優・島崎仁司(京都工繊大) |
バラクタダイオードを装荷した周波数制御多リング形マイクロストリップアンテナ(MSA)の小型化については、種々の研究が成されている。この小型化された周波数制御MSAの2つの動作周波数を独立に制御できる素子間隔で配置すると、交差偏波が大きくなってしまう。そこで、本稿では周波数制御マルチバンド平面アンテナの交差偏波特性を改善することを目的として、共振周波数を独立に制御可能なバラクタ装荷2周波共用片側短絡MSAの構成法と周波数制御特性につき実験により検討を加えたので、ここに報告する。
2つのモードを重ね合わせて160°の3dBビーム幅が得られるパッチアンテナは広覆域な放射特性が得られる帯域幅が狭いことが課題である.そこで本発表では,広帯域にわたって広覆域な放射パターンが得られる4点給電の円偏波アンテナについて述べる.
摂動給電法による円偏波アンテナの提案を以前に行った.その報告では,ボアサイト方向における放射が小さいことから,本検討では放射指向性を改善するためシミュレーション及び実験を行い検討した.
マイクロストリッアンテナの近傍に金属ポストが置かれた際に,放射指向特性に影響を与えることが判明した.
実験およびシミュレーション結果から放射指向性の変化および利得についての考察を行った.
背面近傍に導体が存在し,素子が回転する状況での使用を想定した2.4GHz帯のアンテナの設計・試作を行った.さらに,その回転軸付近にはアンテナ面を設けることができない条件を付加している.先行研究として,背面の導体の影響が少なく回転軸に空間を確保できる円環パッチアンテナを用い,素子が回転する状況下においても偏波方向を一致させる必要のない円偏波を放射可能なアンテナについて同著者らにより報告されている.本研究では,環内径に沿ってパッチ部と導体接地板を接続するビアを設けた構造を検討している。結果として,軸比が3dB以下の帯域幅が30MHzで,先行研究のものより環内導体の影響の少ないものが得られた。
3月20日 13:30〜16:15 総合科学部 K棟2F K211講義室 座長 山岸 傑(住友電工)
B-1-103 |
無給電素子による球状アンテナの小型化に関する検討
○瀧澤 洸・松林一也・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-104 |
タッチパネル一体型透明5Gアンテナの検討
○藤田浩輔・高橋応明(千葉大) |
B-1-105 |
誘電体棒アンテナと誘電体小球アンテナの周波数特性の比較検討
◎安藤 瑠・山内潤治・中野久松(法政大) |
B-1-106 |
集中定数素子から成るフィルタを装荷した分岐素子型マルチバンドアンテナの設計
○山浦真悟・西本研悟・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機) |
B-1-107 |
金属円筒内に配置されたRFIDタグ用メアンダラインアンテナ
◎橋本隆宏・道下尚文・森下 久(防衛大)・越 隆之(小松製作所) |
波長に比べて寸法が小さい電気的小形アンテナについて,アンテナQ値を下限Q値に近づける検討が行われている.Chu球の球内空間を最大限に活用してQ値を下限Q値に近づける検討の例として,ダイポールアンテナの素子端を球面に沿って円弧状に折り曲げたものを複数配置した球状小形アンテナが報告されている[1].本稿では,球状小形アンテナを地板上に設置し,各放射素子の内側に無給電素子を装荷することで,球状小形アンテナの更なる小型化を提案する.
第5世代移動通信システム(5G)は,従来の移動通信システムと比較してより高速且つ低遅延で,多数同時接続が可能である[1].しかし,5Gアンテナを設置する内部のスペースの確保により端末が大型化する可能性が有り,携帯性の低下などが問題となる.そこで,端末のタッチパネルとアンテナの統合によりこの問題の解決が見込まれる.本研究では,スマートフォンやタブレットのタッチパネルと統合された透明5Gアンテナの検討を行う.本報告では,Sub-6を動作周波数とするアンテナの簡易スマートフォンモデルを用いた解析を行ったので報告する.
エンドファイア型放射素子として, 誘電体棒アンテナが提案されている. 高利得を得るためには, 誘電体部でなめらかなモード変換が行われるよう, 棒径を小さくし, 棒長を十分な長さに選ぶ必要があった. 本稿では, 従来構造より棒径を大きく, 棒長を短くした誘電体棒アンテナを取り上げ, 利得特性を議論する. さらに, 誘電体小球アンテナとの周波数特性の比較検討もする.
2周波(fL,fH)向け分岐素子アンテナにおいて,fL素子上で生じるfHでの不要共振を回避する手法が提案されている.これにより,狭帯域化を防いだ整合が可能となる.本稿では,4周波化に向けて分岐素子を増やし,集中定数素子からなるフィルタを装荷したアンテナを提案する.そして,最適なフィルタ構成とその設計結果を示す.
近年,様々な形状や大きさの金属体を無線で管理するため,UHF RFID技術による小型で金属に取り付け可能なRFIDタグ用アンテナの利用が検討されている.また,RFID用コンフォーマルアンテナを金属円筒側面に設置する研究も行われている.本稿では,自動車のオイルタンク内で用いる消耗部品を無線で管理することを想定し,金属円筒内に配置されたメアンダラインアンテナからの放射について検討した.920 MHzで自己共振構造となり,外部へ放射することが確認できた.
休 憩(15:00 再開) 座長 道下尚文(防衛大)
B-1-108 |
2素子モノポールアンテナと平面地板の結合
○齋藤裕之・新井宏之(横浜国大) |
B-1-109 |
登山用ザック装着用150 MHz帯小型アンテナ
○石坂圭吾・馬野祐輔(富山県立大) |
B-1-110 |
2素子で4状態を切り替える簡易なダイバーシチアンテナの実験検討
○西本研悟(三菱電機)・小林亮介(三菱電機エンジニアリング)・田中豊久・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機) |
B-1-111 |
ダブルピッチヘリカルアンテナの利得特性
○三牧宏彬・中野久松(法政大) |
B-1-112 |
ミリ波帯における人体ファントムの一検討
○和泉峻介・前山利幸(拓殖大)・田中稔泰(マイクロウェーブファクトリー) |
地板上のモノポールアンテナの特性を評価する際,地板の共振による影響を受ける. 地板を無限地板とするとモノポールアンテナ自体の特性を測定できるが,解析に多くの時間を要してしまうため,有限地板での解析が必要になる.有限地板によるモノポールアンテナへの影響についての議論は行われている.本稿では, 地板上に取り付けた2素子モノポールアンテナに対して地板の大きさがどう影響するか検討する.
登山者携帯端末に接続することができ,かつ登山用ザックに装着可能な150MHz帯用小型アンテナを試作し,アンテナの特性を測定した結果について報告する.
マルチパス環境に設置される小形の無線端末で簡易に通信接続率を向上させるためには,切替ダイバーシチ方式が有効である.ダイバーシチ方式では,ブランチ数を増やすほどフェージングによる受信電力低下を低減できる.しかし,小形端末に複数のアンテナを搭載する場合にはアンテナ間の相互結合が強くなるため,多数のアンテナを用いるのは困難である.そこで,先に,4個のサセプタンス素子から構成される減結合回路と2個の移相器を組み合わせることにより,2素子のアンテナで4状態を切り替える小形ダイバーシチアンテナを提案した.ここでは,本構成について実験による検証を行い,低相関な4ブランチ切替ダイバーシチが実現できることを示す.
シングルピッチヘリカルアンテナSPHAをダブルピッチ構造にすると,利得の増加が得られる.この時のアンテナ設計は,仮想円筒円周が1波長となる周波数 (3.0 GHz)で行われていた.本稿では,SPHAの最大利得の得られる周波数でダブルピッチ構造にした場合を検討し,利得の増加を図る.低ピッチで巻かれた螺旋の軸長と均一円筒部軸長の比を適切に選ぶことにより,利得を従来のSPHAのものより高くすることが可能である.最大利得 14.2 dBi から 1 dB 低下する周波数帯域幅は 18.3 %と算出される.
近年,10GHz以上の周波数を対象とした人体安全性評価技術の開発,研究が求められている.しかし,電波ばく露による人体安全性に関する,10GHz以上の先行研究は少ない.安全性評価技術の開発の段階では,実験に人体を用いることは難しいので,生体等価ファントムを用いる.そこで,ミリ波帯において利用可能なファントムについて検討を開始した.
本稿では試作したファントムをマイクロ波帯とミリ波帯で自由空間法と導波管法を用いて誘電率を測定し、比較,評価した結果を報告する.
B-1. アンテナ・伝播C(アンテナシステム)
3月17日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟2F K209講義室 座長 北 直樹(NTT)
B-1-113 |
等間隔円形アレーとButler matrixを用いたOAM3多重伝送
○村田健太郎・本間尚樹(岩手大)・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-114 |
送受信距離に依存しない66GHz帯LoS-MIMO構成の効果
○西森健太郎・松村尚輝・谷口諒太郎(新潟大)・平栗健史(日本工大)・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-115 |
IEEE 802.11axにおけるDL MU-MIMOの簡易スループット評価
◎佐藤宏紀・西森健太郎・八九勇樹(新潟大)・平栗健史(日本工大) |
B-1-116 |
三点制御フェーズドアレーにおけるヌル生成に適したアンテナ間隔の検討
○幸谷 智・齊藤泰一(東京電機大) |
B-1-117 |
3次元到来波方向推定アンテナの設計指標
○本田和博(富山大) |
等間隔円形アレーを用いたorbital angular momentum (OAM) 多重伝送では,チャネル行列が常に巡回行列となり,Butler matrixを用いた受動的なdiscrete Fourier transform (DFT) ビームフォーミング により対角化可能となるため,信号処理簡易化の点で有効である.これに関し著者らは,2の冪乗次の多重OAMモードを生成するButler matrixを提案しているが,任意の次数に適用可能な手法については未検討であった.そこで本稿ではまず,3次のOAM多重伝送を可能とするシステムを提案し,3の倍数次への拡張可能性を示す.
著者らは,小型自立無人航空機(ドローン)を中継局としたMIMO 伝送により,伝搬損失と空間相関を改善する伝搬環境制御法を提案してきた.また,ドローン中継局間の通信にLOS-MIMO伝送を利用した伝搬環境制御について,送受信距離に依存しない不等間隔アレーによる構成を提案した.本稿では提案アンテナ構成を用いて,66~GHzで4x4LoS-MIMOにおける屋外実環境での伝搬チャネルを取得し,その効果を検証する.
無線LANの最新規格であるIEEE 802.11axではマルチユーザMIMO (MU-MIMO) のUp/Down Link (UL/DL) の両方が考慮されている.IEEE 802.11axの最大伝送レートは従来規格のIEEE 802.11acの約1.4倍であり,最大伝送レートはIEEE 802.11acに対しさほど改善しない.一方,通信効率の観点からIEEE 802.11axのDL MU-MIMO伝送ではTrigger Frameが導入され,Media Access Control (MAC) のオーバーヘッドが大きく軽減された.本検討では,DL MU-MIMO用の簡易評価を用いて,MACのオーバーヘッド軽減によって実効スループットが向上することを11acとの比較によって確認する.
筆者らは Wi-Fi 端末やアクセスポイントへの接続を不正に解除させる攻撃(deauthentication attack)に対し,攻撃を検知し,フェーズドアレーを用いて生成したヌルを攻撃端末方向に向けることで防御する方法を検討している [1].3つのアンテナ素子でアレーを構成したとき,その間隔により制御でヌルを向けられる角度とヌル幅が変化するため,本稿ではこれらを求め,防御に適したアレー間隔について検討を行ったので報告する.
ニュートン・ラフソン法を用いた3次元到来波方向の推定方法について検討している.本研究ではSNRと所望平均推定誤差を基に到来波推定アンテナの設計指標について検討したので報告する.
休 憩(11:00 再開) 座長 紀平一成(三菱電機)
B-1-118 |
尖度最大化アルゴリズムを用いたアレーアンテナによるブラインド信号分離の特性解析
◎關山桂太・菊間信良・榊原久二男(名工大) |
B-1-119 |
非同期サンプリングによるブラインド型仮想Massiveアレーの提案
◎髙橋草太・渡部一聖・西森健太郎・谷口諒太郎(新潟大)・村上友規(NTT) |
B-1-120 |
機械学習による受信電力を考慮した4×4MIMO伝送容量推定
◎増田大輝・本田和博(富山大) |
B-1-121 |
見通し内・外ストリートキャニオン環境下におけるMassive MIMOの平均アンテナ利得
○打木泳汰・町田一輝・田代裕也・中林寛暁(千葉工大) |
B-1-122 |
SHF帯における受信感度とクラスタ数の関係に関する考察
○△谷口諒太郎・西森健太郎(新潟大) |
無線通信では,混在した複数の未知の入射信号をブラインドで分離する必要があり,その有効な手法として,独立成分分析(Independent Component Analysis:ICA)が知られている.本研究では,ICAアルゴリズムの一つである尖度最大化アルゴリズム(Kurtosis Maximization Algorithm:KMA)を用いた信号分離に着目する.そして,一回のアレーのウェイベクトルの更新に複数のスナップショットを使用する移動平均を導入した場合の信号分離特性を解析する.
5Gシステムのキー技術であるMassive MIMOでは,アンテナ数の増加に伴いハードウェア規模が大きくなることが課題となる.本稿では,Virtual Massive (VM)-MIMOをベースとして,高速にA/D変換を行い1シンボル内で複数のアンテナパターンを形成し,仮想Massiveアレーを実現する伝搬環境制御法として,ブラインドアルゴリズムを用いた方法を提案する.また,提案方法の基本性能と有効性を明らかにする.
スマートフォン端末等において超高速通信を実現するため4×4MIMOシステムが導入されている.MIMO端末の性能を評価するためにはOTA評価が必要となるが,多大な労力を要する.本研究では,アンテナ受信電力を考慮した4×4MIMO伝送容量推定を機械学習にて行ったので報告する.
第5世代移動通信において,通信に利用される無線周波数の高周波数化が進んでいる.伝搬損失は周波数が高くなるにつれて大きくなるため,基地局を超多素子化により伝搬損失を補償するMassive MIMOの検討が精力的に進められている.これらの検討は,評価量としてチャネル容量やスループット等を用いたものが多く,回線設計と親和性の高いアンテナ利得に着目した検討は少ない.本検討では市街地マイクロセルストリートキャニオン環境下で基地局にMassive MIMOを適用した場合の実効的なアンテナ利得として平均アンテナ利得を求める.
第5世代移動通信方で用いられるミリ波帯では,伝搬特性がi.i.d.レイリーフェージングとは大きく異なり,Massive MIMOの伝送レート評価のためには厳密なクラスタ数の把握が必要である.そこで実環境に即した伝搬モデル提案したが,クラスタ数の評価は十分ではなかった.本報告ではレイトレーシング法を用いたシミュレーションとk-means++アルゴリズムにより,20GHz帯における受信感度とクラスタ数の関係を明らかにする.
3月17日 13:30〜17:30 総合科学部 K棟2F K209講義室 座長 本田和博(富山大)
B-1-123 |
符号多重によりチャネル数を削減した4チャネル送信DBFアンテナの無線検証
○栗山 侑(三菱電機)・Ma Rui・Orlik Philip(Mitsubishi Electric Research Labs.)・紀平一成・深沢 徹・米田尚史(三菱電機) |
B-1-124 |
移相器制御に基づく送受積時間変調アレー
○紀平一成・深沢 徹・米田尚史(三菱電機) |
B-1-125 |
R2V通信における適応指向性制御によるチャネル容量改善
◎佐々木翔太郎・藤元美俊(福井大)・河合克敏・飯沼敏範(京セラ) |
B-1-126 |
寄生アンテナを利用したフィードバック不要な導体筐体内無線電力伝送法
◎千田 司・及川航世・村田健太郎・本間尚樹(岩手大) |
B-1-127 |
波数空間分離とWKD法を統合した超分解能ドップラ速度・距離分解法
◎安藤 健・木寺正平(電通大) |
DBF(Digital Beamforming)技術への関心が高まっている.素子アンテナ毎にD/A(Digital to Analog Converter)を備える送信DBFでは,低コスト化・消費電力削減が課題である.これに対する有望な手法の一つはハードウェア削減であり,これまでに素子信号をディジタル処理で符号多重し、アナログ処理で分離することでD/Aの個数を削減する送信DBF方式を提案した[2].本稿では,本提案方式の無線環境による原理検証結果を報告する.
著者らは移相器による位相制御型時間変調アレーアンテナを提案している.これは各素子アンテナに与える位相分布を時分割で切り替え,時間平均により等価的に振幅制御を実現する技術である.本報告では,送受双方での時間変調処理を両立する送受積方式を提案する.
自動車の安全運転支援システムを実現するため, 車々間(Vehicle to Vehicle: V2V)および路車間(Roadside to Vehicle: R2V)において高品質な通信を行う必要がある. しかし, 緊急車両など, 特定の車両と通信を行う場合, 交差点など多くの車両が集中する場所では, 緊急車両以外の車両からの電波が, 受信側に干渉する恐れがある.
本報告では, 交差点付近のR2V通信に対してアダプティブアレーを導入した場合の, 干渉低減およびチャネル容量改善効果を明らかにする.
導体筐体内無線電力伝送に関し,寄生アンテナの負荷制御により電波伝搬環境を最適化し,給電効率を向上する手法が提案されている.しかし従来法では,負荷決定に際し受電機からのフィードバックを必要とし,受電機が電池切れの場合,適用不可となる.また,事前に対象空間の電磁界解析により算出した最適負荷を使用する手法では,解析精度と計算負荷の点で課題がある.
そこで本稿では,導体筐体の電波閉込効果を利用したフィードバック不要な寄生アンテナ最適負荷決定法を提案し,数値解析により給電効率が無制御時と比べて4.2倍に改善できることを示す.
マイクロ波・ミリ波近距離レーダは,自動運転時における視界不良・見通し外での人体衝突検知センサ等に有望である.また,パルスドップラレーダ方式により,特に人体各部位の動きに起因するマイクロドップラ成分を抽出することができる.超分解能ドップラ速度推定法として,重み付きカーネル密度推定に基づく推定法(WKD:Weighted Kernel Density) が提案されている.しかし,同手法は複数目標が同一距離付近に存在する状況下では,干渉等により精度が劣化するという問題がある.同問題を解決するため,本稿ではアレイデータを波数空間に変換し,角度方向に分解することで距離分解能を向上させ,かつ波数情報に基づく重み付き推定を導入する.数値計算に基づく性能評価により,本手法の有効性を示す.
休 憩(15:00 再開) 座長 塩見英久(阪大)
B-1-128 |
波数空間分離とRPM法を統合した超分解能レーダ画像化法の実験的検討
○大森知樹(電通大)・赤峰悠介・礒野友輔・近藤勝彦(SOKEN)・木寺正平(電通大) |
B-1-129 |
電磁透明化によるリアクタンス装荷AOAアンテナの測角精度改善メカニズム
○小川晃一・生川菜々(富山大) |
B-1-130 |
素子指向性ベクトル合成によるAOAアンテナ測角特性メカニズム解析
◎生川菜々・小川晃一(富山大) |
B-1-131 |
UWB到来角度推定における遮蔽物回折影響に関する検討
◎大石佳樹・古賀健一・古池竜也・森 恵・堀 勇貴(東海理化) |
B-1-132 |
PN相関法を用いた圧縮センシングによるマルチパス波のTOF推定
◎滝藤寛人・菊間信良・榊原久二男(名工大) |
マイクロ波・ミリ波帯の電磁波を用いた近距離レーダシステムは,光学センサ等の適用が困難な,壁越し・粉塵・見通し外環境等での目標探知が可能であり,自動車の突防止センサとして有望である.
上記応用に資する画像化法の一つとして,目標境界抽出に特化した高精度画像化法であるRPM 法(Range Points Migration) が提案されている.
一方,角度分解能は基本的に距離分解能で決定されるため,インコヒーレント処理に基づく同手法では,比帯域幅が小さいミリ波レーダ等の信号モデルにおいて精度が劣化する.
同問題を解決するため,波数空間変換に基づく距離分解法及びクラスタリング処理が提案され,数値計算においてその有効性が示された.
本稿ではX-band超広帯域レーダを用いた実機実験により,同手法の有効性を示す.
MIMO・AOA複合アンテナのMIMOサブアレーにリアクタンスを装荷し,測角精度を改善する方法を提案した[1].しかし,測角精度改善のメカニズムは明らかではなかった.そこで,本論文では測角精度改善の電磁気的メカニズムを調べた.
我々は,飛翔車両を対象として,全立体角で到来波方向推定を可能とするAOAアンテナ[1]を研究している.本稿では提案アンテナが高精度測角特性を持つメカニズムについて述べる.
近年、UWB(Ultra Wide Band)通信を用いた位置推定技術が注目されている。日本ではこれまで、UWBは屋内利用のみ認められていたが、法規改正により屋外でも利用可能となり、今後様々な場面での利用が増大すると考えられる。UWB位置推定が利用される場面の1つとして、車両の施解錠のためのスマートキーの位置推定が挙げられるが、車載通信用アンテナを車室内に設置した場合、様々なNLOS環境が想定され、推定精度が低下することが懸念される。そこで、NLOS環境の一例としてピラーを回折して信号が受信される際の角度推定への影響を確認し、アンテナ選択による角度推定精度改善効果について検討を実施したので、その結果を報告する。
近年, 無線通信の分野でセキュリティ等の目的で端末の位置を推定することが必要とされている.これには, 端末からの電波の伝搬遅延時間 (TOF : Time of Flight) および到来方向 (DOA : Direction of Arrival) の推定が有効である. 本研究では PN(Pseudo-Noise) 系列信号を送信信号としたPN相関法による遅延プロファイル推定に着目する. さらに, TOF 推定精度を向上させるためPN 相関法で得られた遅延プロファイルに, 圧縮センシングであるFOCUSS(Focal Undetermined System Solver)を適用し, 推定特性を詳細に検討する.
休 憩(16:30 再開) 座長 西森健太郎(新潟大)
B-1-133 |
深層学習を用いた電波伝搬推定手法の精度向上に関する検討
◎井上一也・市毛弘一(横浜国大)・長尾竜也・林 高弘(KDDI総合研究所) |
B-1-134 |
Matrix Based 圧縮センシングによるDOA-TOA同時推定の高速化
◎下茂清峰・立神光洋・藤元美俊(福井大) |
B-1-135 |
市街地構造パラメータを用いた機械学習による伝搬遅延時間推定
◎立神光洋・藤元美俊(福井大)・北尾光司郎・猪又 稔・須山 聡(NTTドコモ) |
B-1-136 |
機械学習によるMIMOセンサを用いた人の姿勢推定の基礎検討
○太田剛史・西森健太郎・谷口諒太郎(新潟大)・本間尚樹(岩手大) |
本稿では,機械学習を用いた電波伝搬推定手法として,空間情報と実測データを入力とする推定モデルを提案する.先行研究では,空間情報として建物占有率画像を用いることが有効であると報告している.しかしながら,建物占有率画像は都市部でのみ提供されている場合が多い.本稿では,航空写真から建物占有率画像を合成して用いることで,推定精度の向上を目指す.
無線通信品質を改善するために,DOAおよびTOAの様々な推定法が提案されている.特に,圧縮センシング(CS)を用いた手法は,従来法と比べ1サンプリングで推定が可能であり,注目されている.しかし,CSは,推定に多くの計算時間を必要とする.また,2次元以上のプロファイル推定を行う場合,CSのアルゴリズムは,一般に1次元に次元を下げて(ベクトル化して)推定を行う.そのため,計算時間が膨大となってしまう. 本稿では,CSのアルゴリズムである,ISTA(Iterative Shrinkage Thresholding Algorithm)においてDOAとTOAを2次元のマトリックスで推定するアルゴリズムを提案する.提案法により計算時間を短縮し高速化できることを示す.
第5世代移動通信システムでは,低基地局アンテナを利用したスモールセルの導入が検討されている.スモールセルは,移動体が密集する市街地ストリートセル環境に導入される.高周波数帯におけるチャネルモデルは3GPPやITU-Rにおいて標準化されたが,これらを用いて実際の街構造と伝搬経路の関係を,把握することはできない.
本稿では,20GHzチャネルサウンダにより測定された遅延プロファイルを教師データとし,市街地構造パラメータ入力とする教師あり機械学習による伝搬遅延時間推定について検討する.
著者らは,Multiple Input Multiple Output (MIMO) 技術を用いたセンシングについて研究を行っている.これまでマルチパスフェージングにより変動する伝搬チャネルに注目することで,人の到来方向やアンテナ間の対象人物の推定などの検討を行った.本稿では,MIMO センサより得られたデータから推定した伝搬チャネルを機械学習モデルの入力データとして学習させ,対象人物の姿勢分類を行い,推定性能を評価する.
3月18日 9:45〜12:15 総合科学部 K棟2F K209講義室 座長 飴谷充隆(産総研)
B-1-137 |
送受信系を利用したAPAAの自己校正法に関する実験検討
○渡辺 光・紀平一成・深沢 徹・米田尚史(三菱電機) |
B-1-138 |
アレーアンテナで発生するPIMに対する指向性成形の影響
○君野理哉・久我宣裕(横浜国大) |
B-1-139 |
ビーム走査アレーアンテナのEIRP測定
◎浅井美佑・新井宏之(横浜国大) |
B-1-140 |
粗いサンプリングを用いた近傍界同一平面での振幅測定による位相再構成
○楠瀬恭介・新井宏之(横浜国大) |
アクティブフェーズドアレーアンテナ(以下APAA)の放射指向性を適切に制御するには,各素子アンテナに接続される送受信モジュールの初期ばらつきを補償する校正が不可欠である.筆者らは電波暗室が不要かつ短時間で校正可能な自己校正法を検討した.しかし,本方法は事前にアレーアンテナの反射・結合データの取得が必要であるが,構造によっては測定が難しい場合があった.本稿では,より簡易的な自己校正法を提案し,APAA装置を用いて提案手法の有効性を検証した結果を示す.
指向性成形されたアレーアンテナ内のPIM源による観測PIMレベルの影響評価を行った.アレーアンテナ内の観測PIMの計算方法について提案し,それにより,指向性成形による観測PIMレベルへの影響を推定した.
ビーム走査アレーアンテナのEIRPを測る際には全空間に測定点を設定して全てのビーム走査を行いEIRPの最大値を検出する必要がある.しかし,測定時間が膨大になり,測定点数を削減することが望まれている.またERIPの評価指標としてビーム走査時の累積確率分布(CDF)で評価する手法が提案されている.本稿では,測定点数の削減法について等振幅な線形アレーアンテナを用いた検討を行い,必要最小限の測定間隔を求める.遠方界においては中央値を評価値としてEIRPを評価すると,測定点が15°間隔であれば評価に必要な測定点数を抑えることがが可能である.今後の課題は等振幅ではないアレーアンテナや三次元での測定に拡張することである.
高周波帯での位相測定の困難さから,振幅情報から位相分布を推定する方法が多用される.その一つとして異なる距離の二面の振幅情報を用いて位相を最適化するPhase Retrieval(PR)法があるが,0.1λ以下の精密なサンプリングと内挿線形補間を用いることで一面の振幅情報からも一意に位相分布が決定できる.この一平面からの位相推定手法に関して,アンテナのアレイ化によるビームチルトと,半波長に近い粗い測定間隔への対応を本研究では検討した.
休 憩(11:00 再開) 座長 黒川 悟(産総研)
B-1-141 |
GHz帯組織等価液剤中シース付ダイポールアンテナの送信アンテナ係数の距離特性
○石井 望(新潟大)・チャカロタイ ジェドウィスノプ・清水悠斗・和氣加奈子・渡辺聡一(NICT) |
B-1-142 |
グレーティング,ワッフル,ワッフルアイロン導波路の評価
○飯田 渉・新井宏之(横浜国大) |
B-1-143 |
2面の近傍電界振幅を用いた遠方界推定の車型モデルへの適用
○松井寿樹・新井宏之(横浜国大)・岩永伸也・堀 智(小島プレス) |
B-1-144 |
モーメント法と2面半球面近傍電界振幅を用いた遠方界推定
◎林 祐造・新井宏之(横浜国大)・岩永伸也・堀 智(小島プレス) |
B-1-145 |
高精細人体モデルを用いたカプセル内視鏡の位置推定と実測
○佐々木凜太郎・高橋応明(千葉大) |
本稿では,GHz帯において近傍界利得に基づくプローブ較正の困難さを解消することに目的として,組織等価液剤中で動作するダイポールアンテナの送信アンテナ係数の距離特性を測定し,送信アンテナ係数に基づくプローブ較正の実現可能性を検討した.送信アンテナ係数は距離によらず一定となる範囲が存在することが確認された.このことにより,従前著者らがMHz帯において開発した送信アンテナ係数を利用したプローブ較正法をGHzにおいても適用可能であることが明らかとなった.
近年,データトラフィック量の増加,シリコンフォトニクス技術の向上により,光無線通信が注目されている.光無線通信用の高利得,高ビームチルト機能を持つ漏れ波アンテナとして,グレーティング導波路が知られており,また,より高利得な漏れ波アンテナとしてワッフル,ワッフルアイロン導波路が提案されている.本報告では,3つの導波路について,等価屈折率,減衰定数,指向性利得を算出することで,比較を行い,提案された導波路がより高利得となっているかを確認する.
金属筐体にアンテナを接続すると筐体全体がアンテナとして動作するため筐体サイズによっては、遠方界の測定に広大なスペースを要する場合がある。こういったアンテナにおいて半球面走査による近傍界測定を用いた電流分布推定法が提案されている。この方法では位相情報が必要であるが実測において位相を正確に測定することは難しい。そこで本報告では2面の半球面近傍電界振幅から電流分布を最適化し,遠方界推定を行う手法について述べ,それを車型モデルに対して適用することで,複雑なモデルに対しても有用な手法であることを示す。
金属筐体にアンテナを接続すると筐体全体がアンテナとして動作するため筐体サイズによっては、遠方界の測定に広大なスペースを要する場合がある。こういったアンテナにおいて半球面走査による2面近傍界振幅を用いた電流分布推定法が提案されている。このような手法においては、正しい電流分布に収束する2面の測定半径が限定される場合がある。そこで本報告では位相初期値としてモーメント法により取得した値を適用することで収束条件の緩和を図る。
カプセル内視鏡検査は,従来の内視鏡に比べ侵襲性が低く,消化管内を可視化し診断できるイメージングツールとして現在注目を集めている.画像撮影時にカプセルの位置情報を付加することにより,外部からの電力伝送の効率化や病変部位特定が可能になり診断精度の向上が期待されている.先行研究では,リアルタイムなカプセル内視鏡(送信アンテナ)の位置推定を目的とし,簡易人体モデルにおける低演算処理による位置推定が行われていた.本研究では,先に提案している位置推定アルゴリズムの有効性を確認するために,人体構造を模した高精細人体モデルを用いて位置推定の解析を行うとともに,人体等価ファントムを用いた実測を行った.
3月20日 9:30〜12:00 総合科学部 K棟2F K209講義室 座長 鷹取泰司(NTT)
B-1-146 |
自動車内での逆正接復調を用いたマイクロ波心拍検出
◎佐々木滉太・佐藤 潤・長谷部 駿・本間尚樹・岩井守生・小林宏一郎(岩手大)・佐藤 敦(エクォス・リサーチ)・村田健太郎(岩手大) |
B-1-147 |
マイクロ波電力伝送に向けた対人電波照射回避と高効率給電を両立するビームフォーミング法
◎金子直樹・長谷部 駿・村田健太郎・本間尚樹(岩手大) |
B-1-148 |
指向性可変アンテナとDNNを用いた屋内無線タグ位置推定の一検討
○桧垣 誠・堤 由佳子(東芝) |
B-1-149 |
無線LANを用いたパッシブレーダによる屋内人物の2次元位置推定に関する基礎検討
◎小川辰也・牛腸正則・山田寛喜(新潟大) |
B-1-150 |
複数局MIMOレーダを用いた非拘束生体向き推定法
◎林 哲平・白木信之・沼崎和樹・本間尚樹(岩手大)・中山武司・飯塚翔一(パナソニック)・村田健太郎(岩手大) |
近年,自動運転技術は目覚ましく発展しているが,依然として人間の介入が必要である.そのため,人に引き継ぐ前に,安全に運転できる状態であるか監視する必要がある.運転手の監視法としてウェアラブルデバイスやカメラなどが挙げられるが,前者は身体的ストレスや衛生面,後者はプライバシーの問題が挙げられる.これらの解決手段として,電波を用いたバイタルセンシングが検討されているが,走行時に非接触で観測することは困難である.本報告では,エンジンや走行により身体が振動する条件下の心拍測定実現を目的として,マイクロ波を用いた心拍検出法に関して検討した.結果としては,静止時のエンジン稼働状態では,高い心拍推定精度が得られるが,走行時は誤差が大きくなることが確認された.今後は,外乱を除去できるよう改良を進める.
マイクロ波電力伝送では,受電端末への給電効率向上と同空間内に存在する人体への電波照射レベルを所定の指針値以下に抑制する必要がある.従来法であるpower inversion(PI)理論に基づくbeamforming(BF)法は,本質的に所望端末への給電効率の向上機能を有していないため,本稿では固有モード解析に基づく対人電波照射回避と高効率給電を両立する新たなBF法を提案する.実験結果より,提案法では人体電波照射レベルは従来法と同程度に抑制しつつ,給電効率が約15 dB改善されることを確認した.以上の結果から,提案法により対人電波照射回避と給電効率向上が両立可能であることが示された.
指向性可変アンテナとDNN(Deep Neural Network)を用いた屋内無線タグ位置推定について、汎化性能の観点でMUSIC法と比較検討したので報告する。
近年,電波センサを用いた屋内位置推定に関する研究が盛んに行われている.しかし,電波の利用需要が急速に増加しており,割り当て可能な周波数が枯渇しつつある.この問題の解決策として,一般的なレーダのように自ら電波を放射する必要の無い,既存の電波源を利用するパッシブレーダに着目した.このレーダは特別な周波数の割り当て及び無線局免許の申請が不要であるといった利点を持つ.本稿では,無線LANを用いたパッシブレーダの実験データに対してスパース再構成による屋内人物の距離推定を行い,その距離推定結果のマッピング方法を変化した場合の屋内人物の2次元位置推定結果について報告する.
高齢者のための屋内見守りシステムの需要が高まっており,電波を用いた見守り技術として生体向き推定が検討されている.しかし,生体近くに複数のアンテナを配置するため,向き認識には生体の拘束が必要であった.本報告では,アレーアンテナを部屋の四隅に配置したMIMOレーダによる非拘束生体向き推定法を提案する.固有ベクトルを用いて教師データと観測データを比較し向きの推定を行う.さらに,実験により生体向き推定精度を評価した結果について述べる.結果として,部屋の9ヵ所で測定を行い同位置の教師データと観測データを比較することで,平均85%の精度で向き推定可能であることを明らかとした.
休 憩(11:00 再開) 座長 井上祐樹(NTTドコモ)
B-1-151 |
マイクロ波アレイレーダによる非接触生体計測と胸部位置推定
◎香田隆斗・阪本卓也(京大) |
B-1-152 |
マイクロ波電力伝送に向けた完全受動伝搬路推定法
◎近藤慎之介・小田島祥太・及川航世・村田健太郎・本間尚樹(岩手大) |
B-1-153 |
2次元重みづけ関数を用いたマルチスタティックMIMOレーダ
◎白木信之・本間尚樹(岩手大)・中山武司・飯塚翔一(パナソニック)・村田健太郎(岩手大) |
B-1-154 |
レーザスキャナを用いた分散型アンテナの位置校正精度評価
○中西孝行(三菱電機)・人見健三郎(三菱電機エンジニアリング)・橋本貴博・瀧川道生・米田尚史(三菱電機) |
呼吸や心拍といった生体情報の測定はヘルスケア等の分野で大きな注目を集めている.特に,レーダを用いた非接触生体計測では,接触型センサと異なり皮膚のかぶれや不快感がなく,カメラと異なりプライバシーの懸念が少ない.例えば,睡眠中の体動や呼吸を非接触で計測することで,対象者に負担をかけずに睡眠状態のモニタリングができる.特に,2.4 GHz帯レーダは衣服や寝具を容易に透過するという利点があるが,その多くは単一素子のみを使用し,アレイによるイメージングはできない.本研究では2.4 GHz帯の9素子2次元アレイレーダを整備し,イメージングによる胸部位置推定と生体計測の双方を同時に実現する.
マイクロ波電力伝送では,送受電機間の伝搬路情報に基づきビームフォーミングを行うことで高効率給電を実現できる.しかし,受電機が電池切れまたは通信機能を持たない場合,伝搬路推定不可となり給電不能となる.そこで本稿では,入射電力強度に応じレクテナの反射特性が非線形に変化する現象に着目し,送電側の基本波電力制御によりレクテナで発生する``疑似負荷変調信号''を利用した受動伝搬路推定法を提案する.さらに,送受信を切り替えて反復試行することで推定精度の逐次的改善を図る.数値解析結果から,11回の反復試行で幅2 m,前方4 m程度の範囲内で高精度に伝搬路推定可能であることを確認した.
近年,高齢者の見守りシステムに関する研究,開発が盛んに行われている.高齢者の見守りシステムの一環として屋内位置推定を目的とした複数局協調型MIMO (Multiple-Input Multiple-Output)レーダが提案されている.しかし,被験者がアンテナ局から離れると位置推定精度が劣化するといった問題がある.同手法では,被験者-アンテナ局間距離が考慮されていないため,被験者の遠近に関わらず推定位置の信頼度が同等となってしまう.
本報告では,2次元重みづけ関数を用いたMIMOレーダによる屋内位置推定法の提案と精度評価を行う.以下では,被験者-アンテナ局間距離に対応した2次元重みづけ関数を用いた補正法の原理について述べ,1~2人の被験者における位置推定精度の評価を行う.
レーダの探知性能向上や低コスト化を目的に、フェーズドアレーアンテナで構成されるサブアレーアンテナを複数個分散させて配置する分散アレーアンテナを用いたレーダシステムが検討されている.測角や干渉抑圧等のアレー信号処理を実施するために,各サブアレーの位置及び角度を正確に測定して校正する必要がある.本報告ではレーザスキャナ(以下,LS)を用いた分散型アンテナの位置校正精度の評価結果について示す.
3月20日 13:30〜14:30 総合科学部 K棟2F K209講義室 座長 今井哲朗(東京電機大)
B-1-155 |
4素子円形アレーと180°/90°ハイブリッドを用いたRSSIに基づく2次元位置推定法
◎小野寺和希・北村大地・成毛一史・本間尚樹・村田健太郎(岩手大)・竹田真理・武居厚志・松本一弘・柴野伸之・菱川哲也(パナソニック) |
B-1-156 |
サーキュラアレーを用いた近傍波源位置推定と素子間相互結合の影響に関する検討
◎林 朋樹・菊間信良・榊原久二男(名工大) |
B-1-157 |
無人飛行機による仮想アレーを用いた到来方向推定による波源位置推定の検討
○高世 駿・西森健太郎・谷口諒太郎(新潟大)・松田崇弘(首都大東京)・満井 勉(光電製作所) |
B-1-158 |
NLOS環境における最尤推定を用いた波源位置推定
○村田真一(光電製作所)・松田崇弘(首都大東京)・西森健太郎(新潟大)・満井 勉(光電製作所) |
ビーコン信号のRSSI (Received Signal Strength Indicator) からDOD (Direction-of-Departure) を計算し,推定したDOD情報に対して三角法を用いることで受信端末の位置を推定する方法が提案されている.しかし,このDOD推定法はアレーアンテナ前方の1次元の推定に限定されていた.本報告では,円形配置した4素子アンテナを天井に設置しRSSIのみを用いて2次元DOA (Direction-of-Arrival)を計算し,送信端末の位置を推定する方法を提案する.
数値解析によって性能を評価した結果,2次元DOAを位置に換算した場合,受信アンテナの真下の点からの半径方向の距離が7 m以内の範囲において,誤差2.5 m以下の精度で位置推定が可能であることを明らかにした.
高速通信が求められる現代において, 近距離通信の必要性は高まっている.本研究では, 端末位置推定を目的として, 全方位到来方向推定が可能なサーキュラアレーに着目し, MUSIC法を用いてアレー近傍の波源位置推定について検討を行う.さらに, 受信アレーアンテナの素子間相互結合(アレー誤差)の影響を検討し, アレー誤差を校正する手法の一つであるSee法の校正性能を検証する.
携帯電話・無線LAN等の1次システムが使用していない帯域を2次利用するため,1次システムからの信号波源の位置を無人飛行機で推定する手法が検討されている.本稿では,無人飛行機が自由に移動できることを利用した仮想アレーに基づく到来方向推定を用いて,波源位置推定について,レイトレースを用いたシミュレーションにより評価する.仮想アレーの配置方法の違いと無人飛行機の高度の変化に対する波源位置推定精度を明らかにする.
無線LAN・携帯電話通信等1次システムが使用していない帯域を2次利用するため,1次システムからの信号波源の位置を無人飛行機で推定する手法が検討されている.本研究では,波源と無人飛行機間が見通し外(NLOS)である環境において,最尤推定を用いた波源推定手法を提案し,その基本性能をシミュレーション実験により評価する
B-2. 宇宙・航行エレクトロニクス
3月17日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K310講義室 座長 網嶋 武(三菱電機)
B-2-1 |
洋上開発におけるマルチパス環境時の測位方式について
◎青木京平・久保信明・Yize Zhang(東京海洋大) |
B-2-2 |
RTK測位における電離層遅延及び対流圏遅延量の補正及び推定について
○尾関友啓・久保信明・青木京平(東京海洋大) |
B-2-3 |
GNSSコンパスの原理を利用した安価なスプーフィング検出装置の開発
○△小林海斗・久保信明(東京海洋大) |
B-2-4 |
航空機内データ通信周波数帯における小型航空機の干渉経路損失 -ビーチクラフトB300型機を用いた測定評価-
○二ッ森俊一・宮崎則彦(電子航法研)・関口徹也・日景 隆・野島俊雄(北大) |
B-2-5 |
ILS信号干渉シミュレーターの開発
○本田純一・松永圭左・毛塚 敦・田嶋裕久(電子航法研) |
山や構造物等に囲まれたオープンスカイ環境でない、かつ RTK 測位やPPP測位の利用が難しい条件下で、実際にどの程度の測位精度を実現できるかを評価することを目的とした。例えば、洋上における作業船や係留作業中のタグボートなどが上記の環境下に相当する。RTK測位は、地上の基準局と距離が離れているため恒常的に用いることが難しく、PPP測位は障害物方向に準天頂衛星がある場合、補正データを受信できない場合がある。本研究により擬似距離のみを用いた測位で水平誤差1m 級の位置精度を得ることができれば、船舶や自動車の安全運転支援にどのように利用できるかの指標となればと考えた。
近年、Galileo及びBDSの人工衛星数の増加により、GPSからマルチGNSSの時代に突入した。この状況に伴い、様々な分野でのマルチGNSSが利用され始めている。その際に注目されている測位方式がRTKである。RTK測位を実施すれば、移動局(自分の位置)がcm級でわかるが、そのためには基準局の設置が不可欠である。基準局と移動局との距離(基線長)は、一般的に20~30km以内が望ましいとされる。しかし実際のRTKを使用する現場では、30km以内に基準局を設置することが困難な場合も存在する。そこで本研究では基線長を伸ばすために重要な電離層遅延量及び対流圏遅延量の補正と推定の検討を行った。
GNSSに対するスプーフィング(なりすまし)の対策として2つの受信機とアンテナを使用しGNSSコンパスの原理を応用した4万円程度の安価なスプーフィング検出装置を開発した。暗室での実験でスプーフィングの検出に成功し、アラートを出すことができた。
WRC-15において,航空機電波高度計に配分されている4 GHz帯(4.2 GHz-4.4 GHz)が航空機内データ通信(Wireless Avionics Intra-Communications, WAIC)にも配分されることが決議された.現在,電波高度計とWAIC機器間およびWAIC機器間の周波数共用が可能となるよう,国際民間航空機関,欧州民間航空電子装置機関および航空無線技術委員会等で,2021年3月を目標にWAIC機器の国際規格化が進められており,著者らはその活動に参加している.本稿では,航空機電波高度計とWAIC機器の周波数共用検討を実施するための基礎データとして,小型航空機を用いて実施した,電波高度計への干渉経路損失(Interference Pass Loss, IPL)の測定結果について議論する.
ローカライザー(LOC)やグライドスロープ(GS)といった計器着陸システム(ILS)は,航空機に着陸経路上における水平および垂直方向の自機の位置関係を知らせる地上航法施設である.これらの施設では,建物や航空機からの散乱波が着陸経路を乱す誤差要因としてしばしば問題となる.本研究では,ILSの電波干渉を数値解析するための計算アルゴリズムの開発を進めており,それを実装したILSシミュレーターの開発を開始した.本稿は,開発中のシミュレーターの概要についてまとめたものである.
休 憩(11:00 再開) 座長 二ッ森俊一(電子航法研)
B-2-6 |
HMUとの比較によるADS-Bの幾何高度基準面判定
○金田直樹・松永圭左・宮崎裕己(電子航法研) |
B-2-7 |
深層学習を用いた地中レーダとUAVによる海洋プラスチック検出
園田 潤・◎佐藤 匠(仙台高専)・金澤 靖(豊橋技科大)・木本智幸(大分高専) |
B-2-8 |
地中レーダ画像の補間による地中情報の密な3次元可視化
◎徳重海都・金澤 靖(豊橋技科大)・園田 潤(仙台高専)・山本佳士・光谷和剛(名大) |
B-2-9 |
HF海洋レーダを用いたパッシブレーダにおけるDOA推定への拡張HQR法の適用
○高橋善樹・高橋龍平・大島正資・田中裕士(三菱電機) |
B-2-10 |
地デジ信号を使ったパッシブレーダによる移動体検出
○大津山卓哉・本田純一・渡邊優人(電子航法研) |
増大する航空輸送の需要に対応するため,日本では航空機の垂直方向の管制間隔を短縮するRVSMが2005年から導入されている。RVSMを導入するには航空機の高度維持性能の監視が必要であり,日本ではマルチラテレーション方式による高度維持性能監視システムが運用されている。一方,費用面に優れるADS-Bによる高度維持性能監視手法が豪州から提案され豪州等の高度維持性能監視に活用されている。しかしADS-B機上装置の仕様上,地球回転楕円体からの高度とジオイド面からの高度のどちらかADS-Bの情報だけでは判別できず問題となる。
我々はこれまでADS-B信号を解析し幾何高度基準面の判別を行っている。今回HMUとADS-Bの幾何高度を比較することによりADS-Bの幾何高度基準面を判定したので結果を報告する。
近年,海に年間少なくとも800 万トンものプラスチックが流れこんでいるとされ,大きな環境問題になっている.日本沿岸でも海岸漂着プラスチックが問題になっており,処理計画立案のための定量化が必要とされているが,自動定量観測は研究されていない.また,漂着プラスチックは砂浜に沈下し,海洋生態系にも大きな影響を及ぼすと考えられるが,その調査も行われていない.本研究では,海岸漂着プラスチックの定量化を目的に,地中レーダによる地中内部のレーダ画像とUAVによる表層の空撮画像から深層学習を用いた自動検出を試みる.
地中レーダを用いて広範囲な地中の状態を計測する場合,一般に密な測線を設定する必要がある.本研究では,測線間のデータを補間によって推定し,実測データと補間データを合わせて地中の密な情報を3次元的に可視化する手法を提案する.ここでは疑似カラー画像化したデータから,深層学習を用いた画像生成手法の一つであるGANを用いて補間画像を生成し,それらの画像を3次元的に並べることで地中情報を可視化する.実データおよびシミュレーションデータを用いた実験の結果,線形補間と比較し,特に地中物体の外挿部分で提案法の方が良い精度で推定できることがわかった.
著者らがこれまで提案してきた,相関波へ適用可能な高分解能DOA(Direction Of Arrival)推定手法である拡張HQR(Half-Quadratic Regularization)法の検討は,計算機シミュレーションによる評価に留まっていた.また近年,海洋監視等を目的としたHF(High Frequency)海洋レーダを用いたパッシブレーダの検討が盛んであるが,角度高分解能化のためのアンテナ規模の大型化が課題である.そこで本稿では, HF海洋レーダを送信局としたパッシブレーダ装置で得られたレンジドップラマップに対し,拡張HQR法を適用し,実データによる角度高分解能化の効果を報告する.
現在,レーダはさまざまな場面で活躍する重要な社会インフラとなっている.航空管制においても多くのレーダが使われているが,航空管制で使われるレーダは電波の反射ではなく航空機からの応答信号を使う2次監視レーダが使われている.しかしながら,航空機の搭載機材に依存するため,反射を用いた併せて使用しているものの,得られる情報が2次監視レーダよりも限定的であるため,単独で使われることはあまりない.近年,様々な電波源を活用したパッシブレーダであるMSPSRを航空管制おいて使用するための研究が盛んに行われている.本稿では,地上デジタル放送波の遅延プロファイルを用いたパッシブレーダにおける移動体検出について報告する.
3月17日 13:30〜17:30 総合科学部 K棟3F K310講義室 座長 秋田 学(電通大)
B-2-11 |
位相雑音下でのFMCWレーダーによるマルチターゲット推定
◎橘 優輝・韓 承鎬(電通大) |
B-2-12 |
時系列複素データ解析によるミリ波帯回折波を用いた見通し外人体識別法
○何 姜浩淼・木寺正平(電通大)・寺島将太・山田秀行(マツダ) |
B-2-13 |
位相差マップによる反射位置推定について-船舶用レーダスプリアス測定法の研究開発(その4)
○△町澤朗彦・川原昌利・北澤弘則・塩田貞明(NICT)・井上 朗・中村 透・村川真一・石井義弘(ラボテック・インターナショナル) |
B-2-14 |
HPRFレーダの複数ゲートを用いる高分解能測距法
○影目 聡・島津恭明・諏訪 啓(三菱電機) |
B-2-15 |
HPRFレーダの測距結果に基づく目標数推定及び収束判断方法
◎岩城悠也・影目 聡・諏訪 啓(三菱電機) |
FMCW(周波数変調方式)レーダーは周波数差を用いてターゲットとの距離や速度を測定するが、従来の信号電力を用いたマルチターゲット推定方法では、位相雑音の影響でスペクトルの歪みが生じターゲット数の誤りや精度の劣化が生じる。 本研究ではIF信号の自己相関関数から位相雑音が存在する場合でのパワースペクトル密度を解析することで、その補正方法について提唱する。
ミリ波帯レーダは視界不良及び見通し外環境等のセン
シング技術として,特に自動運転における衝突回避セン
サ等で有用である.また回折波解析により,見通し
外にでの人体等を識別することも期待されている.本稿
では見通し外での人体及び人工構造物からの回折信号を
用いた機械学習による識別法を提案する.本手法では,
いくつかの特徴量を導入し,複素時系列データを非線形
識別器SVM(Support Vector Machine) で学習させる.
特に見通し外環境で想定される低SNR(Signal to Noise
Ratio) の状況下で識別性能を改善させる.24GHz 帯ミ
リ波レーダを用いた実機実験によりその性能を検証する.
船舶用レーダのスプリアスを測定するOATS(Open Air Test Site)における地面での反射対策として電波吸収体フェンスを用いる方式が提案されている。本稿では、限られた高さの電波吸収体フェンスを適切に配置するために、受信信号の干渉縞を基に直接波と反射波の位相差を用いて反射位置を推定する方法を提案する。本推定法に基づいて電波吸収体フェンスを配置することでマルチパスを効果的に低減することが可能となる。
HPRF(High Pulse Repetition Frequency)パルスドップラーレーダにおいて,モノパルスを用いて距離計測する方法がある.しかし,この方法は単一ゲート(パルス幅相当)を前提にしているため,単一ゲートに複数目標からの反射信号を受信する場合は測距性能が劣化する問題がある.
本稿では,パルス内変調符号を施した送信信号を送受信し,各受信ゲートで復調(ゲート処理含む),ゲート内フーリエ変換,ゲート間高サンプリング処理を行う事により,高分解能に測距を行う方法を提案する.
HPRF (High Pulse Repetition Frequency)パルスドップラーレーダにおいて,複数のPRFによる測距結果を相関することで曖昧さのない距離計測を行う手法 (マルチPRFレンジング)がある。従来手法では,目標数が未知かつ目標をドップラ周波数で分離できない場合に目標数推定が出来ず,尚且つ測距結果が収束したか否かを判断できない課題がある。本発表では,マルチPRFレンジングの測距結果に基づく目標数推定手法及び,目標数推定の結果を用いて測距完了判断する方法を提案し,性能評価結果を示す.
休 憩(15:00 再開) 座長 鈴木潤一郎(東芝インフラシステムズ)
B-2-16 |
セキュリティ強化に向けたハイブリッドイメージングシステムの 熱雑音パッシブ受信機に関する基礎実験
○米本成人・森岡和行・河村暁子・二ッ森俊一・渡辺優人(海上・港湾・航空技術研究所) |
B-2-17 |
クラスタリングによるPS抽出とガウス過程回帰を用いた非線形変位解析のための多時期干渉合成開口レーダ
◎田中大地・宝珠山 治(NEC) |
B-2-18 |
非平行観測軌道を用いた干渉SARにおける軌道位相残差
○牛腸正則・児島正一郎(NICT)・山田寛喜(新潟大) |
B-2-19 |
HPRFパルスドップラレーダ向け仮検出型検出方式による旋回目標検出
○小幡 康・亀田洋志・和泉秀幸(三菱電機) |
B-2-20 |
広帯域干渉抑圧を用いるFMCWレーダにおけるFFT窓関数の影響
奥田健夫・○梅比良正弘・王 瀟岩・武田茂樹(茨城大) |
。本稿では、アクティブイメージングに加えて、人体から放射される微弱な熱雑音を計測し画像化することが可能なパッシブイメージングを実現するハイブリッドイメージングシステムを開発するため、パッシブ受信機の雑音に埋もれた外来の信号を抽出する電波干計の原理検証実験について報告する。
本稿では, 非線形な変位を解析するための多時期干渉合成開口レーダとして, クラスタリングによるPersistent Scatterer (PS) 抽出法とGauss過程回帰を用いた手法を提案する. クラスタリングによるPS抽出法では, 画素間の位相相関を評価することにより, 位相ノイズが少ない画素であるPSを正確に抽出する. 抽出されたPS上の位相に対して, ガウス過程回帰による非線形な関数のフィッティングを行うことにより, 非線形な変位を推定することが出来る. 実験によりビルの熱膨張により生じている大きな非線形変位をとらえることが出来ていることを確認した.
2つのSAR(Synthetic Aperture Radar)観測データの位相差(干渉位相)を利用することでサブ波長精度の情報抽出を実現する干渉SARはさまざまな用途に活用されている.干渉SARでは前処理として軌道位相を除去する必要があるが,軌道誤差により軌道位相の残差が生じることがある.ここで軌道誤差とはGPS誤差などに加え,解析モデルの系統誤差も含むものとし,特に本稿では非平行軌道を平行軌道と近似した場合の影響について議論する.一般に軌道位相は観測軌道の十分な平行性を仮定し,レンジ方向のみに依存する関数として定式化される.しかし著者らのこれまでの検討において,航空機軌道のわずかな傾きに起因すると思われるアジマス/レンジ双方向の非線形な軌道位相残差が確認されている.軌道位相残差の数式モデルや近似式として,衛星SARを対象とするアジマス/レンジ双方向の線形関数が報告されているが,非線形な軌道位相残差モデルはまだあまり検討がされていない.そこで本稿では航空機SARを用いた非平行観測軌道によるリピートパス干渉SARを想定し,軌道位相残差の定式化と空間変動について報告する.
航空機搭載レーダの低S/N目標検出で、既存装置規模での実装可能な方式として、HPRFパルスドップラ波形を前提とする仮検出型の方式を提案している。本稿ではこれを旋回目標検出に応用し、FM変調波形を前提とする従来方式との比較検証を報告する。
広帯域干渉抑圧を用いるFMCWレーダにおいては、干渉継続時間が長くなると干渉抑圧後のSNRが低下する。干渉抑圧後のSNRの解析にはLPFの周波数特性に加えてFFT窓関数の影響を考慮する必要がある。本文では広帯域干渉抑圧を用いるFMCWレーダにおけるFFT窓関数の影響を述べる。
休 憩(16:30 再開) 座長 田中大地(NEC)
B-2-21 |
野外環境における漁船のRCS計測
◎大川保純・赤嶺賢彦・仲 功(防衛装備庁) |
B-2-22 |
レーダシステム不要発射測定の高速化検討-船舶用レーダースプリアス測定法の研究開発(その1)-
○塩田貞明・町澤朗彦・川原昌利・北澤弘則(NICT)・井上 朗・中村 透・村川真一・石井義弘(ラボテック・インターナショナル) |
B-2-23 |
レーダスプリアス測定場におけるマルチパス対策-船舶用レーダスプリアス測定法の研究開発(その2)
○川原昌利・町澤朗彦・塩田貞明・北澤弘則(NICT)・井上 朗・中村 透・村川真一・石井義弘(ラボテック・インターナショナル) |
B-2-24 |
電波吸収体フェンスによるマルチパス対策ー船舶用レーダスプリアス測定法の研究開発(その3)
○北澤弘則・町澤朗彦・川原昌利・塩田貞明(NICT)・井上 朗・中村 透・村川真一・石井義弘(ラボテック・インターナショナル) |
漁船などの比較的小型の移動目標について、電波の反射特性を評価するために、移動状態におけるRCS(Radar Cross Section:レーダ反射断面積)を把握することが必要である。本研究では、野外RCS計測の基礎データを取得するため、漁船が持つRCSの角度特性について、4種類の周波数帯で同時計測を行なった。
その結果、主な反射箇所は両舷及び船尾部分であり、形状によるRCSが支配的であることを確認した。また、主な反射箇所以外のRCSの度数分布は、X帯及びKu帯で対数正規分布に従うことを確認した。
レーダシステムから発射されるスプリアス領域における不要発射の測定法はITU-R勧告M.1177に記されているが、この測定法に従い船舶用レーダのようなものを測定すると、非常に長い測定時間が必要となる。近年、市販の高速フーリエ変換(FFT)を用いたスペクトラム測定器が高性能になってきていることから、これらを用いた不要発射測定時間の短縮について検討を行った。
レーダからのスプリアス発射の強度を精度良く測定するには、他の無線設備等からの外来波や、被測定器から放射された電波が周囲の構造物等により反射されるマルチパスなどの影響を極力受けないようにすることが望ましい。そのための対策としては、測定環境が自由空間に近い状態になるように、電波暗室のように測定施設を電波吸収体で囲むとか、送受信双方のアンテナを大地によるマルチパスの影響の及ばない程度まで上げる等の方法が考えられるが、共に現実的ではない。そこで今回我々が採用した対策方法について紹介する。
レーダのスプリアス領域における不要発射測定に関して、直接法による遠距離(350m)、広範囲の周波数範囲(1~18GHz)の測定で、屋外測定サイトにかかわるマルチパス対策として電波吸収体フェンスを使用した測定に関する研究結果を報告する。
3月18日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K310講義室 座長 本田純一(電子航法研)
B-2-25 |
次世代ウィンドプロファイラの研究開発
○山本真之(NICT)・西村耕司(極地研究所)・川村誠治(NICT)・山口弘誠・中北英一(京大)・吉田 智(気象研究所) |
B-2-26 |
次世代ウィンドプロファイラの実用化に向けた研究開発 - アダプティブクラッタ抑圧技術の実証評価
○山口博史・斎藤浩二・浜田隆行・奥野宗彦・今井克之(住友電設)・山本真之・川村誠治(NICT) |
B-2-27 |
航空機搭載高度計による海面高度計測
○灘井章嗣(NICT) |
B-2-28 |
搬送波位相を用いる双方向モデムの開発
○後藤忠広・藤枝美穂・田渕 良(NICT) |
B-2-29 |
日本標準時の分散化(3)-分散化システムの運用状況-
○中川史丸・花土ゆう子・松原健祐・齊藤春夫・後藤忠広・井戸哲也(NICT) |
ウィンドプロファイラ(WPR)は、晴天域における風速の高度プロファイルを計測するレーダーである。WPRによる風速の観測データは、気象状態の把握と予報に利用されている。WPRのさらなる高度利用の実現を目指した、次世代WPRの開発に取り組んでいる。アダプティブクラッタ抑圧は、複数の受信アンテナと適応信号処理を用いて非所望エコー(クラッタ)を低減することで、風速測定データの品質を向上させる技術である。レンジイメージングは、送信毎の周波数切替えと適応信号処理を用いることで、高度分解能を向上させる技術である。高度分解能の向上は、風速・大気乱流の高分解能計測に貢献する。発表では、これまでの開発成果を述べる。
風速の高度プロファイルを測定するレーダーであるウィンドプロファイラ(以下、WPR)は、気象予報等の気象業務に利用されている。WPRの持つ優れた観測分解能を最大限に生かし、WPRのさらなる高度利用を実現するためには、非所望エコー(クラッタ)の混入による風速観測データの品質低下を極力防ぐ必要がある。アダプティブクラッタ抑圧(ACS)は、適応信号処理を用いて複数のサブアレイアンテナから得た信号を重み付け合成することにより受信アンテナのビームパターンを制御し、クラッタを低減する技術である。ACSの実用化に向けた実証実験と性能評価を行う研究開発に取り組んでいる。発表では、本研究開発の概要と開発状況を紹介する。
発生時に甚大な被害を及ぼすメガ津波のj評価には、従来の地震波による断層モデルを介した津波予測では誤差が大きいため、実際に起きている津波(潮位変化)を沖合で航空機搭載電波高度計での計測に基づく津波予測について、航空機観測をもとに検討した。現在の技術でメガ津波の予測に有効な精度での計測が可能であることが判明した。
情報通信研究機構では,通信衛星を用いた衛星双方向時刻比較方式の観測量として搬送波位相を用いることで,従来の群遅延のみを使用した方式に比べ2桁以上比較精度を改善することに成功した.これまでの実験では,ソフトウェア無線技術を用いて,デジタル信号処理をパソコン上のソフトウェアで実装していたが,実運用で使用可能なようにFPGAによる製品化を行なった.本稿では,開発したモデム装置の詳細について報告する.
NICTでは、日本標準時の信頼性と精度の向上を目的に、日本標準時の分散化技術の研究開発を進めてきた。これまでNICT神戸未来ICT研究所において日本標準時神戸副局を設置、2018年6月より正式運用を開始した。これによりこれまで東京小金井でのみ運用されてきた標準時システムのバックアップができ、信頼性の向上に繋がっている。また、分散システムにより標準時に使用できる原子時計の台数が増え、生成される標準時の精度向上についての確認もでき、現在実用化へ向けて開発を進めている。
休 憩(11:00 再開) 座長 高橋善樹(三菱電機)
B-2-30 |
無人航空機の目視外飛行に向けた周波数帯域利用の適応制御技術 ―環境適応周波数帯間ハンドオーバによるUAV目視外飛行支援システムの提案―
○浅野勝洋・竹川雅之・阿部達也・中村 学(日立国際電気) |
B-2-31 |
無人航空機の目視外飛行に向けた周波数帯域利用の適応制御技術-環境適応周波数帯間ハンドオーバを実現するネットワーク構成の検討-
○竹川雅之・阿部達也・中村 学・浅野勝洋(日立国際電気) |
B-2-32 |
固定翼UAV用の無線映像伝送システムの評価実験について
○古賀 禎・本田純一(電子航法研) |
B-2-33 |
ドッキングモニタ映像の無線LAN伝送軌道上実証
○笹田武志・近藤義典・則武 諭・末廣知也・藤田 迪・蜂谷友理・伊藤徳政(JAXA) |
B-2-34 |
SDRとフォールデッドダイポールによるCubeSatのHKデータ受信
○三橋龍一・髙橋俊暉・芳賀和輝・青木由直(北科大) |
小型無人航空機(以降UAVと記す)の安全な利活用推進に向けて,2020年代以降に有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(レベル4)によるUAVの利用を実現するために,UAV向けの安全運用に資する通信技術の開発が求められている.
本稿では,UAVの目視外飛行に求められる機能要件を満足するための,UAV運行支援システム構成を検討する.
小型無人航空機(以降UAVと記す)の安全な利活用推進に向けて,2020年代以降に有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(レベル4)によるUAVの利用を実現するために,UAV向けの安全運用に資する通信技術の開発が求められている.本稿では,UAVの目視外飛行実現に向けた環境適応周波数帯域利用を実現するための通信ネットワーク構成について検討する.
筆者らは,固定翼UAV(Unmanned aerial vehicle)映像伝送システムの研究開発を進めている.本稿では,開発中の固定翼UAV用の無線映像伝送システムと飛行実験について紹介する.
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は,現在運用中の宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)の後継機である新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)を開発している.HTV-Xでは国際宇宙ステーション(ISS)に対し自動ドッキング技術実証を計画している.自動ドッキングに必要な要素技術として,①相対航法センサ,②誘導制御アルゴリズム,③国際標準ドッキング機構,及び④ドッキングモニタ映像の無線伝送がある.本稿は,④の実験について概説する.
世界中の地球周回軌道上での衛星を利用した実験を実施するチームで,CubeSat(1U:10cm×10cm×10cm,ISS放出の最大重量:1.33kg)の開発と打上げが盛んにおこなわれている.衛星にとって無線通信は命綱と言えるが,CubeSatでは通信に失敗して運用ができない事例が多く報告されている.無線通信系のトラブルの原因としては様々な要因が推定されるが,予備機での再現性がない場合には次に開発する衛星に失敗の経験を活かせないことは大きな問題である.
2019年より北海道科学大学を中心とした北海道内のエンジニアチームが,CubeSat開発プロジェクトを開始した.その目的はCubeSat無線通信システムの無線機をフルSDRで構築し,さらにCubeSatに搭載する無線機・ケーブル・アンテナのすべてを一体化して開発するものである.それにより,世界スタンダード規格となる最高性能クラスのCubeSat(および超小型衛星)用の無線通信システムを生み出すことである.
本報告では,無線通信理論に基づき最低限の構成部品で地上局を構築し,その地上局システムで受信実験を行い,その結果を述べる.
B-3. 衛星通信
3月17日 9:30〜11:45 総合科学部 K棟1F K106講義室 座長 筋誡 久(NHK)
B-3-1 |
衛星航空機間通信における負荷分散ハンドオーバに関する一検討
○藤井義巳・谷林昭浩・関口真理子(構造計画研) |
B-3-2 |
重要拠点間通信を確保する衛星通信システムの一検討
○柴山大樹・原田耕一・嶋 正樹・山下史洋(NTT) |
B-3-3 |
NICTにおける可搬型光地上局の研究開発
○斉藤嘉彦・竹中秀樹・白玉公一・宗正 康・カラスコ カサド アルベルト・鈴木健治・布施哲治・久保岡俊宏・豊嶋守生(NICT) |
B-3-4 |
気象レーダー波によるBS/CS受信機の画像破綻C/Iの測定
○正源和義(B-SAT)・田島慶一(スカパーJSAT)・花土 弘(NICT)・小島政明(NHK)・田中祥次(B-SAT)・橋本明記・横畑和典・浜中太郎(NHK) |
衛星通信を利用した航空機向けブロードバンドアクセスの大容量化が求められている.本研究では4G,5Gをベースとする衛星-航空機間無線アクセス方式を検討しており,課題の抽出および対応策の検討を行っている.本稿ではGEOマルチビームを想定した場合の,ビーム間の負荷分散を目的としたハンドオーバアルゴリズム検討を行った結果を示す.
本稿では従来の災害対策向け衛星通信システムが使えなくなるパターンを整理するとともに 重要拠点間の初動対応に向けた衛星通信システムの必要条件の検討
衛星-地上局間光空間通信において,晴天域確保の方法の一つとして地上局を可搬化するということが考えられる。すなわち光地上局となる望遠鏡を車両に搭載し、任意の場所に移動して条件のいい場所で地上局を展開するという方法である。可搬局のメリットは緊急時に任意の場所で地上局を展開可能であることも挙げられる。我々は2018年に可搬型光地上局の開発を開始し、2020年2月に望遠鏡が搭載された車両としての可搬型光地上局を完成させる。ここではこの可搬型光地上局の研究開発の概要と効率よく通信光を受信機に伝達するための精追尾光学系の設計についても報告する。
9GHz帯気象レーダーのイメージ妨害干渉からBS/CS受信で引き起こされる画像破綻を防止するのに必要な条件を明らかにするために,以下の3つの課題を検討している.
(1)イメージ妨害抑圧比(受信アンテナ反射鏡込) の測定.
(2)画像破綻閾値 Cave/Ipeakの測定.
(3)アンテナ識別度 の測定.
本稿では,上記(2)の結果を報告する.
休 憩(10:45 再開) 座長 難波 忍(KDDI総合研究所)
B-3-5 |
通信補完による降雨減衰補償を目的とした衛星放送用LDPC符号による消失訂正の検討―パディングビットを用いた符号化率変換手法―
○小泉雄貴・鈴木陽一・楠 知也・横畑和典・筋誡 久(NHK) |
B-3-6 |
5G NTN 向け上りリンク初期アクセスチャネル送信方法の比較
○河内涼子・高田智史(パナソニックシステムネットワークス開発研)・湯田泰明・西尾昭彦(パナソニック) |
B-3-7 |
畳込みニューラルネットワークによる2波LEO-MIMO制御信号のドップラーシフト推定
○桶間 椋(名大)・五藤大介(NTT)・山里敬也(名大)・山下史洋・柴山大樹(NTT) |
B-3-8 |
LEO-MIMOにおける遠隔受信局間クロック同期精度に関する検討
○五藤大介・糸川喜代彦・山下史洋(NTT)・加藤智隼・中台光洋(JAXA) |
衛星放送用周波数帯として現行の12GHz帯以外に21GHz帯が日本に割り当てられており、著者らは21GHz帯の実用化を目指して研究している。最大の課題は降雨減衰であり、その補償として降雨減衰で受信不可となったサービスエリアに対し、晴天エリアで受信した信号を公衆IP回線でバックアップするシステムを検討している。本システムの実現には通信路で生じるパケット消失の訂正が必要であり、これまでに衛星放送で用いる誤り訂正符号によるパケット消失訂正の検討を行い、十分な訂正性能が得られることを確認した。衛星伝送路と通信路で共通の誤り訂正符号を用いることで、放送と通信のシームレスな接続が可能となるが、両伝送路の特性はそれぞれ異なるため、それらの特性に応じた符号化率を選択する必要がある。
本稿では、衛星受信した信号を通信路へ伝送する際、共通の誤り訂正符号を用いて衛星伝送路とは異なる符号化率へ変換する手法について述べる。その際、パディングビット(PB)を用いることで訂正性能を落とすことなく、符号化率の変換が可能であることを示す。
第5世代移動通信システム(5G)では,カバレッジ拡大のため,衛星等の非地上ネットワーク(NTN)への展開が検討されている.5Gでは上りリンクで初期アクセスチャネル:PRACHを送信する.PRACHにはZadoff-Chu系列を使用しており,周波数オフセットの増加に伴い自己相関ピークがシフトするため,低軌道衛星(LEO)の高ドップラーシフト下では,検出誤り率の劣化を招く.本稿ではNTN向けPRACHとして,サブキャリア間隔の拡張と,異なる2系列の相関ピークを利用の2つのアプローチを比較する.
低軌道(LEO)衛星信号にはドップラーシフトが発生する.複数LEO衛星を用いたMIMO通信(LEO-MIMO)ではMIMOで利用する衛星数が増えると,制御信号用帯域が全体のシステム帯域に占める割合が増加し伝送容量が低下する.我々は制御信号を重畳させることで制御信号用帯域を削減し,LEO-MIMOの伝送容量低下を抑える手法を検討している. そこで本研究では畳み込みニューラルネットワーク(CNN)によるドップラーシフト推定手法を検討する. DNNとの比較を行い評価し,CNNのドップラーシフト推定への適正を示した.
筆者らは,低軌道衛星(LEO)システムの大容量化を目的とし,複数アンテナを用いたLEO-MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) 技術を検討している.本システムは複数アンテナを搭載する一基のLEO衛星と基地局間で空間多重伝送を行うものである.本稿では,遠隔配置されたMIMOアンテナ間の非同期環境における,所要クロック精度を評価する.
3月17日 13:30〜16:30 総合科学部 K棟1F K106講義室 座長 小島政明(NHK)
B-3-9 |
Ku帯衛星回線における降雨減衰統計年変動とITU-R予測値の比較
◎山﨑光資・前川泰之(阪電通大) |
B-3-10 |
Ku帯衛星回線における台風通過時の降雨減衰変動特性
◎佐々木駿一・前川泰之(阪電通大) |
B-3-11 |
Ku帯災害対策用衛星通信システムの回線稼働率に関する一検討
○原田耕一・嶋 正樹・松下 章・柴山大樹・山下史洋(NTT) |
B-3-12 |
21GHz帯降雨減衰の初期測定結果に基づく降雨強度との関係
○横澤真介・亀井 雅・筋誡 久(NHK) |
B-3-13 |
低軌道衛星による衛星IoT回線設計に関する一検討
○糸川喜代彦・五藤大介・小島康義・山下史洋(NTT) |
大阪電気通信大学(OECU、大阪府寝屋川市)で、1989年から2018年にかけて過去30間測定されたKu帯BS電波(11.84GHz、仰角41.4°、右旋円偏波)の受信レベルの降雨減衰変動特性について、降雨強度の年間累積時間率分布0.01%値に用いて算出されるITU-R勧告値との比較検討を行った。過去20年間にさかのぼって比較すると、前半の10年間では降雨減衰累積時間率0.01%の測定値と推定値の差は2dB程度の増加に止まるが、後半の10年間では5dB程度に測定値が上昇することが示された。さらに2006年から2012年にかけて、近隣の4から6kmの距離にある四條畷市と守口市で同様に測定されたBS電波受信レベルにも、同様の増加傾向が確認された。
大阪電気通信大学(OECU、大阪府寝屋川市)で、1988 年から2019 年にかけて過去32年間測定されたKu帯BS電波(11.84GHz、仰角41.4°、右旋円偏波)の受信レベルの降雨減衰変動特性について、特に台風通過時に注目して解析を行った。台風が局舎の西側を通過する場合に比べて東側を通過するときの方が、降雨強度に対する降雨減衰の比率が概して大きくなり、等価通路長が増大する傾向があることが示された。近隣のアメダスによる地上風速と比較した結果、衛星電波の到来方向(西南方向)よりもその反対方向(北東方向)からの風速が強まるほど、衛星電波に対する等価通路長が増大する傾向が示された。
NTTでは,Ku帯を用いて災害対策用衛星通信システムを運用しているが,端末局は可搬性を重視し75cmの小型アンテナを適用しており,降雨減衰も勘案し,サービスエリアを主に日本本土に限定してきた.
これまでサービスエリア外としてきた島嶼部での衛星回線の実品質を測定すると同時に,回線稼働率に最も影響を与える降雨時の送信電力制御と基地局二重化の効果について評価した結果を報告する.
2017年9月に打ち上げられた放送衛星BSAT-4aには,新4K8K衛星放送に使用される12GHz帯中継器に加え,将来の21GHz帯衛星放送の実現に向け,21GHz帯中継器およびビーコン送信機が搭載されている.21GHz帯衛星放送で課題となる降雨減衰特性の把握のために,2018年から降雨減衰の測定を開始したので,その初期測定結果を報告する.
本稿では、市販IoT端末の活用を前提にLEO軌道を考慮したIoTサービスの回線設計法およびアンテナ構成の指針について報告する。
休 憩(15:00 再開) 座長 柴山大樹(NTT)
B-3-14 |
ドローン高度制御を用いた耐災害ネットワークのスループット最適化に関する研究
○石神美穂・杉山隆利(工学院大) |
B-3-15 |
ドローンを用いたリレー型GPSの提案
○吉田恒平・杉山隆利(工学院大) |
B-3-16 |
GNSSにおける搬送波位相遮断環境における測位精度の向上に関する研究
◎チョウ コウエン・久保信明(東京海洋大) |
B-3-17 |
無人航空機を用いた位置検出システムにおける簡易マルチパス環境下のドップラーシフト分布特性
○毛塚直哉・石川博康(日大) |
B-3-18 |
8の字飛行を行う1機の無人航空機を用いたユーザ位置検出手法における時間経過時の特性評価
○岩瀬詩帆海・堀川裕貴・石川博康(日大) |
B-3-19 |
8の字飛行する2機の無人航空機を用いた最大誤差推定方式に基づく位置検出精度の特性評価
◎堀川裕貴・石川博康(日大) |
近年,災害時における臨時無線通信ネットワーク構築の手段の一つとしてUAV(Unmanned Aircraft Vehicle)と呼ばれる無人航空機を用いた無人航空機ネットワークの研究が進められている.本稿ではホバリング可能でネットワーク構築が容易なドローンと呼ばれる回転翼UAVを用いたドローンネットワークの検討を行う.一方,実際の被災地では避難所などの特定の場所に人が集中するため,地上の通信端末の分布に偏りがあることが予想される.地上端末が密集している地域をカバーするドローンにトラヒックが集中し,端末あたりのスループット低下が生じる.この問題を解決するために,トラヒックに応じてドローンの高度を制御し,リンクアダプテーションによる伝送方式を選択できるようにする手法を提案する.計算機シミュレーションによってドローンの高度に対する地上端末1台あたりの平均スループットを定量的に示し,提案方式の有効性を明らかにする.
近年,GPS(Global Positioning System)が広く用いられているが,高層ビルなどの障害物が存在する都市部環境下では,GPS受信機が測位に必要な4機以上のGPS衛星からの信号を受信できずに測位不能となる場合がある.これを解決する方法として,測位を行うターゲット受信機周辺に多数存在する携帯端末がGPS測位によって得た自身の位置情報をブロードキャストすることでターゲット受信機のGPS衛星数を補完するリレー型GPSが提案されている.リレー型GPSでは,疑似衛星携帯端末の測位精度がターゲット受信機の測位精度に大きく影響するため,疑似衛星携帯端末の測位精度を向上させる必要がある.そこで本稿では,リレー型GPSにおいて擬似衛星携帯端末の代わりとして高度にも自由度がある疑似衛星ドローンを用いたリレー型GPSを提案し,シミュレーションによって提案方式の測位誤差低減効果を明らかにしたので報告する.
Based on the comparison between ublox and NovAtel at Tokyo Metropolitan Expressway, comparing the performance when
passing under the obstruction. From the results, using the software receiver to improve tracking performance by simulating signal
tracking.
無人航空機(UAV)を利用するユーザ位置検出手法では,地上端末から送信するトーン信号(連続波)を上空で高速飛行するUAVが受信することで生じるドップラーシフトを利用する.従来研究では,UAVの飛行位置誤差を劣化要因と仮定し,ユーザ端末位置検出手法の特性評価を行ってきたが,端末周辺の建物等により生じる直接波の遮断やマルチパス波の影響は考慮していなかった.本研究では,簡易的な3D建物モデルをRapLab上に作成し,1機のUAVが周回飛行するケースについてマルチパス波を考慮したシミュレーションを実施し,ドップラーシフト分布特性を評価したので,その結果について報告する.
無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)と地上制御局等から構成される無人航空機システム(UAS:Unmanned Aircraft System)では,UAVが周回飛行することによりUAV-ユーザ端末間の送受信信号の無線周波数にドップラーシフトが生じる.このドップラーシフトを複数回観測し,UAVの飛行位置情報と飛行速度を利用することで,地上のユーザ端末の位置を検出することができる.我々はこれまでに,様々な飛行モデルで位置検出精度の特性評価を実施してきた. そこで本研究では,1機のUAVを用いた8の字飛行モデルを対象とし,時間経過に伴うUAVの飛行位置及び飛行方向の変化の影響を考慮したシミュレーション評価を行ったので,その結果について報告する.
本研究で想定する無人航空機(UAV)を用いた無人航空機システム(UAS)は,地上のユーザ端末上空をUAVが周回飛行することを想定しており,UAV-ユーザ端末間の送受信信号の搬送波周波数に生じるドップラーシフトを観測することでユーザ位置が検出可能である.我々はこれまで,UAVの飛行位置とユーザ位置の関係に基づく測位精度指標の提案・評価,同指標を利用した最大・最小位置検出誤差推定手法の提案と有効性の検証,並びに円旋回飛行モデルにおける最大誤差推定方式を用いた特性評価を実施してきた.本研究では,UAVの飛行高度及び時間経過による測位精度への影響を評価するため,飛行高度が異なる2機のUAVが8の字飛行するモデルにおいて最大誤差推定方式に基づく特性評価を実施したので,その結果を報告する.
3月18日 13:30〜16:15 総合科学部 K棟1F K106講義室 座長 山下史洋(NTT)
B-3-20 |
ニーズに合わせて通信容量や利用地域を柔軟に変更可能なハイスループット衛星通信システム技術の総合評価の状況
○三浦 周・森川栄久・吉村直子・辻 宏之・岡田和則・織笠光明・大川 貢・若菜弘充・山本伸一(NICT)・高橋昌希・川本雄一・加藤 寧(東北大)・坂井英一・須永輝巳・堀江延佳(三菱電機)・高橋 卓・川崎和義・菅 智茂・佐藤正樹・小園晋一・大倉拓也・阿部侑真・豊嶋守生(NICT)・金指有昌・角田聡泰・草野正明・稲沢良夫・尾野仁深(三菱電機) |
B-3-21 |
ハイスループット衛星における周波数フレキシビリティの総合評価
◎阿部侑真・大川 貢・三浦 周・岡田和則・豊嶋守生(NICT) |
B-3-22 |
ハイスループット衛星通信システムの柔軟性評価モデルへの実パラメータ適用に関する一考察
◎高橋昌希・川本雄一・加藤 寧(東北大) |
B-3-23 |
航空機搭載用薄型電子走査アレイアンテナの研究開発―送信側アレイアンテナの軸外輻射特性―
◎大倉拓也・菅 智茂・高橋 卓・辻 宏之・豊嶋守生(NICT) |
B-3-24 |
衛星通信用地球局向けKa帯650Wpeak ヘリックス形TWTの開発
○松本大輝・町田哲夫・岡本耕治(NECネットワーク・センサ) |
大容量化と周波数割当のフレキシビリティを主眼とする衛星通信技術の確立を目的とした「ニーズに合わせて通信容量や利用地域を柔軟に変更可能なハイスループット衛星通信システム技術の研究開発」の総合評価の状況について述べる.
近年,航空機や船舶などの移動体におけるブロードバンド通信や災害時の非常時通信のニーズが高まっていることから,ハイスループット通信衛星(HTS)の研究開発が進められている.さらに,デジタルチャネライザと呼ばれるペイロードを搭載することで,各ビームの周波数割当てを柔軟に変更できる周波数フレキシビリティ機能も注目されている.本発表では,3種類のリンク割当て法に着目した総合評価の結果を述べる.
近年の衛星通信に対するニーズの増大に対応するため, HTS(High Throughput Satellite)の研究開発が展開されている.その上,衛星通信システムに対するトラヒック要求の変動に合わせて有限の通信リソースを無駄なく配分するといった柔軟性の向上が求められている.本研究グループは柔軟性評価モデルを独自に構築し,様々な観点から衛星通信システムの柔軟性を評価してきた.しかし,衛星通信システムにおける実パラメータに関する制約が柔軟性にどのような影響を及ぼすかについては未反映である.本稿では,柔軟性評価モデルに対して特定の実パラメータを新たなメトリックとして導入し,ハイスループット衛星通信システムの柔軟性に与える影響について考察する.
近年,小型・中型航空機向けの衛星通信を用いたブロードバンドサービスの需要が高まっている.NICTでは,Ka帯において航空機への搭載性を損なわず,開口サイズをスケーラブルに変更でき,広範囲のビーム走査を有する電子走査アレイアンテナの研究開発を行っている.本報告では,航空機搭載用薄型電子走査アレイアンテナの送信側アレイアンテナの軸外輻射特性について報告する.
近年,インターネットの普及に伴い衛星通信分野では従来のC帯やKu帯より情報通信量が大きいKa帯を使用した大容量衛星通信(High Throughput Satellite,HTS)の利用が拡大している.当社はこれまでに,衛星通信用地球局のキーデバイスであるKa帯500W TWT(進行波管: Traveling Wave Tube,マイクロ波を増幅する電子管の一種)を開発,1500台以上を出荷し大容量衛星通信に貢献してきた.本稿では更なる大容量通信のために高出力・高信頼性のKa帯650W peak / 500W CW TWTを開発したことを報告する.
休 憩(15:00 再開) 座長 石川博康(日大)
B-3-25 |
複数中継器分散型スペクトラム分解伝送における受信自動利得制御特性解析
○山下史洋・五藤大介・小島康義・糸川喜代彦(NTT) |
B-3-26 |
衛星AISにおけるPICによる衝突パケットの分離検出
◎高根沢優和・張 裕淵・府川和彦(東工大)・平原大地(JAXA) |
B-3-27 |
並列化デルタシグマDACにおける不連続性緩和手法
○早馬道也・金子和真・小西良明(三菱電機) |
B-3-28 |
確率的信号処理を用いたFIRフィルタの演算誤差低減法
◎山下靖貴・谷 重紀・内田 繁・有賀 博(三菱電機) |
B-3-29 |
線形・非線形歪みを同時補償するメモリ多項式に基づく適応等化方式の実機性能評価
◎上橋俊介・能田康義・谷 重紀・内田 繁・有賀 博(三菱電機) |
衛星中継器毎に受信利得が異なることで分解したサブスペクトラム間で電力密度差が生じる場合のスペクトラム分解伝送特性について検討した結果を報告する.
近年,日本の領海において,全ての大型船舶に対してAutomatic Identification System (AIS) の搭載が義務付けられており,航海安全にある程度の成果を上げている.公海等遠洋でもAISを利用可能とするSpace-based AIS Experiment (SPAISE)では,衛星を用いた通信システムが検討されているが,受信範囲が広くなるため複数パケットが衝突し伝送特性が大幅に劣化してしまう.この問題を解決するため,従来よりSuccessive Interference Cancellation (SIC) を用いた衝突パケットの分離検出が検討されており,衝突パケット間電力差が十分大きい場合において精度良く分離検出できることが示されているが,電力差が小さい場合には,ビット誤り率(BER)特性が劣化する問題がある.この問題に対処するため,本稿ではマルチユーザ検出にParallel Interference Cancellation(PIC)を導入し,BER特性の改善を図る.伝送路パラメータが既知の条件でシミュレーションを行い,提案手法の有効性を明らかにする.
時間分割を用いたデルタシグマDACの並列化手法は、ポリフェーズ分解を用いる方式と比較して次数やフィルタ特性を柔軟に決定することができるといったメリットがある。一方で分割したブロック間に生じる不連続性により信号が劣化する。本稿は時間分割した信号境界でオーバーラップ区間を設けたうえで、出力の差分が連続して小さくなるタイミングで出力信号を切り替えることでブロック間の不連続性を緩和する手法を提案する。提案手法を適用することでSNRが約1.5dB改善することをシミュレーションにより確認した。
筆者らは,デジタルペイロード型の衛星に安価で高性能な民生デバイスを利用するために,ソフトエラー耐性の向上が期待できる確率的信号処理を用いた通信ペイロードを検討している.本稿では,確率的信号処理を用いてFIR(Finite Impulse Response) フィルタを構成する場合に問題となる,演算誤差を低減する構成を提案し,シミュレーションにより評価した結果を報告する.
筆者らは、衛星通信で広帯域伝送を行う際に課題となる線形・非線形歪みを受信側で一括補償する非線形適応等化方式を提案している。本発表では、本方式を実装したFPGA(Field-Programmable Gate Array) での実機評価により、非線形歪みの影響が大きいTWTA(Traveling Wave Tube Amplifier) 特性を用いた際の特性改善効果に加え、非線形歪みの影響が緩和されたL-TWTA (Linearized TWTA) 特性を用いた際でも電力効率改善が可能であることを示す。
B-4. 環境電磁工学
3月17日 9:30〜12:15 工学部 講義棟1F 102講義室 座長 萓野良樹(電通大)
B-4-1 |
コプレーナ線路を有する電源-グラウンドプレーンにマイクロストリップラインが励振する誘導電流の一検討
○川上雅士・戸花照雄・秋元浩平・礒田陽次(秋田県立大) |
B-4-2 |
2つのグラウンドスロットをもつマイクロストリップ線路の伝搬特性の解析
◎秋山 輝・戸花照雄・川上雅士・秋元浩平・礒田陽次(秋田県立大) |
B-4-3 |
複数のLED電球を接続した配線パターンの違いによる電流ノイズの検討
○春日貴志・平林諒也・高野誠也(長野高専)・井上 浩(秋田大) |
B-4-4 |
GTEMセルを用いたLED電球の放射妨害波測定
○張間勝茂(NICT) |
B-4-5 |
ナノ結晶合金コアの寄生容量を考慮したトロイダルコイルのインピーダンス推定に関する検討
須賀良介・◎桑島遼輝(青学大)・長谷川光平・常盤 豪(東芝)・上野伴希・橋本 修(青学大) |
電源層にマイクロストリップライン,グラウンド層にコプレーナ線路を有する電源-グラウンドプレーンの構造を検討する.
マイクロストリップラインに高周波信号が流れる際,電源プレーンに誘導電流が発生する.この電源プレーンは,コプレーナ線路のグラウンドの一部であり,
コプレーナ線路のリターンパスに誘導電流が流れることで,電源プレーンを介してマイクロストリップラインとコプレーナ線路が結合する.
本発表では,この電源プレーンの有無がマイクロストリップラインに与える影響について検討する.
電子回路の高密度実装化に伴い,プリント回路基板の多層化が進み,各層間を結ぶビアが多数使用される場合がある.多数のビアとクリアランス・ホールが存在することで.グラウンドスロットが形成される可能性がある.このようなグラウンドスロットは線路の伝搬特性に影響を与える原因となる.本報告では伝送線路法(TL法)を用いてマイクロストリップ線路基板のグラウンド部分に2つのスロットが存在する場合の伝搬特性に対する影響を解析することを目的とする.
LED照明から発生する電磁ノイズが通信系へ影響を与えることで問題となっている.これまで,複数のLED照明から発生する電流ノイズの増加量について検討してきた.しかし,実用環境下におけるノイズ放射について検討が行われていない.本報告では,実用環境下での配線を想定して,電源線の配線パターンが異なる照明ユニットモデルを構築し,電源線を流れる電流ノイズについて検討した.複数のLED電球を接続した配線モデルにおいて,配線を分岐させると配線の長さ毎に共振ピークが発生し,配線パターンが多いほど広帯域でノイズが増加する.一方,スイッチを延長したモデルでは,ノイズの低減効果が確認出来た.
照明機器に対する放射妨害波測定は,CISPR15規格に基づきオープンテストサイトあるいは電波暗室で行われている.最近,測定周波数の上限が1GHzに拡張された.一方,妨害波測定の代替(または独立)法としてGTEMセルなどのTEM導波管やリバーブレーションチャンバー法が良く知られている.LED電球の放射妨害波をGTEMセルを用いて推定し電波暗室による結果と比較した.
近年のスイッチング素子の高速動作化に伴って,高周波帯電磁ノイズの顕在化が懸念される.
ノイズ抑制フィルタに用いるコア付きコイルのインピーダンスは、コアの材料定数などにより大きく変化するためフィルタの帯域設計に支障がある.
これまでにコイルの動作周波数帯域やインピーダンスの予測について報告されている.
本稿では1ターンコイルの実測値から任意巻数のインピーダンスを推定できることを示す.
休 憩(11:00 再開) 座長 春日貴志(長野高専)
B-4-6 |
AM放送周波数帯におけるハイブリットEMIフィルターの設計
◎夏 徳君・萓野良樹・上 芳夫・肖 鳳超(電通大) |
B-4-7 |
寄生成分を活用した極のある電源用EMIフィルタの提案
◎板垣裕太・肖 鳳超・上 芳夫・萓野良樹(電通大) |
B-4-8 |
デカップリングコンデンサのフィルタ性能改善検討
○中本藤之・佐々木雄一(三菱電機) |
B-4-9 |
ESLキャンセル回路間の磁気結合による小型化
◎大塚喬太・廣瀬健二・佐々木雄一(三菱電機) |
B-4-10 |
GaNパワー半導体を適用したパワーエレクトロニクスシステムの伝導エミッションの対策手法検討
○高辻寛之(村田製作所)・佐々木 守・大河内李之・山本真義・今岡 淳(名大) |
近年、ハイプリッドカー(HEV)や電気自動車(EV)などの電動自動車の商品化が加速になり、電動車両にスイッチング電源が多く使用され、スイッチング電源からのノイズはAM放送に悪影響を及ぶす恐れがあり、AM放送周波帯域におけるEMIフィルターの研究を行う必要がある。
本文ではパッシプフィルターとアクティブフィルターに合わせて、シミュレーションと実測に基づいて500 kHz~1.6 MHzの周波数帯の伝導ノイズを抑制するハイブリットフィルターを提案する。本研究は、アクティブインピーダンスマルチプリケィション法を用いてパッシブフィルターのインピーダンスを増大させ、ノイズ低減効果の向上を図る。
スイッチング電源による非常に高ピークを持つDMノイズを抑制するため、EMIフィルタの回路においてフィルタ上のキャパシタのリード線によって発生するESLを活用し、リード線長を調整することで極をスイッチング周波数に合わせ、高い挿入損失を得ることがこの研究の目的である。ESLを活用できれば、より少ない部品数でEMIフィルタを構築することができ、製造コストの削減や小型化が期待できる。本研究ではまず、電磁界理論に基づきリード線によるESLの理論値を計算し測定値と比較する。次に、キャパシタのリード線長を調整して要求性能を満たすようにフィルタを設計し、挿入損失を理論的に評価する。
ノイズフィルタとしてデカップリングコンデンサを用いる場合,シャント経路のESL (Equivalent Series Inductance,等価直列インダクタンス)により,高周波領域ではフィルタ性能が低下する問題がある.この問題に対し,ループを形成せず,平行に近接させた2本の電源パターン間の電磁結合による相互インダクタンスを利用し,フィルタ性能の改善方法を検討した.0.1 μFのチップコンデンサを用いる場合について試作評価した結果,提案構造によりコンデンサのシャント経路が有する約1.3 nHのESLを打ち消し,高域側での性能劣化を最大約25dB改善する結果が得られた.本構造は,ループを形成しないため,従来構造と比較して,小型化できる可能性がある.
電源線のノイズ対策で使用されるコンデンサの広帯域化を目的として、寄生インダクタンス(ESL)の打ち消しが可能なESLキャンセル回路に関する開発を行ってきた。従来の課題として、適用先の機器によっては回路面積が大きくなることが挙げられる。本報告では、電源の相ごとのESL キャンセル回路同士を磁気結合させることで小型化可能な構造を提案する。電磁界解析を用いて、回路面積の削減効果を検討した。高周波特性は悪化するものの、回路面積は従来の26.3 %と大幅に小型化可能であることを示した。今後は提案構造における寄生容量の影響を検討する。
GaNパワー半導体の主な特徴は, 飽和電子速度が大きいためスイッチング速度の高速化によるスイッチングロス低減が図られ, 高効率・高周波化・小型化への恩恵が挙げられる. 一方, シリコンパワー半導体からGaNに置き換わることで新たなノイズ問題が発生する可能性もある. 本報告では, SiとGaNを適用したパワーエレクトロニクスシステムの伝導エミッションのノイズ相対解析, およびGaN適用システムの伝導エミッションの対策手法について述べる.
3月17日 13:30〜17:30 工学部 講義棟1F 102講義室 座長 栗原 弘(TDK)
B-4-11 |
メタマテリアル電波吸収体の比誘電率・比透磁率評価
◎岡田啓汰・山本真一郎・相河 聡・畠山賢一(兵庫県立大)・笠置映寛(山口東理大) |
B-4-12 |
低コストFSSを用いた広帯域CA電波吸収体
◎古谷航一・小林 剛・福井範行・宮崎千春(三菱電機) |
B-4-13 |
電磁波曝露されたDCファンで発生する高次IMに対する薄型吸収体による抑制効果
◎安藤佑悟・久我宣裕(横浜国大) |
B-4-14 |
広帯域電波暗箱の寸法に関する検討
○佐藤智紀・遠山勝久・小林一彦・三枝健二(日大) |
B-4-15 |
Characteristics of Organic Electromagnetic Wave Absorbers Using Rice Husk and Charcoal Composite
○Erik Madyo Putro・Satoshi Yagitani・Mitsunori Ozaki・Tomohiko Imachi・Yoshio Ikehata(Kanazawa Univ.)・Yoshiyuki Yoshimura・Hirokazu Sugiura(Industrial Research Institute of Ishikawa) |
近年,スマートフォンに代表されるような電磁波を利用した電子機器が普及している.その一方で,不要電磁波による他の機器への電磁干渉が問題視されており,その対策として電波吸収体が種々の箇所で利用されている.本研究では,筆者らが従来から設計しているメタマテリアル電波吸収体の比誘電率,比透磁率特性を実験的に評価した.
軽量かつ安価な広帯域電波吸収体として,CA(Circuit analog)電波吸収体が注目されている.本検討では,基板上に実装する抵抗素子数を削減し,製造コストを低減する手法を検討した.提案構造は,非対称構造を有するFSS(Frequency selective surface)からなり,抵抗素子数を従来の4分の1以下に削減することができる.
電磁波曝露下の電子装置から発生する不要IMノイズが問題となっており,その発生源特定やノイズ抑制が必要となっている.これまでに筆者らは電子装置の一例としてDCファンを扱い,稼働時のバイアス条件を考慮した上で,電磁波曝露下に対して電波吸収体をDCファンに装荷することで,その3次IMの抑制効果を得た.本稿では,5次IM,7次IMの抑制について検討している.5次IM,7次IMについてもIM抑制効果を得ることができた.また回路の状態によっては吸収体装荷により,発生したIMだけでなく回路に印加される電力も減衰される場合があることが確認された.
現在,5G通信周波数範囲は,4G通信の主な周波数範囲(700~3.5GHz)に加え,7.125GHzまでの拡張と更にミリ波帯(28.25~52.60GHz)の領域までの3GPPで規格化されており,非常に広帯域な周波数が使用される.そのため本研究では,小形であっても広帯域にわたって特性が良好な電波暗箱の設計を目的としている.本稿では,電波暗箱の形状を変更し,電波暗箱内の特性について検討を行う.その結果,z軸寸法の増大につれてQZの領域が増加することを確認した.しかし,寸法の拡大は小形化の目的には反してしるため,今後は,より小形で最適な寸法の検討を進める
These electromagnetic wave absorbers combine rice husks and charcoal by using adhesives in a composite. The main adhesives are PVA and UPR. Wax is used as an addition to the adhesive. Seven RC composites for each adhesive are made with different weight ratios of charcoal as 20wt%, 27wt%, 33wt%, 38wt%, 42wt%, 46wt%, and 50wt%, with 30 cm square and 1 cm thick through the process of cold pressure and heat pressure. We aim to determine the effect of the composition between RC and compare the effect of PVA and UPR as RC composite adhesives in absorbing electromagnetic waves.
休 憩(15:00 再開) 座長 室賀 翔(秋田大)
B-4-16 |
FDTD法を用いた空間フィルタ-の透過特性評価
◎河野脩司・山本真一郎・相河 聡・畠山賢一(兵庫県立大) |
B-4-17 |
相反性を用いた反射箱による放射妨害波測定法の基礎的検討
○緑 雅貴・根建寛之・栗原 弘(TDK)・峯松育弥(KEC)・青柳貴洋(東工大) |
B-4-18 |
反射箱における金属製試験机上の電界強度の測定
◎根建寛之・緑 雅貴・栗原 弘(TDK)・峯松育弥(KEC)・青柳貴洋(東工大) |
B-4-19 |
反射箱に設置されたスイッチ型攪拌機の設置角度が電磁界に与える影響
濱本将太郎・◎小杉 舜・須賀良介(青学大)・滝沢幸治(TDK)・橋本 修(青学大) |
近年,情報通信技術の発達により,スマ-トフォン,ETCなどの電磁波を利用した機器が普及している.さらに,自動車衝突防止レ-ダ-に代表されるように使用周波数帯もミリ波帯まで移行してきている.また,様々な周波数の電磁波が混在しているため,使用用途に応じて特定の周波数を選択する必要性が求められている.
本研究では,周期的に円形穴のあいた金属板と誘電体を組み合わせた構造の空間フィルタ-を設計した.この構造が透過制御材として機能することを,FDTD解析と実験より確認した.
反射箱は、金属箱内部に設置した攪拌機により壁面の境界条件を変化させ、統計的に均一な電界分布を発生させる装置であり、放射妨害波測定に使用される.本検討では、反射箱内部の電磁界の相反性を利用し、適合性試験時の送信アンテナを放射妨害波測定時の受信アンテナとして利用する測定方法を提案する.
反射箱は、金属箱内部に設置した撹拌機により統計的に均一な電界分布を発生させる装置であり、車載部品のEMS試験に使用される.車両の金属構造に外装を接地するDUTのEMS試験を行う場合、DUTの外装を金属製の試験机に接地し、試験が行われる.一方、電界強度の校正は、Working Volumeの面上で行われており、DUT及びハーネスにかかる電界強度とは異なる可能性がある.本検討では、Working Volume上の電界強度と試験机近傍の電界強度について複数点測定を行い、測定点に対する平均電界強度について比較検証を実施した.
電磁界攪拌機は反射箱内の電磁界を均一にするために使用されており,その小型化が要求されている.
これまでに著者らは,金属平板をスイッチで接続した電磁界攪拌機を設計し,
スイッチのON/OFF によりRadar Cross Section (RCS)が大きく変化する周波数において,
反射箱内電磁界が変化することを確認している.
本研究では,上記の周波数において反射箱に設置された攪拌機の設置角度が
スイッチのON/OFFによる電界強度の変化へ与える影響について検討した.
休 憩(16:15 再開) 座長 戸花照雄(秋田県立大)
B-4-20 |
非磁性金属を被覆した不織布を配置したMSLの高周波伝導ノイズ抑制効果
○室賀 翔・竹谷洋平・田中元志(秋田大)・岡村知恵・日下部純一(旭化成)・加藤一史(無所属) |
B-4-21 |
平行2導体MSL上に配置したCo-Zr-Nb膜で生じるFMR損失の推定
◎三上貴大・室賀 翔・田中元志(秋田大) |
B-4-22 |
磁気シェイキング磁界周波数に対するシールド特性
◎松田篤史・柳川太成・栗原 弘(TDK)・笹田一郎(笹田磁気計測研究所)・西方敦博(東工大) |
B-4-23 |
磁気シェイキング下における漏洩磁界の抑圧に関する一検討
○栗原 弘・柳川太成・松田篤史(TDK)・笹田一郎(笹田磁気計測研究所)・西方敦博(東工大) |
B-4-24 |
勾配磁界センサによる異物検出評価の基礎検討
◎長久保洋介・松田篤史・栗原 弘(TDK)・笹田一郎(笹田磁気計測研究所) |
プリント基板などで生じる予期せぬ電磁ノイズ対策として用いられる電磁ノイズ抑制体(NSS)の一つとして,非磁性金属を被覆した不織布を用いたNSSが提案されている。これまで,FR-4基板で作製した長さ100 mmのマイクロストリップ線路(MSL)上にNSSを配置し,0.4–1.5 GHzの伝導ノイズ吸収性能が,連続導体より高くなることを実験的に示した。しかし,波長共振の影響,MSL自体の損失が大きく,機構解析や高周波数帯域の測定が行われていない。そこで,測定系を改善して高周波帯(30 GHzまで)の伝導ノイズ抑制効果を測定し,その機構を検討した。その結果,MSL上に配置した際に生じる損失は,NSS内に流れる渦電流損失が支配的であることが示唆された。
機器内の電磁ノイズ対策に,磁性体の強磁性共鳴(FMR)損失を利用したノイズ抑制シート(NSS)が普及している。しかし,機器への実装における明確な設計指針が確立されていない。筆者らは,1本の伝送線路断面における磁気回路解析を用いた設計法を提案し,磁性膜を配置した伝送線路の等価回路を推定した。しかし,差動配線等の複数導体線路への適用は検討されていない。本研究では,Co-Zr-Nb膜を配置した平行2導体マイクロストリップ線路(MSL)の片方の線路に信号を印加した場合に,膜内で生じるFMR損失を磁気回路から推定した。その結果,渦電流損の影響が小さい周波数帯で実験値と概ね一致し,平行2導体MSL上の磁性膜で生じるFMR損失を推定可能であることを示した。
Co系アモルファス磁性薄帯に磁気シェイキングを施すことにより増分透磁率が飛躍的に増大し、低周波磁界のシールドに適用すると大きなシールド効果が得られることが報告されている.本検討では、Co系アモルファス磁性薄帯に磁気シェイキングを施した条件で、シールドすべき磁界の周波数または磁気シェイキング周波数を変化させた場合の磁気シールド特性について実験的に検討した.
Co 系アモルファス磁性箔帯に磁気シェイキングを施すことにより増分透磁率が飛躍的に増大し、大きなシールド効
果が得られることが報告されている.しかし、磁気シェイキング周波数に起因した漏洩磁界が生じるため、その抑圧が必要となる.本検討では、渦電流による漏洩磁界の抑圧を目的に、アルミニウム管を最内層に配置した抑圧効果を実験的に把握した.
これまでに報告されている磁気センサによる磁性異物検出は、粒径Φ50μm程度の着磁された鋼球を検出可能としている.実際の検査工程では、検査対象物に混入する磁性異物には多種多様な材料が含まれる可能性があり、粒径問わずに着磁による磁性異物の磁気モーメントが重要になると考える.本検討では、磁性異物としてFeとSUS304の粒径の異なる模擬サンプルを用いて、それぞれの磁気モーメントと粒径に着目し、勾配磁界センサによる検出評価を検討した.
3月18日 9:45〜11:45 工学部 講義棟1F 102講義室 座長 村野公俊(東海大)
B-4-25 |
平衡線路と非平衡線路の接続によるノーマルモード・コモンモードカップリングの時間領域解析
◎神野崇馬・木虎秀二・土岐 博・阿部真之(阪大) |
B-4-26 |
時間遅延を考慮したコモンモード電流の数値計算
◎木虎秀二・神野崇馬・土岐 博・阿部真之(阪大) |
B-4-27 |
伝送線路の一次・二次定数の実験的算出法
◎山極大葵・萓野良樹・上 芳夫・肖 鳳超(電通大) |
B-4-28 |
電圧源や電流源が存在している多ポートの回路網の等価電源表現
○萓野良樹・上 芳夫・肖 鳳超(電通大) |
我々の研究グループでは、これまでにマクスウェル方程式とオームの法則、連続の式から導出した電位と電流に関する電信方程式と集中定数回路を組み合わせた時間領域における数値計算手法を考案し、3本線回路と集中定数回路の境界におけるノーマルモード(NM)とコモンモード(CM)のカップリング係数を導出した。さらに数値計算手法を3次元へと拡張した。今回、これまでに実現した数値計算手法を組み合わせて、平衡線路と非平衡線路の接続箇所で生じるNMとCMのカップリング現象を時間領域で観察し、Time Domain Reflectometry(TDR)測定を用いた実験結果と比較した。その結果、接続箇所で生じるNMとCMのカップリング現象を時間領域で定量化することを実現した。
伝送線路に流れるコモンモード電流は, 電磁波放射の主要な原因となり得るが, 通常の電信方程式を基にした分布定数回路理論では, 線路の断面における電流の総和をゼロとするため, 2導体線路におけるコモンモード電流を扱うことができないという問題がある. また回路に印加したノーマルモード電流が, どこでどの程度コモンモード電流に変換され, 放射ノイズとなるか, といった電磁ノイズ発生のメカニズムを解明するためには, 時間領域における解析が必要となる. そこでコモンモード電流とその放射への寄与解明するため, 時間遅延を考慮した多導体同軸線路の数値計算手法を開発した. 本報告では, 2導体同軸線路を中心に報告する.
電磁放射の抑制には電磁シールドが広く利用されており,機器の小型・軽量化のためには今後より薄いシールドが線路近傍に実装される可能性がある.しかしながら,薄い導体シールドが線路近傍に実装された伝送線路は周波数分散を持つため,その詳細な検討が必要である.実験的に伝送線路の一次・二次定数を算出することができれば,分散特性を考慮したRLGC等価回路による定量的な評価が可能となり,信号品質の改善や周波数分散が伝送特性や時間応答に与える影響の解明が期待できる.本報告では,伝送線路の一次・二次定数を実験的に求める手法について検討した.本手法を適用することで,線路長の1/2波長以下の周波数帯域で,線路の一次・二次定数が実験的に算出可能である.
差動伝送線路のSI, EMI問題を解決するために,問題を明確にするための単純化したモデルから基本現象を明らかにし,その現象を定量的に予測,説明可能な物理ベース等価回路モデルの開発を進めており,これまでに差動伝送線路を等価電源回路と等価負荷回路で表現することにより伝送線路上の任意の点の電圧・電流を理論的に解析する手法を提案している.本稿では電圧源や電流源が存在している多ポートの回路網の等価電源表現について述べる.
休 憩(11:00 再開) 座長 肖 鳳超(電通大)
B-4-29 |
メタリック回線終端条件の非接触検出法に関する基礎検討
◎長尾 篤・会田慎一・平澤徳仁・伊藤秀紀・西脇 博・小林隆一(NTT東日本) |
B-4-30 |
給電系インピーダンス比により発生する迷走電流の最大値に関する検討
○マハムド ファーハン・浅沼 洋・金井猛志・平澤徳仁・伊藤秀紀・西脇 博・小林隆一(NTT東日本) |
B-4-31 |
多線条線路理論を用いた近傍界ノイズ抑制素子装荷差動伝送線路の伝送特性解析
○村野公俊・伊與部雅矩・鶴見直矢・渡部航雅・佐藤 圭(東海大)・上 芳夫(電通大)・小塚洋司(東海大) |
光回線の普及に伴い、不要となったメタリック引込線が多く存在しており、効率的な引込線の撤去が必要である。本稿では、電流プローブにて引込線にコモンモード電流を印加し、電流と接続端子かん接続部の電圧を測定し、利用状況を判定する計算、実験検討を行った。
検討の結果、アクセス区間のインピーダンス変化に伴い、電流、電圧が変化することを確認したことから、提案手法により接続端子かんにおけるコモンモードインピーダンスの違いを判別可能であると考えられる。
通信センタビルでは、異なる整流器から給電された通信装置間を通信線により接続することで、給電線の配線長等の違いにより迷走電流が発生することが知られている[1]。しかし、迷走電流の発生レベルの最大値や、通信信号への影響等について、明らかとなっていない部分もある。そこで本稿では、給電線のインピーダンスに着目し、迷走電流および通信線に誘起される電圧の発生レベルの最大値について理論検討し、その妥当性を実験および回路解析により検証した結果について報告する。
伝送線路を伝搬する電磁ノイズを周波数選択的に抑制する手法として,近傍界ノイズ抑制素子(NSD)が提案されている.本稿では,NSDを装荷した差動伝送線路の電磁ノイズ抑制効果について,多線条線路理論を用いた解析手法ならびに解析結果を明らかにしている.
3月19日 13:30〜17:15 工学部 講義棟1F 102講義室 座長 藤井勝巳(NICT)
B-4-32 |
メタサーフェス電波吸収体による電界ベクトル計測手法の検討
○坂野敦哉・瀬川浩史・坪田卓也・清水健介・西 真詞郎・八木谷 聡・井町智彦・尾崎光紀(金沢大) |
B-4-33 |
Wavelet信号解析を用いた自動車用HVシステムベンチの環境雑音除去手法
○渕上翔太・森 晃(トヨタ)・依田達夫(キーサイト・テクノロジー) |
B-4-34 |
インパルス性磁気雑音源の位置同時推定における雑音源数の推定可能性について
◎富塚ゆみ子・西方敦博(東工大) |
B-4-35 |
電波環境におけるVHF帯ノイズと湿度の関係の基礎調査
○増長 遥・小林 真・新 浩一・西 正博(広島市立大) |
B-4-36 |
パワー半導体インバータ回路における放射ノイズの広帯域評価
◎小松美早紀・渡邊 航・青井 舞・田中 聡・三浦典之・永田 真(神戸大) |
電子機器の普及に伴い不要電磁波ノイズによるEMC問題が深刻となっている.その対処には電磁波分布を計測・可視化し不要電磁波源を特定することが有効となる.当研究室では,入射電波の電界2成分の2次元空間分布を計測・可視化するセンサ を開発し,それをもとに電磁波源の探査を行っている.本研究では,新たに電界ベクトル(直交3成分)の2次元空間分布を計測できるセンサ構造を検討する.従来の電界2成分検出型メタサーフェス電波吸収体にz方向成分計測機能を追加し,シミュレーションの結果から入射角が小さいところでは理論値と一致していた.しかし,入射角度が大きくなるにつれ理論値とずれが生じるため,今後その対策を検討していく必要がある.
車両の電動化に伴い、動力系に用いられるインバータ・モータに起因する低周波ノイズ(~400kHz)が問題となっている。この低周波ノイズは、電波障害や人体ばく露の要因となるため、車両で性能開発をしている。低周波ノイズ性能を満たさない車両は、設計や評価のやり直しにより、開発の遅延をもたらすため、早期に低周波ノイズ性能を確立することが求められる。そのためには、インバータ・モータが車両に搭載される前に、HV車用システムベンチ(以降:ベンチ)で本性能を把握することが必要になる。しかし、一般的なベンチは機能評価用であり、電源や負荷設備等に起因する環境雑音によって低周波ノイズが検出できない懸念がある。従って、本発表では、ベンチで測定した低周波ノイズと環境雑音の双方が含まれる合成波形にWavelet信号解析手法を適用することで、低周波ノイズ波形を抽出する手法を検討した。
複数のインパルス性磁気雑音源の位置を推定する手法において,雑音源の数を情報量規準から推定する方法を検討した.ノイズ波源としては垂直磁気ダイポールを仮定し,回転台と2つのループアンテナで雑音波形を同時記録し,ピークの電圧比をとることで位置推定を行う.その際用いる対数尤度関数について,これまでは雑音源の数kを既知としていた.しかし実用上はkは未知と考えられる.本報告では,対数尤度関数内に含まれる雑音源の数kを変化させ,kに対して計算した情報量規準AICおよびBICの変化の様子から,雑音源数の推定が可能である見通しを得た.
VHF帯周波数は災害時に情報伝達手段の一つとして利用されることから,電波環境の把握が重要である.
我々の研究室では地域の電波環境を観測するためFMチューナーを用いてVHF帯の周波数を測定してきた.
大気ダクトの発生に伴う異常伝搬であるダクト伝搬や,
スポラディックE層の発生に伴う異常伝搬の評価を行ってきた.
今まで湿度のような気象現象が電波環境に影響を与えるか定量的に評価されてこなかった.
本研究ではVHF帯ノイズと湿度の関係を調査した.
これまでに次世代半導体素子を用いた無線電力伝送(WPT)装置からの不要電波がLTEなどの移動通信と干渉することが報告されている。本研究では、この不要電波の発生原理を調査するため、GaN素子を用いたインバータ回路を搭載した評価用基板を用意し、放射ノイズ特性を移動通信に使用されるSub-6 GHz帯域において評価した。その結果、1.5 GHz以下の帯域では、GaN素子の駆動周波数(100 kHz)に依存した不要電波が確認できた。1.5 GHz以上の帯域においても不要電波が観測されたが、GaN素子の駆動周波数に依るものではなく、ゲート駆動回路内の論理回路から生じる不要電波である可能性を見出した。
休 憩(15:00 再開) 座長 須賀良介(青学大)
B-4-37 |
非接触電圧・電流プローブの周波数特性に関する検討
○小林隆一・マハムド ファーハン・長尾 篤・平澤徳仁・伊藤秀紀(NTT東日本) |
B-4-38 |
近接放射イミュニティ試験用TEMホーンアンテナのインパルス波励振による応答特性
川上 源・○川又 憲・石上 忍(東北学院大)・石田武志(ノイズ研究所)・張間勝茂・後藤 薫(NICT) |
B-4-39 |
バイコニカルアンテナを用いたNSA法の補正係数
○藤井勝巳・佐藤洋平・酒井孝次郎・山中幸雄(NICT) |
B-4-40 |
3アンテナ法による標準ループアンテナの校正における不確かさの改善
○石居正典(産総研) |
B-4-41 |
9 kHz減衰量標準の開発
○Anton Widarta(産総研) |
ケーブルに発生するコモンモード伝導妨害波によるEMC問題解決のためには,その電圧,電流の測定が必要であり,これまで伝導妨害波の電圧・電流を非接触で同時に測定するプローブについて検討を行ってきた。本報告では,プローブの最適設計方法の確立を目的として,その周波数特性の計算方法について検討を行った結果について述べている。その結果、簡易な等価回路を用いることにより、プローブのカットオフ周波数を計算可能であることがわかった。
指数関数テーパーTEMホーンを用いて,インパルス性電磁妨害波による近接イミュニティ試験を想定し,妨害波印加用放射器としてのインパルス応答について実験的な検討を行った。その結果,インパルス波励振によるホーン開口面の過渡磁界分布の均一性は,Y軸上の約±8cmの範囲で-6dB以内を示し,また。この領域における位相遅れは約20ps程度以下に留まった。さらに振幅特性ならびに位相特性の上下導体間の対称性は良好であることを確認した。
国際無線障害特別委員会(CISPR)は,30~1000 MHzの放射妨害波測定に用いる電波暗室やオープンサイトの特性を検証する方法の一つとして,正規化サイトアッテネーション法(NSA法)を定めている.本稿では,バイコニカルアンテナを用いたNSA法のために提案されている補正係数について,検討を行った.
産業技術総合研究所の計量標準総合センターでは,ループアンテナの国家標準の整備を行っている.しかし,3アンテナ法による校正手法の研究開発と整備を開始して以来,既に15年以上が経過しており,この間に30 MHz以下の周波数帯域におけるの電磁波の利用が拡大している.また最近では,妨害波測定に使用されるループアンテナの磁界アンテナ係数の要求不確かさも明確になり,さらに近年は測定器等の性能も向上している.本報告では,改めて不確かさの再検討を行い,その結果,大幅な不確かさの改善が見られたので報告をする.
高周波減衰量は高周波回路の基本量の1つとして重要であり、高周波電力計測やアンテナ計測等をはじめ、多くの高周波・マイクロ波計測及び校正技術において利用されている。産総研ではこれまでに10 MHzから40 GHzまでの高周波減衰量標準を確立して供給を行っている。一方、周波数範囲が数kHzから扱うEMC・EMI分野の最近の規格では,各量の計測に対するトレーサビリティも要求されるようになるので、これに対応する標準も確立される必要がある。本稿は周波数9 kHzの高周波減衰量標準の開発について述べる。
休 憩(16:30 再開) 座長 石居正典(産総研)
B-4-42 |
バス型ネットワークのケーブル長推定方法に関する検討
◎岡南佑紀・大和田 哲(三菱電機) |
B-4-43 |
複数のLED照明を設置したライティングダクトレールから発生する電磁雑音の波形評価に関する基礎的検討
◎吉田侑介・呉 奕鋒・後藤 薫・松本 泰(NICT)・須賀良介・橋本 修(青学大) |
B-4-44 |
デバイス装着型電磁ノイズ測定への対地容量測定手法の適用性評価
◎荒井稔登・岡本 健・加藤 潤(NTT) |
ケーブルの物理形状の把握が目視で困難な場合において、その長さや特性インピーダンスを測定することができる技術としてTDR(Time Domain Reflectometry)が挙げられる。しかし測定対象物が多点接続からなるバス型ネットワークのケーブルの場合、各ノードの周波数特性によってはケーブル長の検知精度が低下する恐れがある。本稿では回路シミュレーションにより、各ノードが容量性のインピーダンスをもつ場合について、TDRによりケーブル長を推定する方法を検討したので報告する。
省エネルギー家電の普及に伴って,LED照明の使用も空間的密度を増している一方で,LED照明のスイッチング電源から放射される電磁雑音が周囲の通信・放送へ電磁干渉を与えることが懸念されている.本稿では,複数のLED照明により発生する電磁雑音の基本的特性を把握するため,LED照明を装着したライティングダクトレール(以下ダクトレール)からの磁界測定によるコモンモード電流雑音波形の特性評価を行う.
電気電子機器から発生する電磁ノイズは,電力線や通信線を経由して通信装置に侵入し,通信断などの通信障害を引き起こすことがある.障害原因の切り分けのため,オシロスコープなどの測定器を用いて電磁ノイズの電圧や電流の測定が行われるが,大型の測定器を用いた測定は作業者にとって負担となる作業である.そこで本報告では,作業者が簡易的に電磁ノイズを測定可能なウェアラブルデバイスを用いた測定手法を提案する.さらに,提案手法への既存の対地容量の見積もり手法の適用性について,実験的に得られた知見について報告する.
3月20日 9:30〜12:00 工学部 講義棟1F 102講義室 座長 松嶋 徹(九工大)
B-4-45 |
マイクロウェーブ展会場における不要電波の評価
○宮澤安範(東北大)・田中 聡(神戸大)・山口正洋(東北大)・椙本祥史・渡邊 航・永田 真(神戸大)・沖米田恭之(昭和飛行機工業) |
B-4-46 |
RC造壁面の2.45GHz電波透過度測定および金属パッチアレーを用いた透過特性改善
◎中條鷹信・西方敦博(東工大)・伊藤耕大・白戸裕史・北 直樹(NTT) |
B-4-47 |
遺伝的アルゴリズムを用いた電波散乱壁の設計
○村上靖宜・チャカロタイ ジェドヴィスノプ・藤井勝巳(NICT) |
B-4-48 |
FMCWレーダにおける電磁ノイズ起因の誤検出に対する受信信号比較結果を用いた改善手法
○橘川雄亮・堀口嵩浩・福井範行・宮崎千春(三菱電機) |
電波暗室と異なり実使用に近い環境として、Microwave Workshops & Exhibition (MWE 2018)会場において、無線電力伝送(以下WPT)用7 kW級インバータ機器を動作させ、インバータ機器からの不要電波がLTE受信周波数帯に干渉することを公開実験にて示した。本論文では、その結果と、会場全体の不要電波を観測した結果を報告する。
RC造壁面の電波透過特性を調べることは無線通信環境および電磁環境の両面での基礎データとなり重要である。初めに2.45GHzにおけるRC造壁面での電波透過係数の測定実験を行った。
次に建築図面を基に詳細な壁面モデルを作成しFEMによる数値シュミレーションを行い、透過係数の実験値とFEMによる計算値の比較を行ったところ類似した結果を得た。
また、計算において入射側空間に定在波が立ったためこれを解消するような金属パッチアレーを設計した。金属パッチアレーの設置により透過係数は0.2~0.3dB増加した。
この方法を壁の両面に用いての計算と実験が今後の課題である。
次世代高速大容量通信(5G)では,28 GHz帯の電波が使用されることが決定している.この周波数帯では,直接波も反射波も届かない領域が生じ,通信品質が劣化する可能性が考えられる.これ対して著者らは,通常の金属平板とは異なる散乱特性を実現する電波散乱壁を提案してきた.電波散乱壁は厚さの異なる2つの金属平板を組み合わせて構成するが,最適構成を得るための試行回数が多いという問題があった.そこで,本研究では遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて効率的に電波散乱壁を設計する方法を提案し,GAの探索能力を評価する.
本発表では,FMCWにおける電磁ノイズ起因の誤検出対策として,レーダ信号送信時と停止時の受信信号を比較する手法を提案し,シミュレーション結果による有効性を示す.
休 憩(10:45 再開) 座長 チャカロタイ ジェドヴィスノプ(NICT)
B-4-49 |
車載Ethernetの信頼性評価に向けた100BASE-TXのパルス性妨害波に対するパケットエラーシミュレーション
◎石橋健太・松嶋 徹・福本幸弘(九工大)・後藤 薫(NICT) |
B-4-50 |
次世代の高速通信に向けた伝送方式における変成器を用いた時間領域解析
◎佐藤匠弥・松嶋 徹・福本幸弘(九工大) |
B-4-51 |
ICチップパッケージングにおけるノイズ抑制磁性材料の導入と評価
◎青井 舞・渡邊 航・小松美早紀・地家幸祐・田中 聡・三浦典之・永田 真(神戸大)・宮澤安範・山口正洋(東北大) |
B-4-52 |
微弱無線帯を用いた広帯域インプラント通信機の設計と実験的評価
山田亮祐・◎藤井雄基・王 建青・安在大祐(名工大) |
B-4-53 |
非接触ウェアラブル体表温測定に向けた初期検討
◎豊田 新・小野一善・石原隆子・登倉明雄・都甲浩芳(NTT) |
近年,自動運転技術等の発達により,車載通信の大容量化・高信頼化が求められており,特にその中でもEthernetが注目されている.現在,車内の電磁環境はより劣悪になっており,そのような環境下での車載通信品質を保証することは重要な課題となっている.本報告では著者の従来の実験結果を踏まえ,MATLAB 及びSimulinkによる100BASE-TXの信号波形に対してパルス性妨害波を印加した際のパケットエラーについてシミュレーションを構築した.その結果,実験結果とよく一致する結果が得られた.
現在、有線における信号伝送において対となる2線に逆相の電圧を印加して信号伝送を行う差動伝送方式が多く用いられているが、例えば4線ケーブルで差動伝送方式を用いる場合、4線を2対の信号線として使うため2チャンネルの信号しか送信できない。
これまで対称4線STPケーブルを対象に新たな伝送方式としてモード多重伝送方式の提案を行い、信号励振を変成器を用いて作成したモード分解回路を使った透過特性での評価を回路シミュレーションを使用し確認してきた。本報告では、時間領域で信号伝送を行うことができるか確認した。アイパターンで確認したところ変成器の挿入損失や反射損失により信号品質の劣化は起こるが、アイの開口は十分にあり、信号伝送が可能であることがわかった。
磁性膜をICチップとインターポーザ基板の間に実装し、3種類の磁性膜に対して不要電波の干渉抑制効果を評価した。ICチップから放射される不要電波を広帯域において磁界プローブで測定し、磁性膜の効果が確認できた2つの周波数帯域において帯域5 MHzの積分電力を狭帯域測定により評価した。また、無線通信システムシミュレータを用いてLTE受信感度の改善効果を測定した。磁性膜を実装していない基板とLTE受信感度を比較したところ、4.8 GHzにおいてはNiCuZnスピネルフェライトで約9 dB、Z型六方晶フェライトで約5 dB、Y型六方晶フェライトで約10 dBの効果が確認できた。また、Y型六方晶フェライトは800 MHz帯域においても約9 dBの干渉抑制効果がみられた。
近年,情報通信技術の発展に伴い人体情報の伝達やリモート制御を行うワイヤレスボディエリアネットワークの研究が盛んに進んでおり,医療・ヘルスケア分野への応用が期待されている.本研究では,人体深部まで20 Mbps の高速伝送を見据えた通信機の設計と評価を行った.また,拡散変調させた際の通信距離の検討も行った.
熱中症は一般的にWBGTと呼ばれる広域的な暑さ指数をもとに注意喚起が行われているが,発症には個人差や局所的な環境の影響が大きい.そこで, ウェア型のセンサを用いて体表温等の個人の生体情報をモニタリングすることで,個人の状態に合わせた熱中症対策としての暑さ予防を行うことが提案されている.これまで,正確に体表温を計測するために接触式センサで温度を測定する例が報告されているが,センサが皮膚に触れ続けると接触部に不快感が生じてしまう.そのため,非接触なウェアラブル温度センサが望まれている.本発表では快適かつ連続的に衣服の内側の体表温計測を行うためのデバイス構成の提案と初期検討について報告する.
3月20日 13:30〜17:30 工学部 講義棟1F 102講義室 座長 佐々木謙介(NICT)
B-4-54 |
FDTD法によるリバブレーションチャンバーにおける電界強度とラット全身平均SARとの定量関係
○伊藤涼太・王 建青・安在大祐(名工大) |
B-4-55 |
海水中と陸上での生体電気計測における電磁波ノイズの比較
○中里一茂・瀧澤由佳子(兵庫県立工技セ) |
B-4-56 |
スクリューホール付金属プレート空隙部のSAR推定
◎伊藤涼音・大塚敦生・日景 隆(北大)・長岡智明・和氣加奈子・渡辺聡一(NICT) |
B-4-57 |
5G Sub6周波数帯における植込み型心臓ペースメーカEMI推定を目的とした電気-光変換による干渉誘起電圧測定
伊藤涼音・○日景 隆(北大)・石岡諒汰・東山潤司・鈴木恭宜(NTTドコモ) |
B-4-58 |
6 GHz超の電波ばく露によるコンタクトレンズ装着時における眼球温度上昇特性
◎西川周吾(青学大)・渡辺聡一・和氣加奈子(NICT)・須賀良介・橋本 修(青学大) |
米国国家毒性プログラム(NTP)研究での電磁波ばく露の長期発がん性試験による発がん性リスクの結果に関して,その検証試験は2020年度から日本と韓国で実施される.本研究では,ばく露実験に使用されるリバブレーションチャンバー内の電界強度と被ばくラットの全身平均比吸収率(WBA-SAR: Whole Body Average Specific Absorption Rate)との定量関係を, FDTD (Finite Difference Time Domain) 法を用いて明らかにする.ラット数値モデルをFDTDシミュレーション上に配置し計算を行い,結果をもとに理想的なリバブレーションチャンバーの環境構築をし,その条件のもとでラットのWBA-SARを算出する.得られた結果を実験的に検証し,最終的にはNTP検証試験に用いる予定である.
生体電気計測(筋電図,心電図)は医療診断等に利用されている.この計測では生体内で発生する活動電位を皮膚表面に設置した生体電極で検出し,これを増幅して電気信号を得ている.しかし,増幅前の信号は微弱であるため,室内照明,電気配線,他の装置からのハムや高周波の電磁波ノイズの影響を受け,正確な信号を得るのは難しい.そこで,我々は海水の電磁波吸収減衰特性に着目し,海水中で計測することで電磁波ノイズが少ない生体電気信号が得られる生体電気計測手法を提案する.本研究では,海水中と陸上で筋電位を計測し,これらの結果から電磁波ノイズの大きさを比較して本手法の有用性について検討した内容を述べる.
金属を体内に埋め込んでいる場合,指針値以下のばく露でも局所的な比吸収率(SAR : Specific Absorption Rate)上昇の可能性が示唆されている.近年,様々な形状の医療用金属プレートが開発されており,これら器具等装着者に対する指針適用性の検討が重要となっている.これまでに,平行に埋め込まれた2枚の金属プレートの空隙部においてSAR が上昇する可能性があることを数値シミュレーションおよび物理ファントムを用いた温度測定などにより明らかにしている.本稿では,スクリュー固定のための複雑な構造を有する顔面骨折治療用埋込み金属プレートに起因するSAR上昇について,ばく露電波の周波数および偏波に対する特性評価を行う.
各種電波利用機器が植込み型心臓ペースメーカおよび植込み型除細動器(ICD)等の植込み型医療機器に及ぼす電磁干渉影響(EMI)についての調査・研究が進められており,それら結果に基づき影響防止のための指針が定められている.著者らの研究グループでは電気-光(EO)変換技術を用いた植込み型医療機器の干渉電圧測定系について検討してきている.本稿では,第5世代移動通信システム(5G) のSub 6における干渉誘起電圧測定系の構築を目的としてこれら周波数帯における基礎検討を行う.
我が国では,今年から5Gの本格的な実用化が見込まれている.5Gは現行のシステムよりも高周波数の電波が利用されることから高速なデータ通信が可能となる.また近年では,スマートフォンの普及していることから,モバイル端末を顔面前方で使用する機会がさらに増加すると想定される.その一方で,現在1700万人のコンタクトレンズ(CL)使用者がいると言われている.そこで本稿では,CL装着時の数値人体モデルの眼球に対する6 GHz超の電波ばく露による眼球温度上昇を評価した.その結果,高周波になるに従い,CLの有無による角膜の最大温度上昇の差が大きくなり,30 GHzにおいてCL装着時の方が角膜で44.3 %,水晶体で37.1 %高くなることを確認した.
休 憩(15:00 再開) 座長 安在大祐(名工大)
B-4-59 |
6種類の数値スマートフォンモデルを用いた人体内SAR評価
◎高坂千明・齊藤一幸・高橋応明(千葉大)・長岡智明・渡辺聡一・和氣加奈子(NICT) |
B-4-60 |
人体検出用簡易ファントム開発のための人体RCSの度数分布評価
○齊藤一幸・鈴木雅大(千葉大) |
B-4-61 |
動物及び細胞を対象とした85kHz帯超高度磁界ばく露装置の開発とそのドシメトリのための検討
◎金川宗嵩・Siriwat Wasoontarajaroen・石綿ひとみ・松原壱樹・鈴木敬久・和田圭二(首都大東京) |
B-4-62 |
図書館の電子商品監視(EAS)機器からの中間周波磁界ばく露 ― 異なる人体ばく露評価方法による結果の比較 ―
○幾代美和・江嵜かおる・相本篤子・鈴木敬久(首都大東京)・多氣昌生(NICT)・小島原典子(東京女子医大)・和氣加奈子(NICT)・山崎健一(電中研) |
B-4-63 |
図書館の電子商品監視(EAS)機器周辺磁界の3次元空間分布測定
○江嵜かおる・幾代美和・相本篤子(首都大東京)・多氣昌生・和氣加奈子(NICT)・小島原典子(東京女子医大)・山崎健一(電中研) |
近年,スマートフォンを始めとする情報通信端末が急速に普及しており,その生体影響についての詳細な評価が必要とされている.電磁波ばく露による熱的作用の指標には単位質量当たりの吸収電力を表すSAR(Rpecific Absorption Rate:比吸収率)が用いられる.しかし実人体によるSAR測定は倫理的に困難であるため,数値解析による評価が有効である.近年ではスマートフォン端末を詳細に再現した数値モデルによるSAR解析も行われてきているが,スマートフォンの種類や,スマートフォンを保持する位置や角度によるSARの変化に関する検討は少ない.本研究では,6種類の高精細数値スマートフォンモデルを作製し,それらが人体に相対する傾き角度を変化させてSAR解析を行った.
空間伝送型WPT(Wireless Power Transmission:無線電力伝送)には,ワイヤレスで比較的遠方まで電力伝送できるという特長がある.しかしながら,他の方式と比較して送電電力が小さく,効率が低いといったデメリットもあるため,送電経路上の人体を検出し,送電方向を変更するといった技術が必須である.この人体検出技術の開発には,ファントムの使用が不可欠である.ここで使用するファントムは,人体の形状や物性定数を精緻に模擬する必要はなく,単に,人体と同等のRCS(Radar Cross Section:レーダー反射断面積)をもつ物体であればよい.本研究では,人体と同等のRCSをもつ簡易形状ファントムを開発すべく,人体の上半身方向のあらゆる角度より平面波を入射した際のRCSを算出し,これらの結果を度数分布としてまとめた.そして,この度数分布をもとにして,簡易ファントムの形状を考察した.
近年,無線電力伝送(WPT)を用いた車両の充電の普及が進んでいる.また大型車両の充電には大容量の電力伝送を行うために高強度の磁界の利用が考えられる.人体防護のためのICNIRPのガイドラインでは非常に短い時間内(100μsまたはそれ以下)で測定評価され泣けばならないとしている.しかし実際のWPTシステムでの安全装置の起動及び停止は困難であり,技術的に1秒程度必要であると仮定すると,その間に高強度磁界ばく露の可能性が考えられる.そのため動物・細胞を対象としたばく露用コイルを開発した.本稿では新たな磁界ばく露用コイルを提案し,その磁界分布を計算した.またその分布とマウス・細胞の培養培地のモデルを用いてインピーダンス法で内部誘導電界の計算を行った.
電子商品監視(EAS)機器は,日常環境下で比較的強い中間周波帯磁界発生源の1つである.本研究は,図書館内EASゲートからの発生磁界において,国際標準規格IEC62369-1に準拠した評価と先行研究で行ったばく露評価の比較を行った.ばく露評価においてICNIRP(2010)ガイドライン基本制限との比較が望ましいが,簡単ではない.そこで参考レベルとの比較は人体内入射磁束密度最大値は過大評価となる為,平均を用いる.人体内入射磁束密度平均値の参考レベルに対する比率は34 % に対し,IEC62369-1の磁束密度空間平均は44 % と前者と近似しているが若干上回り,安全側であった.従ってEAS評価法としてIEC62369-1準拠した評価方法は簡易でかつ過大評価を軽減できる有効な手法と考えられる
電子商品監視(EAS)機器は比較的強い中間周波帯(WHOの定義では300Hz~10MHz)電磁界発生源の一つである。図書館のEASゲート磁界へのばく露は、ゲート内の検出エリアを通過する図書館利用者のばく露とゲート外側の周辺空間で長時間執務する図書館職員のばく露に分けて考えられる。本研究では、図書館職員を対象とした疫学調査を対象としたばく露評価を目的として、EASゲート周辺磁界の3次元空間分布を測定した。その結果、空間分布は、ゲートを中心にほぼ回転対称性を有し、高さによる大きな差は見られなかった。磁界分布の相対的表示は、多様な機種で汎用性があると考えられることから、図書館の職場環境におけるばく露評価に有用と思われる。
休 憩(16:30 再開) 座長 日景 隆(北大)
B-4-64 |
1~10 MHz電流知覚実験システムの開発
○上村佳嗣・大門賢周・木村駿愛(宇都宮大)・佐藤 健(八戸高専) |
B-4-65 |
車室内ケーブルの漏えい磁界からの人体防護評価
○松沢晋一郎・渡辺俊明・伯田祐輔(豊田中研) |
B-4-66 |
SARプローブ較正システムの不確かさにおける導波管内電界強度均一性及びプローブ直線性の評価
◎清水悠斗(NICT)・石井 望(NICT/新潟大)・長岡智明・和氣加奈子・渡辺聡一(NICT) |
B-4-67 |
脂肪組織電気定数の水分含有量依存型パラメトリックモデルに関する検討
○佐々木謙介・渡辺聡一・和氣加奈子(NICT) |
近年,無線電力伝送の普及が見込まれているが,接触電流による間接作用の安全性評価が問題となっている.ICNIRPの防護指針では接触電流の参考レベルは110 MHzまで決められているが,電流知覚閾値の実験的研究は高々3 MHzまでしか行われていない.
現在,1 MHz~10 MHzの電流知覚実験を計画しており,そのばく露装置の開発を行った.
実験システムの概要について,まず100 mAまでの電流ばく露の方法論と課題を述べ,次に高周波電流の測定方法について具体的に述べている.
さらにMHz帯において生じた問題点の解決策についても言及している.
自動車の電動化や自動車材料の軽量化が進む中,自動車から発生する電磁波の影響に関する検討が進んでいる[1].HV/EVではインバータで扱う大電流により,低周波磁界が発生するため,車室内の磁界強度を考慮した設計が必要となる.車室内のケーブルからの漏えい磁界からの人体防護についてシミュレーション結果を述べる.
筆者らは導波管を用いた無線通信端末の適合性評価用SAR(Specific Absorption Rate)プローブ較正の不確かさ評価をIEC(International Electrotechnical Commission)の規格文書に基づいて行ってきている.本稿ではこれまで継続的に実施してきたSARプローブの不確かさ評価結果から,評価方法が明確に定まっていない項目について新たな評価方法の導入を行い,不確かさを再評価した.
生体組織の電気定数(誘電率や導電率)は電波と人体との相互作業を理解する上で必須の基礎的な物理定数である.本研究では組織中の水分含有量(または脂質含有量)によって, 電気定数が大きく変動(最小値から最大値で数10 倍変動)することが報告されている脂肪組織の電気定数に着目する. 我々は脂肪組織の水分含有量に対応した電気定数を明らかにすることを目標とし, そのための検討として, 1~100GHz までの周波数を対象とし, 水分含有量をパラメータとして含む, 電気定数パラメトリックモデルの開発について検討した.
B-5. 無線通信システムA(移動通信)
3月17日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K313講義室 座長 大塚裕幸(工学院大)
B-5-1 |
端末移動性を用いたSC-FDE判定帰還型伝搬路推定の特性改善に関する一検討
◎中村敦也・新保薫子・齋藤周平・菅沼碩文・前原文明(早大) |
B-5-2 |
伝搬路状態に基づいてFFTサイズと信号抽出範囲を決定するオーバーラップSC-FDE伝送方式
○中島昭範・東中雅嗣・有賀 博(三菱電機) |
B-5-3 |
OFDM,V-OFDM及びCRV-OFDMの位相雑音環境下での性能評価
◎羽田野恭平・韓 承鎬(電通大) |
B-5-4 |
音響通信のためのDFT-Spread OFDMの特性
◎田島秀哉・久保博嗣(立命館大) |
B-5-5 |
音響通信のための多値QAMシングルキャリアブロック伝送方式
◎山本捷義・佐野隆貴・久保博嗣(立命館大) |
SC-FDEは,PAPRを低く抑えつつマルチパスフェージングを克服できることから,送信側を低コストに抑えたまま広帯域無線通信を実現できる.これまでに,我々は,SC-FDEの時間選択性フェージング対策として,LS (Least Squares) に基づく判定帰還型伝搬路推定 (DFCE) を適用するとともに,端末移動性に基づき伝搬路推定値の追従を図る方式を提案してきた.本稿では,DFCEについて,伝搬路のマルチパス長がブロック長よりも十分に短いことを利用して,周波数領域の受信信号と送信信号のレプリカ行列から一般化逆行列により伝搬路のインパルス応答を推定する方式の適用を図るとともに,端末移動性を変化させたときの有効性を計算機シミュレーションにより評価する.
近年,シングルキャリア(SC)伝送を対象としたオーバーラップ周波数領域等化(OFDE)方式では,FDE後の信号電力対干渉電力比(SIR)に基づいて信号抽出範囲を決定する適応OFDE(AOFDE)が提案されている.しかしながら,FDEにおいてFFTサイズに対応して,信号抽出範囲を決定するための演算量が増大する課題がある.そこで,本論文では,伝送路状態に基づいてFFTサイズを決定することで演算量を削減するオーバーラップFDE方式を提案する.
OFDMは複数のサブキャリアの信号が重なるため同 相で加算された場合にPAPRが大きくなってしまう等の欠点がある.このような欠点に対して,V-OFDM,CRV-OFDMがOFDMの欠点を改善することが示された.しかし,これらのシステムはマルチキャリア方式であるため,周波数変動に対して敏感であり,位相雑音によって出力信号の位相がランダムに変動する場合の性能を評価し,必要に応じて補正する必要がある.本稿では,OFDM,V-OFDM及びCRV-OFDMの位相雑音環境下での性能を比較し,各通信方式の位相雑音耐性の評価を行った.
近年,音響通信への関心が,水中,陸上を問わず高まっている.音響通信はRF (radio frequency) 帯と比較して,使用できる周波数帯域幅が狭い.また,伝搬速度を比較した場合,音速は光速に対して水中では約二十万分の一,陸上では約百万分の一となる.そのため,音響通信においては遅延時間広がりの増大が課題となる.本稿では,これらの課題を抑圧するため,DFT-S-OFDM (Discrete Fourier Transform-Spread Orthogonal Frequency Division Multiplexing) に周波数領域等化 (FDE) を適用する方式を検討する.
近年,海洋資源開発のための水中ロボットへの関心が高まっている.水中では,音響通信を用いるのが主流である.本稿では,水中ロボットの画像通信を想定した大容量伝送の実現をするために,音響通信用の無線通信方式として耐遅延波特性と大容量化が実現可能な多値QAM (quadrature amplitude modulation) シングルキャリアブロック伝送方式を検討する.
休 憩(11:00 再開) 座長 中島昭範(三菱電機)
B-5-6 |
4.5GHz 帯マルチキャリアHetNetにおけるピコ基地局の送信電力の最適化
○米山あゆみ(工学院大)・須山 聡(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-7 |
マルチキャリアHetNetにおけるUE配置のクラスターサイズに対する適応制御型CREの特性
◎藤澤研斗(工学院大)・須山 聡(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-8 |
マルチキャリアHetNetにおける28GHz帯ピコセルの3セクター化による改善効果
○剱持郁也(工学院大)・須山 聡(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-9 |
シングルキャリアHetNetにおける1024-QAMを用いた場合の適応制御型CREの効果
○瀬戸優太・藤澤研斗・宇多津裕貴(工学院大)・須山 聡(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-10 |
下り回線SIMO/MIMO切替え送信干渉キャンセラーの最適制御
◎谷口怜奈・藤井輝也(東工大) |
5G ではシステム容量の増大が求められており,4G に引き続 き,ヘテロジーニアスネットワーク (HetNet)の研究が盛んである.その中でも,より広い帯域幅の利用が可能な高周波数帯を用 いた HetNet の研究が注目されている.しかし,異なる無線周 波数,異なる帯域幅を用いた HetNet の特性評価はまだ十分に 行われていない. 本稿では,2 GHz 帯マクロセルと帯域幅 100 MHz を有する 4.5 GHz 帯ピコセルから成るマルチキャリア HetNet において, ピコ基地局の送信電力をパラメータとしてユーザスループットを求 め,その結果から最適なピコ基地局の送信電力を明らかにする.
システム容量の増大は5Gの目的の一つであり,その手段の一つとしてヘテロジーニアスネットワークHetNetがある.HetNetにおいて,筆者らは,各ユーザ端末UEに最適なパーソナルセルを形成する適応制御型Cell Range Expansion (CRE)を提案し,その特性評価を行ってきた.本稿では,2GHz帯マクロセルと3.4GHz帯ピコセルから成るマルチキャリアHetNetにおいて,ピコセル近傍にUEを配置するクラスターサイズに対する適応制御型CREのユーザスループット特性を明らかにする.
次世代の移動通信システムではシステム容量を増大するためにヘテロジーニアスネットワークHetNetの研究が盛んである.また,さらなる高速化を目的として広い帯域幅を利用出来る高周波帯の利用も注目されている.そこで我々は,2GHz帯マクロセルと28GHz帯ピコセルから成るマルチキャリアHetNetにおいて,ピコセルを3セクター化する方法を提案し,そのユーザスループット特性を評価してきた.本稿では,提案した28GHz帯3セクターピコセルと従来のオムニピコセルとのユーザスループットを比較することにより,28GHz帯3セクターピコセル方式の改善効果を示す.
システム容量を増大する技術の一つとしてヘテロジーニアスネットワークHetNetがある.HetNetにおいてはマクロセルからピコセルに負荷分散を促進するCRE技術が重要である.また,伝送速度の向上を目的として1024-QAM等の多値変調方式の適用の研究も加速している.筆者らは,マクロセルとピコセルを2GHz帯で運用するシングルキャリアHetNetにおいて,パーソナルセルを指向する適応制御型CREを提案し,その特性評価を行ってきた.これまでは,64-QAMを最高とするMCSを用いてその効果を明らかにしてきたが,本稿では1024-QAMを最高とするMCSを用いた場合の適応制御型CREのユーザスループット改善効果を明らかにする.
マクロセル内部に同一周波数を用いた複数スモールセルを設置したHetNet 構成は、周波数利用効率を向上させる技術として期待されている。一層の向上効果を得るためには干渉除去技術が不可欠である。筆者等はマクロセルの下り回線の干渉除去技術として、各スモールセル基地局が自セル信号に重畳してマクロセルの除去信号送信する“MIMO 対応スモールセル送信干渉キャンセラー”を提案した。MIMO 構成では SNR が高い場合には大きな改善効果が得られるが、SNRが低い場合には改善効果が少ない。本稿では、SNRが低い場合にMIMOより高い通信容量が得られるSIMOを適用し、スモールセル基地局が SIMO と MIMO 方式を通信品質に応じて適宜切替する送信干渉キャンセラーを提案する。
3月17日 13:30〜16:15 総合科学部 K棟3F K313講義室 座長 張 裕淵(東工大)
B-5-11 |
HetNet構成における他スモールセル干渉を除去する上り回線干渉キャンセラーの検討
◎金田拓也・藤井輝也(東工大) |
B-5-12 |
ビームフォーミング技術を活用した地上と上空セルの周波数共用の基礎検討
◎橘田 真・藤井輝也(東工大) |
B-5-13 |
HAPSマルチゲートウェイフィーダリンクシステムにおけるリバースリンク対応信号帯域分割送信干渉キャンセラー
○藤井隆史・太田喜元(HAPSモバイル) |
B-5-14 |
モバイルネットワークを使ったUAVの三次元位置測位の検討
◎津町直人・大関武雄・山崎浩輔(KDDI総合研究所) |
B-5-15 |
LoRaフラッディング技術を活用した臨時展開可能なバルーンネットワークの研究
○佐藤剛至・大和田泰伯(NICT) |
マクロセル内部に同一周波数を用いた複数のスモールセルを設置して構成するHetNet (Heterogeneous Network) 構成は、周波数利用効率を向上させる技術として期待されている。この構成ではマクロセル、スモールセルが共に同一周波数を用いることから干渉抑圧が不可欠である。筆者らは上り回線を対象として、マクロ基地局でスモール端末からの干渉信号を除去する“上り回線干渉キャンセラー”を提案した。従来の提案法は、各スモールセルの受信信号を真としてそのまま干渉キャンセル信号として用いたため、スモールセル間距離が近い場合には他スモールセルからの干渉信号が混在することからマクロセル基地局において干渉を十分に抑圧できない課題があった。本稿では、上り回線において、各スモールセル間も連携し、スモールセル間干渉を抑圧するマクロセル基地局受信干渉キャンセラーを提案し、その適用効果を明らかにする。
セルラー網を利用したドローンの飛行制御や撮影した映像データの転送が期待されている。しかしながら、セルラー通信は基本的に地上端末を想定して通信品質の最適化が図られており、上空での通信は想定外である。特に、現在のセルラー網で上空端末が通信を行えば、広範囲に干渉を及ぼすことから、地上端末の通信品質劣化が避けられない。本稿では、5Gのビームフォーミング技術を活用して、各基地局で地上セルと上空セルが同一周波数を共用する“3次元空間セル構成”について検討する。
成層圏プラットホーム(HAPS)を用いて地上のセルラ携帯端末(携帯端末)と直接通信する携帯通信サービスは,サービスエリアの拡大,災害時の通信手段として非常に魅力的である.HAPSと地上基地局(ゲートウェイ)間の通信であるフィーダリンクの周波数有効利用を目的に,同一周波数を空間分割多重する“複数ゲートウェイ(GW)システム”を提案し,地上からHAPSへの通信であるフォワードリンク(FL)およびHAPSから地上への通信であるリバースリンク(RL)が共に同一周波数干渉を低減する干渉キャンセル技術を提案した.本稿では,提案したRL対応の送信干渉キャンセラーの更なる干渉抑圧を可能とする送信干渉キャンセラーを提案し,その改善効果を明らかにする.
ドローン機器に代表されるUAV (Unmanned Aerial Vehicle) は、イベント会場での空撮といった利用だけでなく、災害現場、物流、地形調査など、様々なシーンでの利用が実施/検討されており、UAV利用の重要性は近年高まっている。また、UAVを建物や他のUAVと衝突させることなく安全に利用するためには、その位置を正確に測位出来ることが重要である。
UAVの位置測位にはGPSを用いた手法が、高度測位については気圧計やレーザー光を用いた手法が利用されているが、UAVのデバイス簡素化の観点からは、位置測位も可能なモバイル通信用モジュールのみを使った三次元位置測位も望まれる。本稿では、モバイルネットワークにおいて代表的な位置測位手法である信号の到来時間差(TDOA: Time Difference of Arrival)情報による位置測位手法をUAVの位置測位に適用した場合の検討を実施する。
これまでNICTが研究開発を進めてきたLoRaフラッディング技術を実装した軽量かつ省電力な無線通信ノードが持つ長距離通信性能を最大限活用するため,ヘリウムガスバルーンによる上空ネットワークを構築し,その隘路を克服することを提案する.加えて,LoRa規格の通信の低速さによる,活用可能なアプリケーションが限定されるという問題点に対して,複数のLoRaチャネル結束による通信高速化を合わせて提案し,その活用領域を広げることを目指す.
休 憩(15:00 再開) 座長 藤井輝也(東工大)
B-5-16 |
送信ダイバーシチに適用するビート干渉抑圧方式
○増田進二・佐々木 慧・東中雅嗣・有賀 博(三菱電機) |
B-5-17 |
プロポーショナルフェアネス規範に基づく深層強化学習を用いたセルレンジ拡張制御法に関する一検討
◎稲垣瑞樹・三木信彦(香川大) |
B-5-18 |
モバイルエッジコンピューティングシステムにおけるユーザスケジューリング手法の検討
◎三上智史・安達宏一(電通大) |
B-5-19 |
無線品質予測に基づいた送信タイミング制御の一検討
○志水紀之・奥田雅久・中川洋一・浅野弘明(パナソニック) |
B-5-20 |
1024-QAMと3D-BFを用いた場合のビーム数に対するユーザスループット特性
◎大村有司・剱持郁也・宇多津裕貴(工学院大)・須山 聡(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
伝送容量拡大を目的に,送信ダイバーシチの一つであるDSTBCと組み合わせる相対空間マッピング変調方式を提案してきた.今回,本方式で複局同時送信する際に発生するビート干渉を抑圧する方式を提案する.提案方式は,基地局から送信する2つの送信信号を,振幅、位相を調整して合成し、送信するもので、基地局毎に異なる振幅、位相を使用することで基地局毎の送信信号を異なるものとし,ビート干渉の発生を抑えるものである.本発表では,計算機シミュレーションで評価した結果を報告する.
スモールセル環境においてセルレンジ拡張を行うためのオフセット値を深層強化学習の一つであるDQN(Deep Q Network)を用いて最適化した場合の特性を評価した.
高負荷な処理を低遅延で処理するために,高機能なサーバを無線ネットワークのエッジ(基地局等)に配置して,演算処理を行うモバイルエッジコンピューティング(MEC)が注目されている.既存のセルラーネットワークにMEC機能を導入した場合,低遅延なタスク処理を要求するMEC利用ユーザ(MECユーザ)と高スループットを要求する既存ユーザ(LEGACYユーザ)間で効率的に無線リソースを共有する必要がある.本研究では2種類のユーザが混在する環境での無線・計算リソースにおける効率的なスケジューリング手法を検討する.
5Gの高度化に向けた研究開発が進められている。更なる大容量通信を実現するためミリ波の活用が検討されており、その伝搬特性に起因する様々な課題への研究が進められている。これらの研究の一つとして、電力効率を改善するための回路構成や制御方式が提案されており、[1]では運転支援のための交差点映像や車載カメラ映像、工場における検査支援のための生産ライン映像等、限定されたエリアで生成し利用される地産地消型のトラヒックに着目し、電力効率の観点でこれらのトラヒックを効率的に配信・収容するためのネットワーク構成、及び無線制御の考え方が示されている。本稿では[1]で示された無線制御の一つとして、特に非リアルタイム系サービスで扱う大容量トラヒックを効率的に配信・収容するための無線品質予測に基づいた送信タイミング制御を提案しその検討結果を報告する。
第5世代移動通信システム5GではターゲットUEの受信SINRを向上させ他のUEへの干渉を低減できる3Dビームフォーミング(3D-BF)技術が注目されている.また,伝送速度を向上するために1024-QAMなどの高次変調方式の適用も検討されている.これまで,1024-QAMと3D-BFを同時に適用した場合の検討は十分になされていない.本稿では,システムレベルシミュレーションを用いて下り回線の3D-BFのビーム数をパラメータとしてユーザスループットの改善効果を明らかにする.
3月17日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K314講義室 座長 牟田 修(九大)
B-5-21 |
F-OFDM方式の隣接チャネル存在下における伝送特性
○長瀬 渉・松江英明(諏訪東京理科大) |
B-5-22 |
OFDM櫛型パイロットにおける繰り返しIDFT/DFTによるCSI補間
○丸田一輝(千葉大)・井田悠太(山口大)・安 昌俊(千葉大) |
B-5-23 |
マルチパスの遅延推定による広帯域OFDMのチャネル予測
◎高野裕太・小川恭孝・西村寿彦・大鐘武雄・萩原淳一郎(北大) |
B-5-24 |
繰返し系列を用いた同一周波数複局同時送信向け基地局信号検出法
○富塚浩志・蒲原健一郎・西本 浩・佐野裕康・有賀 博(三菱電機) |
B-5-25 |
空間・周波数直交マッピングに基づくFSK送信ダイバーシチのマッピング則最適化
○中村亮介・堀 勇太・中島昭範・東中雅嗣・有賀 博(三菱電機) |
隣接チャネル存在下におけるF-OFDM (Filtered-Orthogonal Frequency Multiplexing)方式について隣接チャネル干渉の軽減特性および符号誤り率特性を計算機シミュレーションにより評価したので報告する。
OFDM伝送では,チャネル推定のために用いるパイロットシンボルを分散配することにより,データの伝送効率を向上することが可能である.また,他のサブキャリアに異なる端末/アンテナに対するチャネル推定のためのパイロットを配置することで効率的なチャネル推定も可能となる.このとき,パイロットを配置しないヌルサブキャリアにおけるチャネル推定情報(CSI)を補間する必要があり,その精度が伝送性能に影響する.本稿では,櫛形パイロット配置における,ヌルサブキャリアのCSIを高精度に補間可能な手法を提案する.
マルチユーザMIMOシステムのプリコーディングでは,基地局側で下り回線のチャネル情報(CSI)を必要とする.未来のチャネルを予測することによって,パイロットシンボルの送信頻度を抑えることができ,伝送効率の向上が可能となる.筆者らは,広帯域OFDM通信の各サブキャリアのCSIを用いて異なった遅延を持つマルチパスの推定を行い,それらの分離・予測・再合成によるチャネルの予測手法を提案し,FISTA(Fast Iterative Shrinkage-Thresholding Algorithm)を用いた手法が良好な特性を示すことを明らかにした.本稿では,より現実に近い環境での予測精度を明らかにする.
複局同時送信は同一周波数で複数の基地局が同一情報を送信する方式であり,基地局のセル半径拡大や送信ダイバーシチによる受信品質改善に効果がある.一方,端末では複数の基地局信号の合成波が受信されるため,受信信号から干渉や遅延波の影響等,電波状態を監視することが困難であった.そこで,複局同時送信方式において周波数利用効率低下を抑えつつ各基地局の受信電界強度推定を行うことを目的に,同期用プリアンブルを併用し,基地局アンテナ毎の送信信号に繰返し系列と位相回転により周波数直交させたプリアンブルパターンを割当てる手法を検討した.
M2M通信のための長距離高信頼無線通信システムとして著者らは,FSK信号を位相回転系列で直接拡散することで高い電力効率を達成し,更にインタリーブ型スペクトル拡散によってユーザを直交周波数多重する方式を検討している.その中で,FSK伝送におけるキャリア直交性を利用した新たな送信ダイバーシチ手法を提案し,時変動通信路においてSTBCよりも優れた性能を示した.本稿では,この新たな送信ダイバーシチ手法である空間・周波数直交マッピングにおいて,4FSKを例として最もダイバーシチ効果が得られるマッピング則を検討した結果を報告する.
休 憩(11:00 再開) 座長 高橋拓海(阪大)
B-5-26 |
差動マルチキャリア伝送方式の一般化に関する検討
◎山田悠司・久保博嗣(立命館大) |
B-5-27 |
伝送路予測多重遅延検波を用いた差動トレリス符号化OFDM
◎岩本航汰・久保哲朗・久保博嗣(立命館大) |
B-5-28 |
伝送路予測判定帰還多重遅延検波を用いた差動OFDMの特性
◎長舩大陽・塚本圭哉・久保博嗣(立命館大) |
B-5-29 |
A Study on Channel Estimation in Delay-Doppler Domain for OTFS Modulation
○Noriyuki Hashimoto・Noboru Osawa・Kosuke Yamazaki(KDDI Research) |
B-5-30 |
OTFS変調におけるZF線形フィルタ及びMessage Passingを用いた信号検出に関する一検討
◎大澤 昇・橋本典征・山崎浩輔(KDDI総合研究所) |
マルチキャリア伝送方式の信号点は,時間と周波数の2次元で規定される.本稿では,信号点に対してサブキャリアごとにタイミングオフセットを付与し, 信号点に使用されるフィルタ形状を一般化することで,厳しい2重選択性によるキャリア間干渉 (ICI) 及び符号間干渉 (ISI) の影響を低減する方式を検討する.
移動体通信では,遅延波によって引き起こされる周波数選択性と,ドップラー効果によって引き起こされる時間選択性が同時に発生する2重選択性環境が課題となる.本稿では,2重選択性環境下における無線通信方式として,送信側に差動トレリス符号化orthogonal frequency division multiplexing (DTC-OFDM),受信側に伝送路予測形のper-survivor processing多重遅延検波 (PSP-MDD) を適用する方式を提案する.
周波数選択性に対しては,複数のサブキャリアを用いるOFDM(orthogonal frequency division multiplexing)が有効である.しかし,同期検波OFDMは厳しい2重選択環境では,パイロット信号の挿入が頻繁になり,データ送信効率が低下する.本稿では,OFDMの時間選択性への耐性を高めるために,伝送路予測判定帰還多重遅延検波(DFMDD)を用いた差動OFDM(DOFDM)を提案する.
Recent studies on Orthogonal Time Frequency and Space (OTFS) modulation scheme have shown to outperform the conventional OFDM modulation scheme in high Doppler situations. Some channel estimation algorithms for OTFS have been proposed, but they are not practical or not efficient. We, therefore, consider a transmission scheme of the pilot symbols and the data symbols under the same noisy channel and at the same time.
OTFS変調はdelay-Doppler領域のリソースグリッドに情報シンボルを割り当てて伝送し,delay-Doppler領域にて信号検出を行うことでドップラー変動に対する補償を可能とする.Delay-Doppler領域における受信信号モデルはMIMOと同様に係数行列と情報シンボルベクトルとの積で表現され,Zero Forcing (ZF) 等の線形フィルタリングを用いることができる.一方,delay-Doppler領域における係数行列がスパース性を有することから,Message Passing (MP) をベースとした信号検出法が演算量削減の観点からも有効であると報告されている.本検討では,MPを用いたOTFSの信号検出において,情報シンボルの多値数が増加した際の信号検出性能を測定することを目的とし,初期検討としてドップラーの変動がない環境における QPSK及び16QAM使用時のBLER特性を計算器シミュレーションにより評価した.
3月17日 13:30〜17:30 総合科学部 K棟3F K314講義室 座長 久保博嗣(立命館大)
B-5-31 |
多素子MIMO-OFDMにおける余剰アンテナを活用したピークキャンセラの歪み補償の検討ーベクトル摂動プリコーディングを用いる場合への拡張ー
◎景山知哉・牟田 修(九大) |
B-5-32 |
クリッピング歪みをメトリックとしたトレリスシェイピングによるOFDM信号のPAPR低減
◎瀧澤 峻・落合秀樹(横浜国大) |
B-5-33 |
IF帯サブナイキストA-D変換された信号の受信非線形補償の検討
◎山田 翼・阿部友希・山尾 泰(電通大) |
B-5-34 |
メモリ非線形のモデル解析と受信後非線形補償効果の検討
◎伊藤弘樹・阿部友希・山尾 泰(電通大) |
B-5-35 |
異なるHPAモデルに対するHPA線形化システムの特性評価
◎△多田 陽・梅比良正弘・王 瀟岩(茨城大) |
多素子MIMO-OFDMでは, 送信信号のピーク電力対平均電力比(PAPR)の低減が課題となる. 著者等は帯域内歪みを許容値以下に抑えながらOFDM信号のピーク電力を抑圧する適応ピークキャンセラ(PC)と, 多素子MIMOの余剰アンテナを活用した帯域内歪み補償を提案した.
本稿では, [2] の方式をベクトル摂動プリコーディング(VP:Vector perturbation) を用いる場合に拡張する手法を提案する. 提案方式は, VP における摂動ベクトルを歪み補償信号に重畳することで適応PC による帯域内歪みと摂動ベクトルを同時に補償するものである.
直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)方式の高いピーク対平均電力比(PAPR:Peak-to-Average Power Ratio)を低減する手法の一つにトレリスシェイピング(TS:Trellis Shaping)がある.TSは,畳み込み符号のトレリス構造を利用することで送信系列を制御する手法であり, 高いPAPR低減性能を特徴としている.しかしその一方で,符号語探索時のメトリック計算に膨大な演算量が必要となる.そこで本稿では,低演算ながら高いPAPR低減性能を達成し得る新たなクリッピング歪みに基づく符号語探索メトリックを提案する.
ミリ波信号に対応した受信機を構成する際,高周波広帯域ミリ波信号を直接ベースバンドに直交周波数変換することは困難なため,中間周波数(IF)帯へ周波数変換し,IF帯でアナログ-ディジタル変換する構成が考えられるが,受信フロントエンドでの非線形歪の補償が課題である。本研究では,サブナイキスト標本化ブラインド受信非線形補償の技術を拡張し,IF帯を経由する信号についてIF標本化周波数の低減とこの場合に達成可能なEVM(Error Vector Magnitude)の検討を行った。その結果,最適な中間周波数と標本化周波数を選択することにより,標本化周波数を低減しつつ非線形補償の制度を高く保つことができると分かった。
増幅器の電力効率を高めるために送信信号電力を増幅器の最大出力電力に近づけると,非線形歪が生じる.第 5 世代移動通信システムでは信号の広帯域化が要求されるため,非線形歪へのメモリ効果の影響がより顕著になる.本研究では増幅器における非線形歪のメモリ効果をモデル化してその影響を解析するとともに,非線形歪と線形歪を分離して受信後に補償し,信号精度を改善する方法を検討した.まず非線形歪にメモリ効果が与える影響について述べ,次に受信非線形補償器に等化器を併用することでメモリ非線形効果を線形歪と非線形歪に分けて補償可能であることを示した.
ブロードバンド無線通信では周波数利用効率向上に加えて、HPA(High Power Amplifier)の電力利用効率向上が要求される。HPAを小さなOBO(Output Back-off)で使用すると、HPAの非線形特性により誤り率特性劣化やACLP(Adjacent Channel Leakage Power)の増大が問題となる。筆者らは、端末から送信される振幅参照信号を用いて基地局でHPA入出力特性を推定し、携帯端末のHPA線形化を行うHPA線形化システムを提案しているが、種々のHPA特性に対する評価が必要である[1]。本文では異なるHPA特性に対するHPA線形化システムの特性評価をした。
休 憩(15:00 再開) 座長 石原浩一(NTT)
B-5-36 |
コンスタレーションを用いた畳み込みニューラルネットワークによるSNR推定
◎浪江耀人・小島 駿・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-5-37 |
スペクトログラムを用いた通信環境推定法によるスループット特性評価
◎△小島 駿・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-5-38 |
分散パイロット配置及びRBF補間を用いたGRNNチャネル推定
◎赫 赫・大村高輝・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-5-39 |
深層学習を用いた到来方向推定におけるDNN構成に関する検討
◎加瀬裕也・西村寿彦・大鐘武雄・小川恭孝(北大)・来山大祐・岸山祥久(NTTドコモ) |
B-5-40 |
共用周波数帯を利用した移動通信トラヒックオフロード:不完備トラヒック情報の代償
◎尹 博・山本高至・西尾理志・守倉正博(京大) |
スモールセル化,高周波数帯への移行そしてV2Xの台頭に伴い,無線通信環境は従来とは異なり多様化が進んでいる.
そのため,通信環境に関する様々なパラメータを推定し柔軟な適応変調を実現する手法が求められる.これまでに,著者等は電力スペクトル及びニューラルネットワークを用いたSNR及びドップラー周波数の同時推定手法を提案している.
新たなアプローチとして受信コンスタレーションを用いた同パラメータの推定手法を検討する.本稿では,まずSNR推定の可能性について報告する.
次世代の移動体無線通信において, 高速・大容量かつ低遅延な通信の実現のために適応変調符号化(AMC)等の適応的に制御を行う手法が広く研究されている. AMCでは制御のためにSNRやドップラーシフト等の送受信機間の通信環境情報が必要となり, 通常これらの情報は参照信号を利用することで取得する. しかしながら参照信号は伝送効率の低下やフィードバック遅延の要因となり, 通信性能の劣化を誘引してしまう. これまでに,受信スペクトログラムを用いた畳み込みニューラルネットワーク(CNN) によるSNR・ドップラーシフトの推定手法を提案した\cite{kojima}.これは参照信号を必要としない.本稿では,提案手法を用いたAMC適用時のスループット特性を明らかにする.
高速移動体通信において時間的に大きく変動するチャネル
を補償する方法としてニューラルネットワークを用いた手法
がこれまでに提案されている [1].この方法では教師信号と
して伝送フレーム前半部の判定帰還チャネル推定 (Decision
Feedback Channel Estimation, DFCE) 値を利用するが,
チャネル変動が激しい場合にはその精度が悪くなり,チャ
ネル予測性能の劣化につながる.この問題を解決するため,
本稿では同数の OFDM パイロットシンボルを前提として,
分散パイロット配置において放射基底関数 (Radial Basis
Function, RBF) により周波数補間されたチャネル推定値を
用いる手法を提案する.それらを一般回帰ニューラルネッ
トワーク (General Regression Neural Network, GRNN) の
教師信号として学習させ,チャネル補償性能の改善を図る.
電波の到来方向推定は,移動通信におけるユーザの位置推定や各種レーダなどに応用される技術である.これまで筆者らは,深層学習を用いた推定手法の検討を行ってきた.本稿では,層数,ユニット数の異なる複数のDNN (deep neural network) を訓練し,性能評価を行う.
移動通信トラヒックの増加への対策として,共用周波数帯や無免許周波数帯へのオフロードが効果的だと考えられる.専用周波数帯とは違って,共用周波数帯では,ある一つのオペレータが排他的に利用が不可能であり,意思決定を行う主体が複数に存在する特徴がある.また,トラヒック量は時間的に変動する一方,ある OP が必ずしも他 OP のトラヒック量を観測できないという特徴もある.この特徴は,ゲーム理論における不完備情報型確率ゲームによるモデル化が可能である.本研究では利得関数の実現可能領域に着目し,不完備トラヒック情報の代償を明らかにする.
休 憩(16:30 再開) 座長 石橋功至(電通大)
B-5-41 |
非直交パイロットを用いた大規模MIMO検出のためのBiGAMPにおける交互メッセージ初期化に関する一検討
◎伊藤賢太・高橋拓海(阪大)・衣斐信介(同志社大)・三瓶政一(阪大) |
B-5-42 |
準巡回符号の構成における中国剰余定理の利用と最小重みの評価
○江口広樹・山地大樹・松井 一(豊田工大) |
B-5-43 |
無線通信におけるSum-Productアルゴリズムを用いたPolar符号の逐次除去復号
◎荒木駿生・張 裕淵・府川和彦(東工大) |
B-5-44 |
遺伝的アルゴリズムに基づく多値変調に適したPolar符号の設計
◎松峯利樹・落合秀樹(横浜国大)・石井直人・神谷典史(NEC) |
本稿では,非直交パイロット系列を用いた上り回線の大規模マルチユーザMIMO (Multi-InputMulti-Output)信号検出を扱う.高精度な通信路推定の実現には,直交パイロット系列の利用が望ましいが,最大収容端末数Nの増加に伴うオーバーヘッドの増大が問題となる.一方,非直交パイロット系列を許容すると,通信路推定と後段の信号検出が劣決定問題となり,マルチユーザ検出性能が著しく低下する.この不都合を回避するため,確率伝搬法に基づく通信路とデータ系列の同時推定手法であるBiGAMP (Bilinear Generalized ApproximateMessage Passing) [1]に着目する.BiGAMPは初期値依存性が強く,極端に短いパイロット系列の利用は繰り返し収束特性 劣化を招く.そこで,適切な繰り返しタイミングで通信路とデータ系列の事後推定値を交互に初期化(リフレッシュ)し,局所的最適解への繰り返し収束を回避することで,信号検出精度の向上を図る.
本研究では誤り訂正符号の1つである準巡回符号について述べる.その中でも特にx^9+1の生成多項式行列の自己双対符号を求める.x^9+1の素因子の生成多項式行列を求め,x^9+1の生成多項式行列を全探索で求めた時との時間を比較する.また,素因子分解して得られたG_1,G_2,G_3 の最小重みとG の最小重みとの関係性について述べる.
Polar符号は, 5Gにおいて制御チャネルの誤り訂正符号として採用されており,注目を集めている.
本稿では,Polar符号の復号としてSC (Successive Cancellation)に着目し,SC復号器の入力となるLR (Likelihood Ratio) の精度を高めるため,SP (Sum-Product) アルゴリズムを用いてLRを更新することを提案する.具体的には,生成行列から凍結ビットを設定し,それを用いてパリティチェック行列を求め,このパリティチェック行列と受信ビットのLR にSPアルゴリズムを適用してLRを更新する.
OFDMの周波数選択性フェージング条件下でシミュレーションを行い,低SNR領域において,BER特性とPER特性を従来方式に較べて改善できることを明らかにする.
Polar符号は理論的に2元対称通信路の通信路容量を達成することが証明されているが,実際の特性は設計方法に大きく依存する.これまでに提案されてきたPolar符号の設計手法の中で代表的なものとして,密度発展法やそのガウス近似がよく知られている.これらは逐次除去(SC)復号の仮定の元で,Polar符号の性能を理論的に捉えることができる一方で,より強力な逐次除去リスト(SCL)復号や多値変調を用いた際の符号設計にそのまま適用できず,汎用性の面で課題を有する.そこで本稿では,これらに代わる手法として,遺伝的アルゴリズム(GenAlg)を用いたPolar符号の設計を検討する.遺伝的アルゴリズムのPolar符号の設計への応用は既に先行研究で提案されているが,これらの研究では,PSK変調を仮定し,特定の復号法に対する符号設計に主眼が置かれてきた.そこで本稿では,これらの内容を多値変調に拡張させ,GenAlgによるPolar符号の設計の有効性を示す.
3月18日 13:30〜17:15 総合科学部 K棟3F K313講義室 座長 田野 哲(岡山大)
B-5-45 |
干渉波部分空間の次元削減によるマルチユーザMassive MIMOヌル空間拡張法のSINR特性改善
◎舟木信貴・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-5-46 |
未知干渉存在下におけるアップリンクマルチユーザMassive MIMOヌル空間拡張
○荒井 甲・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-5-47 |
OAM多重伝送における偏波干渉の影響
◎伊藤有希・齋藤周平・菅沼碩文(早大)・小川賀代(日本女子大)・前原文明(早大) |
B-5-48 |
OAM-MIMO多重伝送技術を用いた28GHz帯屋外伝送実験評価
○笹木裕文・八木康徳・山田貴之・李 斗煥・清水敬司(NTT) |
B-5-49 |
LTEシステムにおける中央値変動を考慮したASPF-MIMOの評価
◎小竹啓輝・服部 武・小川将克(上智大) |
マルチユーザMIMO システムにおいてチャネル情報(CSI)を用いてビームとヌルの形成行う場合,ユーザの移動およびCSI の推定誤差によりヌルの方向に誤差が生じ,これによりユーザ間干渉(IUI)が引き起こされることが問題となる.これに対して,Massive MIMO の特徴である自由度の高さを利用してヌル空間を拡張することでIUI を低減する手法が提案されているが,ヌル空間の拡張により希望信号電力が低下するという問題がある.本稿では拡張した干渉波部分空間に対して主成分を抽出することでヌル空間の次元を適切に選択する手法を提案する.これによりIUI を低減しつつ希望信号電力の低下の抑制を図る.
近年, 周波数利用効率の向上を目的としてMU-MIMOの利用検討が進められている. MU-MIMOシステムでは基地局側でユーザのチャネル情報に基づきビームフォーミングを行うため,ユーザが移動するようなチャネル時変動環境下においては正しいビームが形成できないという課題がある.この課題を解決する手法として過去の推定チャネルを利用するヌル空間拡張法が提案されている.しかし,アップリンク回線において未知の同一チャネル干渉が存在する場合正しくチャネルが推定が出来ず,性能が劣化してしまうという問題が生じる.本研究では,未知の干渉信号を除去するSMI法とヌル空間拡張法を利用することで,未知干渉が存在するチャネル時変動環境下において干渉を抑圧する手法を提案する.
OAM伝送では,モード多重に加えて偏波多重が可能となることから,さらなる大容量化が期待できる.一般に,偏波多重を適用する場合,アンテナ指向性に起因して異なる偏波からのストリーム間干渉が生じることから,その影響の評価は,多重効果を把握する上で重要と考えられる.これまでに,OAM伝送を対象とした偏波干渉の影響については,単一モードを想定した評価に留まっており,複数のモードから構成されるOAM多重伝送を対象とした特性評価は見当たらない.そこで,本稿では,OAM多重伝送を取り上げ,指向性アンテナとしてダイポールアンテナを想定したときの偏波干渉の影響を偏波面及びOAMモードの観点から解析・評価する.
テラビット級無線伝送の実現に向け,電磁波の軌道角運動量(OAM: Orbital Angular Momentum) の直交性とMIMOデジタル信号処理を効果的に組み合わせたOAM-MIMO 多重伝送技術を提案してきた.本報告では,28GHz 帯屋外伝送実験によりOAM-MIMO多重伝送技術の有効性を確認したので報告する.
システム全体の通信容量を向上させつつ,システムエリア内のUE(User Equipment)の得る通信容量を公平にするスケジューリング方式としてASPF-MIMO(Advanced Stochastic Proportional Fair for Multiple-Input Multiple-Output)を提案した.これまでの提案では,実際の伝搬環境下で起こる中央値変動の影響を考慮せずに提案方式の評価を行った.そこで本稿では,中央値変動を考慮したモデル下でシミュレーションを行い,提案方式の有効性を明らかにする.
休 憩(15:00 再開) 座長 岡本英二(名工大)
B-5-50 |
5G高度化に向けた電力効率を向上するミリ波ネットワークの検討
○浅野弘明・奥田雅久・志水紀之・中川洋一(パナソニック) |
B-5-51 |
複数端末移動時におけるミリ波帯基地局連携技術の特性評価
奥山達樹・○須山 聡・野中信秀・奥村幸彦・浅井孝浩(NTTドコモ) |
B-5-52 |
デジタルビームフォーミングを用いたミリ波帯基地局連携技術の屋外伝送実験
○奥山達樹・須山 聡・野中信秀・奥村幸彦・浅井孝浩(NTTドコモ) |
B-5-53 |
ローカル5Gにおける送信電力制御方法
○村山大輔・石原浩一・河村憲一・中山章太・守山貴庸(NTT) |
今後、増々増加するモバイルトラフィックへの対応やローカル5Gで期待される様々な用途に応じて、ミリ波帯を幅広く活用することが期待されているが、電力効率が低い課題がある。ミリ波を幅広く利用するためには、電力効率を改善することは非常に重要な取組となる。筆者らは、5G高度化に向けて、ミリ波の広帯域性を活かすシステムとして スマートシティなどでのモビリティ収容やローカル5Gでの工場などでの用途などを対象に、ミリ波を用いたマルチホップネットワークの検討を始めており、検討する技術と目標について紹介する。
5Gのさらなる発展に向けては,28 GHzといった高SHF帯等を用いた高速通信が,高速鉄道などの高速移動環境においても安定して提供されることが求められ,時速150 kmや時速300 kmの高速移動体に対するビーム追従性能評価の実験が行われている.これらでは,1 Gbps以上のスループットを達成しているが,複数基地局(BS: Base Station)の連携による一層高いスループットを広いエリアにおいて安定して実現するために,弊社では高速移動体向けミリ波帯基地局連携技術の研究開発を総務省からの委託を受けて推進している.本稿では,BS間の連携として,一つのベースバンド処理装置(BBU: Baseband Unit)に接続された複数の超多素子アンテナ間を協調させる場合(Intra-BBU)と,同一のセル間協調制御装置(CU: Central Unit)に接続された複数BBU間を協調動作させる場合(Inter-BBU)のそれぞれの特徴を述べた上で,計算機シミュレーションにより4端末が存在する環境でのスループットを明らかにする.
5Gのさらなる発展に向けては,28 GHz等の高SHF帯を用いた高速通信が,高速鉄道などの高速移動環境においても安定して提供されることが求められるため,筆者らは時速約100 km以上の高速移動環境においてアナログビームフォーミング(BF: Beamforming)の追従性能を検証する実験を行ってきた.将来的には,複数端末(MS: Mobile Station)に対して複数基地局(BS: Base Station)が連携してビームを生成・制御し,より安定した通信サービスを提供するため,デジタル信号処理によるプリコーディングやBFが必要になる.本稿では,高速移動体に追従するビーム制御技術および同一のセル間協調制御装置に接続された複数のベースバンド処理装置を協調制御するセル間協調制御技術を実環境で検証するため,デジタルBFに対応した実験装置を開発し,屋外環境でMSが歩行速度で移動する場合のスループットを測定したので,その結果を報告する.
ローカル5G では運用者ごとに免許を与えて,それぞれが独立したシステムを運用する.システム間の干渉を抑えて,有効にシステムを活用するために,エリアセンサを用いた,ビームごとの送信電力制御方法を提案する.
休 憩(16:15 再開) 座長 丸田一輝(千葉大)
B-5-54 |
チャネル対称性を用いた線形プリコーディングにおけるチャネル推定誤差の影響に関する一検討
◎濱 優人・来山大祐・宮地健介(NTTドコモ) |
B-5-55 |
圧縮センシングを用いた広帯域FDD下り回線チャネル推定の検討
○登坂紫織・小川恭孝・西村寿彦・大鐘武雄・萩原淳一郎(北大) |
B-5-56 |
カルマンフィルタに基づくスパースチャネル推定を用いたOFDM逐次受信機
○菊地陽介・府川和彦・張 裕淵(東工大) |
B-5-57 |
グラントフリーmMTCにおける物理層秘匿性を有するユーザ検出及びチャネル推定手法の一検討
○岡本英二・枡田佳大(名工大)・山本哲矢(パナソニック) |
第5世代移動体通信システム(5G)においては,基地局で多数のアンテナ素子を搭載したmassive MIMOシステムを用いてビームフォーミングを適用することで,高周波数帯の利用に伴う伝搬損失を補償する.特にTDDにおいては,上り(UL)と下り(DL)の伝搬路に対称性が成り立つことを利用し,ULの参照信号からDLのプリコーディングで用いるCSIを推定することで,ディジタルビームフォーミングの適用が可能である.しかしながら実際には,パイロット汚染によるチャネル推定誤差や上下チャネルでの対称性の不成立から,結果的にDLの実伝搬チャネルとは異なるCSIに基づきプリコーディングを行うケースが想定される.そこで本稿では,線形プリコーディングにおいて,チャネル推定誤差がDLのビット誤り率(BER)に与える影響を解析し,計算機シミュレーション結果とともに示す.
FDDにおいては,下り回線のパイロット信号によって得られるチャネル情報を端末から基地局にフィードバックすることで下り回線チャネルを推定する.
しかし,大規模MIMOシステムのようにアンテナ数が多くなると伝送効率が著しく低下してしまうため,FDDの適用は難しい問題とされている.
筆者らは,上り回線のチャネルから遅延領域において各マルチパスの複素振幅を求め,それを用いて下り回線チャネルを推定する手法を提案した.この方法はマルチパスの間隔が比較的広い環境で良好な特性を示している.本稿では,より現実に近いマルチパス環境を想定してシミュレーションを行い,その特性の評価を行う.
移動通信において,ドップラ変動が相対的に速く,かつ遅延波の数が少ないスパースチャネルの場合,従来のチャネル推定では十分な推定精度が得られず,伝送特性が大幅に劣化するという問題がある.この問題を解決するため,本報告は連続パイロットOFDMに着目し,その逐次受信処理のi)初回チャネル推定とii)軟判定信号を用いる判定指向形チャネル推定に,スパースチャネル推定法であるFISTAへの拡張アルゴリズムを導入する.具体的には,インパルス応答の一次時間微分も合わせて推定するカルマンフィルタを考え,それをFISTAへ拡張する.ARIB STD-B33準拠の計算機シミュレーションを行い,提案法が従来の最小二乗法やFISTAよりも推定精度とBER特性を大幅に改善できることを示す.
多数のInternet of things(IoT)端末などを収容するmassive machine type communications(mMTC)シナリオを実現する手法として,非直交多元接続手法が提案されている.我々はその一つとして共通鍵暗号方式に基づいた物理層秘匿性を有する電波暗号化即時送信型非直交多元接続手法(grant-free sparse chaos code multiple access: GF-SCCMA)を検討している.しかしこれまでの検討では上りリンクにおいて受信側基地局でのユーザ検出とチャネル推定が完全であることを仮定していた.実際にはユーザ端末からのプリアンブル送信によってこれらの情報を得る必要があるため,本稿では,GF-SCCMAが鍵信号を送受信側で共有していることを利用した物理層秘匿性を有するユーザ検出及びチャネル推定手法を提案し,計算機シミュレーションによりその特性を評価する.
3月18日 13:30〜17:30 総合科学部 K棟3F K314講義室 座長 山本哲矢(パナソニック)
B-5-58 |
多様なサービス要求に応じた高信頼な高度5Gネットワーク制御技術の研究開発
○新保宏之・岸 洋司(KDDI総合研究所)・横山浩之(ATR)・石橋功至(電通大)・藤井義巳(構造計画研)・中沢正隆(東北大)・外山隆之(パナソニック) |
B-5-59 |
多様なサービス品質を満足する適応型RANアーキテクチャ
○難波 忍・平山晴久・塚本 優・西村公佐・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-60 |
ミリ波帯の遮蔽影響予測に対応した5Gナノエリア基地局の基礎的検討
○村上隆秀・三原翔一郎・伊藤智史・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-61 |
ナノエリア遮蔽予測に向けた奥行き方向を含む物体移動予測手法
◎三原翔一郎・伊藤智史・村上隆秀・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-62 |
画像情報を用いたナノエリア遮蔽影響予測の計算量削減の検討
◎伊藤智史・三原翔一郎・村上隆秀・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-63 |
5G高度化に向けた多様なサービス品質を考慮したフロー制御方式の検討
○玉井森彦・長谷川晃朗・横山浩之(ATR) |
B-5-64 |
ナノエリア環境のための新たな無線アクセスアーキテクチャ
○石橋功至(電通大) |
B-5-65 |
5G高度化のための不完全通信路推定と確率的遮蔽を考慮した複数基地局連携ロバストビームフォーミングに関する一検討
◎岡部 亮・石橋功至(電通大) |
今後,2025年頃を想定すると,5Gシステムへのユーザからの要求は大きくなり,高度化が必要になると考えられる.高度化として,「大容量かつ低遅延」のように複数の特性を持つ,多数かつ多様な通信サービスが同時に発生し,かつ1端末が複数の通信サービスを利用する状況で,個々の通信フローへの品質要求を満たすことで高信頼に提供することが考えられる.筆者らは,多様な通信サービスを高信頼に提供するために必要となる,高度5Gシステムにおけるネットワーク制御技術の研究開発を2019年度から開始した.本稿ではその概要について紹介する.
2025年ごろの5G成熟期には,単なる大容量化にとどまらず,大容量,超低遅延,超多接続を組み合わせたサービスを高信頼に実現する必要がある.そのためには,①ミリ波の活用,②サービスやトラヒックに応じたRANの適用制御,③フローレベルでのトラヒック管理が重要な検討課題である.本稿では,これら検討課題を解決するためにマクロセル内のスモールセルやミリ波のナノセルが混在する環境下で,超大容量,超低遅延,超多接続などを組み合わせた複数のサービス品質要求を満足する適応型RANのアーキテクチャの一案を紹介する.
5Gシステムの更なる高度化に向けた研究開発では,通信システムの多様化が進むことを想定し,適応型RANシステム基盤にて従来よりも通信端末が密集してトラフィックが増大する環境で多様な通信サービスが要求する品質を確保することを目標としている.トラフィックの増大と通信品質の確保に対応するためには,広い周波数帯を確保できるミリ波帯の更なる活用が求められる.しかし,ミリ波帯の電波は従来から用いられる6GHz以下の電波と比べて直進性が高い伝搬特性を有し,人や物体による遮蔽の影響を受けやすい.そこで筆者らは深度カメラやLiDAR等のセンサによる無線以外の情報を用いた遮蔽予測を適用したミリ波帯基地局を検討している.本稿では遮蔽予測の実現に向けた課題と,遮蔽予測に対応する基地局について述べる.
第5世代移動通信システムで用いられるミリ波帯の電波は減衰しやすく回折が起きにくいため, 通信路を物体に遮蔽されると急激に受信強度が低下するという問題がある. そこで我々は, 移動物体に起因する遮蔽による突然の無線リンク断をカメラの映像から予測することで, 事前に通信路を切り替えて通信品質を保つ通信制御方式を検討している. 本検討では, 通信路の遮蔽予測のための物体移動予測を実時間に処理することを目的として, 画素単位の三次元の動き情報(シーンフロー)に基づく深度方向を含む物体移動予測手法を提案する.
複数のミリ波帯基地局を用いて,遮蔽による回線断を画像情報から予測し事前に接続基地局を切り替える手法を検討しており,物体による遮蔽影響を正確に予測する手法が必要となる.従来手法として,屋内環境でCNNを使った遮蔽影響予測手法が提案されているが,想定する屋外ナノエリアは最大50m程度の通信距離となることから,従来手法の適用可否の見極めが必要となる.また,通信距離が広がると同一画角に対する遮蔽物の割合は小さくなるため,解像度が低いと屋外遠方の遮蔽物を表す画素数が減少して予測精度が低下することが予想される.一方で,解像度を高くすると計算時間が増えるため,適切な画像の縮小が必要となる.本稿では,手法の基礎検討として,入力画像の縮小率に対する計算時間とスループット予測の精度の関係についての実験結果を報告する.
5Gでは,スマートフォン,センサ,ロボット,スマートカーなどの様々なデバイスがネットワークに接続されることから,多様なQoS要求を持つアプリケーションのトラフィックを収容することが求められる.QoS要求の多様化の一つの形態として,本稿では,一つのアプリケーションが本質的にQoS要求の異なる複数のフローから構成される場合を想定し,各フローに対し個別に無線リソースを割り当てることで,一定水準の視聴品質を満足可能なユーザ数を向上するフロー制御方式について基礎検討を行った結果を報告する.
第5世代移動体通信(5G)の高度化のためには,変動する環境・通信要求に適応的に対応可能な新たな無線アクセスアーキテクチャが必要と考えられる.本論文では、通信サービスの高信頼性を担保しつつ,高速・低遅延・多接続といった要求の組み合わせに柔軟に対応できる新たな無線アーキテクチャを提案し,それを支える2つの基礎技術を紹介する.
第5世代移動体通信(5G)の高度化のためには、ミリ波を含む高周波数帯の活用が必要不可欠である.
しかし,高周波数帯における通信では,車や人体などの遮蔽による損失によって,通信の安定性が著しく影響を受ける.
また,アンテナ素子数の増加に伴い,通信路推定に要する時間が無視できないほど増大してしまう.
このため,通信路推定に要するオーバーヘッドを抑圧する様々な手法が提案されているが,推定精度のある程度の劣化は避けることができない.
本稿では,遮蔽と不完全通信路推定の両者を考慮したロバストビームフォーミング技術を提案し,不完全通信路推定のみを考慮した既存方式と比較して,システムの要求を高確率で達成可能であることを,計算機シミュレーションによって示す.
休 憩(15:45 再開) 座長 吉野 仁(ソフトバンク)
B-5-66 |
5G高度化ワイヤレスアクセス実現に向けたミリ波ビームフォーミングの基礎評価
○家 哲也・津田顕祐・藤井義巳(構造計画研) |
B-5-67 |
5G高度化超高密度RANにおける干渉と無線リソースの適応制御
○安達文幸・高橋 領・松尾英範(東北大) |
B-5-68 |
適応型RANにおける光・無線統合制御のための基礎検討
○関 裕太・外山隆行(パナソニック) |
B-5-69 |
5G高度化に向けたモバイルフロントホールの光・無線協調動作に関する提案
○中沢正隆・葛西恵介・吉田真人・廣岡俊彦・岩月勝美(東北大) |
B-5-70 |
5G高度化適応型RANにおける基地局機能配置手法の基礎検討
◎塚本 優・平山晴久・難波 忍・ムン スンイル・西村公佐・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-71 |
適応型RANにおける多様なサービスの品質保証のための無線リソース割当手法
○平山晴久・塚本 優・難波 忍・西村公佐・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-72 |
Ensemble Learning Method-based Slice Admission Control Module for Adaptive RAN
○SEUNGIL MOON・Haruhisa HIRAYAMA・Yu TSUKAMOTO・Shinobu NANBA・Kosuke NISHIMURA・Hiroyuki SHINBO(KDDI Research) |
5G高度化時代に利用検討されているミリ波帯においては、多素子アンテナを用いたビームフォーミング技術により、伝搬ロスを補償するとともに、空間領域での多重化による高効率な多重伝送が期待されている。今回、28GHz帯において、いくつかの手法を用いて実際のデバイスの特性を考慮したビームフォーミングのシミュレーションを行った。本発表ではその結果を報告する。
第5世代移動通信(5G)システムの導入後も増加し続けるモバイルデータトラフィックを収容するためには無線アクセスネットワーク(RAN)の更なる大容量化が求められる.このためにRANを超高密度化すると,深刻な干渉問題が発生する.本稿では,5G高度化超高密度RANにおける干渉と無線リソースの適応制御について述べている.
5G導入後も通信トラヒックの増大への対応と共に,多様なサービスへの品質要求に応えることが求められる.膨大な通信トラヒックが時間的・空間的に動的に変化する環境において各サービスに求められる通信品質を確保する技術が重要になると考えられる.その要求に対して,筆者らは,適応型RAN (Radio Access Network)技術を研究開発している.適応型RANでは,基地局機能を集中局舎と分散局舎に適応的に配置し,両局舎間を光フロントホール(FH)で接続する.本稿では,適応型RANおよび光FHの伝送効率を向上する 光・無線統合制御の原理について述べ,シミュレーションにより光FHにおける残留信号歪みがスループット性能へ与える影響を評価した.
モバイルデータトラヒックが現在の5倍となった環境下でも、通信への品質要求を95 %以上満たす高信頼な適応型RANの研究が進められている。このようなRANを実現するため、我々は多値度・FEC冗長度可変デジタルコヒーレント光伝送技術を用いた大容量・高効率モバイルフロントホールの研究に取り組んでいる。本研究では光データ信号の多値度と誤り訂正符号(FEC)の冗長度及び多重化方式(TDMまたはWDM)を可変し、サービス毎に伝送容量と遅延量を適応制御する。また、光・無線統合の符号化効率(MCS)制御技術を確立することにより、一般的なデジタルコヒーレント光伝送において問題となる信号処理遅延時間の削減を目指す。今回、光・無線統合MCS制御方式に関して基礎検討を行ったので報告する。
2025年ごろの5G高度化時代には,大容量,超低遅延,超多接続など,通信サービスの品質要求が多様化することが想定される.これらの品質要件を満足するため,著者らは仮想化技術を用いて,基地局の機能を通信サービスに応じて適応的に配置する適応型RAN(Radio Access Network)を提案している.本稿では,最適な基地局機能配置を決定する線形計画法の定式化について報告する
5Gの多様化するサービスの品質要求を満たすため,筆者らは適応型RAN (Radio Access Network)を提案している.適応型RANではサービス要件やトラヒック変動などに応じて,仮想化された基地局機能である複数のCU/DU (Central Unit/Distributed Unit)の配置を適応的に変更する.また,RU (Radio Unit)の無線リソースを効率的に利用するために,単一のRUに複数のDUが接続される構成である.DUはそれぞれ物理的な配置が異なるため,DUと接続された制御機能である RANコーディネータを用いてDUへのリソースの割り当てを行う.無線品質が変動する環境でサービスの品質要求を満たしつつ,効率的にリソースを割り当てることが課題である.本稿では,端末から基地局に通知される無線品質の情報を用いて,統計的にDUの必要無線リソースを見積もり,割当を行う手法を提案する.
In advanced 5G system, to serve the communication services, we have proposed an adaptive Radio Access Network (RAN) system. In the adaptive RAN, an efficient slice admission control (SAC) scheme for RAN slices with machine learning (ML) is required. Recently, research on applying ML for efficient slice resource management and SAC in 5G RAN slicing environments has been discussed. But the existing Deep Reinforcement Learning approach takes too long training time. In this paper, we propose an ensemble learning method (ELM)-based SAC module to reduce learning time and improve performance for adaptive RAN.
3月20日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K313講義室 座長 眞田幸俊(慶大)
B-5-73 |
マルチユーザMIMOシステムの空間相関存在下における特性評価
○前田昇吾・松江英明(諏訪東京理科大) |
B-5-74 |
Massive MIMOにおける低演算量ユーザ間干渉抑圧方式の特性改善
○向井和輝・丸田一輝(千葉大)・牟田 修(九大)・安 昌俊(千葉大) |
B-5-75 |
大規模マルチユーザMIMOのための最適ビーム選択に基づく直交パイロット割当に関する一検討
◎越智雄市・高橋拓海(阪大)・衣斐信介(同志社大)・三瓶政一(阪大) |
B-5-76 |
過負荷Wireless MIMO Switchingにおける4アンテナ中継局を介した5端末間の安全な情報交換の最適送信順序
◎高橋 新・田久 修・藤原洋志(信州大)・藤井威生(電通大)・大槻知明(慶大) |
次世代移動体通信システムの通信容量増大に向けたキー技術としてマルチユーザ MIMO技術[1]が検討されている。今回,マルチユーザMIMOシステムにおいて伝搬路に空間相関が存在する場合の特性評価を行ったので報告する。
近年,5Gの実現に向けてMassive MIMOシステムが検討されているが,これらのシステムにおけるウェイト算出に要する演算量は一般に,送信アンテナ数Ntと受信アンテナ数Nrの 2 乗の積O(NtNr^2) であり,Nt>100,Nr>10の規模を考えると従来のMIMOと比較して複雑である.これまでにMassive MIMO伝送における膨大なアンテナ自由度を利用して,最大比送信 (Maximal Ratio Transmission, MRT)や等利得送信(Equal Gain Transmission, EGT)のような簡易なプリコーディング方式にユーザ間干渉(IUI)抑圧の成分を重畳することで,低演算で実現可能なプリコーディング方式が提案されている.本稿では,従来方式と同等の演算で優れた干渉抑圧性能を実現可能なウェイト算出法を提案する.
近年,無線端末数の増加に伴い上り回線大規模マルチユーザMIMOが注目を集めている.上り回線シナリオでは高精度の通信路推定を行うことが望ましいが,直交パイロットによる通信路推定を仮定すると,オーバーヘッドの増大により伝送効率の低下を招く.しかし,受信ビームフォーミングを前提とした場合には,受信信号の角度広がりに応じてビーム領域通信路に疑似的なスパース性が生じる.そこで本研究では,このスパース性を利用しユーザ端末間の直交性を保ったままパイロット長を削減する手法を提案する.
本稿では,数理最適化を用いて中継局のアンテナ数が2本,端末数が3個における情報交換法の送信順序を検討している.離散最適問題の1つであるビンパッキング問題による数理最適化を用いることで効率よく通信を行うスケジュール決定をすることが可能になった.
休 憩(11:00 再開) 座長 田久 修(信州大)
B-5-77 |
Matched Filter-PICとMMSE法を併用したMIMO空間多重における低演算信号検出法の検討
◎枡川健太郎・濱 優人・落合秀樹(横浜国大) |
B-5-78 |
MIMO-NOMAにおけるQRM-MLDによる信号検出
◎大川貴之・張 裕淵・府川和彦(東工大) |
B-5-79 |
近似メッセージ伝搬法による少数信号検出の一検討
◎辻本若葉・西村寿彦・大鐘武雄・小川恭孝・萩原淳一郎(北大) |
B-5-80 |
GibbsサンプリングターボMIMO復調における尤度ベースメトリック
○小林佑太郎・眞田幸俊(慶大) |
B-5-81 |
MIMOシステムのためのMMSE法を用いた基底格子縮小における軟判定復号
◎柏原光希・田野 哲・侯 亜飛(岡山大) |
限られた周波数資源を効率的に利用しつつ,大容量通信を実現する MIMO(Multiple-Input Multiple-Output) 空間多重システムでは,受信機で信号を分離する信号検出が重要な要素の一つ である.誤り率特性においては,最尤検出法 (MLD:Maximum Likelihood Detection) が最適な手法として知られているが, MLD は送信アンテナ数が増加した際に計算量が膨大となる. 線形フィルタを用いた信号検出法は MLD に比べて誤り率特 性が劣化する一方で,低演算量で実現することが可能である. 本稿では,線形フィルタを用いた手法の中でも特に計算量の低 い Matched Filter 検出法 (MF) と代表的な線形フィルタであ る MMSE(Minimum Mean Square Error) 検出法を併用した システムを提案し,計算量を抑えつつ最適に近い誤り率特性 を実現可能なことを示す
増大する通信トラフィックに対応するため,次世代移動通信において, MIMO と非直交多元接続( NOMA )を組み合わせた MIMO-NOMA の導入が検討されている [1] .しかしながら, MIMO の送受信アンテナ数と NOMA の多重ユーザ数の増加に伴い,最適信号検出の演算量は指数関数的に増加するという問題がある.従来の NOMA は,逐次干渉除去( SIC )によって計算量を抑えながら,信号検出を行っていた.一方, MIMO の信号検出では,最適信号検出である最尤検出( MLD )並びに線形受信である MMSE によるデータストリーム分離がよく知られている.本稿では, i) MLD , ii) MMSE と SIC との縦続構成, iii) チャネル行列の QR 分解と MLD の組み合わせである QR-MLD ,さらに iv) QR-MLD に M アルゴリズムを導入した QRM-MLD [2] について検討する.計算機シミュレーションにより,各種信号検出の平均ビット誤り率( BER )特性を明らかにする.
圧縮センシングの分野で提案された近似メッセージ伝搬法(AMP)はMIMO 信号検出に利用可能であり,比較的低演算量で高い検出性能を実現することが報告されている.ただし,AMP アルゴリズムは大システム極限が成立する,かつ,観測行列の各要素が独立同一なガウス分布に従う場合に適用可能であり,送受信アンテナ数が小さい場合やアンテナ間に相関がある場合には性能を保障しない.筆者らは空間相関がある場合の適用について検討し,観測率を定数倍することが有効であることを明らかにした.そこで本稿では送受信アンテナ数が小さい場合での適用について検討を行う.
本研究では, turbo復号器からフィードバックされた尤度比のみを用いて行うGS MIMO復調方式を提案する. EXITチャートを用いた分析より, 推定送信信号列と実際の送信信号の間の相互情報量が増加するとEXITカーブが重なることが明らかになった. そこで, 受信信号を用いたGS MIMO復調を初回のみとし, 以後のMIMO復調ではフィードバックされたLLRのみを元としてGSアルゴリズムの選択確率を計算する.
シミュレーション結果より, 従来法と提案法はほぼ同等の誤り率特性を示すことが明らかになった.
無線通信のさらなる高速化を目指して,MIMOシステムのためのMMSE法を用いた基底格子縮小における軟判定復号についての研究を行った.本論文では,計算機シミュレーションを用いて,軟判定処理を行うことでのBER特性の改善の評価を行った.
3月20日 13:30〜17:30 総合科学部 K棟3F K313講義室 座長 菅野一生(KDDI総合研究所)
B-5-82 |
A Database-Aided Digital Cancellation for Full-Duplex Wireless Communication Systems
○Ou Zhao・Wei-Shun Liao・Keren Li・Takeshi Matsumura・Fumihide Kojima・Hiroshi Harada(NICT) |
B-5-83 |
Preliminary Evaluation on Performance of Self-Interference Cancellation Using Adaptive Filter for In-Band Full-Duplex Wireless Systems
○Wei-Shun Liao・Ou Zhao・Keren Li・Takeshi Matsumura・Fumihide Kojima・Hiroshi Harada(NICT) |
B-5-84 |
シンボル間欠送信を行う干渉キャンセラ方式における干渉中心周波数推定法
◎酒井 学・富塚浩志・佐野裕康・有賀 博(三菱電機) |
B-5-85 |
接続可能な完全相補系列系を用いた周期畳み込み直交多重接続システム
◎△高橋 竜・韓 承鎬(電通大) |
B-5-86 |
接続可能な完全相補系列系を用いたCCC-CDMAシステムとその性能評価
◎水由 光・韓 承鎬(電通大) |
In uni-directional in-band full-duplex (FD) systems, since self-interference (SI) at BS is very strong compared to the received desired signals, more efficient cancellation approaches need to be considered. To achieve a significant suppression to SI and enable the FD transmissions in cellular systems, we propose a database-aided digital cancellation (DC) and evaluate it using antenna and analog cancellations (AAC).
In beyond 5G wireless systems, high throughput and low latency are promising requirements, and the in-band full-duplex (FD) transmission is one of the possible solutions. However, to realize the FD systems, self-interference (SI) is a major problem which degrades the system performance. In this study, we propose an adaptive filter-based SI cancellation scheme and evaluate its performance.
限られた電波資源を有効利用するために,複数のシステムを同一周波数帯にて運用する場合,システム間の干渉軽減・回避を行う周波数共用技術が必須である.その一つに,シンボル間欠送信を行う干渉キャンセラ方式がある.本手法は,他システムからの干渉がどの周波数帯域に存在しているかを正確に推定することで,干渉除去性能が向上する.そこで本稿では,干渉中心周波数推定法を提案し,計算機シミュレーションにより提案法の有効性を示す.
従来のCS (Convolutional Spreading) CDMA (Code Division Multiple Access)方式ではDS (Direct Spreading) CDMAと比較してICI (Inter Channel Interference)がないため周波数利用効率が高い。しかしながら送信信号を畳み込みにより拡散するため、高演算量となる。これに対して接続可能な完全相補系列系(CCCC: Concatenative Complete Complementary Codes)を拡散系列として用いることで、高速フーリエ変換を用いた畳み込み演算の高速化を実現することができる。しかしながら等化において、大きな行列の逆行列を求める必要がある。本稿では畳み込みを周期畳み込みに変更することにより、等化における演算量の削減について検討を行う。また計算機シミュレーションによって、等化方法の違いによってBER (Bit Error Rate)の差を示す。
従来のCS (Convolutional Spreading) CDMA (Code Division Multiple Access) 方式はICI (Inter-Channel Interference)-freeな一方で,CSによる高演算量が欠点である.これに対しCS-CDMAに接続可能な完全相補系列系 (CCCC: Concatenative Complete Complementary Codes) を用いて,FFT (Fast Fourier Transform) またはFWHT (Fast Walsh Hadamard Transform) に基づくCSを行うことで,送信器の高演算量問題を根本的に解決できる.本稿では,今まで不明瞭であった高速変換に基づいた逆拡散を包含した,CCC-CDMAシステムを提案し,その性能評価を行う.
休 憩(15:00 再開) 座長 大関武雄(KDDI総合研究所)
B-5-87 |
端末高密度/遮蔽環境での高周波数帯分散アンテナシステムの一検討
○内田大誠・岩國辰彦・黄 俊翔・和井秀樹・北 直樹・鷹取泰司・鬼沢 武(NTT)・岸山祥久・永田 聡・須山 聡・坪井 淳・浅井孝浩(NTTドコモ) |
B-5-88 |
高周波数帯高密度設置アンテナ環境における干渉特性評価
◎岩國辰彦・内田大誠・和井秀樹・黄 俊翔・北 直樹・鬼沢 武(NTT) |
B-5-89 |
端末連携MIMO受信におけるレプリカ信頼度を用いた端末選択の一検討
◎笠井万平・村田英一(京大)・中平俊朗・石原浩一・守山貴庸(NTT) |
B-5-90 |
Study of Estimated SINR Based Terminal Selection in Terminal Collaborated MIMO Reception
◎Fengning Du・Hidekazu Murata(Kyoto Univ.)・Toshiro Nakahira・Koichi Ishihara・Takatsune Moriyama(NTT) |
近年、AR/VR、高精細映像データの普及から、無線通信の更なる大容量化が求められており、1GHz以上の伝送帯域が確保可能なミリ波対以上の高周波数帯の活用が注目されている。高周波数帯はシャドウイング損失が大きいため、見通し通信が前提であり、移動端末を収容するために分散アンテナシステムが有効である。本稿では、端末高密度、遮蔽環境における本システムのシステム設計例、技術課題を考察した結果を報告する。
近年の無線通信の需要拡大に伴い,広帯域を利用可能な更なる高周波数帯利用の検討が進められている.高周波数帯では,距離減衰等により伝送距離が制限される.また,限られた周波数資源を有効活用するために,なるべく端末の近くまでは他のエントランス回線を利用し端末の近くで初めてその周波数を利用することにより周波数の繰り返し利用を図ることが好ましい.この観点から,著者らは従来に比して高密度にアンテナを配置することを提案している.本稿ではその基礎検討として,高周波数帯において基地局アンテナを高密度に配置した際の干渉特性をアンテナ条件と信号対干渉雑音電力比(CINR)特性の関係で評価したのでその結果を報告する.
移動端末同士が基地局からの受信信号を共有して復調を行う端末連携MIMO受信では,等価的にアンテナ数を増大させ仮想的なMIMO伝送を実現し,周波数利用効率の向上が期待できる.そこで多数の移動端末から連携する端末群を選択する手法が研究されている.本稿では,繰り返し等化処理におけるレプリカ信頼度を用いた選択手法の検討する.レプリカ信頼度として繰り返し等化の尤度などの利用を考える.屋外伝送実験にて記録した受信信号を用いて算出したBERのCDF特性に基づく評価において,従来のチャネル行列に基づいた選択手法と比較することで,信号処理部との連携による端末選択の特性改善の可能性を示す.
Terminal collaborated MIMO reception is a form of distributed MIMO transmission, in which a base station transmits multiple signal streams to a virtual terminal with lots of receive antennas. This virtual terminal consists of multiple mobile stations. It is better to choose a small subset of MSs for inter-terminal collaboration. Currently, a single selected subset of MSs are used for demodulation of all streams have been examined. This paper studies the performance of MS selection schemes that select a subset for each stream independently.
休 憩(16:30 再開) 座長 酒井 学(三菱電機)
B-5-91 |
マルチホップネットワークに基づく共有メモリアクセス
○田中 晶(東京高専) |
B-5-92 |
基地局連携送受信における伝搬遅延差による影響の基礎評価
◎伊藤雅秋・菅野一生・大関武雄・山崎浩輔(KDDI総合研究所) |
B-5-93 |
チャネル利得を用いたアップリンクSCMA/OFDMAユーザクラスタリングに関する一検討
◎熊谷雄太・権田尚哉・小作伸一・菅沼碩文・前原文明(早大) |
B-5-94 |
Buffer-State-Based Relay Selection in Cognitive Radio Networks
○Ruichao Zhang・Ryota Nakai・Kaoru Sezaki・Shinya Sugiura(The Univ. of Tokyo) |
多くの人が日常身に着けているスマートフォンや,広く用いられつつあるマイコン,再構成可能デバイス(FPGA)等を接続する,小規模なヘテロジニアスなマルチホップネットワーク設計してきた.このようなネットワークによる情報処理は,端末同士が対等に機能する接続形態で,全ての端末の接続関係を把握できる方式が適用できれば効率が高い.東京高専情報通信研究室(田中研)は,この特徴を活かしてネットワークの端末全体が一つの簡易プロセッサとなり,各端末メモリからなる分散共有メモリ内の転送により通信するネットワークコンピューティングシステムの基本機能の設計を進めており,本稿ではプロトタイプ開発に向けた適用技術を述べる.
第5世代以降の無線通信システム(Beyond 5G)に向けてCell-Free Massive MIMO(CF mMIMO)が注目されている.CF mMIMOでは,分散配置された多数の基地局アンテナが連携することでユーザ当たりのデータレートを飛躍的に向上させることが期待できる.一方で,既存セルラーシステムと異なりセルやセクタの概念を持たないため,比較的離れた複数のアクセスポイント(AP)で同一ユーザ端末(UE)の処理を行うことや,あるAPとあるUEとの距離が遠いことなどが想定される.複数の周波数帯で伝搬遅延差や電力差を考慮した基礎的な評価を行い,環境によっては伝搬遅延差が2 CP長以上となるとエラーフロアが発生し,SNR対BLER特性が大幅に劣化することを明らかにした.
5Gの利用シナリオの1つであるmMTCでは,多数の端末が同時接続することが想定され,符号領域で非直交多元接続を行うSCMAの適用が有望視されている.SCMAの特徴として,高CNR帯では,高い容量拡大を達成できるものの,低CNR帯においては,各ユーザの信号分離が困難となることから,OFDMAよりも容量が小さくなる問題がある.本稿では,これらの特徴に着目し,ユーザをチャネル利得に応じて2グループにクラスタ化し,チャネル利得の大きいグループに対してはSCMA,チャネル利得の小さいグループに対してはOFDMAを適用する方式を提案する.また,提案方式の有効性を,SCMAあるいはOFDMAのみを適用する場合を比較対象にとって,システムスループットの観点から計算機シミュレーションにより評価する.
In this paper, we present a buffer-state-based relaying selection scheme in the context of the underlay cognitive radio network, supporting the primary and secondary networks. In the proposed scheme, both the effects of inter-network interference and fading are successfully suppressed, by introducing a flexible link selection algorithm in the secondary network.
3月20日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K314講義室 座長 亀田 卓(東北大)
B-5-95 |
主成分分析を用いた高精度なバックスキャッタ位相角推定の実現
○岩崎友哉・亀井大向・三次 仁(慶大) |
B-5-96 |
Sub-GHz測距プロトタイプを用いた屋外における実測
○吉田 弘・大城将吉・農人克也・西川正樹・仁藤与晴(東芝デバイス&ストレージ)・加藤貴之(東芝インフラシステムズ)・石渡秀幸・大高章二(東芝デバイス&ストレージ) |
B-5-97 |
SHVワイヤレスカメラのLDPC符号による伝送特性改善
○島崎智拓・松崎敬文・山岸史弥・中川孝之・居相直彦(NHK) |
B-5-98 |
60GHz帯指向性ビーム情報を活用した端末方位推定に関する実験的検討
○黄 俊翔・岩國辰彦・内田大誠・和井秀樹・北 直樹(NTT) |
B-5-99 |
屋外移動環境における60GHz帯サイトダイバーシチの実験的検証
○和井秀樹・岩國辰彦・黄 俊翔・内田大誠・北 直樹・鬼沢 武(NTT) |
バックスキャッタ信号における位相角推定を正確に行うことは、RFIDなどのバッテリレスなタグの位置推定を実現するために必要な要素技術である。一般的に、位相角の推定には線形回帰が用いられるが、これはSN比が悪い状況だと推定誤差が大きくなってしまう。それに対し、本研究が提案する主成分分析を用いた推定方法ではSN比が悪い状況でも正確に位相角を推定することができる。したがって、SN比が悪い状況でバックスキャッタ信号の位相角推定を行う際には、本研究が提案する主成分分析を用いた方法が有効である。
Sub-GHzを用いた測距システムのプロトタイプを示し、良好な実測結果が得られることを報告した[1]。測距技術は様々な応用例があるが、筆者らはスマートキーのリレーアタック盗難対策を念頭に、本プロトタイプの屋外にて見通し環境および車にアンテナを設置した状態での測距評価を実施し精度を確認したので報告する。
筆者らは,一般的に電力増幅器の歪の影響を受けにくく電力効率に優れたSingle Carrier – Frequency Domain Equalization(SC-FDE)方式を適用した200Mbps級の4K・8K映像の伝送が可能なミリ波SHVワイヤレスカメラの開発を進めている.4K・8K映像など大容量の情報を伝送する手法として,伝送帯域の広帯域化やデータシンボルの変調方式の多値化が考えられる.しかしながら,変調多値数を従来の80Mbps級のミリ波2Kワイヤレスカメラの4bit(16QAM)から5bit(32APSK)に1bit上げると,所要C/Nは約3dB上昇し,従来と同等の伝送エリアをカバーすることは難しい.
そこで,誤り訂正符号を畳み込み符号からLDPC符号に変更した場合,多値化による所要C/N上昇が補償可能か,シミュレーション及び実機を用いた室内実験により検証した結果を報告する.
一方,ミリ波帯の無線通信は,1GHz以上の広帯域信号と指向性ビーム制御が可能なアレイアンテナを用いるため,広帯域通信を活かした距離推定とビーム情報による方位推定を行えば,無線通信情報のみで端末位置情報を取得でき,通信制御が可能と考えられる.本稿では,前記背景を鑑み,この端末位置推定の中で指向性ビーム情報を用いた端末方位推定のフィージビリティを60GHz帯のWiGigデバイスを用いて実験で検証した結果を報告する.
60GHz帯などのミリ波帯以上の更なる利用拡大が期待されている.ミリ波帯以上の電波はマイクロ波よりも距離減衰が大きく直進性が強いため,送受信点間に遮蔽があると受信電力が低下して接続断となる.このため,基地局アンテナを分散配置し,基地局のあるアンテナからの電波が遮蔽されても,別の位置のアンテナからは遮蔽がなく通信を維持できるように安定性を高める必要がある.そこで,屋外移動環境かつ,ミリ波帯以上の周波数において,基地局アンテナを分散配置するサイトダイバーシチの効果を,IEEE802.11adの通信装置を用いて実験評価した.その結果、基地局アンテナを十分離して分散配置することにより,遮蔽物が存在する環境でも最低1台のアンテナとは見通しが確保でき、接続状態を維持できることを確認した.
休 憩(11:00 再開) 座長 中川孝之(NHK)
B-5-100 |
パッシブリピータの組合せ選択による干渉抑制法の実験評価
◎大宮 陸・村上友規・岩渕匡史・小川智明・鷹取泰司(NTT) |
B-5-101 |
多数多様な中継系による高周波数帯マルチパス形成制御の提案
○岩渕匡史・村上友規・大宮 陸・小川智明(NTT) |
B-5-102 |
見通し外環境における屋外から屋内へのSU-MIMO伝送実験
○内野大地・石岡和明・木下裕介・武 啓二郎・有賀 博(三菱電機) |
B-5-103 |
5Gにおける高SHF帯・広帯域Massive MIMOシステムを用いた屋外環境SU-MIMOビームトラッキング伝送実験
蒲原健一郎・酒井 学・○井浦裕貴(三菱電機)・野中信秀・須山 聡・奥村幸彦(NTTドコモ) |
B-5-104 |
新幹線を用いた高速移動環境における28 GHz帯5G下りリンク伝送実験
◎野中信秀・村岡一志・奥山達樹・須山 聡・奥村幸彦・浅井孝浩(NTTドコモ)・松村善洋(JR東海) |
スマートフォンなどのモバイル端末が爆発的に普及するとともに,モバイルのトラヒック量は増加し続けている.無線トラヒックと端末を収容するために,既存の一次無線局に支障を来さない範囲で「空き周波数」を検出し,二次的に周波数を利用する周波数共用技術は,有力なアプローチの一つである.我々はパッシブリピータを組合せて用いることで,既存無線局への干渉電力の低減と,二次利用する無線局の伝送容量の増大を両立させる簡易的な手法を提案し,干渉電力をノイズと同レベルまで低減させ,伝送容量は従来法の最大1.6倍させることができることを,シミュレーション評価により明らかにしている.本稿では提案手法の実環境での特性を明らかにする.
5G以降の将来無線アクセス技術の議論が始まっている.さらなる大容量化のため,今後も高周波数帯の開拓や活用が見込まれる.しかし高周波数帯は距離や遮蔽による減衰が大きく,安定した特性を維持することが難しい.また高周波数帯では電波減衰補償のためビームフォーミングを用いるが,複数ビームを単一端末に向けるとビーム間の相関が高くなり,単一ユーザへの多レイヤ伝送が難しい.そこで多様な中継系を活用した高周波数帯マルチパス形成制御を提案する.さらに初期検証として屋外実験を行い,金属反射板による60GHz無線伝送の特性安定化効果を評価する.
第5世代移動通信システム(5G)の実現に向け,28GHz帯APAA-MIMOシステムを開発した.本発表では屋内端末における28GHz帯を用いた伝送課題となる窓ガラスによる減衰を,APAAからなる16台のサブアレーを用いたSU-MIMO 2ストリーム空間多重伝送を行うことで送信利得を向上させ見通し外環境において下りスループット改善を確認したので報告する.
高SHF帯の5Gでは、アナログビームフォーミングとMIMOを融合したハイブリッドBFが検討されている。このハイブリッドBFを用いた、屋外見通し環境のSU-MIMO 16ストリーム空間多重伝送において、アナログビームトラッキング周期が伝送性能に及ぼす影響を、伝送実験を通して考察する。
5Gのさらなる発展に向けては,28 GHz等の高SHF帯を用いた高速通信が,高速鉄道などの高速移動環境においても安定して提供されることが求められる.筆者らは時速約120 kmの鉄道環境での実験を行ってきた.しかし,より高速で移動する新幹線などの高速鉄道環境では,ドップラー周波数シフトの増大による特性劣化が懸念される.そこで,Massive MIMOによるビーム追従機能を有した28 GHz帯5G実験装置を用いて,時速283 kmで走行する実際の新幹線を用いた伝送実験を実施した.本稿では,本実験で取得された下りリンク(DL: Downlink)スループット特性を示す.
3月20日 13:30〜17:30 総合科学部 K棟3F K314講義室 座長 浅井裕介(NTT)
B-5-105 |
セルラー網を活用したドローンの遠隔操縦を実現するドローン無線中継システム - バックホールとしての衛星通信中継利用 -
○江田紀一・前迫敬介・飯塚哲也・松浦一樹・張 亮・藤井輝也(ソフトバンク) |
B-5-106 |
セルラー網を活用したドローンの遠隔操縦を実現するドローン無線中継システム - システム構成 -
○藤井輝也・張 亮・松浦一樹・米田 進・千葉武伸(ソフトバンク) |
B-5-107 |
セルラー網を活用したドローンの遠隔操縦を実現するドローン無線中継システム‐無線中継装置構成‐
○松浦一樹・米田 進・藤井輝也(ソフトバンク) |
B-5-108 |
セルラー網を活用したドローンの遠隔操縦を実現する飛行制御システム ―遠隔制御システム構成―
○張 亮・前迫敬介・飯塚哲也・米田 進・藤井輝也(ソフトバンク) |
B-5-109 |
セルラー網を活用したドローンの遠隔操縦を実現する飛行制御システム ―実証実験結果―
○飯塚哲也・前迫敬介・張 亮・米田 進・藤井輝也(ソフトバンク) |
当社では、遭難者の迅速な救助を目的として、ドローン無線中継システムを用いた遭難者の位置特定システムを開発し、実証実験を実施したが、本システムは遭難場所の周辺にあるセルラー基地局を介して無線中継を行うことを前提としている。しかし、山岳地域はセルラー網のエリア外であることが多いため、本システムのバックホールとして可搬型の衛星通信システムが期待される。本稿では、セルラー網のエリア外対応として開発した衛星通信システムをバックホールとするドローン無線中継システムの概要を説明する。
2016年度、雪崩などの遭難事故よる遭難者の迅速な救助を目的として、 “ドローン無線中継システムを用いた遭難者の位置特定システム”を開発し、実証実験を実施した[1]。運用に関して一層の効率化を図るため、子機にセルラー対応の通信装置を搭載し、ドローンの操縦や無線中継システムの運用・監視をセルラー網を介して遠隔地及び現地の両方で適宜切り替えできる “ケータイドローン無線中継システム”を開発した。本稿では、ケータイドローン無線中継システムを用いた遭難者の位置特定システムの概要を説明する。
当社では2018年度、雪崩等による遭難者の迅速な救助を目的として、“複数キャリア対応ドローン無線中継システムを用いた遭難者の位置特定システム”を開発し、実証実験を実施した。開発した無線中継システムではドローンに搭載した各キャリアの携帯通信装置が無線中継周波数を切り替えた直後に位置登録を行うなど、通信を確立するまでに時間を要することから、この時間がセルラー網を介してドローンを手動により遠隔操縦する場合の支障となっていた。そこで、制御信号は一つのキャリアの通信装置だけを利用し、無線中継は異なる複数のキャリアを時間的に切り替えて行う“複数キャリア対応ドローン無線中継システム”を開発した。本稿では、開発したシステムの概要を説明する。
2016年12月,冬山登山等において,雪崩などの遭難事故よる遭難者の迅速な救助を目的として,LTE/WCDMA対応ドローン無線中継システムを用いた遭難者の位置特定の実証実験を実施した.新たに,運用に関してドローン搭載無線中継機(子機)にLTE/WCDMA対応の通信装置を搭載し,ドローンの操縦や無線中継システムの運用・監視を,セルラー網を介して遠隔地と現地の両方で適宜切り替えて操縦・制御できる“ケータイドローン無線中継システム及び飛行制御システム”を開発した.
本稿では,遠隔操縦を実現するケータイドローン飛行制御システムについて説明する.
当社では,災害時における救助・救援活動などでの活用を目指し,セルラー通信網を利用して遠隔地から操縦装置(プロポ)によるドローンの手動操縦を可能にする「ドローン飛行制御システム」を開発した.遠隔地から手動操縦をするためには,手動操縦に不可欠な映像情報を操縦者にリアルタイムに転送する必要がある.そこで,ドローンにカメラを搭載して,飛行方向等の映像情報をドローンに搭載しているLTE/WCDMA対応の携帯通信モジュールを用いてセルラー網を介して遠隔地に転送する“遠隔飛行制御システム”を開発した.
本稿では,開発した遠隔飛行制御システムの実証実験結果を報告する.
休 憩(15:00 再開) 座長 山本高至(京大)
B-5-110 |
事前QoS通知を用いた自動車無線上りリンク通信性能改善の検討
◎長谷川 遼・岡本英二(名工大)・秋田英範(デンソー) |
B-5-111 |
URLLCを用いた自動運転のためのチャネル状態に基づくHARQ早期再送制御の検討
◎△塩満優作・岡本英二(名工大)・三上 学・吉野 仁(ソフトバンク) |
B-5-112 |
遅延制約と信頼性を考慮したテイルバイティング畳み込み符号に基づくHARQの設計
◎兼山紀章・落合秀樹(横浜国大) |
B-5-113 |
アンライセンスバンド向けNR上りリンク制御チャネルの高電力送信の検討
○眞木翔太郎・山本哲矢・鈴木秀俊(パナソニック) |
B-5-114 |
アンライセンスバンド向けNR上りリンク制御チャネルにおける巡回シフトパターンを用いたスケジューリングリクエスト伝送
○山本哲矢・眞木翔太郎・鈴木秀俊(パナソニック) |
5G Automotive Association (5GAA) は3G Partnership Project (3GPP) に対してIn-Advance QoS Notification (IQN)を出すように依頼を行っている[1].IQNとは基地局から自動車へのQoS予測値の通知である.自動車はIQNを受信することによって,事前にQoSの変動を察知することが可能となる.このIQNにより,Level of Automationを変更する為に必要な時間を確保することが容易となり,より安全で高度な自動運転を実現することが可能となる.本稿ではこのIQNをスループット値であると仮定し,IQNを用いることによって通信性能の改善を行う手法を提案する.提案手法では,現在基地局が混んでおり予測される未来のスループット値が大きい場合は,現在の送信データの一部を保留する.この操作によって基地局への負荷を分散させることにより,輻輳可能性を下げることが可能となる.
5G(第5世代移動通信システム)のユースケースの一つに,自動運転などを目的としたURLLC (Ultra-Reliable and Low Latency Communications)があり,無線伝送における高信頼性と低遅延性を両立する技術が求められている.無線伝送で従来用いられてきた高信頼化技術であるACK/NACK (Acknowledgement /Negative ACK)フィードバックを用いるHARQ (Hybrid Automatic Repeat reQuest)再送制御を用いた場合,伝送遅延が大きくなるためURLLCへの適用には新たな技術が必要であった.我々はフィードバック不要で再送を行うOpen-Loop HARQにより低遅延と高信頼を両立させる手法を検討していたが,従来手法では不要再送が生じるためスループットが低下するという課題があった.それを踏まえ本稿では,URLLCに適する早期再送制御手法を提案する.そして計算機シミュレーションにより従来手法との比較を行い,提案手法が低遅延と高スループット化を両立していることを示す.
近年,IoTやM2Mの普及に伴いこれらのリアルタイム制御を可能とする低遅延・高信頼な通信が求められている.ハイブリッドARQ(HARQ)は通信の高信頼化に有力な手法であるが,再送による遅延の発生が大きな課題となる.そのため,遅延制約下におけるスループット評価,復号処理や再送要求の回数を削減する高速化アルゴリズムの提案など,低遅延・高信頼を目標としてさまざまな提案がなされている.また,畳み込み符号の特徴として,拘束長が一定の場合には符号長が長くなると符号語誤り率も劣化するため,長い符号長が必ずしも最適ではない.そこで本稿ではテイルバイティング畳み込み符号(TBCC)に基づくHARQに対し,遅延制約に基づいて再送回数を決定し,通信路環境に応じて符号長を適応的に選択することで,低遅延化および高信頼化のよりよいトレードオフの実現を試みる.特に,適応的な符号長の選択により符号長が固定された従来手法に比べて優れたスループット特性を達成できることを示す.
3GPPでは,第5世代移動通信システム(5G)の無線インタフェースNR(New Radio)を拡張し,アンライセンスバンドに対応したNR-Unlicensed (NR-U)が検討されている.筆者らは,NR-Uの1シンボル上りリンク制御チャネル送信方法を検討した.インターレース配置する各リソースブロックに異なる巡回シフト量を適用することで送信バックオフを改善でき,高電力かつ高効率送信できることを示した.
3GPPでは,5Gの無線インタフェースの1つであるNRを拡張し,アンライセンスバンドに対応したNR-Uが検討されている.欧州では,5GHz帯のアンライセンスバンドにおいて,送信電力帯域密度が制限され,かつ,占有する帯域幅(OCB)が使用するシステム帯域(例えば20MHz)の80%以上であることが規定されている.筆者らはこれらの条件下でNR-U上りリンク制御チャネル(PUCCH)を高電力送信する手法を提案した.本手法では,等間隔インターレース状に配置した各リソースブロック(RB)に異なる巡回シフト(CS)量を適用した従来規定のPUCCH送信系列を割り当て,送信信号のピーク対平均電力比を低減する.本稿では,各RBへのCS量のパターンで上りリンクデータへのリソース割当要求を伝送する手法を提案する.
休 憩(16:30 再開) 座長 村岡一志(NEC)
B-5-115 |
5Gにおけるコネクテッドカーの方向指示器情報に基づいた効率的なハンドオーバに関する一検討
◎西壅智哉・三瓶政一(阪大) |
B-5-116 |
スマートファクトリーにおけるサイドリンクを用いた面的カバー率の向上に関する一検討
◎久保田章弘・三瓶政一・高橋拓海(阪大) |
B-5-117 |
工場環境における受信電力を考慮した運搬車の経路設計に関する一検討
◎道見大成・三瓶政一(阪大) |
B-5-118 |
セルラ環境下の屋内空間における時空間グラフを用いた自律ロボットの経路設計に関する一検討
◎今西宏基・三瓶政一・高橋拓海(阪大) |
現在,LTE-Advancedの次の世代となる5Gのサービス開始を目指し研究,開発が進められている.中でもコネクテッドカーは,サーバへ常時接続する機能を具備した自動車である. 5G環境において高速で移動するコネクテッドカーはビームフォーミングによってトラッキングされるが,特に道路のブロック単位で信号機に基地局が設置される場合には,高速かつ正確なハンドオーバ技術が必要となる.従来のLTEハンドオーバではハンドオーバの処理時間が長く,かつ受信環境が悪化して初めてハンドオーバが行われるため正確性に欠ける.そこで,車の位置情報と交差点における車の走行方向情報を利用してハンドオーバ先を決定する手法について検討する.
工場内でローカル5Gによるネットワークを構築する上で、工場内の通信に有線通信を用いる場合,断線や工場レイアウト変更による再配線等の問題がある。一方,無線通信は、5Gシステムにおいて有線通線と同等の伝送品質を持つことから,無線通信を用いた工場内のネットワーク構成に大きな期待が集まっている.しかし,工場内には多数の金属を含む機器が存在するため電波が遮蔽されやすく,空間内にNLoS(Non Line-of-Sight)が発生しやすい.そこで本稿では,NLoS環境の原因となる遮蔽物に設置されている通信機のサイドリンクを活用することで遮蔽物の影響を抑制する方法を提案し,その性能を解析する.
スマートファクトリではローカル5Gの適用が大きな期待を集めている.現在ローカル5Gで周波数の割り当てが実施されている28GHz帯を用いる場合,電波が遮蔽されるエリアが広くなるという特徴がある.本研究では,工場内で全ての移動物体の位置情報を把握するシステムの適用を前提とする.各移動物体は受信信号電力情報を運行管理システムに送信し,運行管理システムにおいては,空間内の受信信号電力分布情報を作成し,その情報を空間内の移動物体の位置情報に加えてブロードキャストすることで,各移動機器は空間内の不感地帯をできるだけ避けるように移動経路設計を行い,運搬車が常にネットワークに接続することを可能にするための手法を提案する.
スマートファクトリーではあらゆる機器が連携動作を行うため,セルラネットワークの接続性だけでなく,接続される機器の位置情報が必要不可欠となる.そこで,空間内の機器や人の位置情報を距離センサ(LiDAR)によって取得し,各時刻のリアルタイムな物体位置情報地図を作成,全自律ロボットにブロードキャストし,各ロボットがそれぞれの目的地までの経路設計を行うシステムを考える.
効率的な経路設計においては,複数ロボットのすれ違いが課題となる.そこで,動的環境を時空間グラフで表現し,各ロボットの移動先を予測することで,待機と迂回による,距離と時間の優先度を考慮した経路設計手法を提案する.
B-5. 無線通信システムB(無線アクセスネットワーク)
3月17日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K312講義室 座長 眞田耕輔(三重大)
B-5-119 |
スプリット学習による深度画像の1ピクセル特徴量からのミリ波通信受信電力予測
◎香田優介(京大)・Park Jihong・Bennis Mehdi(Oulu Univ.)・山本高至・西尾理志・守倉正博(京大) |
B-5-120 |
マルチ無線ネットワークにおける無線基地局選択のための品質予測技術に関する一検討
○若尾佳佑・中山章太・河村憲一・守山貴庸・鷹取泰司(NTT) |
B-5-121 |
IoTにおける送信タイミングの自律分散的制御法の検討
◎蕪木碧仁・相原直紀・安達宏一(電通大)・田久 修(信州大)・太田真衣(福岡大)・藤井威生(電通大) |
B-5-122 |
LoRaWANにおける外部干渉検知システムにおける学習パラメータ再初期化
◎相原直紀・安達宏一(電通大)・田久 修(信州大)・太田真衣(福岡大)・藤井威生(電通大) |
B-5-123 |
Deep Q-Learning Based Resource Allocation for Energy Harvesting Internet of Things
◎Aohan Li・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.) |
本稿では,深度画像の使用を前提とし,スプリット学習によりUEのプライバシを保護しつつ将来のミリ波RSSを予測する方式を提案する.スプリット学習では,ニューラルネットワークの計算の一部を,入力データを持つ主体に行わせる.これにより,深度画像を保持するUEは,生の画像よりも抽象度の高い特徴量を計算し送信して,自身のプライバシを保護できる.最も抽象度の高い1ピクセルの特徴量のみをUEが送信する制約の中で,平均2.7dBの精度で120ms先のRSSを予測できることを実験により確認した.
1台の端末が複数の無線インターフェースを備えることで様々な無線システム・基地局と同時に接続し通信をおこなうマルチ無線ネットワークでは、接続先の無線基地局選択がサービスの要件満足のために重要となる。これに対し、我々は機械学習を用いた品質予測技術をエンジンにより提供する無線ネットワークを提案し、うち、その品質予測技術に関する初期検討をおこなったので報告する。
近年,モノのインターネット (IoT) や M2M 通信などの発展が進んでいる.
これに伴い,多接続,低消費電力などの要求に対応した無線規格として,LoRaWANを代表とする省電力広域ネットワーク (LPWAN) が注目を集めている.
しかし,これらの規格において端末は簡易な純ALOHAプロトコルをMAC層のアクセスプロトコルとしている.
そのためシステム異常検知などのイベント観測時に発生する,通信品質を激しく低下させるバーストトラフィックが問題となっている.
本稿ではこのバーストトラフィックに対する通信品質向上のための手法を提案する.パケット衝突による通信品質の低下を回避するため確率的な制御による送信台数の制御と強化学習による送信タイミングの最適化を提案し,その特性を計算機シミュレーションにより評価する.
多数の無線端末が自律分散的に周波数資源を共用する環境において,複数のシステムが一つの周波数帯域を共用するための技術は重要である.本稿では,筆者らが提案した,LoRaWANシステムにおける外部干渉の検知及び無線リソース再割当て手法において,より優れた特性を得るための学習パラメータ初期化を検討し,その特性を計算機シミュレーションにより評価する.
In this report, to achieve high system capacity under limited resources with low complexity, deep Q-learning (DQL) method is exploited to develop resource allocation (RA) scheme for energy harvesting (EH) IoT. With the developed DQL based RA (DQLRA) scheme, the gateway (GW), as the agent, can autonomously make decisions to allocate spectrum, power, and time for data transmission to the IoT devices within its coverage. The DQLRA scheme can significantly reduce computational complexity compared with conventional RA schemes while improving system capacity compared with the random allocation scheme.
休 憩(11:00 再開) 座長 三木信彦(香川大)
B-5-124 |
5GHz帯マイクロ波給電と無線LANとの共存検討~実環境でのスループット評価~
○谷口健太郎・三友敏也・森 浩樹(東芝) |
B-5-125 |
UHF帯伝搬損モデルを用いた置局設計に関する一検討
◎小野 優・永瀬文昭・宮城利文・古谷博幸・林 崇文(NTT) |
B-5-126 |
STBC-MISO-OFDM方式ワイヤレスイヤーモニターの検討
◎飯島脩太・西村康生・佐藤 響(東京高専)・村上洸太・中谷裕子(NHKテクノロジーズ)・濱住啓之(東京高専) |
B-5-127 |
STBC-OFDM方式W-IEMシステムの受信ダイバーシチ性能評価
○西村康生・飯島脩太(東京高専)・村上洸太・中谷裕子(NHKテクノロジーズ)・濱住啓之(東京高専) |
B-5-128 |
プリント基板上のスタック八木アンテナによる無線クラスタ
○片山光亮・馬場孝明・大澤 隆(早大) |
近年,ケーブルの制約を受けずにメートルオーダで電力を送電可能なマイクロ波給電が注目を集めている.マイクロ波給電向け周波数帯として5GHz帯が知られているが,近傍の周波数帯を使う無線LAN(WLAN)に与える干渉が課題となる.これまでに,マイクロ波給電装置(WPT)に給電時間制御を導入することで干渉を軽減可能であることを,シミュレーション評価によって示した.本稿では,給電時間制御に加え,指向性による空間制御によってWPTがWLANへ与える影響を大幅に低減できることを実機評価で示す.
災害対策用加入者系無線システムは離島との通信や長距離区間に用いられることもあり,海上伝搬や鉄塔など高所からの送信が求められる.本稿では海上における長距離通信実験の結果と置局設計で用いられる伝搬モデル,および2波モデル[2の計算結果を比較し,置局設計の精度を上げるため評価を行ったので報告する.
コンサートや音楽番組制作などで用いられているワイヤレスインイヤーモニター(W-IEM)は、ミキシング卓の音声を演奏者の耳に直接送り返すシステムである。演奏者に装着するシステムのため小型化が要求される。このため信頼性を向上する受信ダイバーシチの適用が難しい。現在はアナログFM方式で実用化されておりカバーエリアが狭いという課題がある。このため複局送信が可能なデジタル方式の実用化が期待されている。しかし、マルチパスに強いOFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を適用するだけでは十分な性能が得られない。そこで本報告では、STBC (Space Time Block Coding) および MISO (Multi-Input Single-Output)をW-IEMに適用する。2系統のOFDM送信局にSTBCを適用したW-IEMシステムを提案するとともに、計算機シミュレーションにより性能評価を行った結果を述べる。
コンサートや音楽番組制作などで用いられているワイヤレスインイヤーモニター(W-IEM)は、ミキシング卓の音声を演奏者の耳に直接送り返すシステムである。現在はアナログFM方式で実用化がなされているが、カバーエリアが狭いという課題がある。このため筆者らは、マルチパスに強いOFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing)とSTBC (Space Time Block Code) および MISO (Multi-Input Single-Output)をW-IEMに適用するシステムを検討している。W-IEMは演奏者に装着するシステムのため小型化が要求される。信頼性を向上する受信ダイバーシチの適用は難しいものの2系統の受信であれば適用できる可能性がある。また、W-IEM方式をワイヤレスマイクに適用する場合は、受信ダイバーシチを4系統にできる可能性もある。そこで本報告では、STBC-MISO-OFDM方式W-IEMシステムに対して受信ダイバーシチの適用を試みる。STBC-MISO-OFDMシステムに受信ダイバーシチを適用し計算機シミュレーションにより性能評価を行った結果を述べる。
プリント基板上の13.6 dBiスタック八木アンテナを用いて2.45 GHz 帯における通信を行い、100 m 以上の距離で 20 Mbps 程度の通信速度を得た。複数のPCに同アンテナを接続し、無線接続クラスタコンピュータシステムを構築した。MPIを用いた並列計算プログラムにより12スレッド計算時に1スレッド計算時と比較して約6倍の高速化が確認された。
3月17日 13:30〜17:15 総合科学部 K棟3F K312講義室 座長 谷口健太郎(東芝)
B-5-129 |
上り回線NOMAにおける時間領域送信等化の時刻ずれの影響
◎吉田 圭(東北大)・亀田 卓(東北大/NICT)・末松憲治(東北大) |
B-5-130 |
SNR発展法を用いた部分アクセスIDMAシステムの数値解析
○山岸雅弥・長村 明・木村共孝・程 俊(同志社大) |
B-5-131 |
Radar and CommunicationにおけるRF不完全性の影響の評価
◎田齊広太郎・小松和暉・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-5-132 |
STPA-BAA方式におけるSLMを用いたPAPR低減
◎小林宏彰・妹尾克哉・丸田一輝(千葉大)・杉山隆利(工学院大)・安 昌俊(千葉大) |
IoTにおける通信環境では周波数利用効率を向上させるため,上り回線非直交多元接続方式の適用が検討されている.IoT向けの通信環境では狭帯域通信が予想され時間選択性フェージングの影響が深刻と考えられるので,時間領域送信等化によりフェージングの歪みを抑制できる.狭帯域通信ではビットレートが低く,データ通信時間が長いため,実際のチャネル利得と時間領域送信等化に利用するチャネル推定値の間で時刻ずれが生じやすい.本稿では,本稿では,上り回線非直交多元接続において時間領域送信等化適用時のチャネル推定値との時刻ずれの影響の評価を行った.
多重接続通信の1つであるIDMA(Interleave Division Multiple Access)通信システムは,従来のCDMAより良い性能を持つとして注目されている.しかし,IDMAシステムは同時に多数のユーザが通信路にアクセスするため,受信機における各ユーザの信号を分離する処理の計算量が多く,多数のユーザでの使用が困難である.この問題に対し,本論文では部分アクセスIDMA通信システムを提案する.本システムは送信系列にランダムに"0"シンボルを加えることにより,ユーザ間の協調を行うことで,瞬間的にアクセスするユーザ数が減少し,低計算量を実現する.また,瞬間的にアクセスするユーザ数の減少に伴い復号時に生成するファクターグラフ内のループが減少する.SNR発展法を用いた数値解析とシミュレーションにより,従来のフルアクセスIDMAシステムより高い復号性能を持つことを示す.
Radar and Communication(RadCom)は無線通信機器をレーダーとして用いる技術であり,
既存の専用機器を使ったレーダー技術に対してコストの削減が期待できる.
しかし,RadComでは検知対象以外で反射した信号(自己干渉信号)が対象の検知を困難にする.
既存手法では自己干渉信号が静的な線形チャネルによって発生すると仮定し,検知対象を移動物体に限定することで,対象の検知を容易にした.
しかし実際には,自己干渉信号は高周波回路の不完全性により,
非線形なチャネルを通るため検知精度が劣化する.
本研究ではRF不完全性が検知精度へ与える影響をシミュレーションによって評価する.
複数システム間の周波数帯域の効率的な共用を実現するための技術としてSTPA-BAA方式が提案されている.このSTPA-BAA方式はOFDM方式で信号の送受信を行っており,OFDMの送信信号は変調された各キャリアの足し合わせであることから,PAPRが高くなる場合がある.そこでSTPA方式において,PAPRに影響を与えていると考えられる高電力サブキャリアに着目し,それらにのみSLMを適用する手法を提案する.各シンボルごとのPAPRが最小となる位相系列を選択することでピークの抑圧を行い,PAPRの低減を図る.
休 憩(14:45 再開) 座長 中村 理(シャープ)
B-5-133 |
帯域内全二重におけるPAPR低減手法によるディジタル自己干渉除去の性能改善
◎岡野公太・小松和暉・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-5-134 |
非線形自己干渉キャンセラを用いる帯域内全二重のための送信機AM-AM特性の最適化
◎△小松和暉・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-5-135 |
無線チャネルの変動に対処した自己干渉キャンセラの再学習
◎石井建至・小松和暉・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-5-136 |
ベースバンド無線における帯域内全二重のためのヒルベルト変換を組み合わせた自己干渉除去
◎蛭川泰丞・小松和暉・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-5-137 |
FD-VLCネットワークにおけるパケット破棄を抑制するバックオフ手法のマルコフ連鎖モデルを用いた性能解析
◎澤 優太・眞田耕輔・羽多野裕之・森 香津夫(三重大) |
帯域内全二重における自己干渉除去手法の一つに線形自己干渉キャンセラがある.この手法は低計算量であるが,自己干渉信号が電力増幅器による非線形増幅を受けた場合,除去性能が劣化する.また,OFDM信号はPAPRが高く,送信機の電力増幅器で非線形増幅されやすい.そこで本研究では,PAPR低減手法を適用した帯域内全二重における線形自己干渉キャンセラの性能をソフトウェア無線機で構築したシステムで評価する.
帯域内全二重は周波数利用効率を向上させるが,自己干渉を除去しなければ実現できない.非線形自己干渉キャンセラを用いた帯域内全二重では,送信機にて理想プリディストーションするよりも送信信号を非線形に歪ませたときに通信路容量が向上することがある.しかし,どのようなAM-AM特性が帯域内全二重にとって最適であるかは分かっていない.本研究では,送信機のAM-AM特性を数値的に最適化することで,帯域内全二重の信号対干渉歪み雑音電力比を最大化する.
帯域内全二重における自己干渉は,伝搬するチャネル変動の影響を受ける.これにより,自己干渉キャンセラの性能は大幅に劣化するため,除去性能の維持が課題である.我々は,先行研究において,増幅器の非線形特性の変動を考慮した自己干渉キャンセラの再学習手法を提案した.本稿では新たに,無線チャネルの変動に対して自己干渉キャンセラを更新する,再学習手法を提案する.
帯域内全二重における線形自己干渉除去は,アナログ回路の不完全性の影響を受ける.そのため,線形自己干渉除去の性能が低下する.そこで,我々は,IQミキサを介さずに送受信を行うベースバンド無線に着目する.本稿では,ベースバンド無線における帯域内全二重のためのヒルベルト変換を組み合わせた線形自己干渉除去を提案する.
全二重通信を適用した可視光無線通信では,コーディネータが全端末に対しビジートーンを送信することにより隠れ端末による信号衝突を軽減している.しかしながら,全二重通信に起因して,端末がチャネルビジー判定(CCA)する度,チャネルビジーと判定されてしまい,パケット破棄が頻繁に生じる問題がある.そこで,チャネルビジーと判定された端末のバックオフ指数(BE)とバックオフ回数(NB)を維持することで,最大再送回数に達することによるパケット破棄を低減している.本稿では,提案されたバックオフ手法をマルコフ連鎖モデルを用いてモデル化することで,その性能評価を行い,提案手法の有効性を理論的に示す.
休 憩(16:15 再開) 座長 宮路祐一(豊橋技科大)
B-5-138 |
無線システムの混在環境を模擬する無線信号発生装置に関する一考察
○大堀文子・板谷聡子・大須賀 徹・中島健智・丸橋建一・児島史秀(NICT) |
B-5-139 |
製造現場におけるシステム安定度評価に関する一考察
板谷聡子・○大須賀 徹・大堀文子・長谷川 淳・丸橋建一・児島史秀(NICT) |
B-5-140 |
無線LANにおける許容遅延を考慮した送信タイミング制御の検討
○青木 寛・吉岡達哉・山口真司・長谷川晃朗・横山浩之(ATR) |
B-5-141 |
高信頼低遅延無線通信におけるシステム干渉の観測に基づく適応チャネル選択法
○宗 秀哉(東工大)・征矢隼人(neko 9 Laboratories)・府川和彦・張 裕淵(東工大) |
新たな IoT デバイスを導入する際,既存の無線通信に悪影響を及ぼす問題を事前に把握することが望まれているが,特定の条件下でのみ発生する問題などは再現に時間がかかるという課題がある.本稿では,導入先の無線環境を想定した動作検証を暗室等で行うために,複数の無線システムが混在する環境下で計測した無線通信情報をもとに他の無線機からの無線信号を再現する無線信号発生装置について提案する.
工場内のような狭い空間では,様々なシステム間での電波の干渉や反射により,安定した通信の実現に課題がある.本稿では,国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が推進するFlexible Factory Projectによる実証実験結果に基づき,工場における無線通信の安定度評価手法について提案する.
多くの製造システムが密に配置される工場においては,複数の無線機器が同時に通信を試みるため,パケット衝突が頻発し,パケットロスや遅延が発生するといった問題がある.この問題に対して我々は複数の無線LANシステムの送信タイミングを制御し協調動作させる時分割通信システムの研究を進めている.本稿では,時分割通信による遅延増加の影響を考慮し,トラヒックの許容遅延を考慮した割当アルゴリズムを評価した.その結果,トラヒックが高密度になる場合は時分割通信システムに単純な割当アルゴリズムを適用すると逆効果になる可能性が示唆された.この改善にはトラヒック密度を割当アルゴリズムで考慮する必要があると考えている.
高信頼低遅延が求められるIoTシステムでは,伝送遅延時間に厳しい制約があるが,アンライセンス帯でCSMA/CAによる通信を行うと,他システムからの干渉波と自システムのパケットとの衝突により,伝送遅延時間が長くなるという問題がある.パケット衝突数を低減するため,他システムのチャネル使用率(帯域時間占有率)を観測し,帯域時間占有率が低いチャネルを選択する手法が提案されている.一方で,他システムのパケット送信時間が伝送遅延時間に影響を与えることが報告されている.本稿では,他システムの帯域時間占有率だけでなく,パケット送信時間の情報を用いるチャネル選択法を提案し,計算機シミュレーションによりその伝送遅延時間特性を明らかにする.
3月18日 13:30〜17:30 総合科学部 K棟3F K312講義室 座長 宮本伸一(和歌山大)
B-5-142 |
集中制御型無線LANにおけるMU-MIMOリソース割り当てに関する一検討
◎田中風我・山下颯磨・菅沼碩文・前原文明(早大) |
B-5-143 |
端末位置に基づく適応可動無線制御法
○中平俊朗・石原浩一・アベセカラ ヒランタ・守山貴庸・五藤大介(NTT) |
B-5-144 |
無線LANにおける重要通信保護のためのCTS送信制御に関する検討
◎中山章太・河村憲一・若尾佳佑・守山貴庸・鷹取泰司(NTT) |
B-5-145 |
CSMA/CA方式のCWmin値が異なるIEEE802.11g モード 2 スマートフォンのUDP単独・競合通信時の通信品質
◎徳竹晶栄・小林武史・喜田健司(東洋大)・石川博康(日大)・篠永英之(東洋大) |
B-5-146 |
マルチBSS環境におけるIEEE802.11CSMA/CA性能解析モデルに関する一検討
◎梶原隆平・Leonardo Jr. Lanante・長尾勇平・黒崎正行・尾知 博(九工大) |
無線LANは,移動通信システムのトラヒック負荷軽減に極めて有効となるが,一定エリア内で多数の無線LAN機器が利用されると,ユーザ/アクセスポイント(AP)間の干渉に起因したスループットの低下が問題となる.これまでに我々は,MU-MIMOが適用された無線LANにおいて,制御エンジンによりユーザの干渉状態を把握し,各AP内でのユーザ割り当てとMU-MIMOのリソース割り当てを同時に実現し,スループット向上を図る方式を提案してきた.本稿では,更なる特性向上を図るべく,MU-MIMOのリソース割り当てについて,タイムスロット毎に空間直交性に基づくリソース割り当てを行う方式を提案する.また,提案方式の有効性を,MU-MIMOの全ユーザに対してリソース割り当てを行う従来方式を比較対象にとって,計算機シミュレーションにより評価する.
ドローンやロボットなどの可動機器にAP(access point) を搭載し,通信状況に応じてAP配置を制御する適応可動AP制御が提案されている.本稿では,適応可動AP制御に対して筆者らがこれまで検討を進めてきた無線パラメータ制御を組み合わせた適応可動無線制御法を提案し,無線LANにおける計算機シミュレーション評価により提案法の有効性を示す.
本稿では、CTS信号による干渉端末の通信容量が抑制される問題に対し、周辺の無線LANからの干渉状況に基づくCTS信号の自動送信制御方法を提案し、実験により保護端末の低遅延性を維持しつつ干渉端末の通信容量の改善を確認したので報告する。
本研究は無線LANアクセス方式のCSMA/CAのパケット衝突回避機能のBack-off制御のパラメータであるCWmin値が異なる2スマートフォンを用いた実通信環境下のIEEE802.11g モードAP上りUDP競合通信測定からCWmin値の差が通信品質に与える影響を明らかにすることを目的とする。送信UDPパケット量である設定UDP伝送速度ごとに測定を行い。スマートフォンとAP間の無線区間のパケット捕捉データから自系統パケット間に競合スマートフォンのパケットが含まれるパケット間隔時間特性を作成した。APと受信側PC間にTAPを介してスループット特性を測定する。パケット間隔時間特性とスループット特性からCWmin値の違いがパケットの連続送信と通信品質に与える影響を報告する。
現在、無線LANアクセスポイントやモバイルルータの増加により、複数のBSSが互いに干渉し合うマルチBSS環境が生じている。このような環境においてIEEE802.11のCSMA/CAの性能を十分に引き出すにはスループットの正確な解析モデルが重要となる。解析モデルとして2000年にBianchiが提案したモデル(以下、Bianchiモデル)が存在するが、Bianchiモデルは1BSSの環境でしか適用することができない。本稿ではBianchiモデルの拡張としてCarrier Sense Rangeの影響及びInterference Rangeの影響を考慮した解析モデルを提案する。今回は2BSSの環境において提案モデルを適用し、計算機シミュレーションにより提案モデルの評価を行った。評価の結果、提案モデルが従来のBianchiモデルより正確にスループットを解析できることを確認した。
休 憩(15:00 再開) 座長 川崎 耀(NICT)
B-5-147 |
無線LANにおける冗長検査情報による通信品質要因解析
○山本高至・紀平悠人・香田優介・西尾理志・守倉正博(京大) |
B-5-148 |
人工雑音環境下での漏洩同軸ケーブルを用いた無線LAN の性能評価
成松佳苗・山田健志・○宮本伸一(和歌山大) |
B-5-149 |
仮想専用チャネル構築法における稼働する媒体予約期間通知端末の決定法に関する一検討
◎山田健志・宮本伸一(和歌山大) |
B-5-150 |
無線LANのCSI を利用した物体検知の検討その1 ~周波数選択性を考慮した特徴量選択法の提案~
◎千手広輝・景山知哉・牟田 修(九大)・村上友規・大槻信也・小川智明(NTT) |
B-5-151 |
無線LANのCSIを利用した物体検知の検討その2-MIMO伝搬チャネルを考慮した物体検知手法の提案ー
◎安藤永稀・景山知哉・牟田 修(九大)・村上友規・大槻信也・小川智明(NTT) |
本研究では,通信品質要因の特定に資するフレーム送信区間などの情報を冗長検査情報と呼ぶこととし,有線バックホール回線などでの収集を想定する.そして,通信成否等の情報と組み合わせ,通信品質要因解析ならびに無線アクセス技術の高効率化を検討する.本稿では冗長検査情報に基づいた強化学習により,集約の効果を説明する.
漏洩同軸ケーブル(LCX)を用いた無線LANは,微弱な電波をケーブル沿いに輻射するという電波伝搬特性を活用し,安定かつセキュアな情報伝送を可能とする無線LANシステムとして注目されている.一方,無線LANが利用する周波数帯のうち,2.4 GHz帯は,元来,ISM(Industrial, Scientific and Medical)機器が利用する周波数帯と重畳していることから,ISM機器から輻射される人工雑音の影響による伝送性能の劣化が懸念される.本稿では,人工雑音環境下でのLCXを用いた無線LANシステムの伝送特性を評価し,人工雑音がLCXを用いた無線LANシステムの伝送性能に及ぼす影響を明らかにする.また,LCXとオムニアンテナを切り替えて受信する手法を導入し,それによる伝送性能の改善効果を明らかにする.
不特定多数のBSS (Basic Service Set) で周波数資源を共用する無線LANでは,個々のBSSの伝送性能を保証することは不可能である.この問題に対し,これまで我々は,比較的広域なプライベート空間を対象とし,エリアオーナによって設置された端末(守衛端末)から継続的に媒体予約期間を報知することで,外来者のBSS(外来BSS)の割り込みを排除する仮想専用チャネル構築法を提案した.本稿では,外来BSSの位置を特定できる場合,外来BSSの位置に応じてNAV通知領域を動的に制御する手法を提案する.
無線信号を利用した物体検知手法として, IEEE 802.11acにおけるCSI (Channel state information)を利用する方式が検討されている. この方式は, 無線局間で伝達される圧縮CSIフレームを特徴量として機械学習による物体検知を行うものであり, その検知精度は特徴量の選択手法に依存する. 本稿では, CSIを利用する物体検知システムにおいて, 伝搬チャネルの周波数選択性を考慮した特徴量選択手法を提案する. 提案方式の特性を計算機シミュレーションにより評価し, その有効性を示す.
無線信号を利用した物体検知手法として, IEEE802.11ac におけるCSI (Channel State Information)を利用する方式が検討されている. この方式は, 無線局間で伝達される圧縮CSIフレームを特徴量として機械学習による物体検知を行うものであり, 送受信のアンテナ素子数が検知精度に影響を与える. 本稿では, CSIを利用する物体検知システムにおいて, MIMO (Multi-input multi-output) 伝送路における第一固有チャネルの角度情報(圧縮CSI)のみを用いる方式を提案する.提案方式の特性を計算機シミュレーションにより評価し, その有効性を示す.
休 憩(16:30 再開) 座長 井田悠太(山口大)
B-5-152 |
RoFシステムのための波長固定ビームフォーミング手法の実験評価
◎伊藤耕大・菅 瑞紀・白戸裕史・北 直樹(NTT) |
B-5-153 |
RoFシステムに波長固定ビームフォーミング手法を適用した変調波伝送実験
○菅 瑞紀・伊藤耕大・白戸裕史・北 直樹(NTT) |
B-5-154 |
試作IEEE 802.11af無線機によるTVWS利用のフィールド実証
◎川崎 耀・伊深和雄・村上 誉・石津健太郎・松村 武・児島史秀(NICT) |
B-5-155 |
低周波電磁波による氷下海中ドローンの測位・通信試験
◎佐藤 良・吉田 弘(JAMSTEC)・高橋応明・加藤涼介(千葉大)・陳 強(東北大)・石井 望(新潟大)・三好 扶・米倉達郎(岩手大) |
ミリ波を用いたRoF (Radio over Fiber) システムでは,利得確保のためのビームフォーミングが必須となる.RoFにおけるビームフォーミング手法として,波長分散を利用し,波長を制御してRF位相を制御する手法が提案されている.しかし,これらの手法には波長利用効率が悪い,光ファイバの距離情報が必要,BS (Base Station) を制御不要としたときのBS構成が複雑,光ファイバが長い・高RF帯のときの波長調整量が小さく高精度化が必要といった課題が存在するため,著者らは新たな波長固定RoFビームフォーミング手法を提案し,評価を行ってきた.本稿では,実験評価により提案手法の原理確認を行ったので報告する.
我々はミリ波RoF (Radio over Fiber) システムにおける遠隔ビームフォーミング (BF) 手法の検討を進めている.提案手法は,従来の波長制御BF手法の課題を解決し,波長を固定で割り当てて遠隔でビーム制御を行うことを特徴とする.本稿では,提案手法を用いた変調波の伝送実験について報告する.
情報通信研究機構(NICT)では,コグニティブ無線技術の実用化を目指し,これまでに様々な研究開発や標準化活動を推進してきた.NICT主導の下,2013年に標準化されたIEEE 802.11afはテレビ帯ホワイトスペース(TVWS)を二次利用可能な無線システムである.TVWSを利用した省電力・長距離通信は,山間部や離島のようにケーブル敷設が困難な地域に通信回線を低コストで構築する上で極めて有望である.本稿では,NICTが試作したIEEE 802.11af無線機\cite{matsumura2019experimental, matsumura2019implementation}によりTVWSを利用したブロードバンド通信の海上フィールド実証実験を行った結果について報告する.
温暖化による北極海の環境変動は、近年の気候変動や災害をもたらす一因となっている。氷の融解の原因には気温上昇のほかにも、氷下からの温暖ガス放出や生態系の変化などが原因と考えられている。著者らは北極で極海下のパラメータ(水温、塩分濃度等)を調査するための探査機(本講演内では北極ドローンと称する)を開発中である。北極ドローンを使った北極下の調査を行うため、低周波の電波による通信、及び測位を提案している。そこで著者らは、海中での電波通信性能を測定するための通信機を開発し、氷上ー海中間の通信特性の測定にあたってきた。本講演では、2020年2月に冬季のサロマ湖上で、北極ドローンを模したROVに通信機を取り付けて海中に沈め、電波を使った通信・測位の実証試験を実施したので報告する。
3月20日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K312講義室 座長 奥山達樹(NTTドコモ)
B-5-156 |
ネットワーク連携干渉キャンセラを用いたセル境界通信品質改善の検討
○米田拓海・藤井輝也(東工大) |
B-5-157 |
ミリ波メッシュバックホールネットワークにおける基地局の小型化に関する研究
○袁 偉然・中村 誠・阪口 啓(東工大) |
B-5-158 |
災害時におけるミリ波を用いたUAV基地局の位置配置
◎小笹聖典・平田孝佑・タン ザ カン・阪口 啓(東工大) |
B-5-159 |
UAVを用いた動的ミリ波メッシュバックホールの設計
◎平田孝佑・小笹正聖・タン ザ カン・阪口 啓(東工大) |
B-5-160 |
Long Range Communication Experiment Using LPWA in 920MHz Band for Traffic Management of Multiple Drones
○Bilguunmaa Myagmardulam(Nagaoka Univ.)・Ryu Miura・Fumie Ono・Toshinori Kagawa・Linh Shan(NICT)・Tadachika Nakayama(Nagaoka Univ.)・Fumihide Kojima(NICT) |
5G等の今後の移動通信システムではセル内のどこでも超高速データ伝送が期待されている。全てのセルで同一周波数を繰り返す移動通信システムでは、特にセル境界付近において隣接セル干渉により通信品質が劣化する。
本稿では、セル境界付近の干渉を抑圧する技術として、隣接する基地局が連携して仮想的なセルを構成し、地理的に分散する各基地局のアンテナを仮想セル内のアンテナと見做して、隣接セル干渉を抑圧する仮想化MU-MIMO(Multi-User Multi-Input-Multi-output)キャンセラを提案し、その適用効果を明らかにする。
近年,スマートフォンやタブレットなどの電子端末の普及により,モバイルトラフィックが年間約47%のペースで増加している[1].これに対処するために基地局の大容量高密度化が検討されており、低コストで基地局を配置できるミリ波を用いたメッシュバックホールネットワークが注目されている.また,多数の小セル基地局の建設および設置を簡易化するため,その小型化設計が要求されている.そこで本研究では、ミリ波メッシュバックホールネットワークの小型化および実験による性能評価を行った.
我々は,災害地における高解像度動画中継等のアプリケーションを想定し,UAVをミリ波基地局として用いることで,超高速伝送の実現を目指している.UAVは地上の要件に左右されず,高度に配備することができるので,ミリ波帯において重要な,地上局への見通し環境の確保や,少ないアクセス局でのカバレッジの拡大が期待できる.
ミリ波を対象としたUAV基地局の位置配置が検討されている例は少なく,またマイクロ波帯においてなされているいくつかの検討では隣接UAVのユーザ地点での干渉は無視できない.
よって本稿では,ミリ波帯を用いたUAV基地局によるネットワーク構築において,なるべく干渉を低減するようなUAV配置を考える.
通信機器の発達により,モバイルトラフィックが年々増加している.それに対し,5Gの開始にあたり,広帯域を担保できるミリ波の使用が必要不可欠となりつつある.ミリ波の使用に伴い基地局の増設が要求されるが容易ではない.そこでUAVで代用することが検討されている.UAVに基地局を代用させることは地上のユーザーとの見通し確率を向上させたり,トラフィックの増大する時間帯,場所にのみ運用させることで費用を抑えたりする効果が挙げられる.また,自由にネットワークトポロジーを変更でき,ルーティングへの自由度を与える利点も考えられる.
本研究ではユーザーと直接通信するUAVと地上の基地局を中継するためのバックホールUAVの位置最適化及びネットワーク構成最適化を遺伝的アルゴリズムにより行い,数値解析で評価してので,報告する.
Recently, the use of unmanned aerial vehicles (UAVs) and drones, are becoming popular in various applications that includes survey, military, telecommunications, logistics and disaster management. One of the important issues for safe operation of drones is to collect their location data and ID at ground stations so that dangerous conditions can be avoided. In particular, the drone safety guarantees are difficult to attain, when drones fly beyond the line of sight (BLOS).In this research, we proposed drone location information sharing using the 920 MHz system for logistic application of multiple drones.
This work is focused on the monitoring of multiple-drones flying over the long-distance in BLOS environment.The field experiment was conducted in coast area of Minami Soma, “Fukushima Robot Test Field” in October 2019. The module antenna direction and position affect the RSSI values captured by the GS.
休 憩(11:00 再開) 座長 安達宏一(電通大)
B-5-161 |
OFDM-CMAにおける干渉信号のタイミングオフセットに対する抑圧効果
○大金史歩・妹尾克哉・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-5-162 |
平面アレーアンテナの回転による到来方向推定精度の向上
◎花田稔弥・丸田一輝・安 昌俊・後藤健太(千葉大) |
B-5-163 |
マルチユーザMIMO-SC系におけるFIR送信ビーム形成に基づく空間ダイバーシティ技術
○福園隼人・栗山圭太・吉岡正文・林 崇文(NTT) |
B-5-164 |
FIR型送信ビーム形成を用いた広帯域シングルキャリアMU-MIMOシステムの実験的検討
◎栗山圭太・福園隼人・吉岡正文・林 崇文(NTT) |
B-5-165 |
Principle of MARIA method for Beyond 5G and its propagation entropy−Enhancing mMIMO and Beamforming for multi-user/multi-networking−
○Gen-ichiro Ohta(Yokosuka Telecom Research Park) |
ブラインドアダプティブアレーは干渉を事前情報なく抑圧可能とする手法であり,中でもCMAは優れた干渉抑圧性能を有する.CMAにおいて,鑑賞信号の低包絡線性を改変することでその抑圧性能が改善可能背あることが示されている.OFDMでは,FFTタイミングのウィンドウ位置にオフセットを与えることでも同様のことが実現できると考えられ,本稿ではその影響を評価する.
到来方向の推定方法としてMUSIC(Multiple Signal Classification)法が広く用いられている.本研究は,平面アレーアンテナを用いるMUSIC法において,より多くの信号源を推定可能とするためにアンテナ回転を適用することを提案する.
本稿では,非正方のMIMO 通信路行列の系にも使用できるFIR 送信ビーム形成法を提案する.提案法により空間ストリームを超える数の送信アンテナを利用し,送信ダイバーシティによる特性改善が見込める.シミュレーションにより,提案法がSINR 特性を改善させることを示す.
長遅延波環境における広帯域シングルキャリアMU (multiuser) -MIMO (multiple-input multiple-output) システムでは,時間方向の伝搬遅延によるシンボル間干渉と空間方向のユーザー間干渉を抑制する必要がある.これに対し,筆者らはCIR (channel impulse response) 伝達関数行列の転置余因子行列(adjugate matrix) を送信ウェイトとしたFIR (finite impulse response) フィルタ型送信ビーム形成と,波形等化器を用いる手法を提案した.本稿では,SDR (software-defined radio) デバイスとフェージングエミュレータを用いた,疑似MU-MIMO環境における伝送特性を評価したので報告する.
A new modulation/access method is invented. It is based on propagation models induced from natural radio paths characteristics. This method has a new information entropy space. The capability of enhancement of data-rate can be expected more than 100 times. Moreover, another capability is expected to give multi-user use and multi-operator-use of a single beam of the 5G beam-forming service. In this session, the principle of this method, the new entropy space for the method, and application service models over 5G beam-forming function are discussed.
3月20日 13:30〜14:30 総合科学部 K棟3F K312講義室 座長 衣斐信介(同志社大)
B-5-166 |
分断された経路を考慮した自律的無線同期制御方式
○三宅裕士・青山哲也・武 啓二郎・有賀 博(三菱電機) |
B-5-167 |
他システムへの干渉を考慮したLoRaWANの送信制御法の検討
◎Bounpasith CHALEUNSOUK・相原直紀・安達宏一(電通大) |
B-5-168 |
Wireless Powered Mobile Edge Computingにおける確率的バイナリーオフロードの検討
◎小林拓弥・安達宏一(電通大) |
B-5-169 |
市販マルチコプタのRoFによる位置推定の基礎検討
○河村暁子・角張泰之・森岡和行・二ッ森俊一・米本成人(電子航法研) |
ローカル無線ネットワークにおいて,無線を用いる無線局間の同期確立手法が検討されている.本発表では,複数の経路間の無線局間のフレームタイミング差を縮小するようにタイミング制御を行う際に各無線局の補正量が最小となる自律的にタイミングの基準となる経路を選択する同期制御方式を提案する.
近年,多数の無線端末が自律分散的に周波数資源を共用するLPWA(Low Power Wide Area)環境において,複数のシステムが一つの周波数帯域を共用するための技術が注目を集めている.日本国内では,他端末及び他システム保護のためのキャリアセンス(CS: Carrier Sense)が規定されているが,LPWA の広いカバレッジに起因し,CS の失敗によるシステム間干渉が問題として考えられる.本稿では,LPWA の一種であるLoRaWAN に着目し,この他システムへ与える干渉を低減するためのセンシングを用いたタイムスロット割り当てを提案し,その特性を計算機シミュレーションにより評価する.
近年, モノのインターネット(IoT) の発展に伴いIoT機器やセンサの小型化による計算能力の限界やこれらの増加による充電管理が問題視されている.
無線端末 のタスクを代替計算処理するモバイルエッジコンピューティング(MEC) と,
APから無線端末へ無線高周波信号を送り, エナジーハーベスティング(EH) を行う無線電力伝送(WPT)を組み合わせた
Wireless Powered Mobile Edge Computingシステムによって2つの問題を解決することが期待されている.
本稿では, APによる集中制御ではなく確率的制御によってオフロードとローカル計算の2つのモードを選択するProbabilistic Binary Offloadingシステムを提案する.
このシステムに対しWPTを行うことで全端末のバッテリ消費を抑えることを目標とする.
近年,ドローンの利用増加に伴い重要施設への侵入検知技術が求められている.著者らは,小型無人航空機の運用に関わっていない第三者が,機体とオペレータ間のテレメトリ通信波を受信して到来時間差より機体の位置を推定する手法について検討し,市販のマルチコプタを用いて電波無響室内において測定を実施した.
B-6. ネットワークシステム
3月17日 9:30〜12:15 工学部 講義棟1F 116講義室 座長 高野知佐(広島市立大)
B-6-1 |
SIPサーバにおける膨大ログのパターン化手法に関する一検討
○レー 武興・城所忠篤(NTT) |
B-6-2 |
IP電話網における通話路品質劣化時の切り分け手法のシステム化に関する一考察
○澤田暁彦(NTT) |
B-6-3 |
IBCFをB2BUAで実装することの有効性
○久保耀介・門間 裕・佐藤隆之(NTTドコモ) |
B-6-4 |
通話中におけるCATメディア提供手順に関する一考察
◎永徳はるか(NTT) |
B-6-5 |
移動端末の接続先エッジアプリ制御方式の検討
◎小野孝太郎・石橋亮太・鍔木拓磨・中原悠希・桑原 健(NTT) |
従来,SIPを用いた事業者間のIP相互接続時は,SIPサーバ内で,異常・エラーが発生すると,アラームやログ等を分析することで障害原因を特定している.しかし,SIPサーバの台数が多く,SIP系障害は多種多様なため,SIPサーバにおける異常検出は簡易ではない.
異常検出や不正発見等のため,教師なし学習であるクラスタリング手法がよく使われている.このような従来のクラスタリング手法では,ログの類似度から,特徴的なパターンを抽出することで分類を行っている.しかしながら,従来手法では分布の類似パターンのみ抽出でき,データ数が少ないと,同一クラスタとして分類されてしまう欠点がある.
本研究ではログの複数パターンから潜在的な特徴を抽出できる因子分解法を活用し,膨大ログのパターン化を実施することでSIPサーバにおける異常ログの特徴を抽出する.
障害箇所推定機能について検討を行った。SIP情報を元に経路を特定し、その経路上の障害箇所の探索を行うことに着目しての検討を行った。当該機能と網内の各SIPサーバとの具体的なIFについては、提案機能と連携するSIPサーバの製品仕様等を考慮し、提案機能内で収集したSIP信号から解析を行うか、もしくはIFの規定を検討する必要がある。
IMS間のNNIでSIPを採用するにあたり、網間のGWノードとしてIBCFをB2BUA方式で実装することによる有効性を紹介する
本研究では、時代に合わせたコミュニケーションサービスの提供を目的として、通話におけるアナウンスメント提供手順に関する仕様拡張を検討する。通話時のアナウンスメントについては、近年のスマートフォンの普及による通話形態の変化等の影響を受けて、3GPPにおいても盛んに検討が行われている。本発表においては、従来通話開始前の提供を前提とされていたアナウンスメントを、通話中にも継続して提供するための手順、及びその適用例を報告する。
端末近傍に配備されたサーバ基盤(エッジ基盤)によりサービスが提供されるエッジコンピューティング環境では、サービス要件の充足やネットワーク負荷低減のため、コネクテッドカーのように移動する端末がその時々に最も近接するエッジ基盤上のアプリ(エッジアプリ)と接続してサービスを利用することが望ましい場合が想定される。本稿では、移動端末がその時々に最適なエッジアプリに接続できるようにするために、移動端末の在圏地域に応じたエッジアプリの名前解決応答と必要に応じた名前解決結果のキャッシュ削除を実施することで、端末負荷の増大を回避しつつ移動端末の接続先を適切に制御する方式を提案した。
休 憩(11:00 再開) 座長 藤本章宏(和歌山大)
B-6-6 |
EPCにおけるIPv6シングルスタックに関する一考察
○國友宏一郎・宮坂 昭(ドコモ・テクノロジ) |
B-6-7 |
NB-IoT端末におけるSMS in MMEのタイマ値に関する考察
○渡邉紘輝・阿部元洋・國友宏一郎(ドコモ・テクノロジ) |
B-6-8 |
特定の管理サーバを必要としない省電力サーバシステムの開発について
北村光芳・○竹下敏和・谷 昂樹・山口拓実(東京工芸大) |
B-6-9 |
サーバシステム構築トレーニングシステムの開発について
北村光芳・○山口拓実・谷 昂樹・竹下敏和(東京工芸大) |
B-6-10 |
無線アクセスを用いた固定電話の実現方式の考察
○鐘ヶ江俊介・栗田弘之(NTT) |
EPCにおいて,IPv6をシングルスタックで用いる場合の課題について考察する.
3GPP networkに収容するNB-IoT端末にSMS in MMEを適用する場合の課題を明らかにし、提案手法を検討した。
近年,クラウドコンピューティングは我々に便利なサービスを提供しており,そのサービスは我々の生活にとって必要不可欠となっている.そのため,そのサービスを支えるサーバシステムの高可用性や省電力化を実現することが重要となる.一般的に省電力サーバシステム(PSS)は,特定の管理サーバがサービスを提供しているサーバの負荷を測定し,その状況に応じた構成にサーバシステムを変更することによって省電力化を実現している.そのため,特定の管理サーバが故障した場合を想定した設計が必要となり,その制御方法の複雑化や管理対象サーバ数に伴う,管理のための負荷の増加が懸念される.そこで,本報告では特定の管理サーバを必要としないPSS についてのサーバ構成および処理概要について示す.
近年,インターネットサービスの発展により,我々の生活にとって非常に便利なサービスが提供されている.今後,新たなサービス要求の増加が予想されるため,サーバシステムを構築するスキルを持ったエンジニアを育成することが重要となる.それらを育成するためには,学習用サーバの用意やサーバシステムの構築知識を持つ講師の手配など,多くのコストが必要となる.そこで,サーバ仮想化技術を採用し,1台のコンピュータで同時に複数のサーバエンジニアを教育可能なサーバシステム構築トレーニングシステム(SSCTS)の開発を行う.本報告ではSSCTS の構成概要を示すとともに,システムの効率的な構築方法およびその機能を示す.
NTTはこれまでルーラルエリアに、固定電話のためのメタルケーブルを配備してきたが、その更改を行うにあたり、山間島部は、光ファイバー設置・維持コストが高く、無線を利用した固定電話が、議論されている。0AB~J番号を利用するための技術的要件担保が課題とされている。本稿では、技術的要件の担保に向け、前提となる既存のネットワークを整理したうえで、実現方式を比較評価した結果を示す。
3月17日 13:30〜17:15 工学部 講義棟1F 116講義室 座長 山垣則夫(NEC)
B-6-11 |
DNS水責め攻撃に対抗するDNSキャッシュサーバ上でのFQDNベースホワイトリストフィルタに関する検討
◎長谷川圭太・戸出英樹・近藤大嗣(阪府大) |
B-6-12 |
グラフ中心性に基づくDDoS攻撃検知特徴量の検知精度評価
◎林 裕平(NTT)・藤岡碧志・鈴木彦文(信州大) |
B-6-13 |
ブロックチェーンを用いたトレーサビリティシステムの設計と評価
◎佐藤呼春人・萬代雅希(上智大) |
B-6-14 |
MQTT プロトコルと秘密分散法を用いた IoT 向けセキュリティシ ステムの実装と評価
◎中川雅人・ガジェゴス ラモネト アルベルト・野口 拓(立命館大) |
B-6-15 |
MPLS網内の任意箇所におけるパケットのVPN選別方法
○井上寛規・大澤 浩(NTT) |
B-6-16 |
ネットワークシステムにおけるサイレントチェンジ対策の一提案
◎横田昌宏・並木雅俊・武智宏人・荒谷克寛・前田英樹(NTT) |
B-6-17 |
IP相互接続における障害箇所推定手法に関する検討
○雑賀 優(NTT) |
B-6-18 |
通信系伝送装置における音声系障害検出方式の検討
○金光卓生(NTT) |
マルウェアを用いて大量の情報機器をボット化し,攻撃目標のサーバに対して一斉にアクセスを行わせるDDoS攻撃が大きな社会問題となっている.その1つに,ボット群がDNSクエリ中のFQDNとして,存在しないランダムなサブドメインを指定し,接続先のDNSキャッシュサーバのキャッシュを無効化して攻撃対象の権威DNSサーバに大量のクエリを到達させるDNS水責め攻撃がある.この攻撃に対し,正常ユーザのDNSクエリ内のFQDNに着目し,DNSキャッシュサーバに関するキャッシュ特性を加味したFQDNベースホワイトリストを用いる防御手法を提案する.
近年,ポートをランダム変化させて攻撃を行うDDoS攻撃や,間隔を空けて攻撃を行うパルス状DDoS攻撃,攻撃先を変化させて攻撃を行う絨毯爆撃DDoS攻撃等の巧妙化されたDDoS攻撃が流行している.本稿ではこれらの検知に向け,一般のルータから得られる 5-tupleで定義される通信フロー(以降,単にフローと呼ぶ)データから計算可能な,グラフ中心性に基づく攻撃検知特徴量を提案する.
本研究では, ブロックチェーンを用いたトレーサビリティシステムにおける, コストと性能について検討する.具体的には, コストと性能の拡張性を考慮したスマートコントラクトの設計法と追跡アルゴリズムを示す.スマートコントラクトの設計に関しては, 直近の配送, 製造情報のみ記録することで, 記録コントラクトのコストの増大を線形にする.また, 追跡アルゴリズムの設計に関しては, 追跡対象の製品の物流, 製造処理を, 対象を柔軟に変えつつ原料調達の段階まで遡る.
本論文では, MQTTプロトコルと秘密分散法を用いたIoT向けセキュリティシステムを提案する. 既存のMQTTセキュリティであるSSL/TLSを利用する際, CPU性能の低いIoT機器によっては使用が困難な場合がある. その原因として, 共通鍵の共有に用いる公開鍵暗号の素数生成が考えられる. そこで, 本提案では公開鍵暗号に代わる共通鍵の共有方法として漏洩や改竄に強い秘密分散法を用いたセキュリティシステムを提案する. 実験において公開鍵暗号と比較を行った結果, 秘密分散法がIoT環境での鍵共有に適していることを示した.
これまでMPLS網パケットのVPN選別は,PEルータ上では容易だが,Pルータ上では困難であった.本提案により,Pルータ上でもベンダ非依存でVPN選別でき,MPLS網の任意の箇所でVPN選別が可能となる.また,PEルータ数と網構成によっては,提案方式により必要パケット複製箇所数を抑制できることがわかった.
伝送装置をはじめとするネットワーク装置において、サイレントチェンジ(通知がないままでの部品変更)に伴う故障や不具合により、商用サービスに影響を与える事象が発生している。今回、装置内のモジュールやのサイレントチェンジのリスクを事前に推定することにより、問題混入を早期に検出するとともに、故障発生時に故障原因特定の早期化およびサービス影響範囲を抑え、保守稼働を削減することに繋げる。
IP相互接続時に障害が発生した際にSIP(Session Initiation Protocol)[2]、RTP(Real-time Transport Protocol)[3]を活用して障害箇所を推定する手法に関して検討した結果を述べる。
デジタル処理を行うエコーキャンセル機能を持つ通信系伝送装置において、装置内での演算処理誤りによる雑音等の音声系障害の発生時に音声データのみが異常となった場合は、エコーキャンセル機能の動作特性から異常の検出が難しく、障害が継続してしまう懸念がある。今回提案する音声障害検出方式を採用することで、エコーキャンセルを含む音声処理前後での音声データの変化によらず該当の通話チャネルの正常性の確認が可能となる。
休 憩(15:45 再開) 座長 木村共孝(同志社大)
B-6-19 |
遅延ベース輻輳制御の収束性改善に関する一検討
○石倉彰太郎・山本 幹(関西大) |
B-6-20 |
RDMAにおけるレート変動を抑えた輻輳制御方式
○野口雅広・菅原大輔・山本 幹(関西大) |
B-6-21 |
優先パケットを考慮したENUM通信の輻輳制御方式
○杉木優太(NTT) |
B-6-22 |
OVS環境における音声品質と開発工程における留意点
○中村 拓(NTTドコモ) |
B-6-23 |
タイルベースの360度動画ストリーミングにおけるタイルクオリティ選択方法
◎関根ありさ・萬代雅希(上智大) |
B-6-24 |
ライブ/リニア配信向けマニフェスト制御方式における原型マニフェストファイル取得手法の評価
○奥山隆文・趙 笑添・北田裕之・瀬戸三郎(NTT) |
輻輳制御方式として,これまで多くの方式が提案されてきた.近年,目的関数を機械学習により最適化する方式がいくつか提案されてきた.これに対し,目的関数を用いたうえでアルゴリズミックに動作し,そのレートがナッシュ均衡条件を満足する手法として,遅延ベースのCopaが提案されている.本稿では,Copaの送信レート収束性の問題を解決する方向性について検討する.
データセンタネットワーク(DCN)において広帯域,低遅延を実現できるRDMAが注目されている.RDMA環境における輻輳制御としてDCQCN\cite{dcqcn}とTIMELY\cite{timely}が提案されている.両者ともレートベースの輻輳制御であり,輻輳シグナルとしてDCQCNはECN、TIMELYはRTTを用いている.本稿では,両方式に安定性の観点で技術課題があることを示し,これを解決するレート変動を抑えた新しい手法を提案する.
2021年より電気通信事業者間でIP相互接続を開始する。IP相互接続前は電話番号を用いて着信事業者へルーティングしていたが、IP相互接続後はドメインを用いて接続する事が事業者間で決定しており、各事業者は着信事業者のドメインを管理するENUMサーバを運用して宛先解決をする事が決まっている。一般呼、優先呼関わらずほとんどの通信はENUMサーバに問い合わせを行い、宛先解決を実現する。ENUMサーバ輻輳時に優先呼を救済する方法を検討する。
テレコムVNFのパケット中継方式をOVSで実装した場合の音声品質データより、サービス提供できるレベルであることの共有及び、開発工程における留意点を共有する
本研究では,タイルベースのストリーミングにおける,タイルクオリティ選択方法を提案する.提案方式は,ユーザの頭の動きによるviewport領域の変化によって起こるviewport内の空間的なクオリティ変化を抑制する.タイルクオリティ選択では,viewportとその周辺のクオリティレベルの差が大きいとき,その差を減らす.シミュレーションの結果,視聴ビットレートを大きく減らすことなく,viewport内のクオリティ変化を大幅に減少できることを示す.
HTTPストリーミングにおけるライブ/リニア配信において,マニフェスト制御方式を用いる際の原型マニフェストファイル取得手法について,セグメントファイルの特性が手法の性能に与える影響を評価した.
3月17日 9:45〜12:15 工学部 講義棟2F 219講義室 座長 上 豊樹(パナソニックシステムネットワークス)
B-6-25 |
Wake-Up Signal適用時におけるPaging方式の検討
◎宮崎祐哉・阿部元洋(ドコモ・テクノロジ) |
B-6-26 |
ベイズ最適化を用いたマルチアクセス環境における最適ユーザ収容アルゴリズムの検討
○小野央也・成川 聖(NTT) |
B-6-27 |
Intelligent Reflecting Surfaceを用いた移動通信システムにおけるセル間干渉制御に関する一検討
◎橋田紘明・川本雄一・加藤 寧(東北大) |
B-6-28 |
AR Glass as 5G Terminal and its Application in Smart Buildings
○Yue Wang・Tao Yu・Kei Sakaguchi(Tokyo Tech) |
Wake-Up Signal適用時においてPagingが失敗するリスクがある。本課題の要因の説明と解決策の検討を行う。
近年の通信端末はモバイルキャリアの提供するセルラ無線や無線LANなど複数種類のアクセス手段を利用可能となっているが、将来の端末は複数キャリアのセルラ無線や衛星通信など、より多くのアクセス手段を利用可能となることが予想される。その際、各アクセス手段の特徴を加味してアプリケーションの要件を満たすアクセス手段を選択できれば、ユーザの満足度最大化や設備リソースの有効活用が可能であると考えられる。本発表では端末群がLTE基地局と無線LAN APに接続可能なケースでの最適接続先組み合わせ導出アルゴリズムとして、ベイズ最適化を適用したときの探索回数削減効果について報告する。
現在,無人航空機システムやスカイカーの実用化が検討されており,上空のユーザに無線通信環境を提供する必要性が拡大している.しかし,上空は基地局からの見通し範囲が広域に及ぶため,地上エリアと比べセル間における干渉が深刻になる.
そこで筆者らは,上空における干渉レベルを低減するために,IRS(Intelligent Reflecting Surface)を用いて電波伝搬環境を動的に制御する手法の確立を目指している.IRSとはメタ原子と呼ばれる微小な素子を二次元的に配列することにより構成される反射板である.その表面に入射した電磁波の位相を制御できるという特徴を有しており,電磁波の指向性および反射方向を制御することができる.本稿では,IRSが上空におけるダウンリンクのセル間干渉を抑制し,上空に存在するユーザのSINR(Signal to Interference plus Noise power ratio)を向上させる手段として有用であることを示す.
These years AR devices, especially AR glasses focusing on visual experience, have made great progress and been applied in various fields. 5G promotes the development of other technologies, such as AI and smart buildings. In this paper, an application is shown for a lighting control platform and is implemented in an indoor scenario where users can detect illuminance and control the lighting system by gestures or voice via an AR device.
休 憩(11:00 再開) 座長 小島英春(阪大)
B-6-29 |
リアルタイム通信アプリケーション利用時のサーバ配備箇所選定手法の提案
○佐藤卓哉・中村孝幸・本間俊介・天坂光男・岡田智広(NTT) |
B-6-30 |
ネットワーク事業者におけるフィルタ転送設定確認方式
○藤原貴之・渡辺裕太・武田知典(NTT) |
B-6-31 |
仮想化環境におけるハードウェア障害に対する再開処理の改良提案
○三原孝太郎・戸田貴都・佐久間美能留・木村伸宏(NTT) |
B-6-32 |
MECに対するキャッシュポリューション攻撃の影響分析
◎芦原大和・上山憲昭(福岡大) |
B-6-33 |
ブロックチェーンを用いた個人信用スコアシステムの提案
◎△許斐健太・上山憲昭(福岡大) |
複数のクライアントが一箇所のMECへアクセスして一つのアプリケーションを実行する環境においては,クライアント毎の遅延量のバランス等がアプリケーション全体の性能や体感品質に影響するケースがあり,その場合は,複数のクライアント毎の遅延量に基づいて総合的にサーバの配備場所を選定する必要がある.本稿では,サーバ配備場所の適切な選定が求められるユースケースに対して,その選定手法を提案する.
ネットワークのサービス多様化に供え,エッジには柔軟かつ迅速に機能・性能を準備できるアーキテクチャに対応できることが望ましい.Mobile Edge Computing (MEC) 等のエッジコンピューティングアーキテクチャを前提とした場合,エッジ装置はサービス対象となるパケットを選別し,サービス部へ転送する必要がある.このような処理の実現例として,Virtual Routing and Forwarding (VRF)と,Match / Actionルール(以降,M/A) による転送処理を定義する方法がある.一方,従来のIPフォワーディングに比べ転送条件が複雑化するため,設定投入直後にサービス用の通信経路が正しく反映されているかを確認できることが,ネットワーク事業者にとっては望ましい.
音声系システムをVMとして仮想化基盤上で動作させるとき、音声系システムが特有に備える再開機能について、仮想化技術であるオートヒールを活用することで、システムの信頼性を更に向上させる方式について提案する。
従来の再開機能ではハードウェア障害に対しては再開エスカレーションの結果による障害系の最終的なFLT(サービス不可状態)遷移することで対応していたが、FLT経由することで片系運転時間が長くなるという課題があった。これに対して再開動作時にオートヒールをあわせて実行することで、FLTを経由させることなしに障害の発生しているハードウェアから退避する方式を提案する。
悪意 を持ったユーザが意図的に低人気のコンテンツに多数の要求を 行うことで低人気コンテンツをキャッシュさせ,キャッシュの 効果を低下させるキャッシュポリューション攻撃 (CPA: cache pollution attack) の問題が指摘されている .本稿では, CPAのモデルとして4つの方式を検討し,正常ホ ストのキャッシュヒット率低下度合いを計算機シミュレーション により評価した.その結果,Smart fixed 型以外の 3 つの CPA 方式のキャッシュヒット率低下効果は同等であり,攻撃対象コ ンテンツ数がコンテンツの総数に対し数 10%程度の広い領域 で,また攻撃ホスト数が少ない領域で,その脅威が大きくなる ことを確認した.
近年中国では個人の信用スコアを、融資、賃貸、シェアサイクルやカーシェアなどのシェアリングエコノミーなどの様々な場面で活用しようとする動きが高まっている. また海外の国々や日本でも個人スコアを使用する動きが高まっている. 現在は一企業が個人ごとに個人の信用スコアを算出しているため、個人の信用スコアの算出方法は企業に依存しているのが現状である. ビットコインを始めとする暗号通貨の核となるブロックチェーンと呼ばれる技術がある. 暗号通貨ではブロックチェーンを用いることによって第三者を通さずに通貨の受け渡しが可能である. さらにイーサリアムと呼ばれる通貨には通貨の受け渡し以外にスマートコントラクトと呼ばれる自動契約を第三者を必要とせず、履行できる仕組みを保持している. 本研究ではイーサリアムを使用し、個人の信用スコアの算出方法を一企業に依存せず、各個人が各個人の信用スコアを評価するしくみを提案する.
3月17日 13:30〜17:15 工学部 講義棟2F 219講義室 座長 高野知佐(広島市立大)
B-6-34 |
ヘッダサンプル型xFlowパケットのロードバランス機構に関する一検討
○西岡孟朗・林 裕平・大澤 浩(NTT) |
B-6-35 |
xFlow生成・分配システムにおける負荷分散手法
○大澤 浩・西岡孟朗・三好勇樹・林 裕平(NTT) |
B-6-36 |
xFlowパケット内のヘッダサンプルフォーマット変換方式
○三好勇樹・林 裕平・井上寛規・西岡孟朗・森岡千晴・大澤 浩(NTT) |
B-6-37 |
通信系装置における電源供給方式の検討
○佐藤教之・古屋貴行(NTT) |
B-6-38 |
N-Act 運用における装置増設時のサービス継続提供に関する検討
○渡辺裕太・武井勇樹・西口雅人(NTT) |
B-6-39 |
ディスアグリゲーション化された伝送装置の接続設定簡易化に関する検討
○本田健太郎・伊藤 健・前田英樹(NTT) |
B-6-40 |
共通線のIP化によるリンク設定方法に関する一検討
○渡邊宏介(NTT) |
ネットワークトラヒックの分析のために,サンプルパケットのパケットヘッダ情報を収集するヘッダサンプル型 xFlowと呼ばれるフローサンプリング技術が存在する.また近年,サーバの処理性能向上に伴って,ネットワークトラヒックの処理をサーバ上のソフトウェアにて行うような技術や製品が多く登場している.本稿ではソフトウェアによるヘッダサンプル型xFlowの分析処理性能向上のためのロードバランス機構を提案し,従来方式との定性的な比較評価を行う.
xFlow(NetFlow/IPFIX/sflow等)の受信・分析を行うフローコレクタが受け切れないケースでは,複数のフローコレクタを設置し負荷分散を行う事が必要となる.本発表ではフローの内容を加味した効率の良い負荷分散手法を提案する
増加するネットワーク(NW)へのサイバー攻撃を低コストで検知する為,パケットのヘッダ情報のみを収集するIPFIXやsFlow等のヘッダサンプル型xFlowと総称される技術が存在する.
著者らはこれまでトンネリング技術を多用するNWにおいて,ミラーリングしたパケットをフォーマット変換(FC)することでinnerフロー情報を収集する方式を提案した.
本稿ではヘッダサンプル型xFlowによるサンプルをFCすることで,同様にinnerフロー情報を収集する方式を提案し,評価と考察を実施する.
電気通信サービスを提供する局舎には機能や目的が異なる多数の装置が設置され、これらが連携してサービスを提供している。通常これらの装置を起動する場合、作業者が手作業で装置を順番に起動する手順を実施する。しかし、商用電源が停電から復電した場合等、通常の手順と異なり、全ての装置が同時に給電される。その結果、装置が正常に起動せず、サービスを提供できない場合がある。
作業者による手作業を自動化し、短時間に確実なサービス復旧を目的に、作業者無しで多数の装置を順番に起動する方式を提案する。
複数のアプライアンス機器を利用して高信頼製を保ちつつネットワーク機能を提供する方法としてN+m冗長化方式やN-Act方式がある。N-Act方式では装置故障時に予備系機器を現用化した際に故障が顕在化するリスクが小さい。
しかし、ハッシュによる負荷分散時を活用している場合において、分散先となる対象装置の増設等を行った際には再ハッシュにより多数のセッションが断となる懸念がある。
今回、既存セッションへの影響を抑止し、サービス提供を継続しつつ装置増設を実現する技術を提案する。
近年、トランスポートネットワークに用いられている伝送装置は、伝送に必要な全ての機能が1つの装置に集約されているオールインワン構成から、機能毎に装置を分割し、必要な装置を選ぶことで初期投資を抑えることが可能となるディスアグリゲーション化が進んでいる。
本報告では、ディスアグリゲーション化された伝送装置を初期建設・増設する際に稼働の増加を招いてしまう各装置間の接続に関する課題について検討し、解決方法の提案を行う。
交換機の維持限界等の理由からIP網への円滑な移行の検討が進められている.移行後の形態では,メタル回線を維持し,メタルからIPへの変換装置を介して電話端末をIP網に収容する方式が考えられている.本稿では,制御信号となる共通線に着目し,共通線をIP網に移行を行う際のリンク設定方法に関する課題を挙げ,効率的に移行を進めるための方式について提案を行う.
休 憩(15:30 再開) 座長 上田清志(日大)
B-6-41 |
データトレンドを用いたネットワーク散在データ検索方式
○野口博史・片岡 操・磯田卓万・服部恭太(NTT) |
B-6-42 |
Hash法に於けるruleのany値展開時の配列型利用の提案
○金子 斉・西木雅幸(NTT) |
B-6-43 |
ICNを用いたIoTサマリデータのキャッシュ法の提案
◎佐々木 颯・上山憲昭(福岡大) |
B-6-44 |
異種 Skip Graphの連携による空間的自己相関をもつデータの検索に適したクエリ転送法の検討
○藤田悠生・藤本章宏(和歌山大)・戸出英樹(阪府大) |
B-6-45 |
Fileサーバを使用しないPeer-to-Peer方式サーバ管理システムの開発
○谷 昂樹・北村光芳・竹下敏和・山口拓実(東京工芸大) |
B-6-46 |
BitTorrentにおける近傍性を考慮した協同グループの導入によるピース取得効率向上
◎林 優輔・藤本章宏(和歌山大)・戸出英樹(阪府大) |
B-6-47 |
P2Pストリーミングにおける保持データ量を考慮したネットワーク再構築の検討と評価
◎棚橋祐太・青木道宏(愛知工業大) |
Internet of Things (IoT)が急速に拡大を続けており,ネットワークにつながるデバイスが生成するデータを活用するサービスが増加している.本稿は,データトレンドと呼ぶネットワークごとのデータ傾向を用いたソフトウェア配備により,広域ネットワークに散在するデータを高効率に検索する方式を述べる.
高速packet検索技術としてHash法があるが その適用は原則として各ruleの検索field長が固定である場合に限られ,検索fieldがany値を含む場合は,二分木法が用いられるのが一般である.筆者らは,検索field長が固定で無い場合に,Hash 法を適用する手法を提案しているが,本稿では,any値を展開する手法の改善案について述べる.
特定の地域に存在するセンサ情報の平均値,標準偏差,サンプル数を取得するサービスを想定し,平均値や標準偏差の演算結果をキャッシュして再利用することを検討する.キャッシュデータを活用することにより,どの程度,1回の配信における転送データの総経由ホップ数を低減可能か評価する.キャッシュは要求エリアの全データが集まったルータで行う方式をとる.結果として,キャッシュを用いない場合と,最小エリアの単位で経由ルータ上でキャッシュする場合の2つと比較して, 1回の配信における転送データの総経由ホップ数を低減することを示した.
IoT デバイスの増加に伴い,デバイス同士が自律分散的 にネットワークを構築・維持し,高いスケーラビリティを もつ P2P 型 IoT プラットフォームが注目されている.とり わけ,ネットワーク再構築のコストが小さく,範囲検索が 可能な Skip Graph は,当該プラットフォームに適している. 一方で,IoT で扱うデータには「地理的に近接した地点で は類似した値が観測される傾向(空間的自己相関)」のある データが存在し,それが Skip Graph の検索性能に影響を及 ぼす場合がある.本稿では空間的自己相関をもつデータを 効率的に検索するためのクエリ転送法を提案する.
IPv6 の普及によりすべてのIT 機器にIP アドレスを割り当てることが可能となる.そこで,すべてのモノやヒトをインターネットに接続し,新たな価値を創出するInternet of Everything(IoE)という概念が提唱されている.IoEの実現によりインターネットに接続されるIT 機器は爆発的に増加し,それらから得られたデータを管理するサーバの重要性がさらに高まると予想される.そこで,特定の管理サーバを必要としないPeer-to-Peer(P2P)方式サーバ管理システムが提案されている.しかし,P2P 方式はシステムの規模や動作がFile サーバに依存するという問題を含んでいる.そこで,本報告ではFile サーバを使用しないP2P 方式サーバ管理システムを開発し,実験によりその有効性を示す.
教室での教材配布や,映画館やイベント会場におけるコンテンツ配布等,特定スポットにおいて個人端末間でファイルを共有する機会が増大している.今後は,AR/VR/3Dコンテンツ等の普及により共有されるファイルサイズの増大も予測される.本稿では,代表的なP2P型ファイル共有システムであるBitTorrentを基盤とし,近傍のピア同士が協同することで当該グループ内ピアのダウンロード効率を向上させるファイル共有手法を提案する.
P2Pストリーミングネットワークにおいて,ノードの参加・離脱により発生する不均衡なネットワークを均衡化することで,コンテンツの配信効率の低下を抑制することが考えられている.しかし,ネットワークの再構築時に上位ホストが下位ホストになる可能性があるため,コンテンツが動画であるとき,保持データ量の少ないホストの子として保持データ量の多いホストが接続され,待ち時間が増加する可能性がある.そのため,待ち時間を削減するために保持データ量を考慮したネットワークの再構築法を提案した.本稿では,ネットワークの再構築時にかかる管理サーバへの負荷を考慮した評価を行う.
3月18日 9:45〜11:45 工学部 講義棟1F 116講義室 座長 井原 武(NTTドコモ)
B-6-48 |
VNF再配置型SDNにおけるスイッチ内TCAM可用率向上方法
○杉園幸司・河野伸也・岡田昭宏(NTT) |
B-6-49 |
呼制御サーバのNFV化を活用した新たな激甚方式
◎戸田貴都・三原孝太郎・佐久間美能留・木村伸宏(NTT) |
B-6-50 |
SDNに適した機械学習ベースIn-networkアプリケーション識別手法の検討
◎持丸雄匡・下川駿平(九工大)・妙中雄三(奈良先端大)・塚本和也(九工大) |
B-6-51 |
マイクロサービスシステムにおける輻輳抑制手法に関する一考察
○澤崎文彦・荒岡 誠(NTT) |
TCAMはスイッチ出力先検索を高速化する反面,登録可能出力先エントリ数が少ない.新規フロー用出力先エ
ントリの登録成功率を向上すべく,本稿では仮想化したネットワーク機能(Virtualized Network Function:VNF)
再配置時に一時的に生じるデータ転送パス用出力先エントリのTCAM 内滞留時間の短縮方法を提案する.
音声通信サービスを提供する呼制御サーバは,専用ハードウェア(HW)の採用やクラスタ構成(ACT/SBY)によるサーバ二重化,運用局と激甚局による災害対策等により,サービス提供の信頼性を確保している.また,近年では通信システムの低コスト化を目的として,汎用HW(IAサーバ)の採用と仮想環境への移行が提案されており,HW及び維持管理コスト低減の機運が高まっている.
前述の状況を踏まえ,本稿では,呼制御サーバのNFV化を活用した激甚災害への新たな対策方式を提案する.
異なるアプリケーションのフローを一様に制御するための指標としてQoEの活用が期待されている.我々の研究グループでは無線ネットワーク資源の有効活用を実現するために,SDNを用いてQoEを指標としたネットワーク制御手法を提案している.しかし,QoEの算出法はアプリケーションごとに異なるため,アプリケーションは既知のものとして扱っていた.実際の環境においてQoEを活用するには,通信フロー単位でアプリケーションの識別が不可欠である.そこで本研究では,OpenFlowで制御するネットワークにおいて,OpenFlowが"ネットワーク内で取得可能な情報のみ"を用いて,機械学習を活用することで"フローの転送中"にアプリケーション識別を行う手法を提案する.
マイクロサービス技術では、スケールアウトによって輻輳を抑制するアプローチが取られる。しかし、電気通信設備のように要件上オンプレ環境に設置することが前提の設備では、地震災害発生後のような通常の数十倍のトラヒックが発生する場合に、スケールアウトのリソースが不足するケースが有り得る。本稿ではリソースに制限のある環境下におけるマイクロサービスシステムにおける輻輳抑制に関する要件と具体的手法を提案する。
休 憩(11:00 再開) 座長 中平佳裕(OKI)
B-6-52 |
効率的なE2EネットワークスライスのD-Plane構成方式の提案
○中村孝幸・本間俊介・天坂光男・佐藤卓哉・岡田智広(NTT) |
B-6-53 |
サーバ-ネットワーク連携による効率的なパケット転送方式の提案
◎天坂光男・岡田智広・本間俊介・中村孝幸・佐藤卓哉(NTT) |
B-6-54 |
VNFの処理性能と利用コストを考慮した最適サービスチェイン構成法
○長谷川聖樹・橘 拓至(福井大) |
通信に対する多様な要件を持つサービスを効率的に提供する技術として,仮想資源を組み合せた仮想網を共通物理基盤上に構成するネットワークスライス技術がある.通信の多くはアクセスNWからDCまで複数のNWドメインを跨ることから,単一ドメインに限定することなく End-to-Endで一貫してサービス要件を満足するE2Eスライスが必要となる.本稿では, E2Eスライス実現に向けて必要となるD-Plane構成方式について検討する.
近年、映像やゲーム等のコンテンツ配信が増加傾向にあり、より効率的なパケット転送が求められている。IPマルチキャスト方式はパケット転送を効率化する手法として用いられるが、ネットワーク全体が本方式に対応する必要がある。マルチキャスト未対応のパブリッククラウド等から通信を行う場合は、トランスポートNWの区間がマルチキャストに対応していても、ユニキャスト通信を行わざるを得ない。そこで、柔軟にネットワーク資源の設定・管理が可能なSDN技術に着目する。SDNは、NWへの導入に向けて議論が進められている。将来的にトランスポートNWへSDNの導入が実現した環境を想定し、効率的なパケット転送方式について検討する。
複数の仮想ネットワーク機能(VNF)を経由してサービスを提供するサービスチェイニングでは,VNFを適切に配置することでデータスループットを向上できる.一方で,VNFの配置場所によっては,サービスチェインのサービス品質や運用・管理コストが大きく変化する.本稿では,VNFの処理性能と利用コストを考慮した最適サービスチェイン構成法を提案する.提案法では,最適化問題の解を導出することで適切なサービスチェイン構成を決定する.数値例の性能比較から,提案法によってコストあたりの収入が高いサービスチェイン構成が実現できていることを示す.
3月18日 13:30〜16:15 工学部 講義棟1F 116講義室 座長 木村共孝(同志社大)
B-6-55 |
IP光統合装置の設定制御系インターフェース統合に向けた分析
◎山口 秀・齋藤公利・小池良典・吉岡弘高(NTT) |
B-6-56 |
折り曲げによる光損失を利用した光ファイバ芯線対照方法
◎舘野瑞樹・渡邊宏介(NTT) |
B-6-57 |
ソフトウェアによるTSNスイッチ実現に向けた検討
○小林優太・オゲ ヤースィン・伊藤将志・山浦隆博(東芝) |
B-6-58 |
エッジルータにおける柔軟なユーザ収容方法の検討
○岩橋宏樹・藤原貴之・渡辺裕太・西木雅幸(NTT) |
B-6-59 |
レイヤ2転送システムにおける異方式間連携に関する一検討
◎豊鷲見和都・高橋 賢・吉岡弘高(NTT) |
本稿では,IP光統合制御の実現を目的に転送装置とトランスポンダの制御系インターフェース統合について検討し,トランスポンダを高機能トランシーバとみなすことで転送装置を主体とした設定制御系インターフェースの統合を想定した設定コンフィグの分析を行い,インターフェース統合の可能性を考察した.トランスポンダのパス開通設定を,新たに定義した内部I/Fパラメータ・外部I/Fパラメータ・Manualパラメータの3種に分類し,分析した結果,内部I/Fパラメータが支配的であり,これらは転送装置の設定と関連付けて設定可能なため7割のコンフィグを削減可能であることを明らかにし,IP光統合制御のインターフェースモデルの定義が可能であることを証明した.
光ファイバによる通信の重要性が増しており、所内の現地調査や接続の切り分けにおける光ファイバの特定方法が求められている。本稿で提案する芯線対照方法は、光ファイバの折り曲げによる損失を芯線対照器にて測定し、折り曲げた光ファイバと芯線対照器により測定した光ファイバの同一性を確認するものである。本稿で提案する方法は、芯線対照器の損失の測定結果を光ファイバの折り曲げにフィードバックすることで、光ファイバの折り曲げ過ぎを防止する仕組みを有している。本稿で提案する芯線対照方法により、隣接する空芯線がない光ファイバや現用の光ファイバであっても、サービス影響を低減して芯線対照することができ、所内における現地調査や接続の切り分けにおいて有用と考える。
IEEE 802.1Qbv規格に基づいた仮想マシン間通信を実現するソフトウェアTSNスイッチを提案する.提案手法は,IEEE 802.1Qbv規格に係わる処理をソフトウェアTSNスイッチに集約することで,各ゲストOSのタスクスケジューラの影響やゲストOS間での時刻同期処理を排除する.これにより,高精度な送信タイミング制御を実現しつつ,ソフトウェアの強みである高い柔軟性を確保できる.
IPネットワークにおけるエッジルータ(以下,エッジ)では,収容されるユーザ毎のプロファイル情報を保持することで,インターネット接続や映像配信,電話等のサービス提供に必要な制御をユーザ毎に実施している.従来では各エッジの収容ユーザ数を均等となるように収容設計が行われてきた.しかし,近年のユーザの利用サービス多様化に伴い,エッジのリソース消費パターンもユーザ毎に多様化しており,また利用サービスが頻繁に変わることで消費リソース量が変化することも考えられる.本稿ではエッジルータにおけるリソース管理を行い,適切にユーザの収容エッジとバックアップ先を変更可能とする管理サーバの提案と評価を行う。
E-VPNによるL2 over L3NWで異なるサービスタイプ間のL2トンネル構築ができない課題に対し、BGP-CTLを用いてL2トンネル構築を行う手法を提案した。提案方式では、RRと連携するBGP-CTLを用いることで、既存NWへの影響を抑えつつ異方式間連携を行うことを実現する。
休 憩(15:00 再開) 座長 橘 拓至(福井大)
B-6-60 |
次世代車載ネットワークにおけるタイムスロット算出手法
◎久保見 慎・堀 敏典・松下竜真・滝田大介・堀田善文(三菱電機) |
B-6-61 |
In-band network telemetryを用いた事業者間伝送時間情報の連携方法
○西木雅幸・西口雅人・武井勇樹(NTT) |
B-6-62 |
低遅延パケット処理と省電力の両立を可能とするCPU動作周波数動的制御手法の提案
○新井麻衣子・藤本 圭・緒方祐介(NTT) |
B-6-63 |
ネットワーク遅延測定精度向上の取り組み
○高橋 賢・平澤崇佳・中務諭士・森 弘樹・吉岡弘高(NTT) |
B-6-64 |
ネットワーク内遅延の発生位置・方向推定技術に関する検討
◎平澤崇佳・高橋 賢・中務諭士・森 弘樹・吉岡弘高(NTT) |
自動運転を実現するための次世代の車載システムでは、LidarやRADAR等の広帯域、高優先の通信ストリームを収容するためにEthernetを用いたアーキテクチャが検討されているが、これらのストリームは許容遅延が厳しいという要求条件を持つ。要求遅延を満たす手段として、各ストリームに対して確実に情報を転送できるタイムスロットを割り当てるスケジューリングがあるが、ネットワークの機器数やストリーム数が増加するほど、そのタイムスロット算出は困難になるという課題がある。今回、SMT(Satisfiability Modulo Theories)と呼ばれる論理式の充足判定を行うアルゴリズムに注目し、車載ネットワークにおけるタイムスロット算出へのSMTの応用を検討した。
通信品質を監視する手段とであるIn-band Network Telemetry(INT)を用いて通信事業者等の設備での通信遅延や障害発生を迅速に把握し,サービス品質の維持・向上へ活用可能になると考えられる一方,クラウドの普及で,End to Endでの通信品質を把握するためには、各事業者が保持する監視情報を連携させる必要がある.INTで収集する監視情報は各事業者のINT情報を連携させることが難しい課題があるため、各事業者がそれぞれ保有する通信管理機構を活用しつつ事業者連携サービスのEnd-End品質を把握するためのデータ連携方式を提案する.
高いリアルタイム性を求めるユースケースが増え低遅延なNW(Network)が期待されている.NW遅延は様々な区間の遅延が加算されたもので,その中でもサーバ区間のパケット処理ではmsオーダの遅延が発生する事が報告されており,この区間の遅延抑制は特に重要である.また,急速な情報量の増加に伴い増加しているサーバの消費電力削減も期待されている.省電力を実現する手法としてCPU動作周波数を動的に変動する手法があるが,msオーダの遅延が発生する.当該遅延を抑制する手法としてCPU動作周波数を常に最大とする手法が考えられるが,消費電力が高くなることが想定される.本稿ではkernelによる低遅延パケット処理と省電力の両立を可能とする手法を提案し,実機評価により低遅延の観点における提案手法の有効性を報告する.
近年,Mobility carやe-sports等の新しいユースケースに対し遅延観点での要件も求められている.また広帯域なサービス増によりマイクロバーストの影響が無視できなくなってきている。そのため,キャリアネットワーク内にて,エンドツーエンドの正確な網内遅延量や遅延ゆらぎの把握とその情報に基づく最適パスの選択といったNW制御が求められつつある.本稿では,精度の高い測定方式について既存技術との性能比較を行い,その有用性について述べる
ネットワーク網内の遅延測定は、既存技術では区間の特定及び特定リンクの遅延発生方向の推定が困難という課題があった。本発表ではSegment Routing等の経路制御技術を活用し、網内へ遅延を測定するための2種類のプローブパケットを流し、各リンクの遅延量変化を方向ごとに区別して測定する技術を提案する。また、提案手法を用いて試験網で有効性を確認したため報告する。
3月18日 9:30〜12:15 工学部 講義棟2F 219講義室 座長 大石哲矢(NTT)
B-6-65 |
順序制約と経路制約を緩和したサービスチェイン配備問題における列生成法を用いた発見的アルゴリズム
○菊池 淳・佐藤丈博・新熊亮一・大木英司(京大) |
B-6-66 |
ハードウェアアクセラレータ内蔵仮想化対応トラフィック監視システム (1) ~ トラフィックの可視化を実現するシステムアーキテクチャ ~
○池田奈美子・右近祐太・大輝晶子・吉田周平・新田高庸(NTT) |
B-6-67 |
ハードウェアアクセラレータ内蔵仮想化対応トラフィック監視システム (2) ―FPGAを用いた高速かつ柔軟な仮想化対応フロー識別器―
◎右近祐太・吉田周平・大輝晶子・池田奈美子・新田高庸(NTT) |
B-6-68 |
ハードウェアアクセラレータ内蔵仮想化対応トラフィック監視システム(3) ~RTPパケットのジッタとレイテンシのリアルタイム監視~
○大輝晶子・吉田周平・右近祐太・池田奈美子・新田高庸(NTT) |
B-6-69 |
ハードウェアアクセラレータ内蔵仮想化対応トラフィック監視システム(4) ~高効率マイクロバーストパケットキャプチャ手法の提案~
◎吉田周平・右近祐太・大輝晶子・池田奈美子・新田高庸(NTT) |
SC (Service Chaining)は,ネットワーク上でユーザ宛てのトラヒックがVNF (Virtual Network Function)を適切な順番で通るように経路制御を行うことで,ユーザに所望のサービスを提供する手法である.SCでは,ネットワーク資源および計算機資源の有効活用のために,VNFの配置およびチェインの経路を適切に決定する必要がある.過去にVNFの順序制約の緩和や経路制約の緩和により,VNFの配置に柔軟性を持たせ,SCの実現に必要なコストを低減するモデルについて研究が行われている.しかし,これらのモデルにおいて大規模な問題で実用的時間内に最適解を得るのは困難である.本稿では,大規模な問題にも適用できる列生成法を用いた発見的アルゴリズムを提案する.
NFV/SDN等の仮想化技術の進展に伴い、仮想マシン(VM)等を用いた様々なサービスが提案されている。それらのサービスを提供、運用するためには、サーバ等のノード単位ではなく、VM毎の詳細な監視、解析をリアルタイムに行うことが必要である。そこで、汎用サーバとFPGAを用い、リアルタイムかつ経済的な、ハードウェアアクセラレータ内蔵仮想化対応トラフィック監視システムを開発した。本システムにより、仮想化環境のフローを識別し、VMの障害検知やジッタ、レイテンシ測定、瞬間的な帯域増加(マイクロバースト)検知を実現する。
データセンタにおけるネットワークサービスの運用では,障害を速やかに発見するためにリアルタイムのトラフィック監視が重要である.しかし,ネットワーク仮想化技術の進展によりトラフィックが多様化したことで,大量のトラフィックを監視することが困難になっている.仮想化環境ではフロー識別に用いるヘッダフィールドが増えるため,低速な監視ソフトウェアでは高速ネットワークに対応できない.本稿では,FPGAを用いた高速かつ柔軟な仮想化対応フロー識別器を提案する.
音声や動画のリアルタイム配信において伝送経路でのジッタが大きいとドロップアウトが発生するので、ジッタの発生箇所を特定する目的でジッタを監視したいという要望がある.また、パケット処理をソフトウェアで行う通信装置の処理性能を知る目的でレイテンシを監視したいという要望がある.そこで、RTPパケットのジッタとレイテンシをリアルタイムに監視してヒストグラム化する回路をトラフィック監視システムのFPGAに実装した.
ミリ秒単位の短時間内にトラフィックが急増するマイクロバーストは,瞬間的な遅延増大やパケットロスを引き起こすため,映像配信サービスやVoIPサービスなどでは,サービス品質の劣化の原因となる.
本稿では,ハードウェアアクセラレータ内蔵仮想化対応トラフィック監視システムにおける,マイクロバースト発生前後のパケットのみを自動的にキャプチャ可能な効率的なパケットキャプチャ手法を提案する.
休 憩(11:00 再開) 座長 國頭吾郎(NTTドコモ)
B-6-70 |
P4に対するMRC用予備ルーティングテーブル自動生成プログラムの実装評価
○木村圭佑・橘 拓至(福井大) |
B-6-71 |
ONOSとP4を用いた高速障害復旧技術MRCの実装検討
○松原和輝・橘 拓至(福井大) |
B-6-72 |
高精度ネットワーク時刻同期プロトコルの試作評価
◎坂口尚駿・坂上佑介・谷口幸子・川手竜介(三菱電機) |
B-6-73 |
INTと機械学習を用いたトラヒック解析に対する確率的データ収集機構の実験評価
◎吉山遼太・橘 拓至(福井大) |
B-6-74 |
産業用途向けリング型ネットワークの性能評価
○君家一紀・田中宏平・吉田 実(三菱電機) |
現在,多様なサービス展開を実現するために通信ネットワークのオープン化が進められており,データプレーンのプログラムが可能なP4言語による様々な研究開発が行われている.本稿では,MRC (Multiple Routing Configurations) による高速障害復旧をP4で実現するために,MRC用予備ルーティング構成の自動生成プログラムを開発して実装評価を行う.数値例より,ネットワークの規模が大きくなると処理時間が増加するが,スイッチ数が10程度であれば数ミリ秒で処理が終了することがわかる.
通信ネットワークの高速障害復旧技術としてMRC(Multiple Routing Configurations)が提案されている.本技術では,事前にルーティング構成を複数用意し,障害が発生すると障害箇所を使用しないルーティング構成に切り替えることで,高速障害復旧を実現する.先行研究では,データプレーンプログラミングが可能なP4を用いたMRCの実装が検討されている.本研究では,ONOS (Open Networking Operating System)とP4を用いたMRCの実装を検討する.
本発表は、産業や車載ネットワーク向けの最新のネットワーク時刻同期プロファイルであるIEEE P802.1AS-Revをハードウェア試作し、その性能評価を実施したことを報告するものである。まず近年、高精度な時刻同期機能への要求が高まっている背景を記し、IEEE P802.1AS-Revの概要を説明している。これに続きソフトウェア処理を行うことを前提としている本機能をハードウェア処理した場合の利点を挙げ、今回実際に試作した装置の評価結果を示している。最後に本発表で未評価の他の機能の評価を今後行うという展望を記している。
機械学習を用いたネットワーク分析では,In-band Network Telemetry(INT)技術によって収集したデータを積極的に利用することで予測精度の向上が期待できる.
しかしながら,多くのデータを収集すると通信トラヒック量が増加し,ネットワークの通信性能が低下してしまう.
そこで本稿では,INTと機械学習を利用したトラヒック解析に対して,トラヒック量の低減を実現する確率的データ収集機構を提案し,本機構の性能を実験によって評価する.
産業用途を中心に、リング型トポロジーを用いたネットワークが普及している。
リング型では、任意の2ノード間の通信経路が2種類存在することから、単一故障時においても通信を維持することができる。
ゆえに、ロバスト性の高いネットワークを構築できる。
しかしながら現在普及している手法では、専用のハードウェアが必要となり、導入コストや部品の長期供給性において問題があった。
そこで本研究では、一般的なEthernetおよびIPを利用した、専用ハードウェアを必要としない手法を提案する。
3月19日 13:30〜17:30 工学部 講義棟1F 116講義室 座長 山本 寛(立命館大)
B-6-75 |
移動デバイスを含むデバイス間距離推定方式の提案
◎片岡 操・野口博史・磯田卓万・服部恭太(NTT) |
B-6-76 |
階層形車車間通信における走行箇所に基づく情報共有システム
○中村光宏(早大)・山崎 託(芝浦工大)・山本 嶺(電通大)・三好 匠(芝浦工大)・田中良明(早大) |
B-6-77 |
MANETとDTNを用いた車車間ネットワーク構築手法
◎宇野 亮・三好 匠・山崎 託(芝浦工大) |
B-6-78 |
P2P通信とV2V通信を併用した車車間情報配信手法
◎菊地楓雅・山崎 託・三好 匠(芝浦工大)・小野翔多(東大) |
B-6-79 |
車内環境におけるマイクロ波とミリ波を併用した経路制御手法
◎大場貴斗・山崎 託・三好 匠(芝浦工大)・山本 嶺(電通大)・細川元気・國立忠秀(矢崎総業)・田中良明(早大) |
B-6-80 |
位置情報を用いた歩車間危険通知システムの評価
◎△鈴木貴大(早大)・矢守恭子(朝日大)・三好 匠(芝浦工大)・田中良明(早大) |
B-6-81 |
GPSシンチレーションがGPS時刻情報に与える影響調査
◎牧 佑河・毛利未来斗・藤本晶子・塚本和也(九工大) |
カメラ等を利用した見守りサービスなど,物理的広域を移動する対象に追従するサービスを効率的に行うには,あるデバイスで観測された対象が移動後,次に観測されるデバイスを推定する必要がある.GPS等の位置情報を持たないデバイスを利用するには,デバイス間の距離を求めるアプローチが有効であると考える.しかしながら,移動するデバイスを用いる場合には,デバイス間の距離が随時変化するため,分析できるデータ量が少なく高精度な推定が行えないことが課題である.本稿では,移動デバイスも含めたユーザ追従サービス提供を目的に,移動デバイスも含むデバイス間距離を得る方式を提案し,シミュレーションにより有効性を確認した.
今後,自動運転車両と手動運転車両が混在する環境となることが想定される.両車両が混在する環境に対し,従来手法では,車両の運転支援レベルに応じて,車両間で共有する情報を決定する.しかし,自動運転車両が増加した場合,各自動運転車両が他の自動運転車両と互いに直接情報共有するため,トラヒックが増加する.また,本線部と合流部において車両が要求する情報と条件が異なることを考慮していない.そこで本稿では,従来手法を改善するため,階層形車車間通信における走行箇所に基づく情報共有システムを提案している.本方式により,合流部の手前の早い段階で合流車両情報を得ることができる.
近年,運転支援システムの発達に伴い,自動運転が注目されている.自動運転車は,搭載されているセンサやレーダを用いることで車線や障害物を検知し,自律的な走行が可能である.しかし,自車のみから取得できる情報には限界があるため,より高度な自動運転を実現するには,前方の車両が取得した情報を共有する必要があると考えられる.自動車が周辺車両から情報を取得する手法として,車両間で直接無線通信を行い,互いにデータを中継する車車間アドホックネットワークが提案されている.本研究では自動運転が普及した環境を想定した情報共有システムを提案している.
車両間で通信する方法には,直接通信を用いた車車間通信(V2V通信)と移動体通信網を用いたピアツーピア通信(P2P通信)がある.V2V通信では,マルチホップ通信を用いることで車車間アドホックネットワークを構築し,情報を共有する.しかし,車両間の距離が遠い場合は情報が不達となる.P2P通信では,移動体通信網を用いて車両間の距離に依らずに直接情報を共有することができる.しかし,接続する車両数が多くなると移動体通信網や配信元車両への負荷が増大する.本研究では,分断された車両群に対応するため,V2V通信とP2P通信を併用した情報配信手法を提案している.
自動車内のセンサやスイッチ類を接続する配線は,車両の重量やコストを増大する要因になるため,配線の無線化が検討されている.しかし,車両内のような狭い空間では,電波の干渉や人による遮蔽によって無線通信が不安定になる問題がある.本稿では,無指向性アンテナを用いたマイクロ波通信により経路制御情報の共有を行い,指向性アンテナを用いたミリ波通信によりデータ送信を行う手法を提案している.
歩行者と車両の交通事故を未然に防ぐには,歩行者と車両に互いの接近を知らせ,危険行動の回避を促す仕組みが有効である.本稿では,GPSを用いて,両者の移動予測領域を作成し,互いの領域が接した時点で互いに警告を発する危険通知システムを構築してる.そして歩行者と車両の接近を知らせる事前通知時間の精度を実験により明らかにしている.車両速度が小さいと事前通知はかなり早くなる傾向にあり,車両速度が大きいと事前通知はちょうどよいか若干遅くなる傾向にある.
近年,GPS (Global Positioning System) は正確な位置,時刻情報を取得する手段として幅広く普及しており,多種多様な分野で今後利用される技術が要求する高精度な時刻同期の実現にGPSの利活用が期待されている. 現在,GPS によって取得する情報には少なからず誤差が含まれており,特に電離圏環境の不安定化に起因する GPS 信号の電離圏遅延誤差の増加,及びゆらめき (GPS シンチレーション) の影響が最も大きいため,問題視されている.しかし,この誤差量をリアルタイムに推定することは難しい上,その影響は調査されていない.そこで,本研究では,GPSシンチレーションがGPS時刻情報に与える影響を実データを用いて調査する.
休 憩(15:30 再開) 座長 金井謙治(早大)
B-6-82 |
Geo-Centric 情報プラットフォームにおけるIoTデータ処理サーバの選択手法の検討
◎山本悠登・永島 薫(九工大)・妙中雄三(奈良先端大)・塚本和也(九工大) |
B-6-83 |
近距離協調データオフロードシステムのための適応形分散ダウンロードの実装実験
◎水野聖也・山崎 託・三好 匠(芝浦工大) |
B-6-84 |
100ノードの6TiSCH無線メッシュネットワークの実機評価
○佐古田健志・向本将規・伊藤俊夫(東芝) |
B-6-85 |
センサーデータ収集森における森寿命最長化方式
○松浦 洋(NTT) |
B-6-86 |
周期/非周期トラヒックが混在する無線センサネットワークにおけるパケット衝突回避のための送信スケジューリング手法の検討
◎小山 彩・谷川陽祐・戸出英樹(阪府大) |
B-6-87 |
センサネットワークの到達性と中継ノードの有効性(1)
○内海富博・橋本 仁(秋田大) |
B-6-88 |
センサネットワークの到達性と中継ノードの有効性(2):メトリック
内海富博・○橋本 仁(秋田大) |
B-6-89 |
無線センサネットワークにおける深層学習の並列分散割当方式
◎足立賢人・三好 匠・山崎 託(芝浦工大) |
IoT の普及により地域の多様な異分野IoT データを連
携させてIoT サービスを創出する異分野データ連携が
注目されている.これまでに連携データが物理的に近接
して生成される点に着目し,地理空間を意識したコンテ
ンツ(時空間コンテンツ) 流通を行うGCIP(Geo-Centric
Information Platform) を提案した[1].GCIP では,エッ
ジの限られた資源を時空間コンテンツ生成に生かすため
に,スケーラブルかつ効率的なデータの収集・処理アー
キテクチャの提案を行った[1].しかし,アーキテクチャ
の理論性能評価に留まり,実環境における具体的な方法
や技術の検討の必要がある.本研究では,GCIP のエッ
ジサーバ・ネットワークの資源を効率的に活用する前処
理サーバ選択手法と具体的な実装方法を提案し,小規模
な実験環境において評価を行う.
スマートフォンなどのモバイル端末の急速な普及により,ユーザが移動体通信網を介して様々なコンテンツを取得することが可能であるため,移動体通信トラヒックの増加による通信帯域の消費が問題となっている.このような背景から,移動体通信トラヒックを削減するため,複数の端末で協調的にコンテンツの取得を行う近距離協調データオフロードシステムが提案されている.しかし,協調する端末数の増加に伴い,共有に必要な遅延の増加や負荷の偏りが発生する問題がある.本稿では,従来手法として提案されている2つのダウンロード方式を適応的に組み合わせた分散ダウンロード方式を提案している.
産業用機器の状態収集や制御を見据え,広域をカバー可能なメッシュ型,かつ時間保証も可能な双方向無線通信の研究を進めている.広域をカバーするという観点から920MHz帯無線(ARIB STD-T108に準拠)を利用し,双方向通信という観点から6TiSCHを利用した通信ソフトウェアの研究開発を行っている.これまでに我々が開発してきた通信ソフトウェアを実装した無線機を100台展開している.
本稿では,屋内に100台の無線機を設置してネットワーク構築時間について評価した結果について述べる.
センサーを使ったデータ収集は建物管理,自然保護等の目的で広く利用されている.特にツリー状に繋がった各センサーからツリー頂点であるベースステーション(BS)にセンサーレポートを一定周期間隔で収集する形態は一般的であり,多くの論文がNP(non-polynomial)完全問題であるデータ収集木寿命最長化問題に取り組んでいる.対してBSが複数存在するデータ収集森では,森全体の寿命を延ばすために各センサーの所属収集木を決定する必要があり,問題をより複雑にしている.本稿では収集木生成方式ASAGAO(assured switching with accurate graph optimization)を収集森に拡張し,その結果を既存方式と比較する.
近年,ヘルスケア等の用途で様々な種類の周期トラヒックを扱う無線センサネットワークの需要が高まっている.しかし複数の周期トラヒック間でパケットが繰り返し衝突することで連続したパケットロスが発生し,通信品質が低下する.このような問題に対し,筆者らの研究グループでは,アプリケーション層における周期トラヒックのパケット生成タイミングをソースノード間で分散させることでパケット衝突を回避する方式を提案している.これらの方式は,ランダムアクセス型のMAC層制御を採用可能であり,アプリケーション層制御に対する少ない拡張量や負荷で実現できることが特徴である.
本稿では,継続的なモニタリングデータ等が想定される周期トラヒックに対し,何らかのイベント発生等を想定した非周期トラヒックが混在する環境を考え非周期トラヒックと周期トラヒック間を含めたパケット衝突を回避する方式を提案する.
本研究では,省電力化のために中継ノードが間欠動作するセンサネットワークにおいて,データを収集するSinkノードへの到達率が高いネットワークを構成することを最終目的として,到達率に対する中継ノード配置数および接続確率との関係について検討した.
本研究では,省電力化のために中継ノードが間欠動作するセンサネットワークにおいて,中継ノードの設置による経路数への影響と到達性の向上効果を表すメトリックを提案する.
近年,IoTの普及により,さまざまなセンサから大量にデータを取得することが可能になり,これらのデータを機械学習技術を利用したクラウドサービスに活用することが注目されている.今後深層学習を利用したクラウドサービスが拡大すれば,それに伴うクラウド負荷増大や,通信帯域の圧迫が懸念される. 本稿では,無線センサネットワーク(WSN: Wireless sensor network)上での深層学習において,処理能力が大きいセンサノードに畳み込み演算処理を集約する並列分散割当方式を提案し,シミュレーションにより,畳み込み演算の過程で発生する通信量を評価した.
3月20日 9:30〜12:00 工学部 講義棟1F 116講義室 座長 石田仁志(日立)
B-6-90 |
AIネットワークとデータ連携するコンテンツ配信ネットワークのI/Fの検討
○山本秀樹・岩下将人・中松芳樹(OKI) |
B-6-91 |
ネットワーク分散形機械学習における処理分割割当方式
◎本山 潤・三好 匠・山崎 託(芝浦工大)・朝香卓也(首都大東京) |
B-6-92 |
MANETにおけるノードの通信負荷に基づく経路構築手法
◎小野翔多(東大)・山崎 託・三好 匠(芝浦工大)・瀬崎 薫(東大) |
B-6-93 |
IoT機器に対する広域ネットワークスキャンのポート最適化技術
○松下一仁・石岡 裕・和氣弘明・大崎光洋(NTT-AT) |
B-6-94 |
IoT機器に対する広域ネットワークスキャンの頻度最適化技術
○石岡 裕・松下一仁・和氣弘明・大崎光洋(NTT-AT) |
第5世代移動通信システム(5G)や仮想化技術の導入を機に、今後、IoTやマルチメディア等をはじめとした様々な領域において、新たなサービス形態が次々と登場するとともに、NW需要が大幅に増加することが見込まれる。このような状況に対応するため、AI技術を活用した迅速なプロビジョニングや効率的なリソース制御、高度な障害検知・障害復旧を可能とするネットワーク(AIネットワーク)が検討されている。本稿では、AIネットワークとデータ連携するコンテンツ配信ネットワーク制御システムの概要とデータ連携I/Fの概要を示す。
無線センサネットワーク(WSN: Wireless sensor network)におけるセンサの性能向上により,クラウド以外での機械学習の分散処理技術が注目されている.従来手法として,WSNにおいて機械学習の演算処理を分割して各ノードに割り当てる手法が提案されているが,クラウドの負荷は分散されるものの,ネットワーク全体から見た適切な処理の割当は実現されていない.提案手法では,ネットワーク全体から見たセンサノードの負荷均一化を実現する処理分割割当手法について検討する.提案手法の評価をするため,シミュレーションを用いて演算量における従来手法と提案手法の比較を行った.その結果,提案手法では,機械学習の演算処理を適切に分散し,負荷の均一化を実現した.
MANET(Mobile ad-hoc network)は,無線通信を用いることで自律分散的なネットワークを構築することが可能である.
しかし,経路構築時に送信元ノードが宛先ノードを検索するために経路要求をフラッディングすることで,通信資源を過剰に消費する.
この問題に対し,移動体通信を用いることで位置情報をサーバで管理した後,取得した位置情報に基づき仮想的な領域を作成し,不必要な制御メッセージを抑制する手法が提案されている.
しかし,多くの近傍ノードを持つノードが経路に選択されやすく,ノード負荷に偏りが生じる.
本稿では,各ノードの通信負荷を考慮し特定のノードに対して通信負荷を軽減する経路構築手法を提案する.
近年、IoT機器の数は著しく増加しておりサイバー攻撃に悪用されるIoT機器も増加している。サイバー攻撃を防ぐ
ために広域スキャンを実施して国内の脆弱なIoT機器を調査することが不可欠である。本研究ではスキャン頻度とス
キャンポートの最適化を図り、ポートの検出率を維持しつつスキャンに係る通信量の削減を目指した。今回はスキャ
ン対象ポートの最適化技術について発表する。
近年、IoT機器の数は著しく増加しておりサイバー攻撃に悪用されるIoT機器も増加している。そのためサイバー攻撃を防ぐために広域スキャンを実施して国内の脆弱なIoT機器を調査することが不可欠である。本研究ではスキャン頻度とスキャンポートの最適化を図り、ポートの検出率を維持しつつスキャンに係る通信量の削減を目指した。本稿ではスキャン頻度の最適化技術について述べる。
休 憩(11:00 再開) 座長 山崎 託(芝浦工大)
B-6-95 |
Experimental Investigation of Response Delay in Wireless LAN with Realistic Background Traffic
○Rui Teng・Kazuto Yano・Yoshinori Suzuki(ATR) |
B-6-96 |
IEEE 802.11ax 無線LANにおけるTCPを考慮した下りOFDMA伝送法の検討
◎上村洸瑠・谷川陽祐・戸出英樹(阪府大) |
B-6-97 |
同時送信フラッディングとOpportunistic Routingを併用したパケット転送手法
◎横山智之・山崎 託・三好 匠(芝浦工大)・山本 嶺(電通大) |
B-6-98 |
Opportunistic Routingを用いたLPWAメッシュネットワークの屋内実装実験
◎五十嵐健太・山崎 託・三好 匠・新津善弘(芝浦工大) |
This paper studies the response delay properties in
wireless LANs (WLANs). Two scenarios have been examined
in the experimental studies. One is a scenario
without interference from background traffic. The
other has realistic background traffic. We focus on
the WLAN using 2.4 GHz band. By comparing the
response delay performance in these two scenarios, we
evaluate the impact of background traffic on the response
delay.
近年,無線LANに接続する端末局数や無線LAN自体が高密度に配置される状況が増加している.多くの端末局を無線LANに効率的に収容するための一手法として,IEEE 802.11axでは
OFDMA (Orthogonal Frequency Division Multiple Access) に基づくフレーム伝送法が規定されている.これは,チャネルを複数のRU (Resource Unit) に分割し,各RUを用いて複数フレームを同時伝送する
技術である.また,現在インターネットなどの情報ネットワークで伝送されるフローの大半は,TCPを利用して伝送されている.そこで,本稿では,IEEE 802.11ax 無線LANにおける基地局から端末局への下り伝送に注目し,TCPフローへのOFDMA伝送の適用がTCPスループットに与える影響を評価し,TCPスループットの向上法について検討する.
近年,同時送信フラッディング(CTF: Concurrent transmission flooding)という,新たなパケット転送方式について多くの議論がされている.CTFでは,複数端末がパケットを同時送信することにより発生する建設的干渉を利用し,高速で効率的な転送を可能とする.しかし,端末数増加に伴う,パケット数の増加や,建設的干渉が起こらずにパケット損失が発生する問題がある.本稿では,CTFやそれに関連する従来研究を述べるとともに,CTFとOpportunistic routingを組み合わせたより信頼度の高い手法を提案している.また,シミュレーションを行い,その結果から得られる提案手法の性能評価についても示している.
建物内では,情報の収集などのための様々なセンサやスイッチ類が有線配線を用いて多数接続されている.これらの有線配線を無線通信に置き換えることで,センサやスイッチ類の敷設や情報の収集を容易に行うことが可能となる.しかし,無線LANなどでは障害物による遮蔽や電波干渉による影響により,通信可能範囲が狭く多くの端末を設置する必要がある.一方,LPWAでは無線LANで用いる周波数帯より低い周波数帯を用いることで,無線LANに比べ広範囲をカバーした通信が可能である.しかし,屋内環境などでは遮蔽による影響や,通信品質の変動への対応が課題となる.本稿では,屋内環境における効率的な情報収集やノード間での情報共有を行うため,中継経路を各ノードが動的に選択可能であるORを利用したLPWAメッシュネットワークを提案している.
B-7. 情報ネットワーク
3月17日 9:30〜12:15 総合科学部 L棟2F L201講義室 座長 石田賢治(広島市立大)
B-7-1 |
NDNベースのアドホック網におけるPublish/Subscribe通信のRP選択と経路構築に関する一考察
◎村井穏永・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-2 |
排他制御を廃したマルチコアNDNルータにおいてプログラムエラーを発生させないPITの設計に関する一考察
◎小山 亮・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-3 |
複数パケット名を活用した頻度攻撃に対するICNにおけるーデータ名暗号化の脆弱性に関する一考察
◎江夏永広・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-4 |
NDNにおけるSFCのファンクション配置アルゴリズム
○徳永嘉裕・中里秀則(早大) |
B-7-5 |
Ceforeを用いた情報指向型センサネットワークにおける負荷特性評価
◎木村圭吾・水野 修(工学院大) |
筆者らは、Named Data Networking (NDN) アドホック網において、Rendezvous Point (RP)を根とするコアベース木を用いて非同期グループ通信を実現する Publish/Subscribe 通信プロトコルを提案してきた。本稿では、RPを自律的に選択し、コアベース木を構築する機構を追加する。
Named Data Networking (NDN) ルータでは、名前フォワーディングを実現するために、Pending Interest Table (PIT) で転送情報を保持する。この情報に対して、パケット転送ごとに読み書きが発生するため、処理のマルチスレッド化を行う場合、排他制御が必要となる。しかし、排他制御を実現する Compare-and-Swap (CAS) 命令がパケット転送速度を低下させると指摘されている。本稿では、排他制御を施さずに、NDN プロトコルによって回復可能なエラーを許容しつつプログラムを停止させる致命的なエラーを発生させない PIT を設計する。
ICN網では、1つのデータが1つのパケットで構成される場合、データ名を暗号化して、元のデータ名と対応がつかないようにしても、データ名とそのデータへの要求頻度の分布が公開されている場合、人気度の高いデータ名を推測できる(頻度攻撃と呼ぶ)。本稿では複数パケットで構成される場合、人気度の低いデータも推測できることを評価する
IoTデバイスの増加により、通信トラフィックが増加して、ネットワークに膨大な負荷がかかることが予想され、低レイテンシのサービス運用の大きな問題となる。ネットワーのク負荷の軽減するための研究課題として、「ファンクション配置問題」と「ファンクション選択問題」があるが、本研究は前者を取り扱い、サービスファンクションチェイニンング(SFC)をより効率的に行うことを目指す。提案手法として、配置する際にノードの次数に着目し、ランダムにファンクションを配置した場合と比較し、サービスの総実行時間を評価した。結果として、提案手法の方が良い結果となった。しかし、ノードの次数のみを考えることは最適解ではなく、他の着目点からの配置アルゴリズムを取り入れることで、よりSFCを効率的することが期待できる。
複数のM2Mサービスを実現するセンサネットワークについて,情報指向型センサネットワーク(ICSN: Information-Centric Networking-based Wireless Sensor Network)を提案している.これまで,ICSNの実現のため,各ノードの機能設計を行い,Ceforeを用いて実装を行った.ICSNでは,複数のサービスが存在し,サービスが様々な要求をすることを想定している.サービスの増加に伴い要求数も増加し,要求の間隔が狭まり,ノードへの負荷やRTTに影響することが考えられる.そのため,Ceforeを用いたICSNにおいて,要求数や要求の方法の違いによる調査が必要である.本報告では,VMwareを用いてICSNを構築し,3パターンの要求方法の負荷特性を評価した.
休 憩(11:00 再開) 座長 馬場健一(工学院大)
B-7-6 |
Publish/Subscribe型プロトコルをFog Computingに適用したIoTデータ共有方式
◎吉井優輝・木村圭吾・天野圭貴・水野 修(工学院大) |
B-7-7 |
時空間的な無線変動を考慮したマルチホップネットワークの検討
○石橋孝一(金沢工大) |
B-7-8 |
面の再帰分割に基づくDTNにおける無人機の最適配分
○張 至杰・林 幸雄(北陸先端大) |
B-7-9 |
IoT家電における踏み台攻撃を想定した質問回答型不正機器排除方式
◎篠﨑健治・水野 修(工学院大) |
B-7-10 |
遠隔計算検証法における検証情報を用いた攻撃と対策
○増田大輝・北 健太朗・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
IoT(Internet of Thing)デバイスとクラウドの中間にデータの事前処理を行うフォグノード(FN:Fog Node)を集約したFog Computingが注目されている.フォグノードはデータの事前処理だけでなくサービスプロバイダ(SP:Service Provider)と契約しているユーザのIoTデータを収集できる.ユーザとサービスプロバイダ間でIoTデータを共有することにより新たなサービスの創出も期待できる.しかしフォグノードを提供する主体が異なる場合,IoTデータ命名規則が独自になることが想定される.よってサービスプロバイダから契約しているユーザが所持するフォグノードに対してIoTデータの取得指定が行えずIoTデータの共有が困難となる.本稿では,Fog ComputingによるIoTデータ共有方式の実現を目的とし,実装を行いTagIDをTopicに付与し名前解決を図った.
身の回りに存在する「モノ」をネットワークに接続することにより、サイバー空間とフィジカル空間とを
高度に融合させたSociety 5.0に向けた取組みが進められている。このSociety 5.0では、
データを収集するだけでなく、データを永続的に収集できることが重要となる。
ここでは、Society 5.0に向けたIoTシステムとして、時空間的な無線変動に対して、
確実なデータ収集を可能とする無線マルチホップネットワーク構築について議論している。
本研究は、空中ネットワークの構造と無人機の最適配分を検討する。各種のセンサーや無線通信装置などを搭載する無人機を複数台使って被害地域上空に決まったルートに配置して通信をリカバリーすることを考える。基本構成(DTN+MSQ)について、固定基地局(ネットワークのノード:中継ノード)と無人機(運ぶ役:転送データを一時的に蓄積)で構成され、情報は無人機を通じてリレーされる。MSQネットワークの各面を巡回する複数台の無人機を二重設置(時計回りと反時計回り)して、中継ノード間の送受信要求に応じて各サイクルのメッセージフェリーの配分数や巡回速度を調整するものとする。
様々なモノがインターネットにつながるInternet of Things(IoT)機器が注目されており,中でも処理能力が高くないIoT家電は顕著に増加している.IoT機器には多数のセキュリティ上の脅威が存在するが,既存の対策ではユーザの意図通りに動作するという正当性の担保対策が不足している.そこで,異常を検知後,正当な機器が不正機器の正当性を検証し,非通信化させるシステムを提案した.本稿ではIoT家電が自律的に正当性を判断する方式の有効性と軽量性を実験により評価した.実験結果より,ソケット通信時と比較し最大でも2倍程度のCPU使用率において100%の割合で正当性を担保可能であった.
あるノードが遠隔ノードへプログラムPの実行を依頼し、実行結果RPを受信する計算モデルがある。この計算モデルにおいてPを実行したノード (計算ノード) から返送されたRPがPの実行結果かどうかをPの実行を依頼したノード(要求ノード)が検証する手法が検討されている。しかし既存研究では、Pの依頼、RPや検証情報の受信および検証を行うため、要求ノードが実行するプログラムVへの攻撃を考慮していない。本稿ではVが正しく実行されたことを検証する手法を検討する。
3月18日 9:30〜12:15 総合科学部 L棟2F L201講義室 座長 橋本匡史(阪大)
B-7-11 |
Research on Security and Channel Coding for Satellite Information Networks
○zhiyun Tsai・chiasheng Tsai・yenting Liu(Tatung Univ.) |
B-7-12 |
誤り検出再送による受信者代弁型情報伝送プロトコルへの1bit誤り耐性付加
◎伊藤佑樹・北口善明・山岡克式(東工大) |
B-7-13 |
LoRaを用いた狩猟罠作動通知システムの設計と低消費電力センサデバイスの実装
◎矢崎 陽・韓 承鎬(電通大) |
B-7-14 |
LoRaを用いたIoTシステムの基本特性の評価
○嘉藤 学・境 隆匡・中村勇人・日吉郁人(有明高専) |
B-7-15 |
低消費電力ワイヤレスセンサネットワーク構築のためのノード数最適化手法
○織田悦至・濱崎利彦(広島工大) |
Low-density parity-check (LDPC) code is quite popular, in 1962, proposed by Rober.G.Gallager, its good quality of performance which shall be close to Shannon Limit. However, subject to the difficulty of hardware design before, it was not valued. Nowadays, LDPC codes have been applied to wireless communications, fiber-optic communications, digital video broadcasting-satellites (DVB-S), digital audio broadcasting (DAB), etc. The theoretical research field of LDPC codes mainly focus on performance analysis of decoding algorithms, methods of encoding, and optimizations of code structure. Here, we studied on wireless network information transmission encryption applied LDPC, using Advanced encryption Standard (AES) and hash function to achieve the protection of information security.
1bit誤りに対する,受信者代弁型情報伝送プロトコルの誤り検出再送手順を提案し,当手法で効果が得られる環境条件について述べる.さらに理論解析を用いて,検出頻度の調節によるビット数削減量と遅延の関係を示す.
野生鳥獣被害の農山村への深刻な影響と共に,全国の狩猟者の高齢化により害獣狩猟の効率化が求められている.
本研究は,狩猟罠の作動を遠隔確認する既存の特定小電力無線や3Gを利用した製品の問題を解決し,より安価で利便性の高い狩猟罠作動通知システムの設計を目指して,LPWAN技術のLoRaを用いた狩猟罠の無線作動通知システムを設計し,そのセンサデバイスを実装した.
実装したセンサデバイスは,受信待機時間の設定を4時間/日とした場合,充電池(2500mAh)で1ヶ月動作可能であり,バッテリ寿命・コスト・拡張性において従来製品と比較して十分に実用的であることを示した.
LPWA(Low Power Wide Area)はIoTの基盤となる無線技術である。本稿ではLPWAの物理層における規格であるLoRa(Long Range)を用いてシステムを構築し、その基本的な特性を評価する。本システムは単一のLoRaゲートウェイおよび複数のLoRaモジュールから構成され、それらの間をLoRa接続する。メディアアクセス制御(MAC)をプログラム実装し、システムの基本的な特性(RSSI、伝送成功率、積算電力量等)を明らかにする。
本研究は農林業など,比較的に小規模あるいは兼業の事業者を想定して,低消費電力ワイヤレスセンサネットワークにおける端末設置場所を通信強度RSSIの予測から判断し,信頼できるネットワーク構築を支援するシステムを提供しようとするものである。
休 憩(11:00 再開) 座長 上野 仁(富士通研)
B-7-16 |
電力線通信(PLC)システムで用いられるVVFケーブルの伝送特性UDPスループット特性の温度依存性
○大日方祥伍・阿部 航・後藤碩志・喜田健司(東洋大)・石川博康(日大)・篠永英之(東洋大) |
B-7-17 |
電力線通信(PLC)システムにおける緩衝材に巻いたVVFケーブルの線路間間隔と伝送特性・TCPスループット特性の関係
◎多田羅涼太・阿部 航・後藤碩志・喜田健司(東洋大)・石川博康(日大)・篠永英之(東洋大) |
B-7-18 |
ハイパーグラフにおけるランダムウォークを用いた媒介中心性の高い枝の検出手法
○△岡 亮(慶大)・高井勇輝(理研)・松本直己(慶大)・池田正弘(理研)・金子晋丈(慶大) |
B-7-19 |
自律分散管理下にあるグラフのReplication Factor
○尾崎耀一・金子晋丈(慶大) |
B-7-20 |
協調的なネットワーク成長法への移行
◎神田浩利・林 幸雄(北陸先端大) |
電力線通信(PLC)システムは通信媒体としてVVFケーブルを使用する。今回の測定ではVVFケーブルの伝送特性、UDPスループット特性の温度依存性について恒温槽を用いて温度-10~30 ℃間で測定、解析し、詳細を明らかにした。
電力線通信(PLC)とは、電力線(VVFケーブル)を通信回線として利用する技術である。VVFケーブルは、ケーブルからの漏洩電波が原因で線路間結合が発生する。本稿はPLCシステムの通信品質評価のため、直径80 cmの緩衝材に100 mのVVFケーブルを敷設し、線路間間隔と伝送特性、および、TCPスループットの関係を報告する。
コンテンツを頂点,コンテンツ間の関係を枝とするグラフを活用したコンテンツ提示が注目されている.特にコンテンツ群が形成するコミュニティ同士を接続する弱い紐帯の検出は,あまり知られていないコンテンツ間関係を提示できる可能性があり重要である.これまでは弱い紐帯の検出に全体グラフの媒介中心性を求める手法を用いることが一般的であったが、グラフが巨大になると計算時間が増大してしまう.そこで本稿では,解析対象とするグラフの部分集合をできるだけ少なくしながら,グラフ全体を解析した場合と同様の弱い紐帯(以下,ゲートウェイ)を検出する手法について述べる.本手法は,注目する頂点周辺のグラフを,注目する頂点を始点とするランダムウォークを複数回走らせることにより取得し,取得したグラフに対して媒介中心性を計算することで,ゲートウェイを検出する.本稿では,対象とするグラフを頂点が4つの枝に一様に所属するハイパーグラフとし,ランダムウォークの試行回数とゲートウェイの検出率の関係を明らかにする.
一般に分散グラフ処理において,「グラフがどのように分割されるか」は処理効率に大きな影響を与える.頂点・辺の平均複製数 Replication Factor (RF) は,グラフ分割の品質を評価する指標として用いることができ,RF とプロセス間通信コストは線形な関係にあるという報告がなされている.自律分散環境では,グラフデータはその所有権に基づいて各主体にて独立に管理されるため巨大な RF になることが想定されるが,既存研究では自律分散環境におけるグラフデータの RF の系の規模に対する挙動について,定量的な報告はなされていない.本研究では,自律分散管理下にあるグラフの RF を定量的に評価した.自律分散管理されるグラフデータの RF は集中型の管理に比べて大きな値をとり,グラフの分割数に対して対数的に増加することがわかった.
現実の多くのネットワークは意識・無意識に関わらず効率重視の利己的な優先的選択によって生成されていると考えられ、ハブ攻撃のような悪意のある攻撃に対して非常に脆弱である。一方、このような攻撃に対して最適な頑健性を持つ正の次数相関の玉葱状構造が近年発見され、仲介に基づくリンク選択に切り替えれば玉葱状ネットワークに成長させることもできる。本研究では、優先的選択による脆弱なネットワークから仲介に基づく頑健なネットワークにどのように移行できるかについて検討し、移行を阻む要因についても考察する。
3月18日 13:30〜17:30 総合科学部 L棟2F L201講義室 座長 吉原貴仁(KDDI総合研究所)
B-7-21 |
災害対応向け可搬型ローカル通信システムの簡易利用性に関する検討
○坂野寿和・周 政信・トウ ルイ・オジェツンデ ババツンデ・鈴木義規(ATR) |
B-7-22 |
データの重要度に着目したDTNにおけるデータ送信制御方式
◎鈴木洋勇・田島氷河・水野 修(工学院大) |
B-7-23 |
A Study on The Installation Strategy of a Local Networking Solution as a Disaster Countermeasure
○Babatunde Ojetunde・Teng Rui・Toshikazu Sakano・Yoshinori Suzuki(ATR) |
B-7-24 |
大規模災害時のUAVを活用した効果的なアドホックネットワーク
◎生沼秋太・源田浩一(日大) |
B-7-25 |
高可用性構成クラスタに対するトラヒック制御方式についての一検討
◎鋒 幸洋・岡田真悟・小島久史・瀬戸三郎(NTT) |
著者らは,大規模災害時に起こりうる通信途絶環境下でローカルなネット環境を即時構築可能な可搬型通信方式LACS(Locally Accessible Cloud System)を提案している.本稿では,提案方式の簡易利用性についてパイロットプロダクトを用いた主観評価を行ったので報告する.
災害時の通信としてDelay Tolerant Networking(以下,DTN)が注目されている.DTN の代表的なルーティング方式であるEpidemic Routing(以下,ER)では,データの重要度は考慮されていない.重要度の低いデータ(以下,低重要度データ)によって,重要度の高いデータ(以下,高重要度データ)の広まり具合(以下,データ伝搬率)が低下する恐れがある.そこで,データの重要度に応じた送信制御を行い,低重要度データのデータ到達率をある程度担保しながら,高重要度データのデータ伝搬率を向上させることを目的とする.提案方式の有効性を評価するため,ER と提案方式の比較実験を行った.実験結果より,高重要度データのデータ伝搬率が向上し,約1.4倍の速さで伝搬した.
In this paper, we investigate the strategy for utilizing Locally Accessibly Cloud System (LACS) as a disaster information collection and delivery medium in the aftermath of a large scale disaster. We consider two strategies for disaster information gathering and delivery. It is expected that the delivery time should be reduced drastically using this method. Hence, efficiency for the disaster information gathering and delivery is improved. In the future, we will consider implementation of our method in quasi real-time scenario.
大規模災害等により通信ネットワーク基盤が大きな被害を受けた時,復旧までの一時的なネットワークとして,アドホックネットワークの活用が注目されている.
端末(ノード)の多くはバッテリーで駆動されるため,省電力化が重要である.
さらに,アドホックネットワークを構成する端末は,故障やバッテリー切れから通信できなくなるため,接続性を維持するためには複数の端末と接続を可能とする冗長化が必要とされる.
本検討では,大規模災害時のアドホックネットワークとしてUAV(Unmanned Aerial Vehicle)から構成されるネットワークを想定し,UAVの時間軸上の連続的な消費電力特性を考慮した時のトポロジ制御における適切な冗長度を検討する.
ミッションクリティカルなIoTアプリケーションでは,システム全体の可用性が重要になる.本論文では,高可用性構成のアプリケーションプラットフォームに対し,ネットワークの冗長性と,プラットフォームの状態を考慮した柔軟なトラヒック制御を兼ね揃えたネットワーク方式を提案する.
休 憩(15:00 再開) 座長 川原憲治(九工大)
B-7-26 |
期間公平性を考慮した複数仮想ネットワーク連携制御方式の検証
○星合擁湖(NTT)・石橋圭介(国際基督教大)・西松 研(NTT) |
B-7-27 |
マルチエージェント深層強化学習による動的仮想リソース割当手法のスケール性評価
○鈴木晃人・原田薫明(NTT) |
B-7-28 |
通信および計算資源共用化へのブロックチェーン技術適用の一考察
○木村卓巳・辻野雅之(NTT) |
B-7-29 |
Lightning NetworkにおけるFlareの経路表構築手法
○井戸崇裕・川原憲治(九工大) |
B-7-30 |
MPTCPを利用したセグメント連続転送に基づく経路利用率推定手法
○寺床八眞和・川原憲治(九工大) |
著者らが提案する、複数の仮想ネットワークに対して、長期間にわたるネットワーク全体の公平性と効率性を考慮して網資源を割り当てる方式を、NICTのテストベッド環境RISE上で検証実験した結果について報告する。
近年,トラヒックやサーバのリソース需要変動が激化しており,リソースの需要変動に追従した動的仮想リソース割当手法が求められている.筆者らは,マルチエージェント深層強化学習による動的仮想リソース割当手法を提案した.ただし,過去の報告では,トラヒック需要を正弦波でモデル化している点や,VN数が小さい点など,実用的な評価条件から乖離している点も多い. そこで本稿では,より実用的な条件下における有効性評価を目的として,自己回帰移動平均(ARMA)モデルで生成したトラヒック需要に対して,VN数のスケール性について定量評価した結果を報告する.
複数サービス事業者間による通信および計算資源の相互利活用化へ,ブロックチェーン技術の適用を考察する.
近年,ブロックチェーン技術は多分野への応用が期待されるが,トランザクション処理速度が遅い等のスケーラビリティに関して懸念される.そのため,特定ノード間にペイメントチャネルを確立して高速化を図るLightning Networkが注目される.任意のノード間のトランザクション送信には経路設定が重要となるが,そのためには各ノードが全ノードのチャンネル接続情報を有する必要がある.本研究ではノード保有情報の削減を目指すFlareにおける経路表構築手法を検討する.
任意の送受信者間において負荷分散/経路集約を行うTE(Traffic Engineering)では、各経路の利用状況を把握する必要がある.トラヒック転送にTCPを仮定した場合,セグメントの連続転送を利用したパケットトレイン方式による経路利用率推定が可能となる.しかしながら,経路利用率が高くなると受信者からのACK返送が間欠的となり,送信側における後続のセグメント連続転送が困難となることが考えられる.そこで本研究ではMPTCPを利用した経路利用率推定手法を提案,評価する.
休 憩(16:30 再開) 座長 井上 武(NTT)
B-7-31 |
システムへの影響を考慮した障害復旧フレームワークの検討
◎松尾洋一・池内光希・渡辺敬志郎(NTT) |
B-7-32 |
障害データ生成に基づく要因特定手法の一検討
◎池内光希(NTT)・葛 嘉文(ジョージア工科大)・松尾洋一・渡辺敬志郎(NTT) |
B-7-33 |
強化学習を用いたIoTトラフィック輻輳制御の検討
○山本 周・井内秀則・中尾彰宏(東大) |
B-7-34 |
モデル分割による遠隔画像認識におけるプライバシー保護に関する一考察
◎梅田直希・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
ICTシステムの運用において,障害発生時に即時対処によるお客様影響の低減やオペレータの稼働削減のため自動復旧が必要となっており,復旧コマンドを推定する研究が行われている.本稿では,推定された復旧コマンド列のシステムへの影響度を推定する手法を構築し,システムへの影響を考慮した障害復旧フレームワークを提案する.
複雑化するICT システムにおいて,障害発生時にそ
の要因を特定する業務は困難を極め,運用者の多大な稼
働を必要とする.そこで近年,機械学習を利用した要因
特定手法が多く検討されてきた.しかし,それらの手法
は大量の障害データに基づく学習が必要であるため,特
に低頻度障害や未知障害には対応できないものが多い.
本稿では,障害挿入ツールを用い大量の障害データを人
工的に生成・収集することで,教師あり学習による要因
特定を実現させるアプローチを提案し,Kubernetes 環
境においてその有効性を検証する.
IoTネットワークでは、様々な新しいデバイスや機器がネットワークに追加接続されるためトラフィックパターンが変動しトラフィック予測が難しい。このため、従来の固定的なポリシーによるトラフィック制御が困難になる。変動するトラフィックパターンに対して、動的にポリシーを変更する必要がある。近年、機械学習により動的にポリシーを生成する手法が提案されている。とくにリアルタイム性が要求される場合には、強化学習が有効である。
今回は、ε-Greedy法を用いた強化学習によるトラフィック輻輳制御のシミュレーションについて報告する。
遠隔のカメラで顔認識などの画像認識を実行する場合,撮影画像や分類器の学習データとして使用された画像が,カメラや画像認識の要求者に漏洩する懸念がある.本稿では,分類器のモデルを分割してカメラと要求者に実行させる手法の安全性について議論する.
3月19日 13:30〜14:45 総合科学部 L棟2F L201講義室 座長 会田雅樹(首都大東京)
B-7-35 |
セグメント先読みを用いたDASHコンテンツの平均レート向上に関する一考察
◎山本瑶司・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-36 |
コンテンツ簡易化と許容遅延時間を考慮したWebアクセス制御の提案
◎渡邉康佑・宮田純子(芝浦工大) |
B-7-37 |
ネットワーク環境に応じた動的 HTTP バージョン選択方式
◎大橋滉也・北口善明・山岡克式(東工大) |
B-7-38 |
デジタルコンテンツの複数チャネル流通のための選択的同一性検証を可能にする識別子
○田中覚士・金子晋丈(慶大) |
B-7-39 |
ソーシャルネットにおけるインフルエンサーの情報拡散力の分析
○黄 子琪・林 幸雄(北陸先端大) |
ネットワーク内キャッシュ存在下で DASH コンテンツを視聴する場合、キャッシュヒットによるセグメント取得により、キャッシュがない場合と比較して平均ビットレートは上昇する。しかし、キャッシュヒットが発生した場合、キャッシュとサーバ間は余剰帯域となる。本稿では、余剰帯域を利用して、将来要求するセグメントを同時にサーバから読み出すセグメント先読みが、余剰帯域を使用しない場合と比べて更に平均ビットレートを向上させることをシミュレーションで検証する。
ユーザがWeb サイトを閲覧する際,Web サイトが表示されるまでに待つことのできる時間(以下,許容遅延時間) が存在する.このようにWeb サイトが表示されるまでの時間を,許容遅延時間内に収めてWeb アクセス数を最大化させる手法(以下,既存手法) が提案されている. また,一部のサイトでは,普段使用している通常のWeb サイト(以下,通常コンテンツ) を,画像などのコンテンツを減らした簡易Web サイト(以下,簡易コンテンツ) に変換することができる.簡易コンテンツに変換することで,許容遅延時間内にコンテンツを表示できる可能性が向上すると考えられるが,既存手法では通常コンテンツのみ考慮されていた.また,許容遅延時間はコンテンツのコンテンツサイズごとに異なると考えられるが,既存手法では,固定値で与えられていた.
そこで,本研究では,トラヒック集中時には通常コンテンツを簡易コンテンツに変換することで,Web アクセス数を最大化させる手法(以下,提案手法) を提案する.さらに,コンテンツサイズごとに許容遅延時間が異なる関数を用いて提案手法のシミュレーションを行い,既存手法との評価を行う.
現在IETFで仕様策定が行われているHTTP/3は,UDP上に輻輳制御や再送処理を再実装したQUICを利用することで,主にモバイルネットワークなどの,固定回線に比べ低品質なネットワークでスループットが向上する.
しかし,低遅延・低パケットロス率な高品質ネットワークでは,QUICがユーザーランドで実装されていることなどにより,HTTP/2よりも低い性能を示すことがある.
本研究では,様々なネットワーク環境におけるHTTP/2とHTTP/3の性能比較を行った結果を元に,ネットワーク環境に応じてサーバ側での動的な利用プロトコルの制御を実現した.これにより,最悪ケースにおけるコンテンツロード時間を23%削減した.
デジタルコンテンツ流通の浸透に伴い,DOIをはじめとしてデジタルコンテンツを一意に識別するためのID付与の動きが活発化している.一方で,IBE (Identity Based Encryption)など暗号技術を用いた機能性のあるIDも注目されている\cite{IBE}.そこで本稿では,複数の流通チャネルで同一のコンテンツを複製配布する際のコンテンツIDに関する検討を述べる.具体的には,流通チャネル毎に異なるコンテンツIDを与え利用者に同一性の検証ができないようにしながら,いずれかの流通チャネルでコンテンツを購入した利用者には,全ての流通チャネルの同一コンテンツを検出できるコンテンツIDを設計,実装した.
その結果として,ID空間に暗号技術を用いることで,デジタルコンテンツの購入情報を管理し,第三者に無断複製をされないようなシステムを構築した.そして実世界ではシステム空間上のVC所有率はほぼ0%として考えられるため,1つのVCの認証時間は所有共通鍵数が1500を超えた時に1secを超えると分かった.
SNSの普及によって、インフルエンサー・マーケティングが近年注目されている。企業にとって、最適なインフルエンサーの選び方は一つの重要な課題である。しかしながら、次数が大きいノード(ハブ)であっても、ネットワークの中心から外れる可能性がある。そこで、メッセージ伝搬式を用いていくつの代表的な中心性に従った種ノートからの情報拡散力を比較分析してみた。
3月20日 9:30〜12:15 総合科学部 L棟2F L201講義室 座長 村瀬 勉(名大)
B-7-40 |
アダプティブストリーミングにおける視聴状況に応じた動画品質選択手法の提案
○西出彩花・福留大貴・西村 敏(NHK) |
B-7-41 |
IPを用いた番組制作システムのためのシステム監視ツールの試作
○小山智史・河原木政宏・白戸 諒・川本潤一郎・倉掛卓也・斎藤恭一(NHK) |
B-7-42 |
飛ばし見ユーザを考慮した二元トラヒック受付制御方式の提案
◎大出啓介・宮田純子(芝浦工大) |
B-7-43 |
ENUMを活用した輻輳制御実現に向けた方式評価
○杉本 駿・清水 宏・松田宣幸(NTT) |
B-7-44 |
ENUM通信とSIP通信の関連付け方法の検討
○秋本政憲・清水智史・清水 宏・山本高大(NTT) |
近年の動画配信では,解像度やビットレートなど品質の異なる複数の動画データを配信サーバに用意し,視聴端末が自律的に動画品質を選択するアダプティブストリーミングが広く利用されている。この動画品質の選択には,回線のスループットや視聴プレーヤーのバッファ残量といった回線状況の推定値などが利用されることが一般的であり,視聴者がどのように動画を視聴しているかは考慮されていない。したがって,例えば映像を遠くから見る,あるいは映像を停止せずに席を離れる,などの視聴状況においては不要に高い動画品質を受信し続ける可能性があった。
本研究では,視聴者の視聴状況に応じて,視聴品質の向上が見込めない動画品質の受信を制限することにより,通信量の削減が可能な動画品質選択手法を提案する。
従来,番組制作システムの機器間インターフェースとしてSDI(Serial Digital Interface)が用いられてきた.しかし,4Kや8Kといった高精細映像を扱うためには大容量の伝送路が必要であることから,IP(Internet Protocol)へ移行する動きが起きている.
IPネットワークは様々な信号が多重可能であることや,IPヘッダの宛先アドレスによって伝送経路を変更できるなど,SDIにはない特徴を持っている反面,ネットワークの状態がどのようになっているか監視を行う必要がある.また,そのネットワークの状態を番組制作に携わるエンジニアにとってわかりやすい形で提示することも重要である.
そこで,IPを用いた番組制作システムのための監視ツールの試作を行ったので報告する.
ストリーミング動画 (以下,フロー)の普及に伴い,通信品質を保証するために,受付制御方式が提案されている.この方式では,網内収容時に得られる満足度 (以下,ユーザ満足度)の合計を最大化していた.さらに,ユーザの協力行動に着目した受付制御も提案されている.しかし,一般に動画を視聴する際には,動画のシークバーを動かし効率的に視聴するユーザ (以下,飛ばし見ユーザ)も存在する.そこで本研究では,飛ばし見ユーザの行動を考慮した受付制御方式の提案を行う.さらに,待ち行列理論を用いた解析,数値計算により本提案法の有効性を示す.
ENUMサーバを利用した輻輳制御の実現に向けた方式評価を行った。
他事業者を含めた具体的な企画型輻輳のモデルを設定し、輻輳規制指示の間隔を変化させた場合の輻輳時間やトラフィック量への影響評価を行った。
電話サービスにおける通信事業者間のIP相互接続に向け、新規にENUMサーバの導入が検討されており、IPを前提とした接続が実現され
る。それに伴い、一つの通信において、SIPとENUMプロトコルが混在する環境となり、通信障害が発生した場合どちらのプロトコルで障
害発生しているかを判別することが必要となると想定される。そこで、簡潔かつ保守運用性に優れたSIPとENUMの各通信の関連付け方法
ついて、検討、評価した結果を報告する。
休 憩(11:00 再開) 座長 持田誠一郎(NTT)
B-7-45 |
宛先解決履歴を活用した呼処理手法におけるライフタイムの最適化に関する一検討
○銭谷由彦(NTT) |
B-7-46 |
非常時における被災地外一般通話の待時を考慮した拠点連携回線留保制御の検討
◎川合健太(工学院大)・山岡克式(東工大)・馬場健一(工学院大) |
B-7-47 |
IP相互接続における対向サーバ復旧確認手法
○撰 広嗣(NTT) |
B-7-48 |
RTP変換を行うNNI区間における故障検知手法に関する検討
○金成広樹(NTT) |
B-7-49 |
サポートベクトルマシンによる検証要否判定のための品詞選択評価
○須永 聡・菊間一宏(NTT)・猪腰松大・佐藤孝樹・上田清志(日大) |
IP相互接続時宛先解決履歴を活用した呼処理方法において履歴保持時間(ライフタイム)の最適化を課題と捉え、シミュレーションを実施し得られた知見を展開する。
非常時における輻輳対策として,回線交換網の一部を優先通話専用として留保する回線留保制御が提案され,その有効性が示されている.さらに,一般通話の待時を考慮することにより一般通話の呼損率の低減効果を明らかにした.しかし,被災地内の一般通話と被災地外からの一般通話は,支援物資の要請,安否や被災状況の確認など,情報の質や重要度が異なるため,それらを考慮した受付制御を行うことが考えられる.そこで本稿では,通話の種類を優先通話,被災地内一般通話,被災地外一般通話の3 種類に区別し,被災地周辺の拠点で被災地外一般通話の待時を考慮した回線留保制御を提案する.優先通話における呼損率を要求値以下に保ちつつ,被災地外拠点において被災地外一般通話の待時を考慮することによる一般通話の呼損率低減効果を調べる.
IP電話事業者網間における対向網の障害からの復旧検知において、自網側の機能具備だけで復旧検知の精度を向上させることができる手法を提案する.
日本においてIPの技術を使った国内キャリア間の電話の相互接続仕様が策定され、今後IPの技術を用いた、キャリア間の電話の相互接続が開始される。その中で事業社区間となるNNI区間における故障の検知が高品質のサービス提供に向けて必要となる。しかし、固定体-移動体事業社間ではコーデック変換が行われるためRTPのパケット数やサイズの変更があり、RTPの正常性を計測することが困難である。今回本課題に対して疑似通話呼発生装置とNNI-GW装置に対する機能追加を行うことでRTPの障害検知を行う手法についての検討結果を提示する。
次世代ネットワーク(NGN)等に用いられる通信ソフトウェアは高い信
頼性が要求されるため多数の品質向上施策を取り入れており開発期
間の延伸やコストの増加が問題である。我々はこの問題の解決に向
け開発の自動化に取り組んでいる。本稿ではサポートベクトルマシ
ンを用いて自動的な検証要否判定を実現するためのベクトル化に有
益な品詞について実験結果を述べる。
B-8. 通信方式
3月17日 9:45〜12:15 総合科学部 K棟2F K204講義室 座長 藤原稔久(NTT)
B-8-1 |
時刻基準装置の高信頼化に向けたGPSコモンビュー装置の試作評価
◎佐久間大樹・新井 薫・杉山隆太・松村和之(NTT) |
B-8-2 |
LAN内でのNTPを用いた高精度時刻同期に関する検討
○桑野 茂(大同大)・中山 悠(東京農工大)・久野大介(阪大)・丸田一輝(千葉大)・吉本直人(千歳科技大) |
B-8-3 |
PD-NOMA-PONシステムにおけるADC量子化ビット数の影響解析
◎鈴置皓介・紫尾田 将・久野大介(阪大)・丸田一輝(千葉大)・丸田章博(阪大) |
B-8-4 |
GE-PONロスバジェットを拡大する1.25-Gbit/s SOA / EA変調器集積DFBレーザ
○陳 明晨・進藤隆彦・金澤 慈・中西泰彦・神田 淳・吉松俊英・佐野公一(NTT) |
時刻同期網の根幹を担う時刻基準装置(PRTC)の高信頼化に向けて、隣接するPRTCと相互に比較しながら時刻情報を生成するコヒーレントネットワークPRTC(cnPRTC)が議論されている。本稿では、cnPRTCの実現性検証に向けて、GPS Common View法をベースとした時刻比較装置を試作し、評価したためその結果について報告する。
低遅延や定遅延のサービスを実現する上でネットワーク機器間の高精度な時刻同期は必須である。本研究では、LAN内に設置された機器で高精度な時刻同期を実現するためのNTP(Network Time Protocol)を活用した同期システムについて、時刻同期のみをネットワークを課して行う方式を提案し、その有効性を数値シミュレーションにより示している。
波長分割多重型受動光ネットワーク(WDM-PON) システムへの電力多重型非直交多元接続(PD-NOMA) 方式の適用が検討されている[1].PD-NOMA 方式では,多重する信号の電力比に応じて,受信器内のアナログ・デジタル変換器(ADC) における量子化の影響を強く受けることが予想される.本稿では,デジタルコヒーレント方式を適用したPD-NOMA 方式において,ADC の量子化ビット数がシステム性能に与える響を計算機シミュレーションで解析した結果について報告する.
光アクセスネットワーク(GE-PON)の長延化に向け、ロスバジェットを拡大する1.25Gbit/s高出力光送信器の開発を行った。チャープが小さく長距離伝送に適している電界吸収型光変調器集積DFBレーザにさらにSOAを一体集積することで高出力化したAXEL(SOA assisted extended reach EADFB laser)により、レーザ波長は1.49μmにおいて変調光出力パワー11.3dBm、消光比10.7dBという良好な出力特性が得られた。この光送信器を用いてGE-PONダウンストリームを想定した伝送実験を行った。SSMF 80km伝送後の最小受信感度は-37dBmであり、中継光増幅器を用いることなくロスバジェット48dBを達成した。
休 憩(11:00 再開) 座長 斉藤洋之(OKI)
B-8-5 |
5G モバイルxホール用波長多重ハーフレート伝送
○滝澤康裕・梅田大助(住友電工) |
B-8-6 |
不等分岐光スプリッタを用いた同一媒体網上での共存システム下におけるエリア拡大の実現性に関する検討
◎河北敦子・原 一貴・木村康隆・鈴木康宏・辻 幸嗣(NTT) |
B-8-7 |
25G級アクセスネットワーク向けAMCC信号重畳を含めた主信号変調方式の基礎検討
○川瀬大輔・自念圭輔・船田知之(住友電工) |
B-8-8 |
N:1冗長アーキテクチャを実現するバジェット拡大10G/1GデュアルレートPON 向けOLT光トランシーバ
○蓑口 恭・下羽利明・吉田智暁・寺田 純(NTT) |
B-8-9 |
温度監視および電力供給制御機能を備えたONUの提案と評価
◎名越 遥・伊藤健太・関口真良・田代隆義・嶌津聡志・吉田智暁(NTT) |
5Gモバイルxホールネットワークではスモールセル化によるセル数の増加やMassive MIMOの活用により,多数の光ファイバが必要となる. 既設のダークファイバの不足が懸念されており, 効率的に光ファイバを利用する手段として, WDM集線技術に期待される. 5Gモバイルxホールを高レイヤで機能分割して25Gイーサネットで接続する場合, 最大40kmの伝送が必要であり, 波長分散の小さいO帯を使用するが, 利用できる波長数が限られる. そのため25GEを経済的に高多重でき, 40km伝送が可能なWDM集線方式が求められている. 本稿では25.78 Gbit/sの25GE信号をC帯で40km以上の伝送が可能なハーフレート伝送法を考案, 検証したので報告する.
不等分岐光SPの適用による複数システム(1/10G-EPON, 映像システム, TWDM-PON)共存下における,GE-PONのリンクバジェット拡大について,シミュレーションと上下方向の伝送実験を実施し,不等分岐光SPを用いた拡大可能なリンクバジェットについて実験結果の妥当性について確認したので,報告する.
これまでAMCC(Auxiliary Management and Control Channel)についての報告は主
信号がNRZの場合の検討が主であった。そこで本稿では、EDBやPAM4信号にAMCC信
号を重畳して使用する場合を含め、1550nm帯25Gbps伝送のNRZ/EDB/PAM4方式での
伝送シミュレーションを行い、各方式の特性比較を行った。
PON(Passive Optical Network)の信頼性向上のためにN:1の光スイッチ介したOLT(Optical Line Terminal)冗長アーキテクチャが標準化文書で規定されている。光スイッチの追加損失が生じるため、OLT/ONU(Optical Network Unit)間光リンクの所要バジェットはより厳しくなるが、既存のトランシーバでは実現が困難であった。そこで我々は10G/1G デュアルレートPONにおいてN:1 OLT冗長アーキテクチャ実現に要するバジェットを整理し、それを単体で満たすOLTトランシーバを試作した。B2B(Back to Back)評価を通して、10G/1Gそれぞれのリンクバジェット36.45/36.53dBが達成されていることを確認した。これはN:1 OLT冗長アーキテクチャにおける所要バジェットである34.1dBを十分に満たしている。
映像配信の高精細化やクラウドサービスの広がりに伴い、宅内通信装置(ONU:Optical Network Unitなど)の伝送速度向上が求められている。一般的に伝送速度の向上に伴い宅内通信装置の消費電力は増大し、発熱量が増加する。一方で、宅内通信装置の使用環境は様々であるため、何らかの原因で規定した設置方法と異なってしまうことも想定しなければならない。その場合の対策がなければ、内部部品の温度が動作保証範囲を超えて上昇し、正常動作が担保できなくなる恐れがある。そこで、宅内通信装置の発熱量増加に対する対策として、温度監視および電力供給制御機能を提案する。また、本機能搭載ONUを試作し、評価を行ったので、その結果について報告する。
3月17日 13:30〜17:15 総合科学部 K棟2F K204講義室 座長 久野大介(阪大)
B-8-10 |
IoTバーストトラヒックに対するL2SW間連携シェーピングにおける廃棄データ量補正の検討
◎本田一暁・柴田直剛・金子 慎・寺田 純(NTT) |
B-8-11 |
GS-TAS制御によりモバイルフロントホール・IoTトラヒックを収容するL2ネットワークの動的経路選択に関する実機評価
○柴田直剛・本田一暁・原田臨太朗・金子 慎・寺田 純(NTT) |
B-8-12 |
バス型WDMアクセスシステムの総波長数を削減する周期的波長割当方式
◎原田臨太朗・氏川裕隆・金子 慎・寺田 純(NTT) |
B-8-13 |
Beyond 5G無線アクセスネットワークにおけるMFH/MBHの一検討
○金子 慎・氏川裕隆・原田臨太朗・寺田 純(NTT) |
B-8-14 |
バス型WDMアクセスを高信頼化するプロテクション方式の提案
○氏川裕隆・原田臨太朗・金子 慎・寺田 純(NTT) |
Internet of Things(IoT)端末はセンシングデータ送信等のためIoT-Gateway(GW)を介してIoTサーバと通信する。多量のIoT端末からの通信が同時生起すると、ミリ秒長のトラヒック急増によるマイクロバーストが発生する。我々は、周期的に生起するIoTトラヒックを想定にレイヤ2ネットワーク収容及びレイヤ2スイッチ(L2SW)間連携シェーピングを検討してきた。本報告では、複数発生するマイクロバースへの対策として、L2SWにおける廃棄データ量補正を用いたキュー長割当を提案し、必要バッファ量の抑制効果について評価する。
将来モバイルフロントホール(MFH)やIoT(Internet of Things)等の多様なサービスを、1つのレイヤ2ネットワーク(L2NW)で収容することが検討されている。我々はこれまでに、MFHの要求遅延を担保しつつIoTサービスの帯域利用効率を向上するため、IEEE802.1Qbv TAS(Time Aware Shaper)技術を改良したGS(Gate Shrunk)-TAS方式、及びそれに基づいた動的経路変更を提案し、シミュレーション評価をしてきた。本稿では、動的経路変更の有効性を実機により評価する。
移動体通信エリアを展開する際,多量に設置される子局と親局を接続するMobile Fronthaul(MFH)においては,波長多重(WDM)構成により光ファイバ数削減と高スループットを両立できる.本稿では,直線状にエリア展開する際やループ配線により面的にエリア展開する際にMFHに適用するバス型WDMアクセスシステムにおいて,総波長数を削減する周期的波長割当を提案する.
第5世代移動通信(5G)の商用サービス導入が世界各地で進む中、日本でも5Gプレサービスが開始されており2020年春には商用サービスが始まろうとしている。このように5Gが既に商用フェーズとなる中、2025年以降を見据えた将来無線技術の議論が開始されている。その中で5G Evolution and Beyondコンセプトが提唱され、無線技術の発展方向性として、未来のユースケースを実現するための新しい要求条件の組み合わせ、尖った要求条件が挙げられている。本稿では、上述のような将来無線アクセスネットワークを実現する上での光区間の技術課題について考察する。
直線状や面的に移動体通信エリアを展開する際に,基地局(親局)から子局までのフロントホール区間を提供する手段として,波長多重(WDM)構成により光ファイバ数を削減しながら高いスループットを実現できるバス型WDMアクセスシステムが検討されている.一方,バス型構成では幹線ファイバに切断が発生すると,切断点がシステム下部であっても複数の子局が通信断となってしまい,複数セルに跨る大規模障害に繋がってしまう懸念がある.本稿では,バス型WDMアクセスシステムに適したプロテクション方式を提案する.
休 憩(15:00 再開) 座長 黒木圭介(KDDI総合研究所)
B-8-15 |
無線制御用プレーンへの光無線適用に向けた光送受信方式に関する一検討
◎椎名亮太・谷口友宏・玉置真也・原 一貴・中平俊朗・村上友規・辻 幸嗣(NTT) |
B-8-16 |
IoTデータ信頼性向上に向けた低レイヤメタデータ収集方式の提案
○玉置真也・鈴木徹也・谷口友宏・木村康隆・辻 幸嗣(NTT) |
B-8-17 |
Layer 2 Networkの切替方式に関する一検討
◎柴田修宏・川田秀雄・木村英明・吉原慎一(NTT) |
B-8-18 |
スライス間リソース共有のための抽象リソース生成手法
◎長沢明子・名倉健一・末廣 雄・小崎成治・石田和行(三菱電機) |
B-8-19 |
SDN (Software Defined Networking) 型分散PONシステムの考察
○藤野健治郎・濱田洋平・東 泰彦・井上 徹(住友電工) |
我々はこれまで、光無線をRF無線の制御用プレーンに適用することを想定した新たな無線制御アーキテクチャを提案してきた。本稿では、提案アーキテクチャにおいて、受信機として照度センサを用いた場合の光空間伝送特性評価を行い、光送受信方式のフィージビリティ確認を行った結果について報告する。
近年、IoT (internet of things)センサを活用したサービスの普及が進んでいる。センシングデータの分析・活用においてはセンサの状態や設置状況等によってデータ精度に影響があることが知られている。したがって、IoT端末に付随する主センサデータ以外の情報(機種、設置場所、接続状況など。以下、メタデータと呼ぶ)を収集・活用することがセンシングデータの信頼性向上につながると筆者らは考える。ただし、IoT端末はリソースが限られる為、低負荷な収集手段が求められる。
そこで本稿では、低レイヤ通信プロトコルを活用したIoTメタデータ収集方式を提案する。これにより、低負荷にメタデータ収集が可能となり、より多様なIoT端末におけるセンシングデータの信頼性向上を図ることが可能となる。
広域イーサネットのようなLayer 2 Network(L2NW)が広く普及している.
通信事業者がL2NWを用いた新たな中継NWを構築し,既存の中継NWから新たな中継NWへ切替を行う際に,
中継NWとユーザ拠点の境界に位置するProvider Edge(PE)にて中継NWを切替える方式を提案する.
サービスの多様化に伴い,異なる要件ごとに個別の仮想的なネットワーク(スライス)を,迅速・柔軟に作成することが求められる.筆者らはこれまでに,スライス生成時の管理負荷低減のために,ホスト間ごとに,その間に含まれる物理的な通信リソースを抽象的に表現した抽象化モデル(抽象パス)を提案した.本モデルは,スライスごとに専有のリソースを割当てるユースケースを想定して定義している.本稿では,従来の抽象化モデルに複数スライス間で共有可能とするリソースの品質情報を追加して定義することを目的とし,共有リソースを含む抽象パスリソースの定義,および,生成手法を提案する.
従来型PONシステムが抱える課題(PON区間長の問題、ファイバ心線不足)の解決を図るための分散PONシステムが提案されている[1]。しかし、分散PONシステムでは遠隔地に設備を置くため保守に関する課題がある。これを解決可能なSDN型分散PONシステムを提案し、性能に関する課題について考察する。
休 憩(16:30 再開) 座長 原 一貴(NTT)
B-8-20 |
電力線通信(PLC)システムのシステム固有周期重畳図を用いたバースト信号分布図の詳細解析手法
◎青木純陽・阿部 航・後藤碩志・喜田健司(東洋大)・石川博康(日大)・篠永英之(東洋大) |
B-8-21 |
電力線通信(PLC)システムの通信禁止時間の発生と整流平滑回路の関係性の実験的解析
◎後藤碩志・阿部 航・喜田健司(東洋大)・石川博康(日大)・篠永英之(東洋大) |
B-8-22 |
インテリジェントハブを用いた電力線通信(PLC)システムIP通信品質測定におけるUDP通信時のIPパケット転送遅延の解析
◎阿部 航・喜田健司(東洋大)・石川博康(日大)・篠永英之(東洋大) |
本研究室では、これまで、電力線通信(PLC)システムのUDP通信時における定常的な通信状況を可視化する「システム固有周期重畳図」、電力線に携帯電話の充電器等の電気機器を接続すると発生する通信禁止時間を可視化する「瞬時電源周波数同期重畳図」、瞬時電源周波数同期重畳図の詳細解析手法として「バースト信号分布図」を提案した。本研究では、システム固有周期重畳図上のバースト信号列を色分け分類し、特定バースト信号列内のバースト信号を用いて瞬時電源周波数同期重畳図を描画、そしてバースト信号分布図を描画し、各図をバースト信号列毎に詳細解析する手法を提案する。
電力線通信(PLC)は電力線を伝送媒体とした通信技術である。著者らはこれまで、電力線に特定の電気機器を接続時にパケットを検出できない通信禁止時間が発生することを明らかにし、通信状況の解析手法として瞬時電源周波数同期重畳図やバースト信号分布図を提案した。本稿では、通信禁止時間の発生と電気機器内の整流平滑回路の関係を検証するため、回路を電力線接続時に取得したパケット捕捉データの解析結果を報告する。また、電力線に送信した正弦波の時間波形やシャント抵抗を用いて整流平滑回路に流れる電流の時間波形を測定したので通信禁止時間との相関を報告する。
本稿は電力線通信(PLC)システムのUDP通信時において、インテリジェントハブを用いて取得したパケット補足データからIP パケット転送遅延(IP Packet Transfer Delay: IPTD)を計算、解析する。IPTDヒストグラムでは0 ~ 1.5 msec、1.5 ~ 3.5 msec、3.5 ~ 5 msec、5 msec以降のそれぞれの区間で分布を確認した。縦軸をIPTD、横軸を第1パケット受信時刻からの経過時間としたIPTD時間変化の図から、定常状態、IPTD最大値、最小値付近でのIPTDの時間変化を確認した。IPTD最大値付近ではIPTDが約20.2 msecに急激に増加し、後続のパケットは徐々に減少する。IPTD最小値付近ではIPTDが急激に増加し、後続7パケットは徐々に減少する。その直後3パケットのIPTDが20 µsec以下と急激に減少し、更に後続7パケットは徐々に増加する様子を確認した。
3月18日 9:45〜12:15 総合科学部 K棟2F K204講義室 座長 名倉健一(三菱電機)
B-8-23 |
IoTにおけるICN技術を用いたセンサ情報の取得方式の検討
◎山本信一・横谷哲也(金沢工大) |
B-8-24 |
PLCを用いたIoTエンドデバイスの開発
○竹村大輝・祢津君賢・吉田英聖・横谷哲也・向井宏明(金沢工大) |
B-8-25 |
多段マルチキャスト変換を用いたライブ型HTTPストリーミング映像配信に関する一検討
○藤原稔久・谷口友宏・辻 幸嗣(NTT) |
B-8-26 |
ケーブルテレビにおけるIPヘッダ変換を用いた新4K8K衛星放送のIP再放送の検討
◎楠 知也・倉掛卓也・今村浩一郎・河村侑輝・斎藤恭一(NHK) |
私たちの生活の中には膨大な数のモノとモノ、ヒトが情報を相互に伝達し合うIoTの普及が急速に進んでいる。IoT化においてセンサ情報の取得方式の効率化は重要課題である。IoTのようにネットワーク内で様々なモノが接続する場合には必ずしも既存のインタネット技術は効率的だとはいえない。この問題の解決策として、経路情報をコンテンツごとに関連付けさせるコンテンツ指向ネットワークによるセンサ情報の取得方式を検討した。センサ情報取得方式にはPush型を採用、センサがデータ要求パケットにコンテンツ名としてセンサ情報を載せてサーバに送り続ける方式(ピギーバック方式)を提案した。この方式はセンサ側の送りたいタイミングで送れ、オーバーヘッドが少ないというメリットがある。
IoTを用いた多彩なサービスが検討されている。IoTの導入により、ネットワークを介した遠隔監視等が容易にできるため、今まで対策が遅れていた山間部等に対しても多彩なサービスが提供できる。これらのサービスの中で近年注目されているものとして獣害対策がある。
本稿では獣害対策向けIoTシステムにおけるエンドデバイスの開発について報告する。
本稿では,多様なネットワークや,性能の異なる変換装置へ対応するために多段のマルチキャスト変換システムを提案する.
ケーブルテレビではNHKなどの放送事業者からの新4K8K衛星放送や地上波などの放送番組を各地域に対してRF信号で再放送を行っている。近年、RF信号ではなくIPマルチキャストでIP再放送することが検討されている。新4K8K衛星放送では、様々な伝送路や放送通信連携サービスを想定して、TLV/IPv6/MMT形式のパケット構造となっているが、最大IPパケット長は1500Byteで運用されている。そのため、IP再放送時にAL-FECや集合住宅内でのIPカプセル化を用いた配信制御を行う場合に、パケット長が1500Byteを超過し、IP伝送できない課題が存在する。今回この2つの課題について対策を検討したので報告する。
休 憩(11:00 再開) 座長 金井謙治(早大)
B-8-27 |
偶奇選択型バックオフ値を用いたIEEE802.11優先制御法
◎河原祐樹・杉山隆利(工学院大) |
B-8-28 |
誤り環境におけるフレームアグリゲーションを考慮したWi-Fiスループットの理論検討
○鈴木康介・山崎悟史(沼津高専) |
B-8-29 |
クラスタ型無線分散ネットワークの構成と消費電力及びスループットの評価について
◎宮坂 譲・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-8-30 |
無線端末の個体差を利用した端末識別手法の実機実験評価
◎篠田陵汰・上原秀幸・宮路祐一(豊橋技科大) |
B-8-31 |
マルチセル環境下におけるCRDSAのトラヒック制御がネットワーク全体に与える影響評価
◎池田知隆・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
VoIPやVideo upload等の要求遅延時間の異なるアプリケーションの混在WLAN環境にて,CSMA/CA方式では,VoIPパケットより長パケットとなるVideo パケットの時間占有率が上昇し,VoIPパケットの遅延が増加する.そこで, AIFSN制御によりVideo 端末(Video-STA)のAIFSをVoIP端末(VoIP-STA)のAIFSよりも長くし,VoIP-STAの送信権獲得確率を増加させる方法がある.しかし, AIFSの増加に伴いVideo-STAのスループットが劣化する.
そこで本稿ではVoIP-STAは偶数番目のバックオフ値の確率密度を任意の数分降順に0とし,Video-STAは奇数番目のバックオフ値の確率密度を任意の数分昇順に0とすることで,VoIPパケットが小さいバックオフ値を選択する確率が増加するためVoIPパケットが低遅延を達成しつつ,AIFSNが増加しないことでのVideo-STAスループット改善効果を定量的に示す.
これまで,Bianchiが提案したIEEE 802.11 DCFの性能解析モデルの改良として,雑音がある環境でのビット誤りを考慮したモデルが提案されている.本稿では更なる一般化に向け,フレームアグリゲーションを考慮したスループット理論式を導出する.さらに,ビット誤りの考慮がスループットやフレーム集約数(A-MSDUとA-MPDUの各々のサブフレーム数)に与える影響等を,数値計算により明らかにする.
センサデバイス等の無線機能を搭載した端末が大量に分散配置されるネットワークでは,省電力でより高スループットなシステムが求められる.省電力化にはクラスタ型ネットワーク,高スループット化にはCarrier Sense Multiple Access(CSMA)が多く用いられる.しかし,クラスタ型ネットワークとCSMAを組み合わせたときの適切な構成法は十分に検討されていない.本項ではクラスタ型ネットワークにおいてCSMAを適用した際のスループット,消費電力の評価を目的とする.シミュレーションはあるネットワークエリアサイズ,クラスタ数に対して,トラヒックを変化させたときの消費電力,スループットを評価した.結果から隠れ端末によって消費電力,スループットの悪化が確認できた.
ディジタル情報を用いた無線通信端末の認証は,アドレス情報を改ざんすることでなりすましができるという問題がある.この問題の対策として,無線通信端末の物理的な個体差を利用した端末識別があり,ディジタル情報を用いた認証と併用することでセキュリティの向上が期待される.従来手法では,受信信号をそのまま端末の個体差として用いる手法と,受信信号から端末の特徴を数理的に抽出して用いる手法があるが,同一環境における二つの手法の比較は行われておらず,またこれらは高い計算資源を必要とする.したがって本研究では実機実験により計算量を低減させた二つの手法を用いた端末識別を行い,その精度の比較と評価を行う.
Contention Resolution Diversity Slotted ALOHA(CRDSA)は逐次干渉除去により高いスループットを達成できるメディアアクセス制御方式である.しかし,干渉を受けるとスループットが大幅に劣化するという問題がある.先行研究では,干渉の量に応じたトラヒック制御により,マルチセル環境下でのある一つのセルにおけるスループットの劣化を抑制した.しかし,この手法を複数のセルに応用した場合,送信する信号の量が増加し続けることで他のセルに対する干渉信号の量が増加し,次第にネットワーク全体のスループットが劣化していくと予想される.そこで本稿は,先行研究の手法がマルチセル環境全体に与える影響の評価を行う.
3月19日 13:30〜17:30 総合科学部 K棟2F K204講義室 座長 鎌倉浩嗣(千葉工大)
B-8-32 |
確率的なMBC通信路におけるOFDM送信符号の検討
○舘林慎一郎・亀井利久(防衛大)・高崎和之・若林良二(都立産技高専) |
B-8-33 |
VLC-OFDM-IDMAシステムにおけるFSSを用いたSICの性能改善
◎平野星也・丸田一輝・安 昌俊・高橋光貴・小島 駿(千葉大) |
B-8-34 |
ニューラルネットワークを利用したOFDMシステムのシンボルタイミング同期法
◎後藤佑太・小島 駿・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-8-35 |
Comparisons of Sparse Channel Estimation in Constant Single-carrier FDMA with valid factor Q
◎Haohui Jia・Takeshi Higashino・Minoru Okada(NAIST) |
B-8-36 |
Error Floor and MSQE of DCIC with Digital RoHR
○Daisuke Umehara(Kyoto Inst. of Tech.) |
これまで我々はOFDMを用いてパケット伝送の基礎的実験を行った.OFDMはマルチキャリア伝送により伝送容量を上げることが期待できるが, 時間領域において不要なピークが発生してしまう. 本報告ではこの不要なピークを除去して送信側の送信効率をあげることを目的に,送信信号にクリッピング手法による信号処理を施し, 不要なピークを抑圧し, その信号特性について評価した結果, 各信号のPAPRを評価し,固定値クリッピングではPAPRを7.89[dB]、CAZAC系列では8.11[dB]改善したことを確認し, BER特性が改善されることが明らかになった. 今後は実際に流星バースト通信路での通信を行い, OFDM伝送を用いた実用的な観測システムの構築を目指す.
LEDを信号源とした室内環境では,壁や地面の光の反射によりマルチパスが生じる.これによりパスごとの到達時間に差ができるため,受信側では周波数選択性フェージングが生じてしまう.これにより周波数領域上で受信信号レベルに落ち込みが発生し,伝送誤りが生じる.
本研究では,室内環境を想定した2×1MISOの可視光OFDM通信システムにおいて,周波数シンボル拡散(Frequency Symbol Spreading,FSS)を適用することで周波数選択性の影響を抑え,逐次干渉キャンセラ(Successive Interference Cancellation,SIC)の性能を改善することを目的とする.
OFDMによる次世代の移動体通信では自動車や工場の生産設備等、社会の隅々に設置されるセンサーなどを瞬時に遅延なく処理しなくてはならない.そこで処理速度を上げるためにプリアンブルを用いないプリアンブルレス方式の同期方式が研究されている.本稿では,プリアンブルレスのOFDMシステムにおいて,新たなアプローチとして受信信号の電力スペクトルに着目し,畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network, CNN)を用いた同期手法を提案する.高Eb/No領域において同期精度が改善された.
Single Carrier Frequency Division Multiple Access (SCFDMA) assigns the multi-user data into partial subcarriers by localized (LFDMA) or interleaved (IFDMA) subcarrier mapping in LTE. Since the sparsity of channel, we can obtain the channel diversity by sparse channel estimation (CE) based on Compressed Sensing (CS) , which could reduce the computational complexity and bandwidth overhead while maintaining sufficient accuracy. In this paper, we attempt to increase constant bandwidth efficiency based on LFDMA and IFDMA with valid factor Q and compare the performance of sparse CE in simulation.
Distributed collaborative interference canceller (DCIC) has been developed to enhance receiving antenna diversity even when the destination terminal (DT) has fewer antennas than the base station (BS) with the help of relay stations (RSs). BS transmits MIMO-OFDM signals to DT and RSs with fewer number of antennas through a radio band (R-band), The digital radio to higher-frequency radio (RoHR) makes the received MIMO-OFDM signals converting to binary data at an RS and then the RS forwards the binary data to DT with higher-frequency radio band (HR-band). More HR-band resources are required as increasing the number of quantization bits to forward the received MIMO-OFDM signals and we have applied the Lloyd-Max quantization to effectively use the HR-band resources. In this manuscript, we clarify the relationship between the error floor and the mean square quantization error (MSQE) of DCIC with digital RoHR through the Monte-Carlo simulation results.
休 憩(15:00 再開) 座長 髙橋 賢(広島市立大)
B-8-37 |
後方散乱通信における独立成分分析を用いた等利得合成の検討
○亀井大向・三次 仁(慶大) |
B-8-38 |
雑音を活用した1bit ADC受信機と線形受信機の比較
◎△中島康雄・山里敬也(名大)・荒井伸太郎(岡山理科大)・齋藤将人(琉球大)・羽多野裕之(三重大)・田中宏哉・田所幸浩(豊田中研) |
B-8-39 |
シングルチャネルマルチポート制御システムにおける送受信回路デジタル化の検討
◎今城篤人・井上敏之・木村山紫郎・西口健太・土谷 亮・岸根桂路(滋賀県立大) |
B-8-40 |
閉空間内における音響通信システム設計のための音波伝搬環境および通信性能の評価
○湯本菜々瀬・伊藤尚祐(三菱電機)・佐野隆貴・久保博嗣(立命館大) |
B-8-41 |
ショートスタブとオープンスタブを併用する狭パルス信号生成回路の信号波形評価
○桑原 崇・板倉 洋・大和田 哲(三菱電機) |
本論文では,後方散乱通信における独立成分分析を用いた無線信号分離と等利得合成を提案する.独立成分分析は情報の統計的独立性を利用することで非直交の信号を分離する技術であり,信号の直交性に加えて,独立性によるさらなる多重化を可能にする.本手法は後方散乱信号のIQコンステレーションがゼロクロスする特徴を用いる.これにより,同相成分と直交成分を異なる観測として独立成分分析を行うことで位相が調整され,等利得合成と同等の効果が得られる.本論文では,提案手法を評価するために計算機シミュレーションでの検証を行なった結果を報告する.
非線形性が雑音によって改善される現象を確率共鳴という.この現象により,分解能が1bitのアナログ-ディジタル変換器(1bit ADC)を用いた受信機においても,振幅が変動する信号を復調可能になる.
1bit ADCを用いた受信機は,広帯域な場合など高分解能ADCの利用が難しい状況における代替手段として検討されている.
一方で,雑音によって特性が改善する現象に着目して理論的な枠組みからその性能について検討した研究は少ない.
本稿では,自身の先行研究で提案した,雑音が加わった場合の1bit ADCの入出力特性の解析手法を用いて,1bit ADC受信機と線形受信機の性能差について議論する.
光通信システムの中継器・終端装置において伝送信号の状態に応じた最適制御や装置の小型化を目指し,装置内回路を単一の無線チャネルで制御可能なシングルチャネルマルチポート制御システムを提案している.
本システムを実現するため,これまで要素回路に一部アナログ回路を使用していたが,ダイナミックな装置内回路の最適制御や更なる小型化を目指して,FPGAを用いたオールデジタル信号処理による送受信システムを設計し、実機での検証を行った.検証結果から,制御に必要なポート情報と制御値情報の送受信をデジタル回路で実現し,システムの有効性を確認できた.
本稿では、狭い屋内空間に向けた閉空間内音響通信システムの設計を目的として、閉空間内にてチャネルサウンダ試験を実施し、閉空間内の音波伝搬環境を明らかにする。さらに、音響通信に向けた通信方式として検討されているSCB (Single Carrier Block) 伝送方式を用いた通信性能試験を実施し、閉空間内でのSCB伝送方式の通信性能を確認する。その結果、閉空間内の音波伝搬環境は数十msの遅延広がりが発生するマルチパス環境であること、誤り訂正込みのSCB伝送方式を用いた場合、良好な通信性能にて伝送速度8kbps程度の閉空間内音響通信が可能であることを示す。
近年,通信機器間の伝送レートはGbps級まで高速化されている.デジタル信号は,伝送路が持つ高周波減衰に起因してHigh/Lowの遷移時間が増加する.それに伴い信号間干渉量が大きくなる結果,ビット誤りが増加する.そこで信号間の干渉低減を図ることのできるパルス波形による伝送方式が検討されている.筆者らはショートスタブとオープンスタブを用いた狭パルス信号生成方式を提案し,これまでに回路解析検討を行った.本稿では試作による信号波形を測定した結果について報告する.
休 憩(16:30 再開) 座長 梅原大祐(京都工繊大)
B-8-42 |
情報類似性に着目した無線マルチホップ伝送量の削減
○青山哲也・鮫島景子・三宅裕士・武 啓二郎(三菱電機) |
B-8-43 |
シェーピング処理連携データ冗長伝送方式
○松永 亮・大賀正夫・武 啓二郎・有賀 博(三菱電機) |
B-8-44 |
C/U分離型モバイルネットワークにおける信号量削減方式
◎西口雅人・武井勇樹・西木雅幸・武田知典(NTT) |
B-8-45 |
冗長経路における送信タイミングを利用した情報伝送方式の一検討
◎川上優平・久保尊広・矢沢 豪・安原夏樹・吉原慎一(NTT) |
LPWA (Low Power Wide Area)通信を用いた機器状態の遠隔監視が注目されている.収集した情報をCBM (Condition
Based Maintenance)に活用するためには,状態情報を周期的にかつ大量に収集することが望まれている.また,遠隔監視の長距離化には,無線マルチホップ伝送が有力だが,ゲートウェイに近いほど,無線帯域を消費する.
本稿では,LPWA 無線機を搭載する複数の機器から発生する情報の類似性に着目し,無線マルチホップ伝送時に自端末に加え,他端末の情報を考慮してデータ伝送量を削減する伝送方式を提案する.
近年,大容量化に加え,低遅延や高信頼など様々な要件が無線通信に求められており,制御通信など新たな分野への適用が検討されている.今回は,無線品質に応じて,データ伝送を行うパケット数・データ量を調整するシェーピング処理と無線伝送処理における分割・組立処理を連携させるデータ冗長伝送方式を提案し,提案手法の一部であるデータ分割・組立サイズ制御によりパケットエラーレートが制御可能であることを報告する.
5Gでは,モバイルコアのCプレンとUプレンの機能が分離され(CUPS),Uプレン機能の分散配備による低遅延通信の実現が期待されている.一方,CUPSを導入した際,C/Uプレン間でやり取りされる連携信号のために,Cプレンの信号数の増加が報告されており,Cプレン機能への処理負荷の増大が懸念される.そこで本稿は,C/Uプレン間の連携信号量削減を目的に,分散されたUプレン機能において,Cプレン機能と連携を伴わずトンネル終端を自律的に行う手法を提案する.
レイヤ2NWの通信では,障害時に無瞬断で経路を切り替えるため,フレームを複数経路に複製して送信する冗長構成のシステムが知られている.また,一般に,同一経路に複数の通信を多重するためには,タグの付与が必要となる. 本稿では,タグ付きフレームを扱えないNWにおいて,経路冗長構成の特徴を活用し,フレームフォーマットを変更することなくデータを多重伝送する手法を提案する.
B-9. 電子通信エネルギー技術
3月19日 13:30〜14:45 総合科学部 K棟3F K311講義室 座長 星 伸一(東京理科大)
B-9-1 |
電流共振全波形プッシュプルコンバータのサージ電圧解析 -逆回復電流の定量的評価-
◎奥 雅貴・田中哲郎(鹿児島大) |
B-9-2 |
モデル予測制御と負荷推定を用いたDC-DCコンバータ特性に関する検討
◎梅野直人・星野大樹・野田侑矢・丸田英徳(長崎大) |
B-9-3 |
太陽光発電の電流協調制御の検討
◎釜坂小菜見・丸田英徳(長崎大) |
B-9-4 |
VPPによる需給調整のための需要家グループ化手法の提案
○平田紀史・前島 治・吉原貴仁(KDDI総合研究所) |
B-9-5 |
ホールスラスタの性能向上に向けたワイドレンジ電源について
○近藤大将・岩佐 稔(JAXA)・黒川不二雄(長崎総合科学大) |
絶縁共振形コンバータの一種である電流共振全波形プッシュプルコンバータは,スイッチ制御が容易,昇圧特性を得やすいという利点がある.しかし,このコンバータを実際に動作させると,1次側のMOSFETにサージ電圧が発生し,素子の破損をもたらす恐れがある.先行研究では,このサージ電圧の理論式が導かれている.一方で,サージ電圧に関連するパラメータであるボディダイオードの逆回復電流についての定量的評価が十分に行われていない.本稿では,ボディダイオードの逆回復電流に関する理論式を導き,電流共振全波形プッシュプルコンバータの1次側のMOSFETに生じるサージ電圧の理論値を算出し,実験結果との比較を行う.
本稿では,モデル予測制御と負荷の推定による,DC-DCコンバータのディジタル制御手法について検討を行った。
出力電圧,インダクタ電流およびコンデンサ電流を用いて,負荷抵抗の推定を行う。得られた負荷の値を予測モデルに代入し,コンバータモデルの更新を行い,制約条件下における最適なデューティ比を計算した。
シミュレーション評価を用い,DC-DCコンバータの特性および負荷推定の精度について提案手法の評価を行ったので報告する。
本稿では、複数の太陽電池を用いた際の電流協調制御について検討を行った。太陽電池に接続したDC-DCコンバーターの出力電流値を制限し、太陽電池毎の日照量が変化した場合も協調した動作を行う。日照量の変化に合わせ、電流が不足している場合はMPPT制御を用い不足分を補い、制限値を超えた際は電流値、電圧値から変動幅を決め制御を行う。提案手法のシミュレーションによる検討を行ったので報告する。
地理的に分散配置された複数の蓄電池,太陽光発電,発電機等の電源を束ねて,仮想的な電源とみなして電力の需給調整に活用するVPP (Virtual Power Plant)と呼ばれる仕組みがある.本稿では,一般家庭(以降,需要家)の蓄電池を事業者が制御サーバから遠隔制御することを考え,類似する需要家をグループ化することで,計算時間を抑制し,制御粒度を小さく維持可能な需要家グループ化手法を提案する.
商用通信衛星市場では,総通信量の増加が国際競争力の強化に繋がるため,トランスポンダ等ミッション機器の搭載比率の向上が要求されている.近年,各国において開発されているオール電化衛星は,従来の化学推進に比べ比推力の高い電気推進へ置き換えることにより,推薬を1/5程度に削減でき,ミッション機器の搭載比率を向上できる.
電気推進の一方式であるホールスラスタは,大電流を流すほど大推力,高電圧を印加するほど高比推力となる特徴を有する.
将来的な通信衛星における電気推進には”大推力による遷移期間の短縮”と”高比推力による軌道保持時の燃料削減”を実現するワイドレンジ電源が要求されており,JAXAでは新たな電気推進用電源の研究を行っている.
B-10. 光通信システムA(光ファイバ伝送路)
3月18日 13:45〜17:30 総合科学部 K棟1F K109講義室 座長 高橋正典(古河電工)
B-10-1 |
4モードファイバのモード間群遅延差測定
○柴田 宣・渡部仁貴(日大)・大橋正治(阪府大)・丸山 遼・愛川和彦(フジクラ) |
B-10-2 |
標準外径非対称配置8コアファイバ
○佐々木雄佑・大関真生・竹永勝宏・愛川和彦(フジクラ) |
B-10-3 |
極低損失ランダム結合型4コアファイバのマイクロベンド特性
○佐久間洋宇・林 哲也・永島拓司・中西哲也(住友電工)・相馬大樹・釣谷剛宏(KDDI総合研究所)・長谷川健美(住友電工) |
B-10-4 |
異なる製法で作製したマルチコアファイバの偏波モード分散
◎福本良平・竹永勝宏・愛川和彦(フジクラ) |
本セッションはB-13との関連 セッションであり、先行の講演はB-13-21よりご覧ください。 |
モード干渉計を用いた群遅延差測定法は2モードファイバの伝搬モード間の群遅延差(DGD)の波長依存性測定に威力を発揮した.ここではフューモードファイバ(FMF)を伝搬するモード間の全ての組合せを評価する方法2について述べる。
クラッド径を汎用ファイバと同じ125 μmとしたマルチコアファイバ(MCF)は,既存の光通信システムとの親和性が高く,データセンタにおける通信容量を大幅に向上させる技術として期待される.このMCFを実用化する上では簡易に回転調心が可能であることが求められる.PANDAファイバの調心で使われるIPA を活用するとMCFも側方調心が可能となると考えられるが,コアが対称配置の場合,IPA波形における輝度分布が等周期になり,コア番号を認識できない.本稿では,非対称にコアを配置した8コアMCFを作製し,側方調心によりコアIDが一致する接続を行った結果を報告する.
極低損失ランダム結合型マルチコアファイバ(RC-MCF)のマイクロベンド特性をワ イヤーメッシュドラム法で評価し,マイクロベンドによる損失増は0.01 dB/km(波長1550nm)と十分に低く,空間モード分散に関してもマイクロベンド下 で低減されることを確認した.さらに,本RC-MCFの伝送損失は0.155 dB/km(波長1550nm)であり,空間分割多重伝送用光ファイバの中で最も低い.これらの特性 により,本RC-MCFは長距離大容量海底伝送への応用に適していると考えられる.
マルチコアファイバ(MCF)製造法の1つであるクラッド一括形成法の課題のコア変形について,その評価はこれまでコア寸法測定のみにとどまっていた.そこで今回,偏波モード分散(PMD)を測定し,コア変形量との関係を調査した.さらに,代表的なMCF製造法として知られる孔開法・スタックアンドドロー法で作製したMCFについてもPMD測定を実施した.その結果,製法によらず,コア変形量に応じて,PMD値が小さくなることを確認し,クラッド一括形成法で作製したファイバでもコア変形量を抑制することで他製法と同程度のPMD値になることを確認できた.
休 憩(15:00 再開) 座長 小田拓弥(フジクラ)
B-10-5 |
非開削法によるマルチコアファイバの開発
○高橋正典・前田幸一・杉崎隆一・塚本昌義(古河電工) |
B-10-6 |
結合型マルチコアファイバアレイを用いた光スイッチ
○島川 修・小林亮一・田澤英久(住友電工) |
B-10-7 |
簡易構造による低損失LC型MCFコネクタの実現
○森島 哲・真鍋 賢・豊川修平・中西哲也・佐野知巳・林 哲也(住友電工) |
本セッションはB-13との関連セッションであり、後続の講演はB-13-22よりご覧ください。 |
近年、マルチコアファイバ(MCF)を用いた空間多重伝送技術の開発が盛んに行われており、これらの中でも実用化の観点から標準クラッド外径のMCFが注目されている。MCFを使用した伝送システムを実現するためにはMCFの製造技術の向上が必要である。特に母材の大型化によるコスト低減と大量生産が重要となる。本報告では、実用化に適したMCFの製法実現を目標に、新製法である、非開削法の検討を実施した。非開削法により作製した母材を用いてMCFを試作した。空孔形状、および空孔に挿入する母材の形状を最適化することで空隙率を低減し、コアピッチずれ、コア非円低減効果を実証した。
長距離伝送システムにおける通信容量限界の懸念に対する方策の一つとして、結合型マルチコアファイバが提案されている。これを用いたシステムを実現するには、周辺部品、例えば複数路で伝送している光の性能をモニタリングするための光スイッチが必要である。4コア結合型マルチコアファイバの1×4光スイッチを試作したので報告する。
大規模データセンター等のネットワークスイッチ入出力部での帯域幅改善にあたり,単心マルチコアファイバ(MCF)コネクタは有望である.MCFはクラッドの中心以外にもコアを有するので,低接続損失実現のためには,コネクタ間でMCFの回転角度を合わせる必要がある.その際,単心MCFコネクタでは,フェルールのフローティングと回転角度の制御という,相反する機能を両立する必要がある.従来の単心MCFコネクタは,汎用コネクタよりも高精度な部品の使用,または部品の追加により上記機能を両立していたため,製造上の課題があった.今回,高精度な部品や追加部品を不要とするLC型MCFコネクタを試作し,低接続損失と機械的信頼性を確認したので紹介する.
休 憩(17:00 再開) 座長 島川 修(住友電工)
B-10-8 |
新型コア調心融着接続機の開発
○神田佳治・横田耕一・長谷川 諒・二ノ宮康之・高橋 中・橘 侑子(フジクラ) |
B-10-9 |
通信光モニタ技術の10G-EPONへの適用検討
○榎本圭高・嶌津聡志・海老根 崇(NTT) |
本セッションはB-13との関連セッションであり、先行の講演はB-13-24よりご覧ください。 |
通信インフラ工事の市場は通信トラヒック増大に伴い拡大しており,世界各国において光ファイバケーブルの融着接続が大量に行われている.光ファイバ施設工事が大規模化および多様化するなかで市場から求められているのは, 早く効率的でユーザスキルによらない作業を可能としたツールである. これらの市場要求に対応すべく,風防開放時間を短縮し,ユーザスキルに依存する手動工程の接続・加熱作業性を向上した新型コア調心融着接続機90Sを開発した.
GE-PONやメディアコンバータを用いたFTTHユーザの増加に伴い,光ケーブルの切替工事が増大し,GE-PONやメディアコンバータの上り信号光から,ONU情報を取得する通信光モニタツールが所外光ケーブルの切替工事で広く使われている.近年,GE-PONの後継である10G-EPONの検討が行われており,10G-EPONに適用するため通信光モニタ技術を検討したので報告する
B-10. 光通信システムB(光通信方式,光通信機器,デバイスのシステム応用,光通信網・規格)
3月17日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K307講義室 座長 鈴木巨生(三菱電機)
B-10-10 |
残留波長分散下における非縮退位相感応増幅器のゲインスペクトルとその測定法
◎清水新平・風間拓志・小林孝行・梅木毅伺・圓佛晃次・笠原亮一・宮本 裕(NTT) |
B-10-11 |
位相感応型光増幅器と光カー効果を用いた振幅雑音抑圧法の検討
○田中 輝・岡村康弘・高田 篤(徳島大) |
B-10-12 |
位相同期局発光源を用いた位相感応増幅器の低雑音性の実証
○風間拓志・梅木毅伺(NTT)・岡村康弘(徳島大)・圓佛晃次・忠永 修(NTT)・高田 篤(徳島大)・笠原亮一(NTT) |
B-10-13 |
差周波光発生を用いた波長無変換型位相共役光発生器における分散性素子間屈折率偏差の影響
○岡村康弘・高田 篤(徳島大) |
B-10-14 |
非線形光ループミラーを用いた全光PAM4/16QAM変換信号の帯域制限の検討
◎△末吉 旭・松本悠汰・三科 健・久野大介・丸田章博(阪大) |
光伝送システムのSNR向上のために極低雑音で光信号を増幅可能な位相感応増幅器 (PSA) が注目されている.PSAでは残留した波長分散がゲイン特性に影響を与えるが,非縮退型の構成における詳細な報告はされていない.本検討では,非縮退型PSAの残留波長分散下におけるゲインスペクトルを理論的に示した.また,ゲインスペクトルを測定する方法を検討し,増幅媒体としてPPLNを用いた実験結果と理論式がよく一致することを確認した.さらに,実験結果と理論式から得られる残留波長分散量を基に分散補償を行うことで3.5 THzにわたって平坦なゲインスペクトルが得られることを確認した.
位相感応型光増幅器(PSA)は,利得が入射信号光位相に依存する光増幅器である.低雑音性や波形整形効果を有しているため,現在の基幹系光ファイバ伝送系に対し増幅中継器として適用することにより,再生中継間隔の延伸が期待されている.光変調方式としてPSKをとる場合,PSAによる位相雑音抑圧効果が期待できるが,振幅雑音も共に抑圧できることが理想である.本稿では,伝送路で発生させたカー効果による位相偏移とPSAの利得特性を組み合わせることにより,振幅雑音抑圧の可能性があることを数値シミュレーションによって示す.
位相感応光増幅器(PSA)は、従来の光増幅器における雑音指数3dBの標準量子限界を打破できる超低雑音増幅を実現可能であり、中継増幅器として用いることで光信号のSN比の改善が期待できる。PSAを中継増幅器として用いるには励起光として用いる局発光を信号光キャリア位相に同期させる必要があり、我々はこれまでに局発光の位相同期回路を用いて周期分極反転LN型PSAの中継増幅動作を実証してきた。今回、位相同期した局発光源を用いたPSAの雑音特性を評価を行い、位相同期に伴う過剰な雑音はなく、入力パワー-21dBmから-31dBmの範囲で標準量子限界以下の低雑音増幅が可能であることを実証した。
波長無変換型位相共役光発生器(OPC)として四光波混合型(FWM-OPC)[1]と差周波光発生型(DFG-OPC)[2]が提案されている.これまでに我々は,DFG-OPCがFWM-OPCに対して広帯域動作可能なことを理論的に明らかにしてきた.DFG-OPCを構成する2つの分散性素子(DE)間に屈折率偏差はないものとし,出力位相共役(PC)光パワのDE長差依存性を明確化した.しかし温度ゆらぎによってDE間に屈折率差が生じ,これが出力PC光パワに影響を及ぼす.本稿では,DFG-OPCにおけるDE間屈折率偏差が出力PC光パワに与える影響を数値的に明確化する.
変調フォーマットが異なるネットワークを低遅延で効率良く接続するための技術として,全光変調フォーマット変換が提案されている. 我々は,データセンターを接続するネットワーク向けに,非線形光ループミラー(NOLM)を用いた全光PAM4/16QAM 変換を提案している.しかし,提案する変調フォーマット変換は,NOLM 中の相互位相変調(XPM) を用いるため,変換後の信号のスペクトルが広帯域化する懸念がある.本稿では,変換後の16QAM 信号を波長分割多重(WDM) 方式で使用することを想定し,変換後の16QAM 信号の帯域制限を計算機シミュレーションにより検討した結果について報告する.
休 憩(11:00 再開) 座長 小金井洋平(富士通)
B-10-15 |
シリコンリッチSiN導波路を用いた広帯域全光波長変換
○定田 匠・三科 健・丸田章博(阪大) |
B-10-16 |
低ボーレート光通信への光源集積型半導体IQ変調器適用の一検討
◎三浦浩志・松田恵介・越川翔太・吉田 剛・鈴木巨生(三菱電機) |
B-10-17 |
側帯波キャンセル方式を用いた帯域加算技術の検討
◎徐 照男・山崎裕史・長谷宗彦・濱田裕史・野坂秀之(NTT) |
B-10-18 |
Beyond 5Gモバイルフロントホールにおける広帯域ADCのダイナミックレンジ向上に関する検討
○斧原聖史・西岡隼也・吉田 剛・鈴木巨生(三菱電機) |
B-10-19 |
SS-OCT方式ディジタル光センサにおける波長掃引光源の非線形補償に関する検討
◎山内隆典・後藤広樹・斧原聖史・鈴木巨生(三菱電機) |
光ネットワークの低消費電力化に有効な光処理技術として,光ノードにおいて,波長分割多重された光信号を光のままで一括して波長変換する技術の研究開発が行われている.全光波長変換技術は高非線形ファイバ(HNLF)を用いた手法が提案・実証されているが,HNLFは小型化・集積化が困難な点が課題である.近年,光集積化が可能で,大きな非線形係数を持つ光デバイスとしてシリコンリッチ窒化シリコン(SiN)導波路の試作例が報告されている.本稿では,シリコンリッチSiN導波路を用いた広帯域全光波長変換技術の実現可能性を,計算機シミュレーションにより検討した結果について報告する.
モバイルバックホールや衛星通信を大容量化する無線通信として光空間通信が期待されている.コヒーレント光空間通信に対するInP TROSA適用検討のため,数Gsymbol/s条件での受信感度ペナルティを実機で測定した結果,外部光源とLN IQMの組合せに比べて, 2.5Gbaud QPSKで0.7dB,6Gbaud 16QAMで0.6dBのペナルティが生じた.低ボーレート条件では,InP TROSAの光源位相雑音に配慮した通信方式の選択が必要である.
高速光通信で使われるCMOS-DACの帯域限界を打破するために、ミキサと合波器を用いた帯域加算技術が提案されている。しかし従来の帯域加算技術は、フィルタ素子と信号のガードバンドを必要とし、システム構成の複雑化を招いていた。本研究では、それらを必要としない帯域加算技術を提案する。
次世代のBeyond 5Gモバイルフロントホールでは,100Gbps級の伝送容量が要求されており, A-RoF (アナログ型光ファイバ無線)方式での光収容が期待されている.A-RoFにおいては,収容局に配置されるA/D変換器(ADC)の広帯域化と高ダイナミックレンジ化が重要となるが,一般的にこれらはトレードオフの関係にあり,60GSa/s級のADCのダイナミックレンジは25~30dB程度に留まることが課題である.
本稿では,上り回線において無線基地局から収容局までの伝送距離(信号振幅)に応じて複数のADCを用いることによるダイナミックレンジの向上について検討し,その効果を評価したので報告する.
我々は距離測定の一手法として波長掃引型光干渉断層計(SS-OCT)をベースとしたディジタル光センサを提案している.今回用いた波長掃引光源はリットマン型外部共振器であり,周波数の掃引において時間に対する非線形性が存在し,測定精度が劣化する.非線形補償を行うために別の干渉計を使用する方法があるが,装置構成が複雑で大型になる.そこで,本報告では特定の波長に対して透過特性を持つ光学部品であるエタロンから掃引の非線形性に関する情報を得ることによる非線形補償を提案する.
3月17日 13:30〜16:45 総合科学部 K棟3F K307講義室 座長 森 隆(アンリツ)
B-10-20 |
光無線通信におけるダイバーシティ受信方式の検討
◎永瀬賢尚・笠 史郎(明大) |
B-10-21 |
光無線通信用角度ダイバーシティ光受信器の検討
◎岸 純也・笠 史郎(明大) |
B-10-22 |
傾き角変動のある移動端末の受信特性の角度ダイバーシティ受信系構成依存性
◎鶴見梨沙・今井崇雅(神奈川大) |
B-10-23 |
レーザー光の伝搬による水中の屈折率構造関数の推定に関する検討
○山下泰輝・高山佳久(東海大)・高橋成五(トリマティス) |
B-10-24 |
水中モニタリング向け光無線通信システムの評価
○奥澤宏輝・高橋成五・鈴木謙一・佐藤典彦(トリマティス)・吉本直人・伊藤悠太・長畑雄大(千歳科技大) |
B-10-25 |
水中光無線通信による遠隔リアルタイムビデオモニタリングシステムの構成法に関する検討
◎伊藤悠太・長畑雄大(千歳科技大)・奥澤宏輝・高橋成五・鈴木謙一(トリマティス)・吉本直人(千歳科技大) |
昨今の通信トラフィックは日々増大している。そこで、本研究では予想される回線の混雑を改善するために光無線通信の導入を前提とした研究を行っている。光無線通信を、動き回るスマートフォンやタブレットなどのデバイスで行う場合、通信を安定させるためには複数の光受信器が必要であると考えられる。本研究ではデバイスに光無線通信の受信器を2つ設置することを想定し、ダイバーシティ受信方式における最適な受光面間の角度について検討を行ったので報告する。
人が多く集まるイベント会場などでは、Wi-Fi を利用しても、通信容量が足りないという 問題が起きる可能性がある。そこで、我々は通信容量を補うための手段として光無線通信の導入を前提とした研究を進めている。光無線通信をスマートフォンなどで利用しようとす ると、1面だけに光受信器を置いたのでは、スマートフォンを動かした時に受信強度が変わり通信が安定しない。また、光送信器の数が 1台だと、光信号を受信できる範囲も限られる。上記問題に対しては、光送信器の配置とスマートフォンに設置する光受信器の数や配置などを最適化し角度ダイバーシティ技術を利用すれば、通信の安定化が期待される。本論文では、光受信器の最適な配置と光受信器が移動した場合の符号誤り率特性の理論検討、実測結果について述べる。
端末の位置及び傾き角変動を考慮した室内光無線伝送システムの特性評価が進められている。
本稿では簡易な構成で安定した受信系の構築を念頭においた、受信特性の角度ダイバーシティ構成依存性の評価結果を報告する。
受信器2つの場合のSNRは、受信器4つのときと比べて0.5〜0.9[dB]程度の受信感度劣化にとどまることが確認できた。
近年,海中ロボット等と高速な通信を行うためにレーザー光による無線通信技術を水中に適用することが検討されている.レーザー光は指向性が高く,通信リンクを確立するには高精度な捕捉追尾が必要である.水中で用いる光通信装置の捕捉追尾機構の設計には,水中の擾乱によるレーザー光の伝搬角度の変動の統計分布を事前に推定する事が重要である.そこで本稿では,大気の屈折率構造関数を推定する手法を,水へ適用する検討を行う.
水中で可視光、特に青色の光が低損失になることから、青色LDを用いた水中光無線技術の検討が行われている。水中の画像転送を水中光無線通信で行うことを念頭に、水中光無線通信評価系を構築し、FLR(Frame Loss Rate)による伝送特性評価を行い、送受信レベル差30 dB程度(伝送距離30m@伝搬損失1.0 dB/m)を確認した。今後、光受信器の光学系のビーム径に対する最適化や、光受信器の高感度化を図り送受信レベル差の拡大を目指す予定である。
水中光無線通信による養殖場での活用を想定した遠隔リアルタイムビデオモニタリングシステムのフィージビリティを検討したので報告する。水質や潮流、生物等による遮蔽などによりバースト的なエラーが発生する確率が高いと考えられる水中間の通信では、取得した画像データをフラグメンテーションにより適切な数に分割し送信した。また、リアルタイム性を確保するため、受信できなかった部分は黒塗りとして保存し、再送制御や画像補正機能等を割愛することで、画像のリアルタイム更新を実現した。この結果、水中〜水クラウドサーバーまでのend-to-endにおいて、水中で撮影された画像データのリアルタイム通信ができることを示した。
休 憩(15:15 再開) 座長 丸田章博(阪大)
B-10-26 |
マイクロ波帯光ファイバ無線における誘導ブリルアン散乱抑圧のための位相変調によるスプリアスの発生
○岸 宏佳・前田譲治・アミラ サムパット(東京理科大) |
B-10-27 |
位相変調及び直接検波を用いたSSBI抑圧高品質アナログ光伝送法の波長分散耐性
○石村昇太・カオ シュンユン・田中和樹・西村公佐・鈴木正敏(KDDI総合研究所) |
B-10-28 |
マルチバンドCAP を用いた高速POF伝送
◎佐々木大地・佐野明秀(立命館大) |
B-10-29 |
LDの直接変調を用いたユーザ選択サブキャリア多重MIMO伝送システムの検討
○小野一成・秋山美穂・小林弘和・岩下 克(高知工科大) |
B-10-30 |
前置光増幅型のOOK/DPSK受信器における光強度分布解析
○河原光貴・五十嵐浩司・井上 恭(阪大) |
B-10-31 |
DMLを用いた短距離向け50GBaud IM/DD FTN-THP光PAM伝送における非線形スキュー補正の検討
○菊池信彦・平井理宇(日立) |
光ファイバ無線では, 光をアナログ変調するため, 高い信号対雑音比が必要とされるが, 光変調器の非線形性を避けるため, 変調を浅くする必要がある. 伝送パワーを高くし, 光ファイバ内のパラメトリック増幅を生じさせると, 受信端におけるSNRが向上するが, その効果は誘導ブリルアン散乱 (SBS) によって制限される. 我々はSBSの発生を光キャリアの位相変調によって抑制することで, 光パラメトリック増幅によるSNRの更なる改善が可能となることを示したが, その伝送品質は位相変調周波数に依存することが分かった.
本稿では, 誘導ブリルアン散乱の抑制に用いる位相変調がファイバ伝送中に振幅変調に変換され, これが無線信号のスプリアスとなることを実験的に示す.
5Gの導入が迫る中、将来のモバイルフロントホールアーキテクチャに関する議論が活発に行われており、特に学会レベルでは、アナログ光伝送技術を用いた低コストフロントホール伝送システムに関する報告が、数多く見受けられる。これは、光伝送路をアナログ化することで、従来アンテナサイトで必要とされていた、デジタル処理用機器を取り除くことができるためである。しかしながら信号品質の担保が困難である点が、アナログ伝送の最大の課題である。これを克服すべく商用のCATV伝送システムでは、位相変調を用いたアナログ伝送技術を採用している。我々はこれまで、この位相変調と自己ヘテロダイン検波を組み合わせた、信号光-信号光間ビート雑音(signal-to-signal beat noise: SSBI)が生じない、高品質アナログ光伝送システムを提案している。しかしながら、光ファイバ伝送中に波長分散が累積した場合、位相変調信号に振幅変化が生じ、SSBIが再度発生するという問題があった。そこで本稿では、本提案方式の波長分散耐性に関して数値的に解析し、その伝送可能距離を明らかにする。
車載通信を中心に広く用いられているステップインデックス型POF(SI-POF)では、モード分散の影響により伝送帯域が厳しく制限されることが大きな課題となっており、高速化に向けて様々な変復調方式の適用が検討されている。
本研究では、比較的簡単な信号処理で高い周波数効率を実現できるCAP (Carrierless Amplitude and Phase Modulation) 方式に注目し、複数のサブキャリアを用いるマルチバンドCAP(MultiCAP)の適用を検討する。
本研究ではネットワークの大容量化を大きな目的とし, モード分割多重伝送のためのサブキャリア多重の構成において, 信号を変調する光強度変調器に加え, 拡散変調器が必要なため, 送信機が複雑になるという課題を解決するために, 直接変調LDのチャーピングを利用して, 拡散変調を行った. 加えて, フィードバック制御により光カプラ通過後の受信信号をポートごとに1つになるようにするユーザ選択サブキャリア多重MIMO伝送システムを使用している2つのLDの光周波数差を変化させながら実験した. その結果, サブキャリア多重MIMO伝送システムにおいてLDの直接変調を利用した拡散変調により様々な光周波数差において出力ポートを選択できることを示した.
前置光増幅型のOOK(On-off keying)およびDPSK(Differential phase-shift keying) 直接検波における受信光強度分布は非ガウスであることが知られている. これまで, その分布を固有値展開により厳密に計算する手法が提案されているが, 光強度分布を直接的に求めている為, 複雑な計算過程を要する. これに対し本報告では, 前置光増幅型のOOK及びDPSK受信における光強度分布の厳密解を, 振幅分布から求める簡易手法を示す.
近年のデータセンタトラフィックの急増に伴い、400GbEに代表される短距離高速光ファイバインタフェースの開発が急ピッチで進んでいる。400GbEでは超高速の53GBaudPAM4変調が採用されたが、さらなる高速化のニーズは強く、今後はさらなる変調速度の向上とこれに伴うパワーバジェットや送受光/電気部品の帯域不足が予想される。これに対し我々はナイキスト帯域を越えた情報伝送が可能な、THPを用いたFTN-PAM伝送を報告した。
このような短距離光IFの低コスト化とパワーバジェット増大にはDMLの適用が有効であるが、DMLでは変調度を上げるとではPAM信号のアイ開口に非線形タイミングスキューを生じ逆にパワーバジェットが損なわれる。以前我々は信号振幅に応じた逆スキューを印加する補正方式を提案したが、符号化でPAM信号の多値数が大きく増加するとともにデバイス等の帯域制限で大きな振幅変動の生じるTHP-FTN方式への適用性は明らかではない。本報告では、50GBaud THP-FTN-PAM4伝送への非線形スキュー補正の適用について検討を行った。
3月18日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K307講義室 座長 井上 崇(産総研)
B-10-32 |
位相共役ツイン波伝送におけるパルス形状とシンボルレートの影響
◎前野一誠・佐野明秀(立命館大) |
B-10-33 |
雑音の影響を考慮した光固有値変調における固有値配置の最適化
○角淵敦基・丸田章博(阪大) |
B-10-34 |
WDM信号に対する強度平均化DBPによる光非線形補償性能の検討
◎高野 真・植之原裕行(東工大) |
B-10-35 |
モード多重MIMO伝送システムにおけるCMAの収束挙動
○別府翔平・相馬大樹・釣谷剛宏(KDDI総合研究所) |
B-10-36 |
位相変調光信号からの位相同期キャリア抽出に関する考察
◎永井孝明・松本正行(和歌山大) |
位相共役ツイン波(PCTW)伝送において、偏波多重PCTWと時分割多重PCTWについて、送信パルス形状とシンボルレートに対する依存性を評価したので報告する。
固有値はファイバの分散性および非線形性の影響を受けない理想的な情報キャリアであり,その特性を生かした光固有値変調方式が提案されている.本稿では固有値に対する雑音の影響を解析し㎡その最適配置について検討する.
近年の爆発的なデータ流通量の増大から,光通信システムでは異なる波長を一度に送る波長多重(WDM)方式が大容量化に大きな役割を果たしている.一方,WDMにより1本のファイバ当たりに送り込む光パワーの総量が増大することで,非線形歪みが顕著になり周波数利用効率(SE)が制限される(非線形シャノン限界).非線形補償方法の一つであるDBP (Digital Back-Propagation)法は,その反復的解析から計算量増大が問題視されている.筆者らは,複雑な変化を示す光信号の強度をspan(増幅器間隔)毎に平均するIA-DBP (Intensity Averaging-DBP)を提案している.今回は28Gbaud 10ch-SP-16QAM信号を1000km伝送した後にIA-DBPによる非線形補償を行ったときのSNRをDBPと比較したところ0.32 dBの向上を達成したので報告する.
近年, ファイバ1芯当りの伝送容量を拡大する技術として空間分割多重ファイバと多入力・多出力(MIMO)信号処理を組み合わせたモード多重伝送技術が注目されている[. しかし伝送実験で用いられているMIMO信号処理の多くはオフライン処理であり,実用化に向けては実時間MIMO信号処理による伝送評価が必須となる. 先行研究として3モードの実時間MIMO伝送実験が報告されており, MIMO行列の推定には定包絡線アルゴリズム(CMA)が用いられている. しかしCMAでは分離信号が同一モードあるいは同一の偏波の信号に収束してしまうSingularity problem (SP)が生じる. SPはモード多重数が多いほど発生しやすくなるが,SP を発生させるMIMO行列の一般的な条件は明らかになっていない. 本稿では, MIMO行列の強度に着目することでCMAの収束の挙動及びSPの発生条件が説明できることを示す.
位相変調光信号のホモダイン検波において,キャリア成分をもたないBPSKおよびQPSK光信号からの位相同期LO光生成の方法として,(1)信号光をホモダイン検波して位相データを読み出す,(2)読み出したデータで信号光の位相を再変調しデータを消去する,(3)データ消去によって回復した光キャリアを注入同期半導体レーザに入力し連続LO光を生成し(1)のLO光として用いる,という方法を提案した.この方法を用いてBPSK信号を安定に復調できることを示したが,QPSK信号の場合は長時間の安定な位相同期LO光を生成することが困難であった.本報告では,QPSK信号の場合のLO光生成が難しい原因について考察する.
休 憩(11:00 再開) 座長 別府翔平(KDDI総合研究所)
B-10-37 |
QPSK光コヒーレント伝送における深層学習による非線形劣化補償
◎上山峻央・森 文香・小林弘和・岩下 克(高知工科大) |
B-10-38 |
波長多重DP-64QAM信号に対するニューラルネットワークによる非線形波形劣化補償に関する検討
○井上 崇(産総研) |
B-10-39 |
ニューラルネットワークを用いた非線形歪み補償における活性化関数の検討
◎宮下裕貴・京野 大・生田 海・黒川祐一郎・中村守里也(明大) |
B-10-40 |
ニューラルネットワークを用いた偏波追尾及び非線形歪み補償
黒川祐一郎・京野 大・○中村守里也(明大) |
B-10-41 |
サポートベクトルマシンを用いた自己位相変調の補償
◎佐藤友紀・京野 大・黒川祐一郎・生田 海・中村守里也(明大) |
光ネットワークの大容量化が求められているが, 光ファイバ入力光強度の増大による非線形劣化という問題がある. その補償法としてDBP(Digital Back Propagation Method)やVolterraフィルタなどが検討されているが, 計算量が多くリアルタイムで実装するのは困難である. その解決策として近年注目されているのが深層学習による非線形劣化補償である.
本報告では, 光源の位相雑音を考慮したQPSK光コヒーレント伝送における非線形劣化補償と計算時間の改善の検討を行った.
位相雑音に対応して非線形劣化補償をできることを示した. また, 計算時間もDBPと比べて改善することができた.
波長分割多重した複数チャネルの偏波多重64QAM 信号について,長距離伝送した際に発生する非線形波形劣化をニューラルネットワークによって補償するための検討を行う.
ニューラルネットワーク(ANN)を用い、光ファイバ伝送で生ずる非線形波形歪みを補償する方式を検討している。ANNの活性化関数としては、主にディープANNを用いたパターン認識等においてReLUが広く用いられており、勾配消失の解消に有効であることが知られている。また、非線形波形歪み補償の場合においてもReLUが用いられることがある。今回、シグモイド関数とReLUをANNの中間層の活性化関数として用いた場合について比較を行ったので報告する。
ディジタルコヒーレント光通信においては偏波多重が実用化されており、バタフライ構成のFIRフィルタを用いたディジタル信号処理(DSP)によって50kHz以上の偏波変動に対する追尾が行われている。一方、非線形イコライザとしての利用が検討されているニューラルネットワーク(ANN)は、2層の場合でもバタフライ構成のFIRを内包する形となるため、それ自体で偏波追尾を行える可能性がある。ANNの偏波追尾及び非線形補償の特性についてFIRと比較・検討したので報告する。
光ファイバ通信において、機械学習を用いた非線形波形歪みの補償が検討されている。その中でSVMは、写像空間において超平面分離を行う手法であり、ANNに比べ計算量は多いが予測精度が高いという報告がされている。従来、FIRフィルタによる線形歪みの補償を行った信号に対してSVMを用いてIQ平面上で分類が行われてきた。しかし、非線形歪みが原因で発生したシンボル間に重なりがある場合は十分な分類が困難であった。今回、遅延タップ出力の高次元空間上でSVMを用いる新しい手法を検討したので報告する。
3月18日 13:30〜16:30 総合科学部 K棟3F K307講義室 座長 中村守里也(明大)
B-10-42 |
48-Gbit/s PSK Y-00光通信量子暗号の800-km光ファイバ伝送
○谷澤 健・二見史生(玉川大) |
B-10-43 |
10 Tbit/s-160 km QAM量子雑音ストリーム暗号伝送
○吉田真人・管 貴志・葛西恵介・廣岡俊彦・中沢正隆(東北大) |
B-10-44 |
非線形歪補償用逆伝達関数法におけるサンプリング数・量子化ビット数条件の検討
◎小原日向・植之原裕行(東工大) |
B-10-45 |
64Gbaud級偏波多重コヒーレント光信号における光フィルタリングと高速偏波変動が受信Q値に与える影響に関する検討
○備海正嗣・近森 峻・吉田 剛・松田恵介・鈴木巨生(三菱電機) |
B-10-46 |
前方ラマン増幅を用いた多中継伝送における偏波クロストーク補償
○佐野明秀(立命館大) |
光ファイバ通信のセキュリティ対策として,物理層から正しい信号が傍受されること自体を防ぐ,物理層セキュリティが注目されている.我々は,あらかじめ共有した短い秘密鍵を使って,光信号を多値変調によりシンボル毎に直接暗号化するY-00光通信量子暗号(以下,Y-00暗号)の研究に取り組んでいる.信号多値数をできるだけ大きくし,IQ平面で隣接シンボル間の距離が短くなるようにする.その結果,原理的にランダムかつ取り除けない量子雑音(ショット雑音)により隣接するシンボルが覆われる.これにより,秘密鍵を持たない者の正しい受信が困難になる.このショット雑音による秘匿効果により,不変の高い安全性が実現できる.
我々は,位相変調(PSK)データ光信号の位相のみを多値変調することで暗号化するPSK Y-00暗号に着目している.最近,極めて高分解能に光位相を変調して暗号化を行う方法を提案し, 2^17値の位相をもつ10-Gbit/sのY-00暗号を実証した.本稿では,偏波多重およびQPSKデータ変調を導入した48-Gbit/sのPSK Y-00暗号を800-kmシングルモード光ファイバ伝送した実験を報告する.
近年、レーザ光のもつ量子揺らぎを利用して、位相あるいは振幅雑音の中にデータを隠す量子雑音を利用したストリーム暗号 (QNSC: Quantum Noise Stream Cipher)が研究されている。その中で我々はQAM変調に着目し、多ビットのデータを2次元に暗号化したQAM/QNSC方式を提案している。今回、WDM技術を用いて10 Tbit/sの超大容量128 QAM/QNSC-160 km伝送に成功したので報告する。
近年,トラフィックの急激な増加に対応するため,大容量光通信技術の実現への要求が高まっているが,非線形光学現象により周波数利用効率が向上しなくなってしまう課題がある.この問題を解決するために様々な非線形歪補償技術の研究が進められているが,いずれも計算量が多いといった問題がある.
我々は,非線形歪みであるSPMをシンボル系列ごとに線形近似し,その逆伝達関数を作用させることで,歪みを軽減し計算負荷も低減する予等化手法についての検討を行ってきている.しかしながら,これまでの逆伝達関数法に関する研究では,デジタル信号処理における時間領域のサンプリング数,およびインパルス応答の量子化ビット数についての検討がなされていない.そこで本研究では,逆伝達関数法におけるサンプリング数・量子化ビット数の条件について検討した.
デジタルコヒーレント光通信では,偏波多重を用いて大容量化を実現しており,受信側で適応等化により偏波分離
処理が行われるため,伝送路中で生じる偏波変動の速度が適応等化部の追従可能速度を超えると受信Q 値の劣化を引
き起こす.我々は,100Gb/s 32Gbaud の偏波多重4 値位相変調(DP-QPSK)信号に対して高速偏波変動が受信Q 値に与える影響を評価してきた.一方,近年では,波長当たりの通信容量を増加させるため,変調速度が64Gbaud 級へと推移している.本稿では,200Gb/s 67Gbaud DP-QPSK 信号において,光挿入分離装置(ROADM)を想定して光フィルタリングの影響を考慮した条件で,高速偏波変動が受信Q 値に与える影響を評価したので報告する.
前方ラマン増幅を用いた多中継伝送系において、励起光RINに起因する偏波クロストークを受信側で補償する方式を提案する。
休 憩(15:00 再開) 座長 芝原光樹(NTT)
B-10-47 |
送信側高次光ファイバラマン増幅による無中継伝送システムの長スパン化の検討
◎△張 然・青木恭弘(埼玉工大) |
B-10-48 |
リング型分布ラマンリングレーザ増幅における前方2次励起光RINの影響
◎小川誉行・佐野明秀(立命館大) |
B-10-49 |
単一チャネル15.3 Tbit/s-150 km, 64 QAMコヒーレントナイキストパルス伝送
◎△木村光佑・吉田真人・岩屋太郎・葛西恵介・廣岡俊彦・中沢正隆(東北大) |
B-10-50 |
GAWBS偏波雑音のデジタルコヒーレント光伝送への影響
◎竹節直也・吉田真人・葛西恵介・廣岡俊彦・中沢正隆(東北大) |
B-10-51 |
デュアルコヒーレントサンプリングによる光キャリア位相ドリフトの統計的評価
○坂本高秀・高口 亮・山崎正樹(首都大東京) |
B-10-52 |
光OFDM信号のキャリア間クロストークによるホモダイン検波への影響
末次雄喜・○鹿島健人・水鳥 明・片山健夫(大分大) |
デジタルコヒーレント方式を適用した無中継システムの非線形光ファイバ伝送特性については既に報告し、送信可能な最大光パワーを明らかにした。
本論文では、デジタルコヒーレント無中継伝送システムの最大伝送距離の伸長を目的として、光ファイバラマン増幅を適用した場合の最大送信パワーを数値計算により定量化した。特に、高次ラマン励起方式を適用することによる最大送信パワーの改善量を初めて明らかにした。
基幹系光通信ステムの伝送特性改善技術にむけて、我々は1次励起光をリング型の共振器により発生させるリング型分布ラマンレーザ増幅(Distributed Raman Ring Laser Amplification, DRRLA)中継系を提案している。DRRLA中継系において、前方2次励起光のRINの影響を評価したので、以下に報告する。
光ナイキストパルスを用いたコヒーレント多値OTDM伝送は、超高速かつ高効率な光伝送方式である。本方式を用いて我々はこれまでに単一チャネル7.68 Tbit/s-150 km伝送を9.7 bit/s/Hzの周波数利用効率で実現している。今回、受信信号のSNRを改善する光ゲート回路ならびにOTDM信号とLOパルス間のタイミング安定化回路を新たに導入し、世界最速の15.3 Tbit/s伝送に成功したので報告する。
光ファイバ断面内に生じる熱音響振動モードとコア中を伝搬する光電界との相互作用により、導波音響波型ブリルアン散乱(GAWBS: Guided Acoustic-Wave Brillouin Scattering)と呼ばれる光位相・偏波変調雑音が誘起されることが知られている。今回、我々は新たにGAWBS偏波雑音について解析し、そのデジタルコヒーレント伝送への影響を考察したので報告する。
本研究では,デュアルコヒーレン トサンプリング構成により被測定信号光の持つキャ リア位相ドリフトが統計的に評価できることを示す.
周波数利用効率の高いOFDM変調方式を光通信に適用する研究が行われている。同期検波をパイロット光で行う方式に対し、我々は信号伝送に用いているサブキャリアの一つに光コスタスループで局部発信器レーザを同期してホモダイン検波する手法を提案している。
同期検波に用いるターゲットとするサブキャリアの光スペクトルへ他のサブキャリアの光スペクトルが干渉するとホモダイン検波に影響を与えるため、ターゲットサブキャリアの近傍にガードバンドを設けている。今回、ガードバンドの幅によるホモダイン検波への影響を調べたので報告する。
B-11. コミュニケーションクオリティ
3月18日 9:45〜12:15 総合科学部 K棟2F K208講義室 座長 松田崇弘(首都大東京)
B-11-1 |
長期間測定データを用いたLoRa受信感度が天候の変化により受ける影響の調査
◎高橋拓也・坂中勇太・鈴木一哉(秋田県立大) |
B-11-2 |
受信アンテナの違いによるLoRa無線の到達距離測定
◎坂中勇太・高橋拓也・鈴木一哉(秋田県立大) |
B-11-3 |
IoT工場の生産現場向け,工場用無線シミュレータに関する一検討
○前野 輝・浅田拓也・江村鉄兵・堀端研志・市川泰史(Panasonic) |
B-11-4 |
工場での無線評価に向けたシステムレベルシミュレーションの検討
◎尾崎慶貴・堀端研志・下条則之・前野 輝・市川泰史(パナソニック) |
近年IoT向けの低消費電力広域無線通信技術LoRaの活用が広がっており,様々な分野での利活用が期待されている.LoRaを使ったIoTシステムは,長期間に渡り運用されるケースがあるため,LoRa受信感度や通信の到達距離などが天候などの時間的に変化する要因に影響されないことが望ましい.
そこで本研究では,介護施設送迎バス位置管理システムで収集したデータを用いて,LoRa受信感度が天候の変化により受ける影響を調査する.
近年IoT向けの低消費電力広域無線通信技術LoRaの活用が広がっている。LoRaの課題は,実際にどこで,どのような条件で受信できるのか明らかにされていない点である。都市部においては,バスのロケーション共有など,LoRaを使った測定結果がいくつか報告されている。しかし,広大な盆地における測定事例や種類の異なるアンテナを使用した受信強度比較実験はまだ少ない。
そこで,本研究ではバス位置管理システムへの活用を想定し、LoRaの受信の可否の実験を行なったので,その結果を報告する。
近年,生産ラインの現場では,多品種少量生産が求められ,生産機器の頻繁な組換えが求められるようになった.従来の有線接続された従来の生産ラインの場合,生産機器の組換えによるコストの増加,及び配線ミスによる工数の増加が懸念されるため,生産機器間の接続を無線化する傾向にある.しかし,この場合,生産機器周辺の散乱体の位置により電波途切れが発生し,最悪生産ラインの停止も考えられる.生産現場を管理する工場技術者にヒアリングすると,現場では無線知識が乏しく,無線可視化のセンサ設置にコストがかかる上,
リアルタイムにトラブルの原因把握が困難であるため,無線導入を躊躇する意見が多く得られた.しかし,無線導入前に,発生しうるトラブルを事前に把握し,対策できれば導入したいという意見も多数存在した.
工場技術者向けに,生産ライン設計時に発生しうるトラブルを事前把握し,評価可能な無線シミュレータの一検討を提示する.
工場内において、機器の配置や工程ライン構築の柔軟性向上のため,無線通信への期待が高まっており、そうした無線通信の現場運用に向けて、電波伝搬計算とシステムレベルシミュレーション(SLS)を組み合わせ,現場の利用環境に即した無線環境をシミュレーションするシミュレータを検討した。このシミュレータのSLSの基本機能について発表する。
休 憩(11:00 再開) 座長 西川由明(NEC)
B-11-5 |
無線LANブロードキャストによる多端末同時配信の効率化
○篠原笑子・井上保彦・淺井裕介・鷹取泰司(NTT) |
B-11-6 |
QoE客観品質評価に基づくIEEE 802.11e 優先制御についての一検討
○四釜孝佑・松田崇弘(首都大東京)・平栗健史(日本工大)・林 孝典(広島工大) |
B-11-7 |
実環境を考慮したQoEに基づくマルチキャスト伝送速度方法の一検討
◎飯田浩史・設樂 勇・吉野秀明・平栗健史(日本工大) |
B-11-8 |
自律移動アクセスポイントを用いた無線LANのQoE特性
○林 佑紀(早大)・矢守恭子(朝日大)・田中良明(早大) |
B-11-9 |
サービスの要求遅延を満たすアプリケーション配置のためのMECアーキテクチャ拡張に関する一検討
◎城 哲(KDDI)・福元徳広(KDDI総合研究所)・蕨野貴之(KDDI)・鈴木理基(KDDI総合研究所)・鈴木悠祐・大谷朋広(KDDI) |
様々な無線通信端末が普及し,稠密に配置されるエリアも多くなっている.無線LAN は新しい規格が策定される度に、大容量化が実現されてきた.しかしながら,端末が稠密に配置されるとエリア内で各端末が高速な通信を実現することが難しくなる.他方で,同じコンテンツの配信であればブロードキャストの方が通信を効率化できる.本稿ではさらにブロードキャストコンテンツの符号化による効率化を提案し、多端末配置されたエリア内の通信効率をシステムレベルシミュレーションで検証した.その結果、提案方式はコンテンツを配信するまでの遅延時間を短縮できるうえに周波数リソースを大幅に抑えられることが明らかになった.
通信サービスに対するユーザの体感品質であるQoE(Qualityof Experience)はユーザの嗜好やサービス環境に依存する.したがって,QoS(Quality of Service)が同じサービスを受けていても,必ずしも同じQoEを示すわけではない.そこで本研究では,無線LAN環境においてユーザ間のQoEが公平になるようにトラヒックの優先制御を行う.本研究の目的は,ユーザのQoEを最大にすることではなく,同じアクセスポイントを用いて同じサービスを利用するユーザ間のQoEを公平にすることである.
通信品質に対するQoE の特性が異なるユーザに対して,QoS制御の規格であるIEEE802.11e の仕組みを用いて優先制御を行い,QoE 公平性の改善効果について検証する.
従来のマルチキャスト(MC)映像配信はセル内の全MC端末に配信するため,伝搬誤りに強い低伝送速度を用いることが一般的だが従来のMC配信には二つの問題がある.
一つ目はMCフレームの送信待ち時間が長いほどユニキャスト(UC)端末の送信待ちパケットが増加しMCフレームが衝突しやすくなる点.
二つ目は基地局近傍のMC端末は高伝送速度を用い高データ量の映像を受信できるが,低伝送速度の配信が提供される点がある.
これらを解決するため先行研究では,SVC(Scalable Video Coding)を用いて映像情報を分割し,客観品質評価指標のMOS(Mean Opinion Score)に基づいた伝送速度を割り当てる方式を提案した.
本稿では,UCトラフィックの増減を想定し,背景トラフィック量を動的に変化させた場合のMOSを評価したため報告する.
無線LANでは,ユーザがサービスを利用するとき,複数のアクセスポイント(AP)から接続先のAPを選択する.このとき,多くのユーザは電波強度と実効スループットを同値と捉え,電波強度だけで接続先APを選択する.その結果,ユーザの分布によっては,APに帰属する端末数に偏りが生じ,無線リソースを有効かつ公平に利用できなくなる.このような問題はAP選択問題と呼ばれる.これを解決する一つの方法は,APが自律移動して接続端末数を平準化することである.本稿では,この方法に関して,QoE (Quality of Experience)の総和であるSocial Welfareとエリア内の端末数の関係を示している.
5Gでは,Multi-access Edge Computing (MEC) を活用した要求遅延の短いサービスの提供が期待されている.
MECではサービスを提供するアプリケーション (App) をUser Equipment (UE) に近いMECホストで処理することでデータ転送にかかる配送遅延を削減する.しかし,MECホストの計算リソースは限られており,高負荷時には計算遅延が増加する.従って,配送遅延と計算遅延の双方を考慮してAppを配置する必要がある.
欧州電気通信標準化機構 (ETSI) のMEC参照アーキテクチャは,Multi-access edge orchestrator (MEO) がAppを配置するMECホストを選定する際にサービスの要求遅延を考慮することを求めているが,具体的な方法は示していない.本稿では,MEOがサービスの要求遅延に沿ったApp配置を行うために必要となるMECシステムの機能要件を整理し,MEC参照アーキテクチャの拡張を検討する.
3月19日 13:30〜16:00 総合科学部 K棟2F K208講義室 座長 長谷川 剛(東北大)
B-11-10 |
アプリケーションQoEに基づく帯域制御の一検討
◎金正英朗・木村拓人・河野太一・山岸和久(NTT) |
B-11-11 |
強化学習を用いたMCS選択アルゴリズムの一検討
○依田大輝・鍋谷寿久(東芝) |
B-11-12 |
通信路推定誤差を考慮するNeural Networkマルチユーザ検出器の基礎検討
◎市来悠斗・木村共孝・程 俊(同志社大) |
B-11-13 |
個人データ流通におけるデータ一括転送方式の評価
○光延秀樹・小倉孝夫・須加純一・伊藤 章(富士通研) |
B-11-14 |
Beta分布入力に対する統計的データ集約個数制御方式の特性評価
○吉野秀明・奥澤柚太・杉原龍之介・大田健紘・平栗健史(日本工大) |
ネットワークにおけるトラヒック量の急増により,回線混雑時は多くのユーザの体感品質 (QoE : Quality of Experience) が低下する.通信事業者の設備投資を抑えつつQoEの低いユーザ数を削減するためには,ボトルネック箇所における割当帯域の適切な制御が重要となる.既存の帯域制御方式はQoS(Quality of Service)公平な制御であるため,必ずしもQoEの低いユーザ数を最小化できているとは限らない.本稿は,QoEの低いユーザ数の削減を目的とした帯域制御方式を提案・評価する.
工場のスマート化において通信の無線化は重要であり、増加する無線通信機器のリソース制御を効率化・安定化することは急務である。しかしながら、フェージングによるダイナミックな無線環境変動や、設備起因のノイズ等により工場の通信環境は不安定である。そこで本検討では、パラメータの一つであるMCSの制御に着目し、遅延時間を低減するようなMCS選択を、強化学習を用いて自動的に学習する手法を提案する。加えて、実際の工場内で観測された受信信号強度データを用いて、提案手法の有効性を評価する。
今日の研究ではNeural Network(NN)を用いた通信システムの研究が行われている.
しかし,フェージング通信路のシステムにおいて係数推定が考慮されていない研究が多く,パイロットシンボルを用いてフェージング係数を推定するときに誤差が発生する為,性能劣化が促される.
本研究は符号化無し非直交CDMAシステムを考え,推定誤差を考慮に入れたNNの学習を行い性能調査を行う.
推定誤差をNNによって補うことで,推定誤差が大きいときに最尤(ML)推定よりも高い推定性能を得ることができる.
UMA2.0プロトコルを用いて,同意済みの複数の個人データを,数万人規模で保有者から利用者に一括で転送する方式をKeycloakを用いて実装した.提案方式における個人データ一括転送によるレスポンス性能の評価を行った.
遅延要件が厳しいIoTアプリケーションを実現するためには、センサデータの集約・送信機能を有するIoTゲートウェイにおける遅延の抑制が重要となる。筆者らは、IoTゲートウェイにおいて平均遅延時間を最小化する最適集約パラメータを理論解析すると共に、同結果に基づく適応的集約個数制御方式を提案し、ポアソン入力の到着率が急変しても、集約処理で変動を吸収し安定した制御が可能であることを明らかにした。本稿では、センサデータの到着モデルとして3GPPで提案されているBeta分布を入力とした際の提案制御方式の特性を評価した結果を示す。
休 憩(15:00 再開) 座長 伊藤暢彦(NEC)
B-11-15 |
ドローンを用いた無線通信経路の理論解析
◎黒澤達也・饒波裕也(日本工大)・白木信之(岩手大)・設樂 勇(日本工大)・西森健太郎(新潟大)・平栗健史(日本工大) |
B-11-16 |
D2D 通信を用いたSlotted ALOHA 方式の検討
◎奥 嵩史・木村共孝・程 俊(同志社大) |
B-11-17 |
VANETを用いた効率的な速度超過車両検知手法
◎高橋柊人・吉田政望・ガジェゴス ラモネト アルベルト・野口 拓(立命館大) |
B-11-18 |
車車間での情報共有におけるサイドリンク通信方式の性能比較
○上野高明(KDDI総合研究所)・菊地陽介・伊藤 章(KDDI)・大岸智彦(KDDI総合研究所) |
先行研究では,ドローンを用いたネットワーク構
築において単一経路ネットワーク内の伝送速度向上する
手法が検討された.しかし複数の経路で中継を行う際,
多重のオーバーリーチ干渉によって伝送速度が低下する.
本稿では,伝送距離延長のため複数段の中継でも高い伝
送速度が得られる方法を考案し,評価したので報告する.
本稿では,通信端末同士が基地局を介さず,直接通信
を行うD2D (Device-to-Device) 通信を用いることで,Slotted ALOHA
の遅延を抑制するSlotted ALOHA システムを検討する.具体的には,
通信端末を複数のグループに分類し,各グループに一台
のリーダー端末を設け,リーダー端末のみが基地局へパ
ケットを送信できるように制限する.一方で,リーダー
端末以外の通信端末は,直接基地局にパケットを伝送す
るのではなく,リーダー端末へD2D 通信によってパケッ
トを転送し,リーダー端末で複数のパケットを集約して
から基地局へ転送する.シミュレーション実験
により,提案システムによってパケット衝突を抑制する
ことができ,遅延性能が向上することを示す.
高速道路や一般道における無謀な運転によってほかの車両に対して危険を生じさせる危険行為が問題となっている.危険行為を行う車両を事前に知ることができれば,多くの事故を減らすことができる可能性がある.本研究では,速度超過車両の検出に焦点を当てる.現在多くの道路では,カメラや速度センサを用いた速度違反車両の監視を行っている.しかしこの方法では,観測地点でのみ速度を落とすことで,検知されずに速度超過を行うができる.そこで,VANETを用いた観測地点を選ばない速度超過検知手法を提案する.既存の方式では冗長なブロードキャストが多い問題が見られた.本研究では,既存方式と比べて大幅にパケット数を減らすことができた.
現在我が国のITS(高度道路交通システム)では,安全運転支援を目的とした車車間での通信方式として700MHz安全運転支援システム(ITS Connect)が利用されているが,自動運転支援などの用途への拡大のため,5.8GHz専用狭域通信(DSRC),セルラV2X(LTE support for V2X services)等の方式が新たに検討されている.各通信方式は,周波数やチャネル割り当て方式が異なるため,互いに通信すべき車両間の位置関係,通信性能要件などによって,適した通信方式が異なる.そこで筆者らは,交差点内に侵入する任意の車両間での通信を対象とし,上記3つの通信方式について,シミュレーションにより通信性能を測定した.本稿では,その結果について考察する.
3月20日 10:00〜12:15 総合科学部 K棟2F K208講義室 座長 作元雄輔(関西学院大)
B-11-19 |
無線LANアクセスポイント誘導における移動要因分析
◎石田 翼(早大)・矢守恭子(朝日大)・田中良明(早大) |
B-11-20 |
Web 閲覧時のネットワーク品質とユーザ操作影響
○川口銀河・佐藤哉子・小川秀貴・青木仁志(NTT) |
B-11-21 |
Twitterにおいて長期間強い影響力を維持するユーザの特徴に関する一考察
上原みなみ・○津川 翔(筑波大) |
B-11-22 |
未知のグラフ上の影響伝搬におけるランダムサンプリングの効率性に関する一検討
◎脇坂悠生・山下量之(関西学院大)・津川 翔(筑波大)・大崎博之(関西学院大) |
無線LANでは,一つのアクセスポイント(AP)にユーザが集中すると,競合などにより通信品質が著しく劣化することがある.このとき,ユーザを接続端末の少ないAPに移動させることができれば,通信品質の改善が望める.本稿では,ユーザに付近の通信品質状況をヒートマップで示すだけでなく,移動先の環境を提示することで,移動を促すシステムを考えている.ユーザの行動基準を知るためには意思決定の構造を明らかにする必要がある.本稿では,ユーザの移動に対する意思決定の構造を数量化Ⅱ類により分析している.その結果,無線LANにおけるユーザ誘導では,通信品質だけでなく,移動先の環境やサービスも移動のインセンティブとなっていることを明らかにしている.
スマートフォンでの利用品質低下時のweb閲覧の際に特徴的なユーザ操作行動についてユーザ評価実験を行った結果について報告する
ソーシャルメディアにおいて、多くのユーザに情報を拡散させることができるような影響力の強いユーザ(インフルエンサー)を特定することができれば、口コミによる情報拡散を利用したバイラルマーケティングなどにおいて有用である。ユーザの影響力は時間とともに変化していくと考えるのが自然であるが、我々のこれまでの研究によって、インフ
ルエンサーの一部は非常に長期間に渡って強い影響力を維持していることがわかっている。本稿では、このような長期間強い影響力を維持するインフルエンサーがどのような特徴を有するかを分析した結果を報告する。
影響最大化問題は、あるグラフにおいて、
影響最大化するような少数のシードノードを決定するという、グラフ上の組合せ
最適化問題として定式化できる。一般に、ソーシャルネットワークのような
大規模ネットワーク全体のトポロジ構造を取得することは容易ではないため、
ネットワークサンプリングによって得られた部分的なソーシャルネットワークのみの
情報から、影響力の高いシードノードを決定するという問題が検討されている。
ネットワークのトポロジが未知であるようなネットワークにおいて効率的な影響伝搬を
実現するためには、ソーシャルネットワークの一部をネットワークサンプリングに
よって部分的に取得する上で、サンプルノード数を適切に決定しなければならない。
本稿では、数学的解析により、トポロジ構造が不明であるような
大規模ネットワークにおいて、ランダムなノードサンプリングと次数順
にシードノードを選択するという
基本的なアルゴリズムを用いた時の、ランダムサンプリングのサンプル数と
影響伝搬による被影響ノード数の期待値の関係を調査する。
休 憩(11:15 再開) 座長 津川 翔(筑波大)
B-11-23 |
EVの自律的電力売買を仲介するEVアグリゲータの検討
○小久保 怜・作元雄輔(関西学院大) |
B-11-24 |
ネットワークのトライアドがウィグナー半円則に与える影響の分析
○谷口豊明・作元雄輔(関西学院大) |
B-11-25 |
受信経路不明なリツイートの存在とその発生要因の分析
中島圭佑・井上陽向・○塩田茂雄(千葉大) |
B-11-26 |
ZDDを用いた複数制約に対する保護リンク決定効率化
○赤坂昌孝・巳波弘佳(関西学院大) |
再生可能エネルギーはクリーンかつ安全であるが,発電量を需要量に合わせて制御することが難しいという欠点がある.そのために,余剰電力を各家庭のバッテリーに充電したり,系統電力に売ったりすることが一般的に行われている.しかし,系統電力への売電による系統電力網の不安定化などから,余剰電力を他の家庭に売る仕組みが検討されている.既存研究では,各家庭の発電量や電力需要量を収集し,収集された情報に基づいて各 EV は他の家庭の EV と電力をやりとりする.この仕組みにおいて,突発的な計画変更による影響は考慮されていない.本稿では,各家庭の情報を収集することなく,それぞれの EV の自律的な電力売買を仲介する EV アグリゲータを検討する.
ネットワークの特性を解析するためにスペクトラルグラフ理論が広く用いられている.スペクトラルグラフ理論ではネットワーク構造を行列で表現し,その行列の固有値・固有ベクトルを通じて特性を解析する.しかしながら,社会ネットワークなどの大規模で複雑なネットワークにおいては,その構造を行列で正確に表現することが難しい.我々はこれまでに,ネットワークの構造を表す行列(正規化ラプラシアン行列) の固有値分布に現れる普遍性(ウィグナー半円則) を導き,ウィグナー半円則を用いることで正確な行列を得ることが困難なネットワークに対してスペクトラルグラフ理論を適用する方法を検討してきた.ただし,その際に,ネットワークの各リンクが独立に接続されることを仮定してきた.しかしながら,社会ネットワークでは友人の紹介で友人になるといった独立とは見做せないリンク接続が発生し,トライアドと呼ばれる構造が存在する.そこで本稿では,ネットワークのトライアドがウィグナー半円則に与える影響を実験的に調べ,トライアドが存在するネットワークに対してウィグナー半円則がどの程度有効に活用できるかを明らかにする.
Twitter には,自分が受信したツイートを自分のフォロワー全員に流す「リツイート」と呼ばれる機能があり,1
つのツイートをTwitter ユーザ間に広く拡散させる役割を果たす.本研究では,リツイートされた回数が多いツ
イートに着目し,それらツイートのリツイート拡散経路を分析する.また,リツイート拡散経路を分析する中で
受信経路が不明な多数のリツイートが発見されたため,その発生要因について考察する.
信頼性の高い情報ネットワークの構築のために,通信機器の多重化などによる頑健化(保護)がある.しかし,保護のためのコストは大きいため,重大なネットワーク品質低下を引き起こすリンクやノードを優先的に保護することになる.そのようなリンクやノードを決定する問題については,これまでも研究されてきた.情報ネットワークの設計では多くの様々な制約が要求される.本稿では,ゼロサプレス型二分決定グラフ(ZDD)を用いて,複数の制約を満たす保護リンク決定の効率化について検討する.ここでは,個々の制約を満たす解集合をZDDによって保持し,必要に応じて複数の制約を同時に満たす解集合を求めることによって,複数制約を満たす保護リンクを求める.これにより,複数の制約を同時に満たす保護リンクを決定するよりも計算時間の短縮が期待でき,また制約の変更や追加にも容易に対応できる.本稿では,このアプローチについて,実際のネットワークトポロジを用いて性能を評価する.
3月20日 13:30〜16:15 総合科学部 K棟2F K208講義室 座長 木村拓人(NTT)
B-11-27 |
生体情報を用いたSNSユーザの投稿閲覧時の感情分類と推定に関する検討
○北川裕馬・亀山 渉・菅沼 睦(早大) |
B-11-28 |
可変ビットレート動画像に対する生体指標を用いたQoE推定
○大池健太郎・菅沼 睦・亀山 渉(早大) |
B-11-29 |
モバイル端末使用時における主観動画像品質の推定に関する検討
亀山 渉・菅沼 睦・○三品翔太郎(早大) |
B-11-30 |
音質と遅延の相互作用を考慮した会話品質評価法の一検討
◎岡田 樹・林 孝典(広島工大) |
B-11-31 |
EVSのバースト損失劣化に対する音声品質特性に関する検討
○倉島敦子・青木仁志・岡本 淳(NTT) |
近年SNSが若者の心の健康に悪影響を及ぼしていることが問題になっている。また、最近では、犯罪自慢、店員による不適切なSNS記事の投稿などが問題となっており、SNS利用者の感情把握もしくは推定が急務となりつつある。
以上の背景から、本稿ではSNSが人間の心に及ぼす影響の解明を目的とし、生体情報を用いてSNS閲覧時のユーザの感情を分類、推定することを目指し、複数の手法による精度比較を行った。実験内容としては被験者が投稿を閲覧しているときの生体情報を取得し、その生体情報から被験者の感情に関するアンケート結果を推定した。結果としてRRI変化率、脳波、瞳孔径の三つの生体情報からSNSユーザの投稿閲覧時の感情を分類し推定できる可能性が示唆された。
近年、情報通信サービスの品質評価としてユーザ体感品質(QoE)による評価が重要視される。コンテンツに対するユーザの体感品質は時々刻々と変化するものであり、従来手法のアンケートに替わり、即時性の高いQoE推定方法として視聴者の生体信号の利用が検討されている。本稿では、通信環境の変化を想定した可変ビットレート動画像について、視聴時間に対するQoEを、視聴中の注視点位置の標準偏差、基礎律動、心電RR間隔、顔特徴点から推定できるのか検討する。解析した結果、視聴中の生体信号、コンテンツ毎の興味度と満足度を利用して固定ビットレート動画像を用いた先行研究より高い精度での推定ができた。以上より可変ビットレート動画像に対して、生体指標を用いて、即時性のあるQoE推定の可能性が示唆された。
先行研究より、動画像視聴時の生体情報と動画像への興味度から、主観動画像品質を推定できる可能性が示唆されている。また、動画視聴サイトを利用する際、ユーザがサービスに求める品質は、視聴コンテクストによって異なる可能性がある。そこで、モバイル端末で動画視聴サイトを利用する実際の環境での主観動画像品質推定の可能性、並びに、視聴コンテクストが主観動画像品質に与える影響を検討した。被験者は、生体情報を記録する機器を着用したままYouTubeを視聴し、各動画視聴後に視聴環境及び動画に関するアンケートに回答した。そして、収集したデータをランダムフォレストで解析した結果、実際のモバイル端末で動画像を視聴する場合でも、主観動画品質を推定できる可能性が示唆された。
電話番号が付与されるIP電話は適切な品質となるようにネットワーク品質が設計・管理されているが,音声通話アプリケーションに対してはネットワーク品質が保証されていない.そのため,ネットワークが混雑すると会話が困難になるような音声劣化が発生してしまうことがある.音声通話アプリケーションを快適な品質で実現するためには,QoEの評価特性を解明し,これに基づいてネットワークやアプリケーションを設計・管理・制御していくことが重要である.従来のIP電話における各種品質劣化要因の相互作用を考慮した品質評価法の検討を踏まえ,音声通話アプリケーションを対象とした主観品質評価実験によって音質と遅延がQoEに及ぼす影響を解明した結果を報告する.
筆者らはこれまで,広帯域音声を対象にバースト性が高いパケット損失が音声品質に与える影響を,主観品質評価により明らかにしてきた.本稿では超広帯域音声符号化方式EVSを対象に,異なる損失劣化パタンを用意して主観品質評価を行った結果について報告する.
休 憩(15:00 再開) 座長 菅沼 睦(早大)
B-11-32 |
ARを用いた無線LAN品質の見える化のUX比較
◎原 啓祐(早大)・矢守恭子(朝日大)・田中良明(早大) |
B-11-33 |
方向音痴のための経路検索アプリAR表示の効果
◎松岡彩花(早大)・矢守恭子(朝日大)・田中良明(早大) |
B-11-34 |
MRデバイス上でのARアプリケーション体験時のQoE特性評価
梶野華代・○金井謙治・甲藤二郎(早大) |
B-11-35 |
VR映像配信に対するITU-T P.1203.1拡張モデルの品質推定精度検証
◎小池正憲・浦田勇一朗・山岸和久(NTT) |
B-11-36 |
頭部の動きを考慮した360度映像の主観評価法の一検討
◎△河野太一・小田原 奨・林 孝典(広島工大) |
無線LANのアクセスポイント(AP)と離れた場所で通信する端末があると,その端末の伝送速度が低くなるばかりでなく,APに接続する全ての端末の通信品質が劣化する.そこで,通信品質を拡張現実(AR)で可視化し,ユーザを品質が良くなる位置に誘導するアプリケーションについて実験で検討を行っている.通信品質としては,電波強度を用い,電波強度は色で示す.本稿では,三つの“見える化”についてユーザエクスペリエンス(UX)を比較している.三つの表示法の印象評価については,SD法を用いて明らかにしている.その結果,距離と方向の項目で表示法により差が出ることを示している.
ARは「方向音痴」と呼ばれる人々にとって有益なツールとなる可能性がある.本稿では,経路検索アプリにおけるAR表示に着目し,方向音痴とそうでない人で,AR情報の影響度に差があるか明らかにしている.四つのアプリについて,被験者にユーザエクスペリエンス(UX)の5項目を評価してもらい,方向音痴とそうでない人で,経路検索にアプリを利用したいグループとしたくないグループに差があるか分析している.その結果,ワクワク感は全てのアプリにおいて影響度が高く,安全性の影響はどのアプリにおいても低い.また,方向音痴に共通する特徴として,経路の影響度がどれも高い.方向音痴でない者はワクワク感が最も高いが,方向音痴は経路の判別ができるかどうかが利用したいかどうかに影響する.
近年,画像処理技術の発展に伴い,Augmented Reality (AR), Virtual Reality (VR), Mixed Reality (MR)の実用化が進んでいる.一方で,多くのAR, VR, MRアプリケーションでは低遅延性が要求され,通信遅延や処理遅延の増大はアプリケーション品質の劣化を招く恐れがある.本稿では,HoloLens上でのARアプリケーション体験時において,HoloLensと処理サーバ間の通信遅延を変化させた際のQoE特性を評価する.その際,ARアプリケーションの処理環境としてエッジコンピューティング環境を想定している.
タイルベースVR映像配信では視線移動に伴い低画質領域が表示され、ユーザが品質劣化を知覚するため、従来の映像視聴とは異なる。本稿では、ITU-T勧告P.1203.1 mode3モデルを拡張したタイルベースVR映像の品質評価法に対し、異なる符号化設定の検証実験を実施し、提案法の品質推定精度を検証した結果を報告する。
近年,仮想現実(VR:Virtual Reality)映像技術の発展によって,VR映像を利用したサービスが普及してきている.それらのサービスをユーザが快適に利用するには,ユーザ体感品質(QoE: Quality of Experience)に基づいた設計が重要となる.著者は先に,360度映像の画質/臨場感の主観評価において,評価者が広範囲の映像を観視して評価できるように,同じ映像を繰り返し観視する主観評価法を提案し,得られた評価値の安定性について分析した.一方で,観視時間が長くなると評価者の注視点が定まり,評価者の注意が安定する傾向にあることが報告されている.そこで本稿では,主観評価時の評価者の頭部の動きに着目し,評価者の頭部の平均移動量及び視野範囲の観点から,主観評価に求められる観視回数について分析した結果を報告する.
B-12. フォトニックネットワーク
3月17日 14:00〜16:30 総合科学部 K棟2F K205講義室 座長 廣田悠介(NICT)
B-12-1 |
分散制御エラスティック光ネットワークにおけるパス長差による公平性の検証
○吉山大翔・馬場健一(工学院大) |
B-12-2 |
EONにおけるトラフィックグルーミングを用いた距離対応型マルチパスルーティング設定手法の検証
◎加藤 基・馬場健一(工学院大) |
B-12-3 |
容量期待値保証型ルーティングのトポロジ依存性評価
松野将大・村上正樹・植松芳彦・○岡本 聡・山中直明(慶大) |
B-12-4 |
多人数情報共有型アプリに対する動的タスク割当技術の実装
○澤田知貴・橘 拓至(福井大) |
B-12-5 |
MEC・クラウド併用環境における応答時間を考慮した動的タスク割当アルゴリズム
○野中咲穂・橘 拓至(福井大) |
今後も増加していくトラフィックをより効率的に収容するための技術として,柔軟な帯域割り当てが可能なエラスティック光ネットワークが注目されている.
先行研究では,分散制御手法を用いたエラスティック光ネットワークが提案されており,ネットワークの状況に応じた柔軟なパス設定が可能となる.
分散制御エラスティック光ネットワークでは経路探索に距離を重みとしたダイクストラ手法を用いると使用するリンクに偏りが生じる問題があり,ネットワーク全体の要求棄却率が高くなる.
また,EONでは長距離パスは短距離パスに比べ要求が棄却されやすい傾向にある.
そこで本稿では,複数の候補経路からノードの次数を考慮して使用する経路を決定する経路選択手法を提案する.
その上で,これらの方式を用いた場合にパス長差の違いによる公平性を検証する.
シミュレーションによる評価の結果,リンク使用率の偏りを抑制し,ネットワーク全体の要求棄却率を低減できることを明らかにした.
EONにおけるマルチパスルーティングでは,隣接するパスの間に設けるガードバンドが増大する.ガードバンドの削減が可能なトラフィックグルーミングという技術を用いた研究はあるが,変調方式については考慮されていない.そこで本研究では,EONにおける距離に応じた変調方式を使用した場合のマルチパスルーティングとトラフィックグルーミングを組み合わせた手法を提案し,その効果を検証した.シミュレーション結果より、呼損率の低減を確認した.
マルチパスルーティングとネットワーク機器の故障予測を組み合わせることで,光パス設定時に指定された容量期待値を提供する容量期待値保証型ルーティング (ECGR)を提案している.本稿では,MILPとK-shortest Pathを採用したECGRにおいて,ブロッキング性能等に対するトポロジ依存性を議論する.
超低遅延の処理を可能とする MEC (Multi-access Edge Cloud) は,リアルタイム性の高い処理を行うアプリケーションでの利用が期待されている.このMECをクラウドと併用することで,実行タスクを処理負荷やリアルタイム性を考慮した両者の使い分けが可能となる. 本稿では,MECとクラウドを併用する多人数情報共有型アプリに対して,MECとクラウドに対する動的タスク割当技術を実装する.また,実装実験によって本技術の有効性を示す.
提案する動的タスク割り当て技術ではMECサーバで処理されるタスクを処理内容によって高優先タスクと低優先タスクに分類し,MECサーバの状況に応じて低優先タスクの処理場所をクラウドサーバへ動的に変更することで実現している.
MEC(Multi-access Edge Cloud)環境では,ユーザ近傍のMEC サーバを利用することで,短い伝送時間で迅速にタスクを実行できる.一方,MEC サーバで多数のタスクを処理すると処理時間が増加してしまう.そこで本稿では,MEC・クラウド併用環境において複数タスクの総応答時間を低減する動的タスク割当アルゴリズムを提案する.アクセスポイント(AP)1台とMECサーバ1台が接続され,インターネットを経由してクラウドサーバも利用可能なMEC環境を考え,タスクの種類を考慮したうえで適切な経路を決定する最適化問題を定式化し,解を導出する.そして,最適化問題の近似解を導出するMEC・クラウド併用環境における動的タスク割当アルゴリズムを提案し,数値例で有効性を示した.
休 憩(15:30 再開) 座長 中川雅弘(NTT)
B-12-6 |
コア間干渉及び周波数断片化を考慮した空間多重光ネットワーク制御法
◎王 洋・森 洋二郎・長谷川 浩(名大) |
B-12-7 |
SDM-EONにおけるパススイッチングを用いた周波数割当手法の一検討
◎関 顕輝・馬場健一(工学院大) |
B-12-8 |
空間分割多重型エラスティック光ネットワークにおける分散周波数資源割当手法に関する一検討
○廣田悠介(NICT) |
B-12-9 |
空間分割多重型光パケット交換網のための最適空間チャネル資源割当手法及びテストベッドを用いた基本機能検証
◎橋本侑亮・久保田浩介(阪府大)・藤本章宏(和歌山大)・谷川陽祐(阪府大)・廣田悠介(NICT)・戸出英樹(阪府大) |
本稿では新規光パス設立にあたり、選択経路上での全コアでのクロストーク量と、コア毎の断片化状況各々について最適性を評価し、これらを統合してコア・周波数を選択するRCSA (Route, Core, and Spectrum Assignment) 法を提案する。これら最適性の指標は、追加的に収容可能な光パス数を近似するものとして定義され、2つのニューラルネットワークでその値を学習する。数値実験により、コア間干渉・周波数断片化を考慮しない従来手法と比較し、同一ブロッキング率10-3においてネットワーク容量が144%向上することを実証した。
光ネットワークにおいてマルチコアファイバにより構成される空間分割多重エラ
スティック光ネットワークの課題点である周波数資源の断片化を動的な空間的資源の再配置を用いて抑制する周波数割当手法を提案し、呼損率の低減を行うことが可能かを調べている。
増加し続けているネットワークトラヒックに対応するため,
伝送距離や要求通信量に応じて柔軟に必要なだけの周波数資源を割り当てるエラスティック光ネットワークに
関する研究が活発に行われてきた.更に近年,シングルコアシングルモードファイバの伝送限界を突破するべく,
マルチコアファイバやマルチモードファイバなどの空間分割多重化技術を用いた光ネットワークに関する研究が活発化している.
この空間分割多重型エラスティック光ネットワークでは、中央集権型制御として周波数資源割当手法が検討されているが、
分散制御に関する研究はほとんど行われていない。
本稿では,地理的に離れたノードから構成される空間分割多重型エラスティック光ネットワークを対象とし、
分散型制御としての周波数資源割当手法を提案する。
近年,光領域における更に効率的な通信帯域の利用をめざし,光パケット交換に関する研究開発が行われている.しかし,現在光領域においてランダムアクセス可能な光バッファは実現されておらず,ネットワーク負荷が増加した際にパケットロスの急増により,通信品質の保証が困難であるという問題がある.本稿では,空間分割多重型光パケット交換網におけるパケットロスの抑制を目的とした最適空間チャネル資源割当手法を提案し,空間チャネル切替の一機能をテストベッドを用いて検証する.
3月18日 10:30〜12:00 総合科学部 K棟2F K205講義室 座長 長谷川 浩(名大)
B-12-10 |
空間多重ノード向け小型24心コネクタ
岩屋光洋・安藤孝幸・高橋正典・○杉崎隆一・塚本昌義・新子谷悦宏(古河電工) |
B-12-11 |
空間分割多重光伝送システムにおけるトランスポート層規格に関する一検討
○吉兼 昇・釣谷剛宏(KDDI総合研究所) |
B-12-12 |
仮想通信処理プロセッサにおけるリソース間接続アドレッシング手法の提案
住田直人・村上正樹・栗本 崇・岡本 聡・○山中直明(慶大) |
B-12-13 |
Functional Block based Disaggregation モデルのための開発ツール
○石井紀代・並木 周(産総研) |
B-12-14 |
Flex Ethernet over OTNにおけるB100Gリンク再構成実験
○田中貴章・桑原世輝・乾 哲郎(NTT) |
B-12-15 |
被災した通信基地局の中継機能を応急復旧する機能ユニット
○白岩雅輝(NICT)・佐藤 保・阿部善典(NECプラットフォームズ)・淡路祥成・古川英昭・和田尚也(NICT) |
ノード
内スイッチの高集積化に伴い、ノード内にも空間多重技術の適用 検討 が開始されている。ノード内の増幅のために 19 コアアンプ が適用される検討もされており、コネクタでの一括接続数も 19 コア以上とすることが必要となっている。ノード内での接続には細径単一コアファイバを用いることが有利と考えられており、これまでの検討では 12心の小型コネクタが報告されている。 本検討では、 これまで 1 段構成であった小型コ ネ クタを 2 段構成にすることにより 19 コア以上の一括接続を可能にした。
本稿では,SDM光伝送システムを実現する際に必要性が想定される技術標準化項目のうち,OTN(Optical Transport Network)に関する検討結果について報告する.
リソースプール型の仮想通信処理プロセッサ(VRCP)を提案してきた.VRCPは,主にLSI/FPGA/NPから構成される複数の再構成可能通信処理モジュール(RPM),主にNP/CPUから構成される複数の再構成可能サービスモジュール(RSM)がTbps級のスイッチモジュール及び光ネットワークにより接続されて構成される物理RCPを仮想化する.サービスは,リソースプール内のRPM/RSMを接続して提供される.サービスは,仮想化されたVRCPに対して定義され,実際の通信は,物理的なRPM/RSMに対してサービスチェインを構成することで実現される.本稿では,チェイン実現に必要となるアドレッシング手法を提案する.
Functional Block based Disaggregation(FBD)モデルを用いて具体的な光ネットワークトポロジを記述するための開発ツールを実装したのでその概要を紹介する.開発ツールは近日中にオープンソースとして公開する予定である.
100/200/400GbE物理リンクを論理的に複数本束ねることにより,多様なレートのEthernet MACクライアントを柔軟に収容するFlex Ethernetについて,高信頼化およびサービスへの柔軟な対応のために FlexE over OTNリンクの動的な再構成が必要となる3つのユースケースについて,再構成実験の結果を報告する.
被災した通信装置の中継増幅機能を応急復旧する光増幅器と合わせ,OSCによる制御機能を復旧させることで通常時と同様にNMSで管理運用を可能とする復旧支援ユニットを試作し,応急復旧手順を通信品質とともに確認した.復旧支援ユニットを壊れた通信装置の代わりに光増幅器と合わせて接続することで,OSCによる光通信装置の制御が可能であることを実証した.
B-13. 光ファイバ応用技術
3月17日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟1F K109講義室 座長 相馬一之(住友電工)
B-13-1 |
収束切替機能を用いた光アクセス網に関する網構成最適化
○大野槙悟・鬼頭千尋・戸毛邦弘・鉄谷成且・川高順一(NTT) |
B-13-2 |
中間後分岐作業性に優れるφ0.25mm単心8心細径架空ケーブルの開発
◎三浦貴博・安冨徹也(古河電工) |
B-13-3 |
鳥虫獣害対策用細径高密度光ケーブルの強風暴露後の特性
○丸尾勇太・櫻井 信・山田裕介・泉田 史・谷岡裕明(NTT) |
B-13-4 |
細径高密度光ファイバケーブルの凍結エリア適用に向けた管路内凍結圧力の推定と凍結対策に関する検討
◎櫻井 信・丸尾勇太・山田裕介・泉田 史・谷岡裕明(NTT) |
B-13-5 |
GAWBSを用いたマイクロベンド損失検知に関する検討
○納戸一貴・本田奈月・押田博之(NTT) |
大容量移動通信サービスの普及に伴い,移動通信基地局向け光ファイバ需要が増加している.基地局向け需要は発生需要分布の予測が困難であるため,今後の光アクセス網としては需要変動に対する耐力確保と経済的収容の両立が重要となる.しかしながら,既存の光アクセス網では心線融通性が低く,高い需要変動耐力を確保するためには多くの心線を要しコストが増大するという問題がある.そこで我々は収束切替機能により心線融通性を高めた光アクセス網構成を検討しており,その中で重要な設計指標となる融通心線率と共通線区画規模について適正値を明確化したので,これについて報告する.
単心φ0.25mm心線を8心収容し,中間後分岐作業性に優れる細径架空ケーブルを開発した.外被分割工具をはじめとした既存の工具,周辺部材,工法が適用でき,効率的な光通信網の構築と施工現場の負荷低減への寄与が期待される.
近年では台風の大型化など,架空の光ケーブルにおける特性を十分に把握することが一つの課題となっており,特にHSケーブルは,架空区間で用いられる細径高密度光ケーブルのうち最も外径と質量が大きいため,強風時にケーブルが受ける影響を把握することが重要である.本報告では,HSケーブルを宮古島実験場にて暴露し2019年に通過した台風への暴露前後での特性を確認した結果を報告する.
細径高密度光ファイバケーブルを凍結エリアに適用する場合,管路内凍結圧に対し,ケーブル心線数や管路径に応じた対策条件が明らかではない.本検討では,(1)ケーブル耐圧特性の実験的評価と(2)管路内凍結圧の推定によって,その対策条件を検討した.(1)ケーブル耐圧特性は、凍結圧によってケーブルがある断面積に達したときファイバに強く力が加わると考え,簡易な一軸圧縮試験結果を実施した.(2)氷の体積膨張及びケーブル等の圧縮変形をモデル化することで管路内空隙率に対する凍結圧を算出し,(1)のケーブル耐圧特性を用いて,凍結対策として管路内に必要な空隙率を明らかにした.
本稿では,GAWBS(Guided acoustic-wave Brillouin scattering)を用いることで波長1650 nmにおけるOTDR(Optical Time Domain Reflectometer)よりマイクロベンド発生を早期に検知可能であることを実験的に確認したので報告する.
休 憩(11:00 再開) 座長 本田奈月(NTT)
B-13-6 |
ヒータを用いたテーパ光ファイバの作製と透過損失測定に関する検討
○安部尚晃・笠井康平・木原 満(阪電通大) |
B-13-7 |
現用光ファイバ心線の分岐方法に関する検討
◎植松卓威・廣田栄伸・飯田裕之・海老根 崇・真鍋哲也(NTT) |
B-13-8 |
MTコネクタを用いたファブリーペロー型光ファイバセンサ
○木原 満・平田聡史・池田篤史・衣笠滉記・濵本洸己(阪電通大) |
B-13-9 |
金ナノ粒子/ポリマー複合膜を用いる湿度センサ
○関 篤志・渡辺一弘(創価大) |
B-13-10 |
WO3/Ptナノ粒子を用いたヘテロコア光ファイバ水素センサ
◎細木 藍(国立遺伝学研究所)・西山道子・渡辺一弘(創価大) |
本報告は、ヒータを用いてテーパ光ファイバを作製した結果を述べる。さらに、作製したテーパ光ファイバの周りの媒質の違いによる透過損失の結果も報告する。
光ファイバ心線を分岐させる場合には心線を切断,融着し光分岐デバイスを設置するため,インサービスで分岐させることは困難である.この問題を解決するため,側面研磨により光ファイバ心線のコア付近まで露出させ,近接させたコア同士のエバネッセント結合により光を合分波する方法を提案した.エバネッセント結合ではコア同士の伝搬定数が一致またはわずかに異なるようにすることが一般的であるが,光通信網における光ファイバ心線は心線種別などによって屈折率分布が異なるため伝搬定数も多様であるため,従来技術では安定した分岐比が得られない問題がある.そこで本報告では,伝搬定数に依らない光分岐方法の実現を目指し,分岐心線としてコア径をテーパ型としたテーパファイバを用いた方法を検討する.
本報告は、多心コネクタを用いた新しいファブリーペロー型光ファイバセンサを報告する。加えて、そのセンサでアルコール水溶液の屈折率を測定した結果も述べる。
ヘテロコア光ファイバ表面に交互積層法を用いて金ナノ粒子とポリカチオンから成る複合薄膜を形成し,湿度センサとしての特性を検討した.積層数の増加とともに空気中および水中における伝播光強度の損失が増加した.また,空気中における損失より水中における損失が大きかった.湿度センサとしての特性検討において,湿度の増加とともに伝播光強度は減少した.塩化カルシウムが膜中に存在するときは,低湿度状態における感度の改善が認められた.調製した膜のなかでは塩化カルシウムをドープしたポリクオタニウム-11の湿度に対する感度が大きいことが示された.
水素社会の実現に向けて,安全で実用的な水素漏洩モニタリングシステムを構築するには,高速な応答性,広範囲な多点計測,安定した長期計測が可能な水素センサが重要となる.水素感応物質である酸化タングステン(WO3)はPdやPtなどの優れた水素解離能を有する貴金属触媒との複合膜にすることで,常温で水素還元し光学特性が大きく変化する.本研究では,無機化合物の水素感応物質であるWO3が水素吸蔵合金特有の相転移を持たないことに着目し,長期的に運用可能な光ファイバ水素センサを構築する.本稿では,WO3ナノ粒子とPtナノ粒子を組み合わせたヘテロコア光ファイバ水素センサを作製し,水素ガス(4%)に対するスペクトル特性を報告する.
3月18日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟1F K109講義室 座長 飯田大輔(NTT)
B-13-11 |
マルチモードファイバの心線対照方法に関する検討
○高橋 央・東畑秀尚・海住卓生・大塚 誠・小林隆一(NTT東日本) |
B-13-12 |
内外周ひずみからの環状構造物各部の変位計測
◎北村祥太・成枝秀介・成瀬 央(三重大) |
B-13-13 |
周波数掃引パルスBOTDAひずみ計測誤差低減のための信号解析
◎小嶋隆文・成枝秀介・成瀬 央・北村祥太(三重大) |
B-13-14 |
べき乗間隔パルス列を用いた高分解能ブリルアン測定法
◎大川美優・川上翔平・三宅大樹・伊藤文彦(島根大) |
B-13-15 |
ブリルアン動的グレーティングによる線形パルス圧縮
◎村嶋なぎ・松本正行(和歌山大) |
これまでマルチモードファイバ(MMF)のような低曲げ損失光ファイバの心線対照として,対照光に可視光等のシングルモードファイバ(SMF)とは異なる波長を用いる方法[1]が報告されている。しかしながら、現実の保守作業を考慮すると、光ファイバの種別によらず、一つの波長、一つの装置で心線対照できることが望ましい.本稿では,SMFと同一波長、同一装置を利用したMMFの心線対照方法について検討を行った.
光ファイバを用いて計測された円環構造物の内外周のひずみから、円環各部の変位を計測する方法が提案されている。ここでは、それを環状構造物の変位計測にも適用できるように拡張した。
高速なひずみ計測が可能な周波数掃引プローブパルス光を用いたBOTDAは、ポンプパルス幅内のすべての相関ブリルアン利得(Correlated Brillouin Gain: CBG)が観測されるため、一般的なBOTDAと同様、不均一なひずみに対して計測誤差が増加する。本報告では、隣接する複数位置で観測されたCBGを用いたひずみ計測誤差低減方法を提案する。
ポンプおよびプローブ光にべき乗間隔で配置されたパルス列を用いる新しいブリルアン相関領域解析法を提案する.本方式で得られる利得スペクトルは狭帯域のスペクトル幅と広い自由スペクトルレンジを有し,高精度かつ広レンジでの温度またはひずみの計測に有用であると考えられる.
光ファイバ中の誘導ブリルアン散乱(SBS)を利用した,オン・オフ可能な動的グレーティング(BDG)の研究が行われている.
SBSにより光ファイバ中にBDGを生成することができ,ファイバ中にプローブ光を入射することでBDGを利用できる.
私はこれまでの研究でSBSを利用した光パルス圧縮器の解析と実験を行い,光の増強効果が得られることを確かめた.パルス圧縮過程では大きな音波の振幅を伴うため、高効率なグレーティングとなる可能性がある.
本報告では,パルス圧縮過程におけるBDGにより,プローブ光の線形なパルス圧縮が可能であることを示す.
休 憩(11:00 再開) 座長 成瀬 央(三重大)
B-13-16 |
位相OTDR振動計測における波形歪みを抑圧したサンプリングレート向上のための光周波数多重方式の提案
◎脇坂佳史・飯田大輔・押田博之(NTT) |
B-13-17 |
OFDR-DASにおける振動起因の周波数変調に対する耐力のシミュレーション
○岡本達也・飯田大輔・押田博之(NTT) |
B-13-18 |
波長掃引光源と線形光サンプリングを用いた広波長帯域での複素変調波形の超高速測定
◎清水奏吾・砂川純也・伊藤文彦(島根大) |
B-13-19 |
BOTDAを用いたFMFの接続損失測定の測定精度に関する検討
◎小田友和・中村篤志・飯田大輔・押田博之(NTT) |
B-13-20 |
ファイバパラメータを用いた数モードファイバ群遅延特性の推定
○中村篤志(NTT)・大橋正治(阪府大)・飯田大輔(NTT)・久保田寛和(阪府大) |
既設の通信用光ファイバケーブルを分布振動計測のセンサとして活用し,ケーブル自体の敷設状態を把握する取組みを進めている.正確な把握には大小様々な振動の波形を忠実に測定する必要があり,その手段として高感度計測が可能な位相OTDR に着目している.しかし,位相OTDRには位相接続誤りの課題があり,現在までに十分な対策は提案されていない.そこで,位相接続誤り低減が可能なFDM方式を検討したので報告する.
光ファイバの任意の位置におけるレイリー後方散乱光の光スペクトルを仮想的振動センサとして活用できる光周波数領域反射計測技術(OFDR)による振動分布測定では,光スペクトルシフトから動的歪みを測定することができる.しかしながら,光ファイバに加わる振動は振動印加区間に動的歪みを与えるのみならず,その区間を伝搬する光を周波数変調する.OFDRは周波数に敏感な測定であるため,振動印加区間より後方からの後方散乱光とローカル光とのビート周波数は変調され,測定距離が変調される.ビート周波数で指定される動的歪み解析区間がずれたとしても,正しく振動を解析できる条件をシミュレーションによって導出し,その妥当性を実験で確認したことを報告する.
信号光に波長掃引光源(SWL)を備えた線形サンプリング法(LOS)を使用することにより、広波長帯域 でのマッハツェンダー型ニオブ酸リチウム(𝐿𝑖𝑁𝑂3)強度変 調器(LN 変調器)の変調波形の超高速測定を試みたので報告 する。
FMFの接続損失の取得に向け、ブリルアン利得解析法を用いた測定法を提案している。本測定では接続点で発生するXTが大きい場合、損失が小さく見える問題がある。本稿では、提案手法により測定される値について理論検討を行った結果を報告する。
本稿では,容易に測定可能なファイバパラメータから数モードファイバの群遅延特性を推定する方法について検討した結果を報告する.
3月18日 13:30〜17:00 総合科学部 K棟1F K109講義室 座長 高橋正典(古河電工)
B-13-21 |
2モードEDFにおける空洞付与を用いたモード間利得差低減技術
◎山下陽子・松井 隆・青笹真一・坂本泰志・和田雅樹・中島和秀(NTT) |
本セッションはB-10Aとの関連セッションであり、後続の講演はB-10-1よりご覧ください。 |
モード分割多重(MDM)技術は高密度・大容量伝送の実現に向けて高い関心を集めている.MDM伝送の長距離化には数モード光増幅器が必須となるが,モード間利得差(DMG)による伝送特性の劣化が課題となる.2モードエルビウム天下ファイバに作製した空洞の直径により利得を維持しつつDMGを低減できることを確認した.
休 憩(15:45 再開) 座長 小田拓弥(フジクラ)
B-13-22 |
4コアファイバの接続特性に関する検討
○半澤信智・松井 隆・寒河江悠途・中島和秀(NTT) |
B-13-23 |
MC-EDFA用ファンアウトへの最大入力パワ値検討
高橋正典・吉岡和昭・○高坂繁弘・杉崎隆一・塚本昌義・新子谷悦宏(古河電工) |
本セッションはB-10Aとの関連セッションであり、先行の講演はB-10-5よりご覧ください。 |
4コアファイバにおいて、コア偏心量、クラッド直径公差、中心軸ずれ量をランダムに変化させて光ファイバコネクタの損失規格を満たす領域について検討を行ったので、その結果について報告する。
MC-EDFAの魅力は他ポートの信号を一括で増幅できることである。しかしながらこれは高パワが増幅器内に集中することになり、マルチコア部でのパワ集中による部品破壊が懸念される。マルチコア用部品の中で光路内に樹脂部材を含むファンアウトについてMC-EDFA内部でのパワを検討するとともにその耐性について検討した。
休 憩(16:30 再開) 座長 島川 修(住友電工)
B-13-24 |
MMS計測点群を用いた線状構造物の三次元モデル化の検討
○井上雅晶・新垣 仁・清水智弥・押田博之(NTT) |
B-13-25 |
ハイパワー光伝送時のコネクタ内部温度に関する検討
○深井千里・阿部宜輝・高谷雅昭・小山 良・片山和典(NTT) |
本セッションはB-10Aとの関連セッションであり、後続の講演はB-10-8よりご覧ください。 |
今回、三次元モデルの対象を柱状構造物から線状構造物へ拡張し、架空に敷設されたケーブルを3Dモデル化し、モデルの精度を評価したので報告する。
ファイバが,フェルールに挿入され,接着剤で固定されて作製されるコネクタは,接着剤のクリープ変形により,環境温度に依存してファイバが引込むことが知られている.これまでにSCコネクタのハイパワー光伝送において,光損失によってコネクタ温度が上昇し,ファイバが引込むことを報告した.ファイバ引込みのコネクタ性能への影響調査において,接着剤を含むコネクタ内部温度を把握することは重要である.今回,環境温度とファイバ引込みの関係から,コネクタ内部温度を検討したので報告する.
B-14. 情報通信マネジメント
3月17日 13:30〜15:30 総合科学部 K棟2F K207講義室 座長 佐藤陽一(ボスコテクノロジーズ)
B-14-1 |
位置依存形P2Pネットワークにおけるマルチホップ通信の性能評価
◎藤間貴史・三好 匠・山崎 託(芝浦工大)・Olivier Fourmaux(ソルボンヌ大) |
B-14-2 |
エッジコンピューティングを用いた位置依存形P2Pの適応形サーバ負荷分散手法
◎関 菜摘・杉山 健・三好 匠・山崎 託(芝浦工大) |
B-14-3 |
位置依存形P2PにおけるGISを併用したピア検索手法
◎釜田桃里・三好 匠・山崎 託(芝浦工大) |
B-14-4 |
位置依存形P2Pと端末間マルチホップ通信による情報配信方式
◎茂木敦哉・三好 匠・山崎 託(芝浦工大) |
近年,スマートフォンなどの携帯端末の普及に伴い,GPS(Global positioning system)機能を用いた位置情報に基づくサービスが注目されており,P2P(Peer-to-peer)方式とGPS 機能を用いた位置依存形P2Pネットワーク構築手法が提案されている.
本手法では,各端末が周辺に存在する全ての端末とP2P接続を行うため,端末数の増加による接続数の増加や,端末の移動による接続関係の変化により,負荷が増大する状況が想定される.
本稿では,P2Pネットワークにマルチホップ通信を応用した位置依存形P2Pネットワーク構築手法について提案する.
近年,位置情報を利用したサービス(LBS: Location-based service)が普及している.LBSに適した通信方式として,G-LocON(Geo-location oriented network)と呼ばれる位置依存形P2P方式が提案されている.一方で,ネットワーク経由でサービスを提供するクラウドコンピューティングや,ユーザに近い場所にサーバを配置して分散処理を行うエッジコンピューティングが注目を集めている.本稿では,エッジコンピューティングを用いて負荷分散を行うことで,大規模な位置依存形P2Pネットワークを構築する手法を提案する.提案システムをPC上に実装し,複数の仮想端末を用いて評価を行う.
位置依存形P2Pネットワークを構築するための通信基盤として,G-LocON(Geo-location oriented network)が提案されている.G-LocONでは,各端末(ピア)は検索したい領域の中心座標と半径を自身で指定し,検索領域内に存在するピアとP2P通信を行う.ピアの位置座標は位置情報管理サーバ(L-tracker: Location tracker)が管理しており,L-trackerと通信を行うことで検索領域内のピア情報を取得することが可能である.しかし,本手法におけるピアの検索領域は円形に限定されており,より柔軟な検索手法の検討が望まれる.本稿では,位置依存形P2Pにおいて,地理情報サービス(GIS: Geographic information system)を併用したピア検索手法について検討する.
近年,スマートフォンやタブレットなどの携帯端末の普及に伴い,位置情報サービス(LBS: Location-based service)が注目されている.位置情報に基づいた情報配信方式として,移動体通信網を利用した位置依存形P2P(Peer-to-peer)通信と近距離無線通信を利用した端末間通信を併用して情報を送信する手法が提案されている.しかし,端末数の増加に伴い送信元端末の負荷が増大する可能性がある.本稿では,P2P通信と端末間マルチホップ通信を併用した情報配信方式について検討する.
休 憩(14:45 再開) 座長 三好 匠(芝浦工大)
B-14-5 |
機械学習を用いた BGP 異常アップデート障害検知に関する一検討
○毛利元一・河崎純一・鈴木悠祐・大谷朋広(KDDI) |
B-14-6 |
トラヒックの時間変動を利用した運用系装置識別手法の検討
◎中村瑞人・林 直輝・丹治直幸・高田 篤・関 登志彦・山越恭子(NTT) |
B-14-7 |
基地局通信品質劣化時の要因分類に向けた提案
○飯島智之・高瀬誠由・山下義之・田邉幸雄(日立) |
2017年8月,BGP異常アップデートに起因する大規模通信障害が発生し,サービスプロバイダ(SP)は,異常アップデートの早期検知が求められる.本稿では,機械学習を用いたBGP異常アップデート障害検知を目的として,Network Element(NE)から収集されたPerformance Management(PM)データを入力とする機械学習モデル評価手法を提案する.また,構築したモデル評価基盤システムを用いた,疑似BGP障害データセット作成手法,及びモデル評価手法について説明し,今後について述べる.
通信キャリアは数十万台規模のネットワークを運用管理しており,故障発生時には迅速な故障復旧が求められる.キャリアネットワークは基本的に冗長構成となっており,故障復旧には,装置が運用系か予備系のどちらの状態なのか(以降,系状態と呼ぶ)を迅速に把握した上で,装置の再起動や経路切替等の対処を行う必要があるが,装置の系状態は当該装置内の情報では把握できない場合がある.
本稿では,トラヒック量の時間変動を利用した装置の系状態識別手法を提案する.
移動体通信事業者は,顧客が通信サービスを利用する際の満足度を向上させるため,基地局の電波強度,雑音量,各時間帯の混雑状況,トラフィック情報等,多様なデータを収集し分析している。通信品質(スループット等)が劣化した場合,熟練技術者がデータを分析し,過去の経験や知識をもとに劣化要因を分類している。この作業は,熟練技術者の経験や知識に頼る部分が多く,機械学習を適用するすることで効率化を図る取組みが実施されている。本稿では、機械学習を用いて劣化要因する際の精度向上時の課題を述べ、その課題を解決する一手法を提案し、その提案に対して考察する。
3月18日 11:00〜12:15 総合科学部 K棟2F K207講義室 座長 吉原貴仁(KDDI総合研究所)
B-14-8 |
操作画面の変化を利用したGUI部品認識方法の提案
◎李 頔・野末晴久・明石和陽・田山健一(NTT) |
B-14-9 |
IoT管理機器配置箇所に関する一評価
○岩田桂一・平井博昭・小野良司(三菱電機) |
B-14-10 |
伝送装置の検証自動化における課題と対策の提案
◎西出直人(NTTネオメイト)・伊藤 健・本田健太郎・前田英樹(NTT) |
B-14-11 |
ブロックチェーンを用いた所有権管理システム
◎角田明快(早大)・矢守恭子(朝日大)・田中良明(早大) |
B-14-12 |
FulfillmentOSSの現状と自動化効果最大化の新たな取り組み
○髙柳和央・佐々木裕也・石居健太郎・小佐々淳一・富澤彰之・諏訪裕一(ドコモ・テクノロジ) |
画面のみ解析できる環境においても、操作時におけるカーソルやGUI部品の画像変化をもとにGUI部品を認識する方式を提案する。
IoT機器が膨大になるにつれ,そのネットワークを管理するための機器(IoT管理機器)が導入されてきている。IoTネットワークを安定させるためにはIoT管理機器を複数配置することが効果的だが,コストの観点からIoT管理機器数は少ない事が望ましい.
本稿では,IoTネットワーク内で通信路障害が多数発生する場合を想定し,IoT管理機器の配置個所がIoTネットワークの安定性に与える影響を定量的に評価する.より具体的には,IoT管理機器と通信が不可能になるIoT機器の発生確率を定義し,その傾向を評価した.
近年,トランスポートSDN やROADM のCDC 化といった伝送網の柔軟性向上を目指した研究開発が盛んとなっている.通信キャリアとしては,新規伝送装置に対する検証項目が増加しており,それに伴い検証稼動も増加している.そのため,各種検証自動化システム導入による検証の効率化が進んでいる.本報告では,伝送装置の検証自動化において,検証が停止した場合でも継続して実施する方法の提案を行う.
現在,物流業界においてディジタル化の波が進んでおり,ブロックチェーンが注目されている.本稿では,ブロックチェーンを用いた所有権管理システムを提案し,そのコストを評価している.提案システムは以下のようなものである.(1)製品の製造者が所有権を登録.(2)製品の所有者が所有権の移譲先を指定し,所有権を放棄.(3)所有権の移譲を指定された人が所有権を獲得.この繰り返しで所有権を管理する.プラットホームとしてEthereumを用いたシステムを構築してシミュレーションを行ったところ,1個の製品を管理するのにかかるコストは1[USD]程度である.
Network Functions Virtualisationの導入に合わせ,自動設計・自動設定を実現するFulfillmentOSSの導入を行い,現在はモバイルコアネットワーク以外の領域への適用範囲拡大が検討されている.
FulfillmentOSSは手動前提の業務マニュアルなどを基に開発しているが,これらは大量の情報を含み,地域や装置毎のルールも存在し複雑であるため,開発に時間がかかる.
これに対し,筆者らはFulfillmentOSSの自動化効果最大化に向け,業務統合や人手作業用資料の削減に関する取り組みを検討した.
本稿では,FulfillmentOSSの現状と自動化効果最大化に関する新たな取り組みについて説明する.
B-15. センサネットワークとモバイルインテリジェンス
3月17日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟2F K203講義室 座長 橋本匡史(阪大)
B-15-1 |
電波観測システムの高信頼化に関する基礎検討
◎秦 昂平・小林 真・新 浩一・西 正博(広島市立大) |
B-15-2 |
移動型光リンクセンサーネットワークのための光軸追尾装置の開発
○香川直己・新木智博(福山大) |
B-15-3 |
農家の意見に基づく農業ICT活用アプリケーションの開発
◎熊谷颯太・千葉慎二(仙台高専) |
B-15-4 |
KOSEN版ウェザーステーションの改良
○佐藤大地・金 帝演・神田和也・保科紳一郎(鶴岡高専) |
B-15-5 |
KOSEN-IoTサーバの構築およびユーザビリティ評価
○齋藤大輝・金 帝演・神田和也・保科紳一郎(鶴岡高専) |
我々の研究室では電波伝搬に見られるさまざまな現象を観測するために日本の各地で電波観測システムを運用している.
既存の観測システムでは稼働状況の確認及び復旧作業はすべて手動で行われているため,遠隔地に設置しているシステムの復旧には時間がかかってしまうという課題がある.
本研究では2台の端末を用いる事で,観測が正しく行われていない場合に自動的に復旧する電波観測システムを構築した.
筆者らは温室効果ガスを非接触,かつ,リアルタイムで測定するための手法として,赤外レーザ光線を解放大気に伝搬させるときに生じる共鳴吸収を利用した分光分析法の研究を継続的に続けているが,これを屋外の通信ネットワークに適用できれば,同時にセンサーネットワークとしても活用でき各種のセンシングに活用が可能であると考えている.さらに,このシステムは,ネットワーク(ノード)を移動させながら計測し,広範囲を計測エリアにすることを想定している.そのため,レーザの光軸を追尾するトラッキング機能が必要となる.そこで光軸検出に画像処理を用いた同システムを設計し,光軸追尾機能の実現を得るための実機に近づけた動作実験を行ったので報告する.
日本農業の深刻な課題である農業従事者の減少,高齢化に対し,作業負荷軽減,栽培効率の向上を図る農業ICTの研究が行われている.しかし中小規模農家の場合,農業ICTはコストの問題であまり普及していない.また農業ICTでは情報機器の利用が必須となるため,情報機器に不慣れな農家ではシステム導入の障壁となっている.本研究室では,センサシステムの低コスト化や,高齢者など情報機器に不慣れな農業者にも使いやすい農業アプリケーションの開発を行い,中小規模農家でも導入しやすい農業ICTシステムの構築を目指している.本件では,これまで開発してきた市民農園向け農業アプリケーションを農家に評価していただき,農家向けに改良を行った.
ICT技術を活用したスマート農業を実現するためには,局所気象情報収集が重要な課題である.本稿では,局所気象情報を安定的に取得するためにKOSEN版ウェザーステーションの改良を行う.具体的に,ゲートウェイとセンサーユニット間通信を有線にし,デバイスのメモリオーバーフロー対策を行った.圃場実験による性能評価を行い,-6℃から42℃までの気象条件下による稼働と5か月間連続稼働を確認し,KOSEN版ウェザーステーションの有効性を示した.
スマート農業の実現のために、ウェザーステーションで収集した局地気象情報を農業従事者に分かり易く提示することは重要な課題の1つである。本稿では、IoTサーバの構築およびマニュアルの作成、農業従事者の意見を考慮した情報提示に関するユーザビリティ評価を行う。JA職員と農業従事者と打ち合わせを行い、前日の最高気温、最低気温、現在の気温を数字で表示する機能とアラート機能を持つIoTサーバを構築し、構築手順についてのマニュアルを公開する。また、情報提示についてユーザビリティ評価を行い、有効性を示した。
休 憩(11:00 再開) 座長 宇野新太郎(愛知工科大)
B-15-6 |
路車間通信環境におけるRSUリソース割当方法
◎嶋田 匠・松本宙也・水野 修(工学院大) |
B-15-7 |
V2X環境実現のためのRSU配置モデル
◎中村友也・嶋田 匠・松本宙也・水野 修(工学院大) |
B-15-8 |
車車間通信における車両の発進・停止を考慮したタスクオフローディング手法
◎木下晃輔・嶋田 匠・松本宙也・水野 修(工学院大) |
B-15-9 |
遠隔型自動運転における遠隔操作の正確性に関する検討
◎佐藤雄大・樫原俊太郎・大岸智彦(KDDI総合研究所) |
B-15-10 |
オープンソースを利用した交差点における危険通知システム
◎森澤雄太・鈴木理基・黒澤研吾(KDDI総合研究所)・渡邊 英(トヨタ)・北原 武(KDDI総合研究所) |
計算資源に余裕のある近傍エッジノードに計算タスクを譲渡するタスクオフローディングの研究が注目されている.本研究は,路肩に設置されている路側機(RSU:Road Side Unit)に計算タスクをオフロードする路車間通信環境において,適切なタスクオフローディング先の選択手法の確立を目的とする.これまでに我々は,路車間通信環境における課題を示し,その1つであるRSUリソース割当方法について検討すると伴に,新規アルゴリズムを提案した.本稿では,上記のアルゴリズムに対してシミュレーション評価を行い,提案アルゴリズムなしと比較して,約20.6ポイント向上することを確認した.
トポロジ変化の激しいV2X環境において,タスクが発生するノード(TN:Task Node)が,計算資源に余裕のあるノード(EN:Edge Node)に対してタスクをオフロードする際,車両の移動によって通信が切断される恐れがある.そこで,我々は移動性と方向転換を考慮したタスクオフローディング手法を提案している.しかし,既存研究では路肩に設置されている通信設備であるRSUの配置場所について未検討である.
そこで,本報告ではコストを考慮したRSU配置モデルを確立するためにRSUを等間隔に配置し,その間隔を変更する等間隔配置調整手法を提案することで,RSU配置モデルを導出した.
タスクオフローディングは,タスクノード(TN)が計算資源に余裕のあるエッジノード(EN)に計算タスクを渡し,計算結果を受け取る方式である.しかし,トポロジ変化の激しいネットワークなため,ENがTNの通信範囲外に移動してしまい通信が切断されてしまう恐れがある.そこでノードの移動性を考慮したタスクオフローディング手法が提案されている.しかしこの手法ではノードが走行し続ける環境であり,信号機による発進・停止については未考慮である.本稿では,発進・停止を考慮したタスクオフローディング手法を提案し,有効性をシミュレーションにより評価した.結果より,提案手法を適用することで平均タスク返却成功率は約5%向上した.
自動運転によるモビリティサービスの実現において,自動運転車の緊急時対応手段として,遠隔地からオペレータ
が車両を操作する遠隔運転機能の整備が期待されている.遠隔運転は,実車運転と比較して,通信遅延の存在や振動
などの情報の欠落により,操作感が異なるため,実車運転に慣れたオペレータが操作の正確性を損なう場合がある.
本稿では,自動車の遠隔操作と実車運転において,運転時の軌跡やステアリングの操作量を測定し,操作の正確性を
比較する.また,正確性の差異が生じる原因を考察する.
警察庁の統計によれば,平成30年における携帯電話使用等に係る交通事故発生件数は5年で1.4倍に増加し,携帯電話等を使用していた場合の死亡率は使用していない場合の約2.1倍にもなる.また,日本における交通死亡事故件数は,平成29年の統計によれば年間3630件発生しており,このうち交差点で発生する割合は45.9%と最も大きい.交差点における交通安全についてはこれまでも高い関心が示されてきているが,携帯電話網を利用する通信により,安全性を高められる可能性がある.こうした背景を踏まえ,我々は交差点における危険を予測し,歩行者や運転者にスマートフォンを用いて通知するシステムを開発している.本システムでは,交差点付近に設置されたセンサ(カメラ,LiDAR,ミリ派など)の情報と歩行者や運転者の所有するスマートフォンの情報を用いて,危険を予測する.また,エッジコンピューティングを活用することで低遅延な通知を実現する.本稿では,開発したシステムの概要を示し,車両と歩行者のダミーデータを用いた処理性能の評価結果を紹介する.
3月17日 13:30〜17:00 総合科学部 K棟2F K203講義室 座長 今田美幸(NTT)
B-15-11 |
防鹿柵監視用の振動検知センサデバイスの試作
◎加藤拓也・横田浩之・屏 雄一郎・野垣内 出・宇都宮栄二(KDDI総合研究所) |
B-15-12 |
触覚の提示・センシングを同時に行うSMAトランスデューサ
◎宮戸田顕音・澤田秀之(早大) |
B-15-13 |
ワイヤレスな指輪型キーボードのバッテリレス化手法
◎高橋 亮・韓 燦教・笹谷拓也・成末義哲(東大)・福本雅朗(Microsoft Research)・川原圭博・苗村 健(東大) |
B-15-14 |
眼鏡型デバイスにおけるヒンジ部の配線の無線化
◎高木 健・笹谷拓也(東大)・笠島博信(ボストンクラブ)・川原圭博・苗村 健(東大) |
B-15-15 |
WoTに基づく多種多様なスマート電球一括制御
◎大園倖暉・森 慎太郎・大橋正良(福岡大) |
B-15-16 |
オープンデータの可視化と利活用に関する一検討
◎生田光一・森 慎太郎・大橋正良(福岡大) |
防鹿柵は造林木に対するシカ等の食害を防ぐ有効な手段であるが,動物の噛み付きや衝突,倒木等の原因で破損しうるため,継続的な維持管理が重要である.防鹿柵の管理にかかる負担軽減を目的として,筆者らは加速度センサによって動物衝突等に起因する振動を検知する防鹿柵監視手法の検討を進めている.本稿では,防鹿柵監視用に試作した振動検知センサデバイスについて述べ,本デバイスで収集したデータから得られる振動原因推定の精度について評価する.
視覚や聴覚を利用したインタフェースに続く新たな研究として,触覚インタフェースへの関心が高まっている.その実現には,触覚を提示するディスプレイと計測するセンサが必要であり,様々な方法が提案されてきた.しかしながら,触覚のディスプレイとセンシングを同時に行える単一デバイスは実現されておらず,省電力化や小型化に対する大きな課題となっている.
我々は形状記憶合金ワイヤに微小振動を起こして多様な触覚感覚を提示しながら,同時にワイヤにかかる力を計測するデバイスの開発を行ってきた.本研究では,触覚インタフェースを用いた双方向コミュニケーションの実現を目指し,素子をアレイ状に配置した触覚デバイスを構築した.また,本触覚デバイスについて,実験により適用可能性を検証した.
日常生活のあらゆる場面において文字入力が可能なインタフェースの実現に向けて、5本の指先でのタイピングを検知可能な指輪型デバイスを装着し、文字入力を行う指輪型キーボードが提案されている。しかし、現状の実装では、指輪型デバイスへ加速度センサの他に、無線通信モジュールとバッテリなどが必要である。ゆえに、ユーザに定期的な充電作業を要し、また指輪型デバイスの質量の増加につながり、常時装用が困難となる。そこで、バッテリレスな指輪型キーボードを提案する。これにより、ユーザは充電に手間を取られることなく、また指輪型デバイスはバッテリレスなため小型化・軽量化が可能になり、指輪型キーボードの常時装用が容易となる。
今後 AR デバイスや医療機器としての眼鏡型デバイスはさらに普及し,センサ,ディスプレイ,スピーカなどを複数搭載したデバイスの増加が見込まれる.これを実現するためには,眼鏡型デバイス上に点在するモジュール間における高速な通信と,駆動電源の供給が欠かせない.また,使い勝手の点で眼鏡型デバイスを携帯するために折り畳めることが望ましい.これらを両立するためには,入り組んだ複雑な形状のヒンジに電気的配線を通す必要があるが,そのような眼鏡型デバイスは壊れやすい,製造が難しいといった問題がある.そこで本稿では,眼鏡型デバイスの筐体を介した無線給電・無線通信を提案し,そのときの給電効率と通信の誤り率を調べた.
近年,スマート家電が普及している一方,相互運用など柔軟な制御ができていない.そこで本研究では,RESTful設計に基づくWoTに従って制御を行うことにより,柔軟かつ統一的なインターフェースでの制御の実現を試みている.本稿ではThings Gatewayを用いて異なるベンダの3種類のスマート電球にURIを設定し,独自でHTTPリクエストを送ることにより一括制御を行なう.制御コードはコマンドラインのcurlを用いる方法と,Raspberry piにタクトスイッチを接続し,ボタンを押すだけで3種の電球を全点灯・全消灯させるようなシンブルな操作による方法で実行する.
近年,我が国ではオープンデータの利活用が積極的に推奨されている.本稿では,Python言語を用いてオープンデータの可視化システムを実装し,地方公共団体が提供しているオープンデータを解析することにより,その利活用の課題を考察する.具体的には,福岡市のAED設置場所を示したオープンデータに対して検証した結果,可視化効果は十分に得られたが,データ整形を要する点,およびオープンデータの入力情報の誤りによる地図上のマーカーの位置がずれる点が課題として明確になった.以上のことから,オープンデータ提供者が利用者に正確な情報提供を行う必要があると考えられる.
休 憩(15:15 再開) 座長 森 慎太郎(福岡大)
B-15-17 |
自動運転社会における歩行者のための危険通知システムの導入
◎岡本研太郎(早大)・矢守恭子(朝日大)・岩井孝法・金友 大・里田浩三(NEC)・田中良明(早大) |
B-15-18 |
歩行者交通量推定に向けた歩行者流動の可視化
○村山知輝・一原賢吾・金井謙治・竹内 健・甲藤二郎(早大) |
B-15-19 |
電動アシスト自転車に搭載した2DLiDARによる段差推定手法の検討
◎山本健人・金井謙治・甲藤二郎(早大) |
B-15-20 |
Accuracy Evaluation of Aisle Width Estimation using RGB-D Camera
◎丸山大貴・金井謙治・甲藤二郎(早大) |
B-15-21 |
LoRaWANを用いた地域情報共有システム構築のための伝搬損失モデルの検討
◎髙橋敦哉・橋浦康一郎・飯田一朗・草苅良至(秋田県立大) |
B-15-22 |
スマートツーリズムのためのLPWA通信システムの開発
◎△内海朋成・千葉慎二(仙台高専) |
B-15-23 |
工場内無線環境における利用周波数評価のための一検討
○征矢隼人・染谷貴史・蜜澤雅之(長野県工技総セ) |
自動運転の研究は数多く行われ,自動車が歩行者を検知し,危険を察知して自動的に停車する仕組みなどは重要であるが,人の動きは予測できないことも多く,自動車が停車を繰り返し,進めなくなることも考えられる.そこで,本稿では歩行者と車が協調するサービスを提案する.ここでは,歩行者と車の行動モデルを作成し,マルチエージェントシミュレーションプラットホームartisocを用いて,モビリティ・マネジメントにより明らかにした行動変容の可能性を危険な行為をする歩行者に適用することでヒヤリハット数がどの程度減少するか検証した.その結果,歩行者に危険や危険な行動を通知するシステムを利用することでヒヤリハットは大きく減少することが明らかになり,それに伴って事故数も大きく減少することが予想される.
近年,国土交通省をはじめ公共交通分野において,輸送情報の統計情報をオープンデータとして公開する動きが盛んになっている.オープンデータとして,筆者らは,歩行者交通量を対象としている.歩行者交通量は,歩行者密度と歩行速度の積で定義でき[2],また歩道の混雑度推定は,歩行流動線の交差の有無を考慮した推定手法[3]も報告されている.これらを踏まえ,筆者らは,[1]にて電動アシスト自転車と全天球カメラを利用した歩行者の混雑度推定を行ってきた.本稿では,次の段階として歩行者群の大きさ,その移動方向,移動速度の推定を図る..その際,初期検討として,自転車による移動環境ではなく,まずは定点カメラによる推定を行う.
2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックに向けてバリアフリーの意識が高まっている.また,バリアフリーに向けた取り組みとして,国土交通省が規定している歩行空間ネットワークデータという,段差や幅員などのバリアフリーに関連する情報を付与した「リンク」及びリンクの結節点を表す「ノード」によって構成されたオープンデータの整備が進められている.これに対して,加速度センサを使って段差を自動検知する手法やトンネル内を想定した投光器で観測された陰影によって検知する手法が提案されている.筆者らも,2DLiDARを自転車に搭載し,段差の自動検知手法の開発を行ってきている.
本稿では,我々の先行研究手法を改良し,自転車に搭載した2DLiDARのセンサ情報から段差の識別およびその高さを推定する手法を紹介する.
近年,日本の高齢化は進む一方で,今後さらに高齢者人口の割合は増えていくとみられている.そのため,多くの建築物でバリアフリー化が求められている. バリアフリー化を促進するための政策として,国土交通省はバリアフリー法を定めている.また,これら建築物の通路,段差といった情報をオープンデータ化する動きも盛んに行われている.これに対して筆者らは,自転車や車椅子といった移動体を活用したモバイルセンシングにより建築物の通路幅と段差を自動計測することを目的としている.本稿では,その初期段階として,RGB-Dカメラを利用した通路幅推定手法の検討を行い,早稲田大学構内8か所の通路に対して,本手法の精度評価を行う.
モノのインターネットを意味するIoTというキーワードを目にすることが多くなった.IoTでは,あらゆるモノにセンサを取り付け,ネットワークに接続し,IT情報技術を活用することで高度情報化社会の実現を目指している. LoRaWANはこれらIoT向けの通信方式として注目を集めている.低ビットレートながら低消費電力で長距離通信を実現しており,LPWA(Low Power Wide Area)の1つである.LoRaWANの応用例としては,河川の水位監視,落石・斜面の監視,災害予測,子どもや高齢者の見守り,公共交通のモニタリング,農業データの収集・通知などが挙げられる.秋田県由利本荘市においてLoRaWANを用いた地域情報共有システム構築のため,LoRaWANによる伝搬損失特性を調査した.
日本は高齢化社会が進み,高齢者の単独世帯が増加傾向にある.高齢者は身体能力の低下により,外出先や旅行先での観光地などで事故に遭う可能性が高い.また訪日観光客数は年々増加傾向にあり,観光客は今後とも増加すると予想される.加えて,日本は自然災害が多く発生するため,不慣れな土地を訪れた観光客が災害に見舞われたとき,避難や救助を求めることが困難になると考えられる.このように,観光地で起きうる危険から多種多様な観光客を守るシステムが必要であると考える.そこで本件では,観光客に安全な観光を提供するスマートツーリズムを提案し,その通信インフラとなるLPWA通信システムの実証実験による有効性の検証を行った.
工場内の無線化が進む昨今においては,様々なユースケースに応じて,センサやカメラから工場内の情報を無線通信により収集し,分析することで業務の効率化が図られている.工場内における無線システムを設計する際の課題として,外来電波の影響が懸念されている.一方で外来電波の到来があるチャネルについても,逐次周波数利用状況を把握し,使用されない時間帯で利用できれば,周波数利用効率を改善することができると考えられる.そこで,本検討では周波数利用状況把握のために簡易な測定システムを構成し,実際に測定した結果を報告する.
3月18日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟2F K203講義室 座長 松田隆志(NICT)
B-15-24 |
アラーム音源の識別精度向上のための学習データへの雑音重畳に関する実験的検討
◎門倉 丈・橋爪裕貴・川喜田佑介・五百蔵重典・田中 博(神奈川工科大) |
B-15-25 |
ワイヤレスセンシングと機械学習を用いた獣流推定システムの開発
○小野 悟(東大)・酒造 孝・荘司洋三(NICT)・猿渡俊介・渡辺 尚(阪大) |
B-15-26 |
Wi-Fi CSIを用いたCNNによる物体識別
○松田悠衣・小川将克・山中高夫(上智大) |
B-15-27 |
Wi-Fi CSIを用いた機械学習による人流推定
○金 世伊・小川将克(上智大) |
B-15-28 |
Wi-Fi FTMによる距離計測の評価
○崔 浩然・小川将克(上智大) |
筆者らは,聴覚障がい者や高齢者を対象とした室内アラームの音からニューラルネットワークにより鳴動機器を高精度に識別する方法について検討している.室内ではアラーム音だけではなく,掃除機の動作音やテレビの音など,多数の雑音が存在しているため,そのような雑音環境下であっても正しく識別する必要がある.本稿では,識別モデルを学習する際にあらかじめ学習データセットに疑似雑音を加えることによる雑音環境下での識別精度向上について検討を行った.その結果,雑音としてホワイトノイズを加えて学習した場合,雑音なしで学習した場合よりも,掃除機の動作音が重畳したアラーム音において,S/N比が10[dB]であっても識別が可能であることを確認した.
近年深刻な社会問題になっている鹿や猪等の大型有害鳥獣の駆除に関して様々な取り込みが行われている.これらの取り組みや法制度の整備が進む中,ハンターによる大型有害鳥獣の捕獲手段は依然として経験的熟練技術に基づいた古典的な猟法を用いており,出没位置の錯誤や,獲物への失中等効率的な捕獲が行われているとは言い難い状況である.これに加え,高齢ハンターの誤射等による死亡事故が毎年一定数発生している.鳥獣の存在を予め把握し,狩猟時において獲物を的確に認識することは,効率的な捕獲に加えて,誤認識による事故の抑止に繋がるものと考えられる.これに向けて本研究では,ワイヤレスセンシングと機械学習を用いた獣流推定システムを提案する.本稿では,同システムの開発進捗状況について報告する.
本稿では,送受信アンテナ間の複数伝送路におけるWi-Fiチャネル状態情報(CSI: Channel State Information)から振幅と位相成分を抽出し,CNN(Convolution Neural Network)を利用して,送受信アンテナ間に設置した物体の識別を評価する.
本研究では,Wi-Fiチャネル状態情報(CSI: Channel State Information)の振幅と位相成分を利用して,SVM(Support Vector Machine)により,人にセンサを装着せずに人の流れを推定すること目的とする.
Wi-Fi FTM(Fine Time Measurement)では,端末(STA: Station)からAP(Access Point)までのRTT(Round Trip Time)を利用して距離を計測する.本稿では,屋外において,APと端末の高さによる計測距離の違い,および2つのAPを設置したときに実位置からの誤差について評価する.
休 憩(11:00 再開) 座長 中野 亮(日立)
B-15-29 |
気圧センサ単体を用いた機械学習による人の行動推定
○金木 望・小川将克(上智大) |
B-15-30 |
高度測定時のセンサ間 時刻同期による精度改善
○横田浩之・加藤拓也・宇都宮栄二(KDDI総合研究所) |
B-15-31 |
実観測温度データを用いた空間補間センサ選択法の検討
◎夏目康平・藤井威生(電通大) |
B-15-32 |
低サンプリングなセンサデータにおける非線形関数を用いたモデル動特性の推定
○中川善継(都産技研)・佐藤春彦・森 一幸(イング) |
B-15-33 |
測定値の差分に基づく状態識別方法
○大久保敬子・鈴木敏明(日立) |
人の行動推定には,加速度センサや気圧センサなど,複数センサの併用方法が提案されており,加速度センサで歩行を検知し,気圧センサで昇降運動を検知している.本研究では,気圧センサ単体を用いて,人の行動状態を機械学習により推定すること目的とする.
気圧センサを用いた高度測定で精度を向上させるためには複数のセンサを用い,大気の気圧変動をセンサ間で相殺する手法が用いられる.さらに片方のセンサで5 分毎に測定した気圧データを参照し,もう片方のセンサの短期的な大気の気圧変動を相殺することで60 m の高度を平均2m 以内の誤差で測定できたことも報告されている.本稿ではさらにこの方法を発展させLTE Cat.M1を利用した携帯基地局との時刻同期を用い,2 台のセンサ間において秒単位で測定タイミングを合わせ精度の向上を図ったのでその結果について報告する.
近年,無線センサネットワーク(WSNs: Wireless Sensor Networks) の研究が盛んに行われている.WSNs ではセンサ(SN: Sensor Node) がバッテリ駆動であるため消費電力の削減が必要である.消費電力を削減させる手法の一つとして,一部のSN のみを稼働させる方法がある.観測対象に空間相関が存在する場合,全てのSNからのデータを収集しなくとも一部のデータで高精度に推定することが可能である.本研究では,稼働SN の選択アルゴリズムを提案し,稼働SN 数の低減により生じる誤差について検討した.
近年、計測センサ技術が小型・高度化し屋外での環境情報等を捉えることが容易となった。一方で、サンプリング等の制約のある環境下において、既存のセンサを用いて環境ノイズ等のばらつきを含む時系列計測データからその動特性を捉えることは線形解析等の手法では難しい。本論では非線形関数を用いてモデルをフィッティングさせることにより動特性を推定する手法について解説する。
工場やプラントなどの様々な製造現場においてIoT(Internet of Things)を活用した状態監視の普及が進んでいる.センサから得られる情報には,電源ON/OFF及び過渡期等の複数の状態が混在することが多い.異なる状態が混在するデータにおいて分析精度を向上させるためには,状態を識別し,各状態に適した分析を行う必要がある.本研究では,明示的な閾値設定を行うことなく,複数状態が混在するセンサデータから過渡期を抽出し,状態を自動で識別する方法を提案する.
3月19日 13:30〜16:15 総合科学部 K棟2F K203講義室 座長 太田 能(神戸大)
B-15-34 |
磁界を用いた端末位置推定における機械学習の有用性検証
○太田瑛佑・福島 絢・佐々木愛一郎(近畿大) |
B-15-35 |
磁界を用いた端末位置推定に適した学習方法の検討
○福島 絢・太田瑛佑・佐々木愛一郎(近畿大) |
B-15-36 |
Towards Real-Time Multi-Person Pose Estimation in low light environments
○△Viviana Crescitelli・Atsutake Kosuge・Takashi Oshima(Hitachi) |
B-15-37 |
歩行状態と地磁気を活用した屋内測位
○山本正明・本間 健・栗山裕之(日立) |
B-15-38 |
機械学習を用いた推定位置分布解析に基づくNLOS環境におけるロバストな屋内位置推定法の検討
◎△石田圭吾・岡本英二(名工大)・李 還幇(NICT) |
現在位置検出技術は様々なアプローチで研究されているが,障害物の影響を受けにくい磁界を利用した位置検出技術は,精度の高さという観点では特に有望である.磁界を用いた位置検出技術においては,検出した磁界からターゲット端末の位置を推定する際に最適化問題を解く方式が主流である.しかし推定に要する時間を100 ms以内に短縮するのは容易でなく,端末のリアルタイムトラッキングを実現するのは難しい.
筆者らはこの課題を解決するため,機械学習を利用した位置推定法を提案している.予め学習することが可能な本手法によれば,推定の時間短縮と精度向上を同時に実現できる見込みがあり,その有効性を確認したので報告する.
磁界を用いた端末位置推定における機械学習の有効性が報告されている。しかし、推定エリアの四隅に配置される磁界センサの近傍に端末が存在する場合には、推定精度が低下するという問題がある。筆者らは、訓練データの工夫によって位置推定精度を向上できることを確認したので、報告する。
Enabling collaborative robots to predict the human pose is a challenging, but important issue to address. Most of the development of human pose estimation (HPE) adopt RGB images as input to estimate anatomical keypoints with Deep Convolutional Neural Networks (DNNs). However, those approaches neglect the challenge of detecting features reliably in difficult lighting conditions. In response to this limitation, we present an RGB/Infra-Red camera fusion approach, based on the open-source library OpenPose, and we show how the fusion of keypoints extracted from different images can be used to improve the human pose estimation performance in sparse light environments.
地磁気と電波強度に基づく屋内測位方式は,施設全域を歩行して測定した地磁気および電波強度(教師データ)と,測位時に測定した地磁気および電波強度とのマッチングにより,歩行経路と現在地を推定する.この方式では,教師データの測定位置情報を人手で作成する必要があり,多大な労力が必要となる課題があった.そこで,我々は,業務記録サービスにおいて歩行経路まで記録する必要はなく,作業場の滞在時刻を記録できれば良いケースが多いことに着目する.本研究では,教師データの作成コストを低減するため,経路推定で必要な施設全域の教師データを作成せず,作業場のみの教師データを使って作業場の滞在時刻を推定する手法を提案する.
屋内環境において,UWBを用いた高精度な位置推定方式が検討されている.しかし,NLOS環境では推定精度が大きく劣化するため,冗長なセンサ数を利用してNLOSセンサを特定し排除する手法が提案されている.これらの一つであるLMedS法ではあるセンサ3個の組み合わせを様々に変更し,残差を評価することでNLOS環境のセンサを排除する.しかしNLOS環境のセンサ数が多い場合,その正確な特定が難しくなる.そこで我々はセンサ組み合わせにより得られる推定位置の分布を解析することでNLOSセンサをより正確に特定する手法を提案する.提案手法の性能は計算機シミュレーションにおける従来手法との比較により明らかにする.
休 憩(15:00 再開) 座長 清水 聡(ATR)
B-15-39 |
スペクトル拡散技術を用いたIEEE 802.15.4互換Backscatterに関する基礎的評価
◎小西陽平・木崎一廣・藤橋卓也・猿渡俊介・渡辺 尚(阪大) |
B-15-40 |
端末不均一配置のIEEE802.11ahネットワークにおける多種トラヒックを考慮した端末グルーピング方式
○下川真季・眞田耕輔・羽多野裕之・森 香津夫(三重大) |
B-15-41 |
ウェイクアップ受信機搭載無線センサネットワークにおける時間的相関を有するtop-kデータ収集法
○白石順哉・平野 駿・四方博之(関西大) |
B-15-42 |
電波を利用した海底下埋設物センシングシステムの検出能力についての一考察
○松田隆志・菅 良太郎・滝沢賢一(NICT)・吉田 弘(JAMSTEC)・児島史秀(NICT) |
B-15-43 |
海洋環境データ測定ブイを拡張した波高測定システムの性能評価
◎南 雄也・宇都宮栄二(KDDI総合研究所) |
無線センサネットワークの時代から Internet of Things (IoT)の時 代まで継続して問題になり続けているのが無線通信に要する電力および フェージングによる通信信頼性低下の問題である.本稿では,スペクト ル拡散技術による Backscatter の通信信頼性向上の実現可能性について 検討する.
IoTネットワークの主課題である超多数端末環境下における高チャネルアクセス競合抑制のため,IEEE802.11ahはRestricted Access Window (RAW) 方式を導入している.RAW方式は端末を複数グループに分割し,グループ内端末が同一RAWスロット内でアクセス競合する.よって,端末グルーピングがネットワーク性能に多大な影響を及ぼす.既存グルーピング方式の多くは均一な端末トラヒックと端末配置を前提としているが,実際には端末トラヒックや端末配置は多様化する.本稿では不均一端末配置ネットワークにおいて多種端末トラヒックに対応可能な端末グルーピング方式を提案し性能評価を行う..
無線センサネットワーク (WSNs)の省電力化を実現する技術として、センサノード(SN)に超低消費電力で動作するウェイクアップ受信機 (WuR)を搭載し、通信必要時のみ無線通信モジュールを駆動させるオンデマド型WSNsが提案されている。著者らは、オンデマンド型WSNsにおいて、データ収集ノード (DCN)が、ウェイクアップ信号 (WuS)の送信により、観測データ中の上位k番目までのデータを省電力、低遅延で収集するtop-kデータ収集法を提案してきている。本稿では、top-kデータが時間的相関を有する場合のデータ収集法を新たに提案する。
従来,海中ではセンサとして主に音波(ソナー)が用いられている.そこに電波を用いたセンシングと組み合わせることで,音波だけでは検出が困難だった埋設物を検出できる可能性がある.そこで我々は極限環境である海中において,これまでに海中電波伝搬測定を行ってきた[1].海中用のアンテナ[2]や海中チャネルサウンダを製作し,海中での安定した電波伝搬の評価を行うことができた.そこで得られた知見を活かして,電波を用いた海底下埋設物センシングの研究開発を行っている.本稿では,本研究で製作した海底下埋設物センシングシステムの検出能力について,シミュレーションの検討結果を報告する.
漁の安全性向上を目的として,小型海洋環境データ測定ブイ(スマートブイ)の制御基板に搭載された,加速度と角速度を測定可能な6軸センサを用いた波高測定システムを開発している.波高測定システムは,スマートブイの傾きを座標変換により補正し,鉛直方向の加速度成分を算出することで波高を測定している.試作した波高測定システムの精度評価を目的に,実際の漁場にスマートブイと水圧式波高測定システムを設置し,波高測定システムの性能について比較評価した.結果として,測定結果の差が最も小さい時は5cm未満であり,最も差が大きい時は約22cmであることを確認した.
3月20日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟2F K203講義室 座長 金井謙治(早大)
B-15-44 |
映像情報に基づく無線通信品質予測
◎高橋馨子・工藤理一・井上 武・水野晃平(NTT) |
B-15-45 |
映像を用いたオブジェクト検出アルゴリズムに対する通信品質予測性能評価
○工藤理一・高橋馨子・井上 武・水野晃平(NTT) |
B-15-46 |
カメラによる物体検出を活用した無線LANトラヒック制御の検討
◎西尾理志・角南智也・守倉正博・山本高至(京大) |
B-15-47 |
超高速ビジョンセンシングによる高速移動目標物へのマイクロ波送電指向性制御室内実験
○藤井正明・辻 直樹・増田重巳(ミネベアミツミ) |
B-15-48 |
動物モニタリングシステムにおけるAge of Informationを用いたデータ量低減手法
○中山 悠(東京農工大)・井上文彰(阪大)・桂井麻里衣(同志社大) |
B-15-49 |
野生動物向け物体検出機能を搭載したカメラデバイスの試作
◎恋塚 葵・横田浩之・宇都宮栄二(KDDI総合研究所) |
無線通信技術の発展により、様々なコネクテッドデバイスによるサービス創出が期待されている。本検討では屋内の実環境において、無線端末と基地局間をロボットに自動走行させ、端末に設置したHDカメラを用いてロボットの位置・大きさを認識し、機械学習により未来の通信品質を予測した結果を示す。
映像情報から移動オブジェクトを検出することで未来の無線通信品質を予測する技術を屋外実証実験で検証するとともに、オブジェクト検出アルゴリズムへの依存性を評価した結果を示す。
本研究では,カメラによる物体検出技術の無線通信制御への応用について検討する.特に,ユーザ状態に応じた無線LANトラヒック制御に向けて,カメラを用いて物体検出する機能を具備したAP(Access Point)を実装し,物体検出におけるフレームレートと検出精度を評価する.
社会インフラ構造物の走行モニタリングでは高速移動車両からバッテリレスワイヤレスセンサへのマイクロ波給電を企図している。今回、超高速(1000fps)ビジョンセンサにより相対的に高速移動(80km/h超)する目標物を捕捉·角度変換して多素子アンテナアレーからのマイクロ波ビーム指向性制御実験を電波暗室内で行い、受電強度ビジュアライザにより良好な追従特性を確認したので報告する。
動物行動の理解や,それを通じた生物多様性系の保全に向けて,動物のモニタリングは社会的に重要である.近年のカメラおよび画像解析技術の進歩により,カメラトラップ等を用いた低コストなデータ収集,そして画像からの自動的な動物検出が可能となっている.ただし,観測精度と取得データ量,コストにはトレードオフが存在することも指摘されている.そして今後重要となるリアルタイムな観測では特に,ネットワークやコンピューティングリソースが制限される環境が想定され,取得データ量の削減は重要な課題である.そこで本稿では,ネットワークカメラを用いたリアルタイム動物モニタリングシステムにおいて,サーバでの検知率を所望の値とするデータ取得間隔の設定手法を提案する.
生態調査や獣害対策などを目的とした動物のモニタリングに用いられるカメラとして,トレイルカメラが知られている.近年は,携帯網などを用いて撮影データをクラウドへ送信する製品も多く,リアルタイムな遠隔監視も可能となっている.しかしながら,撮影データには観測対象が含まれていない場合も多く,クラウドへの不要なデータ送信が発生する問題や内部ストレージの容量を逼迫する問題がある.このような問題に対し,カメラ内部に観測対象を認識する物体検出機能を搭載することで,データ送信・保存の制御や監視者の負担軽減が可能となる.さらに,エッジで処理することにより,低遅延で観測対象を認識できるため,捕獲罠や動物の追い払いシステムなどとの効果的な連動も期待できる.本稿では,物体検出機能を搭載したカメラデバイスの試作と,実際に撮影した野生動物の撮影データを元とした性能評価を示す.
休 憩(11:15 再開) 座長 瀧本栄二(立命館大)
B-15-50 |
路車間通信を利用した車線変更制御によるサグ部渋滞軽減効果の評価
◎澁谷祐輝・森野博章(芝浦工大) |
B-15-51 |
GPS/BeiDou RTK測位の位置捕捉精度のSNRマスク依存性
○藤田 壮・篠崎 蓮・小熊 博(富山高専)・亀田 卓・末松憲治(東北大) |
B-15-52 |
気象警報と連動したハザードマップ活用支援システム
○駒井孝紀・小泉 敦・小熊 博(富山高専) |
B-15-53 |
エッジコンピューティングにおける Pub/Sub システムのための協調的キャッシング手法
◎田中智也・蔦野拓海・鎌田十三郎・太田 能(神戸大) |
NEXCO東日本によれば高速道路における渋滞発生の原因は交通集中が約7割を占め,その交通集中の約6割が上り坂およびサグ部で生じている.サグ部での渋滞発生は, 主に追い越し車線で発生する車両密度の高い車群の中の一部の車両がサグの上り坂で減速し,その影響が後方車両に及ぶことで生じることが確認されている.この問題に対して標識を用いて車線利用の平準化や車線変更抑制を行う対策が研究されているが,標識の指示に従うかどうかはドライバーの意思に委ねられる.本論文では路車間通信を用いた車線変更制御によって渋滞を緩和する手法を検討する.路車間通信機能を備えた自動運転車両と通信機能を有しない手動運転車両が混在する環境を想定して交通流シミュレーションにより性能評価を行い,有効性を明らかにする.
我々は,GNSS(Global Navigation Satellite System)の高精度位置情報について無線通信分野や防災分野への活用を進めている. これまでGPS / BeiDouを対象に, 一般的にオープンスカイな環境で用いられるRTK(Real-Time Kinematic)測位について天空率が低い環境での可用性の評価を行ってきた. 本論文では,SNRマスクに注目し鉛直方向の位置捕捉精度についての評価を行ったので報告する.
近年,九州北部豪雨, 西日本豪雨, 令和元年台風15号/19号などの大規模な自然災害が発生しており,災害に対する危機意識は非常に高まっている.災害に対する人的被害を抑える方法の一つとしてハザードマップがあるものの十分に活用されているとは言い難い.我々は,国土交通省からのオープンデータを活用した水害用ハザードデータをテキスト形式で受け取れるシステムの開発を進めている.本稿ではハザード情報のビジュアル化ならびに土砂災害情報等のシステム付加とともに気象庁から提供される気象警報と連動したシステムを開発したので報告する.
リアルタイム性を強く要求する Pub / Sub サービスでは,Publisher はコンテンツの更新を即座に Subscriber に伝達しなければならない.MEC は低レイテンシと高帯域幅を提供し,エッジ環境上でコンテンツを複製してキャッシュしておくことは,即座な更新伝達を実現する手段として有効である.しかし,エッジ環境上で多数のコンテンツの複製物を保持することは,キャッシュ容量の大きな消費に繋がり,キャッシュ容量の消費を抑制する手段を講じる必要がある.そこで我々は,Publisher,Subscriber 間の関連性に着目し,関連性の強いクライアント同士で,キャッシュコンテンツを共有する手法を提案する.数値結果は,我々の提案する手法により,キャッシュ消費量が抑制されることを示している.
B-16. インターネットアーキテクチャ
3月17日 9:30〜11:45 総合科学部 K棟3F K302講義室 座長 菅原真司(千葉工大)
B-16-1 |
IEEE802.1TSNにおけるStrict Priority Queuingを用いたネットワークに対するQoSの推定方式に関する一検討
◎小林千紗・伊藤嘉浩・平野航平(名工大) |
B-16-2 |
IEEE802.1 TSNとトラヒックシェーピングを併用したネットワークにおける動画ストリームのQoS評価
◎中山瑠偉・伊藤嘉浩・平野航平・小林千紗(名工大) |
B-16-3 |
IEEE802.1TSNにおいて複数の規格を組み合わせたネットワークにおけるQoS評価
◎早川雅人・伊藤嘉浩・平野航平・小林千紗(名工大) |
B-16-4 |
Credit Based Shaperを用いたQoS制御におけるIdleSlopeFactorに関する考察
◎平野航平・伊藤嘉浩・小林千紗(名工大) |
次世代の完全自動運転の実現のためには,車載センサからの莫大な情報を伝送する必要があり,高速な次世代車載ネットワークが要求される.次世代車載ネットワークとしてはイーサネットの採用が検討されているが,車載ネットワークとして採用するためには緊急ブレーキ信号などの情報を優先して伝送できなければならない.
車載イーサネットにおける優先制御として,現在,採用が検討されているIEEE802.1 TSN規格では,時刻同期,転送制御,優先制御などが議論されている.こうしたIEEE802.1TSN規格の採用によって提供されるQoSは,環境により異なる.したがって,環境を入力とし,提供されるQoSを出力できるような推定方法があれば,車載ネットワークの設計における有用なガイドラインとなる.
本研究では簡単な多段なネットワークとを対象とし,IEEE802.1TSN規格の一つであるSPQ(Strict Priority Queuing)を利用時のQoSの推定方法を検討する.
IEEE802.1 TSNは,イーサネット上で時間制約のあるトラヒックを伝送するための規格であり,低遅延,時刻同期,帯域確保の3つを目標仕様としたものでありる.
IEEE802.1 TSNは産業用のIoTや,車載ネットワークでの採用が進められており,今後その評価が重要となる.
IEEE802.1 TSNでは,多くの制御方式が規格化されているが,筆者らはIEEE802.1 TSNとして,最も基本的な制御であるIEEE802.1QにおけるStrict Priority Queuing(SPQ)を対象として評価を行った.
文献[2]は,過負荷環境下において動画ストリームのフレーム損失率を測定した結果から,SPQだけの制御では不充分であり,ソフトウェアベースのQoS制御との組み合わせが有効であることを示している.
しかしながら,[2]では,詳細なQoS特性は明らかにされていない.
本研究では,過負荷環境下において,IEEE802.1 TSN対応のネットワーク上でのトラヒックシェーピングを併用した時のビデオストリーム伝送サービスに対して,そのQoSを評価する.
近年,完全自動運転の実現のための車載ネットワークとして,膨大なセンサーからのデータを伝送できる高速なイーサネットの採用が検討されている.これと併せて,車載イーサネット上で時間制約のあるデータを伝送するための国際標準規格であるIEEE802.1TSNの採用も検討されている.
IEEE802.1TSN規格は低遅延,時刻同期,高信頼性,リソース管理の4つの要素からなり,特に高信頼性を実現するための規格としてIEEE802.1CBがある.IEEE802.1CBはネットワークにおける信頼性を向上させるためにシームレスな冗長化を行なうものである.一方,低遅延の伝送を実現するための規格としてはIEEE802.1Qbuがある.これは低優先度のフレームを分割し,高優先度フレームを割り込ませることで高優先度のフレームの待ち行列遅延を小さく抑えるものである(Frame Preemption).
本論文ではIEEE802.1CBとIEEE802.1Qbuを組み合わせた環境においてシミュレーションによりQoSの評価を行う.
次世代の車載ネットワークである車載イーサネットにおい て,時間制約のあるデータを伝送するため,現在標準化が進め られている IEEE 802.1 TSN(Time Sensitive Networking) が検討されている.IEEE 802.1 TSN には多くの規格が存在 し,その一つとして,Credit Based Shaper; CBS がある. CBS はスイッチ内の各待ち行列に対してクレジットと呼ば れる値を与え,待ち行列からパケットを取り出すごとにクレ ジットを消費し,クレジットをすべて消費するとクレジットが 回復するまで待ち行列からパケットを取り出さないようにする ものである.CBS は実装が容易であるため,車載ネットワー クにおいて必須になるものと考える. CBS は各待ち行列ごとに IdleSlopeFactor(ISF)という値 を持ち,この変数はクレジットの回復速度の傾きを表してい る.ISF の値によって QoS が変化するが,ISF と QoS はの間 の関係は必ずしも明らかではない.そこで,本研究では ISF 値の最適値をシミュレーションによって調査する.
休 憩(10:45 再開) 座長 寺西裕一(NICT)
B-16-5 |
組織内ネットワーク攻撃を想定した監視におけるネットワーク機器の機能活用に関する一考察
◎鳥居大輔・石原真太郎・秋山豊和・小林和真(京産大) |
B-16-6 |
SDNによるマルチパス化方式のオンラインゲームへの適用の評価
◎高林 颯・伊藤嘉浩・小林千紗・平野航平(名工大) |
B-16-7 |
WebサービスにおけるQoS変動を抑制する新しいTCP輻輳制御方式の提案
◎曽根健太・伊藤嘉浩・長谷川愛里・平野航平(名工大) |
B-16-8 |
複数のサービス利用時のQoEベースのQoS制御を行う無線LAN基地局において最適なEDCAパラメータの検討
◎白木涼介・伊藤嘉浩・小林千紗・平野航平(名工大) |
近年サイバー攻撃の増加が報告されているが,標的型攻撃等の組織内ネットワークに対する攻撃の対策を行うには,ログの適切な保存に基づくネットワークフォレンジック対策が不可欠になっていることが報告されている.その際,外部ネットワークとの通信だけでなく,それと対応付けて組織内ネットワークへの通信を記録する必要があるが,すべての中継機器にファイアウォールやIPS/IDSなどのセキュリティ製品を導入するのはコスト面の課題が残る.そこで本研究では,性能面等での制約はあるが,中継するネットワーク機器の機能の活用により,ネットワークフォレンジックに活用可能な情報収集の可能性について調査する.
近年,複数のプレイヤで対戦するコンピュータゲームをス
ポーツ・競技として捉えるe-Sports が盛況であり,オンライ
ンゲームに対する注目度が高まっている.オンラインゲーム
には,リアルタイム性を要求されるものが多く,通信遅延やパ
ケット損失の少ないネットワークが必要とされる.
一方,[1] はWEB サービスにおけるSDN によるマルチパ
ス化方式を提案しており,実験によりその有効性を確認してい
る.本方式はトランスポート層をマルチパス化するものであ
り,オンラインゲームに対しても適用できるものと考えられ
る.そこで,本研究ではSDN によるマルチパス化方式のオン
ラインゲームにおける有効性をQoE 評価実験により確認する.
2 SDN によるマルチパス化方式
文献[1] の方式は,SDN としてOpenFlow を採用し,経路
が分岐するOpenFlow スイッチ上で,経路の輻輳度とパケッ
ト長によりパケットを振り分けてTCP またはUDP をマルチ
パス化するものである.本方式では,SDN によって制御を行
うため,プロトコルやネットワーク機器を変更することなく,
実現することができる.
近年のネットワークの高速・広域化に対応するため,多くのTCPの輻輳制御が提案されている.輻輳制御は,輻輳時に送信するデータ量を制御するものであ り,TCPの提供するQoS(Quality of Service)を決め る要因の一つである.TCPにおいて,輻 輳制御方式の違いによるQoSの変動がQoE(Quality of Experience)に与える影響を調査し,QoSを変動を 抑制する輻輳制御を採用することにより,高いQoEを実現できることを確認している.本研究では,QoSの向上ではなく,その変動の抑制 を優先することで,QoEの向上を行う新しいTCP輻輳制御を提案するとともに,これを実装し,実験によりその有効性を評価する.
無線LANの普及に伴い,無線LAN上での輻輳が問題となっている.この輻輳は無線LANを用いてWebサービスを利用する場合に,その体感品質(QoE)を劣化させるため,QoEを維持することができるQoS制御が求められる.文献[1]ではQoEベースでEDCAによるQoS制御を行う無線LAN基地局を開発している.しかしながら[1]では複数のWebサービスが存在する時の適切なEDCAパラメータを調査していない.
本研究では,[1]の無線LAN基地局において,複数のWebサービス存在するときの最適なEDCAパラメータを,実験により明らかにする.
B-17. スマート無線
3月17日 9:30〜10:45 総合科学部 K棟3F K305講義室 座長 王 瀟岩(茨城大)
B-17-1 |
HAPS移動通信システムにおける下りリンク周波数共用に関する一検討
◎小西光邦・西巻卓哉・生天目 翔・長手厚史(HAPSモバイル) |
B-17-2 |
HAPS・地上間の周波数共用におけるモビリティ制御に関する一検討
○西巻卓哉・小西光邦・生天目 翔・長手厚史(HAPSモバイル) |
B-17-3 |
マイクロ波レーダを用いたウォークスルー危険物検知システム
○小倉一峰・住谷達哉・カーン ナグマ・山之内慎吾・有吉正行(NEC) |
B-17-4 |
Compressed Representation of 3D Complex Radar Image for Real-Time Object Detection
◎Nagma Khan・Kazumine Ogura・Masayuki Ariyoshi(NEC) |
B-17-5 |
An Automatic Modulation Classification Method using Convolutional Neural Network with Constellation Diagram
○△Liu Yutao・Toru Nishiyama・Shigeru Tomisato・Kazuhiro Uehara(Okayama Univ.) |
成層圏プラットフォーム(HAPS: High-Altitude Platform Station)を用いた地上のセルラ移動端末(UE: User Equipment)と直接通信する携帯通信サービスは、サービスエリアの拡大、災害時の通信手段として非常に魅力的である。Long Term Evolution(LTE)のようなモバイル通信サービスをHAPSから提供する場合、周波数資源有効活用の観点から既存地上ネットワークとの周波数共用による運用が望ましい。しかしながら,HAPSと地上移動通信システム間の周波数共用については,これまでに検討が行われてこなかった。本稿では、屋外伝搬測定結果に基づいた周波数共用時の通信品質評価を実施し、下りリンク周波数共用の実現性を明らかにする。
成層圏プラットフォーム(HAPS: High-Altitude Platform Station)を用いた移動通信システムは、上空約20kmから移動局へ直接通信サービスを提供可能であるため、通信サービスエリアの拡大や災害対策への活用が期待されている。Long Term Evolution(LTE)のような移動通信サービスをHAPSから提供する場合、有限な周波数を有効活用する上で地上NW(Network)との周波数共用による運用が望ましい。しかし、HAPSは高高度からサービス展開をするため、HAPSと地上NWが同一周波数で運用される場合、サービスエリアが一部重複する可能性があり、HAPSからの信号は地上基地局に接続する移動局に干渉を与える。本稿では、HAPS・地上間の周波数共用における下りリンク干渉回避のためのモビリティ制御について提案する。
昨今の不特定多数の人を標的とする殺傷事件やテロに鑑みて、公共交通機関やイベント会場などのセキュリティ強化が急務となっている。このように人が多く通る場所では、人の流れを止めずに、利用者の負担なくセキュリティ検査を行うことが要求される。本稿では、筆者らが開発したウォークスルー危険物検知システムについて報告する。
We aim to realize a radar image based concealed dangerous object detection (CDoD) system for a walking human subject. A similar but static-scanning based system describes the original radar image as 3D and complex-valued. This large amount of data content makes it a challenge for real-time detection. We propose a compressed representation of the original radar image which achieves real-time detection with high accuracy.
In modern wireless communication applications, modulation classification plays a crucial role. It is also broadly applicated in illegal radio monitoring and cognitive radio system. Traditional systems have been studied since a long time ago, but there are some problems such as low efficiency and low accuracy.In recent years, there are a lot of applications on field of image recognition for the Convolutional Neural Network (CNN), and they have achieved great recognition results. Therefore, in order to achieve modulation recognition under low , we propose a new method for automatic modulation recognition based on CNN and use the trained model to classify with constellation diagram.
3月18日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K305講義室 座長 齋藤利行(日立)
B-17-6 |
ドローンネットワークにおけるクロスレイヤ通信品質評価の一検討
○設樂 勇・平栗健史・進藤卓也(日本工大)・西森健太郎(新潟大) |
B-17-7 |
畳み込みニューラルネットワークを用いた電波環境マップの空間補間に関する一考察
◎橋本理公・須藤克弥(電通大) |
B-17-8 |
TD-LTEの周期構造を用いた混合信号からの一次ユーザ検出手法
○中野隼輔(電通大)・稲毛 契(都立産技高専)・藤井威生(電通大) |
B-17-9 |
空き周波数リソース事前探知に関する検討
◎武藏美保・安達宏一(電通大) |
B-17-10 |
支配的な到来波に着目したミリ波帯における最小伝搬損失推定手法
村上厚介・○高田潤一・齋藤健太郎・ハンピニットサック パナウィット(東工大) |
ドローンネットワークを利用した中継伝送は,構造物のスキャン,災害時の情報収集,農業分野等,様々な分野での実用が期待されている.ドローンネットワークは地上の伝搬環境とは異なる空中で運用されるため,高硬度では自由空間伝搬によるドローン間の相互干渉,低高度では,構造物や地面等のマルチパス反射や地上からの干渉といった課題がある.そこで本稿では,現在開発中のクロスレイヤ3次元ネットワークシミュレータについて述べ,今後評価予定である異なる地形環境によるクロスレイヤ通信品質評価を検討したため報告する.
本稿では,限られた観測データから観測エリア全体の電波強度を補間し,面的電波マップを構築する手法について検討する.従来手法では,空間統計学に基づきシャドウイングの空間特性を推定するKriging[1]がある.これに対し本稿では,複数の畳み込み層で構成されるニューラルネットワークを用いた空間補間手法を提案し,評価実験にて性能を検証する.
周波数共用におけるスペクトラムセンシングの性能は,二次ユーザ端末の性能や無線環境に大きく依存するという問題があった.また周波数利用の普及に伴い,低性能端末の誤検出による干渉に加え,複数の二次端末から干渉が合成され閾値を超えることも考慮しより低SNRの信号検出が必要となる.その一方で,二次ユーザ側の需要増加に伴う通信機会獲得も重要な性能となり,保護マージンの小さい効率的なセンシングが求められる.そこでセンシング機能のみを具備した電波センサを別個に設置することで,センサ位置固定によるチャネル推定の高精度化,複数センサによる利得・空間分解の向上,二次通信中も一次ユーザの検出可能の利点を得られる.
周波数共用は,複数のユーザで同じ周波数帯の利用を可能にする.二次利用者(SU: Secondary User)が一次利用者(PU: Primary User)と同じ周波数を利用する場合,PUの通信品質保護が前提である.通信保護のために設置されている保護エリアでは,PUの通信の有無に関係なくエリア内の周波数共用は禁止である.また,SUが周波数共用中にPUの通信を検知した場合,他の周波数へ切り替えるためにSUの通信は一時遮断される.周波数切り替えが多発した場合,SUの通信品質の劣化が懸念される.スペクトラムデータベース(SD: Spectrum Database)を用いてSUの移動先の空き周波数帯を事前に探知するアルゴリズムを検討する.
近年,スマートフォンや関連アプリケーションの普及に伴い移動通信分野におけるトラフィック量は増加し続けている.しかしながら周波数割当はこれまで固定かつ排他的に行われており,新規無線通信サービスに割当可能な周波数資源は不足してきている.そのため,周波数利用効率の向上を目的とした動的周波数共用技術に注目が集まっている.筆者らはミリ波帯における支配的な到来波が屋根越え伝搬であることを念頭におき,エリア内の最小伝搬損失を推定することで共用可能エリアを検出するモデルを提案した.しかしながら,市街地環境では屋根越え伝搬以外にも受信局背後の建築物に起因する反射波が存在することが知られている.
そこで本稿では提案モデルを更に拡張し,それらの反射波が
伝搬損失及びスペクトラム検知精度に与える影響について検証する.
休 憩(11:00 再開) 座長 李 斗煥(NTT)
B-17-11 |
屋外測定結果を用いた電波センサ―空間圧縮法の検証
○田久 修・山本健一郎・不破 泰(信州大) |
B-17-12 |
空間的な周波数共有に向けたスペクトラムセンシングの情報圧縮の検討
◎山本健一郎・田久 修・不破 泰(信州大) |
B-17-13 |
ダイナミック周波数共用のための複数無線局の位置推定に関する一検討
○松野宏己・國澤良雄・林 高弘・天野良晃(KDDI総合研究所) |
B-17-14 |
ダイナミック周波数共用のための指向性アンテナの指向方向推定に関する一検討
○國澤良雄・松野宏己・林 高弘・天野良晃(KDDI総合研究所) |
B-17-15 |
並列給電導波管スロットアレーアンテナにおける分岐回路の電力分配比に対する広帯域化
○東 右一郎・工藤友章(日本電業工作) |
筆者らはこれまでに電波環境をモニタする電波センサ―から情報を収集する際、センシング結果である電界強度(RSSI)の空間的な相間を考慮した、情報圧縮技術を確立した。本研究では、マイクロ波帯の送信機における電波放射実験を屋外で実施し、多地点で測定したRSSI情報に対して、提案する空間圧縮技術の有効性を検証した。
近年の無線通信に伴い,データベース上で通信システムの管理を行うことで効率的な通信を実現を目指している.そこで環境内に多数センサを設置しセンシングデータをデータベースに蓄積することで精度の向上を目指しているが,多数センサのデータ量は莫大であるため情報圧縮が必要になる.集約された情報を圧縮する手法はすでに報告されているが各センサから中継センサに集約する際のトラフィック改善されていない.したがって,本稿では各センサから中継センサに集約する際のトラフィック改善について改善したので報告する.
第5世代移動通信やその先の移動無線システムに必要な周波数帯域を確保するために,異無線システム間での周波数共用の検討が進められている.周波数を共用するためには,既存システムに干渉を与えないように,既存無線システムの位置を推定し,干渉を与えない条件を決定する必要がある.
本稿では既存無線システムの位置推定法として,電力の重みづけ平均位置(重心)を用いる.従来手法では,複数無線局がある場合に推定できないが,適切なエリア分割と組み合わせることで,複数の無線局の位置を高精度に推定できることを確認した.
5Gの展開に向けて、国内外で追加候補バンドの検討が進められている.これらの周波数帯では,既存の無線システムが使われているため,5Gと既存無線システムが干渉しないよう動的に共用を管理するダイナミック周波数共用システムの実現が期待されている.既存無線システムには,可搬型の無線局や,秘匿性の高い無線局など,無線局の位置やアンテナの指向方向,放射パターンの情報取得が困難なシステムがある.5Gと既存無線システムが相互に干渉しない共用判定を少ないマージンで行うためには,これらの情報が必要となり,無線局の位置推定に関する研究が進められている.そこで本稿では,無線局のアンテナ指向方向推定の一手法を検討したので報告する.
アレーアンテナはアレーした素子への電力を制御し所望の開口分布を作ることで、サイドローブを抑圧することができる。並列給電のアレーアンテナにおいては給電回路の各分岐の電力を制御することで実現することができる。導波管スロットアレーアンテナにおいてはT分岐回路を使ったものが多く報告されているが、電力分配に対する周波数特性の検証は十分でない。本稿ではT分岐回路の電力分配に対する周波特性を示すとともに、その広帯域化を行う。テイラー分布によるサイドローブレベル-25dBの抑圧設計を例に、使用帯域幅20%の分岐及び分配回路の帯域内における電力分配の偏差を比較する。
3月19日 13:30〜17:30 総合科学部 K棟3F K305講義室 座長 長手厚史(ソフトバンク)
B-17-16 |
移動する送信局を対象とした受信電力の時系列予測に関する一検討
○長尾竜也・ヨウ ユンイチ・林 高弘・伊神皓生・天野良晃(KDDI総合研究所) |
B-17-17 |
環境変化による受信電力の時系列予測技術に関する検討
○ヨウ ユンイチ・長尾竜也・林 高弘・伊神皓生・天野良晃(KDDI総合研究所) |
B-17-18 |
ダイナミック周波数共用におけるプライマリ無線局のアンテナ回転を考慮した累積干渉計算手法
◎栗木寛斗・小野瀬圭太・木村亮太・澤井 亮(ソニー) |
B-17-19 |
ダイナミック周波数共用におけるビームフォーミングを考慮した与干渉制御手法
◎小野瀬圭太・栗木寛斗・木村亮太・澤井 亮(ソニー) |
B-17-20 |
周波数共用のための動的かつ公平な共用周波数割当方式の検討
○伊神皓生・林 高弘・天野良晃(KDDI総合研究所) |
近年,移動通信トラフィックは急増しており,今後も無線通信デバイスの高度化・多様化による需要増加が見込まれている.この状況に対応すべく,第5世代移動通信システム(5G)の導入・普及に向けて検討が進められているが,5Gへの追加割当ての候補とされる周波数帯の多くは,既にさまざまな無線システムで利用されている.このような背景から,異システム間での動的な周波数共用への期待が高まっている.本稿では,既存無線システムの送信局が移動しながら送信する場合を想定し,移動に伴う受信電力の時間変動について,送信局の位置情報を用いずに将来予測を行う手法について報告する.
本稿では,受信電力の長期間予測において,伝搬環境の変化を考慮した受信電力の多変量時系列予測手法を提案し,シミュレーションによる予測精度の確認を行う.
移動通信システムにおける周波数資源枯渇対策として,既存の無線システムとのダイナミックな周波数共用が世界的に注目を集めており,日本国内でも,総務省の周波数再編アクションプランに基づいたダイナミック周波数共用が推進されようとしている.
本稿では,プライマリ無線局のアンテナ回転を考慮した累積干渉計算手法を提案する.提案手法がセカンダリ無線局の利用機会増大に有効であることを,計算機シミュレーションにより示す.
2020年以降、5Gが本格的に普及するに従って、周波数資源の切迫が続くことが想定される。今後、WRC-19で議論されたIMT周波数帯を利用するには、すでに周波数が割り当てられているプライマリシステムと5Gの高度なダイナミック周波数共用を実現する必要がある。本稿では、ダイナミック周波数共用の高度化を実現するために、セカンダリシステム無線局のビームフォーミング特性を考慮した与干渉制御手法について検討する。
近年,周波数の逼迫への対応策として,独占的に割り当てられた排他的利用帯域における周波数の共同利用が注目されている.我々は,周波数の独占利用権を持つ既存無線システムと2次利用する無線システムという異システム間の周波数共用をより稠密かつ動的に実現する技術の検討を進めている.本論文では,この異システム間の動的な周波数共用において,2次事業者への空き周波数リソースを公平かつ動的に割り当てる手法を提案する.
休 憩(15:00 再開) 座長 東中雅嗣(三菱電機)
B-17-21 |
ダイナミック周波数共用における異システム干渉除去の初期評価
○堅岡良知・菅野一生(KDDI総合研究所)・鈴木利則(KDDI総合研究所/東北学院大)・石川博康(KDDI総合研究所/日大)・山崎浩輔・岸 洋司(KDDI総合研究所) |
B-17-22 |
周波数共用5Gシステム実現のためのプライマリ同期信号を用いた5G NRダウンリンク信号検出手法
○横山梨一・水谷圭一・松村 武・原田博司(京大) |
B-17-23 |
共用周波数高効率利用のための干渉制約下におけるビームフォーミング制御に関する一検討
◎長谷川 嶺・守内祐三・志水紀之・安永 毅・金本英樹(パナソニック) |
B-17-24 |
ローカル5G自営無線システムのマルチテナント環境におけるスライス単位の干渉制御技術
○田中良紀・大山哲平・札場伸和・瀬山崇志(富士通) |
B-17-25 |
ローカル5G自営無線システムのマルチテナント環境における下りリンク帯域割当に関する一検討
○大山哲平・田中良紀・札場伸和・瀬山崇志(富士通) |
第5世代移動通信システム(5G)の実用化およびさらなる高度化に期待が高まっている.一方,この先5Gでの利用が検討されている周波数帯の多くは,日本国内では既に別の通信システムに割り当てられており,これらの周波数帯を利用するためには,周波数共用が必要である.我々は,既存無線システムに影響を与えない範囲内で,離隔距離などの干渉回避マージンを極力減らし,周波数資源を効率的に利用するダイナミック周波数共用のための周波数管理・利用方式を検討している.本稿では,このような場合に課題となる既存無線システムからの干渉を5Gの受信側で除去する技術の初期評価結果を報告する.
5Gシステムの割当周波数拡大のために,他システムの免許帯域において,当該一次利用者に干渉を与えない条件で新たに5Gを運用するダイナミック周波数共用が注目を集めている.本稿では,2.3 GHz帯におけるダイナミック周波数共用を目的とし,一次利用者側で5Gからの被干渉を監視するための高能率な信号検出方式を提案し,計算機シミュレーション評価によりその有効性を示す.
近年,高速大容量コンテンツの普及に伴い,移動通信トラヒックは増加の一途を辿っている.2019年4月には,新たに第5世代移動通信システム(5G)に対する,携帯電話事業者への周波数割り当てがなされ,2020年代以降,5Gが本格的に普及するに従い,より一層の高速大容量化及び周波数資源の逼迫が続くことが想定される。折しも,2019年11月に開催された国際電気通信連合(ITU)の世界無線通信会議(WRC-19)では,5Gの追加割当て周波数帯が特定されたところであるが,これらの周波数帯の多くは,移動通信業務以外に割り当てられており,利用には周波数共用の実現が必要である.筆者らは,既存の無線システムに干渉等の影響を与えずに,5Gが屋内の限定的なエリア等利用許可を与えられた空間で共用周波数を最大限利用可能とする手法について検討した.
企業等が5G通信技術を用いた自営無線ネットワークを独自に構築できる制度として、限定されたエリアで通信事業者以外に5G用周波数を割り当てるローカル5Gへの関心が高まっている。本稿では、ローカル5Gの普及促進に向けて、マルチテナント環境における隣接システム間での干渉問題を考察し、有効な干渉制御法を提案する。
企業等が5G通信技術を用いた自営無線ネットワークを独自に構築できる制度として、限定されたエリアで通信事業者以外に5G用周波数を割り当てるローカル5Gへの関心が高まっている。しかし各テナントが独自の5Gシステムを運用するマルチテナント環境においては、システム間干渉が懸念される。本稿では、ローカル5Gの普及促進に向けて干渉制御技術を確立すべく、種々の帯域割当法に対する無線特性をシミューレーションによって評価した。その結果、割り当て帯域を減らしてでも干渉を抑える方式が有効であることを示した。
休 憩(16:30 再開) 座長 山田洋士(石川高専)
B-17-26 |
製造現場の複数アプリケーションに対するEnd-to-End通信リソース制御
○夜船誠致・周東雅之・雨澤泰治・佐藤慎一(モバイルテクノ) |
B-17-27 |
製造現場の高ノイズ環境における多用途周波数共用のための計測可視化技術の研究開発
○宮本進生・大西綾乃・武内良男・長谷川晃朗・横山浩之(ATR) |
B-17-28 |
製造現場の高ノイズ環境における多用途周波数共用のためのノイズパターン検出に関する一検討
○大西綾乃・宮本進生・武内良男・長谷川晃朗・横山浩之(ATR) |
B-17-29 |
異なるクロック周波数による同時アンダーサンプリング情報を用いた圧縮センシング型スペクトル推定法
○芝 隆司・古市朋之・本良瑞樹・亀田 卓・末松憲治(東北大) |
製造現場では,多種多様な無線機器・要求の異なるアプリケーションが混在することで生じる電波干渉により,アプリケーションが正常に動作しない問題が起こり始めており,製造現場における無線通信の利活用が進まない要因となっている.この問題を解決するために,筆者らは,各アプリケーションの要求通信品質を満足するように有限な通信リソースを割り当てるEnd-to-End通信リソース制御技術を検討しており,本稿ではその検討内容について報告する.
工場等の製造現場では,無線機以外にも産業機械および高周波利用設備が稼働しており,これらから発せられる高レベル・広帯域な電波ノイズが原因となって,無線機器の通信が途絶し輻輳するという問題が発生している.このような環境下においても信頼性のある無線通信を実現するため,筆者らは実際の製造現場で運用可能な電波ノイズのモニタリングシステムを構築,取得したデータの可視化や分析技術を確立し,分析データの無線通信の制御や導入・運用へのフィードバックを試みる研究開発を開始した.本稿では研究開発の構想について述べるとともに,初年度の取り組みについて報告する.
工場等の製造現場では複数の無線方式を混在して使用することも多く,また無線通信を行う帯域に産業機器から広帯域ノイズが発生することも知られている.このような環境下で信頼性の高い無線通信を行うためには,各製造現場特有の電波環境を把握し,安定した通信が可能な帯域やタイミングを見出し,通信を行う必要がある.
筆者らは製造現場の電波環境を効率的に解析するための技術開発を行っており,本稿では実測データを用いた広帯域ノイズの検出方法の検討内容を報告する.
二種類のノイズパターンと狭帯域の無線通信信号が含まれている実測データを解析し,ノイズや通信発生のタイミングが適切にクラスタリングにより抽出可能なことを確認した.
アンダーサンプリング方式によるRF (Radio Frequency)信号再生技術はミキサーとローカル発振器を必要としないため,回路の簡略化に有利である.しかし一般にアンダーサンプリングによるスペクトルの折返しが発生し,サンプリング周波数の半分fs/2を越える規定周波数帯域のRFスペクトルの推定には特殊な方式を必要とする.今回,我々は,一般的な信号スペクトルのスパース性を利用し,圧縮センシングアルゴリズムを用いて,上記とは異なる複数クロックの同時アンダーサンプリングスペクトルからRFスペクトルの再生を行う方法を提案した.また,規定帯域がシステムのfs/2帯域より大きい条件で,920MHz帯,2.4GHz帯,5GHz帯の合成CW信号に上記アルゴリズムを適用し,本手法の有効性を確認した.
3月20日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K305講義室 座長 稲毛 契(都立産技高専)
B-17-30 |
大規模IoTネットワークにおける強化学習型チャネル選択手法の性能比較
○長谷川 聡(東京理科大)・金 成主(慶大)・荘司洋三(NICT)・長谷川幹雄(東京理科大) |
B-17-31 |
メッシュネットワークにおけるQ-Learningを活用した受信機ビーコン送信間隔決定法の検討
○畑田優希・藤井威生(電通大) |
B-17-32 |
誤検出と誤警報を考慮したランデブチャネル法の評価
◎西尾勇樹・田久 修(信州大)・征矢隼人(neko 9 Laboratories)・太田真衣(福岡大)・藤井威生(電通大) |
B-17-33 |
IoTネットワークにおける無線通信方式選択手法の検討
◎見舘空椰・山崎悠大・藤井威生(電通大)・成枝秀介(三重大) |
B-17-34 |
Point to Pointシステムを対象とした自律的周波数共用システムの一検討
◎小國治也・細井宏樹・前山利幸(拓殖大)・吉岡達哉(ATR)・鈴木信雄(近畿大)・長谷川晃朗(ATR) |
IoTの普及に伴いIoTデバイス数は劇的な増加を見せている.生み出されるトラフィック量も膨大になり,通信混雑が懸念されることから,マルチチャネルを利用した無線通信に関する研究が盛んに行われている.しかしながら,既存のマルチチャネルアルゴリズムの多くは,同期やチャネル割当てのためのオーバヘッドを要し,機能的制限を持つIoTデバイスには適していない.
そこで我々はIoTデバイスの厳しい制約下でも動作する自律分散的な強化学習型のチャネル選択手法を既に提案している.コグニティブ無線におけるチャネル選択をMulti-ArmedBandit (MAB) 問題にモデル化し,計算量の少ないTug-of-War (TOW) ダイナミクスと呼ばれる計算量の少ないMABアルゴリズムを実際のIoTデバイスに実装し,通信環境が変動する環境において実験から動的なチャネル選択を確認した.
しかし,実機による実験ではデバイスの数に限度があり,大規模なIoTネットワーク環境を想定できていない.そこで本稿では,周波数が競合するIoTシステムが混在した大規模なネットワーク環境を想定したシミュレーションを行い,提案手法の有効性を示す.
日本では,スマートメータ向けの通信規格の一つとして,省電力プロトコルのU-Bus Air が標準化されている.U-Bus Airは,時間非同期の通信プロトコルであるため,ネットワークの拡大が容易である.しかし,通信間隔が一定であるため,ネットワークの拡大によりボトルネックが増加し,通信性能の劣化に繋がる.これに対して,フュージョンセンタ (FC: Fusion Center)による集中制御が検討された.しかし,トポロジ情報の収集とフィードバックによってオーバーヘッドが増加する問題がある.そこで本研究では,各端末がQ-Learningを用いて周囲端末のPDRを均一するように学習することで,各端末が適切な通信間隔を自律分散的に導き,通信性能の向上を図る
近年,無線通信機器の爆発的な普及に伴って周波数資源の枯渇が問題となっている.そこで,無線端末が開拓的に周波数資源を利用するコグニティブ無線が注目されている.コグニティブ無線では,二つの端末であるマスタとスレーブのアクセスするチャネルが異なり通信が確立できない.そこで,マスタとスレーブが同じチャネルを選択するため制御信号を交換するプロトコルをランデブチャネルという.
本研究では,センシングの誤検出及び誤警報を考慮し,一定のスロット時間内にランデブチャネルが完了する達成確率を導出し,スロット時間を最小にするためのスレーブの選択チャネル最適化を検討した.
近年,LPWA(Low Power Wide Area) 端末の増加に伴って,利用周波数帯域のひっ迫から生じるパケット衝突が問題となっている.そこで, LPWAの1 つであるLo-RaWAN ネットワークとBLE(Bluetooth Low Energy)ネットワークが混在する環境下において, 適応的に通信方式を切り替えることによって, LoRa パケット衝突の緩和を目指す.そのため, 本稿では端末のQoS(QualityofSevice) 要求を満たしつつ, パケット送信を行える通信方式選択手法の検討を行う.
第5世代移動通信システムをはじめとして,さらに高度な移動通信システムを実現するためには周波数の有効利用が必要となる.そのために場所,時間,周波数を考慮した動的周波数共用技術の研究が進められている.動的周波数共用を実現するためには周波数の利用状況を逐次把握することが求められている.そこで複数の端末を用いた協調センシング技術が研究されている.しかし,この手法ではセンシングデータの信頼度を向上させるために用いられている.そこで本稿では,複数端末でセンシングデータを共有し自律的に周波数共用を行うシステムを提案し,シミュレーションにより,その性能についての検討を行う.
休 憩(11:00 再開) 座長 前畠 貴(住友電工)
B-17-35 |
無線分散ネットワークにおけるシャドウイング分類器を用いたスペクトラムデータベース構築法の検討
◎片桐啓太・藤井威生(電通大) |
B-17-36 |
四分木構造を用いた電波環境マップのデータ圧縮に関する一検討
◎園田晟也・稲毛 契(都立産技高専) |
B-17-37 |
電波マップの周波数-空間補間に関する検討
○佐藤光哉(東京理科大)・稲毛 契(都立産技高専)・藤井威生(電通大) |
B-17-38 |
周波数共用時の適応帯域選択によるシステム間干渉低減効果
○高松直登・犬束欣生・冨里 繁・上原一浩(岡山大)・清水 聡・鈴木義規(ATR) |
B-17-39 |
ダイナミック周波数共用における干渉計算の一手法
◎安部功将・佐々木重信(新潟大)・大宮 陸・村上友規(NTT) |
無線通信技術の発展に伴い,近年,無線分散ネットワーク(WDNs: Wireless Distributed Networks) が急速に普及している.WDNsでは,送受信端末双方が動的に移動するため,電波伝搬の不確定性に起因する通信品質の劣化が深刻な問題となっている.高信頼なWDNsの実現に向け,筆者らは実観測型スペクトラムデータベースの構築および利用方法を検討しており,これまで,複数の実証実験を通してその有用性を明らかにしている.しかし,既存のデータベースは送受信位置ごとに観測値群を統計化するため,データベースに蓄積されるデータ量が膨大となる恐れがある.一方,シャドウイング値は空間相関性を有する事が経験則的に知られている.WDNsにおいては,送受信機の移動距離の和に対してシャドウイング相関値が指数的に減衰する事が報告されている.本性質に着目し,シャドウイング値が類似する地点では同一の伝搬モデルを用いることで,蓄積データ量を削減した上での高精度な電波伝搬特性予測の実現が期待できる.本稿では,WDNs向けシャドウイング分類器を提案し,実測データを用いてその有用性を評価する.
従来のREMはエリアを緯度経度に応じた等間隔メッシュで構築し,メッシュ内の複数観測値は平均化を行う.
空間変動のうちシャドウィングに追従するためには細分化されたメッシュでエリア情報を保持する必要がありデータ量が膨大になってしまう.
そこで本稿では,四分木構造を用いたREMのデータ圧縮の精度について検証を行い,精度を保ちつつ高い圧縮率を得ることができることを確認した.
クラウドセンシングを用いて電波マップ (RM: Radio Map)を構築する際,観測可能な地点が限られることから,観測値のみではRMが歯抜けになる.そのため欠損情報を補間する必要があるが,これまでの議論の多くは空間軸のみの補間に留まっていた.即ち,RMを活用可能な帯域は端末が観測可能な帯域に限られており,その利用ケースの狭さや多大な観測コストといった問題がある.本稿ではシャドウイングの周波数相関に着目し,空間補間手法の周波数軸への拡張を図る.
無線ネットワーク全体の通信量を最大化するため,管理下の無線システムの干渉を制御するコンセプトが提案されている.このときに周波数利用の高効率化を実現する技術として周波数共用技術があり,干渉システムの使用帯域を狭帯域化して帯域外輻射を低減した場合の干渉低減効果が評価されている.本研究では,周波数を共用するシステムの使用帯域に応じて,狭帯域化する帯域を適応的に選択した場合のシステム間干渉低減効果を明らかにする.評価結果から、干渉システムで帯域幅制御を適用する帯域を被干渉システムの使用帯域に応じて選択することで干渉低減効果を増大でき,帯域使用率を改善できることを明らかにした.
時空間的に空いている周波数を動的に二次利用することで、無線容量を増大させる周波数共用技術が注目されている.周波数共用にあっては、周波数の一次利用者に干渉の影響がないことを確かめるため、干渉が懸念される領域において干渉計算により共用判定を行う必要がある。これまでにUHF帯における周波数共用における干渉計算の際に50mのメッシュ上を選択する手法が示されている。しかし、干渉領域の全ての点について干渉計算をし、共用判定を行うには時間を要するという課題がある.本報告では、干渉計算を行うポイントの選定に極座標を導入し、共有判定の時間の短縮を図る手法を提案する.
シミュレーションによる性能評価を行った結果、極座標形式による干渉計算地点の決定により、計算時間の短縮が可能なことを示した.
3月20日 13:30〜16:30 総合科学部 K棟3F K305講義室 座長 太田真衣(福岡大)
B-17-40 |
Smart Resource Flow 無線プラットフォームに準拠した無線システムの開発
◎高橋弘樹・山邉知満・雨澤泰治・佐藤慎一(モバイルテクノ) |
B-17-41 |
RSSI情報を用いた危険車両接近注意喚起システムに関する一検討
○渡辺良人・酒造 孝・荘司洋三(NICT) |
B-17-42 |
RSSI情報を用いた危険車両接近注意喚起システムにおける車載GPSの併用効果に関する一検討
○酒造 孝・渡辺良人・荘司洋三(NICT) |
B-17-43 |
チャープ復調を利用した干渉電力推定法の提案
◎小林 岳・田久 修(信州大)・安達宏一(電通大)・太田真衣(福岡大)・藤井威生(電通大) |
B-17-44 |
蓄積一括信号処理を用いた衝突した信号の分離・復調方法におけるSTFT窓関数の一検討
◎西山 徹・宮地龍功・大野文也・冨里 繁・田野 哲・上原一浩(岡山大) |
B-17-45 |
電波環境モニタリングを活用した920MHz帯無線ネットワークにおけるチャネル割り当て及び送信電力制御の検討
○須藤浩章・小坂和裕・小谷暁彦・下条則之・安永 毅(パナソニック) |
Society 5.0の実現には,フィジカル空間とサイバー空間を高度に融合させる連携技術CPS(Cyber Physical Systems)の構築が必要不可欠であり,様々なデータ収集のために,無線通信の利活用が望まれている.しかし,Society 5.0で最も期待されている製造現場では,多種多様な無線機器が混在し,無線区間での干渉問題により,アプリケーションが正常に動作しないという問題が起こり始めている.
このような問題を解決するために,我々は,空間内の無線通信を最適化するSmart Resource Flow(SRF)無線プラットフォームを活用し,情報の種類・質・優先度に応じて情報の伝達経路を選択し,アプリケーションが許容可能な遅延時間内に情報を配信する機能の開発を進めている.また,ミドルウェアからの情報をデバイスに即時応答性を持たせて伝送するゲートウェイ,受信した情報を翻訳してアクチュエータ等に伝送するインターフェースモジュールの開発も進めている.
本稿では,SRF無線プラットフォームに準拠した無線システムについて紹介する.
高齢者等が運転する危険車両の接近情報は,歩行者にとって事故の未然防止をする上で重要である.本稿では,小型 IoT 端末から繰り返し発信されるビーコンの Received Signal Strength Indicator (RSSI) 情報の変動から,両者の接近を検出する手法を提案する.具体的には,RSSI の時系列データに線形回帰を適用して得られる回帰係数に対し,スチューデントのt検定を用いる.車両から歩行者への単一方向のビーコン送信によるパッシブ方式と,歩行者から発信されたビーコンに対し車両が応答ビーコンを送信するアクティブ方式の検出精度を比較する.
車両と自転車などの軽車両の飛び出し事故を回避する手法として,一般的にカメラやレーダーによるオブジェクト検出の研究が盛んであるが,見通しの悪い交差点や住宅街等における視野外に存在する歩行者を検出することは困難である.筆者らは,車両と自転車などの軽車両の間でビーコンを双方向で送受信を行うことで両者の存在を検出するシステムを提案しているが,実際には接近していない車両への誤警報が多発する恐れがある.この問題を解決するために,航空機系システムなどで採用されているように Global Positioning System (GPS) 情報をビーコンに挿入し位置、速度、方向の情報を双方に交換し、他車の接近を検出するシステムを簡易なIoT端末を用いて実現する手法が考えられうるが,市街地ではGPSの精度が悪化する場合がある.本稿ではGPS情報を用いた接近検出をする方法とビーコンのRSSIの変動から接近検出を行う手法を,併用する事により検出精度の向上に効果があるか検討を行う.
近年,LPWA(Low Power Wide Area)がIoT(Internet of Things)の活用に適しているとして注目を集めている.LPWAとは低消費電力で長距離通信が可能な通信規格である.電源が確保しにくい環境であっても,LPWAはバッテリーで長時間の使用が可能なためIoTのニーズに合致し活用されることが多い.しかし,LPWAに分類される無線通信システムはそれぞれ独立に提案されているため,同一周波数を使用する他の無線通信システムから干渉(CCI:Co-Channel Interference)を受けてしまう可能性がある.
LPWAの代表例であるLoRaはチャープ変調(スペクトラム拡散技術)を使用している.この方式では信号の拡散率を大きくすることで干渉電力への耐性を高くすることができるが、同時に伝送レートが下がってしまう.そのため,干渉量に合わせた適切な拡散率の設計が必要となる.
本稿では,チャープ復調を利用した干渉電力の推定法を提案する.
IoT時代が間近となり,限られた周波数資源の中で多数の低機能の端末が無秩序に通信し衝突や干渉により受信が出来なくなり,時に人々の安心安全をも脅かすという課題がある.そこで,ネットワーク上での蓄積一括信号処理技術を確立するため,従来の受信機では実現できない,衝突した信号や干渉を受けたIoT/M2M端末信号の分離方法と信号分離後のデータの復調方法として,短時間フーリエ変換を用いた特徴量抽出による信号分離と得られた特徴量を復調に使用する方法を提案,さらに信号分離に使用する短時間フーリエ変換の窓関数を変更して計算機シミュレーションを行い,窓関数による信号分離性能への影響を確認した.
IoT機器の普及によって電波干渉・電波雑音の増加が懸念されており、管理内の無線Network(NW)全体を制御し、NW全体の通信量を最大化する技術が検討されている。本報告では、電波環境モニタリングを活用したチャネル割り当て及び送信電力制御の検討を行ったので報告する。
休 憩(15:15 再開) 座長 佐藤光哉(東京理科大)
B-17-46 |
920MHz帯LPWAのアンテナ高による建物遮蔽の緩和効果の実測評価
◎杉本亮太・田久 修(信州大) |
B-17-47 |
バンドパスデルタシグマ変調器の演算量低減
○前畠 貴(住友電工)・本良瑞樹・亀田 卓・末松憲治(東北大) |
B-17-48 |
時系列受信データを活用した位置指紋法による高精度位置推定の検討
○辻野孝弘・田中翔馬・タン ザカン・藤井輝也(東工大) |
B-17-49 |
単一の電波センサを用いたドップラシフトによるミリ波帯移動端末の速度推定
○秋元浩平(秋田県立大)・田久 修(信州大)・川上雅士・戸花照雄・礒田陽次(秋田県立大) |
B-17-50 |
無線リソースのシェアリングへ向けた模擬環境による計測実験
◎野依祐太・大橋正良(福岡大) |
近年IoT(Internet of Things)向けの無線技術LPWAN(Low Power Wide Area Network)が注目を集め,急速に普及している.LPWANは長距離かつ低消費電力で通信を行うことができる.そのため,給電なしに長時間動くことから産業用途に用いられたリ,配線の難しい山岳地帯でのニーズが増えている.しかし、市街地で用いられた際に,建物遮蔽による通信遮断が問題となっている.
そこで,LPWAの規格であるLoRaWANに着目し,情報集約局のアンテナを高く配備したときの,建物遮蔽の緩和について実機及びドローンによる滑空試験により定量評価を行ったので報告する.
1ビットバンドパス変調器(BP-DSM)の開発に注力している。この方式は、搬送波含む無線信号を数Gb/sの高速1ビットディジタルデータに変換しディジタル部から直接出力するため小型化が可能となる。一方、この方式の場合、Gs/s に相当する並列処理が必要となりため様々な線形手法による演算量の削減が検討されているが、BP-DSMは非線形処理を含み演算量の削減は容易ではない。
そこで本稿では、新たなアップサンプリング手法と、アップサンプリング数Mを適用した雑音伝達関数NTF(zM) を提案し、1/Mの演算量低減を実現できることを報告する。
GPSを利用しない位置推定法として,事前に位置(ポイント)ごとに複数の基地局の電波の受信電力を測定しておいて,各端末が測定した複数の受信電力とパターンマッチングすることで位置を推定する “位置指紋法”がある.本稿では,その手法の位置推定精度の改善を図るため,端末が測定した時系列上の複数の受信電力値を利用する時間次元に拡張した“次元拡大位置指紋法”を提案し,評価した.
限られた周波数資源を有効活用するため,既存の無線システム(PU: primary user)が利用する周波数帯のうち空間・時間的に未使用な部分を別の無線システム(SU: secondary user)が使用する周波数共用手法が検討されている.特に直進性が強くビームフォーミングを用いるミリ波帯では高い空間利用効率が期待される.周波数共用の実現には SU から PU への干渉を防ぐ必要があり,特に SU の移動端末から基地局へのアップリンク通信の際に生じる PU への干渉はリアルタイムに監視する必要がある.これを実現するため,路上などの周波数共用が想定される場所に設置された電波センサを用いた周波数共用システムを想定する.本稿ではミリ波帯(26~60 GHz)における単一の電波センサを用いた SU の移動端末の将来位置予測に重要な移動速度推定を計算機シミュレーションにより検証する.
5Gの周波数割り当てに見られるように無線規格は広帯域化の要請により今後より高い周波数帯が利用され,基地局あたりのカバレッジは狭まる傾向にある.そのためエリアをカバーするために、多数の基地局の配備が必須となる。こうなると帯域分割された周波数帯を割り当てられた基地局群を各キャリアが個別に配備するよりも、広帯域な通信を行える基地局群を複数キャリアで動的にシェアする手法に合理性が生まれる。これにはリソースを柔軟に割り当てられるような仕組みが必要である.本稿では,基地局シェアリングのための模擬環境を構築し,スループットの計測を行ったことを報告する.
B-18. 短距離無線通信
3月17日 9:45〜12:15 総合科学部 K棟3F K311講義室 座長 水谷圭一(京大)
B-18-1 |
物理層ネットワークコーディングを用いた双方向無線中継のための 多値 QAM 変調用の符号化変調方式
○田野 哲・侯 亜飛(岡山大) |
B-18-2 |
ベクトル型周期性干渉除去のための適応サイドバンド選択法
◎古谷侑也・田野 哲・侯 亜飛(岡山大) |
B-18-3 |
インピーダンス変換回路によるRFバックスキャッタリング信号レベルの改善
◎渡邉伊織・石原 昇・伊藤浩之(東工大) |
B-18-4 |
オムニ/セクタ切替型アンテナの垂直面チルト角制御に関する検討
○関 智弘(日大)・村上友規・鷹取泰司(NTT) |
物理層ネットワークコーディングは双方向無線中継の通信効率を大幅に改善できることがしられている。伝送 路符号を適用し、中継局で復号を行うことで、より伝送 特性を改善できることが知られているが、BPSK あるい は QPSK 変調を用いた場合にしか適用できなかった。本 稿では多値変調を用いた場合でも、中継局での復号を可 能にする符号化変調方式を提案する。
広帯域な周期性干渉信号による無線システムの特性劣化を補償するベクトル型周期性干渉除去のための適応サイドバンド選択法を提案する.提案法は所望変調信号以外の周波数帯すなわちサイドバンドを状況に応じて選択することで,所望信号のSINR(Signal to Interference and Noise power Ratio)を改善する.提案法はランダムにサイドバンドを選択した場合よりも高い干渉抑圧能力を有する.この特性を計算機シミュレーションにより評価する.適応サイドバンド選択法を用いた結果,所望の変調信号帯におけるCNRが30dBの条件下では,ランダム選択法と比較しおよそ5dBの特性改善が得られた.また,所望の変調信号帯におけるINRが30dBの条件下では,ランダム選択法と比較しおよそ11dBの特性改善が得られた.
我々はRFバックスキャッタリング(RF-BS)によるワイヤレスセンシングの研究開発を進めている.既にアナログ変調方式でのバッテリレス動作を実現したが,RF-BS信号(反射信号)レベルが低く,通信距離が制限される課題があった.RF-BSでは、MOSFETをオンオフさせることでRF信号を反射させるため、反射信号レベルを大きくするには,オンオフ時の反射係数差ΔΓが重要となる.そこで今回、RF-BS信号レベルの改善手法の検討を行い、インピーダンス変換回路によるRF-BS信号レベルの改善手法を明らかにし、その有効性を実験により確認した。
近年,スタジアム等での無線システム敷設などに向けて通信容量を柔軟に設定できる強調無線LANシステムの導入やMassive MIMO技術を用いる検討が盛んである.初期設定で水平面オムニ特性と選択によりセクタアンテナ特性を切替可能なアンテナとして図1に示すオムニ/セクタアンテナを提案してきた.しかしながら,スタジアム等では垂直面チルト角についても制御できる必要がある.そこで,本アンテナのオムニ/セクタアンテナ時それぞれにおいて垂直面チルト角の制御性について解析により明らかにしたので報告する.
休 憩(11:00 再開) 座長 布施匡章(アンリツ)
B-18-5 |
VHF帯ブロードバンド移動通信システムの即時同期信号解析ための高速受信ゲイン制御手法
○柳澤 慶・阿部達也・石﨑雅之・浅野勝洋(日立国際電気)・原田博司・水谷圭一(京大) |
B-18-6 |
京都市街地環境で測定したVHF 帯遅延プロファイルを用いた機械学習による屋外位置推定
○林田尚之・水谷圭一・原田博司(京大) |
B-18-7 |
THz帯無線通信システムにおける最悪月の回線不稼働率の評価
◎畑原勇気・梅比良正弘・王 瀟岩(茨城大) |
B-18-8 |
海中音響通信における周波数ダイバーシチを適用した見通しMIMO通信のSINR解析
◎中野真理菜・藤野洋輔・福本浩之・坂元一光・椿 俊光(NTT) |
B-18-9 |
高効率変調を用いたLED可視光通信における送受協調線形化手法
◎平井啓太郎・後藤晨兵・冨里 繁・田野 哲・上原一浩(岡山大) |
GNSSによる位置情報検出が広く用いられているが,マルチパスによる誤差や、昨今ではジャミングによる妨害が問題となっている.この問題を解決するために,VHF帯無線機の遅延プロファイル分析による,GNSSを用いない車両の位置推定が提案されている.本稿では、遅延プロファイル分析を目的としてVHF帯ブロードバンド移動通信システムの同期信号を瞬時に受信するための高速受信ゲイン制御について述べる.
近年注目を集めているLocal 5G が普及した場合,優先度の高い公共ユーザと優先度の低い一般ユーザのように,Local 5G同士で周波数共有を行う必要性が生じることが想定される.しかし警察などの公共ユーザの端末位置は一般ユーザには秘匿されており,非優先Local 5Gが優先Local 5Gに対して干渉計算を行うことが難しい.そこで本稿では公共ユーザが具備するVHF帯ARIB STD-T103の遅延プロファイルを測定し,機械学習 (ML) により位置推定モデルを構築し,優先Local 5G端末の位置推定を行う提案手法について,京都市街地において実施した伝搬測定結果を用いて性能評価を行う.
THz帯(300GHz - 3THz)を用いた100Gbps級の超高速無線通信の実現が期待されている。ユースケースのひとつとして、モバイルフロントホール/バックホール回線があるが、屋外で用いられる場合は、大気減衰と降雨減衰が問題となる。筆者らはこれまで、過去の気象観測データを用いて、屋外環境を想定したTHz帯無線通信システムにおける大気減衰と降雨減衰による年間の回線不稼働率を評価してきた。しかし、多くの無線通信システムの設計においては、年間分布に加え最悪月分布が必要となる。そこで、本稿では、気象観測データを用いて、回線不稼働率の最悪月分布を評価したので報告する。
海中ロボットの無線遠隔制御の実現に向けて、太陽光や海水の濁度の影響を受けない音波を用いたMbps級の無線通信の実現を目指している。著者らは、水中音響通信の伝搬路における厳しい二重選択性を克服すべく、波形歪みの根本原因である遅延波を空間的に抑圧し、直接波のみを波形等化する見通し(Line of Sight:LoS) -MIMO (Multiple-Input Multipl-Output)伝送通信を提案している。LoS-MIMOは、送受信間距離によって最適なアンテナ間隔が変わるため、送受信間距離が変化する移動環境への適用は困難である。
そこで、比帯域が数十%を超える超広帯域の音響伝送により周波数ダイバーシチを適用し、場所依存性を低減する手法を提案し、計算機シミュレーションを用いて平均SINR(Signal-to-Interference Noise Ratio)特性を解析し、移動通信においても-30dB以上を確保可能であることを明らかにした。
近年の無線通信トラフィックの急激な増大に対応するため現在新たな無線通信技術としてLED照明を用いた可視光通信が研究されている.このLED可視光通信で用いるLED回路は,通信距離を延ばすために入力電力を大きくした場合,非線形歪が発生し.受信特性が劣化する.この問題を解決するため,送信側のプリディストーション処理と受信側の非線形歪雑音キャンセラを協調して用いることで線形化する手法を提案した.本研究では,この送受協調線形化手法について,伝送効率を増大させるために高効率変調を適用した場合の受信特性を計算機シミュレーションにより評価する.評価結果からLED可視光通信で高効率変調を用いた場合でも,送受協調線形化手法が有効であることを明らかにした.
B-19. ヘルスケア・医療情報通信技術
3月18日 9:30〜12:00 工学部 講義棟1F 109講義室 座長 安在大祐(名工大)
B-19-1 |
心拍間隔検出時の波形形状の影響低減方法について
○上村晴也(ユニオンツール) |
B-19-2 |
トレリスに基づいた心拍数推定におけるパラメータの最適化
○梶田水生・原 晋介(阪市大) |
B-19-3 |
マイクロ波ドップラーセンサを用いた心拍計測技術の検討
◎落合拓光・和泉慎太郎・矢野裕二・川口 博・吉本雅彦(神戸大) |
B-19-4 |
新生児モデルを用いたドップラーセンサによる心拍測定実験
○上林眞司・佐藤里咲・坂口彰啓(中京大)・佐藤菜津子・佐藤義朗(名大) |
B-19-5 |
複数の光電式容積脈波センサを用いた心拍間隔誤差補正手法
◎親富彩花・和泉慎太郎・矢野裕二・川口 博・吉本雅彦(神戸大) |
近年,心拍間隔(RRI)を利用した応用が広がりを見せている.応用例としては,交感神経・副交感神経の指標,入眠推定,ストレス評価,眠気検出などがある.これらは微小なRRIの変化を利用するため,高精度なRRIが必要である.そのため,被検者の胸部に機器を直接装着して心電を直接取る必要があり,機器は小型・軽量が望ましい.これを実現するために,RRI検出は可能な限り処理量の少ない方法とし,省電力化を図る.
一方,RRI検出の精度を下げる事象として,ノイズの混入,心拍波形の形状変化などがある.本研究では,心拍波形の形状変化によるRRI検出の精度低下の対策を少ない処理量で実現する方法を提案し,評価する.
近年のウェアラブルデバイスの普及に伴い,それを用いたヘルスケアに注目が集まっている.運動中の人間の心拍数をリアルタイムに監視することは,運動者の体調の管理だけでなく,トレーニングの効率化にも応用できる.我々は心拍数推定のためにウェアラブルなセンサモジュールを試作し,正確な心拍推定法の開発を行っている.心拍数は心電図法 (Electrocardiography: ECG) や光電容積脈波法 (Photoplethymography: PPG) を用いて測定可能であるが[1,2],運動中は心電波形や脈波波形に体動ノイズ (Motion Artifact: MA) が混入し,正確な心拍数推定が困難になる. PPG センサ出力に混入する MA は適応フィルタによって除去されるが,それだけでは正確な心拍数推定は難しい.Peak Frequency Tracking (PFT) は,人間の心拍数が短時間に大きく変化しないことを利用し,既に推定された心拍数から探索範囲を限定することで,最も心拍数らしい周波数を選択する.本論文での心拍数推定性能に関しては,ホルター心電計で測定した心拍数を真値とした場合の二乗平均平方根誤差 (Root Mean Square Error: RMSE) で評価する
近年、高齢者や病気予備軍の人口割合が増加する中で、携帯型や貼り付け型の生体計測器を用いたモニタリングの必要性が高まっているが、これらの計測器にはユーザビリティや可用性といった大きな課題があり、未だ広く普及するには至っていない。そこで、本研究では、ユーザビリティと可用性の両方を兼ね備えた計測技術として、マイクロ波ドップラーセンサを用いた非接触・非侵襲の心拍計測技術の検討を行っている。その際、様々なモダリティを持ったセンサを用いて計測を行い、周波数解析を行った結果、心電図とドップラーセンサの出力との間に相関が見られた。本稿では、この相関についての報告を行う。
従来,ドップラーセンサを用いた心拍測定に関する研究が数多く報告されているが,人を対象とするため不確定要素が多く,再現性を得ることが難しいという問題があった。最終的には人による実験が必須だが,基本的な実現性評価,基礎特性把握のためには,再現性の高い実験が望ましい。
本研究では,心拍を模擬できる新生児モデルを用い,保育器内の新生児の心拍測定の実現性を,モデル実験により検証した。I/Q分離型ドップラーセンサの出力から3種類の計算方法(Arctangent法,幾何学的射影法,ベクトル長測定法)で心拍間隔(RRI)を求め,各方法の測定精度を評価した。
実験の結果,幾何学的射影法が最も測定精度が高いことが分かった。この方法は,計算量も少なく,直感的に分かりやすい方法であり,変化量が微小な場合の解析方法として適切と考えられる。
光電式容積脈波センサ(PPG: Photoplethysmography)は,脈波を検出するウェアラブルセンサに広く使用されている.これらの生体信号の波形からピークを検出することで心拍間隔が得られる.心拍間隔は自律神経活動に応じて常に変動しており,心疾患によって特有の変動パターンを示すことが知られている.しかし,PPGによって測定された脈拍間隔と心電図(ECG)によって測定された心拍間隔との間には,血圧や体位,体動に起因する誤差が存在する. そこで本研究では,ECGをリファレンスとしてPPGによって得られる脈拍間隔誤差を評価し,その誤差が心拍変動解析に与える影響を明らかにする.また,複数のPPGセンサを用いることによって心拍間隔誤差を低減する手法を提案する.
休 憩(11:00 再開) 座長 花田英輔(佐賀大)
B-19-6 |
重症心身障害児の微細な反応の表情解析による視覚化
◎横関恵美子・児島知樹・小川佳代・山本耕司(四国大) |
B-19-7 |
環境発電を導入した汎用MPUベース超低消費電力IoTセンサ構成法
○松久佳祐・川島 信(中部大) |
B-19-8 |
体温発電を用いた心電図計測のための低消費電力回路の検討
◎藤井将裕・和泉慎太郎・矢野裕二・川口 博・吉本雅彦(神戸大) |
B-19-9 |
対流変化を考慮した非侵襲深部体温センサの小型化に向けた検討
◎松永大地・田中雄次郎・瀬山倫子(NTT) |
近年、医療技術の進歩によって在宅医療が推進され、呼吸管理や栄養管理などの医療的ケアを受けながら家庭で生活する重症心身障害児(以下,重症児)が増加している。重症児との意思疎通方法や児の示す反応の意味については、養育者の感覚で理解していく必要があり、その困難さ故の身体的・精神的・社会的負担はかなり大きいのが現状である。そこで、重症児の微細な反応を視覚化するために、生体情報をモニタリングしながら、重症児の微細な顔の表情の変化を検出し、反応理解の可能性について検討を行った。その結果、脈拍数に大きい変化が見られず、表情の変化を捉えにくい状態においても、表情解析では有意差を視覚化できることを確認した。
社会基盤の経年劣化や防災,更に健康管理などIoTとAIを結合させた高度安全安心システムの構築が急がれている.
本研究は環境発電を採用した汎用MPUによる低消費電力IoTセンサの構成法を追求するものであり,先ず根幹となるアナログ系の特性評価を行うと共に消費電力の削減について検討を進めた.代表的アナログ増幅・AD変換系については十分な帯域を有し直線性も優れていることを明らかにした.
消費電力についても,Deep sleepモードの活用によりサブmWが視野に入る状況となり,保守性・省エネに不可避となる環境発電給電の採用が可能となった.
以上,センシング特性,消費電力特性,さらに保守性に優れた応用範囲の広いIoTセンサ構成法について明らかにした.
心電図(ECG:Electrocardiogram)は,体表面の電位差を計測することで心臓の電気的活動を記録する技術であり,解析することで心疾患の発見やストレスモニタリングができる.しかし,従来の心電図モニタリングシステムは日常生活の中で長時間連続モニタリングをするためには使用者の精神的・肉体的な負担が大きい.特に頻繁に充電またはバッテリ交換が必要な点と,電極を長時間貼り付けることによる不快感や肌のかぶれが大きな課題であった.そこで本研究では,体温発電で動作可能な低消費電力容量結合型心電図回路を開発した.容量結合型の計測回路を用いることで,皮膚への接触が不安定な場合や,薄い衣服越しでも心電図の計測が可能となる.これによって日常生活下で長期間連続測定可能な心電図モニタリングシステムを実現する.
日常的に深部体温を連続かつ高精度に測定できれば,その変動から体内リズム(概日リズム)を可視化でき,高度な健康管理につなげることが可能である.日常的な連続測定に向け,皮膚表面に貼ったセンサから低負担に深部体温を計測する手法が提案されてきたが,日常生活で生じる外気の対流変化により計測誤差が生じる課題がある.我々はこの誤差を低減するプローブ構造を報告しているが,生体への適用にはさらなる小型化が必要である.
本研究では小型化に向け,数値計算を用いて設計・試作を行い,ファントムを用いた実験によって評価した.今回作製したプローブにおいて,対流変化時の計測誤差を±0.1℃以下に抑えることに成功したので報告する.
3月18日 13:30〜15:00 工学部 講義棟1F 109講義室 座長 渡邊聡一(NICT)
B-19-10 |
ミリ波レーダによる閉塞性睡眠時無呼吸の非接触検出技術
○阪本卓也・杉田昌太郎(京大)・奥村成皓・瀧 宏文(マリ)・濱田 哲・陳 和夫・佐藤 亨(京大) |
B-19-11 |
適応整合回路を用いたVHF帯心拍センサによる複数人の心拍計測結果
◎和田紗希・西本研悟・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機) |
B-19-12 |
ファントムによる非接触型褥瘡検出システムの実測評価
◎向坂美希・高橋応明(千葉大) |
B-19-13 |
インプラント超広帯域微弱無線通信の許容送信電力に関する一検討
◎大野椋平・安在大祐・王 建青(名工大) |
B-19-14 |
RSSI/TDOAに基づくOn-body/In-body機器の位置推定法
◎永尾文弥・宮島和希・安在大祐・王 建青(名工大) |
B-19-15 |
無線生体情報収集ネットワークにおける適応ノードグルーピング
○丸尾博人・原 晋介(阪市大)・柳原健太郎(OKI) |
睡眠時無呼吸症候群の患者数は国内だけでも300万人以上と推計されており,その早期発見・治療は極めて重要である.現在,夜間の検査入院による睡眠ポリグラフ検査が普及しているが,もしレーダによる非接触計測による簡易検査が可能となれば,検査の負担を大幅に軽減させることができる.例えば,ミリ波レーダを用いた睡眠モニタリングの報告例はあるが,睡眠時無呼吸症候群の患者のレーダ測定の例は多くない.本研究では,睡眠ポリグラフ検査と24GHz帯広帯域レーダの同時計測を実施し,閉塞性無呼吸の非接触検出について検討する.
非接触かつ非拘束な心拍センサとして,電波を用いたドップラーセンサがあるが,周囲物体からの反射や電磁ノイズの影響が大きく,心拍波形を正確に取得することが難しい.筆者らは,低放射効率のVHF帯小形ループアンテナを人体に近接設置することで周囲物体からの反射や外来ノイズの影響を低減させるとともに,アンテナインピーダンスを適応的に制御し,人体を含む設置周囲条件の影響を低減させる方法を提案している.本発表では,可変整合回路の提案制御方法を適用した場合の複数人の測定結果を示し,提案法の有効性を実証する.
本研究はマイクロ波を用いた非接触での褥瘡の検出を目的としている.これまでの検討では,健康皮膚と褥瘡皮膚を模した層構造皮膚モデルを用いた数値解析により,皮下組織の変化によって反射特性が大きく変わることを示した.本稿においては,実測的に本システムの評価を行うため,簡易的に均質構造の健康皮膚と褥瘡皮膚の模擬モデル及びファントムを作製し,数値解析及び実測実験を行った.その結果,解析,実測ともに反射係数は若干のずれはあるがよく一致していた.また,褥瘡の有無によってその値も大きく変化しており,層構造モデルを使用した解析と同様,褥瘡の有無の識別が可能であるという結果が得られた.
近年、人体内に設置されるインプラント医療機器が大きな注目を集めている.その応用例としてカプセル内視鏡があり,本研究は高速伝送性及び送信電力増幅に有利なUWB (Ultra Wide Band) 通信に着目する.本研究ではFDTD (Finite Difference Time Domain)法により微弱無線局とSARの二つの規定を同時に満たす許容入力電力とEb/N0特性を算出する.結果としては微弱無線局を採用したことにより従来の入力電力から6.2 dBmから30.2 dBmまで増幅が可能であることを示した.また,所望Eb/N0特性10 dBにおける累積確率は,送信位置ごとに適切な許容入力電力を決定することで従来の入力電力から22.8 %の改善を示した.
近年,インプラント機器による高度医療の実現が注目を集めている.インプラント機器に基づいた医療では高精度な機器位置推定が重要となる.先行研究では,体表に複数のウェアラブル機器を配置しインプラント機器と通信を行うことで位置を推定する手法が提案されているが,ウェアラブル機器位置を事前取得する必要があった.そこで本研究では受信電力強度(RSSI: ReceivedSignal Strength Indicator) と到来時間差(TDOA: Time Difference of Arrival) に基づいたウェアラブル機器とインプラント機器位置の同時推定法を提案し,計算機シミュレーションによる位置推定精度の評価から本提案法の有効性を示す.
我々は高密度かつ高モビリティな複数のノードを収容する通信プロトコルとしてFlooding/Time Division Multiple Access (TDMA) 方式を使用し,ノードの収容台数を増やすために,各グループに異なるスーパーフレームを割当て,拡張スーパーフレーム単位で動作する方式を取り入れている.この場合,グループに所属するノードを固定してしまうと近傍にノードがあるにも関わらずデータを送れないことがある.そこで各ノードにTDMAスロットとスーパーフレームを適応的に割当てる適応ノードグルーピングを用いる.本論文では適応ノードグルーピングについてデータ収集率を計算機シミュレーションで評価し比較検証する.
3月19日 13:30〜16:30 工学部 講義棟1F 109講義室 座長 中山奈津紀(名大)
B-19-16 |
医療機関における無線利用推進に係る周知啓発活動
○花田英輔(佐賀大)・新 秀直(東大)・加納 隆(滋慶医療科学大学院大) |
B-19-17 |
医療機関内における携帯電話機送信電力の測定例
◎石岡諒汰・東山潤司・鈴木恭宜(NTTドコモ)・長瀬啓介(金沢大附属病院) |
B-19-18 |
医用テレメータに対する他の400 MHz帯無線通信波の影響評価
◎石田 開(NICT) |
B-19-19 |
UHF帯パッシブRFIDによる手術器械の自動認証
○保坂良資(湘南工科大) |
B-19-20 |
人体通信を用いたRFIDシステムの検討
○△李 贇・佐々木 健・荒井稔登(東大)・村松大陸(東京理科大) |
電波環境協議会(EMCC)は2018年7月に「医療機関における電波利用推進委員会」を設置し、全体会議及び2つの作業部会において医療現場における安心・安全な電波利用を推進する活動を行っている。このうち周知啓発作業部会は、年次調査により医療機関における電波利用状況を把握すると共に、医療従事者向け教育用コンテンツとして啓発用ビデオとeラーニング教材を作成し、これらを用いた活動を実施した。本部会の活動内容について紹介する。
医療機関内における携帯電話機 (UE)の送信電力を測定した結果を報告する.具体的には,医療機関内におけるUEの送信電力と捕捉基地局からの受信電力の関係,及びUEにおける送信電力の累積確率密度分布について示す.測定の結果、RSRPの増加に伴い,UEの送信電力は減少傾向にあるが,同一のRSRPにおいても,UEの送信電力は約30 dB変化することがわかった.このことから,RSRPを用いて,UEの送信電力を把握することは困難だと考えられる.累積確率密度分布をみると,Pcmax制御下の基地局を捕捉した場合に、通常制御下の基地局を捕捉した場合に比べて、送信電力が低下することがわかった.
400 MHz帯医用テレメータの安全使用には,他の無線通信機器との電磁両立性確保が必須である.医療現場では,患者や医療機器などの位置情報検出に同周波数帯を用いる製品が導入されることがあり,医用テレメータへの影響も懸念されている.本稿では,この影響を定量的に評価することを目的とした基礎検討をおこなったので,報告する.
鉗子などの手術器械の術後体内遺残は深刻な問題である。その予防には個数管理が有効である。我が国では、個数管理に2次元シンボルが普及している。しかし2次元シンボルはバ-コ-ドの一種であるため、一つづつしか認証できない。大規模な手術では、使用される器械類が5000個を超えることもある。そのようなときに2次元シンボルでは対応が難しい。著者はUHF帯パッシブRFIDによる手術器械の多数個一括認証を提案する。著者らの実験では、50個の手術器械を1秒で認証できた。このシステムならば、手術室看護師の業務負荷を軽減でき、安全性を保証できる。またRFIDタグの設置方法により、認証効率が改善されることも分かった。
近年, RFID技術を搭載した非接触型ICカードによる電子マネー取引が自動販売機や駅の自動改札機などにおける料金支払いに応用されている. 一方で, 人体を伝送路として利用する人体通信が注目されている. この通信方式は人体を伝送路として利用するため情報の秘匿性や低消費電力の可能性を持つ.従来の研究では, 人体通信における伝送メカニズムや送受信の電極構造について検討されているが, 人体通信を用いてRFIDシステムに用いることで, 応用性が広がることが期待できる. 本稿では, 人体およびRFIDシステムをモデル化し, 電界解析によりリーダ/ライタからタグの供給電力の検討により, 人体通信を利用したRFIDシステムの実現可能性を検討する.
休 憩(15:00 再開) 座長 高橋応明(千葉大)
B-19-21 |
準天頂衛星とモバイルSINETを用いたトリアージ情報伝達に関する基礎研究
○牧野秀夫(新潟大)・中澤陽平(高千穂大)・前田義信(新潟大)・井筒 潤・杉田 暁・福井弘道(中部大) |
B-19-22 |
小規模医療機関における医療サービス利用時の機関認証技術に関する研究
◎菊田由大・小尾高史・鈴木裕之(東工大) |
B-19-23 |
認知症進行抑制の為の発話型人工知能利用実験
張 亮・○米田 進・竹内 茜(ソフトバンク) |
B-19-24 |
ウェアラブル生体情報センサのための学習推論アーキテクチャの検討
◎渡辺大輔・矢野祐二・和泉慎太郎・川口 博・吉本雅彦(神戸大) |
B-19-25 |
大規模なテキストデータからのパターン抽出による料理名とその周辺に存在する食材名の推定
◎三沢祐功・有阪直哉・守田憲崇・稲岡秀検(北里大) |
B-19-26 |
熱電素子を用いた深部体温測定手法
○吉川 隆・伊藤聡真・小畑周平・的早耕太郎・森川裕汰・山下玲伊(近畿大高専) |
従来研究開発を進めている「災害派遣医療チーム(DMAT)支援用GISシステム」の改良を目的に,災害発生後の72時間(超急性期)におけるトリアージ情報伝達手段の基礎的検討について報告する.具体的には,衛星携帯電話の輻輳による通信途絶の代替手段として準天頂衛星を利用し,また,モバイル系の通信容量拡大とセキュリティを考慮し,SINET(学術情報ネットワーク)直結型モバイル広域通信(モバイルSINET)を利用する.今回は,各手法の接続実験を行いその動作結果について述べる.同時に,1)各自治体で衛星安否確認システム(Q-ANPI)を使用する施設,ならびに2)小規模なモバイルSINET導入を計画する大学等の研究機関に対し,具体的接続事例を紹介する.
医療分野では,医療等分野専用ネットワークの構築が進められている.このネットワークによって医療機関は様々な医療サービスの利用が可能となり,OSI 基本参照モデルのネットワーク層での安全性を担保できる.一方で,厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」 では,より厳格な安全管理を求めており,情報そのものの安全性も同時に求められる.一般に相互認証 TLS を使用して安全性を担保するが,ここで用いる秘密鍵の管理はネットワーク管理の知識がない医師等しかいない小規模医療機関では困難だと推測される.
本論文では,機関認証用秘密鍵を格納した端末を小規模医療機関に導入することで容易に厳格な秘密鍵管理を実現し,その秘密鍵を機関内の端末で共有するシステムを提案する.
認知症老人(65歳以上)の数は,2025年には700万人に上ると予測される.更には,認知症の人に掛かる社会コストは,60年には24兆3千億円にもなるとの推計(慶應医学部グループ)がある.認知症進行の抑制こそ喫緊の社会課題であり,本研究はその解決策の一つとして老人の会話を促進させ,認知症予防に繋がる習慣行動を促す発話型人工知能利用を考案し,その実証実験を行った.
ウェアラブル生体情報センサから得られたデータに対して,エッジ推論を行うことを想定してアルゴリズムの評価を行った.ウェアラブルヘルスケア向けの3つのアプリケーションを対象に,ランダムフォレスト(RF)と畳み込みニューラルネットワーク(CNN)をFPGAの実装により,推論精度とエネルギー効率の比較を行った.また,処理性能の向上を図るために推論指向の回路を導入した推論コプロセッサから消費電力の推定を行った.その結果,RFでは1/9,CNNでは1/12の消費電力化が達成された.この結果からエネルギー効率の観点からRFがエッジでの推論に適しており,CNNは高精度が求められるアプリケーションで有利であることがわかった.
透析患者の食生活は、生命予後に影響を与えるため、食事成分量を自己管理する必要がある。しかし、食事成分量を自己管理することは透析患者にとって大きな負担になる。こうした現状を踏まえ、自動的にカロリーや栄養価の推定ができれば、より簡便に食事管理をサポートすることができる。本研究では、Webサイトから調理手順テキストを取集して英訳する。英訳した調理手順テキストにおける料理とその周辺に存在する食材の未知のパターンを学習し、料理と食材のそれぞれの単語の分散表現を得る。得られた分散表現を利用して、料理からその周辺の食材の推定が可能になれば、食材から栄養価を求めることができるようになる。
我々はエネルギーハーベスティングに関する研究を行っている。エネルギーハーベスティングとしては光発電・振動発電・熱発電などがあるが,今回特に熱発電(温度差発電)に注目した。これまで,測定が困難とされてきた人体の深部体温を測定するに際し.センサ部を体内に挿入して測定する等の必要があったが,人の体温が深部からの熱伝導にて伝達されることを考慮し熱電素子を用いたセンサ方式を考案した。従来人,固有の熱伝達特性を示す皮膚の影響を除去できるのではないかという点に着目している。実験装置を試作し,数か所の部位にて測定を行い,その測定結果が深部体温に関連した値を示していると考えている。
B-20. 無線電力伝送
3月19日 13:30〜17:30 工学部 講義棟1F 117講義室 座長 田村昌也(豊橋技科大)
B-20-1 |
Σ-Δ指向性アンテナアレーによる電磁波エネルギーハーベスティングの回収電力向上に関する検討
○竹村暢康・市川舜太(日本工大) |
B-20-2 |
Design of an Absorber for Energy Harvesting from UHF Radio Waves
○Budi Sulistya・Satoshi Yagitani・Mitsunori Ozaki・Tomohiko Imachi(Kanazawa Univ.) |
B-20-3 |
マイクロ波電力伝送のための位相制御マグネトロンを用いたハイパワー送電装置の検討
○長谷川直輝・髙木祐貴・太田喜元(ソフトバンク) |
B-20-4 |
24 GHz帯用直流帰還整流回路の検討
○水野誓也・関 智弘(日大)・岡崎浩司・鈴木康宜(NTTドコモ) |
B-20-5 |
MISO技術を用いた移動体向けWPTシステムの検討
◎佐竹 裕・青木拓海・袁 巧微(仙台高専) |
近年,身の回りに存在する僅かなエネルギーを回収して機器を動作させる電力として再利用するエネルギーハーベスティング技術に対する期待が高まっている.そのエネルギー源としては様々なものがあるが,電波から電力を回収し,低消費電力機器を動作させるエネルギー源としての利用が考えられる.これまでに放送波による電力回収など,様々な検討結果が報告されている.本稿では,無線LANで使用されている2.4GHz帯において,受信側にΣ-Δ指向性アンテナアレーを用いた回収電力向上効果についてレイトレーシング法により検討したので報告する.
This research is design a radio wave absorber, which can collect the absorbed power for energy harvesting. The metasurface absorber designed to work at a frequency of 867 MHz.It's designed on a three-layer printed circuit board. Electromagnetic simulations are used to evaluate the design and performance for plane waves as a wave source, and how much energy can be collected
The maximum value of voltage obtained from each resistor along the electric field is -45.21 dBV. If we add up all the voltages induced on 18 resistors, the total value of voltage would be 14 mV without considering any loss.
ハイパワーマイクロ波送電装置を実現するために、位相制御マグネトロンによるビーム制御技術を提案した。
2並列のパラボラアンテナを想定した場合、アンテナ間位相差を制御することによりビーム形成が可能である。
本研究では2並列のマグネトロンユニットの試作・評価を行った。
位相制御マグネトロンに注入する同期信号の位相をコントロールすることにより、マグネトロン装置からの出力位相がシフトすることを確認した。
本検討により、大開口アンテナ間位相差をマグネトロンへの注入同期信号により補正することで、ビーム制御可能であると結論付ける。
近年、宇宙太陽光発電システム(SSPS : Space Solar Power Systems)を始めとする空間伝送方式を用いた無線電力伝送技術の応用検討が盛んに行われている。しかし、空間伝送方式を用いた無線電力伝送ではシステム効率が低いといった課題がある。この課題を解決するためには送電アンテナ、受電アンテナの構成及び整流回路の整流効率の高効率化などの技術開発が必要となる。そこで、本稿では、シングルシャント整流回路に高インピーダンスマイクロストリップラインで構成される直流帰還線路を装荷した24 GHz帯用直流帰還整流回路を提案する。
近年, 電気自動車やパーソナルモビリティを給電対象とした移動体への無線電力伝送の研究が盛んに行われている.
しかし, 移動体の移動による送受電の位置ずれによって, 伝送効率の低下が課題になっている.
移動体への送電方法として, MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術を用いた広範囲で高効率な電力伝送システムが期待される.
MIMO-WPT(Wireless Power Transfer)では, 送受電素子間の効率をS行列またはZ行列を用いて表現し, 更にその行列に基づき最大伝送効率及び最大効率を実現する送電側の最適励振と受電側の最適負荷計算が一般化固有値問題の最大固有値から行える.
本報告では, MISO-WPTを用いて1.5m$^2$の給電範囲内の電力伝送効率を比較し, 多数送電素子による位置ずれへの効果を明らかにする.
休 憩(15:00 再開) 座長 鈴木麻子(名大)
B-20-6 |
急速充電を可能にする蓄電キャパシタ充電用倍電流整流回路の設計
◎藤井大貴・田村昌也(豊橋技科大) |
B-20-7 |
光無線電力伝送向け光スイッチングブーストコンバータの整流回路構成最適化
◎石川皓史・菊地杜斗・小宮山崇夫・長南安紀・山口博之・小谷光司(秋田県立大) |
B-20-8 |
最大出力電力制御による高周波整流回路の電力広帯域化
◎野口 駆・宇佐美 蓮・小宮山崇夫・長南安紀・山口博之・小谷光司(秋田県立大) |
B-20-9 |
管内検査ロボットへの無線給電用整流回路の設計
◎見渡洸揮・篠原真毅・三谷友彦(京大) |
B-20-10 |
MHz帯におけるC級動作型高効率整流回路の検討
◎青木拓海・袁 巧微(仙台高専) |
筆者らはワイヤレスセンサネットワークの各センサノードへの給電方法としてキャビティ共振モード無線電力伝送(CR WPT)を提案している.CR WPTに用いる受電回路を構成する蓄電キャパシタの抵抗値は充電状態によって大きく変動するため,整流回路の効率は変動してしまう.したがって,急速充電に適した整流回路の設計が必要となる.これまでに,筆者らは急速充電に適した倍電圧整流回路の設計方法を明らかにした.本稿では倍電流整流回路の設計を検討する.その結果,急速充電を可能にする倍電圧整流回路の設計方法を倍電流整流回路にも適用できることを明らかにした.また,本設計方法が整流回路トポロジに関係なく使用可能であることを示した.
我々は,簡易な構成で,高効率な長距離伝送が可能なレーザ光を用いた光無線電力伝送方式に注目している.特に,パルス変調されたレーザ光源とオンチップ太陽電池にスイッチト・インダクタ型昇圧回路を融合したIoTデバイス向け1対1光無線給電システムを検討している.このシステムは,受光側に発振回路が必要なく昇圧回路を駆動させることができるため,単セル太陽電池の0.4 V程度の低出力電圧をIoTデバイスの動作に必要な電圧1 V以上に昇圧して利用する事ができる.この昇圧回路を構成する重要な要素回路である整流回路の構成,段数を変化させた際の出力電力特性を評価し,所望の出力電圧に応じた最適な整流回路について検討した結果を述べる.
環境電波から電力を得る電波発電技術や電波を用いた無線電力伝送技術が注目されている。そこで用いられる高周波整流回路の入力インピーダンスは,一般的な受信アンテナの特性インピーダンスと大きく異なり,それらを整合するインピーダンスマッチング回路が必須となる。さらに整流回路は,入力インピーダンスが入力電力に応じて変化する非線形性を持つ。そのため,広い動作電力範囲で整合可能なインピーダンスマッチングは困難である。本稿では,周波数が一定で入力電力が変化した際に,動作電力面での電力広帯域化を実現するために出力負荷を能動的に制御する最大電力点追従方式を検討した結果,固定抵抗にしたときよりも電力帯域化が実現した。
ガス管内検査ロボットにおける無線給電システムのうち、整流回路の設計および作製を行った。整流回路一つ当たりに使用できる面積は、上辺1.9cm、下辺5.0cm、高さ5.0cmの台形である。また、周波数は2.45GHzであり、整流回路一つあたりの電力は3~5Wを目標としている。本研究では出力フィルタにλ/4とキャパシタを用いたシングルシャント整流回路を設計した。実際に作製した回路において最大で80.6%のRF-DC変換効率を達成した。また、2~5Wにおいて78.5%以上のRF-DC変換効率を達成した。さらに、RF-DC変換効率を大きくするために、静電容量が大きくかかわっていることが分かった。
整流回路は検波や無線電力伝送技術などに応用されており,実用するにあたって高効率が求められる.これまでに様々な種類の整流回路が提案されているが,理論効率100%を実現できる整流回路としてC級動作型整流回路を提案している.しかし,その整流回路はGHz帯でマイクロストリップラインの設計しか説明されておらず,MHz帯など低い周波数帯での設計方法については明記されていない.よって本稿ではMHz帯で使用できるようにC級動作型整流回路を集中定数素子で実現するトポロジを検討し,その有効性を確認する.
休 憩(16:30 再開) 座長 長谷川直輝(ソフトバンク)
B-20-11 |
マルチモード準静空洞共振器を用いた無線給電における中継器の構成についての検討
◎平井雄太・笹谷拓也・高橋 亮・川原圭博(東大) |
B-20-12 |
マイクロ波WPTシステムのための高効率増幅器
○鈴木麻子・原 信二(名大) |
B-20-13 |
Study on a Reconfigurable Rectifier for Achieving an Inductor-less Impedance Conversion in Wireless Power Transfer Systems
◎Jaewon Shin・Yoshiaki Narusue・Hiroyuki Morikawa(The Univ. of Tokyo) |
B-20-14 |
ワイヤレス給電装置の金属筐体自動設計に向けたメッシュ導体近似解析に関する一検討
◎足立真志・成末義哲・森川博之(東大) |
広い三次元空間における無線給電に向けてマルチモード準静空洞共振器(Multimode QSCR)という手法が提案された.この手法は空間全体に磁界を生成するため,各位置の磁界の向きは設定できず,受電器の置かれ方によっては給電効率が低下する.そこで我々は,Multimode QSCRから受電する共振器と,充電位置に磁界を生成する共振器を接続して構成した中継器を提案した.本研究では中継器の高効率な給電に向けて,中継器の複数のコイルを選択的に使用する手法を提案する.本稿では共振器の選択に必要となる,MultimodeQSCRと中継器との間の結合係数の測定回路の実装と評価を行う.
無線電力伝送、マイクロ波化学、マイクロ波加熱応用などマイクロ波を電力利用するシステムが近年注目を集めている。これらシステム全体の高効率化は省エネルギーやデバイスの発熱のため重要である。通常のシステムは、単体のデバイスを50 Ωで設計し結合する。50 Ω 整合回路を削減する最適なインピーダンスで各デバイスを接続すれば、回路路損失の低減と小型化に寄与できる。本報告ではデバイス間を最適インピーダンスで結合する協調設計を利用したマイクロ波WPTシステムのための高効率増幅器の設計法を提案する。
DC-DC converters are indispensable for the improvement of power transfer efficiency in wireless power transfer (WPT) systems. However, inductors in DC-DC converters occupy large footprints. In this paper, we introduce a reconfigurable rectifier that functions as a variable impedance without using inductors. Although the rectifier can only perform a discrete impedance conversion, this disadvantage is compensated by using asymmetric switching. Simulations and measurements results show that the power transfer efficiency can be improved by the impedance conversion using the proposed rectifier. It has been shown that the overall efficiency based on the proposed rectifier is higher than that of the conventional method using a full-wave bridge rectifier and a boost DC-DC converter.
ワイヤレス給電に対応した機器の内部にある金属筐体には穴が開けられている.現在この穴の位置や形状は,電磁界シミュレーションなどを用いて穴の候補それぞれについて伝送効率を求めることにより設計される.伝送効率を求めるためには,穴の形状や位置を変更する度に3次元モデルを変更し,シミュレーションを実行しなければならないため多大な労力を要する.この課題に対し筆者らは,金属筐体部分をメッシュ導体によって近似することで複数の穴の形状および位置の候補に対して1度の電磁界シミュレーションのみで伝送効率を推定できる手法を提案する.従来手法と比べ短時間で数多くの穴の形状および位置の候補の性能評価が可能となる.
3月20日 9:30〜12:15 工学部 講義棟1F 117講義室 座長 石野祥太郎(古野電気)
B-20-15 |
OAM多重通信と無線電力伝送を同時に実現する共用ループアンテナ
◎和田 渉・石川 亮・斉藤 昭・三宅久之助・菊池晴貴・鈴木 博・本城和彦(電通大) |
B-20-16 |
DC ブロックおよび F 級負荷機能を有するマイクロ波電力伝送用パッチアンテナの解析
伴 駿矢・○平山 裕(名工大) |
B-20-17 |
920MHz帯レクテナの室内における受電特性
◎辻田真一郎・安丸暢彦・田村俊樹・坂井尚貴・伊東健治・牧野 滋(金沢工大) |
B-20-18 |
AMC基板上の折り返しダイポールアンテナを用いる920MHz帯高感度レクテナ
◎△安丸暢彦・伊東健治・田村俊樹・坂井尚貴・牧野 滋(金沢工大) |
B-20-19 |
分散協調型マイクロ波無線電力伝送システムにおける受電アンテナの最適指向性に関する検討
◎田中勇気・金井一輝・枷場亮祐・池田拓磨・梶原正一・谷 博之・小柳芳雄(パナソニック) |
我々は円形ループアンテナアレイによるOAM多重通信技術の提案を行っており、近接大容量通信の実証を進めているが、近年、端末への非接触給電が実用化されていることを踏まえ、OAM多重通信用ループアンテナの無線電力伝送との共用化に関して検討を行ったので、その結果を報告する。
マイクロ波無線電力伝送の送電用アンテナとして,パッチアンテナにショートピンを設けることによりF級負荷機能を付加したものが提案されているが,直流に対して短絡となり,増幅素子を直接接続することができない問題がある.
本稿では電磁結合給電方式を用いることにより,直流に対して開放,基本波(2.45GHz)に対して整合,3倍高調波に対して開放となる,F級負荷機能を有するパッチアンテナを提案する.
WLAN,FM放送や地上デジタル放送(DTV)などの微弱な電波より直流電力を取り出す環境発電の検討が行われている.ここでは920 MHz帯レクテナの室内における受電特性を報告する.微小ループアンテナを用いるレクテナAと人口磁壁(AMC)基板上の折返しダイポールアンテナ(FDA)を用いるレクテナBの評価を行った結果,いずれのレクテナでも10 m角程度の室内では1 V以上の出力電圧が得られた.ほぼ無指向性のレクテナAに対し,強い指向性を有するレクテナBでは特定の方向において高出力電圧である.しかし測定値の分散が大きく,平均値は低下する.以上より家庭や事務所での利用に耐え得る特性が得られたと言える.
WLAN,FM放送や地上デジタル放送などの微弱な電波より直流電力を取り出す環境発電の検討が行われている.本報告では,人口磁壁(AMC)基板上の折り返しダイポールアンテナ(FDA)を用いる920MHz帯高感度レクテナの設計,評価結果について述べる.
広く分散した複数の送電アンテナからマイクロ波を送電し,広範囲に高効率で無線給電を行う検討が行われている.分散型マイクロ波無線電力伝送(MWPT)システムにおいては,送受電アンテナに低利得アンテナを利用することができ,小型化,低コスト化,人体暴露の観点から有利である.分散型MWPTシステムにおいては受電アンテナに複数の方向から電力が到来することから,受電アンテナは幅広い指向性を持つことが望ましいと考えられる.本稿では,受電アンテナの指向性が受電電力の分布に与える影響ついてモンテカルロシミュレーションを行った.シミュレーション結果より,分散協調型MWPTシステムにおいては無指向性のアンテナを用いることによって広範囲においてより大きな電力が受電可能であることを示した.
休 憩(11:00 再開) 座長 平山 裕(名工大)
B-20-20 |
オープンリング共振器無線コネクタを用いる5.8 GHz導波管給電
○大野泰夫・伊藤弘子(レーザーシステム) |
B-20-21 |
容量結合型WPTシステムの結合係数制御法
○粟井郁雄(リューテック)・辻村智寛・張 陽軍(龍谷大) |
B-20-22 |
SPS試験衛星搭載アレーアンテナの送信パターン測定手法の検討
○藤野義之・柳澤優太(東洋大)・田中孝治(JAXA) |
B-20-23 |
海水の電磁界応答特性
○吉田 弘(JAMSTEC)・江口和弘・川田壮一・枷場亮祐・小柳芳雄(Panasonic) |
B-20-24 |
水を介した電界結合型WPTシステムの結合係数
○辻村智寛・張 陽軍(龍谷大)・粟井郁雄(リューテック) |
携帯機器の充電などで簡便な非接触給電が求められている。導波管は高周波でも損失の少ない給電方式であるが、入出力部の構造が複雑になるという問題がある。そこで、電力の投入や取り出しにオープンリング共振器による非接触コネクタを用いる方式を検討した。
非放射型のWPTシステムは磁界及び電界結合型の2つに分類されるが、磁界結合型が広い検討対象であるのに対し電界結合型は手薄である。我々は必要に迫られて電界結合型に着目し、その中でも特に代表的な容量結合型の標準的な開発手順を確立したいと考えた。このようなパワーエレクトロニクス機器の測定には伝統的にオシロスコープが用いられるが、WPTシステムに関してはVNA (Vector Network Analyzer) も多くの開発局面で有用であり、コイルやコンデンサなどの個々の素子開発はもとより、伝送効率など全体的な測定にはむしろ優れた機能を発揮してきた[1]。
しかし電界結合型は電気力線の特性から1次/2次側 を共通接地に出来ないためにVNAをそのまま使えないという大きな問題を持ち、さらに対地容量が無視できないという面倒な問題を抱えている。その中で、今回はシステム構築に重要な役割を持つ結合係数の制御法を提案する。
宇宙太陽発電衛星(SPS)を実現させるために小型衛星を用いた実証実験が計画されている.実証試験においては,衛星から送信されるビーム形状を正確に評価することが必要となる.このため,複数の受信局を地上に設置してそのレベルを測定し,最小二乗法を用いてビーム形状を再現することが検討されている.今回,試験衛星が周回衛星であることを利用するとともに,試験衛星のアンテナを現実に即してアレーアンテナとした場合の受信局配置の検討を実施したので報告する.
海中における産業発展のためには海中ロボットの実用化が仮題である.実用化の鍵の一つはロボットの稼働時間の延長であり,そのために海水中における広範囲の無線充電方式を研究開発している.この方式では,大強度の電磁界を海水中で発生させるため,海水や海水中の生物に何らかの影響を与える可能性がある.本研究では,大強度電磁界が海水に与える物理・化学的影響をしるために,① 海水を構成する分子やイオンの電磁界応答のシミュレーションと② 海水に電磁場を印加した際の海水の電気パラメータ(ポテンシャルや複素誘電率)の計測系の開発と計測を行っている.講演では大強度電磁場が海水に与える影響についてのシミュレーションならびに計測の途中結果を報告する.
電界結合型の無線電力伝送(WPT)システムでは4枚の極板から6つの容量が発生する。これらから結合係数kが決定されるが、算出に用いる計算式には6つの容量が複雑に絡み合っているため、結合係数の向上にはこれらの容量を選択的に増減させる必要がある。結合強化の方法として極板面積を大きくする手段もあるが扱いにくくなるという欠点があるため、容易に扱えるワイヤで代用した場合の可能性についても確認する必要がある。本報告では、銅板とワイヤの極板比較、および極板の配置変更による容量と結合係数の変化を測定し、結合強化のための糸口を見つける。
3月20日 13:30〜16:30 工学部 講義棟1F 117講義室 座長 坂井尚貴(金沢工大)
B-20-25 |
同一周波数2系統非接触給電における中継コイルを用いたアイソレーション設計
◎川合崇大・ズオン クアン タン・岡田 実(NAIST) |
B-20-26 |
新規高周波用超伝導線材を用いた高Q値コイルの検討(Ⅱ)
◎△桶田将弘・關谷尚人(山梨大) |
B-20-27 |
周波数選択性通信路における時空間送信フィルタを用いた無線電力伝送の検討
◎大塚陽平・宮嶋照行・杉谷栄規(茨城大) |
B-20-28 |
電磁界により細胞に流れる誘導電流の評価
◎片岡瑞貴・宮越順二・篠原真毅(京大) |
B-20-29 |
生体WPTに向けた疑似生体組織の複素誘電率測定
◎松本まりも・村井宏輔・松上裕明・田村昌也(豊橋技科大) |
現在, 電磁誘導に基づく非接触給電技術では, 2 系統同 一周波数での電力伝送においては負荷抵抗の変動があっても負荷側に定電圧を出力できる回路(定電圧回路)が提案 されている. しかし, 先行研究での提案手法では素子数 の多さや, 打ち消しあう素子同士が離れているため内部抵 抗の影響を受けやすいという観点から, 実機で定電圧回路 を設計することは困難である. そこで本検討では, 2 系統 同一周波数のワイヤレス給電のための定電圧回路をより簡略化した回路構造で提案し, 回路シミュレーションよりその有効性を確認した.
我々は高周波で高効率な電力供給を実現するために新規高周波用超伝導線材を提案し,原理確認実験においても銅コイルより高いQ値を得ることに成功した.しかし,実験に使用した超伝導線材は入手可能な線材で実験を行ったため,超伝導線材構造の最適化を行えていない.そこで,超伝導線材構造の最適化と,高いQ値を実現するための支持材についても検討した.その結果,銅コイルと比較して,線材構造及び支持材構造を最適化することで提案超伝導線材を用いたコイルのQ値は飛躍的に高くなることを解析によって明らかにした.
本発表では,周波数選択性通信路におけるシングルキャリヤ伝送による無線電力伝送について検討し,複数送信アンテナとFIRフィルタを用いる方法を提案する.基地局では,送信シンボルがFIRフィルタにより処理され,その出力が送信される.エネルギー受信機では受信した信号から電力を収集する.基地局のFIRフィルタは,基地局で利用可能な最大電力以下に送信電力を制約しつつ,収集電力が最大となるように設計する.シミュレーションにより,フィルタを用いない場合とフィルタを用いる提案法との比較を行い,提案法の有効性を確認する.
電気自動車の無線給電などに使われる85kHz電磁波のばく露時に,人体細胞に流れる誘導電流を推定した.現在,誘導電流が細胞の遺伝毒性に影響を与えることが懸念されており,その影響評価を目的とした電磁波ばく露装置の開発が進められている.本稿では,この装置が作る電磁界によって培養液に流れる誘導電流の大きさと分布を,理論解析とシミュレーションにより明らかにした.この結果と装置を使った細胞実験による結果を組み合わせることで,誘導電流の遺伝毒性への影響を理解できると期待される.
長期間駆動のための電池を有する植え込み医療機器は,電池交換のための手術が必要となる問題を抱えている.この問題を解決する手段の一つとして体内の機器に対する生体無線電力伝送(Wireless Power Transfer: WPT)が注目されている.生体WPTの研究では磁界結合方式が一般的であるがこの手法は漏洩電磁界が多い.漏洩電磁界はペースメーカの電極リード等と鎖交し雑音を誘起するため,機器が誤作動を起こす危険性がある.そこで漏洩電磁界の少ない電界結合を用いて生体WPTの実現を目指す.本研究では疑似生体組織を介した電力伝送の可能性を確認するとともに,生体組織の複素誘電率測定手法を構築し,実際に疑似生体組織の複素誘電率を測定した.その結果,生体WPTの実現の可能性を確認し,平行平板法で生体組織の誘電率測定が低周波から可能な測定セルの作製に成功した.今後は得られた複素誘電率情報を用いて電極の最適化を行い,生体WPTに向けた電界結合型WPTの設計手法を構築する.
休 憩(15:00 再開) 座長 田中勇気(パナソニック)
B-20-30 |
大規模WPTシステムにおける伝送電力の位置特性に関する検討
◎川端康平・東野武史・岡田 実(奈良先端大) |
B-20-31 |
ビルディング内の無線電力伝送の電波伝搬に関する研究
◎間瀬瑞季・篠原真毅・三谷友彦(京大)・石野祥太郎(古野電気) |
B-20-32 |
負荷非依存ZCS並列共振インバータの一般設計
○駒中綾乃・朱 聞起・関屋大雄・グエン キエン(千葉大)・魏 秀欽(千葉工大) |
B-20-33 |
ロボット用電源コネクタ技術の開発
○橋本祐一・佐野 弘・佐々木善教・末定新治・岡橋智也(福井県工技セ) |
B-20-34 |
搬送ロボットの電界方式走行中充電の開発 ―その1: 漏洩電界低減のための電極構造の検討-
◎鎌田啓伸・佐藤寿則・菊池 悟・山本浩司(パナソニック) |
B-20-35 |
搬送ロボットの電界方式走行中充電の開発 -その2: 伝送安定化制御の実証-
◎佐藤寿則・鎌田啓伸・細井浩行・山本浩司・菊池 悟(パナソニック) |
近年,大規模な送電端末から複数の端末へ同時に送電を行うワイヤレス給電システムが注目を集めている.送電結合器のサイズを波長よりも大きくした場合は、電圧・電流密度の分布が線路内で一様でなくなる場合があるため,受電器の位置に従って受信電力が変動する.本発表では大規模な平行二線路を送電側結合器として用いた際の,伝送係数|S21|の位置特性について理論解析および実験による結果を示す.
無線電力伝送の建物内利用が期待されているが、階段や吹き抜けといった隙間を伝って上の階まで伝搬する電磁波に着目した研究はされていない。本研究では高層の建物内の吹き抜けの構造において5.8 GHz の電磁波を伝搬させた場合の、二階部分における電力の分布の様子を調べることを目的とする。簡単な吹き抜けのモデルに平面波を入射するシミュレーションを行ったところ、下階から入射した電力に対するフロア内に広がる電力の割合は約23%であり、ほとんどの電力が上階に抜けていた。この理由は、行ったシミュレーションを開口面からの放射と考えたとき、フロア内が近傍界に含まれるためであると考えられる。
本研究では,並列共振インバータにおいて任意の時比率で負荷非依存となる条件を導出し,その設計法を提案する.実験結果より,負荷変動に対して一定出力電圧と零電流スイッチング(ZCS: Zero Current Switching)を維持できることを確認し,並列共振インバータの有効性を示す.
農業あるいは災害発生時など,いろいろな場面で活躍するロボットは,複数のモータを駆動しながら情報収集・伝送を行うため,電源となるバッテリーを高頻度で充電あるいは交換をする必要がある.一般に,バッテリーの交換には端子コネクタの抜き差しが伴うので,屋外等の多塵や高湿度な環境下においてはコネクタの劣化が課題となっている.また,大容量化(100W程度)や充電時間短縮のためには,バッテリーの高電圧化が望まれているが,コネクタの脱着時に発生するアークにより端子の溶着や火災等の危険が伴う.
本研究では,ワイヤレス電力伝送技術を応用し,バッテリー端子部を被覆して高耐久性と高容量化の両立を図る技術開発を行う.
我々は、搬送ロボットの稼働率向上のために電界結合方式の無線電力伝送技術を用いた走行中充電システムの開発を行っている。電界結合方式では電極が高電圧となり、漏洩電界が課題となる。そこで本検討では独自電極構造を取ることで漏洩電界の低減を図った。具体的には、差動電極を2組にし最適な幅とすることで電界の打ち消しを行った。これにより電界強度は従来の1/30以下に低減され、電波防護指針ガイドラインの指針値の1/4以下となった。
我々は,搬送ロボットの稼働率向上のために電界結合方式の無線電力伝送技術を用いた走行中充電システムの開発を行っている.本方式では,ロボット動作やバッテリー状態に起因する負荷インピーダンスの変動による伝送効率低下のために充電電力が不安定となる課題がある.今回,定インピーダンス充電制御を導入することで安定した電力伝送を実現するとともに,既存の搬送ロボットシステムに実装し,1kW走行中充電を実証した.
シンポジウムセッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
BS-1. In-Network Intelligence for Design, Management, and Control of Future Networks and Services
(ネットワークシステム研専)
3月18日 9:50〜11:30 School of Engineering (Lecture Bldg.) Room 104 Chairperson Ryota Kawashima(Nagoya Inst. of Tech.)
BS-1-1 |
A Research on Multipath Transport Protocols in IoT Environment
◎△Taichi Tsuru・Kien Nguyen・Hiroo Sekiya(Chiba Univ.) |
BS-1-2 |
IoT-based Fiber Networks C/M-Plane Early Disaster Recovery via Narrow-band and Lossy Links System (FRENLL): A Field-Trial Experiment in Metro Area
○Sugang Xu・Goshi Sato・Masaki Shiraiwa・Katsuhiro Temma・Yasunori Owada(NICT)・Noboru Yoshikane・Takehiro Tsuritani(KDDI Research)・Toshiaki Kuri・Yoshinari Awaji(NICT)・Naruto Yonemoto(ENRI)・Naoya Wada(NICT) |
BS-1-3 |
A GAP-Seeking Algorithm for Mapping and Scheduling SFC
○YANSEN XU(The Univ. of Electro-Communications)・Ved P. Kafle(NICT) |
BS-1-4 |
Explained Decisions in Automated Network Management
○Pedro Martinez-Julia・Ved P. Kafle・Hitoshi Asaeda(NICT) |
In this paper, we introduce and evaluate the performance of Multi-path transport protocols including TCP and UDP to achieve the mentioned efficiency. We first design and build a router that is capable of using the multipath protocols on an IoT device (i.e., Raspberry Pi3). We then evaluate the protocols performance on a testbed with the IoT device and a server.
We investigate the feasibility of the fiber network C/M-plane recovery via an IoT-based extremely narrow-band and lossy links system (FRENLL) which takes advantage of the broadly distributed IoT resources and the LPWA-based wireless mesh networks. We present the preliminary study results with a field-trial experiment successfully verifying the feasibility of the IoT-base disaster recovery of optical transport networks within a metropolitan area.
In this paper, we describe the mapping and scheduling SFC problems in a virtual environment We introduced a GAP-Seeking heuristic algorithm to solve the problem. The proposed GAP-Seeking improves the utilization of virtual machines and shortens the service processing time of SFC requests on the virtual network, by inserting VNFs of SFC into gaps of virtual machines’ queue. We conducted a numeric simulation to evaluate and compare the performance of algorithms. The results show that our proposed GAP-Seeking algorithm outperforms the greedy algorithm in a higher acceptance rate of SFC requests and shorter service processing time in both online and offline SFC request arrival fashion.
In this paper we discuss how the CBR methodology allows ARCA to provide explanations to its decisions, so that administrators are able to understand and validate the behavior of the automated management solution. Moreover, it exploits the metrics obtained from the VN together with the notifications provided by external event detectors [3]. We formalize external events and related information as causes and the ulterior performance measurements derived from them as effects. Both will form cases that are studied and learned by the intelligent solution to anticipate future undesired situations (undesired effects) and avoid them by taking the required countermeasures beforehand.
3月18日 13:30〜16:05 School of Engineering (Lecture Bldg.) Room 104 Chairperson Kazuya Tsukamoto(Kyushu Inst. of Tech.)
BS-1-5 |
A throughput drop estimation model for two-link concurrent communications with non-bonded partially overlapping channels in IEEE 802.11n WLAN
◎Ismael Munene Kwenga・Nobuo Funabiki・Rahardhita Widyatra Sudibyo・Briantoro Hendy・Md Mahbubur Rahman(Okayama Univ.) |
BS-1-6 |
Experimental Performance Evaluation of Drone-Based Wireless Sensor Network Using 2.4 GHz Zigbee Devices
○Budi Rahmadya・Masahiro Umehira・Xiaoyan Wang(Ibaraki Univ.) |
BS-1-7 |
Distributed Deployment of Unmanned Aerial Vehicle Base Stations for Maximizing Ground User QoS
○Tatsuaki Kimura・Masaki Ogura(Osaka Univ.) |
The IEEE 802.11n wireless local-area network (WLAN) has been widely deployed due to flexible and high-speed data transmissions. However, the throughput of a link can be dropped by interferences from other WLANs. Previously, we have studied throughput drop estimation models for multiple-link concurrent communications with bonded 40MHz partially overlapping channels (POCs), considering the channel distance and the received signal strength (RSS) of the interfered link. In this paper, we present a throughput drop estimation model for two-link concurrent communications with non-bonded 20MHz POCs. The effectiveness of the model is confirmed through experiments on different topologies where the estimated throughput well matches the measured throughput.
Due to the limitation of wireless infrastructure in the environment, drone as mobile receiver is one of the solutions to collects the data from transmitter side. In this experiment Xbee pro S1 is chosen as 2.4 GHz wireless device. The transmitter height is 1.5 m and the receiver is located on the 4th floor of the building with 13.76 m height and on the 7th floor with 25.76 m height to simulate the height of drone. The experimental performance evaluation measured the packet error rate in several of distances.
Flying aerial base stations (ABSs) equipped with unmanned aerial vehicles (UAVs) are an emerging technology having the potential of significantly increasing the capacity of existing fixed networks in a more flexible and on-demand manner. Although the three-dimensional (3D) mobility of ABSs enables them to be applied to many important net- work scenarios, such as disaster areas and sports events, the problem of deploying ABSs for the maximized communication quality of ground users (GUs) remains to be an open problem due to the complicated air-to-ground channel characteristics and high degree of freedom. In this paper, we propose a distributed ABS deployment method that maximizes the QoS of GUs.
休 憩(15:15 再開) Chairperson Kazuhiko Kinoshita(Tokushima Univ.)
BS-1-8 |
Deep Reinforcement Learning-based User-to-Multiple Access Points Association Method for Heterogeneous Quality of Service Provision
◎Thi Ha Ly Dinh・Megumi Kaneko(NII and Sokendai)・Keisuke Wakao・Kenichi Kawamura・Takatsune Moriyama・Hirantha Abeysekera・Yasushi Takatori(NTT) |
BS-1-9 |
Experimental Studies of NOMA-VLC Scheme
◎Ziyao Zhang・Yuyu Ying・Jiang Liu・Shigeru Shimamoto(Waseda Univ.) |
This paper proposes a generalized method enabling to associate each user to multiple APs simultaneously. By leveraging deep reinforcement learning techniques, we design a distributed method where each user learns the network state and optimizes its AP association requests, with minimal signaling overhead. As in our previous work, our goal is to maximize long-term network throughput while satisfying short-term QoS demands, however, the methods proposed here make use of Deep Q-Networks (DQN), which can be applied in large-scale networks. The simulation results show the effectiveness of our scheme in larger and denser networks.
In this paper, the visible light communication (VLC) is combined with non-orthogonal multiple access (NOMA) as NOMA-DCO-OFDM system, in which the DC-biased optical orthogonal frequency division multiplexing (DCO-OFDM) system was chosen to avoid inter-symbol interference (ISI) and improve the performance of the system as well. The simulation of the scenario of 2 users was done firstly to compare the performance of different modulation schemes by changing the power ratio of the users. Based on the simulation, the experiment of such system was demonstrated.
3月19日 13:30〜16:05 School of Engineering (Lecture Bldg.) Room 104 Chairperson Hideharu Kojima(Osaka Univ.)
BS-1-10 |
Study of Distributed Database System for Realizing Secure SNS
◎Ryotaro Kemmochi・Noriharu Miyaho(Tokyo Denki Uinv.) |
BS-1-11 |
Reinforcing Privacy in the Smart Home from Wireless LAN Observers through IoT Traffic Shaping
◎Kiana Dziubinski・Masaki Bandai(Sophia Univ.) |
BS-1-12 |
A Study on the Impact of Internet-Wide Scan on QoS of IoT over IEEE 802.11ah
○△Shikhar Verma・Yuichi Kawamoto・Nei Kato(Tohoku Univ.) |
In the social network services (SNS) such as Facebook, Twitter, BBS and so on are being commercialized as means of communication and information sharing. However, it is possible to be encountered several damages such as information leak and account hacking. It means that service providers need to take some measures to prevent leakage of personal information. From this point of view, we propose the secure SNS architecture that utilizes the technology of HS-DRT(High Security-Distribution and Rake Technology ) for backing up personal important data. In this paper the performance evaluation of the proposed experimental system is stated.
In this paper, to prevent the breach on smart home user privacy, we propose a bandwidth efficient traffic shaping method by introducing changing padding durations to reduce the confidence of an attacker in the wireless LAN from identifying genuine user activities.
Internet of Things (IoT) enables smart and innovative services by inter-connecting IoT devices. IEEE 802.11ah is a recently designed wireless protocol to connect massive IoT devices and support required Quality of Service (QoS). However, one of the key challenges in realizing IoT is imparting adequate security in devices that are resource-limited and hence not suited to bear the overhead of complex security protocols. To this end, an internet-wide port scan scheme employs to identify vulnerable ports. However, the impact of port scan on the performance of the emerging IEEE 802.11ah protocol has not been studied, which may degrade QoS. Therefore, in this paper, we propose a mathematical model to analyze the performance of IEEE 802.11ah and wide port scan.
休 憩(15:15 再開) Chairperson Tokumi Yokohira(Okayama Univ.)
BS-1-13 |
Analysis and Prediction of Malware with Evasion Technique
◎Yasuhiro Horibe・Yuki Wako・Akihito Taya・Yoshito Tobe(Aoyama Gakuin Univ.) |
BS-1-14 |
Study of Secure E-mail System by using Multiple and Simultaneous E-mail Accounts
◎Shunki Shinohara・Noriharu Miyaho(Tokyo Denki Univ.) |
In recent years, the number of cyber attacks is increasing year by year, and there is a concern about the diversification of malware due to the spread of 5G and internet of things (IoT) devices. In particular, attacks cannot be prevented by conventional signature-based countermeasures alone. Therefore, many kinds of defense systems, (e.g., defense-in-depth systems and machine-learning-based systems) have been studied. However, cyber attacks have become more and more sophisticated, and there exist malwares that evade detection in sandboxes. Therefore, in this study, in order to detect malwares that evade detection systems, we propose a class classification that focuses on the existence of evasion techniques. In contrast to the conventional binary classifications, the proposed system categorizes applications into three types: malware that evades analysis on sandboxes, malware that does not, and benign software.
Conventional e-mail system is possible to be suffered from eavesdropping in the network on condition that each e-mail path is establishment owing to point to point protocol. It means that some practical protocols to strengthen the security should be introduced. From the point of this, the requirements for assuring high-speed communication and security for e-mail are still increasing. In this paper, we propose multiple e-mail accounts and multiple Wi-Fi channels utilization based on the HS-DRT (High Security Disaster Recovery Technology). It will enable high speed encryption and high-level security.
3月20日 9:50〜11:30 School of Engineering (Lecture Bldg.) Room 104 Chairperson Takuya Fujihashi(Osaka Univ.)
BS-1-15 |
Study on Automatic LED Monitoring for Data Center Devices
◎MISHEEL ENKHBAATAR・TATSUYA YAMAZAKI(Niigata Univ.) |
BS-1-16 |
A Proposal of Air Conditioner Overuse Alarm System Using Raspberry Pi
◎Samsul Huda・Nobuo Funabiki・Minoru Kuribayashi・Rahardhita Widyatra Sudibyo・Nobuya Ishihara(Okayama Univ.) |
BS-1-17 |
Towards Automatic Analysis of Relationship between Perceived Stress and Physical Activity with Self-tracking Technologies
○ZILU LIANG(Kyoto Univ. of Advanced Science)・Lys Egholm Andersen(Resultsmaker A/S)・Oraphan Tatha(The Univ. of Tokyo) |
BS-1-18 |
Secure Medical Monitoring Service utilizing Smart-glasses with CSK Code
◎Kotaro Murase・Noriharu Miyaho(Tokyo Denki Univ.) |
In industries, automation has huge impact on improving productivity and service quality which means that it contributes industries to overcome labor shortage, large amount of costs and other difficulties. But there are still a lot of sectors that automation is needed. One of them is data center and it is the core sector in IT industry. This paper presents the method and implementation of detecting position and state of the LED and extracting features from LED flickering data to develop automatic visual monitoring system for data center devices.
An Air conditioner (AC) has been equipped at almost every room in Okayama University. However, students often overuse AC even at comfortable situations, which can lead to the global warming. In this paper, we present an AC overuse alarm system using Raspberry Pi. It periodically samples the temperature and humidity of the room to calculate the discomfort index (DI), and observes the AC use using a web camera. Then, if DI is within the comfortable range and AC is turned on, the system outputs a voice alarm message with five languages and sends an email alarm message to the registered persons. Through simple experiments, we confirmed that the implemented system runs correctly.
Stress is one of the most prevalent phenomena affecting people’s health and well-being. Numerous studies have demonstrated the potential negative effect of chronic stress, ranging from metabolic syndrome to sleep problems to mental disorders. Previous studies also found that a significant behavioral consequence of stress is physical activity, but the relationship between the two can be individualistic. The objective of this study is to develop a self-tracking application that allows users to track perceived stress and physical activity and to explore the relationship between the two streams of data.
Since the privacy protection is often not carefully taken into consideration in multi-bed rooms in a hospital. It is possible that personal information can easily be intercepted and eavesdropped through the conversation between a doctor and patient. To solve above problem, we propose secure medical monitoring system. The proposed system integrates smart-glasses and CSK VLC system utilizing AES. In this paper, we evaluated performance of the CSK data processing time after its reception. The response performance of the proposed system is considered to be sufficiently practical for text data acquisition.
3月20日 13:30〜16:05 School of Engineering (Lecture Bldg.) Room 104 Chairperson Tatsuaki Kimura(Osaka Univ.)
BS-1-19 |
A Study on Inferring Communication Delays using Graph Convolutional Networks with Semi-Supervised Learning
◎Taisei Suzuki・Yuichi Yasuda・Ryo Nakamura・Hiroyuki Ohsaki(Kwansei Gakuin Univ.) |
BS-1-20 |
Dynamic Diffusion Convolutional Recurrent Neural Network-based Traffic Prediction
○△Van An Le(The Graduate Univ. for Advanced Studies, SOKENDAI)・Yusheng Ji(NII) |
BS-1-21 |
Frequency Correlation Analysis of Link Quality Prediction Model for Wireless LAN Systems
○Matthew Cochrane・Riichi Kudo・Kahoko Takahashi・Takeru Inoue・Kohei Mizuno(NTT) |
In this paper, as an initial step toward the realization of
estimating communication quality (especially communica-
tion delays between node pairs) in a large-scale network, we
investigate the potential of graph neural networks with
semi-supervised learning for estimating communication de-
lays between node pairs.
Accurate prediction of the future network traffic plays an important role in various network problems (e.g. traffic engineering, quality of service provisioning, etc.). However, modern network communication is extremely complicated, which makes the tasks of modeling and predicting network behavior very difficult.
To this end, besides the traditional approaches (e.g., ARIMA), there are some studies exploiting Deep Learning techniques such as Recurrent Neural Network to estimate the traffic volume. In this paper, we propose a highly accurate traffic prediction algorithm by leveraging the Diffusion Convolutional RNN, for spatial-temporal modeling and estimating the future traffic volume of the network's links. We have conducted experiments using the Abilene dataset and the results show that our proposed approach increases 15% in the prediction accuracy.
This paper presents and evaluates link quality estimation by utilizing status information of the mobility robot for the different frequency channels.
休 憩(15:15 再開) Chairperson Hiroshi Sunaga(Osaka Inst. of Tech.)
BS-1-22 |
A Study on the Predictability of Network Robustness against Random Node Removal from Spectral Measures
○Kazuyuki Yamashita・Yuichi Yasuda・Ryo Nakamura・Hiroyuki Ohsaki(Kwansei Gakuin Univ.) |
BS-1-23 |
A Point-of-Interest Recommendation Model with Multiple Side Information
◎Qizhi Ma・Mutsumi Suganuma・Wataru Kameyama(Waseda Univ.) |
In this paper, we investigate how effectively predictive metrics (spectral measures) can estimate the robustness of a network against random and adversary node removal. Our finding includes that, among five types of spectral measures, the effective resistance is most suitable for predicting the largest cluster component size under low node removal ratio, and that the predictability of the effective resistance is stable among different types of networks.
How to make recommendation for users by using available information is a hot research topic. In this paper, we investigate the point-of-interest (POI) recommendation and propose a model based on non-negative matrix factorization (NMF) with multiple side information to improve the performance. We confirm that adopting multiple side information, including category preference of users, geographical information and friend-relation of users improve the performance of model and propose a new way utilizing the distances in recommendation.
BS-2. ネットワーク技術特別ポスターセッション
(ネットワークシステム研専、情報ネットワーク研専 共催)
3月18日 9:30〜12:00 総合科学部 K棟3F K302講義室 座長 加藤 圭(OKI)
BS-2-1 |
遅延の発生する環境下でのサービスロボットを用いた稼働状況の見積もりに関するシミュレーション
○小杉篤史・加藤 圭(OKI) |
BS-2-2 |
車載IEEE 802.11adの耐干渉通信性能評価
○平田智紀・村瀬 勉(名大) |
BS-2-3 |
ソフトウェア開発文書作成支援技術に関する一検討 -カタカナ語と英単語の表記揺れ自動獲得手法-
○長谷川菜那・宮尾 浩・菊間一宏(NTT) |
BS-2-4 |
牧場エリアにおけるLoRaデータ伝送実験
○羅 金山・伊藤 篤(宇都宮大) |
BS-2-5 |
Bluetooth MANETの端末密集環境におけるループ経路削減のためのスレーブ間コネクション制約手法
◎石崎遥己・坂 涼平・河野英太郎・角田良明(広島市立大) |
BS-2-6 |
Bluetooth MANETを用いた通信システムによる端末集中時の性能向上のための端末間コネクション確立制御手法
◎森重玲生・大谷天馬・河野英太郎・角田良明(広島市立大) |
BS-2-7 |
IoTシステムにおけるデバイスの異常検知手法
◎中村裕太郎・天野圭貴・木村圭吾・水野 修(工学院大) |
BS-2-8 |
市販製品を用いたシステム更新時におけるテスト工数削減のための一検討
○宮城安敏(NTT) |
BS-2-9 |
複数ゲートウェイを持つセキュア分散データ転送を用いる無線センサネットワークにおける故障ノード発生時の経路再構築手法
◎浅井聡太・藤田和希・河野英太郎・角田良明(広島市立大) |
BS-2-10 |
移動車両APとの高速無線LAN通信における適応的ビーコン送信手法
小林聖弥・○村瀬 勉(名大) |
BS-2-11 |
無線メッシュネットワークにおける制限時間付きファイル転送のためのチャネルを考慮した経路選択手法
◎上本勇希・木下和彦(徳島大) |
BS-2-12 |
LAA/WiFi ネットワークにおける上り通信を考慮したチャネル割り当てと接続先選択手法
◎森本禎規・木下和彦(徳島大) |
BS-2-13 |
平均転送時間と通信コストを考慮したVM移動
◎中根 真・木下和彦(徳島大)・シッドハート エクボテ・鈴木 洋(ヴイエムウェア)・渡辺 尚(阪大) |
BS-2-14 |
多段階情報処理システムにおけるエッジノード間VM移動による性能向上手法
◎安食拓海・村瀬 勉(名大) |
近年、人と協働可能なサービスロボットの普及に向けた取り組みが各所で行われている。人と効率よく協働するにはロボットの遠隔管理が必要であり、今後の5G通信の普及によって低遅延のネットワーク環境が実現する。しかしながら、遅延には通信環境の遅延だけでなく、遠隔管理の作業遅延など、様々な要因によって遅延が発生する事が有り、複合的な遅延事象が発生した場合にサービスロボットが稼働できない事に対する懸念が、サービスロボットを普及させていく上での大きな課題となっている。そこで、サービスロボットの稼働および通信遅延、作業遅延等の各種遅延事象をコンピュータ上でシミュレーションし、稼働効率とリスクを定量的に計算する事で、サービスロボット普及に関する懸念を払拭できるような課題解決策を提示する。
乗用車などの車内での無線LAN利用を想定したとき、信号待ちや併走時に他の車からの干渉が通信品質劣化を引き起こす恐れがある。802.11adは、60GHz帯を用いるため、電波減衰が激しく、直進性が高い。このような特性を持つ無線LAN同士の干渉についての研究は多くない。今回は、実機を用いて実際に通信を行う実験により、干渉の影響を調査した。車載通信が被る干渉として、干渉の強弱を3つ設定し、弱い順に、車体越し(ドア越し)、窓越し(ガラス越し)、遮蔽物なし、として干渉実験を行った。
開発用語はカタカナ語が英語表記されることも多い.例として「マスター」と「Master」等がある.開発ドキュメントにおいてはどちらかに統一させることが必要であるが,執筆者は一人に限られないため,表記揺れが発生する.その表記揺れについてレビューコメント等で指摘されることも多く,修正に稼働を要する.またカタカナ表記と英語表記のどちらを記述すべきなのかはその開発現場によって様々であり,開発用語によっても異なるため一様に定めることは出来ない.本研究では新規の開発ドキュメントにおいて,カタカナ語とそれに対応する英単語のペアを自動的に抽出しドキュメントの品質向上を実現する方法について提案する.
近年、情報通信技術やロボット技術を活用したスマート農業が急速に広がりつつある。酪農では、放牧牛の行動分析のため、様々なモニタリングシステムが開発されてきた。日本の牧場は、中山間地域の割合が高く、数キロメートルに達するところもあり、牧場でデータ通信が難しい状況にある。また、24 時間リアルタイムに牛の運動量や摂食行動を測定するため、低消費電力も要求されている。しかし、これまでに牧場における長距離省電力のテータ通信システムは、存在していない。そこで、本論文では、低消費電力長距離無線通信技術LoRa による山岳地域の牧場におけるデータ伝送実験の結果について報告する。
Bluetooth MANETはスマートフォンなどの移動端末がBluetoothを用いて構築するアドホックネットワークである.現在,Bluetooth MANETにおける様々なコネクション確立手法やデータ転送手法が提案されている.
既存手法では,ピコネット内のスレーブ端末同士でコネクションができ,Bluetooth MANETにおいてループ経路を容易に形成させる.そのため,フラッディングベースのデータ転送手法を用いると,データパケット量が増え,端末の負荷に繋がる.本稿では,ピコネット内のスレーブ端末同士のコネクション確立を制御し,ループ経路を削減する手法を提案する.また,提案法がデータ転送に及ぼす影響を評価する実験を行った.
Bluetooth MANETとは,スマートフォンなどの端末に搭載されているBluetooth を用いて構築されるモバイルアドホックネットワークであり,Bluetooth MANETで高速なコネクション確立を行うための手法が提案されている.
この手法を実際に用いる場合,実環境での多数の端末とのコネクション確立が考慮されていない.
本稿では,多数の端末が集中する環境において安定したコネクション確立を行うことを目的とした手法を提案する.さらに提案した手法をRaspberry Piに実装し,性能を実験的に評価する.
様々なモノがインターネットにつながるInternet of Things(IoT)が注目され,センサデータをはじめとするデータの収集や活用が重要視されている.しかし,IoTにおけるモノにあたるIoTデバイスには故障や盗難などの異常により,システムの信頼性が低下する恐れがある.そこで,本報告では受信したセンサデータを用いてデバイスの異常を検知できる方式を提案し,シミュレーションによって評価した.シミュレーション評価より,データが異常値を出力する箇所で高い変化点らしさを示し,異常箇所を異常とみなす正答率は73.6%であった.
本検討では、定期的にファイルの更新がある市販製品を用いてシステムを構築・運用した状況を想定し、市販製品更新時のテスト工数削減のための方法を検討する。
無線センサネットワークは経路制御機能を持つ多数のセンサ端末による自律分散型の無線ネットワークである.無線センサネットワークではセキュリティ上の問題に対し,秘密分散法を用いたセキュア分散データ転送が提案されている.この手法では,複数のゲートウェイが存在する無線センサネットワークを想定し,各送信元ノードが複数のゲートウェイに対し経路の構築を行い,シェアを送信する.従来ではシェアの送信中に中継ノードが故障した場合,故障したノードでシェアの送信が中断されるため宛先のゲートウェイまで送信できないという問題がある.本稿では,故障を検知したノードから経路を再構築し,シェアの再転送を行う手法を提案し,シミュレーション実験により性能評価を行う.
自動車とのすれ違いざまに、ユーザが車に搭載された11adのAPにアクセスしてインターネット通信をする形態が考えられているが、11adの電波特性により、ユーザと車両APが通信できる時間は短い。そこで本研究では、ビーコンの送信タイミングを制御することで、通信時間を伸ばし、スループットの向上を図る適応的なビーコン送信手法を提案する。
具体的には、ビーコン間隔の調整および同期の解消と、ハンドオーバ相手選択から構成される。これらによって、ユーザがいち早くビーコンを受信し、車両APと通信できる機会を得られるようにすることで、通信性能が向上する。
近年,ネットワークを通じたファイル転送要求が増加し,その容量も大きくなっている.一方で,定められた制限時間までにダウンロードを完了させ,それが不可能な要求は棄却するモデルが考えられている.また,災害時に通信インフラに依存せずに災害情報を提供できるシステムとして無線メッシュネットワークが期待されている.無線メッシュネットワークに制限時間付きファイル転送を用いると,災害時に有用な情報を必要な時間内に転送することができ,大変有用である.しかし,無線通信環境では干渉の問題があり,各リンクの利用チャネルを考慮する必要がある.
無線通信技術の向上や高機能携帯端末の普及によって周波数資源が逼迫している.そこで ISM(IndustrialScientific Medical) バンドを利用した LAA(Licensed Assisted Access) が注目されている.基地局の集中制御により, LAA は周波数資源を WiFi よりも効率的に使用できる.
しかし, WiFi しか使えないユーザが多く存在する環境において全てのチャネルを LAA で使用するのは適切ではない. LAA と WiFi が共存する環境を考えたとき, LAA は CSMA/CA を用いないため WiFi のスループットを大幅に低下させる.そこで LBT(Listen BeforeTalk) によって CSMA/CA と同様のアクセス制御を行うことにより両システムを共存させ,それらの間での最適なチャネル割り当てを GA ( Genetic Algorithm )を用いて決定する研究がある.しかし WiFi において上り通信を考慮する際は,衝突や下り通信との共存によりスループットが低下する.
LAAでは上り通信,下り通信でチャネルが分けられているので大幅な低下は見られない.このように, LAA と WiFiではアクセス制御が異なり,
LAA のほうが周波数資源を有効に利用できる可能性がある.
クラウドサービスの世界市場は年平均20%以上の成長を続けている[1].特に,Amazon Web Services(AWS)といったパブリッククラウドと自営のオンプレミスを併用するハイブリッドクラウドが増加している.このとき,負荷分散やバックアップなどの目的でそれぞれのクラウド間で仮想マシン(VM)を移動させることがある.これは,稼働上週末などに集中して行われることが多く,多数かつ大容量のVMを効率よく移動させることが求められる. そこで本研究では,オンプレミス側をクラウドに移動させる際の平均転送時間と総経路コストの最小化である.[2].
本稿では、データセンターのサーバとエッジノードのVMとの多段階情報処理において、エッジノードの混雑を考慮することで、ネットワーク全体の正確性を向上させるVM移動手法を提案する。提案手法では、要求レスポンスタイム制約下で、VMの正確性の向上率とエッジノードの混雑を考慮してVMを移動させる。これにより、クライアント数があるエッジサーバに集中するような場合でも、ネットワーク全体で正確性を高めることが可能である。提案手法の効果を把握するために、基本的なエッジノード配置で、エッジノード上のVMのみと通信する場合における、VM移動に対するネットワーク全体の正確性の特性を調査した。
BS-3. Society 5.0を支える電力変換技術
(電子通信エネルギー技術研専)
3月19日 15:00〜17:20 総合科学部 K棟3F K311講義室 座長 高濱昌信(ソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ)
BS-3-1 |
Society 5.0を支えるパワーエレクトロニクスとシステムのモデリング・シミュレーション技術
◎今岡 淳・重松浩一・向山大索・山本真義(名大) |
BS-3-2 |
DCマイクログリッドを支える安定性解析
○土井昌志・財津俊行(オムロン) |
BS-3-3 |
再エネシステムを導入する病院のVPP検討モデル
○松井信正(長崎総合科学大)・水野裕志(阪電通大)・田中義人・黒川不二雄(長崎総合科学大) |
インダストリー4.0,インダストリアルインターネット,IoT,スマートファクトリーやソサエティ5.0といったものづくりの効率化や価値向上を図るための開発プロセスのデジタル化が急速に進展している。本稿では,これら動向に関して,詳細な「パワーエレクトロニクス(以下,PE)回路」側の動向と全体を俯瞰した「システム」側の動向という2つの切り口に分け,シミュレーションの技術動向について紹介する。
従来,日本における送配電網は大規模な発電所から送電網を介して各需要家に供給する集中給電が主流であったが,近年,自然災害に対するリスク分散や,再生可能エネルギーの利活用,送電ロスの低減のため,DCマイクログリッドによる分散給電が注目されている。本稿では,DCマイクログリッドの重要な課題の一つであるシステムの安定性を検証する手法として,最小構成要素であるDC/DCコンバータの安定性解析から,分散電源システム・DCマイクログリッドへの安定性解析の拡張について解説する。最後に,今後DCマイクログリッドの実現に向けて求められる解析手法の方向性について考察する。
病院では JIS規格に基づいて非常用発電機EGを備えており,省エネ推進に加えて積極的に再生可能エネルギーを活用した分散型のエネルギーシステムを導入する施設が増えつつある. 本研究では, これまでの災害発生時の単独運転時を想定した研究の成果を平穏時に適用し,病院をVirtual Power Plant (VPP)として,電力系統の安定に寄与しながら,備蓄燃料を枯渇させないためにEGを活用したDemand Response (DR)に対応するためのモデル化を提案する.
休 憩(16:30 再開)
BS-3-4 |
インフラ予防保全や第一次産業高度化支援のための屋外IoT機器向け電源の基礎的評価
◎高江洲竜馬・石塚洋一・杉本知史・藤本孝文・チャイ・ユー グァン・藤島友之・岩崎昌平(長崎大) |
BS-3-5 |
Society 5.0を支える非接触給電用電力変換回路技術
◎太田涼介・星 伸一(東京理科大) |
現在日本で問題となっている地球温暖化による環境問題やインフラの老朽化に対する予防保全や第一次産業高度化支援のため、ワイヤレスセンサネットワークシステムを屋外に実装し、遠隔モニタリングを行っている。本稿では、土砂災害の予防保全のために屋外の斜面に実装しているシステムの電源部について評価を行った。ハーベスティングで得た電力を蓄電する素子が鉛蓄電池とリチウムイオン電池の場合での充電電圧を測定した。結果として、鉛蓄電池は一日を通して電圧の変動が少なく、屋外のシステムの電源としての可能性を確認した。
内閣府が提唱するSociety5.0では,日常生活の中で自動運転車・ドローン・AIなどが活躍し,電気エネルギーへの依存度の高まりが予想される.このような人の手から離れて活動する機器の充電は,プラグ脱着を必要としない非接触給電が適している.加えて,急速充電により充電時間を短縮することが望ましい.しかし,急速充電による電力損失は大きく,より巨大な冷却機構を車体(筐体)に搭載する必要がある.当然のことながら,車体に搭載できる冷却機構の大きさには限りがあるため,大電力化を行う場合,高効率な電力変換回路が求められる.本稿では,電磁誘導型非接触給電における高効率化手法,特に電力変換回路に関する手法について概説する.
BS-4. Society 5.0を支える次世代通信におけるQoE~QoE評価からネットワーク制御まで~
(コミュニケーションクオリティ研専)
3月17日 11:00〜12:15 総合科学部 K棟2F K208講義室 座長 岡本 淳(NTT)
BS-4-1 |
(依頼講演)エッジデバイス上の画像認識におけるQoE 向上に向けた取り組み
○中野谷 学・Chinchali Sandeep(Stanford Univ.) |
BS-4-2 |
自動音声認識精度と音声QoEの相関に関する一考察
○山下 仁・篠崎卓也・松永 宏・西 豊太(ドコモ・テクノロジ) |
BS-4-3 |
Self attention with additive similarity
○Ravi Jain・Hideaki Yanagisawa・Hiroshi Watanabe(Waseda Univ.) |
ニューラルネットワークをベースとした画像認識技術は,従来手法を大きく超える識別性能を発揮しながら,一貫してさらなる性能向上に向けたモデルの提案や改良が行われてきた.一方で自動運転などに代表される画像認識技術の有力なユースケースでは,認識処理の全部または一部をデータセンタ等の中央集権的なクラウド環境ではなく画像データが収集される各フィールドで稼働する計算機(エッジデバイス)で行うことが求められる.こうした実行環境下において画像認識処理がQoE1観点として必要十分な性能を発揮するには,mAP など今日の画像認識手法の評価に一般に使用される識別性能指標だけでの評価では不十分である.
本稿では,こうしたエッジコンピューティング環境下でニューラルネットワークベースの画像認識を行う際に留意すべき性能評価手法の動向を紹介するとともに,QoEの向上に寄与する通信制御や効率化に関する取り組みについて議論する.
近年、モバイルネットワークの品質向上に伴って、つながる/つながらないといった客観的な接続品質だけでなく、お客様が体感する主観的品質(QoE: Quality of Experience)の維持・改善が重要視されている。
本稿では、自動音声認識技術による音声認識精度を用いたモバイルネットワークの音声QoE推定の実現可能性を商用環境において示した。本手法は音声認識基盤の利用を前提とし、音声認識結果(テキスト)の比較による簡易な手法によって音声QoEを評価することを特長とする。
In this paper, we propose a modification to the self-attention formula, and show results carried out on language modeling experiment, we consider additive similarity between query and key during computing attention.
3月17日 13:30〜17:05 総合科学部 K棟2F K208講義室 座長 久保亮吾(慶大)
BS-4-4 |
(依頼講演)Wi-SUN搭載タクシーを活用した地域IoTサービス基盤 −すれ違い通信によるデータ配信から乗客発見情報の共有まで−
○中内清秀・荘司洋三(NICT) |
BS-4-5 |
Chain Data Lineage: Society 5.0を支えるデータ来歴管理技術
○西間木 哲・佐藤 出・中川 格・伊藤 章(富士通研) |
BS-4-6 |
モバイル網発展途上領域への適用が可能なコネクテッドカーデータ収集プラットフォーム
○寺西裕一・木全 崇・河合栄治・原井洋明(NICT) |
BS-4-7 |
力覚フィードバックを用いた遠隔ロボットシステム間の協調作業における安定化制御
○黄 平国(星城大)・三好孝典(長岡技科大)・石橋 豊(名工大) |
筆者らは,超高齢社会等の社会課題をICT/IoT技術で解決する戦略として「“データの地産地消”で地域の課題は地域で解決」,「地域に浸透済みの資源をゆるくつなぐ」,「人流・物流に“データの流通”も託す」というサービス概念を打ち出し,「安心・ 安全な街づくり」に資するICT/IoT利活用システム・サービスの研究開発と社会実証実験を推進している.具体的には,スマートメータ向け用途で全国規模で普及しているIoT無線通信規格Wi-SUNに着目し,Wi-SUNデバイス搭載タクシー等を地域IoTサービス基盤の構築と,実用化に向けて社会的・経済的価値の検証までを含む実証的研究開発に取り組んでいる.
本稿では,地域IoTサービス基盤を構成するモビリティ基盤にフォーカスし,無線マルチホップ中継及び蓄積運搬中継("Store-Carry-Forward")の融合をコア技術とする,すれ違い通信型地域内データ共有方式の概要,及びその応用例としてタクシー乗客発見支援サービスの実証実験の概要を紹介する.
データ駆動型社会のSociety 5.0では,データを活用することで,社会的課題を解決し,人々の生活品質を向上させる.データが社会に与える影響が増している一方で,フェイクニュースに代表されるように,昨今のインターネットで入手できる情報は,何が真実であるかの判断が難しくなっている.今後,個人や組織内のみのデータ活用から,データが流通し,組織の枠を超えたデータの活用が広がった時に,データ自体の信頼性がより重要になり,通信で扱うデータの信頼性を保証することが,ユーザのQoE向上につながると我々は考える.本稿では,データの信頼性を保証する手法として,組織間でのデータ流通に特化した新しいデータ来歴管理技術について述べる.
本研究では,モバイル網が発達途上の領域において,コネクテッドカーが搭載する各種のセンサーから生成される大容量データを収集・分析可能とし,サービスの品質を向上させるデータ収集プラットフォームの研究開発を行なっている.本プラットフォームは,SDN(Software Defined Network)のコンセプトに基づき,ネットワーク制御のためのコントロールプレーンとデータ送受信のためのデータプレーンを分離するハイブリッドDTNアーキテクチャに基づく.本発表では,本プラットフォームが実現を目指すユースケース,および,上記アーキテクチャに基づきデータ収集成功率を向上させるデータ収集アルゴリズムの概要を示す.
本稿では, 力覚フィードバックを用いた遠隔ロボットシステム間の協調作業を対象とし, 筆者らがこれまで取り組んで来た, 一つのシステムの安定化制御を, 二つのシステム間の協調作業にも適用し, その効果を調べている.さらに, この安定化制御に関する問題点を議論し, マルチラテラル制御の安定化を早急に解決する必要があることを述べている.
休 憩(15:25 再開) 座長 林 孝典(広島工大)
BS-4-8 |
(依頼講演)xRコミュニケーションにおけるユーザ体感品質
○藤若雅也・野上耕介(NEC) |
BS-4-9 |
MPEG-DASHにおけるQoE向上のための安定したビットレート選択手法
◎阪本竜太・堀地亮佑・久保亮吾(慶大) |
BS-4-10 |
映像配信に対する品質推定及び制御技術
○山岸和久(NTT) |
BS-4-11 |
サービス要求品質に基づくネットワーク制御技術
○小林正裕・原田薫明(NTT) |
近年xR(AR/VR/MR)技術の発展は目覚ましく、その中でARクラウドと呼ばれる技術が注目を集めている. ARクラウドは複数ユーザ間で共有される実世界のデジタルコピーであり、固定カメラやスマートグラス、自動車等に搭載されているカメラやセンサーの情報から構築される. ARクラウドではユーザの挙動を含めてデジタル化されるため、そのデータを分析することで、ユーザの挙動そのものを入力とみなすことができ、スマホやPCによる入力の手間がなくなり、AIによるリアルタイム行動支援サービスなど様々なサービスの展開が期待される. 本稿ではARクラウドの特徴を活かしたコミュニケーションサービスを定義し、同サービスが求めるユーザ体感品質やその実現に向けたアーキテクチャについて論じる.
近年,映像や音声等の五感情報をやり取りする通信サービスの品質評価指標としてユーザ体感品質(QoE:Quality of Experience)が注目されている.映像ストリーミングにおいて,フィードバック制御理論に基づいてビットレート選択を行うことでQoEを向上させる手法が提案されているが,従来手法ではビットレート変動によるQoE低下が懸念されていた.映像ビットレートの変動によるQoEの低下を抑制するため,著者らはMPEG-DASHにおけるQoEを考慮したビットレート選択手法を提案した.本提案手法はこれまで数値シミュレーションのみにより評価が行われていた.本研究ではns-3を用いたネットワークシミュレーションにより評価を行う.
本稿では映像配信サービスの進化を支える品質推定技術や品質制御技術について紹介し,今後の研究課題について述べ,本稿をまとめる.
SDNやNFVなどの仮想化技術の進展に伴い,ネットワークはソフトウェア操作により,動的かつ柔軟に制御できるようになっている.一方で,提供サービスやユーザ通信端末の多様化に伴い,通信に要求される品質も多様化しており,サービス・ユーザ毎の要求品質に応じた(パーソナライズ化された)通信サービスの提供が求められている.そこで,通信サービスのパーソナライズ化のため,ネットワーク仮想化を活用し,要求品質に基づいたネットワーク制御技術が研究されている.本稿では,筆者らの研究グループが取り組んでいるフロー分類による品質予測・経路制御の技術概要と今後の課題を述べる.
BS-5. インターネットアーキテクチャ若手ポスターセッション
(インターネットアーキテクチャ研専)
3月17日 13:30〜16:00 総合科学部 K棟3F K302講義室 座長 山本 寛(立命館大)
BS-5-1 |
ICN におけるコンテンツレプリカの自律分散的配置手法の検討
○樫本紀尚・作元雄輔(関西学院大) |
BS-5-2 |
ランダムウォークエージェントを用いた非構造ネットワークに対 する高速なランデブーアルゴリズムの検討
○豊田郁弥・作元雄輔(関西学院大) |
BS-5-3 |
Raspberry Piを用いた小規模環境に向けたメッシュネットワークの構築と運用
◎小松聖矢(香川高専)・宮川慎也(名大)・竹原一駿(香川大)・横山輝明(NICT)・猪俣敦夫(阪大)・白石啓一(香川高専) |
BS-5-4 |
ブロックチェーン履歴交差法の検討
◎△柳原貴明・藤原明広(千葉工大) |
BS-5-5 |
IoTネットワークにおけるDRDoS攻撃の脆弱性調査に関する一検討
◎△渡邉和祥・飯田勝吉・髙井昌彰(北大) |
コンテンツの配送時間を削減するために,ICN ではネットワーク内キャッシングの活用が議論されている . ネットワーク内キャッシングによるコンテンツ配送時間の短縮効果は,ICN におけるキャッシュ配置もしくはキャッシュに格納されているデータレプリカの配置に強く依存する. 我々は,大規模かつ広域なICNにおいて効果的なレプリカ配置を実現するために,レプリカの自律分散的な配置方法を検討する.
ランデブー問題では異なるノードに存在する複数のエージェントが同一のノードで出会うことを議論しており,そのアルゴリズムは様々なネットワークで活用されている.ネットワークが大規模かつ複雑になるにつれ,ネットワークの情報や相手エージェントの情報を利用できる状況は限られてしまうため,それらの情報を用いることなく各エージェントが短時間で出会えるランデブーアルゴリズムが求められる.本稿では,既存研究で明らかにしたランダムウォークの性質を用いることで,ネットワークや相手エージェントの情報を用いることなく短時間でエージェントが出会えるランデブーアルゴリズムを構築する.
無線通信技術の発達によりWiFiメッシュネットワーク(マルチホップ通信)を使った製品が多数登場している.メッシュネットワークは一時的なイベント会場や工事現場,学校等の学生向けなどの仮設ネットワークインフラとしての利用も期待できる.
本研究では,安価なシングルボードコンピュータであるRaspberry Piを用いて,学生寮やイベント会場等を対象としてメッシュネットワーク(以下,Messiah-Net)を用いた仮設ネットワークの構築に取り組む.Messiah-Netの開発での調査や実験について報告する.メッシュネットワークでは,無線が不可視な通信であることから,通信干渉による性能劣化や,運用時の状態把握が困難という問題がある.
そこで,実験では,性能劣化に対して通信帯域の確保のためにRaspberry Piへ複数WiFiインターフェイスを追加して,WiFi通信の無線チャンネルの複数利用による通信の分離による帯域の向上の可能性を調査した.また,システム管理に不慣れな学生による管理を想定し,メッシュネットワークのゲートウェイに用いるコンピュータでノードの状況を可視化し手軽な管理が可能なシステムを開発する.
本研究では, ドメイン間で定期的にブロックチェーンの状態を共有し, 互いのブロックチェーンに書き込み合う履歴交差法を用いることで, 上記の問題の解決を検討する. ドメイン間で自律的に履歴交差を行う通信プロトコルを提案する. また, 履歴交差法によって, 改ざん耐性がどの程度向上するかを理論的に性能評価する.
近年Reflection/Amplification攻撃によるDRDoS攻撃が盛んであり、被害が拡大している。従来のDRDoS攻撃のReflectorにはDNSサーバなどが用いられていたが、近年ではIoTデバイスを利用した攻撃が急増しており対策が急務である。そこで本稿では組織内IoTネットワークにおける効率的なReflector検出を実現するための一検討とその研究計画を述べる。
休 憩(15:00 再開) 座長 野林大起(九工大)
BS-5-6 |
ライフラインセンシングによる生活状態検知システムの検討
○△堀 恵大・山本 寛(立命館大) |
BS-5-7 |
UAVと遠距離無線通信を活用した大規模農業センシングシステムの検討
○△東浦吉弘・山本 寛(立命館大) |
BS-5-8 |
多種センシングデバイスの連動による有害鳥獣検知システムの検討
○△尾崎大智・山本 寛(立命館大)・加藤拓也・宇都宮栄二(KDDI総合研究所) |
BS-5-9 |
UAVと近距離超省電力通信を活用した大規模農業センシングシステムの検討
○△西浦翔太・山本 寛(立命館大) |
BS-5-10 |
時空間データ滞留方式におけるブロックチェーン技術を用いたデータトレース方式の提案
◎加藤耕平・野林大起・塚本和也・池永全志(九工大) |
BS-5-11 |
適応型サーバ・パス切替手法におけるトラヒック情報の更新周期とサーバ切替に伴うオーバーヘッドの影響調査
◎西牟田裕之・野林大起・池永全志(九工大) |
近年、高齢化社会の加速に伴い独居高齢者が急増しており、福祉現場における介護者不足が深刻な問題となっている。この問題を解消するために、宅内で利用できる見守りサービスや行動推定手法が提案されている。これらのサービスの多くは、カメラや近接センサを用いることで高齢者の行動の監視を行う。しかし、カメラを用いた手法にはプライバシー上の問題があり、また近接センサを用いた手法では、設置数の増加に起因するコストの増大が懸念される。そこで本研究では、プライバシー上の問題がなく、また膨大な数のデバイスを設置せずとも宅内での高齢者の行動を推定できるように、宅内での行動と密接な関係性がある水道や電気といったライフラインをセンシングの対象とする生活状態検知システムを検討する。
近年、東南アジアなどの農業を主要な産業としている国々は広大な農地を所有しており、農作業を効率化するためのICT化が求められている。また、LPWAを利用したセンサネットワークの構築が注目されているが、作物などの障害物が多い農場では、見通しの確保ができず長距離無線通信が困難となり、加えて、多数のセンサノードが同時に発信すると電波が互いに干渉することも問題となる。そこで本研究では、データ収集するゲートウェイとして、上空を自由に移動することができるUAVを用いたセンシングシステムを研究開発する。また、電波の干渉を防ぐキャリアセンスやエラー訂正を適用することで効率的にデータを収集する通信方法も検討する。
日本各地で有害鳥獣による農作物被害や傷害事件が年に数回発生しており、2018年の被害額は約158億円となっている。そのため近年では、有害鳥獣による被害の対策として、猟師による捕獲や防止柵の設置が行われている。しかし、これらの対策には、猟師が罠や防止柵を見回る必要があり、大きな負担となる。このような猟師の負担を低減するため、インターネット経由で遠隔から有害鳥獣をモニタリングし、罠や防止柵周辺での有害鳥獣の行動を把握できる技術が求められている。
そこで本提案システムでは、電波センシング、レーザーレーダー、および深度カメラが連動することで、罠や防止柵への生物の接近だけでなく、その種類や姿勢を検知することができる新しい有害鳥獣検知システムを研究開発する。罠の周辺に位置する有害鳥獣の姿勢を検知することで、将来的には麻酔銃のような罠を適切なタイミングで稼働するシステムの実現も可能となる。
農業を主要な産業とするベトナムでは、国土面積の3分の1以上を農地面積が占めており、効率的に広範囲の農地を管理する必要がある。
これまでに、農場内の環境情報を計測し、遠隔から計測結果を確認するための農業遠隔監視システムが提案されている。しかし、これらのシステムはフィールド内に多数の中継装置を設置する必要があり、定期的に全ての装置のバッテリーを交換する作業が必要となることが問題となる。
そこで本研究では、Unmanned Aerial Vehicle(UAV)と省電力な近距離無線通信であるBluetooth Low Energy(BLE)を活用した、大規模農場を対象とした広域センシングシステムを研究開発する。
UAVが広範囲に設置されたセンサノードの場所まで自律的に移動してセンサデータを取集することで、数kmから数十kmの範囲をカバーすることが可能となる。
IoT デバイスが生成するデータには,データが生成された時間や場所に依存するものが存在する.我々はこのようデタを時空間データと定義し,データの地産地消を実現する時空間データ滞留手法を提案してきた.この滞留手法では,車両を情報を中継する Info-Hubs(Information Hubs) として用い,特定の空間 ( 滞留エリア ) にデータを拡散・維持されることで,ユーザはその空間内で時空間データを受動的に受信・活用できる.この手法では,車両が自律的にデータを滞留させ,ユーザは車両から送信されたデータを活用するため,滞留しているデータが情報提供者が意図した空間内で適切に転送されていること,そしてデータの完全性を保証することの信頼性を確保することが必要となる.そこで本研究では,時空間データ滞留手法における信頼性確保を目的とした.
コンテンツ配信の多くで利用されるContent DeliveyNetwork では,ユーザと配信サーバ間で一度通信を開始すると,競合フローの発生によって通信経路中の利用可能帯域が変化した場合でも接続先のサーバを変更することは困難である.この課題を解決し,通信品質の劣化を改善するため,我々は,適応型サーバ・パス切替手法を提案している.
本研究では,OpenFlow によるトラヒック情報の更新周期およびサーバ切替に要する時間が提案方式へ与える影響を調査する.