3月8日 10:30〜11:45 3号館 3304教室 座長 吉岡大三郎(崇城大)
N-1-1 | ネットワークランキングに基づく対戦型スポーツの勝敗予測に関する検討 ◎石倉龍海・島田 裕(埼玉大) |
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N-1-2 | 小説から得られる単語ネットワークの骨格構造に関する調査 ◎田澤将大・島田 裕(埼玉大) |
N-1-3 | グラフ間距離を用いたテンポラルネットワークの辺予測手法の検討 ◎猪狩大気・島田 裕(埼玉大) |
N-1-4 | 演奏会における観客の行動データ解析 ◎伴 崇弘(埼玉大)・木村真実・野村亮太(早大)・島田 裕(埼玉大) |
N-1-5 | 揺らぎを用いた最適化の試み ○松内遼太郎・塩谷 勇(法政大) |
◎石倉龍海・島田 裕(埼玉大)
スポーツにおける選手やチーム,ウェブページ,商品,企業など様々な対象の順位付けにランキングの手法が広く用いられている.対戦型スポーツにおいては,勝敗関係をネットワークで表現することで勝敗の情報のみから選手・チームの順位を求める手法が提案されている.本稿ではネットワークを用いたランキング手法を用いてサッカーの勝敗予測がどの程度可能か調査した.また,過去の勝敗関係の重み付けに用いる重み関数が勝敗予測の精度に与える影響を調査した.実験結果より,欧州サッカー連盟の公式ランキングよりも少ない情報で同程度の予測精度となる場合があることがわかった.
◎田澤将大・島田 裕(埼玉大)
複雑ネットワーク内には結びつきの強い頂点ペアが存在する.これらの結びつきの強い頂点間の辺の集合はネットワークの骨格とも呼ばれ,観測されたネットワークから骨格構造を抽出する手法が提案されている.本研究では骨格構造抽出法を小説の単語ネットワークに適用して得られるネットワークの構造が何を表すのかについて調査した結果を報告する.実験では5名の著者の複数の小説から各作品の単語ネットワークを生成し,その骨格構造の抽出を行なった.ネットワーク構造の定量化指標を用いて得られた骨格の構造を調査した.
◎猪狩大気・島田 裕(埼玉大)
現実には頂点と辺の集合からなるネットワークとして表現できる現象が多数存在し,それらの中には時刻とともに構造が変化するテンポラルネットワークと呼ばれるネットワークが存在する.このテンポラルネットワークに対し,将来の構成要素間の結合関係を推定する辺予測に関する研究が行われている.本稿では,近年提案されている種々のグラフ間距離を既存の辺予測手法と組み合わせた辺予測手法を提案し,その有効性を検証する.
◎伴 崇弘(埼玉大)・木村真実・野村亮太(早大)・島田 裕(埼玉大)
近年,教育・医療の現場において小型の無線センサで人間の行動を計測し,その振る舞いを調査する研究が行われている.これらの研究で得られたデータや知見は,集団の振る舞いのモデル化や,感染症伝播のシミュレーションの研究などに広く応用されている.一方,演奏会会場等で人の行動をセンサ等を用いて計測し,集団の振舞いを調査した研究はほとんどない.本稿では実際に小型無線端末の加速度センサを用いて演奏会会場における観客の振る舞いの行動データを取得し,どのような行動パターンが見られるのかを調査した結果を報告する.
○松内遼太郎・塩谷 勇(法政大)
非線形の最適化問題を扱う。最適化問題は評価関数f(x1,..,xn)を最小(または最大)にする。本報告では最急降下法に揺らぎを加えた場合について述べる。最急降下法は最も傾きの大きい方向に、最小点があるとして、その方向に1次元の検索をする。これを繰り返すことで最小点(極小点の場合もある)を見出す。最小点であるかの保証はさておき、本報告の目的は、できるだけ少ないステップで最小点を見出す「揺らぎを加える手法」を提案する。揺らぎは、2つ考えられ、(a)方向大きさに加える揺らぎ、(b)大きさを一定にした方向のみの揺らぎがある。この報告では例題を取り上げて、(a)と(b)の揺らぎの効果についての実験結果を報告する。
3月8日 13:00〜17:00 3号館 3304教室 座長 信川 創(千葉工大)
N-1-6 | 障害物の追い越しが片側1車線環状道路の交通流に与える影響 ◎松永健太・岩本 哲(阪府大)・吉田晃基(富山高専)・杉谷栄規(茨城大)・伊藤 章(名大)・小西啓治・原 尚之(阪公立大) |
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N-1-7 | 周期入力に対する Izhikevich ニューロンモデルの応答 ーカオスニューロンの場合ー ◎塚本陽太・對馬帆南・池口 徹(東京理科大) |
N-1-8 | スパイク列に対する因果性検出における再構成次元の影響 ○澤田和弥(東京理科大)・島田 裕(埼玉大)・池口 徹(東京理科大) |
N-1-9 | 公職選挙ポスター掲示問題に対する発見的解法の開発 ○郭 豊愷・對馬帆南(東京理科大)・足立 淳・松浦隆文・木村貴幸(日本工大)・池口 徹(東京理科大) |
N-1-10 | PVを接続した双方向DC/DCコンバータが有する非線形2ポート特性の大域的安定化 ◎山本謙太・久門尚史・Mahfuzul Islam・和田修己(京大) |
◎松永健太・岩本 哲(阪府大)・吉田晃基(富山高専)・杉谷栄規(茨城大)・伊藤 章(名大)・小西啓治・原 尚之(阪公立大)
近年の自動追越機能は片側2車線以上の高速道路で実装されつつある.しかし,駐車車両などの「障害物」を追い越す状況が想定される一般道では,対向車の存在により,追越機能を利用することが難しい.本研究では片側1車線の環状道路における追越動作を簡単な数理モデルで表現し,そのパラメータ設定が交通流に与える影響を数値的に調査する.実際には,障害物との距離と対向車との距離の2つの数値で追越判断を行う数理モデルを作成し,数値シミュレーションによって車両の流量と電力の評価を行った.その結果,車両の流量と電力の間にトレードオフの関係があり,追越時の対向車との確保距離はその関係を踏まえて設定すべきことが見出された.
◎塚本陽太・對馬帆南・池口 徹(東京理科大)
我々は既に,Izhikevichニューロンモデルがregular spiking,fast spiking,intrinsically burstingおよびchattering応答を呈する際の正弦波入力に対する応答を調査している.本稿では,Izhikevichニューロンモ デルがカオス応答を呈する際の正弦波入力に対する応答を調査したので報告する.
○澤田和弥(東京理科大)・島田 裕(埼玉大)・池口 徹(東京理科大)
本稿では,再構成次元が提案手法を用いた因果性検出精度に与える影響を調査した. その結果,両方向に結合する2つのIzhikevich ニューロンに対しては,再構成次元が4のときに予測精度が最大となり,適切な再構成次元であることがわかった.
○郭 豊愷・對馬帆南(東京理科大)・足立 淳・松浦隆文・木村貴幸(日本工大)・池口 徹(東京理科大)
公職選挙では,選挙告示後,立候補者の情報を有権者に早く伝えるために,選挙スタッフは複数の車両を用いて短時間でポスターの掲示作業を終える必要がある.我々 は既に千葉県野田市のポスター掲示問題に関して,現職議員が提案したポスター掲示場のグループ (以下,経験 的なグループ) 分けを用いた場合の最適経路を汎用ソルバーを用いて算出した.その結果,グループ内での最短な巡回経路を得ることはできたが,巡回経路間の交差が多く,経験的なグループを用いる戦略は最適ではないことも明らかとなった.そこで本稿では,ポスター掲示経路の総移動距離を削減するための発見的な解法を提案し,その性能を調査したので報告する.
◎山本謙太・久門尚史・Mahfuzul Islam・和田修己(京大)
双方向DC/DCコンバータは非線形な2ポート特性を有しており,2つの平衡点が存在する.筆者らはコンバータの変換特性を解析的に表現することで,ポート間の関係を用いて目標外の平衡点を消去し,大域的に安定化する手法を提案している.本発表では,この大域的安定化手法を拡張し,解析的な扱いが難しいPV(太陽電池)に適用する方法を提案する.変換特性を数値的に解き,目標外の平衡点を消去ができることを数値的検討により確認した.さらに,負荷特性と2次側の目標特性より,変換特性が大域的に安定となるゲインが定まることを示した.
休 憩(14:30 再開) 座長 池口 徹(東京理科大)
N-1-11 | 共通不規則トリガパルスを有する二つの積分発火型発振回路の同期現象に関する同時発火確率の考察 ○中山翔太・高田明雄(函館高専)・坪根 正(長岡技科大) |
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N-1-12 | Application of FORCE Learning to Chaotic Neural Network Reservoir ◎Khunhour Morm・Yoshihiko Horio・Takemori Orima(Tohoku Univ.) |
N-1-13 | 様々な回路実装方式に対応可能な時空間学習則の汎用定式化 ◎織間健守・辻 孟・堀尾喜彦(東北大) |
N-1-14 | 時空間学習則のハードウェア化に向けた回路精度の検討 ◎辻 孟・織間健守・堀尾喜彦(東北大) |
N-1-15 | 時間履歴を持つ出力ニューロンを用いたニューラルネットワークリザバー ○藤井香之介・堀尾喜彦・織間健守・辻 孟・石井 豪(東北大) |
○中山翔太・高田明雄(函館高専)・坪根 正(長岡技科大)
積分発火型発振回路におけるノイズ誘起同期について,同期に有効な発振器の最適設計法に加え,回路パラメータのミスマッチや加えるべきノイズの統計的性質等についても明らかになっていない.そこで,本研究では,RC時定数に依存する回路パラメータのミスマッチを考慮した場合,回路の同時発火の起こりやすさについて確率的な観点から考察した.この際,ホワイトノイズを特定のレベルでサンプリングして得られたトリガパルスを回路に印加し,トリガパルスの発生頻度をそのレベルを調節することによって変化させた.結果として,設定した回路パラメータのミスマッチと同時発火の関係について数値モデルによって定性的に予測することができた.
◎Khunhour Morm・Yoshihiko Horio・Takemori Orima(Tohoku Univ.)
Chaotic neural network reservoir (CNNR) was proposed to introduce chaotic dynamics into a reservoir without violating the echo state property. This paper uses the first-order reduced and controlled error (FORCE) learning method to tame the chaotic dynamics of CNNR.
◎織間健守・辻 孟・堀尾喜彦(東北大)
時空間学習則(STLR)とヘブ学習則(HBLR)を組み合わせた海馬記憶モデルが提案されている。本稿では,同期または非同期デジタル回路やイベント駆動型アナログ回路等の様々な回路方式による実装に対応できるように,STLRをイベント(発火)時刻を陽に用いない微分方程式で記述する。
◎辻 孟・織間健守・堀尾喜彦(東北大)
時空間学習則 (STLR)とヘブ学習則 (HBLR) を組み合わせた海馬記憶モデル[1]が提案されており,我々は,このモデルのイベント駆動型アナログ/デジタル混成集積回路化を目指している[2].そのための第一歩として,同期式のデジタル回路を中心としたアナログ/デジタル混成回路実装のために必要な回路精度について検討を行った.その結果,回路のビット精度を8 bitの固定小数点に変更した場合でも倍精度浮動小数点と同等な性能が保たれることが確認された.
○藤井香之介・堀尾喜彦・織間健守・辻 孟・石井 豪(東北大)
時間履歴を持つ出力ニューロンを用いたニューラルネットワークリザバーを提案する.本稿では,そのような出力ニューロンの一例としてカオスニューロンモデルを用いる.
休 憩(16:00 再開) 座長 島田 裕(埼玉大)
N-1-16 | リカレンスプロットによるBitcoinの決定論性の考察 ○池谷隼人・信川 創(千葉工大) |
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N-1-17 | 昇圧コンバータに基づく区分線形系のパラメータ次元圧縮 ◎△沼田龍之介・斎藤利通(法政大) |
N-1-18 | 2値連想記憶のクラスタリングへの応用について ◎清原一馬・斎藤利通(法政大) |
N-1-19 | スパイキング型リカレントネットワークシステムのハードウェア実装に向けたモデル検討 ○野村久美子・西 義史・丸亀孝生・水島公一(東芝) |
○池谷隼人・信川 創(千葉工大)
近年,取引の多くは高頻度取引をはじめとする機械的なアルゴリズムトレードが主流である.しかし,相場の値動きは非定常性が強い.このような金融時系列の性質から,機械学習は学習させた時点で内部のパラメータは最良の結果となるが,新たな時系列に適用するためには,再度学習が必要になる.一方でリザバーコンピューティングは少ない学習データで高い予測性能を達成できることが期待できるため,近年では金融時系列予測に利用されている.これを利用した予測アルゴリズムでは,少ない決定論的時系列信号に対しても特に高い予測性能を示す.しかし,金融時系列データは確率的な性質と決定論的な性質を併せ持つため,どのような期間における金融時系列データの決定論性が高くなるのかを把握が重要な課題である.本稿では,Bitcoin時系列データからRecurrence Plotsを導出し,それに基づくDETの値から決定論性の変化について考察を行う.
◎△沼田龍之介・斎藤利通(法政大)
昇圧コンバータの区分線形モデルを対象として2目的最適化問題の基づく, パラメータの次元圧縮を検討する.
回路とシステムの所望動作を実現するためには, 複数の目的を最適化する多目的最適化問題(MOP)が重要になる.
MOPでは1つの目的を良くしようとすると, その他の目的が悪くなるトレードオフが存在する.
最良のトレードオフはパレートフロント(PF)とよばれ, 所望動作実現のための1つの指標となる.
また, 制御パラメータの数を絞るパラメータ次元圧縮も重要である.
本稿では, PF近似の評価指標の1つであるHyper Volumeに基づくパラメータ次元圧縮を考える.
◎清原一馬・斎藤利通(法政大)
簡素な再帰型ニューラルネットワークである2値連想記憶のクラスタリングへの応用について検討する.
○野村久美子・西 義史・丸亀孝生・水島公一(東芝)
脳の神経細胞(ニューロン)やニューロン同士をつなぐシナプスの電気的動作を電子回路で模倣したスパイキングニューラルネットハードウェア(SNN-HW)は、スパイク発生時間や時間間隔で情報処理を行うため時系列データ処理に適しており、リカレントニューラルネットワーク(RNN)を内部構成とした場合、より高精度な時系列データ予測・異常検知システムの構築が可能である。教師なし学習は、離散的な重み値に対応する抵抗をあらかじめ用意し、セレクタで選択することでHW実装できる。本研究では、離散重みのビット数とネットワーク精度の関係をシミュレーションで調べた。
3月9日 13:00〜16:45 3号館 3302教室 座長 鈴木智也(茨城大)
N-2-1 | 影響力最大化問題に対する種の感染力に影響する要因 ○廖 福軒・林 幸雄(北陸先端大) |
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N-2-2 | 多モード半導体レーザにおけるカオス的遍歴を用いた意思決定実験 ◎岩見龍吾(埼玉大)・巳鼻孝朋(東大)・菅野円隆(埼玉大)・成瀬 誠(東大)・内田淳史(埼玉大) |
N-2-3 | 外国為替レートの予測可能性に関する要因分析 ◎山口風樹(茨城大)・杉本誠忠(外貨ex byGMO)・鈴木智也(茨城大) |
N-2-4 | サプライチェーン上の位置がカスタマーモメンタムに与える影響 ◎関谷 健・酒井優樹(茨城大)・谷塚智成(大和アセットマネジメント)・鈴木智也(茨城大) |
N-2-5 | 非協力ゲーム理論を用いたクラウドレット間のオフローディングによる負荷分散法 ◎横田侑紀・宮田純子(芝浦工大) |
○廖 福軒・林 幸雄(北陸先端大)
影響最大化問題(IMP)とは、情報拡散をモデル化した時に、多くの頂点に情報が拡散するように、拡散の起点となる拡散の種の頂点集合を求める問題である。多くの研究者が、拡散力を持つ局所的又は大域的なネットワークの中心性などを利用して、単一又は複数の種を見つける方法を提案しているが、従来のヒューリスティックな手法では拡散の重なりを考慮しない。そこで、我々は、拡散の重なりに着目して、情報科学のマルチホップ被覆と、統計物理学的なメッセージ伝搬による最小FVS(VC)の近似解法を融合して、新たな方法を提案している。
一方、多くの現実のネットワークはScale Free(SF)と呼ばれる構造を持ち、経路の効率性と極端な脆弱性を同時に持つ。我々は、成長するネットワークにおいて、強い頑健性と高い通信効率性という重要な特性の両方を備える、利己的でないより良いアタッチメント法として逆優先的選択(IPA)モデルを提案した。IPAモデルは、パラメータβが大きくなるにつれて、頑健性、次数相関の向上に大きく影響を与えることが示された。
◎岩見龍吾(埼玉大)・巳鼻孝朋(東大)・菅野円隆(埼玉大)・成瀬 誠(東大)・内田淳史(埼玉大)
近年、強化学習の問題例である多腕バンディット問題を光ダイナミクスを用いて解くという光意思決定の研究が行われている。複数の選択肢における多腕バンディット問題を解く光意思決定として、戻り光を有する多モード半導体レーザにおけるカオス的遍歴を利用した方式が提案されている。しかしながら、本方式の実験的報告がされていない。そこで本研究では、多モード半導体レーザにおける縦モード間のカオス的遍歴を用いた意思決定を実験的に達成することを目的とする。4つの選択肢における意思決定を行った結果、カオス的遍歴とその制御を利用することで正しい意思決定が行えることが実験的に明らかとなった。
◎山口風樹(茨城大)・杉本誠忠(外貨ex byGMO)・鈴木智也(茨城大)
本研究は我々の先行研究(電子情報通信学会ソサイエティ大会, N-2-4)の続報であり,FX業務におけるカバー取引への活用を想定して外国為替レートの短期予測を試みる.金融市場は効率性が高いため,中長期の価格変動は基本的にはランダムであるが,短期においては注文板に集約された未約定情報(需給の偏り)を読み解くことで予測可能性を示唆する研究事例は少なくない.しかし予測可能性(法則性の強度)は常に一定では無いため,実務応用の観点において,予測可能性はどのような要因で変化するのか把握したい.そこで本研究では,機械学習により客観的な予測モデルを構築し,事前情報と事後情報の観点から予測の正誤に影響しうる要因を検証した.
◎関谷 健・酒井優樹(茨城大)・谷塚智成(大和アセットマネジメント)・鈴木智也(茨城大)
カスタマーモメンタムとは,カスタマー企業に大きな株価変化があった際に,時間差をもってその取引関係にあるサプライヤー企業の株価に影響を与える現象である.先行研究では,各サプライヤー企業において取引関係があるカスタマー企業の株価リターンからカスタマーモメ ンタム指標を算出し,そのサプライヤー企業の将来リターンと有意な関係があることを示している.その要因の一つとして,投資家の注意力や情報処理能力には限界があるため,カスタマー企業の好調が瞬時にサプ ライヤー企業の株価に反映されるとは限らない.このような根源的な原因が内在するならば,企業の認知度や情報収集の手軽さに関する定量情報をカスタマーモメンタム指標と組合わせることで,カスタマーモメンタムを強化できる可能性がある.例えばサプライチェーンにおける上流企業は下流企業に比べて認知度が低く,情報処理に負担を要するだろう.そこで本研究では,Hodge分解の手法によりサプライチェーン上の位置(Hodgeポテンシャル)を定量化し,カスタマーモメンタムに与える影響を検証した.
◎横田侑紀・宮田純子(芝浦工大)
クラウドレットとは,ユーザと同一Local Area Network内に存在する1ホップで接続可能なコンピュータ群であり,リアルタイム性の高い処理が可能となる反面,個々の処理能力の低さが課題となる.既存手法では,一定の許容遅延を満たす中でクラウドレット間でジョブのオフローディングを行い,負荷の分散を小さくしている.しかし,許容遅延をジョブのオフロード割合の重みで評価しているため,ジョブごとの公平性に欠けるという問題がある.そこで本稿では,ジョブのオフロード割合ごとの遅延時間を許容遅延で制限し,オフロードするジョブとしないジョブの遅延時間の差を小さくする最適オフロード割合を,非協力ゲーム理論を用いて導出する.
休 憩(14:30 再開) 座長 眞田耕輔(三重大)
N-2-6 | 英字テキスト解析によるテーマ型ファンドの自動銘柄選定 ◎佐藤瑠星・佐野龍太郎(茨城大)・倉本 渉(大和アセットマネジメント)・鈴木智也(茨城大) |
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N-2-7 | テーマ型ファンド組入銘柄の選定理由の可視化 ◎戴 子儀・駱 子傑(茨城大)・倉本 渉(大和アセットマネジメント)・鈴木智也(茨城大) |
N-2-8 | 相関型ステガノグラフィにおけるJPEG圧縮耐性の検証 ○相川真莉子・宮田純子(芝浦工大)・木下宏揚(神奈川大) |
N-2-9 | トラヒック負荷を考慮したEvil-Twin 攻撃検知手法の提案 ◎上田智之・宮田純子(芝浦工大) |
◎佐藤瑠星・佐野龍太郎(茨城大)・倉本 渉(大和アセットマネジメント)・鈴木智也(茨城大)
本研究の目的は2点ある.まず第一に,テーマ型ファンドは運用方針が分かり易く人気が高い金融商品であるが,投資可能企業は膨大に及ぶためテーマに関連する銘柄の選出において膨大な労力を要する.そこで企業が発行する文章のテキストマイニングにより有望銘柄を自動で選出し,その中から専門家の知見により人力で最終銘柄を選択するための支援システムである.第二に,投資テーマに関して全く知識を持たない非専門家であっても,上記のテキストマイニングを駆使することで専門家に近い銘柄選択を可能にする支援システムである.いずれのテキストマイニングにおいても先行研究(M. Hirano, 2019)が参考になるが,日本語のみを対象にしている.しかし近年はグローバル株の需要が高いため,本研究では英字テキストへの対応を検討する.さらに同先行研究は提案システム全体の有用性を評価しているが,システムを構成する各要素の評価は省略している.そこで本研究では各構成要素の評価を通じてシステム全体の改善余地を検討しつつ,支援システムの英語化を図る.
◎戴 子儀・駱 子傑(茨城大)・倉本 渉(大和アセットマネジメント)・鈴木智也(茨城大)
本研究の問題意識は2点ある.まず第一に,ファンド運営会社は顧客(投資家)に対して説明責任を有するため,特にテーマ型ファンドにおいて組入銘柄の選定理由を分かりやすく提示したい.第二に,先行研究(M. Hiranoら, 2019)のようなテーマ関連銘柄の検索システムにおいても,銘柄の選定理由や妥当性を目視で確認できるようにしたい.これらによりテーマ型ファンドの透明性を高め,ガバナンス強化に資する仕組みを構築する.検索対象となる投資テーマは一般的に複数の概念で構成されるため,本研究ではWord2Vecやk-means++を活用することで,複数の概念およびそれらを構成する単語群を抽出する.さらに投資対象企業の有価証券報告書をテキストマイニングすることにより,投資テーマに近い企業をランキングし,その理由を抽出した複数の概念に基づいて定量化し,その結果をレーダーチャートで可視化する.これらの妥当性をユーザー実験やアンケート調査等により評価する.
○相川真莉子・宮田純子(芝浦工大)・木下宏揚(神奈川大)
情報保護への感心が高まる中,マルチメディアデータに情報を隠蔽する情報保護技術のステガノグラフィに関し,多くの提案がされている.既存の相関型ステガノグラフィは,M系列での情報符号化とDCT領域への埋め込みで秘匿性向上が確認されたが,ステゴ画像の圧縮など加工耐性が未検証で,情報量削減が求められる情報の送受信などの使用時に,情報復元可能性が未知である.また,画質の劣化は秘密情報の存在が暴かれる原因になり,秘匿性向上においては抑制することが重要であるが,圧縮後画像の画質変化の様子も検証されていない.
そこで本研究は,ステゴ画像の圧縮耐性を情報の埋め込み位置や圧縮率を変化させて劣化や情報復元可能性を確認する.
◎上田智之・宮田純子(芝浦工大)
近年,公共の場における無線LAN 設備の増加に伴い,正規の無線LANアクセスポイント(以下,AP)を偽装した不正APにユーザを誤って接続させ,様々な攻撃を行うEvil-Twin攻撃(以下,ET攻撃)が増加している.このET攻撃の検知手法において,攻撃時と通常時の往復遅延時間(round-trip-time: RTT)の違いに着目している研究がある.しかし,トラヒックが高負荷になることによってRTTに分散が発生する可能性があるにも関わらず,その点が考慮されていない.一方で,トラヒック負荷に着目した検知手法も存在するが,そこで用いるパラメータはMCS(Modulation and Coding Scheme)のため,複雑な制御となっており,さらに検知制御パラメータである閾値がトラヒック負荷によって変動しない値となっている.
そこで本研究では,トラヒック負荷ごとのRTTに着目したET攻撃検知手法を提案し,その有効性を示す.
休 憩(15:45 再開) 座長 内田淳史(埼玉大)
N-2-10 | 異種超高密度ネットワークにおけるセル滞在時間に基づくセル選択法 ◎金澤宏哉・宮田純子(芝浦工大) |
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N-2-11 | 確率共鳴を適用した非線形システムの利用による逐次干渉除去における信号検出の低消費電力化の可能性 ◎冨田友太・羽多野裕之・眞田耕輔・森 香津夫(三重大) |
N-2-12 | 確率進化ゲーム理論によるAP選択法を用いたUAVトラヒックの予測 ◎高梨怜音・宮田純子(芝浦工大) |
N-2-13 | 4輪ローバーにおける電力パケット重ね合わせ機能の実装 ◎眞田虎太郎・新井浩志・佐藤宣夫(千葉工大) |
◎金澤宏哉・宮田純子(芝浦工大)
モバイル接続数の増加に伴い,従来から使用している4G 基地局のようなマクロセルの上に,近年導入されている5G 基地局のようなスモールセルが展開されており,基地局数は増加の一途をたどっている.基地局の増加は,モバイルユーザのセルの切り替え回数,つまりハンドオーバ回数の増加を引き起こす.ハンドオーバは接続の中断であり遅延や電力消費に繋がるため,無駄なハンドオーバや増加は無い方が良い.本研究では,通信品質を維持しつつ,ハンドオーバ回数を減らすことを目標に,ユーザのセルの滞在時間に着目して最大セル滞在時間の基地局に接続し,そのセルの滞在時間に閾値を設けたアルゴリズムを提案する.
◎冨田友太・羽多野裕之・眞田耕輔・森 香津夫(三重大)
5Gでは、マルチユーザ多重化方式である非直交多元接続が提案されている.電力領域NOMAでは、ユーザ信号に異なる電力を割り当て、送信側で重畳符号化を用いて多重化する.NOMAでは、非直交性から、受信側で逐次干渉除去などの干渉除去が必要になる.SICは逐次方式であるため、非線形システムを使用することは消費エネルギーの点で有利である.しかし、非線形システムは信号検出の劣化につながる.そこで、本研究では、非線形システムの応答を改善する非線形現象である確率共鳴の適用を提案する。計算機シミュレーションの結果,SRの適用には,検出性能を強化しながら,信号検出の低消費電力化が可能であるという効果が期待できることがわかった.
◎高梨怜音・宮田純子(芝浦工大)
近年,様々な用途で無人航空機であるUnmanned Aerial Vehicle (以下,UAV) に注目が集まっている.今後UAV が 普及しUAV ネットワークを形成する上で,アクセスポイン ト(以下,AP) の配置問題や帯域輻輳を解決するためにトラ ヒックの予測が必要である.既存研究では,ゲーム理論 を用いて性能の異なったAP を合理的な選択を行っている. しかしながらでは風の影響のような予期せぬ事象による 通信の切断や接続先の誤りが考慮されていない. そこで本研究では確率進化ゲーム理論を用いて,UAV が 接続先を誤る可能性を考慮し分布を求め,その分布からその 時の平均スループットを求めることでより現実的なUAV の トラヒックの予測をすることを目的とする.
◎眞田虎太郎・新井浩志・佐藤宣夫(千葉工大)
電力パケット技術を4輪ローバーに適用する研究を行っている.ローバーの各輪にはパケット受信機が接続されており,送信機から各受信機に送るパケットの数を制御することにより,ローバーの走行制御をおこなう.但し,この方法では,送信できる電力量の上限が単位時間あたりに送信できるパケットの数で決まってしまう.本報告では,受信機から送信機に追加の電力を要求する機能を付加し,主送信機と同時に補助送信機からもパケットを供給する「重ね合わせ機能」を提案する,これにより一時的な電力不足を解決することを目的とする.4輪ローバーを用いて新規提案手法を実装し評価した結果を報告する.