プログラム
format_list_bulletedエレクトロニクスソサイエティ
一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
C-1. 電磁界理論
9月17日 13:30〜16:15 Meeting 25 座長 中 良弘(宮崎大)
C-1-1 |
二次反射波を用いた小型なバイスタティックRCS測定方法の実験的基礎検証
○末延 博・大橋諒太郎・山本伸一・瀧川道生・稲沢良夫(三菱電機) |
C-1-2 |
誘電体チューブを装荷した広帯域低交差偏波ホーン
○鈴木理仁・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
C-1-3 |
回転対称性を有する任意形状素子による14/20/30GHz帯単層リフレクトアレー
○井上治幸・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
C-1-4 |
スパイラル型素子で構成したリフレクトアレー・カーペットクローキング
◎貝 遼太郎・辻 幹男・出口博之・若島慎一郎(同志社大) |
C-1-5 |
差分法による電磁ポテンシャル解析
◎東 貴範・岸本誠也・佐甲徳栄・大貫進一郎(日大) |
バイスタティックRCS(Radar Cross Section: レーダ断面積)の測定は、広い測定空間を要することが課題である。本講演では、被測定物と送受アンテナ間の空間に反射板を設置し、反射板による二次反射波を用いることで小型化する測定系について実験的な検証を行った。方形導体板を被測定物とした測定を実施し、提案手法の実現性を確認した。
従来のマルチルバンドアンテナでは,ホーンの喉元において同軸導波管と円形導波管の2つで各々給電を行い,所定の複数の周波数帯で性能向上を図る研究がされているが,その構造は非常に複雑である.そのため本稿では,広帯域に低交差偏波を実現できる新たなアンテナとして,内部に誘電体チューブを装荷したホーンを提案し,数値的に検討を行ったので報告している.誘電体チューブの厚みを薄くすることで12/14GHz帯では,誘電体のチューブの影響を受けず,導体により制御されている.20/30GHz帯では,誘電体チューブ開口半径を狭めることにより中心に電磁界を集中させ,制御している.12/14/20/30GHz帯において回転対称で,交差偏波成分も-30dB以下と良好な特性が得られている.
リフレクトアレーは共振素子の反射位相量を用いてリフレクトアレー開口面での位相分布を制御し,一次放射器から空間給電された球面波を平面波に変換するものである.しかしながら,リフレクトアレーは共振素子の周波数特性を利用しているため,設計周波数から離れるにつれて利得の低下やサイドローブレベルの上昇といった課題がある.これまで筆者らは,遺伝的アルゴリズム(GA)による任意形状素子の最適化手法を用いて,広帯域や2帯域で動作するリフレクトアレーの検討を進めてきた.本稿では,衛星通信に用いられる14/20/30GHz で動作する回転対象構造を持つ素子を設計することで,直交偏波共用性を有する14/20/30GHz帯単層リフレクトアレーについて報告する.
所望の周波数で反射位相量を制御するΩ型共振素子を用いた波面制御によるクローキング手法が提案されてきた. しかし,偏波共用を実現するには帯域内において線型性を持った反射位相特性を得ることができなかった.そこで本稿では,偏波共用を実現するため,スパイラル型共振素子を提案している.スパイラル型は小さい単位セルで素子長を長くとれる点と,設計パラメータが多いため,所望の反射位相量を得やすいという点があげられる.このスパイラル型共振素子を用いてカーペットクロークを設計・試作し,その放射特性の検討を数値的および実験的に行い有効性を検証しました.
電磁界を未知数とするFDTD (: Finite-Difference Time-Domain)法では,量子論との混合物理解析やAharonov-Bohm効果の検証等において計算コストが増大する.これらは電磁ポテンシャルが必要となる解析であり,全ての観測時間で電磁界から電磁ポテンシャルを逐次計算により求める必要がある.本報告では,ベクトルポテンシャルA及びスカラポテンシャルΦを差分法により逐次計算する電磁ポテンシャルFDTD法により,ポテンシャル解析を行う.また,計算の信頼性やコストに関して,電磁界を未知数とする従来のFDTD法と比較検証を行う.
休 憩(15:00 再開) 座長 山本伸一(三菱電機)
C-1-6 |
広帯域左手系領域を持つCRLH-TL構成のための容量性ギャップ構造の検討
◎高田哲弘・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
C-1-7 |
円筒側面に同相な完全導体における電磁波動散乱問題に対するisogeometric境界要素法について
◎押野佳世・新納和樹(京大) |
C-1-8 |
交互にストリップ導体を配置した分散性媒質のパルス応答解析
○尾崎亮介・山﨑恆樹(日大) |
C-1-9 |
表面プラズモン共鳴における電磁波の縦波と横波の分離
◎柴垣裕紀・岸本誠也・芦澤好人・佐甲徳栄・中川活二・大貫進一郎(日大) |
C-1-10 |
貴金属殻を装着した誘電体球による光波の散乱
○松島 章・植原健太(熊本大) |
これまでにマイクロストリップ線路による右手/左手系複合伝送線路(CRLH-TL)の左手系領域の拡大のため,Ω型インターディジタルによる容量性ギャップ構造が提案されてきた.本稿では,広帯域左手系領域かつ低損失な透過特性を持つ容量性ギャップ構造について検討したので報告する.本稿で提案する容量性ギャップ構造は,これまでに提案されたΩ型インターディジタルによる容量性ギャップ構造の各節に突起を取り付けた構造である.この構造により,左手系領域におけるブロッホインピーダンスの挙動を安定させることができ,良好な伝送特性が得られた.
本報では,円筒側面に同相な完全導体における電磁波動問題に対し,isogeometric境界要素法及び選点法を用いた数値解法を提案する.先行研究ではトーラスに同相な散乱体を扱ったが,トーラスは周期性がある形状のため基底関数を計算する際,端点の処理を考慮する必要がなく,極めて容易に実装ができる.本研究では先行研究を発展させ,縦方向に周期性を持たない形状である円筒を対象に,トーラス同様EFIEやMFIEが容易に離散化できること,解析解と比較し良好な数値計算結果が得られたことを示す.
著者らは,先に地中に存在する金属散乱体をストリップ導体の周期配列で近似を行い,2段のストリップ導体を配置したパルス応答解析について複素周波数領域を解析可能な高速逆ラプラス変換法に点整合法の行列化を併用した手法を用いて定式化を行い,2段目の導体がパルス応答波形に与える影響を検討してきた.
本文では,観測点を固定しストリップ導体の配置場所を変化した時のパルス応答波形の影響を検討する.
表面プラズモンには,損失が少なく長距離伝搬に適したLong range modeと,光閉じ込め効果が強く回路集積等に適したShort range modeがあり,導波路設計では電界の伝搬効率を見てどちらのモードが優勢か議論される.
本報告では,電界を縦波と横波成分に分離して,導波路伝搬を縦波・横波の面から評価する.解析結果より,縦波と横波の空間分布の特徴について考察する.
球形の物体による波動散乱は基本的な電磁界境界値問題であり,多層構造や複数個への拡張が考えられる.筆者らはすでに,貴金属の球体及び中空の球殻による光波の散乱問題を解析し,プラズモン表面波が球面の一周内に閉じて定在波モードを形成することを定量的に考察した.本稿では,これを球殻の内部に誘電体を充填した構造に拡張する.なお他研究機関において,円柱及び円筒に対してモード形成の検討がなされており,その観点を本稿でも踏襲した.
C-2. マイクロ波A(マイクロ波・ミリ波能動デバイス)
9月14日 9:15〜11:45 Meeting 16 座長 西川健二郎(鹿児島大)
C-2-1 |
2 倍波スプリアス抑圧回路を有する29W Ku 帯GaN MMIC HPA
○神岡 純・遠藤邦浩・垂井幸宣・斎藤哲成・加茂宣卓・津留正臣(三菱電機) |
C-2-2 |
SATCOM向けKa帯40W級GaN MMIC電力増幅器
○中谷圭吾・山口裕太郎・津留正臣(三菱電機) |
C-2-3 |
衛星通信向けK帯25W級高利得GaN電力増幅器
○鳥居拓真・河村由文・桑田英悟・津留正臣(三菱電機) |
C-2-4 |
集中定数素子4.5 GHz帯GaN HEMT MMICアウトフェージング増幅器
○石川 亮・高山洋一郎・本城和彦(電通大) |
2倍波スプリアス抑圧回路を有するKu帯GaN MMIC HPAについて報告する.高出力増幅器には高出力・高効率な特性が求められる.他方,高調波スプリアスレベルを低減する必要がある.そこで今回,外付けの高調波フィルタを簡易化しモジュールの小型化、低コスト化を実現するため2倍波スプリアス抑圧回路を内蔵した増幅器を試作した.評価の結果、最大出力電力44.6 dBm (29 W),PAE 30%,動作利得14.2 dB,2倍波スプリアスレベル-43 dBc以下を得た.本結果は,Ku帯GaN MMIC HPAと比較して出力電力,電力付加効率ともにトップレベルの性能である.
近年,Ka帯はミリ波帯衛星通信システム(SATCOM)や24 GHz以上の周波数を用いる第5世代移動体通信システム(5G mmWave)の周波数帯としても注目されており,高出力,高効率,小型な増幅器の開発が進められている.本稿では,高周波動作,高利得動作が可能なISV(Individual Source Via)構造のトランジスタと,寄生成分の低減による広帯域化と回路素子の小型化が期待できるMIM-on-Via(Metal-Insulator-Metal on Via)を採用したKa帯MMIC増幅器を試作した.試作の結果,周波数26 GHzにおいて飽和電力(Psat) = 46.2 dBm,電力付加効率 (PAE) = 30.2 %が得られた.また周波数26 – 31 GHz (比帯域17.5 %) においてPsat = 45 – 46.2 dBm,PAE = 23 – 30 %,動作利得 (Gp) = 17.4 dB以上の良好な広帯域性能が得られた.
近年、衛星搭載向けK帯電力増幅器においては、出力電力、耐久性、コストの観点において、GaN電力増幅器が注目を集めている。アクティブフェーズドアレイシステムの適用に向け、TWTAからSSPAへの置き換えが検討されている。本報告では、SFPを適用した高利得、高出力なGaN電力増幅器について報告する。評価結果では出力電力が42.8dBm以上、PAEが26%以上、利得25dB以上が得られ、高利得・高出力な特性を実現できた。
デジタル変調信号を高効率に増幅する広ダイナミックレンジ増幅器の1つにアウトフェージング増幅器がある.我々は直列負荷補償による小型アウトフェージング合成回路を提案しており,また,バックオフおよび飽和近傍の2点に着目した回路設計手法を提案している.この手法を用いてMMIC上で集中定数素子で構成された小型アウトフェージング増幅器を実現し,良好な特性を得たので,その結果について報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 髙木裕貴(ソフトバンク)
C-2-5 |
小型周波数補償回路を装荷した第5世代移動通信基地局向けGaNドハティ増幅器モジュール
○坂田修一・嘉藤勝也・寺西絵里・小松崎優治・津留正臣(三菱電機) |
C-2-6 |
80MHz変調帯域で動作可能な高速高効率GaNスイッチング型エンベロープ増幅器
◎齋木研人・坂田修一・小松崎優治・津留正臣(三菱電機) |
C-2-7 |
CRLH線路を用いる連続F級モード電力増幅器の検討
◎辻 恵梨・田中愼一(芝浦工大) |
C-2-8 |
3次相互変調歪み周波数における負荷インピーダンスに関する考察
○桑田英悟・山口裕太郎・津留正臣(三菱電機)・Benedikt Johannes(Cardiff Univ.) |
C-2-9 |
表面輻射によるGaN HEMTにおける過渡温度特性評価
◎谷口悠高・分島彰男(名工大) |
近年、急速に拡大する高速・大容量通信の需要にこたえるため、移動通信システムは第4世代(4G)から第5世代(5G)に変わりつつある。5G移動通信基地局では、多素子アンテナ(massive MIMO アンテナ)が採用され、高周波部品が密に配置されることから、増幅器にも小型化か求められる。加えて、5Gではピーク対平均電力比が大きく、変調帯域幅が広帯域な信号が使用されるため、増幅器には飽和から大バックオフした点での高効率化と広帯域性さらには歪補償による線形性が求められる。本報告では、ドハティ増幅器において小型・高効率・広帯域を両立する小型周波数補償回路を提案し、5G移動通信基地局向けGaNドハティ増幅器モジュールを設計・試作したので報告を行う。
近年,高周波増幅器のバックオフ動作での効率を改善する手法として,電源電圧を入力信号の振幅に応じて変調するエンベロープ増幅器を使用したエンベロープトラッキング増幅器(ETPA:Envelope Tracking Power Amplifier)の研究が進められている.高性能な次世代基地局用増幅器に向けて変調帯域を拡大することが求められることから,エンベロープ増幅器のスイッチング周波数を高速化する必要がある.今回,スイッチング周波数400MHz、変調帯域80MHzで動作可能なGaNエンベロープ増幅器の試作・評価を行い、高速・高効率な特性が得られたので報告する.
基地局PAは高速大容量通信に向けて、高効率化と広帯域化の両立が要求される。今回、これらの要求を満たす連続F級動作をCRLH線路により実現し、設計精度向上と回路の小型化を検討した。
全世界における移動体通信の総データ伝送量は一貫して増加の傾向にあり、また将来に渡り増加し続けることが予測されている。有限の電波資源の元で莫大なデータ伝送量を実現するために広帯域なデジタル変調が利用されている。このデジタル変調は年を経るごとに2G、3G、4G そして5G へと高データレートが実現できるように改良されているが、これにより通信向け低歪み高出力増幅器への低歪み化と高効率化という相反するパラメータを同時に改善することが求められている。そこで従来顧みられなかった3次相互変調波歪み(IMD3)周波数の負荷インピーダンスに注目して低歪み化と高効率化を同時に改善できる可能性について検討した。
移動体基地局用増幅器においては、高効率動作にするために、過去の信号によって得られた出力特性の逆特性をデジタル信号に足し合わす補償方式、デジタルプリディストーションが広く用いられている。この方式では、過去の信号による増幅特性が、その瞬間の増幅特性と一致することが望まれるが、実際には長い時間の増幅器の履歴を反映した増幅特性が出力される。つまり、過去の増幅器の消費電力によってトランジスタ特性が変化してしまう。今回、熱メモリ効果の評価の初期検討として、連続的なパルス電力をGaN HEMTに投入し、過渡的な温度測定を試みた。
9月14日 13:00〜15:45 Meeting 16 座長 阿部晋士(豊橋技科大)
C-2-10 |
ゲートリセス構造GaN HEMTを用いたレクテナ用ゲーテッドアノード型ダイオードの電気的特性
○高橋英匡・牧迫隆太郎・安藤裕二(名大)・生島百恵・分島彰男(名工大)・須田 淳(名大) |
C-2-11 |
GaN HEMTを用いたGated-Anodeダイオードのマイクロ波整流特性評価
○岸本尚也・生島百恵(名工大)・安藤裕二・高橋英匡(名大)・分島彰男(名工大) |
C-2-12 |
GaAs E-pHEMT整流器ICを用いる5.8GHz帯大電力レクテナの検討
◎藤野雅広・小松郁弥・坂井尚貴・伊東健治(金沢工大) |
C-2-13 |
AlN基板アンテナを用いる5.8 GHz帯大電力レクテナ
◎小松郁弥・麦谷彰彦・坂井尚貴・伊東健治(金沢工大) |
C-2-14 |
AMC基板上のモノポールアンテナを用いる5.8 GHz帯大電力レクテナ
◎古谷尚季・宮下圭介・牧野 滋・小松郁弥・坂井尚貴・伊東健治(金沢工大) |
無線電力伝送受電用素子として、ノーマリオフ型のAlGaN/GaN HEMTのゲートとオーミック電極を短絡したゲーテッドアノード型ダイオード(GAD)を開発している。本研究では埋め込みゲートリセス構造のGaN HEMTをGADに適用することにより、ダイオードの順方向電流と逆方向耐圧が向上する結果を得た。さらに本デバイス特性から作成したSPICEモデルを使って5.8 GHzでの整流特性予測をしたところ、ゲート幅1mm当たり7.5Wの入力時に整流効率81 %が得られ、10W級のレクテナに有望なデバイスである結果を得た。
オートチューナーと基板上に作製した負荷回路を用いてダイオードの整流特性を評価するシステムを構築した。それを用いて、AlGaN/GaN HEMT Gated-Anodeダイオードを2 GHzのRF入力0.3 Wにて評価した結果、DC出力0.2 W、効率65%を得た。
E-pHEMT Gated Anode Diode(GAD)を用いることにより,5.8GHzにおいて入力電力34.5 dBmのとき整流効率84.1 %,出力電圧36.2 Vを得た.過去の報告と比較して5.8GHz帯において大電力化を得た.
マイクロ波での無線電力伝送システムにおいて,レクテナの大電力化により,より少ないアンテナ素子数でのシステム構築が可能となり,低コスト化に資する.筆者らは誘導性高インピーダンスアンテナに整流用ダイオードを直接整合する構成を提案し,高効率特性を得ている[1].これを大電力化する場合,放熱が問題となる.本報告では低熱抵抗材料である窒化アルミニウム(AlN:比誘電率8.8,誘電正接0.0005)基板を用い,放熱機能を有するレクテナ用アンテナを検討したので報告する.
本報告では,5.8GHz帯レクテナ用のアンテナとして,金属板上に設置することのでき,実装が容易な,AMC基板上に配置したモノポールアンテナを用いるレクテナの試作結果を示す.入力電力31.8dBmのとき整流効率84.4%であった.
休 憩(14:30 再開) 座長 平川 昂(ソフトバンク)
C-2-15 |
E-pHEMTによるGADを用いる30GHz帯倍電圧整流器MMIC
◎△角谷直哉・小松郁弥・坂井尚貴・伊東健治(金沢工大) |
C-2-16 |
インピーダンス変成微小ループアンテナを用いる920MHz帯レクテナ
◎村本佑樹・坂井尚貴・伊東健治(金沢工大) |
C-2-17 |
微弱電力レクテナの電源特性の評価
◎△伊藤 匠・村本佑樹・坂井尚貴・伊東健治(金沢工大) |
C-2-18 |
微小電圧領域でのブリッジ整流回路の整流効率の定式化
○坂井尚貴・伊東健治(金沢工大) |
C-2-19 |
マイクロワットレベルのマイクロ波無線電力伝送受信アンテナとオンチップ整流器の最適設計
◎橋本拓磨・丹沢 徹(静岡大) |
高遮断周波数である0.1μm E-pHEMTによるGADを用いることにより, 32GHzにおいて入力電力18.5dBmのとき整流効率59.6%, 出力電圧9.0Vを得た. 過去の報告と比較し30GHz帯において最高効率を得ている.
実用化が検討されている920MHz帯の無線電力伝送システムに適用可能なレクテナ用アンテナとして,微小ループアンテナ(SLA)がある.容量性の整流回路と共振させ,10kΩ以上のアンテナインピーダンスR0が得られる.その結果,μW級の整流動作が可能である.しかし,mW級の受電に適する数kΩのR0では,SLAが大型となる.ここでは,小型にkΩ級のR0を実現するインピーダンス変成微小ループアンテナを用いるレクテナを報告する.
負荷の抵抗終端時の特性より,レクテナを直流電源としてモデル化し,容量負荷に対する充電特性の評価結果を報告する.
無線電力伝送に用いる整流回路の高効率化が課題である.整流回路の最適負荷RLはダイオードをスイッチモデルで表すことにより定式化できる.この近似条件はしきい値を超える大電圧でダイオードを励振することである.しかし,微小電圧領域ではこの近似条件は使えない.本稿ではダイオードを切替抵抗モデルで表し,微小電圧領域における整流回路の効率の定式化を行う.
本研究ではアンテナとオンチップ整流器を組み合わせた回路の最適設計手法について調べた.寄生成分のモデル化と非線形回路である整流部の等価インピーダンスの計算を行い,得られた線形モデルから整流器の出力電圧・電流が与えられた時,アンテナの入力電力をアンテナのインピーダンスZの実部Rと虚部Xの関数として表現することができた.このモデル計算をダイポールアンテナと二倍昇圧整流回路の組み合わせに対して行い,計算モデルがHSPICE結果とよく一致することを確認した.さらにR-X平面上にZ推移を示し,要求される入力電力の等高線に重ねて描画することでアンテナと整流器の最適な組み合わせを容易に見つけることができるようになった.
9月15日 10:30〜11:45 Meeting 16 座長 髙野恭弥(東京理科大)
C-2-20 |
Design of Tri-State SPDT Switch using Shunt Open Stub Resonator
○△Maodudul Hasan・Eisuke Nishiyama・Ichihiko Toyoda(Saga Univ.) |
C-2-21 |
オフ容量補償用共振器を装荷したKu帯高耐電力・低損失GaNスイッチ
○河村由文・遠藤邦浩・山中宏治・津留正臣(三菱電機) |
C-2-22 |
Push-Push発振器を能動共振器として用いた4次高調波出力正帰還型発振器の位相雑音特性の試作評価
◎菊地玲皇・田中高行・豊田一彦(佐賀大) |
C-2-23 |
ドレーン接地されたFETを持つ負性抵抗発振器
佐薙 稔・◎前田貫成(岡山大) |
C-2-24 |
シリコン貫通ビアによるミリ波帯伝送を用いた3次元実装V帯受信RFIC
○横溝真也・池田 翔・森野芳昭・堤 恒次(三菱電機) |
In this study, design of tri-state Single-Pole Double-Throw (SPDT) switch is presented. The proposed tri-state SPDT switch can be switched among two 1:1 modes and one 1:2 mode. The input power is only delivered to one output port in the 1:1 power mode, whereas the input power is equally delivered to two output ports for the 1:2 power mode.
近年、マイクロ波送受信モジュールは、レーダーの探知距離伸長や高分解能化などのシステム性能向上のために高出力化・高周波数化が求められている。本稿では、GaN (Gallium Nitride) HEMT (High Electron Mobility Transistor)を用いた、Ku帯で動作する高耐電力・低損失スイッチの設計・試作を行った結果を述べる。
これまで筆者らは、4次高調波出力Push-Push発振器について研究していたが出力が低く、位相雑音特性の改善の余地があった。今回、Push-Push発振器を能動共振器として用いた4次高調波出力正帰還型発振器を提案する。試作回路を用いて、提案回路と能動共振器として用いているPush-Push発振器の測定結果を比較した結果、提案回路の4次高調波出力は−12.2dBmとなり、Push-Push発振器のみの場合よりも3dB高くなった。位相雑音特性では、提案回路の方が100kHz、1MHz離調とも約4dB良い結果が得られた。Push-Push発振器を正帰還型発振器の能動共振器として用いることで出力、位相雑音特性が共に改善される結果となった。
パッケージ化されたFETをドレーン接地で用いるとゲート端子から見ると負性抵抗を示すことを明らかにし、それを用いて負性抵抗発振器を実現した。
近年,航空機向け衛星通信において,薄型で大容量通信が可能なAESA(Active Electronically Steered Array)が開発されている.大容量通信はミリ波帯の広帯域な信号で,薄型化はアンテナ素子とRFICを1枚の基板へ実装することで実現できる.しかし,周波数が高くなるとアンテナ素子間隔が狭くなるため,RFICの小型化が求められる.本稿では,LO 波を生成するPLL(Phase Locked Loop)ICと,受信信号の周波数変換や移相を行うFE(Front End)ICを,3次元実装することにより省実装面積を実現したV帯受信RFICの試作結果を報告する.なお,2つのIC間を伝送するV帯LO波はシリコン貫通ビア(TSV)で接続した.
C-2. マイクロ波B(マイクロ波・ミリ波受動デバイス)
9月16日 9:15〜11:45 Meeting 16 座長 河口民雄(東芝)
C-2-25 |
扁平リング共振器を用いたスルーホールレス導波管-マイクロストリップ線路変換器の広帯域化の検討
○上田 凌・青山裕之・大島 毅・牛嶋 優・丸山貴史・宇田川重雄(三菱電機) |
C-2-26 |
放熱性を考慮した同軸線路-導波管変換器の基礎検討
○廣田明道・大島 毅・西原 淳・野々村博之・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
C-2-27 |
高周波回路に利用可能なチップ抵抗放熱技術
○杉山勇太・石橋秀則・大島 毅・湯川秀憲・深沢 徹・高橋 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
C-2-28 |
多周波共用円筒形アンテナ用偏波分離回路の広帯域化に関する検討
○湯川秀憲・中嶋宏昌・縫村修次・深沢 徹(三菱電機) |
導波管(WG)-マイクロストリップ線路(MSL)変換器において,製造コスト削減のためスルーホールレス化と広帯域な伝送特性が求められている.これまでに,導波管開口端を電気的に短絡させる導体板,バックショートに線抜型スタブを用いることで伝送損失を低減したスルーホールレスのMSL側1出力のWG-MSL 変換器が報告されている.しかし,これら伝送損失を低減のために装荷した構造により帯域が制限され,広帯域化が課題となる.本発表では,伝送損失低減のため追加構造を用いないモード変換に扁平リング共振器とスロットのみを用いたWG-MSL変換器を提案する.
導波管広壁面から同軸線路の中心導体を挿入しつつ、先端をオープンとした同軸線路-導波管変換器(以下、COXWG変換器)に大電力を入力した場合、中心導体で発生する熱が放熱できず、中心導体が高温となり焼損する可能性がある。そこで、中心導体の先端部分を1/4 波長線路を介して壁面に接続することで放熱性を高めた、COX-WG変換器について基礎検討を実施したので報告する。
高周波回路に形成できる放熱手段の一つとしてショートスタブがある.ショートスタブは,高熱伝導な配線とビアを介して冷却しやすいグランドに繋がっている放熱経路とみなすことができる.しかし,中心周波数近辺でしか使うことができない.また,4分の1波長の長さが必要であり高密度な実装には向かない.
上記課題を解決するため,チップ抵抗を利用した放熱手段を提案する.今回,4分の1波長ショートスタブとチップ抵抗を利用した放熱手段の高周波特性を解析と実験で,放熱特性を解析で比較したので報告する
円筒形からなる多周波共用ホーンアンテナ用偏波分離回路は各周波数帯の回路を個別に構成できるため、ひとつの導波管に複数の周波数帯の偏波を伝送して分離する場合に比べ、フィルタが不要になるなど小形化で有利になると考えられる。ただし、低周波数帯回路はTEMモードが伝搬するため、その処理が課題となる。ここでは、円筒形ホーンアンテナ用偏波分離回路における低周波数帯右/左旋円偏波分離回路の広帯域化について検討したので報告する。
休 憩(10:30 再開) 座長 清水隆志(宇都宮大)
C-2-29 |
簡明6ポートコリレータのシステムパラメータ不確かさに関する一検討
○花澤理宏(UL Japan)・吉田 信(シーデックス)・矢加部利幸(マルチポート研究所) |
C-2-30 |
同軸プローブによる電波吸収体の複素電磁パラメータの快速測定に関する一検討
○呉 皓・陳 春平・穴田哲夫(神奈川大)・武田重喜(アンテナ技研) |
C-2-31 |
突起を有する空洞共振器における試料の誘電率測定の検討
◎萩生田恭雅・平山浩一(北見工大)・柳本吉之(EMラボ)・杉坂純一郎・安井 崇(北見工大) |
C-2-32 |
土中生育筍による臭気の複素誘電率推定
◎岩城昴琉・岩本孝太・黒木太司(呉高専) |
C-2-33 |
プローブ後方反射法による300 GHz帯における材料評価
○坂巻 亮・堀部雅弘(産総研) |
回路構成が簡便な6ポートコリレータ(Six-Port Correlator : SPC)の校正方法お
よび透過係数計測手法を検討している[1].本報告では,
提案する簡明SPCに用いられる可変位移相器の不確かさが透過係数
計測に与える影響について理論的検討を行ったので報告する.
本稿は開放端同軸プローブに基づき、電波吸収体の複素誘電率と複素透磁率を同時に測定するための「膜厚変化法」を提案したが、スペクトルドメイン理論モデルを用いたため、同軸プローブのフランジのサイズが無限大に近似できない場合に適用できない点、および計算速度が遅い点は欠点である.このような欠点を克服するために、本稿は、高速、且つフランジが有限の同軸プローブにも対応できるとの利点を持つニューラルネットワーク(ANN: Artificial Neural Network)による理論モデルを提案し,有効性を検討する.
突起を有する空洞共振器において、まず形状の効果によって、測定に使用するモードと縮退しているモードの共振周波数が高周波側に移動することを示し、次に測定可能な試料の比誘電率と厚さとの関係を示している。測定可能な試料の範囲を広げることができるため、突起を有する空洞共振器を用いることは誘電率測定において有用であることを示している。
筍は地表まで成長する前に収穫することで酸化が抑えられ、その市場価値は上がるが、土中で生育する筍を探知することは容易ではなく、共振電極を用いた土中筍探知が試みられている。一方鋭い嗅覚をもつ猪による土中筍の食害が多発していることから、筍の臭気を電気的に検出する方法も土中筍検出には有用と考えられる。そこで本論では筐体内に筍を挿入し、一定時間経過させた後、kHz帯における揮発気体の複素誘電率測定を行うことで、臭気センサの可能性を検討した。
5G無線通信の商用サービスがすでに開始されているが、既に国内外でポスト5Gや6G無線通信の規格についての議論が開始されている。利用する周波数帯としては、340 GHz以下の帯域が候補とされている。そのため、340 GHz以下の帯域での材料計測方法は今後必須になると考えられる。産総研では、これまで高精度プローブ法を応用したプローブ後方反射(Probe-Backside Reflection, PBR)法を開発し340 GHz以下の周波数帯でアルミナの複素誘電特性を評価し、その測定結果の妥当性を材料の結晶構造から推測されるフォノンモデルと比較して検証してきた。本稿においては、公称誘電率異なる材料の比誘電率を10 GHz~340 GHzの広帯域で評価を行なった。
9月16日 13:00〜17:00 Meeting 16 座長 陳 春平(神奈川大)
C-2-34 |
(依頼講演)チップキャパシタ結合型共有共振器を用いた広い離調幅を持つ小型ダイプレクサの検討
○小野 哲・和田光司(電通大) |
C-2-35 |
小型3 段マイクロストリップ線路BPF の設計・試作と高精度モデリングに関する一検討
○宮腰就也・小野 哲・和田光司(電通大) |
C-2-36 |
SI-LPFの高域スプリアス特性改善に関する検討
○山下綾介(香川高専)・草間裕介(東洋大) |
C-2-37 |
金属3DプリンタによるX帯導波管フィルタの試作評価
○萩原栄治・根本淳一・浅利 哲(島田理化) |
C-2-38 |
2 分波回路を用いた干渉低減回路に関する検討
○青山裕之・廣田明道・高橋 徹・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
チップキャパシタ結合型共有共振器を用いた広い離調幅を有するダイプレクサを検討するべく,キャパシタの定数を変化させた設計,試作について検討した.設計,試作の結果,筆者らが提案したダイプレクサにより従来技術では困難とされていた構造を変化させずに小型化と離調幅の広帯域化の両立を実現できた.
近年の無線通信回路技術では高集積化に伴い,回路の小型化がより求められている.たとえば,バンドパスフィルタ(BPF) をはじめとする高周波受動回路の設計では3 次元電磁界シミュレータがよく用いられるが,試作した回路構造のモデリングを行ってもシミュレーショ
ン結果と実測結果が一致しないことがよくある.特に回路が小型になるとその傾向が強くなり,通過帯域内に限らず,遮断域特性にも差が出る場合が多い.本発表では3 段小型マイクロストリップ線路BPF を設計,試作し,その試作結果をもとに電磁界シミュレータを用いたモデリングを行い,測定結果とよく一致するモデルが得られた結果について報告する.
ステップドインピーダンスローパスフィルタ(SI-LPF)の設計では,フリンジ効果や伝送線路の共振によって設計理論通りの結果が得られないことが知られている.フリンジ効果は見かけ上のキャパシタンスを増加させてカットオフ周波数の低下を招くため,線路幅の短縮によるカットオフ周波数の調整が有効である.一方,伝送線路の半波長共振は高域のカットオフ周波数帯にスプリアスとなる通過帯を生じる.本研究では,後者の問題に対してspurlineによる高域スプリアス特性の改善について検討した.
近年、3Dプリンタを用いたマイクロ波コンポーネントの開発、製造、適用が活発である[1]。本報告では金属3Dプリンタを用いてX帯の導波管バンドパスフィルタを試作した。ケース、フランジ一体構造で製造し、無調整ながら良好な特性が得られたので報告する。
各種レーダ/通信機器において動的に通過させる周波数成分を変更する回路としてフィルタバンク及びチューナブルフィルタが用いられている.フィルタバンクはスイッチで通過させるフィルタを切り替えることで所望の周波数成分のみをフィルタリングできる.しかし,入力された信号はフィルタの内一つを通過するため,複数の周波数チャネルを同時に出力することができないといった課題がある.また,中心周波数と帯域幅を変更可能なチューナブルフィルタの報告は見られるが,帯域数を任意に変更することは困難である.本課題に対し,2 分波回路とスイッチを用いた回路について検討したので報告する.
休 憩(14:30 再開) 座長 池内裕章(東芝)
C-2-39 |
60 GHz帯インライン型有極SIWフィルタリングアンテナ
◎星野将輝・大平昌俊・馬 哲旺(埼玉大) |
C-2-40 |
スプリングプローブを用いた異種基板接続構造を有する4電力合成回路の試作評価
◎西村拓真・石橋秀則・山口裕太郎・長峯巧弥・湯川秀憲・深沢 徹(三菱電機) |
C-2-41 |
60GHz帯ポスト壁導波路2面結合器の設計
○戸村 崇・広川二郎(東工大)・山中大輔・木寺信隆・加賀谷 修(AGC) |
C-2-42 |
任意3周波数整合準集中定数型電力分配器の設計
○土屋 歩・河合 正・榎原 晃(兵庫県立大) |
C-2-43 |
コプレーナストリップ線路を用いた平面型Magic-Tの広帯域化の検討
○中原弘貴・田中高行・豊田一彦(佐賀大) |
近年,通過域近傍の阻止域に伝送零点を配置でき,急峻なスカート特性を実現するフィルタリングアンテナ(以下,フィルテナ)が提案されている.しかし,このフィルテナは飛び越し結合を用いるため,一つの共振器に複数個の共振器が結合し,それらの結合量を同時に調整するのはミリ波帯では一層困難となる.本報告では,飛び越し結合を用いずに伝送零点が生成可能な60 GHz帯インライン型フィルテナの構造を提案し,設計によってその有効性を示す.
従来のSSPAには,大電力化のため,複数のMMICを基板に実装し,電力合成する形式がある.この構成は小形だが,低損失化,放熱性に課題がある.このため,筆者らはASIW(中空SIW),マイクロストリップ線路,スプリングプローブからなる高放熱で低損失な4 電力合成回路を検討し,試作評価を行った.評価の結果,設計値と測定結果が概ね一致することが確認でき,本4電力合成回路が低損失であることを確認した.
2面結合器は2次元バトラーマトリックスを短軸化するコンポーネントして提案された.2面結合器を用いた2次元バトラーマトリックスとして16ビームや64ビームが検討されている.中空構造であるため低損失という特徴があるが,ビーム数が増えるにつれ大型化してしまう.本稿ではバトラーマトリックスの小型化を目的とし,2面結合器をフッ素樹脂プリント基板上にポスト壁導波路で設計する
近年の無線通信技術(ICT)の進歩は著しく,IoTデバイスの普及や5Gの実用化などの社会的背景のもと,各種マイクロ波デバイスに対する高性能化への需要は今後一層高まることが予想される.デバイスに搭載される主要なマイクロ波回路としてウィルキンソン電力分配器が挙げられ,その構成法を基とした多様な応用手法がこれまでに報告されている.著者らは,LCはしご形整合回路を応用した広帯域化,非等分配化などの設計法をこれまでに報告している.本報告ではLCはしご形回路を3段用いた素子数13個の電力分配器を取り扱い,IoTや5G(sub6帯)で利用されるUHF帯/SHF帯を設計周波数としてそれぞれの周波数帯で一 定の帯域幅を有する回路について設計,解析を行い,その有効性を実験的にも確認している.
我々は,コプレーナストリップ線路(CPS)とマイクロストリップ線路(MSL)を用いた平面型低損失Magic-Tを提案している.本稿では,広帯域化のための新しい構成の平面型Magic-Tを提案し,その設計結果について報告する.従来型ではCPSは先端短絡1/4波長で電気的に開放としているが,提案回路ではCPSの間隔を広げることで開放としており,周波数依存性がなく,広帯域化を実現することができる.広帯域化のための新しい構成の平面型Magic-Tの設計を行い,シミュレーションによりその特性を評価した結果を報告する.提案回路では,従来型に比べて2倍以上に広帯域化できることを確認した.
休 憩(16:00 再開) 座長 石川頌平(富士通)
C-2-44 |
結合線路理論に着目した水中電界無線電力伝送の高効率化
◎△仲 泰正・水谷 豊・田村昌也(豊橋技科大) |
C-2-45 |
テラヘルツ波帯における誘電体チューブ挿入金属ロッド伝送線路の伝送特性
◎新浜優貴・坂本雅弥・黒木太司(呉高専) |
C-2-46 |
検体検査を目的とした流路導波路の超高周波帯伝送特性
○坂本雅弥・新浜優貴・黒木太司(呉高専)・宮本和哉(宮本機器開発) |
C-2-47 |
導波管E面スタブの広帯域化に関する実験検討
○草間裕介(東洋大) |
水中における電界無線電力伝送の伝送効率は結合係数と水の品質係数に比例する.これまで高効率化のために結合器サイズを大きく,伝送距離を近づけて結合係数を向上するか,高周波帯を利用して水の品質係数を向上する方法がとられてきた.しかし,前者は小型な結合器が求められるアプリケーションで不都合となり,後者は高周波電源のスイッチング損失の増加に繋がる.本稿では,電界結合器の給電位置と受電位置を反転するという,従来とは別の方法で高効率化できるインターデジタル結合器を提案する.
分析化学や医療センサなどで期待されるテラヘルツ帯の導波路の候補として、本論では誘電体チューブ挿入金属ロッド伝送線路(Dielectric-tube-supported Metal Rod Transmission Line;以下 DTM ラインと呼ぶ)のテラヘルツ帯伝送特性を計算したので報告する。
近年臨床検査においてコプレーナ線路やマイクロストリップ線路などのプリント線路上に配置した流路に、検体である採取した血液を流してそのインピーダンス特性などから血液中の脂質、糖分、酸素量などを計測する研究が行われている。本論では伝送損失をある程度低く抑えた状態で広帯域に検体が計測可能な導波路として、高誘電率薄板導波路[2]の導波原理をもとにした流路導波路を提案し、その伝送特性を検討したので報告する。
λ/4 スタブは,スタブ幅を広くすることで広帯域できることが知られている.H面回路であれば,MSLを使った平面回路で簡単に実験検証することができる[1].しかし,E面回路では,MSLもしくは平行平板の立体回路となって,意図しない放射やミスマッチの問題が発生する.そこで,本研究では導波管を使ってλ/4 スタブの広帯域化について実験的に検証を行った.
9月17日 9:00〜11:45 Meeting 16 座長 大久保賢祐(岡山県立大)
C-2-48 |
能動素子装荷リング共振器を用いた非相反CRLH線路
◎安田秀史・上田哲也(京都工繊大)・小寺敏郎(明星大) |
C-2-49 |
コルゲーション装荷金属ストリップを用いた右手/左手系複合伝送線路の等価回路モデル
◎近藤 巧・上田哲也(京都工繊大) |
C-2-50 |
非相反右手/左手系複合結合線路の等価回路モデル
◎井手口拓夢・上田哲也(京都工繊大) |
C-2-51 |
界変位効果を用いた偏波依存非相反メタ―サーフェス
○屋敷憲志・黒澤裕之・上田哲也(京都工繊大) |
C-2-52 |
人工磁気導体を曲げた際の動作帯域幅の測定
◎山下周斗・島崎仁司(京都工繊大) |
近年,非相反CRLHメタマテリアルに関する研究が行われており,共振構造による高効率漏れ波ビーム走査アンテナ等への応用が検討されている.しかし,フェライトを用いる場合,動作周波数の高周波化に伴い,より大きな磁化もしくは外部印加磁界が必要となる.一方,非磁性素子を用いた非相反メタマテリアルの研究が最近活発に行われており,エッジガイドモード伝搬によるアイソレータ等が提案されている.
本稿では,非相反CRLH 線路の新しい構成法として,非磁性の能動素子からなるリング共振器を用いた非相反CRLH線路を提案する.従来のフェライト基板CRLH線路と同様に設計し,透過特性を数値計算により調べたので,これを報告する.
近年,非相反メタマテリアルのアンテナ応用に向けた非相反性増大の研究が行われている.非相反性の増大には回転磁気異方性もしくは線路構造の非対称性の増強が不可欠である.本稿では,金属ストリップの片側エッジへのコルゲーションの装荷による構造の非対称性に着目した線路構造について,その動作原理を解明するために等価回路を提案し,まずは相反回路の場合における等価回路の妥当性の検討を行った.
等価回路に基づいたF行列から分散曲線を算出し,電磁界シミュレーションの結果と比較することで,双方の傾向がよく一致していることを確認した.
最近,メタマテリアル結合線路として,垂直磁化フェライト基板右手/左手系複合(CRLH)伝送線路を近接配置した非相反CRLH結合線路からなる4ポートサーキュレータが提案されているが,動作原理が十分に明らかになっていない.そこで本稿では等価回路モデルを提案し,4ポート伝送行列を導出し,非相反CRLH結合線路の結合特性について調べている.
数値計算結果より,提案の等価回路モデルにおいて,結合帯域が2周波で確認され,それぞれの結合帯域においてサーキュレーション動作が確認された.
これまでにフェライトのエッジガイドモードを用いたアイソレータが開発されている. 利用例としては小型化を目的にマイクロストリップラインや導波路において用いられている. 近年では自由空間中におけるアイソレータも提案されており利用が拡大している.
本稿では, 自由空間中でアイソレータ機能を有する非相反メタサーフェスとして, リング型磁石とフェライトを用いて偏波依存界変位アイソレータを提案する. 静磁界の磁束密度とフェライトの厚みによりインピーダンスを調整し, 伝送特性を数値的に調べた結果,低い挿入損でアイソレーション動作が確認できた.
本報告は人工磁気導体 (AMC) の曲げによる特性劣化について取り扱っている.ウェアラブル機器への応用を想定した際,身体上の取り付ける位置や関節を曲げた場合にAMC の構造が崩れることが想定できる.作製したのは比誘電率1.1,厚さ5mmの誘電体基板の裏面を全面銅板とし,表面に1 辺 26 mmの導体パッチを8×12 個並べた構造で,平面状と円筒面に沿って曲げた場合の反射位相を測定して,比較・検討を行った.その結果,中心周波数は平面状で3.30 GHz,円筒面状で3.31 GHz となり,ほぼ変化はなかった.比帯域幅は,それぞれ40.9 %,27.8 % となり,円筒面状の方が13.1 % 小さくなることが確認できた.
休 憩(10:30 再開) 座長 上田哲也(京都工繊大)
C-2-53 |
Suppression of resonant substrate modes in integrated circuit electronics at millimeter-wave bands using metamaterial-based absorbers at dielectric interface
○Adam Pander(NTT)・Hiroshi Hamada(NTT DOCOMO)・Daisuke Kitayama・Hiroyuki Takahashi(NTT) |
C-2-54 |
非線形性を用いた異方性メタサーフェスの設計
◎本間晴貴(名工大)・Jiyeon Lee(Univ. of California, San Diego)・若土弘樹(名工大) |
C-2-55 |
熱に応じた波形選択メタサーフェスの制御
◎田代将也・若土弘樹(名工大) |
C-2-56 |
マルチバンド波形選択メタサーフェスとその応用
◎竹下紘基・若土弘樹(名工大) |
C-2-57 |
波形選択メタサーフェスに基づいたパルス分割多重通信システムに関する基礎検討
◎瀧本海里・竹下紘基(名工大)・杉浦慎哉(さきがけ/東大)・若土弘樹(名工大/さきがけ) |
A new method of suppression of substrate resonances is investigated, basing on a metasurface absorber fabricated at the boundary of a two-layer dielectric interface. In this configuration, electromagnetic longitudinal modes with electric field component along propagation direction are generated assisting in the absorption of undesired substrate resonances at millimeter-wave bands, which can be used in integrated circuits.
メタサーフェスはその周期構造に応じて表面インピーダンスを容易に変化できる特徴を持っている.加えて,二次元平面上において直交する座標軸に対し,異なる表面インピーダンス(異方性表面インピーダンス)を設計することで,表面波を特定方向へと伝搬できるようになる.さらに,異方性メタサーフェスに非線形性を導入することで,電力強度に応じて伝搬方向を制御できるようになり,電磁干渉の抑制や効率的な電力伝送などへの利用が期待される.そこで本稿ではメタサーフェスに非線形回路素子を導入することで,等方性表面インピーダンス及び異方性表面インピーダンス間でスイッチングする手法について紹介する.
メタサーフェスは周期構造を調整することで、その電磁応答を人工的に変化させることができる。特に近年報告された波形選択メタサーフェスはダイオードなどの回路素子とともに構成され、同一周波数でも電磁応答を過渡的に変化できる特徴を持っている。ただし、その応答は使用される回路の時定数によって固定されていた。そこで本研究では波形選択メタサーフェスの過渡応答を制御ならびに再構築可能な手法を開拓する。特に本稿では熱に応じた波形選択メタサーフェスの制御手法について紹介する。
メタサーフェスは二次元平面上で構成されたサブ波長構造を巧みに調整することで,人工的に特異な特性を作り出すことができる.特に近年報告された波形選択メタサーフェスは,回路素子を導入することで,同一周波数でも波形(パルス幅)に応じて電磁特性を変化させることができる. 本稿では同メタサーフェスをマルチバンドで動作させる手法を紹介し,さらに入射波の周波数成分を切り替えることで得られる特異な透過特性について報告する.
近年報告された波形選択メタサーフェスは非線形回路素子などから構成され,たとえ同一周波数でもパルス幅に応じて透過率を過渡的に変化できる特徴を持っている.同人工媒質はパルス信号を選択的にフィルタリングすることで,多重化 [2] など通信分野への応用が期待される.しかしながら,波形選択メタサーフェスに異なるパルス信号が同時刻で到来した場合,任意のパルス信号のみを抽出することはできなかった.そこで本稿では同時入射された異なるパルス信号でも多重化可能な通信システムを提案する.本研究成果は既存通信技術による最大伝送レートのさらなる向上に貢献できると期待される.
C-2. マイクロ波C(マイクロ波・ミリ波応用装置)
9月15日 13:00〜16:00 Meeting 16 座長 中村昌人(NTT)
C-2-58 |
バトラーマトリクスを用いたビーム反射回路の理論検討
○本間優作・末松憲治(東北大) |
C-2-59 |
FPGA内蔵ギガビットトランシーバを利用した直交位相変調ダイレクトRF
○早馬道也・斧原聖史・野田雅樹(三菱電機) |
C-2-60 |
非線形チャープ信号によるFMCWレーダの干渉波抑圧実験
○水谷浩之・中溝英之(三菱電機) |
C-2-61 |
ドップラーセンサを用いた鉄筋コンクリート構造物内の錆検知に関する検討
◎横田恵一・須賀良介・橋本 修(青学大) |
C-2-62 |
筍探知用地中インパルスレーダ用小形アンテナ
◎岩本孝太・岩城昴琉・坂本雅弥・黒木太司(呉高専) |
RFIDなどのバックスキャッタシステムでは,通信距離を伸ばすため,入射した電波を到来方向に反射させることが求められている.そこで本発表ではアレーアンテナ給電回路に,他端を短絡したバトラーマトリクスを用いることで,任意の角度で入射した電波を到来方向へ反射させることを検討したので報告する.
最新FPGAはギガビットトランシーバを複数内蔵しており、ΔΣDACを用いたダイレクトRF技術を併用することでFPGA1石から複数のRF信号出力が可能である。各RF出力に対して適切な位相差を設定することでビームフォーミングが可能となるが、遅延量を1bit単位でしか制御できないため必要な位相分解能を得ることができない。本稿はトランシーバ出力の1bit遅延がRF信号周波数における90度位相差に相当することを利用し、FPGAの出力部で直交位相変調回路を構成、ビームフォーミングに必要な角度分解能を得る手法を提案する。
周波数が時間に対して線形に変化するFMCW方式を用いた他レーダからの干渉波による観測対象の誤検知を防ぐため、周波数が時間に対して非線形に変化するチャープ信号を自レーダから送信することで干渉波を抑圧する方式を提案している。ここでは、提案方式の効果を実験的に確認した結果を報告する。
近年の鉄筋コンクリート構造物の老朽化に伴い,その劣化状況を非破壊で検知する需要が高まっている.
鉄筋の位置は,超音波法などにより測定できるが,鉄筋の初期腐食の検知技術に関する報告は少ない.
電波による検知においては,コンクリートの比誘電率が含水率等により大きく変化することが知られており,この影響を受けない錆検知が必要となる.
そこで本研究では,簡易な非破壊検査手法の提案を目的とし,ドップラーセンサを用いた鉄筋コンクリート構造物内の錆検知について検討した.
筍は成長して空気に触れると酸化しえぐみ成分か増加し、市場価格が大幅に低下するため、地中にある状態で収穫する付加価値は農家収入面において重要である。しかし、そのような筍を見つけることは非常に難しいため、筍探知機が切望されている。これまで共振型探知機について考察したが、深さ方向の検出精度が不確かであったため、インパルスレーダ手法を用いた検討を進めている。本稿ではこのシステムに用いる小形アンテナの構造を検討した。
休 憩(14:30 再開) 座長 本良瑞樹(静岡理工大)
C-2-63 |
簡易伝送路モデルによる土中アンテナのAMラジオ波受信特性推定
◎木下拓真・高松 陸・岩城昴流・岩本孝太・坂本雅弥・黒木太司(呉高専) |
C-2-64 |
伝送路モデルを用いたLPWA無線ネットワークにおける森林の影響
◎宮本大哉・木下拓真・岩城昴流・岩本孝太・坂本雅弥(呉高専)・坂田 蒼・宮本和哉(宮本機器開発)・黒木太司(呉高専) |
C-2-65 |
モノポーラ及びバイポーラ給電嵌合型高周波止血鉗子の特性
◎高松 陸・黒木太司(呉高専) |
C-2-66 |
ロボット手術に適用可能な微小マイクロ波エネルギーデバイスの開発
○西舘嗣海・齊藤一幸(千葉大) |
C-2-67 |
Predicting Temperature Rise Outside the Blood Vessel Using Machine Learning
○Rakhmadi Aditya・Kazuyuki Saito(Chiba Univ.) |
C-2-68 |
層状材料の広帯域誘電分光に向けた同軸プローブの侵入深さの算出法に関する検討
◎中村昌人・田島卓郎・瀬山倫子(NTT) |
近年、異常気象の増加によって土砂災害の件数が増加傾向にあることは周知の事実であり、土砂災害の主たる要因である土壌含水率の推定を安価かつ高精度で行う土砂災害早期予知を行うシステムが切望されている。これまで、AMラジオ波を用いた土壌含水量推定方法として埋め込み型の土中アンテナセンサが提案され、その有用性が確認された。本論では、簡易的な都市モデルを用いて、土壌含水率に対する土中アンテナのAMラジオ波受信特性を数値的に解析したので報告する。
AMラジオ波を用いた土砂災害予知システムでは,山岳地帯に設置したセンサノードでAMラジオ波受信強度を計測し920 MHz帯の搬送波で約1 km離れたゲートウェイに送信する.そのため,山岳地帯での920 MHz帯電波伝搬における森林の影響を把握することは重要である.本論では初めに,山岳地帯の森林による伝搬損失を調べるため,内部に森林が配置された導波管モデルを作成し,4つの森林構造についてSパラメータを解析した.続いて,先立って検討された電波伝搬モデルの計算結果に今回の解析結果を加味し,伝搬に影響する森林について検討を行った.
癌摘出手術では一般的に内視鏡を用いた施術が行われており,使用機器として高周波を用いたエネルギーデバイスが用いられている.現在,内視鏡的粘膜下層剥離術が普及していることから止血鉗子の需要が高まっている。その中でも今回は嵌合型の止血鉗子に着目し,市販の止血鉗子との性能の比較について,モノポーラ及びバイポーラ給電での電界強度の差異に関して検討を行った。
本研究室ではマイクロ波エネルギーデバイスに着目しており,ロボット手術への応用を提案している.ロボット手術は,術者がロボットアームを操作することで微細な手術を可能とする技術である.本研究では,このロボットアームに適用できる微小なマイクロ波エネルギーデバイスを開発する.ロボットアームへデバイスを適用するには,小形化と局所的な加熱が必要である.しかしながら,十分な加熱を得るには,マイクロ波の波長を考慮したアンテナの設計が必要であり,小形化は容易ではない.そこで本研究では局所加熱を実現する2重ループアンテナを提案する.そして,加熱領域を既製の開腹手術用デバイスと比較することで有用性を評価した.
Transcatheter renal denervation (RDN) is a treatment that reduces resistant blood pressure using by heating the nerves outside the blood vessel to above 60 °C, thus reducing blood pressure. However, confirming the temperature rise and nerves ablation has proved challenging because it is difficult to directly grasp the temperature outside the blood vessel. This research proposes using machine learning to measure and know the temperature outside the blood vessel, by measuring the temperature inside the blood vessel. Machine learning defines the inside temperature measurement's relationship with the numerical calculation data to deduce the ablation temperature outside the blood vessel.
同軸プローブ法を用いて薄膜や生体組織のような層状材料の測定時には,実効誘電率はプローブの侵入深さに依存することが報告されているが,層厚依存性が複雑化する5GHz 以上の周波数帯における実測値での検討は行われていない.本稿では,アドミンタンスモデルに基づく広帯域な侵入深さの算出手法について検討し,2 層材料の実測結果と比較しその妥当性を確認したので報告する.
C-3/4. 光エレクトロニクス/レーザ・量子エレクトロニクス
9月14日 9:00〜12:00 Meeting 13 座長 柴山 純(法政大)
[設計/シミュレーション]
C-3/4-1 |
機械学習を用いたナノピクセル導波路設計の基礎検討(Ⅰ)
◎庄田啓一郎・王 韻杰・肖 何・高津渓一郎・姜 海松・浜本貴一(九大) |
C-3/4-2 |
Fundamental study of nano-pixel waveguide design using machine learning (Ⅱ)
○Yunjie Wang・Keiichiro Shoda・He Xiao・Haisong Jiang・Kiichi Hamamoto・Keiichiro Kozu(Kyushu Univ.) |
C-3/4-3 |
ラージリングコアファイバのMMI特性
○湯 子淵・信吉輝己(岡山理科大) |
C-3/4-4 |
高製造トレランスのための直接二分探索法を用いた2 µm帯4モード交差導波路の設計
◎村椿太一・藤澤 剛・澤田祐甫・佐藤孝憲・齊藤晋聖(北大) |
C-3/4-5 |
(依頼講演30分)空間クロスモジュレーションによる高次空間モードの変換
◎前田智弘(青学大)・岡本 淳(北大)・外林秀之(青学大) |
矩形導波路領域をナノ領域に多数分割してピクセルを配列したナノピクセル構造は、超小型デバイスが実現できることに加え、設計理論が十分に確立されていない機能も実現できる可能性が報告されている。本報告では、1×1 MMI (Multi Mode Interference) 導波路機能を題材として機械学習ライブラリであるTensorFlowにより深層学習させ、その設計適用可能性の基礎検討を行ったので報告する。
Nano-pixel devices are attractive because of the compactness, in addition to the new functional device possibility of which the designing theory have not been well established. In this paper, we exploit the machine learning library “PyTorch” to simulate 1×1 MMI (Multi Mode Interference) waveguide function to verify the possibility of machine-learning design.
シングルモードマルチコアファイバとラージリングコアファイバとの結合を考え。ラージリングコアファイバ内のモード干渉について検討し、入出力特性を求めている。
製造トレランスを強化するための新しい直接二分探索法を使用して,ナノホールの分布に基づく波長2 µm帯シリコン4モード交差導波路の設計を行う.1つの構造に対して最適化を行っていた従来手法とは異なり,所望のホール径を有する構造,およびホール径を変化させた2つの構造の計3構造を設計の対象とすることで,製造トレランスの強化を図る.設計に使用する手法の有効性は,2次元有限要素法解析に基づく最適化の試行を行い,従来手法との比較によって示されている.また,デバイスの設計は3次元有限要素法解析に基づいて行った.所望のホール径を有する構造において高い性能を示すのみならず,ホール径の±10 nm程度の変化に対して十分に性能を維持し,高製造トレランスのデバイスが設計できている.
モード分割多重ネットワークにおける柔軟な経路設計には任意の空間モードを他の空間モードへと変換する技術が必要不可欠である.我々は高い光利用効率を特長とする光波面変調技術である空間クロスモジュレーション(SCM)に着目し,SCMに基づく空間モード変換技術を提案してきた.しかし,従来のSCMでは入力光の位相分布は平坦であることが前提となっていることから,入力光は基本モードに限定される.本発表では,SCMを高次空間モードの入力に適応するための新たな変調分布導出アルゴリズムを提案し,数値解析により原理実証を行った結果を報告する.
(10:30 開始) 座長 安井 崇(北見工大)
C-3/4-6 |
中心波長1.06 ㎛の全ファイバ系軌道角運動量モード変換器の開発
○寺島 基・李 洪譜(静岡大) |
C-3/4-7 |
厚膜シリコンフォトニクス偏波回転分離器の提案と解析
◎鈴木優斗・エルフィキ アブドラジズ・福井太一郎・伊藤まいこ・種村拓夫・中野義昭(東大) |
C-3/4-8 |
励振効率で決定される光軸回転角を用いた導波路型偏波変換器の設計
◎小竹翔太・土方裕貴・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-3/4-9 |
長方形孔配列を用いた円偏光ミラー
山内潤治・◎中條孝則・中野久松(法政大) |
C-3/4-10 |
誘電体基板上に設けられたクロススロット型1/4波長金属板
○佐々木玲音・齋藤裕樹・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-3/4-11 |
厚膜シリコン光導波路との集積に向けた電気光学ポリマー変調器の設計
◎藤澤 燦・Abdulaziz E.Elfiqi(東大)・大友 明(NICT)・中野義昭・種村拓夫(東大) |
螺旋状長周期ファイバグレーティング(HLPG)は光軸に沿って周期的なスクリュータイプの屈折率変調を持ち、軌道角運動量(OAM)のような固有モードを有するファイバデバイスである。本研究では光ピンセットへの応用に向けた中心波長1.06㎛でのHLPGの設計、作製を行った。今回作成したHLPGは波長1.06 ㎛付近帯域約60 nm、深さ-10dB のノーチフィルタを観測できた。中心波長1.06 ㎛で広帯域・変換効率約90%のOAMモード変換器の実現を予想している。
シリコン層の厚みを1µm以上にした厚膜SOI(silicon on insulator)プラットフォームは低損失で信頼性が高く,車載光ネットワークやデータセンタ通信への利用に有望視されている.厚膜SOIでは偏波回転の難しさが課題であり適用範囲を狭める要因となっていた.本研究では,新規構造を提案し,数値計算により素子長2500µmの偏波回転分離器で98%以上の偏波変換効率を達成し素子の有効性を示した.
非対称断面形状を有する導波路型偏波変換器において,光軸回転角を用いた簡易な評価式が提案されている.本稿では,固有モード解析によって算出した励振効率を加味した光軸回転角を用いることで,伝搬解析に比べ効率よく設計を行えることを明示する.
直線偏光を円偏光に変換するミラーには,誘電体多層膜を利用するものがある.しかし,変換特性が入射角に対して敏感となる欠点がある.そこで,筆者らは,多層膜上部に誘電体柱を周期的に配列した円偏光ミラーを提案した. 本稿では,誘電体柱型の相補構造(中空導波路型)でも円偏光ミラーとして動作することを明らかにする.また,パワーが中空部に集中し,構造の劣化を防ぐ利点を保ちつつ,広帯域に円偏光への変換が可能であることを明らかにする.解析には,周期境界条件を適用したFDTD法を使用する.
金属膜に周期的開口を設けると異常透過の得られることが知られている.この性質を応用すると,1/4波長板を構成できる.金属膜のみの検討では,高透過率特性が得られるが,誘電体基板上に配置したより実際的な場合には,開口形状に関わらず透過率の悪化する問題があった.本稿では, 金属膜が半無限の誘電体基板上に配置された場合であっても,薄い誘電体層を金属膜上に装荷すると90\%以上の高透過率を有する1/4波長板として動作することを明らかにする.
次世代の車載光ネットワークやデータセンター内光配線として低損失な厚膜SOIプラットフォームが有望視されているが、厚膜SOI上に集積可能な低損失かつ高速の光変調器は実現例が無かった。そこで本稿では、電気光学(EO)ポリマーを用いて厚膜SOI上に集積可能な低損失かつ高速の光変調器を設計した。提案する変調器構造はマッハ・ツェンダー変調器の変調部にEOポリマーによる逆リブ導波路を形成したものであり、GSG進行波電極によるpush-pull変調を考える。光モードの重なりや電極による吸収損失を考慮して導波路を設計し、また変調器の特性インピーダンスが50ΩとなるようGSG電極形状を設計することで、計算上で変調器長1cmにおいて半波長変調電圧4.2Vおよび3dB変調帯域49GHzを得た。
9月14日 13:00〜17:00 Meeting 13 座長 望月敬太(三菱電機)
[光送受信器(1)]
C-3/4-12 |
800Gbit/s対応高光出力・高受光感度IC-TROSA
○黒川宗高・中山謙一・武智 勝・水野泰孝・三澤太一・原 弘・田中啓二・上坂勝己(住友電工) |
C-3/4-13 |
(依頼講演30分)Beyond 5Gに向けた100Gbps/λ-PAM4 TO-CAN型EMLの開発
○中野誠二・藤原諒太・白尾瑞基・中村誠希・山内康寛(三菱電機) |
C-3/4-14 |
(依頼講演30分)50G-EPON に向けた高感度25G バーストモード光受信器
○桂井宏明・中西泰彦・神田 淳・吉松俊英・金澤 滋・名田允洋・中村浩崇・佐野公一(NTT) |
C-3/4-15 |
(依頼講演30分)100Gイーサ長延化に向けたSOA VOA集積4ch ROSA
◎前川享平・三井主成(住友電工)・平山 徹・寺西良太(住友電工デバイス・イノベーション)・原 弘(住友電工) |
C-3/4-16 |
(依頼講演30分)光通信応用に向けた反転型構造高速アバランシェフォトダイオード
○名田允洋・吉松俊英・松崎秀昭(NTT) |
C-3/4-17 |
800Gbpsコヒーレント通信向けに高速・高感度8ch-PDをモノリシック集積したInP系多機能受光素子
○御手洗拓矢・沖本拓也(住友電工)・海老原幸司・山崎功一朗(住友電工デバイス・イノベーション)・八木英樹(光産業技術振興会)・岡本 悟・大倉佑介・堀野和彦(住友電工デバイス・イノベーション)・江川 満(住友電工)・米田昌博(住友電工デバイス・イノベーション) |
800Gbit/s対応のIC-TROSA type2 を開発した。低損失光学系により送信側の損失は12dB以下、受信側の受光感度は、中心波長において温度範囲-5℃から75℃で60mA/W以上を得ている。また、高周波特性として、3dB帯域は送信側で57GHz、受信側で55GHzであり、96GBaud 駆動が可能な性能を確認した。
5Gネットワークアーキテクチャにおける基幹ネットワークと基地局間の通信には25 ~50 Gbpsで動作する光デバイスが適用されているが、ますます増大する通信需要に対応すべく、次世代規格としては単波長106 Gbps PAM4 (53 Gbaud)変調方式の適用が活発に議論されている。TO-CAN型EML(以下EML CANと略)は構造上、インピーダンス不整合による高周波信号の反射点が多く、100 Gbps超級の高速動作に必要な信号通過帯域の実現が困難であった。今回我々は、EML素子の広帯域化と共に、パッケージ構造のインピーダンス不整合箇所を見直すことで、従来と同じφ5.6mmTO-CANパッケージを適用しつつ、106 Gbps PAM4変調方式に対応した、光信号送信デバイスを開発した。通過帯域は35 GHz以上得られ、また、光波形では変調時消光比(Outer ER)=5.6 dB、TDECQ=2.5 dBが得られ、100G Lambda MSAのLR1規格を満足する。
次世代のPONシステムとして、1波長あたり25.78 Gbpsで伝送する25G/50G-EPONが2020年6月に標準化を完了した。本方式では物理層部品も25G級動作が求められる。我々は、25GバーストモードTIA(B-TIA)回路と、25G APDを組み合わせた25Gバーストモード光受信器を用いて、BER = 10-2での最小受信感度-27.7 dBm (OMA)、応答時間150nsを達成した。これはIEEE 802.3ca-2020 におけるハイパワークラスの仕様-24.3dBm、応答時間800nsを十分満足する性能である。
長距離伝送後の受信を可能にする光受信器には、受光素子としてAPDが使用されることが一般的であるが、今回SOA+PIN-PDの構成による高感度化を図り、より長距離の伝送を可能とした。今回開発した光受信器は分散データセンター間の40km以下の長距離高速相互接続に適し、100GBASE-ER4[1]規格に準拠する。小型化のため、Overload対策用のVOAも含めて1つのパッケージ内に収納することで、小型光トランシーバへの搭載が可能である。今回、その概要と受信特性に関して報告する。
近年の急激なモバイルネットワーク(NW)やクラウドNWの普及は,データセンタ内/間およびモバイルフロントホール・バックホールといった,比較的短距離における光通信の大容量化を推し進めてきた.このような大容量かつ短距離の光通信では,光トランシーバおよびNWの構成が簡易であり,複雑な信号処理を必要とせずNW全体の低消費電力化が可能な, IMDD方式が用いられる.APDはその内部利得のため,pin-PDに比べ光受信器の感度を向上させ,IMDDの長延化に寄与することができる.本発表では1波あたり25Gbit/s,および次世代の100G-PAM4方式の長延化をターゲットとした,反転型構造を有するAPDの利点と特性について述べ,光受信器に用いた場合の伝送特性を紹介する.
メトロ系ネットワーク, データセンタ間伝送へ800Gbpsコヒーレント通信システムの導入が検討されており, 大容量かつ, 小型なトランシーバが必要である.そのソリューションとして, 波長可変レーザ, 多値変調器, 受光素子が一体実装されたIC-TROSA (Integrated Coherent Transmitter-Receiver Optical Sub-Assembly)が提案されている.800Gbps
IC-TROSAの実現には, 受光素子の広帯域化に加え, 実装面積縮小のため, 光学素子数の削減も要求される.以前報告した100 GBaud 動作に対応可能な導波路型p-i-n PDに加え, 種々の光学素子をモノリシック集積したInP系多機能受光素子を実現した.
(15:30 開始) 座長 八木英樹(住友電工)
[光送受信器(2)]
C-3/4-18 |
空間光学系を用いたデジタルコヒーレント受信モジュールにおけるCMRRのビーム集光径依存性
◎鈴木純一・佐野勇人・三浦浩志・大畠伸夫・長谷川清智・望月敬太(三菱電機) |
C-3/4-19 |
(依頼講演30分)高光出力特性を有する1358 nm波長SOA集積型EADFBレーザ(AXEL)による25 Gbit/s 100 km伝送
○進藤隆彦・金澤 慈・中西泰彦・陳 明晨・名田允洋・吉松俊英・神田 淳・中村浩崇・佐野公一(NTT) |
C-3/4-20 |
混合変調レーザの広帯域小信号応答特性の評価
○島 卓未・吉田真人・横田信英・八坂 洋(東北大) |
C-3/4-21 |
DFB レーザの注入電流/温度協調制御によるサブ秒波長切替
○葉 聖鴻・車 明・久保木 猛・加藤和利(九大) |
C-3/4-22 |
混合変調半導体レーザの変調帯域特性の共振器内部損失依存性
○内山 香・横田信英・吉田真人・八坂 洋(東北大) |
近年、データセンタ通信容量の増加に伴い、デジタルコヒーレント方式の適用領域が広がっている。我々はこれまでにInP素子を用いたデジタルコヒーレント通信向け送受信光モジュールの開発を行ってきた。今回、導波路型PDと90°光ハイブリッドPLCを用いたデジタルコヒーレント受信光モジュール作製にあたり、PLC-PD間の空間光学系について検討したので報告する。
次世代PONシステムとして注目される25G-EPONへの適用を目指し、波長1358 nm SOA集積型EADFBレーザ(AXEL)を新たに開発した。試作したAXELにおいて、25 Gbit/s NRZ変調時に消光比9.5 dB以上の良好な光信号波形と変調時光出力10.5dBm(OMA)以上の高出力性を確認した。また、試作したAXELによる伝送特性評価から、20 km伝送時に25G-EPONの仕様値を大幅に上回るロスバジェット38.4 dBを実現した。さらに、 O帯波長域としては最大の光ファイバ分散を有する1358 nm帯において、100 kmにおよぶ伝送距離の延伸を達成し、次世代の25G級PON用光源として十分な伝送距離とロスバジェットのマージンを得た。
データセンタでの情報通信量の爆発的な増加に対応するためには,更なる通信の高速化が不可欠である.このため,シンボルレートを飛躍的に向上したシステムへの期待が高まっており,特に半導体レーザの更なる高速化が急務である.近年,変調帯域拡大の手法として,半導体レーザに外部共振器を導入し,活性領域での発振光と外部共振器からの帰還光の相互作用によって生じる光子共鳴効果が注目されている.我々は,本効果を効率よく帯域拡大に付与させることができる混合変調方式を提案し,66GHzの3-dB帯域を確認した.本研究では,混合変調レーザの小信号応答特性評価系のSN改善を進め,80GHz以上の広い3-dB帯域を有することが確認できたので報告する.
光通信ネットワーク向けの高速・高信頼性光スイッチを実現するために、波長可変DFBレーザの波長切替手法を検討している。DFBレーザは注入電流値変化で高速波長切替を実現できるが、大きな電流を注入し続けるとレーザ寿命が劣化してしまう。本論文では、双方向の400GHz幅の波長切替に電流と温度の協調制御方式を用い、サブ秒波長切替を実現した。また、低周波数を保つため必要な注入電流を402mAから52mAまで減少させ、レーザの信頼性を改善された。
直接電流変調半導体レーザの変調帯域を広帯域化する手法として,外部共振器を導入することで,応答特性に第2の共振ピークを形成し,これを適切に制御することにより帯域を拡大する方法がある.しかし,半導体レーザの緩和振動周波数以上の高周波領域における急激な感度劣化のため,第2の共振ピークを緩和振動周波数付近に設定する必要があり,変調帯域の拡大が制限されていた.この問題に対し,これまでに我々は,直接電流変調と共振器内部損失変調を同時に行う混合変調半導体レーザを提案してきた.本研究では,数値解析によって混合変調半導体レーザの安定動作領域における変調帯域特性について検証したので報告する.
9月15日 9:00〜11:45 Meeting 13 座長 岸川博紀(徳島大)
[次世代光通信/情報処理]
C-3/4-23 |
(依頼講演30分)オンシリコン半導体光増幅器によるリザーバコンピューティング
◎鶴谷拓磨・開 達郎・中島光雅・相原卓磨・ディアマドプロス ニコラオス・藤井拓郎・瀬川 徹・松尾慎治(NTT) |
C-3/4-24 |
可変チャネルシンボルレート光OFDM 信号分離用ゲート除去型集積可変光フィルタ
○瀧口浩一・正木秀明(立命館大) |
C-3/4-25 |
縮退モード分離による結合型マルチコアファイバの群遅延広がり制御
◎坂本夏翠・佐藤孝憲・藤澤 剛(北大)・寒河江悠途・坂本泰志・松井 隆・中島和秀(NTT)・齊藤晋聖(北大) |
C-3/4-26 |
4モードスクランブラと光ユニタリ変換器を用いた2LPモード合分波器の検討
◎吉田康人・佐藤孝憲・藤澤 剛(北大)・森 崇嘉・坂本泰志・山下陽子・今田諒太・中島和秀(NTT)・齊藤晋聖(北大) |
低電力性およびシリコンフォトニクスとの集積性を特長とする薄膜半導体光増幅器(SOA)を光リザーバコンピューティング(RC)に適用し,非線形演算素子としての有用性を実験的に検証した.SOAの特徴的な非線形現象である相互利得変調(XGM)を活用した光RC系の構成を提案し,その基本動作を実証した.構築した光RC系は33 mWの消費電力,160 μWの平均入力光パワーという小さなパワースケールにおいてXGMに由来する顕著な非線形応答を示し,非線形ベンチマークタスクにおいて良好な処理性能が得られた.本素子は高密度な線形演算器の実現に適したシリコン光回路との一体集積が可能であり,線形演算器とのオンチップ集積への展開が期待できる.
様々なチャネルシンボルレートのOFDM信号を、光ゲートなしで分離可能な集積型可変光フィルタについて報告する。本光フィルタは、結合率可変光カプラアレイ、光遅延線アレイ、スラブスターカプラ型光フーリエ変換回路から構成される。これまで光フィルタの後段に光フーリエ変換処理の有効時間領域を抽出するための光ゲートを設置していたが、今回、光ゲートを省き高速受光器を使用することで有効時間領域を電気領域でも保持することによってOFDMサブキャリアチャネルの分離処理を行った。本手法によって、5 x 10 Gsymbol/s、5 x 20 Gsymbol/sの異なるシンボルレートの光OFDM信号のチャネル分離に成功した。
空間分割多重(SDM)伝送用ファイバの一種である結合型マルチコアファイバ(CMCF)においては,各モードの群遅延時間は平均化され,GDS(Group Delay Spread)が伝搬距離の平方根に比例する。そのためCMCFは伝送容量および伝送可能距離を拡大可能なSDM伝送用ファイバとして期待されている.しかし,コア間隔を低減し過ぎるとモード間の実効屈折率差が大きくなり,モード間結合量が低下しGDSを抑制できなくなるため,コア間隔をある一定以下にはできない.本稿では,CMCFの空間多重密度を向上することを目的として,コア配置の対称性を崩し,縮退モードを分離することで,コア間隔が小さい場合でもGDSの抑制が可能であることを示す.
伝送容量拡大のための通信方式の一つとして,モード分割多重(MDM)伝送がある.近年,MIMO処理を前提としたMDM伝送用モード合波器の1つである2nモードスクランブラが提案されており,モード依存損失(MDL)が低く,広帯域かつ製造トレランスに強いことから注目を集めている.しかし,光ファイバ中を導波するモードの数は,偏波に関する縮退を除いて,1,3,6と不連続に増加し,2nに一致しないため,これをそのままファイバ通信に使用できない.そこで,4モードスクランブラの前段に光ユニタリ変換器と同等の作用をする光波回路を設置することで,等価的に2LPモード合分波器として動作させることを検討したので報告する.
(10:15 開始) 座長 石坂雄平(関東学院大)
C-3/4-27 |
二信号間のアンドを用いた高セキュリティ無線通信の動作検証
◎河合優佑・陳 漢偉・加藤和利(九大) |
C-3/4-28 |
Proposal of PLC 10-mode-selective Photonic Lantern Mode Multiplexer
◎Han Wang・Yusuke Sawada・Takeshi Fujisawa・Takanori Sato(Hokkaido Univ.)・Takayoshi Mori・Taiji Sakamoto・Yoko Yamashita・Ryota Imada・Kazuhide Nakajima(NTT)・Kunimasa Saitoh(Hokkaido Univ.) |
C-3/4-29 |
(依頼講演30分)SPOC技術によるSDM伝送用波長選択スイッチ技術
○妹尾和則・根本 成・鈴木賢哉・宮本 裕(NTT) |
C-3/4-30 |
(依頼講演30分)光ディスク技術を用いた衛星光通信システムとその軌道上試験
○岩本匡平・小松宏光・太田伸二・久保 靖・神保 光・中尾 敬・山添弘晃・鎌田俊昭・伊藤大二(ソニーCSL)・宗正 康・國森裕生・豊嶋守生(NICT)・神田大樹・澤田弘崇・池田俊民・稲垣哲哉(JAXA) |
5GやIoT技術の発展により、無線通信はさらなる高速・大容量化が進行し、それに伴いセキュリティの向上がより重要となる。無線通信は自由空間を伝わる電波が第三者に傍受される可能性があるため、物理層におけるセキュリティ強化が必須の課題である。そこで、我々は二つに分離したデータを別々の場所から送信し、受信側で二つのデータのアンド演算を行うことで元のデータを復号する新たな高セキュリティ無線システムを考案した。今回、提案システムの原理確認として、強度変調された二つの信号の強度比と受信品質の関係について実験を行い、強度比によらず高い受信品質を維持できることを確認したので報告する。
In 2020, we proposed a 6-mode-selective photonic lantern mode multiplexer based on PLC, which can realize six-mode multiplexing with high selectivity. We hope to expand the number of modes supported by photonic lantern structure to 10-modes without reducing the mode selectivity. In this study, we propose a 10-mode-selective photonic lantern mode multiplexer based on PLC, which can realize LP01, LP11a, LP11b, LP21a, E31, E13, E32, E23, E41, E14 ten-mode multiplexing with high selectivity.
将来の大容量光光通信の実現に不可欠と考えられるSDMネットワークに向け二種類の異なる光学系を採用したWSSアレイを提案し,さらにSDMノード内配線を劇的に簡略化する構成を実現することで有効性を示した.
近年、大容量の衛星通信自体を電波ではなく、光を用いることにより電波のチャンネル不足および通信機器自体の小型軽量化および低消費電力化を目指した研究が進められている。ソニーコンピュータサイエンス研究所では、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟(JEM)に設置されている船外実験プラットフォームに設置および運用可能な「SOLISS(Small Optical Link for ISS)」をJAXA宇宙探査イノベーションハブと共同開発した5,6)。SOLISSは2019年9月25日に種子島宇宙センターから「こうのとり」8号機(HTV-8)によって打ち上げられ、その後船内での設置作業を経て、中型曝露実験アダプター7)(i-SEEP)に接続され軌道上試験が開始された。本報告では、SOLISSの軌道上実験に関する取り組みについて述べる。
9月15日 13:00〜17:00 Meeting 13 座長 北 智洋(早大)
[光集積(1)]
C-3/4-31 |
Milli-Watt 出力可能な2.38 THz非線形量子カスケードレーザ
○林 昌平・伊藤昭生・日髙正洋・藤田和上(浜松ホトニクス) |
C-3/4-32 |
Fabry-Perot LD及びECLDを用いた光注入同期回路の性能比較
○葛西恵介・管 貴志・吉田真人・廣岡俊彦・中沢正隆(東北大) |
C-3/4-33 |
(依頼講演30分)電気スペクトル分解による帯域拡張送受信機
○濱岡福太郎・中村政則・長谷宗彦・脇田 斉・小林孝行・山崎裕史・宮本 裕(NTT) |
C-3/4-34 |
機械学習を用いた多モード干渉計電界吸収型光変調器の設計
○加世田怜美・荒川太郎(横浜国大) |
C-3/4-35 |
Siフォトニクス外部共振器型量子ドット多波長レーザによる8波長同時発振
◎増山 圭(三菱電機)・西山伸彦(東工大)・長谷川清智・大畠伸夫(三菱電機) |
C-3/4-36 |
5 μm活性層長メンブレンDBRレーザの極低エネルギー動作
◎菅野絵理奈・武田浩司・藤井拓郎・硴塚孝明・松尾慎治(NTT) |
C-3/4-37 |
異種材料集積波長可変レーザのための対向ループミラーを用いた共振特性をモニタリング可能なSi波長フィルタ
◎佐藤孝憲・藤澤 剛(北大)・御手洗拓矢・平谷拓生・沖本拓也・石川 務・河野直哉・藤原直樹・八木英樹(住友電工)・齊藤晋聖(北大) |
C-3/4-38 |
テラヘルツ帯量子カスケードレーザに対する高強度THz電場透過測定についての数値解析
○酒瀬川洋平・林 伸一郎・齋藤伸吾・関根徳彦(NICT) |
テラヘルツ非線形量子カスケードレーザにおいて、斜めに研磨された半絶縁性のInP基板端面に高抵抗シリコンレンズを密着させるレンズ結合型チェレンコフ放射方式を考案し,そのミリワット出力を実証した.このレンズ結合型チェレンコフ放射方式は従来のチェレンコフ放射方式と比較し、高効率でテラヘルツ波を取り出すことが可能となる。従来方式では約0.22 mWの出力であった2.38 THzの非線形量子カスケードレーザにおいて,本方式を適用することにより室温で約1 mWのテラヘルツピーク出力を得ることができた.
これまで我々は、局発光源として線幅4 kHzのECLDを適用した光注入同期回路を作製し、これを用いて64~256 QAMコヒーレント光伝送に成功してきている。今回、ECLDよりもQ値が低いFabry-Perot LDを用いて光注入同期回路を新たに作製した。その注入同期特性を詳細に評価し、従来のECLD型注入同期回路との性能比較を行ったので報告する。
通信トラフィックの増大に対応するため,光送受信機の広帯域化(光信号の高ボーレート化)技術が活発に検討されている.光送信機の広帯域化手法の一つとして,複数の低速信号を電気領域で合成して高ボーレート信号を出力する技術が提案されており,100-200 GBaud級信号の生成が報告されている.光受信機の広帯域化手法として,近年,電気領域において高速信号を複数の低速信号に分解して受信する方式が提案されており,100 GBaud級信号の受信が実証されている.
本稿では,我々の提案する電気スペクトル分解技術に基づく帯域拡張送受信機について解説する.
多モード干渉計型電界吸収光変調器は多モード干渉計の導波路の一部に電界を印加する構造の光変調器である. 電界吸収に加えて屈折率変化を利用することで, 従来の電界吸収型光変調器と比較して高い消光比を得られることが期待できる. しかし, 設計の自由度が高く設計手法は確立されていない. 本研究ではこれの設計を機械学習を用いて行った. その結果先行研究と比較して小型な光変調器の設計に成功し, 設計手法の有用性を示した.
今後の更なる通信容量の増加を考えると通信波長の高密度化が必要であり、CW-WDM-MSA(Continuous-Wave Wavelength Division Multiplexing Multi-Source Agreement)では波長間隔400 GHzで8波長を用いる規格が検討されている。本稿ではSiフォトニクスとQD-SOA(Quantum Dots – Semiconductor Optical Amplifier)を組み合わせた外部共振器型レーザで8波長同時発振を実証したので報告する。レーザはQD-SOAチップとループミラー、リング共振器フィルタが集積されたSiフォトニクスチップで構成され、QD-SOA出射側に形成されたHR (High Reflection) コーティングと、ループミラー間でレーザ共振器が形成されている。QD-SOAを300 mAで駆動したとき、1290 nm ~ 1306 nmの波長範囲でリング共振器のFSRに一致する400 GHz間隔で8波長同時発振を実証し、本方式が短距離通信向けの多波長レーザに有望であることを示した。
チップ間通信のような短距離通信にも光インターコネクトを導入する試みがなされており、極低消費電力で動作する光源が望まれている。我々は活性層長を短くすることによりレーザの低消費電力化に取り組んでおり、本研究ではさらなる低しきい値化を目指してDBR(distributed Bragg reflector)をInGaAsP埋め込み導波路で作製した。活性層長が5 μmのDBRレーザにおいて、低しきい値電流51 μAでの発振を達成し、変調効率18.9 GHz/mA0.5、消費エネルギー24 fJ/bitで10 Gbit/sのアイ開口を確認した。
機能の異なるIII-V族半導体を同一SOI上に集積するハイブリッドプラットフォーム技術は近年盛んに研究が進められている.波長可変レーザ分野においては,従来のInPモノリシック集積素子では得られない高性能化や高機能が可能で,様々な形態が提案されている.一般的な波長可変レーザでは,レーザの出力光の一部を取り出すことで発振波長を確認するが,利得部の前後に配置する両方の外部共振器のフィルタ特性を独立にモニタリングすることは困難であった.そこで本検討では,2×2等分配器を用いたループミラーを対向させて共振器構造を形成することで,同一共振器に対して2つの独立した共振モードとアクセスポートを配置することに成功したので,これを報告する.
量子カスケードレーザ(QCL)はテラヘルツ(THz)周波数帯における標準光源として期待されており、その技術的進展に伴いQCL内部のレーザー電場強度が高い領域でのQCL活性層の増幅特性についての理解が重要になりつつある。これまで著者らは高強度THz源を用いたQCLに対する時間分解THz透過測定により透過波の増幅率が入射THz電場強度に大きく依存することを見出してきたが、透過波には広範囲の共振器内部におけるTHz電場強度に対する利得値の情報が織り込まれることになるため、実験結果から真の利得値などを抽出することなどが困難であった。今回、密度行列法による利得計算と有限時間領域差分(FDTD)法を組み合わせ、伝搬波が導波路内でTHz電場強度依存利得に従って逐次増幅するシミュレーションを開発し、実験結果と整合する結果を得たので報告する。
(15:15 開始) 座長 西山伸彦(東工大)
[光集積(2)]
C-3/4-39 |
シリコン光変調器の消光比および位相シフタ吸収損失のウェーハレベル自動評価技術の開発
○村尾覚志・牛田 淳・高橋博之・徳島正敏・椎名明美・堀川 剛(PETRA) |
C-3/4-40 |
ECR-PECVD法により作製したSiN導波路の非線形光学特性
○相原卓磨・開 達郎・西 英隆・松尾慎治・土澤 泰(NTT) |
C-3/4-41 |
アシストパルスを用いたSi熱光学式光スイッチの高速動作
◎飯野航平・北 智洋(早大) |
C-3/4-42 |
InP大規模光フェーズドアレイの実証
◎小松憲人・河野佑亮・中野義昭・種村拓夫(東大) |
C-3/4-43 |
Surface Grating Loaded VCSEL-integrated Amplifier/Beam Scanner with Quasi-Single Mode Output Power of over 4W
◎△SHANTING HU・XIAODONG GU・Ahmed Hassan(Tokyo Tech)・Masanori Nakahama(Ambition Photonics)・Satoshi Shinada(NICT)・Fumio Koyama(Tokyo Tech) |
C-3/4-44 |
シリコンアレイ導波路回折格子とブラッググレーティングフィルタを接続した低クロストーク光フィルタの設計
◎八木勇太・津田裕之(慶大) |
C-3/4-45 |
MCF/光スイッチ直接結合のための基礎検討(2) -導波路自動検出の検討-
◎松原 瞬・善能寺友也・姜 海松・浜本貴一(九大) |
シリコン光変調器では,プロセスやSOI厚ばらつきに起因して位相シフタの変調効率や吸収損失が変化するため,プッシュプル駆動する際に変調器性能がマッハ・ツェンダ部のアーム間不均衡による影響を受ける.これまで,変調効率を用いて位相シフト量のアーム間不均衡を特徴付けることで変調振幅ペナルティに対する影響を算出してきた.ここでは,作製したキャリア空乏型シリコン光変調器に対し,ウェーハレベル評価技術を構築して消光比を直接測定することで,変調効率を用いたアーム間不均衡による変調振幅ペナルティ式の妥当性を実験的に検証する.さらに,吸収損失に対するアーム間不均衡による変調振幅ペナルティを評価することを目的に,特別な解析用パターンを用意することなく,吸収損失をマッハ・ツェンダの各アームで独立に測定可能であることを示す.
SiNは、低損失、広い透過波長域、CMOS互換性などの特長から様々な光学分野で使われる材料である。我々は特に、このSiNとSi、InP、LiNbO3などの異種材料を組み合わせた高性能・多機能な光集積プラットフォームの実現を目指している。SiNデバイスを集積する課題は、異種材料デバイスへの熱によるダメージを抑えるため、低温プロセスによりSiNデバイスを形成することである。そのため、これまでにECR-PECVD(Electron cyclotron resonance-plasma enhanced chemical vapor deposition)法を用いた低温プロセスによる低損失SiN導波路形成技術を確立してきた。本研究ではこのSiN導波路の非線形光学分野への応用を期待し、その基本となる伝播損失および非線形屈折率を評価したので報告する。
近年、シリコンフォトニクスの要素デバイスである光スイッチは小型化・低消費電力化・高速化が期待されている。我々のグループでは、MMIを利用した低損失・低消費電力の位相シフタを開発し、それを両アームに装荷したMZI型の熱光学式光スイッチに対して加熱時にオーバードライブ制御を行うことでサブ㎲でのスイッチング動作を実現した。本講演では、同構造の光スイッチに対して、アシストパルス電圧を印加することで冷却時にも652nsという高速なスイッチング動作を実現したため報告する。また、高周波スイッチング動作に対するオーバードライブ制御・アシストパルス電圧の効果についても報告する。
半導体光フェーズドアレイ(OPA: optical phased array)は非機械式の光ビーム偏向素子として注目を集めている.様々な材料系によるOPAがこれまで報告されているが,InP系OPAは,レーザや増幅器をモノリシック集積可能である点や,位相変調に高速・高効率なキャリア効果や電界光学効果を使用できる点などの優れた特性を持つ.本稿では,これまでのInP系における最大規模(導波路数32)を大きく上回る,導波路数100のOPAを作製し,キャリア注入による高速な(応答速度<16 ns)ビーム偏向動作を実証したので報告する.OPAにより形成されたビームは80点以上の解像可能点数に相当し,これは著者らの知る限りInP系OPAで最大の値である.今回実証したInP系OPAは,高速性・高出力性が重要な長距離LiDAR等の分野で特に有用であると期待される.
We demonstrate a 1st-order surface-grating loaded VCSEL-integrated amplifier/beam scanner. A record quasi-single-mode power of over 4W under pulsed operations are achieved. We also obtained a continuous fan-beam steering of 9°, a diffraction-limited beam divergence angle of 0.04° and hence over 200 resolution points.
シリコンアレイ導波路回折格子にブラッググレーティングフィルタを接続した低クロストーク光フィルタを設計した。チャネル数16、チャネル間隔100 GHz 、AWG部の回折次数70、スラブ導波路長78.321 µm、アレイ導波路本数60本とした。ブラッググレーティングフィルタは広い部分の導波路幅を450 nm、狭い部分の導波路幅を420 nm、周期数を110とした。AWGの各出力導波路に2段のブラッググレーティングフィルタを接続することで、ブラッググレーティングフィルタを接続しない場合の平均損失-2.6 dB、平均クロストーク-19.2 dBが、平均損失-2.9 dB、平均クロストーク-41.9 dBとなり、実用的に十分なクロストークの達成が見込まれる。
マルチコアファイバと光モードスイッチとの直接光結合を目指した3次元導波路製作装置の検討を行っている。カメラによる導波路位置検出のための基礎的検討として、画像処理ライブラリであるOpenCVを用い、ハフ変換を用いた導波路検出を検討した。その結果、導波路側壁位置認識が可能であることを確認したので報告する。
9月16日 9:00〜12:00 Meeting 13 座長 中 良弘(宮崎大)
[光部品・センシング(1)]
C-3/4-46 |
位相コードを用いた反復再構成アルゴリズムによるインライン型ディジタルホログラフィ
○中嶋雄梧・本間 聡(山梨大) |
C-3/4-47 |
アルミニウム連続薄膜1次元周期凹凸構造によるプラズモニック偏光カラーフィルタリング
◎深谷祐輔・宮道篤孝・香川景一郎・安富啓太・川人祥二・小野篤史(静岡大) |
C-3/4-48 |
(依頼講演30分)プラスチック光ファイバセンシングの最新展開
○水野洋輔(横浜国大)・李 ひよん(芝浦工大)・中村健太郎(東工大) |
C-3/4-49 |
光ファイバーベースレーザードップラー振動計の外乱緩和手法の検討
○木村広太・藤井亮浩・佐々木浩紀(OKI) |
C-3/4-50 |
位相サンプリング法による多チャンネル螺旋状長周期ファイバグレーティング
◎久保木稜亮・李 洪譜(静岡大) |
細胞やMEMSなどの微小構造体を観測するため,透過光・反射光の波面を計測する技術の開発が求められている.カメラでは強度分布しか取得できないため,一般的に既知の波面を有する参照光を同時にカメラに照射し,2光波の干渉強度分布より信号光の波面を推定する.高い計測精度が得られる反面,光学系が大型化し,また外部からの振動に極めて弱いという問題を有する.本報告では空間光変調器(SLM)により信号光に複数の位相コードを付加し,その伝搬光の強度分布から信号光の波面を推定する反復再構成アルゴリズムによるインライン型ディジタルホログラフィを提案する. 2枚の強度分布から物体光の位相分布を再現する数値解析および実験結果を示す.
本研究目的はイメージングデバイスにおける偏光を利用した画像認識力の向上である。偏光情報の取得はガラスや水面等における反射や映り込みの抑制、物体の形状認識力向上に有用である。本研究では単一のフィルタによる色情報と偏光情報の同時取得を目指し、アルミニウム連続薄膜1次元周期凹凸構造によるプラズモニック偏光カラーフィルタを提案した。作製構造が偏光子として機能し、凹凸周期に依存した透過率約30 %のマルチスペクトルな透過フィルタリング特性を示すことを実証した。提案した金属薄膜フィルタは高温や太陽光の長時間露光に対して色再現度が劣化しないため、車載・監視カメラなどへの応用が期待される。
プラスチック光ファイバ(POF)は高い柔軟性、安価な敷設コスト、容易なファイバ間接続、高い安全性など、ガラス光ファイバにはない多くの利点がある。本依頼講演では、POF中のブリルアン散乱に基づく歪・温度分布センシングや、POFヒューズ現象に基づく高感度な磁場センシングなど、POFを応用したセンシング技術の最新展開について紹介する。
レーザードップラー振動計は光のドップラー効果を利用して非接触での振動測定が可能である。光ファイバーを這わせることで遠方の対象物の近傍にセンサーヘッドを設置することが可能である。しかし、光ファイバーに加わる外生的振動により測定結果が不正確になる問題がある。これを回避する手法として光偏波の直交性を利用した方式が既に提案されている[1]。しかし、光ファイバーの僅かな屈折率変動で直交性が崩れるため、長期安定性に問題があった。著者らはカルマンフィルタによってこの問題を解消する手法を実証したので報告する。
近年, IoTの登場などにより,通信分野の大容量化は必須であり,そのため光ファイバを用いた各種デバイスが開発されてきた.その中でも光ファイバに螺旋構造を形成することで屈折率変調を制御する螺旋状長周期ファイバグレーティング(HLPG)は,螺旋特性における光の軌道角運動量(OAM)モード状態を制御可能であるため, OAMモード変換器などの応用を目的として大きな関心を集めている.しかし,これまで提唱,並びに実証されたHLPGのほとんどは,クラッドモードに対して一つの損失ノッチを有する単チャンネルのもので,多チャンネルHLPGの提案, 実証はほとんどされていない.本研究では,位相サンプリング法を用いて実際に9チャンネルHLPGの試作を行った.
(10:30 開始) 座長 石倉徳洋(フジクラ)
C-3/4-51 |
Er:YAGレーザ光伝送用太径中空Ni-Tiファイバの製作
○岩井克全・高久裕之(仙台高専)・宮城光信(東北工大) |
C-3/4-52 |
(依頼講演30分)位相同期マルチコアファイバレーザ
○白川 晃(電通大) |
C-3/4-53 |
KTN結晶の電歪効果を用いた波長可変フィルタに関する検討
◎田中優理奈・赤毛勇一・上野雅浩・坂本 尊・川村宗範・岡 宗一(NTT) |
C-3/4-54 |
SS-OCT方式ディジタル光センサにおける包絡線補正に関する検討
◎山内隆典・西岡隼也・後藤広樹・小西良明(三菱電機) |
C-3/4-55 |
リピータ参照光を用いた波面計測における空間周波数特性評価
◎佐久間大樹・今井弘光・赤塚友哉・新井 薫・杉山隆太・小栗克弥・宮村 崇(NTT) |
内視鏡治療用無破断中空ファイバとして、Ni-Tiチューブを母材とした中空ファイバの製作を行ってきた。今回は、中空Ni-Tiファイバの低損失化を図り、内径800 μm、外径1000 μm、長さ30 cm、COP内装銀中空Ni-Tiファイバの製作について述べる。
単体では限界のあるファイバレーザのパワー/エネルギー向上のために,複数のファイバレーザの電界位相を一致(同期)させて輝度を重畳するコヒーレントビーム結合の研究が極めて重要になっている。その候補のひとつにマルチコアファイバ(MCF)があり、結合型MCFではコア数と同数存在するスーパーモードのうち各コアの電界が同位相で伝搬するin-phaseモードは遠視野で輝度が加算されビーム結合することができる。本講演ではマルチコアフォトニック結晶ファイバレーザのスーパーモード選択や,非結合型MCF増幅器における人工知能(AI)によるコヒーレントビーム結合など,位相同期MCFの最新の研究を中心に紹介する。
タンタル酸ニオブ酸カリウム (KTa1-xNbxO3, KTN) 結晶は、比較的大きな電歪係数と相転移温度付近における高い比誘電率を有することから、KTN結晶端に蒸着したミラーと静止ミラーとで構成したファブリペロ型共振器から成る波長可変フィルタを作製した。本研究では、KTN結晶への電荷注入によって電荷注入のない場合に比べ6倍程度大きい変位を実現し、波長可変フィルタリングが可能であることを確認した。
我々は距離測定の一手法として波長掃引型光干渉断層計(SS-OCT) をベースとしたディジタル光センサを提案している.振動環境下では,本センサは偏光状態の変化が測距結果の飛び値を生じさせることが課題としてあげられる.これまで単一偏光のみを用いて検討してきたが,光ファイバが振動する条件では得られる波形の包絡線に変動が生じる.そこで,本研究では両方の偏光を用いた信号補正の検討を行ったので報告する.
大気を介した光信号の安定的な伝送に向けて,伝搬による波面歪みの補正のための光波面計測技術が必須となり,高解像度な波面計測手法としてディジタルホログラフィ(DH)の研究が進められている.我々は大気伝搬後の信号光に対して位相同期させたリピータレーザ(RL)を利用し,リモート計測環境でもDHに必要となる安定的な参照光を生成する方式を提案している.しかしながら,信号光の空間周波数変動が起こると位相同期に利用される平面波成分の光パワの変動が起こる.そこで本稿では,RL参照光を用いた波面計測における空間周波数の変動による影響を評価した.
9月16日 13:00〜17:00 Meeting 13 座長 永井正也(阪大)
[光部品・センシング(2)]
C-3/4-56 |
(依頼講演30分)マイクロ光周波数コムの新規制御技術の開発
○久世直也(徳島大) |
C-3/4-57 |
光周波数コムから切り出した周波数同期CW光2成分の掃引による分子センサー方式の開発
◎高橋直生・王 超一・長坂恭輔・鈴木悠司・上野芳康(電通大) |
C-3/4-58 |
(依頼講演30分)電気光学変調コムによる低ノイズマイクロ波発生
○石澤 淳(NTT)・西川 正(東京電機大)・日達研一(NTT)・高 磊(産総研)・吉田光貴・徐 学俊・土澤 泰・相原卓磨・吉川優剛・赤塚友哉(NTT)・コングァンウェイ・山本宗継・山田浩治(産総研)・後藤秀樹・小栗克弥(NTT) |
C-3/4-59 |
光負帰還狭線幅半導体レーザの直接変調を用いた長距離測距
○木内啓生・横田信英・八坂 洋(東北大) |
C-3/4-60 |
Optical Phased Array with Pulse-Driven SOAs for Time-of-Flight LiDAR System
◎Qinpei Liu・Kento Komatsu・Taichiro Fukui・Takuo Tanemura・Yoshiaki Nakano(The Univ. of Tokyo) |
C-3/4-61 |
ゼロパディング補間に使用する窓関数位置ずれ補正によるFMCW LiDARの高精度化
○上野雅浩・田中優理奈・赤毛勇一・坂本 尊・川村宗範・佐藤映虹・岡 宗一(NTT) |
マイクロ光周波数コム(マイクロコム)は小型・量産可能な光周波数コムとして注目され、光通信、LiDAR、周波数シンセサイザーなどに展開されている。本講演ではマイクロコムの可能性をさらに広げるために開発している(1)ソリトンコムの高速・広範囲の周波数掃引と周波数変化測定技術と(2)低位相雑音化技術について紹介する。(1)の技術はソリトンコムを用いるLiDARの高精度化や、分子分光を含むサンプルの振幅と位相応答を測定する光ベクトルアナライザへの展開が考えられ、(2)はソリトンコムから発生するミリ・THz波を用いるレーダーの高感度化や第6世代通信(6G)の高純度キャリアへの展開が期待される。
近赤外領域に存在する分子の吸収線を,波長可変レーザによって検出する分子分光方式(TDLAS)が実用化されているが,背景分子の吸収線が掃引波長内にある場合,誤検出を起こしてしまう.そこで我々は吸収線の間隔の特異性に着目し,吸収線の絶対波長だけでなく,吸収線の間隔も高精度に測定することによるセンサー方式を提案している.今回,アセチレンガスを対象とした実験を行い,44GHz繰り返し光周波数コムを用いることで,低分解能な分光器によって分離した光コム線成分2成分を同時に掃引し,176.63GHz離れた2本の吸収線の吸収曲線形状とそのピーク間隔を高精度に検出できることを示した.
本研究では、光周波数コムをマイクロ波・ミリ波発生装置の雑音の高感度検出器として利用し、その雑音を減らすような制御機構を実現することにより、マイクロ波からミリ波までの広帯域な信号の雑音を大幅に低減する技術の開発に成功した.本講演では低ノイズマイクロ発生及びその要素技術(SiN導波路を用いた広帯域光発生)について報告する.
光を用いた測距技術(Light detection and ranging:LiDAR)の中でも、周波数変調を施したレーザ光源を利用したFrequency-modulated continuous-wave(FMCW)方式は検出感度に優れており現在注目が集まっている。FMCW方式では、レーザ光源の周波数掃引の線形性が測距精度の向上において重要であり、発振スペクトル線幅の狭窄化は測定可能距離の拡大に寄与する。また低コスト化のためには半導体レーザの直接変調を活用することが有望であることから、本研究では、我々が提案している光負帰還狭線幅半導体レーザの直接変調によって線形な周波数掃引を実現し、これを用いて長距離の測距を行った。
200-m detection range can be achieved with 260 channels for the pulsed-driven SOAs OPA-LiDAR, while 540 is required for the DC operation. Moreover, the averaged power consumption is 2.7W (excl. temperature controller) in this condition, which is only 0.58% of that under DC. By driving the SOA array with synchronized pulsed current, therefore, we can significantly reduce the total current and heat dissipation on the chip.
我々は鉄塔等のインフラのメンテナンス用にFMCW LiDARの研究を行っている。測定距離精度は、物体反射点信号PSFへかける窓関数の中心位置とPSFピーク位置とのずれ量と窓幅に依存し、ずれ量が大きいほど窓幅を広くすれば精度が維持できる。処理時間短縮には窓幅は狭いことが望ましい。PSFに近似した2次関数ピーク位置を窓関数中心位置としたところ、精度を保持したまま窓幅が従来の1/20となり、処理時間は従来の1/10となった。
(15:00 開始) 座長 荒川太郎(横浜国大)
[光無線]
C-3/4-62 |
画像認識に基づく複数室内端末への半自動順次光無線給電システムの構築
◎植田紘司・宮本智之(東工大) |
C-3/4-63 |
Optical Wireless Power (~1W) and Data (~1GHz) Transmission using Hybrid Laser Beam System
○Sicheng Lu・Yoshiki Iwabuchi・Takeo Maruyama(Kanazawa Univ.) |
C-3/4-64 |
Study on optical wireless communication applied to optical wireless power transmission
○Lingjian Meng・Tomoyuki Miyamoto(Tokyo Tech) |
C-3/4-65 |
Investigation of Detection Range of Safety System for Optical Wireless Power Transmission based on Depth Camera
○XiaoJie MA・Tomoyuki Miyamoto(Tokyo Tech) |
光無線給電システムの構成は.一対一の固定端末間のほか,多数のIoT端末など,複数端末を対象とする構成もある.後者では,より少数の光源から各端末へ順次光照射する構成が想定される.そこで本研究では,室内に端末が複数存在し,その設置位置も常時移動ではなく適宜変更されるというシステムを想定した.特に今回は1つの光源を用いて多数端末への順次光無線給電を行う構成の実現を目標とした.今回,太陽電池の認識系,光ビームの方向制御系,複数端末への順次給電の初期的構成を検討した.特に,光源から見たおおよその位置を事前に手動設定し,画像認識を利用して太陽電池の正確な位置を把握する半自動化の構成とした.
Hybrid wireless optical power and data transmission system has been designed and developed using 980 nm and 850 nm laser, respectively. Around 1 W optical power and 1 GHz data transmission has been demonstrated in this system.
In this paper, the optical wireless communication for the OWPT was investigated as an initial configuration to notify the received optical power as simple analog information. The importance of communication for the OWPT system was discussed and an initial basic communication experiment was constructed and evaluated.
Optical wireless power transmission (OWPT) systems are attractive photonic systems. However, OWPT has safety problems such as unexpected and unnecessary light beam irradiation. The safety system of the OWPT system has been constructed based on an unnecessary approaching object detection scheme using a depth camera. In this report, the improvement of the recognition logic and the confirmation of the detection range from 150 cm to 450 cm are reported.
(16:00 開始) 座長 吉田真人(東北大)
C-3/4-66 |
地上走行型モビリティへの移動中光無線給電の基礎検討
◎鶴田公隆・宮本智之(東工大) |
C-3/4-67 |
光ファイバの波長分散特性を用いたテラヘルツ波ビームステアリング
◎齋藤 匠(九大)・高坂繁弘(古河電工)・加藤和利(九大) |
C-3/4-68 |
高繰り返しテラヘルツパルス波の測定に向けた新規自己相関系
◎山本留央・加藤和利(九大) |
C-3/4-69 |
28GHz帯A-RoF用光送信モジュールの温度特性
○安田裕紀・相葉孝充・若林知敬(矢崎総業)・川西哲也(早大) |
モビリティへの移動中無線給電を実現するには,給電設備には広いインフラシステムの準備が必要である.極短距離の無線給電方式ではこの広域インフラの整備が課題となる.そこで長距離給電が期待できる光無線給電が,給電インフラ設備を大幅に抑制できる可能性から有望である.移動中光無線給電システムの構築には,モビリティ本体ともにこのインフラ系の検討も必要だが,これらの検討事例が実質上なく,インフラ系とモビリティ本体の詳細な構成や課題を明らかにする必要がある.今回,インフラ系に関する基礎的な検討と,玩具を利用した小型システムによる評価を行ったので報告する.
近年急速に増大している無線伝送の大容量化に対応するために、我々はフォトミキシング技術を用いたテラヘルツ波生成法を研究している。テラヘルツ波利用における課題は、高周波ゆえに電磁波出力が低いことであり、その解決策の1つは、テラヘルツ波のパワーを目的の方向に集中させることができるビームステアリングである。本発表では、実験系の各光路にシングルモードファイバ(SMF)と分散補償ファイバ(DCF)の2種類の光ファイバを使用し、SMFとDCFの波長分散を用いたフォトミキシング技術による新しいビームステアリング法を提案した。 提案手法を用いて、テラヘルツ波ビームのピーク位置が約65度変化することを実験的に確認した。
通信量の爆発的な増加のため、より広帯域の無線通信技術の確立が急務である。通信目的で使用される無線周波数の帯域幅の制限により、テラヘルツ波帯が未開拓の周波数帯として注目されている。テラヘルツパルス波は、従来の連続波キャリアよりも伝送効率が高く、大規模データ伝送に最も効果的な媒体のひとつとされる。テラヘルツパルス波を生成する方法として、高繰り返し光パルス列を光電変換することがあげられる。この方法は従来の光技術を活かして波形を測定できるという利点があり、我々は以前、波形測定のための光遅延に基づく自己相関系を提案および実証した。今回我々は同じく光遅延を用いた別の自己相関系を考案し、シミュレーションおよび実験によって従来の系との差異を比較した。その結果、新しい自己相関系が元のパルス波形をより正確に推定できることを突き止め、実験によってその傾向を確認した。
IoTの普及により,無線通信のさらなる伝送容量の増加がみられ,大容量のデータを送信するため,高SHF帯が利用される.高SHF帯は大容量化が可能な一方で,遮蔽の影響を受けやすく,建屋内や車内など無線信号が届かないエリアが生じる.そこで確実かつ低コストに無線が届かないエリアに高SHF帯の信号を届ける技術として,直接変調で駆動するVCSELとマルチモード光ファイバを用いたAnalog radio over fiber(A-RoF)が期待される.これに用いられるVCSELは温度による特性変化があることから,A-RoFの伝送特性に対するその影響を調べることは重要である.そのため,28GHz帯の無線信号を伝送するA-RoFの光送信モジュールの周波数応答特性および伝送特性の温度依存性の評価を行った結果について報告する.
C-5. 機構デバイス
9月14日 10:00〜10:30 Meeting 29 座長 萓野良樹(電通大)
C-5-1 |
直流高電圧回路内で発生する開離時アークのPOM製の分断板による強制分断
◎坂本 匠・関川純哉(静岡大) |
C-5-2 |
粗い表面が接触する時の接触抵抗と接点表面変形の表面粗さ依存性
◎篠村公介・関川純哉(静岡大) |
狭小な空間内での開離時アークの消弧手法として,発表者らは過去に,PTFE製の分断板を用いて開離時アークを空間的に分断し強制消弧し結果を報告した[1].その結果として,PTFE製の分断板を用いた開離時アークを空間的に分断し強制分断が可能であることが確認された.本報告では分断板としてPOMを使用する.POMは,PTFEと比較して,蒸発しやすいため,発生したガスによるアークの早期消弧が期待される.
本報告では100V-600VDC/10Aの抵抗性負荷回路内で発生する開離時アークに対して,POM製の分断板を挿入し,開離時アークを強制的に消弧させた実験結果について報告する.
電気接点の接触現象において,接触抵抗を決める要因としては境界抵抗と集中抵抗がある.集中抵抗は表面形状に依存するので,表面粗さによる影響を受ける.発表者らは,表面粗さが異なる銀接点対を用いて,接触荷重を増加後に減少させた場合の接触抵抗-荷重特性と変位を同時測定した結果を報告した.その報告では,接点表面の粗さが粗い場合の実験条件が#1000と#240の研磨紙を使用した場合で少なく,その違いについて明確することができなかった.
そこで,本報告では,表面粗さが粗い場合の粗さの実験条件を増やし,荷重印加に伴う,接触抵抗と接点表面の突起の変形特性について調べた結果を報告する.実験手法としては,銀接点対の接触開始から設定荷重印加時までの接点間隙の変化を最大変位として測定した.
C-6. 電子部品・材料
9月16日 10:00〜11:30 Meeting 26 座長 武山真弓(北見工大)
C-6-1 |
植物工場における自動誘引に向けた感知システムの検討
◎天野渓太・佐藤 勝・武山真弓(北見工大) |
C-6-2 |
電気的特性を用いたエゾシカ肉の呈味性評価に関する検討
◎梅村壮一朗・佐藤 勝・武山真弓(北見工大) |
C-6-3 |
抵抗変化メモリのためのHfO2膜の低温作製
○川合祐貴・佐藤 勝・武山真弓(北見工大) |
C-6-4 |
磁性積層体を用いた電波受信アンテナの開発
○外塚 充(東静工業)・矢澤翔大・吉峯 潤・鈴木大貴(日大)・渡邊 洋(東静工業)・新妻清純(日大) |
C-6-5 |
チタン酸バリウム単結晶ナノ粒子の粒度分布
○山口正樹・山﨑美沙・齋藤敦史(芝浦工大)・山本 孝(阪府大) |
C-6-6 |
ホットメッシュを用いたレーザーアブレーション法によるSiC成長
葛西大希・○中澤日出樹(弘前大) |
植物工場は,天候に左右されないことやトレーサビリティの高さから注目が集まっている.また、栽培作業の自動化の必要性が高まっており、最終的には、完全自動化を目指している.そのためにも、数ある作業の自動化を進めることが必須である.その中で我々は、作業時間数が多い管理作業のうち誘引作業に焦点を当て、赤外線LEDとフォトトランジスタを組み合わせたツルの先端の有無を感知するシステムを模索した.その結果、LEDとフォトトランジスタ間の距離を大きくすることでより小さな物体を感知できることが明らかとなった.
現在,全国的に問題となっている野生鳥獣による農林業被害に対し,特に北海道では,エゾシカの被害防止のため,駆除が進められているが,その中でジビエ利活用に回るのは1割程度と言われている.その理由として,エゾシカ肉にジビエ独特の臭みがある,肉が硬いなどの理由があり,消費拡大にはつながっていない.我々は,北海道に生息する栄養価の豊富なエゾシカ肉の食肉利用に着目し,かねてよりエゾシカ特有の臭みを抑え,柔らかい肉質に変化させることに成功してきた.本研究では,異なる処理施設のエゾシカ肉のおいしさ評価について検討を行い,エゾシカ肉の臭み,柔らかさなどの呈味性の変化を電気的な特性として評価することが可能であることを示した.
近年、フラッシュメモリより動作速度が速く、消費電力を低くすることができる抵抗変化メモリが注目されている。しかしながら、低電流で動作する抵抗変化メモリの作製は困難な課題となっている。本研究では、低消費電力で動作し、かつ低温で作製可能な抵抗変化メモリの材料開発を行い、スパッタ成膜中の混合ガス中の酸素ガス濃度を変化させたHfO2膜を作製し、その膜のI-V特性を検討した。その結果、混合ガス中の酸素ガス濃度が増加するにつれて、電圧が低い状態で急激な電流値の変化が起こり、さらに変化後の電流値も低く抑えることができることが明らかとなり、HfO2膜が抵抗変化メモリの材料の一つとして有望であることが実証された。
電波受信アンテナは小型軽量化が求められている.アンテナに使用されている磁性材料としてフェライト材料が広く用いられている.しかしながら小型軽量化への対応は必ずしも十分とは言えない.電子部品の小型化を実現する磁性材料としてFe基アモルファス材料,ナノクリスタル材料などの金属磁性材料が注目されている.本研究では,金属磁性材料を用いたアンテナを設計し従来のフェライトアンテナとの比較を行った.その結果,ナノクリスタル材料を用いたアンテナにおいて,フェライトアンテナと同等のL値とQ値が得られるように設計した場合,フェライトアンテナに比べ厚みを約10分の1,重量は約6分の1に小型軽量化できることがわかった.
低炭素社会あるいはスマート社会の実現に向けて近年,さまざまな取り組みが行われている.そのなかで圧電体・強誘電体材料は,振動発電や構造ヘルスモニタリングなどのデバイス材料として,応用分野をさらに広げている.我々は材料利用効率の高い印刷法による圧電・強誘電体薄膜形成の試みのなかで,チタン酸バリウム単結晶ナノ粒子の合成を行なっている.しかし,合成粒子は形状・サイズが不揃いなため,所望粒子の収率改善がひとつの課題となっている.そこで本研究では,合成粒子の粒度分布変化に関する検討をとおして,その収率改善のための方法について考察した.
ホットタングステンメッシュを用いたレーザーアブレーション法により、水素ラジカルを照射しながらSi(110)基板上にSiC薄膜を成長した。SiC薄膜のC組成は、水素圧力の増加に伴い減少した。これは、水素ラジカルによってSiC成長表面上の過剰なCがエッチングされたことを示している。水素ラジカルを用いて作製したSiC薄膜は、Si基板のSi原子外方拡散が抑制され、水素圧力が0.4 Paのとき最も平坦性が高くなることがわかった。一方、水素圧力が0.4 Paより増加するとSiC薄膜の表面粗さが増加した。また、水素ラジカルを用いることでSiC薄膜の結晶性が向上し、内部圧縮応力が緩和されることがわかった。
C-7. 磁気記録・情報ストレージ
9月17日 10:00〜10:30 Meeting 18 座長 田河育也(東北工大)
C-7-1 |
BaFe磁気テープを用いた磁気テープ装置におけるCIRCの性能評価
◎赤松汰星・仲村泰明・西川まどか・岡本好弘(愛媛大) |
C-7-2 |
ホログラフィックデータストレージにおける球面波シフト回転多重方式の検討
◎齋藤大和・吉田周平(近畿大) |
BaFe磁気テープ装置のバースト誤りに対する耐性をCIRC符号を用いて検討している。
ホログラフィックデータストレージはホログラフィの原理を利用したストレージである。このストレージは「ページデータ」と呼ばれる画像を記録することで一度の光照射で電子データを一括に記録、再生できるという特徴があり、従来の光ディスクに比べてデータ転送速度が優れている。さらに、記録媒体の同一箇所に多重記録が可能であり、記録密度も高い。また、フォトポリマーを記録媒体として用いる場合、データを50年以上保持できるとされている。
本研究では、参照光を球面波とし、媒体のシフト多重と回転多重を組み合わせた多重記録方式を検討した。評価実験ではフォトリフラクティブ結晶を使用して提案方式による記録再生を行い、その有効性を検証した。
C-8. 超伝導エレクトロニクス
9月16日 9:00〜11:45 Meeting 20 座長 日高睦夫(産総研)
C-8-1 |
高Q値高周波用超伝導線材コイルを用いた小型コイルへのワイヤレス電力伝送
◎桶田将弘・作間啓太・關谷尚人(山梨大) |
C-8-2 |
SFQ回路における細線PTLの配線長マッチングを考慮した配線手法
◎△北村研人・川口隆広・高木直史(京大) |
C-8-3 |
単一磁束量子回路における受動伝送線路の減衰特性評価
◎池戸駿介・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
C-8-4 |
断熱量子磁束パラメトロン回路のゲート間配線における伝送線路効果の検討
◎浅井和人・竹内尚輝・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
C-8-5 |
断熱量子磁束パラメトロン回路の長距離配線における反射の調査
○水島直哉・竹内尚輝・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
我々は、これまでに、高周波で低損失な新規超伝導線材構造を提案し、実装上の課題を解決することで、その線材を用いたコイルのQ値が、銅コイルの20倍になることを明らかにした。本発表では、この高周波用超伝導線材を用いた高Q値コイルをワイヤレス電力伝送(WPT: Wireless Power Transmission)に応用し、特に、カプセル内視鏡などを想定した小型コイル(直径9 cm)への高効率WPTについて検討した。WPTシステムの設計は、共振周波数、結合係数、外部Q値の3つのパラメータで規定され、最適なパラメータを得るために、はじめに、各パラメータの測定を行った。その後、伝送効率の測定を行い、結果として、従来技術では困難であった伝送効率の改善を実現したので報告する。
超伝導磁束量子(SFQ)回路はその高速性、低消費電力性から次世代の集積回路技術であることが期待されている。現在、SFQ回路で使用される受動配線路(PTL)の細線化が検討されており、細線PTLを配線に用いることでより面積効率の高い配線が可能になるが、回路の層間を接続するビアの配置する場所が制限される。本稿ではこの細線PTLのために、ビアの配置位置を考慮した自動配線手法を提案する。想定する回路は高いスループットを実現するゲートレベルパイプライン回路であり、タイミング調整のために配線長マッチングを行う。提案手法を実装し加算器の配線を行った。
近年の増加し続ける情報化社会に対処するためには、情報処理システムの高速化、高機能化が必要である。そこで消費電力が半導体集積回路に比べ2~3桁低く、高速性においても数十GHzでの高速動作が可能である単一磁束量子 (Single Flux Quantum : SFQ) 回路が注目されている。SFQ回路の長距離配線には受動伝送線路Passive Transmission Line (PTL)が用いられる。PTL は超伝導であるため、我々のシミュレーション環境では無損失、無分散な伝送線路として扱ってきたが、実際には表面抵抗の影響でパルスが減衰してしまう。PTL上でのパルスの減衰を考慮した長距離伝搬のシミュレーションおよび測定評価を行った。
我々は超伝導集積回路の一つである断熱量子磁束パラメトン (adiabatic quantum-flux-parametron; AQFP) 回路の研究を行っている。AQFP回路は静的な消費電力がなく、スイッチングの際にエネルギーポテンシャルを断熱的に変化させることで動的な消費電力を劇的に減少させることが可能である。したがって、CMOS回路と比較すると5 - 6桁程度低い消費電力で5 - 10 GHzの高速動作が可能である [2]。
我々は、AQFP回路を用いた大規模回路設計を目指している。そこでより正確なディジタルシミュレーションモデルを考えるにあたりAQFP回路の配線間遅延を考慮する必要性がある。そのため、AQFP回路の配線として伝送線路モデルを用いた場合の影響を検討している。
今回は、AQFP回路の配線として伝送線路を用いた場合の動作シミュレーションを行い、反射効果を安定化させるための方法を調査し、配線長と動作の関係を調べた。
我々は超伝導論理回路の一種である断熱量子磁束パラメトロン(AQFP)回路の研究を行っている。AQFP回路は省電力性に優れており、CMOS回路に比べ5~6桁程度低い消費電力で5~10GHzの高速動作が可能となっている。
AQFP回路はその動作原理上、配線長に制限を設ける必要があり集積度が低下するという問題がある。我々はこの問題を解決するために出力を増幅するbooster回路を設計し、従来ゲートでは0.8 mm であった最大配線長を約4 mmまで延長できることを示した。ただし、この結果は配線を集中定数のインダクタンスとしてモデル化したシミュレーションに基づいたものであり、伝搬遅延や反射の寄与が無視できないような高速動作の場合には対応していなかった。今回は伝送線路モデルを用いてシミュレーションを行い、最大配線長の計算とその改善を行った。
休 憩(10:30 再開) 座長 山下太郎(名大)
C-8-6 |
断熱量子磁束パラメトロン回路を用いた浮動小数点加算器の設計
○△田中智之・Christopher L. Ayala・吉川信行(横浜国大) |
C-8-7 |
可逆磁束量子パラメトロン回路の論理合成の最適化に関する研究
○齋藤蕗生・Christopher L. Ayala・竹内尚輝・山栄大樹・吉川信行(横浜国大) |
C-8-8 |
可逆量子磁束パラメトロン回路を用いた4-bit算術論理演算器の動作実証
◎山栄大樹・竹内尚輝・吉川信行(横浜国大) |
C-8-9 |
量子磁束パラメトロンによるボルツマンマシンの設計と動作点最適化
○三宅航平・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
C-8-10 |
断熱量子磁束パラメトロンFPGAの動作評価
○高橋大地・山梨祐希・吉川信行(横浜国大) |
近年の情報化社会は、半導体集積回路が牽引してきた。しかし、スケーリング則の限界を迎えつつあり、CMOSに代わる集積回路技術が必要である。
そこで我々は断熱量子磁束パラメトロン(AQFP)に注目し、研究を行っている。AQFP集積回路は、CMOS集積回路に比べ、6桁程度低い消費電力で動作し、5~10 GHzで駆動できるという利点がある。既存のシステムをAQFP回路で置き換えることで、低環境負荷で高速な計算機を構築できる。
特に近年、機械学習を用いた問題解決が盛んに行われているが、計算に必要な時間や、消費電力の増加が問題となっている。AQFP回路を用いて機械学習を行う事でこれらの問題を解決することができると考えた。
本発表では、bfloat16フォーマットに基づく浮動小数点加算器の設計を行ったため、これを発表する。
我々は、断熱磁束量子パラメトロン(Adiabatic Quantum Flux Parametron, AQFP)回路と呼ばれる超伝導論理回路についての研究を行っている。AQFP 回路は CMOS と比較して 5桁程度低い極低消費電力で駆動可能である他に、RQFP ゲートと呼ばれる可逆ゲートを用いて可逆回路を構成することが出来るという特徴がある。非可逆回路よりさらに低い消費エネルギーで計算が可能となる Reversible な QFP 回路(RQFP 回路)に関する設計方法について我々は研究を行っている。本研究では既に提案した可逆論理合成手法を発展させ、ゴミ出力を再利用するための方法を示し、最適化手法の効果を検討する。
可逆計算は熱力学的に可逆な過程で行う計算であり、準静的に動作させることで計算に伴う消費エネルギーを無限小にすることが可能である。我々は超伝導回路である断熱量子磁束パラメトロン(AQFP)を用いた可逆論理ゲートである可逆QFP(RQFP)を用いた高エネルギー効率な計算システムの実現にむけて様々な論理回路の動作実証を行ってきた。今回は、RQFPを用いた4-bit算術論理演算器(ALU)を設計し、動作実証を行った。数値計算において、設計した可逆ALUの消費エネルギーは従来のAQFPで設計した不可逆ALUのものと比較して低消費エネルギーであることを確認した。測定において、4-bit ALUの正常動作を確認した。
本研究では,超伝導回路によるボルツマンマシンのハードウェア実装を実現するための,バイアス電流最適化手法について検討した.
ボルツマンマシンを超伝導回路を用いて実現することでより低消費電力での実装が可能であると考えられる.
超伝導回路のひとつである断熱量子磁束パラメトロン(Adiabatic Quantum Flux Parametron : AQFP) 回路[1]は、高速動作性、低消費電力性に優れ、CMOS 回路に代わる次世代デバイスとして研究されている。我々は、任意の論理回路をプログラムすることができるデバイスであるField Programmable Gate Array (FPGA)を、AQFPを用いて構築した。AQFPを用いることで、FPGAの消費エネルギーを大幅に削減することができると考えられる。これまでに、メモリ部分にはCMOSを、論理ブロックや配線要素にはAQFPを用いたハイブリッドFPGAの動作実証が行われている。今回の発表では、メモリ部分も含めて全てAQFPで構築したFPGAの動作評価を行う。
9月16日 13:30〜16:15 Meeting 20 座長 高木直史(京大)
C-8-11 |
Josephson/CMOSハイブリッド回路を用いた量子ビット制御システムの設計
○沈 泓翔(横浜国大)・竹内尚輝(産総研)・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
C-8-12 |
Josephson-CMOSハイブリッドメモリの1 Gbps/channel読み出し動作のデモンストレーション
◎弘中祐樹・吉川信行(横浜国大) |
C-8-13 |
RSFQ回路のラッチ機能を活用したコンパクトな多項式計算Stochastic Computing回路の設計手法
○和田航輝・鬼頭信貴(中京大) |
C-8-14 |
単一磁束量子回路を用いた離散型Hopfieldニューラルネットワークの設計
○赫 厚聞・山梨裕希・吉川信行(横浜国大) |
C-8-15 |
振幅可変SFQマイクロ波生成器のためのCircular Shift Registerの設計及び評価
○国広 皓・山梨祐希・吉川信行(横浜国大) |
量子コンピューターは、現在のコンピューターでは実現不可能な、膨大な量の計算を短時間で行うことができる可能性を持つ。我々は、量子ビット数の規模増大を目的として、低温において量子ビットを直接制御するインターフェイス回路の研究を行なっている。量子ビットの操作法の1つとして、振幅と間隔が任意に制御されたマイクロ波を量子ビットに照射することが必要とされる。
単一磁束量子(Single Flux Quantum; SFQ)回路[2]や断熱量子磁束パラメトロン (Adiabatic Quantum Flux Parametron; AQFP)回路[3]等の超伝導回路は、5-50GHz での高速動作が可能であり、消費電力が低いといった特徴を持つ。一方、低温CMOS回路は駆動力が大きく、高集積性に優れている。そこで、我々は、超伝導回路の高速性、低消費電力性と、低温CMOS回路の駆動力と高集積性の両者の長所を融合したJosephson/CMOSハイブリッドインターフェイスの実現を目指している。本研究では、4.2Kでの動作を想定して、量子ビットに対して任意振幅のマイクロ波パルスを照射可能なハイブリッドインターフェイスを設計した。
Josephson-CMOSハイブリッドメモリにおける高速読み出し動作を実証するため、シーケンシャルアクセスJosephson-CMOSハイブリッドメモリ及びその出力に対する演算回路としての単一磁束量子 (SFQ)アキュームレータを設計した。CMOSメモリはシフトレジスタデコーダを用いて、外部クロック入力によってシーケンシャルなアドレス指定を行う。SFQアキュームレータは外部クロック入力によりCMOSメモリとの動作を同期し、メモリからの2×16-b出力信号に対し加算及び積算を行う。AIST-ADP2並びにRohm 180 nm CMOSプロセスを用いて設計及び試作を行った回路の実験において、1 channel当たり最高動作周波数1.1 GHzでのメモリ読み出し動作が得られた。
Stochastic computing(SC)は,ビット列中の1の出現割合で数値を表現し演算を行う方法である.SCでは,ANDゲート1つで乗算が実現可能である.RSFQ回路は,各ゲートがクロック端子を持ち,SCの時刻分けされたビット列を自然に扱うことができる.また超高速に動作することから,SC回路の実現に向くと考えられる.
本稿では,多項式を計算するSC回路の設計手法を提案する.提案手法では,面積が大きな定数ビット列の生成回路を削減するため,1つの任意の定数ビット列から複数の定数ビット列を生成する.SCでは,演算ビット間に相関があると演算誤差が大きくなるが,データ線に記憶素子を挿入し時刻をずらすことで相関を削減できる.提案手法では,RSFQゲートの入力がラッチ機能を持つことを活用し,相関削減のために挿入するDFFの数を最小化する.
人工ニューラルネットワークは人間の脳の神経ニューロンを数理化モデル化して組み合わせることより生体を模倣する回路であり、パターン認識や画像処理などの情報処理システムとして期待されている。半導体集積回路技術に基づく人工ニューラルネットワークは、微細化の限界、消費電力、発熱量などの問題が存在している。近年の増加し続ける情報化社会に対処するためには、情報処理システムのさらに高速化、高機能化される必要である。そこで半導体集積回路に代わる単一磁束量子回路(Single Flux Quantum: SFQ)回路が注目されている。SFQ 回路は数十 GHz での動作が可能であり、消費電力が半導体回路に比べ 2~3 桁程度低く動作することが特徴である。我々はSFQ 回路を用いて人工ニューラルネットワークの一種である離散型Hopfieldニューラルネットワーク(Discrete Hopfield Neural Network: DHNN)を実装することを研究している。
本研究ではSFQ回路を用いて2パターンを認識できる8ビット入力のDHNNの回路設計を行なった。
我々は,単一磁束量子 (Single Flux Quantum: SFQ) 回路を用いた量子ビット制御回路について検討を行っている.超伝導ジョセフソン接合を用いた量子ビット (超伝導量子ビット) に対しマイクロ波を照射することで量子ビットを操作する.量子ビット制御用のマイクロ波はSFQパルス列から生成することが可能であり,SFQパルス列密度を変えることで任意の振幅のマイクロ波を得る.今回,量子ビット制御用のマイクロ波を出力するマイクロ波生成器を構成するCircular Shift Registerの実証実験を行い,設計回路の動作を確認した.本回路はAIST-ADP2プロセスを用いて設計を行った.回路シミュレーションにより,設計した回路は最高108 GHzで動作することを確認した.
休 憩(15:00 再開) 座長 山梨裕希(横浜国大)
C-8-16 |
タイミングジッタを利用する RSFQ 真性乱数生成器の性能評価
◎佐藤健太・瀬賀直功・曽明裕太・島田 宏(電通大)・小野美 武(福岡工大)・水柿義直(電通大) |
C-8-17 |
バイナリ分割合成方式を用いた4-bit RSFQ-DAC の動作実証
○瀬賀直功・曽明裕太・島田 宏・水柿義直(電通大) |
C-8-18 |
単一磁束量子回路に基づくゲートレベルパイプライン浮動小数点演算器の設計
○長岡一起・加島亮太・田中雅光・山下太郎(名大)・川上哲志・井上弘士(九大)・藤巻 朗(名大) |
C-8-19 |
アンシャント接合による加算器の高速化
◎国吉真波・長岡一起・田中雅光・山下太郎・藤巻 朗(名大) |
C-8-20 |
低レイテンシ化を目的としたインターリーブ方式レジスタを伴う単一磁束量子データパスの動作実証
◎加島亮太・長岡一起・中埜智貴・田中雅光・山下太郎・藤巻 朗(名大) |
セキュリティの向上のために真性乱数が求められており、それにはノイズなどのランダムな自然現象を利用する。
本研究では、臨界電流密度10kA/cm2のNbプロセスにおいてタイミングジッタを利用する乱数生成回路の特性を調査した。
乱数生成回路を作製し、バイアス電圧を変えながら20kbitsの乱数列を26本取得した。乱数列の乱数検定に対する合格率は2.5mVと2.6mVで100%となった。また、合格に最も影響した1が出現する平均確率はバイアス電圧に対して単調増加した。
単一磁束量子(SFQ)回路の応用として,ディジタル-アナログ変換器(DAC)を用いた交流電圧標準の設計が注目されている.
SFQ-DAC の出力電圧Voは交流ジョセフソン効果で表され,接合を通過するSFQ の出力周波数f,
磁束量子の大きさφ0に対してVo = φ0fで与えられる.
我々はSFQ 出力周波数fの変調回路を用いてVo = φ0f(t)となる時間変調信号の作成を検討している.
これまでには,SFQ のパルス数を可変増倍させる回路(Variable Pulse Number Multiplier :VPNM)を用いた構成で研究が行われていた.
本研究では倍率可変方法の変更,および試作した4-bit RSFQ-DAC の動作試験について述べる.
超伝導単一磁束量子に基づくゲートレベルパイプライン浮動小数点加算器と乗算器の設計を行った。ビット長は浮動小数点数を表現するために必要最小限のビット長となる、5 bit(符号部: 1 bit、指数部: 2bit、仮数部: 2 bit)に設定した。主な構成要素である指数計算部や仮数計算部の同一パイプラインステージをツリー状のクロック分配により同一タイミングで信号が伝搬するように設計し、要素回路間のタイミングずれを防いだ。シミュレーションの結果、50 GHzでの動作マージンは設計値の2.5 mVで規格化して80-125%であり、広い動作領域を確保できた。
単一磁束量子回路において、各論理ゲートの動作周波数は、コンカレントフロー方式のクロッキングにより配線遅延が相殺できる場合、セットアップ時間とホールド時間の和で決まる入力禁止時間によって制限される。数値計算により、XORなど一部の論理ゲートは大きな入力禁止時間を持ち、回路の動作周波数を律速することが分かっている。本稿では、入力禁止時間の縮小による回路動作の高速化を目的に、アンシャント接合を導入したXORゲートとそれを用いた加算器を設計し、実験により動作周波数の評価を行った。その結果、通常のXORゲートを用いた加算器の最高動作周波数は82 GHzであるのに対し、アンシャント接合を導入したXORゲートを用いた加算器の方は90GHzまで動作した。
単一磁束量子回路を用いて、高スループット志向のビットパラレル処理データパスが実証されたが、高周波数動作化をした際のパイプライン段数・レイテンシの増大が懸念される。本稿では、パイプライン段数及びレイテンシの増大を低減する新たな設計指針として、インターリーブ方式のレジスタファイルを用いることを提案する。この指針を用いて4ビットのデータパスを設計し、指針を用いない場合の設計と比較した結果、レイテンシの削減に成功した。また、設計したデータパスをアドバンストプロセスを用いて作製し、高周波試験を行った結果、実装した全ての命令で50 GHz程度での正常動作を確認した。
C-10. 電子デバイス
9月17日 10:00〜11:30 Meeting 21 座長 藤代博記(東京理科大)
C-10-1 |
Sr2MgSi2O7:Eu蛍光体の発光特性における希土類添加効果
○川嶋智寛・贄 光希・小南裕子・原 和彦(静岡大) |
C-10-2 |
プラズモニック回折によるSiイメージセンサの近赤外感度向上
◎吉永崇仁・橋本和磨(静岡大)・寺西信一(兵庫県立大)・小野篤史(静岡大) |
C-10-3 |
有機光電変換膜を適用した撮像デバイス用増幅型TFT画素回路
◎今村弘毅・堺 俊克・高木友望・峰尾圭忠・渡部俊久・佐藤弘人・相原 聡(NHK) |
Sr2MgSi2O7:Eu,Dyは既存の蓄光蛍光体SrAl2O4:Eu,Dyと比較して耐水性に優れており、より適切な電子トラップ準位の形成により特性向上が期待される。本研究ではSr2MgSi2O7:Euにトラップ準位形成に寄与することが期待される希土類元素を共添加した試料を作製し、発光特性と形成準位について調査を行い、特性向上を狙うことを目的とした。光励起発光により、共添加した希土類元素の4f軌道の占有状態によって発光強度が変化する傾向が見られた。一方で、発光強度の増大に対応して時定数τの低下が確認された。従ってτは軌道の電子の相互作用によって変わる可能性が考えられる。
本研究目的は,高感度近赤外イメージセンサの開発に向けた波長940 nm帯のSi吸収率の向上である.本研究では,近赤外感度向上技術として,Siイメージセンサの吸収層に光を閉じ込めるプラズモニック回折構造を提案する.プラズモニック回折格子によって回折された光が金属トレンチ間を往復し,実効的な伝播距離が増長することによりSi吸収率が向上することを解析的に示した.回折角度が80.6°のとき,波長940 nmにおけるSi厚3µmのプラズモニック回折構造のSi吸収率は19.1 %であり,銀回折格子のない場合のSi吸収率3.6%と比較して5.3倍向上した.
単板式小型カメラの高感度化を目指し,異なる波長選択性を持つ複数の有機光電変換膜(有機膜)と信号読み出し用薄膜トランジスタ(TFT)画素回路を積層した構造により光の進行方向で色分離を行うことが可能な撮像デバイスの研究を進めている.本デバイスにおいて,従来のTFT画素回路で課題であった外部ノイズの影響を低減可能な3トランジスタ方式の増幅型TFT画素回路の導入を検討しており,すでに試作した画素回路が良好な動作特性を示すことを確認している.今回,増幅型TFT画素回路に有機膜を適用することにより,放射照度に対応した信号出力を確認するとともに,画素数QVGA・フレームレート60 fpsを想定した信号読み出しの動作速度に問題がないことを確認した.
(10:45 開始) 座長 磯野僚多(サイオクス)
C-10-4 |
電圧-電流型帰還前置増幅回路とクロックドインバータCMOS識別回路の一体化設計による受信回路の低消費電力化の検討
◎一澤春希・大川典男(都立産技高専) |
C-10-5 |
3DNAND型フラッシュメモリの製造技術を用いたニューラルネット用論理回路の提案
◎山口トオル・渡辺重佳(湘南工科大) |
C-10-6 |
InGaAs/InAlAs 三重障壁共鳴トンネルダイオードのバイアス依存する S パラメータの評価とモデリング
○相河光太郎・須原理彦・木村拓海・若山潤輝・牧野赳士・臼居克紘(東京都立大)・浅川澄人(都立産技高専)・赤羽浩一・渡邊一世(NICT) |
昨年度ソサエティ大会で発表した、帰還増幅回路における性能比較において、特に帯域特性に優れていた電圧-電流型帰還増幅回路を前置増幅回路に、先行研究より高速度において低消費電力化を図れる結果が得られているクロックドインバータ型CMOS D-FFを識別回路に適用した受信回路の一体化設計を行った。
設計した受信回路を1Gbpsにて動作させた時における低消費電力化を、識別回路の入力電圧である識別電圧と、前置増幅回路を構成するMOSFETのゲート長を変更し、シミュレーションを行うことで検討した。
従来平面型トランジスタを用いたAI用LSIが開発されている.その性能は良いが価格が高い問題があった。本研究では低コストである程度性能が良いAI用論理回路方式を新たに提案することを目的としている。低コスト化のため3DNANDフラッシュメモリの製造技術を用いる.更に各種の用途(クラウド、IOT等)に適した方式を検討する。
三重障壁トンネルダイオード(TBRTD)は2つの量子井戸(QW)の非対称構造により微分負性コンダクタンス(NDC)及び、順/逆バイアスで非対称なI-V特性を生じ、NDCによる発振とゼロバイアス検波の双方を担う設計によるTHz動作デバイス応用が期待できる。本研究では、SI-InP基板上のInGaAs/InAlAsヘテロ構造で設計したTBRTDを作製し、室温における非対称構造に起因するI-V特性を確認した。また、67GHzまでのSパラメータ特性のバイアス依存性評価結果から3D-CADモデルを用いた寄生成分除去を行い、非平衡量子輸送過程を考慮した理論でモデル化して動作上限を予測した。
C-12. 集積回路
9月14日 9:30〜11:45 Meeting 17 座長 佐藤隆英(山梨大)
C-12-1 |
熱電素子を用いてバッテリー寿命を延ばすバッテリー・熱電素子直列接続型DC/DCコンバーターの設計
◎酒本陽介・丹沢 徹(静岡大) |
C-12-2 |
光・無線ハイブリッドエネルギーハーベスト回路の検討
◎辻 大輝・平出佑弥・前多 正(芝浦工大) |
C-12-3 |
回路面積最小でMPPTを実現する熱電発電用チャージポンプ電源回路システムの設計
◎濃野公一・丹沢 徹(静岡大) |
C-12-4 |
インピーダンス圧縮回路を用いたデュアルバンド 無線エネルギーハーベストの検討
◎深谷京冴・平出佑弥・前多 正(芝浦工大) |
エネルギー・ハーベスティング技術により発電された電力を用いてICを駆動させる研究が行われている。エナジーハーベスター(EH)をバッテリーと同時に用いることで電力供給の安定を可能にし、バッテリーの消費電力も抑制することが出来る。本研究ではEHを熱電素子と想定し、バッテリーの長寿命化を実現する電力変換回路システムのコンセプトを実現するためのDC/DCコンバーターの設計を行い、どれだけバッテリーの消費電力を抑制できバッテリーの長寿命化ができるのかSPICEシミュレーションで調べた。今回用いたパラメータでは出力電流が30μA程度の時、本回路によってバッテリーの寿命が約15倍長持ちすることが確認できた。
再生可能な希薄分散エネルギーは微弱であるので、電源の安定確保には、光や環境電波など複数のエネルギー源からの同時回収が魅力的である。一方、既報告の文献では、太陽電池と無線電波の整流回路が同時に動作した場合に、電力回収効率の低下が報告されていることから、太陽電池と整流回路の干渉により回路がどのような影響を受けるのか調査したので報告する。
温度差を電力に変換する熱電発電素子(TEG)がある。TEGは環境温度の変化によって開放電圧VOCが変動し発生電力が変動する。本発表では、クロック周波数fをチャージポンプの出力電力が最大になるような値に固定し、段数Nと容量Cを調整することで環境温度変化時に出力電力が最大になる回路システムを提案する。回路システムはキャリブレーション・モードによって最適なN, Cを決定し、直後のユーザー・モードでこの設定を使用する。TEG出力抵抗600Ω、VOC=0.5V~2.0V、出力電圧VPP=3.0Vの条件で計算を行い、先行研究とN, C変化の本研究を比較した。先行研究と比べ本研究ではVOC=0.5V~2.0Vの時、出力電力最大とする条件で回路面積を1/8に削減できることが分かった。
前回,抵抗圧縮回路を利用した地デジ(500GHz帯)及び無線LAN(2.4GHz帯)のデュアルバンド環境電波エネルギーハーベスト回路を報告した.しかし,抵抗圧縮では,整流回路のリアクタンス成分が変動した際に,整合条件が大きくずれることが判明したので,インピーダンス圧縮(ICN:Impedance Compression Network)を用いた整合回路について調べた結果を報告する.
休 憩(10:45 再開) 座長 小菅敦丈(東大)
C-12-5 |
GIDLリングオシレータを利用したウェアラブルデバイス用小面積CMOS温度センサの開発
◎杜 邦・銭 正阳・梁 耀淦・中村皓平・叶 津銘・王 勝瑋・有賀優太・井上文太・木野久志・福島誉史(東北大)・清山浩司(長崎総合科学大)・田中 徹(東北大) |
C-12-6 |
経爪型光電容積脈波を利用する多目的コントローラの開発
◎叶 津銘・Filipe Satake・銭 正阳・梁 耀淦・杜 邦・中村皓平・王 勝瑋・有賀優太・井上文太・木野久志・福島誉史(東北大)・清山浩司(長崎総合科学大)・田中 徹(東北大) |
C-12-7 |
人工眼用固視微動回路e-Microsaccadeの開発
◎梁 耀淦・銭 正阳・杜 邦・叶 津銘・中村皓平・王 勝瑋・木野久志・福島誉史(東北大)・清山浩司(長崎総合科学大)・田中 徹(東北大) |
C-12-8 |
人工網膜チップの低消費電力化に向けた物体検出回路の開発
○中村皓平・銭 正阳・梁 耀淦・杜 邦・叶 津銘・王 勝瑋・有賀優太・井上文太・木野久志・福島誉史(東北大)・清山浩司(長崎総合科学大)・田中 徹(東北大) |
本研究はgate-induced drain-leakage (GIDL) 電流を応用したリングオシレータ(RO)の温度特性を利用したCMOS温度センサ回路を提案する。GIDL-ROと通常ROの発振周波数の温度特性の違いを利用して、我々はMOSFETのみで構成された温度センサ回路の設計に成功した。このセンサを0.18-μm CMOSテクノロジで試作した。回路面積は0.021mm2と非常に小さく、温度計測範囲は30℃~85℃で温度分解能は34mKである。
本論文では、手指の圧迫による血管の変形に対して光電容積脈波(PPG)が敏感に変化するという特性に着目し、高精度かつ安価なAAC (Augmentative and Alternative Communication) デバイスとして爪に装着するPPG多目的コントローラを提案する。PPG多目的コントローラに使用するPPG信号処理回路を0.18 μm CMOSテクノロジを使って設計・作製した。PPG信号処理回路の動作検証実験から、4つの指の圧迫パターンに対して、明確に異なる4パターンの結果が得られ、設計したチップがPPG多目的コントローラとして適切に機能することを確認した。
人間の眼球は、連続な光刺激に起因する神経適応を防ぐために、固視微動という100 µm以下の小さいランダムな揺れを継続的に行っている。従って、眼球に代わる人工眼にも固視微動の機能が必要である。固視微動は小さな動きであり、機械的にその動きを模擬するのが困難である。それに対して、本研究は電子回路で神経刺激信号を周辺の画素にずらして、刺激部位を変える人工眼用の e-Microsaccade を提案 した。実際に固視微動回路を設計し、3×3 画素のプロトタ イプ回路を 0.18-μm CMOS テクノロジで試作して、動作検 証を行った。設計した固視微動回路は入力選択コードに従 って、受光画素からの信号を 8 方向へ移動できることを実 証した。今後は三次元積層人工眼チップへの実装を行って いく。
人工視覚に関する研究が世界中で行われており、我々は三次元積層人工網膜チップを用いた眼球内完全埋植型人工網膜の研究を行っている.人工網膜は生体に埋植するため,低消費電力化が求められている.本研究では,関心のある物体に対応する網膜細胞だけを電流刺激することで,動作画素数を減らして低消費電力化を実現する「Object detection of interest and stimulation (ODIS)機能」を備えた新しい人工網膜を提案する.本論文では,ODISのコンセプトと10×10画素の試作回路を紹介する.
9月15日 9:30〜12:00 Meeting 17 座長 徐 照男(NTT)
C-12-9 |
ミリ波帯5Gバッテリーレス中継機向け24GHz整流器の高効率化
◎加藤星凪・井出倫滉・白根篤史・岡田健一(東工大) |
C-12-10 |
フェーズドアレイ整流器によるミリ波帯 5G バッテリーレス受信機
◎湯浅景斗・井出倫滉・白根篤史・岡田健一(東工大) |
C-12-11 |
フラットゲイン・低雑音広帯域LNAの検討
◎吉岡 大・森下賢幸・小椋清孝・伊藤信之(岡山県立大) |
C-12-12 |
0.18um CMOS低消費電力29GHz動作IL-VCOの設計
◎松村一樹・高ヶ内洸太・前多 正(芝浦工大) |
今日において,様々な機能をもつ5Gデバイスが必要とされている。中でも無線電力伝送によるバッテリーレスデバイスが注目を集めており、メンテナンスフリーのため設置場所の制約が少なく、様々なところに設置することができる。空間中の伝搬損失の大きいミリ波において,ミリ波帯5Gバッテリーレス中継無線機の存在は不可欠であり,これを設置することにより通信可能範囲のさらなる拡大を目指すことができる。無線電力伝送では受信信号をDC電力に高い効率で変換する必要があり,本稿では24GHzの信号を低入力電力でも高効率で変換する整流器を提案する。
近年, 次世代無線通信である5G通信が展開されており,5Gネットワーク構築にはミリ波フェーズドアレイ通信が用いられている.ミリ波帯電波は建築物への透過特性が悪いために,中継器の大規模配備が必要となる.一方で,中継器の大量配備に伴い,駆動電源による回路規模およびメンテナンスコストが増大する。そこで、無線電力伝送(WPT)によるバッテリーレスな中継機を導入することにより,中継器への電源供給用ケーブルやバッテリーの削減が望まれる.
上記のバッテリーレス中継機を実現するためには,WPTによる信号電力を広範囲で取得する受信機が求められる.本研究では,受信機側に 180°の移相器を搭載し,WPT の広範囲給電を可能としたフェーズドアレイ受信機について提案する.
本研究では,3.4~4.1 GHz帯のフラットなゲインと低雑音特性の広帯域LNAを検討する. 提案するLNAは入出力側ともに並列および直列のLC整合回路を組み込んだカスコード回路で構成されている.シミュレーションの結果,3.4~4.1 GHzにおけるS11,S22,S21,NFの最大値と最小値はそれぞれ−7.30~−14.4 dB,−10.8~−14.7 dB,16.7~15.9 dB,3.11~2.25 dBであった.帯域内のゲインの差は0.76 dBに,NFのピークは3.71 GHzにおいて3.1 dBとフラットなゲイン,低雑音特性を確認した.このLNAの消費電力は1.2 Vで12.0 mWであった.プロセスはTSMCの180 nm CMOSプロセスを使用した.
準ミリ波帯で動作する無線機PLL部の低消費電力化には,高調波注入同期発振器(Injection Locked-Voltage Controlled Oscillator : IL-VCO)が魅力的である. 前回, 0.18um CMOSを用いた,準ミリ波帯動作する注入同期VCOを報告したが, 今回さらなる低消費電力の検討を行ったので報告する.
休 憩(10:45 再開) 座長 丹沢 徹(静岡大)
C-12-13 |
n-pathフィルタジャイレータの制御信号の位相精度がサーキュレータアイソレーションに及ぼす影響
◎奥野 葵・古幡壮太朗・大山健斗・前多 正(芝浦工大) |
C-12-14 |
200kV/μsを超える同相モード過渡耐性を有するダブル絶縁トランスを用いたデジタルアイソレータ
○卯尾豊明・丸山龍彦・清水博明(東芝デバイス&ストレージ) |
C-12-15 |
24GHz帯パワーVCOの高効率化に関する検討
○橋本佳紀・小椋清孝・森下賢幸・伊藤信之(岡山県立大) |
C-12-16 |
DAC帯域3逓倍のためのCMOSアナログマルチプレクサ
◎川原啓輔・楳田洋太郎・高野恭弥(東京理科大) |
C-12-17 |
スイッチトレジスタ電流源を用いたLC発振器の低位相雑音に関する研究
○栢野陽平・伊藤信之・小椋清孝・森下賢幸(岡山県立大) |
3λ/4伝送線路とn-pathフィルタを用いたサーキュレータ(n-pathサーキュレータ)は,完全二重通信システムの小型化に有効である.今回,n-pathサーキュレータを構成するジャイレータ制御信号に,位相ずれが発生した場合の影響について調査したので報告する.
絶縁トランスをカスケード接続したダブル絶縁トランス技術を用いて高ノイズ耐性を有する150Mbpsの高速デジタルアイソレータを提案する。グラウンド電位の分離のため、送信回路および受信回路を別チップで構成してそれぞれのチップに絶縁トランスを集積化した。絶縁トランスのセンタータップはチップグラウンドに接続して、絶縁トランス同士はボンディングワイヤで接続した。提案回路を0.13μm CMOSプロセスで作成し、150Mbpsの高速動作と200kV/μs以上のCMTI耐性を有する事を確認した。
本研究では,24 GHz高効率パワーVCOを検討した.トランス構造のインダクタを用いた相互誘導型VCOの出力電力と電力付加効率を向上させるためには,インダクタの高い結合係数および高いQ値が不可欠である.これらを確認するために,結合係数とインダクタのQ値が異なる3つのインダクタを設計し,試作を行った.測定の結果,インダクタのQ値が高いM6+M4+M3 vs M5構造のトランスを使用したVCOが最大の出力を示し,VDD = 1.8 V,発振周波数21.2 GHzにおいてPout = 15.6 dBm,PAE = 16.0%を得た.本研究ではTSMC180 nmCMOSプロセスを使用した.
近年の光ファイバ通信では信号の多値化が進んでおり,高速なディジタル・アナログ変換器(DAC)が求められている.先行研究ではディジタル信号処理とアナログ乗算を用いてDACの帯域幅を2倍に拡大する帯域2逓倍技術が検討されている.本研究では帯域3逓倍技術に向けて,アナログマルチプレクサ(AMUX)を設計し,シミュレーションにより特性を評価した.提案回路は50 GbpsのPAM4変調信号生成時に0.98 pJ/bitの優れた電力効率を示し,提案技術の有効性が確認された.
本研究では差動LC発振器の低位相雑音化を検討した.基本的な差動LC発振器では,電流源にトランジスタを用いているが,雑音が多く低位相雑音化は達成できていない.そこで電流源の雑音を低減するため,電流源にスイッチトレジスタを用いた差動LC発振器の設計・試作を行った.発振周波数は24 GHzとし,プロセスはローム社180 nm CMOSプロセスを用いた.測定の結果,スイッチトレジスタ電流源回路の1MHz離調における位相雑音は,発振周波数23.2 GHz,コア電流31 mAにおいて−106.0 dBc/Hzとなり,トランジスタ電流源を用いた差動LC発振器に比べて2.2 dBの改善が確認できた.
9月15日 13:00〜17:00 Meeting 17 座長 矢野智比古(日立)
C-12-18 |
(依頼講演45分)集積回路のソフトエラー
○小林和淑(京都工繊大) |
C-12-19 |
P型とN型のFETサイズ比が異なるCMOS論理回路へのγ線照射の影響
○木村有佐・吉田僚一郎・安藤 幹・大島佑太・鍋屋信介・平川顕二・岩瀬正幸・小笠原宗博・依田 孝・石原 昇・伊藤浩之(東工大) |
C-12-20 |
ゲートドライバの出力電圧からIGBTの接合温度を推定する手法
◎山崎大夢・堅田龍之介・畑 勝裕・高宮 真(東大) |
C-12-21 |
1.2V I/O電源を利用したNANDフラッシュの低電力化回路設計
◎牧野 耀・丹沢 徹(静岡大) |
集積回路(LSI)の微細化に伴い搭載されるトランジスタ数は爆発的に増加している.一方,LSIの適用分野は自動運転や航空宇宙にまで及んでおり,信頼性が毀損すると人命を脅かす.ソフトエラーは放射線によりSRAMやフリップフロップなどの記憶素子の記憶値が反転する現象である.永久故障であるハードエラーと異なり,不具合が起こっても電源の再投入やメモリの再書込で修復できる一時故障である.ソフトエラーはランダムに発生し,LSIになんらの損傷も起こさないため,一時故障の要因がソフトエラーであるかどうかの判断は非常に難しい.ここでは我々の研究グループが実施してきたソフトエラーに関する研究の一部を紹介するとともに産官学連携についてもまとめる.
宇宙,原子力・核融合施設等の放射線照射環境では半導体の故障や誤動作が問題となる.これは放射線によってMOSFETの特性を劣化させるTID(Total Ionizing Dose)効果が原因となっており,我々はこの影響を受け難いCMOS集積回路の構成法,設計法の検討を進めている.
本研究では,CMOS集積回路の動作に対するγ線照射影響を明確化するためにP型MOSFETとN型MOSFETのサイズ比の異なるCMOS遅延セル回路(CMOSインバータ・2入力NAND・3入力NAND・2入力NOR・3入力NOR)によるリング発振ICを0.18µmCMOSプロセスで試作し,放射線照射実験を実施した.その結果,P型MOSFETとN型MOSFETのサイズバランスによってTID効果による発振周波数影響が異なる事を確認し,耐放射線回路設計への指針を得た.
パワーデバイスの信頼性を決定するパラメータとして接合温度は最重要であり、常時モニタしたいニーズがある。一方、近年、パワーエレクトロニクス分野において、デジタルゲートドライバ(DGD)と呼ばれるゲート駆動電流波形をデジタル信号で制御・最適化可能なゲートドライバによる電力機器の低損失化と低ノイズ化の両立が注目されている。
本発表では、DGD ICに集積化可能な接合温度推定手法について提案する。提案した推定手法は、DGD ICの出力電流を一時的に0Aにし、出力電圧と接合温度との関係式のパラメータを推定することによって実現された。提案手法が負荷電流変化に対してロバストなことを確認し、負荷電流5A~80Aの範囲で、誤差範囲+6.1/-7.1˚Cの推定精度を得た。本研究によって、DGD IC上でのセンサが不要な温度推定が可能になると期待される。
NANDフラッシュは大容量の不揮発性メモリとして用いられている。データの読み出しの同時アクセスビット数の増加により消費電力は増加する。ビット線BLの充電を従来回路では周辺回路用3V電源を用いて行っていた。提案回路ではI/O用の1.2Vの電源を用いてBLの充電を行う。BLの容量を3pF、センスノードの容量を0.1pFと仮定したときBL1本あたりの消費エネルギーは従来回路では5.0pJとなり提案回路では2.1pJと60%近く削減することができる。WLパスとBLパスでの消費電力は同等であるため提案回路によってNANDチップ全体として30%程度消費電力を削減することができる。
休 憩(14:45 再開) 座長 満仲 健(シャープ福山セミコンダクター)
C-12-22 |
0.18μm MOSを用いた低消費電力反射型増幅回路の設計
◎辻 貴大・前多 正(芝浦工大) |
C-12-23 |
A 28-GHz CMOS Phased-Array Beamformer Supporting Dual-Polarized MIMO with Cross-Polarization Leakage Cancellation
◎Zheng Li・Jian Pang・Atsushi Shirane・Kenichi Okada(Tokyo Tech) |
C-12-24 |
A 28-GHz Phased-Array Transceiver Supporting Fast Beam Switching for 5G NR
○Jian Pang・Zheng Li・Yi Zhang・Atsushi Shirane・Kenichi Okada(Tokyo Tech) |
C-12-25 |
A 41GHz 19.4-dBm PSAT CMOS Doherty Power Amplifier for 5G NR Applications
○Qiaoyu Wang・Zheng Li・Jian Pang・Atsushi Shirane・Kenichi Okada(Tokyo Tech) |
RFIDタグからリーダへの返信電波は微弱で、RFIDシステムの通信距離を制限する要因である。これを解決するための手段として、反射型増幅器がある。しかし、これらの回路は消費電力が2mWと、リーダからの電波エネルギーに比較して非常に大きいことや、ゲートインダクタンスが15nHと大きく、集積化に不向きであるなどの課題がある。今回、低消費電力化と同時に、インダクタンスを低減する回路を検討したので報告する。
A CMOS 28-GHz phased-array beamformer chip supporting dual-polarized MIMO operation is introduced with cross-pol. leakage cancellation technique. More than 40-dB cross-pol. isolation is maintained along the TX array to the RX array. With the improved cross-pol. isolation, 2×2 DP-MIMO communication with two 5G NR OFDMA-mode streams in 256QAM is achieved in the OTA measurement. The corresponding TX-to-RX EVM is 3.3%.
Large-scale phased-array transceivers with multiple communication chips are utilized in 5G for improving the SNR over long communication distance. However, the narrow beam width of such phased-arrays usually limits the communication latency considering multiple communication targets. This work introduces a 28-GHz phased-array transceiver supporting fast beam switching for 5G NR. A beam switching time of 4ns is achieved by this work.
In this paper, a 41-GHz Doherty power amplifier (PA) in a standard 65nm CMOS technology is presented for 5G New Radio (NR) applications. The PA implements transformer-based parallel-combined Doherty structure to enhance the power-added efficiency (PAE). And the tuneable 90° hybrid is proposed for output phase compensation. This work achieves a saturated output power (PSAT) of 19.4dBm and an OP1dB of 18.6dBm at 41.5GHz under 1-V power supply. The peak PAE and the PAE at 6-dB output power back-off (PBO) are 30.4% and 19.2%, respectively.
休 憩(16:00 再開) 座長 萩野浩一(リコー電子デバイス)
C-12-26 |
三帯域同時受信低雑音増幅器に関する検討
◎瀬口慎一郎・森下賢幸・小椋清孝・伊藤信之(岡山県立大) |
C-12-27 |
A 39GHz Bi-direction Phased-Array Transceiver with Temperature Compensation
◎YI ZHANG・JIAN PANG・ZHENG LI・ATSUSHI SHIRANE・KENICHI OKADA(Tokyo Tech) |
C-12-28 |
ミリ波帯5G中継機向けビーム制御型バックスキャッタ
◎井出倫滉・白根篤史・岡田健一(東工大) |
C-12-29 |
インダクタ結合による24 GHzゲインブースト増幅器の検討
◎林 祐樹・森下賢幸・小椋清孝・伊藤信之(岡山県立大) |
本研究では,三帯域同時受信低雑音増幅器(LNA)回路の提案,設計,シミュレーションを行った.提案したLNAは,二帯域同時受信LNAで使用されたノッチフィルタ回路に,直列接続されたインダクタとキャパシタを並列に接続した回路を用いることで,三帯域を同時に受信できる回路とした.シミュレーションの結果,S21,NFは1.65 GHzでは13.8,2.36 dB,2.54 GHzでは17.8,1.8 dB,4.06 GHzでは16.5,2.33 dBとなり,三帯域同時受信が可能であることを確認した.なお,消費電力は17.2 mWであった.プロセスは,TSMC 180 nm CMOSプロセスを用いて設計した.
A 39 GHz bi-directional phased-array transceiver with temperature compensated biasing circuit is proposed in this work. By taking the advantage of large available bandwidth, millimeter-wave band is employed to realize data rate on the order of 10-Gb/s. Bi-directional amplifier structure is introduced to save chip area. However, What's more, current type digital to analog convertor combines with PTAT current reference is used as biasing circuit, which achieved lower gain variation when temperature changed.
近年, ミリ波帯5G通信による大容量・高速通信が期待されているが, ミリ波帯電波の透過特性の悪さから, 屋内外間の通信には中継機システムが必要である. 従来アクティブ無線機では大規模配備の観点から電源ケーブルやチップ規模が課題となるため, 無線電力伝送によりバッテリーレス動作可能な中継機を実現する. 駆動電力は全て無線電力伝送により得られるため, 電源やバッテリーが不要であり, メンテナンスコストを削減できる.
上記の中継機の実現には, パッシブ動作でビームフォーミング可能な送信機が必要である. 本稿ではベクトル合成により位相シフトが可能なバックスキャッタを提案すると共に, 4×8フェーズドアレイモジュールを用いた測定結果を示す.
本研究では高利得を得る24 GHz帯の増幅器をローコストな180 nm CMOSプロセスで実現することを目的とした.基本回路はカスコード回路とし,インダクタ結合を用いたゲインブースト増幅回路を設計した.インダクタ間の相互誘導によって相互コンダクタンスが増加することで,ゲインブーストが可能である.シミュレーションの結果,VDD = 2.4 V,コア電流10 mAにおいて,S11,S21,S22はそれぞれ,−11.0,17.2,−11.6 dBであった.検討回路は典型的なカスコード回路と比べて,24 GHzにおいてS21は9.70 dBから17.2 dBへ改善し,高利得を得ることを確認した.
C-13. 有機エレクトロニクス
9月15日 10:30〜11:45 Meeting 21 座長 嘉治寿彦(東京農工大)
C-13-1 |
誘電分極をエネルギー源とする摩擦発電の等価回路モデル
○田口 大・間中孝彰・岩本光正(東工大) |
C-13-2 |
テラヘルツ波検出のための電気光学ポリマーのフリースタンディング膜とその積層膜の作製
○山田俊樹・梶 貴博・山田千由美・大友 明(NICT)・藤丸滋樹・常守秀幸・中西智哉(帝人) |
C-13-3 |
モスアイ表面を用いた有機太陽電池の光閉じ込め技術
○久保田 繁・平賀健太・鹿又健作・有馬ボシールアハンマド(山形大)・水野 潤(早大)・廣瀬文彦(山形大) |
ものとものを擦り合わせてつくられる摩擦電気は古くからしられています。近年、新しいプロセス・材料による発電面密度が増大し、摩擦電気をエレクトロニクスデバイスの新電源として利用することができるようになりました。従来の静電気としての摩擦電気から、電流を取り出す摩擦発電へ状況が一新し、新材料・プロセスの研究が活発化しています。私たちは、誘電物性の観点から、摩擦により利用できる2つの分子的起源(電荷変位と双極子回転)に着目し、これらを選択的に可視化できる新評価法として、第2次光高調波発生(SHG)法を提案しました。そして、摩擦発電源のI-V特性との関係を考察してきました。今回の発表では、摩擦により電荷変位と双極子回転により分極エネルギーが材料内部に発生し、脱分極による過渡電流が負荷にエネルギーを転送する働きを担うとして摩擦発電を考察します。そして、摩擦発電を電流源でモデル化した等価回路を導出します。
電気ポリマーの電気光学効果またはシュタルク効果を利用した高効率・超広帯域電界計測のために、電気光学ポリマーのフリースタンディング膜及び様々な膜厚を有する積層膜を作製するための技術開発を行った。
有機薄膜太陽電池の効率を制限している主な要因の一つは、有機半導体の電気的特性上、発電層を非常に薄く(約100 nm)せざるを得ないことであり、薄い発電層に効率的に光を閉じ込めるための光制御技術が重要となっている。本研究では、ナノオーダーの円錐を並べたモスアイ表面を応用した有機太陽電池のための光制御構造を開発した。光学設計により発電電流を最大化するための最適なモスアイ形状(周期及び高さ)を算出すると共に、設計で得られた形状のモスアイを実際に試作することで、高い光閉じ込め性能を実現できることを明らかにした。
(11:15 開始) 座長 田口 大(東工大)
C-13-4 |
両極性有機受光素子材料の探索
○辻 亮汰・嘉治寿彦(東京農工大) |
C-13-5 |
バルクヘテロ接合の厚膜活性層を有する逆構造チオフェン系高分子受光素子のバンドテイルにおける量子効率特性の検討
○梶井博武・近藤正彦(阪大) |
有機薄膜太陽電池などは通常、電子供与体(ドナー)と電子受容体(アクセプター)から構成されている。通常、HOMO-LUMOを比較し、どの材料をドナー、アクセプターとして用いるか決めるが、どちらとしても使える両極性を持つ材料もある。一方でそのような材料は少なく報告例はフタロシアニン類縁体やクロロフィルなどに限られる。そこで他にも同様の両極性を示す材料系はないか、フタロシアニン類縁体以外について探索した。本研究では、トランジスタで両極性を示したと報告されているIndeno fluorene系材料について有機受光素子での両極性を報告する。真空蒸着法で太陽電池を作製しJ-V測定をした結果Bis trimethylphenyl indeno fluorene(Btif)もIndeno fluorene dione(Ifd)も有機受光素子での両極性をもつことが判明した。
近年,近赤外光の波長域を検出可能な有機受光素子開発がすすめられており,人間の目では分からない物体の性質を知ることができ,医療分野や食品,農業,マシーンビジョンなどの様々な分野での応用が期待されている.本研究では,ドナー材料にチオフェン系高分子を,アクセプタ材料にフラーレン系材料を用いて厚膜化した活性層を有する逆構造素子を作製し,バンドテイルでの吸収を増やして,近赤外光域の量子効率IPCEに着目して検討を行った.素子のIPCEスペクトルは、バンドテイルにおいて指数関数的な裾を引いている形状を示した.ドナー材料にPTB7-Thを用いた厚膜逆構造有機受光素子において狭帯域光検出が可能となった.
C-14. マイクロ波・ミリ波フォトニクス
9月16日 13:00〜16:30 Meeting 17 座長 池田研介(電中研)
C-14-1 |
5G無線のための直交二偏波成分同時受信アンテナ電極電気光学変調器の信号変換特性評価
◎大田垣祐衣・横橋裕斗(三重大)・松川沙弥果・黒川 悟(産総研)・佐藤正博・鬼澤正俊(精工技研)・村田博司(三重大) |
C-14-2 |
アンテナ電極電気光学変調器とWDM Add/Dropフィルタを用いた5G無線-光信号変換モジュール
宮崎広人・横橋裕斗・○村田博司(三重大) |
C-14-3 |
電気光学ポリマー導波路とパッチアンテナアレイを用いた150 GHz帯アンテナ結合型光変調器の試作
○梶 貴博・諸橋 功・富成征弘・山田俊樹・大友 明(NICT) |
C-14-4 |
テラヘルツ波と光波の融合によるセキュア無線の検討
◎西條 翼・十市敬太・吉岡登暉・永妻忠夫(阪大)・伊藤 弘(北里大)・胡間 遼(NTT) |
近年, 準ミリ波やミリ波を用いた5G(第5世代)/Beyond5G移動体通信システムの導入, 検討が進められている. 準ミリ波・ミリ波無線信号は自由空間やケーブルでの伝搬損失が大きいため, 光ファイバーネットワークを通して自由に変換・制御する技術が有効と考えられる. また, 準ミリ波・ミリ波帯におけるアンテナの精密測定のためにも無線・光融合技術は重要である.
我々はこれまで, 無線信号を無給電かつ低擾乱で光信号に直接変換する, アンテナ電極電気光学変調器の研究開発を行ってきた. さらに, 直交二偏波を同時に受信できる新しいタイプのアンテナ電極電気光学変調器の開発も進めている. 今回は直交二偏波成分の同時受信・電気変換特性を測定した結果を報告する.
我々の研究グループは,アンテナ電極光変調器を用いた無線信号-光信号変換素子とその5G/Beyond 5G への応用技術の開発を進めている.今回,WDM用Add/Dropフィルタと28GHz帯アンテナ電極変調器を組み合わせた5G無線信号変換モジュールを作製して,複数のHi-Vison映像信号の同時受信・伝送・復調実験を行ったので報告する.
Beyond 5 Gにおける超高速・超大容量無線通信の実現に向けて、テラヘルツ波(0.1-10 THz)の信号波形を、光ファイバーを用いて伝送する光ファイバー無線(Radio-over-Fiber)の技術が重要になると予想される。本研究では、テラヘルツ信号の光信号への直接変換を行うデバイスの開発を目指し、電気光学ポリマー導波路とパッチアンテナアレイを用いた150 GHz帯アンテナ結合型光変調器の試作を行った。
近年,IoTデバイスの普及や情報通信技術の発展に伴い,やりとりされる情報量は年々急増している.そのため高速無線通信の需要が高まっており,ミリ波,テラヘルツ波といった高周波電波や光波(赤外線)を用いた無線通信の研究開発が盛んに行われている.電波と光波はこれまで競合技術と位置づけられることが多かったが,最近では両者のメリットを融合する試みがなされている.今後,このように両者の有機的な組み合わせによる新たなシステム応用が期待されるが,本稿では,両者を融合したセキュアな通信システムの検討を行ったので報告する.
休 憩(14:15 再開) 座長 菅野敦史(NICT)
C-14-5 |
8アレーUTC-PDを用いた300GHz帯ビームステアリング
◎松尾祐輝・近藤和哉・加藤和利(九大) |
C-14-6 |
UTC-PD 集積 HEMT 光ダブルミキサへの格子状ソース電極の導入
○中嶋 大・西村和樹・大森雄也・細谷友崇・岩月勝美・末光哲也・尾辻泰一・佐藤 昭(東北大) |
C-14-7 |
テラヘルツ帯表面プラズモン共振器と導波路の結合特性
○岩川優也(日大)・大野誠吾(東北大)・四方潤一(日大)・時実 悠(徳島大)・南出泰亜(理研) |
C-14-8 |
600 GHz帯ダイプレクサの広帯域化と無線通信応用
◎柴田紀彦・上村悠太・川本勇真・易 利・冨士田誠之・永妻忠夫(阪大) |
100Gbps級の無線データ伝送を実現する手段の一つが、テラヘルツ波(0.1~10THz)の利用である。我々は、光周波数差がテラヘルツ領域となるよう設定した二光波を、UTC-PDに入射しテラヘルツ波を生成する、フォトミキシング技術に取り組んでいる。テラヘルツ波を用いた通信では大気による減衰が大きく出力強度の増大、通信範囲の拡大が課題である。我々はこれまでに、8つのUTC-PDをアレー化することで単一のUTC-PDに比べて約64倍のピーク強度増大を報告している。今回、8アレーUTC-PDを用いた空間合波系において、出力されるテラヘルツ波の位相調整を光段階で行い、300 GHz帯でビームステアリングを行った。実験結果から、20°の範囲でのステアリングを実現した。
超広帯域かつ高レジリエントな次世代ネットワークシステムとして,光通信と無線通信をシームレスに接続したフルコヒーレントネットワークが提案されている.その実現には,光-無線間でシームレスにキャリア周波数を変換するキャリアコンバータが必要である.我々は,トランジスタを用いて光信号からミリ波帯へのキャリア周波数下方変換を行う光ダブルミキシングの研究を行っている.UTC-PD メサ上の平面ソース電極と同程度面積までメサ面積を縮小した場合,直流光整流電流および変換利得が減少することを確認した.これは,平面ソース電極により反射した光が入射光と干渉し弱め合うことで,UTC-PD 光吸収層における光吸収率が低下したことに起因すると考えられる.そこで本稿では,表面プラズモンを介した異常透過効果によって電極での反射を抑制できる格子状ソース電極構造をデバイスに導入し,デバイス試作・評価の結果,光電流の減少を抑制することに成功したので報告する.
金属表面に励起される表面プラズモンの制御は,光波からテラヘルツ(THz)波・マイクロ波に至る広い領域の電磁波を対象とする新しい機能デバイスの創出や集積化に重要である.これまで研究してきたTHz帯の表面プラズモン共振器(THz-BE)に金属導波路を加えた複合構造について有限要素解析を行った.その結果,自由伝搬するTHz波から導波路への結合を確認した.その際,楕円偏波を入射すると,その回転方向により伝搬波の方向性結合の制御が可能であることを見出した.逆に導波路にTHz帯の励起を与えた場合,THz-BEから自由空間へのTHz波放射(逆プロセス)が起こることを見出した.
近年,Beyond 5Gに向けた無線通信の高速化のニーズを背景に,テラヘルツ波を用いた無線通信の研究が盛んに行われている.その中でも我々は,600 GHz帯の利用に向けた研究を行っており, その100 GHz以上に及ぶ広帯域性を活かす手法として,異なるキャリア周波数で複数の情報を同時に送信する周波数多重通信に注目している.我々はこれまでに周波数多重通信の実現に向けたフォトニック結晶を用いたダイプレクサの試作を行ったが,透過帯域および分散帯域によって通信速度が制限された.今回,さらなる高速化を目指し,広帯域・低分散な伝送特性を有するシリコン細線導波路をベースとしたダイプレクサの設計,試作を行い,無線通信応用を行ったので報告する.
休 憩(15:30 再開) 座長 易 利(阪大)
C-14-9 |
フォトニック結晶導波路をインタフェースとしたテラヘルツデバイスの導波管実装法の検討
◎川本勇真・柴田紀彦・上村悠太・岩松秀弥(阪大)・西田陽亮(ローム)・冨士田誠之・永妻忠夫(阪大) |
C-14-10 |
共鳴トンネルダイオード受信器を用いた300 GHz帯PAM-4変調無線通信
◎大城敦司(阪大)・西田陽亮(ローム)・ウェバー ジュリアン・冨士田誠之・永妻忠夫(阪大) |
C-14-11 |
光ビート法による300 GHz波発生における光パルス圧縮を用いた出力の増大 − 圧縮用光ファイバの偏光依存性 −
多田 航・鈴木将之・○戸田裕之(同志社大)・十市敬太・上村悠太・柴田紀彦・西條 翼・冨士田誠之・永妻忠夫(阪大) |
C-14-12 |
自動利得制御機能を用いた28GHz帯A-RoFの伝送特性
○鈴木敏訓・相葉孝充・若林知敬(矢崎総業) |
現状,テラヘルツ波を用いた無線通信やセンシングのシステムの多くは金属中空導波管で構成されている.そのため,テラヘルツ帯で動作する能動素子は導波管パッケージング技術によりモジュール化されている. これまで能動素子と導波管とのインタフェースには金属伝送線路を用いることが主流であったが,テラヘルツ帯では損失や作製面の問題が生じる.我々はこの問題を解決するため,誘電体導波路をインタフェースとした新たな実装法を提案する.そして,同手法によって,共鳴トンネルダイオード(Resonant Tunneling Diode: RTD)受信器モジュールを開発し,300 GHz帯無線通信に適用して所望の動作を実証したので報告する.
近年,テラヘルツ波(100 GHz~10 THz)を用いた高速無線通信の研究が本格化している.我々は,高感度なテラヘルツ検出器として使用可能な共鳴トンネルダイオード(Resonant Tunneling Diode: RTD)に注目してきた.これまでに,300 GHz帯で動作するRTD送受信器を用いて30 Gbit/sのNon-Return to Zero信号エラーフリー無線伝送 (ビット誤り率 < 10-11)を報告している.今回,Pulse Amplitude Modulation (PAM)-4 変調を用いた300 GHz帯無線通信実験をRTD受信器を用いて行ったので報告する.
光ビート法による高周波(RF)発生において,光検出器(PD)への平均光パワーが等しい条件で光パルス幅が狭くなると,RF出力が最大6dB増大する.前回,我々はRF周波数を300GHzとし,高非線形ファイバ(HNLF)を用いて光パルス圧縮を行った時の出力の増大をはじめて実験的に検証した.今回,HNLF入射光の偏光を調整することで,4.8dBの出力増大(RF利得)が得られたので報告する.
導入が進む5Gでは無線通信の大容量化に対して、帯域幅を広く確保できる周波数帯の1つとしてSHF帯が使用されている。このSHF帯は空間減衰が大きいことから、アナログ光ファイバ無線(A-RoF)を用いたカバレッジエリア拡大が検討されている。A-RoFを使用可能とするエリアを広げるためにはDynamic Range(DR)を広く確保する必要がある。今回DR拡大を狙い、A-RoFに自動利得調整機能(AGC)を加えた検討を行ったので報告する。
C-15. エレクトロニクスシミュレーション
9月14日 13:00〜17:00 Meeting 24 座長 安藤芳晃(電通大)
C-15-1 |
磁気刺激による高精度脳機能マッピングのためのコイル配置条件の検討
○疋田啓悟・Jose Gomez-Tames・平田晃正(名工大) |
C-15-2 |
機能局在性を考慮したctDCS電極条件の評価
○田代幸花・平田晃正・Jose Gomez-Tames(名工大)・上原信太郎・大高洋平(藤田医大) |
C-15-3 |
Segmentation-free頭部モデルを用いた脳波源の分布推定に関する数値的・実験的評価
◎水谷笙吾・Essam Rashed・Jose Gomez-Tames・和坂俊昭(名工大)・木田哲夫(発達障害研究所)・平田晃正(名工大) |
C-15-4 |
電界解析を用いた個人差による心電位の変動に関する検討
◎三條聖人・平田晃正(名工大) |
C-15-5 |
大規模楕円柱列モデルにおける光パルス反射特性
◎三枝美波・岸本誠也・井上修一郎・大貫進一郎・中沢 佑(日大) |
C-15-6 |
FILT法と複素周波数領域差分法による音場時間応答解析
◎石川直也・岸本誠也・大貫進一郎(日大) |
C-15-7 |
LOD-FDTD法に時間分割並列計算を適用したプラズモン解析 - 計算時間と精度の検証 -
◎中沢 佑・呉 迪・岸本誠也(日大)・柴山 純・山内潤治(法政大)・大貫進一郎(日大) |
近年,医療分野において脳組織を非侵襲的かつ局所的に刺激する方法が注目されている.その一つの手法として,TMS(経頭蓋磁気刺激法)が挙げられる.TMSとは,コイルを頭部近傍に配置し,コイルにパルス電流を流した際に発生する磁界の変化により脳内に渦電流を誘導し脳組織を刺激する手法である. 手の運動に関連する脳部位(Hand Knob)の脳機能マッピングに関する先行研究では,親指と小指の運動誘発電位はそれぞれ異なるコイル位置で最大となることが報告されている.しかし,複雑な脳の解剖学的構造が誘導電流の分布に影響するため,TMSにより活性化される特定の脳領域を,コイルの位置から特定することは困難である.本研究では,脳内誘導電界に基づき,特定の脳領域を標的とした際のコイル配置条件を検討する.
近年,医療分野において脳の組織を非侵襲的かつ局所的に刺激することに関心が高まっている.その方法の一つとして,ctDCS(小脳経頭蓋直流電流刺激)が挙げられる.こちらは頭部に貼付した電極間に微弱な電流を流すことで,神経活動を促進または抑制する手法である.小脳は運動の実行,制御といった基本的な役割を担うため,運動機能障害を持つ人の治療法として有効性が示されている.しかし,臨床現場では電極の条件が定まっていないため医師の能力に依存する.そこで本研究では,ctDCSにおける電極貼付位置による小脳内電界分布の変化について評価を行った.また,小脳を機能別に分割し,各部位における電界値を考慮することで刺激に効果的な電極貼付方法を目的とする.
近年,医療・産業分野において,脳活動から生じる生体信号の有効活用が進んでいる.脳が活動した際,灰白質上で神経物質の受け渡しが行われ,その際に微弱な電流が生じる.この現象を非侵襲的に計測する手法として主にEEGとMEGが挙げられる.EEGはMEGに比べて測定装置が簡便であり広く利用されている反面,空間分解能が低いという問題点がある.これを補う手法として,本稿では医用画像から導電率を直接推定したSegmentation-freeモデルに対して,高速電磁界計算手法であるSPFD法を用い,脳波源推定に必要なリードフィールド行列を構築する.そして,実験値に基づく脳波源推定を行い,EEGとMEGを比較して有効性を検討する.
医療現場で使用される標準12誘導心電図は,9個の電極貼付を行い,正確な心電図信号の取得を可能とする.一方,ウェアラブルデバイスでは,携帯性と患者の快適性の観点から電極数を減らす必要があり,標準12誘導法に比べ多角的な診断が困難である.また,心臓形状の個人差や動作による電極のずれが観測電位に及ぼす影響が大きくなる.そのため,電極数が限られるウェアラブルデバイスでは,異常波形の検出精度向上のため,電極位置の検討が必要不可欠である.本研究では,心臓位置大きさ角度の個人差による心電波形の時系列データを計算機上で再現することにより,個人差の影響について検討した.
光の干渉を用いた光干渉断層撮影は近年医療分野で幅広く使用されている.
これに対し,我々は「量子パルスゲート」という量子技術を光パルスの時間分解測定に応用し,OCTを超える画質・撮影深度を可能とする断層画像技術の開発に取り組んでいる.この光パルス測定は,試料が 1mm 程度の厚さでも,そのサイズは光パルス中心波長に対し数100~1000波長程度の大規模問題である.このため, 本報告では,大規模な楕円列モデルにおける光パルスの伝搬解析を行い,光パルスの反射特性を検討する.
光パルスの反射波を解析するため,FDTD法およびFDCFD法を用いて電磁界解析を行う.
楕円柱間の相互作用が強いため,楕円柱近傍における界の集中が確認できた.
気体を伝播する音場のシミュレーションは,ホール設計等に有用である[1].その代表的なシミュレーション方法としてFDTD (Finite-difference Time-domain)法がある[2].本手法は時間発展する場の可視化に優れるが,時間分解能が空間離散間隔に制限されるため,定常応答までの計算に膨大な計算時間を要する問題となる場合がある.
本報告では,音場時間解析にて分解能の制限がない解析手法を提案する.音場の支配方程式を複素周波数領域に拡張し,数値逆ラプラス変換 (FILT: fast inverse Laplace transform)法[3]により時間領域の解を求める.本提案が時間刻み幅の制限がないことを示す.
時間領域有限差分(Finite-Difference Time-Domain:FDTD)法は,プラズモニックデバイスの電磁界数値解析手法として広く用いられる.その高速化として,陰解法や並列計算法の研究が行われている. 本報告では,時間軸方向に計算を分割する並列化手法である,時間分割並列計算をLocally One-Dimensional FDTD(LOD-FDTD)法に適用しプラズモニック導波路解析を行う.また,時間分割並列計算を用いない従来のLOD-FDTD法およびFDTD法と計算時間や計算精度を比較検討する.
休 憩(15:00 再開) 座長 柴山 純(法政大)
C-15-8 |
(依頼講演30分)導波路型光デバイスのトポロジー自動最適設計法の開発
◎辻 寧英(室工大) |
本講演では,著者らのグループで研究開発を行ってきた有限要素法(FEM)を基礎とした光導波路デバイスの各種数値解析技術と,それを活用した高性能光デバイス創出のためのトポロジー自動最適設計法についての研究成果を紹介する.
(15:30 開始) 座長 萓野良樹(電通大)
C-15-9 |
双方向ビーム伝搬法を用いたグレーティングカプラの設計に向けた一検討
○井口亜希人・辻 寧英(室工大) |
C-15-10 |
地中空洞推定に対する粒子群最適化の収束性
◎中村航希・鄭 博俊・柴田随道(東京都市大) |
C-15-11 |
多段線路型インピーダンス変換回路の群知能最適化
◎鄭 博俊・中村航希・柴田随道(東京都市大) |
C-15-12 |
テラヘルツ帯における3次元TM透過/TE除去導波路型偏光子の解析
◎田中宏季・柴山 純・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-15-13 |
反復クランク・ニコルソン法に基づくFDTD法によるHR構造の解析
柴山 純・○西尾知将・山内潤治・中野久松(法政大) |
C-15-14 |
2D-FDTD法とRay-tracing法を併用した空港面電磁界解析手法の適用条件に関する一検討
◎渡邊 恵・橋本真輝・須賀良介(青学大)・毛塚 敦(電子航法研)・橋本 修(青学大) |
これまでに筆者らは,双方向ビーム伝搬法(BiBPM)を活用した光導波路素子の構造最適化手法について検討してきた.双方向ビーム伝搬法はモード整合法(MMM)と同様の伝達行列に基づく手法であるが,計算コストの高い固有モード対の算出,必要なモード数の調査が不要な点が注目されている.双方向ビーム伝搬法は通常,導波路の横方向反射・透過電磁界を算出する手法として利用されるが,導波路内部の電磁界も計算可能であり,面外放射グレーティングの設計にも活用できる可能性がある.本報告では,BiBPMを活用したグレーティングカプラの効率的な設計に向けて,導波路内部の電磁界計算方法について検討を行った.
近年, 道路下に生じた空洞により, 道路が陥没する事故が多発している. 筆者らは, 実際の地中から得られる後方散乱応答と, 計算モデルから計算される後方散乱応答を比較し,等しくなるように計算モデルの各層の比誘電率を, 最適化することで, 地中構造を推定する研究を進めてきた. 本稿では, 粒子群最適化法を用いることで地中空洞を推定する手法の提案を行い, さらに, 最適解の探索に伴って得られた最良解の収束性に関する考察を行う.
マイクロストリップラインを20分割した多段線路型インピーダンス変換器の設計方法について検討した.従来から,MSLの幅が連続的に変化していく指数関数テーパー型変換器や,λ/4 線路を用いた複数段の変換器が提案されている.両者とも解析式が存在するため,設計は容易であるが,狭帯域での設計となる.一方で,電気長がλ/4より十分短い線路を多段構成にすることにより,広帯域な特性をコンパクトに設計することができるが,段数を増やした時の設計が困難となる.そこで本研究では,粒子群最適化(PSO)を用いて,多段線路型インピーダンス変換器の設計を検討し,その設計例を示す.
本稿では,コアの両側に半導体InSbを付加したTHz帯での3次元TM透過/TE除去導波路型偏光子を提案する.TEモードのパワーは減衰し,TMモードはパワーを維持しながら伝搬する様子を確認する.490mの偏光子長で30 dB以上の消光比が得られることを明らかにし,消光比が20 dB以上となる帯域幅を示す.
クランク・ニコルソン(CN)法に基づくFDTD法では大きな疎行列を解く必要がある.筆者らは疎行列を解く必要のない,数値相対論の分野で広く使われている反復クランク・ニコルソン(ICN)法をFDTD法に導入した.本稿では光導波路端面に高反射層を設けた構造の解析により,ICN-FDTD法の有効性を検討する.
次世代着陸誘導システムであるGroundbased augmentation system (GBAS)が開発されている.GBASによる自動着陸のサポートには100MHz帯VHF data broadcast (VDB)アンテナを用いてGPSの補強情報を送信する必要があり,滑走路上3.6m~10.8mの高度において-72dBm以上の受信電力が要求される.この覆域を実現可能なVDBアンテナの設置位置の決定には電磁界解析が有効である.我々は空港面に適した電磁界解析手法として,2D-FDTD法とRay-tracing法のハイブリッド手法を提案してきた.本稿では,Full-wave解析である有限要素法(FEM)との比較により解析精度を検証することで適用条件を検討した.
シンポジウムセッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
CS-1. プラズモニックデバイスの電磁界解析とその応用
(電磁界理論研専)
9月17日 10:30〜11:45 Meeting 25 座長 松島 章(熊本大)
CS-1-1 |
複数の周波数分散性FDTDスキーム間の金属薄膜における反射係数及び透過係数の解析精度の比較
◎杉本 陸・鈴木敬久(東京都立大)・柴山 純(法政大)・Jerdvisanop Chakarothai(NICT) |
CS-1-2 |
THz帯におけるInSbコート誘電体円柱配列のDCP-FDTD解析
◎岩本哲弥・柴山 純・黒田匠真・山内潤治・中野久松(法政大) |
CS-1-3 |
2次元MDMプラズモニック導波路により構成される共振器構造を有する曲がり導波路の特性解析
○中 良弘・横田光広(宮崎大)・西本昌彦(熊本大) |
これまでに周波数分散性媒質に対するFDTD 法として提案され,プラズモニックデバイスの解析などに広く用いられている,一般的な帰納的畳み込み法(RC法),台形則を用いたRC法,区間線形近似を用いたRC法,補助微分方程式法,Z 変換法において,これまでに示されていない金属の薄膜における反射及び透過の解析精度を定量的に示し,比較を行った.本研究結果では金の薄膜における反射及び透過係数の解析精度は一般的なRC法とZ変換法は他の3手法と比較して低いという結果を示した.
筆者らは分散性媒質と誘電体の任意境界を精度よく取り扱うDispersive Contour Path (DCP) アルゴリズムをTrapezoidal Recursive Convolution (TRC) 法に基づくFDTD法に導入した.本稿では,DCP-FDTD法を用いてTHz帯におけるInSbコート誘電体円柱配列を解析し,透過特性と界分布の評価を行う.DCP-FDTD法は,大きな刻みで精度のよい解析がTHz帯での半導体の扱いにおいても可能であることを明示する.
2次元MDMプラズモニック導波路により構成される共振器構造を有する直角曲がり導波路の解析をPLRC法を適用したFD-TD法を用いて行った.入出力導波路および細線導波路による共振器構造を構成し,細線導波路の幅および長さを変化させることで,広帯域にわたって,曲げ部からの反射パワーを抑制できることを示した.