ソサイエティ特別企画
BK-1. 論文の書き方講座(セッションとしての予稿あり)
(編集会議幹事団)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月8日 9:40〜11:45 2号館 2201教室 座長 武田茂樹(茨城大)
講演時間:指定以外各30分
座長挨拶:5分
通信ソサイエティ和文論文誌の委員長が,これまでの事例も参考に,採録に向けてご留意頂きたい論文執筆のポイントをご説明いたします.
論文の最も基本となる目的は,読者に対し,論理的に積み上げていくことで,その論文の主張を導くことである.しかし,そのような論文を書くことは難しく,論文の書き方の上達にはある程度の時間と継続的な執筆指導の努力が必要である.通信ソサイティでは,論文の書き方を広く深く会員に浸透させるために,2009 年 3 月から大会に合わせて「論文の書き方講座」を開催してきた.参加者から継続的に開催することを希望する声を多く頂いたため,本大会でも「論文の書き方講座」を開催することにした.この講座が学生あるいは若手研究者の一助となれば幸いである.
休 憩(10分)
BK-1-3 |
回答文の書き方・レターの書き方
森野博章(芝浦工大) |
BK-1-4 |
通信ソサイエティの英文論文誌(EBおよびComEX)が IEEE Xplore にも掲載されます(20分)
山里敬也(名大) |
通信ソサイエティのレター誌であるComEXについて,1500ワード,図表3点以内という制約の中で査読者に論文の要点が伝わるための書き方を解説する.
ComEXの査読判定は採録と不採録のみであり,不採録時のコメントを反映させて修正再投稿する際の的確な回答文の書き方についても解説する.
通信ソサイエティの英文論文誌,IEICE Transactions on Com- munications(EB)及 び IEICE Communications Express(Co- mEX)は論文の公開サイトを現在の J-Stage から IEEE Xplore へ変更します.
EB については全てオープンアクセスでの公開になります.
この講演では,移行スケジュール,Information for Authors 及び掲載料の改定などについてご説明します.
BK-2. 自然災害に備えたIoT利活用と社会基盤インフラ運用
(情報通信マネジメント研専)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月7日 13:25〜16:30 3号館 3303教室 座長 吉原貴仁(KDDI)
講演時間:各30分
座長挨拶:5分
BK-2-1 |
レジリエントICTの展望
井上真杉(NICT) |
BK-2-2 |
IoTを活用した広島市立大学における防災の取り組み
○西 正博・小林 真・新 浩一(広島市立大) |
国内外でレジリエンスへの期待と必要性が高まってきている。レジリエンスの定義を振り返り、情報通信ネットワークにおけるレジリエンス研究の経過を考察し、レジリエントな情報通信ネットワークシステムの実現に向けて必要となる技術と研究開発、インシデントやレジリエンスの定義、評価基準や検査や認証の方法など、社会全体で取り組むべき必要性を述べる。後半はNICTのレジリエントICT研究センターで取り組んでいるタフ環境を対象とした無線通信技術やエッジクラウド技術、光ネットワークのレジリエンシー向上技術、レジリエント自然環境計測技術などの概要や自治体への導入事例、国際標準活動などを紹介する。
筆者らの研究グループでは赤外線カメラを用いた土砂災害モニタリングシステムを広島市内に現在8個所設置して運用し,地域住民へ土砂災害危険箇所のカメラ画像をリアルタイムに提供している.その他,920MHz帯電波を用いた新たな土壌水分量の推定方法の検討や山間地における電波伝搬特性の調査を実施している.また,より信頼性高く土砂災害に関するセンサデータを収集し地域住民へ情報配信するために,新たにVHF帯電波を用いた土砂災害センシング・情報配信ネットワークを提案している.本稿では,これまでの取り組みと提案するネットワークの実現に向けた検討課題を述べる.
休 憩(10分)
BK-2-3 |
AIとIoTで熟練技術を継承するこれからの防災・減災
松井 恭(応用地質) |
BK-2-4 |
ヘリコプター基地局の開発
北辻佳憲(KDDI) |
休 憩(10分)
パネルディスカッション(40分)15時50分から開始です。
表層崩壊等の自然災害に対する防災・減災分野において、AIによる危険箇所の抽出、LPWAとエッジコンピューティングによるセンサの稼働最適化、クラウドによるモニタリングとセンサリモート制御及び他の収集情報との組み合わせによる危険度判定等で構成される当社のハザードマッピングセンサソリューションを通じ、熟練技術のデジタル化取り組みをご紹介する。
昨今の気象変動や地震による自然災害は,社会基盤インフラの維持・運用に大きな影響を及ぼすようになった.土砂災害の捜索や,災害時の孤立地域,山岳遭難などでは,携帯電話のエリア外や移動体通信システムのサービス停止によって,救難・救助活動が難航することがある.衛星通信を携帯電話端末に利用する手段が開発されつつあるが,現在は,地上局を専用に設ける手段に留まり,車両で持ち運ぶ点で機動性に限界がある.将来,端末が直接衛星と通信することが期待されるが,技術標準の策定,端末の普及,通信速度の向上など,課題が多い.本発表では,自然災害に対するKDDIの対策を紹介し,ドローンやヘリコプターに基地局を搭載する飛行値基地局の研究開発を紹介する.
パネルセッション
BP-1. Beyond 5G/6G時代に向けた通信・AI・センシング融合技術の最新動向(セッションとしての予稿あり)
(無線通信システム研専)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月9日 13:00〜17:00 5号館 5251教室 座長 旦代智哉(東芝)
講演時間:各20分
座長挨拶:5分
BP-1-1 |
B5G/6Gへのハイプとインサイト
森川博之(東大) |
BP-1-2 |
自然災害被害軽減に向けたソニーの地球みまもりプラットフォームの活用
木村 学(ソニーセミコンダクタソリューションズ) |
BP-1-3 |
5G evolution and 6G powered by IOWN
中村武宏(NTTドコモ) |
6G登場までのこれからが正念場だ。キーワードは「業界連携」「ミリ波」「ゲームチェンジ」の3つだ。業界連携は、5Gの対象がすべての産業領域となるために起きる。領域ごとに要求が異なるため勝者総取りの世界にはならず、日本の強みを生かすことができる。6Gでのテラヘルツ波で主導権を握るためには、ミリ波を世界に先駆けて上手に使いこなし、安定的に通信を維持する技術を蓄積していかなければいけない。高周波向け電子部品は日本の独壇場である。ゲームチェンジは、オープン化とソフトウエア化と光技術による勢力図の激変が起こることだ。技術進化を信じ、先んじて船に乗り、新しい価値の創出につなげていくことができれば日本は元気になる。
Beyond 5G/6G時代に向けた通信・AI・センシング融合技術の最新動向
休 憩(15分) 座長 児島史秀(NICT)
BP-1-4 |
6G時代のネットワークとAIネイティブ無線インタフェース
柳橋達也(ノキアソリューションズアンドネットワークス) |
BP-1-5 |
B5G/6GとエッジAIで始めるCPS
阪口 啓(東工大) |
BP-1-6 |
Beyond 5/6Gの生態系
寳迫 巌(NICT) |
休 憩(15分)
座長 須山 聡(NTTドコモ)
パネル討論(85分)15時35分から開始です。
サイバーフィジカルシステム(CPS)は、超スマート社会(SSS)の根幹を成すシステムであり、少子高齢化や労働力不足などの社会課題を解決し、人類に新たな自由をもたらす技術として期待されている。ここでB5G/6Gは、CPSを成す5つのブロック、すなわちビッグデータ/AI、センサ、データベース、エッジコンピューティング、そしてアクチュエータ、を接続する重要な役割を果たす。特にB5G/6Gが持つ3つの特徴である、大容量、低遅延、同時多数接続を活かしてCPSのブロックを接続することで、フィジカル空間とサイバー空間をシンクロさせることが可能になる。本稿では、CPSの事始めとして、B5G/6GとエッジAIで何ができるか、またその延長線上にどの様な社会が生み出されるかを、筆者および超スマート社会推進コンソーシアムの近年の取組みを参考に紹介する。特に、映像などのリアルタイム処理はデバイス、オフライン処理はクラウドで行っている現状の5Gに対して、B5G/6Gの核と成るエッジAIを導入する効果を具体例を用いて示し、それによって新たに創出されるスマートショッピング、スマートナビゲーション、スマートモビリティなどの新たな世界を紹介する。
BP-1 - Beyond 5G/6G時代に向けた通信・AI・センシング融合技術の最新動向
チュートリアルセッション
BT-1. B5G/6Gに向けた先進技術
(無線通信システム研専)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月8日 9:00〜11:45 5号館 5251教室 座長 樋口健一(東京理科大)
講演時間:各25分
BT-1-1 |
マイクロ波を用いたヒトセンシング
本間尚樹(岩手大) |
BT-1-2 |
Split Computing: 通信を介した分散ニューラルネットワーク推論
西尾理志(東工大) |
BT-1-3 |
空間多重を導入したセルフリー/分散Massive MIMO ‐動的でスケーラブルなユーザ中心の仮想極小セルネットワークの実現‐
○安達文幸・高橋 領(東北大) |
本稿では,様々なヒトセンシング法の分類について述べ,ヘルスケア用途として注目されているレーダによる基礎的なバイタルサインセンシング法について解説する.特に,最も一般的に用いられている逆正接復調 (ATD: Arctangent Demodulatioin) についてその概念と問題点および実施例について紹介する.
本講演では、SC(Split Computing)について紹介する。SCは主にNN(Neural Network)を対象とした分散的な機械学習推論手法である。SCではNNを分割し端末とサーバで分散処理することで、計算処理の分散化や通信トラヒック削減、生データの秘匿を可能とする。本講演では、SCの概要と一般的なプロトコル、技術的課題と研究動向を紹介する。
5G高度化/6Gシステムの研究開発が活発に繰り広げられている.利用可能な無線帯域幅は限られているため,より広帯域の無線帯域幅が利用可能なミリ波帯やテラヘルツ帯の開拓と共にスペクトル利用効率の更なる向上のための技術開発が求められている.本稿では,ユーザの移動に合わせてユーザ中心の仮想極小セル(ユーザクラスタ)を動的形成するユーザクラスタ概念を導入した分散mMIMOについて紹介する.
休 憩(15分) 座長 牟田 修(九大)
BT-1-4 |
サブテラヘルツ帯MIMO空間多重技術
小川恭孝(北大) |
BT-1-5 |
New Radio Network TopologyにおけるReconfigurable Intelligent Surfaceへの期待と課題
○岩渕匡史・米田拓海・大宮 陸(NTT)・須山 聡・後藤健太・山田貴之(NTTドコモ)・小川智明・鷹取泰司(NTT) |
BT-1-6 |
B5G/6Gに向けたHAPS/NTNの進化
長手厚史(ソフトバンク) |
6Gではサブテラヘルツ帯を用いた100Gbps以上の超高速通信を実現することが求められている.この帯域での大きな伝搬損失を克服して超高速通信を可能とするため,多くのアンテナ素子から成る高利得アレーアンテナをサブアレーとしたハイブリッドMIMOシステムを用いることが現実的である.サブテラヘルツ帯のマルチパス数がミリ波帯に比べて,はるかに少ないことが報告されている.MIMOシステムが実現できる多重化数はマルチパス数を超えることはできない.このことから,MMO空間多重特性はマルチパス伝搬特性に強く依存していることがわかる.本稿では,サブテラヘルツ帯のマルチパス伝搬測定結果の概要を紹介した後,効率の良いMIMO空間多重を実現するサブアレーのビーム制御について述べる.
2030年代のネットワーク構想であるInnovative Optical and Wireless Network (IOWN)[1]が支えるネットワークである第6世代移動通信システム(6G)は,今後の通信システムとして重要な役割を担う.本稿では6Gの技術コンセプトの1つであるNew Radio Network Topology (NRNT)について概説し,近年注目されているReconfigurable Intelligent Surface (RIS)に関する著者らの取り組み,RISへの期待と課題について述べる.
デジタル技術を活用してあらゆる産業を変革し、人々の生活をより便利で豊かなものにすることを目指すデジタル・トランスフォーメーション(DX: Digital Transformation)が注目を集めている。DXの実現に向けてはインターネットへの接続が不可欠であり、世界中のあらゆるエリアをカバーする非地上系ネットワーク(NTN: Non-Terrestrial Networks)への期待が高まっている。本稿ではまず2章でNTNの概要を述べ、3章以降でその主要な構成要素となるGEO衛星、LEO衛星、HAPSの現状、および、さらなる進化に向けた取り組みの動向について解説する。
BT-2. 情報指向ネットワーク技術とその応用
(情報指向ネットワーク技術特別研専)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月8日 13:00〜15:03 2号館 2201教室 座長 武政淳二(阪大)
講演時間:各30分
座長挨拶:3分
BT-2-1 |
グリーン情報指向無線センサネットワーク実現のための高効率・省電力化に関する一検討
森 慎太郎(福岡大) |
BT-2-2 |
Web3時代における情報指向ネットワークの適用可能性
金井謙治(早大) |
BT-2-3 |
Management Automation of Distributed Networks for 6G
○Pedro Martinez-Julia・Ved P. Kafle・Hitoshi Asaeda(NICT) |
BT-2-4 |
国際会議ACM ICNにおける研究動向
○長谷川 亨・小泉佑揮・武政淳二(阪大) |
IoTアプリケーションの普及は将来のデバイスの爆発的な増大を招き、サステイナブル社会においては大きな懸念になり得る。情報指向ネットワークを無線センサネットワークに導入することにより、データ伝送距離の低減(キャッシング手法)、不必要なデータ伝送の削減(プル型ネットワーク設計)によるシステム全体の消費電力の削減に寄与できる余地がある。しかし、有線ネットワークを対象として設計されている情報指向ネットワーク技術をそのまま無線領域に適用させることは困難であり、解決するべき技術課題が残っている。本稿ではグリーン化を達成するために必要な消費電力削減技術に関して、筆者が対処した取り組みについて述べる。
本稿では、Web3時代における情報指向ネットワークの適用可能性として、著者の取り組み例を紹介する。具体的には、都市のデジタルツインにおいて重要となる3次元空間データを、情報指向ネットワークによって参加者間で分散的に実現するものである。
国際会議ACM ICN 2022における論文発表、キーノート、パネルを紹介することで、最新の情報指向ネットワーキングの研究動向を概観する。
NBT-1. 次世代ネットワークを支える数理モデルの展開
(複雑コミュニケーションサイエンス研専、情報ネットワーク研専 共催)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月8日 13:00〜17:00 3号館 3302教室 座長 中野秀洋(東京都市大)
講演時間:各35分
座長挨拶:5分
NBT-1-1 |
スパイク発振器ネットワークに基づく群知能アルゴリズムの基本性能
○佐々木智志(湘南工科大)・中野秀洋(東京都市大) |
NBT-1-2 |
リザバーコンピューティングとマルチスケールモデリング
田中剛平(東大) |
スパイク発振器ネットワーク群知能アルゴリズム(OSNNs)は,各粒子が簡素な構造のスパイク発振器から構成され,これらのスパイク発振器同士が相互作用することで最適化問題に対する最適解・準最適解を効率的に発見することが可能な決定論的な群知能アルゴリズムである.本稿では,OSNNsの基本的なアルゴリズムと,相互作用による同期現象の理論解析,およびその探索性能について紹介する.
リザバーコンピューティングは、動的システムをモデリングするための機械学習の枠組みの一つである。主に時系列データのパターン認識に用いられる。時系列入力はリザバーと呼ばれる非線形変換器で変換され、簡便なリードアウト機構によりモデル出力を与える。一般に学習計算はリードアウト部の回帰計算で行われるため、深層学習を用いるリカレントニューラルネットワークと比べて学習計算が高速であることが特長である。また、リザバー部を適応的に変更する必要がないため、非線形現象を示す様々な媒質を用いてハードウエア実装可能であるという利点がある。本発表では、リザバーコンピューティングの基礎と最近の進展について解説し、マルチスケール系の数理モデリングとの関連について議論する。
休 憩(10分)
NBT-1-3 |
生物ネットワークの相互作用はランダムか?
時田恵一郎(名大) |
NBT-1-4 |
グラフ生成モデルの発展と今後の展望 〜統計的生成モデルからDeep Graph Generatorsまで〜
渡部康平(長岡技科大) |
1970年代のGardnerとAshbyやMayの論文に遡る「種の多様性と生態系の複雑さは生態系ダイナミクスを安定化するのか否か」という論争は、「21世紀の生態学に残された問題」のひとつであるが、野外における生物群集の長期観測の困難から未だに決定的な実証研究がない。本発表では、論争の元となったシミュレーションと理論解析から始めて、我々が行ってきた統計力学的解析の結果を紹介し、マウス腸内細菌叢の個体群動態データから推定された種間相互作用行列の各要素が正規分布に従うこと、さらにその種間相互作用を用いたシミュレーションがカオスを示し、複雑で多様な生態系が安定に存続する実例になっていることを示す。
グラフ構造は極めて汎用に利用可能な基本的なデータ構造であり,現実世界における様々なものがグラフにより抽象表現可能である.グラフを人工的に生成する技術は,通信ネットワーク,ソーシャルネットワーク,交通網,データベース,分子工学,疫学など様々な分野においてアプリケーションがあり重要である.グラフの生成問題は歴史的には古くから研究されており,様々な生成モデルが提案されているが,共通するのは広大なグラフの空間から特定の特徴を備えたグラフをサンプリングする試みであるという点である.本稿では,統計的生成モデルからDeep Graph Generatorsまで代表的なグラフ生成モデルと我々が提案するGraphTuneを紹介しつつ,グラフ生成モデルの今後の展開について言及する.
休 憩(10分)
NBT-1-5 |
確率幾何アプローチによるUAVを用いたIoTデータ収集ネットワークの性能解析
木村達明(阪大) |
NBT-1-6 |
6Gシステムのモデリングの特徴と非線形信号処理による性能改善
岡本英二(名工大) |
今後より一層複雑化する無線ネットワークに対し,個々の通信路単位ではなく,ネットワーク全体の性能を理論的に解析するアプローチとして,確率幾何と呼ばれる数理手法が近年注目を集めている.確率幾何は,空間的な確率過程を用いて,空間上のランダムな現象のモデル化や解析を行う数理手法である.本稿では,無線通信の研究分野において1つの標準的なツールとなった確率幾何による通信性能解析を,UAVを用いたIoTデータ収集ネットワークを例として紹介する.
現在の商用第5世代移動通信システム(5G)は初版である3GPP Release 15規格に基づいているが,Rel. 16規格の商用普及もまもなく進むと予想されている.そして大容量化の通信規格・ユースケースだけでなく,超高信頼低遅延と多数同時接続の規格に沿ったサービスが身近に提供されるはずである.このような規格実現を支える無線通信の要求条件は多岐に渡っており, 5Gの通信性能は4Gの10~100倍の改善が行われている.この改善を支える主要な技術の一つが非線形信号処理であり,第6世代(6G)もこの延長線上での進化が行われている.そこで本稿では,5G・6Gにおけるシステムモデリングおよび非線形信号処理による性能改善の事例を紹介し,この観点からの今後の無線通信システムの動向を明らかにする.
BCT-1. 基礎から学ぶ光通信
(光通信システム研専、光ファイバ応用技術研専、光エレクトロニクス研専、レーザ・量子エレクトロニクス研専 共催)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月9日 13:00〜16:40 2号館 2302教室 座長 小田拓弥(フジクラ)
講演時間:各50分
現在の高度に発展した情報化社会を支える通信ネットワークの根幹を担っている光通信システムについて、その発展の流れに沿って、それを構成する基本的なシステム技術について解説する。音声や動画等の情報が、光通信システムによりどのように遠方に経済的に運ばれるのかについて、基本的な情報理論や誤り訂正を含む符号化復号技術、光変復調技術、多重化技術等、基礎的な内容を中心に解説する。
長距離・大容量な光ファイバネットワークを支える技術の2大要素である、光ファイバおよび光ファイバ増幅器について基礎から紹介する。
休 憩(20分)座長 小野英輝(OKI)
BCT-1-3 |
光アクティブデバイスの基礎
西山伸彦(東工大) |
BCT-1-4 |
パッシブデバイス(波長合分波,受信用光回路,スイッチなど)
北 智洋(早大) |
半導体レーザをはじめとする光デバイスおよび光集積回路の動作原理は、電子回路、特にトランジスタ等に比べてよく知られているとは言い難い。実は、光デバイス(特に半導体光デバイス)は、電磁気学、光学、半導体物性、電子デバイス、結晶化学等、非常に多岐にわたる学問の上に成り立っており、それをすべて理解することは難しい。しかしながら、必要最小限でも知るだけで、今後の研究開発にとっての礎となると信じ、本講演を行いたい。一概に光アクティブデバイスと言っても多岐にわたるため、講演では半導体レーザを中心にしながら、他のデバイスにも触れていく。
本講演では光導波路における光伝搬の原理について解説し、光集積回路の構成部品である干渉計や波長合分波器等のパッシブな光デバイスについて概観する。
依頼シンポジウム
BI-1. 宇宙活用の最新動向
(衛星通信研専)
3月9日 13:00〜15:20 2号館 2307教室 座長 加保貴奈(湘南工科大)
講演時間:各25分
BI-1-1 |
Free-Space Optics in B5G Non-Terrestrial Networks: Challenges, Technologies, and Applications
○Phuc V. Trinh・Alberto Carrasco-Casado・Dimitar R. Kolev・Yoshihiko Saito・Hiroyuki Tsuji・Morio Toyoshima(NICT) |
BI-1-2 |
NTN時代の新技術とビジネスの展望−多数のNTNノードによる多層的超カバレッジネットワーク−
○八木橋宏之・鈴木 淳・北之園 展(スカパーJSAT) |
BI-1-3 |
高高度航空機を用いたカバレッジ拡張無線通信システムに向けた38GHz帯電波伝搬測定
○深澤賢至・外園悠貴・室城勇人・小原日向・岸山祥久(NTTドコモ) |
In the development towards beyond 5G (B5G) networks, human activities will dramatically expand from the ground to air, space, and deep sea. To achieve ubiquitous communication coverage at a global scale, the integration of satellites and unmanned aerial vehicles for supporting the terrestrial infrastructures is foreseeable. As a result, a large-dimensional network integrating non-terrestrial and terrestrial networks, i.e. a multi-layer network, is needed to support various applications for human activities. In this paper, we highlight the important role of free-space optics in this multi-layer network and summarize the current challenges, available technologies, and potential applications in B5G non-terrestrial networks.
株式会社NTTドコモ 6G-IOWN推進部
担当課長
2005年 山梨大学工学研究科 修士課程修了
2005年 株式会社NTTドコモ入社。以来、主に3G、4Gの無線アクセスネットワークマネジメント、無線基地局装置のソフトウェア、ハードウェアの開発、海外パートナー企業との技術連携等に従事
2022年7月より現職
休 憩(15分) 座長 阿部順一(NTT)
BI-1-4 |
月面でのモバイル通信実現に向けた取り組み
○高橋 幹・新保宏之(KDDI総合研究所) |
BI-1-5 |
人工衛星を利用した科学観測用大気球追尾アンテナ指向誤差の較正
○山谷昌大・小財正義・齋藤芳隆・福家英之(JAXA) |
国内外の月面開発の動向を踏まえ,2035年頃から月面への入植が活発になるとみられる.月面での通信需要が増加し,用途が多様化すると,月面でもモバイル通信が可能な環境が求められる.月面でのモバイル通信を実現するには,地球から月面まで,End-to-Endの検討が必要になる.そこで,地球から月面までの通信アーキテクチャを構築するため,(1)地球から月の回線確保,(2)月面での通信確保,(3)月面での電波伝搬の把握に関する検討結果を紹介した.今後は,月面基地建設の時期などを考慮し,2028年頃からKDDIが月面で初期の通信サービスを提供するべく,他組織と連携して検討を進める.
大樹航空宇宙実験場の地上系受信アンテナは主系, 副系, 第三局の3台からなり, 主に気球のテレメト リ受信, 気球位置の計測の役割を担っている。 特に、測距から得た距離情報と、電界追尾によって得 たアンテナ指向方向から得られる気球の位置情報は, テレメトリの受信復調を必要としないため, 気球ゴンドラ搭載GPSを用いた測位のバックアップ手段として重要である。 GPS測位との比較をする ことで, 例えば主系アンテナは方位角方向に 0.4度程度の系統誤差を持つことが分かっている。 こ れは直線距離100 km の遠方に対しては 1 km 程度のずれとなり, GPSと比較して1桁∼2桁程測位精度 が劣っていることになる。 このようなアンテナ指向誤差は現行の気球実験運用上問題にはならないが, 長期的なアンテナ特性変化の把握, 将来の気球実験に向けたより高精度なアンテナ指向精度達成 という観点では, 指向誤差傾向の把握及びその較正手法を開発することが望ましい. 本講演では, 人工衛星を用いた指向誤差データの収集システム及び指向誤差較正手法の開発について報告する.
BI-2. 電磁波を効率的に制御する最新のEMC技術
(環境電磁工学研専)
3月9日 13:30〜16:30 3号館 3401教室 座長 森岡健浩(産総研)
講演時間:各30分
座長挨拶:10分
BI-2-1 |
256QAM-OFDM 変調ディジタル無線通信における多層・複合材料の電磁波遮蔽のシステムシミュレーション
○知念幸勇(GLEX)・金城伊智子(沖縄高専) |
BI-2-2 |
VHF帯電波環境におけるノイズと湿度との関係
◎小林 真・新 浩一・西 正博(広島市立大) |
256QAM-OFDM 変調ディジタル信号の送受信において,送受信アンテナ間に置いた多層構造・複 合材料による受信電力(Pwr ),エラー・ベクトル変調 振幅(EVM)への影響を評価し,Pwr とEVM の関係において,受信信号の復調ができないレベルとなるEVM 閾値電力を観測したが,EVM 閾値電力は,電磁波遮 蔽率,受信器のデータ識別・再生の最小受信電力および送信信号の変調方式により決まり,これまで線形性のシ ステムシミュレーションではこのEVM 閾値電力を表すことができなかった. 今回,雑音源を受信器側に設置し,EVM 閾値電力前後の EVM の変化を異なるシステムモデルで扱うことで,システムシミュレーションが可能となった.
VHF帯周波数は広く放送などで用いられている.特に,災害時には重要な情報伝達手段の一つとして利用されていることから,ノイズの大きさ等の電波環境を把握することが重要である.本研究では,湿度(相対湿度)変化とVHF帯ノイズの増減の関係を明らかにするために,VHF帯ノイズと湿度を含む気象現象との関係を調査した.2015年から2019年までの観測結果から,湿度40\%以下のときに,湿度の低下にしたがってVHF帯ノイズが急激に上昇することがわかった.さらに,VHF帯ノイズと湿度の関係を表す式を導出した.
休 憩(10分)
BI-2-3 |
電磁波制御材としての電波吸収体・透過材
山本真一郎(兵庫県立大) |
BI-2-4 |
オープンサイトにおける空間定在波法を用いた電波吸収壁のVHF帯の反射特性評価法の検討
○荒井篤志・佐藤 稔・原田高志(トーキンEMCエンジニアリング) |
BI-2-5 |
リバブレーションチャンバーの電磁界制御に向けたモデリング法
◎谷口晃大・青柳貴洋(東工大) |
総合討論(10分)16時20分から開始です。
近年,電磁波発生源を含む電子機器類が身の周りに数多く普及し,かつ動作周波数はミリ波を含む高周波まで広帯域化してきている.今後将来に渡ってこの傾向は続き,電磁環境問題はさらに複雑さを増すと見られる.電波吸収体,電磁遮へい材は,電磁環境を整備する必須デバイスとして使用されている.筆者らはこれらに透過材を加え,電磁波の吸収,遮へい,透過の各技術を含むという観点から電磁波制御材として捉えれば,複雑化する電磁環境問題に対してより幅広く対応できると考えている.電波吸収体,電磁遮へい材,透過材をまとめるためには,これらに共通する基礎的構成法や材料などを整理しておく必要がある.本報告では主に,電波吸収体,透過材に着目し,基本的な構成法,材料及び現状などを説明し,これらに共通の取り扱い手法や材料について述べる.
電波吸収壁の反射特性は電波暗室を設計する上で最も重要なパラメータである。波長が数mにおよぶVHF帯における電波吸収体の測定は通常、同軸導波管などTEMモードの電波を伝搬する導波路が用いられる。しかしながら、この手法は垂直入射に限られ、また、電波吸収体単体での評価のため、吸収体を配列した壁面の特性を直接把握することはできない。一方、空間定在波法は入射波と反射波の作る定在波の分布を直接測定するため、暗室施工後に近い状態での壁面反射の測定が可能である。本報告では、被測定壁面以外からの反射波の影響を受けないオープンサイトにおいて同手法による測定を試みたので紹介する
リバブレーションチャンバーは、電磁両立性 (EMC) 試験やアンテナ測定などに使用されている測定室であり、機械的スターラーなどを用いて電磁界を撹拌することで、ワーキングボリューム内に統計的に均一な電磁界を発生することができる。しかし、チャンバーとスターラーの影響が相互に依存するため、それぞれ単独での評価が難しく、設計法が確立されていない。そこで著者らは、スターラーの単独での評価とRC 内部の電磁界解析を両立し、スターラーとチャンバーを分離した設計を可能にするため、スターラーを反射特性行列で電磁的に特性化するDe-embedding モデリングを提案している。本報告では、反射特性行列に数値計算が必要な場合について、楕円体導体をスターラーとした問題から検討した。
BI-3. レジリエントな社会を実現するネットワーク技術
(ネットワークシステム研専)
3月10日 13:30〜15:13 4号館 4201教室 座長 前川智則(東芝)
講演時間:各20分
座長挨拶:3分
BI-3-1 |
時空間的な情報価値の保存に向けたローカル差分プライバシにおける動的な保護強度制御
○笹田大翔・妙中雄三・門林雄基(奈良先端大) |
BI-3-2 |
ネットワーク技術を応用したUAV分散管理手法
◎原口隆彦(芝浦工大)・片田寛志(早大)・山崎 託・三好 匠(芝浦工大)・山本 嶺(電通大)・上田清志(日大) |
BI-3-3 |
再生可能エネルギー活用を可能とするためのサーバクラスタ構成および制御方式の検討
○深谷健太・福田晴元・金子雅志(NTT) |
BI-3-4 |
FPGAを用いた移動固定融合VPNゲートウェイの実装と評価
◎宮本克真・高橋琴美・加納浩輝・河野伸也(NTT) |
BI-3-5 |
ファシリティ制御サービス向けWebAPIによるサービス間連携
○佐古田健志・前川智則(東芝) |
物理空間での人の行動分析や都市設計など多様な用途で価値が高い時空間データは,個人のセンシティブ情報を含むため収集によるプライバシ漏洩が深刻な問題となる.データ収集過程のプライバシ保護として,各個人の端末でデータに雑音を加えてプライバシ保護した後,データストアへ送信するローカル差分プライバシ(LDP)が注目されている.しかし,LDPで収集したデータは本来データに含まれていた空間的・時間的な特性を保持することができない.これは,端末が一定のプライバシ保護強度に基づいてデータ全体が識別不可となるように雑音を印加し,時間・空間的な特徴も同時に除去してしまうためである.そこで本研究は,LDP適用後も空間的・時間的特性を維持したままプライバシ保護を行う手法を提案する. 本手法は,一様な保護強度の代わりに,類似する位置情報を持つ端末集団ごとに保護強度を調整して保護する.これによって,集団内のデータは識別不可能な一方,その集団が辿った空間的な軌跡情報や経路を通過した時間的情報を残したまま収集できる.評価実験により,提案方式は時空間データ提供者のプライバシ保護を維持したまま,一定の情報価値を維持することが示された.
配送サービスやセンシングなどの様々な場面で,無人航空機(UAV: Unmanned aerial vehicle)の利用が期待されている.将来,個人や事業者などに依らずUAVを活用したサービスが混在する環境では,各UAVを管制するシステムが必要となる.これに対し,多数のUAVを管制するシステムが提案されているものの,個人を含む様々な利用者によるシステムへ参加は難しいと考えられる.本稿では,様々な利用者が混在する高密度なUAV環境に対応可能な,地上に設置したビーコン装置群から構成されるネットワークを用いて自律飛行するUAVを制御する,ネットワーク技術を応用したUAVの分散管理手法を提案している.
本研究では、DC における再エネ活用効率の向上を目的とし、電力供給が不安定な状況下でも動作可能な小型サーバによる GPU クラスタを提案する。本論文では、小型サーバクラスタにおけるworkerノードシーケンスに対し、正しいタイミングで起動・停止が発生するよう改良を行った。評価の結果、待機電力が改善することが示された。
移動固定融合を実現するVPNゲートウェイについて,FPGAを用いた構成を検討し実装・評価を行った.その結果,VPNのパケットをFPGA上でInline処理しCPUを介さずに外部に出力する構成を取ることで高い性能が得られることを確認したので,その内容を報告する.
近年の異常気象や大規模地震の頻発により,ビル等の大型建物では災害が発生した際に被害を抑制する,あるいは被災した設備等を速やかに回復させることが求められている.我々はファシリティ制御サービスに着目し,インターネットを介した通信方法としてデファクトとなっているWeb APIを用いた連携機能を活用した,遠隔地からのビル等のファシリティ機器の保守管理を可能とする技術について研究している.本稿では,ファシリティ機器の遠隔監視制御を可能にするためのファシリティ機器とクラウドをつなげることを目的としたRESTfulなWeb APIの設計,およびRESTfulなWeb API提供機能を搭載したファシリティ機器連携コントローラのシステム設計について述べる.
BI-4. 仮想空間を支えるネットワークおよび非集中型コンピューティング技術
(情報ネットワーク研専)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月7日 13:00〜15:50 4号館 4205教室 座長 村中延之(日立)
講演時間:各30分
座長挨拶:5分
BI-4-1 |
非集中型コンピューティング技術を提供する省電力データセンターネットワークアーキテクチャ
○村上正樹・岡本 聡・山中直明(慶大) |
BI-4-2 |
進化適応性を有するネットワーク化情報処理基盤
○荒川伸一・高木詩織・村田正幸(阪大) |
BI-4-3 |
連合機械学習による非集中型機械学習
西尾理志(東工大) |
近年,クラウドサービスの拡大に伴うData Center (DC)利用の拡張などにより,DCの消費電力の急増が予期されている.2030年のDCの消費電力は2010年に比べ約10倍になる見込みである.
また,近年注目されている非集中型コンピューティング技術の1つとしてマイクロデータセンターが存在する.マイクロデータセンターはデータセンターに必要な機器を凝縮した小規模のデータセンターである.遅延や負荷分散の観点から注目されているエッジコンピューティング技術としてマイクロデータセンターの活用は期待されている.
本論文では小規模データセンターネットワーク向け省電力ネットワークHOLSTのアーキテクチャとトラヒック制御の概要について述べる.
サービスコンポーネントを連携させ、新たなサービスを創発する分散指向のネットワーク化情報処理基盤の構築が期待される。そのためにはコストを抑えながら未知のサービスを収容する能力を維持していくことが重要である。我々は、効率性を有し変化が少ないコアノードと環境変化を吸収するペリフェリノードによってシステムを構成するコアペリフェリー構造に着目してネットワーク化情報処理基盤の構築に取り組んでいる。本発表では、ネットワーク化情報処理基盤の規模に応じてAPIを追加し適正規模のコアを確保する手法を述べ、コストを抑制しながら情報処理基盤を進化発展させる進化適応性に関する数値評価結果を示す。
本講演では、連合機械学習(FL: Federated Learning)について紹介する。FLは非集中的な機械学習を実現する新たな学習手法であり、その特徴は複数の端末に分散するデータを集約・共有することなく、モデル訓練できることにある。そのため、データ漏洩リスクが集中型と比べ低く、医療・ヘルスケアや金融などプライバシ情報や機密情報が含まれるデータを機械学習に活用する障壁が低い。本講演では、FLの技術的背景、代表的アルゴリズムであるFedAvg (Federated Averaging)、技術的課題と研究動向を紹介する。
休 憩(15分) 座長 李 睿棟(金沢大)
BI-4-4 |
メタバースによる現場遠隔作業支援システム
○大木佑哉・沼田崇志・三谷佳一・田島和幸・中村悠介・池田直仁・嶋田堅一(日立) |
BI-4-5 |
メタバースの現状と未来
西村昭治(早大) |
現代社会は,少子高齢化を主因とする労働人口の減少,COVID-19の世界的な流行による移動制限といった様々な社会課題が深刻化している.
こうした状況で,IT技術の発達とその活用による現場作業支援が推進されている.特に近年は,現実空間と仮想空間のインタラクションにより業務を支援する取り組みが進められており,特にXR(eXtended Reality)に関する技術開発が進められている.従来のXRを用いた作業支援に関する研究では,遠隔地にいる熟練者と現場の作業員が視野を共有し,狭い範囲のスペースで実施する単純な作業(パズルの組立等)に対する支援を対象としていることが多い[3]-[5].そのため,観察および指示を出す際の視点の大幅な変更が考慮されておらず,広大な作業現場への適用が難しい.
本発表では,装置が巨大で作業スペースが多面的な環境や,口頭では説明困難である巧緻な動作を要する作業への適用をめざし,遠隔地から自由視点観察と手指動作伝達が可能な遠隔作業支援システムについて述べる.
メタバースは人間が創造する仮想空間上の世界であるのであれば、手始めには自分たち人間が暮らす現実世界をモデルとして構築されるものとなるであろう。そこには、人間が暮らす環境としての地圏、水圏、気圏、生物圏があり、人間社会を含む人間圏が存在するであろう。現在メタバースはアバターによる人間同士のコミュニケーションチャンネルとして注目されているが、世界は人間圏だけで構築されている訳ではないので、他の圏についても考慮する必要がある。人間と様々なメタバース上の環境との関わりについてはHuman Computer Interaction(HCI)、他生物との関わりについては人工生命(Artificial Life)の研究が重要になる。このような認識のもと、メタバースの現状と未来を論じる。
BI-5. 極限環境コミュニケーション 〜 こんなところに通信技術!?(セッションとしての予稿あり)
(コミュニケーションシステム研専、コミュニケーションクオリティ研専、スマート無線研専、センサネットワークとモバイルインテリジェンス研専 共催)
3月8日 13:00〜16:40 2号館 2306教室 座長 亀田 卓(広島大)
講演時間:各40分
開会挨拶(5分):梅原大祐(京都工繊大)
BI-5-1 |
先端医療分野における人体内外通信
伊藤公一(千葉大) |
BI-5-2 |
屋外・非電化エリアに通信を提供する光給電ONU
○桂井宏明・深田陽一・宮武 遼・名越 遥・関口真良・吉田智暁(NTT) |
近年,高精細画像伝送を目的としたワイヤレスカプセル内視鏡の研究開発が盛んである.また,臓器移植の分野では,移植直後の臓器に関するワイヤレスモニタリングが関心を集めている.さらに,診断と治療をほぼ同時に行うtheranosticsについても研究が進んでいる.一方,人体内には多くの異なる組織や臓器が存在し,状況によっては体動および血流も考慮する必要がある.加えて,様々な人体安全性を担保することも必須である.これらのことから,人体内外通信は一つの極限環境通信とも言え,使用する小形アンテナ等の設計開発,高信頼性の確保,さらには評価方法などにも多くの課題が残されている.ここでは,先端医療分野における幾つかの具体例を紹介するとともに,それらの問題点および今後の動向等について概説する.
屋外等、電源を確保することや、遠距離無線通信が困難な環境に光通信を提供する手段として、光給電で動作するONUを提案する。光給電は光ファイバを介して受光したレーザ光を電力に変換、利用する技術である。同じく光ファイバを介する光通信と親和性が高いと考えられる一方、供給可能な電力に制限がある。また屋外・非電化エリアで必要となる通信として例えばIoT端末の利用を考えると、必ずしも常時接続の通信を提供する必要はない。そこで極低消費電力なスリープ動作と通信時のアクティブ動作を切り替え、通信時の消費電力に比べて小さな供給電力で動作させることで、光給電ONUを実現する。光給電装置、省電力トランシーバ、スリープ動作対応FPGA基板を組み合わせることで、上記動作を実機で確認したので、その結果について報告する。
休 憩(10分) 座長 大和田泰伯(NICT)
BI-5-3 |
宇宙情報通信エネルギー伝送技術による宇宙機内センサ通信電力伝送
川崎繁男(スペース&モバイルワイヤレステクノロジー) |
BI-5-4 |
水中光無線通信装置による海中通信
冨阪正裕(島津製作所) |
BI-5-5 |
極限環境化での動作が可能な酸化ガリウムデバイス
○上村崇史・東脇正高(NICT) |
閉会挨拶(5分):岡本 淳(NTT)
情報通信における無線技術の発展は、携帯電話やワイヤレスセンサの進化に大きく寄与している。これらに加え、近年は再生可能エネルギーによる電力発生・伝送の手段の一つとして、電力を無線で送るワイヤレス給電が注目されている。本講演では、エネルギー伝送・エナジーハーベスティングの一つとして、マイクロ波による無線電力伝送を情報通信と融合(WiCoPT)させたワイヤレスセンサシステムを紹介する。さらにこの技術を宇宙機に適用した宇宙情報通信エネルギー伝送技術(Space ICET:Space Information, Communication and Energy Transfer Technology)の例を示す。
従来、海中構造物の点検や海中工事をはじめとする海洋開発分野において海中のデータを取得する方法として、ダイ
バーによる潜水作業、水中ロボット(ROV)による有線通信、音響通信による無線通信といった手段が用いられてきた。
しかし、これらの手段ではそれぞれ潜水作業時間の制約、有線ケーブルによる作業空間の制約、データ通信量の制約
といった課題がある。
そのような背景から(株)島津製作所では、2016年~2017年のJAMSTECとの共同研究等を経て、水中ロボットのケ
ーブルレス化、海中での大容量のデータ取得を行うことができる可視光を使用した水中光無線装置の開発を行ってき
た。本投稿では(株)島津製作所で開発した水中光無線通信装置及び本装置を用いて行った長崎県沖の実海域実証試験
の結果と今後の開発の展望について紹介する。
酸化ガリウムは, およそ 4.5 eVの大きなバンドギャップを持つ酸化物半導体材料で, 比較的安価に基板が作製可能であることもあり, パワーデバイス材料として最適な材料の一つである。一方で, その材料物性から, 放射線, 機械的ストレスにも高い耐性を持つことが予想される。さらには, 大きなバンドギャップを有することから数百度の高温での安定したデバイス動作も期待でき, 酸化物であるため化学的にも安定である。このように, 酸化ガリウムの特性は, パワーデバイス用途だけでなく, 極限環境でも活きてくる。本講演では, 酸化ガリウムの材料物性, デバイスの高温動作, 放射線耐性, 極限環境でのIoT実現を見据えた高周波デバイスについて紹介する。
BI-6. 空間共有コミュニケーションを実現する技術動向 ~豊かなコミュニケーションの実現~
(コミュニケーションクオリティ研専)
3月7日 13:00〜16:50 2号館 2305教室 座長 岡本 淳(NTT)
講演時間:各35分
座長挨拶:5分
BI-6-1 |
メタコミュニケーション~五感や非言語も含めた新たなコミュニケーション~
五十嵐智生(Ridgelinez) |
BI-6-2 |
近接チャットとHMD VRによるメタバースの違い
長谷川晶一(東工大) |
BI-6-3 |
メタバースは教育をどう変えるか
矢野浩二朗(阪工大) |
本発表では、Web3とRidgelinezが提唱するメタコミュニケーション®構想に関して発表を行う。現在主流のWeb2では、グローバルなプラットフォームを持つ事業者がインターネットで独占的なポジションを確立しているが、Web3では分散型のオンラインエコシステムにより、プラットフォーマーに依存せず、情報の保有や発信が個として可能になるとされている。Web3では、新しいコミュニケーションとしてメタバースが活用されることが予想されており、現実空間とシームレスにつながった仮想現実によるコミュニケーションの可能性が期待されている。
Ridgelinezは、メタバースにおける現実世界とバーチャル空間の折り重なる空間で行われる「メタコミュニケーション®」に着目しており、五感や非言語も含めた新たなコミュニケーションとしてどのような効果や期待が出来るのかを説明する。
本発表では、まず、オンラインのポスターセッション、懇親会、ミーティングを目的に開発した近接チャット(Proximity Chat=平面マップを持ち音声の距離減衰機能を持つビデオチャット)であるBinaural Meetの開発の背景、設計、機能を紹介する。次にその開発と利用を繰り返しつつ、メタバース(主にVR Chat)でのコミュニケーションと比べることで気づいたことを、会話分析、相互作用実践の研究を参照しつつ説明し、メタバースでのコミュニケーションの豊かさとその分析への期待を記す。
メタバースは、教員と学習者に高度にインタラクティブな没入型の仮想学習体験を提供することで、教育に大きな変化をもたらすポテンシャルがある。バーチャル リアリティ(VR)、拡張現実(AR)、およびバーチャル空間を活用することで、教員は学生にリアルタイムでフィードバックが得られる実践的な学習体験を提供することが実現可能になる。 仮想実験室、シミュレーションなど、従来の教室では利用できない学習リソースが、メタバースを介してアクセス可能になるだろう。またメタバースは、コラボレーションの新たな機会を生み出し、学習者が日本中、世界中のさまざまな場所の人々を共に学ぶことを可能にする。更に、メタバースがジェネレーティブAIと結びつくことで、小学校から大学まで、多岐にわたるカリキュラムに活用できるバーチャル空間を、教材として提供可能になることが期待される。本講演では、メタバースの基礎概念から教育分野での具体的な活用方法まで、筆者の教育実践を踏まえながら議論したい。
休 憩(15分) 座長 恵木則次(NTT)
BI-6-4 |
非言語情報が拓く人間性豊かなコミュニケーション
北村喜文(東北大) |
BI-6-5 |
相互尊重を支援するWeb会議ツールの研究開発 ―多様性尊重社会を目指して―
○西條涼平・中根 愛・戸嶋巌樹・松尾翔平(NTT) |
BI-6-6 |
音の空間共有と空中操作
羽田陽一(電通大) |
日常の対人コミュニケーションで重要な役割を担っている「非言語情報」のやりとりが,遠隔コミュニケーションを人間性豊かなものにするためにも不可欠である.最近注目されつつあるメタバース等,サイバー空間を活用する遠隔コミュニケーションシステムも,今後,さらなる利用拡大が期待されているが,そこでの人間性豊かなコミュニケーションを実現するためには,克服すべき課題は多い.そこで,東北大学 電気通信研究所では,こうした課題に学際融合による研究開発で取り組む新しい研究プロジェクトを立ち上げる.
本講演では,非言語情報の役割と,それを適切に送受信することによる人間性豊かな遠隔コミュニケーションの未来について議論し,新しい研究プロジェクトについても紹介する.
伝達したい気持ちそのものを伝えることを可能にする感性コミュニケーション技術の取り組みでは,互いの感じ方/捉え方の違いを相互尊重して活躍できる世界の実現を目指している.この一環として,発達障がい者を含む様々な障がい者が就労しているNTTクラルティ株式会社と共同で曖昧な表現に起因するミスコミュニケーションを抑制するコミュニケーション支援技術の研究に取り組んでいる.曖昧な表現には,発言者の意図など(一種の感性)が隠れており,それが伝わらないことがミスコミュニケーションにつながる.本稿ではこの課題への取り組みとして,曖昧な表現を会話内容から検知し,会話中に補足を促すWeb会議ツールの研究開発について紹介する.
近年,ネットワークを介した人同士のコミュニケーションは,電話や遠隔会議といった旧来からあるサービスからメタバースまで形態が多様化している。このようなサービスにおいては,対面でのコミュニケーションを仮想的に再現することが重要である一方,新たな付加価値も期待されている。本稿では,特に音の高臨場感通信を目指す場合に必要となる音場の空間共有や音の操作方法とその課題について概説する。
BI-7. 光ネットワーク分野の観点から5Gの普及を考える
(フォトニックネットワーク研専)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月8日 13:00〜16:30 2号館 2303教室 座長 光野正志(日立)
講演時間:指定以外各40分
座長挨拶:10分
BI-7-1 |
ポスト5Gに向けた開発状況と事例紹介 - ポスト5G半導体チップに向けて
池田博樹(エイビット) |
BI-7-2 |
次世代スマート工場を実現するローカル5G技術の検討
○眞下大輔・大沼晃浩・大石裕司・石野正典・光野正志・高瀬誠由(日立) |
産業用途向けのローカル5Gの開発を通じて培った技術を活かし、現在ポスト5Gの開発に挑戦している。
本稿では、ローカル5Gのアプリケーションの事例紹介と課題を説明し、ポスト5Gに向けた開発状況について紹介する。特にポスト5G向け半導体チップの開発状況について紹介する。
COVID19による市場変化,ニーズ多様化,労働人口減少といった課題の顕在化により,モノづくりノウハウのデジタル化や製造ラインのフレキシブル化への期待が高い製造現場において,ローカル5Gの導入による次世代スマート工場の実現に向けた動きが加速している。とりわけ,製品に応じて製造手順や製造ラインを柔軟に変更するフレキシブル製造の実現には,製造現場の無線化が極めて重要である。本報告では,ローカル5Gの導入による次世代スマート工場の実現に向けたネットワークアーキテクチャの検討について報告する。また工場ユースケース実現に向けた,既設NWとの相互接続技術,ネットワークスライス技術,通信高信頼化技術を紹介する。さらに開発技術を活用した組立作業支援システムを紹介する。
休 憩(20分) 座長 橘 拓至(福井大)
BI-7-3 |
アプリケーションから見た5G、光ネットワークへの期待
宮坂拓也(KDDI総合研究所) |
BI-7-4 |
5Gを支える性能評価技術(30分)
中村彰宏(Spirent Communications Japan) |
BI-7-5 |
5G高度化とBeyond 5G時代の性能評価手法の方向性(30分)
山路洋史(東陽テクニカ) |
本発表では、5Gを用いたアプリケーションに関する紹介を行う。5Gの普及により、AR/VRや自動運転/遠隔運転といった新たなアプリケーションの登場が期待されており、一部のアプリケーションに関しては実証試験の実施も盛んにおこなわれている状況である。そのようなアプリケーションの例を紹介し、アプリケーションから見た5Gへの期待、5Gを支える光ネットワークへの期待に関して整理する。
5Gモバイルサービスを見据えた開発検証を支えるツール提供者として2018年から携わってきました。 4G時代と比べて5G検証で新たに取り入れられたポイントや各社が苦労したポイント、そしてそれらをどの様に克服してきたのか、性能評価の立場で見てきた遷移を共有させていただきます。 その後、ローカル5GやO-RANが登場し、新たな切り口での検証ニーズが生まれました。現在の商用フェーズでは低遅延やスライスなど5Gの特長が活かされているかどうかを確認する必要があります。そのために必要な【監視】にも取り組んでおり、その事例をご紹介いたします。
今後の5Gのさらなる高度化と2030年代を見据えたBeyond 5Gの実現には、多くの新たな技術的チャレンジが求められる。このチャレンジを克服するために、研究開発フェーズ及びサービスインフェーズで必要な性能評価手法の進化の方向性について述べる。
BI-8. Smart BANのための短距離無線通信技術
(短距離無線通信研専、ヘルスケア・医療情報通信技術研専 共催)
3月7日 13:00〜16:15 3号館 3403教室 座長 齋藤健太郎(東京電機大)
講演時間:各25分
BI-8-1 |
身体表面分散型システムのための柔軟二次元伝送路上の給電と通信
野田聡人(高知工科大) |
BI-8-2 |
機能性素材hitoeを用いたウェアラブルシステム
都甲浩芳(NTT) |
BI-8-3 |
近距離無線技術を元にしたイノベーション活動
川本康貴(OKI) |
本講演では,導電性の繊維素材で構成した衣服などを二次元的な伝送路として用いることで,個別の配線を不要としながら身体表面に分散する多数の電子回路モジュールをネットワーク化する技術の現状と将来展望を紹介する.本手法では,二次元伝送路への接触導通により直流を含む広帯域な信号伝送が可能であり,分散する各回路モジュールはバッテリレス化・アンテナレス化が可能である.きわめて小規模な単機能の回路を,大面積に多数分散させることによる新たなウェアラブルシステムへの応用が期待される.
グローバル化の進展や製品の高度化、ユーザ要求の超多様化により、ある技術だけで新しい価値を創造し,世の中へ提供することが難しくなってきた。本講演では弊社の強みである920MHz帯域を使った移動対応無線通信プロトコルスタックの開発および,それを強みとした事業開発のためのイノベーション活動について述べる.
休 憩(10分) 座長 安在大祐(名工大)
BI-8-4 |
超過密環境においても適応可能なミリ波帯WBAN
○亀田 卓(広島大)・秋元浩平(秋田県立大)・末松憲治(東北大) |
BI-8-5 |
ヘルスケアIoTとBANの国際標準化動向
田中宏和(広島市立大) |
休 憩(10分)
座長 齋藤健太郎(東京電機大)
パネル討論(50分)15時25分から開始です。
近年のInternet of things(IoT)デバイスの普及により,体表周囲に無線端末を配置するワイヤレスボディエリアネットワーク(WBAN)が注目されている.今後のWBANの普及に伴い,WBAN間干渉が問題になると考えられる.例えば満員電車内のように複数のWBANユーザが狭空間に密集している混雑環境においては,隣接するWBAN間の干渉が頻繁に発生し,特に混雑環境においても電波が伝搬しやすい920 MHz帯や2.4 GHz帯などのマイクロ波帯WBANでは深刻な問題である.この問題に対する解決策として,ミリ波帯(60 GHz帯)の人体遮蔽による干渉電力減衰効果を利用したWBANが有効であると考えられる.我々はこれまで人体遮蔽を考慮した60 GHz帯WBANのWBAN内伝搬特性およびWBAN間干渉について検討を行ってきた.本発表ではミリ波帯WBANのユーザ密集環境における干渉抑制効果の検討内容について紹介する.
本稿ではヘルスケアIoTに関する国際標準化として,活発に議論が進められている国際電気標準会議(IEC)の国際標準化動向について述べる.そしてヘルスケアIoTシステムを実現する上での必須技術であり,シームレスなデータ収集技術の1つであるSmart Body Area Network(SmartBAN)の技術・標準化動向について述べる.
BI-9. 最新のIT技術を活用したネットワーク運用の技術動向(セッションとしての予稿あり)
(ネットワーク仮想化特別研専)
3月7日 13:00〜16:15 4号館 4107教室 座長 下西英之(阪大)
講演時間:各40分
座長挨拶:5分
BI-9-1 |
Beyond 5Gネットワークの運用課題とAutonomous Networksへの取り組み
渡邉正弘(NEC) |
BI-9-2 |
The Intent Aspect in Autonomous Networks
田山健一(NTT) |
Beyond 5Gにおいては基地局や固定ネットワークのアクセス網、コア網において仮想化やエッジデータセンタ技術が十分に普及しており、仮想リソースが数千(日本国内に1,000~10,000程度)箇所の小規模データセンタに地理的・ネットワーク的に分散配置されることとなり、その構成や配置を時間的・空間的・消費電力量的・ネットワーク性能的に最適化することが重要となる。その最適化にかかる変動パラメータとしては膨大な変数の考慮が必要であり、配置設計を必要とされる時間以内に人手で完了させることは計算量の観点から困難であるため、ネットワーク自身が自律的に構成を変化させることが課題となる。
本研究では、無線リソース・数千のデータセンタのコンピューティングリソース・ハードウェアの自律的制御による設備/電源最適化による省電力化・高性能化の実現、及び設備の構築から保全にわたる業務全体の自律化による安心・安全なネットワークサービスの提供の実現を目指す。
ネットワークサービスの提供における、お客様満足度向上、OPEX削減、更にはネットワークの自律運用に向けた、「インテント」を活用したアプローチについて述べる。インテントとは、エンドユーザ、サービスプロバイダ、ネットワークオペレータ各々のサービス・品質・コスト等に関する要件を示すものである。これらインテントを、できるだけ自然なやり取りの中から抽出し、抽出したインテントを、ネットワークサービスの提供条件に変換することにより、インテントに基づくサービス提供を可能とする。今回、これらを実現するアーキテクチャ、及びスポーツイベントにおける映像配信サービスへの適用を想定した活用方法を示す。
休 憩(10分)
BI-9-3 |
AIを活用したネットワーク監視の取り組み
河崎純一(KDDI) |
BI-9-4 |
ネットワークオーケストレーションの自動化とエリア拡張の取組
原井洋明(NICT) |
パネル討論(20分)15時55分から開始です。
仮想ネットワークの運用においては,管理するネットワークの構成要素が増え接続も複雑化することにより運用負荷が増大するため,これまでのような人手中心のオペレーションでは高い通信品質を維持するのが難しくなる.そこで,我々はこれまでAI(Artificial Intelligence)技術をネットワーク監視業務に含まれる障害検知・原因特定・予兆検知に対して用いることよって監視の効率化・高度化を実現するための研究開発を行ってきた.本発表では,これらの取り組みについて紹介すると共に,今後の実用化に向けた課題と対策について述べる.
ネットワーク制御管理の自動化や対象範囲の拡張は、Beyond 5G時代における新たなICT技術戦略として掲げられているBeyond 5Gに求められる機能のうち、自律性および拡張性に資するものである。本発表では、Beyond 5Gの自律性および拡張性に寄与するネットワークオーケストレーションについての我々の検討状況を報告する。
ABI-1. 陸・海・空で活用が期待されるLiDAR技術
(ITS研専、宇宙・航行エレクトロニクス研専、水中無線技術特別研専 共催)
3月8日 13:00〜14:45 3号館 3307教室 座長 藤井雅弘(宇都宮大)
講演時間:各25分
座長挨拶:5分
ABI-1-1 |
自動運転で活用されるLiDAR技術について
加藤 晋(産総研) |
ABI-1-2 |
LiDARを用いた新たな情報取得方式と高度交通システムへの応用
和田友孝(関西大) |
ABI-1-3 |
宇宙用フラッシュライダの開発
○清水成人・関口 毅・片山保宏・岡田尚基・西下敦青・山元 透・水野貴秀(JAXA)・橋本並樹・永井裕加里・加瀬貞二・青木一彦(NEC) |
ABI-1-4 |
可視光デバイスを用いた水中LiDARの開発
○鈴木謙一・奥澤宏輝・川端千尋・手塚耕一(トリマティス) |
本講演では、自動運転で活用されるLiDAR技術について、車載等のLiDAR開発の進展状況、LiDAR活用状況などを紹介する。
筆者らは車両に搭載されたLiDARと複数種類の反射率の異なるリフレクタを使用することにより,対象物までの距離とそこに埋め込まれた情報を取得するための新たな情報取得方式をこれまでに提案してきた.このリフレクタを組み合わせたものをリフレクタコードと呼ぶ.平面のガードレールや壁面に設置するリフレクタコードだけでなく,電柱のような曲面にリフレクタコードを設置することも検討してきた.道路交通環境において,多くの場所にこのリフレクタコードを設置することにより,その近辺を通る車両が道路情報などの情報を取得することが可能となる.車両を用いた実験により,このリフレクタコードの認識について検証した結果を紹介する.また,本方式の高度交通システムへの応用についても述べる.
宇宙ステーションの建設や補給等においては宇宙機同士のランデブ・ドッキングミッションが、月・惑星探査においてはターゲットへの接近・着陸や障害物回避等のミッションが生じる。宇宙機の目の役割を担う相対航法センサは、これらミッションの安全と成功の鍵を握る重要なコンポーネントの一つである。我々は新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)用の相対航法センサ「Flash LiDAR」を開発している。このセンサはフラッシュ方式のLiDARであるが、新たに開発した高感度の三次元イメージセンサデバイスの採用により、フラッシュ方式の長所をそのままに、広い計測範囲を実現した。本発表ではセンサの設計の概要と特徴、地上試験の進捗、将来の展望について述べる。
水中の可視化とその可視化データをリアルタイムに地上に転送する水中ネットワークの構築を目指し,これまでの音響技術に加え,可視光が水中での伝搬損失が小さいことに着目し,水中への光技術の適用が検討されている.本稿では,我々が,これまでに取り組んできた水中LiDARについて紹介する.まず可視光LiDARが,水中の物体の測距可能であることを示す.その上で可視光LiDARを耐圧容器に収容することにより水中LiDARを開発し,実際に水中で物体の3Dスキャンデータを取得した.今後もスキャンスピードの向上や小型化な,完成度向上を目指し開発を続けて行く予定である.
BCI-1. Beyond5G/6Gに向けたミリ波・テラヘルツ波無線技術の研究開発最前線
(アンテナ・伝播研専、マイクロ波テラヘルツ光電子技術研専、マイクロ波研専 共催)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月10日 13:00〜16:40 2号館 2202教室 座長 原 直紀(富士通)・川西哲也(早大)
講演時間:各25分
座長挨拶:5分
BCI-1-1 |
300GHz帯CMOSトランシーバと通信ハードウェアの未来
藤島 実(広島大) |
BCI-1-2 |
欧州との連携による300GHz帯テラヘルツ通信に関する研究開発
◎久武信太郎(岐阜大)・枚田明彦(千葉工大)・川西哲也(早大) |
BCI-1-3 |
Beyond 5G/6G時代の大容量通信を実現するテラヘルツ帯を活用した仮想化端末技術
○林 高弘・國澤良雄・松野宏己・竹澤和輝・長尾竜也・山崎浩輔・岸 洋司(KDDI総合研究所) |
BCI-1-4 |
THz帯NTN通信システムの長距離化設計技術
○爲末和彦・実野邦久・Hlaing Myint San・佐藤俊雄・佐藤拓朗・川西哲也(早大) |
第6世代(6G)では、44GHz帯の周波数帯が連続して利用できる300GHz帯を含むテラヘルツ通信が無線通信に利用される予定である。限られた送信電力で受信電力を増やすビームフォーミングは、送信時の電力効率を向上させ、システム全体の消費電力を削減することができる。本講演では、テラヘルツ通信の将来について講演したい。
我々は、2018年7月から欧州との連携による300GHz帯テラヘルツ通信に関する研究開発を推進している。ThoR(TeraHertz end-to-end wireless systems supporting ultra high data Rate applications)は、実際のネットワークに接続可能な300GHz帯高速無線伝送システムの構築を目指したプロジェクトで、2022年6月末まで欧州7機関と日本5機関で推進した。2021年11月からは、ThoRプロジェクトの成果と国際共同研究の体制を発展させ、実環境でのテラヘルツ伝送の特性の詳細を明らかにし、それをもとに、安定動作可能なテラヘルツネットワークの実現を目指したプロジェクトを推進している。講演では、これらの取り組みについて紹介する。
Beyond 5G/6Gの実現が期待される2030年代では,フィジカル空間とサイバー空間が一体化するサイバー・フィジカル・システム(CPS)が実現し,データを最大限活用したデータ主導社会への移行が進んでいくことが想定される.これらを実現するBeyond 5Gの無線システムには,ユーザが存在するあらゆる場所で,ユーザを取り巻く通信環境や個々の通信要求に適応した高い通信性能を提供可能とし,下りリンクだけでなく上りリンクも含め大容量のデータを転送することが重要となる.筆者らは,これらの課題を解決する,ユーザ中心の「ユーザセントリックアーキテクチャ」の実現に向けて,3つの要素技術の研究開発を進めている[1].これらは,(1)従来のセル間での干渉によるスループット低下を解消するCell-free massive MIMO (CF-mMIMO) 技術,(2)仮想化無線アクセスネットワーク(RAN)[2]をベースとしたユーザセントリック無線RAN,(3)上り回線の伝送速度を向上する端末側のテラヘルツ帯(THz)を活用した新たな仮想化端末で構成される. 本稿では,Beyond 5G/6G時代の大容量通信を実現するテラヘルツ帯を活用した仮想化端末技術について紹介する.
Beyond5Gのカバレッジ拡大の有効なソリューションの一つであるNTNの議論が活発化している。
3GPPでもHAPSなどでKaバンドなどを想定した議論がなされている。
ミリ波やテラヘルツ波は地上通信においては減衰が大きいことから長距離に向かないとされるが
成層圏では大気による伝搬損失が比較的小さくなり、また水蒸気や酸素分子による吸収帯から
離れた周波数を適切に選ぶことで、伝搬損失を下げることが可能となる。
本稿では、成層圏と地上間の100GHzフィーダリンクシステムの研究開発について紹介する。
そして、成層圏と地上における伝搬特性、回線設計の観点から長距離化に必要な設計要件ついて議論する。
休 憩(15分)
BCI-1-5 |
超高速・超大容量無線通信システムのためのヘテロジニアス光電子融合技術
尾辻泰一(東北大) |
BCI-1-6 |
共鳴トンネルダイオードを用いた高出力テラヘルツ光源
○小山泰史・村尾竜耶・北澤佑記・行正浩二・内田達朗・吉岡 毅・藤本晃吉・佐藤崇広・伊庭 潤・櫻井克仁・市川武史(キヤノン) |
BCI-1-7 |
GaAsSb/InGaAsバックワードダイオードを用いた300GHz帯ゼロバイアス検波レクテナ
○須原理彦・臼居克紘(東京都立大)・浅川澄人(都立産技高専)・河口研一・高橋 剛・佐藤 優・岡本直哉(富士通) |
BCI-1-8 |
Beyond 5G/6Gに向けたミリ波帯・テラヘルツ帯フェーズドアレイ無線技術
岡田健一(東工大) |
次世代Beyond-5G(B5G)⾼速・⼤容量・低遅延無線通信システムの実現において必須となる、ヘテロジニアス光電⼦融合化集積デバイス技術の研究開発の最前線について紹介する。具体的には、モバイルフロントホールの光ファイバネットワークで使⽤される近⾚外光データと、B5G で使⽤されるサブテラヘルツ〜テラヘルツ無線データとのシームレスかつ低遅延・超低消費電⼒に相互変換機能を実現する、光-B5G 無線間キャリア変換/データコンバータ技術を紹介する。
パッチアンテナと共鳴トンネルダイオード(RTD)を集積したアクティブアンテナアレイを用いた小型・高パワー・高指向性の表面放射型テラヘルツ(THz)光源を提案する。試作した6×6アレイにおいて、発振周波数0.45 THzで10 mW以上の放射パワーと1%のDC-RF変換効率を実現した。測定した6×6アレイの3 dBビーム幅13°から、相互注入同期に基づいたコヒーレントな発振による指向性改善を確認した。
本稿ではGaAsSb/InGaAsヘテロ接合を用いたメサ直径2ミクロン級バックワードダイオードを集積設計したレクテナの300GHz帯電磁界照射によるゼロバイアス検波特性実測と理論モデリング構築による解析により300GHz帯電圧感度約7000[V/W]の特性が得られる試作可能性を示した。ただしこの検波感度の値は既報告特性と同等性能であるが更なる改善が必要である。
本稿では、第5世代移動通信システム(5G)をはじめとする次世代無線通信で用いられるミリ波無線機やその作製のために用いるCMOS集積回路による高周波回路技術を中心とし、必要とされるデバイス技術や実装技術について紹介する。特に、Beyond 5G/6Gに向け、低消費電力化・低コスト化が重要な課題として挙がっており、本稿では、フェーズドアレイ無線機の低消費電力化の方策についての議論を述べる。