3月7日 10:30〜11:45 2号館 2206教室 座長 越田俊介(八戸工大)
A-1-1 | 連続時間型2次ΔΣ変調器に適したコンパレータの検討 ◎丸山尚哉・小松 聡(東京電機大) |
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A-1-2 | アナログ―デジタルハイブリッド等価理想フィルタを用いたADC帯域ダブラ信号伝送特性のクロックジッタ依存性 ○井原光貴・藤原裕也・河合優介・楳田洋太郎・高野恭弥(東京理科大) |
A-1-3 | 分布定数モデルに基く大Wg GaN HEMTの利得低下要因の一考察 ○作野圭一・末松英治・原 信二(名大) |
A-1-4 | 電圧制御型アクティブゲートドライブにおけるスイッチング特性の分布に関する検討 ◎△金本公平・高山 創・引原隆士(京大) |
A-1-5 | SRモータ駆動時の電力パケット情報読取りに関する一検討 ◎△川染陸人・持山志宇・引原隆士(京大) |
◎丸山尚哉・小松 聡(東京電機大)
ΔΣ変調器は小面積で高分解能が実現できるためオーディオ機器や計測器に用いられている.ΔΣ変調器においてクロック周波数の高速化によりクロック周期とコンパレータの伝播遅延時間の接近が予想される.本研究では連続時間型2次ΔΣ変調器においてコンパレータの伝搬遅延時間の影響を測定し,連続時間型2次ΔΣ変調器に適したコンパレータの検討を行う.
○井原光貴・藤原裕也・河合優介・楳田洋太郎・高野恭弥(東京理科大)
本研究ではアナログ―デジタルハイブリッド等価理想フィルタ(ADH-EIF)を用いたADC帯域ダブラ信号伝送特性のクロックジッタ依存性をシミュレーションにより評価した。シミュレーション結果であるコンスタレーション、アイパターンおよびEVMの測定から、ADH-EIFはジッタの影響を受けても信号の復調をすることができたため、ADH-EIFの技術の有効性が確認された。
○作野圭一・末松英治・原 信二(名大)
ゲートフィンガーを伝送線路として扱う分布定数回路モデルをGaN HEMTに適用し、実測においてゲート幅Wgが大きくなるにつれて利得が低下する現象の要因を分布定数回路モデルを用いた小信号等価回路シミュレーションにより考察した。その結果、GaN HEMTの最大有能電力利得MAGとゲートフィンガー内ゲート電圧振幅の平均値とは密接に関係しており、Wgが大きくなるとfmaxに近い周波数域ではゲート電圧の平均値が大きく低下していることがわかった。ゲート電圧の平均値の低下はWgが大きいGaN HEMTのMAG低下の主要因の一つと考えられる。
◎△金本公平・高山 創・引原隆士(京大)
SiC MOSFETは, 電力変換回路の高効率化や集積化の観点から注目されているが, スイッチング時のサージや発振への対処が課題となっている. その課題の解決策の1つとして, SiC MOSFETのスイッチング時のゲート-ソース間電圧を 3段階に分けて制御しスイッチング特性の改善を試みる電圧制御型アクティブゲートドライバ (AGD) が検討されている. 本報告では, この制御手法により得られるスイッチング特性の分布やその傾向をシミュレーションにより確認し, サージが同程度でもスイッチング損失を減少させるようなパラメータの組み合わせの存在や, その範囲を明らかにする.
◎△川染陸人・持山志宇・引原隆士(京大)
電力パケット伝送システムは電力を時分割し, 情報タグを電圧波形として付与することで,電力と情報を物理層で統合して伝送する. 先行研究で負荷の電圧がタグ情報の読取りに影響を与えることが指摘され, それを低減する読取り回路の提案と, それを適用したステッピングモータ駆動実験が行われている. 本報告では, その回路構成を用いてスイッチトリラクタンスモータの駆動を行う際に, モータの端子間に現れる電圧がタグ情報の読取りに及ぼす影響を確認する. そして, その原因について考察する.
3月7日 13:00〜16:15 2号館 2206教室 座長 佐藤弘樹(ソニーセミコンダクタソリューションズ)
A-1-6 | インダクタレスな高速PAM4レーザドライバ回路の提案 ◎大鹿純聖・泉 蓮・鍋島拓海・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大) |
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A-1-7 | FFE回路を用いたスタック型部分等化技術によるPAM4符号対応EDCの検討 ◎石田翔悟・小澤海斗・鍋島拓海・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大) |
A-1-8 | PAM4・光パケット信号対応 CTLE 回路における高速自動利得制御法の検討 ◎小澤海斗・石田翔悟・霜田幸長・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大) |
A-1-9 | アナログ回路における伝送速度、電力効率の最適な微細CMOS技術検討 ◎富樫惇次・泉 蓮・佐田京介・山田拓磨・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大) |
◎大鹿純聖・泉 蓮・鍋島拓海・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大)
光通信の大容量化に対応するために400GbEでは従来の2値符号 (NRZ)に加えて、4値符号であるPAM4符号を使うことが標準化されている。また、情報通信機器の多チャンネル化が進められており、集積回路の高密度化が一層進むと予想される。本稿では、光ファイバ伝送において光送信器として用いられるPAM4レーザドライバについて、アクティブインダクタ、NIC (Negative Impedance Converter)、アクティブフィードバックを用いた回路構成を提案し、回路の小型化と広帯域化の可能性を示した。
◎石田翔悟・小澤海斗・鍋島拓海・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大)
近年, 情報トラフィック量が急増しており光通信システムの大容量化が求められている. それに伴い, PAM4 符号を用いた 400GbE の標準化が完了している. また, 長距離伝送では光ファイバによる波長分散で符号間干渉が生じ, 受信波形の劣化が起こるため, EDC (Electrical Dispersion Compensation) を用いた波形補償が行われる. しかし, 過剰ピーキングを用いる NRZ 符号用の EDC を PAM4 符号に適用するとアイを悪化させる問題がある. 本稿では, FFE (Feedforward Equalizer) 回路を用いた新たなスタック型 PAM4 符号対応 EDC の提案と動作検証を行ったので報告した. 回路シミュレーションにより, 提案構成が PAM4 に対応し, PAM4 の線形性指標 (RLM > 0.95) を満足することを示した.
◎小澤海斗・石田翔悟・霜田幸長・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大)
近年、通信システムの大容量化が求められているため、従来使用されていた 2 値符号に対して 2 倍の情報を送信できる 4 値符号 (PAM4) が標準化されている。また、PAM4 符号は帯域あたりの伝送効率が良いため、光パケット通信への利用が期待されている。本稿では、フィードフォワード制御による可変利得増幅器(VGA : Variable Gain Amplifier) を用いて PAM4 光パケット対応アナログ補償器 CTLE (Continuous Time Linear Equalizer) の出力信号振幅を一定にする構成を提案する。その結果として、提案する VGA 回路と VGA Controller を追加した構成の場合では、波形劣化補償量が変化しても CTLE の出力信号振幅の変動幅が 89 % 減少していることが確認できた。
◎富樫惇次・泉 蓮・佐田京介・山田拓磨・中村 誠・伊藤大輔(岐阜大)
近年、通信サービスの普及によりトラヒック量が増加し通信機器の大容量化が求められているが、伝送装置の高速化による消費電力の増加が課題となっている。これに対して、CMOS技術の微細化はデジタル回路の高速・小型・低電力化に有効だが、アナログ回路では有効とは言い切れない。そこで、アナログ回路において高速・低電力化に最適な微細CMOS技術を検討するためにCMOS技術予測モデルを用いて、伝送速度ならびに電力効率を同一利得のもとで差動増幅回路を使用し検証を行った。伝送速度は最大動作周波数 fmax が高い65 nm技術、電力効率は電源電圧が低く、その中で fmax の高い45 nm技術が最も良い結果が得られた。本稿モデルでは高速化には65 nm技術、低電力化には45 nm技術が最適な微細CMOS 技術であると考えられる。
休 憩(14:15 再開) 座長 鈴木寛人(ルネサスエレクトロニクス)
A-1-10 | 距離・周波数依存性を有する樹状突起モデル ◎山田泰史・近藤宏樹・山口拓人・佐伯勝敏・佐々木芳樹(日大) |
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A-1-11 | Social Forceモデルにおける流動係数の長期的安定性の評価 ◎中田竣也・石坂空大・伊藤 尚(富山高専) |
A-1-12 | 量子機械学習にむけた量子コンピュータ実機でのエラー低減手法の検討 ◎古川直史・河原尊之(東京理科大) |
A-1-13 | 遺伝的アルゴリズムを用いた最適観光経路問題の解法 ◎齋藤 成・高橋俊彦(新潟大) |
◎山田泰史・近藤宏樹・山口拓人・佐伯勝敏・佐々木芳樹(日大)
ニューロン内における発火波形伝送時,樹状突起内の発火頻度には,距離依存性と周波数依存性が確認されている.伝送距離が延びたときと入力周波数が上がったときに,発火頻度が低下する特性である.本稿では,この発火頻度の低下に着目し,伝送波形に距離・周波数依存性を持つ樹状突起モデルの構築について,回路シミュレータHSPICEにおいて検討を行った.その結果,細胞体モデルの周波数特性によって周波数依存性を,カレントミラーによって細胞体モデルへの伝搬電流量を制限することで距離依存性を表現し,距離・周波数依存性持つモデルの構築が可能であることを明らかにしている.
◎中田竣也・石坂空大・伊藤 尚(富山高専)
本研究では,パーソナルスペース縮小を考慮したSocial Forceモデルを用いて複数障害物配置を想定した場合の最適設置位置を遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm,以下GA)により設計することを目指している.本稿では,GAの適用可能性を確認するために,流動係数に長期的かつ安定した差異があるか否かを評価することを目的とする.避難が完了したエージェントを出口から最も遠い壁面から再度シミュレーションエリアに出現させ避難を繰り返させることで,長期的な流動係数の変化を評価する.結果として,流動係数に長期的かつ安定した差異があることが確認できた.すなわち,流動係数収束後の平均流動係数をそのシミュレーションの代表値として捉えることが出来る.
◎古川直史・河原尊之(東京理科大)
今日の量子コンピュータ実機はエラーが多い.エラーが多い要因の一つとして,量子ビットを実現しているハードウェアの面で,エネルギー的な問題が生じてしまっているからだと考える.また,このエラーは,1よりも0が多く出力されるという傾向がある.そこで,このエラー傾向に着目し,エラーを軽減する手法を検討した.その手法は,0よりも1の方が高い確率で出力されるようにゲート演算を施し,量子コンピュータ実機で均等な重ね合わせ状態を実現するというものである.この手法で作製したゲートを実際にアルゴリズムで検証したところ,計算精度を上げることができたので,均等な重ね合わせ状態を実現することは効果的であると考える.
◎齋藤 成・高橋俊彦(新潟大)
最適観光経路問題(ORPS)とは,時刻によって変化する観光スポットの価値,観光スポットでの滞在時間,観光スポット間の移動に要する時間がそれぞれ与えられたとき,決められた制限時間内に訪問する観光スポットの価値の総和が最大となる経路を求める問題である.ORPSはNP困難であるため,発見的手法により近似解を求めることが一般的である.本稿ではORPSに対する発見的手法として遺伝的アルゴリズム(GA)を用いたとき,単純にGAをORPSに適用した場合と,提案手法である時間帯分割法を導入して適用した場合を計算機実験により比較した.
休 憩(15:30 再開) 座長 伊藤 尚(富山高等)
A-1-14 | 宅配ロッカー配置モデルと最適配置アルゴリズム ◎庄司圭佑・高橋俊彦(新潟大) |
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A-1-15 | 3分木を用いた3次元パッキングの位相的表現 ◎大野貴哉・高橋俊彦(新潟大) |
A-1-16 | 視覚探索における眼球運動の効率性についての考察 ○前田義信・王 禹萱(新潟大) |
◎庄司圭佑・高橋俊彦(新潟大)
国土交通省の2019年4月の調査によると都市部における宅配便の再配達率は12%であり,環境への負荷,運転手の疲労などの面から無視できない問題となっている.宅配ロッカーは再配達問題を解決する有効な手段の1つであるが,多くの人に利用してもらうことが課題となっている.本稿では利用率を最大となるように宅配ロッカーを配置する問題を定式化し,それに対する動的計画法によるアルゴリズムを提案する.
◎大野貴哉・高橋俊彦(新潟大)
与えられた直方体を3次元空間内で互いに重ならないように配置すること,あるいはその配置を3次元パッキングと呼ぶ.体積最小のパッキングを求める問題はNP困難であり,発見的手法によって準最適解を探索するのが実際的である.パッキングの表現法は探索の速度を左右する重要な要因であり,これまでにいくつかの手法が提案されている.例えばYamazakiらによって提案されたSequence-Tripleは直方体名の順列の3つ組でパッキングの位相的表現(直方体同士の相対位置の表現)を与える.本研究では3分木を用いた位相表現法を提案し,Simulated AnnealingによりSequence-Tripleとの比較実験を行う.
○前田義信・王 禹萱(新潟大)
ヒトの視覚探索は効率化されており,対象物の数が増えても探索時間はそれほど増加しない.その理由を解明するため,探索画面上に見えないネットワークを仮定し,注視点はネットワーク上を動きながらターゲットを探索すると考えた.実験データから設計されたネットワークにはスモールワールド性がみられ,注視点がスモールワールドネットワークを動くことで,広い物理的領域が狭い認知的領域になり得ることが分かった.短時間探索が可能なのは,仮定されたネットワークにスモールワールド性が見られることであった.
3月10日 10:45〜11:30 2号館 2302教室 座長 齋藤翔太(群馬大)
A-2-1 | 双方向通信を用いた多端子仮説検定の誤り指数に関する一検討 ◎柴田正憲・葛岡成晃(和歌山大) |
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A-2-2 | ランプ型しきい値法のIndividual Insecurity ◎栗原 頂・栗原 淳・田中俊昭(兵庫県立大) |
A-2-3 | A Study on Key Agreement Over Slow Fading Channels ◎Vamoua Yachongka・Hideki Ochiai(Yokohama National Univ.) |
◎柴田正憲・葛岡成晃(和歌山大)
本研究では,双方向通信が許される場合での多端子仮説検定問題における最適な誤り指数について検討する.
◎栗原 頂・栗原 淳・田中俊昭(兵庫県立大)
既存の(k,l,n)ランプ型しきい値法では,k個未満のシェアから秘密Sの一部が確定的に漏洩する可能性がある.そこで、ランプ型しきい値法において,Sの一部が確定的に復号可能となる性質を測る尺度「Individual Insecurity (II)」と,Sのいかなる一要素も復号不能なシェアの最大個数を表現する尺度「Individual Insecurity Threshold (IIT)」を与える.加えて,任意のランプ型しきい値法において,一定以上のIITを保証する,秘密Sのprecoding手法を提案する.具体的には,ランプ型しきい値法の構成に依らず,一定数(l-1個)以下のシェアからは,Sの一部分たりとも確定的に復号できない.
◎Vamoua Yachongka・Hideki Ochiai(Yokohama National Univ.)
In this paper, we take the presence of an eavesdropper (Eve) into consideration and characterize the outage key capacity, the maximum achievable key rate, of the problem studied by Ezzine et al. (2021). Also, an example is provided so as to visualize the difference between the outage key capacity of the problem over a fading public channel and the key capacity of the problem over a noise-free public channel.
3月9日 15:20〜16:35 2号館 2305教室 座長 吉澤 晋(東北大)
A-4-1 | 超音波透過法による土壌物理性センシングに関する検討 ○長尾平蔵(東工大)・江波戸宗大(NARO)・田原麻梨江(東工大) |
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A-4-2 | A Non-contract Hardness Measurement Method Based on T-DPLUS ○Lidong Huang(Tokyo Tech)・Kyohei Yamada・Takeshi Morita(The Univ. of Tokyo)・Marie Tabaru(Tokyo Tech) |
A-4-3 | 気流中における受信信号への符号変調を用いた空中超音波励起によるガイド波のパルス圧縮 ◎△清水鏡介・大隅 歩・伊藤洋一(日大) |
A-4-4 | 閾値処理によるアレイセンサのグレーティングローブ抑圧および分解能評価 ○木村友則・塚本祐介・秋本信二(三菱電機) |
A-4-5 | 超音波によって海綿骨で生じる圧電信号の微細骨梁構造に伴う変化 ○細川 篤(明石高専) |
○長尾平蔵(東工大)・江波戸宗大(NARO)・田原麻梨江(東工大)
超音波を用いた非破壊検査技術は幅広い分野に活用されており,農業分野における土壌構造の評価への応用も期待できる.本研究では超音波透過法によって,各土壌サンプルにおける音響特性の違いについて検討を行った.まず,6種類の土壌サンプルを採取した. 25kHzの超音波プローブを用いてバースト波を送受信し,受信波形から土壌サンプルの厚みを変更したときのピークとなる時刻と振幅値の変化を調べた.また,音速と減衰係数を各サンプルで算出した.各土壌によって音速と減衰係数が異なることがわかった.これは粘土質,砂質といった土壌の性質,および含水量の違いによるものであると考えられる.
○Lidong Huang(Tokyo Tech)・Kyohei Yamada・Takeshi Morita(The Univ. of Tokyo)・Marie Tabaru(Tokyo Tech)
Nowadays, the firmness measurement requirement becomes higher. Therefore, we have developed non-contact measurement method for hardness. We employed the tube-type double-parabolic-reflector ultrasonic transducer (T-DPLUS) as source with different frequency and used the laser doppler velocimeter to receive the signal. With blue berry experiment, the physical properties of hardness (displacement, frequency and damping factor) were observed,
which proves the effectiveness of the method.
◎△清水鏡介・大隅 歩・伊藤洋一(日大)
近年,空中超音波により励起したガイド波の受信信号に対する符号変調を用いたパルス圧縮手法が研究されている.本研究では,この信号処理手法を橋梁といった高い位置に存在する検査対象の非破壊検査に適用するために,空中超音波フェーズドアレイをドローンに搭載して,被測定物までの距離を自在に制御することを考えている.本報告では,その基礎検討として気流中における受信信号への符号変調を用いたパルス圧縮について検証を行ったので報告する.
○木村友則・塚本祐介・秋本信二(三菱電機)
超音波アレイセンサの空間分解能を高くするにはセンサの開口面を大きくして波長を短くする必要があるが、素子間隔が波長の2分の1より長いとグレーティングローブが発生する。先に報告した閾値処理によるグレーティングローブを抑圧方法では、凹凸形状をモデル化した反射源からのエコーで妥当性を検証した。今回は、センサを試作して実験を行い、エコー測定データを用いて検証した。
○細川 篤(明石高専)
骨生成時には圧電効果が伴うと考えられており,骨の圧電特性を考慮すれば,超音波照射による骨折治療をより効果的に行う方法を提案することが可能となる.著者は,海綿骨の圧電特性の解明を目的として,圧電-時間領域差分法(PE-FDTD法)を用いて,超音波照射によって海綿骨で生じる圧電信号の数値シミュレーションを行っている.本研究では,微細骨梁構造に伴う圧電信号の敏感な変化を観測する事が出来る様に,X線μCT画像から作成した海綿骨モデルの骨梁を,画像処理技術によって規則的に侵食した.本稿では,主要な骨梁配向に平行な骨梁を侵食した場合と垂直な骨梁を侵食した場合の圧電信号振幅の変化を比較・検討した結果について報告する.
3月7日 9:45〜11:45 3号館 3301教室 座長 武藤憲司(芝浦工大)
A-5-1 | 立体音響技術の製品検査の効率化に関する一検討 ○中野孝彦・大野綾子・中村彬義・澁谷貴志・祖 国威・谷沢昭行・高知尾勝彦(東芝デジタルソリューションズ) |
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A-5-2 | 色彩を利用した楽器の音色表現 ◎武上紘子・金森康和(愛知県立大) |
A-5-3 | 水空合体ドローンの音響測位軽量化のための基礎検討 ○川田亮一・西谷明彦・小島淳一(KDDI総合研究所) |
A-5-4 | 超音波と可聴域音声を用いた機械学習による道路交通モニタリング ◎濱邉理玖・大原遼太郎・安田祐人・佐藤 駿・川口 博・和泉慎太郎(神戸大) |
○中野孝彦・大野綾子・中村彬義・澁谷貴志・祖 国威・谷沢昭行・高知尾勝彦(東芝デジタルソリューションズ)
東芝デジタルソリューションズ株式会社は、音の新たな活用の場を広げることを目指し、人が音を聞く時の「方向感」を任意に創り出すソフトウェア「SoundimensionTM仮想音像」(以下、仮想音像)を製品化した。「聞こえてくる方向」を自由にデザインすることで、音声案内や遠隔会議に、聞き取りやすさや臨場感の効果(以下、音像効果)を与えることが可能になる。本稿では、仮想音像の製品開発において、その音像効果をヒトの主観に依らず客観的に評価する手法が適用可能かを検証したので報告する。
◎武上紘子・金森康和(愛知県立大)
共感覚の一つである色聴現象(音を聴くと色が見える)に着目した先行研究では,共感覚を持たない人にも音と色のマッピングが潜在的に保有される可能性が示唆された.本研究では,共感覚を持たない人が共通して所有する音色の印象と色彩の関係を明らかにすることを目的として,8種類の楽器音と21種類の色彩を用いて両者を対応付ける実験を行った.SD法尺度値を用いたクラスタ分析を行った結果,クラスタは楽器の種類と色彩のトーンごとに分類された.また,相関分析を行った結果,楽器音の周波数成分と色彩のトーンとの間に相関関係がみられ,音色のパラメータである周波数成分と色彩のパラメータである明度との関係が明らかになった.
○川田亮一・西谷明彦・小島淳一(KDDI総合研究所)
筆者らが開発している「水空合体ドローン」は、陸上から作業水域まで空中ドローンが水中ドローンを抱えて自動飛行・着水し、陸上から水中ドローンを遠隔操作、水域インフラや養殖場の点検を人が潜ることなく実施後に、再び両ドローンが合体し陸上拠点まで自動飛行で帰還するというものである。ここでは、水中ドローンの位置を遠隔から知るための音響測位技術が不可欠である。本稿ではその測位処理軽量化のための基礎検討を行った。ハイドロフォン間の信号受信遅延差を求めるに際し、相互相関法に代わり反復勾配法を用いることで、処理を軽量化しつつ十分な測位精度を保てることを明らかとした。
◎濱邉理玖・大原遼太郎・安田祐人・佐藤 駿・川口 博・和泉慎太郎(神戸大)
超音波計測技術は近年急速な進歩を遂げており,ロボットや自動運転技術など幅広い領域で活用されている.特に,ビームフォーミングによる超音波モニタリング技術は,光学カメラと比較してプライバシーの観点や悪天候でも計測可能である点で優位性がある.しかしながら,その多くは屋内環境における近距離を対象とした技術が多い.屋外環境においてビームフォーミングから得られる超音波の飛行時間ToF:Time of Flightデータにはサイドローブやマルチパスなどのノイズが多いため,屋内における技術をそのまま応用することは困難である.そこで本研究では,近年注目の集まっている深層学習手法の一つであるVAE:Variation Auto Encoderを用いて,屋外環境における超音波と可聴音を組み合わせたモニタリング技術を提案する.
休 憩(11:00 再開) 座長 和泉慎太郎(神戸大)
A-5-5 | 工作機械使用環境下での高音域による異常検知手法の提案 ○牧本宜大(徳島県立工技セ)・平井嵩馬・溝渕 啓(徳島大)・小川 仁(徳島県立工技セ) |
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A-5-6 | 複数音源環境下での異常音源定位 ○近野裕太・清野若菜・浜尾和秀(福島県ハイテクプラザ) |
A-5-7 | マイクロホンアレーを用いたミンミンゼミの位置推定 ◎御園玲央・武藤憲司(芝浦工大) |
○牧本宜大(徳島県立工技セ)・平井嵩馬・溝渕 啓(徳島大)・小川 仁(徳島県立工技セ)
本報告の目的は、簡単に取得可能で信号処理が容易な音信号を用いて工作機械の異常状態を迅速に検知する手法の開発である。音信号を使用する場合、工作機械と環境騒音の分離が課題であることから、その分離を不要とするため、様々な環境騒音の影響を受けにくい10k~20kHzの周波数帯での異音検知手法を提案する。
○近野裕太・清野若菜・浜尾和秀(福島県ハイテクプラザ)
近年,工業プラントにおける装置等の異常音検知について,DNNを用いた教師無し異常検知が多数研究されている.しかし,複数音源が存在する環境において,ある一つの音源から異常が発生した場合に,異常音検知に併せて異常音方向までを算出するものは少ない.本稿では,我々が開発しているマイクロホンアレイを用いた異常音源定位システムについて報告する.
◎御園玲央・武藤憲司(芝浦工大)
セミの鳴き声が測定に与える影響を明らかにする必要がある.本研究の目的は,セミの位置を音情報から推定したとき,セミの音圧レベル算出結果への影響を調べることである.本報告では,ミンミンゼミを音源位置推定手法の1つであるMUSIC法と録画データからそれぞれ位置推定を行い,比較した結果を報告する.MUSIC法と録画データを用いて算出した位置では,セミの体長の半分程度の差で抑えられた.
3月8日 10:30〜11:45 3号館 3308教室 座長 宮村 信(ナノブリッジ・セミコンダクター)
A-6-1 | LSI設計における演算スケジューリングのイジングモデル定式化 ◎岸本拓人・伊藤和人(埼玉大) |
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A-6-2 | レジスタブリッジ型LSIの力学モデルによる演算マッピング ◎林 伸幸・伊藤和人(埼玉大) |
A-6-3 | 一般化並列カウンタ追加によるコンプレッサツリーの効率的FPGA実装 ○野田 麦・石浦菜岐佐(関西学院大) |
A-6-4 | RTOS 利用システムのフルハードウェア化における優先度継承ミューテックスの実装 ○志賀 光・石浦菜岐佐(関西学院大) |
A-6-5 | 等価プログラムのアセンブリ比較によるAndroid DEXコンパイラの最適化性能テスト ○濱田統弥・石浦菜岐佐(関西学院大) |
◎岸本拓人・伊藤和人(埼玉大)
LSI設計における演算スケジューリングは,演算間のデータ依存に由来する演算実行先行制約の下で演算実行時刻を定める.資源制約付きの演算実行時間最短化はNP困難な組合せ最適化問題として知られている.近年,並列処理による最適化が可能なイジングモデルによる組合せ最適化問題定式化と,専用マシンによる高速な求解が注目されている.本研究では演算スケジューリングのイジングモデル定式化とGPGPUを用いた求解を提案する.
◎林 伸幸・伊藤和人(埼玉大)
大規模集積回路(LSI)におけるチップ内長距離通信時間の相対的増加による動作速度高速化抑制の解決のため,並列処理LSI向けに規則的レジスタ分散(RDR)型アーキテクチャ及びレジスタブリッジ(RB)型アーキテクチャが提案されている. RDR型では演算素子(PE)内の局所レジスタ(LREG)から隣接PEのLREGへのデータ通信に専用のクロックサイクルを必要とする.RB型では隣接PE間にブリッジレジスタ(BREG)を配置し,BREGに書いたデータを直ちに隣接PEが読み出すことが可能であり,通信に必要なcc数が削減できる利点がある.本研究では,RB型LSI設計において処理実行時間を最短化するスケジュールを導くため力学的モデルを用いた演算マッピング手法を提案する.
○野田 麦・石浦菜岐佐(関西学院大)
コンプレッサ(compressor)は複数の2進整数を加算する回路であり, 乗算等の様々な算術演算の回路構成に用いられる. コンプレッサの効率的なFPGA実装法として, 全加算器を拡張した一般化並列カウンタ(Generalized Parallel Counter; GPC)により樹状の回路を構成する方法が提案されているが, この方法ではGPCに使用されない入出力が発生することがある. 本稿では, そのような入出力を削除したGPCを追加することにより, 回路規模とクリティカルパス遅延の削減を図る方法を提案する. さらに, ソルバーを効率的に実行することにより求解の高速化を図る.
○志賀 光・石浦菜岐佐(関西学院大)
RTOS を用いたシステムの応答性能を大幅に向上させる手法として, RTOS の機能とタスク/ハンドラの全てをハードウェア化する手法が提案されている. 従来手法ではミューテックスを実装しているが, それは優先度上限プロトコルに基づくものであった. 本稿では, 従来のハードウェア構成において優先度継承ミューテックスを実装する.
○濱田統弥・石浦菜岐佐(関西学院大)
Androidはモバイル用途を想定したOSであり,そのコンパイラの生成するコードの実行効率は重要な課題である.従来手法では,2つのコンパイラが生成するコードを比較する差分法によってAndroid DEXコンパイラおよびAOTコンパイラの最適化不足を検出していたが,両方のコンパイラに存在する最適化不足を検出できないという課題がある.本稿では,差分法で検出できない最適化不足の検出を図るため,テストプログラムとそれにソースコードレベルで最適化を施したプログラムから生成されるコードを比較する等価法に基づくテスト手法を提案する.
3月9日 13:00〜16:30 2号館 2308教室 座長 穴田啓晃(青森大)
A-7-1 | トポロジカル復号型秘密分散 ◎琴浦将貴・林 正博(東京都市大) |
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A-7-2 | 商演算を含む計算に対する実数秘密計算の拡張 ◎須田祐太朗・林 正博(東京都市大) |
A-7-3 | デジタル署名を用いたパスワードレスのログインスキーム ◎先名健一(QRテクノロジー) |
A-7-4 | 最適量子受信機攻撃へのPSK型光通信量子暗号Y-00の耐性 ○加藤研太郎(玉川大) |
A-7-5 | スコアリングを用いた機器情報の評価手法 ○篠原正紀・南 拓也・中嶋良彰(NTT) |
A-7-6 | サプライチェーン上で構成情報伝達を可能にする共有基盤の提案 ○岸本衣緒・中島一彰・植田啓文(NEC) |
◎琴浦将貴・林 正博(東京都市大)
秘密分散の手法の一つとしてグラフを用いたトポロジカル復号型秘密分散を提案する.データの安全な管理を実現する伝統的な方法として鍵を用いた暗号を利用するやり方があるが,秘密にしたいデータを格納した計算機そのものが盗まれれば,時間をかけてデータは解読されてしまう.そこで,秘密分散と呼ばれる手法に注目が集まっている.その実現法の一つに画像データを分散させる視覚復号型秘密分散がある.しかし,用いる画像データがコピーを繰り返すなどして劣化すると,復号が困難となってしまう.本研究では,画像ではなくノードとリンクから構成されるグラフを用いたトポロジカル復号型秘密分散という手法を提案する.
◎須田祐太朗・林 正博(東京都市大)
本稿では,実数計算を対象とした最新の秘密計算方式であるIH法を,商演算を含む計算へ拡張した.科学や技術における計算作業は煩雑で膨大な時間を要するため,外部資源が利用される場合は多い.しかし外部資源を利用するには,計算に用いる数値(諸元)を公開する必要がある点が,セキュリティの観点から危惧される.これを解決するために様々な方法が提案されているが,実数計算に適用可能であることが数値的に確認されているのは,今のところIH法と呼ばれる暗号方式だけである.しかし,IH法は,和差積の繰り返しの計算の場合には有効であっても,商演算を含む場合については適用が難しい.本検討が,この問題を初めて解決する.
◎先名健一(QRテクノロジー)
デジタル署名とAES暗号化を用いたパスワードレスのログインスキームを提案
○加藤研太郎(玉川大)
光通信量子暗号Y-00は,光通信回線を守るために光の持つ量子性を活用して情報の直接暗号化をする共通鍵方式の暗号通信システムである.構成は擬似乱数駆動の暗号化光信号発生部を中心として,その周辺の様々な情報ランダム化部を含めて全体システムとなる.本稿では,PSK型信号配置を持つ暗号化光信号発生部に注目し,それが発する信号を最適量子受信機で盗聴した際の情報ビットの検出確率を計算したので報告する.
○篠原正紀・南 拓也・中嶋良彰(NTT)
ソフトウェア構成を含む機器情報を表現する方法としてSBOMの利用が活発化している。メーカーが生成した機器情報と、機器取得時の機器情報とを突合することで、サプライチェーンの流通過程で不正な構成変更が行われていないかを検査することができる。しかし、機器情報同士の突合による検査は、調達機器の選定時など実機が手元にない場合には実施することができない。また、ユーザの利用条件が反映されないため、ユーザ環境に適合しているかを検査することができない。よって本稿では、機器情報同士の突合ではなく、個々の機器情報の値を検査することで、ユーザ利用条件との合致性や、機器情報の信頼性を定量的に評価する手法を提案する。
○岸本衣緒・中島一彰・植田啓文(NEC)
近年,重要インフラ事業者はシステム安全性の証明が求められている.安全性を証明するためには,サプライチェーンの各事業者で作成される各構成情報を活用し,システムの透明性を確保することが重要である.各構成情報は事業者ごとに作成され,サプライチェーンで伝達される必要がある.現状,最終的にシステムを運用する事業者が全ての構成情報を収集するのは困難である.本課題に対し,サプライチェーンの各事業者からシステム運用事業者へ構成情報を伝達可能な共有基盤を開発した.共有基盤をローカル5Gシステムに適用し評価を行った.本稿では,共有基盤を利用した各構成情報の伝達手法と,検証環境で確認した効果について述べる.
休 憩(14:45 再開) 座長 葛野弘樹(神戸大)
A-7-7 | AIベース異常通信検知技術の社会実装に向けた取り組みのご紹介 ○大塚浩昭・高橋知克・山中友貴・千葉伸浩・藤木直人・永渕幸雄・小山高明(NTT) |
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A-7-8 | 特徴量抽出によるネットワークトラフィックの異常検知精度の改善法 ◎畑中亮介・竹田晃人(茨城大) |
A-7-9 | 実空間の環境変動に対してロバストに機能するAdversarial Examplesの仮想空間を活用した生成手法の検討 ◎坂﨑冠太・吉田康太・藤野 毅(立命館大) |
A-7-10 | eBPFを用いたアンチVMの逆用によるIoTマルウェアの対策手法の検討 ◎岡迫孝史(広島工大)・瀧本栄二(奈良女子大) |
A-7-11 | システム安全分析手法STAMP/STPAの組織事故分析への適用に関する一考察 ○仲山巧人・守屋勇希・馬野智充・福澤寧子(阪工大) |
A-7-12 | 小中学生向けITリテラシースコアリングツール「SCLOUS」 ◎谷村謙拓・石倉 磨・石井利空・杉尾信行(北科大) |
A-7-13 | サイバーセキュリティにおける性格を考慮したインタフェースの検討 ◎△渡邉雄大・米村恵一(木更津高専) |
○大塚浩昭・高橋知克・山中友貴・千葉伸浩・藤木直人・永渕幸雄・小山高明(NTT)
AIベース異常通信検知機能を持つシステムを実装し,複数のプロトコルが混在するネットワーク環境下で実際に動作させた.その結果,ユーザにとって未知のプロトコルであっても,システムとしては正常と異常を区別することが確認できた.なお,異常検知件数の物理的な増大化と,ユーザが意識せずに行った新規の機器追加や通信先の変更などに伴う誤検知の多さが課題となることも分かった.
◎畑中亮介・竹田晃人(茨城大)
近年,企業や国を対象としたサイバー攻撃が後を絶たない。そこでサイバー攻撃の検出に注目が集まっている。検出方法としてネットワークを流れる通信パケットから不正なパケットを検出する侵入検知システムがある。この手法の1つとして自己組織化マップ(SOM: Self Organizing Map)を用いた研究がある。本研究では先行研究で用いられるエントロピーから特徴ベクトルを求めSOMに適用する手法に加えて、主成分分析(Principal Component Analysis,PCA)、またPCAをオンライン学習化したIPCA(Incremental Principal Component Analysis)、PCAと独立成分分析(Independent Component Analysis,ICA)を順次統合したIPCA-ICAを利用し特徴ベクトルを求め、SOMへの適用を行い、比較を行う。
◎坂﨑冠太・吉田康太・藤野 毅(立命館大)
実空間におけるAdversarial Examples(AEs)生成攻撃のための,環境変化に頑健な摂動を作る手法としてRP2が提案されている.RP2は撮影環境の異なる複数枚の画像を使用して摂動を計算することでロバスト性を高めるが,画像収集にかかるコストが課題である.本稿では画像収集コストを削減するため,Unityを使用して仮想空間上で撮影環境を変化させることを提案する.実験では既存研究で使用された画像群AとUnity上で収集した画像群Bそれぞれ40枚を用いてAEs生成攻撃を行った.攻撃成功率の評価ではAは34%,Bは48.8%となり,提案手法で作成した摂動が高い攻撃成功率を示した.
◎岡迫孝史(広島工大)・瀧本栄二(奈良女子大)
近年,IoTデバイスが攻撃者に利用される事例が増加しており,対策が急がれる.我々は,マルウェア感染後にマルウェアが行う耐解析動作に着目した研究を行ってきた.本稿では,主に組込み用Linuxが使用されるIoTデバイスとそれを対象とするマルウェアを想定し,マルウェアが行う耐解析機能の1つであるアンチVM機能を行った際に仮想環境と誤認させる情報をマルウェアに与える機構をeBPFを用いて実現する手法について提案する.また,実装した当該機構によってアンチVM機能のテストプログラムがVMを誤検知することを実験により明らかとする.
○仲山巧人・守屋勇希・馬野智充・福澤寧子(阪工大)
STAMP/STPA(Systems-Theoretic Accident Model and Process/STAMP based Process Analysis)はシステム理論に基づくアクシデントモデルを基にしたシステム安全分析手法であり,装置やシステム,人,社会等の間に存在する相互作用の不備の分析に適している.本稿では情報漏洩に至った組織事故を対象にSTAMP/STPAを用いて分析した.その結果,相互作用の不備を引き起こす要因を導くヒントワードを,対策の導出を視野に入れて拡張することは有効であると確認した.
◎谷村謙拓・石倉 磨・石井利空・杉尾信行(北科大)
本研究では,子供の情報セキュリティに関するIT リテラシーレベルを可視化し,スマートフォンのフィルタリングや家庭でのインターネットの利用状況を見直す支援を提供することを目的とする.そこで本研究では,情報セキュリティに関するクイズを取り扱うWebアプリケーションを設計及び開発する.
◎△渡邉雄大・米村恵一(木更津高専)
標的型攻撃などの攻撃メールは受信者の判断に依存しており,判断を正しい方向に導くことで被害を防止できる可能性がある.本研究では,作業者の内面が攻撃メールによる被害を防ぐ上で,新たなパラメータとなり得るかどうかを確認するために,“インタフェースデザイン”と“性格”に着目したインタフェースの検討を試みる.表示方法の異なる3つのインタフェースを設計し,視線計測とBig Fiveの関係について調査を行った結果,設計の意図どおりに注意補足できていることとインタフェースの課題点を明らかにできたが,サンプル数の少なさから有意差が確認できなかった.今後は,インタフェースの改善と読む時間などのベースラインを獲得していく.
3月7日 13:00〜15:45 3号館 3404教室 座長 田中雄一(阪大)
A-8-1 | 疑似造影CT画像変換を用いたCNN型大動脈解離判定アルゴリズムの開発 ○木本 渚・安藤瑞樹(諏訪東京理科大)・青山純也(ハーバード大)・田邉 造(諏訪東京理科大)・宮城泰雄(日本医大) |
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A-8-2 | Transformerを用いたデータの特徴量に基づく独立性の高い潜在空間の獲得 ◎池住勇輝・瀬尾昌孝(阪工大) |
A-8-3 | 深層学習を用いた超低解像度画像の超解像 ○石田勇希・大木 真(山梨大) |
A-8-4 | 発話音声分離の深層学習マスク設計 ◎菊地智紀・和田成夫(東京電機大) |
A-8-5 | 動画像修復モデルEDVRの反射除去への適用とその評価 ◎森山蒼汰・豊田悠真・市毛弘一(横浜国大)・堀 友一・舘 真透(華為技術日本) |
○木本 渚・安藤瑞樹(諏訪東京理科大)・青山純也(ハーバード大)・田邉 造(諏訪東京理科大)・宮城泰雄(日本医大)
本論文は,疑似造影 CT 画像変換を用いた CNN 型大動脈解離判定アルゴリズムを提案する.提案手法は,(Step1) 単純CT 画像を用いてコントラスト画像を生成した画像から判定用のコントラスト値と明るさ値を決定する.(Step2) Step1 を用いて,コントラスト画像から度数折れ線グラフを作成した後に,(Step3) 単純 CT 画像を二値化した画像の境界線から疑似造影 CT 画像を生成する.(Step4) 疑似造影 CT 画像をXception モジュールに基づいた CNN 型機械学習を用いて大動脈解離を判定している.提案手法の特徴は,単純 CT 画像の疑似造影 CT 画像を生成した特徴量を Xception モジュールで計算することで大動脈解離を判定していることである.
◎池住勇輝・瀬尾昌孝(阪工大)
機械学習において,獲得した特徴量の質は対象タスクの精度に大きな影響を与える.一般に,機械学習モデルの性能は特徴量の数が増えるにつれて向上する.しかし,実際には学習データの数は限られているため,特徴量の数が多すぎると,無駄な特徴や冗長な特徴の割合が増え,獲得したアルゴリズムに混乱をきたす可能性がある.また,この問題は過学習につながる可能性もある.
この問題に対しては,これまで多くの解決策が提案されてきた.本研究では獲得した特徴量の冗長性を減らし,データの情報に応じて直感的に潜在空間へマッピングする.
○石田勇希・大木 真(山梨大)
近年では,深層学習ネットワーク(Deep Neural Network, DNN)を用いた画像拡大(超解像)の研究が盛んに行われている.その中で,画像の1部分である8×8ピクセルのような非常に低解像度の画像の拡大精度向上が,画像認識を行う場面で重要になっている.
DNNを用いた手法には,低解像度画像を予め補間法などで拡大した後に学習させる手法(事前拡大)と,低解像度のまま学習させ最後に拡大を行う手法(事後拡大)がある.現在,事後拡大が一般的に用いられているが,超低解像度画像に対しては予め画像を一定の大きさまで拡大しないと学習時に特徴を十分に抽出できないのではないかと考えた.
そこで本研究では,深層学習による超低解像度画像の超解像において,事前拡大と事後拡大の結果を比較し,事前拡大の有効性を示す.
◎菊地智紀・和田成夫(東京電機大)
音声に他者の音声や環境雑音が混合されている状態から発話音声を分離する方法として,複数のマイクロフォンを用いてマスクを設計する方法が種々提案されており,単一のマイクロフォンを用いる方法と比べて分離精度が高い.一方,単一のマイクロフォンを適用する深層学習を用いたマスク設計法が提案されいるが,この方法は未知雑音が加わると分離精度が低下する.
本稿では,未知雑音を深層NN(Neural Network)で学習するマスク設計を提案し,発話音声を分離し鮮明化する実験を行い,結果を報告する.
◎森山蒼汰・豊田悠真・市毛弘一(横浜国大)・堀 友一・舘 真透(華為技術日本)
高度交通システムにおける車両や道路の動画像解析では,ガラス等から生じる反射が問題となる.深層学習により反射成分を除去する検討が行われており,単一画像反射除去(SIRR)については特徴的な損失を利用したモデルが提案されているが,動画像に適用した場合,フレーム間の時間的一貫性が損なわれる問題が生じる.本稿では,超解像やブレ除去等の動画像修復モデルとして検討されている Video Restoration framework with Enhanced Deformable networks (EDVR)を反射除去へ適用することで,反射除去の効果と,各モジュールが反射除去へ与える有効性を検証する.
休 憩(14:30 再開) 座長 和田成夫(東京電機大)
A-8-6 | 抑圧区間形成による実環境音源分離手法 ◎△日高 司・陶山健仁(東京電機大) |
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A-8-7 | オーディオ信号への副次的情報の埋め込み ○蓬田陽美・渡部英二(芝浦工大) |
A-8-8 | 高空間解像度条件における2マイクロホン音源定位 ◎△堀 智也・陶山健仁(東京電機大) |
A-8-9 | HPSS 雑音抑圧を考慮した壁昇降打音検査ロボットのための非線形 SVM 型自動判定システム ◎髙橋汰規(諏訪東京理科大)・堀 晃己(東京理科大)・田邉 造(諏訪東京理科大) |
A-8-10 | 勾配ブースティング型打音判定支援システム ◎小山二千翔・内山竜吾・田邉 造(諏訪東京理科大) |
◎△日高 司・陶山健仁(東京電機大)
実環境下において,「マイクロホン-音源」距離が遠い場合,音源信号は空間的伝搬広がり
をもって到来することが容易に想定できる.複数の複素重み付け加算回路出力の乗算に基
づく手法では,2マイクロホンでの抑圧区間形成を実現しているため,「マイクロホン-音
源」距離が遠い音源に有効である.しかし,空間的伝搬広がりは使用環境に依存し,広がり
の程度は不明である.そこで本研究では,抑圧区間の大小が音源分離の性能に与える効果に
ついて調査する.
○蓬田陽美・渡部英二(芝浦工大)
近年,機器同士の通信を利用した M2M(Machine to Machine)等の新技術が広がり,特に様々なデバイスでデータを伝送する近距離情報通信技術が注目されている.従来では,オクターブ類似性より,振幅スペクトルの最大値を示す周波数の 1/2 倍,2 倍の周波数の振幅を操作することで,1 つのセグメントに 1 ビットの情報を音源に埋め込んでいた.本稿では,人間の聴覚は位相の変化に対して鈍感な特性を用いて用法を埋め込むことで,多ビットが安易な方法を提案する.スペクトルの最大値を示す周波数の 2 倍の周波数の位相を操作することで,従来に比べ,1 つのセグメントに 8 ビット以上の情報を埋め込むことが可能である.
◎△堀 智也・陶山健仁(東京電機大)
本研究ではディジタルフィルタの近似設計に着想を得て,新しい音源定位手法の考え方として群遅延に基づく手法を提案する.音源定位の推定精度向上にはマイクロホン間隔拡張,受音信号の高周波数帯域使用による空間解像度向上が有効である.しかし,一般的な音源定位手法は位相差に基づくため位相に不定性成分が生じる.一方,群遅延は位相を角周波数で微分するため不定性成分が排除され不定性成分が生じない.そこで,本手法ではマイクロホン間の伝達系の推定より群遅延を推定し音源定位を行う.実環境実験より手法の有効性を示す.
◎髙橋汰規(諏訪東京理科大)・堀 晃己(東京理科大)・田邉 造(諏訪東京理科大)
本論文は, 壁昇降打音検査ロボットを用いた健全部・損傷
部の自動判定システムを提案する. 提案手法は, (Step 1) 打
音信号に雑音が含まれた観測信号のスペクトログラムから算
出される事前 SN 比に基づいて逐次的に HPSS[1] の適用範
囲を決めて HPSS 雑音抑圧することで, リアルタイムに打音
信号を推定する. (Step 2) 推定打音スペクトルから特徴量を
抽出した後に, (Step 3) この特徴量に基づいて非線形 SVM
で健全部・損傷部を判定している. 提案手法の特徴は, (i) 打
音検査の自動化と (ii) HPSS によるリアルタイム打音信号推
定に加え (iii) 非線形 SVM により高精度な自動判定システム
を実現した点である.
◎小山二千翔・内山竜吾・田邉 造(諏訪東京理科大)
本論文は,観測信号に含まれる雑音信号を抑圧した後に勾
配ブースティングを用いて健全部・損傷部の判定をする打音
判定支援システムを提案する.提案手法は,(Step1) 最小統
計法で雑音信号の分散値を求め,(Step2) 有色性駆動源カル
マンフィルタにより雑音を抑圧してスペクトルピークとその
周波数を抽出する.(Step3) 抽出した特徴量で勾配ブースティ
ングによる健全部・損傷部の判定をしている.提案手法の特
徴は,(i) リアルタイムに高い雑音抑圧を実現可能なだけで
なく,(ii) 勾配ブースティングにより高精度な健全部・損傷
部の判定が可能なことである.
3月8日 9:00〜11:45 3号館 3404教室 座長 相川直幸(東京理科大)
A-8-11 | 脳波を用いた肘関節曲げ角度の回帰推定 ◎吉川英範・月間 満(阪電通大) |
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A-8-12 | アップサンプリングを用いた内挿型センサアレイ ○増田 崇・渡部英二(芝浦工大) |
A-8-13 | 動態ベクトル解析法に基づいたマルチモーダルAI型心筋梗塞部位予測 ◎佐々木紀華・深澤光希(諏訪東京理科大)・青山純也(ハーバード大)・田邉 造(諏訪東京理科大)・宮城泰雄(日本医大付属病院) |
A-8-14 | セル型生産方式のアンサンブル学習型生産数予測 ◎大野隼大・小林 凌(諏訪東京理科大)・石垣 綾(東京理科大)・田邉 造(諏訪東京理科大) |
A-8-15 | 多品種少ロット抵抗工場のためのNN型不良品数予測 ◎上條康佑・松尾時男(諏訪東京理科大)・石垣 綾(東京理科大)・田邉 造(諏訪東京理科大) |
◎吉川英範・月間 満(阪電通大)
ブレイン・マシン・インタフェースと呼ばれる脳波を利用した機器操作技術では,深層学習のような多量のデータによる学習を必要とする手法は適用しづらい.そこで,短い学習期間で,脳波から精度よく運動を推定する技術開発を進めている.
測定では,被験者は簡易脳波計を被り,右肘にポテンショメータを固定した状態で,肘関節を屈曲させる動作を連続10回×3セット行った.このときの脳波と曲げ角度を計測し,得られたデータを加え合わせ30回分のデータとした.データの1~27回分で線形回帰をし,残りの28~30回分で曲げ角の予測をした.
その結果,予測波形に高周波の振動が見られるものの,概ねポテンショメータによる実測波形に類似していた.
○増田 崇・渡部英二(芝浦工大)
様々な分野でセンサを用いて目的信号を受信する際,ノイズを除去するシステムとしてアレイ信号処理によるビームフォーマがある.これは強い指向性を得るためには大量のセンサを必要とする.この観点から本稿では,空間的に配置された少数のセンサから,アップサンプリングを用いて疑似的にセンサを追加し,信号を推定して強い指向性を得るシステムを提案する.
◎佐々木紀華・深澤光希(諏訪東京理科大)・青山純也(ハーバード大)・田邉 造(諏訪東京理科大)・宮城泰雄(日本医大付属病院)
本論文は,ラット心筋梗塞モデルにおける心臓超音波画像から梗塞部位を予測する方法を提案する.提案手法は,(Step 1) 心基部・中央部の各所望部位からオプティカルフロー解析法を用いて心臓壁の動態量と動態方向の算出する.次に,(Step 2) 1度毎の角度とその動態量から収縮・拡張・円周の方向に分類した後,(Step 3) マルチモーダルAIを用いて心臓動態を予測している.提案手法の特徴は,これまで目視では捉えられなかった心筋梗塞部位の動態が定量的に確認でき, 機械学習の精度を向上可能にしたことである.
◎大野隼大・小林 凌(諏訪東京理科大)・石垣 綾(東京理科大)・田邉 造(諏訪東京理科大)
本論文は,セル型生産方式における各機械の稼働状態から生産数を予測する手法を提案している.
提案手法は,
(Step 1) 工場の各機械に設置した独自 IoT deviceのセンサデータを
Zigbee 通信によって工場サーバへ送信する.次いで,
(Step 2) 工場サーバはインターネット経由でメインサーバに送信した後に,
メインサーバが各機械の稼働状況を帯グラフとして可視化する.
(Step 3) アンサンブル学習の中でも高速処理可能なLightGBMを用いた生産数予測をしている.
提案手法の特徴は,各機械の生産能力の現状把握と未来予測により作業者への支援を可能なことである.
◎上條康佑・松尾時男(諏訪東京理科大)・石垣 綾(東京理科大)・田邉 造(諏訪東京理科大)
本論文は,多品種少ロット抵抗工場のためのNN型不良品数予測を提案する.提案手法は,(Step 1) 大学サーバが工場機械から取得した当日のデータを品種別に集計してランキング形式で可視化をしている.品種別の可視化情報から,(Step 2) ニューラルネットワークを用いて品種別不良品数予測モデルを作成した後に,10分ごとに当日の不良品数予測をしている.提案手法の特徴は,(i) 当日の品種別可視化情報を用いた品種ごとの生産数把握と,(ii) 機械学習を用いた当日の不良品予測数から管理者に対し生産計画の支援を可能としていることである.
休 憩(10:30 再開) 座長 京地清介(工学院大)
A-8-16 | 指定減衰量と阻止帯域が可変な通過域平たんFIRフィルタの設計 ○宮田統馬(サレジオ高専)・相川直幸(東京理科大) |
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A-8-17 | 回路規模削減を考慮したCSD係数FIRフィルタの設計性能評価 ◎森川まり花・陶山健仁(東京電機大) |
A-8-18 | 等電力分割型適応FIRフィルタ ○山本剣大・渡部英二(芝浦工大) |
A-8-19 | iPS細胞拍動の加速度解析法による1次元k-means型分化度判定モデル ◎東 隆志・井上 悟(諏訪東京理科大)・青山純也(ハーバード大)・田邉 造(諏訪東京理科大)・宮城泰雄(日本医大) |
A-8-20 | 機械動作情報を用いたGA型作業スケジューリング ◎中沢嘉仁・服部修平(諏訪東京理科大)・石垣 綾(東京理科大)・田邉 造(諏訪東京理科大) |
○宮田統馬(サレジオ高専)・相川直幸(東京理科大)
これまでに効率的にノイズを除去するために,阻止域の一部に高い減衰量を持たせた阻止域の特性が可変なFIRフィルタの設計法が提案されている.近年,さらなる計測精度の向上を狙って,通過域の振幅特性が平たんかつ阻止域が等リプル特性を有する,高い減衰量を指定可能な可変FIRフィルタの設計法を提案した.本稿では,上記の可変FIRフィルタを拡張した,阻止域の複数要素が可変なフィルタの設計法を提案する.
◎森川まり花・陶山健仁(東京電機大)
本研究では,CSD係数FIRフィルタ設計における回路規模の大小が設計性能に及ぼす効果について検討する.FIRフィルタの回路規模は乗算器が支配的で,特に,乗算器内部のシフタ数を決定する非零桁数の設定に左右される.FIRフィルタ設計で設定する非零桁上限数が少ないほど回路規模削減の効果は高く,また係数の分布は疎になるため最適設計の必要性が高まる.本論文では,設計の際に設定する非零桁の上限数について検証を行い,その性能を設計例を用いて示す.
○山本剣大・渡部英二(芝浦工大)
適応信号処理の1つに, 未知の信号を低域と高域の2帯域に等電力分割する処理があり, それを用いた雑音除去が考えられている. そのためのフィルタとして等電力適応分割フィルタが使用されている. 適応分割フィルタとして, 当初1次IIR 可変フィルタが用いられていたが, 特性の鋭い可変フィルタを用いるため高次FIR 高域・低域通過フィルタを採用し, 遮断周波数の決定方法としてはニュートン法を用いることを提案する. ニュートン法で適応的に探索するための評価関数として, 各フィルタから出力電力を用いて定義し, 探索のための勾配計算フィルタの回路構成を行って可変係数の収束特性を確率勾配法と比較する.
◎東 隆志・井上 悟(諏訪東京理科大)・青山純也(ハーバード大)・田邉 造(諏訪東京理科大)・宮城泰雄(日本医大)
本論文は,iPS 細胞拍動の加速度解析法により 1 次元定量
的分化度判定モデルを提案する.提案手法は,(Step 1-1) オ
プティカルフロー解析により得られた動態量と動態方向から
加速度ベクトルを算出する.次いで,(Step 1-2) 角度に対す
る加速度の 2 次元グラフから,(Step 1-3) 山の数を求める.
(Step 2-1) 提案手法 1 は山の数を用いた 1 次元閾値判定法,
(Step 2-2) 提案手法 2 は 1 次元 k-means 法による分化度判
定モデルを作成する.提案手法の特徴は,提案手法 1 と提案
手法 2 の比較による iPS 細胞拍動特性の妥当性を確認したこ
と,分化度の定量的評価を簡易的に可能としたことである.
◎中沢嘉仁・服部修平(諏訪東京理科大)・石垣 綾(東京理科大)・田邉 造(諏訪東京理科大)
本論文は,ESP32自作IoT deviceを用いて基板メーカの機械稼働状態情報から,GA型スケジューリングを提案する.提案手法は,(Step 1) センサを工場内の機械に設置して機械状態と生産数を取得する.ESP系自作IoT deviceはWi-Fi経由で大学サーバに情報を送信した後に,(Step 2) 大学サーバのデータベースで解析してから機械動作状態を可視化する.また,(Step 3) 機械への効率的な段取りを機械動作情報を用いて遺伝的アルゴリズムからスケジューリングしている.提案方法の特徴は,(i) 安価で低電力なESP系自作IoT deviceを開発することに加え,(ii) 効率的な段取りを提言していることである.
3月8日 13:00〜15:45 3号館 3404教室 座長 陶山健仁(東京電機大)
A-8-21 | データ駆動型動力学モデリングによる河川水位時系列データ解析の検討 ◎内藤 翼・北村帆高・村松正吾・安田浩保(新潟大) |
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A-8-22 | 低計算量な学習可能MIMO信号検出器に関する一検討 ○高邉賢史(東工大) |
A-8-23 | 動的物体の時系列データに対するパルス性雑音除去に関する基礎検討 ○中野友亮・尾崎光紀・八木谷 聡(金沢大)・加藤裕次郎・西納幸伸(澁谷工業) |
A-8-24 | XGBoostの近似モデルを用いた自動車内の乗員検知手法の検討 ◎佐藤琴音・市毛弘一(横浜国大)・木村和也・杉浦 諒(村田製作所) |
A-8-25 | 霧による劣化画像からの物体検出の精度向上の検討 ○吉沢昂祐・木本伊彦(東洋大) |
◎内藤 翼・北村帆高・村松正吾・安田浩保(新潟大)
本稿では,非線形力学スパース同定(SINDy)を用いた多地点河川水位の予測法を提案する.近年,世界各地で気候変動による甚大な水害が生じている.その対応策として,河川の一体的な把握と制御に利用可能なモデルの構築が必要とされている.そこで本研究では河川水位データにSINDyを活用することで,河川水位の支配方程式を導出し,水系全体の水位予測手段として活用する.
実河川水位に適用した実験結果において提案法であるSINDy は良い予測性能を示すが,グラフ構造を利用する先行研究が高い予測性能を示した.今後は先行研究で扱うグラフ構造をSINDy と共に利用することで更なる精度向上が期待される.
○高邉賢史(東工大)
大規模MIMOシステムはポスト5G無線ネットワークの重要技術として注目を集めている.近年,進展の著しい深層学習技術に基づく学習可能なMIMO信号検出器が多数提案されており,信号推定が困難とされている過負荷な場合であっても従来の信号検出器と比較して優れた性能を示している.一方で,既存の学習可能信号検出器には学習すべきパラメタ数や学習/実行時の計算量に関するスケーラビリティに改善の余地がある.本講演では,学習パラメタ数と学習/実行時の計算量オーダーが最小限であるような学習可能信号検出器を提案し,過負荷大規模MIMOにおいて既存手法との性能比較を行う.
○中野友亮・尾崎光紀・八木谷 聡(金沢大)・加藤裕次郎・西納幸伸(澁谷工業)
多くの時系列データには雑音が含まれており,データから有用な知識を発見するためにも雑音を適切に抑圧する技術は様々な分野から求められている.本研究は動的物体の時系列データに対してデジタルフィルタを用いて信号処理を行い,対象とする物理量を高精度かつ高速に計測することを目的とした.本研究では時系列データの例として動的物体の静止重量に関する計測を仮定した.三つの手法でデータに対してFIRフィルタで信号処理を行うことによって運動による振動成分を抑圧し,重量計測のための適切な計測時間を設計した.データの学習を取り入れたフィルタ作成手法を用いることで,最も計測時間が長い手法より55 %高速化することができた.
◎佐藤琴音・市毛弘一(横浜国大)・木村和也・杉浦 諒(村田製作所)
昨今,自動車に幼児が取り残される事故が頻発し,社会的な問題となっている.また,幼児置き去り検知 (Child Presence Detection) が Euro NCAP (ヨーロッパの自動車アセスメント) の試験項目に加わることが決定しており,乗員を検知できることが機能として求められている.本稿では,Extreme Gradient Boosting (XGBoost) 及びNeural Network (NN) を用いて,ミリ波レーダから得た1次元特徴量を基に自動車内における乗員判定の機能を実装し,比較する.また,XGBoostを用いて作成した二分木の近似化を行い,特徴量の閾値を出力した後分類アルゴリズムを構築し,計算時間やモデルサイズを比較して評価する.
○吉沢昂祐・木本伊彦(東洋大)
悪天候下の屋外で撮影された画像では、霧や霞などによって鮮明さが失われ、画像の質が大きく低下することがある。これにより、人や車、ナンバープレートなどの検出対象の物体を検出できない、あるいは誤検出をおこすなどの問題がおきることがある。自動運転では検出漏れや誤検出は、重大な交通事故を誘発する恐れがある。本研究では、霧の発生した屋外の環境をカメラによって撮影した画像を用いて、主に車載環境を想定した物体検出の精度評価を行う。また、霧による劣化画像に対してダークチャネル法による霧の除去や明度のヒストグラムの平坦化を施した画像でも同様の精度評価を行う。さらに、霧画像や処理を施した霧画像を用いて物体検出モデルの転移学習を行い物体検出の精度向上を図る。そして、霧の環境下における検出精度が低下しづらい物体検出手法の提案を行い、より安全性と信頼性の高い自動運転の実現を目指す。
休 憩(14:30 再開) 座長 市毛弘一(横浜国大)
A-8-26 | 全方位音源追尾のためのマイクロホン対の役割選択法 ◎△佐々木遥人・陶山健仁(東京電機大) |
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A-8-27 | 空間的伝搬広がりが要因の音源分離信号の残留ノイズ除去 ◎△古澤 魁・陶山健仁(東京電機大) |
A-8-28 | NMFを用いた音信号からの鳥検出手法の提案と評価 ◎渡部 和・木本伊彦(東洋大) |
A-8-29 | 乳幼児の腸音に基づく覚醒時のk-means型機嫌予測 ◎向山紗矢・谷口虎太郎・藤部虎大・田邉 造(諏訪東京理科大) |
A-8-30 | リー群理論に基づいた自律移動ロボットの自己位置推定 ◎小林三泰・十河拓也(中部大) |
◎△佐々木遥人・陶山健仁(東京電機大)
本研究は,全方位音源追尾のためのマイクロホン対の役割選択法について検討する.従来法では,複数の2マイクロホン対の推定結果を統合し方向推定を行った.しかし,音源方向によってはマイクロホン間の到達時間差の計測誤差に対する感度が高く,方向推定が失敗するマイクロホン対が存在し追尾性能低下の要因となった.本研究では,マイクロホン対の感度差を用いて,役割を選択し感度が低いマイクロホン対のみを方向推定に用いて追尾性能向上を狙う.実環境実験より,提案法の有効性を示す.
◎△古澤 魁・陶山健仁(東京電機大)
音源方向が既知の状況での音源分離手法として,複数の複素重み付け加算回路出力乗算による手法が提案されている.
複数の回路出力を乗算し,妨害音方向に対して一定ゲイン以下の抑圧区間が形成可能である.
しかし実際の音場では,音源信号の広がりや壁などの反射音のため音波は広範囲に伝搬する.
そのため,抑圧区間外にノイズが残留する.
そこで,実環境における空間的伝搬広がりの程度を考慮し,適応フィルタで残留ノイズを除去し分離性能向上を狙う.
実環境実験より,提案法の有効性を示す.
◎渡部 和・木本伊彦(東洋大)
近年、希少動物の保護、および環境影響評価の一環として、高速道路やダムなどの大規模建設の際、動物の鳴き声による生態系の事前調査が行われているが、雑音が入る環境において実用的な精度で、多様な生物の鳴き声を検出できるシステムの実現には至っていない。特に鳥の鳴き声判別については、種類も豊富で非常に難しいタスクである。本研究では、このような雑音を含む音声データから鳥類の鳴き声を検出する手法を、半教師ありSSNMF(Semi Supervised Non Negative Matrix Factor)に改善を加えたものを用いて、実現する。
◎向山紗矢・谷口虎太郎・藤部虎大・田邉 造(諏訪東京理科大)
本論文は,乳幼児の睡眠時における特徴的な 6 種類の腸音割合に基づいた k-means 型機械学習による覚醒時の機嫌予測を提案する. 提案手法は,(Step 1) 時間周波数解析を用いて腸音を特徴的な 6 つの音に分類した後に,(Step 2) 睡眠中の体動量が落ち着いている 10 分と覚醒前 10 分の腸音量割合をそれぞれ散布図に示す. (Step 3) 散布図を用いた k-means型機械学習から覚醒時における乳幼児の機嫌を予測している.提案手法の特徴は,腸音のみから覚醒時の機嫌を予測可能なことである.
◎小林三泰・十河拓也(中部大)
移動ロボットやドローンなど,自律移動体に必要とされるのが自己位置・姿勢及び環境地図推定する能力である.実時間での推定法としてカルマンフィルタがある.カルマンフィルタは線形モデルを対象とした推定法であり,強い非線形特性をもつ自律移動体は,近似線形化に基づいてカルマンフィルタを適用すると不合理な推定結果を導く.他の推定法として粒子フィルタがあるが,高精度,高計算負荷となり実時間処理に難点を抱えている.本稿では,リー群理論により自律移動体の非線形運動モデルをとらえ,カルマンフィルタに適用することで低計算負荷,高速,高精度化を図る.評価実験の結果,自律移動体の非線形運動モデルをリー群理論に基づくことで推定精度が向上することを確認した.
3月8日 13:00〜16:30 4号館 4205教室 座長 大内浩司(静岡大)
A-9-1 | 逐次干渉除去型空間4PPM相関による低輝度WDM/SDM可視光通信 ◎川出有紗・中條 渉・小林健太郎(名城大) |
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A-9-2 | 色多重光カメラ通信における撮像処理の検討 ◎佐々木友基・丸田一輝(東京理科大)・小島 駿(東大)・久野大介(阪大)・中山 悠(東京農工大) |
A-9-3 | イベントカメラの移動状況下におけるイベントの発生の分析 ◎古川晃大・江原大貴・山里敬也・岡田 啓(名大)・木下雅之(千葉工大)・荒井伸太郎(岡山理科大)・圓道知博(長岡技科大)・鎌倉浩嗣(千葉工大)・藤井俊彰(名大) |
A-9-4 | 直交配置された2台のローリングシャッタ方式イメージセンサを用いた可視光通信における2次元符号化 ◎大塚鮎陸・唐 正強・山里敬也(名大) |
A-9-5 | 極性分離光OFDMを用いたローリングシャッタ型可視光通信の性能改善 ◎△清水 大・金田晃汰・木下雅之・鎌倉浩嗣(千葉工大)・山里敬也(名大) |
A-9-6 | 白色発光を維持可能なRGB-LEDターボ符号システムの一提案 ◎飯沼正太郎・孫 冉・武田茂樹(茨城大) |
A-9-7 | RGB-LED BPPM並列伝送における同期性能を考慮するBER ○羽渕裕真・松島 丈・小澤佑介(茨城大) |
◎川出有紗・中條 渉・小林健太郎(名城大)
スマートフォンスクリーンから屋内カメラへのアップリンク可視光通信において,空間4パルス位置変調 (4PPM)の相関とクラスタリング手法により,閾値学習なしで空間分割多重(SDM)を実現している[1].本報告ではデータレート向上のため,波長多重/空間分割多重(WDM/SDM)を,空間4PPM相関と逐次干渉除去(Successive Interference Cancellation, SIC)により,閾値学習なしで実現する.
◎佐々木友基・丸田一輝(東京理科大)・小島 駿(東大)・久野大介(阪大)・中山 悠(東京農工大)
水中や衛星間など, 電波不感地帯において, 送信側にディスプレイやLEDなどの可視光源を, 受信側にカメラを用いた光カメラ通信(OCC)が注目されており, OCCにおける通信容量向上に, 色に送信ビットを割り振った色多重伝送が検討されている. ここで, 既存のOCCでは, カメラ内臓の撮像アルゴリズムを通して得られた取得画像より通信を行っており, 機器内部の撮像処理まで考慮されておらず, 内部処理が最適化されていない. 本稿では, この撮像処理に注目し, OCCの色多重伝送に適したカラー画像の生成及び動的パラメータの最適化手法を提案する.
◎古川晃大・江原大貴・山里敬也・岡田 啓(名大)・木下雅之(千葉工大)・荒井伸太郎(岡山理科大)・圓道知博(長岡技科大)・鎌倉浩嗣(千葉工大)・藤井俊彰(名大)
本稿ではイベントカメラを用いた可視光通信に注目する。
イベントカメラを用いた可視光通信では、LEDを高速点滅させることでデータ送信を行う。イベントカメラは輝度の変化を高速に抽出できるため、データ復調が可能である。一方、移動環境での使用では送信源となるLED以外からの輝度の変化がイベントとして抽出されてしまう。そのような背景雑音によって送信源からの情報が取り出せないことが問題として挙げられる。シーケンシーとは、輝度の変化により各座標で+と−が反転する出力である。背景雑音のシーケンシーを計測し解析することによって、送信源となるLED以外のイベントの影響を受けにくくすることを目標とする。
◎大塚鮎陸・唐 正強・山里敬也(名大)
ローリングシャッタ方式イメージセンサを用いた可視光通信は,スマートフォン等の搭載カメラに対応する一方,撮影fpsが低く,通信速度がそれに制限されるといった問題がある.そこで,本研究ではローリングシャッタ方式イメージセンサを用いた可視光通信の高速化を目的として,直交するように配置された2台の受信機を用いる.また,その際に適するLEDアレイ送信機での2次元符号化手法を提案する.XORを利用し,1つのLEDのON-OFFで2種の情報を表現することで,2台の受信機にそれぞれ別の情報を送信する.これにより,1台の受信機で受信する方式と比較して2倍のデータレートが得られる.また実験により,実際に提案手法を用いて通信を行っている.
◎△清水 大・金田晃汰・木下雅之・鎌倉浩嗣(千葉工大)・山里敬也(名大)
本稿では,受信機にローリングシャッタカメラを用いる可視光通信(ローリングシャッタ型可視光通信)を扱う.
ローリングシャッタカメラでは,順次露光特性から,撮影速度より高速に変調した光信号を送ると,その変調パターンが縞模様として撮像されることから,通信速度の高速化が可能である.
本稿では,通信速度の更なる高速化のため,ローリングシャッタ型可視光通信における光OFDMについて検討する.
◎飯沼正太郎・孫 冉・武田茂樹(茨城大)
本発表では、2種類のRGB出力パターンをパリティチェックビットの変調パターンとして利用し、白色発光を維持可能なRGB-LEDターボ符号通信システムを提案した。LEDの非線形問題を回避し、精確に調色するため、提案システムではパルス幅変調(PWM)と2値パルス位置変調(BPPM)を組み合わせ、RGB出力パターンを変えながら、データ伝送を行った。提案システムをコンピュータシミュレーションにより評価し、その結果、従来方式より2dBのビット誤り率性能向上が達成できた。
○羽渕裕真・松島 丈・小澤佑介(茨城大)
本稿では、RGB-LED照明によるBPPM並列伝送法において、フレーム同期保持時間の割合を示す同期安定率とその同期安定率を考慮したビット誤り率を評価している。その結果、同期安定率はSNR=13[dB]以上で1を達成できることが分かった。フレーム同期性能を考慮するビット誤り率特性は、白色となるR,G,Bの電力比率に対応している。電力比率の最も高いB-LEDは12.5[dB]以上でBER=10^{-3}を達成でき、最も低いR-LEDよりも4.5[dB]良好であることが分かった。
休 憩(15:00 再開) 座長 佐野裕康(三菱電機)
A-9-8 | 超球面変調における復調計算量削減に関する一検討 ◎小林源太朗・藤井雅弘(宇都宮大) |
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A-9-9 | 無線電力伝送とセンシングのためのビームフォーミング設計の一検討 ◎鈴木皓大・楊 松・宮嶋照行(茨城大) |
A-9-10 | Non-Uniform Constellationsを用いたQAM信号重畳型PAPR低減法の検討 ◎青木 崇・荒井 剛・稲井 寛・若林秀昭(岡山県立大) |
A-9-11 | ミリ波高速チャープ変調MIMOレーダによるペイロード状態のドローンのイメージングに関する実験的検討 ○小川拳史・黒崎将史・中村僚兵・葉玉寿弥(防衛大) |
A-9-12 | UWB屋内航法における決定木を用いたマルチパス誤差低減手法 ◎永二綺人・井家上哲史(明大) |
A-9-13 | OFDM信号のピークを低減するためのZadoff-Chu行列を用いるプリコーディング処理の解析 ○大内浩司(静岡大) |
◎小林源太朗・藤井雅弘(宇都宮大)
本論文では,超球面変調における復調の計算量の削減方式について報告する.
超球面変調はシンボル間距離を長くすることで誤り耐性を向上することが可能であるが,復調の計算量が次元数に対して指数的に増加する問題があった.
本検討では,この計算量を削減する手法について提案し,その削減効果を定量的に評価する.
◎鈴木皓大・楊 松・宮嶋照行(茨城大)
次世移動通信システムでは多様なサービスを提供するために周波数利用効率を向上させることが重要である.本発表では,無線電力伝送と無線センシングを同一周波数帯で同時に実現するためのビームフォーミング設計法を提案する.提案法は,センシング対象物に対する受信SINRが要求条件を満たし,かつ送信電力が一定という制約の元で,ユーザ端末における収集電力が最大になるように基地局のビームフォーミングを設計するものである.シミュレーションによりセンシング能力と収集電力の関係性について評価し,その結果を報告する.
◎青木 崇・荒井 剛・稲井 寛・若林秀昭(岡山県立大)
直交周波数分割多重(OFDM)方式は直交した搬送波を加算して伝送を行うため,ピーク対平均電力比(PAPR)が高くなり,受信信号の線形性を保てなくなるといった問題がある.これを解決する方法の一つに,QAM信号重畳型PAPR低減法(重畳低減法)がある.本稿では,データシンボルの信号点間隔が不均等であるNon-Uniform Constellations(NUC)に着目している.データシンボルをNUCとし重畳低減法を適用したOFDM信号のPAPR特性を従来方式と比較し,PAPRを低減できる場合があることが示されている.
○小川拳史・黒崎将史・中村僚兵・葉玉寿弥(防衛大)
近年,ドローンの社会実装が促進される一方,危険物を搭載したドローンが,犯罪やテロに利用されることが考えられる.そのため,このようなドローンの検出を行うシステムの実現が課題となる.筆者らは,これまでにミリ波高速チャープ変調(FCM)方式を用いたMIMOレーダによるドローンのイメージング(距離・方位角)について検討している.その結果,ドローンの機種に応じて特徴的なイメージング画像が得られることを確認している.しかしながら,ドローンがペイロード状態かどうかの検知までは困難である.そこで,本稿では方位角・仰角方向へのイメージングを行うとともに,2次元Khatri-Rao(2D-KR)積仮想アレー処理を適用し,アレー開口長を仮想的に増加させることで角度分解能を向上させ,ペイロード状態のドローンのイメージングを行った結果について報告する.
◎永二綺人・井家上哲史(明大)
先行研究では壁や床からの反射波が直接波よりも経路長が長い事に着目し,時系列の測距データに対して求められる下からの包絡線を測距値とすることでマルチパスによる誤差を低減した.そこで生成された包絡線と真値を比較すると,真値は包絡線に平滑化処理を施した様なグラフとなっていたことから,簡易な移動平均による平滑化処理と,その問題点を補償し,測距精度を向上させることを目的とする.
○大内浩司(静岡大)
OFDM信号のピーク低減技術の一つにプリコーディングがある.本研究では,Zadoff-Chu系列に基づく行列を用いるプリコーディング技術に着目し,その処理に必要な複素乗算回数を解析した.その結果,プリコーディング行列の乗算処理には FFTアルゴリズムが応用でき,その場合,必要な複素乗算回数は2N+(N/2)log_2(N)に削減できることを示した.
3月8日 9:00〜11:45 3号館 3301教室 座長 小林孝一(北大)
A-10-1 | 価格変動型電気料金下における家庭消費電力最適化に関する検討 ◎谷本 凌・中村祐喜・竹野和彦(NTTドコモ) |
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A-10-2 | 類似度による方程式選択に基づくイベント影響推定方式 ○角田 愛・森谷高明・西尾 学・三好 優(NTT) |
A-10-3 | 複数の評価関数を組み合わせたカスタマイズ可能な変化点検出方式 ○西尾 学・森谷高明・角田 愛・三好 優(NTT) |
A-10-4 | リスト内でのみ作用を行う移動型Axelrodモデル ○宮澤理哉・塩谷 勇(法政大) |
A-10-5 | スーパバイザ制御により安全を保証した移動ロボットの深層強化学習 ◎西原大夢・山﨑達志(摂南大) |
A-10-6 | ナショナリズムが台頭する理由 ○三石康生・塩谷 勇(法政大) |
◎谷本 凌・中村祐喜・竹野和彦(NTTドコモ)
近年,一般家庭の消費電力は高止まりにあり,一般家庭の消費電力抑制が重要視されている.ドコモでは,2030年カーボンニュートラル宣言を掲げており,グリーン基地局の導入や,基地局の電力制御技術を 社外設備や一般家庭にも適用して地域社会の脱炭素化への貢献を目指している.電力需要安定化の方法として,電力需要に合わせて電力価格を変動させ,電力需要を平滑化する仕組みである価格変動型DRがある.本研究では,電気料金を構成する基本料金に着目し,価格変動型DR下における1日あたりの一世帯の電気料金を最適化する手法を提案する.
○角田 愛・森谷高明・西尾 学・三好 優(NTT)
時系列データへのイベント影響の推定は,災害対策などの予算の根拠になり有用である.時系列データの時刻間の変動が,その間のイベント影響の総和であるとして連立方程式を用いてイベント影響を推定する手法を検討した.
○西尾 学・森谷高明・角田 愛・三好 優(NTT)
専門的な知識が無くても,複数の評価関数を単純に組み合わせることで,分析の目的に合致した時系列データの変化点の検出ができるようにする方法を検討した.
○宮澤理哉・塩谷 勇(法政大)
似た特徴を持つ人から人は影響を受けやすいという観点から、各個人が文化に影響を与えることでだんだんと各個人の文化が似通っていき、最終的には同じような文化が増え、元あった文化の種類よりも減少していくというAxelrodのモデルを先行研究にし、リストで囲いを作りその中にエージェントが出入りし、リスト内でのみ文化に影響を及ぼすことが出来るモデルを作成した。また時間の遅れという与えた影響が文化に変化をもたらすまでのタイムラグを加え、リスト内に入ることが出来る人数に制限がある場合と無い場合で実験を行った。その結果リストに制限がない場合の方が少ない影響回数で多くの文化を残すことが出来ることが分かった。
◎西原大夢・山﨑達志(摂南大)
機械学習に基づく手法の自動運転やロボット制御といった実問題への適用が進んでいる.強化学習では受け取る報酬を手がかりに,状況に対しどのように行動すべきかを学習していくが,その性質上,動作の安全が常には保証されない.これに対し,安全な強化学習を指向した様々な研究が行われている.本研究では制御仕様に基づきスーパバイザを構成した上で,スーパバイザ制御と深層強化学習を階層的に組み合わせ,移動ロボットの経路学習タスクへの適用を行った.計算機実験では,深層強化学習のみの場合と異なり,提案手法では学習の過程も含めて守るべき制御仕様を常に満たし,安全が保証された中で学習を行うことができた.
○三石康生・塩谷 勇(法政大)
今日、インターネットの普及によって、我々は様々な情報の入手を可能とした。ただ、実際はほとんどの人が自分と共通した特定の情報に対してしか興味を示さない。例えば「日本人が4位入賞」という記事と「アメリカ人が優勝」という記事があった場合、日本人は前者の記事に興味を示すだろう。加えて、メディア側も読者の興味が集まる記事を提供する為、自国民の情報が入手しやすく、他国民の情報が入手しにくい状況を作っているのではないだろうか。このように、得られる情報を自身で選択できる状況下でナショナリズムが台頭することを、簡易モデルを使って表すことが研究の意義、目的である。
(10:30 開始) 座長 山﨑達志(摂南大)
A-10-7 | NSGA-IIによる多目的避難経路の構築と評価 ◎三浦勇介・松澤智史(東京理科大) |
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A-10-8 | 文脈を考慮した Transformer による対話システムの検討 ◎船間直希・尾崎敦夫(阪工大) |
A-10-9 | 強化学習による移動型人流検知センサのルート最適化 ◎渡辺一貴・尾崎敦夫(阪工大) |
A-10-10 | Wi-Fi電波特性を利用した人数推定手法の検討 ○蓬莱健太・豊味諒磨・尾崎敦夫(阪工大) |
A-10-11 | BDDを用いたブーリアンネットワークの有限時間制御 ○本山風馬・小林孝一・山下 裕(北大) |
◎三浦勇介・松澤智史(東京理科大)
津波からの被害を抑えるためには安全な所へ迅速に避難する必要がある. しかし, 避難場所への最短経路が必ずしも生存率が高いとは限らない. 津波の到達時間がわからない状況や津波の発生に伴って発生する河川遡上により, 本来通れる道が制限されるような状況において, 生存率の高い避難経路を提示することを本研究の目的とする.提案手法として多目的遺伝的アルゴリズムであるNSGA-IIを使用して経路探索を行う.経路の総距離,標高,河川からの距離といった複数の目的を最適化した経路を生成した.各経路に対して津波を想定したシミュレーションをすることにより経路や探索の評価及び生存率の高い経路の抽出を行う.
◎船間直希・尾崎敦夫(阪工大)
近年,一人暮らしの高齢者の話し相手などを目的として対話システムが研究されている.本研究では,同じ発話文に対し,会話文の流れに沿った異なる応答文を生成させることを目的とした,Transformerを用いる対話システムの検討を行う.様々な文脈に対応するため文脈の情報を文章ベクトルへと変換した後,意味の近い文章同士でクラスタリングを行う.その後,会話文中でこれまでに出現した文章の情報と一つ前の発話文をTransformerのエンコーダへの入力とし学習を進める.結果としては,同じ発話文に対する応答文の場合であっても,文脈の違いにより異なる応答文を生成させることができた.今後は質の良いデータを増やし,学習法を工夫するなどして応答文の精度向上を目指す.
◎渡辺一貴・尾崎敦夫(阪工大)
Q学習に基づき,エージェント(移動型人流検知センサ)が対象空間において,所望の時間内に指定したスタート地点から任意の時空間(混雑箇所)に向かうまでの累積報酬値が最大となるルートの探索を行う.
探索マップを10×10サイズのグリッドマス,エージェントのスタート地点はマップ左上に設定,エージェントの移動は上下左右の4方向,フラグ(混雑範囲)では中心1マスは移動に3ステップ,中心から3×3コマでは移動に2ステップ,それ以外では移動に1ステップ,センサ覆域は周囲5×5マスとした.
結果より,任意のステップ数を指定することでスタート地点から目的地点までの間で累積報酬値が最大となるルート探索が可能であった.
○蓬莱健太・豊味諒磨・尾崎敦夫(阪工大)
近年,大規模イベントを開催する際には,混雑緩和等の感染症対策を行うことが必須となっている.混雑発生箇所を特定する方法の一つとして,スマートフォン等のWi-Fi端末から発信されるProbe Request信号(以下,PR)を,Wi-Fiパケットセンサ(以下,PS)で検知・解析することで,対象エリア内の人数分布を把握する研究が行われてきた.しかし,PR の特徴が一致する端末が,対象エリア内に複数台存在した場合,人数分布の把握が困難となる.特にiOS端末に関してはこの傾向が顕著である.
本稿では,上記課題を解決するべく,iOS端末を対象に,PSで検知されるPRの受信強度と取得率を用いることで,対象エリア内の人数を推定する手法を提案する.
○本山風馬・小林孝一・山下 裕(北大)
ブーリアンネットワーク(Boolean network, BN)は遺伝子ネットワークのような複雑ネットワークの数理モデルとして知られている.近年ではBNの制御問題を解くためのツールとしてSTP(Semi-Tensor Product,セミテンソル積)が広く用いられている.STPではBNを行列として表し,代数的解法により制御問題を解く.しかし行列のサイズがBNのサイズに対して指数的に増大するため大規模なBNを扱うことが困難である.本研究ではBDD(Binary Decision Diagram)を用いて大規模なBNの制御問題を解く手法を示す.BDDは論理関数を効率的に表現するグラフ構造であり,BDDどうしの二項論理演算が可能である.
3月10日 10:45〜11:00 3号館 3301教室 座長 竹内和広(阪電通大)
A-11-1 | 授業アンケートに対する一覧性の高い評価分析システムの開発 ◎柿本陽平(日大)・大島崇行・椎谷由佳(上越教育大)・大前佑斗(日大)・高橋弘毅(東京都市大) |
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◎柿本陽平(日大)・大島崇行・椎谷由佳(上越教育大)・大前佑斗(日大)・高橋弘毅(東京都市大)
教育機関における授業の品質向上のためには,授業を受け学習する生徒からのフィードバックが重要である.フィードバックは授業を受けている生徒の反応,授業内容に関するテストの点数,生徒へのアンケートなど様々な形で取得することができる.本研究では特に生徒への授業アンケートに着目する.ある授業に対して振り返りアンケートなどを実施する場合,得られた回答の生データには生徒数十人分の結果が記載される.そのようなデータに対して評価分析を行う場合,直接回答結果を確認し生徒一人ひとりについて定量的評価を行うことは,一覧性の低さから現実的ではない.そこで授業アンケートを効率的に評価,分析するためにアンケート結果を点数化,可視化することで一覧性を向上させるシステムを開発する.
3月10日 11:30〜11:45 3号館 3301教室 座長 大谷卓史(吉備国際大)
A-12-1 | 新しい技術者倫理とは? ○吉川 隆(近畿大高専) |
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○吉川 隆(近畿大高専)
一般にICTに於ける技術者倫理とは人のプライバシーを侵害しない事に主眼が置かれていた。一つは情報端末であるカメラの画像の取り扱い、他方はインターネット上の個人情報の扱いといったものに対してどういう取り扱いを行う事で、その人のプライバシーが守れるかという事が技術者倫理の観点であった。しかし、近年ICTを取り巻く環境は大きく変化しつつある。その大きな一因はAIが出現したことにある。我々はICTにて人間の脳の機能を持つという領域に突入したことにより、この新しい脳に対する取り扱いを規定しなければならない。どこまでの判断に人間の脳を用いてどこまでの判断に機械脳を用いるのか、その舵を手放さないために我々はどういった技術者倫理を持つべきかを考える。
3月7日 13:00〜17:00 3号館 3307教室 座長 大岸智彦(KDDI)
A-13-1 | 合流支援情報提供システムの有効性評価 ○永倉 亘・金子幸司・一杉和夫(三菱電機)・松本章宏(長大)・中川敏正・井坪慎二(国総研) |
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A-13-2 | マルチモーダル解析を用いた運転行動予測 ○小幡一智・田中洋平(パイオニア) |
A-13-3 | イジングマシンによる配送計画の最適化 ―古典コンピュータによる計算結果との比較― ○露峰祐衣・増田健一・北田智之・八川剛志・羽賀 剛(住友電工)・谷地悠太・白井達彦・多和田雅師・戸川 望(早大) |
A-13-4 | Timor-Leste's Mikrolet Vehicle Multi-Class Classification Performance Evaluation using Deep Learning Models ○Abreu Andre Boavida・Lantian Wei・Shan Lu・Hiroshi Kamabe(Gifu Univ.) |
○永倉 亘・金子幸司・一杉和夫(三菱電機)・松本章宏(長大)・中川敏正・井坪慎二(国総研)
合流支援情報提供システムは, 連結路を走行する自動運転車に対して, 高速道路等の合流部上流の本線の走行車両の速度, 車長等に係る情報を提供することにより,円滑な合流を支援するシステムである. 2021年度, 国土交通省国土技術政策総合研究所 (以下, 国総研)の試験走路において, 合流支援情報提供システムの有効性を評価する実証実験を行った. 実証実験では合流支援情報提供システムの構築(本線走行車両の情報収集, 提供情報生成, 情報提供及び車両側での本線走行車両情報活用)と, システム全体での動作検証,サービス評価を行った.
その結果, 合流支援情報提供システム情報を使用することで加速車線起点において本線走行車両と並走しないような速度調整が可能になり, 加速車線での加減速度を低減可能なことを明らかにした.
本稿では, 上記の国総研における合流支援情報提供システムの有効性評価について報告する.
○小幡一智・田中洋平(パイオニア)
近年、自動車や車載機の技術進化により、運転者には多種多用な情報が提供されるが、運転中に全ての情報を理解・判断し、操作・処理することは困難である。そのため、運転状況や行動を把握・予測し、効果的に必要な情報を提供するUIの実現が期待される。実現には、時間変化していく運転状態を早期に予測する技術が重要となる。
本研究では、運転者、車両および周辺環境に関するマルチモーダルな情報の時系列解析により、特定の運転行動が起こる確率として状態確率関数を定式化し運転行動予測を行った。運転行動の1つである車線変更について予測性能を公道での実走実験によって評価し、高精度な予測が可能であることを確認した。
○露峰祐衣・増田健一・北田智之・八川剛志・羽賀 剛(住友電工)・谷地悠太・白井達彦・多和田雅師・戸川 望(早大)
オンラインショッピングの普及や新型コロナウイルスの影響により物流事業者の負担が増加している.
本稿では,現実に即した配送計画問題であるTime-Dependent Vehicle Routing Problem with Multiple Time Window (TDVRPTW)を解くため,複数の目的関数と制約条件をQuadratic Unconstrained Binary Optimization(QUBO)で表現する方法を提案し,イジングマシンを用いて解が得られたことを示す.
○Abreu Andre Boavida・Lantian Wei・Shan Lu・Hiroshi Kamabe(Gifu Univ.)
To create the Navi system in Dili, we create the classification of the mikrolet vehicles using the deep learning model. This research uses the multi-class deep learning model to identify images containing different mikrolet vehicles. The main goal is to propose deep learning models for mikrolet lane classification using four different models, CNN, VGG16, ResNet50, and DenseNet121, and evaluate the performance of each model.
休 憩(14:15 再開) 座長 高取祐介(神奈川工科大)
A-13-5 | 歩行者の左右位置を考慮した歩行者車両間衝突回避支援システム ○内田颯太・嶋田 光・川下幸都・和田友孝(関西大) |
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A-13-6 | 自動運転車と歩行者間の合意形成手法の基礎的検討 ◎牛島秀暢・石岡 陸・田谷昭仁・西山勇毅・瀬崎 薫(東大) |
A-13-7 | ITSエミュレータによる路側カメラ事前検証 ○渡部秀一・高橋 豊・錦織義久(OTSL) |
A-13-8 | ITSエミュレータのプログラマビリティ・拡張性について ○髙橋 豊・渡部秀一・錦織義久(OTSL) |
A-13-9 | 車載ハーネスレス実現のためのUWB通信解析 ○奥原 誠・栗岡伸行(デンソーテン)・太田 能(神戸大) |
○内田颯太・嶋田 光・川下幸都・和田友孝(関西大)
現在,歩行中の死亡者数は交通事故による死亡者数の一定割合を占めている.また,実際の交差点や単路などの交通環境下では車両と歩行者の左右の位置関係によって交通事故率は大きく変わる.そこで,歩行者の左右位置を考慮した歩行者車両間衝突回避支援システムを提案する.本提案システムは,車両および歩行者端末はGPS情報を取得し,歩行者の左右位置,動作の判別および相対距離,相対速度などの情報をもとに危険度を算出する.そして,運転者に危険度に応じて警告することで,歩行者との衝突回避を支援する.実車両による実証実験を行い,その結果により性能を評価し,本提案システムの有効性を確認する.
◎牛島秀暢・石岡 陸・田谷昭仁・西山勇毅・瀬崎 薫(東大)
自動運転社会の到来から、これまで運転者と歩行者が暗黙的に行ってきた合意形成が行われなくなる事から、これまで起き得なかったような事故やトラブルが発生すると考えられている。そのため、新しい自動運転車と歩行者間での合意形成手法が必要となる。本研究では、狭路の一方通行における追い越し場面を想定し、音声情報と視覚情報を複合的に組み合わせた自動運転車と歩行者との合意形成手法の基礎的検討をした。
○渡部秀一・高橋 豊・錦織義久(OTSL)
新たな交通アイテムである路側カメラについて、ITSエミュレータによる事前検証を行う。路側に設置したカメラで走行車両の車載レーダやカメラセンサの死角を補い、検知した障害物情報を管制を介して走行車両に通知するまでをシミュレーションする。
○髙橋 豊・渡部秀一・錦織義久(OTSL)
ITSエミュレータのプログラマビリティとクラウド活用による利用性の向上について述べる。テストシナリオ作成では、現実には起こりうるが想定しきれなかったシナリオもテストできるような環境提供について検討した。自動運転プログラムは認識結果の判断を行うアルゴリズム開発に注力するため、高位レベルでプログラム開発できることを目標とした。また、電波環境エミュレータと連携してITSシステムを設計するための電波可視化、路側カメラからのフィードバックなどを含むプログラム開発環境を提案する
○奥原 誠・栗岡伸行(デンソーテン)・太田 能(神戸大)
我々はUWB(Ultra-Wideband)とPLC(Power Line Communication)の統合利用によりワイヤーハーネスを削減し,自動車の燃費改善をはかることを目指している.本稿ではその一環として取り組んだUWBのプリアンブルコードについての評価結果を示す.
休 憩(15:45 再開) 座長 永長知孝(関東学院大)
A-13-10 | 調停を必要とするV2Vユースケースの基礎検討 ◎神保雄祐・徳安朋浩・丸小倫己・井原 武(NTTドコモ) |
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A-13-11 | V2Vを用いた協調型車線変更に関する通信性能評価 ○牧野寿之・徳安朋浩・丸小倫己・井原 武(NTTドコモ) |
A-13-12 | V2X通信端末の普及率を考慮したV2Vユースケースの基礎検討 ○丸小倫己・徳安朋浩・神保雄祐・井原 武(NTTドコモ) |
A-13-13 | 分散型 FMCW レーダーにおける座標と速度の同時推定 ◎高田寛唯・韓 承鎬(電通大) |
A-13-14 | FMCWレーダにおける測距と通信の統合方式の性能評価 ◎戸田響京・大野光平(明大) |
◎神保雄祐・徳安朋浩・丸小倫己・井原 武(NTTドコモ)
近年、V2X(Vehicle to Everything) 通信を利用したコネクテッドカー社会の実現に向けた期待が高まっている。このような中で、V2X通信を活用した様々なユースケースについて通信要件やシナリオが検討されているものの、更なる詳細検討が期待されている。そこで本稿では、V2V(Vehicle to Vehicle)通信による車同士の調定を必要とするため実現が困難であるとされるユースケースのひとつである「渋滞時の非優先道路から優先道路への進入支援」を対象とし、5.9 GHz帯でLTE-V2Xの採用を想定した場合として、通信対象となる車両台数とパケット到達率(PAR)の関係を評価した。結果として、車両台数の増加とともにPARが大きく劣化し、通信要件の達成が困難であると確認できた。
○牧野寿之・徳安朋浩・丸小倫己・井原 武(NTTドコモ)
弊社では、広域エリアの車両数百台の通信性能を評価するコネクテッドカーシミュレータに対して、LTE-V2V機能を追加開発している。本稿では、ITS Forumで検討された中で発生頻度が高いと予想されるユースケース”a-2.混雑時の車線変更の支援”に対して、V2Vの通信距離に対するSLパケットのPAR評価結果を報告する。交通量の多い市街地のLTE-V2X環境下において、当該ユースケースの通信要件に関して、[更新要求/応答]の通信範囲である38.9mでは、PAR>99%以上を満たすが、[調停要求/応答]の通信範囲である255mでは、PAR>99%以上を満たせないことを確認した。
○丸小倫己・徳安朋浩・神保雄祐・井原 武(NTTドコモ)
近年、車があらゆるものと接続するV2X(Vehicle toEverything)通信を活用したコネクテッドカーの実現が期待されている。2020 年に、V2X通信を活用した協調型自動運転ユースケースが、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)にて明確化され、より詳細な検討が望まれている。その中で調停を必要とするユースケースでは、調停を行う全車両がV2X通信端末を具備する必要があるため、普及率に大きく影響を受ける可能性がある。前記ユースケースの早期実現に向けては、普及率が低い場合でも調停を実現する方法の検討が重要となる。本稿では、車車間(V2V)通信による調停の実施を想定する「渋滞時の非優先道路から優先道路への進入支援」を対象に、調停レンジを拡大させた場合のV2X通信端末の普及率毎の調停の実現性を計算機で評価した。結果、調停レンジの拡大により調停の実施確率が改善されるが、優先道路の車の平均待ち時間が増加することがわかった。
◎高田寛唯・韓 承鎬(電通大)
三角波形を用いたFMCWレーダーは移動ターゲットの距離と速度の同時推定に広く使用されている。ターゲットの座標を得るためには複数のアンテナを用いて反射波の到来角を推定する方法が用いられているが、周期性によりゴーストターゲットの問題が存在する他、完全な速度ベクトルの推定ができない。それで、本稿では分散型FMCWレーダーにおける複数ターゲットの座標と速度の同時推定方法を提案する。
◎戸田響京・大野光平(明大)
近年、高度道路交通システム(ITS)により、交通事故や交通渋滞のような社会的・経済的な損失を防ぐために、自車と他車もしくは障害物との距離を測定するFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)が注目されている。レーダに加速度や方向などの情報が変調できれば、車両間で自律的に情報を交換するような更なる安全なレーダシステムの実現につながる。そのため、車載レーダによる測距とデータ通信の統合をする必要がある。そこで、FMCWレーダの測距とデータ通信を同時に行うための手法の提案を行い、コンピュータシミュレーションにより有効性を検討した。シミュレーションの結果、変調をしても従来のFMCWレーダと同等の測定精度、および十分な通信性能が得られることを示した。
3月9日 13:00〜14:15 2号館 2305教室 座長 杉浦陽介(埼玉大)
A-14-1 | 𝜀-Max フィルタとガウシアンフィルタによる環境光推定に基づいた夜間デヘイズ法 ○秋田孝文・向田眞志保・末竹規哲(山口大) |
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A-14-2 | 修正ガンマ変換とS字関数の多重スケール画像強調を用いた暗視アルゴリズム ◎向田眞志保・末竹規哲(山口大) |
A-14-3 | HSI色空間におけるカラー画像認識に対する一検討 ○田口 亮・賈 子軒(東京都市大) |
A-14-4 | GrabCutによる後処理を適用した建造物領域セグメンテーション ◎白澤侑樹・早坂 昇(阪電通大) |
A-14-5 | 楽曲の構造を考慮した深層学習によるアカペラ楽譜の自動生成 ◎龍 怡君・荒川 薫(明大) |
○秋田孝文・向田眞志保・末竹規哲(山口大)
霧や靄などのヘイズが写り込むと,画像の視認性は著しく低下する.近年,夜間に取得されたヘイズ画像に着目したヘイズ除去手法が提案されている.しかしながら,これらの研究には,光源周辺で過強調を引き起こすという問題がある.本報告では,光源周辺の過強調を抑制した夜間ヘイズ除去法を提案する.
◎向田眞志保・末竹規哲(山口大)
夜間や暗い室内のような光量が不足した環境で撮影された画像は暗く,視認性が低い.近年,そのような環境で取得された画像を対象とした画像強調アルゴリズム(暗視アルゴリズム)が多く提案されている.しかし,これらの手法では計算コストが高い,過強調を引き起こすなどの問題がある.本研究では,これらの問題を解決する新たな暗視アルゴリズムを提案する.
○田口 亮・賈 子軒(東京都市大)
カラー画像はRGB色空間で取得されるものの、その処理においてはヒトの色の3属性である色相(Hue)、彩度(Saturation)、明度(Intensity)で画像信号を表現するHSI色空間での処理が有効である。HSI色空間において認識、検索、強調処理等の研究がなされてきた。HSI色空間は種々定義されているが、全てのHSI色空間はRGB色空間よりも体積(色域)が大きい。基本的には正規化されたRGB色空間において原点(黒に対応)から白に向かって放射状の形状を持っていることからRGB色空間と共有する領域では彩度の値の範囲が明度に依存して変化し、明度が大きくなるほど彩度の分解能が低下する。本稿では最も代表的なHSI色空間を例に、彩度の分解能の明度に対する依存性を明らかにする。
◎白澤侑樹・早坂 昇(阪電通大)
建造物を抽出するCNNモデルを構築するには,ピクセルごとにラベル付けされた正解データが必要であるが,作成には多大な労力と時間を要する.そこで,色クラスタ解析に基づく手法によりラベル付けした疑似正解データを学習させることで,高精度な建造物領域抽出モデルを構築した.しかし,CNNで出力した結果画像は,輪郭が不鮮明であるなど十分な精度を達成できないため,本稿ではGrabCutを利用した後処理を提案する.評価の結果,疑似正解データを学習させたモデルの結果画像に対して提案手法を適用することで精度の改善に成功した.また,その精度は色クラスタ解析に基づく手法を上回り,より高精度な疑似正解データを作成できることが分かった.
◎龍 怡君・荒川 薫(明大)
任意の歌をアカペラ風にアレンジすることは、専門的な知識が無い人には難しく、長時間の試行錯誤的労力を要した。一方で、深層学習を用いて、主旋律の入力により他の声部を自動生成しバッハ風合唱の楽譜を自動生成するDeepBachが提案された。そこで、このDeepBachにアカペラ風合唱楽譜を学習させ、主旋律以外の声部を生成させることが考えられるが、アカペラ独自の楽曲構造を十分考慮することができなかった。
本稿では、アカペラが主旋律と同調する声部と非同調の声部からなるという楽曲構造に着目し、その統計的モデルをDeepBachに導入して、アカペラらしい合唱曲の楽譜を生成する方式を提案する。実験により、アカペラ風の楽譜が生成できることを示した。
3月9日 13:00〜14:00 3号館 3301教室 座長 小林孝一(北大)
A-16-1 | 高次元マルチエージェントシステムにおける合意ダイナミクスの設計 ○足立亮介・村上達哉・若佐裕治(山口大) |
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A-16-2 | 低精度時刻源を用いた時刻同期通信における連続時刻配信方式 ○長川大介・滝田大介(三菱電機) |
A-16-3 | 2種ノードを用いた無線ネットワーク構築法に関する一検討 ○加川敏規・宮下充史(電中研) |
A-16-4 | 横須賀市久里浜港-フェリー間におけるLPWA海上通信特性評価 和瀬田悠太(公郷中学校)・◎池田晴彦・沼井 健・小野陽海(不入斗中学校)・加川敏規・池田研介(電中研) |
○足立亮介・村上達哉・若佐裕治(山口大)
本研究では高次元マルチエージェントシステムの合意ダイナミクスの設計問題を考える.エージェントの動特性を支配する状態が高次になる場合,合意形成で実現できる合意ダイナミクスに自由度が生まれる.本稿では,状態フィードバックに基づく外部入力により任意の合意ダイナミクスを設計する方法を提案する.
○長川大介・滝田大介(三菱電機)
FA(Factory Automation)ネットワークでは、加工ずれを抑制するために、時刻同期通信プロトコルIEEE 802.1ASの通信を行い、装置や機器の時刻を同期させる方法が普及しつつある。FAネットワークでは低精度な時刻源を用いることが多いため、IEEE 802.1ASで時刻を配信する通信ノードであるグランドマスタが他の通信ノードに切り替わると不連続な時刻が配信されうる課題があった。
本発表では、グランドマスタと同期した通信ノードについて、グランドマスタになる優先順位を引き上げ、不連続な時刻を持ちうる通信ノードがグランドマスタとなることを防ぐ方式を提案する。本方式により、低精度な時刻源しか持たず、IEEE 802.1ASのみを解釈する通信ノードで構成されるネットワークでも連続した時刻の配信が可能となる。
○加川敏規・宮下充史(電中研)
電力設備の保全や系統運用に用いるネットワークには高い信頼性や頑強性が求められている.これら高信頼性が求められる通信にはメタル回線や光回線などの有線通信が主に用いられている.有線通信は無線通信と比較して外乱の影響が少なく通信品質が安定しているが,災害や事故によって回線が切断されると全く通信できなくなるという一面もある.有線通信に障害が発生し不通となった場合に,迂回路として動作する無線通信網が開発されている.本稿では,信頼性を高めるために2種の通信ノードを組み合わせた無線ネットワークにおいて,障害により不通となった通信ノードの数と情報伝達に必要な時間の関係を計算機シミュレーションによって検討する.
和瀬田悠太(公郷中学校)・◎池田晴彦・沼井 健・小野陽海(不入斗中学校)・加川敏規・池田研介(電中研)
我が国は海洋国家であり,安全な海上輸送や海洋資源の活用に資する情報通信技術の研究開発が広く行われている.中でも LPWA(Low Power Wide Area)等の海洋分野への応用が期待されている.本研究では,LPWAの海上での活用を目指し,LPWAの海上伝搬の測定を行った.測定は三浦半島の横須賀市久里浜港の地上局と久里浜港から房総半島の富津市金谷港に移動するフェリー間を対象とした.久里浜港と金谷港の距離は約11kmである.船舶に取り付ける無線局は船首と船尾の2種類とし,船舶自体による遮蔽の有無が受信信号強度に与える影響も合わせて評価した.
3月7日 10:45〜11:30 3号館 3308教室 座長 高田直幸(セコム)
A-17-1 | 法科学のための歩容解析補助システムの開発 ○井元大輔・浅野雅人・本間正勝・黒沢健至(科警研) |
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A-17-2 | スマートデバイス上の継続認証における認証タイミングに関する実験的検討 ○木下集人・山崎 恭(北九州市大) |
A-17-3 | 個人判別における文章の読み行動を利用した特徴量の検討 ◎黒谷育史・垣内洋介(広島工大) |
○井元大輔・浅野雅人・本間正勝・黒沢健至(科警研)
歩容による一対一認証(歩容解析)は、2つの歩行者映像を比較して同一人か否かを解析する手法である。法科学(科学捜査)の分野において専門家による補助的な活用が開始されているが、現状適用範囲は限定的である。近年撮影角度の相違に伴う同一人物の精度低下の課題が解決されてきているが、専門家による解析を補助するシステムの開発が不十分である。法科学分野では、原理が説明(可視化)できることや様々な手法で評価を行えること、判断根拠が明確であることが極めて重要であることを踏まえ、本研究では歩容解析補助システムを開発したため報告する。
○木下集人・山崎 恭(北九州市大)
現在,スマートデバイスの使用中に,ユーザに意識させずに生体情報を取得し,ユーザ認証を継続的に行う継続認証が提案されている.スマートデバイス上で継続認証を実現するためには高い認証精度を維持しつつ,リソース消費量を最小限に抑えることが必要となる.そこで,本稿では顔認証を使用した継続認証において,「机上に置かれたスマートデバイスをユーザが持ち上げた場合」をイベントとして検出し,これを継続認証の非周期的なタイミングとして使用することの有効性を検証した結果について報告する.
◎黒谷育史・垣内洋介(広島工大)
Webサービスのログインやモバイル端末のロック解除に使用される個人認証には,知識認証と生体認証がある.パスワードや暗証番号などの知識認証には覗き見のリスクが存在し,指紋や虹彩などの生体認証にはなりすましのリスクが存在する.このリスクに対処する手法として,視線から特徴量を抽出して個人を判別する手法がある.本発表では,文章を読むときの視線から眼球運動に関する特徴量を抽出し,機械学習で個人判別を行う手法を提案する.結果として,適合率・再現率,F値の平均値はそれぞれ0.91・0.71・0.79となり,検討した特徴量に一定の有用性があることが分かった.
3月8日 10:30〜11:45 3号館 3402教室 座長 和田友孝(関西大)
A-18-1 | 情報フローティングの送信可能エリア配置方法の検討 ◎佐藤弘宜・稲井 寛・荒井 剛・若林秀昭(岡山県立大) |
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A-18-2 | 情報源が封鎖されている場合の情報フローティングにおける送信可能エリアの設定方法の検討 ◎亀石大伽・稲井 寛・若林秀昭・荒井 剛(岡山県立大) |
A-18-3 | 自動運転を利用した電気自動車によるながら充電に関する考察 ◎酒井瑞輝(新潟大)・宮北和之(新潟国情大)・中野敬介(新潟大) |
A-18-4 | 充電料金の導入による電気自動車のながら充電の性能改善 ◎鈴木和央(新潟大)・宮北和之(新潟国情大)・中野敬介(新潟大) |
A-18-5 | ロシアとウクライナに関するツイートの感情に着目した分析 ◎大山実咲・宇津圭祐(東海大) |
◎佐藤弘宜・稲井 寛・荒井 剛・若林秀昭(岡山県立大)
移動体通信において、ノード自身が情報を送信することができる領域(TA:送信可能エリア)を設定することである程度のノード密度があれば次々現れるTA付近のノード内に情報が維持され、いわば情報が宙を漂うような状態になるため、この手法は情報フローティング(IF)と呼ばれている。IFではこのようにTAを設定することによって無駄な情報拡散、通信回数の増大を防止しつつ情報伝達を可能とする。情報配信目的のIFでは長いIF継続時間が求められる。直線状道路モデルでは従来研究のTAは矩形型であるが、本研究では進行方向ごとに異なる位置にTAを配置することでTAの大きさを削減し、IF継続時間を伸ばす手法を提案する。
◎亀石大伽・稲井 寛・若林秀昭・荒井 剛(岡山県立大)
情報フローティングとは,移動ノード同士が直接通信する範囲や時間を限定することで,無秩序な情報の拡散を防ぎながら情報の伝達を行う通信手法である.これまでの研究では,事故現場が封鎖されている場合の道路モデルでの情報フローティングは考えられていなかった.
本稿では,情報源が通過できない場合の情報フローティングについて,送信可能エリアのサイズの設定方法を提案している.情報源とノードがそれぞれ各道路の密度を推定することで,送信可能エリアのサイズを算出し情報を更新する.
この手法を用いてシミュレーションを行い,提案手法が有効であることを示している.
◎酒井瑞輝(新潟大)・宮北和之(新潟国情大)・中野敬介(新潟大)
現在,電気自動車(以下,EV)の充電待ち時間が大変長いという課題に対して,商業施設などで搭乗者がサービスを受けている間に充電を行うことで,体感する待ち時間(以下,純粋な待ち時間)を減らすことができる「ながら充電」についての研究が行われている.これらの研究では,施設に充電器が存在することが前提とされているが,もしEVが自動運転により自ら他施設に移動できるならば,充電器が存在しない施設に到着した場合でも自動運転を用いたながら充電を行うことが可能になると考えられる.
本研究では,ながら充電のシミュレーションを自動運転の使用/不使用に分けて比較および評価を行い,自動運転を使用すると使用しない場合より多くのEVが充電を行えることを示す.
◎鈴木和央(新潟大)・宮北和之(新潟国情大)・中野敬介(新潟大)
普及の進むEVの課題の一つとして充電待ち時間の長さが挙げられる.この課題の解決方法として,商業施設などでサービスを受けながらEVを充電することで体感待ち時間(純粋な待ち時間)を減らす,ながら充電がある.これまで,ながら充電においてEVに対し施設と充電器の混雑情報を提供する手法の研究などが行われている.
本研究では混雑情報の提供を利用して,ながら充電に充電料金を導入し,EVの充電時間を制限することを考える.各EVは混雑の度合いに応じた充電料金の変更に伴い,充電のための予算内に収まるように充電時間を変更する.これによりEVの充電時間の均等化を目指す.
◎大山実咲・宇津圭祐(東海大)
2022年2月24日より,ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻が開始され,全世界に多大な影響を与えている.また,SNS(Social Networking Service)上において,ユーザの感想や意見が盛んに投稿されている.従来,多くの人の興味関心や感情を知ることは困難であるが,Twitterの投稿(ツイート)を分析することにより,ユーザの感情を分析・可視化する検討が見られる.本研究では,ロシア及びウクライナに関するツイートに含まれる感情に着目して分析することにより,軍事侵攻に対するツイートの内容を俯瞰的に捉えることを目的とする.
3月8日 13:00〜15:45 3号館 3402教室 座長 山崎達也(新潟大)
A-18-6 | 救護所運営のモデル化とシミュレーションによる訓練支援 ○濱原響希・鶴 正人・柴田将拡(九工大)・梶田宗吾(スペースタイムエンジニアリング) |
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A-18-7 | 災害時の避難行動に関する知識取得を目的としたゲームの開発 ◎荒井久範・内田 理(東海大) |
A-18-8 | 利用者の健康状態を考慮した避難誘導アプリケーションの検討 ◎望月新太・髙橋 新・永長知孝(関東学院大) |
A-18-9 | 土砂災害センシングネットワークのための920MHz帯伝搬特性の基礎的評価 ◎鵤 篤志・向保一輝・小林 真・新 浩一・西 正博(広島市立大) |
A-18-10 | 夜間放射冷却を利用した環境発電IoTシステムの構築とその応用 ◎港 恭哉・川上英介・鎌倉良成(阪工大) |
○濱原響希・鶴 正人・柴田将拡(九工大)・梶田宗吾(スペースタイムエンジニアリング)
大規模災害発生時の被害を最小限に抑えるためには,地域の属性に応じた適切な災害対応訓練を定期的に行い,対応活動の質を向上させる必要がある.しかし,そのような訓練のシナリオ設計・実施,実施結果の分析・評価には大きな手間がかかり,容易ではない.そこで,ICT技術の活用により訓練準備の効率や訓練の有効性を高め,さらに訓練シナリオ自体も継続的に改善していくことが求められている.
本研究ではその一例として高知県香南市における前方展開型医療救護活動を対象とし,被災者や救護所活動のモデル化を行い,訓練シナリオの半自動生成,訓練シミュレーション,訓練結果とシミュレーション結果の比較等を通した災害対策訓練支援を目指す.
◎荒井久範・内田 理(東海大)
日本国内における自然災害の発生件数は増加傾向にあり,東日本大震災平成30年7月豪雨などの際には甚大に被害が生じた.近年では, 災害に備えるための知識取得を目的としたカードゲーム形式やクイズ形式での教材が多数存在しているが,災害をイメージしづらい問題点がある.災害をイメージしやすくすることを目的として,VR機器を利用した災害疑似体験システムの開発が行われているが,使用する 機材が高価であるため手軽に利用することができない.そこで本研究では,一般的なPCで利用可能な,災害時の避難行動に関する知識取得を目的としたゲームの開発を行う.本ゲームにより,災害発生後,避難所へ避難する際の適切な行動や必要な物資などを3Dのゲーム形 式で時間,場所を問わず,遊びながらより自発的な防災行動を低コストで学習することが可能となる.
◎望月新太・髙橋 新・永長知孝(関東学院大)
日本では近年多くの大規模な地震が発生しており,近い将来に東海地震や東南海地震が懸念されている.このような災害発生時に人的災害を軽減するためには,適切な避難行動が重要である.この避難行動を行う際の問題として,避難所の場所を知らない,避難所が混雑してしまう,災害の影響により道が通れなくなり避難が遅れるといったことが挙げられている.これらに加えて,身体的な問題等により単独・迅速に行うことが出来ない,いわゆる災害弱者を如何に適切に避難させることが出来るかも重要な課題となっている.
本研究ではこの課題に対し,スマートフォン,スマートウォッチを用いて日常の運動情報を取得して利用者の運動能力を評価し,避難誘導時の問題点を解決可能なアプリケーションを開発する.
◎鵤 篤志・向保一輝・小林 真・新 浩一・西 正博(広島市立大)
日本では,台風や豪雨の影響による土砂災害が多く発生している.我々は,住民の早期避難を呼びかけるために,土砂災害が発生する恐れのある箇所にセンシングシステムを設置して,より広範囲に通信するセンシングネットワークを構築することで,より広いエリアの監視を目指している.本研究では,省電力で広範囲なセンサネットワークを構築できるLow Power Wide Area (LPWA) で用いられる920~MHz帯電波の伝搬特性を山間部が含まれる広島市立大学の周辺にて調査した.
◎港 恭哉・川上英介・鎌倉良成(阪工大)
屋外における夜間放射冷却を利用した環境発電IoTシステムを構築し,長期に渡る実装実験を通じて得られたデータの分析を行った.本装置では,内部に生ずる温度差を熱電変換することで得た電力を間欠電源方式により昇圧し,温度センサと無線送信回路を駆動させる.その動作原理から,データ送信頻度自体が,装置からの赤外線放射量をリアルタイムに反映したものとなると考えられる.実際に,一夜当たりのデータ受信回数と夜間温度低下量の関係を調べたところ有意な相関が確認された.これらデータ解析結果に基づき,本システムを凍霜害や寒害対策などを想定した短時間気象予測に応用する可能性について考察する.
休 憩(14:30 再開) 座長 内田 理(東海大)
A-18-11 | データセンタの自動監視システムの可視化ツール開発 ○△Misheel Enkhbaatar・山﨑達也(新潟大) |
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A-18-12 | 非接触式定置センサによる道路構造物の漏電検知システム ○川原綾太朗・川本高司(日立) |
A-18-13 | 水道管漏水センサの最適配置推定手法の開発 ◎小山晃広・杉田悠介(日立)・鎌田雄大(Hitachi America)・峰 利之・出川宗里・礒部 敦・川本高司(日立) |
A-18-14 | Experimental Evaluation of SDR-based GNSS Spoofing Attacks ○Zheng Wen・Xin Qi・Toshio Sato・Yutaka Katsuyama・Kazuhiko Tamesue・Kazue Sako・Jiro Katto・Wataru Kameyama・Takuro Sato(Waseda Univ.) |
A-18-15 | 複数のセンサデータと多変量LSTMを用いたGNSS偽装検知 ○佐藤俊雄・文 鄭・斉 欣(早大)・竹内 健・才所敏明(ジャパンデータコム)・爲末和彦・勝山 裕・佐古和恵・甲藤二郎・佐藤拓朗(早大) |
○△Misheel Enkhbaatar・山﨑達也(新潟大)
多くのデータセンタで電子機器のLEDランプの点滅を監視して,正・異常の判定が行われている.以後,この監視と判定をランプチェックと呼ぶ.
従来の研究では,人手で行う負担が大きいランプチェックを自動化するための監視システムが提案されてきた.自動監視システムは撮影動画にLEDの異常があるかを検査し,システムの判定中の記録をファイルに出力する.本システムの検出精度を評価するため,記録ファイルを検証する必要があるのだが,記録ファイル容量が大きくて手動で検証するのが困難であることが課題であった.本稿では,この課題を解決するために監視システムの記録を自動で可視化するツールを提案し,実際に実装した結果を示す.
○川原綾太朗・川本高司(日立)
社会インフラの老朽化に伴い、漏電事故が問題視されている。現在は人手巡回が行われているが、コストの観点で巡回頻度を上げることが難しい。本研究では、漏電した構造物から放射される電界に着目し、これを非接触で計測する定置センサによる道路構造物の漏電検知システムを提案する。市中に存在する種々の道路構造物への適用をめざし、直径75mmの電線管、直径229mmのポールに対する提案システムの適用可能性を評価した。その結果、低圧配電電圧100Vの10%にあたる10Vの漏電時、真値に対しそれぞれ約95%, 108%の確度で漏電電圧を検知できることを示した。高頻度な遠隔漏電監視システムにより安心安全な社会の実現をめざしていく。
◎小山晃広・杉田悠介(日立)・鎌田雄大(Hitachi America)・峰 利之・出川宗里・礒部 敦・川本高司(日立)
振動センサによる水道管漏水の広域監視実現に向け、設置箇所の選定作業工数低減に貢献可能なセンサ配置推定手法の開発に取り組んだ。配管の分岐や口径に依存し変動するセンサの検知範囲を実測データに基づきモデル化し、整数計画問題を解くことで最少台数でより多くの管路を監視可能な配置を推定する手法を新たに考案した。原理検証として管路データへ適用したところ、従来の必要台数に比べ58.6%台数削減可能な配置案を推定できることを確認した。
○Zheng Wen・Xin Qi・Toshio Sato・Yutaka Katsuyama・Kazuhiko Tamesue・Kazue Sako・Jiro Katto・Wataru Kameyama・Takuro Sato(Waseda Univ.)
With the development and utilization of autopilot technology, unmanned transportation systems will bring many benefits in transportation and logistics. GNSS, the positioning technology widely used by the navigation system, has been criticized for its security and accuracy. In recent years, SDR-based GNSS spoofing attacks have become easy to implement with the commercialization of SDR technology. As the technical threshold for GNSS attacks is lowered, it will threaten autopilot technology.
This paper presents an experimental evaluation of GNSS spoofing attacks using SDR devices and receivers.
○佐藤俊雄・文 鄭・斉 欣(早大)・竹内 健・才所敏明(ジャパンデータコム)・爲末和彦・勝山 裕・佐古和恵・甲藤二郎・佐藤拓朗(早大)
全球測位衛星システム(GNSS)による位置情報の取得について,偽装データによる妨害が問題となっている.ここまで,GNSS偽装の検知手法として,複数のセンサを用いる方法や,信号レベルの処理などが検討されている.本報告では,複数のセンサデータを用いるGNSS偽装検知に対して、過去のセンサデータも参照可能なLSTMネットワークを用いる精度改善方法について検討を行った.実際の歩行データの一部を偽装データに置換したシミュレーション実験において,過去10時点までのデータを用いたLSTMでの識別で,F値が0.85程度以上に向上することを確認した.
3月10日 10:00〜11:30 2号館 2303教室 座長 五百旗頭健吾(岡山大)
A-19-1 | 暗号マルチチップモジュールのサイドチャネル漏洩評価 ◎松丸琢弥・門田和樹(神戸大)・沖殿貴朗(SCU)・三木拓司・永田 真(神戸大) |
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A-19-2 | セキュリティ半導体システムにおける電源結合網の評価 ○眞柴 将・門田和樹(神戸大)・沖殿貴朗(SCU)・三木拓司・永田 真(神戸大) |
A-19-3 | 高速非同期逐次比較型AD変換器におけるサイドチャネル漏洩特性の評価 ◎高橋亮蔵・三木拓司・永田 真(神戸大) |
A-19-4 | CANのアナログ信号を用いた侵入検知システムの評価環境の検討 ○松下綾香・Camille Gay・遠山 毅・小熊 寿(トヨタ) |
A-19-5 | 4bit最適S-boxの逆置換回路の実装評価 ○吉岡大三郎(崇城大) |
A-19-6 | 光学顕微鏡を用いたセルレイアウト観察による不正回路の検知可能性 ○坂根広史・坂本純一・川村信一(産総研)・永田 真(神戸大)・林 優一(奈良先端大) |
◎松丸琢弥・門田和樹(神戸大)・沖殿貴朗(SCU)・三木拓司・永田 真(神戸大)
マルチチップパッケージング技術の需要が高まりつつある。この中で特に2.5D実装と3D実装という2種類のパッケージング技術に着目した。また、暗号ハードウェアモジュールに対するサイドチャネル情報の漏洩が非常に大きな脅威となっている。本研究では、2.5D実装と3D実装で実装された暗号ハードウェアモジュールから放射される電磁情報の測定と評価を行い、2.5D実装と3D実装間の差異を考察した。加えて、暗号ハードウェアモジュールに対しサイドチャネル漏洩耐性評価を行った。
○眞柴 将・門田和樹(神戸大)・沖殿貴朗(SCU)・三木拓司・永田 真(神戸大)
情報化社会の発展に伴い、回路改変や回路挿入による情報漏洩がハードウェアセキュリティに対する大きな脅威となっている。デジタル回路動作時には、電源結合網にインピーダンスに作用した電圧変動が生じる。この電圧変動は電源ノイズとして、電源結合網を通してICチップ全体、プリント回路基板全体へと伝搬する。そこで、電源ノイズを解析することによって、回路改変や回路挿入による電源結合網のインピーダンス変化の検知手法を検討する。本研究では、回路改変を検知する技術の確立を目的とし、電源ノイズ解析により電源結合網の特徴量を抽出した。
◎高橋亮蔵・三木拓司・永田 真(神戸大)
高速なサンプリング動作を実現する非同期逐次比較型AD変換器(SAR ADC)のセキュリティを評価した。非同期SAR ADCは、コンパレータ回路の比較結果から、次ビットの比較制御を非同期ロジックにより行う。そのため、高いサンプルレートを実現可能である一方、非同期ロジックの動作タイミングが入力信号に依存するという特性が存在する。この特徴を悪用し、非同期SAR ADCの電源ノイズ情報から、ADCの入力信号を復元するという脅威が存在する。本研究では、非同期SAR ADCを40nm CMOSプロセスにて試作し、サイドチャネル漏洩評価を行った。評価実験により、非同期SAR ADCの動作ノイズ波形から入力信号を推測できることを確認した。
○松下綾香・Camille Gay・遠山 毅・小熊 寿(トヨタ)
様々なセキュリティ技術が提案されている。それらの中で、我々は車載ネットワークで用いられるCAN通信を実現するためのアナログ信号に残る特性を利用したセキュリティ技術に注目した。この技術は、個々のECUが出力するCANのアナログ信号の特徴を利用し、本来正規のネットワーク上に存在しないはずの不正なデバイスを検出する技術であり、実用化を目指し評価が進んでいる。しかしこれまで、なにがアナログ信号の特徴を残すのかは充分に明らかにされていない。本稿では、我々が開発した、アナログ信号に影響を与えると予想される、基板上の部品の特性を意図的に変更できる評価基板をもとに、アナログ信号に影響を与える原因を考察した結果を示す。
○吉岡大三郎(崇城大)
共通鍵暗号方式のブロック暗号では,S-boxと呼ばれる非線形変換関数が実装コストの大部分を占めるため ,その効率設計が大変重要とされる.IoT など小型 デバイス実装を目指した軽量暗号では,回路規模 が小さい4ビットS-boxがよく用いられてる.4ビットS-boxでは,計算機による全数探索 により,解読耐性で最適なS-boxが知られている.本稿では,置換の合成に基づく逆置換により4ビット最適S-boxの復号回路を小型化することが可能 となることを報告する .
○坂根広史・坂本純一・川村信一(産総研)・永田 真(神戸大)・林 優一(奈良先端大)
物理的に与えられたICチップ上のハードウェアトロージャンを低コストで検出する手法として、光学顕微鏡を用いた観察と画像解析により真正チップと比較する方法を取り上げる。本稿ではIC設計のセルレイアウトに注目し、光学顕微鏡の分解能の制約のもとでHT検知を行うアプローチについて議論する。
3月8日 13:00〜13:30 3号館 3303教室 座長 斎藤博人(東京電機大)
H-1-1 | 国別の主観的な生活満足度の将来予測モデルの構築 ○二本木伸佳・丸吉正博(NTT) |
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H-1-2 | グループディスカッション初学者に向けたスキル学習支援システムの提案 ◎北里隆貴・湯浅将英(湘南工科大) |
○二本木伸佳・丸吉正博(NTT)
統合評価モデルを用いて環境や社会の変化を予測する研究が数多く行われている。本研究では主観的幸福度の一つである生活満足度の将来予測モデルを提案する。国別GDPおよび環境要因(ブラックカーボン排出量など)を説明変数とする重回帰モデルを作成して過去データで検証したところ、先行研究よりも高い精度で生活満足度の予測ができることを確認した。また、先行研究の仮説に従ってこのモデルを将来に適用し将来予測を行った。
◎北里隆貴・湯浅将英(湘南工科大)
就職活動や入試において選考過程にグループディスカッションが用いられている.このため,選考の対策をする初学者に向け,ディスカッションのトピックをまとめた本やディスカッションスキルの改善法を述べた書籍等が多数出版されている.しかし,書籍では初学者には優先すべき事項が分かりにくい等の問題がある.そこで,学生同士のディスカッションを分析し,学生目線のアドバイスを作成することに取り組んだ.さらに複数のキャラクタを用いてディスカッション状況を再現し,初学者にも実践し易い振る舞い等を学ぶシステムを開発した.本発表では助言チャートの作成方法,およびキャラクタを用いたスキル学習支援システムの概要を述べる.
3月10日 9:00〜11:45 3号館 3303教室 座長 清河幸子(東大)
H-2-1 | 連続加算負荷が音声に与える影響 ○松村寿枝・久野日嵩・坂本 翼(奈良高専)・稲田愛子(武庫川女子大)・星野聡子(奈良女子大) |
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H-2-2 | 画像刺激に対する情動反応モデルとしてのEDA推定モデルの探索 ◎松本貴志(奈良先端大)・弦牧和輝(阪大)・早船晃希・日永田智絵(奈良先端大)・長井隆行(阪大)・久保孝富・池田和司(奈良先端大) |
H-2-3 | ECGに基づくハラスメント被害体験時の主観ストレス検出モデルの評価 ◎上野貴弘・大橋正良(福岡大) |
H-2-4 | 過去注目画像提示による商品選択支援システムの提案 ○小川知倖・村田和義(青学大) |
H-2-5 | アートファッションに対する好みの統計分析 土佐尚子・○河村晴実・六渡美和(京大)・丸山紗恵子・香西晶子(セイコーエプソン)・中津良平(京大) |
○松村寿枝・久野日嵩・坂本 翼(奈良高専)・稲田愛子(武庫川女子大)・星野聡子(奈良女子大)
我々は,音声に含まれる非言語情報の中でも発話者の状態である疲労に着目し,これまで音声分析による疲労測定法の研究を行ってきた.一方,疲労に至る前段階であるストレスによる音声への影響も疲労測定法と同様の方法で測定可能ではないかと考え,連続加算をストレス負荷として与えた際の音声の変化を調査することとした.大学生および大学院生女子19名に対し,連続加算負荷前後の音声を収集し,疲労測定指標として使用している基本周波数を分析した.
結果,約47%の被験者で連続加算を続けるに従い,基本周波数が上昇していることが分かった.
◎松本貴志(奈良先端大)・弦牧和輝(阪大)・早船晃希・日永田智絵(奈良先端大)・長井隆行(阪大)・久保孝富・池田和司(奈良先端大)
人の感情は,刺激に反応して引き起こされる身体反応である情動反応と密接な結びつきがあると考えられている.ロボットなどの人工物が人間同様の感情プロセスを有するためには,情動反応モデルが必要と考えられる.本研究では,刺激として画像による視覚刺激,情動反応として発汗の指標である皮膚電気活動(EDA)を対象とし,刺激に対する情動反応を推定するモデルを探索的に構築した.被験者実験を行い,画像提示時のEDAを取得した.その後,入力が画像,出力がEDAとなるような深層学習モデルの構築を行った.構築したモデルの比較を行った結果,畳み込み層を使ったモデルの平均二乗誤差が小さくなる傾向があった.
◎上野貴弘・大橋正良(福岡大)
ハラスメント行為の防止には第三者による早期発見・対応が重要である.一方で,被害者自身がハラスメントを申告できないケースでは,発見が遅れた結果として重態化に繋がる可能性がある.そこで本稿では,VR版のハラスメント体験動画の視聴で疑似的なハラスメントを受けた被験者のECG(Electrocardiogram)を基に,被害者の精神傷害を検出する機械学習モデルを構築した.実験では,モデルの分類精度をストレスデータセットと比較することで,ハラスメント被害者特有の心拍変動の特徴を評価した.
○小川知倖・村田和義(青学大)
本研究では,オンライン上での買い物支援を目的として,画面上の過去注目領域を常時一覧提示することにより,過去に興味を引いた商品を後から確認できるようにするシステムを提案する.提案システムでは,商品選択中の利用者の視線を常時計測しておき,過去に注目していた領域を特定する.特定した注目領域を画面のスクリーンショットに重畳した画像のリストをディスプレイ時の右端に提示する.実験参加者9人に対して,ショッピングサイト内で商品選択しながら本システムを使用してもらい,アンケート評価を行なった.その結果,過去注目領域を常時一覧提示することが商品選択時に役立つことが示された.
土佐尚子・○河村晴実・六渡美和(京大)・丸山紗恵子・香西晶子(セイコーエプソン)・中津良平(京大)
筆者らは、デジタルアートとデジタル捺染技術を組み合わせることによって、アートをファッションとして日常生活で身に纏うというコンセプトを提案し、制作環境を構築し短時間でアートファッションが制作できることを確認した。アートを日常生活で身に纏うことは新しい経験であり、人々の受ける印象は興味深いテーマである。筆者らは、アートファッションの展示の機会を利用してアンケート形式によってそれらのアートファッションの評価をしてもらった。本報告は、その分析に関する第一報である。
休 憩(10:30 再開)
H-2-6 | EMS運動機器を用いたトレーニングが高齢者にもたらす心理・生理的効果 ○吉沼 智(codience)・青木滉一郎(東洋大)・川出周平(MTG)・加藤千恵子(東洋大) |
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H-2-7 | Effects of Avatar Motion Control and Appearance in Walking for Enhanced Sense of Embodiment ◎Guoran Tan・Hirotaka Uchitomi・Yoshihiro Miyake(Tokyo Tech) |
H-2-8 | IMU-based Lower Body Gait Trajectory Estimation with Kinematic Constraint ◎Jian Zhang・Hirotaka Uchitomi・Yoshihiro Miyake(Tokyo Tech) |
H-2-9 | 生体・環境及び活動情報を用いた行動提示のための利用デバイスの組み合わせ決定方式の検討 ○廣見紗妃・寺本泰大・山田真徳(NTT) |
H-2-10 | 輻輳距離と焦点距離の乖離時におけるジャーキネスの影響調査 ○吉田大輝・今村 孝・棚橋重仁(新潟大) |
○吉沼 智(codience)・青木滉一郎(東洋大)・川出周平(MTG)・加藤千恵子(東洋大)
年齢や性別、トレーニング経験等にかかわらず、手軽に筋力向上を図る手段の1つとして、EMS運動機器を用いたトレーニング(EMSトレーニング)がある。EMSトレーニングは高齢者向けのトレーニングとして筋力の向上に寄与し、さらには、自己効力感の向上等の心理的効果をもたらすことが期待される。そこで、本研究では高齢者を対象として、継続的なEMSトレーニングを実施した。トレーニングの実施と並行して、対象者の心理的側面に関わるデータと、生理的側面に関わるデータの取得を行った。得られたデータの分析結果に基づき、EMSトレーニングが高齢者にもたらす心理・生理的効果について検証した。
◎Guoran Tan・Hirotaka Uchitomi・Yoshihiro Miyake(Tokyo Tech)
This study investigated the influence of an avatar’s control and appearance on the formation of sense of embodiment during walking in mixed reality (MR). In experiment, participants first had a training phase when they could move with the avatar to get familiar with it in MR. Then, they walked with the avatar in different control and appearance conditions. Questionnaire scores were used as evaluation. From the result, the condition under synchronous walking rhythm and similar avatar appearance had higher scores than the baseline condition, showing the potential that higher control and more similar appearance lead to stronger sense of embodiment.
◎Jian Zhang・Hirotaka Uchitomi・Yoshihiro Miyake(Tokyo Tech)
The method proposed in this pilot study estimated the lower body trajectory with only two shank-worn IMU sensors with the kinematic constraint and theoretical pelvis position calculation. Previous research estimating the whole lower body mostly aimed at the relative position of joints in 3D space, but the global trajectories of lower body segments were given in this research. This proposed method got shanks and pelvis trajectories separately, and used the results in the kinematic model to get also knee trajectory. This design kept relatively high accuracy of shank estimation and errors were reduced before put into kinematic model.
○廣見紗妃・寺本泰大・山田真徳(NTT)
状態変化の原因は複数が考えられるため、最適なアクションを提案するためには複数のデバイスによる情報を組み合わせた分析が必要となります。しかし様々なデータを複数のセンサで測定・集約し分析を行う場合、計算・ストレージコストの削減や管理コスト増加等の課題があります。よって最適なアクションを提案するため個人に合わせたデバイスの組み合わせや分析方法の検討を行いました。
○吉田大輝・今村 孝・棚橋重仁(新潟大)
VR(Virtual Reality :仮想現実)映像をHMD(Head Mounted Display)に投影する時、映像酔い低減のため高精細な映像提示が必要となり、膨大なデータ容量が必要となる.この映像処理に起因する遅延により、視聴している映像のフレームレートが低下し映像の滑らかさが損失することをジャーキネスと呼ぶ.先行研究において、VR映像などの立体視におけるジャーキネス知覚の研究は少ない. そこで本研究では、輻輳距離と焦点距離が乖離した映像条件のジャーキネス知覚への影響を調査した.実験結果から乖離状態のジャーキネス知覚の傾向や酔いへの影響を示す.
3月10日 13:00〜15:45 3号館 3303教室 座長 清河幸子(東大)
H-2-11 | 生体情報と音響特徴量による楽曲聴取者の感情推定に関する検討 ◎山口翔太郎・亀山 渉(早大) |
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H-2-12 | 生体情報と映像の物理特徴量及び音源分離による音響特徴量を利用した映像視聴者の感情推定に関する検討 ◎井上竜一・小野浩輝(早大)・菅沼 睦(多摩大)・亀山 渉(早大) |
H-2-13 | 生体情報と投稿関連情報によるSNSユーザの感情推定に関する検討 ◎町田親紀・亀山 渉(早大) |
H-2-14 | 転移学習及びファインチューニングによる動画像視聴者の感情推定に関する検討 ◎井澤敬太・亀山 渉(早大) |
H-2-15 | 時系列分析による生体情報と映像の物理特徴量を用いた未学習映像での感情分類精度の向上に関する検討 ◎小野浩輝・井上竜一(早大)・菅沼 睦(多摩大)・亀山 渉(早大) |
◎山口翔太郎・亀山 渉(早大)
筆者らはユーザの感じ方や嗜好を反映した楽曲推薦システムの実現を目指し、生体情報から楽曲に対する感情推定を検討している。本稿では、生体情報と時間変化を伴う音響特徴量を使用し、楽曲聴取者の聴取楽曲に対する感情推定を行った。その結果、生体情報のみの場合や音響特徴量のみの場合と比較して、その両方を使用した場合の精度が高くなる傾向がみられ、感情推定における生体情報と時間変化を伴う音響特徴量の組み合わせが有効である可能性が示唆された。今後の課題は未学習楽曲における精度向上であり、追加のデータ収集、平常時の生体情報の活用、生体情報の前処理方法等の再検討が必要と考えられる。
◎井上竜一・小野浩輝(早大)・菅沼 睦(多摩大)・亀山 渉(早大)
筆者らは動画推薦システムでの利用を目的とし,動画視聴者の生体情報から機械学習を用いて主観感情を推定する研究を行っている.筆者らの先行研究において,実験映像から得られる輝度や色彩,エッジ等の物理特徴量を説明変数に加えることで,従来手法に比べて感情推定精度が向上することを確認した.本稿では,この先行研究と同様のデータセットに対して,映像の音声から人の声やドラム音等の成分を音源分離により抽出し,それら各成分の音響特徴量を機械学習の説明変数として追加することの検討を行った.その結果,感情推定精度の更なる向上を確認することができ,本稿の手法が感情推定に有効である可能性が示された.
◎町田親紀・亀山 渉(早大)
本研究では、投稿閲覧時におけるSNSユーザの感情推定を目的とし、生体情報と投稿関連情報の両者から SNSユーザの投稿閲覧時の感情を推定した。実験では、一連のSNS投稿群を被験者に閲覧してもらい、その間の瞳孔径、基礎律動、RRI、顔特徴点を計測した。解析では、生体情報と投稿関連情報を説明変数、アンケート結果を目的変数として、Random ForestとLightGBMを用いて学習を行った。結果として、投稿関連情報に生体情報を組み合わせることで、SNSユーザの投稿閲覧時の感情を推定できる可能性を確認した。
◎井澤敬太・亀山 渉(早大)
生体情報を利用した動画像視聴者の感情推定精度は被験者の視聴動画像数を増やすことで向上することが示されているが、視聴動画像数の増加は被験者負担を大きくする欠点を持つ。本稿では既存の予測モデルを学習済みモデルとして転移学習(TL)及びファインチューニング(FT)を適用し、少ない動画像数のみの学習データで同等の感情推定が行えるかについて検討した。結果としてTLでは動画像数を増やしても大きく精度は改善しなかったが、FTでは向上する一般的な傾向が見られた。しかし、TL及びFTを適用しないモデルの精度には達しないため、生体情報を利用したモデルには個人間の違いが大きいことが考えられる。
◎小野浩輝・井上竜一(早大)・菅沼 睦(多摩大)・亀山 渉(早大)
未学習映像における視聴者の感情を推定するために,筆者らの先行研究では,生体情報と映像の物理特徴量から感情を分類することを検討した.結果として,映像の物理特徴量の追加により,推定精度の向上を確認したが,時系列を考慮しないDNNでの分析手法に留まっていた.そこで,本稿では,時系列を考慮した分析手法により,感情分類精度の向上を図った.その結果,DNNよりも,時系列を考慮するLSTMや1DCNNの推定精度が高いことを確認し,感情推定における時系列情報の有効性が示唆された.
休 憩(14:30 再開)
H-2-16 | 時間的推移を考慮した深層学習を用いた音声感情認識 ○三河凱大・安藤敏彦(仙台高専) |
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H-2-17 | 言語インタラクションによる画像刺激に対する感情の共有 ◎早舩晃希(奈良先端大)・弦牧和輝(阪大)・日永田智絵(奈良先端大)・長井隆行(阪大)・池田和司(奈良先端大) |
H-2-18 | 力覚センサと握力計を内蔵したグリップを有する上肢外骨格型ロボットシステムの開発 ○山田貴志(香川大) |
H-2-19 | Effect of Gait Synchronization on Gait Asymmetry During Side-by-side Walking ◎Yuntong Lu・Hirotaka Uchitomi・Yoshihiro Miyake(Tokyo Tech) |
H-2-20 | 相互理解の促進に向けたニューロフィードバック手法の検討 ◎太田藍李・志水信哉・中根 愛・中村高雄(NTT) |
○三河凱大・安藤敏彦(仙台高専)
著者らのグループではRussell円環モデルと呼ばれるValence,Arousalの2要素を次元軸とした2次元空間にもとづく音声感情認識に取り組んでいる.音声情報との関係性が未だ特定困難となっているValenceにおいて,深層学習手法を用いた結果, Valenceは音声のスペクトル特徴の時間的推移を反映している可能性があるという示唆が得られている.このことから,音声のスペクトル特徴であるメルスペクトログラムを入力として深層学習手法の1つであるLSTM(Long short term memory)を用い,Valenceとスペクトル特徴の時間的推移の関係性の調査を行った.結果として,LSTMを用いた手法では他の深層学習手法と比較して,未知のデータに対する出力の誤差が,Valence,Arousal共に一定の数値で収束していたため,スペクトル特徴の時間的推移を捉えることで,未知のデータに対するValence,Arousalの値の予測精度の向上が期待される.
◎早舩晃希(奈良先端大)・弦牧和輝(阪大)・日永田智絵(奈良先端大)・長井隆行(阪大)・池田和司(奈良先端大)
ヘビの画像を見て怖がる人と可愛いと思う人がいるように,刺激に対する人の感情は一般的に個人差がある.しかし,新型コロナウィルスに対する恐怖の割合が他者からもたらされる情報により変化するといったように,他者とのインタラクションによって, 刺激に対する感情は共有されると考えられる.本研究では, この感情の共有メカニズム解明の一助として,画像刺激に対する感情評価実験を実施し,言語インタラクションの介入によって感情共有が起こるかを検証するとともに,その際の生体信号を取得し,感情の構成に重要だと考えられている内受容感覚と感情共有との関係について調査した.
○山田貴志(香川大)
本研究では,対戦者の筋力特性に合わせた腕相撲ロボットシステムの開発を目指して,力覚センサと握力計を内蔵したグリップを有する上肢外骨格型ロボットシステムのプロトタイプを開発している。
◎Yuntong Lu・Hirotaka Uchitomi・Yoshihiro Miyake(Tokyo Tech)
As an interpersonal synchronization phenomenon during side-by-side walking, gait synchronization is a candite to reduce the gait asymmetry problem in daily life but has not been sufficiently studied. This paper investigates the influence of gait synchronization on gait asymmetry side-by-side by analyzing the stance phase parameter after comparing the gait asymmetry value and gait synchronization index in individual unilateral load conditions, asynchronization walking conditions, and synchronization walking conditions. As a result, human stance phase asymmetry can be reduced over time with the gait synchronized side-by-side walk. Also, greater synchronization levels reduced the gait asymmetry more efficiently.
◎太田藍李・志水信哉・中根 愛・中村高雄(NTT)
価値観の異なる他者同士がコミュニケーションや共同作業を円滑に行うためには,相互理解を促進し,齟齬を減らす必要がある.先行研究では,互いに共感しているときや共同作業を行っているときの二者の脳活動で同期現象が確認されていることから,ニューロフィードバックによって互いの同期状態を誘発することで共感しやすい状態や協調し合える状態を作り出すことができるのではないかと考えた.本研究では,コミュニケーションの場面で計測が容易な簡易脳波計に着目し,互いに理解し合い,協調し合える環境をつくるための脳波カップリング計測技術を構築し,カップリング率と協調作業効率との間に関係があることを確認した.
3月7日 9:30〜11:30 2号館 2302教室 座長 新井田 統(KDDI総合研究所)
H-3-1 | 対話ロボットのためのユーザの発話内容に基づく画像提示 ○福田悠人(群馬大)・鈴木亮太・小林貴訓(埼玉大) |
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H-3-2 | フレーム予測モデルを用いたドライブレコーダ映像からの交通状況のリスク推定 ○岸本昌史・飯山将晃(滋賀大) |
H-3-3 | 食事画像からの内食・中食・外食の識別 ○佐藤玲菜・中本 圭・山肩洋子・相澤清晴(東大) |
H-3-4 | ROS2による分散協調処理を用いた人物行動の検知及び変遷情報に基づくMR空間への情報提示 ◎前田康佑・東 尚吾・有本朱里・松尾直志・島田伸敬(立命館大) |
○福田悠人(群馬大)・鈴木亮太・小林貴訓(埼玉大)
対話ロボットの課題の一つに,ロボットが何を知覚,認識しているかをユーザが把握することが難しい問題がある.これはユーザに,対話の成立についての不安を与えることや,対話の質を損ねる可能性がある.この問題に対し本稿では,ユーザの発話内容に基づいた画像を描出し,ユーザへ提示する対話ロボットを提案する.画像提示により,言語情報を認識できていることに加え,ロボットが発話内容を理解しているという感覚を増強させ,対話の質の改善を目的とした.官能評価実験では,提示を行わない場合,音声認識結果を提示した場合,音声認識結果に基づく生成画像を提示した場合を比較し,提案手法の有効性を確認した.
○岸本昌史・飯山将晃(滋賀大)
自動車運転中に周囲にどのようなリスクが潜んでいるかを知ることは安全運転に不可欠であるが,既存手法では,本来,動的に変化し続ける交通状況の潜在的なリスクをとらえきれていないおそれがある.そこで本研究では,過去のフレームから未来のフレームを予測するフレーム予測モデルを用いて,その予測誤差がリスク度合いを表すと仮定し,交通状況における潜在的リスクを推定する手法を提案する.具体的には,一定時間の映像に対するフレームごとの色空間(RGB)予測誤差を算出し,それらの平均値等の統計量を,その交通状況の危険度を表す指標とした.異なる5秒間分の映像を見比べてどちらが危険か判定してもらう被験者実験を実施した結果,2つの映像に対してモデルを適用し導出した統計量の大小比較と80%一致し,交通状況のリスクを推定できる可能性が示唆された.
○佐藤玲菜・中本 圭・山肩洋子・相澤清晴(東大)
画像処理に関して注目されている分野の一つとして食事画像を用いた研究が挙げられる.コロナウィルスによる影響で家で食事をとる人が増え,食に関心を持つ人が増えたことも事実である.ここで,食事と健康の関わりの指標の一つとして,内食・中食・外食という食事の分類があり,本研究では食事の写真からのそれらの予測を論じる.実験より,68.5%の精度で内食・中食・外食の分類を行うことができるとわかり,各クラスには特徴があると予想される.判断根拠の可視化から中食ではパッケージ部分をみていることが分かった.一方,内食や中食は一緒に食べられることも多く,絶対的な正解をつけられない画像も存在する点は課題の一つである.
◎前田康佑・東 尚吾・有本朱里・松尾直志・島田伸敬(立命館大)
小型化,高画質化が進むカメラやIoTデバイスの登場により,現実の空間・人物を感知し,空間の監視や制御が行われるようになった一方で,MRの登場により前者で得た環境情報をHMDユーザーに提示し,操作させることが可能となった.本研究では,ロボット分野の通信フレームワークでよく用いられるROS2によって分散協調処理を行い,カメラ映像で監視された空間への人物の物体の持ち込み・持ち去りといったイベントを検出し,そこで得られる情報とそれらを蓄積した変遷情報を用い,MR空間上で提示し操作できるようなシステムを作成した.実際にカメラで監視している領域に物体を持ち込んだ際,HMDユーザーへ3D Bounding Boxや人物骨格を用いたイベント情報を提示した.その結果,HMDユーザーは物体が持ち込まれるまでに人物が行った動作を3次元の骨格情報として閲覧可能なことが確認できた.
休 憩(10:45 再開)
H-3-5 | デジタルアート・デジタル捺染と伝統文化を融合した肩衣の制作 城尾みのり・土佐尚子・根本悠樹(京大)・丸山紗恵子・香西晶子(セイコーエプソン)・○中津良平(京大) |
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H-3-6 | 人々の防災意識を高めるアートAR看板 土佐尚子・Pang Yunian・武田暢輝・瀧川雄亮(京大)・○山田晃弘(凸版印刷)・中津良平(京大) |
H-3-7 | 画像生成モデルの適応的パラメータ入れ替えを用いたイラストの画風変換 ◎中江剛之・飯山将晃(滋賀大) |
城尾みのり・土佐尚子・根本悠樹(京大)・丸山紗恵子・香西晶子(セイコーエプソン)・○中津良平(京大)
デジタル捺染は、衣服制作における染色処理をデジタル化したものである。デジタル捺染技術とデジタルアートを組み合わせることによって、アートを衣服のデザインとして用いたアートファッションが、小規模のファッション制作環境下で短時間に制作でき、アートの応用範囲が拡大できることはすでに報告した[1]。次のチャレンジとして、本ファッション制作方法を日本の伝統的な衣服の制作に応用することとし、肩衣(かたぎぬ)の制作を行った。本報告ではその内容について述べる。
土佐尚子・Pang Yunian・武田暢輝・瀧川雄亮(京大)・○山田晃弘(凸版印刷)・中津良平(京大)
地震やそれに伴う津波は甚大な被害を引き起こす。しかしながら、「災害は忘れた頃にやってくる」という言葉の通り、人々は災害の恐ろしさを忘れがちである。災害大国日本では、人々は常に災害に対する心構えを持っている必要がある。地震や津波などの災害時の写真を用いることは、災害を経験した人々のトラウマを喚起しやすい。もっとソフトな方法で、人々の日常において災害に対する防災意識を持ってもらえないだろうか。人々の心に強く訴えるアートの力を用いて人々の防災意識に訴えることが考えられる。筆者らは、具体的な方法として、アートとAR (Augmented Reality)を用いた防災看板を作成し、多くの人々の目に触れる場所に設置したので、その内容について述べる。
◎中江剛之・飯山将晃(滋賀大)
画像変換の活用はイラストや漫画等にも需要があり、イラストを描く手間を省くことも可能になる。しかし既存の画像変換では、アイデンティティを維持したままスタイルを変換できない問題がある。画像生成器の層のパラメータを入れ替えることでこの問題を解決する方法もあるが、この手法では画像ごとに最適な変換ができないという問題がある。本研究では画像生成器の層のパラメータを混合する提案手法Mixingを用いてアイデンティティを維持したままスタイルを変換することを目標とする。実験の結果、Mixingは既存手法と比べアイデンティティの維持では劣るが、スタイルの変換面では既存手法を上回る結果を出した。
3月10日 9:15〜11:45 3号館 3404教室 座長 小森智康(NHKエンタープライズ)
H-4-1 | 空間力覚誘導提示システムの提案 ○坂井忠裕・大西淳児・坂尻正次(筑波技術大)・三浦貴大(産総研) |
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H-4-2 | テレビ番組における発話被りを含む会話音声の認識率向上に向けたt-SOTモデル導入の検討 ◎佐久間 旭・佐藤裕明(NHK)・奥 貴裕(NHK-ES)・熊野 正・河合吉彦・山田一郎(NHK) |
H-4-3 | 汎用カメラを用いた歩行解析システムの試作と精度評価 ○稲垣 潤・春名弘一・昆 恵介・鈴木昭弘・松川 瞬・真田博文(北科大) |
H-4-4 | 構音障害者支援スマホアプリの開発 ○中村直人(千葉工大)・佐野秀憲・小林由美(カムカム) |
H-4-5 | タブレットPCを用いた行動反応特性検査用ソフトウェアの開発 ○真田博文・竹沢 恵・稲垣 潤(北科大)・齊藤秀和・太田久晶(札幌医大) |
○坂井忠裕・大西淳児・坂尻正次(筑波技術大)・三浦貴大(産総研)
筆者らは、指を機械的に牽引することにより2次元の情報を誘導触で伝える力覚誘導提示方式(以後、力覚誘導)を開発してきた。力覚誘導を3次元空間に拡張し、立体触知の支援、球技ボールなどの空間的な位置や移動軌道を伝達できる提示手法の可能性と効果を明らかにすることで、立体教材を用いた教育・学習、スポーツ競技の観戦やルール学習などに利用できるシステム基盤の構築を進めている。本報告では、提案する空間力覚誘導提示方式の概要とシステムの設計指針および概要を紹介する。
◎佐久間 旭・佐藤裕明(NHK)・奥 貴裕(NHK-ES)・熊野 正・河合吉彦・山田一郎(NHK)
会話音声での音声認識では、発話の被りが音声認識率低下の一つの原因となる。近年では、発話被り対策として、話者変更を示すトークンを発話テキストに混ぜて学習するt-SOT(token-level Serialized Output Training)が提案されている。一方、t-SOTは擬似再現した発話被り音声で評価されており、実際の被り音声では評価されていない。本報告では、実際の被りを含むテレビ番組音声に対するt-SOTの効果を報告する。実験では、CSJおよび番組音声から生成したt-SOT形式データで学習し、評価は実際の番組音声で行った。その結果、番組音声に対する認識精度向上を確認した。
○稲垣 潤・春名弘一・昆 恵介・鈴木昭弘・松川 瞬・真田博文(北科大)
片麻痺者を対象としたリハビリテーションの評価では歩幅,速度,その他各種パラメータを計測し,これらを評価基準とすることが有用であるが,これらの測定には手間と時間を要するため,現状では医療関係者の経験や勘といった主観的評価に頼らざるを得ない.本研究では,臨床現場における客観的・定量的リハビリテーション評価の支援を目的として,対象者の歩行を汎用カメラで撮影し,その映像から歩行パラメータを簡便に計測・取得するシステムを開発している.本稿では,試作したシステムで片麻痺患者の歩幅を計測し,実測値と比較した結果について報告する.
○中村直人(千葉工大)・佐野秀憲・小林由美(カムカム)
構音障害者のコミュニケーションを支援するために、簡易な画面選択によるスマートフォン向けのアプリケーションを開発したことを報告する。選択された内容を音声合成により介護者等に知らせることが可能である。とくにスマートフォンを振ることにより近所にいる人に支援を求めることができる。
○真田博文・竹沢 恵・稲垣 潤(北科大)・齊藤秀和・太田久晶(札幌医大)
本研究では,ヒトの行動反応特性検査課題を汎用的なタブレットPC
で実現するためのソフトウェアの開発を行う.ここでは特に
線分二等分課題,線分模写課題,円トレース課題のための
ソフトウェア試作について述べる.
休 憩(10:45 再開)
H-4-6 | 手話CG生成における手話文法要素の検討 ◎中谷真規・内田 翼・金子浩之・佐野雅規(NHK) |
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H-4-7 | 視線方向識別による文字入力とウェブ検索システム ○新倉大希・阿部清彦(東京電機大) |
H-4-8 | ニューラルネットワークを用いた視覚障害者のための食べ残し判定システム ◎髙橋琉加・藤澤義範・力丸彩奈(長野高専) |
H-4-9 | 赤外線カメラを用いた非医療用用超音波画像装置のプローブ操作支援のための赤外線カメラ撮影方法の検討 ◎鳥山晴来・篠原寿広・中迫 昇(近畿大) |
◎中谷真規・内田 翼・金子浩之・佐野雅規(NHK)
聴覚障害者への手話による放送・サービスの拡充に向けて、手話CGアニメーションの生成技術の研究を進めている。手話は、日本語と語彙や文法体系の異なる自然言語であり、日本語の表現をそのまま手話単語で置き換えただけでは意味を伝えることができず、手や指の動き・顔の表情やうなずきを含む手話特有の文法要素が情報を伝える上で重要となる。しかしながら、従来のシステムでは文法要素を再現できず、手話CGの理解度や自然さへの課題があった。今回、手話CGへ文法要素を付与し、その効果について聴覚障害者を対象とする評価実験を行い、手話動画にリズムを調整したとき被験者の理解度・動画の自然さともに向上した。
○新倉大希・阿部清彦(東京電機大)
視線入力インタフェースは、視線のみでコンピュータを操作できることから入力手段としての有用性が示され、多くの研究が行われている。しかし、視線入力システムは導入障壁が高く、特殊なハードウェアを装着して視線方向を計測しているものが多い。本研究では、ノートパソコンに備え付けられているカメラから取得したデータを、畳み込みニューラルネットワークを用いて識別する。筆者らが開発してきた上下左右正面の識別モデルと瞬目の識別モデルを使用し、視線によりフォーカスの操作を、瞬目によって決定の操作を行う入力インタフェースを開発した。評価実験として、文字入力から検索までにかかった時間計測したので合わせて報告する。
◎髙橋琉加・藤澤義範・力丸彩奈(長野高専)
視覚障害者は食事中,どこにどのくらい食べ物があるかをカラトリーを用いて探るが,摩擦音の発生等により外食時には抵抗を感じる人も少なくない。本研究では視覚障害者の食事補助として,食事の際に食べ残しの有無を判定し,どこにどのくらい食べ物が残っているかを音で知らせるシステムを提案する。機械学習を用いて,ある料理に対し理想的な食事後の画像を生成し,実際の食事後の画像と比較を行うことで,食べ残しを判定する。本発表では,画像生成と画像比較について検討を行う。
◎鳥山晴来・篠原寿広・中迫 昇(近畿大)
本研究は、非医療用超音波画像装置における超音波プローブの操作支援を目的としている。手法として、はじめに超音波画像装置の扱いに慣れた熟練者に、正しい位置にプローブを当ててもらい、その位置にプローブを当てられるよう誘導することを想定している。プローブの誘導は、赤外線カメラを用いて実現することを考える。すなわち、熟練者がプローブを当てた位置を赤外線カメラで撮影し、その画像をテンプレートとして、テンプレートマッチングにより、測定位置へプローブを誘導する。本稿では、赤外線カメラの撮影方法を検討し、大腿後部において、テンプレート画像と同じ位置を見つけることができ、提案する撮影方法の妥当性の一端を確認したため報告する。
3月10日 13:00〜15:30 3号館 3404教室 座長 半田隆志(埼玉県産技セ)
H-4-10 | 転移学習に基づく薬検出と服薬動作認識による服薬管理システム ◎園 櫻子・杉村大輔(津田塾大) |
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H-4-11 | ミラーリングによる口腔運動の引き込みと活性化 ◎片桐昌樹・三枝 亮(神奈川工科大) |
H-4-12 | 正確な自動肩関節可動域の測定を可能にする姿勢固定法 ◎松坂直也・鳥山朋二・森島 信・市橋由伸(富山県立大)・水上弘徳(富山県国際健康プラザ) |
H-4-13 | eスポーツを通した自動肩関節可動域測定のための動作誘導法 ◎花当祐郁・鳥山朋二・森島 信・市橋由伸・松坂直也(富山県立大)・水上弘徳(富山県国際健康プラザ) |
H-4-14 | ゲームを利用した肩関節可動域測定における並行投影変換画像を用いた腕動作の誘導 ○浦島 智(富山県立大)・水上弘徳(富山県国際健康プラザ)・鳥山朋二(富山県立大) |
◎園 櫻子・杉村大輔(津田塾大)
薬検出と服薬動作認識による服薬管理システムを提案する. 服薬不遵守の問題を解決するために, 人手を必要としない服薬管理の手法が検討されてきている. しかし従来技術では, 薬の個数のみで服薬管理を行うため, 実際に誤薬が起きていないかや, 本当に服薬したかどうかの確認ができないという問題があった. また服薬動作から服薬管理を行う従来システムは, センサー等を搭載した専用機器を導入したり, 常にウェアラブルデバイスを着用したりする必要があった. 本研究では, 薬を画像から検出し, 服薬動作を映像から直接認識することで, 正しく服薬したかを検知することができるシステムを提案する.
◎片桐昌樹・三枝 亮(神奈川工科大)
近年,口腔機能の低下による低栄養の問題が指摘されており,口腔機能の向上を目的とした取り組みが行われている.日本歯科医師会が提唱するパカラタ体操などの口内体操は効果的でありながらも,運動の教示者にとって口内運動を外部から視認しづらい点や,実施者自身が手本動作と比較しづらい点に課題が残る.本研究では口腔運動の活性化を目的としたミラーリングシステムを提案し,対象者の口腔運動と同調するアバターを提示して模倣への効果を検証した.実験では,音響によるタイミング指示のもとで手本動作が対象者自身の動作に同調すると,模倣の遅れを軽減できることが示された.今後は,同調のタイミングやアバターの外観による引き込みの効果について検証する.
◎松坂直也・鳥山朋二・森島 信・市橋由伸(富山県立大)・水上弘徳(富山県国際健康プラザ)
近年重要視されている介護予防において、その効果を定量的に把握するための一指標として、肩関節可動域の測定がある。本研究では、「窓ふきゲーム」を用いた正確な自動肩関節可動域の測定ができるシステムを実現するため、システム使用中に背中を背もたれに接触した状態で着座させることを目的とし、背中が離れた際のゲームの反応を2種類用意して、姿勢の固定効果について確認した。複数の高齢者コミュニティの高齢者89名に対して、本手法を適用した実験を実施した結果、ゲーム実施時間の9割以上の時間、背中を接触させた人の割合が9割程度となり、本手法を適用しない場合の6割程度と比較して大きく増加することを示した。
◎花当祐郁・鳥山朋二・森島 信・市橋由伸・松坂直也(富山県立大)・水上弘徳(富山県国際健康プラザ)
介護予防における効果を定量的に把握する方法として、eスポーツゲームを通して肩関節可動域の測定を行う方法を検討している.この実装においては、ゲーム中の動作が必ずしも測定に必要な動作と一致しないことから、ゲーム中の動作を測定に適したものに誘導することが必要である。本研究では、汚れた窓を身体動作によってふき取る「窓ふきゲーム」において、窓の汚れ箇所を静的に制御することによって身体動作を誘導する方法の検証を実施した。高齢者53名を対象に実験を実施した結果、提案手法は既存手法と比較して、より前方における挙上角度が大きくなることが分かり、屈曲動作の測定に必要な動作への誘導が行えることを示した。
○浦島 智(富山県立大)・水上弘徳(富山県国際健康プラザ)・鳥山朋二(富山県立大)
我々は,高齢者のADL(日常生活動作) 評価の主要な測定項目の一つである肩関節可動域について,より日常的な計測を可能とするために,ゲームを利用した測定システムの開発を行っている.これまでに開発したゲームではカメラ画像をそのまま提示していたおり手を前に出した方が有利となるため、側方挙上の関節可動域測定に対応する腕を広げた動作が行われにくいという問題があった。そこで、ゲームにおいて並行投影に変換された画像を使用者に提示する手法を提案した.実験により、従来のカメラ画像をそのまま提示する手法に比べて今回の手法の方がより使用者の腕が広がるという結果が得られた。
休 憩(14:30 再開)
H-4-15 | k-means法を基にした体表温の異常検知による高齢者の見守り手法 ◎金山英資・森島 信(富山県立大)・峰松 宏・山本隆志(シキノハイテック)・鳥山朋二(富山県立大) |
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H-4-16 | 車両挙動を用いた遂行機能低下を伴う軽度認知障害の検出 ○小川義人・中越 聡・小渕達也(トヨタ)・島田裕之(国立長寿医療研究センター研究所) |
H-4-17 | タブレット端末を用いた認知訓練システムに関する研究-生体情報の活用による難易度調整法の改良と性能評価- ◎鈴木寧乃・北越大輔(東京高専)・鈴木健太郎(杏林大)・鈴木雅人(東京高専) |
H-4-18 | 対話ロボットとの対戦型ゲームにもとづく転倒予防システム―リズム運動を可能とする新ゲームの導入と評価― ○小柳匠己・北越大輔(東京高専)・鈴木健太郎(杏林大)・鈴木雅人(東京高専) |
◎金山英資・森島 信(富山県立大)・峰松 宏・山本隆志(シキノハイテック)・鳥山朋二(富山県立大)
介護施設では、高齢者全員に対して常に生活異常がないか見守ることは困難であるため、介護士の代わりに高齢者を見守るシステムが必要である。生活異常の判断手法の1つに深部体温が存在するが、測定に拘束感があるため頻繁な測定が必要な見守りに不向きである。よって、測定が容易な額の表面温度を用いた異常検知手法を提案する。表面温度は個々人や周辺環境の影響により常に変動するため、表面温度と周辺環境の時系列データの変化量と最大値と最小値の差を特徴量として抽出する。それを基にk-means法とマハラノビス距離を組み合わせた手法に適用させ異常検知を行う。評価として、正常時と異常時として運動後のデータを使用して本手法の評価を行った。
○小川義人・中越 聡・小渕達也(トヨタ)・島田裕之(国立長寿医療研究センター研究所)
近年, 高齢運転者による事故の割合が増加している. 特に死亡事故を起こした高齢運転者の4割が軽度認知障害 (MCI) という状態であったことが分かっており, 対策が求められている. 一方でMCIは早期発見と適切な介入によって健常までも戻りうるとされている. 従って, MCIの早期発見は交通安全上重要である. 本論文ではMCIドライバーの運転挙動データの収集について報告し, 車両挙動を用いた遂行機能低下を伴う軽度認知障害の検出手法を提案し, さらにその精度検証結果を示す.
◎鈴木寧乃・北越大輔(東京高専)・鈴木健太郎(杏林大)・鈴木雅人(東京高専)
超高齢社会を迎えた日本では,要支援・要介護者の増加に伴う医療費の増大が深刻な社会問題となっている.この問題に対して,要支援・要介護者の増加を防ぐ介護予防と呼ばれる取組が注目されている. これまで頭の体操ゲームを基盤として認知症の予防を目指す認知訓練システムの開発が進められてきた.当該システムは高齢者を対象とし,記憶力ゲームを行ってもらうことで記憶力の維持・向上昇と,利用者間の会話の促進を目指している. 本研究では,ウェアラブル端末を用いて測定した生体データをもとに利用者の集中度を予測し,当該システムに実装されている難易度調整機構の改良を図ることを目的とする.本校の学生を対象に実験を実施し,改良した機能の妥当性について評価する.
○小柳匠己・北越大輔(東京高専)・鈴木健太郎(杏林大)・鈴木雅人(東京高専)
近年,高齢者が要支援・要介護状態となることを予防する介護予防の取組が注目されている.我々の研究グループでは,ロボット・エージェントとの対話的やりとりを通じ,認知訓練や転倒予防運動に取り組み可能となる介護予防システムの開発が進められている.本稿では介護予防システムの一つである転倒予防システムに注目する.転倒予防システムは,ロボットとの対話的やりとりにもとづく対戦型ゲームを通じて楽しみながら転倒予防運動に取り組み可能となることを目指している.本研究では,当該システムにリズム運動を可能とする新ゲームを導入することで,ゲーム実施時の運動しやすさ・ゲーム進行のスムーズさの改善を図る.著者所属高専の学生を対象とした実験を通して,改善効果について評価する.