セルオートマトンの動作を, 簡素な特徴量を用いて解析する.

バイナリー連想メモリに, 所望記憶を銘記させたときの動作を考察する．

PSO を分岐集合探索へ応用する問題を, 分岐ニューロ
ンの周期倍分岐を例題として検討する.

昇圧コンバータの簡素な区分定数モデルを紹介し，2目的最適化問題を精密に考察する．

エッジコンピューティングとは、今までのクラウドコンピューティングをネットワークのエッジ（端・末端）にまで拡張し、物理的にエンドユーザーの近くに分散配置するという概念である。これは、使用する通信環境などに左右されない点や、年々膨大化しているクラウドへの負荷を軽減する点、情報を外部に漏れにくくする点など多くの利点を持つが、一方で大規模な計算資源を使うことができないなど制約も多く存在する。本研究では「ソフトウェア理論」と「ハードウェア設計」の２つの異なる観点を持ち、融合させることでこの問題に着手した。MNIST検証において、エポック数はおよそ半分になったものの、アーキテクチャを考えると必要なメモリ量はおよそ２倍になった。

制御対象のモデルが未知である場合，方策の設計法として強化学習は有用である．強化学習では，学習主体であるエージェントが制御対象との相互作用を通して自律的に方策を学習することができる．一方，学習の指標として用いられる報酬は，設計者が制御仕様に合わせて事前に設計する必要がある．信号時相論理(Signal Temporal Logic; STL)を用いて実数値信号の時間的な性質に関する制御仕様を記述するとき，その論理式から報酬を設計する方法が提案されている．しかしながら，これらの方法は離散状態，離散行動を仮定している．本報告では，連続状態，連続行動の問題に対して，これらの方法を拡張した深層強化学習法を提案する．

There have been a large number of contributions on the universal approximation property of neural network.
However, these works discussed a neural network which has a large number of nodes in the middle layer. As a result, it has been proved that the universal approximation property is attained with only single middle layer. On the other hand, the effect of the depth of the neural network is under active discussions; it's not clear whether a deep neural network with limited number of nodes in each layer still attains the same performance as the 3-layer neural network with infinitely many nodes. In this talk, we are going to discuss the effect of the depth of the neural network with a very simple model.

人工ニューラルネットワークは様々な研究が行われているが、その計算量についての議論は少ない.本稿では連続時間人工ニューラルネットワークの一種であるヒステリシスニューラルネットワーク（HNN）が制約条件充足問題の一種である四色問題の求解に要する計算量を検討する.ヒステリシスニューロンの出力が二値の離散値であり、その動作は次の区分線形微分方程式で表される連続時間系システムである.
四色問題において検討する平面数が問題のサイズでありこれを変更した際に計算量がどのように変化するかを調査した.
その結果,HNNの計算時間のオーダはO(log N)という結果が得られた.

リザバーコンピューティングの学習能力は，リザバー層のニューロンが入力に応じて様々な時空間パ ターンを生成することに起因する.我々は，ヒステリシスニューロンを一様に結合したシンプルヒステリシスネットワークをリザバー層に用いたヒステリシスリザバーコンピューティングを提案 している.本稿では，HNの時定数に着目し，HNの時定数の分布が出力系列に与える影響について検討する.

教師あり学習の分類では、データにラベルを付与するために多くの作業量を要する。そこで本研究では、少数のラベル付きデータから、ラベルなしデータを分類する手法を提案する。この手法はいくつかのラベルなしデータに対してラベルを付与し、SVMで分類を行う。そして、この流れを与えられたデータ比になるまで繰り返すというものである。また、データ比を推定するために、Fisher評価基準値を採用した。実験から、提案手法が線形分離可能なデータに対して、有効であることが分かった。加えて、Fisher評価基準値を用いて、データ比を推定できることが分かった。

興奮性を有した化学反応系である，BZ系上で実現が可能な論理回路が提案・調査されている．この論理回路は，興奮波が所望の経路を安定的に伝搬することで実現される．しかし，興奮波が持つ強い不安定性により，媒体構造の寸法やパラメータ値は正確に定める必要があり，実現にはコストと手間がかかる．一方で，媒体構造を利用せずとも，媒体上に適切な外力を与えることで，論理回路は実現できる可能性がある．しかし，これには，「興奮波の進行方向を安定的に変更する」という課題がある．本報告では，光に反応するBZ系上に，光を外力として与えることで，興奮波の進行方向が変化することを数値シミュレーションで示す．

電力を直流で送電・消費する「直流給電システム」が次世代の電力システムとして注目されている．このシステムでは，電源や負荷が容易に接続できるのに対し，電圧に依存することなく一定の電力を消費する「定電力負荷」によって，給電バス電圧が不安定化される，という問題を抱えている．非線形科学分野で知られている遅延フィードバック制御器は，1つの電源と負荷から成る「直流給電の基本回路」のバス電圧を安定化する．本報告では，複数の「異なる」基本回路から構成される直流給電ネットワークシステムを安定化する制御器を提案する．提案する制御器の有効性は数値シミュレーションで確認した．

本研究では，非同期セルオートマトンニューロンを用いたリザーバネットワークを設計し，軸索の伝達遅延に起因するポリクロナイゼーションによって信号分類が実現出来ることを示す．伝達遅延やシナプスを学習によって決定し，同ネットワークをFPGAで実装した．

本稿は, 古典的条件付けの現象を再現するモデルとしてRescorla-Wagner モデル (RWM)にTiming Drift-Diffusionモデル (TDDM)を組み込んだモデル (RWDDM)に着目する.
ハードウェア記述言語Verilog-HDL を用いて, 同モデルをField Programmable Gate Array (FPGA) に実装する手法を検討する.

人間の言葉から動物の鳴き声まで，生物が発生する音響通信は振幅と周波数の変調に基づく．メスのコオロギの聴覚神経系においては，５つのニューロンがオスの鳴き声のパルスパターンの検出回路を形成している．本研究ではこのようなコオロギの聴覚神経系の反応を再現できるデジタルハードウェアの設計に取り組む．

外国為替証拠金取引業務において，顧客らの売買注文を相殺できない部分は為替変動リスクを負うためカバー取引を行うが，もし為替レートの変動を予測できればカバー取引のタイミングを最適化できる．
そこで本研究では，EBSのリアルタイム板情報から為替の需給を読み取り，機械学習によって将来の約定レートの短期予測を行った．
結果として，1分程度であれば予測能力を発揮でき，さらに予測自信度を活用すること予測精度を向上できることを確認した．

国内投資信託の運用パフォーマンスに着目し，資金フローへの影響を分析した．そのメカニズムを推定すべく，線形モデルとして重回帰分析，非線形モデルとしてLightGBMを用い，SHAP分析により特徴量の寄与度を評価した．その結果，月間収益率と資金流出の間にプロスペクト理論に類似した非線形関係を確認し，投資信託の集客力は運用パフォーマンスに比例していない．これは投資家心理や回転売買営業の存在によって解釈できる．

非直交多元接続方式は，基地局から近い端末には小さな電力を，遠い端末には大きな電力を割り当てることで同時間帯に同周波数帯域を複数端末で共有することができる通信システムである．このとき，同周波数帯を共有する端末の組合せによって通信路容量が異なるため，全体の通信路容量が最大となる組合せを高速探索することが求められている．本研究では端末数Nの環境において，それぞれの組合せに対する全体の通信路容量のみをフィードバック情報として計測できる（探索）という条件のもと，全ての組合せに対する値を計算するために必要な探索数を算出した．また，探索数がNの２乗オーダーである簡潔なアルゴリズムについて考案した．

量子ウォーク(QW)とは，数学的にはランダムウォーク(RW)の量子版として説明されるが，その性質はRWと大きく異なり，特に分布の分散がウォークの駆動時間に比例する「線形的拡散」や，十分長い駆動時間でもある地点に分布が残り続ける「局在化」は，QWの有する大きな特徴である．一方，RWは，工学的な研究等を背景に様々な応用モデルが考案されており，時刻や場所に依存するような遷移確率を設定することにより，正規分布とは異なる分布を得ることができる．本研究では，QWの時間発展をもとに駆動されるような1次元上のランダムウォーク(QWRW)を構成し，このランダムウォークによるQWの分布の再現と，古典的な観点による量子ウォークの特質の可視化を行った．

帯域の異なる通信を同一網に収容する際、全ユーザの網収容により得られる満足度を最大化する新しい受付制御方式が提案され、これまでに理論式を用いて有効性が示されている。この受付制御は、すべてのユーザが要求通りの帯域を要求しているという合理性を仮定していた。しかしながら、実ネットワークにおいては、ユーザが選択ミスなどの突然変異を起こして、要求通りの帯域を得られなくなる可能性がある。このような突然変異を起こしてしまうという限定合理性を考慮し、網収容により得られる満足度を最大化する受付制御方式を考察する必要がある。そこで、本稿では確率進化ゲーム理論によって限定合理性を考慮したユーザの振る舞いをモデル化し、ユーザが選択ミスをすることを考慮した場合にも適用できる受付制御方式を提案した。その結果、選択ミスをする確率が0.2のときトータル満足度が一番高くなることがわかった。

インターネットを用いた動画配信サービスのシステムとして最も普及しているDynamic Adaptive Streaming over HTTP (DASH)では，サーバの利用可能帯域を複数のユーザによって適切に共有するために，ユーザがビットレートの選択を行う．既存のレート選択法では，Quality of Service (QoS)を向上させる手法が主流であったが，近年，動画コンテンツの品質に対するユーザの満足度を表すQuality of Experience (QoE)をもとににした手法がサービスプロバイダやネットワークプロバイダなどの注目を集めている．また，ユーザの好み (偏好性)は，QoEに影響することが分かってきている．そこで本稿では，動画に対するユーザの好みを考慮したゲーム理論を用いたレート選択法を提案する．シミュレーションにより，提案手法の有効性を示す．