3月10日 13:00〜16:15 2号館 2208教室 座長 和佐州洋(法政大)
D-1-1 | 極小Minus Domination問題を解決する分散デーモン自己安定アルゴリズムについて ◎山田塔太・金 鎔煥・片山喜章(名工大) |
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D-1-2 | ペアボットによる1つの入口を有する空洞あり物体に対する充填被覆アルゴリズムについて ◎津田昂汰・金 鎔煥・片山喜章(名工大) |
D-1-3 | ペアボットモデルによる任意の連結状況からの直線形成アルゴリズムについて ○宮田稜士・金 鎔煥・片山喜章(名工大) |
D-1-4 | 仮想グリッドネットワークにおける極小シュタイナー木の構築アルゴリズムについて ◎△尾関豊大・金 鎔煥・片山喜章(名工大) |
◎山田塔太・金 鎔煥・片山喜章(名工大)
自己安定アルゴリズムとは,任意の初期状況から有限時間内に解状況へ到達可能な一時故障に耐性を有する分散
アルゴリズムである.Minus Domination 問題とはグラフ中の各ノードに対して,-1,0,1 のいずれかの値を割り当
てる関数を求める問題である.この際,各ノードと隣接したノードの値の和が 1 以上になるように割り当てる必
要がある.任意のノードの値を 1 下げることで,この条件が満たせなくなる場合,関数は極小という.本研究で
は,与えられたグラフに対してMinus Domination問題の極小な関数を求める自己安定アルゴリズムを提案する.
◎津田昂汰・金 鎔煥・片山喜章(名工大)
自律分散ロボットシステムとは, 分散システムの一つで多数の低機能な移動可能端末(以下, ロボット)で構成され, それぞれが互いに協調して動作し与えられた目標を達成するシステムである. 各ロボットは, 周囲の状況を観測し, アルゴリズムに従って移動先を計算し, 計算された移動先に移動するという単純なサイクルを繰り返し実行する. 本研究では, 自律分散ロボットの拡張であるペアボットモデルを扱う. ペアボットモデルとは, 予め決められた2台のロボットで1組のペアを構成するモデルで, 非同期でも連結性を保ちやすいことが知られている. 本研究では, ペアボットを用いて被覆対象物体に空洞がある場合にそれを充填しつつ被覆するアルゴリズムを提案する.
○宮田稜士・金 鎔煥・片山喜章(名工大)
自律分散ロボットシステムとは,複数の自律的に動作して移動するロボットが互いに協調しながら動作することでひとつの目標を達成するシステムである.この自律分散ロボットの能力と問題解決能力の関係が研究者の興味を集めている.本研究では自律分散ロボットのモデルのひとつであるペアボット(pairbot)モデルを扱う.ペアボットモデルとは,ロボットが予め2台で1つのペアと定められているモデルである.自律分散ロボットシステムの研究として,物体被覆や一様充填,形状形成が挙げられる.本研究では,形状形成問題の一つとして,直線形成問題を解くアルゴリズムを提案する.
◎△尾関豊大・金 鎔煥・片山喜章(名工大)
仮想グリッドネットワークとは,無線端末(ノード)で構成されている無線ネットワークを一定領域(セル)ごとに仮想的に分割し,各セル毎にひとつの代表ノード(ルータ)を決定し,隣接しているセルのルータ同士を連結させた格子状の仮想ネットワークであり,エネルギー効率が良く,トポロジが単純でアルゴリズムの設計が容易であるため幅広く利用されている.しかし,全ての送受信ルータ間の経路を最小限のルータで保持するのはシュタイナー木の構築問題となり,数の増加に伴い膨大な計算量を必要とする.本研究では,4 つ以上の送受信ルータが与えられた場合,極小シュタイナー木を分散的に構築する手法を考える.
休 憩(14:15 再開) 座長 塩谷 勇(法政大)
D-1-5 | グラフの直積上の一般化ペグソリティア ◎瀧下夏輝・武永康彦(電通大) |
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D-1-6 | フローショップスケジューリング問題に対する解構築法の拡張 ◎伊東 駿・金原一歩・小田哲也・片山謙吾(岡山理科大) |
D-1-7 | 観光ルート最適化の近似アルゴリズム及び Web スクレイピングによる重みづけ ◎廣川瑞季・安藤 映・小田切健太(専修大) |
D-1-8 | 時間依存型ACSによるテーマパーク訪問経路探索に関する研究 ○蓑島直幸・平出蓮太郎・臼杵 潤(神奈川工科大) |
◎瀧下夏輝・武永康彦(電通大)
ペグソリティアとは盤上のペグを、定められたルールで取り除いていき、最終的にペグを1個にすることが目的のパズルゲームである.これを元にグラフ上のペグソリティアが考案され、さらに本来のペグソリティアを表すことのできる一般化ペグソリティアも考案されている。
本稿では一般化ペグソリティアにおいてグラフの直積がsolvableとなる条件について研究を行なった。初期空頂点にのみペグを1個残すことのできるグラフとハミルトニアングラフの直積はsolvableであることと、特別な形のキャタピラと完全グラフの直積がsolvableとなる条件を示した。
◎伊東 駿・金原一歩・小田哲也・片山謙吾(岡山理科大)
効率の良い生産スケジュールを立てる問題の代表例として,順列フローショップスケジューリング問題が挙げられる.PFSP に対する極めて効率的な解構築法として NEH法がよく知られている.NEH アルゴリズムは大きく2つの処理に分けられる.まず一つ目は優先度ルールに基づいてジョブの順序付けを行い,二つ目にジョブ順序に基づいてジョブを一つずつ総処理時間が最小となるように部分列に挿入し解を構築する.特に一つ目のジョブの順序付けは解の精度に大きく影響を与えるため,様々な優先度ルールが提案されてきた.しかし,2つ目の処理において優先度ルールを補正する研究は少ない.そこで本研究では優先度ルールに基づいて並び替えたジョブ順列に幅を持たせて最良位置に挿入することで解を構築するNEH-2INを提案する.
◎廣川瑞季・安藤 映・小田切健太(専修大)
本研究では観光地のモデルコースの提案をするシステム の設計を考える.観光ルートにおいては,目的地(要求点) がいくらか指定されるものの,それらをすべて訪問する必 要はなく,移動距離の割に重みの小さい目的地については 訪問しないこともありうる.問題の入力は頂点および辺に 重みづけのある無向グラフ𝐺 = (𝑉, 𝐸)および頂点と辺の重 み𝑤: 𝑉 ∪ 𝐸 ↦ 𝑍とする.問題の出力はツアーの訪問頂点の 重み合計からツアーの通過辺の⻑さを差し引いた値(ツア ーのスコア)を最大化するツアーである.
○蓑島直幸・平出蓮太郎・臼杵 潤(神奈川工科大)
携帯端末の普及と情報通信技術の発展によって,テーマパークの利用者が各施設の待ち時間をリアルタイムに確認することが可能となり,希望する施設の訪問順序を決定しやすくなっている.このような中,短い待ち時間で希望施設を訪問する経路算出に関する研究が進められている.本研究では,ここに巡回セールスマン問題の解法の一つであるアリコロニーシステム(ACS)に時間の概念を取り入れて導入することを検討し,探索空間サイズに依存せずに待ち時間を考慮した施設訪問経路を探索する手法を提案する.そして,この実装による実験の結果,テーマパークの全施設に対する巡回経路を算出できることを確認し,本研究の有効性を示すことができた.
休 憩(15:30 再開) 座長 武永康彦(電通大)
D-1-9 | Fast Partitioned Learned Bloom Filter ◎佐藤篤樹・松井勇佑(東大) |
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D-1-10 | 検索ランキングに揺らぎを加えることによる発見的検索モデル ◎山崎亜梨紗・塩谷 勇・三浦孝夫(法政大) |
D-1-11 | 適合度によるペア形成での揺らぎの影響 ◎石引竜也・塩谷 勇(法政大) |
◎佐藤篤樹・松井勇佑(東大)
Bloom Filterは近似メンバーシップクエリのための省メモリなデータ構造で,幅広いコンピューティングの分野で活用されている.Partitioned Learned Bloom Filter(PLBF)は,機械学習モデルが捉えた分布の情報を効果的に近似メンバーシップクエリに活用できる新しいBloom Filterである.一方で,PLBFは構築に要する時間計算量が大きいという問題がある.そこで我々は,PLBFと全く同じデータ構造を小さい計算量で構築できるFast PLBFを提案した.また,分布がある制約を満たす時にはPLBFと同じデータ構造となる,さらに小さい計算量で構築できるFast PLBF++を提案した.そして,実験的に(i) Fast PLBFがPLBFよりも,Fast PLBF++がFast PLBFよりも高速に構築できること(ii) Fast PLBFとFast PLBF++がPLBFと同等のメモリ効率を達成できることを示した.
◎山崎亜梨紗・塩谷 勇・三浦孝夫(法政大)
本研究では、検索文sと文書集合Dを比較し、類似度の高いものを列挙している従来の情報検索モデルと比べて、利用者の興味を加える点と検索順位に揺らぎを加える点において新しい情報検索モデルを提案する。そして、従来の情報検索モデルと提案する新しい情報検索モデルを比較する。その結果、従来の情報検索モデルは新しい情報検索モデルに比べて、利用者の満足度が高いことが分かり、新しい情報検索モデルは、従来の情報検索モデルに比べて新たな発見につながる情報検索モデルとなることが分かった。
◎石引竜也・塩谷 勇(法政大)
現実世界において、学習やビジネスなどペアを形成する場面は多々ある。その時にペアを効率よく組むことは重要なことである。適合度によるペア形成では、多次元の特徴ベクトルを持つ、複数のエージェントからなるエージェント集合において、エージェント間の特徴ベクトルの値の内積と特徴ベクトルの次元数によって定義した適合度によってペア形成を行う。
本研究では、エージェントが持つ特徴ベクトルをより現実的なものにするため特徴ベクトルに偏りを持たせ、特徴ベクトルに揺らぎを加えた時のエージェントの選択回数への影響、特徴ベクトルの次元数を変化させた時のエージェントの選択回数への影響について実験を行った。
3月8日 13:00〜15:30 3号館 3403教室 座長 田中宏和(東京都市大)
D-2-1 | 分割的蒸留学習によるCNNモデルの高精度化 ◎平田大貴(岡山県工技セ) |
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D-2-2 | ノイズ存在下におけるSTDPによるパターン検出 ○王 啓裕・河野 崇・名波拓哉(東大) |
D-2-3 | 報酬変調型STDP学習則と荷重値分配を用いた時系列信号分類手法の提案 ◎飯田陽介・守谷 哲・山本英明・佐藤茂雄(東北大) |
◎平田大貴(岡山県工技セ)
本発表では、CNNモデルの中間層に出力層を結合することでモデルを前半部分と後半部分に分け、各部分へ蒸留学習を適用する手法を提案する。蒸留学習に用いるデータにはランダムノイズを付与し、これによって、教師モデルからより多くの情報を抽出して生徒モデルに学習させた。提案法を用いることで、生徒モデルの推定精度が従来蒸留法で学習させたものより高くなることを示す。
○王 啓裕・河野 崇・名波拓哉(東大)
近年,IoT技術などが発展し,普及されることによる情報端末数が急激に増加し,情報の複雑化は急速に加速している.そこで,環境問題に目を向けると深刻化しているエネルギー問題は喫緊の課題となっている.これらの課題を解決するために脳を模倣あるいは参考にしたシステムが研究されている.現代の人口ニューラルネットワークに基づくAIは,エネルギー効率や処理速度の面で脳に比較すると劣っている.そこで,本研究では脳内の神経ネットワークをより忠実に再現した計算モデルを使用し,時空間スパイクパターンの認識をSTDP則と軸索遅延を考慮し,シミュレーションを行うことで脳マイクロサーキットにおける情報処理原理を構築による解析を行った.
◎飯田陽介・守谷 哲・山本英明・佐藤茂雄(東北大)
本研究では,スパイキングニューロンを用いた機械学習の手法であるリキッドステートマシンの出力層にSTDP学習則を適用し,これに報酬信号の概念と荷重値の分配則を加えることで,時間情報を活用した新しい学習則の提案を行った.提案手法の有効性を調べるため,リザバー層へ2つの異なる入力荷重値を通じて正弦波を入力し,生じたダイナミクスの差異を検出できるかを検証した.荷重値分配を行わない場合,STDP学習則のみを用いた場合と比較して正解率が最も高くなることが明らかになり,提案手法が時系列信号分類において効果的であることを示した.
休 憩(14:00 再開) 座長 田和辻可昌(早大)
D-2-4 | 振動子集団における同期性の最適化に関する数値解析 ◎小関 奏・久保田 繁(山形大) |
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D-2-5 | 視床下核と淡蒼球外接の相互作用に基づくバースト発火の数理モデル ◎工藤雅樹・久保田 繁(山形大) |
D-2-6 | 海馬歯状回における場所と匂いの入力情報連合 ○田中颯人・中島直樹(玉川大)・上條中庸(琉球大)・相原 威(玉川大) |
◎小関 奏・久保田 繁(山形大)
本研究では位相振動子の集団から構成されたネットワークにおいて、同期レベルを増加させるために結合関係の最適化を図る。また、ネットワークに外部から入力を加えた状態で最適化した場合と、外部入力を加えずに最適化した場合との振動子集団の特性の違いを解析する。この解析法により、外部入力の特性に応じて同期を促進するためのネットワーク構造を明らかにする。
◎工藤雅樹・久保田 繁(山形大)
パーキンソン病の病理に、大脳基底核神経のバースト発火が関係することが報告されている。本研究では、互いに結合する視床下核と淡蒼球外接の神経細胞から構成された数理モデルを構築し、これらの相互作用がバースト発火に及ぼす影響を解析する。視床下核と淡蒼球外接の結合を担うシナプス電流のコンダクタンス、及び大脳皮質から視床下核への入力を担うNMDA電流のコンダクタンス、NMDA電流に付随するDIC電流のコンダクタンスを変化させた時の発火応答について解析し、バースト特性を特徴づける平均発火率と変動係数の変化について明らかにした。
○田中颯人・中島直樹(玉川大)・上條中庸(琉球大)・相原 威(玉川大)
海馬とは、脳の記憶装置である。海馬は外から得られた情報を短期記憶として保存し、長期記憶にしたい情報を大脳に送り込むという役割を担っている。また別の先行研究で、海馬は場所の情報(空間情報)に匂いの情報(非空間情報)が同期していることが分かっている。本研究では、空間情報と非空間情報の2つの入力がどのように統合されているのかシミュレーションを用いて検討する。シミュレーションでは、Python、MATLab、NEURONを用いて実験する。
休 憩(15:00 再開) 座長 寺島裕貴(NTT)
D-2-7 | 筋電図からみた乳児の運動パターンの発達 ◎岡本かのこ・為井智也(立命館大) |
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D-2-8 | 脳波計測による異なる走行環境運転で生じるドライバ疲労の評価 ○足立真隆・稲垣圭一郎(中部大) |
◎岡本かのこ・為井智也(立命館大)
脊椎動物は冗長な自由度を持つ筋骨格系の制御を,少数の運動パターンの組み合わせで実現していると考えられている.筋肉や関節の時空間的な協調パターンはシナジーと呼ばれ,様々な研究でその存在が示唆されているが,シナジーの発現と発達の過程には未だ未解明な部分が多い.本稿ではシナジーの発達過程について調査するため,1人の乳児の発達段階の筋電を縦断的に記録し,非負値行列因子分解(NMF)による筋シナジーの抽出を行った.生後26~160日の各段階でのシナジーの比較を行ったところ,生後日数に伴って左右の下肢協調が分離していく傾向が示唆された.
○足立真隆・稲垣圭一郎(中部大)
本研究では,運転時の認知や操舵量と疲労と関係を評価するために,ドライビングシミュレータを用いて順調環境,渋滞,高速道路の3種類の走行環境を運転させ,脳波計測とNASA-TLXにより求めたワークロードから,各走行環境でドライバに生じる疲労を比較した.結果として,順調環境と高速道路の運転時において疲労に関係する脳波であるθ波に差が認められた.順調環境と高速道路の運転では,運転行動に関する状況の認知量といった認知的な負荷とハンドル,アクセル,ならびにブレーキなどの操作量といった身体・行動的な負荷に違いが多く存在すると考えられ,それらが疲労の蓄積のされ方の違いに関与する可能性が示唆された.
3月8日 13:00〜15:00 4号館 4103教室 座長 小形真平(信州大)
D-3-1 | 圏論によるユーザインタフェースのモデル化の検討 ○吉田富美男(長岡技科大) |
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D-3-2 | ブロック言語とライブプログラミングによるGUIアプリケーション開発の研究 ◎斉藤雅騎・佐々木 晃(法政大) |
D-3-3 | クラスの命名・管理に着目した,Webサイト制作におけるソースコードの保守性向上のためのアシストツールの研究 ○上原陽香・佐々木 晃(法政大) |
D-3-4 | モデルリファクタリングの議論のための変更の提示手法の提案 ◎川股悠太・小倉信彦(東京都市大) |
D-3-5 | モデル変換のための木構造型データ処理のパターン表現による記述方法の提案 ◎平野悠樹・小倉信彦(東京都市大) |
D-3-6 | 凝集型階層クラスタリングによる偶然の成功テストケースの検出 ◎劉 源・篠埜 功(芝浦工大) |
D-3-7 | 構文単位のギャップを考慮した関数型言語に対するtype3コードクローン検出手法の提案および実装 ◎飯田尚之・篠埜 功(芝浦工大) |
D-3-8 | 外部ソースコードを利用した自動バグ修正 ◎△長倉雄大・阿部清彦(東京電機大) |
○吉田富美男(長岡技科大)
新しいアプリケーションを利用する際に必要となるユーザインタフェースの学習コストを軽減するため、圏論の考え方を用いてユーザインタフェースをモデル化する手法を検討した。ユーザインタフェース部品を「対象」、ユーザインタフェース部品間の関係を「射」とすることによって、これらを1つの「圏」としてモデル化できる。さらに「関手」や「自然変換」を用いてユーザインタフェース部品の階層構造やユーザによるカスタマイズ等もモデル化できると考えられる。本手法によって、ユーザインタフェースの統一的な表現が可能となれば、そのカスタマイズや変換も容易となり、ユーザインタフェースの学習コストの軽減に寄与できると考えられる。
◎斉藤雅騎・佐々木 晃(法政大)
GUIアプリケーション開発においては特徴的な難しさが存在する。ツールを用いてGUI部品の配置を視覚的に行えるが、ボタンクリックの処理などのイベントやGUI部品の属性を取得・変更する際に使われるプロパティの記述はテキストベースである。さらに、通常、プログラミングの一連の流れは開発環境上でコーディングを行い、コンパイル・実行、実行結果をもとにコーディングのし直し、という繰り返しであるが、GUIプログラミングでは、毎回特定のイベントを発生させながら実行結果を確認する手間が発生し、効率的ではない。
これらの背景から、本研究ではマウス操作によってGUIアプリケーションを開発できる環境の作成を目的とする。特に、コンパイル等の手間をなくし、実行を自動的に行うことで、編集動作のたびに動作確認が可能なライブプログラミングを提案し効率化を目指す。
○上原陽香・佐々木 晃(法政大)
本研究では,Webサイト制作・運用におけるコーディング環境のメンテナンス性向上を目指す.HTML・CSSのコーディングにおいて特に大きな影響を持つクラスの命名に着目し,命名規則の整備や自動入力,リファクタリング可能箇所の検出などの機能の研究を行った.これにより,メンテナンス性の高いソースコードの特徴とされている,「予測しやすい」「保守しやすい」「再利用しやすい」「拡張しやすい」の4つの条件を満たすHTML・CSSコーディング環境を構築出来ると考えられる.本研究ではVisual Studio Codeの拡張機能としてプロトタイプの実装を行った.
◎川股悠太・小倉信彦(東京都市大)
本研究では状態遷移モデルにリファクタリングを適用したときの変更点を提示するツールを開発する。リファクタリングはソフトウェアの設計モデルにも適用できるが、モデルリファクタリングはまだ発展途上である。発展には変更の局面の提示や議論が必要であるが、モデル作成・編集を目的とする既存ツールでは変更状況の説明をするには手間がかかり議論が進みにくい原因となっている。本ツールはテキスト形式で変更点を含む状態遷移モデルの情報を入力すると、変更点を強調しつつ変更前後のモデル図を提示するものである。1つの入力から変更前後の比較を行うことが可能であり、モデル変更を提示する手間を削減し、議論を容易にする。
◎平野悠樹・小倉信彦(東京都市大)
モデル変換による開発、例えばモデル駆動開発は、一貫性や追跡性に優れている。しかしモデル変換時、モデル内にシステムの振る舞いやスコープが定義されている場合、木構造処理が必要になる。木構造の処理記述は、再帰処理と複雑な条件分岐が必要となり、従来のモデル変換記述では収まらない煩雑なものになりがちである。このような木構造処理記述の煩雑さを減らすために、本研究では基本的かつ重要な、木の接続処理の簡潔な記法を提案する。これにより木構造処理を、文字列やリストなどのデータ構造と同程度の記述で表現することが可能になり、モデル変換を用いた開発の効率性、保守性を高めることに繋がる。
◎劉 源・篠埜 功(芝浦工大)
Spectrum-Based Fault Localizationは各テストケースの成否と実行経路をもとにバグの場所を特定する手法である.テストケースを実行した時,偶然成功する場合があるため,該当の行にバグがある可能性を表す疑惑値が想定している値からずれることになる.偶然の成功テストケースはバグのある行を実行するため,実行経路が失敗テストケースと類似する部分がある.本研究では,凝集型階層クラスタリングによって,失敗テストケースに類似する成功テストケースの一部を検出する手法を提案し,実装した.実装したシステムにより,Siemens-Suite中のreplaceプロジェクトの5,542個のテストケースに対し,偶然の成功テストケースを 564 個検出した.
◎飯田尚之・篠埜 功(芝浦工大)
コードクローンとはソースコード内の互いに同一、または類似した部分のことを指す。コードクローンは主に既存コードをコピーアンドペーストすることにより生成される。コードクローンの検出に関する研究は多数行われているが、関数型言語に対するtype3のコードクローン検出に関する研究は少ない。本研究ではtype3コードクローンのギャップがif式、case式など他の構文となっている場合に対応するコードクローン検出法を提案、実装し、GHCコンパイラのHaskellで記述されたファイルのうち200個を対象としてコードクローンの検出実験を行った。関数適用以外のギャップを含むコードクローンがある程度検出された。
◎△長倉雄大・阿部清彦(東京電機大)
システム開発におけるデバッグ作業の自動化のために、自動バグ修正技術の研究が行われている。自動バグ修正技術の1つであるGenProgは、修正対象のソースコードを再利用しエラーの解決を試みるため、エラー修正の可否はそのソースコードに依存する。本研究では、修正対象以外のソースコード(外部ソースコード)の文を利用して、エラーの自動修正を行うプログラムを開発した。修正に利用する外部ソースコードは、修正対象と外部ソースコード間の類似度を基に採用確率の調整を行った。評価実験として、競技プログラミングのソースコードに対して行った、類似度を利用した場合における修正成功率の調査結果を併せて報告する。
3月10日 14:30〜16:30 2号館 2203教室 座長 吉田尚史(駒澤大)
D-4-1 | 複数ハードディスクドライブによるElasticsearchデータ記録高速化 ○青木尚登・柴田剛志(日立)・新藤博之(日立ハイテク) |
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D-4-2 | ストレージを用いた近似最近傍探索におけるデータ配置最適化手法の提案 ◎立野賢登・多井勁人・石山清志・住吉一成(キオクシア) |
D-4-3 | ストレージを用いた近似最近傍探索のレイテンシ改善検討 ◎多井勁人・立野賢登・石山清志・住吉一成(キオクシア) |
D-4-4 | ESG側面での企業の経営戦略に対する消費者の反応可視化に関する研究 ○川田 碧・篠塚真智子・奥川雄一郎・田中憲光・原 美永子(NTT) |
D-4-5 | 応答文入れ替えによる対話コーパスに対するData Augmentation手法の提案 ◎山川勇翔・木村昌臣(芝浦工大) |
D-4-6 | ウェーブレット変換を用いた敵対的サンプル生成手法の提案 ◎高橋哉人・木村昌臣(芝浦工大) |
D-4-7 | グラフ構造を用いたレビューの信頼性スコアリングモデルの提案 ◎田辺寛人・木村昌臣(芝浦工大) |
D-4-8 | 評価観点に着目した意見集約システムの構築 ◎小林大記・鈴木 優(岐阜大) |
○青木尚登・柴田剛志(日立)・新藤博之(日立ハイテク)
定常的にデータが追加され,無尽蔵な記憶容量が求められる条件下で,高速な記録スピードと,低いクラスタ数のデータストアをElasticsearchにより実現するためには,複数HDDによる負荷分散が課題となる.Multiple Data Paths,RAID0によるストライピング,コンピュータ内クラスタリングという方法が考えられるが,負荷分散の課題や,通信・メモリのオーバーヘッドが予想される.著者らはこれらの問題を解決する複数HDDによるシャーディングを提案する.複数台での性能を評価し,3台HDDでの高い並列化効率を確認した.
◎立野賢登・多井勁人・石山清志・住吉一成(キオクシア)
画像や音声・文章などから特徴量抽出した大量のベクトルデータからクエリベクトルに近いものを探索する手法として近似最近傍探索がある。近似最近傍探索ではベクトルデータや検索に使用するインデックスデータをメモリに配置し探索を実行するが、近年ではデータ量増加のためストレージも用いた手法が提案されている。このストレージの読み出しは必要な情報が含まれる箇所に対してブロック単位で行われる。本論文では、このブロック内のデータ配置を最適化することで探索時のストレージI/O回数を減らす手法を提案し、探索レイテンシが最大10%減少することを示す。
◎多井勁人・立野賢登・石山清志・住吉一成(キオクシア)
近年、画像や音声などのデータが増加している。このような大量のデータから必要な情報を検索する場合、厳密解を求めるのは計算コストが大きい。この計算コストを低減するための手法として近似最近傍探索がある。近似最近傍探索では検索に使用するインデックスをメモリ上に格納するため、メモリコストが非常に高くなってしまう課題がある。それを解決するためにメモリとSSDを用いた手法としてSPANNが提案されている。SPANNのレイテンシはSSDからメモリにPosting Listと呼ばれるベクトルデータの集合を転送する時間が支配的であり、この転送時間を削減することが処理性能向上につながる。本論文ではSPANNの転送量削減手法の課題を述べ、転送量削減手法の方向性について示す。
○川田 碧・篠塚真智子・奥川雄一郎・田中憲光・原 美永子(NTT)
近年,ESG投資という考え方が世界的に広がりつつある.それ故,企業は投資家・消費者・取引先など様々なステークホルダーを考慮し,ESGの観点を踏まえた経営戦略を立案する必要がある.我々は,これらステークホルダーのうち,企業の経営戦略に対する消費者の反応の可視化に取り組んでおり,その手段としてソーシャルメディアへの投稿内容から反応を分析する方法がある.しかし,単にESG関連のキーワードで投稿を抽出した場合,ESGに関する話題ではない内容も含まれてしまうことが大きな課題である.本稿では,ソーシャルメディアへの投稿からESGの話題に関する投稿のみを精度良く抽出することを目的に,大規模自然言語処理モデルを用いて話題判別を実施した結果について述べる.
◎山川勇翔・木村昌臣(芝浦工大)
近年研究が進められている深層学習を用いた雑談対話システムでは,SNSの大規模データを活用した学習を行うことが一般的である.しかし,これらのデータに含まれるバイアスや毒性の影響により,対話システムは暴力的・差別的な発言をしてしまうといった問題がある.一方で,高品質な対話データの収集は高コストであり,SNSから得られるデータと比べ小規模なものとなってしまうため,対話システムの性能に悪影響を与える.そのため,量が少ないデータを増強する手法であるData Augmentation (DA)を適用することが有効であると考えられる.しかし,対話コーパスに適用される現状のDA手法では外部コーパスを用いて対話システムの出力を多様にする手法が主であり,外部コーパスに含まれるバイアスや毒性が考慮されない.
したがって,本研究では外部コーパスを用いることなく適用することが可能なDA手法を提案する.
◎高橋哉人・木村昌臣(芝浦工大)
ディープニューラルネットワーク(DNN)の登場により,現在の画像認識の精度は一般的に非常に高くなっている.しかし,DNNは画像に加えられた微小な摂動に対して脆弱であり,摂動を加えられた画像によって誤分類を引き起こしやすい特性があることが発見されている.そのような画像は敵対的サンプル(AE)と呼ばれる.AEに関する研究は大別してモデルを騙すための攻撃手法に関する研究と,それを防ぐ防御手法に関する研究がある.攻撃手法の既存研究では,いかに誤分類を成功させるかに注力されており,目視で明らかに摂動が加えられていることがわかる結果が得られる場合が少なくない.しかし,そのような場合は目視による検査で入力から弾かれそもそもモデルを騙すことができない恐れがある.
そこで,本研究では人の目に気づかれにくく,攻撃精度がより高い新たな攻撃手法を提案する.
◎田辺寛人・木村昌臣(芝浦工大)
近年,ネットショッピングによる商品購入する機会が増加傾向にある.ネットショッピングでの購入の決め手の1つに商品のレビューがあるが,肯定的もしくは否定的な意見が混在し一見してその商品がよいか見極めることが困難であり, ユーザは各レビューが信用できるか吟味する必要がある.信頼できるユーザが書いたレビューは信頼できるため,レビューの信頼度はレビューしたユーザの信頼度に等しいと考えられる.ユーザ信頼度推定は,信頼できるユーザは信頼性が高い他のユーザからフォローされるという傾向と店舗の実際の評価とユーザが行った評価に乖離があればユーザの信頼度は低いという傾向に基づく必要があろう.
そこで本研究では,ユーザ間およびユーザと店舗間の関係を表すグラフ構造をもとにユーザおよび店舗の信頼度を求める手法を提案する.
◎小林大記・鈴木 優(岐阜大)
現状,我々はインターネット上にある意見を一覧として閲覧することはできるが,ある話題の意見について全体を割合として俯瞰して見ることは難しい.そこで我々は,話題に対する意見について評価観点ごとの割合をグラフとして可視化するシステムの構築を目指す.既存手法では,教師あり学習による手法が用いられることが多い.ところが,事前に研究者が評価観点を設定しておく必要がある点が問題である.利用者は事前に評価観点が分からないことも多く,自動的に評価観点を設定する手法が有用であると考えられる.本研究では,教師なし学習による評価観点の自動抽出に取り組む.評価観点ごとの意見の割合を円グラフとして可視化する.
3月9日 13:00〜15:15 2号館 2208教室 座長 岸本頼紀(東京情報大)
D-5-1 | 漫画群の概要と評価情報に基づく漫画の推薦 ◎工藤竜矢・鈴木信太郎・坂野妃菜・延澤志保(東京都市大) |
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D-5-2 | 子育て支援のための育児質問応答システム ◎浜口由里・有田朗人(阪工大)・井田歩美(摂南大)・平 博順(阪工大) |
D-5-3 | BERTを用いた集団内会話における受話者推定 ◎永井智大・山田真徳・寺本泰大(NTT) |
D-5-4 | 単語の分散表現に基づく植物名詞と無生物名詞の有生性階層の分析 ◎村上広樹・保坂忠明(東京理科大) |
◎工藤竜矢・鈴木信太郎・坂野妃菜・延澤志保(東京都市大)
本研究では,漫画の内容とレビューから得る評価視点と評価表現に基づいて漫画群と漫画の類似度を計算することで漫画群と類似している漫画を推定する手法を提案し,少年漫画,青年漫画,少女漫画,女性漫画を入力に用いた実験により手法の検証を行った.実験結果として,全体の推薦成功率 90.50%と高い推薦成功率得られたことから,提案手法の有効性を示した.
◎浜口由里・有田朗人(阪工大)・井田歩美(摂南大)・平 博順(阪工大)
日本社会の大きな変化により,母親一人にかかる育児負担が重くなり、育児の相談先も少ないことなどから、育児放棄や産後うつといった問題が起こっている.行政サービスにおける育児相談窓口も財政的な問題から,十分な人的リソースを確保できていはいない.このような状況を少しでも改善するため,育児相談にチャットボットを活用する試みが始まっている.育児相談にチャットボット用いた場合に問題となるのが、ユーザ質問に対する解答を含む文章の検索精度である。本研究では、この検索精度を上げるために,ユーザ質問を自動要約し,要約文を用いた検索を行うことで、検索精度を向上できるかどうかについて検証を行った.
◎永井智大・山田真徳・寺本泰大(NTT)
自然言語処理AIの発展に伴い1対1の会話型チャットボットが普及している。今後、社内チャットや家族といった集団内の会話に参加し、場面に応じたサービスの提供が考えられる。このようなサービスの実現には、1対1の会話にはない受話者の推定が必要になる。受話者を推定することで、チャットボットが自身との会話以外には反応しなくなり、自然な会話ができると考えられる。本稿では、非対面の会話での活用を想定し自然言語処理AIのBERTを用いて文脈を踏まえた受話者推定を会話コーパスデータを利用して学習・推定を行い評価した。また、本手法の活用事例として会話の可視化を行った。
◎村上広樹・保坂忠明(東京理科大)
有生性は「名詞などが生物としての性質をもつか否か」を示す文法的な属性であり,単語(群)間の相対的な有生性の強弱の関係は有生性階層と呼ばれる.有生性階層において,植物名詞や無生物名詞については詳細に分析されていない.本研究では,統語的パターンを包括的に数値化した情報である単語の分散表現を用いて,4個のカテゴリ(神等の空想物・集合名詞・微生物等・植物)の有生性を定量化することで,有生性階層に対して新たな知見を与える.具体的には,有生性の有無が明確な語を用いて,分散表現を特徴量とする線形判別分析モデルを学習し,評価対象の単語に対して有生クラスへの所属確率を算出する.分析の結果から,各カテゴリの有生性は上記の順に強いことが示唆された.
休 憩(14:15 再開) 座長 保坂忠明(東京理科大)
D-5-5 | 自然言語処理と機械学習を用いた電子メールの感情分析 ○Adesoji Adewale・山﨑達也(新潟大) |
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D-5-6 | 地域サービスに対する意見を分析するための質的分析法の実装 ◎渡辺大智・桝井文人(北見工大) |
D-5-7 | 省略語の推定による調理必要機材提案システムの試作 ○宍戸みつき・岸本頼紀(東京情報大) |
D-5-8 | アレルギーに関するTwitterの分類とその特徴に関する一考察 ◎岡田麻衣花・岸本頼紀(東京情報大) |
○Adesoji Adewale・山﨑達也(新潟大)
電子メールは,スパムやサイバー攻撃に対して脆弱であり,フィッシング詐欺や危険なリンクが含まれていることがある.電子メールのコンテンツにより分類することは重要であり,本研究では,感情分析による電子メールコンテンツの分類に焦点を当てる.感情分析はテキストの背後にある感情的なトーンを識別することを意味し,本稿では自然言語処理(NLP)と機械学習(ML)の組合せによるアプローチを用いる.NLPアプローチでは,分類クラスの間に不均衡性が生じた.これに対し,MLアプローチでの分類では,不均衡を解消するためにSMOTEとアンダーサンプリングを適用した.その結果,SMOTE+ENN手法を用いたRF 及びSVMが他の手法よりわずかに上回る分類性能を示した.
◎渡辺大智・桝井文人(北見工大)
本発表では,地域活性化における意見情報の収集分析を効率化するための質的分析法を活用した分析手法について報告する.質的分析法の一つであるグラウンデッド・セオリー・アプローチの主要プロセスをサブタスク化し,これを解く手法を構築することでSNS上に投稿された地域サービスに関する意見情報を分析整理する方法を考案し,実際に一部タスクに対する処理を実装してその基本性能に対する有効性を確認した.この結果により,SNS上に疎に分布する地域サービスに対する意見分析を支援できることが示唆された.
○宍戸みつき・岸本頼紀(東京情報大)
料理のレシピなどでは、必要な材料と加工方法については記載してあっても道具については省略されることが多い。このような省略は再現性を下げる要因となるため、補完することが求められる。省略語の推定方法として、語句に付随した新旧情報を用いた省略順序による省略語の推定も提案されているが、これは前述の文に基づく推定のためレシピの様な短文のみの文章には適さない。
そこで、レシピ文章から材料と機材、加工方法についての単語を抽出できれば、機材の書かれていない文の材料と加工法方に対応した省略された機材を推定できる。
本論文では、料理レシピを対象とした機材の省略語を推定する方法について論じ、試作によりこの実現を確認する。
◎岡田麻衣花・岸本頼紀(東京情報大)
アレルギーに関するTwitterについて、それらが持つ属性による分類手法を提案する。Twitterのつぶやきを「体験/一般論」「対処法の有無」「根拠の有無」の3つの情報で組み合わせ分類し、これらの分類における特徴が得られれば、目的となるつぶやきを探すキーワードの一助となる。アレルギーに関するTwitterの分類手法について提案し、この分類に基づく特徴分析について論じる。本論文では、アレルギーに関するツイートを分類する手法について提案し、この分類に基づくツイートの特徴分析として、対処法の抽出には行動に関するキーワードを含めることが効果的であることがわかった。
3月7日 11:00〜11:45 3号館 3302教室 座長 井口 寧(北陸先端大)
D-6-1 | 任意の関数への関数呼び出しの軽量フック手法 ○今井啓貴・掛井将平・齋藤彰一(名工大) |
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D-6-2 | 共有型マルチコアTenderにおける資源追加機能の設計 ◎井上我久・山内利宏・谷口秀夫(岡山大) |
D-6-3 | FPGA による BiLSTM システム実装の予備的検討 ◎△永井晃大・藤枝直輝(愛知工業大) |
○今井啓貴・掛井将平・齋藤彰一(名工大)
プログラムの挙動を理解する際の動的解析では,関数フックにより関数の置き換えや関数トレースにより呼び出し情報を取得することは有効な手法である.本提案は「プログラムが直接命令で呼び出す関数」を解析する場合において既存手法よりも軽量な手法である.本提案ではプログラム内の関数呼び出し先を,フック/トレース機能を持つ関数に変更するバイナリパッチをプログラムに対して行うことにより,プログラム実行時にフック/トレース機能の使用を可能にした.関数の呼び出し先を変更しユーザ空間内でフック/トレースの機能を実行することで,軽量な動作を実現した.評価では関数を軽量かつ正しくフックできていることを確認した.
◎井上我久・山内利宏・谷口秀夫(岡山大)
Tenderオペレーティングシステムでは,プロセスの生成処理を高速化するために資源追加機能が実現されている.資源追加機能は,プロセス生成処理に必要となる資源を事前に生成することで,プロセス生成処理を高速化する機能である.しかし,資源追加機能は資源を共有し管理するマルチコア対応方式である共有型マルチコアTender(以降,共有型Tender)では,コア0以外で動作できない.このため,アイドル状態のコアを有効に利用することができない.そこで本稿では,共有型Tenderにおいてアイドル状態のコアを探索し動作する資源追加機能の設計を示す.
◎△永井晃大・藤枝直輝(愛知工業大)
近年,自動運転や画像検索などでニューラルネットワーク(NN)の需要が高まっている.本研究の最終的な目的は,その一種である BiLSTM を用いた,文字列認識などの NN の推論を加速する FPGA システムを実装することである.本稿では,システム実装に先立って行った先行研究の再現実験について述べる.
3月8日 10:00〜11:30 4号館 4107教室 座長 堀 潤一(新潟大)
D-7-1 | 体振動情報に基づいた睡眠状態推定:終夜睡眠データへの適用 ◎池田尚史・杉 剛直・松田吉隆・後藤 聡(佐賀大)・豊田彩織・木暮貴政(パラマウントベッド睡眠研究所)・白川修一郎(睡眠評価研究機構)・林 光緒(広島大) |
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D-7-2 | ソーシャルVRにおいて脳波状態を共有するシステムの開発 ◎△門田光揮・井手康太・堀江亮太(芝浦工大) |
D-7-3 | 色彩効果によるμリズムを用いたBCIの意思判読精度向上 ○大西真央・島田尊正(東京電機大) |
D-7-4 | SSVEPを用いたBCIゲームへの応用 ◎小濱智大・山崎享子・田中尚樹・吉田善一(東洋大) |
D-7-5 | SSVEP型BCIにおける視覚刺激の色彩特性と意思判読精度の検討 ◎板倉佳希・島田尊正(東京電機大) |
D-7-6 | SSVEP型BCIにおけるアイコン形式および欲求の意思判読への影響 ◎谷 菜々子・島田尊正(東京電機大) |
◎池田尚史・杉 剛直・松田吉隆・後藤 聡(佐賀大)・豊田彩織・木暮貴政(パラマウントベッド睡眠研究所)・白川修一郎(睡眠評価研究機構)・林 光緒(広島大)
シート型体振動計は、睡眠時の状態を非拘束・非接触で測定することが可能である。本研究では睡眠状態判定法を終夜睡眠データに適用することを目的とし、睡眠判定アルゴリズムを開発した。睡眠状態判定には振幅飽和割合、心拍数、呼吸数などのパラメータを求め、それを使用し覚醒、睡眠、REM、Non-REM、判定不能の5段階に分類した。2時間の睡眠データ7例に対する平均判定率は92.5±3.0[%]、平均一致率は76.5±8.2[%]、終夜睡眠データ1例の判定率は94.3[%]、一致率は87.1[%]と良好な判定精度が得られた。今後は解析する症例数を増やし、汎用性の高いシステムの開発を行っていく必要がある。
◎△門田光揮・井手康太・堀江亮太(芝浦工大)
本研究では,VR空間でコミュニケーションを楽しむことができるソーシャルVRサービスにおいて,各ユーザーの脳波に応じた視覚効果を生成し,精神的盛り上がりを共有できるシステムを開発した.ソーシャルVRでは,HMDを通して映像と音声を視聴できるが,脳波に応じた視覚効果を発生させることで,VRでの没入感をより高めることができると考えられる.被験者1人での実験では,ソーシャルVR内の複数のコンテンツの体験を行い,内容によってβ/α比の分布とそれにより生成される視覚効果の種類が大きく変わることが示された.また,5人のユーザーによるシステムの動作確認実験を行い,各ユーザーの視覚効果の生成をVRサービス内で共有できることが確認できた.
○大西真央・島田尊正(東京電機大)
近年,脊椎損傷等で体が動かせない,あるいは声を発することが出来ない人のための新たなコミュニケーション技術ツールとして,Brain-computer interface (BCI)が期待されている.本研究では脳波特徴波のμリズムを活用したBCIにおいて,運動イメージの補助動画の色彩による意思判読精度向上の効果について検討を行った.色彩には赤,青,緑の3種類を用いた.実験の結果,赤を補助動画に使用した場合に,運動イメージをした際の有意なμリズムの減衰が確認され,μリズムの変化を検出する際のS/N比が向上して運動イメージの有無の検出が容易になり,意思判読精度の向上が期待できることが示された.
◎小濱智大・山崎享子・田中尚樹・吉田善一(東洋大)
脳活動を計測解析してそれに基づき外部機器を操作するものをBCI(Brain Computer Interface)という.主に,医療や福祉の場面で使用されている.BCIにゲームを用いることで集中力等の認知機能向上が示唆されている.しかしその客観的証拠は十分とは言えない.本研究では,非侵襲かつ比較的訓練を要しない定常状態視覚誘発電位(SSVEP)を用いたBCIゲームシステムを作成し,通常の点滅刺激とゲーム内の点滅刺激に対するSSVEP検出率の比較を行った.結果は,ゲーム中の方が通常の点滅刺激よりも検出率がわずかに上昇した.このことは,ゲーム性導入により点滅刺激に意味が生じ,集中力が向上した可能性を示唆する.
◎板倉佳希・島田尊正(東京電機大)
近年,四肢を動かすことなく,脳波などの生体信号を利用して機器等の制御を行うBCI (Brain-Computer-Interface)が注目されている.本研究は,色彩特性の心理効果によるSSVEP型BCIの意思判読率の向上を目的としている.実験では,輝度未統一および輝度を統一した赤/緑/青/黄/紫/無彩色の6色の10Hz点滅刺激を被験者に集中させ,計測したSSVEPと定量化した各色彩の心理効果との関係を検討した.結果として,輝度を統一した有彩色点滅刺激において,特定の心理効果とSSVEPとの有意な相関が確認され,色彩刺激に特定の心理効果を感じる場合にSSVEPが向上する可能性が示された.
◎谷 菜々子・島田尊正(東京電機大)
Brain Computer Interface(BCI)とは,脳波等を用いて意思を判読したり,コンピュータ等の操作を行うインターフェースであり,脊髄損傷などによる重篤な四肢麻痺患者の意思の読み取り等が期待されている.一方,実用化のためには意思判読率のさらなる向上や意思判読時間の短縮が求められている.本研究ではSSVEP型BCIにおいて人物ポーズ,物,文字の3つのアイコン形式および被験者の欲求の強度とSSVEPパワーの関係を調査した.その結果被験者の欲求にかかわらず,欲求を表現する物アイコンを用いることでSSVEPのパワーが増加し意思判読精度が向上する可能性が示された.
3月8日 13:00〜15:45 4号館 4107教室 座長 吉田 久(近畿大)
D-7-7 | Identifying Patterns in Continuous Glucose Monitoring Data using Contrast Set Mining ◎△Huyen Hoang NHUNG・Zilu LIANG(Kyoto Univ. of Advanced Science) |
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D-7-8 | 細胞内カリウムイオン濃度がEADの発生に与える影響 ○近藤大輔・北島博之(香川大) |
D-7-9 | 海馬歯状回顆粒細胞における2入力の位相差による連合応答の解析 ○亀井和久・門傳忠叡・中島直樹(玉川大)・上條中庸(琉球大)・相原 威(玉川大) |
D-7-10 | 環境音による作業効率への影響についての調査 ◎千葉恭伸・米村恵一(木更津高専) |
D-7-11 | 3D SE-ResNetを用いた動画像データに基づく咀嚼能力推定 ○杉本千佳・若林悠太(横浜国大) |
◎△Huyen Hoang NHUNG・Zilu LIANG(Kyoto Univ. of Advanced Science)
Keeping the glucose level in a normal range is critical for maintaining metabolic health. While the glucose dynamics in daytime can be altered by behavioral factors such as eating and exercise, the glucose dynamics during sleep is primarily autonomous and is not subject to direct modification. Nonetheless, it may become possible to indirectly modulate the glucose dynamics during sleep if we could develop an understanding into the relationships between daytime and in-sleep glucose dynamics. In this study, we used another rule-induction technique—contrast set mining—to identify significant patterns characterizing the relationships between daytime and in-sleep glucose.
○近藤大輔・北島博之(香川大)
現在,心室頻拍(TdP)などの心室性不整脈の発生は,早期後脱分極(EAD)の撃発活動が関係すると考えられている.EADは活動電位の初期の段階に小さな脱分極が起こることであり,これが引き金となり新たな活動電位が発生する.心室頻拍などの不整脈はこのEADの発生後に現れる.しかし,生理実験ではその仕組みを解明することは容易ではない.ゆえに,数理モデルを使用してのEADの研究はこれらの不整脈を防止するために重要である.本研究ではT.O'Haraらによって提案されたヒト心室筋細胞モデルを人間の心臓数理モデルを用いて,EADの発生機序について調査する.
○亀井和久・門傳忠叡・中島直樹(玉川大)・上條中庸(琉球大)・相原 威(玉川大)
海馬歯状回顆粒細胞(GC)には、嗅内野から伸びる外側貫通路(LPP)と内側貫通路 (MPP)が平行に通っている構造がある。LPPは、匂いなどの情報(非空間情報)を内側樹状突起(MD)に通し、MPPは場所の情報(空間情報)を海馬歯状回顆粒細胞(GD)の外側樹状突起(DD)に通す。
しかし、2つの入力がどのように統合されていのかは未だ解明されていない。
そこで本研究では、神経細胞の情報統合についてどのように行われているのかを解明するために、嗅内野(EC)から最初に情報(空間情報と非空間情報)が入力される海馬歯状回顆粒細胞の働きに着目した。
その結果、海馬歯状回顆粒細胞はMDとDDへの入力の同時性の検出のための性質を備えていることが考えられた。
◎千葉恭伸・米村恵一(木更津高専)
近年, コロナウイルス感染症の流行によって自宅やホテルなどからの遠隔授業やテレワークが普及しつつある.結果として, 作業環境がテレワーク実施前から急に変化したことで作業効率に影響が生じているとの声が挙がっている.そのため, より良い作業環境を作るためにどのような環境が作業に適しているのか様々な観点から調査を行う必要がある.
本研究では12名を対象として2つの課題を用意して実験を行った.
その結果, どちらの課題の成績も有意差が認められなかった為,環境音による作業効率への影響は見られなかった.
今後の展望としては他の環境要因についての実験を行い, 環境による作業効率への影響が存在するかについて検討していく.
○杉本千佳・若林悠太(横浜国大)
咀嚼機能低下の予防・早期発見および咀嚼機能維持・向上の支援を目的に,日常生活の中で容易に導入可能な方法として,測定が容易なカメラ動画像をもとに咀嚼能力を推定する手法を提案する.咀嚼時の開口量や左右方向の口元の動き,咬筋や側頭筋など咀嚼筋の隆起の特徴を捉えるため,動画像をフレーム分割し,画像から顔検出してランドマークを付与,咀嚼時の開閉口パターンから咀嚼サイクルを検知して,画像の認識性能が高く時系列の動的な特徴を抽出可能な3D SE-ResNetを用いた咀嚼能力推定モデルを構築した.咀嚼能力測定用グミゼリーを用いて咀嚼データを取得しモデルの評価をした結果,平均精度0.834の比較的高い咀嚼能力推定性能を得られた.
休 憩(14:30 再開) 座長 奥野竜平(摂南大)
D-7-12 | 畳み込みオートエンコーダを用いたダンベルアームカールにおける反動動作の検知に関する検討 ◎柄本敦哉(北九州市大)・井上 恒(香川大)・松岡 諒(北九州市大) |
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D-7-13 | 接地面の傾斜が片足立位に及ぼす影響 ○嶌田 聡・太田恭平・岸 光太(日大) |
D-7-14 | 気圧センサを用いた足首角度計測システム ◎カラ 健太・板口典弘・桂 誠一郎(慶大) |
D-7-15 | 足関節底背屈自動運動を対象としたリハビリ用シリアスゲームの開発と評価 ○眞坂美江子(帝京大)・石井桂輔(帝京大医学部付属病院)・田口大輔(帝京大) |
D-7-16 | TUGテストにおける歩行動作特徴の抽出と評価 ◎横澤幸成・水野秀之(諏訪東京理科大)・北野哲彦・下里直子・翁 拓也(長野県工技総セ) |
◎柄本敦哉(北九州市大)・井上 恒(香川大)・松岡 諒(北九州市大)
近年,運動不足解消のために自宅やスポーツジムで器具を用いた荷重トレーニングを行う人が増加している。しかし,大きな反動を使ったフォームでの荷重トレーニングは,怪我のリスクを高める恐れがある。本稿では,ダンベルアームカール動作の加速度データを畳み込みオートエンコーダ(CAE)に入力し,その再構成誤差を評価することで反動動作の検知を行う手法を検討する。
○嶌田 聡・太田恭平・岸 光太(日大)
歩行,走行やスポーツ動作では片足で体全体を支持する動作を含むことが多い.片足支持は両足支持に比べてバランスを保持することが難しい.また,片足支持では体を外傾させてバランスを保持するので足関節が捻れる問題が生じる.これらの問題は接地面を外側へ傾けることで解決できると考えられる.本稿では,片足立位において,接地面を外側へ傾けることで下肢姿勢と足底の圧力分布にどのような影響があるのかを明らかにする.被験者10名の実験の結果,傾斜をつけることで片足立ちでのバランスが安定すること,足関節の捻りが軽減すること,および最適な傾斜角度は個人差が大きいことを確認した.
◎カラ 健太・板口典弘・桂 誠一郎(慶大)
高齢者の健康を維持する上で最も重要視されているのは下半身の機能であり,特に歩行に着目した研究が多くなされている。しかしながら,歩行の運動学的特徴から運動疾患の上体を定量化できる手法の開発までは至っていない。そのため,直接位置情報を取得できるシステムが必要になってくるが,モーションキャプチャを用いる手法にとどまっている。この手法は特性上,被験者の服装などに制限がかかる問題がある。本稿で提案するシステムは,気圧センサで位置を直接取得するシステムであり,被験者の服装に対する制限はない。歩行スペースと無線環境が存在すれば歩行を測定できることができるため実用性の高いシステムとなっている。
○眞坂美江子(帝京大)・石井桂輔(帝京大医学部付属病院)・田口大輔(帝京大)
床上安静者が行う足関節底背屈の自動運動を支援することを目的としてシリアスゲームの概念を取り入れた支援システムを開発した。加速度角速度センサを内蔵した小型センサをつま先付近に装着することにより,足関節の底背屈を検知することに成功した。これにより,利用者がベッド上から移動をすることなく足関節底背屈運動を支援システムを用いて実施することが可能となった。システムを健常者5名に利用いただいたところ,複数の被験者から楽しいとの回答が得られたが,疲れる,難しいなどさらに改善の余地があることも明らかとなった。
◎横澤幸成・水野秀之(諏訪東京理科大)・北野哲彦・下里直子・翁 拓也(長野県工技総セ)
現在,高齢化の進行に伴う要介護者の増加が社会的な問題となっているが,高齢者の転倒の予防が要介護者の減少に有効であると考えられる.加齢によるいくつかの歩行特徴への影響について報告されているものの,全身の歩行動作への影響は明らかにされていない.本研究では高齢者の歩行能力の評価方法として実績のあるTimed Up & Goテストにおける全身の動作に着目し,関節点の3次元座標を測定可能なMicrosoft社製Azure Kinect DKを用いた全身の16項目の歩行動作特徴の抽出方法を提案し,Xsens社製IMU式センサーMVN Awindaで抽出した歩行動作特徴との精度比較を行った.実験結果より多くの歩行動作特徴で高精度な抽出が可能であることが確認できた.
3月10日 10:00〜11:30 2号館 2307教室 座長 藤田桂英(東京農工大)
D-8-1 | 尤度推定を用いた深層学習による夜空画像からの星検出 ◎森口華帆・瀬尾昌孝(阪工大) |
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D-8-2 | 多クラスロジスティック回帰モデルを用いた麻雀の期待順位予測 ◎原澤祐航・鈴木徹也(芝浦工大) |
D-8-3 | エージェントの消耗と回復を伴う複数エージェント集配問題の検討 ◎大竹啓吾・松井俊浩(名工大) |
D-8-4 | 深層生成モデルを用いた洋服の特徴選定および特徴付与による着せ替え画像生成 ◎草野 快・瀬尾昌孝(阪工大) |
D-8-5 | ラムゼーグラフの二つの遷移 ◎越村三幸・永野 崇(九大) |
D-8-6 | VAEを導入したドメイン適応による少量データを用いたスポーツモーション補正 ◎島田圭吾・瀬尾昌孝(阪工大) |
◎森口華帆・瀬尾昌孝(阪工大)
通常,夜空の画像には0以上の任意個数の星が存在する.これに対し一般的な回帰モデルでは,星の有無判別機構がないため,星が存在しない画像への対応が別途必要となる.また,モデルの出力層次元は固定のため,これを超える個数の星の検出が困難となる.これらの問題に対し,本研究では座標推定に加え,星の存在尤度推定を行う.入力画像内を密な間隔で走査しながら星座標と尤度の推定を繰り返すことで尤度マップを作成し,これを用いることで任意個数の星検出を実現する.
◎原澤祐航・鈴木徹也(芝浦工大)
不完全情報ゲームである麻雀において自身の最終順位を予測することは非常に重要である.
そこで,多クラスロジスティック回帰モデルを利用して麻雀の期待順位を予測する手法を検証した.モデルに入力する特徴量に各プレイヤーの点数,プレイヤー間の点差,プレイヤーの配牌を使用する手法と,損失関数を一般的に用いられている交差エントロピー誤差ではなく予測した期待順位からの2乗誤差に変更する手法である.
予測した期待順位からの平均絶対誤差と平均2乗誤差で評価したところ,特徴量を増やしても予測性能は向上しなかったが,損失関数を変更することで2乗誤差を小さくすることができた.
◎大竹啓吾・松井俊浩(名工大)
物流倉庫内の搬送ロボット群を動機付けとしたMAPD (マルチエージェント集配)問題が研究されている.
MAPD問題では,継続して発生する集配タスクの互いに衝突しない経路を,各エージェントに割り当てる.
従来の基礎的なMAPD問題は同種の集配タスクのみを扱い,充電などのエージェントの保守タスクが考慮されないが,実際には継続した集配の合間に保守が必要となることが考えられる.
そこで,本研究では,エージェントの消耗と回復を伴うMAPD問題を対象として,保守を含むタスク割り当てと経路予約手法の検討を行う.
発見的解法と地図の設定による,保守タスクの移動コストやタスク計画の失敗頻度への影響を,実験により評価する.
◎草野 快・瀬尾昌孝(阪工大)
近年ネットショッピングの機会が増加する中,ファッション分野では,利用者に着用シーンを明確にイメージさせることが販売促進のために重要である.これに対し本研究では画像上での試着シミュレーションを目指す.既存の着せ替え画像生成手法の1つにConditional Analogy GAN (CAGAN)がある.CAGANは必要な情報をまとめて入力することで着せ替え画像を生成する簡便なモデルである.しかしその反面,目標画像生成のために必要な特徴の取捨選択に向けた工夫はほとんどなく,精度は試行ごとに大きく変化する.これに対し,本研究では画像生成に必要な情報の選定・付与を明示的に行うことで精度向上を図る.
◎越村三幸・永野 崇(九大)
完全グラフの各辺を2色で彩色したとき、全辺が第1色のs頂点部分誘導グラフも全辺が第2色のt頂点部分誘導グラフも含まないグラフを(s,t)-ラムゼーグラフという。sとtが定められたとき、(s,t)-ラムゼーグラフは有限個しかない(ラムゼーの定理)。我々は、ラムゼーグラフ間の二つの遷移関係を考え、幾つかの(s,t)の組について、(s,t)-ラムゼーグラフの遷移関係を分析したので報告する。
◎島田圭吾・瀬尾昌孝(阪工大)
近年の機械学習においては,大規模データセットの利用が必要不可欠である.しかし,現実的には学習に必要十分なデータを獲得できない場合も多い.
本稿ではドメイン変換を用いてスポーツ初級者のモーション補正に取り組む.このタスクでは初級者と経験者の各ドメインにおいて,対応するモーションをそれぞれに獲得する必要があるが,近年のモデル学習に必要な万オーダーの動作を取得することは現実的に難しい.この問題に対し,本研究ではAdversarial Discriminative Domain Adaptation(ADDA)を利用したドメイン変換をベースとして,Variational AutoEncoder(VAE)を利用とした少数データセットに対応した学習手法の導入を検討する.
3月10日 13:00〜16:15 2号館 2307教室 座長 松崎和賢(中大)
D-8-7 | 花札「こいこい」へのAll-Moves-As-Firstの適用 ◎長峰拓己・鈴木徹也(芝浦工大) |
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D-8-8 | エッジAIに対するフレーム補完によるfpsの向上手法 ◎松尾遊宇・中西知嘉子(阪工大) |
D-8-9 | ノイズ除去再構成器を用いた深層学習による医用画像の異常検知 ◎小林拓実・瀬尾昌孝(阪工大) |
D-8-10 | LightGBMを用いたSNSユーザのお気に入り登録予測 ◎荒澤孔明・松川 瞬・杉尾信行・和田直史・松﨑博季(北科大) |
D-8-11 | 深層学習を用いた選択的ドメイン変換による物体検出の精度向上 ◎岡本聖也・瀬尾昌孝(阪工大) |
D-8-12 | ニューラルネットワークを用いた空調制御の最適化 ◎廣石健悟・山田哲靖・久島遼太(諏訪東京理科大) |
◎長峰拓己・鈴木徹也(芝浦工大)
All-Moves-As-First(AMAF)はモンテカルロ法のシミュレーションを水増しする発見的手法である.完全情報ゲームである囲碁ではAMAFを導入したモンテカルロ法が効果をあげた.本研究の目的は不完全情報ゲームである花札「こいこい」(以下:花札)におけるAMAFの効果を確認することである.実験では,AMAFを導入した花札のプレイヤAIとランダムプレイヤとを対戦させた.その結果,AMAFによる着手の評価に適切な重み付けをすることで,モンテカルロ法のシミュレーション回数が少ない場合に,勝率を向上させる可能性が確認できた.
◎松尾遊宇・中西知嘉子(阪工大)
近年「画像認識AI」が注目を集めている.画像認識AIには膨大な計算量が必要となるため,リソースが無尽蔵に設定できる「クラウドAI」が普及している.しかしクラウドAIは通信遅延の影響を受けるため,リアルタイム性を求める場面ではエッジデバイス単体でAI処理を行う「エッジAI」の需要が高い.エッジAIはクラウドAIと比較しリソースが限られるため,速度と精度はトレードオフの関係になる.そこで本研究では「過去の推論結果から未来の推論結果を予測し,推論間のフレームを補完する手法」を提示する.この手法により,精度が高いモデルを使用した際に推論時間が長く,リアルタイム性が欠如してしまう現象に対抗できる.
◎小林拓実・瀬尾昌孝(阪工大)
異常検知手法の一つAdversarially Learned One-Class Classifierは「正常データを再構成するよう訓練されたAuto Encoderは異常データを上手く再構成できない」という考えに基づく手法である.しかし医用画像のように正常画像と異常画像(疾患画像)で画像を構成する特徴の多くが類似しているデータセットでは,異常画像が鮮明に再構成されてしまうケースも多い.この問題に対し,本研究ではノイズを付加した入力画像からノイズ付加前の画像を再構成する生成器を正常画像で学習しておき,テスト時に異常画像の結果のみを破綻させることで,異常検知の精度向上を目指す.
◎荒澤孔明・松川 瞬・杉尾信行・和田直史・松﨑博季(北科大)
ソーシャルメディア上のある投稿が各ユーザにどのような影響を与えるかを予測する事は、SNSマーケティングなどにおいて重要なタスクである。我々は、機械学習における勾配ブースティング決定木の手法の1つであるLightGBMに基づき、各ユーザがこれまでお気に入り登録を行ってきた投稿群の特徴を学習する事で、そのユーザがこれから閲覧する投稿に対して、お気に入り登録を行うであろうか否かを2値分類する手法について研究してきた。本稿では、Twitterユーザ8名のお気に入り登録予測モデルを構築し、予測実験を行った結果として得られた、予測性能や各ユーザのお気に入り登録に影響を与えた要因などについて報告する。
◎岡本聖也・瀬尾昌孝(阪工大)
現在一般的に公開されている画像データセットの多くは,主として日中など良好な環境で撮像されたもので構築されている.その為,そういったデータセットで学習された機械学習モデルの多くは悪環境下で撮像されたデータに対して十分な精度の実現が困難となる.本報告では実応用を想定し,悪環境も含めたあらゆる環境で撮像されたデータに対して一般的な環境で撮像されたデータへのドメイン変換を実現する.これにより物体検出などの応用タスクの精度向上を目指す.本提案手法では深層学習モデルの潜在空間における分布制御に着目し,潜在空分布から得られる誤差の最小化を図るとともにAdaptive Instance Normalizationを導入し,入力ドメインに依存しないドメイン変換を実現する.
◎廣石健悟・山田哲靖・久島遼太(諏訪東京理科大)
一般の空調システムにおいて、時変性や非線形性の影響で常に所望の制御性能が得られるとは限らない。そこで筆者らは、それらの状況に対応可能な空調制御システムの構築を目指し、研究開発に取り組んでいる。本論では、深層学習を用いて、過去の室温等のデータから時系列予測を行った。その後、予測された結果を基に空調制御システムの最適化を行うため、深層学習を用いた手法と従来手法との精度比較を行った。作成した多入力版ニューラルネットワークが従来に比べ実験環境下において優れていることが確認でき、その有用性を示すことができた。
休 憩(14:45 再開) 座長 清 雄一(電通大)
D-8-13 | 量子ニューラルネットワークにおける学習性能とLoss Landscape ◎櫻 崇史・長谷川禎彦(東大) |
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D-8-14 | 建物空間内の群衆シミュレーション開発ツールの研究 ◎宮脇亮太・佐々木 晃(法政大) |
D-8-15 | 条件付き敵対的生成タスクに対応した新しい正則化手法の検証 ◎冨永理人・瀬尾昌孝(阪工大) |
D-8-16 | 物体検出モデル「YOLOv5」のエッジデバイスへの実装の検討 ○三枝 渉・中西知嘉子(阪工大) |
D-8-17 | 局所的再現性に着目した深層学習を用いた医用画像の超解像度 ◎石川瑞基・瀬尾昌孝(阪工大) |
D-8-18 | algoにおけるシミュレーションを用いた行動決定の有効性 ◎耿 一先・鈴木徹也(芝浦工大) |
◎櫻 崇史・長谷川禎彦(東大)
近年,量子コンピュータの発展に伴い,量子機械学習が急速に進歩している.指数倍加速はできないが,古典コンピュータではシミュレーションできない規模の量子コンピュータであるNISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum)を用いた機械学習アルゴリズムにおいて,完全には解明されていない量子ニューラルネットワークの学習性能とloss landscapeとの関係に寄与するべく,2入力2出力の量子ニューラルネットワークを用いてXORの分類を行い,量子ニューラルネットワークにおける収束の速さやaccuracyなどの学習性能とloss landscapeの関係を調査した.
◎宮脇亮太・佐々木 晃(法政大)
本研究では、建物内空間を想定したマルチエージェントシミュレーションを実行するためのツール開発に取り組んでいる。シミュレーションを実行するユーザは必ずしもプログラミングの経験者ではないため、本ツールは誰でも容易に扱える設計を提案する。具体的には、シミュレーションを実行するためのフィールドおよびエージェントの挙動を、主にキーボードとマウスを用いたGUIで直感的に編集することができるようにする。エージェントの挙動をデフォルトである程度正確に表現することができるようにし、必要に応じてプログラムを記述することで拡張できるような構造とする。
◎冨永理人・瀬尾昌孝(阪工大)
テキストからの画像生成モデルの学習は一般的に難しいとされており,様々な問題が発生する.代表的なモデルのひとつであるStackGANにおいても生成精度は改善の余地があり,モード崩壊も確認できる.この2つの問題に対して,学習安定化手法であるICRを取り入れDiscriminatorに意味理解能力を付与することが有効であると考えられるがICRを条件付き生成に適用すると条件を無視した生成を行うことが危惧される.そこで,条件付き生成モデルを対象とした新しいConsistency正則化であるICCRと,それを取り入れたStackGAN with ICCRを提案し,生成能力とモード崩壊発生率の報告をする.
○三枝 渉・中西知嘉子(阪工大)
近年,セキュリティや通信環境に左右されないエッジ端末上でAIを動作させるエッジAIが注目されている.推論処理のうち,処理時間が長い畳み込み演算と,畳み込み演算後の活性化関数をFPGAの回路で処理し,その他の処理をCPUで処理させることによって推論処理の高速化を検討する.本研究では,YOLOv5sモデルを高速化の対象とし,推論処理内の畳み込み演算と活性化関数の処理を行う回路を作成する.Conv2D層のみを回路で処理することによって,CPUのみと比較して推論時間が約12.4倍,Conv2D層と一部のActivation層を回路で処理することで推論時間が12.7倍高速化できていることがわかる.
◎石川瑞基・瀬尾昌孝(阪工大)
深層学習を用いた超解像度の代表的手法の一つにYulun Zhangらによって提案されたResidual Dense Netがある.
この手法は多段階的に抽出される特徴を効率的に利用して超解像度を実現するものの,医用画像に見られる細かなテクスチャの再現性には課題が残る.これに対し本研究では局所的なテクスチャの再現性に着目しPatch Discriminator,およびSpatial Similarity Lossを導入することで,超解像度画像の生成精度向上を目指す.
◎耿 一先・鈴木徹也(芝浦工大)
algoは対戦相手のカードの数字を当てる推理ゲームであり, ゲーム情報学において不完全情報ゲームに分類される. 不完全情報ゲームにおける行動決定に多く用いられる手法の一つとして, モンテカルロシミュレーションがある. algoのプレイヤにこの手法を適用することによって, お互いの手札のみならず, デッキもシミュレーションの対象に組み込むことで, より正確な行動決定ができると考えられる. 一方で, algoにおいては, 正解の確率が最も高い行動を常に選択する戦略も有効な戦略であると考えられる. 本研究ではこの両者を比較し, algoにおけるシミュレーションによる行動決定の有効性を検証する.
3月7日 9:00〜11:00 2号館 2208教室 座長 戸田浩之(横浜市大)
D-9-1 | Mobile App Design for Improving Step Count Using Behavior Change ○Hampus Hammarlund・Fuminori Takayama・Takumi Meguro・Masaru Honjo(KDDI Research) |
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D-9-2 | モバイルヘルスによる従業員への行動変容アプローチが歩数に及ぼす影響 ◎目黒巧巳・髙山史徳・ハンプス ハンマールンド・本庄 勝(KDDI総合研究所) |
D-9-3 | Social Well-being実現に向けた集団に対する活動支援のシステム化の検討 ○寺本泰大・山田真徳・永井智大・廣見紗妃(NTT) |
D-9-4 | 人物姿勢を用いた頭部領域の推定方法に関する提案 ○横坂直克・弥田紘一・明石貴靖(ナカヨ) |
D-9-5 | 屋内自己位置推定に基づく投影型ガイドシステム ◎佐久間修平・朝香卓也・西辻 崇(東京都立大) |
D-9-6 | Bluetooth電波を用いた端末装着不要な屋内位置推定 ◎梅原優佑・杉田典大・市地 慶・本間経康(東北大) |
D-9-7 | 電子ペーパを活用した品証業務のデジタル化 ○林 真悟・山本将史・松田孝弘・中道拓也・上野高明(日立) |
D-9-8 | プラス要因・マイナス要因を考慮した旅行計画作成手法 ○佐々木 淳(岩手県立大) |
○Hampus Hammarlund・Fuminori Takayama・Takumi Meguro・Masaru Honjo(KDDI Research)
Describing a mobile app with a behavior change focused design to improve step count. This improvement is meant to be achieved by motivating a user in four main areas: self-monitoring, direct personalized feedback from a trainer, physical activity educational content, and a sense of competition.
◎目黒巧巳・髙山史徳・ハンプス ハンマールンド・本庄 勝(KDDI総合研究所)
健康経営の一環として、従業員の歩数増加を目的としたモバイルヘルスを使った実験を実施している。行動変容アプローチ(セルフモニタリング、個別フィードバック、教育、ゲーミフィケーション)を実装したスマートフォンアプリを開発し、参加者には、健康情報データの取得のためにスマートウォッチを配布し、開発アプリと合わせて利用を依頼した。歩数データを分析し、スマートウォッチのみを利用するベースライン期と、開発アプリの機能を併せて利用する介入期を比較した結果、平均歩数に有意な増加が見られなかった。今後は季節要因や労働環境要因などの補正を検討していく。
○寺本泰大・山田真徳・永井智大・廣見紗妃(NTT)
スマートフォンやウェアラブルデバイスなどの普及や、企業におけるコラボレーションツールやプロジェクト管 理ツールの導入などによって、日常生活や業務活動に関する様々な情報の収集や活動支援が可能となった。IoT 機器を用いた個人生活の支援や IT による働き方改革の取り組みは従来から取り組まれているが、今後はさらに、単純な効率化だけでなく個人と集団が心身ともに満たされた状態を作る”Social Well-being”の実現を目指し取り組みを進めている。本稿ではその一事例として、属性の異なる個人からなる集団への活動支援のシステム化において生じる技術的課題や解決アプローチの検討を行う。
○横坂直克・弥田紘一・明石貴靖(ナカヨ)
近年,職場の労働災害防止は,対象者を見た目でわかりやすくして顕在化(見える化)により周囲や自身に危険を知らせる取り組みがある.例えば,製造や建設の分野においては,対象者のヘルメットを区別している.一方で,人手による見守りは限界があり,IT化により自動識別することが重要である.本稿では,対象者の属性識別を目的として,姿勢推定技術を用いた人物の属性識別が容易な見える化手法を提案する.
◎佐久間修平・朝香卓也・西辻 崇(東京都立大)
災害が発生した場合における建物内からの避難計画は人的被害を最小限に抑えるうえで重要である.しかし,あらかじめ決められた避難経路は災害によって使えなくなる可能性があり,別の避難経路を探すのに時間がかかり逃げ遅れてしまう可能性がある.そのため,避難経路や災害情報を多くの人が視覚的に,かつ屋内のどこでも共有できる表示システムが必要である.そこで本研究では,屋内における動的な避難誘導を補助する投影型のガイドシステムの提案をするとともに,主要機能である避難方向を投影するデバイス(ハンドライト)の実装・検証を行った.
◎梅原優佑・杉田典大・市地 慶・本間経康(東北大)
近年,高齢者の見守りや日常生活における身体活動の質や量の把握に向けた継続的な屋内活動計測への需要が高まっている.継続的な計測には端末の装着や保持が必要ない非接触な手法が望まれ,非接触な屋内活動把握手段として人の動きによる電波の変動を用いる手法の研究開発が進められている.本研究では Bluetooth Low Energy 端末が発する電波を活用し人の屋内位置を推定する手法を提案した.本手法では屋内に既存の端末を活用することを想定し特別な送受信方式は用いず,位置推定モデル構築の学習データ取得には電波吸収体を搭載したロボットを活用した.推定の結果,本非接触手法により人の屋内位置を推定できる可能性が示された.
○林 真悟・山本将史・松田孝弘・中道拓也・上野高明(日立)
多くの人手作業に支えられている社会インフラ事業は, 近年加速する少子高齢化の影響で製品の品質維持が難しい状況にある.既定の品質を維持し続けるには業務効率化が不可欠であり, 多くの紙書類を扱う製造現場では電子ペーパを活用した業務デジタル化への期待が高まっている. 一方, 長年にわたり紙主体で業務を行ってきた作業者の中にはデジタル化への抵抗感を持つ者は少なくない. デジタル化を現場に定着させるには従来の業務との親和性に優れ, 誰でも簡単に扱える使い勝手が重要と考える. そこで本開発では電子ペーパを活用した作業支援システムを開発した.
○佐々木 淳(岩手県立大)
我が国の観光産業は,団体旅行に代わって個人旅行が増えているが,真に満足する旅行計画を立てるのは難しい.本研究は,観光客にとっての嗜好や興味(プラス要因)に加えて,距離や混雑状況,疲労度などのマイナス要因も考慮し,個人旅行者が真に満足する旅行計画作成手法について明らかにすることを目的としている.今回,その第一歩として観光におけるプラス要因・マイナス要因を考慮した旅行計画作成の流れについて考察した.今後は,具体的な旅行先を事例として,アンケートなどにより,旅行形態や旅行者の属性ごとに,各要因の関係や影響の大きさを定量的に把握するための要因分析を行い,満足度が最適となる旅行計画作成手法の検討を行う.
3月10日 10:30〜10:45 3号館 3403教室 座長 堀田大貴(茨城大)
D-10-1 | 自律型プリンタ間の協調による人に優しい消耗品補充に関する研究 ○小松太一・舘沼冬弥・臼杵 潤(神奈川工科大) |
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○小松太一・舘沼冬弥・臼杵 潤(神奈川工科大)
複数台のプリンタを配備している組織において,負荷分散のためにプリントサーバが使用されてきた.しかし,プリントサーバには,導入時やシステム構成の変更時に人手による設定作業が必要,効率的な印刷設定のために経験的判断が必要,プリントサーバの故障がシステム全体の停止に繋がるなどの問題がある.このような中,プリンタの自律化の研究が進められている.そして,本研究では消耗品が不足するプリンタが印刷作業に参加できなくなる点に着目,この状態を「自律個体の故障」と捉えてプリンタの経験による消耗品不足の予測と補充面での人との協調を考慮した自己修復機能について検討し,最後に提案手法の実装と実験によりその有効性を確認した.
3月7日 10:00〜11:30 2号館 2402教室 座長 大川裕司(NHK)
D-11-1 | 河川の連続画像の差分に基づく水位変動の推定 ◎平井孝明・島 和之(広島市立大) |
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D-11-2 | 空中結像技術を用いた体感ゲームの製作 ◎内田直輝・藤田瑞己・奥村万規子(神奈川工科大) |
D-11-3 | 研究室前の複数人のためらい行動の検出 ○高田祥多・篠原 巧・香取照臣.・泉 隆(日大) |
D-11-4 | クレーンの操縦支援を目的とした吊り荷付近のパノラマ画像提示システムに関する検討 ○松本伊織・佐藤優樹・田村紘大・栗 達・小野晋太郎(福岡大) |
D-11-5 | 自動授粉に向けた画像中の洋ナシ花の向き推定 ◎山崎 雅・山崎達也(新潟大) |
D-11-6 | 多次元有向情報量法を用いた流動体の物体追跡 ◎桑原 平・阪田 治(東京理科大) |
◎平井孝明・島 和之(広島市立大)
日本では土砂災害が多発しており,避難遅れによる犠牲者が多い.こういった避難遅れを解消するため,我々は土砂災害の前兆現象である「雨が続くにもかかわらず,河川水位が低下する」を捉えることで災害の事前予測を行っている.本研究ではこの前兆現象を捉えるため,河川画像から水位変動を推定する.先行研究では1時刻の画像から水位推定を行っていたが,河底に流水中の固形物が沈殿し水面付近では透明になりやすいため1枚の画像から水位を正確に捉えることが難しい.そこで本研究では時系列画像から時々刻々と変化する水面変化を抽出し,それをもとに生成した累積絶対差分画像から水位変動の推定する手法を提案する.これにより,先行手法より高精度の水位変動推定が期待される.本稿では同システムの開発を述べるとともに,本手法の推定結果を報告する.
◎内田直輝・藤田瑞己・奥村万規子(神奈川工科大)
近年、VR技術を用いて仮想現実を体感することができるゲームや、プロジェクションマッピングを用いて現実世界に映像を投影してプレイヤー自身が体を動かして体感するゲームが開発されている。しかし、VRゲームではゴーグルをつけなくてはならなく、プロジェクションマッピングは投影する場所が必要となる。そのため、本研究では空中結像技術を用いることで省スペースかつ、ゴーグルのような特別な道具を使わない体感ゲームを製作する。
○高田祥多・篠原 巧・香取照臣.・泉 隆(日大)
教育機会の活用のために、廊下に設置したカメラで撮影した画像中の複数人の中からためらいのある人物を自動検出する方法について検討した。時系列画像中で服の色から同一人物の照合を行ったことで、人物が複数存在する場合でも、ためらい行動かその他の行動かを判別できた。
○松本伊織・佐藤優樹・田村紘大・栗 達・小野晋太郎(福岡大)
建設現場における安全性向上や労働力不足から,建設機械における自動化や操縦支援技術が注目を集めている.本研究ではクレーン車の操作に着目し,フック付近のカメラで釣り荷周辺の空撮パノラマ画像を実時間で生成し,操作性を向上させることを試みた.パノラマ画像はテンプレートマッチングで生成し,高速化のため,カメラ運動の予測に基づいてマッチングの探索範囲を限定している.模型を用いた実験の結果,一定の条件下で実時間処理を達成することができ,そのための要件(解像度,フレームレート,探索範囲)を明らかにした.また,実スケール環境に適用した場合には,運動条件の違いにより,その要件が緩和されることを考察した.
◎山崎 雅・山崎達也(新潟大)
農業従事者の高齢化や減少によって,農作業の省力化が求められており,洋ナシの栽培においても,省力化が求められる作業の一つである人工授粉がある.人工授粉の自動化では,授粉対象となる花を検出し,位置や角度を特定することが必要となる.洋ナシは,複数の花が塊を形成した状態(以下,花群)で存在しているが,花群を構成する花の向きは揃っておらず,開花時期も花群によって異なるため,自動授粉では,開花済みの花群から授粉すべき雌しべが判断できるものを対象として選択することが必要である.本研究では,Faster R-CNNによって検出された花群を三つのクラスに分類し,開花済みで雌しべが確認できない花群に対して,授粉に適した花群の正面方向を推定する手法を提案する.
◎桑原 平・阪田 治(東京理科大)
一般的な動画像物体追跡手法は、時間によって形状に大きな変化がなく、テクスチャが変化しない物体である剛体を対象にしたものが多く、雲のような流動体は剛体とは異なる特徴を持つため既存の手法ではうまくいかないことが多い。今回は雲と煙を対象にした物体追跡を行った。
理論としては多次元有向情報量法(MDI)という因果性解析手法を使用する。第1フレーム内の関心領域の初期座標と大きさを与え、その後は次のフレームにおける周辺領域とのMDIを求めて最大値となる領域へとシフトするという方法を取った。
実験結果からMDIを使用した流動体の物体追跡はうまくいくことが確認することができたが計算量や精度には課題が残っている。
3月7日 13:00〜16:15 2号館 2402教室 座長 三浦菊佳(NHK)
D-11-7 | G-PCC対応3D点群リアルタイム伝送システムの試作開発 ○辻 智弘・河村 圭(KDDI総合研究所) |
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D-11-8 | 復号画像を学習したCNNとRNNによる動画像符号化 ◎井上航貴・小池 淳(成蹊大) |
D-11-9 | VVCとCNNを組み合わせたYOLO-v7のための映像符号化手法 ◎進藤嵩紘・渡部泰樹・渡辺 裕(早大) |
D-11-10 | 符号化映像のブロック分割を用いた超解像ネットワークの検討 ◎矢野礼美菜・Yun Liu・渡辺 裕(早大)・鈴木拓矢・Fan Zheming・中條 健・猪飼知宏(シャープ) |
D-11-11 | YOLOVを用いた物体予測検出の一検討 ◎△渡部泰樹・進藤嵩紘・渡辺 裕(早大) |
D-11-12 | 特徴量圧縮モデルへの注意機構導入の検討 ◎飯野 景・高橋美穂・渡辺 裕(早大)・江田毅晴・榎本昇平・坂本 啓・史 旭・森永一路(NTT) |
○辻 智弘・河村 圭(KDDI総合研究所)
3D点群圧縮の最新の国際標準方式であるG-PCC(Geometry-based point cloud compression)に対応した3D点群のリアルタイム伝送システムの試作開発結果を報告する.G-PCCは位置情報の誤差が少ないため建物などの3D点群に適しており,建設現場支援や災害対策などでの活用が期待されている.本システムの送信用機器は,屋外での利用を想定してノートPCを採用し,フレーム単位の並列処理によるエンコーダの高速化を行うことで,約200万点/秒の点群の圧縮処理を可能とした.また,実験においてはLiDARから出力される3D点群のリアルタイム圧縮・伝送が可能であることを確認した.
◎井上航貴・小池 淳(成蹊大)
近年、BS放送やケーブルTV、YouTubeやNetflixなどにおいて、4Kや8Kなど高精細動画像サービスが普及してきている。これらの動画配信サービスで使用されている符号化手法の原理は30年以上前に提案されたものであり、これ以上の性能向上は望めないことから、従来とは根本的に異なる新しい動画像符号化手法が求められている。一方、深層学習を用いた画像処理の研究が活発に行われており、応用としてニューラルネットを用いた画像符号化手法も提案されている。そこで、本研究ではCNNとRNNによる動画像符号化手法の提案を行い、4K動画像を用いた計算機械実験により提案方式の有効性を示す。今後は、フレーム間差分を適用する方式の検討を進めて行く予定である。
◎進藤嵩紘・渡部泰樹・渡辺 裕(早大)
近年,画像認識技術の発達により,AIを用いた映像解析が急速に拡大している.そこで2019年,Moving Picture Experts Group (MPEG)では,Video Coding for Machines (VCM)を画像認識のための映像符号化と位置づけ,標準化作業を開始している.VCMでは,より高い映像の圧縮率と画像認識精度が求められる.本稿では,CNNとVersatile Video Coding (VVC)を組み合わせることにより,YOLO-v7による物体検出精度が高くなる映像符号化手法を提案する.YOLO-v7の学習済みモデルにより,映像から抽出する特徴量を用いてCNNを学習することで,物体検出に有効な映像を作成する.
◎矢野礼美菜・Yun Liu・渡辺 裕(早大)・鈴木拓矢・Fan Zheming・中條 健・猪飼知宏(シャープ)
VVC符号化により品質劣化・縮小した映像の高解像度化及び高品質化を目指す。VVC符号化時に得られるブロック分割情報を用いてTU画像を作成し、本提案手法によりTU画像を超解像ネットワークに組みこむことで、VVC符号化フレームを高品質に高解像度化できることを示す。
◎△渡部泰樹・進藤嵩紘・渡辺 裕(早大)
物体検出とは, 画像の中から定められた物体の種類, 位置を正確に特定するタスクである. 本稿では, 動画を用いた物体予測検出手法を提案する. 物体予測検出 (future object detection) とは, 過去のフレームから将来の物体の種類, 位置を特定するタスクである. 物体予測検出では, 将来の物体の動向を把握することができるため, 危険予測などに応用できる. 提案手法では動画物体検出手法のYOLOVを予測用に修正し, 動画予測モデルであるSimVP[3]の構造を付加することにより, 時系列情報の取得を可能としている.
◎飯野 景・高橋美穂・渡辺 裕(早大)・江田毅晴・榎本昇平・坂本 啓・史 旭・森永一路(NTT)
協調型知能(Collaborative Intelligence)では,DNN モデルを中間層で分割し,前段をエッジデバイスに後段をクラウドサーバに配置する.こ
の方式では分割した前段の出力である特徴量がクラウド側に伝送されるため,従来の画像圧縮技術と同様に特徴量の圧縮技術が重要となる.特徴量圧縮のためにオートエンコーダ型の圧縮モデルを使用する研究が近年発表されている.しかし,これらの研究の多くはモデルの学習法に注目しており,最適なモデルの構造についての研究はなされていない.そこで本研究では,圧縮モデルへの注意機構(Attention)の導入を検討する。
する.
休 憩(14:45 再開) 座長 河村 圭(KDDI総合研究所)
D-11-13 | デジタル展示用画像のノイズ処理と主観的画質評価 ○田村 徹(東京工芸大) |
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D-11-14 | JPEG XLのためのDCT係数正負符号操作による知覚暗号化の検討 ◎朱 栄嘉・渡邊 修(拓殖大) |
D-11-15 | 2D表示した3Dオブジェクトの解像感評価 ○三浦菊佳・林田哲哉・瀧口吉郎(NHK) |
D-11-16 | 補助タスク学習による顕著性マップおよび主観画質推定 ◎新井大地・近藤雄一・杉藤泰子・日下部裕一(NHK) |
D-11-17 | 非16:9アスペクト比の映像制作に対するコンテンツ制作者の意向 ◎野村光佑・大出訓史・池田善敬(NHK) |
D-11-18 | 2D背景画と3Dオブジェクト合成におけるオブジェクト配置の検討 ○大川裕司・青木秀一・瀧口吉郎(NHK) |
○田村 徹(東京工芸大)
本学写大ギャラリーには10000点を超える貴重な写真プリント作品が所蔵されている。それらの作品の公開では、公開可能な点数の上限や公開による写真プリントの劣化等の問題がある。そこで、モニタを用いたデジタル展示が公開手段として期待される。デジタル展示では、本来の写真プリントが持つ色合いを忠実に再現することが極めて重要であり、筆者らは、その手法について検討している。
本研究では写真プリントの反射特性を測定した際に生じるノイズ処理に伴う生成画像の画質について主観評価実験を行ったので報告する。
◎朱 栄嘉・渡邊 修(拓殖大)
知覚暗号化とは、画像の視覚方面の暗号化を行う方法であり、画像の中で人間の視覚システムに重要な情報を暗号化し、視覚安全 の効果を達成する。
本研究では、JPEG XL符号化画像を対象とした暗号化を検討する。JPEG XL符号化画像を視覚暗号化することを目的としており、JPEG XL符号化は可変サイズのブロック方法を利用している。人間の目は各ブロック中の高周波部分に鈍感であり、低周波部分に敏感である。そこで、AC成分のDCT係数正負符号を変更する方法を用いて画像を暗号化する。画像の詳細を隠し、視覚暗号化を達成する。
○三浦菊佳・林田哲哉・瀧口吉郎(NHK)
我々は、次世代の放送・通信サービスに向けて、2Dの全天周映像と3Dのオブジェクトを合成し、様々な端末で異なる表示を実現するシステムの研究開発を進めている。異なるフォーマットの映像を合成する際、合成後の映像が高精細に自然に見えることが求められる。そこで、本稿では、2D表示した3Dポイントクラウドオブジェクトがどれくらいの解像感に見えるか、2D実写映像と比較する実験と、ポイント数を変化させて2K相当の解像感を得るボクセルサイズを獲得する実験を実施し、それぞれ解像感指標を得たので、その結果について報告する。
◎新井大地・近藤雄一・杉藤泰子・日下部裕一(NHK)
顕著性マップを用いた符号化制御は,注目度の高い領域にビット量を割り振ることで主観画質を向上する技術である.本技術の従来手法では,原画像から顕著性マップを推定しているため,注目度の低い領域で生じる符号化劣化の影響は考慮されていない.符号化映像に対する顕著性マップと,その顕著性マップが影響を与える主観画質の関係は未知である.そこで本研究では,符号化映像,顕著性マップ,および主観評価値からなるデータセットを新たに構築し,符号化映像に対する顕著性マップ推定と主観画質推定の実験を行う.補助タスクとして顕著性マップと主観画質の相関を学習するモデルを構築し,推定精度が改善することを示す.
◎野村光佑・大出訓史・池田善敬(NHK)
近年、CMやスマホ配信用として非16:9アスペクト比 映像コンテンツの制作事例 が増えるとともに、 縦長のスマホなど非16:9の画面による視聴スタイルも一般化している。 このような動向を踏まえ、 我々は非16:9アスペクト比映像コンテンツが取り扱い可能な新たな制作システムやメディアサービスを検討している。 その一環として、主に家庭用受信機での視聴を想定した映像コンテンツを制作している放送局などの映像コンテンツ制作者の非16:9アスペクト比で映像制作をしたいという意向を調べるために 、映像コンテンツ制作者向けにアンケート調査を実施した。その結果、非16:9アスペクト比で映像制作をしたいという意向と非16:9アスペクト比が生かせる条件を抽出した。
○大川裕司・青木秀一・瀧口吉郎(NHK)
我々は,イマーシブメディアの一つとして,周囲を取り囲む2D背景画(360度映像)と3Dオブジェクトを合成して,視聴者が好きな視点から好きな視線方向の映像を見ることができるシステムの開発を行っている.合成の際にはシーン記述を用いて3Dオブジェクトの配置位置(3D座標)を設定するが,適切な位置に配置するための方法についての検討と,視点移動に伴って3Dオブジェクトが地面を横滑りするように見える現象があったため,この解消について検討した.
3月8日 10:00〜11:30 2号館 2402教室 座長 福嶋慶繁(名工大)
D-11-19 | フレーム間位相ズレ量調整を用いた位相シフト法におけるパターン隠蔽方法 ◎曽福大翔・西原 功・中田崇行(富山県立大) |
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D-11-20 | 画像変換を用いた衛星光学画像-SAR画像間位置合わせ技術の検討 ○菊谷侑平・豊田善隆(三菱電機) |
D-11-21 | 特徴点マッチングを用いた映像中の新規車両と同一車両の判別 ◎山口太雅・猿田和樹・陳 国躍・寺田裕樹(秋田県立大) |
D-11-22 | 衛星SAR画像を用いた橋梁の変位検出の一検討 ◎上野蓮太・西原 功・中田崇行(富山県立大) |
D-11-23 | カメラ付照明によるオフィス空間制御システムの検討(1)ーカメラの自己位置推定手法の提案ー ◎岡田侑也・大倉俊介・吉田康太・本間睦朗・土屋聡史(立命館大) |
D-11-24 | カメラ付照明によるオフィス空間制御システムの検討 (2)ー近赤外感度カメラによる太陽光入射量分布の検証 ◎土屋聡史・大倉俊介・吉田康太・本間睦朗(立命館大) |
◎曽福大翔・西原 功・中田崇行(富山県立大)
近年,インタラクティブアートは芸術的,商業的方面において注目を集めている.現在の深度センサを用いる手法では機器設定の手間やコスト増加の問題がある.この問題を解決するためにカメラとプロジェクタを使用し,位相シフト法を用いて深度測定を可能にする.従来手法では深度測定のための測距パターンと測距パターンの構造化光を打ち消すためのカウンターパターンを用いているが,フレーム間の位相のズレによって,ちらつきが発生してしまう.そのため,フレーム間の位相のズレを調整し,意図的に発生させたちらつき同士で打ち消し合うことで,さらにちらつき軽減が期待できる手法を提案する.予備実験を行った結果,従来手法と比較するとちらつきを軽減できる結果となった.今後被験者を増やしてさらに実験を行っていく.
○菊谷侑平・豊田善隆(三菱電機)
光学衛星画像とSAR衛星画像とは写り方が大きく異なるため,直接比較して位置合わせを行うことは困難である。そこで本検討では、位置合わせに寄与する特徴のみを有する特徴画像を提案し,衛星画像を画像変換により特徴画像ドメインに変換した後に特徴点検出・マッチングを行う方法を提案する。地図データから水域と道路情報を抽出したもの特徴画像とし、pix2pixを利用して衛星画像を疑似特徴画像に変換する。実験の結果、画像変換を利用しない場合は有効な対応点を検出できないのに対し、提案手法では場合有意な数の正解対応点を検出できることを確認した。
◎山口太雅・猿田和樹・陳 国躍・寺田裕樹(秋田県立大)
交通事故の発生要因として,認知ミスが多くの割合を占めている.したがって,交通事故の低減のために運転者の認知能力向上を目的とした運転者教育システムの研究が行われている.しかし,何を注視したのかについて評価されていない研究が多く,注視物体の評価を行う研究であっても,同じ車両を見続けているか違う車両に目が移っているかなどの分析は行っていない.運転中に何台の車両を注視したのかという情報がフィードバックできればより効果的な訓練を行うことができると考えられる.本研究では映像中で検出された車両が,同一映像内のそれ以前の車両と同一か,それとも新規車両であるかを判定する手法の提案と有効性の評価を行う.
◎上野蓮太・西原 功・中田崇行(富山県立大)
老朽化した橋梁の増加により橋梁点検の重要性が増している現在,専門の作業員が不足し点検を効率化する手段のニーズが高まっている.本研究では,マイクロ波を照射するSAR衛星により撮影された画像から橋梁の歪みを検出することを目的として,橋梁上の建造物の間隔から橋梁の変位を推測する手法を検討する.撮影日の異なる複数枚の衛星画像から橋梁部分をトリミングして輝度値分布を取得しサンプリングモアレ法を適用することで,建造物の間隔から橋梁の変位の推測を試みる.各撮影日における橋梁の変位量の標準偏差と撮影時の気温の関係を調査した結果,気温が高いほど橋梁の変位量が大きくなる可能性が示唆された.
◎岡田侑也・大倉俊介・吉田康太・本間睦朗・土屋聡史(立命館大)
オフィス空間の照明や空調を人の行動に応じて自動で制御することで,利用者にとっては居心地の良い空間に,提供者にとってはコスト効率の高い空間になるメリットが得られる.そこで,1mm2サイズの超小型カメラを照明装置に組込んだカメラ付き照明を用いて,オフィス空間の3次元モデルを作成し,照明制御や人数検知などが行えるのではないかと考えた.本稿では,3次元モデル作成に必要なカメラの位置情報を制御システムと紐づけるカメラの自己位置推定手法を提案し,精度検証を行った.提案手法では,1/10スケールのオフィス空間において推定カメラ位置の誤差が最大で0.5cm程となり,実際のオフィス空間で部屋の高さ180cm以下の3次元マップを作成するのに十分な精度でカメラの自己位置推定が行えることを確認した.
◎土屋聡史・大倉俊介・吉田康太・本間睦朗(立命館大)
近年,AI や IoT 等を利用することで労働環境の改善による生産性の向上,低炭素社会実現を目的としたスマートオフィスの実現に向けて昼光を利用した照明用電力の削減が注目されている.従来のシステムでは温度変化を利用した人感センサを利用しており,温度変化の多い場所に設置すると誤検知が起こる,また人検知と照度検知を別の装置で行うため導入コストが高いという問題点があった.本検討ではカメラ付照明を用いた照明用電力の削減を実現するため,近赤外感度カメラにおける太陽光入射量分布についての検討を行った.NIR感度を有するPi-NIRは通常のPi-RGBに対して,赤色マーカーを用いれば高感度,緑色マーカーを用いれば太陽光のNIR成分に対する影響の小さい輝度信号を取り出せることを確認した.
3月8日 13:00〜16:15 2号館 2402教室 座長 小松 隆(神奈川大)
D-11-25 | Typographic attack を防ぐ Defense-Prefix の学習 ◎東 大樹・松井勇佑(東大) |
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D-11-26 | 特徴量圧縮伝送を用いた低遅延AI処理に関する一検討 ◎山﨑 周・高良雄一郎(富士通)・Gunhee Cho・Tao Yu(東工大)・Xuying Lei(富士通)・阪口 啓(東工大) |
D-11-27 | 立体画像における逆視像とその視線挙動に関する研究 ◎北野奨悟・岩見祐里・小谷亮太・鉄谷信二(東京電機大) |
D-11-28 | 実無限回転歩行と仮想空間内での異方向移動に関する視覚心理の研究 ◎小谷亮太・鉄谷信二(東京電機大) |
D-11-29 | User-Assisted Single Image Post-Capture Refocusing ○Farah Fairuz Zahirah・Chihiro Tsutake・Keita Takahashi・Toshiaki Fujii(Nagoya Univ.) |
D-11-30 | ブラインド条件下におけるスパース最適化を用いた動画像復元 ◎△張 詩鵬・工藤博幸(筑波大) |
◎東 大樹・松井勇佑(東大)
CLIPとは, 画像も文章も同じ特徴量空間に射影する, 画像エンコーダ・文章エンコーダの総称である. CLIPは汎化性の高さからvision-languageの様々なタスクに応用されている. しかし, CLIPにはtypographic attackという問題がある. これは, 画像内の文字によってCLIPが誤認識を起こすという問題である.
Typographic attackを防ぐ方法として, 我々はCLIPのテキストエンコーダの入力となる文章に, 学習したDefense-Prefix (D.P.)を挿入するという手法を提案した.
我々は提案手法の精度が, 従来手法より優れていることを分類タスクを用いた実験により示した.
◎山﨑 周・高良雄一郎(富士通)・Gunhee Cho・Tao Yu(東工大)・Xuying Lei(富士通)・阪口 啓(東工大)
監視カメラ等で取得した映像をサーバに送信し、低遅延にAI処理を行うシステムが存在する。
このようなシステムでは、エッジ端末で取得した映像データの圧縮処理がボトルネックとなり、低遅延なAI処理を実現できない問題が存在する。
本稿では、この問題を解決するために特徴量圧縮技術を活用する。
圧縮された映像を伝送する代わりに特徴量圧縮技術により圧縮された特徴量を送信することで、ボトルネックとなっている映像圧縮処理を取り除き、低遅延なAI処理を実現することができる。
◎北野奨悟・岩見祐里・小谷亮太・鉄谷信二(東京電機大)
立体視を行う場合に,逆視像(観察者に左右の逆の画像を提示)を提示することにより,遠近感の奥行きに違和感が生じるなどの視覚実験が行われている.本研究では,逆視での立体視を行った場合に,視線の奥行き注視点がどのように変化するかについて,正視像(正しい左右画像の提示)と比較して評価を行った.
◎小谷亮太・鉄谷信二(東京電機大)
バーチャルリアリティ(VR)体験において,没入感はその体験の品質を決定づける上で重要な項目の1つである.また,VR空間の移動に実歩行を用いることは,没入感の向上にあたって有効なインタラクション技術となる.しかし,実歩行を用いることのデメリットとして,現実空間よりも広い仮想空間を移動できないことが挙げられるが,そこで限られた現実空間でも大きな仮想空間を移動しているよう感じさせる研究が行われている.筆者らは椅子を用いた無限回転歩行により広大な仮想空間を直進する手法を提案・評価している.しかし,移動中の方向転換については検討しておらず,自由度の高い移動を実現するには至っていない.
本研究では,回転椅子を用いた研究において,移動中の方向転換操作を加えた場合の感覚について評価する.
○Farah Fairuz Zahirah・Chihiro Tsutake・Keita Takahashi・Toshiaki Fujii(Nagoya Univ.)
Manually setting focus on the desired depth can be difficult for non-professional photographers. One solution is post-capture refocusing, which aims to fine-adjust the focused depth on a mis-focused image. In our previous work, we present a learning-based method that can achieve high-quality focus adjustment. However, this method requires pixel-wise blurriness maps that are not available for real photographs. In this paper, we extend this method to enable refocusing only from a single input image, by using monocular depth estimation and user interface.
◎△張 詩鵬・工藤博幸(筑波大)
近年,リモート会議やSNS等の普及に伴い,動画像の鮮明度に対するニーズが高まる.しかし、ハードの面から鮮明な動画像を復元することは小型が困難なことやコスト増大等の問題が存在する.そこで,ハードではなくソフトの面からこの問題を解決する必要が生じている.必要となる技術が,劣化動画像から鮮明動画像を得る復元技術である.劣化動画像は一枚一枚の劣化画像に構成されておる。
本研究では,著者らの先行研究であるスパース最適化に基づくブラインド画像復元手法を応用して,動画像の劣化過程と鮮明な動画像フレームを同時に推定しながら動画像復元を行う手法を提案する.
休 憩(14:45 再開) 座長 都竹千尋(名大)
D-11-31 | 逆ボックスフィルタによるハーフトーニング ○曹 雪純・井上光平・小野直樹・原 健二(九大) |
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D-11-32 | 高域灰色制約を用いたデモザイキング法の性能評価 ○浅野友哉・小松 隆・中村 聡(神奈川大) |
D-11-33 | スペクトル補正関数群に基づく積層特性を用いたRGB画像による高次元分光画像の推定 ◎佐藤美衣奈・佐藤遼史・浜田百合・栗原陽介(青学大) |
D-11-34 | Gray Indexを用いたColor Linesに基づく照明色推定の高精度化 ◎下村りか・伊地知翔也・礒邊宏充・神納貴生(阪工大) |
D-11-35 | Chromaticity Line と Color Line の併用による照明色推定の高精度化 ◎伊地知翔也・下村りか・礒邊宏充・神納貴生(阪工大) |
D-11-36 | ノイジーな画像に対する敵対的摂動の選択的除去に関する効果検証 ◎△名村晴人・奥田正浩・板坂樹生(同志社大) |
○曹 雪純・井上光平・小野直樹・原 健二(九大)
本稿では、ハーフトーニングの過程をボックスフィルタリングの逆問題として定式化し、その近似解としてハーフトーン画像を求める反復解法を提案する。提案手法により、迷路のようなパターンをもつハーフトーン画像が得られることを実例で示す。
○浅野友哉・小松 隆・中村 聡(神奈川大)
近年,高品質な実写画像への要求が高まっている.単盤撮像素子を用いたディジタルカメラにおけるデモザイキング処理の性能は出力画像の特に高周波数成分に影響を及ぼす.そのため高品質な実写画像のためには高性能なデモザイキングアルゴリズムを用いることが重要である.本稿では高域灰色仮説と呼ばれる「画像の高周波数成分ではRGBの値が等しくなる」という仮説に基づいたデモザイキングアルゴリズムを提案し性能評価を行った.シミュレーションにより定量評価,主観評価を通して提案法の有用性を示した.
◎佐藤美衣奈・佐藤遼史・浜田百合・栗原陽介(青学大)
本論では,RGB画像から高次元分光画像(HDSI)を推定する手法を提案する.HDSIの各波長にピークを持つガウス関数で構成される補正関数群により補正係数を求め,RGBの輝度値と補正係数にたいし双曲線関数を適用することで各波長の吸光成分を含有させた積層特性を算出する.積層特性にたいし回帰分析を適用することで,RGB画像からHDSIを推定する. 検証実験では金属板の画像を対象とし,提案手法の妥当性を検証する.回帰分析は,重回帰とリッジ回帰を適用し推定精度を比較する.補正関数群のパラメータは遺伝的アルゴリズムで決定する.実験結果として重回帰を適用した方が,推定画像と正解画像のユークリッド距離が2.031となり,より高精度にHDSIを推定できた.
◎下村りか・伊地知翔也・礒邊宏充・神納貴生(阪工大)
色恒常性再現では,照明色推定とそれを用いた色補正が有効である.複数色照明に対応した Gray Pixelsは,無彩色領域をシーン内に含むことを前提としていた.内海らはColor Lines に基づく新たなアプローチによりその問題を解決した.事前実験により,彩度の高い物体色領域の Color lineが照明色推定に対して有効でない可能性が示された.本稿では,Gray Pixels 内で用いられている無彩色らしさを相対的に示した値である Gray Index を組み込み,内海らの手法を高精度化する.
◎伊地知翔也・下村りか・礒邊宏充・神納貴生(阪工大)
人間に備わった色恒常性をコンピュータビジョンにおいて再現することは,画像認識など幅広い分野に対して重要である.先行研究の内海らはColor Lineを用いた新たな照明色推定を提案した.しかし,推定に不適なColor Lineが精度を低下させることがわかっている.そこで, Zhaoらが提案したChromaticity Lineを用いた照明色推定を応用し,不適なColor Lineの影響度を下げることで高精度な照明色推定を目指す.
◎△名村晴人・奥田正浩・板坂樹生(同志社大)
Adversarial Attackによる摂動を除去するにはDenoisingが効果的であるが,過度に画像が平滑される場合がある.
本研究では摂動除去後の画質維持と,Adversarial Attackの防御を目的とし,摂動を選択的に除去する効果を実験により確かめる.
3月8日 9:00〜11:45 2号館 2301教室 座長 黒岩 孝(日大)
D-12-6 | 事前学習済みモデルを用いた「なろう風」タイトルの生成 ◎福積 翔・森 稔(神奈川工科大) |
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D-12-7 | 自然言語処理を用いたコード進行の自動生成 ◎津田雄斗・森 稔(神奈川工科大) |
D-12-8 | BART によるプレゼンテーションスライドの順序予測 ◎水谷航悠・山崎俊彦(東大) |
D-12-9 | Sentence-BERTの文ベクトルの性質を用いた画像加工の実験 ○泉 諒音・神野健哉(東京都市大) |
D-12-10 | 操作点の追跡画像を用いたCNNに基づく空書認識手法に関する研究 ○平出蓮太郎(神奈川工科大)・臼杵里紗(早大)・臼杵 潤(神奈川工科大) |
◎福積 翔・森 稔(神奈川工科大)
近年,個人が創作物を容易に投稿できる場が増え,小説や漫画などが大量生産・大量消費されている.ユーザーは多数の作品から取捨選択する際,タイトルのみで判断する場合が多々あり,タイトルの重要性が増している.しかし,タイトルは,作品を魅力的に感じさせながらも他作品と差別化する必要があるため,創作者には難しいタスクである.本研究では,小説における創作者の負担軽減を目指し,近年流行しインパクトがある「なろう小説」タイトルの自動生成を検討する.具体的には,作品のあらすじから,事前学習済みモデルを用いて「なろう風」タイトルを生成する.
◎津田雄斗・森 稔(神奈川工科大)
近年, PCの高性能化やSNSの普及により,一般の人も作曲を趣味として楽しめるようになった.しかし曲を完成させるには,音楽の専門知識であるコード進行の理解が必要不可欠であり,この制約が作曲への入口を狭めていると思われる.作曲をより簡単に実現する為,本研究ではコード進行を自動生成する技術を提案する.具体的には,従来のRNNなどをベースとしたアプローチとは異なり,文章生成モデルをファインチューニングすることでコードを自動生成するアプローチを検証する.
◎水谷航悠・山崎俊彦(東大)
プレゼンテーションは,研究発表や講演など,様々な機会で行われる.一般的に,プレゼンテーションは,情報を聴衆に端的に伝えるため,複数枚のスライドを示しながら行われる.しかし,多くの人はスライドを自己流で作成しており,必ずしも質が高いとは言えない.従って,人々のスライドの質を高めるために,スライドの改善システムを構築することが重要である.本論文では,BARTをベースとしたスライドの順序予測モデルを提案する.シャッフルされたスライドを提案モデルに入力し,元の順序に戻すことで学習を行う.提案モデルの隠れ層の出力はスライドの特徴量として用いられ,スライドの改善システムや検索システムへの応用が可能となる.
○泉 諒音・神野健哉(東京都市大)
我々はこれまでに Sentence-BERTが生成する文章の分散表現である文ベクトルを用いた画像生成モデルを
用いて文ベクトルの性質について検討してきた.結果として,完全に役割が分断されていないものの,文ベ
クトルの特徴として各次元で表現される情報に違いがあることを確認した.
本稿では表現されるベクトルごとの違いに着目し,Sentence-BERT を用いた画像生成モデルを用いて画像の加工を行う.
○平出蓮太郎(神奈川工科大)・臼杵里紗(早大)・臼杵 潤(神奈川工科大)
手に何も持たずに非接触で機器類に情報伝達する「空書認識」に関する研究がある.従来の研究では,カメラによる取得映像内の手の尤度をもとに生成したパーティクルの動きを時系列に変換し,このコード列から文字を認識しようとしている.これについて,本研究ではパーティクルの動きを軌跡画像に変換し,この軌跡画像の認識にCNNを導入する方法を検討して認識率の向上を図る.そして,この提案手法を実装してアルファベット大文字26文字にて実験したところ,平均82.69%の認識精度が得られた.したがって,従来研究の技法との統合とともに,各種パラメータ調整による更なる認識率向上が期待できる結果を得られ,本研究の有効性を示すことができたと考える.
休 憩(10:30 再開) 座長 森 稔(神奈川工科大)
D-12-11 | 温度勾配ゲル電気泳動法のDNAバンドパタンにおけるスピド自動検出に関する一検討 ○鈴木雅人・中山大樹・北越大輔・西村 亮(東京高専) |
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D-12-12 | 電気化学によるカフェイン飲料の定性化 ◎本田竜也・有田涼二(佐賀大)・竹村謙信・菊永和也・森田伸友・大曲新矢(産総研)・Wen Liang Yeoh(佐賀大)・岩崎 渉(産総研)・上田 俊・福田 修・松前 進(佐賀大) |
D-12-13 | 景観画像に対するクロスモーダルな環境音検索 ◎今宿祐希(東大)・池畑 諭(NII)・相澤清晴(東大) |
D-12-14 | 知覚的損失を用いた深層画像圧縮での分類タスク精度向上 ◎野田栞穂・坪田亘記・相澤清晴(東大) |
D-12-15 | 対称物体に対する運転時誘目性定量評価法の初期的比較検証 ◎稲川巧巳・水野倫太郎・中田洋平(明大) |
○鈴木雅人・中山大樹・北越大輔・西村 亮(東京高専)
GPMA法は,ランダムPCRによって抽出されたDNA断片に対して温度勾配ゲル電気泳動法(TGGE)を適用し,ゲノム固有で再現的な情報であるスピドを抽出する技術の1つである.しかし,TGGEによって得られる二次元状のDNAバンドパタン画像において,必ずしも全てのバンドが鮮明に写り込むとは限らないことや,バンドどうしが重なり合う場合もあるため,DNAの融解開始点であるスピドの検出は,完全自動化が困難である.本稿では,スピド自動検出を目的として,多様な二値化画像から局所特徴量を用いてスピド候補を検出し,スピド周辺の画像の特徴を利用して,スピドを絞り込む方法を検討した.検証実験では129個のスピドのうち47カ所を検出することができた.
◎本田竜也・有田涼二(佐賀大)・竹村謙信・菊永和也・森田伸友・大曲新矢(産総研)・Wen Liang Yeoh(佐賀大)・岩崎 渉(産総研)・上田 俊・福田 修・松前 進(佐賀大)
電気化学を用いて清涼飲料水に含まれるカフェインの定性化を検討した. 電気化学では電極界面の溶液中に存在する化学物質の酸化還元反応を特定の電圧印加により誘起し, 測定することが可能となる. 酸化還元反応は電圧に対して流れる電流量が変化量として記録される. カフェインを含有する, または含有しない製品A~Qを用意し, 矩形波ボルタンメトリーとダイヤモンド電極を用いることで測定を行う. 前処理に電極表面の夾雑物質を取り除くために2Vで120秒の電流を流す. その後は-2.4V~2.4Vの範囲で電圧をかける. 情報処理による自動定性を行うことで得られたデータからカフェインを定性化できることを確認できた.
◎今宿祐希(東大)・池畑 諭(NII)・相澤清晴(東大)
近年では,言語,画像に加えて,音を含めたクロスモーダルな特徴学習に関する研究が盛んに行われており,大規模汎用事前学習済みモデルが公開されている.これらのモデルは,音認識や生成における有用性が示されてきた一方で,画像と音といった異なるモダリティを横断するタスクにおける有用性については十分に検討されていない.そこで本研究では,景観画像を入力とし,その画像と意味的に関連する環境音の検索を行うタスクにおいて,マルチモーダルな特徴表現の有用性を検討する.既存のモデルを直接ゼロショットで適用する場合に加えて,我々が作成した独自のデータセットに対して転移学習を行った場合の両方について比較を行う.
◎野田栞穂・坪田亘記・相澤清晴(東大)
深層画像圧縮では,画像を符号化したときのビットレートと復号画像の信号歪みの損失関数による最適化をすることにより,高効率な圧縮を実現できるということが知られている.しかし,Computer Visionタスク(CVタスク)に特化した圧縮を考えた時,信号歪みを考慮した圧縮では,機械での認識に必要な特徴量が失われてしまい,CVタスク精度が低下してしまうという課題がある.そこで,本研究ではCVタスクの一例として分類タスクに対象を絞り,分類モデルでの認識精度を保持する圧縮の実現を目指す.圧縮モデルの学習での損失関数を信号歪みは無視し,ビットレートと知覚的損失のみの損失関数による最適化を提案する.
◎稲川巧巳・水野倫太郎・中田洋平(明大)
現在,自動車交通事故を減らすべく様々な取り組みが行われている.そのような中で,著者らは,運転支援技術の発展に寄与することを最終的な目標として,これまで車載カメラ動画像から運転手の視点を予測するための動的顕著性マップ構築法をはじめ,それに関連する様々な研究を進めてきた.しかし,その中の1つである対象物体に対する誘目性の定量評価法については,更なる検証を行う必要があった.そのため,本稿では,著者らの試作してきている車載カメラ動画像シミュレータにより再現された運転状況を対象として,他の顕著性マップを算出過程に用いた場合での同様の算出手順で誘目性定量評価値を算出し,初期的な比較検証を行う.
3月8日 13:00〜17:00 2号館 2301教室 座長 臼杵 潤(神奈川工科大)
D-12-16 | 相互作用を考慮した条件付きオートエンコーダによる多様な3次元人物動作予測 ◎中塚智尋・小森田賢史(KDDI総合研究所) |
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D-12-17 | オンライン筆跡指標による個人識別における文字数増加の効果 ◎菅原 滋(科警研) |
D-12-18 | 顔画像の分析と合成を用いた低ビットレート通信の検討 ◎△森口 諒・糸井清晃(千葉工大) |
D-12-19 | 手の関節情報とDTWを用いた手話動画の類似検索 ◎八島永知・本田久平(大分高専)・田中省作(立命館大) |
D-12-20 | 胸部CT画像による肺結核のマルチラベル分類 ○福山彰大・篠田拓樹・浅川徹也・青野雅樹(豊橋技科大) |
◎中塚智尋・小森田賢史(KDDI総合研究所)
3次元人物動作予測は,過去の動作に基づいて将来の3次元姿勢を予測する技術である.動作を先読みすることで効率的な動きや危険回避が可能になり,人間とロボットの相互動作において重要である.
既存研究では,長い時間軸での予測不確実性に対応するために多様な動作を予測するが,実際の可能性よりも多様な結果になりやすい.そこで我々は周囲の物体との相互作用を考慮することでより現実的な可能性に絞り込む手法を提案する.
◎菅原 滋(科警研)
筆跡の様々な指標のうち、オンラインでのみ計測可能な筆速や筆圧などが、筆者の識別にどのくらい有効であるかを筆跡データベースを用いて検証している。本研究では文字数を増やした場合に、筆者の識別精度が高まっていくのかを検証した。筆跡データには、筆跡標本の中から、字画数が多い6文字(議、警、護、識、瀬、覇)の時系列データを使用した(397人、5回/人)。文字数の増加につれて独立した指標も増加したが、必ずしも文字数(=6)の分だけ倍増するわけではなかった。また、文字数を増やすことで識別率を高めることが可能なことが明らかとなった。
◎△森口 諒・糸井清晃(千葉工大)
ビデオ通話システムでの映像情報は,データサイズが大きく遅延やデータ欠落が発生し障害の一つとなっている.そこで,機械学習から顔画像の再構成可能な特徴量を抽出し伝送した場合の効果,状態を検証し低ビットレート通信が可能か検討する.
顔情報の特徴量抽出方法として,モーション取得合成機械学習モデルを利用する.検証としてローカルネット上で伝送を行い,特徴量と合成元として使用する画像を伝送データとする.
結果として,1フレーム0.12[KB]に圧縮でき伝送に必要な情報を合わせて1フレームあたり0.6[KB]程度で通信できることが分かった.しかし複雑なモデルかつGPUに高頻度でアクセスするためか再生時間は2.5倍ほど時間がかかる結果となった.今後はリアルタイム性などを高めることや低サイズ低損失な通信のためのモデルを検討する予定である.
◎八島永知・本田久平(大分高専)・田中省作(立命館大)
手話は,主に手指や腕の動きにより,話者の意図を伝達する視覚言語である.日本語や英語のような音声言語では,音声は音素や文字情報へ変換され,文字列検索等の手法を使えば,調べたい音声に対応する単語やその用例を容易に検索できる.しかし,手話の場合には,手指や腕の動きを文字変換する方法が確立されているわけではないため,示された動きがどの手話単語に対応しているか分からなければ,辞書やコーパスを使って意味や用例を検索するのが容易ではない.本研究では,比較的長い手話動画データの中から,問合せ手話動画を探すことを目的とする.それぞれの手話動画に対し手の関節情報を求め,ダイナミックタイムワーピング法(DTW)を用いて類似検索を行う.
○福山彰大・篠田拓樹・浅川徹也・青野雅樹(豊橋技科大)
近年、CT装置はより短時間で撮影できる画像数が多くなってきている。そのため、読影に対する負担が増加している。このような背景から、読影や診断の補助として深層学習によるCT画像からの病症検出が研究されている。加えて、1人の患者が複数の病床を持つことが想定されるため、単一データに複数のラベルが付与されるマルチラベル分類に関する技術の重要性が高まっている。しかし、ラベル全てを完全に一致させる精度はあまり高くない。本研究では、結核患者の胸部CTデータから、結核の3つの病床をマルチラベル分類問題としてラベルが完全一致する精度を向上するための予測手法を提案する。
休 憩(14:30 再開) 座長 中田洋平(明大)
D-12-21 | 不適切な誤分類を防ぐための深層学習手法の提案と比較 ◎江頭和希・宮井淳行・Yu Qing(東大)・入江 豪(東京理科大)・相澤清晴(東大) |
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D-12-22 | 生成立体画像を用いた潜在変数の役割に関する検討 ◎岡本紗季・神野健哉(東京都市大) |
D-12-23 | 画像キャプション生成器を活用したText-to-Image処理の検討 ○澤邊紀寛・中村和晃(東京理科大) |
D-12-24 | AI推論を用いた高精細画像に対する姿勢推定手法 ◎吉田周平・鵜澤寛之・飯沼宥光・八田彩希・大森優也・堀下祐輔・小林大祐・中村 健・山崎晃嗣(NTT) |
D-12-25 | 十字シンボルの装飾による顔画像の敵対例生成 ◎青山かしこ・栗山 繁(豊橋技科大) |
◎江頭和希・宮井淳行・Yu Qing(東大)・入江 豪(東京理科大)・相澤清晴(東大)
通常分類問題を扱う研究では,予測が正解か不正解か,あるいはどれほどの確信度を持ってその予測を出力しているかをモデルの良し悪しの基準としている.
その際全ての誤分類は同一に扱われ,どのクラスに誤分類されたかは特に注目されないことが多い.しかし,正解クラスと誤分類先のクラスは,「許しても良い誤り」と「許し難い誤り」に大別できる.例えば,人間の顔画像を入力とした際のモデルの出力が「ゴリラ」であったことが倫理的な問題につながった事例があり,これは「許し難い誤り」であったといえる.
そこで我々は,それぞれのクラスに対して,そのクラスの画像を分類するのが特に不適切な「NGクラス」が定義された設定を考え,精度をなるべく落とさずに,不適切な誤分類を抑制する手法を比較検討している.
◎岡本紗季・神野健哉(東京都市大)
これまで我々は,encoderとdecoder間にスキップ構造を導入することで生成画像の画質が向上することに着目し,顔画像を用いて各潜在変数の役割を検討してきた.結合する潜在変数をlatent1からlatent4とし,潜在変数の役割を確認する方法として特定の潜在変数を結合させないという方法を考えた.この方法を潜在変数の削減と呼び,この実験により全ての潜在変数を結合させた場合と比較して予測画像に変化が生じる.その変化が各潜在変数の役割につながると考えた.実験をした結果,各潜在変数の役割はlatent1が入力画像の低周波成分の情報,latent2が高周波成分と回転の情報,latent3とlatent4が画質向上のための情報であると推測している.しかし,顔画像だけでは他のデータに対して同じ潜在変数の役割が得られるかは不明である.そこで,実験だけでなく理論的に潜在変数の役割を検証する.
○澤邊紀寛・中村和晃(東京理科大)
入力のテキストからその記述内容に合致した画像を生成するText-to-Image (TTI)処理が注目されている.しかし,テキストから画像への変換は一対多の写像となるため,TTI用の変換器の学習は容易ではない.他方で,システムが所定の出力を示すような入力を逆推定するModel Inversion Attack (MIA)の研究が活発化している.このMIAを画像キャプション生成器に対して実行すれば,TTIと同等の処理が実現できる.画像からテキストの変換は多対一の写像であるため,画像キャプション生成器の学習は比較的容易である.そこで本稿では,画像キャプション生成器に対するMIA手法を提案する.
◎吉田周平・鵜澤寛之・飯沼宥光・八田彩希・大森優也・堀下祐輔・小林大祐・中村 健・山崎晃嗣(NTT)
近年,畳み込みニューラルネットワーク (Convolutional Neural Network:CNN)を用いた姿勢推定をドローン等のエッジデバイス上で実行するエッジAI システムが注目されている.重量や電力の制約からエッジデバイス上のカメラの搭載台数が限られるため,広範囲を少ないカメラ台数でカバーするためには,広い画角の高精細な動画像に対して人物の姿勢推定を実現することが求められる.しかし,従
来のCNN モデルは入力画像サイズに制約があり,入力フレームを縮小して処理していたが,小さな人物の姿勢推定は困難であった.本稿では,高精細画像における姿勢推定を可能にする手法を提案する.サンプル画像を用いた評価実験では,より小さな人物に対しても姿勢推定できていることを確認した.
◎青山かしこ・栗山 繁(豊橋技科大)
近年,画像の敵対例の作成手法が多く提案されている.また,顔認識の技術は多くの場面で利用されており,顔画像の敵対例生成は顔認識システムの精度向上や個人認証の防御い貢献できる.本研究では,先行研究をもとにシンボルを付加する敵対例生成ネットワークを作成し,顔画像の分類器が任意の別人と認識するような敵対例生成法を提案した.攻撃が成功した例もあるが精度が不安定である.また,シンボルの多くが顔の上に乗り,視認性を損ねている.今後は,損失関数を変更するなどして精度向上を目指し,また,顔に乗るシンボルの数や色を制限するなどして,視認性を向上することが今後の課題である.
休 憩(16:00 再開) 座長 神野健哉(東京都市大)
D-12-26 | グラフモデリングによる観光地の人気要因の解釈 ○山西博雅・山崎俊彦(東大) |
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D-12-27 | マルチモーダル深層学習を用いたインフルエンサーの人気度分析 ◎前田亮真・山﨑俊彦(東大) |
D-12-28 | 注意機構を用いた風景画像の浮世絵風スタイル変換 ○周山哲也・栗山 繁・高橋 遼(豊橋技科大) |
D-12-29 | アイテムカテゴリの細分化を通しての類似コーディネート検索法の改良 ◎澤田佑介・中田洋平(明大) |
○山西博雅・山崎俊彦(東大)
グラフ構造による観光地の人気予測モデルを構築した。観光地、単語、カテゴリ、都市、都道府県のレイヤーからなる、画像や単語、都市の統計量などを持つHeterogeneous Graphを構築し、Graph Neural Networkで特徴量の計算を行った。人気予測の回帰予測において先行研究より高い相関係数0.77を記録し、従来手法よりも高い性能を示した。また、LIMEをベースとしたGraph Neural Networkの解釈手法によって、先行研究では考慮されていなかった観光地における人気度の原因の解釈性について示した。
◎前田亮真・山﨑俊彦(東大)
近年SNSの発展に伴い, 消費者の購買判断に大きな影響を与える人物であるインフルエンサーを起用し, 報酬を支払うことで商品を宣伝してもらうインフルエンサーマーケティングが広がりを見せている. 顧客にリーチするすることで利益を生み出すインフルエンサーにとって, 自身の人気度を上げメディアにおける影響力を大きくすることは案件を得るために重要なことである. 一方で, インフルエンサーの人気度の分析について定量的に行った研究は少ない. 先行研究では, SNS上の投稿に対して人気度の予測を試みるものが多い. しかし, 単一の投稿の分析結果を用いても投稿者自体の人気度向上の手がかりを掴むことは難しいと考えられる. そこで本研究では, SNS上でのインフルエンサーの分析の前段階として, インフルエンサーの人気度を最もよく表す指標であるフォロワー数の予測モデルを構築する. 提案するモデルは, 予測精度向上のため画像やテキストなど複数のモーダルを活用したものである.
○周山哲也・栗山 繁・高橋 遼(豊橋技科大)
近年のスタイル変換技術によって,自然画像からアートライクな画像を生成可能になった.しかし,浮世絵は他の絵画と比べて異なる特徴を有しているため,生成画像の品質が不十分である.そこで本研究では風景画像を対象とし,自然画像から浮世絵風の高品質な描画スタイルの変換を提案する.自然画像のスタイルを大きく転移できるモデルをベースとして使用し,損失計算時に使用するモデルに浮世絵で追加学習を施すことでこれを可能にした.追加学習の際には自然画像と浮世絵の情報量の違いを考慮し入力スケールを拡大した.これにより,浮世絵の特徴を維持したスタイル転移が可能となったが,画像の組み合わせによっては品質が不十分な場合がある.
◎澤田佑介・中田洋平(明大)
近年,ファッションアイテム購入の参考情報が得られるコーディネートサイトが登場している.しかし,このようなサイトにおいて,掲載の情報量の多さから不慣れなユーザにとっては,自身の志向に適したコーディネートやコーディネータを見つけることは容易ではない.このような背景を受け,これまで著者らは,コーディネート画像を入力として,類似コーディネート検索やコーディネータ推奨を行うLINEボットを試作し,改良してきた.本稿では,同ボットで用いている類似コーディネート検索法に対して,アイテムカテゴリの細分化を考慮した改良方式を検討する.また,実際のコーディネート画像データセットを用いて,その改良方式の初期的検証実験を実施する.
3月7日 9:00〜10:15 2号館 2301教室 座長 陳 キュウ(工学院大)
D-12-1 | Multimodal Self-supervised Video Summarization ○Satayu Parinayok・Toshihiko Yamasaki(The Univ. of Tokyo) |
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D-12-2 | Contributions of The Influence of Color and Shape on The Latent Space of AE ◎Ryoga Ishida・Kenya Jinno(Tokyo City Univ.) |
D-12-3 | PiDP:処方箋に対するGCNの対照学習に基づく錠剤検出 ◎グエン チュンタイン(名大)・グエン フィレ(ハノイ工科大)・川西康友(理研)・駒水孝裕・井手一郎(名大) |
D-12-4 | Dream-NeuS: 滑らかな表面を持つ3次元オブジェクトのテキストからの生成 ◎孫 卓凡・堀田大地・相澤清晴(東大) |
D-12-5 | Pixel-Warpingの学習に基づくImage-based Renderingを用いたアバター画像の姿勢変換 ○謝 天・島田伸敬(立命館大) |
○Satayu Parinayok・Toshihiko Yamasaki(The Univ. of Tokyo)
Video contents are increasing rapidly on the internet. With a high-quality video summarization, users can experience a more efficient way of selecting videos, and creators can reduce costs creating ones. In this research, we introduce a novel approach, using multimodal features and self-supervised learning in video summarization. Using F-score as the evaluation metric on two benchmark datasets, our model performs better than all previous methods. We also generate the summarized videos for live concert videos. Results show that our model has higher performance in all metrics.
◎Ryoga Ishida・Kenya Jinno(Tokyo City Univ.)
Humans recognize objects based on three types of information: color, shape, and texture [1].
In contrast, we will experimentally verify what kind of information an object is recognized based on when a convolutional neural networks (CNN), performs object recognition. We attempt to extract object features by unsupervised learning using Auto Encoder (AE) composed of CNN. We consider what features of the object are extracted in the latent variables of AE.
◎グエン チュンタイン(名大)・グエン フィレ(ハノイ工科大)・川西康友(理研)・駒水孝裕・井手一郎(名大)
病気の治療過程で,錠剤の取り違えは患者にとって身体的や精神的な影響だけでなく,時には致命的な問題も生じる.そのため,服用される錠剤が処方箋どおりか否か確認することが重要である.先行研究として,我々はPIMAという,錠剤画像と処方箋テキストを照合する手法を提案した.この手法では,錠剤画像と処方箋テキストの組を入力として,処方箋に記載された錠剤名と錠剤画像を一致させるよう学習する.しかし,単一の錠剤画像を対象としているため,複数の錠剤が写った画像には対応できなかった.そこで,本発表ではこの問題に対処した,錠剤の検出手法:PiDPを提案する.
◎孫 卓凡・堀田大地・相澤清晴(東大)
近年, テキストからの3次元オブジェクトの生成が示され, 多くの取り組みが進められている. しかし, 既存手法は, 生成結果のメッシュにノイズが多く含まれ, 表面が滑らかではない問題点がある. 本研究ではこの問題を解決するために, 三次元シーンのジオメトリ情報をオブジェクト表面からの距離(Signed Distance)で表すNeural Fieldsによる3次元シーンのニューラル表現を用いて, 滑らかな表面をもつ3次元オブジェクトを生成する手法を提案する. この手法によって, 表面のノイズが少なく, より現実な物体に近い3次元生成が実現できる.
○謝 天・島田伸敬(立命館大)
本研究は深層学習を基づき、画像の中にある人物・アバターを指定した姿勢に変換し、新しい画像を生成することについて研究する。本研究では、Residual Networkに基づいた深層モデルを使用し、姿勢の変化による画像内の画素の移動に注目し、その画素移動のパターンを学習させることで、アバターの特定の姿勢(本研究ではT-Poseのみ)の画像を元に画素移動のパターンを適用し、人物・アバターが変換先の姿勢をしている画像を作ることに試みる。なお、本研究の目的に適するデータセットが既存のデータセットから見つからないため、本研究に使用するデータセットが自らUnityで作成したデータセット生成プログラムから自動に生成したものを使用する。
3月7日 10:30〜11:45 2号館 2301教室 座長 中村和晃(東京理科大)
D-12-30 | ドローンを用いた自由視点映像の生成に関する検討 ◎市木亮介・矢澤翔大・新妻清純・黒岩 孝(日大) |
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D-12-31 | BlazePoseを用いたテニス選手の打球推定 ◎小出真生・鈴木海友・松澤智史(東京理科大) |
D-12-32 | キーポイント検出器を用いた海水温データからの漁場推定 ◎中田柊馬・飯山将晃(滋賀大) |
D-12-33 | 深層学習に基づくロボットに適したゴミ認識システムの開発 ◎原田遼太朗・尾山匡浩・藤本健司・清水俊彦・小澤正宜・Amar Julien Samuel・酒井昌彦(神戸高専) |
D-12-34 | ディープニューラルネットワークを用いた樹木の健康状態診断手法の軽量化の検討 ◎田中瑠奈・陳 キュウ・汪 慎知(工学院大) |
◎市木亮介・矢澤翔大・新妻清純・黒岩 孝(日大)
近年、SfMの様に複数のディジタル画像から物体の3次元構造を推定する手法が活発に研究されているが、測定物の周囲をくまなく撮影する必要があるので作業が煩雑である。ドローンであれば撮影対象にカメラを向けながら周囲を旋回するNose in Circleという飛行方法で測定物の周囲を容易に撮影できると思われるが、手動で正確に操縦するのは難しい。本研究では、ドローンを多角形状に自律飛行させることで撮影対象の周囲を撮影し、取得した動画像から作成した静止画に対し、SfMを適用することで3次元形状を復元出来るか検討を行った。
◎小出真生・鈴木海友・松澤智史(東京理科大)
硬式のテニスにおいて姿勢情報と位置情報をもとに打球方向推定を行った.データセットには男子シングルスの試合動画を使用し,フォアハンドのみの推定とする.姿勢情報の取得にはBlazePoseを用いて骨格情報を3次元座標で取得する.位置情報の取得には選手の検出にはYOLOを用いて動画上で選手を囲むバウンディングボックスの頂点座標を抽出し,射影変換により座標変換をして選手のコート上での位置を取得する.これらの情報を時系列データとして機械学習への入力とし,選手から見て3方向への分類を行う.本研究ではBlazePoseを用いた打球推定システムを構築し,予測精度68.3%の結果を得た.
◎中田柊馬・飯山将晃(滋賀大)
本論文では、人工衛星で観測された海面水温画像から、パターン認識に基づいて漁場を推定する方法を提案する。漁獲位置と漁獲量を学習セットとして、漁場推定を画像からのキーポイント検出問題とみなし、元々人間の姿勢推定に用いられているキーポイント検出モデルを提案する。従来のキーポイント検出とは異なり、画像中の一部のキーポイントしか学習セットに含まれないため、推論時に漁場位置の検出が不十分となる。この問題を解決するため、通常のL2損失に加え、Hinge損失を用いた新しいモデルを採用しています。遠洋漁業のカツオ漁獲データを用いて性能評価を行った結果、提案手法が従来手法を上回る性能を持つことを確認した。
◎原田遼太朗・尾山匡浩・藤本健司・清水俊彦・小澤正宜・Amar Julien Samuel・酒井昌彦(神戸高専)
自然環境への不法投棄は、深刻な社会問題として挙げられる。このままでは、生態系に悪影響を与え環境汚染を助長する可能性が懸念される。現状では、ボランティア活動としてゴミ回収の運動が各所で実施されているが、この活動には人手不足の問題があり、全てのゴミを回収するのは困難である。そのため、本研究ではロボットによるゴミ回収の自動化を提案する。このロボットの実現には様々な機能が必要であり、その中でも本研究では、ロボットが撮影した映像からゴミを検出する機能の開発に取り組んでいる。本論文では、独自に作成したゴミのデータセットを用いて深層学習モデルでの学習を実施し、検出精度評価を行った結果について報告する。
◎田中瑠奈・陳 キュウ・汪 慎知(工学院大)
近年,街路樹の点検不足などの影響で倒木などが増加している.本研究ではディープニューあるネットワークを用いて樹木の健康状態を手軽に診断できるようにすることを目標とした.モバイル向けの軽量なCNNと汎用CNNの精度や実行速度などを比較し,ShuffleNetが汎用CNNの中で最も精度の高いResnet50に比べて精度が落ちるものの,VGG19と同等以上の精度を実現することが分かった.
3月9日 13:00〜16:45 2号館 2301教室 座長 力丸彩奈(長野高専)
D-12-35 | 局所幾何構造を考慮した点群の外れ値検出 ○中山光典・原 潤一・渡辺 裕(早大) |
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D-12-36 | NeRFモデルに対する陰影の追加 ◎熊谷はるか・松井勇佑(東大) |
D-12-37 | 知識蒸留による物体検出器の軽量化手法 ◎中川潤一・温泉良太・陳 キュウ(工学院大) |
D-12-38 | SOLOv2のカテゴリ-マスク推定部間の情報接続を考慮したInstance Segmentation ◎大田悠介・荒井秀一(東京都市大) |
D-12-39 | 非視線方向ニューラル輝度場生成による遮蔽物体の三次元追跡 ◎安永綾花・杉村大輔(津田塾大) |
○中山光典・原 潤一・渡辺 裕(早大)
点群は写真測量やレーザーセンサを用いて取得可能であるが,写真のマッチングミスや測定器の制限によりデータには外れ値が混入している.外れ値を持つデータを直接扱うことは下流タスクにおける処理精度の低下を招く.そのため,点群外れ値検出は重要な技術である.しかし,従来手法ではパッチ内の局所幾何構造が考慮されていないため,外れ値検出精度が低いという問題がある.そこで,本研究では局所幾何構造を考慮した外れ値検出手法を提案する.提案手法では,局所幾何構造情報を持つエッジ特徴の生成を行うGCNを導入する.エッジ特徴を用いて局所幾何構造を反映した計算を行うことで,外れ値検出精度を示すAUPRで12.6%改善できることを示す.
◎熊谷はるか・松井勇佑(東大)
近年,NeRFモデルの編集手法が様々に登場している.
一方で,編集に伴う陰影の自然な変化は既存のNeRFのレンダリング手法では難しい課題である.
そこで,自然な陰影付与を可能とするレンダリング手法を提案する.
◎中川潤一・温泉良太・陳 キュウ(工学院大)
近年,物体検出分野においても数多くのモデルが開発,考案されている.しかし,最新の物体検出モデルの多くは,高精度にするためにネットワーク層が複雑で大きなものになっている傾向があり,そのようなモデルを使用するには高い計算能力が求められる現状がある.また,物体検出が実際に運用される場面ではスマートフォンなどの小型端末上が多く使用され,軽量なモデルを用いる必要がある.そこで,本研究では知識蒸留方法というモデル圧縮手法を物体検出器モデルに適応し,高精度化や軽量化したモデルを生成する方法を提案した.代表的な物体検出モデルRetinaNet,FasterRCNN,Yoloxの3種類で知識蒸留を行い,実験結果として生徒モデルの精度向上を実現できた.
◎大田悠介・荒井秀一(東京都市大)
これまで画像中に含まれる個々の物体の位置と形,カテゴリを識別するInstance Segmentationを実現する手法としてMask R-CNNなどの2段階推定法が研究されてきた.しかし,2段階推定法では最終的な推定結果が1段階目での矩形推定に大きく依存してしまう.そこでSOLOv2では矩形推定を介さない1段階推定法を実現した.しかしSOLOv2では物体のカテゴリと領域を表すマスクを独立に推定するため,それぞれの推定結果を考慮した推定ができない.そこで本稿では,カテゴリ-マスク推定部間に畳み込み2層のネットワークを新たに追加することで,カテゴリ-マスク推定部間の情報接続を考慮したInstance Segmentation手法を提案する.この手法は従来手法と比較して識別精度が0.2pt向上し,有効性の確認ができた.
◎安永綾花・杉村大輔(津田塾大)
Neural Radiance Fields(NeRF)を用いた遮蔽に頑健な三次元物体追跡手法を提案する.物体追跡技術における一般的な問題として,遮蔽に弱いことが挙げられる.このような問題に対処するために,本研究では,NeRFの放射輝度場生成機能を用いることで,特定視点において遮蔽された追跡対象を,遮蔽のない別視点からレンダリングする.生成された映像について物体追跡を適用し,得られる三次元位置系列を世界座標系へ変換する.これにより,物体が遮蔽された場合においても,継続的な三次元物体追跡を可能とする.
休 憩(14:30 再開) 座長 荒井秀一(東京都市大)
D-12-40 | 前腕筋群の活動に伴う隆起変化測定による指角度推定 ◎堀田昌輝・垣内洋介(広島工大) |
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D-12-41 | 2D-LiDARによる足元計測に基づく全身骨格推定 ○須田悠介・鈴木亮太・小林貴訓(埼玉大) |
D-12-42 | 骨格情報に基づく動作対応付けの処理量削減に向けたフレーム削減手法の検討 ◎足立翔平・渡辺 裕(早大) |
D-12-43 | 非日常行動検出のための教師なし機械学習による行動分類 ○力丸彩奈(長野高専) |
D-12-44 | Two-Stream Memory-guided Autoencoderを用いた防犯カメラ映像の異常検知 ○小林慎平・檜作彰良・中山良平(立命館大) |
◎堀田昌輝・垣内洋介(広島工大)
没入型デバイスの入力インタフェースや非接触型インタフェースの操作への応用を目的として,手形状情報の取得手法が研究されている.本稿では,従来の手形状推定手法における問題点を示し,前腕の立体形状による指角度推定が可能であるか検証する.
○須田悠介・鈴木亮太・小林貴訓(埼玉大)
近年,サービスロボットにおいても,年齢や性別などのユーザ属性に応じた適切な対応が求められている.一方で,プライバシーの観点から,カメラによるユーザの詳細な観察が難しい場面も多い.そこで,我々は2D-LiDARを足元に設置し,歩行者の追跡と同時に身長や性別などの属性や行動の推定を行うシステムの開発を進めている.本稿では,足元に設置した2D-LiDARから取得した距離情報とKinectから取得した骨格情報から深層学習を行うことで,足元の計測データのみから全身の骨格を推定する手法を提案する.
◎足立翔平・渡辺 裕(早大)
スポーツ分野において,映像比較による動作分析はプレイヤーの練度向上を目的として利用される.この際,単純な同時再生では詳細な比較検討が困難である.従来法では,骨格情報に基づく類似動作の対応付けが行われている.しかし,対応付けに膨大な処理量を要するという問題点があった.本稿では処理量削減に向けた利用フレーム数削減の新規手法を提案する.実験により,提案手法が従来のフレーム削減手法を処理量と対応付け性能の観点で上回ることを示した.
○力丸彩奈(長野高専)
監視カメラから危険な動きをする人物を特定することができれば,事件を未然に防ぐことも可能となるが,多くの映像から目視で発見することは難しい。教師あり機械学習による特定行動の認識も可能だが,行動の種類は豊富で準備に多くの時間を要する。そこで,本研究では,非日常行動のみの検出を目的とし,教師なし機械学習による行動の分類を行う。
○小林慎平・檜作彰良・中山良平(立命館大)
本研究の目的は,防犯カメラ映像だけでなく,動き情報を詳細に取得できるフレーム間差分画像もネットワーク内で解析するTwo-Stream Memory-guided Autoencoder(TS-MAE)により,防犯カメラ映像上の異常シーンを検知する手法を開発することである.実験試料として,防犯カメラで歩行者や車両の混雑シーンが撮影されたUCSD Ped2データセットを用いた.このデータセットは28映像で構成され,正常シーンのみが含まれる16映像を学習用,異常シーンも含まれる12映像を評価用として用いた.提案ネットワークは,MAEのEncoder後にフレーム間の差分特徴マップを生成する処理を新たに導入した.提案ネットワークの AUROC(Area Under the ROC Curve)は 0.942 で,MAE(0.927)よりも高い結果となった.
休 憩(16:00 再開) 座長 杉村大輔(津田塾大)
D-12-45 | バスケットボールにおける最適ドリブルルート算出法の改良 ◎阪部響季・中田洋平(明大) |
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D-12-46 | 車椅子バスケットボールの競技力向上に向けた情報提示 ○土屋直紀・鈴木亮太・小林貴訓・久野義徳(埼玉大)・福田悠人(群馬大)・信太奈美(東京都立大)・杉山真理(河北総合病院)・半田隆志(埼玉県産技セ)・森田智之(神奈川リハビリテーション病院) |
D-12-47 | 多様な物品の自律ピッキングに向けたルールベース手法と学習ベース手法の統合による吸着点推定 ◎萩原大佑・梁 宰誠・伊藤潔人・知原信博(日立) |
◎阪部響季・中田洋平(明大)
著者らは,これまでバスケットボールを対象に,可視化ツールの試作やパス可能選手予測法など様々な手法の提案をしてきた.その中の1つである最適ドリブルルート算出法では,ゴール下エリアと3Pエリアに得点可能な範囲を限定しており,改良の余地が存在した.そこで,実際の成功シュートの実績値に対し重み付きカーネル密度推定を適用し,ハーフエリア全域を得点可能な範囲とするシュートの価値関数を求めた.更に,従来用いてきた目的関数に若干の改良を加えたものを,ドリブルルートに関するコスト関数とし,前述の価値関数との比をドリブルルートの効率性と捉えて評価するように改良を行った.また,仮想的フォーメーションでその有効性を確認した.
○土屋直紀・鈴木亮太・小林貴訓・久野義徳(埼玉大)・福田悠人(群馬大)・信太奈美(東京都立大)・杉山真理(河北総合病院)・半田隆志(埼玉県産技セ)・森田智之(神奈川リハビリテーション病院)
パラスポーツが注目を集めるなか,車椅子バスケットボール選手の競技力向上のための工学的支援が求められている.我々は,指導者へのヒアリングを基に,これまで撮影された単眼ビデオカメラによる試合映像に画像処理を適用し,車輪の漕ぎ幅や頻度といった車椅子操作の定量的な情報抽出を行ってきた.本研究では,さらなる車椅子バスケットボール選手の競技力向上を図るため,選手およびスタッフに見せる選手パフォーマンスの表示方法を検討する.座位でも骨格推定が可能なOpenPose,身体表面モデルの推定が可能なDensePoseを用い,抽象化された身体動作を表示することで,競技動作の認知性の向上を図る.
◎萩原大佑・梁 宰誠・伊藤潔人・知原信博(日立)
近年、物流倉庫への労働力安定供給のため、ロボットによる作業自動化が進んでいる。多様な物品のピッキング作業の自動化に向けて、ロボットの吸着ハンドの適切な位置姿勢をセンサデータから推定する技術を対象とし、吸着可能性の指標としてヒューリスティックなものと学習により獲得されるものを組み合わせる手法を提案する。学習効率の悪い特徴は前者で、人手での設計が難しい特徴は後者で考慮することで、性能向上を図る。その有効性については、様々な物品のバラ積みシーンに対する認識評価で確認した。本発表では、上記の提案手法とその評価実験について報告する。
3月10日 9:15〜11:45 2号館 2301教室 座長 渡辺 裕(早大)
D-12-48 | 対話的に工場案内する自律移動ロボット ○篠 昂征・鈴木亮太・小林貴訓(埼玉大) |
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D-12-49 | オプティカルフローと深層学習を使った両側面画像の生成 ◎辻 恭平・中村真吾(芝浦工大) |
D-12-50 | NeRFを用いて表現した三次元空間の点群化 ○白樫奈々(東京電機大)・中野 学(NEC)・小篠裕子(東京電機大) |
D-12-51 | 3D ボクセルシーンのスタイル変換に関する検討 ◎大西勇輔・清水郁子(東京農工大) |
○篠 昂征・鈴木亮太・小林貴訓(埼玉大)
近年,私たちの生活環境においてロボットが活躍する場面が多くみられる.我々は,人々の生活の中で動く自律移動買い物ロボットカートの開発を行ってきた.音声指示による目的地への自律誘導を実現してきたが,おしゃべりのような社会性・対話性の欠如による飽きられやすさや,親しみやすさの欠如,「こちら」などの身体性を利用した情報伝達が困難な点があった.本稿では,対話性を取り入れることで,より魅力的なサービスロボットの実現を目指す.工場案内を対象として,予め作成した地図情報に基づき頑健な自律移動を行い,更に移動体に設置された小型の人型ロボットによる音声とジェスチャを交えた施設の案内を行うツアーロボットを提案する.
◎辻 恭平・中村真吾(芝浦工大)
一般的なカメラではそのカメラが向けた方向しか写せない.そこで,直進しながら撮影されたカメラ画像から画角外である両側面の画像を生成する.pix2pixのようなエンドツーエンドを単に使った画像生成手法は,学習時の環境に依存し,環境の変化に対応できない.そこで,深層学習により両側面画像のオプティカルフローを生成してから両側面画像を生成する手法を提案する.pix2pixをベースにしたネットワークに, 1フレーム前の入力値を1フレーム前の出力値でワープしたオプティカルフローを入力する.FIDで評価した結果,単純なオプティカルフローを入力する場合に比べ,環境の変化に比較的頑健であることが確認された.
○白樫奈々(東京電機大)・中野 学(NEC)・小篠裕子(東京電機大)
近年,非線形陰関数を用いることで三次元空間を表現するという手法が注目されている.ここで,NeRFを三次元点群として離散化する方法については十分に議論されていない.陰関数で表現した三次元空間の点群化が可能であれば,ソフトウェア等で対象物体の三次元モデルを容易に扱うことができ,三次元復元技術の実用化が進むと期待できる.そこで,本研究では学習済みNeRFから対象物体を点群化する手法を提案する.実験ではNeRFデータセットを用いて定量的,定性的に評価した結果を報告する.
◎大西勇輔・清水郁子(東京農工大)
ボクセルワールドのシーンから深層学習を用いて写実的な画像を生成する手法にGANCraftが挙げられる.
しかし,実際にMinecraftのシーンからこの手法を用いて画像を生成する際には二つの課題が存在している.
一つ目は生成画像のスタイルが学習時の画風に依存してしまい,元のMinecraftのシーンの景観を損なってしまう点,二つ目はボクセルワールド特有の近景ほど形状が粗くなってしまう問題が生成画像上でも表れてしまう点である.
本手法では,一つ目の問題を解決するためにスタイル変換をベースとした画像生成を行う.
このとき,比較的単純な構造をしており複数の画風を学習することが可能なAdaINを用いる.
さらに,二つ目の問題を解決するために,ボクセルワールドのシーンが似たような角度のエッジの繰り返しであることに着目し,輪郭を滑らかにするための画像上の幾何学的情報から算出可能な損失関数を提案する.
休 憩(10:30 再開) 座長 小林貴訓(埼玉大)
D-12-52 | 目の特徴量を付与したアピアランスベースの視線推定モデルの検討 ◎杉山秀治・渡辺 裕(早大) |
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D-12-53 | StyleGANによる人物動作生成モデルの構築 ◎山本和輝・村上 真(東洋大) |
D-12-54 | エッジ領域におけるオンライン・リアルタイム歩行者計数の検証 ◎坂本和哉・山本一真(OKI) |
D-12-55 | 人の姿勢推定モデルの精度改善に向けた一検討 ○延永達哉・水野健太朗・戸村修二(豊田中研) |
D-12-56 | ハンドジェスチャー認識による非接触入力手法 ◎鎌田 愁・温泉良太・陳 キュウ(工学院大) |
◎杉山秀治・渡辺 裕(早大)
近年,人間の視線情報はエンゲージメント調査やメタバースなど多くのアプリケーションで活用されている.視線推定は,画像から視線方向を推定するタスクであることから,コンピュータービジョンの分野で注目されている.特に,アピアランスベースの視線推定手法は,人物の顔画像や目の画像から直接視線方向を推定する手法である.本稿では,アピアランスベースの視線推定手法の一つであるL2CS-Netの精度改善手法を提案する.まずL2CS-Netの問題点を述べる.そして,問題点に関する考察から改善手法を提案する.最後に,提案手法の評価実験を行い,提案手法は従来手法より平均角度誤差を0.11°改善し,有効性を示した.
◎山本和輝・村上 真(東洋大)
3次元コンピュータグラフィックスを使用した映像コンテンツには人型のキャラクタが登場し,人のように行動することが多い.本研究の目的は,多様で自然なキャラクタの動作を生成・制御することができるシステムを構築することである.深層ニューラルネットワークを使用し,多様な画像特徴を学習により獲得・記憶し,それらを適切に選択することができるStyleGANが提案され,画像生成や制御に使用されている.本研究ではStyleGANを用いて動作生成モデルを構築し,モーションキャプチャシステムにより計測された人物動作データを使用して学習することで,多様で自然な動作が生成可能であることを示した.
◎坂本和哉・山本一真(OKI)
近年の画像処理技術の発展によって高精度な物体検出・物体追跡が可能になっている.これを用いて道路の交通量を自動的に調査しようとする際,映像データを中央サーバで一極的に処理するのではなく,各ポイントで並列的に処理することができればネットワークトラフィックやリスク分散の観点から効率的である.
本稿では,撮影領域内に設定した計測線を通過した歩行者を数える歩行者計数タスクを,潤沢な計算リソースがないエッジコンピュータにおいて実行した際の評価と分析を行い,課題と対策について考察した.
○延永達哉・水野健太朗・戸村修二(豊田中研)
姿勢推定モデルの精度改善に向け深層学習モデルのネットワーク構造を検討した。参考基となるモデルは、ネットワークのおけるヘッドと呼ばれる部分に複雑な構造を採用しており、これを単純化すると精度は下がらず、むしろ少しだけ上がった。このことから姿勢推定には、複雑な構造が必ずしも必要でないことが分かった。
◎鎌田 愁・温泉良太・陳 キュウ(工学院大)
近年,飲食店の受付や図書館などで予約や検索のためにパソコンなどの端末が導入されているが,新型コロナウイルスの流行に伴いアルコール消毒を徹底しなければならない状況となっている.本研究では非接触の状態で端末を操作するためにMediaPipeを利用したハンドジェスチャー認識による手法を実装し実用的であるか検討した.MediaPipeによってWebカメラに写っている手の関節と手首の位置を特定して21のランドマークを推測し,全てのハンドランドマーク座標を4種類のハンドジェスチャー毎に2275ずつ学習した.学習した4つのハンドジェスチャーとマウスの操作を連動させたものを実装した結果,高精度ではあるがフレームレートの改善が課題として挙げられる.
3月10日 13:00〜16:45 2号館 2301教室 座長 小篠裕子(東京電機大)
D-12-57 | 深層学習に基づく画像解析を用いた食材盛り付け生成手順の想起 ○張 歓歓・周 禹彤・島田伸敬・松尾直志(立命館大) |
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D-12-58 | 深層学習に基づく組立作業の生産性・リスクの可視化と経済行動の原則に基づく作業改善支援システムの提案 ○和田大河・佐野睦夫・皆川健太郎(阪工大) |
D-12-59 | 効率的な複数の投影方式融合を用いた360度深度推定ネットワーク ◎岩崎晃大(阪府大)・吉岡理文・井上勝文(阪公立大) |
D-12-60 | はんだ付け巧拙原因の推定とフィードバックシステムの作製 ○北村 偲・森 健太郎(舞鶴高専) |
D-12-61 | 種類を限定しない自動運転向けカメラ画像内点滅検出 ◎杉山央高・深山正幸・菅沼直樹・米陀佳祐・柳瀬 龍(金沢大) |
○張 歓歓・周 禹彤・島田伸敬・松尾直志(立命館大)
お弁当などの食品生産現場では大量の盛り付け作業を人手に頼っているが、近年労働力不足が深刻化しておりこれをロボットに代替させられないかというニーズが高まっている。弁当の盛り付け工程において、ロボットが多様な食材を適切な所定位置に配置するために、各食材の位置関係を調理師が盛り付けたサンプル画像を学習して、盛り付け手順を想起する方法について提案する。
○和田大河・佐野睦夫・皆川健太郎(阪工大)
オフィスやモノづくり等の環境において,生産性の向上やリスクの低減が求められている.しかし,現状ではリアルタイムに人間とモノの状態量の関係性を含めた指標を算出し,作業改善を促すシステムは確立されていない.提案システムでは,深層学習に基づき,動作・姿勢推定を行い,経済活動の原則を反映した動作数・移動距離・動作と作業との関係性・作業姿勢などの状態量を計測する.そして,作業映像と計測された状態量の時系列情報を提示し,振り返りを行うことにより作業を改善する.本システムの有効性を検証するためにレゴブロックを用いた組立作業実験を行ない,全てのケースにおいて作業時間の短縮や作業姿勢などの改善が確認できた.
◎岩崎晃大(阪府大)・吉岡理文・井上勝文(阪公立大)
360度画像は広範囲の情報を扱えるが,その投影方式であるEquirectangularは極付近で歪みが,Cubemapは境界面で不整合が生じるという問題があり,通常の画像を対象に設計された深度推定モデルを適用することが困難である.これまでに両方式の360度画像を入力とし,特徴量を融合することで双方の問題を補完するモデルが提案されているが,2つのエンコーダ・デコーダ構造を有しており計算コストが大きい.そこで本研究ではデコーダを単一化したネットワークを用い,計算コストの小さいモデルを提案する.360度画像のデータセットを用いた実験では,従来手法と比べて推定精度を維持しつつ,モデルサイズの削減,推論速度の向上が確認できた.
○北村 偲・森 健太郎(舞鶴高専)
手作業でのはんだ付けは,作業者によって品質に差が生じることや製造業界の人材不足から熟練作業者から初学者への技術継承が困難であるなどの問題がある.研究の目的は,これらの問題を解決するためにはんだ付けの巧拙要因を解明し初学者1人で利用できる技能評価システムを開発することである.手の関節角度を特徴量としてLasso回帰を行い巧拙原因の推定を行った.またLasso回帰の出力と関節の角度を即時に出力する技能評価システムを製作した.結果,はんだ付けの巧拙には右手の人差し指,中指,小指の関節角度が関係していることが分かった.また技能評価システムを利用することで5人中3人の被験者のはんだ付け作業が改善した.
◎杉山央高・深山正幸・菅沼直樹・米陀佳祐・柳瀬 龍(金沢大)
自動運転において、ウィンカーやパトランプなどの点滅領域を検出することは、他の運転者の意図の把握するために必要であり、道路状況に応じた自動運転車の行動を決定するための情報として有用であると考えられる。点滅領域の検出では、車両位置を矩形領域として切り出してからウィンカーを検出するアプローチが存在するが、車体が他の物体によって見えなくなったり、遠方に写っていたりした場合に点滅の検出が行えない可能性がある。提案法はオプティカルフローで予測画像を作り、差分を取って点滅領域を抽出し、同じフローを使って追跡する。実験によりウィンカー、信号、パトランプの点滅を検出でき、オクルージョンに強いことを確認できた。
休 憩(14:30 再開) 座長 村上 真(東洋大)
D-12-62 | ディープラーニングによるイラストアニメーションの自動生成手法 ◎矢野瑞基・土屋奎太・陳 キュウ(工学院大) |
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D-12-63 | 敵対的生成ネットワークによる音声感情表現フォント生成システムの検討 ◎鈴木祐太・土屋圭太・陳 キュウ(工学院大) |
D-12-64 | 7人制ラグビー最適攻撃プレー算出法の更なる高速化 ◎△八代航太朗・中田洋平(明大) |
D-12-65 | 深層学習により抽出した特徴に基づくファッションブランドの類似性の評価 ◎山口日菜多・清水郁子(東京農工大) |
D-12-66 | キャラクターイラストの輪郭変換に関する検討 ◎松村倫太朗・新井啓之(日本工大) |
◎矢野瑞基・土屋奎太・陳 キュウ(工学院大)
近年イラストを動かしそれらをアバターとして用いた動画配信などが注目を集めている.投稿者や配信者は自分の顔を出すことなく感情に合わせた動きや表情を表すことができるが,一方で3DCGとは異なり,体の動きを使った表現力に乏しい.本研究では畳み込みディープラーニングを用いて,入力されたキャラクターイラストを入力した人物動画に連動させた合成動画の自動生成手法を提案し,動作確認することができた.
◎鈴木祐太・土屋圭太・陳 キュウ(工学院大)
近年,SNSや電子メールなどが日常的に利用されるが,文字によるコミュニケーションのため声のトーンや表情が直接伝わる会話に比べ,意図や気持ちが伝わりにいとされている.そのため、テレビ番組や動画配信サービスにおいては,メディアが伝えたい感情を表す為に字幕などで使用される文字には工夫されたフォント,デザインで装飾されて使用されることが多い.そこで、本研究ではリアルタイムで入力された音声のテキスト化とその音声含まれる感情の検出により、音声感情表現を適用したフォント自動生成システムの検討を行った。
◎△八代航太朗・中田洋平(明大)
近年,ラグビーへの注目度が高まっている.それに伴い,試合放送時などに,試合展開などを理解しやすくする付加情報を視聴者に提供する必要性も高まってきている.このような背景の下,これまで,著者らは,7人制ラグビーを対象とし,選手位置情報と速度情報からランとハンドパスからなる最適な攻撃プレーを算出する方法を提案してきた.そして,いくつかの実装上の工夫や並列計算を導入し,その計算処理の高速化も進めてきた.本稿では,このような最適攻撃プレー算出法の実装について,並列分枝限定法や巡回最良優先探索法を導入し,計算処理の更なる高速化を図る.そして,仮想的フォーメーション例を用いて,それらの有効性を検証する.
◎山口日菜多・清水郁子(東京農工大)
インターネット通販で服を購入する機会が増加している.
現在のインターネット通販では他ユーザーの購入履歴等から商品をお勧めするシステムが主流であるが,服の形を細かく分類することで推奨するシステム,購入履歴の他にレビュー文を追加し予測するシステムなど多くの研究がある.
これらの研究では商品単体に着目して分析しており,ファッションブランドごとに着目した研究はない.
ブランド内での服の系統はある程度まとまっているため,お気に入りのブランドを見つけることができればそのブランド内の好みの服を探すことは比較的容易である.
ユーザの好きなブランドに似た系統のブランドをお勧めすることができれば,知られていなかった新しいブランドや埋もれてしまっているブランドの中からユーザが好みのブランドを見つけることができ,ユーザーの購入範囲が広がると考えられる.
本研究では,ユーザの好みのブランドに類似したブランドを見つけるために,ファッションブランド間の類似性を深層学習により評価する方法を提案する.
◎松村倫太朗・新井啓之(日本工大)
アマチュアのイラストレーターは、ネット上にあるキャラクターイラストのポーズを参考にする事がある。その際、キャラクターに複雑な装飾が施されている場合や、背景が描かれている場合、ポーズを意識する事が困難になる可能性がある。関連技術としてキャラクターの関節を推定する技術が存在するが、関節のみでは参考にする際に不十分である。本研究では、GANの発展形であるU-GAT-ITを用いて、人体の輪郭を抽出する技術を確立する。また、3DCGを用いた合成画像データセットを作成する事で、データ不足の問題を解消する。実験の結果から、一部分変換が不完全な箇所が見られたものの、概ね良好な変換結果が得られた。
休 憩(16:00 再開) 座長 清水郁子(東京農工大)
D-12-67 | 骨格絶対長を考慮した三次元姿勢推定の検討 ○福田大翔・中島 聖・渡辺 裕(早大) |
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D-12-68 | 高齢者見守り支援のための一人称視点映像の照合 ◎中脇拓己・新井啓之(日本工大) |
D-12-69 | 人物周辺特徴を用いた複雑なシーンに頑健な行動認識手法 ◎安藤隆平・馬場崎康敬・高橋勝彦(NEC) |
○福田大翔・中島 聖・渡辺 裕(早大)
近年、姿勢推定技術は多くの分野に活用されている.三次元姿勢推定におけるデータセットの作成には、モーションキャプチャの利用が不可欠であるため、時間と労力を要する。また、単一の二次元画像入力から三次元姿勢を推定する際に、従来の三次元姿勢推定モデルでは本来一定であるべき人間の骨格長が動作の前後で変化してしまう問題がある.本稿では、人間の骨格の絶対的長さが一定で、かつ左右対称であるという条件をつけることで二次元姿勢推定結果から三次元姿勢を推定する手法を検討する.三次元姿勢推定を行う事例として、ヨガ、ゴルフ、筋力トレーニングのように、立ち位置の変化がないものを想定する.
◎中脇拓己・新井啓之(日本工大)
本稿では、高齢者のような被見守り者が着用した一人称視点カメラの、過去の映像と現在の映像を照合することで、被見守り者の位置を推定する手法について述べる。その手法では、U2NET(U square net)で過去の映像に現れる顕著領域を検出し、その領域をランドマークとして一般物体認識であるyoloV5に学習させ、学習した一般物体認識で現在の映像からランドマークを検出することで映像照合を行う。本手法の有効性の確認のため、異なる撮影環境の同一位置を撮影した映像を用いてランドマークの作成、その検出のための一般物体認識の学習を行い、ランドマークの照合ができることを確認した。
◎安藤隆平・馬場崎康敬・高橋勝彦(NEC)
映像に写る人物の行動を認識する行動認識技術は,映像から人物の行動を自動でデータ化する技術として重要である.建設や重工業などの業務現場などでは,道具や重機などを用いた作業を認識し,現場作業者の状況を逐一把握する取り組みが行われているが、多くの人と物体が入り混じる複雑な現場では,作業者がどの物体とインタラクションをして作業を行っているのかを判別するのは困難である.本研究では,行動を認識する際に人物,物体の情報に加えて人物周辺の人と物体の関連を表すコンテキスト情報を活用し,人と物体の関係性解析をより正確に行うことで,頑健な行動認識を行う手法を提案する.
3月10日 10:45〜11:30 3号館 3403教室 座長 堀田大貴(茨城大)
D-13-1 | ソフトウェア開発PBLにおけるiCDを用いた獲得スキル可視化支援システムの提案 ◎近藤羽音・浅野耀介・櫨山淳雄(東京学芸大) |
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D-13-2 | 1台の高速ビジョンを用いた広域ミツバチ巣箱モニタリング ○島崎航平・李 俊豪・石井 抱(広島大)・荻原麻理・芳山三喜雄(農研機構) |
D-13-3 | デシジョンテーブルを用いたソフトウェアテスト学習支援ツール ◎吉田圭佑・橋浦弘明(日本工大) |
◎近藤羽音・浅野耀介・櫨山淳雄(東京学芸大)
実践的なソフトウェア開発教育において学習者は開発を通して多様なスキルを獲得する。しかしながら、学習者は自身が獲得したスキルに関して十分に気付きを得られていない可能性がある。本研究では、学習者が作成した成果物やコミュニケーションの記録から行ったタスクを同定し、iCDというタスクとスキルが関連付けられたディクショナリを介して、学習者が獲得した知識を可視化するシステムを提案するものである。
○島崎航平・李 俊豪・石井 抱(広島大)・荻原麻理・芳山三喜雄(農研機構)
農作物の花粉交配を行うミツバチは重要な花粉媒介昆虫であり,食糧生産の過程で人類に大きく貢献しているが,蜂病などによる蜂群の減少に伴う持続的な食糧生産への影響が懸念されている.
ミツバチ管理における,分蜂等の重要インシデント検出に向け,高速ビデオ画像から飛翔時の高速羽ばたき動作検出を行い,蜂群のアクティビティ指標としてその数をカウントする.
ミツバチの高速な羽ばたき現象を画素レベルのダイナミクス特徴として捉えて,振動源定位を行い,1 台のカメラで20 箱以上の複数巣箱の飛翔数変化の検出を目的として,高解像度高速ビデオ画像に対する実験を通して,自然環境を飛翔するミツバチを計数し,その有効性を確認する.
◎吉田圭佑・橋浦弘明(日本工大)
ソフトウェアテストの重要性はますます高まっているが,優れたテスト技術者を確保することは困難である.一般的にコンピュータサイエンスを学ぶ学生は,ソフトウェアテストに関する知識をほとんど,あるいは全く持たずに大学を卒業していることがある.本研究はこのような問題を解決するために,テストケース作成時に広く用いられているデシジョンテーブルを用いて,初学者であってもテスト漏れのないテストケースを作成するための学習支援ツールを開発し,その効果を確認した結果について述べる.
3月7日 10:00〜11:30 3号館 3307教室 座長 戸田智基(名大)
D-14-1 | ACE法および基音調整による中国語音声の聴取改善技術開発 ○叶 荊凱・阪田 治(東京理科大) |
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D-14-2 | 音声の振幅変調特徴を用いたCNNによる音声強調 ◎若林正樹・間野一則(芝浦工大) |
D-14-3 | モノラル重畳音声分離性能に対する音声特徴量スパース性の貢献評価 ○関口 浩・成末義哲・森川博之(東大) |
D-14-4 | GMMを用いた成人音声と子供音声の線スペクトル対における分布の可視化 ◎林 銀次・片桐 滋・大崎美穂(同志社大) |
D-14-5 | 音声を用いた疲労度推定に関する研究 ◎Nitiphon Keoduangdy・川波弘道(津山高専) |
D-14-6 | 日本語アクセント平板化現象の評価尺度提案のための一考察 ○木野真由美・荒井秀一(東京都市大) |
○叶 荊凱・阪田 治(東京理科大)
振幅圧縮伸長法(ACE法)は感音性難聴者の語音聴取改善に資する音声処理技術として開発されたが、副作用的に騒音環境下における健常者の語音聴取改善にも有効であることが確認されている。しかしそれは日本語に限定したものであり、日本語以外の言語における有効性について調査・研究を行った。本研究では特に中国語音声に焦点を当て、ACE法をベースとした音声処理技術によって騒音環境下における中国語発話の聴取改善技術の研究を行った。中国語音声と日本語音声と比較し、その特性に基づいて、中国語入力音声の基本周波数の調整法と日本語処理用のACE法を中国語音声用へ適用変更するための方法を検討した。
◎若林正樹・間野一則(芝浦工大)
近年,深層学習の導入により,複雑な雑音にも頑健な単一マイクロフォン音声強調が提案されている.しかし,高雑音音声の強調には未だ課題が残されている.本稿では振幅変調スペクトログラム(AMS)を用いた畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による音声強調法を提案した.本手法では,雑音の含まれた音声波形を短時間フーリエ変換することで得られるスペクトログラムに対し,各周波数ビンごとの時間変化軌跡を短時間フーリエ変換することでAMSを得る.得られたAMSからCNNによって発話音声成分を推定し抽出することで強調音声を得る.実験により,高雑音音声に対し,振幅変調特徴を用いない場合と比較して信号対歪比が改善することを示した.
○関口 浩・成末義哲・森川博之(東大)
モノラル重畳音声分離は,深層学習などの多くの工学的アプローチを用いて分離性能の向上が図られてきたが,応用市場の拡大とともに,さらなる性能向上が求められている.重畳音声を容易に分離できる聴覚システムを解析して,分離性能の向上を目指すアプローチでは,聴覚神経細胞集団のスパースな振る舞いが重要な役割を果たしていると考えられている.本研究では,深層学習に音声特徴量のスパース性制御を明示的に組込み,スパース性の広範囲な変化に対する分離性能の挙動から,分離性能のピーク値が元の深層学習を凌駕することを観測した。これは,音声特徴量のスパース性制御の明示的な組み込みが,分離性能の向上に貢献することを意味する.
◎林 銀次・片桐 滋・大崎美穂(同志社大)
子供音声は成人音声と比べ, 声道長の違いなどから基本周波数, フォルマント周波数が大きく異なる. また, 先行研究として音声認識と音声合成を同時に可能にする音声分類器の開発があり, 音声特徴として線スペクトル対(LSP: Line Spectral Pairs)を用いている. この特徴はフォルマント周波数周辺に密に現れることがわかっている. 以上のことから, 成人音声と子供音声の間に, LSPによる分布に差が生じるという仮定のもと, 実際に分布の可視化を行い検証する.
◎Nitiphon Keoduangdy・川波弘道(津山高専)
現在コロナ禍で生活様式にも変化が見られる. 例えば, テレワークや遠隔授業などの需要が急増したことで,スマホ,ノートPCの利用時間が増加している. このような状況では, 無意識のうちに疲労が蓄積すると考えられる. そこで, 疲労の有無を音声で検出する手法を提案した. 本研究では, 混合ガウスモデルで通常音声と疲労音声それぞれについてモデルを作成し, そのモデルに対して入力データの分布の類似度を尤度で表す.
予備実験を行った結果, 認識率は88.0%となった. また, 疲労回復を考慮に入れて実験を行った. その結果, 運動直後の認識率が97.53%となり, 運動後2分たった後の音声では認識率が69.57%に下がり,5分後では58.7%になるという結果を得られた.
○木野真由美・荒井秀一(東京都市大)
最近、日本語発話時に抑揚がなくなる平板化現象が生じる機会が社会全体で増加している.平板化が進むと,同音異義語などを区別できなくなると予想されるため、平板化しすぎないよう注意して発話する必要がある.しかし,発話中に抑揚を意識する事は困難で,客観的に発話状態を確認できない.さらに従来研究においても,話者毎の違いに焦点をあてた研究は少ない.そこで本稿では,発話内容に依存しない長期間の基本周波数の変化率と音圧の関係を用いて平板化度合を評価することを試みる.
3月7日 9:00〜11:45 4号館 4103教室 座長 立岩佑一郎(名工大)
D-15-1 | 全国学力・学習状況調査の算数問題を対象とした検索システムの構築 ○村川猛彦・田口穂鷹(和歌山大) |
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D-15-2 | 小学校プログラミング教育において、変数をいつどのように教えればよいのか? ◎板倉美怜・櫨山淳雄(東京学芸大) |
D-15-3 | プログラミング教育における教材説明からの特徴抽出 ○宮本和典(中村学園短期大) |
D-15-4 | プログラミング学習のためのボードゲームシステムに関する研究 ◎稲川 裕・田島孝治・堀内咲江(岐阜高専) |
D-15-5 | Word2vecと係り受け解析による算数文章問題の図示システムの試作 ◎小薗史弥・岸本頼紀(東京情報大) |
○村川猛彦・田口穂鷹(和歌山大)
全国学力・学習状況調査は,日本全国の小中学校の最高学年全員を対象として,2007年から毎年実施されている学力等の調査である.調査問題だけでなく学習指導要領における学年・領域や解答類型等を含む報告書も公表されている.問題によって正答率に大きな差が見られること,および過去の出題をもとにした出題があることを踏まえ,小学校算数の調査問題を対象として,一括して検索・閲覧できるようデータベースを構築し,Webアプリケーションを試作した.本システムを用いて,問題文の全文検索や,実施年度・領域・解答形式・正答率などによる絞り込み検索が可能である.
◎板倉美怜・櫨山淳雄(東京学芸大)
本研究では小学校プログラミング教育において、小学生が変数やその初期化の概念を理解し、プログラミング課題を解けるようにすることを目指す。そのために新変数学習ドリルを提案する。
○宮本和典(中村学園短期大)
プログラミング教育が必須化され,「各教科等の特質を生かし,教科等横断的な視点から教育課程の編成を図り育成すること」とされている.小学校でのプログラミング教育の実施に向けての準備や実践等に役立つようプログラミング教育の円滑な実施に向けての取組が行われ,プログラミング教育教材を活用しようとしている現状がある.プログラミング教育のための教材が多く存在し,プログラミング教育に関する情報が多く発信されており,効果的に教材の活用ができるよう,プログラミング教育のための教材説明から,特徴抽出を試みた.
◎稲川 裕・田島孝治・堀内咲江(岐阜高専)
本研究では,小・中学生などのプログラミングについてあまり詳しくない者を対象に,プログラミング学習ができる,もしくは学習の一歩目として,プログラミングへの興味を引くという効果が期待できるような,プログラミング学習用のボードゲームの開発を目的とする.既存のプログラミング学習用ボードゲームでプログラミングを学習した後,実際にコード書こうと思った際には,プログラミングの用語について学ぶ必要があり,学習用ボードゲームとコーディングの間にへだたりがある.そこで本教材は既存の学習用ボードゲームと学習用教材の間を埋められるような,楽しみながらより発展したプログラミングの要素を体験し,論理的思考力も身に付けられるプログラミング学習用ボードゲーム教材としての立ち位置を期待できる設計とした.
◎小薗史弥・岸本頼紀(東京情報大)
発達障害者が算数の文章問題を苦手とする場合がある。この原因として言語、視覚、聴覚といった認知能力の偏りにより、文章をイメージできないことが考えられる。そのため、これらの学習支援では指導者が文書を図などに変換して指導する方法が取られている。しかし、この作業は煩わしく、また学習者が自主的に学べないという問題がある。そこで、これらを支援するツールを提案する。入力された問題文を解析し、図示することができれば、イメージしやすくなり学習支援ができると考える。
本論文では、算数の問題文を図に変換するシステムついて論じ、試作により未知語の存在する入力12例において、4例は既存画像で代替することができ、8例は代替画像なしとして処理されたことが確認できた。また、演算の判別においては、入力40例のうち37例が判別でき、3例は判別できなかった。
休 憩(10:30 再開) 座長 森本容介(放送大)
D-15-6 | Gamifying Digital Signal Processing Learning with Kahoot! Quiz ○Zilu Liang(Kyoto Univ. of Advanced Science) |
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D-15-7 | 命令セットを設計できるCPUシミュレータを使った課題の実施 ○福永哲也(岐阜高専) |
D-15-8 | 理解度テストのための問題管理支援システムの構築 ◎山口晶啓・村川猛彦(和歌山大) |
D-15-9 | サイバーセキュリティ人材育成の効果的な育成手法の分析と検討 ◎青山大地・米村恵一(木更津高専) |
D-15-10 | 英単語学習を長期的に継続するための適応型学習システムの開発 ◎岩下雄一郎(阪府大)・岩田 基・Andrew W. Vargo・黄瀬浩一(阪公立大) |
○Zilu Liang(Kyoto Univ. of Advanced Science)
Digital signal processing (DSP) is one of the most important and yet challenging courses in the engineering curriculum. Traditional lecture methods for DSP often fail to engage students (especially senior students). Learning technologies are promising tools for boosting students’ motivation, engagement, and enhancing their learning experience. Game-based quiz applications like Kahoot! are shown to positively affect classroom dynamics and learning performance. We have also previously had positive experience using Kahoot! in an app development course targeting first-year engineering students. In this paper, we share an experience report of applying Kahoot! to a DSP course targeting senior engineering students.
○福永哲也(岐阜高専)
命令セットを設計できるCPUシミュレータ,Excel上で動作する.自分の設計したオリジナルのCPUに対して設計データを使用してシミュレーションが行える.このシミュレータを使用して,命令セットを設計しアセンブラプログラムを動作させる課題を岐阜高専電子制御工学科5年の計算機アーキテクチャの授業で実施した.課題実施後には学生にアンケート調査を行い,31名から回答を得た.アンケートの結果を見ると,「自分で設計した命令セットを使いプログラムが作成できるところ.」が良かったと回答している学生が多く,このシミュレータがCPUの理解に役立つことがわかった.
◎山口晶啓・村川猛彦(和歌山大)
テストの開発および実施にあたり,個別の問題と,解答してもらう一連の問題(問題セットと呼ぶ)において,満たすべき要件が異なる.前者は,問題文の明瞭性や,正答が一つに定まることなどが要請されるのに対し,後者では,ある問題の正解のヒントになる情報が,同じ問題セットの他の問題に書かれていないこと(独立性)などを検証する必要がある.本研究では,問題の検査機能の提供により,問題セット作成・管理の負荷軽減と能力推定精度の向上を図ることを目的として,管理システムの構築を行ってきた.
◎青山大地・米村恵一(木更津高専)
近年,サイバーセキュリティ人材の不足が問題となっている.こうした問題の解決に,実践的な演習によるサイバーセキュリティ教育が有効ではないかといわれている.本研究では,実践的なサイバーセキュリティ教育により高専生のスキルを向上させることができるが,分析を行った.演習前後のスキルチェックアンケートを分析した結果,実践的演習により,スキルを向上させることができたといえる.一方で,演習のメインテーマとして分野のスキルの伸びが,他のテーマと変わらないという課題も見つかった.今後はこの結果をもとに,教材や演習内容の改善を行い,さらに効果的な教育方法を見つけ出すことが必要である.
◎岩下雄一郎(阪府大)・岩田 基・Andrew W. Vargo・黄瀬浩一(阪公立大)
英単語の学習は英語習得の基本であり,長期的に継続して学習することが重要である.長期的に学習を継続するには学習の動機づけが必要であり,興味のある教材を用いることでこれが可能だと期待できる.しかし,興味のある教材を用いた英単語学習システムは開発されているが,学習に時間がかかってしまうため,学習効率が下がってしまう課題がある.本稿では,学習者の学習中のパフォーマンスや振る舞いに基づいて,学習者に最適な教材を推薦することで,長期的に効率的な学習を継続可能なシステムを開発したので報告する.
3月7日 13:00〜16:45 4号館 4103教室 座長 川又泰介(成蹊大)
D-15-11 | 自動車運転における危険予測スキル訓練システムの検討 ◎松村優樹・林 佑樹・瀬田和久(阪府大) |
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D-15-12 | 感情認知スキーマの形成支援システム ◎楊 天娬・林 佑樹・瀬田和久(阪府大) |
D-15-13 | 戯曲読解を題材とした他者理解能力育成支援システム ◎岡本花奈乃・林 佑樹・瀬田和久(阪公立大) |
D-15-14 | 遠隔では困難とされている造形芸術実技教育の実現 ○上野沙月・小笹 澪(共立女子大)・卯木輝彦(関西外語大)・米谷雄介(香川大)・永岡慶三(早大)・谷田貝雅典(共立女子大) |
D-15-15 | 遠隔では困難とされている音楽実技教育の実現 ◎小笹 澪・上野沙月(共立女子大)・卯木輝彦(関西外語大)・米谷雄介(香川大)・永岡慶三(早大)・谷田貝雅典(共立女子大) |
D-15-16 | 小型化・ノイズ対策を行った遠隔授業参加ロボット ○政清史晃・和田和樹(近畿大高専) |
D-15-17 | 舞踊動作に対する自動教示システム ◎原科尭宗・高丸尚成・安藤 廉・大橋海斗(中部大) |
◎松村優樹・林 佑樹・瀬田和久(阪府大)
自動車運転者のハザードやリスクの知覚能力を高め,適切と思われる判断を短時間で下す能力を向上することは自動車運転の安全性を高める上で不可欠である.しかし,現行の日本の自動車教習体制では,一般的な知識や技能の習得に留まらない運転時の危険予測や運転操作の判断能力の育成に困難性があると考える.本研究では,教習受講生(学習者)を対象とし,道路上における他車や歩行者といった環境因子に潜在するリスクの言語化活動を繰り返すことにより状況認知に資するスキーマの形成を促し,知識ベースの認知処理から技能ベースの知覚・操作への自動化に寄与する危険予測スキル訓練システムの開発を目的とする.
◎楊 天娬・林 佑樹・瀬田和久(阪府大)
人と関わる様々なコミュニケーション場面において,他者の感情を理解できる能力が求められる.この感情認知能力に困難を抱え,社会生活に支障をきたす場合には医師による介入がなされることがあるが,時間や場所には制限がある.本研究では,ターゲット刺激と意味的に関連性の深い先行刺激を提示することで,ターゲット刺激への認知処理が速くなる現象に基づくスキーマプライミングテスト(SPT)に着目し,感情語に対応する感情認知をSPTにより繰り返すことにより,感情語と感情認知のスキーマ形成の段階的な促進を図る学習支援システムを提案する.
◎岡本花奈乃・林 佑樹・瀬田和久(阪公立大)
社会生活における様々な場面で円滑な対人関係を形成,維持することが求められる.そのためには,他者の意図や感情といった心的状態を適切に理解する必要があり,自分とは異なる背景を持つ他者を理解しようと努める積極的な態度が重要となる.一方で,人は意図や感情をすべて表出化するとは限らないため,他者の見えない心的状態を把握することは容易でもない.本研究では,他者理解能力の訓練に資する教育的題材として戯曲読解に着目する.戯曲に登場する人物の発言(台詞)の連鎖からその意図や感情の外在化を促し,他者理解能力の向上と他者理解への適切な態度の醸成を目掛けた学習支援システムを提案する.
○上野沙月・小笹 澪(共立女子大)・卯木輝彦(関西外語大)・米谷雄介(香川大)・永岡慶三(早大)・谷田貝雅典(共立女子大)
2020年初頭のCOVID-19の感染拡大の影響により,各種教育機関では,あらゆる授業にオンラインを中心とした遠隔授業が導入された.一方,本学や各美大における絵画,彫刻などの造形芸術実技授業のほとんどは対面でのみ行われた.これは,美術の遠隔教育において遠隔化が困難な教育内容に該当すると考えられる.そのため,本研究では,遠隔では困難とされている造形芸術実技教育(デッサン指導)を,視線一致を可能とする谷田貝らが開発した新しい遠 隔会議システムを用いて対面環境,2D視線不一致環境,3D視線一致環境の3環境で試行し,その効果の差異を明らかにすることを目的とした.
その結果,裸眼3D視線一致環境と対面環境はともに,「違和感・疲労度」を軽減し「技能理解度」を向上させることが共通して重要であることから,2D視線不一致よりもお互いに近い教育環境であると考えられることが分かった.
◎小笹 澪・上野沙月(共立女子大)・卯木輝彦(関西外語大)・米谷雄介(香川大)・永岡慶三(早大)・谷田貝雅典(共立女子大)
本研究では先行研究で開発された裸眼3D視線一致型テレビ会議システムを活用し、対面環境と2つの遠隔環境において初学者向けのピアノ演奏指導の実践と評価を行った。実験後に主観評価アンケートとピアノ実技評価を実施し、授業ごとの効果を比較分析した。得られた成果から各授業法術の有効性を明らかにした。その結果、3つの学習環境におけるピアノ実技評価に差異は見られなかったが、重回帰分析の結果、「立体視好感度」を向上させる指導と「視線一致度」をおさえる配慮が必要であることが分かった。また、2D視線不一致環境では、「技能理解度」を向上させる指導上の工夫と、「学習活力度」を抑制するということが分かった。
○政清史晃・和田和樹(近畿大高専)
本研究において,自宅等の遠隔地にいる学生が学校に設置したロボットを操作し,教員や他の学生との双方向コミュニケーションができる移動ロボット製作する.コントローラの操作でロボットを制御し,視聴角度を変化させることにより,実際に教室にいるような体感を得ることができる.また,学校の現場で利用できるように,音声から文字への変換機能,チャット機能,学生の理解度を確認するためのクリッカー等を開発し,昨年度報告を行った.今回,従来開発したものよりも,机と机の間を通り抜けしやすいように小型化し,ノイズ対策を行ったロボットについての報告を行う.
◎原科尭宗・高丸尚成・安藤 廉・大橋海斗(中部大)
近年,画像処理や機械学習を用いたスポーツやダンスの動作を解析し,教示するシステムの研究・開発が進んでいる.本研究では,機械学習に可能な限りたよらないリアルタイム自動教示システムの開発を目標として (1) 人物を多視点 RGB カメラによって撮影された動画像データから三次元人物姿勢を算出する (2) 推定された関節座標の時系列データから算出された動作分割点,動作方向,速度,加速度,躍度に対して解析を行う (3) これらの解析結果に cos 類似度などの比較関数を使用して動作の教師,生徒間の誤差を算出する.この一連の処理系を有する動作の教示システムを提案する.
休 憩(15:00 再開) 座長 林 佑樹(阪公立大)
D-15-18 | 外国語学部における科目履修システムに基づく分析 ○仲田知弘・浜 正樹(文京学院大) |
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D-15-19 | 学習者のコミュニケーション活動と成果物の関係調査 ◎室塚翔太・木内正浩・槇原絵里奈・小野景子(同志社大) |
D-15-20 | Facilitating and Confounding Factors in the Career Decision-Making Process of Japanese High School Students ○Yutaro Ohashi(Shibaura Inst. of Tech.)・May K. J. Carlon・Jeffrey S. Cross(Tokyo Tech) |
D-15-21 | Mobile Manga Vocabulometer 2.0 を用いた長期間の学習における学習効果の調査 ◎△大塚 遙(阪府大)・岩田 基・Andrew W. Vargo・黄瀬浩一(阪公立大) |
D-15-22 | 対面授業における学生の閲覧ページの可視化 ○尾関孝史(福山大)・渡邊栄治(甲南大) |
D-15-23 | xAPIのLRSを用いたデータ集計の実践 ○森本容介(放送大) |
D-15-24 | スクラム開発手法を体験学習するためのプロトタイピングスプリント教材の開発 ○鈴木昭弘・杉尾信行・松川 瞬・荒澤孔明(北科大) |
○仲田知弘・浜 正樹(文京学院大)
近年,日本では,少子高齢化に伴い,大学への進学が容易になりつつある.その一方で,日本の大学では,中途退学や学業不振が増え,不登校の分析や対策方法等を議論している.本論文は,現状の外国語学部の退学者を分析するため,既存システムとしてある“科目履修システム”と“在籍情報システム”を用いてデータ分析をする.その分析結果は,1年生や2年生の退学者の割合が高く,複数の科目履修の授業に出ていないこと,退学者のうち休学経験がある等を明らかにした.
◎室塚翔太・木内正浩・槇原絵里奈・小野景子(同志社大)
近年,プログラミング教育支援の需要が高まっている.一般的に,プログラミング教育環境では教員やTA(Teaching Assistant)が机間巡視によって学習者に指導を行う.そこで本研究では,LiDARを使用した人流計測システムを用いて学習環境における教員,TAおよび学習者の動きを測定し可視化することで,人の動きと学習者の提出結果および提出時間との関係性について調査した.実験の結果,人流と学習者の提出結果には相関があることを明らかにした.ここで得られた知見は,今後のプログラミング教育のみならず,様々な教育環境で最適な指導を考える際に有用であると考える.
○Yutaro Ohashi(Shibaura Inst. of Tech.)・May K. J. Carlon・Jeffrey S. Cross(Tokyo Tech)
In Japan, the percentage of women in Science, Technology, Engineering, and Mathematics (STEM) fields among students enrolled in higher education institutions is significantly lower than in other countries. In response, a study on how high school students choose their careers was conducted. Previous studies have shown the effects of choosing science and humanities (rikei and bunkei) at an early age, the influence of fathers/mothers, and the influence of stereotypes, such as “women tend to be liberal arts-oriented.” However, other contemporary factors, such as the influence of mass media or social media influence on career selection, have not been adequately investigated.
◎△大塚 遙(阪府大)・岩田 基・Andrew W. Vargo・黄瀬浩一(阪公立大)
英語能力の獲得のために,語彙学習は非常に重要である.新たな語彙を獲得するための方法として,意図的学習と偶発的学習を組み合わせるというものがある.そのような学習の教材として英訳された日本の漫画を用いることができ,短時間の学習における有効性が確認されている . そこで本研究では,漫画を用いた英語学習を長期間行う際,効果的に学習できる条件について調査する.そのために,漫画英訳本の中から未知単語を抽出し,2種類の単語帳で暗記を行う英語学習システムである Mobile Manga Vocabulometer 2.0 を開発した.また,このシステムを長期間使用して学習効果を計測する実験を行った.
○尾関孝史(福山大)・渡邊栄治(甲南大)
学生が対面授業中に授業コンテンツの閲覧に「タブレット、スマートフォン、ノートパソコン」といったBYOD(Bring Your Own Device)を用いるようになった。しかしながら、このような状況では、教員は授業中に学生が授業コンテンツのどのページを見ているか全くわからなく、学生が授業についてきているかどうかを把握しにくいという問題がおきている。そこで、本発表では対面授業における学生の閲覧ページをリアルタイムに可視化するシステムを提案する。提案システムを授業中に教員が利用すると、「多くの受講者の閲覧ページが停止している場合は、受講者がそのページを理解できていないと判断して、説明を繰り返す」などのリアルタイムな授業改善をすることが期待できる。
○森本容介(放送大)
xAPIのLRSと,それを用いたデータ集計の取り組みを報告する.LRSには,Moodleの学習履歴データと,講義映像・音声のインターネット配信システムの視聴履歴データを格納している.LRSを用いるシステムとして,教員向けのダッシュボードを構築した.ダッシュボードは,高速化のため,あらかじめ用意したグラフについては使用データを事前集計する.また,学生が自身の学習履歴を確認できるサイトを構築中である.本サイトは,Moodle上での学習の進捗と活動量を,同じ科目の履修生の平均とともに確認できる機能を有する.これらの機能に必要なデータをLRSから集計するツールを開発した.ステートメントの設計やステートメントからのデータ集計について報告する.
○鈴木昭弘・杉尾信行・松川 瞬・荒澤孔明(北科大)
ソフトウェア開発において,スクラム開発の重要性が増しているが,体験を伴う学習機会は少ない.そこで我々は学生を対象とし,グループでソフトウェアのプロトタイプをスクラム開発手法によって作成することにより,知識と経験を獲得する体験型教材を開発している.この教材の特徴は,スクラムへの興味を促すとともに,有用性を理解するために,複数回のスプリントを行うごとにグループメンバーが成長し,成果物の量と質が向上するための仕組みを有することである.大学4年生を対象とした実験とアンケートの結果から,被験者の多くがスクラムに興味を持ち,成長を感じられたと回答した.以上のことから狙い通りの効果を得ることが可能な教材であることが示唆された.
3月8日 10:00〜11:45 4号館 4103教室 座長 立岩佑一郎(名工大)
D-15-25 | 筆記解答式WebテストにおけるT2を用いた筆者交代の逐次検出 ○川又泰介(成蹊大)・赤倉貴子(東京理科大) |
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D-15-26 | 音声回答による話者照合を用いたオンライン試験における受験者認証 ○服部 翼・加納 徹(東京理科大)・川又泰介(成蹊大)・赤倉貴子(東京理科大) |
D-15-27 | 機械学習を用いた個別最適化支援による退学者削減方式の検討 ○安部恵介・成 凱(九産大) |
D-15-28 | 小論文自己学習のための文章推定による手書き解答補正の検討 ◎岩下琴音・山崎高弘・平松綾子(阪産大) |
D-15-29 | 隠れマルコフモデルを用いたなりすまし検知システム ◎鈴木聡一郎・大枝真一(木更津高専) |
D-15-30 | Kaggleにおけるコンペティション選択支援に向けたメソッド特徴調査 ◎愛智万莉子・白木大貴・槇原絵里奈・小野景子(同志社大) |
D-15-31 | RNNとFactorization Machinesを組み合わせたモデルによる時系列情報とメタ情報を考慮した学生モデリング ◎柿崎透真・大枝真一(木更津高専) |
○川又泰介(成蹊大)・赤倉貴子(東京理科大)
Webテストにおける替玉受験に対して,タブレットPCとデジタルペンによる筆記解答システムを開発し,解答筆記情報の周波数特徴に対して逐次統計とホテリング理論を応用することにより,受験中の筆者者交代を検出する方法を検討した.実験の結果,ホテリングのT2と主成分分析を用いた既存手法,及び先行研究で検討したEMPCAよりも,交代の検出精度が高いという結果が得られた.
○服部 翼・加納 徹(東京理科大)・川又泰介(成蹊大)・赤倉貴子(東京理科大)
音声を用いた生体認証手法である話者照合に着目し,低コストかつ広く普及しているマイクを用いて,音声入力による回答から替え玉受験を検出する試験システムを開発した.実験の結果,正規の受験者に影響がないように閾値を設定しても,4割以上の替え玉受験を検出できることがわかった.また,マイクを用いた音声入力による回答方式により,映像監視を伴うオンライン試験と比べて,受験者が受ける精神的負担を低減できることがわかった.以上より,音声回答による話者照合を用いたオンライン試験における受験者認証の有用性が示唆された.
○安部恵介・成 凱(九産大)
情報化の進展により大学においても多様なデータが大規模に蓄積され、データを活用した教育改善が重要となっている。
その中でも留年・退学者の削減が重要であり、機械学習の適用により早期に予測・予防する方式が検討されている。し
かしリスクの度合いやどの程度の改善が見込まれるかを正確に把握することは困難である。そこで本研究では個々の学
生の状況に応じた個別最適な支援により退学者を削減する方式について検討する。従来の留年・退学予測に加えて確率
計算によるリスクの詳細な定量化、適切な改善目標の設定、履修計画支援等の個々の学生の状況に応じた支援により退
学への重症化を防ぐ退学者削減方式について検討する。
◎岩下琴音・山崎高弘・平松綾子(阪産大)
本研究では,手書きの小論文から記述された内容を正確に抽出することを目的とする.手書き文字を対象とする場合,ノイズや歪み,くせ字などによりOCRソフトウェアの処理だけでは十分な精度が得られない.そこで,まず手書き文字データベースを利用して文字認識用のニューラルネットワークを学習させ,小論文画像を一文字単位で分割し可能性の高い文字候補を決定する.さらに文字の特定を文章の空欄補充問題と考え,BERTのMasked Language Modelタスクを利用して,自然な文章となるように文字を決定する.この手法を,実際に原稿用紙に書かれた手書き小論文に適用したところ,これまでよりも高い精度での文字抽出が可能となった.
◎鈴木聡一郎・大枝真一(木更津高専)
新型コロナウイルス感染拡大した2020年以降,遠隔によるWebテストが一般的となった.このような背景のもと就職活動では遠方でも受験できるようにWebによるテストを行う企業が増加した中で,2022年11月には替え玉受験が事件となった.いわゆるなりすまし受験はWebテストになる前から存在したが,Webテストによって,この問題が顕著となった.
そこで本研究では,学習者のスキル状態を推定する隠れマルコフモデルを用いて,なりすましを検知するシステムを構築する.もし受験者のある期間における潜在的なスキル状態の推移を測ることができれば,それをなりすましとみなすことができるという仮説に基づくものである.
◎愛智万莉子・白木大貴・槇原絵里奈・小野景子(同志社大)
近年,ビックデータの活用が広く普及し,データサイエンスの需要が増加している.そこで本研究では,Kaggleでの問題選択支援を行うため,Kaggleで開催されたコンペティションごとのソースコードの分析を行った.コンペティションごとの特徴を表す指標としては,データとして取得が容易であるメソッドに着目した.その後,メソッドの特徴を分析し,コンペティション同士の類似度測定による分析を行った.その結果,コンペティションを選択する際,メソッドの出現回数の偏りの小さいコンペティションの汎用性が高いものを用いる必要があり,コンペティション選択支援の指標として用いることができると考える.
◎柿崎透真・大枝真一(木更津高専)
近年,教育現場においてITS(Intelligent Tutoring Systems)の開発が進んでいる.効果的なITSの運用には学習者のスキル状態の推定を行う学生モデリングが重要となり,推定したスキル状態を応用することで適切な問題推薦や落伍者の予測などが可能になる.学生モデリング手法ではKT(Knowledge Tracing)という手法が主流となっているが,KTでは問題番号と学生の問題の回答結果の組を入力としており,その他の特徴量は用いずにモデリングをしている.本研究では,代表的なKT手法のDKT(Deep Knowledge Tracing)で使われているRNN(Recurrent Neural Networks)と,入力した特徴量の相互作用を計算できる手法のFM(Factorization Machines)を組み合わせることにより,学生が解く問題番号などの時系列情報と,修了したコースなどのメタ情報を考慮した学生モデリングを行う.
3月8日 13:00〜16:45 2号館 2206教室 座長 本谷秀堅(名工大)
D-16-1 | 内視鏡画像を用いた内痔コンピュータ診断に有効なチューブ領域検出手法の改善 ○安福 翔・阿部孝司(近畿大)・南 昌秀(東大) |
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D-16-2 | ホワイトボックス型畳み込みニューラルネットワークによる胸部X線画像からの年齢推定 ◎△三浦朋樹・大前佑斗・齋藤佑記・柿本陽平・豊谷 純(日大) |
D-16-3 | 細網線維パターンによる早期肝細胞癌の識別 ○谷岡佳紀・高橋正信(芝浦工大)・中野雅行(横浜市大) |
D-16-4 | 病理組織画像の細胞核抽出に適した撮像法の検討 ○菅原有一・高橋正信(芝浦工大)・中野雅行(横浜市大) |
D-16-5 | 超解像を用いたリンパ節のがん転移分類の精度向上手法 ◎鈴木康介(名工大)・岩堀祐之(中部大)・舟橋健司(名工大)・大内 晶・清水泰博(愛知県がんセンター) |
D-16-6 | Weighting層を導入したCNNによる冠動脈MRA画像における冠動脈狭窄分類 ◎塩見拓真・中山良平・檜作彰良(立命館大)・高藤雅史・石田正樹・佐久間 肇(三重大) |
D-16-7 | 異常検知モデルによるPET検診画像の病変検出 ○倉友遼太・中山良平・檜作彰良(立命館大)・木戸尚治(阪大) |
○安福 翔・阿部孝司(近畿大)・南 昌秀(東大)
本研究では,内痔診断で撮影される内視鏡画像内からチューブ領域を検出する手法を提案した.既存の内痔診断支援システムでは,前処理としてチューブ領域を除去する必要がある.チューブ領域は被写体の状態や内視鏡のライトの影響で映り方が異なるため,単純な画像処理では抽出が難しく自動化に至っていない.提案手法では,チューブ領域の位置や画素値の特徴に着目し,画像内を領域分割・統合してできた複数の候補領域からチューブ領域を検出し除去する.評価実験では193枚の画像のうち175枚に対して除去が成功し,内痔診断支援システムを用いた健常・異常判別実験では認識率は平均約80%となり,既存手法と優位差は無いことを確認した.
◎△三浦朋樹・大前佑斗・齋藤佑記・柿本陽平・豊谷 純(日大)
医療現場において,通常はカルテを確認することで患者の情報を得ることができる.しかし,緊急で運び込まれた場合にはカルテを用意する間もなく情報取得が容易にできない.またこの時,患者が意識がない場合などには意思の疎通が取れないため,客観的に患者の情報を推定する方法が必要となる.そこで,胸部X線画像から年齢を推定する畳み込みニューラルネットワークを活用することで,早期医療提供の支援を図る.また,Class Activation Map (CAM) を導入し,推定根拠の可視化を行い,モデルの説明力を持たせることを目標とする.
○谷岡佳紀・高橋正信(芝浦工大)・中野雅行(横浜市大)
早期肝細胞癌の診断支援のため,細網線維の網目模様のパターンから癌/非癌の識別が可能かを実験的に検討した.深層学習と画像処理により生成した類洞領域の2値画像を用いて非類洞領域を黒色でマスクすることで,類洞領域の線維パターンのみを用いた学習と評価を実現した.7標本のバーチャルスライドを用いた交差確認により深層学習による癌/非癌の識別精度を評価した結果,70%程度の精度が得られ,線維パターンが早期肝癌の識別に役立つ可能性が示された.また,入力画像を平滑化した場合に癌である可能性が高くなり,鮮鋭化した場合に低くなったことから,細網線維パターンのエッジ強度が識別に役立つ可能性が示唆された.
○菅原有一・高橋正信(芝浦工大)・中野雅行(横浜市大)
病理組織の画像解析では明視野画像が一般的に利用されるが,光学顕微鏡で容易に利用できる他の撮像法(位相差,暗視野)を利用することで解析精度を改善できる可能性がある.そこで,深層学習により細胞核を抽出する場合におけるそれら撮像法の有用性について,実験的に検討した.その結果,明視野と他の撮像法を組み合せた場合のF値は明視野単独の場合とほとんど変わらなかったが,適合率と再現率は変化した.これは,撮像法を組み合せることで抽出結果の質が変化することを示しており,組み合わせ方の工夫などにより精度改善できる可能性が示唆された.これらの傾向は実験した2種類の色空間,2種類のネットワーク構成で変わらなかった.
◎鈴木康介(名工大)・岩堀祐之(中部大)・舟橋健司(名工大)・大内 晶・清水泰博(愛知県がんセンター)
がんの病期診断では,リンパ節へのがん転移の有無が重要であるとされている.そして,医師の負担軽減や経験量の差による診断のばらつきを抑えるため,機械学習の導入が重要視されている.機械学習を用いたがん転移診断のための先行研究として,3DCNNを用いたリンパ節検出手法等が提案されている.しかし,CT 画像を学習に使用するには,患者の同意や医師によるアノテーション作業が必要であり,大量のデータセットを準備するのは一般に困難である.そのため,本研究では少量のデータセットからでも学習を十分に進めるために,がん転移分類の前処理としてCT画像の超解像を行い,リンパ節のがん転移有無の分類精度の向上を試みた.
◎塩見拓真・中山良平・檜作彰良(立命館大)・高藤雅史・石田正樹・佐久間 肇(三重大)
本研究の目的は,Weighting層を追加したCNNを用いて,冠動脈MRA画像から冠動脈狭窄の有無を鑑別するシステムの開発である.実験試料は,75患者から取得された冠動脈MRA画像である.各セグメントの冠動脈を中心とした21×21×21画素のROIを抽出し,提案ネットワークの入力として用いた.ROI数は,951例(有意狭窄あり:96例,なし:855例)である.Weighting層では,入力された特徴マップ(11×11×11画素)とガウス分布(カーネルサイズ:11×11×11,標準偏差:1.0)で定義した重み行列とのアダマール積により,特徴マップの中心に重み付けを行った.提案ネットワークのAUROCは0.91で,Weighting層なしのCNN(0.74)より高く,その有用性が示唆された.
○倉友遼太・中山良平・檜作彰良(立命館大)・木戸尚治(阪大)
本研究の目的は,工業製品など一定の外観を有する対象物は高精度に再構成できるGANomalyを医用画像に応用したネットワークを構築することにより,PET画像上の病変を異常検知する手法を開発することである.実験試料は,PET検診で撮影された1360症例(正常:1030例,異常:330例)のMIP画像である.GANomalyは,入力画像の特徴量を抽出,及びその特徴量から入力画像を復元するように学習を行う.提案ネットワークは,GeneratorのDecoderにおけるConvTransposeをUpsampling(Bicubic)+Convに変更することで,再構成画像の精度向上に伴い,異常検知の精度も向上させる.提案ネットワークのAUCは0.64で,従来のGANomaly(0.62)より高く,その有用性が示唆された.
休 憩(15:00 再開) 座長 岩堀祐之(中部大)
D-16-8 | YOLOv7とRoIAlign組み込みCNNによる虫垂炎検出 ◎小嶋貴樹・中山良平・檜作彰良・田中大貴(立命館大)・野口智幸(九州医療センター) |
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D-16-9 | SE-ConvNeXtを用いた脳病理組織画像における正常・異常組織分類 ◎佐橋拓哉・中山良平・檜作彰良・Zhihui GAO(立命館大)・児玉良典(神戸大)・眞能正幸・吉岡絵麻・兼松大介・正札智子・金村米博(大阪医療センター) |
D-16-10 | 胸部CT画像の腫瘍検出に関するMask R-CNNとU-Netの比較 ◎赤川遼汰郎・山﨑達也・Cher Yen Tan・山崎元彦(新潟大) |
D-16-11 | 嚢胞と臓器の境界に発生する病変誤検出の削減 ◎岡 礼華・石原正樹・山口達也・烏谷あゆ・羽染 祐・宮崎信浩・武部浩明・馬場孝之(富士通)・前田章吾・中村優子・檜垣 徹・粟井和夫(広島大) |
D-16-12 | 医療画像診断支援向け肺の胸壁付近の浸潤影に対応した臓器抽出 ○宮崎信浩・武部浩明・馬場孝之(富士通)・寺田大晃・檜垣 徹・粟井和夫(広島大) |
D-16-13 | 微小病変検出に優れたマルチスケールサンプリング手法 ○烏谷あゆ・石原正樹・山口達也・岡 礼華・羽染 祐・宮崎信浩・武部浩明・馬場孝之(富士通)・前田章吾・中村優子・檜垣 徹・粟井和夫(広島大) |
D-16-14 | 初期膵臓がんの典型的所見である膵管拡張の検出技術の開発 ○武部浩明・宮崎信浩・馬場幸三・馬場孝之(富士通)・福島大造・西野徳之(総合南東北病院) |
◎小嶋貴樹・中山良平・檜作彰良・田中大貴(立命館大)・野口智幸(九州医療センター)
本研究では,物体検出モデルにより虫垂炎候補領域を検出し,候補領域が虫垂炎か否かを分類する2ステップの処理による虫垂炎検出法を構築する.実験試料は,腹部CT画像348症例(虫垂炎:328症例,正常:20症例)である.提案ネットワークは,4つのConvNeXt Stageから異なる解像度の特徴マップを抽出し,Feature Pyramid Networkにより異なる解像度の情報を集約する.そして,RoIAlignを適用し,YOLOv7で検出された虫垂炎候補領域だけの特徴マップを生成する.最後に,それらの特徴マップに基づき,虫垂炎か否かを分類する.提案手法の検出率は83.3%,誤検出数/画像は1.72で,YOLOv7の検出率(83.6%)とほぼ同等で,誤検出数(2.85)を約40%減少する結果が得られ,その有用性が示唆された.
◎佐橋拓哉・中山良平・檜作彰良・Zhihui GAO(立命館大)・児玉良典(神戸大)・眞能正幸・吉岡絵麻・兼松大介・正札智子・金村米博(大阪医療センター)
本研究では,ConvNeXtに,特徴マップに重み付けするSE Blockを追加したSE-ConvNeXtを構築することにより,脳病理組織画像を対象とした正常/異常組織分類手法を提案する.実験試料は53症例の脳病理組織標本のデジタルスライド画像である.病理医によりアノテーションが付与された異常組織に基づき,正常組織,異常組織だけをそれぞれ含む224×224画素のROI(異常:52637例,正常:22484例)を抽出した.提案ネットワークは,各ConvNeXt Blockの後にSE Blockを導入した構造である.SE Blockは入力特徴マップのどのチャネルに注目すべきかを決定し,各チャネルに重み付けする役割を担う.提案ネットワークのAUCは0.84で,既存手法であるConvNeXt(0.81)より分類精度が高く,その有用性が示唆された.
◎赤川遼汰郎・山﨑達也・Cher Yen Tan・山崎元彦(新潟大)
背景として,放射線科医の不足,画像診断でのがんの見落としが問題として挙げられる.目的として自動検出精
度の向上,肺野部CT 画像から腫瘍の自動検出する診断支援システムの開発を行っている.今回,従来使用して
いたモデルMask R-CNN と,新たに使用するモデルU-net の比較を行う.Mask R-CNN とはinstance segmentation
手法の一つであり多クラス分類,同クラス内の分類が可能.U-Net とはsemantic segmentation 手法の一つであり,
多クラス分類,不定量なものの検出が可能.この2つのモデルを,検出結果を用いて比較,考察を行う.
◎岡 礼華・石原正樹・山口達也・烏谷あゆ・羽染 祐・宮崎信浩・武部浩明・馬場孝之(富士通)・前田章吾・中村優子・檜垣 徹・粟井和夫(広島大)
3次元医用画像から臓器や病変の検出を目的に、画像セグメンテーションタスクに優れた深層学習モデルU-Netがしばしば用いられる。しかし、U-Netを用いた病変検出を実用化する上で避けては通れない課題が、嚢胞と呼ばれる様々な臓器内に好発する袋状の組織に起因した誤検出である。筆者らは画素値が大きく異なる嚢胞と臓器の境界付近を2次元画像化した際に発生する中間的な画素値が病変の画素値と類似するために誤検出が発生すると考えた。本研究ではこの仮説に基づき、嚢胞領域の境界付近にある病変候補を除外する手法を開発し、嚢胞を伴う肝臓内の腫瘤検出を事例に誤検出削減の効果を検証した。
○宮崎信浩・武部浩明・馬場孝之(富士通)・寺田大晃・檜垣 徹・粟井和夫(広島大)
CT画像に写る肺の領域の抽出は,深層学習によるセグメンテーション方式の1つであるU-Netによって高精度に抽出できることが報告されている.しかし,肺の病変の1つである浸潤影が,肺をはじめとした胸部の臓器を守るための骨や筋肉,皮膚で構成される胸壁付近に存在する場合,浸潤影と胸壁との画像特徴が類似するため,肺の領域を正確に抽出できないという課題がある.そこで本稿では,浸潤影が胸壁付近に存在する場合でも胸部CT画像から肺の領域を正確に抽出する方式を提案する.
○烏谷あゆ・石原正樹・山口達也・岡 礼華・羽染 祐・宮崎信浩・武部浩明・馬場孝之(富士通)・前田章吾・中村優子・檜垣 徹・粟井和夫(広島大)
造影MRI検査において、微小病変を高感度に自動検出し医師へ提示することで、画像診断の精度向上や効率化に寄与出来ると期待される。先行研究では、検査画像から固定サイズの3次元のパッチ画像を切り出し、3次元画像用の深層学習モデルを用いて病変の検出および識別を行っている。しかし、病変サイズが微小になるほど精度が低下する課題が提起されている。本研究では、マルチスケール・パッチサンプリングおよび直交三平面の最小値投影により求めた2次元画像を用いることで、一般的な画像認識で用いられる2次元画像用の深層学習モデルであっても、微小病変を高精度に検出可能な手法を提案する。
○武部浩明・宮崎信浩・馬場幸三・馬場孝之(富士通)・福島大造・西野徳之(総合南東北病院)
初期膵臓がんの典型的な所見で発見が難しい膵管拡張を、造影および非造影CT画像から検出する。従来研究では、薄いスライス厚の造影CT画像を対象とし、3D U-Netをベースとした方法を用いていた。厚いスライス厚のCT画像を対象とする場合、z方向の解像度がxy方向の解像度と比較して粗いため、 3D U-Netではz方向を線形補間等で正規化する際にパターンがぼやけ検出の偽陽性が発生する。この課題を解決するため2D U-Netを適用した方式を開発して評価し、3D U-Netの結果と比較した。その結果、2D方式が造影・非造影の両方に対し膵管拡張の検出において偽陽性を抑制できることを確認した。
3月8日 13:00〜15:15 2号館 2305教室 座長 泉 知論(立命館大)
D-18-1 | 階層レイアウトによるFPGA配置配線固定手法の提案 ○鈴木弘成・平野 進・小川吉大(三菱電機) |
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D-18-2 | FPGA用AIアクセラレータのメモリ使用量削減方法の検討および評価 ◎川岸悠介・山本 亮・小川吉大(三菱電機) |
D-18-3 | 幅優先探索アクセラレータHyGTAにおけるグラフ圧縮手法の改良によるメモリアクセス回数の評価 ○松田瑚乃実・谷川一哉(広島市立大)・佐野健太朗(理研)・弘中哲夫(広島市立大) |
D-18-4 | FPGA内蔵型センサキットによるデジタルホログラフィシステムの検討 ○高橋岳之・下馬場朋禄・角江 崇・伊藤智義(千葉大) |
D-18-5 | インコヒーレントディジタルホログラフィ専用計算機のカラー化への検討 ◎原 貴之(長野高専)・角江 崇・下馬場朋禄・伊藤智義(千葉大) |
○鈴木弘成・平野 進・小川吉大(三菱電機)
近年、LSI開発では柔軟性、効率性の面でFPGAによる開発が盛んである。FPGA開発ではモジュールのタイミングが厳しい際にメットさせる手法としてボトムアップで開発を行う階層レイアウト手法がある。階層レイアウトとはモジュールの配置配線情報を保存し、TOPに適用する手法である。しかし、FPGAツールの提供する機能ではクロックラインの固定をすることができず、クロックラインやジッタ値が変わることでタイミング変化し、動作周波数も低下する場合やhold違反が出る場合がある。そこで本稿ではFPGA開発でタイミング固定が可能となる階層レイアウト手法に関する提案を行う。モジュール単体で配置制約を作成し、合成・配置配線にてタイミングをメットさせた後、TOP合成側に適用する際、ネットリストと配置制約のみを有効にし、合成・配置配線を行う。周辺回路に変更があった場合にはTOP合成側の単体モジュール配置を固定し、インクリメンタル設定にて合成・配置配線を行う。この手順により、周辺回路に変更があった場合にも単体モジュールの配置配線結果、タイミングをそのままの状態で適用可能となり、周波数の低下やhold違反を抑制することが可能となる。
◎川岸悠介・山本 亮・小川吉大(三菱電機)
CNNモデルを高速処理可能なFPGA用AIアクセラレータは多くのメモリを要するため、枝刈りや量子化等のメモリ使用量を削減する手法の研究が進められているが、これらの手法はモデルの精度劣化が発生する可能性があることが知られている。
本稿ではCNNモデルの精度劣化を発生させずにFPGA用AIアクセラレータ内の重みデータのメモリ使用量を削減する方法として、CNNモデルの重みデータのメモリ使用量が最も大きい層に対して出力チャネルを分割してそれぞれの計算結果を適用前と等しくなるように制御する手法を提案した。
本稿が対象とするFPGA用AIアクセラレータの様々な構成において提案手法を適用した結果、精度劣化を引き起こさずにメモリ使用量を削減できることが確かめられ、FPGA用AIアクセラレータの構成によってはメモリ使用量と性能の双方の観点で提案手法の最適な適用回数が存在するという考察が得られた。
○松田瑚乃実・谷川一哉(広島市立大)・佐野健太朗(理研)・弘中哲夫(広島市立大)
本研究室では大規模なグラフにおいて幅優先探索を高速に実行するために幅優先探索アクセラレータHyGTAを開発している.
しかし,HyGTAに用いているグラフ圧縮方式CRSのIndex情報を取得する際にメモリバンド幅の一部しか使っていないという問題がある.
その解決策として従来のグラフ圧縮方式CRSを,幅優先探索アクセラレータHyGTAが使用するメモリバンド幅に合わせた形式に変換したカスタムCRS方式を提案し,評価した.
評価により,提案手法を用いた場合には,節点数が100万個のグラフにおいて,メモリアクセス回数を45.7%程度削減できる可能性があることを確認できた.
○高橋岳之・下馬場朋禄・角江 崇・伊藤智義(千葉大)
ホログラフィは,光の干渉と回折の原理を利用して物体の3次元情報を記録・再生する技術である.近年はカメラ等の撮影素子を用いてホログラムを記録し,計算機上でホログラムの再生計算を行うデジタルホログラフィの研究が行われている.ホログラムの計算量は膨大であり,CPUではリアルタイムなシステムを実現することが難しい.そのため,GPUやFPGAなどを用いた計算高速化の研究が行われている.特にFPGAはホログラム計算の専用ハードウェア回路を実装することでリアルタイムでの記録・再生が可能となる.本研究では,ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社提供のセンサキットを用いたデジタルホログラフィシステムの検討を行う.
◎原 貴之(長野高専)・角江 崇・下馬場朋禄・伊藤智義(千葉大)
インコヒーレントディジタルホログラフィは,非侵襲かつ走査処理が不要で被写体の3次元像を取得できるため,次世代の3次元計測技術として期待されている.一方で,計算機上での3次元像の再構成手法である,フレネル回折計算の計算コストが課題となっている.我々の研究グループは,リアルタイムな3次元カラー再生システムの構築を目的として,FPGAを用いた専用計算機の開発を検討してきた.本研究では,これまで設計してきた単波長のフレネル回折計算回路を拡張し,カラー化するための検討を行った.カラー化にあたっては,ホストPC-FPGA間のデータ転送時間がボトルネックになると予想されるため,DMA転送による通信時間の高速化を検討した.
休 憩(14:30 再開) 座長 和田康孝(明星大)
D-18-6 | 複数回路の実装によるSoC FPGAでの推論処理の高速化 ◎川上智也・中西知嘉子(阪工大) |
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D-18-7 | エッジAIにおける深層学習の推論高速化手法の検討 ◎岩本征弥・中西知嘉子(阪工大) |
D-18-8 | エッジAIにおけるSoC FPGAの固定小数点化の有効性の検討 ◎川﨑健太・中西知嘉子(阪工大) |
◎川上智也・中西知嘉子(阪工大)
近年,AI技術は飛躍的に進化しており,様々な分野において活用されている.中でもエッジ端末上で動作させる「エッジAI」が注目されているが,現在のエッジ端末は低性能なものが多く,高速に推論処理を行うことが困難である.そこで我々はSoC FPGAを採用し,高負荷 な演算をFPGAで,その他の処理をCPUで動作させることで推論処理の高速化を図る.本研究ではEfficientNetB0を採用し,推論処理内のConv2D層で実行される畳み込み演算と活性化関数をそれぞれアクセラレートする回路を開発した.また従来の活性化関数は演算量が大きいため,演算量が小さい関数に近似している.結果として,推論処理は約7倍,Conv2D層は約18倍高速化することができた.
◎岩本征弥・中西知嘉子(阪工大)
近年飛躍的にAI技術が発展しており,主流の「クラウドAI」に対し,安価かつ低リソースでセキュリティの懸念が少ない「エッジAI」へのニーズが増している.本研究は,エッジ端末へのAI技術を搭載し,高速な推論の実現を目的とする.AI技術の発展速度に合わせて効率的かつ柔軟な開発を行うために,本研究ではMPSoCを用いた手法を提案する.AI技術の中でも畳み込みニューラルネットワークを取り上げ,その中でも軽量なEfficientNetB0を用いて設計する.ハード側では8並列演算を行う回路を用いてConv2D層,Multiply層,Activation層を実装した.ソフト側ではデータの流れを最適化する手法を検証した.これにより,EfficientNetB0では約9.7倍の高速化を実現できた.
◎川﨑健太・中西知嘉子(阪工大)
近年,エッジ端末によるAI処理の研究・開発が進んでいる.FPGA回路での高速化には,特定のAI専用回路やモデル構造改良等が挙げられるが膨大な知識やコストを要する.また,浮動小数点演算では速度が頭打ちになる.本研究では,SoC FPGAを用いて畳み込み演算回路で同じビット幅で,変換処理も併せ固定小数点化で実現し高速化を行う.結果として,精度についてVGG16,ResNet50の精度低下は見られなかった.YOLOv5sは活性化関数の近似式への変更による精度低下が見られたが,描画に対する影響は見られなかった.速度について,ベースとした浮動小数点回路の回路動作時間より約2.5倍以上の高速化となった.
3月7日 13:00〜16:00 3号館 3402教室 座長 福田洋治(近畿大)
D-19-1 | 通信異常に関係する端末プロセス情報の少リソース取得手法の検討 ○野村啓仁・南 拓也・小山高明(NTT) |
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D-19-2 | システム特徴の可視化情報を用いた脆弱性リスク判定手法 ○和田泰典・鐘本 楊・南 拓也(NTT) |
D-19-3 | RATによる遠隔操作と直接操作の痕跡情報の違い関する一考察 ◎鈴木黄麦・岸本頼紀(東京情報大) |
D-19-4 | アソシエーション分析による異常ログ抽出方法の提案 ◎磯野 怜・岸本頼紀(東京情報大) |
D-19-5 | プロセス親子関係に基づくIoTデバイス向け軽量異常検知手法 ○王 冬雪・掛井将平・齋藤彰一(名工大) |
D-19-6 | セキュリティパッチを利用したハニーポットのコンテンツ切替手法の提案 ○野村昂生・掛井将平・齋藤彰一(名工大) |
○野村啓仁・南 拓也・小山高明(NTT)
通信を行う端末や用途の多様化により、セキュリティ対策の重要性が増している。マルウェア感染の発見などを目的とした端末監視では、異常な振る舞いが発生した際に、関連するプロセスを特定し不正か否かの分析も必要である。端末監視技術であるEDRは、端末プロセスを常時監視して異常とその原因を特定できるが、少リソース端末では利用が難しい。別の技術であるNIDSは、通信を監視するため、少リソース端末の監視は可能だが、通信が発生しないプロセスや、機器内のプロセス把握はできない。
本稿では少リソース端末監視を可能にするため、異常通信に関係する端末プロセス情報を、短時間通信や短時間起動などのプロセスも含めて少リソースで取得する手法を提案する。
○和田泰典・鐘本 楊・南 拓也(NTT)
ITシステムのセキュリティ運用において、運用者は脆弱性情報を収集して、影響やリスクを踏まえた対処の要否判断を行っているが、システムの特徴はシステムごとに異なるため、脆弱性情報から一律にリスク判断を行うことはできない。そのため、ネットワーク構成、設定値、動作状態などのシステムの特徴をとらえ、脆弱性が引き起こすリスクの大きさを鑑みた要否判断を行わねばならず、負担となっている。
本発表では、機器の設置されたネットワーク構成、機器の動作状態などをシステムの可視化情報として扱い、これらの情報を用いた脆弱性リスク判定手法を提案する。
◎鈴木黄麦・岸本頼紀(東京情報大)
サイバー攻撃の調査において攻撃と痕跡の対応がわかれば調査の助けとなる。本論文では、サイバー攻撃でよく使われる内部コマンドの痕跡情報について、RATと直接入力の違いについての調査報告とその考察について論じる。痕跡の調査対象はイベントログ、セキュリティログ、Sysmon、USN Journalとし、それぞれの痕跡情報の出現有無と遠隔と直接入力の違いについて調査する。本調査の結果、イベントログとセキュリティログにはコマンド実行の痕跡は残らないこと、Sysmonについて遠隔と直接で異なる痕跡が現れる場合があること、USN Journalの痕跡は反映に時間がかかる場合があるということがわかった。
◎磯野 怜・岸本頼紀(東京情報大)
デジタルフォレンジックにおいて、膨大なログデータから攻撃の痕跡を探すことは困難である。そこで正常なログと異常なログを分類する手法を提案する。ログを一定期間で区切り、それらに対してアソシエーション分析による頻出ログのペアを抽出する。この頻出ログを正常系と考えれば、これ以外のログが異常系のログと判断できる。
本論文では、Aprioriアルゴリズムによるアソシエーション分析により、ログの正常系と異常系を分類する手法について提案し、実際のログに適用した結果について論じる。
○王 冬雪・掛井将平・齋藤彰一(名工大)
IoTの普及が進む一方で,セキュリティが重視されないという現状に対し,プロセス親子関係に基づくIoTデバイス向け異常検知手法を提案する.従来の手法はファイルハッシュ値と実行パスのみで評価する.しかし,許可された正常なプログラムの悪用という場合に対応できないため,本提案ではプロセスの親子関係を評価することで,正常なプログラムであっても異常なプロセスからの呼び出しを防止する.評価結果より,提案は軽量であり,親子関係パターンによってホワイトリストにないプログラムの実行が阻止できることを示した.
○野村昂生・掛井将平・齋藤彰一(名工大)
ハニーポットはサイバー攻撃に関する情報収集を行う.実際に攻撃を受けることで情報を収集するため,攻撃者から攻撃行為を引き出す必要がある.攻撃者はハニーポットを検知し回避することを試みるため,ハニーポット固有の動作を減らすことが重要である.本論文ではセキュリティパッチを用いて攻撃行為を検知し,通常のクライアントと攻撃者で提供するコンテンツを切り替えるハニーポットを提案する.攻撃検知前にはHTTPサーバとして動作するため,攻撃者からハニーポットであると判断される可能性を低減する.提案機能のオーバヘッドを測定した結果,パッチが起動し攻撃者のIPアドレスを保存することによるオーバヘッドは0.023[ms]であった.
休 憩(14:45 再開) 座長 掛井将平(名工大)
D-19-7 | 構成情報に基づく通信監視 ◎山中友貴・南 拓也(NTT) |
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D-19-8 | 異常通信検知におけるFQDNを用いた過検知抑制方式 ○千葉伸浩・藤木直人・永渕幸雄・小山高明(NTT) |
D-19-9 | TPM2.0の耐タンパ性評価実験の環境構築について ◎斉藤優紀・城宝央考・岡崎裕之(信州大)・三重野武彦(EPSON AVASYS) |
D-19-10 | 秘密分散法構築におけるユーザフレンドリーなUIの提案・評価・考察 ◎三浦夢生・米村恵一(木更津高専) |
D-19-11 | サイバー攻撃体験システムの開発 ○中西俊博・福田洋治・毛利公美(近畿大)・白石善明(神戸大) |
◎山中友貴・南 拓也(NTT)
サイバー攻撃のリスクが高まる昨今、ゼロデイ攻撃を含む多様なサイバー攻撃から機器を守るため、機械学習を用いたアノマリベースの通信異常検知が注目されている。しかし、これらのアノマリ検知のための正常状態モデルの生成には、実際の運用環境において一定のデータ収集期間や学習時間が必要で、無防備な初期学習期間が存在する。
そこで、通信情報を、各機器・ソフトウェアの構成情報と紐づけて学習を行うことを考える。ラボ環境では通信情報等と構成情報をまとめた学習モデルを作成しておき、運用環境では構成情報のみを入力とすることで、運用環境において、学習の手間なく異常な通信やログを検知可能なモデルを生成し、即座に監視を開始できる手法を提案する。
○千葉伸浩・藤木直人・永渕幸雄・小山高明(NTT)
通信の異常を検知する異常通信検知方式のうち,普段と異なる通信を異常通信と識別する異常通信検知システムでは,未知の通信を正しく異常通信と識別することができる.一方,正常な通信であっても,普段と異なる通信であれば異常通信(過検知)と識別してしまうことがある.このような過検知が多い場合,ユーザは本当に異常な通信なのか確認に時間がかかり,真に異常な通信が生じた場合に,対応遅れや漏れが生じかねない.本稿では異常通信と識別された通信について,異常通信そのものの情報だけでなく,当該通信の通信先のFQDNをユーザに提示するとともに,このFQDNを用いて過検知を抑制する手法を提案する.
◎斉藤優紀・城宝央考・岡崎裕之(信州大)・三重野武彦(EPSON AVASYS)
近年ではWindows11のアップデートでTPM2.0が必須になるなどTPMチップへの注目が高まっている.TPMの主な特徴として外部から内部の情報を読み取ることができないといった耐タンパ性に優れている点があげられるが,その安全性についてTPM1.2に対しての先行研究は存在するが,筆者らの知る限りTPM2.0について記載されたものはなく実際に安全かどうかわからない.そこで,本稿ではサイドチャネル攻撃とよばれる公開鍵暗号の処理時間が秘密鍵のビットパターンによって異なることを利用する攻撃手法を用いてTPM2.0の安全性を評価するための環境構築を行った.
◎三浦夢生・米村恵一(木更津高専)
近年,クラウド及びオンラインサービスが広く普及し,個人情報などの重要な情報がやり取りされている中で、企業・団体等に対するサイバー攻撃は年々増加しており,中でもランサムウェアによる被害は拡大している.その対策として「秘密分散」が有用である.これを階層化することで,管理者の裁量に応じた柔軟な機密情報の分散管理が可能となる.本研究では個人で気軽に利用できるような秘密分散ツールの設計・提案を行った.秘密分散を知っているか、各UIの使用感,秘密分散のイメージをつかめたか,実用を想定した際に使いたいかについてのアンケート調査を行った.結果として、提案する木構造型UIの使用感に関する項目が従来のコマンドライン型UIと比較してポジティブなイメージを与えた。
○中西俊博・福田洋治・毛利公美(近畿大)・白石善明(神戸大)
情報セキュリティ教育は文書や講義のみで理解させることは難しいことから様々な体験型のセキュリティ学習・演習システムが提供,販売されつつあるが,機能やコンテンツが豊富な製品は演習環境の導入,運用のコストの高さから大学,専門学校などの教育機関では導入,整備は進んでいない.本研究では,VirtualBoxとVagrantを用いた仮想環境と連携するかたちで,学習者には扱いが難しいVirtualBoxの操作,Vagrantの操作を容易にする演習環境管理機能と,教員には大きな手間が掛かる演習環境の準備,検証を容易にする演習環境構築機能を有するサイバー攻撃体験システムを検討,試作し,有用性を確認する実験を行う.
3月7日 13:00〜15:45 2号館 2401教室 座長 山崎啓介(産総研)
D-20-1 | 任意の物理マスクに対応可能な深層ハイパースペクトル再構成モデル ◎高部 巧・韓 先花(山口大) |
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D-20-2 | ボトルネック転置トランスフォーマーを用いた皮膚病変画像分類モデルの精度向上 ◎多田晟人・韓 先花(山口大) |
D-20-3 | 深層学習を用いた不完全情報の認識~立体的に積まれた積み木の数の推定問題へのAIの応用~ ◎中澤拓斗・久保田 繁(山形大) |
D-20-4 | ロゴ自動生成のためのStable Diffusionにおけるファインチューニングの効果 ○谷屋直樹・岸本頼紀(東京情報大) |
D-20-5 | Eating & Drinking Behavior Recognition Using MS-TCN ◎Amit Karmakar・Masafumi Nishida・Masafumi Nishimura(Shizuoka Univ.) |
◎高部 巧・韓 先花(山口大)
ハイパースペクトル画像(HSI)はリモートセンシングや医療,農業など幅広い分野で活用されている.近年,圧縮センシング技術を用いて高速に圧縮スナップショット画像を撮影し, 数理モデルや機械学習法を用いてHSIを再構成する手法が盛んに研究されている.圧縮スナップショット画像は光学システムの劣化マスクを透過する光を収集して生成されるため,マスクの変化によって撮影された画像が大きく変わる.
本研究では任意な劣化マスクを適応するため,マスクAttentionモージュールの取り入れ,ランダムマスクで生成されたデータを用いて学習することで汎用性の高いHSI再構成モデルの構築を目指す.
◎多田晟人・韓 先花(山口大)
近年,医療画像解析を含む様々のビジョンタスクにおいて深層学習の利用は急速に発展しており,その有効性を検証してきた.本研究では,幾つのComputer Visionタスクにおいて精度向上を成功した畳み込み演算とself-Attention 構造を統合したボトルネックTransformer モデルを利用し,高精度な皮膚病変識別モデルの構築を目指す.特に,バックボーンCNNで抽出した高レベルの特徴マップでは,多様なチャネル方向の特徴を得られていることから,特徴のチャネル方向の長距離依存性をモデリングできるself-Attention機構を構築する.具体的に,チャネル方向のSelf-attentionを用いて特徴間の相互関係を取り入れてから,空間方向の特徴間の関係を捉えるdepthwise畳み込み層演算を利用した転置Transformer モデルを提案する.
◎中澤拓斗・久保田 繁(山形大)
人間は、一部が隠れた3次元的な積み木の構造を見た場合でも、力学的な知識(上部の積み木はそれを支える下部の積み木の存在を意味する)を用いて、積み木の数を予測できる。このように、我々は不完全な情報を知覚した場合に、すでに保有している知識を用いて情報を補うことにより、正しい認識を獲得できる。本研究では、深層学習を応用することで、部分的に隠れた積み木の画像から全体の数を推定する問題に取り組む。積み木の立体構造の画像をCGにより作成し、深層学習ネットワークに提示して学習を行った結果、非常に高い精度で数を推定することに成功した。この結果は、不完全情報の認識といった人間の高度な情報処理のモデルとして、深層学習を利用できる可能性を示唆している。
○谷屋直樹・岸本頼紀(東京情報大)
AIを利用したデザインの支援は多く提案されている。これらは膨大な学習データが必要となるため、個人で学習データを用意することが難しく既に用意されている学習データを用いる場合が多い。このため、ロゴデザインのような単純な画像の生成にはファインチューニングが必要になる。しかし、ファインチューニングによるロゴデザインのような単純な画像生成の効果については報告されていない。そこで、企業のロゴについて形状および文字の有無について分類し、それらを用いたファインチューニングの効果について調査する。本論文では、画像自動生成システムStable-Diffusionにおいて3つに分類した企業ロゴを用いたファインチューニングの傾向について論じる。
◎Amit Karmakar・Masafumi Nishida・Masafumi Nishimura(Shizuoka Univ.)
Dietary behaviors are directly related to nutrition and human health. While previous work on dietary behavior recognition was only confined to distinguishing between only eating and drinking events, detailed dietary behavior detection is needed for more insights into nutrition monitoring and health care. This paper presents a video-based eating and drinking behavior recognition for 8 different classes using spatiotemporal video features using the S3D-G model and Multi-Stage Temporal Convolutional Network. Evaluation of this work shows a framewise accuracy of 85.82%. The F1 score on individual behaviors reveals that the model can detect very small-duration events well.
休 憩(14:30 再開)
D-20-6 | 咽喉マイクを用いた食事中のむせの自動検出 ◎吉村和大・西田昌史(静岡大)・黒岩眞吾(千葉大)・西村雅史(静岡大) |
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D-20-7 | 音情報の自己教師あり学習に基づく作業行動自動検出 ◎鈴木文仁(静岡大)・塩野由紀・白澤怜樹・中野貴行・青木崇浩(ヤマハ発動機)・山本泰生・西村雅史(静岡大) |
D-20-8 | 音による咀嚼能力自動評価における測定時間の影響 ◎竹内麻衣(静岡大)・齊藤隆仁・太田 賢・中島裕昭・湯口昌宏・春山知生・下山拓流(NTTドコモ)・峰野博史・西村雅史(静岡大) |
D-20-9 | 3DCNN と MLP の特徴量交換を用いた口唇動画を併用した音声認識 ○河内信誠・亀山啓輔(筑波大) |
D-20-10 | 電気化学測定データを用いた機械学習によるワインの分類 ○有田涼二・本田竜也(佐賀大)・森田伸友・竹村謙信・大曲新矢・岩崎 渉・菊永和也(産総研)・Wen Liang Yeoh・松前 進・福田 修・上田 俊(佐賀大) |
◎吉村和大・西田昌史(静岡大)・黒岩眞吾(千葉大)・西村雅史(静岡大)
食物を飲み込む嚥下を正しく行えなくなる嚥下障害は誤嚥性肺炎の原因となる。嚥下機能低下早期発見のために誤嚥とむせの関係に着目し、食事音から自動検出された咳の回数で嚥下機能を評価するシステムが開発された。しかし、咳には嚥下とは無関係に生じる風邪等による咳もあり、嚥下と関連性のある咳をそれらと区別して検出する必要がある。本研究では嚥下後40秒以内に初めて行った咳をむせと定義することで「咳」と「むせ」を区別するとともに、嚥下と咳の自動検出によるむせ検出手法を提案した。提案手法により、94%のむせではない咳をむせ検出から除去することに成功し、風邪をひいた場合でもむせを正確に検出できる可能性を示した。
◎鈴木文仁(静岡大)・塩野由紀・白澤怜樹・中野貴行・青木崇浩(ヤマハ発動機)・山本泰生・西村雅史(静岡大)
作業の自動化が進む一方で, 未だ人手が必要とされる作業は多く残されている. 人手による作業では作業飛ばしが発生し, 生産性低下を招くことから, その自動検出技術が強く求められる. 画像の場合, 作業者に隠れて手元の作業を確認できない場合があり, 作業音はそのような場合に特に有効な情報となる. ただ, 教師あり学習の場合, 特定作業に対応する音の部分だけを視察で事前に切り出し, 個別にモデルを学習させる必要があるが, 画像データのない状況でその作業を行うことは容易ではなかった. そこで, 本研究では自己教師あり学習であるVAEに着目した. VAEを対象作業音を含まない工場騒音で学習し, 対象音を外れ値として検出することで事前学習を不要とする方法について検証した.
◎竹内麻衣(静岡大)・齊藤隆仁・太田 賢・中島裕昭・湯口昌宏・春山知生・下山拓流(NTTドコモ)・峰野博史・西村雅史(静岡大)
健康維持の観点から咀嚼能力を客観的に評価することは重要であり、医療現場ではその方法の一つとしてグミゼリーを20秒間咀嚼した時点でのグルコース溶出量の測定が行われている。しかしこの方法は専門家が専用機材を用いて行うため容易には実施できない。また、検査中は咀嚼したグミや唾液の嚥下を禁止されるため高齢者では測定に失敗することも多い。既に我々はグミの咀嚼音のみからグルコース溶出量を推定するモデルを提案しているが、測定の失敗を減らすべく測定時間が推定精度に与える影響について調査した。その結果、10秒間の咀嚼音においても20秒と同等の精度が確認され、本手法が短時間の測定においても有効性を持つことが示された。
○河内信誠・亀山啓輔(筑波大)
音声認識において、音声に加えて、口元の動きも同時に参照することでノイズの影響を下げる試みがある。
本研究では、Cangeaらが提案した、XFlow と呼ばれる、認識に際して音声と動画の特徴量を交換するモデルに、動画認識を行うネットワークに3DCNN を用いることで時間軸にも学習を行い、より精度を高めることを目標とする。また、音声に劣化が生じた場合にどれだけの精度を保つのか、その調査も併せて行う。
実験では、3DCNNを用いると正解率が低下したが、これはデータセットの数が少なかったからだと考察される。また、劣化した音声の認識では、画像を入力することで、正解率が向上したことが検証された。
○有田涼二・本田竜也(佐賀大)・森田伸友・竹村謙信・大曲新矢・岩崎 渉・菊永和也(産総研)・Wen Liang Yeoh・松前 進・福田 修・上田 俊(佐賀大)
近年では簡易な測定方法で得られるデータと機械学習を組み合わせることで、酒類の熟成年数の推定や品種および地理的起源の識別が試みられている。電気化学測定によるワインの分析も試みられているが、課題点として従来の測定方法では得られるデータの特徴量が少ないことが挙げられる。本研究の電気化学測定で使用したホウ素ドープダイヤモンド電極は、既存の電極に比べ広い電位窓をもち、多く特徴量を得ることができる。取得したサイクリックボルタモグラムの電位を40区間に分割し、それぞれの区間の酸化電流と還元電流の差を特徴量とした。それらをPCA,SVMを用いて機械学習することでワインラベルの判定と検証を試みた。
3月8日 9:00〜11:45 2号館 2401教室 座長 山崎啓介(産総研)
D-20-11 | Congestion Prediction using Multi-Resolution Recursive Spatio-Temporal Transformer ○QUANG HUY UNG・HAO NIU(KDDI Research)・SHINYA WADA(KDDI) |
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D-20-12 | リンクベース交通流予測タスクにおける深層学習手法の一検討 ○美嶋勇太朗・和田真弥(KDDI総合研究所) |
D-20-13 | 教師無し学習を活用した現場パターン抽出方式の基礎検討 ○芹澤靖隆(日立) |
D-20-14 | Deep Neural Network の枝刈りが分布外データに与える影響 ◎江田智尊・森川郁也(富士通) |
D-20-15 | 確率的枝刈りを用いたベイジアンネットの段階的構造学習法―相対的依存度を用いた枝刈りによる学習効率化手法の改良― ○木下拓海・北越大輔・鈴木雅人(東京高専) |
○QUANG HUY UNG・HAO NIU(KDDI Research)・SHINYA WADA(KDDI)
Traveling and transporting are essential demands of human beings to do daily activities. Due to the increasing demands of traffic usage, and various factors (e.g., weather, public infrastructure, etc.), traffic congestion often happens in large cities. Early warnings of congestion could help traffic managers to adjust the traffic flow for congestion prevention. Congestion prediction could be considered as a time-series forecasting problem. Recently, Niu et al. [1] proposed an efficient method, namely Mu2ReST, outperforming previous studies for long-term time-series forecasting. In this paper, we apply Mu2ReST to the problem of congestion prediction and evaluate its performance for long-term prediction.
○美嶋勇太朗・和田真弥(KDDI総合研究所)
渋滞緩和,交通事故防止のため交通量予測は重要な研究トピックであり,PEMS-BAY, METR-LA等多数の交通流データと各データに適した予測手法が公開されているが,これらのデータは主にノード(交差点等)単位で構成されているため,特性の異なるリンク(道路)単位のデータに対しても最新の手法が高い予測性能を発揮するかは不明である.ノード単位データとリンク単位データの特性の違いとして最も大きいのは隣接行列の差異である.前者はノード間の距離によって隣接行列に重みを付けることが可能だが,後者は原則としてトポロジカルな接続情報(二値)しか与えられない.このような背景を踏まえて,本稿ではスマートフォン位置情報から推定したリンク単位交通流データを入力とし,複数の最新手法により交通流予測タスクを解きその性能を比較する.
○芹澤靖隆(日立)
労働力不足が深刻な課題として顕在化している中,DX活用による業務改善/現場効率化が推進されているが,現場適用時のSI工数増大が導入障壁となっている。例えば製造現場に設置したセンサのデータと機械学習/AIを活用してロス要因を分析し,解決策を現場へ迅速にフィードバックすることが必要だが,モデル学習に対するアノテーション作業の膨大な工数がボトムネックとなっている。本研究ではこの課題を解決するため,製造現場工程のサイクルタイム検出を題材とし,認識AIモデルの中間層データから現場画像の特徴量を抽出してクラスタリング分析し,クラスタIDのシーケンス情報のみを学習する方式を検討した。
◎江田智尊・森川郁也(富士通)
枝刈りは deep neural network (DNN) の重みを零にする処理で、DNNの圧縮に用いられる。
枝刈りによる、DNNの性能や敵対的サンプルへの頑健性の変化については、従来調べられている。
一方で、分布外データへの頑健性がどのように変化するかについては十分に調べられていない。
DNNは、訓練時に想定する分布以外からの入力(分布外データ)を正しく検知する頑健性(分布外頑健性)を持つことが望ましいとされる。
本論文では、DNNの枝刈りが分布外頑健性に与える影響を調べた。
その結果、分布外データの"分布外度合い"や分布外検知手法に依存して、枝刈りが分布外頑健性を大きく改善・改悪することがわかった。
○木下拓海・北越大輔・鈴木雅人(東京高専)
ベイジアンネット(Bayesian Network : BN)は,多変量データに含まれる様々な要素間の依存関係を非循環性有向グラフで表現した確率モデルである.確率変数をノードとし,因果関係の強いノード間をリンクでつなぐことでデータの特徴を視覚的に表現しており,データマイニングや確率推論に利用される.多変量データからBNの結合構造を決定するとき,データが多様,大規模であるほど計算時間は増大する.本稿では,BNの適切な結合構造を高速に獲得可能な,確率的枝刈りを用いた段階的構造学習法において,確率的な不安定性を抑制しながら使用者の用途にあった学習を行うため,枝刈り確率の計算方法に改良を加え,計算機実験を通して性能の調査,適切な閾値の設定方法について検討を行う.
休 憩(10:30 再開)
D-20-16 | 補助関数とCardanoの公式を用いたブール行列分解アルゴリズム ○Han Xiao・右田剛史・高橋規一(岡山大) |
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D-20-17 | 敵対的サンプルの生成法を活用したデータ拡張 ◎朴 潤花・亀山啓輔(筑波大) |
D-20-18 | 深層強化学習による自律移動ロボットの並走制御 ◎後藤優太・中村真吾(芝浦工大) |
D-20-19 | Domain Adaptation for Japanese Sentence Embedding Models with Contrastive Learning ◎Zihao Chen・Hisashi Handa・Kimiaki Shirahama(Kindai Univ.) |
D-20-20 | モデルポイズニング攻撃に対処する連合学習の開発に関する研究 ○西本賢司・寺井広大・江 易翰・林 海(阪公立大)・計 宇生(NII) |
○Han Xiao・右田剛史・高橋規一(岡山大)
我々の社会には0と1の2値からなるブール型のデータが数多く存在する.そのようなデータからブール型の潜在的特徴を抽出することは重要な課題であり,ブール行列分解はそれを実現する有効な手段の一つとして注目されている.本稿では,Truongらによって提案されたブール行列分解の計算法の問題を解決する新たな変数更新法を提案する.
◎朴 潤花・亀山啓輔(筑波大)
ニューラルネットワークによる画像識別において大規模なデータセットの用意ができない場合に、データ拡張行う。現在画像のデータ拡張には、拡大縮小などの幾何学的変換、色空間での変換、画像の一部を矩形で埋める方法などがよく使われているが、データセットによっては、効果的なデータ拡張ができない場合がある。そこで本研究では敵対的サンプルの生成法を活用し、データセットの性質によらず適用可能なデータ拡張の手法の開発を目指す。提案手法では、与えられたデータセットを予備的に学習したモデルを用意し、サンプルがクラスの範囲を逸脱しない範囲で学習結果をもとに画像に摂動を加え、データの数と多様性を増強する。
◎後藤優太・中村真吾(芝浦工大)
昨今,ロボットを取り巻く環境は大きく変化している.中でもサービス分野での利用拡大が見込まれる.サービス分野では,対象者に対し並走しつつ周辺の人物に対する回避行動が必要となる.そこで本研究では,環境予測システムと深層強化学習により自律移動と並走を兼ね備えたシステムを提案する.深層強化学習にはPPOを用いて学習し,速度指令をロボットに伝える.実験では,学習の入力として環境予測システムでの予測データを入力した場合としなかった場合の学習結果の比較を行った.その結果,環境予測データを入力した方が効率よく並走を行え,かつ並走を解除しての自律移動もスムーズに行えることが示唆された.
◎Zihao Chen・Hisashi Handa・Kimiaki Shirahama(Kindai Univ.)
We propose a novel Japanese sentence representation framework JCSE that creates training data for domain adaptation by generating sentences and synthesizing them with sentences available in a target domain. Specifically, a pre-trained data generator is finetuned to the target domain using our collected corpus. It is then used to generate contradictory sentence pairs that are used in contrastive learning for adapting a Japanese language model to a specific task in the target domain. The experimental results show that JCSE achieves significant performance improvement surpassing direct transfer and other training strategies. We believe that JCSE paves a practicable way for domain-specific downstream tasks in low-resource languages like Japanese.
○西本賢司・寺井広大・江 易翰・林 海(阪公立大)・計 宇生(NII)
近年,連合学習は様々な面から注目を集めている.しかし,課題は山積しており,中でも,クライアントの一部が異常なモデルを送信するモデルポイズニング攻撃を行うと,連合学習の基本アルゴリズムであるFederated Averaging(FedAvg)では学習不可能になることが知られている.そこで,本研究では,モデルポイズニング攻撃に対処するためにトリム平均法を用いた連合学習アルゴリズムを提案する.そして,シミュレーションの結果より,トリム平均法を用いた連合学習がモデルポイズニング攻撃に対して有効であることを示す.
3月8日 13:00〜14:30 2号館 2401教室 座長 唐木田 亮(産総研)
D-20-21 | ランダムフォレストを用いたがん患者の予後予測解析 ○劉 潤・山崎達也・坂井さゆり・松本吉史(新潟大) |
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D-20-22 | 視線センサと脳波センサを用いた機械学習に基づく広告動画の効果検証 ○高木翔梧・西山裕之・秦野 亮(東京理科大) |
D-20-23 | 包装のシール溶着不良品識別に対する異常検知手法の有効性検証 ○中島滉太・片山英昭(舞鶴高専) |
D-20-24 | 金融機関の事業性入出金データに基づくサプライチェーンネットワークの構築と中心性分析 ○小林 司・成末義哲・森川博之(東大) |
D-20-25 | 畳み込みオートエンコーダによる振動からのモータ故障前兆検知 ◎山﨑健生・花沢明俊(九工大) |
D-20-26 | エッジAIに適応した異常検知手法の評価 ◎△北野侑弥・中西知嘉子(阪工大) |
○劉 潤・山崎達也・坂井さゆり・松本吉史(新潟大)
がん患者の予後予測(CPS: Clinical Prediction Survival)は,がん患者の意向を反映した治療を選択する上で重要である.現在,臨床医師によるCPSは主観的な経験に基づく場合が多いため必ずしも確実ではなく,楽観的になりがちであると報告されている[1].本研究の目的は,人の判断への依存を極力なくし,機械学習を用いて客観的かつ正確な予後予測モデルを開発することである.
本稿では,既存の代表的な予後予測指標であるPalliative Prognosis Score(PaPスコア)や,Palliative Prognostic Index (PPI)に加え,Prognosis in Palliative care Study predictor models(PiPSモデル)などに基づいて,重要度高い特徴量を採用したランダムフォレスト(RF: Random Forest)でがん患者の予後予測を行った結果を報告する.
○高木翔梧・西山裕之・秦野 亮(東京理科大)
本研究は、認知広告の広告効果検証についての研究である。認知広告の効果検証として、様々存在する。アイトラッキングを用い、視線の偏りから、目を集めている点を分析する研究がある。また、脳波センサを使った、ニューロマーケティングの手法の研究がある。
本研究では、視点の動きだけでなく、広告制作者が意図している、広告の注目点からの視点の乖離も特徴量と定義し、機械学習による分析を行った。特徴量エンジニアリングを行い、精度評価をしていく。
本実験では、脱毛商材の広告動画を使い、18歳~25歳の被験者27人が、広告動画の閲覧、アイトラッキングのデータ取得、脳波センサのデータ取得、アンケートを行い、データを分析した。
○中島滉太・片山英昭(舞鶴高専)
本研究では,異常検知でのシールのような形の定まっていない製品に対して,正常な教師データのみを学習させ,通常とは異なるパターンを検出させる異常検知手法の1つであるPatchCoreの有効性の確認を行った.データセットが不足しているため,この結果のみで未知の不良品を検出できるということは言い切れないが,高い精度で不良検出することができていることから,有効性は高いといえる.
○小林 司・成末義哲・森川博之(東大)
金融機関の信用リスク管理において,非財務データの活用が注目されているが,サプライチェーンに代表される商流データを活用できているとは言い難い.
そこで、本研究では実際の企業間の取引データを基にサプライチェーンネットワークを構築し,ノード(点)の中心性分析を実施し,商流における企業の重要度を評価する.その結果,中心性の高い企業は総じて企業単体の評価が高いことを示す.
◎山﨑健生・花沢明俊(九工大)
近年、日本では労働力不足が社会問題となっており、企業でも設備導入やITの活用による省人化が進められている。本研究では、鉄工所の圧延機を駆動するモータの振動センサにより収集された振動量から、モータの故障前兆の検知を試みた。現状、故障前兆を含む波形が存在せず、また想定外の異常にも対応できるよう、正常波形のみの学習から異常検知が可能な畳み込みオートエンコーダを採用した。モデルの調整により、最良のパラメータの組み合わせが得られた。その場合、正常波形に比べ故障前兆の模擬波形の入出力差が約3倍となることが分かった。以上から、畳み込みオートエンコーダを用いたモータの振動からの故障前兆検知の可能性を示した。
◎△北野侑弥・中西知嘉子(阪工大)
異常検知分野は,コストが低く通信が必要なく安定して動作できる点からエッジAIの活用が注目されている.異常検知は,異常データが少ないため,あらかじめ正常データの特徴を学習して,その特徴との差が大きいものを異常と判別する技術が使われている.細かな特徴の違いを判別するには,より多くの特徴をとる必要がある.そのため,演算量は多くなり,低リソースであるエッジAIでは動作が難しい.そこで,本研究では,先行研究とPatchCoreを比較し,処理速度や精度からエッジAIに適応する異常検知手法をmvtecのテクスチャ系を用いてROC曲線・AUCで評価する.精度については,PatchCoreが僅差で勝っており,速度は,先行研究がPatchCoreの約2分の1の速度だった.
3月7日 10:45〜11:45 3号館 3404教室 座長 河野和宏(関西大)
D-21-1 | 静止画像用電子透かしにおける局所埋め込みのための特徴点利用方法の検討 ◎亀田康平・山口和彦・栗原正純・佐々木航太・商 思軼(電通大) |
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D-21-2 | Ambisonics録音方式を用いた単一音源の最適再生法の検討 ◎岡田拓真・山高正烈(愛知工科大) |
D-21-3 | 分布外画像を利用したModel Extraction Attackの防御 ◎中村圭佑・中村和晃(東京理科大) |
D-21-4 | GEIベース歩容認証器に対するModel Inversion Attackの試み ○長山 湧・中村和晃(東京理科大) |
◎亀田康平・山口和彦・栗原正純・佐々木航太・商 思軼(電通大)
本研究はAKAZE特徴点を用いた,原版非参照方式を目的とした局所埋め込み型の静止画像用電子透かしを検討した.この場合,透かしの抽出時には埋め込み時と同様に必要な特徴点が得られる必要がある.しかし,埋め込みや幾何学的攻撃によって,それらが変動する問題があった.そこで本研究では,画像に対してガウシアンフィルタを適用することで特徴点情報を修正する方式を提案する.また,特徴点の応答値における順位変動に着目し,フィルタ適用の有無について比較実験を行った.更に特徴点のサイズ情報ごとに集計することで,応答値の最上位から連続して変動のない特徴点の個数が増加した.これにより有用な方式を得た.
◎岡田拓真・山高正烈(愛知工科大)
近年,バーチャルリアリティ技術の発展に伴い,Ambisonicsを使用した3D立体音響技術が注目を集めている.本研究では,ヘッドホンによる聴取環境を想定し,Ambisonics録音方式によって収録した単一音源の音信号を4種類の再生方式(モノフォニックとFigure-Of-Eight,Cardioid,サムライのHRTFを畳み込んだバイノーラル方式)に変換させ,ヘッドホン聴取時の音源の種類と最適再生方法との関係について検討した.実験結果,音刺激の種類によって最適となる再生方式が異なることが示唆された.また,モノフォニック再生方式の誤差が大きく,バイノーラル再生方式の誤差が少なかった.更に,ステレオ再生方式の場合の前後誤りが起きやすいことが分かった.
◎中村圭佑・中村和晃(東京理科大)
入力の画像データに対し認識結果を出力するクラウドサービスが登場しつつある.
これらのサービスに対してModel Extraction Attack (MEA) の可能性が危惧されている.
MEAとは,サービス提供側の認識器(以下「オリジナル認識器」と呼ぶ)に対し多数の入力画像を送信して認識結果を取得し,それを学習データとしてオリジナル認識器と同等の機能をもつ新たな認識器(以下「認識器クローン」と呼ぶ)を作成する攻撃である.
通常の認識器には見られない固有の特性をオリジナル認識器に予め持たせておくことにより,その特性を認識器クローンにも引き継がせ,それを基に認識器クローンを検出する手法を提案する.
○長山 湧・中村和晃(東京理科大)
深層学習に基づく認識器が普及している一方で,それに対するModel Inversion Attack (MIA) の危険性も指摘されつつある.
MIAとは,攻撃対象の認識器が指定の出力を示すような入力データを推定しようとする攻撃であり,プライバシー上の問題となり得る.
歩容認証技術の発展により,歩容にもプライバシー情報が含まれることが明らかとなった.
歩容認証とは,人の歩行動作から個人を特定する技術のことであり,Gait Energy Image (GEI) を入力とする手法が知られている.
本研究では,GEIベースの歩容認証器に対するMIAの実行可能性を調べることを目的として,その手法を提案する.
3月8日 13:00〜14:15 4号館 4203教室 座長 西川由理(産総研)
D-22-1 | ダイナミックマップを用いた倉庫内の異方向UAVの飛行方法の研究 ○重本祐輝・舘沼冬弥・臼杵 潤(神奈川工科大) |
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D-22-2 | 強化学習によるドローンの経路計画および姿勢・高度の安定化制御 ◎安藤 廉・高丸尚教(中部大) |
D-22-3 | 自律ロボットによるラバーコーン操作手段の検討 ○栗島直弘・岩尾雄太・小田高広(OKI) |
D-22-4 | 腱駆動モジュールによる脊椎ロボットの姿勢制御 ◎須藤 陸・三枝 亮(神奈川工科大) |
D-22-5 | 映像音響フィードバックによるロボットの自己診断 ○村田 圭・松田 輝・三枝 亮(神奈川工科大) |
○重本祐輝・舘沼冬弥・臼杵 潤(神奈川工科大)
高価な自動倉庫などの導入が困難な倉庫を対象に,安価な小型UAVを使用した現品管理に関する研究が進められている.ここで,通路上の一方向だけに棚を設置(例:商品取り出し口を通路上の北側のみに配置)しUAVの向きを固定した研究がある.これは,安価な小型UAVは水平方向に回転する際に回転角のずれが生じやすいためである.そこで,本研究では2種類の向きの小型UAVを配置し,通路内の両側面(南北双方)の棚に対して現品管理を可能とするため,2つのダイナミックマップを用いたUAVの飛行状況の共有と衝突回避方法について議論する.そして,提案手法を実装し実験したところ,想定通りの飛行ができ,その有効性を示すことができた.
◎安藤 廉・高丸尚教(中部大)
近年、回転翼型ドローン(UAV) は様々な場面、分野で普及、および活用されている。その運用法は、単機中心のものから、複数機のものへと拡がりを見せている。複数機によるタスクの遂行によって作業の効率化や並列
による作業を可能とするなど、様々な利点がある。UAV の飛行は様々な外乱に対して不安定という特徴をもつ。その中でも本研究では、Down-Wash に注目する。
本研究では、ホバリング状態維持に用いられているRISE(rubust integral of the error) 制御に加え、移動時の通過目標までの経路計画形成を同時かつ一貫して取り扱えるような強化学習による手法を提案する。
○栗島直弘・岩尾雄太・小田高広(OKI)
近年,労働力不足の課題解決手段としてサービスロボットの提供が広まっている.また交通規制時の車両侵入の危険が伴うため,作業員の安全確保のための侵入車両検知や自律ロボットによる規制作業の自動化が求められている.我々は,交通規制等での暴走車両侵入通知システムやラバーコーンの遠隔監視を実現する走行ロボットの研究を行っていた.本稿では,ラバーコーンの操作に着目し,自律ロボットでラバーコーンを状態検出,転倒検出を行い,転倒状態からの復旧を実現する自律ロボットシステムの検討について報告する.
◎須藤 陸・三枝 亮(神奈川工科大)
脊椎には,身体の支持,可動域の確保,中枢神経の保護などの様々な役割があり,脊椎によって柔軟性と堅牢性を獲得した脊椎動物は,多様な進化を遂げ地球上の環境に適応してきた.機構学では脊椎構造をもつロボットして,人型,4脚型,サンショウウオ型などのロボット開発が報告されている.しかしながら,これらの研究では,それぞれが対象とする動物の形状を模倣した結果として脊椎が実現されており,脊椎自体の設計には検討の余地が残る.本研究では,脊椎構造の柔軟性,堅牢性,拡張性に着目し,これらの性質を備えた脊椎ロボットを製作した.姿勢制御の実験では良好な結果を示したが,追従速度に課題が残った.今後は複数のモジュールを連結し,連結数の違いによる効果を検証する.
○村田 圭・松田 輝・三枝 亮(神奈川工科大)
近年,ロボットシステムは幅広い分野や用途で利用されており,性能や機能が急速に高度化している.一方, システムの構成要素が増加することで要素間の関係は指数的に複雑化し,製造者によるメンテナンスを破綻させつつある.このような問題に対して故障状況を自己診断するシステムが提案されているが,内界情報の初期状態を基準とする診断が多く,正常状態が外因的に変化する場合についての検討が不十分である.本研究では,複数の外界情報に基づいて探索的に自己診断を行うロボットシステムを提案し,アーム動作の駆動停止に関する行動司令の自己診断について検証した.特徴スペクトルのフィルタとして,現在は単一ガウスモデルを用いているが,今後は混合ガウスモデルを用い,フィルタパラメータを探索的に学習させる.
3月10日 13:00〜14:00 3号館 3307教室 座長 中口孝雄(京都情報大学院大)
D-23-1 | マイクロサービスAPIの入出力データを用いた異なるテスト工程間のテスト漏れ検出方法 ◎田中佑奈・清水 遼・鹿糠秀行・河合克己(日立) |
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D-23-2 | グラフDBを活用した受配電設備管理システムにおける機器推薦方法 ○河村美嗣・川島佑毅・永井幸政(三菱電機) |
D-23-3 | 高齢者支援に向けたニーズ調査データの自治体間比較の検討 ◎阿部寿純・山﨑達也(新潟大) |
D-23-4 | 検索エンジン最適化を目指したWebサイト骨子作成システムの開発 ◎中村恭輔・山﨑達也(新潟大) |
◎田中佑奈・清水 遼・鹿糠秀行・河合克己(日立)
Microservices Architecture(MSA)におけるマイクロサービスに対するブラックボックステストでは、サービス単体に対するテスト(サービス単体テスト)ではモック化したサービスの応答の不備を理由としてテスト漏れが発生する可能性がある。加えてシステム全体に対するテスト(E2Eテスト)ではサービス間のAPI呼び出しに伴う複雑な依存関係に起因してテスト漏れの把握が困難になる。そこで、サービス単体テストにおけるAPI呼び出しに伴うサービス間相互通信の情報(入出力データ)を抽象化し、抽象化したデータをE2Eテストの入出力データと対応付けることで、MSAの各テスト工程でのテスト漏れの検出とE2Eテストのテスト漏れ可視化を実現する方法を提案する。
○河村美嗣・川島佑毅・永井幸政(三菱電機)
受配電設備は、高圧の電気を変圧して配電する設備であり、遮断器、変圧器、計測機器など様々な機器で構成されている。受配電設備を管理する受配電設備管理システムでは、設備の設計図面、機器、点検記録などを保管し検索可能にしている。受配電設備を設計するにあたっては、設備を構成する機器を選定する必要がある。そのため、機器の選定を補助する、機器を推薦するシステムやアプリケーションが望まれている。
本論文では、受配電設備管理システム上のグラフデータベースにおいて、設備に関連付けて保存されたデータを用いることで適切な機器を推薦する機器推薦方法を示す。
◎阿部寿純・山﨑達也(新潟大)
我が国は先進国の中でも非常に高齢化が進んでいる.高齢者が元気に自立した生活を送るには,本人の普段からの心がけも必要だが,日常生活の状況や健康状態を自治体が把握し,適切に働きかけることも大切である.そのため,厚生労働省の例示のもと介護予防・日常生活圏域ニーズ調査(以下,ニーズ調査)が三年に一度全国的に実施されている.本発表では,自治体のWebページで公開されているニーズ調査結果を用いて,統計的検定により自治体間の比較を行い,調査項目に有意な差があることを示すと同時に現状のオープンデータの限界について述べる.
◎中村恭輔・山﨑達也(新潟大)
企業にとって,自社のWebサイトは重要な広告媒体であるため,ユーザのアクセス数を増やすことはマーケティング戦略の中でも重要な位置付けになっている.アクセス数の増加に最も効果があるのは,検索により表示される順位の上位に自社サイトがランキングされることである.その手段の一つにSEO対策があるが,費用対効果が明確ではないという課題もある.
SEO対策における根幹の一つとした検索結果上位表示を目的としたキーワード抽出と,そこにかかる時間的コスト削減を目的としたシステム開発を目的とする研究を行う.
3月10日 9:30〜11:50 2号館 2208教室 座長 江藤 宏(九工大)
DS-1-1 | グループ支配集合問題のグラフ構造パラメータに関する計算量 ◎宇田冴輝(名大)・土中哲秀(九大)・大舘陽太・小野廣隆(名大) |
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DS-1-2 | (依頼講演)ベイズ相関均衡とno-regret dynamics ◎藤井海斗(NII) |
DS-1-3 | Circulating Exploration of an Arbitrary Graph by Energy-sharing Agents ◎XINGZHE SUN・NAOKI KITAMURA・TAISUKE IZUMI・TOSHIMITSU MASUZAWA(Osaka Univ.) |
◎宇田冴輝(名大)・土中哲秀(九大)・大舘陽太・小野廣隆(名大)
無向グラフG=(V,E)が与えられたとき,Vの部分集合Sで,Vのすべての頂点が「Sに含まれる,またはSの少なくとも1つの頂点に隣接する」ものを支配集合と呼ぶ.最小サイズの支配集合を求める問題を支配集合問題と呼ぶ.支配集合Sのうち,{S1,S2,...,Sk}でそれぞれによって誘導されるGの部分グラフが連結であり,かつそれぞれのサイズがrであるようなものに分割できるとき,Sをr-グループ支配集合と呼ぶ.それぞれのSiをユニットと呼ぶ.本研究では,与えられたグラフが高々kユニットのr-グループ支配集合をもつか否かという決定問題に関するパラメータ化計算量を求める.
◎藤井海斗(NII)
同じベイジアンゲームを何度も繰り返すなかで、各プレイヤーがオンライン学習のアルゴリズムに従って戦略を更新する状況を考える。収束先として想定されるのは、相関均衡のベイジアンゲームへの一般化(ベイズ相関均衡)だが、自然な一般化は複数知られている。本研究ではそれぞれに対応するリグレットを定義し、上界と下界について議論する。
◎XINGZHE SUN・NAOKI KITAMURA・TAISUKE IZUMI・TOSHIMITSU MASUZAWA(Osaka Univ.)
In this paper, we investigate the circulating graph exploration, which requires that each edge of the graph be explored by at least one agent and that the number of agents located on each node be the same before and after the exploration. We show the necessary and sufficient condition on the total amount of energy required for the circulating graph exploration by energy-sharing agents for an arbitrary graph, and show that an exploration strategy can be found if exists in polynomial time.
休 憩(11:00 再開) 座長 和佐州洋(法政大)
DS-1-4 | (依頼講演)ぷよぷよマッピング問題 江藤 宏(九工大)・◎木谷裕紀(九大)・小野廣隆(名大) |
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DS-1-5 | 辺ケイレスに対する必勝判定アルゴリズムの計算量解析 ◎吉渡 叶(名大)・木谷裕紀・土中哲秀(九大)・小野廣隆(名大)・Michael Lampis(Universite Paris Dauphine) |
江藤 宏(九工大)・◎木谷裕紀(九大)・小野廣隆(名大)
ぷよぷよとは人気の高い落ちものパズルゲームで,このゲームは重力に従って落下していく1組2個の単色または2色の組ぷよを盤面上で左右に操作,配置し,配置されたぷよの組合せによって,ぷよの消去を行うことでゲームが進行する.
本研究ではオフラインパズル問題として,与えられた組ぷよの入力列から指定された配置が可能かを判定するぷよぷよマッピング問題を提案し,その計算困難性および指数時間アルゴリズムを与える.
◎吉渡 叶(名大)・木谷裕紀・土中哲秀(九大)・小野廣隆(名大)・Michael Lampis(Universite Paris Dauphine)
辺ケイレスは単純無向グラフ上で行われる組合せゲームである.プレイヤは自分の手番で辺を1つ選択する.選択後,選択された辺とその両端点,そして隣接辺は全て削除される.この操作を2人のプレイヤで交互に繰り返し,先に自分の手番で辺を選択できなくなったプレイヤの負けである.本研究では,先行研究の木グラフに対するアルゴリズムの計算量解析をより詳細に行い改善する.また,木グラフに対する頂点被覆を利用した必勝判定アルゴリズムと,任意のグラフに対する必勝判定アルゴリズムを提案する.