プログラム
format_list_bulleted通信ソサイエティ
一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
B-1. アンテナ・伝播A(電波伝搬,非通信利用)
9月14日 10:30〜11:45 Meeting 8 座長 谷口美緒(室工大)
B-1-1 |
HAPS通信における季節特性を考慮した植生損失モデルの検討
○田中翔馬・表 英毅・佐藤彰弘・木村 翔・林 合祐(ソフトバンク) |
B-1-2 |
HAPS通信における周波数特性を考慮した人体遮蔽損失モデル
○佐藤彰弘・木村 翔・林 合祐・田中翔馬・表 英毅(ソフトバンク)・日景 崇(北大) |
B-1-3 |
無人航空機による電波での被災者検知に向けた920 MHz帯電波の地上から空中への伝搬に関する一調査
○向保一輝・岡本真美・小林 真・新 浩一・西 正博(広島市立大) |
B-1-4 |
実測データに基づく伝搬損失係数の評価
○島崎安徳(パナソニック)・西森健太郎(新潟大)・濱邉太一・竜田明浩・江村鉄兵・浅田拓也(パナソニック) |
B-1-5 |
マイクロ波強度変調近赤外線を用いたFMレーザレーダによる高精度三次元計測の実証と測定誤差の考察
◎木村成美・近木祐一郎(福岡工大)・池地弘行(元九大)・犬竹正明(東北大)・間瀬 淳(九大) |
衛星通信や今後新たな移動通信プラットフォームとして期待されている成層圏プラットフォーム(HAPS: High-Altitude Platform Station)のエリア設計には地形, 建物等のクラッター, 植生, 人体による遮蔽など基地局から移動局に電波が到達するまでの環境による影響を精度よく推定・評価する必要がある. 本検討では, 植生による遮蔽に起因する損失に着目する. 植生による損失はITU-R勧告P.833-9として標準化されているが地域・樹種が限定的であり地域・樹種が異なる場合には別途検討が必要である. 本稿では, 季節特性を考慮した植生損失について測定・分析を行なった結果を報告する.
超広域のカバーエリアや災害に強いネットワークを実現する新たな移動通信プラットフォームとして成層圏プラットフォーム(HAPS : High-Altitude Platform Station)への期待が高まっている。HAPS通信における効率的なセル設計を実現するためには、さまざまな環境を考慮した電波伝搬モデルの開発が必要不可欠である。著者らは仰角と周辺環境からの到来波特性を考慮した人体遮蔽損失モデルを開発した。本稿では、周波数特性を考慮した人体遮蔽損失モデルを提案する。
豪雨や台風の影響による土砂災害が発生して,甚大な被害をもたらしている.土砂災害現場では,広範囲な情報収集を迅速にできる無人航空機が注目されている[1].我々は,被災者が920 MHz電波を発信する無線機を有していることを想定して,無人航空機に具備した受信端末を用いた電波による被災者検出手法を検討している.本研究では,送受信端末間のフレネルゾーン内の地面の影響を基礎的に評価するため,地上に設置した送信端末から無人航空機の受信端末への920 MHz 伝搬特性について調査した.
第5 世代移動通信システム(5G)に向けた開発が進められている.5G 導入後も4G までの端末が多数存在するが,管理下の無線ノードの干渉量を制御し,ネットワーク全体の通信量を最大化するコンセプトが提案されている.このような多数のIoT 端末が存在する環境での基礎検討として920MHz,2.4GHz,5GHz 帯の取得したデータを測定現場の伝搬環境に分類し伝搬特性を対数近似曲線にて規格化したパラメータとして伝搬損失係数を求め市街地マイクロセルにおける伝搬特性を評価した結果について述べる.
物体の表面形状の高精細な三次元計測を目的としたレーザレーダを開発している.同様の用途を有するリモートセンシング技術には,周波数利用やレーザ出力への制限から達成可能な分解能に限界が生じるという課題があった.本研究で開発されたレーザレーダは,外部照射に掃引周波数幅4 GHzのマイクロ波でAM変調した近赤外線を用いることで前述の課題をクリアし,3.75 cmの高分解能を持つレーダシステムとして原理検証が行われた.本稿では,測定精度の評価を目的として実施された三次元計測の結果について述べる.
9月14日 13:00〜17:00 Meeting 8 座長 佐々木元晴(NTT)
B-1-6 |
Large Scale Parameters Estimation By Machine Learning of Reflected Rays Information
○Inocent Mramba Calist・Minseok Kim(Niigata Univ.) |
B-1-7 |
転移学習を用いた時空間伝搬特性のモデル化に関する一検討
◎竹澤和輝・長尾竜也・林 高弘(KDDI総合研究所) |
B-1-8 |
機械学習を用いた伝搬損失推定の入力パラメータの一検討
◎太田剛史・西森健太郎(新潟大) |
B-1-9 |
深層学習による電波伝搬推定における特徴量可視化に関する一検討
◎小瀬良開光・今井哲朗(東京電機大)・北尾光司郎・中村光貴・須山 聡・小田恭弘(NTTドコモ) |
Recent developments in mobile communication and the application in Internet of things has raised the need to develop more accurate channel models for the newly utilized millimeter (mm) wave band. This paper presents a proposal to develop a predictive machine learning (ML) algorithm for channel parameter estimation with the spatial propagation environment features. The input parameters to the machine learning prediction model are transmitter (TX), and receiver (RX) coordinates, and rays information up to second order reflection. The proposed ML algorithm is based on random forest (RF) regression model, ray tracing (RT) is used to simulate the channel propagation environment.
高度電波模擬システムにおいて,屋内外の様々な環境で実環境に近い評価を実現するには,高精度な電波伝搬模擬を行う必要がある.本手法では,遅延スプレッド,角度スプレッドを推定対象としており、同じデータ数を用いて学習を行っている.しかし,3次元の角度プロファイルのデータを多数の地点で取得し,学習に必要なサンプルを集めるには多くの時間や労力が必要となる.そこで,本稿では転移学習により遅延スプレッドの特徴から角度スプレッドを推定する手法を提案し,実験値を用いた推定精度の検証結果について報告する.
近年,機械学習を用いた応用研究が注目を集めている.伝搬損失推定においても,様々な検討がなされている.モデルの推定精度を向上させるためには,問題に応じた適切なモデルの選択や,ハイパーパラメータの調整など多岐に渡る.重要な検討の一つとして,入力パラメータのための適切な選定が挙げられる.本報告では,伝搬損失の推定精度を向上させることを目的として,適切な入力パラメータの取得方法,特に基地局・端末局周辺の建物特性の適切な取得領域について評価した結果について報告する.
電波伝搬損失推定において,近年ではディープラーニング(深層学習)を基盤として用いる方法が提案され,研究が行われている.しかし深層学習の推定過程において,学習に影響を与えている要素については疑問となる.筆者らはGrad-CAMという手法を用いて推定過程の判断根拠に関する研究をはじめているが,検討は十分ではない.そこで本稿では,学習推移における判断根拠について検討を行った.
休 憩(14:30 再開) 座長 廣瀬 幸(九工大)
B-1-10 |
ローカル5G免許申請時の見通し判定による電波伝搬計算の影響評価
○江森洋都・坂木啓司・吉敷由起子(構造計画研) |
B-1-11 |
屋内環境下における5G中継装置を用いたカバレッジ改善効果
○後藤健太(NTTドコモ)・三浦 進・高橋行隆(電気興業)・宮地健介(NTTドコモ) |
B-1-12 |
NSAローカル5Gを構成するBWAカバーエリアにおける免許申請シミュレーションと実測の比較検討
○坂木啓司・中村敏明(AK Radio Design/構造計画研)・藤井 誠・佐々木聖志(AK Radio Design/アンリツ)・吉敷由起子(構造計画研) |
B-1-13 |
側面に設置したミリ波帯導波管スロットアレーによる素子指向性を考慮したタッチレス改札内受信レベルの解析
○黒瀬瑞輝・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-14 |
梁天井近傍の伝搬特性に関する検討
○佐々木太一・山本尚武・菱川哲也(パナソニック)・齋藤健太郎(東京電機大)・高田潤一(東工大)・前山利幸(拓殖大) |
ローカル5Gは,5Gシステムの特徴をもちつつ,自営ネットワークのため柔軟な運用が可能なシステムとして期待されている.一方,ローカル5Gの運用には無線局免許が必要となる.無線局の免許申請に必要な電波伝搬計算や計算結果を理解するためには無線通信の知識が必要であり,敷居が高くなっている.筆者らは今後のローカル5G発展のため,無線通信知識が少ない方でも免許申請時の電波伝搬計算を可能とするべく取り組んでおり,本研究ではそのうちの一つとして電波法関係審査基準で示されるローカル5Gミリ波帯の電波伝搬計算式とレイトレース法の比較を行うことで,見通し判定による影響評価を行い,適切な計算条件の検討を行った.
5Gではこれからの産業や社会を支える基盤技術として新たな価値を提供することが期待されており, 屋内における高度な無線通信の適用に向け様々な評価を進めている.特に遮蔽影響の大きいミリ波のエリア構築には, エリア補完技術として中継装置の利用が期待されている.
今回, 電気興業株式会社が開発したミリ波対応中継装置を用い, 反射波が多いとされる実際の屋内環境において, 中継装置の送信出力の変化による, エリア改善効果の差異を評価したので報告する.
ローカル5Gは5Gシステムの大容量・超低遅延・多数同時接続の特徴をもちつつ,自営ネットワークのため柔軟な運用が可能なシステムとして期待されている.統計的な伝搬モデルをベースとした計算式から算出したカバーエリアにより免許申請を行う.そのため,免許申請時と実際のカバーエリアに乖離があることが課題になっている.本発表ではNSAローカル5Gを構成するBWAの免許申請シミュレーションと実測の結果を比較検討した.実測結果のカバーエリアはシミュレーションの範囲より,北東は広く,南東は狭い結果が得られた.これらは,都市規模の計算条件の設定,建物による遮蔽および反射,回折の存在,屋内の壁による減衰等の要因によるものと考えられる.
タッチレス改札の1つとして、改札の天井に設置したアンテナから床面に向けてミリ波を照射し、乗客が持つスマートフォンと通信してゲートが開く仕組みのものがある[1]。しかし、天井からのミリ波が体や荷物によって遮られてしまい、スマートフォンに届かない場合がある。そこで、改札の側面にもアンテナを設置し、遮られる部分がなくなるようにする。側面アンテナが放射するビームは、その改札内において最低動作レベルを上回り、改札外では与干渉レベル以下にする必要がある。ビーム幅及び出力を変えながらその最適値を検討した。また、今後のアレーアンテナ設計のため、素子指向性を考慮し、一様分布、テイラー分布でシミュレーションを行った。
IoT (Internet of things)の普及に伴い, 屋内で利用される照明器具や空調機器等の無線システム化が進んでいる.これらの設備機器及びセンサ等の連携機器は天井近傍に固定設置されるため、通信品質確保のためには利用環境毎の伝搬特性の把握が必要になる. 天井近傍の伝搬特性は, 天井構造や建材の種類により大きく変化する. これまで筆者らは, フラットな天井近傍の伝搬特性について明らかにしてきた. 本稿では, オフィス, 工場・倉庫, 体育館等でよく利用される梁のある天井構造をユースケースとし, 単一の梁近傍での伝搬特性についてFDTD (Finite Difference Time Domain)法による電磁界シミュレーションと実験により検討を行ったので報告する.
休 憩(16:00 再開) 座長 表 英毅(ソフトバンク)
B-1-15 |
市街地マイクロセル環境における2-100GHz帯伝搬損失特性
○猪又 稔・山田 渉・久野伸晃・佐々木元晴(NTT) |
B-1-16 |
広場小セルアクセス環境における60GHz帯双角度チャネル測定
◎熊倉啓一朗・唐 率欽・塚田 響・金 ミンソク(新潟大) |
B-1-17 |
300GHz 帯無線フロントホールにおける基地局配置の最適化
○奥村 凌・枚田明彦(千葉工大) |
B-1-18 |
回転反射鏡を用いたテラヘルツ波における反射特性
○宮下真行・矢吹 歩・保前俊稀・豊見本和馬・山口 良(ソフトバンク) |
6Gでは超高速・大容量の実現に向けて,飛躍的に広い周波数帯域幅が利用できる300GHz帯までのテラヘルツ波帯の適用が検討されている.一方,5GのITU-R M.2412では,市街地マイクロセル(UMi)環境において,100GHz帯までパスロスモデルが規格化されたが,測定結果は71GHz未満なうえ,その測定内容も環境や測定距離範囲が限定的であり,十分な測定結果が反映されているわけではない.本稿ではUMi環境において,2-100GHz帯までの伝搬損失特性について測定結果を報告する.
近年,ミリ波デバイスの急増や,IoTの展開により利用シナリオは多様化してきており,ミリ波帯を用いた無線通信システムの実用に向けて様々な利用シナリオにおける正確なチャネル特性の需要が高まっている.
ミリ波帯は自由空間伝搬損失が非常に大きく,極めて短い距離での運用が考えられてきたが,屋外での運用も考えられている.
本研究では,複数のアナログビームフォーマを用いて,全方位角の高速ビームステアリングが可能なチャネルサウンダを構築し,屋外広場のスモールセル環境におけるチャネル測定を行った.本稿では,その測定システムと測定環境について紹介し,測定結果に対する考察を報告する.
6G 移動無線システムでは,多数のリモートアンテナユニット (RAU) を街灯や信号機に設置することにより,超高速通信を実現することが検討されている.街灯などに設置された RAU はビル屋上に設置した基地局と 100 Gbps データ伝送が可能な 300 GHz 帯フロントホール無線で接続する必要があるが,新宿のような高層ビル街において,多数の RAU に対して見通しを取りながら隣接回線間での干渉が無いように配置可能かは,検討されていなかった.本稿では,屋上の基地局と街灯や信号に設置された RAUと接続を可能にする配置アルゴリズムについて報告する.
本稿では,Multi User KIOSK (MU−KIOSK)を6Gのユースケースの1つとして考え,シールドルーム内にてテラヘルツ波における反射特性の測定を行ったので結果を報告する.
B-1. アンテナ・伝播B(アンテナ一般)
9月14日 9:00〜11:45 Meeting 9 座長 佐藤啓介(電気興業)
B-1-19 |
基地局用マルチバンド平面アンテナ
○中野雅之(KDDI総合研究所) |
B-1-20 |
無給電素子付Haloアンテナ及びスリーブアンテナから構成される直交偏波共用アンテナの特性
◎水谷智一・道下尚文(防衛大)・佐藤 浩・小柳芳雄(パナソニック)・森下 久(防衛大) |
B-1-21 |
スロット付金属筐体及び折返しダイポールアンテナから構成されるアンテナの共振特性
◎和田有紀子・道下尚文・森下 久(防衛大)・山本 温・松本一弘・菱川哲也(パナソニック) |
B-1-22 |
人体頭部モデル上の容量装荷モノポールアンテナを用いた防災用ヘルメットアンテナの特性検討
◎甲斐太陽・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-23 |
広帯域に双方向指向性を有する金属カバー付アンテナ
◎宮坂拓弥・坂本寛明・牧村英俊・西本研悟・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
無線基地局用アンテナでは、2周波数共用の平面アンテナなどがあるが、最近では3波以上の周波数共用を平面アンテナある。今回は約60度の9波の0.7GHz~4.1GHzまでの基地局用屋外平面アンテナについて、計算機シミュレーションを行った。
2巻先端開放ループアンテナ(Haloアンテナ)は,1波長方形ループアンテナを円筒状に折り曲げたもので,水平偏波で無指向性の特性を有する.Haloアンテナと垂直偏波素子を用いた直交偏波用のアンテナが報告されている.本稿では無給電素子を2個装荷したHaloアンテナの中心部にスリーブアンテナを配置することにより,給電線の影響を考慮した小型で細径の直交偏波用のアンテナについて検討する.
屋外や熱源の近い環境でのアンテナの使用を考えた場合,金属筐体内にアンテナを設置する必要がある.金属筐体内部から放射する一つの手段として、筐体にスロットを設ける方法がある.先行研究では,金属筐体に1つのスロットを設け,内部に折返しダイポールアンテナを設置したアンテナの検討がされており,2共振が発生することが確認されている.しかし,その理由は明らかにされていないため,ここではアンテナの共振特性について検討した.
低姿勢のアンテナとして,垂直偏波,無指向性の放射パターンを有する容量装荷モノポールアンテナがある[1].先行研究では,容量装荷モノポールアンテナを用いるハンズフリーの無線機として,防災行政無線の周波数帯である260 MHz帯に整合するヘルメットアンテナを提案している[2].更に,スリットを設けることで頭部方向への放射の抑制が可能である.しかしながら,提案ヘルメットアンテナを頭部に着用する際の特性がどのように変化するかは確認していない.そこで本稿では,提案ヘルメットアンテナを頭部に着用する際の特性の変化をシミュレーションで検討した.
車々間通信やトンネル・地下街等の長細いエリアの無線通信においては,双方向指向性を有するアンテナが要求される.これまでに,筒状導体の内側に給電プローブを設置することで,広帯域に渡って双方向指向性を有するアンテナが報告されている.本稿では,地板上モノポールにコの字の金属カバーを付けた同種のアンテナについて,低周波数域において指向性利得が高くなる原因を電流分布の観点から計算により検証を行った.
休 憩(10:30 再開) 座長 野口啓介(金沢工大)
B-1-24 |
放射素子形状を直線形としたバラクタ装荷Lプローブ給電3周波共用 小形平面アンテナの周波数制御に関する一検討
◎朝比奈歩輝・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-25 |
金属上でのロバスト性を高めたMACKEYⅡR型の検討
◎宮下圭介・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
B-1-26 |
MACKEY H型の小型化に関する検討
◎袴田幸汰・宮下圭介・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
B-1-27 |
小形球ヘリカルアンテナの簡易な給電構造モデル
◎藤田佳祐(前橋工科大)・野口啓介(金沢工大) |
B-1-28 |
スパイラル素子を用いてバックローブを抑圧する小形円偏波アンテナの設計
○坂本寛明・牧村英俊・西本研悟・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
バラクタダイオードを装荷したリング形マイクロストリップアンテナ(MSA)の周波数制御については、種々の研究が成されている[1]-[5]。本稿では小型化されたマルチバンド平面アンテナの周波数制御を目的として、放射素子形状を直線形としたバラクタ装荷Lプローブ給電3周波共用片側短絡MSAの周波数制御特性につき実験により検討を加えたので、ここに報告する。
近年,IoT化の急速な普及により,周囲の金属の影響を受けないアンテナが求められている.そこで,金属に対して,ロバスト性を持つ小型アンテナとしてMACKEY(Meta-surface inspired Antenna Chip developed by KIT EOE Labo-ratory)(以下:基本型)と,基本型の薄型化を図ったMACKEY IIが考案されている.本検討では,MACKEY IIの金属に対するロバスト性の更なる向上を目的として,アンテナ縦幅を変更したMACKEY II R型を提案する.
周囲の金属における影響を受けない小型アンテナとしてMACKEY(Meta-surface inspired Antenna Chip developed by KIT EOE Labo-ratory)[1]について考案し,自由空間および金属上でも動作可能なことを示した.本報告では,図1に示す920MHz帯MACKEY H型[2]のさらなる小型化を目的とする.また,構造はMACKEY II[3]で検討を行う.
小形アンテナの重要な性能指標の一つである放射抵抗の実測値とシミュレーション値の間に,給電構造モデルの違いによる誤差が大きいことが知られている.そこで,本報告では給電部の有限ギャップモデルとして平衡二線式フィーダを提案した.小形アンテナの具体例である球ヘリカルアンテナに提案給電モデルを適用し,複数のアンテナサイズでモーメント法によるシミュレーション結果と実測結果を比較した.提案した有限ギャップモデルはインピーダンスの実部,虚部ともに従来モデルよりも実測結果に近くなった.提案モデルを用いることでアンテナサイズにかかわらず小形アンテナの放射抵抗を正確に計算可能であることが明らかになった.
これまで電流源と磁流源を組み合わせることでバックローブの抑圧が可能な小形円偏波アンテナに関して述べた.本発表では,逆Lアンテナにスパイラル素子を一体化し,バックローブを抑圧した小形円偏波アンテナの計算結果を述べる.
9月14日 13:00〜17:00 Meeting 9 座長 羽賀 望(群馬大)
B-1-29 |
小型合成開口レーダ衛星用のCFRP製2次元スロットアレーアンテナ
○齋藤宏文(早大)・広川二郎・戸村 崇(東工大)・石村康生(早大)・田中孝治(JAXA) |
B-1-30 |
超広帯域テーパスロットアレーアンテナの低域反射改善構造の実験評価
○渡辺 光・丸山貴史・深沢 徹(三菱電機) |
B-1-31 |
逆相給電平行平板導波路における円偏波クロススロット正方配列アレーアンテナの設計
◎石川裕太・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-32 |
多重折り畳みアレーアンテナの2次元放射特性の検討
◎保坂大貴・高野 忠・三枝健二(日大) |
B-1-33 |
キャパシタンス装荷平行2線線路を用いた直列給電アレーアンテナ
◎仙名瑞樹・長 敬三・中林寛暁(千葉工大)・道下尚文(防衛大)・佐々木隆吉・佐藤啓介・大島一郎(電気興業) |
近年,多数の小型衛星を用いた合成開口レーダ(SAR)による全天候型の地球監視観測が実用化されつつあり,本研究グループが開発した小型衛星搭載用SARシステムも2021年2月には軌道上で実証観測に成功している.本稿では次世代の小型SAR衛星用のアンテナとして,軽量で熱的形状安定性に優れたCFRP製2次元スロットアレーアンテナの開発の現状を紹介する.
筆者らはこれまでに素子配列数の少ない小規模なテーパスロットアレーアンテナにおいても低域反射を改善可能な構造を提案し,電磁界シミュレーションによってその効果を確認している.本構造は,アレーアンテナの素子配列の端部に1/4自由空間波長の奇数倍の金属板を設けることにより, E面方向の素子配列全体の鏡像が形成されるため,素子配列を仮想的に長く見せることができ,低域の反射を改善できるものである.本稿では,提案アンテナの試作評価を行い,電磁界シミュレーションによる解析結果の妥当性を検証した結果を示す.
太陽光発電電力伝送用アンテナでは大規模なアレーを構成するので,サブアレーは簡易な構成であることが望ましい.逆相給電導波管スロットアレーアンテナは,側壁の電気的接触が不要のことから側壁を取り除ける.しかし,半管内波長間隔で互いにオフセットさせると不要な2次ローブが発生するので,それを抑圧するためオフセットをなくして励振する.狭帯域の小素子数のアレーに適用するため定在波励振とし,設計を簡単にするため等価回路が並列コンダクタンスのみで表わされる構造とする.本稿では,円偏波を放射するクロススロット層を付加した構造とした結果,等価回路が並列コンダクタンスのみで表わされる構造となるように設計し,良好なアンテナ特性を得た.
多重折り畳みアレーアンテナは, 段差を残したまま展開を行う展開アンテナである. そのため簡単な機械構造で極めて多くのアンテナも小さく格納することが可能となる. 加えて, 展開に必要な時間やコストを削減でき展開が失敗するリスクを低減できる. また, 2次元展開への発展も容易である. ただしパネルを展開した場合, パネル間に段差が生じるため, アンテナとしての特性が損なわれる. そのため, アンテナとしては位相的に補正を行う必要がある. 本論文では, 実際の小型衛星に搭載することを想定した多重折り畳みアレーアンテナの2次元放射特性の検討を行う.
直列給電アレーアンテナの給電位相は素子位置に対応して決定される.よって要求される放射方向によっては素子間隔が広くなりサイドローブが発生する.本報告では平行2線で構成した給電線路にCを装荷することで位相速度を増加させる.結果としてCを装荷させることで給電線路内の波長が短縮され,配置したダイポールアンテナのビーム方向を30°チルトすることができた.
休 憩(14:30 再開) 座長 藤本孝文(長崎大)
B-1-34 |
寄生素子を装荷した二重平衡乗算器複合型広帯域円偏波切替マイクロストリップアンテナの基礎検討
◎萱島立樹・西山英輔・豊田一彦(佐賀大) |
B-1-35 |
920MHz帯環状パッチ円偏波アンテナにおける環内導体突起物の影響
◎長谷川 優・袖長翔太・島崎仁司(京都工繊大) |
B-1-36 |
T型金属ポストによるマイクロストリップアンテナの整合特性および放射特性に対する影響
○今井 亨・松井章典(埼玉工大) |
B-1-37 |
キャビティ装荷直交偏波共用Lプローブ給電2周波広帯域多リング型マイクロストリップアンテナの地導体の大きさと利得特性に関する一検討
◎木村雄樹・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-38 |
差動給電偏波共用パッチアンテナの給電に用いる6ポート差動電力分配器の設計
○佐野 誠・橋本 紘(東芝) |
次世代無線通信の実現に向け,システムの設計自由度を高め,高速・大容量な通信に適するアンテナが求められている.本稿では我々が提案した二重平衡乗算器(DBM)複合型円偏波切替マイクロストリップアンテナ[1]に,寄生素子を装荷することで広帯域化を図った結果について報告する.
本報告では,接地ビアを取り付けた920 MHz帯環状パッチ円偏波アンテナの設計・解析を行った.このアンテナは, 環内径に沿ってパッチ部と導体接地板を接続するビアを12カ所設けることで,環内部に挿入する導体突起の影響を抑えることができる.解析結果として反射係数, 軸比および放射パターンを示した.放射パターンでは前方に比べ後方への放射が小さく,設計したアンテナの左旋円偏波の正面方向の利得は2.1 dBであることを確認した.また,反射特性および軸比の周波数特性において,導体突起の半径を変化させても影響は少なく,環内径を接地しない場合と比較して導体突起物の影響は小さくなっていることを確認した.
筆者らは以前マイクロストリップアンテナの近傍に無給電素子(金属ポスト)を装荷し,利得の向上を図る検討を行った.
提案したアンテナは金属ポストが宙に配置された構造であるため,固定法の検討が必要であった.
本報告では金属ポストを基板で支えるためのT型の構造を提案し,検討を行った.
Lプローブにより給電される多リング形マイクロストリップアンテナ(MSA)はマルチバンド特性を有する平面アンテナとして良好な特性を示す。このLプローブ給電多リング形MSAに低域側の動作周波数帯における中心周波数の約0.13波長程度の厚さを有する誘電体基板を用いると2周波帯において広帯域特性が得られる。また、2個のLプローブを直交する位置に配置すると直交偏波共用化が可能となり、さらに、放射素子中央にビアを装荷すると2ポート間のアイソレーション特性を改善することができる。この直交偏波共用2周波広帯域多リング形MSAに方形リング形素子とビアによって構成されたキャビティを装荷することによって、地導体の大きさに対する利得の変化を抑制することが可能である。本稿では、直交偏波共用2周波広帯域多リング型MSAにキャビティを装荷することにより安定した利得特性を得ることが可能な地導体の大きさの下限値について検討した。
著者らは差動給電方式の直交直線偏波共用パッチアンテナの小型な給電回路として2入力・4出力の6ポート差動
電力分配器を提案した.本稿では,放射素子の特性を考慮して6ポート差動電力分配器を設計することで交差
偏波識別度(XPD)を改善できることを示す.
休 憩(16:00 再開) 座長 橋本 紘(東芝)
B-1-39 |
導電性繊維で形成された電磁結合給電型マイクロストリップアンテナの刺繍量削減モデルにおける放射素子寸法の検討
◎藤山大輝・前田忠彦(立命館大) |
B-1-40 |
導電性繊維で形成された共平面給電型パッチアンテナの地板の刺繍密度が放射特性に及ぼす影響
○服部 舜・前田忠彦(立命館大) |
B-1-41 |
薄膜と基板とで構成した二重パッチアンテナの性能比較
○丸山貴史・青山裕之・高橋 徹・大塚昌孝(三菱電機) |
B-1-42 |
LNAをアンテナ素子中央に配置した非励振パッチ付き円環パッチアンテナの検討
○池田峻一・横川 佳・中本成洋・平井暁人・深沢 徹・大塚昌孝(三菱電機) |
近年, 衣類に装着して使用されることを想定したウェアラブルデバイスの構成素材として導電性繊維が注目されている. また, 導電性繊維で形成されたテキスタイルアンテナとして電磁結合給電型マイクロストリップアンテナが研究されており, テキスタイルアンテナは柔軟性や製造コストの観点から導電性繊維の刺繍量を削減することが望まれる. 本報告では, マイクロストリップアンテナを構成する地板と放射素子の刺繍量を削減したモデルを実験的に評価し, その周波数特性から比較対象である高刺繍密度モデルより放射素子寸法を地板刺繍量削減モデルでは約11%, 放射素子刺繍量削減モデルでは約26%縮小する必要があることを確認したので報告する.
導電性繊維で構成された共平面給電パッチアンテナは高い放射特性を示す次世代のウェアラブルアンテナとして注目されている.一方, 導電性繊維を用いた高密な刺繍はアンテナ形成において刺繍コストの増大やや柔軟性を損なうことが懸念されている. 本報告では,地板の刺繍量を減らした際の放射特性における影響について実験的評価を行ったので報告する.
著者らはこれまでに、ミリ波等の高い周波数でICあるいはパッケージの配線層にアンテナを形成する場合を想定した、薄膜上に励振パッチ、高周波用基板上に非励振パッチを搭載した二重パッチアンテナを提案した。本稿では、薄膜のみで単層パッチを形成した場合と利得・損失を比較し、改善量およびその内訳を調べる。
現在の移動体衛星通信では,薄型化を目的として,従来の機械駆動式アンテナに代わり,フェーズドアレーアンテナ(PAA)が注目されている.衛星通信における受信アンテナの性能は,受信アンテナ利得と等価雑音温度の比(G/T)によって決まる.アンテナの給電回路損失は受信アンテナ利得の低下だけでなく、等価雑音温度の増加にも寄与するため,可能な限り低損失にすることが望ましい。本稿では,衛星通信用PAAでの利用を目指し,放射素子とローノイズアンプ(LNA)を基板の同一面に配置することで,両者を接続する給電線路を極力短くし,給電損失を低減させた受信アンテナ素子を検討する.
9月15日 9:00〜11:45 Meeting 9 座長 戸村 崇(東工大)
B-1-43 |
衛星搭載用展開式シリンドリカル反射鏡アンテナの基礎検討
○中嶋宏昌・山本伸一・瀧川道生・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-44 |
リングフォーカスグレゴリアンアンテナにおける既存の主鏡を用いた副鏡設計法
○山本伸一・瀧川道生(三菱電機) |
B-1-45 |
リフレクトアレーアンテナにおける残留収差の簡易評価法
◎皆森勇甫・重光賛志郎・瀧能翔太・牧野 滋(金沢工大)・瀧川道生・中嶋宏昌(三菱電機) |
B-1-46 |
300 GHz 帯到来波測定に用いる回転反射鏡アンテナの一検討
◎保前俊稀・豊見本和馬・山口 良・矢吹 歩・宮下真行(ソフトバンク) |
B-1-47 |
シナウスアンテナの偏波特性
○倉本晶夫(NECプラットフォームズ) |
合成開口レーダでは,広い観測領域と高い分解能を両立するために,衛星の進行方向であるAZ方向は狭ビーム,EL方向は広ビームとなるアンテナ特性が求められる.そのため,AZ方向を放物線,EL方向を直線としたシリンドリカル反射鏡が候補の一つとなる.本稿では,さらなる観測領域拡大に向けて,シリンドリカル反射鏡のフィードをELビーム走査可能なアレーとしたときの特性について検討したので報告する.
既存の主鏡形状を用いて副鏡形状を設計する方法は、軸対称鏡面一般を対象に既に報告している。本稿では、リングフォーカスグレゴリアンアンテナを対象に既存の主鏡を用いた副鏡設計法について述べ、設計例を示し、本手法の有効性を示す。
リフレクトアレーアンテナ(以下,リフレクトアレー)において,残留収差は回転楕円面の一部であり,これを球面波に近似することで簡易的に評価することが可能であることを示した.本報告では,残留収差の導出方法を示しつつ、周波数が11.0GHz、12.0GHz、13.0GHzの3周波数をそれぞれ、イメージホーン角θが20度、0度、-20度において解析を行う。また、3つのイメージホーン角で解析値、近似値、理論値の3つの値をそれぞれ比較することで、球面波に近似した残留収差の簡易評価法の妥当性を示す.
到来波測定では一般的に波源にオムニアンテナを用いるが,300 GHz 帯は伝搬損失が大きく,従来のような測定が困難と予想される.そこで,比較的利得の高い反射鏡アンテナを用い,オフライン合成によるオムニ特性を得る方法が有効であると考えられる.本稿は複数の反射鏡を用いた特性評価を行い,優位性を述べる.
電波監視等に用いる広帯域・高利得のパラボラアンテナを実現するために,広帯域の放射素子の検討を行っている.直交する直線偏波を放射することが可能な広帯域アンテナとして,自己補対構造のシナウスアンテナがあるが,構造上,直線偏波の角度の周波数特性が問題となる.シナウスアンテナのセル数と偏波特性について,計算により検討した結果を報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 山ヶ城尚志(富士通)
B-1-48 |
ポリイミド薄膜フイルムを用いた28GHz帯パッチアンテナの試作(2)
◎立石和幸・細貝誠二・小野和宏(カネカ)・末松憲治(東北大) |
B-1-49 |
低コストパッチアレーアンテナのミリ波帯への応用
○本宮寛太・肖 鳳超・萱野良樹・上 芳夫(電通大) |
B-1-50 |
八木・宇田アンテナを用いた 28 GHz 帯室内基地局アンテナ
◎田村 成・新井宏之(横浜国大)・井上祐樹・井原泰介(NTTドコモ) |
B-1-51 |
100GHz における誘電体導波路と導波管接続の高効率化
◎飯田 渉・新井宏之(横浜国大) |
B-1-52 |
300GHz帯におけるレンズ平面走査型誘電体レンズアンテナのビームスキャン性能に関する一検討
◎杉本義喜・鈴木柊夜・石原僚汰・榊原久二男・バジラ バハロム・竹嶋大智・山野 瑛・菊間信良(名工大)・山田吉英(マレーシア工科大)・ヌルル ラーマン(マラ工科大) |
前報では弊社製品のポリイミドフィルムを基材とした下面給電の28GHz帯パッチアンテナを作製し反射特性、指向性の結果がシミュレーションと一致することを確認した。本報告では、弊社新製品のポリイミドフィルムと液晶ポリマー(LCP)を基材に用い、両者の特性に概ね違いが無いことを確認した。今後もシミュレーションを併用し、新規基板材料の開発を進めていく予定である。
本稿ではミリ波帯(28GHz)において,移相器を用いない低コストパッチアレーアンテナの設計に取り組んだ.5Gにおけるミリ波通信では,空間損失が大きいのでビームフォーミングが必要となる.このため,一般に移相器を用いたアレーアンテナが採用される.しかし,周波数が高くなるほど移相器は高価になるので,4Gと比べて8倍以上の周波数となるミリ波帯では,かなりのコストが必要となる.従って,移相器を用いずにビームフォーミングができるアンテナを検討することは重要な意義がある.本稿では移相器の代わりにパッシブラジエーターを用いた方法を検討した.検討の結果,28GHzにおいて,本モデルが十分な性能があることを示した.
モバイル通信の急激なトラヒック増加を背景に、広範囲に通信可能な基地局の構成が報告されている。例えば、アンテナを円形に配置し、全周方向をカバーする工夫が挙げられる。5G を筆頭に、高い周波数帯を利用した高速大容量通信を広いエリアで実現する際、高い伝搬損失を補償する構成を検討する必要がある。本稿は天井設置型の 28GHz 帯室内基地局アンテナについて報告する。提案アンテナは八木・宇田アンテナによる高利得化を図り、アンテナ周方向をカバーするために円形に 12 素子配置している。
近年,beyond 5G などの次世代の移動体通信として 300GHz に迫るようなミリ波帯での通信が想定されている. ミリ波のデバイスとして様々な誘電体平面アンテナが提案 されているが、実験系については伝送損低減のために、導 波管での給電によるものが多く、導波管から誘電体導波路 へ、効率よく変換することが求められる[1].本報告では、 一般的な基板加工機で制作可能な平面構造のものと、より 高効率に変換できる立体的なテーパー構造で構成された変 換構造について、その挿入損が最も低減できる構造につい て提案する.
誘電体レンズアンテナは高効率,広帯域特性を有することから,300GHz帯無線通信用アンテナとして有効である.レンズアンテナは一次放射器をレンズ軸直交面内で走査することでメインビームの方向を傾けられるが,一次放射器を平面内走査すると一次放射器の位相中心がレンズの焦点から外れるため,メインビームをスキャンすると利得が大きく低下する.本報告ではレンズ曲面の設計手法として提案されている,任意電力条件,アッベの正弦則,および直線状屈折点条件を取りあげ,一次放射器をレンズ軸直交面内で平行に走査した場合のビームスキャン特性を比較評価する.
9月15日 13:00〜17:00 Meeting 9 座長 佐藤 浩(パナソニック)
B-1-53 |
OAM通信用集積ループアンテナアレイのバラン整合による性能改善
○菊池晴貴・斉藤 昭・和田 渉・鈴木 博・本城和彦・石川 亮(電通大) |
B-1-54 |
光プローブを用いた平衡型高インピーダンス準等方性アンテナの放射パターン測定
○加藤 健・平山 裕(名工大) |
B-1-55 |
微弱無線周波数帯で動作する人体埋め込み用磁性体装荷コイルアンテナの開発
○横山勇太朗・齊藤一幸(千葉大)・Jianqing wang(名工大)・伊藤公一(千葉大) |
B-1-56 |
導波管2面結合器における結合領域管軸方向の断面形状変化による広帯域化
○山川奨太・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-57 |
広帯域レンズアンテナ
○佐藤大樹・近藤光生・倉本晶夫(NECプラットフォームズ) |
OAM(Orbital Angular Momentum)通信は新たな多重化手法として注目されている.その中で,円形ループアンテナアレイを用いる手法が提案されている.このアンテナシステムのスマートフォン等によるパーソナルエリアでの実用化を想定し,低誘電率基板を用いた集積化を検討した.ここでは,ループと反射板の近接化によるモード電流の増大を図るとともに,バランを含めた集積化を検討し,通信性能の向上を示す.
近年、エネルギーハーベスティングやRFID用に等方性アンテナが注目されている。我々は、これまでに351MHz帯用の平衡型・高インピーダンス・準等方性平面アンテナを提案したが[1]、その特徴から放射パターンの高精度な測定が困難であるという問題があった。本稿では、電気光学結晶を用いた光プローブを用いることにより、高精度な測定を行った。
近年,埋め込み型医療機器による患者の生体情報や画像の取得,治療,薬物投与などの研究が進められている.人体近傍の無線通信に用いられている周波数帯はMICSバンドやUWBがあげられる.しかし,MICSバンドでは,周波数帯域の制限が厳しく,帯域を確保するのが困難である.UWBでは,帯域の確保やアンテナ素子の小形化は容易であるものの,損失が大きい人体内では信号の減衰が激しく,人体深部での通信が難しい.そこで,我々は微弱無線周波数帯の中の40-60 MHzで動作し,人体内での減衰を抑えながら高速通信を可能とする小形コイルアンテナを開発した.
E面及びH面結合器の機能を一体化させた導波管2面結合器が提案されている。入力された波を等振幅および隣接するポート間で90度の位相差が生じる素子をハイブリット結合器という。先行研究で設計されたハイブリット結合器は結合領域が管軸方向に一様であり、比帯域が7.23%であった。本報告では結合領域を3つに分割し帯域の拡大について提案した。解析はモードマッチング有限要素法ハイブリット解析を用い、設計には遺伝的アルゴリズムを使用した。結合領域の断面形状はノードで定義し、遺伝的アルゴリズムによってノードを配置した。結果として動作帯域は8.07%という結果を得た。
近年,電波監視や通信等の用途として広帯域・高利得のパラボラアンテナが要求されている.広帯域な特性を持つ一次放射器の候補としてリッジホーンが挙げられるが,一般的にリッジホーンは高域周波数になるにつれビームが狭くなるため,パラボラアンテナの開口能率が低下するという問題があった.
この問題を解決するための手段として,リッジホーンとコルゲートレンズを組み合わせたレンズアンテナを提案した.今回,このレンズアンテナを試作し,その特性確認を実施したので,報告する.
休 憩(14:30 再開) 座長 久世竜司(熊本大)
B-1-58 |
メタサーフェスを用いたエンドファイア指向性リフレクタアンテナ
◎内田光則・長 敬三(千葉工大)・井上祐樹・井原泰介(NTTドコモ) |
B-1-59 |
28GHz帯インターディジタル・マルチビア構造メタサーフェス反射器
○浦上大世(香川高専)・丸山珠美(函館高専)・小野安季良・塩沢隆広(香川高専) |
B-1-60 |
2次元方向に反射が可能な2周波偏波共用リフレクトアレー
○橋口 弘・道下尚文・森下 久(防衛大)・松野宏己・大戸琢也・中野雅之(KDDI総合研究所) |
B-1-61 |
フレネル領域におけるリフレクトアレーの指向性の設計
◎小柳裕輔・今野佳祐・陳 強(東北大) |
B-1-62 |
積層セラミックコンデンサの配置密度を制御した円筒クローキングの測定
◎グェン タインビン・橋口 弘・道下尚文・森下 久(防衛大)・宮崎輝規・田所眞人(横浜ゴム) |
金属板にダイポールを配置したリフレクタアンテナは,金属板に直交する方向に放射する.しかし屋内の天井に配置する基地局アンテナでは,金属板に平行な方向への放射が求められる.一方,面の法線方向から入射した波を面にほぼ平行な方向に反射するメタサーフェスが提案されている[1][2].本報告では,ダイポールアンテナから放射波を面に平行に反射させるメタサーフェスと組み合わせてエンドファイア指向性の実現について検討した結果を述べる.
近年,5G移動通信の普及に伴い28GHz帯における電波環境改善の必要性が高まっている.この改善方法として,メタサーフェス反射器が提案されている.著者らは先にインターディジタル構造とマルチビア構造を併用したメタサーフェス反射器を提案し,6GHzにおいて優れた指向性を持つことを示した.メタサーフェス反射器では,パッチ間隔(パッチ間容量)により反射位相が決めるが,パッチ間隔に対する反射位相の変化量(傾き)が大きく設計,製作上のトレランスが小さい問題があった.基板を厚くすると反射位相の傾きは緩やかとなるが,実現される反射位相範囲は狭くなる.28GHz帯のような高周波数帯では更にこの問題が顕著となる.提案構造により28GHz帯において反射位相の傾きを抑え広い反射位相範囲を実現できることを確認したので報告する.
移動体通信において,基地局から電波の届かないカバレッジホールを削減するため,リフレクトアレーを用いることが検討されている.著者らは,このようなリフレクトアレーとして,入射した平面波を1次元方向(θ= 45°)に反射が可能なリフレクトアレーを提案した.本稿では,入射した平面波を2次元方向(θ=φ=45°)に反射が可能な2周波偏波共用のリフレクトアレーを報告する.
いわゆるBeyond 5Gでは従来よりも高周波の電波の利用が見込まれている.高周波電波は直進性が高くなるため,見通し外での通信が困難になるが,リフレクトアレーを用いると見通し外にある端末との間に無線通信路を確保できることが知られている.そこで本研究では,フレネル領域におけるリフレクトアレーの指向性の設計法を提案し,その有効性を数値的に明らかにする.
近年,メタマテリアルを構成する単位セル構造を小型化するために,積層セラミックコンデンサ(MLCC)の利用が検討されている.MLCCには,実効負透磁率を示す帯域が存在することが確認されており,MLCCの配置密度を制御した薄型円筒クローキングが提案されている.本稿では,MLCCの配置密度を制御した円筒クローキングを試作し,測定した結果について報告した.その結果,8.56 GHzにおいて,円筒クローキングの効果を実験的に確認した.
休 憩(16:00 再開) 座長 山岸 傑(住友電工)
B-1-63 |
0次共振器で構成された平面状スリーブアンテナ
◎榊原圭介・橋口 弘・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-64 |
周波数分散性移相器における整合回路の等価回路及び構造設計
◎相馬敏樹・長 敬三・中林寛暁(千葉工大)・道下尚文(防衛大)・佐々木隆吉・佐藤啓介・大島一郎(電気興業) |
B-1-65 |
変形した回転対称フォトニックバンドギャップアンテナ
◎宮本 凌・山内潤治・中野久松(法政大) |
B-1-66 |
小形屈曲メタラインアンテナ
◎阿部智希・山内潤治・中野久松(法政大) |
スリーブアンテナの漏れ電流を抑制するためにチョークが必要であるが,低い周波数で大型になる問題がある.スリーブアンテナを構成するチョーク構造として,右手/左手系複合(CRLH)線路の−1次共振モードを用いると,チョーク構造のサイズは小型になるが狭帯域となる.そこで,0次共振モードを用いると広帯域化することが報告されている.しかし,これらのアンテナは立体的で構造が複雑であるため,製造が容易でない.本稿では0次共振モードで動作する平面状スリーブアンテナを提案した.
多周波数帯共用基地局アンテナでは,ビーム方向が全周波数帯で等しくなり低周波数帯での隣接通信エリアへ干渉の増大が問題となる.この問題を解決する方法として,CRLH伝送線路で構成した周波数分散性移相器が提案されている.本稿では文献の移相器と50Ω伝送線路の整合を実現する整合回路構造について述べる.ランダム探索を用いて等価回路設計し,その値を参考に電磁界シミュレータ上で構造設計した.所望帯域内のVSWRは2を下回り,整合可能な構造を明らかにした.
フォトニックバンドギャップ(PBG)を用いたアンテナの研究が進められている.これまでに,最外面の誘電体層を変形する手法を検討したが,製造工程が煩雑になる欠点があった.本稿では,地板導体の一部に段差を設ける単純な構造で,利得特性が改善できることを明らかにする.
メタアトムから成るループ, スパイラル, カールアンテナを提案してきた. これらのアンテナの面積は1波長×1波長程度である. 本稿では, 従来の1/4程度の面積を有する小形メタマテリアルアンテナを提案する.
9月16日 9:00〜10:00 Meeting 9 座長 西山英輔(佐賀大)
[English Session]
B-1-67 |
Broadband Design of Circularly Polarized Microstrip Patch Antenna Using Artificial Ground Structure with Rotated Rectangular Unit Cells
○Uuganbayar Purevdorj・Ryuji Kuse・Takeshi Fukusako(Kumamoto Univ.) |
B-1-68 |
Multi-Port Rectangular Horn Antenna with Dielectric Resonator for 5G Application
○Purevtseren Bayarsaikhan・Ryuji Kuse・Takeshi Fukusako(Kumamoto Univ.)・Kazuma Tomimoto・Masayuki Miyashita・Ryo Yamaguchi(Softbank) |
B-1-69 |
A fundamental study of metasurface reflectors for reflection direction control
◎HoYu Lin・Akihiro Sato・Hideki Omote・Sho Kimura・Shoma Tanaka(SoftBank) |
B-1-70 |
Bistatic SIMO Radar Human-Body Localization Using Merged Roundtrip Channels
◎Abudusaimi Abuduaini・Nobuyuki Shiraki・Naoki Honma・Kentaro Murata(Iwate Univ.)・Takeshi Nakayama・Shoichi Iizuka(Panasonic) |
This paper presents a broadband circularly polarized patch antenna using an artificial ground (AGS) structure with rotated rectangular unit cells as a polarizer. The rectangular unit cells are rotated by 45° with respect to a square dielectric substrate. Rotated unit cells effectively suppress surface wave resonances on the meta-surface, and the proposed antenna achieves an incredibly wider 3-dB axial ratio (AR) bandwidth in the boresight direction. Also, the proposed design has a flatter gain characteristic in the operating frequency band compared to conventional designs.
5th Generation Mobile Communication System (5G) is highly expected to provide excellent service such as extreme capacity, high throughput and low latency, etc. The frequency bands include sub-6 and mmWave of 28GHz according to 3GPP. However, communication capability is degraded significantly due to blocker and large path loss in mmWave. For this problem, metasurface reflectors have attracted great attention in beam control, polarization transformation and RCS reduction [1]. In this report, for the fundamental study, we use simple patches with non-resonant and square-ring at 28GHz. Some characteristics of reflection phase and scattering patters of the metasurface reflector are simulated and discussed.
This paper proposes a method that utilizes the partial channel information only, where some of the RF chains can only transmit or receive. This method combines the roundtrip channels to solve this problem. The roundtrip channels are combined using the phase error elimination technique even when two stations have the frequency offset between them. The simulation results indicate that the 90-percentile of distance error was decreased from 4.42 m to 0.30 m.
9月17日 13:00〜16:45 Meeting 9 座長 今野佳祐(東北大)
B-1-71 |
線状無給電素子とブリッジ素子を用いた2素子のPIFAの2周波低結合手法
◎フン クァン クァン・道下尚文(防衛大)・佐藤 浩・小柳芳雄(パナソニック)・森下 久(防衛大) |
B-1-72 |
筐体を放射器とする小型で低姿勢な逆Lアンテナ
◎西目 匠・橋口 弘・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-73 |
海中ダイポールアンテナのインピーダンス定式化と有効性検証
◎松下拓磨・川村 昂・近藤俊範・竹内太志・松井康浩・瀧浪 崇・本郷一泰・堀井昭浩・大栗一敦(ソニーグループ) |
B-1-74 |
定在波を用いた複素比誘電率算出に関する一検討
◎△相澤廣樹・荒川裕也・前山利幸(拓殖大) |
B-1-75 |
θ/φ方向電流を有する球面アレイの生成する電磁界の固有モード展開
○斉藤 昭・石川 亮・本城和彦(電通大) |
MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) アンテナにおいて複数の所望周波数での通信効率を向上させるために,多共振化及び素子間相互結合の低減(以下,デカップリングと呼ぶ.)を同時に考慮する必要がある.このニーズに応じて,これまでに様々な手法が提案されているが,元のアンテナの形状・寸法を変更することが求められている.そのため,元のアンテナの形状・寸法を変更することが困難な場合,これらの手法は適さない.先行研究では,2素子の平板逆Fアンテナ(PIFA)の元の形状・寸法を変更せずにブリッジ素子で接続した無給電素子を近接配置するだけでデカップリングを実現している.しかし,対応周波数が2.0 GHzのみである.そこで本稿では,先行研究で提案している手法を発展させ,PIFA の動作周波数を2つにすると共にそれらの周波数でデカップリングを実現した.
アンテナの占有体積と効率はトレードオフの関係にある.そこで小型機器では筐体をアンテナの一部として利用することが検討されている.従来手法では,筐体を励振するアンテナは1/4波長程度の大きさであるか,筐体を分割するような構造であった.本稿では,外形が12.2 mm × 6.0 mm × 1.7 mmの小型で低姿勢な給電素子を有するアンテナを提案した.解析結果より,筐体上の電流分布が放射に寄与することで,給電素子単体の放射とは異なる放射パターンとなった.また,提案アンテナの放射効率は,給電素子単体から31.3 %向上して最大75.3 %であった.
海中における電磁波送受信源として、近年ハーフシースダイポールアンテナ(HSDA)が提案され、用いられている。しかし、そのインピーダンスの解析解は知られておらず、設計手法は確立されていない。そこで我々は、電気的に小型なHSDAの等価回路を提案し、金属導体の電流や海水中の電界を解析的に評価することで構成する集中定数の表式を求め、インピーダンスの定式化を行った。電磁界シミュレーションとの比較によって上記定式化を評価したところ、実用的な形状の範囲内では最大誤差が1割程度と、十分な精度であることが分かった。
屋内の電波伝搬の電磁界解析において,建築材料の設定した複素誘電率により,電界分布に変化があることが確認されている.そのため,複素誘電率を建築材料の条件によって推定することは大切である.複素誘電率の測定方法として,自由空間法,透過法そして定在波法がある.その中でも反射係数より求めることが可能な定在波法に着目した.定在波を用いて複素比誘電率を算出できれば,建物の外壁などの誘電率を非破壊で測定することが可能と考えている.本報告では,電磁解析手法であるFDTD法(Finite Difference Time Domain Method)を用いて定在波法による複素誘電率の推定について評価した.
次数(l,m)とも単一となる固有モードを放射する球面アレイ実現の基礎検討として、球面上のθ/φ方向電流分布で生成される電磁界の固有モード展開を行った。直接積分した電磁界と展開係数から求まる電磁界を比較し、ほぼ同じ分布が得られることを確認した。
休 憩(14:30 再開) 座長 藤元美俊(福井大)
[シニア・若手 セッション]
B-1-76 |
オープンソースソフトウェアを用いたアンテナ設計に関する一検討
○山ヶ城尚志・広上 新(富士通) |
B-1-77 |
動作切換可能なスロットペアを備えた導波管スロットアレーを用いた符号分割多重化によるDBFの基礎検討
○中本成洋・紀平一成・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-78 |
振幅の周波数特性を容易に制御可能な小形キャンセラ回路
○山浦真悟・西本研悟・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-79 |
メタサーフェス反射板の広ビーム化手法の一検討
○松野宏己・中野雅之(KDDI総合研究所)・王 琳・陸田裕子・萩原弘樹・小林敏幸(日本電業工作) |
現代のアンテナ設計,評価において電磁界シミュレーションの利用は必須である.企業の開発者は高価で高機能な商用シミュレータを用いて,モデルを作成し,素子長などを調整し,性能を予測し,視覚的に確認するといった一連の作業を簡単に実行できる.一方で近年高機能なオープンソースの電磁界シミュレータが公開され,開発事例も報告されている.オープンソースソフトウェア(OSS)を製品開発に適用する場合,その機能,精度および性能について事前に把握しておくことが必要になる.OSS電磁界シミュレータを用いたアンテナ設計について調査し,実用上十分な精度,性能が得られることを確認した.
アレーアンテナの全素子アンテナにA/D 変換器を接続するフルDBF(Digital Beam Forming)の低コスト/低消費電力化技術として,各素子アンテナ信号に直交符号を乗算・合成し,信号処理でこれらを分離することでA/D 変換器数を削減する方法が提案されているが,各素子アンテナ系統に増幅器が必要となる.本稿では,増幅器を1 系統に削減する方法として,高効率な導波管スロットアレーの各スロット動作を切り換えることで受信信号を符号分割多重化し,1 個の A/D 変換器 に入力後,信号処理で各素子アンテナの受信信号に分離し,DBF を実現する方式を提案する.
無線通信やレーダの同時送受信を目的にしたキャンセラ回路が提案されている.送信経路から分岐させた経路にキャンセラ回路を設け,受信経路に漏れ込んだ送信波に対して等振幅・逆位相となるキャンセラ波形を形成する.広帯域にキャンセルするには,両波形の振幅と位相の周波数特性を合わせる必要があり,振幅の周波数特性を制御する方式として,多数の可変減衰器を用いた回路がある.しかし,多素子で構成されるキャンセラ回路は装置の大規模化,制御の複雑化が課題になる.本稿では,振幅の周波数特性を容易に制御可能な小形キャンセラ回路を提案する.
第5世代移動通信システムより利用が開始した28GHz帯などの高い周波数帯は,直進性が高く,遮蔽などにより通信エリア内に高品質な通信を提供できない場所(カバレッジホール)が頻繁に発生する問題がある.この対策として,任意の設計方向に電波を反射可能なメタサーフェス反射板の利用が注目されている.メタサーフェス反射板は,特定方向に電波が反射するように設計するとビームが細くなり,広い範囲のカバレッジホールに電波を反射することが難しくなる.これに対し,反射方向の異なるサブ反射板の組み合わせにより,広ビーム化の報告があるが,サブ反射板のビームの境界で10dB近いヌルが生じており,その方向での通信品質が低下する.そこで本稿では,反射方向の異なるサブ反射板を合成する際に,サブ反射板間の位相差を補正することでヌルを改善し,広ビーム特性を実現することを,シミュレーションと実測により示す.
休 憩(15:45 再開) 座長 山田寛喜(新潟大)
B-1-80 |
電波伝搬損失変動予測におけるRNNモデルの比較評価
○佐々木元晴・久野伸晃・中平俊朗・猪又 稔・山田 渉・守山貴庸(NTT) |
B-1-81 |
蓄電池監視無線化に向けた配置情報把握に関する検討
○内田大輔・米澤祐紀・堤 由佳子・坂本岳文・秋田耕司(東芝) |
B-1-82 |
5GHzと28GHzのCSIを用いた無線センシングの実験評価
○村上友規・大槻信也(NTT)・六平 豊・福田敦史(NTTドコモ) |
B-1-83 |
CMA-likeアダプティブアレーによる歩行人物のバイタルサイン検出
○本間尚樹・村田健太郎・岩井守生・小林宏一郎(岩手大)・佐藤 敦(エクォス・リサーチ) |
第6世代移動通信システムではNew Radio Network Topologyと呼ばれる様々な無線セルが重畳された複雑なセル構成が提唱されており,多数セルの切替/協調制御が重要になると考えられる.そこで本稿では,そのような状況で必要と考えられる,事前に各セル基地局の通信品質を秒以上のオーダで予測する手法として,深層学習であるRNN,LSTM,GRUを用いた電波伝搬損失変動予測について,実環境での測定データを用いた比較結果を報告する.
近年,余剰電力を用いて蓄電池を充電し,需給バランスに応じて電力を供給するシステムが注目されている.筆者らはこれまでに,蓄電池の電圧,温度を監視するCMUとそれを管理するBMUの間をBLE (Bluetooth Low Energy)で無線化することを提案した.本稿では付加価値としてメンテナンスを簡易化するために,電池モジュールIDと配置場所を関係づける配置推定技術を検討する.配置推定はこれまでにも検討されているが,アルゴリズムではなくデータの測定方法に言及した例は少ない.本稿では,配置推定の中でも,蓄電池が属する盤や段を分類するグループ推定に着目し,偏波を活用することによりその精度が向上することを示す.
本稿では,5GHzの無線LANシステムと28GHzのソフトウェア無線機から取得した伝搬チャネル情報(CSI)を用いて,無線センシングの有
効性をそれらの比較結果より明らかにする.
本報告では,著者らの提案したCMA-likeアダプティブアレーに関して,歩行中の人物のバイタルサイン検出性能を評価した結果について述べる.シミュレーション評価結果より,歩行速度が0.1 m/sの場合,90\%値で0.1 Hzの誤差で心拍を推定できることが分かった.
B-1. アンテナ・伝播C(アンテナシステム)
9月14日 10:30〜11:45 Meeting 18 座長 杉本義喜(名工大)
B-1-84 |
FMCWレーダとCNNを用いたECG波形復元手法
◎戸田大貴・安済 練・市毛弘一(横浜国大)・齋藤 諒・植木大地(村田製作所) |
B-1-85 |
フェージングパターンとPDRを用いた測位法に適したアンテナ配置の検討
◎内澤航平・本間尚樹・村田健太郎(岩手大)・三浦 淳・梁川 翼(イーアールアイ) |
B-1-86 |
Denoising Autoencoderを用いた体表面変位信号のノイズ除去
◎安済 練・戸田大貴・市毛弘一(横浜国大)・齋藤 諒・植木大地(村田製作所) |
B-1-87 |
クラスター伝搬環境においてフルランクチャネル行列を実現するOTA測定手法
◎北村理央・本田和博(富山大) |
B-1-88 |
メタサーフェス反射板の反射振幅変動に対する反射パターン影響評価
◎大戸琢也・松野宏己・天野良晃(KDDI総合研究所) |
ECG信号は心拍の典型的な表現法であるが、測定にはデバイスの接触が必要となるため、被験者に不快感を与えることが問題となり好ましくない。そこで、レーダを用いたセンシングに注目が集まっている。レーダは、呼吸や心拍による微小変位を非接触に測定することができ、有用である。一方、レーダを用いた手法は、被験者やデバイスは静止した状況で心拍数や心拍間隔などの簡易な指標による評価にとどまっているものが多い。そこで提案手法では、FMCWレーダを用いて非接触にセンシングした信号に対し、畳み込みニューラルネットワークを用いてECG信号の波形復元を行う。また、より実環境に近い、呼吸以外の雑音を付加した状況下における検証を行う。
著者らは,歩行者の持つ受信端末で観測されたRSSI変化履歴と,複数アンテナで人工的に生成したフェージングパターンから予測したRSSI変化履歴を利用した測位法を提案している.従来検討では,本手法における測位に適したアンテナ配置については検討されていなかった.本報告では,Ray-trace法を用いたシミュレーションにより,送信アンテナ位置の最適化による測位精度の改善について検討した.シミュレーションより,送信アンテナ位置は部屋の中央に近づくほど精度が向上し,中央付近では測位誤差のCDF75%値で約0 mと最小となることが分かった.
本稿では,レーダで取得した体表面変位信号において,Denoising Autoencoder(DAE)を用いたノイズ除去手法を提案する.レーダ測定の問題点として,ノイズが多く混入してしまう点が挙げられる.ノイズ除去の従来手法として挙げられるアナログフィルタでは,対象信号に近い周波数のノイズを除去することが困難である.そこで本稿では,人の体表面変位のレーダ観測信号からの心拍数推定に向けて,DAE を用いたノイズ除去手法を提案する.シミュレーションの結果,DAEを用いることで,人工的に加えた周波数と振幅が既知の正弦波ノイズを除去できていることが確認できた.
我々は,具備する散乱体数がサブチャネル数より少ないフェージングエミュレータを用い,到来波が一様の伝搬環境において,大規模MIMOアンテナをOTA評価する方法を提案している.本論文では,到来波がガウス分布となるクラスター伝搬環境において提案手法の有効性を検証した.
第5世代移動通信システムで利用が開始されたミリ波帯は,直進性が高く,遮蔽エリアが発生する問題がある.この問題を解決する手段として,電波を所望の方向に反射できるメタサーフェス反射板について検討が進められている.メタサーフェス反射板の反射パターンは,反射素子ごとの反射位相により設計するが,実際には反射位相に応じて反射振幅(損失)が変動し,所望の反射パターンが得られない問題がある.そこで,本稿では,反射損失が反射パターンに与える影響を定量評価するために,反射素子の振幅特性が反射パターンのピーク電力,サイドローブレベルに与える影響をシミュレーション評価したため報告する.
9月14日 13:00〜17:00 Meeting 18 座長 飴谷充隆(産総研)
B-1-89 |
可変IM源と線形減衰器を用いたPIM測定系のシステムノイズ同定
○山下多聞・桑田昌佳・久我宣裕(横浜国大) |
B-1-90 |
ノイズキャンセル装置の信号間位相差測定法
○牧村英俊・西本研悟・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-91 |
同軸管を用いた平面回路用小型IM源の特性評価
◎江尻真希志・桑田昌佳・久我宣裕(横浜国大) |
B-1-92 |
PDモジュールを用いたSパラメータ法による小形アンテナ測定の検証
○秋元晋平・山浦真悟・西本研悟・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-93 |
非接触PIM測定におけるHigh-level IM Standardを用いた結合損失推定
◎桑田昌佳・久我宣裕(横浜国大) |
PIM測定におけるシステムノイズの低減法が提案されている.本手法ではSGにより外部からノイズの逆位相の信号を印加することにより,システムノイズを打ち消す手法であるため,正確なシステムノイズを同定する手法が必要となる.
また一般にダイオードはバイアス条件によってIMレベルが変わることが知られている可変のIM基準器としての利用が期待できる.
本稿では可変IM源を用いたシステムノイズ同定手法を提案し,ダイオードから構成される可変IM源を用いてシステムノイズ同定の妥当性を実験的に示す.
無線機器内のイントラEMC問題に対して,電磁シールドなどではなく,回路的に内部干渉ノイズの影響を低減する手法の検討を行っている.本報では,内部干渉ノイズをキャンセルする回路と,その構成要素のひとつである干渉波の位相を測定する簡易な回路を提案する.また,ノイズキャンセル装置の構成要素のひとつである,信号間の位相差を測定する簡易な回路について,動作を簡易的な実験で確認した結果を示す.
プリント基板回路を含むアンテナのPIM特性評価において,安定した既知のIM信号を生成できる基準器は,測定系の信頼性確認に不可欠な部品である.
抵抗器はプリント基板回路に親和性のよいPIM測定基準器であり,その精密な特性評価方法も提案されている.
一方で抵抗器は低損失が求められる伝送線路系内では利用できないことが多く,また終端器として利用できても,熱損失による時間変動が大きいという問題がある.
これを補うために,低損失かつ安定した基準IM源としてのダイオードの特性評価を行う.
本稿では,先行研究の手法を用いて,送信周波数2波に対する3次IMを実験的に評価している.
近年,様々な放射パターン測定法が提案されている.例えば,給電用RFケーブルを光ファイバに置き換え,PDモジュールをアンテナに接続することでRFケーブルの影響を除去した手法や, RFケーブルの外導体に流れる不平衡電流を低減するSパラメータ法が提案されている.しかし,前者の手法ではPDモジュールのサイズがアンテナと比較して無視できない場合,アンテナ特性に影響を与える.また,後者の手法ではRFケーブルの散乱体としての影響が残るため,放射パターンへ影響を及ぼす.そこで,本発表では放射パターン測定の高精度化のために,小形PDモジュールを用いたSパラメータ法を提案し,測定による検証を行ったので報告する.
アンテナPIM 測定として直接測定法(DM:Direct Measurement),非接触測定法(NCM:Non-contact Measurement) が提案されている.一般にPIM は微弱な電力であるため,誤差の影響を受けないNCM が好ましいが,測定値がユニークな値であるという問題があった.そこでNCM とDM の換算手法が提案されている.ここではVNA を用いてNCM とDM の励振状況をあらかじめ測定し換算しているが,完全な1-port 測定が出来ないため実用的ではない.そこで,本稿ではダイオードから構成されるHigh-levelIM standard(HIMS) を用いた,1-port による結合損失の推定手法を提案し,実験的に妥当性を示す.
休 憩(14:30 再開) 座長 本田和博(富山大)
B-1-94 |
RISを用いた全方位等電力伝搬環境再生装置構成の提案と評価
○谷口諒太郎・村上友規・小川智明・鷹取泰司(NTT) |
B-1-95 |
大気・海水2層問題の疑似スケールモデルのFDTD法による検証
◎神谷安璃・石井 望(新潟大) |
B-1-96 |
パルスドップラーレーダにおける干渉低減の一検討
○松木 誠・紀平一成・山口 聡・大塚昌孝(三菱電機) |
B-1-97 |
QAM変調波のアンダーサンプリングにおけるクロックジッタに関する検討
◎齋藤裕之・新井宏之(横浜国大) |
第6世代移動通信方式では95 GHz~3 THzという,従来の移動通信方式に比べ非常に高い周波数帯がターゲットとなっている.ミリ波帯やテラヘルツ波帯のように周波数が高くなると端末に搭載される素子のサイズが小さくなり,有線でのコンポーネントごとによる端末の評価が困難になる.そこで,無線による端末の性能評価を行うOTA testingと呼ばれる方法が研究開発されている.
本稿ではインテリジェント空間形成技術に基づき,RIS(Reconfigurable Intelligent Surfaces)を用いて電波を制御することで任意の伝搬環境を再現する伝搬環境再生システムを提案する.加えて,その基礎検討として,全方向から等電力で電波が到来するシナリオに対するシステム構成を導出し,その性能を明らかにする.
本稿では,FDTD法を用いて,近傍空気領域を含めた大気・海水2層問題の疑似スケールモデルの妥当性を検証している.空気領域の存在により完全とはならないが,アンテナ近傍では,実モデルと疑似スケールモデルによる電界分布がほぼ一致することを確認した.この結果は,疑似スケールモデルを用いた実験の妥当性を支持するものである.
移動目標を検知するパルスドップラーレーダにおいて目標と干渉波の分離能力向上のため,レーダに用いられるフェーズドアレーアンテナの低サイドローブ化が求められている.低サイドローブ化の実現方法として,時間変調アレー技術(TMA:Time Modulated Array)の適用が検討されている.本報告では,パルスドップラーレーダへの時間変調アレーの適用を想定し,レーダ信号処理への影響を示す.
AD変換を行う際,ナイキスト周波数より低い周波数でサンプリングするアンダーサンプリングという手法がある.しかし,高い周波数帯域の入力信号をサンプリングする際はクロックジッタによる雑音や位相変動が信号の劣化に繋がる.近年はADCの性能の向上しており,アパーチャジッタが70[fs]でのサンプリングが可能なGHz帯のADCも報告されている.350[MHz]までのQAM変調波のサンプリングについての議論は行われている.本稿では,30[GHz]までのQAM変調波をアンダーサンプリングした際のクロックジッタの影響について検討する.
休 憩(16:00 再開) 座長 内田大輔(東芝)
B-1-98 |
HAPSサービスリンク向けフットプリント固定アンテナの試作装置を用いた性能評価
○須藤渉一・柴田洋平・田代晃司・高畠 航・星野兼次(ソフトバンク) |
B-1-99 |
同一周波数Full Duplex実現に向けた車両通信における周辺地物の影響
○埜々考平・藤元美俊(福井大)・山口 良・豊見本和馬(ソフトバンク) |
B-1-100 |
ミリ波・テラヘルツ波における、回転反射鏡アンテナを活用した通信エリアの拡大に関する検討
○矢吹 歩・宮下真行・保前俊樹・豊見本和馬・山口 良(ソフトバンク) |
B-1-101 |
高周波数帯上りリンクにおける低遅延中継技術の検討
○堅岡良知・大関武雄・渡辺大詩・山崎浩輔・岸 洋司(KDDI総合研究所) |
高度20km上空から直接地上の携帯端末に対して通信を行う成層圏プラットフォーム(HAPS)を用いて、地上を複数のセルで覆うことで超広域なカバレッジを確保できる。この場合、無人航空機を用いたHAPSでは上空での旋回飛行により地上に形成されるセル(フットプリント)が移動することで、多数の携帯端末がハンドオーバを起こすため、安定した通信を提供できない。この課題に対し、筆者等はシリンダ型の多素子フェーズドアレイアンテナを用いたデジタルビームフォーミングによるFP固定制御方式を提案し、試作装置を用いて1セルでのFP固定を実証した。本稿では試作装置をマルチセルに対応させ、複数セルでのFP固定の同時制御が可能であることを示す。
同一周波数Full Duplexの実現には,約110 dBの自己干渉除去が必要となり,移動体では実質的に不可能であるとされています.特に,自身の送信アンテナから放射された電波が周辺地物で反射されその電波を受信することにより発生する周辺地物干渉が問題になります.本報告では,車両通信における周辺地物が送受信アンテナ間の結合に与える影響を明らかにします.
5G の商用サービスが開始され,次世代移動通信として第6 世代移動通信システム(6G)の研究開発が行われている.6G では,100 GHz 超の高周波数帯(テラヘルツ帯)の活用が考えられており,そのユースケースのの一つとしてマルチユーザーキオスクなどの検討も行われている[1].ミリ波以上の高い周波数では電波の伝搬損失が大きく,アンテナの利得を上げることで通信距離を広げる方法が一般的である.しかしこの場合,アンテナからの放射パターンが鋭くなるため,通信可能範囲が限られてしまう問題がある.本稿では,回転反射鏡アンテナを用いた通信可能範囲の拡大方法について考え方を述べる.
2020年の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により,今後非接触のコミュニケーションやライフスタイルが新たに常態化していくと考えられる.そのため,これまでの移動通信システムで行われてきたユーザ端末への大容量なデータ伝送だけではなく,リアルタイム性を重視した遠隔医療,重機の遠隔操作,遠隔オフィス,遠隔授業など,ユーザ端末から大容量データのリアルタイム伝送が必要となるユースケースの実現が求められている.このような上りリンクでの高速・大容量伝送の実現に向け,我々は高周波数帯における中継通信技術に関する研究を行っており,本稿では低遅延中継技術に関して報告する.
9月15日 9:00〜11:45 Meeting 8 座長 松野宏己(KDDI総合研究所)
B-1-102 |
送受信局配置を考慮した複数協調型MIMOレーダの測位精度評価
○白木信之・本間尚樹(岩手大)・中山武司・飯塚翔一(パナソニック)・村田健太郎(岩手大) |
B-1-103 |
部屋の形状推定法を用いたデバイスフリー測位法
○三宅祐人・金 ミンソク(新潟大) |
B-1-104 |
レイリー商規範ビームフォーミング法による心拍数推定評価
◎小川悠太・佐々木滉太・本間尚樹・村田健太郎・岩井守生・小林宏一郎(岩手大)・佐藤 敦(エクォス・リサーチ) |
B-1-105 |
小型無人航空機に搭載したアレーアンテナによる電波検知技術の実験評価
◎瀬戸 翼・藤田雅則・渡部智宏・山崎 譲(OKI) |
B-1-106 |
4素子円形アレーと180˚/90˚ハイブリッド回路を用いたRSSIに基づくDOA推定の実験評価
◎小野寺和希・本間尚樹・村田健太郎(岩手大)・竹田真理・武居厚志・松本一弘・柴野伸之・菱川哲也(パナソニック) |
本報告では,送受信局配置を考慮した複数局協調型MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) レーダの測位精度の評価を行う.複数局協調型MIMOレーダを用いた測位法について述べ,ネットワークトポロジの一種であるスター型とメッシュ型の配置における測位精度をシミュレーションにより評価する.アンテナ局のスター型配置とメッシュ型配置における位置推定誤差の75%値を比較した結果,メッシュ型に配置することで1名時0.14 m,3名時2.7 m,5名時2.8 mの改善を確認した.
近年,IoTやAI技術が急速に発展している.これらの技術を家庭環境で活用するためには,家の中の環境情報を取得し,可視化することが重要となる.これに対して先行研究では,5GモバイルやIEEE 802.11ad/ay,WiGigなどのミリ波(mm-wave)無線システムをベースに,屋内デバイスフリー人物測位を行う多重波トモグラフィーイメージング(多重波RTI)法を開発した.多重波RTIでは,測定に基づいた辞書を構築する代わりに,対象となる環境の個々の伝搬経路に関する事前知識が必要となる.本稿では,必要な事前情報を得るために,部屋の形状推定技術を用いた定位法を提案し,その性能をレイトレーシング・シミュレーションによって実証する.
マイクロ波を用いた心拍数推定において,呼吸による体表面変位に起因する高調波成分が,心拍応答に干渉するという問題がある.この問題を解決するために,MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) システムにおいて,ビームフォーミング法を用いた心拍数推定法について検討した.ここでは,ビームステアリング,最大比合成,レイリー商の3つのビームフォーミング法と逆正接復調の組み合わせによる心拍推定精度を比較した.
現在小型無人航空機(以下UAVと記す)が利用する電波と同一帯域/隣接帯域には様々な用途の電波が混在し、これらが干渉を起こすことで飛行の安全が脅かされるリスクが存在する。これらの干渉リスクを回避するためには、干渉波などの妨害波を除去し、所望の通信相手からの電波のみ抽出することが重要となる。本稿ではUAVに搭載可能なアレーアンテナを利用した干渉源や通信の相手方の方位を把握するための電波検知技術について検討を行い、試作装置を用いて屋外飛行試験を実施した。これによりUAVへ搭載した状態でも高い精度で電波到来方向推定が可能なことを確認したので、評価結果について報告する。
本報告では,給電回路とアンテナを製作し,無線ビーコン信号のRSSI (Received Signal Strength Indicator) のみを用いた2次元DOA (Direction-of-Arrival) 推定の性能を実験的に評価した結果について述べる.送受信アンテナの高低差が 0.6 m 以上において,方位角の推定誤差平均は位相情報の有無によらず 5˚以内であり,位相情報の有無による差異がないことを確認した.
休 憩(10:30 再開) 座長 塩見英久(大阪大)
B-1-107 |
アレーアンテナを用いたDOA推定におけるR-FOCUSSアルゴリズムの性能改善
○市川元也・菊間信良・榊原久二男・杉本義喜(名工大) |
B-1-108 |
合成開口スペクトラムを参照したNNによるビン配置におけるビン配置範囲の検討
○池田友典・藤元美俊(福井大)・豊見本和馬・山口 良(ソフトバンク) |
B-1-109 |
ISTAの多次元畳み込み問題への最適化と実験的検証
○牛腸正則(NICT) |
B-1-110 |
機械学習を用いたストリートセルにおける遅延プロファイル推定
○林 真之介・藤元美俊(福井大)・北尾光司郎・中村光貴・須山 聡・小田恭弘(NTTドコモ) |
B-1-111 |
可変リフレクトアレー実現に向けた負荷変調伝搬路推定法の実験的評価
◎佐々木 駿・村田健太郎・本間尚樹(岩手大)・高橋雄太・阿部順一・油川雄司(NTTドコモ) |
アレーアンテナによる電波の到来方向推定技術として圧縮センシングを使用することが検討されている.本研究では,その1アルゴリズムであるR-FOCUSSに注目し,推定性能の改善を試みる.
筆者らは,合成開口スペクトラムに対して一定のしきい値を用いた処理を適用することで,圧縮センシングのビン配置を行っていた[1].しかし,クラスタ内の素波の位相関係によっては合成開口スペクトラムがひずみ,クラスタを検出できなくなるため,ビンの配置精度が大きく劣化する.本報告では,ビン配置の柔軟さを高めるため,ニューラルネットワーク(NN)によるビン配置を導入した手法を提案し,NNモデルに学習させるビン配置範囲を検討する.
本稿では多次元畳み込み問題のスパース再構成を用いた再構成法について提案する.提案手法はISTAをベースに多次元畳み込み問題のL1最適化を行い求解するものであり,低計算量かつスパースな解を得ることが可能である.本発表では実験的データによる検証として,2次元畳み込み問題である合成開口レーダ(SAR)による観測データを用いた検証を行う.
移動通信において, 高速・高品質通信を実現するためには, 送受信間の電波伝搬特性を明確にすることが重要である. 伝搬特性を把握するには実測が確実であるが, あらゆる場所において測定することは困難である. そこで, 市街地モデルを用いたシミュレーションによる検討が行われている. しかし, 高精度な伝搬特性の把握には精密な市街地モデルが必要であることから,簡易な推定手法が求められている. 本報告では, 実測定や精密な市街地モデルを用いることなく伝搬特性を推定するために, 市街地の特徴量を入力とする機械学習を用いた簡易な推定手法について検討する.
送信局-受信機間に設置された可変リフレクトアレーの負荷制御により,電波伝搬特性を改善し無線通信性能を向上する手法が提案されている.しかし,リフレクトアレーはチャネル推定法に問題を抱えている.そこで,本稿ではアレー内の少数素子だけにRSSI (Received signal strength indicator) の測定機能のみを付加した簡素なハード構成により,送信局-アレー間全体のチャネル推定を可能とする手法を提案し,提案法によるチャネルの推定精度を実験的に評価した結果について評価した.その結果非常に高い推定精度を示し,提案法の有効性を実証することができた.
9月15日 13:00〜17:00 Meeting 8 座長 西森健太郎(新潟大)
B-1-112 |
Annihilating Filterを用いたDOA推定手法における実像と虚像の識別手法
◎尾畑聡一・濱田翔平・市毛弘一(横浜国大)・荒川暢哉・柏木克久(村田製作所) |
B-1-113 |
準定常性に限定されないKR積仮想アレイシステムの検討
◎木本圭優・江頭慶真(東芝) |
B-1-114 |
仮想アレーを用いた空間平均MUSIC法における仮想アレー配置位置による位置推定精度への影響
◎小林慶祐・長 敬三・中林寛暁・水津光司(千葉工大) |
B-1-115 |
MW-2D-MIMOレーダを用いた3次元位置推定に関する実験的検討
◎加藤立騎・山田寛喜(新潟大)・森 浩樹(東芝) |
本稿では,Khatri-Rao (KR)積拡張処理を用いたAnnihilating Filter(AF)による到来方向(DOA)推定において,実像と虚像の識別手法を提案する.AF法では,設定した到来波数と実際の波数に差が生じた場合に虚像を生じる.一般的に虚像は小さな電力しか持たないため,除外することができる.しかし,特定の到来角度において,虚像は実像に対し大きな電力を持つ場合が存在する.本稿では,AF法の適用過程において電力の大きな虚像が存在するかを判別し,設定波数を削減することによって,推定成功確率が向上することを示す.
受信信号の準定常性を利用して仮想的に受信アンテナ素子数を増加させるKhatri-rao(KR)積仮想アレイが注目されている.
この方式は,アレイシステムの自由度や開口長拡大に有効だが,受信信号の準定常性が十分に確保できない場合,受信信号の到来方向推定に誤差が生じる.本稿では,信号源の準定常性/定常性が確定しない受信環境において,通常のアレイ信号処理とKR積仮想アレイ信号処理を組み合わせることで,到来方向スペクトラムを改善する手法を提案する.
合成開口アレーを用いた反射型THzイメージングにおいて.有相関信号に伴う分離性能の劣化を改善するため、複数の仮想アレーを用いて空間平均MUSIC法を適用する手法が提案されている。本稿では仮想アレーの配置位置がイメージングの推定精度に与える影響について検討した。仮想アレーを5つ用いる場合と1つ用いる場合について計算を行い、いずれの場合においても仮想アレーが観測点に近づくと位置推定精度が劣化することを示した。また仮想アレーの配置角度が受信アレーに近いほど位置推定精度が劣化することも示した。
近年,ミリ波レーダを活用したセキュリティ対策の強化が期待されている.既存のセキュリティシステムの多くは高精度な2D / 3D イメージングを実現するためにSAR (Synthetic Aperture Radar) 技術を用いている.しかし,SAR観測によるデータ取得は長い時間を必要とする.そこで,送信素子と受信素子を2次元に配置し,MIMO (Multiple Input, Multiple Output) 仮想アレー技術を適用することで少ない素子数で短時間に3次元イメージングを実現することを検討した.本論文では,2次元平面アレーを送受信アレーとするミリ波 (MW) MIMOレーダを用いて,ターゲットの3次元位置推定を実証した.
休 憩(14:30 再開) 座長 井上祐樹(NTTドコモ)
B-1-116 |
モノパルス並列給電導波管スロットアレーを用いた直角座標系直交非遠方界2多重QPSK伝送
○広川二郎・戸村 崇・地頭所浩平(東工大)・西森健太郎(新潟大)・竹厚善生・赤堀耕一郎(日本無線)・谷口 徹(高速近接無線技術研究組合) |
B-1-117 |
実測アンテナパターンにおけるブラインド型仮想Massiveアレーの検討
○髙橋草太・西森健太郎(新潟大)・村上友規(NTT) |
B-1-118 |
移動通信におけるMassive MIMOアンテナ構成の最適化の基本検討
◎佐々康平・藤井輝也(東工大) |
B-1-119 |
圧縮センシングを利用した送信DBF校正方式の検討
○紀平一成・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-120 |
オフセット給電入力振幅比制御型モノパルス方式指向性可変円偏波アレーアンテナの試作評価
◎岩本大輝・西山英輔・豊田一彦(佐賀大) |
60GHz帯においてスロットアレーと60GHz帯高速近接無線モジュールを組み合わせた2多重QPSK伝送実験を行った。誤り訂正でエラーフリーとなるBERを10-3としたときのSNR9.8dB以上となるポート2に対するポート3の入力電力比の範囲は,送信ポート2の固定減衰器が10dBの場合には25dB,20dBの場合には30dB,30dBの場合には15dBとなっており,本構成で,60GHz帯での空間多重が伝送できることが実ハード上にて確認された。
5Gシステムのキー技術であるMassive MIMOでは,アンテナ数の増加に伴いハードウェア規模が大きくなることが課題となる.筆者らは,高速にA/D変換を行い1シンボル内で複数のアンテナパターンを形成し,ブラインドアルゴリズムを用いた方法で仮想Massiveアレーを実現する伝搬環境制御法を提案した.本稿では,実測アンテナパターンを用いた場合の,提案方法の基本性能と有効性を明らかにする.
第5,6世代移動通信方式では,数十~数百素子で構成されるMassive MIMOアンテナによるビームフォーミングが期待される.しかし,電波伝搬特性により受信波のアンテナ素子間相関が高い場合は,全素子を対象としたデジタルビームフォーミングは回路規模に見合う大きな適用効果が期待できない.そこで,複数の素子の受信波をアナログ的に合成(同相合成)し,等価的に素子数を低減するハイブリッドビームフォーミングが注目されている.本稿では、水平・垂直面内の電波の広がりによる空間相関を考慮したハイブリッドビームフォーミングの性能評価を行った.
アレーアンテナにおいて所望の放射特性を得るためには校正技術が必須となるが,広帯域な信号をあつかう場合は素子系統毎の遅延時間差の影響が無視できなくなる.本報告ではアンテナ素子間の通過振幅位相特性とともに通過遅延特性も同時に測定することを目的に圧縮センシングの利用を検討する.
我々は,モノパルス方式を用いた指向性可変円偏波アレーアンテナを提案した.本稿では,同様の特徴を持ちながら,アンテナ正面から左右の方向で指向性制御を行うためのオフセット給電アレーアンテナの試作結果について報告する.
休 憩(16:00 再開) 座長 丸山貴史(三菱電機)
B-1-121 |
垂直アレーMIMOレーダを用いた生体認証法
◎林 哲平・本間尚樹・白木信之・村田健太郎(岩手大)・中山武司・飯塚翔一(パナソニック) |
B-1-122 |
クラスター伝搬環境における3軸偏波制御アンテナの重み関数
○本田和博・関野湧斗(富山大)・李 鯤(香川大) |
B-1-123 |
偏波MIMOギャップフィラー効果に対する建物高分布の影響
◎田中健太郎・藤元美俊(福井大) |
B-1-124 |
機械学習による4×4 MIMO伝送容量の推定精度改善
◎増田大輝・本田和博(富山大) |
著者らはMIMO (Multiple-Input Multiple-Output)レーダを用いて生体からの反射波のドップラー成分を解析し,テストデータとあらかじめ測定した教師データを比較することで生体を認証する手法を提案している.しかし,この手法ではテストデータと教師データの測定位置が同位置である必要があった.本報告では,垂直アレーを用いたMIMOレーダを採用し,テストデータと教師データの固有ベクトルの比較を行う,測位位置に対してロバストな生体認証法を提案する.実験の結果,テストデータと教師データの位置が異なる場合でも被験者8人を識別成功率83%で識別可能であることが分かった.
我々は,伝搬特性XPRとアンテナ傾き角を変数とする重み付け関数を用いることにより最適な受信信号を得る3軸偏波制御アンテナを提案している.本研究ではクラスター伝搬環境に対応した重み付け関数を検討した.新たな重み関数を用いた結果,到来波の方向および偏波特性に応じた指向性を形成できることが明らかとなった.
衛星4K,8K放送の実用化に伴い,地上波放送による4K,8K放送が検討されている.地上波4K,8K放送の実現に向けて,MIMO伝送と偏波の直交性を用いた偏波MIMO伝送の導入が検討されている.しかし,偏波MIMOは見通し外環境で伝送品質が低下する.そこで,中継器を用いて伝送特性を改善する図1のような偏波MIMOギャップフィラーが検討されている[1].本報告では,偏波MIMOギャップフィラー利用時の受信特性に対する建物高分布の影響ついて検討する.
MIMO端末の性能を評価するにはOTA評価が必要となるが,多大な労力を要する.従来研究では,4×4 MIMOアンテナの評価方法として,SNR,アンテナ素子間の不等電力と相関係数の10変数を用いてニューラルネットワークにてMIMO伝送容量を推定した.しかしながら,学習データとアンテナ配置モデルが異なるとき,推定誤差が大きくなる問題を有した.本研究では,ランダム配置の学習データを追加することで推定精度の向上を図ったので報告する.
B-2. 宇宙・航行エレクトロニクス
9月14日 13:00〜15:45 Meeting 26 座長 赤間 慶・網嶋 武(三菱電機)
B-2-1 |
無人航空機運航のリスク解析について
○天井 治(電子航法研) |
B-2-2 |
無人航空機の目視外飛行に向けた環境適応周波数帯間ハンドオーバ制御方式の屋外評価方法に関する一検討
○浅野勝洋・阿部達也・中村 学(日立国際電気) |
B-2-3 |
無人航空機の目視外飛行に向けた環境適応周波数帯間ハンドオーバ制御方式の屋内評価結果
○阿部達也・浅野勝洋・中村 学(日立国際電気) |
B-2-4 |
航空無線通信用マルチリンクエミュレータの開発 -コンセプトと基本動作確認-
○森岡和行・米本成人・河村暁子(電子航法研) |
B-2-5 |
車載GNSS受信機におけるドップラ差を用いた反射波抑圧
◎寺田 翼・網嶋 武・高橋龍平(三菱電機) |
SORA(Specific Operations Risk Assessment)は欧州を中心に開発された無人航空機の運航に関するリスクの定性的解析手法である。無人航空機の運航のために申請者はSORAでの解析を行い、その結果を用いてレギュレータへの申請手続きを楽にすることが目指されている。しかし、SORAでは様々な表やチャートが用いられていて、それらの関連を良く理解していないと最終結果を得ることは困難と感じる。このため、SORAでの解析を手助けする支援ツールの作成を計画している。そして、実用的な運航案を幾つか考えてツールの妥当性を調べる予定である。
小型無人航空機(以降UAVと記す)の安全な利活用推進に向けて,有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(レベル4)を実現するために,UAVの安全運航に資する通信技術の開発が求められている.
筆者らはこれまで,UAV目視外飛行支援通信システムとして,飛行ルート周辺における電波環境情報に基づき,状況に応じて適切な周波数帯(無線通信回線)に切り替えてシームレスなハンドオーバを行う適応ハンドオーバ制御方式などを提案してきた.本稿では,ハンドオーバ機能評価システムに実装した環境適応周波数帯間ハンドオーバ制御方式の屋外評価方法の構想について述べる.
小型無人航空機(UAV)の有人地帯(第三者上空)での目視外飛行を実現するために,機体の航行に伴って変化する電波環境に適応して無線通信を維持し,飛行状況の把握に必要な情報や機体の状態,制御指令データ等を途切れることなく伝送する,UAV目視外飛行支援通信システムが提案されている.これまで,飛行ルート周辺における電波環境情報に基づき,状況に応じて適切な周波数帯(無線通信回線)に切り替えてシームレスなハンドオーバを行う適応ハンドオーバ制御方式などが提案されているが,本稿では,UAV目視外飛行のための環境適応周波数帯間ハンドオーバ制御方式の屋内評価結果について述べる.
航空用の無線データ通信では様々なメディアが併用されており, 異なるメディア間の切り替え時に発生する接続率の低下が問題となっている. 現在, 国際民間航空機関において, 航空用ネットワークのIP化, マルチリンク化についての議論が行われており, 将来的には共通のIP基盤上で異なる無線メディアを適切に切り替えながら, 全飛行フェーズにわたってシームレスなサービスが提供できるようになることが期待されている. 本研究では, 航空無線システムにおけるIPマルチリンク化の概念実証, 及び効果的なメディア切り替え方式について検討するため, 航空無線用マルチリンクエミュレータの開発を行っている. 本稿では, 開発したマルチリンクエミュレータのコンセプトと基本動作確認結果について報告する.
自動運転技術等の興隆に伴い,GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機に求められる測位精度等は年々高まっている.測位誤差要因の一つがマルチパスであり,衛星間の相対到来時間差に対応する疑似距離に誤差を与える.対策法としてナローコリレータ等が提案されているが,反射波の遅延量が小さい場合は対応できない.本稿では,ドップラ成分を用いたマルチパス誤差の低減手法を提案する.提案法では,コリレータ出力を蓄積しドップラ成分を求め,直接波と反射波をドップラ方向で分離する.分離した反射波を再生し,受信信号から再生反射波を減算することで反射波を抑圧する.シミュレーション評価により抑圧後の疑似距離精度が直接波のみの理論値と一致することを示す.
休 憩(14:30 再開) 座長 森岡和行(電子航法研)
B-2-6 |
サーモパイルセンサを用いた姿勢推定精度の環境依存性の検討
◎△有村光弘・戸田純実・進 祐貴・小池義和(芝浦工大) |
B-2-7 |
釧路地域における自設置基準局によるKinematic測位精度(2)
○山形文啓(釧路高専)・小熊 博(富山高専)・亀田 卓(広島大)・末松憲治(東北大) |
B-2-8 |
時空間フーリエ変換による伝搬性電離層擾乱の伝搬予測
○赤間 慶・山田哲太郎・佐藤友紀・白石 将(三菱電機) |
B-2-9 |
宇宙電波監視における3衛星間のTDOAによる累積測位の性能評価
○網嶋 武・高橋龍平(三菱電機) |
B-2-10 |
AOAとTDOAを併用した航空機位置検証における誤差の考慮
○長縄潤一・宮崎裕己・田嶋裕久・古賀 禎・北折 潤(電子航法研) |
本研究では、環境の変化に適応できる姿勢推定システムを構築するために、サーモパイルセンサ出力の環境依存性と、姿勢推定への影響について検討した。
我々は,GPS (Global Positioning System)に代表されるNSS (Navigation Satellite System)を用いたIoT (Internet of Things)向けネットワークKinematic測位システムを提案している.このとき,基準局の設置間隔が測位機会の増大につながるため,簡易に基準局を設置できることがシステム実現のために必要となる.本稿では,自設置基準局を用いた場合の測定結果を報告する.
衛星測位の高精度化に向けて,誤差の原因となる電離層電子数(Total Electron Content; TEC)の空間分布を推定する技術が求められている.しかし,伝搬性電離層擾乱(Traveling Ionospheric Disturbances; TID)と呼ばれるTECの空間分布が伝搬性の平面波構造なる現象が発生した場合,従来の多項式のTEC空間分布のモデルによる内挿では測位精度が低下するという課題がある.
この課題に対処するため,フーリエ変換を利用してTID発生時のTEC空間分布をより精度良く再現するTID推定技術を提案する.GNSSデータに提案方式を適応しTEC分布の5分先予測を行ったところ,3次関数近似(予測なし)と同等の推定精度となることを確認した.
筆者はこれまで,衛星通信に生じるアップリンク干渉の電波源を測位する方法として,3 衛星間の到来時間差(TDOA: Time Difference of Arrival)による累積測位を提案している.本稿では,提案方式に対し,測位精度と累積回数及び探知確率との関係について評価した結果を示す。
新しい航空機監視システムであるADS-Bは,各航空機がGPSにより得た高精度な位置情報を放送するものである.
しかしながら,ユーザ認証の仕組みが無いことや機上装置不具合への対策として,位置情報を地上側で検証する必要がある.
筆者らは信号到来角(AOA)と信号到達時間差(TDOA)を併用した位置検証技術を提案している.
本稿ではADS-Bの位置誤差(以下,ADS-B誤差)を考慮した検定量を提案する.
9月15日 10:15〜11:45 Meeting 26 座長 園田 潤(仙台高専)
B-2-11 |
RCS計測のための近傍界遠方界変換における表面波散乱の影響
○赤嶺賢彦・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-2-12 |
SAR衛星で捕捉可能な漁業フロート用ルネベルグレンズ
◎宮﨑俊之(道総研)・高橋文宏(グリーン&ライフ・イノベーション)・細川貴志(日東製網) |
B-2-13 |
ミリ波レーダを用いた雪崩埋没者検出に関する基礎検討
○盛 佑希・胡 尭坤・戸田 健(日大) |
B-2-14 |
RNNを用いた車室内乗員識別アルゴリズムの検討
○北村尭之・松島 勲・影目 聡(三菱電機) |
B-2-15 |
都心自転車専用レーンの自転車安全走行支援においてミリ波レーダ用いたグループトラッキングによる障害物検出に関する一検討
○平井寿幸・胡 尭坤・戸田 健(日大) |
B-2-16 |
ミリ波レーダによる側方からの交通状況の把握
○森山敏文・鶴本大智・東田陵椰・藤本孝文・石塚洋一(長崎大) |
レーダ散乱断面積(RCS)計測のための近傍界遠方界変換(NF変換)ではターゲットを点散乱源の集合とみなすBorn近似が広く用いられているが,Born近似には点散乱源同士の相互作用を考慮しない,散乱係数の等方性を仮定するといった制約があるため,散乱現象によってはBorn近似が破綻する.これまでに,多重散乱ではBorn近 似の破綻によりNF変換誤差を生じることが報告されている.本稿では,これまで検討されていない表面波散乱について,NF変換結果に与える影響を検討する.
沿岸漁業においての定置網などの漁具の位置情報をSAR衛星により計測する重要性が高まっている。本研究では漁具用のフロート(浮力体)をSAR衛星で観測するため、ルネベルグレンズを用いた再帰反射構造を研究した。ルネベルグレンズの設計にあたっては、製作を容易にするため3層・円柱構造とし、電磁界シミュレーション解析により集光性があることを確認した。
毎年バックカントリースキーや登山などで雪崩による死亡事故が発生しているが,雪崩埋没者の発見には,現在でも,ビーコンとプローブを用いたプリミティブな方法が主流であり,埋没者を発見するまでにかかる時間は平均約16分となっている.対して実際に埋没をしてしまってから約13分で急激に生存確率が低下する.このことからビーコンを用いた発見方法には限界がある.一方レーダはカメラやレーザに対し比較的環境依存が少なく発見に要する時間の短縮が期待できる.本稿では,ミリ波レーダを用いて,雪崩埋没環境を模擬し設置した生体等価ファントムの反射を測定したので報告する.結果,雪面及び埋没ファントムの反射を検出し,地面からの反射は見られなかった.
幼児置去り検知などを目的とした車室内モニタリング用途でのミリ波レーダ応用が活発に進められている.本発表では,車室内に設置された79GHzミリ波レーダを用いて車室内の移動物のドップラー信号情報を抽出し,それら情報に対してRecurrent Neural Network(RNN)による機械学習を適用することで車室内状況を識別する手法を提案する.
近年,自転車による対人事故防止のためミリはレーダ を 用いた自転車安全走行支援の研究が行われている.本稿ではグループトラッキングとポイント状態から固定 及び移動障害物の分類を試みたので報告する.range-FFT, Doppler-FFT, angle-FFTを用いて障害物の距離と速度、角度を算出する.複数フレームにわたりグル ープトラッキング処理から高速移動の自動車やバイクを検 出し,最終的にポイントの状態(速度や SNR 等)からガー ドレールや駐停車車両等の静止障害物を分類検出する.結果ではガードレールや道路標 識等の固定障害物及び自動車や自転車等の移動障害物が検 出されている.トラッキングしたポイントから自転車と自 動車の速度を算出した結果,自転車の速度は約 2.17 m/s と なった(実際の走行速度は約 2.30 m/s).一方自動車は約 4.39 m/s だった.
この研究では,一般道の道路工事などで片側車線通行になった場合の交通状況の把握を,ミリ波レーダで行えないかと簡単な検討を行った.ミリ波レーダの設置は,道路の側方からとし,アンテナを道路に直角で横切るように設置した.実験では,複数車両の通行の把握や,ドップラーを使わずに車の速度の推定と左右の進行方向の判定を試みた.これらの結果を報告する.
9月15日 13:00〜15:45 Meeting 26 座長 山本真之(NICT)
B-2-17 |
偏波海洋レーダを用いた航空機検出に関する検討
◎小泉達寛・山田寛喜(新潟大)・藤井智史・長名保範(琉球大)・宇野 亨(東京農工大) |
B-2-18 |
FDTDシミュレーションと敵対的生成ネットワークを用いた深層学習による電磁波レーダ画像のコンクリート亀裂推定
○園田 潤(仙台高専)・山本佳士(法政大)・木本智幸(大分高専)・金澤 靖(豊橋技科大) |
B-2-19 |
レーダ目標の角度・角速度の同時推定処理
○伊藤聡宏・寺田 翼・高橋龍平・亀田洋志・白石 將(三菱電機) |
B-2-20 |
ヌルビームを用いた角度幅推定のためのヌル幅制御方式
○高橋善樹・高橋龍平(三菱電機) |
B-2-21 |
センサ間のノイズレベルが異なる場合を考慮した 尤度比検定に基づく到来波モデル判別手法の検討
◎田中裕士・笠原禎也・太田 守(金沢大) |
従来, 海洋レーダは波浪情報観測のみ用いられてきたが, 船舶や航空機などの位置や速度情報も海洋レーダで観測できる可能性を有している. 我々は垂直偏波のみならず水平偏波も含めた偏波海洋レーダを試作し, 2020年1月より新潟大学にて観測が開始されて以降, その有効性を検討している. 本稿では観測されたデータを用いた, 偏波海洋レーダにおけるSTFT(短時間フーリエ変換)による航空機検出に関する検討結果を報告する.
道路空洞やコンクリートの点検などに用いられる電磁波レーダは,内部の異常箇所を非破壊で検査できるが,技術者による画像判読であり計算機による自動判定が必要とされている.本稿では,FDTDシミュレーションによる学習画像の生成と,敵対的生成ネットワークGANを用いた深層学習による電磁波レーダ画像からのコンクリート内部の亀裂推定を検討する.
近年,目標移動の高速化やレーダの多ヒット化に伴い,レーダの測角処理において,目標移動による角度変化(角速度)の影響が増加する傾向にある.この問題に対し,パルスレーダを対象として,目標の角速度を角度と同時に推定する最尤推定(MLE)測角が提案されている.一方,現実的なレーダの運用を考えると,測角処理に先立って目標の角度・角速度に対する事前情報を得られる可能性がある.
そこで本稿では,受信信号のみならずレーダで想定される事前情報も入力として用いながら,目標の角度と角速度 の同時推定を行うDIVER(DIrection of arrival and angular Velocity Estimation of Radar target)法を提案する.
近年,レーダを用いた目標の形状情報推定の重要度が増している.本稿では,目標形状推定のための角度幅推定方式を提案する.具体的には,目標方向にヌルを向け,そのヌル幅を変化させたときの出力電力の変化から目標の角度幅を推定する方式と,ヌル幅の制御方式を提案する.
科学衛星で観測される自然電波の到来方向を推定することで,宇宙空間を安全に利活用する上で必要な宇宙プラズマ環境変動の情報が得られる.この際,到来波数・平面波近似の可否等の情報(到来波モデル)の把握は高速かつ正確な到来方向推定結果を得る上で重要である.
従来,到来波モデルを判別する尺度として planarity が広く用いられてきた.ただし,planarity に基づく判別手法は電磁界センサのノイズレベルが一様であることが前提である.科学衛星搭載の電磁界センサでは,経年変化により電磁界センサ間でノイズレベルがばらつくことがある.
そこで本稿ではセンサ間のノイズレベルにばらつきがある場合にも到来波モデルが判別可能な手法を提案し,その有効性についてシミュレーションで検証する.
休 憩(14:30 再開) 座長 戸田 健(日大)
B-2-22 |
ドップラーLIDARへのSi-PM検出器の適用に関する研究
◎常盤大地(東海大)・水野貴秀(JAXA)・田中 真(東海大) |
B-2-23 |
ILS信号干渉シミュレーターの開発-GS-
○本田純一・松永圭左・毛塚 敦・田嶋裕久(電子航法研) |
B-2-24 |
1.3GHz帯ウィンドプロファイラにおける測定データ品質管理手法の評価
○山本真之・川村誠治(NICT) |
B-2-25 |
同時送受信レーダ向け自己干渉抑圧機能付きパルス圧縮処理の検討
○笹川 大・高橋龍平・影目 聡(三菱電機) |
B-2-26 |
航空機電波高度計周波数帯におけるヘリコプタの干渉経路損失-BK117C-2型機を用いた測定評価
○二ッ森俊一・宮崎則彦・平賀規昭(電子航法研)・小林啓二・中福島健一(JAXA) |
本研究は高感度なガイガーモードAPDを複数並べ,アレイ化したSi-PM検出器をドップラーLIDARに適用することを目的とした基礎的な研究である.通常ドップラーLIDARの検出器にはバランスド PD が使われるが,Si-PMを適用することで検出器の高感度化や,送光レーザ出力の小電力化が考えられる.
ドップラーLIDARで用いるFMCW方式は送信波と受信波を干渉させた「うなり」を測定するため,マイケルソン干渉計で生成した干渉縞をSi-PM(浜松ホトニクス社製のMPPC)で測定する実験を行った.本講演では,干渉縞の明暗の状態によるフォトイベントレートの変化等について,実験結果を報告する.
グライドスロープ(GS)は,計器着陸システム(ILS)の一つで,航空機に着陸経路上における垂直方向の誤差を伝える地上航法施設である.GSでは,建物や航空機及び凹凸のある地面からの散乱波が着陸経路を乱す誤差要因としてしばしば問題になっている.そこで本研究は,ILSの電波干渉を数値解析するための計算アルゴリズム及びILSシミュレーターの開発を行った.これまでに,開発したシミュレーターの概要と水平方向の変位指示に利用されるローカライザー(LOC)について発表した.本稿では,特にGS部の開発についてまとめたものである.
晴天大気中における風速の高度プロファイルを測定するレーダーであるウィンドプロファイラ(WPR)の受信信号には、乱流等による電波屈折率擾乱を散乱源とする所望の電波散乱エコー(大気エコー)だけでなく、地表や空中に存在する物体からの不要な散乱エコー(クラッタ)やWPR以外の電波送信源から到来する干渉波が混入する場合がある。WPRによる風速等の測定データ品質を確保するため、WPRの受信信号に対してデジタル信号処理による品質管理(QC)を行うことで、クラッタや干渉波の混入を低減する必要がある。1.3GHz帯WPRを用いた、QC手法の評価に取り組んでいる。発表では、QC手法の評価に関するこれまでの取り組みと成果を報告する。
同時送受信レーダは,自レーダの送信中に周波数の異なる他レーダの信号を受信することにより,レーダの観測周期を向上させることが可能である.その際,受信系に漏れ込む送信信号(自己干渉)の抑圧が課題となり,ディジタルアレー信号処理による干渉抑圧が報告されている.本稿は,同時送受信レーダに向けた自己干渉抑圧機能付きパルス圧縮処理を提案する.
航空機電波高度計は,4 GHz帯(4.2 GHz-4.4 GHz)を用い,航空機の離着陸時の高度情報の提供だけでは無く,各種の航法機器への高度入力として利用されている.一方,電波高度計周波数の隣接周波数帯では,世界各国において5Gモバイルシステムの運用が開始されている.さらに,同一周波数帯が航空機内データ通信(Wireless Avionics Intra-Communications, WAIC)にも配分され,現在,WAIC機器の国際規格化が進められている.本稿では,航空機電波高度計とその隣接および同一周波数帯を用いる機器の周波数共用検討を実施するための基礎データとして,ヘリコプタを用いて実施した,電波高度計への干渉経路損失(Interference Path Loss, IPL)の測定結果を議論する.
B-3. 衛星通信
9月14日 13:00〜16:45 Meeting 20 座長 大倉拓也(NICT)
B-3-1 |
低軌道衛星MIMOを活用した920MHz帯IoTプラットフォームのエンジニアリングモデル開発
○糸川喜代彦・五藤大介・小島康義・坂元一光・藤野洋輔・山下史洋(NTT) |
B-3-2 |
920MHz帯衛星IoT-PFにおける端末エリア構成の一検討
○小島康義・糸川喜代彦・五藤大介・坂元一光・藤野洋輔・山下史洋(NTT) |
B-3-3 |
HSU-SAT1号機通信系および地上局の設計・開発
○神澤礼成・黒川隼之介・齋藤大悟・戸波大希(ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ)・佐鳥 新・中村聡希(未来科学研究所) |
B-3-4 |
ヘリコプター衛星通信用WHCDMにおける回線推定法の一検討
○張 海威・小島年春(電通大) |
B-3-5 |
Ku帯災害対策衛星通信における送信電力制御量削減によるエリア拡大に関する実験的検討
○原田耕一・嶋 正樹・柴山大樹・山下史洋(NTT) |
LEO衛星システムに複数アンテナを用いたLEO-MIMO技術により大容量化したフィーダリンクを活用し,衛星地上通信網ではカバーできない超広域エリアから取得したセンサデータの伝送を実現する,衛星IoTプラットフォームについて検討している .本システムの衛星軌道上技術実証を目的として,低軌道衛星搭載用コンポーネントの評価用試作装置を開発した.本稿では開発したコンポーネントEMの装置構成および信号特性評価結果を示す.
多数のIoT端末を、軌道傾斜角を考慮したエリアでグルーピングすることで衛星受信C/Nが小さい端末からの発呼を抑制する方式を提案し効果を示した。
HSU-SAT1は宇宙工学技術の教育を目的とした超小型衛星である.通信系は衛星局と地上局の通信の確立を目的とした,衛星のバスシステムの1つであり,無線機やアンテナを含めた通信システムの設計及び開発,地上局による衛星の運用に向けた環境構築等を行った.シングルバンド運用における通信路,通信方式を検討した.回線設計の結果,最悪条件下においても衛星が運用可能であることを示した.アマチュア無線家に向けた地球撮影画像のダウンリンクミッションの実施に向けた検討,開発を進めた.
ヘリコプター衛星通信ではプロペラの回転により、信号が周期的遮断の影響を受け、BER特性劣化された。ウォルシュ・アダマール符号分割多重化(WHCDM:Walsh-Hadamard Code Division Multiplexing)を用いることで周期的遮断の影響は低減される。しかし、遮断によるWH符号の直交性を崩れ、多重化によるBER特性改善効果を劣化させる。そこで受信信号に最小二乗平均誤差(MMSE:Minimum Mean Square Error)合成方式を用いることでBER特性が改善される。本研究では、受送信信号間の相互相関係数を用いて、MMSE合成に必要な回線情報の推定法を検討する。
Ku帯を用いた災害対策用衛星通信システムにおいて,小笠原地区のエリア化に向けて基地局送信電力制御(TPC)制御量の削減による晴天時マージンの確保と降雨不稼働率の改善を提案し,その効果を考察する.
休 憩(14:30 再開) 座長 渋谷惠美(KDDI総合研究所)
B-3-6 |
非地上ネットワークにおける輻輳解消のためのルーティング制御に関する一検討―低軌道衛星から静止衛星にオフロードするトラヒック量制御技術―
○加納寿美・松井宗大・嶋 正樹・五藤大介・糸川喜代彦・山下史洋(NTT) |
B-3-7 |
非地上ネットワークにおける輻輳解消のためのルーティング制御に関する一検討 ―トラヒックオフロードのためのGEO-LEO 衛星間リンク制御技術-
○松井宗大・加納寿美・五藤大介・嶋 正樹・糸川喜代彦・山下史洋(NTT) |
B-3-8 |
高高度プラットフォーム(HAPS)中継による広域UAS向けコマンド・テレメトリ通信技術の開発 -フィーダリンクとユーザリンクで同一周波数帯を共用するマルチビームアクセス制御方式における時分割ビーム切替え方法の検討-
○三浦 龍・松田隆志・松村 武(NICT)・鈴木 淳・高盛哲実(スカパーJSAT) |
B-3-9 |
高高度プラットフォーム(HAPS)を使った無人航空機(UAV)向け高秘匿性暗号技術の開発 −属性ベース暗号を使った経路に左右されない高秘匿暗号システムの開発−
○高盛哲実・鈴木 淳(スカパーJSAT)・近藤伸明・秋山佳範(再春館システム)・三浦 龍(NICT) |
本稿では、低軌道衛星ネットワークと静止軌道衛星ネットワークを組み合わせたNTNにおいて、LEO衛星からGEO衛星にオフロードするトラヒック量を制御することで輻輳を解消する方式を提案する
本稿では、非地上ネットワークにおける輻輳を解消するために、静止衛星と低軌道衛星間でリンク接続制御を行う手法を提案し、計算機シミュレーション結果による有効性を示す。
高度20km付近の高高度に滞空する無人飛行体に搭載した無線局(HAPS)を中継基地とし,これを経由して低高度を飛行する多数の無人航空機システム(UAS)を広域にわたって運航管理するシステムの検討を行っている.周波数は,WRC-12でUASの制御及び非ペイロード通信用に分配された5030~5091MHzのうち,20MHzを利用できるものとする.これをフィーダリンクとユーザリンクで共用すること想定し,かつ飛行体の姿勢の動揺を補償するため,HAPSにはDBF(デジタルビーム形成)マルチビームアンテナを搭載する.本稿ではユーザリンク相互及びユーザリンクとフィーダリンク間の干渉を考慮した時分割ビーム切替え方法について検討している.
近年、マルチコプターに代表されるUAV の社会実装は著しく、今後更に増えるものと予想される。同時にUAVの安全性についても強化する必要性が求められている。これは、万が一飛行制御できないような不具合が発生した場合に、人的及び物的被害を伴うリスクが高いからである。
本研究では、UAV と制御PC 間の通信で行われる、機体制御コマンドやテレメトリー情報を高秘匿性暗号化し、UAV へのハッキング等による乗っ取りや、情報の盗難を防ぐ目的でシステムの開発を行っている。
休 憩(15:45 再開) 座長 加保貴奈(湘南工科大)
B-3-10 |
高高度プラットフォーム(HAPS)による5G網と連携した38GHz帯の無線通信システム開発 −降雨減衰補償技術の検討−
○北之園 展・鈴木 淳(スカパーJSAT)・外園悠貴・岸山祥久・浅井孝浩(NTTドコモ) |
B-3-11 |
高高度プラットフォーム(HAPS)による5G網と連携した38GHz帯の無線通信システム開発 -基地局搭載型HAPSにおけるフルデジタルビームフォーミングの検討-
○大内幹博・木村知弘(パナソニック)・珍田祐輔(パナソニックシステムネットワークス開発研) |
B-3-12 |
高高度プラットフォーム(HAPS)のユースケースを想定した小型飛行機による39GHz帯電波伝搬測定実験
◎外園悠貴・小原日向・岸山祥久・浅井孝浩(NTTドコモ)・高盛哲実・鈴木 淳・北之園 展(スカパーJSAT) |
B-3-13 |
6Gシステムレベルシミュレータを用いた高高度プラットフォーム(HAPS)による超カバレッジ実現性評価
◎小原日向・外園悠貴・岸山祥久・浅井孝浩(NTTドコモ)・鈴木 淳・北之園 展(スカパーJSAT) |
本研究では,HAPS局とカバーエリア内の地上局との位置関係を考慮したミリ波帯のHAPS伝搬モデルや降雨減衰量推定モデルを構築し,降雨減衰補償技術として一般的な降雨時の送信電力制御の他,地上携帯電話網と連携した適応変調制御やプロアクティブなサイトダイバーシチの技術の確立により,38GHz帯を含む高い周波数帯でのブロードバンド通信利用を可能とすることを目指している.
HAPSは高度20km付近の成層圏で円周上を旋回飛行するため,地上局との間のビーム制御による固定フットプリント化が必要である.38 GHz帯での自由空間損失を補償し,複数の地上局との同時接続を行うためには多素子アレイアンテナによるフルデジタルビームフォーミングが望ましいが,素子数分のアナログ回路による消費電力増大が課題となる.また成層圏の極低温・極低気圧の過酷な環境では高精度リアルタイム校正が望ましい。対策案としてA/D及びD/Aのビット数削減による低消費電力化と,低電力のスペクトル拡散信号を主信号に重畳する校正法を検討した.
HAPSによる市街地・山林・離島のユースケースを想定し,小型飛行機を活用して,電波伝搬測定の実証実験を実施した.HAPS実機を利用する前の初期実験として,地上から上空約3km先の小型飛行機に搭載した受信装置に向けて,5Gでの高速通信に適したミリ波(39GHz帯)を利用した電波伝搬を測定した.本稿では,本実証実験の結果として,飛行機の旋回による影響下における様々な環境での39GHz帯の伝搬損失を示す.
筆者らは,5G網を含む地上ネットワークとHAPS による成層圏ネットワークが柔軟に連携できる通信方式やネットワークアーキテクチャの研究開発に取り組んでいる.本研究開発では,今後の5G高度化および6Gの時代 [1]で想定される幅広いユースケースを柔軟にサポートすることに加えて,災害発生時の柔軟な回線制御の実現や,開発・運用コストなどの面から現実的なHAPSを活用する通信システムの実現を目的としている.本稿ではその初期評価として,6Gシステムレベルシミュレータを用いてHAPS利用時の通信特性(geometry,スループット)を検討し,その結果からHAPSによる超カバレッジ拡張の実現性を示す.
9月15日 9:00〜11:45 Meeting 20 座長 五藤大介(NTT)
B-3-14 |
周波数オフセット補償機能を有する無人航空機を用いたユーザ位置検出システムにおける測位精度の改善効果
◎山中 英・石川博康(日大) |
B-3-15 |
3機の無人航空機を用いたユーザ三次元位置検出手法の測位精度改善
○深谷泰良・石川博康(日大) |
B-3-16 |
Multi-sensor fusion in loosely coupled
○Xiaoliang Guo・Nobuaki Kubo(Tokyo Univ. of Marince Science and Tech.) |
B-3-17 |
実測結果に基づくリレー型GPSの測位精度評価
◎吉田恒平・杉山隆利(工学院大) |
B-3-18 |
受信電力と疑似距離を用いた反射回数/入射角推定によるGPS測位誤差改善法
○斎藤晃一・杉山隆利(工学院大) |
無人航空機(UAV)を用いたユーザ位置検出手法では,地上のユーザ端末-UAV間の搬送波周波数に生じるドップラーシフトを利用する.これまで,ユーザ端末の発振器で生じる周波数オフセットを考慮し,ユーザ端末の位置検出と同時に推定・補償が可能であることを報告した.本研究では,3機のUAVが円旋回する飛行モデルを対象とし,ユーザ端末から送信されるトーン信号に含まれる周波数オフセットとユーザ位置検出を最小二乗法により同時に推定する手法において,測位時間間隔∆tでドップラーシフトを2回測定した場合の位置検出精度の改善効果をシミュレーションにより評価したので報告する.
大規模災害発生時等において,一時的な通信ネットワークの提供手段として無線中継機能を搭載した無人航空機(UAV)を用いる無人航空機システム(UAS)が検討されている. UAVが高速飛行すると,地上端末-UAV間の送受信信号の搬送波周波数にドップラーシフトが生じ,その大きさを観測することでユーザ位置が検出可能となる.本研究では,三次元測位の測位精度改善を目的として,中心座標が異なる3機のUAVが円周回飛行するモデルを想定し,ドップラーシフトの測定回数を2回に拡張して最小二乗法を適用した場合の特性評価をシミュレーションで実施したので,その結果,測定回数を2回に拡張することでUAVの初期配置によらず測位精度が大幅に改善されることが明らかになったことを報告する.
The traditional GNSS/IMU (Global Navigation Satellite System/Integrated Measurement Unit) loosely coupled algorithm mainly relies on GNSS positioning. When GNSS signal is not available, the integrated navigation system can only use IMU to calculate the position. The noise of consumption level IMU is large, so it is hard to dead-reckoning by only IMU. In addition, integrated navigation is easily affected by GNSS’s gross error. Eliminating gross errors in GNSS positioning and ensuring the quality of observation information is also an important part of integrated navigation. This paper gives an idea about multi-sensor fusion loosely coupled method to remove the gross error of GNSS and update measurement value when GNSS is blocked.
現在,GPS(Global Positioning System)が広く活用されているが,高層ビルなどの障害物が存在する都市部環境下では,4機以上のGPS衛星からGPS信号を受信することができず測位不能となる場合がある.これを解決する方法として,GPS測位を行うターゲット受信機の周囲に多数存在する擬似衛星携帯端末が,GPS測位によって得た自身の位置情報をブロードキャストすることでターゲット受信機のGPS衛星数を補完するリレー型GPSが提案されている.本稿では,実機でGPS測位を行なった位置情報を使用し,実測した環境を模擬したシミュレーションモデルにおけるリレー型GPSの測位誤差の累積確率分布(CCDF)を明らかにしたので報告する.
GPS測位では伝搬時間から計算されるGPS衛星とGPS受信機間の疑似距離を使用して測位演算をするが,ビル壁等で反射波が受信されると本来の直線距離よりも長い疑似距離が観測されるため,測位精度が劣化する.これを解決する方法の一つである疑似距離近似法では,受信したGPS信号の反射回数と入射角を推定する必要があるが,従来は受信電力のみで推定するため推定精度が不十分であった.本稿では受信電力に加えて,近似前の疑似距離も利用して反射回数と入射角を推定する推定モデルを提案し,提案モデルを利用した疑似距離近似による測位誤差改善効果を定量的に評価する.
休 憩(10:30 再開) 座長 石川博康(日大)
B-3-19 |
スペクトラム圧縮伝送におけるクリッピングによるPAPR低減効果
○菅家哲平・杉山隆利(工学院大) |
B-3-20 |
衛星バーストスペクトラム分解伝送のアダプタ化に関する一検討
○山下史洋(NTT) |
B-3-21 |
3x3 LEO-MIMOの複数地上局クロック周波数誤差環境下における等化特性評価
○五藤大介・糸川喜代彦・山下史洋(NTT) |
B-3-22 |
多様なユースケースに対応するための Ka 帯衛星の制御に関する研究開発―通信需要・回線条件の予測技術―
○木村紋子・上田敦史・川島 穣・瞿 万霆・佐々木謙一・陳 柏嘉・中間洋子サラ・中村 凌・堀江秀斗(天地人) |
B-3-23 |
地上系システムを用いた可変ビームの制御方法に関する初期検討
○田中 泰・内田 繁・堀江延佳・草野正明・角田聡泰・須永輝巳・坂井英一(三菱電機) |
近年,無線システムに割り当てる周波数帯域が逼迫している.これに対し,スループットを維持したまま所要帯域幅を削減することで周波数利用効率を向上させるスペクトラム圧縮伝送が提案され,その有効性が示されている.ところが,シングルキャリアQPSK変調のスペクトラム圧縮伝送は,圧縮率によっては PAPR(Peak to Average Power Ratio)が増大してしまう問題がある.そこで,本稿ではスペクトラム圧縮伝送にクリッピングを適用する方式を提案し,シミュレーションよりPAPR低減効果を定量的に示す.
NTT 研究所では衛星中継器に散在する周波数帯域を有効利用す
るため,既存衛星モデムにアダプタを外付けし,所定の帯域に信
号を分散配置するスペクトラム分解伝送技術の研究開発を推進し
てきた[1].前回報告ではバースト信号のスペクトラム分解伝送技
術を提案し,計算機シミュレーションで有効性を確認した[2].本
報告では,送受に既存モデムを用いて分解合成を実現するため,
バースト分解伝送技術のアダプタ化を検討する.
筆者らは,低軌道周回(LEO)衛星システムの大容量化を目的とし,一基のLEO衛星に複数アンテナを搭載するし,遠隔に配置した複数の基地局アンテナ間で空間多重伝送を行う, LEO-MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) 技術を検討している.これまでの検討では,遠隔配置された2台の受信アンテナ間のクロック非同期環境を想定し,受信信号にサンプリング周波数誤差を含んだ場合のLEO-MIMO等化特性を評価した.本稿では,本研究で想定している3x3MIMO伝送におけるサンプリング周波数誤差の影響を評価する.
本研究開発では、技術試験衛星9号機(ETS-9)に代表される次世代のハイスループット衛星を用いた衛星通信システムにおいて、周波数リソースの効率化のために、通信需要や回線条件の変化をデータ解析に基づき予測を行い、衛星リソースを適切に割り当てる運用計画方式を確立する。具体的には、通信需要(ユーザリンク)では移動体の需要予測を行い、回線条件(フィーダリンク)では気象状況の予測を行う。各予測システムを、移動体需要予測サブシステム、気象状況予測サブシステムと呼び、各サブシステムの構成要素であるデータベース並びに解析アルゴリズムについて基本設計、試作、詳細設計、並びに開発(実装)を行う。本稿では、試作を行いデータ解析に基づき予測を行った中間成果を報告する。
技術試験衛星9号機を用いた衛星リソース制御の研究開発の一環として,衛星に搭載されたDigital Beam Forming装置により生成されるアンテナの合成ビーム(可変ビーム)の地上系システムによる制御を検討している.本制御を行う地上系システムの機能部の実現には,合成ビームや衛星の動作状態などの各種情報を保持/計算する他機能部との効率的な連携が必須である.本発表では,これらの連携を考慮して設計した可変ビームの生成/校正機能に関する初期検討結果を示す.
B-4. 環境電磁工学
9月16日 9:00〜11:30 Meeting 24 座長 西本太樹(パナソニック)
B-4-1 |
ICパッケージとプリント基板を統合した3次元構造モデルによる電源系特性の電磁界解析
○小林玲仁・明石憲彦・米田尚史(三菱電機) |
B-4-2 |
電磁ポテンシャルの波動方程式を用いた伝導と放射解析
○神野崇馬・木虎秀二・土岐 博・阿部真之(阪大) |
B-4-3 |
GaN電源モジュールにおける制御回路の不要電波評価
◎小松美早紀・永田 真・渡邊 航・青井 舞・田中 聡(神戸大) |
B-4-4 |
再帰反射体2重BPSK変調波における復調時インパルス性雑音の除去方法の検討
◎丸山千瑛・西方敦博(東工大)・伊藤耕大・白戸裕史・北 直樹(NTT) |
B-4-5 |
スパッタリングノイズ抑制シートのマイクロストリップ線路の伝 送特性への影響
○伊藤大輔・中村 誠(岐阜大)・小山健史・武藤勝紀(積水化学) |
近年電子機器の高速・高周波化および低電圧化に伴いパワーインテグリティ(PI)設計の重要性が高まっている。これまで、PI解析の精度向上を目的としたICパッケージの3次元構造モデルについて報告した。本稿では、このICモデルとプリント基板の3次元構造モデルを組み合わせた、電源系全体の電磁界解析により、ICパッケージの電源系特性への影響を明らかにする。
これまでに本研究グループでは、マクスウェル方程式から導出できる電磁ポテンシャルの積分方程式を用いて、3次元回路導体内の伝導現象の数値計算手法を開発した。今回は、電磁ポテンシャルの積分方程式を導出する前の微分方程式を用いることで、回路導体とその周りの媒質を含む3次元空間を計算した。回路内に伝導する信号と外部への放射を同時に計算し、可視化することで、EMC設計への応用を目指す。
ワイドバンドギャップ半導体素子であるGaN(ガリウムナイトライド)を用いた電源モジュールからの不要電波が移動通信と干渉することが報告されている。これまでの研究において、特に制御回路から発生する不要電波が広帯域に及んでいる事を確認した。本研究では、この不要電波の発生源と周波数特性についてを調査するため、GaN電源モジュールを用意し、不要電波特性を移動通信に使用されるSub-6GHz帯域において評価した。その結果、1.5 GHz以上の帯域で、電源モジュールの待機状態においても発生している高調波が確認され、制御回路内の低電圧誤動作防止回路や絶縁部のコイルから発生している可能性を見出した。
我々のグループではVan Attaアレーの再帰反射特性を電子スイッチにより可変とした装置により,再帰反射体による無線個体識別や,往路変調波を再び変調反射(復路変調)することによる無線全二重通信の実現可能性を示した.本報告では,往路と復路の2重BPSK変調波から復路変調信号を復調する際に,往路変調信号の不連続点でインパルス性雑音が混入する問題を解決する方法として,ホールド回路によって雑音を除去することでBERが改善することを示した.
通信機器の高速化,小型化,低消費電力化が求められている. 一方,それに伴い装置内部で生じる高周波電磁界ノイズ(EMI)の放射が課題となっており,簡便な対策部品であるノイズ抑制シート(NSS)が広く利用されている. そこで, スパッタリング技術を用いた 金属粒子をナノコーティングした不織布(masa-sorb NW) による,低反射・高吸収NSSが提案された. 本研究では,NSSの 高周波数帯における機器内での活用例を検討するために,疑似実装評価に向けた基本的な信号伝搬モデルを設計し,NSS添付による伝搬信号への影響とクロストーク抑制効果を電気的観点から確認した.
休 憩(10:30 再開) 座長 川又 憲(東北学院大)
B-4-6 |
ドローンの耐雷性向上に関する基礎的検討
○枡田俊久・荒井稔登・丸山雅人・加藤 潤(NTT) |
B-4-7 |
屋外直流給電における雷サージによるリンギング現象の影響評価
○中村尚倫・花岡直樹・樋口裕二・田中 徹(NTT) |
B-4-8 |
車載EthernetケーブルへのESD間接放電試験で生ずる妨害波の測定
◎吉田征弘・矢野佑典・王 建青(名工大) |
B-4-9 |
ブラシモータの温度依存性を考慮したノイズ源等価回路モデルのパラメータ同定と伝導妨害波予測
◎菅 翔平・上本篤志・許 振鴻・五百旗頭健吾・豊田啓孝(岡山大) |
筆者らは,落雷による建物や人への被害をなくすことを目的に「雷捕捉システム」の研究・開発を行っている.
このシステムは,ドローンへ直接雷を落とさせる仕組みであるため,直撃雷によるドローンの故障・損傷を防止する必要がある.
そこで本検討では,ドローンの直撃雷に対する耐雷性について検討したので報告する.
避難所における電力レジリエンス強化に向け、通信ビルから避難所の情報処理装置等に対し、直流380Vの電力を供給する屋外直流給電技術の検討を行っている。本技術は、これまでNTTが通信ビル内の通信装置に適用してきた高信頼な直流給電技術を屋外に応用したものである。本稿では、屋外直流給電における直撃雷サージ対策に関する課題について検討した内容を報告する。
自動車の運転支援システムや自動運転の発展に伴い, 高速・大容量の通信規格としてUTP(Unshield Twisted Pare)ケーブルを用いた車載Ethernet(100BASE-T1,1000BASE-T1) の実用化が進んでいる.これらの車載Ethernetに対し,パルス性妨害波を印加した結果が報告 されている.パルス性妨害波のピーク値が大きくなるとデータ転送速度が減少すること,立上り/立下りエ ッジの急峻な変化に応じて通信品質が著しく劣化することが報告されている.また,民生Ethernet(100BASETX) ではパルス幅が通信シンボルの時間幅と一致する際 に通信品質が著しく劣化することなどが報告されており,パルス性妨害波が車載Ethernetに与える影響は大きいと考えられる.そこで,本研究ではUTPケーブルに対してESD間接放電試験を行った際に差動線間に励起される妨害波電圧波形を測定した.
自動車の補機や家電などに広く使用されるブラシモータ は, 機械的な接点で電磁ノイズを伴うマイクロアークが発 生するため, 0.1~108MHzの周波数範囲で問題となってい. 効率的な EMI 対策には, 想定したモータの駆動状態にお けるノイズの事前予測と最適なフィルタ設計が必須である. モータの回路電流や回転数に基づくノイズ源等価回路モデ ルは提案されているが現実にはモータの温度に依存 して回路電流や回転数が変わるため, 実用上問題があると 考えている. そこで本稿では, 駆動状態のブラシモータの温 度特性を考慮したノイズ源等価モデルを提案する
9月17日 9:30〜11:45 Meeting 24 座長 五百旗頭健吾(岡山大)
B-4-10 |
近接放射イミュニティ試験に用いるアンテナの電界距離特性の評価
○久保崇将(ノイズ研究所)・張間勝茂(NICT)・石田武志(ノイズ研究所)・後藤 薫(NICT) |
B-4-11 |
近接放射試験に用いるハイブリッドテーパーTEMホーンの評価
○張間勝茂(NICT)・久保崇将(ノイズ研究所)・後藤 薫(NICT)・石田武志(ノイズ研究所) |
B-4-12 |
円偏波曝露によるIM測定法の検討
○溝口弘也・久我宣裕(横浜国大) |
B-4-13 |
ローカル5G通信における障害物による電波の減衰特性の測定
◎永田大樹・松嶋 徹・福本幸弘(九工大) |
急増するスマートフォン等の可搬型無線送信機が他の電子機器に近接することで電磁干渉を与える可能性が懸念される.これら状況を想定した近傍での放射イミュニティ試験法が国際規格IECやISO等によって規定されているが,使用するアンテナによって試験結果が異なるケースが確認されている.本報告では,基準点における電界のみでなく,試験品の電子回路基板が存在する基準面より奥行方向の電界に着目し,近接放射イミュニティ試験で使用されるアンテナの電界距離特性の評価を行った.
携帯電話等の可搬型無線機の普及に伴い,電子機器近傍での妨害波源を想定した近接放射イミュニティ試験 (IEC 61000-4-39)が標準化した.近接放射試験では,電界印加アンテナとしてTEMホーンが規定されている.従来の指数関数テーパー構造に比べ, アンテナ長が半分程度となるハイブリッドテーパー構造のTEMホーンを試作した.本検討では,プロトタイプについて,アンテナ特性および電界均一性を評価した.
相互変調歪み(IM)は回路の非線形部に複数の信号が印加されたとき異なる周波数の信号が発生する事象で, 基地局において、受信波と干渉し問題となっている. 直線偏波によるIM測定法では測定対象の配置角度によってIMの測定値が大きく変化する. つまりIMの偏波依存性が大きいことが問題であった.
そのた円偏波を測定試料に曝露してIMを測定する手法を提案する. 本稿では, 1波長プリントループアンテナを測定試料として検討を行った. その結果, 直線偏波による測定では, 測定試料の配置角度によって測定IMが30dB以上変化するのに対して, 円偏波による測定では2dB程度の変化に抑制することができた.
新たなる移動通信方式である5Gを用いるにあたり,ミリ波帯は距離による減衰が大きく, 障害物に遮られやすい性質を持つ. そこで本報告では九州工業大学構内のローカル5Gの電波(28.2MHz-28.3MHz)の電界強度を測定することで,障害物の影響に関する定量的な状況把握を行った.その結果, 屋外では障害物によって電界強度が15dBから4dB程度減衰することを確認した.また屋内では5G受信端末で電波を受信できず,電波の減衰量が極めて大きいことがわかった.これらの実験によって樹木による電波の減衰特性が明らかになった.
休 憩(10:45 再開) 座長 福本幸弘(九工大)
B-4-14 |
複数スターラーを有するリバブレーションチャンバーにおける De-embedding モデリングの導体球を用いた原理確認
◎谷口晃大・青柳貴洋(東工大) |
B-4-15 |
セシウム原子の磁気副準位間のエネルギー差を利用したkHz帯における電磁波可視化技術の実験的検証
○石居正典(産総研) |
B-4-16 |
有線ネットワーク下のM系列変調TDRにおけるk近傍法を適用した異常位置検知
◎亀山大樹・安原朝陽・五百旗頭健吾・豊田啓孝(岡山大) |
B-4-17 |
光変調散乱素子における信号強度の散乱体抵抗率依存性
○黒澤孝裕(秋田県産技セ) |
リバブレーションチャンバー (Reverberation Chambers, RCs) は,近年,EMC測定やアンテナ測定などの分野で注目されている.著者らはこれまで,RC全体からスターラーを分離し,単独での設計を可能とするために,De-embedding モデリングを提案してきた.本報告では,これまで未検討であった,複数スターラーがあるRCへの De-embedding モデリングの適用可能性を検討した.単一スターラーの場合の De-embedding モデリングを複数スターラーへ拡張し,RC内に半径の異なる導体球が2つ設置された問題を解析した.参照解と比較して,電界強度分布,電界均一性のいずれもよく一致し,複数スターラーの場合でも De-embedding モデリングが適用可能であることを示した.
従来の電磁波の可視化技術と言えば,アンテナや電磁界センサをアレイ化または空間中で掃査し,受信で得られた強度分布のデータを2Dや3Dの表示画面にマッピングする手法が一般的である.一方,我々の研究では,レーザーを吸収したセシウムの気体原子が発する赤外線の蛍光を利用した電磁波の可視化手法の検討を行っている.我々のこれまでの先行研究では,9.2 GHz付近の周波数に限定されていたが,本報告ではkHz帯の電磁波の可視化技術を提案し,検証実験を行ったので報告する.
我々は,入射パルスとして擬似乱数系列であるM系列で変調したパルス列を送出し,反射波との相関を取るM系列変調TDRにk近傍法を適用することで,バス構造を有する有線ネットワークにおける異常発生位置を検知する方法について検討を行ったので報告する.特に,バス構造を有する有線ネットワークに対し,異常発生を仮定してキャパシタを接続して異常位置検知を行った.定期的にM系列変調TDRを行い,各タイミングでk近傍法を適用して得られた異常度の時間波形を積算した異常度累積和を算出し,隣り合ったタイミングで取得された異常度累積和の差分を比較することで,キャパシタを接続した異常位置を検知できることが確認できた.
半導体を散乱体とした光学的変調散乱素子を用いる高周波電界計測システムについて,光照射に伴う散乱体の抵抗率変化量と信号強度との関係についてFDTDシミュレーションにより検討した.光照射に伴う散乱体の導電率変化を模擬するため,散乱体の一方の表面が有限の抵抗率を持つ際に生じる前方散乱波を求め,無損失散乱体から生じる前方散乱波との差分から前方変調散乱波強度を評価した.その結果,変調散乱波強度は周波数が増加するに従い強くなって飽和した.また,変調散乱波強度は抵抗率の逆数である導電率に比例することが明らかとなった.従って,散乱体を光照射した際の導電率変化を大きくすることにより,より高い測定感度を実現できると考えられる.
9月17日 13:00〜16:45 Meeting 24 座長 須賀良介(青学大)
B-4-18 |
2.4GHz/5GHz帯向け多段DB-SIW共振器装荷非接触型電磁波シールド構造の測定結果
○米田 諭・佐々木雄一・明石憲彦・米田尚史(三菱電機) |
B-4-19 |
時間変調FSSシールドの基礎検討
◎古谷航一・小林 剛・福井範行・米田尚史(三菱電機) |
B-4-20 |
ミリ波帯用電波吸収体 -メタルバックを用いない構造-
◎蔭川慎之介・山本真一郎・畠山賢一(兵庫県立大)・伊藤盛通(大阪技術研)・戸川 斉(キーパー) |
B-4-21 |
GHz帯複素透磁率測定における絶対値校正の精度改善について
○中村貴志(凌和電子)・山口正洋(東北大) |
B-4-22 |
導電膜格子配列と高誘電率材を用いる空間フィルターの設計
◎谷口雄視・江原隆太・山本真一郎・相河 聡(兵庫県立大)・松岡茂樹・長尾正揮(日本ジッパーチュービング) |
間隙を伝搬する電磁波に対する非接触型シールド構造として,SIW(Substrate Integrated Waveguide:基板集積導波路)共振器を多段化する構成について検討している.前回,2.4 GHz帯と5 GHz帯向けの非接触型電磁波シールド構造として,1つの共振器で2つの共振周波数をほぼ独立して設計可能な特長を有するDB(Dual Behavior)-SIW共振器を多段化した構成の設計結果について報告した.本稿では,シールド特性の測定結果について報告する.
測定の結果,12段に多段化したDB-SIW共振器を用いる構成で,両帯域において50 dB以上のシールド特性が期待できる結果が得られた.引き続き,高周波側への周波数シフトが発生した要因の解明について検討する.
透過特性を時間的に変調したFSS(Frequency selective surface)シールドの基礎検討を行った.本稿では,等価回路モデル,透過スペクトラム,および電磁シールドとしての応用例の検討結果を示す.
5Gの導入や自動車衝突防止レーダーに代表されるように今後も情報通信技術が発展していくことが見込まれている.その一方で,これらの通信機器から発生する不要電磁波がその他の通信機器と干渉してしまい,機器間の誤作動やシステムの不具合を引き起こす問題が発生している.このような不要電磁波を抑制し電磁環境を整えるために電波吸収体が使用されている.
上述した自動車衝突防止レーダー等ではミリ波帯の周波数が利用されていることから,ミリ波帯における電波吸収体の設計が必要となっている.一般的に,電波吸収体は電磁波入射面から見て吸収材背面に金属板を裏打ちした構造(メタルバック)となっている.本研究では,裏打ち金属板の有無により電波吸収特性がほとんど変化しない電波吸収体設計例を示し,それらの反射特性を実験的に評価した.
本格的な5Gの実用化を踏まえ、ノイズ抑制体や電波吸収体の設計や解析のために10 GHz以上まで高精度で透磁率を知ることが求められている。この帯域では比透磁率実部が10以下まで小さい材料が多く、特性を的確に測定するためには、一般的な伝送回路の校正に加え、起磁力や磁束の分布など強磁性に関する適切な校正が必要である。本研究では、シールディドループコイル法1)、マイクロストリッププローブ法2)、およびマイクロストリップ線路法3)等で有用な直流磁界校正法4)の精度改善について報告する。
近年,スマートフォンやWifiルーター等の様々な無線通信機器が急速に普及してきている.一方で,これらの無線通信機器類から発生する不要電磁波がシステムに悪影響を及ぼすことが問題視されている.この問題に対処するために種々の電磁遮へい材が利用されている.
本研究では,導電膜を格子状に周期配列したシートを作製し,その両側を高誘電率材料で挟んだ空間フィルターを設計した.次に,設計したフィルターの透過係数を測定し,伝送線路理論による計算値と比較した.
休 憩(14:30 再開) 座長 長岡智明(NICT)
B-4-23 |
5G Sub-6GHzアンテナの局所SARとMIMO伝送特性の相関に関する基礎検討
○李 鯤(香川大)・本田和博(富山大) |
B-4-24 |
ブタを用いた10-60 MHz帯インプラント通信モジュールの実験的評価
◎高木宏彰・王 建青(名工大)・横山勇太朗・齊藤一幸・伊藤公一(千葉大)・竹下修由(国立がんセンター) |
B-4-25 |
EASゲートから発生する中間周波磁界における成人男女モデル内誘導電界の比較
○岡田滉平・鈴木敬久・多氣昌生・江嵜かおる(東京都立大) |
B-4-26 |
インプラント超広帯域微弱無線通信における最適送信パルス波形に関する一検討
◎大野椋平・安在大祐・王 建青(名工大) |
無線周波数(RF)安全ガイドラインでは,局所比吸収率(SAR)が電磁界ばく露の基本制限として使用されている.Sub-6GHz帯の複数アンテナを搭載した5G端末の適合性テストでは,多様な組み合わせによる測量が多い.また,電界プローブによる不確かさの増加や被験者による実験ができないなど様々な問題が存在する[1].本研究では,実機に搭載したSub-6GHz MIMOアンテナを設計し,様々な設計ケースにおける端末アンテナによる局所ピークSARとMIMO伝送特性の相関関係について検討したので報告する.
生体情報のセンシングから診断・治療までを統合する高信頼なインプラント通信を,世界最高水準の体内20cm 以上の深さ,20 Mbps以上の伝送速度で実現する通信モジュールの研究開発を目的として,筆者らはこれまでに,信号減衰が比較的小さい10-60 MHz微弱無線帯
を使用し,さらに高速伝送と省電力化の両立が可能となるIR(Impulse Radio) 方式を採用した通信モジュールを設計・開発した.本稿では開発した通信モジュールのブタを用いた実験の評価結果を報告する.
近年、中間周波数帯磁界(300Hz~10MHz)を利用する技術として、盗難防止装置が導入されている。
盗難防止装置は中間周波数帯の技術の中でも比較的強い発生源であり、磁界を与える対象でない人体が磁界に曝される可能性が高い。
本稿では,14 kHz図書館EASゲートから発生する磁界にばく露したときの体内誘導電界の計算を行った.
また体内誘導電界の計算には男性モデル、女性モデルを使用した。
その結果,ICNIRPガイドラインの基本制限値を超えないことが確認された。
また男性モデルの方が女性モデルより体内誘導量が大きいことも確認された。
本研究では,インプラント医療機器の応用例としてカプセル内視鏡システムに着目する.超広帯域(UWB: Ultra Wideband)伝送は,高速で信頼性の高い通信を実現する上で有利である一方,インプラント機器からのUWB伝送を想定した場合では,人体における信号減衰が大きいため通信システムの最適化が重要である.本研究は,スループット特性の点で最適化された送信パルス波形の検討を行う.更に先行研究で提案された微弱無線局と電波防護指針の二つの規定に基づいたインプラント機器の許容送信電力決定法を適用し,計算機シミュレーションにより本提案法の有効性を示した.
休 憩(15:45 再開) 座長 日景 隆(北大)
B-4-27 |
地下街における携帯電話基地局等からの電波ばく露レベル
○大西輝夫・幾代美和・飛田和博・Liu Sen・多氣昌生・渡辺聡一(NICT) |
B-4-28 |
SAR測定用プローブの検出限界評価に関する一検討
◎清水悠斗・長岡智明(NICT) |
B-4-29 |
6 GHz超の人体ばく露量評価のための等価電磁流源のスパース復元による近傍界再構築の精度向上
○大見峻太郎・佐々木謙介・長岡智明(NICT) |
B-4-30 |
高速多重極展開法を用いた吸収電力密度の計算に関する検討
○櫛山祐次郎・長岡智明(NICT) |
我々は,これまで一般環境における主なばく露源である携帯電話基地局や無線LAN等からの電波ばく露レベルをそれぞれ屋外及び屋内において測定し結果について報告を行ってきた.本稿では,地下街における携帯電話基地局及び無線LAN電波等の電界強度の測定結果について報告する.
人体近傍で使用される6 GHz以下の無線通信端末はSAR (Specific Absorption Rate)を指針値として,その値が許容値以下であることを示す適合性評価が国際規格等に準じて実施される.測定規格には,SARプローブの不確かさ評価に関する記載があり,「SNRが0 dBとなった点から電力が6 dB高くなった点のSARの測定値とプローブの直線性評価より算出されるSARの近似式との偏差を不確かさとする」と定義されている.本検討ではSARプローブでの検出限界の不確かさ評価方法について検討した.
逆問題によって等価電磁流を求める波源逆推定法は,アンテナ測定等の様々な分野に応用されている.我々は,逆推定法を応用して通信端末極近傍の電磁界を再構築し,6 GHz 以上における人体ばく露の評価指標の一つである入射電力密度を推定する検討を行ってきた.一方,準ミリ波・ミリ波帯を用いる5G 端末等においては,端末全体の大きさに対して,小さなアンテナチップが埋め込まれる形が代表的である.このとき,電磁波源であるアンテナは,端末全体に対して非常に小さな領域のみを占めることとなる.本稿では,この特徴を利用した等価電磁流のスパース復元を提案し,極近傍の電磁界,特に入射電力密度の再構築精度の向上を示す.
電磁波のばく露制限に関する新たな国際ガイドラインにおいて 6GHz 以上の周波数では,吸収電力密度が指標となっている.5Gシステム(28GHz)のような高周波数帯では,数値シミュレーションを用いて,人体に対する吸収電力密度の評価を行うには大きな計算資源を要するため,近似的に評価する方法が検討されている.一般的な近似手法として,平面波展開法 (PWS) を用いた体表面への透過電磁界の計算があげられるが,指向性が低いアンテナへ適用した場合,記録面の打ち切りによる誤差が大きくなることが問題となる.そこで,本研究では,アンテナを囲う閉曲面で記録した電磁界に,高速多重極展開法 (FMM) およびダイアディック反射係数を適用し, PWSと同等の評価をより精度良く計算する手法について検討した.
B-5. 無線通信システムA(移動通信)
9月14日 9:15〜11:45 Meeting 11 座長 張 裕淵(東工大)
B-5-1 |
フェージング環境下での1024-QAMを用いた広帯域OFDM伝送のBER特性
◎小菅大輔・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-2 |
定包絡線インタリーブ型スペクトル拡散方式のダイバーシチ特性評価
○中村亮介・大橋章範・堀 勇太・東中雅嗣・野田雅樹(三菱電機) |
B-5-3 |
チャープ信号を用いたDS-SS 方式の干渉推定法
○大橋章範・東中雅嗣・野田雅樹(三菱電機) |
B-5-4 |
帯域拡張を用いる周波数領域スペクトル形成におけるDMRS生成法
○中村 理・浜口泰弘(シャープ)・三瓶政一・高橋拓海(阪大) |
高周波数帯を用いて広帯域OFDM信号を伝送する場合,OFDM信号のサブキャリア間隔は拡げる必要がある.筆者らはこれまでサブキャリア間隔は15kHzの条件で高次の変調方式である256/1024/4096-QAMの伝送特性の評価を行ってきた.
本稿では,レイリーおよびライスフェージング環境下において,広帯域OFDM信号のサブキャリア間隔を大きくした場合の1024-QAMのBER特性について考察する.
M2M通信のための長距離高信頼無線通信システムとして著者らは,変調信号を位相回転系列で直接拡散し,更にインタリーブ型スペクトル拡散によってユーザを直交周波数多重する方式を検討している.本稿では,FPGA評価ボードに本方式の変復調処理を実装して実機評価を行い,準静的な伝搬環境でダイバーシチ効果を確認した結果を報告する.
近年,IoT やM2Mの分野では低消費電力かつ長距離無線通信を実現するLPWA が注目されている.LPWA は耐干渉性や耐妨害性,通信の秘匿性から,チャープ信号を拡散符号に用いる直接スペクトル拡散(DS-SS)方式が有効である.これまで著者らは,チャープ信号によるDS-SS 方式に対してユーザを直交周波数多重するインタリーブ型スペクトル拡散(SS)方式を提案してきた.本稿ではインタリーブ型SS 方式を用いたときの干渉推定法について提案する.
Beyond 5G時代の超臨場感技術を含む新たなユースケースに対応するため,これまで以上の大容量かつ低遅延な通信が求められており,テラヘルツ等の高周波数帯での安定した通信が期待される.高周波数帯では,周波数利用効率はそれほど問題とならないが,距離減衰による低電界強度が懸念される.この伝搬損失を補償するためには鋭いビームを形成する必要があるが,多数のアンテナ(および付随する増幅器)が必要となり,コストやサイズの面で課題がある.この課題に対し,NR (New Radio) Rel-18に向けたワークショップにおいて,PAPR (Peak-to-Average Power Ratio) を低減し,より安価な増幅器の適用を可能とするため,データ信号に対して帯域拡張を用いる周波数領域スペクトル形成 [1] が提案されているが,この手法はデータ信号だけでなく参照信号にも適用することができる.本稿では,帯域拡張を用いる周波数領域スペクトル形成におけるDMRS (Demodulation Reference Signal) 生成法を提案する.
休 憩(10:30 再開) 座長 石原浩一(NTT)
B-5-5 |
自己相関に優れたCodeとマルチトーン信号のPAPRの関係性
○榊 裕翔・中溝英之・森 一富(三菱電機) |
B-5-6 |
LTE無線インタフェースにおけるOTFS変調のPAPR特性
◎小原敏晴・佐和橋 衛(東京都市大)・岸山祥久(NTTドコモ) |
B-5-7 |
非正方差動符号化に適した時空間射影の連続最適化手法
◎香月優真・石川直樹(横浜国大) |
B-5-8 |
LCXのスロット開閉による空間変調の提案
○永山拳大・朱 俊傑・侯 鵬程・侯 亜飛・田野 哲(岡山大) |
B-5-9 |
過負荷物理層ネットワーク符号化のためのプリコーディング法
○谷川智也・田野 哲・候 亜飛(岡山大) |
高品質な無線通信の実現や無線通信装置の周波数特性を正確に測定するために,マルチトーン信号の低PAPR(Peak to Average Power Ratio)化が求められている.低PAPR化の実現には各トーン信号の初期位相を適切な値に設定すればよい.著者らは,収束演算により各トーン信号の初期位相を決定する文献に対して,その収束演算の初期値に自己相関に優れたZadoff Codeを採用する方法を提案している.これにより,アルゴリズムの煩雑さを解消することができる.ただし,自己相関に優れたCodeはZadoff Code以外にも複数種類存在することが知られている.
本稿では,自己相関に優れた複数種類のCodeをそれぞれ初期値として設定したときに得られる,マルチトーン信号のPAPRについて検討した結果を報告する.
本稿では,LTE無線インタフェースにおけるOrthogonal Time Frequency Space (OTFS)変調のピーク電力対平均電力比(PAPR: Peak-to-Average Power Ratio)を直交周波数分多重(OFDM: Orthogonal Frequency Division Multiplexing) と比較評価する.
非正方差動符号化は大規模MIMO環境で動作するチャネル推定不要の通信方式であり、高速移動環境に特に適している。非正方差動符号化の符号化利得は基底に含まれる非零成分の数に依存して変化する。また、送信アンテナ数が多数ある場合には高負荷な最適化を必要とする。本稿では、従来方式では実行困難であった離散最適化と等価な連続最適化手法を考案し、計算量を削減しつつ常に最大の符号化利得を達成できることを確認する。
空間変調とは,送信アンテナM本の内任意のK本を選択することによって,送信機設備の小型化・省電力化などが可能となる技術である.
変調方式や伝送方式,通信システムへの応用など様々な研究が提案されてきた.
一方,地下街やトンネル内など電波が伝搬しにくい場所でよく用いられる漏洩同軸ケーブル(LCX)というアンテナがある.これはケーブル状で,外部導体に空いている周期的な穴(スロット)から電波を放射している.
本研究では,LCXに付いた数目が百個以上あるスロットの開閉による空間変調パターンの最小ユークリッド距離を評価する.
物理層ネットワーク符号化を用いる双方向無線中継ネットワークにおいて,中継アンテナ数が端末アンテナ数より少なくとも,受信フィルタを用い,受信フィルタと伝送路行列の積を,等価的な伝送路行列とみなすことで,端末アンテナ数分の信号を空間多重し,高速・高効率通信を可能にするプリコーディング法を提案する.つまり,2つの端末から中継機への送信において,過負荷状態での高速通信を可能にする.端末アンテナ数をNT,中継機アンテナ数をNRとすると,BER特性の評価をしたところ,NT=2, NR=2に比べ,NT=4, NR=2では,約2dBほどの特性劣化で2倍の高速通信が可能であることを示した.
9月14日 9:15〜11:30 Meeting 12 座長 吉野 仁(ソフトバンク)
B-5-10 |
時速360 kmで走行する新幹線試験電車を用いた5G Evolution伝送実験
○野中信秀・須山 聡・奥山達樹・濱 優人・来山大祐・浅井孝浩(NTTドコモ)・伊藤昌嗣(エリクソン・ジャパン)・Anders Carlsson・Johan Furuskog・Magnus Wikström・Qiang Zhang(Ericsson AB)・蒲原健一郎・阿部文俊・石間礼次(JR東日本) |
B-5-11 |
屋内環境における60GHz帯ビーム変動特性の実験評価
○岩國辰彦・内田大誠・新井拓人・和井秀樹・北 直樹(NTT) |
B-5-12 |
エリアサイズに応じたビーム幅可変サーチに関する一検討
○新井拓人・岩國辰彦・和井秀樹・内田大誠・北 直樹(NTT) |
B-5-13 |
高周波数帯無線通信システムにおける2段階ビーム探索法のビーム幅制御の提案
○和井秀樹・岩國辰彦・新井拓人・内田大誠・北 直樹(NTT) |
5Gのさらなる発展(5G Evolution)に向けては,新幹線に代表される高速鉄道などの高速移動環境においても安定した高速通信が提供されることが求められる.国内においては最高時速283 kmで走行する新幹線を用いて28 GHz帯5G伝送実験が行われている.しかしながら,将来の高速鉄道への5Gの適用に向けては,ミリ波帯だけではなく,Sub-6 GHz帯での伝送評価や,さらに高い移動速度に対する耐性評価も重要である.本稿では,移動局装置を新幹線試験電車車内に設置し、4.85 GHz帯5G実験装置を用いて,5G実証実験としては国内最高時速となる時速360 kmでの伝送実験に成功したので,その実験概要と取得されたスループットについて示す.
増え続ける無線伝送ニーズを充足するため,無線通信の大容量化手法としての高周波数帯利用が注目されている.高周波数帯では,増大する距離減衰を補償するための狭ビーム伝送や,遮蔽対策として基地局アンテナを多数分散配置する分散アンテナ構成が必要となる.このため,アンテナ・ビームをいかに効率よく選択するかが課題となるが,特にビーム選択は予め既知の参照信号を取りうる候補ビーム全てで順に送信する従来手法ではその参照信号数が大幅に増加し,オーバヘッドとなって伝送容量を劣化させる.本稿では,アンテナ・ビーム選択の中でもビーム選択を効率的に行うため,実際に屋内の伝搬環境において,どのようなビームが使用されるのか60GHz帯無線LAN (IEEE 802.11ad)により評価した結果を報告する.
広帯域化による大容量化が期待できる高周波数帯では高い距離減衰を補うために高利得のビーム形成が必要となるが,ビームサーチに掛かるオーバヘッド量とエリアサイズはトレードオフの関係となる.本稿では,高周波数帯では遮蔽物によって通信が遮断されやすいという特徴を活用し,Initial access時におけるビームサーチ手法としてエリアサイズに応じてビーム幅を可変とするビームサーチ手法を提案する.また,提案法の有効性の初期評価として簡易な屋内天井設置シナリオにおいて全探索型のビームサーチ手法と比較してエリアを縮小することなく候補ビーム数を削減可能であることを示す.
近年,無線通信の更なる大容量化のため,広帯域が確保できるミリ波帯/サブテラヘルツ帯などの高周波数帯活用[1]が注目されている.高周波数帯では,周波数に比例して大きくなる距離減衰を狭ビーム伝送により補償するため,最適なビームを探索するビーム探索を行う必要がある.ビーム探索中はデータを伝送できずオーバヘッドとなるため,ビーム探索数の削減が可能な2段階ビーム探索法が検討されている.本稿では,2段階ビーム探索法における探索時間を最小とするために,所望カバレッジ端の端末で受信可能なように1段階目のビーム幅を制御する手法を提案する.提案手法により2段階ビーム探索時間が最小となることをビーム探索数とビーム探索信号時間長から定量的に評価したので報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 眞田幸俊(慶大)
B-5-14 |
分散大規模MIMOシステムにおけるアンテナ選択及びUE選択の検討
○西村健斗・西村寿彦・佐藤孝憲・大鐘武雄・萩原淳一郎・小川恭孝(北大) |
B-5-15 |
5G高度化超高密度RANにおける干渉制御のための多層化クラスタリングに関する一検討
○高橋 領・松尾英範・安達文幸(東北大) |
B-5-16 |
超高密度RANにおけるセル間干渉制御のためのチャネル棲み分け
○松尾英範・高橋 領・安達文幸(東北大) |
B-5-17 |
5Gナノエリア基地局シミュレーション環境の提案
◎髙谷翔平・藤井義巳・家 哲也・薄田悠樹(構造計画研) |
近年,スマートフォンやタブレット端末の普及により,移動体通信のトラフィック量が増加しているため,大規模MIMOシステムの実装が提案されている.多数のアンテナ素子を用いて通信を行う場合,一箇所に全てのアンテナ素子を配置するような集中配置では,設置スペースが大きく配置が困難になってしまう,アンテナとユーザの間に遮蔽物が存在する確率が高くなってしまうなどの問題がある.そこで,基地局アンテナを分散して配置する分散アンテナシステムが検討されている.本稿では,屋内環境における分散アンテナシステムを想定し,ユーザ端末選択及びアンテナ選択の効果を評価した結果を報告する.
多数のアンテナをセル内に分散配置する超高密度無線RANは,分散アンテナを協調利用することで通信遮断を回避できる.最適な協調送受信は,セル内の全分散アンテナと全ユーザの大規模MU-MIMOにより実現できるが演算量が膨大となる.ユーザを複数のクラスタに分割し,クラスタ単位の小規模MU-MIMOを並列実行することで演算量を削減できるが,クラスタ間干渉が発生する.著者らは,クラスタをセル内ユーザ層とセル端ユーザ層に多層化することでクラスタ間干渉とセル間干渉を軽減する干渉と無線リソースの適応制御を提案した.本稿では,セル端ユーザ層を低品質ユーザ層に拡張することで残留干渉の軽減を図る手法を提案する.
5Gシステムの高度化を実現する超高密度無線アクセスネットワーク(RAN)において,システム展開の柔軟性と拡張性を確保するためには各セルにおける自律分散無線リソース制御が重要である.本稿では自律分散無線リソース制御の実現に向けて,上位2部分帯域の棲み分けを用いるセル間干渉制御を提案し、計算機シミュレーションによりリンク容量と公平性の観点から提案方式が従来のチャネル棲み分けよりも優れることを明らかにした.
第5世代移動通信システム(5G)を更に高度化させるべく実施している研究開発の中で,筆者らは特にミリ波により実現されるナノエリアにて,ミリ波の遮蔽特性により通信の継続性が損なわれる場面を想定し,DU配下の複数RUを協調させて,ミリ波の遮蔽による通信断絶の影響を最小化する研究を行っている.本研究ではオープンソースの5Gシステムを用いた5G基地局(DU+RU)を構成することで,実際の5Gネットワークを拡張して複数RU協調通信方式を実現することを目標としている.具体的な無線アクセス方式は電気通信大学のPHLEX2を実装し,複数RUが協調動作して受信電力の低下を抑制することで,通信品質の維持を目指す.本稿はそのPHLEX2を評価する方法として,複数RU協調シミュレーション環境を構築し,その有用性について報告する.
9月16日 9:15〜11:45 Meeting 11 座長 岩渕匡史(NTT)
B-5-18 |
高度5Gネットワーク制御技術の研究開発における統合実証計画
○塚本 優・平山晴久・村上隆秀・山口 明・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-19 |
適応型RANにおける通信品質保証制御の制御周期の評価
◎平山晴久・塚本 優・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-20 |
Recommendation system-based network management framework for Adaptive RAN
○Seungil MOON・Yu TSUKAMOTO・Hiroyuki SHINBO(KDDI Research) |
B-5-21 |
適応型通信フロー識別方式の検討
○青木 寛・小津 喬・横山浩之(ATR) |
2025年ごろの高度5G時代には,大容量,超低遅延,超多接続などの多様な要求品質の通信トラヒックが想定されることから,個々の必要な品質で通信を常に提供する高信頼なネットワーク制御が必要となる.筆者らは,現状の5倍のトラヒックが発生することを想定し,個々の通信サービスによるデータフローに対して要求された通信品質を95%以上担保し,かつ基地局への無線リンクの接続率を99%以上とすることを到達目標として,高度5Gシステムのネットワーク制御技術の研究開発を2019年度から開始した[1].本研究開発では,2022年に各研究課題の提案技術の統合実証を行う.統合実証では,提案技術の実現性を示すため,実証基盤を用いた屋外実験と,到達目標の達成を示すため,十分なスケールを確保可能なシミュレーション評価を行う.本稿では実証基盤について、その構成と実証内容を紹介する.
5G の多様なサービスの品質要求を満たすため,筆者らは適応型RANを提案している.適応型RANではサービス要件やトラヒック変動などに応じて,仮想化した基地局機能であるvCU/vDUの配置を適応的に変更可能である.適応型RANで多様なサービスの品質を保証するためには,制御を司るRAN コーディネータが基地局から収集した情報に応じて,vCU/vDU 配置の制御,スケジューラを持つvDUへの無線リソース割当制御など様々な制御を行う必要がある.情報収集に用いる制御インターフェースの帯域は限られているため,情報量を抑えつつ,通信品質を保証可能な制御を行う必要がある.本稿では,無線リソース割当制御の制御周期による通信品質への影響を評価したため,結果を報告する.
The advanced 5G system is expected to support further diverse services with the performance targets of low-latency, high-reliability or high-capacity. In advanced 5G system, to serve the communication services, we have proposed an adaptive Radio Access Network (RAN) system [1]. In order to maximize the satisfaction of QoS in the adaptive RAN environment, multi-object optimization that simultaneously considers problems such as user association, resource allocation, BS function placement, etc. should be considered. Also, it needs to achieve global optimization that satisfies multi-objectives in a flexible network environment. In this paper, we propose the Recommendation system-based network management framework with the Multi Agent-based DRL framework to reduce the computational complexity required for learning and to improve the learning performance using historical data.
インターネット上のトラヒックは常に増大傾向にあるほか,低遅延や高信頼性を要求する各種アプリのサービス継続のため品質要求が多様化している.それらを満たしつつリソースを有効に利用するために各アプリの通信フローに対して品質要求を適切に設定する必要があるが,近年ではセキュリティやプライバシーを守るために通信が暗号化されており,通信内容を分析するアプローチの有効性は急速に失われている.そこで我々は,トラヒックの到来間隔等から通信フローを識別し,適切な品質要求を推定する方式を検討している.本稿では,その通信フローの識別に要する時間について検討した結果について報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 菅野一生(KDDI総合研究所)
B-5-22 |
衛星搭載AISにおける高精度ドップラ周波数推定を伴う衝突パケットの反復チャネル推定
◎野﨑航平・張 裕淵・府川和彦(東工大)・平原大地(JAXA) |
B-5-23 |
HAPS複数ゲートウェイフィーダリンクシステム対応受信干渉キャンセラーの実機性能評価
○藤井隆史・太田喜元(ソフトバンク) |
B-5-24 |
HAPSと地上セルラーシステムが周波数共用した場合のMIMO対応HAPS下り回線干渉キャンセラーの検討
○柳川竜輝・藤井輝也(東工大) |
B-5-25 |
4.5GHz帯HetNetsにおけるピコ基地局の送信電力の最適化とCREに関する一考察
◎米山あゆみ(工学院大)・須山 聡・浅井孝浩(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-26 |
CNNを用いたMIMO無線通信ネットワークの送信電力及びビームフォーミング制御
○玉田直人・張 裕淵・府川和彦(東工大) |
人工衛星を用いてAIS(Automatic Identification System)信号を受信する衛星搭載AISでは,衛星の受信範囲が広いため,受信時に複数のAIS信号パケットが衝突する確率が高くなり,通常の検波方式での信号検出が困難となっている.この問題を解決するため,PIC(Parallel Interference Cancellation)による衝突パケットの分離検出が検討されているが,伝送路の推定精度が不十分な場合,検出精度が大幅に劣化する問題があった.そこで本稿では,高精度ドップラ周波数推定を含む反復チャネル推定を提案し,その改善効果を計算機シミュレーションにより明らかにする.
成層圏プラットフォーム(HAPS)を用いて地上のセルラ携帯端末(携帯端末)と直接通信する携帯通信サービスは,サービスエリアの拡大,災害時の通信手段として非常に魅力的である.HAPSと地上基地局(ゲートウェイ)間の通信であるフィーダリンクの周波数有効利用を目的に,同一周波数を空間分割多重する“複数ゲートウェイ(GW)システム”を提案し,地上からHAPSへの通信であるフォワードリンクにおいて複数のフィーダリンク間の同一周波数干渉を低減するMIMO干渉キャンセル技術を提案した.本稿では,提案した干渉キャンセラーの実機評価を行う.
成層圏の高度約20 kmを飛行するHAPS (High-Altitude Platform Station) と地上セルラーが同一周波数を共用する場合(以下、HAPSセルラー)、相互の干渉回避技術が不可欠である。HAPSセル内に複数のマクロセルを設置して同一周波数を利用する構成で、下り回線干渉除去(回避)技術として、マクロセルの下り回線信号にHAPSセルのキャンセル信号を重畳して送信する“マクロセル送信干渉キャンセラー”を提案した[1][2]。従来提案ではアンテナが送受信共に1本のSISOであったが、LTEや5GではMIMO技術が適用されている。
本稿では、送受信共にアンテナを2本持つMIMOにおけるHAPS下り回線干渉キャンセラーの検討を行う。
5G NR NSAは4Gのマクロセルと5G NRのピコセルが重畳するヘテロジーニアスネットワーク (HetNet)の構成であり,その最適化の研究は重要である.また,HetNetにおいてピコセルエリアを仮想的に拡大するCell Range Expansion (CRE)技術があるが,5G NR NSAにおけるCREの適用に関する研究は十分に行われていない.
本稿では,2 GHz帯マクロセルと帯域幅100 MHzを有する4.5 GHz帯ピコセルから成るマルチバンドHetNetにおいて,ピコ基地局の送信電力に対するユーザスループットを求め,その結果から最適なピコ基地局の送信電力を明らかにする.また,CREを適用した場合のユーザスループットについて考察を行う.
小セルネットワークは,空間的な周波数有効利用が図れるため,次世代移動通信ネットワークにおいて有効な技術である.しかしながら,基地局(BS)間の距離が短くなるため,セル間干渉(ICI)が発生する.このICI を抑えるセル間干渉制御(ICIC)技術の一つとして,送信電力制御とビームフォーミング制御が検討されている.最適な送信電力とビームフォーミング・パターンを探す手法として全探索(ES)があるが,計算量がBS 数とともに指数関数的に増加するため大規模システムへの適用は非常に難しい.また,教師あり学習は,ES により教師信号を求めなくてはならず大規模システムに適用困難である.本稿では計算量を削除しつつ,システム容量を大幅に改善できる教師なし学習に基づく畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を検討する.
9月16日 9:00〜11:45 Meeting 12 座長 安達宏一(電通大)
B-5-27 |
Frozen Bits Design of Polar Codes over Frequency Selective Fading Channels
◎Huiying Song・Yuyuan Chang・Kazuhiko Fukawa(Tokyo Tech) |
B-5-28 |
Polar符号連接電波暗号化変調手法のCRC符号化による復号性能向上の検討
◎浅野敬祐・奥村 守・阿部拓実・岡本英二(名工大)・山本哲矢(パナソニック) |
B-5-29 |
チャネル情報に基づく電波暗号化変調を用いた安全な秘密鍵共有手法の検討
◎阿部拓実・浅野敬祐・奥村 守・岡本英二(名工大)・山本哲矢(パナソニック) |
B-5-30 |
大規模MIMOによる秘密鍵共有プロトコルの検討
◎大塚誠矢・石川直樹(横浜国大) |
B-5-31 |
電波暗号化変調における適応LLRクリッピングを用いた性能改善の検討
◎奥村 守・浅野敬祐・阿部拓実・岡本英二(名工大)・山本哲矢(パナソニック) |
Recently, the polar code has attracted much attention because it is adopted as a channel coding for control channels of 5G and beyond. However, most of studies on the polar code assume the additive white Gaussian noise (AWGN) channel, and only few aim to research the polar code over fading channels. Hence, this report focuses on polar codes for orthogonal frequency-division multiplexing (OFDM) transmission over frequency selective fading channels, and provides a new way of frozen bits setting for fading channels. Specifically, the log-likelihood ratio (LLR) of each subcarrier is calculated from the channel state information to identify the frozen bits, and then the indices of frozen bits are fed back to the transmitter (Tx) for the data transmission. Computer simulations demonstrate that the proposed decoder can improve block error rate (BLER) performance more than the conventional belief propagation (BP) decoder.
近年,IoT端末の増加,多用途化が進み,秘匿性を強化することが課題となっている.その解決策として物理層において秘匿性を確保する手法が注目されている.我々は過去に物理層秘匿性を有する電波暗号化手法の1つであるカオス変調にpolar符号を連接することで他符号連接時より優れた伝送特性が得られることを示した.しかし,従来使用していたpolar符号の復号器はCRC符号を組み込むことができず,特性改善の余地があった.そこで,本稿ではCRC符号を連接可能な復号器を構築し,符号長256で既存手法に対してブロック誤り率10^(-5)で1.2 dBの改善が実現できることを示す.
無線通信における物理層秘匿性を確保する技術として電波暗号化変調手法の1つであるカオス符号化変調が提案されている.この手法は共通鍵暗号方式であり秘密鍵を送受信間で事前共有する必要があったが,これまでその共有方法の詳細については検討されていなかった.そこで本稿では,時分割複信方式におけるチャネル状態情報を用いた秘密鍵を共有することで,事前の鍵共有が不要でかつ自由に鍵の変更が行える手法を提案する.
機密情報を含む多くの情報が無線を介してやりとりされている現在,通信の安全性が一層重要視されている.また量子計算によるショアのアルゴリズムは素因数分解の困難性に基づく暗号方式の安全性を脅かしており,通信の秘密を守る新たなセキュリティの研究に関心が集まっている.物理層セキュリティでは無線通信路の真性乱数を活用して通信を秘匿する.よってこれまでの暗号理論とは異なる量子耐性を持つ新たな暗号方式が可能となる.本論文では大規模MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) によるビームフォーミングを利用した新たな秘密鍵共有プロトコルについて検討し,数値シミュレーションにより送信アンテナ数を増やすほど正規受信者の復号計算量が減ることを明らかにする.
近年,個人情報を扱うユースケースでは第三者に対する通信秘匿性の確保が重要視されている.それに対して,我々は物理層秘匿性と通信路符号化効果を有するカオス変調を検討してきた.しかし,ガウス変調の一種であるカオス変調は,信号点間距離が一定ではないためMax-log近似を用いた対数尤度比(log-likelihood ratio: LLR)の精度が低下してしまう問題があった.そのため既存手法ではターボ復号を行う際に誤り伝搬による特性の劣化が生じていた.そこで本稿では,LLRの振幅を制限し誤り伝搬を抑圧するLLRクリッピングをカオス変調に応用し,最適なLLRクリッピング手法を構築した.これにより,ターボ復号の性能が向上し既存手法に対して,ビット誤り率(bit error rate: BER)10^(-5)の点において,0.5 dBの改善を実現した.
休 憩(10:30 再開) 座長 西村寿彦(北大)
B-5-32 |
MMSEフィルタ出力を初期値とした学習可能なガウス信念伝搬法
◎土井隆暢・式田 潤・村岡一志・石井直人(NEC)・白瀬大地・高橋拓海(阪大)・衣斐信介(同志社大)・三瓶政一(阪大) |
B-5-33 |
MIMO最尤検出の量子加速に関する検討
◎法本雅矢・石川直樹(横浜国大) |
B-5-34 |
広帯域シングルキャリアにおけるPCID検出確率特性
◎井上大輔・太田恭吾・佐和橋 衛(東京都市大)・永田 聡(NTTドコモ) |
B-5-35 |
5G NRにおけるジョイントチャネル推定による上り通信カバレッジ拡張
◎越後春陽・栗田大輔・原田浩樹・永田 聡(NTTドコモ) |
B-5-36 |
マルチバンドフルデュプレクス基地局のアナログ自己干渉キャンセル回路における広帯域信号特性の実験的検討
○松村 武(NICT) |
大容量通信を実現する上りリンクのMassive MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) 伝送の高精度な信号検出方式としてガウス信念伝搬法 (GaBP: Gaussian Belief Propagation) がある.筆者らは,深層展開を用いてGaBPアルゴリズムの内部パラメータを最適化するT-GaBP (Trainable GaBP) を提案した.一方,フェージングの空間相関耐性を向上させるために,MMSE (Minimum Mean Square Error) フィルタ出力を繰り返し初期値としたGaBPも有力な方式である.そこで本稿では,MMSEフィルタ出力を初期値としたGaBPに対して深層展開を適用し,MMSEフィルタ出力を初期値とすることを前提とした内部パラメータの最適化により検出精度の向上を図る.
グローバー適応探索は量子コンピュータでの動作が確認されており、 QUBO問題を効率よく解くことができる。グローバー適応探索は全探索する場合と比べて計算量を平方根程度に削減でき、この現象は量子加速と呼ばれている。本稿では無線通信の重要技術であるMIMOについて量子アルゴリズムの適用を検討する。特に、QUBO問題の二値変数による表現を容易とするため、本稿では空間変調に着目する。MIMO最尤検出における量子加速の可能性について検討する。
筆者らは,先に広帯域シングルキャリアにおける物理セルID (PCID: Physical-layer Cell Identity)検出を評価した.本稿では,広帯域シングルキャリア方式におけるキャリア周波数が90GHzのときの周波数オフセットを考慮した場合の同期信号を用いるPCID検出確率を計算機シミュレーションにより評価する.
セルラー通信ネットワークを運用する際にカバレッジ特性は重要な要素の一つである.3GPPでは5G New Radio(NR)の機能拡張の一つとして上りチャネルのカバレッジ拡張技術について検討が進められている.本稿では,カバレッジ拡張技術の一つである繰り返し送信時に複数スロットに渡り送信されるDeModulation Reference Signal (DMRS) を用いたチャネル推定を行う Joint Channel Estimation (JCE) の性能とJCEと周波数ホッピングの同時適用時の性能を,シミュレーション評価を基に検討し,その結果を報告する.
帯域内全二重無線通信(IBFD, In-Band Full-Duplex)は同一周波数で同時に送受信を行うため,理想的には周波数利用効率が2倍となる.しかし,IBFDでは自身の送信信号が受信回路に回り込む,いわゆる自己干渉(SI, Self-Interference)により通信性能が著しく劣化する.著者は,基地局にIBFDを適用し,異なる2つの端末に対して送信と受信を同時に行うセルラシステムの開発に取り組んでおり,ローカル5Gを含めた複数の周波数帯にIBFDを適用することを想定し,共通のIF(Intermediate Frequency)帯にアナログSIキャンセル回路を実装し,周波数変換により様々な周波数帯で運用可能なマルチバンド対応基地局の試作開発を進めてきた.本稿では,本基地局のアナログSIキャンセル回路に関して,帯域幅100 MHzの広帯域信号に対するSIキャンセル性能の評価結果を示す.
9月17日 9:00〜11:30 Meeting 11 座長 山本哲矢(パナソニック)
B-5-37 |
Evaluation of Subspace-Based Pilot Decontamination in Scalable Cell-Free System with Fewer Antennas Radio Head
◎Noboru Osawa・Takeo Ohseki・Kosuke Yamazaki・Yoji Kishi(KDDI Research)・Fabian Gottsch・Giuseppe Caire(TU Berlin) |
B-5-38 |
On Downlink Spectral Efficiency of Semi-Distributed Cell-Free Massive MIMO
◎Masaaki Ito・Issei Kanno・Takeo Ohseki・Kosuke Yamazaki・Yoji Kishi(KDDI Research)・Thomas Choi・Andreas F. Molisch(Univ. of Southern California) |
B-5-39 |
3D-BFにおける垂直面内のビーム幅に対するユーザスループット特性
○大村有司・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-40 |
3D-BFを用いた28GHz帯3セクターピコセルから成るHetNetsのユーザスループット特性
◎西村尚子(工学院大)・須山 聡・浅井孝浩(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-41 |
適応ビームフォーミングを適用した基地局分散 MU-MIMOによる上り回線通信容量改善の検討
◎前田稜平・藤井輝也(東工大) |
Scalable user-centric wireless network with dynamic cluster formation as defined by Björnson and Sanguinetti is a practical solution for scalable implementation of cell-free massive MIMO. For serving a large number of users cell-free in system, pilot contamination is one of the critical issue. We have investigated a pilot decontamination by using very simple subspace projection scheme. The subspace projection relies on the number of dimensions of RRH's antenna. This paper evaluates the performance of subspace projection with fewer antennas per RRH than previous consideration.
Cell-free massive MIMO systems are expected to provide faster and more robust connections to user equipments by cooperation of massive distributed access points. We revealed that the semi-distributed deployment has better spectral and energy performance in uplink communications compared to the fully-distributed deployment. In this paper, we analyzed the performance of several antenna distribution configurations in downlink communications, and showed that the semi-distributed deployments outperform the fully-distributed deployment from spectral efficiency point of view.
5G NRではUEの受信SINRを向上する3Dビームフォーミング(3D-BF)が重要な技術である.これまで筆者らは,1024-QAMと3D-BFを併用した場合の特性評価を行ってきた.本稿では,3D-BFにおける垂直面内の3dBビーム幅に対するユーザスループット改善効果を明らかにする.
5G NR NSAはヘテロジーニアスネットワークHetNetと同じ構造をしており,そのシステム全体のユーザスループットを評価することは重要である.我々は,2GHz帯マクロセルと28GHz帯ピコセルから成るマルチバンドHetNetにおいて,ピコセルをセクター化しかつそれぞれのセクターピコセルに3Dビームフォーミング(3D-BF)を適用する方法を提案した.しかし,マクロセルとピコセルに対するフェージングのチャネルモデルが分離されていなかった.本稿では,マクロセルにレイリーフェージング,ピコセルにライスフェージングを定義しHetNetのユーザスループットを評価する.また,従来方式に対する提案技術の改善効果を明らかにする.
5G 等の移動通信システムでは、セル内のどこでも超高速データ伝送が期待されている。全てのセルで同一周波数を繰り返し再利用するセルラーシステムでは、特にセル境界付近において隣接セル干渉により通信品質が劣化する。筆者らは下り回線における干渉抑圧技術として、隣接する基地局が連携して仮想的なセルを構成し、隣接セル干渉を抑圧する仮想化 MU-MIMO キャンセラに、Massive MIMOアンテナによる適応ビームフォーミングを適用した干渉抑圧技術を提案した。同様に、上り回線における干渉抑圧技術が期待されている。本稿では、提案技術を上り回線に拡張した上り回線干渉抑圧技術を提案し、その適用効果を明らかにする。
休 憩(10:30 再開) 座長 田野 哲(岡山大)
B-5-42 |
周波数選択性フェージング伝搬路におけるFTN信号伝送の最適電力配分
◎石原拓実・杉浦慎哉(東大) |
B-5-43 |
時間・周波数領域拡散に基づく非直交多元接続
◎濱 優人・落合秀樹(横浜国大) |
B-5-44 |
移動通信におけるSTBCに基づくNOMA方式
○張 裕淵・府川和彦(東工大) |
B-5-45 |
下り回線NOMAにおける圧縮センシングに基づくユーザ選択に関する検討
◎槇田智史・牟田 修(九大) |
Faster-than-Nyquist (FTN) 信号伝送は、現実的な帯域制限を仮定した場合に従来のナイキスト基準伝送よりも高い周波数利用効率を達成しうる信号伝送方式である。本稿では、周波数選択性フェージング伝搬路において、FTN信号伝送の相互情報量を最大化する最適電力配分を提案する。送受信機の帯域制限フィルタとして現実的なルートレイズドコサインフィルタを用いた場合の提案FTN信号伝送が、理想的な矩形帯域制限フィルタを仮定した場合の上限に近い周波数利用効率を達成可能であることを示す。
多様な端末での無線通信へのニーズの高まりから,次世代無線通信システムに向けては,Internet of Things(IoT)に代表される小型デバイスによる高信頼な多数端末同時接続へ適した多元接続方式の検討が喫緊の課題である.現在広く用いられている直交周波数分割多元接続(OFDMA)は,時間・周波数領域で定義される直交なリソースブロック(RB)を異なるユーザに割り当てることで,簡易なリソース割当と高速フーリエ変換(FFT)を用いた効率的な実装を可能としている.しかしながら直交リソースは一般に周波数帯域幅により決定されることから,多数端末接続の観点で適しているとは言い難い.これに対して非直交多元接続(NOMA)は,同一RBを複 数のユーザへ割り当てることでこの課題を解決する技術の一つであるが,非直交ユーザ間の干渉による誤り伝搬やリソース割当の複雑化に対する抜本的なアプローチは見つかっていない.そこで本稿では,時間・周波数の異なる領域で生成した信号を重畳する時間・周波数領域非直交多元接続(TF-NOMA)を提案し,従来手法との比較を交えながら実システムを考慮した上での有用性を示す.
非直交多元接続(NOMA)は高い周波数利用効率が得られるため,第5世代移動通信(5G)のマルチアクセス方式の有望な候補として,近年注目され
ている.本稿では空間ブロック符号(STBC)に基づく新たなNOMA 方式を検討する.具体的には,STBCを適用するため,複数の多重信号を複数スロットもしくは複数の周波数チャネルで送信する方式である.計算機シミュレーションにより,同一スループットの条件下でビット誤り率(BER)を大幅に改善できることを示す.
本稿では, 下りリンクNOMA システムにおいて, サービス品質(QoS: Quality-of-service) と動的リソースブロック割当を考慮した圧縮センシングに基づく低演算量ユーザ選択・電力割当アルゴリズムを提案する. 提案方式では, 許容可能な干渉電力の閾値をQoS 制約に基づき導出し, それを用いた定式化を行うことで, ユーザ選択・電力割当問題をQoS 制約下でのl1ノルム最適化問題に緩和する. また, 選択されたユーザ対のうち遠方のユーザへの干渉を制御することにより, QoS 制約下での低演算のチャネル割当を実現する. シミュレーションの結果, 提案方式は従来方式と比較してユーザレートを向上でき, 要求されるQoS が実現可能である限りQoS 制約がほぼ満たされることを示した.
9月17日 13:00〜17:00 Meeting 11 座長 酒井 学(三菱電機)
B-5-46 |
Intelligent Reflecting Surfaceを用いたマルチビーム空間多重に関する検討
◎橋田紘明・川本雄一・加藤 寧(東北大) |
B-5-47 |
An Investigative Study on Reconfigurable Intelligent Surface Assisted Dual Connectivity
◎Yoghitha Ramamoorthi・Masashi Iwabuchi・Tomoki Murakami・Tomoaki Ogawa・Yasushi Takatori(NTT) |
B-5-48 |
適応的反射板制御に基づくエリアカバレッジの実験評価
◎大宮 陸・谷口諒太郎・村上友規・高橋馨子・工藤理一・小川智明・鷹取泰司(NTT) |
B-5-49 |
リフレクトアレーを用いたRoF遠隔ビーム制御による5G信号伝送実験
○伊藤耕大・菅 瑞紀・新井拓人・白戸裕史・北 直樹(NTT) |
B-5-50 |
多数アナログ中継システムにおける端末位置情報を用いた中継ビーム制御方法の一検討
○岩渕匡史・村上友規・小川智明・鷹取泰司(NTT)・米田拓海・阪口 啓(東工大) |
MU-MIMO伝送においては,デジタルプリコーディングを施してユーザ間干渉を抑圧することが重要である.デジタルプリコーディングの手法としてブロック対角化法(BD)があるが,BDは端末が密集する環境ではスループットが低下することが課題である.アンテナ開口径を大きくしビーム径を小さくする,もしくは非線形プリコーディングを適用することで端末が密集する環境でも高いスループットを維持することができるが,ハードウェア構成,演算量などの点からコストが大きくなる.そこで本稿では,伝搬路上に配置されたIRSの反射位相を最適に制御することで,BDに基づくMU-MIMO伝送における空間多重性能を向上させるアプローチを検討する.
The millimeter wave networks with high frequencies are prone to high attenuation and pathloss for a non LoS user. Reconfigurable intelligent surfaces (RISs) made of meta-surfaces with small antenna elements are the potential solution to control this propagation environment by controlling the phase and amplitude of the signals that are incident on it. Dual connectivity (DC) has been introduced to increase the per user throughput by utilizing radio resources from two BSs. Leveraging the advantage of DC and the RIS, we propose the RIS assisted DC where the blocked user utilizes two RIS to increase its data rate.
6Gにおいてはミリ波以上の高周波数帯の検討が進んでいるが,ミリ波は直進性が非常に強く,周囲の環境変動により通信品質が大きく変動するため,適応的にエリア設計を行っていく必要がある.我々はインテリジェント空間形成(IRD)と呼ばれる,電波伝搬路を能動的に制御する技術コンセプトを提案してきた.本稿では,インテリジェント空間形成技術の概念実証実験として,反射板の方向を適応的に制御できるデバイスを用いた伝搬路制御により,60GHz無線LANのエリアカバレッジの拡大能力を実験評価によって明らかにした.実験の結果,反射板角度の適応的制御により,制御なし(0度固定)の場合と比較して,エリアカバレッジを4倍に拡大できることがわかった.
RoF (radio-over-fiber) を適用してRRU (remote radio unit) を簡易化する検討が進められている.我々は,RRUを最大限簡易化するため,RRUのビーム制御をCS (central station) から遠隔で行うことをめざし,パッシブビームフォーマを用いた遠隔ビーム制御手法を提案している.本稿では,パッシブビームフォーマとして28 GHz帯リフレクトアレーを用い,5G信号伝送実験により提案手法の伝送性能評価を行う.
ミリ波やテラヘルツ帯を対象とした高周波数帯技術の発展は今後も重要である.これらの周波数帯では一定以上の電力を有する伝搬パス数が比較的少なく,遮蔽に弱いという課題がある.そこで多数のアナログ中継を空間に展開し,伝搬パスを冗長化する多数アナログ中継システムが提案されている.本稿ではミリ波帯を想定した多数アナログ中継システムにおける中継ビーム制御手法を提案する.
休 憩(14:30 再開) 座長 中村 理(シャープ)
B-5-51 |
ローカル5G高周波数帯の移動基地局位置算出方法の適用領域に関する検討
◎中山章太・村山大輔・守山貴庸・鷹取泰司(NTT) |
B-5-52 |
ミリ波の移動端末への上面図を用いた機械学習による遮蔽影響予測
○吉川慧司・三原翔一郎・村上隆秀・山口 明・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-53 |
無線リンク断の発生予測とビームフォーミングを連携させるためのインターフェースの一検討
○渋谷惠美・山口 明・村上隆秀・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-54 |
受信性能差を補正し時系列受信データを活用した位置指紋法の計算量の削減
○辻野孝弘・藤井輝也(東工大) |
B-5-55 |
Co-Location and Inter-User Distance Estimation in 5G mmWave Networks
○Mondher Bouazizi・Tomoaki Ohtsuki・Yuwen Cao(Keio Univ.) |
筆者らは工場や物流倉庫など遮蔽物の移動頻度の高い環境であっても、環境変化に合わせて基地局(TRP: transmission point)を移動させることでエリア内の通信品質を向上する方法を提案しており、提案法が有効に機能するエリアの複雑さや端末配置条件を、シミュレーションにより明らかにしたので報告する。
物体の遮蔽によるミリ波の無線リンク断を回避するために,複数の基地局を用いた切り替え手法を考えている.リンク断の発生前に切り替えるためには,遮蔽の事前予測が必要である.繁華街のような複数の物体や受信機が存在する環境を想定した遮蔽予測手法として,上面図を特徴量とする機械学習を提案している.しかし,受信機が移動する場合に予測精度が低下する問題がある.本稿では,受信機の移動により変化する情報を特徴量に追加し,予測精度を向上させる手法を提案する.フィールド実験により受信機が移動する環境において検証した結果を報告する.
2025年頃を想定した第5世代移動通信システムの高度化では,高速大容量化のためミリ波の更なる活用が想定される.ミリ波は直進性が強く,人や車の移動に伴い通信路が遮蔽されると,無線リンク断が発生する.この対策として,突然の無線リンク断の発生を予測して,無線通信を制御する手法が有効と考えられる.そのために,筆者らはカメラ画像とRSSI (Received Signal Strength Indicator) を併用する予測手法を検討している.一方,通信の継続性を向上させるために,無線リンク断の予測情報に基づくビームフォーミング手法が提案されている.今回,予測手法とビームフォーミングを連携させるインターフェースを検討したので報告する.
GPSを利用しない位置推定法として,事前に位置(ポイント)ごとに複数の基地局の受信電力を測定しておいて,各端末が測定した複数の受信電力とパターンマッチングすることで位置を推定する “位置指紋法” がある.位置指紋法はそのデータ数により探索数が多くなり,計算量が膨大となる課題がある.筆者らは計算量を削減するために“探索範囲を制限した次元拡大位置指紋法”を提案した.事前に測定する受信機(以下,測定装置)と端末の受信性能は一般に異なる.本稿では, 測定装置と端末の受信性能の差異を補正し探索範囲を制限した場合の“次元位置指紋法”を提案し、評価する.
In this report, we introduce a novel approach for co-location and inter-user distance estimation in 5G mmWave networks. Our method uses low-resolution beam energy-based images, which are processed using deep learning (DL) to estimate the distance between users. It also uses a technique referred to as Super Resolution (SR) to enhance the estimation. Our proposed method reaches an average estimation error (MSE) equal to 0.14 m for a coverage area roughly equal to 60 m × 30 m.
休 憩(16:00 再開) 座長 児島史秀(NICT)
B-5-56 |
端末ビームフォーミングを考慮したビーム制御シミュレーション
○内野大地・木下裕介・武 啓二郎(三菱電機) |
B-5-57 |
高周波数帯シングルキャリア伝送における非線形歪みコンスタレーションに対する対数尤度比
○福園隼人・栗山圭太・内田大誠・吉岡正文・宮城利文(NTT) |
B-5-58 |
100 GHz帯マルチユーザMassive MIMO伝送に向けたBF技術
○奥山達樹・須山 聡・野中信秀・浅井孝浩(NTTドコモ) |
B-5-59 |
100 GHz帯Massive MIMOのハイブリッドBF用サブアレー配置
○須山 聡・奥山達樹・野中信秀・浅井孝浩(NTTドコモ) |
5GではDCをサポートしており,Massive MIMOによる狭域ビームを用いるときに,SgNB候補の切替や初期接続確立に失敗する場合がある.その解決一手法として,複数ビーム利用接続確立方式を提案した.本発表では複数ビーム利用接続確立方式のSgNB切替失敗率と初期接続確立失敗率について端末ビームフォーミングを考慮して4G性能と比較した.
次世代の第6 世代移動通信システム (6G) では,超高速・大容量通信に向けてミリ波帯を超える高周波数帯の利活用が検討されている.本稿で,高周波数帯SC 伝送における非線形歪みコンスタレーションに対する適正な対数尤度比 (LLR) 算出法を提案する.シミュレーションにより,提案法が符号化BER (bit error rate) 特性を改善することを示す.
第6世代移動通信システム(6G)では,5Gでのミリ波帯を活用しつつ,より高い周波数帯を利用しピークデータレートとして100 Gbps以上の超高速通信の提供が期待される.著者らは,100 GHz帯を活用しシングルユーザ環境での基本性能やアンテナ間隔等が与える影響の評価を行ってきた.本稿では,複数端末が存在する環境において,100 GHz帯による多素子化を図り細いビームを生成したときに,アナログビームフォーミング(BF: Beamforming)およびハイブリッドBFを適用したときのスループットを計算機シミュレーションにより評価し,マルチユーザ伝送に必要なBF技術を示す.
第6世代移動通信システム(6G)では,5Gで導入された28 GHz帯のミリ波を活用しつつ,さらに高い周波数帯を活用することで100 Gbpsを超える超高速通信の提供が期待されている.すでに,100 GHz帯超広帯域無線アクセスによる100 Gbps超の可能性についてシミュレーションにより明らかにされている.本稿では,100 GHz帯Massive MIMOハイブリッドビームフォーミング(BF)における2種類のサブアレー配置において,放射角度広がりに対する伝送特性をシミュレーションにより明らかにし,100 GHz帯に適したハイブリッドBF用サブアレー配置を検討する.
B-5. 無線通信システムB(無線アクセスネットワーク)
9月17日 9:00〜11:45 Meeting 12 座長 奥山達樹(NTTドコモ)
B-5-60 |
IEEE 802.11ax無線LANにおける高優先フレーム保護技術の一検討
◎大谷花絵・岸田 朗・淺井裕介・鷹取泰司(NTT) |
B-5-61 |
ns3-aiを用いた強化学習による無線LAN伝送レート選択手法
○△中嶋智樹・村山大騎・ラナンテ レオナルドJr・尾知 博(九工大) |
B-5-62 |
深層強化学習を用いたIEEE 802.11bcのためのACK-Lessレート制御の提案
◎神田高望(京大)・香田優介(オウル大)・紀平悠人・山本高至(京大)・西尾理志(東工大) |
B-5-63 |
無線LANの伝搬チャネル情報を活用した物体検知のための周波数領域特徴量選択方式の実験評価
◎野口知樹・牟田 修(九大)・村上友規・大槻信也(NTT) |
B-5-64 |
自動走行ロボット向け無線LANマルチホップによる低遅延伝送効果
○添谷みゆき・村上貴臣・鍋谷寿久・旦代智哉・園浦隆史・山本大介(東芝) |
IEEE 802.11axのSR (Spatial Reuse) 機能を利用することで面積周波数利用効率の向上を実現できる一方,優先度の異なるトラヒックが混在する環境では,高優先通信を行っている端末の送信フレームへの干渉増加,伝送遅延増加が生じうる.これを防ぐために,選択的CCA閾値設定法を提案した.提案手法では,高優先フレーム検出時の電力閾値 (CCA閾値) をSR利用時のそれより高く設定することで,高優先フレーム保護を実現する.本手法が,高優先通信を行う端末の周囲にBSSが複数配置された稠密環境下においても有効であることを,計算機シミュレーションを通して確認した.
近年,急速に増加する無線通信のスループット要件に対応するため,IEEE 802.11を始めとする通信規格の公称最大スループットは大きく向上している.しかし,実環境では隠れ端末問題やさらし端末問題といった問題により,実効スループットは公称スループットから大きく低下する.これらが発生する環境下において,スループットを最大化する方法として伝送レート(MCS: Modulation and Coding Scheme)の最適な選択が必要となる.本稿では,強化学習を用いた無線LANの伝送レート選択手法を提案する.また,提案手法について,ネットワークシミュレータns-3にAIを用いてネットワークを制御出来るよう拡張されたns3-aiを用いて検証する.
現在,無線LANのブロードキャストモードとして,IEEE 802.11bcの標準化が進められている.IEEE 802.11bcでのブロードキャスト通信はeBCS(Enhanced Broadcast Services)と呼ばれ,特定のエリアで多人数が同じコンテンツを共有する場面で適用されることが期待されている.IEEE 802.11bcでは,ACKを使用しない前提で議論が進められており,従来の無線LANのようにACKによって通知される通信成否情報に基づいてAPのレート制御を行うことはできない.無線LANにおけるAPの配置や伝搬環境はさまざまであり,それらに応じたレート制御が必要である.本稿では,我々が検討しているACKに基づかないeBCS APのレート制御フレームワークについて紹介する.本フレームワークでは,eBCS APはSTAがNon-eBCS APに送信するフレームを傍受し,そこから得た伝搬環境に関する情報に基づいてレート制御を行う.また通信成否がわかると仮定したシミュレーションでレート制御則を深層強化学習を用いて学習し,そのレート制御則を通信成否のわからない実環境に適用する.最後に提案フレームワークをブロードキャスト通信システムに適用し,スループットとSTAの受信成功割合を評価する.
従来,IEEE802.11ac等の無線LANにおける伝搬チャネル情報(CSI: channel state information)を利用する物体検知方式が提案されている.著者等は伝搬チャネルの周波数選択性を考慮した特徴量の選択方式(サブキャリア選択方式)として,周波数領域におけるインターリーブ型CSIクラスタリング方式を提案した.この方式はサブキャリア毎のCSIをインターリーブ状にクラスタ分割し,クラスタ毎に個別に機械学習を行うとともに,得られた結果を多数決判定することで総合的な物体検知判定を行うものである.本稿では,インターリーブ型サブキャリア選択方式の屋内環境における実時間での物体検知特性を実験的に評価し,有効性を検証する.さらに,アンテナ間隔が物体検知精度に与える影響を実験的に示す.
自動走行ロボットの動作状況に応じて通信経路を切替えることで,自動走行ロボット間の直接的な通信を低遅延で実現する無線LANマルチホップ方式を提案する.試作した無線モジュールでロボット間通信におけるRTT(Round Trip Time)を評価した結果,提案方式はロボット間の低遅延・高信頼伝送の実現に有効であることが示された.
休 憩(10:30 再開) 座長 山本高至(京大)
B-5-65 |
製造現場における移動体の無線LANローミング評価実験
○長谷川 淳・大堀文子・板谷聡子・松村 武(NICT) |
B-5-66 |
環境センシングを用いたAGVの無線品質診断に関する一考察
○大堀文子・板谷聡子・長谷川 淳・大須賀 徹・松村 武(NICT) |
B-5-67 |
固定無線回線におけるパケット巡回廃棄による帯域制御の一検討
○永瀬文昭・吉岡正文・宮城利文(NTT) |
B-5-68 |
位相調整ステップに対するプレビームフォーミング制御方法の特性評価
○菅 瑞紀・伊藤耕大・新井拓人・白戸裕史・北 直樹(NTT) |
B-5-69 |
Energy Consumption and Outage Probability Trade-off for Partial-Lossy-Forwarding Relay Systems
○Yanchen Wang(Benext solutions)・Jiguang He(Univ. of OULU)・Tadashi Matsumoto(IMT-Atlantic Univ.) |
製造現場ではAutomated Guided Vehicle(AGV)と呼ばれる自動搬送車やスタッカークレーンのような移動ロボットなどが無線LANにより制御されている.これらの移動体の制御を安定的に継続するために,移動する際、無線LAN APを切り替えながら接続を維持する必要がある.本稿では、無線LANの切り替え(ローミング)性能を評価する実験結果について報告する.
製造現場では自動ロボットを用いて省力化・省人化する動きが活発化しており,搬送設備として AGV(Automated Guided Vehicle)と呼ばれる移動体が用いられているが,無線LANの切り替え(ローミング) の課題により,通信環境が悪化しても,質の悪い無線リンクと通信を続けてしまい通信品質が劣化してしまう場合があり問題である.本稿では,AGVの模擬環境を使用して,周辺のSensorの情報をもとに通信端末外から無線品質の劣化を診断できるかを検証した結果について報告する.
Covid-19緊急事態宣言を契機に遠隔会議や動画視聴の機会が増え,通信量が急増した.その結果,通信帯域の逼迫,バックボーンの負荷増大によるサーバー処理,転送処理能力オーバーによる通信混雑や障害の発生が増えた.通信量増加による通信障害発生防止には帯域制御が有効である.本稿では安定したパケット通信を提供できる固定無線回線の利用率を向上する帯域制御技術を報告する.
RoF (Radio over Fiber) を用いた無線通信システムではRRU (Remote Radio Unit)簡易化の観点から遠隔ビームフォーミング (BF) が望ましい.我々は既存の遠隔BFの課題を解決する波長固定BF手法および光ファイバの波長分散に起因するビーム崩れを低減するプレBF制御方法を提案している.本稿では波長固定BF手法におけるプレBF制御方法の位相調整ステップがビーム性能に与える影響を評価する.
Lossy-forwarding relaying can improve transmission reliability and expand communication coverage. However, the relay always forwards its received information sequence to the next hop, even though it may contain severe decoding errors, which results in a waste of energy. Thus we propose the idea of introducing a threshold on the instantaneous received signal-to-noise ratio (SNR) at the relay. That is, the relay forwards the information sequence only when the instantaneous received SNR is above the predetermined threshold. This is entitled as the partial-lossy-forwarding (PLF) system. We study the trade-off between energy consumption and outage probability for the PLF systems by carefully choosing the SNR threshold.
9月17日 13:00〜15:30 Meeting 12 座長 牟田 修(九大)
B-5-70 |
可変タップ長FIRビーム形成を用いた広帯域シングルキャリアMIMOシステムにおけるPAPR削減
○栗山圭太・福園隼人・吉岡正文・宮城利文(NTT) |
B-5-71 |
GAN-based Denoising for Channel Estimation and DNN-based Joint Design of Beamforming and Phase Shifts in the IRS-aided MISO System
○Siyuan Yang・Tomoaki Ohtsuki・Mondher Bouazizi(Keio Univ.) |
B-5-72 |
帯域内全二重無線システムにおける送受信アンテナ間の自己干渉についての研究(その2:広帯域ホーンアンテナの場合)
○李 可人・趙 欧・廖 偉舜・松村 武・児島史秀・原田博司(NICT) |
B-5-73 |
全二重通信システムにおけるデジタルキャンセラ方式の性能評価
◎多和田基史・太田喜元(ソフトバンク) |
B-5-74 |
時空間送信フィルタを用いた下りリンクNOMAにおけるシンボルオフセットの効果
◎倉山智成・宮嶋照行・杉谷栄規(茨城大) |
近年,PAPR特性が優れているSC方式を採用する広帯域MIMOシステムの検討がされている.一方,プリコーディングによる送信ビーム形成を行う場合は,複数ストリームの信号合成およびウェイト乗算によってPAPRが増加するため,増幅器の非線形歪みによるBER特性劣化が生じる恐れがある.本稿では,FIR送信ビーム形成を行う広帯域SC-MIMOシステムにおいて,可変タップ長FIRビーム形成を用いたPAPR削減法を提案する.シミュレーションにより,提案法がPAPRを抑制し,BER特性を改善させることを示す.
Intelligent reflecting surface (IRS) can improve the communication quality by smartly change the reflecting phase of the incident radio waves. However, because of the large number of passive elements, the channel estimation and phase shifts design for IRS-aided communication system are two challenge problems. In this report, we propose a low-complexity method based on deep learning to estimate channel and jointly design the beamforming at base station (BS) and the phase shifts in the IRS-aided MISO system.
本稿では、帯域内全二重(In-band Full-Duplex: IBDF)無線システムにおける送受信アンテナ間の自己干渉(Self-Interference: SI)について、広帯域ホーンアンテナを用いた場合のアンテナ間距離特性、周波数特性等の測定結果を報告する。
同一周波数帯域および同一時間に送受信を行う全二重通信(FD:Full Duplex)はFDDやTDDに比べて,周波数利用の高効率化と低遅延の実現が可能な重要技術である.エリア拡張のための中継通信や,無線バックホール回線などに用いられる2局間通信,基地局―端末間の通信に適用することができるが,送受アンテナ間の回り込みが発生するため対策が必要となる.
本研究では中継通信をモデルとして,デジタル信号処理による干渉キャンセル(DIC:Digital Interference cancellation)として有効な方式をシミュレーションにより性能を評価した.
本発表では,周波数選択性通信路における下りリンクNOMAのためのユーザ間干渉(IUI)低減法を提案する.
提案法では,基地局に設置した時空間送信フィルタにより符号間干渉を低減し,さらにユーザごとに異なるシンボルオフセットを導入した送信信号を多重することでIUIを低減する.
提案法は従来のNOMAに比べて,ユーザ間干渉が低減されることと通信容量が大きくなることを示す.
休 憩(14:30 再開) 座長 村岡一志(NEC)
B-5-75 |
Sigfox通信に伴うエネルギー消費の実験的解析
中嶋佑斗・○山崎悟史(沼津高専) |
B-5-76 |
UAVによる位置推定及び推定位置に基づくアレイアンテナによる干渉低減に関する検討
○熊田遼汰・安達宏一(電通大) |
B-5-77 |
パケット型インデックス変調における適応的ビットマッピング手法の検討
○鈴木康介・安達宏一(電通大) |
B-5-78 |
IoT向け広域無線LAN IEEE 802.11ah における複数帯域幅チャネル選択技術
○篠原笑子・淺井裕介・鷹取泰司(NTT) |
本稿ではアンライセンスLPWAのSigfoxを地域農業で利用することを想定し,無線通信(アップリンクおよびダウンリンク)に伴う消費エネルギーのメカニズムを実験的に解析し,簡易にセンサノードのバッテリー寿命値を見積れる実験的近似式を確立する.さらに,得られた近似式を用いて,具体的な利用を想定したときのバッテリー寿命値を示す.
近年,モノのインターネットの発展に伴い,省電力広域ネットワーク(LPWAN)が注目されている.
これらの規格では,簡易な端末構成である事が多いため,送信制御が困難であり,パケット衝突が頻繁に発生する.
一方,無線通信機能を搭載した無人航空機(UAV)をLPWANに導入する研究が盛んに行われている.
しかし,多くの場合,UAV-端末間は見通し内チャネルとなるため,複数端末が同時に信号を送信した場合,非常に大きな干渉が発生する.干渉低減の方法として,UAVが端末に接近することや,UAVに複数アンテナを具備し,所望信号に指向性を向ける事が挙げられる.
これらを実現するには端末の位置情報を知る必要があり,多くの文献では端末の位置情報が既知と仮定している.
そこで,本稿ではUAVを用いた端末の位置推定,及び推定位置に基づいた接続性について,端末位置が既知の場合との比較する.
近年,IoT (Internet-of-Things) の発展に伴い,省電力広域無線ネットワーク (LPWAN: Low Power Wide Area Network) が注目されている.筆者らは以前,LPWANの一種であるLoRaWAN (Long Range Wide Area Network) において,周期的に生成されるデータに着目した,パケット型インデックス変調 (PLIM: Packet-Level Index Modulation) を提案した.LoRaWANは,アンライセンスバンドを使用しているため,特定の周波数チャネルにおいて他システムからの干渉が大きくなる可能性がある.その場合,干渉によるパケット損失を回避するため,その周波数チャネルの使用を避ける必要がある.本稿では,禁止周波数チャネルが与えられた時に,利用可能な周波数チャネル・時間スロット (リソース) を最大限に利用することでパケット衝突を回避するための,情報ビット系列からリソースへのマッピング手法を提案する.
IEEE 802.11ah(以降,11ah)は日本国内でも制度化が進められており,免許不要帯である920MHz 帯での活用が期待されている.他方で,隠れ端末やさらし端末によるスループット劣化が課題となる.この問題の解決策としてチャネル選択技術を提案しているが,検証ではチャネル帯域幅は一つしかなかった.本稿では,複数の帯域幅のチャネルの中から最適なチャネルを選択した場合の効果について計算機シミュレーションで検証する.
B-6. ネットワークシステム
9月14日 9:00〜11:30 Meeting 14 座長 笹部昌弘(奈良先端大)
B-6-1 |
パケットサンプリングからの非圧縮映像ストリーム可視化
○山口拓郎・持田康弘・白井大介(NTT) |
B-6-2 |
アプリケーション指向ネットワークの実現に向けた細粒度トラヒック識別制御方式の検討と実装
○武井勇樹・中務諭士・西口雅人・大西浩行(NTT) |
B-6-3 |
アプリケーション指向ネットワークの実現に向けたIn-network型マルチパス通信の実現方式の検討と実装
◎西口雅人・中務諭士・武井勇樹・大西浩行(NTT) |
B-6-4 |
4K映像配信におけるバッファ容量に基づくレート制御の性能評価
○佐野優斗・魏 博(早大)・宋 航(東大)・甲藤二郎(早大) |
B-6-5 |
リアルタイム動画配信におけるビットレート選択粒度に関する一検討
◎速水祐作(NICT)・虻川翔哉・山本 幹(関西大) |
放送設備における伝送容量の不足を受け、イーサネットを介したIP 映像伝送への移行が進んでいる。
IP 伝送はネットワーク上の状態要素増加による管理・運用の難化しており、一例として、どのコンテンツがどの経路をたどるかの把握が難しい。本論文ではネットワーク状態監視として、ネットワークを流れる映像ストリームの可視化を考える。課題として、ネットワーク内のストリームパケットをそのまま複製するためには膨大な通信容量・CPU 処理を必要とする。これを解決するため、伝送時にトラヒック容量より狭い帯域を通過させることでパケット欠損を起こし、残るパケットのみから伝送ストリームよりも低解像度なサムネイル画像生成することでストリーム可視化を行う。
市販ルータとプログラマブルスイッチの組み合わせによる,より細かい粒度でのトラヒック識別方式を提案する.提案方式についてエントリ数の観点から比較評価を実施した.
近年のネットワークアプリケーションの多様化に伴い,アプリケーションを意識したネットワーキングの期待が高まっている.例えば,5Gにおけるネットワークスライシングでは,個々のアプリケーションごとの帯域や信頼性といった要件をネットワークが提供することを求められるが,従来の転送制御だけでは対応が難しい.そこで本稿では,著書らが提案した手法に加えて,帯域の増速や信頼性の向上を目的とした,市販ルータ・プログラマブルスイッチ・マルチパス通信プロキシの組み合わせによるIn-network型のマルチパス通信を導入することを検討し,実装した結果について述べる.
近年、モバイルデータトラフィックは爆発的に増え続けており、中でもビデオトラフィックが占める割合が大きくなっている。加えて、ユーザーのビデオ品質に対する要求も高くなっており、より高品質な映像を配信するために適応的にレート制御を行う必要がある。本研究は、バッファ容量に基づく適応レート制御を行うBBA0アルゴリズムとBBA1アルゴリズムを使い、4Kを含む映像配信においても安定したパフォーマンスが得られることをシミュレーションにより示している。
本稿では,リアルタイムビデオストリーミングにおける Common Media Application Format (CMAF) 技術の基礎評価を行い,セグメント単位・チャンク (セグメントを更に細分化したファイル)単位でビットレ ート選択をする方法を比較評価し,ビットレート選択粒度 がユーザ体感品質(QoE: Quality of Experience)に与える影 響について検討する.帯域変動データセットを用いた性能 評価により,帯域が変動する環境と安定した環境における それぞれの特性を評価し,セグメント単位と比較して,チ ャンク単位で細かくビットレート制御する方式が,リアル タイム配信においては優れた性能を発揮することを示す.
休 憩(10:30 再開) 座長 坂野遼平(工学院大)
B-6-6 |
ICN における遅延メトリックに基づく経路制御手法の基礎特性評価
◎香川敦史(北九州市大)・伊藤友輔(東京理科大)・古閑宏幸(北九州市大) |
B-6-7 |
情報指向ネットワークにおける複数コンテンツ属性に対するキャッシュ基礎特性評価
◎△合澤勝之(北九州市大)・伊藤友輔(東京理科大)・古閑宏幸(北九州市大) |
B-6-8 |
ICNの共通鍵暗号を用いたアクセス制御方式の性能解析
◎深川悠馬(福岡大)・上山憲昭(立命館大) |
B-6-9 |
ICNにおける運用コストを考慮した非協調型キャッシュ手法の提案
○和田一真・佐藤寧洋(阪電通大) |
ICNではネットワーク内を流れるチャンクはCR(Content Router)によってキャッシュされる.ICNの特性上,同一チャンクが複数のCRに存在する状況が存在する.こうした場合,多くの研究ではホップ数をメトリックとしてルーティングを行っている.
しかし,ICNにおけるルーティングメトリックは効率的なチャンク取得のためにも,ホップ数だけでなくCR間の遅延や変化するネットワーク全体の状況から決定される必要がある.そこで,ICN環境のシミュレータndnSIMではASF-Strategyという遅延メトリックに基づいた経路制御手法が実験的に実装されている.本研究では,ASF-Strategyの特性についてプローブ間隔を変化させたシミュレーション評価を行う.
近年コンテンツを識別子とし,効率的な流通を図るICN(Information-Centric Networking)が注目されている.
ICNでは,中継ノードであるCR(Content Router)がキャッシュ機能を持ち,それぞれのCRが置換/配置を行いキャッシュする.
キャッシュの利用効率を高めるため,アルゴリズムによる取捨選択が重要である.
様々な特性要素を持つコンテンツがネットワーク上で要求された場合,どの手法が有効か調査するために,
本研究ではコンテンツごとに考えられる特性要素をコンテンツの持つ属性とし,属性ごとにコンテンツの分類を行う.
その後,複数のコンテンツ属性が要求された際のキャッシュ特性について明らかにする.
ICN (information-centric networking)が,コンテンツを効率的に転送するネットワークとして注目されている.従来インターネットでは,コンテンツ事業者(Publishser)によるアクセス制御が可能である.しかしICNではルータで要求コンテンツがキャッシュされている場合,ルータから配信されるためPublisherがアクセス制御を行うことは困難であることがわかる.そこでアクセス権を有する全てのユーザ(consumer)に鍵を配布し,アクセス制御をする一括鍵配布方式があるが,鍵に関する問題点があり,そこで著者らは要求コンテンツに先立ちConsumerから鍵を要求し,その要求を常にPublisherへと到達させることで,Publisherにてアクセス制御を可能とする方式を提案した.
情報指向型ネットワークでは、ネットワーク内に情報のキャッシュを保持し、情報を必要とするユーザから一番近いキャッシュからダウンロードさせる網内キャッシュが考えられている。ユーザからのリクエストの状況に応じて効率的にダウンロードさせるためには、どのルータが、どのコンテンツを、どのくらいの期間キャッシュとして保持すべきかなどを明らかにする必要がある。ルータ間でキャッシュの情報交換を行う協調型と行わない非協調型がある。本稿では、ICNの実装の一つであるNDNにおける効率的な網内キャッシュ方法について検討する。また、実際の導入・運用コストを考慮したキャッシュ方法について検討する。
9月14日 13:00〜16:45 Meeting 14 座長 中平佳裕(OKI)
B-6-10 |
高精度時刻同期のオープンソースソフト実装とその性能評価
◎坂口尚駿・富澤俊明・永井幸政(三菱電機) |
B-6-11 |
ユーザ収容柔軟化システムにおける収容替え先制限方法の検討
◎岩橋宏樹・西口雅人・金澤俊之・柴田貴博・中務諭士(NTT) |
B-6-12 |
通信サービス監視システムの精度向上に関する検討
○山内啓嗣・崔 帥・木下貴裕・須藤 剛・中辻康幸(ソフトバンク) |
B-6-13 |
計算機・NW一体型リソース制御のためのTSN・コンテナオーケストレータ統合管理手法の提案
○東 信博・岩澤宏紀・木津貴秀・益谷仁士・桑原 健(NTT) |
B-6-14 |
CRAMエラーの故障波及の対処方法の比較検討
◎舘野瑞樹(NTT) |
近年の測定や制御システムの高精度化に伴って、汎用装置に時刻同期クライアントを実装することで精度よく測定やログ取得できることが求められている。そこで適用可能なOSS(Open Source Software)を調査した結果、「linuxptp」というSWが最新のネットワーク時刻同期プロトコルであるIEEE802.1ASに対応していることが分かった。そこで2台の汎用機器(Linux PC)にこれを実装した上で相互接続性および時刻同期精度を評価した結果、誤差±340us未満と、NTP以上の時刻同期精度が得られることを確認した。
IPネットワークにおいて,ユーザを収容するエッジルータやLAGといった収容位置を一時的に変更する収容替えを実現するコンフィグ投入サーバがある.収容替えの際,エッジグループと呼ばれるユーザからIPリーチャブルなエッジ群から収容替え先を選定する.この時,投入サーバから見て選定可能な収容位置と,外部システムや保守者から見て選定してほしい収容位置の範囲が異なる場合がある.このような制限を事前に設計しきることは難しく,運用後にも要件変更へ柔軟かつ効率的に対応できる必要がある.本稿では,エッジグループでの収容位置の管理に加えて,さらにその配下で収容位置の制限が出てきた場合の,追加制限の管理方式を検討し,評価結果をまとめている.
従来の通信サービス監視方式において,加入者拠点に設置する装置のWANアドレスに対するPING ポーリング監視が一般的であるが,死活監視のみであるため,サービス断アラームを知得した後に,故障原因特定を手動で行う必要がある.また,ユーザ機器への負荷の上昇を懸念し,監視間隔を短くすることが難しい.これに対し,情報開示精度および監視精度の改善を検討し新方式の提案を行った.
近年の5G,6G 等の通信技術の進展と共に,Cyber-Physical System(CPS) の具現化に向けた検討が進められている.その中で,従来ローカルに閉じて提供されていたリアルタイム性が求められる産業機器制御等のアプリケーションをエッジクラウド上の処理基盤に配置しネットワーク(NW) 越しに制御するアプローチが検討されている.
このアプローチでは,計算機・NWを含めた,一体的なリソース排他制御によるリアルタイム性の担保が課題となる.
本稿ではコンテナオーケストレータであるKubernetesベースの処理基盤内において,通信リソース排他制御にTime-Sensitive Networking(TSN) を利用することを前提とした,計算機・NW 一体型のリソース制御実現方式を検討する.
半導体デバイスの高性能化に伴う微細化、高集積化により、宇宙線由来の中性子線等が引き起こすソフトエラーが課題となっている。一般に、ソフトエラーは、装置にECCといった機能を付与することで誤り検出・訂正を行い、修復できる。しかし、FPGAのCRAMのエラーは誤り検出・訂正機構があっても、誤り検出・訂正が完了する前に処理が行われ、装置の故障に波及することがある。この課題に対して、CRAMのエラーの検出を契機として、故障からの回復を早める対処、または、装置の故障発生に至ることを抑制する対処方式を提案する。本発表では、4種類の対処方式を説明し、それらの特徴を比較する。
休 憩(14:30 再開) 座長 篠原悠介(NEC)
B-6-15 |
TSNアプリケーションのための受信側遅延制御方式の提案
○木津貴秀・岩澤宏紀・東 信博・益谷仁士・桑原 健(NTT) |
B-6-16 |
加入者収容装置における試験効率化に関する方式検討
○佐藤教之・古屋貴行(NTT) |
B-6-17 |
高精度ネットワーク時刻同期プロトコルの同期精度評価
◎田尻祐介・松下竜真・谷口幸子・山内尚久(三菱電機) |
B-6-18 |
マルチテナント環境におけるコンテナ間TSN調停方式の提案
◎岩澤宏紀・東 信博・木津貴秀・益谷仁士・桑原 健(NTT) |
近年,スマート工業の分野において製造機器間で発生する多様なデータ通信を低コストに実現するために、遅延保証を行う技術であるTSNが注目されている。本研究では,受信端末に遅延制御部を設けることで、受信したEthernetフレームの周期補正を可能とし、送信端末のアプリケーションから送信されたEthernetフレームが、受信端末のアプリケーションへ届くまでに生じるジッタを低減する方式を提案する。
加入者収容装置は多数の加入者線を終端し、集線して上位装置に接続する機能を有するため、上位装置と接続するインタフェースの数は少なく、試験は容易である。対して、加入者線を終端する回線終端装置は多数搭載可能であることから、集線装置とこれらの装置を接続するインタフェースの数は多く、該当部分の試験の効率化が加入者収容装置全体の試験の効率化に大きく寄与する。本稿では該当インタフェースの試験の効率化について方式検討の結果を示す。
高精度ネットワーク時刻同期プロトコル(IEEE 802.1AS)において、クロックに依存した誤差が同期精度に与える影響を実機で検証した。時刻配信装置に対して、時刻同期プロトコルをハードウェア実装したレイヤ2スイッチを10台直列に接続し、時刻配信周期を変化させて同期精度を測定した。その結果、タイムスタンプの打刻誤差および時刻配信間のクロックの揺らぎが主な同期誤差の要因となることが分かった。また、前者の要因により生じる同期誤差の範囲は一定で、時刻配信周期(自走時間)の延伸に伴い、後者の影響が支配的になることを示した。
超低遅延・低ジッタサービスを柔軟に提供するためには、仮想化されたマルチテナント環境での動的なサービス追加・削除ができる必要があり、既存の遅延保証技術であるTSNの利用が有効である。本研究では、物理サーバを共有する複数コンテナ間のトラヒックに対し、TSNの時分割スケジュールと同期する受信制御を行うことで、物理サーバ内部のジッタ削減を行う方式を提案する。
休 憩(15:45 再開) 座長 井原 武(NTTドコモ)
B-6-19 |
広域多端末RDMAデータ収集のための通信パス利用制御方式の検討
◎津上諒平・福井達也(NTT) |
B-6-20 |
Amazon EC2スポットインスタンスの価格分析
○片山太輔・磯部元輝・小板隆浩(同志社大) |
B-6-21 |
サーバシステム構築トレーニングシステムの学習効果向上方式について
○山口拓実・北村光芳・竹下敏和(東京工芸大) |
B-6-22 |
サーバシステム管理用ファイル共有システムの開発について
○竹下敏和・北村光芳・山口拓実(東京工芸大) |
センシングデータを活用して新たな価値創造するデータセントリックコンピューティング実現に向け、広域に多数配備されるデータソースからコンピューティング拠点へデータを収集する必要があるが、データ受信の際のCPU処理がボトルネックとなって通信性能が低下する可能性がある。
そこで、CPU処理負荷を回避できるRDMAによるデータ転送を行う。RDMAでデータ転送を行うためには、ロスレス・広帯域なネットワークが必要であることから、広域なネットワークにおいてロスレス・広帯域な通信を実現する通信パスを多数のデータソースで利用する際の制御方法を提案する。
Amazonが提供するAmazon EC2は,クラウド上にサーバを構築するサービスである.Amazon EC2の利用方法として,スポットインスタンスが注目されている.スポットインスタンスの価格はAmazonによって設定され,長期の需要傾向に基づいて動的に変化する.本研究では,予測が困難であるスポットインスタンスの価格変動をオンデマンドインスタンスの価格を基に分析することを目的とした.スポットインスタンスが低価格で継続的に利用できることを示した.
我々の生活にとってインターネットサービスは必要不可欠なサービスとなり,IT技術は更なる発展が予想される.しかし,それらを支えるIT人材の不足が問題となっている.そのため,エンジニアの育成が急務となる.そこで,サーバエンジニアの研修(LPICレベル1相当を対象)やサーバ構築関連の職種を目指す学生などに対し,サーバシステム構築のみに焦点をあてた低コストで運用可能なサーバシステム構築トレーニングシステム(SSCTS)の開発が行われている.SSCTSではサーバ仮想化技術とVirtual network computingを採用し,1台のサーバで複数のユーザが同時にトレーニングを行うことを可能としている.本報告では,SSCTSにおける学習効果向上方式の提案およびWebとFTPサーバの構築を例とした,実験方法の検討を行う.
近年,コロナウイルスの感染拡大による在宅時間の増加に伴い,インターネットを利用した様々なサービスの需要が非常に高まっている.このようなサービスを効率的に提供するには,サーバの最適な運用が必要不可欠である.そのため,高可用性かつ省電力化を実現するサーバシステムの構築法の検討は非常に重要となる.このようなサーバシステムでは,管理用のファイルなどを共有する必要があり,Fileサーバに依存する問題を有している.そこで,この問題を解決可能なファイル共有として,世界的に有名なrsyncを採用できないため,特定の管理システムに特化した同期的編集方式が報告されている.しかしながら,ファイルの編集のみに対応しており,追加や削除には対応していない.そのため,本報告では,汎用性を考慮したサーバシステム管理用ファイル共有システムについて提案する.
9月15日 13:00〜17:00 Meeting 14 座長 小島英春(阪大)
B-6-23 |
ブロック伝搬時間を短縮するブロックチェーン隣接ノード選択
○松浦 洋・後藤良則・佐尾英博(NTT) |
B-6-24 |
車両遠隔監視における基地局介入型映像伝送手法
◎加藤耕平・須藤克弥(電通大) |
B-6-25 |
クラウドゲーミングシステムの低遅延化に向けた映像伝送手法に関する一検討
◎石岡卓将(阪大)・椎名亮太・福井達也・小野央也・藤原稔久・谷口友宏(NTT)・藤橋卓也・猿渡俊介・渡辺 尚(阪大) |
B-6-26 |
クラウドゲーミングにおける応答遅延の実験的評価
◎岡出紳太朗・石岡卓将・藤橋卓也・猿渡俊介・渡辺 尚(阪大) |
ブロックチェーンはビットコインに代表される仮想通貨のプラットフォームとして広く使われている。我々はブロックチェーンネットワーク(NW)の各ノードが直接ブロックを送信するOutbound隣接ノード中の地域外ノード数を一定、且つ少数に保つことにより、ブロックのネットワーク全体への伝搬時間を短縮できることを示し、ブロックの伝搬時間を短くすることによりForkによる廃棄ブロック数が減ることも示した。本稿では各ノードがブロックを直接受信するInbound隣接ノード中の地域外ノード数上限値をOutbound隣接ノード中の地域外ノード数上限値と同一数に設定することにより、さらなるブロック伝搬時間の短縮が得られることを示す。
人が操作に介さないレベル4以降の自動運転車の安全性を保証するため,車両の遠隔監視技術の早期な確立が望まれている.しかしながら、高範囲なカバレッジを持つ移動体無線システムでは、ベストエフォート型であるため遅延保証をすることが難しい。従来手法では、車両-遠隔監視者間の観測通信品質に基づき解像度を適応制御する手法が検討されているが,通信品質が悪い車両については最小解像度でも通信遅延を担保することができない。そこで遠隔監視映像の厳しい遅延特性を保証するために、基地局が解像度制御に介入する新たな映像伝送手法について提案する.
ネットワークの高度化に伴って,クラウドゲーミングサービスへの注目が高まっている.
クラウドゲームとは,サーバ上で実行しているゲームを遠隔からプレイすることを可能とするサービスである.
本稿では,クラウドゲーミングで課題となる応答遅延の低減に向けた検討を行う.
ネットワーク技術の高度化とともに、クラウドゲーミングサービスへの注目が高まっている。クラウドゲーミングとは各ユーザ端末における 各種ゲーム処理を必要とせず、各ユーザ端末に対してサーバ上で実行しているゲーム映像を伝送することで、小型端末や携帯端末におけるゲーム体験を可能とするサービスである。5Gネットワークの広がりとともに、クラウドゲーミングの市場規模は4年間で約11倍の成長が見込まれている 。本稿では、クラウドゲーミングにおいて課題となるゲーム映像伝送の低遅延化に向けた検討を行う。
休 憩(14:30 再開) 座長 落合秀也(東大)
B-6-27 |
VRシステムにおけるE2E遅延低減に向けた初期的検討
◎岡本 翼・石岡卓将・相浦一樹(阪大)・椎名亮太・福井達也・小野央也・藤原稔久・谷口友宏(NTT)・藤橋卓也・猿渡俊介・渡辺 尚(阪大) |
B-6-28 |
触覚情報の低遅延伝送に向けた初期的検討
◎北村翔吾・藤橋卓也・猿渡俊介・渡辺 尚(阪大) |
B-6-29 |
連合学習における教師データのプライバシー保護のための学習プロトコルの設計に関する一考察
◎増田大輝・北 健太朗・小泉佑揮・武政淳二・長谷川 亨(阪大) |
B-6-30 |
Attribute relation extraction towards generating automatic network policy definition
◎Nakul Ghate・Shohei Mitani・Taniya Singh・Hirofumi Ueda(NEC) |
360 度映像を用いた Virtual Reality (VR) システムにおいては 360 度映像の撮像から表示にいたるまでの Event-to-Eye (E2E) 遅延がユーザの体感品質に大きな影響を与えることが知られている .本稿では,VR システムにおけるE2E の削減を見据えて,現行のVR システムを構成する機器やソフトウェアによる E2E 遅延を実験評価する.
ネットワーク技術の発展とともに高精細映像と対応する音情報を利活用する Virtual Reality (VR) に対する需要が娯楽,教育,医療など
の分野において高まっている.多様な分野への VR サービス展開が進むにつれて,映像情報や音情報から得られる視覚情報・聴覚情報だけで
なく,触覚情報・味覚情報・嗅覚情報に挙げられる Multiple Sensorial Media (MulseMedia) を効率的に圧縮・伝送する技術が注目を集めている.本稿では VR クラウドゲーミングシステムを一応用例として考え,Mulsemedia の一種である触覚情報の伝送についてその課題と低遅延化に向けた伝送手法について検討する.
ユーザが所有する教師データの漏洩を防ぐため、教師データを渡さずに、ユーザ自身で共有モデルを更新し、共有モデルとの差分をサーバへ提供する連合学習が提案されている。しかし、差分から教師データを推定できる問題がある。本稿では、差分を隠蔽しつつ連合学習を行うプロトコルの要求条件と要求条件を満たすアプローチを説明する。
Access control management in large scale and dynamic network environment is problematic. In this study, we propose an architecture and algorithm to combine attributes based on relation extraction. It automatically refines the policy and is useful to automatically generate access policy. We achieved very low storage cost and update time of about 1 second to execute the algorithm over 1000 attributes with 10 elements each and 5 attributes with 2000 elements each, offering a potential for large-scale networks.
休 憩(15:45 再開) 座長 近堂 徹(広島大)
B-6-31 |
LoRaWAN/Sigfoxを活用したIoTシステムの開発とシステム評価
○山口一弘(諏訪東京理科大)・井口敦司(イデアシステム)・松江英明(諏訪東京理科大) |
B-6-32 |
有向グラフデータモデルによる工場機器メタデータ管理手法の提案
◎久恒泰地・伊藤大輔・村中延之・礒田有哉(日立) |
B-6-33 |
深層学習を用いた D2D キャッシュ制御方式
◎常清睦与(福岡大)・上山憲昭(立命館大) |
B-6-34 |
ネットワーク特性を考慮したモバイルタイルドディスプレイ構成の提案と実装
◎村上洋希(広島市立大)・近堂 徹(広島大)・前田香織(広島市立大) |
B-6-35 |
MANETにおける通信半径最適化による消費電力の低減法
○源田浩一(日大) |
様々なモノからの情報を集約するIoT(Internet of Things)では,低消費電力・長距離無線伝送が可能なLPWA(Low Poower Wide Area)通信規格が積極的に活用されている.
低速な通信速度ではあるが,伝搬路の見通し次第では10kmほどの無線通信が可能となるため,小容量のセンシングデータなどを伝送するシーンでは広く利用されている.
本研究では,LPWA通信規格のうちLoRaWANとSigfoxを活用したIoTシステムを開発し,それらの特性評価を実フィールドにおいて実施した.
近年製造業ではIoT導入による製品トレーサビリティ実現が進んでいる。同一生産ラインで多種製品を製造する混流生産対応の製品トレーサビリティ実現に向け,稼働情報と主機の稼働順序及びネットワーク構造(以下メタデータ)の逐次結合基盤を検討した.従来製造ラインの変更が少ない工場では関係モデルによるメタデータ管理が主流であったが,混流生産対応のためには再帰的なクエリ発行が逐次結合処理における遅延要因となった.本提案では工場主機をノード,メタデータをエッジ化した有向グラフデータモデルを構築し最小限の再帰処理とすることでクエリ発行回数を削減し目標処理時間を達成した.大規模工場で本基盤適用を見込む.
移動端末で動画を視聴する形態が一般化したことで,セルラネットワーク(CN: cellular network)のバックホールのトラヒック負荷の急激な増大が懸念されている.そこで,負荷を軽減する方式として,D2D(device-to-device)通信で配信することが有効である.そこで本研究では,深層学習を用いて コンテンツの需要を推定することを D2D キャッシュ配信に応用 し,LSTMを用いて, 移動先での MT が要求する可能性の高いコンテンツを推 測し,MT にキャッシュするコンテンツを選択する方式を提案 する.そして著名映画 10 タイトルに関するキーワード検索回数をもとに時系列なデータセットを 作成し学習することで,提案方式の需要推定部分の有効性を確認する.また,異なる地点での時系列データに対し,ある地点のデータを用 いて構築した学習モデルを適用することで学習モデルの汎用性を確認する.
モバイルタイルドディスプレイ(MTD)は,複数のモバイル端末を用いて1つの大きな仮想ディスプレイを実現する技術である.MTDでは,画面同期に関する研究が多く行われている.著者らは,属性ベース暗号を用いて,MTDの参加条件をポリシーとして定義し,構成端末を動的に制御する手法を提案してきた.しかし,端末の画面配置に関しては考慮されておらず,端末の性能・機能差やネットワーク遅延の差が同期処理に影響を与える恐れがある.本研究では,端末特性やネットワーク特性を考慮して端末の画面構成を制御する手法を提案する.開発システムの評価実験では,本手法の導入によるオーバーヘッドの測定と主観評価のための視聴アンケートを行い,本手法による効果を実証した.
IoTやモバイル端末間で一時的にネットワークをつくり出すモバイルアドホックネットワーク(MANET)を積極的に活用することが益々重要になってきている. IoTやモバイル端末はバッテリー駆動のものも多いため, 消費電力の低減は大きな一つの課題である. 本稿では,Hellメッセージとデータの送信電力バランスを考慮しそれぞれの通信半径を最適に制御することで消費電力を低減する方法を提案し,その効果を明らかにした.
9月17日 10:30〜11:30 Meeting 14 座長 谷川陽祐(阪府大)
B-6-36 |
ローカル5Gと既設ネットワークの相互接続における通信制御技術検討
◎大沼晃浩・大石裕司・眞下大輔・高瀬誠由(日立) |
B-6-37 |
ローカル5Gの社会インフラ適用に向けた一検討
○髙瀬誠由・石野正典・大石裕司・三村 和・三宅貫太郎(日立) |
B-6-38 |
低遅延通信に向けた5Gモバイルコアの拡張に関する一考察
○長野知幸・北辻佳憲(KDDI総合研究所) |
B-6-39 |
Beyond 5Gの実現に向けた仮想化エッジクラウド基盤
◎中里 仁・朽津光広・南里将彦・久住 仁・益子 宗(楽天モバイル)・丸田一輝・阪口 啓(東工大) |
ローカル5Gがスマートファクトリーなどの用途で注目を集めている。ローカル5Gは既設ネットワークから分離し敷設されることがある。一方で既設ネットワーク内には様々なシステムが稼働している。そのためローカル5Gから既設ネットワーク内システムの利用需要が存在する。本稿では、ローカル5Gと企業ネットワークの接続課題としてセキュリティ規定のギャップに着目し、トンネリング技術を利用した通信制御技術を提案する。
高速,高信頼,低遅延かつセキュアな無線通信網を任意の場所に構築できるローカル5Gの免許申請が2019年12月から開始して以来,製造,鉄道,ビル,電力などの社会インフラでの利活用に向けた原理検証プロジェクトが進められている。社会インフラでは通信品質要件の異なる様々なアプリケーションが収容されることになる。そこで、本稿では社会インフラに要求される通信品質を満たすローカル5Gネットワークのアーキテクチャについて述べる。
5Gではユーザー通信(データ・プレーン処理)の高速・低遅延化が進み,次世代となるBeyond 5G(以下B5G)/6Gでは更なる高速・低遅延化が見込まれる.通常,モバイルシステムにおけるデータ・プレーン送受信には通信路確立等のコントロール・プレーン(以下C-Plane)処理が必要である.特に,フィジカル空間とサイバー空間が密接に連携することが予想されるB5G/6G時代では,エンドツーエンドの通信遅延として1ms以下が求められていることからC-Plane処理にかかる時間も短縮化に取り組む必要がある.
本稿では,ユーザー通信の低遅延化に向けて,通信開始時に行うC-Plane処理の遅延を解消する手段を提案する.
世界各国にてサービス開始されている5Gでは,ミリ波帯等の先端技術が導入され, 特に5Gの高速化されたスループットが着目されている.しかし,サービスとしては未だ3G/4Gにおけるスマートフォンのプラットフォームが中心となっており,5G技術の特徴を十分に生かしきれているとは言い難い.一方で,次世代ネットワークとして,2030年代の無線・有線を含めた目指すべきネットワークとしてBeyond 5G(B5G)に向けた活動が,コンソーシアムの設立やホワイトペーパの公開等を通して世界中で盛んになっている.そのような状況下において,本研究ではB5Gに向けた、多種多様なサービスに対応可能な仮想化エッジクラウド基盤に関する開発を行う.本稿では,ターゲットの一つである仮想化エッジクラウド基盤における設計提案について報告する.
9月17日 13:00〜16:30 Meeting 14 座長 山崎 託(芝浦工大)
B-6-40 |
IEEE 802.11 ネットワークにおけるマルチエージェント強化学習を用いたバックオフ手法の提案
○中島 優・眞田耕輔・羽多野裕之・森 香津夫(三重大) |
B-6-41 |
市街地における未使用APの調査
◎小野彩華・田村 瞳(福岡工大)・塚本和也(九工大) |
B-6-42 |
畳み込みニューラルネットワークを用いた多端末・多基地局間の高速・高精度な通信品質予測手法
◎小野央也・坂上裕希・阿部拓也・成川 聖(NTT) |
B-6-43 |
Throughput prediction of mmWave for 5G network
Bo Wei・○Jiro Katto(Waseda Univ.) |
本研究ではマルチエージェント強化学習によるバックオフ手法を提案する.提案手法では,各端末に学習エージェントを搭載し, 自身の送信試行や周囲の端末の送信状況を観測して, 通信の衝突を回避しつつ,適切な送信機会を確保可能な送信確率を選択する.また, 利己的な選択を避けるために, 周囲の端末との公平性を考慮した報酬を設定する. これにより, スループットの向上と端末間の送信機会の公平性の両立を目指す.
市街地や公共交通機関などユーザーが多く集まる場所に敷設されている無線LANの中には、無線LAN子機が未接続で、利用されていない無線LANアクセスポイント(本研究では、未使用APと定義)が存在している可能性がある。本研究では、未使用APのビーコンによる他の無線LANへの通信性能の影響を調査する事前調査として、まず、2019年12月に実施された市街地における無線LANの普及/利用状況の調査結果を用いて、市街地における未使用APの調査を行った結果、約50%の無線LANが未使用でビーコンのみ発生させている状況であることがわかった。
近年の通信端末は、セルラ回線や複数の無線LANなど複数の通信回線から選択して通信が可能である。我々は基地局と端末群の接続パターンを最適化し、系全体の体感品質向上の検討を行っているが、短時間で高精度に最適化を行うためには、端末-基地局間の仮想の接続パターンに対する高速・高精度な通信品質予測手法が必要である。我々は昨年度、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いた、シミュレーションより高速かつ、数理モデルよりも複雑な回帰が可能な予測手法を提案した。本発表では、提案手法の原理確認を行った結果を示す。
The rapid development of mobile application causes the more and more massive network traffic. In order to guarantee high quality and service and quality of experience for good video services, it is important to control bitrate adaptively by predicting future throughput with high accuracy. 5G network has been deployed widely in human life. Thus, it is essential to predict future throughput of mmWave to forecast the future network conditions in advance.
休 憩(14:30 再開) 座長 滝田大介(三菱電機)
B-6-44 |
マルチホップHD-PLCにおけるブロードキャスト通信性能改善のためのトポロジ考慮型送信制御手法に関する研究
◎古濱佑樹・野林大起・塚本和也・池永全志(九工大) |
B-6-45 |
機械学習の汎化性能獲得のための特徴量選択に基づくRTPフロー分類手法の検討
○持丸雄匡(九工大)・妙中雄三(奈良先端大)・塚本和也(九工大) |
B-6-46 |
学習型インデックスに基づくFIBの高速な実装に関する一考察
○樋口俊介・武政淳二・小泉佑揮(阪大)・田上敦士(KDDI総合研究所)・長谷川 亨(阪大) |
B-6-47 |
DNにおけるネットワークスライス識別方法の検討
○中村孝幸・鳴海貴允・佐藤卓哉・中野寛二・岡田智広(NTT) |
HD-PLCは,電力線を用いて最大PHYレート240Mbit/sの高速通信を実現する通信技術である.長距離通信を可能にする手段として,マルチホップ技術を搭載したHD-PLCが開発されているマルチホップHD-PLCの用途の一つとして,ブロードキャスト通信によるデータ転送を用いるシステムが想定されている.しかし,マルチホップ網でブロードキャスト通信を行うとパケットの衝突が発生し,性能が低下するという問題点がある.
本研究ではHD-PLCの実機においてブロードキャスト通信の性能を測定し,性能を改善するため中継待機時間と最大受信数を設定する手法を提案した.シミュレーション結果から,提案手法により不要な通信を削減しつつパケットロス率を削減可能であることを示した.
アプリケーションの多様化に伴いQoEを活用したネットワーク制御が期待されている.
また,SDNを用いることで,アプリケーション単位の柔軟な制御を実現している.
QoE計算法はアプリケーションごとに標準化されているため,QoEに基づくネットワーク制御にはアプリケーション識別が欠かせない.
しかし,近年のペイロード暗号化によって直接的なアプリケーション識別が困難となったため,機械学習を用いた分類が検討されている.
本研究では,機械学習を用いたRTP動画フロー検出を環境非依存でするための特徴量検討を行う.
具体的には,OpenFlowを用いて異なる環境で訓練データとテストデータを生成し,環境が異なる場合でも高い検出率を実現できることを示す.
学習型インデックスは、データベースにおけるキーと対応するエントリの格納位置の関係を回帰モデル(モデル)で再現するデータ構造である。筆者らは、学習型インデックスをIP のFIB に適用した学習型FIB を実現した。学習型FIB は、モデルによって入力IP アドレスに対応するFIB エントリの位置を予測し、回帰モデルの予測の誤差を補正するために予測位置の周辺を探索する工程から構成される。学習型FIBの既存の実装を用いた場合、周辺探索の処理が検索時間の72%を占める。本稿では、この要因が分岐予測のミスによるものであることを示し、分岐のない高速な学習型インデックスを実装する手法を議論する。
3GPPではスライス識別子であるS-NSSAIを用いて,UE-5GC間の通信に割り当てるRANと5GCのリソース選択方法が規定されている.UEとAPPサーバの間でサービス品質要件を満足するためには,5GCとAPPサーバ間のDNにおいても,S-NSSAIと同一粒度で通信が属するNWスライスを識別し,割当リソース選択が必要となる.本稿では,DNのリソース選択のためのNWスライス識別方法を検討する.
休 憩(15:45 再開) 座長 佐藤丈博(京大)
B-6-48 |
通過リンク探査を活用したVXLANオーバレイトンネルトラヒック分散方法
○杉園幸司・宮本克真・加納浩輝・河野伸也(NTT) |
B-6-49 |
VLAN を利用したクライアントネットワークの切替手法
◎坂下峻昭・佐藤寧洋(阪電通大) |
B-6-50 |
サービスチェイン経路管理と隣接拠点数に関する一考察
○藤原貴之・中務諭士・渡辺裕太(NTT) |
地理的に分散した拠点サブネット間を VXLAN によるオーバレイトンネルで接続する際,転送容量向上のため複数経路へのオーバレイトンネルトラヒック分散が求められる.既存技術では当該トラヒックを転送するアンダーレイネットワーク ( アンダーレイ NW) 内のパケット転送装置が独自にトラヒックの出力先を決めるため,アンダーレイ NW 内の特定リンクへのトラヒック集中が生じる.本稿では分散先トンネルの通過リンク探索と線形計画法によるトンネル通過トラヒック量最適化を活用した拠点間トラヒック容量最大化手法を提案する.
IoT機器はネットワークに接続する場合初期設定が必要となる。多くの機器を取り扱う場合は運用コストが高くなる。ネットワークに接続されている機器の一括制御を行うことができれば運用コストを最小限に抑えることが可能である。本稿ではIEEE 802.1 Q準拠のTag-VLANを用いてネットワーク側から端末の所属ネットワークの制御を行う。結果として、ネットワークの切替を行い、Pingやaccess.logを用いて切替の確認を行った。
各種ネットワーク機能を連携させ,適切な順序でパケットを転送する仕組みとしてサービスチェイニングがある.サービスチェインを実現しやすいのは対応装置の多さから,フィルタ条件を用いた転送(以下,フィルタ転送)であると筆者らは考えている.
フィルタ転送では設定対象となるインタフェース情報の管理が必要であり,経路数に応じて情報量も膨大になる.運用の煩雑化を抑えるために情報量を抑制したいが,経路数と管理対象の情報量の間にどのような関係があるのかが明確ではなかった.本稿ではサービスチェイン経路設計時の指針として,拠点内経路数および拠点間の隣接状況により管理情報量を定式化できることを示す.
B-7. 情報ネットワーク
9月16日 10:15〜11:30 Meeting 14 座長 小蔵正輝(阪大)
B-7-1 |
End-to-Endオーバーレイネットワークに関する一検討
◎△鋒 幸洋・岡田真悟・小島久史(NTT) |
B-7-2 |
トラヒック情報を用いたIoTデバイス推定手法の提案
◎高崎智香子・郡川智洋・清水雅史・高谷直樹(NTT) |
B-7-3 |
機械学習を用いたネットワークノードモデリングに関する検討
◎郡川智洋・高崎智香子・清水雅史・高谷直樹(NTT) |
B-7-4 |
機械学習によるトラヒック分布予測に基づくバーストトラヒックに対応する経路制御手法の提案
○竹下絵莉奈・小杉友哉・山田友輝・森田章弘(NTT) |
B-7-5 |
クラウドネイティブアプリケーションに対するネットワーク負荷集中時のサーバ消費電力推定
◎藤田勝美・岩佐絵里子・金子雅志(NTT) |
コネクテッドカー等のIoT サービスの普及が進んでいる.このようなサービスの基盤として筆者らはこれまでLISP ベースのC-PlaneとSRv6 D-Planeを組み合わせたE2Eオーバーレイ技術についてこれまで検討してきた.本稿では,CPE-vCPEの通信形態に特化することでスケーラビリティ向上を実現する新たな方式を提案する.
近年、様々な業界でIoTデバイスが活用されている。IoTデバイスの出力情報のデータ形式はデバイスやメーカ毎で異なり、統一的な管理が難しい。本稿では、多数のIoTデバイスが接続されているネットワーク構成をより正確に把握するため、IoTデバイスの製造メーカや機能カテゴリ(例:カメラ,スピーカー)を推定することを目的として、IoTデバイスが送信するトラヒック情報のみからデバイスを推定する手法を提案する。
本稿では、ノードの内部構造や動作を考慮し、ネットワーク規模の増大に対して堅牢なネットワークモデリングに向け、ネットワーク内のあるノードの性能を機械学習により予測するネットワークノードモデリング手法を提案する。スループットに関する一次評価の結果、ノード実機測定結果と提案手法によるノードモデルの出力の間に相関がみられ、定常状態における提案手法の有効性を確認した。
トラヒックに対応する経路制御手法を提案する.従来手法と比較して,提案手法はバーストトラヒック時に経路変更回数を低減することを図る.
サーバの省電力化を目的とした制御技術ではサーバの消費電力や性能情報の監視により制御の判断が行われる. サーバ消費電力を把握するために消費電力の推定技術は重要である. 先行研究では機械学習を用いたサーバ消費電力推定モデルを構築しCPUやメモリ等にベンチマークで負荷をかけ, モデルが評価されていた. 本研究では先行研究で未検討であった「ネットワーク I/O が頻繁する処理」と「クラウドネイティブアプリケーション」に着目し, サーバの消費電力推定実験を行った. 結果から提案手法はさまざまな処理特性をもつアプリケーションに対して適用可能な汎用性の高い手法であり, かつ実サービスへの適用が可能であることが明らかとなった.
9月16日 13:00〜17:00 Meeting 14 座長 原田薫明(NTT)
B-7-6 |
自己主権型アイデンティティ情報管理システム(uPort,Sovrin)考察
○才所敏明(IT企画)・辻井重男(中大)・櫻井幸一(九大) |
B-7-7 |
社会の分極化メカニズム解明のための多次元意見形成モデル
◎△平倉直樹・会田雅樹(東京都立大) |
B-7-8 |
アーカイブシステムにおけるサーバ間ファイル転送特性に関する実験的一検討
○金子真也・内山雄太郎・木原雅巳(日大) |
B-7-9 |
A Drone-based Message Ferry enabling a flexible and prompt ICT network in the disaster situation
○BABATUNDE OJETUNDE・TOSHIKAZU SAKANO・YOSHINORI SUZUKI(ATR) |
B-7-10 |
エッジコンピューティング環境向け分散データストアのための継続的クエリの実現手法
◎町田 凌・鎌田十三郎・Finnerty Patrick・太田 能(神戸大) |
自己主権型アイデンティティ管理システム(SSIMS)に関する研究の第2報である。本稿では、アイデンティティ情報管理システム(IMS)に期待される機能を本人確認機能(身元確認・当人確認)および情報管理機能(情報登録・保護・提供)を定義し、それぞれの自己主権性からの評価の視点(提供機能の内容および自己制御性)から、代表的SSIMSであるuPortおよびSovrinについての調査・分析結果を報告する。また、今回の調査・分析から確認できた、社会基盤として期待されるSSIMSのあるべき姿の議論のために検討が必要な事項を報告する。
online social network において,ユーザが対立した意見を持つ複数の集団に分断される分極化が問題となっている.
分極化の発生メカニズムを解明するために意見形成モデルが提案されているが,複数の話題を扱う多次元のモデルでは所謂「次元の呪い」によって高次元の状態空間上においてユーザの意見をユークリッド距離で比較することが難しい.
本稿では,様々な話題に関するユーザの意見を表す高次元の意見値ベクトルに対し,その時点での話題を表す低次元部分空間への射影ベクトルを比較することでこの問題を回避可能なモデルを提案する.
本論文では、仮想環境を含むクラウドシステム内のファイル転送において、転送効率に着目して、実用的な転送方式を実験的な解析をとおして検討した。仮想環境において、2台の仮想マシン間を完全な仮想環境で構成した場合と、マシン間を実ネットワーク接続した場合について、それぞれファイル転送におけるファイルサイズによる転送速度の変化について検討した。転送プロトコルにはFTPを用いた。転送プロトコルに係る処理時間を考慮しても、転送ファイルサイズを2GBから3GB程度に抑えたほうが、総合的なファイル転送時間を減少させる効果があることがわかった。
In this paper, we proposed a drone-based message ferry to form a flexible and prompt ICT network using LACSs in the disaster situations. In order to enlarge the coverage of LACS-based service, we propose the utilization of a drone as a message ferry or links to form the LACS-based network. The message ferry acts as links in the LACS network and with this approach, it is possible to effectively transfer large amount of data at a high speed. In addition, the proposed ferry is more advantageous than the current approach (i.e., using drones as a communication relay) in that more distance can be covered without pre-configuration of the network.
本稿では,エッジコンピューティング環境における分散 Key-Value ストア向けの継続的クエリの実現手法の提案をおこなう.
エッジ環境において低遅延なサービスを実現するためには,各要素データをエッジサーバ群に適切に分散配置することが重要である.
我々のストアは,登録されたデータをアプリケーションに応じて必要な場所に随時届けられるように開発者が明示的なデータ配置・キャッシュルールを記述可能なキャッシュ機構を備える.
本稿で提案する継続的クエリの実現手法は,エッジ内で動作する継続的クエリエンジンと,前述のキャッシュ機構を協調させることで問題解決を図るものである.
休 憩(14:30 再開) 座長 村瀬 勉(名大)
B-7-11 |
エリア毎の電気料金値差を考慮した仮想ネットワーク制御手法における計算量削減に向けた一考察
○中村亮太・原田薫明(NTT) |
B-7-12 |
トラヒック量と再生可能エネルギーの不確実性に対するロバストなVNF割当に関する数値実験検討
◎浦田賢吾・中村亮太・原田薫明(NTT) |
B-7-13 |
データベース定義型 SDN における GUI ベース制御機能の実装
◎田中智也・佐藤寧洋(阪電通大) |
B-7-14 |
KademliaにおけるRTTを考慮したコンテンツ探索手法の提案
◎古池太一・金光永煥(東京工科大) |
B-7-15 |
MMORPGにおける領域内ノード数変更による負荷分散手法
○神戸 怜・宮田純子(芝浦工大) |
エリア毎に異なる電気料金単価に着目しNW提供コストを最小化する仮想NW制御手法をこれまで提案したが,同検討は電気料金単価が変化する度にNW全体を再設定するためNWの不安定性や膨大な計算量が課題であった.
本稿ではこれらの課題に対し,複数仮想NWの中で制御対象を一部の仮想NWに絞ることで,電気料金削減効果を維持しつつ計算量を削減する方法を検討し,シミュレーションにより効果を検証した.
本発表では,再生可能エネルギーを電力源とする仮想ネットワークに対し,トラヒック量と再生可能エネル
ギーの電力量に不確実性が存在する状況下でのロバストなVNF割当手法の数値実験の検討内容を報告する.
ロバストVNF割当手法は,2 段階ロバスト最適化と呼ばれる数理最適化手法に基づいて定式化され,
VNF の割当とサービスの経路を2 段階の意思決定に基づいて決定する.
数値実験では,実際の仮想ネットワーク制御に適用することを想定した状況設定のもと,ネットワーク内の負荷平準化を目的としたVNF割当を行う.
SDNネットワークではコントローラへの負荷を分散するための手法として、データベースによるネットワーク情報の集中管理を提案している。データベースを使用しネットワークを制御するにあたって、ネットワークの制御を容易にするためにWebブラウザを使用して管理する方法について検討している。本研究ではWebブラウザ上に表示しているネットワーク情報をマウス操作により制御を行う機能を実装した。
P2P型ネットワークは,主にコンテンツの流通や共有目的で使われてきた.P2Pネットワークはクライアント・サーバ型のネットワークと比べ,障害への耐性が強く,情報セキュリティ分野においてブロックチェーンの研究が盛んに行われていることに伴い,P2Pが再注目されている.P2Pファイル共有システムにおいて,検索の効率性,実装の容易さから広く用いられているKademliaでは,ホップ数を抑えるためにコンテンツID (CID)に最も近いIDを持つピアが選択され,それらに対して反復的にルックアップがなされる.しかしながら,ホップ毎の遅延が考慮されていないため,全体的な遅延が小さくなる保証はない.そこで本研究では,Kademliaに対しホップ毎の遅延と総ホップ数の双方を抑える手法を提案する.
P2P型MMORPGではゲーム空間を複数の領域に分割し,ノードを各部分領域に設置し管理させることでゲームを進行する.ノードの処理能力を超える負荷がかかった場合,ゲームの中断につながるため,負荷を分散する必要がある.既存手法では,各部分領域内に存在できるプレイヤ数の上限と下限に2種類のしきい値を設けることでプレイヤの移動を検知し,動的に領域を作成する.しかし,分割した領域数や領域内プレイヤ数が多くなることで領域内の管理ノードにかかる通信負荷が大きくなってしまう問題がある.そこで本研究では,領域内の管理ノード数を増加させることで領域数を減らし,負荷の軽減を実現させることを目指す.
休 憩(16:00 再開) 座長 吉原貴仁(KDDI総合研究所)
B-7-16 |
ICNにおけるディレクトリ単位のアクセス頻度を考慮したキャッシュ管理手法
◎△間木平伊織・金光永煥(東京工科大) |
B-7-17 |
プログラマブルスイッチと汎用計算機を組み合わせた NDN ルータに関する一考察
◎武政淳二・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-18 |
NDNにおけるコンテンツモビリティサポート
◎御法川凌太・中里秀則(早大) |
B-7-19 |
AIMD 型ウィンドウフロー制御機構のパラメータチューニングに関する一検討
○後藤啓大・山本創麻・大崎博之(関西学院大) |
Information Centric Networking(ICN) において,キャッシュしたコンテンツの効率的な配置と置換はキャッシュ性能の向上において重要である.しかし,従来のキャッシュ配置,置換手法はネットワーク資源活用の観点から効率的ではない.また,キャッシュの配置がコンテンツの人気度に基づいており,Interestパケット自体の転送効率性は考慮されていない.本稿ではInterestパケットをprefixの階層毎に記録し,コンテンツを含むディレクトリの要求頻度を基準にキャッシュの配置及び置換を行うSplit-Prefix Caching(SPC)を提案する.SPCでは各ルータに到達したInterestパケットのPrefixを"/"ごとに分割し,分割後の各ディレクトリと,その重複回数をテーブルに記録,保持.ルータに到達したコンテンツのキャッシュ配置と置換の判断に用いる.その結果,要求されにくいキャッシュの保持機会を減らしつつ,時間経過と共に参照されなくなったキャッシュの置換も行うため,効率的なキャッシュ配置と置換が期待できる.
本稿では、プログラマブルスイッチと汎用計算機を組み合わせて、Data パケットを 10 Tbps で転送可能なNDNルータの構成法を提案する。10 Tbpsの実現には、スイッチ ASIC の TCAM、SRAM に収容できない約 10 億の名前プレフィクスからなるForwarding Information Base (FIB)の収容、ならびに汎用計算機の接続に伴うスイッチポートの帯域浪費が課題となるが、提案した構成で 10 Tbps の転送速度を実現可能であることを示す。
現在は,IPアドレスを用いたホスト指向の通信を行っているが,ユーザ側はコンテンツの位置よりも,コンテンツ自体を重要視し ている.そのため,コンテンツ指向ネットワークと呼ばれるコンテンツ名を用いて通信を行う方式が期待されている.コンテンツ指 向ネットワークには様々なアーキテクチャが存在し,その中でも階層的で可読性のある名前を使用しており,ルーティングも名前 のみで行うNDNは研究が盛んである.しかし,NDNはコンテンツのモビリティサポートに対応していないため,ルーティングプロ コトルであるNLSRにキャッシュ情報を元にした経路広告機能を追加することを提案し,Docker上でシミュレーションを行うこ とで性能を比較する.
近年、ネットワーク上を流通されるコンテンツを主体としたネットワークアー
キテクチャである ICN (Information Centric Networking) が活発に研究され
ている。しかし、AIMD 型ウィンドウフロー制御を、ICN のトランスポートプ
ロトコルとして利用した時に、これらの制御パラメータをどのように設定すべ
きかはこれまで十分明らかになっていない。そこで本稿では、AIMD 型ウィン
ドウフロー制御の制御パラメータ設定が、定常状態におけるスループットにど
のような影響を与えるかを簡単な解析によって分析する。
B-8. コミュニケーションシステム
9月15日 13:00〜16:30 Meeting 23 座長 名倉健一(三菱電機)
B-8-1 |
配線ミスを防止するスイッチ交換の低負荷オペレーション手法の提案
○黄 掣・秦野智也・山田崇史・島田達也・吉田智暁(NTT) |
B-8-2 |
映像トラフィックによる瞬間的輻輳遅延の緩和手法
○氏川裕隆・岡本優花・酒井慈仁・島田達也・吉田智暁(NTT) |
B-8-3 |
トラフィックの予測時間と精度に基づくアルゴリズム選択の検討
◎岡本優花・氏川裕隆・酒井慈仁・島田達也・吉田智暁(NTT) |
B-8-4 |
IoTデータ信頼性向上に向けた低レイヤメタデータ収集方式におけるメタデータ収集時間の評価
○椎名亮太・玉置真也・木村康隆・谷口友宏(NTT) |
データセンターや電気通信事業者などにおいて,スイッチなどの多くのネットワーク装置が利用されている.このような装置は故障,EOL,ネットワークマイグレーションなどによって,装置の交換作業が多く発生している.
ネットワーク装置交換を完全に自動化するために、ネットワーク装置の初期設定(OSやIPなど)と交換設定(通信設定)がある.ネットワーク装置の初期設定の自動化技術は進んでいるが,ネットワーク装置交換を支援する技術は提案されていない.そこで本稿では,配線ミスを防止するスイッチ交換の低負荷オペレーション方式を提案し,システム実装と評価を行った結果を報告する.
労働人口減少やインフラ老朽化といった課題を解決すべく、ドローンやロボットを作業現場に派遣し、現地からの映像を用いて遠隔から保守を行う検討が進められている[1].今後このようなユースケースが広く普及し、大容量の映像トラフィックが多数流入すると、従来の下り主体の通信とは異なり、上り方向での輻輳が懸念される.無線アクセスネットワークの帯域は今後も5Gの発展に伴って更なる高速化が予想され、よりバースト的な(より短い時間あたりの送信量が多い)トラフィックが発生することに繋がり、瞬時的な輻輳はより発生しやすくなる。
本稿では、無線区間で多数の大容量映像トラフィックを流した際の輻輳遅延を評価するとともに、送信アプリケーションに通知を与える輻輳緩和手段を提案する。
労働力減少などの社会課題解決のため、ドローンやロボティクス技術を活用した保守点検や宅配サービスなどの自動化・無派遣化の研究開発が進み、今後、映像を用いた遠隔制御の実現が期待されるが、NWに大容量のトラフィックが複数流れることによる輻輳遅延が課題となる。本研究では、輻輳遅延の課題解決に向け、トラフィック量に応じて通信経路の切り替えを行う方式を検討する。トラフィック到着後に切り替える場合、切り替えに要する時間からリアルタイム性を確保できなくなる懸念がある。本稿ではそれぞれ異なる予測時間と精度を持つ複数の予測アルゴリズムから輻輳遅延をより低減可能なアルゴリズムを選択し事前切り替えを行う方式について検討する。
筆者らは、これまで、センサ端末に付随する主センシングデータ以外の情報(機種、設置場所、接続状況など。以下、メタデータと呼ぶ)を収集・活用することがセンシングデータの信頼性向上につながることを述べ、低リソースなセンサ端末にも適用可能なデータリンク層での低レイヤメタデータ収集方式を提案し、提案方式の低リソース、低消費電力といった特徴を述べてきた。本稿では、提案方式におけるメタデータのメモリ格納から送信完了までに要する時間の迅速性に着目し、トランスポート層プロトコルでのメタデータ収集方式との比較を行った結果を報告する。
休 憩(14:15 再開) 座長 山田崇史(NTT)
B-8-5 |
光無線連携制御による上りリンク無線信号のジッタ低減手法の提案
○宮本健司・酒井慈仁・島田達也・吉田智暁(NTT) |
B-8-6 |
光ネットワークを利用したリモートプロダクションシステム
○持田康弘・白井大介・高杉耕一(NTT) |
B-8-7 |
トラヒック予測情報を活用した通信リソース割当方式
○長沢明子・名倉健一・末廣 雄・小崎成治(三菱電機) |
B-8-8 |
画像再送制御によるトラヒック削減手法の実験評価
◎中原睦貴・久野大介(阪大)・西村真衣(オムロン サイニックエックス)・西尾理志・丸田一輝(東工大)・中山 悠(東京農工大)・牛久祥孝(オムロン サイニックエックス) |
5Gの高度化や6Gで遅延やジッタの要求条件がさらに厳しくなる移動通信システムでは,UEとgNBの間の無線区間において,MACレイヤのHARQを用いた再送制御とRLCレイヤのデータ順序保持機能によってデータの欠落と順序の入れ替わりを防止している.しかし,これらの再送制御と順序保持によって上りリンクにおけるgNB出力のデータ送信間隔に変動が生じ,ジッタが増加するという点が課題として考えられる.そこで本稿では,光無線連携制御によるMBH区間でのシェーピングを用いたジッタ低減手法を提案し,シミュレーション評価を行った結果を報告する.
リモートプロダクションは、IP化された放送設備において可能となる新しい中継番組制作ワークフローである。長距離でのリモートプロダクションにおける非圧縮映像伝送とIP映像伝送装置の同期を実現するために、筆者らは光ネットワークの適用を提案している。本研究では、ユーザがネットワーク設定を意識することなく光ネットワークを利用できるように、映像伝送の要求に従って、IP映像伝送装置およびネットワーク装置の設定を自動的に行うリモートプロダクションシステムを提案する。さらに、8K非圧縮映像伝送に対応したプロトタイプシステムを実装し、実現性を示す。
IoT/5Gサービス実現に向けて、ネットワークスライシングが注目されている.筆者らはこれまでに動的なスライス制御のための通信リソース管理制御技術を提案した.これにより、トラヒック予測情報に基づいて動的にリソース割当量を更新可能である.しかしながら、予測情報には誤差が含まれるため、予測値のみを使用してリソース割当を行うと、誤差が大きい場合にリソースの過不足が多く発生する可能性がある.本稿では、予測値の分布情報が与えられた場合に、リソースの過不足を削減しつつ効率的にリソースを割り当てるための通信リソース割当方式を提案する.
画像認識や物体検出を行うエッジコンピューティングシステムが盛んに検討されている.エッジサーバが高負荷な処理を担うことで,ユーザ端末の処理負荷を軽減できる.しかし,ユーザ端末からエッジサーバに動画像を頻繁に転送するシステムでは,端末とサーバ間の無線ネットワークの輻輳が問題となる.特に,動画像サービスと共に収容される他サービスへの影響が懸念される.この問題を解決するために,著者らは画像認識精度に基づいた圧縮画像再送制御システムを提案しており,本稿ではその発展として,原理確認実験を行った結果を報告する.
休 憩(15:30 再開) 座長 久野大介(阪大)
B-8-9 |
APNを支えるPhotonic GatewayによるEnd-to-End光パス自動開通手順
◎原田臨太朗・妹尾由美子・本田一暁・金子 慎・柴田直剛・金井拓也・可児淳一・吉田智暁(NTT) |
B-8-10 |
APNにおけるAMCCを用いた分散補償機能の選択シーケンスの提案
○妹尾由美子・胡間 遼・金子 慎・原 一貴・可児淳一・吉田智暁(NTT) |
B-8-11 |
All-Photonics Network適用に向けたAMCC機能配備に関する検討
○金井拓也・金子 慎・原 一貴・田中康就・本田一暁・可児淳一・吉田智暁(NTT) |
B-8-12 |
AMCC信号の電気重畳と光重畳における信号品質の比較検討
○田中康就・金井拓也・陳 明晨・進藤隆彦・原 一貴・中村浩崇・可児淳一・佐野公一・吉田智暁(NTT) |
All-Photonics Network (APN)は、フォトニクス技術をベースに電気処理を極小化した光フルメッシュネットワーク(NW)を提供する。サービス毎にEnd-to-End (E2E)の光通信経路(光パス)を提供するため、大容量化・低遅延化を実現できる。本稿では、APNを構成する光通信ノードの1つであるPhotonic Gatewayを用いて、ユーザ装置の新規接続を契機にE2E光パスを自動で開通する手順を提案・実証する。
Ph-GWの機能の一つとして、AMCC信号を用いた伝送距離測定手法を提案した。RTT測定値は真値から最大±2 Byte長ずれることを明らかにした。さらに、その測定精度においても、分散補償を実現可能な分散補償機能の選択シーケンスを提案した。
本稿では、AMCCを用いて任意メッセージの送受信を実現する機能配備の検討および実機での原理確認を行った結果について報告する。
これまで、モバイルフロントホールへのWDM-PONの適用における管理制御チャネルとして、主信号成分と干渉しない低周波帯に管理制御情報を重畳することが可能なAMCCの検討がされてきた。AMCC信号の重畳方式には、電気重畳方式と光重畳方式の2つの方式があるが、主信号とAMCC信号双方の信号品質の観点から、どちらの重畳方式が優れているか明らかになっていない。本検討では、重畳比を一定にしたときに、主信号とAMCC信号の信号品質を評価することで、重畳方式の優位性を評価する。
9月16日 9:00〜11:45 Meeting 23 座長 安在大祐(名工大)
B-8-13 |
DRA を用いたバス型NWにおけるドロップ比率最適化に関する検討
◎五十嵐 稜・胡間 遼・原 一貴・可児淳一・吉田智暁(NTT) |
B-8-14 |
移動体とのFSO通信に向けた指向性制御方式の性能評価に関する一検討
◎今井健之・原田臨太朗・柴田直剛・金子 慎・可児淳一・吉田智暁(NTT) |
B-8-15 |
25 Gb/s CPFSK信号受信時における周波数オフセット耐性の評価
○胡間 遼・原 一貴・金井拓也・可児淳一・吉田智暁(NTT) |
B-8-16 |
UL-PD-NOMAにおけるSINRに基づく信号割り当て連送方式に関する一検討
○森山雅文・滝沢賢一・黒澤 敦・松田隆志・松村 武(NICT) |
B-8-17 |
Study on Convergence Performance of Self-Interference Cancellation Using Adaptive Filter for In-Band Full-Duplex Wireless Systems
○Wei-Shun LIAO・Ou ZHAO・Keren LI・Takeshi MATSUMURA・Fumihide KOJIMA・Hiroshi HARADA(NICT) |
加入者密度が低いエリアや幹線道路・鉄道沿いのユーザ端末を効率的に収容するバス型光アクセスネットワーク(NW)のロスバジェット拡大に向けて,これまで著者らは,信号をドロップするデバイスとして分岐比がポートによって異なる不等分岐スプリッタを用いるとともに上り信号を分布ラマン増幅 (DRA)する構成を提案し,上り伝送特性を数値シミュレーションにより明らかにした.本稿では,収容ユーザ数の最大化に向けて,不等分岐スプリッタにおけるドロップ比率の最適化手法について報告する.
第6 世代モバイルシステム(6G)では、あらゆる場所の端末に対して高速無線通信を提供するために、移動体にアンテナを搭載した移動基地局の使用が検討されている。空間光通信(FSO)は容量の観点から、有線接続できない移動基地局の収容手段として有望である。今回、送信側でビームの発散角を制御し、ビーム径を変化させて移動基地局の捕捉追尾と安定した光通信を容易にする指向性制御方式による受信側での受光範囲の広がりを実験により示し、また、受光に用いる光ファイバ種別と許容範囲の関係を確認した結果について報告する。
アクセスネットワークの高速化や,バジェットの拡大を狙いデジタルコヒーレント受信方式の検討が進められている。 著者らはこれまでに,ユーザ装置の経済化を狙いEA変調器付きDFBレーザを用いたCPFSK(Continuous Phase and Frequency Shift Keying)送信器を提案し,10 Gb/s信号受信時の受信感度,周波数オフセット耐性の評価を進めてきた。これまでの検討では,シンボルレートに対し受信帯域が2倍以上となる条件を想定してきた。しかし,同等の受信器を利用することを想定すると,高速信号受信時には周波数オフセットにより受信帯域に起因するSNR劣化が顕著となる。本稿では、更なる高速化を鑑み,25 Gb/s 信号受信時の周波数オフセット耐性を評価する。
IoTの発展に伴い急増する上りトラフィックを収容するため,上り回線への非直交多元接続(uplink power domain non-orthogonal multiple access : UL-PD-NOMA) に関する研究開発に取り組んでいる.NOMAの信号分離方式に逐次干渉除去(succussive interference cancellation : SIC)を利用する場合,複数端末から到来する信号に電力差を設ける必要がある.しかし,予め電力差を設定しても,移動通信の場合,フェージングの影響を受けて必要な信号対干渉雑音電力比(signal to interference and noise power ratio : SINR)が得られない可能性がある.そこで,本研究ではフェージングの周波数選択性に注目して,直交周波数分割多重(orthogonal frequency division multiplexing : OFDM)においてサブキャリア毎に異なるSINRを活用した連送方式を検討した.
In beyond 5G wireless systems, high throughput, low latency, and large user accommodation are promising requirements, and in-band full-duplex (IBFD) transmission is one of the possible solutions. However, to realize the IBFD systems, self-interference (SI) is a major problem which degrades the system performance. In this study, we use our proposed scheme of adaptive filter-based SI cancellation in IBFD system and investigate how the convergence condition affects SI cancellation performance.
休 憩(10:30 再開) 座長 稲森真美子(東海大)
B-8-18 |
長距離可視光カメラ通信におけるRGB多重の実験評価
◎高野宏紀・久野大介・中原睦貴・鈴置皓介(阪大)・丸田一輝(東工大)・中山 悠(東京農工大)・吉本直人(千歳科技大) |
B-8-19 |
逐次干渉除去を用いた時空間適応等化器の水中音響通信への応用
◎鈴置皓介・久野大介(阪大)・丸田一輝(東工大)・井上文彰(阪大)・原 祐子(東工大)・中山 悠(東京農工大) |
B-8-20 |
波長スワップ型WDM-PON伝送による干渉抑圧効果の評価
◎紫尾田 将・久野大介(阪大)・中山 悠(東京農工大)・丸田一輝(東工大)・三科 健・丸田章博(阪大) |
B-8-21 |
PAM2/PAM4信号から成るTDHP方式に関するPAPRの一考察
○△田中啓太・小玉崇宏(香川大) |
B-8-22 |
電力線搬送通信における有指向性信号印加法の基礎的検討
○大谷歩夢・脇坂俊幸・松嶋 徹・福本幸弘(九工大) |
災害発生時には機器の故障や電力供給の遮断等により通信サービスが利用できなくなる可能性がある.しかし,迅速な復旧や人命救助のために通信ネットワークの早期復旧が不可欠である.近年,災害対応向けのドローン基地局の研究開発が盛んであり,著者らは通信と照明機能を両立可能なLED搭載ドローン・カメラ間可視光通信システムを提案している.本稿では,通信速度及びロバスト性向上を目標とし,長距離可視光通信にRGB 多重を導入した簡易伝送実験の結果を報告する.
海底資源の調査や深海の撮影のために,水中音響通信(UAC)によるリアルタイム高精細映像通信の需要が高まっている.UACは 2重選択性マルチパスチャネル特性を有する.このチャネル特性を等化するために時空間適応等化器(STD-AE)が検討されている.しかし,従来のSTD-AEでは遅延波の除去は難しい.本稿では,逐次干渉除去(SIC)型の時空間適応等化器(STD-SIC)を提案する.本稿では,計算機シミュレーションによって提案するSTD-SICの実現可能性を示す.
光アクセスネットワークへの波長分割多重型PON(WDM-PON)の導入が検討されている.著者らは,WDM-PONの波長利用効率改善のために,一波長双方向伝送方式に着目し,光加入者終端装置(ONU)の上下リンクの波長割当を入れ替えた波長スワップ方式を提案している.波長スワップ方式の特徴の一つとして,光サーキュレータで生じる漏れ光の影響を緩和できる点が挙げられる.本稿では,波長スワップ方式の導入による光サーキュレータの漏れ光の抑圧について原理確認実験を実施した結果を報告する.
今回の研究では,低PAPRの特徴を維持しながら伝送容量が可変な方式として,PAM2信号とPAM4信号を時間領域で多重したNRZ-TDHP方式を対象に,PAPRを算出した.
電力線を用い通信を行う技術である電力線搬送通信(PLC:Power Line Communication)は、印加した信号が様々な線に伝わるため、セキュリティや不要電磁放射に懸念がある。本報告では、電力線途中から一方向のみに信号印加を行うため、電圧励振回路と電流励振回路を組み合わせた有指向性PLC信号印加回路を提案し、提案回路について行ったSパラメータ測定やシミュレーション検証により、電圧比を調整することによってPLCで用いられる周波数帯域(2~30~MHz)において、印加信号に指向性を持たせることが可能であることが分かった。
B-9. 電子通信エネルギー技術
9月16日 11:00〜11:30 Meeting 25 座長 古川雄大(福岡大)
B-9-1 |
蓄電池分散装荷直流基線の自律分散協調制御による安定動作の検討
◎劉 可・山田博仁・岩月勝美・尾辻泰一(東北大) |
B-9-2 |
LLC共振コンバータにおける二次側整流方式に関する検討
◎近藤大将・岩佐 稔(JAXA)・西嶋仁浩(崇城大)・黒川不二雄(長崎総合科学大) |
太陽光や風力など、再生可能な自然エネルギーに基づく発電を主電源とするマイクログリッドの実証実験が各地で展開されているが、我々は直流基線に電気的慣性力を持たせるために、小型の蓄電池を分散させて装荷する直流基線の概念を提唱してモデル化し、更にそれに基づいたマイクログリッドの特性解析を進めている[1, 2]。
今回我々は、蓄電池を分散装荷する直流基線のモデル化、基線上での発電機器や電力負荷の自律分散協調制御方式の提案、MATLAB/Simulinkによる解析モデルの構築を行い、さらにそれを用いたマイクログリッド運用の安定性について解析したので、その結果について述べる。
商用通信衛星市場では,総通信量の増加が国際競争力の強化に繋がるため,ミッション機器の搭載比率の向上が求められている.近年,各国において電気推進を用いたオール電化衛星の研究開発がされている.電気推進は推薬を従来衛星に対して約1/5に削減できる一方で,推薬をプラズマ化するために高電圧を出力する電源が必要になる.そのため電源二次側は高電圧になる.高耐圧部品は低耐圧部品に対して性能が悪く,二次側における損失が大きくなりやすい.また宇宙部品は放射線耐性のために民生品に対して性能が劣る.本研究では,電気推進用電源において,高電圧が印加される二次側整流回路構成について検討し,電源性能に与える影響について述べる.
B-10. 光通信システムA(光ファイバ伝送路)
9月15日 9:00〜11:30 Meeting 15 座長 川口雄揮(住友電工)
本セッションはB-13との関連セッションとなります。 |
B-10-1 |
孔開法による400 km超4コアファイバの作製
○齋藤 翼・梶川翔太・福本良平・竹永勝宏・市井健太郎(フジクラ) |
マルチコアファイバ(MCF)を用いた空間分割多重技術は、従来のシングルモードファイバによる光通信の容量限界を超える技術として注目されている.MCFの代表的な製造方法として孔開法が知られており,この孔開法を用いてクラッド径125 µm換算で350 km級のMCF製造が報告されている.
今回,母材の大型化によって更なる長尺のMCF作製を試みた。直径120 mm母材を用いる事で光学特性・寸法特性共に長手方向に安定した,標準クラッド径125 µmを有する全長418 kmの4コアファイバ作製に成功したので報告する.
(10:45 開始) 座長 高橋正典(古河電工)
B-10-2 |
クラッド励起MC-EDFAとコア励起EDFAの増幅特性比較
○小野浩孝・新海智之・須永翔太(湘南工科大)・山田 誠(阪府大) |
C帯およびL帯クラッド励起MC-EDFAの増幅特性をシミュレーションにより調べ,コア励起EDFAと比較した結果を報告する.
(11:15 開始) 座長 高橋正典(古河電工)
B-10-3 |
標準外径4コアマルチコアファイバ用アイソレータ付きファンアウトデバイスの温度特性評価
◎高畠武敏・榧 明日美・小澤佑太・皆川雄介・小林哲也(オプトクエスト) |
FIFOデバイスにアイソレータ機能を付加したMCF用複合デバイスを試作した.複合機能を備えていながら小型で良好な特性が得られており,環境温度の変化にも安定した特性が確認できた.
9月15日 15:15〜15:30 Meeting 15 座長 荒生 肇(住友電工)
本セッションはB-13との関連セッションとなります。 |
B-10-4 |
PPLN導波路を用いたOPAにおける利得波長域拡大の検討
○八木大希・川端優樹・遊部雅生(東海大)・風間拓志・圓佛晃次・梅木毅伺・笠原亮一(NTT) |
近年、IoTなどの普及により通信トラフィックの増加が予想され、光伝送のさらなる大容量化が期待されている。我々は光通信の伝送帯域拡大を目指して、周期分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN)導波路の光パラメトリック増幅(OPA)を利用したC,Lバンド以外での光増幅を検討している。
B-10. 光通信システムB(光通信方式,光通信機器,デバイスのシステム応用,光通信網・規格)
9月16日 9:00〜11:45 Meeting 15 座長 アミラ カーリヤワサム(東京理科大)
B-10-5 |
複素モーメント型固有値解法とANNによる光固有値復調法
◎△寺師悠平・久野大介・三科 健(阪大)・吉田悠来(NICT)・丸田章博(阪大) |
B-10-6 |
光固有値通信における伝送路中に配置された増幅器雑音の影響
◎中尾彰吾・丸田章博(阪大) |
B-10-7 |
固有値領域搬送波周波数オフセット推定法の推定精度
◎前田貴也・三科 健・久野大介(阪大)・吉田悠来(NICT)・丸田章博(阪大) |
B-10-8 |
複数固有値の伝送に適した光増幅器構成の検討
◎青木リシ・丸田章博(阪大) |
B-10-9 |
位相変調Y-00光通信量子暗号の10,118-km光ファイバ伝送
○谷澤 健・二見史生(玉川大) |
光ファイバの分散や非線形性の影響を受けない光固有値変調方式が注目されている.しかし,固有値問題に対して光固有値を求解するのに膨大な計算量が必要となる.そこで光固有値求解の高速化のために複素モーメント型固有値解法を用いた固有値解法が検討されてきた.本稿では,複素モーメント型固有値解法とANNを用いた光固有値共同復調について,原理確認実験を行った結果を報告する.
光固有値通信における伝送路中の光増幅器雑音の影響について報告する。
デジタルコヒーレント受信機では,搬送波信号と局部発振器との波長不整合により搬送波周波数オフセット(CFO)が生じる.
我々は,光固有値変調信号の際に,固有値領域におけるCFO推定を用いる手法を提案している.
固有値やサンプリングレートなどのパラメータが提案手法の推定精度に及ぼす影響を計算機シミュレーションにより調査した.
その結果,固有値の虚部,実部の大きさによってパラメータを変化させた際の推定精度の変化が異なることを確認した.
また,サンプリングレートが20 GSa/s,時間ウィンドウ幅が1.6 nsという条件では固有値を適切に設定することで推定誤差は2.3 MHzとなった.
非線形シュレディンガー方程式を逆散乱変換によって解く際に用いる随伴固有値方程式の固有値は,光ファイバの分散性および非線形性の影響を受けない理想的な情報キャリアであり,その性質を利用した光固有値伝送方式が提案されている.しかし,固有値は損失の影響を受ける.本稿では,複数固有値の伝送に適した光増幅器構成のガイディングセンター理論に基づく設計指標を示す.
近年,通信の盗聴対策として物理層から信号が正しく受信されること自体を防ぐ,物理レイヤ暗号化が注目されている.我々は,あらかじめ共有した短い秘密鍵を使ってデータを光多値変調することで暗号化するY-00光通信量子暗号の研究に取り組んでいる.信号多値数を増やし,隣接信号間距離を短くすることで,真にランダムで取り除くことができない量子(ショット)雑音により隣接する信号が覆われる.多値光信号の受信が必要な盗聴者は,この不変な不確定性により誤りのない受信が困難になる.これまで,光位相変調器を多段に用いて極めて多値の位相変調を行う技術とデジタルコヒーレント技術を組み合わせることで,信号の秘匿を,通信品質への影響を軽微に抑えて実現できることを示してきた.本稿では,この位相変調Y-00暗号を海底光ケーブル等の通信距離である10,000km超の光ファイバ伝送へと応用した実験結果を報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 芝原光樹(NTT)
B-10-10 |
機械学習を用いた光ファイバ曲げ判定における復調処理前データ(ram1), 復調処理後データ(ram3)を用いた曲げ判定精度向上の検討
◎西川雄一朗・平野 章(東京電機大) |
B-10-11 |
変調符号方式の違いによる曲げ判定性能への影響評価
◎△遠藤裕佑・平野 章(東京電機大) |
B-10-12 |
機械学習を用いた光伝送路曲げ直径推定の研究
◎△西島昌太・平野 章(東京電機大) |
B-10-13 |
マルチコアファイバにおけるOTDR情報とデジコヒ曲げ情報のCAT同時判定による障害位置確定手法の検討
◎△吉岡鉄郎・平野 章(東京電機大) |
B-10-14 |
4コアファイバにおけるコア間のGAWBS雑音の相関特性
◎佐藤耕造・吉田真人・葛西恵介・廣岡俊彦・中沢正隆(東北大) |
近年, デジタル化の進展や通信デバイスの普及をはじめ, 多様なサービスが提供されており, 通信トラフィックの量は日々増加している. また, 5G時代には, ネットワークの多様化と複雑化が進み, ネットワークの管理運用コストが増大することが予見される. 本稿では, ネットワークの自動運用化に向けた一つの試みとして期待されている, 機械学習を用いた光ファイバの曲げ判定における判定精度向上を検討し, 復調処理前データ(ram1)と復調処理後データ(ram3)を併用することで曲げ判定精度を向上した. 10mmの曲げ直径では従来のram1のみのものよりも大幅な精度向上が見られ, 20mm, 30mmにおいてもram3を併用することで精度向上の傾向が確認できた.
年々進展し続けるネットワークの大容量化、仮想化に伴いネットワークの設計や運用が複雑化している。この課題に対処するためネットワークの自動診断を可能にするプラットフォームの研究が進められている。自動診断には、光伝送路から情報を取得し、その状態を推定・検出する機能が必要となる。そこで機械学習を用いた光伝送路推定が提案されており、既に16QAMを用いた場合の研究結果が報告されている。より幅広い変調方式に対応するため、本稿では変調方式をQPSKに変え、光ファイバの曲げ判定を行い、変調方式の違いが及ぼす曲げ判定精度への影響評価を行い、曲げ直径が10mmの場合にQPSK、16QAM共に高い判定精度を得た。
近年、新しいネットワークサービスの浸透や利用者の増加などにより、トラフィック量は増加しており、仮想化技術の導入によりネットワーク構成も複雑化している。このため、将来的に人間の手作業では、管理・保守が難しくなってくると予想され、ネットワーク運用を自動化するための研究や提案がなされている。
本研究では、自動化手法のひとつとして、デジタルコヒーレント受信機で得られた光信号データを機械学習に用いて、光伝送路の曲げ直径を推定できるか検討した。光増幅器が存在しない伝送路を想定した環境を構築し、曲げ直径が15mm・20mmの推定が可能であることを確認した。
現在、データトラフィックの増大やネットワークの仮想化技術、ディスアグリゲーションの進展などにより、ネットワークの運用が複雑化している。このような課題の解決のため、自律的なネットワーク運用のための研究が進められている。デジタルコヒーレント光伝送においても、受信信号から光伝送路状態を推定する技術が提案されている。しかし、この技術のみではファイバの障害位置の特定が現状難しく課題となっている。本研究ではマルチコアファイバにおいて、OTDR情報とデジコヒ曲げ情報を用いて曲げ等の障害発生位置を確定させる手法について検討し、StackStormを用いて検証を行い、提案手法が有効であることを確認した。
近年、導波音響波型ブリルアン散乱(GAWBS: Guided Acoustic-Wave Brillouin Scattering)がデジタルコヒーレント伝送に影響を及ぼすことが明らかになっている。これまでに我々はマルチコアファイバ中のGAWBS雑音特性を評価し、中心配置でないコアは高次のTRn,mモードの影響を強く受けることを示している。今回、4コアファイバにおいて各コアで発生するGAWBS雑音の相関強度がコア配置と次数nに強く依存することを明らかにしたので報告する。
9月16日 13:00〜17:00 Meeting 15 座長 小玉崇宏(香川大)
B-10-15 |
Kramers-Kronig関係を用いた直接検波コヒーレント受信におけるヒルベルト変換の実装に関する一検討
○田村 凌・カーリヤワサム アミラ・前田譲治(東京理科大) |
B-10-16 |
Kramers-Kronig関係を用いた直接検波光コヒーレント受信の変調方式依存性に関する研究
○大藤寛生・カーリヤワサム アミラ・前田譲治(東京理科大) |
B-10-17 |
Generalized THPを用いた短距離向け光PAM伝送における送信機非線形補償の検討
○菊池信彦・平井理宇(日立) |
B-10-18 |
IM/DD伝送における受信光信号位相の反復計算による検出
◎高橋拓也・松本正行(和歌山大) |
大容量かつ低コストな受信方式として,自己ヘテロダイン検波して得た信号にKramers-Kronig (KK) 関係を用いて複素電界を回復する方法がある.本稿では,KK関係よる信号回復に用いるヒルベルト変換を実時間システムに実装する方法について,オーバーラップ FFT を用いた周波数領域実装と,FIR フィルタを用いた時間領域実装の比較を行った.遅れ時間の小ささ,乗算器の数の少なさの点で,ともに時間領域実装のほうが優れていることが分かった.
低コストリンク向けの方式としてKramers-Kronig (KK) 関係を適用した直接検波光コヒーレント受信が提案されている. 本稿では, KK関係を適用した直接検波光コヒーレント受信において, 変調フォーマットと伝送特性の関係を評価した. その結果、伝送特性は受信信号の PAPR と密接に関連しており,PAPR の小さい変調フォーマットが適していることが予見された.
データセンタトラフィックの急増に伴い次世代短距離高速光ファイバインタフェースの開発が進んでいる。400GbEにおいては53GBaudPAM4変調が採用されたが、さらなる大容量化ニーズは強く、今後も高速化・多値化による送受光/電気部品の帯域不足によるSN劣化や波形歪の増大、これに伴うパワーバジェットの不足が予想される。PAM伝送では送信デバイスの非線形性が主要なSN劣化要因のひとつであり、我々はこれまで信号処理量の少ない送信側非線形補償方式として、解析解方式や非線形LUT方式を提案した。両方式は補償精度が高いが、その利用には送信デバイスの応答推定や事前のLUT算出などが必要となる。本報告ではより簡易な送信側デバイスの非線形補償方式としてGTHP(Generalized THP) の利用を検討した。
直接検波(DD)受信機はコヒーレント受信機よりも構成が簡易であり,データセンタ間などの中・短距離のデータ伝送システムでの利用に適している.従来のDD受信機では検出することができなかった受信光信号の位相を検出できれば,電気領域における分散補償や,位相変調を併用することによるデータ伝送速度の向上が可能になる.
DD受信機における位相読み取りの手法の一つに,反復計算による位相再構成手法がある[1-5].これまでは主として,受信信号を分散させた後の複数の電力波形を用いた反復が行われてきた[1,4,5].信号の変調形式が強度変調(IM)の場合,送信信号の位相条件を反復計算の拘束条件に加えることができる[2,3].本報告では,受信機で取得する複数の電力波形と送信信号の拘束条件の両者を用いた反復計算を行い,収束の速度が速くなることを示す.
休 憩(14:30 再開) 座長 佐野明秀(立命館大)
B-10-19 |
利得30dB超・雑音指数1dBのPPLN導波路型位相感応増幅の実証
○風間拓志・梅木毅伺・清水新平・柏崎貴大・圓佛晃次・笠原亮一・宮本 裕・渡邉 啓(NTT) |
B-10-20 |
光Kerr効果を用いた振幅雑音抑圧位相感応型光増幅多中継伝送方式の検討
○田中 輝・岡村康弘・高田 篤(徳島大) |
B-10-21 |
非縮退位相感応増幅器を用いた10 Gbaud 64QAM信号の200 km SMF無中継伝送
◎清水新平・風間拓志・小林孝行・梅木毅伺・圓佛晃次・笠原亮一・宮本 裕(NTT) |
B-10-22 |
SiリッチSiN導波路を用いた広帯域波長変換器の検討
◎石原勇輝・末吉 旭・三科 健・丸田章博(阪大) |
B-10-23 |
32 × 32シリコンフォトニクススイッチを用いた多段光伝送
◎松本怜典・鴻池遼太郎・鈴木恵治郎・松浦裕之・池田和浩・井上 崇・並木 周(産総研) |
位相感応増幅器(PSA)は原理的な雑音指数が0dBの超低雑音増幅が可能であることから注目を集めている。これまでに我々は周期分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN)導波路を用いたPSAの研究を進めており、PPLN導波路モジュールを用いたPSAで低雑音増幅が可能であることを実証してきた。しかしながらPPLN型のPSAは光ファイバとPPLN間の光結合損失が、光増幅器の基本性能である利得とNFを制限する課題となっており、実用面を考慮すると利得とNFともに更なる改善が必要である。今回、光結合損失を改善した低損失・高効率なPPLN導波路モジュールを作製し、PSAの利得30.6dBでNF1.0dBを達成したことを報告する。
本研究では、非縮退位相感応型光増幅多中継伝送系に光Kerr効果を用いた振幅雑音抑圧方式を適用し、雑音抑圧に必要な自己位相変調発生に伝送路を用いることで再生中継間隔が数倍延伸できることを数値シミュレーションによって示す。
周波数非縮退型の位相感応増幅器を用いた光伝送システムでは、ファイバ伝送によって信号光とアイドラ光(位相共役光)に付与された波長分散を増幅前に補償する必要がある。従来は、光学的にアイドラ光を生成していたために、分散補償ファイバなどを用いた光学的な分散マネジメントの適用が必須であった。本発表では、送信側デジタル信号処理内で、アイドラ光の生成と波長分散予等化を行う構成を提案する。また、200kmのSMFを用いた非分散マネジメント無中継伝送によって、提案構成による位相感応増幅動作を実証する。
従来のC 帯の光送受信器を用いてS 帯やL 帯の光信号を生成する技術として,波長分割多重された光信号を光のままで一括して波長変換する技術の研究開発が行われている.全光波長変換技術は高非線形ファイバを用いた手法が提案・実証されているが,小型化・集積化
が困難な点が課題である.我々は,光集積化可能なシリコンリッチ窒化シリコン(SRN) 導波路を用いた広帯域波長変換器の検討を行っている.本稿では,ポイント・マッチング法を用いた強導波解析を行い,その実現可能性を検討した結果について報告する.
ムーアの法則が終焉に近づく中で、電気スイッチのエネルギー効率の改善に限界が見え始めている。シリコンフォトニクス光スイッチは電気スイッチよりも高いエネルギー効率を示すことから、コンピューティング領域において大容量のデータを瞬時に切り替える場面で有用である。将来のコンピューティング適用に向けた要件は、数Tb/sのラインレートと10万ポート超のスイッチ規模である。我々はこれまでに世界最大規模の32 × 32シリコンフォトニクス光スイッチを報告してきたが [1, 2]、ポート数が不十分な上にその全ポート動作は未確認であった。本稿では、スイッチ規模を拡大するために32 × 32シリコンフォトニクス光スイッチの全ポートを使用した多段光伝送を報告する。実験により、9段伝送時に最大13万ポート、1段伝送時に最大総容量81 Tb/sのスイッチ規模を達成した。
休 憩(16:00 再開) 座長 鈴木巨生(三菱電機)
B-10-24 |
PAS方式におけるバースト誤り特性と特性改善方法の提案
○那賀 明(茨城大) |
B-10-25 |
BICM-IDを適用したPAS方式の特性評価
○小松 衛・那賀 明(茨城大) |
B-10-26 |
改良型電界強度平均化法による長距離伝送光非線形補償性能の改善
◎高野 真・植之原裕行(東工大) |
B-10-27 |
確率的整形符号が伝送可能距離に影響する支配的要因
○入江博之・中島久雄・秋山祐一・星田剛司(富士通) |
多様な通信容量を高感度に伝送することを目的に、直交振幅変調(QAM)信号点のシンボル点の生成確率を整形
する PAS (Probabilistic Amplitude Shaping)方式が研究されている。本研究では、ルックアップテーブル(LUT)を用いた PAS 方式について、軟判定情報を利用した逆整形器によるバースト誤り低減する手法を提案し、外符号と整形器間に誤り訂正器の間にインタリーバを適用したときのビット誤り率(BER)特性を、数値計算により評価したのでその結果を報告する。
多様な通信容量を高感度で伝送する目的で、直交振幅変調(QAM)のシンボル点の生成確率をマックスウェル・ボルツマン分布に整形するPAS (Probabilistic Amplitude Shaping)方式が研究されている。前回、更なる特性改善のために、PAS方式にBICM(Bit Interleaved Coded Modulation)を繰り返し行うBICM-ID(BICM-Iterative Detection)を適用した符号化変調方式を提案した。本研究では、さらにシンボル点へのバイナリビットのマッピング条件を網羅的に設定しビット誤り率(BER)特性、相互情報量特性を数値計算により評価した。その結果を報告する。
光ファイバ中に投入する光パワーの増加に伴う非線形歪みによって,非線形シャノン限界による伝送容量制限が問題となっている.非線形歪み緩和のため,光受信器のデジタル回路で非線形補償が行われるが,その反復演算による計算複雑性が問題視され実装への障壁となっている.そこで我々は,特定区間ごとの線形補償済みの光電界強度を平均化して送信時の信号を推定するFIA-DBP (Field Intensity Averaging-Digital Back Propagation)によって,性能改善および反復演算区間の削減を達成してきた.一方,FIA-DBPは区間ごとの電界強度を取得する際に線形補償を行う必要があり,その分の計算量が課題であった.本報告では,FIA-DBPを改良し前述の課題解決を目指したmFIA-DBP (modified FIA-DBP)を提案し、性能評価を行ったので報告する.
近年のディジタルコヒーレント伝送システムでは、確率的整形(Probabilistic Shaping: PS)符号化技術が搭載され、ネットワークパスの距離や損失に合わせて情報レートを最適化することで、伝送システム性能を最大化する技術が重要となりつつある。しかしPS符号化は従来の一様分布の変調方式に比べ、所要受信信号パワー対雑音比が改善する反面、光信号の4次・6次のモーメント増加に伴いファイバ非線形雑音が増加する。これらの影響はPSの整形率、それを施す元のシンボル点配置、及び伝送システムパラメータにも依存する。今回、我々はPSを使ったシステム性能の最大化を目的として、その伝送可能距離を決める支配要因を分析したので報告する。
9月17日 9:00〜10:15 Meeting 15 座長 谷澤 健(玉川大)
B-10-28 |
光注入同期型キャリヤ周波数変換回路を用いた 64 Gbit/s 256 QAM, 61 GHz 帯フルコヒーレント伝送
◎佐藤大晟・葛西恵介・廣岡俊彦・吉田真人・中沢正隆(東北大) |
B-10-29 |
単一チャネル1.28 Tbit/s-3000 km光ナイキストパルス伝送
◎渡邊 碧・吉田真人・廣岡俊彦・中沢正隆(東北大) |
B-10-30 |
ノンイメージングレンズを用いたMIMO光無線通信システムに関する検討
◎永瀬賢尚・笠 史郎(明大) |
B-10-31 |
マルチコアファイバを用いたメトロネットワーク・アーキテクチャの検討
◎△中村大祐・平野 章(東京電機大) |
B-10-32 |
多機能光集積回路を利用した高信頼大容量車載光ネットワーク
○津田裕之・久保亮吾(慶大)・岩瀬正幸・森本政仁(古河電工)・金銅 恒・天宮 泰(メガチップス)・中野義昭・種村拓夫(東大)・村田正幸・荒川伸一(阪大)・高橋 亮・山本直克・松本 敦(NICT) |
これまでに我々は光注入同期型キャリヤ周波数変換回路を用いた光・無線融合フルコヒーレント伝送システムを提案してきている。今回、簡便な構成の光注入同期型キャリヤ周波数変換回路を開発し、これを用いて64 Gbit/s 256 QAM信号の61 GHz帯、SMF 10 km、無線40 m光・無線融合フルコヒーレント伝送に成功したので報告する。
ネットワークトラフィックは年率40%以上で急激な増大を続けており、基幹網においては単一チャネルで1 Tbit/sを超える超高速大容量伝送の実現が期待されている。我々は狭い帯域でも高速伝送が実現可能な光ナイキストパルス伝送を提案しており、これまでに10~15 Tbit/sの単一チャネル超高速伝送を実現してきた。また、光ナイキストパルスの波長多重により12.8 Tbit/s (1.28 Tbit/s/ch x 10 ch)-1500 km OTDM-WDM伝送に成功している。光ナイキストパルスの伝送性能は、ナイキストパルスの帯域を定めるロールオフ率と呼ばれるパラメータα(0≦α≦1)に依存し、α=0.5が最適であることを報告してきた。今回、単一チャネル1.28 Tbit/s (320 Gbaud DQPSK) 光ナイキストパルス伝送において、αを0.5に設定することにより、α=0に比べ伝送距離を300 km拡大し、1.28 Tbit/s-3000 km伝送に成功したので報告する。
通信トラフィックは日々増大している。筆者らは予想される回線の混雑を改善するために光無線通信の導入を前提とした研究を行っている。光無線通信システムに、ZF(Zero forcing)推定を用いるMIMO(Multiple-input multiple-output)に関する検討は既に行われているが、伝搬行列がフルランクである必要があるため、イメージングレンズを用いた検討が主に行われている。それに対して、伝搬行列が対称性を持ちやすい非イメージングレンズを用いたシステムに関する検討は十分に行われていない。そこで、本研究では非イメージングレンズを用いたMIMOシステムに関する実験的検討を行った。実験結果から、実験においても伝搬行列の対称性から符号誤り率(BER)が劣化することが分かった。
近年インターネットの普及に伴いネットワーク(NW)のトラフィックが急激に増加している。現在使用されているシングルモード光ファイバでは伝送容量の限界が近づいていると指摘されているため、伝送容量の限界を超える技術として空間多重技術を用いたマルチコアファイバの研究が進められている。しかしこれまで空間多重をネットワーキングに活用した検討は報告がない。本稿では、マルチコアファイバをメトロNWに適用し、 12ノードNWの設計を行い必要最低コア数の見積もりと伝送容量の評価を行った。必要最低コア数はトポロジーごとに異なりスター型で6コア、フルメッシュ型で19コアと分かった。総伝送容量はノード間距離に応じた変調方式の最適化により約1.6倍の改善が得られた。
レベル4以上の自動運転に向けて、信頼性が高く50 Gbps以上の伝送容量を持つ車載光ネットワークを実現するために、研究プロジェクトSiPhON (Silicon Photonics-based in-vehicle Optical Network)を実施している。ネットワークはマスター装置と車体のゾーン制御を担うECUに接続されるゲートウエイ装置とを結ぶ二重リング構成であり、制御用C-Planeとデータ伝送用D-Planeからなる。脆弱な半導体レーザをマスター装置内のみに搭載し、ゲートウエイ装置には変調と受光を担うシリコンフォトニクスによる光回路が搭載される。
B-11. コミュニケーションクオリティ
9月15日 9:15〜12:00 Meeting 18 座長 山本 嶺(電通大)
B-11-1 |
強化学習を用いたDASHライブ動画配信制御
○魏 博・甲藤二郎(早大) |
B-11-2 |
MPEG-DASHにおける映像ビットレートの適応量子化に関する一検討
◎浅野 翔・越智功士・久保亮吾(慶大) |
B-11-3 |
MPEG-DASHにおけるAIMD方式を用いた適応ビットレート制御
◎中田開斗・阪本竜太・久保亮吾(慶大) |
B-11-4 |
CCNにおける複数クライアントアクセスタイミングがビデオ・音声出力品質に及ぼす影響
○布目敏郎(名工大) |
B-11-5 |
映像の縮小がWeb会議映像品質に与える影響に関する一検討
◎川嶋喜美子・恵木則次(NTT) |
COVID19のパンデミックにより、動画配信トラフィックは急速に増えている。特に、多くのイベントがオンライン形式になっているため、ライブ配信によるトラフィックが大きな割合を占めている。こんな状況の中で、高品質の動画配信体験を確保することがきわめて重要と言える。ネットワークの状態は常に動的に変動しているため、ユーザーに高品質のエクスペリエンス(QoE)を提供するには、ネットワークの状態に応じた適応的動画配信制御技術が必要である。本論文では、強化学習(RL)技術を利用し、ライブ配信制御方法を提案し、評価した.
映像ストリーミングの普及に伴い,ネットワーク環境に起因したユーザ満足度(QoE:Quality of Experience)の低下が課題となっている.QoEの高い映像ストリーミングを実現するために,通信環境に応じて映像ビットレートを変更するABR(Adaptive Bit Rate)制御が提案されている.ABRにおいて,選択可能なビットレートの量子化手法は制御性能に影響を与える.そこで本稿では,MPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over Hypertext Transfer Protocol)において,QoE特性と通信環境を考慮した適応量子化手法を提案する.
QoE(Quality of Experience)向上のための適応映像ストリーミング技術として,フィードバック制御を用いて再生バッファレベルを安定化させつつ,ビットレート変動を抑制するビットレート制御手法が提案されている.しかしながら,複数のユーザが存在する場合のQoE公平性については議論がなされていない.そこで本研究では,単一ユーザに対するバッファ安定化手法と複数ユーザの公平性を考慮したAIMD(Additive Increase/Multiplicative Decrease)方式を組み合わせることで,映像フリージング等を回避しつつ,QoE公平性を担保する適応ビットレート制御を提案する.
ICN/CCNにおいて,
複数クライアントが同時に同じコンテンツへアクセスする場合を考える.
CCNでは中間ノードのキャッシュであるコンテンツストアが存在する.
あえてアクセス開始タイミングをずらすことにより,
コンテンツストアにキャッシュされたデータを利用することが考えられる.
それに加えてキャッシュにためられなかったチャンク
を情報源へリクエストすることにより再送と同じ効果が期待される.
本稿では,複数クライアントが同一コンテンツにアクセスするタイミングが
ビデオ・音声出力品質に及ぼす影響を実験により評価する.
Web会議サービスのパラメトリック品質推定技術の検討に向け,参加者の顔映像を縮小して統合し,一画面に表示することが映像品質に与える影響を確認した.その結果,顔映像や符号化方式によらず,縮小して統合することでPSNRは増加し,さらには縮小割合が大きいほど符号化による品質劣化がわかりにくくなることがわかった.
休 憩(10:45 再開) 座長 小池 新(東京家政大)
B-11-6 |
バースト損失を加味した音声通話アプリケーションのパケットレイヤ品質推定モデルの検討
◎岡田 樹・林 孝典(広島工大) |
B-11-7 |
タイルベース型VR映像配信に対する2D映像品質推定技術の拡張
○浦田勇一朗・小池正憲・山岸和久・恵木則次(NTT) |
B-11-8 |
視聴タイル画質差を考慮したVR映像品質推定モデル
◎小池正憲・浦田勇一朗・山岸和久(NTT) |
B-11-9 |
POLQAを活用した品質推定モデル係数最適化に関する検討
○倉島敦子・川嶋喜美子・恵木則次(NTT) |
B-11-10 |
時系列解析による帯域変動予測手法における負の誤差の軽減
○板倉慧汰・森 翔平・黒住正顕・西村 敏(NHK) |
近年,音声通話アプリケーションを利用する機会が増加している.音声通話アプリケーションのネットワーク品質はベストエフォートになるため,ユーザ体感品質(QoE: Quality of Experience)に基づいたサービス品質の可視化や制御が重要となる.筆者らは先に,音声通話アプリケーションの受信パケットのみから受聴品質を推定するパケットレイヤ品質推定モデルを提案した.先に提案した品質推定モデルでは,パケット損失発生形態をランダムのみとしており,バースト的に発生するパケット損失の影響を評価できていない.そこで本稿では,バースト損失が発生した受信パケットに提案モデルを適用した場合の性能評価を行った.その結果,パケット損失発生形態に関わらず推定できることを示した.
昨今,普及しているタイルベース型VR 映像配信サービスでは,伝送データ量を圧縮するために,高画質タイル,低画質タイルとに分けて配信するタイルベースVR 映像配信が開発されている.本稿では,前記サービスにおける品質要因を加味し,2D 映像品質推定技術をタイルベースVR 映像配信に拡張したモデルについて提案し,主観品質評価実験をベースに学習した前記モデルが高精度で品質推定可能であることを示す.
タイルベースVR映像品質の推定においては、高画質タイルおよび低画質タイルそれぞれの品質を用いた品質推定が必要である。本検討では、タイルベースVR映像品質推定モデルを提案し、スマートフォンを用いた実験結果に適用した結果を報告する。
先の検討において,モバイルIP電話サービスで生じるバースト性の高いパケット損失に対し,パケット損失のパタン系列から効率的に音声品質推定可能なモデルを提案した.本モデルの係数最適化に用いる品質データとしてPOLQA値の適用可能性について検討した結果を報告する.
近年,CMAF (Common Application Media Format) を活用したアダプティブストリーミングなど,低遅延映像配信の取り組みが進められている.例えば,放送と連携したマルチアングル配信の実用化例が報告されている.
筆者らは,アダプティブストリーミングによる安定かつ高品質な低遅延配信の実現に向けて,可用帯域の変動を時系列解析によって予測する帯域変動予測手法を提案した.しかし,予測値が実際の可用帯域を上回る(以下,負の予測誤差)場合に,過大なビットレートのセグメントを要求し,視聴快適性を妨げる再生停止を招く課題があった.そこで本稿では,時系列解析による予測精度を低下させることなく負の予測誤差を軽減する手法を提案する.
9月15日 13:00〜16:45 Meeting 18 座長 工藤理一(NTT)
B-11-11 |
無人走行車の状態予測制御の動的最適化機能の提案
◎皆川昌樹・吉本雄大・中村僚兵・葉玉寿弥(防衛大) |
B-11-12 |
状態予測制御車両における最適なパケットバッファリング時間
○吉本雄大・皆川昌樹・中村僚兵・葉玉寿弥(防衛大) |
B-11-13 |
車車間での情報共有における5G NR based C-V2X輻輳制御の性能評価
○上野高明(KDDI総合研究所)・菊地陽介(KDDI)・大岸智彦(KDDI総合研究所) |
B-11-14 |
位置検知連動型屋内無線カバレッジ測定システムの開発
○山崎良太・藤原亮介(日立)・福島寛人・関口悦博(日立システムズ) |
我々は,インターネットを介した制御サーバから無人走行車を遠隔制御する手法を検討している.走行車の遠隔制御の問題点として,伝送遅延による制御の不安定化が挙げられる.既存研究にて,伝送遅延がある走行車の遠隔制御において状態予測モデルを用いた制御が有効であることが示されている.予測誤差は制御精度を劣化させるので,正確な制御を実現するためには予測誤差を小さく保つことが重要である.本稿では予測モデルを動的に最適化する機能を提案する.
インターネットを介して制御サーバが遠隔地の走行車を安定制御できる手法を実現できれば,オフィス・工場での物品配送,駅・空港での車いすによる自動案内等,多様な自動運転サービスへの応用が期待できる.遠隔制御には伝送遅延及び遅延変動による制御不安定化の問題がある.既存研究により,状態予測制御及びジッタバッファを適用することで,安定した制御を実現できることが示された.本稿では,ジッタバッファによる制御信号パケットの伝送遅延を固定化する特性と走行車遠隔制御の安定性について,小型車両の遠隔制御シミュレーションを用いて定量的に評価した.その結果,バッファリング時間の最適化によって制御の安定性を最適化できることを明らかにした.
現在我が国では,安全運転支援を目的とした車車間通信の既存方式として700MHz帯安全運転支援システム(ITS Connect )が利用されているが,自動運転支援などへの用途拡大のため,3GPP リリース16に準拠した5G New Radio based Cellular Vehicle-to-Everything(NR C-V2X)の方式が新たに検討されている.筆者らは,これまでにシミュレーションにより無線通信の基本性能の評価を進めてきた.本稿では,シミュレーションによりNR C-V2Xの輻輳制御の性能評価を行う.
高速,低遅延,多端末という特徴を持つ5Gシステムを自営網で利用可能となるローカル5Gが2020年12月より利用可能となった[1]。これに伴い様々な企業,研究機関からローカル5Gの開設が進められている。本稿では,ローカル5G屋内エンジニアリングの容易化に向けた無線カバレッジ測定システムに関して述べる。
休 憩(14:15 再開) 座長 中村 遼(福岡大)
B-11-15 |
ラプラシアン行列の固有値選択がテンポラルネットワークの異常検出に与える影響の考察
○瀬川絵里子・谷口豊明・作元雄輔(関西学院大) |
B-11-16 |
クラウドソーシングを用いたリアルタイム防犯システムの検討
◎板野竜也・目良侃太郎・小板隆浩(同志社大) |
B-11-17 |
リッジ回帰を用いたSSDF攻撃検知
◎根岸大和・山本 嶺・大坐畠 智(電通大) |
B-11-18 |
攻撃者の位置がコンテンツポイズニング攻撃の脅威に与える影響の分析
◎工藤多空飛(福岡大)・上山憲昭(立命館大) |
テンポラルネットワークの異常を検出するために LAD(Laplacian Anomaly Detection) が提案されている.LADでは,ネットワークの構造を表すラプラシアン行列の上位の固有値に対する時系列データから,各時刻におけるZスコア(正常な状態からどの程度逸脱しているかを表す指標)を計算し,Zスコアに基づいてネットワークの異常を検出しようとしている.本稿では,LADで用いるラプラシアン行列の固有値の集合を変化させ,固有値選択が LAD の有効性に与える影響を調べる.その結果,上位だけでなく下位の固有値も選択することでLADの有効性が高まることが分かった.
犯罪行動の自動検知に関する研究が多数行われている.その多くは機械学習を用いた手法であるが,犯罪検知の分野では機械学習の適用が難しい.本研究ではクラウドソーシングを用いた万引き検知システムを提案する.クラウドソーシングで得られる回答には一定の正解率とリアルタイム性が求められるが,性質上,どの程度の正解率とリアルタイム性が得られるかが分からない点が課題となる.本研究では提案システムの有用性の検討を目的とし,万引きを判別するタスクをクラウドソーシングで依頼する際の,回答の正解率及びリアルタイム性を評価した.評価実験の結果では,95%以上の正解率が得られ,5分以内の場合,平均10件を上回る数の回答が得られることが分かった.
無線通信技術の発達に伴って端末の小型化,低消費電力化が実現され,多数のセンサ端末によって構成される無線センサネットワーク(WSN)が普及してきている.しかし,WSNでは,主に同一周波数帯域を利用した通信が想定されており,帯域の逼迫が問題となる.そこで,時空間的な空き帯域を複数端末の協調によって検知する協調スペクトラムセンシングが提案されている. しかし,WSN内に検知結果を偽装するノードが存在する場合,シンクノードが誤った可用周波数帯判断を行うSSDF攻撃が問題となる.本稿ではSSDF(Spectrum Sensing Data Falsification)攻撃を行うノードの識別を行うため,リッジ回帰を用いた対策方法を提案している.
コンテンツの名称でデータ通信を行い,コンテンツ配信を効率的に行うネットワークアーキテクチャとして情報指向ネットワーク(ICN: information-centric networking)が注目を集めている.しかし,悪意を持ったユーザが不当なコンテンツをネットワークに展開することでキャッシュの効果を低下させるコンテンツポイゾニング攻撃(CPA: content poisoning attack)の問題が指摘されている..そこで本稿では独自fake型のCPAを想定し,大規模なネットワークトポロジで様々な攻撃者の位置で評価を多面的に行うことで,様々な要素がCPAの効果に与える影響を分析し,CPAの脅威を明らかにする.
休 憩(15:30 再開) 座長 策力木格(電通大)
B-11-19 |
災害時ツイートにおける投稿ユーザーとイベント位置の一貫性と一次情報に関する調査
○小泉佑揮・笹沼涼介・長谷川 亨(阪大) |
B-11-20 |
べき指数が2 未満のカスケードサイズ分布を再現するツイート投稿モデル
○小西隆仁・塩田茂雄(千葉大) |
B-11-21 |
Machine learning framework for activity-based workplace in office environment
◎Yo Nakamura・Ryoichi Shinkuma(Shibaura Inst. of Tech.) |
B-11-22 |
Brain model-based grouping system toward estimating personal content preferences
◎Daichi Iwasaka・Ryoichi Shinkuma(Shibaura Inst. of Tech.)・Shinji Nishimoto(Osaka Univ.)・Satoshi Nishida(NICT) |
B-11-23 |
モバイルネットワークの品質改善に向けたエリアコンテキストを反映したネットワーク管理の検討
◎高野佑紀奈・田行里衣・池上大介(NTT) |
災害時に、Twitter上に災害情報を報告するツイートが観測されているが、不要な情報も多いため、救助隊がそのまま利用することは困難であり、重要な情報を抽出する手法が必要である。救助隊にとって重要な情報の一例として、米国の救助隊へのインタビューにおいて、救助隊必要な情報は救助隊が知らない情報であるということが示されている。本稿では、救助隊が知らない情報として、投稿者のみが知り得る一次情報に注目する。一次情報抽出手法として、機械学習が有望であるが、ツイート本文の短さと崩れた口語体の文章などの理由で、ツイート本文を特徴量として用いる機械学習で、災害時のツイートから一次情報を高い精度で抽出できることは期待できない。そこで、ツイート本文以外に、一次情報抽出に利用可能な補助的な特徴量が必要である。本稿では、一次情報抽出の補助的な特徴量として、投稿者の位置とツイートで言及している位置が利用可能であるか調査する。
リツイートは受信したツイートをフォロワーへ拡散する行為であり,多数回のリツイートの繰り返しによりツイートが広く拡散する現象は英語でカスケード(cascade)と呼ばれる.また,1つのオリジナルツイートあたりのリツイート回数はカスケードサイズと呼ばれる.カスケードサイズは一般にべき分布に従い,特に,多くの人々の関心を集めた事象に関するツイートのカスケードサイズはべき指数が2 未満のべき分布に従うことが知られる.一方,べき指数が2未満のべき分布の期待値は発散するため,べき指数が2未満のべき分布に従う現実の現象は少数であり,そのような現象を説明するモデルも少ない.本稿では,カスケードサイズがべき分布となるツイート投稿に関するユーザ行動モデルを提案し,モデルから導かれるカスケードサイズのべき指数が2未満となることを示す.
Researchers discuss whether open-plan offices (OPO) and activity-based offices (ABWs) promote performance and work satisfaction, resulting in long-term productivity. In a prior work, the optimal work spot is estimated based on the environmental comfort; they did not take work objective, which is associated with communication, privacy, and territoriality, into account. We propose a machine learning (ML) framework that estimates the optimal work spot in accordance with work objective. Using our framework, when you come to your office, the optimal work spot is automatically estimated.
The brain of each person might know more about that person than the actual person does. On the basis of this hypothesis, we have been developing a content recommendation system based on brain information. In our previous study, the inter-individual similarity of brainin-formation models was successfully evaluated from fMRI signals evoked by the content of TV advertisements.The similarity represented as a distance matrix of experimental subjects has been validated by the correlation between the two distance matrices for two sets of content divided according to content length: 15 and 30 seconds. However, it remains unclear how to group the subjects on the basis of the similarity of brain models though such grouping is useful for estimating personal content preferences in the content recommendation system.
モバイルユーザは通信品質を重要視しているが,一定の満足度を満たすために要求される通信品質は,アプリケーション種別や利用端末種別の違い等のユーザの通信利用状況 (コンテキスト)により異なる.そのため,あるエリア内のユーザ数や設備量が同じであっても,コンテキストが異なればユーザ満足度も異なる.一方,設備投資コストとユーザ満足度はトレードオフの関係にあり,適切な設備設計を行うことが課題となる.本稿では,エリア内のユーザのコンテキスト集合 (エリアコンテキスト)に基づいた設備設計・制御を行い,設備過剰量を抑えてユーザ満足度の向上を実現するコンセプトを提案し,その有効性を数値シミュレーションにより示す.
B-12. フォトニックネットワーク
9月14日 10:30〜11:15 Meeting 21 座長 森 洋二郎(名大)
B-12-1 |
ダイナミックMACにおける部分故障救済手法
○岡本 聡・石井大耀・村上正樹・山中直明(慶大) |
B-12-2 |
周波数収容効率と信頼性に優れた光ネットワークの物理トポロジ構築法
○東森一晃・犬塚史一・大原拓也(NTT) |
B-12-3 |
同一波長帯双方向非対称16QAM/OOK伝送システムにおける強近端反射の耐性に関する検討
◎稲垣瑞樹・後藤哲治・小玉崇宏(香川大) |
1 Pbps級のSDMを利用した超並列型光ネットワークに向けて,超並列型光ネットワークを使いこなす10 Tbps級のクライアントIFが求められている.複数の光チャネルをサービスに割り当てる仕組みとして,ダイナミックMACを提案した.本稿では,光ネットワークの複数経路に展開されるダイナミックMAC(D-MAC)における部分故障対応を実現する手法を検討した結果を報告する.
最近の光ネットワーク研究によれば,ネットワーク全体の通信容量は物理トポロジに依存して最大70% 程度変化することが示されている.一方で,どのように物理トポロジを構成すれば通信容量や信頼性が最適になるかという点は明確になっていない.上記課題を受け,我々はネットワーク全体の通信容量と信頼性を向上する物理トポロジの構築方法を提案している.この手法は,適切な方路数制約を課し信頼度最適化を行うことで,信頼性を損ねることなく通信容量を増大できる点に着目したアルゴリズムである.本発表ではこの物理トポロジ構築方法を紹介し,この手法に基づくネットワーク全体性能の改善量を議論する.
本稿では,上り伝送においてOOK信号を,下り伝送において16値直交振幅変調信号を用いた場合の非対称変調を用いた同一波長帯一芯双方向伝送を考慮する.この場合において,光サーキュレータと配線ファイバの端面で近端反射が発生し,上り信号が反射信号となり下り信号に及ぼす影響を数値シミュレーションで確認した.
B-13. 光ファイバ応用技術
9月14日 9:00〜11:15 Meeting 15 座長 成瀬 央(三重大)
B-13-1 |
ゲージ長最適化に基づく光ファイバ音響センシング手法
◎河野 航・樋野智之・美島咲子・近藤玲史(NEC)・Fang Jian(NEC LA) |
B-13-2 |
両端固定支持梁構造ヘテロコア光ファイバ加速度計の低周波振動における感度向上の提案
○門倉美幸(創価大)・山崎大志(コアシステムジャパン)・西山道子・渡辺一弘(創価大) |
B-13-3 |
ヘテロコア光ファイバを用いる塩センサ
○関 篤志(創価大)・下庄孝弘・岩佐宏一(アイセイ)・山崎大志・佐々木博幸(コアシステムジャパン)・渡辺一弘(創価大) |
B-13-4 |
周波数多重位相OTDRを用いた振動計測におけるクロストークの影響とその抑圧
◎脇坂佳史・飯田大輔・古敷谷優介・本田奈月(NTT) |
本稿では、光ファイバの連続分布性を活かすことで、周囲環境や使用用途に応じて柔軟かつ即自的に設計を変更できるセンサ開発に向けた、光ファイバ音響センシング手法に関する制御手法を提案する。
後方散乱光の位相差変化を評価する区間であるゲージ長のみを制御することで、一つの光マイクロホン(光ファイバをコイル状に巻き付けた円筒)のアレイシステムから、方向推定能力を有する状態と、アレイ全体を高性能な一つの光マイクロホンとしてみなせる状態を作ることができることを、2つの光マイクロホンを用いた簡易実験によって示された。
構造ヘルスモニタリングにおいては,計測対象の振動を計測することで異常診断を行う手法が提案されており,振動計測を行う電気式センサの代替センサとして光ファイバ加速度計があげられる.これまでに,著者らは低コスト計測システムで測定可能なヘテロコア光ファイバセンサを用いた両端固定支持による梁構造の加速度計を開発してきた.本稿では,両端固定支持によるヘテロコア光ファイバ式加速度計の低周波数領域における感度向上のための提案と周波数応答特性の評価を行ったので報告する.
ヘテロコア光ファイバ表面に金ナノ粒子とポリカチオンを交互に積層することにより塩分センサを作製した.積層数が増えるにしたがって,波長540nm付近の伝搬光強度は減少した.これは金ナノ粒子を3次元的に固定化することによりにより多くの金ナノ粒子を固定できたためと考えられる.本センサを蒸留水に浸し,ここに塩化ナトリウム水溶液を逐次添加したところ,塩化ナトリウム濃度の増加とともに伝搬光強度は増加した.さらに空気中において塩化ナトリウム水溶液をセンサに噴霧したところ伝搬光強度は減少した.これらの結果より本センサは溶液中の塩分おより飛来塩分の検出も可能であることが示された.
通信用光ファイバケーブルの敷設状態を把握する手段として分布振動計測(DVS)がある.我々はDVSの一つである位相OTDRについて,周波数多重(FDM)を用いたフェーディング雑音低減やサンプリングレート向上を示し,両者を両立する手法を提案した.提案方法では測定長とサンプリングレートのトレードオフを克服した高感度測定ができる.しかし,FDMを構成する各光周波数成分を単純な矩形パルスとすると,クロストークが発生する.本稿では,クロストークによる振動の誤検知の発生などを明らかにし,その対策としてサイドローブの小さいパルス波形を使用した測定系による振動検出を行い,振動誤検知低減が可能なことを確認した.
休 憩(10:15 再開) 座長 飯田大輔(NTT)
B-13-5 |
Fiber-Optic Temperature Sensing Method Using an Amplified-Spontaneous-Emission Feedback Circuit
○Hiroji Masuda・Biswajit Biswas・Kunihiro Tanaka(Shimane Univ.) |
B-13-6 |
Remote Temperature Sensing with an Amplified-Spontaneous-Emission Feedback Circuit
◎Biswajit Biswas・Hiroji Masuda(Shimane Univ.) |
B-13-7 |
自己遅延ホモダインBOTDRによる空間分解能10cmの実証
○小泉健吾・村井 仁(OKI)・西ノ入 聡(電中研)・西田秀高(中国電力) |
B-13-8 |
不均一ひずみモデルBGSを用いたNNの学習によるひずみ計測
○黒川貴矢・成枝秀介・成瀬 央(三重大) |
Fiber-optic temperature sensors (FTSs) have attracted considerable attention for several decades in technical fields such as environmental monitoring and industrial sensing. Several types of FTSs have been reported where the FTSs utilize the temperature dependence of optical interference, the loss of an optical component, etc. In particular, a passive type of FTS was reported in a paper, which achieved a temperature resolution (RT) of 0.07 ℃. In this paper and a related paper, we propose a novel fiber-optic temperature sensing method. This method utilizes a spool of the erbium-doped fiber (EDF) of an amplified-spontaneous-emission feedback circuit (ASEFC) as a temperature sensing device, and is called “ASEFC temperature sensing: ASEFC-TS.” This paper also proposes a fiber-optic temperature sensing method which measures the ASE power from an EDF pumped remotely, called “ASE temperature sensing: ASE-TS.” The RT value of the proposed ASE-TS is ~0.037 °C.
Temperature is one of the most important parameters in scientific researches and industrial applications. Fiber-optic temperature sensors have been intensively investigated due to their low cost, high sensitivity and simple structures. In this paper, we propose a highly sensitive and stable fiber-optic temperature sensing method using an amplified-spontaneous-emission-feedback circuit (ASEFC) in a remote sensing system. The ASEFC operates close to the laser oscillation threshold. We call the method “ASEFC temperature sensing: ASEFC-TS." The ASEFC-TS utilizes the temperature dependence of the gain of an erbium doped fiber (EDF) which is set in the ASEFC and pumped remotely. A small temperature resolution (RT) of ~0.0147 ℃ is achieved by the ASEFC-TS.
分布型光ファイバセンサは、IoTとの組み合わせにより社会インフラ向けだけでなく飛躍的に活躍の場を広げられる可能性が期待できる。例えば、石炭火力発電プラントからのCO2排出量削減のための効率的運用に利用できることが挙げられる。火力発電プラントの伝熱管やボイラ配管は常時750℃に達し、局部的に加熱されるホットスポットや、溶接部の破損に伴うエネルギーロスを防ぐことが重要である。しかし、現状では750℃の高温環境化で長時間リアルタイム、かつ分布温度を監視する技術は確立されていない。これを解決する技術として、リアルタイム分布歪み・温度測定の適用が期待される。
我々は、自己遅延干渉計を用いたリアルタイムなBOTDRを開発しており、今回、空間分解能10cmの高分解能化に成功し、加熱試験による実証を行ったので報告する。
折れ線で近似した不均一ひずみモデルに基づいて計算されたブリルアンゲインスペクトル(BGS)値を用いてニューラルネットワーク(NN)を学習するひずみ計測方法を提案し、この方法の有効性をシミュレーションによって確認した。
9月15日 9:15〜11:15 Meeting 15 座長 川口雄揮(住友電工)
本セッションはB-10Aとの関連セッションとなります。 |
B-13-9 |
非結合2コアファイバ接続時の損失・クロストークに関する検討
○小田友和・中村篤志・古敷谷優介・本田奈月(NTT) |
B-13-10 |
線形サンプリング法による結合型2コアファイバのMDL測定
○宇野将生・宇山将史・張 超・伊藤文彦(島根大)・中村篤志・岡本達也・古敷谷優介(NTT) |
B-13-11 |
ランダム結合型マルチコアEDFAのMDGに対する曲げの影響
◎今田諒太・坂本泰志・青笹真一・中島和秀(NTT) |
B-13-12 |
結合型マルチコア光ファイバケーブルにおける空間モード分散特性の布設・温度安定性
○山田裕介・菊池 雅・櫻井 信・鉄谷成且・谷岡裕明(NTT) |
非結合2コアファイバ接続時に発生する損失およびXTについて,数値解析を行った結果を報告する.
結合型MCFはコア同士の間隔を近づけることで意図的にコア間の結合を大きくし、モード間の群遅延時間差を低減できる特徴を持ち、受信側でのMIMO処理の負荷軽減に適したファイバであると考えられている。本稿では線形サンプリング法(LOS)により結合型2コアファイバ(2CF)の各入出力モード間の複素インパルス応答を多重測定し、それらから得られるスペクトル伝達行列の特異値解析を行うことで、MDLの測定を20 nmの帯域において試みた結果を報告する。
長距離モード多重伝送システムにおいては,光増幅器 (Erbium doped fiber amplifier: EDFA) におけるモード依存利得 (mode-dependent gain: MDG) を低減させることが重要となる.本稿では結合型マルチコア EDFA において,EDFに付与する曲げがMDGに及ぼす影響について実験的に検討を行ったので報告する.
これまで細径高密度光ケーブル内において,光ファイバを束ねるバンドルテープによって,光ファイバに曲げと捩じれを加える構造を提案し,結合型マルチコア光ファイバ(MCF)の空間モード分散(SMD)制御し低減できることを示した[1].光ケーブル内においてバンドルテープの張力によって曲げを制御しているが布設や温度伸縮などによるSMD特性への影響は明らかでない.本稿では,光ケーブル布設時および温度変化時におけるSMDの安定性について確認した結果を報告する.
(10:30 開始) 座長 高橋正典(古河電工)
B-13-13 |
マルチコア光ファイバの分布ラマン増幅伝送におけるXT特性
○寒河江悠途・森 崇嘉・坂本泰志・松井 隆・中島和秀(NTT) |
将来の大容量伝送光通信ネットワークの実現に向けて、空間分割多重技術が注目されている。マルチコア光ファイバではコア間のクロストークが伝送品質に影響を及ぼすことが知られており、無視できない。双方向伝送システムではこのクロストークによる影響を低減することが知られている。本稿では双方向伝送へ分布ラマン増幅の適用することによるクロストーク特性について検討した結果を報告する。
(11:00 開始) 座長 高橋正典(古河電工)
B-13-14 |
マルチコアファイバ用光コネクタの反射減衰量測定
○上村圭史・藤巻湧己・星川晏輝・今泉可津貴・井澤和哉・長瀬 亮(千葉工大) |
マルチコアファイバ(MCF)は,次世代の大容量通信を実現する候補の一つである. MCF用光コネクタの接続特性を測定するには個別のコアに光信号を入射するためのファンイン・ファンアウト(Fan-in/Fan-out: FIFO)部品が必須である.MCF用光コネクタの反射減衰量を測定するためにはFIFO 自体およびFIFOとの接続点における反射の影響を取り除かなくてはならない.
そこで我々は,MCFコネクタ一接続点の反射減衰量の正確な値を測定する方法として,JIS C 61300-3-6で定められているOTDR法,OLCR 法,およびOCWR法の3つの手順を用いて検討を行った結果を報告する.
9月15日 13:00〜16:00 Meeting 15 座長 高橋 稔(フジクラ)
B-13-15 |
路面配線光ファイバケーブルの機械特性に関する検討
○櫻井 信・大矢諒平・菊池 雅・山田裕介・鉄谷成且・谷岡裕明(NTT) |
B-13-16 |
マルチモードファイバにおけるSRS閾値の考察
◎大本航平・半澤信智・中島和秀(NTT) |
B-13-17 |
固形屈折率整合剤を用いた多心光ファイバ接続の検討
○阿部宜輝・小山 良・片山和典(NTT) |
架空/地下設備などの土木工事をすることなく,経済的かつ速やかに配線することを目指し,これまでに路面に配線する方法および光ケーブル構造とその実現性について検討してきた.本稿では,路面配線方法に応じた光ケーブルの側圧特性について検討した結果を報告する.
光ファイバを用いて電力を供給する光ファイバ給電が検討されている.光ファイバ給電の入力パワー制限の要因として誘導ラマン散乱(SRS)が考えられる.今回,SRS閾値のモード励振条件依存性について考察するため,一般的なマルチモードファイバを用いて入出力特性の評価を行ったので報告する.
接続心数が増加してもフェルールへの押圧力を増加させる必要がない多心光コネクタとして、直角研磨端面のMTフェルールの接続端面に固形屈折率整合剤を成膜する構造を検討した。良好な光学特性を得るための固形屈折率整合剤の硬さの指針を得た。フェルール端面をクリーナへ押し付ける力を制御することで、固形屈折率整合剤付きのフェルール端面を清掃できることを示した。
休 憩(14:00 再開) 座長 忠隈昌輝(古河電工)
B-13-18 |
遠隔光路切替ノードの光給電制御に関する一検討
○川野友裕・藤本達也・中江和英・渡辺 汎・片山和典(NTT) |
B-13-19 |
遠隔光路切替ノードの心線切替におけるマルチコアファイバ回転機構を用いた光スイッチの損失特性
○深井千里・阿部宜輝・片山和典(NTT) |
B-13-20 |
赤外イメージセンサを用いた多心一括光強度監視の基本検討
○小山 良・阿部宜輝・片山和典(NTT) |
新たな光アクセス網構成として,アクセス区間に光路の切替点を複数設置した多段ループ型配線トポロジが検討されている.我々は,遠隔からの光路切替を実現するため,光ファイバを介した光給電制御による遠隔光路切替ノードを検討している.これまでに,遠隔光路切替ノードシステム全体のコスト抑制のため,1台の給電用レーザで複数のノードへの光給電と制御を行うためのエネルギー管理方法について報告した.本稿では,実験的にノードの制御部(マイコン)を停止させることなく,複数ノードの光給電サイクルを実現できることを確認したので報告する.
5GやBeyond 5G時代の高度な信頼性要求や柔軟な光経路選択等,従来とは性質の異なる光ファイバ需要の高まりが想定される.多様な情報通信サービスの実現と効率的な設備利用の両立を目指し,多段ループ型配線トポロジと遠隔光路切替ノードによる新たな光アクセス網を検討している.このノードに適応可能な省電力な光スイッチの検討において,前回,マルチコアファイバ(MCF)回転機構を提案した.今回,MCF回転機構を用いた光スイッチの損失特性を検討したので報告する.
多様な通信サービスの実現と効率的な設備利用の両立を目指し,新たな光アクセス網として,所外設置の遠隔光路切替ノードを用いた多段ループ配線が提案されている.光路切替では切替対象ポートの検出と,切替後の通信の正常性確認が不可欠である.そこで,我々は光信号強度の変化からポート検出や正常性確認を行なうことを目指し,光信号の一部を多心一括で抽出して強度監視する方法を検討してきた.今回,抽出光から光強度を一括測定する方法として,赤外イメージセンサを用いた方法を検討し,使用する画素数と測定精度の関係を調査したので報告する.
休 憩(15:00 再開) 座長 荒生 肇(住友電工)
本セッションはB-10Aとの関連セッションとなります。 |
B-13-21 |
長周期グレーティングと非対称導波路を用いたタップ導波路の検討
◎山下陽子・森 崇嘉・松井 隆・中島和秀(NTT) |
レーザ加工を用いたファイバ側面から光を抽出するタッピング技術が検討されている.光タッピング技術は,バス配線や光ルーティングなど新しい光配線を実現するための要素として期待できる.本報告では,2モードファイバにタップ導波路を作製し評価を行い,入射したLP11モードが選択的にファイバ側面から出射し,任意の波長をクラッド側面から抽出するコンセプトの実現可能性を確認した.
(15:30 開始) 座長 荒生 肇(住友電工)
B-13-22 |
テラヘルツ波を用いた撚り線劣化診断に向けた基礎検討
◎中森真輝・五藤幸弘・本田奈月(NTT) |
B-13-23 |
PNG画像変換/AV1コーデックによる3D点群データ圧縮の基礎検討
◎櫻原雄介・井上雅晶・本田奈月(NTT) |
つり線および支線の点検において、従来の画像診断の課題解決のため、高い透過性を持つテラヘルツ波を用いた撚り線の定量的な劣化診断に向けた基礎検討を行った。検討の結果、劣化状態の違いによって反射波の強度が確認され、強度による診断の可能性が示唆されたので報告する。
膨大な容量の3D点群データをPCに保存するため、データサイズを圧縮する方法を検討した。圧縮後も3D点群データを電柱設備点検技術に適用できるよう、点群座標精度を保持する必要があり、データサイズ圧縮かつ点群座標精度保持、の2つに着目し検討を行った。3D点群データを設備毎に分割保存し、点群座標を疑似的に色信号に変換し、画像ファイルを作成・圧縮することで、復元座標の精度を担保しつつ、データサイズを圧縮する手法に関して検討したので報告する。結果、電柱たわみの値は画像ファイル作成・圧縮後もほぼ同値を算出することができ、点群座標精度を保ちつつ、データサイズ圧縮が実現されることが示唆できる。
B-14. 情報通信マネジメント
9月14日 13:00〜16:45 Meeting 22 座長 吉原貴仁(KDDI総合研究所)
B-14-1 |
曖昧な稼働・在庫情報に基づいた保全時期提案方式
○石塚祐一郎・竹下 恵・副島裕司(NTT) |
B-14-2 |
自律制御ループ方式における可観測性情報を利用した要因探索方式の提案
○佐々木幸次・酒井 優・高橋謙輔・豊嶋剛司(NTT) |
B-14-3 |
警報欠損時におけるベイズ推論による故障別警報グルーピング手法の精度評価
◎林 直輝・佐藤亮介・高田 篤・関 登志彦・山越恭子(NTT) |
B-14-4 |
NW障害履歴データを用いた対応履歴情報の表記ゆれ解消の検討
◎浅井文香・Di Li・山本憲男・金井俊介・野末晴久・田山健一(NTT) |
B-14-5 |
サービス監視用OSSのデータ利用拡大の実現について
○小野塚康浩・濵田晃一・春藤義隆(ドコモ・テクノロジ) |
設備を保守・運用するにあたり,計画的・定期的な作業によって障害や性能低下を事前に防ぐ予防保全という業務がある.特に近年の通信装置ではデータ取得機能の拡充によって装置の障害予兆を検知する手段が充実してきており,予防保全しやすくなりつつある.
障害の予兆に基づく予防保全の場合,予兆を検知してから実際に障害発生リスクが高まるまでに時間的猶予が存在する.そのため,通信網の運用者は全体の業務計画を考慮し,稼働や在庫,すなわち人的・物的リソースに余裕がある時期に予防保全を実施するのが望ましい.
本稿では,予防保全を実施すべき時期について,曖昧なリソース見積もりに基づいて算出する方式を提案する.
自律制御ループ方式において,可観測性情報であるLogging/Metrics/Tracingの情報を利用し,障害発生時の要因を探索する方式を提案する.
近年,ITサービスの保守業務自動化の検討が進められている.
保守業務の例として,ITサービスの保守者は,装置の故障を早期に発見出来るよう警報を常時監視している.
複数の装置が故障し,各故障で発生した警報が混在している場合,
故障の見落しや,故障箇所の特定誤りをせずに故障装置を特定するには,警報を故障別にグルーピングすることが重要となる.
しかし,警報の発生パターンは,装置更改や,欠損,遅延など多様であり,
保守業務の自動化実現には,多様な警報発生パターンに対応したグルーピングが必要である.
本稿では,筆者らがこれまで提案した警報グルーピング手法を用いて,
警報欠損時の精度評価を行い,警報に欠損があっても故障別に警報をグルーピング出来る可能性があることを示す.
業務運営の効率化のため,様々な分野で,既存の対応履歴情報を利用した分析が行われているが,情報の表記ゆれがある場合には,適切な分析ができない可能性がある.NW障害履歴データは、障害特定や対処方法を判断するルール生成に必要である.本発表では、NW障害履歴データを題材に,登録情報の表記ゆれを解消する手法を提案する.
NTTドコモでは,モバイル通信ネットワークにおいて安定した通信サービスを提供するため,ユーザ体験品質(QoE)を監視するサービス監視用OSSを導入・運用していた.しかしながら,導入したシステムは他システムへのデータ利用拡大が容易となる保持するデータの加工や,QoEを監視する統計情報のタイムリーな追加が難しい方式になっている等,日々進化するモバイル通信ネットワークのサービス監視対応が困難であった.そこで,本問題を解決するための新方式を提案し,導入・運用を行っている.本論文では,新方式のサービス監視用OSSの概要及び,データ利用拡大の実現例について説明する.
休 憩(14:30 再開) 座長 木下和彦(徳島大)
B-14-6 |
業務実施者間の相互支援に向けた画像・音声からの相補的業務経験把握手法
○東海林佳昭・小笠原志朗・柴田朋子(NTT)・船橋勇那(電通大) |
B-14-7 |
移動体通信併用形MANETにおける経路要求送信回数に基づく経路構築手法
◎小野翔多(東大)・山崎 託・三好 匠(芝浦工大)・西山勇毅・瀬崎 薫(東大) |
B-14-8 |
ネットワークトポロジを考慮した救済ビル優先順位の算出
○松林宏明・佐藤正崇・村瀬健司・金井俊介・明石和陽・西川翔平・小川まな美・田山健一(NTT) |
B-14-9 |
SIR感染モデルによるクラウドゲーム市場ユーザ行動分析
◎三橋正毅(早大)・矢守恭子(朝日大)・張 成(茨城大)・田中良明(早大) |
本稿では,画像と音声を相補的に用いた業務経験の把握手法を提案する.相互の業務支援を遠隔にて実現するため、解決策の提案が可能,かつ業務状況も考慮できる相談先と相談者をペアリングする技術の必要性が高まっている.そのため,業務経験の多寡を,業務で用いた語彙の使用回数から判定する方法が考えられる.その際,語彙を,Office文書等からだけでなく,画像,音声からも抽出できれば,より網羅的な業務経験把握が可能となり,最適な相談先とのマッチングが可能になると考え,手法を提案し検証を行った.その結果,単純に画像・音声認識結果の共通単語を抽出するだけに比べ,相補的に結果を補うことで精度が向上する傾向を確認した.
MANET(Mobile ad-hoc network)は,通信開始時に経路要求をフラッディングするため通信資源を消費する.
そこで,移動体通信を通じて位置情報を共有し,経路要求をフラッディングする領域を限定する手法が提案されているが,高密度な領域を優先するため通信負荷が偏る.
本稿では,通信負荷の少ない端末を優先して経路を構築する通信負荷分散手法を提案する.
災害発生に伴い通信ビルへの電源供給が断たれた場合、救済が必要なビルの組み合わせ毎に優先順位を算出することで、ネットワークトポロジーを考慮し通信断影響を最も抑えられるビルの救済の優先順位算出手法を提案する。
クラウドゲームの市場モデルは,ISPを介してゲーム事業者とユーザの両面性市場と捉えることができるが,ゲーム事業者と直接接続しない下位ISPは利益を十分に得られず,市場も縮小するという懸念がある.一方,同様の懸念が存在し両面性市場を適用できるコンテンツ配信市場では,下位ISPへの収益配分を行うことで市場縮小の懸念を払拭できるという検討が行われている.そこで本稿では,未だこの検討が行われていないクラウドゲーム市場において,ゲーム事業者から下位ISPへの収益配分を行った場合の市場の利益について検討している.クラウドゲーム市場のユーザ行動にはSIR感染モデルが適用できる.それにより,本稿ではクラウドゲームの市場モデルの構築を行っている.
休 憩(15:45 再開) 座長 高橋英士(NEC)
B-14-10 |
複数AIを連携したワークフローの再現性を担保するAIモデル情報管理手法の一検討
◎中村瑞人・佐藤亮介・山越恭子(NTT) |
B-14-11 |
ソースコードのパターン化による既存アダプタ分析の効率化
○武 直樹・加藤能史・大谷未稚・斎藤清隆・近藤 悟・三好 優(NTT) |
B-14-12 |
ブロックチェーンを用いた所有権管理システムに適したプラットホーム
◎角田明快(早大)・矢守恭子(朝日大)・田中良明(早大) |
B-14-13 |
AIの学習用データを生成するミラー環境の検討
◎李 頔・明石和陽・野末晴久・田山健一(NTT) |
ワークフローエンジン(WFE)による保守業務の自動化の仕組みの安定運用には,ワークフロー(WF)の異常終了等のトラブル発生時における原因切り分けの仕組みが必須となる.本稿では,WFの実行IDと,WF実行時のAIのモデル状態の情報をタグ付けすることで,AIを組み込んだWFの再現性を担保する手法を提案する.
オーケストレータにおけるアダプタ開発を効率化するために、既存アダプタを分析し設計/実装の最適化を検討する、リファクタリング的なアプローチが考えられるが、既存アダプタの数が多い場合、人手による網羅的な分析は困難となる。本発表では、既存アダプタのソースコードを横並びで比較し、パターン化するための技術について提案を行う。
本論文では,ブロックチェーンを用いた所有権管理システムに適したプラットホームについての検討を行っている.プラットホームには,スマートコントラクト機能をもち,パブリックなブロックチェーンであるEthereumが適していると当初は考えていたが,仮想通貨の高騰によりシステムとして不安定であるという可能性が浮上した.そのため,Ethereumと同様にスマートコントラクト機能をもつHyperledger FabricとQuorumについてその特徴を検討し,Ethereumとの比較を行っている.
ネットワーク障害対応業務の効率化・自動化が進められている中,AIの学習に使う障害時データの不足が課題となる.AI学習用データの不足へ対応する既存技術はあるが,データが極めて少ない問題やデータがない問題には対応できず,計画や実行にノウハウを持つベテランの稼働が大きくかかるとともに,実行自体にも高いリスクがある問題が残っている. AIを学習させるためのデータ不足を解決するために,本稿では本番環境と同じデータを取得できるミラー環境を検討する.
B-15. センサネットワークとモバイルインテリジェンス
9月14日 9:00〜11:45 Meeting 10 座長 佐藤健哉(同志社大)
B-15-1 |
超高遅延・ロス環境における画像内価値に基づくブロック確率転送
○丸田一輝(東工大)・中山 悠(東京農工大)・久野大介・井上文彰(阪大)・原 祐子(東工大) |
B-15-2 |
Variational Auto-Encoderと周期的キュー割り当てによる2段階DDoS緩和法
◎八重樫 遼・中山 悠(東京農工大) |
B-15-3 |
LTE-V2X Sidelink のための無線リソース割当に関する一検討
◎安田大悟・フィネルティ パトリック・鎌田十三郎・太田 能(神戸大) |
B-15-4 |
NOMAパケットスケジューリングにおける量子アニーリング適用に関する一検討
◎中田渚生・フィネルティ パトリック・鎌田十三郎・太田 能(神戸大)・石崎文雄(モーダルステージ) |
B-15-5 |
マルチサブキャリア多元接続におけるチャネルのOTA割り当て
◎鎌田冬馬・高澤祐樹(神奈川工科大)・市川晴久(慶大)・田中 博(神奈川工科大)・三次 仁(慶大)・川喜田佑介(神奈川工科大) |
深層学習による物体検出技術を用いた遠隔監視等はIoT時代におけるスマートなアプリケーションの一つとして普及してきている.ただし,深海をはじめとした雑音の大きい極限環境や低速ネットワークを介した通信,即ち超高遅延・ロス環境においては,上記リアルタイム性を要求するサービスの適用は困難である.データ通信の信頼性を担保する手法として,誤り訂正符号や再送が一般に採用されるが,超高遅延・ロス環境では,通常の再送処理ではデータ転送効率が著しく低下する.本稿では,画像伝送及び検出に最適化した通信手法として,近似コンピューティング(AC)をネットワークのスケールで適用する概念(AC over Network, ACoN)を提案する.ACとは,計算機内でデータの誤りを許容しながらも処理を行う技術である.超高遅延・ロス環境を想定したシミュレーションにより,提案方式が低遅延にて高いパケット到達率を達成可能であることを示す.
近年増加の一途をたどっているDDoS攻撃への対策として,ネットワークエッジにおける周期的キュー割り当てによるDDoS緩和法が提案された.しかし,この手法ではフローマッピングを常に更新し続ける必要があるため,計算量や消費電力の増加が課題となる.そこで,運用時の効率性向上のため,本稿ではVAEと周期的キュー割り当てによる2段階DDoS緩和法を提案する.提案手法は,第1段階としてVAEを用いてFlooding型DDoS攻撃の有無を判別する.攻撃を検知した場合に第2段階である周期的キュー割り当てにより攻撃フローを特定する.さらに,提案手法の性能についてシミュレーションにより評価した結果について述べる.
車車間通信の実現には,通信環境の変動しやすさに耐えうる,適切な無線リソース割当方式が必要である.本研究では,LET-V2X Sidelink Mode 3 に対し, 車両密度によって相互干渉から保護する範囲を変動させ,効率的に無線リソースを再利用する新たな無線リソース割当方式を提案する.また,通信成功率のシミュレーション結果を示す.
5G以降の機能要件の一つである多数端末接続を実現しうる通信方式として,非直交多元接続方式が提案されている.しかし,多数端末接続のシナリオにおいて通信品質を維持しつつチャネル利用効率を向上させるためには,同時通信端末を適切にペアリングし,チャネルに割り当てる必要がある.本稿では,固定端末上り無線アクセスにおいてNOMAを適用した際の端末のペアリングとチャネル割当を組合せ最適化問題として定式化し,量子アニーリングにより求解した結果を示す.
著者らは,RFID国際標準プロトコルであるISO/IEC 18000-63を拡張し,複数のサブキャリアチャネル(以降、チャネルとする)を用いて同期ストリーミングを実現する無線プロトコルの研究開発をしている.これをマルチサブキャリア多元接続(MSMA: Multiple Subcarrier Multiple Access)と呼び,複数のRFタグとの同期ストリーミングを実現するものである.MSMAにおいて,RFタグが用いるチャネルには高調波成分が発生し他のチャネルとの干渉となる.この干渉を除去するために,システム側でチャネルの高調波成分レプリカを生成し,他の信号から減算することで干渉除去を行う.これまで,どのRFタグにどのチャネルを割り当てるか決定する課題を中心に議論してきた.本稿では,無線プロコトルを用いたチャネルの割り当て(OTA割り当て)とその実証について報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 中山 悠(東京農工大)
B-15-6 |
分散マイクロ波電力伝送における時空間スケジューリング方式
○藤井正明(ミネベアミツミ) |
B-15-7 |
点群データを用いたミリ波受信電力予測手法の検討
◎太田翔己・西尾理志(東工大)・工藤理一・高橋馨子(NTT) |
B-15-8 |
3D image sensing for road safety from inside of window
◎Hajime Ozawa・Ryoichi Shinkuma(Shibaura Inst. of Tech.) |
B-15-9 |
Selective point data transmission for real-time 3D sensing network with multiple sensors
◎Kenta Azuma・Ryoichi Shinkuma(Shibaura Inst. of Tech.)・Koichi Nihei・Eiji Takahashi・Takanori Iwai(NEC) |
B-15-10 |
Real-time data aggregation with multiple 3D-image sensors for indoor monitoring
◎Kuon Akiyama・Ryoichi Shinkuma(Shibaura Inst. of Tech.) |
広範囲なエリアにおいて多数のデバイスに無線給電を行うには分散アンテナによるランダムビームフォーミング(RB)マイクロ波電力伝送が有効である。今回、アンテナサブセットからの空間多重個別エナジービームフォーミングにより多数の加入デバイスへの周期的送電効率の向上を図る簡易な時空間スケジューリング方式を提案し、計算機シミュレーションによりその効果を確認したので報告する。
本稿では,画像と比べてプライバシ配慮が不要な点群を用いた受信電力予測手法を提案する.ミリ波通信などの高周波帯無線通信における人体等の遮蔽による信号電力の大きな減衰を予測する技術としてカメラ画像を用いた手法が提案されているが,プライバシ保護の観点からカメラの設置が困難な場合がある.提案手法では,LiDARなどで計測できる点群を用いることで,カメラの設置が難しい環境での受信電力予測を可能とする.提案手法では,前処理として点群データの外れ値除去,ダウンサンプルなどを行い,勾配ブースティング決定木により予測モデルを学習する.実験評価により,提案手法が画像を用いる従来技術と同等の予測誤差でミリ波受信電力を予測可能であることを示した.
As the population in urban areas increases,road users such as cars,bicycles,and motorcycles increase the risk of road accidents. Accurate prediction of the next possible road-traffic situation helps the prevention of such accidents. Light Detection and Ranging (LIDAR) sensors enable acquiring three-dimensional (3D) image data in real time, which are helpful for detecting objects on roads with high accuracy. In the previous studies, LIDAR sensors were installed along road sides. By doing so,we obtain high resolution of 3D data of the entire roads.However, it is too costly if LIDAR sensors can be installed only outdoors.We propose a system with LIDAR sensors that can be installed indoors and acquires 3D-image data of roads from the inside of a window.
Smart monitoring is an essential component in smart cities. Lidar is used as a sensor for smart monitoring. A single LIDAR sensor has blind spots such as the back side of an object. Constructing a network using multiple LIDAR sensors at different locations works to acquire rich 3D information. As the number of sensors increases, the data size of the point cloud data acquired by sensors increases. This leads to a communication overflow between the device and the edge server. We propose a method to reduce the amount of data by voxel-based deletion of static object that need no to be continuously updated such as a wall and a ceiling.
For indoor monitoring, a large number of 3D-image sensors is promising to reduce blind spots and enhance information in the overlapping area. Although the installation of multiple sensors has been discussed, the prior works focused mainly on outdoor monitoring with a few number of sensors particularly for road safety. This paper proposed the scheme that aggregates data from a large number sensors and suppresses the volume of data by filtering low-importance points such as ones of floors and ceilings in real time and showed the effectiveness of the proposed scheme.
9月14日 13:00〜16:45 Meeting 10 座長 太田 能(神戸大)
B-15-11 |
ビームフォーミングフィードバックを用いたワイヤレスセンシングにおける推定精度へのサブキャリア数の影響
◎近藤綜太・山本高至(京大)・香田優介(オウル大)・山下皐太(京大)・西尾理志(東工大)・田谷昭仁(青学大) |
B-15-12 |
Wi-Fi CSIを用いた人の位置推定におけるCSI Toolの比較
○熊田 悠・小川将克(上智大) |
B-15-13 |
アンテナ特性の違いによるWi-Fi CSIを用いた物質識別の比較
○YUAN TIAN・小川将克(上智大) |
B-15-14 |
アンテナ反射特性の変化を用いた人感センシングの検討
○栗原拓哉・清水 聡・鈴木義規(ATR)・新谷一貴・岩井誠人・衣斐信介(同志社大) |
B-15-15 |
アンテナ特性の変化を利用するセンシング技術のFDTD解析
◎新谷一貴・岩井誠人・衣斐信介(同志社大)・清水 聡・鈴木義規・栗原拓哉(ATR) |
IEEE 802.11ac以降の無線LAN(Local Area Network)標準規格では,固有モード伝送を実現するためBFM(Beamforming Feedback Matrix)を受信局が送信局へ返送する.BFMは受信局が推定するCSI(Channel State Information)行列を特異値分解したときの右特異行列であり,CSIの一部を含む.このため,BFMを用いたワイヤレスセンシングが可能である.IEEE 802.11ac規格以降,サブキャリア数やアンテナ数がそれまでの標準規格に比べて増加している.そのため,IEEE 802.11n規格で用いられたCSIやRSSI(Received Signal Strength Indicator)などの従来のワイヤレスセンシングの特徴量と比較して大きな次元数を持つ特徴量である.一方で,BFMの大きな次元数がワイヤレスセンシングに対して与える影響は不明である.本稿では,ワイヤレスセンシングの一例として屋内の人の位置推定を実行し,擬似的にサブキャリア数を変化させることでサブキャリア数に対する位置推定の精度を評価する.
Wi-Fi CSIを用いた人の位置推定における各CSI Toolの比較を行うために,人の違いが分類精度に与える影響を評価した.同一被験者の訓練データがテストデータに含まれない場合は分類精度が低下したが.この時,Atheros CSI ToolはLinux 802.11n CSI Toolと比べて,精度が高いことが明らかとなった.
本稿では,送受信アンテナ間を静止・通過する物体の物質識別に用いるアンテナ特性の違いによる識別精度を比較する.送受信アンテナ間を物体が静止や通過すると,物体の物質ごとに反射や透過,回折によりマルチパス伝搬特性が異なるため,CSIを利用して物質を識別する.アンテナ特性の違いにより,1x1 MIMO,2x2MIMO,3x3 MIMOの伝送路構成別の識別精度の違いについても明らかにする.
我々の提案する、アンテナ周辺の他物体の変化に応じたアンテナ入力インピーダンスの変化に着目した近接センシング技術を応用方法の検討として、アクリルパネルの周辺に人物が存在するかを検出する製品を想定した近接センシングシステムを構築し、検出可能性の評価を実施した。結果、検出対象がいない場合の電圧を保持し、検出時はその保持電圧との差により、検出物の有無を検知できることを確認した。
人体などの物体がアンテナ近傍に存在する場合には,アンテナ特性に様々な変化が生じる.この特性をアンテナ周辺の物体のセンシングに活用する技術が検討されている.本報告では,近距離の人体の存在やその位置までの距離を検知する近接センサの開発に資することを目的として,人体がアンテナ近傍に存在する場合のアンテナ特性をFDTD (Finite Difference Time Domain)法により解析した.人体・アンテナ間の距離を検出することを目的として,反射損失差と反射係数距離を検出指標として用いることを検討した.
休 憩(14:30 再開) 座長 森 慎太郎(福岡大)
B-15-16 |
ガス発生源探索のための風向を考慮した群移動センシングアルゴリズム
◎眞田和典・四方博之・滝沢泰久(関西大) |
B-15-17 |
Inherent Yaw Misalignment Estimation for Wind Turbine Using SCADA Data
◎Bojian Du・Yoko Furusawa・Yoshiaki Narusue(The Univ. of Tokyo)・Nozomu Nishihara・Kentaro Indo(Eurus Technical Service)・Hiroyuki Morikawa・Makoto Iida(The Univ. of Tokyo) |
B-15-18 |
LoRa無線端末を用いたセンサネットワーク構成方法の検討とその応用
○金光優作・矢野裕統・古谷彰教・中山裕之・妹尾尚一郎・河合浩行・三好真千(徳島文理大) |
B-15-19 |
ドローンを用いた落雷捕捉システムの構築に向けた取り組み
○荒井稔登・枡田俊久・丸山雅人・加藤 潤(NTT) |
近年、センサを搭載した自律移動ロボットがセンシング対象エリアを移動しながらセンシングを行う移動センシングが注目を集めている。移動センシングの適用例として、災害時の要救助者探索やガスあるいは放射能等の発生源探索が挙げられる。現在までに、要救助者の保持する携帯端末の電波を頼りに群知能を用いて広範囲の効率的な探索を実現する移動センシングクラスタが提案されている。これに対し本稿では、探索対象としてガス発生源を考え、風の影響を考慮した移動センシングクラスタの改良およびガス伝搬モデルを適用した評価を行う。
For upwind horizontal axis wind turbines, the rotor plane needs to be aligned perpendicular to the wind flow to maximize power output. Toward improving yaw alignment at low cost, we have been working on yaw misalignment correction only using data collected from a default installed Supervisory Control And Data Acquisition (SCADA) system. In this preliminary study, we propose a regression-based approach to acquire the inherent yaw misalignment angle. We leverage the model between power gain and the measured yaw angle, where the inherent yaw misalignment angle is obtained as a regression coefficient. To improve the accuracy of the regression, we apply a wind speed correction technique with a linear transformation model. The result of a preliminary evaluation shows the viability of our approach.
[背景] 志度湾では水産資源が豊富なため牡蠣の養殖が盛んである。牡蠣の成長には温度が重要で、30度を超えると牡蠣が死滅することが分かっている。海水温度を遠隔でモニタリングし、養殖籠を最適温度の水深まで移動させるシステムが所望されている。
[方法]本研究では、牡蠣育成を遠隔モニタする養殖システムにより牡蠣育成の最適化を実現するため、カキ養殖籠移動機構のエミュレータ、制御用の組込みマイコン、海水温モニタ用センサおよび無線端末(LoRa端末)から構成されるシステムを製作し、温度センサのデータ送信、かご移動機構の制御動作等のフィジビリティの検証を行った。
ICT 機器の普及とともに,落雷被害による私たちの生活や社会への影響が増大している.特にこれらの機器が多数配備され,高度に自動化されたスマートシティにおいては,落雷に起因する通信・電力インフラの途絶は大きな社会リスクとなる.筆者らの研究グループでは,近年発展著しいドローン技術を応用し,スマートシティのように広いエリア全体を落雷から防護する落雷捕捉システムの実現を目指している.本報告では,提案する落雷捕捉システムの概要を紹介する.
休 憩(15:45 再開) 座長 中野 亮(日立)
B-15-20 |
山岳地帯における多地点気象観測ネットワークの構築
○山内雪路(阪工大) |
B-15-21 |
ドローンネットワークを用いた複数センサによる要救助者捜索システム
◎高橋直樹・吉田政望・Alberto Gallegos Ramonet・野口 拓(立命館大) |
B-15-22 |
UAVを用いた観光支援システムの検討
◎道浦菜々子・小板隆浩・冨山将矢(同志社大) |
B-15-23 |
太陽熱発電装置の発電能力について
◎的早耕太郎・吉川 隆(近畿大高専) |
豪雨災害に対する防災・減災を目的として、山岳地帯の自治体と共同で高密度・多地点の気象観測ネットワークを構築している。険しい山岳地帯では集落が点在し、幹線道路から集落までは林道が1本しかないケースが少なくなく、崖崩れなどが生じると携帯電話網すら途絶する場合が考えられる。そこで携帯電話網に加えてプライベートLoRaによるマルチホップネットワークを併設して高信頼な気象情報ネットワークの構築を進めている。本発表ではこの計画のうち、LTE携帯電話網を利用する部分について述べる。
災害時の要救助者捜索において, ドローンネットワークを用いた新たな捜索法への期待が高まっている. しかし, 既存のドローンネットワークを用いた捜索アルゴリズムの大半は, 要救助者の人数や位置, 緊急度が考慮されておらず, 捜索の迅速性および的確性に課題が残る. そこで本研究では, 複数センサを用い, 役割分けしたドローンネットワークでの新たな要救助者捜索システムを提案する.
観光客にとって満足度の高い観光は,観光客が期待する風景に近い風景が見られることである.そのため,より訪問時間に近いリアルタイムな観光情報を収集し,観光客に提供することが求められる.本研究ではリアルタイムな観光情報の収集にUAVを用いた観光支援システムを提案する.提案システムの実現可能性について検討するため,UAV飛行可能エリアにおいていくつかの対象物を観光スポットと見立てて予備実験を行った。その結果,実際の観光地でUAVを飛行させる場合,撮影にかかる飛行時間と対象物の見え方についてトレードオフが発生する点や撮影した画像に占める対象物の大きさを考慮する必要があるという知見を得た.
ユビキタス社会に於いてローカル電源が必要となる。我々は太陽熱を利用した屋外で発電可能な温度差発電装置の研究を行っている。一般的にIoTで用いられるセンサネットワークノードを稼働し続けるための電力は間欠動作を想定して,平均100μW~200μW程度の平均電力を確保する必要があると考えられている。そこで,モデル実験による熱伝導率の精緻化を行い,可搬可能なスケールを想定して,温度差発電装置を構成した場合,どれ位の発電量が見込めるかを計算した。その結果,5mW程度の発電電力が得られるとの計算結果を得ることができた。
9月15日 9:30〜11:45 Meeting 10 座長 田谷昭仁(青学大)
B-15-24 |
製造業4Mデータ解析向け軽量エッジAIプラットフォーム
○平井理宇・久門 拓・光野正志・堤 大輔・嶋田 匡・後藤知明(日立) |
B-15-25 |
室内音環境認識のためのスペクトログラム画像を用いた転移学習の適用に関する基本検討
○佐野将太・市川誉揮・川喜田佑介・宮崎 剛・田中 博(神奈川工科大) |
B-15-26 |
ネットワークエッジにおける超解像負荷分散アルゴリズム
◎谷口 翔・八重樫 遼・小野寺幸仁・中山 悠(東京農工大) |
B-15-27 |
アマゾンにおける森林伐採の抑止に向けた衛星画像からの違法道路検出
◎小野寺幸仁(東京農工大)・小此木宏明(国際協力機構)・中山 悠(東京農工大) |
製造分野のQCD改善や競争力強化を目指すコンセプト「Industrie4.0」や「Society5.0」の実現に向けてDX技術の研究開発が国内外で活況である.本報告では,多種多様な製造現場において柔軟な4Mデータ解析を可能とする低コストのエッジAIプラットフォームを検討し,製造現場の模擬環境を用いて基本評価を実施したので報告する.
室内には多様な環境音が存在しており,それらの音の識別を行うことで生活状況の見守りなど多様な応用が期待できる.その際,対象とする環境音を抽出する方法としては,不要な音を雑音として除去する方法が一般的だと思われる.本稿では,各音源,またそれらが混在する条件での音源識別の可能性について,スペクトログラム画像を用いた転移学習を適用した結果を述べる.
エッジコンピューティングはデバイス付近でデータ処理を行う手法で,通信負荷や遅延軽減が期待される.一方,近年動画像の解像度を鮮明にする超解像技術の進歩が著しい.本稿ではクラウドから送信された低画質な動画像を超解像し,ユーザデバイスで閲覧する場合を想定する.エッジサーバを使用して超解像処理の計算負荷を軽減すると,データ量が増大しネットワーク負荷が上がるトレードオフがある.そこでネットワークエッジにおける超解像負荷分散アルゴリズムを提案する.デバイスの計算負荷とネットワーク負荷を制約とし,タスク割り当てを0-1整数計画問題として定式化した.提案手法の有効性をシミュレーションと模擬実験により確認した.
近年,アマゾン川流域での活発な違法な伐採活動は,その面積の広大さから摘発が困難になっている.こうした違法伐採では,先に森林内に違法な未舗装道路が建設されるという特徴がある.一方,人工衛星画像の解像度や撮影頻度が向上している.また,機械学習技術の著しい発達により,DNNを用いて衛星画像から建物などを検出する研究は数多く行われている.しかし,衛星画像から森林内の未舗装道路を検出する技術は未だ検討されていない.そこで本稿では,DNNにより衛星画像から森林内の未舗装道路を検出する手法を提案する.森林伐採の予兆である違法道路を早期に検出することで,違法な伐採活動の取り締まりに寄与することを目的とする.
休 憩(10:45 再開) 座長 西尾理志(東工大)
B-15-28 |
マルチカメラによるRSSI予測技術の屋内実験評価
◎高橋馨子・工藤理一・小川智明(NTT) |
B-15-29 |
視覚情報へ埋め込まれたデータの高速表示に対応したディスプレイ-カメラ可視光通信の通信品質評価
◎林 大雅・岡田 啓(名大)・小林健太郎(名城大)・和田忠浩(静岡大)・ベンナイラ シャドリア・片山正昭(名大) |
B-15-30 |
カメラを用いた筋力トレーニングにおける最大挙上重量の推定に関する検討
◎山本恒輔・笹谷拓也・川原圭博(東大) |
B-15-31 |
アノテーション効率化のためのイベント関連ツイート抽出技術
◎武田直人・上坂大輔・南川敦宣(KDDI総合研究所) |
近年、深層学習の発展により映像情報を用いた環境認識技術が高度化しており、またカメラ・センサが低価格化・小型化が進んだことから、今後通信機やその周辺の環境について、情報の取得・集約が進むことが想定される。これら情報を無線通信ネットワークの信頼性向上に活用することを目指し、本研究では移動端末における無線通信品質とカメラ情報の関係性を解くべく、映像を用いた通信品質予測手法を提案し、予測精度を評価した。
本研究では,送信機に高速表示可能な液晶ディスプレイ,受信機にローリングシャッタ方式のカメラを想定している.
ディスプレイに表示された視覚情報である背景画像にデータを埋め込み,点滅によってデータを送信する.
その際,人の目に知覚されない埋め込み方式のためにデータの高速点滅によって通信を行う.
背景画像へデータを埋め込み,通信品質の評価を行う.
筋トレにおける最大挙上重量を知ることで安全で効果的に筋トレを行うことができ成長の指標にもなるが、実際に限界まで力を出す測定を頻繁に行うことは難しい.筋トレを全力で行った際の挙上速度と最大挙上重量に対する相対値の間には概ね比例関係が示されているが,従来研究では測定のために筋トレ機器に改変が必要であり重量負荷を直線状に動かす運動以外に適用できないという課題があった.本提案では従来の環境にカメラを加えるだけで挙上速度から最大挙上重量を推定する手法を提案する.本稿ではアームカールという非直線的な筋トレを撮影した映像から平均挙上速度と最大挙上重量の相対値との間に比例関係があることを明らかにした.
スマートフォンから取得したGPS情報により人口統計の時系列推移(人口動態)を計算して混雑を検知する研究が報告されている.検知した混雑の原因(イベント)を推定するイベント分類モデルを学習させることで,混雑回避とイベントの賑わい情報の発信が期待できる.しかし,イベント分類モデルの訓練データ作成では,アノテータの作業負荷が大きい点が課題である.そこで,本研究では,アノテータの負荷を軽減しつつ効率的にアノテーションを行うための,人口動態とツイートのトピックとの相関を考慮したツイート抽出手法を提案する.実データを用いた実験により,提案手法は複数の異なるイベントが開催される可能性のある会場のイベントアノテーションにおいて特に有効なことが確認できた.
9月16日 9:00〜11:45 Meeting 10 座長 宇野新太郎(愛知工科大)
B-15-32 |
モバイル空間統計を用いた適応的移動ネットワークのスケーラビリティ評価
◎李 天文(東京農工大)・久野大介(阪大)・丸田一輝(東工大)・中山 悠(東京農工大) |
B-15-33 |
複数のユーザニーズに配慮したデマンド型交通向け予約状態管理手法
◎恋塚 葵・大岸智彦(KDDI総合研究所) |
B-15-34 |
リアルタイム物体検出による追突事故・巻き込み事故防止を目的とする自転車利用者へのIoT警告システム
◎堀部咲歩・岩井将行(東京電機大) |
B-15-35 |
自動運転向けCNN実装工数削減のための設計プラットフォームの提案
◎中野和香子・平井理宇・村中延之(日立)・伊藤浩朗(日立Astemo) |
B-15-36 |
携帯端末間の接触情報の活用による歩行者の屋内位置推定
白木詩乃・○竹原健太・鈴木 葵・塩田茂雄(千葉大) |
モバイルトラヒックは爆発的に増大し続け,6Gに向けた研究開発が本格化している.高周波数帯の利用によりスモールセルが中心になると,ユーザ動態による通信トラヒックの時空間変動が課題となる.その課題に対して,自律移動ノードを用いた適応的移動ネットワークが提案された.しかし,ノードの移動スケジューリングを一元的に行うため,多くの基地局を配置する際のスケーラビリティが課題だった.そこで本稿では,各ノードが自律的に移動先を決定する分散型アルゴリズムを提案する.東京のモバイル空間統計データを用いたマルチエージェントシミュレーションにより,従来の固定ノード配置と比較して,ノード数を約50%低減できることを確認した.
デマンド型交通の配車予約では,専用のアプリやWEBシステム等で運行管理サーバへ配車検索要求を送信し,配車検索要求に含まれる出発地・目的地・時刻条件等を元に可能な配車を算出する.見つかった配車の予約状態管理において,自由な配車検索と予定時刻確認・予約バッティング対処を両立するには,予約状態として「確定」の前に,配車検索で可能な配車が見つかった状態の「未確定」と予約の仮確定をした状態の「仮確定」を設ける方法が考えられる.予約の整合性を確認しつつこれらの予約状態遷移を行うにあたり,デマンド型交通での予約は他の確定済み予約の影響を受けることから,新幹線の予約のように区間・座席毎に独立に管理するという考え方は適用できない.本稿では,予約の含まれるトリップが影響する車両・時間帯を抽出し,車両・時間帯毎に予約の整合性を確認する予約状態管理手法を提案する.
近年,自転車対自動車事故は減少傾向にある.その要因の1つとしてCMBS(衝突回避システム)などの自動車の安全性能の向上が挙げられる.交通事故による負傷者数や死亡者数を減少させるためには,リアルタイムで車両を検出し衝突を回避する安全装置が有効である. 交通事故総合分析センターによると,自転車と自動車の追突事故は,死亡事故の約半数を占めている.自転車利用者が追突事故を回避する為には,自転車利用者の死角になる後方からの自動車の接近を知る必要がある.本システムの特徴は,自転車利用者が自ら追突事故・巻き込み事故を回避することができるという点である.カメラにより,リアルタイムで物体検出をすることで自転車利用者が危険を回避するための時間が十分考慮されたシステムを開発した.
自動運転の実現には高度な周辺認識を行うCNNの導入が必要であるが, 近年車載用途のCNN実装デバイスは, 高い処理性能, 省電力性への要求からAI処理に特化したAISoCへと変わりつつある. 本稿では, 様々なアーキテクチャが存在するAISoCにおけるCNNの設計工数低減のための設計プラットフォームを提案する.
新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」は,スマートフォンが周囲に同報する識別子を介して,感染者との接触履歴を認識することを目的とするが,ここで用いる接触情報は感染者との接触履歴の確認以外の様々な用途に活用できる可能性がある.本稿では,接触情報を利用した歩行者の屋内位置推定手法を提案する.本稿では,歩行者は無線信号により識別子を絶えず同報する端末を携帯することを仮定する.各端末は,周囲の端末が発する無線信号を受信してその識別子を認識し,周囲の端末の識別子情報を位置管理サーバに定期的に送信する.屋内には,端末と同じ機能を有する複数の装置(アンカー)が定位置に置かれ,やはり周囲の端末の識別子を同サーバに送信する.この条件のもとで,位置管理サーバは,歩行者(及びアンカー)間の近接情報を把握し,各アンカーまでのホップ数の情報などを用いて各歩行者の位置を推定する.本稿では,提案する位置推定法の推定精度をシミュレーションで評価した結果を示す.
休 憩(10:30 再開) 座長 湯 素華(電通大)
B-15-37 |
センサの応答に基づく近接情報利用型位置推定実験の妥当性の検討
◎△白木詩乃・塩田茂雄(千葉大) |
B-15-38 |
Neural Network による屋内位置推定の Android 端末への実装法
◎堀 開慎・相河 聡・山本真一郎・阪井祐太(兵庫県立大) |
B-15-39 |
Finger Print位置推定のNNモデル自動更新におけるデータ選別
◎小西楊平・相河 聡・山本真一郎・阪井祐太(兵庫県立大) |
B-15-40 |
ResNetを用いたFinger Print位置推定
◎坂西 優・相河 聡・山本真一郎・阪井裕太(兵庫県立大) |
B-15-41 |
単一無線LAN基地局によるRNN位置検出システムと評価
○工藤理一・高橋馨子・村上友規・吉岡弘貴・小川智明(NTT) |
位置が不明な多数のセンサの応答から得られるセンサ間の近接関係に基づき,それらの位置を推定する近接情報利用型位置推定法が提案されている.これまでの研究では,屋内の実機実験を通して,位置推定誤差の増加要因が誤って構築された近接関係にあると示した.本研究では,誤差の増加要因とみられるセンサの誤検知を意図的に起こす機能を組み込んだシミュレータで実験環境を再現し,位置推定結果の比較により,実機実験結果の妥当性を示すことを検討する.
近年,屋内位置推定の手法として無線LANを用いたFinger Print方式が研究されている.従来の位置推定手法では事前測定したAP情報から,Data Baseを作成し,MSEにより位置を推定している.しかし,画像分析などに用いられるNeural Network(NN)を利用することでMSEよりも推定精度が高くなることが分かっている.本研究では,NNモデルを用いた自己位置推定システムをAndroid端末に実装した.また,実際にAndroid端末上でより精度の高い位置推定ができることを推定精度・推定時間の観点から確認した.
屋内位置推定として,FingerprintにNN(Neural Network)を適用した手法がある.この手法には, 時間経過に伴いAP情報(ID, RSSI)が変化し,推定精度が劣化する問題がある.その解決手法の一つとしてNNモデルの自動更新がある.これは,UD(ユーザ測定AP情報)と位置推定結果を紐づけてNNモデルの更新に使用する.自動更新では事業者が再測定を行わずにNNモデルを更新することが可能である.しかし,誤推定したUDを用いてNNモデルを更新する恐れがあるため,NNモデルの更新に使うUDの選別を行う.本研究はソフトマックス差によるUD選別を提案し,実験によりその効果を検証した.
現在,位置推定には GPS(Global Positioning System)が一般的に用いられている.しかし,GPS は衛星からの電波を利用するため,屋内などの電波が遮られる場所では推定に誤りが生じやすい.そこで,屋内環境での位置推定技術として無線LANを用いた方法を検討する.推定手法にはFinger Print方式を採用する.無線 LAN 電波を用いてデータベース(DB)とユーザデータ(UD)を測定し,Finger Print 屋内位置推定の位置推定精度向上を図る.UDとDBを比較するNNは画像の特徴抽出に長けるCNN(Convolutional Neural Network)を利用する.しかし,CNNでは中間層の層数増により劣化問題や勾配消失問題により推定精度が劣化することがある.本研究ではこの問題を解決するために ResNet(Residual Network)の利用を検討する.また,異なる環境で位置推定を行うことで,中間層の増数が有効であるかを検証する.
本稿では、教師データを利用し、無線通信情報のフィンガープリントを用いることで、無線通信機器の位置を高精度に予測する深層学習技術を提案し、その効果を実験により示す。
9月16日 13:00〜16:30 Meeting 10 座長 二瓶浩一(NEC)
B-15-42 |
マイクロ波センサーを用いた交差点安全支援システムの実証実験
○宇野新太郎(愛知工科大)・中戸克彦・飯尾匠平(アイチシステム) |
B-15-43 |
無線通信端末による医療用シリンジポンプの遠隔モニタリングおよび制御方法の研究
○谷澤良城・中山裕之・河合浩行・妹尾尚一郎・古谷彰教・矢野裕統(徳島文理大) |
B-15-44 |
医療用センシングネットワーク構成方法およびそのプロトコルの研究
○矢野裕統・谷澤良城・古谷彰教・中山裕之・妹尾尚一郎・河合浩行(徳島文理大) |
B-15-45 |
ミリ波IoT搭載ロボット構内見廻りシステムにおける協働活動に基づいたデータ更新周期改善効果に関する一検討
○鈴木藍礼・渡辺良人・荘司洋三(NICT) |
B-15-46 |
自動車遠隔監視映像向けの回線冗長システムの一検討
○佐藤雄大・樫原俊太郎・大岸智彦(KDDI総合研究所) |
筆者が所属する研究室では、920MHzを用いた路車間通信を利用した交差点安全支援システムの研究を行ってきた。特に、信号機のない中小規模交差点での出会い頭事故防止に有用であることを確認したが、車載器をすべての車両に搭載することは、価格面でユーザの負担を強いることになり、早期の実現は難しい。そこで、、筆者らは、信号機のない見通しの悪い交差点にセンサーを置き、車両・自転車・歩行者を検知した場合に表示灯によりドライバーに知らせる交差点安全支援システムを開発し、実証実験を行い、有効性を確認したので報告する。
[背景]医療現場では、医療需要の増加により、医療従事者の仕事量が増えている。
システムサイドの観点から、医療従事者の仕事量の負担軽減することが望まれる。
本研究では、病院内において重要な役割を担っているシリンジポンプに着目し、その入出力データを無線端末と組込みマイコンによって遠隔制御、モニタリングする方法について検討した。
[方法]本研究では,組込みマイコンとシリンジポンプ(エミュレータ)、サーバーPCを用いて無線通信端末を製作し、通信の動作検証を行う。
[結果]製作した無線通信端末を用いて1対複数通信の動作検証実験を行い、通信及び制御端末としてのフィジビリティを確認できた。
背景
ICU等の医療設備や病院に従事している医師、看護師、介護士にとって大きな負荷が社会問題となっている。
目的
看護師や介護士の負荷低減を目的とし、医療用センシングネットワークの構築、及びその構築に不可欠な通信プロトコルの検討を行う。
方法
病院内の集中治療室において重要な役割を担っているシリンジポンプに着目した。
設計するプロトコルは、ZigBeeプロトコルでカプセル化した独自プロトコルとした。
シリンジポンプを遠隔制御する端末を作製し、1対複数で動作検証を行った。
結果
1対複数でLEDの遠隔制御ができていることを確認した。エミュレータを作製し、コリジョンを回避するプロトコルを作成しそのフィジビリティを検討している。
我々は超高周波IoTすれ違い無線通信機能をモビリティに搭載し,モビリティによる物理的なデータの移動も活用した大容量・高速かつ効率的なデータ転送プラットフォームPiggy-back Networkの研究開発を行っている[1].
モビリティにカメラを搭載し走行中の映像を収集・配信することで,監視カメラの敷設がなされていない施設においても映像による監視が可能になると見込まれている.いっぽうでロボットが走行に費やす時間が発生するため,リアルタイム性において従来の監視カメラに劣るという現状がある.本稿では,協働するロボット数を増やすことで改善される映像の更新周期について考察を行う.
第5世代移動通信回線(以下,5G回線)の利用による,自動運転車の遠隔監視の高度化が期待されている.5G回線に用いる周波数帯は,Sub-6帯やミリ波帯などの高周波数帯と,既存回線の周波数を転用した周波数帯がある.特にSub-6帯やミリ波帯などの高周波数帯は,広い周波数帯域が利用可能なことから,遠隔監視映像の高精細化が可能となる.一方で,高周波数帯の5G回線の基地局あたりの通信可能エリア(以下,カバレッジ)は,800MHz帯などの低周波数帯を用いる第4世代移動通信回線(以下,4G回線)や5G回線のカバレッジと比較し狭い.そのため,低周波数帯を用いる回線のカバレッジの中に,高周波数帯の5G回線のカバレッジが点在するヘテロジニアスなネットワークとなる[1].自動運転車は頻繁に高周波数帯の5G回線のカバレッジを出入りするため,出入りの際の通信品質低下が課題となる.本稿では,この課題解決のための自動車遠隔監視映像向けの回線冗長システムの検討を行う.
休 憩(14:30 再開) 座長 瀧本栄二(広島工大)
B-15-47 |
IRM を用いた NMF の前処理の提案
○飯棲俊介・大枝真一(木更津高専) |
B-15-48 |
Knowledge TracingとIRTを組み合わせた学生モデリング手法による学習者の潜在状態推定
◎柿崎透真・大枝真一(木更津高専) |
B-15-49 |
タンジブル教材を用いたスマートフォン学習環境における授業支援
○加藤利康・神林 靖(日本工大) |
B-15-50 |
仮想環境内における点電荷による3Dハプティックインタフェースを用いた教育用アプリケーション化に関する一検討
○今西諒太・戸田 健(日大) |
学習支援システムの構築において,学習者の持っているスキルと設問を解くために必要なスキルを把握し,学習者に適した設問を出題することが重要となっている.
設問とそれを解くために必要なスキルはQ-Matrixにより表される.先行研究ではQ-Matrixは次元縮約手法であるNMFにより,学習者と解けた設問との関係行列から自動抽出がなされている.
本研究では,NMFの精度を向上させるべく,前処理として関係データの共クラスタリング手法であるIRMを用いて,NMFの精度向上に繋がるかどうかを調査する.IRMによって設問と学習者の類似関係を抽出することにより,より正確なQ-Matrixを得ることができると考える.
今日,e-Learningシステムの普及によって,システムを利用した学習者のログが大量に蓄積されるようになり,教育データから有益な情報を抽出しようとする試みであるEducational Data Miningや,学習者のスキル状態に見合った設問を出題し,効率の良い学習環境を提供するIntelligent Tutoring Systemが注目されている.先行研究では高精度なスキル状態の推定が可能な学生モデルが提案されてきたが,これらはログデータが正しいと仮定してモデリングをしている.すなわち,試験が公正かつ公平に行われたと仮定してモデリングをしている.実際は,カンニングの可能性や,インターネットからヒントを得ている可能性もある.そこで本研究では,学生モデリング手法のKnowledge Tracingを用いて,学習者の潜在状態を推定する手法を提案する.
近年タンジブル教材を用いた学習に注目が集まっており,プログラミング教育にも活用され始め研究が進められている.プログラミング教育ではPCを用いて学習することが多いが,コンピュータの整備や小さい画面により操作が制限されている課題がある.そこでわれわれは,世界的にPCよりも普及しているスマートフォンで動作するプログラミング教育向けのタンジブルな教材を開発した.今回はタンジブル教材を用いた多人数向けの授業支援を目的に,学習者の抱えている問題点を指導者へ提供する方法を提案する.
現在PCやインターネットを利用した教育形態であるe-learningの導入が進められている.しかし,工学教育においては直観的理解や経験が重要であり,視覚のみによる教育効果には限界がある[1].そのため、触知覚と視覚に作用する教育用インターフェースを用いての学習の検討が行われてきた[2,3].しかし,インターフェースのみでの学習では学習側の操作に依存してしまう.
そのため,本稿では仮想環境に点電荷を再現し,視覚に作用するCAI (Computer Assisted Instruction)と触覚に作用する3Dハプティックインタフェースを用いた教育用アプリケーションの試作・検討を行った.
休 憩(15:45 再開) 座長 橋本匡史(サイバー大)
B-15-51 |
ウェアラブル加速度センサを用いた手話動作の識別実験結果
○小田切 航・佐藤辰也・若尾 吏・川喜田佑介・西村広光(神奈川工科大)・三次 仁(慶大)・田中 博(神奈川工科大) |
B-15-52 |
Leap Motionを用いたLSTMによる手数字の識別
○金子典滉・小川将克(上智大) |
B-15-53 |
近距離IoT無線を用いた自律移動ロボットのためのエレベーター移動支援システムの開発
◎酒造 孝・渡辺良人・荘司洋三(NICT) |
光学カメラで手話動作を撮影し,その位置データから動作の識別をする場合,動きの検出は2次元であり,奥行き方向の検出ができない.加速度センサを利用することで3次元での動きの検出が可能になる.著者らは,センサ信号の高速かつ多チャネル受信をバッテリレスで可能とするマルチプル・サブキャリア・マルチプル・アクセス(MSMA)の研究開発を進めている.本検討では,それに先立って市販の加速度センサによる手話動作の識別実験を行い,センサ数増加による性能向上を確認した結果を述べる.
新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大の防止対策として,非接触操作に関する需要は急激に高まっている.これまでの研究では,手数字の識別を非接触型ハンドトラッキングセンサであるLeapMotion で得られる三次元データ(両手と指10 本に関する座標やベクトル)を利用して, 線形Support Vector Machine ( SVM ) やRandamForest(RF)を用いた識別を行った[1].静止状態である指文字では高い識別精度であるが,動作を含む書き文字の識別精度が低かった.本研究ではLong Short-Term Memory(LSTM)を用いた書き文字の識別を行い,識別精度が向上することを明らかにする.
自律移動ロボットが目的のフロアへ到達した事をエレベーター制御機器から入手する事が難しい現状がある.今回、近距離IoT無線を用い自律移動ロボットが目的のフロア階へ到着し、自律的にロボットがエレベーターを乗り降りする支援システムを考案・開発し実証実験を行った
9月17日 9:00〜11:30 Meeting 10 座長 関屋大雄(千葉大)
B-15-54 |
ゲーム参加型D2D通信システムにおける無線システムレベルシミュレーション
○宗 秀哉(湘南工科大)・中山 悠(東京農工大)・丸田一輝(東工大) |
B-15-55 |
マルチエージェントによるゲーム参加型D2Dのカバレッジ評価
◎水登 恵(東京農工大)・宗 秀哉(湘南工科大)・丸田一輝(東工大)・中山 悠(東京農工大) |
B-15-56 |
マルチエージェント深層強化学習に基づく適応的分散圧縮センシングのセンサ端末への実装
○関根理敏・岡野謙悟・伊加田恵志(OKI) |
B-15-57 |
コラボレーション抽出を目的とする IoT デバイスの消費電力に関する評価
◎山口大地・山口隼平(阪大)・大島律子・大島 純(静岡大)・藤橋卓也・猿渡俊介・渡辺 尚(阪大) |
B-15-58 |
ROSを用いたネットワーク・ロボット挙動同時最適化環境の初期的実装
○森 友絃・新宮裕章・藤橋卓也(阪大)・工藤理一・高橋馨子・村上友規(NTT)・渡辺 尚・猿渡俊介(阪大) |
広範囲な通信エリアを実現するため,基地局を介さずに端末同士が通信を行う自律型D2D通信が検討されている.自立型D2D通信では,端末を持つユーザの参加を促す手段が課題であり,解決策としてゲーミフィケーションに着目したゲーム参加型D2D通信システムを提案している.本稿では,無線LANを用いた無線システムレベルシミュレーションによりゲーム参加型D2D通信システムのスループット特性を明らかにする.
爆発的に増大するスマートデバイス間で効率的な通信を実現する手法として,Device-to-Device (D2D) が注目されている.特に,オペレータの管理負荷が低い自律型D2Dが期待される一方で,ユーザの自発的な参加を促す手段が課題だった.この課題に対して,ゲーミフィケーションの概念を導入したゲーム参加型D2Dが提案されている.ただし従来の単純な得点モデルでは,ホストが空間的に集まりやすく,カバレッジが低下する課題があった.そこで本稿では新たに,得点モデルへのペナルティ項の導入を提案する.結果としてカバレッジを向上できることを,マルチエージェントシミュレーションにより検証した.
近年,インフラ構造物や工場設備等の維持管理において,IoTを活用した監視システムの構築が重要となっている.このようなシステムでは,センサを設置するエッジ側では, 送信時の無線帯域やメモリ・バッテリ容量といったハードウェア性能の制約,データを収集するサーバ側では, データ処理能力やストレージ容量の制約が存在し,それらを考慮したデータ送信・蓄積方法の設計, 実装が求められる.我々はこのような条件・環境で収集されるセンサデータの伝送効率化に向けて,複数のセンサ端末間で相互に持つデータの類似性を加味し,マルチエージェント深層強化学習で協調して分散圧縮センシングにおける各センサ端末の圧縮比を低負荷で推定する方式を提案している.本稿ではその方式を,MEMS加速度センサを具備した複数のシングルボードコンピュータRaspberry Pi Zero WHに実装し,分散環境での動作確認及び評価を行った.
協調学習とは,他者と協調 (コラボレーション) しながら創造的な問題解決に取り組む能力を育成することである.現状の学習科学の分野では学習を定性的に分析しているため,数十人から構成されるクラスを分析するのに人的・時間的コストの観点で課題がある.我々は人手による学習分析のサポートを目的として,教師が着目すべきポイントを定量的かつ自動的に抽出するInternet of Things (IoT) デバイスSensor-based Regulation Profiler Badgeを開発している.本稿では,Sensor-based Regulation Profiler Badgeとマサチューセッツ工科大学 (MIT) の開発したRhythm Badgeの消費電力を測定•評価する.
Internet of Things (IoT) の普及とともに,センサだけでなく自動運転車やロボットなどの移動体も無線を介してネットワークに接続し始めている.
筆者らは,ロボットの行動とネットワークの挙動を同時最適化する仕組みの実現を目指している.
これに向けて,これまでに深層強化学習を用いてロボットの挙動を最適化する方法を提案した.
文献 [1]では,計算機シミュレーションを用いて提案手法の有効性を評価している.本稿では,提案手法の実環境での評価に向けた実機実装について述べる.
休 憩(10:30 再開) 座長 河東晴子(三菱電機)
B-15-59 |
IEEE 802.15.4 Compatible Backscatter のMACプロトコルに関する初期検討
◎小泉亮介・小西陽平・木﨑一廣・藤橋卓也・猿渡俊介・渡辺 尚(阪大) |
B-15-60 |
最大実行可能フロー導出のためのVG-Hubネットワーク作成
◎和田拓海(神奈川工科大)・戸辺義人(青学大)・横川慎二・市川晴久(電通大)・川喜田佑介(神奈川工科大) |
B-15-61 |
車載ハーネスの軽量化を実現する有線/無線連携通信技術の研究開発
○太田 能(神戸大)・奥原 誠・栗岡伸行(デンソーテン)・清水 聡・佐久間和司(ATR) |
B-15-62 |
衣類全面での無線給電に向けた人体に安全な送電コイルの設計
◎高橋 亮・雪田和歌子・横田知之・染谷隆夫・川原圭博(東大) |
IoT デバイスの送信電力を削減する手法として,無線送信に信号増幅を必要としない Backscatter 通信が注目されている.Backscatter 通信では,従来の IEEE 802.15.4 送信機と比較して消費電力を約 1000 の 1 に低減できる IEEE 802.15.4 Compatible Backscatter が提案されている.本稿では,IoT への導入を見据えて IEEE 802.15.4 Compatible Backscatter同期型 MAC プロトコルの実装評価を行う.
電力供給の規格として注目を集めるUSB-PDの電力を分配する装置(VG-Hub)を開発している.それらを複数用いて構成するVG-Hubネットワークにおいて,最大実行可能フローの導出問題に取り組んでいる.複数のVG-Hubが接続された任意のグラフ,電源あるいは負荷に接続するVG-Hubの未接続のポートを与えた時に,最大実行可能フローの導出問題を議論するためのグラフを作成しなければならない.本稿では,与えられたVG-Hubネットワークと負荷・電源に対して最大フローを与える負荷・電源の割り当てを求める問題の定式化し,任意のグラフから電源と負荷を含むグラフを生成する手法について述べる.
車載UWB(Ultra Wideband)のユースケース拡大と標準策定を目指すカー・コネクティビティ・コンソーシアムが2019年11月に設立され,今後,車載用途でのUWBの普及が進むと考えられる.一方,地球温暖化ガス削減に向け自動車の燃費改善への要求が高まっており,車体軽量化に向けハーネスの無線化は特に有効な手段である.また,PLC(Power Line Communication)も配線を増やさない通信手段の一つである.そこで我々は,UWBと新規開発するPLCをハーネスとして併用することで車体軽量化を図ることを目的とする研究開発を2021年5月より開始した.本発表ではこの研究開発の概要と課題を紹介する.
衣類や人体に配置された複数のウェアラブル機器により健康管理や行動認識などが常時できる一方で,ユーザには複数の機器を定期的に充電する負担が生じる.そこで,衣類へ内蔵された送電コイルを介した無線給電により,機器の充電作業を自動化したい.しかし,これまで提案された渦巻状の送電コイルは伸縮性に富む一方で抵抗率の高い導電糸などにより実装されるため,給電効率が数\%を下回り電力損失が大きい.また,人体中心部へ強い電磁界が浸透するため,人体との電磁的干渉を招く.ゆえに,抵抗率の低い液体金属入りのチューブと衣類近傍へ強い電磁界を閉じ込めるコイル構造とを組み合わせることで,人体に安全かつ衣類全面での比較的高効率な無線給電を実現する.
B-16. インターネットアーキテクチャ
9月16日 9:00〜11:30 Meeting 27 座長 伊藤嘉浩(名工大)
B-16-1 |
異なる遷移確率に従うランダムウォークの初回接触時間の検討
○辻 七海・豊田郁弥・作元雄輔・大崎博之(関西学院大) |
B-16-2 |
疎な協調による多重ランダムウォークの効率化に関する一検討
○萩倉 丈・松尾涼太郎・大崎博之(関西学院大) |
B-16-3 |
Q学習を利用したグラフ上のランダムウォークの効率化に関する一検討
○宮下智行・鈴木泰誠・松尾涼太郎・大崎博之(関西学院大) |
B-16-4 |
グラフ上の不可逆ランダムウォークにおける平均初回到着時間に関する一検討
◎河岸哲哉・萩倉 丈・松尾涼太郎・大崎博之(関西学院大) |
B-16-5 |
移動の局所性を緩和したグラフ上のランダムウォークに関する一検討
◎北浦敬太・松尾涼太郎・大崎博之(関西学院大) |
グラフ上の複数のランダムウォークが同一ノードで初めて接触するまでの時間である初回接触時間の理解は効率的なランデブーアルゴリズムを実現する上で重要である.これまでに,2 つのランダムウォークの解析を通じて初回接触時間の期待値が導出されており,その期待値が持つ性質はランダムウォークを用いたランデブーアルゴリズムの設計に役立てられている.しかし既存の研究では,それぞれのランダムウォークが同じ遷移確率に従うという単純な場合でしか解析されてない.そこで本稿では,既存の解析を一般化し,異なる遷移確率に従うランダムウォークが混在する場合の初回接触時間の期待値を導出する.
グラフ上のランダムウォークは、未知のネットワークの探査やネットワーク上の情報探索などへの応用が可能であることから、近年活発に研究されている。グラフ上のランダムウォーク効率化する手法として、単一の移動エージェントではなく、複数の移動エージェントによってランダムウォークを行うという、多重ランダムウォークが存在する。
本稿では、グラフ上の多重ランダムウォークにおいて、複数の移動エージェントがそれぞれ緩やかに協調することにより、ランダムウォークの効率を向上させる LC-RW (Loosely-Cooperative Random Walk) を提案する。
近年、グラフ上のランダムウォークに代表される、未知のグラフ上でのエージェントの移動モデルや、そのようなエージェントの移動モデルの数理的特性の研究が行われている。グラフ上の移動モデルは、移動エージェントが利用できる情報はきわめて限定的であるため、移動モデルの特性を改善することは容易ではない。これまでに考案されているグラフ上の移動モデルでは、例えば、グラフを構成するそれぞれのノードにそれぞれ固有の識別子が付与されていることを前提としている。しかし、ノードの識別子が必ずしも利用できるとは限らない。ノードの識別子が利用できない場合は、単純ランダムウォークや、近隣ノードの次数による重み付きランダムウォーク、不可逆ランダムウォークなどの単純なアルゴリズムに限定されてしまう。本稿では、エージェントが移動中に利用できる情報が非常に限定的な場合に、ランダムウォークの特性をどの程度改善できるかを対象としている。特に、機械学習の一種である強化学習を用いることにより、ランダムウォークの特性をどの程度改善できるかを実験により調査する。
近年、グラフ上のランダムウォークの数理的な特性が明らかにされつつあり、不可逆ランダムウォークや、自己回避型ランダムウォーク、分岐型ランダムウォークなど、単純ランダムウォークの派生モデルの研究も活発に行われている。本稿では、直前に訪問したノードへの再訪を禁止するという単純な機構によって、単純ランダムウォークの特性を大幅に改善した不可逆ランダムウォークに着目する。グラフ上のランダムウォークを、現実の問題に応用した場合に重要となる指標の一つが、平均初回到着時間である。平均初回到着時間とは、グラフ上のある始点ノードから移動を開始した移動エージェントが、グラフ上のある定められた目的ノードに到着するまでに要する時間の期待値である。例えば、グラフ上のランダムウォークを、未知のネットワーク上での移動エージェントによる情報探索に応用した場合に、情報の発見に要する時間の期待値が平均初回到着時間に相当する。本稿では、2 種類の特性の異なるグラフ (ランダム正則グラフおよびコンフィギュレーションモデルによって生成されたグラフ) 上での、不可逆ランダムウォークの平均初回到着時間を導出する。
本稿では、グラフ上のランダムウォークにおける、
移動エージェントの局所性を緩和した移動モデルである
周辺回避型ランダムウォーク VA-RW (Vicinity-Avoiding Random Walk) を提案する。
グラフ上のランダムウォークは、直線上もしくは平面上のランダムウォークを、
グラフ上に拡張した数理的な移動モデルである。
グラフ上のランダムウォークは強い局所性を持っており、
同一のノードを複数回訪問する可能性がある。
グラフ上のランダムウォークのこのような局所性を緩和することができれば、
ランダムウォークの特性を改善できると期待される。
本稿では、移動エージェントに大量の記憶領域を持たせることなく、
ランダムウォークの局所性を緩和することにより、
ランダムウォークの特性を改善する手法を提案する。
休 憩(10:30 再開) 座長 作元雄輔(関西学院大)
B-16-6 |
SDNを用いた動的なTCPマルチパス化制御方式の提案
◎杉本 竣・伊藤嘉浩・伊藤隼人(名工大) |
B-16-7 |
WebサービスにおけるQoE向上のためのQoS変動を抑制する新しいTCP輻輳制御の提案
◎新田 萌・伊藤嘉浩・曽根健太・粟根穂乃花(名工大) |
B-16-8 |
コネクティッドカーへのマルチパスTCPの適用に関する検討
◎小此木謙一・宮坂拓也・屏 雄一郎・北原 武(KDDI総合研究所) |
B-16-9 |
情報指向ネットワークにおけるTCP CUBIC輻輳回避アルゴリズムの適用性に関する一検討
○ハン ネー アウン・山本創麻・大崎博之(関西学院大) |
現在、IoTの普及により、多くの新しいサービスの実現が期待される.
しかしながら,このようなサービスによるトラヒックの急激な増加は,ネットワークの輻輳を引き起こし,QoSを低下させる.
輻輳によるQoSの低下を防ぐために,参考文献において著者等はSDNを用いたTCPのマルチパス化方式を提案している.
この方式では,トラヒックを複数の経路に分散させることにより,QoSの低下を防いでいる.
しかし,これは回線品質の低下によりパケットが損失すると,TCPの輻輳ウィンドウの縮退によりQoSが低下する.
上記を解決するために、本稿では、以下の3つの制御からなる新しい方式を提案する.
1つ目の制御では冗長経路を使用してパケット損失を処理し,2つ目の制御では参考文献と同じ方式で輻輳を回避する.
3つ目の制御は制御を行わない.
提案方式では,ネットワークの状況に応じて,上記の制御の中から動的に最適な制御を選択する.
本稿では,提案方式の有効性を示すために,これを実装し,そのQoSを実験により評価する.
Webサービスの普及に伴い,Webサービスのユーザ視点でのサービス品質(Quality of Experience; QoE)の向上が要求されている.
先行文献はTCP輻輳制御がWebサービスのQoE(WebQoE)に及ぼす影響を調査し,QoSの変動を抑制するTCP輻輳制御を用いることでWebQoEを向上できることを示している.
本研究は,QoSの変動を抑制する新しいTCP輻輳制御を提案するとともに,これを実装し,実機を用いた実験によりその有効性を確認する.
近年,コネクティッドカーの普及により,多くの車が,無線ネットワークを介してデータ通信を実施している.今後,コネクティッドカー技術が発展していくことで,高速・大容量通信が必要となり,高いスループットが求められると想定される.また,データ通信モデムの開発が進み,複数ネットワークに接続できるモデムが開発されると見込まれるため,複数ネットワークを同時に利用可能なMPTCP技術をコネクティッドカーに適応することで,高いスループットが実現できると期待される.本稿では,4Gネットワークと5Gネットワークに接続できるデータ通信モデムを想定し実験を行った結果を報告する.MPTCPのスケジューリング機能と輻輳制御の組み合わせによるスループットの比較を行い,コネクティッドカーへのMPTCPの適応について簡易検討を行う.
本稿では、TCP/IPネットワークで広く用いられているTCP CUBICの輻輳回避アルゴリズムを、ICN(Information-Centric Networking)のトランスポートプロトコルにどのように組込めるか、また、組み込んだ場合にどのような特性が得られるかを検討する。TCP CUBICの輻輳回避アルゴリズムは、前回の輻輳の検知からの経過時間に関する3次関数によってウィンドウサイズを調整する。現在、TCP CUBICの輻輳回避アルゴリズムは多くのオペレーティングシステムのTCPスタックに実装されている。本稿では、TCP CUBICの輻輳回避アルゴリズムの流体モデルを、我々が開発しているフローレベルのICNシミュレータに実装する。さらに、フローレベルのICNシミュレータを用いた数値シミュレーションにより、ICNにおけるTCP CUBICの輻輳回避アルゴリズムの特性を分析する。
9月17日 10:30〜11:45 Meeting 27 座長 渡部康平(長岡技科大)
B-16-10 |
TCP3ウェイハンドシェイクの再現を行わないプロキシ不要のハイブリッドハニーポット
○奥山将己・山崎憲一(芝浦工大) |
B-16-11 |
通信量を考慮したWebページのリアルタイム更新システム
◎渡辺爽太・山崎憲一(芝浦工大) |
B-16-12 |
屋外施設を対象とする音響データ収集システムにおける無線LAN通信特性評価
◎髙野千愛・藤野慎也・野林大起・塚本和也・水町光徳・池永全志(九工大) |
B-16-13 |
音響データ収集システムでの音響特徴に基づいた通信データ量削減方法に関する研究
◎藤野慎也・高野千愛・水町光徳・池永全志・塚本和也・野林大起(九工大) |
B-16-14 |
リンクの通信容量が大規模ネットワークにおけるエンド-エンドルーティングの特性に与える影響に関する一考察
◎大西美知加・松尾涼太郎・大崎博之(関西学院大) |
ハイブリッドハニーポットは実際のOSやソフトウェアで攻撃を観測するHIHと, OSやソフトウェアの機能の一部を再現したシステムで攻撃を観測するLIHの2つを組み合わせたものである. 従来手法のハイブリッドハニーポットはプロキシを用いた通信の再現にて切り替えを行っており, コストや通信再現に要する時間などで問題がある. 本研究では2種類のハニーポットのみで構成されるハイブリッドハニーポットを提案する. 通信再現の代わりにLIHから切り替え用パケットを送信し, HIHがそれを受信するだけで切り替えが行えるようカーネルに変更を加える. 従来のTCPの処理とは異なる処理で処理時間と負荷の削減を期待できる.
近年リアルタイム性のあるコンテンツが充実おり, それをまとめたWebページが増えている. ユーザはそのWebページの高頻度な更新を期待しているが, 既存手法ではサーバに無駄な通信が発生する. 本研究ではリアルタイム性のあるWebページに適した更新システムを提案する. サーバはクライアントへHTMLを送信するのではなく, 前回のDOM状態から最新状態に更新するパッチを作成し送信する. パッチには変更するノード番号や変更後の文字列等の情報が含まれており, クライアントはそのパッチにしたがってDOMを変更する. 提案手法の通信量を確認するため従来手法と比較を行い, 累計通信量の削減を確認した.
IoT デバイスにてデータ転送を行う際,無線通信は資源が有限で距離やコストなど様々な制約があり,大容量のデータを転送するには工夫が必要となる.大容量のデータの一つに音響データがあり,機器の異常は音に現れることも多い.そこで複数台のセンサノードを用いた音響データ収集システムを想定し,無線通信にて大容量のデータを転送するシステムを実現するために学内と屋外にて Wi-Fi を用いた連続ファイル転送を行い,その際の伝送レートや転送時間を測定した実験にてシステムの実現可能性を検証する.この実験の結果より屋外での安定した音響データ収集システムを実現し,運用している.
IoTの発展に伴い,センサのデータを無線通信で収集して設備の点検が行われている.そこでは,点検という目的のため,音データであればサンプリングレートを高く保つなどのように,データの品質を落とすことができないという制約が存在する.そこで,本研究では,音響データを用いた設備の点検システムにおける無線通信の通信負荷を軽減するため,常時録音されているデータから,音響特徴に基づき対象とする機器の稼働区間のみを検出することで通信データ量を削減する方法を検討する.検出はBPFを用いる方法と振幅スペクトルの比を用いる方法の2つを状況に応じて使い分けることにより行なった.結果,すべての録音データを送信する場合に比べ,稼働区間のみを検出して送信する場合には通信データ量を94%削減することができた.
近年、複雑ネットワークの解析手法が急速に発展しており、大規模な通信ネットワークを複雑ネットワークと捉えることでその特性が解析的に分析可能になりつつある。
近年の研究では、リンクの接続性が不確実な大規模ネットワークにおいて、異なるルーティング戦略を用いた時の平均メッセージ配送遅延が解析的に求められている。
しかし、それらの解析では、リンク切断による通信切断のみをモデル化しており、リンクの通信容量は考慮されていない。
本稿では、不確実なリンクによって構成される大規模ネットワークにおいて、エンド--エンドルーティングによるメッセージ配送遅延が、ボトルネックとなるリンクの通信容量によってどのような影響を受けるかを解析的に明らかにする。
9月17日 13:00〜17:00 Meeting 27 座長 菅原真司(千葉工大)
B-16-15 |
経路制御を利用した ICN ルータにおける FIB 集約に関する一検討
○中村 遼(福岡大)・上山憲昭(立命館大) |
B-16-16 |
情報指向型センサネットワークにおけるクラウド型負荷分散モデルのノード負荷評価
◎△長岡英進・吉井優輝・坂野遼平・水野 修(工学院大) |
B-16-17 |
ソーシャル性を考慮した ICN のためのキャッシュ制御方式に関する一検討
◎本田紘大・中村 遼(福岡大)・上山憲昭(立命館大) |
B-16-18 |
フローレベル情報指向ネットワークシミュレータの性能ボトルネック分析に関する一検討
○井上翔太・後藤啓大・山本創麻・大崎博之(関西学院大) |
B-16-19 |
情報指向遅延耐性ネットワークにおけるコンテンツ配送遅延に関する一検討
◎嵯峨山 央・大西美知加・松尾涼太郎・大崎博之(関西学院大) |
本稿では,実験により,要求パケットの転送経路を制御することでルータにおける FIB (Forwarding Information Base) の大きさがどの程度削減されるかを調査する.具体的には,ネットワーク中の特定のノードを経由するように要求パケットを迂回させることで,FIB の大きさがどの程度削減できるかを実験により調査する.
複数IoTサービスを実現するセンサネットワークとして,情報指向型センサネットワーク(ICSN:ICN based Wireless Sensor Network)を提案している.また,シンクノードにおいてIoTサービスの実行機能を提供する情報指向型センサネットワークプラットフォーム(ICSNP:ICSN Platform)を提案している.しかし,複数IoTサービスが存在する環境下で運用した場合,シンクノードにおいて同時に実行するサービス数の増加に伴って要求数が増加し,処理負荷の増大により性能が低下するおそれがある.そこで本報告では,複数IoTサービスが存在する環境への適用としてクラウド型負荷分散モデルを提案し,センサデータの取得間隔に対するノード負荷の評価を行い,取得間隔と負荷の関係を確認した.
近年では,SNS の成長に伴い,ユーザにより生成されたコンテンツが急激に増加している.次世代のインターネットアーキテクチャとして注目を浴びている情報指向ネットワークを導入することにより,ネットワーク中のルータがコンテンツを一時的に保持できるため,SNS 上を転送されるトラヒック量の削減などが期待できる.本研究では,ソーシャルネットワークにおける影響力の強いユーザの選択方法やその割合が情報指向ネットワークの通信性能に与える影響を明らかにすることを目指す.
本稿では、我々が開発している、情報指向ネットワークのためのフローレベルのシミュレータ FICSIM の性能ボトルネックをプロファイリングによって分析する。パケット単位の挙動をシミュレートするパケットレベルシミュレータとは異なり、流体近似モデルを用いるフローレベルシミュレータでは、パケットの「流れ」をフローとして近似する。これにより、パケットレベルシミュレータと比較して、より大規模なネットワークのシミュレーションが可能となる。しかし、大規模な情報指向ネットワークの性能評価を実現するためには、フローレベルの ICN シミュレータのさらなる高速化が期待される。そこで本稿では、Julia 言語で記述されたフローレベル ICN シミュレータ (FICNSIM) の性能ボトルネックを、Julia 言語のソースコードレベルのプロファイリングによって分析する。
近年、ノード間の通信リンクが断続するような環境に対して、情報指向ネットワークの通信パラダイムを取り入れた、
情報指向遅延耐性ネットワーク(ICDTN)の実現が期待されている。
これまで我々は、ICDTN の基本的な通信特性(平均コンテンツ配送遅延)を解析的に明らかにした。
以前の研究では、すべての通信リンクを均一な ON/OFF モデルによってモデル化していた。
しかし、オーバレイ技術や仮想化技術による ICDTN の実現を考えると、特性の異なる不均一な通信リンクが混在すると考えられる。
そこで本稿では、通信リンクの不均一性が、ICDTN におけるコンテンツルーティングの通信特性に与える影響を明らかにすることを目的とする。
休 憩(14:30 再開) 座長 宮坂拓也(KDDI総合研究所)
B-16-20 |
クラウドストレージを併用したP2Pネットワークにおける人気変動予測を用いたコンテンツ事前配置手法の評価
○高橋和正・菅原真司(千葉工大) |
B-16-21 |
辞書学習によるネットワークトポロジのスパース表現化に関する一検討
○松尾涼太郎(関西学院大)・中村 遼(福岡大)・大崎博之(関西学院大) |
B-16-22 |
ネットワークトポロジの粗視化と通信ネットワークの QoS の関係に関する一検討
○澤野紘嘉・岩田丈了・北浦敬太・松尾涼太郎・大崎博之(関西学院大) |
B-16-23 |
影響最大化問題における幅優先探索によるノードサンプリングの有効性に関する一検討
◎脇坂悠生・松尾涼太郎(関西学院大)・津川 翔(筑波大)・大崎博之(関西学院大) |
B-16-24 |
集約された多層ネットワークの分離可能性に関する一検討
○王 ユウ・脇坂悠生・松尾涼太郎・大崎博之(関西学院大) |
Peer-to-Peer(P2P)ネットワークではピアの加入離脱などによるコンテンツ消失の影響を抑制するため,コンテンツの複製配置が行われる.本稿では[1]で提案した人気変動予測を用いたコンテンツ事前配置手法についてより詳細なコストの評価を行った.
我々はこれまで、スパース表現化のための過完全辞書構築アルゴリズム K-SVD (K-means Singular Value Decomposition) 法を利用することにより、通信ネットワークのトポロジのスパース表現化手法を考案するとともに、小規模なネットワークトポロジを対象とした実験によりその有効性を確認した。ただし、ネットワーク生成モデルによって生成した 7 種類のネットワークトポロジを利用しており、現実の通信ネットワークのトポロジに対して、ネットワークトポロジのスパース表現化が可能かどうかは明らかにされていない。そこで本稿では、CAIDA (Center for Applied Internet Data Analysis) プロジェクトによって公開されている、インターネットのルータレベルトポロジのデータを用いることにより、ネットワークトポロジのスパース表現化手法がどの程度有効であるかを調査する。具体的には、大規模なルータレベルトポロジから部分グラフをランダムに抽出することによって用意したネットワークトポロジのスパース表現化がどの程度可能かを調査する。
近年、大規模グラフに対するデータマイニング技術の 1 つとして、グラフの粗視化や要約化が注目を浴びている。
グラフの構造的な特徴をできるだけ保持したままグラフを縮退するグラフの粗視化手法を用いれば、大規模グラフのクラスタリングやグラフ分割のような複雑な問題が簡単化できる可能性がある。本稿では、通信ネットワークのトポロジを粗視化した場合に、粗視化する前の元のネットワークトポロジにおける通信の QoS(スループット、通信遅延、パケット棄却率など) が、粗視化後のネットワークトポロジにおける通信の QoS にどの程度保存されるかを実験により調査する。
近年、グラフ上の影響最大化問題が活発に研究されている。影響最大化問題とは、影響伝播によって影響を受けるノードの数を最大化するように、シードノードを決定するという問題である。それらの中でも、未知のグラフに対するノードサンプリングによって得られる部分的な情報から、被影響ノード数を最大化する試みがなされている。未知のグラフ上で効果的な影響伝播を実現するためには、サンプリング手法や、その時のサンプル数を適切に決定する必要がある。本稿では、未知のグラフ上の影響最大化問題において、ノードのサンプル数と影響伝播による被影響ノード数の関係を解析的に明らかにする。サンプリング手法として幅優先探索を対象とする。
現実ネットワークに存在するネットワークの多くは、それぞれ異なる性質を持つ異種のネットワークで構成されており、それらの異種ネットワークが相互に作用を与えている。従来のネットワークに関する研究の多くは、単層ネットワークを対象としているが、近年、多層ネットワークの分析手法などが検討も始まっている。本来、異種ネットワークで構成される多層ネットワークであっても、そのネットワークを分析する際には、単層ネットワークとして取り扱われていることが珍しくない。本稿では、多層ネットワークを集約して得られる単層ネットワークが与えられた時に、この単層ネットワークから元の多層ネットワークをどの程度復元できるかを検討する。
休 憩(16:00 再開) 座長 中村 遼(福岡大)
B-16-25 |
QoS Evaluation for Home Networking with SPQ and CBS
◎Ennouhe TALEB・Yoshihiro Ito(Nagoya Inst. of Tech.) |
B-16-26 |
時刻同期がIEEE802.1TSNにおけるTASのQoSに及ぼす影響の評価
◎小林千紗・伊藤嘉浩・平野航平(名工大) |
B-16-27 |
車載イーサネットにおけるIEEE 802.1TSNのQoS制御の組み合わせに関する研究
◎平野航平・伊藤嘉浩・小林千紗(名工大) |
B-16-28 |
Application of IEEE 802.1TSN and EDCA to Home Networking
○Lei Pan・Yoshihiro Ito(Nagoya Inst. of Tech.) |
This paper proposes to adapt Credit Based
Shaper CBS and Strict Priority Queuing SPQ to an Ethernet-based home
network. The authors conducts the experiments under an environment with IEEE 802.1TSN mentioned standards. As results,
they confirm the effectiveness of the proposal.
完全自動運転の実現には,高速な車載ネットワークが要求されるため,Ethernetの採用が検討されている.
Ethernetの採用により,目的別に分けられた配線が統合されるが,これは,目的の異なる様々なデータを混在させることになり,安全性に関わるデータは他のデータよりも優先して伝送するQoS制御を必要とする.
Ethernet上でQoS制御を行うための規格として,IEEE802.1 TSN 規格の採用が検討されている.
この規格には,様々なものがあるが,本論文ではこれらの中で最も低いジッタを実現することのできるTime-Aware Shaper (TAS)に焦点を当てる.
TASは,スイッチ間の正確な時刻同期が必要であり,この時刻同期は,IEEE802.1ASで定義されているgeneralized Precision Time Protocol (gPTP)により実現される.
しかしながら,gPTPは,完全な時刻同期は保証していないため,提供されるQoSに影響を及ぼす可能性がある.
本論文では,スイッチの時刻の同期精度がQoSに及ぼす影響をシミュレーションを用いた実験により評価する.
Ethernetベースの次世代の車載ネットワークでは様々な種類のデータが伝送されるので,安全に関わるデータを優先的に伝送するためのQoS制御が求められる.この制御として,IEEE 802.1TSNの採用が検討されている.これは複数の規格を含んでおり,QoS制御のための規格としてはSPQ,CBS,TASなどがある.しかし,車載ネットワークに要求される様々なQoSを,これらの中から一つの制御のみで満たすことは困難である.
一方,車載ネットワークのQoS制御に関する研究の多くはデータリンク層を評価対象としている.しかし,実際の車載ネットワークでは上位層プロトコルの利用が想定されているため,上位層でのQoS評価も必要である.
本論文では,SPQ・CBS・TASを組み合わせた車載ネットワークの上位層のQoSを評価する.
Different requirements exist for various applications in the home network. Therefore, it is necessary to prioritize the traffic according to its importance. This paper adapts both of IEEE 802.1Q and IEEE 802.11e EDCA to home networking. And evaluate the QoS by simulation.
B-17. スマート無線
9月14日 9:30〜11:30 Meeting 19 座長 小西光邦(ソフトバンク)
B-17-1 |
時刻同期や時空間同期の適用による同期SS-CDMAチャネル利用効率改善効果の一検討
○亀田 卓(広島大) |
B-17-2 |
相互相関サブサンプリング受信機を用いた信号の高感度検出
◎千田皓隆・田久 修(信州大) |
B-17-3 |
確率共鳴現象とレプリカ再生を適用した高感度検出法
◎市川壮太郎・田久 修(信州大) |
B-17-4 |
Statistical Properties Analysis of the Interpolated Time-Variant Channel Impulse Response in the Undersampling Condition
○Nopphon Keerativoranan・Jun-ichi Takada(Tokyo Tech) |
本発表では,時刻同期や時空間同期の適用による同期 SS-CDMA のチャネル利用効率の改善効果を考察する.受信時刻同期ずれの要因として,最大送受信間距離差,送信タイミングオフセット,拡散符号間許容同期ずれ割合を考慮した時のチャネル利用効率を定式化し,数値計算例を示した.
原子力発電所の様なノイズが多い環境では、信号がノイズに埋もれてしまい、信号の有無さえわからない状況がある。この対策として、1つの受信機アンテナで受信した信号をサンプリングレートの異なる二つの処理部(Chain)を用い、その後に相互相関受信をするサブサンプリング受信が提案されている。サブサンプリング受信機では干渉の抑制や感度の向上が得られるという効果が報告されている。本研究ではOFDMの遅延検波に相互相関サブサンプリング受信機を実現する方法を提案し、低SNR環境における高感度受信を実現した。
検出感度下の信号を除去する非線形性を有する受信機に対して、加算雑音の制御により高感度化を実現する確率共鳴受信が注目されている. 本稿では、確率共鳴受信機に送信信号のレプリカ再生を利用した高感度検出法を提案する.
Designing a realistic emulator for wireless communication systems inevitably requires information on the wireless channels. Although an accurate channel may be obtained directly from the measurement, it is challenging in a dynamic scenario to capture a continuously varying characteristic of CIR because the measurement can only capture sparse samples of the channel spatially. Hence, an interpolation method in an undersampling is necessary to reconstruct the channel. In this study, the statistical properties of the channel that are interpolated using the Ensemble Kalman filter are discussed.
休 憩(10:45 再開) 座長 中村 聡(神奈川大)
B-17-5 |
一次ユーザおよび二次ユーザの無線環境情報を用いた周波数共用手法の検討
◎内田悠斗・片桐啓太・藤井威生(電通大) |
B-17-6 |
Wi-Fi と周波数共用を可能にする干渉判定方法の検討
◎小國治也・前山利幸(拓殖大)・吉岡達哉(モバイルテクノ)・鈴木信雄(近畿大)・長谷川晃朗・横山浩之(ATR) |
B-17-7 |
メッシュクラスタリングに基づく自律分散環境向け電波マップ構築
◎片桐啓太・藤井威生(電通大) |
近年,電波マップを用いた周波数共用高度化が検討されている.この中で,既存研究では,一次ユーザ(Primary User: PU)に関する電波マップを用いて共用設計精度を改善する手法が提案されている.しかし,電波伝搬の最悪ケースを鑑みて,二次ユーザ(Secondary User: SU)はレイリーフェージングによる瞬時変動を加味して,離隔距離を過剰に設ける必要がある.そこで,本稿では,SUの無線環境情報を用いることで,PUとSUの離隔距離の低減を図る手法を提案する.
周波数資源の確保のためミリ波帯の利用が進んでいるが,電波伝搬特性の点や移動通信での利用を考えると6GHz以下の周波数の利用が望ましい.しかし,当該周波数は既に様々なシステムで利用されているため,筆者らは周波数共用技術に着目し研究・開発に取り組んでいる.特に筆者らは動的かつ自律的な周波数共用を行うシステム構築を目指している.そこで,複数端末を用いたセンシング情報に基づく,動的かつ自律的な周波数共用システムを提案した.本稿では,上記システムをWi-Fiに適用した場合について検討した結果を報告する.
近年,自律分散環境向け電波マップの構築が検討されているが,本マップでは送受信位置ごとに平均受信電力値を外部サーバに登録するため,通信範囲や空間分解能によっては蓄積データ量が膨大となる恐れがある.そこで本稿では,類似する平均受信電力値をクラスタリングすることで,伝搬推定精度を維持しつつ蓄積データ量の削減を図る.
9月15日 10:30〜11:30 Meeting 19 座長 東中雅嗣(三菱電機)
B-17-8 |
低天空率環境下のGPS/QZSS/BeiDouによる衛星信号受信誤差の評価
○北 寛登・小熊 博(富山高専)・亀田 卓(広島大)・末松憲治(東北大) |
B-17-9 |
異種無線融合ネットワーク用の屋内位置推定モデル開発
○藤田直哉・川越大聖・中村公紀・的場隆一(富山高専)・佐伯幸郎(高知工科大)・亀田 卓(広島大)・小熊 博(富山高専) |
B-17-10 |
建造物付近におけるRSSI Kriging補間値の特性
○宮本椋生・成枝秀介(三重大)・藤井威生(電通大)・成瀬 央(三重大) |
B-17-11 |
LPWANにおける悪条件下のエンドデバイス特性改善のための送信電力割当法
○成枝秀介(三重大)・藤井威生(電通大) |
2011年3月に発生した東日本大震災の際,地震や津波などで地上系通信インフラを喪失したことにより,被災者の安否確認に長時間を要した.そこで,地上系通信インフラに依存しない安否確認システムとしてマルチGNSSを用いたロケーション・ショートメッセージSS-CDMA(Spread-Spectrum Code-Division Multiple-Access)通信を提案している.提案システムでは日本全国の多数のユーザが衛星測位情報をもとにメッセージの送信タイミングを制御することでユーザ間同期を実現する.これまでにオープンスカイの環境下でGPS/QZSSにBeiDouを加えて衛星信号受信誤差の評価を行ったところ精度が向上することがわかっている. 本稿では,空が開けていない場所での衛星信号受信誤差について評価を行った.
無線通信システムの高効率化のために多数のセルがオーバーラップする異種無線融合システム上に,予め各端末から基地局やアクセスポイントの信号品質の瞬時測定値を位置情報と共に収集することによって作成した信号品質 MAP によるネットワーク選択手法が提案されている.提案システムでは,位置捕捉精度が 2m よりも高精度な位置情報が得られた条件下において,従来方式である瞬時測定値を用いたネットワーク選択法と比較しネ
ットワークの誤選択を大幅に軽減できる.これまで屋外環境においては,マルチ GNSS(Global Navigation Satellite System)を用いることにより実現可能性を検討してきたが,屋内環境においては未検討である.そこで,本稿では,屋内位置推定手法の確立を目標に,Wi-Fi アクセスポイントと AzureMachine Learningを用いて検討したので報告する.
本研究では,建造物付近でのRSSI値の実観測値とKriging補間による推定値を比較検証する.本研究ではまず,建造物付近でのRSSI値を実観測により求める.次に,建造物周辺道路でのRSSI値を実観測により求め,Kriging補間により建造物付近におけるRSSI値の推定値を算出する.建造物付近の実観測値とKriging推定値を比較し,建造物付近のKriging補間の精度を明らかにする.
本論文ではlow power wide area networks(LPWANs)での送信電力割当法を提案する.二種類の割当送信電力をエンドデバイス(ED)に順番に割り当て,キャプチャ効果の恩恵を全EDに与えることで全ED,特にゲートウェイ(GW)間伝搬損失が大きいような悪条件下のEDのパケット受信確率特性を改善しようと試みる.
B-18. 短距離無線通信
9月15日 11:00〜11:45 Meeting 25 座長 村上友規(NTT)
B-18-1 |
無線LAN中継における隣接チャネル間干渉除去の検討
◎寺西航輝・久保田周治(芝浦工大) |
B-18-2 |
広帯域シングルキャリア MIMO のIQ インバランスに対するブラインド補償
◎玉田裕一郎・安田浩平・中川匡夫・笹岡直人(鳥取大) |
B-18-3 |
機械学習を利用した人体通信系のチャネル識別
◎坂 明憲(近畿大)・森田和樹(アイシンAWI)・佐々木愛一郎(近畿大) |
近年,無線LANサービスの利用者数が年々増加しており,APのサービスエリア拡張が望まれている.エリアの拡大には,エントランス回線を無線で構築する無線LANの中継モードが有効であるが,無線LANシステムが混雑すると隣接チャネル間干渉による信号劣化が問題となる.特に中継モードにおいては使用可能なチャネルが限定され,中継局の送受信チャネルを隣接させざるを得ない状況も発生する.本研究では無線LAN中継器において,隣接チャネル間干渉の原因となる干渉波のレプリカを生成し,受信信号から減算することで希望波を取り出す干渉除去方式を提案する.
本研究ではMIMO 通信における周波数依存性のあるIQ インバランスに対してディジタル信号処理を用いて補償する方法を提案する.シミュレーションにより,提案構成を用いることで MIMOシングルキャリア信号に対し,MIMO チャネルを既知としてブラインド推定・補償による伝送特性の改善効果を得た.さらに,ウェイトを保持したままの状態で補償処理を繰り返す(今回では,ループ 3 回)ことでより伝送特性を改善させることができるという結果を得た.
人体を伝送路として利用する人体通信は、手をかざす等の動作で情報を伝達することのできる通信方式である。本研究の対象である電界方式の人体通信では、人体・送受信端末・アースの3つの要素が静電結合することにより通信チャネルが形成される。そのため人体通信系に第三者が接近すると、静電結合によって第三者を加えた新たな通信チャネルが形成される。この現象は盗聴や誤送信の原因となるため、セキュリティ上深刻な問題となる。このような問題を回避するためには、受信信号の情報から第三者の有無を識別する技術が必要である。そこで我々は受信信号の情報を元に、機械学習を利用して第三者の有無を推定し、90%程度の精度で第三者の有無を識別できることを示した。
B-19. ヘルスケア・医療情報通信技術
9月14日 13:00〜16:30 Meeting 23 座長 金 ミンソク(新潟大)
B-19-1 |
ドップラーセンサを用いた新生児の呼吸・心拍測定におけるDCオフセット除去方法に関する一検討
◎丹羽希輔・上林真司(中京大)・佐藤義朗・田中龍一(名大) |
B-19-2 |
ミリ波レーダを用いた心拍推定において離散ウェーブレット変換における周波数選択基準の一検討
○佐藤駿佑・胡 尭坤・戸田 健(日大) |
B-19-3 |
A Study on Filter Design for Improving Accuracy of Heart Rate Estimation from Back Side using Discrete Wavelet Transform with mm-Wave Radar
○Ryosuke Koyanaka・Shunsuke Sato・Yaokun Hu・Takeshi Toda(Nihon Univ.) |
B-19-4 |
ミリ波レーダを用いて再生した心拍波形の個人認証への応用に関わり特徴量としてFiducial pointの一評価
○篠原迅人・胡 尭坤・戸田 健(日大) |
呼吸・心拍を、IQ Mixerタイプドップラーセンサを用いて遠隔測定する研究が多数報告されている。IQリサージュ波形は円弧になるはずだが、雑音が大きく、円弧の中心、半径を正確に求めることが難しい。本稿では幾何学的方法により、円弧の中心と半径を求める方法を提案し、新生児に適用した結果を示す。
コットに寝かせた新生児の左胸の真上40cmにドップラーセンサ (24GHz)を配置し、胸の振動波形I(t)、Q(t)を測定し、提案方法により心拍間隔を算出した。手首に光学式脈波センサを巻き、リファレンス信号とした。提案方法により、新生児が安静な状態では測定誤差率が5%以下になることを確認した。
近年,マイクロ波やミリ波レーダを用いて非接触での心拍や呼吸等バイタルサインの検出に関する研究が進んでいる.我々はミリ波FMCWレーダを用いて離散ウェーブレット変換 (DWT)による心拍推定を行ってきた.そこでは,測定時に同時取得していたECGデータをカンニングすることで所望の周波数を選択していた.本稿では,リアルタイムで心拍推定を行うための前段階として,ECGデータを参照することなく所望心拍周波数の選択に必要となる判断基準を検討した.実験は帯域幅 3.99 GHz (動作周波数77~81 GHz),チャープの傾き70 MHz/µsとした.提案手法により選定された心拍周波数帯及び心電計の周波数スペクトラム例を示す.選定された波形の周波数ピークは約1.19 HzでECGによる参考心拍周波数は1.15 Hzであった.
We have been considering applying discrete wavelet transform (DWT) to heart-rate estimation using 77 GHz band FMCW radar. The detection accuracy and SNR were improved by using an elliptic High-pass filter (HPF), which had been used in a pre-processing of DWT for the data from 6 directions such as front, back, right, left, 60° diagonally above, and ceiling to decrease respiratory signals and harmonics. However, there was no improvement on the back data. In this paper, the detection accuracy and SNR from the back were improved by using a High-pass Chebyshev Type Ⅱ filter which has no ripple in the passband area in a pre-processing of DWT to decrease respiratory signals.
これまでミリ波レーダで得た心拍振動データからImproved Complete Ensemble Empirical Mode Decomposition with Adaptive Noise (ICEEMDAN)により心拍波形の再構築を検討してきた .一方レーダにより取得した心拍信号を非接触生体認証に応用する研究も行われている.
本稿ではミリ波レーダを用いて取得した心拍振動データからICEEMDANを用いて再構築した心拍波形に対し,レーダの位置や不安,緊張,興奮等の個人の状態の依存性が比較的低いFiducial pointsを用いて個人認証の可能性を検討した.
休 憩(14:15 再開) 座長 大田健紘(日本工大)
B-19-5 |
マルチビームドップラーセンサを用いたダイバーシチ効果に基づく心拍検出
◎北川月子・山本幸平・大槻知明(慶大) |
B-19-6 |
心電モニタ及び加速度センサを用いた機械学習による行動推薦システム
◎梅田孝一・冬爪成人・石山 仁(東京電機大) |
B-19-7 |
心電モニタ及び加速度センサを用いた行動推薦システムの実験
◎横山悠生・冬爪成人・石山 仁(東京電機大) |
B-19-8 |
非侵襲深部体温計の小型化に向けた回路基板の一体化検討
◎松永大地・田中雄次郎・田島卓郎・瀬山倫子(NTT) |
心拍は健康状態を把握する上で重要な生体信号の1つであり,非接触性という特徴からドップラーセンサを用いた心拍検出法が様々提案されている.しかし,シングルビームのドップラーセンサを用いる手法では,ビーム方向の受信信号において心拍成分のSNR(Signal to Noise Ratio)が低い場合,心拍検出精度が劣化する傾向にある.本稿では,マルチビームドップラーセンサを用いたビームダイバーシチ効果に基づく心拍検出法を提案する.心拍に起因する胸壁変動や体動が及ぼす反射波への影響は,反射部位ごとに異なる.そのため,受信信号における心拍成分のSNRはビーム方向ごとに異なる.つまり,あるビーム方向で心拍成分のSNRが低くても,その他のビーム方向では高い可能性がある.これを踏まえ,提案法では複数のビーム方向に対する受信信号を用いることで,心拍成分のSNR 劣化に対して,よりロバストに心拍を検出する.実験を通し,提案法がシングルビームドップラーセンサを用いる場合と比較して高精度に心拍検出できることを示す.
本論文では,心電モニタ及び加速度センサを用いて,機械学習を用いた小型マイコン機器で駆動させる行動推薦システムの検討を行ったので報告する.本提案は,上記センサを搭載したマイコン機器から,情報を送信し,それをサーバ機で取得し,自律神経系,循環器系,人の運動及び位置の対応付けの評価を機械学習を用いて行うことを目的としている.
本論文では,心電モニタ及び加速度センサを用いて,小型マイコン機器で駆動させる行動推薦システムを開発し,推薦実験を行ったので報告する.本提案は,上記センサを搭載したマイコン機器から,情報を送信し,それをサーバ機で取得し,自律神経系,循環器系,人の運動及び位置の対応付けを評価し,行動についての推薦をAPI (Application programming interface)を活用して行うシステムの実現を目的としている.
深部体温(CBT)は体の核心部の温度であり,日内の周期的な変動は体内リズムとの高い相関が知られている.そのためCBTを日常的に連続測定することで体内リズムを可視化し,これを利用した高度な健康管理応用が期待される.一方でCBTの測定には直腸等に感温部を挿入する必要があり侵襲性が高い.そこで体の表面に貼った感温部から非侵襲にCBTを推定する手法が提案されているが,空調等で生じる対流でCBT推定誤差が生じる.我々は熱流補償機構を有する感温部により誤差を低減する手法を提案している.本研究では小型化のため感温部と回路基板等を一体化する構造を検討し,その際の同機構への影響を数値解析と試作デバイスで評価したので報告する.
休 憩(15:30 再開) 座長 高林健人(岡山県立大)
B-19-9 |
容量結合型電極による心電図のカオス解析
○新谷彩子・松沼 悟(マクセル)・浜崎海翔・李 丹松・久富壮悟・服部励治(九大) |
B-19-10 |
屋内環境下In-Body無線におけるライスファクターの測定
◎岡 龍駿・李 鯤(香川大)・本田和博(富山大) |
B-19-11 |
心電図の自律神経評価における即時データ処理システムの開発
◎△久富壮悟(九大)・松沼 悟・新谷彩子(マクセル)・服部励治(九大) |
B-19-12 |
人体含水率推定のための電波による複素誘電率推定の一検討
◎佐治拓郎・安在大祐・王 建青(名工大) |
昨今, 健康意識の高まりやCOVID-19の蔓延に伴い, 心身の健康面をモニタリングする非接触バイタルセンシングデバイスの需要が高まっている. そのような中, 我々は皮膚に触れずに着衣で心電信号を計測し, ノイズ環境であっても継続的に心電を計測できるデバイスを構築した. 前回の総合大会では, 本計測システムにより取得した心電波形から心拍変動間隔(RRI)を算出し, 線形的手法である心自律神経系解析と非線形的手法であるカオス解析を行い, ストレス計測を試みたことを報告した. 今回, その続報としてストレスを負荷し, タスク中及びその前後の心電波形からカオス解析を行った結果を報告する.
急速な医療IoT技術等の発展やカプセル内視鏡の普及によりIn-Body無線の利用が多く見受けられる.我々は,人体やもたらされる屋内環境等の要因がIn-Body無線通信に与える影響の検討を行っている. In-Body無線における体内-体表間無線伝送路では,病室など屋内での利用が主となる点や直接波及び反射波が存在する点を考慮する必要がある.本稿では,円筒ファントムを用いて屋内環境下でのIn-Bodyアンテナの伝搬実験を行い,その結果を基にライスファクター(K-factor)の測定を行ったので報告する.
近年,医療,ヘルスケア分野において,ウェアラブルデバイスやIoT などの研究,産業化が活性化している.日常生活下で人体の生体情報をセンシングし,評価する生体情報計測では,無意識,無拘束,非侵襲,非接触な計測技術が求められる.中でも心電図(ECG)モニタリングは,心臓病の早期発見に繋がり,また,心拍動のゆらぎを解析することにより,自律神経活動の評価を行うこともできるため,日常的なモニタリングが理想であっても,様々なノイズやアーチファクトが原因となり,データ欠損が生じやすいと認知されている.そこで本稿では,測定した心電図にリアルタイムでデジタル信号処理を施し,ノイズ除去と波形描写,及び波形評価を行なうシステムの開発に取り組んだ.
血液透析患者は,腎機能の低下により自身で水分を排出することができず,増加した水分量を推定し外的手段で取り除く必要がある.そのためレントゲン撮影より得られた心胸郭比 (CTR : Cardio Thoracic Ratio)を利用して,水分量を推定する方法が用いられているが,撮影にX線を使用するため僅かな放射線被ばくの問題がある.そこで本研究では,比較的人体への負担が少ない電波を用いた複素誘電率推定に基づいた体内水分量推定の検討を行う.
B-20. 無線電力伝送
9月17日 9:00〜11:45 Meeting 26 座長 松室尭之(龍谷大)
B-20-1 |
無線時刻同期モジュール Wi-Wi を用いた位相制御協調電力伝送に関する一検討
○相浦一樹・林 健太朗(阪大)・志賀信泰・安田 哲・滝沢賢一(NICT)・藤橋卓也・渡辺 尚・猿渡俊介(阪大) |
B-20-2 |
無線電力伝送に適した変調方式に関する検討
◎中本悠太・長谷川直輝・平川 昂・髙木裕貴・太田喜元(ソフトバンク) |
B-20-3 |
マイクロ波電力伝送に向けた電力及び空間平均に基づく複数レクテナの受動DoA推定
◎近藤慎之介・村田健太郎・本間尚樹(岩手大) |
B-20-4 |
位相制御のみにより人体回避と高効率給電を両立するマイクロ波電力伝送用ビームフォーミング法
◎金子直樹・村田健太郎・本間尚樹(岩手大) |
B-20-5 |
軽量レクテナアレイを用いた飛翔体への無線給電試験
○長谷川直輝・中本悠太(ソフトバンク)・藤原暉雄(翔エンジニアリング)・太田喜元(ソフトバンク) |
広く分散配置した複数のアンテナから電波を放射して,室内のIoT (Internet of Things) デバイスに対し無線で電力を供給する技術が注目を集めている.これまで筆者らは,各アンテナが放射する電波の位相を最適化することで,給電対象の位置に強め合う干渉を意図的に作り出し,電力供給を効率化する分散協調型の電波電力伝送の実装に取り組んできた.本稿では分散協調型の電波電力伝送の実用化に向けて, Wi-Wi による無線での位相同期を用いた送信電波の位相最適化を提案する.
IoT社会の実現に向けて膨大な数のセンサが普及すると予想されるが,超多数センサへの電源としてバッテリを想定すると交換コストが増大する課題がある.解決方法として無線電力伝送が注目を集めている.超多数センサへ情報だけでなく,無線電力伝送を行うことを検討する.
現在の無線通信では64QAM,QPSK などの多値変調やOFDMが用いられている.これらの変調方式を用いた無線電力伝送について検討する.これまでOFDM 信号などの整流効率は報告されている.しかし,送電側で無線電力伝送に適した変調信号は検討されていない.本研究ではOFDM 信号の信号点配置によるPAPRや平均電力の変動を検討し,その信号を整流回路に入力する場合の整流効率について検討する.
著者らは電池切れ端末への高効率給電に向け,レクテナで能動的な処理及び特別なシステムを必要としない受動伝搬路推定法を提案している.従来法は,入射電力に対してレクテナ反射係数が非線形に変化する特性を利用し,送信電力を2値で変化させたときに観測される受信信号の差分から,不要な自己干渉を除去し所望後方散乱波のみを抽出する.しかし本手法は複数レクテナ存在時,複数の後方散乱波の分離が不可能であった.そこで本報告では,電力・空間平均に基づく複数レクテナの受動DoA (Direction of Arrival) 推定法を提案する.数値解析結果から提案法により複数のレクテナに対して高精度にDoA推定可能であることを確認した.
本報告では,マイクロ波電力伝送において受電電力対人体照射電力比の差分形式の最大化問題に基づき,ウェイトの振幅制御を伴わず位相制御のみで人体回避と高効率給電を両立するビームフォーミング法を提案する.実験により得られた各素子のウェイト振幅と位相から,従来法では振幅制御が必要になる一方,提案法では等振幅を保証していることを確認し,また人体中心における20点法に基づき各観測点に受電点を仮定した場合の受電電力対人体照射電力比のCDF評価から,提案法は位相制御のみでありながら振幅制御を要する従来法と同等の性能が得られ,人体回避と高効率給電が両立可能であることが示された.
近年,ドローンやHAPSを用いた飛翔体基地局構想が計画されている.飛翔体基地局に対する電力確保が大きな課題であり,マイクロ波電力伝送は連続的な電力供給解決手段として検討されている.本研究では,飛翔体搭載可能な薄膜フレキシブル基板を用いた超軽量アンテナアレイを設計した.レクテナアレイの重量は4.62 gであり,飛翔体に搭載可能である.試作したレクテナアレイを用いて小型ドローンへの給電試験を実施した.レクテナアレイからは最大1.73 WのDC出力を確認した.
休 憩(10:30 再開) 座長 長谷川直輝(ソフトバンク)
B-20-6 |
多段マッチング回路による1GHz帯広帯域整流器の回路設計
◎朝倉俊哉・山之口周平・吉田賢史・西川健二郎(鹿児島大) |
B-20-7 |
環境電波発電向け自己バイアスアシスト差動整流回路
◎渡辺準樹・小谷光司・小宮山崇夫・長南安紀・山口博之(秋田県立大) |
B-20-8 |
受電側多素子化に向けた整流回路接続シミュレーション手法
○平川 昂・長谷川直輝・太田喜元(ソフトバンク)・篠原真毅(京大) |
B-20-9 |
F級負荷機能を有するH形スロットパッチアンテナの固有モード解析
◎伴 駿矢・廣瀬隼多・平山 裕(名工大) |
B-20-10 |
無線受電用TUアンテナの近傍界特性と最適送受信位置
○米村 悠・岸 輝・藤野義之(東洋大) |
現在世界中で様々な人がスマートフォンを利用しており,我々の日常生活の利便性は向上してきた.スマートフォンはマイクロ波帯の電波を使った無線通信を行っている.現在主流の4Gの周波数帯は日本の場合700 MHz から3.6 GHz となっており,デバイスの広帯域化が求められている.広帯域整流器の研究に着目すると帯域が90.2 %,82.6 %となる整流器が報告されている.本稿では,4Gで主に使われる1 GHz帯をメインに3.6 GHzまでカバーできる広帯域整流器を設計した.
環境電波発電は,受信した高周波信号を,整流回路を用いて直流電力に変換することにより行われる。しかしながら,環境電波発電で受信可能な電力レベルは極めて小さいため,微小入力電力領域で高い電力変換効率(PCE)の整流回路を実現することが重要である。そこで本研究では,高周波信号が印加されたダイオードに発生する直流自己バイアス電圧を用いて,MOSFETのゲートをバイアスする,自己バイアスアシスト(SBA)差動整流回路を提案する。提案回路のシミュレーションの結果,単純な差動整流回路と比較し,低入力電力領域でのPCEが向上した。また提案回路に自己しきい値補正(SVC)機構を組合わせる事で,低入力電力領域でのさらなるPCE向上が得られた。
現在,より生産性が高く効率的な社会の実現を目指してIoT技術の研究開発が活発に行われている.
IoT化の進展に伴い,電力供給手法が問題となることが予測されており,解決策として電波無線電力伝送が検討されている.
空間電力密度やビームフォーミングの自由度の観点から受電素子,送電素子ともに多素子化が必要である.
本研究では,多素子化された受電側装置における整流回路に着目している.
受電側でレクテナを利用する場合,それぞれのレクテナのDC出力部分を接続して全体のDC電力を取り出す必要がある.
この時,接続された整流回路全体の特性が重要である.
本稿では,電流電圧特性に着目した全体特性の算出手法について述べた。
また、本手法を用いて算出された結果について述べた。
マイクロ波無線電力伝送の電力伝送効率を向上させる方法として、アンテナにF級負荷機能を付与する方法が提案されている。本稿ではパッチアンテナにH形スロットを追加することにより、F級負荷機能を持つ5.8GHz用アンテナを開発した。加えて、固有モード解析によりその動作原理を検討した
当研究室では、無線電力伝送を用いたデモンストレーションシステムを構築している。350MHzデジタル簡易無線機を送信機として、Nゲージ鉄道模型を動作させるシステムとなっており、受信アンテナには本大学陸上部のロゴマークを模したTUアンテナを提案している。
今回、TUアンテナにおける近傍界特性、最適送受信位置について報告する。
9月17日 13:00〜15:30 Meeting 26 座長 平山 裕(名工大)
B-20-11 |
シールド型容量結合無線電力伝送の一般化回路モデル
◎△上江洲安祐・Suziana Ahmad・服部励治(九大) |
B-20-12 |
水中電解結合型WPTシステムの効率向上に関する検討
◎松浦 佑・石崎俊雄(龍谷大)・粟井郁雄(富士ウェーブ) |
B-20-13 |
ワイヤー電極による電界結合型水上WPTシステムの検討
◎辻村智寛・張 陽軍(龍谷大)・粟井郁雄(富士ウェーブ) |
B-20-14 |
8の字コイルを用いた無線電力伝送の伝送効率に関する研究
○今枝賢士郎・井上真澄(名城大) |
B-20-15 |
磁界共振結合型無線給電向け周波数ホッピング型盗電防止手法の脆弱性に関する一検討
○足立真志・松浦賢太郎・小渕大輔・成末義哲・森川博之(東大) |
本稿ではシールド型容量結合ワイヤレス電力伝送(Shielded Capacitive Power transfer : S-CPT)の一般化回路モデルについて説明を行う.CPTは近年研究者の間で注目されているワイヤレス電力伝送技術の一つである.現在,CPTに関する多くの論文では相互キャパシタンスを用いて議論されているが,この理論は誘導結合の流れを受けたものであり,容量結合では実際に存在しない相互キャパシタンスを想定している.しかし,この相互キャパシタンスを導入することで,実際の回路とかけ離れたものとなり,最適化を難しくしている.そこで今回提案する回路モデルでは,S-CPTにおいて実際の接合容量,寄生容量から最適なコイルのインダクタンス値を求めることができる.
自律型水中ロボット(AUV)は定期的な充電が必要となることから作業効率の低下が問題となり、水中におけるWPTの研究が進められてきた。本研究は新たに電界結合方式によって水中給電を実現しそれらの問題を解決することを目的としている。空気中と異なり水中にWPT技術を応用することには多くの課題があるが、本報告では伝送効率向上に関する問題に焦点を当て、水中電界結合型WPTに最適な効率向上方法を模索する。
電界結合型の無線電力伝送システムでは、送電側のホット電極とグランド電極、受電側のホット電極とグランド電極の計4枚の電極を用いるのが一般的である。しかし、水上に設置する送電グランド電極は、岸が遠い川や湖では十分に機能しない可能性がある。そこで、電極として人為的に設置せずアースで代用することを提案する。これにより使用する電極を1枚減らすことができ、システムの簡素化が可能となる。また、使用する電極を銅箔ではなくワイヤーを用いることも検討しており、電極の設置作業がより容易になることが期待できる。これらの構造変更によっても伝送効率の大きな低下は見られず、十分実用性があると考えられる。
本研究では,8の字コイルを送電コイルとするときの送電特性の受電コイル姿勢依存性を明らかにするとともに,8の字コイルを2組用いて,送電側に,平面に交差させる形で8の字コイルを2組配置し,それぞれに位相が90°ずれた電流を流すことで二相交流による回転磁界を発生させ,受電側コイルの向きの自由度を高めることを目的とする.今回はその基礎として,8の字コイルの特性のついて,送電コイルに8の字コイルを用いた無線電力伝送の伝送効率を調べたので報告する.
周波数ホッピング型盗電防止手法に対する攻撃として伝送周波数推定による盗電が想定されるが,伝送周波数推定に要する時間より短い間隔で周波数を切り替えることで盗電を防ぐことができると考えられる.一方で周波数の高速な切り替えは正規の受電器の効率を低下させる可能性がある.本稿では回路シミュレーションにより,伝送周波数の切り替え間隔を変えたそれぞれの場合において,伝送周波数推定を用いた盗電機器と正規の受電器の効率を比較した.盗電機器は最低でも正規の受電器の40%程度の電力を得られることを確認し,伝送周波数を推定された場合,周波数ホッピング型盗電防止手法は必ずしも盗電を防げるとは言えないことを明らかにした.
休 憩(14:30 再開) 座長 池田拓磨(パナソニック)
B-20-16 |
ハイパー・ハーモニー・エレクトリカル・パワードライブシステム 〜二重共振を用いたワイヤレス電力伝送の新機軸〜
桜庭 弘(仙台高専)・○間形哲也(トヨタ自動車東日本)・菅井朋葉(仙台高専) |
B-20-17 |
寄生アンテナと整合回路の併用によるインプリシット空洞共振無線電力伝送法における伝送効率最大化
◎瀧谷慧斗・近藤慎之介・村田健太郎・本間尚樹(岩手大) |
B-20-18 |
N素子の寄生アンテナを用いたインプリシット空洞共振無線電力伝送法に関する考察
○村田健太郎・瀧谷慧斗・本間尚樹(岩手大) |
B-20-19 |
サーキット型導波管によるマイクロ波融雪法提案とそのFDTD解析
○丸山珠美・柴田紘希・葛西俊太(函館高専)・大宮 学(北大)・中津川征士(函館高専)・玉山泰宏(長岡技科大) |
自動運転やIoTを活用した電気自動車やAGV(Automatic Guided Vehicle)、ドローンなど、近未来のスマートシティーで活躍する移動や物流に限らない大小様々なモビリティーはより利便性の高い充電方式と組み合わせて初めてその真価が発揮される。ワイヤレス電力伝送はその有力な候補の一つである。しかし従来のワイヤレス電力伝送の方式では伝送可能距離が今ひとつ足りない, 電磁放射ノイズが多く電波法規制をクリアしにくいなどの課題を抱えている.これらの課題を解決する新しいワイヤレス電力伝送の方式を提案する.この方式の原理は二重共振という現象である。この現象により大きな電力を長距離に伝送することが可能となる。
著者らは,閉空間内の応答不能なデバイスへの給電に向け,受電機フィードバック不要なインプリシット空洞共振無線電力伝送法 (ICRWPT) を提案し
ている .従来法では,電磁遮蔽空間の性質を利用し,信号源への反射を最小化するよう寄生アンテナ(Px)の負荷位相を制御することで,間接的に受電負荷への伝送効率を最大化する.ただし,キャビティが損失性の場合,上記原理が成立せず従来法は適用不可となる.そこで本稿では,Px と整合回路(MN)を併用したICRWPT の伝送効率最大化手法を提案する.シミュレーション結果から Px と MN がそれぞれ,空洞共振モードを制御し,残存する反射を抑圧するよう機能することで伝送効率が改善されることが実証できた.
閉空間内の寄生アンテナ(Px)の負荷制御に基づく空洞共振無線電力伝送(CRWPT)では,Px素子数増加に伴い給電性能が向上する.しかし,Px負荷最適化には,受電情報のフィードバックやアンテナ間Sパラメータの事前測定を必要とし,応答不能又はアクセス不可な受電機には適用困難である.対して著者らは,上記制約を解消するインプリシットCRWPTを提案しているが,後述の理由により多素子のPxへの拡張が困難であった.そこで本稿では,これを任意のN素子に拡張する手法について考察する.
マイクロ波を用いた融雪装置において、面的なエリアを融雪するためには、一般に複数の電源付き導波管を設置する必要がある。本論文では、一つの電源装置で平面状のエリア内を低コストで均質な融雪を実現するために、新たなサーキット型の漏れ波スロット導波管を提案する。給電点から放射された電波が、導波管の中を一周して戻るようなアンテナ構造における電磁界のふるまいをFDTD法を用いて解析した。提案構造について、feederの位置を変えた場合およびスロット間隔を変えた場合に対して、それぞれ電気特性を示し比較を行った。その結果、スロット間隔を管内波長とし、給電点をサーキットの長手方向の端においた場合が導波管の上面方向の電界強度が大きくなることを明らかにした。
シンポジウムセッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
BS-1. アンテナ・伝搬分野における最新のシミュレーション技術
(アンテナ・伝播研専)
9月17日 9:00〜11:20 Meeting 9 座長 有馬卓司(東京農工大)
BS-1-1 |
任意ビーム数1次元切替マトリックスの数値設計と2次元三角ビーム配列への適用
○広川二郎(東工大)・フォンセカ ネルソン(欧州宇宙機関) |
BS-1-2 |
機械学習向けマイクロドップラー模擬データ生成のためのRCS解析手法の検討
◎大橋諒太郎・笹川 大・末延 博・瀧川道生・稲沢良夫(三菱電機) |
BS-1-3 |
鉄道環境における点群データを用いた3次元モデリングと電波伝搬特性評価
○中西孝行・川手竜介・森井 明・瀧川道生・稲沢良夫(三菱電機)・田崎 剛(JR東日本) |
本稿では2分配1面結合器を用いた任意ビーム数を有する1次元切替マトリックスと2x2分配2面結合器を用いた2次元一体三角ビーム配列マトリックスの数値設計を提案する。
近年,ドローンを利用したシステムやサービスが普及する一方で悪用する事例も増加傾向にあり,ドローンを検出・識別する需要が拡大している.著者らは機械学習を用いたマイクロドップラー(μ-D: micro-Doppler)によるドローン識別を検討している.機械学習により高い識別精度を実現するためには大量の学習用データが求められるため,電磁界解析を用いて生成した模擬データによる学習用データの拡張が有効である.μ-D模擬データの算出には構造の一部が時間に伴い変化する散乱体のレーダ断面積(RCS: Radar Cross Section)時間特性を計算する必要があり,可動部を有する散乱体のRCS解析の高速化が課題となる.本稿では,μ-D模擬データ計算のための高速RCS解析手法を示す.
著者らはこれまで地形と電子住宅データを用いて電波伝搬解析を実施してきたが,鉄道沿線には電子住宅データに反映されていない構造物が存在するため,解析精度が不十分な区間があった.そこで本報告では,点群データから生成したモデルと地形及び建物データを融合した3次元モデルを用いて鉄道環境の電波伝搬特性について評価した結果を示す.
休 憩(10:30 再開) 座長 瀧川道生(三菱電機)
BS-1-4 |
物理光学近似を用いた路面散乱特性の解析-縦列走行V2V直接通信環境におけるドップラスペクトルに与える影響-
○今井哲朗(東京電機大)・宮下真行・山口 良・豊見本和馬(ソフトバンク) |
BS-1-5 |
海上監視用FMICWレーダーのFDTD解析
中村昇平・宇野 亨・○有馬卓司(東京農工大)・藤井智史(琉球大) |
5Gのアプリケーションのひとつとして検討が進められている縦列走行V2V直接通信では,路面散乱波の影響がドップラスペクトルに顕著に現れることが報告されている.ここで,その影響は路面凹凸の状態により大きく異なることが想定されるが,未だ十分に明らかとなっていない.本稿では物理光学近似を用いて路面散乱波を解析し,そのドップラスペクトルに与える影響について評価した.
海上の様子を監視するためにFMICWレーダーが用いられている.このレーダーにおいては,海面での反射波のドップラー周波数を計測することにより海流の流速を計測することができる.本レーダーは,会場に漂流体の追尾などの応用が可能である.本研究では海上監視用FMICWレーダーの精度を定量的に把握するために,FDTD法を用いた解析を行う.解析においては,海上に散乱体が存在する場合について解析を行う.
BS-2. 新たな通信領域開拓に向けたアンテナ伝搬技術
(アンテナ・伝播研専)
9月16日 10:00〜11:40 Meeting 8 座長 山田 渉(NTT)
BS-2-1 |
導波作用によるワイヤレス電力伝送距離改善法
○丸山珠美・柴田紘希・木村 太・中津川征士(函館高専) |
BS-2-2 |
円形配列フェーズドアレー偏波制御4×4 MIMOアンテナの開発
◎関野湧斗・渕野貴弘・本田和博(富山大) |
BS-2-3 |
ISTAを利用した無人飛行機による波源推定法
◎高世 駿・西森健太郎(新潟大)・松田崇弘(東京都立大) |
BS-2-4 |
ドローン中継局による非対称LoS-MIMO構成の効果
○西森健太郎・渡邉貴宣・岡田 陸(新潟大) |
ダイポールアンテナを送電部、誘電体埋め込み折り曲げダイポールレクテナを受電部とし、送受電部の間に無給電素子を導波素子として作用させるために設置した場合としない場合のワイヤレス電力伝送効率を、有限要素法を用いた電磁界解析により求めた。その結果、導波素子を設置することにより、ワイヤレス電力伝送効率を高くできること、ワイヤレス電力伝送距離を長くできることを明らかにした。電子レンジを波源とするLED点灯実験を行い導波素子を設置しないときはLEDが点灯しないのに対して導波素子を設置することによってLEDが点灯することを明らかにした。本結果より、受電素子がダイポール形状をしていない場合も、導波素子設置による効率向上の効果を発揮できることを明らかにした
本研究室では,到来波方向に寄らず超高速通信を実現できる円形配列フェーズドアレー4×4 MIMOアンテナを提案している.本研究では,到来波の偏波特性に適応するため,ダイポールアンテナの代わりにパッチ付き円板装荷折り返しモノポールアンテナを適用した円形配列フェーズドアレー偏波制御4×4 MIMOアンテナについて検討した.モンテカルロ解析を行った結果,SNRが30 dBのとき,全方位においてXPRに寄らず27 bits/s/Hzを超える伝送容量を達成できることが明らかとなった.
近年,無線通信システムの運用の増加に伴い,周波数資源の圧迫やシステム間の干渉が問題となっている.
しかし,全ての時間・場所に注目すると常に無線通信システムが使用されているとは限らず,空いている周波数を2次利用する検討が行われている.
1次システムに影響を与えない形で2次システムを利用するためには,未知の1次システムの波源位置を推定する必要がある.
著者らはアレーアンテナを搭載した無人飛行機を利用し,得られた到来方向推定結果を用いて送信波源の位置を推定する手法を提案している.
無人飛行機を利用することで,自由度の高いアンテナ配置が可能となり,推定が有利な場所へアンテナを移動することが可能となる.
本検討では,到来方向推定アルゴリズムや無人飛行機の配置方法に着目して検討を行い,その特性を評価した.
著者らは,小型自立無人航空機(ドローン)を中継局としたMIMO 伝送により,伝搬損失と空間相関を改善する伝搬環境制御法を提案してきた.また,ドローン中継局間の通信にLOS-MIMO伝送を利用した伝搬環境制御について,送受信距離によらずチャネル容量の落ち込みが生じない不等間隔アレーによる構成を提案した.本稿では,端末局-ドローン間等で想定される送受信間でアンテナ素子数が異なる非対称LoS-MIMOの特性を評価する.非対称LoS-MIMOの効果を計算機シミュレーションで明らかにする.
9月16日 13:00〜16:40 Meeting 8 座長 村田健太郎(岩手大)
BS-2-5 |
Kファクタを利用したMIMO簡易評価法に関する検討
○佐藤宏紀・西森健太郎(新潟大) |
BS-2-6 |
オフィス環境におけるミリ波クラスタチャネルモデル
◎塚田 響・唐 率欽・熊倉啓一朗・金 ミンソク(新潟大) |
BS-2-7 |
双方向合成開口アンテナによる到来方向/出射方向測定方法の検討
○豊見本和馬・山口 良(ソフトバンク)・福迫 武(熊本大) |
BS-2-8 |
バイラテラル回転反射鏡システムを用いた300 GHz帯屋内DOA基礎実験
○山口 良・保前俊稀・豊見本和馬・宮下真行・矢吹 歩(ソフトバンク) |
2020年から第5世代移動通信システムのサービスが日本でも開始された.5Gシステムでは送受信局でアレーアンテナを用いるMIMO伝送技術はもちろん,OFDMA,LDPC符号などの最新技術が盛り込まれている.また,5Gシステムではマイクロ波帯だけでなくミリ波帯も使用されている.このように複雑化されたシステムに対し,異なる周波数で誤り訂正まで含めた伝送特性を厳密に評価することには大きな労力を必要とする.そこで著者らは,MIMOにおいてユーザごとのデータストリーム数が2程度に限定されている場合に受信電力分布のみで簡易評価が可能な手法を提案している.本報告では,実際に測定した受信電力分布をもとにMIMO簡易評価を行った結果について報告する.
ミリ波チャネルモデルとして見通し(LoS)成分や1回反射成分などの環境依存性の高い伝搬路を簡易なレイトレーシングによって決定論的成分としてモデル化し,ランダムな散乱体による伝搬路を統計分布によって確率論的成分としてモデルを行う,準決定論的(Quasi-Deterministic : Q-D)なモデルが提案されている.しかし,このようなQ-Dモデルでもランダムな伝搬路のモデル化には典型的なシナリオでの実験により抽出した統計分布を利用しているため,個別環境の伝搬チャネル特性を正確に表すとはいえない. そこで,本研究では,確率論的成分を生成するための統計分布にサイトスペシフィック性を反映したチャネルモデルの高精度化を目指す.本稿では,チャネルモデル高精度化に向けた基礎検討として,オフィス環境おける伝搬チャネル測定及び伝搬パラメータの抽出を行い,伝搬パラメータの環境依存性を確認する.具体的には,既存のQ-Dモデルである3GPPmap-based hybrid model(以降,3GPPモデル)のパラメータとの比較を行う.
MIMOアンテナやビームフォーミングアンテナを設計するためには時空間伝搬モデルを活用することは重要であり,そのようなモデル構築には実伝搬環境特性を把握する必要がある.我々は,合成開口アンテナを用いた時空間測定法を提案しており,高精度なDOA(到来方向)測定が可能であることを示している.一方,モデル構築においては,DOAのみならずDOD(出射方向)に関しても重要なパラメータであるが,DOD測定への合成開口適用の検討は行われていない.本稿では,高精度なDOA/DOD測定を可能にするために,観測側・波源側の双方向に対し,合成開口アンテナを用いた測定方法を適用する. そして,シミュレーションにより,到来方向のみならず出射方向においても高精度に測定が可能なことを示す.
ミリ波・テラヘルツ波移動通信の実現においては,伝搬損失や到来方向(DOA)等の基本特性把握とそれに基づくアンテナ設計が必要である.本稿では,レーダ等で利用されている回転反射鏡を応用して開発したミリ波・テラヘルツ波測定システムを送受信双方に適用したバイラテラル回転反射鏡システムの概要,および300 GHz帯屋内DOA測定例を示す.
休 憩(15:00 再開) 座長 堅岡良知(KDDI総合研究所)
BS-2-9 |
海中電磁界応用における研究動向とポイント
○石井 望(新潟大)・高橋応明(千葉大)・陳 強(東北大)・吉田 弘(JAMSTEC) |
BS-2-10 |
クロスダイポール受信アレーを用いた海中位置推定に関する疑似スケールモデル実験
○佐瀬亮太・石井 望(新潟大) |
BS-2-11 |
海中および海面の電磁波伝搬
○高橋応明(千葉大)・石井 望(新潟大)・陳 強(東北大)・吉田 弘(JAMSTEC) |
BS-2-12 |
高基地局環境における屋内侵入損失のサイトスペシフィックモデルの検討
○木村 翔・林 合祐・田中翔馬・佐藤彰弘・表 英毅(ソフトバンク) |
本稿では,数年の国内における海中電磁界に関する研究事例,および,海中電磁界が近傍界に限定される場合について,電磁界の振る舞いについて紹介する.
海難事故におけるダイバーの救助活動の支援を目的に,著者らは電磁波を使ったダイバーの海中位置推定法を検討している.本稿では,クロスダイポールで構成された9本の受信アンテナとスイッチング装置を用いてを用いて受信電力の同時測定を可能にした疑似スケールモデル実験系を構築し,位置推定アルゴリズムに実験で測定した x 偏波受信成分を受信電力プロファイル供給し,その動作を分析した.
本稿では,海中の微小ダイポールアンテナと海面上にある微小ダイポールアンテナ間で,海中および海面での電磁界の伝搬について述べた.海中から空間に出て伝搬するラテラル波が支配的であり,このラテラル波の影響を考慮して,システムを構築する必要があることがわかった.
HAPS通信における効率的なセル設計を実現するためには,地形,植生,都市部,郊外地,屋内侵入などを考慮した電波伝搬モデルの開発が必要不可欠である.本稿では屋内侵入損失に着目する.屋内侵入損失の電波伝搬モデルとしてITU-R勧告(International Telecommunication Union Radio communication sector)P.2109-1[5]がある.ITU-R勧告P.2109-1のモデルは非常にシンプルなモデルであり,建物の種別,入射仰角,周波数が考慮されているが,入射方位角や侵入距離などは考慮されていない.そこで,有人ヘリコプターを用いた高基地局環境において,様々な仰角・方位角における屋内侵入損失測定を実施した.本測定結果に基づき,屋内侵入損失へ影響を与えるパラメーターの検討を特定し,サイトスペシフィックモデルを提案する.
BS-3. 5Gの更なる発展と6Gに向けた先進技術
(無線通信システム研専)
9月15日 10:05〜11:45 Meeting 11 座長 前原文明(早大)
BS-3-1 |
6Gのための遅延ドップラー平面マルチキャリア変調
○林 海(阪府大) |
BS-3-2 |
マルチ無線移動基地局を用いた無線ネットワーク動的制御技術の実験評価
○中平俊朗・佐々木元晴・守山貴庸・鷹取泰司(NTT) |
BS-3-3 |
(依頼講演)Deep Reinforcement Learning-based Sub-6GHz/mmWave Scheduling for Short-Packet Communications
○Megumi Kaneko(NII)・Sacha Leblanc(EPFL, Switzerland) |
BS-3-4 |
(依頼講演)Intelligent Reflecting Surface を利用した次世代通信システムの高度化に向けた研究開発
○川本雄一(東北大) |
6Gの重要課題としては移動環境における高信頼性通信や,通信とセンシングの融合などが挙げられる.これらの課題の有効な解決策として,最近では遅延ドップラー(DD)平面での変調方法に注目が集まり,その最初の試みがOTFS変調である.しかし,OTFS変調はDD平面を意識したものの,変調方式の根幹であるDD平面の直交パルスを有しておらず,DD平面変調の開発に成功していない.本論文はDD平面変調におけるパルス設計の難題を明らかにし,この問題を解決した真のDD平面マルチキャリア変調である直交遅延ドップラー分割多重変調を解説する.
人やモノに合わせて無線ネットワークをダイナミックかつロアクティブに用意することで,ユーザに無線ネットワークを意識させないナチュラルな通信を実現することを目指し,無線ネットワークに対する把握,予測,制御の3つの技術を連携させた技術群「マルチ無線プロアクティブ制御技術」の研究開発を進めている.本稿ではその技術の1つとして検討中である,マルチ無線移動基地局を用いた無線ネットワーク動的制御技術を提案し,実験評価によりその効果を明らかにする.
A seamless use of Sub-6GHz and mmWave bands is ever more crucial to meet the stringent requirements imposed by Beyond 5G and 6G services. In particular, future IoT applications are expected to generate a large amount of short packets. We propose a unifying framework for short-packet communications, that jointly optimizes user partitioning over both bands and resource scheduling within each band. The proposed partitioning leverages Deep Reinforcement Learning, to best tackle the uncertainties pertaining to varying link blockages, as well as the diverse QoS requirements. Numerical results validate the proposed approach which outperforms baseline schemes in terms of sumrate, while better satisfying delay-reliability requirements.
本発表では次世代の通信技術要素の1 つとして注目を集めているIntelligent Reflecting Surface (IRS) に関して,我々の研究グループが進めてきた研究開発の取り組み内容,並びに検討中である今後の研究の方向性について紹介する.
9月15日 13:00〜16:35 Meeting 11 座長 岡本英二(名工大)
BS-3-5 |
アンテナ軸ずれ存在下におけるOAM多重伝送のモード間干渉抑圧に関する一検討
◎齋藤周平・伊藤有希・菅沼碩文(早大)・小川賀代(日本女子大)・前原文明(早大) |
BS-3-6 |
Antenna Selection, Beamforming, and Power Allocation Factor Design Considering Fairness Improvement for MISO-NOMA Systems
○Hao-Tse CHIU・Fumiaki MAEHARA(Waseda Univ.) |
BS-3-7 |
Concatenative Complete Complementary Code Division Multiple Access
○Chenggao Han(The Univ. Electro-Commun.) |
BS-3-8 |
(依頼講演)多数同時接続・低遅延を実現するグラントフリーNOMA
○石橋功至(電通大) |
近年,固定無線通信の大容量化に向けた一アプローチとして,OAM (Orbital Angular Momentum) 多重伝送が注目を集めている.OAM多重伝送では,風などの振動によりアンテナ軸ずれが生じると,OAMモード間の直交性が崩れることによりモード間干渉が生じ,伝送特性が大幅に劣化することから,モード間干渉の影響を抑圧することが重要となる.OAM多重伝送を対象としたモード間干渉抑圧については,等化処理により干渉除去を行うアプローチがあるが,全てのモード間干渉の除去を行うことから,干渉除去に要する計算コストが大幅に増大する問題がある.そこで,本稿では,OAM多重伝送におけるモード間干渉抑圧の効率化を図る方式の提案を行う.具体的には,アンテナ軸ずれに起因したモード間干渉について,隣接OAMモードからの干渉が特に深刻となる点に着目し,それら一部の干渉のみを等化処理により除去するものである.これにより,全てのモード間干渉を除去する従来方式の伝送特性を保持しつつ,干渉除去に要する計算コストの削減が期待できる.また,提案方式の有効性を,システム容量及び計算コストの観点から計算機シミュレーションにより評価する.
In this paper, we propose a maximization problem for the data rate of the weak user. Here, we take into consideration the improvement of the fairness between NOMA users by jointly designing the AS vector, BF vector, and power allocation factors (PAFs). Distinct from previous works, we not only exploit three techniques above but focus on the constraints of per-antenna transmitted power, which is less concerned in NOMA optimization problems. However, due to the complexity, the problem is divided into two stages, the AS and BF vector are jointly designed in the first stage and the PAFs are designed in the second stage.
In this paper, we propose the concatenative complete complementary code division multiple access (CCC-CDMA) which can be implemented by fast transforms (FTs). Simulation results shown that enlargement of spreading factor (SF) strengthens the robustness against clipping noise and the binary CCC-CDMA has excellent robustness against Doppler frequency shifts.
本稿ではグラントフリー非直交多元接続(GF-NOMA)を,逐次干渉除去(SIC: Successive Interference Cancellation)に基づいたGF-NOMA,圧縮センシング(CS: Compressed Sensing)に基づいたGF-NOMAの2つに大別し,それぞれの仕組み,特徴について,最新の成果を交えながら概説する.
休 憩(14:55 再開) 座長 旦代智哉(東芝)
BS-3-9 |
6Gシステムに向けたCell Free massive-MIMOを用いるユーザセントリックRANアーキテクチャ
○相原直紀・伊神皓生・村上隆秀・塚本 優・新保宏之(KDDI総合研究所) |
BS-3-10 |
100 GHz帯Massive MIMO伝送における受信ビームフォーミング適用に向けた性能評価
○野中信秀・須山 聡・奥山達樹・浅井孝浩(NTTドコモ) |
BS-3-11 |
6Gシステムレベルシミュレータによる100 GHz帯伝送性能評価
○奥山達樹・須山 聡・野中信秀・浅井孝浩(NTTドコモ) |
BS-3-12 |
(依頼講演)THz無線によるモバイルバックホールの高度化
○川西哲也(早大)・菅野敦史(NICT)・柴垣信彦(日立国際電気) |
2030年ごろに導入が見込まれる6Gシステムでは,通信サービスを利用するアプリケーションが高度化され,ユーザ毎の通信品質の要求もより多様化することが想定される.こういった状況下では,ユーザが存在するありとあらゆる場所で高い無線品質を確保し,ユーザ個々の用途で求められる通信品質を継続的に提供できるユーザセントリックな無線通信システムの確立が必要である.本稿では,CF-mMIMOを用い無線品質を確保しつつ,柔軟なRANリソース制御を仮想化RANにより実現するUC-RANの課題を挙げ,これらを解決できるUC-RANアーキテクチャの初期検討をした結果を報告する.
第6世代移動通信システム(6G)の実現に向けては,5Gでのミリ波帯を活用しつつ,より高い周波数帯を利用しピークデータレートとして100 Gbps以上の超高速通信の提供が期待される.著者らは,100 GHz帯を活用しシングルユーザ環境での基地局側にハイブリッドBF(Beamforming)を適用したときの基本性能やアンテナ間隔等が与える影響の評価,マルチユーザMassive MMIOにおける特性の評価を行ってきた.一方で,100 GHz帯などの高周波数帯においては,基地局側の送信BFに加えて,端末側への受信BF技術の適用が重要となる.そこで本稿では,受信BF適用に向けた技術課題について明らかにするとともに,MSに受信ハイブリッドBFを適用した場合の下りリンクスループット特性を計算機シミュレーションにより評価する.
第6世代移動通信システム(6G)では,5Gでの28 GHz帯に代表されるミリ波帯を活用しつつ,さらに高い周波数帯を利用しピークデータレートとして100 Gbps以上の超高速通信の提供が期待される.将来的には,実環境において実験装置を活用した検証による性能評価も重要であるが,初期の検討段階ではシミュレーションによる性能評価を行い,テラヘルツ波を利用することにより達成可能な通信性能を示していくことが求められる.そこで,本報告では,開発した100 GHz帯を用いるシステムレベルのリアルタイムシミュレータを活用し,2種類の屋内環境において多数のユーザが存在する環境下で,ユーザあたり100 Gbps超のスループットを実現できることを明らかにする.
第5世代移動通信システムのサービスがはじまり、高速大容量、低遅延、多接続といった3つの特徴を生かした様々な応用が期待されている。電波資源逼迫の課題を解決するために、サイズの小さいセルを多数用いることが必要とされている。本稿ではこれらのセルを接続するための伝送メディアとして、テラヘルツ帯を用いた高速無線通信システムの研究動向やモバイルバックホール向けのテラヘルツ帯無線システムの設計例を紹介する。
BS-4. ネットワーク技術特別ポスターセッション
(ネットワークシステム研専、情報ネットワーク研専 共催)
9月17日 9:00〜11:45 Meeting 20 座長 谷田康司(NTT)
※10講演のパラレル開催となります。休憩時間(10:20~10:40) |
BS-4-1 |
アドホックネットワークにおける割り込み中継ユーザ協力移動制御方法
◎安食拓海・村瀬 勉(名大) |
BS-4-2 |
自律走行ロボットシステムにおける無線LANスループット向上のための中継支援ロボットを用いた経路・中継切り替え制御
◎牧野晃汰・村瀬 勉(名大) |
BS-4-3 |
ホームネットワーク機器の自動操作実現のためのユーザ判断の調査
○木村太一・水野 修(工学院大) |
BS-4-4 |
ハイブリッドクラウドにおける音声系システムリソース配分の最適化に向けたアンサンブル予測精度向上に関する検討
○レー 武興・藤平忠弘・雑賀 優(NTT) |
BS-4-5 |
モバイルネットワークにおけるMPTCP輻輳制御の性能評価ーパケットロス率がビデオストリーミング品質に与える影響調査ー
◎近藤優吉・Dirceu Cavendish・野林大起・池永全志(九工大) |
BS-4-6 |
大容量の時空間データ滞留を実現するデータ完全性確認型送信手法
◎△金安歩尚・野林大起・塚本和也・池永全志(九工大) |
BS-4-7 |
光ファイバ通信システムにおける光学非線形歪み補償に用いるディープニューラルネットワークの PRBS に対する過学習
◎中村迅也・中村守里也(明大) |
BS-4-8 |
ニューラルネットワークを用いた光ファイバ伝送路の光学非線形歪み補償における完全複素活性化関数の導入に関する検討
◎宮下裕貴・中村守里也(明大) |
BS-4-9 |
光Twin-SSB信号の非線形波形歪みについての検討
◎柿沼稜人・津村晃平・中村守里也(明大) |
BS-4-10 |
Kramers-Kronig受信システムにおける位相共役Twin-SSBを用いた非線形歪み補償の検討
◎津村晃平・柿沼稜人・中村守里也(明大) |
本稿は、アドホックネットワークの性能向上のために、端点にいるユーザを移動させて、ユーザ間距離の大きいリンクに割って入り、そのユーザ間を新しくリレーする方法を提案する。ユーザ移動制御方法においては、既にいろいろな提案 があるが、本稿では、ユーザのコネクティビティの自由度とルーティングの自由度が大きなアドホックネットワーク形態を考える。そこでは、従来の制御方法とは異なったユーザが異なった場所に移動することで、大きな性能ゲインが得られる可能性が大きい。提案方法では、端点(グラフの葉)のユーザを、移動することで、他のユーザに与える負の影響を抑えながら、最も性能低下しているリンクに割って入り、リレーの役割を行う。これにより、ユーザ間距離が小さくなり、伝送速度が向上し、性能が向上する。簡単な評価の結果、性能が大きく向上することが確認できた。
本稿では、自動運転車椅子などの用途のAMR(自律走行ロボット)を想定し、IEEE802.11無線LAN APとAMRとの間の通信性能を向上させるために、近隣のAMRを中継に用いる手法を提案する。提案方法は、中点追従経路制御方法と、中継制御方法から構成される。中点追従経路制御方法においては、近隣のAMR(支援AMR)が通信性能を向上させたいAMR(通信AMR)とAPとの中心点方向に移動する。中継制御方法においては、通信AMRやAPとの位置関係からスループットを予測し、中継の有無をスループットの向上する方に切り替える。これらにより、AMRとAP間の距離が準最適となり、APから遠い位置に移動した場合にも、高いスループットが得られるであろうことに関して議論する。また、提案手法における、性能の主要因である支援AMRの初期位置に基づく通信性能特性について議論する。
ネットワーク接続可能な家電機器(以下,IoT機器)をホームネットワークに接続し,遠隔または自動で操作するサービスが提案されている.しかし,ある操作によってはIoT機器がユーザの望まない動作を実行してしまう可能性がある.特に,複数ホームネットワークサービス動作時に,このような状況が起きる可能性がある.そこで,複数ホームネットワークサービス動作時にユーザの望む動作を維持する実行制御方式を提案する.この方式を適用すると,適用しない場合よりユーザの望まない動作を引き起こさなくなることを検証済みであるが,ユーザの判断との比較検証がされていない.そこで,アンケートによってユーザの判断の傾向を調査し,提案方式の改善策を模索する.
適用領域が増加しているパブリッククラウドを音声通信領域に適用することで,音声通信需要へのタイムリーな設備リソース確保や維持管理コスト削減等の柔軟な運用が期待される.一方,オンプレミスで提供している設備から適用領域を徐々に広げていくハイブリッド利用の研究も進んでいる.ハイブリッドシステムを利用することで,一時的にリソースが必要になった際に柔軟に対応できるメリットがあるものの,取扱いを誤るとリソースの過剰・不足を招く恐れがある.それを防ぐためには,システム特性を表すワークロードを予測して必要十分な容量を準備することが必要である.我々の研究では,同時接続数に着目しているが,この特性は非線形・線形を持つため,予測が難しい.先行研究ではアンサンブルモデルにより両方の特性を持つワークロードの予測を行っているが,両特性に追従できるものの,予測結果を重み変更で対応するため,非線形状態の時には非線形モデル単独で,線形状態の時には線形モデル単独で予測した結果に精度が及ばない.
本研究では非線形・線形の両方特性を持つワークロード判別後,各特性に対応したアンサンブルモデルによる予測アルゴリズムを提案する.
現在のビデオストリーミングの多くは,トランスポートプロトコルとしてTCP を使用している.この拡張方式として,複数の経路を使用して十分なスループットを確保し,冗長性を向上させるMPTCP が提案されている.しかし,標準MPTCP スケジューラは各通信経路のRound Trip Time(RTT) のみを基準にしてパケットを転送する経路を決定しており,通信品質が異なる複数の経路を使用した場合、パケットロスが多発し、ビデオの品質が低下する問題がある.そこで本研究では, 標準スケジューラとMPTCP の様々な輻輳制御を組み合わせた環境において性能評価を行いパケットロス率がMPTCPビデオストリーミングに与える影響を調査する.
IoTデバイスから生成されるデータには、交通情報や気象情報などの生成された場所や時間に依存するデータが存在し、我々はそれらを時空間データと定義した。時空間データは、その生成場所付近で利用することで最も効果的に活用できると考えられる。
そこで我々は時空間データの地産地消を目指し、車両アドホックネットワーク(VANET)を用いた時空間データ滞留方式を提案してきた。
しかし、先行研究に基づいて大容量の時空間データを滞留させた場合には、冗長な送信数が増加し、多量のパケット衝突が発生する。
そこで本研究では、データの完全性に基づいて効果的に大容量の時空間データの滞留を実現する送信制御手法を提案し、シミュレーションを用いてその有効性を示した。
光ファイバ伝送で発生する非線形歪みを、ニューラルネットワーク(ANN)を用いた非線形イコライザで補償する方式が検討されている。ANN の層数を 4 層以上にしたディープニューラルネットワーク(DNN)を用いた方式も検討されている。我々は、非線形イコライザとして用いた場合の ANN と DNN の過学習の比較検討を進めている。この時、どのような基準で比較するかが問題となる。今回、ANN と DNN の計算量を規準として過学習の比較検討を行ったので報告する。
光学非線形補償において、複素ニューラルネットワーク(ANN)を用いることにより実数ANNに対して計算量や学習速度が改善されることが知られている。複素ANNに完全複素活性化関数を用いることで、さらに計算量を削減することが検討されている。今回、この完全複素活性化関数を用いた複素ANNの光ファイバ通信ネットワークにおける光学非線形歪み補償への適用性について検討したので報告する。
光SSB(OSSB)方式はその高いスペクトル効率と分散耐性から注目され、最近では光Twin-SSB変調と呼ばれる新しいタイプのOSSBが検討されている。Twin-SSB信号はLSBとUSBで独立した信号を伝送し、ガードバンド無しでOSSB信号を波長分割多重することで高い周波数利用効率を実現する。また、2chの信号を一つの光源、一つの光変調器で変調可能なため、費用対効果の高い送信機を実現可能である。しかしTwin-SSB信号は光学非線形の影響を受けやすい。今回、光学的非線形効果によってTwin-SSB信号が歪む原理をシミュレーションによって調査した。その結果、SPMやXPMの直接的な影響だけでなく、側波帯抑圧比の劣化によるクロストークの増加の影響が大きいことを確認したので報告する。
近年、データセンタ等における近・中距間の光通信において、Kramers-Kronig (KK)受信を用いた直接検波方式が注目を集めている。KK受信では、安価なシングルPDで受信した光の強度情報からディジタル信号処理によって位相情報を再構築する。我々は、このKK受信において位相共役Twinを用いた光学非線形歪み補償を行う方法を検討している。今回、我々の提案する位相共役Twin-SSB方式を用いる方式について、シミュレーションによる検討を行ったので報告する。位相共役関係にあるLSBとUSBの分離には、ディジタル信号処理によるバタフライ演算方式を用いている。
BS-5. 持続可能な社会を支える電力変換技術とその応用
(電子通信エネルギー技術研専)
9月16日 13:00〜15:20 Meeting 25 座長 吉村 勉(阪工大)
BS-5-1 |
マイクログリッド制御技術の開発とオープンソースによる無償提供
○川本大輔・地主光太郎(ソニーコンピュータサイエンス研) |
BS-5-2 |
金沢工業大学における熱電連携DCマイクログリッド実証実験
○泉井良夫(金沢工大) |
BS-5-3 |
洋上風力発電機に適用するモジュラーマルチレベル変換器の制御法
○柿ヶ野浩明(立命館大) |
ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)では、分散型で拡張可能性が高く、さらに災害等に対するレジリエンスで優れているマイクログリッドという電力システムの研究開発を進めてきた。Open Energy System(OES)は、このようなマイクログリッドの利点を最大限に活かすために、直流型(DC)のP2P(ピアツーピア)自律電力融通技術を核とした一連の技術体系を確立し、沖縄科学技術大学院大学(OIST)での実証研究を行ってきた。その中核は、分散型の電力システムを相互接続しIoT制御により自動で需給バランスを調整する自律型電力融通技術である。本技術を用いて、再生可能エネルギーを地産地消する電力システムを構築することにより、再生可能エネルギーの大量導入における調整力や送電容量の課題を解決に貢献することができる。
金沢工業大学では、エネルギーのカーボンニュートラル、地産地消、レジリエン向上を目的に、2018年にオープンした白山麓キャンパス(石川県白山市)にて、熱電連携DCマイクログリッドをベースとした「再生可能エネルギーベストミックスのコミュニティモデル実証実験」を実施している。本シンポジウムでは、その概要を説明する。
近年,地球温暖化や化石燃料依存などの問題の解決策として,再生可能エネルギーの導入が世界的に進められている。その一つとして洋上風力発電は欧州を中心に導入が進められている。洋上直流システムでは,非常に高い電圧を変換する各種変換器が必要となる。モジュラーマルチレベル変換器(MMC)は高電圧かつ大容量の自励式交直変換器として研究・開発されている。本稿では,洋上直流システムの構成を想定し,風力発電の同期発電機の交直変換器としてMMCを接続した場合の制御法について検討を行い,シミュレーションによる検証を行う。
休 憩(14:30 再開) 座長 石塚洋一(長崎大)
BS-5-4 |
安川電機の脱炭素化に向けた取組み
○大場秀典(安川電機) |
BS-5-5 |
IoTを活用したデジタルツインによるパワエレ設計・管理の可能性
○古賀誉大・関末崇行(アンシス・ジャパン) |
安川電機では、「YASKAWA ECO VISION」のもと、環境貢献を進めてきた。特に、今後の脱炭素化に向けては、自社の生産活動(グリーンプロセス)と製品(グリーンプロダクツ)の両輪による取組みを加速している。これら取組みの事例を紹介すると共に、それらを含めた環境活動に関する情報開示の取組み事例(TCFD開示等)を紹介する。
現在,幅広く多くの分野でデジタルトランスフォーメーションが進んでおり,ものづくりの効率化や価値向上を図るための開発プロセスのデジタル化が急速に進展している.デジタルツインは現実の機器や設備,稼働状況や環境情報をIoTを活用してリアルタイムに収集し,仮想空間上に構築した機器や設備のデジタルモデルに適用し,設計の改善や環境状況に応じた現象の把握,故障予測などに用いることで,より効率的な設計開発や保守管理コストの最適化などを主目的としている概念である.本稿では,デジタルツイン技術について調査し,パワーエレクトロニクスもしくはこれに関連する分野への適用について,いくつかの事例を挙げて概説する.
BS-6. Network and Service Design, Control and Management
(情報通信マネジメント研専)
9月16日 9:00〜11:45 Meeting 22 座長 Zilu Liang(京都先端科学大)
BS-6-1 |
A Study of Throughput Drop Estimation Model for Two-Link Concurrent Communications in 5GHz IEEE 802.11ac WLAN
○Sujan Chandra Roy・Nobuo Funabiki・Kwenga Ismael Munene・Hendy Briantoro・Md. Mahbubur Rahman・Fatema Akhter・Minoru Kuribayashi(Okayama Univ.) |
BS-6-2 |
Deep Reinforcement Learning based Algorithm for Robot Manipulation
○Cheng Zhang(Ibaraki Univ.) |
BS-6-3 |
An Online Task Offloading Strategy in Vehicular Edge Computing
◎△Hong Duc Nguyen(The Univ. of Tokyo)・Shunsuke Aoki(NII)・Yuuki Nishiyama・Kaoru Sezaki(The Univ. of Tokyo) |
Recently, the IEEE 802.11ac wireless local-area network (WLAN) has gained popularity due to the very high throughput (VHT) ability at 5GHz band by expanding the channel width up to 160MHz. Unfortunately, the throughput can be dropped due to interferences when the same or adjacent channels are assigned to co-located access points (APs), although it has been designed that the spectrum of a channel is not overlapped with its adjacent channels, unlike 2.4GHz band. In this paper, we study the throughput drop estimation model when two links are concurrently communicating at the same or adjacent channels in dense 11ac WLAN at 5GHz band. As the channel width, 40MHz is considered. The accuracy of the model is verified through experiments using the Raspberry Pi 4B for the APs.
In this paper, a model-based deep reinforcement learning algorithm, in which a deep neural network model is utilized to simulate the system dynamics, is proposed for robot manipulation. A curiosity-based experience replay method is incorporated to solve the sparse reward problem and improve the sample efficiency in reinforcement learning. The agent who manipulates a robotic hand, will be encouraged to explore optimal trajectories according to the failure experience. Simulation experiment results show the effectiveness of proposed DRL algorithm.
This paper studies a low-complexity dynamic online offloading strategy that efficiently reduces task delay and computing resource consumption in multi-user, multi-server vehicular edge computing scenarios. Our design addresses issues of computation task placement and execution order of the tasks on each server. Extensive simulation results show that the proposed algorithm effectively improves the offloading utility of the system.
休 憩(10:30 再開) 座長 Haruo Oishi(NTT)
BS-6-4 |
Dynamic Name Resolution Service for Dual-Channel IP-to-NDN Translation Gateway
○Feri Fahrianto(Fukuoka Univ.)・Noriaki Kamiyama(Ritsumeikan Univ.) |
BS-6-5 |
Machine Learning Based Sign Language Recognition System
○Changhao Liu・Jiang Liu・Shigeru Shimamoto(Waseda Univ.) |
BS-6-6 |
Effect of Feature Distribution Shift on Sleep-Wake Classification with Apple Watch
◎Pataranit Sirithummarak・Zilu Liang(Kyoto Univ. of Adv. Science) |
Dynamic Resolution Service (NRS) binds the packet with its versatile name. However, the flexibility causes extra overhead in processing time. We investigate the parameter that affects the performance of IP-to-NDN gateways using a dynamic NRS server to bind the IP address with name. We derive the mathematical model for each scenario of producer and consumer. We show the performance result using emulation software.
For people with hearing impairment, sign language is the main tool for them to communicate with the outside world. This paper proposes a sign language recognition system based on Wi-Fi signal, which aims to improve the quality of life of the disabled. The system collects the channel state information in Wi-Fi, applies data processing methods such as PCA and Butterworth filter, extracts gesture features by calculating the variance of time series, and finally uses different classification algorithms to classify nine Japanese sign languages. The experimental results show that the highest accuracy of the Support Vector Machine is 91%
In this study, we investigate the effect of dataset shift on the performance of sleep-wake classification models. Dataset shift was quantified using the Anderson-Darling (AD) statistic. Model performance was quantified using overall accuracy, sensitivity, specificity, and Cohen's Kappa. Pearson’s correlation coefficients were calculated between the AD statistics and the model performance. Our results show that the performance of the classification models was negatively correlated to the AD statistics, indicating negative effect of dataset shift on model performance.
9月16日 13:00〜15:20 Meeting 22 座長 Kaoru Ota(室工大)
BS-6-7 |
A Study on Effective Communication Delay Estimation with Semi-Supervised Learning
○Taisei Suzuki・Akio Tsuji・Hiroyuki Ohsaki(Kwansei Gakuin Univ.) |
BS-6-8 |
A Food Nutrition Recognition Method Based on Multi-label Food Dataset
○Enshuo Zhang・Cheng Zhang(Ibaraki Univ.) |
BS-6-9 |
A Study on a Solution for Finding Quasi-Shortest Path with Graph Coarsening
○Takeaki Iwata・Keita Kitaura・Ryotaro Matsuo・Hiroyuki Ohsaki(Kwansei Gakuin Univ.) |
This paper presents a graph-based neural network approach for
estimating communication delays between node pairs from a limited
number of known communication delays with semi-supervised learning.
In this paper, we propose a communication delay estimation method that
utilizes communication delays between reference nodes and a set of
measurement nodes as training data. Also, through several experiments,
we clarify to what extent the accuracy of communication delay
estimation can be improved by using communication delays from multiple
reference nodes, and at what locations in the communication network it
is desirable to place reference and measurement nodes in order to
estimate communication delays more accurately.
Many methods of food nutrition recognition based on neural network have been proposed. In the current food recognition model training, most food datasets are single-label datasets. However, daily food is essentially a kind of multi-label data. Single-label dataset leads to lack of information, so it has lower accuracy in actual nutrition recognition. Therefore, a method of food nutrition recognition based on multi-label food dataset is proposed. For this purpose, we set up a dataset that contain the categories, ingredients and nutrition of food. We also use multi-label classification for recognition, which can effectively improve the accuracy.
Recently, a variety of large-scale data with a graph structure, such
as communication networks and large-scale
integrated circuits, have appeared and become widespread, and it is
expected to be used for large-scale graphs to represent such data.
On the other hand, various graph algorithms for analyzing graphs have
difficulty in dealing with large-scale graphs.
To solve the aforementioned problem, graph sparsification and graph
coarsening, which are graph mining techniques, have been actively
studied.
We believe that the graph coarsening algorithm can be applied not only to complex problems such as node clustering and graph partitioning problems, but
also to the shortest path problem on graphs.
In this paper, we propose a quasi-shortest path algorithm QSPC
(Quasi-Shortest Path algorithm with Coarsening), which uses a typical
graph coarsening algorithm, for finding a quasi-shortest path that
is a redundant path with 3--5 hops
休 憩(14:30 再開) 座長 Shih-Chia Huang(National Taipei Univ. of Technology, Taiwan)
BS-6-10 |
A Study on Efficient Network Simulator for Large-Scale ICN Networks
◎Soma Yamamoto(Kwansei Gakuin Univ.)・Ryo Nakamura(Fukuoka Univ.)・Hiroyuki Ohsaki(Kwansei Gakuin Univ.) |
BS-6-11 |
Application of Throughput Drop Estimation Model to Frequency Channel and Channel Bonding Assignment in IEEE 802.11n WLAN
◎Kwenga Ismael Munene・Nobuo Funabiki・Hendy Briantoro・Md. Mahbubur Rahman・Sujan Chandra Roy・Minoru Kuribayashi(Okayama Univ.) |
In recent years, ICN (Information-Centric Networking) that focuses on
the data being transferred, rather than hosts exchanging the data, has
been attracting attention as one of the promising next-generation Internet
architectures.
In this paper, we present a flow-level ICN simulator called
FICNSIM (Fluid-based ICN SIMulator), which is based on the
numerical solver for ICN fluid models. Also, we investigate the
effectiveness of our flow-level simulation through two FICNSIM
implementations: a high-performance implementation in the Julia
language and a highly customizable implementation in the Python
language.
Currently, the IEEE 802.11n wireless local-area network (WLAN) has been extensively deployed world-wide. For proper use of channel bonding (CB) at the access-point (AP) under the limited number of partially overlapping channels (POCs) at 2.4GHz band, we have studied the throughput drop estimation model for concurrently communicating links under coexistence of CB and non-CB. In this paper, we apply this model to the channel and CB assignment of the APs in 11n WLAN. Through simulations in various topologies using the model, we confirm the advantage of this joint optimization approach using our model.
BS-7. 水中無線技術が創る未来社会 ―現在の取り組みと、未来への挑戦―
(水中無線技術特別研専)
9月16日 9:00〜11:20 Meeting 28 座長 石井 望(新潟大)
BS-7-1 |
瀬戸内海に面する詫間湾岸の海水可視光透過特性の通年測定
平田佳夏子(香川高専)・高橋成五(トリマティス)・○塩沢隆広(香川高専) |
BS-7-2 |
水の揺らぎによって変動する光の伝搬角度の安定化
○高山佳久(東海大)・高橋成五(トリマティス) |
BS-7-3 |
THPを適用したPAM4信号の水中光無線伝送
○中村一彦・塙 雅典(山梨大) |
海中可視光通信装置の研究開発が進むにつれて,その目標性能を定めることや有効性を検討するために多くの場所の海水透過率データが必要となる.本研究では香川県北西部にある詫間湾岸の海水可視光透過率の測定を約1年間に渡って行った.須田港と比較して神島化学船着場の減衰係数値は低く変化も小さかった.また,1回ではあるが比較のために坂出港の海水可視光透過率の測定も行った.二つの港の減衰係数は非常に近い値を示した.本測定結果が海中光通信の今後の発展のための基礎データの一つとなることを期待する.
水中での光通信に関して、到来光の伝搬方向に現れる変動を抑制する機能と、光の輝度重心を検出するセンサを照射する光の光束直径との関連を実験的に調べる.この結果、受信器において信号電力をより多く得るために、受信光アンテナ開口を大きくすることが必ずしも有効とならない場合があることを示す。
本稿では,水中光無線通信における伝送距離延伸化を目的として,PAM4信号伝送の帯域補償と符号間干渉抑圧のために,前置等化器としてTomlinson-Harashima Precoding (THP)の適用効果について計算機シミュレーションと水中伝送路での伝送実験により検証している.計算機シミュレーションでは,予備実験により得られたシステム応答を基にPAM4信号の伝送シミュレーションを行い,比較対象であるFIR型前置等化器と比べてピーク振幅が約18%抑圧できたこととDCバランスの改善にも効果があることを示している.また水中光無線伝送実験では,受信信号から得られたアイパターンにより,THP適用時のほうがアイ開口が広いことを示している.
休 憩(10:30 再開) 座長 滝沢賢一(NICT)
BS-7-4 |
深層学習に基づく一括符号化変調を用いた水中音響画像伝送
○井上文彰・久野大介(阪大)・丸田一輝・原 祐子(東工大)・中山 悠(東京農工大) |
BS-7-5 |
受信電力プロファイルの対称性が海中位置推定に与える影響
◎若林大雅・佐瀬亮太・石井 望(新潟大) |
本発表では,深層学習を用いた情報源・通信路符号化と変調の一括化 (Deep JSCCM) に基づく水中音響画像伝送方式を提案する.先行研究では2元対称通信路や加法的ガウス雑音通信路など,単純な理論的通信路を仮定して Deep JSCCM の有効性が示されている.本発表では,水中音響通信において用いられる送受信機フィルタや時間領域動的等化器を考慮した,より実際的な Deep JSCCMの設計法を示し,その有効性をシミュレーションにより評価する.
本稿では,電界成分の厳密式を数値積分により評価することで受信電力プロファイルを得て,それに基づき提案されている浅海領域における位置推定法を用いてダイバーの位置の推定を行う.この際,受信電力プロファイルの対称性が位置推定に大きな影響を与える.プロファイルの対称性を崩し,受信アンテナの位置をシフトすることで推定位置を1ヵ所に限定できる割合を大きくできることを明らかにした.