プログラム
format_list_bulleted情報・システムソサイエティ
一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
D-1. コンピュテーション
3月19日 13:30〜16:00 総合科学部 K棟3F K308講義室 座長 佐藤哲司(筑波大)
D-1-1 |
自律分散ロボットのための三角格子平面におけるComplete Visibility問題を解くアルゴリズムについて
◎石田湧之・金 鎔煥・片山喜章(名工大) |
D-1-2 |
停止故障耐性を有する一般化されたFrench Flag Problemのための分散アルゴリズムについて
◎横山雄大・金 鎔煥・片山喜章(名工大) |
D-1-3 |
An Alternative Link Analysis Algorithm to PageRank
○△Keita Sugihara(Nanzan Univ.) |
D-1-4 |
混合ラベル配置問題に対する厳密解法
増田澄男(神戸大)・○阿部 昇(阪電通大)・山口一章(神戸大) |
自律分散ロボット群は移動可能な複数の自律分散ロ ボットで構成され,ロボットが協調的に動作することで全体としてひとつの目標を達成する理論的なモデルである.
自律分散ロボットの分野で扱われる問題として, 全てのロボットがお互いを見えるように再配置するComplete Visibility問題がある.
本研究では,三角格子平面におけるComplete Visibility問題を解くアルゴリズムを提案する.
French Flag Problemは,格子状に配置されている色のないそれぞれのセルを,分散的な手法を用いて,青,白,赤の3つの色を均等に出力させるパターン問題の一つである.具体的には,2次元格子上に配置されたプロセス(以下,エージェント)を自律的に動作させ,隣接エージェントと通信を行いながら色を決定し,全体としてフランス国旗のような形で収束させる問題である.さらに,色の数を3色からk色に一般化させた問題をk-Flag Problemと呼ぶ.Albertらは, 格子状で配置されたエージェントにおけるFrench Flag Problem収束時間やメモリ,メッセージサイズなどのいくつかの観点に着目した様々なアルゴリズムを提案している.その研究によると,ある1行において色を決めることが可能であれば,その結果を伝搬させることで, 格子状に配置された全てのエージェントの色を決めることができることから,直線上に配置されたエージェントに対するアルゴリズムが提案されている.しかし,停止故障エージェントがひとつでも存在すると情報交換が不能となり,Albertらの手法はそのまま適用できない.本研究では,停止故障耐性を有するk-Flag Problemを解く分散アルゴリズムを提案する.
PageRank is widely used by search engines. The algorithm is known for its high cost of calculations. This paper proposes an alternative to it for search systems.
ある領域D内に存在する点の集合が与えられたとき,全ての点にラベルを配置するものとする.本研究では,点に接するようにラベルを置くことと,Dの外部にラベルを置き,引出し線を用いて点とラベルを結ぶことの両方を許した混合ラベル配置を扱う.そして,点に接するラベルの配置に2スライダーモデルを用いる場合について,点に接するラベルの個数を最大にするラベル配置を求める厳密解法を提案する.
休 憩(14:45 再開) 座長 阿部 昇(阪電通大)
D-1-5 |
長方形形状の障害物をもつ領域における最短警備員巡視路
○吉野航平・今井桂子(中大) |
D-1-6 |
ソーシャルネットワークにおける成長誘発エッジの早期検出手法
○稲福和史(筑波大)・伏見卓恭(東京工科大)・佐藤哲司(筑波大) |
D-1-7 |
再現性と軽量性を兼ね備えた 大規模自律分散グラフ空間のランドマーク決定手法
◎山下剛志・金子晋丈(慶大) |
D-1-8 |
自律分散ロボットシステムの部分自律分散型集中制御による実装について
◎渡辺智之・金 鎔煥・片山喜章(名工大) |
D-1-9 |
ペアロボットモデルによる任意の連結状況からの直線形成アルゴリズムについて
◎金井愛憲・金 鎔煥・片山喜章(名工大) |
施設を表す多角形内において,その多角形全体を視認しつつ,元の場所に戻ってくるような巡視路のうち,最短の巡視路を求める問題を最短警備員巡視路という.障害物が存在しない単純多角形内においては,最短巡視路を得る多項式時間アルゴリズムが提案され,多くの研究成果が得られている.しかし,施設多角形内に障害物が存在するとき,一般にこの問題はNP困難であることが知られている.本研究では,施設多角形と障害物の形状をすべて長方形とし,障害物の配置を制限することで,多項式時間で解ける場合について考察し,多項式時間の解法を提案する.
複雑ネットワーク解析においてノードやエッジの影響力を予測することは重要なタスクである.
例えば,Twitterでは人から人へ連鎖的に情報が伝達される情報カスケードにより,トレンドやBuzzといった現象が発生する.
このようなトレンドのきっかけとなるユーザや会話をトレンド発生前に抽出できれば,様々な応用が期待できる.
本研究の目的は,エッジ出現時の特徴を用いて将来ネットワークに与える影響を分析・予測することである.
具体的にはエッジの「出現位置」「どのようなノード間を繋ぐか」という2点に着目する.
Twitterのメンションネットワーをに対象に評価実験を行い,提案手法の有向性を示したので報告する.
グラフサイズが巨大になると全グラフを取得し解析するコストは膨大になる.特に,グラフを構成する頂点,辺を異なる組織がばらばらに管理しながら,全体グラフを構成する自律分散型グラフシステムでは,グラフの取得コストが大きくなる傾向にある.このようなグラフシステムにおいて、グラフ空間の重要頂点を把握することは困難である.ゆえに,部分グラフ解析によって,ある起点周辺のグラフ空間を特徴付ける頂点をランドマークとして提示することは有用である.本研究ではグラフにおけるランドマークを定義し,ランダムウォークを用いてその位置を概定し,周辺を厳密に探索することで拡張性と再現性を提供する近似的ランドマーク決定手法を提案する.また,本手法では提示されるランドマークまでのおよその距離を指定できる.そして,起点周辺のグラフの複雑度と提案手法の有効性の関係を評価 した.
自律分散ロボットシステムは,複数の理論的な自律移動型ロボットを協調動作させ目的を達成する理論的な分散システムである.各ロボットは,周囲を観測するLook,観測結果をもとに移動先を計算するCompute,移動するMove の3つの動作を一つのサイクルとして実行する.自律分散ロボットの分野では各ロボットが持つ機能と問題の可解性との関係に着目し,それらを解明する研究が数多く行われている.しかしながら,自律分散ロボットの理論的なモデルでは,ロボットが無限の精度で観測したり移動したりするため,それらの研究結果を実践的な研究に導入することは非常に困難である.本研究では,理論モデルと実ロボット間のモデルの差を取り除くための技術開発を目的とする,部分自律分散
型集中制御による自律分散ロボット群制御システムを提案する.
ペアロボットモデルとは, 三角格子の離散平面上で2台1組のペアを成した自律分散ロボット群が, 各ペアが自律的に動作を行うことで、全体として1 つの目的を達成するモデルである. ペアロボットモデルは、2台の自律分散ロボットが一つのペアになって協調して動作するモデルである.予め決められた2台の自律分散移動ロボットか一つのペアとなって, 二次元離散平面上で協調して動作する. 同じペアであるロボットは互いが認識可能であり, システム動作中にペアが変更されることはない.
本研究では,ペアロボットにおいて仮定しているモデルと問題に可解性の解明に関する研究の一つとして, ペアロボットによる直線形成問題を解くアルゴリズムを考える.
D-2. ニューロコンピューティング
3月19日 13:30〜15:45 総合科学部 K棟3F K309講義室 座長 瀧山 健(東京農工大)
D-2-1 |
(2+1)次元畳み込みネットワークの枝刈り効果に関する考察
◎川村聡志・国定恭史・山本康平・橘 素子(OKI) |
D-2-2 |
全結合層階層化CNNにおける判別器併合法
◎平田大貴(岡山県工技セ)・高橋規一(岡山大) |
D-2-3 |
組込みニューラルネットワーク処理における演算精度最適化
○有川勇輝・ゴー フィークー・岸野泰恵・坂本 健(NTT) |
D-2-4 |
ベイジアンネットの結合構造を用いた精度保証型確率推論法の推論特性評価
◎樫村明憲・北越大輔・鈴木雅人(東京高専) |
動画分類タスクでよく用いられる(2+1)次元畳み込みを用いたニューラルネットワークは,膨大なパラメータ数と演算量を必要とすることから,計算資源の限られたエッジデバイス等への実装に課題があった.そこで,モデルに軽量化手法を適用することで,より効率的なモデルを得る可能性について考える.本稿では(2+1)次元畳み込みを用いたモデルに枝刈りと呼ばれる軽量化手法を適用し,その効果を考察する.
畳み込みニューラルネットワーク(CNN) は,画像分類,映像認識に利用される主流なAIモデルの一つである.著者らの先行研究では,クラスタリングを利用してCNNの全結合層を階層化することで,判別処理に使用するパラメータ数が削減されたモデルを構築する手法を提案した.本稿では,先行研究で複数並列に並べていた判別器を一つに併合することで,モデル(階層化モデル)全体のパラメータ数を削減する手法を提案する.
センサ等のInternet of Things(IoT)デバイスで生成・収集したデータをニューラルネットワーク処理することで,有益な情報を抽出できることが知られている.また,プライバシー保護や応答速度,通信コストの観点から,ローカルで発生したデータを全てクラウドサーバへ送信し,処理を行うのではなく,センサデバイスやエッジデバイスなど比較的ローカルに近いデバイス上で処理する研究が注目されている.これまで,我々は,センサの出力をセンサデバイスに搭載したField Programmable Gate Array(FPGA)を用いて,ニューラルネットワーク処理する手法を検討してきた.本稿は,センサデバイス等の計算資源が限られている組込みデバイスに対して,ニューラルネットワーク処理を搭載するための要素技術である演算ビット精度の最適化手法を提案する.
要素間の確率的依存関係を有向グラフで表現した確率モデルであるベイジアンネット(Bayesian network : BN)を対象とした確率の近似推論法の1つとして,著者らはEx-LBPCを提案した.当該手法は既存の推論法であるLoopy-BPとConditioningを組み合わせたLBPCに対して統計的手法を適用することで,確率推論結果の保証,および保証できなかった場合の補正を実現している.本研究では, BN研究で広く用いられるBN Repositoryから選択した特徴的な5種類のBNに修正を加え,確率推論を実施することで,BNの構造的特徴とEx-LBPC適用時の推論精度や計算時間といった特性の関係性を調査,評価し,この手法の改良を検討する.
休 憩(14:45 再開)
D-2-5 |
ニューラルネットワークを用いた倒立振子のモデルに関する研究
○宮田千加良・堤 陽奈子(鹿児島高専) |
D-2-6 |
脳血流量を用いた言語・非言語想起過程の高時間分解能判別
◎猪又啓太郎・高尾郁也(青学大)・鏑木崇史(国際基督教大)・栗原陽介(青学大) |
D-2-7 |
色彩環境下における重み付け分割脳血流量を用いた課題判別
◎秋山いずみ・高尾郁也(青学大)・鏑木崇史(国際基督教大)・栗原陽介(青学大) |
D-2-8 |
PredNetの時空間特性の解析
◎島田瞬太朗・青山俊弘・岡 芳樹(鈴鹿高専) |
ファジィ制御でのルールの設定や調整には、シミュレーションが用いられる場合が多く、実機を模倣するモデルが必要である。本研究では、倒立振子の動きをニューラルネットワーク(NN)に学習させ、モデルとして用いることについて検討した。
アームはモータで直接駆動されるので、アーム変位は算術的に求めた。振子の動きは、アーム速度、振子速度、振子変位を入力とする振上用NN、倒立制御用NNの2種類を用いて推定することで、NNを用いてファジィ制御のシミュレーションが行えることを確認した。
本方法では、荒く調整した倒立振子の動きを学習させたNNを用いて、ファジィ制御の調整ができるのではないかと考える。
ニューロマーケティングにおいて人間一人ひとりの記憶過程の特徴を把握することは,ビジネス戦略において,消費者理解に対する効率的な促進を可能とする.本稿では人間の記憶過程を構成する言語・非言語想起過程を,脳血流量を用いて高時間分解能判別を行うシステムを提案する.近赤外線分光法(NIRS)により前額部のヘモグロビン変化量を取得し,想起の脳賦活を取り出すためにウィナーフィルターを摘要して運動ノイズを除去する.得られた想起信号を特徴量とし,カーネルをrbfとした教師あり機械学習手法 Support Vector Machineにより言語・非言語想起状態を判別する.被験者を10名とした検証実験の結果,正答率0.8885という結果が得られた.
近年,オフィス空間に知的生産性の高い室内環境が求められるようになってきており, 日本でもオフィス緑化など色彩効果を用いた取り組みが行われている.しかし,知的作業の内容によって知的生産性を向上させる最適な室内環境が異なる事から,個人の行っている知的作業に合わせた室内環境をリアルタイムに作り出すことが理想的であるといえる.したがって,本研究では,色彩環境下での知的作業の判別を可能にすることを目的とし,NIRSを用いて4種類の色彩環境下で3種類の知的作業を行っている際の脳血流量を計測し,得られたデータを任意の点数に分解後,特徴量を算出,重み付加を行い,SVMにて課題を判別した. 被験者を10名とした検証実験の結果,正答率0.742という結果が得られた.
本研究ではPredNetと呼ばれる動画予測のための教師なし深層学習モデルに注目した。このモデルの特徴は、深層学習モデルでありながら、脳の予測アルゴリズムとして提唱されているpredictive codingに基づいているということである。例えば、PredNetの著者らによる関連研究ではこのモデルがいくつかの視覚刺激に対して生体に似た応答を生成することが示されている。そこで、このモデルが学習によって目的関数を最適化した結果、その応答特性に生体に見られるような選択性が表れるだろうという仮設を立てた。本研究では、それらの選択性が時空間的なものであると仮定して、その特性を解析することを目的とする。
D-3. ソフトウェアサイエンス
3月17日 9:30〜10:30 総合科学部 K棟3F K303講義室 座長 島 和之(広島市立大)
D-3-1 |
更新コード影響範囲とテストカバレッジの包含関係分析による性能問題要因絞り込み手法の提案
○森田清隆・桐村昌行(三菱電機) |
D-3-2 |
VRを用いたビジュアルプログラミング環境とゲーム開発
○高浦和馬・佐々木 晃(法政大) |
D-3-3 |
Tsumikiot: IoTデバイスエミュレータのための統合開発環境
◎竹村太一(金沢工大)・湯村 翼(NICT) |
D-3-4 |
プログラム自動生成Jikkaの拡張による対応問題の拡大
○吉田洸大・五百蔵重典(神奈川工科大) |
ソフトウェア開発において,コードを追加・修正していく中で以前よりも性能が低下し,性能に問題が生じる場合がある.このような性能問題の要因を特定する方法として,性能問題が生じる前時点からの更新コードを確認する方法がある.しかし,性能問題が生じたプログラムに影響を与える更新コードが多い場合,その要因を特定するのは困難である.
本稿では,性能問題の要因である更新コードやその更新コードによる他コードへの影響を絞り込むことにより,性能問題の要因特定を容易化する手法を提案する.
VRゲーム開発においてプログラミングは必要不可欠であるが専門性が高い技術であり、技術をもつ専門家の存在なしには、開発はできない。またVRゲーム開発では、動作確認のたびにVRゴーグルを着脱しなければならないという作業効率の問題も存在する。本研究の目的はこれらの問題に対し、ビジュアルプログラミング言語を用いることで非専門家でもVRゲーム開発が行えるような環境を開発することである。提案する環境では、VRを用いて、VR空間場で作業を行えるようにする。これにより、より直感的な操作でプログラミングが可能となり、より幅広い層でゲーム開発を行えるようになる。また、VR空間場で作業を行うことでシームレスなVRゲーム開発を可能にする。
エミュレータを用いてIoTシステムの開発を行う際,環境の構築やエミュレータの設定などの事前準備がユーザにとって負担となる.我々はこの問題を解決するため,Webブラウザでアプリケーションを開発することができる統合開発環境Tsumikiot(つみき)を開発した.TsumikiotはCUIになじみがないユーザでもIoTエミュレーションを使ったプログラミングを実行できることを目標とした統合開発環境である.ユーザは環境の構築やエミュレータの設定について意識をする必要がなく,より手軽にプログラミングを行うことが期待できる.
本研究では,競技プログラミングと呼ばれる,時間内に解ける問題数を競うコンテストに使われる問題を対象にしたプログラムの自動生成を研究対象とする.この先行例としてJikkaという半自動でC++のコードを出力してくれるプログラムがある.このJikkaを拡張することで,解ける問題の範囲を広げることを目指す.Jikkaを用いてどの程度問題が解けるかAizu Online Judgeの問題を20問解いてみたところ20問中5問解けた.このようか結果になった原因として使える型が整数型のみであることと,既存の組み込み関数のみでは計算できない問題があったことがあげられる.そこで本研究では,使える型の拡張および,使用できる組み込み関数を追加することで,解ける問題範囲を広げる.
D-4. データ工学
3月17日 9:30〜12:00 総合科学部 K棟2F K206講義室 座長 宮崎 純(東工大)
D-4-1 |
異種ネットワークの部分空間クラスタリング手法の高速化
◎横山太郎・上土井陽子・若林真一(広島市立大) |
D-4-2 |
空間データの取得方法に関する考察
○田中 覚・郡 光則・楓 仁志(三菱電機) |
D-4-3 |
中古車の特徴量が落札価格へ及ぼす影響分析
◎工藤大輝・山下梨瑳(茨城大)・黛 広樹・福西亮介(プロトコーポレーション)・鈴木智也(茨城大) |
D-4-4 |
e-sports観戦における素人向け解説自動生成
○川崎智憲・灘本明代(甲南大) |
D-4-5 |
観光スポットにおけるレビューサイトからの落胆情報抽出手法
○森田雄真・灘本明代(甲南大) |
頂点が属性値により表現され,かつ,複数の頂点タイプを有する異種ネットワークで事象関係を表現し,クラスタリングを適用するデータ解析方法が存在する.本研究では既存の異種ネットワーククラスタリング手法の高速化を目標として,手法を提案する.
公共インフラなどの構造物を計測した空間データは、センサー類の発達により解像度が向上しデータ量が増加している。そのため、それらのデータを使用する処理の負荷が高くなるが、必ずしも元の解像度は必要ではない。例えば、人間が計測データの全体像を見るとき、モニターの制限から途中で解像度が調整されて表示される。そこで、データベースからデータを取得する段階で、解像度を落とすことで後段の負荷を減らす方法について検討した。
中古車は新車と異なり,走行距離や年式など売買価格に影響する特徴量が完全に一致するサンプルが存在しないため,統計的に妥当な価格を推定することが非常に困難である.そのためオートオークションでの落札価格は過去の落札実績や中古車の状態,現在の相場などを考慮しつつ主に人間の経験によって決定されている.特に,走行距離や年式といった落札価格を形成する特徴量の影響度は価格決定の根拠となるため重要であるが,定量的な評価は十分になされていない.そこで本研究では,オートオークションにおける中古車データについてRandom Forest や重回帰式により関係性を機械学習し,学習後のモデル係数によって中古車の各特徴量が落札価格に与える影響度を調査する.
e-sportsの市場規模は近年増加傾向にあるものの、その配信環境はe-sports観戦初心者にとっては観戦の支援が十分ではない。e-spots実況者のセリフには多くの専門用語が羅列されていて、早口になる傾向があり、主語の省略や欠落を含むことがある。そのため、試合状況をわかり易く説明するための実況が理解を妨げる要因の一つとなっている。本研究ではe-sports観戦における実況者のセリフに着目し、「言語化」「定量化」「可視化」という3つのアプローチから観戦支援手法の提案を行う。具体的には専門用語を排除したわかりやすい解説文の生成や自動的に競技での有利不利を判定し、図示することで観戦初心者向けの解説を自動生成する。
最近,旅行に行く理由の一つとして,SNS の投稿を見たからという割合は増加傾向にある.しかしながら,SNS の投稿を見て観光スポットを決めると,実際に訪れた時に投稿の写真と景色が全然違うといった問題が存在している.一方,レビューサイトには観光スポットに関して旅行者が落胆した情報が多く掲載されている.我々はこの旅行者が落胆した情報を落胆情報と呼ぶ.本論文では,旅行者に対してレビューサイトから他の旅行者が提示した落胆情報を抽出する手法の提案を行う.本研究により,旅行者の旅行に行った後の予想との違いによる落胆を防ぐことに繋がる.
休 憩(11:00 再開) 座長 上土井陽子(広島市立大)
D-4-6 |
シズルワードと食品名の関係の時系列分析
○安ノ井水咲・灘本明代(甲南大) |
D-4-7 |
オンラインショッピングにおける商品探索行動の分析
○渡辺郁弥・佐藤哲司(筑波大) |
D-4-8 |
ロボットの特性を活かした漫才ロボットの面白さの評価実験
○小林和馬・原口和貴・灘本明代(甲南大) |
D-4-9 |
ダブルミーニングを利用したボケの生成
○原田怜英・灘本明代(甲南大) |
食品のイメージは購買の判断要素となり,端的に顧客に伝える必要がある.顧客の食欲や購買意欲を高めるため,「ふわふわ」「濃厚」などその食品の特徴を商品名に入れる傾向がある.これらのおいしさを表す言葉はシズルワードと呼ばる.本論文では,実際に発売されている食品から,発売月の商品数,評価の変化に着目し,シズルワードと商品名の関係の分析を行う.
具体的には,コンビニエンスストアで販売されている商品を対象とし,シズルワードのタ
イプ別分析とシズルワードを含む商品と含まない商品の比較分析を商品数及び評価値から
時系列分析を行う.
これにより,シズルワード を用いた商品名の推薦,補助に役立つことが期待される.
様々な商品を購入できるオンラインショッピングにおいて,ユーザは多くの時間を商品の検索・比較に費やしている.このようなユーザの商品探索行動を把握し,購買につながる商品に誘導することは,商品を購入するユーザだけでなく,サイトの運営者にとってもメリットがあると言える.本論文では,一連の商品探索行動の中で,商品を閲覧する時間と閲覧した商品数との関係に着目した分析手法を提案する.
近年,ロボットの発展に伴い,ロボットと人のコミュニケーションは重要になってきている.
しかしながら,人とロボットの円滑なコミュニケーションが行われていないのが現状であ
る.これまで我々は,人とロボットの円滑なコミュニケーションとして漫才ロボットの研
究を行っている.これまで我々の提案している漫才ロボットはロボットらしい漫才ができ
ておらず面白い漫才を生成しているとは言いがたい.そこで本論文では「人間性」「個体
性」「機械性」「情報性」の4つのロボットの特性を提案する.そして,これらを活かし
「面白さ」を追求した漫才台本を生成しその評価実験を行う.
我々は,対話により構成されており娯楽性もあることから漫才ロボットの研究を行っている.本論文では,漫才ロボットがより「おかしみ」を与えるボケを実現するために,日本語の構文構造を利用したダブルミーニングを用いたボケの生成手法を提案する.ダブルミーニングとは文章の係り受け構造により二つの解釈で読み取れてしまう文のことである.例えば,「美しい風車小屋の娘」は,「美しい風車小屋」と「美しい娘」の2つの捉え方ができるため,ダブルミーニングであるといえる.本論文ではこのダブルミーニングの文を自動生成し,これを用いたボケの生成手法を提案する.
D-5. 言語理解とコミュニケーション
3月17日 13:30〜17:00 工学部 講義棟1F 109講義室 座長 宮﨑太郎(NHK)
D-5-1 |
日本語の呼びかけ・応答・挨拶・独言・間投表現レキシコンの統計的性質
○田辺利文(福岡大)・田中省作(立命館大)・髙橋雅仁(久留米工大)・首藤公昭(福岡大) |
D-5-2 |
分散表現に基づく意味関係認識における負例作成方式の比較
○内出隼人・城光英彰・岡 隆之介・伍井啓恭・田口進也(三菱電機) |
D-5-3 |
AIシステムの要件定義書の作成支援に関する一考察
森谷高明・西尾 学・○山本太三(NTT) |
D-5-4 |
二次情報を用いた小説ジャンル自動推定
◎稲田弘大・藤田和成・田中耕平・古郡英朗・櫻井克憲・伊藤 威・上松和史・石黒 凜・延澤志保(東京都市大) |
D-5-5 |
AIを用いた国家試験問題解析 ―自然言語処理による基礎検討-
◎秋本和哉・上條史記・伊東雅之・篠原一彦(東京工科大) |
D-5-6 |
ロボット教師による特定分野の記述式問題の判定について
○山崎直登・康 鑫・西出 俊・任 福継(徳島大) |
構成性に基づいて意味を扱うことが難しいイディオムや語の強い結合によって成り立つ決まり文句など特異性のある複数の単語からなる表現が複単語表現(MWE)と言われるようになり,重要性が広く認識されるようになった.このような表現を著者の1人が日本語複単語表現レキシコン(JMWEL)としてまとめ研究用に公開している.本研究では,JMWELに含まれる,『冗談じゃない』等の表現に発話者の感情情報等が与えられた,JMWELのサブレキシコンの1つである日本語呼びかけ・応答・挨拶・独言・間投表現レキシコンの統計的性質を,感情情報を中心に,言語学的観点,および簡単な実験により紹介する.
単語や文の意味表現のひとつである分散表現を大規模なテキストコーパスから機械学習で獲得する方式が提案されている。獲得した分散表現は、与えられた単語/文ペアが意味的に等しいかを認識するといった、意味関係認識に応用されている。意味関係認識では正例/負例を分類する2値分類器を教師あり学習で用意する場合があるが、学習データ作成のコストが高く、負例を自動作成する試みがなされている。一方、異なる負例の自動作成方式間の比較検討は十分になされていない。本稿では意味関係認識における文の分散表現を学習する上で効果的な負例の自動作成方式を比較検討した結果を報告する。
ユーザとデータサイエンティストの共通目標を要件定義書として明文化することの重要性が増している.本稿では,そのような仮説を動機として,要件定義書の生成方式を示し,要件を的確に表す項目を抽出する方法について考察する.
本稿では二次情報を用いたジャンル推定手法を提案した.実験の結果,本文を用いずともあらすじとキーワードで十分分類可能であることが示された.
医療系国家資格取得を目的とする養成校において、国家試験対策を行うことは責務であり、画一的な学習指導よりも、学生個々に対応した指導が求められている。しかし、教員による手作業での作問や問題集作成を学生毎に実施する事は、時間やリソースの問題から現実的に困難である。そこで、AIを用いて、国家試験問題を解析してオリジナル問題を作成し、学生個々に対応した効率的で多様な教育環境を実現することは重要課題の一つと考えられる。本研究では、臨床工学技士国家試験問題に対してJUMAN++を用いて形態素解析を実施し、専門用語に特化した辞書とモデルの訓練を行うことで、自然言語処理を適用するための基礎検討を行った。
本研究は、様々な分野の試験を自動的に採点することで教師の業務量を減らし、労働環境の改善を行うことが目的である。まず特定分野に限定された短答式記述問題の自動採点を行う。その採点を行う際には、解答に関していくつかの規則(文法や 語彙など)を用いてその規則に即しているかどうかで判断する。解答の中に特定の語句、すなわち解答に必要となるキーワードや専門用語、またはその類義語が含まれているかどうかを判断する。その際、含まれている用語の数と含まれていない用語の数を採点結果に反映させる。さらに単語ごとに解答に必要かどうかの度合いを決定し、確信度を求める。
休 憩(15:15 再開) 座長 田辺利文(福岡大)
D-5-7 |
自動生成されたクイズの難易度推定手法の検討
◎柴田悠也・林 貴宏(関西大) |
D-5-8 |
Wikipedia を利用した 4 択クイズの選択肢生成手法の比較
◎廣部知生・林 貴宏(関西大) |
D-5-9 |
部分形状に基づいた日本手話の指文字の新しい類型の効用
○田中省作(立命館大)・本田久平(大分高専) |
D-5-10 |
手話単語のサブワード分割を利用した日本手話翻訳
◎森田祐介・宮﨑太郎・遠藤 伶・佐野雅規(NHK) |
D-5-11 |
Transposed-letter effect for Chinese-English bilinguals in visual word recognition
○HUAN LEI・Jianwu Dang・Yu Chen(JAIST) |
D-5-12 |
単語の感情属性を活かしたロボット教師の表情生成
◎房登淳平・康 鑫・西出 俊・任 福継(徳島大) |
D-5-13 |
ロボット教師における特定人物の音声の自動生成
◎寺尾渉吾・康 鑫・西出 俊・任 福継(徳島大) |
本稿では「Wikipedia を利用したクイズ自動生成システム」を用いて生成されたクイズの難易度推定法を提案,評価する.本研究では、クイズの難易度は正解となるWikipedia の見出し語(以下,「正解語」という)の難しさと,問題文の難しさによって決定されると仮定し難易度をそれぞれに定義した.正解語の難易度は,正解語のWikipedia記事のページランクに基づき定義し,問題文の難易度は,問題文に含まれる単語の平均IDFに基づき定義した.実験により本手法により推定したクイズの難易度が人間の直観に一致することを確認した.
近年のクイズ人気の高まりにより,クイズ作成を支援するシステムの研究開発が行われている.著者らもWikipediaを利用した4択クイズ自動生成システムを提案してきた.既存システムでは選択肢の生成に,固有表現と一般的な単語を区別するためのメタデータが付与されたコーパスを利用していた.メタデータの付与には作業負荷がかかるが,メタデータ付与による有効性が検証されていなかった.そこで,メタデータ付与がされていないコーパスから適切な選択肢が生成できるかを調査した結果,メタデータの付与がなくとも適切な選択肢を作成可能であることが示唆された.本研究成果によりコーパス準備作業の負担軽減効果が期待できる.
手話の指文字は,音声言語のアルファベットに相応し,手話学習の重要な入口の一つでもある.日本手話学習者の指文字の誤りを観察すると,同じ行内の指文字の混同の他,手指の特徴の一部が捨象された際に形状が類似するような関係(部分的形状類似)の指文字間でも誤りが多い.そこで本研究は,動きのない41指文字を対象に,日本手話学習者の指文字の誤りから,指文字の学習の際に学習者が留意すべき指文字間の形状的関係で類型化した資料を提案し,初学者の試験データを用い,その評価を行った.
我々は任意の日本語テキストから手話CGを生成する技術の研究を進めている.これまで,日本語テキスト-日本手話中間言語コーパスを構築してきたが,規模は小さい. 今回はニューラルネットワークを小規模コーパス向けにチューニングし,日本語テキストから手話中間言語への機械翻訳システムを作成した.本システムでは,日本語テキストの単語と手話単語が共通の文字で表現されることを利用し,両者の共有コーパスに対してサブワード分割を適用した.これにより語彙数の変化が翻訳性能に与える影響を評価し,従来の単語ベースの翻訳手法からBLEUスコアが0.65向上した.
Latency of the target word was collected and analyzed in this experiment. The latencies under 60 ms or over 2500 ms were excluded from the analysis of response times. In this study, three-factor variance analysis of the TL effect (English level, word case, and word frequency) was performed. The results showed that English level (F (1,32) = 4.423, p <.05) and word frequency (F (1,32) = 11.718, p <.05) has a significant effect on the TL effect. Word case (F (1,32) = 1.597, p= .240) has no significant effect on the TL effect. There was significant effect of word frequency and word case interaction (F (1,32) =7.239 p < .05) on TL effect.
近年,学習を支援する場面で活躍する教育支援ロボットが注目されている.
既存研究で身体動作と表情変化を組み合わせて感情を表出する共感表出法を搭載したロボットは,身体動作単独によって感情を表出する共感表出法を搭載したロボットに比べて,被験者に好印象を持たせる傾向があることを示した.
本研究では,アクトロイドで表情生成を行い被験者にどのような印象を与えるか検証する.
提案手法として,会話テキストから形態素解析や係り受け解析をし感情辞書から文単位で感情値を計算する.そして,感情推定を行うアクトロイドを用いて被験者と対話をしてもらう.
ロボット教師とはAIを搭載したロボットに講義をさせるという試みで,特に本研究ではアクトロイドを用いる.人間的な外見を持つロボットであるアクトロイドを用いるにあたり,従来の画一的な合成音声を使用することは親近感や興味を持ってもらえるなどの利点を打ち消してしまうのではないかと考える.そこで,本稿では様々な特定人物の声を再現するための,GANを適用した声質変換システムを提案する.実験では提案手法の基盤システムとして構築した,音響特徴量変換モデルとパラレルデータを用いたCNNによる声質変換を行った結果について報告する.従来の声質変換システムでは平滑化の問題を解決できていないことが確認できた.
D-6. コンピュータシステム
3月18日 13:30〜16:00 総合科学部 K棟3F K310講義室 座長 安戸僚汰(広島大)
D-6-1 |
SoCを用いた複数手書き文字認識システムの高速化
○田中龍斗・中西知嘉子(阪工大) |
D-6-2 |
マルチSoC向け組込みソフトウェアプラットフォームの検討
◎加藤寿和・山本 整・水口武尚(三菱電機) |
D-6-3 |
動的再構成を活用したSoC FPGAアクセラレータの検討
○植田泰輔・久恒泰地・堀口辰也・新保健一(日立) |
D-6-4 |
エッジAIで高精度物体検出アルゴリズムを動かす一手法
○末富雅也・中西知嘉子(阪工大) |
ディープラーニングは演算量が多くソフトウェアでの実行には多くの時間がかかる.また,ハードウェアのみでの実装はディープラーニング以外の処理を含めると回路が複雑になる.そこで,本研究は紙から数字を複数選び出す処理をソフトウェアで行い,切り取った数字の認識をハードウェアで行う.ハードウェア部では9枚の画像入力に対し,9並列同時に推論を行うことで,推論に用いる係数を共有化し効率化を行った.ソフトウェア単体での処理時間は379msecであった.ソフトウェアとハードウェアを組み合わせた手法で1個の推論回路で推論した処理時間は17.5msecであった.さらに,9並列同時に推論した処理時間は14.1msecとなり,約26倍性能が良くなった.
高機能,高性能化や機能集約が進む組込みシステムにおいて,システムへの高度な要求を実現するために,複数のSoC(System on a Chip)を接続したハードウェア構成(マルチSoC)を用いて,ソフトウェアを連携動作させることでシステムを実現するアーキテクチャが検討されつつある.本発表では,リアルタイム性の保証や信頼性の確保が必要となる制御機器向け組込みシステムにおいて,マルチSoC上のソフトウェア連携動作に必要になると考えられるソフトウェアプラットフォームの要素技術について,検討した結果を紹介する.
エッジコンピューティングをはじめ,組み込みシステムへのAI活用が加速している.AIの高度な処理を組み込み向けの廉価なデバイス上に搭載するためには高速化と小型化の両立が期待される.これまで報告者はCPUとFPGAを混載したSoC FPGAの高速化を検討した.本稿では,AI活用の例として自動運転の処理順序に着目し,回路を次々に動的に再構成するSoC FPGAアクセラレータを提案して上記両立を試みた.再構成に係るオーバヘッド時間の課題に対し,回路データや演算データを並列に転送することによりオーバヘッド時間を隠蔽できることを示した.
近年AI技術は様々な場面で活用されており,組み込み端末でAIを利用した「エッジAI」の活用が期待されている.エッジAIの実現に向けて,SoCFPGAを使用したAIアルゴリズムの改良とFPGA回路の設計を行った.初めにYOLOv3の実行で最も重い処理を選定したところ,convolution層にある積和演算部分が処理時間の95%を占めていることがわかった.そこで,その部分をアクセラレータとしてFPGA回路化を行った.浮動小数点行列積和演算回路と固定小数点行列積和演算回路を作成し,数種類のデータ転送方法を組み合わせて検証を行った.検証の結果,最も処理時間が短くなったものは,固定小数点行列積和演算回路で入出力のデータ変換をFPGA回路で実行した組み合わせの34.30秒であった.
休 憩(14:45 再開) 座長 鯉渕道紘(NII)
D-6-5 |
Tenderにおける資源「入出力」のスループット向上手法
○△利穂虹希・山内利宏・谷口秀夫(岡山大) |
D-6-6 |
超低Enduranceメモリに対応したCacheアルゴリズムの提案
○松田慎平(Weekend Programmer) |
D-6-7 |
データロガーの加速度検知制御による低消費電力化の検討について
◎大井崇広・遠藤雪岳・熊木武志(立命館大) |
D-6-8 |
スキャナ原稿台裏面の付着物画像取得のための遮蔽機材の試作
○田口雄一(福岡県警) |
D-6-9 |
植物工場向け低消費電力化LEDシステムの検討
◎ノリザン ムハンマドアナス・熊木武志・杉崎太綱・法橋 渉・大森大輔(立命館大) |
我々は,Tenderオペレーティングシステムに資源「入出力」による入出力性能調整機能を実現した.資源「入出力」には,入出力時間を調整するものと優先度を持つものの2種類がある.入出力時間を調整する資源「入出力」は,入出力性能を保証する.また,優先度をもつ資源「入出力」は,プロセスが利用していない間にデバイスドライバを利用する.2種類の資源「入出力」を同時にプロセスに関連付けることにより,入出力要求を発行しているプロセスの状況に応じて,プロセスの制御を変更する制御法を提案する.これにより,入出力性能調整機能のスループットを向上させることができる.
人類が生み出すデータ量は加速度的な増大を続けている。この需要に対応するために、NAND Flashメモリは中心的な役割を果たすだろう。セルの多bit化技術[1]はNAND Flashメモリの記録密度を非連続的に向上させたが、高密度化するほど書換耐久性(Endurance)が低下するという問題を引き起こした。Enduranceの低下問題を解消するために、LRU-k Frozen Page Replacement(LRU-k FPR)を提案する。LRU-k FPRでは、ストレージに対して書き込まれたpageは、高速なCacheメモリに書き込まれたのち、以前に参照された履歴が存在しないpageはenduranceが低いメモリにevictされる。一方、過去に参照された履歴があるpageは比較的enduranceの高いメモリにevictされる。これによって、enduranceの極めて低いメモリでの書換回数を低く抑えることができる。
近年、データロガーは小型化され、様々な場所や用途で計測ができるようになってきている.バイオロギングの分野では,生物を知る上で重要な技術として発展してきている.しかし、メモリ容量の増大や電子部品の小型化と比較し、バッテリーの大容量化や長寿命化への進展は遅く、長時間計測することは難しい。本研究では,生物の動作に応じて得られる加速度センサーの検知を基に,正確なログ取得を行いつつ,間歇動作で無駄なログ取得を削減し,データロガーの低消費電力化を目指す.
複写物に印刷される汚れは,原稿由来のものとスキャナ由来のものに大別される.筆者らは,日常的な清掃では
除去が困難な特徴として,スキャナ原稿台裏面に生じる付着物に着目し,複写物の印刷に使用された機器を推定
するための基礎的検討を継続して行っている.従来筆者らは,暗室内に設置したスキャナを用いて画像を取得し
ていたが,今後研究を進めるにあたってはサンプル数の増加が必要であり,多数のスキャナからサンプル画像を
取得するため,スキャナを暗室へ移動させずに適切な画像を取得する手法の構築が大きな課題であった.そこで
本研究では,設置場所が異なるスキャナに対してできる限り均一な画像を取得する為の遮蔽機材についての試作
と検討を行った.
本研究は室内栽培,特に植物工場において,光合成の光源となるLEDを低消費電力化するシステムを提案する.具体的には,LED回路の構成を変えることによる光合成量子密度(PPFD)対電力の効率を調査し,画像処理を用いて植物の成長度合を取得した上で,段階に応じてLED回路の電圧を変えて不要な消費電力を減らすことを目的とする.
D-7. MEとバイオサイバネティックス
3月19日 13:30〜16:15 総合科学部 K棟3F K312講義室 座長 古居 彬(広島大)
D-7-1 |
ホワイトノイズが重心動揺軽減に与える効果に関する研究
◎長谷弘美・常盤達司・福田浩士(広島市立大)・工田昌也(広島大病院) |
D-7-2 |
非可聴領域の周波数を含む音を用いたMMNの計測
竹内 章・○常盤達司(広島市立大) |
D-7-3 |
状態空間モデルによる固視微動追跡を用いたマイクロサッカード検出
◎北岡由圭・永野海斗・小濱 剛・吉田 久(近畿大) |
D-7-4 |
リハビリテーション病棟における脳卒中リハビリ患者の運動機能と日常における運動強度との関連性
○小笠原隆行・松永賢一・都甲浩芳(NTT)・向野雅彦(藤田医大) |
D-7-5 |
心拍と呼吸を用いた新たなストレス指標の検証
◎上野竣矢・城明舜磨・平野 旭(呉高専)・中村浩士(呉医療セ) |
我々の立位姿勢は,視覚,前庭覚,下肢体性感覚の情報が脳中枢で統合・処理され制御されている.これまで,音刺激が重心動揺軽減に与える効果に関する研究が報告されているが,下肢体性感覚の情報も活用できる環境下での実験であったので,音刺激のみが重心動揺軽減に及ぼす効果を十分検証していなかった.そこで本研究では,下肢体性感覚情報の信頼性が低い柔らかい支持面で音刺激が立位姿勢に与える効果を調査した.
2種類の異なる周波数の音を呈示した場合に特異的に計測される脳電位にミスマッチ陰性電位(MMN)がある.MMNは,事象関連電位(ERP)の1つであり,被験者の注意に依存しない感覚情報自動処理関連電位と考えられている.
一方,ヒトの可聴域の上限は約20 kHzとされているが,非可聴領域の音がヒトに与える効果が報告されていることから,ヒトはいずれかの方法で20 kHz以上の音を識別していると考えられる.そこで本研究では,ヒトが非可聴領域の音に対して感覚情報自動処理を行うことができるかを調査するために,2種類の非可聴領域の音を呈示した場合のMMNを調査した.
眼球は視野内の一点を凝視している場合においても、固視微動と呼ばれる不随意性の微小な運動が絶えず行われている。固視微動は主に跳躍的運動を行なうマイクロサッカード、ゆっくりと変動するドリフト、微小かつ高周波成分のトレマーの3種類で構成されており、マイクロサッカードには注意機構との関連性を示す報告が多数ある。そのため、マイクロサッカードの検出は重要であるが、固視微動の1次微分信号を用いる検出法では閾値を試行錯誤的に定める必要があり、トレマーの影響も大きく容易ではない。本研究では固視微動を状態空間モデルによってモデル化し、固視微動の追跡を行なうことでより精度の高いマイクロサッカードの検出手法を提案する。
脳卒中発症後のリハビリ入院患者は,割り当てられた訓練時間に留まらず,他の生活時間帯においても運動・活動機会を確保し,適切な身体負荷を得ることが望ましいとされている.こうした背景から,我々は一日(24時間)の総量としての活動状態をモニタリングして定量化するシステムを提案する.システムより得られる運動強度(%HRR)と,臨床にて従来より用いられている機能指標(FIM: Functional Independence Measure)との関連性について調査したところ,一定の関連性を確認した.
従来のストレスを評価する指標の1つとして心拍を用いたLF/HFがあるが,高い精度でストレス状態を示唆する指標ではないとの見解もある.そこで,新たに心拍と呼吸を用いたストレス評価式が提案されている.しかし,評価式の有効性については現在も検証中である.本稿では,評価式の有効性検証を目的として,ストレス負荷実験を行った結果について報告する.被験者は心臓の上付近に6軸センサモジュールを装着し計測を行った.ストレス負荷は,冷水に手を浸ける方法で与えるものとした.安静時のストレス評価値の平均値は0.74,ストレス負荷時は0.22となった.ストレスを提示した状態ほど,評価値が低くなることが確認された.今後は,提示する負荷の種類に応じた指標の変化について継続的に分析を行う予定である.
休 憩(15:00 再開) 座長 吉田 久(近畿大)
D-7-6 |
上腕圧迫解放時における脈波の歪み特性による食事を考慮した非侵襲血糖値推定手法
◎佐久間優樹・西尾啓汰(青学大)・鏑木崇史(国際基督教大)・栗原陽介(青学大) |
D-7-7 |
末梢血管剛性を用いた筋交感神経活動の非侵襲的推定
○坂川俊樹・古居 彬(広島大)・平野陽豊(静岡大)・秋吉 駿・笹岡貴史・曽 智・岡田芳幸・吉野敦雄・中村隆治・佐伯 昇・吉栖正生(広島大)・河本昌志(JR広島病院)・山脇成人・辻 敏夫(広島大) |
D-7-8 |
簡易な脳波計測における適応フィルタを用いたアーチファクト除去検証
◎佐藤康平・堀江亮太(芝浦工大) |
D-7-9 |
CNNに基づくマンモグラフィー画像からの乳がんの診断法
◎董 璘・井上光平・原 健二・小野直樹(九大) |
D-7-10 |
脳波情報に基づく作業効率向上のための光刺激呈示システムの研究
◎山﨑誠司・島田尊正(東京電機大) |
糖尿病患者は、食後の血糖値の上昇を抑制するため、食前にインスリン注射を行う。しかし、注射の際に穿刺針を用いた血糖値測定を行う必要があり身体的負担を伴う。したがって、本稿では自己回帰モデルによる連続なスペクトルを活用した、非侵襲的な食前血糖値の推定手法を提案する。まず、本稿では、食前のデータや食後3時間以上経過している空腹時血糖値のデータを食前のデータとして使用する。上腕式血圧計のカフ圧の連続時系列データに対して、A/D変換を行い、自己回帰モデルを構築することで、高調波成分となるスペクトルを算出する。この値を特徴量とし、重回帰分析により血糖値を推定する。検証実験の結果、正答率0.81という結果が得られた。
【目的】本稿では,侵襲計測が不可欠な筋交感神経活動(Muscle sympathetic nerve activity: MSNA)を非侵襲計測が可能な末梢血管剛性から推定する方法を提案する.【方法】健常成人男性6名を対象に,バルサルバ試験中の末梢血管剛性からMSNAを推定した.推定MSNAの妥当性を検証するために,推定MSNAと拡張期血圧の相関解析を行ない,交感神経系圧受容体反射感受性を評価した.【結果】バルサルバ試験中の血圧降下時において,推定MSNAと拡張期血圧の間に高い負の相関を確認した(r = -0.96 ± 0.04, p < 0.05).【結論】末梢血管剛性を用いて,非侵襲的に推定したMSNAから交感神経系圧受容体反射感受性を評価できる可能性を示した.
近年,簡易かつ安価な生体信号計測装置が登場しており,実生活での応用が期待されるが脳波計測においてはアーチファクトが混入しやすく除去する必要がある.そこで,本研究では,簡易生体アンプを用いて複数生体信号の計測を行い,適応フィルタを用いたアーチファクト除去手法の検証を行う.本研究では適応フィルタを4層にしたカスケードモデルを用いて心電,筋電,水平眼電位,垂直眼電位由来のアーチファクト成分の除去を行い,信号対アーチファクト比(SAR)とSN比を用いて評価を行った.提案手法の適用前に比べ適用後ではSAR,SN比の値が共に減少していることから提案手法はアーチファクト除去に有効だと考えられる.
近年,乳癌はその高い病原性のために,女性の主要な死因の一つとなっており,腫瘍の早期診断が重要な課題になっている.医療画像診断は早期乳房腫瘍の一般的な診断方法である.本論文では,マンモグラフィー画像の乳腺疾患分類の精度を改善するために,改善されたCNN分類モデルの開発を目的とする.
本研究では、過去の研究においてヒトに癒し効果を与えることが報告されている1/fゆらぎを持つ緑色光を用い、作業効率を効果的に高めるためのストレス軽減光刺激呈示システムの検討を行った。実験では光刺激を呈示してクレペリンテストを行った場合と光刺激を呈示せずにクレペリンテストを行った場合の生理的影響、心理的影響、作業効率を比較した。その結果、1/fゆらぎの光刺激を呈示してクレペリンテストを行った場合にストレス軽減による抑うつの軽減とともにモチベーションの向上、および活気(興奮・覚醒)の軽減により安静状態がもたらされることによる集中力の向上の可能性が示され、作業速度の有意な向上も確認できた。
D-8. 人工知能と知識処理
3月18日 9:30〜11:15 工学部 講義棟1F 114講義室 座長 藤田桂英(東京農工大)
D-8-1 |
単一重み行列を含む多層化リカレントニューラルネットワークの研究
○櫻井孝憲・浅井紀久夫(放送大) |
D-8-2 |
A Study of Punctuation Prediction Model for Domain-free Text
○Wenqing Wei・LI Sixia・DANG Jianwu(JAIST) |
D-8-3 |
適切な話題を返答するチャットボットについての考察
◎金子 剛・五百蔵重典(神奈川工科大) |
D-8-4 |
コーパス間の単語の用途の差異に着目したマイクロブログにおける隠語検出
○羽田拓朗・清 雄一・田原康之・大須賀昭彦(電通大) |
D-8-5 |
抽象構文木を利用したソースコードのレベル分類
◎鈴木祥太・山崎憲一(芝浦工大) |
D-8-6 |
知識可視化システムKuBOTを用いた知識構成要素分析の試み
○岩井憲一(滋賀大)・針尾大嗣(摂南大)・田中康裕(社会データ構造化センター)・源城かほり(長崎大)・吉見憲二(佛教大)・谷本和也(阪市大)・小舘亮之(津田塾大) |
D-8-7 |
クラウドソーシングにおけるアイデア生成過程の逐次改善によるタスク指示法
◎滝井健介・松原繁夫(京大) |
Neural Networkの一分野に、時系列などの順序性のあるデータを取り扱うRNNがある。RNNの一種であるLSTMは様々な応用がなされており成功している。
しかしLSTMは複雑な構造をしているためLSTMを簡略化する提案が複数なされている。簡略化の基本的方向性はCECおよびゲートの削減である。本論文では、派生型のなかで最も簡略化されているRHN(Recurrent Highway Networks)を主な題材にして、その隠れ層重み行列を含む項を除いた構成SRNN(Single weight matrix RNN)を考案し、性能評価実験によりその有効性を検証する。
The experimental results showed that BLSTM-Multi model performs better than BLSTM-Sport model. This result support our view that information is useful to punctuation prediction task.
After taking the domain information via multiple task learning, one can see that the performance was improved in all cases.
非タスク指向型ボットには,すぐに話題が変わってしまうという問題がある.発話文と同じ話題が返ってくるチャットボットを作成することを目指す.提案方法として話題ごとのボットエンジンを作成し,これを切り替えることで適切な話題が返ると考える.話題は,スポーツ,勉強,食べ物の3つで,1つのボットエンジンと3つのボットエンジンを切り替える方法で比較をする.従来方法よりも適切な話題が返ってくることが多いことが分かった.また,話題を判定する部分の精度が高いほど適切な話題が返ってくることが多いため,話題判定の精度を高めることが重要である.
近年増加するマイクロブログでの援助交際や違法薬物取引等の犯罪防止に向けたサイバーパトロールを支援す
るため, 犯罪を誘導するツイートの検出を目指す. そのために, 本稿では犯罪誘導ツイートに含まれる可能性が高
い隠語, および隠語と共に出現する傾向が高い単語を推定することを目的とし, 二つのコーパス間の同じ単語の用途の差異に着目し, word2vecを用いて構築した単語分散表現モデルを活用し, コサイン類似度上位に出現する単語の差異から隠語等を検出する方法について提案する.
プログラムを深層学習のモデルに学習させる様々な手法が考案されている.コメントやインデントといった意味に関係のない特徴を取り除き,プログラムの意味だけに注目した抽象構文木を利用した研究がある.抽象構文木を深層学習のモデルに入力する際に様々な変換方法が考案されている.本研究では抽象構文木の各ノードを,そのノードが持つ子ノードによって表現する方法を提案する.提案手法を用いた場合と提案手法に親情報を付与した場合,抽象構文木をそのまま入力した場合で比較実験を行った.収集したプログラムに対して難易度のレベル分類を実施したところ,提案手法の優位性が確認された.
教育や業務の現場では仲間との協力が欠かせない.このやり取りを円滑に勧めていくには,仲間内で必要な知識等の共有を推し進めるナレッジ・マネジメント活動が重要となる.この成果を遺そうと更に推し進めたものが,事例アーカイブである.Yahoo! JAPANの「Yahoo!知恵袋」もその一例であり,膨大な質問と回答が蓄積されているが,それらの多くは一般ユーザによる書き込みであり,適切な内容とは言い難い.
筆者らは,「Yahoo!知恵袋」を題材とし,質問と回答に内在する知識や主観・感性情報の関連性の解明を目指して研究を進めてきた.本稿では,筆者の岩井が開発した知識可視化システムKuBOTを用いた知識構成要素の可視化と分析に関する取り組みについて述べる.
アイデア生成は製品開発や創作等の過程の起点となり,全体の方針を定める重要なステップであり,近年ではクラウドソーシングの手法を用いて新製品のアイデアを収集する企業が増えている.本稿では良いアイデアを「高い独創性と実現可能性を持つアイデア」と定義し,クラウドソーシングにおけるより良いアイデアの収集を目的とした多段階タスクの指示方法を提案する.アイデア生成課題の指示方法,および課題中に他者の回答を参照させることの効果に関する実験の結果,逐次タスクが質の低いアイデアを改善させることが判明した.これに基づき,第1段階で得られたアイデアの特徴によって次段階での指示方法を変えることで効果的にアイデアを改善できる多段階タスクのモデルを作成した.
3月18日 13:30〜16:15 工学部 講義棟1F 114講義室 座長 清 雄一(電通大)
D-8-8 |
従来の判別に対するニューラル比較器を用いた判別の特徴
○寺村正広(佐世保高専)・重井徳貴(鹿児島大)・下尾浩正(佐世保高専)・南部幸久(有明高専) |
D-8-9 |
全結合層の小型高速化を実現する「幹刈り」回路方式の提案
○白石忠明(三菱電機マイコン機器ソフトウエア) |
D-8-10 |
Multi-CNNs融合に基づく乳がんの転移有無の判定手法
◎△葛 睿剛・陳 国躍・猿田和樹・寺田裕樹(秋田県立大) |
D-8-11 |
不均衡データクラスタリングを用いた機械学習の判断根拠説明における安定化手法の提案
◎中野 翔・内田真人(早大) |
D-8-12 |
受信データ群を活用した誤りを含む人工衛星テレメトリデータの元データを推定するアルゴリズムの検討
○寺西勇裕・徳光政弘(米子高専)・浅井文男(AMSAT-NA)・高田 拓(高知高専)・若林 誠(新居浜高専) |
生物の神経細胞であるニューロンの情報処理機能を簡素化したモデルをもとに,ニューラル比較器を以前提案した.可変論理演算,蓄電池の残容量推定,重心位置の識別,傾斜角の判別,などに応用し,良好な結果を得た.応用例を通して,従来のニューラルネットワークや比較器を用いた判別と比べ,ニューラル比較器を用いた判別の利点と欠点などの特徴を明らかにする.提案のニューラル比較器は,リアルタイム性と動作の信頼性および低コストが求められるが,判別の高い分解能や学習機能が求められず,従来の比較回路より複雑な判別が必要な分野への応用が適していることが分かった.
深層学習CNNによる画像認識に於いては、処理量が膨大である事より組み込み系システムへの実装は困難であり、高価なGPUによる処理が求められる。一方、代替デバイスとしてFPGAが挙げられながらも、同様に高価なSoC-FPGA型への実装事例に留まっている。
弊社では、如何に廉価なFPGAにCNN処理回路を実装し得るかの開発を進めており、GPUと同等以上の処理速度を専用回路化により得られた為に、その内容について報告する。尚、最新の物体検知では多数の畳み込み層により構成されるが、本報告は主に全結合層処理に関して行う。
近年,日本における女性の乳がんの罹患率は年々増加している.一方,日本の現役の病理医不足し,病理による診断結果の差も深刻な問題になっている.そこで本研究では,深層学習の分野における120万枚のImageNet画像を学習させた2つの畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の一部を並列に融合し,Z-sore前処理とFine-tuningを行い,乳がんの転移有無を自動的に判定するモデルを提案する.デジタル病理組織の標本画像(WSI)であるPatchCamelyon(PCam)に対する乳がんの転移有無の性能評価実験の結果,単一 CNN の判定性能を上回ることを確認できた.
機械学習は幅広い分野で利用されている.しかし,その予測根拠を人間が理解することができる形で説明することは難しい.機械学習に説明を与える手法の中で最も代表的なLIMEには,同一の予測結果に対して異なる説明が生成される問題がある.これに対する改善手法にも,不均衡データに対する精度が犠牲になる手法が多い.本研究では,不均衡データに対しても精度を損なわずに,一貫した根拠説明を生成できる手法を提案する.また,3種類のデータセットに対してLIMEと提案手法による説明生成を複数回実行し,その説明内容の一貫性と少数派クラスデータの生成数を比較することで,本手法による説明の安定性と妥当性の高さを示す.
本研究は、CRC-16を誤り検出に使用するテレメトリデータについて、誤りを含む受信データから元データを推定する情報処理手法をシミュレーションを用いて検討した。超小型衛星の通信は、アマチュア無線体を使用するものは誤り検出にCRC-16を使用する。提案手法は、総当たりの探索を基本とし、元データの候補を絞り込むためにテレメトリデータが含む観測値等の情報を解候補絞り込みのヒントとして使用した。シミュレーションでは3ビットの以下の誤りを含むテストデータに対して、元データを推定できる可能性を検討した。
休 憩(15:00 再開)
D-8-13 |
空間を理解したロボットの自律移動制御
◎張 斌・仙石龍司・林 憲玉(神奈川大) |
D-8-14 |
宅配における移動型配達拠点を用いたドローン配達システム
◎中川凜一・竹本達哉・原嶋勝美(阪工大) |
D-8-15 |
フードバンクにおける食品配送スケジュール最適化手法‐強化学習の適用に向けた検討‐
◎飯山 燈(東京高専)・Niko Haapalainen(メトロポリア応用科学大)・植松航太・北越大輔・鈴木雅人(東京高専) |
D-8-16 |
継続的なMAPD問題におけるタスクの接続性を考慮するタスク割り当ての検討
◎下川真典・松井俊浩(名工大) |
D-8-17 |
挿入操作PSO戦略に対する高速化の検討
◎△猪股能成・高見利也(大分大) |
近年,自律移動ロボットに関する研究が盛んで行われており,実空間で安全かつ効率的な移動が実現されている.しかし,ロボットの社会的な受容性を向上するためには,周りの環境を認識し,空間を理解した上で,最適かつ自然な通るべき道を生成する必要がある.例えば,人間のパーソナルスペースやリスクの高い場所と他人に不快を与える行動を避けらないといけない.そこで,本研究では人物や物を認識し,その属性によって周りの空間をどのぐらい使用しているかを定量的に評価し,ロボットに影響することで,自律移動ロボットを自然な最適ルートで移動させる.ロボットの移動制御はポテンシャル場で実現する.物体の周りの空間は使用度合によって,ロボットに斥力を与える.シミュレーションと実機実験を通じて,提案手法の有効性を示す
宅配を始めとして、大多数の荷物はトラックによって配達されている。このため再配達の増加や人手不足などが問題となっている。
そこで近年、各企業は個別配達ではなくコンビニエンスストアへの配達で再配達の軽減を図っている。さらに、配達にドローンを用いることで人手不足の解消を目指している。
本研究では、効率的なドローンの運用を考慮して移動型配達拠点を活用した配達システムを提案する。
近年,日本をはじめとする先進国では食品ロスが深刻化している.そのような背景の中,食べられるにも関わらず廃棄される食品を貧困者に提供する“フードバンク”等と呼ばれる団体の活動が活発になってきている.フードバンクでは各拠点間で不足した食品を補い合う必要があるため,限られた予算の中で,効率的な配送管理の実現が求められる.そこで本研究では,フードバンクにおける配送管理の効率化を目指し,機械学習の一手法である強化学習を用いた食品配送スケジュールの最適化手法を提案する.シンプルな仮想環境下において予備実験を行い,スケジュール学習の結果の妥当性や,今後の実用化に向けた課題等について考察する.
MAPF (Multi Agent Path Finding)問題は、複数のエージェントがそれぞれの目的地に移動する際に、エージェント同士が衝突しない経路を計画する問題である。本研究では、MAPFを継続的な問題に発展させたMAPD (Multi Agent Pickup and Delivery)問題に注目する。従来手法では、エージェントがタスクの集荷位置に向かう経路で遠回りすることがあった。このような冗長な移動を削減するために、他のエージェントのタスクの完了時刻と場所に基づき、タスク間の接続性を考慮するタスク割り当てについて検討する。提案手法により、集荷経路長が抑制される傾向がある一方で、総移動経路長等とのトレードオフの課題も示された。
巡回セールスマン問題を粒子群最適化のアルゴリズムで解けるようにした手法に挿入操作PSO戦略がある.本研究では,この手法を高速化させるために,領域を分割した状態である程度,探索を行った後に領域を結合し探索を続ける方法を提案する.実験では,分割をした場合としなかった場合での厳密解との誤差を比較し,同程度の誤差になることを確認した.さらに,計算速度では,分割しているときの各ステップごとの処理時間が分割していないときの約半分になっていることが確認できた.
D-9. ライフインテリジェンスとオフィス情報システム
3月18日 13:30〜16:15 総合科学部 K棟2F K208講義室 座長 田岡智志(広島大)
D-9-1 |
ユーザの興味とコメント分布によるニコニコ動画の分析
○小西敦郎・細部博史(法政大) |
D-9-2 |
半連想漢字直接入力によるタブレット用フリックキーボード
○△中村優哉・細部博史(法政大) |
D-9-3 |
メタデータ連携基盤の提案と教育への活用の一検討
○佐藤壮一・大亦寿之・藤沢 寛・藤津 智(NHK) |
D-9-4 |
コンテンツ起点によるIoT機器制御のための推奨情報記述
◎阿部晋矢・遠藤大礎・小川展夢・藤沢 寛(NHK) |
D-9-5 |
ユーザ文字入力を利用した放送連携システムの設計と試作
○遠藤大礎・阿部晋矢(NHK)・髙木 衛・谷田和郎(朝日放送テレビ)・藤沢 寛(NHK) |
D-9-6 |
ユーザーの文字入力を利用した放送連携サービスの検討
○髙木 衛(朝日放送テレビ)・遠藤大礎・阿部晋矢・藤沢 寛(NHK)・谷田和郎(朝日放送テレビ) |
ニコニコ動画とは,ドワンゴが提供している動画配信サービスである.ニコニコ動画に投稿された総動画数は約1.7千万件で,キーワードやタグによる検索や関連動画などの機能だけでは,その中からユーザが興味のある動画を見つけるのは難しい.本研究では,ニコニコ動画のTime-sync Comment (TSC)とコメントの特徴を用いた動画の分析手法を提案する.TSCは,ユーザが現在見ている動画上の位置にコメントが表示されるという特徴がある.多くの動画は動画の初めと終わりにコメント数が増加するが,あいさつなど動画の内容に直接関係のないものが多い.そのため,この時間帯以外にコメントをしたユーザの関連性を重視した動画の分析を行う.
現在,日本語入力の手法の一つとして漢字直接入力がある.通常利用されるかな漢字変換に比べ,変換の手間が省けるため,より高速で,判断を必要としない入力が可能になる手法である.漢字直接入力は大きく連想式と無連想式に分けられるが,本手法は完全な連想式ではないことから,半連想式と呼んでいる.現在,このような漢字直接入力の手法は,タブレットでの入力には存在しない.そこで,本研究では,以前提案した研究を拡張することで,タブレットを保持したまま漢字を入力できる , フリックキーボードベースの漢字直接入力の手法をタブレット端末用に提案する.現在は,長期の実験の途中であり,結果から徐々に入力速度が向上していることが確認できた.
教育分野では超スマート社会「Society5.0」に向けた「学校ver.3.0」が提案され,個別最適化された学びが注目を集めている.NHKでは追及する「公共的価値」の1つとして教育を挙げており,番組などのコンテンツを多く提供している.我々は関連する映像コンテンツ提示の際に,コンテンツ同士の関連性を提示することが学びの個別最適化につながる可能性を示した.既存手法では,あるコンテンツに対して他のコンテンツへの関連性(「基礎を確認したい」「レベルアップしたい」など4つのカテゴリー)を人手で新たに付与した.しかし,関連性を付与すべきコンテンツ数が膨大であるため,本稿では学習者にコンテンツと共に提示する関連性を自動推定するためのメタデータ連携基盤を新たに提案する.
スマートフォンやIoT機器など家庭内のさまざまな機器がネットワークと接続し,W3C Web of Things (以下WoT)など多様化する機器を活用する規格や技術が議論されている.放送サービスも,従来の情報提供だけでなく多様な機器との連携が求められるが,既存の規格や技術のみでは実現できない.そこで,これまで我々はIoT機器を放送サービスと連携して制御する仕組みとして,放送・IoT連携アーキテクチャを提案した.放送・IoT機連携アーキテクチャではIoT機器の制御情報を含んだコンテンツのメタデータであるContent Descriptionを用いる.本稿では,既存手法には存在しない抽象的な視聴環境の推奨情報をContent Descriptionに定義し,推奨情報からIoT機器の制御を実現するContent Descriptionの新しい構成を提案する.
これまで,さまざまな放送通信連携システムによって,放送と外部サービスとの連携がなされてきたが,ユーザにとって受動的なサービスとなっていた.そこで本稿では,ユーザの能動的な行動の一つとして文字入力に注目し,Input Method Editor (IME)の機能を拡張することで,ユーザ起点での行動に放送サービスが寄与しうる放送連携システムとして,放送連携IMEを設計・試作したので報告する.
リアルタイム視聴やコンテンツ価値の向上を目的として,テレビ番組や広告と連携した放送サービスが広く実施されている.そして,ハイブリッドキャストの端末連携機能の拡張を可能とするハイコネ・ライブラリにより,今後も様々な放送連携サービスが検討されると思われる.そこで今回,ユーザーの文字入力に着目し,放送と連携するサービスの検討及び試作を行なったので報告する.
休 憩(15:15 再開) 座長 山元規靖(福岡工大)
D-9-7 |
深層学習を用いた自動生成レシピの類似度に関する一考察
◎国沢征哉・岸本頼紀(東京情報大) |
D-9-8 |
TRPGゲームシナリオ作成のための深層学習を用いた人物行動自動生成システムの提案
◎佐野佑騎・岸本頼紀(東京情報大) |
D-9-9 |
発達障害者向け時計の一提案
○小薗史弥・岸本頼紀(東京情報大) |
D-9-10 |
端末画面表示情報を利用した業務文書参照支援手法の検討
◎卜部有記・小笠原志朗・大石晴夫・中村宏之(NTT) |
深層学習の特徴として、学習を繰り返すことで結果が収束するというものがある。レシピなど多様なものの自動生成においては、この特徴が問題となる。収束しすぎると多様さが失われ、収束に遠いと結果が望ましくないままとなる。そこで、LSTMを使用した料理レシピの自動生成結果について、その収束傾向について調査する。学習回数に基づく生成されたレシピの類似度を調査することで、学習回数に基づく結果の収束傾向を得ることができ、これらの結果に対して官能試験により「レシピとして実現できる」と感じられる閾値が得られれば、より多様なレシピ自動生成の基準がわかると考えられる。
A recipe recommendation system using deep learning has been proposed. However, in deep learning, the results converge as the number of epochs increases. In the recipe recommendation system, it is better to vary the results.
So, we check the similarity of result recipe using deep learning. In addition, recipe requires it can cook. So, we check the possibility of recipe using questionnaire.
ディープラーニングを使用したT-RPGシナリオ作成用のキャラクターアクションジェネレーターを提案しました。TRPGのシナリオ作成は、初心者には困難です。 理由の1つは、ノンプレイヤーキャラクター(NPC)アクションについて設計することが難しいことです。 TRPGシナリオは、これらのアクションの前兆およびイベントとしての影響を受けています。 ただし、知識と実験が不足しているため、初心者は効果的なNPCアクションを設計できません。 そのため、NPCアクションジェネレーターはシナリオ作成に効果的です。このシステムは、小説の文から主題と述語を抽出します。 次に、Deep Learning(LSTM)を使用して、主題と述語の連結をトレーニングします。 最後に、このコーパスを使用して主語と述語を生成します。 エディターは、この結果を使用してシナリオを作成します。本稿では、ディープラーニングを用いたT-RPGシナリオ作成のためのキャラクターアクションジェネレーターを提案し、TRPGシナリオ作成のためにこのシステムに適用できることを示します。
It is difficult for developmentally disabled to understand a clock. It has been many proposed that learning support method of this problem. However, these methods focused on the understanding clock. Thus, In some cases, Developmentally disabled can understand the time, but not the passage of time. So, we propose a clock for Developmentally disabled. This clock shows current time. And user input a time length to this clock. So, additional clock hands appear in clock that pointed to elapsed time.
In this paper, we proposed an idea of a clock for Developmentally disabled, and it shows effects of using this tool Developmentally disabled.
業務実施中のイレギュラーな場面で,不明点解消に必要な業務文書を誰でも簡単に参照可能とするため,業務状況に応じて業務文書を自動的に検索・提示する手法を提案する.また,業務状況の検索への反映方法の違いが検索結果に及ぼす影響について,実業務での評価結果を報告する.
3月19日 13:30〜16:30 総合科学部 K棟3F K310講義室 座長 荒井研一(長崎大)
D-9-11 |
実測の人流データに基づく歩行者行動の分析
◎藤田智子・長尾智晴(横浜国大) |
D-9-12 |
深層学習を用いた受信電波強度による屋内測位の精度評価
◎成田悠馬・路 サン・鎌部 浩(岐阜大) |
D-9-13 |
生活活性度測定システムの研究
◎松田健太郎・西 宏之・岡本 学(崇城大) |
D-9-14 |
生体情報を活用した作業員管理システムにおける情報提供機能の検討
○高見 愛・藤田秀平・原内 聡(三菱電機) |
D-9-15 |
動作パターンの教師なし符号化を用いた業務行動認識法の検討
◎三幣俊輔・田中 毅・栗山裕之(日立) |
D-9-16 |
作業者視点映像における対象位置と作業者行動に基づく場面検索
○久保田 遥・片岡 明・大石晴夫・中村宏之(NTT) |
D-9-17 |
自転車競技における表面筋電位信号を用いたフィードバックシステム
○田中健太郎・塚田信吾(NTT)・小西一也(NTTデータ)・中西安弘・山本拓実・長谷川彰洋(ブリヂストンサイクル) |
近年,駅や都市部などの人が集まる場所で人流を分析し,人流シミュレーションを行うことで,安全性の向上や地域の活性化に役立てる取り組みが進んでいる.より現実的なシミュレーションを行うためには,場所ごとに発生する行動をとらえる必要があると考える.本研究では,実際にクイーンズスクエア横浜で計測された2次元の人流データを用いて歩行者行動の分析を行った.歩行者の速度,角速度といった動きから歩行者行動を定量化し,クラスタリングを行うことで,計測場所で発生する全体的な人流の傾向を捉えることができることを確認した.
近年,モバイル端末などが搭載する測位機能は,SNSやゲーム,ナビゲーションシステムなど幅広い分野で利用されている.また,産業分野においてIoTやFAが注目されており,機械や部品等の位置を正確に測定することの重要性が増している.
測位にはGPSの利用が一般的である.しかし,衛星からの電波を利用するという特性上,衛星からの電波が届かない屋内環境では利用が困難である.そこで,設置コストの低い無線LANを利用した測位の研究が盛んに行われている.本研究では,深層学習を用いてモデルを学習させることにより,適切なパラメータを探索し,無線LANを用いた屋内測位の精度を向上させることを目的とする.
著者らは引きこもりの生活の活性度の変化を客観的に識別し,異常時にアラートを提示するシステムのために,ニューラルネットワーク(NN)を用い音により活性度を評価する手法について研究を行っている.生活作業音を収録し,あらかじめ活性度を生活活性度として十段階でラベリングする.NNの学習の際に,十段階を二段階に分けた場合と三段階に分けた場合についても検討し、学習・評価を行った.二段階に分けた場合の実験では75.2%の識別率で,さらにパワーによりデータの範囲を限定すると88.2%の識別率であった.データの分布に従い三段階に分けた場合の実験では98.3%まで向上した
生体情報を活用した作業員管理システムにおける作業員と管理者側との情報提供の仕組みについて提案する。筆者らは、心拍や体温といった生体情報を活用し、作業員の体調や作業負荷を把握して作業を割り振るといった機能をもつ作業員管理システムについて研究している。作業員管理システムの現場適用における課題は、生体情報の適切な取り扱いや、作業に支障を与えず継続的に生体センサを装着してもらうことなどがあげられる。今回、作業員に対する動機づけを目的に、作業員管理システムにおける情報提供機能のコンセプトを提案する。情報提供機能は、作業員の情報を管理者側に提供するだけでなく、管理者側も作業員の熟練度といった作業員にとって有益な情報を提供することができる。
センサデータを用いたヒトの行動認識技術が広く研究されている.しかし、行動認識技術を業務行動認識に適用する場合、行動の認識実現に必要な人手の介在の負荷が、多様な業務行動の迅速な認識実現の障壁だった.本研究では、業務行動認識における人的負荷のうち、行動認識モデル作成に用いる特徴抽出の試行にかかる負荷削減を目指し、教師なし学習による典型動作パターンの符号化と符号系列からの意味抽出を用いた業務行動認識手法を提案し、特徴抽出の自動化を試みた.介護業務の実データを用いて認識精度を評価した結果、提案手法は人手で抽出した特徴量を用いる従来手法と同程度の認識精度で業務行動を認識可能であることを確認した.
工事等の作業を行うにあたり、作業者視点で撮影されたカメラ映像は作業ログとして有効であり、マニュアル化、業務分析、作業証跡等への活用が期待される。映像から特定の場面を抽出するとき、目視での作業は手間がかかり非効率であり、また、画像認識を用いた手法では似たオブジェクトが多数存在する環境で特定の対象のみに関する場面の検出が難しい。よって本研究では、類似オブジェクトを判別する識別子として視点映像内から対象の設置位置を抽出し、ユーザが撮影範囲の地図上から特定の対象の位置を指定することで、特定の場面を効率的に検索する手法を提案する。
携帯性に優れたウェアラブルデバイスを使った生体計測の試みがスポーツ分野でも盛んであるが、表面筋電位データの活用に関し、実際のトレーニング現場での活用は進んでいない。本稿では、自転車トラック競技において、実走行中の表面筋電位を取得し、カーブと直線区間における表面筋電位の変化や、疲労と相関のあるMNF値の時系列変化を実走行のデータから捉え、選手へとフィードバックを行った。またこれらの指標やデータの傾向を現場で速やかに可視化するシステムの試作開発を行った点について報告する。
休 憩(15:30 再開) 座長 岡本 学(崇城大)
D-9-18 |
Instagramにおける画像特徴と「いいね!」獲得数に関する基礎調査
◎成瀬水穂・土方嘉徳(関西学院大) |
D-9-19 |
スマホ依存改善のためのアプリ制限機能の使用ユーザ予測
◎安冨勝貴(早大)・浜村俊傑・本庄 勝・米山暁夫(KDDI総合研究所)・内田真人(早大) |
D-9-20 |
ばらまき型攻撃メール検知に関する一検討
○佐々木昌樹・齊木あずさ・名児耶光一(ナカヨ) |
D-9-21 |
トピック推移を利用したイベント関連語の抽出
◎武田直人・美嶋勇太朗・南川敦宣(KDDI総合研究所) |
本研究では,最も人気のあるSNSで,画像に特化したSNSであるInstagramを対象に,どのような画像の投稿が「いいね!」を獲得しやすいかを調査する.投稿者本人(自分)の顔が写っているか否か,第三者の顔が写っているか否か,写真の内容(食べ物,風景,オブジェ)を画像特徴として,いいね率(当該投稿のいいね数÷そのユーザのいいね数の平均)に違いがあるかどうかを,実データより検証した.その結果,人の顔が写っているかどうかと風景の写真が「いいね!」の取得と関係することが分かった.
近年、青少年へのスマートフォンの普及に伴い、その過剰な利用や長時間のインターネット利用をはじめとする、スマホ依存が問題視されている。
これらのスマホ依存の問題に対処するため、KDDI総合研究所は「勉強うながしホーム」を開発した。勉強うながしホームをインストールすることで、使用するアプリが制限された勉強モードと制限のない通常モードに切り替えが可能になる。
一方で、実際に勉強モードを使用するようなユーザが勉強うながしホームをインストールしなければ効果は見込めない。
本研究の目的は、勉強モードを使用するかどうかを予測するモデルを作成することである。さらに、どのような被験者が勉強モードを使用するのかを明らかにする。
近年,メール攻撃で最も多いパターンとなっているものとしてばらまき型攻撃メールがある.本検討では,業務カテゴリ(部署名と当該部署でのみ使われるキーワードを対応づけて記憶したカテゴリ)と,職務カテゴリ(役職名と当該役職名の者のみが使うキーワードを対応づけて記憶したカテゴリ)を使用することでばらまき型攻撃メールを判断・検知し,メール受信者に警告する内容について検討した.
ユーザのスマートフォンから取得したGPS位置情報を利用することにより,メッシュ単位での人口動態異常を検知できる.人口動態異常の原因となったイベントを推定することで,ユーザへの詳細な情報提供やイベント別の行動分析が可能となる.従来手法では,メッシュ内に存在するPOI名称を含むツイート群を利用したイベント推定が行われているが,POI名称と共起しやすい単語がノイズとなる場合がある.そこで本研究では,ツイート群からトピック推移を抽出し,イベントが発生した期間に発生確率が上昇するトピックを選択することにより,イベント推定の手掛かりとなる関連語を抽出する手法を提案する.
D-10. ディペンダブルコンピューティング
3月17日 9:30〜11:30 工学部 講義棟1F 117講義室 座長 三宅庸資(九工大)
D-10-1 |
多深度海水温連続観測装置の平均修復時間短縮を目的とした自己診断機能の開発
◎井村洋介・遠藤慶一・黒田久泰・小林真也(愛媛大) |
D-10-2 |
CPU負荷を低減するための安全制御向け冗長化タスクスケジュール手法
○塚本洋平・遠山 治・伊東輝顕(三菱電機) |
D-10-3 |
CAN のバス電位補正によるビット誤り回避手法
◎横山慎悟・福本 聡(首都大東京) |
D-10-4 |
遺伝的アルゴリズムに基づくNoCの冗長経路配置探索に関する一検討
◎松田忠勝・新井雅之(日大) |
愛媛県の宇和海海域上に低コストの多深度海水温連続観測装置を設置している.この装置は,従来より価格を抑えた装置として開発され,海水温を取得しWebサーバに送信している.現在,装置の故障時は回収後に部品一つ一つ調査を行っているため,復旧までに時間がかかるという問題を抱えている.本研究では,装置に自己診断機能を実装することで,故障時に故障箇所がわかり,装置の回収・設置のために現地を往復する必要がなくなる.また,回収を必要とする故障であっても,回収後に故障箇所を調べるときの手がかりとなる.そのため,この機能は装置の平均修復時間短縮を実現できることが期待される.
1つのCPUで複数の安全制御機能を実行するシステムにおいて,
スケジュールの確定性, CPUの負荷低減,および動作速度の維持を同時に実現するために,
事前に設計した静的なスケジュールを複数格納して,動作状態に応じて切り替える方式を提案する。
本研究では,標準車載ネットワーク CAN(controller area network) における高電磁ノイズ耐性の強化を試みる.CANの受信側ノードでは,バスの2線間の電位差だけで論理値が判定されることに着目する.ノイズがあってもサンプリングの瞬間だけは正常な論理値が検出されるよう,特設ノードからの電流出力で電位差を強制するという,ノイズキャンセラ等とは異なった新しい耐ノイズ手法の実現について検討する.
NoC (Network-on-Chip)とは,プロセッサ内にネットワークを構築し,このネットワークを用いて複数のコアが互いに通信する技術である[1].NoCにおいてルータ間に冗長なリンクを付加することにより,リンク故障が発生した場合においても任意のコア間の通信が可能となり,歩留り向上による製造コスト削減が期待できる.本研究では,遺伝的アルゴリズム(GA)を用いてNoC の性能・コストが最適な冗長経路配置の探索を行った. 4*4Meshを例に評価を行った.
休 憩(10:45 再開) 座長 新井雅之(日大)
D-10-5 |
フィールドテスト向けオンチップ遅延測定回路のIoT適用
○三宅庸資・梶原誠司(九工大) |
D-10-6 |
ハイブリッドテストポイント挿入法のマルチサイクルテストへの適用とその性能評価
◎△中岡典弘・青野智己・王 森レイ・高橋 寛(愛媛大)・松嶋 潤・岩田浩幸・前田洋一(ルネサスエレクトロニクス) |
D-10-7 |
テストケース設計のための自然言語仕様の状態遷移図変換による仕様の記述漏れ修正支援
◎吉井亮介・村上神龍・青山裕介・久代紀之(九工大) |
VLSIの運用時の経年劣化に起因する故障が懸念されている.回路の劣化による遅延の増加を検出するには,フィールドでの定期的な遅延測定が有効である.著者らは論理回路の組込み自己テストによる遅延測定手法を提案し,温度電圧センサと組み合わせた環境変動に依存しない遅延測定メカニズムの実用化検証を進めている.遅延測定はシステムのパワーオン時などのテスト機会に実施するため,運用中のVLSIからテスト結果を取得する制御機構が必要である.本研究では,フィールドテストのための劣化検知技術において,TAP(Test Access Port)コントローラ等を利用した制御構造を提案する.また,測定結果を外部サーバに送信する必要があるため,オンチップ遅延測定回路のIoT適用について検討する.
マルチサイクルテストにおけるサイクル数の増加に伴う故障検出能力低下問題に対して,論理回路の可制御性を改善するための制御ポイント(CP)挿入法を提案する.提案法では,先行研究で提案されているTest-per-Clock方式におけるハイブリッドテストポイント挿入法(Hybrid-TPI)をTest-per-Scan方式のマルチサイクルテストに拡張する.さらに,提案法をベンチマーク回路に適用した評価実験を行い,その有効性を評価する.
システムテストケースの設計は,自然言語で書かれた仕様書から機能の動作条件と期待結果を抽出する作業である.ここで,自然言語で書かれた仕様書には機能の動作条件と期待結果に記述漏れがある場合があり,テスト設計者は,この記述漏れを補完しながらテストケース設計を行う.一方で,記述漏れは書かれていないところに気づくことが難しく,修正が困難である.
本研究では,仕様の記述漏れの発見・修正を支援するために,自然言語仕様から状態遷移図へ変換し、状態・トリガーの欠落として記述漏れを可視化するアルゴリズムを開発した.開発したアルゴリズムを用いて電気ポットの仕様を状態遷移図に変換したところ,欠落している6個の仕様を状態の漏れとして検出・可視化できることを確認した.
D-11. 画像工学
3月18日 13:30〜15:45 工学部 講義棟2F 219講義室 座長 宮崎 剛(神奈川工科大)
D-11-1 |
射影変換からなる画像レジストレーションを用いた鉄道設備の異常診断
◎貞国佑輔・青戸勇太・中村雅美・前田俊二(広島工大) |
D-11-2 |
昇降型全天球カメラを用いた距離画像の取得
◎北岡拓也・島田英之・島田恭宏・大倉 充(岡山理科大) |
D-11-3 |
学習型画像復元手法を用いたぶれ画像復元の性能改善
◎本郷雅貴・五藤正広・後藤富朗(名工大) |
D-11-4 |
LED光源を用いたホログラフィック三波長多重画像センシング
◎原 貴之(千葉大)・田原 樹・市橋保之・大井隆太朗(NICT)・伊藤智義(千葉大) |
鉄道設備において,電車線路設備はその種類と数が多く,目視による検査には労力がかかるため,検査の自動化が期待されており,対象設備の抽出と診断が必要である. 本研究では,特徴量を抽出する自己符号化器と診断を行う局所部分空間法を組み合わせて線路設備の異常診断を実現する方法を検討している.本報告では,特徴量を抽出する前に, 見え方の違いを抑制するために,連続的に取得した設備の複数画像に対して,SIFT特徴量をコントロールポイントとして射影変換による画像のレジストレーションを行う.その後,自己符号化器により抽象した特徴量に対し,学習データとの距離を局所部分空間法により求め,距離の大小により異常かどうか診断する.
近年,安価な全天球カメラが普及し,入手が容易になったという背景もあり,全天球画像を用いた研究が活発化している.本研究では,単一の全天球カメラを高精度に昇降できる環境下で,カメラを移動させつつ多眼全天球画像を撮影し,それらを統合することによって全天球距離画像の精度を向上させるための検討を行った.距離画像を統合することで,外れ値を除外し,より高精度な距離画像を取得できることがわかった.
近年,スマートフォンなどの小型デバイスの普及によりカメラでの撮影機会が増え,ぼけやぶれといった画像劣化を身近に感じることがある.ぶれ関数(PSF) が未知の場合,PSF と理想画像を交互に推定し復元する手法では画像の破綻が起こる場合がある.本稿では,ぶれのないシャープ画像とぶれが含まれた画像を学習させる学習型復元手法を用いて,特に自動車のような動きの速い物体を撮影した際に生じるぶれ画像の復元を想定し,学習に用いる学習画像を検討することで,復元画像の画質改善について検討する.
自然光下でのホログラムの撮影を実現する技術としてインコヒーレントディジタルホログラフィが近年盛んに研究されている.しかしながら,従来手法では色情報取得のために機械駆動部を必要とする.本稿では,インコヒーレント光源としてLEDを用いて,偏光レンズを通して波長多重ホログラムを記録し,波長選択位相シフト法に基づき計算機内で分光処理を行うことで,カラーの再生像の取得に成功したので報告する.本システムでは,波長フィルタ,機械駆動部,結像レンズを必要とせずに複数波長の三次元画像を同時にセンシングする.さらに,波長選択位相シフト法を用いることで,従来手法よりも少ない記録枚数でカラーの再生像が取得できる.
休 憩(14:45 再開) 座長 福嶋慶繁(名工大)
D-11-5 |
電子コミック画制作における肌領域を考慮したスクリーントーン自動化手法の提案
佐藤佳子・○宮崎 剛(神奈川工科大) |
D-11-6 |
動きヒストグラム変動を用いた画面揺れ抽出法の一考察
○児玉 明(広島大) |
D-11-7 |
ニュートンリングを用いたレンズ形状の定量化と仕上り予測
◎原 弘行・稲田淳志・山口浩英・天野光陽・松林幹太・前田俊二(広島工大)・池田竜二・坪井裕明(昭和オプトロニクス) |
D-11-8 |
スマートグラスを用いたコンベックス読み取りシステムの開発
○佐川浩彦(日立)・長坂 瑛(リクルートライフスタイル)・三之宮光太郎・川崎 勝(日立ビルシステム) |
本稿では,自動着色画像の漫画への活用のために,肌領域を考慮したスクリーントーン処理方法を提案する.着色された画像から肌色領域を抽出し、肌色を除去する.肌色を除去した画像を階調画像に変換し,スクリーントーンの処理を行う.最後に,スクリーントーン処理した画像と線画画像を加算して完成画像を生成する.実験として、提案手法で生成したスクリーントーン画像と,アプリケーションを使用して手作業でスクリーントーンを掛けた画像の2種類を用意し,主観評価をしてもらった.その際,8名の被験者には紙に印刷した画像について評価してもらい,4名の被験者にはパソコンやスマートフォンなどのディスプレイで電子的に表示した画像について評価してもらった.この結果から,電子的に見る場合は手動で作成した画像の方の評価が83.3%と高くなり,印刷して見る場合には提案手法で生成した画像の方の評価が70.8%と高くなった.
映像視聴時の生体安全性対策として,映像酔いへの対処が重要な課題として挙げられる.画面揺れ抽出法として,各連続するフレーム間で算出した動きベクトルにおいて,画面揺れが生じた場合,動きの連続性が失われる特性を利用し,動きヒストグラムの時間相関により判定する方法を検討している.しかし,画面揺れが含むシーンにおける誤検出と揺れ抽出精度に課題がある.そこで,画面揺れ推定を用いた方法を提案し,従来法と比較して,本手法の有効性について考察する.
製造業では少子高齢化による後継者不足,技術継承に多くの時間を要することが問題として挙げられ,熟練技能者に蓄積されたノウハウの継承が重要な課題となっている.本研究はオスカー式研磨機におけるレンズ研磨加工において研磨機のパラメータ設定に応じたレンズ形状の変化を分析することにより,研磨後継者を支援することを目的とする.本研究では,研磨条件を可視化し,ニュートンリング画像と画像化したカンザシ(研磨皿の支柱)軌跡を深層学習Convolutional LSTMに入力し,研磨条件に応じてニュートンリング画像を予測する手法を検討している.本報告では,ニュートンリング画像からレンズ表面の研磨が必要な箇所を定量的に求める手法について述べる.
ビルや工場などの保守点検では、設備や部品のサイズや位置をコンベックスで計測する場合がある。計測結果は作業員が記録用紙やタブレット端末に入力する方法が一般的であり、ヒューマンエラーが発生する可能性が高い。この問題を解決するため本研究では、スマートグラスのカメラで撮影したコンベックス画像から測定値を読み取るシステムを開発した。開発システムでは、加速度センサを用いた画像補正や距離に応じた画像上の測定点推定により、斜め方向からの撮影や光学シースルー方式による読み取りを実現する。評価の結果、オフィス環境の照明、光学シースルー、距離20~40cm、俯角40度以内において誤差±5mmの計測が可能であった。
3月19日 13:30〜15:45 工学部 講義棟2F 219講義室 座長 井上光平(九大)
D-11-9 |
薄明視における高演色LEDの比較
◎服部貴之・井上光平・坂本博康(九大)・白川康博(ヒロ・リサーチラボ)・津田亮二(東芝マテリアル) |
D-11-10 |
バイラテラルフィルタ画像を用いた画像強調処理
○小野直樹・井上光平(九大) |
D-11-11 |
小型衛星によるリモートセンシングのための画像圧縮手法
◎根橋宙之・伊藤 浩(日大) |
D-11-12 |
VVCにおけるブロック分割形状決定に関する一検討
◎大森優也・小林大祐・中村 健・岩崎裕江(NTT) |
高演色LEDの開発では,太陽光のスペクトルを再現することが目標のひとつとされる.筆者らは最近,様々な環境下での高演色LEDの性能評価に取り組んでいる.本稿では,薄明視における高演色LEDの性能評価法を提案し,2種類の高演色LEDの比較実験例を示す.
画像の鮮鋭化処理として用いられるアンシャープマスキング処理は,高周波成分を入力画像に加えることで鮮鋭感を向上させる処理である.加算に用いる高周波成分は,入力画像からその画像自身をぼかすことで得られる低周波画像を差し引くことによって得られる.しかしながら,細かい輝度変化をより鮮明にするために鮮鋭化を強くすると,物体の輪郭などのエッジの両側にアンダーシュートオーバーシュートの不自然なリンギング歪が生じやすい.
本研究では,エッジ歪を生じさせずかつ細かい輝度変化も効果的に鮮鋭化するために,バイラテラルフィルタを用いたエッジ歪の生じない鮮鋭化処理を提案する.
近年、小型衛星による宇宙利用が盛んになってきており、その中でも地上の様子を衛星から観測するリモートセンシング分野は注目を浴びるサービスの一つである。今後この分野において、衛星画像の高画質性や即時性が求められると予想される。このことから本研究では小型衛星によるリモートセンシングでの利用を想定した画像圧縮手法を提案する。K-SVD法とOMPを用いて基底辞書を生成し、これを用いて衛星画像の再構成を行なった。またPSNRと目視によって圧縮性能の評価を行い、JPEGと比べてより自然な見え方の画像をより少ない情報量で送信が可能であることを示した。
現在,HEVC に代わる次世代映像符号化方式としてVVC (Versatile Video Coding)の標準化が進められており,2020年10月の初版最終仕様(FDIS)の策定が予定されている.VVCでは,QTTTBTと呼ばれる木構造の再帰的分割法がブロック分割構造として採用され,性能向上において支配的な役割を果たしている一方で,QTTTBTによる分割形状決定の複雑化がVVCの処理量増加の主要因となっている.本稿では,段階的なブロック分割形状の絞り込みを行うことで処理量を削減する手法を提案する.提案手法により,VVCテストモデルと比較して平均BD-rate 1.57%の画質劣化で全体の処理時間を82%削減できることを確認した.
休 憩(14:45 再開) 座長 久保田 彰(中大)
D-11-13 |
帰還差分量子化を用いた内挿予測符号化における最適な予測係数の検討
藤澤雅樹・○久保田 彰(中大) |
D-11-14 |
3D映像制作のための宇宙科学データ変換 — 太陽地球科学データにおける試行 —
○三浦 昭(JAXA) |
D-11-15 |
2地点観測データを用いたオーロラ活動と地磁気変動との比較
○杉原聖信・小林 真・新 浩一・西 正博(広島市立大)・山内正敏(スウェーデン宇宙物理学研究所) |
D-11-16 |
単眼高速カメラによる移動物体の3次元振動変位計測
○今井 浩(NEC) |
帰還差分量子化を用いた内挿予測符号化に適した予測モデルを検討した.
実験の結果,符号量を小さくすることに成功した.
科学衛星等が取得したデータの多くは,研究者向けの特殊な形式で公開されている.
本稿においては,科学衛星「れいめい」の,多波長オーロラカメラ(MAC) データをサンプルとして,一般的なCGで利用可能な3Dモデルを生成する手法について述べる.
本稿で想定する3Dモデルは,撮像対象領域を示すポリゴンモデルと,UVマッピング用のテクスチャ画像で構成され,科学データが本来観測対象としている高高度の領域の再現に加えて,地表相当のテクスチャを再現するための座標変換や,地球のCGモデル等との不整合解消のための補正を含む.
我々の研究グループでは,スウェーデン宇宙物理学研究所(以下IRF)と共同で,オーロラ活動を調査しており,2014年よりスウェーデン・アビスコにてディジタルカメラを用いた全天オーロラ観測システム(ASC,All Sky Camera)を設置し,撮影を行っている.キルナに位置するIRFでは,2001年よりASCにより観測を行っている.本研究では,アビスコ,キルナのASCから得られたオーロラ画像と両地点で観測している地磁気の関連性を調査した.
画像計測による構造物表面の変位計測は、橋梁などのインフラ構造物などの劣化状態を、遠隔から非接触で検出する手段として有効である。これまでに、このような応用を目的とした、単眼カメラの時系列画像から面内・面外変位を分離して3次元変位を計測する方法の開発してきた。今回、本手法を基礎とした移動物体の3次元振動変位計測法を開発したので報告する。
3月20日 9:30〜11:45 工学部 講義棟2F 219講義室 座長 海野恭平(KDDI総合研究所)
D-11-17 |
スパース最適化およびARモデルに基づくビル壁面の傷の自動検出
○舘上花歩・雨車和憲(工学院大) |
D-11-18 |
視点間参照に基づく焦点ぼけ画像群からの光線空間予測品質の改善
○梅林秀朋(東京理科大)・児玉和也(NII)・浜本隆之(東京理科大) |
D-11-19 |
深層学習による道路損傷検出手法の一提案とその精度評価
○和田直己・竹内 健・金井謙治・甲藤二郎(早大) |
D-11-20 |
Transfer Rate Estimation in Edge-Cloud Neural Network Solution for Object Detection
◎△Libo Hu・Tao Wang・Yucheng Zhou・Hiroshi Watanabe(Waseda Univ.)・Shohei Enomoto・Xu Shi・Akira Sakamoto・Takeharu Eda(NTT) |
建物の日常の維持管理の重要度が増している.現在は技術者が視認で点検をしているが,これでは時間がかかるため,より効率的な点検手法が求められている.そこで現在は,画像処理の発展に着目した画像による手法が注目されている.先行研究では,ビルについては考慮されておらず,傷と同様にビルの継ぎ目も抽出してしまうといった問題がある.本研究では,継ぎ目のあるビルに対しARモデルを用いた傷の検出手法を提案する.はじめに,撮影された壁面に対し,スパースに傷が存在すると仮定のもと,ARモデルで表現される画像(AR画像)を作成する.次に観測画像とAR画像の差分処理を行い,輝度値で二値化することで,継ぎ目を除去する.実際に撮影した傷画像を用いた数値実験により,先行研究との比較において,提案手法の有効性を示す.
我々は,焦点ぼけ画像群から構造推定処理を要さず,直接に対象シーンの光線情報を予測する手法を提案してきた.
本手法によれば3次元の焦点ぼけ画像群を介し,多視点画像群すなわち4次元の光線情報を高能率に圧縮する枠組も構成できる.
本研究では,より高品質な光線情報の再構成に向け,適切な参照視点を用いた予測多視点画像群の補正手法を検討する.
日本の道路の多くが更新期に近づいている。しかしながら、将来、人手不足等の問題により十分な点検、補修をすることができないことが予想されている。そのため、道路損傷を自動で検知することが求められている。これに関連して、道路損傷の検知手法として、SSD等の深層学習による物体検知手法を用いたRoadDamageDetectorが提案されている。ただし、この手法では、道路損傷対象によって検出漏れが多い問題がある。また、筆者らは、電動アシスト自転車からモバイル端末に給電する道路損傷検知システムの試作を試みているが、ここで用いられている検出モデルでは計算量が多いため、自転車に取り付けられるスマートフォン等のモバイル端末では消費電力が大きくなる課題がある。そこで精度改善のために2クラス分類に落とし込んだ、異なる道路損傷検出手法を構築し、その精度評価を行う。その際、 MobileNetV2を利用することで、高速化も図る。
Edge devices operate not only to acquire images but also to recognize specific objects. However, edge only approach cannot take full advantage of the cloud’s cognitive capabilities. Edge-cloud cooperative approach has been proposed to solve this problem.
Data of feature map should be transferred from edge to cloud. When the number of edges is large, the transfer rate becomes a bottleneck. When edge can recognize specific objects by itself, transfer rate can be reduced. When edge has no confidence for recognition, the feature maps from the branch exits will be quantized and sent to cloud.
休 憩(10:45 再開) 座長 松尾康孝(NHK)
D-11-21 |
一般化ガウス関数を用いた確率モデリングによる画像の可逆符号化
◎山之口 輝・亀田裕介・松田一朗・伊東 晋(東京理科大)・海野恭平(東京理科大/KDDI総合研究所)・内藤 整(KDDI総合研究所) |
D-11-22 |
カラリゼーションにおけるグラフ信号処理に適した領域分割アルゴリズムの提案
◎窪田 司・雨車和憲(工学院大) |
D-11-23 |
機械学習に基づくマルチステップ超解像を応用した高解像度化処理手法
◎矢野仁愛・渡辺 裕(早大) |
D-11-24 |
深層学習によるフレーム補間の動画圧縮への適用
◎清水盛偉・甲藤二郎・竹内 健・金井謙治・Zhengxue Cheng・Sun Heming(早大) |
静止画像の可逆符号化手法の多くは,予測処理とエントロピー符号化を組み合わせたアルゴリズムを採用している.これは,予測誤差信号の確率密度関数が0付近にピークを持つ単峰性の関数で近似できることを利用したものである.これに対し当研究室では,事例探索および適応予測に基づいて画素ごとに輝度値の確率分布を推定し,符号化対象画素の輝度値を直接エントロピー符号化する手法を提案している.この手法では,ガウス関数の線形結合によって確率分布をモデル化し,多値算術符号器の発生符号量が最少となるように各関数の形状を制御するモデルパラメータを最適化している.本稿では,一般化ガウス関数を用いて確率モデルの自由度を高め,更なる符号量の削減を図る.
カラリゼーションとは,白黒画像とユーザが与えた一部の色差情報から画像全体の色を推定して,復元カラー画像を得ることである.近年,グラフ信号処理を用いた手法が提案されており,与えられた色差情報が少ない場合にも,高精度のカラー画像を復元することが示されている.しかし,グラフ信号を作成する際の領域分割アルゴリズムに改善の余地がある.本研究では,スーパーピクセル分割と四分木分割の知見を用いた領域分割アルゴリズムを提案する.四分木 分割は空間領域ベースの領域アルゴリズムであるため,領域の広さに依存した分割に優れている.その点に着目して,両分割手法を組み合わせることで,グラフ信号処理を用いたカラリゼーションに適した領域分割手法を提案する.
学習型超解像とは,機械学習により作成した事前学習辞書を使用して,低解像度画像から高解像度画像を取得する技術である.我々は過去の研究において,学習型超解像が拡大処理を除く超解像処理部のみを見れば高画質化処理とみなせるという仮説を立脚し,その特性を活かしたマルチステップ超解像により,主観品質を大幅に向上させた.さらに,マルチステップ超解像の各超解像処理部の前後に回転/反転処理とその復元処理を適用することで,再構成精度も向上させられることを示した.本稿では,上記の手法をさらに改善することで,画質評価指標PSNR,SSIM,BRISQUEによる客観的画質と,視覚的画質の双方の向上を図る.
近年,動画配信・共有サービスの利用が普及し,利用者は年々増加している.より多くの動画の伝送や保存を可能にするためにはより効率の良い圧縮技術が必要とされている.
本研究は,動画圧縮を行う上で,深層学習を用いたフレーム補間の利用を評価することを目的としている.本稿では,既存の圧縮手法H.265に深層学習によるフレーム補間アルゴリズムを組み合わせることで,H.265のみによる圧縮の精度を上回ることが出来るかどうかを定量的に評価する.提案手法では低いbpp(bits per pixel)でH.265を上回る場合があることが確認出来た.
3月20日 13:30〜16:00 工学部 講義棟2F 219講義室 座長 児玉和也(NII)
D-11-25 |
HEVC による4K8K ファイルフォーマットのビットレート検討
○中島奈緒・根本慎平・井口和久・市ヶ谷敦郎・神田菊文(NHK)・河村 圭・内藤 整(KDDI総合研究所) |
D-11-26 |
2D画像との互換性を考慮した3D画像フォーマットの検討
○藤井俊彰(名大)・片山美和・河北真宏(NHK) |
D-11-27 |
ハイパースペクトル画像を用いた錆状態のモデル化と推定
◎小林弘人・古田諒佑・谷口行信(東京理科大)・塚谷俊介・村崎和彦・安藤慎吾・島村 潤(NTT) |
D-11-28 |
AR-HMD制御を用いた画像撮影システムの開発
◎中谷圭吾・松村 遼・岡部蒼太・北風裕教(大島商船高専) |
D-11-29 |
Scalable Learned Image Compression Based on Recurrent Neural Networks
◎Rige Su・Zhengxue Cheng・Heming Sun・Jiro Katto(Waseda Univ.) |
4K8K番組制作における番組交換,収録,送出,アーカイブなどで用いるための,HEVCによる4K8Kファイルフォーマットに適したビットレートを検討するため,HEVC符号化画像の主観画質評価実験を実施した.本フォーマットの画質要求条件は従来の素材伝送における画質要求条件よりも高いため,本実験では劣化が容易に視認できない高品質な符号化画像を評価対象とする.このため,従来の評価法では適切なビットレートの選定が困難であると考えられる.そこで本実験では,極めて軽微な符号化劣化を評価するため,符号化画像をビットレート順に提示し,評価者に各ビットレートにおける画質が本フォーマットの品質として許容可能か否かを判断させる独自の評価法を用いた.
3D画像の伝送を考えたとき,現在の2D画像通信との互換性を確保するために,
2D画像+付加情報により表現できることが望ましい.本稿では,3次元画像の
レイヤ表現に着目し,2D画像との互換性を有した新しい3D画像フォーマットを
提案する.奥行き方向に積層したレイヤ画像群から多視点画像を生成できる原
理を応用し,中央視点画像1枚と奥行き枚数分のαマップからなるデータを新しい
3D画像フォーマットとした.実験では,5 x 5視点の多視点画像データを対象とし,
中央視点画像1枚と3枚のαマップのみから5 x 5視点の多視点画像を25-30 [dB]
程度の品質で再構成することに成功した.
社会インフラを維持するための点検は,多くの場合点検者の定性的評価に頼っているが,評価基準の曖昧さや人材不足といった課題がある.本研究では,鉄製品の劣化度をハイパースペクトルカメラ画像から定量的に評価することを目的とし,錆汁に着目したモデル化による錆状態の推定手法を提案する.観測される輝度を,入射光の錆汁による反射光の強度と錆汁を透過したものが塗装面に達し反射する光の強度の和として近似したモデルを提案する.錆サンプル鋼板をハイパースペクトルカメラで撮影し,モデルのパラメタを最適化問題を解き推定した.錆汁の厚みの推定値と熟練点検者による劣化度評価に正の相関が見られ,錆状態を推定できることを示した.
近年,害鳥「カワウ」の漁協被害が年々増加しており,様々な機関が被害防止対策に着手している.我々の研究グループは,深層学習技術を利用してカワウを認識させ,カワウを追従するシステムの開発に着手しており,高精度でカワウを識別できるシステムを開発している.ここで,更に高い認識率を得るには,大量のカワウの学習画像が必要であり,高速に飛行するカワウを追ってカメラ撮影を行うのは,不慣れな研究者では困難で,直感的で高精度に対象となる画像を取得できる入力デバイスの開発が必要であった.そこで,ヘッドマウントディスプレイに画像を出力させながらAirTapされた座標情報からより直感的に必要な画像抽出を行う事ができるシステムを開発した.
Currently, convolutional neural networks (CNNs) are widely used in majority of learned image compression approaches. However, CNNs are not fit for scalable coding and multiple models need to be trained separately to achieve different rates. In order to realize the scalable coding, in this paper, we allocate the bits to multiple layers, by adjusting the layer-wise lambda values in Lagrangian multiplier-based rate-distortion optimization function. Experimental results demonstrate that our performance can be comparable with traditional image coding algorithms and existing RNN-based methods on Kodak dataset.
休 憩(15:00 再開) 座長 雨車和憲(工学院大)
D-11-30 |
SSIMを指標とする符号化歪除去フィルタの設計に関する検討
◎小川広大・亀田裕介・松田一朗・伊東 晋(東京理科大) |
D-11-31 |
ハイパースペクトル画像を用いた錆領域セグメンテーションの学習
◎横田広之・古田諒佑・谷口行信(東京理科大)・塚谷俊介・村崎和彦・安藤慎吾・島村 潤(NTT) |
D-11-32 |
Perceptual Quality Study on Deep Learning based Image Compression
○Zhengxue Cheng(Waseda Univ.)・Pinar Akyazi(Ecole Polytechnique Federale de Lausanne)・Heming Sun・Jiro Katto(Waseda Univ.)・Touradj Ebrahimi(Ecole Polytechnique Federale de Lausanne) |
D-11-33 |
符号化ノイズを含む画像へのPSNR適応超解像
◎堀 隼也・龚 子臣・梅田聖也・渡辺 裕(早大)・中條 健・猪飼知宏・佐々木瑛一・伊藤典男(シャープ) |
SSIM (Structural SIMilarity) は,画像の構造的類似度に基づいた客観的画質評価尺度であり,PSNR よりも主観画質との相関が高いことが知られている.本稿では,非可逆符号化によって劣化した画質の改善を目的とし,画像毎にSSIM を最大化するようなポストフィルタを設計する方法について検討する.
建築材料に鉄を含んだ建造物の老朽化を確認する上で,錆の進行度合いは重要な検査項目の1 つである.現在,この検査は目視で行われており,検査人次第で結果が異なることや検査過誤が課題となっている.また,熟練した検査でなければ,錆領域と錆汁や汚れが付着しただけの領域の区別が難しい.この問題を解決する方法として,対象をカメラで撮影し,錆を自動検知する手法が挙げられる.機械学習に基づくこれらの手法では,教師データとしてあらかじめ錆領域を区分けしたラベル画像を用意する必要がある.本研究では,ハイパースペクトルカメラによる客観的な測定データで教師データを作成し,セグメンテーションのモデルを学習することで,RGB 画像から高精度な錆領域分割を行う手法を提案する.
Recently deep learning-based image compression has made rapid advances with promising results on objective quality metrics. However, subjective quality evaluation on learned compression have rarely been reported.
This paper aims at perceptual quality studies on learned compression. First, we build a general learned compression approach, and optimize the model with different quality losses. In total six compression algorithms are considered for this study. Then, we perform subjective quality tests in a controlled environment using high-resolution images. Results demonstrate learned compression optimized by MS-SSIM yields a competitive result, which approaches to the latest compression standard HEVC. The results provide a useful benchmark for future development of learned image compression algorithms.
符号化効率の向上の案の一つに超解像技術をコーデックに含める手法が挙げられる。しかし、符号化画像は層が薄いCNN-baseの超解像を用いる場合、CNNの表現能力が乏しく超解像効果が収束しない問題点がある。そこで本稿では符号化画像に対するCNNの学習において画像の構成周波数とPSNRの関係を考慮し超解像を収束させる。
D-12. パターン認識・メディア理解A(パターンメディアの認識・理解・生成)
3月17日 9:30〜12:00 工学部 講義棟2F 218講義室 座長 井上勝文(阪府大)
D-12-1 |
変分オートエンコーダによる距離画像の欠損補間
◎三輪顕太朗・金田拓巳・山内悠嗣(中部大) |
D-12-2 |
GANによる遮蔽を考慮した人体骨格情報推定
◎張 博超・西辻 崇・朝香卓也(首都大東京) |
D-12-3 |
Multi-Mask RCNN による多層化マスクを利用した遮蔽された物体の領域分割手法の検討
平山 慎(早大)・○堀 隆之(ソフトバンク)・大谷 淳(早大) |
D-12-4 |
視野を共有しないカメラ間の人物照合におけるハードポジティブマイニング適用に関する検討
◎廣井優姫・渡邊滉大・亀山 渉(早大) |
D-12-5 |
クラス間合成画像のリラベリングによる画像認識の改善
◎居川 哲・森 稔(神奈川工科大) |
本稿では,変分オートエンコーダを用いた距離画像の欠損補間法を提案する.欠損を含まない距離画像を用いて変分オートエンコーダを学習することで,オートエンコーダの出力は学習データに近しい距離画像となる.この特徴を利用して,欠損を含む距離画像をオートエンコーダに入力することで,欠損のない画像を出力することができる.シミュレーションによる評価実験の結果,提案手法は欠損を補間することが可能であることを確認した.
近年,深層学習による検出した人体骨格情報を用いた姿勢推定技術が注目されている.遮蔽が発生した場合,遮蔽された部位の骨格情報の検出が困難であり,姿勢推定の精度が低下する.その場合において,見えている部位の骨格情報から似ている姿勢を検索し,遮蔽部位を推定する手法を提案されている.しかしながら,従来の研究では全身遮蔽の状況と時間的制約を考慮していない.そこで,本研究では遮蔽された骨格情報の生成を目的として,時間的空間的制約条件を考慮し,GANを用いた遮蔽された骨格情報の予測方式を提案する.提案手法は,走る人,ジャンプする人と車椅子利用者について,他モデルより予測誤差が著しく低いことを確認した.
物体検出や領域分割など、深層学習による画像処理において、Mask-RCNNが優れた有用性を示している。この手法を用いて領域分割を行う場合、複数の物体が重なった状態では物体の隠れている部分は認識することができず、認識対象と他の物体との干渉には脆弱である。本研究ではこの課題に対し、機械学習における学習データの領域情報を付加する方法と、領域分割の出力の方法を多層化したことで、3つ以上の物体が重なってる状態において各物体の遮蔽している部分を含めた領域認識を行うことの出来るアルゴリズムを提案する。本提案手法は実環境を模した状況での有用性を示し、領域分割において新たな可能性を示した。
近年、監視カメラの普及や防犯意識の高まりにより監視カメラによる人物照合技術が注目を集めているが、人物照合の課題の一つに、同一人物を異なる人物と誤認識しやすいことがある。同一クラスと判断しにくい同一人物画像(Hard Positive Sample)に対して頑健性を持つようにHard Positive Miningの手法を提案する。方法としては人物照合の評価指標として主に使用されているCMS(Cumulative Match Score)によりランク付けを行い、低ランクの画像を積極的に学習させる。この提案手法により、従来研究の性能を上回る結果が得られた。
DNNの学習には多くのラベル付き学習データ必要である.限られた学習データからより良い学習をする為の手法の一つに,二つの学習データを合成した画像を用いることで,クラス間の識別境界をより精緻に学習可能にする手法 がある.しかし,これらの手法では,合成画像のラベルとして,画像合成時の比率がそのまま与えられる為,合成画像の見た目と付与されたラベルの組み合わせが,人の知覚には不自然に感じられるものがあり,学習に悪影響を与えていると考えられる.本稿では,合成画像の類似性を評価し,その評価結果に基づいて修正したラベルを持つ合成画像で学習することにより,より高い認識率を得る手法を提案する.
休 憩(11:00 再開) 座長 山内悠嗣(中部大)
D-12-6 |
テンソル分解を用いたニューラルネットワーク軽量化の検討
◎萩原悠生・吉岡理文・井上勝文(阪府大) |
D-12-7 |
敵対的攻撃に対する公平な分類器の脆弱性
◎綿岡晃輝・松原 崇・上原邦昭(神戸大) |
D-12-8 |
画像生成ネットワークを用いたModel Inversion Attackの提案
◎河津勘介・廣瀬雄基・中村和晃・新田直子・馬場口 登(阪大) |
D-12-9 |
Convolutional Neural Network based Image Compression with Quantized Weights
◎Heming Sun・Zhengxue Cheng・Masaru Takeuchi・Jiro Katto(Waseda Univ.) |
近年,画像認識における畳み込みネットワークの識別精度は大きく向上している.それに伴い,ネットワークのサイズも増大しており,GPU を搭載している高性能端末上での動作を前提としている.そのため,スマートフォン等の低性能端末上で高精度の画像認識を行うためにネットワークの軽量化が求められている.軽量化の方法としては,蒸留 やプルーニングといった方法が提案されているが,どちらも圧縮の際に最適解を得るための再学習が必要である.そこで,本研究では,行列分解の手法であるSVDを 3 階以上のテンソルへ適用可能としたHOSVDを用いて,再学習を必要としないネットワークの軽量化を検討する.
機械学習モデルを社会で用いる際に, 人種や性別に対して公平であることは重要である. 近年, 多くの研究によって, 機械学習の意思決定を公平にする手法が提案されてきた. しかし, 公平な分類器のセキュリティに関する研究はほとんど見られない. 機械学習の分野には, 分類器の精度を減少させる敵対的攻撃という攻撃方法が存在する. これは入力データに微小な変化を加えることで, 分類器の精度を下げるものである. 本研究では, 公平な分類器は敵対的攻撃に対して脆弱であることを指摘する. 実験において, 公平な分類器は通常よりも敵対的攻撃に対して精度が下がり, さらに公平性の性能も下がることを示した.
近年,画像認識器の利用が社会的に普及しつつある.一方で,画像認識器に対し,Model Inversion Attack (MIA) と呼ばれる攻撃の可能性が指摘されている.MIAは,認識器の訓練に用いた画像を当該認識器のみから復元しようとする攻撃であり,例えば,顔認識器から認識対象人物の顔画像が復元されることによりプライバシー情報が流出する,などの問題を生じる.本稿では,MIAが現実的にどの程度脅威となり得るかを調査する目的で,既存のMIA手法に画像生成ネットワークを組み合わせることにより,より高性能なMIA手法の実現を試みる.実験の結果,Variational AutoEncoderとの組み合わせにより,既存手法より自然かつ認識対象人物の実際の顔画像に近い画像の生成に成功した.
Image compression is important to relieve the burden of image transmission and storage. Recently, deep learning has illustrated a promising ability for the image compression by using variational autoencoder. This paper purposes to quantize the weights of the networks to make it applicable to the specific hardware accelerators. First, considering that the weight distribution is bell-shape, we adopt non-linear quantization. Second, since different feature maps have various data range, the quantization is conducted in the channel-wise. The results show that for four lower bitrate models, the edition with quantized weights possesses negligible coding loss compared with the original floating-point versions.
3月17日 13:30〜17:30 工学部 講義棟2F 218講義室 座長 中村和晃(阪大)
D-12-10 |
将棋の戦型の自動分類の為の小さい画像サイズにおけるクラスタリングの特徴量抽出方法の検討
◎今村 奨・神保秀司(岡山大) |
D-12-11 |
回転機器の故障診断のためのLSTMの弱教師付き最適化
◎三木大輔(都産技研)・出町和之(東大) |
D-12-12 |
マンホール写真点検用の画像認識AIに関する検討
○和田雅樹・勝村玲音・島原広季・相原貴明(NTT東日本) |
D-12-13 |
海底カメラにおけるオブジェクト分類に関する研究
桑田航平・○田中 聡(福山大) |
D-12-14 |
Exit-Pont setting in Edge-Cloud Solution for Object Detection
◎Tao Wang・Libo Hu・Hiroshi Watanabe(Waseda Univ.)・Shohei Enomoto・Xu Shi・Akira Sakamoto・Takeharu Eda(NTT) |
画像認識において,深層畳み込みニューラルネットワークなどによる分類性能は非常に高い.しかしサイズが非常に小さい画像においては畳み込みやプーリングの仮定でスケールダウンが行われるのは好ましくないと考えられる.本稿では,将棋の盤面について9×9の非常に小さい画像とみなし,飛車という駒を中心に抽出した特徴量ベクトルからx-means法を用いたクラスタリングを行うことで駒の配置からなる戦型の自動分類を行い,そのクラスタ数や登録されている戦型との共通点や差異についての論述を試みる.
近年,深層学習を応用した回転機器の状態監視手法が盛んに研究されており,中でもネットワークに再帰的な構造をもつ長短期記憶ネットワーク(Long short-term memory, LSTM) を応用した方法が多く報告されている.LSTMを故障診断へ適用するためには,学習のために故障した回転機器の振動波形を取得し,故障に独特な波形を含む箇所に対して局所的にアノテーションを付与し,学習に供することが有効であるが,膨大なデータへのアノテーションの付与は煩雑な作業である.本研究では,データに局所的なアノテーションを付与することなく故障した回転機器に独特な波形の特徴を自動的に抽出できるように,LSTMを最適化するための新たな最適化手法を提案する.
現在、NTT東日本管内で年間約3万個のマンホールの点検を行っている。近年では、360°カメラを用いたマンホール未入坑点検が始まり、より安全な現地点検が行われている。しかしながら、撮影した点検画像の良・不良判定は、集約センタにて目視で行われており、膨大な稼働がかかっている。そこで、本検討では写真点検業務の効率化に向けて、良・不良判定を自動で行う画像認識AIの作成、評価を行ったので報告する。
瀬戸内海の海底を観察し計測するために海底に沈めて動画を記録する海底カメラの開発を進めている。この発表では取得した画像からオブジェクトを検出するためのCNNを用いた画像処理システムについて報告する。
Object recognition can be performed by many cloud vision API services using deep learning. In this case, images are provided to cloud on the Internet. On the other hand, object recognition at an edge becomes possible due to the evolution of calculation power. In general, recognition accuracy achieved at the edge is less than one at cloud. In this paper, we investigate system-level solution for object recognition by combining edge and cloud network.
休 憩(15:00 再開) 座長 森 稔(神奈川工科大)
D-12-15 |
局所領域ごとの字体変換に基づく文書クローンの生成
◎佐々木航真・中村和晃・新田直子・馬場口 登(阪大) |
D-12-16 |
輪郭検出に基づく中国書道作品の文字切り出しシステム
◎崔 文一・井上光平(九大) |
D-12-17 |
筆記特性とR-transformを用いた筆者識別手法の検討
○末吉悠河・杉田拓己・岡 芳樹(鈴鹿高専)・長谷川 誠(東京電機大) |
D-12-18 |
7人制ラグビーにおける最適攻撃プレー算出法の改良
◎八代航太朗・中田洋平(明大) |
D-12-19 |
人体比率に基づいたバスケットボールにおけるパス可能選手予測法の改善と3次元パスコース可視化法
◎△佐野裕介・中田洋平(明大) |
本稿では,個人の字形や筆跡を模倣した手書き文書画像を「文書クローン」と呼び,その生成法を提案する.従来の手法は文字単位の生成法と文単位の生成法に大別されるが,前者には隣接文字間の連続性が再現不可能,後者にはストロークデータの収集が困難という問題がある.本研究では,ストロークデータを用いることなく隣接文字間の連続性を再現可能な文書クローン生成法を提案する.実験の結果,隣接文字を連続して書くことのある個人に対しても,ある程度その筆跡の模倣が可能であることが確認できたが,字形の崩れが散見されるなど,改善すべき点も多数見られた.
中国の書道は、手書き漢字の芸術の一種である。書道作品がレイアウトと字形が不規則、または印鑑と紙などのノイズが多い特性があるため、従来のOCR技術を使用して文字を切り出すことはできない。本稿では、輪郭検出に基づく中国書道作品の文字切り出しシステムを提案し、中国書道家王羲之の2枚の作品を使用して実験例を示す。
筆者識別に関する研究は数多く行われているが,日本語全種を対象にして実験・評価している手法は少ない.もしかすると,入力される文字種によっては手法が適用できないケースが発生する可能性も残されている.しかし,実験の為に全文字種のサンプルを取得するとしても人的・時間的負担が多大である.そこで本研究では取得したサンプルから特徴の抽出を行い,抽出された特徴からサンプルにない文字種の生成を行う.そして,生成したテンプレート文字と筆者が書いた文字をR-transformと位相限定相関法を用いた手法で筆者識別が可能であるか評価を行う.
近年,日本でのラグビーへの注目度が高まってきている.そのような中で,試合放送時などに試合展開を分かりやすくする付加情報の提供が,ますます重要となりつつある.このような背景の下,著者らは,7人制ラグビーにおける選手位置情報から,ランとパスを含む最適な攻撃プレーを算出する方法を提案してきた.ただし,味方選手が複数のパスを受け取る際に,どのパスをどこで受け取ったとするかなどについて,改良の余地があった.本稿では,別の味方選手がパスをスルーすることも考慮するとともに,パスの受け取り方式を変更し,この最適攻撃プレー算出法を改良する.さらに,仮想的なフォーメーション例を用いて,その有効性の検証を行う.
これまで著者らのグループでは,バスケットボールの選手・ボール位置情報を3次元CG で可視化するツールの研究を進めてきた.また,このツールでは,パス可能予測選手情報を表示しており,その高度化のため,著者らは運動モデルを用いたパス可能選手予測法も提案してきた.しかし, この予測法には,より高精度化できる改良の余地があった.また,パス可能選手へのパスコースを可視化するものでもなかった.そこで,本研究では,バスケットボールにおけるパス可能選手予測法の改善と,3次元パスコース可視化法を提案する.さらに,実際のバスケットボールの選手・ボール位置情報を用いて検証実験を行い,それらの有効性を確認する.
休 憩(16:30 再開) 座長 山内悠嗣(中部大)
D-12-20 |
対向伝播ネットワークを用いた露頭地層画像のセグメンテーション
○間所洋和・佐藤宏大(秋田県立大)・阿部史孝・千代延 俊(秋田大)・禹 ハンウル・佐藤和人(秋田県立大) |
D-12-21 |
気象センサとの整合性を考慮したソーシャルメディアからの屋外画像収集
◎岡田 渓・新田直子・中村和晃・馬場口 登(阪大) |
D-12-22 |
ラベル無しレーダ画像を積極的に利用するためにVAEとMLPを組み合わせた地中レーダ画像からの埋設物識別
○木本智幸(大分高専)・園田 潤(仙台高専) |
D-12-23 |
3D-CNNを用いた多チャンネル地中レーダ画像の物体識別
◎中岡 黎・木本智幸(大分高専)・園田 潤(仙台高専) |
深刻度を増す地球温暖化に対して,CO2を地下貯留するCCS(Carbon Capture and Storage)は,緊急避難的かつ現実的な対策である.しかしながら,CO2の地下での長期挙動予測へ向けたモデルの不確実性が,貯留リスクとして指摘されている.本研究では,大規模露頭から地層の枠組みを空間分布として把握すると共に,地質学的情報として堆積盆規模での定量化を目指している.その一環として本稿では,固定カメラにより撮影した露頭地層画像を用いて,アノテーションを施した画像を機械学習により分類することで,CCSのための露頭地層の自動セグメンテーションを目的とする.
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)上には,時空間的に疎らではあるが多様な場所の画像が公開されている.しかし,これらのSNS画像の投稿位置,時間は必ずしも撮影された場所,時間を表さない.そこで本研究では,カメラの観測値であるSNS画像が表す状況は,同じ場所,時間を観測した他種のセンサの観測値と意味的に整合するという前提のもと,時空間的に比較的密に観測値が公開されている気象センサを利用し,気象センサが観測する屋外環境を対象に,気象センサの観測値との整合性に基づき,投稿時間,場所の状況を撮影したSNS画像を収集する手法を提案する.
地中レーダは,地中に入射した電波の誘電率差で生じる反射波により地中物体を検出する技術であり,社会インフラの劣化状況を非破壊でセンシングするのに有効な技術である.これまで我々は,FDTD法による物理シミュレーションで大量のレーダ画像を生成し,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて複数の不均質土壌における地中レーダ画像から物体の誘電率や大きさの識別が可能なことを明らかにしてきた.しかしながら,実際の現場ではレーダ画像は大量に入手できるものの,埋設物の誘電率は地面を掘って調べるしかなく,大量の画像で教師あり学習をすることは現実的でない.本研究では,正解ラベルの無いレーダ画像を有効に利用して,少量の正解ラベルありレーダ画像で埋設物体の誘電率の識別率の向上を狙う.
本研究では、3次元畳み込みニューラルネットワーク(3D-CNN)を用いて地中レーダ画像から地下対象物を分類することを目的とする。先行研究ではFDTD法によって得られたシミュレーションデータをRGBの3チャンネル画像に変換し物体識別を行っていた。しかし、3チャンネル画像だと画像化した際に小さな電場の変化が失われてしまい物体識別できない場合があった。そこで本研究ではシミュレーションデータを多チャンネルに変換しその画像を3D-CNNを用いて識別率を向上させる。その結果、埋設物の比誘電率について識別率が向上したことを報告する。
3月18日 13:30〜17:15 工学部 講義棟2F 218講義室 座長 中村和晃(阪大)
D-12-24 |
レシピ画像の時系列判定における注目領域についての検討
○和田丈弘・井上勝文・吉岡理文(阪府大)・橋本敦史(オムロン サイニックエックス) |
D-12-25 |
同期した注視点の動きに基づく複数対象の注目度推定法の検討
◎武田一馬・川西康友・平山高嗣・出口大輔・井手一郎・村瀬 洋(名大)・永野秀尚・柏野邦夫(NTT) |
D-12-26 |
運転手注視点予測のための混合エキスパート型モデルによる動的顕著性マップ構築法の改良
◎△中澤空知・中田洋平(明大) |
D-12-27 |
ランキング学習による大腸内視鏡画像の重症度予測
◎安部健太郎・Yan Zheng・早志英朗・備瀬竜馬(九大)・河村卓二・碕山直邦・田中聖人(京都第二赤十字病院)・内田誠一(九大) |
D-12-28 |
エッジ情報を用いた手形状パターン識別における安定性の向上
◎藤嶋教彰・山根庸資(松江高専) |
D-12-29 |
タイピング技能向上を目的とした運指判別システムの検討
◎川原守玲那・髙橋大介・岡本教佳・立野玲子(関東学院大) |
D-12-30 |
SVMを用いた点字ブロック分類・棄却処理に基づく視覚障害者行動支援手法の検討
◎山内隆正・森本正志(愛知工業大) |
近年,調理動画とテキストの対応付けに関する様々な応用が盛んに研究されている.例えば,料理動画からレシピを自動生成する課題において,食材部分や調理器具等に注目できれば精度の向上に期待できる.どこに注目すべきかについては手動でラベル付けを行う手法が考えられるが,多大な労力が必要である.本研究では,教師なしで注目領域を得る手法を検討する.
ライブステージやファッションショーなど多数の観客が複数の対象物体を同時に鑑賞する状況下で,各対象物体にどれくらいの注目が集まっているかを推定する注目度推定は,人気度調査の手法として期待される.そこで本研究では,移動する複数の対象物体に対する注目度を推定することを目的とする.しかし,各観客の視線から注視点の位置を計算し,最も注視点と近い対象物体を注目対象とする単純な方法では,対象物体同士の距離が小さいと視線推定誤差により注目対象の判定を誤りやすいという問題がある.この問題に対し,対象物体と同期した注視点の動きを用いることで,対象物体同士の距離に関わらず高精度に注目度を推定する手法を提案する.
自動運転技術は著しい発展を遂げている.しかし,完全自動運転には技術的・法的課題も多く,その達成には,多大な時間がかかる可能性もある.また,仮に完全自動運転が達成された後も,人間が自ら運転したいという需要も考えられる.そのような中で,運転支援技術に役立てようと,運転時における人の目の行きやすさを数量化する画像解析技術の開発が進められている.このような背景を受け,著者らは,運転時特性を考慮した動的顕著性マップの構築法を開発してきたが,その算出過程でのセンターバイアス処理などに改良の余地が示されていた.そこで本研究では,センターバイアスを動的化する改良を通して,従来法の高精度化を図る.
大腸内視鏡画像の重症度を判断する際,単一画像の絶対的な評価は医師でも難しく,複数画像の相対的な評価は比較的容易である.本研究では大腸内視鏡画像の重症度を相対的に予測する手法を提案する.提案法では2枚の画像についてそれぞれの重症度を連続値で予測し,その値の比較によって学習するランキング学習を行う.実験では,ランキング学習を用いて複数画像から重症度を学習する手法の有効性を検証するために,回帰を用いて単一の画像から重症度を予測した結果との比較を行った.
手領域の輪郭線,すなわち外郭線の情報またはCanny エッジ情報から手形状パターンを識別する深層学習モデルは,入力される画像と同種類の画像と共に,手指の輪郭線のみが白色の2 値画像である手指輪郭線画像を学習させることで性能が向上することが明らかとなっている.しかし,ここで想定していた,屈曲指情報を持たない外郭線画像の学習,および学習済み識別器への外郭線画像の入力は識別器の学習または識別過程を不安定化させている可能性がある.そこで,本研究では外郭線画像を学習および検証に含めない仕様に変更することで,識別器の安定性向上を試みた.その結果,個人ごと,および全体において標準偏差が小さくなり,安定性が向上することが明らかになった.
キーボードを効率的に入力するためにはホームポジションを体得しすべての指で入力するのが望ましい.本稿では,正確なホームポジション通りの指使い(運指)で入力されているかを自動的に判別する運指判別システムを提案する.運指判別には,Leap Motionというモーションセンサを用いる.このセンサは各指の位置を追跡することができ,これをキーボードの上に設置し,キーボードと指先の関係を認識することに用いる.実験では,判別精度を導出するために被験者10人にそれぞれ300文字の文章を2回入力させ,システムのエラー率は2.48%となった.
日本における視覚障害者は平成28 年度調べで約33 万人にのぼり,障害者における生活の質(QoL)向上に向けた各種取り組みの重要性が増している.我々は視覚障害者の行動範囲を晴眼者と同様に広げ,安心・安全な自立歩行を支援するシステムの研究を進めてきた.
本研究では,半天球ウェアラブルカメラを用いて撮影される映像から,最も基本的な手がかりである視覚障害者用誘導ブロック(点字ブロック)の位置検出・分類を,画像輝度勾配ヒストグラムを特徴ベクトルとしてサポートベクタマシン (SVM) を用いて行い,障害物等検出も含めて周辺状況を分析し,適切な情報提供につなげるための状況判断手法を提案し,その有効性評価を行う.
休 憩(15:30 再開) 座長 森本正志(愛知工業大)
D-12-31 |
深層学習に基づく柿の早期軟化発生予測
◎馬場康平(九大)・増田佳苗・鈴木茉莉亜・赤木剛士(岡山大)・内田誠一(九大) |
D-12-32 |
画像変換によるドメイン適応を用いた乳牛の個体識別
◎山口理哉・古田諒佑・谷口行信(東京理科大) |
D-12-33 |
俯瞰画像における乳牛の姿勢推定と個体識別への応用
◎△松永 葵・古田諒佑・谷口行信(東京理科大) |
D-12-34 |
バス車載カメラにおける2部グラフマッチングによる人流推定
◎△小松俊太・古田諒佑・谷口行信(東京理科大) |
D-12-35 |
不鮮明ナンバープレート画像鑑定システムの開発における完全番号推定精度の検証
○小野塚信太郎(新潟県警) |
D-12-36 |
弱教師あり学習を活用したCyclist検出器の精度向上に関する初期検討
◎森 太郎・出口大輔・川西康友・井手一郎・村瀬 洋(名大) |
D-12-37 |
複数走行映像を活用した自車位置推定に関する初期検討
◎後藤優太(名大)・久徳遙矢(豊田工大)・出口大輔・川西康友・井手一郎・村瀬 洋(名大) |
果樹経営において,果実の障害発生予測はその品質保証のために重要である.特に,早生品種はそのシーズンで最も早く出荷され,その後の価格形成に大きな影響を与えることから,非常に重要な役割を果たす.
早生品種である早秋柿の育成において,障害の一つである早期軟化が問題となっている.早期軟化の予測は熟練者においても困難であり,判断方法も確立されていない.
本稿では,深層学習に基づく画像診断による早期軟化発生予測の可能性を検証した.更に,その予測の判断根拠としている部分を可視化させることで,早期軟化の影響が果実表面にどのように表れるかを検証した.
近年,食糧生産を支える一次産業人口は減少しており,国内でも酪農家の減少による人手不足が問題になっている.それによって,一戸あたりの乳牛飼育頭数が増加したため,疾病や発情行動を見逃し,経済的損失が生じている.これを解決するために,電子タグなど従来手法に変わる夜間を含む24時間の監視が可能で非侵襲的な個体管理システムの需要が高まっている.
本研究では,夜間においても高精度な個体識別を実現するための学習手法を提案する.RGB画像を,教師なし画像変換手法によって近赤外画像に変換することで,深層学習のための近赤外画像の学習データの不足を解決した.その結果,平均Top 1正解率が3.3%向上した.
近年,酪農業の担い手不足や大規模化が原因で,乳牛一頭一頭に目が行き届かないことが問題視されている.解決策として乳牛にセンサを取り付ける手法が挙げられるが,コストが高い上に,衝突によりセンサが頻繁に壊れるという問題がある.本研究では,牛舎の天井付近に設置したカメラで俯瞰撮影された画像(牛舎画像)を用いた個体管理に着目した.特に俯瞰画像である牛舎画像に対して姿勢推定を行うことを目的とし,検出する関節を限定し,既存の動物のデータセットで学習した関節検出器をfine-tuningする姿勢推定手法を提案した.また,個体識別の前処理で姿勢情報を用いて画像の向きを揃えることで,個体識別の精度向上がみられた.
バス会社は定期的にバス停ごとの乗車人数や乗車区間を調査し,運行計画を策定する.しかし,この調査は現在人手によって行われており,多大な人的コストを要する.この問題を解決するために,バス車載カメラから得られる映像に写る人物を対応付けることで,支払い方法に依らない乗車区間の記録が可能となる.本論文では人物検出と人物追跡によって得られる乗車後の座席情報を用いた,2部グラフ最小重み完全マッチングによる乗車区間推定手法を提案した.提案手法の有効性を確認するために,実際のバスに搭載されたカメラで撮影した映像を用いた実験により,精度を評価した.その結果,高い精度で乗車区間を推定できることを確認した.
犯罪捜査において、防犯カメラ画像に記録された車両のナンバープレート番号を明らかにすることは重要であるが、不鮮明で漢字等を含めた完全番号が目視判読できるケースは極めて少ない。本研究では、防犯カメラの各種撮影条件に対応し、複数画像を一括処理する鑑定用システムを作製した上で、従来からの課題であった一連指定番号以外の文字や数字に対する性能を評価した。防犯カメラに映した実車両ナンバープレート画像を用意し、システムで解析したところ、正解の事後確率が相対的に高い値を示し、完全番号の絞り込みにも対応可能であることが確認された。
安全な自動車の走行を実現するために,車両の周辺環境を正確に認識するシステムへの期待が高まっている.車両周辺に存在する物体の中でもCyclistは動的な物体であり,自動車との接触の可能性が高いため正確に検出する必要がある.しかし,従来のCyclist検出手法では学習に大量の教師ありデータセットが必要であり,作成には多くのコストを要する.そこで本発表では,教師ありデータセットに加え,物体の中心点のみを弱教師として付与した弱教師ありデータセットを組み合わせることで学習データ数を低コストで増強し,それぞれの教師データを組み合わせる新しい損失関数を学習に導入することにより,低コストでCyclist検出器の精度向上を行う手法を提案する.
近年,自動運転技術への関心の高まりとともに,高精度な自車位置推定技術が求められている.ここで,最近の自動車に車線認識や駐車アシストを目的としたカメラが取り付けられていることもあり,車載カメラの映像を用いた自車位置推定技術に注目が集まっている.従来手法として,車載カメラ映像中の隣接フレーム間での特徴点同士の関連を示すScale Trackletを用いた,単一走行映像との照合による自車位置推定手法が提案されている.本発表では,この手法を拡張し, 同一経路を走行した複数走行映像との照合による自車位置推定手法を検討した.また実験により,従来手法と比較し精度の向上を確認した.
D-12. パターン認識・メディア理解B(コンピュータビジョンとコンピュータグラフィックス)
3月18日 9:30〜12:00 工学部 講義棟2F 218講義室 座長 谷口行信(東京理科大)
D-12-38 |
低ビット量子化と枝刈りの併用によるCNNの軽量化
◎山本康平・橘 素子(OKI) |
D-12-39 |
GANsにおけるバッチサイズ変更の影響の調査
◎綱島秀樹(工学院大)・片岡裕雄(産総研)・陳 キュウ(工学院大) |
D-12-40 |
全体画像と部分画像を入力とするCNNを用いた詳細画像識別
◎松野拓海・山内良介・浅川徹也・青野雅樹(豊橋技科大) |
D-12-41 |
インスタンス境界を考慮したRegion Proposal Networkに関する検討
◎内田美尋・梅田崇之・安藤慎吾・島村 潤(NTT) |
D-12-42 |
画像のCNN特徴とLSTMのデンス結合構造を用いた画像キャプションの生成
○寄元康平・韓 先花(山口大) |
畳み込みニューラルネットワーク(CNN) は,従来の画像処理技術に比べ膨大な演算量とパラメータ数を必要とする.一方,CNNを小型なエッジデバイスに実装するニーズが高まっているが,その計算資源は限定的であり,モデルの軽量化が必要となる.モデル軽量化の先行研究は,推論時の演算精度を抑える「量子化」やモデルの冗長な要素を削減する「枝刈り」等のカテゴリに分けられる.しかし,各カテゴリ間の研究事例は概ね独立的であり,より実践的な観点ではこれらを組み合わせることで更なる軽量化を達成できる可能性がある.そこで本稿では,画像の物体検出タスクを対象に「量子化」と「枝刈り」を併用した場合の軽量化性能を検証する.
近年、深層学習は画像認識や画像生成などで目覚ましい成果を上げ、注目されている。画像生成モデルの1つであるGANs (Generative Adversarial Nets:敵対的生成モデル)においてはバッチサイズの増加によって性能が向上することが知られている。この結果は特定のデータにのみしか適用されておらず、GANsのバッチサイズ変更による性能の影響については深く調査されていない。そこで、本論文では画像サイズと画像枚数が異なる2つのデータセットを用いてGANsのバッチサイズ変更による性能への影響を調査を行い、画像サイズが小さくデータ量が少ない場合にはバッチサイズは小さく、画像サイズが大きくデータ量が大きい場合にはバッチサイズが大きいほど性能が向上することが分かった。
近年,画像分類は様々な分野で利用されている.その中でFine Grained Visual Classification(FGVC)は以下の理由により一般画像の分類と比較して難しい問題であるといえる.(1)クラス間の類似度の高さ,(2)各クラス内での物体のスケールや角度の多様さ.そのためFGVCにおいては,物体の各部分における僅かな違いを学習することが重要である.本研究では物体の各部分へのアノテーションを用いて物体検出アルゴリズムを訓練し,それにより検出された部分画像と全体画像を用いてCNNを訓練するという手法を提案する.
物体検出において計算量の削減やインスタンスを扱うために物体候補領域の選出は重要である。従来法では推定した物体らしさとIoUに応じて同一の物体に関する領域を一律に削除することで物体候補領域を選出する。しかし、物体が密集する部分では、注目する物体でない物体に関する領域も削除される。そこで本研究では、インスタンス境界で物体らしさが低くなるようにし、注目物体に関する領域のみを削除する領域削減手法を提案する。
画像のキャプション生成とは画像の内容をコンパクトに表現,理解し,画像に映る事象を言葉で説明出来る文章を生成するタスクである.近年深層学習を用いたさまざまな画像のキャプション生成手法が提案されている.その手法の多くは入力画像ではCNNを用いて表現特徴を抽出するEncoder,表現特徴を基にLSTMを用いて文章生成するDecoderで構成されているネットワーク構造が提案されている.本研究ではCNNから抽出した表現特徴をLSTMに連結させるデンス結合モデルを提案する.提案した手法と従来の手法の比較実験として,Flickr30kとMS-COCOの二つのキャプションデータを用いてそれぞれ手法にて生成した文章の精度をBLEU,METEORを用いて評価し提案した手法の有用性を検証する.
休 憩(11:00 再開)
D-12-43 |
アテンションネットワークを用いたセマンティックセグメンテーション手法
◎蔀 竜太・星 泰成・陳 キュウ(工学院大) |
D-12-44 |
音声による感情を反映させたフォントの自動生成システム
◎野中琢登・瀧澤 生・馬 力・陳 キュウ(工学院大) |
D-12-45 |
深層学習を用いた手書き文字の矯正手法
◎高柳滉一・陳 キュウ・吉岡明信(工学院大) |
D-12-46 |
拡張畳み込みニューラルネットワークを用いたフレーム補間に関する検討
○小林 新・杉田泰則(長岡技科大) |
近年, ディープラーニングはコンピュータビジョン分野において多大な貢献を成し遂げてきた. そのコンピュータビジョンの重要な課題の一つであるセマンティックセグメンテーションは, それぞれのピクセルがどのクラス(道路, 車など)に属するかを判断するタスクであり, 自動運転やロボットセンシングなどの複雑な問題において応用が期待されている. これまでディープラーニングを用いたセグメンテーションモデルが多く提案されており,一方, アテンションネットワークを用いたモデルがコンピュータビジョンの様々なタスクで用いられている. そこで, 本研究ではアテンションネットワークを用いたセマンティックセグメンテーション手法を提案し,従来手法より良い性能を実現した.
近年,Webや動画,広告バナーなど文字と画像を媒体として表現を行うことが多くなってきた.プレーンな文字だけでは十分な感情表現をユーザに表せない.感情表現の支援ツールとして色,フォントなど文字媒体における表現が様々ある.しかし,定量的に感情を文字に表現することは難しい.そこで,フォントに注目して,顔画像の感情成分に合わせた文字の形状変化で表現支援を行う先行研究がある.音声から感情を判断させることで内容と感情を同時に読み取れるメリットが生まれる.本研究では入力した音声の感情情報を反映したフォントの自動生成システムの構築を試みた.
近年,PCやスマートフォンなどの普及により文字を書くことが苦手な子供や大人が増えている.スマートフォンやPCでのSNSアプリケーションを用いる事で他者とコミュニケーションができるため,実際に手書きで文字を書く機会が減少しており,文字を綺麗に書けない,正しい文字の形で書けないといった状況が増えている.また,癖字などにより他者に解読させることが難しい状況が増えている.本研究では対象者の文字をディープニューラルネットワークによって文字を矯正すべきかを判断し,矯正すべき文字であれば,理想形文字の提示をする事で実際に対象者に文字を書かせて練習をさせ,文字の矯正を図る.
動画像のフレーム補間技術は,高フレームレート変換やスローモーション効果の作成などで利用される.既存手法として,畳み込みニューラルネットワークよるオプティカルフロー推定を用いた手法が提案されている.この方法では,ぼけの少ない画像を生成できる一方で,畳み込み領域外の大きな動きに対してはオプティカルフローの推定精度が低くなり生成画像が乱れる等の課題がある.本稿では,フレーム間の大きな動きに対応させることを目的とし,より広い領域での動きの特徴を学習可能な拡張畳み込みを用いる手法を提案する.実験では既存手法との比較を行い,提案手法の有効性を示す.
3月19日 13:30〜17:00 工学部 講義棟2F 218講義室 座長 道満恵介(中京大)
D-12-47 |
Mask R-CNNを基とした顔検出及び顔領域分割に関する検討
◎古川貴大・関 弘翔・細野裕行(日大) |
D-12-48 |
データ拡張による手話動作識別性能の向上に関する実験的検討
◎川口開都(神奈川工科大)・Daraseneeyakul Paporn・Veerakiatikit Phaphimon(Chulalongkorn Univ.)・西村広光・田中 博(神奈川工科大) |
D-12-49 |
Expression Recognition using Curriculum Learning Method
○Wei Wang・Takaaki Ishikawa・Hiroshi Watanabe(Waseda Univ.) |
D-12-50 |
関節点追跡による骨格推定手法の精度改善
◎中塚智尋・田坂和之(KDDI総合研究所) |
D-12-51 |
頭向き推定に基づく歩行者の交差点内道路横断予測
○高木俊平・梅村充一・牛田勝憲(住友電工)・川西康友・出口大輔・村瀬 洋(名大) |
D-12-52 |
重み付き推定に基づくファジィRANSACアルゴリズムの学習初期性能の改善
○渡邊俊彦(阪電通大) |
D-12-53 |
LUT法を用いたホログラフィ計算における負荷分散方式
◎杉内 舜・西辻 崇・朝香卓也(首都大東京) |
D-12-54 |
時間同期式プロジェクタカメラシステムの遅延時間制御による血管の強調表示
◎三上徹朗・久保尋之・舩冨卓哉・向川康博(奈良先端大) |
本報告では,画像認識の主要タスクである物体検出と領域分割を組み合わせたインスタンスセグメンテーションのモデルであるMask R-CNNを基にした物体検出と検出領域内の多クラスの領域分割を一貫して行うモデルに関する検討を顔を対象に行った.RPN部出力のブランチ化などによる精度向上手法を検討し,評価実験を行った結果,検出精度,領域分割精度共に単一のタスクをこなすモデルと同等の精度となった.
当研究室ではカラー手袋を装着して光学カメラを用いた手話翻訳システムの実現に取り組んでいる.学習モデルの作成にあたっては,多人数の正しい手話動作収集が困難である.本稿では,データ拡張による識別性能向上を目的として,事前学習済みネットワークVGG16を用いて検討を行った.現実の変動要素を考慮して,拡大/縮小 1%,2%,3%,回転1°,2°,3°,水平移動4cm,6cm,8cm,垂直移動4cm,8cm,12cmによる拡張を行った.拡張データを各60個の学習データに対して作成,合計120とした.識別性能は各拡張方法によって差があるものの,向上していた.垂直移動4cmでは,62%から71%に向上した.
In this paper, we have adapted curriculum learning training strategy to solve the remaining problems of overfitting and expression-unrelated situation in deep expression recognition field. Our proposed method achieves great results on SFEW dataset, indicating the great potential of curriculum training strategy.
骨格推定は従来様々な手法が提案され、行動解析や姿勢分析など多くの用途での実用化が期待されている。実用に際し、多くの用途で時系列映像をリアルタイムかつ頑健に解析することが望ましい。しかし従来手法では、複数人が密集し重複するシーンに差し掛かると、人物同士を混同して精度が低下する。本稿では、時系列映像を対象として複数人が重複するシーンをその他の推定が容易なシーンによって補助する手法を提案する。具体的には、信頼度高く推定した骨格の関節点を追跡し、それ以後のフレームにおける骨格推定に利用する。これにより骨格推定精度の向上を目指す。
自動車対歩行者の事故を防止するために,歩行者の動きを予測する技術が重要となっている.特に,交差点における歩行者の道路横断の予測が重要であるが,交差点は死角が多いため車載カメラを用いた予測が難しい.本研究では交差点に固定設置したインフラセンサを用いて歩行者の道路横断を予測する手法を提案する.この手法では歩行者の行動意思を推定するため頭向きをカメラにより識別し,LSTMへ識別結果を入力することで歩行者が3秒後に道路横断するか否かを予測する.実験において道路横断予測の正解率を評価し,頭向き有りで77.9%,頭向き無しで57.4%となり、提案手法の有効性を確認した.
コンピュータビジョンシステムの構成のためには、高精度な光学モデルを構成する必要があるが、モデル推定やキャリブレーションの過程で乱反射や外光などに起因する外れ値ノイズの影響でモデル精度が劣化する傾向にある。これに対応するロバスト推定手法としてファジィ理論と強化学習の概念を応用したファジィRANSACアルゴリズムが提案されている。本研究では、この手法の学習初期段階でのモデリング性能の向上を目指して、重み付き推定法を併用する方法を提案する。システムモデリングとカメラモデリング実験により、基本性能が向上するだけでなく、学習初期段階においても性能のバラツキが大幅に改善されることを示す。
電子ホログラフィは,人間の立体知覚条件を全て満たす3次元映像技術として注目されているが,映像の電子的な記録媒体である計算機合成ホログラム(CGH: Compuger-Generated Hologram)の再生に必要な計算量の膨大さを一因として実用化には至っていない.本研究ではCGH計算の分散計算システムの実現を目的に,CGH高速計算の有力手法であるLUT(Look-Up Table)法に特化した計算負荷の分散アルゴリズムを開発した.従来方式に比べ、最大で約50%の計算時間削減に成功した。
半透明物体内部を可視化するためには,表面下散乱光のような物体内部を通過する光のみを撮像できると良い.人の肌は僅かながら光を通す半透明物体であり,特に医療分野などにおいて,その内部の可視化は重要な課題である.しかし,一般的な撮影機材では,物体表面で反射する直接反射光が支配的となり表面下散乱光の抽出が難しい.
そこで,本研究ではエピポーラ幾何に基づく時間同期式のプロジェクタカメラシステムを用いて半透明物体のライトトランスポートを計測し,これを計算処理することで肌内部の血管の様子を強調した画像を生成し,視認性を向上させる手法を提案する.
休 憩(15:45 再開) 座長 舩冨卓哉(奈良先端大)
D-12-55 |
ミリ波レーダを用いた自車位置推定に関する初期検討
◎△安藤璃功(中京大)・久徳遙矢(豊田工大)・道満恵介・目加田慶人(中京大)・秋田時彦(豊田工大) |
D-12-56 |
自律移動台車のための2D-LiDARを用いた歩行者追跡
○塙 潤一・福田悠人・小林貴訓・久野義徳(埼玉大) |
D-12-57 |
物体検出と画像生成に基づく走行路検出
○小森裕之・小野口一則(弘前大) |
D-12-58 |
単眼車載カメラ映像を用いた路上設置物の位置データベース生成
○﨑山亮恵・萩谷俊幸・因幡千尋(トヨタ) |
D-12-59 |
深層知覚損失ネットワークを用いた画像の降雨ノイズ除去
◎山道航平・韓 先花(山口大) |
自動運転システムにおいて,自車位置推定技術は非常に重要な役割を担う.しかし,カメラやLiDARを用いた位置推定手法は雨,霧,雪などの悪環境において推定精度が低下する.そこで,様々な環境に頑健なミリ波レーダを用いた自車位置推定に関する初期的検討を行なった.自車位置推定手法として,走行中のミリ波レーダの反射点をランドマークと照合することを検討した.これは,ミリ波レーダから安定的に反射点を得られるランドマークの存在が前提となる.そこで,同一経路を複数回走行して得られた反射点群のヒストグラムを用いてこれを検証した.検証の結果,ランドマークとして利用可能な反射点が定期的に取得可能であることを確認した.
本稿では,自律移動台車に設置した足首付近の高さを水平に計測する2D-LiDARの計測情報のみから, 追従対象者を識別・追跡するシステムを提案する. LiDARで計測した距離データをXY座標系に描画し, 追跡対象者周辺の時系列画像を生成する. この際, ガウシアンフィルタを適用し, 足首候補画素からの距離に応じて近傍の画素値に重みづけを行う. この時系列画像をクラスタリングすることで複数観測される足首候補と人物を対応付け, 二つの足首候補を一人のものとして識別できるようになる. 識別した人物はカルマンフィルタを用いて追跡し, 移動台車の進路は追跡対象者の予測進路によって決定する. 実験では複数人が混在する環境においても追跡対象者を識別・追従することを確認した.
近年,自動運転車の普及に伴い,走行路を検出する数多くの手法が提案されている.しかし,従来手法の多くは白線を使用しているため,白線が存在しないような道路において正確に走行路を検出することは困難である.このため,物体検出ネットワークにより,白線,縁石,植栽,壁面,雪壁等道路境界を含む領域を検出し,その領域内から画像生成ネットワークにより道路境界線を抽出する手法を提案する.
超スマート社会の実現に向けた課題の一つとして,インフラ設備や公共道路に設置された機器の維持管理の自動化が挙げられる.特にそれら設備の情報を人手で収集することは膨大なコストを要するため,データベースを自動生成するシステムに対する需要は高い.本稿では,単眼車載カメラ映像と車の位置情報から,路上設置物の種類と位置のデータベースを生成する手法を提案する.自動運転などの用途で類する手法が盛んに研究されているが,単眼車載カメラとGPSのみを利用する点,多数車両の情報を選別・統合し結果を得る点が本稿の特徴である.提案手法は「映像から路上設置物を検出・識別する技術」「画像内の物体位置から緯度経度を推定する技術」「異なるフレームに映った路上設置物が同一であるか照合する技術」から構成される.コンビニの看板を含む路上設置物を検出対象とした実験によって,手法の有用性を示す.
画像内の雨などのノイズの存在は監視カメラや今後活躍が期待される自動運転分野において周り環境の解析・理解に大きな障害となる,本研究では激しい降雨ノイズが存在する画像から,近年様々なコンピュータビジョン応用において高速且つ高精度の結果が得られた深層学習を用いて降雨ノイズを除去し,クリアな画像を得る方法を開発する.
クリアな画像を復元するために,画像生成において広く使われるネットワーク構造U-Netを用いるが,ネットワークの損失関数を改良し,人間の知覚評価に類似するStructual Similarity (SSIM)定量評価を損失関数に取り込むことで,より構造やコントラストを考慮した知覚損失ネットワークを提案する.
3月20日 9:30〜12:00 工学部 講義棟2F 218講義室 座長 川西康友(名大)
D-12-60 |
深層学習を利用した工業部品の検出
○金谷典武(兵庫県立工技セ) |
D-12-61 |
改良したSSDを用いた航空写真からsmall scare物体の検出と分類
◎中井克啓・韓 先花(山口大) |
D-12-62 |
複数前景候補領域からの選択による広域監視向け小物体検出手法
○佐藤秀昭・比嘉恭太・菊池 克・宮野博義(NEC) |
D-12-63 |
機械学習を用いた腰部に対する超音波画像装置のプローブの当て方の良否自動判別方法の検討
◎石田康一郎・篠原寿広・中迫 昇(近畿大) |
D-12-64 |
車椅子バスケットボールにおける漕ぎ出し動作の画像解析
○福江啓太・福田悠人・小林貴訓・久野義徳(埼玉大)・信太奈美(首都大東京)・杉山真理(河北総合病院)・半田隆志(埼玉県産技セ)・森田智之(神奈川リハビリテーション病院) |
機械製品および電気・電子製品の製造工程において、部品等の形状認識や特徴認識、外観検査を自動化したいという要望がある。これらを実現する手法の一つとして、視覚センサから得られる映像情報を用いた画像処理技術、画像認識技術が利用されている。本研究では、ディープラーニング(深層学習)を利用して、画像データから工業部品を検出する技術について検討を行った。本発表では、その結果について報告する。
本研究では近年物体検出分野において多大な成功を収めているConvolutional neural network(以下CNN)を用いて, 大量の航空写真を自動的に解析し, 航空写真内の車両の位置および車種を検出する方法を開発する. 航空写真の物体検出では一般の物体検出と比べ, 物体が密集していることや, 対象物体のスケールが小さいなどの課題点が挙げられる. これらの課題を解決することでsmall-scale物体検出の高精度化を目指す. 本研究ではone-stage物体検出の一つで, 候補のバウンディングボックスが密であり. 密度の高い多くの物体でも同時に検出できるSingle Shot multibox Detector(以下SSD) を採用し、航空写真から車両の位置および車種を検出する. また,small-scale物体を検出するためSSDのネットワークの改良と損失関数の変更を行い,検出精度の向上を検証した.
ドローンによる重要施設侵入への対応など飛行移動物体の監視は社会課題である。全空域にカメラを密に配置した監視はコスト面から現実的でなく、広域カメラに小さく映り込んだ移動物体の検出が必要である。実環境は極めて多様であり、従来の前景抽出手法は、得手不得手な状況が発生し万能な解決策に至っていない。本稿では、対象が小さいかつ単位時間あたりの移動量が比較的小さいという広域監視の特性を活かし、複数の前景抽出手法から得られる前景候補領域から適切な移動軌跡が算出できる前景候補領域を都度選択する、広域監視向け小物体検出手法を提案する。従来手法よりも、Recallが0.042、Precisionが0.026、f-measureが0.033上回り、提案手法の有効性が確認できた。
近年、生活習慣病などの健康問題が増加しており、日常的な健康管理方法として、ヘルスケア用の簡易型超音波画像装置を用いて脂肪や筋肉の厚さやバランスを評価する方法がある。しかし、専門知識や超音波画像装置の使用経験の乏しい使用者にはプローブを正しく当てることは容易であるとは限らない。そこで本稿では、腰部を対象として、プローブの当て方の良否を自動判別するために、畳み込みニューラルネットワークによりプローブが正しく当てられているかどうかを判別する方法を検討した。被験者11名の超音波画像7063枚に対して、腰部におけるプローブの当て方の良否を判別した結果、判別精度76.0%、再現率89.2%、適合率87.7%となった。
本論文では車いすバスケットボール選手の,車いすを漕いでいる際の前傾姿勢の角度,肘の角度,車輪の回転の変化,車いすの速度の変化,などの車輪漕ぎ出し動作情報を分析するための手法を提案する.車輪漕ぎ出し動作情報は,マーカーやセンサを使用せず画像単体から測定を行った.前傾姿勢,肘の角度は,単眼カメラでのスケルトン検出が可能であるOpenPoseを使用し測定,車輪回転角度の測定は連続した2フレーム画像の手首座標と車軸の座標より測定した.一般被験者が車いすに乗って急発進と急停止を行う様子を真横から撮影した30fpsの動画を使用し,提案手法の有効性を検証した.検証の結果,本手法により,同じ車いすを漕いでいる際の複数被験者間での漕ぎ動作の違い,車いすの設定を変更した際の被験者内での漕ぎ動作の変化,を比較することができた.
休 憩(11:00 再開)
D-12-65 |
擬音語変換による聴覚障がい者支援システムの開発
◎岡村一矢・北風裕教・松村 遼(大島商船高専) |
D-12-66 |
時系列データによる機械学習を用いた煙検知手法とその評価
◎藤原裕也・山田和樹・丸田英徳(長崎大) |
D-12-67 |
CNNによる多段階識別を用いた猫の品種識別
◎中井 翼・黒田久泰(愛媛大) |
D-12-68 |
参照画像と文字情報から書体を維持した複数文字の自動デザイン
◎日暮拓人・山崎憲一(芝浦工大) |
聴覚障がいには,音が全く聞こえない全聾のほかに,聞こえにくい難聴(伝音声難聴,感音性難聴,混合性難聴)もあり,それぞれの特性の違いから補聴器などの器具を利用しても,すべての患者に対応することは困難である.
我々の研究グループは信号処理技術を応用して,音情報を画像情報へと擬音語変換を行うことで,視覚を通して問題を改善する手法について検討している.しかし,様々な音が畳み込まれた環境音からでは認識率が悪く,実環境では対応することが困難である問題が残った.そこで本研究では,深層学習の畳み込みニューラルネットワークで環境音認識を行うと同時に,You Only Look Onceを用いて視覚に入る映像の物体検出を行い,それらの結果を照合することで認識精度を高める手法を提案したので報告する.
本稿では,煙検知手法として煙の時間的変化に着目し,特徴量を捉えるための畳み込みニューラルネットワークと時系列データを扱うことのできるLSTMネットワークを組み合わせた機械学習モデルにより煙検知を行う.煙の移動速度を考慮して1fpsで取得したグレースケール画像列を用いる.前処理として異常検知を用い,煙が存在する候補となる時系列データを用意し,機械学習モデルにより煙を検知する手法を提案する.この手法によって実映像データを用い評価を行ったので報告する.
猫には多数の品種が存在する一方で, 同一種であっても色や模様にバリエーションがある場合が多い.同様に, 異なる品種においても似たような色や模様の個体が存在する場合がある.そのため,コンピュータによる識別も難しいとされてきた.この猫の品種識別のような問題は,詳細画像識別(fine-grained visual categorization,FGVC)に当てはまる.本研究では,複数の畳み込みニューラルネットワークを用いて多段階的に識別を行う手法を用いることで猫の品種識別率向上を目指した.結果,事前分類によってデータ量が少なくなり過ぎた場合を除くと安定した識別率の向上が見られた.
和文フォントは欧文フォントに比べ登録されている文字数が多く全ての文字のデ ザインにコストがかかるため,平仮名,片仮名のみのフォントや,漢字を他の フォントで代用しているものがある.自動デザインが実現されれば,全ての文字 を含むフォント作成が容易となる.既存研究として,二文字をペアとして学習す る手法があるが,一度の学習で一文字分しか自動デザインが可能にならず,入力 を書体情報と文字情報とに分ける手法では書体情報はノイズから生成されるた め,任意の書体を出力することができない.そこで本研究では書体を維持し,複 数ペアを一度に学習する手法を提案し,評価を行う.
D-13. 知能ソフトウェア工学
3月19日 13:30〜14:45 総合科学部 K棟2F K206講義室 座長 中川博之(阪大)
D-13-1 |
テストに基づくクラウド向けIaCテンプレートの最小権限発見
○清水 遼・鹿糠秀行(日立) |
D-13-2 |
AI導入のための地域活性化プラットフォームモデルの提案
◎西山嵩人・内藤 豊・星合隆成(崇城大) |
D-13-3 |
トレース表を用いた学習者のプログラミング能力把握手法
◎尾﨑弘幸・鴨下恭兵・橋浦弘明(日本工大) |
D-13-4 |
プログラムデバッグに基づくプログラミング学習手法の提案
◎上村勇太・橋浦弘明(日本工大) |
D-13-5 |
知識ベースを利用したIDPS ルール自動生成手法の提案
○橋浦弘明・榎本大貴・宇南山直紀(日本工大)・櫨山淳雄(東京学芸大) |
パブリッククラウドを用いるシステム開発では,利用サービス設定をテンプレート化し管理するInfrastructure as Code (IaC)が重用される.クラウド向けIaCでは各サービスに与える権限の設定が必要であり,セキュリティ強化のため要件達成に必要最小限の権限を付与することが望ましい.しかしながら最小権限を見つけ出すには開発者の試行錯誤が必要で負担となる.そこで本稿ではIaCテンプレートの最小権限自動発見手法を提案する.提案手法では要件達成のための仕様がテストケースで表現されることに着目し,クラウド上へのデプロイ・テスト実行と,テスト結果に応じた権限設定更新を繰り返すことで最小権限を探索する.
近年のAI技術の進展に伴い,様々な分野においてAIの導入が進められている.地域においてもその例外ではないが,異なる個々の地域課題毎にAIがそれぞれ活用されることが一般的であり,ソリューションの再現性,持続性,汎用性,コストの面において問題を有している.そこで,本稿では,地域資源をブローカレスにつなげることで地域活性化プラットフォーム(以下,地域活性化PF)を構築するための手法である地域コミュニティブランド(SCB理論)に着目し,SCB理論の理論拡張を行うことにより,地域課題にAIを汎用的に適用可能となる地域活性化PFモデルを提案する.
プログラミング教育において学習者の状況をSA(Student Assistant)等の教授者が迅速かつ正確に把握することは容易ではない.本研究の目的は,学習者のプログラミング能力をトレース表の作成によって把握し,指導を必要としている学習者を発見する手法を提案することである.トレース表の作成には,プログラミングに関する知識を用いる必要があり,学習者のプログラミングに関する知識に誤りがある場合,作成されたトレース表はその影響を受けたものになる.そのため,トレース表の作成過程における誤りと修正に着目し実験を行った.実験の結果,トレース表の作成過程からプログラミング能力を把握する手法の提案が教授者による指導に役立つことが示唆された.
ソフトウェア開発者の最も基本的なスキルはプログラミングであり,大学等の高等教育機関において様々な教育が行なわれている.
本研究は,プログラミングにおけるデバッグ過程に着目したプログラミング学習手法を提案する.
先行研究にて学生のデバッグスキルの習得度が高いほどプログラミング能力は向上するが,その逆は当てはまらないことを指摘しており,このことから,学習者のこのようなスキルを集中的にトレーニングすることで,プログラミング能力の向上を促すことができるのではないかと考えた.
本研究はデバッグスキルのトレーニングを行うことによるプログラミング能力の支援手法を提案し,実際に利用できる環境を構築した.実験により,提案環境がプログラミング学習に役立つ可能性が示唆された.
近年,サイバー攻撃から情報資産を守るための情報セキュリティ対策の必要性が高まっている.そのための方法の1つとしてIDPS(Intrusion Detection and Prevention System)の導入が挙げられる.本研究はセキュリティ知識ベースを用いて,IDPS の検知ルールを自動生成する手法を提案し,これを用いる事で情報セキュリティの知識を十分持たない技術者であっても,適切な検知ルールを作成することができる可能性が示唆された.
D-14. 音声
3月20日 10:00〜11:45 総合科学部 K棟3F K310講義室 座長 郡山知樹(東大)
D-14-1 |
覚醒度に相関するカオス論的音声信号特徴量の標準化に係る考察
○塩見格一(福井医療大) |
D-14-2 |
中国語唇音の鼻音の特徴と発話の正確さの関係
○星野朱美(富山高専) |
D-14-3 |
An Automatic Music Arrangement System Using Machine Learning
◎△Tianyi Gao・Hangyu Song・Ahmad Moussa・Hiroshi Watanabe(Waseda Univ.) |
D-14-4 |
深層学習を用いたハウリング抑制法の提案
◎有田直矢(東京理科大)・雨車和憲(工学院大)・名取隆廣・古川利博(東京理科大) |
D-14-5 |
骨導音声の認識率向上の検討
◎藤岡紘展・関 弘翔・細野裕行(日大) |
D-14-6 |
空間フィルタの自動推定による音響シーン識別の検討
◎大野泰己・山田武志・牧野昭二(筑波大) |
D-14-7 |
Generative Adversarial Networksを用いた半教師あり学習の音響イベント検出への適用
◎合馬一弥・山田武志・牧野昭二(筑波大) |
音声信号に定義するカオス論的な特徴量により発話者の覚醒状態の相対的な評価が可能であるが,算出される指数値の性質については不明な点も多い。そこで音声資源コンソーシアムの提供する幾つかのコーパスを利用して,指数値と性差との関係,また指数値と発話テキストの音韻構成との関係を調査した。その結果において,覚醒度の評価に要する感度を維持しながらも性差を解消した算出パラメータの設定を見つけた。また,発話テキストの音韻構成と算出される指数値の関係においては,個々人においては相関係数として0.7程度の相関が見られたが,他者との相関において相関係数は0.2〜0.3程度であり,個人差が存在することを確認した。
中国語を学習する人の殆どは,中国語の「前鼻音」と「後鼻音」の発話も聞き分けも困難に感じている。学生は「前鼻音」を発音するつもりでも,「後鼻音」になってしまう。また,逆のケースもある。帰宅後の自習では自分の発話の正確な評価手段もない。本研究では,中国語話者と日本語話者「前鼻音」と「後鼻音」の唇音の発話の有声期間中のパワーを比較することにより,学生の唇音の鼻音の発話の問題点を対象として分析した。更に「前鼻音」と「後鼻音」発話のフォルマントの解析により正確な発話の,特徴を見出した。これら研究結果を用いて正確な発話の判定基準の確立を試み,効果的な自習教材の開発を目指す。
Recently, more and more people are getting interested in music arrangement, aiming to make their own music.However,for freshman, music arrangement is too difficult to learn. An automatic music arrangement system may help this kind of people to make their music easier. With the well-developed machine learning technique nowadays, such a system becomes possible.
CNN の処理性能の高さに着目し、CNN を用いたハウリング除去手法の提案を行う。本手法では音声信号に対してフーリエ変換を施し周波数軸と時間軸で表されるパワースペクトログラムを一つの画像と見なし、画像認識の問題へと帰着させる。 ハウリングはパワースペクトログラム上では特有のノイズとなって表れるので、ニューラルネットワークを考え、ハウリング除去を行う。提案手法 では従来手法より高い精度でハウリング音を除去で きることを数値実験によって示す。
近年音声認識技術は発展する一方、公共の場での音声認識サービスの使用に抵抗がある人が多い。そこで小声でかつ装着場所を選ばない骨導マイクロホンの利用が見込まれる。しかし骨導マイクロホンで録音した音声(骨導音声)は通常の音響モデルに適さず、音声認識性能が低下する。そこで本報告では骨導音声をスペクトログラム化し、深層学習で通常の音響モデルに適した音声に補正し音声として再構成することで、音声認識率向上を可能とする手法について検討した。本報告の提案モデルはResidual Dense Networkを参考にDilated Convolutionと畳み込み層のカーネルサイズ変更による周波数方向への拡張を取り入れた。提案モデルで学習させた結果、認識率が39.71%から76.29%へと向上した。
音響シーン識別とは音響信号がどの場所,どのような状況における音響信号なのかを識別することである.従来の音響シーン識別はモノラル信号を入力としていたが,最近はステレオ入力を前提とする手法が増えてきている.これは,音源強調・抑圧を適用することによって識別精度の向上が期待できるからである.しかし,音響シーン識別においては,どの音を強調・抑圧すれば良いのかが自明ではないという問題がある.そこで本稿では,音響シーン識別に適した空間フィルタを自動的に推定する手法を提案する.提案手法は,空間フィルタモデルと音響シーン識別の2つからなり,これらを同じ損失関数のもとでEnd to Endに学習する.実験により提案手法の有効性を確認した.
音声アシスタントや自動運転車において,音響イベント検出(SED: Sound Event Detection)は重要な役割を担っている.SEDとは,与えられた音響データ内で発生している音響イベントの種類,開始時刻,終了時刻を特定することで ある.最近ではSEDを行う手法としてCNNやCRNNがよく用いられている.このようなNNを用いたSEDの学習には大量の強ラベル(音響イベントの種類,開始時刻,終了時刻からなるラベル)付きデータが必要であるが,高い検出精度を得るために必要な数百~数千のデータを用意するのは困難である.本稿では,ラベルなしデータを活用するために,Generative Adversarial Networksを用いた半教師あり学習手法をSEDに適用し,実験によりその有効性を示した.
D-15. 教育工学
3月17日 9:30〜12:00 総合科学部 L棟1F L101講義室 座長 大沼 亮(福島大)
D-15-1 |
生体情報を用いた作業支援の検討
○城田璃々・金城伊智子・神里志穂子(沖縄高専) |
D-15-2 |
自己認知像の精緻化支援システムの開発
◎△松田晃佑・林 佑樹・瀬田和久(阪府大) |
D-15-3 |
身体スキル獲得のための身体形状の学習順序導出手法
○角崎仁哉・小尻智子(関西大) |
D-15-4 |
行動変容をうながすタイピング技能フィードバックシステムの設計
◎高橋時生(早大)・本庄 勝・米山暁夫(KDDI総合研究所)・内田真人(早大) |
労働者が作業を行う時の問題点として,経験値やスキルの違いによる作業効率のばらつきや引退などによる熟練作業者の減少,その結果少ない熟練労働者への依存度が大きくなるといったことが挙げられる. そこで本研究では,「それぞれの労働者にあわせた作業支援を行うこと」を目的とし,労働者の困り感を可視化することを目指す.
自身を含めた周辺の環境を改善する行動を選択できるようになるといった点で,自己を客観的に捉え,正確に把握することは重要である.自己を捉える手段として,多くの自己分析評価のツールが存在しているが,それらはアンケートに答えさせることで人物像を統計的に提示しているに過ぎず,学習者のどのような側面を捉えて自己認知像を形成しているかに焦点が当たらず,その精緻化を促すには不十分であると考える.
本研究ではこの問題に対し,自己認知像を形成する認知的側面毎の漠然とした自己認知像と,その認知像を捉える測定尺度から導出される自己像との差を顕在化するアプローチにより,自己認知像の精緻化に寄与する学習支援システムを提案する.
身体スキルとは,身体動作を利用して目的(タスク)を達成する能力のことである.タスクを達成するための身体部位の動かし方は暗黙的であるが,タスクを達成するための身体動作の中で重要となる身体形状,またその習得する順番が明らかになれば,競技者の身体スキルの獲得が促進できると考えられる.本研究では身体スキルを獲得するために必要な身体形状を明らかにするとともに,それらの学習順序を決定する.身体スキル獲得に必要な身体形状は,タスクを成功した競技者に見られ,失敗した競技者に見られない身体形状である.一方で,タスクの練習の過程では,より難易度の低いサブタスクを設定することがあり,個々のサブタスクで必要とされる身体形状がわかれば身体スキルに必要な身体形状と,その獲得すべき順序が明らかになると考える.
教員は生徒の状態を把握し,各自に効果的な指導を行うことが望ましい.しかし限られた授業時間内にすべての生徒に対して,各自の能力に応じた適切な指導を行うことは難しい.システムを用いて生徒への指導を自動化できれば,指導の効率化ができ授業時間を有効活用できる.本研究では,システムの適用例としてタイピング技能の評価に着目し,生徒のタイピング技能を自動的に評価してフィードバックする.フィードバックでは行動変容のフレームワークを導入し,生徒が自らタイピング技能の向上に努めるような行動変容をうながす.そして,実際にフィードバックを行って介入効果を評価し,生徒の能力に応じた適切なフィードバックについて検討する.
休 憩(10:45 再開) 座長 林 佑樹(阪府大)
D-15-5 |
検索結果の可視化による検索クエリ設定能力の育成支援システム
○真野宗和・小尻智子(関西大) |
D-15-6 |
データベース学習のためのトランザクション実習システムの設計
◎新井 輝・岡田信一郎(茨城大) |
D-15-7 |
写経型学習に基づくC言語学習支援システムの開発
◎△小髙真太郎・窪田雅崇・村川猛彦(和歌山大) |
D-15-8 |
RPGのメタファーを利用したオブジェクト指向の学習支援用デジタルゲームの開発
◎渡部皓介・大橋裕太郎(日本工大) |
D-15-9 |
算数の公式適用知識習得のための類題の相違点言語化支援システム
◎野口雄真・小尻智子(関西大) |
検索エンジンでは,設定した検索クエリが適切でなければ,欲しい情報を得られない.この場合,検索結果と欲しい情報との差分を考慮し検索クエリを変更する.しかし,検索結果から検索クエリの設定方法が分からない場合,欲しい情報を得られない..そこで,本研究では検索クエリ設定能力の育成を対象とする.この能力の育成には,検索結果の状態を認識できることに加え,検索クエリ変更による検索結果の状態変化を理解できる必要がある.検索結果の状態とは,検索結果が欲しい話題を含むか,欲しい話題に対してどのような話題を多く含むかと捉えられる.本研究では検索結果のタイトルを話題と捉え,タイトルの語句が欲しい情報かをユーザが判別するシステムを構築する.さらに,判別された語句の分布を可視化することで,状態の認識を容易にする.
データベースに対する重要な学習項目には、SQL、リレーショナルデータモデル、トランザクションなどが挙げられる。
筆者らは、データベースの学習を支援するため、SQLおよびリレーショナルデータモデルに対する学習システムを開発、運用してきたが、トランザクションに対するシステムが存在しなかったため、「トランザクション実習システム」を開発することにした。
当システムはデータベース初学者を対象とするため、基本方針としてトランザクションの理解に重点を置く。そのため命令を直接入力させるのではなく、ボタン操作を基本とし、画面の構成に沿って順番に操作することで、正しい手順でトランザクションの特性を確認することができるよう画面設計を行うこととした。本稿ではその具体例として、ロールバックの課題に対する画面設計を紹介する。
当システムは現在開発中であり、2020年度の本学情報工学科の授業で運用し、その効果を評価する予定である。
C言語を学習する初学者に対し支援を行うためのインタフェースをWebアプリケーションとして構築した.
for文を中心として繰り返しに関する1行から数行のタイピング問題を提供するものであり,解答情報はデータベースに保存する.
大学のプログラミング入門科目で使用してもらい,事後テストと合わせた分析を実施した.
さらなる改善を行いながら初学者への学習効果ならびに教育者へのフィードバックを図るものにしていきたい.
本研究では、オブジェクト指向の理解を助ける学習用ロールプレイングゲーム(RPG)を開発した。ゲームフィケーションの考え方に基づき、オブジェクト指向の構成要素のメタファーとして、クラスを武器、フィールドを攻撃力や体力と、メソッドを敵への攻撃や呪文の詠唱にそれぞれ当てはめ、学習者がオブジェクト指向の内容を理解する手助けとした。検証の結果、オブジェクト指向の学習にRPGのメタファーを取り入れることが、オブジェクト指向の概念を理解する手助けとなることが分かった。RPGのメタファーを取り入れる際の注意点として、学習内容を振り返る要素やゲーム内でのオブジェクト指向の説明・解説が必要であることが分かった。
公式の使用方法を理解する方法の一つに例題の閲覧がある。学習者の中には例題を暗記するだけで、与えられた条件が変化すると公式を適用できなくなる人が存在する。問題の条件が既知のものと異なった場合、条件式や公式を変形することで公式を適用可能となる。このような式変形を理解できれば、解法を全て暗記せずとも公式を活用可能となる。一方、同じ公式を適用できるが条件が異なる例題には、条件を揃えるための式変形が記載されている。そこで、本研究では同じ公式を適用できるが条件が異なる例題を類題と呼び、これらを比較させることで式変形の理解を促す。まず、類題から公式の適用知識を獲得させるため、1)類題から問題文と解法の相違の発見、2)相違点の言語化、3)言語化された相違点の一般化、から成る学習方法を提案した。さらに相違点の言語化までを実践できる学習支援システムを構築した。
3月17日 13:30〜16:00 総合科学部 L棟1F L101講義室 座長 岡田信一郎(茨城大)
D-15-10 |
HMDを用いたARギター演奏学習支援システムの一提案
◎三浦 駿・安藤敏彦(仙台高専) |
D-15-11 |
ベース初心者の熟達度に応じたベースフレーズの演奏難易度評価法
◎上田優太・三好 力(龍谷大) |
D-15-12 |
RPGのストーリー進行に伴う登場人物の感情変化伝達のための楽曲編曲手法
○辻本純平・小尻智子(関西大) |
D-15-13 |
芸術作品の共通点発見に基づいた感性理解支援システム
○福村 望・小尻智子(関西大) |
近年のAR技術の発展を背景に,ARを技術習得に活用する試みが広がっている.本研究では楽器の演奏支援,特にギター演奏に焦点を当て,演奏者の指・手の様子を手鏡のメタファーでAR表示することにより,演奏者から指・手が見えやすく,かつ演奏動作の自由度が高い,鏡型インタフェースによる演奏学習支援手法を提案する.また,これまでの演奏者が自身の演奏が正しいのかどうか判断できないという課題に対し,演奏が正しいのかどうかを判定し,判定した結果や具体的なアドバイスを演奏者へフィードバックすることで,演奏者が独りでギター演奏技術を習得するということができる支援システムを実現することを目標とする.
ベース初心者が独学で練習をする際、自身の熟達度に応じた課題曲を自身で選定することは困難であるといえる。そこで、本研究では独学での練習の支援を目的に、ベース初心者の熟達度に応じたベースフレーズの演奏難易度予測式を構築した。
まず、演奏者の熟達度を考慮するためにベースフレーズに対する熟練度の評価を行い、算出した値を用いた。
さらに、予測式の構築には目的変数に演奏者が主観的に判断したフレーズの演奏難易度、説明変数には従来の難易度評価に用いられた楽譜的特徴量とベースフレーズに対する熟練度を用いて重回帰分析を行った。
結果として、演奏難易度評価にフレーズに対する熟練度を加えることが有用であることが示唆された。
ロールプレイングゲームではストーリーを理解することでより楽しむことができるが、アクションの操作に集中し、ストーリーへ意識が向かないプレイヤーが存在する。一方、マルチメディアコンテンツにおいて、音楽の印象が映像の印象を変化させる共鳴現象が存在する。このことから、本研究ではアクションに付与された音楽を、シーン中の登場人物の感情変化が伝わるように変化させる手法を提案する。登場人物の感情は、シーンの進行に伴ってシーンの最後の感情に近づく。一方、アクションはシーン内の特定の場所と対応しており、最後のアクションを実行するために通る必要がある場所を通過したことをシーンの進行とみなすことができる。そこで、地図情報に応じてシーンの進行を定義し、その進行に応じてアクションの音楽を構成するパラメータを変化する。
良い芸術作品を作成するための要素の1つに感性がある。芸術を学ぶ学習者が理想とする人(以後、先駆者と呼ぶ)のような作品を生成できるようになるためには、先駆者の感性の「好き」を理解することが必要不可欠である。先駆者の好む構成要素は先駆者の作品に多く存在するため、本研究では、ファッションコーディネートを対象の芸術作品とみなし、学習者が先駆者の作品から先駆者の好む構成要素を発見する活動を支援することを目的とする。学習者が先駆者の感性を理解するためには、感性の記述形式を理解することと、先駆者の感性に対応する構成要素を発見できるようになる必要がある。本研究では「【条件】を着るときは【結論】を着る」を感性の表現とし,先駆者の複数の作品から、【条件】と【結論】にあたる衣服の特徴の導出を支援するためのシステムを構築する。
休 憩(14:45 再開) 座長 小尻智子(関西大)
D-15-14 |
監督者不在のオンライン試験における眼球運動特性を用いた聴覚利用型不正行為の検出(難文読解時の場合)
○大出憲吾・小方博之・安田晶子・平松健太(成蹊大) |
D-15-15 |
クレペリン作業における回答数と停留時間に関する一検討
○渡邊博之(日大) |
D-15-16 |
GANで生成した合成顔画像を証明写真に利用した替え玉受験の成功可能性の検証
○佐藤 充・中村壮伸(成蹊大)・村松大吾(阪大)・小方博之・安田晶子(成蹊大) |
D-15-17 |
成績推移や入試区分を用いた学生の分析
◎李 雅文・能上慎也(東京理科大) |
D-15-18 |
高等学校の進路指導・職業指導における無線従事者国家試験の活用
○寺重隆視(広島国際大)・山中仁昭(海保大) |
近年、就職活動などの場で会場外のオンライン受験の利用が普及しつつある。しかし、監督者不在のため不正行為の判別ができないので、重要度の高い試験には導入されていない。そこで、本研究では外部から音声で解答を得るような聴覚利用型の不正行為を、アイトラッカを用いて眼球運動を計測し、通常受験に相当する「読解条件」と不正受験を模した「聴取条件」を眼球運動の7つの特徴量に対してU検定を行い、有意差があった特徴量を用いてロジスティック回帰分析、多層パーセプトロン、ランダムフォレスト、ナイーブ・ベイズ法で判別した。その結果、最も判別率が高かったロジスティック回帰分析で判別率95.8%、EER4.17%を得られた。
計算問題の回答は,読み・計算・書きの作業で構成される.これらの作業の早い人のメカニズムを明らかにすることは,思考過程や回答数増加の解明において重要である.
これまで,クレペリン作業をモデルとして,バブル図により思考過程を明らかにしてきた.また,視線軌跡により各作業時間を考察してきた.その結果,作業時間に最も影響するのは計算であることを明らかにした.しかし,個々の作業時間のバラツキとの関係は明らかではない.
本研究では,バブル図により,読み・計算・書きの各作業の停留時間の平均とバラツキから作業の早い人の特徴を明らかにしている.また,遅い人を早くする実験を行い,バラツキと回答数との関係を解明している.
近年、替え玉受験の手法は巧妙化している。その中のひとつに、合成顔画像を用いる手法がある。このような画像合成は、フォトショップなどの画像加工ソフトを使用して作成できる。しかし、昨今の画像生成技術の向上により、合成顔画像をよりリアルに生成することが可能になっている。本研究では、そのような生成手法の一つである敵対的生成ネットワークを証明写真の合成顔画像の生成に利用する。そして、心理物理学的実験手法を用いて合成顔画像が替え玉受験に使えるか検証することを目的としている。実験結果より、本論文で提案した手法で生成される合成画像は人間の目では見破れない可能性が高いことがわかり、何らかの対策を講じる必要性があるという結論に至った。
本稿では,本学経営学部生の入試区分,試験の得点に関するデータを用いて,入試区分,成績と得意科目,成績推移およびその学生の文理傾向等の間の関係を主成分分析により明らかにする.学生の成績についてはGPA,得意科目については試験の成績を偏差値に変換したものを用い,これらの間の関係を明らかにする.
無線従事者免許は分野や技術レベル等に応じて23種類に分かれており,アマチュアの資格からプロとしての職業資格へスムーズにつながるような制度となっていることに着目すると,無線従事者国家試験制度は「工業」や「水産」など職業教育を中心とする学科の進路指導・職業指導の展開に活用できるものと思われる.本報告では,ホームルーム活動等における取り組みを提案している.
3月18日 9:30〜12:15 総合科学部 L棟1F L101講義室 座長 渡邊博之(日大)
D-15-19 |
通常授業との連携を意識した地域密着型出前授業の実践
○鈴木雅人・小嶋徹也・吉本定伸(東京高専) |
D-15-20 |
学生主体型PBL教育の実践(中間報告)
○亀田弘之・田付洋大・相田紗織・岩下志乃・大野澄雄(東京工科大) |
D-15-21 |
学校間連携・文理融合チームによるアプリケーション開発教育
○佐藤貴之(北九州市大)・松久保 潤(北九州高専)・山崎 進(北九州市大) |
D-15-22 |
産学連携による実践的工学教育プログラム
○中瀬博之・安藤 晃(東北大) |
D-15-23 |
ペルソナ記述を用いたウェブサイト改善企画立案の実習授業の開発
○今中厚志・古性淑子(横浜美大) |
初等中等教育における理科離れ問題は,少子化問題と連動して深刻度を増している.文部科学省においても,この問題の継続的な実態把握と課題の改善のための検討を行っているが,実際の教育現場における問題点把握は必ずしも十分ではなく,予算面・設備面・人材面など,あらゆる観点での抜本的な改善には至っていない.著者らが所属する高専では,地域貢献と学校の広報活動の一環として,小中学校を対象とした出前授業を継続的に行っている.本校では近年,電子情報通信学会の支援のもと,地域の教育委員会と連携をはかりながら,制御・情報通信分野の出前授業にも力を入れてきた.本稿ではその事例報告を行う.
周知のように我が国では、いよいよ義務教育レベルからプログラミング教育が始まる。すなわち、プログラミングの基礎を身につけた若者が、大学に入学してくる時代が今そこまで来ている。従って、大学側も学生の能力・ニーズに合った教育を準備する必要がある。これとともに、情報分野の技術進歩は早く、将来を見据えた教育を準備することは難しい。このような状況に鑑み、筆者らは十数年前からすでに「新しい時代に合ったソフトウェア教育研究プロジェクト立ち上げている。本稿ではそのうち、実践的教育プロジェクトとして2017年度から推進している「実践的IoTの教育プロジェクト」の中間報告をする。
北九州市立大学および北九州工業高等専門学校は,2016 年度より合同で,地域課題を解決するアプリケーション開発のプロジェクトを通し,汎用的能力およびプログラミング能力の育成を実践している.本稿では,異なる専門領域を学び,かつ,地理的に離れた学校に所属する学生同士がチームを組み,一つのアプリケーション開発に進める過程で得られる教育的効果や今後の課題について述べる.
東北大学工学部/工学研究科では、自然科学的視点のみならず社会の中の様々な課題に対して果敢に挑戦する創造性豊かな人材育成を目的として、工学系教育機能充実のために「工学教育院」を設置し、工学系関連研究科と連携して研究型大学における工学教育の体系的カリキュラム構築と到達度評価に基づく学部・大学院6年一貫教育を推進している。工学教育カリキュラムのさらなる充実を目指し、産学連携による新しい工学教育を進めるべく「工学教育社会連携部門」を設置し、三菱ふそうトラック・バス株式会社(以後「三菱ふそう」と表記)との連携にて「三菱ふそう実践的工学教育プログラム共同研究部門」を立ち上げ、工学教育カリキュラムへ産業界の情報・意見を積極的に導入する体制を整えた。本稿では、これまでに実施した産学連携プログラムの状況と今後の展望について述べる。
美術・デザイン分野を専攻する学部学生に対して,商品・サービスなどの実際に存在するウェブサイトの改善案を立案する実習授業にUX調査を導入した.UX調査の手法として,美術・デザイン分野の学生に親和性があると考えられる想定ユーザを描写するUX表現であるペルソナ記述を採用した.ペルソナ記述方法についての導入,ワークシート記述,企画書の作成までの企画の一連のプロセスを経験させることで履修者にサービスやウェブサイト開発におけるUser Experienceの必要性を理解させることを目標とした.その実習活動の開発の過程にて,履修者に対して負担が過重になったなどの浮かび上がった課題について検討する.
休 憩(11:00 再開) 座長 袖 美樹子(国際高専)
D-15-24 |
科目間の関連を可視化するシラバスシステム
小林竜也・○玉田春昭(京産大) |
D-15-25 |
講義データベースにおける発言の自動抽出と分類
渡辺岳人・○篠沢佳久(慶大) |
D-15-26 |
授業力向上のための教師視点映像に基づく模擬授業中の行動の可視化の検討
○大井 翔(立命館大) |
D-15-27 |
授業評価のための受講者の生理機能計測データの解析
○三宅美歩・小村良太郎(石川高専) |
D-15-28 |
学習間隔に応じた得点計算法の効果の検証-初期値変更に対する休憩期間4週間の結果-
柴田 卓・○岡田信一郎(茨城大) |
大学の科目は,学生に対して科目の概要や目的が記載されたシラバスを公開している.
シラバスには当該科目受講前後に履修が望ましい科目(先修科目,後修科目)も記載されている.
これらは履修計画の段階で,学生自身が詳細に検討すべき内容である.
しかし,これらの関連を既存の大学のシラバスシステム上で可視化する方法は一般化されていない.
本稿では,既存のシラバスシステムから科目間の関連を可視化するシステムを作成する.
近年,大学の講義においては,講義の補佐的な役割を目的としてe-learningシステムが活用されている.特に講義ごとで電子掲示板を自由に設置できるシステムが提供されており,電子掲示板の導入やユーザー管理が容易である一方,効果的な運用のノウハウを提供しておらず,運用上において教員にかかる負担も少なくない.さらには,電子掲示板上の発言には,講義に対する要望や意見も多く含まれる.こうした要望に対しては電子掲示板の運用上,回答することが望ましいが,教員にかかる負担も大きい.そこで,教員に負担をかけること無しに,講義に対する要望や意見を抽出した上で,自動回答することを試みる.
新任教員が現場に立つまでに,授業力の向上をするためには,大学の教職課程カリキュラムの教科教育法や指導法における,模擬授業が重要であるが,生徒役が大学生であり実際の環境とは異なる.そこで,現実に近い模擬授業で評価もされるようなシステムの開発は重要であり,(1)現場に近い模擬授業ができること,(2)授業中の教員を定量的に評価できること,(3)授業を振り返ることで癖や違いに“気づく”こと,が重要であると考える.本研究では,(3)に着目し,教師視点映像に対して深層学習モデルを用いて行動を解析・可視化し,振り返ることで,自身の授業展開や無意識の行動の“気づき”を与えることを目指す.
教育の現場では従来型の一方向的な授業形態から,受講者が協働的な活動を伴うアクティブラーニング(AL)と呼ばれる授業形態を増やしている.AL型の授業を行うために授業設計等を行うが,その設計で授業中に受講者の協働的な活動を推進することができたかどうかを定量的に数値化することは困難であった.本研究では,受講者に眼電位を測定可能は眼鏡を装着しデータの収集を行い受講者の協働的な活動になっているか否かを生理的なデータに基づき判定することを目指し,授業形態により生理的なデータにどのような差が出るのかの検証した.
筆者らは、反復学習を効率的に行うための「学習間隔に応じた得点計算法」を提案し、評価を行ってきた。初期の提案では、学習間隔が0のときの得点(初期値)を0としていたため、学習の効果は高いものの、期間内に学習が半分も終了しない学習失敗が起こることが問題となった。そこで初期値を0.2または0.3とすることで学習の失敗を軽減する改良案を提案し、学習から2週間後の効果を検証している。このときの検証では学習失敗が減少し、学習効果(最終テストの正答率)も得点を一定とした場合より高いことが確認されたが、検証例をさらに増やすことが課題とされた。本稿では学習から4週間後の効果を検証した結果を報告するもので、今回の結果からは初期値の増加に対して正答率が低下する傾向が推測される。
3月18日 13:30〜16:30 総合科学部 L棟1F L101講義室 座長 大井 翔(立命館大)
D-15-29 |
言語学習を対象とした時空を越えて相手を感じられる自学自習システムにおける脳波収集システムの開発
○梅澤克之(湘南工科大)・中澤 真(会津大短大部)・小林 学(早大)・石井雄隆(千葉大)・中野美知子・平澤茂一(早大) |
D-15-30 |
英語学習に最適な字幕表示の検討
○朴木拓真・三好 力(龍谷大) |
D-15-31 |
Joining-in-type RALLへの回答の繰り返しの導入による第二言語学習効果の評価
◎山本一貴・加藤恒夫・山本誠一(同志社大) |
D-15-32 |
アカデミック英語表現学習のための文脈と構文的特徴つき表現データベースの共同構築について
○掛川淳一(兵庫教育大) |
D-15-33 |
ろうあ児向け語彙獲得支援システムの検討
○真栄田義史・神里志穂子(沖縄高専) |
本研究の目的は,言語学習を統一的な枠組みで捉え,相手(学習者)を感じて助言を行う人工教師を搭載した自学自習システムを開発し,その評価を行うことである.「相手を感じる」とは,学習行動の背後にある「学習者の理解度」や「学習者ごとの思考プロセスの差異」「学習時の集中度や退屈度」,学習者毎の「問題解決の困難度」等の学習者の学習状況をシステム側が把握することを指す.本研究では,「相手を感じる」ための生体情報を脳波に限定し,学習者から効率的に脳波を収集するためのシステムを提案する.
近年、世界に比べて日本の英語力の低さが問題になっている。
英語学習において、様々な英語学習方法がある中で映像を使用した学習方法の可能性が示唆されている。その中で、日本語と英語の併用した字幕が最も英語能力向上するという先行研究があるが本来の字幕の規約にも則っていないため学習用字幕としても問題があると考えられる。そこで、英語字幕に日本語を付記する、日本語字幕に英語を付記する字幕の表示方法を提案する。字幕をテストとアンケートで比較することで最適な字幕の表記方法を調査した。
第二言語でのコミュニケーション能力向上を支援するツールとして,コンピュータと音声対話を行うDialogue-based CALLシステムの開発が進められている.当研究室ではロボット2体を用いて対話を行うJoining-in-type Robot Assisted Language Learning(Joining-in-type RALL)システムを提案しており,Wizard-of-Oz法による継続的な訓練により英語表現の習得効果が確認された.一方で学習者の発話にはフィルドポーズやリスタートが数多く確認された.これらは学習者に表現が定着していないため発生すると考えられ,自動化に必須の音声認識の精度劣化の要因ともなる.そこで,本稿ではJIT-RALLシステムにおいて,学習者への表現形式の定着を図るために,回答の繰り返しを指示する手法を評価する.
成人のための第二言語学習法として帰納的な語法・表現法学習法が注目されているが,そのための例文教材や練習問題の作成は,それを支援するための技術はあるものの,一般的には,言語教育の専門家と知識工学者・自然言語処理研究者により作成される.本研究においては,本来,領域専門家,および知識工学者が行ってきた例文抽出作業を学習者に行わせ,学習者に表現法における文法的特徴を陽に扱わせることで, 問題解決的な表現法学習のプロセスを生起させる環境の構築を目的とする.また,それらの作業を学習者が共同で行える環境にすることで,社会文化的な学習の生起が期待できる.そのような学習を行えるシステムの提案を行い,試作システムとその評価実験のための準備について述べる.
聴覚障害児は漢字の読み,書きを覚えられるが,語彙として習得するのが難しいという問題がある.そこで,沖縄県立沖縄ろう学校では絵カードなどを用い,学習の工夫を行い,読字力検定を受けることで学習効果を見てきた.しかし,カリキュラムの変更によって授業として勉強時間を確保できなくなったという問題が発生した.そのため,言葉と事象の関連付けを促す学習システムが必要となり,開発・改良を行っている.さらに実際に使ってもらったところ,ろう学校から「実際に学習した言葉を語彙として習得できているかわからない」という意見があり,アプリ自体で正誤判定を行う語彙習得判定アプリの開発を行う必要がある.そのため形態素解析を用いた語彙習得判定方法の検討を行っている.
休 憩(15:00 再開) 座長 掛川淳一(兵庫教育大)
D-15-34 |
適応的な授業評価項目出題を用いた授業改善支援システムの設計
◎中村修也・赤倉貴子(東京理科大) |
D-15-35 |
カウンタ回路の学習支援システムの使用と改良
○出口幸子・松本真仁・宮野聖也(近畿大) |
D-15-36 |
PBLオンライン教育によるレンタサイクル向けIoT装置の開発
○袖 美樹子(国際高専)・伊藤隆夫(金沢工大) |
D-15-37 |
アマチュア無線機を搭載した衛星通信を実習するための教育向けモデルキューブサットの開発
○小西健太郎・徳光政弘(米子高専)・高田 拓(高知高専)・浅井文男(AMSAT-NA)・若林 誠(新居浜高専)・北村健太郎(徳山高専) |
D-15-38 |
無線LAN接続型組込みシステムからの多様な情報送信
○荻窪光慈(埼玉大) |
D-15-39 |
ヒヤリハット記事からの経験学習における分析表の評価
○嶌田 聡(日大) |
本研究では,これまでに著者らが提案した「階層型アイテムバンク」を用いて,授業評価アンケート項目を授業に応じて適応的に出題する方法を提案し,この方法を用いて具体的な授業改善方法をフィードバック可能な授業改善支援システムについて述べる.本稿では特に,システムの概要やインタフェイスについて述べる.
順序回路は状態の概念があり,講義や実験では理解し難く,学習支援システムを用いて教育することに意義がある.筆者らは2012年にカウンタ回路の学習支援システムを開発し,実験の授業に導入してきた.その中で種々の問題点も見つかり,2019年は従来のシステムを異なる形で運用した.半分のクラスでは2名で使用し,半分のクラスでは従来通り個別に使用した.複数名での使用は効果的であるが一部に不満を感じる学生がいることもわかった.また,システムの役立ち度・学生の満足度と学習意欲の向上は異なることもわかった.今回の使用結果から,新システムとして,グループで使用できる方式を実現した.
本稿ではオンライン教育のフレームワーク検討を目的に学生への適切なアドバイスの方法やタイミングを実現する手法を検討したので,その検討結果を報告する.
本研究は、学生の衛星通信実習を目的として、アマチュア無線機を搭載したモデルキューブサットを開発した。提案モデルキューブサットは、2Uサイズの超小型衛星のモデルで、オンボードコンピュータ、各種センサ、アマチュア無線機を搭載している。オンボードコンピュータには、Raspberry Piを使用しており、必要な制御プログラムの開発も行った。提案モデルキューブサットは、通信により制御可能で、カメラの撮影、パケット通信によるビーコンの送信ができる。提案モデルにより、学習者は、衛星システムと衛星通信の学習ができる。
IoT(モノのインターネット化)技術が普及しつつある現在、組込みシステムも従来のスタンドアロン型から、インターネット接続型、特に有線でなく無線LAN接続型に移行しつつある。無線LAN接続型組込みシステムでは、電子メール等の手段を用いて、遠隔地にテキスト型の情報を通知することは容易になっているが、例えば画像等の大容量の情報を電子メールの添付ファイルとして通知することはいまだ一般的ではない。そこで本研究では、マイコンを中心とする組込みシステムから、画像等の多様な情報を通知する手法を検討・開発することを目的とした。具体的には、電子メールにおいて添付ファイルを送る仕組みであるMIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)を活用することとした。
登山事故の防止のためには登山者の育成環境の構築が重要なテーマである.著者らは,指導を受ける機会のない登山者でも実践的な知識を主体的に学べるWebサイトを構築している.本サイトは,他者のヒヤリハット体験をエピソード風に描写した体験記事を教材とし,体験記事の閲覧による疑似体験から経験学習に基づいて学べるように設計されている.疑似体験の振り返りを初級から中級の登山者でも行えるように要因分析表と登山者分析表を開発していることが特徴である.本稿では,初級の登山者を対象とした実験を行い,他者のヒヤリハット体験を教材とした経験学習での学びにおいて要因分析表と登山者分析表が有効に機能していることを検証した.
D-16. 医用画像
3月19日 13:30〜15:30 総合科学部 K棟3F K304講義室 座長 平野 靖(山口大)
D-16-1 |
GPを用いた画像平均強度別学習による拡散強調像へのアノテーション
◎八瀬邉洋人・杉本千佳(横浜国大)・萩原浩明(横浜南共済病院) |
D-16-2 |
CT像からの骨転移検出のための画像位置合わせ法
佐藤 駿・○金 亨燮・陸 慧敏(九工大)・青木隆敏(産業医大) |
D-16-3 |
胸膜悪性播種病変に対する光学的診断法
○北田正博・安田俊輔・阿部昌宏・岡崎 智・吉田奈七・石橋 佳・大崎能伸(旭川医大) |
D-16-4 |
深度マップを用いたU-NetによるLST型ポリープの自動検出
◎宮﨑將太・岩堀祐之(中部大)・キッスィリクン ブンサーム(チュラロンコン大)・小笠原尚高・春日井邦夫(愛知医大) |
D-16-5 |
病理組織画像における細胞膜の閉領域抽出
山見 慧・杉本京太・○高橋正信(芝浦工大)・中野雅行(横浜市大) |
D-16-6 |
電気メスによる生体組織内部の熱損傷シミュレーション
○小枝正直・瀧口亜沙美(阪電通大)・濵田彬弘・澤田篤郎・河野 仁・小川 修(京大)・大西克彦・登尾啓史(阪電通大) |
D-16-7 |
HOG特徴量とガボールフィルタを用いた眼底画像の血管抽出
◎内山蒼介・張 煕(電通大) |
D-16-8 |
超音波B-mode動画解析による食道内嚥下物移動度定量分析法
○阪田 治・佐藤康之(東京理科大)・鈴木 裕(山梨大) |
読影で医師を支援するコンピュータ診断支援システムが進展する中,多くの症例データを学習に用いるためにアノテーションした多量の医用画像が必要とされる.しかし,医師がアノテーション付与する作業負荷が大きく,その自動化が求められている.医用画像中のリンパ節の識別によるアノテーション付与では,リンパ節が高い輝度で写る拡散強調像(DWI)の利用が有効であるが,画像全体の輝度が低いことから,DWIへの一意な画像処理フィルタ群の適用は困難である.本研究では,DWI の正規化後の画像平均強度を考慮し遺伝的プログラミングを用いて画像処理フィルタ群の最適化を行うことで,DWI のリンパ節自動検出を行いアノテーション精度を向上させた.
本論文では,同一被験者の過去・現在画像を用いた比較読影に必要な経時的差分画像を生成するための画像位置合わせ法を提案し,両画像間で変化のあった領域を強調表示するためのCAD法の構築について述べる.手法としては,脊椎領域の自動抽出を行った後,3次元データであるCT画像の現在と過去のスライスを対応させるためのグローバルマッチングを行い,大まかな現在画像と過去画像のスライスの対応関係を選定する.その後,SRFに基づくローカルマッチングによる画像位置合わせを行う.最後に位置合わせを行った現在画像と過去画像との差分処理を行い,経時的差分像を作成する.
光感受性物質である5ALA(5-aminolevulinic acid)と自家蛍光を併用した胸膜悪性播種性病変に対する診断法の開発を行った。体外より摂取した5ALAは、ヘムの前駆体であるProtoporphyrin IXに代謝され悪性細胞内に留まり、630nm程度の赤色蛍光を呈する事象を利用した。従来より研究している正常組織が放つ自家蛍光の観察システムを利用した診断を施行した。【対象と方法】2017年1月より2019年4月まで胸膜浸潤が疑われる肺癌83例を対象とした。手術4時間前に20mg/m2の5ALAを経口投与しに胸腔鏡下で自家蛍光観察システムを用い、胸膜悪性病変の観察を行った。【結果】1)胸膜播種性病変は6例に認めたが、2例は視認困難だが本法で診断可能であった。2) 胸膜播種のリスクを予想する肺癌胸膜浸潤診断は、腺癌に限ると感度は93.9%、特異度74.3%、陽性的中率60.8%%、陰性的中率96.2%であった。【結論】本法により、視認困難な微小播種性病変を、高感度で発見できる可能性がる。また、胸膜浸潤度の診断は区域切除等の縮小手術適応を検討すべき診断となる。
内視鏡診断において,医師の経験不足や診察の長時間化等の要因からポリープの見落としが起こりうる.そこで本研究では,見落とされやすいとされている平坦型(LST型)のポリープを含む内視鏡画像を対象とし,内視鏡環境下からポリープの三次元形状を求めることで深度マップを作成する.作成した深度マップと内視鏡画像を入力として,学習データが少量である場合に有効であるとされるU-Netを用いてLST型のポリープの検出を行った.U-Netによりポリープである確率の高い箇所の値が高くなるようなマップを出力することでポリープ・非ポリープの検出を行う.方法論に基づいて実際の内視鏡画像を用いて実験を行い,提案手法の有効性を確認した.
細胞膜抽出はN/C比などの病理診断に有用な定量的指標を算出する上で必要となる.我々は病理医が診断に利用する光学顕微鏡を用いて得られる病理組織画像を対象とした細胞膜抽出を実現している.しかし,アーティファクトなどの影響で細胞膜の一部が欠けた状態で抽出される場合があった.細胞膜が閉領域として抽出されないと,細胞の面積ひいてはN/C比が算出できない.そこで,本研究では,細胞膜を付加的に再抽出するネットワークを新たに追加し,反復適用することで欠けた部分を補完する機能を実現した.実験の結果,細胞膜が閉領域として抽出される割合を大幅に改善できた.
電気メスによる臓器切開の際には,臓器表面だけでなく臓器内部にも熱による損傷が加わる.本研究では,計算機による熱伝導シミュレーションにより臓器内部の熱損傷領域の定量化を試みた.まず15x15x20mmの肉片表面にモノポーラ型高周波電気メスを当てた際の肉片表面の熱伝導の様子をサーモグラフィカメラにより撮影した.この動画と同様の熱伝導となるように熱伝導率を設定し,非定常3次元熱伝導シミュレーションを行った.臓器表面2x2mmの範囲を125度で5秒間加熱する条件でシミュレーションを行った結果,臓器表面から1mm程度の深さまでが60度を超過しており,熱損傷が発生する可能性があることが示唆された.
健康診断や人間ドックの検査項目の一つに眼底画像検査がある。眼底画像は目の奥(眼底)が写し出された画像で、視神経乳頭(視神経が集まる点)や網膜血管などが写し出される。これらを診ることで、緑内障や動脈硬化など様々な疾患を発見することができる。近年、患者数や診断数の増加によって医師の負担が増えており、眼底画像のためのコンピュータ支援診断(CAD)が重要となっている。CADには血管だけを正確に抽出した血管抽出画像が必要となる。血管抽出画像を得るために様々な研究が進められているが、血管抽出アルゴリズムの処理時間に焦点を当てた報告はあまり多くない。本研究では血管抽出アルゴリズムの高速化を目指す。
誤嚥性肺炎を予防する一手段として、誤嚥を起こしやすい患者の食事をうまくデザインすることが考えられる。個々の患者ごとにレシピや摂取方法をカスタマイズすることにより実現される。ここで問題となることは、個々の患者の嚥下能力は様々であり、その能力に合った食事デザインが必須となる。我々は、誤嚥を起こす患者に対して、その患者の嚥下能力を随時数値化する検査手法の研究を進めている。本研究報告はその一環であり、食道を流れる食物を体表から撮影した超音波B-mode動画像の解析によって、その患者の嚥下能力を定量評価するための技術の一提案である。
D-17. ソフトウェアインタプライズモデリング
3月19日 13:30〜14:15 総合科学部 K棟1F K104講義室 座長 宇田川佳久(東京情報大)
D-17-1 |
HPCC活用に向けた社会シミュレーション実行管理フレームワークの構想
○鷹見竣希(筑波大)・野田五十樹・大西正輝(産総研) |
D-17-2 |
AdaBoostを用いた不適切会計の検知
大倉直也・○保坂忠明(東京理科大) |
D-17-3 |
反対売買アルゴリズムの利益特性に関する実験的研究
○宇田川佳久(東京情報大) |
計算社会科学におけるHigh-Performance Computing Cluster(以降,HPCC)の活用を目的とした社会シミュレーション実行管理フレームワークの構想について紹介する.計算社会科学においてHPCCの活用することは重要な要素となりつつある.しかし,HPCCの活用には知識や経験が必要であり,社会科学者や経済科学者,場合によっては情報科学に携わる者もHPCCの導入に手間取ることは多い.そこで社会シミュレーションの特徴に基づいてシミュレーションプログラムをHPCC上で容易に実行・管理するためのフレームワークを提案し,情報科学に携わる研究者以外もHPCCを活用した研究促進を可能にする.
大企業による不適切会計が相次いで発覚し社会的問題となっている.そのため,機械学習や人工知能を用いた不適切会計の自動検知の研究に注目が集まっている.従来の予測モデルの構築の際には,説明変数として採用される財務指標が分析者によりトップダウンに指定されている.そのため,不適切会計を検知もしくは予測するためにより有効な財務指標が使われていない可能性がある.本研究では,AdaBoostを利用して不適切会計の検知に有効な財務指標を選出し,選出された指標を用いて検知のためのモデルを提案することを目的とする.我々はこれまでに,倒産予知において有効な財務指標の選出および予知モデルの構築をAdaBoostによって実現しており,同様の枠組みを不適切会計の検知に適用することは十分に可能であると考える.評価実験により75%程度の検知率を実現した.
ローソク足チャートのパターンをはじめとする株価テクカル分析では,株の購入タイミングを見極めることに注目している.一方,株取引は,反対売買によって完了し,利益/損益が確定する.本研究は3つの反対売買基準を提案し,日経平均株価を使った実験結果を,一日当たりの利益効率の観点から考察する
D-18. リコンフィギャラブルシステム
3月20日 10:30〜11:15 総合科学部 K棟1F K104講義室 座長 谷川一哉(広島市立大)
D-18-1 |
複雑作業ロボット向けリアルタイムネットワークの基本通信方式
○三枝高志・山科和史・船津輝宣(日立) |
D-18-2 |
ロボットの複雑作業を実現する推論演算アクセラレータ
◎山科和史・三枝高志・船津輝宣(日立) |
D-18-3 |
非線形変換テーブルの高効率実装手法
○岡部 忠(都産技研) |
近年,少子高齢化での生産年齢人口の減少,熟練作業者の不足が進み,労働者不足を補うためロボット導入のニーズが拡大している.これに伴って作業ロボットでは,従来導入が困難であった多品種・高速精密作業への適用が求められている.これに対応するため,筆者らは,ロボットの複雑作業実現に向けた高速・多自由度自律制御モジュール化技術を開発している.本技術では,作業ロボットの末端可動部の機構,I/Oデバイス,コントローラを集約し,モジュール単体でリアルタイムかつ自律的な制御機能を担保することで高速精密作業の実現をめざす.このコントローラには,末端可動部の限られたスペースに搭載しつつリアルタイム性の確保が見込める筆者らが開発したリアルタイムネットワークを活用する.本報では,作業ロボット用に新たに考案したリアルタイムネットワークの基本通信方式について説明する.
労働者不足が進み労働作業の代替手段として,ロボットの活用が期待されている.ロボットはより高難易度な作業が求められ,ロボット制御は今後さらに複雑化が進むと予想される.これに対応するため,深層学習を用いたロボット制御の技術開発が進んでいる.例えばGoogle社では,深層学習を用いてロボットアームの把持動作に必要なグリッパ位置の推定を実現した.このように,深層学習はロボットの物体認識や動作計画などに広く用いられている.我々は,ロボット作業の複雑化に対応するため,高速,高精度な制御を要するアクチュエータ制御に深層学習を適用し,ロボットの基礎動作の高度化をめざす.本稿では,深層学習を適用したアクチュエータ制御をリアルタイムに実行するための推論演算の高速化技術とその実証について述べる
非線形変換テーブル S-Box をデジタル回路で実現する場合の実装最適化手法として様々な手法が提案されているが,本発表では既存手法とは異なる高効率な実装手法を提案した.提案法を暗号規格へ適用した時のハードウェア実装性能を示し,提案法の有効性について議論した.
D-19. 情報通信システムセキュリティ
3月17日 9:30〜12:00 総合科学部 K棟2F K205講義室 座長 曽根直人(鳴門教育大)
D-19-1 |
Linuxコンテナを用いたハニーネットの動的構築方法
◎奥山将己・山崎憲一(芝浦工大) |
D-19-2 |
SIP電話システムにおいて公的個人認証サービスを活用する方法に関する一検討
○青島広武(NTT) |
D-19-3 |
Android WebViewにおける利用者の意図しない悪性WebサイトへのWebアクセス可視化手法
◎市岡秀一・佐藤将也・山内利宏(岡山大) |
D-19-4 |
Seccompを利用したIoT機器のセキュリティ機能の向上手法の一検討
◎松下瑛佑(岡山大)・山内利宏(岡山大/JSTさきがけ) |
D-19-5 |
仮想計算機モニタによるプログラム実行の証拠保全システムの設計
◎伊藤寛史(岡山大)・中村 徹・橋本真幸(ATR)・山内利宏(岡山大/ATR) |
ハニーネットとは複数のハニーポットをネットワーク接続したシステムである. ハニーネットではネットワーク内での攻撃者の行動を記録することが可能だが, 複数のハニーポットを予め用意しておく必要があり, コストがかかる. 本研究では, コスト削減のために攻撃者の挙動に合わせたハニーネットの動的構築方法を提案する. 入り口となるハニーポット侵入後の攻撃者の通信を監視し, 調査の通信には提案システムが代理応答することで, 存在しないマシンが存在するかのように見せかける. 通信が調査でない場合は新たにコンテナを起動し攻撃者との通信を開始させる. 実際にシステムを実装し,通信がタイムアウトすることなく開始されることを確認した.
電話で親族等になりすます特殊詐欺は電話の真正性や責任追跡性の脆弱性を利用している。一般の通信の真正性や責任追跡性を高める技術の一つに公開鍵認証技術(PKI)がある。マイナンバーカードに搭載されている公的個人認証サービス(JPKI)はその一例である。
今回は、Session Initiation Protocol(SIP)を対象に、そこにJPKIの個人認証の仕組みを組み込む方法とその活用例を検討した。具体的にはSIP電話のコールフローの中でJPKIの利用者証明を行う処理手順を示し、活用例として、電子証明書のシリアル番号と利用者本人を紐付けるデータベースを作成することでなりすましを防ぐ方法を検討した。
Androidでは,利用者の意図しないWebサイトへ誘導する攻撃が存在する.この攻撃では,入口サイトから複数の経由サイトへ遷移する.経由サイトでは,URLの生成や履歴の変更などを実行しており,攻撃において重要な役割を担っている.悪性サイトへのリダイレクトでは,リファラの削除や難読化されたJavaScriptによるリダイレクトが行われており,Webサイトの遷移の取得や分析が容易ではない.そこで,本稿では,Webアクセスの遷移の流れを可視化することで,経由サイトの分析を支援する手法を提案する.提案手法は,URLバーの文字列やHTTP通信ログに含まれる経由サイトの情報を用いてWebアクセスの遷移の流れをグラフにより可視化する.
IoT機器はセキュリティ対策が不十分なことが多く,IoT機器の脆弱性を狙う攻撃が増加している.攻撃者により,IoT機器の脆弱性を突かれてシステムの管理者権限を奪われた場合,攻撃の被害が甚大となる.本稿では,Linuxのセキュリティ機能であるseccompを用いて,IoT機器上のプロセスが利用できるOSの機能を制限する手法を提案する.提案手法は,プロセスから発行されるシステムコールの実行可否をホワイトリスト方式で制御し,IoT機器の本来の処理に関係のないシステムコールの発行を制限する.これにより,プロセスから利用できるOSの機能を制限し,IoT機器のセキュリティを向上させることを目指す.
プログラム実行時に実行環境や実行結果などの証跡を残し,検証することは重要である.実行時の処理を検証する際には,プログラム実行による処理に関係した要素や,生成された成果物を把握することが必要である.そこで,本稿では,プログラム実行を起点とした証拠保全システムを提案する.提案システムは,行われた処理に関係した要素を監視し,プログラム実行を検証するための証拠として情報を取得する.また,仮想計算機モニタを用いて,処理の証拠を保全する.情報の取得機構は監視対象の仮想計算機の動作を観測可能にするため仮想計算機モニタ上に実装する.また,取得した情報を,別の仮想計算機上に隔離する.
休 憩(11:00 再開) 座長 山内利宏(岡山大)
D-19-6 |
自己主権型アイデンティティにおけるユーザ情報の流通管理方法の検討
○大森芳彦・山下高生・菅 友梨香・吉村康彦(NTT) |
D-19-7 |
記憶想起システムのための耳音響認証を利用した認証方法の提案
◎石井佑磨・小尾高史・鈴木裕之(東工大) |
D-19-8 |
鉄道運行向け統合情報ネットワークにおけるセキュリティ要件
羽田明生・○竹内恵一・小川祥吾・流王智子・中村一城・川﨑邦弘(鉄道総研) |
D-19-9 |
モデル検査器ProVerifによるDES暗号の形式化
○磯貝百恵・岡崎裕之(信州大)・荒井研一(長崎大)・布田裕一(東京工科大)・三重野武彦(エプソンアヴァシス) |
インターネットでのGAFAを中心とする中央集権的なID管理にもとづいたWebサービス間のID連携が普及している中で、ユーザ自身がIDを管理してWebサービスを利用するための技術検討がW3C等で進められている[1]。また、ユーザがインターネット上でWebサービス提供者等に提示したユーザ情報が、Webサービス提供者等の事業者間でどのように流通しているのかを可視化したいという気運がプライバシー保護の観点から高まっている。本稿では、ユーザのプライバシー保護や利便性の観点から、ユーザがインターネット上のIDを自ら管理、制御するSSI(Self-Sovereign Identity,自己主権型アイデンティティ)と呼ばれる概念を用いた場合の、ユーザ情報の流通管理方法を提案する。
近年、記憶力低下に起因するコミュニケーションの障害が大きな課題となっており、会話等の途中で記憶を適切に思い出すことを補助するシステム(記憶想起システム)の開発が望まれている。先行研究では、会話相手の氏名を失念した場面を想定し、記憶想起システムの要件の整理、機密性を確保する手法の提案を行った。その中で、記憶データが本人に出力されることを確実にするために、端末内のセキュア領域であるTrusted Execution Environment(TEE)内で安全に実行されるTrusted Application(TA)を用いている。しかし、キャリア以外の第3者がTAのインストールおよびその利用を行うことは現状、非常に難しいため、本研究では、ヒアラブルデバイス(HD)を用いた耳音響認証技術及び、スマートフォンなどに搭載されたTEEを用いたHDとユーザ利用端末との紐づけ及び端末認証を用いることで、独自のTAを利用しない方法で、記憶データが本人に出力されることを確認する方法を提案した。
近年のICT技術の発展に伴い,これまで車両,施設,電力,信号通信,運転などの系統ごとに構成されていた情報ネットワークを1つまとめ,列車の運行制御に関する多様な情報を系統間で共有できる統合的な情報ネットワークの検討が進められている.このような統合的な情報ネットワークでは,列車運行に関わる重要な情報を伝送するためサイバー攻撃などにより列車運行へ大きな影響がでることが懸念される.そこで,列車の安全・安定運行を確保するため,鉄道運行向け情報ネットワークのセキュリティの考え方を整理した.
モデル検査器のProVerifを用いてDES暗号を形式化し安全検証を行う。ProVerifはBlanchetらが開発した暗号プロトコルの自動検証ツールであり、暗号プロトコルの認証や秘匿など安全性要件を自動で検証することができる。そして、DESはブロック長64bitの共通鍵暗号方式である。64bitを32bitずつにブロック分割をしてラウンドと呼ばれる手順を16回繰り返すことにより暗号化する。ProVerifを用いてDES暗号等の典型的な秘密鍵暗号の構成法として知られるフェイステル構造の形式化を行った。
D-20. 情報論的学習理論と機械学習
3月18日 9:30〜12:00 総合科学部 K棟3F K311講義室 座長 鹿島久嗣(京大)
D-20-1 |
CNNを用いた前腕部表面の筋電位パターンの推定法
○塙 啓輔(茨城高専) |
D-20-2 |
植物生体電位による生育診断モデルの比較
◎稲垣喜宣・伊藤功一・柴田慎一(大同大) |
D-20-3 |
水耕栽培における経験知の定量化
○長嶺 健・金城伊智子・神里志穂子・亀濱博紀・眞喜志 治(沖縄高専) |
D-20-4 |
野鳥の鳴き声識別における特徴量類似性と認識精度に関する検討
◎古江智瑛・藤岡優也・三好 力(龍谷大) |
D-20-5 |
工業製品の画像検査における誤差関数と異常スコア算出範囲の比較
◎山室裕太郎(金沢大)・笠原竹博(石川県工試)・南保英孝(金沢大) |
筋電位測定において,主に侵襲型の針電極,ワイヤー電極,非侵襲型の表面電極を用いた方法があり,表面電極を皮膚に貼り付ける方法は侵襲型に比べて被験者に対する負荷が小さいが,運動時や高温多湿での活動では,接触状態を一定に保つことが難しいため,筋電位の正確な測定は難しい.本研究は想定する指の動作を分類して,動きに対応する筋電位波形を事前に測定して動作と紐付けした後,未知の動作を入力してCNNで類似し,紐付けされた筋電位波形を参照することで,現在の筋電位波形の傾向を推定できると考え,システムの制作,動作試験を行った.その結果,本研究で提案するシステムを利用することで,過去の筋電位の実測データから現在の筋電位波形を類推してその傾向をほぼ実時間で示すことができるようになる.
近年、植物体を非侵襲で定量的に長期にわたって診断する方法が求められており、その1つとして植物生体電位を用いた機械学習での生育診断の研究が行われている。しかし、これまでの研究ではSVM(Support Vector Machine)による学習のみで他のモデルについては考慮されていなかった。
本研究では、深層学習と呼ばれるDNN(Deep Neural Network)を含めた機械学習を用いた植物生体電位による生育診断のモデルの比較検討を行う。生育診断の指標には光合成の評価指標として用いられるクロロフィル蛍光を生育状態の指標として使用し、生育状態を2つのグループに分け、植物生体電位による生育状態の識別を行った。実験結果はDNNの方がいずれの場合においても高い識別率となった。
新しい農業の形として水耕栽培という栽培方法がある。そのメリットとして気候に左右されないことや、品質管理が容易な点などがある。しかし、水耕栽培のノウハウが確立されておらず、利益を上げることが難しいという問題点がある。そのため、それぞれの野菜にあった条件を明確にし、付加価値を付けた野菜を水耕栽培で効率良く育成する経験知が求められている。そこで本研究では、これまで工場で経験と感覚で行ってきた野菜の育成を水耕栽培の環境条件を変えて行うことで、どの環境条件が成長度と関連しているかを明らかにすることを目的としている。野菜の量の需要と供給のバランスがとれていないときには無駄に生産してしまい余ることがあるが、その生産スピードをコントロールできるようになることを目指す。そうすることで、工場の方がどの作業を行えばよいのかが明確になる。
コストを削減する識別器の性能を向上させることは機械学習において重大な課題の一つである.ラベル付きデータが高コストである一方で,ラベルなしデータの場合は低コストで大量に獲得できる場合が多い.たとえば鳥の鳴き声の音声データであれば森の中に録音機を設置するだけで容易に獲得できる.
そこで本研究では特徴ベクトル間の類似性に着目し,少数のラベル付きデータから多数のラベルなしデータのクラスを特徴ベクトル間距離によって決定して訓練データとして用いる手法を検討する.ニュージーランドに生息する野鳥の鳴き声データを例に,SVMにおいて訓練データの数と識別率の推移の関係を検討するための実験を行った.
近年、深層学習を用いた工業製品の外観検査のニーズが高まっており、深層学習を用いた異常検知の研究が活発に行われている。本研究では、教師なし学習の手法であるAutoEncoderを用いた異常スコア算出法について、誤差関数の取り方を変えた場合、また分割画像ごとのスコアの評価方法を変えた場合について検査精度の比較を行い、その結果について報告する。従来手法が画像全体の異常スコアを算出していたのに対して、本手法は入力画像と出力画像のピクセル差分が最大となるピクセルの周辺領域をクロップした範囲で異常スコアを算出することで、画像に占める異常領域が小さい場面でも高い感度での異常検知が可能であることを示した。
休 憩(11:00 再開)
D-20-6 |
毛状表面を移動する小型軽量な二車輪駆動型ロボットの学習制御
○金沢政宏・鈴木 寿・今井桂子(中大) |
D-20-7 |
強化学習による時間枠付き巡回セールスマン問題
◎中西研介・宮村祐一・広瀬俊亮・神津友武(トーマツ) |
D-20-8 |
Actor-Critic法に基づく自動運転モデルの汎化性能の調査
◎中川将輝(同志社大)・渡辺秀行(ATR)・片桐 滋・大崎美穂(同志社大) |
D-20-9 |
Deep Neural Networkを用いた需要家向け翌日負荷予測モデルの検討
◎林 直輝・福場伸哉・馬渕裕之・佐野常世(東京電力HD) |
外乱の影響を大きく受けやすい小型軽量な玩具用の二車輪駆動型移動ロボットを,OAフロア表面の毛状タイルカーペット上で軌道追従させるべく,繰り返し学習制御の適用を試みた結果について報告する.時間を引数とし進行方向の速さを表す関数と進行方向の角速度を表す関数とのペアとして記述された円弧状の軌道が与えられたとき,移動ロボットがPID制御下で実現する速さとPID制御下で実現する角速度とを独立に学習制御することを試みた結果,実現される速さ,角速度ともに所望の速さ,及び角速度に近づいていくことが確認できた.
近年,高い注目を集める強化学習は,sequence to seuqence(seq2seq)モデルと組み合わせることによって,組合せ最適化問題に対するメタな解法としても応用が可能となる.組合せ最適化問題は,様々な制約の下で,多くの組合せの中から,ある評価指標を最も良くする解(組合せ)を求める問題であり,これまで,巡回セールスマン問題や配車問題など様々な問題に対して強化学習手法の有効性が示されてきた.一方で,組合せ最適化問題における拘束条件の扱いなど,有効性が検証されていない要件も多い.そこで本稿では,時間枠付き巡回セールスマン問題を題材として,拘束条件を持つ問題に取り組み,既存手法と比較することによってその有効性を示す.
ノンパラメトリック(自動車)運転制御モデル獲得の研究において,強化学習によって獲得された運転モデルが,学習に用いた運転条件(環境)下で期待通りに制御し得ることが示されている.本稿では,先行研究と同様に,車線復帰課題(車線逸脱状態から車線復帰を目指す課題)に決定論的方策勾配(DPG: Deterministic Policy Gradient)を用いるActor-Critic 法を適用し,運転制御モデルの獲得における汎化性能,即ち,学習時とは異なる運転条件に対する獲得モデルの運転制御性能を明らかにする.
自己託送制度により発電事業者は発電した電力を,送配電事業者が保有するネットワークを介して,別の場所に保有する工場等の施設に送電することが可能となった.自己託送制度の適用により発電事業者は電力コストの削減が可能となるが,前日12時までに電力広域的運営推進機関に自己託送量の計画値を報告する義務がある.自家発電した電力を自家消費し余剰分を自己託送する場合,正確に発電量と自家消費する電力量を予測する必要があるが,需要家を対象とした消費電力量(負荷)予測はあまり行われてこなかった.そこで,本稿ではDeep Neural Networkを使用した需要家向け負荷予測モデルを作成し,予測精度について検討した.
3月18日 13:30〜16:30 総合科学部 K棟3F K311講義室 座長 鹿島久嗣(京大)
D-20-10 |
ガウシアン損失関数を用いたノンパラメトリック機械学習
○六本木大志・渡邉達男(小山高専) |
D-20-11 |
推論処理におけるエッジAIの実現
○石上将太郎・中西知嘉子(阪工大) |
D-20-12 |
深層学習における関数空間上の勾配法の近似アルゴリズム
○田谷昭仁・戸辺義人(青学大) |
D-20-13 |
ニューラルネットワークの推論時におけるGPUの消費電力の計測
◎国定恭史・前野蔵人(OKI)・橋口展明(ジャパンマリンユナイテッド)・井下田吉男(ALSOK)・富岡洋一(会津大) |
D-20-14 |
能動学習による情報検索結果のリランキング
○原田瑞季・三浦孝夫(法政大) |
本研究の目的は、機械学習における新たな損失関数として、頑健性を備えたガウシアン損失関数を検討することである。
通常、機械学習におけるモデルの学習には、平均自乗誤差や平均絶対誤差などが用いられる。これらは、誤差に正規分布やラプラス分布を仮定したパラメトリックな再尤推定である。したがって、実際の誤差分布が既知の分布に従わない場合は、適切に学習ができない問題がある。
そこで、本研究では特定の分布を仮定しないカーネル密度関数の一種であるガウシアン損失関数を提案し、これを用いたノンパラメトリックな学習の頑健性を検証する。
近年、IoT端末の台頭により、学習は高性能マシンで実行し、推論処理はエッジ端末 で行う“エッジAI”が注目されている。しかし、現在のAI技術は低性能なマシンでは実行できない。そこで我々は、画像分野で高い精度を可能にしているDeep Learningの推論処理をエッジ端末で実行するための手法を検討する。エッジAIの開発は①Deep Learningアルゴリズムから推論処理の切り出し、②重い処理の選定、③アクセラレータの開発、④SoC FPGAに実装、⑤アルゴリズムの最適化の手順で行う。この手順を確立する為、本稿ではCifar10をVGG16で学習したモデルを使用し、SoC FPGAとしてUltra96を想定する。上記の手順で開発し、Ultra96上で実行した結果394.85msかかることを確認した。
深層学習は一般に多数のパラメータの最適化問題として定式化される.目的関数である損失関数はパラメータに対して非凸関数であり,パラメータ空間での勾配法では最適解への収束が保証されない.しかし,学習を関数の最適化として汎関数の最小化と考え,関数空間上で勾配法を実現できれば,平均二乗誤差や交差エントロピーなどの損失関数が凸汎関数となるため,大域的最適解への収束が期待される.本稿では関数空間上で勾配法を定義し,その実装方法としてフレシェ微分をパラメータ空間で近似する手法を提案する.データセットとしてボストン市の住宅価格を用い,提案手法の性能を評価し,学習の安定性を示す.
ニューラルネットワークは,画像認識など多くの問題において高い性能を示す一方,膨大なパラメータ数と演算数を必要とする.IoT 機器などのエッジデバイスに実装する需要が高まっているが,そのためにはニューラルネットワークの消費電力,消費エネルギーを抑えることが必要である.本稿では,ニューラルネットワークの実行処理に多く用いられているGPU について,推論時の消費電力を計測し分析を行ったため,結果を報告する.
検索結果から必要とする情報のみを抽出したいため、正負事例を与え、EMアルゴリズムを用いて仕分けてリランキングする手法を提案する。EMアルゴリズムを用いることで所属確率が求まり、類似性を確率的に判断することが可能になる。この時、学習データに大きく依存してしまうため、学習データが好ましくないと判断した時に、必要に応じて自動的に正負事例を学習データに追加する能動学習を適応し精度向上を図る。
休 憩(15:00 再開)
D-20-15 |
GNMFのための修正乗法型更新式とその大域収束性
◎佐野雄大・右田剛史・高橋規一(岡山大) |
D-20-16 |
マルチビュー対称テンソルのための複数ビュー間構造を考慮したCP分解
◎方 鐘熙・笠井裕之(早大) |
D-20-17 |
K-平均法のための大域的クラスタ数決定
◎高橋勝也・三浦孝夫(法政大) |
D-20-18 |
スパース・シンプレックス射影によるWasserstein κ-means法高速化の一検討
◎福永拓海・笠井裕之(早大) |
D-20-19 |
形状間距離におけるスケーリング行列の最適化手法の比較
◎三田村南瑠・岩田一貴・三村和史(広島市立大) |
D-20-20 |
時系列予測における確信度に基づく説明可能な予測モデルの提案
◎河野太郎・長尾智晴(横浜国大) |
非負値行列因子分解(NMF)とは,近年注目されている教師なし学習法であり,与えられた非負値行列を2つの非負値行列に分解する処理である.非負制約によって主成分分析より解釈性の高い基底が得られることが特徴である.Caiらは実世界のデータに存在する多様体構造を考慮するためにグラフ正則化非負値行列因子分解(GNMF)を提案し,GNMFに対する乗法型更新式を導出した.しかし,Caiらの更新式には変数の値が0になり更新式の右辺の値が定まらない可能性がある.そこで,本稿ではその問題を解決する乗法型更新式を提案し,それが大域収束性を有することを示す.
CANDECOMP/PARAFAC (CP)テンソル分解は,テンソルをランク-1テンソルで分解・近似する手法である.従来のマルチビューCP分解では, 各ビューを独立に分解するため複数ビュー間の構造的関係を考慮できず, ビュー全体の近似誤差は増大する可能性があった. そこで,分解行列間の共通構造を考慮した手法が提案されているが,複数ビュー間の非共通構造も考慮することで,さらなる性能の向上が期待される.そこで本稿では, マルチビューCP分解の近似誤差低減を目的として, ビュー間の共通構造および非共通構造を考慮した手法を提案する.
近年、クラウド技術の発達やIoTの登場に伴い、膨大なデータから有用な知識を抽出するデータマイニングの技術が重要視されている。多くの場合、対象となるデータを用途に応じて予めグループ化する必要があるが、どのようにグループ化するのかを決めることは容易ではなく、データ内容や用途に依存する。本研究では、代表的なクラスタリング手法であるk-平均法において、クラスタ数を自動的に決定する発見的手法を提案する。提案手法は、多くのデータ集合で成り立つエルボー原理を仮定し、一般にはNP困難であるクラスタ数決定問題がO(logN )で判定できることを示す。
k-mean法 は広く用いられるクラスタリング法の一つであるが,全サンプルとセントロイド(クラスター中心)との距離計算が毎回の反復で必要なことから,大規模データへの適用は難しい.そこで,当該計算量の削減による高速化手法が多数提案されている.一方,ユークリッド距離以外の距離指標によるクラスタリング性能の向上を目指した手法が多数提案され,その一つとしてWasserstein k-means法の有効性が示されている.しかし本手法では,距離計算において最適化問題を解く必要があることから,k-mean法における前述の問題はより深刻な課題となる.そこで本稿では,Wasserstein k-means法の高速化を目的として,スパース・シンプレックス射影によるWasserstein距離の計算量削減による高速化手法を提案する.
ランドマークとは,同じクラスの形状を表す輪郭線との対応がつけられた有限個の点のことである.フルプロクルステス距離は,相似変換(平行移動,回転,等方的スケーリング変 換)の下で,形状間を最も近づけたときのランドマーク間の距離に相当する.等方的スケーリングだけでなく, 非等方的スケーリングを考慮できるように拡張したフルプロクルステス距離が近年提案されている.本論文では,提案された論文で用いられたITMLとは異なり,MCMLを用いて非等方的 スケーリングを定める行列の最適化を行う.また,それらの手法の形状検索に関する性能比較を行う.
時系列予測問題に対して様々な予測モデルが提案されてきた.現在,社会での実応用のため「予測根拠の説明」と「予測の不確実性の評価」が求められている.しかし,説明性・不確実性を同時に扱うモデルは確立していない.本稿では,時系列予測における確信度に基づく説明可能で高信頼な予測モデルを提案する.本モデルはGenerative Contribution Mapping(GCM)と呼ばれる説明可能な深層学習モデルを使用する.時系列予測という回帰問題を多クラス分類問題にすることで多様な確率分布による予測を可能にし,期待値的な予測による精度向上や分布の単峰性による確信度の算出を行う.実験から,本モデルによる高い予測精度と,誤差との関係性における確信度の有用性を確認した.
D-21. マルチメディア情報ハイディング・エンリッチメント
3月18日 11:00〜12:00 総合科学部 K棟3F K308講義室 座長 河野和宏(関西大)
D-21-1 |
空間領域のLSBマッチング埋め込みに対するガウス過程回帰に基づく定量的ステゴ解析
○坂倉忠和(国際高専)・南保英孝(金沢大) |
D-21-2 |
オペラブルリアリティ:棚内物体の仮想操作インタフェース
○野村朋哉・有本光希・松尾直志・島田伸敬(立命館大) |
D-21-3 |
Seam Carving による平均値攻撃抑制方式への4分木分割ブロックの適用
○藤村 誠(長崎大)・今村幸祐(金沢大)・黒田英夫(長崎大) |
D-21-4 |
A New Spy-Inspired Metaheuristic Algorithm
○Dhidhi Pambudi・Masaki Kawamura(Yamaguchi Univ.) |
本研究では,空間領域のLSBマッチング埋め込みに対してガウス過程回帰に基づく,定量的なステゴ解析器を検討し,計算機実験を行った.これらの計算機実験から,ガウス過程回帰による推定精度は重回帰分析のそれよりも高く,またサポートベクタマシンの推定精度と同等の結果が得られた.この結果は,ガウス過程回帰による解析手法も有効な手段となり得ることを示唆している.
本稿ではARデバイスを用いて棚の扉の開閉や物体の仮想操作を行い、棚内部の状態を閲覧するインタフェースについて述べる。これにより扉の開閉や物体の移動などを実際に行うことなく、かつ直感的な操作で隠された内部の状態を確認できる。AR上での提示に必要な情報の収集には物体の持ち込み、持ち去りなどのイベントを検知し記録する室内シーンロギングシステムを用いた。提案方法では収集されたイベント情報や物体領域とその画像などを用いてAR空間上での仮想操作に応じた画像を現実の物体に重畳して提示する。実験を行い、扉や物体を仮想的にずらすという直感的な操作で隠された棚の内部も閲覧できることを確認した。
我々は画像コンテンツに対する平均値攻撃を抑制する方式として,Seam carvingを用いて画像を不定形のブロック領域に分割し,その領域に微小な平行移動を施す方式を提案している.平行移動の方向と移動量を変化させることで,平均値攻撃をうけた場合は,変異した部分が劣化するため,攻撃への抑制効果をもつことになる.これに加えて,画像コンテンツに透かし情報を埋め込むため,4分木分割ブロックを用いて画像を可変サイズの正方形ブロック領域に分割し,その領域に対してSeam carvingのラインを探索して削除および挿入して変位を加える方式を検討する
Many real-world problems can be considered as optimization problems and sometimes can be modeled with mathematics. Unfortunately, many models are not simple and hard to solve. One way to solve these problems is by metaheuristic algorithms. Many metaheuristics have been introduced and still being developed until now. This paper proposed a new metaheuristic algorithm inspired by the strategy of spy ring. The proposed algorithm was tested on some unconstrained continuous optimization problems against some existing metaheuristic algorithms. Based on the benchmark testing, it was fast enough and has better accuracy compared to Real-encoded GA, HS, IHS, and PSO.
D-22. クラウドネットワークロボット
3月18日 13:30〜15:45 総合科学部 K棟3F K308講義室 座長 村川賀彦(富士通研)
D-22-1 |
ロボット教師における特定分野のQAシステムの構築
◎門田尚之・康 鑫・西出 俊・任 福継(徳島大) |
D-22-2 |
移動ロボットの認識状態提示に基づく歩行者との協調移動
◎金井浩亮・福田悠人・小林貴訓・久野義徳(埼玉大) |
D-22-3 |
魚眼カメラを用いた時系列画像比較による自己位置推定の破綻検出器の開発
◎中村佳雅・佐々木智典・松本正雄(都産技研) |
D-22-4 |
QRを用いた小型UAVによる商品数確認と屋内飛行に関する研究
○星 拓実・臼杵 潤(神奈川工科大) |
教師の不足・不祥事などの問題がある近年,ロボットが教師となり授業をすることを目的とした「ロボット教師」の実現を目指す.ロボット教師には授業をするための様々な機能が搭載されるが,その中で生徒の授業に関する質問に対して回答するQAシステム(質問応答システム)を構築する.特定分野は授業内容であり,事前に想定することができるため,想定質問文と実際の質問文との分散表現の類似度を比較し回答をする.質問の分野を授業内容にすることにより,より実用的なQAシステムを構築することを可能とする.
介護士不足や介護負担といった問題の解決のため,進路提示を行いながら自律的に移動するロボット車いすの研究を行っている.これは車いすに設置されたサービスロボットが進路提示を行うことで,周囲の人との協調的な移動の実現を目指したものである.しかし,進路提示を行うだけでは搭乗者や歩行者は障害物に衝突してしまうのではないかと不安に感じる場面があった.実際には車いすは歩行者や障害物を検知しており,衝突することはないが,安心な移動のためにはそれらも周囲へ提示する必要がある.そこで本稿では,ロボットによる歩行者や障害物への視線配布により,それらを検知していることを周囲に伝え,ロボットとの移動に安心感を与えられるかを検討した.
移動ロボットの重要な機能の一つに自己位置推定があり、地図に存在しない障害物など環境変動の影響により、自己位置推定が破綻し、誤った位置を推定することがある。従来の自己位置推定はこの破綻状態を検出する機能がなく、ロボットが安全に動作しているかを監視する人員が必要になる。これは人と共存する空間で移動ロボットを運用する際の課題となっている。
本研究では、確率的自己位置推定を行うロボットを対象に、魚眼カメラを用いた時系列画像比較による自己位置推定の破綻検出器を提案し、屋内環境での外乱(照明変動・隠れ)に対するアピアランスベース特徴量別の比較を行い、同一移動経路上での破綻検出に有効なことを示した。
消費者需要の変化が激しく商品ライフサイクルも短くなる中,倉庫で扱うアイテム数は増加し,管理の効率化のために生産物流拠点などでは立体自動倉庫が活用されている.しかし,導入費用の高さから最終消費者に近い倉庫では人手による管理作業が一般的であり,作業時間がかかりミスも生じやすいため改善が望まれる.このような中,本研究では低価格な小型UAVを用い,QRコードを活用して倉庫内を自律飛行させることで商品を計数する方法について提案した.この提案手法について実装し6つの棚に45個の商品がある倉庫を準備して実験を行ったところ全体の90%を計数することができ,改良の余地はあるものの提案手法の有効性を示すことができたと考える.
休 憩(14:45 再開)
D-22-5 |
自律型AGVの交渉による突発的搬送要求への作業割当に関する研究
○齊藤颯太・臼杵 潤(神奈川工科大) |
D-22-6 |
卓上ロボットアームとRPAを用いた小規模・非定型業務の半自動化
◎新藤拓也・天野直紀(東京工科大) |
D-22-7 |
実証実験を通した自律移動ロボットのデータモデル標準化
◎占部一輝・松井暢之(TIS)・矢口勇一・成瀬継太郎(会津大)・石橋靖嗣・油谷実紀(TIS) |
D-22-8 |
モニタリングシステムによる小型環境調査船の遠隔制御
○正岡優之介・山本廉太・田房友典(弓削商船高専) |
近年,消費者の商品に対するニーズの多様化が進むにつれ,工場では多様な要求の変化に対応するために多品種少量生産化が進められてきた.そして,製造工程の複雑化を避け,短期間でのレイアウト変更にも柔軟に対応できるようにするために,AGVのさらなる自律化について議論されてきた.このような中,本研究では複数台AGVによる協調動作の研究に着目し,特急品などの突発的な搬送要求が発生した場合に搬送計画への割り込みが可能かどうかをAGV同士の交渉により判断する方法を検討した.この提案手法について実験したところ,計画に遅延を発生させずに突発的な搬送要求に対応できるか否かをAGV間で判断できることを確認した.
近年,少子高齢化による人手不足が特に中小企業や小規模企業において深刻である.今後さらに深刻化が予想されている人手不足の対策のため,RPA(Robotic Process Automation)やロボットによる省力化は急務である.しかし,導入費用や作業変更の都度必要になる教示作業の難しさから費用対効果が見込めずに導入が進んでいない.本研究では小規模で非定型な業務に注目して,卓上ロボットアームとRPAを用いて低コストで手軽に半自動化できるシステムを提案する.今回は提案システムの適用事例の1つとして発送業務の半自動化を実現した.
異機種ロボットやIoTセンサー類がクラウドを介して連携するクラウドロボティクスにより、既存ロボットでは不可能な複雑なタスクを実現することが可能となる。しかしそのためには、すべてのロボットが従う国際標準データモデルが必要となる。本研究ではサービスロボットの中でも自律移動ロボットに着目し、実証実験を通じて国際標準データモデルの作成を行った。実証実験では2種類の自律移動ロボットを2通りのシナリオに沿って行った。その結果,同一のデータモデルに従い,異機種の自律移動ロボットが協調的に動作することを確認した.
海洋や湖沼等の底面地形の解明は,水産業の支援や地震・火山噴火予知研究などに活用できる.世界には未調査の水域が多々あり,小型かつ高精度で遠隔操作の可能な調査船の開発が求められている.
本研究室では,調査船と陸上間の通信にZigbee規格を使用し,実測値で約300mの安定した通信を確認しており,遠隔での操船が可能である.しかし,調査船と距離が離れると目視による操船は困難となり環境調査を行うことができず,常に通信距離を意識した操船が必要となる.
本研究では,調査船のモニタリング・操船支援システムの開発によって,目視が困難な遠方においても,船首方位と位置情報によって遠隔制御可能であることを実証実験にて報告する.
D-23. サービスコンピューティング
3月17日 13:30〜16:45 総合科学部 K棟3F K304講義室 座長 中村匡秀(神戸大)
D-23-1 |
サーバレス実行方式のメモリ消費を考慮したレイテンシ削減
◎渡辺爽太・山崎憲一(芝浦工大) |
D-23-2 |
マイクロサービス方式による省エネ実証・評価環境の構築
○△藤原佑介・河津雅忠・村上嵩大・妻鹿利宏・久代紀之(九工大) |
D-23-3 |
水耕栽培のためのIoTシステムの開発
◎池村洸夢・冷水晴香・當間 力・神里志穂子・亀濱博樹・眞喜志 治(N.I.T. Okinawa College) |
D-23-4 |
プライバシー保護を可能にするシングルピクセルイメージングIoTデバイスの基礎検討
◎星 郁雄(千葉大)・遠藤 優(金沢大)・下馬場朋禄・角江 崇・伊藤智義(千葉大) |
サーバレス実行方式はレイテンシが大きい点が問題である. レイテンシを小さくするため, 先行研究として一定時間コンテナを保持する手法があるが, 非処理時でもメモリを消費してしまう. 本研究ではメモリ量とレイテンシ両方の削減のため, CRIUを使用したコンテナ起動方法を提案する. コンテナを0から作成, 起動するのではなく, 起動済みコンテナのメモリ状態から復元することで初期処理の時間を省くことができる. この起動方法はすべてのコンテナに有効ではないため, 適切なコンテナの条件を実験により明らかにした. また実用されているソフトウェアでも評価を行い, 当該条件が適切であることを確認した.
オフィスビルの省エネルギーシステムの実現には,電力需要の予測モデルの構築が必須である.モデルからの制御計画立案が容易な点から本研究では,異種混合学習技術を用いたモデル構築を行う.実験者は,モデルの特徴から最適な制御手法の決定を行い,省エネ制御を実行する.しかし,省エネ制御を実行し,モデルを精緻化するためには省エネ制御の実証・評価環境の構築が必須となる.本研究では電力需要予測モデルの精緻化,最適な省エネ制御手法を,実証を通じて容易に行うことが可能なマイクロサービス方式による省エネ実証・評価環境の構築を行った.実験者が,容易にモデルの精緻化と省エネ制御の決定,実行・評価を行えることを目標とする.
これまでに我々は特別支援学校との連携を行い,肢体不自由児向けの教材として利用可能な機器の改良などを行なってき た。これらの活動は,児童・生徒へのサポートを高専の技術によって実現させる取 り組みとなっている。
本項では更なる児童・生徒の自発的活動を促すことを目的に,教材として利用可 能な水耕栽培教材の開発について述べる。具体的には,IoT を活用して定量化された植物の栽培に必要な情報を提供するシステムの開発を行う。また,それらの 情報から割り出せる育成作業の内容を児童・生徒に伝えることで,将来的には自発 的に活動ができるように,作業のサポートをするようなシステムとする。
近年,Internet of Things(IoT)を用いたデバイスの研究が盛んに行われている.IoTデバイスの発展により,スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスをはじめとして,様々な物がインターネットに接続し情報を送受信できるようになってきた.しかし,IoTデバイスの課題のひとつとして,リアルデータやプライバシー情報の保護をどうするかといった問題がある.この問題は特に,カメラなどの撮影を行うようなデバイスのプライバシー問題として顕著である.
そこで我々は,撮影にシングルピクセルイメージングを用いることでプライバシーを保護しつつ撮影ができるIoTデバイスを提案する.本稿では光学系を実際に構築することでその基礎検討を行った.
休 憩(14:45 再開)
D-23-5 |
北国における自動運転実現のための情報共有の基礎検討
○新井義和・齊藤義仰・羽倉 淳・柴田義孝(岩手県立大) |
D-23-6 |
FIWAREにおけるイベントドリブン処理実現方法の提案
◎坂本諒太(TIS)・安座間勇二・林 秀保(沖縄オープンラボラトリ/NECソリューションイノベータ)・松井暢之(TIS/沖縄オープンラボラトリ) |
D-23-7 |
異種LPWAとIoTプラットフォームのサーバレス連携システム
○吉見真聡・石橋靖嗣(TIS) |
D-23-8 |
システム間全体最適化データ管理基盤における情報共有手法
◎井上育美・宮本啓生(日立) |
北国は一般的に山間部が多く,高齢/過疎化も加速しており,費用対効果の観点から交通インフラはもとより,IoT 社会を迎えてもなお情報通信インフラの整備が十分とは言い難い.著者らは,そのような状況においてさえ,北国向け情報プラットフォームを構築することによって交通・生活・観光など北国特有の各種課題をIoT 技術を用いたシステム開発を通して解決することを目指している.本研究では,来る自動車の自動運転の実用化に向けて,北国における自動運転技術の導入の際の課題を考察し,それらを解決するために同プラットフォームに求められる基本機能ならびに性能について検討を行う.
IoTプラットフォームFIWARE は IoT デバイスから得られるセンサデータ の変化を検出して,外部サービスへ通知するイベント検出と通知機能を備えている.しかし,通知を契機に処理 を実行するための機構は,利用者に任されており,それ ぞれが開発に取り組んでいる状況にある.
そこで本研究では,FIWARE におけるイベントドリブン処理を実現する方法を提案する.
IoTでの利用が進む次世代低電力広域通信LPWAを,混合,拡張可能する仕組みを,サーバレスで行う連携システムを提案する.
近年製造業では,消費者ニーズの多様化やデジタル化の進展により市場環境が急速に変化している.製造業における全体最適化を考えるためには,製品一つ一つにおいてどこでどのような作業が行われたのかを追跡可能にし,生産過程に問題が発生した場合,すぐに問題箇所を辿れることが必要となる.ここで,他者の管理するシステムとの現場データの情報共有を実現するための検討において,必要要件と情報共有システムの提案,およびデータ総量に関する評価を行い,一元管理システムの実現性は乏しく,分散管理での実装が適当であるとの結論を得た.
休 憩(16:00 再開)
D-23-9 |
機器設計・製造情報を活用した保守支援システムの一提案
◎中西 惇・杣 信吾・楓 仁志(三菱電機) |
D-23-10 |
常備倉庫ピッキング作業の効率向上に関する検討
○米川 輝(日立)・諸熊秀俊・山本和己・佛本慶祐(日立ハイテクノロジーズ) |
D-23-11 |
利用者環境に適した製造ソリューションを選定するための成熟度モデルの一検討
○高橋清隆・緒方祐次・野中洋一(日立) |
社会インフラを支える設備は,設備に搭載された機器の故障による運用停止が発生した場合,社会に与える影響が大きいため適切なメンテナンスによる安定的な稼働が求められる.一方で,労働人口の減少によって高度なメンテナンス技術を持った保守員の減少が見込まれる為,より少ない労働力で機器メンテナンスの実施が求められる.このことから,機器を安定的に稼働し維持させるため,メンテナンスの効率化が必要である.本稿では,機器の稼働中の情報と機器が製造される際の情報を紐付けて管理しメンテナンスの効率化を実現するシステムを提案する.
倉庫の効率的な運用に向けて,人や台車の動きを分析によるピッキングのスループット改善を検討し た.倉庫では,人や台車の動きの把握のため,UWB 測位システムを導入していることが一般的である.しかしこ のシステムでは,棚による電波の遮蔽・反射のため,誤った位置情報が出力される課題があった.そこで,これを 補正する位置情報補正フィルターを開発し,位置情報誤差を 67%削減可能とした.本技術適用により,台車の移動 距離を削減する棚の再配置の検討も可能となった.8 か月間のピッキング作業の分析から,棚の再配置計画を作成 できるなど,倉庫運用効率化への展望が開けた.
日本の”Connected Industries”やドイツの”Industrie4.0”が目指すスマートマニュファクチャリングでは,多様な顧客ニーズを満足するため,ソリューションプロバイダは製造事業者に適切な製造ソリューションを提供できることが重要である.本稿ではソリューションの選定の際に、利用者の製造現場の状況を正しく評価するための一手法である成熟度モデルを検討する.
シンポジウムセッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
DS-1. COMP 学生シンポジウム
(コンピュテーション研専)
3月18日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K309講義室 座長 大舘陽太(熊本大)
DS-1-1 |
Javadocタグ表現をメソッドシグニチャー仕様として用いた実効コードの修正支援技術
◎古謝宏平(早大)・小野康一(日本IBM)・深澤良彰(早大) |
DS-1-2 |
歩きスマホ時の衝突事故を回避するための歩行者支援方式の提案
◎市木誠也・金井 敦(法政大) |
DS-1-3 |
FPGA-based Pedestrian Distance Detection Using a TOF Camera toward Driving Support
○△Zijian Hu・Yoshiki Yamaguchi(Univ. of Tsukuba) |
ソフトウェア開発過程において仕様はソフトウェアの満たすべき条件や性質が記述される重要な開発成果物である。実装としてのプログラムは仕様を満たさなければならないが、仕様とプログラムの間での整合性が満たされていない状況が多々見受けられる。そこで、仕様を正としプログラムを修正するための支援技術を提案する。提案手法ではメソッドシグニチャに関する簡易な仕様記述言語としてJavadocを使用し、仕様に整合するようにメソッドシグニチャを修正する。修正の際には、メソッドブロック内の実効コードにおける変数などへの参照関係を可能な限り維持するようにした。
近年,歩きスマホに起因する事故が社会問題となっている.東京消防庁の統計によれば,都内では年間およそ30名以上が歩きスマホによる事故で緊急搬送されている.救急搬送を要する事故に至らなくても,歩きスマホをしていたために他の歩行者と衝突してトラブルになる例も後をたたず,駅構内などではマナーとして歩きスマホをしないようしきりに呼びかけられている.
歩きスマホによる事故の原因として,約6割が歩行中にスマートフォンを操作していたり,画面を見続けていたりすることで発生している.歩きスマホ中は視線がスマートフォンの画面に集中してしまうため,障害物や向かってくる歩行者など周囲の監視が疎かになる.いわゆる脇見状態になった結果,気づかぬ間に衝突事故を起こしてしまう.
周囲の環境変化を認知できなかったことが歩きスマホによる事故の原因であるとすれば,その認知して警告するという作業を機械が代行することができれば,歩きスマホによる事故を根本的に解消することができるのではないだろうか.本論文では,障害物を検知する仕組みをスマートフォンのアプリとして組み込み,その実効性を検証する.
In this research, we proposed a non-intrusive and real-time pedestrian detection system using a Time of Flight (TOF) camera. We present an implementation of the algorithm on an embedded FPGA platform, named Xilinx Zynq-7000 All Programmable SoC that is comprised of both an ARM-9 processor core and an FPGA programmable logic. This platform gives us the ability to execute different parts of the algorithm simultaneously both on the CPU and the FPGA. Comparing with some prior works, an algorithm named Histogram of Depth Difference (HDD) was adopted in this research, which inspired by Histogram of Oriented Gradients (HOG) pedestrian detection algorithm. The system aims to implement a privacy protected real-time pedestrian detection at VGA resolution.
休 憩(11:00 再開) 座長 中野眞一(群馬大)
DS-1-4 |
モバイル機器におけるセキュアなデータ管理方式
◎陳 麗瑩・金井 敦・曲山久美子(法政大) |
DS-1-5 |
ブロックチェーン技術を用いた, 悪意を持って学習されたニューラルネットワークモデルの通報システム
◎△清家大嗣(東大)・青木保一(Picolab)・越塚 登(東大) |
DS-1-6 |
(依頼講演)NPの最悪時及び平均時計算量について
○平原秀一(NII) |
近年、タブレットPCやスマートフォンなどのモバイル機器の保有率が急速的に上がっているため、モバイル機器をビジネス分野に活用することが注目されている。しかし、モバイル機器は盗難、紛失、改ざんなどにより、データの紛失や情報漏洩などのリスクが高い。そのため、ビジネスに利用する場合、企業にとって、顧客情報や業務データなどの重要な情報の管理には特に注意する必要がある。そこで,本研究では,一般の利用者が持つモバイル機器を活用し,クラウド技術と ランプ型秘密分散法を組み合わせた方式を用いて,小容量データを多数のモバイル端末に分散することにより、コストを削減する同時に、セキュアなデータ管理方式を提案する。
近年, 訓練された学習モデルの信頼性が社会的に大きな問題となっている. 例えば, 顔認証システムにおいて, ある特定のパターンをニューラルネットワークモデルの入力として与えることで, 常にビルゲイツと判定するような学習モデルを生成することができる. このような特定パターンは, バックドアと呼ばれ, セキュリティリスクとなる. この問題に対処するため, 学習プロセスを公開, 検証可能なプラットフォームが必要と思われる. 本論文では, ブロックチェーン技術を用いることで, 学習アルゴリズムに従って正しく学習モデルが生成されたかどうかを, 検証者が容易に外部へ証明可能なシステムについて検討, 提案する.
公開鍵暗号方式は我々の情報通信の秘密を守る基盤技術であるが、その安全性は複
数の計算量理論の予想に基づいている。例えばP!=NP予想や、NPに対する最悪時・平
均時計算量の同値性を示す必要がある。残念ながら既存の証明手法には限界があり、
それらの未解決問題を解決することができないことが知られている。特に、ブラック
ボックス帰着と呼ばれる証明手法ではNP完全問題について最悪時・平均時計算量の同
値性を示すことができないことが知られている。
本講演では、その限界を初めて突破した非ブラックボックス帰着や近年の進展につ
いて解説する。
3月18日 13:30〜17:05 総合科学部 K棟3F K309講義室 座長 玉置 卓(兵庫県立大)
DS-1-7 |
相互結合網TCCにおける耐故障経路選択アルゴリズムの提案、開発及び評価
◎鶴指賢史・Antoine Bossard(神奈川大) |
DS-1-8 |
複合型メインメモリのためのメタデータ管理手法に関する一考察
◎塚田竣介・佐藤雅之・小松一彦・小林広明(東北大) |
DS-1-9 |
姫野ベンチマークを用いたベクトル計算システムSX-Aurora TSUBASAの性能評価
◎小野寺明人・小松一彦(東北大)・磯部洋子(NEC)・佐藤雅之・小林広明(東北大) |
DS-1-10 |
量子アニーリングを用いたクラスタリング手法の評価
◎熊谷政仁・小松一彦・佐藤雅之・小林広明(東北大) |
スーパーコンピュータ内のネットワークトポロジは次元の増加に対応できること、直径が小さいことなどの条件が求められる。この条件を満たすため相互結合網の一つであるハイパーキューブがスーパーコンピュータのネットワークトポロジとして人気があり、現在でも研究が続けられている。しかしハイパーキューブではノード数が一定以上増えるとハードウェア面での実装が難しくなるという問題があった。このような状況の中でTorus-Connected Cycles (TCC)と呼ばれるネットワークトポロジが提案された。 TCCはトーラスとサイクルからなる無向グラフで、プロセッサIDとクラスタIDでノードを識別する。この論文ではTCCにおける耐故障性経路選択アルゴリズムの提案と評価実験を行っている。
複合型メモリは性能向上と大容量化を両立させることができるメモリシステムである.複合型メモリが性能を発揮するためにはデータを各メモリモジュールに適切に配置する事が重要であり,メタデータを用いたデータ配置先の管理が一般に想定されている.しかし,複合型メインメモリの容量増大に伴ってメタデータの総量が増加するため,その管理オーバーヘッドが問題になる.本報告では,効率的な複合型メモリシステム向けのデータ管理方式の実現を見据え,今後のメタデータ量の増大に対応可能な複合型メモリの管理方法について議論するとともに,その実現向け,メモリ管理単位ブロックに基づくメタデータアクセスパターンの調査を行う.
本報告では,ベクトル演算に特化したベクトルエンジン(VE)を搭載し,高いメモリバンド幅性能を有しているSX-Aurora TSUBASAに注目し,姫野ベンチマークの性能を明らかにする.姫野ベンチマークにおいて性能を引き出すために,LLCの活用によるメモリアクセス回数の削減や,ループアンローリングによるループオーバーヘッドの削減,ベクトル計算システムの特徴を考慮したプロセスマッピングを行った.これにより,単一のVEにおいて329.4 GFLOP/s,8つのVEで1641.0 GFLOP/sを達成できることが分かった.
機械学習など多くの分野で用いられるクラスタリングは,大規模な問題の分析に広く使われており,昨今のデータ科学分野においては非常に需要が高い.しかし従来のクラスタリングアルゴリズムでは,データ数や特徴量の増加に伴い,計算コストが指数関数的に増加してしまう.このクラスタリングの計算コストを抑制する方法として,量子アニーリング(QA) が注目されている.本報告では,各クラスタの代表点を決定する過程にQAを用いている階層型クラスタリングの実行時間や結果の品質について議論する.QAを用いることで,アニーリングによる代表点の決定にかかる時間を大幅に削減できることがわかった.
休 憩(15:25 再開) 座長 藤戸敏弘(豊橋技科大)
DS-1-11 |
T-テトロミノを用いた平面アンチスライドパズルの最少ピース数について
○木村健斗・天野一幸・荒木徹也(群馬大) |
DS-1-12 |
不完全情報単貧民に対するオラクルに基づく解析
◎△木谷裕紀(名大)・大渡勝己(-)・小野廣隆(名大) |
DS-1-13 |
社会的距離に基づくグラフの安定分割
◎大久保壮浩(名大)・土中哲秀(中大)・小野廣隆(名大) |
DS-1-14 |
(依頼講演)仲裁者による混雑緩和のゲーム理論的分析
○奥村恭平・池上 慧・吉川 匠(東大) |
アンチスライドパズルとは,
ある大きさの箱と指定されたある形のピースが与えられたとき,
同じ形のピースを箱に詰め,
全てのピースがどんな方向にも動かない詰め方を求める問題である.
特に最少ピース数での詰め方を見つけることがこの問題の目標である.
本稿では, $n$を正整数とし, $n \times n$の平面と``T-テトロミノ‘’ピースを用いた問題に対して,
$n$が$3$の倍数であるか否かで,
その最適な詰め方が異なる形状となることを明らかにする.
詳細には, $n$が3の倍数でないとき, 最少ピース数は$2n/3 - O(1)$個であることを示し,
また, $n$が3の倍数であるとき, この値がほぼ$n$個となることの実験結果, および,
このようなギャップが生じる要因を示す命題を与える.
単貧民とは,不完全情報多人数ゲームである大貧民を完全情報ゲームとして簡易化したものである.これまでの研究により,二人単貧民に関しては配られた手札からどちらが必勝プレイヤであるかどうかを線形時間で判定できることがわかっている.本研究では手札非公開で行う不完全情報単貧民において如何に「必勝戦略」を得るかについて考える.手札に関する情報が全くない場合,確定的な意味で「必勝戦略」を得ることは難しい.このため,本研究では相手の手札に関する部分的な情報を提供するオラクルの存在を許したモデルを定義し,そのオラクル存在下で必勝戦略が得られるかどうかについて考察する.相手がどの札を持っているかなどの情報がない状況でも,マッチング数と呼ばれるゲームの構造パラメータを得るオラクルさえあれば完全情報単貧民と同様の必勝戦略をとることができるなど,オラクルの強さと必勝戦略発見可能性に関する様々な結果が得られることを示す.
単純無向グラフ$G = (V, E)$に対するグラフ分割とは, その頂点集合$V$の分割$\{C_1, C_2, \ldots, C_k\}$のことを言う.
一般に, ナッシュ安定解の中で最大社会効用を求めることはNP困難であることが知られており, また, 与えられた解がコア安定解であるかどうかを判定する問題に対しては計算量すら未だ知られていない. 本論文ではグラフを木に限定した場合の弱Core安定解, Nash安定解のうち社会効用が最大となる分割を$O(n)$時間で求めるアルゴリズムの提案を行い, また与えられた分割がコア安定であるかどうかの判定問題がcoNP完全であることを示す.
多くの人ないしものが一か所に集まることで混雑が生じる.本稿では特に通勤電車や飲食店の選択のように,各人は一つの財を選択し,各人の利得が,選んだ財の効用から混雑による不効用を差し引いたものである状況を考える.混雑緩和のための施策としては混雑料金の設定や混雑情報の可視化など様々な手法が存在するが,本稿では仲裁者(mediator)による混雑緩和を考える.
仲裁者とは,人々に各々の持つ私的情報(財に関する選好等)を申告させ,その上で各人に選ぶべき財を推薦する存在であり,例えばウェブアプリのような形で実現される.ただし,各人は偽の情報を申告することができるし,推薦された財以外の財を選ぶこともできる.そのような利己的な人々を相手にしてもなお,人々を全体として良い行動をとるように導く仲裁者を設計したい.
Rothらは差分プライバシーに基づいた算法を用いて,混雑ゲームにおける仲裁者を設計した.しかし,既存手法は財数に関して指数時間を要する算法の使用,適用可能なゲームのクラスが限定的,低確率で均衡ではない行動を推薦する等の問題を持つ.本稿ではそれらの問題を解決する仲裁者の算法を設計する.