ソサイエティ特別企画
CK-1. エレクトロニクスソサイエティプレナリーセッション
(エレソ総務幹事)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月7日 9:30〜11:45 2号館 2201教室 司会 田邉孝純(慶應義塾大学)
9:30-9:35 |
ソサイエティ会長挨拶 会長 藤島 実(広島大学) |
9:35-10:30 |
表彰式
・エレクトロニクスソサイエティ活動功労賞贈呈
・エレクトロニクスソサイエティ学生奨励賞贈呈
・新シニア会員のご紹介 |
10:30-10:40 | 休 憩 |
10:40-11:40 |
特別講演
「半導体から『幸せ研究』へ」
- 講師:
- 矢野 和男 氏(日立製作所 理事)
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11:40-11:45 |
ソサイエティ次期会長挨拶 次期会長 川西 哲也(早稲田大学) |
チュートリアルセッション
CT-1. 超高感度磁気センサ・計測技術の近況:SQUIDセンサの現在地
(超伝導エレクトロニクス研専)
3月9日 13:00〜16:50 3号館 3308教室 座長 神鳥明彦(日立)
講演時間:各35分
座長挨拶:5分
CT-1-1 |
low-Tc SQUIDの開発と応用
河合 淳(金沢工大) |
CT-1-2 |
実用化目前!高温超伝導SQUIDベースの非破壊検査技術
○廿日出 好・孫 文旭(近畿大)・杉内栄夫・西田秀高(中国電力) |
CT-1-3 |
高温超伝導SQUID磁力計と地下観測への応用
塚本 晃(超電導センサテクノロジー) |
本講演では、金沢工業大学先端電子技術応用研究所で開発してきた液体ヘリウム温度(4.2K)で動作するLow-Tc SQUIDの開発とその応用について紹介する。
実用化目前となった、火力発電所のボイラー内伝熱管の検査・余寿命評価技術となる高温超伝導SQUIDをベースとした渦流探傷による非破壊検査技術に関するチュートリアル講演を行う。まず、高温超伝導SQUIDの基礎と、それを渦流探傷プローブと組み合わせた、余寿命評価用マスターカーブ作成に用いる高精度な室内システム、およびボイラー内での検査に対応した実用的な屋外システムについて紹介する。これらシステムを用いた最新の研究成果を紹介し、実用化目前となった技術に焦点を当てる。
高温超電導量子干渉素子(SQUID)磁気センサは、超電導における磁束の量子化現象を利用した超高感度な磁気センサです。広い周波数領域で一定の超高感度性能をもち、安価で手に入る液体窒素で簡便に冷却、使用できます。その性能に加え、独自の多層化技術やシステム構成によって高い耐磁場性能を達成し、野外使用に最適な機器を実現してきました。地下の比抵抗構造を調べる時間領域電磁探査法にSQUIDを使用したSQUID-TEM装置(SUSTEM®)は探査深度が3000m程度あり、金属資源探査(~1000m)だけでなく脱炭素・水素社会実現に向けて注目されている地熱開発の熱水貯留層探査(~2000m)やCCS(二酸化炭素地下貯留)モニタリング(~3000m)などにも使用され始めています。
休 憩(15分) 座長 小山大介(金沢工大)
CT-1-4 |
ダイヤモンド磁気センサの生体応用
桑波田晃弘(東北大) |
CT-1-5 |
TMR磁気センサの基礎と応用
大兼幹彦(東北大) |
CT-1-6 |
光ポンピング磁気センサの基礎と生体磁気計測への応用
伊藤陽介(京大) |
磁場を用いた生体応用研究,特にダイヤモンド磁気センサを用いた磁場計測の生体応用例を紹介する.生体応用のための検出精度の高感度化に向けた取り組み,磁場計測の原理ならびに,がん診断や心臓疾患などの生体応用に向けた磁場計測システムの開発について報告する.
次世代のスピントロニクスデバイスとして期待が大きい素子が,超高感度スピントロニクスセンサ(TMRセンサ)である。現在,TMR効果は飛躍的に向上しており,室温下で最大600%にも至っている。このような飛躍的なTMR効果の増大を背景として,ヒトの脳や心臓の微弱磁場を室温で計測可能な生体磁気センサへと応用しようとする機運が高まっている。TMR素子は,SQUIDに迫る感度を有し,室温動作,小型,低消費電力動作を特長とし,身体に密着させて(ウェアラブルで),心臓や脳の磁場を検出できる強みがある。本チュートリアルでは,TMR磁気センサの動作原理等の基礎と,生体磁場計測等への応用に関して講演する。
本発表では,光ポンピング磁気センサの原理について解説し,その生体磁気計測への応用について述べる.
BCT-1. 基礎から学ぶ光通信
(光通信システム研専、光ファイバ応用技術研専、光エレクトロニクス研専、レーザ・量子エレクトロニクス研専 共催)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月9日 13:00〜16:40 2号館 2302教室 座長 小田拓弥(フジクラ)
講演時間:各50分
現在の高度に発展した情報化社会を支える通信ネットワークの根幹を担っている光通信システムについて、その発展の流れに沿って、それを構成する基本的なシステム技術について解説する。音声や動画等の情報が、光通信システムによりどのように遠方に経済的に運ばれるのかについて、基本的な情報理論や誤り訂正を含む符号化復号技術、光変復調技術、多重化技術等、基礎的な内容を中心に解説する。
長距離・大容量な光ファイバネットワークを支える技術の2大要素である、光ファイバおよび光ファイバ増幅器について基礎から紹介する。
休 憩(20分)座長 小野英輝(OKI)
BCT-1-3 |
光アクティブデバイスの基礎
西山伸彦(東工大) |
BCT-1-4 |
パッシブデバイス(波長合分波,受信用光回路,スイッチなど)
北 智洋(早大) |
半導体レーザをはじめとする光デバイスおよび光集積回路の動作原理は、電子回路、特にトランジスタ等に比べてよく知られているとは言い難い。実は、光デバイス(特に半導体光デバイス)は、電磁気学、光学、半導体物性、電子デバイス、結晶化学等、非常に多岐にわたる学問の上に成り立っており、それをすべて理解することは難しい。しかしながら、必要最小限でも知るだけで、今後の研究開発にとっての礎となると信じ、本講演を行いたい。一概に光アクティブデバイスと言っても多岐にわたるため、講演では半導体レーザを中心にしながら、他のデバイスにも触れていく。
本講演では光導波路における光伝搬の原理について解説し、光集積回路の構成部品である干渉計や波長合分波器等のパッシブな光デバイスについて概観する。
依頼シンポジウム
CI-1. マイクロ波研究会学生研究発表賞表彰式および受賞者による特別講演(予稿なし)
(マイクロ波研専)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月10日 13:00〜15:00 5号館 5351教室
13:00-13:05 |
開会の挨拶 |
13:05-13:20 |
学生発表表彰式 |
13:20-13:25 |
休憩 |
13:25-14:55 |
受賞学生による特別講演 |
14:55-15:00 |
閉会の挨拶 |
CI-2. 光エレクトロニクス研究会(OPE)学生優秀研究賞表彰式(予稿なし)
(光エレクトロニクス研専)
3月8日 13:00〜14:00 2号館 2205教室 座長 村尾覚志(三菱電機)
講演時間:各55分
座長挨拶:5分
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光エレクトロニクス研究専門委員会(OPE研究会)では、将来の光エレクトロニクス分野を担う若手研究技術者の奨励を目的として、OPE研究会で発表された論文のうち、特に優秀な発表をされた学生を選定して、OPE研究会学生優秀研究賞の表彰を行っています。今回のOPE研究会学生優秀研究賞表彰式では、2022年度学生優秀研究賞の授与、および学生優秀研究賞受賞者による特別記念講演を行います。 |
CI-3. 機械学習と光・ICT技術
(レーザ・量子エレクトロニクス研専、光エレクトロニクス研専 共催)
3月7日 13:00〜16:55 2号館 2205教室 座長 望月敬太(三菱電機)
講演時間:各30分
座長挨拶:5分
CI-3-1 |
光回路による光波を用いた機械学習と応用
橋本俊和(NTT) |
CI-3-2 |
ベイズ最適化法を用いたモザイク状素子の設計技術
○藤澤 剛(北大)・御手洗拓矢・沖本拓也・河野直哉・藤原直樹(住友電工)・澤田祐甫・村椿太一・佐藤孝憲(北大)・八木英樹(住友電工)・齊藤晋聖(北大) |
CI-3-3 |
機械学習を活用した二次元フォトニック共振器の構造最適化
○浅野 卓・野田 進(京大) |
アナログ情報処理に光波を用いることで機械学習で課題となる計算量の増大や遅延といった課題が解決されることが期待できる。本講演ではNTTにおける現在の取り組み状況と今後の展望について紹介する。
ベイズ最適化法を用いたモザイク状素子の設計技術、作製した素子の性能などに関する最近の結果について報告する。
2次元フォトニック結晶共振器は、波長程度の微小領域への長時間の光閉じ込めが可能という特長をもち、様々な高度な光操作に利用できる。このような共振器は多数の空気孔から構成されているため非常に高い構造自由度をもつが、これまで、これらを十分に活用した設計を行うことは困難であった。これに対して我々は、機械学習を活用して高次元の構造パラメータ空間を効率よく構造探索を行える設計手法を提案し、これを用いてこれまでにない高い光閉じ込め性能の共振器構造を得ることに成功した。また、この手法を拡張することで複数の性能指数の同時最適化にも成功した。本講演ではこのような最適化手法について発表する。
休 憩(10分) 座長 村尾覚志(三菱電機)
CI-3-4 |
未来のコンピューターを実現するフォトニクス
中川 茂(東工大) |
CI-3-5 |
シリコンフォトニクスに基づく光ベクトル行列積演算回路
○北 翔太・池田幸平・野崎謙悟・高田健太・青山一生(NTT)・鈴木恵治郎・グアンウェイ コン・前神有里子・大野守史・山本宗継・山田浩治(産総研)・新家昭彦・澤田 宏・納富雅也(NTT) |
指数関数的に性能が進化を続けるコンピューターは、2000年以降もCMOSの大規模集積によって性能向上を続けている。CMOSのスケーリングが物理的な限界に近づき、CMOSコンピューターの性能向上も減速しつつあり、2010年頃から次世代のコンピューターの研究も進んでいる。特に実用化に向けて研究が加速しているのが、量子コンピューターや脳型コンピューターである。
CMOSコンピューターではスケーリングに必要な高いエネルギー効率を実現するため、2005年頃から光によるデータ伝送が使われてきた。次世代のコンピューターでは情報処理も光によって行われるようになる。
本講演では、フォトニクスによる量子コンピューターや脳型コンピューターについて解説する。
深層学習技術の成熟ならびにSiフォトニクスによる大規模光集積回路技術の発展により,光アナログ演算を主体とした光電融合アクセラレータが様々な機関で研究開発されている.その中で,我々は光行列演算器としてより高い演算精度を実現しやすいClements型16x16光ベクトル行列乗算回路を世界に先駆け実装し,評価した.独自の手法により実回路の較正およびモデリング,ランダム行列実装時の実回路およびモデル応答間の相関係数(R2決定係数)は~0.856となった.さらにベンチマークとして,手書き数字画像セットを10x10領域のみで分類したところ,精度63.1% (理論限界78.5%) が評価された.同様の評価を実回路で実施した機関は,論文ベースで我々が初めてである.
休 憩(10分) 座長 田中信介(富士通)
CI-3-6 |
量子ドットエンジニアリングに基づく時間―空間蛍光情報処理技術の開発と応用
竪 直也(九大) |
CI-3-7 |
光量子コンピューティングと量子機械学習の展望
山崎隼汰(東大) |
ニューラルネットワークとは脳神経回路網を模した数理モデルであり、機械学習を有効に機能させる要素基盤として知られている。近年、主に消費エネルギーの観点からその物理実装の実現が求められている中、我々は無数の量子ドットの結合構造から成る量子ドット分散型微小光ニューラルネットワークに着目し、その蛍光ダイナミクスを活かした機械学習応用・時間―空間蛍光情報処理について研究開発を進めている。本発表では、同活動に関する直近の動向について紹介する。
本講演では、量子コンピュータの仕組みや近年の開発状況について解説し、また高速で適用範囲の広い量子機械学習のために量子コンピュータをどのように活用できると考えられるかについて、講演者自身の最近の理論研究による進展も交えて概説する。
CI-4. ウルトラワイドバンドギャップ半導体トランジスタの最前線
(電子デバイス研専)
3月9日 13:00〜16:15 3号館 3307教室 座長 堤 卓也(NTT)
講演時間:各30分
座長挨拶:5分
CI-4-1 |
β-Ga2O3パワーデバイスの開発状況
○宮本広信・大塚文雄・高塚章夫・脇本大樹・小石川結樹・佐々木公平・倉又朗人(ノベルクリスタルテクノロジー) |
CI-4-2 |
ダイヤモンド半導体を用いた反転層MOSFET
徳田規夫(金沢大) |
CI-4-3 |
ダイヤモンド・パワー高周波FET開発状況と今後の展望
川原田 洋(早大) |
SiC、GaNよりさらに低損失化・高耐圧化が期待されるウルトラワイドバンドギャップ半導体β-Ga2O3パワーデバイスの開発状況に関して紹介した。熱伝導度が低い課題は、ウエハ薄層化により実装時の熱抵抗が回路動作に大きな影響を与えない程度まで改善した。p型導電層技術が未確立でデバイス設計に工夫が必要な課題は、デバイスの動作領域にトレンチMOS構造、JBS構造、Nイオン注入によるDI-MOS構造を導入することで対応し、低リーク電流化、高しきい値電圧化 (>3 V) を実現した。課題として残っている終端構造の開発を進めれば、近い将来SiCを凌ぐ性能が実証できると期待している。
ダイヤモンドは、5.5 eVのバンドギャップを有するウルトラワイドバンドギャップ半導体であり、非常に優れた物性を持つことから次々世代パワー半導体材料として期待されている。しかし、パワー半導体デバイスとして重要なノーマリーオフ動作を有する反転層MOSFETは長らく実現していなかった。我々はその実現を目指し、ダイヤモンドの成長、不純物ドーピング、表面・界面の原子レベル制御技術の開発を行ってきた。その結果、2016年にノーマリーオフ動作を有する反転層ダイヤモンドMOSFETの開発に世界で初めて成功した。本講演では、反転層ダイヤモンドMOSFET実現のキー技術の紹介と更なる性能向上に向けたダイヤモンドMOS界面に関する研究開発状況について紹介する。
高周波ダイヤモンドFETの最近の進展を述べる。遮断周波数は最大70GHz。最大発振周波数は120GHz。RF出力密度は4W/mm程度。SiやGaNを上回り、SiCと同程度。GaNの1/3程度の出力密度である。高い熱伝導性を生かし、移動度の向上や集積度の向上で単位長さではなく、単位面積での出力密度でGaNと競合することが重要である。
休 憩(10分) 座長 大石敏之(佐賀大)
CI-4-4 |
パワー半導体に向けたダイヤモンドFETとインチ径ダイヤウェハの最近の進展
○嘉数 誠・Niloy Chandra Saha(佐賀大) |
CI-4-5 |
UWBG窒化物AlN系パワートランジスタの進展
三好実人(名工大) |
CI-4-6 |
窒化アルミニウム トランジスタ
○廣木正伸・谷保芳孝・熊倉一英(NTT) |
ダイヤモンドFETと大口径ウェハのパワー半導体に向けた最近の進展を解説する。
AlNは、GaNやSiCを超えるウルトラワイドバンドギャップ(~6.2eV)半導体であり、パワーデバイス用半導体の性能指数(Baliga’s FOM)においては、GaN・SiCの10倍以上に達する。このように、AlN系半導体には、高耐圧で優れた阻止特性(OFF特性)を持つトランジスタ実現に期待が持てる一方で、良好な導通特性(ON特性)を付与する事に高い技術障壁がある。このため講演者らは、基盤材料をGaNとの混晶系であるAlGaNとした上で、分極効果を利用した高電子濃度ヘテロ構造の設計と成長、選択再成長技術に基づく電極抵抗の低減などに取り組んできた。本講演では、講演者の過去の取組みか今後の展望まで総括的な報告を行う。
本講演では、窒化アルミニウム(AlN)トランジスタのパワー応用について、紹介する。窒化アルミニウムはバンドギャップが6 eVと大きく、絶縁破壊電圧が12 MV/cmと大きいことから、高耐圧、低損失なパワーデバイスとして有望である。我々は、独自の結晶成長技術、電極形成技術の蓄積からAlNトランジスタの動作を実証した。また、高温で良好な特性を得られることを実証した。
CI-5. 社会問題を解決するセンシング回路技術
(集積回路研専)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月8日 13:00〜16:30 4号館 4104教室 座長 丹沢 徹(静岡大)
講演時間:各40分
CI-5-1 |
農業・防災のための土中水分量・pHセンサの開発
二川雅登(静岡大) |
CI-5-2 |
健康寿命と平均寿命のギャップ解消に資する半導体集積回路の微細化を活用したモア・ムーア型バイオ・医療IoT向け集積回路の開発 ~健康寿命延伸に向けた、涙液糖で単独自立動作を行う持続血糖モニタリングスマートコンタクトレンズの開発~
新津葵一(京大) |
CI-5-3 |
経爪型生体信号計測デバイスの提案と応用
○清山浩司(長崎総合科学大)・中村皓平・Bang DU・Yaogan LIANG・木野久志・福島誉史・田中 徹(東北大) |
農業及び防災分野で用いるための、広範囲計測が可能な土中水分量センサと低水分土壌でも計測が可能なpHセンサの開発を行った。土中水分量センサでは、従来は局所的な計測しかできていなかったのに対し、複数のセンサを連携させて計測できるシステムを開発した。そして、斜面の地下7.5mまでの水分量分布の計測に成功した。pHセンサでは、半導体式のIon-Sensitive Field Effect Transistor (ISFET)を用いて、低水分量土壌挿入し直接土壌pHを計測できるかを確認した。その結果、水分量10%までの土壌でpH検出を行うことができることを確認した。
講演者は微細化された半導体集積回路,特に微細CMOS集積回路の低消費電力性能を積極的に活用したバイオ・医療IoTの研究開発に取り組んでおり,65nm CMOS プロセスや22nm CMOSプロセスにおいてそのコンセプトの実証を行っている.本稿においては,低消費電力性を活かした単独自立動作可能な持続血糖モニタリングスマートコンタクトレンズについて述べる.講演者らのグループは,半導体集積回路アーキテクチャを工夫することでシステムの消費電力を劇的に低減し,涙に含まれる糖分である涙液糖からの発電での単独自立動作を達成することに成功した.自らが電圧生成を行う涙液糖発電素子を新たに導入し,従来型アーキテクチャで必須であったバイアス電圧源(ポテンショスタット)を不要とすることで低消費電力化を達成した.
発表する経爪型PPG計測デバイスは、FOWLP(Fan-out wafer-level packaging)技術を用いて各回路を集積化しており他の生体信号を計測する電極も搭載可能であり、爪の上に装着して光電容積脈波(PPG)を計測する.本デバイスと心電図(ECG)を組み合わせ、脈波到達時間(Pulse Arrival Time)を用いるとカフレスで血圧測定も可能であり、場所を選ばない体調管理、健康の可視化への貢献が期待できる.また、本デバイスを用いた最近の研究により、PPGは指の動きと相関があることが分かってきた.例えば、複数の指に経爪型PPGセンサを装着して得られたデータの人工知能(AI)処理を行うと、フリック入力の分類が可能である.これは、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)向けの新たなインターフェースに応用可能と考えられる.
休 憩(10分) 座長 池田 誠(東大)
CI-5-4 |
フレキシブルデバイスを用いた微小生体活動電位センサの研究開発
関谷 毅(阪大) |
CI-5-5 |
マルチアパーチャ・マルチタップCMOSイメージセンサとアクティブ照明による定量生体イメージング
香川景一郎(静岡大) |
本講演では、機能性有機材料を高度に集積化することで実現した柔軟で、伸縮自在なフレキシブル、ストレッチャブルエレクトロニクス「シート型生体活動電位計測システム」の研究開発と社会実装について紹介します。具体的には、ヒトの皮膚に貼りつき、正確に生体活動電位を計測できる生体電極に関して、材料、プロセス、電気的特性について紹介するとともに、これを用いた世界初となる医療用パッチ式脳波計(*)の取り組みを説明します。現在、多くの医療機関と認知症、更年期障害、発達障害、てんかん計測とその可視化アルゴリズム(脳波AI解析ツール)の開発に取り組んでいます。さらに医療のみならず、ヘルスケアや脳波を活用した商品開発など、ライフサイエンスに貢献するブレインテック市場の開拓に取り組んでいます。
マルチタップCMOSイメージセンサは画素内に複数の電荷蓄積メモリをもつため,様々な機能的な露光が可能となる.静岡大学で開発されたマルチタップCMOSイメージセンサに構造光照明や短パルス照明のようなアクティブ照明を組み合わせることで,生体組織の散乱・吸収係数のイメージングや,蛍光寿命により細胞代謝のイメージングが実現した例を紹介する.
CI-6. 最先端光計測とバイオ・医療応用
(有機エレクトロニクス研専)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月8日 13:00〜17:00 2号館 2302教室 座長 松田直樹(産総研)・山田俊樹(NICT)・馬場 曉(新潟大)・上野祐子(中大)
講演時間:指定以外各15分
CI-6-1 |
金ナノ粒子を用いる表面増強ラマン散乱基板の創成
松田直樹(産総研) |
CI-6-2 |
単層グラフェンを用いた化学・バイオセンサ
上野祐子(中大) |
CI-6-3 |
表面プラズモン増強光電気化学センサの検討
○馬場 暁(新潟大)・ソピット ペットサン(長岡高専)・新保一成・加藤景三(新潟大) |
CI-6-4 |
リアルタイム非侵襲血栓検出にむけた超小型光センサチップ
○森田伸友・岩崎 渉(産総研) |
CI-6-5 |
Imaging metabolomicsによるがん代謝システムの解析と医学応用(60分)
末松 誠(慶大) |
CI-6-6 |
イオンチャネル機能計測のための新規人工細胞膜電界制御系(30分)
平野愛弓(東北大) |
CI-6-7 |
光計測デバイスのナノ医療への応用(30分)
一木隆範(東大) |
CI-6-8 |
ラマンイメージングを用いた細胞内の水計測とその場定量への応用(30分)
中林孝和(東北大) |
CI-6-9 |
表面プラズモンによる生体の連続バイオセンシング(30分)
當麻浩司(芝浦工大) |
溶液中でパルス状の高周波やマイクロ波を用いてプラズマを発生させるソリューションプラズマ(SP)法は還元性が高く金属イオンからの金属ナノ粒子合成等に用いられる。演者等は高純度貴金属を電極とて発生させたSPで直接電極からナノ粒子を合成することに成功している。本発表では分散剤を含まない金ナノ粒子(AuNP)分散水溶液調製、及び濃縮後に乾燥させ生成したAu薄膜の表面増強ラマン散乱(SERS)分光基板への応用結果を報告する。
単層グラフェンの特性を活かした化学・バイオセンサ2例を紹介する。1つ目は、単層グラフェンを蛍光色素標識アプタマーで修飾した表面を用いた疾病マーカーセンサで、1 μL以下の溶液試料をデバイスに滴下するだけで、ガンマーカとなるタンパク質を選択的かつ高感度に検出可能である。2つ目は電気化学に関する研究で、単層グラフェン表面にβ-シクロデキストリン(β-CD)を修飾した電極を用いて、両連続相マイクロエマルジョン中のフェロセンの酸化還元特性を調べた。β-CD 周囲の微小な水ドメインがフェロセニウムイオンの濃縮場として機能し、非修飾グラフェン電極と比較して還元ピーク電流値が大きく増加することが分かった。
太陽光などの光照射のみで動作する光電気化学バイオセンサは、自己給電型センサとして近年注目を浴びている。自己給電型センサとして太陽光で動作させるための増感効果向上のため、表面プラズモン励起により生じるホットエレクトロンを利用した方法も報告されてきている。局在表面プラズモン共鳴は、100 nm程度以下の粒径の金属微粒子に光を照射した時に金属微粒子周囲に局在して大きな電界増強効果を伴う現象で(1)、この局在プラズモンの励起・緩和過程で生じるホットエレクトロンを光電気化学反応に利用することで、センサの高感度化を行うことが可能である(2)。本報告では、金属微粒子を用いた光電気化学バイオセンサの高感度化について検討を行った。
ECMO等の体外循環デバイス内部で生じる血栓は早期発見が求められているが、その方法は目視検査に限られる。この目視検査をセンサシステムに置き換えることができれば、医療従事者の負担低減、数時間単位から数秒単位への検査頻度の大幅な向上による早期発見など多くの成果が見込まれる。本研究では体外循環デバイスのあらゆる血栓リスク部のモニタリングを達成するするため、超小型・光学式の血栓センサを開発した。CMOSチップ上に光学素子を直接表面実装する構造とすることで、小型化と試作性、カスタム性の両立を図った。
Imaging metabolomics is a method to capture many metabolites in tissues and cells with their anatomical structures being maintained. While imaging mass spectrometry is a powerful method, strong laser irradiation may cause auto-oxidative denaturation of metabolites in the samples. Infrared laser-assisted, gold nanoparticle-based surface enhanced Raman spectroscopy (SERS) enables to overcome such limitations. We applied SERS imaging to decipher roles of reactive sulfur species including polysulfide in determining cancer chemoresistance and prognosis in patients.
細胞を取り囲む細胞膜は,脂質分子が二層整列した脂質二分子膜を基本構造とし,その中に種々の膜タンパク質が埋め込まれて構成されている.膜タンパク質の中でもイオンチャネルタンパク質は,高抵抗の脂質二分子膜中におけるイオンの流出入を制御する機能をもち,活動電位の発生や神経伝達において中心的役割を担っている.しかし,その機能の測定方法は数十年間変わらず,膜貫通方向の電圧を制御してイオンチャネルを透過するイオン流をチャネル電流として計測する電圧固定法が主流であった.細胞膜構造については,脂質分子の自己集合とイオンチャネルの包埋により人工細胞膜構造を構築できるが,人工細胞膜系においてもチャネル機能測定は,膜貫通方向の電圧を制御する電圧固定法が用いられてきた.最近我々は,半導体テクノロジーにおける 2 端子ダイオードから 3 端子トランジスタへの進化にヒントを得て,人工細胞膜内部に膜に平行な方向に電圧を印加できる新しい膜系の作製を試みた.本講演では,膜内電極の配置を可能にする膜支持体の作製や,この支持体中での膜形成,イオンチャネルへの膜平行電圧の効果を中心に紹介したい.
散乱光イメージングを利用したナノ粒子計測はNanoparticle Tracking Analysis (NTA)と称され、ナノ粒子の濃度やサイズを評価するための1粒子解析法として再注目されている。筆者らはマイクロ流路デバイスと散乱イメージング系を組み合わせたナノ粒子計測システムを構築し、NTA手法の高度化、高精度化を目指した研究開発を行ってきた。本講演では、これらの計測装置システムの概要とともに、深層学習を利用したナノコロイド粒子の形態多様性の評価に関する最近の試みについて紹介する。
私達はラマンイメージングを用いて単一生細胞内の水の計測を行っている。特に、細胞内にある水のO-H伸縮振動バンドを用いて、細胞内の水の密度定量が行えることを示している。本発表では、細胞内オルガネラ間での水の密度の違い、細胞周期に伴う水の密度変化、細胞内温度のラベルフリー測定・薬剤投与に伴う細胞内温度変化の検出について紹介する。さらに、神経変性疾患との関係が指摘されているタンパク質の液液相分離(LLPS)に応用した結果を紹介する。LLPSによって生じた液滴内のタンパク質濃度について、水を用いて定量測定が行えることを示し、LLPSを細胞内分子夾雑環境の観点から検討する。得られた結果をもとに、水を用いたラベルフリー細胞センシングについて議論したい。
生体の生化学分子には疾患の発症や進行具合、治療の効果によって濃度が経時変化するものがあるため、これらの生化学分子を連続計測できるようになれば、体調変化をより詳細に把握することが可能となる。しかしながら抗体を使ったバイオセンサ(免疫センサ)は、結合した抗体と抗原が自然には解離しづらいため、連続計測には不向きである。実際、代表的な免疫測定法である「イムノクロマト法」や「enzyme-linked immunosorbent assay」は一度の測定にしか対応していない。本講演では、このような困難を克服し、生化学分子の連続計測を目指した表面プラズモン免疫センサに関する研究について紹介する。
BCI-1. Beyond5G/6Gに向けたミリ波・テラヘルツ波無線技術の研究開発最前線
(アンテナ・伝播研専、マイクロ波テラヘルツ光電子技術研専、マイクロ波研専 共催)
一般公開:本企画の聴講は無料です.直接,会場へお越し下さい.
3月10日 13:00〜16:40 2号館 2202教室 座長 原 直紀(富士通)・川西哲也(早大)
講演時間:各25分
座長挨拶:5分
BCI-1-1 |
300GHz帯CMOSトランシーバと通信ハードウェアの未来
藤島 実(広島大) |
BCI-1-2 |
欧州との連携による300GHz帯テラヘルツ通信に関する研究開発
◎久武信太郎(岐阜大)・枚田明彦(千葉工大)・川西哲也(早大) |
BCI-1-3 |
Beyond 5G/6G時代の大容量通信を実現するテラヘルツ帯を活用した仮想化端末技術
○林 高弘・國澤良雄・松野宏己・竹澤和輝・長尾竜也・山崎浩輔・岸 洋司(KDDI総合研究所) |
BCI-1-4 |
THz帯NTN通信システムの長距離化設計技術
○爲末和彦・実野邦久・Hlaing Myint San・佐藤俊雄・佐藤拓朗・川西哲也(早大) |
第6世代(6G)では、44GHz帯の周波数帯が連続して利用できる300GHz帯を含むテラヘルツ通信が無線通信に利用される予定である。限られた送信電力で受信電力を増やすビームフォーミングは、送信時の電力効率を向上させ、システム全体の消費電力を削減することができる。本講演では、テラヘルツ通信の将来について講演したい。
我々は、2018年7月から欧州との連携による300GHz帯テラヘルツ通信に関する研究開発を推進している。ThoR(TeraHertz end-to-end wireless systems supporting ultra high data Rate applications)は、実際のネットワークに接続可能な300GHz帯高速無線伝送システムの構築を目指したプロジェクトで、2022年6月末まで欧州7機関と日本5機関で推進した。2021年11月からは、ThoRプロジェクトの成果と国際共同研究の体制を発展させ、実環境でのテラヘルツ伝送の特性の詳細を明らかにし、それをもとに、安定動作可能なテラヘルツネットワークの実現を目指したプロジェクトを推進している。講演では、これらの取り組みについて紹介する。
Beyond 5G/6Gの実現が期待される2030年代では,フィジカル空間とサイバー空間が一体化するサイバー・フィジカル・システム(CPS)が実現し,データを最大限活用したデータ主導社会への移行が進んでいくことが想定される.これらを実現するBeyond 5Gの無線システムには,ユーザが存在するあらゆる場所で,ユーザを取り巻く通信環境や個々の通信要求に適応した高い通信性能を提供可能とし,下りリンクだけでなく上りリンクも含め大容量のデータを転送することが重要となる.筆者らは,これらの課題を解決する,ユーザ中心の「ユーザセントリックアーキテクチャ」の実現に向けて,3つの要素技術の研究開発を進めている[1].これらは,(1)従来のセル間での干渉によるスループット低下を解消するCell-free massive MIMO (CF-mMIMO) 技術,(2)仮想化無線アクセスネットワーク(RAN)[2]をベースとしたユーザセントリック無線RAN,(3)上り回線の伝送速度を向上する端末側のテラヘルツ帯(THz)を活用した新たな仮想化端末で構成される. 本稿では,Beyond 5G/6G時代の大容量通信を実現するテラヘルツ帯を活用した仮想化端末技術について紹介する.
Beyond5Gのカバレッジ拡大の有効なソリューションの一つであるNTNの議論が活発化している。
3GPPでもHAPSなどでKaバンドなどを想定した議論がなされている。
ミリ波やテラヘルツ波は地上通信においては減衰が大きいことから長距離に向かないとされるが
成層圏では大気による伝搬損失が比較的小さくなり、また水蒸気や酸素分子による吸収帯から
離れた周波数を適切に選ぶことで、伝搬損失を下げることが可能となる。
本稿では、成層圏と地上間の100GHzフィーダリンクシステムの研究開発について紹介する。
そして、成層圏と地上における伝搬特性、回線設計の観点から長距離化に必要な設計要件ついて議論する。
休 憩(15分)
BCI-1-5 |
超高速・超大容量無線通信システムのためのヘテロジニアス光電子融合技術
尾辻泰一(東北大) |
BCI-1-6 |
共鳴トンネルダイオードを用いた高出力テラヘルツ光源
○小山泰史・村尾竜耶・北澤佑記・行正浩二・内田達朗・吉岡 毅・藤本晃吉・佐藤崇広・伊庭 潤・櫻井克仁・市川武史(キヤノン) |
BCI-1-7 |
GaAsSb/InGaAsバックワードダイオードを用いた300GHz帯ゼロバイアス検波レクテナ
○須原理彦・臼居克紘(東京都立大)・浅川澄人(都立産技高専)・河口研一・高橋 剛・佐藤 優・岡本直哉(富士通) |
BCI-1-8 |
Beyond 5G/6Gに向けたミリ波帯・テラヘルツ帯フェーズドアレイ無線技術
岡田健一(東工大) |
次世代Beyond-5G(B5G)⾼速・⼤容量・低遅延無線通信システムの実現において必須となる、ヘテロジニアス光電⼦融合化集積デバイス技術の研究開発の最前線について紹介する。具体的には、モバイルフロントホールの光ファイバネットワークで使⽤される近⾚外光データと、B5G で使⽤されるサブテラヘルツ〜テラヘルツ無線データとのシームレスかつ低遅延・超低消費電⼒に相互変換機能を実現する、光-B5G 無線間キャリア変換/データコンバータ技術を紹介する。
パッチアンテナと共鳴トンネルダイオード(RTD)を集積したアクティブアンテナアレイを用いた小型・高パワー・高指向性の表面放射型テラヘルツ(THz)光源を提案する。試作した6×6アレイにおいて、発振周波数0.45 THzで10 mW以上の放射パワーと1%のDC-RF変換効率を実現した。測定した6×6アレイの3 dBビーム幅13°から、相互注入同期に基づいたコヒーレントな発振による指向性改善を確認した。
本稿ではGaAsSb/InGaAsヘテロ接合を用いたメサ直径2ミクロン級バックワードダイオードを集積設計したレクテナの300GHz帯電磁界照射によるゼロバイアス検波特性実測と理論モデリング構築による解析により300GHz帯電圧感度約7000[V/W]の特性が得られる試作可能性を示した。ただしこの検波感度の値は既報告特性と同等性能であるが更なる改善が必要である。
本稿では、第5世代移動通信システム(5G)をはじめとする次世代無線通信で用いられるミリ波無線機やその作製のために用いるCMOS集積回路による高周波回路技術を中心とし、必要とされるデバイス技術や実装技術について紹介する。特に、Beyond 5G/6Gに向け、低消費電力化・低コスト化が重要な課題として挙がっており、本稿では、フェーズドアレイ無線機の低消費電力化の方策についての議論を述べる。