3月18日 13:30〜17:00 総合科学部 K棟2F K206講義室 座長 藤吉邦洋(東京農工大)
A-1-1 | 非接触心拍計測システムおけるディジタルフィルタ回路規模削減手法の検討 ◎吉村侑恭・井上敏之・土谷 亮・岸根桂路(滋賀県立大) |
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A-1-2 | FPGAシミュレーションによるイジングモデルを用いた巡回セールスマン問題の応用 ○△田口雄大・飯村凌馬・北村知士・河原尊之(東京理科大) |
A-1-3 | イジングモデルLSI実装におけるキンググラフと全結合モデルの比較 飯村凌馬・北村知士・○河原尊之(東京理科大) |
A-1-4 | Some Characterizations of Three-Directional Orthogonal Ray Graphs ○Satoshi Tayu(Tokyo Tech) |
◎吉村侑恭・井上敏之・土谷 亮・岸根桂路(滋賀県立大)
近年,心拍情報を用いた様々なシステムが注目されており,中でも心拍波形の特徴量を用いた生体認証等への応用が期待されている.マイクロ波センサの出力信号には,心拍以外に呼吸・体動に起因する周波数成分が含まれているため,心拍成分を通過させるフィルタが必要となる.波形を歪ませないためには,線形位相特性を有するFIRフィルタの適用が望ましい.しかし,高サンプリングレートで低周波を遮断するフィルタ特性を得るためには,乗算器等のハードウェアリソースが多く必要となる.そこで本研究では,FIRフィルタの係数ビット幅に対するフィルタ出力出力波形の劣化度を抑制し,FPGAリソース使用率を削減できることを明らかにした.
○△田口雄大・飯村凌馬・北村知士・河原尊之(東京理科大)
IoT社会の発展により,多くのモノにセンサが搭載されるようになった.しかし,これによるクラウドの負担が増大すると懸念されている.そこで,モノ側で情報処理をすることでクラウドの負担を軽減することを考えた. このため,全結合イジングモデルを実装したLSIを,FPGAに移植することをシミュレーションし,巡回セールスマン問題(以下:TSP)を解決した.その題材として,本学葛飾キャンパスの図書館で本棚を巡回する場合を想定した.その結果として,最適な巡回経路が得られた.本研究を通して,イジングモデルによるTSPがFPGAによって解けることがわかった.今後の課題としては,FPGAやASICに実装することで,実用に耐える時間で解くことが挙げられる.
飯村凌馬・北村知士・○河原尊之(東京理科大)
イジングモデルのLSI実装において全結合モデルとキンググラフを比較した。その結果、全結合モデルで1,000スピンを使用する問題をキンググラフにマッピングしようとした場合1,000,000スピン必要となることが分かった。また相互作用数を比較した場合、全結合モデルを用いるとキンググラフの約8分の一程度となることが確認できた。以上より、キンググラフでは複雑な問題を解くためには膨大な数のスピンと相互作用が必要となり、回路面積が膨大なものとなってしまう。しかし、全結合モデルであれば比較的少ないスピン数で実装することが出来るためLSI実装に向いていることが確認できた。
○Satoshi Tayu(Tokyo Tech)
A bipartite graph is an orthogonal ray graph if vertices correspond to rays (half lines) in the plane parallel to x- and y-axes such that no two parallel rays intersect, and two vertices are adjacent if and only if corresponding rays intersect.
An orthogonal ray graph is said to be 3-directional if every vertical rays has the same direction.
A cactus is a connected graph in which any two cycles have no common edge.
In this paper, we show some characterization of 3-directional orthogonal ray graphs.
休 憩(14:45 再開) 座長 高橋康宏(岐阜大)
A-1-5 | 電力損失を低減する大電流出力トランス駆動方式に関する研究 ◎徐 逢員・佐野勇司(東洋大) |
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A-1-6 | 振動発生回路の電力損失の低減 ◎市原優希・佐野勇司(東洋大) |
A-1-7 | GaNスイッチング素子を用いた低ノイズDC/DCコンバータ ○村上真一・山本昭夫・李 ウェン(日立) |
A-1-8 | デジタル直接駆動技術へのSRモータの応用の一検討 ◎薛 飛・安田 彰(法政大) |
◎徐 逢員・佐野勇司(東洋大)
大電流出力トランスは電力系統の試験装置や磁気探傷装置の電源装置などに用いられ,低抵抗負荷を駆動している.これらの大電流出力トランスは商用周波数で駆動されており大型であると共に,電力損失が大きく電力効率の向上が課題になっている.
本論文では,トランスを高周波パルス駆動して小型化を図ると共に,パルス駆動電圧を半減してヒステリシス損を低減する駆動方式を提案する.実験の結果,提案方式を用いてトランスを駆動することにより,一般的なパルス駆動方式に対して,トランスの全電力損失を55.8%に低減できる見込みを得た.
◎市原優希・佐野勇司(東洋大)
振動試験装置の振動発生コイルを大電流駆動する振動発生回路においては電力損失の低減が課題となっている.本研究では回路シミュレーションを用いて,電力損失の主な要因がコイルの回生電流に起因した駆動素子のスイッチング損失であることを明らかにすると共に,電力低減方法を提案した.LPFのコイルに並列共振コンデンサを付加する手法を提案し,スイッチング素子の電力損失を50%低減できる見込みを得た.
○村上真一・山本昭夫・李 ウェン(日立)
GaNスイッチング素子を用いた低ノイズDC/DCコンバータを検討した。高速動作時のノイズ低減手法として、2系統のGaNスイッチング素子Q1/Q2及びQ3/Q4をそれぞれ逆位相で制御し(デューティ比50%)、各出力を平滑化した後に合成してDC出力を得ることにより、リンギング及びリップルを打ち消す新たな手法を提案した。提案方式を試作・評価した結果、スイッチング周波数30k~500kHz,出力100V/0.1A動作時において、リンギング1.3Vpp(同位相)→0.4Vpp(逆位相)、リップル98mVpp(同位相)→5mVpp(逆位相) にそれぞれ低減可能であることを確認し、提案方式の有効性を示した。
◎薛 飛・安田 彰(法政大)
1、背景と目的
近年,省レアアースモータとしてSRモータの実用化が期待されている.ですが、SRモータは電磁騒音とトルクリプルが大きく効率が低いといった課題があり,広く普及するのが遅れている。デジタル直接駆動技術を用いてマルチコイル化SRモータシステムを提案する.
2、方法
SRモータの各相のコイル対をそれぞれ複数に分割した構造にし、SRモータのコイルの電流特性をLTspiceのシミュレーションで確認する.
3、結果
マルチコイル化SRモータの電流動作はシングルコイルSRモータより速くなる.
4、結論
デジタル直接駆動技術を用いたマルチコイル化SRモータは電流の立上がりと立下り動作の高速化により,平均トルクの増加ことが期待される.
休 憩(16:00 再開) 座長 佐野勇司(東洋大)
A-1-9 | 周期的強制外力によって駆動された振り子システムにおけるカオス的ランダム発振のスペクトル ○高田明雄(函館高専)・坪根 正(長岡技科大) |
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A-1-10 | 様々な型紙集合を入力とする自動マーキングシステムの研究 ○相馬和也・藤吉邦洋(東京農工大) |
A-1-11 | 可変成形型電子ビーム描画装置のためのハミルトンパス長を考慮した矩形分割手法 ○加藤将輝・藤吉邦洋(東京農工大) |
A-1-12 | 並行導体で構成されるメタマテリアルの遅延電磁結合を含む回路モデルを用いた時間領域解析 ◎秋丸大甫・久門尚史・Mahfuzul Islam・和田修己(京大) |
○高田明雄(函館高専)・坪根 正(長岡技科大)
周期的強制外力によって駆動された振り子システムにおけるホワイトノイズ的なランダム発振のパワースペクトルを電気回路モデルに基づいて考察した.回路がカオス状態にあり,発振のランダム性が強い場合には,回路に唯一含まれる非線形要素である電圧制御型電流源から生じる電流がカオス的でランダムになっていると推定される.この場合,電圧のパワースペクトルについて,低周波リミットの実験値を用いたノイズパワーの理論計算結果は,実験結果の高域でのパワーの周波数依存性に一致する.一方,ホワイトノイズ発生が示唆されるものの理論計算結果と実験結果が一致しない場合は,誘発されるランダムウォークが弱いことが示唆される.
○相馬和也・藤吉邦洋(東京農工大)
マーキングとは、幅が一定の布地に洋服の型紙を配置することを言い、型紙をより密に配置することで生産コストが抑えられる。一度に多数の型紙を手作業で扱うのは困難であるため、計算機によってマーキングを行なう自動マーキングシステムが研究されている。逐次配置による焼き鈍し法で配置探索を行なうと型紙集合によって解の収束性にばらつきがでる。そこで、実際に存在する型紙を入力とすることで、型紙集合の特徴と解の収束性について調べた。実験結果より、布地幅と型紙の幅の比が、解の収束性に関わっているのではないかという知見を得た。
○加藤将輝・藤吉邦洋(東京農工大)
LSIのマスク製造に用いられる電子ビーム描画装置は矩形に成形した電子ビームを位置決めし照射することを一つずつ行うため、回路パターンを構成する多角形をサイズ上限以下の許容矩形の集合に分割する必要がある。このとき、マスク製造時間短縮のため、矩形数最小の下で、位置決めに要する照射位置整定時間の総和を短くすることが重要である。照射位置整定時間は連続で描画する2つの矩形のチェビシェフ距離に依存する。基礎研究として、与えられたサイズ上限より大きい矩形を、最小数の矩形の集合に分割するときに、照射位置整定時間を最短化できる場合を考える。
◎秋丸大甫・久門尚史・Mahfuzul Islam・和田修己(京大)
本稿では、まず並行導体で構成されるメタマテリアルとその遅延を含んだ等価回路モデルの回路方程式について説明する。次に、その回路モデルを用いて、並行導体で構成されるメタマテリアルを解析し、電磁界解析による結果、遅延を考慮しない場合の回路モデルによる結果と比較することで、遅延を含んだ等価回路モデルによって放射損失をモデル化できることを示す。そして、2つの離れた導体が並んだ構造と、その2つの導体の間に等間隔で導体が並んだ構造を等価回路モデルを用いて解析し、その結果から並行に導体を並べることで、並べた方向に電磁界を伝搬することができることを示す。
3月20日 9:30〜12:00 工学部 講義棟1F 114講義室 座長 山口 基(テクノプロ)
A-1-13 | 帯域可変機能を有するトランスインピーダンスアンプ ○三浦直樹・竹谷 勉・野坂秀之(NTT) |
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A-1-14 | 可変利得増幅回路の広入力ダイナミックレンジ化の検討 ◎脇田健杜・佐藤 匠・伊藤大輔・中村 誠(岐阜大)・徐 照男・長谷宗彦・野坂秀之(NTT) |
A-1-15 | バースト伝送用帯域可変CMOS RGC-TIA回路の検討 ◎△湯浅貴文・三輪祐三久・石原直志・志津有記・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大) |
A-1-16 | 異なる実装条件に対応可能な入力抵抗可変TIAの提案 ◎△佐藤優杜・脇田健杜・佐藤 匠・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大) |
○三浦直樹・竹谷 勉・野坂秀之(NTT)
本稿では、光PLLを用いたモニタリングシステム実現に向け、帯域切り替え機能を有するTIAを設計し、その性能をシミュレーションで確認したため、その結果を報告する。
◎脇田健杜・佐藤 匠・伊藤大輔・中村 誠(岐阜大)・徐 照男・長谷宗彦・野坂秀之(NTT)
近年の光通信システムでは大容量化のためにPAMやQAMといった多値変調方式が利用され、光受信器の入出力間の信号には線形性が求められる。
本稿では、光受信器内で用いられる可変利得増幅回路について、利得を低下させることなく大振幅に対しても良好な線形性を示す構成を提案する。
◎△湯浅貴文・三輪祐三久・石原直志・志津有記・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大)
現在普及している1.25 Gb/s 通信からより高速な10.3Gb/s 通信に移行するにあたり、収容局の受信回路は異なる伝送速度の信号を受信する必要がある。本稿では、TIAを対象にCMOS技術を用いて自身で速度切り替え可能な回路の検討を行った。広帯域な特性を得るためRGC(Regulated Cascode)構成を基本とした。通信速度判別回路はLPF(Low-pass Filter)により低速信号のみ通過させ、信号速度の判別を行っている。回路シュミレーションでの動作検討を行い、通信速度判別回路は原理確認の為、理想素子を用いて検証した。1.25Gb/s と10.3Gb/s のパケット信号を受信可能なことを示した。
◎△佐藤優杜・脇田健杜・佐藤 匠・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大)
近年, 光通信システムの高速化が求められ, これに対応するため光受信器の広帯域化が進められている. 光受信器入力部の光/電流変換を行う PD (Photo Detector)と電流/電圧変換を行うTIA (Transimpedance Amplifier) の接続にはボンディングワイヤ等が用いられる. 広帯域化に伴い, これらの実装に起因するインダクタンスの影響が大きくなり, 光受信器の周波数特性を劣化させる問題がある. 特に, 実装条件により入力部の寄生インダクタンス値は異なり, 周波数特性の劣化量も異なる. 本稿ではボンディングワイヤ等による周波数特性の劣化を低減できる回路として入力抵抗可変TIAを提案する.
休 憩(10:45 再開) 座長 中村洋平(日立)
A-1-17 | 光アクセスネットワーク長延化に向けた符号配列対応型可変プリエンファシス技術の検討 ○志津有記・前川竜也・林 宏太・湯浅貴文・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大) |
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A-1-18 | PAM4信号対応CMOSドライバ回路用出力整合回路の検討 ◎篠田龍一・林 宏太・鷲見和紀・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大) |
A-1-19 | PAM4受信器用波形劣化補償器の補償量改善の一検討 ◎霜田幸長・林 宏太・鷲見和紀・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大) |
A-1-20 | パイプライン型A/Dコンバータにおけるステージ間信号劣化の解析 ◎宮下 航・佐々木昌浩(芝浦工大) |
A-1-21 | 高速化に適した8-bit Up/Down Counterの設計と性能比較 ◎大谷健吉・佐々木昌浩(芝浦工大) |
○志津有記・前川竜也・林 宏太・湯浅貴文・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大)
アクセスネットワークでは高速な光通信を経済的に実現できる PON (Passive Optical Network) システムが普及しており, 更なる利用範囲拡大のため長延化が望まれている. しかし, 高速・長距離伝送を行う光ファイバでは波長分散による符号間干渉が発生し, 受信特性の劣化が問題となる. 送信側での波形劣化補償法として, 光送信器で予め送信信号の波形エッジに強調 (エンファシス) を意図的に与えるプリエンファシス技術が利用されている. そこで, 本研究では高速・光通信の波形劣化を補償する, プリエンファシス技術の高機能化を検討した.
◎篠田龍一・林 宏太・鷲見和紀・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大)
情報トラフィック量の急増に伴い、1シンボルあたり2 bitの情報を伝送できるPAM4 (4-level Pulse Amplitude Modulation)変調方式の高速光通信への適用が進んでいる。また、高速PAM4光変調には、主に外部変調器が用いられる。そのため、ドライバ回路では大振幅動作可能なバイポーラ技術が採用されている。しかし、経済的理由からCMOS技術を用いた低電力、大振幅出力可能な送信回路の実現が期待されている。本稿では、PAM4信号に対応したCMOSドライバ回路の50 Ω整合かつ大振幅化の検討を行ったので報告する。
◎霜田幸長・林 宏太・鷲見和紀・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大)
高速光通信のPAM4符号対応波形劣化補償器としてCTLEの高周波ピーキングにより補償した後、ADC回路により2値信号に復号する構成が研究されている。しかし、この構成では波形劣化量が大きい場合には補償することができない。本稿では、波形劣化量が大きい場合に補償できなくなる要因を検討した。その結果、CTLEのピーキング量の変化に伴ってCTLEの出力振幅が変化することで、ADC回路のしきい値が振幅に対して適切でなくなることが分かった。そこで、CTLEのピーキング量に合わせてオフセット量を変化させることで、振幅に対してしきい値が適切になる構成を提案した。その結果、波形劣化量が大きい場合でも補償可能であることが確認された。
◎宮下 航・佐々木昌浩(芝浦工大)
パイプライン型A/Dコンバータにおいて,変換誤差の原因となりうるステージ間信号の劣化を抑えることはさらなる高分解能化を実現する上で重要である.一般的に,この劣化は各変換ステージでのキャパシタの容量ミスマッチおよびオペアンプの利得に影響される.本稿ではROHM 0.18µmプロセスにて設計した一般的な構成の回路において,ステージ間の信号が劣化する原因に関して解析を行う.
◎大谷健吉・佐々木昌浩(芝浦工大)
近年,IoT(Internet of Things)の普及などによって,様々な機器にA/D Converterが内蔵されたマイクロコンピュータが用いられている.一般的には,低速ながら小面積・低消費電力であるという特徴からSuccessive Approximation Register (SAR: 逐次比較型) A/D Converterが広く利用されている.これを高速化させるため逐次比較レジスタ部をUp/Down Counterに置換して改良したA/D Converterを検討している.基本であるRipple Carry型から,高速化に向いているCarry Look Ahead型や高分解能化に強いParallel Prefix型が存在する.ここではROHM 0.18µm CMOSプロセスによって8-bit構成のUp/Down Counterを設計し,どの構成が有利となるか性能比較を行う.
3月20日 9:30〜12:00 総合科学部 K棟2F K204講義室 座長 松井 一(豊田工大)
A-2-1 | ロバスト統計を用いた外れ値を含むコヒーレント状態の位相推定 ◎本武行人・鈴木 淳(電通大) |
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A-2-2 | ゲート型量子コンピュータの難題と対策~量子ノイズ解析~ ◎廣田 修(玉川大) |
A-2-3 | Kullback–Leibler divergence thermodynamic uncertainty relation ○Van Tuan Vo・Van Tan Vu・Yoshihiko Hasegawa(The Univ. of Tokyo) |
A-2-4 | 誤差推定に基づくランダム化PCAのパラメータ決定 ◎田頭史都・田中利幸(京大) |
◎本武行人・鈴木 淳(電通大)
量子光学において、古典的振動運動に対応した量子状態であるコヒーレント状態の位相を状態の測定結果から推定することは、量子通信や量子暗号などの応用面において重要な問題である。実際に実験装置を用いて量子状態を準備する際にはノイズが作用した状態が生成される場合があり、そのような状態の測定によるデータは統計学においては外れ値と呼ばれる。
外れ値の悪影響を抑えつつ推定・検定などをする統計手法をロバスト統計と呼ぶ。本発表ではコヒーレント状態に外れ値であるガウスシフト状態が混入することを量子混合ガウスモデルを用いて表現し、ロバスト統計での点推定の手法の1つであるM推定を用いてコヒーレント状態の位相推定を行った。
◎廣田 修(玉川大)
ゲート型量子コンピュータの既存理論では、小規模な量子計算機能の実現は中あるいは大規模な量子コンピュータの実現を保証することができると主張されている。ノーベル物理学賞受賞者であるHaroche教授 [1] などは、その考え方に疑問を呈しており、システムアーキテクチャの研究者などが具体的に、その懸念の確認研究を実施している。その懸念は、既存理論は量子演算回路における量子ノイズの正確な理解の欠如の上での楽観的推論に基づいているとするものである。さらに、誤り訂正理論においても、基本的な情報理論の知識の欠如が指摘されている。本稿は情報理論研究者の立場から、このような困難の対処法を議論することを目的とする
○Van Tuan Vo・Van Tan Vu・Yoshihiko Hasegawa(The Univ. of Tokyo)
One of the fundamental quantities of non-equilibrium processes is the entropy production, which quantifies the irreversibility of the systems. Here, we derive a thermodynamic uncertainty relation for Markov processes, describing a constraint on entropy production in terms of statistic features of observables. This relation enables a new approach to infer entropy production, which is directly applicable to the Kullback-Leibler divergence estimation.
◎田頭史都・田中利幸(京大)
Halkoらが提案するランダム化PCA(rPCA)は,N個のp次元データに対して,それらのランダムな線形結合からなるL(<N)個のp次元データを新たに構成し,このデータに対して特異値分解を行うことで計算量を削減する.一方,真の主成分とrPCAにより求めた主成分との間には近似誤差が生じる.その誤差は実行時に指定するパラメータに依存するものの,多くの場合パラメータは固定されており,入力によっては誤差が増大してしまう.本稿では,データがスパイクモデルから生成されると仮定するとき,rPCAの近似誤差を経験的に推定することで近似誤差が許容範囲に保たれるようなパラメータの決定方法を提案する.
休 憩(10:45 再開) 座長 野崎隆之(山口大)
A-2-5 | ストカスティック数を用いた非対称通信路の誤り訂正 ◎石川遼太・多和田雅師・柳澤政生・戸川 望(早大) |
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A-2-6 | 高性能な準巡回符号の構成に対するPCクラスタを用いた高速化 ◎△山地大樹・松井 一(豊田工大) |
A-2-7 | パケットアグリゲーションに基づく高効率暗号化後圧縮技術 ◎谷津崚太・石橋功至(電通大) |
A-2-8 | ファイルサイズが異なる場合のユーザー数に対する符号化キャッシングの通信量の変化 ◎横地章宏・鎌部 浩・路 サン(岐阜大) |
A-2-9 | キャッシュを有するリレーノードを介したコンテンツ配信システムにおける伝送レートの上下界 ◎大崎佑太・松田哲直・植松友彦(東工大) |
◎石川遼太・多和田雅師・柳澤政生・戸川 望(早大)
誤りに耐性を持つ計算手法にストカスティックコンピューティング (Stochastic Computing,SC) がある.SCではストカスティック数 (Stochastic Number,SN) を用いて計算を行う.2進数のビット列の重みはビット位置により異なり,ビット誤りに対して誤り量がばらつく.一方,SNのビット列の重みは一定であり,ビット誤りに対して誤り量が一定となる.本稿ではこの性質を生かし非対称通信路の誤り訂正をSNを用いて行う.
◎△山地大樹・松井 一(豊田工大)
本研究は誤り訂正符号の一種である準巡回符号について研究を行った.準巡回符号は現在最も高性能と言われているLDPC符号を構成できることが知られている.本稿では高い誤り訂正能力を持つ準巡回符号の探索手法と特定の準巡回符号に対しての高速化を紹介する.
◎谷津崚太・石橋功至(電通大)
スケーラビリティが重要となる無線通信アプリケーションの多くでは,マルチホップ伝送の利用が活発に検討されている.これらのアプリケーションにおいて,伝送されるパケットに含まれる情報を確実に秘匿するために暗号化を行う必要がある.一方,通信効率の観点から,多数のパケットを中継する端末においては,そのデータサイズを無視することができず,暗号化されたパケットを復号することなく,圧縮する手法が必要である.このような要求に対して,Cypher Block Chainingモードのブロック暗号に対する暗号化後圧縮手法が提案されている.しかし,暗号化後圧縮では圧縮に誤り訂正符号を用いているため,被圧縮系列の長さが短いほどその圧縮性能が劣化する.本稿では,パケットアグリゲーションを適用することで,被圧縮系列の長さを伸長する手法を提案し,既存方式より優れた圧縮性能を示すことを,計算機シミュレーションによって示す.
◎横地章宏・鎌部 浩・路 サン(岐阜大)
動画配信サービスなどの通信量を削減できるとし,符号化キャッシングが注目されている.しかし,多くの場合がファイルのサイズを同じとした場合で考えられている.
本研究では,ファイルのサイズが異なることによる通信量の影響をMingyue Jiらの方法を用いて調べた.
◎大崎佑太・松田哲直・植松友彦(東工大)
動画像などのコンテンツ配信サービスにおける輻輳緩和の方法として、キャッシュを用いたコンテンツ配信システムの利用が検討されている。ここでキャッシュとは、配信システムを利用するエンドユーザやシステム内のリレーノードが保持するメモリにあらかじめ配置される、コンテンツのファイルを符号化して得られた符号語のことを指す。本研究ではコンテンツを有する単一のサーバが複数のリレーノードを介して複数ユーザにコンテンツを配信するシステムを扱う。このシステムに対して、人気度を示す分布に従ってユーザがファイル要求する際、サーバとリレーノード間ならびにリレーノードとユーザ間の平均伝送レートの上界と下界を与える。
3月20日 14:15〜15:00 総合科学部 K棟3F K306講義室 座長 安里 彰(富士通)
A-3-1 | A Note on Efficient Computation for Information Matrix of Phase-Type Distribution ○Jiahao Zhang(Hiroshima Univ.)・Junjun Zheng(Ritsumeikan Univ.)・Hiroyuki Okamura・Tadashi Dohi(Hiroshima Univ.) |
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A-3-2 | Optimal Software Release Policies Based on Nonhomogeneous Markovian Models ○Siqiao Li・Tadashi Dohi・Hiroyuki Okamura(Hiroshima Univ.) |
A-3-3 | False Alarm Reduction of SCADA Data-Based Wind Turbine Anomaly Detection Using Filtered Moving Standard Deviation ○Bojian Du・Yoko Furusawa・Yoshiaki Narusue(The Univ. of Tokyo)・Nozomu Nishihara・Kentaro Indo(Eurus Technical Service)・Hiroyuki Morikawa・Makoto Iida(The Univ. of Tokyo) |
○Jiahao Zhang(Hiroshima Univ.)・Junjun Zheng(Ritsumeikan Univ.)・Hiroyuki Okamura・Tadashi Dohi(Hiroshima Univ.)
This paper proposes the efficient computation of information matrix of phase-type distributions. The proposed algorithm is based on ordinary Markov analysis, and is useful to uncertainty evaluation for phase expanded models.
○Siqiao Li・Tadashi Dohi・Hiroyuki Okamura(Hiroshima Univ.)
In this paper, we discuss a cost-based software release policy for software reliability models (SRMs) based on nonhomogeneous Markov processes (NHMPs), which are generalizations of the well-known nonhomogeneous Poisson process (NHPP) SRMs. More specifically, we suppose two NHMP-based SRMs; a generalized binomial process (GBP) and a generalized Polya process (GPP), and formulate the expected software cost. The problem is to derive the optimal software release time which minimizes it. We compare the optimal software release policies for both NHPP- and NHMP-based SRMs.
○Bojian Du・Yoko Furusawa・Yoshiaki Narusue(The Univ. of Tokyo)・Nozomu Nishihara・Kentaro Indo(Eurus Technical Service)・Hiroyuki Morikawa・Makoto Iida(The Univ. of Tokyo)
Supervisory control and data acquisition (SCADA) data-based wind turbine anomaly detection methods face a common problem of high false alarm rates. In this study, by evaluating an artificial neural network-based normal behavior model on a large amount of real SCADA data, we found that false alarms can be divided into 4 patterns, where 3 regular patterns have the characteristics of abrupt changes. A moving standard deviation filtered by a moving median, named as filtered moving standard deviation (FMSD), is proposed for false alarm reduction, The evaluation results showed that using the FMSD as the additional fault indicator is capable of reducing false alarms almost without degrading recall.
3月19日 13:30〜16:15 総合科学部 K棟2F K205講義室 座長 遠藤信行(神奈川大)
A-4-1 | 海綿骨における圧電信号の照射超音波周波数による変化 ○細川 篤(明石高専) |
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A-4-2 | Distance and Velocity Measurement of Approaching Target Via 45 kHz Ultrasonic Sensor Array ○Jason Lai(Nagoya Univ.)・Asuka Tsujii・Takashi Kasashima(NGK Spark Plug)・Takaya Yamazato・Hiroyuki Hatano(Nagoya Univ.) |
A-4-3 | ワイヤレスSAWセンサの認識方式の検討 ○近藤 淳・堀川直起(静岡大) |
A-4-4 | 超音波によるフランジ内のゴム劣化検知方法 ○木村友則・中島正貴・芝田拓樹(三菱電機) |
A-4-5 | 空中超音波センサによる温度変化検知の検討 ○井幡光詞・原 六蔵・木村友則・西岡泰弘・米田尚史・鈴木涼太郎・岡田光昭(三菱電機) |
○細川 篤(明石高専)
骨は圧電体の一種であり,骨生成には圧電特性が関連すると考えられている.したがって,骨の圧電特性を把握することで,超音波照射による骨折治療をより効率的に行うことができる可能性がある.しかし,多孔性の海綿骨の圧電特性はほとんど明らかになっていない.筆者らは,海綿骨試料を圧電素子とみなした超音波センサ「圧電セル」を利用して,超音波照射によって海綿骨で発生する圧電信号の観測を行っている.今回は,照射超音波の周波数による圧電信号の変化を観測した.その結果,周波数によって圧電信号の継続時間(過渡応答)が変化することが分かった.これは,周波数によって海綿骨中の超音波挙動が変化するためであると考えられた.
○Jason Lai(Nagoya Univ.)・Asuka Tsujii・Takashi Kasashima(NGK Spark Plug)・Takaya Yamazato・Hiroyuki Hatano(Nagoya Univ.)
Ultrasonic sensors are an attractive option for target detection purposes due to their low cost, functionality in all light and weather conditions and easy implementation. Multiple ultrasonic sensors arranged in an array were shown to strengthen ultrasonic waves and increase detection range at static conditions in an indoor environment. In this article, we report a conducted experiment on a moving target in an outdoor environment to analyze its performance and will aim to use the obtained data for localization in future works.
○近藤 淳・堀川直起(静岡大)
弾性表面波(SAW)素子はパッシブで動作可能なため,メンテナンスフリーなワイヤレスセンサとして利用できる.ワイヤレスSAWセンサとして用いる場合,素子認識法の確立が重要である.本研究では,従来法とは異なる質量負荷効果による時間差(位相差)に着目した識別方式を提案する.摂動法を用いた解析により,膜厚,膜の長さ,膜の種類を変えることにより,素子認識が可能であることが分かった.
○木村友則・中島正貴・芝田拓樹(三菱電機)
プラント等に用いられている配管のフランジは、内部の液体漏れ出しを防ぐため、ゴムを挟む構造となっている。長期間使用していると、ゴムが劣化し液体が漏れ出す場合がある。液体の漏れ出しを未然に防ぐには、フランジ外部からゴムの劣化を検知する必要がある。ここでは、超音波を用いてフランジ内のゴム劣化を検知する方法について実験的に検討する。
○井幡光詞・原 六蔵・木村友則・西岡泰弘・米田尚史・鈴木涼太郎・岡田光昭(三菱電機)
空中超音波センサは比較的安価であること、また車載用途に関しては法規制がなく、利便性に優れていること等から、駐車支援システムの障害物検知装置として利用されている。空中超音波センサで障害物検知を行う際、周囲環境により受信信号が大きく変化する可能性がある。なかでも、環境温度により超音波の伝搬特性が変化する場合があるため、環境温度を把握することが重要である。一般に、障害物検知装置では、温度センサを設け温度情報を取得しているが、温度センサは空中超音波センサから離れた位置に設置されることが多いため、空中超音波センサ近傍の温度情報を得ることができない。そこで本報告では、空中超音波センサ自身で温度情報を得る方法について検討し、空中超音波センサのインピーダンス特性に着目することで、温度変化が検知できることを確認した。
休 憩(15:00 再開) 座長 細川 篤(明石高専)
A-4-6 | 発振構造を用いた振動センサの検討 ○原 六蔵・木村友則・井幡光詞・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機) |
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A-4-7 | たわみ振動の節がない小型円形振動板型空中超音波音源の特性 ◎門前大樹・淺見拓哉・三浦 光(日大) |
A-4-8 | 2種類の円形たわみ振動板型空中超音波音源を同時駆動させたときの差音の検討 ◎内山真乃介・小林拓海・淺見拓哉・三浦 光(日大) |
A-4-9 | M系列変調信号を用いた周波数解析に基づく非接触式超音波板厚測定の高精度化 ◎山下洋佳・袴田拓実(神奈川大)・佐藤智夫・松本さゆり(港湾空港技研)・干場功太郎・土屋健伸・遠藤信行(神奈川大) |
A-4-10 | 超音波を用いた車輪回転の直接検出 ○茂木諒也・金子遊音・於保 茂(日本工大) |
○原 六蔵・木村友則・井幡光詞・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機)
機器などの動作状態をモニタリングするための手段として振動センサを用いることがある.振動センサの動作原理として,圧電素子で振動を電圧の時間変化として検知する方法がある.
本稿では,従来と異なり,振動を発振周波数の変化として検知する方式について示す.
◎門前大樹・淺見拓哉・三浦 光(日大)
空中超音波センサなどは小型であることが求められるため,強力な音波が発生しにくいことが問題となっている.そこで本研究では,小型でありながら一方向に強力な音波を放射する音源の開発を目的としている.これまで,音波放射面である振動板全体を同一方向に大きな振幅で振動の節が無く,たわみ振動させることにより,小型でありながら,正面方向の遠方にて高い音圧の音波を得ることができることを示した.本報告では,より高い音圧を得るために,振動部の寸法が異なる場合の諸特性について検討を行っている.その結果,音源正面方向に最大音圧38 Paが得られた.
◎内山真乃介・小林拓海・淺見拓哉・三浦 光(日大)
大気の温度を測定するための方法として、鋭い指向性を持った強力な音波を遠距離に届ける技術が必要とされている。筆者らはこれまでこの目的のための音源として,円形たわみ振動板型空中超音波音源に複合反射板を取り付けた音源についての検討を行っている。本検討では、共振周波数が26.5 kHzと29.5 kHzの2台の超音波音源を用意し、これらから放射される音波によって得られる3kHzの差音について検討を行った。
◎山下洋佳・袴田拓実(神奈川大)・佐藤智夫・松本さゆり(港湾空港技研)・干場功太郎・土屋健伸・遠藤信行(神奈川大)
現在,港湾構造物の点検のため鋼板の超音波式非接触板厚測定法の開発が行われている.先行研究として,低SNR状況下に対応させるため,周波数解析に基づく手法を提案した.しかし,鋼板と送波器の設置角が3度以上となると性能が低下することが分かった.本研究ではM系列を用いたパルス圧縮によりSNRを向上させ,板厚計測を試みた.評価実験として,設置角度を0度から5度まで変化させ,バースト波3波とそれを位相変調した11次M系列変調信号を送信した.その結果,バースト波では設置角の変化によって誤差率が増加したが,M系列変調信号は3度以上で誤差率が5 %程度だったため,設置角が大きい場合において本手法が有効であることが分かった.
○茂木諒也・金子遊音・於保 茂(日本工大)
従来,車輪の回転計測には鉄製歯車と磁気センサを使用した磁気式が広く用いられている. 本研究では車輪に直接超音波を照射する新しい計測方式を提案し, 実験検証した. この結果, 車輪の溝を利用して速度と加速度のアナログ出力が得られた.
3月19日 13:30〜15:30 総合科学部 K棟1F K106講義室 座長 浅野 太(工学院大)
A-5-1 | 押鍵時間評価法を用いたMIDI鍵盤演奏支援に関する研究 ○原島藍南・臼杵 潤(神奈川工科大) |
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A-5-2 | MIDI鍵盤演奏練習における付け爪を用いた打鍵指認識に関する研究 ○佐藤光一・臼杵 潤(神奈川工科大) |
A-5-3 | スペクトログラム画像を用いた転移学習による楽器音の識別 ○加藤匠平・坪井邦明・松島俊明(東邦大) |
A-5-4 | 稼働音を用いたインジェクタ故障診断に関する検討 ○レ ティエンチエン(日立)・横山 尚・國岡昭吾・猪瀬聡志(日立建機) |
○原島藍南・臼杵 潤(神奈川工科大)
近年,楽器を趣味で演奏しようと練習する人が増えている.そしてピアノ演奏の上達には先生から教えを請うことが大切であるが,その間に必要な自宅学習をうまくできないことがある.このような中,演奏練習を支援する研究が進められている.本研究では押鍵時間を評価する研究の成果に着目し,これを自宅での演奏練習の支援に活かす方法について検討した.具体的には押鍵時間の評価結果を楽譜上などに視覚的に提示することで演奏練習を支援しようとするものである.提案内容について実際の演奏練習に適用し実験したところ,被験者の演奏に上達傾向が見られたことから,本研究の提案手法は有効であると考える.
○佐藤光一・臼杵 潤(神奈川工科大)
近年,楽器を趣味で演奏,練習する人口が増加している.そして,ピアノの演奏を上達させるためには教室に通うなどして自宅での練習成果を評価してもらうことが大切である.このような中,MIDIキーボードを用いて自宅での演奏練習を支援しようとする研究が行われている.そこで,本研究では演奏時の指使い練習を可能とするため,付け爪を使って打鍵指を認識する方法について検討した.ここではカメラを用いて鍵盤を自動認識するとともに,打鍵する指を爪の色を用いて画像認識する方法について提案した.この提案手法について演奏実験したところ正しい姿勢による演奏で打鍵指を認識できることを確認し,本研究の有効性を示すことができたと考える.
○加藤匠平・坪井邦明・松島俊明(東邦大)
音響信号から楽譜情報を得る採譜処理では音高の検出が重視され、音色の違いまで考慮した採譜の研究例は少ない。同じ音高に対して様々な音色が存在(異指法同音高)し、音色の違いが重要な意味を持つ尺八などの楽器音の採譜では、音色も含めた採譜を行うことが求められる。
また、楽器音の立上り部の情報が楽器の音色の識別に大きく影響することが知られているが、楽器音の立上り部は不安定なことが多いため、立上り部の情報を利用して音色を識別する試みは少ない。
本研究では、楽器音の立上り部からのスペクトログラム画像を、転移学習により学習し、音色の識別を試みたので報告する。
○レ ティエンチエン(日立)・横山 尚・國岡昭吾・猪瀬聡志(日立建機)
発展途上国において熟練者不足が深刻な問題になっている.熟練者を育成するのに時間とコストがかかるため,熟練者の経験や知識をデジタライズすることで,非熟練者でも熟練者レベルの作業をできるようにすることは研究課題である.特に建設現場の保全サービスにおいて上述課題解決が急務である.
本稿では、スマートフォンを用いて建設機械の稼働音を集音し、インジェクタの故障診断を自動化することについて検討する.インジェクタが故障している異常音には、正常音に存在しない周波数成分が現れ、これらの周波数成分を用いることで、インジェクタ故障の有無を診断できる方法を提案した.
休 憩(14:45 再開) 座長 松島俊明(東邦大)
A-5-5 | ステレオマイクロホンの空間スキャンによる配管損傷箇所の探索に関する基礎的検討 ◎中村優太・浅野 太(工学院大) |
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A-5-6 | CNNを用いた船舶航行音認識における時間分解能の検討 ◎山口晴己・武藤憲司(芝浦工大)・小林洋介(室工大) |
A-5-7 | トランスオーラル方式による跳躍的な移動音像の提示 ◎倉林実可・武藤憲司(芝浦工大) |
◎中村優太・浅野 太(工学院大)
近年,日本では大規模災害の際に,原子力発電所などのプラントが被災する事例が報告されている.本研究では,このような災害現場で小型ステレオマイクロホンアレイを搭載したロボットアームのスキャンにより,配管近傍での液体やガスが漏れている損傷箇所を発見する手法について検討する.本研究ではロボットアームに搭載可能な小型のシングルポイントステレオマイクロホンを用いて最尤推定法により,音源の位置を推定することを目的とする.また,本研究の課題である,ロボットの自己雑音に対する対策として,自己雑音の統計量を事前に推定し,モデルに埋め込む手法を提案し,その効果を確認する.
◎山口晴己・武藤憲司(芝浦工大)・小林洋介(室工大)
ある運河では船舶が朝から夜にかけて頻繁に航行し運河沿い住民へ騒音影響を及ぼしている.本研究の目的は船舶接近通知システムのための航行音認識法の検討である.航行音を認識するためにCNNモデルに入力特徴量としてスペクトログラムを用いて学習した.しかし航行音を学習するためにはスペクトログラムを船舶航行音の特徴にあったパラメータ設定を必要とした.本報告では時間分解能を検討するために学習に用いるスペクトログラムのFFTのオーバラップを行い,船舶航行音認識性能を評価した.検討した結果,オーバラップ率が90%のとき,航行音認識精度が高かった.
◎倉林実可・武藤憲司(芝浦工大)
我々は,視聴覚システムにおいて臨場感を与える音響システムの簡易化を目指している.システム簡易化のために,音像の座標を離散的に与えた移動音による演算削減を考えた.移動音を提示するための音響システムは多くの種類が存在するが,これまで移動音像の提示はパンニングで行っており,他の方式で試みていない.本報告では,トランスオーラル方式を利用し,6チャネルスピーカで音像の座標を離散的に与えた移動音像の提示を行うための手法を検討・評価した.音像の定位精度の測定と音像の移動を確認する実験を行った結果,定位の妥当性と所望する移動音像の提示が確認できた.
3月17日 13:30〜16:15 総合科学部 K棟3F K303講義室 座長 稲木雅人(広島市立大)
A-6-1 | FPGA向けIPを用いたAI推論回路生成環境の構築 ○岩河秀知・山本 亮・杉原堅也・小川吉大(三菱電機) |
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A-6-2 | Neural NetworkのFPGA実装におけるBRAM有効活用方法検討 ◎岡田尚也・岩河秀知・山本 亮・小川吉大(三菱電機) |
A-6-3 | 2値化ニューラルネットワークにおけるポップカウントのシフトレジスタ実装 ◎中道 凌・石浦菜岐佐(関西学院大) |
A-6-4 | シングルコア向け排他制御記述を含むRTOS利用システムのフルハードウェア化 ◎篠原由季乃・大迫裕樹・石浦菜岐佐(関西学院大) |
A-6-5 | IEEE754 binary64における指数関数の丸め困難ケースについて ○高木直史(京大)・高木一義(三重大) |
○岩河秀知・山本 亮・杉原堅也・小川吉大(三菱電機)
近年,Neural Networkを活用したAI機能をFPGAに実装し,組込み機器上でのAI処理のリアルタイム化の実現が進んでいる.しかし,アプリケーションごとにCNN (Convolutional Neural Network)のネットワーク構成や,非機能要求が異なるため,これら要求に最適な回路を設計する場合は,その都度,AI推論回路のRTL設計が必要となる.そこで,RTL設計と比較し,パラメータ設計が容易な高位設計を用いて畳み込み層(以降Conv), MAX-Pooling層(以降Pool)を実装することで,FPGA向けAI推論回路をIP化した.本稿では,本高位IP,および,本IPを用いたAI推論回路の生成環境について説明する.
◎岡田尚也・岩河秀知・山本 亮・小川吉大(三菱電機)
近年,Neural Networkを活用したAI機能のFPGA実装が進んでいる.Neural Network処理のFPGA実装では,重みデータの外部メモリ格納によるデータ転送処理性能劣化を回避する為,重みデータをBRAMに格納する手法が知られている.また,処理高速化・少回路規模化に向け,量子化や枝刈りによる演算量・重みデータ量の削減等を実施することが一般的である一方,枝刈りの適用により,枝刈り情報格納メモリ・制御回路の追加(回路規模増加)が発生することが知られている.しかしながら,Neural Network処理の重みデータ量の削減は,必ずしもBRAM使用数削減(少回路規模化)には繋がらないことがある.本稿では,BRAMを有効活用してBRAM使用数を削減できる重みデータ格納方法を検討し,実装試行した結果について述べる.
◎中道 凌・石浦菜岐佐(関西学院大)
2値化ニューラルネットワーク(BNN)は,ニューロンの入出力と重みを2値に制限したニューラルネットワークである.BNNはハードウェア化した場合の回路規模を大幅に削減するが,それでもなお回路規模は大きい.本稿では,BNNのニューロンにおける逐次的なポップカウント処理をシフトレジスタで実装することによって,回路規模を削減する手法を提案する.
◎篠原由季乃・大迫裕樹・石浦菜岐佐(関西学院大)
組込みシステムの高機能化・複雑化に伴い,
システムのリアルタイム性の実現は難しい課題となっている.
RTOS (Real Time Operating System) を用いたシステムの応答性を向上させる一手法として,
大迫らは, RTOS の機能およびタスク/ハンドラの全てをハードウェア化する手法を提案している.
本稿では, この手法の排他制御記述に関する制約を緩和し, シングルコア向け排他制御記述を含むシステムに対応する手法を提案する.
○高木直史(京大)・高木一義(三重大)
浮動小数点演算規格IEEE754-2019では,39個の関数について正確に丸めることを推奨している.倍精度基本形式binary64における指数関数expでは,ほとんどの引数については,仮数部を113ビット精度で求めれば正確丸めが可能であるが,絶対値の小さな引数について,方向丸めがより困難なケースが存在する.本稿では,仮数部を114ビット以上の精度で求める必要がある場合について考察し,指数関数計算回路を構成する場合,114ビット目まで正確に求めればよいことを示す.
休 憩(15:00 再開) 座長 中武繁寿(北九州市大)
A-6-6 | 等価変換に基づくランダムテストプログラム生成によるJava処理系のテスト ◎吉田直生・石浦菜岐佐(関西学院大) |
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A-6-7 | Cコンパイラのテストにおけるエラープログラム最小化への式分解の導入 ◎渡辺裕貴・石浦菜岐佐(関西学院大) |
A-6-8 | ブロック方式におけるモデル化誤差を考慮した配線ブロック数と面積の関係 ◎岩田智成・土谷 亮・谷村信哉・井上俊之・岸根桂路(滋賀県立大) |
A-6-9 | 三次元LSIフロアプランのための層間移動を考慮した並列探索手法 ◎島本拓弥・藤吉邦洋(東京農工大) |
A-6-10 | 3次元直方体パッキング問題のQUBOモデルマッピング ◎金丸 翔・寺田晃太朗・川村一志(早大)・田中 宗(JST)・富田憲範(富士通研)・戸川 望(早大) |
◎吉田直生・石浦菜岐佐(関西学院大)
Javaは基幹系のシステムや, Androidアプリケーションの開発に利用されており, そのコンパイラおよび実行系の信頼性確保は非常に重要である.
Java処理系のテストとしては, Cコンパイラ用ランダムテストシステムOrange3をJavaに対応させて行ったテストがあり, Android処理系で不具合を検出している.
Orange4はOrange3を改良して作られたCコンパイラ用ランダムテストシステムであり, Orange3では生成できない構文, データの型を生成可能である.
本稿では, Orange4の拡張によりJava処理系のテストを行う.
◎渡辺裕貴・石浦菜岐佐(関西学院大)
コンパイラのランダムテストは , ランダムに生成した
プログラムによりコンパイラに潜在する不具合の検出を
試みる手法である . エラープログラムの最小化は , エラー
を検出したプログラムをエラーが起こるできる限り小さ
なものに縮約する処理であり , デバッグに不可欠である .
従来の手法は解析木の縮約のみを行うため,式
が長い場合にはその分析が難しくなることがある . これ
を解決するため , 本稿では最小化に式の分解を導入する .
◎岩田智成・土谷 亮・谷村信哉・井上俊之・岸根桂路(滋賀県立大)
近年,集積回路の微細化に伴い,効率的なアナログ回路の設計手法の確立が求められている.
そこで,素子や配線を含む単位ブロックを組み合わせてレイアウトを作成する方法(ブロック方式)が検討されている.配線用ブロックの寄生成分を数式でモデル化することで,寄生成分を抽出する工程を削除した回路設計を目指している.この方式では,隣接するブロックの配線間に付随する寄生容量(隣接容量)をモデル化することができない.配線ブロックの種類を増加させた場合,隣接容量によりモデル化した寄生容量に生じる誤差は大きくなる.今回は,この誤差を考慮した時の配線ブロックの種類と面積の関係について検討を行った.
◎島本拓弥・藤吉邦洋(東京農工大)
近年実用化されている三次元LSIはLSIチップを積層し相互にTSV(Through Silicon Via)で接続しているため、LSIチップ(能動層)ごとに並列に設計すれば、TSVによる層間の接続以外は能動層ごとに処理できるため、並列処理による効率的な設計が期待できる。三次元LSIのフロアプラン探索における並列処理の有効性を検証するために、本稿ではモジュールの異なる能動層への移動を考慮し、焼きなまし法と降下法を用いて逐次処理と並列処理でフロアプラン探索を行った。どちらの探索方法とも並列処理によって逐次処理よりも高速に同程度の配置結果を得ることができた。
◎金丸 翔・寺田晃太朗・川村一志(早大)・田中 宗(JST)・富田憲範(富士通研)・戸川 望(早大)
近年,組合せ最適化問題を効率的に解く計算機として,さまざまなイジング計算機が研究されている.組合せ最適化問題の1つに3次元直方体パッキング問題がある.3次元直方体パッキング問題とは,直方体の重なりを許さずに,全直方体を包括する体積が最小となる直方体の配置を探索する問題である.3次元直方体パッキング問題は,トラックやコンテナに荷物を詰め込む問題や,近年では集積回路の3次元配置に応用される.本稿では,3次元直方体パッキング問題を定式化し,イジング計算機の入力形式であるQuadratic Unconstrained Binary Optimization (QUBO)モデルへマッピングする手法を提案した.
3月17日 11:00〜12:15 総合科学部 K棟3F K306講義室 座長 國廣 昇(筑波大)
A-7-1 | Coppersmithのアルゴリズムにおける多項式の分析 ○深瀬道晴(東北学院大) |
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A-7-2 | 鍵埋め込み型AES暗号回路の相関電力解析に対する耐性化 ○松岡俊佑(旭川高専)・市川周一(豊橋技科大) |
A-7-3 | Authentication Algorithm for Single Sign-on Based on Verifiable Encryption Cryptosystem ○△Maki Kihara・Satoshi Iriyama(Tokyo Univ. of Science) |
A-7-4 | Note on the Strongly Asymmetric Public Key Agreement Algorithm and Its Performance ◎△Koki Jimbo・Satoshi Iriyama(Tokyo Univ. of Science) |
A-7-5 | ランダムカットのみを用いる6枚XORプロトコル ○豊田航大(東北大)・宮原大輝(東北大/産総研)・水木敬明・曽根秀昭(東北大) |
○深瀬道晴(東北学院大)
本研究では、Coppersmithのアルゴリズムにおいて現れる多項式について分析した。その結果、素数と次元が小さい場合には、以下が確認された:
・多項式の係数比率のみで、目的の根を特定しうる。
・格子基底の成分比率のみで、目的の根を特定しうる。
元の基底よりも成分比率のみ残した基底をLLL簡約する方が高速であり、元の多項式よりも係数比率のみ残した多項式の根を求める方が効率的であると考えられる。そのため、素数と次元が小さい場合、攻撃を高速化しうることが考えられる。しかし、素数と次元を大きくすると、求まる根と目的の根の隔たりが大きくなり、上の結果を直接的に適用できなくなる。素数と次元が大きい場合についてはさらなる分析が必要であり、今後の課題である。
○松岡俊佑(旭川高専)・市川周一(豊橋技科大)
本研究では鍵埋め込み型AES暗号回路に対して回路難読化技術を適用し,相関電力解析(CPA)に対して耐性のある回路を提案し,その耐性評価を行ったので報告する.
○△Maki Kihara・Satoshi Iriyama(Tokyo Univ. of Science)
We proposed a new authentication algorithm based on veri-fiable encryption (VE) that enables dispersion retention of encrypted data and keys. In this study, we review the protocol and show the performance for several key length.
◎△Koki Jimbo・Satoshi Iriyama(Tokyo Univ. of Science)
We report the performance comparison between a new public key agreement (PKA) algorithm, called Strongly Asymmetric Algorithm 5 (SAA-5) and usual Diffie-Hellman PKA algorithm by implementing them into a usual computer.
○豊田航大(東北大)・宮原大輝(東北大/産総研)・水木敬明・曽根秀昭(東北大)
身近な道具を用いて秘密計算を実現する方法として,カードベース暗号プロトコルがある.カードベース暗号では, 裏面では区別不可能な2種類のカードを用いてブール値を表す.裏面にした2枚のカードをコミットメントと呼ぶ.2つのコミットメントからそれらのXORを表すコミットメントを出力するプロトコルをコミット型XORプロトコルという.カードベース暗号では,簡単かつ安全なシャッフル操作としてランダムカットと呼ばれるシャッフル操作がよく用いられる.このシャッフルのみを用いてコミット型XORプロトコルを構成するには,これまで10枚のカードが必要であった.本稿では, 6枚のカードで構成されるプロトコルを提案する.
3月18日 9:30〜10:45 工学部 講義棟1F 106講義室 座長 須賀祐治(インターネットイニシアティブ)
A-7-6 | APIコール列を用いた隠れマルコフモデルに基づくマルウェア分類に関する考察 ◎大江弘晃・瀧本栄二・毛利公一・鄭 俊俊(立命館大) |
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A-7-7 | IDNAの正規化処理の実装差異による危険な自動リンク ◎白倉大河・長谷川皓一・山口由紀子・嶋田 創(名大) |
A-7-8 | 識別器検証による生体認証の強靭化 ◎大崎康太・八槇博史(東京電機大) |
A-7-9 | チャット上における詐欺のBERTによる検知 ◎山越祐希・八槇博史(東京電機大) |
A-7-10 | Cowrieを用いたサイバー攻撃の地域差に関する研究 ◎藤井亮太(玉川大)・奥井宣広・三宅 優(KDDI総合研究所)・山崎徳和(玉川大) |
◎大江弘晃・瀧本栄二・毛利公一・鄭 俊俊(立命館大)
近年マルウェアが急激に増加している.これらの多くは開発者がオリジナルのマルウェアに手を加えた亜種であり,挙動としてはオリジナルに類似していることが考えられる.このようなマルウェアの類似した特徴に基づいて分類を行い,解析の効率化を図ることがマルウェアの対策手法の一つとして考えられる.マルウェア分類に使用される統計分析手法の一つとして隠れマルコフモデル(HMM:Hidden Markov Model)が存在する.本稿では,マルウェアが発行するAPIコール列を学習させた隠れマルコフモデルに基づくマルウェア分類の一考察について述べる.
◎白倉大河・長谷川皓一・山口由紀子・嶋田 創(名大)
プレーンテキストでやり取りを行うメールやチャットのクライアントアプリケーションの中には、URLを自動判別してクリック可能なリンクとして表示するものが存在する。その中で日本語を含む国際化ドメイン名の処理は実装に依存しており、アプリケーションの組み合わせで予期しない挙動を示す可能性がある。
本研究では国際化ドメイン名の処理の差異によってスパムフィルタなどの防衛機構の働きが阻害される可能性に関して検証する。
◎大崎康太・八槇博史(東京電機大)
従来の生体認証では,サーバに機密情報を送信しているため,安全面に問題があった.そこでクライアント側のみで認証を行い,結果をサーバに送信するFIDO認証が提案された.しかし,サーバ側が正当な認証過程か判断することができない.
そこで,本研究では識別器の検証を行うことで, 端末を操作するユーザの正当性を示し, 生体認証の強靭化を行う.認証結果だけでなく, 認証に使った識別器の確認をとりユーザの正当性を証明するため,プロトコルの拡張を行った.
◎山越祐希・八槇博史(東京電機大)
詐欺が多様化しているのにチャット上での詐欺に対する対策は注意喚起くらいしかなく、コンピュータシステムで対策が必要である。しかし、詐欺のデータセットがなく、機械学習用のデータを集めることが困難であり、世の中におけるコンピュータシステムでの詐欺対策の研究はあまり進んでいない。そこで、教師データに詐欺のテキストではなく、迷惑メールの本文のテキストを代用することでBERTによるモデル作成を行うというアプローチをした。その結果、詐欺のテキストを教師データに用いることなく、詐欺を検知できるモデルの作成に成功した。さらに、このモデルを用いてチャット上で詐欺を検知して警告を出すエージェントを開発した。
◎藤井亮太(玉川大)・奥井宣広・三宅 優(KDDI総合研究所)・山崎徳和(玉川大)
近年,パソコンやスマートフォンだけでなく家電など多くの機器がインターネットに接続するようになった.それによってサイバー攻撃の対象となる機器が増加した.
NICTERの調査によると2009 年から 2018 年の間でダークネット内に届いたパケット数は約35 億から2121 億に増加し,観測されたユニークなIP アドレスは約12万から約30万にまで増加していることが報告されている.
本研究では,SSHやTelnetへの攻撃を対象とするハニーポットであるCowrieを複数の地域に設置し、Cowrieから得られるログを分析することで、攻撃の傾向における地域差について調査を行った。
3月20日 13:30〜16:00 総合科学部 K棟3F K307講義室 座長 小西克巳(法政大)
A-8-1 | 混合ノイズを考慮したハイパースペクトル画像のための圧縮センシング再構成法 ◎△武山彩織・小野峻佑(東工大) |
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A-8-2 | 領域分割を用いた屋外画像に含まれる影除去手法に関する検討 ○近藤泰介・杉田泰則(長岡技科大) |
A-8-3 | フェーズドアレイ気象レーダのための時空間的特徴を利用した高精度ビームフォーミング ◎滝本健人・北原大地・平林 晃(立命館大)・牛尾知雄(阪大) |
A-8-4 | Fast Start-Up Algorithm for Low-Distortion Adaptive Noise Cancellers with Novel SNR Estimation ○Akihiko Sugiyama(Yahoo Japan) |
◎△武山彩織・小野峻佑(東工大)
ハイパースペクトル画像(HS 画像)は高解像度な波長情報を保持しているが,各バンドの光量が少ないため, 異なる統計的性質を持ったノイズの影響を受けやすい.また,その膨大な情報量のため,リアルタイムでの撮影が困難である.これらの問題を解決するため,ガウシアン-スパース混合ノイズを考慮した圧縮センシング法を提案する.提案法は,正則化関数としてHSSTVを用いることで,効果的にHS画像に関する先見的情報を再構成に利用できる.また,それぞれのノイズに対するデータ忠実度を制約条件で個々に評価することで,パラメー タ設定が容易になる.これらとHS画像のダイナミックレンジ制約から成る最適化問題を定式化し,ADMMを用いて解くことで高精細なHS 画像の復元を行う.実験では,TVに基づく既存の正則化関数との比較を行ない,提案法の有用性を確認した.
○近藤泰介・杉田泰則(長岡技科大)
画像中に存在する影は、物体の検出や追跡などさまざまな画像処理において誤検出・誤認識の原因となる。屋外画像に含まれる影の除去手法として、影に含まれる特徴を利用して影領域を検出し、その影領域の輝度値が近傍領域の輝度値と同程度になるように補正する手法がある。この方法は、高速な影除去が可能であるが、影領域の補正後の色味が非影領域と異なり、違和感のある画像となることがある。本稿では、領域分割を用いた影除去手法を検討する。検出した影領域の補正にRGB成分の割合が類似する非影領域の情報を利用することで、不自然な色味になることを防ぐことができる。さまざまな実画像を用いた実験により、提案法の有効性を明らかにする。
◎滝本健人・北原大地・平林 晃(立命館大)・牛尾知雄(阪大)
フェーズドアレイ気象レーダでは,雨滴などの分布型標的に対して指向性が弱いパルス波を照射し,様々な仰角方向から到来する散乱波を同時に観測する.この観測信号を仰角ごとの散乱信号に分離する技術がビームフォーミング(BF)である.従来の線形BF手法では,分布型標的に対して十分な精度が得られない.この問題を解決するために,分布型標的の散乱信号が持つ性質を利用した非線形BF手法が提案されている.この手法を更に高精度化するために本論文では,これまで考慮されてこなかった性質を利用してコスト関数を定義し,その最小化によってBFを行う手法を提案する.実データを模倣した計算機シミュレーションにより,提案法の有効性を示す.
○Akihiko Sugiyama(Yahoo Japan)
This paper proposes a fast start-up algorithm for adaptive noise cancellers with novel SNR estimation and stepsize control. A new SNR estimate as a power ratio of the noise-cancelled signal to the reference-microphone signal is introduced for fast start-up at high SNRs. Evaluations with speech and recorded noise demonstrate that the start-up time is reduced by91% compared to the conventional algorithm.
休 憩(14:45 再開) 座長 杉本憲治郎(早大)
A-8-5 | 母音分析のLSTMを用いた話者識別 ◎栗山拓也・和田成夫(東京電機大) |
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A-8-6 | SaveMan®を用いた胸骨圧迫実施時の心電図波形への影響と電気的除細動判定 ○岡井貴之・大屋英稔(東京都市大)・山口芳裕・五十嵐 昂(杏林大)・中野和司(電通大)・星 義克(東京都市大) |
A-8-7 | 圧縮センシングを用いた脳波復元フレームワークにおけるICA処理位置の違いによる瞬目アーチファクト除去への効果 ○勝俣 駿(山梨大)・兼本大輔(阪大)・大木 真(山梨大) |
A-8-8 | 状態空間時系列解析によるグラフェンFETバイオセンサのドリフト補正 ○沖野剛士・牛場翔太(村田製作所)・小野尭生(阪大産研)・宮川成人・品川 歩(村田製作所)・金井 康・井上恒一(阪大産研)・高橋講平・西川 博・高田隆裕(村田製作所)・松本和彦(阪大産研) |
A-8-9 | 車載Multi-Gig Ethernetにおける受信方式検討 ○村田真一・横山良樹・近藤泰二(メガチップス) |
◎栗山拓也・和田成夫(東京電機大)
近年,音声をインターフェースとした音声処理技術が研究されているが,話者を識別し,音声を認識できれば,セキュリティ分野,犯罪捜査,遠隔会議における議事録作成等様々な分野で応用できる。音声を用いた個人識別(話者識別)では,事前に登録された音声を用いる方法と任意の音声を用いる方法に大別される。話者識別では,音韻性情報と話者性情報を分離し,機械学習を用いて行う方法が提案されている。この方法は,発話内容の変動や雑音の影響を受け難いものの,かなりの数の学習サンプル音声が必要となる。本稿では,学習音声を母音に限定することで学習サンプル数が少ない深層学習を用いた任意の音声に対する話者識別について検討した。
○岡井貴之・大屋英稔(東京都市大)・山口芳裕・五十嵐 昂(杏林大)・中野和司(電通大)・星 義克(東京都市大)
本稿では,高度救命処置シミュレータSaveManを用いた胸骨圧迫実施による心電図波形への影響,ならびに電気的除細動適用判定の結果について考察する.まず,SaveManによって正常洞調律,心室細動,心室頻拍などの心電図を発生させ,加えて胸骨圧迫を実施した際の心電図波形を記録する実験を行った結果を示す.次に,記録された心電図をAEDに誘引し,電気的除細動を適用すべきか否かの判定を行うことで,胸骨圧迫による心電図波形,電気的除細動適用判定への影響について述べる.
○勝俣 駿(山梨大)・兼本大輔(阪大)・大木 真(山梨大)
脳波測定の消費電力を抑えるために,圧縮センシングを用いた研究がされている.圧縮センシングは信号のスパース性(ゼロの要素が多い)を利用し,脳波信号の圧縮・復元を行う.しかし,脳波の測定中に混入するアーチファクトが脳波のスパース性を低下させ復元精度が悪化する問題がある.そこで,アーチファクトの影響を抑えるため独立成分分分析(ICA)を組み合わせたフレームワークが提案されたが,センシング・ユニット側でICAを実行するため,消費電力が増加しかねない.そこで我々は,圧縮後にプロセッシング・ユニット側でICAを実行するフレームワークを提案してきた. 本研究では,ICAの処理位置の違いによる復元精度の影響に関して考察した.
○沖野剛士・牛場翔太(村田製作所)・小野尭生(阪大産研)・宮川成人・品川 歩(村田製作所)・金井 康・井上恒一(阪大産研)・高橋講平・西川 博・高田隆裕(村田製作所)・松本和彦(阪大産研)
グラフェン電界効果トランジスタ(G-FET)バイオセンサを用いた液体中の標的分子測定において、ドリフトが乗じることにより、標的分子による応答としての正味の変化量がわからない、という課題がある。ドリフトのメカニズムはまだ十分に解明されておらず、物理モデルとしてドリフトを定式化することや、ハード側で対策することが難しい。そこで、状態空間モデルを使った時系列解析を活用することによって、ドリフトが乗じたG-FETの測定データから標的分子による応答を抽出した。さらに、複数の素子に対する解析及びモデルの検討も行った結果、いずれの素子においても適切なモデルが存在することがわかった。
○村田真一・横山良樹・近藤泰二(メガチップス)
車載Multi-Gig Ethernetの物理層規格としてIEEE802.3chの策定が進んでいる。本稿ではIEEE802.3ch対応製品開発にあたって検討した、受信性能の向上案について述べる。
3月18日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K303講義室 座長 岡田 実(奈良先端大)
A-9-1 | PD-UL-NOMAにCDDを適用した場合におけるパケット誤り率特性について ○森山雅文・滝沢賢一・手塚隼人・児島史秀(NICT) |
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A-9-2 | 並列干渉除去を用いた非直交多元接続方式に関する基礎検討 ◎佐藤拓真・井家上哲史(明大)・滝沢賢一・森山雅文(NICT) |
A-9-3 | 上り回線非直交多元接続における並列干渉除去の適用‐インタリーバ利用に関する基礎評価 ○滝沢賢一・手塚隼人・森山雅文・児島史秀(NICT) |
A-9-4 | 上り回線非直交多元接続における並列干渉除去の適用~フェージング環境下における実機評価~ ○手塚隼人・滝沢賢一・森山雅文・児島史秀(NICT) |
A-9-5 | DFT-Precoded OFDMを用いた秘匿通信の高次モーメント検出に対する耐性解析 ◎山口良平・落合秀樹・四方順司(横浜国大) |
○森山雅文・滝沢賢一・手塚隼人・児島史秀(NICT)
上りの非直交多元接続(UL-NOMA)は膨大な上り信号を効率的に受信するための有効な技術として各機関にて研究が進められている. NOMAには電力差で多重する方式(PD)と符号を用いて多重する方式があるが,本稿では前者を検討する.PD-UL-NOMAを適用し逐次干渉除去(SIC)により信号を分離する方式では基地局において各端末からの送信信号に対する受信信号電力に所望の電力差が必要になる.しかし,電力を異ならせるよう調整してもフェージングが信号電力を変動させるため基地局において常時安定した電力差を得るのが難しい.この変動を抑える方策が課題となる.我々は既に受信電力を安定させる方策して,受信ダイバーシチや高機能な送信電力制御を検討しているが,本稿では更なる安定のため送信ダイバーシチを検討する.送信ダイバーシチの手法には時空間符号の利用等が提案されているが,本稿においてはIoT端末にかける負荷が少ない巡回遅延ダイバーシチ(CDD)について検討する.
◎佐藤拓真・井家上哲史(明大)・滝沢賢一・森山雅文(NICT)
IoTの時代において,膨大な数のセンサから送信される小さいサイズデータを効率的に受信することが課題となっている.この課題を解決するために,第5世代移動通信システム(5G)においては,有限な資源である周波数を有効活用するために,同一時間・同一周波数を複数デバイスで共用する非直交多元接続方式(Non-orthogonal Multiple Access: NOMA)の適用が検討されている.
本研究では,上り回線において1通信資源を5台の端末が共有することを目標とし,実機における干渉抑圧・除去技術を用いた信号分離性能の評価を行った
○滝沢賢一・手塚隼人・森山雅文・児島史秀(NICT)
並列干渉除去を用いた上り回線非直交多元接続に関して、端末局ごとに異なるインタリーバを用いた際の基礎的な性能について、計算機シミュレーション及びハードウェア実験により評価を行ったので、これを報告する。
○手塚隼人・滝沢賢一・森山雅文・児島史秀(NICT)
上り回線における非直交多元接続は,3GPPにおいても検討が行われており,新たな多元接続技術としての期待が高まっている.これまでに,IoT向け無線通信に求められる多数接続及び低遅延を同時に実現する無線アクセス技術として関連研究を行ってきた.本稿では,端末局ごとに異なるインタリーブパターンを与えて同時接続数を向上する多元接続技術について,並列干渉除去を適用した場合におけるフェージング環境下での実機評価を報告する.
◎山口良平・落合秀樹・四方順司(横浜国大)
IoTネットワークの普及に伴い,無線デバイス間のセキュリティの確保が急務となっている.特に無線通信の盗聴の危険性に鑑み,物理層において通信の存在自体を隠すことで安全性を高める手法が検討されている.
本稿では,LTEの上り回線で使用されているシングルキャリアと等価なDFT-Precoded OFDMをカバー信号とし,通常のOFDMを秘密信号として埋め込むステガノグラフィに基づく秘匿通信方式に対して,高次モーメントに基づく監視者の秘密信号検出に対する耐性を評価する.
休 憩(11:00 再開) 座長 滝沢賢一(NICT)
A-9-6 | 2019年度受信機性能調査報告 ~ 新4K8K衛星放送受信機の性能調査 ~ ○神田正則・松下純也・橋本明記(NHK) |
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A-9-7 | 衛星放送受信用妨害波抑止アンテナについての一検討 ○松下純也・島崎智拓・橋本明記(NHK) |
A-9-8 | 流星バースト通信への適用のためのLDPC符号に関する一考察 ◎佐藤寛文・椋本介士・和田忠浩(静岡大) |
A-9-9 | ブラインド適応最小分散法による分散等化の検討 ◎趙 松源・宮嶋照行・杉谷栄規(茨城大) |
A-9-10 | 79GHz帯電波センサによる高齢者の見守りシステム ◎有吉智紀・自見圭司・梶原昭博(北九州市大) |
○神田正則・松下純也・橋本明記(NHK)
NHKでは、テレビ・ラジオなどの受信機やアンテナ・増幅器・分配器などの受信システム機器の性能調査を1968年から毎年実施している。新4K8K衛星放送ではBSの左旋偏波も利用されており、左旋偏波の中間周波数として2.2-2.7GHzが使用される。一方、無線LAN(Wi-Fi)や電子レンジでは2.4-2.5GHzが使用されており特にBS-12chとBS-14chに干渉を与える可能性がある。そこでこれらの機器を受信機近傍で稼働させ所要受信機入力に与える影響を調査した。また同放送では変調方式や多重化方式に新方式が採用されるなど従来のBS2K放送に比べ複雑化していることから、チャンネル切り替え時間等の応答速度についても調査した。
○松下純也・島崎智拓・橋本明記(NHK)
IECの標準規格CISPR11では、電子レンジを含むISM機器について周波数11.7GHz-12.7GHzにおけるピーク電界強度73㏈μV/m (RBM=1MHz,VBM=3MHz,3m)の許容値が規定されていたが、6.2版で撤廃され、LogAV法による測定で、1-18GHzにおいて60㏈μV/m (RBM=1MHz,VBM= 10Hz,3m)を満足すれば合格となる。LogAV法では、ピーク性妨害の影響が測定値に反映されにくく、20dB以上の規制緩和となるため、今後規制対象である家庭用電子レンジ(2.4GHz±50MHz)のピーク性第5高調波が12GHz帯衛星放送受信に妨害を与えることが懸念される。今回、妨害波の混入を低減するアンテナ構成について検討し、効果を試作機による実験で検証したので報告する。
◎佐藤寛文・椋本介士・和田忠浩(静岡大)
流星バースト通信(MBC)は, 流星の飛跡に残る電離気体柱(流星バースト)による低VHF帯電波の反射現象を利用した見通し外通信である. 流星バースト通信路は, 平均継続時間が数百msと短く, またSNRが時間的に変化するという特徴がある. 本稿では,MBCへのLDPC符号の適用に際し,通信路値の推定法の提案とその推定精度が誤り率性能に及ぼす影響について評価する.
◎趙 松源・宮嶋照行・杉谷栄規(茨城大)
本発表では、分散等化のための新しいブラインド適応アルゴリズムを提案する。提案法は、集中等化の最小分散法を応用するもので、ノード毎の課せられた多重拘束のもとでフィルタ出力平均値の分散を最小化するものである。提案法では、各ノードが1個のフィルタを持つため、従来法より簡易という特長を有する。シミュレーションにより動作確認し、ノード数が増えるにつれてダイバーシチ効果により性能が向上することを示す。
◎有吉智紀・自見圭司・梶原昭博(北九州市大)
近年,日本は少子高齢化社会に直面しており,要介護者数の増加と介護職員の不足が問題視されている.それに伴い,介護施設における高齢者の事故が増加している.その多くは施設職員の目の届きにくい居室で発生している.職員が全ての入居者の行動を常に把握することは現実的に不可能であるため,電波センサによる見守りシステムが求められている.見守りシステムのセンサとして画像センサが優れた精度をもつが,プライバシー保護の観点からも,電波センサによる見守りシステムが求められている.
本稿では,79GHz帯電波センサを用いた高齢者の見守りシステムを検討し,室内における入居者の状態推定を実験的に検討している.
3月18日 13:30〜17:15 総合科学部 K棟3F K303講義室 座長 森山雅文(NICT)
A-9-11 | 雑音と1bit ADCを用いたOFDM信号復調の所要FFTサイズに関する一検討 ○齋藤将人(琉球大)・中島康雄・山里敬也(名大)・荒井伸太郎(岡山理科大)・羽多野裕之(三重大)・田中宏哉・田所幸浩(豊田中研) |
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A-9-12 | 人の動き及び複数人に対応したミリ波レーダによる心拍変動推定 ◎柴尾雅浩・梶原昭博(北九州市大) |
A-9-13 | 79GHz帯電波センサによる運転手の心拍推定 ○福原涼平・柴尾雅浩・梶原昭博(北九州市大) |
A-9-14 | ミリ波電波吸収シートの車載レーダへの応用 ○西田健人・梶原昭博(北九州市大) |
A-9-15 | ミリ波センサによる車内乗客人数検知システム ○大石誠大・梶原昭博(北九州市大) |
A-9-16 | 車室内無線ハーネスのための60GHz帯電波伝搬特性 ◎内徳智也・山田 遼・梶原昭博(北九州市大)・中村僚平(防衛大)・國立忠秀・小林健太郎・金子裕哉(矢崎総業) |
○齋藤将人(琉球大)・中島康雄・山里敬也(名大)・荒井伸太郎(岡山理科大)・羽多野裕之(三重大)・田中宏哉・田所幸浩(豊田中研)
本研究では,雑音を用いることにより1bit ADCでOFDM信号の復調を行う.この系では,オーバサンプリングレートを高めることにより,誤り率特性を改善できるが,復調に用いるFFTサイズも同様に大きくなることが問題である.これに対して,1bit ADC出力を一定サンプル数加算することによりサンプリングレートを落とし,より小さいFFTサイズで復調を行うことを考える.この時,FFTサイズの減少が誤り率特性に与える影響について評価を行う.
◎柴尾雅浩・梶原昭博(北九州市大)
近年, 日本人の平均寿命と健康寿命(「心身ともに自立し, 健康的に生活できる期間」[1])の差は平均寿命の延伸とともに拡大している. 今後もその差が拡大し続ければ医療費や介護給付費の浪費が増加し, 社会問題となる. 疾病予防や健康推進を行うことで平均寿命と健康寿命の差を短縮することができれば, 個人の生活の質の向上と社会保障負担の軽減も期待できると考える. そこで, 近年では, ヘルスケア技術が注目されており, その中でも心拍変動を計測するバイタルセンサ技術が重要視されている. 従来の心拍変動を推定するセンサには, 医療現場でも用いられている接触センサ(ECG)やウェアラブル端末などがあり, それぞれ高精度や手軽といったメリットはあるものの着脱の手間や不快感, 電池切れなどといったデメリットも大きく存在する. よって, 電波センサを用いたバイタルセンサ技術が研究開発されている[2]. 従来の電波センサは体動のない着座姿勢や就寝時のみの研究しか行われておらず, 人の動きに対応していないというデメリットがある. そこで, 本研究では人の動き及び複数人に対応した心拍変動推定アルゴリズムを提案する[3].
○福原涼平・柴尾雅浩・梶原昭博(北九州市大)
近年,運転手の健康状態に起因する事故報告件数は年々増加している[1].健康起因事故を起こした運転手のうち心臓疾患が14%,さらに健康起因により死亡した運転手のうち51%が心臓疾患である.運転手の心拍数の監視によって心臓疾患の予兆である心拍数の増加や不整脈[2]を事前に予測し事故を回避することが期待できる.また,心臓疾患だけでなく居眠り運転や疲労や判断力の低下による漫然運転防止など利便性が大きく向上すると考えられる.本稿では電波センサを用いて非接触で運転手の心拍推定を提案する.
○西田健人・梶原昭博(北九州市大)
近年, 自動車には自動運転や安全運転用支援システムとして,79GHz前方監視レーダが搭載されている.今後,交差点等の周辺監視のために車両側方にもレーダが搭載されると考えられる.そのためには広い検出範囲が必要である[1].しかしながら,バンパーを透過する必要があり誤検知防止のため,マルチパス対策等が必要である.自動車レーダもSoC化やパッチアンテナ化など,小型化が進み旧来のようなピラミッド型電波吸収体は車載には向かないと考える.そこで,電波吸収シートを提供頂いたため,その性能比較検討も行う.本稿では2mm程の薄型電波吸収シートをレーダ装置付近に設置し,精度向上を図る.
○大石誠大・梶原昭博(北九州市大)
近年、自動車事故によって失われる人命を減らすことを目的として, 自動車事故発生時に自動で警察や消防などの緊急対応機関に緊急通報を行うシステムが導入されつつある[1]。機関が救急車などの緊急サービスを派遣する際に、車内の乗客人数の把握が大変重要である。
従来の研究では乗客数に応じて受信アンテナが必要とされていた[2]。しかし、複数アンテナを用意することは非常に高価であり、システムの複雑化に繋がる。そこで本稿では、一つのレーダセンサを用い、車内全ての乗客をモニタリングし、車内乗員人数検知システムを提案する。
◎内徳智也・山田 遼・梶原昭博(北九州市大)・中村僚平(防衛大)・國立忠秀・小林健太郎・金子裕哉(矢崎総業)
近年, 環境に配慮して車の低燃費化などの研究が進んでいる. その一環で車室内無線ハーネスが挙げられる. 無線ハーネスは車室内のハーネスをすべて無線化することであり, 総重量軽量化による燃費向上や整備の簡易化が期待されている. またその際に, 大容量のデータ情報を瞬時に伝送する必要があり, 高速無線通信技術が求められている. 60GHz帯(57~64GHzまたは59~66GHz)は広い帯域幅や伝搬特性からマイクロ波帯以上の超高速伝送が期待でき, 他の無線システムに影響を及ぼしにくいといった利点がある.
これまでマイクロ波帯の広帯域車内伝搬特性や車外漏洩による干渉電力などが報告されている. [1][2]しかし, 60GHz帯のシステムを用いた車内の各点における電波伝搬の報告は行われていない.
そこで本研究では車内における60GHz帯の遅延スプレッドや受信レベルを計測し, その報告を行う. また, その結果を24, 10GHz帯とも比較する.
休 憩(15:15 再開) 座長 荒井伸太郎(岡山理科大)
A-9-17 | ガウス波形による2次元BPSK変調信号を用いた最尤推定レーダの基本復調特性 ○大橋正良・森 慎太郎(福岡大)・長谷川晃朗(ATR)・櫻井幸一(九大)・篠原克寿(一橋大)・香田 徹(ATR) |
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A-9-18 | UWB における非対称通信による双方向測距方式 ○梅田周作・平 明徳・佐野裕康(三菱電機) |
A-9-19 | 空間ISIを考慮した適応閾値処理による空間分割多重OCC ◎市村 陸・中條 渉(名城大) |
A-9-20 | ローリングシャッター可視光通信の露光時間とSERの関係 ◎種村太希・中條 渉(名城大) |
○大橋正良・森 慎太郎(福岡大)・長谷川晃朗(ATR)・櫻井幸一(九大)・篠原克寿(一橋大)・香田 徹(ATR)
ソサイエティ大会においてGabor cellに基づくガウス波形による2次元BPSK信号を送信波形として用いる最尤推定レーダの提案を行った。本方式を用いると高精度かつ高速の信号検出を低演算量で最尤推定することが可能となる。本稿ではこのレーダの基本復調特性を評価した結果を報告する。
○梅田周作・平 明徳・佐野裕康(三菱電機)
UWB (Ultra-Wide Band)は超広帯域信号を用いて高精度測距を実現できる方式である。中でも、端末間で送受した信号の伝搬時間から相対距離を推定するTWR(Two Way Ranging)方式が有用である。本報告では、TWR 方式の測距頻度を改善する方式として、非対称双方向測距方式(ATWR: Asymmetry Two Way Ranging)方式を提案し、性能評価を行った結果を示す。
◎市村 陸・中條 渉(名城大)
室内可視光通信ではLED照明を送信機,スマートフォン内蔵カメラを受信機とするダウンリンクが広く検討されている.本研究ではスマートフォンを用いて室内双方向可視光通信を実現するため,スマートフォンのLCDディスプレイを送信機.室内カメラを受信機とするアップリンクの検討を行った.その結果,空間分割多重(SDM)イメージセンサ可視光通信(OCC)において,空間シンボル間干渉(ISI)を考慮した適応閾値処理により,エラーフリーとなるシンボルレートを向上できたので報告する.
◎種村太希・中條 渉(名城大)
ローリングシャッター(RS)を利用した汎用イメージセンサ可視光通信では,露光時間とRSカメラのライン間隔の関係は,一般的にである.このためシンボル長が短くなりに近づくと,シンボル誤り率(SER)をゼロにすることは難しい.しかしスマートフォン内蔵のイメージセンサでは,いくつかのスマートフォン機種で,でのエラーフリーが得られる.そこで本研究では,露光時間とシンボル長の比とSERの関係を正確に求めるため,の値を設定できる汎用イメージセンサとFPGAボードと接続し,とSERの関係を明らかにしている.
休 憩(16:30 再開) 座長 大内浩司(静岡大)
A-9-21 | Range Estimation of LED Transmitter Using Phase-Only Correlation for ITS-VLC System via High-speed Stereo Cameras ○Ruiyi Huang(Nagoya Univ.)・Masayuki Kinoshita(Chiba Inst. of Tech.)・Takaya Yamazato・Hiraku Okada(Nagoya Univ.)・Koji Kamakura(Chiba Inst. of Tech.)・Shintaro Arai(Okayama Univ. of Sci.)・Tomohiro Yendo(Nagaoka Univ. of Tech.)・Toshiaki Fujii(Nagoya Univ.) |
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A-9-22 | 線形アレイを用いた光無線MIMOシステムの通信距離特性に関する実験的評価 ◎中村哲也・小林健太郎・岡田 啓・片山正昭(名大) |
A-9-23 | 干渉光を雑音として利用した確率共鳴現象によるフォトダイオード型可視光通信の一検討 ◎高木雅史・荒井伸太郎(岡山理科大)・山里敬也(名大)・羽多野裕之(三重大)・齋藤将人(琉球大)・田中宏哉・田所幸浩(豊田中研) |
○Ruiyi Huang(Nagoya Univ.)・Masayuki Kinoshita(Chiba Inst. of Tech.)・Takaya Yamazato・Hiraku Okada(Nagoya Univ.)・Koji Kamakura(Chiba Inst. of Tech.)・Shintaro Arai(Okayama Univ. of Sci.)・Tomohiro Yendo(Nagaoka Univ. of Tech.)・Toshiaki Fujii(Nagoya Univ.)
Among the ranging methods for intelligent transportation system (ITS), stereo cameras provides a great accuracy and rapid calculation speed. Meanwhile, we can combine ranging and image-sensor-based visible light communication (VLC) to provide driving assistance information. In our previous research, we used a single camera to estimate the range between vehicles and infrastructures. In this report, stereo cameras are introduced into VLC-based range estimation. Compared to a single camera, it does not need specific ranging pattern and enables simultaneous ranging and data transmission. In order to increase the accuracy of disparity estimation, phase-only correlation (POC) was used in the experiment.
◎中村哲也・小林健太郎・岡田 啓・片山正昭(名大)
本研究では,屋内環境において高速光無線MIMOシステムを構築する状況を考えている.光無線MIMOシステムでは伝搬路行列の形は光学系の空間的配置に強く依存している.例えば,光送信機と光受信機を各4台対向させた4×4光無線MIMOでは,同じ素子間隔であれば正方形アレイ配置に比べ,線形アレイ配置の方が大きな通信路容量が得られる場合があると確認できている.そのため,線形アレイ配置の4×4MIMOについて通信実験を行い,正方形アレイ配置の場合との性能比較を行った.結果として,線形アレイ配置を用いることで,通信速度20Mbpsにおいて通信距離50mでBER<0.001を実現した.
◎高木雅史・荒井伸太郎(岡山理科大)・山里敬也(名大)・羽多野裕之(三重大)・齋藤将人(琉球大)・田中宏哉・田所幸浩(豊田中研)
可視光通信とは,人間の目に見える光を利用してデータを送信する無線通信技術のことである.本研究では,LED を送信機に,フォトダイオード(PD)を受信機に用いた PD 型可視光通信システムに注目する.PD 型可視光通信の特徴は,PD の持つ高速応答性能による高速通信が実現できる点にある.しかしながら,PD のもつ独自の受光感度範囲外にあるような微弱光は検知されず通信が困難になるという問題がある.そこで微弱光を検知する方法として確率共鳴を利用した受信機に注目する.確率共鳴とは,適切な強度の雑音を入力することでシステム性能が向上する非線形現象である.平岡らの研究では,電波における微弱な所望信号波形の検知に,その信号に干渉する波形を雑音として利用した確率共鳴現象を用いている.この平岡らの先行研究を基に,PD型可視光通信においても確率共鳴現象を利用することで所望の信号波形を検出できると考えた.本研究では,簡易な可視光通信の実験システムと確率共鳴受信機を構築し,微弱な所望信号の光の検出を,所望信号と干渉する光(干渉光)を利用した確率共鳴現象によって実現できるかを検討する.
3月17日 9:30〜12:00 工学部 講義棟1F 114講義室 座長 山崎達志(摂南大)
A-10-1 | 高速道路利用者の時間シフトによる渋滞緩和に向けた制度設計の検討 ◎泉澤拓弥・勝間田優樹・山田 曉(NTTドコモ) |
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A-10-2 | 経路の重ね合わせを用いて表現した粒子群最適化による巡回セールスマン問題の解法 ◎山田悠希・穴田 一(東京都市大) |
A-10-3 | 遺伝的プログラミングを用いたテクニカル指標による金融取引の戦略木構築 ◎加藤旺樹・穴田 一(東京都市大) |
A-10-4 | 変数選択によるメタ特徴を用いた需要予測に関する研究 ◎齊藤哲雄・柴田慎一(大同大)・木村春彦(小松大) |
A-10-5 | 離散型確率変数を含む多目的2レベル単純リコース計画問題 ○矢野 均(名古屋市大)・西崎一郎(広島大) |
◎泉澤拓弥・勝間田優樹・山田 曉(NTTドコモ)
人の往来や物流を停滞させる交通渋滞は膨大な経済損失を招く主要因である.国土交通省の調査 [1] によれば,この交通渋滞による損失時間は年間約280万人分の労働力に匹敵すると述べられている.このことから,交通渋滞の解消は,社会全体における生産性の向上や労働力の確保に向けた重要課題であるといえる.本研究では,高速道路利用料金に加えて各時間帯の交通利用状況に応じたインセンティブあるいはペナルティを付与する制度設計を提案し,高速道路利用者に対して時間シフトを促すための利得条件を明らかにする.本稿では,提案する制度設計を進化ゲーム理論に基づくマルチエージェントシミュレーション (MAS) を用いて実装し,付与するインセンティブおよびペナルティに応じた各時間帯における交通利用状況の推移を確認する.
◎山田悠希・穴田 一(東京都市大)
自然界には,相互に作用し合う事で高度な動きを創発する生物が存在する.このような「群れ」が創発する知能の事を群知能と呼び,現在もなお活発に研究が行われている.このような群知能を応用したアルゴリズムに,鳥や魚などに見られる群れ行動をモデルにした粒子群最適化(Particle Swarm Optimization, PSO) がある. PSOは解空間上に配置された複数の粒子が互いに情報共有を行いながら解空間の探索を行うアルゴリズムで,主に実数値最適化問題において評価されており,短時間で良い解に到達するという特徴がある.私達は,この特徴が実数値最適化だけでなく,工業や経済の問題の多くに適用される組み合わせ最適化にも活かせるのではないかと考え,本研究では組み合わせ最適化問題の一つである巡回セールスマン問題 (Traveling Salesman Problem, TSP) への適用を研究目的としている.
◎加藤旺樹・穴田 一(東京都市大)
近年,テクニカル分析を用いた株式売買に関する研究が行われている.テクニカル分析では,相場のトレンドや転換点を判断するテクニカル指標を用いることで,過去の値動きのパターンから将来の値動きを予測し,売買を行う.松村らは,テクニカル指標を用いた投資戦略を木構造で戦略木として表現し,それぞれの個体がその戦略木に従い株式売買を行うモデルを構築した.戦略木を構成するノードを個体の遺伝子として遺伝的操作を用いることで,より利益が高くなるように個体を進化させ,各個体が持つ戦略木の特徴を分析した.本研究では,その戦略木を用いて,様々なトレンドで利益を生み出す,テクニカル指標を用いた投資戦略の構築を目的とする.
◎齊藤哲雄・柴田慎一(大同大)・木村春彦(小松大)
機械学習の学習モデルは多数あり、すべての問題に万能なアルゴリズムは存在しない。データに対してどのモデルが最適か数多くの中から選択するのは困難である。この問題の対策としてメタ学習がある。メタ学習は学習データのメタ特徴を用いてデータと最も良いモデルとの関係を見つける手法である。
本研究では、メタ特徴を用いて識別器選択システムを構築し、牛乳の予測誤差が最も少ない需要予測が可能な最適なモデルを選択させることを試みる。メタ特徴の抽出にはRapidMinerとRを使用した。また、抽出したメタ特徴に対してExtra Treesによる変数選択による需要予測の評価も行った。結果は、変数選択前ではRapidMinerがRよりも誤差の少ないモデルを選択した。変数選択後では、Rのメタ特徴による予測では変数選択前よりも累世誤差を6割減少することができた。
○矢野 均(名古屋市大)・西崎一郎(広島大)
In this paper, we focus on multiobjective two-level simple recourse programming problems, in which multiple objective functions are involved in each level, shortages and excesses arising from the violation of the constraints with discrete random variables are penalized, and the sum of the objective function and the expectation of the amount of the penalties is minimized. To deal with such problems, a concept of the estimated Pareto Stackelberg solutions for the leader is introduced. Using the Kuhn-Tucker approach in two-level programming, we formulate as a mixed integer programming problem, and propose an interactive algorithm to obtain a satisfactory solution of the leader from among an estimated Pareto Stackelberg solution set.
A numerical example illustrates the proposed algorithm for a multiobjective
two-level stochastic programming problem with simple recourses
under the hypothetical leader.
休 憩(11:00 再開) 座長 田岡智志(広島大)
A-10-6 | ライフゲームのグライダに対する内部観測的考察 ○前田義信(新潟大) |
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A-10-7 | 15人人狼ゲームにおける会話情報による役職推定 ◎△福田宗理・穴田 一(東京都市大) |
A-10-8 | 離散事象システムの階層型最適スーパバイザ制御の検討 ◎△佐野友規・山﨑達志(摂南大) |
A-10-9 | scLTL仕様に対する移動ロボットのオンラインスーパバイザ制御 ◎榊原愛海・潮 俊光(阪大) |
○前田義信(新潟大)
ライフゲームは,2次元上で配置されたセルに生と死の2状態を与え,誕生,生存,過疎/過密の3つのルールの下で,セルの“生死”が繰り返されるシミュレーションである.本研究では移動物体として知られるグライダに注目し内部観測的考察を行った.その結果,グライダは四肢動物の歩行形態と同型であることが分かった.
◎△福田宗理・穴田 一(東京都市大)
近年,人工知能による将棋や囲碁などのゲームの大会が開催されている.その1つに人狼ゲームを行う人狼知能大会がある.人狼ゲームで勝つためには嘘をつく能力や,情報の真偽を見極める能力が要求される.これらの能力が向上することで,人工知能がより高度な判断が可能となり,人間に近づくと考えられる.そのため,人狼知能大会が注目され,人狼ゲームの研究が勢力的に行われている.その中にニューラルネットワーク(以下,NN)を用いて,役職推定に成功している大川らの研究がある.
◎△佐野友規・山﨑達志(摂南大)
離散事象システムに対する制御方式の一つに,生起を許可する事象の集合(制御パターン)を指定するスーパバイザ制御がある。元々のスーパバイザ制御では論理的な制御仕様を満たすことを目的としていたが,これを拡張したものに事象の生起や禁止にかかるコストを考慮する最適スーパバイザ制御がある。梶原らは事象の生起の最悪ケースを考慮した評価値を導入し,強化学習を用いて評価値を最大化する制御パターンの与え方を学習する手法を提案した。本研究では,梶原らの手法を拡張し,階層型の離散事象システムに対し階層型の強化学習を適用することで,大規模な離散事象システムに対しても有効な最適スーパバイザの設計手法を提案する。
◎榊原愛海・潮 俊光(阪大)
本稿では,移動ロボットによる監視問題に対してオンラインスーパバイザ制御を適用する.ロボットの振舞いを離散事象システムによりモデル化し,監視についてのミッションをscLTL (syntactically co-safe linear temporal logic) 式で記述する.ランキング関数と許容性関数を用いたオンラインスーパバイザ制御により,ロボットにミッションを達成させる.計算例により,提案手法の有効性を示す.
3月20日 13:30〜13:45 総合科学部 K棟3F K306講義室 座長 近藤公久(工学院大)
A-11-1 | オノマトペの臨場感表現力 諏訪隆司・○近藤公久(工学院大) |
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諏訪隆司・○近藤公久(工学院大)
「臨場感」を与えるオノマトペの特徴を明らかにすることを目的とする.臨場感があるとされる多チャンネル音響システムによる音環境の印象評価結果と臨場感を表すと考えられるオノマトペの印象評価結果を比較し,様々な強調表現をしたオノマトペによる臨場感表現効果を明らかにする.実験結果より,オノマトペに強調表現の特徴を付加しても評価性の印象は良くならなかった.別実験で本研究で用いた環境音を録音したものをmonauralとマルチチャンネルシステム(stereo, 5ch, 32ch)で聞かせた場合では,チャンネル数に応じた評価性,動感の印象が良好になることが示された.
3月20日 13:45〜14:00 総合科学部 K棟3F K306講義室 座長 森住哲也(神奈川大)
A-12-1 | (k, n) 閾値秘密分散法を想定した変換領域利用型ステガノグラフィの検討 ◎大沼海仁・宮田純子(芝浦工大) |
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◎大沼海仁・宮田純子(芝浦工大)
近年,情報を秘密裏にやり取りをする技術としてステガノグラフィが注目されている.画像を用いたステガノグラフィでは,画像の最下位プレーン(LSB) を秘密情報で置き換える画素値置換型が一般的である.この方式は埋め込み容量が多いメリットがあるが,画像の周波数領域を利用する変領域利用型に比べて埋め込み方が単純であるという欠点がある.そこで本研究では,領域変換利用型を用いて埋め込みを行う.また,堅固性と機密性を高めることを目的とし,(k, n) 閾値秘密分散法で暗号化した秘密情報を埋め込むことを想定したステガノグラフィを検討する.
3月20日 15:15〜16:15 総合科学部 K棟3F K306講義室 座長 伊藤 誠(筑波大)
A-13-1 | 電子レンジの自然発火防止システムの検討 ○八木直樹・三好 力(龍谷大) |
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A-13-2 | リスク認知トレーニング教育ツールの開発 ○西永航志朗・住吉恵弥・妻鹿利宏・久代紀之(九工大) |
A-13-3 | 事例データに基づく包括的な巡回支援システムの研究 箕輪弘嗣・○横井優樹(岡山商科大) |
A-13-4 | インターネットを活用したハザード解析支援ソフトウェアの開発 ○天井 治・住谷美登里(電子航法研) |
○八木直樹・三好 力(龍谷大)
高機能電子レンジでは複数のセンサによって食材の過加熱を防ぐ安全装置があるが単機能電子レンジではそのような機能を搭載していない。本研究では単機能電子レンジに向けた安価で搭載可能なサーモグラフィカメラを使用した食材の自然発火防止システムを検討する。
○西永航志朗・住吉恵弥・妻鹿利宏・久代紀之(九工大)
危険を伴う作業の従事者への安全教育が実施されているにも関わらず、昨年だけでも年間約12万件もの労働災害が発生している。現状の安全教育では1. リスクの回避について教育できていない 2. 使用題材でリスクの回避についての教育に必要な事象の時系列的・空間的な表現ができていない という問題があるため、この解消のために1. 熟練現場監督の知識を学習できる 2. 効果的で実践的な学習として発見に基づいた知識獲得ができる というコンセプトのもと、360°動画と音声認識によるテキスト化を用いたリスク認知トレーニング教育ツールの開発を実施している。
箕輪弘嗣・○横井優樹(岡山商科大)
VR訓練の強みの一つとして、現実では起こせないような運転中のプラントにおける事故を発生させ、事故に対する対処方法を訓練できる点がある。VR訓練の効果向上には没入感を要する。しかし、VR訓練において現状は、プラントで用いられるバルブといったインタフェースがなく、マウスやキーボードで訓練するため、没入感を得られず訓練効果が薄れる恐れがある。
そこで様々なバルブサイズを容易変更可能なユーザビリティの実現し、VRプラント訓練における没入感を向上するため、タッチパネルを用いたバルブ操作UIを開発した。
本発表では、タッチパネルを用いたバルブUIが実物のバルブ(以降、実バルブ)を代替できる可能性の論理について示し、リアリティの実現のためにバイブレーションによる擬似抵抗を目指した疑似触覚呈示の方法について検討、評価実験の結果について報告する。
○天井 治・住谷美登里(電子航法研)
ハザード同定にあたり、皆で集まってブレインストーミングを行うことが航空管制の分野でも一般的になって来ている。RNP AR(特別許可を要する航法性能要件)経路の導入にあたっては、ハザード同定会議の実施が義務付けられている。10年程前、日程調整等が大変なのでなんとかならないかという話がありインターネットを利用したハザード解析支援ソフトウェアを考案した。
一方、近年、我々は可能な限り定量的を目指して独自のハザード解析手法を開発、提案している。現在、当該ソフトウェアはこの手法の開発と並行して改修を行っている。更に近年の企業等での強固なセキュリティ対策への対応を検討している。本稿では、支援ソフトウェアの概要とセキュリティ対策への対応方法について述べる。
3月18日 13:30〜14:45 総合科学部 K棟3F K302講義室 座長 佐保賢志(富山県立大)
A-14-1 | RSSIに基づく距離測定技術のための干渉信号を用いたDither法の適用に関する研究 ◎堀内星哉・羽多野裕之・眞田耕輔・森 香津夫(三重大)・山里敬也(名大)・荒井伸太郎(岡山理科大)・齋藤将人(琉球大)・田所幸浩・田中宏哉(豊田中研) |
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A-14-2 | 車載FMCWレーダにおける狭帯域干渉抑圧法の検討 ◎△安面大樹・石川慎太郎・梅比良正弘・王 瀟岩・武田茂樹(茨城大)・黒田浩司(日立オートモティブシステムズ) |
A-14-3 | 実環境における79GHz帯レーダを用いた路上落下物検知 ◎山田 遼・柴尾雅浩・梶原昭博(北九州市大) |
A-14-4 | 79GHz帯ミリ波レーダを用いた自転車歩行者道における付帯設備及び歩行者の検出に関する実験 ○胡 尭坤・入江泰生・戸田 健(日大) |
A-14-5 | 79GHz帯ミリ波レーダを用いた自転車歩行者道における自転車走行時の付帯設備及び歩行者の検出に関する実験 ○入江泰生・胡 尭坤・戸田 健(日大) |
◎堀内星哉・羽多野裕之・眞田耕輔・森 香津夫(三重大)・山里敬也(名大)・荒井伸太郎(岡山理科大)・齋藤将人(琉球大)・田所幸浩・田中宏哉(豊田中研)
RSSIによる距離推定は屋内外を問わず移動端末の位置を推定する際にも広く利用されている.RSSIから得られる受信信号強度は受信信号電圧VをA/D変換して得られる離散値である.そのため,受信信号強度はA/D変換器の分解能に依存し,送受信機間の推定距離に誤差が生じる.推定距離の誤差を改善すべく距離推定手法にDither法の適用を試みる.Dither 法とは雑音とは別のゆらぎを意図的に観測データに加える手法である.ゆらぎによって観測データの尤度関数を導き,誤差が最小となる推定値を導出する.本研究ではDither法を適用し,多数の干渉信号電圧が付加された観測データを信号受信機で複数回にわたって観測することで,距離推定精度を向上させることを目的とする.
◎△安面大樹・石川慎太郎・梅比良正弘・王 瀟岩・武田茂樹(茨城大)・黒田浩司(日立オートモティブシステムズ)
将来、自動運転システム、運転支援システムに用いる車載FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)レーダが広く普及すると、レーダ間干渉によるターゲットの誤検出や不検出が問題となる。狭帯域干渉によるターゲットの誤検出を回避するため、筆者らは、キャリアセンスにより狭帯域干渉を回避するCSMA(Carrier Sense Multiple Access) FMCWレーダを提案しているが、干渉回避のため測定遅延が発生する。この問題を解決するため、本文ではキャリアセンス結果を用いた狭帯域干渉抑圧法を提案し、計算機シミュレーションにより実現性を検討した。
◎山田 遼・柴尾雅浩・梶原昭博(北九州市大)
交通事故や渋滞の原因として, 人的要因や車両要因だけでなく環境要因が挙げられる. これらは道路の形状や時間帯によるものが多いが, 近年注目されている要因として路上の落下物がある. 特にタイヤなどの大型の落下物では事故につながる危険性が高く, 現在主流のカメラやレーザなどでは, 雨や夜間などの天候の影響を受け, 検知が難しい. そこで, 全天候性に優れ, 高分解能で小さなものでも検知可能な79GHzUWBレーダへの関心が高まっている. また,一般道における制動距離は約40m[1]と言われておりその距離以上から落下物を検出する必要がある.しかし,実環境においてのレーダを用いて落下物検知の報告はない.そこで本稿では,79GHz帯を用いた実環境において走行し,落下物ごとの最大検知距離を報告する.
○胡 尭坤・入江泰生・戸田 健(日大)
自動車の自動運転や運転支援のため車載ミリ波レーダの実用化が進んでいる.一方車道における自動車と自転車の共存の観点から,自転車側の安全運転を目的とした衝突防止レーダの検討が近年報告されている.本稿では,比較的広いビーム幅の送信アンテナを有するミリ波MIMO FM-CWレーダモジュールを用いて,都心の狭い自転車歩行者道に点在する障害物を検出した結果を報告する.また検出した結果を用いて自転車用衝突防止データの信号処理方法及びアルゴリズムの検討を行った.
○入江泰生・胡 尭坤・戸田 健(日大)
世界的な環境保全運動の高まりから自転車の利活用による環境負荷低減のための施策が推進されている.日本では幅員の狭い自転車道歩行者道が多く,自転車走行においては,歩行者だけでなく付帯設備も走行上の障害物として最も大きなストレスとなっている.これらのことから,本研究では,79
GHz帯ミリ波レーダを用いて,都心部の狭小な自転車歩行者道を自転車走行する際の付帯設備及び歩行者の検出を試みた.レーダモジュールを自転車前方に取り付け走行実験を行い,ガードレール,街灯,バリケードや歩行者の検出を確認した.しかしながら走行中は短距離でハンドルが左右に揺れており,オブジェクトの位置が正確に検出できないこともわかった.
3月17日 9:45〜12:00 工学部 講義棟1F 108講義室 座長 木村誠聡(神奈川工科大)
A-15-1 | 右左旋円偏波信号の減衰を用いた降雨強度の実験的評価 ○中川 豊・今岡一章・東野武史・岡田 実(奈良先端大) |
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A-15-2 | 高スループットスケーラブルRadix-4 FFT回路の設計とその回路規模評価 ◎川幡知孝・筒井 弘・宮永喜一(北大) |
A-15-3 | 産業用無線LANシステムを用いたEtherCATのトンネリングに関する研究 ◎伊藤義基・豊福 瑞・Tran Thi Thao Nguyen・長尾勇平・黒崎正行・尾知 博(九工大) |
A-15-4 | 携帯端末型指差し呼称自動評価システムの開発 ○浦島 智・鳥山朋二(富山県立大)・中川美都子・大島淳一(富山県リハビリテーション病院) |
○中川 豊・今岡一章・東野武史・岡田 実(奈良先端大)
降雨による電波の減衰は、雨滴による電波の散乱と吸収が原因で生じるが、10GHz 以上の周波数で影響が問題となり、高い周波数ほど、雨滴が大きいほど顕著となる。
5G通信で用いられる数GHz~数十GHz帯では特に降雨による電波の減衰が発生しやすい状況にあり、減衰の対策は無線通信において高品質・高信頼性を確保するための重要なテーマである。一方電波の減衰から降雨の特性を把握することはリモートセンシングの側面から気象現象の推定にも応用が可能と考える。本稿では2018年度から運用を開始した4K,8K衛星放送について、電波の降雨減衰をもとに降雨強度をシミュレーションした結果についてその特性を述べる。
◎川幡知孝・筒井 弘・宮永喜一(北大)
広帯域デジタル通信において現在広く利用されているOFDM (orthogonal frequency division multiplexing)の変復調にはFFT (fast Fourier transform)が必要不可欠である.5G等を背景とする高速大容量通信への要求により,OFDMにおけるサブキャリア数は増加し,対応する点数が大きくかつ高スループットなFFTプロセッサが求められる.また同時に,通信方式ならびにその応用の多様化にともない,要求されるFFT点数も様々であるため,スケーラブルなFFT回路設計が求められる.本稿では,Radix-4バタフライ演算回路およびそのパイプライン構成を用いた,高スループットかつスケーラブルなFFT回路設計に関して,回路規模評価とともに報告する.
◎伊藤義基・豊福 瑞・Tran Thi Thao Nguyen・長尾勇平・黒崎正行・尾知 博(九工大)
Factory Automation(FA)の分野では,産業用ロボットの制御通信はほとんどが有線システムで実現されている.
しかしコスト面や配線の複雑さ等の問題が多く,無線化が求められている.
そこで汎用の無線LAN規格IEEE 802.11をベースとした高速な産業用無線LANシステムを提案し,産業用Ethernet規格の1つであるEtherCATと提案システムを組み合わせたシステムをFPGAボードに実装する.
本稿では提案システムを用いて無線化する手法の提案を行う.
○浦島 智・鳥山朋二(富山県立大)・中川美都子・大島淳一(富山県リハビリテーション病院)
指さし呼称は産業界では以前より指さし呼称が用いられているヒューマンエラーの防止手段の一つである.富山県リハビリテーション病院・こども支援センターでも,看護師業務内の確認作業に指差し呼称を組み入れる取り組みを行っており,我々はこれまでに看護師の指さし呼称を徹底するための,業務内で使用可能な指さし呼称検知システムの開発を行ってきた.
今回我々は看護師教育に用いるための,携帯端末型指さし呼称自動評価システムを提案した.また、実装した手法を検討するための試用実験を実施し,実験期間の前後における各看護師に対するシステムの評価の上昇を確認した.
休 憩(11:00 再開) 座長 末竹規哲(山口大)
A-15-5 | Mask R-CNNを用いた細胞核の検出とセグメンテーション ○藤田世哉・韓 先花(山口大) |
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A-15-6 | Deep supervision U-netとconvLSTMの統合による医療画像の分割 ○方 文昊・韓 先花(山口大) |
A-15-7 | 領域抽出を利用したキノコ判別システムの一考察 ◎竹安泰智・辻 裕之・木村誠聡(神奈川工科大) |
A-15-8 | 深層学習を用いた重要な被写体の自動検出 ○△濱村達哉・木村誠聡・辻 裕之(神奈川工科大) |
○藤田世哉・韓 先花(山口大)
バーチャルスライド技術の発展とともに,膨大な数の組織病理標本がデジタル化されデジタル画像形式で得られるようになった.これらの病理標本画像を手動で分析することは病理医や専門技師への大きな負担とともに主観的な診断,定量的な指標が必要になる.それらの組織病理画像を自動的に解析し,病理画像の中にある細胞核を正確に検出し,セグメンテーションする方法を開発することが求められる.細胞核検出,および細胞核のセグメンテーションは組織病理画像への詳細解析や細胞への識別・理解において必要不可欠な前処理である.本研究では,Mask R-CNNを用いて細胞核の検出とセグメンテーションを行う.
○方 文昊・韓 先花(山口大)
医用画像は,治療と診断において重要な役割を果たしている.画像処理や機械学習技術を用いて医療画像の自動処理を行い,様々なコンピューター支援診断(CAD)システムを開発されている.医療画像セグメンテーションでは画像中の病変領域又は注目したい領域(ROI)を正確に取りだし,多くのCADシステムにおいて重要で不可欠のステップである.本研究は高精度な医療画像を分割するため,広く使われたU-net 構造を改良し,新たなDeep Supervision convLSTM-Unetを提案した. U-netの単方向でのEncoderからDecoder への連結を改良し,逆順convLSTM を用いてDecoderのHigh-level特徴はEncoderのlow-level特徴を補正できるconvLSTM-Unetを構築する.また,Deep supervision技術を用いてU-netで得られたマルチースケール特徴をconvLSTMで統合・考慮できるネットワークを提案した.提案手法は皮膚画像の病変領域セグメンテーション実験を行い,その有効性を検証した.
◎竹安泰智・辻 裕之・木村誠聡(神奈川工科大)
毎年,毒キノコを原因とする食中毒や死亡事故が発生している.野生しているキノコが毒キノコであるかの判断は困難であり,それを行うシステムが必要であると考える.本稿ではキノコの形状や色情報を抽出し,機械学習によってキノコの判別を行う方法を提案する.提案法においては先にキノコが写っている画像全体すべてを学習させる方法と,グラフに基づくセグメンテーションを用いてキノコ情報と背景を分離し,キノコ情報だけで学習させる方法の二通りについて検討を行う.結果としてキノコの認識率の向上を確認し,提案法の有用性を明らかにした.
○△濱村達哉・木村誠聡・辻 裕之(神奈川工科大)
スマートフォンの普及により,集合写真や記念写真を誰でも気軽に撮影できるようになった.しかしながら,このようなスナップ写真には,本来撮りたかった重要な被写体に加えてそれ以外の人物が存在することが多い.本研究では深層学習を用いてスナップ写真における重要人物を自動検出することを目標とする.重要人物である確率は深度情報と関連があるのではないかと仮定し,Mask R-CNNによるオブジェクトセグメンテーションと,U-Netによる深度情報推定を組み合わせた重要人物の自動抽出の提案を行う.実験を通して,特徴マップと深度情報から重要度マップを作成し,自動的に重要人物の抽出ができることを確認した.
3月17日 13:30〜16:15 工学部 講義棟1F 108講義室 座長 古賀崇了(近畿大)
A-15-9 | 色弱モデルを用いた簡易色弱度合い検査法 ◎川合 優・目黒光彦・古市昌一(日大) |
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A-15-10 | 1型及び2型2色覚のためのコントラスト改善の定量評価手法 ◎程 渓・田中 豪(名古屋市大) |
A-15-11 | 過強調を抑制した高速な暗視アルゴリズム ◎小島清一・末竹規哲・内野英治(山口大) |
A-15-12 | ヒストグラム指定法による明度変換画像を用いた多重露光画像の融合 ◎森山大樹・末竹規哲・内野英治(山口大) |
A-15-13 | ユーザの意向を反映したテクスチャ再構成の検討 ○△名古屋真実・木村誠聡・辻 裕之(神奈川工科大) |
◎川合 優・目黒光彦・古市昌一(日大)
現在,小・中学校等で色覚異常に関する集団検査を実施していない.しかしながら,いわゆる色盲や色弱と呼ばれる色覚異常を検査する必要性がなくなっているわけではない.本研究では,色覚特性が正常とは異なると自覚のしづらい色弱者を対象として,検査用画像を一目するだけで,色弱の度合いを測定することのできる簡易検査手法を提案する.色弱者にとって色の差異を感じず,かつ,色弱の度合いのより軽い者や色覚正常者は異なる色と認識する色を含んだ表を使い検査する.適用例を通じて本手法の有効性を明らかにする.
◎程 渓・田中 豪(名古屋市大)
2色覚者は特定の色の弁別が困難である.近年,画像の2色覚における見え(コントラスト)を改善する色変換手法が提案されている.本報告では,既存の定量評価指標をもとに新たな評価指標を提案する.実験では,色変換画像を2色覚の見えに変換したもの(評価対象画像)を多数用意した.まず,正常色覚者が一対比較法により,画像の2色覚の見えでのコントラストを評価した.具体的には,原画像を参照しつつ,提示される2枚の評価対象画像ごとに高コントラストと感じるものを選択した.一対比較法の評価値と提案評価指標の値の分布は似ており,提案手法の妥当性が示されたといえる.
◎小島清一・末竹規哲・内野英治(山口大)
近年,監視カメラなどへの応用を目的として,非常に暗い状況で取得された画像の画質改善に関する研究が盛んに行われており,これらは「暗視アルゴリズム」と呼ばれている.従来の暗視アルゴリズムは画像のコントラストを大幅に改善することが出来るが,計算コストが高い,過強調を引き起こす,等の問題がある.本報告では,過強調を抑制した高速な暗視アルゴリズムを提案する.提案手法では,ヒストグラム指定法を用い,暗い領域の明暗差を増幅して視認性を向上させるための明度変換テーブルを構築する.さらに,局所明度平均との明度差に基づき明度補正を施すことで,照明の周辺部などの明るい領域でのコントラスト低下の抑制を図る.
◎森山大樹・末竹規哲・内野英治(山口大)
カメラが知覚できる輝度のダイナミックレンジは,人間に比べて狭い.人間が知覚している輝度と同等なダイナミックレンジの画像を得るためには,露光を変えた複数枚の画像を融合するのが一般的である.本報告では,ヒストグラム指定法による変換画像を用いた多重露光画像の融合法を提案する.提案手法では,多重露光画像の明度を変換し,白飛びや黒潰れを改善した画像を生成する.このとき,色相補正と彩度保存処理を施すことで,不自然な明度変換を防ぐ.その後,彩度に基づいて重みを決定し,1枚の画像を生成する.種々の画像を用いて実験を行い,提案手法の有効性を検証する.
○△名古屋真実・木村誠聡・辻 裕之(神奈川工科大)
CGを作成する際に,物体の表面の質感を表現するためにテクスチャ画像を用いる.本研究では,このテクスチャ画像をユーザが直感的に編集する方法を提案する.提案手法は,2画像間の変換を学習するpix2pixに,入力画像の質感を変えないような制約を加え,本研究の目的に合うように改良する.ここで従来は,テクスチャ画像の模様をエッジ画像として編集し指定していたが,これではエッジの上と背景の色を塗り分けるタスクと,エッジの内外を塗り分けるタスクとを別けて学習させなければならなかった.本論文では,これを領域のモノクロラベル画像に修正することで,同じ学習モデルで2つの異なるタスクを実施可能にする.この修正の有効性は,実験を通して示される.
休 憩(15:00 再開) 座長 仲地孝之(NTT)
A-15-14 | ディープラーニングを用いた紙幣の識別番号の認識 ◎栢沼大地・辻 裕之・木村誠聡(神奈川工科大) |
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A-15-15 | 画像処理を用いたバーコード読み取りアルゴリズム ◎西村優輝・辻 裕之・木村誠聡(神奈川工科大) |
A-15-16 | 物体の状況変化を考慮した時空間正則化相関フィルタ追跡の一改良法 ◎唐 兆前・荒川 薫(明大) |
A-15-17 | 駐車場におけるWebカメラを用いた駐車判定の実験的評価 ◎福﨑卓人・筒井 弘・宮永喜一(北大) |
A-15-18 | スマートフォンセンサを用いた気分情報を基にした都市空間評価手法に向けて ◎神村 潤・西山勇毅・瀬崎 薫(東大) |
◎栢沼大地・辻 裕之・木村誠聡(神奈川工科大)
紙幣の偽造犯罪は昔から存在しているが,そのほとんどは同じ識別番号である.一般的な文字認識の方法としてパターン認識があるが,紙幣のように複雑な背景がある場合には認識が困難となる.そこで本稿では,ディープラーニングに着目し,複雑な背景を認識文字と合わせて学習させることで識別番号の認識を試みる.数字,英文字およびアラビア文字を対象とし,文字の種類が増えた場合でも認識率が下がらない方法について検討を行う.結果として2 段の NN の構成において文字の種類が増えた場合にも高い正答率 を得ることが出来,提案法の有効性を明らかにした.
◎西村優輝・辻 裕之・木村誠聡(神奈川工科大)
店頭において商品の値引きを行う際,値引き用シールと据え置き型のレジスキャナーの組み合わせにおいては,値引き用シールの貼り方によって商品の形状,表示情報が影響を与え,読み取り可能な2つのバーコードが並んでしまい,実質読み取りが出来なくなる場合が発生する.
本稿では画像処理ライブラリであるHALCONによる領域検出後の画像上で重なったバーコードを分離し,上に貼られた値引き用シールのバーコードのみを読み取る手法を提案する.
その結果としてバーコードを分離し,上に貼られたバーコードのみの読み取りに成功し,提案法の有効性について明らかにした.
◎唐 兆前・荒川 薫(明大)
近年、移動物体追跡において判別的相関フィルタ(DCF)の急速な進展が注目されている。DCFは多数のトレーニングサンプルに対する学習により設計されるが、この学習は高速フーリエ変換(FFT)を用いることで周波数領域において高効率に行われる。DCFに関するアルゴリズムの中で、特にSTRCF は、高い成功率で移動物体を追跡できるが、照明の変化、複雑な背景の変化、遮断などの影響により、成功率が低下する。本稿では、このような物体の状況変化に対して追跡特性を向上させるために、STRCFにおける時間正則化とスケール推定に対する改良法を提案する。計算機シミュレーションにおいて、他の物体追跡方式に対する本提案方式の有効性を示す。
◎福﨑卓人・筒井 弘・宮永喜一(北大)
道路交通の円滑化や都市機能の増進などを目的として,国や地方自治体は既存の駐車場の利用実態を調査している.しかし駐車場の利用調査方法として,調査員が巡回して駐車台数を計測する手段をとっており,労力がかかる.この問題を解消する手段として,画像処理を用いた方法が考えられる.安価なWebカメラ1台で利用率が把握できれば,低コストでの駐車場の利用実態を把握できる可能性がある.本稿ではWebカメラを用いた駐車判定システムについて,その評価を行ったので報告する.
◎神村 潤・西山勇毅・瀬崎 薫(東大)
モバイルデバイスの発展により、容易に収集できるユーザ毎の空間情報は増加したが、都市空間の評価指標としてユーザの活動時系列データや気分といった情報は不足している。本論文では、スマートフォンセンサを用いた気分情報を基にした都市空間評価手法に向け、ユーザの気分およびタイムスタンプやGPSなどの空間情報を収集するスマートフォンアプリを開発した。
3月20日 9:30〜12:00 総合科学部 K棟2F K205講義室 座長 佐々木邦彦(デンソー)
A-17-1 | 入力に制限がある制御システムのためのΔΣ変調器の設計 ○吉田祥馬・大野修一(広島大) |
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A-17-2 | 小型SDRボードを用いたロボット制御のための産業用無線LANシステムの実装 ◎△豊福 瑞・伊藤義基・Tran Thi Thao Nguyen・長尾勇平・黒崎正行・尾知 博(九工大) |
A-17-3 | 無線LANのための送信タイミング制御によるパケット遅延の改善 ○吉岡達哉・山口真司・青木 寛・長谷川晃朗・横山浩之(ATR) |
A-17-4 | 干渉波の影響を低減可能な無線LANモータ制御法の提案 ○古川剛志・鍋谷寿久(東芝) |
A-17-5 | アクセスエッジにおける遅延情報を用いたリアルタイム遠隔制御 ○小屋迫優士・鈴木貴大・金 相燁・可児淳一・寺田 純(NTT) |
○吉田祥馬・大野修一(広島大)
制御入力の範囲に制約があるとき入力飽和を考慮した制御系設計をする必要がある.入力飽和を考慮せずに設計した制御系を用いるとWindup現象と呼ばれる制御性能の劣化が生じる場合がある.一方,通信による信号の伝送を行う際に信号の量子化を行う必要があるが,量子化による量子化誤差が生じ,制御性能へ影響を与える.そこで本研究は制御入力の大きさを考慮したΔΣ変調器のパラメータ設計法を提案し,数値例で提案法の有効性を示す.
◎△豊福 瑞・伊藤義基・Tran Thi Thao Nguyen・長尾勇平・黒崎正行・尾知 博(九工大)
Factory Automation(FA)において産業用ロボットの制御通信には有線システムが多く用いられているが,ロボットの設置上の制限等の問題から無線化を行う必要がある.そこで,汎用の無線LAN規格IEEE802.11をベースとした産業用無線LANシステム(以下,提案システム)を提案する.これまで提案システムを実装していたFPGAボードを変更することでボードの小型化を行った上,PHY層を実装することで無線通信を行えるようにした.
○吉岡達哉・山口真司・青木 寛・長谷川晃朗・横山浩之(ATR)
多くの製造システムが密に配置される工場においては,複数の無線機器が同時に通信を試みるため,パケット衝突が頻発し,パケットロスや遅延が発生するといった問題がある.この問題に対して,我々は複数の無線LANシステムのパケット送信タイミングを制御する手法の研究を進めている.本稿では,開発した試作機及びns-3シミュレータを用いて,送信タイミング制御が遅延時間に与える影響を評価した結果を報告する.
○古川剛志・鍋谷寿久(東芝)
近年、無線によるロボットの遠隔操作やロボットアームのケーブルレス化の要求が高まりつつあり、研究が進められている。ISMバンドで使用可能な無線LANでロボットのモータを制御する場合、他システムの電波が干渉波となり、キャリアビジーや再送に伴う遅延が発生する。MC(モーションコントローラ)がモータの位置情報(回転数)をフィードバック情報として受信し、目標位置と現在位置の差分に比例した速さで回転させる場合、遅延が大きくなると所望の速度制御ができないという課題がある。本稿では、干渉波による遅延が発生しても、MCのみに工夫をする事でその影響を低減可能な無線LANモータ制御法を提案し、実験によりその有効性を示す。
○小屋迫優士・鈴木貴大・金 相燁・可児淳一・寺田 純(NTT)
IoT (Internet of Things) 端末の普及に伴い,ドローンや産業用ロボット等の制御において,これまでデバイス上で行われていたリアルタイム制御をネットワーク (NW) を介して行う要求が今後増加することが予想される.このようなNWを介した制御には遅延やジッタが制御系に悪影響を及ぼす.本研究では,ユーザと近距離にある通信局舎のアクセス部にエッジサーバを設置し,エッジ処理を行うことで,NW越しのIoT端末のリアルタイム制御を実現する.また,アクセス区間で生じる遅延による制御性能への影響を低減するため,測定した遅延値を用いた制御手法を提案する.
休 憩(11:00 再開) 座長 竹林知善(富士通研)
A-17-6 | 離散性とグループスパース性を利用した上りリンク過負荷MU-MIMO OFDM信号検出法に関する検討 ◎早川 諒・中井彩乃(京大)・林 和則(阪市大) |
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A-17-7 | UAVによる災害時メッセージ集配信システムにおける面心立方格子構造を用いたテンソル再構成に関する研究 ◎檀上梓紗・原 晋介(阪市大)・松田崇弘(首都大東京)・小野文枝(NICT) |
A-17-8 | 3次元受信信号強度測定における空間サンプリング周波数決定法に関する研究 ○福井 恵・壇上梓紗・原 晋介(阪市大) |
A-17-9 | メカトロ機器の配線無線化に関する一検討 ○清水 聡・佐久間和司・鈴木義規(ATR)・関屋大雄(千葉大)・大平昌敬(埼玉大) |
◎早川 諒・中井彩乃(京大)・林 和則(阪市大)
IoT(Internet of Things)環境のMU-MIMO(Multi-User Multi-Input Multi-Output) OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)において,基地局アンテナ数よりも多数のIoT端末からの信号を検出するための手法として,
離散性とグループスパース性を利用した手法が提案されている.本稿では,計算機シミュレーションを用いてその特性をoracle ZF(Zero Forcing)法と比較し,プリコーディングの有無による特性の変化を評価する.
◎檀上梓紗・原 晋介(阪市大)・松田崇弘(首都大東京)・小野文枝(NICT)
大規模災害発生時,情報通信インフラの復旧までにドローンを用いた蓄積型のデータ集配信システムが必要となる.ドローンが避難所の上空を飛行することにより,ワイヤレスでの避難者データの集配信は可能であり,その地点の決定方法として,受信信号強度(RSS: Received Signal Strength) を利用したテンソル再構成に基づくデータ収集地点決定法が提案されている.この提案法では,集配信前にドローンがRSS を疎にセンシングすることにより空間的なRSS 分布を作成しているが,その地点は定義されていない.本稿では,データ収集地点決定法のセンシング地点を面心立方格子構造とすることを提案し,実験値により評価する.
○福井 恵・壇上梓紗・原 晋介(阪市大)
近年,様々な分野でドローンの利用が検討されている.その一つが,大規模災害発生時における被災者の把握と迅速な通信手段の確立である.そのようなシステムではドローンが空中でホバリングし,メッセージを収集する.しかし,どの場所でホバリングすれば効率良く無線信号を受信できるか前もって決定することは難しい. ドローンが避難所のある3次元領域を網羅的に飛行し,受信信号強度(RSS: Received Signal Strength)を測定し,その結果からRSSの大きい位置を選択できれば良いがドローンの飛行時間を考慮すると,それは非常に難しい.このような問題の解決策として,ドローンが領域内の疎な位置でRSSを測定し,その結果から領域全体のRSS分布を再構成し,得られたRSS分布でRSSの大きい位置をホバリング位置とする方法が考えられる.ただし,どれくらいの間隔で再構成できるのかを事前に決定する必要がある.本研究では,3次元領域でのRSS測定における空間サンプリング周波数は,構造物分布から決定できるという仮説を立て,検証する.
○清水 聡・佐久間和司・鈴木義規(ATR)・関屋大雄(千葉大)・大平昌敬(埼玉大)
ロボットを始めとするメカトロ機器内部には多くの配線がある。その無線化を我々は、ワイヤレスハーネスと呼び、いち早く研究開発を進めてきた。今回、千葉大学、埼玉大学と新たに研究グループを作り、実用化に向けた技術の確立を目指している。今回は、その概要を紹介する。
3月19日 13:30〜15:15 総合科学部 K棟2F K207講義室 座長 中西 功(鳥取大)
A-18-1 | 疲労判定に必要な歩容特徴量に関する検討 ○西川博文(三菱電機)・青木工太・村松大吾・槇原 靖・八木康史(阪大) |
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A-18-2 | 容量結合型電極による走行時心電図計測 道脇健太・◎福﨑 翔(九大)・松沼 悟・島田和明(マクセル)・服部励治(九大) |
A-18-3 | CNNsとARMAXモデルを使用した生体制御系のパラメータ推定 ○菊池 誠(茨城高専) |
○西川博文(三菱電機)・青木工太・村松大吾・槇原 靖・八木康史(阪大)
疲労は健康の悪化や作業効率低下,さらには様々な事故発生の要因となる社会課題である.従来の疲労判定手法は,
フリッカの視覚的閾値の調査や心拍情報等,対象者の協力が必要であり,継続的な疲労モニタリングは困難であった.
筆者らは歩容による疲労判定手法を検討し,3 次元骨格情報から得られる歩容変化を特徴量として疲労判定が可能であることを確認してきた.本稿では,より簡便に取得可能な2 次元骨格情報の疲労判定への適用可能性を報告する.
3次元特徴量から,垂直方向成分を省いた上方から投影した2次元骨格情報が3 次元骨格情報と比較して性能劣化がわずかであり,疲労判定に有効であることを示した.
道脇健太・◎福﨑 翔(九大)・松沼 悟・島田和明(マクセル)・服部励治(九大)
重大交通事故を起こす原因として,ドライバーの心臓疾患による事故と、漫然(瞼は開いているがボンヤリしている状態)運転による交通事故が多くを占めている.こうした交通安全を改善するには,ドライバーの健康状態と精神状態を監視することが必要である.したがって,身体的疲労および精神的疲労とドライバーの運転スキルや環境状況などの相互関係を解明し,モデル化することで適切に対処することが求められている.視覚ベースのシステムでは,眼球運動や瞼の開閉,顔の表情を記録し,眠気や疲労度を推定する.しかし,実装コストは比較的高く,漫然運転の状態であると検知することができない等の問題がある.一方、心拍数(HR)や心拍数変動(HRV)などの心臓活動を使用する生理学的信号ベースのシステムは,ドライバーの眠気,精神的作業負荷,健康状態を効率的に推定できる.我々は今までに容量結合電極を用いて衣服の上からの心電波形計測を研究してきたが[1]、本稿では,車用シートに搭載した容量結合型電極による非侵襲の心電計の開発・評価を行った.
○菊池 誠(茨城高専)
本研究はパラメトリックな同定法をCNNs(Convolutional Neural Networks)で補強するハイブリッドな推定法を提案して,その主要部分のアルゴリズムを紹介した.さらにその適用例としてヒトの立位姿勢制御の重心動揺を基に神経・筋骨格系の筋肉の時定数に由来する制御パラメータを推定した.この例ではARMAXモデルによる従来の同定時間が数分から数十分であるのに対して,本推定法では推定時間を数秒以下に短縮できることを示した.また,制御パラメータの推定値とその誤差率の関係を図示することで,その制御系に2種類の安定状態が存在することや本推定法では対応できない事象が存在することなど,本推定法の応用範囲が限定的であることも示した.
休 憩(14:30 再開) 座長 高田直幸(セコム)
A-18-4 | 起立着座動作のドップラーレーダ画像を用いた個人識別 ○塩入慶太郎・佐保賢志・犬塚圭亮(富山県立大) |
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A-18-5 | 超音波による誘発脳波を用いた個人識別における計算量削減の試み ◎向井宏太朗・中西 功(鳥取大) |
A-18-6 | 電磁応答特性の時間的変動が生体検知精度に与える影響 ◎松浦悠之亮・前田忠彦(立命館大) |
○塩入慶太郎・佐保賢志・犬塚圭亮(富山県立大)
歩行などの日常動作に基づく個人識別は,遠距離からの認証を可能とするため,監視やセキュリティシステムにおいて重要視されている.マイクロドップラーレーダ(micro-Doppler radar: MDR)は,照明条件に依存せず,服装などの静的な条件に影響されにくいため,動作を捉えるセンサとして適している.近年ではMDRを用いた歩行,跳躍などの動作による個人識別に関する研究が報告されている.一方で日常動作の一つである起立着座動作は比較的狭い場所でのセンシングが可能であるが,レーダを用いた起立着座動作に基づく個人識別に関する報告はない.そこで本研究では,MDRと畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network: CNN)を用いた,起立運動及び着座運動に基づく個人識別手法を提案する.
◎向井宏太朗・中西 功(鳥取大)
超音波による誘発脳波を用いた個人識別において,高い識別性能を維持しつつ,計算量をどの程度まで削減できるかを検討したので報告する.
◎松浦悠之亮・前田忠彦(立命館大)
生体認証技術において, 他者の生体情報を用いた 「なりすまし」 による脆弱性が指摘されており, 生体か否かを判別する生体検知がセキュリティ強化のために重要である. 近接する媒質によって電磁応答特性が変化する CSRR 構造を用いた生体検知センサが提案されており, 人体指と偽装物を装着した偽装指の判別が可能であることが報告されている.
一方, 生体検知センサの検知精度の安定性を継続的に評価しておくことが必要である. そこで本稿では, 生体検知センサを用いて, 被験者 3 人に対して 5 週間にわたる電磁応答特性 (通過特性) の測定及び検知精度に与える影響の評価を行った.
3月18日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟2F K202講義室 座長 佐藤大輔(NTT)
A-19-1 | 小型自立移動式災害対策支援ユニットにおける移動モデルを使用した災害情報共有方式の評価 ◎△田島氷河・井上勇気・水野 修(工学院大) |
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A-19-2 | 小型自立移動式災害対策支援ユニットにおける災害関連情報収集・配信アプリケーション ◎飛永尚輝・田中槇志・田島氷河・水野 修(工学院大) |
A-19-3 | 災害関連情報提供システムの運用地域に向けたカスタマイズ ◎田中槙志・田島氷河・水野 修(工学院大) |
A-19-4 | FPGAを用いた避難行動予測回路の設計 ◎渡邊峻介(千葉大)・西辻 崇(首都大東京)・山本洋太・星 郁雄(千葉大)・干川尚人(小山高専)・伊藤智義(千葉大) |
A-19-5 | 地域の人口分布を考慮した避難シミュレーションにおける避難情報伝達の有効性の検討 ◎小林直輝・山﨑達也(新潟大)・佐藤翔輔(東北大) |
◎△田島氷河・井上勇気・水野 修(工学院大)
大規模な都市災害時では,災害対策本部から被災者に対して災害関連情報の収集・配信が必要である.そこで,自立移動式災害対策支援ユニット(D-ZEV:Disaster-robust Zero Energy Vehicle)とD-ZEV miniを開発している.これまでに我々は,D-ZEV miniが実際に走行する移動モデルとD-ZEV mini同士が情報共有するための災害情報共有方式を提案している.本稿では,D-ZEV miniが使用する移動モデルと災害情報共有方式を組み合わせたシミュレーションを行い,有効性を評価した.シミュレーション評価より,移動モデルと災害情報共有方式を組み合わせることで既存方式と比較し,最大で宛先に到達した情報量が75.0MB増加した.
◎飛永尚輝・田中槇志・田島氷河・水野 修(工学院大)
大規模な都市災害時では,公的救助機関による救助活動が開始されるまでの間,被災者を迅速に支援する必要がある.そこで,自立移動式災害対策支援ユニット(D-ZEV: Disaster-robust Zero Energy Vehicle)とD-ZEV miniを開発している.本稿では,D-ZEV miniを用いた情報収集および情報配信を実現するため,災害関連情報収集アプリケーションおよび災害関連情報配信アプリケーションを作成した.アンケート評価により,災害時の情報収集および情報配信ともに有効だと思うと回答したユーザと,どちらかというと有効だと思うと,回答したユーザは合わせて80%以上となり,アプリケーションの有効性を確認した.
◎田中槙志・田島氷河・水野 修(工学院大)
大規模災害発生時,基地局の破損等で既存の通信インフラの使用ができなくなる恐れがある.それによって災害関連情報の取得が困難になり,大混乱に陥る恐れがある.そこで,工学院大学では,東京都新宿区を想定した災害関連情報の収集・提供を行う自立移動式災害対策支援ユニット(D-ZEV)の研究開発が実施されている.本研究では,D-ZEVのネットワークを活用した災害関連情報提供システムの他地域での運用を想定したシステムの汎用化を行う.新宿区と対照的な地域である東京都大田区を対象として,11月に行われた大田区羽田地域避難訓練にて82人にアンケート調査を依頼し,災害関連情報提供システムの有効性の評価を行った.
◎渡邊峻介(千葉大)・西辻 崇(首都大東京)・山本洋太・星 郁雄(千葉大)・干川尚人(小山高専)・伊藤智義(千葉大)
群衆避難シミュレーションモデルであるSocial Force Model (SFM)のFPGA実装に向けた回路設計について発表する.今回はSFMにおいて最も計算負荷が高い人同士の接触・接近時の相互作用計算の回路を設計し,特に計算過程における変数のビット長,および高負荷計算の主因である指数関数の近似手法を検討した.
◎小林直輝・山﨑達也(新潟大)・佐藤翔輔(東北大)
日本では,東日本大震災をはじめ各地で大規模な災害が発生している.災害による人的被害を軽減するためには,避難者への適切な情報提供が必要である.現在は,防災行政無線などが主な情報伝達手段であり,地域全体に対して共通の情報を提供可能である.しかし,避難者の位置のよって異なる局所的な情報を取扱うことは困難である.そこで,本研究では既に地域に普及している社会インフラを避難情報の発信源として用いた避難誘導を提案し,シミュレーションを用いてその有効性の検討を行っている.本報告では,国勢調査の結果を基に昼間人口を算出し,現実の人の偏りを考慮したシミュレーションの実施結果について報告する.
休 憩(11:00 再開) 座長 水野 修(工学院大)
A-19-6 | LPWA通信を用いたメッセージおよび画像転送システムの開発 ○森部絢嗣(岐阜大)・藤本晶史・時田義明(フォレストシー) |
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A-19-7 | A Vision-based Solution for Worker Safety Monitoring in Construction Sites ○△Shi Chen・Masaki Sudo・Kazuyuki Demachi(The Univ. of Tokyo) |
A-19-8 | 機械学習を用いた労働災害事例分類 ◎須藤大揮・出町和之・陳 実(東大) |
A-19-9 | 延焼クラスタを用いた延焼被害予測機能の開発 ○高梨健一・細川直史(消防庁消防研究センター) |
A-19-10 | 絶縁性混和物を用いた地下メタルケーブルの補修工法 ○桑原洋昌・佐々木 強・島原広季・相原貴明(NTT東日本) |
○森部絢嗣(岐阜大)・藤本晶史・時田義明(フォレストシー)
携帯圏外が多い山間地域においてもメッセージや画像を通信できる技術が求められている.そこで本研究では独自のLPWA通信規格「GEO-WAVE( ジオウェイブ)」を用いて,携帯圏外域におけるスマートフォンを介したメッセージや専用カメラ子機端末で撮影された画像を転送するシステムを開発し,野外での実証試験を行った.その結果,メッセージおよび画像ともに長距離通信に成功した。また山間地域のような見通しが悪く,通信できない不感地帯においては,中継機を適切に増設することで通信域を拡張した.今後,これらを基盤としたシステムの最適化と高度化を図る.
○△Shi Chen・Masaki Sudo・Kazuyuki Demachi(The Univ. of Tokyo)
Construction work is much more dangerous than most other occupations, where many potential hazards may occur. In response to the difficulties of on-site worker safety monitoring, this study presents the use of Convolutional Neural Networks (CNNs) to accurately and rapidly detect Personal Protective Equipment (PPE) and grinder and identify whether workers on construction sites are wearing PPE and handling grinder properly. We adopt Yolov3 model and OpenPose to localize PPE(s) and extract keypoints coordinates of the individual(s) from each observed frame, respectively. Subsequently, we identify non-ppe-use (NPU) and improper-grinder-handling (IGH) by analyzing the geometric relationships of detected PPE(s) and individual(s). The proposed method was experimentally evaluated, and the efficiency of the method was illustrated.
◎須藤大揮・出町和之・陳 実(東大)
代表的な災害事例集として厚生労働省の作成した労働災害データベースが存在するが、データ量が膨大なため人手で解析することが困難である。また、事故の状況説明文には、安全のためにするべきであったこと(安全文)、危険を引き起こした原因(危険文)、あまり重要でない補足説明(非重要文)の3通りがあり、これらを正しくスクリーニングすることが望ましい。そこで、本研究では自然言語処理を用いた自動分類手法を提案し、実効性を検証することを目的とした。提案する2段階のBERTによる分類手法では、第一段階で正解率96%、第二段階で正解率87%と高い精度が得られた。
○高梨健一・細川直史(消防庁消防研究センター)
消防研究センターにおいて従来から開発を進めてきた広域版地震被害推定システムは、震源情報や各地の地盤情報、木造家屋数等に基づいて計算を行い、各種被害の推定結果を表示する機能を持っている。現在の機能に加え、複数の都道府県にまたがるような広い範囲の火災被害を高速に予測することができれば、震災発生直後に行われる緊急消防援助隊派遣のための意志決定等に資することが可能となると考えられる。
本稿では、加藤らの提案したクラスタ方式の考え方を応用し、広域版地震被害推定システムに対して延焼棟数の期待値を参考情報として提示する機能を追加することを目指して計算ツールを試作した結果について報告する。
○桑原洋昌・佐々木 強・島原広季・相原貴明(NTT東日本)
高速回線サービスが普及する一方、PSTNサービスの維持管理について効率化することが経営上の課題である.本稿では,地下メタルクロージャ内部へ絶縁性混和物を充填することで,浸水による設備故障を未然に防ぐ工法について検討したので報告する.
3月18日 13:30〜16:45 総合科学部 K棟2F K202講義室 座長 西 正博(広島市立大)
A-19-11 | 広域監視システムにおける渋滞判定手法 ○江下尚彦・森口拓雄・徳梅慎也(綜合警備保障) |
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A-19-12 | 高速道路における計画停電時の運用検討 ◎鐵重光基・笠木響介・近藤 匠・相沢 靖・臼井智徳(ネクスコ・エンジニアリング新潟) |
A-19-13 | 道路管制センターにおける地域間バックアップ訓練について ○佐々木 龍・八津尾俊英(NEXCO東日本)・小林博幸・山崎克実・臼井智徳(ネクスコ・エンジニアリング新潟) |
A-19-14 | Grundy Coloringとグラフの点数や辺数についての考察 ○田村 裕(中大)・中野敬介(新潟大) |
A-19-15 | パッシブイメージャシミュレーション画像を用いた CNN による危険物の識別 ○勝山 裕・Myint San Hlaing・亀山 渉(Waseda Univ.) |
A-19-16 | Passive Imaging Simulation for Conceal Object Detection System ○San Hlaing Myint・Xin QI・Keping YU・Yutaka KATSUYAMA・Toshio SATO・Kiyohito TOKUDA・Takuro SATO(Waseda Univ.) |
○江下尚彦・森口拓雄・徳梅慎也(綜合警備保障)
高所から広域を俯瞰するカメラ映像から,道路の渋滞検知を目指している.渋滞は,交通流量が停滞し始める車両密度の臨界値を閾値として設定することで検知することができる.しかし,道路毎に閾値が必要なため設定が煩雑になること,車両密度の算出は高計算コストであることの課題がある.そこで本稿では,交通流量および車両密度を同義の異なる指標で表して,閾値を推定する手法を提案する.
◎鐵重光基・笠木響介・近藤 匠・相沢 靖・臼井智徳(ネクスコ・エンジニアリング新潟)
東日本大震災後,NEXCO東日本新潟支社管内において約1ヵ月に亘り,1日2時間の計画停電が実施予定であったが,節電努力により実施には至らなかった.
仮に計画停電が実施されていた場合,自家発電設備のない本線上の設備や休憩施設は機能停止となり,高速道路の安全性やサービスの質を大きく低下させることとなる.このことから,計画停電時においても停電対策が必要である.
本稿では,新潟支社管内の計画停電を想定し,高速道路の安全性やサービスの質を低下させずに運用を継続するための対策を検討した.機能停止となる設備に対して停電対策の優先度を付与し,計画停電の特性や経済性等を踏まえて対策案の比較検討を行った.
○佐々木 龍・八津尾俊英(NEXCO東日本)・小林博幸・山崎克実・臼井智徳(ネクスコ・エンジニアリング新潟)
東日本高速道路株式会社では,2011年3月11日に発生した東日本大震災の被害を踏まえた災害対策強化において,道路管制センター機能の全社バックアップ体制の方針が策定され,この方針に基づく「地域間バックアップ体制」を2017年度に構築完了したところである.本報告は,2018年8月に行った地域間バックアップ訓練の実施内容と振返りについて報告するものである.
○田村 裕(中大)・中野敬介(新潟大)
無線通信におけるチャネル割当とグラフ理論における彩色問題は古くから関連性が示され,様々な研究がなされてきた.その中で多くの理論的な研究は,割当てるチャネル数を最小とするものである.チャネル数を最小にするには,すでに割当てられているチャネルを再割当する等,実際に適用するには問題が多い.筆者らは,必要なチャネル数の範囲を探るため,色数が最大となるGrundy Coloringと呼ばれる彩色を取り上げ,色数を定めたときの点数や辺数が最小となる彩色について考察している.本報告では,最大色数と染色数が異なると仮定し,点数や辺数が最小となるグラフについて報告する.
○勝山 裕・Myint San Hlaing・亀山 渉(Waseda Univ.)
ミリ波でのパッシブイメージング技術により衣服内に隠し持った危険物を検知する技術が注目されている。本研究では、実際のパッシブイメージャ画像の代わりにシミュレーション画像による危険物の画像認識の評価を行った。人体形状と危険物形状の2値画像を用いて、環境の温度と人体の体温、ミリ波の放射率、反射率などを仮定して、物理モデルを用いてシミュレーションした画像をベースに、イメージャで生じるぼけや、センサのノイズを加えて、実際のパッシブイメージャの画像に類似させたシミュレーション画像を生成し、そこから切り出した危険物だけの画像をCNNで評価した。結果は約73%で画像劣化がひどい割にはよい数値が得られた。
○San Hlaing Myint・Xin QI・Keping YU・Yutaka KATSUYAMA・Toshio SATO・Kiyohito TOKUDA・Takuro SATO(Waseda Univ.)
To improve public security issue, passive or active imaging technologies become a key solution for challenges of security check system. Literally, the imaging technology can be classified as passive and active sensor. In this research, we emphasized the passive imaging simulator as a major work. Since the amplitude of the radiation depends on the object’s emissivity and temperature, these two parameters are considered as main parameters for calculation of radiometric. And then we implemented the preamp receiver which include a preamplifier for direct detection. Finally, we evaluated the simulation results by using raw data image from realimager.
休 憩(15:15 再開) 座長 不破 泰(信州大)
A-19-17 | 土砂災害前兆検知のためのLPWA送信スケジュールの基礎検討 ○出原 聡・小林 真・新 浩一・西 正博(広島市立大) |
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A-19-18 | スマートフォン連携型の土砂災害関連情報TV通知システムの開発 ○徳本敬祐・小林 真・新 浩一・西 正博(広島市立大) |
A-19-19 | 機械学習を用いた木造模型の損傷位置の特定 ◎小池康平・鈴木健太・森 健士郎・伊藤拓海・河原尊之(東京理科大) |
A-19-20 | 人物追跡ネットワークシステムにおける異種センサのデータ統合の検討 ○佐藤俊雄・斉 欣・余 恪平・佐藤拓朗(早大) |
A-19-21 | Content-based Extraction and Production of Video data for Person Tracking Network Systems ◎Keping YU・Xin QI・Toshio SATO・San Hlaing MYINT・Zheng WEN・Yutaka KASTUYAMA・Kiyohito TOKUDA・Wataru KAMEYAMA・Takuro SATO(Waseda Univ.) |
A-19-22 | Reduction of Traffic Volume for Person Tracking Network Systems ○Xin QI・Keping YU・San Hlaing Myint・Toshio SATO・Yutaka KATSUYAMA・Kiyohito TOKUDA・Takuro SATO(Waseda Univ.) |
○出原 聡・小林 真・新 浩一・西 正博(広島市立大)
土砂災害により多くの人的被害が発生している.
土砂災害前兆現象を面的に捉えるために,
複数設置が容易な土砂災害モニタリングシステムの開発を行っている.
本研究では消費電力が少なく広範囲に伝送可能なLPWA (Low Power Wide Area)の一種であるSigfoxに着目する.
Sigfoxには送信回数制限があることから,土砂災害前兆検知のための送信スケジュール手法を設計して評価した.
○徳本敬祐・小林 真・新 浩一・西 正博(広島市立大)
我々の研究室では昨年, 地方自治体からの避難情報メールをトリガーとして土砂災害関連情報をTVに通知するシステムを構築した. しかしこのシステムは家庭にインターネット環境がないと利用できないという課題がある.
本研究では, 近年普及率が高まってきているスマートフォンを利用して既存のインターネット環境に頼らない土砂災害関連情報TV通知システムを構築する.
◎小池康平・鈴木健太・森 健士郎・伊藤拓海・河原尊之(東京理科大)
高齢化に伴い危険な空き家が増加しており,老朽化により倒壊することが問題となっている.この問題を解決するためには木造建築物を長期的に監視する必要がある.そこで,我々は建物にセンサを取り付け機械的に損傷位置の特定をする方法を考えている.本報告では,多層ニューラルネットワークを用いて,木造模型の木製の筋交いと壁の損傷位置を振動データから検出した.筋交い,壁ともに識別率90%以上を記録し,損傷位置を特定することができたと言える.また,センサの位置により識別率が変化するのかの検討も行った.
○佐藤俊雄・斉 欣・余 恪平・佐藤拓朗(早大)
公共場所を歩行する人物のスクリーニングを目的として,可視光カメラによる不審者の検出とミリ波イメージャによる衣服内の不審物の検出を統合する人物追跡ネットワークシステムのうち、異なる種類のセンサデータを同一対象に紐づける統合手法について報告する.具体的には,可視光カメラとミリ波イメージャを統合する手法を検討する.可視光カメラでとらえる人物画像から立ち位置を推定し,異なるセンサーを統合する手法について説明する.顔検出処理により得られる領域の座標値から,足元の画像中の座標を推定し,透視投影変換から立ち位置を計算する.6人による歩行映像を用いた実験の結果,距離2m以内の精度で位置を推定できることを確認した.
◎Keping YU・Xin QI・Toshio SATO・San Hlaing MYINT・Zheng WEN・Yutaka KASTUYAMA・Kiyohito TOKUDA・Wataru KAMEYAMA・Takuro SATO(Waseda Univ.)
To enhance the safety of public places, high-efficient security inspections should be automatically performed. However, it is not wise to perform security check one by one at the entrance of each gate, since it will result in people crowded. It is necessary to perform security inspections on the moving people. In this paper, a content-based extraction and production of video data for person tracking network systems are proposed.
○Xin QI・Keping YU・San Hlaing Myint・Toshio SATO・Yutaka KATSUYAMA・Kiyohito TOKUDA・Takuro SATO(Waseda Univ.)
To reduce risks for soft targets in public areas, a surveillance system that can handle large scale of cameras and various sensors, including millimeter-wave imagers, is needed. We need to solve two problems to build this surveillance system, 1) reduce data traffic generated by massive devices and 2) build a kind of mechanisms to associate various sensors such as RGB cameras and millimeter-wave imagers. In this paper, we focus on the part to reduce data traffic in person tracking system.
3月18日 11:00〜12:15 工学部 講義棟1F 106講義室 座長 国井裕樹(セコム)
A-20-1 | 高機能暗号実現向けマルチペアリング演算器の設計 ○中山亮平・池田 誠(東大) |
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A-20-2 | ECDHを実装した無線通信ICに対するサイドチャネル攻撃 ○一ノ瀬竜矢・坂本純一・松本 勉(横浜国大) |
A-20-3 | 基板裏面に広く分布する電界に着目した電磁波解析の検討 ◎和田慎平・藤本大介・林 優一(奈良先端大) |
A-20-4 | ブロックチェーンを用いたデータ管理基盤のFlashAirによる実装 ◎長谷川健人・戸川 望(早大) |
A-20-5 | ニューラルネットワークを用いたハードウェアトロイ検出における局所性の応用に関する一考察 ◎井上智貴・長谷川健人・戸川 望(早大) |
○中山亮平・池田 誠(東大)
IoTやクラウドコンピューティングの時代に伴って情報を安全に効率的に扱う高機能暗号が注目され,その根幹を担うペアリング演算の研究が精力的に進められている.ペアリング演算は主にMillerのアルゴリズムと最終べき演算によって計算される.また,ペアリングで得られる有限体同士の元を掛け合わせるマルチペアリングを用いた内積述語暗号などの暗号方式が存在する.一方で,最終べき演算では曲線のパラメータに依存した定数をMillerアルゴリズムで得られた結果にべき乗する操作を行うため,実際のマルチペアリングではより計算を簡略化することが可能である.そこで本研究では複数の演算コアと変更可能な命令シーケンサの柔軟な活用によって効率的なマルチペアリングの演算を行う演算器を設計する.
○一ノ瀬竜矢・坂本純一・松本 勉(横浜国大)
多くのIoT機器がインターネットを介して繋がる現代において,小型の計算機器のセキュリティはより重要視されるようになっている.CPU とRF 部が同一チップ上に配置されている無線通信用IC を対象とし,IC が通信のために放射する電波を遠方から取得し解析することで内部の情報を得る無線サイドチャネル攻撃と呼ぶ. 攻撃者が近接できないという前提で運用されるためセキュアだと考えられているデバイスであっても,無線サイドチャネル攻撃が可能な場合がある.本稿では, 楕円曲線Diffie-Hellman鍵共有を実装したBluetooth Low Energy通信用ICに対して,攻撃準備段階で同機種のICの解析が不要で,ICが処理一度だけ行う時に放射する電波を解析して共通鍵を特定する無線サイドチャネル攻撃を行う.
◎和田慎平・藤本大介・林 優一(奈良先端大)
暗号モジュールからの漏えい電磁波を計測し、暗号処理に用いられる秘密鍵を取得する電磁波解析攻撃が報告されている。従来は暗号モジュールからの磁界を計測する攻撃について議論がなされてきた。。一方、磁界と同様に電界を通じて秘密鍵情報が漏えいしている可能性があり、磁界と異なる特徴を有する漏えいが観測された場合、従来の磁界計測では秘密鍵の取得が困難だった機器でも秘密鍵を取得できる可能性がある。本論文では、暗号モジュールを実装した基板裏面での電界計測により、磁界では秘密鍵の取得が困難な位置において、電界に着目することで秘密鍵を取得可能であることを示す。
◎長谷川健人・戸川 望(早大)
IoTデバイスが広く普及しており,日常生活や製造業など様々な場面で広く利用されている.
特に近年ではIoTデバイスで取得されたデータの利用価値が高まっている.
本稿では,ブロックチェーンによるデータ管理基盤を提案し,リソースが限定されたIoTデバイスとして無線LANモジュールを搭載したフラッシュストレージであるFlashAirを利用して実装する.
◎井上智貴・長谷川健人・戸川 望(早大)
近年,悪意の回路(ハードウェアトロイ)の脅威が指摘されている.Neural Network(NN)を用いたハードウェアトロイ検出手法において,ノーマルネット(ノーマル回路を構成するネット)をトロイネット(ハードウェアトロイを構成するネット)に誤分類することが課題として指摘されている.その課題を解決するため,識別実験結果をグラフ構造化しハードウェアトロイの局所性を考察する.さらに,ハードウェアトロイ検出の展望を示す.
3月20日 13:30〜17:20 総合科学部 K棟3F K303講義室 座長 折本寿子(県立広島大)
AS-1-1 | (依頼講演)個々の好みに対応する適応音質制御に関する検討 村井研太・○石光俊介(広島市立大) |
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AS-1-2 | 人工知能を利用した聴感印象に起因する車内音響特性の抽出 ◎井野場春香・石光俊介(広島市立大)・五十嵐優司・清水 朗・青木武史・佐藤弥生・小池 遥(パイオニア)・若松功二・山中尋詞・藤本麻由美(マツダ) |
AS-1-3 | 三次元変位計測を用いた発声時の皮膚振動に関する基礎検討 武藤 巧・○中山仁史・石光俊介(広島市立大) |
村井研太・○石光俊介(広島市立大)
近年, 自動車の高品質化に伴い, エンジン音の制御は騒音対策からサウンドデザインへと推移している.本報告ではエンジン音の騒音レベルについて, エンジン音の次数成分を低減するだけでなく増幅することも可能なアルゴリズムについて提案する. この手法を用いた心理実験の結果,快・不快の傾向が見られ, その結果より個々人の好みに適応した音質へ制御することを検討した.個々の運転パターンの特徴から被験者を識別し, 好みの音質の追及と好みの音質への自動制御の可能性を示唆した.
◎井野場春香・石光俊介(広島市立大)・五十嵐優司・清水 朗・青木武史・佐藤弥生・小池 遥(パイオニア)・若松功二・山中尋詞・藤本麻由美(マツダ)
現在,オーディオなどの評価はゴールデンイヤーと言われる評価のプロフェッショナルにより行われることが多い.しかし,その評価結果と物理特性の関係は明らかになっておらず,物理特性からその評価を客観的に導き出すことができればサウンドデザインの効率化にも繋がる.そこで本研究では車内音質評価の客観化を目的とし,車内音響特性をパラメータとして機械学習によるスパースモデルの構築を検討した.今回の検討では,数ある車内音響特性から周波数領域の特性に注目し,それらの特性の良い音を感じるスパース性を抽出することで評価に関連のあるパラメータを検討した.
武藤 巧・○中山仁史・石光俊介(広島市立大)
発声や歌唱時における皮膚振動の計測において,レーザドップラ計などによる一次元変位の計測方法が一般的である.しかし,ヒトの顔面形状や体内伝搬などの複雑さを考慮すると,多次元かつ高周波数分解能を有した計測が望ましい.本研究では 2軸の三次元変位計測を用いて,発声時の顔面皮膚における振動や伝搬の解明を目標とする.三次元変位計測を用いることで,発声時の上唇上部を対象に振動方向の偏りや信号強度を確認し,発声と顔面皮膚振動の関係性を明らかにする.
休 憩(15:00 再開) 座長 中山仁史(広島市立大)
AS-1-4 | 音響信号の位相差に基づく天井クレーンの振れ角推定 ◎小川花子・中本昌由・山本 透(広島大) |
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AS-1-5 | 位相干渉に基づく距離推定法による周期的移動物体の周期検出の試みと幾何学的配置の推定距離への影響 ○中迫 昇・湊 旬紀・中川秀夫・篠原寿広・上保徹志(近畿大) |
AS-1-6 | Narrowband active noise control with simultaneous online secondary- and feedback-path modeling ◎Yegui Xiao・Tao Bai(Prefectural Univ. of Hiroshima) |
◎小川花子・中本昌由・山本 透(広島大)
クレーンの運転の際には吊り荷の振れが発生するため,作業の効率化や安全性の向上のため振れ止め制御の研究が行われている.コンピュータで振れ止め制御を行うためには振れ角の検出を行うことが不可欠であるが,振れ角を計測することは困難である.そこで,吊り荷にスピーカーを取り付け,そこから発生した音源をトロリのレール上に設置したマイクロホンで取得し,到来時間差を求める方法を考える.従来の相関計算で到来時間差を計算する方法は,その精度がサンプリング周波数に依存するという問題や計算負荷が大きいという問題があった.そこで本研究では離散フーリエ変換(DFT)を用いて音響信号の位相差を求め,そこから振れ角を求める手法を提案する.また,音源の周波数についても位相差の精度が向上するような音源生成法を示す.
○中迫 昇・湊 旬紀・中川秀夫・篠原寿広・上保徹志(近畿大)
著者らは,可聴音を用いて位相干渉に基づく音響測距法を提案し,様々な観点から検討してきた.さらに, クロススペクトル法を用いた送信波と反射波の位相干渉に基づく音響測距法を周期的に移動する物体に対して適用することで, 一度の測定で測定系の影響を取り除き, 移動物体の周期を検出する手法も提案されている.
本稿では, とくに実験的な観点から周期的に移動する物体に対して短時間毎に距離を推定し, その推定距離の変化から周期を検出することによって,提案手法の有効性について検討した.さらに,音源,マイクロホン,対象物の幾何学的配置が音響測距に及ぼす影響を検討する.
◎Yegui Xiao・Tao Bai(Prefectural Univ. of Hiroshima)
In this paper, a new narrowband active noise control (ANC) system
with simultaneous online secondary- and feedback-path modeling has been proposed.
A cascaded IIR notch filter bank serves as the prediction filter. Two-weight
magnitude-phase adjusters form the ANC controller. Both the prediction filter
and the controller are significantly simpler than those FIR-type ones used
in the existing NANC systems. Extensive simulations have been conducted to
verify the effectiveness of the proposed system.
休 憩(16:30 再開) 座長 中本昌由(広島大)
AS-1-7 | 豚耳標における体内伝導音からの生体情報抽出に関する検討 ○土屋和也・成澤健太・石光俊介・森長佳子・中山仁史(広島市立大)・三上 修・高木道浩・井上寛暁・石田三佳(農研機構) |
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AS-1-8 | 騒音混入下の気導音観測と骨導音の援用によるベイズ推定に基づく音声信号検出 ○生田 顕・折本寿子(県立広島大)・長谷川浩二(広島県立総合技術研究所) |
○土屋和也・成澤健太・石光俊介・森長佳子・中山仁史(広島市立大)・三上 修・高木道浩・井上寛暁・石田三佳(農研機構)
日本の畜産業において, 農場の大規模化が進行している現在, 個体ごとの家畜管理は困難である. そのような状況下では罹患の発見がより難しくなり罹患発見が遅れた場合, 疾病の蔓延や重症化につながる. それを防ぐ方法として, マイクロフォンとカメラを用いて, 郡単位での罹患の判定法が既に提案されている[2]. しかし, 騒音による罹患判定精度の低下といった課題が考えられる.そこで我々は, 豚個体ごとに耳標センサを取り付け, 騒音に頑強な体内伝導音を収録することで, 個体ごとでの罹患を判定する手法を検討している.本発表では, 独立成分分析や適応信号処理により体内伝導音から周期成分を抽出し, 罹患判定に用いるシステムについて報告する.
○生田 顕・折本寿子(県立広島大)・長谷川浩二(広島県立総合技術研究所)
本研究では,騒音の混入した気導音を観測値とし,気導音観測データが得られた後の事後分布から,ベイズ推定を活用することにより音声信号を検出する一手法を提案する.その際,骨導音の測定値から推定されるパラメータを反映した確率分布を,事前分布として採用することにより推定精度の向上を図る.骨導音は周囲の騒音が混入しにくい個体伝播音であるが, 伝播過程で高周波成分が減衰する.一方, 気導音は空気伝播音であるため, 周囲からの騒音の混入は避けられないが, すべての周波成分が保全され含まれている.従って, 両者の併用により, 音声信号を精密に推定することが可能である.提案した手法の有効性は無響室で実測した音声データに適用することにより,実験的にも確認している.
3月17日 9:30〜11:00 工学部 講義棟1F 106講義室 座長 高嶋和毅(東北大)
H-1-1 | 大画面LEDディスプレイおよびプロジェクションによる画像・映像表示の心理評価 ○△中津良平・土佐尚子(京大)・高田裕之(テルミック)・楠見 孝・武田暢輝(京大) |
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H-1-2 | コミュニケーションロボットによる電気実験の教育支援に関する検討 ○黒岩 孝・矢澤翔大・新妻清純(日大) |
H-1-3 | 相手の発話意図を音声から自動検出する手法の検討 ◎麻田千尋・田村祐一・永田 亮(甲南大) |
H-1-4 | 連続回避本能のシミュレーション ◎堤 琴里・石田健太郎・田村祐一(甲南大) |
H-1-5 | アンケートデータをもとに説明性を獲得する手法の検討 ◎岡本大輝・宮﨑太郎・後藤 淳(NHK) |
H-1-6 | 360度カメラを導入したエスノグラフィに対する期待と懸念の構造化ワークショップ ◎東條直也・大戸朋子(KDDI総合研究所) |
○△中津良平・土佐尚子(京大)・高田裕之(テルミック)・楠見 孝・武田暢輝(京大)
大画面のLEDディスプレイや大画面のスクリーンにプロジェクターで投影することによって映像や画像を大画面で表示し視聴者にアピールすることが頻繁に行われるようになって来た。このような場合に時と場合に応じてLEDディスプレイとプロジェクションのどちらが適しているかは重要な問題である。本研究では200インチのLEDディスプレイおよび8000ルーメンプロジェクター+200インチスクリーンを用いてアートコンテンツやパワーポイントによるプレゼン資料などを表示した場合の心理評価を24名の被験者を用いて行なった結果を報告する。
○黒岩 孝・矢澤翔大・新妻清純(日大)
近年、人間と対話できるコミュニケーションロボットが急速に普及しつつあり、介護や福祉等の業界から大きな期待を寄せられているが、コミュニケーションロボットを教育支援に活用する事例、特に実習科目に関する検討については十分とは言えない。本研究では、コミュニケーションロボットの説明を聴きながら電気回路の実体配線図を回答する場合について検討を行う。
◎麻田千尋・田村祐一・永田 亮(甲南大)
人と人とのコミュニケーションにおいて,直接的ではない,婉曲的な相手の発言から「話の意図」という曖昧な情報を読み取り,その意図に応じたアクションを返すことで円滑なコミュニケーションを行っている.意図を感じ取ることは最低限の社会的スキルとして重要であると認識されているが,その言い回しを理解するには経験や学習が必要であり,特に外国人や発達障害者には伝わらないことが多い.
本研究では音響的特徴,間合い,感情ラベルから相手の発話意図を SVM を用いて自動検出する方法を検討した.実験の結果,適合率が 0.19と低く,意図ありの発言を分けること自体が現在の手 法では難しいことが分かった.全体の結果として F値 0.27 となり,精度が低かった.
◎堤 琴里・石田健太郎・田村祐一(甲南大)
本研究では, 向かってくる人とうまく避けれない現象, 連続回避本能をシミュレーションによって再現することを目的とし, その発生率について実験した. シミュレーションには人流シミュレーションでもっとも成功したモデルの一つであるSFMを基にして, 他の歩行者からの視線情報, 追い越し判定, 正面衝突判定の要素を追加し拡張シミュレーションを作成した. 人口密度による違いを調べるため, 人数を5人, 10人, 20人でそれぞれ連続回避本能が発生した回数, また, SFMと確率的に避ける際の違いを比較するため, 衝突直前の判定にSFMのベクトルによって右, 左どちらに避けるか決定する方法と, 確率50%でどちらに避けるか決定する方法で連続回避本能の発生率を調べた.
◎岡本大輝・宮﨑太郎・後藤 淳(NHK)
番組制作において,取材で得られた情報やデータを分析し,理解しやすく妥当性のある説明,すなわち説明性を見出す作業は必須である.分析は制作者の知識や経験に頼る部分が大きく,人的にも金銭的にもコストがかかる.今回,2019年5月に放送されたNHKスペシャル『シリーズ 子どもの“声なき声” 第2回“不登校”44万人の衝撃』の制作過程で,実際に収集・利用された不登校に関するアンケートデータを使い,不登校の理由に関して説明性を獲得することを目的として,統計的手法を検討した.
◎東條直也・大戸朋子(KDDI総合研究所)
近年,実社会の多様な現場でエスノグラフィの質的アプローチへの関心が高まっている.文化人類学の伝統的手法として発展してきたエスノグラフィが異分野の実践と混ざり合う中で,情報通信技術の恩恵を取り入れた新たな試みも検討されている.本稿ではエスノグラフィへの技術的介入として360度カメラを扱う.エスノグラフィにおいて映像は主要な記録手段の一つであるが,360度映像を活用した調査の事例は管見の限り見当たらない.そこで我々は,360度映像をエスノグラフィに導入するにあたってユーザとなるエスノグラファが抱く期待と懸念を抽出し,構造化することを目的としたワークショップを行った.本稿ではその一次分析結果を報告する.
3月19日 13:30〜16:45 総合科学部 K棟3F K302講義室 座長 和田有史(立命館大)
H-2-1 | バイタルサインから血圧値を推測するシステムの検討 ○増田伊智也・三好 力(龍谷大) |
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H-2-2 | 筋電位信号の尺度混合確率モデルに基づく上肢動作識別法の提案 ◎伊賀上卓也・古居 彬・大西亮太・島田恭平・辻 敏夫(広島大) |
H-2-3 | 選択したセンサ位置における前額部脳血流動態を用いた集中度計測 ◎井上敦暉・靏 浩二(大分高専) |
○増田伊智也・三好 力(龍谷大)
くも膜下出血のような血圧が主な要因の急性疾患を予防するためには血圧管理が重要になる。しかし、既存の血圧計では高頻度で血圧を測定することが難しいので血圧を常にモニタリングすることができない。本研究では血圧以外のバイタルサインを測定し、取得した情報から血圧を推測して血圧の異常がみられるときに利用者へ通知することで休憩を促し、血管の負荷を抑えるシステムを提案し、その実現に必要な機能が動作するか実験した。
◎伊賀上卓也・古居 彬・大西亮太・島田恭平・辻 敏夫(広島大)
【目的】本稿では,筋電位信号の確率モデルに基づく上肢動作識別法を提案する.【方法】提案法では,尺度混合モデルの枠組みに基づき多チャネル筋電位ベクトルの共分散行列を確率変数として扱うことで,分散のばらつきを考慮した識別が可能である.実験では,被験者3名の前腕に4対の電極を貼付し,6動作に対する識別精度を検証した.【結果】提案法による動作識別精度は,全被験者の平均で90.2±8.0%となり,比較手法である混合ガウスモデル,ロジスティック回帰,混合ガウス分布型ニューラルネットに比べ最も高かった.【結論】筋電位信号の分散のばらつきを考慮したモデルにより,比較手法に比べ高精度な上肢動作識別が可能である.
◎井上敦暉・靏 浩二(大分高専)
近年,学習者がWeb上や録画した講義を受講する方式が増えている.しかしWebコンテンツ作成者は,受講者の学習効果を評価しにくい.そこで,学習時の集中度をリアルタイムで測定し,学習者の状態を評価する方法が必要であると考え,NIRSを用いて学習に対する集中度のパラメータを取得することを目的として研究を行った.集中度測定において,ch選定を行うことで,脳血流の変化量の集中とリラックスの違いを,e-learningなどの時系列データにおいて,NNで判別することが可能であることを示した.
休 憩(14:30 再開)
H-2-4 | 生体情報を用いた楽曲聴取者の感情推定に関する検討 ○谷澤七海・Anjana Govindarajan・菅沼 睦・亀山 渉(早大) |
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H-2-5 | Estimating a Particular User’s Music Taste by Analysing Bio-signals ○Anjana Govindarajan・Nanami Tanizawa・Mutsumi Suganuma・Wataru Kameyama(Waseda Univ.) |
H-2-6 | 生体信号を用いたコミック読書時の読者の感情推定 ◎井上智大・菅沼 睦・亀山 渉(早大) |
H-2-7 | Classification and Prediction of a Trailer Viewer’s Emotion by Using Bio-signals ○Connie Zhou・Marika Arimoto・Mutsumi Suganuma・Wataru KAMEYAMA(Waseda Univ.) |
○谷澤七海・Anjana Govindarajan・菅沼 睦・亀山 渉(早大)
ストリーミングサービスの普及に伴い、より効率的な推薦を行うため、生体情報を利用した嗜好の推定が検討されている。そこで、本稿では、楽曲聴取中の感情を推定することを目的とし、40曲分の生体情報(基礎律動、心拍間隔、瞳孔径)を取得して、CNNにより解析を行うことで、4種類の感情(楽しい、悲しい、イライラする、落ち着く)において推定ができるのかを検証した。正解ラベルには、アンケートを使用し、4種類の感情について、感情ごとの分類と全ての感情の組み合わせ(楽しいかつ落ち着く等)による分類の2種類の方法で分類を行った。CNNによる解析結果として、内挿では、どちらの分類方法においてもチャンスレベルを超える精度となった。
○Anjana Govindarajan・Nanami Tanizawa・Mutsumi Suganuma・Wataru Kameyama(Waseda Univ.)
In recent years, music-streaming services have become more prominent than ever. So many subscription services exist nowadays, and one of the main differences between these streaming services is their recommendation system. Currently, recommendation systems in music streaming services run on the user’s play count, location, and various other algorithms that determine the user’s music taste.
This research will look into an alternative algorithm by implementing the effects of bio signals, such as the brain waves, heart rate, and the pupil size. This will bring an emotional factor when recommending a song through a recommendation algorithm.
◎井上智大・菅沼 睦・亀山 渉(早大)
近年,豊富な種類のコミックをスクリーン上で読むことが可能になっている反面,読者自身の嗜好に合ったコミックを選択することが困難になっている.そこで,読者の嗜好や感情をメタデータとしてコミックに付与し,それに基づいた推薦を行う新たなシステムを提案する.そのため,本稿では,生体信号を活用してコミック読者の感情推定が可能かを検討する.生体信号には基礎律動,視線情報,瞳孔径,RRI(R-R Interval)を活用し,解析にはDNN(Deep Neural Network)を用いた.被験者10名に対し,いずれも高いAccuracyを得ることができ,生体信号を用いることで読者の感情を推定できる可能性が示唆された.
○Connie Zhou・Marika Arimoto・Mutsumi Suganuma・Wataru KAMEYAMA(Waseda Univ.)
The number of movies a user can watch online have grown significantly due to the increasing number of streaming platforms such as Netflix or Hulu. Consequently, the abundance of content makes it harder for users to select a movie. In the case of many streaming platforms, movie recommendations are determined by a user’s video history. However, there could be a better way in recommending a movie to a user. A user’s biosignal could provide a different and a possibly more satisfying approach in recommending movies. With it, one may determine a user’s reaction towards a movie better.
休 憩(15:45 再開)
H-2-8 | アクセント変化とMFCCから見た音声感情認識 ◎若生倫太郎・安藤敏彦(仙台高専) |
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H-2-9 | アニメ制作における台詞と動作の関連性 ○山本正信(山口芸短大)・鈴木涼平(新潟大) |
H-2-10 | 日本酒の味に対する専門家と学生の評価傾向分析 ○橋本侑季・山﨑達也(新潟大) |
H-2-11 | 大相撲における強さの表現について ◎許 欣・能上慎也(東京理科大) |
◎若生倫太郎・安藤敏彦(仙台高専)
本研究では音声から感情を認識するための効果的な音声特徴と分析方法を調査する。感情は離散的に分類できるものではなく,より複雑で次元的に表すことができる。X軸(Valence軸)は快と不快,Y軸(Arousal軸)は活性と非活性,Z軸(Dominance軸)は支配や優越に対応している。既存研究より,Arousal軸やDominance軸に影響する音声特徴は多く発見されている。一方でValence軸に影響する音声特徴は多く発見されておらず,いまだ判別が困難とされている。本研究では,2次元空間上の5つの感情音声「苛立ち」,「恐れ」,「嬉しい」,「退屈」,「平静」に対して,語頭のアクセント変化とMFCCの感情毎の差に着目して調査する。分析結果より,Valence軸はLowからHighに語頭が変化するHighの部分の声道の状態で決まることが推測できた。
○山本正信(山口芸短大)・鈴木涼平(新潟大)
アニメキャラクタの動きを作成するとき、台詞に合ったしぐさ・動作を付けるのが一般的である。これに対し、岡田利規氏に代表される最近の演劇理論では、台詞と関係のない動作を俳優に行わせると、発話の不自然さがなくなることが指摘されている。このことは、発話と関連のない動作のほうが違和感のないアニメが制作可能であることを示唆している。そこで本研究では、アニメキャラクタの動作と発話との関連性を問い直すことにする。
○橋本侑季・山﨑達也(新潟大)
日本酒の品質を確認することを目的とした全国新酒鑑評会が毎年開催され,複数の専門家による評価が実施されている.しかしながら,専門家の考える品質と消費者の考える品質が必ずしも一致しないことが問題となっている.この原因として,日本酒をきき分ける訓練経験の有無が考えられる.そこで本研究では,専門家と消費者の感覚の違いを確認することを目的に,消費者の味覚や嗅覚に関する評価を収集するアプリを提案する.これまで我々は,開発した日本酒評価アプリを用いて,5銘柄の日本酒に対する評価データ収集実験を実施した.本稿では,実験にて収集した専門家と学生の評価データを分析し,評価傾向の違いを確認した結果を報告する.
◎許 欣・能上慎也(東京理科大)
本研究では、様々な対戦型のスボーツやゲーム、競技などでみられる「強さ」の表現方法について大相撲を例にとって考えてみる。現在は、この強さは多くの競技においては(直近の累積ポイントによる)ランキングや、直近のある期間における対戦成績(勝敗数)により表現されるが、この強さというものをより直接的に定量的に表現することを考える。即ち、それを何らかの数字(レーティング)や分布で表現し、それらと過去の対戦成績、ランキング、段位、クラスなどのこれまで用いられてきた各種の表現法との関連性について検討し、その実現性について考察を加える。
3月20日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K302講義室 座長 梅村浩之(産総研)
H-2-12 | ベンハムのコマにおける誘導色の無彩色化システム ◎美間亮太・久保田祐貴・早川智彦・石川正俊(東大) |
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H-2-13 | 没入環境におけるフレームレートおよび画像遅延が人間の動作に与える影響 ○藤田尚輝・池田 遼・栃岡陽麻里・早川智彦・石川正俊(東大) |
H-2-14 | 変化の見落とし現象の周辺情報通知への適用に関する基礎実験 ○田邊喜一(松江高専) |
H-2-15 | 視覚情報量が視覚情報処理の心的リソースに与える影響に関する検討 ◎龍 進吾・武安政明(三菱電機) |
H-2-16 | 自由会話における母語と第二言語間の視線動作の相違分析 南藤友美(同志社大)・○馬田一郎(KDDI総合研究所)・加藤恒夫・山本誠一(同志社大) |
H-2-17 | 楽器演奏経験と音列の特徴が動的テンポ変化の認知に与える影響 ○田中陸斗(同志社大)・馬田一郎(KDDI総合研究所)・加藤恒夫・山本誠一(同志社大) |
◎美間亮太・久保田祐貴・早川智彦・石川正俊(東大)
明暗の繰り返し刺激によって,物理的に与えられた光の色以外の誘導色が知覚される現象が知られている.この代表的な例として,無彩色の白黒のアーチ型模様を回転させることにより彩度のある色が知覚されるベンハムのコマがある.この原理を解明するため,白黒模様の一部に着色したパターンを回転させることで誘導色の変化を調査する研究が行われてきた.しかし従来の研究では,誘導色の無彩色化の検討は行われてこなかった.
本研究においては,黒のアーチ自体に誘導色の補色を着色することで彩度が減少して知覚される錯視システムを提案する.調整法による被験者実験の結果,いかなる条件においても彩度が低下して知覚されることが確認された.
○藤田尚輝・池田 遼・栃岡陽麻里・早川智彦・石川正俊(東大)
1000 fps の低遅延没入環境における数十ミリ秒程度の映像遅延が,人のタスクパフォーマンスを低下させることが従来研究でわかったが,その他のフレームレートについて未調査であった.そこで本実験では,時間軸の実験要件を検討し,170 fps から1000 fps までの5種類のフレームレートを選定して評価実験を行い,人のパフォーマンスに与える許容限界値を調査した.本稿では実験結果を定性的に報告し,遅延時間を大きな値までの範囲について調べることで特徴を見出す可能性があることが示唆された.今後被験者数を増やすことで,被験者間で共通する特徴を見出すことを目指す.
○田邊喜一(松江高専)
“変化の見落とし現象(CB現象)”と呼ばれる人の注意特性を導入することにより,ユーザの主作業を阻害しない周辺情報の提示手法について検討している.CB現象は,周辺情報を更新する直前に空白画像を短時間挟むフリッカー法により誘発する.実験参加者には,連続した主作業(標的アルファベットの検出)と周辺作業(4文字のアルファベットの変化検出)を同時に課した.このとき,主作業に対する注意集中の度合いを,標的アルファベットの出現間隔を変化させることにより4段階に調整した.主作業に対する注意集中の度合いが低い場合に周辺刺激の検出率が高いと予想したが,注意集中の度合いに依存せず,周辺刺激に対する検出率は50%以下であった.
◎龍 進吾・武安政明(三菱電機)
本研究では夜間自動車運転を対象に、視覚情報量の変化が視覚情報処理の心的リソースに与える影響について検討を行う。運転中に得る情報は90%が視覚情報に基づくと言われており、夜間運転時の視覚情報量は前照灯により操作可能と考えたため運転課題を採用した。視覚情報量の減少に伴い視覚情報処理に必要な心的リソース増加を確認するため、運転課題に必要な心的リソースの増加が運転と並行して与える副次課題の応答時間を長くするという仮説を立て、運転に必要な視覚情報量を変化させた際の副次課題の眼球停留潜時および応答潜時を測定した。
南藤友美(同志社大)・○馬田一郎(KDDI総合研究所)・加藤恒夫・山本誠一(同志社大)
人の会話における視線などの非言語情報は,コミュニケーションを円滑に進める機能を果たしていることが先行研究[1]によって示されている.また,第二言語会話において聞き手は母語と比べてより発話者を注視しており,さらに非言語情報は母語での会話時とは異なる働きをする可能性も示唆されている[2].本稿では先行研究で用いた 3 人会話のマルチモーダルコーパスに対し,会話を発話機能によって分類し,機能ごとの注視行動について分析する.
○田中陸斗(同志社大)・馬田一郎(KDDI総合研究所)・加藤恒夫・山本誠一(同志社大)
テンポは,音楽表現における基本的な要素の一つである.テンポ変化の認知に関する先行研究では,楽曲ではテンポが徐々に速くなる音列の方が徐々に遅くなる音列より変化の認知が遅れることと,主にソロで演奏を行う楽器演奏経験者は徐々に速くなる音列では楽器演奏経験の無い人より認知が遅れることが示唆されている.楽器演奏経験者は,普段の演奏での習慣によって徐々に速くなる音列に対する違和感が薄れ認知が遅くなっていると考えられる.本研究では,徐々に速くなる音列の方が徐々に遅くなる音列よりも認知が遅くなることが,楽器演奏経験ならびに音列の特徴とどのような関係にあるの影響されるのか明らかにするため,単純な音列と楽曲の2つの音列を用いる認知実験を行う.
休 憩(11:15 再開)
H-2-18 | タッチパネル式バルブUIにおける疑似触覚呈示法の試作と評価 ○箕輪弘嗣・張 楚歌(岡山商科大) |
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H-2-19 | 擬似触覚を用いたモバイル端末間触感伝送システムの提案 ○田島優輝・堀内俊治(KDDI総合研究所) |
H-2-20 | 医療支援のための抱きつき型システムへの表情認識の導入 ○王 超・小川毅彦・何 宜欣・長谷川 淳・大島直樹(拓殖大) |
H-2-21 | カウントダウン型電車時刻表におけるハンドヘルドとスマートウォッチの機能割り当ての定量的評価 ◎西田圭佑・加藤恒夫・山本誠一(同志社大) |
○箕輪弘嗣・張 楚歌(岡山商科大)
VR訓練の強みの一つとして、現実では起こせないような運転中のプラントにおける事故を発生させ、事故に対する対処方法を訓練できる点がある。VR訓練の効果向上には没入感を要する。しかし、VR訓練において現状は、プラントで用いられるバルブといったインタフェースがなく、マウスやキーボードで訓練するため、没入感を得られず訓練効果が薄れる恐れがある。
そこで様々なバルブサイズを容易変更可能なユーザビリティの実現し、VRプラント訓練における没入感を向上するため、タッチパネルを用いたバルブ操作UIを開発した。
本発表では、タッチパネルを用いたバルブUIが実物のバルブ(以降、実バルブ)を代替できる可能性の論理について示し、リアリティの実現のためにバイブレーションによる擬似抵抗を目指した疑似触覚呈示の方法について検討、評価実験の結果について報告する。
○田島優輝・堀内俊治(KDDI総合研究所)
触感伝送を主目的として,撮像画像を物体認識することで触感情報と紐付けて伝送し,さらに,伝送された触感情報と,タッチパネルディスプレイで検出したタッチ情報を元に,視覚効果を生成することで擬似触覚を提示するシステムを提案する.本システムはカメラと,タッチパネルディスプレイという一般的な装置構成を持つ端末において触感伝送を可能にする.視覚効果にはタッチ点に出現するものと,認識した物体の背景で出現するものとの2種類の効果を用いたため,それぞれの効果についても紹介する.
○王 超・小川毅彦・何 宜欣・長谷川 淳・大島直樹(拓殖大)
医療において,スムーズな診断や治療のために,患者の不安を和らげることは重要であり,そのための抱きつき型のシステムの検討を行っている.このシステムは,抱きつき易い形状で患者の感情状態を安定させるとともに,簡単なバイタルサイン計測での医療支援を目的とする.本研究では,WebカメラとLCDディスプレイからなる,患者の不安の緩和のための表情認識部の導入を検討する.画像からマイコン上の深層ネットワークで表情を判別し,キャラクタディスプレイで表情に合わせた顔文字を表示する.これによって,患者の興味を引き不安感を解消することを目的とする.表情認識部を発泡スチロール球に取り付けてシステムを構成した.
◎西田圭佑・加藤恒夫・山本誠一(同志社大)
ウェアラブル端末として普及が進むスマートウォッチは簡便に情報を確認できる一方,画面の表示領域,操作領域は限られるため,ユーザ自ら情報を取得する場合には不自由がある.Visuri らは300 人を超えるスマートウォッチユーザの利用状況を調査し,スマートフォンとの利用のされ方の違いを報告している.
本研究では,スマートウォッチの特長を活かしたカウントダウン型電車時刻表アプリ[2] を題材に,同アプリの3 つの機能をスマートフォンとスマートウォッチにそれぞれ実装し[3],各機能の利便性をユーザ評価実験により定量的に評価したので報告する.
3月18日 9:30〜11:45 総合科学部 K棟3F K304講義室 座長 柴田史久(立命館大)
H-3-1 | 視線追跡型HMDにおける視線移動とバーチャル酔いに関する研究 ◎栗田真帆・濱本和彦(東海大) |
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H-3-2 | 移動体中におけるVR酔いに関する研究 ◎西川峻平・濱本和彦(東海大) |
H-3-3 | HMDを用いたアルコール酔いの再現に関する研究 ○佐藤卓樹・濱本和彦(東海大) |
H-3-4 | Preliminary Experiment of Virtual Reality Treatment for Acrophobia ○Chang Su・Makio Ishihara(Fukuoka Inst. of Tech.) |
H-3-5 | 深海ウォークスルーVRコンテンツの開発 ◎山崎龍汰・濱本和彦(東海大) |
◎栗田真帆・濱本和彦(東海大)
本研究では, 注視点が縦方向移動または横方向移動する時, 注視点を注視し続ける(注視点が連続移動する)場合と注視点が瞬間移動する(途中で消失する)場合において, 視線移動とバーチャル酔いとの関係性をアンケートと自律神経系の働きから調査する事を目的としている.
◎西川峻平・濱本和彦(東海大)
近年自動運転技術が発達し,近い将来に完全自動運転が実現すると予想される.その時車は単なる移動手段ではなく活動の場となる.その一つとしてVirtual Reality (VR) による映像を視聴することも考えられる. 本研究では,移動体中におけるVRコンテンツ視聴が生体に与える影響についてVR酔いを中心に検討し,その影響の低減方法を明らかにすることを目的とする.本稿では移動体中でHead Mounted Display (HMD) によるVRコンテンツ提示を行った際にどのような影響が現れるかを確認するための予備実験を行った結果について報告する.
○佐藤卓樹・濱本和彦(東海大)
近年,Virtual Reality(VR)の技術が発展する中で,医療関係の研究が注目を集めている. オックスフォード大学では,メンタルケアの一環としてVRを用いた治療の研究が行われている. アルコール依存症の治療法は,抗酒剤などの薬物療法やメンタルケアが一般的に行われている. しかし, 明確な治療法は確立されておらず, 再発が多いことが問題となっている. 本研究では, 精神治療にも用いられているVRをHead Mount Displayを用いて体験してもらい, アルコール依存症の治療に役立てることが最終的な目的である. 本稿ではその前段研究として, VRによるアルコール酔いの再現について検討した結果について報告する.
○Chang Su・Makio Ishihara(Fukuoka Inst. of Tech.)
About the treatment of acrophobia, the reality treatment is expensive, dangerous and difficult, and it also requires professional guidance and facilities. Ifpeople adoptthe method ofvirtualreality technology, the above problems will be solved and the treatment just completes in a closed room but the effect of the treatment is not obvious. Our treatment is performed with virtual reality technology and lets the subjects experience the feeling of falling from the height instead of just walking and watching in a virtual space. The preliminary experiment result shows that adding some powerful stimulation of fear may have a certainpositive effectintreatingacrophobia.
◎山崎龍汰・濱本和彦(東海大)
近年, VRアプリケーションはさまざまな分野でより一般的に使用されている. 例えば医療, 学習, エンターテインメント等が挙げられる. 一方, 海環境を学習できる施設の一環として2023年に静岡県清水港に海洋文化施設の建設が計画されている[1]. そこで展示するコンテンツとして, 駿河湾の深海映像が検討されている. 特に, 体験者が深海散歩を体験する深海ウォークスルー型のVR コンテンツが期待されており, 本学海洋学部と情報通信学部でその開発を進めている. よって, 本研究の目的は, 日本で最も深い湾である駿河湾に興味を持たせるためのVRによる深海ウォークスルーコンテンツの開発である.
休 憩(11:00 再開) 座長 宍戸英彦(筑波大)
H-3-6 | 実世界観測による時空間映像データの高度利用(2)―位置姿勢推定機構と3次元再構成機構の機能設計― ◎有富友紀・山崎賢人・关 斯琨・木村朝子・柴田史久(立命館大) |
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H-3-7 | レンズ中心を一致させた多眼カメラによる全天球動画像撮影システムの構築 ○神原利彦・花田聖弥(八戸工大) |
H-3-8 | 高速カメラ・プロジェクタ系におけるフレームレートの計測 ◎池田 遼・藤田尚輝・栃岡陽麻里・早川智彦・石川正俊(東大) |
◎有富友紀・山崎賢人・关 斯琨・木村朝子・柴田史久(立命館大)
我々は多種多様なセンサによって実世界を観測し,得られた映像・データを共有した上で,それらを様々な形で高度利用したシステムの実現を目指している.これまでの研究では,基本アーキテクチャの概念設計と映像・データの蓄積方法を提案したが,映像・データを高度利用するためには,多種多様なセンサの観測位置を把握した上で,仮想世界で実世界を再構成する必要がある.そこで本稿では,映像・データの取得位置の推定および,仮想世界における実世界の再構成などを実現する機構について機能設計した結果を報告する.
○神原利彦・花田聖弥(八戸工大)
水平方向360°、垂直方向180°の広い視野角を持つ画像は全天球画像と呼ばれており、画像計測や仮想現実感の分野での活躍が期待されている。市販品も多く発売されているが、それらの多くは複数のカメラで撮影された動画像を光学的に処理し、うまく貼り合わせて全天球画像を生成している。だが、それらのレンズ中心が別々の位置にあるため、となりあう画像が重なる部分で視差が発生し、うまく貼り合わせることができない問題がある。そこで、筆者らは複数台のカメラの見かけのレンズ中心の位置を鏡を使って移動させ、それら全てのレンズ中心を唯一の点に一致させて視差を発生させない手法を提案した。本論文はその続報である。
◎池田 遼・藤田尚輝・栃岡陽麻里・早川智彦・石川正俊(東大)
映像による情報提示デバイスでは,わずかな遅延でも人に影響を与え得るため,フレームレートを制御することは重要である.しかし,複数のデバイスを組み合わせたシステム全体としての出力が,個別のデバイスが持つ性能を保持するかどうかは明らかではなかった.そこで,高速カメラ・プロジェクタ系におけるフレームレートを高精度に計測するための手法を提案する.計測対象である投影の切り替わり速度を上回る速度の撮像性能を持つ超高速カメラを用いて,環境光の周波数によるノイズを排除して撮像を行うことにより,各デバイスの処理速度に基づく理論値と実測されたフレームレートとの間に相関が確認された.
3月18日 13:30〜15:45 総合科学部 K棟3F K304講義室 座長 横山正典(NTT)
H-3-9 | VR対話環境におけるアバターのふるまいが与える印象の調査 ○並川優衣・福田悠人・小林貴訓・久野義徳(埼玉大) |
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H-3-10 | 集団的創発を促進する会議支援システム ○山形良介・福田悠人・小林貴訓・久野義徳(埼玉大) |
H-3-11 | 遠隔地の気配を共有する繋がり感提示デバイス ◎菊池拓哉・福田悠人・小林貴訓・久野義徳(埼玉大) |
H-3-12 | ユーザの注視情報を伝達する遠隔買い物支援システム ○萩庭大地・福田悠人・小林貴訓・久野義徳(埼玉大) |
○並川優衣・福田悠人・小林貴訓・久野義徳(埼玉大)
美術館や博物館での鑑賞体験の質の向上を目的として様々な研究が行われている.我々は絵画を説明する場面で,学芸員は観客を説明に引き込むため,文の切れ目などの発話の移行が適切となる場所で観客に振り向くことを見出し,同様の振る舞いをロボットにさせた場合も,学芸員の場合と同じように,観客の同期的振る舞いを誘発できることを明らかにした.本稿では,今後より発展するVR技術において,VR空間でもエージェントの振舞いにより同様の効果が観測でき,体験の質の向上に寄与することができるかを調査する.具体的には,VR空間内で展示物の説明を行うエージェントの瞬きや,首振りなどの振る舞いの違いが,対話相手に与える印象について検討した.
○山形良介・福田悠人・小林貴訓・久野義徳(埼玉大)
近年,社会的な取り組みとして「働き方改革」が行われている.その一環として「会議」においても様々な取り組みが行われている.しかし,未だに会議において参加者の発言が偏ってしまったり,発言自体が滞ってしまうことで会議がうまく機能しない状況が見られる.また,オープンスペースのような場所で会議を行ったとしても,外部から新たな参加者を募ることは難しい.そこで本研究では,会議中に使用されるペンに取り付けられた加速度センサを用いることでペンの状態認識を行い,複数のペンの状態から会議の状態を正確に認識するシステムを開発した.引き続き得られた会議の情報を利用することで会議を適切に支援するシステムの開発を目指す.
◎菊池拓哉・福田悠人・小林貴訓・久野義徳(埼玉大)
近年,核家族化によって子供と世帯をともにしない高齢者が増えている.また,高齢者以外にも一人暮らしなどで家族と離れて暮らすケースは多い.家族と離れて暮らす人は家族の気配や存在などの非表示的な情報を得られず孤独を感じる場合がある.そこで,本研究では,離れて暮らす家族の孤独感の軽減を目的にIoTデバイスを使用し,冷蔵庫の開閉状況や水道の使用状況などの生活環境の計測を行い,それに応じて光や音といった非表示的な情報を用いることで相手側にさりげなく生活状況の提示をするデバイスを提案した.また,実際に本デバイスを使用し,通知バナーとの生活環境提示の比較実験を行い効果の検証をした.
○萩庭大地・福田悠人・小林貴訓・久野義徳(埼玉大)
買い物は気分転換や同伴者との会話を楽しむといった多様な価値を有する.我々では外出が困難な人にも買い物の機会を提供するため,実際に買い物を行う現地の人との対話を支援する遠隔対話システムを開発している.これは手持ちカメラと買い物カートに取り付けられた全天球カメラを用いて遠隔対話を行うものであり,全天球映像を用いて遠隔地側が現地の環境全体を把握することを支援する.しかし,情報が充実した一方で遠隔地側のカメラの注視情報が現地に伝わりにくいという問題が生まれた.対面の対話では,相手の視線が対話内容を理解するための資源となり重要な役割を果たしている.そこで,本稿では遠隔地のユーザの注視情報を伝達する遠隔買い物支援システムを提案する.
休 憩(14:45 再開) 座長 青木良輔(NTT)
H-3-13 | 聴覚情報提示による咬筋の活動への影響 ◎原 直弥・田村祐一(甲南大) |
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H-3-14 | マルチモーダル情報に基づくユーザの興味度推定 ○△王 燕京・小林貴訓・久野義徳・大津耕陽・福田悠人(埼玉大) |
H-3-15 | 映像提示領域を拡大した立体視映像と立体音響によるクロスモーダルに関する研究 ◎高森達也・土岐飛翔・濱本和彦・程島奈緒(東海大) |
H-3-16 | 手順に選択性をもたせ,複数レシピを結合する方法の提案 ◎三井英毅・五百蔵重典(神奈川工科大) |
◎原 直弥・田村祐一(甲南大)
本研究では,聴覚情報の提示により,食感を変えることを目標とし,その前段階として,咬筋の筋電図の積分値を取ることで,食感の変化を客観的に分かる指標で扱えるようにすることを目的とした.先行研究に基づいて咀嚼時の咬筋の筋電図の変化を片側有意水準5%で調べた結果,咀嚼音や音楽などの聴覚情報を咀嚼時に提示することで,咬筋の筋活動に数値的変化が確かに起こっており,咬筋の筋電図の積分値は食感変化の客観的指標として扱えることが分かった.しかし,積分値の変化量を見る限り,本実験の最終目標である聴覚情報によって食感を変えるほどの大きな効果が得られているとは言えないという結果になった.
○△王 燕京・小林貴訓・久野義徳・大津耕陽・福田悠人(埼玉大)
少子高齢化に伴った高齢者のコミュニケーション不足という問題の解消のため,話相手の役割を果たす対話ロボットが多く研究,開発されている.しかし,これらのロボットはユーザが今の話題に興味があるかをうまく判断できず,会話が続かないことも多い.そのため,対話システムでは,ユーザの興味度推定が重要である.これまでに,心拍センサや脳波センサによる計測によって,人間は興味を感じると顔や体に微小な変化が現れることが報告されている.しかし,これらの接触型センサはユーザに緊張感や違和感を与える恐れがある.そこで本稿では,カメラや重心動揺計といった非接触型のセンサを用いて顔の表情や身体の振る舞い,心拍数を計測し,これらの情報に基づいて興味度推定を行う.
◎高森達也・土岐飛翔・濱本和彦・程島奈緒(東海大)
近年、Virtual Reality(VR)分野が発展を遂げる中で、より現実環境に近く没入感の高いVRコンテンツを構築するために、脳を錯覚させるクロスモーダルという現象が注目されている。本研究では、映像提示領域を拡大した実写立体視映像と立体音響のクロスモーダルを利用し、様々な錯覚を実現する実験を行った。「風」「匂い」「水しぶき」「体温変化」の錯覚を意図したコンテンツ提示を行った結果、「体温変化」の項目のみに映像(下面)の有無による有意差が見られた。
◎三井英毅・五百蔵重典(神奈川工科大)
単品の調理レシピから献立を調理するには複数の文書を同時に参照する必要があるが,調理との並行は手間や効率の面で容易ではない.この問題に対し,複数レシピの手順をスケジューリングする手法が存在するが,スケジューリング時に環境が固定されており,加えて工程が直列化しているという点において柔軟性に欠ける.本稿では,レシピの有向グラフ化によって並立した工程を表現し,工程への重み付けを用いて手順の着手優先度を算出する手法を提案する.これにより選択の余地があり,多様な調理環境で利用可能な手順を構築できると考える.
3月17日 13:30〜17:15 総合科学部 K棟2F K202講義室 座長 酒向慎司(名工大)
H-4-1 | 知的対話エージェントと認知訓練システムによる包括的な高齢者支援情報環境の構築へ向けて -印象評価の結果に関する考察- ○鈴木健太郎(杏林大)・廣瀬 翔・坂本紫音・北越大輔・山下晃弘・鈴木雅人(東京高専) |
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H-4-2 | 知的対話エージェントにおける発話内容調整機構の特性評価‐包括的介護予防システムの開発に向けて‐ ◎廣瀬 翔・北越大輔(東京高専)・鈴木健太郎(杏林大)・山下晃弘・鈴木雅人(東京高専) |
H-4-3 | 寝息音からの呼吸間隔の推定に関する検討 ◎畑瀬慎也・田中元志・室賀 翔(秋田大) |
H-4-4 | 肺胸郭体積の変動に基づく状態空間モデルの構築と粒子フィルタを用いた無呼吸状態の無拘束推定 ◎小濱美咲・西尾啓汰(青学大)・鏑木崇史(国際基督教大)・栗原陽介(青学大) |
H-4-5 | 3D-LiDARを用いた頭部運動トラッキングによる離床検知システムの提案 ◎布野倫己・西尾啓汰(青学大)・鏑木崇史(国際基督教大)・栗原陽介(青学大) |
H-4-6 | 複合語の学習を目指した手話学習支援システムの検討 ◎和泉勇希・西田昌史・綱川隆司・西村雅史(静岡大) |
H-4-7 | 両耳聴型聴覚支援システムにおける遠方の音源の方向呈示について ◎関 淳・霜山竜一(日大) |
H-4-8 | 日本語音声出力機能付き点字学習器の試作 ○外山遼太郎・渡辺哲也(新潟大) |
○鈴木健太郎(杏林大)・廣瀬 翔・坂本紫音・北越大輔・山下晃弘・鈴木雅人(東京高専)
開発中の包括的介護予防システムの紹介と,システムを構成する認知訓練システムおよび知的対話エージェントの印象や機能に関する主観評価実験を高齢者に実施した。認知訓練システムでは,難易度自動調整機能への期待が示されている一方,希望利用頻度の回答から,初心者が利用する際のハードルを下げる工夫が必要であることが確認された。知的対話エージェントの自発的発話に対する印象調査からは,スピーカの利用意欲については好意的な印象が得られているものの,当該機器を十分に認知していない等の状況も予想されること他が確認された。今後は、利用者のニーズに配慮・対応しつつ,当該システムの需要を高めていく。
◎廣瀬 翔・北越大輔(東京高専)・鈴木健太郎(杏林大)・山下晃弘・鈴木雅人(東京高専)
日本は世界有数の超高齢社会であり,要支援・要介護者の増加を抑制する「介護予防」という取組が注目されている.著者らの研究グループは,高齢者との自然な対話を通して習慣的な認知訓練や家族による見守りを同時に実現できる包括的介護予防システムの開発を進めている.提案システムの構成要素である知的対話エージェントには,利用者との自然で柔軟な対話を実現するため,強化学習を適用した発話内容調整機能が実装されている.本研究では高齢者への適用に先立ち,テキストベースの対話に特化させた試作版エージェントを用いて学生を対象に実験を実施する.実験の結果から,エージェントの印象評価や学習結果の妥当性等について評価する.
◎畑瀬慎也・田中元志・室賀 翔(秋田大)
睡眠中の無呼吸などの異常を検出可能なシステムの構築を目的に,呼吸音(寝息音)に着目し,異常候補を検出するための呼吸間隔の推定方法について検討した。マイク1本を口元近くに配置し,夜間に寝息音を約1.5時間録音した。被験者は3名とした。寝息音にHPFをかけた後に時間-周波数解析を行い,12次MFCC,スペクトルエントロピー,スペクトル重心を求めた。これら特徴量の呼吸に対応した変化の周期を抽出し,呼吸間隔を推定した。その結果,呼吸音が確認できたある時間帯では平均呼吸間隔は約3.3秒であり,±0.75秒(1フレーム周期)の誤差で推定できた。呼吸間隔を観察することで,呼吸異常の検出の可能性が示唆される。
◎小濱美咲・西尾啓汰(青学大)・鏑木崇史(国際基督教大)・栗原陽介(青学大)
睡眠時無呼吸の日常的なモニタリングのため,臥位にロバストで無拘束な無呼吸推定を行う手法を提案する.「呼吸」は「肺胸郭体積の変動」であるとして,呼吸の周期性を考慮した非線形の状態空間モデルを構築した.これに基づく粒子フィルタを適用し,無拘束生体計測システムで取得した呼吸を含む信号から肺胸郭体積の推定を行う.臥位に対するロバスト性検証のため,4つの臥位条件でデータ取得を行った.臥位単位の交差検定の結果,F値の平均は0.86となり,粒子フィルタを除いた手法との比較を行った結果,5%の有意水準で有意差が認められた.これにより提案手法における粒子フィルタが,臥位に対するロバスト性を向上させていることが確認された.
◎布野倫己・西尾啓汰(青学大)・鏑木崇史(国際基督教大)・栗原陽介(青学大)
少子高齢化により高齢者の離床行動のモニタリングの重要性が高まっている.本稿では無拘束で対象との距離を計測する3D-LiDARを用いて頭部運動のトラッキングを行い離床行動の前段階である起き上がり運動を検知する離床検知システムを提案する.3D-LiDARから得られた座標データからベッド上のポテンシャルエネルギーが高い10点のデータ点の平均を観測値とし,重力の作用する慣性系における物体の運動の状態方程式に基づいたパーティクルフィルタによって頭部の座標,速度,加速度を推定する.推定値の時系列ダイナミクスを考慮しDTW距離による判別手法によって起き上がり運動を検知する.被験者5名による検証実験の結果,感度,特異度,正答率が全て0.98となった.
◎和泉勇希・西田昌史・綱川隆司・西村雅史(静岡大)
これまで我々は、Kinectと3Dモデルを用いて学習者とお手本の手話を比較し、どのくらい動きに差があるかを提示する手話学習支援システムを提案し、有効性を示した。手話で会話を行う際は文章単位で行うのが一般的であるが、我々が提案したシステムや従来研究では単語単位での学習システムが主流であり、単語よりも長い単位を対象としたシステムはあまり検討されていない。そこで、本研究では文章単位での学習への拡張を目指し、2種類の単語の組み合わせからなる複合語の学習が可能な手話学習支援システムを提案する。本システムでは、複合語を単語ごとに分割して動きの違いを比較するなど、複合語単位での学習方法について検討を行った。
◎関 淳・霜山竜一(日大)
電気自動車やハイブリット車は、普通車に比べてエンジン音が静かなため接近に気付きにくい。聴覚障害者は健常者より音が聞きにくく外出時に危険にさらされる場合がある。自動二輪車や自動車などの音源の接近を聴覚障害者に知らせる聴覚支援システムがあれば、障害者の安全やQOLの向上に役立つものと考えられる。著者らはイヤマイクで検出した音圧から音源の方向を推定し使用者に呈示する両耳聴型聴覚支援システムについて報告した。方向推定に両耳間時間差(ITDs)を用いた場合、屋外では音源が10m以上離れると音源方向の検出は難しい。本研究では両耳の音圧の差を用いて遠方にある音源方向を検出、呈示した結果について述べる。
○外山遼太郎・渡辺哲也(新潟大)
点字は視覚障害者にとって最も重要なコミュニケーション手段のひとつであり、点の配置と文字との対応関係の早期習得が重要であるとされている。点字学習用品として様々な製品が流通しているが、音声出力機能を有するものは少なく、それらは高価でなおかつ流通が限定的である。そこで本研究では、マイコン、音声合成LSIなどの部品を組み合わせ、低コストで実現可能な日本語の音声出力機能を有する点字学習器の試作を行う。
休 憩(15:45 再開) 座長 半田隆志(埼玉県産技セ)
H-4-9 | 原尿再吸収を考慮した膀胱内蓄尿量推移の予測 ◎服部 慎・山崎智将(青学大)・鏑木崇史(国際基督教大)・栗原陽介(青学大) |
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H-4-10 | 排尿成分の吸光分析による膀胱内畜尿量予測システム ◎広田 卓・山崎智將(青学大)・鏑木崇史(国際基督教大)・栗原陽介(青学大) |
H-4-11 | 屋内測位のためのグローバルシャッター型カメラによる可視光信号受信 ○中澤陽平(高千穂大)・牧野秀夫・前田義信(新潟大) |
H-4-12 | 地磁気を用いた屋内位置推定手法の精度に関する一検討 ○高輪祥基・石原真紀夫(福岡工大) |
H-4-13 | 没入環境のおける視距離調整可能な仮想画面のVDT作業への効果 ○石原真紀夫(福岡工大)・石原由紀夫(島根大) |
H-4-14 | 音楽聴取時の脳波と情動の関係と性格特性 ◎松島純貴・古市和也・柴田慎一(大同大) |
◎服部 慎・山崎智将(青学大)・鏑木崇史(国際基督教大)・栗原陽介(青学大)
高齢社会を迎えた日本では介護現場においての排尿介助が大きな課題となっている。したがって本研究では腎臓で原尿が生成され膀胱に蓄尿される過程を表す数理モデルを構築し、そのモデルをもとに膀胱内蓄尿量を予測するシステムを提案する。提案するモデルは5つのパラメータを与えることで膀胱内蓄尿量推移を表すことができる。超音波センサから得られるデータからガウス過程回帰によりパラメータを推定することで、膀胱内蓄尿量の予測を行う。得られた予測値と実測値とのRMSEは71.63mlであり、筆者らの従来研究と比較して約37%程度予測精度を向上することができた。
◎広田 卓・山崎智將(青学大)・鏑木崇史(国際基督教大)・栗原陽介(青学大)
現在,排尿管理において超音波センサが注目されている.しかし,超音波センサは拘束型であり逐次測定であるため,本稿では無拘束での膀胱内畜尿量予測システムを提案する.膀胱内畜尿量モデルを構築し,モデルを実装するために必要なパラメータについて吸光スペクトルを用いることで推定する.その際,吸光スペクトルと超音波センサにより計測した時系列データを内点法にかけ算出したパラメータをニューラルネットワークにより学習させ推定を行い,膀胱内の畜尿量を予想する.時系列データと予測した膀胱内畜尿量の推移との二乗平均平方根誤差を用いて評価する.被験者を男性3名とした検証実験の結果,誤差は91.31mlとなった.
○中澤陽平(高千穂大)・牧野秀夫・前田義信(新潟大)
屋内での位置計測手法として可視光通信による測位を提案する.可視光信号の受信にローリングシャッター型のイメージセンサを利用する手法が存在するが課題も多い.そこで本研究では,従来のローリングシャッターによる可視光信号受信における問題を解消するため,グローバルシャッター型イメージセンサを用いた可視光信号受信を行う.提案手法では繰り返し送信されるID情報をアンダーサンプリングに基づき受信することで,カメラのフレームレートより十分に高いビットレートの信号を受信することが可能である.提案手法に基づく測位実験を行いその結果を評価する.
○高輪祥基・石原真紀夫(福岡工大)
近年,スマートフォン等の情報端末において,位置情報を利用する機会が増えている.屋内の位置情報の取得手法として注目されているのが地磁気を用いた手法である.地磁気は低コストでの利用が可能という利点を持つ.先行研究としては,XiruiらやHangらなどの手法がある.しかし,位置推定を空間的な移動に伴う地磁気の変化を手掛かりとして用いるため,推定位置の解像度は低い.本稿では,立ち止まったまま得られる地磁気情報を用いた位置推定手法の精度に関する検討について述べる.
○石原真紀夫(福岡工大)・石原由紀夫(島根大)
VDT症候群とは,長時間の過度な目の酷使やデスクワーク,誤りが許されない精神的な負担などパソコン利用者への複合的な影響から生じる諸症状をいう.VDT症候群を軽減するため,これまでに著者らは利用者からのPC画面の視距離に着目し,視距離が長い場合にリラックス効果がみられ,マウス操作の精度が向上することを明らかにした.そこでは,PC画面への水平視野角度範囲(左右計)を60度(ISO9241-303),視距離を0.5mと3.5mの2通りに設定し,タッピング検査とクレペリン検査を作業負荷として疲労に関する実験を行った.本稿は5mや10mなど更に長い視距離とVDT症候群の軽減との関係についてパイロット実験の結果を報告する.
◎松島純貴・古市和也・柴田慎一(大同大)
近年、音楽を利用したストレス解消法である音楽療法が注目を浴びている。ストレス解消として挙げられる曲として「人気な曲」や「好きな曲」が多く、これらのリラックス効果の解明や、ヒーリングミュージック等の快音楽との効果の比較が性格ごとで必要と考えた。
本稿では、ストレス負荷をかけた状態での性格ごとにリラックス効果を得られる音楽を、アンケートと脳波解析により明らかにし、ストレス解消時に聴く音楽の選定について言及した。本稿の結果では、「自己主張が強い人」はスローテンポでやさしい曲が、「物静かで優しい人」はハイテンポで高音域な曲が、リラックス効果が高い結果となった。また、「自己主張が強い人」の方が音楽聴取によるリラックス効果が高いことも確認できた。