プログラム
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一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
B-1. アンテナ・伝播A(電波伝搬,非通信利用)
3月7日 9:00〜11:45 2号館 2202教室 座長 廣瀬 幸(九工大)
B-1-1 |
深層学習による降雨減衰推定法を用いたHAPSサイトダイバーシチ運用に関する基礎検討
◎小枩谷勇二・今井哲朗(東京電機大)・廣瀬 幸(九工大) |
B-1-2 |
高基地局環境におけるクラッター損失の移動局位置特性
○佐藤彰弘・田中翔馬・木村 翔・林 合祐・表 英毅(ソフトバンク) |
B-1-3 |
建物からの距離変化によるドローン-地上間伝搬特性評価
◎青木海聖・本田和博(富山大) |
B-1-4 |
高基地局見通し環境における移動局側電波到来角度特性
◎木村 翔・佐藤彰弘・田中翔馬・林 合祐・表 英毅(ソフトバンク) |
B-1-5 |
ベランダの影響を考慮した屋内侵入損失の測定および特性解析
◎田中翔馬・木村 翔・佐藤彰弘・林 合祐・表 英毅(ソフトバンク) |
近年HAPSといった次世代のプラットフォームの実用化に向けた検討が盛んに行われている.HAPSは,使用する周波数の関係上降雨減衰対策が必須となっており,それには現在サイトダイバーシチ技術を使用したプロアクティブな降雨減衰補償が検討されている.一方で筆者らは以前より,深層学習を用いた降雨減衰推定法を提案している.本検討では,筆者ら提案の降雨減衰推定法を使用した場合における降雨減衰発生時のサイトの切り替え判断精度の特性を評価した.
超広域のカバーエリアや災害に強いネットワークを実現する成層圏プラットフォーム(HAPS : High-Altitude Platform Station)への期待が高まっている。HAPS通信における干渉検討やセル設計のためにクラッター損失推定が必要不可欠である。著者らは遮蔽建物高をパラメータとした推定モデルを検討している。本稿では、移動局と建物の間の距離による特性を明らかにするため、測定と解析を実施した。
近年,物流輸送,インフラ設備点検など様々な分野においてドローンが活用されている.本稿ではドローンと地上間で通信を行う際に,建物からの距離変化による伝搬特性の違いを明らかにするため,屋外での伝搬測定を実施したので報告する.
移動体通信においてMIMO等の空間処理アルゴリズムを精度良く評価するためには,電波到来角プロファイル推定が重要である[1][2][3].また,超広域のカバーエリアや災害に強いネットワークを実現する成層圏プラットフォーム(HAPS : High-Altitude Platform Station)が検討されており,実用化に向け,高基地局環境での電波伝搬モデルが必要となる.筆者らは高基地局環境における移動局側電波到来角度について見通し外環境での特性を明らかにしている[4].本稿では,[4]と同様の環境における道路角0度(見通し環境)での移動局側の到来角度測定を実施し,見通し外環境の測定結果[4]と比較し,その特性を評価する.
HAPS(High Altitude Platform Stations)を利用した無線通信システムの設計や地上での無線アクセスによる屋内エリアカバーのために, 屋内侵入損失(Building Entry Loss, 以下「BEL」)の特性を明らかにする必要がある. ITU-R(International Telecommunication Union Radiocommunication sector)勧告P.2109では, 周波数, 建物へ入射する電波の仰角および2種類にカテゴリー分けされた建物のパラメータで構成された統計的なモデルが提案されており, 3GPP(3rd Generation Partnership Project)では, 屋外伝搬, 外壁または窓ガラスの透過および屋内伝搬のそれぞれの経路に応じた伝搬損失で構成された比較的シンプルなモデルが提案されている. ただし, これらは考慮されているパラメータが少ないため詳細な検討を要するシステム設計には適さないという課題がある. 著者らは, 以前より高層ビルにおいてBELの測定を実施し, ITU-R勧告P.2109のモデルを基にその特性を明らかにしてきた. 本稿では, さらに詳細な検討を行うためにベランダのあるマンションタイプの建物において屋外から屋内へ侵入する電波の到来角測定を実施し, その特性について評価する.
休 憩(10:30 再開) 座長 金 ミンソク(新潟大)
B-1-6 |
60GHz帯における車内環境を想定した人体RCS測定
○間宮拓朗・星原靖憲(三菱電機)・細江信洋(三菱電機エンジニアリング)・岩谷茉衣子・中西孝行・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-7 |
ミリ波帯における屋内建材の電波反射特性の実験解析
○進藤竜也・大類莉空・寺田京平・齋藤健太郎(東京電機大)・康 哲嘉・高田潤一(東工大) |
B-1-8 |
300GHz帯における室内壁面・什器による反射特性の測定
○長 敬三・大橋 慎・枚田明彦(千葉工大) |
B-1-9 |
アクティブ電波反射板の上部フィルム基板の開発
◎早川 衛・中田尚子・田邉健治・松浦大輔(大日本印刷) |
B-1-10 |
歯形付導体板の実測による周波数特性評価
○髙熊 亨・松林一也・平野 誠(防衛装備庁) |
近年,車内の乗員を検知して状態を把握する車内モニタリングシステムが注目されている.モニタリングにはカメラや各種センサの活用が検討されており,中でもミリ波レーダはシートを透過して見通し外にも使用できる可能性がある.多種多様な車両および乗員の条件が存在する車内モニタリングでは,各条件での特性を把握するためにシミュレーションの活用が検討されているが,車内環境を想定したミリ波帯での人体RCS(Radar Cross Section)は十分に知られていない.本報告では,車内環境を想定した条件において60GHz帯の人体RCSを測定した結果を示す.
無線LAN(Local Area Network)やInternet of Things (IoT)システム等の普及に伴い,近年では様々な周波数帯において無線通信ネットワークが構築されるようになってきた.ネットワーク構築の際は,対象エリアでの通信性能予測のためレイトレーシング法等による電波伝搬シミュレーションが行われる事が多いが,精度の良い予測には建材等の周辺物体の物性パラメータの情報が必要になる.本研究グループでは屋内の様々な建材の電波反射特性について測定を行ってきた[1].本稿では自由空間法に基づく測定システムを構築し,ミリ波帯で屋内建材の反射率特性を計測した.
6Gに向けた超高速通信の実現に向け,準テラヘルツ帯の通信への利用が期待されている.本報告では300 GHz帯での無線LAN通信を想定し,室内の反射パスがどの程度通信に利用できるかを評価するため,千葉工業大学の会議室内で反射特性を測定した結果を報告した.その結果,反射係数は金属壁ではほぼ0 dB程度が得られた.一方窓や壁面では,-7 dB~-20 dB程度の反射係数となることを確認した.
次世代移動通信規格5Gの普及が進み、6Gを含めた通信技術の開発が盛んである。用いられる電波は高周波数帯であり、直進性が高く、遮蔽物に遮断されやすいため、カバレッジホールと呼ばれる電波の不感地帯が生じる。そこで注目を集めているのが電波の反射方向を動的に制御する役割を果たす「アクティブ電波反射板」である。
本開発では、液晶を用いたアクティブ電波反射板の研究を進める。電波反射板の部材に注目し、上部基板を従来のガラスから、低誘電率・低誘電損失の物性を持つフィルムに変えることで、損失の小さい電波反射板が得られると考えた。また、基板表面のフラットネスや基板同士の平行度が電波反射板の特性に大きく影響する。貼合等の作製プロセス改善を検討したのでその成果を報告する。
近年,レーダに対するより低RCSの目標物の計測評価が求められており,これらの反射量を精度よく計測するには,目標物以外からの不要反射波抑圧対策が重要となる.不要物反射波抑制対策として一般的で安価な方法は,該当不要物と計測用アンテナの経路上に斜め入射となるように導体板衝立を設置することであるが,より低RCS の計測目標では導体板衝立自体の反射が計測に影響を及ぼしうる.そこで,より導体板の反射量を抑圧するため,形状を変えた歯形付の周期構造を用いて入射方向への反射を抑制させる方法を検討し,基礎方程式を導出し,d が1/4 波長の奇数倍のとき反射成分が抑制されると共に,散乱成分が増加する結果が得られた.本発表では,歯形付導体板の反射特性を実測し,基礎方程式の理論計算値と比較した結果について報告する。
3月7日 13:00〜16:45 2号館 2202教室 座長 岩崎 慧(構造計画研)
B-1-11 |
市街地マクロセル環境におけるSub-6 GHz帯伝搬チャネル特性
◎高橋莉玖・塚田 響・鈴木直也・日野一世・金 ミンソク(新潟大) |
B-1-12 |
920 MHz帯および2.4 GHz帯における橋梁内電波伝搬特性
○廣瀬 幸・松嶋 徹(九工大)・阪野将昭・中島翔平・森 直樹(MHIパワーエンジニアリング)・平井 潤(エム・エム ブリッジ) |
B-1-13 |
円形配列ビームフォーミングアンテナによる受信レベル改善
○高井優冴・高倉浩亮・本田和博(富山大) |
B-1-14 |
マイクロ波電力伝送における人体防護機能の検証
◎CHUTIAN QIAO・川島靖史・Manh Tai Nguyen(オムロン) |
B-1-15 |
量子アニーリングによる電波伝搬解析に関する一検討
◎藤田桂太・今井哲朗(東京電機大)・山田 渉・猪又 稔・久野伸晃(NTT) |
近年,無線通信技術の発展と共に利用シナリオが多様化している.それに伴い,新たな無線通信システムの設計・開発・評価に必要なチャネルモデルに対する要求も高まっている.本研究では,想定される利用形態に対して正確なチャネル特性を再現するために,サイト固有の特徴や振る舞いをチャネルモデルへ適用する手法を検討する.本稿では,開発したSub-6 GHz(2.4 GHz お よび4.8 GHz)帯チャネルサウンダの概要と市街地環境にて実施した伝搬チャネル測定とその結果を報告する.
橋梁における老朽橋の維持管理や橋梁の健全性判断などのスマートセンシングの活用を目的として,橋梁内に無線通信環境を構築することを計画している.橋梁内は金属で覆われた多重波環境であり,そのような伝搬環境では遅延波の影響により通信が劣化することが報告されている.そこで,本稿ではアンテナや無線局の配置設計を目的としてLPWA(Low Power Wide Area)および無線LANを対象とした920 MHz帯および2.4 GHz帯において電波伝搬および通信速度を測定した.
本研究室では,到来波方向推定とビーム形成機能を有する小形円形配列フェーズドアレーアンテナを開発している.本稿では屋内LOS環境において,提案アンテナと人体ファントムを用いて伝搬測定実験を行ったので報告する.
DX 化の加速に伴い,センサなどの IoT デバイスの活用が広がっている.マイクロ波電力伝送は,工場内のセンサなどの配線を減らすことができ,配線が難しい位置へのセンサ設置などさまざまなメリットがあるため注目を集めている.一方,マイクロ電力伝送では送電の大電力化により給電エリア近傍の人体に影響を及ぼす恐れがあるため人体防護対策が必要となる.既存の人体防護方法としては人感センサ,カメラなどの外部装置で人体を検知し,人が給電エリアに存在する場合は送電を止めるので,無人環境でしか使えない.人介在環境で電力伝送を行うため,著者らは実装が容易な人体上の電力密度推定方法を提案し,電波暗室,シールドルームで評価を行った.そして,本稿では,実証環境で提案した人体電力密度の推定及び人体防護機能の有効性を検証した.
電波伝搬解析におけるレイトレーシング法では,演算量の増加に伴い計算時間が膨大となってしまう.そこで,筆者等は超高速演算を可能とするために,量子アニーラによる電波伝搬解析法を提案している.この解析法では,送受信間の伝搬路が目的関数と複数の制約条件で構成されている.ここで,目的関数と各制約条件の強さは付与する重み係数により調整されることから,その値によっては制約条件を満たさずに正しい解を得ることができない場合が存在する.本稿では,この重み係数が電波伝搬解析に与える影響について評価したので報告する.
休 憩(14:30 再開) 座長 佐藤彰弘(ソフトバンク)
B-1-16 |
テラヘルツ帯屋内伝搬損失測定
○沢田浩和・松村 武・稲垣惠三・菅野敦史・藤井勝巳・チャカロタイ ジェドヴィスノプ・関根徳彦・笠松章史・小川博世(NICT) |
B-1-17 |
オフィス環境における300 GHz帯電力角度プロファイルの測定
○中村光貴・須山 聡・北尾光司郎・富永貴大(NTTドコモ)・猪又 稔・山田 渉・久野伸晃・佐々木元晴(NTT) |
B-1-18 |
Multipath Extraction in a Conference Room Scenario at 300 GHz using Subgrid CLEAN
Anirban Ghosh・○Minseok Kim・Riku Takahashi・Kosuke Shibata(Niigata Univ.) |
B-1-19 |
屋内近距離環境における人体遮蔽時のテラヘルツ帯伝搬損失特性
○伊藤智史・竹澤和輝・長尾竜也・林 高弘(KDDI総合研究所) |
数十Gbpsの高速無線通信が可能となるテラヘルツ波の利用が検討されており,回線設計及び干渉評価のための伝搬損失モデルが必要となっている.これまでに300 GHz,252-330 GHz帯の測定を実施しており,本報告では357-500 GHz帯での屋内伝搬損失測定の結果を報告する.
本稿では,サブテラヘルツ波帯チャネルモデル確立に向け,300 GHz帯の到来波を検討するため,オフィス環境において測定した300 GHz帯電力角度プロファイルの結果について報告する.
This article presents the extraction of MPCs from a measurement campaign conducted in a conference room at 300 GHz using the subgrid CLEAN algorithm. The close resemblance of the reconstructed and measured power delay profile (PDP) and the low percentage of residual power as observed in the angular power spectrum (APS) confirms the effectiveness of the extraction technique.
B5Gでの超大容量通信実現に向けて,超広帯域幅を有するテラヘルツ帯を中継リンクとして人体周辺で利用してミリ波と連携することで空間多重数を拡張させる仮想化端末技術が提案されている.人体周辺のテラヘルツ帯の伝搬特性解明のため,人体による回折損失等のモデルが提案されているが,人体が寄与する到来波よりも壁などの周辺環境からの到来波が支配的となる場合も考えられる.本稿では,壁からの反射波が到来する屋内近距離環境での伝搬損失特性について測定した結果を報告しており,壁面による反射損失は小さく,人体遮蔽発生時には支配的な伝搬経路となることを確認した.また,測定値とレイトレーシングによる解析値を比較した結果,伝搬損失の傾向は模擬できていた一方で,人体のモデル化精度に起因する誤差が発生した.テラヘルツ帯では反射波も含めて支配的な伝搬経路の遮蔽などクリアランスにより伝搬損失が大幅に変化するため,支配的な伝搬経路のクリアランスを正確に考慮できる推定手法が重要であり,今後検討を行う.
休 憩(15:45 再開) 座長 林 高弘(KDDI総合研究所)
B-1-20 |
ミリ波帯クラスタチャネル特性の空間一貫性の評価
◎鈴木直也・塚田 響・高橋莉玖・日野一世・金 ミンソク(新潟大) |
B-1-21 |
市街地環境における2-150GHz帯建物侵入損失特性
○猪又 稔・山田 渉・久野伸晃・佐々木元晴(NTT)・中村光貴・北尾光司郎・富永貴大・須山 聡(NTTドコモ) |
B-1-22 |
ARを用いたミリ波電波伝搬可視化システムの設計
◎大久保直哉・徳川奎史・中里 仁・阪口 啓(東工大) |
B-1-23 |
CPSワイヤレスエミュレータのための準決定論的電波伝搬モデル
○塚田 響・鈴木直也・高橋莉玖・金 ミンソク(新潟大) |
ミリ波帯は高い環境依存性を持ち,この特性を高精度に再現するために,決定論的クラスタとランダムクラスタを分けてモデリングする凖決定論的 (Q-D) モデルが広く採用されている .ここで,直接波や周辺の建物の壁面からの正規反射成分を決定論的クラスタとしてレイトレーシングにより生成する.また,樹木や看板などの小物体による反射成分をランダムクラスタとして測定データから求めた確率論的モデルにより生成する.モデリングの際にランダムクラスタの空間的な相関を与える必要があるが,屋外市街地環境における文献が不足しているため,実験による空間一貫性の評価が求められる.本研究では,市街地マイクロセル環境における電波伝搬測定を行った結果から,空間一貫性のパラメータとして,相関距離の評価結果について報告する.
6Gに向けて,ITU-Rにおいて300GHz帯までのサブテラヘルツ波帯の適用について検討が開始された.建物侵入損失特性は,屋外から屋内若しくは屋内から屋外への伝搬損失特性であり,本特性は移動通信システムにおけるエリアカバレッジや干渉電力の評価に用いられる重要な伝搬特性の一つであるが,100GHz帯以上の建物侵入損失特性は殆ど検討がなされていない.そこで本稿では2-150GHz帯の建物侵入損失特性ついて報告する.
5Gより採用されたミリ波では高速大容量通信が実現できる一方,直進性が強く,伝搬損失も大きいためカバレッジが小さくなりエリア展開の難易度が高いといった課題がある.
上記課題を踏まえ,エリア設計者やエンドユーザ支援の観点から,これまでPC画面に表示したマップやモデルを通して確認してきた電波強度ヒートマップ,伝搬パス等を始めとする電波伝搬情報を,AR(Augmented Reality)を用いて実地で高精度に可視化し,あるいはスループットの改善が見込める方向・位置への誘導等を行うシステムを新たに設計した.
本システムの評価は,東京工業大学大岡山キャンパスに展開してきたミリ波基地局を用いた実証により行った.
これまで以上に多くの機器が相互に通信を行うようなSociety 5.0時代の無線システムの開発・検証を迅速かつ柔軟に行うため,ワイヤレスエミュレータの開発が期待されている.ワイヤレスエミュレータとは,電波の伝わり方や実際の地形などを仮想空間上に再現し,実空間同様にリアルタイムで無線機器の検証を可能とするCyber Phisical System (CPS)である.本稿ではCPSワイヤレスエミュレータにおける伝搬モデル,特に準決定論的電波伝搬モデルについて報告する.
3月8日 9:00〜11:45 2号館 2202教室 座長 清水健矢(三菱電機)
B-1-24 |
CPSワイヤレスエミュレータのための高精度屋外3Dモデルによる伝搬解析の精度評価
◎細川大介・杉山健斗・Gilbert Siy Ching・吉敷由起子(構造計画研)・齋藤健太郎(東工大) |
B-1-25 |
電波伝搬シミュレーションにおける橋上駅舎形状の検討
◎栗田いずみ・岩澤永照・北野隆康(鉄道総研) |
B-1-26 |
市街地環境におけるレイトレーシング法の高速化の検討
○岩谷茉衣子・清水健矢・中西孝行・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-27 |
カラーイメージ法におけるパスロス推定の性能評価
○富永貴大・須山 聡・北尾光司郎・中村光貴(NTTドコモ) |
B-1-28 |
カラーイメージ法の高精度化の一検討
富永貴大・○須山 聡・北尾光司郎・中村光貴(NTTドコモ) |
著者らはCyber Physical Systemワイヤレスエミュレータの実現に向けた研究開発を進めており,レイトレーシング法による伝搬解析を実施するための誤差1 m以下を満たす高精度な3Dモデル構築の検討を進めている.本研究では,屋外点群データから提案手法により構築した高精度な3DモデルとPLATEAU 3D都市モデルを用いて,レイトレーシング法による伝搬解析と実測データの精度評価を行った.これにより,提案手法によって点群データから構築した高精度3Dモデルがレイトレーシング法による解析に利用可能かを評価した.
列車無線をはじめとする鉄道分野で利用される無線通信システムでは,長大なカバーエリア全体での通信の高い安定性が要求される.こうしたシステムの回線設計時には電波伝搬特性の推定が重要であり,近年では高精度な3Dモデルを用いたレイトレース計算が活用されつつある.しかし,例えば地車間の見通しを遮る駅舎が存在する場合,駅舎は複雑な形状を有しており,その構造を再現したモデル化が困難で,再現した場合でも計算時間が増大する.そこで本稿では,同じ環境での実測値との比較により,レイトレース計算における駅舎モデルの再現度と伝搬特性の推定精度の関係を明らかにした.
無線通信システムの環境構築を目的に伝搬特性を把握するため,レイトレーシングによる電波伝搬解析が活用されている.レイトレーシングはFDTDなどの計算手法に比べて計算コストが少ないものの,伝搬経路の増加が見込まれる市街地のように建物が多く密集している環境では,計算コストが大きくなる.従来のレイトレーシングは光線の初期の出射方向分布は一様であり,受信電力への寄与に基づき適応的に分布を更新していた.またBVH(Bounding Volume Hierarchy)を活用し面やエッジ,受信点との衝突判定を効率化していた.筆者らは,①不必要な方向への光線の出射を制限する,②受信点で構成したBVHの最下層BB(Bounding Box)との衝突判定結果を分布の更新に利用することで,市街地環境における経路探索のさらなる効率化を目指している.本稿では,従来手法,従来法+①,従来法+②,従来法+①+②の場合での伝搬解析結果について報告する.
6Gシステムのサイバー・フィジカル・システムによる動的な制御による性能最大化のためには,リアルタイムかつ高精度に電波伝搬特性を推定し,予測できる技術が必要である[1].それを実現するため,筆者らはカラーイメージ法(CIM)を提案し, 基本性能である推定精度について評価を行っている[2].本報告では,従来のレイトレース法(RTM)と推定精度及び計算時間を比較することで,CIMがRTMよりも優れた推定性能を達成できることを示す.
6Gシステムのサイバー・フィジカル・システムによる動的な制御による性能最大化のためには,リアルタイムかつ高精度に電波伝搬特性を推定し,予測できる技術が必要である[1].それを実現するため,筆者らはカラーイメージ法(CIM)を提案し, 基本性能である推定精度及び計算時間について評価を行っている.本稿では,汎用性のため,推定不可な場所に対する対策を提案し,その効果の評価結果を示す.
休 憩(10:30 再開) 座長 猪又 稔(NTT)
B-1-29 |
準狭帯域無線システムDR-IoT設計のためのVHF-High帯通信実験 -距離伝搬特性の考察-
◎池亀旅人・池田直希・今井元就・井家上哲史(明大)・石原 進(静岡大)・加藤新良太・梶田宗吾(スペースタイムエンジニアリング)・山本 寛(立命館大)・髙井峰生(阪大) |
B-1-30 |
準狭帯域無線システムDR-IoT設計のためのVHF-High帯通信実験−移動受信電力の瞬時変動特性と空間相関特性−
◎池田直希・今井元就・池亀旅人・鈴木 駿・濱田大地・井家上哲史(明大)・石原 進(静岡大)・加藤新良太・梶田宗吾(スペースタイムエンジニアリング)・山本 寛(立命館大)・高井峰生(阪大) |
B-1-31 |
地震に伴う電磁波の山岳異常回折の電磁波解析による機構解明
○髙田龍之介・宮岸知喜・藤沢友暉・中澤完介・藤井雅文(富山大) |
B-1-32 |
北アルプスにおける地震前兆山岳異常回折の電磁波解析
◎中澤完介・宮岸知喜・藤沢友暉・高田龍之介・藤井雅文(富山大) |
B-1-33 |
電磁波を用いた海氷厚計測の基礎検討
◎阪谷新之助・高橋応明(千葉大)・吉田 弘(JAMSTEC) |
VHF-High帯(207.5 MHz~222 MHz)において, 十分な伝送速度を実現可能な災害対応の準狭帯域無線システムDR-IoT(Diversified-Range / Disaster-Response IoT)の検討が進められている.DR-IoTでは6.25 kHzから400 kHzの準狭帯域の複数の帯域幅をもつチャネルを多数用意し,これらを活用することで用途,通信範囲,収容端末数に応じて柔軟にネットワークを構築することを目指している.220 MHz帯の伝搬特性については一部すでに報告したが,本検討では高知・宮崎・神奈川県周辺における屋外伝搬特性測定結果をクリスタリングし,クラスタごとの距離伝搬特性の考察およびモデルの推定を行う.
筆者らは,地上基幹放送サービスの跡地であるVHF-High帯(207.5MHz~222MHz)において,十分な伝送速度を実現可能な災害対応の準狭帯域無線システム(DR-IoT)の検討を行っている.220MHz帯の伝搬特性については一部すでに報告したが,本稿では,220MHz帯を用いた屋外測定実験の結果から,移動通信における瞬時変動特性と空間相関特性について報告する.
地震発生前にラジオ波の異常伝搬現象が報告されており、この現象の原因として考えられる地表面プラズマ波について、FDTD法を用いて解析を行った。送信地点を富山県南砺市の福光放送局、受信地点を富山市内の富山大学工学部とし、その間の山地である牛岳頂上付近を解析対象とした。山体表面に電荷が滞留している領域をDrude型のプラズマ領域としてモデル化し、水平偏波と垂直偏波をそれぞれ入射し伝搬の様子を調べた。水平・垂直偏波ともに電荷が滞留している領域では地表面プラズマ波が励起され、垂直偏波が強く生成され電磁波が下方に向かって散乱される様子が明らかになった。
近年、地震前兆における電磁気的現象が報告され、その原理が明らかになりつつある。これらの現象によってVHF帯であるFMラジオ波が影響を受ける可能性を見出した。我々の研究室では実際にFMラジオ波を観測し、地震発生前後に生じたと考えられるラジオ波の異常伝搬を確認してきた。本研究では、地震前兆時に発生していると考えられる地表面プラズマ波に起因する電磁気的現象に着目し、FMラジオ波の伝搬がどのように影響を受けるのかについて解析、考察を行った。
海氷とは海水が凍結してできた氷のことであり,地球環境だけでなく経済にも影響を与えている.そこで,海氷について適切な予測を可能にするために海氷の厚さを定量化する技術が求められている.本検討では狭域で高い測定精度を得られるような海氷厚計測手法の確立を目指して地中レーダ探査と同様の原理を用いた手法を検討する.本報告では電磁波を用いた海氷厚計測の基礎検討として電磁界解析手法の一つであるFDTD法を用いて計測原理の確認を行った.海氷厚の変化による反射波の時間遅れが確認されたため,反射波の到来時間を用いた海氷厚計測が可能であると考えられる.
3月8日 13:00〜17:00 2号館 2202教室 座長 齋藤健太郎(東京電機大)
[English Session I]
B-1-34 |
Deterministic Modeling of Shadowing Due to Moving Vehicle Obstacle at 760 MHz
◎△Siraphop Saisa-ard・Nopphon Keerativoranan・Jun-ichi Takada(Tokyo Tech) |
B-1-35 |
Deterministic to Standard Channel Parameter Mapping for Performance Evaluation of Wireless Channel Emulator
○Nopphon Keerativoranan・Jun-ichi Takada(Tokyo Tech) |
B-1-36 |
Modeling for Dynamic Radio Channel at Millimeter Wave Band Affected by Human Shadowing
◎△CheChia Kang・Xin Du・Jun-ichi Takada(Tokyo Tech) |
B-1-37 |
Study on the measurement of complex dielectric constant by using FMCW radar
◎Mingxia Wan・Hang Song・Jun-ichi Takada(Tokyo Tech) |
A model based on knife-edge diffraction model is proposed to predict the shadowing gain incurred by a vehicle moving through the line-of-sight path at 760 MHz. The car is modeled as a PEC cuboid, and the effective semi-infinite plane is estimated and used to calculate the gain. The model is validated by numerical electromagnetic simulation (integral equation) of the car body frame and the cuboid. The result shows that the proposed model can roughly estimate the shadowing gain with the maximum absolute error in dB of 7.8 (car) and 9.1 (cuboid) when the minimum gain is -17 dB.
Wireless channel emulator utilizing deterministic channel model has been intensively studied for drive testing site-specific wireless communication with high accuracy. In order to assert communication performance of the deterministic wireless channel emulator with the standard channel model, the parameter mapping technique is presented to map site-specific fading characteristic to the standard Rician fading channel.
The mobile communication systems at millimeter wave (mmW) and sub-THz bands use array antenna to beam-steering the signal toward the line-of-sight (LoS) channel but suffer from a deep fading due to human blockage. To predict the impact due to human blockage, types of human body models use uniform theory of diffraction (UTD) have been developed but not able to fit the model to the geometry of human body accurately. Our proposal fits the elliptic cylinder model to the human body’s point cloud and the shadowing gain result shows a good agreement compared with the measurement result in between the LoS and the non-LoS scenarios.
This research aims at developing a method to measure complex dielectric constant of the material which can be portable and easy to use. The mmWave frequency-modulated continous wave (FMCW) radar signal is utilized to develop the measurement technology. In this paper, the measurement concept and methodology is proposed and explained.
休 憩(14:15 再開) 座長 中村光貴(NTTドコモ)
B-1-38 |
サブテラヘルツ波を用いた様々な物体透過特性の測定
○内野大地・土田 輝・石岡和明・大賀正夫・平 明徳(三菱電機) |
B-1-39 |
60GHz帯における屋内建材の透過損失測定の検討
○杉村独歩・芳野真弓(日本電業工作) |
B-1-40 |
最尤推定アルゴリズムによる建材物性パラメータ推定手法
○齋藤健太郎(東京電機大)・康 哲嘉(東工大)・進藤竜也(東京電機大)・高田潤一(東工大) |
B-1-41 |
屋内環境におけるテラヘルツ波の偏波の違いによる電波伝搬測定
○矢吹 歩・宮下真行・保前俊樹・豊見本和馬・山口 良(ソフトバンク) |
B-1-42 |
屋外見通し環境におけるテラヘルツ波の電波伝搬測定の偏波の影響に関して
○宮下真行・矢吹 歩・保前俊稀・豊見本和馬・山口 良(ソフトバンク) |
サブテラヘルツ波を用いたセンシングソリューションを実現するために,様々な材質・液体のテラヘルツの伝搬・散乱特性を測定し,サブテラヘルツで高精度イメージング可能な対象を特定する.本発表では家電製品に使用される樹脂素材や人体に使用する場合を想定し液体の透過損を実測した.
電波センサで測定した到来方向推定結果とレイトレース法による伝搬路推定による波源位置推定を検討しており,60 GHz帯においての基礎検討として屋内環境で使用される建材の透過損失の測定を行った.
5GやInternet of Things (IoT)システム等の普及に伴い,近年では様々な周波数帯において無線通信ネットワークが構築されるようになってきた.ネットワーク構築の際は,対象エリアでの通信性能予測のためレイトレーシング法等による電波伝搬シミュレーションが行われる事が多いが,精度の良い予測には建材等の周辺物体の物性パラメータの情報が必要になる.物性パラメータとしては建材の複素誘電率に加えて厚み等の内部構造情報も重要である.本稿では,様々な角度・偏波条件で建材の電波反射特性を測定し,最尤推定法により物性パラメータを非破壊で推定する手法を提案する.屋内建材に関して測定を行い,推定パラメータで周波数特性を含む建材の反射特性を正確に模擬できる事を示した.
次世代移動通信として第6世代移動通信システム(6G)の研究開発が進んでおり,100 GHz超の高周波数帯(テラヘルツ帯)の活用が検討されている .我々はテラヘルツ通信のためのエリア構築を目指し,暗室内で人体によるテラヘルツ波の伝搬,透過損失,散乱などの特性の検証を行ってきた.これまでの実験から,テラヘルツ波の伝搬においても偏波によって反射,散乱による特性の違いが見られることがわかっている.
本稿では,実際の屋内環境において240.5 GHzおよび,300 GHzの2つの周波数にて伝搬実験を行い,垂直偏波および水平偏波による伝搬特性の違いを評価した結果を報告する.
次世代移動通信として6Gの研究開発が行われている.我々は,これまで実電波を用いて電波暗室内にて人体遮蔽特性,人体散乱特性および屋内環境(見通しおよび見通し外)における電波伝搬特性を評価した.本稿では,屋外見通し環境における電波伝搬特性の偏波の影響に関する測定を行ったので結果を報告する.
休 憩(15:45 再開) 座長 沢田浩和(NICT)
B-1-43 |
人体遮蔽を考慮したテラヘルツ伝搬の電磁界シミュレーションの評価
○中野雅之・國澤良雄・林 高弘(KDDI総合研究所) |
B-1-44 |
金属反射板の大きさに対する反射量に関する一検討
◎大𣘺 慎・長 敬三・枚田明彦(千葉工大) |
B-1-45 |
サブテラヘルツを用いた3次元イメージング技術
◎土田 輝・石岡和明・早馬道也・梅田周作・平 明徳(三菱電機) |
B-1-46 |
300 GHz帯ベッセルビームの障害物耐性検証
◎勝上 祐(岐阜大)・菅野敦史(名工大)・関根徳彦(NICT)・矢吹 歩・中島潤一(ソフトバンク)・久武信太郎(岐阜大) |
B-1-47 |
300GHz帯フロントホール回線におけるゲリラ豪雨時の回線切替による回線稼働率向上の検討
○白神澄弥・古川翔一朗・枚田明彦(千葉工大) |
Beyond 5G/6G に向けた超広帯域が利用できるテラヘルツ波の無線通信利用として、人体近傍での近距離無線での活用が検討され
ている。本稿では、人体遮蔽のテラヘルツ波について、電波伝搬への影響を計算機シミュレーションで評価したため報告する。
Beyond5G,6Gではミリ波帯・テラヘルツ波帯を用いた広帯域.超高速通信が注目されている.高周波数帯で生じる伝搬損失の増加,回折量の減少を補う方法に反射板を用いる手法が提案されている.そこで,300 GHz帯における無線LAN通信を想定し,293.4 GHzの送受信機を用い,反射板の大きさに対する反射量を測定及び物理光学近似を用いたシミュレーションにより評価した.その結果,反射板の幅が140 mmまでは受信電力はほぼ一定となり,140 mmより短くなると受信電力が急激に低下することをシミュレーションおよび測定により確認した.
非接触での危険物検知や非破壊での異物検査する手段として,サブテラヘルツ帯を用いた高精度なセンシング技術が求められている.本研究では,従来2次元画像で得られていたイメージングを3次元に拡張するために,電波の到来時間を分離する100GHz帯域幅の時間解析機能を試作した.試作した機能を用いて,測定対象を撮影した結果を本稿で報告する.
300 GHz帯(220~330 GHz)は広い帯域を使った無線通信システムを構築できる可能性が拓けており,Beyond5G/ 6Gでの利用が期待されている.300 GHz帯は直進性が高いため,通信路中の障害物が通信品質に与える影響はマイクロ波帯と比べて相対的に高いと予想される.ベッセルビーム(非回折ビーム)は限られた領域内に障害物があっても回折現象により後方に電磁波が伝わることが光領域での研究により知られている.300 GHz帯ベッセルビームを用いることで障害物耐性の高いテラヘルツ無線路を形成できる可能性がある.
本発表では,300 GHzにおいてアキシコンレンズを用いることで非回折ビームが生成されることを確認し,300 GHz帯ベッセルビームが自己修復性を有することを実験的に示す.
モバイルトラフィックの急激な増加に対応すべく,6Gでは超広帯域伝送を可能にするテラヘルツ帯フロントホール回線を高密度に配置する構成が検討されている.我々は都市部に多数の基地局を見通しがとれるように自動配置するアルゴリズムの検討を進めている.但し,テラヘルツ波は回線距離が短くてもゲリラ豪雨時に降雨減衰による回線断が生じる可能性があるため,東京中心部に自動配置したフロントホール回線のゲリラ豪雨時の回線稼働率の評価も進めている.本稿では,ゲリラ豪雨時に回線を切替えることにより,回線稼働率の向上が可能か検討を行った.
3月10日 9:00〜10:30 2号館 2202教室 座長 今井哲朗(東京電機大)
B-1-48 |
市街地環境におけるセマンティックセグメンテーションを活用した伝搬損失推定
○清水健矢・中西孝行・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-49 |
深層学習を用いた樹木損を考慮した伝搬損失推定
○岩﨑 慧・チン ギルバート・シー・吉敷由起子(構造計画研)・廣瀬 幸・今井哲朗(東京電機大) |
B-1-50 |
側面画像を活用した深層学習伝搬モデルにおける送信局高特性評価
○久野伸晃・猪又 稔・佐々木元晴・山田 渉(NTT) |
B-1-51 |
建物情報を用いた多入力RNNによる伝搬損失変動予測
○佐々木元晴・澁谷尚希・河村憲一・久野伸晃・猪又 稔・山田 渉・守山貴庸(NTT) |
B-1-52 |
機械学習を用いた電波伝搬推定におけるハフ変換を活用した特徴量抽出手法
◎萩原蓮斗・今泉圭太・市毛弘一(横浜国大)・長尾竜也・林 高弘(KDDI総合研究所) |
B-1-53 |
電磁波異常現象の深層学習による中部・関東・東北地域における短期地震予測
○山田龍弥・街道奎太・高木周矢・藤井雅文(富山大) |
様々な機器やシステムが無線を介して接続するIoT社会では,電波干渉や電波攻撃等の電波障害リスクが問題となり,その対策として該リスクを検知/回避/抑制する技術が求められている.特に電波障害が重大リスクとなり得る公共/交通/電力/産業等の分野においては,不審波や干渉波をできる限りリアルタイムに可視化するニーズが高まっており,電波伝搬解析及び可視化の高速化が課題である.本発表では,機械学習,特にセマンティックセグメンテーションを活用した伝搬損失推定モデルとその精度検証結果について報告する.
著者らはドローン・ロボットによる防災・減災・救護活動支援を想定シナリオとした電波伝搬モデルの構築を目指している.本研究では山岳地域での電波伝搬モデルの検討を行った.山岳地域で高精度な電波伝搬モデルを構築するためには樹木による影響をモデルに反映する必要がある.そこで樹木による損失の影響をレイトレーシング法を用いて透過損として分析を行い,次に深層学習の入力として透過損に影響を与える情報を特徴量として設計を行った.測定データを用いた学習・評価結果を報告する.
近年様々な分野において注目されているCNNを活用し,市街地マクロセル(UMa)環境に対する伝搬損失推定においてもモデルがいくつか提案されている.また,筆者らはUMa環境において送受信間の建物における屋根越え伝搬が支配的になる現象に着目し,Tx-Rx直線上の建物を側面画像として新たに定義したモデルを提案,画像のみの入力で実用的な推定精度になることを示した.本稿では送信局高特性に着目し,その推定結果を評価した.
第6 世代移動通信システムでは多様な利用形態が想定されており,その中でも自動運転車への活用は大きな期待が寄せられている.本稿では,自律走行の安全性を担保するために必要な,無線通信品質を秒オーダで事前予測する手法として,建物情報を用いた多入力RNNを報告する.
移動体通信システムの効率的な設計には,伝搬環境の高速かつ的確な把握が必要である.計算コストの軽量化を重視した伝搬損失推定手法として,数値パラメータを入力とした推定モデルを,機械学習によって構築する手法が提案されているが,推定精度が課題となっている.比較的精度の高い手法として,CNNを使って画像を活用する手法も存在するが、こちらは計算コストが課題とされる。本稿では,ハフ変換を用いてRx周辺の地図情報から「道路幅」,「道路の方向」の2つのパラメータを定義し,学習に利用することで,計算量を抑えつつ推定精度の向上を図った.
地震前兆時、VHFラジオ波の長距離異常伝搬現象が生じると考えられる。本研究は、この異常伝搬現象を深層学習により解析し、地震予測に有効であることを示す。新潟放送局と富山大学情報棟間で受信したVFHラジオ波を目視と過去の地震データにより分類し、深層学習に必要な学習データセットを作成した。深層学習では「Convolutional Neural Network(CNN)」を用いて、VHFラジオ波を分類するネットワークモデルを構築した。事後判定として、M7.4の地震(2022.03.16 福島県沖)発生前のVHFラジオ波を解析した結果、M5以上が起こるとする異常伝搬を高確率で検出した。従って、異常伝搬を深層学習により解析する本研究は、地震予測に有効であると期待できる。
B-1. アンテナ・伝播B(アンテナ一般)
3月7日 9:00〜11:45 2号館 2203教室 座長 山ヶ城尚志(富士通)
B-1-54 |
小形アンテナを用いた筐体励振アンテナの放射効率改善
◎西目 匠・橋口 弘・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-55 |
無給電ヘリカル素子装荷修正コニカルアンテナの帯域改善
◎△廣原隆司・野口啓介(金沢工大) |
B-1-56 |
MID工法を用いた小形円偏波アンテナの有効性検証
○坂本寛明・牧村英俊・西本研悟・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-57 |
2.4GHz帯反射板付き小型・簡易アンテナ COSY ANTENNA
○小島 優(パナソニック) |
B-1-58 |
簡易構造の薄型無指向性アンテナ
○倉本晶夫・小熊伸彦・近藤光生(NECプラットフォームズ)・吉田信秀・丸山信明(NEC) |
アンテナの小型化に伴う問題としてアンテナの低効率化がある.実用の端末におけるアンテナの放射効率は10 %程度であり,アンテナ内部の損失を0にすることは困難である.よって端末用アンテナには小型化されたアンテナの放射効率を向上させる手法が求められる.そこで低効率なアンテナで筐体を励振したときの筐体サイズが放射効率に与える影響を検討する.解析結果より,波長に対する筐体サイズによって筐体の動作が変化し,効率が変動することがわかった.
車載向け2周波共用アンテナとして修正コニカルアンテナ(MCA:Modified Conical Antenna)と無給電ヘリカル素子(PHE:Parasitic Helical Element)を同軸上で組み合わせたPHE装荷MCAを検討している.ここではPHE装荷MCAについて,PHEの多線巻化による低周波数帯の帯域改善について示す.
これまで小形円偏波アンテナのバックローブを小さくするT分岐線状アンテナを提案したが,立体的な構造が必要で製造方法に課題があった.本稿では,樹脂材表面への立体配線が可能なMID (Molded Interconnect Device) 工法を用いて成形した小形円偏波アンテナの有効性を検証した.
近年,IoT端末の普及が急速に進んでいる.IoT端末用アンテナは,デザイン性やモバイル性の観点から小型化が要望され,また,高い生産性や低コスト化の観点から簡易構造が要望される.さらに,アンテナ近傍の金属体からの影響を低減する,すなわち設置性の観点からは単一指向性とすることが望ましい.それらを同時に満たすアンテナが報告されているが,FR-4基板に形成された放射器と薄い銅板により形成された反射板の2ピース構成であった.以下,本アンテナをCOSY ANTENNA(COmpact and eaSY Antenna)と呼ぶことにする.本稿では,さらなる小型・簡素化を図った2.4GHz帯COSY ANTENNAを試作し,その特性を明らかにする.
アンテナの突起形状が許容されないインフラ通信システムや移動体通信システムでは,薄型のアンテナとする必要がある.これらのシステムに用いるアンテナとして,非常にシンプルな構造で,埋込み構造にも対応した,薄型・垂直偏波・無指向性,比較的に広帯域なアンテナを実現した.アンテナは,簡易な構造で高さ0.07λLの薄型形状であり,シミュレ-ションによりアンテナ単体で,比帯域56%の整合特性が得られること,及び水平面内で無指向性の放射パタ-ンが得られることを確認した.
休 憩(10:30 再開) 座長 西本研悟(三菱電機)
B-1-59 |
大地上車載オンガラスアンテナの指向性解析
○小内勇輝・有馬卓司・宇野 亨(東京農工大)・加賀谷 修・新井圭祐(AGC) |
B-1-60 |
金属枠付きオンガラスアンテナ放射特性の高速計算法
○山内聡史・宇野 亨・有馬卓司(東京農工大)・加賀谷 修・新井圭祐(AGC) |
B-1-61 |
オンガラスアンテナ上の雨滴による指向性への影響評価
○菊池嵩郁・有馬卓司・宇野 亨(東京農工大)・加賀谷 修・新井圭祐(AGC) |
B-1-62 |
金属板近傍の水平面直交2素子モノポールアレーによる3次元放射指向性の基礎検討
◎趙 仁楷・広川二郎・戸村 崇(東工大) |
B-1-63 |
地板に対する平面折り返しダイポールアンテナの特性
○橋口 弘・道下尚文・森下 久(防衛大)・岩本壮弘(出光興産)・作間允力雄(サクマアンテナ) |
自動車には, 安全で快適な運転を実現するために様々なアンテナが設置されている. これらのアンテナは, 意匠の観点からガラス上に直接設置されるオンガラスアンテナが用いられているが, アンテナ単体と車体搭載時では特性が大きく異なるので, 車体全体を含めたシミュレーションが求められている. しかし, 車両全体を含めたシミュレーションには一回あたり約1日かかり, 莫大なメモリ及び計算時間を要する. そこで本研究では, MPI(Message Passing Interface)と呼ばれる並列計算処理を用いて, 車両全体解析の実装を行うことにより, 高速計算を実現し, それらを用いて大地が指向性に及ぼす影響について検討する.
自動車に搭載されるアンテナは意匠の観点からガラスに直接取り付けられることが多い.本研究ではこのアンテナをオンガラスアンテナと呼ぶ.また現在の車両ガラスには,2枚のガラスの間に「中間膜」と呼ばれる透明樹脂フィルムを挟んだ合わせガラスが採用されている.先行研究においてFDTD法(Finite Difference Time Domain method)を用いたアンテナ特性のシミュレーションは行われているが,莫大な解析時間が必要なことが分かっている.本研究では合わせガラスに搭載されたオンガラスアンテナの電磁界解析について,均質多層媒質での電磁界導出に用いられるグリーン関数を用いた数式による解析手法を提案し,計算時間,コストの削減を目指す.
近年,自動車のIT化が進んでいる.V2X通信を実現する無線通信規格としてDSRC (Dedicated Short Range Communication) とC-V2X (Cellular Vehicle-to-Everything) がある.これらのシステムでは5.8GHz帯と5.9GHz帯の周波数が使用される.このような車両に使用されるアンテナが外部に露出しているとデザイン上好ましくなく,盗難や破損の恐れがある.そのため近年では自動車に搭載されているアンテナは,ガラス表面設置型のオンガラスアンテナがよく用いられている.これらのオンガラスアンテナ設計においては,アンテナ単体の特性と自動車搭載時の特性が大きく異なり,また,実際には降雨によりガラスに雨滴が付着するため,雨滴を含む電磁界解析が必要になる[1].そこで本研究では,ガラスに付着した雨滴による遠方界を計算して,その影響を検討した.
3次元無指向性アンテナは数多く検討されており,本稿では,シリコンチップを載せた金属板の近傍にある水平面で直交する2素子モノポールアンテナアレーによる3次元放射指向性を検討した.現状の製作上,形状上の制約により,垂直ポストは使用できず,直交する2素子モノポールアレーとし,給電の簡素化のためそのうち1素子は無給電とした.近傍の金属板による3次元指向性への影響を評価した.解析結果より,水平面内無指向性に近い放射特性を実現した.今後は上下方向への放射の増大,インピーダンス整合とその広帯域化等を検討する.
携帯電話等の小型無線端末の内部は,多数搭載されており,アンテナの特性に影響を与える.このため,筐体を励振してアンテナの放射効率を改善する手法が提案されている.著者らは,このような端末内においても特性への影響が少ないアンテナとして,プリント折り返しダイポールアンテナを提案した.本稿では,提案アンテナの実証を行うとともに,影響を低減するため基礎検討を行った.
3月7日 13:00〜16:45 2号館 2203教室 座長 西山英輔(佐賀大)
[English Session II]
B-1-64 |
Substrate-Integrated Half-Wavelength L-Shaped Monopole for Antenna in Package Modules
○Alberto Hernández−Escobar・Takashi Tomura(Tokyo Tech) |
B-1-65 |
A compact wideband circularly polarized MIMO antenna for use in Sub 6 GHz 5G application
◎Phyo Zin Mar・Takafumi Fujimoto・Chai-Eu Guan(Nagasaki Univ.) |
B-1-66 |
Design of Reconfigurable Circularly-Polarized Ring-Slot Antenna Employing Switchable Microstrip-Line Coupling Feed Network
○Wai Htun Htet・Eisuke Nishiyama・Ichihiko Toyoda(Saga Univ.) |
B-1-67 |
Composite cavity-backed antenna minimizing the effects of cavity resonator
○Phanuphong Boontamchauy・Ryuji Kuse・Takeshi Fukusako(Kumamoto Univ.) |
B-1-68 |
Transparent Origami Mesh Patch Antenna for Satellite Communication
◎Saowapa Meerabeab・Tomohiko Imachi・Satoshi Yagitani・Mitsunori Ozaki(Kanazawa Univ.) |
Global mobile communications are steadily increasing their operating frequency in order to be able to allocate broader bandwidth to increase user bitrate. To follow this trend, it is necessary to adapt the device antennas to these higher frequencies without neglecting performance. Overcoming the high propagation losses found at the mm-wave band requires directive antennas, while mobile terminals usually use omnidirectional antennas because the pointing direction is not fixed. This leads to reconfigurable solutions like phase arrays with a large number of radiating elements. In these arrays, however, omnidirectional radiation elements are more convenient, since the gain of the antenna must be obtained from the array factor in as many directions as possible. In this abstract, a radiating element for the 151.5-164 GHz band with such characteristics is proposed.
The present work describes a two-element circularly polarized MIMO (Multiple Input Multiple Output) antenna operating in the Sub 6 GHz 5G frequency range. The antenna design consists of two printed monopole antennas which are arranged in the mirror position. An element has been deployed to improve the transmission coefficient and the axial ratio. The MIMO antenna with a wide bandwidth of 36.14% (from 3.4 to 4.9 GHz) has been proposed for circular polarization.
This paper proposes a reconfigurable ring-slot antenna with a novel switchable microstrip-line coupling feed network. The ring-slot is implemented on the ground plane and integrated with the perturbations for circular polarization (CP). The feed network is designed on top of the substrate using a central microstrip line and two coupling branches. Also, diodes are properly mounted between the central microstrip line and coupling branches for switchable function. The CP reconfigurable feature can be achieved by changing the switching states of the diodes. Moreover, the proposed ring-slot antenna provides design flexibility for simple biasing and array configurations.
Antenna performance has been enhanced in numerous ways by the use of cavities. A cavity-backed structure is considered as a part of an antenna system, but it can also be thought of a cavity resonator, strong modes of resonance may degrade circular polarization. Improper cavity structure limits axial ratio (AR) bandwidth and antenna gain. The composite cavity which are circular stepped cavity and conical cavity could improve antenna gain (10.24 dBic) and enhance AR bandwidth (47.6% 4.8-7.8 GHz) by minimizing the effects of cavity resonator.
The design of a transparent origami mesh patch antenna was proposed in this paper. The proposed antenna utilized optical transparency and origami properties which can be integrated with the solar cell panel and change the antenna structure for improving the antenna performance arranged in the array. The simulated and measured results were in good agreement. The proposed antenna operated at 2.23 GHz. However, the proposed antenna requires a mechanism for deploying the structure, which is left as a future work.
休 憩(14:30 再開) 座長 橋本 紘(東芝)
B-1-69 |
円偏波放射コルゲーション付平行平板スロットアレーアンテナの設計
○友利優希・広川二郎・戸村 崇(東工大) |
B-1-70 |
部分並列給電平行平板スロットサブアレーの設計
◎原 慶城・広川二郎・戸村 崇(東工大) |
B-1-71 |
放射部非共振クロススロットペアを有する同心円状アレーラジアルラインスロットアンテナの特性改善に関する解析と実験
◎高田祐輝・常光康弘(拓殖大) |
B-1-72 |
Design of a probe-fed waveguide feeder in a dual-polarized parallel plate slot array antenna
○Huanqian Xiong・Jiro Hirokawa・Takashi Tomura(Tokyo Tech) |
平行平板スロットアレーアンテナは,ミリ波帯において簡単な構造かつ高効率である.
平行平板内を伝搬する平面波に対しスロットを傾斜して配置すると,横方向へ散乱波が生じ特性が悪化する.
本稿では,横方向散乱波を防ぐコルゲーション構造を導入した円偏波平行平板スロットアレーアンテナを設計周波数27.0GHzで設計した.
近傍界における右旋円偏波の振幅と位相をほぼ一様であり,軸比は設計周波数で1dB程度と良好な値が得られた.
完並列給電導波管2次元2^n×2^nスロットアレーアンテナにおいて並列給電段数nを1段増やすと面積が4倍になり指向性利得を6dB増やせる。しかし給電線路長が長くなり伝送損失が増え、それが6dBを超えると利得が低下する、そこで部分的に直列給電を取り込み、帯域は狭くなるが伝送損失を減らせる可能性がある。本稿では部分並列給電平行平板スロットサブアレーを設計周波数412.5GHzとして設計する。その結果T分岐との相互結合が見られスロットの角度を調整する必要があったが、概ね一様な放射と位相を見ることができた。今後は導波管に導電率を設定して損失を計算し、完全並列給電の場合と帯域,利得を比較する。
円偏波平面薄型アンテナとしてRLSA (Radial Line Slot Antenna)がある。ラジアルラインへの給電を回転モードにするため非共振クロススロットが適用されている。スロット長を共振長から励振位相差90°つけている。給電部だけでなく、放射スロットアレー終端部に非共振クロススロットペアを用いることで原理的に最少構成のRLSAを設計できる。更に内周にTの字型スロットを適切に配列することで任意の利得を実現できる。非共振クロススロットペアに改良の余地が残されていることが判明した。本報告では非共振スロット長を適切な長さに改良することで軸比及び利得特性が向上することを解析と実験で示す。
The design of the center-fed waveguide feeder for a dual-polarized parallel plate slot array antenna has been presented in this paper. We will show the design of the radiating part and the full antenna structure at the conference.
休 憩(15:45 再開) 座長 福迫 武(熊本大)
B-1-73 |
ミリ波自動車レーダ用導波管スロットサブアレーアンテナの設計
◎佐々木一斗・広川二郎・戸村 崇(東工大) |
B-1-74 |
150GHz帯チャネルサウンダ用中空導波管スロットアレーアンテナの放射素子の設計
○山口莉香子・広川二郎・戸村 崇(東工大)・猪又 稔・山田 渉(NTT) |
B-1-75 |
Comparative Evaluation of Different Assignments for Post-wall 1-D Parallel Switching Matrices with Four Beams
○Shengjia Wu・Jiro Hirokawa・Takashi Tomura(Tokyo Tech)・Nelson J. G. Fonseca(ESA) |
B-1-76 |
スロットペアの動作切換により素子信号の符号分割多重化を行う導波管スロットアレーアンテナの実験検討(その2)
○中本成洋・紀平一成・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
本稿では,自動車レーダ用の2x2放射スロットアレーアンテナを有限要素法汎用ソフトウェアを用いて解析,設計した.構造は終端を短絡した給電導波管(WR-12)の狭壁上に給電スロットを設け,その上に2x2の放射スロットを有するX型キャビティを設けた形になっている.結果として, 3dBビーム幅はE面およびH面でそれぞれ57.8度(=28.9x2),28.6度(=14.3x2)である.最大放射方向の利得は13.1dBiとなった.反射が15dB以下の帯域は76.0GHzから77.0GHzとなり,帯域幅が1.0GHzとなる結果を得た.今後は,反射の広帯域化を検討する.
150GHz帯チャネルサウンダ用アレーアンテナにおいて,150GHz帯と周波数が高いため空間伝送損失が大きくなりアンテナの所望利得が大きくなるので,給電線路として伝送損失が小さい中空導波管を用いる必要がある.本稿では,150GHz帯において広帯域かつ高い反射抑圧特性を実現するスロットアンテナ構造を提案する.本研究のアンテナの設計周波数は158GHz,所望帯域は155~161GHzであり,所望帯域内で所望帯域内でS11は-14.3dB以下である.設計周波数でS31は-11.7dBとなっている.そのため,さらなる反射抑圧と放射量を相当するS31を少なくとも-3dBまで増加させる必要がある.
General configurations of planar switching matrices with an arbitrary number of beams using one-plane couplers have been researched. In the case of an even number of beams, a special configuration, where two Nolen matrices are fed in parallel through crossovers, shows a more compact structure compared with the general 1-D matrices. This manuscript discusses the performance of two typical phase difference assignments for this special configuration realized by post-wall waveguides.
筆者らは,フルDBFアンテナの低コスト化技術として,導波管スロットアレーの各スロット動作をPINダイオードにより切り換えることで,受信信号を符号分割多重化し,信号処理で各素子アンテナ信号に分離するアンテナを提案している.これまで実験によりその有効性を検証してきたが,一部,信号分離精度の劣化が課題であった.本稿では,その改善について検討した結果について示す.検討では,多重化に利用する直交符号の符号長に着目し,これまでより符号長の長い直交符号を用いることにより,信号分離精度が改善することを実験により示す.
3月7日 14:30〜16:45 2号館 2204教室 座長 佐藤 浩(パナソニック)
B-1-77 |
Lプローブ給電偏波共用一層構造広帯域リング形平面アンテナのポート間アイソレーション特性の改善に関する一検討
◎戸村 豪・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-78 |
片側短絡とスリットにより小型化されたバラクタ装荷Lプローブ給電2周波共用平面アンテナの周波数制御に関する一検討
◎渡邉 廉・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-79 |
ラットレース回路を用いたLプローブ給電広帯域リング形平面アンテナの交差偏波低減に関する一検討
○内藤真己・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-80 |
外側のリング形素子を分割した形状とするLプローブ給電2周波共用一層構造広帯域多リング形マイクロストリップアンテナに関する一検討
◎高橋昌也・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
本稿では比帯域幅が約40%程度の直交偏波共用一層構造広帯域MSAの中央にビアを装荷し、ポート間アイソレーション特性の改善についてシミュレーションにより検討を加えた。
小型化された平面アンテナの周波数制御範囲の拡大を目的として、片側短絡とスリットにより小型化されたバラクタ装荷Lプローブ給電2周波共用MSAの周波数制御特性について検討を加えた。
本稿ではラットレース回路を用いて差動給電された2個のLプローブにより給電される広帯域リング形MSAのH面パターンの交差偏波低減についてシミュレーションおよび実験の両面から検討を加えた。
外側のリング形素子を分割した形状とするLプローブ給電2周波共用一層構造MR-MSAの広帯域設計について検討を加えた。
休 憩(15:45 再開) 座長 高野豊久(住友電工)
B-1-81 |
メタサーフェスを用いた広帯域パッチアンテナの設計
◎富山尚登・田村 成・菅谷聡志・新井宏之(横浜国大) |
B-1-82 |
ストリップ線路給電スロット結合パッチを用いた低軸比・低サイドローブアンテナの試作評価
◎宇野 孝・中本成洋・横江隆文・高橋 徹(三菱電機) |
B-1-83 |
クランク状のスリットを設けた広帯域パッチアンテナを用いた4素子アレーの試作評価
○丸山貴史・後藤 準・宇田川重雄(三菱電機) |
B-1-84 |
誘電体イメージ線路を用いた漏れ波アンテナによるコセカント2乗指向性の形成
◎△松本昇太・新井宏之(横浜国大) |
パッチアンテナは薄型で安価に製造できるため、無線通信システムにおいて非常に注目されている。しかし、パッチアンテナは薄型の基板上で非常に狭帯域になるという問題点が存在する。本稿ではそれを解決するためにメタサーフェスを用いた広帯域かつ小型のアンテナを提案する。提案アンテナは中央のパッチアンテナとその周囲のメタサーフェスで構成されている。メタサーフェスを用いることで用いない時と比べて帯域幅が3.7倍に広がり、広帯域化に有効であることを示した。また、従来のメタサーフェスを用いたアンテナよりも更に構造の単純化に成功した。
通信用アレーアンテナなどでは,低軸比・低サイドローブな放射パターンが要求される.線路からの不要放射による放射パターン劣化を低減するには,給電回路をストリップ線路で構成することが有効である.そこで著者らは,低軸比化のため,十字状パッチを用いたストリップ線路給電スロット結合パッチを提案した.本稿では,提案アンテナを用いた低軸比・低サイドローブアンテナを試作し,本アンテナの有効性を実験より示す.
著者らはこれまでにクランク状のスリットを設けたパッチアンテナを提案し、通常のパッチアンテナよりも広帯域化できることをシミュレーションで示した。本稿では提案アンテナを用いた4素子アレーの試作評価を行う。設計と測定とが概ね一致し、広帯域性能が得られることを示す。
誘電体イメージ線路上に金属ストリップを配置した漏れ波アンテナを考える. この漏れ波アンテナにおいて給電位置に最も近い金属ストリップの位置を変化させることで指向性が大きく変化し, コセカント2乗指向性が形成できることを示した.
3月8日 9:00〜11:45 2号館 2203教室 座長 佐藤啓介(電気興業)
B-1-85 |
300 GHz帯における誘電体キューブアンテナの広帯域動作評価
◎大野永遠(岐阜大)・稲垣惠三(NICT)・菅野敦史(名工大)・関根徳彦(NICT)・矢吹 歩・中島潤一(ソフトバンク)・久武信太郎(岐阜大) |
B-1-86 |
300GHz帯低姿勢マルチビーム高誘電率レンズアンテナの一次元反射防止構造による利得改善
◎杉山拓矢・杉本義喜・榊原久二男・菊間信良(名工大) |
B-1-87 |
位相中心直交面分離一次放射器を用いたマルチビーム誘電体レンズアンテナのビーム走査特性の改善
◎杉本義喜・日比慶一・榊原久二男・菊間信良(名工大) |
B-1-88 |
300 GHz帯マイクロストリップサーペントアレーアンテナの設計
◎△キム ジフン・杉本義喜・榊原久二男・菊間信良(名工大) |
B-1-89 |
100 GHz帯オンチップアンテナ用V/H面放射パターン測定系の開発
◎石森 晃・ジャン テンガ・古市朋之・末松憲治(東北大) |
300 GHz帯には広い帯域を使った通信システムを構築できる可能性が拓けており,Beyond 5G / 6Gでの利用が検討されている.我々は,小型で高利得・広帯域な300 GHz帯アンテナの開発を目指している.最近,誘電体キューブアンテナ ( Dielectric Cuboid Antenna: DCA ) を提案し,市販の部材で構築した300 GHz帯無線伝送システムにおいて,送受信アンテナをDCAとして17.5 Gbpsの無線伝送を実証した.実証実験で用いたDCAは,DCAと導波管との不整合と導波管のフランジの影響からWR-3.4フルバンド動作とはなっていなかった.本発表では,改良開発したDCAの|S11|とアンテナ利得の周波数特性を実測し,WR-3.4導波管帯域全体での動作を実験的に確認したので報告する.
誘電体レンズの表面に微細な周期構造を設けることで,レンズ表面での反射損失を低減できる.本報告では,300GHz帯において誘電体レンズの表面に,製造の容易な一次元反射防止構造を設計し,マルチビームレンズアンテナの利得向上に対する有効性を示す.レンズ表面での反射を低減するために,磁界と平行で底面に垂直な溝からなる一次元反射防止構造をレンズ両面に付加した,マルチビームレンズアンテナを270GHzで設計した.300GHz帯において一次元反射防止構造を誘電体レンズの表面に付加することでマルチビームレンズアンテナの利得が向上し,±30°内での最低利得が約1.2dB改善することを示した.
マルチビーム誘電体レンズアンテナはビーム走査面とその直交面内で非点収差により焦点が分離するため,ビームを走査したときに少なくとも片面の指向性が劣化する.本報告では,位相中心位置が直交面で分離したホーンアンテナを一次放射器に用い,各焦点位置に位相中心を合わせて設計することで,ビーム走査特性が改善することを示す.
マイクロストリップアレーアンテナは生産性に優れることから広く用いられるが,ミリ波では製造精度が特性ばらつきの原因となる.本研究では,構造が単純なサーペントアレーアンテナを取り上げ,素子間の接続角度のみの制御で任意の開口面振幅分布を設計できることを示す.
超100 GHz帯でのCMOSオンチップパッチアンテナを試作し,報告してきた.超100 GHz帯での測定には,送信用信号源として寸法,重量が大きい周波数エクステンダなどが必要となるため,AUTの送信アンテナを固定し,受信用周波数エクステンダと受信アンテナのみを走査することとなる.このため、RFプローブを下ろしたままでは,VあるいはH面のみの測定となってしまう.本稿では,送信用エクステンダをウェハステージとともに回転させることで,RFプローブを下ろしたままV/H面両方の放射パターンが測定できる測定系を開発したので報告する.合わせて,この系を用いた100 GHz帯オンチップパッチアンテナの放射パターンの測定結果を報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 有馬卓司(東京農工大)
B-1-90 |
寄生導体パッチの大口径メタループアンテナへの影響
阿部智希・山内潤治・○中野久松(法政大) |
B-1-91 |
動作周波数より低周波側に阻止帯域を有する角柱マントルクロークアンテナ
◎小澤修平・橋口 弘・道下尚文・森下 久(防衛大)・先本清志・宮崎輝規・田所眞人(横浜ゴム) |
B-1-92 |
ゼロ次共振器と無給電素子を備える線状V字ダイポールアンテナ
○浅川晃次・上田哲也(京都工繊大) |
B-1-93 |
Rasorberの入射角度特性について
○HYEONSEOK JANG・有馬卓司(東京農工大) |
B-1-94 |
両偏波対応透明メタサーフェス屈折板
◎米原正道・吉川博道・平松信樹(京セラ)・中野久松(法政大) |
内部に電子装置等を配置可能な空間を有する大口径メタマテリアルループ(メタループ)アンテナを提案してきた. このアンテナは1波長以上の円周であっても, 天頂方向に円偏波を放射するように設計されている. 本稿では, 大口径メタループアンテナの内部に金属体(円形パッチ)を配置した構造を対象とし, パッチの影響を明らかにする.
本稿では動作周波数(750 MHz)の低周波数側(720 MHz)に阻止帯域を有する角柱マントルクロークアンテナについて検討した.アンテナの給電部及び誘電体の表面に搭載したストリップ幅を調整することで,共振周波数が調整でき,その放射パターンはダイポールアンテナと同様になる.また,阻止帯域においてMonostatic RCSが低減し,クローキング効果を得ることができる.
アンテナを小型化かつ広帯域化するための技術として,メタマテリアル技術の一つであるCRLH線路の両端に反射器を挿入したゼロ次共振器を応用したモノポール構造の線状V字アンテナの研究が行われている.モノポール構造のアンテナはグランド板の形状が周波数特性に影響を与えることが知られており,小型化および実装上の課題となっていた.本稿では,この問題を解決するために,ダイポール構造を採用することによってグランド板そのものの影響をなくし,整合用無給電素子を備える小型で広帯域なアンテナ構造を提案する.
メタマテリアルを用いることで,任意の周波数の電波のみ透過させるFSSや平板の吸収体が実現されている.一方,近年Rasorberが提案されている.Rasorberとは一つの構造でありながら,ある周波数ではFSSとして働き,ある周波数では吸収体として働く構造である.Rasorberは有用であるが,一般的に用いられているループ構造は入射角によって周波数特性が大きく変化するという特性があった.本研究では,入射角に対して周波数特性が変化しない構造を検討している.
ミリ波5Gにおける課題として,周波数に起因する直進性の高さによりカバレッジホールが発生しやすいという点が指摘されている.これを解決する技術として筆者らはこれまでに透過型メタサーフェス屈折板(以降,屈折板)として両偏波対応の構造を提案し,その特性を報告した.この屈折板の素子はプリント基板と銅箔で構成されている.屈折板を設置する際には景観に配慮しなければならない場合もあり,その際には透明であることが求められる.著者らは透明基板と透明電極で素子を構成した透明屈折板について報告済みであるが,一偏波のみに対応した構造であった.本報告では,両偏波に対応した屈折板の透明化の検討結果を報告する.
3月8日 13:00〜17:00 2号館 2203教室 座長 長坂正史(NHK)
B-1-95 |
枝分かれ素子を用いた一層化リフレクトアレーアンテナ
○髙尾昌誠・山田竜生・牧野 滋(金沢工大) |
B-1-96 |
超小型衛星搭載リフレクトアレーアンテナ一次放射器用プリント基板ビームチルトアレーの設計
○黒川晴希・中山 弦・武田裕貴・戸村 崇・坂本 啓(東工大) |
B-1-97 |
集束ビーム給電系を有する反射鏡アンテナの通過位相の入射偏波依存性
○山本伸一・阿戸弘人・関 竜哉・西岡泰弘(三菱電機) |
B-1-98 |
広帯域アンテナの開発
○△氏原秀樹(京大) |
B-1-99 |
幾何学的位相を用いた2帯域リフレクトアレーの一設計
◎冨田昌吾・光崎由二(川重岐阜エンジニアリング)・高橋康夫(川崎重工)・上田哲也(京都工繊大) |
マルチビーム方式を用いたリフレクトアレーアンテナが提案されている.偏波や周波数によってビーム方向を変化させることで,サービスエリアを効率的にカバーすることが可能である.従来の検討では,誘電体内でグレーティングローブが伝播しない共振素子間隔を用いて検討が行われた.結果として,偏波ごとにビーム方向を制御可能かつ高能率なリフレクトアレーが設計できたものの,位相変化量が 360°に満たないことが課題であった.そこで,本報告では位相変化量を改善することを目的とし,同様の設計条件において位相領域をカバー可能な素子形状について提案する.
超小型衛星搭載リフレクトアレーアンテナ一次放射器用.プリント基板ビームチルトアレーの設計
リフレクトアレーは平面板で高利得を実現できるため超小型衛星搭載用の高利得アンテナとして用いられている.従来の超小型衛星(MarCO)搭載リフレクトアレー用の一次放射器は展開機構で機械的にメインビーム方向をリフレクトアレー方向に調整している.展開機構を不要にするためにはビームチルトした一次放射器が必要となる.本稿ではビームチルトした一次放射器の実現を目的とし,プリント基板上に構成するビームチルトアレーを設計する.
70m級の大型反射鏡アンテナの代替として、32m級の中型の反射鏡アンテナを複数台配置することが検討されている。各反射鏡アンテナの通過位相を測定・補正する必要があるが、著者らは、集束ビーム給電系のセンターホールに設置した反射板で通過位相を測定する方法を提案している。本稿では、AZ回転に伴い位相変動が生じる原因が偏波依存性であることを示す。
VLBI観測での遅延誤差補正や気象尾予報のためのデータ取得などを目指して、大気中の水蒸気量を高分解能で精密に測定するための広帯域可搬型アンテナと受信機を開発した。水蒸気から雲中の水、酸素のスペクトラムを1つの受信系で測定するため16-64GHzの広帯域フィードとOMTを搭載している。これはNICT鹿島34mアンテナなど大型カセグレンアンテナの広帯域化に用いた広帯域フィードを基にしたものだが、ビーム幅の選択肢が広いためパラボラの主焦点でもカセグレンの2次焦点でも搭載可能である。この帯域を全てカバーできる冷却低雑音アンプの市販品がないため帯域と入力ポートの形状も異なる2つの低雑音アンプを使っているが、冷却しないなら同程度の帯域で開発したクワッドリッジ導波管型やプリント基板型OMTに両偏波とも同じLNAを使用することもできる。
本研究には京都大学生存圏研究所METLABおよびNICT先端ICTデバイスラボを利用し、科研費(18H03828および21H04524)のサポートを受けている。
3.7 GHz,28 GHzの2帯域において反射角が共通であり,平面波の垂直入射に対して±θの対称な2方向に反射する2帯域リフレクトアレーの設計方法を検討する.素子を同一平面内に配置するマージ手法の2帯域化では,高域/低域素子のパターンの重なりを避けて配置するため,低域素子の間隔は高域素子の間隔の整数倍とすることが多い.その結果,位相勾配の取り得る値が限られ,2帯域で共通の反射角を設計することが困難である問題がある.本稿では,上記問題を考慮した,幾何学的位相を用いた2帯域リフレクトアレーの設計方法について述べる.
休 憩(14:30 再開) 座長 平部正司(NEC)
B-1-100 |
遠距離OAM多重通信のビームステアリングの検討
◎北山観行・斉藤 昭・石原克弥・内田海斗・本城和彦・石川 亮(電通大) |
B-1-101 |
高次モードを利用したOAM多重通信用準ミリ波帯ループアンテナアレイ
◎石原克弥・斉藤 昭・本城和彦・石川 亮(電通大) |
B-1-102 |
1波長ループで結合した寄生素子付指向性アンテナ
◎△平元寿弥・野口啓介(金沢工大) |
B-1-103 |
交差2線式球ヘリカルアンテナに関する基礎検討
◎島田拓馬(前橋工科大)・西江美奈・野口啓介(金沢工大)・藤田佳祐(前橋工科大) |
B-1-104 |
オクターブバンド自己補対アンテナと同軸給電線路において整合及び平衡・不平衡給電変換となる同軸切りかけ構造の解析
◎正能健一・常光康弘(拓殖大)・平野圭一・野田一房(雄島試作研究所) |
電磁波の軌道角運動量(OAM)は, 通信の新たな多重化の手法として近年注目されている. 我々は円形ループアンテナアレイおよびパラボロイドを用いた遠距離通信を提案しているが, その際受信位置は送信側との軸合わせをすることによって定めていた. 本稿では受信位置を可変とするため, アレイを移動させることで OAM 波をビームステアリングする手法を用い, その通信を解析した.
ループアンテナから生成されるOAM電磁波を用いた多重通信は信号処理が不要であるが,超高周波帯OAM波生成では,低次モードはループ形状の微細化により形成が難しいという欠点があった.当研究グループではループアンテナと反射板を集積化したPTFE基板を使用した12 GHz帯での4チャネル多重通信に成功しているが,誘電率で小型化が進む難点がある.そこで,ループ径が大きくできる高次モードに着目し,さらに,給電構造を改善することにより高周波化を図った.
ワイヤレス電力伝送(WPT)技術は,IoTデバイス,ウェアラブル機器などへの応用が検討され,多くのワイヤレスシステムに向けて研究開発が進められている.携帯端末などに設置するレクテナ用アンテナは簡易な構造で指向性を持たす必要があり,ダイポールとループの組み合わせによる構成が有効である.ここでは1波長ループにより寄生素子を結合し,ダイポールを励振した場合の特性について報告する.
複共振を用いた球ヘリカルアンテナの広帯域化では,放射効率の周波数変動が大きいことが問題となっている.そこで本報告では,単共振球ヘリカルアンテナよりも広帯域で,放射効率の周波数変動が小さい複共振・小形アンテナとして交差2線式球ヘリカルアンテナを提案した.モーメント法によるシミュレーションを行い,単共振を行う従来の球ヘリカルアンテナと比較することで提案アンテナの性能を検討した.その結果,許容VSWR=3,アンテナサイズkR=0.47において提案アンテナは従来のアンテナよりも2.64%広帯域な特性となり,放射効率の周波数変動は10.3%まで抑制可能なことが明らかとなった.
広帯域において一定の特性インピーダンスを維持する構造として、同軸ケーブル(50Ω)及び自己補対アンテナ(189Ω)がある。両者は広帯域であるが、特性インピーダンスと平衡・不平衡給電の違いがある。特性インピーダンスを徐々に変化させ、平衡・不平衡給電変換も実現出来れば広帯域なアンテナが実現することになる。広帯域を用いたFMCWレーダーに本アンテナを適用することで高分解能を得られるシステムの実現を目的としている。
本研究グループでは、同軸切りかけ構造を用いることで両者において広帯域に整合がとれることを解析と実験により示した。-10dB 以下の反射特性を維持し正面方向に一定の利得(3dBi±2dB)を維持できる。
本報告では、45度切りかけ構造においてインピーダンス整合と平衡・不平衡給電の変換が行われる仕組みについて電磁界解析により明らかにする。
休 憩(16:00 再開) 座長 今野佳祐(東北大)
B-1-105 |
導電性インクを用いたプリントダイポールアンテナ
◎平野 頌・橋口 弘・道下尚文・森下 久・西目 匠(防衛大) |
B-1-106 |
交さ偏波を低減した超低姿勢ダイポールアンテナ
◎中山堅太・室伏竜之介・花山英治(職業開発大) |
B-1-107 |
無給電素子付広帯域Haloアンテナの低姿勢化に関する検討
◎水谷智一・道下尚文(防衛大)・佐藤 浩・小柳芳雄(パナソニックシステムネットワークス開発研)・森下 久(防衛大) |
B-1-108 |
ミリ波レーダ基板の側面方向に基板表面と平行な偏波を放射するアンテナの試作評価
◎和田健太郎・橋本 紘・森 浩樹(東芝) |
近年,超微細加工されたメッシュ状のアンテナなどを用いた透明アンテナに関する研究が多く行われている.透明度が高いアンテナを製作するポリマー型の最新技術では,導電性の向上と印刷フレキシブル回路の導入により,印刷が極薄になることから更なる小型化が可能になる.本研究では,メッシュを簡略化したモデル及び一様な導電率を持つシート状のモデルについて比較し,導電性インクを用いたプリントダイポールアンテナモデルの簡易化の検討について行う.
超低姿勢ダイポール(ULPD)アンテナは,低姿勢であり同軸外導体の長さの調節のみで容易に整合が可能な特徴を有する.その一方で,ULPDアンテナは交さ偏波についての報告が少ない.そこで,ULPDアンテナの交さ偏波特性について実験を行い,交さ偏波レベルが-0.9 dBと高いことを確認した.このため,本稿では交さ偏波を低減するULPDアンテナの寄生素子の構造を提案する.提案構造により,H面の交さ偏波が12.9 dB低減可能であることを示した.提案構造の電流分布の特徴が一般的な反射板付きダイポールアンテナと同様なことから,提案構造により電気的非対称性が解消され,交さ偏波が低減したものと考えられる.
Haloアンテナは水平偏波アンテナであり水平面内で無指向性の特性を有する.Haloアンテナは折返しダイポールを円筒状に折り曲げた構造となっており,アンテナ素子径が0.15程度と非常に細径である.しかしながら,比帯域幅が約4%と狭帯域であり,Halo素子の鉛直方向上下に無給電素子を装荷することで広帯域化する手法が報告されている.本稿では無給電素子を鉛直方向に配置せず,無給電素子の内部にHaloアンテナを配置することにより,アンテナ素子径を維持しながらHaloアンテナの低姿勢・広帯域化について検討する.
ミリ波レーダ基板向けの基板側面方向から放射する反射板付きダイポールアンテナを試作評価した。本稿では、ミリ波レーダ基板の層構成や製造実現性を考慮した基板層構成により、基板に垂直な面内における放射指向性の非対称性が改善することを示す。
3月10日 9:00〜11:30 2号館 2203教室 座長 竹村暢康(日本工大)
B-1-109 |
両平面給電回路を用いた準ミリ波広帯域スロットアレーアンテナの検討
◎大野和輝・日景 隆・山本 学(北大)・和井秀樹・北 直樹(NTT) |
B-1-110 |
U字形無給電素子付きビバルディアンテナ
○飯塚 泰・齋藤和男(ワカ製作所) |
B-1-111 |
メッシュ構造テーパスロットアンテナの導体部削減に関する検討
○篠原 葵・松井章典(埼玉工大) |
B-1-112 |
高い水平方向利得を有する短絡導体付きスロットアンテナの低姿勢化検討
○秋元晋平・山浦真悟・西本研悟・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-113 |
フローティングメタル装荷型折り返しスロットアンテナ
○古賀洋平・伴 泰光・甲斐 学・井上 栄(FCNT)・志賀信泰・安田 哲(NICT) |
UWB(Ultra Wide-Band)無線に応用可能なアンテナとして,筆者らはこれまで葉状ボウタイスロット素子と両平面給電回路を用いた広帯域平面アレーアンテナを開発した.本稿では,同様の構成法を用いることで, 準ミリ波帯(28 GHz帯)での応用を想定した4素子のスロットアレーアンテナを設計し,その諸特性を数値シミュレーションにより評価した結果を報告する.
ビバルディアンテナを小型化した際,下限の周波数帯において十分な整合が得られない問題が生じる.本稿ではこの解決策としてU字形無給電素子をビバルディアンテナの上下に配置することを提案する.調整の結果,インピーダンス整合が改善し,インンピーダンス帯域(VSWR < 2)は701~970 MHzが得られ,700 MHz帯,800MHz帯,900 MHz帯をカバーすることができる.
メッシュ構造テーパスロットアンテナのメッシュ間隔を可変とすることによる導体部削減について検討を加えた.
メッシュ間隔を可変としたモデルはメッシュ間隔均一のモデルに比べ,ほぼ同じ特性のまま約30%の導体部削減が可能であることを確認した.
海洋レーダでは,一般的にHF帯などの低周波帯を利用するため,アンテナ素子が大型となる.そのため,景観への影響を最小限に抑え,かつ耐風性を満足するためには,利得を落とさずにアンテナを低姿勢化する必要がある.これまでに,磁流が放射に寄与するスロットアンテナを用いることで低姿勢し,且つスロットアンテナと地板間の棒状短絡導体からの放射を利用することで,水平方向への高利得化が可能な構成を提案してきた.本発表では,高い水平方向利得を維持しつつ,アンテナ素子の更なる低姿勢化について,計算により検討を行う.
無線双方向時刻比較技術は端末の搬送波位相を比較することで正確な位置を算出するが,アンテナから放射される位相が等方的でない場合位置算出に誤差が生じる課題があった.
本報告ではフローティングメタルを装荷した折り返しスロットアンテナが従来品(スリーブアンテナ)よりも放射方向による位相の非等方性を低減可能であることを報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 藤元美俊(福井大)
[シニア・若手セッション]
B-1-114 |
2ブランチ MIMO を使用した 300GHz帯無線LANにおける室内カバー率評価
○枚田明彦・長 敬三(千葉工大) |
B-1-115 |
CNN伝搬損失推定における地図画像のコントラスト調整効果
○中林寛暁・糸井清晃・須田竜矢・路川敬都(千葉工大) |
B-1-116 |
整合回路と一体化した2 周波共用減結合回路
○西本研悟・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-117 |
300GHz帯補完給電多層基板開口フェーズドアレーのグレーティングローブ抑圧
○榊原久二男・富山真帆・山崎敦也・山崎 誠・バカル ロハニ・杉本義喜・菊間信良(名工大) |
フェーズドアレーアンテナ技術の進展に伴い,150 GHz無線回線においても、無線LAN への適用が検討されている。150 GHz 帯無線 LAN において、100 Gbps 級の伝送速度を実現する手法の一つが MIMO の利用である.150 GHz 帯無線 LAN においては、送信機・受信機とも、狭ビームをフェーズドアレーアンテナにより走査する構成となるため、反射波などの利用により、受信機において2つ以上の伝搬パスが分離して受信可能か検討する必要がある。本稿では,電波伝搬シミュレーションにより,受信端末におけるアンテナ数およびアンテナ方位をパラメータとして、2つ以上の伝搬パスの受信が可能な会議室内のエリアの割合について検討を行った.
移動通信における回線・置局設計に使用される伝搬損失推定モデルについて,近年,機械学習を用いてモデル作成する方法が報告され注目されている.本検討では,建物の高さや位置等の学習時の認識力向上を目的として,地図画像を入力データとする畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による損失推定において,画像のコントラスト調整の推定精度に対する効果について明らかにする.概ね推定誤差は,高さ範囲が基地局アンテナ高よりも低い範囲内である0から10 m以下に対し,コントラスト調整を実施した場合に小さな値を示した.これらは,見通し内伝搬や回折伝搬等で重要視される低次フレネルゾーンにおける建物情報の認識力向上が,移動通信における伝搬損失の推定精度向上にも重要な要素であることを示していると考えられる.
無線通信システムの高速化,高品質化に伴うMIMOやダイバーシチの適用と無線システムの多様化に対応するために,複数の周波数帯を共用したアンテナ素子を小さい領域に複数配置する技術への要求が高まっている.2周波数帯において相互結合を低減する方法は多く報告されているが,結合低減後に2周波共用の整合回路が必要となる場合が多く,回路損失が大きくなる傾向にある.また,多数の伝送線路を組み合わせた2周波共用減結合回路も検討されているが,回路サイズが大きいという課題がある.ここでは,整合回路を一体化した小型・低損失の2周波数共用減結合回路を提案し,計算により有効性を確認したので報告する.
300GHz帯では波長が1mmとなる一方,高周波回路のサイズは数ミリ角と,周波数が高くなっても小さくならない.そのため,フェーズドアレーのアンテナ素子ごとに高周波回路を接続すると,素子間隔が波長を上回りグレーティングローブが発生してしまう.そこで本研究では,集積回路を実装する多層基板に開口型の低損失で広帯域なアンテナを設計し,結合回路を介して補完給電することにより,実効的な素子間隔を半減しグレーティングローブを低減する.
3月10日 9:15〜10:15 2号館 2204教室 座長 野口啓介(金沢工大)
B-1-118 |
アレー化MACKEYの給電点を変更した検討
○鈴木 創・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
B-1-119 |
逆F型アンテナを給電素子に用いたMACKEY広帯域化についての研究
○井出颯斗・若山喜一・牧野 滋(金沢工大) |
B-1-120 |
グリッド3枚で構成された円偏波MACKEY の1点給電化の検討
○臼田悠斗・米田道典・飯島光基・横江慧人・牧野 滋(金沢工大) |
B-1-121 |
切り込みによる縮退分離を用いた円偏波MACKEY Q型の検討
○飯島光基・横江慧人・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
近年,IoTの普及により,周囲の金属における影響を受けにくい小型アンテナMACKEY(Meta-surface inspired Antenna Chip developed by KIT EOE Labo-ratory,以下:基本型)が検討された.本論文では不平衡型 MACKEYをアレー化した際の問題点である放射パターンを改善することを目的としている.今回の検討では従来の給電方法に加え,給電位置を変更し位相差を付けたモデルを2モデル設計し,解析を行った.解析条件として,電力分配回路は,等振幅,等位相,無損失とする.その結果,給電点を変更したモデルでは従来のモデルよりも放射パターンは改善されたが、正面方向の利得の低下などの問題が発生しした.今後は平行型の給電方法と同様の正面方向の利得および指向性を持たせたいと考えている.
周囲の金属の影響を受けない機能的小型アンテナとしてMACKEYが考案されている.また,Wi-Fi 5GHz帯は5.15~5.25GHz,5.47~5.73GHzを使用帯域としており,広帯域なアンテナが必要とされる.Wi-Fiの5GHz帯を満足する2周波共用モデルとして、MACKEY W型とMACKEYO型が提案された.W型は基板縦幅Wが大きくなり,O型はXZ面の交差偏波成分が大きくなるという問題がある.そこで,給電素子に逆Fアンテナを用いることで従来モデルの問題を解決したモデルについて提案する.
周囲の金属に影響されない小型アンテナとしてMACKEY(Meta-surface inspired Antenna Chip developed by KIT EOE Laboratory,以下:基本型)について考察し,自由空間および金属上でも動作することを示した.また,グリッド3枚で構成された円偏波モデルのMACKEYを提案した.しかし,このモデルは円偏波を放射するためには90°ハイブリッド分配器の使用が必要であり,単体で動作できないという問題点があった.よって,本検討ではMACKEY C3型を1点給電としたモデルを提案する.
Artificial Magnetic Conductor(AMC)基板とダイポールアンテナを組み合わせることによって周囲の金属に影響されない機能的小型アンテナMetamaterial Antenna Chip developed by KIT EOE Laboratory (以下:MACKEY)が提案されている.またMACKEYに2枚の短絡板を設置することで約λ/4 角の大きさに小型化したモデルとして MACKEY Q 型が提案されている.MACKEY Q型は垂直偏波と水平偏波を放射する素子があり、放射された電波は合成され、45度直線偏波を放射する.本検討では、放射素子として動作するグリッド板に切れ込みをいれ、縮退分離を起こすことで、アンテナ面積約λ/4角で円偏波を放射する円偏波MACKEY Q型について提案する.
B-1. アンテナ・伝播C(アンテナシステム)
3月7日 9:00〜11:45 2号館 2204教室 座長 久世竜司(熊本大)
B-1-122 |
CNNによるアレーアンテナ励振誤差推定の実験検証
○紀平一成・高橋 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-123 |
平面線路のPIM測定における非接触コネクタの影響評価
◎△白川武蔵・室伏竜之介・久我宣裕(横浜国大)・花山英治(職業開発大) |
B-1-124 |
リングハイブリッドを用いた非接触接続可能な立体型バラン
◎△小川公基・白川武蔵・久我宣裕(横浜国大) |
B-1-125 |
ニュートラリゼーションを用いた四偏波パッチアンテナの減結合構造の試作検討
◎大串亮人・高遠翔大・新井宏之(横浜国大) |
B-1-126 |
300GHz帯耐候性高利得アンテナモジュールの放射パターン評価
◎三宅康太・田中雄介(岐阜大)・稲垣惠三(NICT)・久武信太郎(岐阜大) |
放射振幅パターンから位相情報を推定する方法はPhase retrievalと呼ばれて様々な分野で検討されており,近年は学習データからニューラルネットワークを構築し,励振係数などを推定する手法が報告されている.著者らは励振誤差を含むアレーアンテナ遠方界振幅パターンから各素子の励振振幅位相値を推定する逆問題にCNN(Convolutional Neural Network)を適用する手法を提案しており,本報告では実験結果を述べる.
平衡系線路用の非接触PIM測定系は測定試料である平衡線路は非接触コネクタ(NCC)によって接続される.
これより結合線路が構成され,結合部分が発生PIMに与える影響を考慮する必要がある.
線形の電磁界計算ではPIMの評価は困難である.
そのためNCCおよび被接続線路を分布定数化したモデルを用い,本稿では結合線路部分に非線形性を導入することで,NCCの有無による影響を評価した.
NCCの有無により,フォワードPIMに影響はないが,リバースPIMに影響があることがわかった.
平衡線路用の非接触PIM測定系に用いる非接触バラン回路の設計を行った。提案した非接触バランは、従来の測定系におけるバラン部と非接触コネクタを一体化することで測定系の小型化を図っている。本稿では、提案バランの特性を実験とFDTD法を用いた電磁界シミュレータにより評価している。動作周波数は2GHz帯で設計し、目標周波数で動作することを確認した。今後の課題としては、動作周波数の広帯域化と提案バランを用いたPIM測定、評価を行うことである。
近年, 移動通信体の普及により通信トラフィックが増加している. また,マルチアンテナ技術が取り入れられており,その一つに四偏波アンテナがある.しかし四偏波アンテナを小型化する場合, アンテナ間の相互結合が大きくなる問題がある.そのため相互結合を低減する必要があり,本稿では金属のブリッジを用いたニュートラリゼーションを,パッチアンテナで検討する.ブリッジを用いた減結合構造の製作を容易にするため,誘電体基板を挿入した構造を設計・評価し,検討する.
将来の300GHz帯テラヘルツネットワークでは、光ファイバ通信と同等の伝送能力と従来の固定無線システムが有する設置の容易性を兼ね備えた無線技術への期待が高まりつつある.我々は、屋外長期運用可能なテラヘルツネットワークの実現のために、屋外実環境での300GHz帯無線システムの伝送特性の取得を目指している.利用を検討しているアンテナの利得は50dBi程度と高く、その遠方界条件は50m以上となることから、近傍界測定に基づく放射パターンの評価が望ましい.本発表では、耐候性高利得アンテナモジュールを設計・作製し、VNAを用いた遠方界直接測定でその放射パターンを測定した.その結果を、光技術に基づく近傍界測定結果と比較する.
休 憩(10:30 再開) 座長 久武信太郎(岐阜大)
B-1-127 |
電気光学プローブを用いた300GHz帯アンテナ近傍界測定における位相計測の長期安定性向上
◎石原健翔・田中雄介・久武信太郎(岐阜大) |
B-1-128 |
球面走査OTA測定におけるアレーアンテナの測定点数の削減
○中瀬貴治・新井宏之(横浜国大) |
B-1-129 |
3次元クラスター伝搬環境を実現できるOTA評価装置の設計
○本田和博(富山大) |
B-1-130 |
ミリ波帯(30~300 GHz)仮想接続VNAの構成
○山口 良・保前俊稀・豊見本和馬・宮下真行・矢吹 歩(ソフトバンク) |
B-1-131 |
低サンプリングレートのオシロスコープを用いたタイムドメイン近傍界測定
◎近藤源哉・藤森和博(岡山大)・新井宏之(横浜国大)・田中稔泰(マイクロウェーブファクトリー) |
将来のBeyond 5G/6G時代には300 GHz帯などのテラヘルツ(THz)波の利用が検討されており,THz波帯で使用されるアンテナの測定方法の確立が必要となる.我々は,電気光学(EO)プローブを用いたアンテナ平面近傍界測定を行い,その有用性を実証した.大開口・高利得アンテナは小型アンテナに比べて測定範囲が広いうえに,ビーム断面積拡大に伴うSNR低下の影響から測定時間を長くせざるを得ず,しばしば時間経過に伴い発生する位相ドリフトが正確な測定の妨げとなっている.
本発表では,高利得アンテナ測定における位相の長期安定性を向上させるシステムを提案するとともに,そのシステムの効果を実験的に評価する.
近年,アンテナ測定は実際の運用状態での測定が求めら れることから,OTA 試験が広く行われる.しかし, 測定時間を著しく要する課題がある.先行研究では測定点 の削減や全球面での走査方法の改善などにより測定時間の 低減が可能であることが示されており,複雑なパターンを 持つパソコン内蔵型アンテナに対して 200 点の測定で高精 度な推定が行えることが確認されている.また,単一の モノポールアンテナ,逆 L アンテナでは 100 点の測定で十 分な推定が行えることが確認されている.本稿では,アレ ー化されたアンテナについて検討,比較を行った.
本研究室では,3次元MIMO-OTA評価装置を開発している.従来装置は円筒構造ゆえアジマス方向とエレベーション方向の両方に対してガウス分布を形成するクラスター伝搬環境に十分に対応していない.本研究では,球冠構造の3次元フェージングエミュレータを提案し,その設計指針を報告する.
ミリ波帯(30~300 GHz)アンテナの多重波環境における特性評価を効率的に行うことを目的に外部送信系統を仮想接続したVNA(Vector Network Analyzer)を提案しその構成と有効性を述べる.
アンテナ指向性の近傍界測定は,アンテナの近傍電磁界を複素信号として取得し,近傍界―遠方界変換する手法が一般的で,広い電波暗室を必要としないため,広く用いられている.5G以降のアンテナシステムでは,RF端子を持たないものが主流になると考えられ,端末同様にOver-the-Air(OTA)測定が重要となる.これらの基地局・端末の指向性を測定するため,著者らはタイムドメイン近傍界測定によるアンテナ指向性測定システムを提案してきた.提案方法では,近傍界測定によって得られた波形をFFT処理することで複素信号を得るため,位相回復法のような複雑なプロセスが不要で,測定システムが安価に構築できるといったメリットがある.今回は,これまで利用してきたデジタルコミュニケーションアナライザや高サンプリングレートのオシロスコープに代わり,低サンプリングレートのオシロスコープを用いた場合の課題を明らかにし,それらの改善を試みたので報告する.
3月7日 13:00〜14:00 2号館 2204教室 座長 本間尚樹(岩手大)
[English Session III]
B-1-132 |
Experimental Analysis of Multiple targets’ Detection Performance of Bidirectional SIMO Radar
◎Abudusaimi Abuduaini・Naoki Honma・Kentaro Murata(Iwate Univ.)・Nobuyuki Shiraki・Takeshi Nakayama・Shoichi Iizuka(Panasonic) |
B-1-133 |
Analytical Reactance Time Function of Two-element ESPAR Antenna Generating Periodic Antenna Patterns
◎Anand Gupta・Masato Saito(Univ. of The Ryukyus) |
B-1-134 |
Proposal of Self-Oscillating Multi-Beam Switchable Active Integrated Array Antenna Using SP4T Switch and Push-Push Oscillator
○Maodudul Hasan・Eisuke Nishiyama・Ichihiko Toyoda(Saga Univ.) |
B-1-135 |
Experimental Investigation of Reconfigurable Circularly-Polarized Antenna Using Simple Two-Branch Switchable Feed Network
○Durul Huda・Maodudul Hasan・Eisuke Nishiyama・Ichihiko Toyoda(Saga Univ.) |
This paper investigates the experimental performance of multiple human-bodies localization using a bidirectional CW-SIMO radar. Two targets were tested in an indoor environment. The experimental results confirmed that our proposed method could successfully localize the multiple targets (up to 2) positions even when two stations have various frequency offsets.
We have described analytic representation of array factor of 2-element ESPAR antenna for obtaining receiver diversity gain with single antenna output. We show the reactance time function to generate periodically changing antenna patterns.
This study proposes a first-harmonic Push-Push oscillator based AIAA to achieve four beams. The proposed AIAA consists of two sets of antennas, a first harmonic Push-Push oscillator, and a switchable feed network using an SP4T switch and delay line. The SP4T switch controls the delay line or phase difference between the antenna elements. Thus, the main beam angle can be changed using the SP4T switch. The concept is found to be feasible by measurement.
In this paper, a reconfigurable circularly polarized microstrip antenna using a simple two-branch switchable feed network is proposed. The antenna consists of a single patch and a switchable feed network. Two corners of the patch are truncated for CP and the patch is orthogonally connected to two microstrip lines through PIN diodes D1 and D2. Switching voltage is applied from the feed point using a bias tee. As the microstrip line length is one wavelength from the feed point to the diode, the impedance looking from the feed point to the OFF diode is infinite. Good CP switchable performances were confirmed with simulated and measured results.
3月8日 9:00〜11:45 2号館 2204教室 座長 中林寛暁(千葉工大)
B-1-136 |
5.8GHz 帯モノパルス型ビーム追尾アンテナの制御実験
◎遠山周衛・田中高行・豊田一彦(佐賀大) |
B-1-137 |
300 GHz帯屋内基地局アンテナの水平面内マルチビームの実験的検討
◎保前俊稀・豊見本和馬・山口 良・宮下真行・矢吹 歩(ソフトバンク) |
B-1-138 |
マイクロ波無線電力伝送におけるビーム空間平均に基づく複数レクテナの受動伝搬路推定法
◎新井駿斗・加藤 匠・佐々木 駿・村田健太郎・本間尚樹(岩手大) |
B-1-139 |
移動通信三次元空間セル構成における測定方向に依存しない上空セルのKファクタの推定法
○藤井輝也(東工大) |
B-1-140 |
上空の電波伝搬における仲上-ライス変動の三次元空間相関特性の理論解析
◎津濱ひかり・藤井輝也(東工大) |
近年,5Gの通信技術としてビームフォーミングやビーム追尾の研究が進んでいる.本稿では,シンプルな構成とアルゴリズムによる5.8 GHz帯モノパルス型ビーム追尾アンテナシステムを提案する.本システムは2つのアンテナ,2つの移相器,マジックT,検波器,インターフェース回路,制御回路で構成されている.マジックTは2つの信号の和と差を生成する機能を有し,モノパルス方式によって側角・追尾する.制御アルゴリズムには,反復により値を最小化するセカント法を採用している.試作アンテナとワンボードマイコンによる制御実験を行い,到来角-18°~18°の範囲で利得を1 dB未満に抑え,ビーム追尾を実証した.
300 GHz帯屋内通信において,人体や什器により送受信アンテナ間の見通しパスが確保できない場合が考えられる.しかし,基地局アンテナをマルチビーム化するほか,ビームパターンを工夫して反射波を利用することで,見通しパス以外でも通信できる可能性がある.300 GHz帯においてレイトレースでこのような検討を行うことは,媒質定数が明らかになっていない点や材質の微細なモデルリングを必要とするため困難である.そこで本稿では,会議室の利用を想定し送信アンテナを仮想的にマルチビーム化した場合の到来方向測定を行う.その結果から300 GHz帯基地局アンテナの水平面内マルチビームの有効性を検討する.
従来,複数のレクテナが存在する系にて,分散配置した複数の信号源(アンテナ)から伝搬路推定用信号をそれぞれ送信し,各レクテナで異なる変調信号を生じさせ,伝搬路推定局における受信信号の相関行列に対しアンテナ軸で空間平均することで,レクテナからの後方散乱波を低相関化し,複数レクテナの伝搬路推定を実現した.しかし,空間平均による後方散乱波低相関化のために,信号源を離隔して多数配置する必要があり,系の肥大化が課題であった.
そこで本稿では,2つの送電局が協調・選択的に送電する系を想定し,一方が複数のビームを用い伝搬路推定用信号を送信し,他局での受信信号相関行列に対しビーム軸で空間平均することで,多数信号源不要で複数レクテナの伝搬路推定を可能とする手法を提案する.
提案法は推定精度が0.927となり,従来法を上回りかつ能動処理を要するBSに匹敵する特性が得られ,複数レクテナの伝搬路を受動的かつ高精度に推定可能であることが確かめられた.
ドローン等の上空利用を想定し、携帯網の各基地局が地上セルと上空セルを同一周波数で共用する“三次元空間セル構成”が提案されている。上空を飛行するドローンは見通しとなることからその伝搬変動は仲上-Rice変動となり、上空の電波到来角度特性を考慮したコンパクトなKファクタ推定法を提案した。提案法は推定精度が測定方向に依存していた。
本稿では測定方向に依存しない上空における仲上-Rice変動のKファクタを効率的な推定方法を提案する。
ドローン等の上空利用を想定し、5Gのビームフォーミング技術を活用して、各基地局で地上セルと上空セルが同一周波数を共用する“三次元空間セル構成”を提案されている。通信品質の評価として受信変動の相関特性が重要である。上空では伝搬変動が仲上-ライス変動となり、三次元の電波到来方向や到来角度特性を考慮する必要があり、自己相関係数の解析解を直接求めることは極めて困難である。そこで、簡易な近似解を提案した。しかし、相関距離が特定の方向の時にだけ、提案した近似解の精度が低下する。本稿では上記を改善する自己相関係数の近似解を提案する。
休 憩(10:30 再開) 座長 豊見本和馬(ソフトバンク)
B-1-141 |
SISO Wi-Fiレーダによる生体測距法
◎下總拓海・伊藤友則・本間尚樹(岩手大)・中山武司・飯塚翔一・白木信之(パナソニック)・村田健太郎(岩手大) |
B-1-142 |
逆正接復調法と擬似逆正接復調法の心拍検出性能の周波数特性
◎澤田直季・小川悠太・本間尚樹・村田健太郎・小林宏一郎・岩井守生(岩手大) |
B-1-143 |
Wi-Fi CSIを用いた人数カウントに関する研究
○村上友規・大槻信也・小川智明(NTT) |
B-1-144 |
上り回線の周波数特性によりセンサ電圧を検出する2次高調波パッシブRFIDの検討
○△肖 琨・室伏竜之介・久我宣裕(横浜国大) |
B-1-145 |
圧縮センシングを用いた導波管内充填材料の誘電率推定法
◎滝島正博・瀧谷慧斗・本間尚樹・村田健太郎(岩手大) |
インターネットの利用増加や家電機器のIoT (Internet of Things) 化に伴い,IoT機器に搭載されるWi-Fiを用いたデバイスフリーヒト測位が検討されている.通信機器では一般に送受信機が独立するため,送受信機間のクロック同期が問題になる.SIMO (Single-Input Multiple-Output) チャネル情報を用いたヒト測位法では,アレーアンテナ間の位相差を利用することで離れた送受信間のクロック誤差を除去する方法が提案されている[1].しかし,複数の受信アンテナ素子が必要となるため,単素子アンテナのみを有する家電機器には不適である.
本報告では,SISO (Single-Input Single-Output) Wi-Fi レーダを用いたTOF (Time-Of-Flight) に基づく生体測距法を提案する.観測チャネルの相関行列を算出することで,クロック誤差を除去する.さらに,算出した相関行列の非対角成分に含まれるヒトのドップラー成分を抽出し,OFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing) 信号のサブキャリア方向の信号処理から算出されるTOFにより測距を行う.
数値解析により,測距誤差の75%値は1.28 mとなり,クロック誤差を除去しない場合と比べて誤差が4.59 m改善した.
近年,高齢者の健康状態を日常的にモニタリングする技術として電波を用いた非接触心拍検出が注目されている.しかし,逆正接復調法及び擬似逆正接復調法と周波数帯との関係は未評価であった.本報告では,1対の送受信アンテナからなるレーダを用いて低マイクロ波からミリ波帯における心拍推定精度について検討する.円弧推定が必要な逆正接復調法では,低マイクロ波帯において雑音の影響を受け推定精度が低下するが,擬似逆正接復調法を用いた場合は周波数による心拍検出精度に有意な差が見られず,低マイクロ波~ミリ波帯において,同等の心拍検出性能が得られることが分かった.
本稿では,5GHzのWi-Fi伝搬チャネル情報(CSI)から特定エリア内に存在する人の混雑状況を推定する方法を提案するとともに,その有効性を実験結果より明らかにする.
パッシブRFIDタグでセンサ情報を変調する場合、レクテナを利用したバッテリ充電方式が用いられるが、その充電には時間がかかるという問題がある。これに対しリアルタイムな応答が可能なパッシブRFIDタグが求められているが、この場合、バッテリを用いずに、センサ情報を応答波に変調する必要がある.本稿では高調波を利用したRFIDタグについて、センサ電圧を高調波の周波数特性として変調する方法を検討する.
発泡ビーズのマイクロ波加熱成形など,金属キャビティ内での電磁界分布の最適化について検討が行われている.現在誘電率の推定法としてプローブ法や空洞共振器法などが検討されているが,加熱中の充填材料の特性を直接推定することはできない.本報告では,導波管内2か所に設置したプローブの伝達関数に対して圧縮センシングを適用することによって,充填材料の誘電率推定を行う方法を提案する.シミュレーションにより推定精度の評価を行った結果,実際の比誘電率が1, 1.5 2の材料に対して,推定値はそれぞれ1.001, 1.406, 2.284となり,誤差14.2%以内での推定が可能であることを明らかにした.
3月8日 13:00〜16:00 2号館 2204教室 座長 本田和博(富山大)
B-1-146 |
能動素子を用いないメタ表面反射板付きアンテナによる到来方向推定の検討
◎△椎葉 響・久世竜司・福迫 武(熊本大) |
B-1-147 |
Virtual-ESPRITアルゴリズムにSLS法を適用した到来方向推定の特性解析
○野田健太・菊間信良・榊原久二男・杉本義喜(名工大) |
B-1-148 |
AR法を用いた相関行列予測に基づくNLOS環境端末方向推定
◎瀬川智尋・勝又 敬・本間尚樹・村田健太郎(岩手大) |
B-1-149 |
回折波を利用した見通し外環境下のUWBタグ測位法
◎田邉慎太朗・渡邉静磨・本間尚樹・村田健太郎(岩手大)・三浦 淳・梁川 翼・工藤健太(イーアールアイ) |
B-1-150 |
ミリ波レーダを用いた見通し外物体の位置推定に関する一検討
○中西孝行・清水健矢(三菱電機)・人見健三郎(三菱電機エンジニアリング)・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
アンテナアレーでの到来方向推定において生じる、回路の複雑性や消費電力の問題を解決するために、近年では能動素子を装荷したメタ表面を用いた単一アンテナでの到来方向推定が検討されている。しかし、メタ表面の各素子への制御が必要であり、回路の複雑性や消費電力の問題は残っている。そこで本稿では、能動素子を用いないメタ表面反射板付きアンテナによる到来方向推定システムを提案し、回路の複雑性や消費電力の更なる低減を図る。提案システムはメタ表面反射板の構造の工夫や周波数応答の利用により、到来方向推定を実現する。本稿では、提案システムによって推定が可能であることを擬似信号を用いて示した。
高次統計量を用いた到来方向 (DOA) 推定法であるVESPA (Virtual-ESPRIT Algorithm) は,非ガウス信号のDOA推定において有意なアルゴリズムである. 本研究では,更なる推定性能改善のため,SLS (Structured Least Squares) 法を用いたSLS-VESPAを提案し,従来法のVESPAやMP-VESPAと比較・検討する.
本報告では,移動端末の伝搬チャネルにおける相関行列の要素値に線形予測法を適用することで,一時的にNLOS環境となった移動端末方向の相関行行列の要素値を予測し,端末方向予測を行う手法を提案する.要素値を予測対象とすることにより,高精度にNLOS時の端末方向予測が可能であることが分かった.
スマートフォンを用いた小型無線タグの測位について数多くの手法が検討されているが,主にLOS(Line-Of-Sight)環境を前提としている.本報告はNLOS(Non-LOS)測位として、移動する端末で連続的にUWB(Ultra-Wideband)信号を観測することで,建物の構造などの事前情報なしで,NLOS環境下にある無線タグの位置を推定する方法を提案する.本手法では,移動端末に到来する信号の回折点を推定し,TOF(Time-Of-Flight)を用いることで無線タグの位置を推定する.本報告では,レイトレース解析の結果より,回折波を利用することでCDF75%値が約1.0mの測位精度で壁の背後のTagの位置推定が可能である分かった。
電波は壁の反射や回折により直接は届かない見通し外まで到達するが、通常のレーダは往復の伝搬時間と角度情報で目標位置を推定しているため、見通し外の位置までは推定できない。そこで本発表ではミリ波レーダの観測結果から見通し外目標の位置推定について報告する。
休 憩(14:30 再開) 座長 村上友規(NTT)
B-1-151 |
分散アレーアンテナにMUSIC法を適用した近傍波源位置推定に関する一検討
○田中佑汰・菊間信良・榊原久二男・杉本義喜(名工大) |
B-1-152 |
多重波伝搬を用いたパッシブ型屋内測位法における複数遮蔽物追跡法の検討
◎△池上十五・金 ミンソク(新潟大) |
B-1-153 |
パスの到来方向特性に基づくMIMOチャネル容量推定に関する研究
◎谷口諒太郎・村上友規・猪又 稔・小川智明・鷹取泰司(NTT) |
B-1-154 |
円形配列フェーズドアレー偏波制御4×4 MIMOアンテナの伝送容量測定
◎関野湧斗・本田和博(富山大) |
B-1-155 |
非対称LOS-MIMOによる伝搬容量の改善効果に関する検討
◎白川和雄・尾崎一幸(富士通) |
B-1-156 |
MU-MIMO通信における適応的送信ダイバーシティを用いたブロック最大SNR法の特性解析
◎坂崎快斗・菊間信良・榊原久二男・杉本義喜(名工大) |
近年の無線通信では,ミリ波・サブテラヘルツ波のように,より波長の短い電波が使用されるようになり,それに伴い,基地局用のアレーアンテナの素子も多素子化し,その開口長が波長に比べと大きくなってきている.この場合,端末やターゲットなどの電波源はアレーアンテナの近傍界領域に存在する可能性が高くなる.従って,電波源からの到来波が平面波ではなく球面波であるとして,アレー受信信号から電波源の方向と距離,すなわち波源位置を推定することができる.本研究では,複数アレーを分散配置することで全体の開口長を大きくした分散アレーアンテナに対して,任意形状アレーに適用可能な MUSIC法を反復して適用する場合の近傍波源位置推定性能について解析する.
利用者がデバイスを携帯することなく,建物内の利用者の居場所を同定する測位法であるデバイスフリー測位法の一つに,電波を使ったトモグラフィーイメージング法 (RTI) がある.我々は,センサノード間のマルチパス成分を個別に分離して扱うことで,従来法に比べてセンサノードの数を大幅に削減し,測位精度を向上した多重波RTI法を提案している.本研究では,多重波RTI法において,領域内に複数の測位対象が存在する場合に,その数および位置を正確に推定する手法を検討し,シミュレーションによる実験を行った,
著者らはMIMO(Multiple-Input Multiple-Output)通信において,対象測定点の受信電力とパスの到来方向および反射回数の情報から,容易かつ高精度に伝搬特性を推定する手法を提案している.本稿では従来手法に基づいた新たな推定方法を提案し、その性能を明らかにする.
我々は,到来波方向及びXPRに寄らず高速通信が実現可能な円形配列フェーズドアレー偏波制御4×4 MIMOアンテナを提案している.本論文では,3次元OTA評価装置を用いて提案アンテナの4×4 MIMO伝送容量測定を実施したので報告する.
5G通信システムの商用サービスが日本でも開始され,既に2年程経過した.本システムは大容量・低遅延等の優れた特性を有するが,ミリ波の特性として電力レベルが低いユーザ端末(User Equipment)と基地局(Base Station)との間のリンクは伝搬路等に起因する特性劣化が不可避である.
そこでドローン等に(Relay Station)と共にBS・UEを含めた三者を連携させて伝送容量を向上・安定させる手法が提案されている.この連携システムではRSはUEとのリンクを最適化する様に適宜移動する一方BS~RS間のリンクを定常的に良好に保つのが困難となる為,その解決法の一つとしてA(symmetric-)LOS-MIMOが研究されている.
本報告ではALOS-MIMOがSLOS-MIMOと比べて送/受信間の距離変動に対してロバスト性に優れている事を示す.尚SLOS-MIMOは送/受信アンテナの個数と素子間隔が等しく,ALOSにはその様な制限が無い.
マルチユーザ MIMO(MU-MIMO) 通信の下り回線の線形制御技術として,BD(Block Diagonalization)法,ブロック最大 SNR(BMSN:Block Maximum Signal-to-Noise ratio)法が提案されている.本研究では,BMSN 法の一つである BMSN-GE 法に着目し,電波状況に応じて,送信ダイバーシティを適応的に導入する手法へと改良する.更に,その制御手法についてシミュレーションにより評価する.
B-2. 宇宙・航行エレクトロニクス
3月7日 9:00〜11:30 3号館 3401教室 座長 尚 方(電通大)
B-2-1 |
2偏波の複素振幅情報を時間領域と周波数領域の両方で利用したSARのRFI検出手法
◎魚住昂央・廣瀬 明・夏秋 嶺(東大) |
B-2-2 |
合成開口レーダの振幅と位相を入力とするニューラルネットワークによる物体識別に関する検討
○西村勇希・関谷亮太・森 浩樹(東芝) |
B-2-3 |
ドローン搭載のMIMO-FMCWレーダを用いた干渉SARとその検証
◎山川凌太郎・廣瀬 明・夏秋 嶺(東大) |
B-2-4 |
Circular SARの空間周波数再構成における傾いた地表の補正
○牛腸正則(NICT) |
B-2-5 |
PolSARデータを用いたアダプティブ体積散乱モデルによる散乱電力分解に関する検討
○川田雅人・山田寛喜・佐藤亮一(新潟大) |
我々は合成開口レーダ(Synthetic Aperture Radar : SAR) 画像に重畳された無線周波数干渉(Radio Frequency Interference: RFI)を位相のコヒーレンス性を用いて検出する手法を提案する.RFIはSARのアンテナ面での受信時に水平偏波と垂直偏波の両方の成分を持つと我々は考えた.そこでSARの受信信号の水平成分と垂直成分の干渉度を計算することで,RFIの受信を検知する手法を考案した.本稿では受信データをレンジ時間領域とレンジ時間領域で並列にコヒーレンスを計算しその有効性を向上させた.実際の衛星SARの観測データに本手法を適用した.そのところ,計算コストも小さくRFI要素の少ない画像が結像した.
近年, 合成開口レーダ像を用いた物体認識タスクへ, CNN (Convolutional Neural Network)を適用する研究が行われており, 対象物の反射成分の内, 振幅情報を画像化しCNNの入力としている. しかし, 対象からの反射成分には, 同時に位相情報も含まれており, 振幅情報と位相情報を合わせて, CNNの入力とすることでより高い認識精度を達成することが期待される.
本稿では, 合成開口レーダ像の振幅情報のみを入力とするA (Amplitude)-CNN, 位相情報のみを入力とするP (Phase)-CNN, 振幅情報と位相情報を入力とするAP (Amplitude Phase)-CNNを実装した. また, SAR像の入力情報の違いによる物体識別精度を比較した.
結果, 振幅成分と位相成分を入力とするAP-CNNが最も認識精度が高く, より少数の層数, 少数の訓練データ数でも高い認識精度を達成することを確認した.
合成開口レーダ(SAR)は主に人工衛星に搭載されているが,近年,より運用コストの低いドローンなどにSARを搭載し,民生分野での利用を目指した研究が盛んに行われている.しかし,SARの中でも複数回の観測による干渉SARは,ドローンの軌道の不安定さから実現が困難であった.
そこで本稿では,MIMO-FMCWレーダを搭載したドローンによる干渉SARシステムを提案し,実際にドローンを飛行させて得られたデータをもとに信号処理を行なった.その結果,取得したデータからターゲットの反応を得ることができ,合成開口画像においては理論値に近い分解能を得られた.また,チャネル間で位相値を比較し,干渉解析を行なった.
CSAR (Circular Synthetic Aperture Radar) は円周状の観測パスから観測を行うSAR (Synthetic Aperture Radar: 合成開口レーダ) である.CSARでは円周上で得られた観測信号を二次元空間周波数領域にマッピングすることで地表の二次元再構成を行う.このとき地表の勾配が存在しないのであれば,スペクトルは円環状に分布する.一方で傾いた地表に対しては,スペクトルに歪みが生じてしまうため補正が必要となる.しかしそのような観測状況,およびその補正方法についてはあまり議論されていない.本稿では傾いた地表についてCSAR観測を行った場合の,勾配を補正する空間周波数領域割り当て手法について提案する.
近年,マイクロ波リモートセンシングにおいて,偏波合成開口レーダ(PolSAR)による観測が期待されている.PolSARデータ解析手法の一つに,散乱メカニズムに対応する電力を抽出する散乱電力分解法がある.この手法では,植生に見られる体積散乱電力がレーダ照射方向に対して斜めに立地する市街地(斜交市街地) にも表れ,これらの分類が課題となっている.改良手法として,Y4Rのような様々な散乱電力分解手法が提案されているが,いまだ完全な解決には至っていない.本稿では,斜交市街地に適応可能な体積散乱モデルを用いた散乱電力分解について検討を行う.解析には,ALOS-2 によって取得されたサンフランシスコのPolSARデータを用いた.
休 憩(10:30 再開) 座長 小幡 康(三菱電機)
B-2-6 |
ミリ波レーダによるUAV着地面の傾斜推定手法の検討
◎飯塚達哉(NTT)・笹谷拓也(東大)・中村 亨・小阪尚子・久田正樹(NTT)・鳴海紘也・川原圭博(東大) |
B-2-7 |
受信電波によるドローン位置推定の検討(2)
○柴田大樹・亀井利久(防衛大) |
B-2-8 |
ドローンを用いた PAPI 検査時における画像処理の適用
○高島宗彦・毛塚 敦・本田純一(電子航法研) |
B-2-9 |
深層学習によるUAV画像からの海岸漂着物の分布定量化
○園田 潤・箕輪 瞭(仙台高専)・金澤 靖(豊橋技科大)・木本智幸(大分高専) |
無人航空機 (UAV)を屋外にて飛行させる場合,着陸マットの敷設などにより水平かつ滑らかさを着陸面に担保させることが一般的である.
山間部の斜面や揺れる洋上船への着陸が実現されれば,人的なメンテナンスコストを下げて未踏領域でのUAVの活用が可能となり,低コストな環境計測や監視システムを実現する.
Maoらは複数モータの適切な制御により傾いた地面への着地技術を提案しているが,本技術は画像認識に基づいており,夜間や雨,霧などの未踏領域で多発する視界不良下における適用は難しい.
本稿では,視界不良下における傾斜面への着陸に向けて,全天候耐性をもつミリ波レーダを用いて,リフレクタを埋め込んだ着地面の傾きを推定する技術の検討内容を報告する.
近年ドローン技術の発展により,一般人でも簡単にドローンを手に入れ,操作することができるようになった.現在ドローンによる事件事故が多く発生している中で、様々な企業が飛行するドローンの位置を推定し,監視する製品を発表している.
本研究では,物体の位置推定の方法の一つであるTDOA(Time Difference of Arrival)測位を用いて,観測者が電波を照射することなく,ドローンの発信する電波を受信し,その時間差からドローンの位置を推定できるかをシミュレーションを用いて検討した.
現在 PAPI の定期検査では、飛行検査機による検査が行われているが、近年ではドローンの活用が検討されている。ドローンによる検査では、パイロットにより目で動画像を確認することが想定されているが、負担軽減のためのアシストツールとして画像処理を用いることを本研究にて検討している。本発表では機械学習を使用して動画像から PAPI を検出し、点灯色を識別する初期検討を行った報告をする。
近年,海洋プラスチックが世界的な問題となっており,回収処理計画立案のための定量化が必要とされている.我々は,無人航空機 UAV (Unmanned Aerial Vehicle)と深層学習による海岸漂着物の自動検出を試みている.これまで海岸漂着物について,UAVによる体積推定や10ヶ月の観測による変動が研究されているが,深層学習では漂着物の種類や砂浜の条件などにより大量の学習画像が必要になるため,広範囲の長期観測によるUAV画像からの自動定量化は研究されていない.本研究では海岸漂着物の定量化を目的に,UAV画像と深層学習によるリアルタイム物体検出が可能であるYOLO (You Only Look Once) v7を用いて,比較的少量の学習画像による海岸漂着物の検出と宮城県名取市閖上浜の広範囲長期観測による分布定量化を試みる.
3月7日 13:00〜15:30 3号館 3401教室 座長 毛塚 敦(電子航法研)
B-2-10 |
レーダ識別情報を用いた移動目標の目的地推定
○小幡 康・伊藤聡宏(三菱電機) |
B-2-11 |
予測値定常偏差一定で平滑値雑音抑圧比を最小化するα-βフィルタ
○網嶋 武(明大) |
B-2-12 |
時系列画像データ内の低SNR移動目標検出における推移確率制御型DPアルゴリズムの適用
◎辻本志保・亀田洋志・川合万莉絵・伊藤聡宏(三菱電機) |
B-2-13 |
深層学習による地中レーダ画像のリアルタイム自動検出特性
◎中道一紗・園田 潤(仙台高専) |
B-2-14 |
ドップラ速度分離に基づく79GHz帯ミリ波レーダ画像化法
◎関川佳希・木寺正平(電通大) |
衛星搭載SAR(Synthetic Aperture Radar, 合成開口レーダ)により船舶を追尾予測した情報を基に,その航行最終目的地を推定する.
これまで追尾航跡の外挿による推定方法が提案されてきた.本発表ではこれに加え,航行可能距離と関連を持った船舶の船種識別
情報を用いて目的地の候補を絞り込む方式を提案する.
追尾フィルタをレーダに用いる場合,予測値の追従性能が重要となる.一方で,表示画面では平滑された航跡の表示が望ましい.このため,本稿では,加速度入力に対する予測値の定常偏差を一定にした条件で,平滑値の雑音抑圧比を最小にするα-β追尾フィルタを提案する.
画像中の低SNR目標の検出性能向上には, 複数フレームの積分によって目標信号レベルを増加させる手法が知られている. 一方で, フレーム間で目標ピクセルが変動する移動目標の場合には単純な積分では効率よく信号を加算できない. Dynamic Programming Algorithm (DPA)を用いたTrack
Before Detect (TBD) 法では, 目標の位置と軌道を同時に探索し, 探索軌道に沿って信号加算をすることにより, 低SNR移動目標に対しても高い検出性能を得ることができる. 本稿では, 従来DPAによる軌道探索方法を改良した推移確率制御型DPAを検討し, 低SNR移動目標に対して高い検出確率を得られることを示す.
日本では建設後30年以上経過している施設の割合が増えており,社会インフラの劣化による事故が発生している.このような社会インフラの内部を非破壊で探査する手法として地中レーダがある.地中レーダから得られるレーダ画像は,反射画像であり物体の形状そのものは映らず,レーダ画像から内部を推定する必要がある.これまでは熟練技術者による画像判読が行われてきたが,ばらつきや精度の問題もあり,近年急速に発達している深層学習による自動推定が行われている.しかしレーダ画像の解析に時間がかかり,現場でのリアルタイム処理ができない問題がある.本稿では深層学習を用いた地中レーダに映る埋設物のリアルタイムでの自動検出を目的に,実際のレーダ画像を用いた4種類の物体検出特性を検討する.
ミリ波帯近距離レーダは自動運転等での車載センサ,カメラ等が使えないエリアでのセキュリティセンサとして有望である.
近年79 GHz帯のミリ波レーダが注目され,高い距離分解能を保持する.一方,車載センサ等ではアレイの開口長が数cm程度に制限されるため,方位方向の分解能が不十分でない.同問題を解決するため,本稿では歩行人体等のマイクロドップラ成分に着目したドップラ分離型の画像化手法を提案する.79 GHz帯MIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)ミリ波レーダを用いた,実歩行人体を想定した実機実験により,本手法の有効性を評価する.
休 憩(14:30 再開) 座長 二ッ森俊一(電子航法研)
B-2-15 |
知識処理によるリモート・デジタルタワー用物体検知性能の改善
○井上 諭・ブラウン マーク(電子航法研) |
B-2-16 |
LiDARを用いた自動走行地中レーダによる屋内埋設管の位置推定
◎増田楓真・園田 潤(仙台高専) |
B-2-17 |
GBAS基準局におけるGPS信号受信に対する着陸機の影響の低減
○齊藤真二(電子航法研) |
B-2-18 |
Kinematic測位における仰角マスクと信号強度マスクの影響
○山形文啓(釧路高専)・小熊 博(富山高専)・亀田 卓(広島大)・末松憲治(東北大) |
空港に設置されている管制塔に代わり、リモート・デジタルタワーと呼ばれる新しいタワー管制システムの研究が行われている.この新しいタワー管制システムでは、空港側にカメラや監視センサなどを設置し、通信ネットワークで繋いだ運用室のディスプレイに映像や業務に必要な情報の表示や支援機能によって管制塔と同様に管制官が空港の航空交通の安全で円滑な運用を行えるようにするものである.このシステムでは、映像情報に基づいて航空機等の物体を検出し、映像情報中のそれらの位置に情報を強調表示することで管制官の気付きを支援する機能を持つ.本研究では、この航空機を検出することを目的とした検知機能の性能改善について報告する.
現在,社会インフラの老朽化が社会問題になっており,埋設管や道路空洞等を効率的に点検する非破壊検査手法として,地中レーダが利用されている.しかし,地中レーダは車載型や人による牽引型で,広範囲の調査には時間と労力を要する問題があり,指定した個所を自動走行する地中レーダの開発が求められている.これまでに氷上走行用の車輪型や不整地走行クローラ型のGNSS (Global Navigation Satellite System) による自動走行地中レーダが開発されているが,GNSSは森林や屋内等の衛星信号が受信できない環境で使用できないという問題がある.屋内インフラ点検ではGNSS圏外でも使用可能なLiDAR (Light Detection and Ranging)等のセンサによる自己位置推定が必要である.本稿では,LiDARによる自動走行地中レーダを開発し,地中レーダ付属のエンコーダによる走行距離とLiDARの自己位置推定による走行軌跡から屋内埋設管の位置推定について検討する.
我が国の空港は諸外国の空港と比べ,GBAS基準局の設置に適した充分な敷地が存在せず,周辺障害物や離着陸航空機等の影響を避けた基準局配置が難しいとされている.これまでに,滑走路近傍におけるGPS信号の受信において,離着陸航空機の影響があることが判明している.本発表では,着陸する航空機によるGPS信号受信への影響を低減する手法について検討し,計算機シミュレーションを行った結果を報告する.
我々は,GPS (Global Positioning System) に代表される NSS (Navigation Satellite System) を用いたIoT (Internet of Things) 向けネットワーク Kinematic 測位システムを提案している.このとき,多数の基準局を稠密に設置することが測位機会の増大につながるため,簡易に基準局を設置できることがシステム実現のために必要となる.本稿では,基準局の位置決定時の仰角マスクと信号強度マスクの影響について報告する.
3月8日 9:00〜11:30 3号館 3401教室 座長 網嶋 武(明大)
B-2-19 |
ミリ波車載レーダのための多重散乱に基づく見通し外人体識別
○△岡崎詢也・何 姜浩淼・木寺正平(電通大) |
B-2-20 |
ミリ波車載レーダによる前方ターゲットの高さ推定に関する基礎検討
◎鈴木彗太・山田寛喜(新潟大) |
B-2-21 |
リアクティブ近傍界領域に適用可能なmonostatic-bistatic等価定理
○赤嶺賢彦・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-2-22 |
実データを用いた BASE 法に基づく角度幅推定の有効性検証
○高橋善樹・高橋龍平・影目 聡・野中康秀(三菱電機) |
B-2-23 |
干渉波受信環境における圧縮センシングを用いたレーダ目標検出の基礎検討
○大川保純・田村尚子・清水貴之(防衛装備庁) |
ミリ波帯近距離レーダは,視界不良及び見通し外領域でのセンシングが可能であり,自動運転等の車載センサとして有望である.特に見通し外から飛び出す歩行者や自転車等を識別することは,衝突回避の観点から重要である.先行研究では,静止人体と円柱からの反射複素応答の変動が顕著に異なることに着目し,SVM(support vector machine) を用いた機械学習によって電波暗室内の見通し外領域で,静止人体と円柱を高精度に識別できることを報告している.一方,実際の道路環境下では多数の不要波の干渉により,微弱な回折信号では検出が困難であることが予想される.同問題を解決するため,本稿では多重散乱を活用した識別法を提案する.大学構内の実道路環境及び車両と遮蔽板を用いた多重散乱環境において,24GHz 帯ミリ波レーダを用いた実機実験により本手法の有効性を検証する.
ミリ波車載レーダによる,走行時に得られる一連のデータを用いた,合成開口(SAR)処理と速度誤差を考慮した提案手法による二つの手法による前方ターゲットの高さ推定についての基礎検討を行った.
レーダ散乱波の計測において,bistatic散乱界はbistatic角が小さいときその角の二等分線上で計測されたmonostatic散乱界と近似的に等しくなる.この等価性は定式化されており,monostatic-bistatic等価定理(MBET: Monostatic to Bistatic Equivalence Theorem)と呼ばれる.しかし既存のMBETは,レーダとターゲットの間の計測距離がFresnel領域より短いリアクティブ近傍界領域では定式化されていない.またMBETが成り立つ最大bistatic角は計測諸元やターゲット形状に依存するが,計測諸元等に対する最大bistatic角の推定方法は経験則に基づいており理論的に検討されていない.本稿ではリアクティブ近傍界領域に適用可能なMBET及びMBETの基礎式に基づく理論的な最大bistatic角推定方法を提案し,数値解析により検証した.
近年,レーダを用いた目標の形状情報推定の重要度が増している.これに対し,著者らはこれまでBASE(Beam output monitoring for Angle Spread Estimation)法を提案してきたが,その評価は計算機シミュレーションによるものに留まっていた.これに対し本稿では,有効性を検証するために実データを用いたBASE法の評価結果を報告する
携帯電話等の無線通信の増加により周波数資源の有効活用が進められているが、電波の利用の増加により広覆域・広帯域で電波の送受信を行うレーダは、ますます外来の干渉波の受信が避けづらくなることが想定される。干渉波を含んだ受信信号を用いて目標検出を行う場合、SNRが悪化し目標の検出性能が低下する。
そこで本研究では、干渉を受けた受信信号を取り除いた上で所望の目標信号の検出を行える方法を確立することを目的とし、受信信号の周波数分析結果が零成分を多く持つ(スパース性)と仮定できる場合に少ない受信回数の下で元の目標信号を推定する圧縮センシングを適用した目標検出の可能性について検討した。
休 憩(10:30 再開) 座長 高橋善樹(三菱電機)
B-2-24 |
海洋監視におけるSAR画像上の航跡検出技術
◎高柳 優・片山由美子・土田正芳・影目 聡・諏訪 啓(三菱電機) |
B-2-25 |
90 GHz帯小電力ミリ波レーダを用いた空港面探知の基本検討-仙台空港における動作確認試験-
○二ッ森俊一(電子航法研)・柴垣信彦(日立国際電気) |
B-2-26 |
海洋表層流速計測へのパッシブレーダ技術の応用
○灘井章嗣(NICT) |
B-2-27 |
Ku帯広帯域レーダで観測された降雨エコーの鉛直変化
◎内山新太・森本健志(近畿大) |
SAR(Synthetic Aperture Radar)画像において、海洋を撮像した際に見られる航跡波の検出は、船舶の速度推定や船舶の情報の取得に対して有用である。一方で、画像によって航跡が薄く、検出が困難となる場合がある。
本発表では、海洋のSAR画像で最も観測されやすい航跡波の特徴を活かしたガボールフィルタを適用することで、フィルタの適用方向と強め合う方向に位置する航跡波を正確に抽出する技術を提案する。
空港面探知レーダ(Airport surface detection equipment, ASDE)は,空港の地表面全体を探知範囲とし,滑走路や誘導路における航空機や車両等を探知することで,衝突事故のリスク低減等に活用されている.一方で,X帯やKa帯でkWクラスの高出力のレーダ装置を用いることは,装置の大型化や高コスト化に繋がる可能性がある.本稿では,民間航空分野におけるミリ波応用として,90 GHz帯小電力ミリ波レーダを用いた空港面探知の基本検討について述べる.滑走路異物(Foreign Object Debris, FOD)監視システム用センサとして開発したミリ波レーダを用い,仙台空港で実施した空港面探知の動作確認試験について議論する.
パッシブレーダによる海面流速計測について、その可能性を検討した。
送信点-受信点を結ぶ直線に近い領域では流速観測は難しい一方、ある程度離れた領域では流速観測が可能であると考えられる。
流速ベクトルを計測するためには2台以上のレーダを組み合わせる必要がある。流速ベクトルの計測精度には視線方向の交差角が影響するが、パッシブレーダの組み合わせでは、パッシブレーダを結ぶ直線に近い領域で精度良い観測ができる。
このことから、沿岸に近い領域での流速観測手段として有効と考えられる。
Ku帯広帯域レーダを用いて降雨エコーの鉛直観測を行った。降雨エコーの鉛直構造や降雨粒子の微物理過程を得た。
B-3. 衛星通信
3月8日 9:00〜11:45 2号館 2307教室 座長 井家上哲史(明大)
B-3-1 |
非地上系ネットワークによるカバレッジ拡張通信システムの開発‐非再生中継におけるルーティング方式の一検討‐
○加納寿美・松井宗大・阿部順一(NTT)・外園悠貴・小原日向・深澤賢至(NTTドコモ)・山下史洋(NTT) |
B-3-2 |
非地上系ネットワークにおけるMECコンテンツ制御の一検討
○松井宗大・加納寿美・阿部順一(NTT)・外園悠貴・巳之口 淳・深澤賢至(NTTドコモ)・山下史洋(NTT) |
B-3-3 |
マルチパス環境を考慮した移動体衛星通信減衰エミュレータの構築
○菅 智茂・鄭 炳表・沢田浩和・小野文枝・松村 武・辻 宏之(NICT) |
B-3-4 |
LEO-MIMOのDVB-S2X伝送方式適用におけるフレーム効率評価
○五藤大介・糸川喜代彦・山下史洋(NTT) |
B-3-5 |
超広域Massive MIMOシステムにおける階層型基地局構成の提案
◎立神光洋・五藤大介・糸川喜代彦・山下史洋(NTT) |
非地上系ネットワーク(NTN)を活用したカバレッジ拡張が, B5G/6G時代のモバイル通信向けに検討されている. HAPSのフィーダリンク(FL)は, 降雨時に通信不可となる38GHz帯の利用が想定されるため, 我々はHAPS間の通信リンク経由で通信可能なFLへのトラフィック転送による可用性向上を検討している. 本稿では, HAPSがトラフィックを非再生中継する場合のルーティング方式を提案し, シミュレーション評価した結果を報告する.
本稿では、NTNにおいて複数のサービスが提供されている場合に、MECのコンテンツを適応的に制御する手法を提案し、フィーダリンクにおけるトラヒック量増加抑制の効果を検証した結果について述べる。
近年,携帯端末と衛星間で直接通信する無線システムの実現を目指した取り組みが進められている.従来のKa帯など高周波数帯を用いた静止衛星との移動体衛星通信では,高利得を得るために追尾式の指向性アンテナが用いられており,衛星‐移動局間は直接波の電力変動の影響が支配的であった.今後,LEO(Low Earth Orbit)衛星やHASP(High Altitude Platform Station)を想定したNTN(Non Terrestrial Networks:非地上系ネットワーク)と携帯端末間の移動体通信を検討する場合,地上の周辺建物からの反射・回折波によるマルチパスフェージング環境も考慮する必要があると考えられる.
本稿では,マルチパスフェージング環境を考慮した移動体衛星通信減衰エミュレータの構築手法及び動作検証結果を報告する.
筆者らは,一基の低軌道周回(LEO)衛星システムに複数アンテナを搭載し,遠隔の複数基地局アンテナ間で空間多重伝送を行う, LEO-MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) 技術を検討している.本研究では,これまで信号同期・チャネル推定に利用していた制御キャリアを用いないMIMO伝送方式を検討することで,周波数利用効率の向上を目指している.本稿では, DVB-S2X方式を想定したMIMO伝送の同期方式,フレーム効率を評価する.
衛星/HAPSに代表される非地上系ネットワーク(NTN)では,地上モバイル端末の直接収容やIoT端末収容等を含めた多くの無線通信のユースケースが想定される.既存の衛星通信サービスと比較し伝送容量が増加することが想定され,NTNと地上ゲートウェイ(GW)局間を接続するフィーダリンクにおいて大容量化が求められる.フィーダリンク大容量化を目的として,MIMO空間多重伝送の適用が検討されている.本稿では,さらなる空間多重化実現のため,小型アンテナを広域に超多数配置利用する超広域Massive MIMOシステムにおいて,階層型基地局構成を提案し,シミュレーションにより伝送容量評価を行ったので報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 大倉拓也(NICT)
B-3-6 |
BER performance evaluation of OFDM/PM system with Moving Average Filter and Constant Modulus Algorithm
○Tuguldur Ulambayar・Masato Saito(Univ. of The Ryukyus) |
B-3-7 |
無人航空機を用いたユーザ位置検出システムにおけるドップラーシフト多重観測手法の測位精度特性評価
出口泰河・○石川博康(日大) |
B-3-8 |
ミツバチドローン実現に向けた高精度花方向指向制御性能確認
○佐藤陽菜・濵嶋恒希・上羽正純(室工大) |
B-3-9 |
ARマーカーを地上局基準に用いた小型固定翼UAV搭載用指向方向センサの検討
◎平井完弥・濵嶋恒希・上羽正純(室工大) |
B-3-10 |
異衛星/複数地点におけるKu帯降雨減衰測定に基づく降雨回線稼働率の一検討
○前川泰之(阪電通大)・原田耕一・阿部順一・山下史洋(NTT) |
OFDM/PM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing/Phase Modulation), is a kind of OFDM multicarrier modulation technique that minimizes peak-to-average power ratio. In this report, we present using an Average Moving Filter (MAF) and CMA (Constant Modulus Algorithm)-based adaptive filtering for OFDM/PM receiver to improve the BER (Bit Error Rate) performances.
無人航空機(UAV)を用いるユーザ位置検出システムでは,地上端末-UAV間の送受信信号の搬送波周波数に生じるドップラーシフトの観測値とUAVの飛行位置情報に基づき位置検出を行う.これまで,2機のUAVが同一の8の字経路を周回飛行するモデルにおいて,ドップラーシフトの観測回数を3回に拡張することで位置検出精度が改善できることを報告した.今回,同観測回数をさらに6回にまで拡張し,ドップラーシフトの適切な観測回数とUAVの初期配置の影響について評価したので,その結果について報告する.
授粉作業は長年,人の手によって行われてきた.この作業を農業用ドローンが行うことで,作業の効率化と労力の軽減を図ることができる.しかし,従来の授粉作業用ドローンの多くは上空から直接花粉を噴霧するため,噴霧範囲が重なりやすい.そのため花粉の噴霧状況にムラが発生しやすく、高価な花粉を多く消費してしまう.ここで本研究では,カメラと2軸ジンバルを搭載し花粉を噴霧するミツバチドローンを検討している.2軸ジンバルを用いることで必要な範囲に重なることなく花粉を噴霧することが可能になる.本稿では,ミツバチドローンの実験機器を構成し、地上試験によって制御精度および追従性能を確認した結果を報告する.
近年,旋回滞空する無人航空機(UAV)を中継局とする無線中継システムが注目されている.この無線中継システムを小型固定翼UAVによって実現するために,小型固定翼UAVに搭載可能な軽量かつ低消費電力を前提とした,ARマーカーを画像処理することで地上局とのずれ角度を検出する指向方向センサを検討している.一方で旋回滞空する小型固定翼UAVに指向方向センサを搭載した場合,一般的なARマーカーの検出方法ではUAVの飛行運動による取得画像上のARマーカーの位置移動および変形に対応することができない.この問題を解決するため,本論文では運動復元処理であるオプティカルフローを応用したARマーカー追跡手法を提案し,その有効性を確認した結果を報告する.
2022年4月から11月の間、大阪電気通信大学(OECU、大阪府寝屋川市)とNTT 横須賀研究開発センタ(横須賀市)および衛星基地局(松山市)において、Ku帯BS放送波やJCSAT-5Aビーコン波の受信レベル測定結果から降雨減衰時間率統計の分析を行った。寝屋川市、横須賀市、松山市の3局間で回線稼働率99.9%を達成する場合、それぞれ、5 dB、6 dB、および、3 dB の降雨マージンが必要となり、ITU-R勧告との比較を行った結果、運用地点によってはITU-R勧告値を上回る降雨マージンを確保する必要があることを明らかにした。
3月8日 13:00〜17:00 2号館 2307教室 座長 名古屋 翼(スカパーJSAT)
B-3-11 |
多様なユースケースに対応するためのKa帯衛星の制御に関する研究開発-衛星地上連接システムにおけるネットワークスライシングの検討-
◎阿部侑真・関口真理子・三浦 周(NICT) |
B-3-12 |
多様なユースケースに対応するためのKa帯衛星の制御に関する研究開発―データ解析アルゴリズムシミュレータの開発状況―
◎大津留 豪・菅 智茂・辻 宏之・関口真理子・阿部侑真・三浦 周(NICT) |
B-3-13 |
多様なユースケースに対応するためのKa帯衛星の制御に関する研究開発 ―通信需要・回線条件の予測技術―
○木村紋子・伊東裕貴・稲岡和也・江崎晃貴・陳 柏嘉(天地人)・菅 智茂・鈴木健治(NICT) |
B-3-14 |
多様なユースケースに対応するためのKa帯衛星の制御に関する研究開発−光・共通部ミッションSOC,GW局及び伝搬路計測データ収集システムの開発−
◎鈴木健治・川崎和義・菅 智茂・吉村直子・高橋 卓・三浦 周・辻 宏之(NICT) |
B-3-15 |
DBFを用いた可変ビーム最適化による周波数利用効率の改善
○田中 泰・草野正明・内田 繁・堀江延佳・角田聡泰・須永輝己・坂井英一(三菱電機) |
Beyond 5Gでは,拡張性・広域性という観点から非地上系ネットワーク(NTN:Non-Terrestrial Network)が注目されている.NTNとは,静止軌道(GEO:Geostationary Orbit)衛星,非静止軌道(NGSO:Non-Geostationary Orbit)衛星,高高度通信プラットフォーム(HAPS:High-Altitude Platform Station),ドローンなどの多様な通信プラットフォーム(以下,NTNノード)を介して,海,空,宇宙などの異なる空間を相互につなぐシステムである.さらに,NTNと地上系をつなぐことで,ユーザは任意の場所で通信が可能になることが期待されている.本稿では,このようなシステムを衛星地上連接システムと呼び,本システムにおけるネットワークスライシングの概念と必要となる制御について述べる.
NICTでは、静止軌道に打ち上げ予定の技術試験衛星9号機(ETS-9)を用いて、次世代HTSに搭載される通信システムの技術実証を目指している。データ解析アルゴリズムシミュレータは、ETS-9の地上系システムの一部として、ネットワーク運用センター(NOC)における運用作成機能(NOC-P)の役割を果たすほか、周波数利用効率2倍実証を目標に、次世代HTSが備えるフレキシビリティ機能を活用した運用計画を作成する。また、移動体需要や天候状況の変動予測を入力として運用計画を出力し、予測区間における準最適な運用計画組合せを評価・選択する機能を実装している。本稿ではデータ解析アルゴリズムシミュレータの開発状況について報告する。
本研究開発では、技術試験衛星9号機(ETS-9)に代表される次世代のハイスループット衛星を用いた衛星通信システムにおいて、周波数リソースの効率化のために、通信需要や回線条件の変化をデータ解析に基づき予測を行い、衛星リソースを適切に割り当てる運用計画方式を確立する。具体的には、通信需要(ユーザリンク)では移動体の需要予測を行い、回線条件(フィーダリンク)では気象状況の予測を行う。各予測システムを、移動体需要予測サブシステム、気象状況予測サブシステムと呼び、各サブシステムの構成要素であるデータベース並びに解析アルゴリズムについて基本設計、試作、詳細設計、並びに開発(実装)を行う。本稿では、特に気象状況予測サブシステムに関する、データ解析による予測精度について中間成果を報告する。
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)では2023年度H3ロケットにより打上げ予定の質量約4.5トンの静止衛星:技術試験衛星9号機(ETS-9)を用いて,ETS-9に搭載する光通信機器及びKa帯通信機器の機能性能確認実験を始めとして各種衛星通信実験を実施する予定である.光及び電波を用いた実験を行うために必要となる,1. 衛星搭載ミッション機器(光・共通部)の監視・制御を行う通信ミッション衛星運用センター(ミッションSOC: Satellite Operation Center),2. フィーダリンク地球局(鹿島Ka帯大型地球局),3. 光及び電波のサイトダイバーシティ効果を実証するための伝搬路計測データ収集システムの開発状況について報告する.
技術試験衛星9号機(ETS-9)は通信信号の受信部にDBF(Digital Beam Forming)機能を備えている.本機能を用いることで,8素子からなるアレー給電反射鏡アンテナの入力信号を合成したビーム(可変ビーム)が生成される.各アンテナの合成比率となる励振係数は,通信帯域に定義されたサブチャネル毎にDBF機能に設定される.また,励振係数は地上局からアップロードされる.本稿ではDBF機能の有効な利用方法として,通信ユーザ毎にサブチャネルを割り当て,DBF機能により各サブチャネルで最適なビームを適用することで,周波数利用効率を改善する方法について示す.
休 憩(14:30 再開) 座長 小泉雄貴(NHK)
B-3-16 |
衛星搭載向けDAFRにおけるEIRP最大化についての検討
○野口直也・山本伸一・田中 泰(三菱電機) |
B-3-17 |
通信衛星中継器における受信ディジタルビームフォーミングアンテナの校正
○松木 誠・田中 泰・紀平一成・高橋 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
B-3-18 |
衛星IoTプラットフォームに向けたドップラー変動補償型受信ビーム制御技術の検討
○坂元一光・須﨑皓平・片山陽平・藤野洋輔・鈴木賢司・小島康義・糸川喜代彦・山下史洋(NTT) |
B-3-19 |
衛星IoTプラットフォームに向けたドップラー変動補償による端末起動エリア制御技術の室内実験評価
○須﨑皓平・坂元一光・片山陽平・藤野洋輔・鈴木賢司(NTT) |
B-3-20 |
送信制御を用いた衛星IoTシステムにおける利用可能チャネルの偏りの影響
岡田 啓・◎熊澤完介(名大)・松井宗大・立神光洋・五藤大介・糸川喜代彦・山下史洋(NTT)・片山正昭(名大) |
技術試験衛星9 号機(ETS-9: Engineering Test Satellite-9)を用いた衛星リソース制御の研究開発の一環として,衛星に搭載されたDBF(Digital Beam Forming)装置により生成される可変ビームの検討をしている.本稿では,衛星搭載アンテナの放射電力,すなわちEIRP(EquivalentIsotropic Radiated Power)を最大にする制御フローについて述べる.
ディジタルビームフォーミングアンテナの校正手法としては様々な検討がなされている.本報告では,通信衛星中継器と地上局(校正信号送信局)とで連携した校正方法について紹介する.計算機シミュレーション結果により,提案する校正手法の有効性を示す.
著者らは,地球低軌道周回(LEO)衛星を用いて,地上通信網ではカバーできない超広域エリアでのセンサデータの収集・伝送を実現する,衛星IoTプラットフォームについて検討している.Sigfoxに代表される狭帯域LPWA方式のIoT端末を収容する場合,LEO衛星の高速移動により生じるドップラーシフトの変動により信号帯域幅が数倍に広がり,複数の信号の干渉を招く.本報告では,復調処理の初段でドップラー変動補償を行った後に受信ビーム制御を行う方式を提案し,計算機シミュレーションにより有効性を示す.
低軌道衛星による衛星IoTプラットフォームでLEO衛星からの起動信号を安価な既存LPWAチップで受信する場合,LEOの高速移動によって発生するドップラー周波数変動が課題となる.
本報告では,ドップラー周波数変動を衛星側で補償することで特定エリアでのみ端末が起動する制御方法に関して室内実験で特性評価を示す.
920MHz帯Low Power Wide Area (LPWA)を用いた衛星IoTシステムが検討されている.このシステムでは端末から衛星へのアクセスにおいて複数のチャネルを用いることができるが,920MHz帯を使用している地上ネットワークへの影響を避けるために,利用可能なチャネルは端末が配置されている場所により異なる.その結果,チャネルへの送信パケット数に偏りが発生し,スループットが劣化する.そこで我々はこのスループット劣化を防ぐための送信制御について検討してきた.本稿では利用可能チャネルの偏りを変化させてその影響を評価するとともに,大きな偏りに対応できるよう送信制御の改善版を提案する.
休 憩(16:00 再開) 座長 流田理一郎(KDDI総合研究所)
B-3-21 |
高高度プラットフォーム(HAPS)による5G網と連携した38GHz帯の無線通信システム開発 -プロアクティブサイトダイバーシチの開発-
○北之園 展・鈴木 淳(スカパーJSAT)・外園悠貴・岸山祥久・深澤賢至(NTTドコモ) |
B-3-22 |
高高度プラットフォーム(HAPS)による5G網と連携した38GHz帯の無線通信システム開発-高高度航空機を用いた38GHz帯電波伝搬測定における降雨減衰評価-
◎室城勇人・小原日向・外園悠貴・岸山祥久・深澤賢至(NTTドコモ)・鈴木 淳・北之園 展(スカパーJSAT) |
B-3-23 |
高高度プラットフォーム(HAPS)による5G 網と連携した38GHz 帯の無線通信システム開発―高高度航空機を用いた38GHz帯電波伝搬測定における機体の旋回影響評価―
◎外園悠貴・室城勇人・小原日向・岸山祥久・深澤賢至(NTTドコモ)・鈴木 淳・北之園 展(スカパーJSAT) |
B-3-24 |
HAPSを用いた成層圏から地上へのS帯電波伝搬測定試験
○小原日向・外園悠貴・室城勇人・岸山祥久・深澤賢至(NTTドコモ)・Jeff Smith・Andre Grabs(Airbus) |
高度20kmのHAPSに搭載したミリ波帯(38GHz帯)無線局はその周波数特性上,降雨減衰により通信品質が著しく劣化するという課題があり,地上携帯電話網を構成するバックホール回線として用いる場合に問題となる.筆者らはミリ波帯のHAPS伝搬モデルや降雨減衰量推定モデルを構築し,降雨減衰補償技術として一般的な降雨時の送信電力制御の他,地上携帯電話網と連携した適応変調制御やサイトダイバーシチ技術の確立により,実用的に利用可能とすることを目指している.本稿ではこのうち降雨レーダの予測データを基にしたHAPS向けのサイトダイバーシチ手法の開発について,その概要を解説する.
HAPSによる高速大容量な通信エリア化に向けて,上空からの38GHz帯電波伝搬の実証実験を進めている.HAPSの実運用に近い測定環境として,高高度航空機を用いた成層圏下層からの38GHz帯電波伝搬測定を実施した.本稿では,降雨が成層圏からの電波伝搬へ与える影響の評価結果について報告する.雨天時と曇天時のフライトにおいて受信機のアンテナ利得と伝搬距離を考慮した理想的な自由空間伝搬損失と測定結果の差分を評価することで降雨による減衰を評価した.その結果,今回の測定範囲では降雨による減衰は机上計算値と近しい値であることが確かめられた.
HAPSによる高速大容量な通信エリア化に向けて,上空からの38GHz帯電波伝搬の実証実験を進めている.HAPSの実運用に近い測定環境として,高高度航空機を用いた成層圏下層からの38GHz帯電波伝搬測定を実施した.本稿では,航空機の旋回に伴う機体動揺が電波伝搬に与える影響の評価結果について報告する.
HAPSによるスマートフォン等のデバイスへの直接通信実現に向け,HAPS実機を利用した成層圏から地上への電波伝搬測定の実証実験を実施した.成層圏を飛行するHAPSから地上の受信アンテナへS帯(2GHz)の電波を送信し,電波の減衰特性を測定した.本稿ではこの実証実験の結果として,複数の天候下におけるS帯電波の減衰特性を示す.
B-4. 環境電磁工学
3月8日 13:00〜17:00 3号館 3401教室 座長 志田浩義(EMCテック)
B-4-1 |
FPCで構成する垂直積層型結合矩形ループを用いたフィルムコンデンサ向けESLキャンセル回路の設計結果
○米田 諭・小林玲仁・明石憲彦・谷口英司(三菱電機) |
B-4-2 |
ローサイドスイッチ回路を含むブラシモータ駆動系へのRL スナバ適用による LC 共振抑制
◎菅 翔平・五百旗頭健吾・豊田啓孝・許 振鴻・増野彰人(岡山大) |
B-4-3 |
シールド付き同軸コネクタを備えた金属筐体機器の放射エミッション抑制構造の検討
◎加藤諒汰・上山賢吾・中村彰伸(三菱電機) |
B-4-4 |
粒子群最適化を用いた近傍界測定の評価及び改善
○五島尚純・肖 鳳超・萓野良樹・上 芳夫(電通大) |
FPCで構成する垂直積層型結合ループを用いたフィルムコンデンサ向けESLキャンセル回路の設計結果について報告する.設計の結果,ループを誘電体基板で構成する場合と比較すると,ループは小型化できるが,ESLキャンセルによるフィルタ性能の改善効果が得られる帯域が狭帯域化することがわかった.引き続き,試作評価を実施する.
自動車部品などに使用されるブラシモータ駆動系には, ブラシモータで発生するブラシノイズとケーブル接続され た制御 ECU の PWM 制御されたパワー半導体で発生するス イッチングノイズが存在し,いずれも電磁干渉(EMI)の要 因となる.先行研究[1]では前者を抑制するためブラシモー タ内蔵 EMI フィルタの定数最適化に PSD 手法の適用を検討 した.これに対し後者は,ケーブルの寄生インダクタンス (ESL)と EMI フィルタのコンデンサの共振により AM 帯等 のキャリア周波数帯で EMI の増加が顕在化し回避できない. そこで今回は,給電と共振抑制を同時に実現可能な RL ス ナバの導入を検討する.
先行研究[2]では電力変換回路内部の ESL と寄生容量によ る共振に対して,3 次の特性方程式を持つ等価回路(以下,
3 次等価回路)に基づく RL スナバの最適設計法を提案した. 本検討ではケーブル接続された機電別体型システムである ブラシモータ駆動系に対して RL スナバ最適設計法を適用 し,共振抑制による伝導 EMI 抑制効果を評価する.
映像撮影装置の高精細化に伴い、電子機器の回路基板の信号線に伝送される映像データの周波数が高速化している。そこで、放射ノイズおよび耐ノイズ低減を目的に同軸ケーブルの外部導体、シェルおよび同軸コネクタのシールドが電気的に接続されているものが存在する。しかし、基板から筐体に放射されたコモンモードノイズは、筐体の開口部から不要電磁波として同軸ケーブルに放射される。コネクタが筐体内の基板に接続された場合には、筐体から同軸ケーブルにコモンモードノイズが伝わるという課題がある。本研究は同軸ケーブルにコモンモードノイズが伝わることを抑制するこができる金属筐体機器の放射エミッション抑制構造を検討した。
近年では電子機器の多機能化・複雑化に伴い, 放射ノイズによる電磁障害のリスクが高まり, その対策の一環として機器の近傍電磁界を測定しノイズ源を特定する場合がある. 当研究室内の先行研究では, 粒子群最適化手法 (Particle Swarm Optimization) を近傍界走査に適用し, 測定平面内で電磁界の強い場所を探して詳しく測定する手法を提案した. そこで本研究では先行研究での PSO 手法による近傍界走査の持つ問題点を調査したのち, 精度・測定時間について改善する手法を提案する.
休 憩(14:15 再開) 座長 豊田啓孝(岡山大)
B-4-5 |
車載Ethernet用CMCに対するESDダメージ試験基板の検討
◎伊藤裕範・矢野佑典・王 建青(名工大)・石田武志(ノイズ研) |
B-4-6 |
抵抗性集中定数素子を用いた単導体線路における整合終端
◎早瀬健浩・久門尚史・イスラム マーフズル・和田修己(京大) |
B-4-7 |
非線形ばねと静止摩擦による強磁性体のヒステリシス特性の模擬
○西方敦博(東工大) |
B-4-8 |
高い周波数の5G通信帯域におけるICチップ放射ノイズの評価
◎芦田壮亮・渡邊 航・酒井陵多・上原 啓・田中 聡・永田 真(神戸大) |
B-4-9 |
産業用ドローンにおける不要電波と移動通信システムの電磁干渉評価
◎渡邊 航・酒井陵多・田中 聡・永田 真(神戸大) |
IEC 62228-5で車載イーサネットトランシーバICのEMC評価規格が制定され,Annex EにおいてEMC評価に必要なCMCに対する試験が要求されている.しかし,ESDダメージ試験の試験基板について,0Ω抵抗の取り付け・取り外しだけでSパラメータが変動し,その変動量がESDダメージ試験の評価基準と同程度あるいは超える可能性がある.そこで本研究では,車載イーサネット用CMCに対するESDダメージ試験基板の改善案を提案し,その妥当性の検証を行った.検証としては,現基板及び提案基板に対してESD電流波形の測定・比較を行った.その結果,提案基板が現基板とほぼ同じ電流波形を示すことを確認した.これは提案基板の妥当性を示唆している.
帰路線のない単導体線路において,変数として電荷と電流を用いることで伝送線路としてモデル化することができ,そのモデルを利用した損失単導体線路を用いた終端整合が提案されてきた.この提案では,損失単導体線路は分布定数モデルでの提案であったことに対して,本稿では抵抗性集中定数素子を用いた集中定数モデルを考える.抵抗性集中定数素子に加えて適切な長さの単導体線路を接続することで終端整合を提案し,電磁界シミュレーションによって確認できたことについて報告する.
機械的モデルによる強磁性体のヒステリシス特性の模擬について検討した。軽い物体が非線形ばねによる復元力と場所に依存する静止摩擦力、粘性抵抗力を受けるモデルを提案し、外力に対する変位を数値計算した結果、強磁性体のヒステリシス曲線と類似の形状の曲線が得られた。
近年5G通信の普及により、従来よりも高い周波数帯域が無線通信に利用されつつある。電子機器の高速駆動によって、放射ノイズが広帯域に及び5G通信に用いられる高い周波数においても電磁干渉が発生する恐れがある。そこで本研究では、5G通信で利用される高周波数帯域においてICチップから発生する放射ノイズを評価し、高い周波数においても電磁干渉が発生する恐れがあることを確認した。動作周波数が1 GHzのデジタル回路から発生する放射ノイズは30 GHzにおいても観測されており、30次高調波が5G通信の帯域に及ぶことが確認された。今後、本評価系を、磁性材料を活用した放射ノイズ抑制技術の評価にも応用する計画である。
現在、移動通信システムによって制御される産業用ドローンの、有人地帯上空における目視外飛行の実現が期待されている。移動通信システムは低電力においても動作するように規格されており、電子機器から発生する不要電波と干渉する恐れがある。産業用ドローンを安全に運用するためには、こうした電磁干渉への評価および対策が必要である。本稿では、産業用ドローンから発生する不要電波によるLTE通信モジュールへの影響評価について示す。不要電波によってLTE通信モジュールの性能が約30 dB劣化する恐れがあるものの、不要電波特性に応じて適切な位置にLTEアンテナを実装することで、この影響を抑制できる可能性を見出した。
休 憩(15:45 再開) 座長 東山潤司(NTTドコモ)
B-4-10 |
6GHz以上での液剤中アンテナ間伝送特性を用いた電気定数測定へのアンテナ位置ずれの影響の検討
○清水悠斗(NICT)・石井 望(新潟大)・長岡智明(NICT) |
B-4-11 |
モバイル通信端末のSAR評価用簡易モデル作成手法の検討
○川合愛理奈・齊藤一幸・高橋応明(千葉大)・長岡智明(NICT) |
B-4-12 |
人体近傍の電界分布を模擬する人体検出用軽量ファントムの開発
○佐藤嘉希・齊藤一幸(千葉大) |
B-4-13 |
アレーアンテナの相互結合を考慮した入射電力密度の評価
○櫛山祐次郎・長岡智明(NICT) |
B-4-14 |
Bandwidth Enhancement of Small Narrow-band Antenna System in 10-60 MHz Band Implant Communication Using Pre-emphasis Technique
◎Lijia Liu・Hiroaki Takagi・Jianqing Wang(Nagoya Inst. of Tech.) |
近年,6 GHzから10 GHzの周波数における吸収電力密度を指標とした無線通信機器の適合性評価方法が提案された.この方法は,我が国では6 GHz以下の周波数帯を利用している無線通信機器の適合性評価に利用されているSARから,吸収電力密度を算出する.このことから,SARプローブ較正を,10 GHzまで拡張する必要があり,液剤中アンテナを用いた較正手法が適用可能である.較正ではSAR測定と同様に,生体等価液剤を用い,その電気定数も必要となる.著者らは,液剤中アンテナ較正の一部である2アンテナ間伝搬特性測定による液剤の電気定数測定を提案している.この手法では,較正において,他の電気定数測定系を用いないため,不確かさの低減が期待できる.本報告では,提案手法において,対向している2つのアンテナに位置ずれの電気定数推定結果への影響を検討した.
近年, スマートフォンに代表される各種無線端末の普及により, 人々が電磁波を利用する機会が増加傾向にある. そのため, 人体の電磁波ばく露量評価が重要である. 電磁界解析によるばく露評価では, 実環境を想定した人体モデル及び端末モデルが用いられる. しかし, 近年の端末の高機能化, 小型化のためアンテナが筐体内部に内蔵されている. そのため, アンテナを外側から確認することが困難であり, 端末のモデル化が難しい傾向にある. そこで本研究では, 複数の微小ダイポールアンテナを内蔵した誘電体を簡易スマートフォンモデルとして作成した. また, 実機端末におけるSAR (Specific Absorption Rate) 分布と比較することで, モデル化手法を検討した.
近年,Internet of Things(IoT)や各種センサの需要増加により,次世代を支えるエネルギーシステムとして,マイクロ波を用いたWireless Power Transfer(WPT:無線電力伝送)が注目されている.このWPTでは,伝送経路上の人体を検出し,回避もしくは送電を停止する技術が求められている.この技術開発には,定量的評価および電磁波ばく露による人体防護の観点から,ファントムの使用が適切である.そこで本稿では,水平面方向から電力が供給される状況を想定して,人体近傍での電界分布を算出し,ファントムの検討を行った.数値計算による検討から,人体形状を模した軽量な基台に散乱体を適切に貼り付けることで,人体近傍領域において人体と同程度の電波散乱をする軽量なファントムの実現が示唆された.
近年,基地局や端末において,局所性の高いビームの形成も可能なフェーズドアレーアンテナの利用が広がっており,人体に対するこれらの無線通信機器から放射された電波のばく露評価が重要な課題となっている.アレーアンテナは,アンテナ素子間の相互結合により,給電電圧の振幅が一定であっても給電位相によってアレーアンテナから放射される電力が変化する.したがって,アレーアンテナからの出力が一定となる条件下でばく露量が最大となる条件を評価する場合,最大値を与える位相の探索において,相互結合の影響を考慮してばく露量をスケールする必要がある.最悪値の探索はアンテナの素子数が増えると総当たりでの探索数が膨大となるため,最適化手法が用いられる.本報告では,これまでに報告されている最適化手法のばく露評価への適用に相互結合による影響の補正を組み込んだ結果について報告する.
For implant communication, the communication module not only needs a low power consumption system but also needs sufficient transmission bandwidth to ensure the high data rate. This paper utilized pre-emphasis technique to effectively increase the transmission bandwidth of a dual-resonant small antenna system operating at 10-60 MHz HBC band. As a result, when the original transmission signal has a -10 dB bandwidth from 10-60 MHz, the -10 dB bandwidth of the Rx frequency spectrum can be improved from 11.3-18.9 MHz to 10.6-29.6 MHz at the first resonant frequency band, and from 47.1-53.5 MHz to 11.1-60.1 MHz at the second resonant frequency band. Finally, the combined -10 dB bandwidth can cover 10-60 MHz wideband.
3月10日 9:00〜11:45 3号館 3401教室 座長 青柳貴洋(東工大)
B-4-15 |
Performance Evaluation of Circular Patch Metasurface Absorber
◎Patimapon Soynoi・Satoshi Yagitani・Tomohiko Imachi・Mitsunori Ozaki(Kanazawa Univ.) |
B-4-16 |
FMCWレーダにおける複素ベースバンド信号を用いた電磁ノイズ起因の誤検出改善手法
○橘川雄亮・堀口嵩浩・福井範行・谷口英司(三菱電機) |
B-4-17 |
ドップラーセンサを用いた鉄筋コンクリート構造物内の錆検知における被測定金属円柱の条件に関する検討
◎渡邉泰成(青学大)・平岡三郎(コニカミノルタ)・橋本 修・須賀良介(青学大) |
B-4-18 |
シールディドループコイル型高周波透磁率測定における絶対値校正の高精度化-超電導磁石による強磁界の効果
○山口正洋・佐藤裕磨(東北大)・中村貴志・板垣 篤(凌和電子) |
B-4-19 |
スペクトラム拡散シールドの測定結果に関する一考察
◎古谷航一・小林 剛・福井範行・谷口英司(三菱電機) |
The mushroom surface structure with square patches were used to achieve thin absorbers with orthogonal lumped resistors between the patches. The 2-d array of lumped resistors were also used to measure the incident wave field distributions. Thus far, the lumped resisters in square patches absorber are placed in x and y directions to absorb the x and y polarizations respectively. In this paper, we will present a new model in which we have designed a circular patch metasurface absorber and evaluated its performance for different polarizations.
本発表ではFMCWレーダにおける電磁ノイズ対策として,複素ベースバンド信号を用いた方式を提案し,シミュレーションによる有効性を示す.
近年の鉄筋コンクリート構造物の老朽化に伴い,被測定物を傷つけることなく評価可能である非破壊試験が注目されている.
これまでに我々は,コンクリート表面からの反射波の影響を低減し,鉄筋からの反射波のみを評価するためにドップラーセンサを用いた鉄筋のさび検知手法を提案しているが,その測定条件に関する検討やモルタル内の鉄筋検知については行われていない.
そこで本研究では,本検知手法により,検知可能な被測定物寸法について評価し,さらにモルタル中の鉄筋の検知について検討した.
5G無線通信システムの普及を契機として、ミリ波帯に及ぶ高周波領域で磁性材料および磁気部品の利用が期待されている。対象材料は共鳴周波数が数10GHzまで高い絶縁性材料または合金コンポジット材料が主体のため、一般に比透磁率は10以下まで小さい。このため、低周波帯を含めて透磁率測定装置の高精度化が必要となっている。
本論文は、9GHz超まで測定可能なシールディドループコイル型高周波透磁率測定装置1),2) を対象として、新たに超電導磁石を導入して背景測定における直流磁界を5Tまで増大させることにより、透磁率の絶対値校正における精度を高めたので、報告する。
アクティブ周波数選択表面を使用した周波数拡散シールド(SSS:Spectrum-Spreading Shield)を提案している.SSSの透過スペクトラムの測定結果には,理論値との差異が見られていた.そこで,その原因の考察を行った.
休 憩(10:30 再開) 座長 長岡智明(NICT)
B-4-20 |
EMF Exposure Measurements on a 28 GHz band 5G Base Station
◎SEN LIU(NICT)・Naoto Tsuchiya(Tokyo Metropolitan Univ.)・Teruo Onishi・Masao Taki・Soichi Watanabe(NICT)・Yukihisa Suzuki(Tokyo Metropolitan Univ.) |
B-4-21 |
ワイヤレス充電器から発生する中間周波帯の磁界測定
○江嵜かおる・大西輝夫・多氣昌生・渡辺聡一(NICT) |
B-4-22 |
IoT機器の機器配置に対するSAR分布の一検討
◎濱田佑菜・佐伯英寿・安在大祐(名工大)・清水悠斗・長岡智明(NICT)・王 建青(名工大) |
B-4-23 |
電流ばく露時の指先の温度上昇に関する一検討
太田晴幾・○上村佳嗣(宇都宮大)・佐藤 健(八戸高専) |
B-4-24 |
電流ばく露装置周辺の電磁環境測定
石川亮太(宇都宮大)・○佐藤 健(八戸高専)・上村佳嗣(宇都宮大) |
Grasping the EMF exposure level in real living scenarios plays a vital role in addressing the associated public concerns, especially in the current 5G era. Focusing on a 5G FR2 base station (BS), five EMF exposure measurements with each one having a different traffic condition are conducted. The results are analyzed and compared.
我々は日常生活における電波ばく露の実態について定量的に把握するとともに,リスクコミュニケーションのあり方を検討することを目的に研究を行っている. 本稿では,近年家庭内や公共の場において急速に普及しつつあるQi充電に対応したワイヤレス充電器から発生する磁界の磁束密度を測定した.待ち受け時と充電時では時間波形が異なり,磁束密度の3軸合成のピーク値は充電時より待ち受け時の方が大きい結果となった.また,充電電力の違いによる磁束密度の大きな差異は見られなかった.これらの値は電波防護指針の指針値と比べて十分小さいことが確認された.
無線通信の利用数は年々増加し,多種多様な無線通信に利用するIoT (Internet of Things) 機器が注目を集めている.IoT システムでは膨大な数の無線通信機器が配置されることから,複数の IoT 機器から放射された様々な電波に対する人体のばく露量を高信頼かつ効率的に推定する手法が必要となる.特に,IoT機器が複数存在する場合,それぞれの機器の放射電界分布が重なるため,効率的にSAR (Specific Absorption Rate)分布を導出する方法の確立が求められている.本研究は,IoT 通信で一般的な利用が想定される2.45 GHz 帯において,複数のIoT機器の配置位置がSAR分布に与える影響について検討を行う.
近年、無線電力伝送の普及が見込まれているが、接触電流による間接作用の安全性評価が問題となっている.我が国の電波防護指針では接触電流の指針値が100 MHzまで決められているが,電流知覚閾値の実験的研究は高々3 MHzまでしか行われていない.現在,我が国では総務省の委託研究「電波ばく露における熱痛閾値の調査」のもとで100 kHz~100 MHzの大規模な電流知覚実験を計画しており,我々は10 MHzまでの電流ばく露装置の開発を行った.本研究は開発した電流ばく露装置を使用し,人体に流した電流量および時間でどのように温度が変化するのかという点に焦点をあてて計測し,温度と電流の知覚閾値や熱痛閾値との関係を調べることを目的としている.
近年,無線充電設備の普及に伴う接触電流の被害を抑えることが求められている.接触電流の閾値を調べる実験的研究は高々3 MHz までしか行われていなかったが,現在、100 kHz~10 MHzの電流知覚実験が実施されている.
本研究では,電流知覚閾値を調べるための電流ばく露装置を使用した際の,装置周囲の電磁界強度や距離特性を調査する.そこで,中波-短波帯で装置を稼働し,電磁界測定を行い,実験環境を再現したシミュレーションとの比較を行う.電磁界解析ツールとしてOpenMOMを採用する.
3月10日 13:00〜17:00 3号館 3401教室 座長 齊藤一幸(千葉大)
B-4-25 |
医療用埋込金属プレート近傍のSAR上昇に関するばく露平面波到来角度依存性の評価
◎脇 修平・西川拓次・日景 隆(北大)・長岡智明(NICT) |
B-4-26 |
ブタ表皮および家兎角膜のテラヘルツ帯における電波吸収特性の解明
○山崎祥他・水野麻弥・長岡智明(NICT) |
B-4-27 |
THz帯における家兎角膜を模擬したファントム作製に関する検討
◎冨澤鉄太(青学大)・山崎祥他・水野麻弥(NICT)・須賀良介・橋本 修(青学大)・長岡智明(NICT) |
B-4-28 |
人体モデルを用いた電波複合ばく露におけるSAR評価
○△木村圭佑・齊藤一幸・高橋応明(千葉大)・長岡智明(NICT) |
人体に金属を埋め込んでいる場合,指針値以下の電波ばく露でも局所的な比吸収率 (SAR : Specific Absorption Rate) 上昇の可能性が示唆されている.現在,骨折治療等を目的として様々な医療用体内埋込金属プレートが開発されており,これらの装着者に対する指針適合性の検討が必要とされている.著者らはこれまでに,金属プレートを埋め込んだ人体に電波をばく露したときのSAR 上昇を評価し,金属プレートの空隙部で共振現象に起因したSAR上昇が発生することを明らかにしてきた.本稿では,ばく露平面波の到来角度を変化させた場合の金属プレート空隙部におけるSAR 分布について4G/LTE 周波数帯を対象に評価する.
次世代無線通信(B5G/6G)ではテラヘルツ(THz)帯の電波利用が想定されていることから,この周波数帯での人体に対する電波ばく露量を明らかにすることが重要な研究課題となっている.そこで本研究では, 0.1 THzから0.6 THzにおける生体の電波吸収特性に関して,主に電波ばく露が想定される皮膚の表皮および眼球の角膜を対象とし,吸収係数をTHz時間領域分光(THz-TDS)と全反射減衰分光法(ATR)ユニットを組合わせたTHz TD-ATR法により測定することで,それぞれの組織が持つ電波吸収の強さや侵入長について検討した.
次世代無線通信(B5G/6G)ではテラヘルツ帯の電波利用が想定されているが,近年までテラヘルツ帯の電波の人体への安全性は十分に調査されていない.また,人体の安全性を確かめるためにファントムと呼ばれる人体を電気的に模したものを作製し,それを用いて評価する必要がある.そこで本研究では,電波の高精度なばく露量評価に必要となるテラヘルツ帯における家兎の眼球から分画した角膜の複素比誘電率をTHz-TDS装置により測定した.さらに,実験的な電波ばく露評価に必要となるその角膜の複素比誘電率を模擬したファントムを,純水及び生理食塩水を主剤として寒天,グリセリンを材料とすることで作製することに成功した.
通信端末の普及に伴い、スマートフォンの使用を想定した電波ばく露に関する研究が行われている。近年の移動通信では、より高速かつ安定した通信を実現するため、複数の周波数帯を同時に利用する通信技術が利用されている。しかし、従来の電波ばく露評価の多くは単一の周波数のみを用いて行われているため、今日の電波ばく露環境に即した評価を行う必要がある。本研究では、スマートフォンモデルを波源とし、人体頭部モデルをばく露対象とした解析モデルを用いて、電波複合ばく露を想定した際のSAR(Specific Absorption Rate)評価を行った。また、今回の解析モデルにおけるSAR評価をもとに、電波複合ばく露における評価方法の考察を行った。
休 憩(14:15 再開) 座長 マハムド ファーハン(NTT東日本)
B-4-29 |
複数PFM制御電源における遠方界測定ノイズ分離推定の一検討
○佐野宏靖(都産技研)・梅林健太(東京農工大)・鈴木 聡・佐々木秀勝・金田泰昌(都産技研) |
B-4-30 |
GHz帯におけるCFRPの実効導電率及びコモンモードノイズへの影響
○五十嵐 俊・山岸 傑・桑山一郎(住友電工)・五百旗頭健吾・豊田啓孝(岡山大) |
B-4-31 |
位相補償回路を適用した非接触電圧センサの試作評価
◎玉木雄三・明星慶洋・大和田 哲(三菱電機) |
B-4-32 |
広帯域対応電波計測・可視化システムによるノイズ測定の一検討
○中村匠汰・宮井大雅・八木谷 聡(金沢大)・谷本真一・藤野新九郎・竜田明浩(パナソニックコネクト)・尾崎光紀・井町智彦(金沢大) |
B-4-33 |
ノイズ源の近傍磁界ベクトル計測・可視化システムの開発
○中浜智也・伊藤直也・八木谷 聡・尾崎光紀・井町智彦(金沢大) |
電子機器では,周辺機器に各電圧を供給するため,スイッチング電源は複数台必要になる.スイッチング電源の高調波ノイズはおおよそ同一帯域において重なるため,電源の高調波ノイズによって放射エミッション試験規制値がオーバーした場合,複数ある電源からノイズ源の特定および分離が困難であった.
本研究では,近傍界プローブにより近傍界波形と放射エミッション試験に基づいた遠方界波形 から,個別の各スイッチング電源による振幅スペクトルを推定する.評価対象は軽負荷時に効率が良く市場で採用実績の多い PFM(Pulse Frequency Modulation) 制御の固定オン時間タイプとする.
燃費向上等の観点から自動車の軽量化が求められており、車両パーツの炭素繊維強化樹脂(CFRP)化が検討されている。一方で車内通信の高周波化も進んでいるが、CFRPの高周波特性について十分な評価はなされていない。
今回、GHz帯におけるCFRPの実効導電率を同定するために、実測したマイクロストリップ構造の通過損失と一致する導電率の値を電磁界解析で求めた。本評価より、CFRPの実効導電率をσ=2.32×104 S/mと同定した。
また、ボディへのCFRP採用を想定して、CFRPを配線のグラウンドとして用いた場合のケーブルを流れるコモンモードノイズへの影響を調査した。その結果、グラウンドを金属導体からCFRPのような低導電率な板材へ置換えてもノイズへの影響は見られなかった。
観測対象にプローブ電極を近接させ,結合容量を介して電圧を非接触で観測する方法が知られている.プロービングが容易であることから,狭所に敷設された産業機器等のケーブルに生じる信号・雑音の観測に応用が期待できる.しかし非接触電圧センシングは,微小な結合容量を介したハイ・インピーダンス系での観測となるため,回路内部の寄生成分に起因した位相回転等の精度劣化が課題となる.そこで著者らは,位相補償回路を搭載した回路方式を提案し,その有効性を回路解析で示した.本発表では,提案方式のセンサ回路を試作し,ノイズ波形への時間応答や周波数特性を実測評価したので報告する.
電子機器の普及に伴い、不要電磁波によるEMC問題が深刻化している。その対処法として、メタサーフェス電波吸収体を平面センサとした電波(電界)の2次元空間分布計測・可視化システムが開発されていた。本研究では、従来の電波計測・可視化システムにGUIを導入した。これにより、各計測点のスペクトルを観測する際に、カラーマップをクリックすることで可視化できるようになり、ダイアログを用いることで、カラーバーのレンジ変更やカラーマップの補間等の処理がボタンを押すことで可能となった。また、実際に電子機器から発生するノイズを計測し、x偏波とy偏波の2方向の電力の空間分布、並びにスペクトルを可視化した。
電子機器の増加に伴い,不要電磁波ノイズによるEMC(Electromagnetic Compatibility)問題が深刻となっている.この問題の対処にはノイズ源の位置を特定することが有効であり,ノイズ源近傍の磁界分布はノイズ源を特定する上で重要な情報である.従来のノイズ源探査では,遠方界と近傍界の相関を求め,近傍界および遠方界が類似しているかどうかの判別しか行っていなかった.そこで,相関処理に変更を加え,ソフトウェア無線機により取得した3方向の磁界に対して遠方に影響を与える近傍磁界の振幅に比例する値および遠方界との位相差の算出を行うことで,近傍磁界ベクトルの可視化を実現した.
休 憩(15:45 再開) 座長 飴谷充隆(産総研)
B-4-34 |
自律移動体における不要電波とGPS信号の干渉評価
◎上原 啓・渡邊 航・酒井陵多・芦田壮亮・田中 聡・永田 真(神戸大) |
B-4-35 |
長時間に渡る高強度な不要電波の発生頻度解析システムの構築
◎酒井陵多・渡邊 航・田中 聡・永田 真(神戸大) |
B-4-36 |
ノイズ故障の特徴抽出と重み付きユークリッド距離計算によるノイズ源推定手法の提案
○マハムド ファーハン・荒井稔登・野瀬昇一・中村一義・平澤徳仁・西脇 博・本田奈月(NTT東日本) |
B-4-37 |
ローカル5G簡易置局設計に向けた実測と解析の比較
○荒井稔登・野瀬昇一・マハムド ファーハン・中村一義・平澤徳仁・西脇 博・本田奈月(NTT東日本) |
B-4-38 |
5G携帯電話端末の送受信電力測定
○大西輝夫・多氣昌生・渡辺聡一(NICT) |
自律移動体の安全な運用にはGPSによる位置情報の高い精度が必要である。しかし、ドローンのように機体内部で様々な電子機器が稠密に実装される電子機器では、機体内部で発生する不要電波とGPS信号の干渉により位置情報の精度が劣化する恐れがある。本研究では、不要電波によるGPSの位置情報の精度への影響を解析することで、自律移動体における電磁干渉問題の危険性を確認した。産業用ドローンを対象に、実機とシミュレーションにより不要電波とGPS信号の電磁干渉を評価したところ、ドローンから発生する不要電波によってGPS受信モジュールの位置情報の精度が約5 dB劣化しうることを見出した。様々な環境での運用が期待されるドローンにおいて、こうした電磁干渉問題への対策が重要である。
セルラー通信の利用が、スマートフォンなどの携帯端末だけでなくドローンなどの自立移動体にまで拡大している。セルラー通信は低電力であっても動作するため電子機器から発生する不要電波と干渉する恐れがある。干渉による感度劣化を防ぐ効果的な不要電波対策のためには不要電波発生メカニズムの解明が重要となる。本稿では、不要電波の発生メカニズムを解明するための長時間に渡る高強度な不要電波の発生頻度解析システムについて示す。測定した不要電波の発生頻度解析をLTE通信で使用する複数の帯域で行う。これにより、刻々と動作が変化する電子機器による不要電波の発生メカニズムを解明し、セルラー通信との電磁干渉抑制に貢献する。
現場で発生するノイズ故障に対して、周辺情報やノイズの周波数などの全10項目から特徴を二次元波形として抽出し、重み付きユークリッド距離計算によりクラスタリングすることでノイズ源を推定する手法について提案する。
ローカル5Gの無線局開設には免許申請が必要となるため,どこまで電波が届くか実際に出力して確認することが出来ない.そこで筆者らはローカル5G,Sub6(4.6-4.9 GHz)の置局設計において,免許申請不要かつ周波数が近い無線LAN(5 GHz)で代用する手法を検討している.本報告では広さのある室内環境において無線LANの受信強度の測定結果と,無線LANおよびローカル5Gの受信強度の解析結果の比較を行った.
我々は,これまで一般環境における主なばく露源である携帯電話基地局,放送送信所や無線LAN等からの電波ばく露レベルをそれぞれ屋外及び屋内において定点で測定し,結果について報告を行ってきた.一方,携帯電話端末(以降,端末)から放射される電波レベルを把握することも重要である.過去,自動車で移動しながら第3世代もしくは第4世代端末からの送信電力の測定が報告されている.本稿では,2021年度に第5世代端末を用いて送受信電力の測定を行ったので報告する.
B-5. 無線通信システムA(移動通信)
3月7日 9:00〜11:30 5号館 5251教室 座長 山本哲矢(パナソニックホールディングス)
B-5-1 |
FDD Massive MIMO における継続学習と転移学習に基づく CSI フィードバック
◎井上真悠子・大槻知明(慶大) |
B-5-2 |
Adaptive DNN-based CSI Feedback with Quantization for FDD Massive MIMO Systems
○Junjie Gao・Mondher Bouazizi・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.) |
B-5-3 |
LOS/NLOS Classification for Downlink CDL Channel Using Supervised Learning
◎Jingyu Liu・Tomoaki Ohtsuki・Bouazizi Mondher(Keio Univ.) |
B-5-4 |
CKA based Communication Efficient Federated Learning on Non-IID data
◎Zhaojie Li・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.)・Guan Gui(NJUPT Univ.) |
B-5-5 |
GANによるドップラーシフトに堅牢なデータセットの拡張
○田村幸佑(千葉大)・小島 駿(東大)・赫 赫(千葉大)・丸田一輝(東京理科大)・安 昌俊(千葉大) |
DTL (Deep Transfer Learning)に基づくCSIフィードバック法は,ソースデータで学習させたソースモデルを少ないサンプル数でファインチューニングすることで,低い学習コストで異なる無線環境のターゲットモデルを得られる.しかし,このターゲットモデルはソースモデルと比べてソースデータにおける性能が大きく劣化する.この問題に対処するため,本研究では DTL に基づく CSI フィードバック法に継続学習を導入した手法を提案する.
Accessing the accurate downlink channel state information
(CSI) is essential to take full advantage of frequency division
duplex (FDD) massive multiple-input multiple-output
(MIMO) systems due to its weak channel reciprocity. Meanwhile,
great computational burdens will happen, which is
accompanied by continuous CSI feedback. The existing
compressive sensing (CS)-based and deep learning (DL)-
based methods try to solve such problems, but do not
achieve desired effect to get ideal CSI feedback or decrease
the overhead. An adaptive deep neural network (DNN)-
based CSI feedback method is proposed in this research
to address this. A classification block of the compression
ratio is designed to apply to a more complex channel model
named Clustered-Delay-Line (CDL), which helps decrease
the computational overhead of the network. Besides, the
reconstruction accuracy of the CSI feedback is further improved
by proposing a new structure of the encoder.
Our study is inspired by the classification of the LOS/NLOS environment and the better performance of transfer learning-based CSI feedback with an appropriate source channel model. For achieving a better performance of reconstruction of the CSI at the BS, we want to find out an appropriate source channel model.
Federated learning is now widely used to train neural networks under distributed datasets. One of the main challenges of federated learning is to address the training of networks under local data heterogeneity. Existing work proposes to consider similarity as an influencing factor in federated learning. Improving the local model and global model similarity can improve the speed of model aggregation. We propose a new approach that introduces central kernel alignment (CKA) into the loss function to compute the similarity of feature maps in the output layer. Compared with existing methods, our approach enables fast model aggregation and improves the accuracy of global models in non-IID scenarios by using Resnet50.
大容量高速通信には適応的な通信パラメータの制御が有効である.この制御には通信環境の情報が不可欠であり,機械学習を用いた推定手法が提案されている.従来法より高精度な通信環境推定が可能な一方で,その学習には莫大なデータセットが必要であり,大量の無線信号の収集は難しい問題がある.これに対してGAN(敵対的生成ネットワーク)を用いることで疑似的にデータセットを拡張する手法が提案された.この手法は,異なるドップラーシフトへのロバスト性が課題である.そこで本稿では,ドップラーシフトに対するロバスト性を向上させるデータセット拡張法を提案しSNR推定の精度向上を目指す.
休 憩(10:30 再開) 座長 小島 駿(東大)
B-5-6 |
機械学習を用いた劣化補償と適応送信制御によるSVD-MIMO伝送の検討
◎牧野仁宣・中川孝之・居相直彦(NHK) |
B-5-7 |
有相関大規模MIMOにおける深層展開を利用したBiGaBPによる通信路とデータの同時推定に関する一検討
◎槇 鴻一・井家上哲史(明大) |
B-5-8 |
深層展開を用いた適応等化器のステップサイズ最適化におけるモデルミスマッチに関する一検討
○酒井 学・平 明徳・岡崎彰浩・野田雅樹(三菱電機) |
B-5-9 |
周辺基地局ON/OFF情報を活用した分散型DQNに基づく基地局ON/OFF制御法
◎△加藤大喜・原 郁紀(東京理科大)・室城勇人(NTTドコモ)・樋口健一(東京理科大) |
高い伝送性能を持つ伝送方式として,singular value decomposition (SVD)-multiple-input multiple-output (MIMO)と 適応送信制御を組み合わせる検討が行われている.実システムでは,伝送に使用される送信ウェイト行列は量子化等による劣化を受け,それに伴い伝送路品質が劣化すること,劣化を考慮せずに適応送信制御を行うと総合的な伝送性能が劣化することが知られている.そこで,機械学習の一つであるsupport vector regression (SVR)により送信ウェイト行列の劣化を補償することで,伝送路品質を向上させる方式が提案されている.また,伝送路品質の劣化を考慮した適応送信制御により,総合的な伝送性能を向上させる提案もされている[2].本稿では,送信ウェイト行列の劣化をSVRにより補償し,その条件での伝送路品質を考慮した適応送信制御を行う手法を提案する.さらに,計算機シミュレーションにより総合的な伝送性能を評価する.
大規模MIMOアップリンク信号検出において,データと通信路の同時推定を行う手法としてBiGaBP(Bilinear Gaussian Belief Propagation)が提案されている.これはガウス信念伝搬法を同時推定に拡張したものであり,アンテナ数が大規模な環境で高い精度を発揮する.しかし,導出に通信路行列の各要素の独立性を前提とするため,有相関フェージング環境下では検出精度が低下する.そこで本稿では,深層展開の応用として,従来手法では人為的に設計されていたBiGaBPのスケーリングパラメータおよびダンピングパラメータを学習可能パラメータとしたTrainable-BiGaBP を提案する.また,計算機シミュレーションによりビット誤り率特性の観点からその有効性を示す.
既存の適応アルゴリズムに学習可能なパラメータを埋め込み,深層学習を用いて最適化を行う深層展開が,近年注目を集めている.適応アルゴリズムのステップサイズを深層展開により学習することで,収束特性の改善が可能であることが知られており,先行研究では,深層展開によるLMS(Least Mean Square)型適応等化器のステップサイズ最適化手法が提案されている.本稿では,先行研究の手法において,学習時と適用時の伝搬路モデルの不一致が等化性能に与える影響について検討する.検討の結果,モデルが不一致の場合には等化後のビット誤り率(BER)特性が劣化する一方で,適用時のモデルを含む複数のモデルを平均的に用いて学習を行った場合には,特性の劣化を抑制できることを示す.
ユーザ分布に応じた各基地局の送信ON/OFF制御を周辺基地局のON/OFF情報を活用した深層強化学習の1つであるDQN (Deep Q-Network)に基づいて行う方法を検討する.計算機シミュレーションにより,提案法のシステムスループットを従来の確率的送信ON/OFF制御法[1]と比較する.
3月7日 9:00〜11:30 5号館 5274教室 座長 西村寿彦(北大)
B-5-10 |
PAPR増大を抑圧するFSK用時空間ブロック符号化方式
○山口歌奈子・中島昭範・野田雅樹(三菱電機) |
B-5-11 |
チャネルのヌル空間を活用したMIMO-OFDM信号PAPR抑圧法における適応最小電力しきい値制御の一検討
◎△斉藤 純・原 郁紀(東京理科大)・須山 聡(NTTドコモ)・樋口健一(東京理科大) |
B-5-12 |
周波数選択性チャネルのヌル空間を活用したAF型リレーMIMO-OFDM信号のPAPR抑圧法
◎△梯 明日翔・原 郁紀(東京理科大)・須山 聡(NTTドコモ)・樋口健一(東京理科大) |
B-5-13 |
上りリンク固有モードMassive MIMO伝送における空間チャネル間の固有値差を活用したPAPR抑圧法の一検討
◎阿部倉優太・原 郁紀(東京理科大)・須山 聡(NTTドコモ)・樋口健一(東京理科大) |
B-5-14 |
Circular QAM信号空間配置のターボ符号化率に対するCMを考慮した場合のブロック誤り率特性
◎川﨑 洸・森 千尋・佐和橋 衛(東京都市大)・須山 聡(NTTドコモ) |
包絡線変動量が小さく優れた電力効率を特長とするFSK(Frequency Shift Keying)信号に対し,更なる信頼性向上のため送信ダイバーシチとしてSTBC(Space-Time Block Code)方式を適用した場合,STBC符号に含まれる負符号の影響により周期的に振幅値0への落込みが生じ,PAPR(Peak-to-Average Power Ratio)増大による送信電力効率低下を招く.これに対しFSKシンボル毎に位相回転処理を付加する位相回転送信ダイバーシチ方式の適用によりPAPR増大を抑圧可能であるものの完全な抑圧はできず,1ブランチ時のFSK信号と比較してPAPRが大きいという課題があった.そこで,FSKキャリアに応じて選択されたSTBC符号則を用いてFSKシンボル内でSTBC符号化することによりPAPR増大を抑圧するFSK用STBC方式を提案する.
MIMO-OFDM伝送におけるチャネルのヌル空間を用いたピークキャンセル(PC)信号に基づくピーク対平均電力比(PAPR)抑圧法(以降PCCNCと呼ぶ) [1]について,最小電力しきい値を適応制御する新しいPC信号生成法を提案する.
本稿では,受信信号を復調・復号することなくそのまま増幅転送する下りリンクAF型MIMO-OFDMリレー伝送において,周波数選択性チャネルのヌル空間を活用して,基地局(BS)及びリレー局(RS)送信端のPAPRを抑圧する方法を提案する.
上りリンク固有モードMassive MIMO-OFDM伝送において,ピーク対平均電力比(PAPR)抑圧信号成分を固有値の小さな空間チャネルに集中させるPAPR抑圧法を提案する.
本稿では,各リングに同数の信号点を有するCircular 16/64QAM信号空間配置において,ターボ符号の符号化率に対するキュービックメトリック(CM)を考慮したときのブロック誤り率(BLER: Block Error Rate)を計算機シミュレーションにより評価する.
休 憩(10:30 再開) 座長 中村 理(シャープ)
B-5-15 |
小セル無線システムにおける端末主導ハンドオーバー
◎西村俊和(立命館大) |
B-5-16 |
HetNetにおけるピコセルのセクター化と3D-BFの効果
◎島田浩平(工学院大)・須山 聡(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-17 |
HetNetにおけるピコセル個別CREの提案とその効果
◎依田拳太郎(工学院大)・須山 聡(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-18 |
5G基地局共用におけるクラスタ分割制御による演算量削減
○小林崇春・大山哲平・瀬山崇志・伊達木 隆(富士通) |
セルラー移動網のような無線システムにおいて、これまでの地上網主導ハンドオーバーに代えて、移動端末が最寄りの基地局に同期手順を行って無線区間の復旧を行う端末主導ハンドオーバーを提案する。ハンドオーバー失敗の移動端末の無線区間の回復を、在圏基地局の周りの基地局で多層にわたる回復支援策を予め準備しておくことにより,これまで在圏基地局と移動先基地局のセル共通領域限定だったハンドオーバーが、移動端末の通信状況に応じてより自由に行えることになり,高速移動体への対応が容易になるものと思われる。
5G NR NRAは4Gのマクロセルと5Gのピコセルから成るヘテロジーニアスネットワーク(HetNet)構成である.特に5Gピコセルに信号減衰が大きいミリ波帯を用いる場合,効率よくピコセルエリアを構築する手法が重要である.筆者らは,ピコセルをセクター化しかつそれぞれのセクターピコセルに3Dビームフォーミング(3D-BF)を適用する方法を提案し評価を進めてきた.本稿では,3セクターに加えて6セクター構成の28GHz帯ピコセルの提案を行い,3D-BF適用時のユーザスループット特性を明らかにした.セクターあたり36ビームの3D-BFを適用した場合,3セクター構成に比べて6セクター構成は平均ユーザスループットを1.6倍改善できることを明らかにした.
ヘテロジーニアスネットワーク(HetNet)では,ピコセルの無線リソースを有効活用するセル拡張(CRE)技術が重要である.筆者らは,各端末(UE)の受信特性,あるいはUEのピコ基地局への接続比率を基準としたパーソナルピコセルを指向するCRE技術を提案し,評価を進めてきた.
本稿では,マクロセクター内のそれぞれのピコ基地局へのUE接続比率をもとに近傍UEのCSOを個別に設定する手法を提案し,そのユーザスループット特性を明らかにする.
システムレベルシミュレーションを用いて,下り回線の平均及び下位5%ユーザスループットを評価した.
結果として,提案手法は平均ユーザスループットを維持しつつ,下位5%ユーザスループットを改善できることを示した.
都市部の駅のプラットフォームやショッピングモール,地下街など環境が複雑で高トラフィックが想定されるエリアにおいては高密度な基地局(RU: Radio Unit)設置が必要となる.筆者らは効率的なRU設置展開に向けて,複数のMNO(Mobile Network Operator)の広帯域な信号を扱うことができる共用RU(SRU: Shared RU)を制御するRIC(RAN Intelligent Controller)の開発を行っている.これまで,FH(Front Haul)流量制約を考慮した無線リソース制御方式を提案し,屋内モデルを仮定した評価を実施してきた.しかし,面的にRUが設置される屋外への適用を考えた場合,制御対象となるSRU数が増加し,最適化に必要な演算量の増加が課題になる.本稿では,制御する領域を地理的に分割することで低演算量化を行う方式の検討を実施した.
3月7日 13:00〜17:00 5号館 5251教室 座長 酒井 学(三菱電機)
B-5-19 |
非線形増幅器が 1bit-ADC の入出力解析に与える影響の評価
◎磯崎 新・山里敬也(名大)・齋藤将人(琉球大)・羽多野裕之(三重大) |
B-5-20 |
雑音と1bit ADCを用いた16QAM/OFDM信号受信実験
○大田黒拓斗・齋藤将人(琉球大)・山里敬也(名大) |
B-5-21 |
準ミリ波帯アレイアンテナ送信機向けマルチビームDPD方式の実証実験
◎玉野井 健・大田智也・ロズキン A.N.(モバイルテクノ)・石川広吉・西川卓朗(富士通) |
B-5-22 |
Predistorter for Fully Connected Hybrid Antenna Arrays with Non-Contiguous Intra-band Carriers
◎Alexander Lozhkin・Tomoya Ota・Ken Tamanoi(Mobile Techno)・Hiroyoshi Ishikawa・Takurou Nishikawa(Fujitsu) |
B-5-23 |
空間方向とチャネル方向のSE blockを組み合わせた畳み込みニューラルネットワークによるDigital Predistortion
○渡辺大詩・大関武雄・天野良晃(KDDI総合研究所) |
1 ビットアナログ・ディジタル変換器 (1bit-ADC) はADCのうち消費電力が最小でありMIMO基地局における消費電力を低減することが期待されている。一方で量子化誤差が大きく,入出力間の非線形性が大きいという問題がある。非線形システムの解析手法としてBussgang分解が知られている。これは出力を入力に対して線形近似する。一方で2020年には出力を入力に対する線形項と高次の項に分解する手法が提案された。本研究ではこれら2つの1bit-ADCの入出力解析手法において非線形増幅器が与える影響について評価する。結果としてBussgang分解は非線形増幅器の影響をより受けやすいことが判明した。
受信機において,量子化ビット数が1ビットであるアナログ・ディジタル変換器(1bit ADC)を用いることにより,受信機の消費電力を低減可能であるが,入力信号の振幅を区別できないという問題がある.本研究では,雑音と1bit ADCを用いてIEEE 802.11a規格に準拠する16QAM/OFDM信号の受信実験を行った.適度な雑音を印加することにより,125バイトの伝送でエラーフリーを達成した.
トラフィックの増加に比例して増えるRU(Radio Unit)の消費電力を低減する技術として、サブアレイ構成で実装する複数アンプを一括ひずみ補償するアレイDPD(Digital PreDistortion)を検討している。今回、共用RUに適用する技術としてマルチビーム送信に対応できるアレイDPD方式について実証実験を行ったので報告する。
Fully connected hybrid antenna arrays are attractive, low-complexity alternatives to the fully digital array architecture. With these facts in mind, the band-oriented digital predistorter for FC-HA has been investigated with non-contiguous intra-band carrier aggregation. In this study, the effectiveness of the proposed band-oriented DPD is demonstrated using computer simulations with the PA model data extracted from the actual amplifiers operating at the FR2 28 GHz band.
移動通信システムの広帯域化に伴って電力増幅器 (PA)の非線形歪みが課題となり,PA の非線形特性をモデリ
ングして逆特性を事前に補償する Digital Predistortion(DPD) の研究が進められている.近年では,より正確
にモデリングするためにニューラルネットワークなどの深層学習技術の応用が提案されている.筆者らは畳み込みニューラルネットワークを用いた RVTDCNN(real-valued time-delay convolutional neural network) に SE(Squeeze-and-Excitation) block を組み合わせた手法を提案し,比較的少ない計算量で高精度にモデリングができることを示した.本稿では,提案していた空間方向のSE block だけではなく,チャネル方向のSE blockを組み合わせた手法を提案し,DPD を行った際の歪み補償性能と計算量を示す.
休 憩(14:30 再開) 座長 岩渕匡史(NTT)
B-5-24 |
機械学習を用いたIntelligent Reflecting Surfaceの通信事業者間共用手法
◎橋田紘明・川本雄一・加藤 寧(東北大) |
B-5-25 |
量子コンピューティングによりリソース割当最適化を行う自律型IRS利用無線システムにおける位相シフト切替スケジュールの改善方法
○大山貴博(パナソニックシステムネットワークス開発研)・川本雄一・加藤 寧(東北大) |
B-5-26 |
Reconfigurable Intelligent Surfaceのマルチユーザ環境における離散位相制御に関する一検討
◎濱 優人(横浜国大)・来山大祐・高橋宏行(NTT)・落合秀樹(横浜国大) |
B-5-27 |
RIS空間変調システムにおける電力効率と空間変調特性のトレードオフの評価
◎前崎一星・虫明春哉・侯 亜飛・田野 哲(岡山大) |
Intelligent Reflecting Surface (IRS) は電波伝搬を制御するデバイスとして注目を集めている.IRSは電力の増幅を行わない受動的反射面であることから,十分な利得を確保するためには大きな開口面を必要とする.そのため,通信事業者ごとに自社専用の通信設備を設置する場合は,設置場所が通信事業者間で競合する可能性がある.そこで本研究グループでは,複数の通信事業者間でIRSを共用する方法について検討を行っている.本稿では,機械学習により各通信事業者の伝搬特性を学習した結果を用い,全通信事業者を1つの系とみなしたときの合計の通信容量を最大化するIRSの反射係数を設計する手法を提案する.
筆者らは,IRS(Intelligent Reflecting Surface)の各反射素子に対するチャネル推定処理のオーバーヘッド,および複数通信事業者によるIRSの共用という2つの課題を解決する,自律型IRS(Standalone-IRS:SA-IRS)を用いた無線通信システムを提案している.SA-IRSは,GNSS等に同期して位相シフトを周期的に切り替えることで広いエリアをカバーする.また,各事業者がSA-IRSの位相シフト切替に合わせて無線リソースを割り当てることで,SA-IRSを共用した通信を実現する.本稿では,無駄な位相シフトをSA-IRSが自律的に検出し,切替スケジュールを改善する方法を提案する.
次世代移動体通信システムに向けて,ミリ波やテラヘルツ波を用いた広帯域伝送の検討が進められており,Recofigurable Intelligent Surface (RIS) を活用した伝搬路制御技術が注目されている.一方でハードウェアの制約を考慮すると,シンボルごとに RIS における各素子の位相を各ユーザに対して最適制御するのは容易ではない.そこで本稿では,各素子における位相が離散値に制約される RIS デバ イスを想定し,複数ユーザに対して同時にビームを形成するような離散位相制御手法について検討を行い,計算機シミュレーションによりその有効性を評価する.
RIS反射板が適切に電波の反射方向を制御することで,移動する受信機での受信電力を広範囲に改善できる.また,RISの反射素子(セル)が電波の反射と角度を調整し,異なる伝搬路を形成することで,空間変調方式が可能である.しかし,特性が良い異なる伝搬路の形成に伴って,受信信号電力が低下してしまう課題が残っている.本研究では,良い空間変調特性と受信信号電力の両立を目的として,RISのセルの割当方案を検討する.
休 憩(16:00 再開) 座長 大塚裕幸(工学院大)
B-5-28 |
レイトレースを用いたRIS伝搬推定と実験結果の比較
○大宮 陸・米田拓海・岩渕匡史・小川智明・鷹取泰司(NTT) |
B-5-29 |
透過型メタサーフェスによる屋外カバレッジ測定実験
◎後藤健太・山田貴之・須山 聡(NTTドコモ)・新井圭祐・松本章代・加賀谷 修(AGC) |
B-5-30 |
位置情報を活用した中継ビーム探索削減手法の一検討
◎米田拓海・大宮 陸・岩渕匡史・小川智明・鷹取泰司(NTT) |
B-5-31 |
RIS技術を活用したミリ波ビームフォーミング送信機の一検討
○渡邉真吾・若藤健司・小野真和(NEC) |
B5Gや6Gにおいては高周波数帯の利活用が期待されているが,高周波数帯の電波は高い直進性を持つためカバレッジホールが生まれやすい.著者らはRIS (Reconfigurable Intelligent Surface)と呼ばれる,電波の反射特性を任意に変化させることができるデバイスを組合せて用いることで,環境変動に追従してカバレッジホールを補間する技術コンセプトを提案してきた.またRISによる反射特性をシミュレーションに反映させるために,電磁界解析結果をレイトレースに反映させる検討を行っているが,実環境との比較はなされていなかった.本稿ではRISを用いた電波伝搬実験を行い,シミュレーション結果と比較した結果,RISによる制御方向のピーク付近の電力がよく一致したことがわかった.
近年,5G Evolution & 6Gに向けてNew Radio Network Topology (NRNT) が検討されており[1],その要素技術としてメタサーフェス技術が注目されている.我々は,ミリ波帯に代表される高周波数帯のさらなる活用のため,メタサーフェス技術を活用したエリア改善効果について実験を行い,屋外基地局から放射された電波をメタサーフェスレンズにより屋内に吹き入れることで,屋内のエリア構築の検証を行った[2].一方,屋外のエリア構築においても,基地局アンテナを建物屋上に設置する場合には建物直下をエリア化しにくいという問題がある.本稿では,その解決法として,屋内基地局からの電波を窓ガラスに貼り付けた透過型メタサーフェス(TMS)により屋外の建物下方向に誘導する手法を提案する.その有効性を確認するため,28 GHz帯伝送実験を実施したので,その結果について紹介する.
筆者らは高周波数帯を活用するため,アナログ中継技術による伝搬路制御技術を提案している.しかし,アナログ中継においてビームフォーミングを行う場合,基地局と端末に加えて中継のビーム探索が必要となり,ビーム探索にかかるオーバーヘッドが増加する.位置情報を用いるオーバーヘッド削減手法が提案されているが,位置情報の誤差やアンテナ設置角による誤差が課題になる.そこで本稿では,端末の把握に位置情報を活用した中継ビーム制御において,上記誤差の影響を抑制するビーム探索手法を提案する.
第5世代以降のモバイルネットワークにおいて,28~60GHz帯などのミリ波以上の活用が期待されており,sub-6等に比べてサービスエリア等の改善にむけた研究が進められている.本研究では,高出力かつ高効率な進行波管増幅器(TWTA)と,運用中も動的制御可能なインテリジェントサーフェス(RIS)を組み合わせることで,高出力・高効率かつビームフォーミングを実現する送信機を提案する.ビームフォーミングの指向性を静的評価し,本手法による送信機実現の可能性があることを示した.
3月7日 13:00〜17:00 5号館 5274教室 座長 谷口健太郎(東芝)
B-5-32 |
チャープ信号を用いたDS-SS方式のインタリーブ法
○大橋章範・中島昭範・野田雅樹(三菱電機) |
B-5-33 |
チャープスペクトル拡散方式を用いた920MHz帯試作機評価
○中村亮介・天野匡平・山口歌奈子・福間 恵・中島昭範・野田雅樹(三菱電機) |
B-5-34 |
M-aryチャープスペクトル拡散信号に対する二重巡回冗長検査符号のエラー検出を用いた消失復調特性
○安東永玖・眞田幸俊(慶大) |
B-5-35 |
周波数ホッピング方式の伝送路推定値の結合による到来方向推定の精度評価
◎蒲原健一郎・大橋章範・天野匡平・中島昭範・野田雅樹(三菱電機) |
B-5-36 |
OFDM分散パイロットにおけるHTRCI及び繰り返しIDFT/DFTによるCSI補間
○丸田一輝・高橋 蓮(東京理科大)・井田悠太(山口大) |
近年,IoTやM2Mの分野では低消費電力かつ長距離無線通信を実現するLPWAが注目されている。LPWAは耐干渉性や耐妨害性,通信の秘匿性から,チャープ信号を拡散符号に用いる直接スペクトル拡散(DS-SS)方式が有効である。DS-SS方式では拡散系列長を長くすることでユーザ多重に使用な拡散系列の種類を多くすることできるとともに秘匿性が向上する。拡散系列長を長くしたまま複数の通信速度に対応するためには複数シンボルを一括してスペクトル拡散する方法がある。本稿では複数シンボルをまとめてチャープ信号によるスペクトル拡散をする際の複数シンボルにおけるチップ単位インタリーブ法について提案する。
M2M通信のための長距離高信頼無線通信システムとして著者らは,周波数変調とチャープスペクトル拡散を組み合わせた伝送方式を検討している。今回,本方式をLPWAに用いられる920MHz帯向けに対応したFPGA評価ボードに実装した.本稿では,FPGA実装基板を用いた試作機の性能実施した結果を報告する.
本研究ではM-aryチャープスペクトル拡散信号に対する二重巡回冗長検査符号によるエラー検出を用いた消失復調の特性を示す.
屋内環境における位置測位精度は一般にマルチパスの影響により劣化する。これに対して複数バンドの伝送路推定値を結合し、周波数応答を広帯域化することで測位精度を向上することが検討されている。本稿ではBluetooth Low Energyの周波数ホッピングにより得られる伝送路推定結果を結合する場合の、先行波の到来方向(AoA)推定精度をシミュレーション評価する。本評価では2波モデルを用いた場合の伝送路結合の有無によるAoA推定誤差の基本特性を示す。
OFDM伝送では,チャネル推定のために用いるパイロットシンボルを異なるサブキャリア上に分散配置することにより,複数の異なる端末/アンテナに対するチャネル状態情報(CSI)を効率的に推定できる.これまでに,IDFT-0置換-DFTの過程においてパイロットサブキャリアCSIを繰り返し置換することによるヌルサブキャリアCSIの高精度な補間手法を提案した.本稿では,更なる性能改善として,初回補間時に出現するインパルス応答のエイリアスを合成するHTRCIを適用する.
休 憩(14:30 再開) 座長 安 昌俊(千葉大)
B-5-37 |
誤り訂正復号時の事後LLRに基づく復調方式選択法
○西本 浩・上橋俊介・富塚浩志・栗田 明・佐野裕康・岡崎彰浩(三菱電機) |
B-5-38 |
SIMOとMIMOが混在する場合の基地局連携MU-MIMO干渉キャンセラによる上り回線通信容量改善の検討
◎前田稜平・藤井輝也(東工大) |
B-5-39 |
三次元空間HetNetセル構成におけるネットワーク連携上り回線対応マクロセル及びスモールセル基地局間干渉キャンセラー
◎金田拓也・藤井隆史(ソフトバンク)・藤井輝也(東工大) |
B-5-40 |
実環境を想定したミリ波 Cell-Free massive MIMO のアクセスポイントのビームチルトに関する一検討
◎神渡俊介・菅野一生・林 高弘・天野良晃(KDDI総合研究所) |
B-5-41 |
Theoretical Analysis of Tree Topology based fronthaul for Cell Free Massive MIMO
◎Chanho Kim・Yoshiaki Amano(KDDI Research) |
1周波数繰り返しシステムのセル境界エリアにおける最適な復調方式を選択する方法として,誤り訂正復号器における事後LLRに基づき無線フレームごとに復調方式を都度選択する手法を提案し,計算機シミュレーションにより有効性を検証する.
5G等の移動通信システムでは、セル内のどこでも超高速データ伝送が期待されている。すべてのセルで同一周波数を繰り返し再利用するセルラシステムでは、特にセル境界付近において隣接セル干渉により通信品質が劣化する。筆者らはセル境界付近における上り回線の干渉抑圧技術として、隣接する基地局が連携して仮想的なセルを構成し、隣接セル干渉を抑圧する仮想化セル上り回線MU-MIMOキャンセラを提案し、通信品質を大幅に改善できることを示した。一般に、上り回線の受信方式として、1×2 SIMOと2×2 MIMOが適用される。本稿では、上り回線でSIMOとMIMOが混在する場合に適用する仮想化セルMU-MIMOキャンセラを提案し、その適用効果を明らかにする。
マクロセル内部に同一周波数を用いた複数のスモールセルを三次元空間に設置して構成する三次元空間HetNet構成(以下、HetNetセル)は周波数利用効率を向上させる技術として期待されている。筆者らは上り回線を対象として、HetNet構成内のマクロセルとスモールセルが協調制御ネットワークを介してマクロセルとスモールセル間及びスモールセル間の干渉を同時に除去する 干渉キャンセラーを提案した。セルラー構成では、HetNetセルの周囲には異なるHetNetセルがあり、他HetNetセル端末からの干渉により通信品質が低下する。本稿では、HetNetセル内のスモールセル端末からの干渉を抑圧する第一段階干渉抑圧に加え、他のHetNetセル内のマクロセル端末からの干渉を抑圧する第二段階干渉抑圧を同時に実施する“上り回線二段階干渉キャンセラー”を提案し、通信品質を評価する。
Beyond 5G に向けた要素技術として Cell-Free massive MIMO(CF mMIMO)が注目されている.本稿では, ミリ波帯においてCF mMIMOを実際に展開するシナリオを想定し, アクセスポイント(AP)にビームチルトを適用した場合の評価結果を報告する.具体的には,都市および郊外での屋外展開を想定し, 地形・構造物データを考慮したレイトレース法により分散配置するAP・ユーザ端末間の伝搬路情報を取得し,集約局(CPU)におけるハイブリッドBFによる信号処理性能を加味したシミュレーションを行う, シミュレーション評価によりAPのビームチルトに対する伝搬環境ごとの周波数利用効率特性を明らかにした結果を報告する.
Cell Free Massive MIMO (CF-mMIMO) network which is core of the 6G communication system, requires lots of Access Point (AP) per one CPU (Central Process Unit). Topology research by optical fiber fronthaul network arrangement is an important issue for implementation of CF-mMIMO network. Because the one of most significant factors of the fiber-cost model is related to the fronthaul topology. Previous research is not considered about the fronthaul topology path-length of CF-mMIMO[1]. In this research we focused on fronthaul topology network model and compare with topology Fronthaul design model for more efficient fronthaul.
休 憩(16:00 再開) 座長 瀬山崇志(富士通)
B-5-42 |
大規模Cell Free massive MIMOに向けたサイト間干渉を考慮した高速なAP選択アルゴリズムの検討
○伊神皓生・相原直紀・塚本 優・村上隆秀・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-43 |
CF-mMIMO環境におけるユーザ移動を考慮したAP選択手法
◎相原直紀・伊神皓生・塚本 優・村上隆秀・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-44 |
ユーザセントリックRANでの移動するスマートフォンを用いた通信品質評価実験
○塚本 優・相原直紀・伊神皓生・村上隆秀・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-45 |
下りリンクセルフリーMIMOにおける平均パス利得に基づく低演算量型ユーザ毎送信局群選択法の一検討
◎加藤拓輝・原 郁紀(東京理科大)・須山 聡(NTTドコモ)・樋口健一(東京理科大) |
筆者らは,Beyond 5Gに向け, Cell-Free massive MIMO (CF-mMIMO) を用い,user equipment(UE)が存在するありとあらゆる場所で必要なユーザスループットを確保できるuser-centric radio access network(UC-RAN)を検討している.CF-mMIMOの大規模展開を考え,UEとの送受信を行うaccess point(AP)をユーザ毎に選択するAP clus-tringが提案されている[1]. また,無線信号処理を行うcentral processing unit(CPU)を異なるサイトに分散配置することで,伝送路・計算機負荷を低減する手法が提案されている[2].ユーザのモビリティを考えると,この分散CPU配置を前提に,ユーザ毎の無線環境の変化に応じてAP選択を切り替えるアルゴリズムが必要である.本稿では,UE数が多い大規模環境でも,モビリティに応じて均質な無線エリアを確保できる軽量なAP選択アルゴリズムを提案する.
2030年頃の6Gの実現に向けて,筆者らは,Cell-Free massive Multiple Input and Multiple Output (CF-mMIMO)を用いて, User Equipment (UE)が存在するありとあらゆる場所で必要な無線品質を確保し続けるユーザセントリックRANを研究している.CF-mMIMOでは,信号処理の計算量を削減しながら無線品質を維持するために,信号の送受信を行うAccess Point (AP)をユーザ毎に選択するAPクラスタ化が検討されている.UEの移動による無線品質の変動を小さくするためには,AP クラスタに属するAPの選択を継続して行う必要がある. 本稿では,UEの移動による無線品質の劣化を軽減するAP選択手法を提案する.
筆者らは,2030年頃の6Gでの実用化に向けて,Cell Free massive Multiple Input and Multiple Output (CF-mMIMO) [1]を用いて,エリア全体の様々な場所でUser Equipment(UE)が必要な通信品質を確保できるUser-Centric Radio Access Network(UC-RAN)を検討している.これまで,UC-RAN実証システムを開発し, 2UEでの定点における通信品質の測定を行った [2].本稿では,2台のスマートフォン端末が面的に移動する環境で通信品質を測定した結果を報告する.
セルフリーMIMOにおいて,ユーザ端末(UE)毎の使用送受信局(TRP)群選択は得られるスループットに大きな影響を与える.文献[1]のパスロス基準法のようなUEとTRP間の平均パス利得のみに基づくTRP群選択法は低演算量であるが,文献[2]の瞬時フェージングチャネル情報(CSI)に基づいてビームフォーミング(BF)時の信号対与干渉比(SLNR)基準でTRP群を選択する方法に比較して,得られるスループットが低い課題があった.そこで,平均パス利得のみに基づきつつ,BF時の伝送品質をより考慮できる低演算量のTRP群選択法を提案する.
3月8日 13:00〜16:45 5号館 5251教室 座長 堅岡良知(KDDI総合研究所)
B-5-46 |
受信専用局を用いた構成による上り通信品質向上と送信電力削減の一評価
○村山大輔・中平俊朗・高谷 聡・守山貴庸・鷹取泰司(NTT) |
B-5-47 |
大規模分散アンテナネットワークシステムにおける量子コンピューティングを活用したユーザクラスタリング手法についての一検討
○花篭慶史・高橋 領・大山貴博(パナソニックシステムネットワークス開発研)・安達文幸(東北大) |
B-5-48 |
災害時における分散アンテナの送信電力制御に関する検討
○山田博仁・唐 琼顔(東北大) |
B-5-49 |
高周波数帯分散アンテナシステムにおける分散アンテナ同時ビームサーチの提案
◎和井秀樹・新井拓人・岩國辰彦・内田大誠・北 直樹(NTT) |
B-5-50 |
上りリンクミリ波分散MIMOにおけるアクセスポイント間協調スケジューリングの特性評価
◎白瀬大地・村岡一志・式田 潤(NEC) |
工場や物流センタ、建築現場などのDX化が加速している。収集したセンサデータや映像データをアップロードする機会が増え、高周波数帯活用による上りリンクの高速大容量化が必要性を増す一方で、電波遮蔽などによる通信品質劣化や端末側の電力消費量の増大が課題となっている。本稿では、基地局側に上り受信専用局を多数設置することで、上り通信品質を向上しつつ、端末の送信電力を抑える構成をシミュレーション評価したので報告する。
多数のアンテナが基地局エリア(セル)内に分散配置された分散アンテナネットワークにおいて,セル内に存在するユーザをクラスタリングアルゴリズムにより複数のユーザクラスタに分割し,各ユーザクラスタで並列にMU-MIMOを行う分散MU-MIMOは周波数利用効率や演算量の観点から有効である.しかし,システムが大規模になると既存のクラスタリングアルゴリズムでは演算量がその分増大するため,構築可能なシステム規模には限界がある.そこで,本項では分散アンテナネットワークにおける大規模クラスタリングに対して,組合せ最適化を高速に求解する方法として注目されている量子と古典コンピューティングを組合せたクラスタリング手法を提案し,その有効性をリンク容量・公平性の計算機シミュレーションにより示す.
次世代移動通信システムにおいては、災害時などでも必要最小限の通信を確保できるレジリエンス性が求められる。今回我々は、災害時など限られた電力しか使えない状況下において、分散アンテナの送信電力を抑制することによって、電力消費を抑えつつも通信スループットの低下を最小限に留め、より長時間分散アンテナシステムを稼働させる方法について検討したので報告する。
近年,無線通信の超大容量化の実現手法として高周波数帯分散アンテナシステムが注目されている.本システムでは各分散アンテナ(DA: Distributed Antenna)でそれぞれビームサーチする必要があるため,DA数に比例してビームサーチのオーバヘッドが増加する課題がある.そこで,本稿では同じ時間・周波数リソースを用いて各DAで同時にビームサーチさせることで,DA数に比例してオーバヘッドを増加させることなく最良ビームを選択可能な手法を提案し,その有効性を評価した結果を報告する.
Beyond 5Gにおけるミリ波普及のためのキー技術として,BBU (Baseband Unit) へ接続された複数のアクセスポイント (AP:Access Point) を分散配置し,複数のユーザ端末と通信する分散MIMO (Multi-Input Multi-Output) が注目されている.一方で,APを高密度化したことによる干渉問題への対処が必要であり,筆者らはこれまで下りリンクにおける,参照信号の受信電力 (RSRP: Reference Signal Received Power) に基づくAP間協調スケジューリングを検討してきた.本稿では,APでのアナログビームフォーミングを用いた上りリンクミリ波分散MIMOにおける,RSRPに基づく協調スケジューリングの有効性を明らかにする.
休 憩(14:30 再開) 座長 川本雄一(東北大)
B-5-51 |
地上システムとの周波数共存のためのHAPSセル設計
○柴田洋平・高畠 航・星野兼次・長手厚史(ソフトバンク)・大槻知明(慶大) |
B-5-52 |
ドローンWiFi中継による通信キャリア非依存の遭難者位置特定システム
○張 亮・前迫敬介・田島祐輔・米田 進(ソフトバンク)・藤井輝也(東工大) |
B-5-53 |
有線給電ドローン無線中継システムを用いた遭難者位置特定システム
◎前迫敬介・松浦一樹・田島裕輔・張 亮・太田喜元・江田紀一・米田 進(ソフトバンク)・藤井輝也(東工大) |
B-5-54 |
HAPS 移動通信システムにおけるニューラルネットワークを用いた動的エリア最適化に関する一検討
◎高畠 航・柴田洋平・星野兼次・長手厚史(ソフトバンク) |
B-5-55 |
HAPS-地上間干渉を低減するヌルスイーピング方式の基礎検討
◎石川 力・田代晃司・星野兼次・長手厚史(ソフトバンク) |
高度20kmの成層圏から地上の携帯端末に移動通信サービスを直接提供するHAPSモバイル通信が期待されている。HAPSでは短時間で必要な場所にエリア形成できることから災害時にも有効である。地上システムと同一の周波数をHAPSで用いる場合、地上システムに接続されていた端末はそのままHAPSに接続できるが、HAPSと地上システム間の相互干渉が問題になる。そのため、既存の地上システムとHAPSの間で互いに干渉の影響を与えないようにする必要がある。しかし、周波数共存シナリオにおけるHAPSのセル設計の検討は十分でないため、様々な状態に対応可能な手法が必要である。また、より柔軟な制御のためにはビーム方向だけでなく、ビーム幅も含めて制御することが望ましい。本稿では、HAPS-地上間の周波数共存を考慮したHAPSのセル設計法を提案する。提案法では遺伝的アルゴリズム(GA)を用い各セルのビーム幅とビーム方向を制御する。また、地上ネットワークへのHAPS干渉からの保護を実現するために、あらかじめ地上への干渉制約を満たしやすいGAの初期値設定についても提案する。
遭難者の人命救助では一刻も早く遭難者の位置を特定することが重要である.そこで,GPS受信機が搭載されている携帯・スマホを利用した遭難者位置特定支援システムを提案した.しかし,遭難場所が圏外エリアであれば,GPS情報を転送できない.そこで,ドローンに携帯無線中継システムを搭載して遭難場所に基地局の電波を無線中継し,携帯•スマホとの通信を確保する「遭難者の位置特定システム」を開発した.本システムはソフトバンク(SB)の無線周波数を使用することを基本とするため,SB以外の通信キャリアの無線周波数を中継できない.そこで,携帯信号をWiFi信号に変換するWiFi中継システムをドローンに搭載し,通信キャリア非依存の遭難者位置特定支援システムを提案する.本稿では,提案するドローンWiFi中継システムについて説明する.
台風や地震に伴い発生しうる土砂災害において遭難者の迅速な救助が求められている.土砂による無線電波の伝搬損失は大きく,土砂に埋もれた端末はGPS信号を受信することができない.この課題を解決するため,“ドローンの位置情報と端末の受信電波強度情報を活用した土砂災害における遭難者の位置推定システム”を提案した.本稿では,長時間の運用を実現するために地上から有線で電力供給する有線給電ドローン無線中継システムを用いた遭難者位置特定支援システムを提案する.また,提案システムによる実証実験結果を説明する.
高度 20km の成層圏から地上の携帯端末に直接通信サービスを提供するHAPS (High-Altitude Platform Station)移動通信システムは大規模災害等を用途とした新たな通信プラットホームとして注目されている[1]。筆者等はHAPS のサービスエリアを複数のセルで構成する場合において、ユーザ分布の変化に応じて通信キャパシティ等を最大化するようにセル構成(各セルに対応するビーム方向やビーム幅)を遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて最適化する動的エリア最適化技術をこれまで検討してきた[2]。GA はユーザ分布が変わる度に最適値の探索に常に一定の計算コストがかかるため、大規模災害やイベント等の急なユーザ分布の変化に即座に対応できないことが課題である。本稿では、GA の最適化結果を教師データとして事前に学習しておくことで、未知の分布に即座に対応可能なニューラルネットワークを用いた動的エリア最適化方式を提案する。
6Gにおけるカバレッジ拡張を実現する技術として,成層圏プラットフォーム(HAPS)が注目されている.地上基地局(BS)との周波数共用を想定して,HAPSから地上BSにヌルを形成することで地上セルへの干渉を低減する方式が提案されているが,地上BSからの距離とともに増加する残留干渉により,地上セル内の通信品質が劣化する点が課題である.本稿では,ヌルの方向を時間・周波数ごとに変化させることで残留干渉を低減するヌルスイーピング方式を提案する.計算機シミュレーションにより地上セルユーザのSINRを評価し,提案方式では残留干渉による劣化を大幅に抑圧できることを示す.
休 憩(16:00 再開) 座長 中川孝之(NHK)
B-5-56 |
衛星通信システム対応5G基地局与干渉キャンセラーにおける干渉信号推定誤差の補正
○藤井隆史(ソフトバンク)・藤井輝也(東工大) |
B-5-57 |
MRC受信を適用した基地局ビームフォーミングを用いた地上セルと上空セルの周波数共用の検討
○須藤渉一(ソフトバンク)・藤井輝也(東工大) |
B-5-58 |
衛星搭載AISにおける衝突パケット数3以上のための低演算量信号検出
○野﨑航平・張 裕淵・府川和彦(東工大) |
5Gシステムに割り当てられた周波数は現行Cバンドの周波数を用いた衛星通信システムの下り回線と同一周波数を利用しており,5Gシステムが与える衛星通信システムへの同一周波数干渉が課題となっている. 上記干渉問題を解決するため,筆者らは,”衛星通信システム対応5G基地局与干渉キャンセラー”を提案している[1]. 本稿では,提案キャンセラーの干渉低減性能向上のため,干渉信号推定誤差の補正法を検討し,シミュレーションでその有効性を評価する.
携帯通信システムを上空でも利用可能にするため、基地局アンテナのビームフォーミング技術を用い、地上セルと上空セルを空間的に分割し、地上と上空で同一周波数を共用する”三次元空間セル構成”を提案している。本稿では上り回線の通信方法として、地上及び上空端末の送信アンテナを1本、基地局の受信アンテナを2本としたSIMO(Single-Input Multiple-Output)を用いて最大比合成(MRC) を適用した場合の通信品質を評価する。
広範囲に航行する船舶のAutomatic Identification System(AIS)パケットを受信するため,衛星搭載AISが検討されている.しかしながら,衛星が多数の船舶からの電波を受信可能なため,受信時に複数のパケットが衝突し,伝送特性が著しく劣化することが明らかになっている.従来から,PIC(Parallel Interference Cancellation)による衝突パケットの分離検出が検討されているが,PICはビタビアルゴリズム(VA)に基づき,その演算量は衝突パケット数に対して指数関数的に増加する問題があった.本稿では,PICの演算量を抑えるため,VAに状態数削減アルゴリズムであるM-algorithmを導入する.仲上ライスフェージング条件下で衝突パケット数を3と想定し,計算機シミュレーションにより提案手法の伝送特性を明らかにする.
3月10日 9:00〜11:45 5号館 5251教室 座長 眞田幸俊(慶大)
B-5-59 |
非直交多元接続のためリソース制御の低演算量化
○田野 哲・山上大智・侯 亜飛(岡山大) |
B-5-60 |
Performance Evaluation of Faster-than-Nyquist Signaling with Higher Level Modulation under Multipath Channels
◎Hao-Tse CHIU・Shuhei SAITO(Waseda Univ.)・Keita KURIYAMA・Kentaro TANAKA・Hitoshi HASEGAWA・Toshifumi MIYAGI・Takeshi ONIZAWA(NTT)・Fumiaki MAEHARA(Waseda Univ.) |
B-5-61 |
不均一なユーザ分布と送信ダイバーシチを考慮したユーザ要求に基づくハイブリッド多元接続方式に関する一検討
◎佐々木希実・田中風我・齋藤周平・菅沼碩文・前原文明(早大) |
B-5-62 |
URLLCを実現する高効率低遅延基地局間連携NOMA-HARQ法
◎小林亮太・原 郁紀(東京理科大)・湯田泰明(パナソニック)・樋口健一(東京理科大) |
B-5-63 |
NOMAに基づくランダムアクセスにおける階層化RAID構造を活用した送信電力制御に関する一検討
◎淺田 萌・原 郁紀(東京理科大)・須山 聡(NTTドコモ)・樋口健一(東京理科大) |
周波数利用効率の向上が可能な周波数領域非直交多元接続の特性を改善可能なリソース制御法が提案されている。この方法は伝統特性を改善するが、演算量の多さが問題となっていた。そこで、本稿ではこの演算量を低減する方法を提案し、その特性を計算機シミュレーションにより評価する。
In this study, we investigate the performance of faster-than-Nyquist (FTN) signaling employing single carrier frequency domain equalization (SC-FDE) under multipath fading channels and compare it with typical Nyquist signaling assuming same-bit transmission. Our numerical results show that Nyquist-8PSK, FTN-8PSK, and FTN-16APSK are better choices for 3, 4, and 5-bit transmission, respectively, where it is demonstrated by the simulation results of the throughput and peak-to-average power ratio (PAPR) performance.
Non-orthogonal multiple access (NOMA) では,ユーザ間でチャネル利得差が小さい場合に伝送特性が劣化することから,その対策として,同一帯域内において orthogonal multiple access (OMA) の適用を行うハイブリッド多元接続方式が有効となる.これまでに我々は,ハイブリッド多元接続方式にユーザ要求を考慮したリソース制御方式を提案し,その有効性を明らかにしてきた.本稿では,現実的な条件下における提案方式の有効性を検証すべく,Thomas cluster 過程に基づく不均一なユーザ分布と maximum ratio transmission (MRT) による送信ダイバーシチを適用した場合の本提案方式の有効性を評価する.
本稿では,下りリンク基地局(BS)間連携システムにおいて,超高信頼低遅延通信(URLLC)を実現する非直交多元接続(NOMA)-ハイブリッド自動再送(HARQ)法を提案する.
本稿では,非直交多元接続(NOMA)に基づくランダムアクセスにおいて,階層化ランダムアクセス識別子(RAID)構造を活用した送信電力制御(TPC)法について検討する.
休 憩(10:30 再開) 座長 田野 哲(岡山大)
B-5-64 |
タイミングオフセット存在下における近似メッセージ伝播法に基づくグラントフリーアクセスに関する一検討
◎原 郁紀(東京理科大) |
B-5-65 |
Adaptive Repetition Control with Site Diversity for 5G NR Uplink Grant-Free URLLC
◎Arif Dataesatu・Kosuke Sanada・Hiroyuki Hatano・Kazuo Mori(Mie Univ.)・Pisit Boonsrimuang(KMITL) |
B-5-66 |
UE送信のキャリア周波数オフセット補償を用いるNR PRACHの誤検出確率特性
◎千葉敬道・米田 隼・佐和橋 衛(東京都市大)・永田 聡(NTTドコモ) |
B-5-67 |
NR PRACHの同時アクセスUE数に対する誤検出確率特性
◎太田佳暢・千葉敬道・佐和橋 衛(東京都市大)・須山 聡(NTTドコモ) |
B-5-68 |
NR PBCHのソフト合成によるブロック誤り率の改善効果
◎大岩昂史・米田 隼・佐和橋 衛(東京都市大)・永田 聡(NTTドコモ) |
Beyond 5G/6Gに向け,多接続・低遅延を同時に実現しうる技術としてグラントフリー非直交多元接続(GF-NOMA: Grant-Free Non-Orthogonal Multiple Access)が注目されている.本稿では,既存研究での検討が少ない,タイミングオフセット存在下におけるGF-NOMAに向けて,伝播路の事前情報などを不要とした近似メッセージ伝播法に基づく推定アルゴリズムを提案し,計算機シミュレーションによりその有効性を示す.
The 5G NR standard aims to meet the ultra-reliable and low-latency communications (URLLC) for 1 ms latency with 10-5 reliability. Grant-free (GF) transmission with K-Repetition (K-Rep) is a transmission technique that the user (UE) is configured to autonomously transmit the same packet with K repetitions. However, K-Rep increases the number of packet transmissions, which may cause severe interference and high energy consumption. This paper proposes adaptive K-Rep control under site diversity reception. This control can decrease the number of repetitions in order to reduce interference and energy consumption for URLLC UEs.
本稿では,3GPP New Radio (NR)無線規格においてユーザ端末(UE)が下りリンクの同期信号ブロック(SSB)を用いてキャリア周波数オフセット(CFO)を推定し,UE送信でCFOを補償する上りリンクの物理ランダムアクセスチャネル(PRACH)送信法を提案する.提案法を用いた場合のPRACH誤検出確率(MDP: Miss Detection Probability)を計算機シミュレーションにより評価する.
本稿では,New Radio (NR)無線規格における同時アクセスユーザ端末(UE: User Equipment)数に対する物理ランダムアクセスチャネル(PRACH: Physical Random Access Channel)の誤検出確率(MDP: Miss Detection Probability)を計算機シミュレーションにより評価する.
本稿では,3GPP New Radio (NR)方式の下りリンクの物理報知チャネル(PBCH: Physical Broadcast Channel)のソフト合成(Soft-combining)によるブロック誤り率(BLER: Block Error Rate)の改善効果を計算機シミュレーションにより評価する.
3月10日 9:00〜11:30 5号館 5274教室 座長 森 香津夫(三重大)
B-5-69 |
超音波センサアレイを用いた複数障害物における位置推定精度向上手法の提案
○服部将道・辻井明日香(名大)・笠島 崇(日本特殊陶業)・羽多野裕之(三重大)・山里敬也(名大) |
B-5-70 |
多重開ループ周波数推定による時変ドップラーシフト計測法
◎有田英司・久保博嗣(立命館大) |
B-5-71 |
水中音響通信用のcoherent OFDMとdifferential OFDMの比較検討
◎吉村拓真・藤田太一(立命館大)・樹田行弘・出口充康・志村拓也(JAMSTEC)・久保博嗣(立命館大) |
B-5-72 |
位相雑音推定用FDMパイロット信号を用いるDFT-Spread OFDMのPAPR特性
◎栗林遼太・佐和橋 衛(東京都市大) |
B-5-73 |
DFT-Spread OFDMにおけるFDMパイロット信号を用いるPSA-EKF位相雑音補償の誤り率特性
栗林遼太・○佐和橋 衛(東京都市大) |
我々は, 低速自動運転を想定し,20 km/h走行時に障害物を検出可能な超音波センサアレイシステムの開発に取り組んでいる.
従来手法では, 複数障害物の位置を推定することを目的として, 多辺測量に確率分布を適用する手法を検討していた. この手法では, 推定した障害物の存在確率分布が広がりやすく, 障害物の位置の特定が困難であった. 提案する手法では、時間的に連続した2つのデータを利用する. 1つのデータで事前確率を求める. もう1つのデータと, 求めた事前確率を用いて障害物の位置を推定する. 実験データから複数障害物の位置を推定をし, 従来手法の結果と比較する.
水中音響通信(UWAC)においては,大きなドップラーシフトが時間的に変動する伝搬環境となる.本稿では,UWACを想定した時変ドップラーシフト計測に対する多重開ループ周波数推定(MOLFE)の効果に関して,その有効性をシミュレーション結果から明らかにする.
水中音響通信では,厳しい二重選択性伝搬環境が課題となる.本稿では,水中音響通信の環境を想定し,OFDM(orthogonal frequency-division multiplexing)について比較検討する.具体的には,coherent OFDM と differential OFDMについて,ドップラーシフト耐性のような基本的な特徴を比較検討する.
本稿では,ミリ波帯の周波数を用いる無線バックホールへの適用を目指してDiscrete Fourier transform (DFT)-Spread OFDM (DFT-s-OFDM)における位相雑音推定用周波数分割多重(FDM)パイロット信号多重法を提案し,ピーク電力対平均電力比(PAPR)特性を評価する.
筆者らは,DFT-Spread OFDM(DFT-s-OFDM)における位相雑音推定用周波数分割多重(FDM)パイロット信号多重を提案した.本稿では,提案のFDMパイロット信号多重を用いたときの,パイロット信号干渉及びシングルキャリア(SC)信号のパンクチャに起因する歪み補償とパイロットを用いる位相雑音補償(PNC)及び拡張カルマンフィルタ(EKF)を用いる位相雑音補償(PSA-EKF PNC)[2]を行う受信機構成を提案し,ビット誤り率(BER)を計算機シミュレーションにより評価する.
休 憩(10:30 再開) 座長 松村 武(NICT)
B-5-74 |
移動中継通信システムにおける中継通信端末の配置決定規範に関する一検討
○藤尾俊輔・尾崎一幸(富士通) |
B-5-75 |
OLSRプロトコルを適用したV2Xによるリレー伝送の遅延特性評価
◎帶金一真・酒井 学・西本 浩・岡崎彰浩(三菱電機) |
B-5-76 |
隊列走行での SB-SPS を用いたリレー伝送における半二重性の伝送性能への影響
◎大島輝斗・眞田耕輔・羽多野裕之・森 香津夫(三重大) |
B-5-77 |
高周波数帯上りリンクにおける低遅延中継技術の検討
○堅岡良知・瀧川将弘・大関武雄・渡辺大詩・大森 剛・天野良晃(KDDI総合研究所) |
Beyond 5G/6Gに向けて,更なる大容量・高速伝送の実現が求められており,広帯域を確保できる高周波数帯の活用が重要である.しかしながら,UE(User Equipment)の実効放射電力を上げられないことに起因する上りリンクの伝送容量の劣化が課題となる.そこで,上りリンクの伝送容量を改善させるために,UAV(Unmanned Aerial Vehicle)等にRS(Relay Station)を搭載し,UEの移動に伴いRSを移動させる,移動中継通信システムを筆者らは検討している.本稿では,セル端伝送レートも考慮し,伝送レートの幾何平均最大規範でRSの配置を決定した場合と,伝送容量最大規範で配置を決定した場合の特性の比較評価を行った.
V2Xは、車と様々なものが端末間で直接通信することが特徴であり、第 5 世代移動通信システムの商用サービス開始や自動運転技術の発展に伴い近年注目を集めている。本稿では、静的なルーティングアルゴリズムで明らかになった課題である、障害発生 時での伝送を解決することを目的として V2X にアドホッ クネットワークプロトコルである OLSRプロトコルを実装したことを報告する。また、有線接続試験系において、片方向のリレー伝 送試験を実施した。結果からネットワークトポロジーを 把握するための制御メッセージ伝送を行っても、リレー伝送時の遅延特性に影響を及ぼさないことを報告する。
道路交通効率の向上や高い燃料効率を実現する手段として隊列走行自動
運転が注目されている.隊列走行では先頭車両の位置・速度情報などを隊
列内で共有する必要がある.この通信には通常,車車間通信が利用され,
その通信方式として Cellular V2X(C-V2X)が 3GPP で標準化されている[1].
C-V2X では Sensing Based Semi Persistent Scheduling(SB-SPS)によって,
各車両が自律的に通信リソースを管理する.一方,隊列走行では車車間リ
レー伝送が必要とされるが,SB-SPS リソース管理においてはリレー伝送
が考慮されておらず,そのリレー伝送への適用はいくつかの課題を引き起
こす恐れがある.その 1 つに半二重性によるパケット損失があり,リレー
伝送の伝送性能に大きな影響を及ぼすと考えられる.
そこで本稿では,隊列走行のリレー伝送に SB-SPS を適用した場合の伝
送性能を計算機シミュレーションにより評価し,特に半二重性が性能に及
ぼす影響を明らかにする.
日本では2020年に第5世代移動通信システム(5G)の商用サービスが開始され,5Gで目標とする10Gbps以上のピークレートを達成するため,28GHz帯などミリ波帯の利用が進んでいる.2020年代後半には5Gの活用が進み,4K/8K等の高精細な動画伝送を用いたサービスが普及し,上下リンク共に低遅延かつ大容量なデータ伝送が重要になる.我々は低遅延かつ大容量な中継通信を実現することを目的に,高周波数帯における中継通信技術に関する研究を行っている.本稿では,移動可能な中継局に低遅延中継技術を適用する際のビーム選択の効率化に関して報告する.
3月10日 13:00〜17:00 5号館 5251教室 座長 丸田一揮(東京理科大)
B-5-78 |
サブテラヘルツ帯MIMO空間多重におけるサブアレーのビーム制御についての考察
◎濱田直輝・西村寿彦・佐藤孝憲・小川恭孝・萩原淳一郎・大鐘武雄(北大) |
B-5-79 |
無線中継デバイスの下り受信信号によるTDDタイミング検出誤差とBERへの影響
○國澤良雄・林 高弘(KDDI総合研究所) |
B-5-80 |
Beyond 5G仮想化端末向け4.8 GHz帯域幅OFDM波形生成手法
◎眞木翔太郎・湯田泰明・木村知弘・西尾昭彦(パナソニック) |
B-5-81 |
重回帰分析を用いた送信側増幅器の入出力特性一推定法
○田中健太郎・栗山圭太・長谷川 仁・宮城利文(NTT) |
B-5-82 |
高周波数帯シングルキャリア伝送における非線形歪みを考慮した参照コンスタレーションのブラインド推定
○栗山圭太・田中健太郎・長谷川 仁・宮城利文(NTT) |
第6世代移動通信(6G)では,100 Gbpsを超える超高速通信の実現が求められている.このような高速通信を可能にするには,広帯域が利用可能なサブテラヘルツ帯(100–300 GHz)の活用とMIMOシステムによる空間多重が必要になる.サブテラヘルツ帯の大きな伝搬損失を補償するためには多くのアンテナ素子からなる高利得アレーを用いたハイブリッド・ビームフォーミングによるMIMO構成が現実的である.本研究はサブテラヘルツ帯において,ハイブリッド・ビームフォーミングによるMIMO構成の適切なビーム制御法について検討した.今回想定した伝搬環境では,各サブアレーのビームを異なるマルチパスの方向へ向けると良い特性が得られることを確認した.
第5世代以降の移動通信(B5G) では,サイバー・フィジカル空間を実現するため,上り通信に下り回線並みの高速データ伝送が期待されている.我々は,ユーザ端末(UE)の多素子の上り回線MIMOを実現するため,アンテナを身の周りの腕時計等の複数の無線デバイス(中継デバイス)に拡張しUEから中継デバイスまでを超広帯域なテラヘルツ(THz)波で無線伝送する仮想化端末という構成を提案している.本稿では,小型・低消費電力が求められる中継デバイスで受信信号電力からTDD(Time Division Duplex)のタイミングを検出し下り上り中継回路を切換える方法について,フェージング環境における下りタイミング検出誤差と通信性能を評価したので報告する.
Beyond 5G向け仮想化端末技術では,ユーザ端末とその周辺の中継デバイス間をテラヘルツ(300 GHz)帯で接続し,中継デバイスを仮想ミリ波アンテナとして利用する.4.8 GHz帯域幅のOFDM信号をMIMO多重し,100 Gbps級の高速化を目指す.サブキャリア間隔が120 kHzの場合,サブキャリア数は約4万におよぶ.本稿では,全てのサブキャリアを一括処理する回路構成,およびいくつかのサブバンドに分割して処理する回路構成について検討した.特に後者の回路構成で懸念される,位相雑音によるサブバンド間の干渉について,通信性能への影響をシミュレーション評価した.
次世代の第6世代移動通信システムでは、超高速・大容量通信を行うためにテラヘルツ帯など高周波数帯の利用が検討されている。高周波数帯では伝搬損失が大きいため、送信側増幅器の非線形性が課題として挙げられる。これまでに、非線形性を考慮した参照コンスタレーションに対する対数尤度比算出法を提案した。しかしながら、従来法では増幅器の入出力特性を装置仕様から同定するため、個体差や状態による特性変化を考慮できない。本稿では、受信信号に対する重回帰分析を用いた送信側増幅器の入出力特性推定法を提案する。シミュレーションにより、提案法による入出力特性の推定精度を示す。
第6世代移動通信システムに向けた無線通信の更なる大容量化のため,サブテラヘルツ波帯などの高周波数帯活用が検討されている.高周波数帯では非線形歪みが課題の一つである.筆者らは高周波数帯シングルキャリア (SC) 伝送における非線形歪みコンスタレーションに対する適正な対数尤度比 (LLR) 算出法を提案した.しかしながら,従来法では増幅器の入出力特性を装置仕様から同定するため,個体差などがある場合にBER特性が劣化する.本稿では,高周波数帯SC伝送における非線形歪みを考慮した参照コンスタレーションのブラインド推定法を提案する.
休 憩(14:30 再開) 座長 村岡一志(NEC)
B-5-83 |
Multishape Radio: New Approach to Exploit Physical Properties of Electromagnetic Waves
○Doohwan Lee・Yasunori Yagi・Kosuke Suzuoki・Riichi Kudo(NTT) |
B-5-84 |
エアリービームの干渉フリー領域制御に関する検討
○鈴置皓介・李 斗煥・八木康徳・工藤理一(NTT) |
B-5-85 |
OAMモード多重伝送におけるUCAと正方配列アレーの特性比較
◎釜谷俊輝・西村寿彦・大鐘武雄(北大)・旦代智哉・内田大輔(東芝) |
B-5-86 |
MISO-ODDMにおける時間領域プリコーディングの一検討
◎大西博之・江 易翰・林 海(阪府大) |
B-5-87 |
MU-MIMO-ODDMにおけるDD領域プリコーディング
◎樋口貴大・林 海・江 易翰(阪府大) |
Recently usage of higher frequency bands has drawn much attention. We explore a new possibility for the exploitation of
the physical properties of electromagnetic waves such as radio with bended propagation. We characterized and proposed a
new concept that takes full advantage of such physical properties a “multishape radio” 1]1]. Followed by our previous
work that showed the possibility of the interference free transmission using Airy beam, this paper investigates an
extended usage case that Airy beam can be also used for the location divisio n multiple access without causing interferences.
Beyond 5Gに向け、無線システムでは避けられない干渉信号による影響を,干渉フリー領域の利用で覆す検討を進めており,エアリービームの通信での利用を検討している.
エアリービームは振幅分布がエアリー関数で表される.
エアリー関数の,振動後に0に収束する特徴からエアリービームはサイドローブのない干渉フリー領域を形成する.
我々は,このような電波の物理的な特性の活用で,より高精細な電波空間を実現する”Multishape\;Radio”というコンセプトを提唱しており,
これまでの検討で、干渉による伝送容量の劣化のない並列伝送の実現を確認している.
それに引き続いて本稿では,エアリービームの干渉フリー領域が制御可能であることを原理確認実験によって示した.
次世代無線通信システムでは,スモールセルのバックホール回線に固定無線通信の適用が検討されており,その手法の一つとして,軌道角運動量(OAM)を用いた空間多重伝送(OAMモード多重)の検討が進められている.それを実現する方法として,比較的容易に多重化が可能であることから,等間隔円アレー(UCA)が用いられることが多い.本稿では,MIMO多重伝送で多く用いられている正方配列アレー(USA)を用いたOAMモード多重について検討を行う.素子数を8とする場合は,UCAとUSAのいずれも隣り合う素子の角度差は45°で同じため,同じ番号の素子の励振位相も同じとなる.USAを使用することでUCAに比べてより小さいアンテナ面積で同程度の合計スループットが得られる.
次世代無線通信システムの実現にあたって「高信頼性」は最も重要な要素の一つである. 最近, 高速移動環境に強い遅延・ドップラー(DD)平面のマルチキャリア変調方式であるODDM変調が提案されている. 一方, MISO技術はマルチパス環境下で受信信号のSN比が改善されるため, ODDM変調をMISOに適用したMISO-ODDMは高速移動環境での信頼性の高い通信の実現に大きく寄与することが期待される. しかしながら,ODDM変調は新しく提案された変調方式のため, MISO-ODDMはまだ研究されていない. そこで本研究では, MISO-ODDMの入出力関係を導出し, ダウンリンク伝送においてチャネル状態情報(CSI)が既知という条件の下, 受信側で所望の信号が検出されるようにプリコーディングを設計し,性能を検証する.
直交遅延ドップラー分割多重(ODDM)変調はチャネルのドップラー効果を考慮した変調方式であり,今後の活用が期待されている.しかし,実用化に向けて必要な関連研究は多く,その一つが基地局(BS)と複数のユーザ端末(UE)間での同時通信を可能にするMU-MIMOである.通信量の増加に対応するためMU-MIMOは必須の技術であるが,近年提案されたばかりのODDM変調にMU-MIMO技術を適用するための研究はまだなされていない.本研究では,ODDMチャネル行列の特性とビームフォーミングを活用することでユーザ間干渉を防止しながら,複数のUEとの同時通信を可能とするdelay-Doppler領域プリコーディングを提案し,シミュレーションにより性能を確認した.
休 憩(16:00 再開) 座長 山里敬也(名大)
B-5-88 |
MFHにおける無線IQ直接デジタルコヒーレント伝送方式の提案
○葛西恵介・吉田真人・廣岡俊彦・中沢正隆(東北大)・松尾英範・高橋 領(パナソニック) |
B-5-89 |
無線IQ直接デジタルコヒーレント伝送方式における無線・光一括FECの評価
○松尾英範(パナソニックホールディングス)・高橋 領(パナソニック)・牟田竜二・松川潤也・小杉正憲・外山隆行(パナソニックホールディングス)・葛西恵介・中沢正隆(東北大) |
B-5-90 |
Beyond 5G向け歪モデル埋め込み型広帯域デルタシグマRoF
○谷尾真明・石井直人・村岡一志(NEC) |
B-5-91 |
LCX空間変調システムにおける位置ずれに伴う性能悪化の緩和手法
◎嶽 草一郎・永山拳大・侯 亜飛・田野 哲(岡山大) |
大容量・高効率MFHを実現する方式として、我々は光注入同期法を用いたデジタルコヒーレント光伝送システムを提案してきている。本方式では、CPRIまたはeCPRIによってデジタル化された無線のベースバンドIQ信号を光多値QAM信号へフォーマット変換した後、アンテナサイトへ向けて光ファイバ伝送する。これまで本方式により、80 Gbit/s、256 QAM信号のSMF 26 km双方向伝送に成功している。今回、上述の無線・光フォーマット変換を介さない、無線IQ直接デジタルコヒーレント伝送方式を新たに提案し、本方式による光MFHの伝送性能を評価したので報告する。
筆者らはダイナミックに変動するトラヒックや無線品質環境下において多様な通信サービスの品質要求を満たす適応型RAN(Radio Access Network)技術の研究開発を進めている.適応型RANでは,仮想化技術を用いて基地局機能を集約局舎と分散局舎に適応的に配置する.そしてその配置に応じて両局舎間をつなぐ光フロントホール(FH)の伝送方式を切り替える光・無線統合制御により光FHの伝送効率を上げることができる.本稿では光・無線統合制御技術として提案する無線IQ直接デジタルコヒーレント伝送方式について述べ,実際に光伝送装置を用いて提案方式の有効性を評価する.
Beyond 5G 分散MIMO の低コスト・小型RoF 伝送を実現するデルタシグマRoFにおいて,課題となる伝送歪による信号品質の劣化を解決するため, 歪モデル埋め込み型デルタシグマRoF のコンセプトを提案し,1 GHz帯域幅のOFDM信号を用いた実験評価によって,提案するコンセプトの有効性を確認した.
漏洩同軸ケーブル(LCX)はケーブルに一定間隔で開いた穴(スロット)から電波を放射することで送受信できる線状アンテナとしてよく使われる.また,数百あるスロットの開閉による多く異なる伝搬路パターンを形成する空間変調方式を提案した.一方,端末位置ずれに伴う空間変調の特性が急に悪化なる課題が残っている.本研究では一本LCXの両側に信号を送受信する2×2LCX-MIMOシステムによる空間変調方式を提案する.
3月10日 13:00〜17:00 5号館 5274教室 座長 星野兼次(ソフトバンク)
B-5-92 |
ローカル5Gを用いた高解像度全天球映像による遠隔監視システム
◎乗松佑樹(東京都立大)・加藤綾斗(Technical Univ. of Munich)・西辻 崇・朝香卓也(東京都立大) |
B-5-93 |
OpenAirInterfaceを用いたラウンドトリップ低遅延化リソース制御アルゴリズムの評価
◎荒井 甲・小畑晴香・鍋谷寿久(東芝) |
B-5-94 |
シミュレーテッド分岐マシンを応用した5G無線リソース割当て制御に関する検討
○小畑晴香・荒井 甲・鍋谷寿久・後藤隼人・辰村光介(東芝) |
B-5-95 |
クラウドソース無線装置を用いた適応C-RAN構成における接続数制限によるスループット特性評価
◎石井悠斗・安達友陸・宗 秀哉(湘南工科大)・丸田一輝(東京理科大)・中山 悠(東京農工大) |
B-5-96 |
適応型RAN における基地局機能配置間の動的なシステム制御に関する一検討
○牟田竜二・松川潤也・小杉正憲・松尾英範・外山隆行(パナソニックホールディングス) |
監視カメラの映像は, 事件発生時などの手がかりとなるため鮮明で高解像度であることが期待される. 犯罪の抑止効果および証拠確保の面では, 撮影範囲が広く, 死角が少ないことが求められる. そこで本研究では, 上記の課題に応える, 可搬式カメラによる8K全天球映像の監視システムを提案する. 提案システムでの大容量の映像伝送にローカル5Gネットワークを利用した. また, 視聴環境にはヘッドマウントディスプレイによるものと, 通常のディスプレイによるものをそれぞれ用意した.提案システムの可用性検証のため, 東京都立大学日野キャンパスに設置されているローカル5G環境を利用して伝送実験を行った.
5Gシステムにおけるミリ秒レベルの低遅延要求を満足するためには, 無線区間における時間,周波数等の無線リソースの制御が重要となる. 特に産業用ロボティクス制御のようなシステムでは,DL(Downlink), UL(Uplink) の両リンクを合わせた RT(Round-Trip)での低遅延化が求められる. 著者らは過去に, RT低遅延化を目的とした無線リソース制御アルゴリズムRT-EDF(Round-Trip Earliest Deadline First)を提案している. 本稿では, 実機システムへの拡張が容易であるOpenAirInterfaceを用いて構築された5G SA(Stand Alone)環境にてRFsimulatorを用いてRT-EDFの遅延時間性能の評価を実施した. 評価の結果, 提案法は従来法と比較して遅延時間の最悪値を削減できることを確認した.
5Gでは「高速・大容量」「超低遅延」「多数同時接続」ユーザが混在することが予想され,ニーズに合わせていかにカスタマイズし要求を満たすようなリソース割当てができるかが重要となる.東芝で開発しているシミュレーテッド分岐マシンは,大規模な組合せ最適化問題を短時間で解ける強みを持ち,求解が短時間かつ決定論的,エッジシステムに組込み可能,といった特長を持つ.本稿では,この特長を生かし,5Gで求められる超低遅延要件を満たしつつ,すべての選択肢の中から最適なものを選択するという組合せ最適化に基づく高効率な無線リソースの割当てを実現するシミュレーテッド分岐マシン応用基地局を提案する.
端末(UE)が高密度に存在する環境における無線通信大容量化のため,集中型無線アクセスネットワーク(C-RAN)が検討されている.変動する通信要求に対応するため,クラウドソース無線装置(CRU)が適応的にスモールセルとして動作する適応C-RAN構成を提案し,その効果を明らかにしてきた.本稿では,CRUへの接続数に上限を設けることによる効果を明らかにする.
筆者らは,多数且つ多様な通信サービスが同時に発生する状況においても通信品質要求を満たす高信頼なシステムの実現を目的に,適応型 RAN (Radio Access Network)技術の研究開発を進めている.適応型RAN では,トラフィックや通信品質等の状況に応じて適応的にシステムパラメータを制御し,多様なサービスの通信品質要求を実現する. 本稿では適応型RANにおける動的なシステム制御について提案し,実機を通じた性能評価について述べる.
休 憩(14:30 再開) 座長 宗 秀哉(湘南工科大)
B-5-97 |
5G高度化に向けたミリ波間無瞬断ハンドオーバー方式の検討
○上杉 充・品川宜昭・小坂和裕・岡田 亨(パナソニックコネクト) |
B-5-98 |
ミリ波分散MIMO向け移動予測に基づくアンテナ選択の実験評価
○竹内俊樹・村岡一志・丸田 靖(NEC)・内田大誠(NTT)・山田貴之・須山 聡(NTTドコモ) |
B-5-99 |
超高速移動環境における60GHz帯無線を用いた映像アップロード伝送およびハンドオーバ実験
○岩國辰彦・内田大誠・新井拓人・和井秀樹・北 直樹(NTT) |
B-5-100 |
高周波数帯における階層型ビームサーチ簡易化手法の実験評価
○新井拓人・和井秀樹・岩國辰彦・内田大誠・北 直樹(NTT) |
B-5-101 |
MU-MIMO 適応時の Massive MIMO アンテナ最適化構成の検討
○光本昂平・前田稜平・津濱ひかり・藤井輝也(東工大) |
5Gシステムの電力効率向上のため、電力効率の良いミリ波の導入が検討されているが、ミリ波は直進性が強いため、ミリ波通信の遮蔽対策として、今まではミリ波が遮蔽される領域のみマクロ通信に切替える「最適RAT(Radio Access Technology)選択」を検討してきたが、ミリ波エリアが隣接する際に必要となる「ミリ波間ハンドオーバー」も追加し、試作装置にてその効果を確認したので報告する。
Beyond 5Gでは,更なる高速大容量通信への要求が高まっており,ミリ波など高周波数帯を用いた無線通信の活用が期待されている.高周波数帯の電波は直進性が高く回り込みにくいため,見通しを多く確保できるよう,分散配置した基地局のアンテナを協調させながら移動局と通信する分散MIMO が検討されている.しかしながら,柱などの障害物によって遮蔽される位置に移動局が移動すると,高周波数帯は低周波数帯に比べて無線品質の変動が急なため,伝送性能の急な低下や切断が起きる可能性がある.そこで本稿では,移動局の移動を予測して適切な分散アンテナを選択する技術を提案し,28 GHz帯分散MIMO試作装置を用いた実験による下り伝送性能評価について報告する.
増え続ける無線通信トラフィックを収容するため,ミリ波帯~サブテラヘルツ帯等の高周波数帯無線の利用検討が進んでいる.高周波数帯無線の移動環境への適用拡大を目指して,著者らはその通信信号そのものによって通信しながら端末の距離や方位を推定できる特性に着目し,これを用いた高速ハンドオーバ技術の検証を進めている.本稿では時速240km以上の超高速車両走行環境において,基地局6局のハンドオーバに加え,ハンドオーバ中の通信断対策としての擬似的なサイトダイバーシチ技術を検証するとともに,アプリケーション伝送の一例として4K映像をアップロード伝送した結果を報告する.
高周波数帯では狭ビーム化によりマルチパスの影響が相対的に低くなる特徴を活用した提案するビームサーチ手法のフィージビリティを検証するため、シールドルームにおける実験評価を行い、全探索と比較してビームスイープ数を約29%に低減した場合でも、高い確率で全探索時と同等の受信電力が得られる可能性を示す。
第 5,6 世代移動通信方式では、数十~数百素子で構成さ
れる Massive MIMO アンテナによるビームフォーミングが期
待される。しかし,電波伝搬特性により受信波のアンテナ
素子間相関が高い場合は、全素子を対象としたデジタルビ
ームフォーミングは回路規模に見合う大きな適用効果が期
待できない。そこで,複数の素子の受信波をアナログ的
に同相合成し、等価的に素子数を低減するハイブリッドビ
ームフォーミングが注目されている。本稿では、同一周波
数で複数ユーザを収容する MU-MIMO を適用した場合のハ
イブリッドビームフォーミングの最適化構成を提案する。
休 憩(16:00 再開) 座長 中島昭範(三菱電機)
B-5-102 |
大規模MIMOシステムにおける直接二値探索法を用いた簡易ビーム形成法
◎林 優太・西村寿彦・佐藤孝憲・小川恭孝・萩原淳一郎・大鐘武雄(北大) |
B-5-103 |
ハイブリッド型Massive MIMOにおけるパイロット汚染対策のための時変動チャネル予測
◎小野佑貴・張 裕淵・府川和彦(東工大)・須山 聡・浅井孝浩(NTTドコモ) |
B-5-104 |
高速ビームステアリングを用いたビーム探索手法の一検討
○宗 秀哉(湘南工科大)・丸田一輝(東京理科大)・加保貴奈(湘南工科大) |
B-5-105 |
ハイブリッド大規模MIMOのための低演算DoA推定の検討
◎山崎拓真・井家上哲史(明大) |
6Gなど次世代の通信システムを実現するため,100素子程度の送信アンテナを使用することで大容量かつ高速な通信を可能とする大規模MIMOシステムが検討されている.多数のアンテナを用いるこのシステムにおいて,MMSE法のように送信アンテナ全てを用いて,ビーム形成を行う手法を適用すると,基地局側の回路規模の増大につながる.そこで,MMSE法による複雑なウェイトの制御の代わりに送信に使用するアンテナをユーザごとに決定する簡易ビーム形成が検討されている.本稿では,簡易ビーム形成における送信ウェイト生成に直接二値探索法を適用し,その特性評価を行った.結果として,直接二値探索法に用いる評価関数を工夫することで,良好な特性を示すことが確認できた.
Massive MIMOでは,BB(Base Band)回路およびRF(Radio Frequency)回路の数を大幅に削減できるアナログ・ディジタル・ハイブリッドビームフォーミング(HB: Hybrid Beamforming)が検討されている
本稿では,TDD(Time Division Duplex)マルチユーザMIMO通信を想定し,HB構成におけるパイロット汚染(PC: Pilot Contamination)対策のため,下り回線の時変動チャネル予測を検討し,計算機シミュレーションにより,その有効性を明らかにする.
無線通信の高速化のため,多アンテナ素子を用いたビームフォーミングが用いられている.
端末(UE)に対する最適なビームフォーミングは,UE毎のチャネル推定や演算量が問題となる.
システムの簡略化を考えると,複数の固定ビームを形成し,端末(UE)が選択する手法が望ましい.
しかしながら,ビーム毎に同期信号(SSB)を送信する必要があり,ビーム数が増加するとビーム探索時間が増大する.
本報告では,SSB内でビームステアリングを行うことでSSB数を削減するビーム探索手法を提案する.
大規模 Multiple-Input Multiple-Output(MIMO) は,多数のアンテナを備えた MIMO であり,5G 通信の主要技術として注目を集めている.近年では,無線周波数(RF) チェーンの削減により,低コスト・低消費電力を実現できるハイブリッド大規模 MIMO が検討されている.実際の大規模 MIMO はアンテナが平面アレーのような 2 次元配列であるが,それは一様線形アレー (ULA)を並べたものと解釈できるため,本稿では ULA の 1 サブアレーハイブリッド MIMO におけるプロパゲータ法(PM) を用いた到来方向 (DoA) 推定の評価を行った.
B-5. 無線通信システムB(無線アクセスネットワーク)
3月7日 13:00〜17:00 5号館 5374教室 座長 征矢隼人(諏訪東京理科大)
B-5-106 |
帯域内全二重無線におけるコンパンディングを用いた周波数領域自己干渉キャンセラ
◎柄澤幸太郎・山本魁世・佐藤栄作・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-5-107 |
周波数選択性フェージング環境における帯域内全二重通信のための二段ブラインド自己干渉除去に関する一検討
◎西川幸市・下村南夏・衣斐信介(同志社大)・高橋拓海(阪大)・岩井誠人(同志社大) |
B-5-108 |
帯域内全二重無線システムにおける送受信アンテナ間の自己干渉についての研究(その5:ミリ波アンテナ間自己干渉特性評価プラットフォームの提案と評価)
○△李 可人・松村 武(NICT) |
B-5-109 |
全二重無線通信におけるチャネル推定を用いた自己干渉補償技術の提案
○八坂拓海(工学院大)・山田貴之・須山 聡(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-110 |
帯域内全二重通信におけるデジタルキャンセラ方式の実験評価
○多和田基史・太田喜元(ソフトバンク) |
帯域内全二重無線は送受信に同一周波数を用いるため自端末の送信信号が相手端末からの所望信号に干渉する自己干渉が問題となる.この自己干渉をディジタル領域で除去する周波数領域キャンセラは,学習用の信号として入れ替えシンボルと呼ばれる意図的に歪みを加えたOFDM信号を用いる必要がある.本研究では,入れ替えシンボルの代わりにコンパンディングを適用したOFDM信号を用いて,周波数領域キャンセラの自己干渉除去性能を評価した.その結果,コンパンディングを用いることで,周波数領域キャンセラの学習が可能になり,電力増幅器の非線形性の影響も軽減できることが分かった.
帯域内全二重通信 (IBFD: In-Band Full-Duplex) の実現には自己干渉信号の除去が必要不可欠である.この問題に対して,事前の自己干渉の通信路推定を必要としない差動アナログ自己キャンセラ (DASIC: Differential Analog Self Interference Canceller) が提案されている.しかし,周波数選択性フェージング環境では遅延波による影響のために自己干渉除去を完全に行えないという問題点がある.そこで本稿ではDASICを2段に適用して,残留自己干渉成分も除する方式を提案し,BER (Bit Error Rate) 特性の改善を図る.
あらまし 本研究では、ミリ波帯でアンテナの各種配置を一つの基板に集積した送受信アンテナ一体化基板を提案し、設計・試作・評価を行った。提案した一体化基板は、4つのアンテナで異なる配置で構成されており、合計5つの異なるアンテナ間配置方向が得られる。それぞれの配置状況下の自己干渉特性を安定して測定・評価できるのみならず、同基板上のアンテナを一定の伝搬損を持つ所望信号の入力端として使用可能なので、自己干渉特性の評価プラットフォームとしても使うことが可能である。本報告では、このような一体化基板のアンテナ配置構成とアンテナ間の自己干渉の測定結果について報告する。
複信方式,FDD,TDDに比べて全二重無線通信は周波数利用効率を高める技術として注目されている.基地局(BS)とユーザ端末(UE)間で同じ周波数を用いて同時刻に送受信を行うため,BSの下り回線の送信信号が受信機Rxに干渉する.これは自己干渉(SI: Self-Interference)と呼ばれ,UEからの上り回線の受信信号に多大な影響を与える.本稿では,BSとUE間のチャネル推定を行う参照信号DMRS(DeModulation Reference Signals)を自己干渉区間のチャネル推定に応用することで,SIを除去する自己干渉補償器(SI Canceller)を提案する.また,5G仕様に準拠した伝送路モデルにSI Cancellerを組み込み,その効果を検証することで,自己干渉用DMRSを用いたチャネル推定から自己干渉を除去する自己干渉補償器による基本特性を示した.
同一周波数帯域および同一時間に送受信を行う全二重通信In-Band Full-Duplex(IBFD)は半二重通信と比較し,2倍の周波数利用効率と低遅延を実現することができる.しかし,送信アンテナと受信アンテナが物理的に近くに配置されているため,送受アンテナ間の回り込みによる自己干渉が発生する.そのため,IBFDシステムではAnalogとDigitalを組み合わせて干渉除去を行う.本研究ではDigital Self Interference Cancellation(DSIC)の各種方式を実験により性能評価する.
休 憩(14:30 再開) 座長 吉野 仁(ソフトバンク)
B-5-111 |
IFoF伝送用28GHz帯周波数変換器の開発
○桂 勇男・中村美琴・川瀬大輔・船田知之(住友電工) |
B-5-112 |
IFoF伝送を適用した5Gミリ波基地局の妨害波耐性仕様の検討
○中村美琴・桂 勇男・川瀬大輔・船田知之(住友電工) |
B-5-113 |
IFoF伝送5Gミリ波基地局へのSFP型アナログRoFモジュールの適用検討
○川瀬大輔・中村美琴・桂 勇男・船田知之(住友電工) |
B-5-114 |
A-RoFを活用したカスケード型NWトポロジーに関する検討
○山本泰義・髙橋雄太・白戸裕史・北 直樹(NTT)・依岡寛人(奈良先端大) |
B-5-115 |
アナログRoFシステムにおけるビームID選択の適応制御による無線エリア拡大に向けた実験的検討
○髙橋雄太・山本泰義・白戸裕史・俊長秀紀・北 直樹(NTT) |
5G超高速通信を至る所で実現するには5Gミリ波エリア拡充が不可欠であり、そのために多くの5Gミリ波基地局を設置する場合、小型化への強い要求が予想される。無線信号を光信号に変換して光伝送するアナログRoF(Radio over Fiber)を基地局フロントホールに適用すると、基地局集約局へのディジタル信号処理集約、基地局張出局での同処理軽減となり、小型化への貢献が期待できる。
今回、アナログRoFを5Gミリ波基地局のフロントホールに適用した場合の、張出局無線部を想定した試作機をアナログRoF技術の評価のために試作した。本稿は、その試作機の設計概要、評価結果を報告するものである。
大容量トラヒックを収容するため小セルを多数設置する運用が想定される5Gミリ波基地局の張出局には、設置を容易にする小型・省電力化への強い要求が予想される。アナログRadio over fiber(RoF)は無線信号をアナログ波形のまま光伝送する技術であり、デジタル信号処理部を集約局へ集約し張出局の小型・省電力化を可能にする。アナログRoFにおいて無線信号を中間周波数(IF)で光伝送する方式はIFoFと呼ばれ動作周波数の低い経済的な光デバイスを使用できるため5Gミリ波基地局において有力な方式である。
28GHz帯を用いた5Gミリ波による通信事業が複数キャリアで運用されるとき、妨害波となる他社の信号をアンテナ直近の帯域通過フィルタ(BPF)で遮断することが難しいため、BPFに続くアナログ回路に高い妨害波耐性が求められる。IFoFを適用した基地局において、その妨害波耐性は光デバイスの非線形性に律速されると考えられる。本稿ではIFoF基地局を模擬したIFoF装置を用いた妨害波耐性の検証結果を報告する。
Intermediate Frequency over Fiber (IFoF)伝送ミリ波基地局子局の小型化において、アナログRadio over Fiber (A-RoF)光モジュールの多数設置を想定する場合、光モジュールの小型化は重要な課題の一つである。そこで我々は、小型かつ着脱作業性に優れるSmall Form-factor Pluggable(SFP)型の送受信一体A-RoFモジュールの開発を進めている。本稿では、SFP型A-RoFモジュールの伝送特性を評価し、さらに、IFoF伝送ミリ波基地局構成(上り)にて、想定受信電力レンジに対し、RoF出力信号が所要信号対雑音比を満たすことを計算で確認する。
6G/IOWNにおける大容量無線通信の実現に向けて,高周波数帯無線エリア構築が検討されている.一方で,高周波数ほど伝搬損失が増加する電波の特徴から,基地局1台あたりのカバー範囲が狭くなるため,基地局の高密度設置が必要となる.そこで,A-RoFを活用して無線基地局の信号処理機能を集約局:CSに集め,張出局:RRU を簡易化・低消費電力化しエリア拡大を容易にするシステム構成を提案している.A-RoFを用いた複数張出局の置局に際して柔軟性を向上させるため,カスケード型のNWトポロジーが検討されている.本構成は各RRUにおいて光スプリッタと光合分波器を用いているため光損失が大きく,接続可能なRRU数が制限されるという課題がある.
本稿では,この課題を解決するための構成を提案し,有効性をシミュレーションおよび実験評価により示す.
6G時代に向けて超大容量化を実現するためには,ミリ波やテラヘルツ波等,高い周波数帯を利用する必要がある.一方で,既存のモバイル通信と同等のエリアを構築するには高密度に張出局(RRU:Remote Radio Unit)が必要となる.そのためRRUの簡易化が必要があり,これを実現する技術としてA-RoF(Analog Radio-over-Fiber)を検討している.A-RoFシステムにおいてRRUで無線エリア半径を拡大するにあたって制約となるのが、上り回線におけるE/O(Electronic/Optical signal)変換器への入力電力のダイナミックレンジである.入力電力がE/O変換器の線形領域以上の入力となると非線形性による非線形歪みによって不要高調波が生じ,信号対雑音電力の劣化が生じる.本稿では,無線領域においてRRUでの受信電力値を適応的に制御することで,E/O変換器のダイナミックレンジを拡張することなく,無線エリア半径を拡大可能であることを報告する.
休 憩(16:00 再開) 座長 安達宏一(電通大)
B-5-116 |
時変動チャネルにおける時間領域シンボル拡散の拡散行列サイズ適応によるCMAの干渉抑圧性能改善
○池田晴哉・丸田一輝(東京理科大)・久野大介(阪大)・中山 悠(東京農工大) |
B-5-117 |
水中音響通信を用いた無線制御型ROVの実験実証
○福本浩之・奥村亮太・藤野洋輔・大森誓治・伊藤勇弥・石原拓実・田端佑至(NTT) |
B-5-118 |
水中音響通信を用いた無線制御型ROV向けMACプロトコルの実装
◎奥村亮太・福本浩之・藤野洋輔・大森誓治・伊藤勇弥・石原拓実・田端佑至(NTT) |
B-5-119 |
水中音響通信におけるインパルス性雑音耐性の向上に向けた双方向等化手法の一検討
◎伊藤勇弥・福本浩之・藤野洋輔・大森誓治・奥村亮太・石原拓実・田端佑至(NTT) |
ブラインド型アダプティブアレーは,参照信号によるチャネル推定を不要としながらも同一チャネル干渉
を抑圧可能である.Beyond 5G/6G に向けて,V2X や水中音響通信など,高速移動環境での通信アプリケーションが台
頭しつつある.このような激しいチャネル時変動環境における空間多重伝送の実現に向けて,頻繁な参照信号の伝送
を不要とする効率的な干渉抑圧技術の確立が求められる.本稿では,定包絡線アルゴリズム(CMA: Constant Modulus
Algorithm) に着目し,その時変動チャネル環境下における干渉抑圧性能を評価する.さらに,CMA の動作領域を拡
張する時間領域シンボル拡散(TISS: Time-Domain Inter-Symbol Spreading)を適用し,様々な干渉条件下での有効性
を明らかにする.
海洋産業分野において、ROV (Remotely Operated Vehicle)をはじめとする水中機器の利活用が検討されている。海中は電波通信が困難のため、ほとんどの場合、有線制御型の機器が用いられる。無線制御型の水中機器の実現により、構造物や突起物の多い海中環境での作業の安全性と効率性を高めることが出来ると考えられる。本稿では、双方向通信可能な音響通信装置を用いた無線制御型のROV を構築し、実海域において音響通信による映像配信と遠隔制御を実証したので報告を行う。
海中において使用される機器類にはケーブルを用いた通信を利用しているものが多く,効率化や安全確保のため無線化が強く求められている.従来技術と比べて高速通信可能な音響通信技術が確立されつつあるものの,音響通信特有の制約下で十分な通信性能を実現するには,効率的な通信リソース使用制御が必要である.本稿では,音響通信システム向けに設計したMAC (Media Access Control) プロトコルを音響通信装置へ実装し,その有効性を実海域において検証した結果を報告する.
水中音響通信では,伝送路の二重選択性フェージングを補償するため,判定帰還型の適応等化器がよく用いられる.しかし,浅海域において水中音響通信を行うとき,判定帰還型の適応等化器は,浅海域に生息するテッポウエビ等の海中生物が発するインパルス性雑音の影響を受け,一時的に復調性能が低下する.本稿では,インパルス性雑音による復調性能の低下を軽減させるため,双方向等化処理における選択受信手法を提案する.初期検討として,ミドルトンクラスA分布に従う加算性雑音通信路におけるBER (Bit Error Rate) 特性を計算機評価し,本手法の有効性を確認する.
3月8日 13:00〜17:00 5号館 5274教室 座長 大本隆太郎(日本電業工作)
B-5-120 |
要求条件の異なる映像伝送が存在する場合のAP間連携による無線リソース制御の性能評価
○山田良太・留場宏道・中村 理・佐藤拓広・浜口泰弘(シャープ) |
B-5-121 |
無線LANにおけるフレームバースティングを用いたファイル送信遅延の公平性向上法の検討
◎原 拓也・稲井 寛・荒井 剛・若林秀昭(岡山県立大) |
B-5-122 |
広帯域伝送機会向上のための仮想専用チャネル構築法を用いた複数チャネル占有に関する一検討
◎堤 俊介・平野侑佑・宮本伸一(和歌山大) |
B-5-123 |
QoS連携した異種無線ネットワークにおける経路冗長化方式
◎鮫島景子・土田 輝・坂口尚駿(三菱電機)・角 武憲(静岡大)・大賀正夫・永井幸政(三菱電機) |
B-5-124 |
IEEE 802.11beにおける競合端末の伝送レートを考慮したマルチリンク選択手法に関する一検討
◎大谷花絵・アベセカラ ヒランタ・岸田 朗・淺井裕介・鷹取泰司(NTT) |
無線通信システムでは,大容量・低遅延アプリケーションへの要求が益々高まっている.次世代無線LANでは,衝突確率の低減やスループットの向上を目的としてアクセスポイント (AP) 間連携が注目されている.超高精細映像伝送のような要求の高いアプリケーションにおいては,無線通信の大容量化が必ずしもアプリケーションの実現に直接つながらない問題が生じている.そこで,アプリケーション収容数の向上を目的とし,筆者らは,従来のスループットではなく,要求条件を満足するか否かに基づいた映像スループットを改善する無線リソース制御技術としてApplication Proportional Fairness (APF)を検討し,AP間連携においても有効性を確認した.これまでの評価では単一の要求条件の映像伝送で評価していたが、本稿では複数の要求条件の映像伝送が存在する場合の評価を行い,提案手法の有効性を示す.
CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)では,フレーム衝突を起こした端末のバックオフ時間が大きくなる傾向があるため,衝突を起こさなかった端末との間でファイル送信遅延に不公平が生じる.
本稿では,フレームの再送回数が大きくなっている端末にフレームバースティングを用いる手法について検討している.
その結果,ファイル送信遅延の公平性が向上できることが示された.
IEEE802.11系無線LANの伝送速度の高速化を図るためには,複数チャネルを用いた広帯域伝送が必須である.しかしながら,無線LANは他システムと周波数資源を共用しており,常に複数チャネルを用いて高速に伝送できるとは限らない.これまで我々は,プライベート空間で運用される無線LANにおいて,エリア所有者のBSS(エリアオーナBSS)のQoS保証を可能にする技術として,媒体予約機構を応用した仮想専用チャネル構築法を提案した.本稿では,複数チャネルを用いて広帯域伝送できる機会の向上を目的として,仮想専用チャネル構築法を導入し,エリアオーナBSSの伝送性能を明らかにする.
自営網とセルラー通信のQoSを連携したネットワークに関して、経路冗長化のための方式を提案する。自営網とセルラー通信の両方に対応した中継端末を複数設け、各中継端末が自営網端末へセルラー通信の混雑度を通知することで、自営網端末が混雑したセルラー通信経路を事前に回避する。
IEEE 802.11beに搭載予定であるマルチリンク機能を有する無線デバイス (MLD: multi-link device) は,周波数の異なるリンクを同時に利用したデータ伝送が可能になる.一方, リンク毎に通信特性は異なるため,本機能の活用には要求品質に応じた適切なリンク選択が重要となる.また単独リンクのみ使用可能なレガシー端末とMLDが混在した場合,レガシー端末はMLDと送信権獲得競争を行わねばならず通信特性が劣化する.そこで本研究ではネットワーク全体およびレガシー端末のスループット向上に向け,競合端末の伝送レートが低いリンクを使用するMLDリンク選択手法について検討を行った.
休 憩(14:30 再開) 座長 宮本伸一(和歌山大)
B-5-125 |
工場における無線通信評価のためのトラフィックモデル生成手法
○板谷聡子・大堀文子・大須賀 徹・松村 武(NICT) |
B-5-126 |
ローカル5Gにおけるスループット制御についての一評価
○大須賀 徹・中島健智・大堀文子・板谷聡子・松村 武(NICT) |
B-5-127 |
立体倉庫に無線通信を導入する際の伝搬環境に関する一考察
○大堀文子・板谷聡子・雨海明博・大須賀 徹・松村 武(NICT) |
B-5-128 |
時間で分割した無線リソース間の干渉による影響
○青木 寛・山口真司・長谷川晃朗・横山浩之(ATR) |
B-5-129 |
稠密環境における他システム干渉を考慮したチャネル選択法のシステムレベル特性評価
◎山田浩輝(諏訪東京理科大)・宗 秀哉(湘南工科大)・征矢隼人(諏訪東京理科大) |
製造現場において, 稼働中の生産ラインに無線通信を用いた新規システムを導入する際,安定運用のための評価が必要である.通信システムのテストと評価では,システムに注入するトラフィックを生成する必要があり,注入されたトラフィック自体のスループットを評価したり,別の評価をするときにバックグラウンドの負荷や干渉トラフィックとして使用したりする.本稿では,無線通信技術を用いた製造システムの評価やシミュレーションによる評価に利用するためのトラフィックモデルの生成手法を述べる.
製造現場では,部品や仕掛品の余剰削減のため,搬送車によって必要なものを必要なときに必要な分だけ供給するジャストインタイムの仕組みが導入されている.現在は人が搬送車を直接運転しているが,省人化や生産効率の向上のため搬送車の遠隔運転に対するニーズが高まっている.搬送車の遠隔運転を可能にするためには,搬送車に搭載したカメラの映像を無線で送信する必要があり,無線で数十Mbpsのスループットを維持する必要がある.そこで本稿では,高速大容量であるローカル5Gを用いてアプリケーションに必要なスループットを継続的に得ることを目的として,その一次評価としてローカル5Gのパラメータを設定したときのスループットの評価を行う.
製造現場では自動ロボットを用いて省力化・省人化する動きが活発化しておりスタッカークレーンのような立体倉庫が利用されている.その骨組みは金属でつくられていることが多く金属柱が縦,横,斜めの方向に格子状に並ぶ.このような環境で無線LANを利用する場合,APから発せられた電波が通信に十分な信号強度で受信できない地点がある.立体倉庫のような金属格子内ではLOSとNLOSが混在しており,さらに電波が乱反射して強めあったり弱めあったりするため,減衰要因を特定できていないと伝搬特性の解析精度が下がる.そこで立体倉庫内で搬送機が5GHz 帯の無線を利用する地点に対して電波の到来方向を計測し減衰要因を考察する.
近年,製造やインフラなど様々な分野でIoT(internet of things)が利用され,これらには移動を伴う機器,配置の柔軟性等のために無線化が進められている.工場等の施設内の空間で密に配置された多数の無線機器が同時に通信を試みるような状況では,通信衝突による遅延やパケットロスが頻発し,これらが原因となって遅延や信頼性の保証が難しくなる.このような問題を解決するため,我々は無線リソースを各機器に適切に割当て協調動作させるシステムの研究を進めている.本稿では,割当てた無線リソースに対してシステム上の必要性から想定を超えるトラフィックが突発的に生じた状況を考慮し,評価した結果を報告する.
アクセスポイントが高密度に配置されている稠密環境では干渉により通信品質が劣化する.現在,干渉低減のため,複数無線システムの連携制御が検討されているが,すべてのAPが管理下であることを前提としている.そこで,本検討では管理外APが存在する環境で,APおよび端末が無線環境を把握し,チャネルを選択する手法を提案する.さらに,ショッピングモールを想定した稠密環境においてシミュレーションを行い,提案法のスループット特性を評価した.
休 憩(16:00 再開) 座長 久保博嗣(立命館大)
B-5-130 |
Diamond Untrusted Relay Networks with Friendly Jamming: Physical Layer Security Perspective
○Shen Qian(Kanagawa Univ.) |
B-5-131 |
秘密分散法を適用したMIMO固有通信の秘匿性に関する一検討
○山中仁昭・金城繁徳(海保大)・宮本伸一(和歌山大)・三瓶政一(阪大) |
B-5-132 |
無線秘密鍵共有における量子化符号語の不一致訂正と誤り訂正符号による鍵一致の検討
○吉田正樹・笹岡秀一・岩井誠人・衣斐信介(同志社大) |
B-5-133 |
物理層秘密鍵生成における補間手法を用いた性能改善の一検討
○小島 駿・杉浦慎哉(東大) |
This work considers a diamond network with two untrusted relays with low-security clearance levels. Lossy decoder-and-forward is utilized at both the untrusted relays to enhance the reliability of transmission and to keep the source information confidential to the untrusted relays. The reliable-and-secure probability (RSP), which is the probability that the original messages can be retrieved at the destination while keeping confidential to the relays, is derived. It is found that with the help of cooperative jamming signals, superior reliability and security performance of RSP can be achieved.
無線ネットワークの秘匿性を向上するための対策として物理層での対策が注目されている.我々はこうした対策の一つとして,秘密分散法に基づく分散伝送を提案してきた.本方式では無線空間のマルチパス性を利用し,送信ビーム制御により受信ノードに至る複数のパスへ情報を分散して伝送する.これまでの提案では多くのパスへ情報を分散して伝送することで,盗聴ノードが秘密情報を復元するために必要な分散情報を取得することを阻み,正規のノードに対して秘密裏に情報を伝送できることを明らかにした.本報告では,こうした分散伝送をMIMO通信へ応用する.MIMO伝送で形成される固有ストリームへ情報を分散して伝送することによる秘密通信の可能性について検討する.
無線秘密鍵共有では鍵一致のコスト削減 (効率向上) が重要である.鍵一致には各種の手法が検討されているが情報漏洩が少なく効率的な手法は少ない.そこで本報告では適応量子化と量子化符号語の不一致検出・訂正,およびそれらを踏まえた高符号化率の誤り訂正符号の適用,による無線秘密鍵共有方式を検討する.
近年IoT技術の発展に伴い, 無線通信におけるセキュリティには, 低消費電力でかつ高い安全性が要求されている. この要求を満たすに当たり, 伝搬路から秘密鍵を生成する物理層鍵生成技術に注目が集まっている. 伝搬路から生成した鍵を共有する場合, 送受信機間においてパイロット信号の交換が不可欠であるが, 消費電力・情報漏洩の観点に課題が存在する. そこで本稿では, 送信するパイロット信号を削減し, 削減した部分を補間推定することで秘密鍵を生成・共有する手法を提案する. 提案法による有効性を,鍵不一致率(KDR: key disagreement rate)の観点から定量的に明らかにする.
3月10日 9:00〜11:45 5号館 5374教室 座長 湯田泰明(パナソニックホールディングス)
B-5-134 |
バス利用者の利便性を向上するLoRaを用いた声による対話システム
◎△市村凌久・中屋飛人(金沢工大)・袖 美樹子(国際高専) |
B-5-135 |
移動体の無線LAN制御系トラフィックに関する評価実験
○長谷川 淳・大堀文子・板谷聡子・松村 武(NICT) |
B-5-136 |
ローカル 5G における 上り方向通信遅延の特性評価
○雨海明博・大堀文子・板谷聡子・松村 武(NICT) |
B-5-137 |
地上放送高度化方式における送信周波数の偏差に関する室内実験
◎川島祥吾・宮坂宏明・竹内知明・神原浩平・岡野正寛(NHK) |
B-5-138 |
テラヘルツ帯無線LANの実現に向けたマルチ周波数協調動作技術の研究開発―研究開発概要―
○矢野一人・清水 聡・坂野寿和(ATR)・中村 理・留場宏道・浜口泰弘(シャープ)・川本雄一(東北大) |
コミュニティバスは地域の住民にとって重要なインフラとなっているが,気象条件や交通渋滞などによる影響で正常な運行ができない場合がある.我々はスマートフォンを用いてバスのリアルタイム位置を確認出来るシステムを試作したが,バス利用者向けアンケート結果より高齢者などスマートフォンの操作を苦手とするバス利用者が,より手軽なバス位置確認方法を希望していることが判明した.本稿では,スマートフォンを持たない利用者を想定し,バス停から声によって対話するシステムを考案した.そのシステムを試作し,通信速度を速めるために行う音声テキスト化の精度とLoRaによる通信の精度を検証したため,その概要を示す.
製造現場ではAutomated Guided Vehicle(AGV)と呼ばれる自動搬送車やスタッカークレーンのような移動ロボットなどが無線LANにより制御されている.これらの移動体の制御を安定的に継続するために,無線LANの品質情報を取得し制御にフィードバックしていく必要があるが、品質情報のような制御情報のトラフィックが多くなることにより,帯域を圧迫する可能性がある。本稿では,無線LAN付近および稼働物体上の無線LANセンサで取得した実験データから制御トラフィック量に対する考察について報告する.
製造現場へのローカル5G導入において,有線LANや無線LANをローカル5Gで置き換えたいという需要が想定されるが,その通信遅延特性には大きな違いが存在する.特に,制御用に用いられる通信は遅延に対する要求がシビアである場合が多く,予め通信遅延の特徴を把握しておくことはシステム設計上重要である.今回はローカル5Gの実機を用いて遅延を測定し,TDDに起因する独特の遅延パターンが現れることを確認した.また,準同期TDD2を用いて上りスロットを増やしてもトラフィックの種類によっては遅延短縮には結びつかないことが明らかになった.
筆者らは地上放送高度化方式(以下,高度化方式)の研究開発を進めており,その実用化に向けては, 送信周波数の許容偏差等の技術的条件を明らかにする必要がある.地上デジタル放送の送信周波数の許容偏差はSFN(Single Frequency Network)を構築することを想定して規定されている.SFN環境における2つの信号の送信周波数の偏差(以下、周波数偏差)は, キャリア間干渉を引き起こし,受信特性を劣化させる要因となる. 今回,SFN環境を想定した室内実験により,周波数偏差がある場合の受信特性を評価した.FFTサイズ,キャリア変調,符号化率などをパラメータとして,所要周波数偏差を測定した.
Society5.0の実現に向けて,超臨場感コミュニケーションや遠隔制御に必要な超高精細映像やセンシング情報等を無線で伝送する技術が求められている.昨今,ミリ波帯の活用による無線通信の大容量化が図られてはいるが,将来的に必要とされる1 Tbps級の伝送容量を実現するにはより広い周波数帯の活用が不可欠である.そのため,筆者らは将来的な1 Tbps級の伝送速度を見据えた超広帯域マルチストリーム無線LAN技術の実現に向けた研究開発を行っている.具体的には,利用可能な周波数リソースと収容すべきトラヒックに応じてマイクロ波帯,ミリ波帯およびテラヘルツ帯の3周波数帯を効率的に活用する技術,ならびにテラヘルツ帯においても空間領域の無線リソースを活用する複数アクセスポイント(AP)連携マルチストリーム(MIMO)無線伝送技術を開発し,これらの要素技術を組み合わせることで実バックホール回線を用いて実利用環境において100 Gbps級の伝送が可能な無線LANの実現を目指している.本稿では本研究開発の概要を示す.
休 憩(10:30 再開) 座長 石原浩一(NTT)
B-5-139 |
テラヘルツ帯無線LANの実現に向けた機械学習を利用した無線リンク利用可能性予測
◎芹澤和伸・栗原拓哉・矢野一人・坂野寿和(ATR) |
B-5-140 |
テラヘルツ帯無線LAN の実現に向けたAP 選択についての一検討
○中村 理・山田良太・留場宏道・佐藤拓広・浜口泰弘(シャープ) |
B-5-141 |
テラヘルツ帯無線LANの実現に向けたIRSを利用したアクセスポイント連携高度化技術
○川本雄一・橋田紘明・加藤 寧(東北大) |
B-5-142 |
テラヘルツ帯無線LANの実現に向けたアクセスポイント連携方式の検討
○森 敬一朗・矢船憲成・矢野一人・坂野寿和(ATR) |
B-5-143 |
テラヘルツ帯無線LANの実現に向けたバックホール開発
○矢船憲成・森 敬一朗・清水 聡・矢野一人・坂野寿和(ATR) |
本研究開発で利用を想定するテラヘルツ帯は,伝搬路の距離減衰がマイクロ波帯やミリ波帯と比較して著しく大きいため,利得を確保するためにはビームは超ナロー化する必要がある.このとき,接続可能なAP探索には多数のビームを走査する必要が生じ,大きなオーバヘッドが発生する.そこで,複数の周波数帯における各AP-端末間の伝搬路情報を電波指紋化し,これに機械学習を適用することにより,学習結果と伝搬路情報の変動履歴からテラヘルツ帯でのビーム走査をすることなく,低オーバヘッドでの無線リンクの利用可能性予測を目指す.本稿では,機械学習を用いた無線リンク利用可能性予測に関する基礎検討について述べる.
昨今,ミリ波帯の活用による無線通信の大容量化が図られてはいるが,将来的に必要とされる 1 Tbps 級の伝送容量を実現するにはより広い周波数帯の活用が不可欠である.そこでテラヘルツ帯の活用が考えられるが,テラヘルツ帯は伝搬路の距離減衰が極めて大きいため,高利得のビームフォーミングが必要不可欠である.それに伴い,テラヘルツ帯は遮蔽物(ブロッキング)の影響を受けやすくなるため,複数AP の導入することで大きく特性を改善できると考えられる.そこで本稿では,テラヘルツ帯の伝送において,複数AP が存在する環境で,異なる基準でAP を選択して接続した際のチャネル容量を2.4 GHz 帯との比較を行いながら評価する.
高周波数帯では電波の直進性が高く,また障害物等による遮蔽の影響を強く受けることから,IRS (Intelligent Reflecting Surface) を用いた伝搬路構築による電波伝搬環境の改善が有用であると考えられる.IRSにより電波が十分に届かない端末に対し通信環境を改善することはもちろん,本研究開発で検討対象とするアクセスポイント連携の性能を向上させるために,IRSによって連携可能なアクセスポイント数を増加させるための伝搬路構築が有用である.本稿では本研究開発において取り組む課題及び現在想定しているアプローチ概要について紹介する.
Society5.0の実現に向けて,超臨場感コミュニケーションや遠隔制御に必要な超高精細映像やセンシング情報等を無線で伝送する技術が求められている.筆者らは将来的な1 Tbps級の伝送速度を見据えた超広帯域マルチストリーム無線LAN技術の実現に向けた研究開発を行っている.その要素技術として,実利用環境において100 Gbps 級の伝送が実現可能な無線LAN開発を目指し,テラヘルツ波帯でも空間領域の無線リソースを活用する複数アクセスポイント(AP)連携超高速マルチストリーム無線伝送技術とバックホール回線の開発を行っている.本稿では開発内容の1つであるAP連携方式の課題と検討内容について述べる.
本稿では将来的な1 Tbps 級の超高速無線LANシステムの構築に向けた超高速バックホールシステムの開発に必要となる技術について述べた.
3月10日 13:00〜17:00 5号館 5374教室 座長 張 裕淵(東工大)
B-5-144 |
準狭帯域無線システムDR-IoT 設計のためのVHF-High 帯通信実験 -複数伝送速度によるパケット伝送特性-
◎今井元就・池田直希・池亀旅人・井家上哲史(明大)・石原 進(静岡大)・加藤新良太・梶田宗吾(Space-Time Engineering Japan)・山本 寛(立命館大)・髙井峰生(阪大) |
B-5-145 |
周期性バースト雑音環境下における時間・周波数パケット多重伝送を用いたBluetooth Long Rangeの伝送特性改善法
◎德永 凜・明石将季・宮本伸一(和歌山大) |
B-5-146 |
無線LAN共存下での仮想専用チャネル構築法を用いたBluetoothの伝送特性に関する一検討
◎鶴 勇人・多計琳太郎・宮本伸一(和歌山大) |
B-5-147 |
BLE到来角情報を用いたニューラルネットワークによる室内位置推定に関する一検討
◎大橋吟次・大野光盛・衣斐信介(同志社大)・高橋拓海(阪大)・岩井誠人(同志社大) |
B-5-148 |
建設現場における三次元測位に向けた920MHz帯LoRaWANを用いる平面位置推定の検討と実験評価
◎井上貴裕・中野恭輔・牟田 修(九大)・渡辺拓人・池田直広(東急建設) |
筆者らは,地上基幹放送サービスの跡地であるVHF-High帯(207.5MHz~222MHz)において,十分な伝送速度を実現可能な災害対応の準狭帯域無線システム(DR-IoT)の検討を行っている.220MHz帯の伝搬特性については一部すでに報告したが,本稿では,同軸ケーブルでの Packet Error Rate(PER)測定,ならびに高知県香南市での実証実験にて検証を行い,220MHzのAWGNでの受信感度や,実フィールドでの伝送速度の違いによる電波の到達距離の違いについて報告する.
Bluetoothは,元来,ISM (Industrial, Scientific and Medical)機器のための周波数帯である2.4GHz帯を利用するため,良好な伝送性能を達成するためには人工雑音の影響を考慮してチャネルを選択しなければならない.本稿では,ISM機器から発生する人工雑音の周期性,バースト性および周波数選択性に着目し,同一パケットを異なる時間・周波数チャネルにて多重伝送する方式を提案し,その有効性を検討する.計算機シミュレーションの結果,提案方式(時間・周波数パケット多重伝送方式)は従来方式(無符号化方式と符号化方式)よりも良好な誤り率特性を達成できることを明らかにした.
2.4 GHz帯を利用する無線LANとBluetoothは同じ周波数帯を利用することから,両システム間で干渉が発生する.この問題に対し,Bluetoothでは被干渉の少ないチャネルのみを伝送に利用する適応周波数ホッピング(Adaptive Frequency Hopping, AFH)が導入されている.しかしながら,昨今の無線LANデバイスの爆発的普及に伴い,Bluetoothにとって被干渉の少ない周波数チャネルが存在する可能性が低くなりつつある.
そこで本稿では,Bluetoothと無線LANが共存する環境で,無線LANからの干渉を回避する手法として仮想専用チャネル構築法を導入し,Bluetoothの伝送特性を計算機シミュレーションにより評価した.
その結果,仮想専用チャネル構築法を用いることにより,Bluetoothと無線LANが共存する環境において,Bluetoothが安定した伝送性能を確保できることを明らかにした.
Bluetooth5.1からBLE (Bluetooth Low Energy) に方向探知機能が追加され,信号の到来角度 (AoA: Angle of Arrival) を計測できるようになった.AoAの活用により高精度な位置推定が可能とされており,BLE到来角情報の室内位置推定への活用に対する期待が高まっている.しかし,見通し環境であっても測位精度の低下が避けられない.そこで本研究では,ニューラルネットワーク (NN: Neural Network) を適用することにより,測位精度の改善を図った.室内実験によりBLE到来角情報を用いた位置推定にNNを適用することが,測位精度の改善に有効であることを確認した.
高層ビル等の建設現場では作業従事者の安全確認や機材配置の管理のため, 無線信号を利用した高所作業者や機材の位置推定技術の導入が期待されている. 従来, 無線LAN 等の既存インフラを活用した屋内測位技術が検討されている. しかしながら, 建設現場等においては既存の通信インフ ラが存在せず, また建物の内部構造も時々刻々と変化する. したがって, 建設現場では少数の無線機で建物全体を網羅可能な三次元測位技術の確立が課題となる. 著者等は屋内における三次元測位を実現するための要素技術として, 建物内に配置した少数のLoRa 無線機を利用した階高推定を提案した。本稿では, 階高推定技術と併用可能な平面位置推定技術を提案し, その有効性を実験的に示す.
休 憩(14:30 再開) 座長 菅野一生(KDDI総合研究所)
B-5-149 |
LoRaWANにおけるマルチキャリアWPT干渉除去法に関する検討
◎熊田遼汰・安達宏一(電通大) |
B-5-150 |
FTN伝送におけるPDA信号検出器の深層展開に関する一検討
◎梶田 怜・張 岐林・衣斐信介(同志社大)・高橋拓海(阪大)・岩井誠人(同志社大) |
B-5-151 |
OTFS伝送におけるスパース重ね合わせ符号に関する一検討
◎大石慎也・衣斐信介(同志社大)・高橋拓海(阪大)・岩井誠人(同志社大) |
B-5-152 |
マルチセル環境下におけるセミブラインド干渉抑圧方式を用いたアップリンクMassive MIMOへの適応変調符号化
○上野海輝・真野大雅・竹本吏来・安 昌俊(千葉大) |
B-5-153 |
BP信号検出における残留干渉成分の分散の見積り手法とスケーリングパラメータ
○迫田和之(鹿屋体育大) |
LoRaWANは省電力で長距離通信が可能であることから盛んに研究が行われている.また,電波を用いて端末にエネルギーを供給するWPTをWSNに導入する検討が進んでいる.しかし,WPTに用いられる電波は大電力であることから,他システムへ干渉し性能を劣化させる恐れがある.以前,我々は,LoRa受信機における簡易なWPT干渉除去法を提案した.しかし,提案した手法では,LoRaの信号帯域内に1つのWPT干渉信号のみが存在する環境を想定していた.本稿では,WPTマルチキャリア干渉における逐次干渉除去法を提案する.計算機シミュレーションより,WPTマルチキャリア干渉環境下においても提案法が有効であることを示す.
FTN (Faster-than-Nyquist) 伝送はナイキスト間隔未満でシンボルを重畳することで伝送速度の向上が可能であるがそれに伴い発生する符号間干渉により信号検出精度が低下してしまう.本稿ではFTN伝送において発生する符号間干渉を,逆行列演算を許容することで高い干渉抑圧能力を実現するPDA (Probabilistic Data Association) により抑圧する手法を提案する.またPDAにおけるビリーフの外れ値の悪影響の抑圧に適応スケールビリーフを適用する.さらに深層学習の一つである深層展開 (DU: Deep Unfolding) を導入し,PDAに用いる最適なパラメータを探索することで信号検出精度の向上を図る.最後に,計算機シミュレーションによりビット誤り率特性を評価し,提案法の有効性を確認する.
OTFS (Orthogonal Time Frequency Space) 伝送はガウス信念伝搬法 (GaBP: Gaussian Belief Propagation)を信号検出に用いることで低演算量で高精度な検出が可能であることが知られている.本検討ではスパース重ね合わせ符号 (SSC: Sparse Superposition Code)がOTFSに拡張しやすい構造を持つことに着目し,SSCをOTFSへ導入し,OTFS-SSC-GaBPのための符号設計を行った.検出性能はビット誤り率特性を用いて評価し,SC-FDMA (Single Carrier-Frequency Division Multiple Access)-SSCとOTFS-SSCで比較を行った.計算機シミュレーションより,OTFS-SSCはSC-FDMA-SSCと比べ,検出性能が高いことが確認できた.
アップリンク通信において,Massive MIMOでは,大型アンテナアレイを使用してユーザ端末(UT)に鋭い指向性ビームを形成し,希望する信号電力を増加させ,干渉信号の影響を相対的に減少させることができる.しかし,マルチセル環境下では,自セルの基地局で形成したビーム上に,他セルの干渉信号が重なるセル間干渉(ICI)という問題がある.このICIを除去のため、これまでセミブラインド干渉抑圧方式が提案されている\cite{pc}.この方式では,セルエッジ付近のUTに対し,低値の変調方式,低符号化率を割り当てるため,周波数利用効率が低下する問題がある.本研究では,セルエッジ付近の範囲へ適応変調符号化を行うことにより,干渉抑圧性能を維持しながら,周波数利用効率を向上させる適応変調符号化セミブラインド干渉抑圧法を提案する.
大規模MIMO(Multiple Input Multiple Output)での線形信号検出手法として,推定精度の高さと計算量の少なさからBP(Belief Propagation)信号検出が注目されている。BP信号検出には,残留干渉成分の分散の見積り手法に種類があり,推定精度に差がある。代表的な手法では,制振パラメータや対数尤度比の大きさを調整するスケーリングパラメータが導入され,様々な改良がなされている。一方,それ以外の手法は,推定精度の低さから,未だ同様の改良はなされていない。そこで本研究では,それらの手法にスケーリングパラメータを導入し,数値実験によりそれらの性能を評価する。
休 憩(16:00 再開) 座長 衣斐信介(同志社大)
B-5-154 |
独立成分分析を用いた大規模MIMOのチャネル推定に関する一検討
○高橋佑弥・井家上哲史(明大) |
B-5-155 |
レイトレース法を用いたRIS最適制御手法に関する一検討
○竜田明浩・陳 娜・岡田 実(奈良先端大) |
B-5-156 |
アンテナビームフォーミングによるインテリジェント伝搬路制御の一検討
大本隆太郎・○萩原弘樹(日本電業工作) |
B-5-157 |
電波センサによるSub 6GHz帯の電波到来方向推定の一検討
○大本隆太郎(日本電業工作) |
MIMO(Multi-Input Multi-Output)における信号分離には既知のチャネル行列が必要であるが,独立成分分析(Independent Components Analysis : ICA)を用いることにより,チャネル行列が未知であっても信号分離が可能になる.しかし,ICA では非ガウス性の評価が必要であり,この推定には比較的長いデータ系列を要するため,そのまま適用したとしても高い検出精度を期待できない. 本検討では,深層学習の一種である深層展開 (DU: Deep Unfolding) をICAに適用し,比較的短いデータ系列長におけるICAの信号分離性能及びチャネル推定精度を評価した.
キャンパスのLocal 5Gを仮定した環境において,レイトレース法を使用してBSからRIS,RISからUEをそれぞれ伝搬解析し,RIS制御手法について示した.
無線LAN環境下での干渉、不感地帯の影響を緩和する種々のインテリジェント伝搬路制御技術が検討されている。このうち、アレーアンテナを用いたビームフォーミングは有力な技術の一つである。本稿ではWi-Fi 6E対応Access Point (AP) へのビームフォーミングの適用についての一考察を述べる。
無線LAN環境下での干渉、不感地帯の影響を緩和するインテリジェント伝搬路制御技術が検討されている。これまで、電波環境測定ツールとして、測定地点における電波到来方向(DOA)推定を行う電波センサの適用を検討している。ダイナミック周波数制御の研究開発で試作したミリ波帯用電波センサを基に開発したSub 6GHz帯用電波センサの概要および電波到来方向推定の一考察を述べる。
B-6. ネットワークシステム
3月7日 9:00〜11:45 4号館 4201教室 座長 沢辺亜南(NEC)
B-6-1 |
WRED設定値の簡易な決定方法
○藤原貴之・中務諭士・渡辺裕太(NTT) |
B-6-2 |
VPNユーザトラヒック識別の柔軟な関連付け方式の実現性確認
◎井上里美・林 裕平・須藤篤史(NTT) |
B-6-3 |
時系列通信トラヒック生成ツールの設計と実装
○鎌村星平(成蹊大)・武井勇樹・西口雅人・林 裕平・藤原貴之(NTT) |
B-6-4 |
スイッチでのバッファリング遅延要求を保証する高優先フロー収容可否判定法
○杉園幸司・中野寛二・入野仁志(NTT) |
B-6-5 |
トラヒック異常検知におけるZスコア算出時の取得データ数削減法
◎石村昇平・林 裕平・須藤篤史(NTT) |
昨今のネットワークの使われ方として,オンラインコンテンツを複数同時にダウンロードする状況が想定される.多数のユーザが同じ時間帯に通信を利用することが経験的に知られており,通信設備,特にユーザと直結するエッジの帯域が逼迫する.ほぼ全てがBE(Best Effort)トラヒックであり,限られた帯域をユーザ間で公平に使えるように制御することが望ましい.本稿では下りトラヒックのQoS制御方法の簡易化について述べる.
キャリア網にて新たなサービス提供や運用対処の変更等に合わせてトラヒック識別に変更が生じた際,運用者でも加工内容を柔軟に設定できる機能が必要である.本稿では,VPNユーザトラヒック識別に関する柔軟な関連付け方式の検討をした.
本稿では,クローズドループ実現のための各種アルゴリズムの検証やネットワークシミュレーションへの適用を目的とし,取得が困難な通信フローを擬似的に発生させる時系列通信トラヒック生成ツールの設計と実装について報告する.
同じ優先度を有するフローのパケットが同一タイミングで到着した時,スイッチはリンク出力タイミングの競合回避のためパケットをバッファリングする.本稿ではフローが許容遅延と当該遅延超過パケットの許容割合を遅延条件として有する場合に,前記バッファリングが収容済みフローの当該遅延条件を侵害しないよう新規フローのスイッチ収容可否を判定する方法を提案する.
多数のユーザを収容するキャリア網では,流れるトラヒックを監視し,異常検知時は迅速に対処を行う必要がある.そのため,トラヒックデータを収集・ストレージに蓄積した上で,それを別サーバ群から取得し分析や検知に活用するシステム構成を検討している. 本稿では,多くの対象トラヒックを監視・異常検知するために,ストレージへのデータ取得負荷を削減しながら異常検知を行う手法について提案する.
休 憩(10:30 再開) 座長 鎌村星平(成蹊大)
B-6-6 |
フロー統計情報における転送データ量の削減方式
○古田晶規・林 裕平・須藤篤史(NTT) |
B-6-7 |
帯域制御環境におけるバーストトラフィック検知方式の提案
◎林 航平・中村孝幸・西山聡史(NTT) |
B-6-8 |
Heterogeneous NetworkにおけるOpportunistic Routingによる収容トラヒック最大化に関する実験的検証
◎安武知哉・山本 嶺・大坐畠 智(電通大) |
B-6-9 |
BBRフロー競合時の帯域推定に関する一検討
◎南 亮佑・石倉彰太郎・山本 幹(関西大) |
B-6-10 |
Multi-access Edge Computing環境における遅延保証に向けたRound Trip Time測定
◎赤川 宙・黒川紫温(阪府大)・近藤大嗣・戸出英樹(阪公立大) |
キャリア網の通信量は年々増加しており,トラヒック可視化のデータ量も増加しているが,可視化の収集網における経済性の向上も求められている.本研究は,JSON形式からバイナリ形式へ変更した転送データ量の削減方式を提案する.
パケットペイロードから機械学習により異常状態を検知するアノマリ型の監視技術が検討されている.こうした機械学習による監視方式では,レートリミットといった帯域制御を行う必要がある.
DoS 攻撃等の異常通信を検出するうえではバーストトラフィックの発生有無を検出することが重要となる.そこで本稿では,帯域制御された環境下のアノマリ型監視システムでバーストトラフィックの発生有無を検知可能な方式を提案する
IoTネットワークでは,Bluetoothや無線LAN等の様々な通信規格が混在したHeterogeneous Network(以下HN)が形成される可能性がある.
このような環境において,端末同士がマルチホップ通信にて直接通信行うことを想定し,柔軟な経路制御が可能なOpportunistic Routing(OR)が注目されている.
しかし,HNにおけるORの利用は,伝送速度の違いに起因する経路非対称性によって,利用可能帯域を十分に活用できていない可能性がある.
そこで,本稿では,経路非対称性を考慮したORによって,ネットワーク全体の収容トラヒック向上を実現する方式の実験的検証を行っている.
新しい輻輳制御として,BBRがGoogleにより提案されている.BBRにおいて,定常状態としての帯域探索フェーズ(ProbeBW) で,レート維持,探索のためのレート上昇,探索で生じた待ち行列を解消するためのレート減少, の3つの状態を繰り返し,使用可能帯域を推定している.本稿では,ボトルネックリンクを共有する複数フローのこれらの状態推移が非同期である場合について,帯域推定の推移を簡易モデルで求めた結果よりinflightが増加することを示す.BBRにおいてみられるこの現象が,本来レートベースで動作するBBRがinflightパケット量に制約を設けるinflight capで動作する,すなわちウィンドウベースで動作する一つの要因であることを示す.
現在,開発が進んでいる自動運転やVR/ARでは低遅延ネットワークが求められており,計算資源をより端末の近くに配置することで遅延を小さくするエッジコンピューティングが注目されている.自動運転等のユースケースでは,制約時間内に応答が得られない場合には例外的な処理が必要となるため,遅延を保証する必要がある.本稿では,Multi-access Edge Computingシミュレータを用い,ユーザ端末からエッジの計算資源までのRound Trip Timeを測定した.その結果,一部の通信で遅延が増大することが確認され,遅延保証の仕組みが必要であることを示した.
3月7日 9:00〜11:45 4号館 4202教室 座長 張 亮(ソフトバンク)
B-6-11 |
サーバ管理システムに特化した管理ファイル共有システムの検討
北村光芳・○田中龍馬・岡崎竜弥(東京工芸大) |
B-6-12 |
自律ネットワークにつながる自律移動ロボットを用いる映像サービス実現に向けた初期プロトタイプの開発
◎髙橋美乃里・山本秀樹・岩下将人(OKI)・金田悠作・Leon Wong(楽天モバイル)・浦野健太・米澤拓郎・河口信夫(名大) |
B-6-13 |
ジェスチャを用いた位置と向きに基づくP2Pグループ会話システム
◎青木優翔・山崎 託・三好 匠(芝浦工大)・朝香卓也(東京都立大) |
B-6-14 |
ゲーミフィケーションによる3次元空間のモバイルクラウドセンシング
◎齋田浩生・山崎 託・三好 匠(芝浦工大) |
B-6-15 |
複数端末のコーデックネゴシエーションにおけるSDP確認方式
○中村 拓(NTTドコモ)・福井靖典(ドコモ・テクノロジ) |
近年,インターネットを利用した様々なサービスの需要が非常に高まっている.このようなサービスを安全かつ効率的に提供するには,サーバシステムの最適な運用が要求される.そこで,高可用性かつ省電力化を実現するサーバシステムの構築法が検討されている.一般的にサーバ管理システムにおいて管理ファイルを共有するために使用するFileサーバは,障害対策を考慮して冗長化を行うため,管理ファイルの共有方法など複雑な制御が必要となる.そこで,この問題を解決するために汎用性を考慮した管理ファイル共有システム(MFSS)について報告されている.しかしながら,MFSSにおける概要の説明にとどまり,動作時における性能が示されていない.そこで,本報告ではファイル同期時間測定実験を行い,MFSSの性能を示す.
本研究では、Beyond 5Gのサービスで求められる、より高度なネットワーク制御と事業者間連携に向け、自律ネットワークと双方向CDNと自律移動ロボットが連携し、動物園で実際にツアーに参加している人がおり、さらに遠隔地にいる人同士で同期がとれた動物園の映像を視聴できる遠隔動物園ツアーサービスの社会実装に向けた検討を行っている。本報告では、それぞれの基本機能から検討したシステムの初期プロトタイプと、検証から明確になった課題について述べた。今後は、3つの機能を連携させたさらに大規模なシステムを開発し、将来の様々なBeyond 5G上のサービスの社会実装に向けた研究開発を進めていく。
現状のグループ会話において、同グループ内での並列な会話が難しいという問題がある。
その問題に対し、従来手法として、位置や向きを用いて受話者を選択しながらグループ会話を行うシステムが提案されているが、
受話者選択の際に画面を見る必要があり、操作性や利便性に課題が残っている。
そこで、ジェスチャを用いて受話者を選択するグループ会話システムを提案する。
ジェスチャの種類によって受話者の選び方を変えることで、
画面を見る必要なく、柔軟に受話者を選択しながら会話を行うことができる。
また、ジェスチャには直感的かつ簡潔なものを選択しているため、歩行時でも利用可能なシステムとなっている。
スマートシティの実現に向けて都市のデジタル化が進み,都市環境のモニタリングや車両などの自律移動に,3次元都市モデルの利活用が期待されている.しかし,3次元の都市モデルを作成するには,多角的かつ膨大なセンシングデータが必要となる.本稿では,都市の3次元モデルを動的に作成し更新するため,色塗り陣取りゲームにより,ユーザにセンシングの動機を与えるモバイルセンシングシステムを提案する.提案システムを,LiDARセンサを搭載しているiPadにARKitを用いて実装し,研究室内でその動作を検証した.
VoIPにおいて、一般的な1対1の端末間通信であれば、RFCで規定されているオファー/アンサーモデルで最適なコーデックを決定するが、付加サービス提供のため、中継装置がSDPを終端し、複数の端末で接続処理を行う場合、端末間で適切なSDP情報の交換ができないケースが存在する。
付加サービスを提供する中継装置で通信要求を受けた端末のSDP情報を記録、終端し、異なる端末から接続要求を受けた際に、記録している端末のSDP情報のネゴシエーションを行い、仮に最上位コーデックでネゴシエーションができない場合等は下位コーデックでネゴシエーションを行う等、適切なSDPオファーを中継装置が生成し、端末に返却することによって解決する。
休 憩(10:30 再開) 座長 小島英春(阪工大)
B-6-16 |
Mobile Crowd Photographing における類似度に基づくキャッシュ置換
◎鄧 千宜・上山憲昭(立命館大) |
B-6-17 |
LiDAR点群データと端末位置情報を利用した位置依存形P2Pシステム
◎山下晋吾・三好 匠・山崎 託(芝浦工大) |
B-6-18 |
V2X環境における道路情報を考慮した位置依存形P2Pの実装
◎塙 大樹・三好 匠・山崎 託(芝浦工大) |
B-6-19 |
ネットワーク型ロボット制御システムの設計と実装
◎日高健夫・小向祥実・和田啄茉・山根浩義・林 佑樹・鈴木 順・丸橋建一・池田 聡(NEC) |
B-6-20 |
位置依存形P2Pにおける動的モジュールを利用したサービス実現手法
◎佐久間勇悟・三好 匠・山崎 託(芝浦工大) |
近年,Twitter や Facebook などの SNS (Social Network Service) の普及に伴い,スマホからアップされた写真を様々なサービスに活用する MCP (Mobile Crowd Photographing) が広く用いられている. MCPにおいては,ネットワーク上に数千万枚以上の画像がアップされる一方,ユーザの要求する画像に厳密に一致する画像を配信する必要性は低いため,いかにして所望の画像に近い画像を配信できるかが重要である.画像の配信には CDN やエッジキャッシュなど,キャッシュサーバから配信される機会が多い.キャッシュの容量は限られているため,容量を超過するとき,キャッシュに残す画像を選択するキャッシュ置換法が必要である.そこで本稿では,キャッシュ内に存在する他の画像との類似度が最大の画像から優先的に削除するキャッシュ置換法を提案する.キャッシュ内における画像の類似度に基づいて画像データをグループ分けすることで,類似度計算に要する時間を抑制し,また人気度も考慮することでキャッシュヒット率の向上を目指す.代表的なキャッシュ制御法である LRU (Least Recently Used) と FIFO (First In First Out) と性能を比較し,提案方式の有効性を示す.
端末位置情報を基にP2P(Peer-to-peer)ネットワークを構築する手法としてG-LocON(Geo-location oriented network)が提案されている.また,歩車間の交通事故を未然に防ぐためのサービスとして,G-LocONを利用して危険通知を行うシステムが提案されている.従来手法では,P2Pを用いて周辺端末と位置情報を共有するため,端末を所持していないユーザは検出されない.一方,歩行者や車両などを精密に測定・検出するセンサとして,LiDAR(Light detection and ranging)が注目されている.本稿では, LiDAR点群データと端末位置情報を用いて,端末の所持・不所持に関わらず歩行者の位置を表示できる位置依存形P2Pシステムについて検討した.
近年,高度道路交通システムの早期実現に向けて,位置情報をもとに近隣の端末間でネットワークを構築する手法が注目されている.そのようななか,V2X(Vehicle to everything)環境において端末の移動性や実際の道路網を考慮した車両ネットワーク構築手法が提案されている.しかし,本手法では端末数の増加に伴い,ネットワーク構築に要する時間が大幅に増大する可能性がある.本稿では,道路情報を考慮したうえで計算量の増加を抑えた位置依存形P2Pネットワーク構築手法を提案した.
本稿では,ネットワーク型OT制御システムのアーキテクチャ設計および実装を行ったので報告する.ロボットの一連の動作をソフトウェアモジュールとして設計することで,制御やAI学習等の多様な処理をエッジとクラウドに跨って分散して実行することが可能となる.また,用途によって上記モジュールの様々な機能を組み合わせてアプリをパッケージすることで,多様なサービスを提供することが実現される.
※同時に投稿している「時空間ダイナミックフロー制御技術の遅延性能評価」の関連発表になります。並びでの講演順を希望します。
近年,位置情報を利用したサービス(LBS: Location-based service)が増加している.また,既存の無線通信インフラを用いて周辺端末との相互通信を実現する技術として,位置依存形 P2P通信基盤 G-LocON (Geo-location oriented network)が提案されている.筆者らは,G-LocON を用いたさまざまな LBS を提案しているが,それぞれ単一の機能のみの提供となっておりユーザの利便性は低い.本稿では,位置依存形 P2P における動的モジュールを利用した LBS 実現手法について検討した.
3月7日 13:00〜17:00 4号館 4201教室 座長 見越大樹(日大)
B-6-21 |
プログラマブルスイッチと計算機を組み合わせたICNルータにおけるキャッシュ処理の高速化に関する一考察
◎武政淳二・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-6-22 |
ICN導入が他ISPの利益に与える影響の分析
◎伊藤柾基・上山憲昭(立命館大) |
B-6-23 |
ICNにおけるネットワーク障害を考慮したコンテンツキャッシュ
○樋上恵伍・木下和彦(徳島大) |
B-6-24 |
NDN輻輳制御のResource Poolingに関する一検討
◎阪本 凱(関西大)・速水祐作(NICT)・山本 幹(関西大) |
B-6-25 |
ICNにおけるIOTAを用いたコンテンツ名管理方式
◎岡田鉄平・上山憲昭(立命館大) |
本稿ではプログラマブルスイッチと計算機を組み合わせて構築する Information-Centric Networking (ICN)ルータにおいて、テラビット/秒の速度で Data パケットを応答可能なキャッシュ (Content Store: CS) の設計を提案する。高速化の課題は、スイッチが本来外部へのパケット転送に割くべきポートの帯域を計算機上のCSへのデータ伝送に割く分フォワーディング速度を低下することであり、このデータ伝送量の削減手法を設計する。
ICNの導入に伴い,ISP間の交流トラフィックが変化し,ICN導入が各ISPの利益に影響を与える.筆者らはこれまでに,階層的なAS間トポロジ構造を対象に,ICNの導入が各ISPの利益に与える影響を分析し,ICNの導入を促すにはインセンティブが必要であることを明らかにしたが,インセンティブの付与法は未解決である.インセンティブ付与には,収益が増加するISPから増加収益の一部を徴収して基金を作り,収益が減少するISPに基金から補助金を付与することが有効である.そのためには各ASのICNの導入が他のASの利益に与える影響を明らかにする必要がある.そこで本稿では,各ASのICN導入が他ASの利益に与える影響を解析的に導出する.
Information Centic Network(ICN)は,コンテンツ主体のネットワークアーキテクチャであり,トラヒックの負荷分散やデータ取得を効率的に行う役割を持つため国内外で多く研究が行われている.
ICNでは,ユーザの要求頻度が高いコンテンツほど多くキャッシュが残り,転送効率が高くなる.
しかし,障害発生時のコンテンツ可用性の観点からは,より多くの異なるコンテンツをキャッシュすることが重要である.
ネットワーク障害が発生すると全体のキャッシュ容量の減少と転送ホップ数の増加が引き起こされるが,その影響の大きさは障害ノードの位置に依存する.
そこで本研究では,その影響度を事前に評価し,障害時でも転送時間増加を抑制できる新たなコンテンツキャッシュアルゴリズムを提案する.
TCP/IPにおいては複数経路でのコンテンツ取得を対象にResource Poolingが提案されている. これは, 一つの共有リンクを公平利用するというミクロな視点から脱却し, 複数経路上のリンク資源をユーザ間で公平利用するというマクロな視点での公平性の概念である.
近年, データ取得の効率化の目的から, コンテンツ指向ネットワーク(以下 ICN)アーキテクチャが注目されており, その一つに NDN(Named Data Networking)がある.
NDNの輻輳制御であるPCONを対象にした性能評価により, マクロな視点での公平性である Resource Pooling が達成されていないことを明らかにする.
コンテンツの名称をもとにルータでコンテンツをキャッシュし配信する情報指向ネットワークでは,誰もがPublisherとしてコンテンツをアップロードできるが,攻撃者が実在するコンテンツ名でfakeコンテンツをアップロードすることでキャッシュの機能を低下させるCPA(content poisoning attack)の問題が指摘されている.公開鍵暗号を用いたディジタル署名によりコンテンツの正当性を判断可能だが,認証局の職員が攻撃者と結託して公開鍵を書き換えることで,実在するコンテンツを騙るfakeコンテンツをキャッシュに注入する詐称fake型CPAは対策が困難である.そこで本稿では,登録データの改ざんが困難な分散型台帳技術のIOTAでコンテンツ名を管理し,詐称fake型CPAを未然に防ぐ方式を提案する.
休 憩(14:30 再開) 座長 眞田耕輔(三重大)
B-6-26 |
広域多端末データ収集に向けたRDMA通信制御方式の評価
◎津上諒平・福井達也・成川 聖(NTT) |
B-6-27 |
トラヒックの周波数解析によるデバイス推定手法の提案
◎高崎智香子・郡川智洋・服部恭太・大和田英成(NTT) |
B-6-28 |
多端末・大容量メモリ間転送技術のためのRDMA宛先変換機能の提案
○井上綺泉・遊部航希・市川潤紀・小倉 毅・尾花和昭・西沢秀樹(NTT) |
B-6-29 |
自己適応型IoTトラヒック異常検知システムにおけるモデル更新が検知に与える影響
◎渡邉直人・山崎 託・三好 匠(芝浦工大)・中原正隆・奥井宣広・窪田 歩(KDDI総合研究所) |
B-6-30 |
LPWAによる屋内空間の混雑領域推定に向けた検討
◎細沼恵里(東大)・山崎 託・三好 匠(芝浦工大)・田谷昭仁・西山勇毅・瀬崎 薫(東大) |
センサから発生する多様なデータを活用して新たな価値を創造するサイバーフィジカルシステムが検討されている。我々はこれまでに広域に多数配備されるセンサ等から大容量のデータを効率的に収集する方式について検討を行ってきた。本稿では提案方式の有効性評価結果を報告する。
Internet of Things (IoT)の進展に伴い,多様な通信品質要求を満たすネットワークを提供するため,ネットワークオペレータは,ユーザデバイスの通信品質要求を把握した上でネットワークを設計・制御する必要がある. そこで,ネットワークオペレータが取得可能な暗号化されたトラヒックのヘッダ統計値とパケット送信数の時間変化を2段階で解析し,デバイスの機能カテゴリを推定する手法を提案した.しかし,デバイス毎にパケットの送信時間が異なるため,画一的な時間窓でのサンプリングによる特徴量抽出では,その多様性に対応できないことが課題であった.本稿では,トラヒックの周波数解析により,デバイスの周波数特徴量を抽出する手法を提案する.
将来,厳しい要件設定を持つアプリケーションの増加が予想される.例えばリモート音楽ライブでは,アーティストと大勢の観客との間で違和感なくインタラクションするため,多端末かつ低遅延が要求される.またVolumetric Videoのような大容量データの配信に加え,同期やレンダリング処理をするため信頼性を確保する必要がある.低遅延な計算機向けのインターコネクト方式にはRDMAの利用が検討されている.
本研究では,送受信端末近傍に配置したプロキシにRDMAマルチキャスト用宛先変換テーブルとヘッダ変換を行う宛先変換プロトコルを追加することで,RDMAにおける高信頼な1対多の通信方式の実現を目指す.
近年,IoT(Internet of things)デバイスを狙う攻撃が増加傾向にあり,今後も手法が明らかになっていない未知の攻撃が行われることが予想される.それに対し,著者らは,収集したトラヒックを用いて攻撃を検知するモデルを動的に更新し,未知の攻撃に対応する自己適応型IoTトラヒック異常検知システムを提案している.本稿では,上記のシステムにおいて,モデルの更新が検知精度に与える影響を解析する.
空間内に設置した無線センサノードが送受信する信号の受信信号強度に基づき混雑度を推定する手法が提案されている.これらの手法では,室内やイベント会場内などの開けた領域にセンサノードを設置し,定期的に制御メッセージを交換することで,各ノードが受信したメッセージのRSSIに基づき領域内の滞在人数を推定する.しかし,これらの手法によって,上述する領域が複数存在する建物のフロア全体など,広域な屋内空間内の混雑領域を推定するためには,各領域内に多数のノードを設置する必要がある.そこで,本稿では,低消費電力かつ広域通信が可能な無線通信規格であるLPWAを用いた低コストかつ様々な広域屋内環境に適用可能な混雑領域推定手法の実現に向けて,LPWAノードを用いたRSSIの計測実験を行う.
休 憩(16:00 再開) 座長 金井謙治(早大)
B-6-31 |
大規模農場向けLPWAセンシングシステムの提案
◎△杉山大季(芝浦工大)・小野翔多・細沼恵里・西山勇毅・瀬崎 薫(東大)・山崎 託・三好 匠(芝浦工大) |
B-6-32 |
ゲートウェイ冗長構成における TDMA を用いた LoRa 通信
◎△福島爽也人・向井宏明(金沢工大) |
B-6-33 |
DDSによる異常検知時における信頼性確保に向けた実現方式の検討
◎塩原嵩大・石橋孝一・横谷哲也(金沢工大) |
B-6-34 |
レンジキーを用いたデータ変化に対してロバストなSkip Graph拡張に関する検討
◎栗田基生・藤本章宏(和歌山大)・戸出英樹(阪公立大) |
昨今,収集した情報に基づいて農業を行うスマート農業が注目されており,特に大規模な農場では有効性が高いと考えられる.大規模農場の一つであるアリゾナ州のピーカンナッツ農場は,1区画が約800m四方と広大であり, 多くの場所で移動体通信が不達かつ電源供給が難しい.本発表では,このような大規模農場向けLPWA(Low power wide area)センシングシステムを提案する.また,システムの基礎的な実装を行い,通信実験の結果を解析する.
近年IoT向けの無線通信技術として,LPWA (Low Power Wide Area)の一種であるLoRaが注目されている.920MHz帯を利用するアンライセンス系であり,低コストでの導入が可能であるLoRaは低消費電力で広範囲通信が可能であること特徴とし,環境モニタリングのような屋外でのセンサーネットワークに適している.LoRaを用いるネットワークとしてLoRaWANが定義されているが, 実環境の利用においては,山や建物などの障害物より電波環境が悪い場所があること,ALOHA方式であることによる通信衝突が通信の信頼性を低下させてしまうことが課題である.本稿ではこれらの課題に対し,LoRaの基地局であるLoRaゲートウェイを冗長構成とし,MAC層にTDMAを適応した信頼性向上の手法を提案する.
近年,IoT(Internet of Things) 技術への関心の高まりにより,大量のIoTデバイスが接続される大規模なIoTシステムへの関心が高まっている.これに向けて,MQTTを活用した大規模且つ広域にまたがったIoTシステムの実現に向けた研究が多方面で行われている.著書等は,複数のMQTT Broker間の連携のために,DDS(Data Distribution Service)の活用を検討している.
IoTデバイスより周期的にデータを通知するIoTシステムでは, 定常時においてもReliabilityを提供するQoSクラスにてIoTデータの転送を行う場合,信頼性確保のための確認応答による制御メッセージによるオーバヘッドが課題となる.これを解決するために,本稿では,送信モードの導入による,IoTデータを確実に転送・交換する連携方式の実装について述べる.
多数のIoT(Internet of Things) デバイスやそれらが生み出すデータをサーバで管理しようとすると,サーバに多大な負荷がかかる可能性がある.このため,P2P 型ネットワークを用いたIoT プラットフォームが注目されつつある.Skip Graphは範囲検索が可能な,IoTプラットフォームに適したP2Pネットワークであるが,データの変化によりキーの更新とそれに伴うSkip Graph の再構築が発生し,安定した検索ができなくなる可能性がある.本稿では,キーの更新によるSkip Graph の再構築を抑制する手法を提案する.
3月7日 13:00〜16:30 4号館 4202教室 座長 菊間一宏(日大)
B-6-35 |
道路特性に基づく事故リスクに応じた歩車間危険通知手法
○神尾祐樹・山崎 託・三好 匠(芝浦工大) |
B-6-36 |
位置情報に基づくノード協調を用いた地域見守りシステム
◎渡邉海斗・山崎 託・三好 匠(芝浦工大) |
B-6-37 |
IPFSを用いたHTTP通信でのキャッシング手法の実装と評価
◎キム スンウク・松澤智史(東京理科大) |
B-6-38 |
双方向集約経路を用いたパケット集約によるルータ負荷軽減
尾西杏夏・○青木道宏(愛知工業大) |
B-6-39 |
量子ネットワークにおけるエンタングルメントルーティングの性能のトレードオフに関する一考察
◎一ノ関 秀・小泉佑揮・武政淳二・長谷川 亨(阪大) |
交通事故は年々減少傾向にあるものの,今尚年間30万件を超える交通事故が発生している.本研究では,道路特性に基づく事故リスクに応じた歩車間危険通知手法を提案する.本システムでは,歩行者が保持する端末や車両に搭載された端末を用いて,位置情報に基づくP2Pネットワークを端末間で構築し,周辺端末情報を取得する.また,各端末は道路情報等を管理するサーバから,各端末が走行中の道路ID を取得する.これにより,危険性を判定するために,デジタル道路地図から道路特性を特定することで,より状況に即した危険通知を実現する.結果より,移動予測領域内に存在する端末同士でP2P通信を行い危険通知処理が動作していることが確認できた.
都市部などでは,防犯や防災などの地域の見守りを互助により実現していた地域コミュニティの衰退が問題となっている.本研究の目的は,端末に搭載したエージェントが自律的に連携するエージェント型IoTにより,様々な場所に設置済みのカメラを,その管理者のプライバシーを考慮することで利用可能とし,見守りを行うことである.本研究では,カメラや見守り対象者の携帯端末に疑似的にエージェントを搭載して本システムの動作を確認し,プライバシーに基づき情報の公開範囲を決定できたことが確認された.本研究の結果から,プライバシーを考慮しながら都市にあふれるカメラ端末を利用することにより,広範かつ柔軟な見守りが実現できると考える.
世界中の処理されるデータの量は大幅に増加しており、Webサーバへかかる負荷をどのように管理し、通信遅延を減らすか等の問題が重要になっている。そこで、物理的に近い距離のサーバからキャッシングされたデータを提供できるCDN(Content Delivery Network)のような技術を利用し、このような問題に対処する方法が現在多く使われている。本研究では、P2PネットワークのIPFSを用いることによって、サーバにかかる負荷を減らし,高速なWebアクセスが可能なシステムを実現した。
インターネットの通信量は爆発的に増加している.中でも少量のデータ通信が多量に発生するセンサデバイス等の増加が著しい.少量データ通信の増加により,パケット処理性能の高いルータが要求され,設備コストの増大を招く懸念がある.パケット数を減少させる方法として,パケット集約/分割技術を用いる方法が検討されている.
我々は,より多くのパケットを集約できる集約パス決定アルゴリズムを提案してきた.このパケット集約を実現するには,集約/分割機能を有するルータを設置する必要があり,設備コストの増加を伴う。このため,少ない集約ルータの導入でより効果を上げることが重要となる.このための提案とその効果についての評価結果を報告する.
量子インターネットの核となる技術は、量子もつれ状 態にある量子を離れたノード間で共有することである。 以降、これを単に量子もつれと呼ぶ。量子もつれの生成 確率は距離に応じて指数的に減少するため、量子スイッ チ(スイッチと呼ぶ)上のエンタングルメントスワッピ ング(スワッピングと呼ぶ)を利用し、遠距離のノード 間に量子もつれを生成する方法が考えられている。 量子スイッチにより複数のユーザー間に量子もつれが 生成できるようになったことにより、量子もつれ生成の ために経由するスイッチを決定する経路制御問題につい て多く議論されている。多くの研究は、量子もつれのス ループット、つまり量子もつれの生成確率を指標にアル ゴリズムを設計しているが、スループッ トと量子もつれが生成できたノードペア数の間には相反 する関係が指摘されている。本稿では、これらの関係を 最適化モデルを用いて調査する。
休 憩(14:30 再開) 座長 渡部康平(長岡技科大)
B-6-40 |
深層学習を用いたトラヒック分布予測を高精度化する特徴量エンジニアリングの提案
○山田友輝・小杉友哉・竹下絵莉奈・鈴木 聡・吉原慎一(NTT) |
B-6-41 |
モバイルSINETを用いた連合学習の性能に関する実証実験
◎玉柏昌大・寺井広大・江 易翰・林 海(阪公立大)・計 宇生(NII) |
B-6-42 |
Opportunistic Routingを用いた機械学習の処理分割割当手法
◎田中伸幸・山崎拓真(芝浦工大)・細沼恵里(東大)・山崎 託・三好 匠(芝浦工大) |
B-6-43 |
IoTゲートウェイにおけるブロックチェーンに基づく連合学習のモデル管理
◎大嶽一輝・渡邉直人・山崎 託・三好 匠(芝浦工大) |
通信キャリアでは、法人向け、マス向け、モバイル向けなど、用途の異なるネットワークサービスを複数提供している。このように複数のサービスが併存する場合、これらを単一のネットワークへ集約することは、コスト低減の観点から望ましい。そして、トラヒック分布予測に基づいて中継リンク帯域を決定することは、設備コストを抑えるために有効な手段である。
本研究では、トラヒック分布との相関を高める特徴量エンジニアリングを提案する。トラヒック特性が異なるサービスの混在するネットワークに対しても、高い精度でトラヒック予測ができることを示す。
近年,演算装置の高速化や小型化により高性能なIoT家電やウェアラブル端末の普及が進んでいる.それに伴い,新たにエッジコンピューティングや連合学習(Federated Learning)というデータ処理の手法が提案されている.連合学習は分散型機械学習の一種で,クライアントの入力情報をサーバが直接収集しないという特徴がある.そのため従来の集権型機械学習と比べて情報漏洩の危険性が低く,医療用機器などの実用分野で活用が期待されている.本研究ではエッジデバイスの通信路の条件を変えて連合学習の実証実験を行い,通信時間が学習全体に及ぼす影響を考察する.
無線センサネットワーク(WSN:Wireless sensor network)で収集した情報は,サーバで機械学習により処理されるため,サーバへの負荷集中が懸念される.これに対し,機械学習の演算処理を分割し,各ノードに割り当てる手法が提案されているが,経路構築については未検討である.本稿では,WSNにおいて動的に中継経路を選択可能なOpportunistic routing(OR)を用いた機械学習の処理分割割当手法を提案している.
IoT(Internet of things)デバイスの急速な普及に伴い,それらを狙う攻撃も日々増加し,多様化している.こうした様々な攻撃に対し,IoTトラヒックの異常を検知するモデルを作成し動的に更新することで,柔軟に対処することが可能になる.このシステムを実用化する場合,地理的に分散した複数のゲートウェイ上で収集したトラヒックを用いて連合学習を行うことで,検知精度の向上と異常トラヒックの早期検知が可能になる.しかし,信頼性のないゲートウェイによるモデルの改ざんや,毒データの混入といったリスクがある.したがって本稿では,ブロックチェーンを用いた異常検知モデルの分散管理手法を提案する.
休 憩(15:45 再開) 座長 原 崇徳(奈良先端大)
B-6-44 |
無線アドホックネットワークにおけるユーザ参加型連合学習の実装実験
○小野翔多(東大)・山崎 託・三好 匠(芝浦工大)・田谷昭仁・西山勇毅・瀬崎 薫(東大) |
B-6-45 |
蒸留を用いた連合学習における機械学習モデルのサイズが与える影響
○矢島大路(芝浦工大)・小野翔多(東大)・三好 匠・山崎 託(芝浦工大) |
B-6-46 |
分散型機械学習のための位置情報に基づくグループ構築手法
◎長谷川亮太(芝浦工大)・小野翔多(東大)・山崎 託・三好 匠(芝浦工大) |
センサデバイスが普及したことによって,大量のデータを取得及び分析し,データに基づいたサービスの提供が可能になっている.
データの分析には計算施設を用いることが多いが,施設の利用が増えると消費電力の増加が問題になる.
そこで小型端末間で計算処理を分散できる連合学習に着目する.
本稿では,連合学習の中でも特定のエリア内の情報をアドホックネットワークによって共有して学習する,ユーザ参加型連合学習を実機実装した.
実装実験ではユーザが学習に参加及び離脱する可能性を考慮し,その際の学習性能を評価した.
近年,従来の機械学習におけるサーバへの集中的な負荷を避けるため,連合学習のような分散機械学習が注目されている.しかし,機械学習には膨大な計算が必要とされるため,性能の低いデバイスを連合学習に参加させることは困難である.これに対し,筆者らは,機械学習モデルの圧縮技術である蒸留を用いることで,従来の連合学習よりも低コストかつ低通信量な学習を実現した.本稿では,蒸留を用いた連合学習において,機械学習モデルのサイズが学習に与える影響について解析する
分散型機械学習(DML: Distributed machine leaning)を用いて,ある地域に位置する物理的に近い端末間で直接通信により協調して学習する手法が提案されているが,この手法では,協調する端末を決定する手法は検討されていない.実環境で用いるために,適切に選択した協調端末群がDMLを実行する手法を検討する.協調する端末を選択するために,位置情報を用いた管理サーバを利用する.管理サーバは各端末のアドレスと位置情報を管理し,端末からのDML協調要求に応じて,要求する端末と距離が近い周辺端末を選択する.サーバはその結果を端末に渡し,該当する端末とDMLを実行する.これによって,適切に選択された端末同士でDMLを実行していることが分かった.
3月8日 9:00〜11:45 4号館 4201教室 座長 滝田大介(三菱電機)
B-6-47 |
複数予測を用いた無線品質劣化リスク判断手法に関する一検討
◎澁谷尚希・河村憲一・佐々木元晴・守山貴庸(NTT) |
B-6-48 |
ネットワーク故障発生時における光パスの属性を考慮した光パス再設計手法
○横井花深・越地弘順・松川達哉・宮村 崇(NTT) |
B-6-49 |
コアネットワークの多重故障に対するトラヒック回復率を考慮した復旧優先度に基づく復旧経路算出手法
◎西口雅人・藤原貴之・上醉尾一真・林 裕平・木原 拓(NTT) |
B-6-50 |
IP網移行における共通線リンクによる故障個所推定方法に関する一検討
○渡邊宏介(NTT) |
B-6-51 |
ネットワークOSにおける一括設定の整合性確認手法
○栗田佳織・入野仁志(NTT) |
複数の予測手法を組み合わせる事で,単一手法より多くの劣化要因を考慮した劣化リスク判断の手法を提案し,提案手法を用いた実験を行った評価結果を報告する.
本稿で提案する方式では,光伝送ネットワークにおけるネットワーク故障発生時において,光パスの属性の考慮を行い光パスの再設計を行うことで,災害・故障発生時における波長リソース利用状況の均一化を目指す.提案方式の性能をシミュレーションにより評価し,提案方式の適用により波長リソース利用状況の偏りが低減することを示す.
コアネットワークは,ルータやスイッチ等の転送装置が形成する転送レイヤとその伝送路を提供する伝送レイヤで構成される.転送レイヤを重畳する伝送レイヤでの障害は,上位レイヤにおける多重故障を引き起こす可能性がある.本稿では,コアネットワークの多重故障に対し,段階的に故障箇所が復旧される想定のもと,途中の各復旧工程におけるトラヒック交流の回復を目的とした復旧経路の算出を考える.そして,トラヒック回復率を考慮した対地ごとの復旧優先度に基づく復旧経路算出手法を提案する.
交換機の維持限界等の理由からIP網への円滑な移行としてメタル回線を維持し,メタルからIPへの変換装置を介して電話端末をIP網に収容する方式が考えられている.本稿では,IP-NW装置や仮想化技術により運用が複雑化するIP網上での課題を取り上げ,その解決方法としての故障個所推定方法の一 提案を行う.
様々なハードウェアで実現されるパケット処理等の通信機能をアプリケーション側が用途に応じて柔軟に選択して利用する通信機能向けミドルウェア技術の研究を進めている.
本稿では、最小限の改造で柔軟な機能改造を実現することを目的に,ネットワークOSにおける複数アプリケーションからのテンプレート化した一括設定において,順序性を含めた整合性確認の実現方式を検討した結果を報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 北原 武(KDDI)
B-6-52 |
通信機器への自動設定投入時間の短縮手法
○出水達也・井上寛規・金澤俊之(NTT) |
B-6-53 |
ネットワーク装置の移行効率化の一考察
○細野浩輝・舩津玄太郎・阿部真司(NTT) |
B-6-54 |
バックアップ後に発生する設定差分に着目した通信装置の復旧方法
◎渡辺眞成・井上寛規・金澤俊之(NTT) |
B-6-55 |
光伝送システムの受信端品質データの一階差分系列を用いた故障予兆検知方式の提案
◎渡邉紘平・山本 宏・伊達拓紀・鈴木翔太・島崎大作(NTT)・福地 裕・前田英樹(東京理科大) |
B-6-56 |
ホワイトボックスにおけるエージェント配置方法の検討
◎武井勇樹・中務諭士(NTT) |
複数のルータ等の通信機器を系としてまとめて管理するため,ネットワークコントローラからそれぞれの機器へ必要な設定情報(config)をOSSの自動構成ツールであるAnsibleを用いて自動的に投入することが提案されている.Ansibleには,異なる複数の通信機器へ汎用的にconfigを投入するモジュールが用意されている.本稿では,ネットワークコントローラで当該モジュールを活用する場合に,通信機器への自動config投入時間を短縮する手法を提案する.
ネットワーク装置は,製品のEoL等により後継機種への移行が必要である.また装置移行は,お客様影響を考慮し,夜間帯に切替工事を実施する.前回の発表(ネットワーク装置の段階的移行方式)では,切替工事の切替工程部分の効率化を論じたが,新たな装置導入時の切替工事では切戻しとなるケースが多く,切戻し工程も対策を講じる必要がある.そこで,今回は切戻し工程に着目した一検討を行う.
通信装置の障害発生時には復旧のために通信装置のバックアップコンフィグが利用される。しかし、バックアップからの復旧ではバックアップ作成以降の設定変更を反映出来ず、運用の継続に問題が発生する。
設定差分に着目して正常状態への復旧方法を3方式提案し、適切な方式見極めの為に平常/復旧時の処理について定性評価を行った。
近年の光伝送システムの大容量化・広域化に伴い光伝送システムにおける故障の影響規模は増大しており、より高い信頼性が光伝送システムに求められるようになってきている。本発表では、Q-dropと呼ばれる故障予兆の検知を目的とする。Q値は波長数の増減や温度によるファイバ特性の変化によって時間的に変動するが、従来手法ではこの時間変動に起因した誤検知が発生する。そこで、Q値の一階差分系列データに対して閾値判定を行う手法を提案する。提案手法では、Q値の時系列データを一階差分系列へと変換することで時間変動成分が取り除かれ、誤検知なくQ-dropを検知できることを確認した。
近年のネットワーク(以下NW)では,従来のベンダ製NW装置だけでなく,ユーザがデプロイする機能を自由に選択できるホワイトボックススイッチが活用されて始めている.これらの装置に対して,必要なタイミング/場所でNW機能を追加/変更を実施することで,ユーザに高付加価値を与えるサービスを効率的に提供したいと考えている.本稿ではNW内へのエージェント配備を汎用的に実施するシステムと,その実施例について報告する.
3月8日 13:00〜17:00 4号館 4201教室 座長 西島孝通(富士通研)
B-6-57 |
エンドポイント間経路の近傍迂回経路を利用した中心性評価
◎佐々木 健・山本 嶺・大坐畠 智(電通大) |
B-6-58 |
冗長系システムの運用切替時のデータ復旧方法
○町本将記・中村 拓(NTTドコモ)・山西 渉(ドコモ・テクノロジ) |
B-6-59 |
データセンタ間通信における輻輳制御プロキシに関する一検討
◎青木啓太・野口雅広・山本 幹(関西大) |
B-6-60 |
通信フロー生成数を用いた端末毎の定常利用形態の分類
○藤田幸愛(OKI) |
B-6-61 |
ルータ内Linuxコンテナを用いたトランスペアレント再送処理の実現
◎大和田尚希・瀬林克啓・丸山 充(神奈川工科大) |
ネットワークのセキュリティ確保や効率的な運用のため,重要なノードの特定が必要である.重要なノードの特定には,ノード間の相互作用からノードの重要度を定量化する中心性指標が従来より用いられてきたが,ネットワーク全体の状態を反映できない課題や,ネットワーク規模の増加に伴う計算量増加などの課題がある.また,通信ネットワークでは,エンドポイント間の通信確保も重要であるため,ネットワーク全体での重要なノードに加え,エンドポイント間の経路確保のために重要なノードを特定する必要がある.本稿では,エンドポイント間の接続性の確保と必要計算量の低減を目的とし,エンドポイント間の経路近傍における中心性評価手法を提案している.
電話サービス等で可用性が求められるシステムでは障害が発生した場合でも,継続してサービスを提供するために運用系システムのバックアップとして待機系システムを構築する場合がある.
待機系システムは切替に備えて,運用中に更新されたデータを運用系システムと同期する必要がある.リアルタイムの同期処理が望ましいが,運用系システムの負荷軽減のため,運用系システムにて待機系システムに反映するデータをDB内に蓄積し,該当データを一定周期で待機系システムより取得することにより,データを同期する方式が考えられる.
データの鮮度が切替時の動作に支障を与えることがあるため、本稿ではその解決策の検討結果を報告する.
DC間輻輳制御方式として,DCNとWANで異なる輻輳シグナルを用いたGEMINIが提案されている.GEMINIは,DC内およびDC間トラヒックの双方に適用される輻輳制御である.DCN内で輻輳が発生した場合,その輻輳シグナルはRTTの短いDC内フローに先に到着することから,DC内フローのみが早期に輻輳に対処するという不公平性が生じる.本稿では,十分に検討されていない受信側DCNの輻輳検知の遅れに着目する.本稿ではこの技術課題の解決手法として,DC間フローにPEPを導入し,DC間およびDC内フローの輻輳制御ループを均一にする手法DC-PEPを提案し,その有効性を評価する.
イントラネットなどの環境下で利用されている端末は、使用用途に応じて定常の利用時間帯がおおよそ決まっている。例えば内部端末がマルウェア感染し、定常の利用状況と異なる時間帯に他のサーバから機密データを持ち出そうとするなど、普段と異なる操作が行われた際に異常として検出したい。定常から逸脱した時間帯の操作を検出するため、ネットワーク内にある端末毎の利用時間帯の「定常」を、通信データのみから定義することを目的とし、イントラネット相当のクローズドネットワーク環境において、通信フロー生成数を用いて端末ごとの利用形態を定義・分類できるか評価した。
近年,インターネットの普及により放送事業者の映像伝送のIP化への移行をはじめとしてネットワークを利用した映像伝送の需要が増加している.
しかし一般回線やモバイル回線などではパケットロスが発生してしまうことがある.しかし専用線を用意するには時間も費用もかかってしまう.
そこで本研究ではSecure Reliable Transportを使用した再送機能をルータ内のLinuxコンテナに搭載し通信品質劣化時にも安定した映像伝送を実現する.
休 憩(14:30 再開) 座長 塚本和也(九工大)
B-6-62 |
TWELIET DIPを用いたRF回路の不完全性に基づく端末識別精度の評価
○水町航汰・芳谷伊武希・松岡翔平・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-6-63 |
VoiceCentric端末の在圏維持方法 -3G終了に向けた一考察-
○筒見拓也・徳永和仁(NTTドコモ)・坂本健一・滝田和輝(ドコモ・テクノロジ) |
B-6-64 |
無線充電式センサネットワークにおける電力消費量の予測による充電経路選択手法
◎中田 駿・山本 嶺・大坐畠 智(電通大) |
B-6-65 |
時空間ダイナミックフロー制御技術の遅延性能評価
○井上高道・阿南信一・奥野健司・加藤凜太郎・合田和史・藤本 剛・中島健智・丸橋建一(NEC) |
B-6-66 |
無線信号源捜索を用いた被災者発見のためのUAV動的ルーティング手法
◎△范 哲瑄・三好 匠・山崎 託(芝浦工大)・上田清志(日大) |
我々ははこれまでに,IEEE 802.15.4に準拠した端末であるXBee ZBから送信された信号を測定し,高周波(Radio Frequency: RF)回路の不完全性を含んだ特徴量を用いて,高精度で端末識別できることを報告している.本稿では同じくIEEE 802.15.4に準拠した端末であるTWELITE DIPを用いて端末識別精度の評価をする.端末識別の結果,識別精度が90%を超え,訓練データとテストデータを同じ距離とした場合における先行研究の手法の有効性が確認できた.しかし,訓練データとテストデータを異なる距離とした場合では,識別精度が最大でも54.65%となり,大幅に低下し,改善が必要であることを確認した.
世界的に旧世代である3G(UMTS)の通信を終了・縮退する動きが活発化している.3G終了後は,旧来の3G単独利用のユーザだけでなく,LTE/3Gの両NWを利用するユーザにおいても様々な制約が発生しうる.
3Gの無線及びMSCを撤去した場合,VoLTE非対応のVoice Centric端末では,音声ベアラ確立のための位置登録において,MSCが存在しないことからEPS Combined位置登録が実施不可となる.その後,3G以外での音声ベアラ接続ができないため,LTEデータ用ベアラも含め当該網への通信自体が不可となる端末が存在する.3G終了へ向けた対策への一考察として,VoLTE(Voice over LTE)非対応のVoice Centric端末を在圏維持するための対策方式について提案を行う.
近年,無線センサネットワーク(WSN)は,様々なアプリケーションでの利用が期待されている.しかし,WSNは電力容量の限られた複数のセンサノードで構成されるため,センサの電力枯渇の抑制が課題となる.そこで,WMC(Wireless Mobile Charger)がセンサ間を移動して充電を行う無線充電式センサネットワークが注目されている.本稿ではWMCの経路決定の際の評価による計算オーバーヘッドを減らすため,電力消費量の予測を用いたWMCの充電経路選択手法を提案している.
本稿では,ユーザが無線システム(無線LAN,ローカル5Gなど)を意識せずに,多種多様な無線システムの有効活用を実現する時空間ダイナミックフロー制御技術において,無線システム毎の輻輳状態推定を基に経路切替をした場合の遅延性能を明らかにする.
自然災害が発生し、交通や通信インフラが遮断された場合を想定し、地上の影響を受けない無人航空機(UAV: Unmanned aerial vehicle)による被災者の捜索や、一時的な通信インフラの提供が検討されている。本研究では、被災者が所持する無線通信端末の信号を用いたリアルタイムな位置情報に基づくUAVの動的な飛行経路決定手法について検討した。
休 憩(16:00 再開) 座長 山本 嶺(電通大)
B-6-67 |
自立型スマートポールを用いた低空域の通信実験
◎西澤知希・山崎 託・三好 匠(芝浦工大) |
B-6-68 |
点群情報のリアルタイム共有に向けた無線伝送実験
◎前田尚輝・山崎 託・三好 匠(芝浦工大)・朝香卓也(東京都立大) |
B-6-69 |
IEEE 802.11ax 無線LANにおける端末局の通信品質要求を考慮した下りOFDMA伝送法の検討
◎山方颯人(阪府大)・谷川陽祐・戸出英樹(阪公立大) |
B-6-70 |
無線センサ網における遅延制約と送信フレーム数の公平性を考慮したランダムアクセス型MACプロトコルの検討
◎松田理沙(阪府大)・谷川陽祐・戸出英樹(阪公立大) |
近年,スマートシティの様々なサービスの実現に向けて,都市データの収集や分析,共有をするために,ドローンの利用が検討されている.しかし,まちのサービスを実現するための実地実証実験は,安全性や法規制などにより容易ではない.著者らは,様々な機材を搭載することができ,風力により自立するスマートポールを活用し,ドローンが浮動する環境の疑似的な再現を検討している.本稿ではスマートポールを用いた低空域の通信に関わる特性の解析実験を行った.
自動運転車は,走行時にLiDAR(Light detection and ranging)から得られる点群情報などから,3次元点群地図を動的に作成することで,道路や障害物を検出しながら走行する.しかし,車両は自身の視界に対して死角となる領域の情報は得ることができない.また,3次元点群地図情報はデータ量が大きく,広範囲の地図情報を保持することは難しい.そこで,車両へ周辺の地図情報を配信するシステムも提案されているが,日々変化する道路環境の更新については検討されていない.本稿では,3次元点群地図情報をリアルタイムに共有し更新するシステムの検討とその実現に向け,無線LAN環境下で点群情報を共有した際の特性評価を行う.
近年,無線LANに接続される端末局数が増加するとともに,各端末局が送受信するデータに応じて要求される通信品質が多様化している.多くの端末局を無線LANに効率的に収容するための一手法として,IEEE 802.11ax ではOrthogonal Frequency Division Multiple Access (OFDMA)に基づくフレーム伝送法が規定されている.これは,チャネルを複数のResource Unit (RU)に分割し,各RUを用いて複数フレームを同時伝送する技術である.本稿では,伝送されるデータが必要とする通信品質に基づいて適応的に下りOFDMA伝送を行うフレーム伝送法を検討する.
工場用IoT のように厳しい遅延制約内でのデータ収集や制御を要する機器も多数存在する無線センサ網環境においては,遅延を抑制しつつデータを伝送する必要がある.本稿では,IEEE 802.11無線LANなどで広く用いられているCarrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance (CSMA/CA) との親和性を有し,フレーム種別とソースノード間での送信フレーム数の公平性を考慮しつつ,確実に遅延制約付パケットを優先転送するMACプロトコルを提案し,その有効性を評価する.
3月9日 13:00〜16:15 4号館 4201教室 座長 松谷宏紀(慶大)
B-6-71 |
Beyond 5Gネットワークにおける輻輳状態推定手法の提案
○篠原悠介・沢辺亜南・岩井孝法(NEC) |
B-6-72 |
5GCによるMEC外部通信手法の実装と性能評価
○熊倉 顕・前迫敬介・張 亮(ソフトバンク) |
B-6-73 |
5G AKAプロトコルにおける脆弱性の評価
○鈴木信雄(ATR/近畿大)・松中隆志(ATR) |
B-6-74 |
Statistical characteristics of 5G NSA network communication
○Bo Wei・Yuto Sano(Waseda Univ.)・Hikaru Kawasaki・Homare Murakami・Kazuo Ibuka・Hirokazu Sawada・Takeshi Matsumura(NICT)・Hang Song(Tokyo Tech)・Jiro Katto(Waseda Univ.) |
5Gの特徴的なネットワーク性能 (大容量,低遅延,低ジッタ) をより高度化するBeyond 5Gについての検討が進んでいる.Beyond 5Gでは,ミリ波やテラヘルツ波等の従来よりも高い周波数帯を利活用した無線通信が期待されている [1].高周波数帯は一般的に遮蔽に弱く,電波到達範囲も従来よりも短くなると言われており,センシティブにネットワーク品質が変動することが想定される.このような無線品質環境下においても安定的に高水準の通信性能を提供するためには,リアルタイム,かつ,ロバストにネットワーク状態 (輻輳状態) の推定に基づく無線リソース制御技術が必要となる.本稿では,ネットワークの輻輳状態を推定する技術を提案する.さらに,評価によってその有効性を示す.
※同時に投稿している「時空間ダイナミックフロー制御技術の遅延性能評価」の関連発表になります.並びでの講演順を希望します.
近年,モバイルネットワークにおける超低遅延サービスの実現のために,UEから物理的に距離の近い場所に計算機リソースを分散配置するMECが注目されている.また,MECによる多様かつ柔軟なユーザサービス提供のために,複数拠点を跨いだサービス処理アーキテクチャが提案されている.これまで,5GCによるMEC同士およびMECから外部DNへの通信制御を行うために,MEC側に仮想的なUE・gNB機能部を設けることでMECを擬似的なUEとして振る舞わせる手法を提案し,その有用性について検討してきた.本稿では,MECと5GCの接続構成を見直し,OSSを組み合わせた機能実装と性能評価を行った.
5Gではこれまでの経験から様々なセキュリティ対策が行われている.特に,認証においては端末や個人を特定できる可能性が指摘されており継続した懸案となっている.その中でも5Gに用いられているAKAプロトコルの脆弱性が指摘されている.本稿では,これまでに確認された5G AKAプロトコルの脆弱性について概観し,対策の可能性について検討する.
The evolution of 5G technology has brought great potential in many areas and benefits a lot for human’s life. The various requirements for large-content, high-speed and low-latency are emerging in services such as content delivery in 4K, 8K, VR, AR. Meanwhile, the local 5G network will play an important role in the future society. In order to meet the diverse needs in the future services, it is essential to investigate the characteristics of 5G network communication. In this paper, the field communication experiments were conducted using local 5G NSA (Non Stand Alone) base station. The network parameters were collected and analyzed.
休 憩(14:15 再開) 座長 木村達明(阪大)
B-6-75 |
製造分野における5G高度化技術の研究開発―5G高度化技術に向けたシームレス通信の提案―
○藤本 剛・井上高道・阿南信一・奥野健司・加藤凜太郎・合田和史・中島健智(NEC) |
B-6-76 |
製造分野における5G高度化技術の研究開発 グローバル展開に向けたSRF無線プラットフォーム検証システムの提案
◎加藤凜太郎・奥野健司・阿南信一・藤本 剛・合田和史・井上高道・中島健智(NEC) |
B-6-77 |
Study on a Failure Detection Using Linux eBPF for Cloud-Native 5G Core Networks
◎Jiwon Lee・Bojian Du・Ryoma Kondo・Kentaro Matsuura・Yoshiaki Narusue・Hiroyuki Morikawa(The Univ. of Tokyo) |
本研究開発では,public network (キャリア5G)とnon-public network (ローカル5G/無線LAN)のハイブリッドアクセス方式を検討し,各無線通信方式のカバーエリア(屋内/外や建屋間)などの違いによる使い分けを実現検討する.
近年, キャリア5Gやローカル5Gが実用化されたが, 導入・運用コストの観点から, 無線LANなどの既存の方式を併用するハイブリッド型のネットワーク構成とすることが考えられる. 本稿では、グローバル展開が容易となるSRF無線プラットフォームのシステム要件を示し、検証するシステム構成を提案する。
講演題目「製造分野における5G高度化技術の研究開発―5G高度化技術に向けたシームレス通信の提案―」と同セッションの発表を希望いたします。
The implementation of Cloud-Native Functions (CNFs) on 5G Core network (5GC) increased the possibility of network failures. Linux extended Berkeley Packet Filter (eBPF) is expected to be an efficient tool for monitoring CNFs 5GC. However, the lack of failure data in CNFs 5GC made it difficult to use eBPF in early network failure detection in cloud-native environment. In this paper, we provide preliminary evaluation for CNFs 5GC failure detection using eBPF. We evaluated the performance of three strategies: regression and classification for supervised learning, and normal behavior model for semi-supervised learning. The evaluation results showed that all three methods are able to achieve high f1 score.
休 憩(15:15 再開) 座長 和泉 諭(仙台高専)
B-6-78 |
Realizing an effective behavior-based fine-grained access control targeting beyond 5G CPS
◎Nakul Ghate・Shohei Mitani・Hirofumi Ueda・Masaaki Kitano・Tsukasa Kobayashi(NEC) |
B-6-79 |
3GPP仕様への新世代暗号方式の導入のための設計
○松中隆志・横山浩之(ATR) |
B-6-80 |
プログラマブルスイッチ上の転送情報の暗号化と認証法の設計
吉仲佑太郎・○河内山深央・武政淳二・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-6-81 |
P2P型見守り支援システムにおけるBloom filterを用いたプライバシー保護機構に関する検討
◎松本侑樹・藤本章宏(和歌山大)・戸出英樹(阪公立大) |
In massive Cyber Physical System (CPS), the difficulty of deploying perfect security features causes malware infiltration from anywhere. Zero Trust (ZT) assumes the ever-presence of threats and it monitors, evaluates and restricts malicious access to organization’s resources and prevents spread of threats. However, practically implemented ZT can be fooled by legitimate but malicious insiders. To prevent this, behavior-anomaly based access control approaches have been proposed but they suffer from alarmingly high false-positive alerts. The decisional errors caused by this can disrupt organization’s activities. We proposed a behavior-based effective fine-grained access control system to maximize resource protection while minimizing business impact.
※同時に投稿している「時空間ダイナミックフロー制御技術の遅延性能評価」、「ネットワーク型ロボット制御システムの設計と実装」の関連発表になります。並びでの講演順を希望します。
本稿では,3GPPのセキュリティ機能のうち,端末の通信の保護機能(秘匿化・完全性検証)において,耐量子性を満たす暗号方式を導入する際の変更点・留意事項を検討した結果について報告する
現在のIPに基づくインターネットは,パケットが自身の通る経路に関して持つ情報を保護しないため,この情報を悪用する攻撃に対して脆弱である.セキュアなルータを実装するための既存の方針では,転送情報に対する認証コードを低速なコントロールプレーンで計算し,その結果をデータプレーンのテーブルに挿入するため,経路数がテーブルサイズに制約されるという問題点が存在する.本稿では,プログラマブルスイッチを用いて,転送情報に対する暗号化と認証をデータプレーンのみで行い,テラビットの転送速度とスケーラビリティを両立するルータの設計方針を示す.
近年,母子・父子家庭や高齢者のみの家庭の増加や共働きのような働き方の変化により,高齢者や子供などが1 人になってしまう機会が増加しているため,地域住民による見守りネットワークが注目されている.このため,見守り活動を支援するシステムが求められているが,設備を維持するコストや企業のサーバにプライバシー情報を提供することに忌避感を持っているなどの問題点がある.本稿では,見守り参加者が自分自身の情報を直接管理可能な P2P 型のクラウドセンシングに注目し,Bloomfilter を用いることで見守り対象者の情報の秘匿性を高める手法を提案する.
3月10日 9:00〜11:45 4号館 4201教室 座長 篠原悠介(NEC)
B-6-82 |
仮想サーバシステムにおけるリング型動的バックアップサーバシステムの導入について
北村光芳・○岡崎竜弥・田中龍馬(東京工芸大) |
B-6-83 |
複数のNW機能を持つVPN GWのCPUコア負荷分散方式の検討
○中村孝幸・鳴海貴允・青木佳紀(NTT) |
B-6-84 |
フロー情報を考慮したNAPT処理のハードウェアオフロード手法
◎宮本克真・高橋琴美・加納浩輝・河野伸也(NTT) |
B-6-85 |
ハードウェアアクセラレータ上の動的エントリ管理方式
◎高橋琴美・加納浩輝・宮本克真・河野伸也(NTT) |
B-6-86 |
複数アクセラレータを組み合わせた転送処理振分手法の提案
◎中野寛二・鳴海貴允・入野仁志(NTT) |
近年,新型コロナウイルス感染拡大の影響により,インターネットサービスの需要が増加している.このようなサービスをクライアントに提供するにはサーバシステムが必要となり,その高可用性が重要となる.一般的なサーバ管理システムは特定の管理サーバが管理対象サーバの管理を行うため,管理サーバが故障した場合には管理ができなくなる問題を有している.そこで特定の管理サーバを必要としないリング型動的バックアップサーバシステム(RDBSS)が報告されている.しかし,管理対象が実サーバシステムとなっており,データセンタなどで採用されている仮想サーバシステムへの導入に関しては検討されていない.そこで本報告では,RDBSSを仮想サーバシステムに導入する場合の課題について検討を行う.
ユーザ拠点を収容するVPNゲートウェイ(VPN GW)において,様々なVPNユーザの要望に応えていくために,ユーザが指定した通信に対して所定のNW機能を適用可能とすることを考える.また,本VPN GWは,設備・運用コストの抑制や柔軟な機能追加の実現に向けて,汎用サーバ上において仮想化したNW機能を用いて構成する.VPN GWの入力パケットへのNW機能の適用は複数あるCPUコアの一つで行われるが、一部のコアに処理が偏るとスループットが低下する.これの抑制を目的に,複数のNW機能を持つVPN GWのコアの負荷分散方式を検討する.
IoTや映像トラフィックなど通信が多様化する中,より高いパケット処理性能の実現に向けハードウェアアクセラレータを用いたパケット処理システムの検討がなされている.特にNAPTなどステートフルなパケット処理では,ソフトウェア処理とハードウェア処理の連携により柔軟かつ高速なパケット処理が可能になる.
本稿では,フロー情報を考慮したNAPT処理のハードウェアオフロード手法を提案する.
ネットワーク機器の機能を汎用サーバの仮想化基盤上でソフトウェアとして実装する方式(NFV: Network Function Virtualization)が存在する.トラヒック量増加を背景に,NFVの転送処理をハードウェア(HW)アクセラレータにオフロードし高性能化を目指す検討がなされている.本研究では,HWアクセラレータにNAPT(Network Address Port Translation)等の動的セッション管理を有する機能をオフロードする手法を提案する.
近年,ネットワークサービスを提供するシステム構成において,開発・導入・運用コストの観点から従来の専用ハードウェアで構成されたネットワーク機器ではなく汎用サーバを用いて,ネットワーク機能を提供するNFVが適用されている.NFVではサーバの処理に性能上限があるため,大量のトラフィックを処理するのにFPGA・ASIC等のアクセラレータやCPUのハードウェアを適用する事例が増えている.本稿では,FPGA,ASIC等のアクセラレータやCPUのハードウェアを要件に合わせて,転送処理の振分けを行う機能を実現することで,システムとして大量の経路数を保持し高速転送を実現する方式を提案する
休 憩(10:30 再開) 座長 Ved Kafle(NICT)
B-6-87 |
F-CPSに向けた高可搬型WebAssemblyコンテナの検討
◎関川 柊・佐々木 力・田上敦士(KDDI総合研究所) |
B-6-88 |
エッジ環境における高速な状態変化を伴うサーバの性能を考慮した負荷分散手法の検討
◎黒川紫温(阪府大)・近藤大嗣・戸出英樹(阪公立大) |
B-6-89 |
送信周期変換によるTASハイパーサイクル拡大抑止方式の提案
◎川上優平・川田秀雄・安原夏樹・阿部広尚・吉原慎一・吉田智暁(NTT) |
B-6-90 |
TASスケジューリングにおけるBE比率に基づく帯域利用効率改善手法の提案
○阿部広尚・川田秀雄・安原夏樹・川上優平・吉原慎一・吉田智暁(NTT) |
B-6-91 |
TASにおける集中管理型収容方式の検討
○青木佳紀・鳴海貴允・中村孝幸(NTT) |
我々はBeyond5Gに向けて,地域に特化した情報や機能をその地域内に滞留させることが可能なフローティングサイバーフィジカルシステムCPS(F-CPS)の実現を目指している.F-CPSでは,その地域,その時間に存在する様々なコンピューティングリソースを活用して情報収集や分析,サービス提供(機能)等を行う基盤を動的に構築するため,デバイスやCPUアーキテクチャ,OSに依存しない新たな仮想化技術が必要となる.そこで,ブラウザ上で端末・サーバに非依存に実行できるWebAssembly(Wasm)技術に着目し高可搬型のコンテナ実行基盤の検討を行う.
エッジ環境でマイクロサービスを用いることがあるが,マイクロサービスでは一部のサーバの性能低下による全体のテールレイテンシへの影響が大きいことや,計算要求が細かくなることでサーバ性能が高速に悪化しやすいことがわかっている.よって,サーバの現在の状態を考慮した負荷分散やサーバ内の情報のみを用いた負荷分散が必要である.そこで本稿では近年の代表的なツールであるKubernetes上のサーバの現在の状態を考慮した負荷分散手法を2つ提案する.これらの手法ではサーバの性能を測定もしくは推定しその情報を元に負荷分散を行うため,サーバの性能を考慮した負荷分散やサーバ内情報のみでの負荷分散が行える.
近年,リアルタイム性の高い遠隔制御やクラウド型アプリケーションを,離れた拠点間で利用するニーズが高まっている.これを実現する技術の一つとして,Time-aware Shaper(TAS)が注目されている.本稿では,TASを共用型の大規模NWへ適用することを想定し,TalkerがSTを送信する周期とは異なる周期を用いてTAS-SWのスケジュールを行うことにより,様々な送信周期のフローを多重するスケジュール手法について提案する.
低遅延が要求される産業用NWの分野でTime Aware Shaper (TAS)[1]が注目されている.TASは,Gate Control List (GCL) と呼ばれるタイムスロットのスケジュールをあらかじめ設計することで,低遅延転送を実現する技術である.TASスケジューリングにおいて,非優先通信(Best Effort :BE)の比率に応じてGCLへBE予約枠をあらかじめ設定することで,BEの比率を考慮しない従来手法と比較して,BEの帯域利用効率を平均で35%改善することができた.
昨今のネットワークでは遅延に敏感なサービスが増えてきており,遅延揺らぎを少なくすることが求められている.遅延揺らぎ値を保証する技術として,コントローラが最適な優先フローの配置を計算し,転送装置のTASを制御することでリソース効率化を実現する手法[1]が提案されている.本稿ではTASを制御するコントローラ実装に向けた方針と課題について検討を実施した.
B-7. 情報ネットワーク
3月7日 9:00〜11:40 4号館 4205教室 座長 会田雅樹(東京都立大)
B-7-1 |
CPSの異常原因分析:振る舞いによる異常伝播のベイズ分析
○三谷昌平・植田啓文(NEC) |
B-7-2 |
CPSの異常原因分析: 通信系と物理系を繋ぐ原因推定システム
◎齋田 衛(慶大)・三谷昌平・植田啓文(NEC) |
B-7-3 |
無線アクセスポイントスリープ制御と連携する省電力TCPの増加ウインドウサイズの導出
○橋本尚幸・川原憲治(九工大) |
Cyber Physical System (CPS) においては,運用の継続性確保のため,サイバー攻撃や故障による障害の早期検出,原因の分析といった異常の診断が求められる.CPSでは,IT機器やアクチュエータ等の多様な構成要素間で,複雑に時間変化する制御の依存関係が問題となる.従来のDynamic Bayesian NetworkとHidden Markov Modelによる手法(DBN-HMM)では,隠れた異常状態が依存関係上を伝播し,圧力計測値などの変数に影響する過程を逆に辿り,ベイズ分析で異常原因を推論できるが,網羅的な知識や異常時のデータが必要になる.そこで,本稿では,正常運用時のデータだけからでも,仮にシステムに異常状態が現れたらどう伝播するかを疑似的に表現し,DBN-HMMを構成可能な手法を提案するとともに,フィージビリティ評価の結果を報告する.
Cyber Physical System (CPS) において, 継続的な運用を行うには, 障害 (異常状態) からの迅速な復旧が求められる. しかし, CPSには, 様々な種類の通信機器, IoT機器が混在しており, 異常が検出できたとしてもその原因が通信系と物理系のどちらにあるのか, 不明であるため、原因箇所の推定が重要である. 従来手法では, 物理量や通信の統計量に着目し, 異常の発生とその原因を推定する. しかし, 従来手法では, 機器間の異常の伝搬を考慮していないため, 根本的な原因の推定が難しい. そこで, 本稿では, 通信イベントデータを時系列統計量に変換し, DBNによるアルゴリズムを用いて伝搬を考慮した原因推定を行うシステムを提案する.
近年,無線アクセスポイント(AP)の設置台数増加に伴う消費電力の増加が懸念されている.その省電力化のための予約型スリープ制御を効率的に行うために配下の端末における省電力TCPとの連携が提案されている.
本研究では,AP配下に送受信端末が混在する場合を想定し,省電力化に伴う転送性能の劣化を抑制するためのウインドウサイズ制御を検討する.
休 憩(9:50 再開) 座長 今井尚樹(KDDI総合研究所)
B-7-4 |
非地上ネットワークにおけるリンク情報を用いた通信経路推定手法の提案
○郡川智洋・高崎智香子・服部恭太・大和田英成(NTT) |
B-7-5 |
自律飛行ドローンのための衛星・セルラー通信動的切り替えシステムの検討
◎小此木謙一・鈴木理基・田上敦士(KDDI総合研究所)・大河亮介・志田裕紀・佐藤隆司・松ヶ谷篤史・大谷朋広(KDDI) |
B-7-6 |
Study on a Hierarchical Non-Terrestrial Network for Efficient Traffic Aggregation
○BABATUNDE OJETUNDE・TOSHIKAZU SAKANO(ATR) |
B5G/6G時代のあらゆる場所へのネットワーク提供には、衛星や無人航空機等の可動ノードを用いた非地上ネットワークが有効である。しかし可動ノードで構成されるネットワークは物理的なトポロジと伝搬特性は時間変化を伴うため、適切な通信経路を継続的に設計する必要がある。本稿ではメッセージフラッディングに依らずに、リンク情報を入力とした機械学習により通信経路を推定する手法を提案する。
現在,ドローンを利用したサービスが拡大されつつあり,今後は利用エリアも拡大し,山間部や海上の上空など,当初セルラーの利用があまり想定されていない場所での利用が増加すると考えられる.自律飛行ドローンの安全航行には,制御プラットフォームとの通信が必要であり,セルラー圏外であっても,通信を継続しなければならない.そのため,セルラーに比してスループットは低いものの,カバレッジの広い衛星通信をバックアップ回線として搭載することで,セルラー圏外でも通信を継続することができる.また,セルラー通信の品質は環境によって変化するため,動的に使用回線を切り替えるシステムが有効である.切り替えシステムの実装には,方式,タイミング,メトリックを決定する必要があり,本稿では方式の決定を目的とする.
In this paper, we proposed the use of LACS as a data aggregator in the non-terrestrial network (NTN) to improve the overall network performance, reduce the latency and total energy usage. LACS is deployed at various locations as a network aggregator to gather local traffic that is meant for the NTN station. After a predetermined interval, the local traffic collected by the LACSs is offloaded to the NTN station. The evaluation results show that LACS as a data aggregator is effective to reduce the energy dissipation needed to transmit data in the NTN.
休 憩(10:40 再開) 座長 吉原貴仁(KDDI総合研究所)
B-7-7 |
ネットワーク設計のためのトラヒック確率密度関数推定の改善
○竹下絵莉奈・小杉友哉・山田友輝・鈴木 聡・吉原慎一・吉田智暁(NTT) |
B-7-8 |
スマートメータ無線デバイスを用いた複数の無人移動機の階層型経路構築法
◎長谷川聡士・馬場健一(工学院大) |
B-7-9 |
OpenFlowを利用したアプリケーションのQoSを考慮した経路選択手法
◎大島啓一・馬場健一(工学院大) |
B-7-10 |
Webページの滞在時間を考慮したユーザ興味情報の予測手法
◎上田風歌・馬場健一(工学院大) |
トラヒック確率密度関数推定における必要帯域の予測精度のさらなる向上のために,先行研究のロス関数に必要帯域の予測誤差を評価する項を追加する改善を行い,シミュレーションで改善の効果を確認した.
スマートメーター無線デバイスを用いた無人移動機の経路構築法が研究されてきた.先行研究では,宅配などのサービスを行う上で時間と安全性を考慮した手法としてリンクロックを用いた経路構築法が提案された.しかし,リンクロックでは十分なドローンの同時運行台数が確保できず物流の分野では扱いが難しい.そこで,スマートメータを用いた航行システムにおいて,同時運行と要求される制限時間を保証した運行を目指し,ツリー型のネットワークを構成した上で,多数のドローンを階層的にネットワークを構築し適切に経路制御を行う手法を提案した.シミュレーションによる評価実験を行い,制限時間内に目的地まで届いたドローンの割合は従来手法より改善された.また,ツリー型のネットワークを用いたことで衝突の可能性を減らすことができた.
現在、多種多様なアプリケーションが登場し、それぞれ要求される通信品質と通信形態は異なる。それらを確保するためには、制御可能なネットワークにおいてネットワーク状況を把握し、適切に経路制御を行う必要がある。そこで動的な経路選択による通信品質の確保、維持を実現するために、本研究ではアプリケーションごとに2種類の閾値を設けて経路を選択する手法を提案する。閾値は帯域と遅延で構成され、それぞれアプリケーションが所望する値である要求値と利用するうえで必要最低限な値である許容値とそれぞれ定義する。本稿ではOpenFlowを導入して提案手法の実装を行い、シミュレーション実験により評価を行う。
近年,インターネット広告は,配信されるサービス情報やユーザのインターネット利用率の増加に伴い,需要が高まっている.中でも行動ターゲティング広告は,精度の高いターゲティング技術を利用し,消費者の興味関心に連動した広告を配信している.既存手法では,ユーザの興味情報の継続時間が30分と仮定し,ユーザがブラウザを立ち上げてから終了するまでの直近30分に限定した範囲の閲覧履歴から,ユーザの興味情報の取得を行っている.しかし,ユーザは膨大なWebデータから自分の興味に関連のある情報を取捨選択し,情報を収集するため,直近30分の閲覧履歴に含まれるWebコンテンツが全て,ユーザの興味に関連するコンテンツであるとは限らない.そこで本稿では,ユーザのWebサイトの滞在時間に着目し,これら情報の解析によるユーザ興味情報の予測手法を提案する.
3月8日 9:00〜11:40 4号館 4205教室 座長 平山孝弘(NICT)
B-7-11 |
条件分岐を含むストリーム処理のデプロイ時間短縮手法の提案
◎久恒泰地・羽原拓哉・伊藤大輔(日立) |
B-7-12 |
ネットワーク設定の効率的な事前テスト手法の提案
○村中延之・飯島智之(日立) |
B-7-13 |
ネットワーク内映像処理技術の実装方式に関する一検討
○北田裕之(NTT)・福留大貴(NHK)・奥山隆文・趙 笑添(NTT)・西村 敏・大亦寿之(NHK) |
B-7-14 |
5GC C-planeユーザデータ転送機能のfree5GCへの実装
◎加藤尭彦・佐々木 力・田上敦士(KDDI総合研究所) |
同一製造現場への複数ソリューション適用にも対応した条件分岐機能を持つ IoT データ収集基盤を検討した.ストリーム処理中で条件分岐を負荷なく実現するためには全条件分岐先の処理をタスクとして分割しキューを配備する必要があり,デプロイ時間増大が課題であった.本研究では分岐先の処理時間を算出し高負荷な処理のみキューを配備し低負荷な分岐先処理と分岐前のタスクを統合する手法を提案した.3つの分岐を持つ1つの条件分岐のデプロイ時間を計測した所,従来44.3秒に対し目標デプロイ時間を達成する8.53秒となった.大規模工場で本基盤適用を見込む.
クラウドリフト&シフト等により複雑化するネットワーク設定においてIaC(Infrastructure as Code)が試みられているが,1つの装置に正しく設定がなされたとしても他装置との整合が取れていなければ正しく動作せず不安定な状態となる可能性があり設定手順も重要となる.そのため,従来は1ステップごとに有識者のレビューを行い設定不整合のリスクを洗い出す工数が大きい課題があった.本提案では,カオスエンジニアリングの手法を提起要したネットワーク設定の設定不整合リスク検証に対応した事前テスト手法に取り組み,試作・評価の結果,多数のテスト手順を自動化しレビュー負荷を軽減可能な見込みを得た.
映像伝送のIP化が進み,SMPTE ST2110に代表される,非圧縮映像や非圧縮に近い軽圧縮映像を伝送するプロトコルが広く利用されている.本稿では,ST2110の映像配信への適用に必要とされる,ネットワーク内における映像処理技術の実装方式を提案する.
5Gモバイルコア (5GC)では,IoT向けの通信機能として,C-Plane Cellular IoT 5G System Optimization (CP-CIoT) が規定されている.これはIoT端末(UE)が制御プレーン(C-Plane)のみを用いてユーザデータを転送する機能で,UE側の送信データ量や消費電力の抑制が期待できる.本機能の評価にあたって研究目的などで広く使われているオープンソースベースのfree5GCの利用を検討しているが,free5GCは一部機能のみのサポートに留まっており,CP-CIOTも2022年12月時点では未実装である.本稿では呼処理を中心にfree5GCへCP-CIoTを実装する方法を検討する.
休 憩(10:05 再開) 座長 末田欣子(明星大)
B-7-15 |
S-CSCFによる一斉鳴動およびSMS再配信制御について
○原田 翔・筒見拓也・徳永和仁(NTTドコモ) |
B-7-16 |
非常時における優先通話の待時を考慮した回線留保制御手法
◎有井陽一朗(工学院大)・山岡克式(東工大)・馬場健一(工学院大) |
B-7-17 |
音声ペイロードサイズがトラヒックに及ぼす影響
◎和氣智慶(東工大)・宮田純子(芝浦工大)・北口善明(東工大)・馬場健一(工学院大)・山岡克式(東工大) |
複数のデバイスにて、同一電話番号で通話やSMSを利用することの需要は高まってきており,それを実現するための技術の有用性は高まっている.本紙ではS-CSCFによる音声およびSMSの一斉鳴動およびSMS再配信制御方式について説明する.
非常時には,膨大な通話要求により,網内に輻輳が生じ,これにより,被災地周辺において呼の接続が困難になるという問題がある.このような非常時の呼の収容数増大を図るため,通信資源の一部を優先通話専用に留保する回線留保制御手法が提案され,その有効性が示されている.しかしながら,既存の回線留保制御においては,優先通話を呼損させないように予測される優先通話の呼量以上に網資源を確保する必要があるため,一般通話の多くは呼損しているにも拘らず,網資源に空きが生じる.そこで本稿では,一般通話ではなく優先通話の待時を許容することにより,留保回線数を少なく設定し,一般通話の収容数増大を可能にする回線留保制御手法を検討する.
非常時におけるVoIPセッションの受付制御実現のためには,音声コーデックや音声ペイロードサイズ(VPS)等の送信側パラメータに応じたトラヒックモデルが必要となる.これまでに,単一セッションのトラヒックモデルとして,短い無音区間も考慮したON-OFFモデルが提案されているものの,VPSは単一である.本研究では,ON-OFFモデルのマルコフモデル表現が満たすべき要件を定め,既存モデルのマルコフモデル表現より導出される,VPS毎トラヒックモデルを提案した.また,提案モデルから,複数の音声コーデックに対してVPS毎の平均ビットレートを計算し,遅延および平均ビットレートの観点から,非常時通信において有効なVPS選択領域を示した.
休 憩(10:55 再開) 座長 小畑博靖(広島市立大)
B-7-18 |
DRDoS攻撃を防御するための破棄要請プロトコル
◎杉山恒始・馬場健一(工学院大) |
B-7-19 |
IoT-ZTNシステムゲートウェイにおけるアクセス制御方式の検討
○△櫻井雄大・橋本 力・水野 修(工学院大) |
B-7-20 |
ヒット率を考慮した大容量コンテンツにおけるキャッシュ分散配置手法
◎中山誠亜・馬場健一(工学院大) |
DDoS攻撃の手法のひとつであるDRDoS攻撃は,悪意のない第三者のサーバをリフレクタとして利用する攻撃であり,対処が困難である.この対策として,AS間の境界に存在するルータで攻撃トラヒックを遮断する既存研究が存在するが,この手法では攻撃の規模などの条件によっては境界のルータが輻輳する可能性がある.この問題を解決するため,自身のIPアドレスからのサービス要求パケットを破棄する要請を攻撃を受けている標的から行い,リフレクタとして利用されているサーバでトラヒックを遮断する破棄要請プロトコルを提案する.シミュレーションによる検証を行い,このプロトコルを用いた防御手法が適切に動作することを示した.
IoTシステムを標的としたサイバー攻撃が増加している.脅威は外部ネットワークだけでなく,内部ネットワークにも存在する.我々はこれらの脅威に対処するため,IoTにZTNを適用したIoT-ZTNシステムを提案し,プロトタイプを開発した.プロトタイプにより,ZTNの適用可能性は確認できたが,アクセス制御を決定するControl-Planeと実際に制御を行うData-Planeを結ぶIoTゲートウェイの負荷が増大する点が問題となっている.そこで本報告では,性能を維持しつつゲートウェイの負荷を軽減することを目的に,アクセス制御方式の改善を目指す.
限られたキャッシュ容量において,高いヒット率によってコンテンツ取得までにかかる時間を短縮するためのキャッシュ分散配置手法を提案する.具体的には,無数のルータの内,いくつかの代表ルータにキャッシュサーバを配置し,コンテンツをPartと呼ぶ複数のコンテンツに分割してキャッシュする.ルータがリクエストを受信すると,該当Partを保持しているかどうかを確認し,保持していれば返送してPartを1hop移動する.保持していない場合は次のルータへリクエストを転送する.コンテンツサーバから取得した場合は,Partを経路上のルータに順番に保存する.リクエスト10000個におけるコンテンツ取得までにかかる平均時間は,最大で約32.3%短縮することができた.
3月10日 9:00〜11:40 4号館 4205教室 座長 松井健一(NTT)
B-7-21 |
標的型攻撃と範囲型攻撃に対するネットワーク頑健性
◎中条雅貴・林 幸雄(北陸先端大) |
B-7-22 |
複数攻撃者配置におけるICNのコンテンツポイズニング攻撃の影響分析
○工藤多空飛(福岡大)・上山憲昭(立命館大) |
B-7-23 |
通信のアノマリ検知におけるセキュリティ運用に関する一提案
○藤木直人・千葉伸浩・永渕幸雄・小山高明(NTT) |
B-7-24 |
VANETにおけるSHBFTコンセンサスメカニズムを用いたブロックチェーンベースの信頼度管理
◎横井夏海・松澤智史(東京理科大) |
B-7-25 |
PHPコード静的解析によるSQLインジェクション対策手法の検討
◎鈴木雷大・松澤智史(東京理科大) |
テロなどの標的型攻撃による人為的災害や、地震や津波などの大規模な自然災害など、現代社会は様々な脅威に晒されている. しかしながら、現代社会を支えるインターネットや電力網、輸送網などの大規模で複雑なネットワークは、弱点を狙った標的型攻撃によってバラバラに分断されてしまう脆弱なScale-Freeネットワーク構造をしている. そこで本研究ではループの観点から、より強力な標的型攻撃と、地震や津波をモデルとした範囲型攻撃に対して頑健なネットワーク構造について調査する.
コンテンツの名称でパケットを転送しルータでコンテンツをキャッシュし配信することでコンテンツを効率的に配信する情報指向ネットワークが注目を集めている.しかし,悪意を持ったユーザが不当なコンテンツをネットワーク (NW)に展開することでキャッシュの効果を低下させるコンテンツポイズニング攻撃 (CPA)の問題が指摘されている.CPAの対処法を確立するには,CPAがNWの性質に与える影響を明らかにする必要があるが,既存研究はその多くが小規模なNWトポロジや限定された攻撃者の位置のみで評価を行っている.本稿では,Fakeコンテンツ及びBotの数が2以上の場合における独自Fake型CPAの脅威を分析する.
近年、ネットワークセキュリティ分野において、教師なしアノマリ型異常検知手法が異常通信検知技術として着目されている。この技術は、正常な通信パケットまたはフローから通信機器の通信特性に応じたモデル化を事前に行い、そのモデルと実通信との乖離を分析して異常通信を検知する技術であり、巧妙化する未知のサイバー攻撃の異常通信検知にも有効である。しかしながら、異常通信と判定したアラートについて、対応方法の判定は機械的に行うことが難しく、セキュリティ運用を効率的に支援する仕組みが重要である。本稿では、セキュリティ運用に資するデータの関連付け方法に着目し、通信の監視項目と比較方法を提案する。
VANETでは車車間通信や路車間通信によって近隣の車両同士が交通状況や事故の情報を交換することで,より安全で快適な輸送を実現 することができる.しかし,悪意のある車両が VANETで誤情報を拡散した場合,安全性や交通システムの効率が脅かされる可能性がある.そこで,過去の振る舞いをもとにノードがどの程度信頼に値するかを計算し,悪意 のある車両を認識するための信頼度管理が必要になる.本研究では,階層型Practical Byzantine-Fault-Toleranceアルゴリズムを用いたブロックチェーンを路側機によって構築し,信頼度を効率的かつ安全に長期管理する信頼度管理モデルを提案する.
昨今のSQLインジェクション(SQLi)対策はWAF等で攻撃される段階で動的な解析により検知し攻撃を防ぐ方法がある。一方、静的解析を行い多くのWebアプリケーション開発言語の脆弱性を検知するツールも存在するが一般的には普及していない。また、サーバ管理者≠コード作成者となる状況において脆弱性が発見されることでサーバ管理者が対策を取る必要があり、手間がかかるという現状がある。
本研究ではPHPStanを使用し、PHPコードの静的解析を行うことでSQLiについての対策を低コストで行い、従来方法より手間を削減した。
休 憩(10:25 再開) 座長 渡部康平(長岡技科大)
B-7-26 |
情報指向型センサネットワークにおけるDDoS攻撃への対処
◎大澤龍弥・長岡英進・田家隆文・水野 修(工学院大) |
B-7-27 |
DDoS攻撃防御のためのモバイルネットワークと他ネットワークとの連携方式の検討
小此木謙一・○鈴木理基・田上敦士(KDDI総合研究所) |
B-7-28 |
CDNのキャッシュサーバを騙ったDDoS攻撃のZスコアを用いた検知法
○谷口和也・上山憲昭(立命館大) |
B-7-29 |
PoAベースのブロックチェーン技術を適用した自律分散無線AP共用網
○ビンティジャフリ ヌリンイザティ・川原憲治(九工大) |
B-7-30 |
共創型デジタルツイン実現に向けた提携形ゲームに基づくデータ取引モデル
◎渡部 仁・保戸山英俊・宮田純子(芝浦工大)・金井謙治(早大)・山崎 託(芝浦工大) |
情報指向型ネットワーク(ICN:Information-Centric Networking)を適用した情報指向型センサネットワーク(ICN-based Wireless Sensor Networks)を提案している.ICSNでは第三者が,存在しないInterestを連続して送信し,Pending Interest Table(PIT)をオーバーフローさせるInterest Flooding Attack(IFA)を用いたDistributed Denial of Service (DDoS)攻撃が行われる可能性がある.これにより,ユーザのセンサデータ取得が困難になり,サービスの停止や信頼性の低下が起こることが考えられる.本報告では,ICSNにおけるIFAによるDDoS攻撃へ対処するため,Forwarding Interest Base(FIB)とPITのFace IDが一致した際にPITエントリの削除を行うFace ID比較方式を提案した.提案方式について悪意のあるセンサノード2台を用いてIFAによるDDoS攻撃を行った結果,通常の通信が可能であることを確認した.
B5G/6G時代には,スマートフォンやIoT端末など, 多様な端末がモバイルネットワークに接続する.脆弱性を持つ端末が含まれている場合,悪意のあるソフトウェアに感染した端末が,DDoS攻撃を引き起こす可能性がある.モバイルネットワーク経由のDDoS攻撃によって, 攻撃経路上のネットワーク障害が起き,リソースを共有する他の加入者にも影響を与える可能性があるため,即座に悪意のあるトラフィックを排除する必要がある.分散された攻撃元からの攻撃を効率的に防御するためには,被害者ネットワークに近いところで攻撃検知を行い,攻撃元に近いところでレート制限での防御や不正トラフィックの排除を実施することが最善である.そのため,各ネットワークが連携する機能が必要である.また5GのC-planeでは,各NFの機能がAPIとして提供され,あるNFが別のNFのAPIを呼び出し, それらが連鎖することで5GCとしての機能実現を図っている.そこで本稿では,DDoS対策を目的とした外部ネットワークとの連携時に適切に優先度を制御する機構の実装課題について述べる
ボットがCSのIPアドレスを発アドレスとして偽り,標的OSへパケットを送信した場合に,ファイヤーウォールで検知ができない問題がある.しかし,DNSのログを調べれば,CSからの正常な配信要求か,ボットからのDDoSパケットか判別可能である.全ての配信要求に対してDNSのログを調査すると,その処理コストの増大が問題となる.そこで,DDoS攻撃のパケットが短い時間間隔で多数発生することに着目し,前回CDNを騙ったDDoS攻撃の二段階検知法と最適閾値設計法を提案した.しかし一般的に配信要求の発生パタンは動的に変化するが,本方式では閾値を固定的に設定するため,動的な環境に対する対処が困難である.そこで本稿では動的な環境への対応が可能なZスコアを用いた二段階検知法を提案する.
近年の移動端末の普及により,公衆無線LANサービスの拡大による無線LANアクセスポイント(AP)の稠密設置が予想される.そこで,管理者の異なるAPの共用を可能とするブロックチェーン技術を適用した無線AP共用網が提案されている.本研究では,端末-AP間の認証や接続切り替えを迅速に行うための認証プロセスとProof of Authority(PoA)ベースのブロック生成手法について検討する.
共創型デジタルツインエコシステムの一つの機能要件として,データ提供者および消費者間の対価分配の最適化が挙げられる.この対価分配の最適化に向けて,共創型デジタルツインを協力ゲームと見立てたデータ取引のモデル化を図る.本稿では,予備検討として,協力ゲーム理論の提携型ゲームを用いて,データ消費者側に焦点を当てたデータ取引協力ゲームのモデル化を行う.このモデル化では,提携形ゲームの先行例と知られる空港ゲームを導入し,ゲームの解であるシャープレイ値から各データ消費者の支払額を導出する.
3月10日 13:00〜16:50 4号館 4205教室 座長 村瀬 勉(名大)
B-7-31 |
再生可能エネルギーを考慮したワークロード配置手法の効果検証
○中村亮太・原田薫明(NTT) |
B-7-32 |
期間公平性を考慮した複数仮想網資源割当方式の評価
○星合擁湖・小林正裕(NTT) |
B-7-33 |
不確実な再生可能エネルギーの利活用に向けた分布的ロバスト最適化に基づいた仮想ネットワーク割当
◎浦田賢吾(NTT)・原田 翼(東工大)・中村亮太・原田薫明(NTT) |
B-7-34 |
マルチテナント環境における多段的データ処理リソース割り当て手法
◎羽原拓哉・久恒泰地・伊藤大輔(日立) |
B-7-35 |
ID 再配置が施された分割グラフの結合における頂点の複製排除
◎岡松紀伸・金子晋丈・土田康平・山下剛志(慶大) |
再生可能エネルギー(再エネ)が大量に導入された世界において,余剰電力の発生が予想される時間帯・ICT拠点に対し仮想化技術によりワークロードを配置することで,消費電力が発生する時間帯・ICT拠点を制御し再エネ利用量を拡大する検討を進めている.ワークロードの再配置においてはサービス品質や運用効率への影響もあり,再エネ利用量とのトレードオフが想定される.本稿では,再エネを考慮したワークロード配置手法における,再エネ利用量とサービス品質・運用効率とのトレードオフについてのシミュレーション評価結果を報告する.
単一物理網上の複数仮想網間の一定期間に渡っての公平性(期間公平性)を最大化する資源割当方式(以前の文献では連携制御方式と記載)を提案してきた.本稿では,提案する複数の公平性最大化モデルをシミュレーションにより比較評価し,満足度および期間公平性の観点から最も有効性の高いものを明らかにする.
通信網のカーボンニュートラル化に向けて太陽光発電などの再生可能エネルギー(再エネ)を主要電力源とする試みが促進されている.再エネ電力量は気象条件に依存したものとなり,何らかの予測情報として取得する必要がある.予測情報には必ず不確実性が存在するため,何の考慮もなしに仮想ネットワーク割当を行うと通信網での電力逼迫が発生する.
この課題に対して筆者らは,不確実な再エネ電力量に対してロバストな仮想ネットワーク割当手法を提案してきた.先行研究では,再エネ電力量の不確実性を確定的な多面体集合としてモデル化している.しかしながら,再エネ電力量が生成される確率をモデルに反映できていないため,生成確率が低い事象と高い事象の区別がされず平常時には非効率な割当方法となる.また,不確実性を表す多面体集合は事前に何らかの方法によって見積もる必要があるが,不確実性集合の見積もりも正確とは限らない.そこで,本稿では,不確実性を確率分布で扱うと共に確率分布の不確実性も考慮した最適化手法である,分布的ロバスト最適化に基づいた仮想ネットワーク割当手法を提案する.
近年産業分野の現場では労働力が減少する問題に直面しており,IoTを活用した生産効率向上が求められている.筆者らはコンテナで動作する複数拠点データ連携を実現するデータ収集基盤を提案している.データ収集基盤を構築する拠点が増加するにつれ,データ収集基盤の実行に必要となる計算リソースに係るコストの増加が課題である.本稿では,限られたリソース内で大量データ処理実行を実現するリソース割当手法を提案する.
大規模グラフ処理におけるID再配置は,キャッシュ局所性の向上により計算を高速化する手法である.全体グラフを分割し,演算ごとに任意の分割グラフを結合する環境におけるID再配置では、部分グラフごとに事前に頂点IDを再配置することで再配置結果を再利用できる.しかし,複数の分割グラフに存在する頂点に関しては,単一の分割グラフにおいて,頂点IDを付与する必要がある.
そこで本研究では,複数の分割グラフに存在する頂点について,ID再配置がもたらすキャッシュ局所性への寄与を分割グラフごとにモジュラリティ損失によって定量化し,モジュラリティ損失が最も高い分割グラフにおいて頂点IDを付与する手法を提案する.実世界のWebグラフにおいて分割数を1から50まで変化させながらPageRank演算時間を評価した結果,演算時間は分割数の影響を受けないことが明らかになった.
休 憩(14:25 再開) 座長 原田薫明(NTT)
B-7-36 |
利用率のばらつきおよび距離に着目したエッジサーバ配置選択法
◎△柴田航季・宮田純子(芝浦工大) |
B-7-37 |
異種エッジサーバ環境におけるK-means++を用いたサーバ初期配置決定法
◎小川晃平・宮田純子(芝浦工大) |
B-7-38 |
ガンマ分布を仮定したコミュニティからの期待脱出歩数の評価
◎△秋元大河・金子晋丈・松本直己(慶大) |
B-7-39 |
中間ノードにおける配送待ちを考慮した合流型2段リンクのHBHファイル配送方式
◎片岡秀斗・北口善明・山岡克式(東工大) |
自動運転技術やオンラインゲームにエッジコンピューティングを用いる場合,全ユーザのリアルタイム性を確保する必要があるため,最大遅延時間を削減する事は重要である.既存手法では,ユーザの処理要求(ジョブ)の伝搬遅延の平均値の削減を重視したが,その結果各エッジサーバの利用率のばらつきが大きくなり,最大待ち時間も大きくなる可能性がある.そこで本研究では,利用率のばらつきやユーザとエッジサーバ間の距離の最大値を考慮することで,最大遅延時間を削減するエッジサーバ配置決定,ジョブの割り当て決定を行う.
IoT機器の増加などに伴いトラヒックが増加しており,モバイルエッジコンピューティング (以下,MEC) が注目されている.
MECは,サーバを分散させ,ユーザとサーバ間の距離を縮めることでトラヒック負荷の軽減が期待できる.
MECのシステム構築には,エッジサーバ (以下,ES) の配置問題と,ユーザのジョブの送信先ESの割り当て問題がある.
既存手法は,初期値の取り方で局所解に収束する性質について利用率の低い環境で比較をしている.
そのため本研究では,K-means++法を用いた初期値設定法を提案し,その有効性を示す.
ネットワーク分析においてコミュニティからの抜け出しにくさを評価することは重要だが,既存指標のコンダクタンスは値が小さい場合に抜け出しにくさを適切に表現できていない.そこで,ランダムウォーク(RW)ベースの指標“平均期待脱出歩数”を提案する.具体的には,まずコミュニティ内の各ノードを始点としたRWに基づく脱出歩数をガンマ分布に近似し,得られた近似分布の期待値を各ノードの期待脱出歩数とし,さらに全ノードの期待脱出歩数の相加平均を取ることでコミュニティの平均期待脱出歩数とした.実験結果から,平均期待脱出歩数はコンダクタンスが相対的に小さい区間において,抜け出しにくさを適切に評価できるとわかった.
ホップバイホップファイル配送システムにおいて,効率的なスケジューリングが,1段リンク,および,分岐のない2段リンクを対象に提案されている.本研究では,より一般的なモデルへの適用領域の拡張を目指し,分岐あり2段リンクのうち,複数の最上層ノードがを持つ合流型モデルを定義し,スケジューリングを検討する.合流型では,中間ノードにおける配送待ちと,1段リンクや分岐なし2段リンクでの既存検討で得られた特性を考慮した,スケジューリング方式を提案した.また,計算機シミュレーションにより,既存方式と比較した,提案方式の延べサービス時間低減性能を評価し,準最適性,及び,従来手法に対する向上性能を,定量的に示した.
休 憩(15:35 再開) 座長 城 哲(KDDI総合研究所)
B-7-40 |
エッジコンピューティングによる感情分析を用いた照明制御
堀畑弘陽・○川原亮一(東洋大) |
B-7-41 |
森林における植生密度を考慮したアドホックネットワーク構成方法
◎稲岡孝汰郎・村瀬 勉(名大) |
B-7-42 |
CCN上の木構造のモバイルネットワークにおけるコンテンツサーバの移動を考慮した経路制御方式
◎中川佑人・花田真樹(東京情報大)・金光永煥(東京工科大) |
B-7-43 |
位置識別子を利用した受信者代弁型情報伝送プロトコル
◎大坪正樹・北口善明・山岡克式(東工大) |
B-7-44 |
構造化P2Pを応用した分散型ICNの効率化
◎小熊崇将(埼玉大)・松本倫子・吉田紀彦(立正大) |
本稿では,リアルタイムにカメラ映像から対象人物の表情を読み取って感情分析を行い,その結果を元にLED電球の色を変えるシステムを検討する.想定する利用シーンの例として,介護・看護施設に入居している方の近くにカメラを設置し,そのときの状況をリアルタイムに職員の方へ分かるようにする.そのため,エッジコンピューティング(小型デバイス)で実現する必要があり,Raspberry Piで実装を行う.関連研究として,音声入力による感情分析を用いたインタラクティブな照明について論じている文献などがある.それに対し本稿では表情を入力としたシステムを検討し,実験を行う.また,誤判定時のフォールバック機能としてジェスチャーによる照明制御の仕組みも検討する.
森林における高スループットな通信の確保に向け、LTE/5Gの電波の届く地点からWi-Fiアドホックネットワークで通信経路を構成するための、APの設置制約と森林の植生密度に起因する特有の電波特性とを考慮するAP配置・経路選択方法を提案し、評価する。植生密度が低い場合、電波減衰は小さいと考え、直接波の高い受信電力が期待できる短絡NLOS経路を用い、植生密度が高い場合、電波減衰は大きいと考え、APを中継して遮蔽物を避ける迂回LOS経路を用いる構成手法を提案する。
森林での実機を用いた評価より、植生密度が低い(527.7本/ha)場合、短絡NLOS経路の方が36.2Mbps高いのに対し、植生密度が高い(1434.6本/ha)場合、迂回LOS経路の方が3.1Mbps高く、提案手法の妥当性をおおよそ確かめた。
近年,コンテンツ流通の向上のための次世代ネットワークアーキテクチャとして,コンテンツ指向型ネットワーク(CCN)が注目されている.本稿では,移動体通信におけるプロデューサの移動予測を用いてプロデューサの移動を考慮した経路制御方式を提案する.本方式は定期的な経路表の更新とアクセスポイントが受け取る移動しているプロデューサノードからのRSSI(受信信号強度)を用いて移動の予測を行い,冗長的な経路表を構築する.評価実験では,既存のCCNの経路制御方式と比較し,提案方式のコンテンツ取得率が向上していることを示す.
インターネットの上り回線・下り回線のような,二方向で帯域の異なる非対称な伝送路において,広帯域回線の通信を狭帯域回線の通信に利用し,狭帯域回線の伝送を効率よく行う方法として,受信者代弁型情報伝送プロトコルが提案されている.本プロトコルにおける狭帯域回線の伝送内容によって複数の伝送手法が提案されているが,本研究では新たにビット列の位置の識別子を用いる伝送手法を提案した.その提案手法における性能を,狭帯域回線の送信ビット数の削減効果,およびスループットの観点から明らかにし,本プロトコルの有用なパラメータ設定が複数存在することを示した.また,狭帯域回線の帯域以上のスループットが実現するための,帯域比や伝送遅延,往復伝搬遅延といった環境要件を明らかにした.
名前解決サーバを用いずに各ルータが分散的に経路制御を行う Content Centric Networking (CCN) には,コンテンツの所在情報のフラッディングによりトラフィックが増加する課題がある.同様の問題はかつて P2P ネットワークにおいても発生していたが,構造化 P2P の提案により解決された.そこで本研究では,構造化 P2P の 1 つである Tapestry の技術を CCN に導入することでネットワークを構造化した新たな分散型 ICN を提案する.加えて,ルータの参入・離脱に対応する方式も組み込む.そして,シミュレーション実験で効果を示す.
B-8. コミュニケーションシステム
3月7日 9:00〜11:45 2号館 2306教室 座長 島田達也(NTT)
B-8-1 |
非対称分布コンスタレーションを利用した周波数オフセット補償方式の平均化数に対する特性評価
○胡間 遼・原 一貴・可児淳一・吉田智暁(NTT) |
B-8-2 |
Beyond 5G向け光アクセスNWの低消費電力化に関する一検討
○斉藤洋之・中平佳裕・鹿嶋正幸・更科昌弘(OKI) |
B-8-3 |
BCOMにおける帯域制御情報の転送方式に関する検討
○小崎成治(三菱電機)・峰野博史(静岡大)・末廣 雄・名倉健一・白井 聡(三菱電機)・畑中勇樹・横谷哲也(金沢工大) |
B-8-4 |
災害時におけるFTTHの迅速な応急復旧を実現するための検討
◎上原荘子・嶌津聡志・関口真良・吉田智暁(NTT) |
B-8-5 |
PONプロテクションを利用した効率的なOLT更改方法の一検討
○木村文都・嶌津聡志・関口真良(NTT) |
TDM-PONシステムの高速・長延化のため、デジタルコヒーレント受信技術の適用が検討されている。本構成の上り通信では、各ONUの送信する時間的に間欠なバースト信号光毎にLO光との周波数差(周波数オフセット)を補償する必要がある。著者らは、プリアンブル部に挿入したトレーニングシンボルの差動検波後のコンスタレーション分布から周波数オフセット量を推定する方式を提案し、広範囲の周波数オフセット量を推定できることを示した。本稿では、提案トレーニングシンボルの平均化数に関して評価をする。
2030年頃のBeyond 5G無線NWは多種多様なサービスの実現が想定され,更なる大容量化が必要となる.我々は大容量かつ低消費電力なモバイル向けPONシステムの研究開発を行い, それに適したシステム構成を提案している.今回, 実際の人流データから求めたトラヒック量に応じて最適な通信方式/レートを割り当てて, どれだけ消費電力を削減できるか試算した結果,1日トータルで約50.9%消費電力を削減でき,1時間当たり最大約77.4%電力削減できることがわかった.
5Gシステムの多重化機能としてPassive Optical Network (PON)の適用を考える際,エンド-エンドでのQoSを保証するため両者で連携した帯域割当を行う必要がある.筆者等は,これまで5Gシステムからのトラヒックを監視してPONにおける帯域割当を行う方式としてBandwidth Control based on Online Monitoring (BCOM)を研究してきた.本稿では,BCOMにおいて,ONU Management and Control Interface (OMCI)を拡張したONUとOLT間の帯域制御情報の転送方式について述べる.
FTTHの主流であるPONシステムにおいて、災害時に屋外光スプリッタからユーザ宅内までのケーブルが切れることが多く、復旧時は現地に作業者を派遣し張替えを行う。しかし、修理箇所が多く、ユーザ申告の元行うため、復旧が長期化する課題がある。そこで、迅速な復旧案としてケーブル断時に有線通信から無線通信に自動で切り替える無線通信機能を持つONUを提案し、無線電波を適切に制御するためのONU間距離を計算する方法を示す。
現在のFTTHは重要な社会インフラにまでなっており、そのFTTHを支えるPONシステムのOLTは、全国の通信ビルに面的に設置されており、今後OLTの装置寿命等によって新しいOLTへ更改が必要となった場合、更改に膨大な年数が必要とされる。そのため、更改作業を効率化させることが急務となっており、PONプロテクションの構成を利用した効率的なOLT更改案を示す。
休 憩(10:30 再開) 座長 川崎 耀(NICT)
B-8-6 |
空調システムに向けた高速電力線通信の適用に関する検討‐受信電力に関する計算方法の妥当性評価‐
◎那谷和輝・樋熊利康・小竹弘晃(三菱電機) |
B-8-7 |
FDTD法を用いた数値計算による水道電界通信の受信電圧の測定に関する検討
○芳野裕樹・岸田晃太郎・濱松 亨・中村夕也(熊本高専) |
B-8-8 |
帯域制限を行うMWHCDMシステムにおけるチップタイミング再生方式の改良に関する検討
◎田上隼斗・小島年春(電通大) |
B-8-9 |
MWHCDMの耐周期的遮断能力の向上に関する検討
◎河野智大・小島年春(電通大) |
B-8-10 |
PTPプロファイル変換におけるメッセージレート適応方式の提案
○山形佳祐・久保尊広・中西 隆・吉原慎一(NTT) |
空調システムでは,各機器の端子台において,専用線を渡り配線又は分岐配線することでネットワークを構成する.このような配線形態仕様を維持したまま通信の高速化が期待できる高速電力線通信(HD-PLC Multi-hop)に着目し,既存システムへの適用に向けて検討を行っている.
本稿では,E2E(エンドツーエンド)の通信可否を簡易検証するため,任意端末の受信電力を机上計算で求める計算方法を示し,その妥当性を評価した結果について報告する.
震災などの災害により水道管が破損した場合,水道事業者が現地に赴き箇所の特定を行っているため,水道管の復旧に時間を要する.この問題を解決するため,我々は水道管を通信経路として利用する水道電界通信を用いて,迅速な漏水・断水箇所の検出する方法を検討している.
過去研究によって水道電界通信によって断水箇所の検出が可能であり,災害によって水道管内部に土砂が流入したとき,断水箇所を検出することが可能であることを明らかにした.本検討ではFDTD法による数値計算によって想定されるさまざまな状況における水道電界通信を行った場合の受信電圧等の測定について検討する.
ヘリコプター衛星通信で生じる信号の周期的遮断への対策の一つに,ウォルシュ・アダマール (WH) 符号を用いる符号分割多重化 (CDM) の一種であるmodified WHCDM (MWHCDM) がある.帯域制限を行うMWHCDMに適用可能なチップタイミング再生方式 (CTR) が提案されている.この従来方式はシンボル同期の初期捕捉後でなければ動作できないが,初期捕捉の観点からはチップタイミング同期確立後に初期捕捉を行う方が好都合である.本稿ではシンボル同期不要のCTRを提案する.
MWHCDMはヘリコプター衛星通信で生じる回線の周期的遮断に有効な伝送方式である。本稿では、MWHCDMの耐周期的遮断能力が発現する条件について述べ、その条件に基づき耐周期的遮断能力を向上させる手法を提案する。
様々な分野で高精度な時刻同期が求められている。その方法の1つであるPTPは分野ごとにプロファイルが規定されおり、異なるプロファイル間では時刻同期ができず、個別に時刻配信ネットワークの構築が必要であり高コストとなる.そこで我々は分野に合わせてプロファイルを変換する方式を提案しており、本稿ではプロファイル変換の一要素である メッセージレート適応方式について提案する.
3月7日 13:30〜16:45 2号館 2306教室 座長 末廣 雄(三菱電機)
B-8-11 |
高精度時刻同期に対する光トランシーバ信号処理の影響
○齊藤裕也・滝澤康裕・神山真一・梅田大助(住友電工) |
B-8-12 |
低遅延品質保証のための光パス動的制御技術のリアルタイム性評価
○王 寛・浅香航太・島田達也・吉田智暁(NTT) |
B-8-13 |
E2E光接続サービスのためのROADMアーキテクチャ拡張の検討
○木村康隆・可児淳一(NTT) |
B-8-14 |
APNにおける収容ユーザ数拡大に向けた柔軟な波長割当に関する一検討
◎濱上立季・柴田直剛・金子 慎・五十嵐 稜・可児淳一・吉田智暁(NTT) |
B-8-15 |
微小光共振器による光周波数コムを用いた多波長フィールド伝送
◎谷川幸彌・藤井 瞬・木暮蒼真・田坂 駿・田中脩矢・和田幸四郎・熊崎 基・川西悟基・田邉孝純(慶大) |
B-8-16 |
フレーム集約に着目した無線LANスループットの最適化
◎松本悦展・山崎悟史(沼津高専) |
5Gモバイルフロントホールではナノ秒オーダの高精度な時刻同期が必要となるため, Layer2イーサネット装置(以下, L2装置)を導入する場合, 時刻同期機能のサポートが必要である. 一方, 大容量伝送のためには, コヒーレントやPAM4変調など高度な信号処理技術を利用した光トランシーバが利用されるため, 光トランシーバで発生する伝搬遅延の変動やジッタによる時刻同期精度への影響が懸念される.本稿では, 開発した100 Gbps集線機能および高精度時刻同期機能を備えたL2装置と大容量光トランシーバを使用した場合の時刻同期精度を検証したので報告する.
将来ネットワーク (NW)システムでは有線NW・無線NW・コンピュートを経由するEnd-to-End (E2E)での厳しい低遅延品質が求められる.例えばドローンをNW経由で遠隔操作する場合,制御周期として挙げられる100msよりも短い遅延性を安定的に満たす必要がある.このような背景に基づき,筆者らは低遅延FDNを検討している.本稿では,低遅延FDNのリアルタイム制御性能を有線NW制御の観点から試作評価し,低遅延FDNの実現性及び適用可能領域について報告する.
ROADMの光送受信器(TRx)をユーザ拠点に張り出して任意の2地点間のエンド・ツー・エンド光接続を可能とするには,新たに折返し機能が必要となる.本稿では,折返しの実現構成を検討し,コスト比較を行い,TRx数が少ない領域ではSRG折返し構成が優位であるが,TRx数が多い領域では,Dir折返し構成、またはFXC折返し構成が優位であることを示す.
任意の拠点間をEnd-to-Endの光パスで直結し、大容量・低遅延なサービスを実現するAll-Photonics Network (APN)が検討されている。各端末は、APNのアクセスノードであるPhotonic Gateway(Ph-GW)を介して指示された波長を用いて通信を行う。これまでに提案されてきたPh-GWでは、各端末に固定間隔で波長が割り当てられていた。通信プロトコルに依存せず信号収容を行うAPNでは、主信号帯域幅も多様化するため、連続的な値から中心波長を選択する柔軟な波長割当により周波数利用効率を向上し、収容ユーザ数を拡大できる可能性がある。本稿では任意波長割当を前提とした新たなPh-GW構成を提案し、その収容ユーザ数拡大効果を示す。
近年,データ通信量の増加に伴いデータセンタ間における大容量光通信の需要が高まっている.本研究では,フッ化マグネシウム (MgF2) 微小光共振器を用いて光周波数コムを発生させ,強度変調・直接検波 (IM・DD) による多波長伝送をフィールドで実証した.コムを1台の強度変調器で一括変調したのち,2キャンパス間をつなぐ9 kmの商用光ファイバ中を伝送させた.共振器として自由スペクトル領域 (FSR) が狭いMgF2を使用することにより,帯域を効率的に利用することができ,またIM・DDを採用することによりデータセンタ間の通信に求められる低遅延かつ低消費電力な伝送を実現した.
これまで筆者らは無線LANの理論スループットを最大化すべく2種のフレーム集約数を最適化する手法を提案し,従来手法と比較して大幅なスループット改善効果を理論解析と計算機ミュレーションによって示している.本稿では100 数十バイト程度のショートパケットの利用による音声品質劣化に着目し,提案手法を用いた際の,パケットサイズがスループット性能に与える影響を明らかにする.特に,ビット誤り率が10^−4の環境では,スループットが唯一最大となるパケットサイズの存在が示唆され,具体的にはパケットサイズが385byteのとき,最大スループット146.6Mbpsが達成されることを示す.さらに,2種のフレーム集約による併用効果,およびRTS/CTSの適用効果を示す.
休 憩(15:15 再開) 座長 斉藤洋之(OKI)
B-8-17 |
産業用イーサネット機能のSDN化によるマルチプロトコルの実現
○小屋迫優士・鈴木貴大・秦野智也・島田達也・吉田智暁(NTT)・山田崇史(千歳科技大) |
B-8-18 |
レーザクラス分類と光給電ONUの動作条件
○名越 遥・桂井宏明・深田陽一・関口真良・吉田智暁(NTT) |
B-8-19 |
IoTプラットフォームC-NATによる低遅延伝送に向けた方式提案
○横谷温子・峰野博史(静岡大)・小坂和弘・光内雅己・石橋孝一・横谷哲也(金沢工大) |
B-8-20 |
Root Data Domain を分散化した仮想IoTシステムの検討
◎山本信一・川端凜太郎・横谷哲也・向井宏明(金沢工大) |
B-8-21 |
MQTTとDDSの比較とIoT DEPへの適用検討
◎光内雅己・蛇澤栄樹・石川綱起・小坂和弘・横谷哲也・石橋孝一(金沢工大) |
B-8-22 |
IoT データ信頼性向上に向けた有線LAN 環境における低レイヤメタデータ収集方式の端末負荷評価
◎今江章裕・玉置真也・成川 聖(NTT) |
工場内のロボット等のIoT端末を遠隔からリアルタイムモーション制御を行う需要が高まっている.このような制御には既存の産業用ネットワークと同等の遅延性能をネットワークで担保することが必要である.本研究では既存の産業用イーサプロトコル機能をSDN化し,アクセス区間まで延長することで,所望の制御を実現するとともに,マルチプロトコルに対応し,特定のプロトコルに制約されない産業用ネットワークの実現を目指す.汎用サーバ上に複数の産業用イーサプロトコルの機能をソフト化して実装し,異なるプロトコルのデバイスを一元的にモーション制御が行えるアーキテクチャを考案した.
現状の光通信の終端装置の設置先は,主に屋内に限られている.昨今のネットワーク需要の高まりに伴い,非電化エリアを含むあらゆる場所で通信を可能とする光回線終端装置(ONU)が必要になると考えられる.我々はこれまで,光給電により動作するONU(光給電ONU)を検討してきた.光給電ONUでは,連続供給される給電光電力と間欠動作する通信機能部の消費電力について電力収支が均衡することが動作条件である.実用化にあたっては,クラス1,2以外のレーザ機器では安全予防対策が必要であり,導入障壁となる.そこで,より安全性の高いレーザクラスの使用を視野に,クラス毎に取り得る動作条件をモデル計算により明らかにした.その結果を報告する.
The Internet of Things (IoT)の普及期を見据えIoT参照アーキテクチャ[1]やプラットフォーム[2]の議論が活発に行われている。筆者等はIoTプラットフォームの具体的な方式としてCCN with Network initiative And Traffic control(C-NAT)[3]を提案している。一方、IoTサービスの中には工
場等で必要とされる低遅延伝送[4]を要求するものも多い。
本稿ではC-NATを用いたIoTサービスにおける低遅延伝送についての基本方式を提案する。
本稿では, 防犯対策システムをユースケースとしてRoot Data Domain (RDD) の分散型アーキテクチャの実現方法をについて述べる. 今回提案する防犯対策システムでは, カメラデバイス内の画像解析といったエッジで行う情報処理がほとんどである. 従って, 集中型アーキテクチャより, 分散型アーキテクチャを用いたエッジコンピューティングの実現が求められる. 分散化の実装では RDG, Orion Context Brocker, MongoDBをパッキングして小型化する. 小型したRDDの要素を「Micro Root Data Domain (MRDD)」 と呼ぶ. MRDDは MRDD毎に処理負荷の分散化されるため, Raspberry Piのような処理能力が低いシングルボードコンピュータへの実装を可能とする. これにより, エッジコンピューティングの実現した提案システムのサーバでの処理遅延の低減と処理負荷軽減を可能とする.
現在、Internet of Things(IoT)サービスが様々な分野で導入されている。それにより、接続されるIoTデバイス数が著しく増加している。これらを効率的に収容するには、処理を軽量化するプラットフォームが必要と考えられている。その一つとしてIoT Data Exchange Platform(IoT DEP)の標準化がISO/IEC JTC1/SC41で行われている。IoT DEPとは、Pub/Sub型通信を積極的に活用したプラットフォームアーキテクチャである。本稿では、IoT DEPの実装を視野に入れ、Pub/Sub型通信の代表的なMessage Queuing Telemetry Transport(MQTT)とData Distribution Service(DDS)について比較する。比較項目は、プロトコルの位置づけ(規定範囲)、普及度、構成要素、性能、品質制御、セキュリティ等について定性的に示す。廃棄をかけた際の性能評価を行った結果、MQTTがDDSに比べ、トラヒック量、トラヒックの安定性ともに優れた値を示した。品質制御に関しては、送達保証に加え、送信のタイミング、送信期限なども設定可能なDDSがMQTTに比べ優れていると言える。セキュリティも同様に、共通アクセス制御設定が構成されているDDSがMQTTに比べ優れていると考えられる。
近年,IoT センサを活用したサービスの普及が進んでいる.センシングデータの活用にあたっては,データの信頼性が問題となる場合がある.著者らは,IoTデータ信頼性向上に向けて,データリンク層のような低レイヤ通信プ ロトコルの拡張領域を利用して主センシングデータ以外の情報(メタデータ)を収集可能とする,低レイヤメタデータ収集方式を提案してきた.本稿では,有線LAN 環境を想定した低レイヤメタデータ収集方式として,Link Layer Discovery Protocol(LLDP)フレームの拡張領域にメタデータを格納し送信する技術を実装し,従来の上位レイヤによるメタデータ収集方式とのCPU処理負荷を比較した結果を報告する.
3月8日 9:00〜11:45 2号館 2306教室 座長 眞下大輔(日立)
B-8-23 |
遠隔光路切替ノードのファームウェアファイル分割に関する検討
○野添紗希・渡辺 汎・寺川邦明・大串幾太郎(NTT) |
B-8-24 |
オフロード時間の予測に基づくハードウェアアクセラレータ選定方式
○豊島悠紀夫・秦野智也・島田達也・吉田智暁(NTT) |
B-8-25 |
情報指向ネットワークにおけるネットワーク符号とレートレス符号の性能比較
○荒川 透・松本隆太郎(東工大) |
B-8-26 |
映像の無線伝送時のトラヒック予測への背景トラヒックの影響評価
◎岡本優花・氏川裕隆・酒井慈仁・島田達也・吉田智暁(NTT) |
B-8-27 |
無線環境悪化に伴う映像遅延増と補償方式の検討
○氏川裕隆・岡本優花・酒井慈仁・島田達也・吉田智暁(NTT) |
多段ループ型光アクセス網に適用する遠隔光路切替ノードの管理保守機能の一つであるファームウェア更改について,複数台のノードを安定動作可能なファームウェアファイルサイズの算出方法を検討している.前回は,ノード台数2台において,一度の給電で送信できるサイズの上限を検討した.しかし,ノード台数が増えると,送信できるサイズが減少する.さらに,上限以上のファイルを送信する場合は,予めファイルを分割することで対応できるが,具体的な指標が明らかとなっていない.今回は,ファームウェアファイルを分割するときの指標を提案し,ノードの台数4台でシミュレーションした結果を報告する.
近年,人々の生活,地域や産業の効率化のために,デジタル・DX 化のためのアプリケーションが期待されている.こうしたアプリケーションの実現のために,我々はクライアント側の処理の一部を,NWサーバ側のGPU 等のハードウェアアクセラレータで実行する動的オフロードする方式を提案してきた.このとき,クライアント側は処理の結果を受信するまでの時間を要求する.本稿では,オフロード中に発生する時間を測定・予測して,ハードウェアアクセラレータを選定する方式を提案する.その方式によって,クライアントとサーバ間の伝送時間が変動する環境において,クライアント側の要求をすべて達成することが分かった.
情報指向ネットワーク(ICN)は,現状のホスト間通信に焦点を当てたIPネットワークとは異なり,より効率的なコンテンツ配信方法の実現を目的とする新たなネットワークアーキテクチャである.ICNのコンテンツ配信効率を向上させる試みとして,データのペイロードにネットワーク符号を用いる方式と,レートレス符号を用いる方式が存在する.符号を用いない従来法と比べ,どちらも性能の優位性が示されているが,符号を用いる二つの方法の優劣は比較されていない.本研究では,符号を用いた二つの方式のネットワークトラフィックの指標によりそれぞれを評価する.
光NWの経済性と低遅延性の両立方式として、基地局からの情報に基づき基地局に到着する総トラヒック量を予測し、輻輳発生前に上位NWと接続される光経路を切り替える方式の提案・評価を行い、周期的な映像トラヒックに対する時系列予測を用いた事前輻輳制御の有効性を明らかにしてきた。本稿では、提案方式の汎用性向上の観点から、背景トラヒック混在下における予測精度を評価し、精度・輻輳制御への影響を分析した。
ドローンやロボットを用いた遠隔操作の実現するためには、映像トラフィックを低遅延で送り届ける必要がある。著者らはこれまでに、無線ネットワークの情報に基づいた光パスの切り替えを提案しており、本稿では、無線環境が一時的に悪化した際に、接続先を切り替えることでEnd-Endの遅延増加を抑止することを念頭に置いた上で、映像に対して発生する遅延を見積る。
休 憩(10:30 再開) 座長 成枝秀介(三重大)
B-8-28 |
FM一括変換信号による一心同方向/双方向A-RoF伝送の検討
○深田陽一・宮武 遼・田邉暁弘・下羽利明・関口真良・吉田智暁(NTT) |
B-8-29 |
Layered ACO-OFDMにおける層に応じた適応変調
○中野宏紀・山下航輝・長里天翔・安 昌俊(千葉大) |
B-8-30 |
光直交分割多重方式のサブキャリアアド・ドロップ多重・分離動作におけるサブチャネル間遅延処理の検討
◎WANG SIWEI・植之原裕行(東工大) |
B-8-31 |
2D MIMOシステムにおける疑似データを用いた低演算量到来方向推定
○△竹本吏来・上野海輝・安 昌俊(千葉大) |
B-8-32 |
上り回線の電力領域非直交多元接続における選択合成の受信ダイバーシチの適用に関する一検討
○森山雅文・山添正裕・松田隆志・松村 武(NICT) |
我々は,アナログ変調によりRF信号を信号光に重畳・伝送するAnalog Radio over Fiber (A-RoF)の検討を進めている.A-RoFは,デジタル変調により信号光重畳を行うD-RoFに比べ処理遅延や必要帯域が小さい一方,雑音・波形劣化の影響を受けやすいという特徴がある.これに対し我々は,アナログ変調にFM一括変換方式を適用することで,これらの影響を抑圧してきた.
ところで,A-RoF伝送においても,波長多重を行うことで,伝送容量増大や柔軟な運用が実現できると想定される.その際,波長多重では相互位相変調(XPM: Cross-Phase Modulation)などの信号光間干渉による劣化に対しても検討を行う必要が生じる.そこで,FM一括変換方式において,信号光2波による一心同方向/双方向A-RoF伝送を行い信号光間干渉の評価を行った.
可視光通信(VLC)において,電力効率,伝送効率が良いOFDMの手法としてLACO-OFDM(Layered ACO-OFDM)が挙げられる.これは使用するサブキャリアが異なる複数のACO-OFDM(Asymmetrically Clipped Optical OFDM)信号を層のように多重化して送信し,下位層(先に復調した層)の信号からクリッピングノイズを推定して上位層の信号を復調する手法である.しかし,復調した下位層の信号の誤りが上位層に伝搬するという問題点があり上位層であるほどBER性能は劣化する.本研究では,層に応じて適切な変調方式を用いることでスループット性能を向上させることを目的とする.
高周波数利用効率と柔軟な性能実現を目的として光OFDMのお互いにランダム遅延がついた符号化サブチャネル信号のAdd-Drop動作実現を目指し、これまで集積素子による基礎的な実験結果の報告をしてきた。さらに、光OFDMサブチャネル分離回路を透過しない動作においてサブチャネル間の遅延があっても受信時に分離可能な識別子の導入効果を検討してきた。本研究では、識別子の導入によって、お互いにランダム遅延がついた符号化サブチャネル信号が光OFDMチャネル分離回路を透過する処理について検討する。今回の解析は、11次M系列を用いる四サブチャネル光OFDM多重QPSK信号を利用して、一つチャネルだけ遅延持つ条件で行う。その結果、信号全シンボルに対して処理する方法1に比べて,シンボルごとに対して処理する方法2の修正手法の方が良い結果となった。また、遅延によっては各チャネルの信号は復調できるが、更なる改善が必要である結果となった。特に遅延を持つチャネルの復調特性が良好でなかったことが分かる。
2D MIMOシステムにおいてMUSIC法を用いた到来方向推定では,演算量削減のため,到来方向(水平方向,鉛直方向)を分けて推定する手法が提案された.このアルゴリズムを用いて水平方向に並んだアンテナから方位角,鉛直方向に並んだアンテナから天頂角を推定する際,到来波数(ユーザ)が水平,鉛直方向のアンテナ数よりも多い場合は到来方向の推定が困難になる.この問題を解決するため,アンテナを疑似的に配置し,その疑似データを用いて低演算量で到来方向推定を行う新しい手法を提案する.
我々はIoTの発展に伴い急増する上りトラフィックを収容するため,上り回線における電力領域非直交多元接続(Uplink Power Domain Non-Orthogonal Multiple Access : UL-PD-NOMA)に関する研究開発に取り組んでいる.NOMAの信号分離方式に逐次干渉除去を利用する場合,信号を誤りなく分離するには希望信号と他端末からの干渉信号及び雑音との電力差,つまり信号対干渉雑音電力比(Signal to Interference and Noise power Ratio : SINR)を規定値以上に保つ必要がある.しかし,送信電力制御等で信号対干渉電力比(Signal to Interference power Ratio : SIR)を予め調整しても,移動通信の場合,フェージングの影響を受けて必要なSINRが保てない可能性がある.そこで本研究では選択合成(Selection Combining : SC)の受信ダイバーシチを適用して,フェージングの影響を緩和する方式について検討した.
B-9. 電子通信エネルギー技術
3月10日 9:00〜11:30 2号館 2304教室 座長 星 伸一(東京理科大)
B-9-1 |
直流マイクログリッドの構築とシミュレータによるその動作解析
○劉 可・山田博仁・岩月勝美・尾辻泰一(東北大) |
B-9-2 |
グリッド間電力交換機の動作検証
○唐 琼顔・劉 可・山田博仁・岩月勝美・尾辻泰一(東北大) |
B-9-3 |
強化学習による蓄電池を考慮した需給バランス手法の検討
○諏訪部元樹・香西将樹(NTT) |
B-9-4 |
再生可能エネルギーによる電力向けトレーサビリティ検討
○鈴木敏明・古谷幸太郎・Efrain Eduardo Tamayo Ruiz・伊藤政昭・定江和貴・齋藤 直(日立) |
B-9-5 |
再エネ電源状況に応じたマイクロデータセンターの運転
○王 静池・劉 可・山田博仁(東北大)・香西将樹・南 裕也・田中 徹(NTT)・岩月勝美・尾辻泰一(東北大) |
複数の蓄電池を分散して基線に直接接続する直流マイクログリッドを構築し、半年以上安定に運用を続けている。今回、そ の直流グリッドのシミュレータを MATLAB/Simulink 上で構築し、その動作をサイバー空間に再現して解析する CyberPhysical System (CPS)を実現したので報告する。
異なるグリッド間での電力分布の最適化を実現するため、グリッド間で電力融通を行う必要がある。これまで我々は、基線に蓄電池を直接接続する自発的な自律分散協調制御法により、グリッド内における蓄電池の蓄電率(SoC)の均等化と、オン-オフグリッド間での電力融通によって再エネ率が改善されることを報告した。今回我々は、異なる直流グリッド間での電力融通を可能にする電力交換機を構成し、基本動作を検証したので報告する。
近年,再生可能エネルギーの導入拡大への期待が高まっている.しかし,再エネの発電量は気象条件に依存して大きく変動するため,導入が進むと変動量も大きくなり,需給のバランスの維持が困難になる.
供給側の発電量が大きく変動することから、バランスを維持するためには需要および蓄電を活用することで調整が必要となる.
NTTでは日本各地に所有するデータセンタのサーバ等で処理する仕事を時空間的に移動してエネルギー需要を調整する技術に取り組んでいる. 本稿では、1つの拠点を対象に、予測された発電量、電力需要および関連するパラメータを入力として、最適な需給バランスを設定する手法を実践した結果について述べる.
近年,温室効果ガスの排出量を削減する一環として,太陽光や風力等の再生可能エネルギーにより発電された電力の利用が促進されている.具体的には,各時刻帯において再生可能エネルギーにより発電された電力が,同時刻帯に消費されたことを示す管理が推奨されている.このような背景の下,本報告では,バッテリー等の充放電機能から供給される電力が,再生可能エネルギーによる電力であることを追跡可能な方式について提案する.
我々はこれまでに、マイクロサーバーを屋外に設置し、夏場の炎天下でも冷却を行いつつ、太陽光発電による100%再エネ電力で稼働させられることを実証してきた。また、電源状況に応じて情報処理負荷を移動させながら動作するコンテナクラスター・サーバーをワンボード・マイコンにおいて実証した。今回我々は、4台のマイクロサーバーによって構成されるコンテナクラスターを屋外に設置し、情報処理負荷を時間帯によってスケジューリングすることにより、冬場の限られた太陽光発電電力のみによっても運転できることを実証したので報告する。
休 憩(10:30 再開) 座長 古川雄大(福岡大)
B-9-6 |
PV併設無線通信基地局での異なる運用制御手法の併用に関する検討
◎仲戸川 航・若尾真治(Waseda Univ.)・角谷昌恭・五十嵐郁瑛・竹野和彦(NTTドコモ) |
B-9-7 |
電力回生を考慮した電力パケット密度変調に関する一検討
◎△樋渡建人・持山志宇・引原隆士(京大) |
B-9-8 |
ユーザの節電行動をBLEの受信電波強度から推定する手法の検討
◎五十嵐郁瑛・角谷昌恭・竹野和彦(NTTドコモ) |
B-9-9 |
Direct Digital Synthesizerを用いた昇・降圧可能なデジタル制御電源の提案
◎中廣凌大・久保洸太・松本 聡(九工大) |
近年、無線通信基地局の環境性や耐災害性の向上を目指し、太陽光発電(PV)と蓄電池を併設したグリーン基地局が導入され始めている。これまで筆者らは、グリーン基地局のシミュレーション評価や、経済性の向上に向けたエネルギマネジメント手法の検討を行ってきた。本稿では、複数のグリーン基地局を対象に、平常時は基地局間での電力融通を行いつつ、電力逼迫時のデマンドレスポンス(Demand Response: DR)市場への参入を視野に入れた運用制御手法を検討する。
複数の電源やバッテリーと、複数の負荷からなる系における電力伝送方式として、電力パケット伝送システムの提案がある。本方式では、電力を時分割し電圧波形の情報タグを付与した伝送単位を、時系列で密度変調することにより負荷への供給電力を制御する。ここで、電源から負荷への電力供給のみならず、負荷からバッテリーへの電力回生を利用することで、システム全体の効率向上が期待される。本報告では、そのための基礎研究として、回生を考慮した負荷供給電力制御について検討する。特に、供給と回生を電力パケットとして同一配線上で取り扱いながら、負荷への供給電力制御が可能であることを、シミュレーションによって確認する。
昨今,節電をはじめとする省エネエルギー活動の意識を高める取り組みが推進されている.本稿では家庭内の節電行動の推定に焦点を当てる。BLE(Bluetooth Low Energy)機能を内蔵した家電からの電波強度を取得し,家電との位置を推定したのち,家庭内の消費電力の推移データ(Bルートデータ)とを照らし合わせ,ユーザがどの家電を対象として操作したかを推定する手法を検討した.
電源の究極の小型が可能な power supply on chip(power SoC)が注目を集めている。Power SoCはLSIやMEMSプロセスを用いて製造されるため大量生産が可能であり、低コスト化が可能であり、デジタル制御のDC-DCコンバータが有望である。デジタル制御のDC-DCコンバータでは通常Digital signal processor(DSP)が用いられているが、通常スイッチング周波数の100倍から1000倍程度のクロック周波数が必要となる。以前、我々はDirect Digital Synthesizer(DDS)を用いたデジタル制御電源を提案し、スイッチング周波数の10倍程度のクロック周波数のDSPを用いてデジタル制御のDC-DCコンバータを実現した。本論文では、昇・降圧が可能なデジタル制御H-bridgeコンバータに DDSを適用した結果について報告する。
B-10. 光通信システムA(光ファイバ伝送路)
3月7日 9:45〜11:00 2号館 2207教室 座長 高木武史(古河電工)
B-10-1 |
3モード階段型純石英コアファイバに関する検討
◎岩屋太郎・寒河江悠途・森 崇嘉・坂本泰志・松井 隆(NTT)・佐藤孝憲・齊藤晋聖(北大)・中島和秀(NTT) |
B-10-2 |
零モード分散条件により設計された異種結合型2コアファイバの群遅延広がり特性の調査
○小西竣大・佐藤孝憲・藤澤 剛・齊藤晋聖(北大) |
数モードファイバ(FMF)の長距離伝送適用には, モード間遅延差(DMD)と伝搬損失の低減が必要である. さらにFMFはマイクロベンド損失の劣化に留意する必要がある. 本稿では, 階段型純石英コア構造を用いた3モードファイバの特性について解析的に検討を行ったので報告する.
1本の光ファイバに複数のコアを収容して伝送容量を拡大するマルチコアファイバ (Multi-Core Fiber: MCF) は,非結合型MCFと結合型MCFに大別される.特に,結合型 MCFはコア間のクロストーク (XT) を許容するが,適切なコア間距離を設定することによりモード分散 (Mode Dispersion: MD) を低減できるため,長距離伝送に向いたファイバとして注目されている.結合型MCFのMDを低減する一方針として,異なる2種類のコアをリング状に偶数個配置し,適切なコア間距離を設定することで,MDを限りなく0に近づけられるという特性を利用した異種結合型MCFが提案されている.このような零MD条件 (Zero MD Condition: ZMDC) を満たす異種結合型MCFでは,相関関数を用いてランダムな摂動を与えた直線状ファイバにおいても群遅延広がり (Group Delay Spread: GDS) の低減効果が得られると報告されているが,曲げやねじれといった摂動下においてはZMDCが満たされず,GDSが増加する可能性があると懸念される.そこで本報告では,ZMDCを満たす異種結合型2コアファイバ (2CF) に対して曲げ・ねじれが加えられた場合のGDS特性の調査を行った.
休 憩(10:30 再開) 座長 小田拓弥(フジクラ)
B-10-3 |
マルチコアファイバ実装のMPOコネクタ
○森島 哲・齊藤侑季・土師康平・毛利慎太郎(住友電工) |
B-10-4 |
高ΔMCFを用いた狭ピッチ4コアFIFO
○佐々木 翼・高橋正典・杉崎隆一・新子谷悦宏(古河電工) |
大規模データセンター等のネットワーク光スイッチにおける伝送容量改善に向け,高ch密度光コネクタが潜在的に求められており,
マルチコアファイバ(MCF)を複数本用いた多心MCFコネクタはその解決手段の一つとして期待される.
今回,多心MCFコネクタとして,標準クラッド外径125μmの4コアファイバを24本実装した,
96コアMPOコネクタを試作・評価したので報告する.
光ファイバ伝送路の容量限界を超える技術として、マルチコアファイバ(MCF)を用いた空間分割多重伝送システムの早期実用化が期待されている。MCFの実用化には、MCFの各コアとシングルモードファイバ(SMF)を接続するファンイン・ファンアウト(FIFO)が不可欠であり、我々はファイババンドル型FIFOの開発を進めてきた。ファイババンドル型FIFOは低損失、高信頼性といったメリットがある一方、結合型MCF(CC-MCF)のような狭コアピッチMCFとの接続が課題である。狭コアピッチMCFと接続するため、ファイババンドル型FIFOとピッチ変換用HΔ-MCFからなる狭ピッチ4コアFIFOを作製した。FIFOの平均挿入損失は0.6dB以下であり、低損失な狭ピッチ4コアFIFOが実現可能であることを確認した。
3月7日 13:00〜15:45 2号館 2207教室 座長 青笹真一(流通経済大)
B-10-5 |
非開削法によるマルチコアファイバ母材の大型化
○前田幸一・高橋正典・松野佑亮・杉崎隆一・新子谷悦宏(古河電工) |
マルチコアファイバーの実用化に向けて、製造性の向上やコスト削減が求められている。これらを実現するためにはMCF作製時の母材を大型化することが有効である。MCFの製法として最も多く用いられている穿孔法は、穿孔可能な長さの制限や、穿孔径の大型化に伴うツールへの負荷の観点から、母材の大型化に対して課題がある。穿孔法以外の製法として報告されているスタックアンドドロー法や、スラリーキャスト法では大型母材に適用した報告例がない
本講演では、MCF母材の大型化に適した新製法である非開削法を用いて、母材外径をこれまで報告されているφ50㎜からφ85㎜への大型化を行った結果について報告する
(14:00 開始)
B-10-6 |
リングコア4-LPモードEDFAにおける利得制御
○小野浩孝(湘南工科大)・山田 誠(阪公立大) |
リングコア4-LPモードEDFAにおける励起光パワー調整による利得制御性について,EDFのコア半径依存性を調べ,信号光モードがLPn1 (n=1, 2, 3, 4)である2型RC-EDFを用いた4-LPモードEDFAにおいて0.3 dB未満の小さい利得制御エラーが得られることを示した.
(14:45 開始) 座長 川口雄揮(住友電工)
B-10-7 |
リングコアファイバとラゲール・ガウシアンビームの結合効率
◎保科皆智・丸田章博(阪大) |
B-10-8 |
ニアフィールド測定法による4コアファイバのモードフィールド径測定の高速化
大関真生・○竹永勝宏・市井健太郎(フジクラ) |
B-10-9 |
Analog RoFフロントホールの周波数応答等化による無線・光ファイバ統合MIMO伝送の特性改善
○依岡寛人・東野武史・岡田 実(奈良先端大) |
B-10-10 |
ラマンスペクトルを用いたGeO2添加光ファイバの仮想温度評価法の考察
◎大本航平(NTT)・辻川恭三(NTT-AT)・松井 隆・中島和秀(NTT) |
リングコアファイバ(RCF)とラゲール・ガウシアン(LG)ビームはそれぞれファイバ中および自由空間における空間分割多重を実現する上で重要であり,それらの間の結合効率の向上についての検討が行われている.本稿では,RCFの内部領域の屈折率が結合効率に与える影響について調査した結果を報告する.
マルチコアファイバ (MCF) の実用化を目指すうえでの課題の一つが生産性向上である.モードフィールド径(MFD)測定においては,MCFの各コアに従来の1コアのシングルモードファイバ(SMF)と同じ測定方法を適用すると,測定時間がコア数に比例して増加してしまう.スループット向上のためには,複数コアの特性を同時に測定する必要がある.
今回は,ハイダイナミックレンジ画像合成を中核とした画像処理機能を実装することにより,ニアフィールド測定法によるMFD測定を高速化した結果を報告する.この高速化によって,4コアファイバのMFD測定所要時間をSMF比で1.53倍の時間まで短縮することができた.
Analog RoF(Radio-over-Fiber) フロントホール技術は光ファイバを媒体とする大容量な有線ネットワークと,ミリ波やテラヘルツ波等の高周波を用いた無線ネットワークをシームレスに融合するための通信基盤である.本研究では,有無線統合伝送において,有線路がMIMO 伝送に及ぼす影響を軽減するための等化手法を提案し,その有効性を検証した.
その結果,有線伝送路に存在する非平坦かつ非平衡な周波数応答に対して,提案手法を用いることで,チャネル行列の平均条件数を約62%減少させ,所要Eb/N0 を5dB から8dB 程度改善させることができた.
光ファイバの損失特性は,仮想温度Tf(ガラス凍結時の温度)と関連することが知られている.前回,純石英ガラスのラマンスペクトルが有する固有ピーク値の面積比と強度比を用いた2種類のTf評価の等価性について実験的に考察した.今回,両評価手法の,二酸化ゲルマニウム(GeO2)添加コアを有する汎用単一モード光ファイバ(SMF)への適用性について検討を行ったので報告する.
3月8日 11:30〜11:45 2号館 2207教室 座長 飯田裕之(NTT)
B-10-11 |
FBG張力調整装置の開発
○野口恒輝・佐藤信也(室工大) |
FBGセンサにおいて、張力調整は設計および架設精度管理を行う上で重要である。本研究では、初めにFBGの両端を移動ステージに固定し、基準となる初期テンションを決める。それに必要な張力を、フォトディテクタの出力電圧に対して測定した張力のグラフから導出する。次に、導出した張力をかけた場合の電圧をデータロガーによって測定し、ニューラルネットワークの解析により算出した電圧値と測定した電圧値を比較し精度確認する。最後にトルクモータで張力調整の実験を行う。モータをPWM制御する際に必要となるデューティ比は導出された電圧値を基準にして決定し、張力調整を試みる。
3月8日 16:15〜16:30 2号館 2207教室 座長 高橋 稔(フジクラ)
B-10-12 |
大口径光ファイバカッタの開発
○多田健介・伊藤淳史・片平基思・鈴木直昭・長谷川 諒(フジクラ) |
大口径光ファイバは,一般の通信用光ファイバの数倍のクラッド径を持つ石英系光ファイバである.これは高密度の光エネルギー伝送を可能にするため,レーザ等の高出力光エネルギー伝送を必要とする分野やセンサー分野で使用されている。製品の品質を上げるためには,安定した切断角の制御が必須となっており,これら大口径光ファイバの高品質切断の要求が高まっている.そこで,従来機の後継モデルとして,より切断品質を向上させた大口径光ファイバカッタを開発した
B-10. 光通信システムB(光通信方式,光通信機器,デバイスのシステム応用,光通信網・規格)
3月7日 13:00〜16:00 2号館 2208教室 座長 井上 崇(産総研)
B-10-13 |
電界吸収型変調器と位相変調器の縦続接続によるOSSB信号の生成
◎浅野智哉・前田譲治(東京理科大)・Amila Kariyawasam(九大) |
B-10-14 |
DP-IQ変調器と偏波干渉計を用いたOSSB+C信号送信機の検討
◎鈴木優介・藤嶋宏典(東京理科大)・カーリヤワサム アミラ(九大)・前田譲治(東京理科大) |
B-10-15 |
ストークスベクトル変調信号のシンボル判定法に関する一検討
◎朝比奈俊拓・前田讓治(東京理科大) |
B-10-16 |
Kramers-Kronig関係を用いた直接検波光コヒーレント受信におけるレーザ位相雑音の伝送品質への影響
○加藤弘太郎(東京理科大)・カーリヤワサム アミラ(九大)・前田譲治(東京理科大) |
B-10-17 |
短距離向けIM/DD超高速光PAM伝送におけるデジタル信号処理を用いたレーザRIN波形再構築による影響緩和の検討
○菊池信彦・平井理宇(日立) |
B-10-18 |
短距離コヒーレント光通信システムに適する低損失変調方式
◎樋口怜治・白木隆太・森 洋二郎・長谷川 浩(名大) |
近年,モバイルフロントホールの低コスト化を実現する技術としてアナログ光ファイバ無線 (A-RoF) が注目されている.マイクロ波帯以上の周波数を扱う A-RoF では,ファイバ分散に起因するフェージングが発生することが知られており,これを回避する手法として搬送波付き光単側波帯 (OSSB+C) 信号の使用が提案されている.本研究では,強度変調に続いて位相変調を行う位相シフト法を用いてOSSB信号を生成し,電気信号の変調方式のファイバ分散への依存性を実験によって調べた.その結果,側波帯の抑圧度が変調信号の振幅に依存する本方式は,PAPRの大きいマイクロ波信号の伝送には不向きであることを実験により明らかにした.
搬送波付光単側波帯 (OSSB+C) 信号は,アナログ光ファイバ無線 (A-RoF) 伝送における波長分散誘起フェージングの影響を回避できるほか,Kramers-Kronig 関係を用いた直接検波自己ヘテロダイン方式にも利用される.本稿では,偏波多重光直交 (DP-IQ) 変調器と偏波干渉計を用いたOSSB+C信号送信機を提案し,A-RoFシステムにおいて行った原理確認実験について報告する.実験の結果,中心周波数10.5 GHz, 50 Mbaud 16-QAMのA-RoF 伝送において信号の送信を確認した.また,DP-IQ変調器出力の偏波をほぼ1:1で干渉させたときに A-RoF として最良の伝送特性が得られた.
光の偏波状態を利用したストークスベクトル変調信号のシンボル判定法を数値的に検討した. パワーの異なる立方格子2組による16信号点配置を想定し, 強度情報を境界として用いる方法と信号点間の二等分平面を境界とする方法の検出特性を数値シミュレーションに基づいて比較した. 伝送距離は0 kmと4 km, 伝送路には標準単一モードファイバを想定した. 伝送距離0 kmではシンボル判定の方法による差は見られなかった. 伝送距離4 kmでは強度情報を境界として用いる方法のほうが, わずかながらペナルティが小さくなった. 伝送距離4 kmではポアンカレ球面の方向に信号点が広がり, 信号点間の二等分平面を境界とする方法に用いる閾面を侵しやすくなる. これは, ポアンカレ球面上の偏移に用いられる位相変調の分散耐性の低さに起因すると推察される.
直接検波によって得た自己コヒーレントヘテロダイン信号に、Kramers-Kronig関係を適用することで位相情報を回復する方式 (KK受信) は、レーザ位相雑音の影響をほとんど受けない。しかし伝送距離が長くなると、ファイバの波長分散によって位相雑音が強度雑音に変換され、KK受信で必要な最小位相条件を満たさなくなる可能性がある。本稿では、KK受信を用いた自己コヒーレントヘテロダイン方式の無中継伝送における、レーザ位相雑音の影響をシミュレーションにより評価した。
データセンタトラフィックの増加に対応して短距離向けの高速光ファイバインタフェースの開発が急速に進んでいる。400GbEでは53GBaudIM/DD PAM4変調が導入され、800G/1.6T伝送向けにさらなる高速化が検討されている。IM/DD PAM信号は簡素な構成で大容量伝送が可能であるが、アイ開口幅が小さいため波形劣化に弱く、本稿で取り扱うレーザ相対強度雑音(RIN)も劣化要因のひとつとして懸念されている。我々は前報にてRIN成分の時間相関を利用した受信器内デジタル信号処理によるRIN補償方式を提案した。本報告では受信器内でRIN波形の再構築を行う、より高精度な補償方式について報告する。
短距離光ファイバ通信システムでは,送受信器の低コスト性が重視される.このため,直交振幅変調を短距離通信システムに導入するためには,廉価なレーザの使用に伴う種々の雑音に対する耐力の向上が必要である.信号劣化耐力を向上する手法として,信号劣化要因の統計的性質に応じてシンボル配置を操作する方法が提案されている.この手法をレーザ位相雑音の影響が支配的となる通信路に対して用いると,高い位相雑音耐力を有する一方で,変調損失が大きい円状のシンボル配置が得られる.本稿では,レーザ位相雑音と変調損失を同時に考慮した変調方式を提案する.シミュレーションにより提案手法の有効性を示したので報告する.
休 憩(14:45 再開) 座長 アミラ カーリヤワサム(九大)
B-10-19 |
光固有値変調信号への軟判定前方誤り訂正符号適用の検討
○三科 健(阪大)・吉田 剛(三菱電機)・久野大介・丸田章博(阪大) |
B-10-20 |
光固有値伝送における伝送路の分散揺らぎの影響
◎本村拓海・丸田章博・三科 健(阪大) |
B-10-21 |
2の非整数乗M-QAM光伝送方式の一検討
◎高橋俊亮・中村悠人・赤星 諒・今宿 亙(近畿大) |
B-10-22 |
逆散乱変換における散乱係数bを用いた周波数オフセット推定
◎千野太輔・前田貴也・丸田章博・三科 健(阪大) |
B-10-23 |
DSP-Freeソリトン差動振幅位相変調
○三好 輝・久保田寛和・三好悠司(阪公立大) |
光固有値通信は,光ファイバ中の非線形歪みの影響を受けない伝送方式として注目されている.我々は,光固有値通信方式の一つとして,N 個の光固有値のon-off状態を用いることにより2のN乗値の多値変調信号を伝送する方法を提案している.一方,光伝送システムのさらなる大容量化・延伸化を図り,低密度パリティ検査(LDPC)符号等を用いた軟判定前方誤り訂正(SD-FEC) が導入されている.本稿では,4個の光固有値を用いた16値固有値変調信号に,軟判定前方誤り訂正(SD-FEC)の適用可能性を検討した結果について報告する.
ファイバ中を伝搬する電場の包絡線振幅は非線形シュレディンガー方程式(NLSE)で記述される.NLSEは逆散乱変換(IST)を用いて解け,その際に現れる随伴固有値方程式の固有値は分散性および非線形性の影響を受けず,伝送の前後で不変な量であることから,固有値を用いた伝送方式が提案されている.
固有値伝送では伝送路の分散パラメータは長手方向に一定であることを想定しているが,実際にはファイバの製造工程や敷設時にかかる応力によって生じるコア径や屈折率のランダムな変化によって,分散パラメータに揺らぎが生じる.本稿では,分散パラメータの長手方向の揺らぎが固有値伝送に及ぼす影響の調査結果について報告する.
本研究は、な高シンボルレート光伝送システムの置局設計においてより高い自由度を与える潜在的な手段として、16-QAMと32-QAM光伝送方式の中間レートを実現できる24-QAM光伝送方式に注目し、光受信器における着信SNR性能解析を行ったので報告する。
デジタルコヒーレント受信機では,搬送波信号と局部発振器 (LO) との間の波長不整合により生じる搬送波周波数オフセット (CFO) を推定・補償することが求められる.我々は,光固有値変調信号の復調の際に,CFO が固有値シフトに現れることを利用した固有値領域 CFO 推定手法を提案している.本発表では,逆散乱変換 (IST)に基づくより高精度の CFO 推定手法として, 散乱係数 bを用いた CFO 推定手法を提案する. そして, 提案手法の推定精度を計算機シミュレーションにより調査した結果について報告する.
多値変調にはSNRが劣化する課題がある。これを補償できる可能性がある伝送技術に、ファイバの非線形性を利用した光ソリトン通信がある。理想的な光ソリトン波は波形を維持したまま長距離伝送できる。さらに、ソリトン制御技術により、ASEの除去およびソリトンの波形整形も可能であり、位相感応増幅器を利用すれば、位相雑音低減の可能性もある。しかし、ソリトンパルス間での相互作用により伝送距離が制限されるため、その影響を評価する必要がある。本研究では、ソリトン2ASK-DPSKでの伝送を解析した。
3月8日 9:00〜11:30 2号館 2208教室 座長 清水 智(NICT)
B-10-24 |
機械学習を用いた光伝送路内のマルチパス干渉の検出
◎小野寺美澪・平野 章(東京電機大) |
B-10-25 |
複素リザーバコンピューティングを用いた非線形イコライザによる自己位相変調の補償実験
◎生田 海・中村迅也・伊藤裕太(明大)・坂本高秀(東京都立大)・山本直克(NICT)・中村守里也(明大) |
B-10-26 |
ニューラルネットワークシンボル判定器の特性変動耐性評価
◎加川功己・白木隆太・森 洋二郎・長谷川 浩(名大) |
B-10-27 |
知能反射面を用いた可視光通信システムにおける機械学習によるチャネル推定の高精度化
◎澤木拓夢(宇都宮大)・小島 駿(東大)・今井健太郎(群馬大)・横田隆史・大津金光(宇都宮大) |
近年、5Gモバイルや6Gへ向けて、メトロ・アクセス領域の大容量化が求められているとともに、デジタルコヒーレント技術のメトロ・アクセスネットワークへの活用が検討されている。今後、メトロ・アクセス領域においてコネクタ等の接続点が増加することで、マルチパス干渉ノイズによる光信号の劣化が懸念されている。本研究では、ネットワーク信頼性の向上に向けた一つの試みとして、デジタルコヒーレント信号に機械学習を適用し、MPIノイズを検出する手法を検討した。単一の反射点を想定した光伝送路において、MPIノイズの検出が可能であることを確認した。
光ファイバ通信における非線形歪み補償を多層型ニューラルネットワーク(ANN)で行う方法が検討されており、特に複素数のパラメータを持つ複素ANNを用いることで学習が高速になることが知られている。一方、相互結合型のANNを応用したリザーバコンピューティング(RC)による非線形イコライザの検討も進められている。今回、複素ANNを用いた複素リザーバコンピューティング(CVRC)の非線形補償能力を実数型と比較し、実験によりその特性を明らかにしたので報告する。
超高密度波長分割多重システムでは,ノードに設置された波長選択スイッチ(WSS)によるスペクトル狭窄が課題となる.スペクトル狭窄の影響を緩和する信号処理技術として,ニューラルネットワークを用いた新しい復調方式が提案されている.先行研究では時系列データを扱うことができる回帰型ニューラルネットワーク(RNN)を用いてシンボル判定器を実現している.この方式では,オフラインであらかじめ伝送路に対して最適化を行うことが想定されている.しかし,スペクトル狭窄の特性はレーザ周波数やWSS特性の変動に伴い変化することが示されている.本稿では,実際の伝送路での使用を想定した数値シミュレーションにより,WSS特性の差異がRNNによる復調性能に深刻な影響を与えることを明らかにしたので報告する.
近年電波による無線通信では使用可能な周波数帯域が逼迫しており,新たな無線通信方式の模索が喫緊の課題となっている.この解決のために,昨今では可視光を用いた無線通信に注目が集まっている.可視光無線通信は,高速・大容量な通信が可能な反面,その直進性の高さからカバレッジの確保に問題がある.そこで,先行研究において知能反射面(IRS)を用いた可視光通信システムの提案を行った.しかし,提案したシステムでは信号の復号に不可欠なチャネル推定を理想化しており,現実環境での評価が不足している.本稿では,IRSを用いた可視光通信システムにおいて,機械学習を用いたチャネル推定の高精度化手法を提案し,通信性能の評価を行う.
休 憩(10:30 再開) 座長 岡村康弘(徳島大)
B-10-28 |
QPSK参照光を偏波多重したデジタルコヒーレント連続量量子鍵配送システム
◎川上哲生・前田和佳子(NEC)・平野琢也(学習院大) |
B-10-29 |
位相雑音環境下における量子イルミネーションの誤り率特性
◎王 天澄(神奈川大) |
B-10-30 |
波長変換光伝送における位相共役と最適波長分散補償による簡易中継DSPを用いた非線形低減
○立野翔真・野口栄実・ル・タヤンディエ・ドゥ・ガボリ エマニュエル(NEC) |
B-10-31 |
単一光子検出器を用いたパルス位置変調通信におけるパルス位置個別受信方式の基礎検討
◎尾川晴彦(早大)・林 穂高・高橋英憲・釣谷剛宏(KDDI総合研究所)・森田逸郎(早大) |
量子鍵配送(QKD: Quantum Key Distribution)は伝送路での暗号鍵の盗聴が不可能な鍵共有技術である。QKDの方式の一つに連続量QKD(CV-QKD: Continuous Variable QKD)方式がある。CV-QKD方式は単一光子源や単一光子検出器といった特殊なデバイスが不要でコヒーレント光通信と親和性がある事から実用化の期待が高いQKD実装方式である[1]。CV-QKD方式の小型化を図って実用性の更なる向上を実現するものとして近年特にデジタル信号処理を利用する方法が盛んに研究されている[2]。CV-QKD方式では単一光子レベルの微弱な光である量子光の直交位相振幅に暗号鍵共有のための乱数情報と基底情報を載せて伝送してQKDを行う。量子光強度は微弱であるため直接クロック抽出を行う事は困難である。従来は量子光の波長から離れた波長の同期光を用いてクロック抽出を行っていたが、これにはQKDシステムの波長利用効率が低下するという課題があった。今回、この課題を解決するためクロック抽出のためのQPSK変調した参照光を量子光に偏波多重する事で同期光を使用することなくQKDを行い、量子光強度が1光子/1シンボル以下でシフト鍵生成を確認したので報告する。
2008年にLloydによって考案された量子イルミネーション(QI)は,エンタングルメントを持つ二つの光の利用により,目標の存在を確かめるプロトコルである.
我々は,先行研究にて利用されたベル状態と2モードスクィズド真空状態の他,もう一種のエンタングルド状態である擬似ベル状態の応用に着目し,最小誤り率について減衰環境におけるQIの性能を解析した.
その結果,擬似ベル状態を用いたQIが,従来のレーザーレーダだけでなく,上記のエンタングルド状態を用いたQIよりも優位であることを明らかにした.
本稿では,減衰に加え乱気流や不完全な位相同期などに起因する位相雑音をも考慮し,QIの誤り率特性を考察する.
WDM光ネットワークの高効率運用に向け、経路切替に伴うなどに伴う波長衝突が回避可能な波長変換機能を有する光中継器の実現が期待されている。WDM光ネットワークの大容量化へ向けて伝送路で発生する非線形歪が課題となっているが、本稿では光中継器において簡易なDSPを適用し、従来の位相共役処理に加えて、光中継器前後の伝送路情報に基づいた最適な波長分散補償を行うことにより、非線形歪補償効果の高い波長変換光伝送方式を提案する。
微弱な光を検出できる単一光子検出器(SPAD)は,大容量で省電力な通信を目指す宇宙通信への適用が期待されている.しかし,SPADには光子検出後にデッドタイムという光子を検出できない時間が存在するため,高速域における通信品質の改善(高速化)が課題である.本研究では,デッドタイムの影響を抑圧できる受信方式として,パルス位置個別受信方式を提案する.本方式は,PPMを用いた通信において,タイムスロットごとに異なるSPADで受信することにより,デッドタイムに依存せずに通信を行うことができる.本研究では,提案方式により高速化を実現できることを確認したため,報告する.
3月8日 13:00〜15:45 2号館 2208教室 座長 葛西恵介(東北大)
B-10-32 |
QRM-MLDを用いたMIMO光無線通信システム
◎聖代橋康希・笠 史郎(明大) |
B-10-33 |
光無線通信方式における位相同期技術に関する検討
○村上涼馬・笠 史郎(明大) |
B-10-34 |
28 GHz帯フェーズドアレイマイクロストリップアンテナを用いた光・無線融合フルコヒーレント伝送
◎佐藤大晟・葛西恵介・白幡晃一・吉田真人・廣岡俊彦・中沢正隆(東北大)・東 右一郎・小林敏幸(日本電業工作) |
B-10-35 |
Beyond 5Gにおける異種信号収容を行う誤り訂正方式の検討
○中村隆彦・吉田英夫・山口修平・斧原聖史(三菱電機) |
B-10-36 |
デジタルコヒーレント光送受信機の低電力適応等化フィルタ制御
○中島久雄・須藤 充・小泉伸和・尾花裕治・小林茂幸(富士通) |
B-10-37 |
リアルタイム高速偏波変動検出に向けた初期検討
○佐々木雄佑・佐藤正規・細川晃平(NEC) |
スマートフォンやパソコンなどインターネット技術が発達したことで、モバイルネットワークやWi-Fiでは混雑が生じている。回線の混雑を解決する手段として、光無線通信技術が研究されている。電波とは異なる周波数帯である光無線通信を用いることで、伝送容量の大容量化が期待される。光無線通信システムにMIMO技術を用いることで伝送容量を増やすことができるが、複数の送信信号を適切に信号分離する必要がある。汎用性の高い信号分離技術であるZF法は実装が容易であるが精度が低い。そこで、本研究では信号分離の精度が高い最尤推定を多値変調MIMO光無線通信システムに適用することで、ZF法との比較および実験的検討を行った。
光無線通信方式の研究開発が活発化している。光受信器においては,通常,位相同期ループ(PLL)を用いてクロック再生を行うが,昨今のディジタル信号処理技術の進展により,PLLを用いない位相同期が可能になっている。PLLを用いない位相同期方法として、判定指向形(decision-directed)位相推定法、クロック信号を信号波長とは別の波長を用いて伝送を行うクロック同時伝送方式を信号位相再生処理として適用し、実験を行った。その結果、PLLを用いずとも安定した通信が可能であることを確認した。
経済性の高い大容MFHとして、我々は注入同期型キャリヤ周波数変換法を用いた光・無線融合フルコヒーレント伝送を提案してきている。これまでIF 61 GHz帯において、48 Gbit/s 256 QAM信号のSMF 10 km、無線40 m伝送を行い、本方式の有用性を明らかにしている。今回、5Gにおいて実用化が開始されている28 GHz帯へ本伝送方式適用し、フェーズドアレイマイクロストリップアンテナを用いた光・無線融合フルコヒーレント伝送の基本特性を評価したので報告する。
1つのトランシーバー上で多様な異種RANサービスに対して,それぞれ異なる仮想的な光チャネルを与えるこれまでにない信号収容構成となることが考えられており,新しい誤り訂正フレーム構成が必要となっている.そこで仮想光チャネルに対応した低遅延誤り訂正フレーム構成を検討した結果について報告する。
大容量光伝送を実現するデジタルコヒーレント光送受信方式が幅広い領域で使われるようになってきており,より一層の低電力化の取り組みが重要となっている.本稿では、デジタルコヒーレント光送受信機の消費電力の支配的要因の一つであるデジタル信号処理回路の適応等化フィルタについて、伝送路の偏波モード分散量に応じた適応等化フィルタのタップ数制御と分散補償フィルタとの連携制御により,タップ数制御による性能劣化を抑圧し,低電力化と高性能化の両立が可能であることを確認した.
送路の通信品質を保つために高速かつ短時間のSOP変動をリアルタイムで検知できることが望まれる.そこで本研究では実システムで用いられる変調光に様々な周波数のSOP変動を与えてFFTを行い,CW光と同じ結果が得られるか初期検討として行った.
休 憩(14:45 再開) 座長 藤澤慎介(NEC)
B-10-38 |
空間モード多重長距離光伝送リンクの実現に向けたモード依存損失のSNR無依存な推定方式の提案と実証
◎星 めぐみ・芝原光樹・宮本 裕(NTT) |
B-10-39 |
方向可変アイソレータを利用したマルチコア光増幅器の増幅特性と伝送特性の報告
◎下村優輔・竹下仁士・細川晃平(NEC) |
B-10-40 |
インコヒーレント光源を用いた前方励起とコヒーレント光源を用いた後方励起分布ラマン増幅による疑似等パワー伝送における信号の相対強度雑音
○大石智洋・高坂繁弘・市原 了・畳田泰斗・吉田順自・木村俊雄(古河電工) |
B-10-41 |
CPO送受信モジュールにおけるインターポーザのアレイ間接続技術
○三好 誠・三池淳平・東 大徳・原田義弘・井出 聡・八木澤孝俊(富士通オプティカルコンポーネンツ) |
マルチモードファイバや結合型マルチコアファイバ等、強結合型空間多重伝送路で発生するモード依存損失(MDL)は、伝送容量を低減させる要因となるため精度よく推定する必要がある。従来MDLはMIMO適応等化で得られる重み係数行列をチャネル行列とみなして推定されるが、信号対雑音比(SNR)が低い場合に過小評価されるという課題があった。本報告では、適応等化から得られる誤差の情報を用いて上記チャネル行列を補正し、SNRに依存しないMDL推定手法を提案する。低SNRが見込まれる長距離伝送条件下のシミュレーションで良好な推定精度が得られ、将来のモード多重長距離伝送システムの保守運用への寄与が期待される。
非結合型マルチコアファイバは適切なコアで伝送方向を対向させてコア間クロストークを低減でき、さらにコア毎に伝送方向を切り替えれば時間変動するトラフィック需要に対応することができる。
しかし、光増幅器の構成要素であるアイソレータは光の伝達方向が固定されているため、自在に伝送方向を変えられないという課題があった。
そこで、我々は新たに方向可変アイソレータを製作し、光増幅器に接続して増幅特性と伝送特性を調べた。
本報告では、方向可変アイソレータと双方向励起を組み合わせた光増幅器は従来のアイソレータと前方励起を組み合わせた光増幅器のゲインと同等になったことと、伝送品質の劣化が生じなかったことを報告する。
前方励起光源としてファイバーブラッググレーティング(FBG)を備えた狭帯域でコヒーレント光を出力するレーザーダイオード(LD)(以下cPUMP)を使用した分布ラマン増幅器(DRA)は励起光源から信号への相対強度雑音(RIN)の転嫁により信号品質を低下させる。一方で、前方励起光源として広帯域インコヒーレント光源(以下iPUMP)を用いるとRIN転嫁を抑制できる。本研究ではiPUMPを前方励起、cPUMPを後方励起に使用した双方向DRAを長さ80kmのG.652.D準拠のシングルモードファイバ(SMF)に適用し疑似等パワー伝送を行った。この時の伝送信号の特性を報告する。
CPO送受信モジュールにおいて,コアレスビルドアップインターポーザを使用することで可能になった新たな実装構造により,小型化/高密度化を実現したので,そのVCSELアレイとドライバアレイの接続,PDアレイとTIAアレイの接続について述べる.
B-11. コミュニケーションクオリティ
3月7日 9:15〜11:45 2号館 2305教室 座長 村上貴臣(東芝)
B-11-1 |
経済性を考慮した情報指向ネットワークの普及過程分析
◎橋本俊太郎・三角 真(福岡大)・上山憲昭(立命館大) |
B-11-2 |
NDNにおけるプライバシー保護と個別鍵配送を用いたアクセス制御方式
◎深川悠馬・上山憲昭(立命館大) |
B-11-3 |
複数地域の Crowdsensing におけるワーカの最適サンプリング
◎松浦千紘・上山憲昭(立命館大) |
B-11-4 |
グラフ上のランダムウォークを利用した類似コンテンツの発見に関する一検討
○中村 遼(福岡大) |
情報指向ネットワーク(ICN: information-centric networking)が,ビデオとweb などのコンテンツを効率的に配信するネットワークとして注目されている.ICN は各autonomous system (AS) の単位で,経営判断に基づき導入される.AS がICN を導入することで,隣接するASとの間の交流トラヒック量が変化するが,AS は交流トラヒック量に基づきトランジット費を相互に支払うため,ICN の導入はAS の利益に影響を与える.そのためICN の普及可能性を明らかにするには,ICN の導入が他のAS の利益に与える影響を分析する必要がある.そこで本稿では公開されている実測AS 接続トポロジデータを用いて,Multi-agent simulation (MAS) により, ICN のAS への普及可能性を明らかにする.
NDNは,コンテンツを要求する際に要求コンテンツ名で配信要求(Interest)を送信する.そのため攻撃者がスニッフィングにより,Interestの情報からどのコンテンツを取得しているのかを盗聴できる問題がある.そのため,この問題を回避するためにコンテンツ名を暗号化するといった対策をとることが考えられる.しかしコンテンツ名を暗号化するだけでは,コンテンツ名を特定する頻度攻撃が可能である.著者らは,NDNにおけるプライバシー保護を目的としたコンテンツ名暗号化,Publisherでのアクセス制御方式を提案した.本稿では,本アクセス制御方式に必要な制御トラヒック量,暗号化,復号化回数や使用する鍵の生成数を,既存のNDNアクセス制御手法であるNACと数値比較し,その有効性を明らかにする.
高性能のセンシング能力を搭載した携帯端末で計測したセンシングデータを,様々なワーカから収集して真値を推定するモバイルクラウドセンシングの利用が拡大している.ワーカ推定誤差を最小化するよう各ワーカの測定値を重みづけした重みづけ平均で推定する CRH 法が提案されている.この方式は各エリアに存在する全ワーカからデータを収集するが,ワーカにはインセンティブの提供が必要であり,MCS の予算制約から,実際には一定の確率でサンプルしたワーカからのみデータを収集することが予想される.そこで本稿では,複数エリア MCS において,全エリアの誤差総和の最小化を目的とした各エリアの最適サンプル数設定法を提案する.
本研究は、コンテンツ発見のための代表的な方法である、
グラフ上のランダムウォークに着目し、
グラフ上のランダムウォークによる類似コンテンツ発見の特性を解明することを目指す。
特に、本稿では、
ランダムウォークにより類似コンテンツを発見するまでに要する時間は、
コンテンツの類似度に応じてどのような影響を受けるのか、
という基本的な特性をシミュレーションにより調査にする。
休 憩(10:30 再開) 座長 黄 平国(岐阜聖徳学園大)
B-11-5 |
映像サービスにおける発話とQoEの関係性に関する実験
○山崎達也・福原 亮(新潟大) |
B-11-6 |
遅延時間に対するゲーム品質評価におけるユーザ属性の影響
○吉村憲子・恵木則次(NTT) |
B-11-7 |
Web会議の映像表示サイズに対する品質評価特性に関する一検討
○浦田勇一朗・川嶋喜美子・河野太一(NTT) |
B-11-8 |
スマートフォン使用者の実生活環境下におけるビットレート変動を考慮した主観動画像品質の推定に関する検討
○押山 翔・亀山 渉(早大) |
B-11-9 |
HMD による 360°動画像視聴時の生体情報を利用した主観動画像品質推定に関する検討
◎安藤光紀・亀山 渉(早大) |
ユーザ視点に立った映像ストリーミングサービスを目的に,ユーザが主観的に知覚するネットワーク品質評価としてユーザ体感品質(QoE: Quality of Experience)が注目されている.本研究では新たなQoEを把握する指標として,ユーザの自然な発話に注目する.また,ユーザ発話を促進するものとして端末上のアバタやロボットがあるため,発話とユーザインタフェースの関係性も重要である.本稿では,映像サービスを対象として,二種類のコンテンツと対話の相手となるインタフェースの有無の組合わせによる実験計画を述べる.
遅延時間がユーザのゲーム操作に与える影響について検討を進めている.先行検討ではゲームの難易度が異なる3種類のゲームに対して遅延時間がユーザのゲーム操作に与える影響を評価し,ゲームの難易度が低いほど遅延時間の影響を受けていることを知覚しやすいことを確認した.さらに,年代,ゲーム経験,反応速度などのユーザ属性の違いも評価特性に影響すると考えられる.そこで,本検討では固定の遅延時間が混入された環境下での主観評価実験を実施し,ユーザ属性の違いが遅延時間に対する評価特性に与える影響について検証し,考察について述べる.
Web会議サービスの複数人の顔映像が統合表示される画面における品質評価特性として,各参加者の映像表示サイズが品質に与える影響を調べた.主観品質評価実験を実施し,分析を行った結果,映像表示サイズの影響は縮小前の映像品質が低いほど大きいことを明らかにした.また,映像表示サイズが大きいほど符号化劣化を知覚しやすいことを明らかにした.
先行研究では,スマートフォンで動画像を視聴する実生活環境において,生体情報等を用いて動画像の主観動画像品質を推定できる可能性が示唆された.しかし,実験に用いた動画像は固定ビットレートであり,動画像全体に対する主観動画像品質のみを推定していた.そこで,同様の環境においてビットレートが変動する動画像を用い,時々刻々と変化するであろう主観動画像品質を,生体情報等を用いて時系列的な推定の可能性を検討する.被験者は生体情報を取得する機器を装着したまま動画像を視聴し、アンケートに回答する.そのデータをxgboostを用いて解析した結果,ビットレートが変動する動画像でも,主観動画像品質を推定できる可能性が示唆された.
近年のVR市場の拡大により,VRにおける主観動画像品質推定が求められている.そこで,本稿では,HMD(Head Mounted Display)を装着したVR動画像視聴における通信状況変化によるビットレート変動を想定し,360°動画像視聴時の主観動画像品質を生体情報から機械学習を用いて推定可能かを検討した.Random ForestとXGBoostを用いた解析の結果,同一動画像内の視聴データでは生体情報を用いた主観動画像品質の可能性が示唆された.しかし,未学習動画像の視聴データでは生体情報の有効性が確認できなかった.原因として,脳波のノイズ除去を行っていないことが考えられる.今後の課題として,未学習動画像の視聴データにおける主観動画像品質の推定精度向上が挙げられる.
3月8日 9:30〜11:45 2号館 2305教室 座長 福元徳広(東大)
B-11-10 |
端末および基地局の省電力化のための通信タイミング制御技術の実験評価
○高谷 聡・中平俊朗・村山大輔・守山貴庸(NTT) |
B-11-11 |
端末クラスタリングに基づく無線基地局間の端末収容制御技術
○中平俊朗・村山大輔・高谷 聡・守山貴庸(NTT) |
B-11-12 |
Cell-Free Massive MIMO-OFDM システムのための圧縮センシングを用いた伝搬路推定手法
◎△佐瀬寛人・松田崇弘(東京都立大) |
B-11-13 |
5G/Wi-Fi共存環境におけるMPTCPを考慮した接続先制御
◎近藤拓郎・木下和彦(徳島大) |
基地局および端末の消費電力を削減することを目的として、通信タイミングを制御した実験結果について報告する。
把握・予測・制御の3つの要素を連動させて必要な無線ネットワークをプロアクティブに提供することで,利用者が無線ネットワークを意識せず利用できるナチュラルな通信環境の実現を目指すマルチ無線プロアクティブ制御技術の検討を進めている.本稿では,制御の一要素として検討中の無線基地局間の端末収容制御技術について,エリア内の端末をクラスタ分割し,端末クラスタ毎に基地局への収容を制御することで,少ない演算量で各端末の収容先基地局を最適化する方法を提案し,計算機シミュレーションによってその有効性を評価する.
Cell-Free Massive MIMO(CF-M-MIMO)では,各ユーザは複数のAPと接続するため,多くの伝搬路係数が必要となり,フロントホールリンクを流れるトラヒック量が増加する.本稿では,OFDM信号を用いたCF-M-MIMOシステムにおいて,圧縮センシングを用いた伝搬路推定手法に基づくトラヒック量削減手法を提案する.
近年,スマートフォンの普及に伴ってモバイルネットワークで大容量コンテンツを利用する需要が増え,より広いエリアで利用できるセルラとより高速に通信可能なWi-Fiを適切に選択することが求められている.
また,近年の携帯端末は複数の無線インタフェースを有しており,MPTCP(Multipath TCP)によって同時に使用することでスループットを向上できる可能性がある.
しかし,無線環境でMPTCPを用いると,接続端末数の増大による衝突の増加や,電波環境の悪い位置にいる端末による低ビットレート通信によってネットワーク全体の効率が低下する可能性がある.
そこで本研究では,単一接続では十分なスループットを得られない端末に限定してMPTCPを適用することで,ネットワーク全体の公平性を向上させる接続先制御方式を提案する.
休 憩(10:45 再開) 座長 恵木則次(NTT)
B-11-14 |
ユーザの移動経路に基づいた通信品質可視化システム
◎後藤聡介・三好 匠・山崎 託(芝浦工大)・矢守恭子(朝日大) |
B-11-15 |
アクセスポイント配置がWi-Fi RTT屋内測位精度に与える影響の実験的検証
◎藤本英和・山本 嶺・大坐畠 智(電通大) |
B-11-16 |
LPWAランダムアクセスチャネルにおける到着の変動が輻輳制御特性に与える影響の評価
◎新井春稀・伊藤飛雄馬・伊藤暢彦・大田健紘・平栗健史(日本工大)・山本 幹(関西大)・吉野秀明(日本工大) |
B-11-17 |
IPリニア配信における編成情報に応じた配信ストリーム生成機能の動的起動の検討
○板倉慧汰・福留大貴・大亦寿之・西村 敏(NHK) |
近年,コンテンツの大容量化に伴い,多数のユーザが集中する場所での通信品質の低下が懸念されている.この問題を解消するため,通信品質のよい場所にユーザを誘導する手法が提案されている.しかし,これらの検討では,ユーザの移動や目的地までの移動経路が考慮されていない.ユーザの移動経路を設定することで,ユーザが移動する可能性が高い地点の通信品質を提示することが可能になると考えられる.本稿では,ユーザの移動経路に基づいた通信品質可視化システムについて検討した.
近年,スマートフォンなどの携帯端末が普及しており,位置情報を利用した様々なサービスが展開されている.それらの多くは,位置測位に GNSS(Global NavigationSatellite System)を利用しているが,GNSS は遮蔽物のある屋内での測位が困難である.そのため,屋内測位手法として,デバイスの内蔵センサを利用した方法や,あらかじめ作成した対象屋内全体の受信信号強度データベースと測位時に取得した受信信号強度を比較する方法などの様々な手法が検討されている [1].また,IEEE802.11mc にて標準化された Wi-Fi RTT では,既存のアクセスポイント(AP)に機能追加し,三つ以上の AP との距離を計測することで位置測位を可能にしているが,GNSS と同程度の測位精度を達成することは困難である.そこで,本稿では,AP 同士の相対的位置関係が与える影響を調査することで,測位精度の向上を目指している.
モノのインターネット IoT の普及・進展に伴い、センサデータの時空間的集中により IoT システムの過負荷による輻輳が今後重要な課題になると想定される。輻輳対策については、5Gシステムなどに IoT を収容するためのランダムアクセス制御方式の検討がなされているが、IoT 向けの低消費電力広域無線技術 LPWA ネットワークに対する輻輳制御方式は十分に検討されていない。本稿では、LPWA ネットワークのランダムアクセスチャネルにおける適応的発信規制制御方式を対象に、到着間隔を指数分布、超指数分布、アーラン分布とした時の各到着の変動が輻輳制御特性に与える影響を検証した結果を報告する
筆者らは,複数のライブストリームやVODコンテンツを基にクラウド上でリニア配信ストリームを編成し,安定かつ低遅延に配信するリニア配信技術の開発を進めている.リニア配信においては,複数の番組ストリームを時系列に連結して1本のストリームとして配信するのが一般的である.一方,放送のように,全国向け番組と地域向け番組を編成したリニア配信ストリームを生成する場合,地域ごとの個別ストリームを生成する代わりに,全国向け番組の時間帯は全端末が共通のストリームを受信し,地域向け番組の時間帯は各地域のストリームを受信することによりストリーム生成にかかるリソースを抑えつつ,より多様な編成を行えると考えられる.そこで、各番組ストリームを視聴端末側で編成に従って切り替えて受信する,より柔軟な編成を考慮した効率的な配信手法を検討した.
B-12. フォトニックネットワーク
3月7日 13:00〜16:30 2号館 2303教室 座長 橘 拓至(福井大)
B-12-1 |
Bufferless な光パケット交換網に適した輻輳制御法の検討
◎西尾彗志(阪府大)・谷川陽祐(阪公立大)・廣田悠介(NICT)・戸出英樹(阪公立大) |
B-12-2 |
空間分割多重型エラスティック光網上のTCP伝送における機械学習を用いたパケットロス数予測の検討
◎柴田海翔(阪府大)・谷川陽祐(阪公立大)・廣田悠介(NICT)・戸出英樹(阪公立大) |
B-12-3 |
分散制御SDM-EONにおけるネットワーク状況を考慮した経路選択手法
◎横田壮太郎・馬場健一(工学院大) |
B-12-4 |
コア選択スイッチを用いた多重分岐 SDM海底光通信ネットワークのコア資源割り当て方式
◎新谷 翔・松本佳子・神野正彦(香川大) |
B-12-5 |
k-SPFアルゴリズムによる光波長パスの効率的設定法の検討
○松浦 洋・越地弘順・金子康晴・横井花深・松川達哉・藤井隆行・宮村 崇(NTT) |
B-12-6 |
重畳符号化を用いたEONにおける再配置対象パスの検討
◎大河内翔太・馬場健一(工学院大) |
B-12-7 |
無瞬断光パス再配置を導入したファイバ粒度ルーティング光ネットワークの動的制御
◎内田航平・白木隆太・森 洋二郎・長谷川 浩(名大) |
光パケット交換 (Optical Packet Switching:OPS) 網環境では, 実用的な光バッファが利用できないことによ り, 非輻輳状態でも複数パケットが同時に出力ポートに 到着することでパケット衝突を引き起こし, 頻繁にパケッ トロスが発生する. 従って従来の Transmission Control Protocol(TCP) では, ボトルネックリンクの帯域を十分 に使い切れない. そこで本研究では, OPS 網上でリンク 帯域を有効利用する輻輳制御方式を検討, 提案する.
映像を主体とした多様なアプリケーションやクラウドを中心としたサービス形態の台頭により,ネットワーク内のトラヒック量は増大している.
トラヒック量増大に対応するための技術として,空間分割多重エラスティック光ネットワーク(SDM-EON)が存在する.
しかし,ネットワークの負荷が増加した時パケットロス数が増加するため,通信品質が低下する.
そのため,ネットワークの負荷が高くなる前に予めパケットロスが起こりそうな空間/周波数チャネルを予測し,そのチャネルに対するトラヒック量を抑制するような資源割当が必要になってくる.
本稿ではSDM-EON環境下でのTCPに基づくパケット伝送に着目し,複数の機械学習を用いてパケットロス数を予測する制御機構とその性能について調査する.
ITサービスの拡大により,通信トラヒックは年々増加している.そこで,光基幹ネットワークにおいて周波数資源を効率よく柔軟に利用することができるエラスティック光ネットワーク(EON)が注目されている.先行研究では分散制御SDM-EON環境において,候補経路を拡張した経路制御手法を提案した.しかし経路選択に用いるパラメータはホップ数等のトポロジ情報に依存した静的な情報に留まり,リアルタイムなネットワーク状況を考慮可能な分散制御の特徴を十分に活用できていなかった.そこで本稿ではネットワーク状況を考慮し,その時点のリンク利用率を用いた経路制御手法を提案し,シミュレーションによりその特性を評価する.
コア選択スイッチを採用した多重分岐空間分割多重海底光ネットワークにおいて上り下りに異なるコア識別番号を割り当てることで必要コア数を削減可能であることを明らかにした。
我々はk-SPFアルゴリズムを適用することにより、他方式に比較してSRLG(Shared Risk Link Group)ディスジョイントな複数の現用/予備光冗長経路ペアを効率良く、迅速に選択できることを示した。 一方、end-end光パス提供サービスで始終点ノード間の最短経路のみに光パスを設定すると波長リソースが足りなくなる問題がある。本稿では、k冗長経路ペアに分散して光パスを割り当てることにより、ネットワーク全体の波長リソースを効率的に利用できることをシミュレーション環境で示す。
近年,急激に増加する通信トラヒックを効率よく収容する技術としてEONが注目されている.EONに無線領域で利用されている重畳符号化を適用したパス設定手法が提案されており,周波数利用効率の向上が示されている.先行研究では新規パスと既存パスによる重畳化のみを対象としており,ネットワーク内に重畳条件を満たす既存パスの組が存在していた場合でも重畳化は行われず,それぞれ通常パスとして維持される.そこで本稿では,重畳符号化を用いたEONにおいて既存パスの再配置により既存パス同士で重畳符号化を適用することを考慮し,その際に.どのパスを再配置の対象とするかを検討する.
通信需要の急速な増加に対応するため,光パスの動的な運用や,より広い周波数帯域を占有する超大容量光パスの使用,及び通信ノードにおける光ファイバ粒度でのルーティングの導入が検討されている.このようなルーティングは大規模光スイッチの導入を可能とし,ノード装置の簡易化に貢献するが,ルーティングの柔軟性低下によって波長衝突に伴うブロッキングが発生しやすくなり,パス収容効率は低下する.本稿では,ファイバ粒度ルーティング光ネットワークで典型的に現れる環状の光ファイバ系列において,無瞬断光パス再配置により波長衝突を極力解消することで,実質的なネットワーク容量が大幅に増加することを示す.
休 憩(15:00 再開) 座長 石井健二(三菱電機)
B-12-8 |
トーラス型光データセンターネットワークにおける状態監視型経路決定手法
○荻野優也・馬場健一(工学院大) |
B-12-9 |
高次多値変調信号を用いたレーザ線幅の常時監視技術
◎土田直樹・久野拓真・白木隆太・森 洋二郎・長谷川 浩(名大) |
B-12-10 |
全ポート左右反転19コアファイバ 1×2スプリッタとその特性
◎田原理加・内田雄大・中田享佑・浦島一輝・神野正彦(香川大) |
B-12-11 |
空孔コアファイバを用いたスマートモバイルフロントホール構成法
○山中直明・岡本 聡・久保亮吾(慶大) |
B-12-12 |
エッジコンピューティングプラットフォームにおける許容遅延を考慮したタスクオフローディングの実装実験
○橘 拓至・坂井俊介(福井大) |
B-12-13 |
日米間を接続したダイナミックセキュアネットワークコンセプト実証実験
○岡本 聡・山中直明(慶大) |
データセンターネットワークにおいて,主に用いられている階層型トポロジでは,スイッチングにより発生する待ち時間が長くなり,即時応答が必要なサービスの要求棄却率が高くなる可能性がある.既存研究[1] では即時応答性が必要なサービスの要求棄却率を抑制するため,光ラベル処理を用いるアーキテクチャ及びデバイス技術が提案されている.本稿では,このアーキテクチャを利用したデータ転送手法を提案する.光バースト転送を用いて,信号の競合が起こりにくくなる経路を選択する.
光性能監視(OPM)技術は,光ネットワーク設計においてマージンを最小化することができる.高次多値変調方式では伝送制限要因の僅かな変化が信号品質低下を招くため,ネットワークの情報を細分化して解析することが望ましい.とりわけレーザ線幅はレーザの経年劣化や熱変動により中長期的に変化するため,レーザ線幅の継続的な監視が必要である.レーザ線幅は一般的に連続波を用いて測定するが,OPMでは受信信号から搬送波位相の揺らぎを抽出しなければならない.本稿では,受信信号を用いたレーザ線幅の監視技術を提案する.シミュレーションにより,提案手法が各種伝送制限要因の影響を受けた信号からレーザ線幅を測定可能であることを示した.
本稿では、MODにおける左右反転管理の必要性を指摘し、1×2スプリッタを例にデバイスレベルの反転管理について報告する。試作した全ポート反転1×2 スプリッタのILは3.3 dB ~ 5.2 dB(反射ポート)、4.0 dB ~ 5.8 dB(透過ポート)、PDLはいずれでも0.3 dB以下であった。総XT量は-36 dB以下であり、BER測定の結果、これによるペナルティは発生しないことを確認した。
新たに開発された空孔コアファイバをモバイルフロントホールに適用することで,基地局機能の無線処理部とアンテナ間を光ファイバで接続し,多数の極小セル用アンテナをRadio over Fiber (RoF)及び光給電駆動する新しいモバイルフロントホールの実現が期待できる.本稿では,従来型の大・小セルと光給電による狭小セルとを階層的に組合せることで省電力性・電波の有効性を高めるスマートモバイルフロントホールを提案する.
エッジコンピューティング環境では,多数のタスクを許容遅延内に処理するためにエッジサーバとクラウドサーバの併用が期待される.特に,各種サーバやネットワークなどの利用状況を基に,各タスクの許容遅延を考慮した併用が望まれる.本稿では,エッジコンピューティングプラットフォームで利用可能な許容遅延を考慮したタスクオフローディングを提案する.提案するタスクオフローディングをエッジサーバに実装し,その効果を実機実験で調査する.実験結果から提案するタスクオフローディングの有効性を示す.
セキュアなBeyond 5G基盤網の実現に向けて,ネットワーク機器の再構成機能を利用してIn-Networkでのデジタルツイン型セキュリティ防御網を実現する“REINS”の提案を行っている.本稿では,国際会議SC22において,REINS技術の一つである“再構成可能プローブ”を,日米間接続ネットワークを構成してコンセプト実証したことを報告する.
3月8日 10:30〜11:45 2号館 2303教室 座長 吉兼 昇(KDDI総合研究所)
B-12-14 |
スペクトラム狭窄耐力を向上する等化器生成法
◎石川誉聡・白木隆太・森 洋二郎・長谷川 浩(名大) |
B-12-15 |
マルチレベル符号化システムにおける誤り訂正前性能推定の一検討
○石井健二・吉田英夫・吉田 剛・斧原聖史(三菱電機) |
B-12-16 |
波長変換装置で生じる信号劣化要因の数値解析
○大宮達則・中村俊文・細川晃平(NEC) |
B-12-17 |
Optical-Analog-Optical 方式によるC-C/C-L 波長変換装置の特性
○中村俊文・大宮達則・細川晃平(NEC) |
B-12-18 |
低周波−高周波変換技術を用いた波長多重インターリーブ用光サンプリングパルス生成
◎中山自然・牧野将之・藤村早希・小西 毅(阪大) |
通信トラフィックの急増に効率よく対応するためには,波長分割多重の高密度が必要である.しかし,波長分割多重の高密度化によって,波長選択スイッチ(WSS)の帯域制限に起因するスペクトラム狭窄が顕著となる.このスペクトラム狭窄の影響を緩和する手法として,送信器における等化処理と受信器における等化処理が挙げられる.本稿では,スペクトラム狭窄の影響を緩和する送受信器における等化処理の同時最適化法を提案する.本提案方式は,ベイズ最適化を利用することで,各通信路に対して適切な等化処理を行うことができる.数値シミュレーションにより提案方式の有効性を示した.
光トランスポート網においては,光トランシーバに実装された軟判定誤り訂正(SD-FEC)復号処理による反転ビット数を用いた受信性能推定が提案されている.一方で,誤り訂正回路の大容量化と低電力化を両立する手法として,変調方式と組み合わせたマルチレベル符号化(MLC)方式の適用が提案されているが,SD-FECによる保護領域が限定されることから,その受信性能推定については従来とは異なる手法が必要となる.本稿では,文献に示されているMLC方式を一例に,SD-FEC復号処理の反転ビット数を用いた受信性能推定についての一検討結果を報告する.
Beyond 5G時代に向けて,光ネットワークの高度化に注目が集まっている.柔軟な経路変更の実施に不可欠な波長変換技術に関しては,チャネル単位での制御が求められており,弊社ではこれまでにコヒーレント検波とIQ変調を組み合わせた試作機による動作実証を行っている.シンプルな構成で安定な動作を実証した一方で,Q値に約0.5dBのペナルティーが生じることがわかっている.波長変換が光ネットワークへ適用される際には複数回行われることが想定されるため,このペナルティーを抑えることが重要な課題となる.
本稿では,コヒーレント検波とIQ変調を組み合わせた波長変換装置のシミュレーションモデルを構築し,波長変換装置内で生じる信号劣化要因の解析を行ったので報告する.
近年,Beyond 5G 時代のデジタル社会を支える基盤インフラとなる大容量光ネットワークの更なる進化に向けた技術として,経路変更に必要な波長変換技術について注目が高まっている.昨年度我々はチャネル単位での波長変換について,コヒーレント検波とIQ 変調を組み合わせた,C 帯のOptical-Analog-Optical (O-A-O) 方式波長変換装置を試作した.本稿では,新たに試作したO-A-O方式波長変換装置を用いてC 帯からC 帯及びL 帯へ波長変換を行い,Q 値劣化の波長依存性について評価したので報告する.
高周波数領域において,信号品質・コスト・消費電力の面での課題解決に有効な,低周波-高周波変換のアプローチを用いることで,低周波任意波形発生器の優れた信号品質を維持した,自由度の高い光サンプリングパルスの生成が期待できる.本報告では,重なり合う2つの光時間伸長パルスにサンプリングパルス波形を同時に重畳して圧縮することで,それぞれが元の光パルス列と同じ繰り返し周波数で,中心波長の異なるサンプリングパルス列を生成できた.この技術で生成したサンプリングパルスは,低周波任意波形発生器の優れた分解能特性を活かし,サンプリング後のアナログ/デジタル変換のための,波長多重インターリーブも可能となる.
B-13. 光ファイバ応用技術
3月7日 9:00〜11:45 2号館 2207教室 座長 高木武史(古河電工)
B-13-1 |
細径光ファイバに適したマイクロベンド損失の解析式
◎野村卓弘・塩崎 学・相馬一之(住友電工) |
B-13-2 |
標準クラッド径3モード4コアファイバのマイクロベンド損失抑制
○寒河江悠途・松井 隆・森 崇嘉・坂本泰志・岩屋太郎(NTT)・佐藤孝憲・齊藤晋聖(北大)・中島和秀(NTT) |
B-13-3 |
結合型マルチコアファイバにおける曲げ損失特性および設計指針
○今田諒太・坂本泰志・森 崇嘉・山田裕介・中島和秀(NTT) |
通信トラフィックの増大により、経済的な光ネットワーク構築が重要となる。その際、輸送、敷設コスト等の削減の観点から光ケーブルには細径化や高密度化に加え、軽量化が求められている。それに対応すべく、現在主流の外径200μmの光ファイバより細径化された光ファイバが提案されている。しかし、細径化により、ケーブル化で発生するマイクロベンド損失の増大が課題となり、光ファイバ構造の影響を系統的に推定可能な解析式をもとに構造検討を行うことが必要である。本報告では、細径光ファイバに適したマイクロベンド損失の解析式について報告する。
数モードマルチコア光ファイバは空間多重度の向上に効果的である。これまでに共通クラッド径3モード4コアファイバを提案した。本稿では、共通クラッド構造がマイクロベンド損失に及ぼす影響を計算検討した。結果として、共通クラッド構造によるコア間クロストーク改善と、マイクロベンド損失増大がトレードオフであることを示した。
結合型マルチコアファイバ(MCF) は優れたモード分散特性を有するため長距離大容量伝送に適した空間分割多重伝送用光ファイバとして期待されている.これまで我々は,結合型MCF の曲げ損失に曲げ方向依存性が存在することを計算・実験により検証してきた.本稿では,曲げ方向依存性が曲げ損失特性に与える影響,およびITU-T G.652.D と同等の光学特性を有するファイバ構造設計領域について検討を行ったため報告する.
(11:00 開始) 座長 小田拓弥(フジクラ)
B-13-4 |
標準外径4コアファイバコネクタのフェルール端面形状最適化
◎上村圭史・藤巻湧己・長瀬 亮(千葉工大) |
B-13-5 |
4コアファイバ入出力デバイスの高パワー耐性に関する検討
○森 崇嘉・寒河江悠途・和田雅樹・松井 隆・中島和秀(NTT) |
B-13-6 |
ハイパワー光伝送に対する固形屈折率整合材の光学特性評価
○澤野由希子・深井千里・阿部宜輝・大串幾太郎・片山和典(NTT) |
PC(Physical Contact)方式による光コネクタは,フェルール端面の微小変形により光ファイバとの接触を維持し,長期安定性を実現している.マルチコアファイバ(MCF)コネクタでは,MCFの中心以外にコアがあるため,安定したPC接続条件を新たに調査する必要がある.有限要素法(FEM)を使用して,接続されたフェルール端面の微視的な変位を調査した結果,すべてのコアが接触する許容ファイバ引き込み量が,シングルモードファイバ(SMF)コネクタと比較してわずかに小さいことが分かっている.本研究では,MCFコネクタの許容ファイバ引き込み量を決定するための新しい式を検討した.また,最大値に近い許容ファイバ引き込み量を有するMCFコネクタを製作し,混合温湿度サイクル試験により信頼性を確認した.
複数のコアを有するマルチコアファイバを用いた伝送路を構築するためには,伝送装置類との接続のために各コアへ光を入出力するためのファンイン・ファンアウト(FIFO)が不可欠である.長距離大容量伝送に向けて伝送路中の光強度は増大傾向にあり,FIFO についても耐パワー性能が求められる.今回,複数の標準クラッド径4 コアファイバFIFO について高パワー耐性を評価したので報告する.
データセンタ等で利用されているMPOコネクタの適用領域が拡大する場合、MPOコネクタがハイパワー伝送路で利用される可能性がある。今回、固形屈折率整合材を成膜したMTフェルールにハイパワー光を伝送したときの反射減衰量(RL)を評価した結果を報告する。
3月7日 13:15〜17:00 2号館 2207教室 座長 青笹真一(流通経済大)
B-13-7 |
光ファイバ被覆樹脂硬化における光開始剤濃度解析
◎渡辺祐大・小西達也・相馬一之(住友電工) |
B-13-8 |
L帯マルチコアEDFAのための全光型利得一定制御方式における信号光配置依存性
○北村 心(島根大) |
B-13-9 |
励起ファンインをWDMカプラに集積化したコア励起非結合4コアEDFA
○大島敦史・大塚節文・菊地貴広・田澤英久(住友電工) |
環境規制の厳格化や、世界的な環境意識の高まりから、光ファイバ被覆材である紫外線硬化型樹脂の硬化用光源として、従来の水銀含有ランプから、紫外線LEDへの置換が急速に進行している。UV-LEDは水銀フリーに加え、発光効率が非常に高く省電力効果が期待される。一方でその効果を最大限に得る為には、被覆樹脂硬化メカニズムを化学反応速度論的に理解する事が重要である。UV樹脂の硬化反応過程には、開始反応、成長反応、停止反応の3段階がある。その中でも開始反応は、光開始剤が紫外線によって開裂し、ラジカルを生成する反応であり、硬化物の物性を決定する事から、その濃度変化の正確な理解が必須である。本研究では、この開始反応に着目し、光開始剤の反応機構をモデル化して照射後の光開始剤濃度を任意の紫外線照射条件で予測可能とする事を主眼とする。今回、導出した解析式から得られた予測値と、実測値との間に良い一致が見られたため、詳細を報告する。
光通信システムのさらなる大容量化に向けて,マルチコアシステムの研究,開発が進められている.マルチコアエルビウム添加ファイバ増幅器(MC-EDFA)は,その主要構成要素の1つであり,従来のシングルコアシステムの場合と同様に,利得一定制御(AGC)技術が求められる.著者らは,MC-EDFAに適用可能な全光型フィードフォワードAGC(AO-FF-AGC)方式について提案,報告してきた.本研究では,L帯MC-EDFAのためのAO-FF-AGCについて,波長分割多信号光の波長配置依存性について実験検討を行った.利得偏差は,全ての波長において概ね0.1dB程度以下であり,波長配置依存性も小さく,良好な制御特性を確認した.
近年、伝送容量のさらなる拡大に向けてマルチコア光ファイバによる空間分割多重伝送技術の研究開発が進んでいる。長距離伝送において重要なエルビウム添加光ファイバ増幅器(EDFA)に関してもマルチコア化が期待されている。マルチコアEDFAはクラッド励起方式およびコア励起方式の2つの方式の研究が進められており、光電力変換効率は長距離伝送において重要な特性の一つである。本発表では、光電力変換効率の改善のために試作した励起光ファンインをWDMカプラに集積化したコア励起非結合4コアEDFAについて報告する。利得、雑音指数、クロストークを測定しそれぞれ、19 dB、5 dB、-51 dBであった。光電力変換効率は32%であることを実証した。
休 憩(14:30 再開) 座長 川口雄揮(住友電工)
B-13-10 |
線形光サンプリング法を用いた LP11モードの 2 次元測定
◎岡村柊希・大澤京悟・張 超・伊藤文彦(島根大)・中村篤志・古敷谷優介(NTT) |
数モードファイバ(FMF)は光ファイバの 1 つのコアに複数の伝搬モードを設けることで光ファイバ伝送の大容量化を実現する。通信信号の空間モードを直接観測するには高速なフォトダイオードアレイ(PDA)が必要であり、その高速化には極めて高度な実装技術が必要である。
本稿では、線形光サンプリング法を用いて、低速な 4分割型 PD(2×2PDA)を受信器として、高速に変調された光ファイバの空間モードを観測する手法を提案する。LP11 モードで励振された光パルス波形を測定し、固有モードに対応する空間フィルタ処理を行うことで、各固有モードの強度波形が観測できることを示す。
休 憩(16:00 再開) 座長 村田 暁(フジクラ)
B-13-11 |
細径高密度光ケーブル実装時の曲率制御による数モード光ファイバのモード間群遅延差低減の波長依存性
○菊池 雅・森 崇嘉・山田裕介(NTT) |
B-13-12 |
路面配線光ファイバケーブルの施工性向上に関する検討
○櫻井 信・小林 駿・菊池 雅・松尾崇司・前原泰弘・宝満貞治・山田裕介(NTT) |
B-13-13 |
路面配線光ファイバケーブル用小型クロージャ関する検討
○小林 駿・櫻井 信・松尾崇司・前原泰弘・宝満貞治・山田裕介(NTT) |
B-13-14 |
高所作業数削減に向けた工法・金物の改良
○根本拓海(イワブチ)・櫻原雄介・岡野展之・海老根 崇(NTT) |
伝送容量の需要拡大に伴い,光ファイバあたりの伝送容量拡大のため空間多重光ファイバ技術が活発に研究されている.中でも数モード光ファイバ(以下,FMF)を用いる場合,MIMO処理によるモード間クロストークの影響の除去が重要である.MIMO処理の負荷低減には,モード間群遅延差(以下,DMD)の低減が有効である.我々は,細径高密度光ケーブル実装時に加わる曲率を制御することで,FMFのDMD をC-L 帯で 50%低減できることを明らかにした.また,DMD低減特性の波長依存性について検討し,特に長波長において大きくなることを明らかにした.
既に無電柱化されている都市部や電柱などの設備がない郊外においては,架空/地下設備などの土木工事をすることなく,経済的かつ速やかに光ケーブルを配線することが重要であり,これまでに路面に配線する方法および光ケーブル構造を提案し,その実現性について検討してきた.本稿ではさらに,機械特性と施工性向上との両立を目指し光ケーブル設計を検討した.施工性向上にはケーブル細径化が重要であり,高強度外被を用いることとした.さらに解体作業性も考慮し外被切裂き紐を埋め込む構造としたが,強度を確保するために切裂き紐の部分の外被を肉厚とした.側圧特性を確認したところ,同じ外径の光ケーブルに対して特性が向上した.
既に無電柱化されている都市部や電柱などの設備がない郊外においては,架空/地下設備などの土木工事をすることなく,経済的かつ速やかに光ケーブルを配線することが重要であり,これまでに路面に配線する方法および光ケーブル構造を提案し,その実現性について検討してきた.本稿では,路面における接続/設置するクロージャに必要な要件の検討および基本特性を評価した結果を報告する.
高所作業数削減による作業の効率化、安全性向上を目的とした新工法の検討、新工法用に設計した新金物について検証した結果を報告する。新工法は、スルー配線工法と名付けた中間柱に新たに設計した滑車支持金物を使用して施工する工法であり、滑車支持金物を予め地上で中間柱にケーブルと共に取付を行うこと、ケーブル支持と建柱を同時に行うこと、端末柱で全スパンの余長処理をまとめて行うことを特徴としている。スルー配線工法の施工性検証や金物の耐久性検証などを行い、スルー配線工法の効果、滑車支持金物が実用上問題がないことを確認した。
3月8日 10:30〜11:30 2号館 2207教室 座長 飯田裕之(NTT)
B-13-15 |
増幅自然放出光回路を用いた高分解能光パワー測定
◎田中邦浩・アブラル エムディゴラムバルカトゥル・原田瑠河・増田浩次(島根大) |
B-13-16 |
増幅自然放出光帰還回路の光パワースペクトル特性
◎原田瑠河・MD Golam Barkatul Abrar・田中邦浩・増田浩次(島根大) |
B-13-17 |
Parameter Dependence of the Performance of an Amplified-Spontaneous Emission Feedback Circuit
◎MD GOLAM BARKATUL ABRAR・HIROJI MASUDA・KUNIHIRO TANAKA・RYUGA HARADA・Biswas Biswajit(Shimane Univ.) |
B-13-18 |
Experimental Demonstration of Noncontact Wideband Displacement Sensing Using Optical Digital Coherent Detection
◎Xiaoyan Wang・Mitsuki Kondo・Masanori Hanawa(Univ. of Yamanashi) |
光ファイバセンシングは,高安定,高感度,長距離計測などのさまざまな特長を有し,これまでに数多くの研究が報告されている.我々はこれまでに,励起されたエルビウム添加ファイバ(EDF)からの増幅自然放出光(ASE)のパワーを受光することによる光パワーの微小変動量測定の高分解能化に関する検討を行っている.本研究では,EDFの前方励起における入出力パワーの非線形特性による光パワー分解能(OPR)向上化に関する実験結果について報告する.
光ファイバを用いたセンシング技術は多数の研究が成され,高感度および高分解能,および安定性などの優位性から環境・工業分野に向けて研究および実用化されている.我々が提案している増幅自然放出光帰還回路(ASEFC)は光強度のみで測定を行うセンシング技術であり,容易な設計である.今回我々はASEFCの出力光パワーに関する検討を行い,入力光パワーを変化させたときの出力光パワースペクトルが得られた.また,得られたスペクトルを解析することでスロープ最大時の3dB低下帯域62pmと周波数幅 約7.7GHzが得られた.
Optical Fiber Sensing (OFS) is a technology that has excellent features such as long distance/wide area, remote measurement, high sensitivity, high stability, high reliability, and low cost. In various applications such as infrastructure measurement, industrial/plant measurement, bio/food application measurement and, marine measurement. In this experiment, we propose a parameter dependence of an Amplified Spontaneous Emission Feedback circuit and calculated the dependence of the input power and output power and the input power and slope Smax respectively. The maximum slope Smax was approximately 137.
Noncontact displacement sensing has attracted significant attention recently since its capability of application in modern sensing fields. Among the physical principles that have been applied for displacement sensing, optical interferometry (OI) is promising since it provides the highest resolution and the longest sensing range. However, in a traditional OI, the displacement information is recovered by the intensity of the interfering light, which fluctuates due to the unstable optical path length difference (OPD), resulting in sensitivity degradation. To solve this issue, an effective way is to use quadrature detection. X. Wang, et al. [1] experimentally demonstrated noncontact displacement sensing using optical digital coherent technology for quadrature detection and achieved a sensing resolution of about 3 nm. In this paper, the ability of the system to sense the displacements at megahertz (MHz) bandwidth will be demonstrated.
3月8日 13:00〜16:15 2号館 2207教室 座長 五藤幸弘(NTT)
B-13-19 |
酸化タングステン微粒子と白金ナノ粒子を固定化したヘテロコア光ファイバ水素センサ
○関 篤志・渡辺一弘(創価大) |
B-13-20 |
付加質量を設置した両端固定支持梁構造ヘテロコア光ファイバ加速度計の低周波領域における応答評価
◎△門倉美幸・渡辺一弘・西山道子(創価大) |
B-13-21 |
双方向マッハツェンダ型光ファイバセンサの振動位置推定精度向上手法の検討
◎藤田皓己・真鍋哲也・上江洌建太(三重大)・中村篤志・古敷谷優介(NTT) |
B-13-22 |
光ケーブル内に構成されたマッハツェンダ型光ファイバセンサへの振動伝達特性の検討
◎黒田修平・真鍋哲也(三重大)・中村篤志・古敷谷優介(NTT) |
B-13-23 |
マルチコア光ファイバ伝送特性を利用した電柱状態把握技術
○音代 柊・津野晃大・佐貫颯治・木村秀明(中部大) |
ヘテロコア光ファイバ表面に酸化タングステン微粒子と白金ナノ粒子を固定化することにより水素センサを作製した.さらにポリカチオンを用いて酸化タングステン微粒子と白金ナノ粒子を積層した水素センサを作製した.光ファイバの一端から白色光を入射し,水素に対する伝搬光スペクトル変化を測定することにより特性を検討した.その結果,水素雰囲気下では伝搬光強度が増加した.これは酸化タングステン微粒子が水素と結合してタングステンブロンズが生じ,これによりエバネッセント波の吸収が変化したためと考えられる.また,増加の程度は積層数が増えるにしたがって増加した.
構造ヘルスモニタリングにおいては,計測対象の振動を計測することで異常診断を行う手法が提案されており,振動計測を行うセンサとして光ファイバ加速度計があげられる.これまでに,著者らは高コスト効率な計測システムで測定可能なヘテロコア光ファイバセンサを用いた両端固定支持による梁構造の加速度計を開発してきた.本稿では,両端固定支持梁構造に質量を付加したヘテロコア光ファイバ式加速度計の2 Hz以下におけるこれまでよりもさらに低周波数領域でのセンサの応答評価を行ったので報告する.
双方向マッハ型光ファイバ干渉計を用いた振動センサにおいて、双方向2つの干渉計から得られる干渉波形が大きく異なる場合に振動発生位置精度が低下するという問題があった。本報告では双方向2つの干渉計から得られる干渉波形の主要な周波数成分に着目した解析により位置推定精度の向上を目指した。
光ファイバは通信だけでなく振動センサとしても利用可能である.しかしながら光ファイバケーブル外部に与えられる振動と内部の光ファイバに与えられる振動にはケーブルの種別により,その構造に起因した違いが発生すると考えられる.本報告ではマッハツェンダ型光ファイバ振動センサについてケーブル外部に与えた振動と位相変化の関係を測定する方法を提案し,スロット型およびノンスロット型架空ケーブルの測定を行った.測定を通じてケーブルの種類によってケーブル内のファイバに伝わる振動が異なることがわかった.
日本では社会インフラの老朽化問題が顕在化しており、2011年に発生した東日本大震災での電柱倒壊による道路寸断、大規模停電、および緊急車両の通行が困難となる等の問題が発生した。以降、無給電かつ完全リモートによる電柱等社会インフラの状態を把握可能とする技術が必要とされている。本研究ではマルチコア光ファイバを利用した電柱倒壊方向予測技術の提案を行う。また、提案手法の評価検証の第1段階として、FD-BPM法を利用した光伝搬特性を示すとともに、人工知能(AI)を用いた状態把握分類技術を示す。
休 憩(14:30 再開) 座長 小澤直行(フジクラ)
B-13-24 |
遠隔光路切替ノードの心線切替のための多心円筒フェルールにおける接続損失の一考察
○深井千里・阿部宜輝・大串幾太郎・片山和典(NTT) |
B-13-25 |
遠隔光路切替ノードの上り通信方式に関する検討
○小山 良・川野友裕・黒田晃弘・大串幾太郎・片山和典(NTT) |
B-13-26 |
遠隔光路切替ノードの蓄電制御に関する検討
○黒田晃弘・川野友裕・渡辺 汎・大串幾太郎・片山和典(NTT)・真鍋哲也(三重大) |
B-13-27 |
遠隔光路切替ノードのエネルギーモデルに基づいた蓄電制御
○川野友裕・黒田晃弘・渡辺 汎・大串幾太郎・片山和典(NTT)・真鍋哲也(三重大) |
遠隔光路切替ノードに適応可能な省電力な光スイッチ(OSW)の研究開発に取り組んでおり,これまで,円周上に光ファイバコアを配置した円筒フェルールを回転するOSWを提案し,シングルモードファイバを円周上に配置した多心(マルチファイバ)円筒フェルール(MFF)の試作により,フェルール端面形状と光学特性の関係について報告した.今回,試作したMFFの心線切替における接続損失について検討したので報告する.
本検討では遠隔光路切替ノードの上り通信における折り返し方式と光トランシーバ方式の消費する光給電パワーを算出した.その結果,通信データ量が100bit 程度,通信間隔が49 分以下であるようなコマンド文通信は折り返し方式が, 通信データ量が32Kbyte を超えるような測定データ送信には光トランシーバ方式が適していることが分かった.
光サービス需要に対して柔軟な対応が見込まれる多段ループ型光アクセス網構成において,遠隔での心線切替機能を有した光ファイバ給電で駆動する遠隔光路切替ノード(以下,ノード)を提案している.1台のノードのMPUを生かしながらコールドスタート状態からより短時間で一定の蓄電状態へ到達させるには,光給電で蓄電したキャパシタ電圧の蓄電制御が重要となる.そこで本稿では,ノード1台における制御通信間隔とキャパシタの蓄電電圧の関係について報告する.
我々は,遠隔からの光路切替を実現するため,光ファイバ給電で駆動する遠隔光路切替ノードを検討している.給電網に用いる光ファイバは,既存の通信用シングルモードファイバを想定しており,伝送パワーは,通信光レベルとなるため遠隔光路切替ノードでは,光ファイバで給電される電力を蓄電して各種デバイスを駆動する方式を採用している.本稿では,使用している光電変換器の出力特性を加味し,ノードに蓄電されるエネルギーをモデル化し,蓄電部であるキャパシタの電圧推定と省電力な蓄電制御について検討したので報告する.
休 憩(15:45 再開) 座長 高橋 稔(フジクラ)
B-13-28 |
光ファイバ側面研磨を用いた現場作製光カプラの屈折率整合材の分岐比への影響評価
○納戸一貴・植松卓威・大串幾太郎(NTT) |
B-13-29 |
点群データ重畳の高精度化及び計算時間削減
◎櫻原雄介・五藤幸弘・岡野展之・海老根 崇(NTT) |
柔軟な光通信網の配線方式として,光のバス型ネットワークが検討されている.この実現には,既設の光通信網に後付けで光カプラを設置する必要がある.しかし,後付けには光ファイバの切断が必要であり、通信断が発生するため問題となっている.そこで,通信中の光ファイバの側面を研磨し,通信断なく光カプラを後付けする方法を提案している.提案方法では,光ファイバ側面研磨完了を通信断なく判断している.その後,側面研磨した光ファイバに屈折率整合材を塗布し,面合わせすることで,現場で通信断なく,光カプラを設置している.本報告では提案方法にて作製した光カプラの屈折率整合材の屈折率と最大分岐比と過剰損失の関係を報告する.
近年、走行中に3次元のレーザスキャンと画像撮影可能なMMS(Mobile Mapping System)や狭隘道路でも計測可能な固定式レーザスキャナを用いた電柱たわみ評価技術が開発され、効率的な電柱設備点検が実現されている。各計測データを地図などと同じDB等での一元的な管理が望まれている。2つの固定式点群データを用い、特徴量抽出技術及び対応点探索・剛体変換技術を組み合わせ、電柱点群データを重畳した。併せて点群データをダウンサンプリングし、計算時間短縮を図った。結果、ダウンサンプリングにUniform Sampling手法、特長量抽出にSpinimage手法、剛体変換にICP手法を組み合わせ、0.2 m以下の精度を保持しつつ、処理時間を85%程度にできた。
B-14. 情報通信マネジメント
3月7日 9:00〜11:30 3号館 3303教室 座長 吉原貴仁(KDDI)
B-14-1 |
機械学習を用いた障害検知における 不完全なデータの影響に関する一検討
○濱 篤史・木下和彦(徳島大) |
B-14-2 |
通信ネットワークにおける時系列トラヒックデータの欠損値補間手法
○中村瑞人・佐藤千尋・佐藤亮介・高田 篤(NTT) |
B-14-3 |
ネットワーク故障対応AIモデル生成のための環境模擬に関する考察
◎李 頔・野末晴久・山本憲男・浅井文香・田山健一(NTT) |
B-14-4 |
Automatic Extraction of Relationships Between Components of Different Digital Twin Models
○Jens Doenhoff・Daisuke Tsuji・Yu Tamura・Tomohiro Shigemoto(Hitachi) |
近年,機械学習を用いたネットワーク(NW)管理が 注目されている [1][2].しかし,独立した NW を対象と したものがほとんどで,NW が複数接続されている環境 を想定していない.
外部 NW から得たデータは自 NW の管理にも有用と 考えられるが,悪用回避や秘匿性の観点から,完全な データは得られないと想定される.
そこで本研究では,機械学習を用いた障害検知を対象 として,不完全なデータが性能に与える影響を評価する.
評価するために5種類の障害が与えられたデータに対し,完全データと不完全データを用意し,k近傍法による障害検知を行う.
指標として適合率を求め,不完全データを使用したときに検知精度に差が出るかを検証する.
時系列トラヒックデータを基にネットワークの異常検知などを行う機械学習手法では,予測精度向上のために,異常時のデータの学習が重要である.しかし,ネットワークの異常発生時は,ネットワークや装置が高負荷状態となってSNMP(Simple Network Management Protocol)のGetが落ちるなど,学習に必須なデータに欠損が生じることがある.よって,これらの欠損と誤差の小さい補間が必須となる.本稿では,欠損が発生したインタフェースと同一通信経路上の他インタフェースのトラヒックデータを参照することで,誤差の小さい時系列トラヒックデータの欠損補間を行う手法を提案する.
ネットワークの故障対応にAIを活用した検討が行われているが,頻度の少ない故障などAIのモデル作成に必要となる学習データが不足する課題がある.我々は,この学習データ不足の解決に向けて,実際のNW環境を模擬する環境,ミラー環境に関する検討を進めている.ミラー環境の実現に向け,本稿では,ターゲットとなる本番環境をすべてそのまま再現することなく,トポロジー情報の分析を行いNW機器の接続パターンを模擬することで,人工的に故障を挿入できる最小限の環境を模擬する方法を提案する.
Technological advances enable the realization of Cyber Physical Systems (CPS). However, connecting Operational Technology systems to cyber space increases the threat of cyber attacks. To address shortcomings in traditional IT-security approaches for CPS, we are developing the Security Digital Twin (SDT). Its functionality includes planning of security countermeasures. This requires creation of models of relevant aspects of the CPS. However, evaluation of relationships between components of different models is a time-consuming manual process. In this paper, we propose an architecture for the automatic extraction of cross-model relationships, reducing labor cost and construction time required to effectively operate the SDT.
休 憩(10:30 再開) 座長 大石晴夫(NTT)
B-14-5 |
通信キャリアにおけるシステム運用の自動化に関する一検討
◎磯野祐太(NTT西日本)・水谷真梨(NTTフィールドテクノ)・南 正樹(NTT西日本)・松田隆男(NTTフィールドテクノ) |
B-14-6 |
データセンタにおける太陽光発電と蓄電池を考慮した複数VMの収容先決定法
○松村龍太郎・原田薫明(NTT) |
B-14-7 |
都市OSにおける通信管理機能の実装方式
◎橋本 樹・三好 匠・山崎 託(芝浦工大)・朝香卓也(東京都立大) |
B-14-8 |
NDN における AS 間トラヒック削減のための動的ミラー構成法
◎曹 栩珩・上山憲昭(立命館大) |
Digital Transformationのニーズの高まりに伴い,スピーディにハードウェアや仮想マシンを準備,拡張する必要があることから,ソフトウェアのインストールや設定の自動化等のIaCが世界の潮流にある。また,通信キャリアにおいては電話やインターネットなどのミッションクリティカルなシステムを多数抱えており,極めて高い可用性が求められ不測のトラブルに対しても迅速に対応する必要がある。これらの背景を踏まえ,通信キャリアが持つシステムを構成する装置に対して自動設定を行う場合の偶発的イベントと回復措置を事前に検討し、トラブル発生時の迅速な復旧へ向けた考察を行った。
太陽光発電の課題は天候の影響で使える電力量が変動することにある。データセンタ(DC)において太陽光発電を有効活用するためには、利用する仮想マシン(VM)をどのDCに配置すればよいかという課題が生じる。DCに太陽光発電を設置し、VMをDC間で移動させる研究は存在していたが、蓄電池の活用を考慮していない。この問題を解決するために、多重ナップサック問題の定式化を活用し、蓄電池を考慮しつつ太陽光発電を効率的に利用するためのVM収容先決定手法を考案した。本手法では、電力が不足した場合には電力を購入し、電力が余った場合には電力を販売する手順を組み入れているが、購入電力量を最小にすることを目的とする。
近年,都市が抱える問題に対し,通信技術などの活用で問題の解決を図るスマートシティ構想が注目されている.内閣府では,全国各地でスマートシティ化を効率的に進めるため,都市で収集される個人データや地理データの管理機能など,都市間で共有できる機能を集約した都市OSの導入を推進している.しかし,現在の都市OSでは,デバイスがサービスの提供を受ける際に用いるWi-Fi,5G,LPWAなどの通信方式を制御する機能やサービスは存在しないため,利用者自身が通信方式を選択する必要がある.本稿では,スマートシティサービスとしての通信管理機能の実現に向けて,既存の都市OSを用いた実装方法を検討する.
近年,ストリーミングなどの発展に伴い,ネットワークに求める役割が変化し,コンテンツ指向の要求が主流になっている.またネットワークのトラフィック量が増加し続けており,コンテンツを提供するパブリッシャの負担も大きくなっている.これら問題の解決策として,CCN (Content-Centric Networking) の一種 NDN (Named Data Networking)が注目されている.しかしNDNのルータは高速性が要求されるため,キャッシュのヒット率の向上が難しい.そこで本稿では,CDNのアイデアをNDNに拡張する.すなわち外部の高人気コンテンツを自AS内にミラー化することを提案する.
3月8日 9:00〜11:15 3号館 3303教室 座長 中山裕貴(ボスコ・テクノロジーズ)
B-14-9 |
障害リンク検知のためのオイラー閉路分解を用いたパケットロス計測経路の設計
○佐野由一・柴田将拡・鶴 正人(九工大) |
B-14-10 |
複数指標の時系列共起性に着目したサービス品質低下検知技術の提案
◎林 直輝・石塚祐一郎・山越恭子・沖野 修・田原光穂(NTT) |
B-14-11 |
トラブル対応における判断支援に向けた予測的プロセス監視手法
○渡邉 暁・高橋洋介・池内光希(NTT) |
B-14-12 |
Instagramの投稿に対するユーザの反応特性とモデル化
○堂岡優陛・佐藤寧洋(阪電通大) |
近年、計算資源の分散化・仮想化の普及に伴い、SDN技術を用いたネットワークの最適性や可用性の向上が進められている。その際、全リンクの状態や品質の実時間監視が必要であり、全リンクに計測パケットを流すアクティブ計測が重要となる。本報告では、オイラー閉路を用いて全リンクのパケットロス率を算出する計測経路の設計手法を提案し、障害リンクを検知するために必要なネットワークへの負荷と経路長との間の関係を評価する。
従来の監視ではサービス品質の低下を迅速に把握出来ない場合を想定し,xFlow等のフローから取得した制御信号(ユーザ操作によらないトラヒック)に関するメトリクス(指標)の時系列的な共起性に着目することで,サービス品質の低下を精度良く検知可能な技術を提案する.
トラブルの発生したシステムの保守において,オペレータは状況に応じて判断を行い,次のアクティビティを決定する.
現在のシステム状態から取るべきアクティビティを適切に決定することは不慣れなオペレータにとって困難な作業であり,円滑な保守の遂行のためには意思決定の支援が必要である.
本研究では,トラブル発生時の対応判断の支援に向けて,予測的プロセス監視と呼ばれる技法の適用を検討する.
近年では、LINE や Twitter、Instagram などの SNSが多くのユーザに利用されている。さらに、個人の情報発信のみならず、企業もアカウントを開設し、自社の宣伝やキャンペーンの告知などに利用している。最新の統計では、インターネット広告費がテレビ・新聞などのメディア広告費をめて上回るという統計が示されているおり、広告宣伝の中心的な存在となりつつある。従来のメディアであるテレビなどでも放送される時間帯や番組によって広告費や広告効果が異なるのと同様に、SNSについても投稿する時刻や内容、回数などによって得られる効果に違いがあると考えられる。今後、さらに利用が増えると想定されるSNS におけるマーケティングにおいて、どのような投稿特性が効果的であることを明らかにすることは重要であると考えられる。本稿では、Instagram における企業 SNS アカウントを対象した投稿特性を調査する。投稿する時間帯やユーザからの反応を観察することで、情報拡散がどのように行われているのかを明らかにし、将来の投稿行動における指針を示すことを目的とする
休 憩(10:30 再開) 座長 鶴 正人(九工大)
B-14-13 |
Fog Computingにおけるタブー探索を用いた高信頼なフォグノード配置最適化
◎山本高路・山本 嶺・大坐畠 智(電通大) |
B-14-14 |
MUDの概念を応用した汎用デバイスの管理に向けた一検討
◎岡部将也・角田 裕(東北工大) |
B-14-15 |
コンテクストとナレッジを活用したIntent抽出手法
◎呉 超・菊島宏明・福田展和・堀内信吾・田山健一(NTT) |
近年,Internet of Things(IoT)の需要増加に伴い,Fog Computingが収集データの処理基盤として注目されている.Fog Computingでは,各デバイスの生成データをクラウドに加え,計算処理リソースを配置したGW(フォグノード)に集約し,処理の一部をフォグノードが担うことで低遅延なサービス提供が可能である.一方,Fog Computingでは,処理/分析をフォグノードで行うための十分な計算処理リソースが必要になること,デバイスとクラウド間の相互接続性確保のために複数フォグノードが必要なことによる設備コスト増大が課題となる.本稿では,設備コスト削減を目的とし,Fog Computingにおいてタブー探索を適用し,フォグノード配置および計算処理リソースを最適化する手法を提案している.
MUD (Manufacturer Usage Description) はIoTデバイスのセキュリティのために提案された仕組みであり,デバイス製造者が定義した通信ポリシーをユーザに与え,デバイスが決められたエンドポイント以外と通信できないようなアクセス制御を実現する.本発表では,MUDの概念をPCやスマートフォンなどの汎用デバイスの管理に応用するための基本的な検討を行う.
NTTでは、サービス利用者・保守者の様々な要求をIntentとして汲み取り、Intent満たすためのリソース要件を導出し,クラウドサーバ,ネットワーク,アプリケーションのリソース制御を協調させ,「快適なサービス」を実現するMintent®技術を検討している。本稿では、サービス利用者・保守者がIntentを明示的に表現できない場合に対して、自然言語ベースのチャットボット等を通じて、Intentの要素である要求サービス、品質要件、提供条件等を抽出する手法を検討する。
B-15. センサネットワークとモバイルインテリジェンス
3月9日 13:00〜16:45 2号館 2306教室 座長 河東晴子(三菱電機)
B-15-1 |
屋外におけるWi-SUNシステムを用いたマルチホップ経路選択法の基礎検討
○湯浅拓己・征矢隼人(諏訪東京理科大) |
B-15-2 |
ワイヤレスセンサネットワークにおけるネットワークコーディングを考慮したクラスタ構成法
◎荒牧荘祐・吉田政望・野口 拓(立命館大) |
B-15-3 |
Dust Concentration Distribution Measurement Using Time-Synchronized Network and its System Configuration
◎Joshua Junker・Akinori Furuya・Hiroyuki Nakayama・Syouichirou Seno・Hiroyuki Kawai(Tokushima Bunri Univ.) |
B-15-4 |
無線 LAN 環境における自律的チャネル選択手法の検討
○小林優斗・征矢隼人(諏訪東京理科大)・楠田有生・宗 秀哉(湘南工科大) |
B-15-5 |
Human Detectability of Backscattering Millimeter-wave Signal from Through-Glass Propagations
○Binh-Minh Tran-Huu・Nopphon Keerativoranan・Jun-ichi Takada(Tokyo Tech) |
B-15-6 |
建材配置の自動化を想定した近距離無線通信 (NFC) の特性評価
◎葛西彪斗・南 由憲・上原秀幸(豊橋技科大) |
建築・ 土木分野においては少子高齢化による労働力不足から,ICTを活用した生産性向上が求められており,特に作業者の安全確認や機材の動作確認等への活用が検討されている.一方でこうした屋外の作業現場においては作業現場の状況が常に変わり続けることによる通信環境は常に変化するため,作業環境に応じた無線システムの設定を柔軟に変更する必要がある.そこで本検討では,時間ごとに変動する通信環境を想定し,Wi-SUNシステムを用いたマルチホップ経路選択法を検討し, その特性を実験的に評価した.
小型センサノードを複数設置して,一定範囲の環境情報を収集するワイヤレスセンサネットワーク(WSN)は様々な分野での活用が期待されている.WSNの課題として消費電力削減や通信の信頼性向上がある.これらの課題解決のためにクラスタリングを行い,クラスタ内でのデータ集約でマルチパス通信とネットワークコーディングを併用する手法が存在する.一方この手法ではクラスタを構成する際にはエリア全体を均等に分割しており電力残量は考慮されていない.本研究では各ノードの電力残量を考慮してより多くのノードが長期間稼働可能なクラスタ構成法を提案する.そしてシミュレーションを用いて従来手法との性能比較を行い,提案手法の優位性を示す.
Dust distribution is an indicator of the ease of spread of viral infection. When people are overcrowded and dust concentrations are high, the virus is most likely to be transmitted.
In this study, we focus on the dust distribution and its temporal variation as an indicator of virus spread, construct a measurement system and verify the feasibility of the measurement method.
近年,無線LAN機能を備えた情報端末の急速な普及により,多くの端末が同一の無線LANアクセスポイントに接続が集中し,スループットの低下が懸念されている.本検討ではWi-Fi通信モジュールマイコンESP32に備わるAPモード及びチャネルスキャン機能を用いて無線端末が事前にチャネルの利用状況を短時間で把握し,チャネルを決定する手法を考案,さらにESP32を親機と子機に分け,親機が制御信号を子機へ送信することで,子機の送信タイミングを制御し,送信端末が効率よくデータを送信することができる通信システムを提案した.提案システムは実測によりそのフィージビリティを確認した.
Millimeter radars for human body and gesture
detection are in development stages and have potential to be
applied to electronic devices in the future. Being put under
the glass protective layers and screens of these devices, it is
needed to research how glasses affect the detection performance.
This research aimed to investigate the power of backscattered
millimeter waves from a human body through a glass plate
emitted from a radar in order to find how the glass affects the
power of the detection at different incident angles.
本稿では,NFCリーダライタ(R/W)であるRC-S620/S及びAMI2400xにおける距離特性を測定した.垂直方向の距離特性測定実験では,RC-S620/Sでは約35mm,AMI2400xでは約100mmまで通信可能であることを確認した.また,R/WとNFCタグ間に鉄筋が存在する場合にも,鉄筋による通信成功率への影響は確認できなかった.水平方向の距離特性測定実験では,NFCタグの向き,R/Wによって通信可能範囲が変化することが確認できた.RC-S620/Sでは最大d=±20mm,AMI2400xでは最大d=±70mmの範囲で通信可能であることを確認した.移動特性の測定実験では,移動速度の増加に伴い読み取り回数が減少することがわかった.
休 憩(14:45 再開) 座長 田頭茂明(関西大)
B-15-7 |
ピエゾセンサを用いた電柱設置型交通量調査システムー車両・歩行者分類技術
○△加古啓晶・津野晃大・宮橋一瑠・木村秀明(中部大) |
B-15-8 |
音響的触感センサによる摩擦対象素材の識別
○児島宏明・長久保晶彦・佐宗 晃・小木曽里樹(産総研) |
B-15-9 |
ミリ波アレーレーダを用いた複数人体・複数部位の反射波による呼吸・心拍の非接触計測技術
◎大島夕侑・阪本卓也(京大) |
B-15-10 |
スマートウォッチを用いた書籍の試し読み動作の検出
◎高橋千彩季・森野博章(芝浦工大) |
B-15-11 |
ピエゾセンサを用いた傾斜角測定技術
○宮橋一瑠・加古啓晶・木村秀明(中部大) |
B-15-12 |
ビジョンセンシングによる動的焦点エナジービーム生成方式
○藤井正明(ミネベアミツミ) |
B-15-13 |
容器サイズや障害物に依存しないWi-Fi CSIによる水位推定
○西野颯馬・小川将克(上智大) |
B-15-14 |
Wi-FiセンシングにおけるCompressed Beamforming Reportのk-meansクラスタリングに関する実験的検討
○山崎良太・山田大樹(日立) |
従来,国土交通省,地方自治体の道路渋滞状況等の把握に向けた交通量調査は,調査員が直接現場へ出向き,車両進行方向別,車種別等,カウンターにより実施されてきた.一方,近年,IoTセンサや人口知能(AI)技術の普及拡大により画像解析を利用した方法が抜本的コスト削減という観点から注目され,研究開発が盛んに行われている.これまで,我々は「ピエゾセンサを用いた電柱設置型交通量調査システム」を提案,システムの実現に向けた各種機能および基盤技術について検討してきた.今回,本システムの1機能である車両通過検知に関して,「センサ測定データからの車両通過検知可否判断方法」を提案,実験評価したので報告する.
人の触感と同様に、対象物の表面を撫でることにより、表面状態や素材の違いを識別するためのセンサの実現を目指す。そのために、樹脂製の面ファスナーと圧電素子型ピックアップを組み合わせて、摩擦の際の音響信号を検出するセンサを試作した。これを用いて、人及びマニピュレータにより、8種類の対象物で摩擦音を収録し、摩擦音から抽出したメルケプストラム係数を特徴量として、線形判別分析やSVMによる識別実験を行た結果、マニピュレータによる同一の摩擦動作において97%以上の平均正解率が得られ、このセンサによる識別可能性と、機械の動作音などの雑音に対する頑健性が示された。
従来のレーダを用いた呼吸・心拍の同時計測では,人体からの複数の反射波のうち,電力が最大になるもののみを用いて解析が行われるのが通例であった.たとえば著者らは,複数レーダを用いた計測により、複数人体 の生体信号を高精度に計測する手法を開発してきたが,呼吸および心拍の両者を同時に計測するためには,適切な人体部位からの反射波が受信されている必要があり,日常環境でのモニタリングなどへの応用を阻む原因となっていた.そこで,本稿では,各人体から複数の反射波を選択し,それぞれから呼吸成分および心拍成分を同時に抽出する手法を提案し,その有効性を被験者3人が参加する実験を通じて実証する.
人の行動をセンサで検知してその人が何に興味を持ったかを推定できれば有用な場面は多いと考えられる.例えば人が空間内でどの場所の品に特に興味を持ったかの情報を得られれば,その位置に注目させたい品を配置する等の設計に役立てられる可能性がある.本研究では,書籍を試し読みする動作を興味度合いに対応付けるとして,スマートウォッチの角速度センサ値の時間変化から試し読みの一連の動作である「棚から取る」「本をめくる・読む」「棚に戻す」の中で,「本をめくる・読む」動作を推定する方式を提案する.6名の被験者に試し読み動作を行ってもらい,再現率はいずれも80%以上,F値は0.65以上となったが,本を取り終える時刻と本を読み始める時刻の境目で誤推定される場合や「本を戻す」動作まで,「本をめくる・読む」であると推定されている場合もあった.今後は加速度センサにより腕の上げ下げと推定される区間内では手首のひねりの検出があっても「めくる」と推定しないアルゴリズムにより適合率が向上すると考える.
近年,災害時と通常時両者における道路状況を低コストかつ高精度に把握する技術が求められている.これまで我々は,普及拡大が進むIoTセンサ情報を利用した「電柱倒壊方向および傾斜方向把握」と「道路交通状況可視化」を実現するシステム実現に向けた研究開発を実施してきた.今回,システム構築に向け複数のピエゾセンサを利用した新たな方法を提案するとともに,初期実験を実施,提案技術の有効性を確認したので報告する.
サービスロボットなどに搭載された準ミリ波帯送電フェイズドアレーから焦点ビームにより給電対象の受電アンテナへ送電を行う。フェイズドアレーと同サイズの位置マーカを使用して等距離射影特性に基づく射影画像からフェイズドアレー左右端及び上下端から受電アンテナまでの経路差を推定し、放物線内挿補間によりアレー素子送電信号位相を設定する。受電アンテナへ接近中及び近接位置での停止中に効率よく給電することができることを計算機シミュレーションにより確認したので報告する。
本研究は,Wi-Fi CSI (Channel State Information)の特性を利用して,高精度に容器の水位を推定することが目的である.従来研究では,未知の水位に対して,高精度に推定できる送受信アンテナ配置を明らかにしたが,容器サイズごとに事前学習が必要であった.学習データとテストデータで容器サイズが異なる場合は,容器の直径比率を乗算することで高精度に推定できることを明らかにした.本稿では,事前学習と障害物の有無が異なる環境でテストを行った場合にも,高精度に容器の水位を推定できることを明らかにする.
近年,Wi-Fiの伝搬チャネル状態情報を物体検知などのセンシングに応用する技術が注目されており,関連規格であるIEEE802.11bf[1]が2024年に策定予定である。本規格ではCompressed Beamforming Report(CBR)パケットをセンシング向けにやりとりするプロトコルが規定されており,センシング機能は機械学習で実現するのが一般的である。本稿では,教師なし学習の1つであるk-meansクラスタリングをCBRに適用した実験結果について述べる。
3月10日 9:15〜11:45 2号館 2306教室 座長 倉沢 央(NTT)
B-15-15 |
超音波測定における誤情報を含む測距値を用いた障害物位置推定
◎辻井明日香・笠島 崇(日本特殊陶業)・羽多野裕之(三重大)・山里敬也(名大) |
B-15-16 |
屋内環境における地磁気センサを用いた近距離デバイス間位置推定のノイズ較正の検討
○上島伶太・坂野遼平(工学院大) |
B-15-17 |
Wi-FiおよびBLEの受信信号強度を用いた大学構内における屋内位置推定システムの検討
◎梁河 樹・足立裕基・田中空斗・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-15-18 |
信号強度の距離減衰の単調性を仮定した屋内位置推定法
○△鈴木 葵・上原拓大・白木詩乃・塩田茂雄(千葉大)・平井健士(阪大) |
B-15-19 |
RTK-GNSSを用いたLiDARキャリブレーション
○福泉真隆・岡本駿志・山城直毅・平本美智代(OKI) |
我々は,低速自動運転のような従来の超音波センサが使用されてきた環境と比較して,測定対象との相対速度の大きい環境において使用可能な,超音波アレイを用いる位置推定システムの開発に取り組んでいる.本システムでは,受信部をアレイ化し,多辺測量に基づく位置推定について,確率分布を導入する手法を適用している.本発表では,特に障害物が複数存在かつ個数不明であり,得られる測距値に誤検出や未検出が含まれる場合について検討した.改良したプロセスにより,誤検出を含む実験データを用いた場合において,複数の障害物の位置を推定可能であることを確認した.
近年,位置情報を利用したサービスが普及している傾向にあり,特にGPSを利用したサービスが多い.しかし,GPSは屋内環境などで使用することが困難である.そこで本論文ではGPSに代替する位置情報取得方法として地磁気センサに着目した.地磁気センサは周囲の磁場によってその精度が不安定であるということが知られている.本研究では,地磁気センサの内部ノイズに使用されている較正を外部ノイズにも施すことにより,環境による精度の差を減らすことを提案した.結果として,微小ではあるが較正前と較正後では精度に差が表れた.
豊橋技術科学大学構内で,受信信号強度 (RSSI) を用いた屋内位置推定システムの開発が進められている.本研究では,B棟2階での使用を想定した屋内位置推定システムを検討する.本システムでは,構内に既設されたWi-Fiのアクセスポイント (AP) からRSSIを取得し,重み付き重心法 (WCL) によって位置を推定する.また,WCLはAPの配置や設置台数が推定精度に影響するため,BLEビーコンをAPとして増設し,位置推定への有効性を検証する.廊下上での位置推定を想定したRSSI測定実験を実施し,推定精度を評価した結果,BLEビーコンの増設によってWCLの推定範囲を拡大できた.また,BLEビーコンの信号を測定者が遮蔽しない場合,提案手法が屋内位置推定に有効であることを示した.
代表的な屋内位置推定法の一つに,Bluetooth Low Energy(BLE) などの無線信号を発する機器(アンカー)を屋内にあらかじめ複数台設置し,被推定対象側の機器ではアンカーからの信号強度を観測して,アンカーとの距離を見積り,多辺測量により測位を行う方法がある.しかし,信号強度と距離の関係は人の存在や什器の配置などの要因により様々に影響を受けるため,信号強度から信号源との距離を正確に見積ることは一般に困難である.本稿では,「受信信号が強い(弱い)ほど信号源に近い(から遠い)」という関係を仮定した近接情報ベースの屋内位置推定法を提案し,Raspberry Piを用いた実機実験を通してその推定精度を検証する.
当社はインフラセンサーとしてLiDARを用いた安全監視に関する技術開発を行っている.
広いエリアの安全監視を実現するために複数台のLiDARを高精度に連携させる必要が生じる.
またユースケースによってはLiDARの移動や設置を顧客の現場担当者が行う場合があり簡単な手順であることが求められる.
そこで本稿では,RTK-GNSSの測位情報を用いたLiDARキャリブレーション手法を提案し,実験によりその効果を確認した.
(10:30 開始) 座長 太田 能(神戸大)
B-15-20 |
人体ファントムを用いた無線通信品質予測のための物理空間情報データ自動生成に関する評価
○永田尚志・工藤理一・高橋馨子・小川智明(NTT) |
B-15-21 |
Geometrical Optics based Simulation for Human Detection Utilizing Breathing-induced Micro-Doppler
Nopphon Keerativoranan・Jun-ichi Takada・◎Puttaranun Boonchit(Tokyo Tech) |
B-15-22 |
ジェスチャを用いたドローンによる家電操作システムの検討
○藤井大輝・坂野遼平(工学院大) |
B-15-23 |
移動先の予測需要を用いたD2Dキャッシュ制御方式の数値評価
◎常清睦与(福岡大)・上山憲昭(立命館大) |
B-15-24 |
周期性を考慮したBERTの顧客行動分析への応用
○千葉昭宏(NTTドコモ)・福島健祐・塩田哲哉(NTT)・林 芳樹・浅井洋樹・永田智大(NTTドコモ)・石井方邦・倉沢 央(NTT)・柴田 樹・佐藤 篤(NTTドコモ) |
人を対象としたシナリオで,無線通信品質予測の深層学習に必要となる物理空間情報を人の代用として人体ファントムを用いて効率的にデータ収集し,その評価を行った.
Recently, channel state information (CSI) is utilized for passive indoor detection and localization since the Doppler feature is affected by human breathing. However, conducting a measurement is time and cost inefficient, especially in a multi-person scenario that requires participants and approval of human-related ethics. The simulation-based prediction prior to the measurement is needed. This paper proposes a simulation model using geometrical optics (GO) to calculate CSI, and observes the model feasibility on a single-person detection. By comparing the range profile, a sharp peak of the simulation is located within the uncertainty range of measurement.
現代社会では,一般家庭に多くの家電製品がありそれぞれが高機能化している.それに伴い,リモコンの数も増えておりボタン操作も複雑化している.これらの問題を解決するにはスマートリモコンを利用する方法が考えられる.この方法では,複数のリモコンを1つにまとめられて煩わしさを軽減できるが,赤外線接続のため障害物があると通信が阻害されてしまう.本研究では,NUIとして簡単なジェスチャを取り入れることでドローンを家電の近くへ移動させ,家電への赤外線信号送信を障害物に阻まれることなく行う仕組みを提案する.
基地局バックホールの負荷を軽減する方式として,移動端末でコンテンツをキャッシュしてD2D通信で配信することが有効である.しかし端末のキャッシュ容量は有限であるため端末の移動経路上で高い需要が見込めるコンテンツを優先的にキャッシュすることが有効である.
そこで筆者らは,LSTMのよるコンテンツの需要推定方式をD2Dキャッシュ配信に応用し,移動経路上の他の端末が要求する可能性の高いコンテンツを推測する.本稿では,シミュレーションに用いるコンテンツの作成方法をZipf 分布を考慮した方法で作成することで人気の偏りを考慮し,コンテンツ数を変化させた時のキャッシュヒット率を評価する.そして提案方式の有効性を確認する.
ECサイトの閲覧履歴などの顧客行動からニーズや課題を発見し、顧客体験を向上させる取組みが盛んに行われている。時系列で記録される顧客行動は多様で、機械学習による分析の効率化が求められている。そこで、本研究では、自然言語処理で高い性能が示されているBERTの顧客行動分析への応用を試みる。日中/夜間、平日/休日といった顧客行動特有の周期性を考慮するために、日時の情報を正弦波で加工した値をエンコーディングに加えたモデルを提案する。提案手法を用いて、過去の顧客行動から将来の顧客行動を予測したところ、精度が向上した。周期性を考慮したモデルの導入により、機械学習による顧客行動の予測や解釈の実現の可能性が示唆された。
3月10日 13:00〜16:30 2号館 2306教室 座長 西尾理志(東工大)
B-15-25 |
無線LANを用いた空対空ドローン間通信におけるMIMOの効果検証
◎河辺志温・奥田哲款・岡田 啓・ベンナイラ シャドリア・片山正昭(名大) |
B-15-26 |
自動運転のための交通参加者間の相互作用を考慮した行動予測
◎前川凌祐・菅沼直樹・米陀佳祐(金沢大) |
B-15-27 |
複数種のUAVと携帯端末を用いた避難誘導システム
◎伊吹宏三郎・上山憲昭(立命館大) |
B-15-28 |
車載UWB通信のためのフレーム数最小化スケジューリングに関する一検討
◎右田 創・竹中 誠・Patrick Finnerty・太田 能(神戸大) |
B-15-29 |
フレネ座標系における軌道係数の回帰による自動運転車走行軌道の生成
○木下 周・菅沼直樹・米陀佳祐(金沢大) |
B-15-30 |
内部機構の姿勢角度を考慮した球体移動機構の速度制御
○池田拓海・新井浩志(千葉工大) |
既存の通信インフラを使えない山間部の作業現場と事務所の間で通信を行うため,山などの地形で遮られて直接通信することができない作業現場と有線設備のある基地局との間を無線LANで接続することが検討されている.このシステムでは,作業現場と基地局から1機ずつドローンを打ち上げて通信を中継させ,見通し内の通信路を構築する.
ドローンに無線LAN中継器を載せ空対空ドローン間通信の実験を行ったが,Multi-Input Multi-Output (MIMO)の技術は使っていなかった.MIMOでは,送信側から受信側への直接波だけでなく,地面などによる反射波を利用することで,同時に伝送できる情報量を増やす.ドローン間通信では,地面による反射波の影響が減少し,通信性能が地上ほど高くならない可能性がある.
このシステムを実現させるため、本研究では、MIMOを用いた空対空ドローン間通信の実験を行い,MIMOの効果を検証することを目的とする.
その結果,MIMOを使うと通信性能が向上することが分かった.
自動運転の安全性向上には周囲の交通参加者を認識し,それらの行動を正確に予測することが重要である.予測の手法は,一般的に大きく二つに分類される.一つはノードとリンクで表現された地図に沿って行動すると仮定して予測するものであり,もう一つは現在の運動状態から等加速度運動すると仮定して予測するものである.しかし,いずれかの手法ですべての交通参加者の行動を予測することは困難である.また,これらの手法は周囲の交通参加者の状況を考慮していない.本研究では,交通参加者間の相互作用を考慮するためにIntelligent Driver Modelの考え方を用い,地図に基づく予測と運動状態に基づく予測を組み合わせることで予測精度の向上を目指す.
UAV(Unmanned Aerial Vehicle)は災害救助分野においての利用が注目されている.これまでに地上に設置されたセンサーデバイスから収集した災害情報をもとにUAVの動作を制御する方式が提案されている.しかし災害時にセンサーデバイスが損傷した場合,効果的な災害救助支援が困難になる.また,使用が想定されているUAVはバッテリー容量が小さく長時間の連続使用には適さないことも問題である.
そこで本稿では,大型UAVが小型UAVを運搬しながら避難者を捜索し,避難者発見後に分離した小型UAVが避難誘導するか,避難者の携帯端末が使用可能なら避難経路を送信することで,長時間かつ広範囲において運用が可能な避難誘導システムを提案する.
自動車の燃費改善にはワイヤーハーネス削減による車体軽量化が有効である.我々はUWB(Ultra-Wideband)と PLC(Power Line Communication)を統合活用することでワイヤハーネスを置き換え,車体軽量化と燃費改善を目指している.本稿ではUWB無線通信の信頼性を高めるパケットスケジューリングの最適化手法と,提案手法の実機評価結果を示す.
パスプランニングと呼ばれる自動運転車が実際にどのような軌道上を走るかどうかを決定する分野は, 事故の回避や運転の快適さの実現において重要な分野の一つである. ここでは本研究室で従来採用しているパスプランニング手法を模倣する深層学習モデルを提案する. モデルへの入力となるのは周辺の地図画像や走行するべきルートの画像, 移動物体の予測軌道画像に加え, 速度や加速度などの自車両ステータスである. 出力として得るのは走行する軌道の"軌道係数"である. シミュレーション上で提案モデルが決定した軌道と従来手法で決定した軌道を走行させたときの比較を行い, モデルがどの程度従来手法を模倣できているかを示す.
球体内部に全方向移動できる機構(以下、内部機構)を持ち、その移動によって球体全体を回転させる駆動方式の球体移動機構は障害物や塵埃によって故障しにくいという特徴がある。一方で球体速度を直接計測することは困難という課題と速度変化時に内部機構が大きく揺れてしまい重心位置が乱れ安定した速度での移動ができないという二つの課題が存在する。本報告では内部機構が大きく揺れないように制振制御も行いつつ内部機構の操作量と姿勢角度の角速度より算出した球体速度をフィードバック制御する手法を物理シミュレータで検証した。制振制御のみの場合とフィードバック制御のみとの場合で比較した結果について述べる。
休 憩(14:45 再開) 座長 平井健士(阪大)
B-15-31 |
牡蠣養殖支援IoTに向けたクロロフィル濃度の海域依存性及び季節変動の分析
◎小迫隼也・山本悠貴・濱崎利彦(広島工大) |
B-15-32 |
牡蠣養殖IoTに向けたクロロフィル濃度推定のための可視光スペクトルを用いた画像処理手法
○山本悠貴・小迫隼也・濱﨑利彦(広島工大) |
B-15-33 |
ため池群広域水位監視システムの実証実験について
◎工藤 響・千葉慎二(仙台高専) |
B-15-34 |
LPWA通信による広域に分布した箱罠状態モニタリングの実践
◎今野優雅・石川未彩・千葉慎二(仙台高専) |
B-15-35 |
LiDARによる垣根の位置推定と自律走行システムの開発
◎渡邉悠人・千葉慎二(仙台高専) |
B-15-36 |
低コストと高い信頼性を両立する地域型防災・減災 IoT
◎東 志拓・井上一成(明石高専) |
B-15-37 |
LiDARの入射角変化による反射強度差を用いた水たまり検知手法
○小菅竜太郎・三好 匠・山崎 託(芝浦工大) |
牡蠣養殖は広島県にとって重要な産業であるが、近年牡蠣の生産量が安定していないことがわかっている.
よって,本研究は牡蠣養殖にIoTを推進するための研究の一環として,牡蠣の餌となる植物プランクトン量の指標であるクロロフィル濃度の分布を把握することを目的としている.そのため現地測定により,海域の特徴と季節の変化の分析を行い,5つの特徴的な海域に分類できることが明らかになった.
広島湾では牡蠣養殖が盛んに行われているが,海洋生態系の底辺を担う植物プランクトンは牡蠣の生産に影響を与えるため,その現存量の把握は重要な課題である.既に衛星リモートセンシングにより画像スペクトルからのクロロフィル濃度推定が行われているが,広島湾のような閉鎖海域ではその複雑な環境要因により外洋域と比較して推定精度が低い.本研究は牡蠣養殖にIoTを推進するための研究の一環として,海中を直接撮影できるIoTブイを開発し,可視光スペクトルから植物プランクトン量の指標となるクロロフィル濃度推定する計算式を導出した.
ため池とは,農業用水の確保が難しい地域において,人工的に造成された池である.これらは近年増加する豪雨や地震のような自然災害により,決壊等の被害が顕著になってきている.特に平成 30 年 7 月豪雨では,32 箇所ものため池が被災した.これを契機に,重要地点では発災後 24 時間以内に点検を行うように義務付けられた.しかし,多くのため池では監視を目視で行っており,災害時のアクセス不良等により速やかな点検ができないことが懸念されている.
本件では,ため池の状態を水位センサによって遠隔監視するシステムを提案し,本システムを課題地域に設置,実証実験による動作検証を行った結果を報告する.
野生鳥獣による農作物への被害は,令和2年度の被害額は161億円と報告されており,金銭的な障害は営農意欲の減少に影響し,日本の農業が衰退してしまうことが考えられる.我々の研究室では令和3年度から仙台市と地域住民と連携し有害鳥獣捕獲を支援するICTシステムの開発を行っている.本研究の目的は,有害鳥獣捕獲支援システムの課題地域への本格的な実装とシステムの利便性向上である.実証実験地域である仙台市秋保地区において,仙台市秋保総合支所及び有害鳥獣捕獲活動を行っている地域住民の方々にご協力いただき,現地へのシステム設置や実施調査を実施させていただいたので,その実践結果を報告する.
ワイナリーではブドウ垣根根元の雑草の際刈りが重労働である.近年自動草刈りロボットによる農業支援が行われているが,際刈り等の繊細動作を要する箇所は作業が困難であり,完全な農業支援は実現できていない.本研究室ではこの課題に対し,GNSS,IMUにより自律走行する際刈り可能なクローラ型ロボットの開発を行っており,際刈りに必要な走行精度が実現できていないこと,搭載センサのみでは周囲環境に対するロバスト性が低い等課題があった.本件では現行システムの利便性向上やLiDARを用いた垣根位置推定を行い,走行精度とロバスト性を向上させた自律走行システムの構築,実環境を想定した実験を行い,システムの有効性を示す.
現在, 市町村では, 救援・救助のために大量の備蓄物資を保管する. 地域レベルでは, 物資は小規模でその管理は手作業が多い. また, 災害発生時には, 壊れた建物の中から取り残された人を発見し, 救助することも地域主体で行われている.
本論文では, 重量情報の取得, 耐障害性を有するIP網と非IP網, 防災・減災情報の可視化の3つのレイヤーで構成するシステムを用いて, 地域での人的リソースを最小化し, 低コストと高い信頼性を両立する防災・減災 IoT ソリューションを提案する.
近年,ロボットの自律制御や自動車の自動運転に向けて,対象物の外形や距離をレーザ光の反射により取得する LiDAR が注目されている.ロボットや自動車の安全な移動のためには,立体的な障害物だけでなく平面的な障害物の検知も重要な課題である.そこで,LiDAR を用いて水たまりを検知する手法が提案されている.従来研究では,水たまりと似た反射強度値をもつ物体の誤検知が問題とされている.本稿では,LiDAR の入射角の違いによる反射強度値の変化を利用した水たまり検知手法を提案した.
B-16. インターネットアーキテクチャ
3月9日 13:00〜17:00 4号館 4205教室 座長 大島浩太(東京海洋大)
B-16-1 |
SDNによるTCPの公平性を考慮した動的な経路制御の検討
◎伊藤隼人・伊藤嘉浩(名工大) |
B-16-2 |
eBPFを用いたソフトウェアルータのネットワークモニタリング検討
○桜庭皆人・宮坂拓也・田上敦士(KDDI総合研究所) |
B-16-3 |
NFSにおけるサービス品質向上のためのSDNによる動的な経路制御の検討
◎櫻井佑真・伊藤嘉浩(名工大) |
B-16-4 |
多数の経路に対応したSDNによるQoS向上のための経路制御の提案
◎田中大貴・伊藤嘉浩(名工大) |
現在,IoT を利用したサービスのユーザ数の増加に伴い,そのトラヒックも増加しており,IoTネットワーク
における輻輳が問題となるため,IoTネットワークにおける輻輳制御が必要である.このような輻輳制御の一つ
として,先行研究はSDNを用いて負荷を複数経路に分散させる方式を提案している.先行研究の方式は,1ユー
ザのみのTCPスループットの向上を目的としているが,IoTネットワークでは多くのユーザが利用するものと想
定されるので,すべてのユーザに対する公平性を考慮しなければならない.
本研究は,TCPの公平性を考慮したSDNによる経路制御方式を提案する.そして,実機を用いた実験により
その有効性を評価する.
本稿では,ネットワークの自律性実現に向けたeBPFネットワークモニタリングシステムを提案した.今後は,提案システムをAI/MLと組み合わせ,様々な障害予測や障害箇所特定の有効性を評価する.
近年,クラウドの普及により,ITインフラのクラウド化が重要視されており,このため,柔軟かつ迅速なネットワーク制御が必要とされている.このようなネットワーク制御の一つとして,先行研究ではSDNによる動的なマルチパス化方式を提案している.しかしながら,この制御方式は一般的なTCP/UDPトラヒックを対象としたものであり,クラウドサービスに対する評価は行われていない.本研究では,動的なマルチパス化方式を,クラウド化に必要なファイル共有サービスであるNFSへ適用し,その有効性を実験により評価する.
近年,IoTデバイスの普及に伴いIoTネットワークにおけるトラヒック量も急増し,これによる輻輳が問題となる.そこで,この輻輳に対する制御として,先行研究はSDNを用いたマルチパス化方式を提案している.この方式は2経路のみ対応したものであり,3経路以上の複数経路に対応していない.そこで本研究では,複数経路におけるSDNによる経路制御を提案し,実験により,その有効性を示す.
休 憩(14:15 再開) 座長 張 亮(ソフトバンク)
B-16-5 |
路線バスにおける常時観測による不快運転の分析
○秋山豊和(京産大)・新井イスマイル(奈良先端大)・山本 寛(立命館大) |
B-16-6 |
IEEE 802.1TSNを用いた車載イーサネットのATSにおけるQoS評価
◎吉村有花理・伊藤嘉浩(名工大) |
B-16-7 |
IEEE 802.1TSNにおけるCBSとTASを用いた車載ネットワークに対するQoS推定に関する一検討
◎粟根穂乃花・伊藤嘉浩(名工大) |
B-16-8 |
輻輳したネットワークにおけるIEEE 802.1ASの時刻同期精度の評価
◎小澤耀平・伊藤嘉浩(名工大) |
B-16-9 |
EthernetベースのネットワークにおけるIEEE 802.1ASの時刻同期精度の評価
◎小泉舞歌・伊藤嘉浩(名工大) |
近年,バス運転手の高齢化や人員不足により,バス事故が社会問題となっている.乗務員に起因する重大事故のうち,乗合バスでは車内事故の件数が増加しており,その低減が求められている.車内事故を低減する様々な取り組みが行われてきたが,その中でも車内事故の低減につながると期待されている車内の乗客の状態をAIによって検知する安全運転手支援システムの販売が開始されている.しかし,バスの遅延によっても不快感情が生じることを考慮すると,単純に低速で運転するという対策だけでは,乗客の満足度を最大化することができない.そこで,本研究では,プライバシの同意を得た上で,車内状態と危険・不快の関連について調査し,乗客の不快感情の低減可能性について分析可能な基礎データの収集を目指す.
次世代のEthernetベースの車載ネットワーク上で, 時間制約のあるデータを伝送するために, IEEE 802.1TSN(Time-Sensitive Network)の採用が検討されている. IEEE 802.1TSNには多くの規格が存在するが, IEEE802.1 Qcrで定義されるATS(Asynchronous Traffic Shaping)は, 端末間で時刻同期することなく, 遅延の上限を設定できる新しい規格であり, その利用が期待されている.
しかしながら, 車載イーサネットの採用が進む中で, 同じIEEE 802.1TSNである, SPQやTAS, CBSの評価は進められているものの, ATSはまだ広く調査されていない.
本研究では車載ネットワーク上でのATSとCBSをシミュレーションによって比較評価する.
完全自動運転を可能とする次世代の車載ネットワークでは, 膨大な量のデータを伝送するため,Ethernetの採用が検討されている.
更に,安全に関わるデータをリアルタイムに伝送するため, 時刻同期や優先制御を定義したIEEE 802.1TSN\の採用も検討されている.
しかしながら,IEEE 802.1TSNを用いたとしても,車載ネットワークにおいてどのようなQoSが得られるかは自明ではない.
したがって,IEEE 802.1TSNを用いたEthernetベースの車載ネットワークにおいて,QoSの推定方式が必要である.
先行研究ではIEEE 802.1TSNの一つであるIEEE 802.1Qで定義されるSPQ(Strict Priority Queuing)を用いた車載ネットワークに対して,重回帰分析を用いた平均遅延の推定方式を提案している.
しかしながら, 時間制約のあるデータにおいて最大遅延も重要な評価指標となる.
先行研究では未だ最大遅延を評価されておらず,高度な優先制御が可能であるCBSとTASの評価もされていない.
本論文では, CBSとTASを多段に用いたEthernetベースの車載ネットワークにおいて,先行研究の方式により平均遅延と最大遅延の推定を行う.
Ethernetベースの次世代の車載ネットワークにおいては,歩行者などを認識するため車載センサやカメラ,ECUなどの機器が協調しながらプロセスを実行する.しかしながら,これらのプロセスは,機器同士の時刻は同期がとれた前提で実装されているため,機器間の時刻同期が必須である.そのため,Ethernet上で時刻同期を行うための規格であるIEEE 802.1AS規格も併せて車載ネットワークに導入することが検討されている.
IEEE 802.1ASでは,各機器内の時刻情報をネットワーク内でやりとりする際に,これらの情報から得られるメッセージ通過時間を各機器が計算し,これを考慮して時刻同期を行う.しかしながら,この時刻同期のためのトラヒックが,他のトラヒックと一緒に伝送される場合,ネットワーク内が輻輳により,時刻情報のトラヒックに大きな遅延の変動が発生すると,メッセージ通過時間を正しく計算できず,各機器の同期精度が劣化すると考えられる.
そこで,本研究では,ネットワークの輻輳が時刻同期の精度に及ぼす影響を実験により調査する.
完全自動運転の実現には, 多数のECUやセンサから得られる多くのデータを必要とするため, これらの端末間での時刻同期が必須となる. 次世代の車載ネットワークは, 膨大なデータを伝送できる高速なEthernetが採用されるので, Ethernet上の時刻同期プロトコルとしてIEEE 802.1ASの採用が検討されている.IEEE 802.1ASでは, Masterが提供する時刻にSlaveが同期を取る.このとき, MasterとSlave間の遅延を計測しながら, これを基に時刻を補正する.したがって, MasterとSlaveとの間の通信に輻輳が生じると, 遅延が変動し遅延の推定精度が下がるため, 時刻同期精度の劣化が生じる.そのため, 輻輳がIEEE 802.1ASの時刻同期精度に及ぼす影響を明らかにしなければならない.本研究では, IEEE 802.1ASによる時刻同期においてネットワークの輻輳が時刻同期精度に及ぼす影響を実験により調査する.
休 憩(15:45 再開) 座長 宮坂拓也(KDDI総合研究所)
B-16-10 |
Server redirectionを利用したMQTTブローカへのクライアント振り分け手法
○吉村佳祐・坂野遼平(工学院大) |
B-16-11 |
準狭帯域無線システムDR-IoTにおける複数組織間での資源共有方式の検討
○山本 寛・由上智也(立命館大)・石原 進(静岡大)・髙井峰生(阪大) |
B-16-12 |
産業システムへのOpenVPN適用に向けたトンネリングレイヤの評価
◎山田大樹(日立)・藤岡孝芳(日立産機システム)・中野 亮(日立) |
B-16-13 |
WebQoE向上のためのスループットベースのMPTCP輻輳制御における最適なスケジューラの調査
◎加藤岳志・伊藤嘉浩(名工大) |
B-16-14 |
Webページのフラグメント分割と変更頻度予測を用いた細粒度キャッシング
○数土遼太郎・山崎憲一(芝浦工大) |
近年IoTデバイスが急速に普及している.IoTデバイスで多く使用されている通信プロトコルとしてMQTTがある.MQTTは非常にシンプルなメッセージプロトコルでPublish/Subscribeモデルであることから疎結合性を備えているが, BrokerやSubscriberに負荷が集中することが問題視されているため負荷分散が求められている.しかし,既存の負荷分散方法ではBrokerの負荷状況に応じた振り分けやPublisherの送信頻度に応じた振り分けが困難である.本研究では既存手法の問題点の改善のためMQTT v5.0で規定されたServer redirectionを利用した負荷分散手法を提案する.
地震のような大規模災害が発生した被災地において、複数の組織が被災地の状況に関して効率的に情報を収集するためのデジタル自営無線網を実現する技術として、筆者らはVHF-High帯(207.5$\sim$222MHz)において音声・テキスト情報の通信に十分な伝送速度を実現する、IEEE802.15.4に基づいた小型無線機を利用した無線通信システムDR-IoT (Diversified-Range/Disaster Response IoT)を提案している。本稿では、複数の組織が被災地に配備する小型無線機が混在するDR-IoTにおいて、組織ごとに小型無線機からシンクノードまで効率的にデータを収集できるように、上位層の通信方式としてMQTT (Message Queueing Telemetry Transport)を活用した資源共有方式を検討し、基礎的な通信性能の評価結果を報告する。
近年,VPNの産業システムへの適用が期待されている.VPNの性能評価として,先行研究ではクライアントのリソースに制限がなく,十分な通信帯域が確保された環境にてOpenVPNやIPSec等の通信性能を比較している.しかし,産業システムではリソースの限られた機器と低データレートかつ従量課金のモバイル網を活用する事が多い.このため産業システムを想定した性能評価が不十分であり,VPN適用時の設定や用法を適切に決定できない課題が存在する.本稿では,想定する産業システムに対し,VPNのトンネリングレイヤによるスループットとデータ量への影響を評価し,適切なトンネリングレイヤを示す.
現在,多様化したアクセスネットワークを効率的に利用するために,TCPに代わる新しいプロトコルとしてMPTCPの標準化が進められている.これは,サブフローと呼ばれるTCPフローを複数用いることで,一つのコネクションが複数の経路を同時に使用できるものである.
MPTCPが提供するQoSに大きく影響を及ぼす要因として,輻輳制御と,経路を選択するスケジューラがあり,これらの組合せはQoSに大きく影響を与えるものと考えられる.先行研究では,スループットのQoSをパラメータとし,WebQoEを向上するためのQoSの変動を抑制する新しい輻輳制御を提案し,実験によりその有効性を示している.
しかしながら,輻輳制御とスケジューラを組み合わせたときの効果は調査されていない.
本研究では,輻輳制御として先行研究のものを扱い,QoSの変動を抑制できるような最適なスケジューラとの組合せを実験により調査する.
Webページの表示速度を改善する方法にキャッシュがある。キャッシュヒット率を改善することで、ページの表示速度が上がる。本提案ではコンテンツをフラグメントへ分割して通信し、クライアントで再構築することでページを表示する。また、フラグメントの変更頻度を元にキャッシュ設定を自動で付加する。通常はファイルの変更が激しい部分に合わせてキャッシュの有効期限を決めるため、部位ごとにファイルを分割してキャッシュの有効期限を設定することでキャッシュヒット率を改善できる。フラグメントはSSRのコードベースを解析することで自動で分割する。そして、元のコードベースを取り入れることでシステムを構築する。
B-17. スマート無線
3月7日 9:15〜11:30 2号館 2304教室 座長 王 瀟岩(茨城大)
B-17-1 |
アンテナビームフォーミングによるビーム選択アルゴリズムの改良
◎川村 築(信州大)・秋元浩平(秋田県立大)・田久 修(信州大) |
B-17-2 |
HAPS無線中継システムの自動利得制御に関するアンテナ傾斜特性の実験的評価
○長谷川拓哉・小西光邦・太田喜元・長手厚史(ソフトバンク) |
B-17-3 |
ビームフォーミングによる非地上系ネットワークと地上系ネットワークの周波数共用手法
○吉田昂平・林 和幸・若藤健司(NEC) |
B-17-4 |
屋内環境におけるMU-MIMOのアンテナ配置設計と性能評価
◎姚 凱繽・タン ザカン(東工大)・山本洋介・福田航平・岸田昌巳・中出賢太郎・新居隆之(フルノシステムズ) |
アンテナビームフォーミングは電波の放射範囲を抑制でき,空間的な周波数共用を可能にすることが期待されている. しかし,指向方位通りに電波が伝搬するとは限らず,また一定時間に放射可能なビームの組み合わせは膨大で効率的なビーム選択が必要であり,筆者らはこれまでにビーム選択アルゴリズムを提案した.本稿ではそのビーム選択を高速化したアルゴリズムを提案し,その改善効果を評価する.
HAPS(High-Altitude Platform Station)移動通信システムの実現形態の1つとして,非再生中継型のHAPS無線中継システムが存在する.本システムでは,HAPSの機体が旋回飛行等によって上空を移動するため,上空の中継局での自動利得制御(AGC: Automatic Gain Control)が重要となる.筆者らはこれまでに機体の回転を考慮したAGC方式を提案してきた[1].本稿では,アンテナのボアサイト方向を軸とした回転に加えて,新たにアンテナの傾斜方向の回転を考慮し,提案法の適用効果を明らかにする.
次世代移動通信システムBeyond 5G/6Gにおいて,通信カバレッジの拡大のため,従来の地上系ネットワーク(TN)に加え,人工衛星等の非地上系ネットワーク(NTN)の活用が期待されている.一方で,有限である周波数資源の割当てはSub6帯以下では既に逼迫している状況であり,今後のトラフィック増大に対応するため,周波数利用効率の向上が不可欠である.しかし,NTNのセル範囲はTNに比べ広範囲なため,同一周波数での干渉が発生するという課題がある.また,搭載制約によりNTNの総スループットはTNに比べて低いため,NTN/TNの収容トラフィックの最適化が必要となる。これに対し,スペクトラムデータベースを用いた電波伝搬状況把握とトラフィック予測に基づき,基地局とユーザ端末のビーム方向を制御する手法を提案する。本手法による共用性能の向上を計算機シミュレーションにより評価し有効性を示した.
SU-MIMO無線LANシステムではAP側のアンテナ配置によってのシステム特性差が生ずることはわかっている[1]。そのため、同様にMU-MIMO無線LANシステムのアンテナ配置は重要なシステム設計パラメータであるが、我々の知る限り、特に屋内環境についての既存研究は殆どない。
そこで、本稿では屋内環境におけるMU-MIMOシステムのAP側のアンテナ配置の設計を行い、数値解析により、優れたシステム容量を提供するアンテナ配置案を求める。
休 憩(10:30 再開) 座長 田久 修(信州大)
B-17-5 |
Sub-THz帯OAM多重伝送の長距離化に向けたスケーリングリフレクタアンテナ
◎八木康徳・笹木裕文・李 斗煥・工藤理一(NTT) |
B-17-6 |
分散無線電力通信ネットワークにおけるサブキャリヤと時間割り当て決定法の提案
◎椎谷高志・宮嶋照行(茨城大) |
B-17-7 |
OFDM による全二重 WPCN における送信電力割り当て
◎平島圭悟・宮嶋照行(茨城大) |
B-17-8 |
送信機の特性を考慮した蓄積一括信号処理による信号分離・復調性能の評価
◎三田湧大・日笠智文・平川拓志・冨里 繁・田野 哲・上原一浩(岡山大) |
大容量無線通信を実現する方式として電磁波の軌道角運動量(OAM: Orbital Angular Momentum)を用いた空間多重伝送方式が注目されている.OAM多重伝送はOAM モードの直交性を利用した空間多重伝送方式であり,円形アレーアンテナ(UCA: Uniform Circular Array)を用いることで複数モードが多重されたOAM ビームを生成することができる.これまでに,sub-THz帯でUCAを用いたOAM多重伝送技術により0.3 mで100 Gbpsの伝送に成功している.本報告では,sub-THz帯OAM多重伝送をさらに長距離化するUCAの面波源に適したスケーリングリフレクタアンテナを提案し電磁界解析を行ったため報告する.
無線電力通信ネットワーク(WPCN)では,複数のユーザが公平に電力収集と通信を行うために,電力送信/情報受信機を地理的に分散させることが有効である.本発表では,伝送方式に直交周波数分割多重(OFDM)を用いる分散WPCNにおいて,ユーザが情報を割り当てるサブキャリヤと無線電力伝送および無線情報伝送の時間割り当てを決定する方法を提案する.OFDMを採用することで従来の分散WPCNシステムとは異なり,高速・大容量通信に適したシステムとなる.提案する方法はシステムの合計レートの観点から,総当たりでサブキャリヤと時間割り当てを決定する場合と同等の性能であることを報告する.
無線電力通信ネットワーク(WPCN)は無線周波数信号 を用いてユーザ端末が電力収集と情報伝送を同時に行う システムである.本発表では,OFDMを用いたWPCN においてユーザ端末が全二重動作する場合について,基 地局の送信電力割り当て法を提案する.提案する方法は, 合計伝送レートを最大化するように電力の割り当てを行 う.この電力の割り当て法は合計伝送レートを凹関数の 差で表し,一次近似を利用することで凸最適化問題とし て解くことができる.シミュレーションにより,送信電 力を均等に割り当てた場合と比較することで提案法の有 効性を報告する.
IoT時代が到来し,限られた周波数資源で無秩序に通信を行うと,衝突や干渉が発生するという課題がある.本研究では,ネットワーク上の蓄積一括信号処理技術を確立し,衝突した信号や干渉を受けたIoT/M2M端末信号の分離,復調を目指す.本稿では,蓄積一括信号処理の手法として提案されているSTFTによる特徴量抽出を用いた信号分離・復調法の一つである特徴量復調法において,送信機における通信品質の劣化要因となる位相ノイズ,IQインバランスをそれぞれ考慮し,信号分離・復調性能に与える影響を計算機シミュレーションによって評価した.研究結果として,劣化が大きくなると,信号分離性能が劣化,もしくは分離不可となることが明らかになった.
3月8日 9:15〜11:30 2号館 2304教室 座長 小西光邦(ソフトバンク)
B-17-9 |
遅延時間保証のための遅延予測技術~システムレベルシミュレーションにおける電磁ノイズ特性モデルの検討~
○大西綾乃・宮本進生・井下貴仁(構造計画研) |
B-17-10 |
遅延時間保証のための遅延予測技術 ~実測データからのシステムレベルシミュレーション物理層受信モデル取り込み方法の一検討~
○宮本進生・大西綾乃・井下貴仁(構造計画研) |
B-17-11 |
悪条件下以外のエンドデバイスからのネットワーク負荷が電力検出キャリアセンスを用いたSub-GHz帯LPWANに与える影響
○成枝秀介(三重大)・藤井威生(電通大) |
B-17-12 |
My-IoTと連携したSRF無線プラットフォームの実証実験
○夜船誠致・村田秀一・周東雅之・雨澤泰治(モバイルテクノ) |
工場等に設置された産業機器から発生する電磁ノイズが無線通信を行う帯域で発生することが知られている。
筆者らは、電磁ノイズが発生する環境下で、無線通信を行うアプリケーションの遅延時間を保証する研究開発に取り組んでおり、実環境に近いシミュレーション結果を得るため、実測した電磁ノイズをシステムレベルシミュレーションに取り込み、遅延時間の推定を試みている。
本稿では、遅延時間に影響する無線機のキャリアセンス動作を、ソフトウェア無線機(SDR)を用いて模擬ノイズを送信することにより推定する方法の検討結果を報告する。
筆者らは製造現場での使用を想定した無線通信を行うアプリケーションの遅延時間を保証するため,システムレベルシミュレーションにより遅延予測を行うシステムの研究開発に取り組んでいる.一般に屋内の製造現場の無線通信環境は複雑で,これを汎用的なシミュレーションモデルで再現し予測することは困難であるため,環境に依存する電波伝搬や背景トラフィック,電磁ノイズを計測しつつ,それらをシミュレーションモデルに取り込み,遅延等の上位層のふるまいを予測する手法を検討している.本稿では,実測データからシステムレベルシミュレーションの物理層受信モデルの取り込み方法として,マルチパスフェージング環境を例として比較整理した.
Low Power Wide Area Networks(LPWAN)では,ゲートウェイ間との伝搬損失が大きい悪条件下エンドデバイスの通信品質がキャプチャ効果によって特に劣化することが知られている.著者らはこれまでに,Sub-GHz帯LPWANでの悪条件下エンドデバイスの特性改善手法について提案してきた.本論文では,悪条件下以外のエンドデバイスからのネットワーク負荷が電力検出キャリアセンスを用いたSub-GHz帯LPWANの特性に与える影響について検証する.
筆者らは,様々な無線機器が混在する製造現場においても協調制御技術により安定した通信を実現できるSmart Resource Flow無線プラットフォーム(SRF無線PF)に準拠した装置を開発してきた.本稿では,利用者に最適化されたIoTシステムを構築できるMy-IoTと連携し,高セキュア化にも対応したSRF無線PF装置の開発および本装置を用いた実証実験の内容について報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 石津健太郎(NICT)
B-17-13 |
実機による差動化 PLIM のシンボル誤り率評価
◎山崎仁嗣・増永佳倫(福岡大)・松浦弘樹(なたねeICT研究所)・太田真衣・太郎丸 真(福岡大) |
B-17-14 |
非同期パルス符号多重通信APCMAにおける誤り訂正符号との組合せによる性能向上
○若宮直紀(阪大)・ライプニッツ 賢治・ペパー フェルディナンド(NICT)・長谷川幹雄(東京理科大) |
B-17-15 |
パルス符号を用いた多重通信方式 APCMA の送信機 1500 台を用いた超高密度通信の実証
○本多顕太郎・塩塚皐平(東京理科大)・ペパー フェルディナンド・ライプニッツ 賢治(NICT)・若宮直紀(阪大)・長谷川幹雄(東京理科大) |
B-17-16 |
Simulation of APCMA with high density of sensor nodes
○Kenji Leibnitz・Ferdinand Peper(NICT)・Mikio Hasegawa(Tokyo Univ. of Science)・Naoki Wakamiya(Osaka Univ.) |
LPWA(Low Power Wide Area)は低消費電力,長距離通信が可能な通信規格である.LPWA には電波法で定められた Duty Cycle の制約(DC=10%)があるため,通信時間の増加によるデータ量の増加が期待できない.そこで,パケットを送信する時間や周波数をインデックスとし,データを割り当てることで,DC を遵守しつつ送信データ量を増加する PLIM(Packet-Level Index Modulation)と,PLIM に必要な送受信機間の時刻同期を行わない差動化 PLIM(Differential PLIM:DPLIM)を実機実装し,端末のクロックドリフトによるシンボル誤り率の特性比較を行った.
高密度IoT環境においては高干渉下であっても高性能,高信頼な通信が求められる.非同期パルス符号多重通信方式(APCMA)は少数のパルスの送信間隔として情報を符号化する干渉にロバストな無線通信技術であり,シミュレーションや数値解析,実機実験によってLoRaなど他手法に対する優位性が確認されている.本稿では誤り訂正符号と組み合わせることでAPCMAの性能向上を図り,その有効性を検証する.
IoT に適したLow Power Wide Area(LPWA)通信方式が実用化されているが,6Gでは1km2 あたり1000 万個の高密度通信が目標とされており,衝突や干渉が問題となる.著者らはスパースなパルスを用いて高密度な多重化を実現するAsynchronous Pulse Code Multiple Access (APCMA) 方式を提案しており,数百台規模での同時通信が可能であることを実証している.本稿では,さらに大規模な環境での実証実験を行うため,ARIB-STD T108 を満たしたAPCMA方式の設計および実装を行う.1500台の無線機による同時通信実験によりAPCMA方式の有効性を実証する.
In this paper we simulate Asynchronous Pulse Code Multiple Access (APCMA), a new MAC layer protocol, and we evaluate its performance in terms of success probability and pulse density by simulations. We show that codewords with larger numbers of pulses improve the performance, especially when the number of transmitting sensor nodes is large. Furthermore, we compare the success probability of APCMA with that of CSMA/CA.
3月9日 13:15〜16:30 2号館 2304教室 座長 稲森真美子(東海大)
B-17-17 |
ミリ波移動端末の遮蔽影響予測のための上面図を用いる機械学習法に関する一検討
○山口 明・村上隆秀・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-17-18 |
上面図を用いた機械学習によるミリ波遮蔽影響予測でのデータラベリング手法の検討
○村上隆秀・山口 明・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-17-19 |
画像情報と無線情報を併用するミリ波端末追跡向けカメラ選択方法
○渋谷惠美・山口 明・村上隆秀・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-17-20 |
無線LANによる屋内位置推定精度とデータセット量の評価
○平田 怜(富山高専)・亀田 卓(広島大)・小熊 博(富山高専) |
物体の遮蔽によるミリ波の無線リンク断を複数の基地局を切り替えて回避するために, 遮蔽を事前に予測する手法を提案している. 画像を特徴量として, 画像と対応する遮蔽状態を機械学習し, 予測したい状態の画像から遮蔽を予測する.従来法では, 処理軽減のために将来に渡っての遮蔽発生を一括して画像から予測するが, 遮蔽の予測精度が低い問題がある. これを改善するために, 時刻毎の画像から時刻毎の遮蔽状態を予測する手法と比較したので報告する.
物体の遮蔽によるミリ波の無線リンク断を回避するために,複数の基地局を用いた切り替え手法を検討している.リンク断の発生前に切り替えるためには,遮蔽の事前予測が必要である.これまでに,繁華街のような複数の物体や受信機が移動している環境を想定した遮蔽の事前予測手法として,送信点と受信点の間の物体の相対的な位置を表す上面図を特徴量として入力する機械学習により,フィールド実験により移動する端末の周辺を歩行者と自動車が通行する環境での有効性を示した.本稿では,遮蔽の事前予測の正答率向上を目的とした,学習モデルの構築におけるデータラベリング手法の検証を行った結果を報告する.
第5世代移動通信システムで用いられるミリ波帯の電波は, 通信路を物体に遮蔽されると, 急激に受信強度が低下する. 事前に遮蔽を予測して複数の基地局を切り替えて回避するために, 筆者らは遮蔽を事前に予測する手法を提案している. これは,端末の遮蔽を予測するために,Radio Unit (RU)に併設した単一のカメラ画像とUEの受信信号強度RSSIを組み合わせて,端末位置を継続的に追跡する.しかし,多数の移動物体が往来する環境では,端末が単一のカメラ画像に長時間映らない状況が発生すると,継続的な追跡が難しい.そこで,追跡成功率の向上を図るために,複数カメラの画像を用いて,適切なカメラを選択する手法を検討したので報告する.
我々はWi-Fiアクセスポイント(以下, AP)とAI(Artificial Intelligence)を用いた屋内位置推定手法の確立を目標に, Azure ML(Azure Machine Learning)による屋内位置推定モデルの開発を実施している. データセットの作成や前処理が課題となる. 本研究では, データセットのデータ量の観点から, 実用的な学習モデルの構築を目指しデータセットのデータ量と位置推定精度について評価したところ, 2日分のデータセット量でも2m誤差の範囲であれば70%弱の位置推定精度を実現できることが分かった.
休 憩(14:30 再開) 座長 亀田 卓(広島大)
B-17-21 |
5G 基地局共用における低演算量型無線リソース制御方式
○大山哲平・小林崇春・瀬山崇志・伊達木 隆(富士通) |
B-17-22 |
残余空きリソース長に基づくパケット長制御
◎大橋一輝・太田真衣・太郎丸 真(福岡大) |
B-17-23 |
自律分散制御における干渉回避のための送信待機期間の決定法
◎今中崇詞・太田真衣・太郎丸 真(福岡大) |
B-17-24 |
要件混在環境下の複数無線方式協調におけるリソース制御
○永野航太郎・アベセカラ ヒランタ・岸田 朗・淺井裕介・鷹取泰司(NTT) |
都市部の駅のプラットフォームやショッピングモール,地下街など環境が複雑で高トラフィックが想定されるエリアにおいては高密度な基地局(RU: Radio Unit)設置が必要となる.筆者らは効率的な RU 設置展開に向けて,複数のMNO(Mobile Network Operator)の広帯域な信号を扱うことができる共用 RU(SRU: Shared RU)の開発を行っている.MNO毎個別にRUを設置する場合に対して,各MNOがRUを共用利用することでエリア内の送信点を増加させることできる.筆者らは以前,SRU を用いる際に課題となるフロントホール(FH: Front Haul)流量増大を解決するために共用RU 無線リソース制御方式および MIMO に対応した拡張方式[1]を提案している.今回我々は従来方式[1]より低演算量な方式を検討し,シミュレーションによる評価を行った.その結果を報告する.
信号を送信する際、チャネルがアイドルであっても、隠れ端末などの影響で送信中にパケット衝突が発生する可能性がある。この時送信信号長が長すぎる場合は衝突が起こりやすくなり、短すぎる場合はヘッダの割合が増えるなどによりチャネルの利用効率が落ちてしまう。そこでチャネルリソースの利用効率を向上させるためにパケット長を変更し、環境に合った無線通信を実現させる。本稿ではパケットの送信成功率だけでなく、送信後の残余空きリソース長に基づく新しいパケット長制御についての検討を行った。
キャリアセンスを行う無線通信システムでは,チャネルがアイドルになった瞬間に送信を開始してしまうことで送信端末同士の同時送信によるパケット衝突が頻繁に発生する.無線LANなどでは,バックオフアルゴリズムを用いて,同時送信を回避しているが,一般的に用いられる2進指数バックオフでは,ランダムバックオフによる待機時間が過剰に大きくなることが指摘されている.そこで,強化学習を用いた干渉回避のための送信待機期間決定法を提案する.シミュレーション評価では,提案法の有効性を送信成功率の特性により示す.
近年の無線アクセス技術の発展や利便性向上,需要の拡大に伴い,異なる特徴を有する複数の無線インターフェースを有する端末が普及している.
また,ユーザのアプリケーションの多様化により,異なる要求を持つ端末が混在する環境をつくりだしている.
本稿では,多様な要件の端末が混在するネットワークにおいて,異種の無線アクセス技術と複数経路通信を連携し,異なる要求を充足するアクセス制御のための,リンクリソース分配法についての基礎検討と評価を行う.
休 憩(15:45 再開) 座長 成枝秀介(三重大)
B-17-25 |
5Gにおける干渉状態推定の実機評価
◎河口太以凱・山邊璃久・田久 修(信州大) |
B-17-26 |
二段階無線チャネル観測におけるスループット特性評価
◎和田佳樹(諏訪東京理科大)・宗 秀哉(湘南工科大)・征矢隼人(諏訪東京理科大) |
B-17-27 |
干渉局が複数存在する環境におけるシャドウイングによる占有率観測への影響評価
○太田慎太郎(諏訪東京理科大)・宗 秀哉(湘南工科大)・征矢隼人(諏訪東京理科大) |
筆者らはこれまで、5GNRにおける同一周波数共用想定し、同一周波数干渉(CCI)による通信品質の変動から、5GNRの干渉耐性能力を判断し、周波数共用判断を決定する方法を検討してきた. 本研究では、5GNRの実機であるローカル5Gの無線機を利用し、電波暗幕内のシールド環境においてCCIを発生したときの品質評価を進め、CCIの電力量を識別する方法の性能評価を実施した。
同一無線リソースを複数の無線システムで共用する際,他システムがチャネルを使用する時間割合であるチャネル占有率を観測し,最小チャネルの選択制御が検討されている.筆者らは占有率の観測精度向上のため,多段階無線チャネル観測法を提案してきたが,限定的な条件での評価に留まった.本報告では二段階無線チャネル観測において詳細な条件により評価した.
周波数利用効率向上のため,複数の無線システムが同一周波数を共用する手法が検討されている.周波数共用は,干渉局が使用するチャネルの使用状況である占有率を観測し,空いているチャネルを選択するが,既存検討では干渉局のモデルが簡略化されており,実環境に即していない.本報告では干渉局の条件を変えたとき,観測結果に与える影響を明らかにした.シャドウイングが発生する環境におけるチャネル占有率の観測結果について評価した.
B-18. 短距離無線通信
3月8日 10:00〜11:30 3号館 3403教室 座長 新井麻希(日大)
B-18-1 |
IRS制御における伝搬路変動の影響の評価
○菅 宣理・矢野一人・侯 亜飛・坂野寿和(ATR) |
B-18-2 |
60Ghz帯ミリ波センサによる車室内モニタリング技術
◎衛本康由・梶原昭博(北九州市大) |
B-18-3 |
マンホールタラップを利用した水位計測システム
○宮田 祈・西口 諒・石田 仁・川上雅史・熊本和夫(阪工大) |
B-18-4 |
Experimental Verification of the Impact of IoT Sensor’s Antenna Pattern on Received Signal Strength based Zone Estimation
◎Gurusanthosh Pabbisetty(Toshiba/Kyoto Univ.)・Hiroki Honda(Osaka City Univ.)・Hiroki Mori(Toshiba)・Kazunori Hayashi(Kyoto Univ.) |
B-18-5 |
後方散乱通信における送信漏れ込みキャンセラーの適応ステップトラック制御
◎△稲葉颯太郎・三次 仁(慶大) |
B-18-6 |
オープンソース型5GプラットフォームへのSimplified UTW-OFDM方式実装に関する一検討
◎武田和樹・水谷圭一・原田博司(京大) |
高周波帯域での無線通信において,電波の反射特性を制御可能な素子を面的に配置したIntelligent Reflecting Surface (IRS) の利用が検討されている.
IRS の適切な位相制御には各反射素子と送受信アンテナの組み合わせだけ存在する膨大な伝搬路に対して伝搬路推定が必要となるため推定に長い時間を要する.
さらに,IRS の位相制御には受信機で推定した伝搬路値に基づいて最適な位相パターンを決定し,それを制御チャネルを通じて IRS にフィードバックする必要がある.
無線機が移動する場合,時々刻々と無線伝搬路が変動するが,長時間の伝搬路推定や IRS へのフィードバックによる遅延により,伝搬路推定値と現在時刻における伝搬路値に乖離が生じ,適切な IRS の制御が行えない可能性がある.
そこで,本検討では端末移動による伝搬路変動が IRS 制御に与える影響をシミュレーションにより定量的に評価する.
近年自動運転支援技術の開発拡大に伴い,車室内モニタリング技術の研究開発が活発になっている.車内事故の原因の例として, 乳幼児の置忘れによる事故, 健康起因による死亡事故の半数以上である心臓疾患によるドライバー事故が挙げられる.解決法として乗客人数の特定・ドライバーの心拍を計測する必要があるため,センサを用いてこれを行う.センサはプライバシーの侵害性が無く, 耐外乱性,測距精度に優れており,生体情報を取得することができるミリ波センサを採用する.周波数帯は、短距離通信で用い,大気減衰が大きく,帯域幅が広い60GHz帯を用いる.本論文では,60GHz帯ミリ波センサによる車室内モニタリング技術を提案する.
マンホール内の水が突如あふれ出す内水氾濫は,近年の線状降水帯やゲリラ豪雨の多発に伴い社会問題と化している.内水氾濫の監視はマンホール内の水位計測が必要であるが,ライブカメラで監視可能な河川等と異なり視認が困難であるため,水位センサなどを用いて監視し,LPWAにより情報を発信することで低コスト,広範囲に管理する製品などが販売されている.従来,マンホール内の水位計測は人間が巡回し,マンホール内で直接水位を計測する手法と,上記製品を用いて水位センサによる水位観測が主流となっている.しかし,前者は作業員の人的リソース確保によるコストや災害時に危険を伴うことが問題となり,後者では水位センサそのものが比較的高価であるという問題と盗難の恐れがある.そこで,本研究では安価に水位計測ができる新型センサ技術を提案する.
In this work, we divide a region of interest into several zones, where an IoT sensor node could exist in any one of them, and consider the problem of estimating the zone to which it belongs. We experimentally verify the impact of sensor's antenna pattern on zone estimation using received signal strength observed at the IoT sensor.
後方散乱通信における送信漏れ込みキャンセラに関する適応制御の提案
第5世代移動通信システム(5G)以降のシステム(Beyond 5G, B5G)では多数ユーザを収容するためにさらに高い周波数利用効率が求められるため,直交周波数分割多重(OFDM)方式の高い帯域外輻射(OOBE)が問題となる.このOOBEを低計算量で強力に抑圧する簡易型ユニバーサル時間軸窓OFDM(Simplified UTW-OFDM)方式が提案され,5Gへの適用可能性と有効性が示されている.また近年では,5GおよびB5Gシステムの開発コスト削減および促進を目的とした,OpenAirInterface(OAI)に代表されるオープンソース型5Gプラットフォームの開発が推進されている.本稿ではこのOAIのダウンリンク(DL)について,物理(PHY)層にSimplified UTW-OFDMを実装し,その基本性能を評価する.
B-19. ヘルスケア・医療情報通信技術
3月9日 13:00〜16:45 4号館 4103教室 座長 高林健人(岡山県立大)
B-19-1 |
人体を素子間配線に用いた配線レス心電計測回路の提案
◎渡辺健斗・松永賢一・都甲浩芳(NTT) |
B-19-2 |
Variational Autoencoderを用いた腹部体表面電位信号の分離
◎吉野早耶・和泉慎太郎・川口 博(神戸大) |
B-19-3 |
60GHz帯ミリ波センサによるドライバーのバイタルサイン監視
○川崎凌大・梶原昭博(北九州市大) |
B-19-4 |
睡眠時無呼吸のレーダ非接触計測における人体反射位置の計測精度への影響評価
◎△汪 子越・阪本卓也(京大)・奥村成皓・瀧 宏文(マリ)・砂留広伸・濱田 哲・佐藤 晋(京大)・赤星俊樹・遠藤大介(新宿睡眠・呼吸器内科クリニック)・陳 和夫(日大) |
ECG計測は身体の2点間の電位差を測るため電極間配線により身体動作が制限される.配線のない形態としてパッチ型などのウェアラブル心電計が研究開発されているが,装着時に衣服着脱の手間が忌避感となっている.ユーザ負担の少ないECG計測のため,人体を伝送経路とすることで素子間配線を用いず分離して装着可能な新たなECG計測手法を提案し,アナログ部をシミュレーションすることで提案手法でのECG計測可能性を確認したので報告する.
本研究では腹部貼り付け型のセンサに着目し、腹部体表面電位から複数のバイタル信号を抽出するアルゴリズムを検討した。人体腹部表面では、複数の臓器に起因する電位の変化を計測することができる。判別の容易な信号としては心電図があげられるが、他にも骨格筋の筋電図や、内蔵平滑筋の筋電図も計測することができる。
車のドライバーによる交通事故は,疲労やストレスだけでなく,心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患にも起因していると言われている.心拍間隔や血圧の変動をモニタリングすることは,ストレスやそれらの疾患の予防や発見に必要不可欠である.しかし従来の接触型のセンサは,装着による手間やストレスがあり,また運転にも支障をきたす.そこで筆者らは,60GHz帯ミリ波センサを用いて完全非接触でドライバーの呼吸や心拍,連続血圧などのバイタルサインを測定する技術を考案した.以下,実験結果とともに紹介する.
睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome: SAS)診断で標準的に使われる終夜睡眠ポリグラフ検査(polysomnography: PSG)に代わり,著者らはミリ波レーダを用いた非接触計測により,AHI (apnea hypopnea index)の推定を試みてきた.これまで,レーダ画像の反射強度が最大となる空間座標に対応する信号が主に使われてきたが,本稿では,その座標の周囲に対応する信号を解析し,AHIの推定精度改善を図る.
休 憩(14:15 再開) 座長 伊藤孝弘(広島市立大)
B-19-5 |
概日リズム可視化に向けた最低深部体温時刻推定の高精度化の検討
◎松永大地・田中雄次郎・小野一善・田島卓郎・林 勝義(NTT) |
B-19-6 |
生体センサを用いたウォーキング時の心拍数予測 ― 予測精度向上の研究 ―
○△大脇凱志・宮地宏一・木村秀明(中部大) |
B-19-7 |
心肺音混合モデルによる異常心音・肺音種別分類手法の提案
◎諸澤菜々子・浜田百合・栗原陽介(青学大) |
B-19-8 |
呼気流量に伴う肺音の周波数特性を用いた臥位状態での無拘束Gaensler1秒率推定手法の提案
◎中村華子・江本光希・浜田百合・栗原陽介(青学大) |
概日リズムと生活リズムの乖離は社会的時差ボケとして知られ,睡眠の質を低下させ心身の不調をきたす.そこで概日リズムを可視化し健康管理をサポートするアプリが期待されている.概日リズムの指標として約24時間周期で変動する深部体温(CBT)があり,CBTが最低となる時刻(Tmin時刻)を日々比較することで評価される.しかし,CBTセンサが取得する時系列データは着脱によるデータの欠損,体動や環境変化による非正規的なノイズ重畳によりTmin時刻を求めることは困難である.本研究では心電図のR波検出で用いられるテンプレートマッチングを応用し,データ欠損やノイズの影響を受けないTmin時刻取得手法を検討した.
近年,国内においては少子高齢化問題が深刻化してきている.少子高齢化が進むことによって,介護費や医療費の増加が見込まれ,高齢者を支える年齢層の負担が増加することになると考えられる.そこで高齢者の健康増進を行い,健康寿命を延ばし介護などを必要とする期間を最小限にすることで,これらの問題が解決できると考えられる.我々は,ウォーキング時の心拍数を予測,フィードバックすることで運動の質を向上させ,健康寿命の延伸化を目指している.本稿では,様々な生体センサを用いて心拍数を評価,予測精度の向上を図ったのでその結果を報告する.
心音,肺音を日常的に在宅で聴診し,診断に関する情報が得られれば早期診断の一助となる.本論では,心肺音混合モデルを提案し,睡眠時無拘束聴診デバイスで計測した心肺音から異常心音・肺音の種類を分類する手法を提案する.無拘束で計測した心肺音から,モデルに基づく特徴量としてメル周波数ケプストラム係数を求め,5種類のマルチクラスSVMを階層化した分類器により心肺音の種類を分類する.検証実験では,聴診シミュレータから出力される心音14種類(正常6,異常8)および肺音8種類(正常1,異常7)を組み合わせた信号を合成し,分類精度を検証する.実験結果,5種類の分類器の正答率は全て0.75以上となり提案手法の有効性が確認された.
肺機能の状態を在宅環境で日常的に把握できると,慢性閉塞性肺疾患の早期発見,早期治療の一助となる.本論では,COPD診断に重要なGaensler1秒率をベッド上で無拘束に推定する手法を提案する.最大吸気位から最大努力呼気の肺の体積変動による振動および,呼気時の肺音を,無拘束聴診デバイスを用いて計測する.計測信号から体積変動に関する特徴量,肺音の周波数に関する特徴量を算出し,回帰分析を適用することでGaensler1秒率を推定する.検証実験では10名から取得した肺音データにたいし,4種類の回帰分析を適用することで1秒率を推定し精度を比較する.線形回帰を適用した結果,RMSEが7.24となり,最も高精度にGaensler1秒率を推定できることが確認された.
休 憩(15:30 再開) 座長 田中宏和(広島市立大)
B-19-9 |
ウェアラブルセンサを用いた教師なし学習による熱疲労状態推定の一検討
◎大本涼介・安在大祐(名工大)・島崎拓則(滋慶医療科学大)・王 建青(名工大) |
B-19-10 |
光電脈波信号を用いた U-Net とドメイン敵対的学習による被験者間条件における動脈血圧波形推定
◎吉澤陸人・山本幸平・大槻知明(慶大) |
B-19-11 |
深層学習を用いた心電図による人物認識システムの開発
◎△石原理志(九大)・松沼 悟(マクセル)・服部励治(九大) |
B-19-12 |
A capacitive electrode ECG detection system aiming for unconscious detection of ECG data
○△Dansong Li・Reiji Hattori・Shogo Hisadomi(Kyushu Univ.)・Satoshi Matsunuma(Maxell) |
B-19-13 |
高精細人体モデルにおける電磁波を用いた非接触による褥瘡検出
○千葉友貴・浅野佑介・小川日鶴・高橋応明(千葉大) |
高温多湿の環境下での熱疲労や熱中症が深刻化しており, 適切な予防対策が重要である. しかしながら, 自身で熱疲労の進行を認識することが困難であるため,本研究はウェアラブルセンサに基づいた熱疲労予測技術に着目する. 熱疲労の予測技術として, 複数のバイタルデータを統合化し, 教師あり学習による方法が検討されている. その一方で,教師データを取得する際に, 対象者が熱中症の程度を手動で入力する必要があることから,教師データ無しでクラスタリングを行うことができる教師なし学習を本研究は採用し, 実験的評価により教師なし学習に基づいた熱疲労推定の実現可能性を検討する.
光電脈波(PPG)信号を用いた深層学習モデルによる血圧推定法が,近年盛んに研究されている.しかし,多くの先行研究は学習・テストデータ間で被験者を分離せず,データリーケージ下で特性を評価している.本稿では,被験者区別可能な大規模データセットを用いて ,U-Net およびドメイン敵対的学習による PPG を用いた血圧推定法を提案し,学習・テストデータ間で被験者を分離した条件下(被験者間条件下)でその特性を評価する.特性評価の結果,平均血圧の真値・推定値間のピアソンの相関係数は 0.54 であり,提案法は被験者間条件下で平均血圧を中程度の精度で推定できることを確認した.
生体認証技術は,身体的特徴や行動的特徴など,各個人に固有の特徴を用いて個人を認証する技術である.例えば,指紋認証や顔認証といった認証方法がある.しかし,残留した指紋や顔写真などを不正に利用し,誤って認証してしまうといった脆弱性が報告されている.そのため,個人を識別する新たな手法の開発が求められている.そこで本稿では,ニューラルネットワークの一種であるオートエンコーダを用いて心電図による個人の識別を試みた.実験ではMIT不整脈データベースを使用した.評価指標として本人拒否率(FRR)と他人受入率(FAR)を算出し,両者が等しくなるように閾値を設定した場合,ともに7%以下の精度が得られた.
In recent years, our laboratory has been studying the unconscious and continuous medical health detection system based on capacitive Electrocardiogram(cECG) [1].
Due to the requirements of capacitive coupling electrode and fixed amplifier gain, when measuring signals on different clothes, the problem of signal over range or too small signal amplitude may occur. Therefore, on the basis of the last publication, this paper updates the new capacitive electrode for measurement and the function of manually modifying the amplifier gain, which improves the overall stability and measurement accuracy of the circuit.
褥瘡とは,一般に床ずれとして知られるものであり,皮膚が長時間圧迫され血流が低下することで生じる局所的な皮膚及び皮下組織の損傷のことである.褥瘡は進行するに従い治療期間が長期化するため,早期発見が重要となる.そこで本研究では,アンテナをベッドとマットレスの間に設置し,マイクロ波を用いた非接触による褥瘡の早期発見を目指す.本稿ではNICTが提供している高精細人体モデル(Taro)の仙骨部に生じる褥瘡を再現し,10.525 GHz帯のパッチアンテナを用いた褥瘡検出を行った.結果として高精細人体モデルを用いても褥瘡の検出が可能であることが確認された.今後は複雑な形状の褥瘡の検出やアンテナ皮膚間の距離推定と補正を行う予定である.
B-20. 無線電力伝送
3月7日 9:15〜11:45 2号館 2308教室 座長 花澤理宏(UL Japan)
B-20-1 |
直交円偏波共用メタラインアンテナ
○佐藤啓介・三浦 進・鈴木裕介・大島一郎・関野 昇(電気興業)・中野久松(法政大) |
B-20-2 |
WPT用パッチアンテナの簡易構成法
◎相崎武幸・佐藤啓介・関野 昇(電気興業) |
B-20-3 |
サーキット型導波管と半波長ダイポールアンテナ間の無線電力伝送特性の周長依存性
◎佐々木悠雅・中津川征士・丸山珠美(函館高専)・大宮 学(北大)・玉山泰宏(長岡技科大) |
B-20-4 |
サーキット型右手左手系導波管の過渡応答
○鵜入宏太・丸山珠美・中津川征士(函館高専)・大宮 学(北大)・玉山泰宏(長岡技科大) |
ワイヤレス電力伝送システムでは,受電端末の設置状況により,送電システムからみた偏波面が変わるため,直線偏波切り替え機能が望ましい.右旋/左旋円偏波共用アンテナにより,位相のみで偏波面が切替可能だが,従来の共用にはハイブリッド回路が必要で複雑である.本稿では,簡易な構成で円偏波放射可能なメタラインアンテナをもとに,右旋/左旋円偏波共用化について検討した.設計周波数2.65GHzにおいて,リターンロス-10dB以下,偏波間結合で-16dB以下の良好な性能を得た.今後,現在検討されている24GHz帯への周波数変更をおこなう.
空間伝送型WPTシステムの多くは発信源を含む一体装置のため、輻射電界の位相測定に、固定アンテナ参照法を用いる必要がある。固定アンテナ参照法では参照アンテナを金属製の回転台に設置するため、使用する参照アンテナは小型かつアンテナよりも大きな金属による指向性への影響を鑑みたアンテナが望ましい。本報告ではアンテナよりも大きな金属に設置する事を利用した小型円偏波パッチアンテナの設計方法を提案する。
また、前述した設計方法を応用し、920MHz帯におけるWPTシステムでの送電用アンテナとして小型リニアアレーアンテナを提案する。
除雪を効率的に行うためマイクロ波加熱による融雪システムが検討されている.このシステムでは導波管のスロット開口部から放射されるマイクロ波が上部に設置されたモルタルブロックを加熱し融雪する.我々は導波管を曲線状に曲げて配置し,1つの高周波源から広い範囲の融雪を可能とする低コストかつ通信等とも共用可能なサーキット型導波管を提案し特性評価を継続している.今回は,無線伝送特性のサーキット型導波管の周長依存性を上部に配置する受電素子である半波長ダイポールアンテナを用いて評価した結果を報告する.
マイクロ波を用いた融雪装置において,広いエリアを,少ない設備で融雪することを目的とするサーキット型導波管が提案されている. サーキット型導波管は,給電点から放射された電波が管内を一周し,再び給電点に戻ってきたところで,重なり合うことにより,電界強度を強くし,融雪効果を高くすることが期待できる.一方,実際には,給電点から放射された電波は給電点の両側に対称に放射されるため,半周したところで衝突する.そこで,右手系導波管と左手系導波管とを組み合わせることによる特性改善を提案する.本研究では,右手系導波管と,左手系導波管を組み合わせて,サーキット型導波管を構成したときの電磁界のふるまいを明らかにするため, FDTD解析により,過渡応答を求めてその様子を考察した.その結果、右手系導波管と,左手系導波管を組み合わせることにより,給電点から放射された電波が、給電点の両側に進むのではなく、左手系導波管においては、給電点に近づく方向に、右手系導波管においては、給電点から離れる方向に管内を同じ方向に進んで一周し、再び給電点に戻っていくことを,FDTD法を用いた過渡解析により明らかにした.
休 憩(10:30 再開) 座長 平山 裕(名工大)
B-20-5 |
インピーダンス装荷小型レクテナアレーの解析と設計
○石黒大翔・海老田のあ・丸山珠美・中津川征士(函館高専)・田村昌也(豊橋技科大) |
B-20-6 |
二次元測定装置を用いた収束ビームの測定実験
◎湯川一樹・石崎俊雄(龍谷大)・松室尭之(ATR)・石川容平(海洋インバースダム協会) |
B-20-7 |
有限長導体棒からの散乱電磁界計算に関する一検討
◎樺澤一真・張 子陽・草間裕介(東洋大) |
B-20-8 |
電磁界強度推定に基づく人体回避ビームフォーミング法
◎山本晴喜・村松亨朗・村田健太郎・本間尚樹(岩手大) |
B-20-9 |
鉄道模型駆動用マイクロ波電力伝送の長距離化の実験
○米村 悠・藤野義之(東洋大) |
八木宇田アンテナの導波器の原理を応用し、無線給電されるLEDの数が増えるほど、電波が遠くまで伝わることにより、電力伝送距離を長くすることができるレクテナアレーが提案されている。しかし、このレクテナアレーは、素子長および素子間隔に制限があり、形状や配置を自由にできないという問題が生じていた。本研究では、各レクテナ素子にインピーダンスを装荷し整合をとることにより、素子の長さを小さくした場合も、八木宇田アンテナのときと同様に、電波を伝搬させることを目的として、電磁界解析を行った。その結果、インピーダンス装荷レクテナアレーの場合も、レクテナをアレー配置した方が、間にレクテナを置かない場合に比べて、ワイヤレス電力伝送効率を大きくできることを明らかにした。
近年、大電力マイクロ波伝送のためのビーム収束技術として、両側レトロディレクティブシステムが提案された。このシステムの有効性を実験的に実証するために、二次元測定装置を提案した。開発した二次元測定装置によるビーム測定精度を確認するために、アレーアンテナとアッテネータ、フェーズトリマを用いてガウシアンビームを形成させるようにし、二次元測定装置に取り付けた。作成した電界プローブで装置内部の電界分布を観測した。その結果、シミュレーションと測定の両方できれいなビーム収束が観測され、電界分布は非常に良く一致した結果が得られた。開発した二次元装置で、ビームの収束状態を高精度で評価できることが分かった。
波長に対して大きな散乱体の解析にはGTDや特殊関数を使った固有関数展開が必要になり,高度な数学知識が必要になる.一方,金属片からの散乱波は,導体表面に流れる電流を物理光学近似で表現すれば,有限長線電流が作る放射電磁界の式から簡易的に計算できる.これにより,初学者でも散乱現象について数式を使った定量的な計算ができる.本研究では物理光学近似を適用して,有限長導体棒からの散乱波を解析的に計算する方法について検討する.なお,解析の有効性はFDTD法と比較することで検証する.
マイクロ波電力伝送では,受電機(Rx) への給電効率向上に加え,人体への電波ばく露を電波防護指針値以下に抑制する必要がある.そこで人体の生体活動により時変動する受信信号の時間差分から送電機(Tx) -人体間チャネルを推定し,受電電力に対する等価人体ばく露電力比の最大化に基づく人体回避・高効率給電Beamforming (BF) 法が提案されている.しかし,従来法では電力比の最大化のみを考慮するため,人体曝露電力が防護指針値を超過する可能性があった.そこで本稿では,電磁界強度推定に基づき,高効率給電と人体曝露電力を電波防護指針値以下に抑制するBF法を提案する.
当研究室では、350MHzトランシーバーと鉄道模型を用いた無線電力伝送デモンストレーションシステムを構築している。しかし伝送距離は20mmとアンテナ同士がほぼ密着している近傍界での伝送であった。
このシステムに用いる受信アンテナの理論計算を行い、主偏波成分のみでなく伝搬方向成分の電界強度が大きくなることから、受信アンテナに主偏波成分のみならず、伝搬方向成分を有効に受信させることで、送電実験の距離を伸ばすことが可能になると考えられる。
今回、送信アンテナを傾けた状態、また送受信間に無給電素子を配置した際の伝送効率の変化をシミュレーション、実験の両方から行い、無線電力伝送用デモの長距離伝送に関する検討を行った。
3月7日 13:00〜17:00 2号館 2308教室 座長 濱政 光(パナソニックコネクト)
B-20-10 |
電力伝送コイルの非励振ループによる不要放射低減構造の評価結果
○牧村英俊・坂本寛明・西本研悟・稲沢良夫(三菱電機)・五十嵐 一(北大) |
B-20-11 |
複数同時給電磁界結合WPTの負荷装荷による効率改善
○島田昂幸・丸山珠美・中津川征士(函館高専)・田村昌也(豊橋技科大) |
B-20-12 |
挟み込み構造WPT方式の伝送効率の送受電コイル間角度特性
◎荒井隆仁・鈴木敬久・多氣昌生(東京都立大)・秋山美郷・新井宏章・佐野宏靖(都産技研) |
B-20-13 |
非対称コイルを用いた人体センサ向け無線電力伝送の検討
◎武士俣勇斗・石橋孝一郎(電通大) |
B-20-14 |
平板構造による結合型WPTシステムの効率改善に関する検討
◎△辻 直希・藤森和博(岡山大) |
無線力伝送コイルが放射する不要波成分を抑圧するため、非励振ループをコイル周囲に設けることでシールドとして動作させる手法が提案されている。著者らは、非励振ループに並列共振回路を装荷することで電力伝送効率と不要放射の抑制を両立する構造を提案した。本発表では、提案構造の試作評価結果を報告する。
不要放射を抑圧可能な無線電力伝送コイルの構成を提案し、抑圧効果を実験で確認した。電力伝送効率は並列共振回路のQ値に大きく影響されることを実験と計算で明らかにした。
磁界結合WPTでは、給電コイルの上下に磁界が発生することから、2つの移動体を一つのコイルで同時に駆動することが可能である。また、1つだけ給電する場合よりも、2つ同時に駆動する方がワイヤレス電力伝送効率が高くなる現象が発生することがある。しかし、このしくみについて詳細はわかっていなかった。そこで、本研究では、電磁界解析と計算によりワイヤレス電力伝送効率を求め、受電コイルを1つだけ配置したときよりも2つ同時に送電した方が、電力が大きくなるときの、配置及び構造を明らかにした。
現在,電動アシスト自転車向けの無線給電装置として,挟み込み構造が提案されている.
挟み込み構造は,一般的な一対一のコイルに比べて中心軸方向に対する位置ずれに強いことから,給電効率が安定していることや漏れ磁束が少ないことが利点として挙げられる.
挟み込み構造はコイルの接続により4つの磁場配位に分類され,Type-A,Dが電力伝送可能な配位であることが示されている.そのうちType-Dでは受電側コイルを90度傾けた場合でも送電が可能なことがシミュレーションによりわかった.
本研究では90度傾けた場合の実証実験により送受電を確認,非接触での給電が可能なことを実証した.また本研究の実験条件では伝送効率60.3%で電力伝送が可能であることが分かった.
磁界共鳴を利用した無線電力伝送システムはバイタルサインを測定する人体センサへの応用にあたり,受信コイルが小型になり大きさが異なるコイルで電力伝送を行う必要があること,人間の動作によりコイル間の距離が変動しやすいこと,磁界による人体の影響を避けるため駆動周波数を低くすることといった制限がある.本研究では睡眠中の測定を想定し,2つの大型送信コイルで小型受信コイルを挟む構造を利用したシステムを試作し,距離–電力伝送効率特性の測定やセンサ回路の動作時間検証を実施した.結論として送信コイルのQ値やインダクタンスを上げることで,30cmの距離で人体センサを稼働できる電力を継続して得られる見込みを得た.
実用化を迎えつつあるMHz帯の磁界結合型WPTシステムは、コイルの線間容量を用いて共振させることで高いQ値を実現可能であり、長距離の電力伝送が可能であることが知られている。しかし、製作誤差の影響から、狙い通りの設計が困難という課題が存在するため、100MHzを超える周波数領域では製作誤差の影響が更に大きくなり、設計が困難となる。近年、回路におけるスイッチング周波数はますます増大しており、この傾向は今後も続くと考えられるが、それに対して結合型WPTシステムの動作周波数は先の理由によりある程度の制限が存在する。そこで、本研究ではこの課題を解決するために、磁界結合型WPTシステムにおける新たな構造を提案する。実測の結果、提案構造は高い周波数で高効率に動作可能なポテンシャルを有しており、また、厚みや放熱性といった物理的特性からも、コイルに比べて様々な利点を有することが確認された。
休 憩(14:30 再開) 座長 中本悠太(ソフトバンク)
B-20-15 |
同軸プローブ法における測定可能深度の評価
○青山琉彪・瀬川貴優・田村昌也(豊橋技科大) |
B-20-16 |
フィルタ設計理論に基づいたキャビティ共振モード無線電力伝送システムの広帯域設計
○田村義信(豊橋技科大)・佐伯洋昌(村田製作所)・田村昌也(豊橋技科大) |
B-20-17 |
工場内における 2 波モデルを活用した FNN による 伝搬推定モデルの一検討
○奥田陵太郎・野々目朋晃・森 昌吾・平山 裕(名工大) |
B-20-18 |
MIMO無線電力伝送システムにおける位相復元を用いたZ行列推定の実験評価
◎△小渕大輔・成末義哲・森川博之(東大) |
B-20-19 |
低コスト配線を用いた分散送電機の位相同期に関する検討
◎田中勇気(パナソニックシステムネットワークス開発研)・濱政 光(パナソニックコネクト)・佐藤 浩(パナソニックシステムネットワークス開発研)・池田拓磨・五閑 学・谷 博之(パナソニックホールディングス)・小柳芳雄(パナソニックシステムネットワークス開発研) |
体内埋め込み型医療機器に対する生体無線電力伝送(WPT)において,他のWPT機器からの電磁干渉が少ない点から電界方式WPT(CWPT)を注目され始めている.高効率なCWPTの設計には生体組織の持つ複素誘電率が重要であるが,皮膚や脂肪組織を合成した複素誘電率は明らかになっておらず,高効率な設計は困難である.そのため,既存の誘電率測定手法を用いて合成複素誘電率を取得する必要がある.ここでは同軸プローブ法に注目し,測定用プローブのフランジサイズ(Fs)の変化による測定可能深度の関係を導出した.結果,合成複素誘電率を測定する際にはFsが大きい方が適することが判明した.今後は複素誘電率の虚部も含めた評価を行う予定である.
近年需要が増加しつつあるワイヤレスセンサネットワークシステムの効率的な運用を達成するため,センサノードに対し,無線で電力供給をするキャビティ共振モード無線電力伝送(CR-WPT)が提案されている.本研究では,キャビティ共振器内の環境変化で共振周波数が変化し,インピーダンスの不整合による電力伝送効率(PTE)の低下が生じるという課題を解決する.これを達成するために,フィルタ設計理論に基づき,キャビティ共振器に容量性結合と共振器を実装し,3段のBPFを構成することで広帯域で整合を取るシステムを設計する.
センサデバイスによる IoT を用いた工場のスマート化へ の注目が高まっている.工場内では生産設備や人などの障 害物により,電波環境が影響される.これまでに,レイト レーシング法を用いた伝搬推定法が提案されているが,障 害物の影響に対して適応的に推定することができない.近 年,機械学習を用いた伝搬推定法が提案されている.本 稿では入力パラメータに 2 波モデルを用いる FNN (Feedforward Neural Network)による工場内の伝搬推定モデ ルを提案する
複数送受電器を用いるMIMO無線電力伝送システムは,電力伝送効率の向上や各受電器への送電電力の調整,漏洩磁界の低減等の目的に応じた高度な制御を実現できる.これらの制御は回路特性を表現可能なZ行列に基づいており,$Z$行列推定はMIMO無線電力伝送システムに不可欠である.著者らは,整流器出力の直流電流が受電器交流電流の絶対値を用いて表現できることに着目し,直流電流に対して位相復元を適用し,その復元結果をもとに送受電器間の同期不要かつ受電器の交流電圧・電流測定不要なZ行列推定手法を提案した.提案手法について,数値シミュレーションにおいて高い精度でZ行列を推定できることを既に確認している.しかし,数値シミュレーションでは,測定誤差等を考慮できていないため,実験によって提案手法を評価する必要がある.本稿では,2 × 2 MIMO無線電力伝送システムを実装し,複数の異なる条件でZ行列推定を行った結果を報告する.提案手法により推定したZ行列に基づき送電器を制御した場合の電力伝送効率は,測定したZ行列に基づき計算される理論上の最大効率と比較して差が1%以内に収まることを確認した.
IoTデバイスなどへの給電に向けて,分散アンテナを用いたマイクロ波無線給電技術が研究されている.分散協調型WPT(DWPT: Distributed WPT)においては,複数の送電機を広範囲に設置し,それらの周波数を同期した上で送電位相の最適化を行うことにより,高効率な給電が可能となる.
離れた箇所に設置された送電機の周波数を同期させる手法として,低周波の基準周波数を配線によって分配し,送電機側で逓倍することで搬送波周波数を得る方式が考えられる.基準周波数の分配には同軸ケーブルが一般に用いられるものの,同軸ケーブルは通常のケーブルと比較して高コストであるという課題がある.
本検討では,基準周波数を有線で配線し同期を行うシステムに対して,低コストなケーブルを利用する手法について検討し,実装・評価を行った.
休 憩(16:00 再開) 座長 松室尭之(ATR)
B-20-20 |
空間伝送型ワイヤレス電力伝送と無線通信の共存に関する一検討
◎桐山水響・長谷川晃朗・宮本進生・横山浩之(ATR) |
B-20-21 |
マイクロ波無線電力伝送を用いたアプリケーションに関する一検討
◎濱政 光・田中勇気・池田拓磨・五閑 学・谷 博之・佐藤 浩・小柳芳雄(パナソニック) |
B-20-22 |
準ミリ波ワイヤレス電力伝送の高出力化に関する基礎検討
○古川 実・大須賀 徹・大堀文子・板谷聡子・松村 武(NICT) |
B-20-23 |
ワイヤレス電力伝送機能を実装したミリ波通信システムの実証実験
◎中本悠太・長谷川直輝・平川 昂・太田喜元(ソフトバンク) |
空間伝送型ワイヤレス電力伝送システム(WPT)は,電池や電力配線なしに無線で小電力を伝送するものであり,無線通信でも利用される920MHz帯,2.4GHz帯および5.7GHz帯の3バンドにて制度化および実用化が進んでいる.WPTの運用範囲内において,同じ周波数帯域を使用する無線通信と協調して動作するには,周波数の利用を調停して干渉を回避するための枠組みが必要となるが,WPTと無線通信で利用される電力の違いにより,既存の無線通信で使用されるCSMA/CA等の共存の仕組みの利用は困難である.本稿では,WPTと無線通信が共存するための要件を整理し,解決すべき技術課題を抽出して,WPTと無線通信の協調を提供する枠組みについて検討した.
2022年電波法が改正され,条件付きで屋内環境でもマイクロ波無線電力伝送 (MWPT: Microwave Wireless Power Transfer) が可能になった.本稿ではMWPTで動作するアプリケーションとして,ドアを隔てた廊下での人の在不在を検知するバッテリーレスの受電モジュールを開発した.間欠動作による受電モジュールの低消費電力化により,920MHz 1WのRFIDリーダーから最大10m離れた距離で液晶とPIR (Passive Infrared Ray) センサ,PSoC 5LPのバッテリレス駆動に成功した.
空間伝送型ワイヤレス電力伝送システムによるセンサ等への電力供給のワイヤレス化が進んでいる.更に消費電力の高いスマートフォン等への利用拡大に向けては,供給電力を数 W 程度へ高める必要がある.準ミリ波利用による送電ビームの鋭角化及び高周波回路部の出力増加による送電アンテナの高出力化について,基礎的な検討を行ったので報告する.
IoTデバイスやセンサーなどさまざまなものがインターネットに繋がるIoT社会が実現しつつあるが,自動運転やデジタルツインなどを実現するSociety5.0に向けて今後さらにIoTデバイスが普及していくことが予想される.
それらのデバイスへの通信インフラは5Gの多数同時接続などで構築されつつあるが,それらのデバイスのバッテリー交換や給電方法が課題になっている.
これらの課題を解決するためにワイヤレス電力伝送(WPT:Wireless Power Transfer)が注目を集めている.
我々は通信基地局にWPTの機能を実装し,通信基地局の空いているリソースブロックに割り当ててWPTを行うシステムを提案する.
本研究ではWPT機能を実装したミリ波通信システムを用いて,同じ装置・アンテナから通信とWPTを時空間分離できることを検証する.
3月8日 9:15〜11:30 2号館 2308教室 座長 坂井尚貴(金沢工大)
B-20-24 |
キャパシタ充放電制御による共振型無線給電向け受電側FETブリッジ型可変リアクタの検討
◎松浦賢太郎・成末義哲・森川博之(東大) |
B-20-25 |
共振器結合型WPTシステム用容量切り替え型励振回路の検討
◎磨谷大地・石崎俊雄(龍谷大) |
B-20-26 |
近距離無線電力伝送における複素MPPTを用いたRF-DC変換回路による効率改善効果の検証
○菅 円香・平山 裕(名工大) |
B-20-27 |
適応制御型マッチング回路による高周波整流回路の電力広帯域化
◎三村佳輝・小宮山崇夫・長南安紀・山口博之・小谷光司(秋田県立大) |
共振結合型無線電力伝送では,周辺環境の影響による共振周波数変動に伴う電力伝送効率の低下が課題である.筆者らは,FETブリッジ型可変リアクタを受電側共振周波数補正に利用するため,送電側からの無線クロック分配が不要な制御方式の検討を進めている.この方式では,受電側回路を流れる電流を基準にハーフブリッジのスイッチングの位相を直交させ,ハーフブリッジに印加する直流電圧によってリアクタンスを調節する.しかし,DC/DCコンバータなどの使用はコストの増加につながる.本稿では,受電側 FET ブリッジ型可変リアクタのためのキャパシタ充放電制御を用いた直流電圧調整手法を提案する.実験により,受電側回路のリアクタンス補償効果を確認した.
共振器結合型無線電力伝送では,高効率で電力伝送を行うために送受電間の距離に制約が生じてしまう.そのため,送受電間の距離の変動に対応しインピーダンス整合を行う可変型励振回路を開発する必要がある.これまでFETをスイッチとして用いた容量切り替え型のインピーダンス整合励振回路の開発を進めてきた.本報告では,従来電池でしか行えていなかったFETへの電圧供給方法に対し,絶縁型DCDCコンバータを介することでDC電源からの電圧供給で整合が取れた伝送特性が得られることを示した.また容量の誤差等から生じる周波数ズレによる動作周波数における伝送特性の劣化が生じる問題に対し,連続可変が可能である容量素子の実装により周波数の微調整が行え,動作周波数における伝送特性の改善が行えることを示した.
近距離の無線電力伝送において,受電アンテナの出力インピーダンスがアンテナの送受電間距離に応じて変動するため,適応的な整合をとることが要求される.そこで,伝送線路によりRFで電力分配した2系統のDC-DCコンバータにMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御を施し複素共役整合をとることで,受電電力を最大化する方法(複素MPPT)を提案している.本稿では,920MHzに対して,実際にアンテナ距離を変えて出力インピーダンスを変化させ,複素MPPTを用いてDC電力を最大化し,効率向上効果を確認した.
環境電波発電において,受信可能な電力レベルは極めて小さく安定しないため,低入力電力領域から広い電力範囲で高い電力変換効率(PCE)の回路システムが要求される.そこで,前研究では,自己しきい値補正整流回路のPCEの出力負荷依存性が大きいことを踏まえ,入力電力に対して出力負荷を適応制御することで整流回路の効率改善を行った.一方で,非線形回路である整流回路の入力インピーダンスは動作状態によって変化するため,動作点がマッチング回路の設計条件からずれると,マッチング効率が劣化するという問題がある.本稿では,整流回路の適応負荷制御に加え,提案するマッチング回路の適応制御により,より広い電力範囲において高いPCEの維持を実現した結果について述べる.
休 憩(10:30 再開) 座長 田中勇気(PSNRD)
B-20-28 |
誘導性高インピーダンスパッチアンテナを用いるGaAsレクテナMMICによる28GHz帯無線電力伝送実験
◎△平井 司・伊藤 匠・廣瀬裕也・坂井尚貴・野口啓介・伊東健治(金沢工大)・長谷川直輝・平川 昂・中本悠太・太田喜元(ソフトバンク) |
B-20-29 |
ドローンへのワイヤレス給電のための24 GHz帯フルブリッジ整流回路の検討
◎林 拓人・三谷友彦・篠原真毅(京大) |
B-20-30 |
電力源入力昇圧コンバータの動作解析
◎平川 昂・長谷川直輝・中本悠太・太田喜元(ソフトバンク) |
B-20-31 |
衛星レクテナラジオに向けたAM変調波整流回路の特性
○中嶋優太・藤野義之(東洋大) |
B5Gに向けて無線通信と無線電力伝送の融合システムの検討を行っている.基地局からバッテリレスIoTセンサへの電源供給などの用途を想定している.本報告では28GHz帯における無線電力伝送の実験結果を示す.基地局を模擬するEIRP 74dBmのアクティブフェーズドアレイアンテナとGaAsレクテナMMICを対向させている.GaAsレクテナMMICは誘導性高インピーダンスパッチアンテナと倍電圧整流器を直接整合させる構成で,1.8mm角のGaAsチップに集積化されている.APAAから5mの距離においてレクテナの出力電圧0.19V,電力8.6uWが得られている.
昨今,ドローンは農業や測量など様々な分野において注目されている.ドローンに搭載されているバッテリーからの電力供給だけでは,長時間の運用は困難である.マイクロ波電力伝送を用いてワイヤレス給電を行うことは,バッテリーの欠点を解決する有用な手段である.より高周波数帯でのワイヤレス給電が実現できれば,レクテナの軽量化,小型化が期待でき,ドローンに搭載しやすくなるという利点がある.本研究では小型ドローンへのワイヤレス給電のための24GHz帯のレクテナの開発を目的とし,レクテナに搭載するフルブリッジ型整流回路の検討を行った.
IoT 社会の実現に向けて様々な取り組みがなされている中で, 重大な課題の一つに膨大なセンサーの管理問題があげられる. 管理の簡易化に対する有力な解決手法に電波無線電力伝送を用いた完全無線化がある. 電波無線電力伝送は電磁波を解して電力を送信し, 受信した電力を整流回路によって直流電力へ変換する. 受信回路では交流電力を整流回路で直流に変換し,DC-DC コンバータを用いて充電対象物の要求に応じるものに変える. 先行研究においてDC-DC コンバータを用いた整流回路の出力抵抗に対する広範囲化が明らかにされている. 一般的にDC-DCコンバータに関する議論は入力電圧が不変である電圧源を考えている. 一方で, 無線電力伝送は電力が一定である電力源に近い特性を持つ. そこで本研究では単純な昇圧コンバータについて電力源を入力とする場合についてシミュレーションを行った.
宇宙太陽発電衛星(SPS)に向けた,SPS試験衛星から地上間でのマイクロ波ビーム制御実証試験において,衛星レクテナラジオと称するアナログ変調を用いたデモンストレーションが,LEDに代わる低電力での宇宙-地上間電力伝送実験として提案されている.その整流回路部の検討として,変調度の異なるAM変調波を整流回路へ入力した際の整流特性の測定を行ったので報告する.結果,高インピーダンスおよび低電力領域では変調度とRF - DC変換効率および交流出力電圧は比例関係にあることがわかった.よって低電力での実験が提案される衛星レクテナラジオには変調度100%のAM変調波が適していると言える.
シンポジウムセッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
BS-1. Beyond 5G/6Gに向けたIRS/RIS技術
(アンテナ・伝播研専)
3月9日 13:00〜17:00 2号館 2202教室 座長 松野宏己(KDDI総合研究所)
BS-1-1 |
反射角度を再構成可能なパッシブ型メタサーフェスに関する検討
◎白澤嘉樹・佐々木隆吉・佐々木克守・佐藤啓介・大島一郎(電気興業) |
BS-1-2 |
誘電体スラブを装荷した散乱体の散乱特性の解析的検討
○今野佳祐・陳 強(東北大) |
BS-1-3 |
リフレクトアレーのバイスタティックRCS特性の簡易推定法
○橋口 弘・道下尚文・森下 久(防衛大)・松野宏己・大戸琢也・中野雅之(KDDI総合研究所) |
第6世代移動通信(6G)で電波の反射や透過を制御してエリア形成を可能とするRIS(Reconfigurable Intelligent Surface)が着目されている.著者らは, エリア改善の柔軟性向上と低コスト化を目的として, ミリ波帯における反射角度を半導体等のアクティブ素子を用いずに可変するパッシブ型可変メタサーフェス(MTS)の開発に取り組んでいる. 本稿では, MTSを短冊状に分割して, 各短冊をスライドさせることで反射角度可変を実現する.
本報告では,電磁界理論を用い,誘電体スラブを装荷した散乱体の散乱特性を解析的に明らかにする.
第5世代移動通信システムでは,28 GHz帯の高い周波数が利用されている.この周波数帯の電磁波は,直進性が高いことから,遮蔽物等により,カバレッジホールの発生が懸念されている.カバレッジホールを解消する手段の1つとしてリフレクトアレーが注目されている.リフレクトアレーの入射対反射特性を明らかにするは,リフレクトアレーへの入射角度を変化させ,バイスタティックRCSを測定することで求めることができる.しかし,入射角度分測定する必要があり,測定回数が増加する.このため,測定回数を削減する方法が必要となる.本稿では,リフレクトアレーの入射対反射特性を簡易的に推定する手法を提案する.
休 憩(14:30 再開) 座長 橋口 弘(防衛大)
BS-1-4 |
メタサーフェス反射板における水平と垂直方向での散乱パターンの同時可変に関する検討
○陸田裕子・丸山 央・萩原弘樹(日本電業工作) |
BS-1-5 |
液晶を用いたインテリジェントリフレクトサーフェス技術
○佐藤弘康・藤澤 宣・柴田陽生・石鍋隆宏・藤掛英夫・陳 強(東北大) |
BS-1-6 |
反射方向切替可能なメタ表面反射板
○久世竜司・福迫 武(熊本大)・林 合祐・佐藤彰弘・木村 翔・田中翔馬・表 英毅(ソフトバンク) |
見通し外環境では急激に電力が低下することによって電波が到達せず通信が出来ないエリア(カバレッジホール)が発生することがあり、対策の一つとしてメタサーフェス反射板が考えられている。本稿では2×2の反射素子からなる部分を1ユニットとし、ユニットごとにグランド板を設けた8×8素子のメタサーフェス反射板を検討した。各ユニットのグランド板と反射素子の距離を水平方向と垂直方向でそれぞれ変えることで各方向の反射位相を変化させ、散乱パターンを水平、垂直方向同時に可変制御できることを解析にて示した。
液晶IRSを設計するための課題の抽出を中心に概説するとともに,実験的に得られた設計指針および応答速度に関する測定結果について述べる.
5Gや6Gといった移動通信システムの構築・整備が進む一方,高周波は直進性が強いためアンテナの見通し外エリアにおいて電波強度が弱まることが懸念されている.伝搬路確保のため,電波の反射方向を制御可能なメタ表面反射板が注目され,能動素子を用いて電波の反射方向を適応的に制御するRIS反射板が提案されている.本報告では,機械式のスライド操作のみで電波の反射方向を切り替え可能なメタ表面に着目する.本報告ではスライド操作に適した素子と効果について議論する.
(15:45 開始) 座長 芳野真弓(日本電業工作)
BS-1-7 |
通信エリア拡大のための電波散乱シートの実証実験
○村上靖宜(電通大) |
BS-1-8 |
Reconfigurable Intelligent Surfaceにおけるチャネル推定・最適負荷制御法の実験的評価
○村田健太郎・加藤 匠・佐々木 駿・本間尚樹(岩手大) |
BS-1-9 |
IRSを用いた不感地エリアにおける受信電力改善効果の評価
○松野宏己・大戸琢也・菅野智文・長尾竜也・林 高弘(KDDI総合研究所) |
広角な散乱パターンを実現する電波散乱シートの設計手順を示し,試作した電波散乱シートを用いて
通信エリア拡大効果を実験により明らかにした.
著者らはこれまでに,Reconfigurable Intelligent Surface (RIS) におけるチャネル推定および最適負荷制御法を提案している[1].提案法では,RIS近傍に受信信号強度(RSS)を観測可能な単一のセンサを追加し,RISの可変負荷制御時にセンサにおけるRSSの変化を観測・解析することで,対象信号源とRIS全素子間のチャネルを推定可能とする.更に著者らは,RISで最低3値の可変負荷を用いることでチャネルを完全に復元可能であることを証明し,3値負荷を使用し伝送効率を最大化する負荷の組み合わせを一意に決定可能な負荷制御法を提案し,これらの有効性を数値解析により明らかとしている.
そこで本稿では,RISにおける提案チャネル推定・最適負荷制御法の有効性を実験的に評価した結果について報告する.
Beyond 5G/6Gで求められる超高速大容量・超低遅延などの無線性能を実現するためには,帯域幅の確保が必要で,ミリ波をはじめとする高周波数帯の利用が期待されている.一方,周波数帯が高くなるほど電波の直進性が高くなるため,遮蔽などにより基地局の電波が届き難い不感地が基地局のエリア内に生じる問題がある.この対策として,Intelligent Reflecting Surface (IRS)などの反射板技術の利用が注目されている.
IRSの反射電力は,IRSの面積に依存して大きくなるが,ビーム幅が細くなるため,同時に対策可能なエリアが狭くなる.この対策として,IRSのビーム幅を広げる検討がなされているが,ビーム幅に応じて反射可能な電力が低下するため,IRSの反射パターンは対策したいエリアのサイズや,電力改善量に応じて適切に設計する必要がある.そのためには,IRSによるエリアの電力改善量や改善範囲の評価が必要である.
そこで本稿では,都市部でのIRSの利用を想定したエリアシミュレーションにより,IRSのビーム幅と電力改善量,および改善範囲の検討を行ったので報告する.
BS-2. Emerging Technologies and Applications for Future Terrestrial and Non-Terrestrial Communication Networks
(ネットワークシステム研専)
3月7日 9:00〜11:30 4号館 4203教室 座長 藤橋卓也(阪大)
BS-2-1 |
Combined DRL and Evolution Algorithm for Dynamic Antenna Control in Multi-Cell Configuration HAPS System
○Siyuan Yang・Mondher Bouazizi・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.) |
BS-2-2 |
Reduced Burst Score Aggregation in Suppressing the Effect of Delayed-hit Caching
○Feri Fahrianto(Fukuoka Univ.)・Noriaki Kamiyama(Ritsumeikan Univ.) |
BS-2-3 |
A Universal 5G Ultra-Dense Network Simulation Platform for Indoor Positioning
○Yang Xiang・Kien Nguyen・Hiroo Sekiya(Chiba Univ.) |
BS-2-4 |
A Throughput Drop Estimation Model with Non-Channel Bonding for Two-Link Concurrent Communications in IEEE 802.11ac WLAN
◎△Sujan Chandra Roy・Nobuo Funabiki・Bin Wu・Yuanshuai Sun・Ei Ei Htet・Minoru Kuribayashi(Okayama Univ.) |
BS-2-5 |
Experimental Verification of Interface Setup Optimization Method Using Throughput Estimation Model for Concurrently Communicating Three Access-Points in Wireless Local-Area Network
◎△Fatema Akhter・Nobuo Funabiki・Ei Ei Htet・Minoru Kuribayashi(Okayama Univ.) |
BS-2-6 |
An Overview of Edge Device Framework in SEMAR IoT Application Server Platform
◎△Yohanes Yohanie Fridelin Panduman・Nobuo Funabiki・Radhiatul Husna・San Hay Mar Shwe(Okayama Univ.)・Sritrusta Sukaridhoto(Politeknik Elektronika Negeri Surabaya, Indonesia)・Wen-Chung Kao(National Taiwan Normal Univ, Taiwan) |
High platform station (HAPS) provides extremely broad coverage regions and a powerful line-of-sight (LoS) connectivity to terrestrial user equipment (UE) at the ground.
However, due to wind pressure, it is difficult for HAPS to remain stationary.
Thus, the degradation of the users' throughput and handovers to UEs' end happened after the HAPS coverage shifting.
In this research, we propose a novel Deep Reinforcement Learning Evolution Algorithm (DRLEA) that combines the Evolution Algorithm (EA) with Deep Reinforcement Learning (DRL).
Compared with a conventional DRL method and an EA method,
the proposed method can avoid sub-optimal solutions to control the antenna parameters of the High-Altitude Platform Station (HAPS) mobile for reducing the number of low-throughput users.
The simulation results show that the proposed method effectively reduces the number of low throughput users after the HAPS moves.
The reduced BSA algorithm reduced the number of unique content names to be calculated to build the BSA database. As a result, the processing time can be reduced significantly without affecting its performance to maintain the hit ratio against the delayed hit caching.
In this study, a universal 5G UDN simulation platform that can be used for indoor positioning was established, and a variety of indoor positioning algorithms were successfully implemented on this platform and positioning experiments were carried out. Finally, the experimental results proved the effectiveness and usability of the simulation platform in indoor positioning.
Currently, the IEEE 802.11ac wireless local-area network (WLAN) has become popular for the Internet access due to the very high throughput (VHT) data transmission at 5GHz band. However, the throughput of a link can be significantly dropped by the interference when the same or adjacent channel is assigned to nearby access points (APs). Previously, we have studied throughput drop estimation model for two-link concurrent communications with channel bonding for 40MHz channels, considering the channel distance and the received signal strength (RSS) of the interfered link. In this paper, we study the throughput drop estimation model under non-channel bonding for 20MHz channels when two links are concurrently communicating at the same or adjacent channels in dense 11ac WLAN at 5GHz. The effectiveness of the model is verified through experiments using Raspberry Pi 4B with the external interface Archer T4U for the APs.
The IEEE 802.11n wireless local-area network (WLAN) has been widely deployed due to flexible and high capacity. However, users may experience poor performances due to interferences from other access points (APs). To address this problem, we have proposed the AP interface setup optimization method for concurrently communicating three APs using the throughput estimation model under co-existence of channel bonding (CB) and non-CB. In this study, we verify the applicability of this model-based approach through experiments in various network topologies in a new network field. The results confirmed that the method can select the best AP interface offering the highest total throughput in any topology.
Currently, the Internet of Things (IoT) is popular in various applications. To support this growth, we have developed SEMAR (Smart Environmental Monitoring and Analytical in Real-Time) IoT application server platform to offer integration functions for collecting, displaying, and analyzing sensor data at one platform. In this paper, we present the overview of the edge device framework that has been designed and implemented to assist introductions of new edge devices into SEMAR by allowing their configurations on the server, including the functions for data conversions, filters, rules engines, data cache, visualizations, data communications, and web services. Through the prototype implementation using Raspberry Pi, the effectiveness is confirmed in developing IoT application systems on SEMAR.
3月7日 13:00〜14:40 4号館 4203教室 座長 須永 宏(阪工大)
BS-2-7 |
A Multi-Agent Risk-Averse Reinforcement Learning Method for Reliability Enhancement in Sub6GHz/mmWave Networks
◎Thi Ha Ly Dinh・Megumi Kaneko(NII)・Kenichi Kawamura・Daisuke Murayama・Takatsune Moriyama・Yasushi Takatori(NTT) |
BS-2-8 |
IoT Traffic Pattern Analysis with Two-stage Clustering
◎Mizuki Asano・Takumi Miyoshi・Taku Yamazaki(Shibaura Inst. of Tech.) |
BS-2-9 |
A Method to Share Intermediate Layers in Split Learning
◎Shinyo Ryu(Shibaura Inst. of Tech.)・Shota Ono(The Univ. of Tokyo)・Takumi Miyoshi・Taku Yamazaki(Shibaura Inst. of Tech.) |
BS-2-10 |
An Intrusion Prevention System for Smart City Infrastructure Based on Deep Neural Network and Container Orchestration
○Yuxuan Shi・Takumi Miyoshi・Taku Yamazaki(Shibaura Inst. of Tech.) |
This work aims at improving the reliability of a Sub-6GHz/mmWave integrated network in terms of Packet Loss Rate (PLR) by exploiting Risk Averse Q-Learning, under imperfect CSI knowledge. We design a multi-agent framework where each AP agent locally decides the wireless interface and resource block allocation for its associated users, but makes use of a global reward function computed at a Central Unit (CU) that accounts for the risk states and amount of successfully received packets over all users and APs. Simulation results show that the proposed method outperforms benchmark schemes in terms of PLR and number of satisfied users.
In recent years, Internet of things (IoT) has been getting more popular in the world. Since IoT devices are connected to the network, the management of IoT devices is required in the similar way to PCs or smart phones. However, it is hard to update the devices or their software and even to understand how IoT devices work in real time. As a method to solve these problems, analyzing the traffic data of IoT devices has been attracting attention. Although the conventional methods can identify IoT devices, they did not show the characteristics of the time variability of IoT traffic. This paper, therefore, proposed a method to analyze a time-series behavior of IoT traffic using two-stage clustering. The proposed method makes it possible to explicitly grasp how IoT devices communicate and to extract more effective features for identifying IoT devices.
In this paper, we propose a method to share some of the intermediate layers in split learning (SL). One configuration method for SL towards privacy preservation has already proposed. That configuration has three sections; input layer section, intermediate layer section, and output layer section. In that configuration, however, the server has to maintain as many intermediate layer sections as the number of clients considering multiple clients. Therefore, we propose a new method to share the intermediate layer section in that configuration considering multiple clients. As an evaluation result, the proposed method can achieve higher accuracy and less used memory size than the conventional method by sharing the intermediate layer section in the server.
As a platform of modern smart city services, internet-based IoT infrastructure devices have been expanding rapidly from the viewpoints of both diversity and quantity. However, the processing capability and performance of the IoT devices are still always restricted due to economic reasons. The lack of processing capability disables normal internet security solutions that require more processing power. Therefore, an intrusion prevention system (IPS) for smart city infrastructure must be accurate enough to protect devices from threats and able to operate under inferior processing capabilities.
This paper proposes an IPS specialized for smart city infrastructure based on deep learning and container orchestration.
3月8日 9:00〜11:30 4号館 4203教室 座長 山口実靖(工学院大)
BS-2-11 |
Dimensional Similarity in Human Perception of Slope for Networked Haptic Virtual Environments
○Trevor C. Amedayenou・Yutaka Ishibashi(Nagoya Inst. of Tech.)・Pingguo Huang(Gifu Shotoku Gakuen Univ.)・Yuichiro Tateiwa(Nagoya Inst. of Tech.) |
BS-2-12 |
QoE Assessment of Adaptive Δ-Causality Control in Remote Robot Systems with Force Feedback
○Lamin N. Gassama・Trevor C. Amedayenou・Yutaka Ishibashi(Nagoya Inst. of Tech.)・Pingguo Huang(Gifu Shotoku Gakuen Univ.)・Yuichiro Tateiwa(Nagoya Inst. of Tech.) |
BS-2-13 |
A Proposal for Flowchart Understanding Problem (FUP) for System Design Learning
○THET MON KHIN・NOBUO FUNABIKI・HSU WAI KHAING・Thandar Aung SOE(Okayama Univ.) |
BS-2-14 |
A Study of Automatic Test Data Generation Method for C Programming
○△ZHIKANG LI・NOBUO FUNABIKI・XIQIN LU・HUIYU QI(Okayama Univ.) |
BS-2-15 |
An Extension of Static Worker Assignment Algorithm to Uniform Jobs with Multiple CPU Time in User-PC Computing System
○Xudong Zhou・Nobuo Funabiki・Lynn H. Aung・Xiang Xu(Okayama Univ.) |
BS-2-16 |
An Extension of Answer Interface File Generator for Node.js-based Java Programming Learning Assistant System Platform
○Thandar Aung Soe・Nobuo Funabiki・Hsu Wai Khaing・Lu Xiqin・Jing Yanhui(Okayama Univ.) |
This report examines dimensional similarity in human perception of slope for networked haptic virtual environments by QoE assessment. In the assessment, we handled slopes on the x- and z-axes and made a comparison with those on the y-axis. Assessment results demonstrate that there is dimensional similarity in human slope perception among the three axes.
In the report, we investigate the effect of local adaptive Δ-causality control (i.e., LADC) on cooperative work between remote robot systems with force feedback by QoE assessment. We make a comparison in two cases: The case where control is exerted between two remote robot systems (LADC-RR), and the other case does not exert it (NC). As a result, we found that the LADC-RR is more effective compared to NC.
The system which supports self-learning of the system design learning (Flowchart) by themselves.
In many universities around the world, C programming is offered in the first programming course. To assist self-studies of novice students, we have developed the C Programming Language Learning Assistant System (CPLAS). For the code writing problem (CWP) in CPLAS, we have implemented the code validation function. It can automatically validate the correctness of the source codes from a lot of students through 1) compiling test, 2) running test, and 3) output test, with the manually generated input data. In this paper, we present an automatic test data generation method to help the teacher. It 1) inputs the number of test cases, 2) finds the data types of the inputs, 3) randomly generates a set of input test data with the fixed range, 4) runs the model program for the assignment, 5) makes the input and output files as the test data. For evaluations, we used source codes from students for 30 assignments and confirmed the correctness of the proposal.
The User-PC computing (UPC) system uses idling PCs in a group to provide a low-cost and high-performance distributed computing platform. Previously, we proposed a static job-worker assignment algorithm to minimize makespan for completing all the uniform jobs that use the identical program with slightly different parameters. In this paper, we extend this algorithm to uniform jobs whose CPU time is a multiple of the shortest one in the unit job. We verify the effectiveness in typical uniform application jobs, namely, OpenFOAM and Network Simulator 3.
Java has been widely used in corporate applications. To assist self-studies of Java programming, we have studied the web-based Java Programming Learning Assistant System (JPLAS), and implemented the Node.js-based personal learning platform called N-PLAS. JPLAS offers several types of exercise problems to cover students at various learning levels, where the answer interface files for a web browser are automatically generated from the text file for each type. However, the files do not contain the commands to realize the features to improve the usability of N-PLAS, such as the instance transition buttons and the completion rate display. They are added manually. In this paper, we extend the answer interface file generator to contain them in the files automatically. In evaluations, we could successfully generate 109 files for six problem types for N-PLAS and confirmed the validity of the proposal.
BS-3. SDGsを支えるエネルギー技術
(電子通信エネルギー技術研専)
3月10日 13:00〜15:20 2号館 2304教室 座長 馬場﨑忠利(NTTファシリティーズ)
BS-3-1 |
金沢工業大学におけるSDGsを支えるエネルギー技術−熱電連携DCマイクログリッド実証実験−
○泉井良夫(金沢工大) |
BS-3-2 |
再生可能エネルギーとデマンドレスポンスを活用した陸上養殖施設の最適運用
上田聡一郎・仲泊明徒・○千住智信(琉球大) |
BS-3-3 |
屋外直流給電システムの雷サージ対策効果の一検討
○中村尚倫・花岡直樹・樋口裕二・田中 徹(NTT) |
SDGsにおいては、持続可能な開発のための2030アジェンダとして、具体的な17のゴールが掲げられている。この中で、7番、9番、11番を念頭に、金沢工業大学では、白山麓キャンパス(石川県白山市)にて、熱電連携DCマイクログリッド実証実験システムを構築し、3つの目標に向かって、社会実装の観点から、産学連携にて研究開発を進めている。本シンポジウムでは、その概要を説明する。
陸上養殖施設を利用した養殖産業が近年盛んになっている。養殖施設では基本的に24時間にわたありポンプ類の駆動が必要であるため、膨大な電力を消費している。このため、陸上養殖施設における光熱水費を削減することが近年求められている。近年では地球環境の配慮も必要であり二酸化炭素を排出しない電力供給手法が導入されつつある。本発表では、陸上養殖施設に導入されるべき再生可能エネルギーの種類と容量の最適化を行うと共に蓄電池等の最適運用方法について議論を行う。最適運用方法は、再生可能エネルギー設備による発電電力の不確実性を考慮する必要がある。運用コストの最小化を実現できる最適運用方法を示す。
NTTでは、持続可能な社会の実現に向け、再エネの有効活用と災害に強いレジリエントな電力供給に関する研究を行っている。通信ビルや近隣ビルに太陽光発電設備や蓄電池を設置し、それらで直流マイクログリッドを形成することで再エネの地産地消、さらには災害時に停電が発生した場合でも避難所となる施設に最低限の電力を供給することを検討している。現在、通信ビルと近隣ビルを自営線で接続する1対1の屋外直流給電システムの検証を行っており、電気的な安全性の確保に取り組んでいる。本稿では、本システムの設置により、屋外から通信ビル内に引き込まれる給電線を介して侵入する雷サージ対策について検討した結果を報告する。
休 憩(14:30 再開) 座長 永井孝佳(三菱電機)
BS-3-4 |
4レベル整流器と9レベル階調インバータを組み合わせた電動航空機用軽量電力変換器システム
○岩田明彦(阪産大) |
BS-3-5 |
UPS用インバータ装置のプリチャージ回路の検討
○西野裕也・金井康通(エクシオグループ) |
航空機では2050年にCO2排出量ゼロを掲げ、様々な効率向上の取り組みが進められている。その有力な対策として期待されているのが航空機電動化である。電動化では、グリッドシステムを構成する機器類や電力変換器の軽量化が必要となる。電力変換器の重量物であるインダクタを小型化するには、マルチレベル化が一つの方向である。今回、2出力を備える4レベル整流器と階調制御型9レベルインバータを組み合わせたシステムを検討した。4レベル整流器の1出力と階調制御型インバータのビットのDC入力を接続し、かつ、インバータの出力目標値に3次周波数電圧を重畳して制御を行うことにより、整流器用コンデンサの電圧バランス回路および階調制御型インバータのビット用外部電源が無くてもシステムが成立することを確認した。本発表では、4レベル整流回路および階調制御型インバータの課題を示し、今回の提案方式によって両課題を同時に解消できることを説明する。
冷蔵庫等を数日に渡ってバックアップするUPSにおいて、回路パラメータの再調整が不要なプリチャージ回路について検討した。ロードスイッチを2個並列に接続し、プリチャージ用ロードスイッチには、電流制限抵抗を挿入した。インバータ回路の入力電圧を監視して、所定の電圧に上昇したタイミングで、プリチャージ回路から主回路に切り替えることで、突入電流を300Aから25Aへと大幅に低減することが出来た。また、出力容量の異なるインバータ回路を接続しても、パラメータを再調整することなく起動し、インバータ回路の出力容量や機種依存が少ないことが確認出来た。
BS-4. 2030年代を見据えた新しい視点の周波数共用
(スマート無線研専)
3月7日 13:00〜16:10 2号館 2304教室座長 李 斗煥(NTT)
BS-4-1 |
(依頼講演50分)Toward Spectrum Sharing Above 100 GHz
○Michele Polese(Northeastern Univ.) |
BS-4-2 |
Blockchain based Spectrum Sharing
○Chen Sun・Shuo Wang(Sony (China) ) |
BS-4-3 |
5次元の無線環境把握と周波数共用
○藤井威生(電通大) |
In this talk, we will provide pointers to challenges and opportunities related to sharing and
coexistence in the spectrum above 100 GHz, focusing specifically on frequency bands of interest
for 6G between 100 GHz and 275 GHz. The talk is based on technology and policy solutions for
spectrum sharing above 100 GHz developed at the Institute for the Wireless Internet of Things
(WIoT) at Northeastern University.
Spectrum sharing has long been considered as method to improve spectrum resource utilization. Centralized geolocation database approach has been accepted globally for commercial applications. Recently blockchain has been considered as a platform to support spectrum sharing in a distributed manner. Similar to other commodities, spectrum or right of spectrum usage can be exchanged through blockchain. However, this leads to changes of the location where a particular frequency channel is utilized which brings potential interference. In this paper, we present the interference-based consensus and smart contract for blockchain based spectrum sharing. We will also introduce the other aspects of blockchain such as block design, cross-chain transaction,cross-tier spectrum coordination and incentive mechanism that need to be studied for spectrum sharing applications.
既存システム業務への影響を及ぼさない形での周波数共用には,従来から行われているような汎用的な電波伝搬モデルの活用には限界があり,建物などの構造物の影響を加味した3次元地図の活用や,観測値を活用した精緻な電波伝搬
の把握を行った上で稠密な電波の使い方を考える必要がある.一方,ミリ波帯などの高い周波数は遮蔽の影響をより顕著に受けることからその利用可否を判断するための電波環境把握が必要となり,6GHz 以下の周波数と密に協調して運用することが求められている.本稿では,B5G/6G 時代に必要となる周波数共用や帯域の適応利用に必要となる無線環境把握について議論し,3次元空間に,時間と周波数という2軸を加えた5次元の無線環境把握の実現方法について紹介する.
休 憩(14:55 再開)座長 大辻太一(NEC)
BS-4-4 |
階層分析法を用いた無線LANにおける動的チャネル割当手法の一検討
◎遠藤茉奈実・佐々木重信(新潟大) |
BS-4-5 |
衛星通信と地上システム間の周波数共用における電波センサによる衛星探査地上基地局への与干渉検知
◎小畑貴聖・田久 修(信州大) |
BS-4-6 |
ブロックチェーンを用いた無線基地局共用における端末収容数平滑化手法の屋内実験評価
◎福島 健・佐々木元晴・中平俊朗・村山大輔・守山貴庸(NTT) |
無線LANでは利用周波数チャネルの不足に対し, 従来の2.4GHz帯, 5GHz帯に加えて6GHz帯の利用が検討されている. 本報告では, 階層分析法(Analytic Hierarchy Process : AHP)を導入した無線LANにおけるチャネル割当法を提案する. AHPの導入により, 既に割当を受けている無線システムへの電波干渉を避けつつ, 様々な帯域幅で運用する無線LAN利用者の意図の反映も考慮した周波数共用の実現を図る. 簡易的な利用シナリオを想定したシミュレーションを行い, AHPの適用により, 既存無線システムの保護と無線LAN利用者の意思の反映を両立したチャネル割当が可能であることを確認した.
B5Gにおいて衛星通信との周波数共用が検討されている.本稿では,宇宙探査衛星通信と地上システムとの周波数共用を想定し,地上システムから衛星探査地上局への与干渉を検知する電波センサを提案する.
第6世代移動通信システムでは個人や事業者が有する自営無線基地局(BS)も含めた高セキュアな連携・統合利用が重要になると考えられる.本稿ではブロックチェーンを用いたBSの共用(B-RAN)において,筆者らがこれまでに提案した各BSで参照可能なブロックチェーンの台帳情報を基にBSの提供価格を自律分散的に制御してユーザ端末(UE)収容数を平滑化する手法を実機実装し,その効果について屋内環境での実験評価を行った.実験評価の結果,提案手法は従来手法と比較して約8割のUEのスループットを改善し,提供されるスループットの中央値を約1.8倍改善可能である事が分かった.
BS-5. 音・電波・光を活用する水中無線技術の展開
(水中無線技術特別研専)
3月8日 9:00〜10:15 3号館 3307教室座長 稲森真美子(東海大)
BS-5-1 |
水中音響通信における非定常ドップラーシフトに対応したデジタル変復調方式
◎吉澤真吾(北見工大)・高田渓作(三菱電機特機システム)・永田 豪(JMU ディフェンスシステムズ) |
BS-5-2 |
超小型FPGAボードを用いた水中光無線信号の伝搬チャネル推定
◎前田智弘・古川祐太郎・外林秀之(青学大)・菅野敦史(名工大) |
BS-5-3 |
水中光通信における受信光学系へのHOE適用を検討するための基礎的実験
◎小村明広(東海大)・山下泰輝・市橋保之・涌波光喜・大井隆太朗(NICT)・高山佳久(東海大) |
水中無線通信は水中ロボットの遠隔操作や画像・動画データ伝送などに利用される. 海中は光や電磁波信号の減衰が著しいため, 長距離伝送用途では音波を用いた水中音響通信が利用される.本研究では水流や気泡やソナーなどの外乱によりSN比が急激に低下した場合にも対応できる確達性の高い水中音響通信の実現を目的とし,通信フレーム内でドップラーシフト量が大きく変動する場合に対応したデジタル変復調方式の検討を行ったので報告する.
海中で高速な無線通信を実現するための手段として有力視されている可視光無線通信システムにおいて,電波による無線通信システムで実用化されているMIMOを導入することで,信号対雑音比の改善や伝送容量の拡大が期待できる.水中を光信号が伝搬する際には浮遊物などによる散乱がフェージングを生ずるため,MIMO伝送を実現するためには伝搬チャネルの応答を適宜測定する必要がある.そこで本発表では,超小型FPGAボードを用いた光無線通信システムにおけるMIMO伝送の実現に向け,水中光無線信号の伝搬チャネルを推定した結果について報告する.
水中光通信はレーザ光の水中伝搬を用いた通信手法であり,従来の水中音響通信より高速通信が可能であるため,水中での利用が期待されている.ビームのため光路での水中の擾乱の状態によってゆらぎが発生し,通信品質が低下してしまう.そのため,受信光の伝搬角度を補正する精追尾機構が利用される.一方で精追尾機構の利用は受信光学系の小型化を阻害するため,ホログラフィック光学素子(HOE)で精追尾機構を代替することが提案されている.本稿では,精追尾機構をHOEで代替することで通信装置の小型化を図るため,水中通信用のHOEの設計に必要な光学的なデータを取得するための評価系の構築と,基礎的な評価を行った.
BS-6. ネットワーク技術特別ポスターセッション
(ネットワークシステム研専、情報ネットワーク研専 共催)
3月8日 13:30〜15:15 4号館 4202教室 座長 谷田康司(NTT)
BS-6-1 |
DTNデータ伝送における重要度偽装攻撃への対処
○近藤 光・水野 修(工学院大) |
BS-6-2 |
ロケーションベースARによるセンサデータ表示システム
◎原 嵩真・鈴木 悠・水野 修(工学院大) |
BS-6-3 |
ニューラルネットワークを用いたタイル壁に対する打音検査の検討
◎井藤佑馬・楊 浄媛・伊藤 篤(中大)・小池正史(宇都宮大)・日比野克彦(ポート電子) |
BS-6-4 |
ローカル5Gとの共存化におけるチャネルボンディングを考慮したWi-Fiチャネル割り当て
◎青山裕紀・森本禎規・木下和彦・Alberto Gallegos Ramonet(徳島大) |
BS-6-5 |
電波強度のVR上での可視化
◎小林航大・Alberto Gallegos Ramonet・木下和彦(徳島大) |
BS-6-6 |
ns-3上でのZigBeeルーチングプロトコルの実装
◎奥田 亮・木下和彦・Alberto Gallegos Ramonet(徳島大) |
BS-6-7 |
都市型農業を支援する無線マルチホップネットワークの実装
○山本郷平・木下和彦・Alberto Gallegos Ramonet(徳島大) |
DTN(Delay Tolerant Networking)は、災害発生時など既存のネットワークインフラが損なわれた極限環境下においても端末同士でのデータ送受信を可能にする技術である.これまでの研究でデータに付与された重要度に基づいてデータ送信の優先制御について有効性が確認されている。しかし,データの盗聴やデータ伝播の妨害などの攻撃を受ける危険性が高くなる.特に攻撃者が重要度を改ざんした偽のデータを伝搬させることで通信が阻害するおそれがある。本報告では、この攻撃の影響をシミュレーションによって調査し、それに対処するための方式を提案する。
IoTデータの直感的な認識方法にARがあり,ロケーションベース型ARによるシステムを構築した.システムにはセンサデータ取得機能,センサデータ送受信機能,仮想物体表示機能が必要.それぞれの機能をRaspberry Piとセンサ,LAN内の無線通信,端末へのアプリケーション導入によって実現した.位置推定精度を高めるためにGNSSとVPSを併用した.実験より昼間では仮想物体の半径20m以内でシステムが機能することを確認した.ただし、十分な明度が確保できない状況では緯度・経度方向に最大約100m,高さ方向に最大約10mの揺らぎが現れた.これは風景を正確に認識できずVPSの精度が低下したと考えられる.
近年、様々な社会インフラの老朽化が進んでおり、インフラ点検業務に対する需要の増加が予想されている。壁の内部等の目視が不可能な部分には、未だに、ハンマーで壁面を叩いた時に発生する音で内部の状態を推定する打音検査が使われることが多い。しかし、異常音の聞き分けは経験ある熟練が必要であるが、熟練作業員の減少という問題点が存在し自動化が求められている。打音検査の対象は、橋梁や高層ビルなどのようなコンクリート構造物と、マンションや低層ビルのように装飾タイルを貼り付けたものがあるが、ここでは、需要が多い、タイル壁を対象とした。実験壁を作成してニューラルネットワークを利用して判定を行った結果、方式の有効性を示すことができた。
近年、スマートフォンに代表される高機能携帯端末の普及に伴い,大容量サービスの無線利用が一般化し、Wi-Fiアクセスポイント数が増加している。また、Wi-Fiに加えてローカル5Gの利用も注目されており、これらの共存によってより高品質な通信を実現したい。そこで、ユーザ分布、チャネルボンディングを考慮した他APとのチャネル干渉回避に加え、基地局からの距離といったローカル5Gも考慮したWi-Fiチャネル割り当てを行うことで、ネットーワーク全体として周波数効率を向上させる。
無線センサネットワークの通信はマルチホップである点,低速で十分である点,近距離通信である点,低消費電力性が求められる点からIEEE802.15.4及びZigBeeと相性が良い.
ZigBeeを用いた無線センサネットワークの評価環境としては,ネットワークシミュレータQualNetがあるが,高価である.一方,無償のネットワークシミュレータとしてns-3が広く利用されている.しかし,ではIEEE802.15.4のレイヤ1とレイヤ2がほとんど実装済みであるが,ZigBeeの機能についてレイヤ3レイヤ4共にまだ実装されていない.
そこで本研究では,ns-3にZigBeeの最新の仕様をもとに作成したネットワーク層のプロトコルを実装する.
本研究では無線マルチホップネットワークを実装して,都市型農業を支援を支援するアプリケーションの土台
となるプラットフォームを開発する.
BS-7. インターネットアーキテクチャ若手ポスターセッション
(インターネットアーキテクチャ研専)
3月10日 9:30〜11:45 4号館 4202教室 座長 野林大起(九工大)
BS-7-1 |
発電機能を備えたセンサーメッシュネットワークによるライフログシステムの検討
○HAOTING ZHANG・山本 寛(立命館大) |
BS-7-2 |
LiDARと可視光カメラのセンサフュージョンによる三次元空間共有システムの検討
○西垣茉奈・山本 寛(立命館大) |
BS-7-3 |
三次元LiDARを中心としたセンサフュージョンによる高齢者の行動推定システムの検討
◎嶋谷奎吾・山本 寛(立命館大) |
BS-7-4 |
機械学習とメタヒューリスティックの連携による車載イーサネット設計自動化システムの検討
◎森 泰浩・山本 寛(立命館大) |
BS-7-5 |
ブロックチェーンを活用した労働者の業務実施状況管理システムの検討
◎田中 塁・山本 寛(立命館大) |
BS-7-6 |
Design and Implementation of IPv6 Scan Detection System
◎△Liang Zhao(SOKENDAI)・Satoru Kobayashi(Okayama Univ.)・Kensuke Fukuda(NII) |
BS-7-7 |
マイクロサービス構成が障害原因診断精度に与える影響の評価
◎△花田浩紀・石橋圭介(国際基督教大) |
BS-7-8 |
ソーシャルメディア上のユーザによる情報拡散行動を考慮した ICN におけるコンテンツ配送のモデル化に関する一検討
○本田紘大(立命館大)・中村 遼(福岡大)・上山憲昭(立命館大) |
BS-7-9 |
NDNのFIBサイズ低減のためのコンテンツ配置ノード数に関する考察
◎橋本紘輝・上山憲昭(立命館大) |
生活習慣病は,国民医療費(一般診療医療費)の約3割や死亡理由の約5割を占めるなど,社会的にも大きな課題となっている.生活習慣病の予防には,毎日の運動量や喫煙所の利用回数など,ライフログの記録が有効とされている.これまでに,ライフログとして位置や行動(休息,歩行,上下移動)を推定するために,GPSや加速度センサが使用されている.しかし,ライフログとしては,頻繁な測位や行動認識は重要ではなく,利用者を長期的に観測できるように,利用者が身に付けるIoTデバイスの長寿命化が重要である.一方,バッテリーの代わりに周囲のエネルギー源(太陽光,風,熱,振動)から電力を供給するエネルギーハーベスティング技術の利用が注目されている.そこで本研究では,広範囲を対象としてライフログデータを長期的に取得するために,省電力かつ発電可能なセンシングの機能を備えた,人の着用を想定したセンサノードを研究開発する.また,センサノードの通信方式としてThreadを採用し,メッシュネットワークを構築するための制御アルゴリズムを検討する.
感染対策を 徹底した新たな生活様式への転換が求められている。しかし、国内ではICT 技術を活用したオンラインでのコ ミュニケーション手段が主流になったことで、コミュニケーションの希薄化が問題となっている。特に、一人暮らしの高齢者が遠方に住む家族とコミュニケーションを取るために、現実空間と同様の体験を提供できる対話技術の確立が求められる。そこで本研究では、現実世界の構造を三次元的に観測する装置を各家庭に設置し、観測した三次元空間の状態を遠方の家庭においてAR技術により再現することで、遠く離れた場所の居住者同士が、同居しているかのよう な体験を提供するシステムを研究開発する。
近年、日本では高齢化が急速に進み、65歳以上の高齢者が総人口の28.8%を占めている。これに伴い、高齢者施設の利用者数も増加しており、福祉現場における介護者不足が深刻な問題となっている。そのため、グループホームを対象として、遠方に住む家族に代わって高齢者の生活を見守るシステムが検討されている。カメラを用いた手法では、高精度に行動を推定することが可能となるが、居住者のプライバシーを侵害する可能性や居住者がシステムに対して抵抗感を持つことが懸念されている。そこで本研究では、対象物までの距離・位置・形状を取得可能な三次元LiDARを屋内に設置し、三次元LiDARから取得した三次元点群を機械学習技術により解析することで、居住者の行動を推定するシステムの検討を行う。
近年、自動運転技術の登場やモビリティビジネスへの取り組みの加速により、車両を制御する様々なコンピュータ(ECU)が相互に通信する車載ネットワークを流れるデータは多様化し、その総量は増加の一途を辿っている。そこで、車載ネットワークとして、高速通信が可能であるイーサネットの採用が検討されている。一方で、車載イーサネットでは特定のスイッチにパケットが滞留してボトルネックが引き起こされ、重要なデータがECUへリアルタイムに届かない状況が懸念されている。そこで本研究では、現在の車載イーサネットの構成や発生している通信の特徴をもとに、ボトルネックの発生を防ぐための適切なQoS制御の設定を自動的に導出する手法を提案する。
日本ではモデル就業規則の改定により、労働者は勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができるようになり、副業を認める企業が増加したが、副業の際に発生するトラブルについての対策は十分になされていない。主なトラブルとしては本業と副業における業務の実施状況や労働時間に関するものである。
本研究ではブロックチェーンを活用し、労働者の本業・ 副業の業務実施状況とそれぞれの労働時間を管理できるシステムを研究開発する。このシステムでは、労働者に対してブロックチェーン上で利用可能な非代替性トークンを発行し、トークンの所有者を出勤の状態に応じて更新することで、労働者の出退勤をブロックチェーン上に記録する。
As IPv6 adoption increases, IPv6 scan activities are becoming a serious threat to network security. In this paper, we design and implement a scan detection system that captures scan packets from potentially malicious IPv6 scanners. In this system, we allocated a dedicated IPv6 subnet as a honeynet to attract scan packets. The system not only analyzes and stores incoming scan packets, but also sends responses to the scanners in real time. In performance testing, we found that the memory was sufficient, but the CPU usage was the bottleneck for response throughput. By observing and analyzing scanner behavior patterns, we are able to gain insights into a more secure IPv6 network.
マイクロサービスは,ソフトウェアの機能をサービスと呼ばれる単位に分割することで開発性,スケール性を向上させるソフトウェア開発手法である.一方でサービス間の依存関係が複雑になることで性能異常時には根本原分析が困難となり得る.そのため自動根本原因分析(RCA)手法が提案されており,あらかじめ与えられたマイクロサービス構成に対して有効であることが示されている.しかし,与えられた構成以外のどのような構成に対してそれらRCA手法が有効なのかは十分に検証されていない.そこでマイクロサービスの構成として,サービス間通信の有無を表す論理トポロジに着目し,RCA手法の性能にもたらす影響を分析した.
我々はこれまで,ソーシャルメディアのためのコンテンツ配信基盤として,情報指向ネットワーク (ICN: Information-Centric Networking) を導入することを想定し,ソーシャルメディアにおけるユーザ間の交友関係を表すソーシャルネットワークの特徴と,ICN におけるコンテンツキャッシングとの相互作用を実験的および解析的に分析した.ただし,これまで我々が採用しているネットワークモデルでは,ソーシャルメディアで典型的に観測される情報拡散現象が表現されておらず,ソーシャルネットワークと ICN との相互作用に関する議論が限定的である.そこで,本稿では,ソーシャルメディアにおけるユーザ行動がコンテンツキャッシングに与える影響をより深く理解するために,ソーシャルメディア上のユーザによる情報拡散行動を表現した,ICN におけるコンテンツ配送モデルを構築する.
筆者らは,インターネットで広く用いられているCDN (content delivery network)をNDN(Named Data Networking)のオリジナル提供プラットフォームとして位置づけ,高人気Webオブジェクトを多く含むドメイン名のURLをネットワークの中心に配置することで,FIBサイズと平均リンク負荷の低減を同時に考慮するコンテンツ配置法を提案した.
本稿では,平均FIBサイズ,平均リンク負荷,リンク負荷の変動係数,コンテンツ可用性の4つの尺度を同時に考慮した,コンテンツ配置ノードの設計法を提案する.そして複数種類のトポロジを用いた数値評価により,トポロジや尺度の評価重みが,最適な配置ノード数に与える影響を明らかにする.